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1型糖尿病と2型糖尿病
おはようございます。

2009年もいよいよ年末です。私も忘年会が目白押しです。

自分が一番やばいですが(=_=;) 、皆さんもお酒の飲み過ぎに注意して下さいね。

さて今回は、きょうすけさんから、1型糖尿病2型糖尿病についてコメント・質問をいただきました。

「09/11/19 きょうすけ
1型糖尿病2型糖尿病
江部先生
いつもブログを拝見し勉強させて頂いております。
さて、ランゲルハンス島のβ細胞破壊の件で教えていただきたいことがあります。
糖尿病とはランゲルハンス島のβ細胞の機能低下と認識しておりますが、どの程度まで進行しているかという検査は行えるのでしょうか?
そして、完全に機能しなくなれば1型糖尿病という病名に変わってしまうのでしょうか?

私自身、2型糖尿病と診断され5年ほど経ち、経口薬を服用し糖質制限を心がけておりますがHbA1c:6.8、空腹時血糖145というような状態です。糖質制限の徹底が出来ていないのでしょうか?膵臓が休まっている感じが致しません。
薬を飲む事とは膵臓が休まらないと言う事なのでしょうかね?

また、アドバイスを頂ければと思います。」


きょうすけさん。
コメントありがとうございます。

糖尿病は、血糖を下げるインスリンというホルモンの作用不足によって引き起こされる病気です。

インスリンは、膵臓のβ細胞でつくられ、常時分泌されている基礎分泌と、食事で血糖値が上がった時に分泌される追加分泌があります。

インスリン分泌低下とインスリン抵抗性の二つの要因が合わさって、結果としてインスリン作用不足となり、糖尿病を発症します。

(*)
『インスリン分泌指数(II)』
インスリン追加分泌のうち初期分泌能はインスリン分泌指数でみます。
75g経口ブドウ糖負荷試験を行います。
II=<30分インスリン値-空腹時インスリン値>÷<30分血糖値-空腹時血糖値>
II: insulinogenic index
糖尿病患者ではインスリン分泌指数(II:insulinogenic index)は0.4未満となります。
境界型でも0.4未満の人は将来、糖尿病になりやすいです。

『HOMA-β(ほーまべーたー)』
インスリン分泌機能を評価する指標。
空腹時血糖と空腹時のインスリン値をもとに残存した内因性インスリン分泌能力を推定する式。
HOMA-β=360×空腹時インスリン値(μU/ml)÷(空腹時血糖値mg/ml-63) で、
正常値:40-60

(**)
『インスリン』
インスリンには、24時間ずっとベースに少量分泌されている基礎分泌のインスリンと、食後に血糖値が上昇した時に出る、追加分泌のインスリンがあります。
追加分泌のインスリンには、即分泌される第1相と少し遅れて出る第2相があります。
一般的には、基礎分泌のインスリンが低下してくると、早朝空腹時血糖値が上昇してきます。一番多いパターンは、食後高血糖が数年続いたあとに、この状態になります。
ですから、空腹時血糖での健康診断は、食後高血糖を見逃してしまうのであまり良くないのです。

(***)
『HOMA-R=インスリン抵抗性の指標』
HOMA-R=空腹時血糖値×空腹時インスリン濃度÷405
インスリン抵抗性評価のための検査です。
2.5以上が抵抗性あり。1.6以下が正常。

つぎに糖尿病の分類について考えて見ます。

<糖尿病の分類>

さて、1型糖尿病2型糖尿病、皆さん言葉は聞いたことはあるでしょうが、その実態はというと、案外誤解されていることも多いので、今回は、整理整頓してみます。

実は、私も恥ずかしながら、調べてみるまで知らなかったことが結構ありました。σ(=_=;)ヾ

糖尿病の分類ですが、最近は、従来の

インスリン依存型糖尿病(IDDM)
インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)

という言い方はしなくなりました。

糖尿病を病因による分類と、現在の状態を表す分類に整理した方が、すっきりするからです。

■病因による分類
1型糖尿病(従来のIDDMとほぼ一致)
1型糖尿病は、膵β細胞の破壊によりインスリン分泌が枯渇し発症します。小児期に起こることが多いため、小児糖尿病とも呼ばれます。近年、1型糖尿病の多くは、自己免疫機序(免疫の誤作動)により数ヶ月~数年にわたってβ細胞が破壊され、発症することが明らかになってきました(自己免疫性1型糖尿病)。

従って、1型糖尿病は、生活習慣病でも先天性の病気でもありません。過去の何らかのウイルス感染が、免疫の誤作動のきっかけになっている場合が多いのですが、ウイルス感染は、とっくに治った後の出来事ですから、1型糖尿病が感染することはありません。

2型糖尿病ほど色濃い遺伝は関与しませんが、何らかのウィルスに感染しやすい、あるいは、感染後に免疫の誤作動を起こしやすい遺伝的体質はあるようです。欧米のデータでは、1型糖尿病と診断された小児の10~12%のみに、1型糖尿病の一親等の血縁者がいるとされており、一卵性双生児の1型糖尿病同時発生率は、50%以下です。

1型糖尿病の頻度は、日本人では、欧米の白人に比べて明らかに低く、 10~20分の一と言われています。例えば日本の小児の1型糖尿病は、ノルウェーの20分の1、米国の約15分の1です。

なお、自己免疫異常の明らかでない1型糖尿病も存在します(特発性1型糖尿病)。

2型糖尿病(従来のNIDDMとほぼ一致)
インスリン分泌低下とインスリン抵抗性の二つの要因により、結果としてインスリン作用不足となり、発症する糖尿病です。

インスリン抵抗性とは、肥満などの要因によりインスリンの効きが悪くなることです。例えば、今までは5μU/ml ていどの量のインスリンで筋肉細胞が血糖値を取り込めていたのが、抵抗性があると、10とか20μU/mlの量がないと取り込めなくなるのです。

欧米では、インスリン抵抗性が高い状態の方が主たる原因として多いのですが、日本では、膵臓のインスリン分泌能低下の方が重要な原因となります。これは、インスリン分泌能力が、日本人やアジア人は、欧米白人より弱いことによります。

遺伝的因子と生活習慣が、からみあって発症する生活習慣病です。日本の糖尿病の95%以上は、2型糖尿病です。

欧米人に比べ、日本人は肥満者も少ないのに 2型糖尿病が多いのは、日本人が、民族的に2型糖尿病になりやすい体質(遺伝的素因)を 持っているためと考えられます。

遺伝的素因が日本人と同じ日系2世米国人で、 日本人よりも2~3倍、米国の白人と比べると数倍以上の差で糖尿病が多いといわれています。

親や肉親が糖尿病だと、糖尿病の家族歴がない人に比べて 糖尿病になりやすいことは間違いありません。しかし、遺伝するのは糖尿病そのものではなく、「糖尿病になりやすい体質」です。 この体質を持った人に、食べ過ぎ、運動不足、肥満、加齢、ストレス、など様々な環境因子が加わってはじめて2型糖尿病が発症すると考えられています。

私、江部康二のように、、両親が2型糖尿病だったら40~50%の確率で2型糖尿病を発症します。

*上記は医学界の共通認識ですが、食べ過ぎに関しては、私は特に精製された糖質の過剰摂取が問題と考えています。

江部康二も糖質制限食を実践する限りは、糖尿人ではなく正常人です。


■糖尿病の状態の表現
①インスリン依存状態
②インスリン非依存状態

普通は、1型糖尿病はインスリン依存状態で、2型糖尿病はインスリン非依存状態かなと、誰でも思いますよね。
でも、事はそれほどシンプルではありません。

例えば1型糖尿病でも、数年かけてゆっくり膵臓のβ細胞が破壊されるタイプであれば、発症後数年は、インスリン非依存状態でコントロールできることもあるわけです。まあ、さすがに10年以上、非依存状態というのはやや困難とは思いますが・・・。

一方、2型糖尿病でも、糖毒状態で悪循環していれば、徐々に膵臓のβ細胞が壊れていくわけですから、10年・20年・30年レベルの年期の入った糖尿病だったら、自前のインスリン分泌がほとんどない患者さんもでてきます。こうなると2型糖尿病でも、インスリン依存状態となるわけです。

また、2型糖尿病の人が感染症、外科的処置などによりインスリン需要が増大する場合も、インスリン注射を必要としますので、一時的なインスリン依存状態といえます。

糖質制限食は、1型糖尿病、2型糖尿病ともに効果があります。
1型糖尿病ではインスリンの量を減らすことが可能になります。
2型糖尿病ではインスリン・経口薬の減量や離脱が可能です。

「私自身、2型糖尿病と診断され5年ほど経ち、経口薬を服用し糖質制限を心がけておりますがHbA1c:6.8、空腹時血糖145というような状態です。
糖質制限の徹底が出来ていないのでしょうか?
膵臓が休まっている感じが致しません。
薬を飲む事とは膵臓が休まらないと言う事なのでしょうかね?」


きょうすけさん、空腹時血糖値がやや高値なので、インスリン基礎分泌がやや低下しています。スーパー糖質制限食でβ細胞に休養を与えて、基礎分泌回復をめざしてください。

主治医と相談されて、β細胞保護作用がある、2009年12月発売のDPP-4阻害剤(ジャヌビア或いはグラクティブ)も選択肢の一つですね。


江部康二


テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
Re: ありがとうございました。
きょうすけさん。

日本にいるときはスーパー糖質制限食で、1日1回のごく少量のランタスでOKですから
コントロールも生活の質も両立できますね。

北京滞在中は、スーパー糖質制限食は困難なので、
適宜ノボラピッド注射で身を守ってくださいね。
2010/03/01(Mon) 17:23 | URL | ドクター江部 | 【編集
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