FC2ブログ
信頼できるLDLコレステロール基準:NCEP ATP III 2001年
こんにちは。

コレステロールの基準値に関していろんな情報が乱れ飛んでいて、2009年12月時点でも臨床現場を混乱させています。

このような状況の中で世界的に見て、米国で2001年に制定されたガイドライン「NCEP ATP III」のLDL-コレステロールの基準(*)は比較的信頼度が高いと考えられます。 (^_^)

ヨーロッパでも受け入れられていると思います。

一方、NCEP ATP IIIの2004年の改訂で、LDL-コレステロールの基準値がかなり引き下げられました。→製薬会社に有利!!

しかしこの改訂に対しては、2004年8月1日のWashington Post紙に有名な反論が掲載されました。

この記事は、この改訂に携わった数名のスタチン(**)製剤メーカーのひも付きの学者に対して、痛烈な批判が展開してあります。

例えば、製薬メーカーと無関係のブリティッシュ・コロンビア大学のグループは、同じデータから、別の結論をだしたそうです。→製薬会社に不利!!

この記事以降、欧米では治験が厳密になり、製薬企業と経済的関係の深い人は、ガイドライン委員会から外されるようになりました。

以下は、東海大学の大櫛陽一先生にご教示頂いた最新の内容です。

☆高LDL-Cが心血管系疾患のリスクになるということ自体が揺らいできている。

☆欧米で「利益相反」や「製薬企業によるエビデンスの不正」が問題となって、2004年以降、治験や医学論文に対して科学的厳密さがより強く要求されるようになった。

☆2006年以降に発表されたコレステロール低下薬に関する無作為化対照試験(RCT)であるASPEN(16)、ENHANCE(17)、SEAS(18)、GISS-HF(19)、 CORONA(20)、AURORA(21)などでは、スタチンによりLDL-Cは下がるが、心血管系イベントや総死亡には効果が無いと報告されるようになった。

ということです。

なお、2007年に改定された日本動脈硬化学会のガイドラインは、残念ながら問題が多く、信頼度は低いです。( ̄_ ̄|||)

LDL-コレステロール値に関しては、日本のガイドラインは厳しすぎるので、米国(日本より心筋梗塞が3倍多い)の2001年のガイドラインにしたがい、

低リスクの人の薬物療法開始は190mg/dl、
中程度リスク者で160mg/dl、
高リスク者で130mg/dl

が一つの目安になります。


(*)札幌厚生病院循環器科のホームページに解説があります。
http://www.gik.gr.jp/~skj/HL/atp3.php3
NCEP ATP III 2001年の解説。
2004年の改定は信用できないのでこの解説がいいです。

(**)スタチン
LDLコレステロールを下げる薬。



江部康二

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
糖質制限と腎機能
はじめまして、江部先生。

最近、祖父(82才)が2型、HbA1c6.2%になり、
ここ一か月ほど、興味深く先生のブログを熟読させていただいております。
祖父は、かなり元気ではありますが、足が悪く、
食後の散歩も厳しい面がありそうなもので、
糖質制限食にはかなり希望を感じさせて頂いております。

さっそく先生の本やレシピを購入し、私も含め、
家族全員で実践し始めようと、思っていたのですが、
最近ふと、不安になったことがあります。

「腎機能低下し、クレアチニンが高位の方には糖質制限は向かない」
とのことなのですが、どの程度で、腎機能が低下しているといって良いのでしょうか?
基準値以上ということなのでしょうか?

実は、私の去年(2月)の健康診断で、
「尿素窒素16、クレアニチン1.1(判定A)尿蛋白・潜血-」

と出ていたのを最近になって気付き、恐ろしくなって、
2か月前に、かかりつけの病院で検査をしたところ

「尿素窒素11、クレアニチン0.89、尿蛋白・潜血-、
前回のクレアニチンが1.1なのは、そのほかの赤血
球等の数値を見るとの水分バランスの関係だと考えられるし、
筋肉量が多い人は多少クレアニチンも高めに出るし、さっぱり問題なし」

と、いう結果だったのですが、2回とも基準値以内だし、大丈夫だよな・・・
と思いつつも、年齢のわりにクレアチニンが高いような・・・
本当に糖質制限を行って良いのかな?
とふと思っています。

ちなみに、私は25才の男で、2か月前の再検査時、
177㎝88kg体脂肪23%のプチ巨漢で、元々周りの友人と比べても、
かなり筋力が強く、(学校での体力測定などでも筋力の部分だけ、
グラフから飛び出る位)なんとなく納得していたのですが。

ちなみに、その時に、「HbA1c4.6%,家庭用血糖測定機で空腹時89」
だったので、たぶん糖尿病ではないようです。

それ以来は、糖質制限を知らなかったのですが、
健康に気を使って厳しい食事制限と適度な運動で、75kgまで落としました。
糖質制限を知っていればもっと楽だったんではないかとふと思っています・・^_^;

2009/12/16(Wed) 17:27 | URL | リダ | 【編集
こんにちは。以前何度かコメントさせていただいたフランス在住のさちです。
今日、日本の母からはるばるベリ-チョコと先生の本が届きました!
早速読んで勉強したいと思います♪

さて、今日の記事を読んで、先日こちらで受けた血液検査のコレステロ-ルの欄を見てみました。
AFSSAPS(フランスの保健機関 l'agence française de sécurité sanitaire des produits de santé)の指標により、
LDLコレステロ-ルは患者のリスク度によって基準値が以下5つ設定されていて、
①リスクなし <2.20 g/l
②リスク一つ <1.90 g/l
③リスク二つ <1.60 g/l
④少なくとも三つ以上のリスク 1.30 g/l
⑤coronariens (辞書によると冠状動脈病患者) <1.00 g/l

リスクとして表にあげられているのは、
①年齢(男性50歳以上、女性60歳以上)
②家族の病歴
③喫煙者
④HTA,HDLコレステロール数値が0.40g/リットル以下、
⑤糖尿病 
の五つ。 となっていました。
何かの参考になれば幸いです。
2009/12/16(Wed) 21:19 | URL | さち | 【編集
Re: 糖質制限と腎機能
リダさん。

「尿素窒素11、クレアニチン0.89、尿蛋白・潜血-、
前回のクレアニチンが1.1なのは、そのほかの赤血
球等の数値を見るとの水分バランスの関係だと考えられるし、
筋肉量が多い人は多少クレアニチンも高めに出るし、さっぱり問題なし」

全く同感です。
心配ないと思いますよ。
2009/12/16(Wed) 22:22 | URL | 江部康二 | 【編集
Re: タイトルなし
さちさん。

ヨーロッパの事情がわかります。
とても参考になります。
ありがとうございました。

NCEP ATP III 2001年の米国基準より
さらに緩い基準ですね。

リスクなしの薬物開始が
米国で190mg→フランスで220mg
となります。
2009/12/16(Wed) 22:28 | URL | 江部康二 | 【編集
Re:Re: 糖質制限と腎機能
江部先生。

早速のご返答ありがとうございます。
これでより安心して行えます!!
(結構高値なんじゃ・・・と不安だったもので)

実はもう2週間程、糖質制限を運動と共に
行っているのですが、ちゃんと食べても、
太らないし、体脂肪率は減るのに、筋肉率は増えるし、
糖質制限のすごさを身を持って実感しております。

3ヶ月ぶりにあう家族に身体の変化を見せつけ、
早いところ家族を納得させ、「糖質制限宣言」を
させたいと思います。
ありがとうございました。
2009/12/16(Wed) 23:54 | URL | リダ | 【編集
主食を抜いてもH1Ac下がりません
はじめて書き込みます。米国在住です。先生のブログを頼りにしています。

4月の検査で血糖値高めのため低GI値の食事摂取と運動を心がけるよう指導されました。
8月まではGI値に気を遣い、その後糖質制限食を知って、9月以降糖質に気を遣っています。
11月の検査結果は血糖値は下がったもののHA1Cはかえって増えました。

主治医にはカーボをなるべく減らしてその分たんぱく質や脂質をとっている、とやんわりと糖質制限のことを告げましたが、それは正しいがやはり低GIのカーボをもっと摂るようにと言われました。

糖質制限といっても主食を抜くだけで、調味料等でけっこう糖質摂取しているとは思うのですが、それでもパン、白米をとらない分確実に糖質量は減っているはずです。
体重が落ち始めたので果物は取っています。

HA1Cが下がらないのはこのくらいの糖質の減らし方では不十分だということでしょうか。2ヶ月で減少を期待するのは早計ですか。

実を申せば、4年前、米国に来る前の検査で高めの数値(107)を出し、真剣に考えないまま放置したいう経緯があるのでかなり以前から高血糖状態だったのでしょう。

私は56歳女性、身長165cm体重49kgでしたが現在47kgになりました。
4/17 血糖値117 HA1C計測せず
8/24  114  6.1
11/17 105 6.2(約2ヶ月の主食ぬき)

これ以上体重が減るのは困ります。落ち込んでいます。



2009/12/17(Thu) 01:44 | URL | Del Sol | 【編集
先生いつもお疲れ様です。昨日の「魔法のレストラン」で歌手のmisonoさんがお寿司のネタだけ食べたり天丼の天ぷらだけ食べてご飯は残してました。グルメ番組での主食抜きはとても勇気がいることだと思いますが私も元気づけられました!
2009/12/17(Thu) 09:20 | URL | 山さん@神戸 | 【編集
LDLコレステロールに関し、詳しく調べて頂き本当にありがとうございます。

「この記事は、この改訂に携わった数名のスタチン(**)製剤メーカーのひも付きの学者に対して、痛烈な批判が展開してあります。」

学者と製剤メーカーの間にそんな癒着があったとは、、。またそのような学説を鵜呑みにし、その基準が病院で現在採用されているのは恐ろしいことです。
日本だけではなく、米国にも同じことがあるのですね。
余談ですが、医療だけではなく、自分で調べなければ正確な情報が得られないということが、米国では多々あり骨がおれます。
私は先生に調べて頂いたようなものですが、、。

「例えば、製薬メーカーと無関係のブリティッシュ・コロンビア大学のグループは、同じデータから、別の結論をだしたそうです。→製薬会社に不利!!」

次回の検診時にこのことを医師に話してみます。なんとかその内容がわかるとよいのですが。

「値に関しては、日本のガイドラインは厳しすぎるので、米国(日本より心筋梗塞が3倍多い)の2001年のガイドラインにしたがい、

低リスクの人の薬物療法開始は190mg/dl、
中程度リスク者で160mg/dl、
高リスク者で130mg/dl
が一つの目安になります。  」

 2001年(と思われる)の資料のコピーをもらいましたが、それには既に糖尿病を発症しているものは”高リスク者”となっており、改定前のガイドラインでも130mgに相当するのですが、、。間違いでしょうか?
 また、体重40Kg未満の人と、60kgを超える人とでも体重に関係なく、LDLを190まであげても構わないということでしょうか?


2009/12/17(Thu) 15:38 | URL | usa | 【編集
Re: タイトルなし
usaさん。

既に糖尿病を発症している人は高リスク群になるのですが、
これは高糖質食を食べている糖尿人です。
つまり毎日4-5回は食後高血糖を起こしている人です。

糖質制限食で食後高血糖が無ければ、正常人と同じ血糖値です。
従って高リスクにはならないと思います。

体重は関係ないようです。
2009/12/17(Thu) 17:10 | URL | 江部康二 | 【編集
Re: 主食を抜いてもH1Ac下がりません
Del Sol さん。

8/24  114  6.1
11/17 105 6.2

ならコントロール良好ですので心配ないと思います。
米国のHbA1cで6.2%なら、日本のHbA1cだと5.9%です。
日本では5.8%未満で正常です。
脂質・タンパク質はたっぷり摂取して、もうほんの少し糖質を減らしたら如何でしょう。
2009/12/17(Thu) 18:24 | URL | 江部康二 | 【編集
Re: 主食を抜いてもH1Ac下がりません
お忙しい中回答ありがとうございました。
数値にとらわれすぎていたようです。
まだ始めたばかり、糖質制限の効果を信じて続けていく気力が回復しました。
2009/12/18(Fri) 01:44 | URL | Del Sol | 【編集
またまた疑問です (>_<) 中性脂肪の解釈
コレステロールは納得できますが・・・
大櫛陽一氏の説明では中性脂肪も高いほうが良いとの事
中性脂肪とスモールデンスコレステロールの関係ではそこそこ低ければ(基準値)良いとの解釈でいいのでしょうか?
糖質制限では何もしなくても劇的に下がりますが・・・
2009/12/18(Fri) 13:28 | URL | 甘いみかん | 【編集
HbA1c
「米国のHbA1cで6.2%なら、日本のHbA1cだと5.9%です。
日本では5.8%未満で正常です。」

すみません、米国と日本の基準は違うのですか? 0.3%の違いがあるのですか?
だとすると、5.6%の結果は日本では5.3%と解釈するべきなのですか?
2009/12/18(Fri) 14:35 | URL | usa | 【編集
Re: またまた疑問です (>_<) 中性脂肪の解釈
甘いみかんさん。

大櫛先生の調査では、中性脂肪が300を超えて高くても死亡率に影響ないというものです。
かえって、149以下の場合、死亡率が上昇しています。

ただこの調査は勿論、皆さん糖質を60%くらい摂取している人のデータです。
私のようにスーパー糖質制限食で中性脂肪50mg/dlの場合、
死亡率が上がることはないと思っています。

中性脂肪が低くてHDL-Cが高値なら、小粒子LDLや酸化LDLは少ないので
動脈硬化には優しいとされています。しかし今後の検討もいりそうですね。
2009/12/18(Fri) 16:52 | URL | 江部康二 | 【編集
Re: HbA1c
usaさん。

その通りです。
0.3%違います。
5.3%でとても正常なよいデータです。
ちなみに私も5.3%です。
2009/12/18(Fri) 16:54 | URL | 江部康二 | 【編集
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事へのトラックバック