FC2ブログ
正常型・境界型・糖尿病型と尿糖・食後血糖
こんにちは。

今回はmkさんから
正常型境界型糖尿病型尿糖についてコメント・質問をいただきました。

「09/11/19 mk

先生のブログ毎日拝見させて頂いております。
他にはない情報量と具体的な質問や回答がありとても勉強になります。
そこでまた質問があるのですが、
正常人と境界型と糖尿人、血糖値によって3種類に分けられていますが、正常な人や境界型の人は75g以上の糖分を摂取しても尿糖は出ないのでしょうか?

また糖質制限食をしている場合、膵臓の回復にはどれくらいの時間がかかるのでしょうか?例えば3日間糖質制限していても、4日目に1食だけ食後高血糖になるような食事をした場合膵臓の回復はリセットされてしまうのでしょうか?

食後高血糖を抑えるのに軽い運動がいいと言われますが、食前の運動では食後高血糖は防げないのでしょうか?

正直自分で血糖値を計れば計るほど深みにはまっていくような気がしてなりません。
お時間があるときで結構ですのでアドバイス頂けたら幸いです。」


mkさん。
コメントありがとうございます。

「正常人と境界型と糖尿人、血糖値によって3種類に分けられていますが、正常な人や境界型の人は75g以上の糖分を摂取しても尿糖は出ないのでしょうか?」


糖尿病の診断基準の一つに、75g経口ブドウ糖負荷試験があります。

75g経口ブドウ糖負荷試験の基準だと、例えば1時間値が180mg~200mg/dlを超えても、2時間値が140mg未満なら正常型となります。

あくまでも個人差はあるのですが、血糖値が180mg/dlを超えると尿糖陽性になることが多いです。

ということは、正常型でも境界型でも、尿糖陽性はあり得るということになります。

「また糖質制限食をしている場合、膵臓の回復にはどれくらいの時間がかかるのでしょうか?」

この質問も、個人差が大きく一律には言えません。

入院時空腹時血糖値200mgを超えていた糖尿人が、7~10日間のスーパー糖質制限食で、空腹時血糖値100mgとなる人もおられます。

このような方は、疲弊していた膵臓β細胞がかなり回復したと考えられます。

一方、スーパー糖質制限食を2週間続けても、200mg→160mgていどにしか改善しない糖尿人もおられます。

この場合は、すでに膵臓β細胞が一定以上の割合で壊れていて、基礎分泌のインスリンを、充分量分泌することが困難な段階にある糖尿人と考えられます。

「例えば3日間糖質制限していても、4日目に1食だけ食後高血糖になるような食事をした場合膵臓の回復はリセットされてしまうのでしょうか?」

リセットまではいかないでしょうが、

180mg/dlを超える時間帯には、膵臓のβ細胞は何らかの傷害を受けています。
180mg/dlを超えない時間帯が長いほど、単純に膵臓のβ細胞には優しいのです。

4日に1回、1~2時間、血糖値が180mg/dlを超えるくらいは、影響は少ないとは思いますが・・・

「食後高血糖を抑えるのに軽い運動がいいと言われますが、食前の運動では食後高血糖は防げないのでしょうか?」

食後30分の30分間の運動で、どのくらい血糖値の上昇が防げるかを、高雄病院で数人の糖尿病患者さんにお願いして実験してみました。

その結果は、非常に個人差が大きかったです。まーさんと同様、60分値は改善しても、90分値、120分値は再び上昇というパターンの人もおられました。

<食後30分から30分間運動>VS<運動無し> 50g糖質摂取時
空腹時→食後60分→食後120分血糖値の比較

例えばA・Mさん
運動あり 127→164→197mg
運動なし 139→255→222mg

食前→食後60分
運動して37mg上昇
運動しなかったら116mg上昇

食前→食後120分
運動して70mg上昇
運動しなかったら83mg上昇

運動したほうが、60分値はかなり大幅な改善ですが、120分値は少しましですが、そんなには変わりませんでした。


N・Sさん
運動あり 111→133→127mg
運動無し 108→189→126mg

食前→食後60分
運動して22mg上昇
運動しなかったら81mg上昇

食前→食後120分
運動して16mg上昇
運動しなかったら18mg上昇

やはり運動したほうが、60分値はかなりましですが、120分値はあまり変わりません。

まあ、N・Sさんの場合は、運動により食後高血糖は全く生じていないので、こういうタイプは運動療法がとても有効と思います。

N・Mさん
運動あり 174→278→307mg
運動無し 136→278→211mg

食前→食後60分
運動して108mg上昇
運動しなかったら142mg上昇

食前→食後120分
運動して133mg上昇
運動しなかったら75mg上昇

運動しても60分値で108mg上昇してますから、良好な運動効果とはいえませんがそれでも運動しないよりましです。

ところがN・Mさんは120分値は運動した方が133mgも上昇して、運動しないほうがかえってましです。この方は、食後30分に30分の歩行というメニューでは運動療法は無効といえます。

このように食後高血糖に対する、食後30分、30分の歩行実験では、三者三様であり、かなり個人差が大きいことが判明しました。

この個人差に関しては、BMIが高いほど運動効果がでにくいということと、インスリン基礎分泌が少ないと運動効果がでにくい傾向がありました。

それから食前の運動に関してですが、筋収縮によるインスリンに無関係なGLUT4トランスロケーション(筋肉細胞の糖輸送体が細胞表面に出てきて血糖を取り込みやすくなる)は、通常は運動終了後2~3時間経過すると消失します。

しかし、骨格筋は運動によって消費した筋グリコーゲンを回復させるために、その後も活発に血糖を取り込み続ける必要があります。

そのため運動終了後、2~3時間経過した後も、活動していた筋においてはインスリン感受性が亢進していて、一定量のインスリン刺激に対して、いつもよりたくさんのGLUT4がトランスロケーションして、血糖を取り込んでグリコーゲンに変えます。

従いまして、筋肉中のグリコーゲンがかなり減少するレベルの運動を食前にすれば、少々の糖質を食べても食後高血糖を防げることになります。

一方、激しい運動はアドレナリンなどのホルモンが分泌されてかえって血糖値が上昇することもあり加減が難しいですね。


江部康二


テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
先生、はじめまして。
かずおと言います。45歳です。
11月、初めて行った1泊の人間ドッグで糖負荷試験で糖尿病と診断されました。
空腹時 111
60分 266
120分 226
HbA1c 5.5 でした。
(45歳です。身長172 体重65.3
血圧125/79 中性脂肪59 
総コレステロール203 
HDL83 LDL105)
医師に一ヶ月の食事と飲酒を注意するように言われましたが、
「主食を抜けば糖尿病は良くなる」
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」
を参考に1ヶ月間の糖質制限をして、
今日再検査をして来ました。
その結果、
空腹時 101
30分 160
60分 265
120分 289
IRIは検査結果が出るのに1週間かかるので後日との事でした。
体重も3キロ減りました。
空腹時は少し下がったものの、60分はほとんど同じ、120分は数値が上がってしまいました。
そして、ベイスン0.2と言う薬を処方されました。
食後の糖吸収を抑えるらしいのですが糖質制限をしているのに意味があるのでしょうか?
かかりつけの医師に訊けば良いのでしょうが、糖質制限の事は言ってなくて…。
と、言うのも初めの診察で医師が言った食事制限は
「ご飯は食べても良いから、おかずは残すように、飲酒は禁止」
との事だったので言い出し辛くなってしまったのです。
2009/12/09(Wed) 14:54 | URL | かずお | 【編集
ベイスン(ボグリボース)
江部先生、お久しぶりです。
毎日のお仕事&ブログの更新ご苦労様です。

実は自分も、頓服的にですがボグリボース0.2mg(ベイスン)を使用し、かずおさんと同様の疑問を持っていました。

>食後の糖吸収を抑えるらしいのですが糖質制限をしているのに意味があるのでしょうか?

自分の場合は、インスリンの基礎分泌、追加分泌とも少ないようなのですが、
食前に血糖値が130くらいの時に、糖質10g摂取で食後血糖が160になります。
ボグリボース使用だと、食前に血糖値が130くらいの場合、食後は145~150程度で抑えられます。

どちらも食後血糖180mg以下なのですが、やはり食後血糖を少しでも抑えたほうが空腹時血糖も常時低くなってくるのでしょうか?
それとも、180mg以下であれば、使用しなくても問題なしなのでしょうか?

使用開始時に毎日悩まされていたボグリボースの副作用であるお腹の張りや下痢は、服用開始から4~5ヶ月ですっかりなくなりました。

父は44年という年季の入った糖尿病患者ですが、24年前に服用を始めたアマリールとボグリボース0.2mgを毎日欠かさず24年間も飲み続けているようで、Hba1cは5.8~6.2あたりをうろうろしているようです。

ボグリボースは大変安い薬ですし、もし空腹時血糖が今よりもさらに下がるのであれば、糖質の摂取量にかかわらず毎食後に飲むのもありかな?と思っています。
今は週に2錠くらいを頓服的に飲んでいます。

もしアドバイスを頂ければ嬉しいです。
2009/12/09(Wed) 16:15 | URL | さわ | 【編集
Re: タイトルなし
かずおさん。

本のご購入ありがとうございます。
糖尿病の診断がついた人が、糖質を摂取すれば、1gの糖質が約3mg血糖値を上昇させます。
従って、すでに糖尿病の診断がついている場合は
75g経口ブドウ糖負荷試験は通常は行いません。
糖質を摂取したら食後高血糖を生じるのが糖尿人ですが
糖質制限食ならそれが防げます。
野菜にも少量の糖質が含まれていますので、スーパー糖質制限食実践中なら
ベイスンは野菜分の糖質に役立ちます。
2009/12/10(Thu) 08:12 | URL | 江部康二 | 【編集
Re: ベイスン(ボグリボース)

さわさん。

いつもコメントありがとうございます。
かずおさんと同様に、野菜分の糖質にベイスンがある程度役立っていますね。
腹満とかがなくなっているのなら、服薬ありと思います。

また空腹時血糖値を下げるのに
12月に発売される、DPP-4阻害剤も、選択肢の一つですね。
2009/12/10(Thu) 08:17 | URL | 江部康二 | 【編集
Re: わかりきったことなのですが…
ゆきんこ さん。

本のご購入ありがとうございます。

大豆粉に火を加えて、水分を飛ばしたのがきな粉です。
その分、100gあたりの糖質含有量が増えます。

母上、ご高齢ですので、アマリールを朝に1錠と減らして
低血糖に注意しながら緩い糖質制限食で折り合いをつけるのがいいのではないでしょうか。

2009/12/10(Thu) 08:29 | URL | 江部康二 | 【編集
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事へのトラックバック