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「脂質+糖質」→血糖値は?
おはようございます。

今朝起きたら、寝室は12度でした。寒いです。

とうとう今冬初のパッチ登場とあいなりました。(-_-;)

さて今回はりんりんさんから、「糖質と脂質を一緒にとると血糖値があがらない?」というコメント・質問をいただきました。

「09/11/17 りんりん
脂質を一緒にとると血糖値があがらない?
こんにちは。いつも勉強になります。
アレルギーのコントロールのためですが、私も糖質制限しながら、毎日青魚をたくさんとって、サラダオイルなどのリノール酸オイルは摂取しない生活で、体調がよくなりました。たま~に食べる天ぷらも贅沢にオリーブオイルです♪

最近、オリーブオイルはオレイン酸だからとよくたべていたらうっかり太ってしまい、オリーブオイルを控えてダイエットしていたところ、「食べ合わせダイエット」なるもので、ピザにオリーブオイルをかけるとカーボの吸収が抑えられてダイエットになる、とかいう説をききました。
もしも本当だとすると脂質は糖質制限の味方になるのでしょうか?」


りんりんさん。
コメントありがとうございます。

確かに、例えば普通に炊いた白米とバターライスでは、血糖値の上昇は、バターライスのほうが緩やかです。このことは一般的に言えます。まあ、GIが低くなるということですね。一般には、GIが低い食材のほうが痩せやすいとされています。

しかしGIというものは、信頼度の高いメンドーサおじさんのサイト

http://www.mendosa.com/gilists.htm

でも、焼いたり煮たりの調理法の差はありますが、基本的に単品の数値ですので、現実の食生活とはかけ離れていることになります。つまり実際の食事におけるGIというのは、判定困難なことが多いわけです。

まあ、正常人が、主食として玄米を食べるのは、白米や白パンを食べるよりGIがましなのは確かですが・・・

なので、生活習慣病の予防などで、正常人がGIの低い食材を中心に摂取するのは、意味があると思います。

それから、「糖質+脂質」は血糖値の急激な上昇はやや緩やかになりますが、追加分泌インスリンは勿論それなりに出ます。

そうすると、脂質やタンパク質摂取のときは、常に脂肪が燃えていて、体重減少に向かう方向性が、「糖質+脂質」だと中性脂肪を蓄える方に向かうので、太りやすくなります。また、脂肪細胞に蓄えきれなくなれば、血中の中性脂肪が上昇します。

結論です。

「ピザにオリーブオイルをかけるとカーボの吸収が抑えられてダイエットになる。」

というのは、カロリーアップも含めて、
かえって太る可能性が高いですね。( ̄_ ̄|||)


江部康二


**
GI

正常人においてはGI(血糖上昇指数)が確かに有意義です。
例えば、正常人ではブドウ糖や白いパンが血糖値を上昇させる指数を100とすれば、玄米や十割蕎麦は、半分の50くらいで、大豆は15くらいです。(GI値は研究者により、まだまだばらつきがありますので参考値です。)

GIというのは、糖質50gを含む食品を摂取した後の血糖値の上昇カーブを2時間追って、 基準となる食品(ブドウ糖50g)を摂取した後の血糖値の上昇カーブの面積と比較し、パーセントで表した数値のことです。 )

GIの算出方法
      糖質50gを含有する食品摂取後
      2時間までの血糖曲線下面積
GI=─────────────────────── ×100
    糖質50gを含有する基準食(ブドウ糖)
    摂取後2時間までの血糖曲線下面積

何やら小難しいですが、要するに同じ量の糖質でも、血糖を上げやすい食品と上げにくい食品があるわけです。GI値が高いほど、血糖値を急峻に上昇させます。

精製された炭水化物は、全て高GI食品です。精製された炭水化物は、血糖値を急峻に上昇させる唯一の食材で、代謝を乱す元凶です。

血糖値が上昇すれば、インスリンが追加分泌されて、筋肉細胞や脂肪細胞にブドウ糖を取り込ませますが、余ったブドウ糖は、中性脂肪となり蓄えられます。このためインスリンは、肥満ホルモンと呼ばれます。

急峻に血糖値が上昇すれば、追加分泌のインスリンも大量に出ます。従ってGIの高い精製炭水化物を摂らないことは、将来の生活習慣病の予防になります。

つまり、正常人が主食に玄米や全粒粉のパンなどGIの低い未精製の穀物を食べることは、とても有意義なのです。

ちなみに、空腹時血糖値が100mg/dlの正常人がいると仮定して、個人差はありますが、炊いた白米を一人前150g食べたら、食後60分血糖値は140~170mg程度に上昇しますが、炊いた玄米150gでしたら、60分後のピークも140mgまでですみます。

しかし、糖尿人においては、事情が全く違います。

糖尿人が、炊いた白米150gを食べたあとの血糖値のピークが280mgとしたら炊いた玄米150gなら260mgといった程度の差で、所詮は、軽く200mgを超えてきます。

つまり糖尿人が常用量の1人前の主食(糖質)を摂取すれば、GIなど全く無関係に血糖値は200mgを超えて上昇するとうことです。

従って糖尿人においては、GIは意味をなさない考えた方がいいのです。

糖尿人では、

「体重64kgの人で1gの糖質が、2型で3mg、1型で5mg血糖値を上昇させる」

という公式を覚えておくことのほうが有用です。

例えば、牛乳を水代わりに500ml飲めば、糖質は25gも摂取することとなります。そうすると血糖値は2型の糖尿人で75mgも上昇することになります。逆に言えば、100mlていどの牛乳を飲むとか、紅茶に牛乳を少々入れるとか、料理に牛乳をちょっと使うとかは問題はありませんね。

結論です。

GIは正常人では参考になりますが、糖尿人では、ほとんど参考になりません。糖尿人では、GIよりも食品に含まれる糖質のグラム数が大事です。


江部康二

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
どんどん痩せます。
緩徐行一型糖尿病に 指摘され約半年です。今ハネムーン期でインスリンは使用していません。病気を指摘されてから ひどいめまいに悩まされ 特に食後2時間と 空腹の時 低血糖に近い症状が毎日続きます。めまいは 糖尿とは問題外とされ 神経科の薬 ドグマチールを内服してますが 良くなりません。食事はしっかり白米で一日1600カロリーはとっていますが 体重はドンドン減り 158cm 36kgと仕事に行くのも疲れます。元 体重は40kgです。血糖値は動けば 正常範囲には下がりますが必ず 食後4時間には視野狭窄 浮遊感と 低血糖みたいになります。休みの日など食べて動かないと 血糖値はさがりません。このまま痩せてしまい めまいもなおらないなら こんな体いらなくなりそうで もう嫌です。 助けて下さい。
2009/11/19(Thu) 12:43 | URL | きょうみ | 【編集
先生のご意見を伺えてスッキリしました
普段は食べませんが、ほんとはピザがすきなので、オリーブオイルをかけたらセーフであってほしいと思っていましたが、やっぱり☆ですね~

これを提唱しているのは管理栄養士の方ですが、「悪い油をよい油(オリーブオイル)で流す」とやらで、しかしそれがどうしてピザにオリーブオイルをかけると太らないことにつながるのか、その理論がさっぱりワカリマセンでした。
カロリーオーバー分は「追加分泌インスリン」の作用で脂肪として蓄えられるのか・・・そりゃ100%太りますね。
これからは、論理的に説明できるダイエットをしたいとおもいます。
とりあげてくださってありがとうございました。



2009/11/19(Thu) 13:00 | URL | りんりん | 【編集
私もその栄養士さんの本を読んだことがありますが「鶏肉を食べているとやせない」などと書いてあり、医学的な根拠がイマイチわからないことが多いです。
そのような栄養士さんや健康運動指導士さんたちが記事を書いている雑誌などは、もっともらしいけど根拠がなさそうな内容がてんこもりでうんざりします。

もっと正しい知識が広まっていくといいですね。
2009/11/19(Thu) 14:21 | URL | リュカ | 【編集
先日も「助けてください」とコメントを入れておられる方がいらっしゃいましたが、本気で助けて欲しいなら、高雄病院に診察に行って、ちゃんと診てもらえばよろしい。
コメントで済まそうなんて、あまりに安直すぎると思いますが。
2009/11/19(Thu) 15:31 | URL | 権現森 | 【編集
Re: どんどん痩せます。
きょうみさん。

まずは今、お困りのことを
主治医ともう一回しっかり話し合ってください。
インスリンの種類や量を工夫することと
1回に摂取する糖質のグラム数を計測するだけでもだいぶ違うと思いますよ。
2009/11/19(Thu) 17:25 | URL | 江部康二 | 【編集
米国の日帰り糖尿プログラム
江部先生こんにちは
以前に米国のホームドクターについてコメントさせていただいた者です。
今回は州立大学病院のダイアベティック・プログラムに行きました。
日本の教育入院のような内容の日帰り治療で、インスリン未導入患者向けです。
主な内容は合併症予防と栄養指導で、糖質カウントについての指導が
あったので報告させていただきました。

糖質を取らなければ血糖値は上がらないとハッキリ前置きがあり
投薬をやめられるメリットと食事の取り方が難しくなるデメリットを
3つのチャプターに分けて指導されました

1糖質割合を下げながら、必要カロリーと栄養バランスを保つ方法
一食当たりの糖質量は1オンス(約30g)を目標、上限を2オンスにし
糖質を減らす分、脂質タンパク質が自然と増えるので足りないカロリーは補える
インスリン分泌の少ない人は更に糖質を減らすか薬を併用するか選択

2血糖値を上げないように必要糖質量をとる方法
繊維の多いものやGI値の低い食品を選ぶ、油を含む食べ方にする、
小分けに時間差で食べるようにする
この大学病院に合併症で入院している患者にはおかずは通常食のまま、
パンの代わりに茹でたブロッコリや人参を出すそうです
これにより血糖値急上昇を抑えられ糖尿薬が必要なくなるケースが多い
(米国ではインスリン分泌のある患者が多いからこの点は日本とは違いますね)


3一般的な栄養バランスと違う食事になるデメリットを解消する方法
脂質で太るイメージがあるが肥満はカロリーと糖質過多が原因、
脂質とタンパク質摂取では太らない、元々肥満な場合は別
長期的に脂質過多は動脈硬化、タンパク質過多は腎臓負担の可能性を
指摘されるが、すでに患っている糖尿を悪化させないことを第一義とするか
いま患っていない別の病気を予防するかのバランスは本人の選択
一般的に、糖質を減らすと塩分過多になりやすいのと食費が高くなる

上記のような内容でしたが、ある程度の糖質摂取を推奨している点と
脂質タンパク質過多で他の病気にならないかという点が気になりました
江部先生自身の食生活でタンパク過多が腎臓を痛めないことを
証明しているように感じられますがどうでしょうか
プログラムの医師曰く、糖質カウント方針になってからタンパク過多で腎臓を痛める
リスクよりも、糖尿自体の悪化が抑えられる結果、腎不全に移行する患者は確実に
減っているが、脂質過多による糖尿患者の動脈硬化についてはデータがなく不明だそうです

今回、糖質制限が一番原始的かつ効果的な糖尿治療だと改めて思いました
米国都市部では糖尿に限らず一般人にも広くローカーボが
ライフスタイル化して肥満と糖尿に効果を上げています
それでも医療保険が自動車保険のように予算と保障内容を照らして
加入するため、手厚い保険でないと教育的治療は受けられず、
眼底出血をして始めて自分が糖尿だと知る人も依然多いようです
日本では誰でも同じ医療を受けられるのだから医療機関側が
糖質についての意識を変えてくれるといいんですが。




2009/11/23(Mon) 18:54 | URL | 糖尿東京人 | 【編集
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