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インクレチンとDPP-4阻害剤。
大変失礼しました。

インクレミン(シロップ)は子供用の鉄剤ですよね。
インクレチンの間違いです。
すいませんでした。
TGさん。ご指摘ありがとうございました。

江部康二



こんばんは。

国内初のDPP-4阻害剤(ジャヌビア、グラクティブ)が承認され、12月くらいには販売開始される予定です。コメント欄にも複数の読者から質問があり、関心の高さが伺われます。

それでは、DPP-4阻害剤とはいったいどんな薬なのでしょう?

それに答えるには、まずインクレチンの説明が必要です。

インクレチンとは、小腸から分泌されるホルモンであり、GIPとGlp-1があります。これらは高血糖時には、SU剤とは異なる機序でインスリン分泌を促進させます。またインスリン生合成を促進させます。
さらに動物モデルでは、膵β細胞の保護作用が確認されています。

血糖値が低いときにはインスリン分泌をほとんど促進させず、食後高血糖の時にインスリン分泌を促進させるので、低血糖も起こしにくいです。

まことに都合のいいホルモンなのですが、DPP-4という酵素によって速やかに分解され、血中の半減期は約2分と短いのです。

このDPP-4という酵素の働きを阻害してやれば、インクレチンは血中に当分存在して、血糖降下作用を発揮してくれることになります。

そこで登場したのが、DPP-4阻害剤です。

この薬は内服薬であり、1日1回投与でよいので、使い勝手がいいです。まったく同じ成分(一般名シタグリプチン)の、ジャヌビア(万有製薬)とグラクティブ(小野製薬)が同時に発売されます。

勿論健康保険収載で、SU剤、インスリン抵抗性改善剤(アクトス)、メトホルミンなどビグアナイド剤との併用もOKですし、単独使用もOKです。

理論的にはグルコバイなどαグルコシダーゼ阻害薬グルファストなどとも併用できそうな気がしますが、保険収載されていません。

膵β細胞保護作用など、糖質制限食的にも好ましいところがあるので、コントロールがあと一歩の糖尿人には、使ってみたいお薬ですね。

なお、インクレチンがDPP-4という酵素によって速やかに分解され、血中の半減期は約2分と短いのは、399万年の人類の進化の過程では、食後高血糖がほとんどなかったせいと考えられます。

農耕が始まり、食後高血糖が日常的に生じるようになった後は、インクレチンにおおいに活躍して欲しいところですが、如何せん399万年間の進化の重みは大きくて、DPP-4が律儀にすぐ分解してしまう癖がついているのですね。

今この時代にDPP-4阻害剤の登場、なんだか歴史の皮肉を感じます。


江部康二

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
江部先生、早速のご回答ありがとうございました。

理論的にはグルコバイなどαグルコシダーゼ阻害薬やグルファストなどとも併用できそうな気がしますが、保険収載されていません。

ということは、現在αグルコシダーゼ阻害薬を処方中の私は同時には処方していただけないということになるのでしょうか。
もしどうしてもとなりますと単独使用に切り替えるか、別の医療機関で単独使用として処方してもらい併用するしかないのでしょうか。(後者はやってはいけないような気もしますが)

それにしても、どれだけ効果が期待できるのか不確定なのに安易に単独使用というのもいかがなものかと思ってしまうのも事実ですが、そもそも処方するかどうかは主治医が決めることなのですけれどもね。
2009/11/16(Mon) 20:41 | URL | ゆう | 【編集
ようやくに
服用できることになるのですね!

海外では確かメタホルミン(メルビン他)との併用でより効果があったとのことです。
2009/11/16(Mon) 21:32 | URL | 哲学者 | 【編集
Re: コレステロール値
あんずさん。

HbA1c素晴らしい改善ですね。

コレステロール値は、まだ低いくらいです。
年齢にもよりますが、
LDL-Cも、90はあったほうが、死亡率は低いです。
コレステロールは細胞膜や女性ホルモンの材料となる大切な物質です。
2009/11/16(Mon) 22:27 | URL | 江部康二 | 【編集
3回目の質問すいませんm(__)m
江部先生こんにちは。ずいぶんと冷え込みも厳しい日が続きますが、先生もお体を壊さないよう思う日々です。
今日も先生へお訊ねしたいことがありまして、二日前のお昼におかずがなくて、冷蔵庫にあったお好み焼き(うどん玉、もち、小麦粉)を1/4ほど食べてしまい内容に怖くなり30分後→1時間後→2時間後と計測したところ、169→110→104という推移でした、開始時は98でした。かなり正常?に近い推移で安心はしたのですが、ここで疑問にかんじたのが、もし1/4ではなく1/2を食べてしまった場合30分後数値は、単純に二倍の上昇率になってしまうのでしょうか?それとも、1時間後の降下速度から見て危険域に血糖値が上昇する前にインスリンが働いてくれて抑えてくれるのでしょうか?希望としては追加第1相が遅延せず働いてくれているのかなと思いたい次第です(/_\;)
お忙しい中申し訳ありませんが先生お願いしますm(__)m
糖質はおそらく70~80と思います。運動も行いませんでした。
2009/11/17(Tue) 10:35 | URL | 蝶々 | 【編集
Re: 3回目の質問すいませんm(__)m
蝶々さん。

糖尿病の人なら、1gの糖質が3mg血糖値を上昇させるという原則が成り立ちます。

蝶々さんは、インスリン追加分泌第一相が正常に近くでています。
耐糖能が正常に近いので2倍上昇ということはないと思いますよ。
2009/11/17(Tue) 11:21 | URL | 江部康二 | 【編集
DPP-4阻害剤
江部先生、ご解説ありがとうございます。

効能としては食欲が抑制される、というのもあるようです。

どうしてもひっかかるのは、DPP-4がインクレチンだけを選択的に分解しているのではなく、他の免疫系にも作用しているということです。

これは検証のしようがないのでしょうね。

新しい薬ですから、今後明らかになるかもしれない副作用のリスクは認識しつつ、効用に目を向けて使うしかないのかと思います。
2009/11/17(Tue) 12:50 | URL | 下町の糖尿人 | 【編集
江部先生ありがとうございます
江部先生すばやい返答ありがとうございますo(^-^)oまだまだ不安になる時があり、江部先生にお手数おかけしますが、先生の言葉に安心感を与えてもらえるたび、不安も薄らいでいきます(*/ω\*)また、質問をさせていただくと思いますが、一糖尿人として今後ともよろしくお願いしますm(__)m
2009/11/17(Tue) 14:22 | URL | 蝶々 | 【編集
いろいろ教えてください。
江部先生はじめまして。
豆しばと申します。

ダイエットに励んでいるもののあまり、効果が出ず、最近糖質制限ダイエットを実行しようかと検討しているのですが、糖質制限などについて少し心配していることが有り、質問させて頂きます。

○糖質を制限さえすればカロリーは無視してもダイエット効果はあるのでしょうか?
以下3点については、本や記事で読んだものですが、
○タンパク質は1日で消化吸収できる量が制限されている。と書かれてましたが、そのような事は有るのでしょうか?
○また、タンパク質は摂りすぎると、肝臓に負担がかかるという事はありますか?
○果糖は血糖値は上がりにくいが、直接肝臓で糖分として取得することになるので、脂肪肝や中性脂肪の上昇に影響するということはありますか?

以上です。
宜しくお願い致します。
2009/11/17(Tue) 14:42 | URL | 豆しば | 【編集
Re: はぁぁ師走かぁぁ
ベィビィ さん。

人類の食生活シリーズは
カテゴリーの欄の
丁度真ん中あたりに
「人類の進化と食生活」がありますから
クリックしてください。
2009/11/17(Tue) 16:12 | URL | 江部康二 | 【編集
再びですみません
このお薬につきましては、動物実験では膵臓のβ細胞に負担がかからず、むしろ増加したというデータがありますよね。ヒトにすぐ当てはめられるかどうかはわかりませんが、今後糖質制限食プラスこの薬で膵臓のβ細胞を復活させられやしないかを臨床実験して下さるドクターが現れてほしいものですね…。この薬だけなら血糖値が正常なら無理に下げる働きはないので低血糖になる可能性はほとんどないですし。
2009/11/17(Tue) 21:15 | URL | 哲学者 | 【編集
はじめまして!
江部先生、はじめまして。
HbA1cがここ1年くらい5.5~5.8ぐらいをウロウロしている者です。先生が提唱されている糖質制限食を参考にして、どちらかといえば炭水化物の量を考えながらの食事・運動療法を行ってきました。しかしながら、標準体重を維持しつつ食後1時間の血糖値を140未満に抑えることはなかなか難しい感じでして(150~180くらい)、α-グルコシダーゼ阻害薬かDPP-4阻害薬等の薬物療法も視野に入ってきております。そこで、先生にご質問なんですが、DPP-4阻害薬の処方ケースは、どの程度の病態を考えているのでしょうか?例えば、同薬の臨床効果データを見ますとHbA1cの投薬前平均値が7.6となっております。食後高血糖を下げ、なおかつβ細胞への若干の再生作用もあるかも知れないなど大いに魅力的なのですが・・・。
2009/11/18(Wed) 20:04 | URL | 初心者 | 【編集
DPP-4阻害薬
初心者さん。

α-グルコシダーゼ阻害薬かDPP-4阻害薬の
どちらかが、第一選択になりますね。
どちらでもいいですが、
一応α-グルコシダーゼ阻害薬でしょうか。

ただ食後1時間が150~180mgなら
コントロール良好ですね。

食後2時間が140mg未満が目標なので。
2009/11/18(Wed) 23:17 | URL | 江部康二 | 【編集
ありがとうございます
江部先生、早速、コメントしていただき有り難うございました。今のままでもギリギリ大丈夫かなぁ~とも思ったのですが、まだ30代後半なので、将来の心血管イベントリスクをできる限り軽減するためには、食後1時間血糖値を140未満にした方がいいのではないかと考えて、質問させていただきました。α-グルコシダーゼ阻害薬は糖尿病予防効能でも承認されているようですが、ただ江部先生もきつかったと言われていた副反応がちょっと心配です。もっとも、最近、その副反応による腸内水素ガスが心血管イベントを抑制するとの新説が出ているようでして・・・。ともかく、これからの時期的なことも考え、先生のご教示を踏まえて決めたいと思います。ありがとうございました。
2009/11/19(Thu) 18:57 | URL | 初心者 | 【編集
グルコシダーゼ阻害薬
江部先生 横から失礼します。

初心者さま

私は、ベイスン1錠で、1時間値を30下げてくれるようなので、糖質40g強くらいまでならベイスンを飲んで楽しんでいます。

はじめて飲んだときには、三回くらいまで、お腹の張りがありましたが、ガスコン という、ガスを排出しやすくする薬を併用したりして、特に問題ありませんでした。

糖の消化を悪くするので、下痢してしまう方もいるようですが、薬剤師からは、お腹が張る人も下痢する人も、
「最初は違和感があるかもしれませんが、慣れますよ」と言われました。

私は、同時に 整腸剤のビオフェルミンと、ガスコンを処方してもらって、快適ですが、主治医の先生と相談しながら、何度か試されてはどうでしょうか。
食べられるものの幅も広がるので、楽しみも増えると思いますよ。
2009/11/20(Fri) 00:09 | URL | ゆうこ | 【編集
感謝です。
ゆうこ さま、ありがとうございます。今回は、話題になっているDPP-4阻害剤の処方対象の範囲が今一つはっきりしなかったものですから、江部先生に質問させていだきました。私としてはα-GLも念頭にありましたので、もちろん、主治医とも相談しながらですが試してみたいと思います。なんか食事をするのが少し楽しくなりそうです。ありがとうございました。
2009/11/20(Fri) 18:03 | URL | 初心者 | 【編集
DPP-4阻害剤
私の母は長い間DPP-4阻害剤のような薬を待ちわびていました。15年前から朝晩二回うってきたインスリンも現在超速攻型朝昼夕に6単位づつ持続性型を晩に6単位になり,大好きだった昼間の外出もままなりません。ヘモグロビンA1cは6、4です。インスリン使用者でも新薬使用は可能なのでしょうか。DPP-4阻害剤を朝一回呑むだけでよければ母の苦労も減るのですが。DPP-4阻害剤を使用するにしても晩のインスリンは必要なのでしょうか。どちらにしてもDPP-4阻害剤の使用が可能ならば主治医に相談してみようと思います。糖質制限食の話もまだできない状態で主治医にはいいづらく、江部先生がお忙しいとは知りつつも質問させていただきました。よろしくご指導お願いいたします。
2010/02/21(Sun) 10:48 | URL | ちゆき | 【編集
Re: DPP-4阻害剤
ちゆきさん

理論的には、インスリン注射とDPP-4阻害剤は併用可能です。
しかし健康保険上は、まだインスリンとの併用が認可されていません。

SU剤、ビグアナイド剤、アクトスとは健康保険で併用可能です。
2010/02/21(Sun) 11:06 | URL | ドクター江部 | 【編集
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