2009年11月27日 (金)
こんばんは。
気分の前に、まずは体重減少が一緒だった謎に挑戦です。
オーストラリアの研究、
「低炭水化物組と高炭水化物組と両グループとも1年後の体重減少は平均13・7キロで変わりなかった」
この結果は不可解です。
体重減少に関しては、2008年のニューイングランド・ジャーナル、イスラエルの研究報告(NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241)
「低炭水化物食(糖質制限食)が最も体重を減少させ、HDL-Cを増加させた。」
が、長年の食事療法の論争に決着をつけたと思います。
これは、ネットの1個人の意見や仮説ではなく、322人を2年間追跡した権威ある疫学的研究です。
<低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。>
<低脂肪法(高炭水化物)が最も体重減少は少ない。HDL-C増加も最も少ない>
• イスラエルの322人(男性86%)
• (1)低脂肪法(カロリー制限あり)
• (2)オリーブ油の地中海法(カロリー制限あり)
• (3)低炭水化物法(カロリー制限なしのアトキンス式ダイエット)
• 3グループの食事法を2年間経過観察。
• 低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。
• NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241
また2007年3月のJAMA(米国医師会雑誌)に発表された
「the A TO Z Weight Loss Study: a randomized trial.」という論文は、
アトキンス(Atkins)、
ゾーン(Zone)、
ラーン(LEARN)、
オーニッシュ(Ornish)
ダイエットのそれぞれの1年間の体重減少効果をみた研究です。
311人の女性を上記4グループに分けて追跡したものです。
アトキンス・ダイエットは、低糖質食で私達の糖質制限食と基本的考えは一緒です。1年間で平均4.7kg減少です。
ゾーン・ダイエットはタンパク質・炭水化物・脂質の比率を40:30:30にするというものです。平均1.6kg減少です。
ラーン・ダイエットは、高炭水化物、低脂肪食です。平均2.6kg減少です。
オーニッシュ・ダイエットは、菜食主義風のダイエットです。カロリーの10%を脂肪分から、20%をたんぱく質、70%を炭水化物からという割合の食事です。平均2.2kg減症です。最も高炭水化物で、最も低脂肪です。
結果は、アトキンス ダイエット( 糖質制限食)が、最も体重を減少させ、HDL-コレステロールを増加、中性脂肪を減少させることが明らかとなりました。
ニューイングランド・ジャーナルや米国医師会雑誌は、オーストラリアの論文が載ったArch Intern Medより、インパクト・ファクターは高いと思います。
では何故、オーストラリアの論文では差が出なかったのでしょう?
<オーストラリアの論文の概要>
「BMI平均33.7の肥満者106人に対して、超低糖質食、高炭水化物/低脂質食を実施。
8, 24, 40,52週後に気分を評価。
超低糖質食は、炭水化物4% 蛋白質35% 脂肪61% (20%飽和脂肪酸)
最初の8週間は炭水化物は1日20 g/d 以下、
オプションとして残りの期間は、1日40 g以下。
高炭水化物/低脂質食は、炭水化物46% 蛋白質24% 脂肪30% (8%以下の飽和脂肪酸)
カロリーは、おおよそ女性で1433 kcal、男性で 1672 kcal。
その結果ですが、8週目で、どちらの食事も気分は改善。しかし、1年後には、低脂肪食の方が気分の改善は良好。体重減少には差はない。」
上述のNEJM誌の低脂肪・高炭水化物食は、炭水化物60%、脂質20%です。一般に、従来の低脂肪・高炭水化物ヘルシー(?)食で研究するときは、この比率です。
しかし、オーストラリアの論文では、高炭水化物・低脂質食といいながら、炭水化物46%、脂質30%です。
これは、あかんやろ!! (`-´)゛
炭水化物46%といったら、研究によったら低炭水化物食のカテゴリーに入れることもあります。
例えば、もともと60%くらい炭水化物を摂取していた人が46%に減らしたら、それなりの糖質制限食ですので、減量できてもおかしくありません。
また、脂質30%というのも驚きです。通常低脂質食という時は、基本的に脂質20%以下が不文律のようなものです。
これもあかんやろ! ( `_´ )
問題なのは、低炭水化物食、高炭水化物食の定義がないことと、このような研究で最も大事なPFCバランスが、要約に記載されず、本文を見なければわからなくなっていることです。意図的にそうしているとしたら、実にアンフェアですね。
それはあかんやろ!! ヽ(*`Д´)ノ
今回のブログ、まずは、オーストラリアの研究、「低炭水化物組」と「高炭水化物組」と両グループとも1年後の体重減少は平均13・7キロで変わりなかった」
に対する批判を述べました。
また長くなりました。
気分の改善?に関しては、次回といたしましょう。
江部康二
気分の前に、まずは体重減少が一緒だった謎に挑戦です。
オーストラリアの研究、
「低炭水化物組と高炭水化物組と両グループとも1年後の体重減少は平均13・7キロで変わりなかった」
この結果は不可解です。
体重減少に関しては、2008年のニューイングランド・ジャーナル、イスラエルの研究報告(NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241)
「低炭水化物食(糖質制限食)が最も体重を減少させ、HDL-Cを増加させた。」
が、長年の食事療法の論争に決着をつけたと思います。
これは、ネットの1個人の意見や仮説ではなく、322人を2年間追跡した権威ある疫学的研究です。
<低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。>
<低脂肪法(高炭水化物)が最も体重減少は少ない。HDL-C増加も最も少ない>
• イスラエルの322人(男性86%)
• (1)低脂肪法(カロリー制限あり)
• (2)オリーブ油の地中海法(カロリー制限あり)
• (3)低炭水化物法(カロリー制限なしのアトキンス式ダイエット)
• 3グループの食事法を2年間経過観察。
• 低炭水化物法が最も体重減少。HDL-Cも増加。
• NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241
また2007年3月のJAMA(米国医師会雑誌)に発表された
「the A TO Z Weight Loss Study: a randomized trial.」という論文は、
アトキンス(Atkins)、
ゾーン(Zone)、
ラーン(LEARN)、
オーニッシュ(Ornish)
ダイエットのそれぞれの1年間の体重減少効果をみた研究です。
311人の女性を上記4グループに分けて追跡したものです。
アトキンス・ダイエットは、低糖質食で私達の糖質制限食と基本的考えは一緒です。1年間で平均4.7kg減少です。
ゾーン・ダイエットはタンパク質・炭水化物・脂質の比率を40:30:30にするというものです。平均1.6kg減少です。
ラーン・ダイエットは、高炭水化物、低脂肪食です。平均2.6kg減少です。
オーニッシュ・ダイエットは、菜食主義風のダイエットです。カロリーの10%を脂肪分から、20%をたんぱく質、70%を炭水化物からという割合の食事です。平均2.2kg減症です。最も高炭水化物で、最も低脂肪です。
結果は、アトキンス ダイエット( 糖質制限食)が、最も体重を減少させ、HDL-コレステロールを増加、中性脂肪を減少させることが明らかとなりました。
ニューイングランド・ジャーナルや米国医師会雑誌は、オーストラリアの論文が載ったArch Intern Medより、インパクト・ファクターは高いと思います。
では何故、オーストラリアの論文では差が出なかったのでしょう?
<オーストラリアの論文の概要>
「BMI平均33.7の肥満者106人に対して、超低糖質食、高炭水化物/低脂質食を実施。
8, 24, 40,52週後に気分を評価。
超低糖質食は、炭水化物4% 蛋白質35% 脂肪61% (20%飽和脂肪酸)
最初の8週間は炭水化物は1日20 g/d 以下、
オプションとして残りの期間は、1日40 g以下。
高炭水化物/低脂質食は、炭水化物46% 蛋白質24% 脂肪30% (8%以下の飽和脂肪酸)
カロリーは、おおよそ女性で1433 kcal、男性で 1672 kcal。
その結果ですが、8週目で、どちらの食事も気分は改善。しかし、1年後には、低脂肪食の方が気分の改善は良好。体重減少には差はない。」
上述のNEJM誌の低脂肪・高炭水化物食は、炭水化物60%、脂質20%です。一般に、従来の低脂肪・高炭水化物ヘルシー(?)食で研究するときは、この比率です。
しかし、オーストラリアの論文では、高炭水化物・低脂質食といいながら、炭水化物46%、脂質30%です。
これは、あかんやろ!! (`-´)゛
炭水化物46%といったら、研究によったら低炭水化物食のカテゴリーに入れることもあります。
例えば、もともと60%くらい炭水化物を摂取していた人が46%に減らしたら、それなりの糖質制限食ですので、減量できてもおかしくありません。
また、脂質30%というのも驚きです。通常低脂質食という時は、基本的に脂質20%以下が不文律のようなものです。
これもあかんやろ! ( `_´ )
問題なのは、低炭水化物食、高炭水化物食の定義がないことと、このような研究で最も大事なPFCバランスが、要約に記載されず、本文を見なければわからなくなっていることです。意図的にそうしているとしたら、実にアンフェアですね。
それはあかんやろ!! ヽ(*`Д´)ノ
今回のブログ、まずは、オーストラリアの研究、「低炭水化物組」と「高炭水化物組」と両グループとも1年後の体重減少は平均13・7キロで変わりなかった」
に対する批判を述べました。
また長くなりました。
気分の改善?に関しては、次回といたしましょう。
江部康二
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