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肥満、脂質犯人説を検証する
こんばんは。肥満関係の話題、好評に付きもう一回いきます。

過去の常識として、日本でも欧米でも心臓病、糖尿病、肥満・メタボリックシンドローム、癌などの元凶として、脂質が犯人とされてきました。

ところが、米国の大規模介入試験(5万人弱の閉経女性を対象に、対照群を置き、平均8年間にわたって追跡)において、脂質熱量比率20%で強力に指導したグループは、対照群に比較して心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクを下げないことがアメリカ医学会雑誌2006年2月8日号で報告されました。

巨額のお金と多大な時間を投入した第一級の疫学研究で、従来ヘルシーと信じられてきた「低脂質食」が全く無意味と証明されたようなものですから、医学界にも一般の人にも大きなサプライズだったと思います。 ( ̄△ ̄)

さらに米国の主要栄養素の摂取傾向を調べてみると、総脂肪由来キロカロリーの占める割合は1971年 (36.9% )→2000 年(32.8%) と減少しています。

にも関わらず、成人の肥満率はは1971年(14.5%)→2000年(30.9%)と倍増しています。
 この間増加したのは糖質の比率で、1971年(42.4%)→2000年(49.0%)となっています。

また、米国の糖尿病も、1995年の患者数は800万人なのに2005年度の糖尿病有病数は2080万人で、全人口に対する有病率は7%と推定されています。

即ち、脂質の摂取率は減少しているのに糖尿病は10年間で約2.5倍と激増しています。

ここまで検証してくると、過去の常識だった脂肪犯人説はかなり怪しくなって、糖質の過剰摂取こそが生活習慣病の真犯人だった可能性が高まります。

米国で肥満度の高い州は、南東部の貧しい地域に集中しています。肥満はジャンクフードと車社会という文明的な特質によって作り出されているだけでは無く、貧困も関係しているといわれます。

糖質制限食の数少ない欠点に、「エンゲル係数が高くなる」というのがあります。主食(糖質)を抜いておかずばっかりだと、3~5割食費が増加します。 (×。×)

同じカロリーなら、お肉やお魚の値段に比べると、パンやライスは激安です。結局、安価でお腹が満腹するのは、精製炭水化物でなので、米国では貧困が肥満に直結するようです。

江部康二
テーマ:食と健康
ジャンル:ヘルス・ダイエット
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