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脳とエネルギー源、ブドウ糖とケトン体、糖新生
こんばんは。
今朝は4度でした。
久しぶりに冬らしい寒さでしたね。

さて今回は、豆しばさんから、脳のエネルギー源についてコメント・質問をいただきました。


【09/12/06 豆しば
またまた質問です。
江部先生 こんにちは。
今回も興味津々の記事参考になります。

ところで、いろいろなHPや雑誌の記事などで、相変わらずよく目にするのですが、下記のような見解はどこから来るのでしょうか?
以下のような文章では、ひと時足らずも糖質をカットすることが怖くなってしまいます。

「糖質が不足すると、エネルギー不足となり、疲労感におそわれます。特に脳は、ブドウ糖が唯一のエネルギーなので、血糖値が下がると集中力が欠け極端に低下すると意識を失うこともあります。

通常、血糖値が下がると、肝臓に蓄えられたグリコーゲンが分解されてブドウ糖になります。これが尽きると、今度は、からだを構成するたんぱく質(アミノ酸)がブドウ糖に変化してエネルギーにします。これを糖新生といいます。たんぱく質が失われるので肌の衰えを招くことに。ダイエット中でも、一日100g以上の糖質を確保しましょう。」】


豆しばさん。
コメントありがとうございます。

NHKの「ためしてガッテン」を初めとして、いろんなマスコミで質問のような誤った情報が発信されてますので、困りものですね。(-_-メ)

それでは、検証してみましょう。

<脳とエネルギー源、ブドウ糖とケトン体、糖新生>

まず、糖質制限食で高血糖は改善しますが、別に低血糖になるわけではありません。糖質制限食実践で、正常の血糖値になるだけです。

糖質制限食を実践して糖質の摂取量が減少しても、肝臓でアミノ酸・乳酸・グリセロールなどからブドウ糖をつくるからです。→糖新生

肝臓の糖新生は、人体においてごく日常的に行われています。
糖質を摂取している人においても、夜間睡眠中とか、食後数時間経過したら、誰でも肝臓で糖新生を行っています。

食物吸収が終了した直後には、肝臓のグリコーゲン分解が、循環血液中に入るブドウ糖の主要な供給源です。

食後数時間が経過し、絶食状態が持続すると、ブドウ糖の供給源は、肝のグリコーゲン分解から糖新生に切り替わります。

ですから、人類の400万年の歴史において、ごく普通に肝臓の糖新生は行われてきたわけで、珍しいことでも何でもありません。

①脂肪組織→グリセロール(脂肪酸の分解物)や脂肪酸→肝臓→糖新生→脂肪組織・筋肉
②筋肉→アミノ酸→肝臓→糖新生→筋肉・脂肪組織
③ブドウ糖代謝→乳酸→肝臓→糖新生→筋肉・脂肪組織

①②③はごく日常的に誰でも行っており、肝臓、筋肉、脂肪組織の間で行ったり来たり、日々糖新生の調節が行われているわけです。従いまして、肌の衰え云々はあり得ないです。

次に、脳は、ブドウ糖だけでなく、脂肪酸の代謝産物のケトン体をいくらでも利用します。

ですから「脳がエネルギー源としてブドウ糖しか利用できない」というのは明確に間違いです。

日常生活では、心筋・骨格筋など多くの体細胞は、脂肪酸ケトン体を主エネルギー源としているのに対し、脳・赤血球・網膜・生殖腺胚上皮などの特殊な細胞は、ブドウ糖を利用しています。また赤血球は、ブドウ糖だけが唯一のエネルギー源です。

しかし、脳を含めて赤血球以外の細胞は、全て内部にミトコンドリアを有すので、脂肪酸ケトン体をエネルギー源にできます。

確かに生理学的には、脳は骨格筋や心筋と違って、安静時にもブドウ糖を利用していることは間違いありません。このことが誤解されて「脳はブドウ糖しか利用できない」という誤った情報が一人歩きしたのでしょう。しかし、脳はケトン体という脂肪の分解産物もいつでも利用できるのです。

例えばガイトン臨床生理学(有名な医師用の生理学の教科書です)によれば、

「イヌイットは時々完全脂肪食を摂取するが、通常ブドウ糖しかエネルギー源として利用しない脳細胞も、この時は50~75%のエネルギ-を脂質(ケトン体)から得られるようになる」

そうです。

豆しばさん、狩猟・採集が生業だった399万年間のご先祖様と同様、安心して糖質制限食をお続け下さいね。(^o^)v


江部康二

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
必ず,毎日ブログ拝見させて頂いています,
できる限りの,糖質制限を実行しています

現在,3ヶ月単位で検査しています (薬は,グルコバインを 適当に処方?)
毎回殆ど,検査結果に変化なく (変化があれが報告いたします)
現在は糖尿病予備軍の値になり(A1C5.2,糖質制限のおかげです)

初めての検査が(4年前) A1C7.9でしたが→ 本日 5.2 (糖質制限は 最初からですが)

検査結果は今まで全て(糖質制限では) 5.0% ~6.0% 内です 医者からは 優等生だそうです
焼酎は,毎日愛しています, 今回 γ=21 でした

現在の 問題点は
空腹時 血糖値 145
T-CHO 265
LDL 167
アセトン判定量 1+ でした

LDL が増えたのは 油分取りすぎ
アセトン判定量 1+ は ケトン体 でしょうか

江部先生,
もし,糖質制限がなければ
4年前の A1C 7.9 でしたら
現在は アルコール無しは決定ですね
今後とも宜しく御願いいたします
2009/12/14(Mon) 20:06 | URL | HIT | 【編集
Re: タイトルなし
HIT さん。

お久しぶりです。
お元気そうですね。

アセトンはケトン体の一種です。
尿中ケトン体はスーパー糖質制限食3ヶ月から半年で陰性になることが多いですが
厳しく実践しておられるときは陽性のこともあります。
しかし特に問題はありません。

LDLコレステロールに関しては、また記事にしますが
どうやら少なくとも日本人においては、家族制高コレステロール血症以外の人は
190mgまでは大丈夫そうです。

空腹時血糖値がやや高値ですが
空腹時のインスリン値を測定してみてください。
基礎分泌のインスリンがどのくらいあるかがわかります。
2009/12/14(Mon) 21:41 | URL | 江部康二 | 【編集
早速のご返事ありがとう御座います
今後とも
糖質制限を, 心がけいたします
2009/12/15(Tue) 09:12 | URL | HIT | 【編集
経過
こんにちは。
おかげさまで全て正常値になりました。
現在値(6ヶ月前の値)
空腹時血糖値:83mg/dl(124mg/dl)
HbA1c:5.0(7.1)
LDL:129mg/dl(190mg/dl)
運動なしでこの値にありました。
ナッツ類を食べすぎてしまいますが、逆にLDLは下がっています。
運動はしていませんが、10kg落ちたことにより、動作が機敏になり、日常生活でカロリーを消費していると思います。
主治医はカロリー信者でして、糖質ゼロのビールも飲むなと言われています。糖尿病学会専門医になるためには異論を唱えたらいけないのでしょうか?治療指針がカロリーから糖質制限に変わったら、健康保険組合の財政状況を改善できると思います。その代わり、人工透析専門の病院が潰れます。では
2009/12/15(Tue) 11:18 | URL | ケイ | 【編集
Re: 経過
ケイさん。

素晴らしい改善で、全くの正常人ですね。

日本でも少しずつ、糖質制限食に理解のある医師が増えつつあります。
地道に活動を展開していきます。
2009/12/15(Tue) 12:34 | URL | 江部康二 | 【編集
江部先生 ありがとうございました。

迷信に惑わされることなく、これからも糖質制限頑張りたいと思います。
2009/12/15(Tue) 16:35 | URL | 豆しば | 【編集
糖新生→脂肪組織・筋肉 がうまくいってない?
こんにちは
2ヶ月ぶりのコメントを入れさせて頂きます。
もう少し結果が出てからと思ったのですか…

2ヶ月前に主治医の理解が得られ、
SU剤を中止しスーパー糖質制限食で楽しんで頑張ってます。(夫が糖尿病です)

毎食、糖質の計算もして除々にではありますが血糖値も下がってきました。
早朝空腹時115~140
夕食前110~125 食後2H 130~150
といった具合でした。

しかし、忘年会をきっかけに全て高くなってしまいました。
もともと、早朝空腹時(午前中)は高めだったので暁現象だとは思っていました。

忘年会は先生と同じふぐ料理だったようですが、
唐揚げは食べず雑炊はおちょこ2杯で済ませたようです。
しかし、調子に乗って焼酎をかなり飲んだようで…
それから血糖値が20~30上がりぎみです。

土日はプールでゆったりと1時間位泳いでくるのですが、
帰って来て血糖値を測ると197まで上昇してしまいました。
動けば動くほど血糖値は上がります(--;)

体重も2ヶ月で7㎏(標準まであと4㎏)、γ-GTP45まで落ちてきています。
ただ2、3年前にアルコール性脂肪肝と検査結果に出たことがあります。

脂肪肝が原因で糖新生がだらだら出続けその先に進まないのでしょうか?
肝臓が今のところ原因なのでしょうか?
しばらく禁酒ですよね!!!
2009/12/15(Tue) 16:56 | URL | ユリ | 【編集
糖制限と肌
今年3月から糖質制限していました。糖尿ではないですが、疲れやすい、むくむ、肌がガサガサする等、なんとなく不快な症状がずっとあり、おかしいなあと思っていたとき、糖質制限のことを知りました。私は甘いものはもちろんパンも大好き、ご飯も好き、もしかしてと思い、始めてみました。今、9ヶ月になり、その間の変化を観察してきましたが、肌は調子いいような気がします。嬉しかったのは踵がつるつるになったことです。たぶんこれのおかげだと思います。むくみも糖質を無茶無茶食べていた時より改善されている感じです。感じがする、気がするなど自分の感覚のみではありますが、書いてみました。
2009/12/17(Thu) 17:40 | URL | ウサギ | 【編集
ウサギさん。

良かったですね。
冬になって踵つるつるなら素晴らしいですよ。

糖質制限食で代謝全てが改善し、血流が毛細血管にいたるまで良くなりますので、いろんな症状の改善が期待できます。
2009/12/17(Thu) 18:19 | URL | 江部康二 | 【編集
血流が毛細血管にいたるまで良くなるのですね、なるほど!糖質と代謝、実践してみて納得です。ありがとうございました
2009/12/18(Fri) 14:23 | URL | ウサギ | 【編集
低血糖のこと
私ではなく、母が糖尿病で
最近癌を発症してしまい、
糖質制限のことを調べております。
インスリンによって糖新生が抑制されるというような解説を別のことろで見たのですが。
持続型のインスリンによって、
血糖値が下げられている状態で
糖新生が阻害されていた状態が長く場合、
糖質を制限すると
低血糖にならないのか心配なのですが。
私の理解が間違っているかもしれませんが
糖制限する場合は
インスリンの量を、それにあわせて
抑える必要があるのでしょうか?
2014/09/24(Wed) 00:46 | URL | yuguchi | 【編集
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