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糖質制限で健康になろう ~糖尿病・メタボ・生活習慣病を考える~
こんにちは。
京都では、かなり久しぶりの糖質制限食の講演です。
京都の皆さん、是非ふるってご参加頂ければ幸いです。
主催は、NHK文化センター京都教室です。

糖質制限で健康になろう
~糖尿病・メタボ・生活習慣病を考える~
講師高雄病院 理事長 江部 康二

<教室講演>と<オンライン講演>
があります。

日本列島にヒトが住み始めたのは旧石器時代からです。
旧石器時代は約38000年前から16000年前までの約22000年間続きました。

ナウマン象、オオツノジカ、ヘラジカ、シカ、イノシシ、ムササビ・・・ などを狩猟してとり、
肉食が主でした。
・・・北海道ではマンモスも食べていました。

糖質摂取比率は10%以下でしたでしょう。
当時の日本列島は多くは亜寒帯性の針葉樹林が広がっていて、
植物性の食品は乏しく漁撈も未発達なため、
大型哺乳類を主とした狩猟に依存した生活でした。
植物食は自然薯(山芋)、百合根、コケモモ、松の実、マツボックリ、山菜などしか、
ありませんでした。

私達、日本人は、この肉食を主とした22000年間で、身体を形成したので、
肉食に特化して適合していると考えられます。


スーパー糖質制限食は、この旧石器時代の食生活と同様のPFCの摂取比率です。
米を食べ始めたのは、僅か2500年前の弥生時代からなので、肉食の歴史には遠く及びません。


江部康二


■教室受講
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1280128.html


糖質制限で健康になろう
~糖尿病・メタボ・生活習慣病を考える~

講師高雄病院 理事長 江部 康二
カテゴリー 特別・短期・1日講座
特別講座・講演会  健康
お友達におすすめ
医学的に考える糖質制限法とは?
★こちらは 教室講座 です★

糖質制限食の理論を解説し
旧石器時代・縄文時代・弥生時代の食生活にも触れ、
症例も提示して、わかりやすく解説します。


【講師紹介】江部 康二(えべ こうじ)
一般財団法人高雄病院理事長。
一般社団法人日本糖質制限医療推進協会理事長。
1950年京都府生まれ。
1974年京都大学医学部卒業。京都大学胸部疾患研究所を経て、1978年より高雄病院に医局長として勤務。
2000年理事長就任。
2001年から糖質制限食に取り組む。
2002年に自身の糖尿病に気づき、自ら糖質制限食を実践、
肥満と糖尿病を克服。
豊富な症例をもとに糖質制限食の研究を続けている。
著書・監修書多
開催期間 12/9、土曜日
日時15:00~16:30
回数:1回
途中受講できません
受講形態:対面型コース受講料(税込み)
教材費(税込み):会員3,432円一般(入会不要)4,125円
日程 ○2023/12/09(土)
持ち物筆記用具
備考●こちらは教室講座です。
オンライン講座ではありません。


■オンライン受講
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1282360.html

 糖質制限で健康になろう
~糖尿病・メタボ・生活習慣病を考える~
講師高雄病院 理事長 江部 康二

カテゴリー特別・短期・1日講座 >
 特別講座・講演会 健康・エクササイズ・スポーツ > 
お友達におすすめ
★「糖質制限食」の体系を確立したパイオニア!
★ こちらはオンライン講座です 

糖質制限食の理論を解説し
旧石器時代・縄文時代・弥生時代の食生活にも触れ、
症例も提示して、わかりやすく解説します。


【講師紹介】江部 康二(えべ こうじ)
一般財団法人高雄病院理事長。
一般社団法人日本糖質制限医療推進協会理事長。
1950年京都府生まれ。
1974年京都大学医学部卒業。
京都大学胸部疾患研究所を経て、1978年より高雄病院に医局長として勤務。
2000年理事長就任。
2001年から糖質制限食に取り組む。
2002年に自身の糖尿病に気づき、自ら糖質制限食を実践、肥満と糖尿病を克服。
豊富な症例をもとに糖質制限食の研究を続けている。
著書・監修書多
講座の詳細
教室名京都教室
開催期間12/9曜日・日時15:00~16:30
回数:1回
途中受講できません
受講形態オンラインコース受講料(税込み)
教材費(税込み):会員・一般(入会不要)3,300円日程
○2023/12/09(土)
●PC、タブレット(LANケーブルもしくはwi-fiに接続し、通信環境の良いところから参加してください)

※資料がある場合は招待メールにてご案内します。
※こちらの講座は教室講座を収録して配信します。
ご了承ください。
備考●事前にビデオ会議ツールZoomアプリをインストールしてください
(詳細は「オンライン講座受講前の準備」ページをご覧ください。)
※講座日前日にご登録のメールアドレスへZoomへの招待メールをお送りします。
※講座時間5分前よりZoomに入室いただけます。
インフルエンザ流行とインフルエンザワクチン。
こんにちは。
インフルエンザが流行っています。

国立感染研究所のインフルエンザ流行レベルマップによれば、
2023年 第46週 (11月13日~11月19日) 2023年11月22日現在

 2023年第46週の定点当たり報告数は21.66(患者報告数106,940)となり、
前週の定点当たり報告数17.35よりも増加しました。
43都道府県では前週の報告数よりも増加し、
4都道府県では前週の報告数よりも減少しました。
つまり、9割以上の都道府県で増加しています。

インフルエンザワクチンを既に接種した人もまだの人もおられると思います。
さて、それでは、インフルエンザワクチンの効果はどの程度あるのでしょうか?
今回は、インフルエンザワクチンについて考察してみます。


<インフルエンザワクチンに関する考察>

ワクチン接種後、抵抗力がつく まで2週間かかるとされ、
効果が持続する期間は約5か月間ですので、
10月初めに接種すれば、翌2024年の3月初めまではカバーできます。

まず、インフルエンザワクチンに関して、是非、知っておいて欲しいことは、
インフルエンザワクチンは万能ではないということです

すなわち感染防御力は基本的になくて、
重症化を防ぐことが期待されるていどの効能
です。
ワクチンを打っている人も打っていない人も、
手洗い、うがい、マスクがインフルエンザ予防の基本ですね。
特に、手洗いが思った以上に有効です。
ドアノブや電車のつり革など様々なものに触れることにより、 
自分の手にもウイルスが付着している可能性があります。
外出先から帰宅時や調理の前後、食事前などこまめに手を洗いましょう。
咳やくしゃみで飛んだ飛沫が服についても、
数時間で感染力を失うとされています。
外出から帰宅したら着替えすることも予防に役立ちます。

以下の青字は、厚生労働省サイトの記載です。
インフルエンザの予防にはみんなの「かからない」、
「うつさない」という気持ちが大切です。
手洗いでインフルエンザを予防して、かかったら、
マスク等せきエチケットも忘れないでください。
インフルエンザにかかった人は、
必ずマスクをして他人にうつさないように配慮が必要です



<インフルエンザワクチンの有効性>

インフルエンザワクチンは、A型にもB型にも対応しています。
しかし、実は現行のインフルエンザワクチンには、
水際で感染をシャットアウトするような効果はありません。
感染した後、重症化を防ぐ効果が期待されるという程度なので、
過信するのは禁物です。

理論的に考えても、ワクチンを接種することにより
IgG抗体が血液・体液中に産生されますが、
粘膜面を防御しているIgA抗体は全くできません。
従って、インフルエンザウィルスが、
咽や鼻の粘膜を突破して細胞内に侵入した後(感染が成立した後)、
はじめてIgG抗体が駆けつけて戦うことになります。
鼻への噴霧ワクチンで、粘膜面のIgA抗体をつくる試みもされていますがあまり上手くいっていません。
IgA抗体を充分量増やす技術が難しいようです。

下記の青字は国立感染研究所のホームページからの抜粋です。

【7.インフルエンザワクチンの問題点
(2)「現行ワクチンの感染防御効果や発症阻止効果は完全ではありませんので、
ワクチン接種を受けてもインフルエンザに罹患する場合があり、
この場合には患者はウイルスを外部に排泄し、感染源となります。
従って、集団接種を行っても社会全体のインフルエンザ流行を
完全に阻止することは難しいと考えられます。」

(6)「現行のインフルエンザワクチンは皮下接種されています。
しかし、不活化ワクチンの皮下接種では、
インフルエンザウイルスの感染防御に中心的役割を果たすと考えられる
気道の粘膜免疫や、
回復過程に重要であると考えられる細胞性免疫がほとんど誘導されません。
これは、インフルエンザウイルスの感染そのものを防御すると言う面では
大きな短所であると考えられています。
しかし、この様な欠点を持ちながらも、先に述べたように、
ハイリスク群に対する現行インフルエンザワクチンの効果は明らかに認められています。
また、ワクチンの皮下接種でも血中の抗体産生は十分に刺激できるので、
インフルエンザに続発する肺炎などの合併症や
最近問題となっているインフルエンザ脳炎・脳症の発生を抑えることには
期待出来ると考えられています。」】



<集団感染>
石川県のホームページに、「インフルエンザ様疾患及び新型コロナウイルス感染症による集団感染事例」が記載されています。
それによると、2023/11/13~11/19で、
26の施設で集団感染が発生していて、そのうち学校が20施設です。
これらの中で、多くの施設において、インフルエンザワクチン接種済みと
思われます。
このように、インフルエンザワクチンは、水際での感染防御により
集団感染を防ぐことに関しては、
ほとんど無力だと思われます。

そもそもインフルエンザワクチンは
「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」ということが効能です。
感染を防ぐためには、「手洗い、うがい、マスク」が必須です。


<誤解>

ところが、相変わらず多くの患者さんや医師が、ワクチンを接種していれば、
水際で感染防御できると誤解しておられるのです。
私は、過去10年間以上、友人の医師などに、
感染防御はできないと口を酸っぱくして言い続けてきたのですが、
皆なかなか信じてもらえませんでした。
どこかで誤った情報が流され続けていたのでしょうね。
ここ数年、新聞などでもやっと、
「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」という真実が報道されるようになりました。
逆に言えば、過去10年以上、
あたかも感染防御できるような内容の報道に終始していたわけで、
そのことに関して自己批判も反省もないのは如何なものでしょう。

インフルエンザワクチン注射を希望する患者さんがこられたら、
私はこのことを説明して、
「手洗いやうがい、人混みを避けるなど、基本的なことが感染防御には大事なので、
ワクチンを接種したからといって油断しないでくださいね。」

と付け加えます。

<必要性>
別に私は、ワクチンが無意味といっているのではありません。
65歳以上の高齢者、呼吸器系や循環器系に慢性疾患を持つ患者、
糖尿病、腎臓病などの慢性疾患の患者、免疫低下状態の患者などでは、
インフルエンザに罹患し重症化すれば、肺炎などの重篤な合併症になり、
生命に危険が及ぶこともありますから必要だと思います。
若い人でも、受験生などは重症化したら困りますから、
接種する意味はありますね。

<感染防御>
①医療関係者は、インフルエンザ患者を診察するときはマスクをする。
 診察が終わったら必ず手洗いをし、使い捨て紙タオルでふく。
 マスクをはずしたときはうがいをする。
②急性の咳や熱がでている当事者はエチケットとして、マスクをする。
③満員電車の中など避けようがない密閉された場所にいくときはマスクをして乗る。
④人混みにでたあとは、手洗い・うがいを励行する。
⑤家族が一人インフルエンザに罹患したら、家の中でも当事者はマスクをする。
  その一人は、違う部屋で寝る。
⑥咳で飛沫が飛ぶのは約1mであるので当事者から距離を取る。
⑦鼻水や痰を封じ込めるためにティッシュを使用し、使用後のティッシュは、
 できればノンタッチごみ箱に廃棄すること

ブログ読者の皆さん、インフルエンザワクチンを接種している人も、
感染防御効果はないことをしっかり認識して、
上記①~⑦を励行してくださいね。

これが実行されていれば、上述のような院内感染が猛威をふるうことはなかったでしょう。

<終わりに>
インフルエンザワクチン接種に、賛成の人も反対の人もあると思います。
ブログ読者の皆さんには、
インフルエンザワクチンの真実を知ってもらいたくて記事にしました。

そして、日頃、自分の自然免疫を高めるような生活習慣を心がけることも大切です。
例えば、私はスーパー糖質制限食を実践して、8000歩/日(そのうち過半数は速歩)歩いています。

あとは、自分の頭で考えて、接種するか否かを選択して頂ければ幸いです。

江部康二
糖質制限食による体重減少効果について。
こんにちは。
中西健一郎 さんから
「糖質制限時の体重が落ちる仕組みについて」
コメント・質問を頂きました。

糖質制限食実践による体重減少効果に関して、
よく質問がありますので、復習を兼ねて考察してみます。

スーパー糖質制限食なら、
運動量不変で、体脂肪が減ります。
例えば、血中総ケトン体の基準値は、
26~122μM/Lですが、スーパー糖質制限食実践中は、
400~1000~2000μM/Lくらいに上昇します。
肝臓で脂肪酸の分解物のアセチルCoAからケトン体を作ります。
ケトン体の上昇は、まさに脂肪が燃えている証拠ですね。

かくいう私も、52歳のとき、167cm、67kgから、スーパー糖質制限食実践で、
運動量は不変で、半年で57kgに減量し、学生時代の体重に戻りました。
階段は駆け上がるし、週1テニスは普通にしてましたので、
筋肉量は維持できていて、脂肪が燃えて減量できたと考えられます。

73歳現在も57kg前後で維持していて、階段は駆け上がります。
但し、4階くらいまでですが・・・。(^^;)
現在も筋肉は年齢相応ていど以上はあると思いますし、
歩く速度もかなり速いほうです。
スポーツジムなどで鍛えているわけではありませんが、
73歳としてはかなり体力はあるほうだと思います。

筋肉量を増やすには通常は筋トレが必要です。
しかし、毎日<インターバル速歩(3分間の速歩×5セット)>を、5セット以上実践しているので
筋力も少しは増えていると思います。
日常の歩行は、ほとんどが早歩きで、家では<ながらジョギング>もしていますので、
下肢の筋力は、73歳にしては、あるほうだと思います。


<インスリン>
それではまず、インスリンについて考えて見ます。

◇インスリンは脂肪細胞内の中性脂肪分解を抑制。
◇インスリンは血中の中性脂肪を分解し脂肪細胞内に蓄える。
◇インスリンは筋肉細胞に血糖を取り込ませるが、
  余剰の血糖は脂肪細胞に取り込ませて中性脂肪として蓄える。
◇肥満のメカニズムはインスリンによる脂肪蓄積。


このようにインスリンには脂肪を蓄える作用があるので、
別名肥満ホルモンと呼ばれています。
そしてインスリンを大量に分泌させるのは、糖質のみです。
たんぱく質もインスリンを少し分泌させますが、脂質は分泌させません。

『糖質摂取→血糖上昇→インスリン分泌→脂肪蓄積』
このシステムは、狩猟・採集時代には、飢餓に対するセーフティーネットとして
おおいに役立っていたのですが、皮肉なことに現代では肥満の元凶となっています。


<スーパー糖質制限食の4つの利点>


◆<糖質制限食による体重減少効果>
①インスリン(肥満ホルモン)の基礎分泌はあるが、追加分泌は最小限である。
②食事中も含めて常に体脂肪が燃えている。
③食事中も含めて常に肝臓で糖新生が行われ、それにかなりのエネルギーを消費する。
④高タンパク食により、食事誘発熱産生(DIT)が亢進する。

高蛋白食は、摂食時の食事誘発熱産生(DIT)が通常食に比べて増加します。
DITによる消費エネルギーは、実質吸収エネルギーの、糖質では6%、脂質では4%、タンパク質で30%です。

食事誘発熱産生(DIT)を、もっと簡単に説明すると、食事において
100キロカロリーの糖質だけを摂取した時は、6キロカロリーが、
100キロカロリーの脂質だけを摂取した時は、4キロカロリーが、
100キロカロリーのタンパク質だけを摂取した時は、30キロカロリーが
熱に変わり、消費エネルギーとしてカウントされるということです。


◆<糖質を摂取した場合>
A)血糖値が上昇してインスリン(肥満ホルモン)がたっぷり分泌される。
B)体脂肪は燃えなくなり、血糖値が中性脂肪に変わり蓄積される。
C)肝臓の糖新生はストップする。
D)高タンパク食よる亢進した食事誘発熱産生(DIT)はなくなる。

①②③④とA)B)C)D)両者を比べてみれば、高糖質食より糖質制限食の方が、
体重減少効果が高いことが一目でわかると思います。

たとえ低脂質食でカロリー制限していても、
糖質を摂れば体重減少への利点がすべて消えてしまうわけです。
これは食べ物に含まれるカロリーとは無関係の生理学的な特質であり、
あくまで糖質を摂るかどうかがカギとなります。


<摂取エネルギーと消費エネルギー>

1)摂取エネルギー > 消費エネルギー   → 体重増加
  摂取エネルギー = 消費エネルギー   → 体重不変
  摂取エネルギー < 消費エネルギー   → 体重減少

2)通常のカロリー制限食(高糖質食)なら
  「消費エネルギー=基礎代謝量+身体活動量(運動や家事)+食事誘発熱産生(DIT)

3)糖質制限食なら、高糖質食の時には無い
 「肝臓の糖新生でエネルギーを消費」→基礎代謝の増加
 「高蛋白食摂取」→食事誘発熱産生(DIT)の増加
 が認められる。

1)は生理学的事実です。
2)3)を比較すると糖質制限食の方が高糖質食に比し、
体重が減少しやすいことは明白です。


<推定エネルギー必要量と糖質制限食>

減量を目指す時に、日本糖尿病学会推奨のように

男性:1600~2000kcal/日
女性:1400~1800kcal/日

といった、厳しいカロリー制限は必要ありません。
「日本人の食事摂取基準」(2020年、厚生労働省)
に示す推定エネルギー必要量の範囲、
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf

推定エネルギー必要量/日
                  男性               女性
15-17才         2500 2850 3150      2050 2300 2550kcal
18-29才         2300 2650  3050     1650  1950   2200
30-49才         2300 2650  3050      1750  2000  2300
50-69才         2100 2450  2800      1650  1900 2200 
70才           1850 2200  2500       1500  1750  2000

身体活動レベル    低い 普通 高い         低い  普通  高い

くらいが目安です。

このように、冷静に理論的に考えると、
糖質制限食以外で減量することは極めて困難であることがわかると思います。


上記の推奨通りに糖質制限食を実践しているのに、体重が減少しない場合は
以下のように、「基礎代謝が低い」とか「大食漢」とかがあります。


<基礎礎代謝が低い場合は?>
基礎代謝が低いタイプの人は
「糖質制限+カロリー制限」が必要です。
基礎代謝が低い人は、「推定エネルギー必要量」
が、通常より少なくなるということです。
女性に時にあり、数%くらいの比率です。



<大食漢タイプの場合は?>
大食いの方々が時におられます。やはり数%の比率です。自分は大食いなのに、それに気がついてないことがあります。例えば家族が皆大食いなのでそんなものと思っている場合です。他人と自分の食事摂取量を比較することも必要です。このタイプは「糖質制限食+人並みの摂取カロリー」が必要です。
人並みの摂取カロリーとは、すなわち「推定エネルギー必要量」です。



<減量できないときは?>

1)
いつのまにか、糖質制限が緩くなった可能性があります。

2)
何らかの理由で、基礎代謝が低下した可能性があります。

3)
大食いタイプ、或いは知らぬ間に、摂取カロリーが多くなった可能性があります。

4)
すでに、BMI20以上~25未満で適正体重になっていることがあります。



江部康二





「人類は本来、一日三食か二食かはたまた、一食か?」。朝食は?
こんばんは。
「人類は本来、一日三食か二食かはたまた、一食か?」
興味ある問題です。

かく言う私は、1984年の第一回目の断食(34歳のとき)以降は、
朝食抜きの一日二食で、間食は、チーズとかナッツとか摂る日もあれば、摂らない日もあります。
朝は、コーヒーと生クリーム10mlとしています。
たまに間食として、少量の果物も食べていたこともありますが、ここ3年は果物の摂取は止めました。
現代の果物は糖度が高く、大きさも大きいので、糖質制限NG食品なのです。
ご先祖が食べていた「野イチゴ」と現代の「アマオウ」を比べてみれば明らかですね。

一日一食で三ヶ月くらいやったことがありますが、欲望に負けてしまいました。

欲望に負けたといっても、空腹感とか食欲に負けたのではありません。

そもそも糖質制限食だと腹が減って動けないというような強烈な空腹感はありません。

糖質を食べていると、この強い空腹感が生じるのですが・・・。

それで一日一食でお腹が空いてかなわないからギブアップしたのではなくて、
一日一食だと、何といっても食事回数が減りますから、一生で味わう食べる楽しみの回数が減ることになります。
一日一食だと、二食に比べたら食事を楽しむ回数が半減ですから、
34才から100才?までだと、ざっと24000回くらいの食事の楽しみが消滅します。(-_-;)

また団体旅行に行った時など、一日一食だと周囲の人々とのコミュニケーションとか間が持ちません…。
なんか、いろいろと言い訳してますが、まあ実は、肉、魚、貝、蟹、海老、ナッツ類、豆腐、納豆、野菜、果実などなど、
何でもいろいろ食べたいという欲望がすべてなのです。

それで、キャッチコピーとしては、「清く正しく」よりは「美味しく楽しく」 糖質制限食ということで、
一日一食とはとはおさらばして、一日二食に戻しました。

日本の歴史をみても、長い間、一日二食が普通でした。
佐伯栄養専門学校の星屋英治氏によれば、江戸時代まで日本人は一日二食で生活していたそうです。(*)
歴史的にも、一日二食の習慣は貴族社会で一般的でした。
鎌倉時代以降、武士の間では一日三食で過ごす者も現れましたが、庶民や貴族は一日二食でした。
後醍醐天皇撰の『日中行事』は、宮中における日々の行事や毎月の月奏祭・祓などを記した書ですが、「朝の御膳は午(うま)の刻なり。(中略)申の刻に夕の午前まいる。」との記載があります。(**)
後醍醐天皇(ごだいごてんのう1288-1339)は、
鎌倉時代後期から南北朝時代初期にかけての第96代天皇で、南朝の初代天皇です。

このように平安時代や鎌倉時代の貴族は一日二食であり、朝食が午(うま)の刻(正午)で、夕食が申(さる)の刻(午後4時)です。
庶民が1日に3回食事を摂るきっかけとなったのは、江戸時代の明暦の大火(1657年)という説もあります。
幕府は、焼失した江戸を復興するため全国から大工や職人を集めて、朝から夕方まで一日中、働かせました。
この時に朝食と夕食だけでは体力が持たないため、昼にも食事を出すようになり、
一日三食の習慣が広まっていったという説です。

三食が定着していったことには、明治維新後に陸軍ができたことが大きな役割を果たしました。
陸軍が一日三食を提供して、「白米が毎日3回食べれる」というキャッチコピーで
貧しい農家の次男や三男を勧誘したのが実態のようです。
これにより全国的に一日三食が普及していきました。
狭義の明治維新は、1867年の大政奉還から1868年の明治政府の成立までの流れを、いいます。

1920年に、国立栄養研究所が開設され、佐伯矩博士が初代所長に任命されました。
佐伯博士が栄養士制度を発展させるため1924年に設立した“世界初の栄養学校”が、佐伯栄養専門学校です。
日本で一日三食が積極的に奨励されるようになったのは、
1935年、国立栄養研究所の佐伯矩医学博士が提唱したことに始まります。

イギリスやフランスなどヨーロッパの国々でも、
15~16世紀頃に、二食から三食になっていったので三食の歴史は意外に浅いのです。
英語の朝食はbreakfastですが、
一日の最初の食事(断食を破る)を意味していたのが転じて朝食になりました。
当初のbreakfastは、一仕事終えたあと、正午頃食べていたのかもしれませんね。
世界的に見ても、伝統的なライフスタイルを保っている部族は、一日二食のことが多いようです。

特に、朝起きて何の活動もしていないのに、
すぐ食事を摂るという現代人のような「変な?習慣」は、人類の歴史上ほとんどなかったと考えられます。  


ちなみにエビデンスとは言えませんが、
私は、34歳(1984年)から、朝食抜きの1日2食ですが、
玄米魚菜食のころは、40歳ごろから太り始め、
52歳で、167cm67kg、メタボ・糖尿・高血圧を発症しました。
そこからは、朝食抜きの1日2食でスーパー糖質制限食を開始して
半年後には57kgと減量できて学生時代の体重に戻り、
メタボ・糖尿・高血圧もすべて改善しました。
73歳の現在も57kgを維持しています。
体重減少には食事の回数や朝食抜きは関係なくて、
糖質ありかなしかが一番関与するということですね。
なお、身長も167cmで、20歳の頃から縮んでいません。

さてそれでは糖質セイゲニストの食事回数ですが、どうなのでしょう?
また、朝食摂取に関してもあり?なし?

まずは食事回数ですが、
一日一回でも問題ないと思います。
この場合は、夕食がベストです。
夕食で摂取したタンパク質で夜寝ているときに筋肉が修復され、
トレーニングなどしていれば筋力アップになります。

一日二食の場合は、夕食は確保として、あと一回は朝食でも昼食でもどちらでもいいと思います。
しいて言えば、前の日の夕食から連続して絶食で昼食摂取の方が、ミニ断食効果が期待できます。
すなわち、朝食抜きの一日二食ですね。

子供達は、学校生活の観点からみて、バトルをしても仕方ないので、
一日三食でも仕方ないと思います。
糖質セイゲニストの大人は、朝食抜きの一日二食が推奨です。


(*)Sports Graphic Number Do 2014 Early Summer 太らない生活 2014
(**)生活習慣病に克つ新常識―まずは朝食を抜く! (新潮新書 ) 小山内博著 2003年


江部康二



たんぱく質の摂取量、筋肉、利用の上限、食事回数。
こんにちは。
今回は、 <たんぱく質の摂取量、筋肉、利用の上限、食事回数>などについて考察してみます。


たんぱく質の摂取量と筋肉への取り込みの上限

たんぱく質の人体への吸収

食事回数とたんぱく質摂取

 
①②③について
筋肉博士・石井直方東大教授の

やさしい筋肉学
タンパク質の摂取を増やせば増やすほど、筋肉が増えるわけではない!
第63回 解明されつつある最新知識
2017/12/19 コーチング・クリニック(ベースボール・マガジン社)
https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/column/15/040200001/113000064/?P=3
筋肉を太くするのに有効なタンパク質の量には上限がある

などを参考に考察してみました。

①一回のたんぱく質の摂取量20gくらいが筋肉合成に役立つ量である。
②それ以上のたんぱく質(30~40g)を摂取しても、体内に吸収されるけれど
筋肉合成には利用されずにエネルギーとして使用される。
ここまで、石井直方教授のご見解です。
 
そうすると日本人の普通の食事で、
三食とも、たんぱく質20gくらいは摂取できそうです。

『ごはん・納豆・生卵を食べるだけでも15gほどのたんぱく質を摂取することができますし、それにシャケの切り身を一切れも加えれば20gに達するので、普段の食事で十分ということになります。』

 
そうなるとプロテインも不要ということになりますが、
たんぱく質は筋肉合成を増加させるスイッチでもあります。
従って、たんぱく質20~30gを
一日に複数回摂る手段として、プロテインは便利で効果的だそうです。

1800kcalの高雄病院スーパー糖質制限給食の平均が、
脂質:56% たんぱく質:32% 糖質:12%
たんぱく質が144g/日となります。
従って筋肉量維持には充分過ぎるたんぱく質摂取量なので
余った分はエネルギーに使われている分も多いと思います。

またたんぱく質は、食事誘発熱産生(DIT)がとても多いです。
 高蛋白食は、摂食時の食事誘発熱産生(DIT)が通常食に比べて増加します。
DITによる消費エネルギーは、実質吸収エネルギーの、糖質では6%、脂質では4%、
タンパク質で30%です。
食事誘発熱産生(DIT)を、もっと簡単に説明すると、食事において
100キロカロリーの糖質だけを摂取した時は、6キロカロリーが、
100キロカロリーの脂質だけを摂取した時は、4キロカロリーが、
100キロカロリーのタンパク質だけを摂取した時は、30キロカロリーが
熱に変わり、消費エネルギーとしてカウントされるということです。つまり、体重減少効果は、高タンパク食(糖質制限食など)が一番あるということになります。

グリーンランドのイヌイットですが、 
バング、ダイアベルグらの試算によりますと、
伝統的食生活の頃(1855年)のイヌイットは、3202kcal/日
蛋白質:377g・・・47.1%・・・1508kcal
炭水化物:59g・・・7.4%・・・236kcal
脂質:162g・・・45.5%・・・1459kcal

すごい量のたんぱく質ですね。

なお、たんぱく質摂取量に関して、
米国糖尿病学会は、2013年の声明以降は、「糖尿病腎症に低たんぱく質食を推奨しない」としています。

 また、厚生労働省によれば、現時点では、
正常人がたんぱく質をたくさん食べて健康障害を生じたという
報告は十分にないとしています。
結果として、タンパク質の耐容上限量は設定していません。



江部康二

糖質量と血糖値の変動について
こんにちは。
以前、西村典彦さんから、
摂取糖質量と血糖値の変動について、コメント・質問を頂いたことがあります。
ありがとうございます。
西村さんの場合は、朝昼夜でかなりの違いがあり、日によっても違いがあるそうです。

いつも私がブログで言っている
『1gの糖質が、2型糖尿人において約3mg血糖値を上げる』
というのは、体重が64kgくらいの人のお話です。
また3mgというのは、かなりアバウトな話で、個人差があります。
体重が40kgくらいだと、<3mg × 64kg/40kg>で、4.8mg上げる計算です。

個人差があるので、体重50kgくらいの2型糖尿人で
1gの糖質が7~8mgくらい血糖を上げた人もいますが、まれです。

おそらく8~9割の人は、
『1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿人において約3mg血糖値を上げる』
といった範疇で大きな誤差はないと思います。

『1gの糖質が、体重64kgの1型糖尿人において約5mg血糖値を上げる』
『1gの糖質が、体重32kgの1型糖尿人において約10mg血糖値を上げる』

というのも、多くの場合、そんなに誤差はないと思います。


次に朝食・昼食・夕食における
糖質量と血糖値の変動ですが、
一般には、朝食が一番上昇しやすいです。
一日のうちで、最初の食事において、同じ糖質量でも
血糖値が上昇しやすい傾向があると言えます。

多くの人は、朝食が一番上昇しやすいと思いますが、
私は、朝・昼・夕とあまり差はありません。

また、同じ糖質量の『バターライス』と『白米』では
血糖上昇速度は、白米が大分速いです。
つまり、食後血糖値は白米のほうが「高く急な山のグラフ」になり、
バターライスのほうが「緩やかな山のグラフ」となります。
急な山のほうが、活性酸素の発生が多くなり、酸化ストレスのリスクとなります。
最終的に吸収される糖質量は一緒なので、グラフ下の面積は同一です。


また、体調によっても食後血糖値上昇にはバラツキが出る場合もあると思います。
寝不足や心理的不安定があると食後血糖値にも影響があると思います。

まあ、それやこれやで、
食後血糖値にもいろんな要素が影響を与えると思います。


江部康二
目が覚めると血糖値上昇。FreeStyleリブレは誤差大。 FreeStyleリブレProはOK。
【23/11/21 川鹿
私は、倉田さんの悩みのように、SMBGで見ると朝食前血糖値が高いことがあり、前日のご飯も低炭水化物だったし、時間も遅くなかったしなんでだろうと思い、フリースタイルリブレで観察してみたところ、いつも起きる瞬間に血糖値が上がっています。目が覚めてもそのまま布団にいてうとうとしているとまた血糖値が下がり、立ち上がると上がります。夜中にトイレに起きる時もその瞬間上がっています。それが10mgの上昇のときもあれば、20mg以上のときもあります。
朝であれば、起きてしまえば若干下がるものの、寝ていた時の血糖値に戻ることはなく、朝ごはんを食べればそのまま上昇します。
インターネットでしらべてみても、これが普通のことなのか、よくわかりません。朝方になって段々と血糖が上がっていくということではないので暁現象とは違うのかな、と思っていますが、
とはいえ、妊娠糖尿病の指導で早朝空腹時血糖値を95以下にするよう言われているので、布団の中で測ればどうやら守れそうだけれども、立ち上がってしまうと結構超えてしまいます。】

【23/11/22 川鹿
追加です。
フリースタイルリブレで観察、と書きましたが、フリースタイルリブレ専用のアプリで血糖値を見ると、独自のアルゴリズムで修正した値が出てくるようなので(手指の毛細血管の血糖値を模倣しようとしているようです)、腕の間質液で感知される値とは違ったものが出てきます。
それはそれでいいのですが、私はセンサーが1分ごとに感知した値も知りたいので別のアプリも使っています。そうすると、日常生活のこの動作をした瞬間に値が上がっているのだなあというのが観察されます。】



こんにちは。
川鹿さんから、「目が覚めると血糖値上昇」というコメントを頂きました。

【フリースタイルリブレで観察してみたところ、
いつも起きる瞬間に血糖値が上がっています。】


これは、私も「アボット社 FreeStyleリブレ」をつけて実験して体験しました。
目が覚めた瞬間に、血糖値が上昇していました。
おそらく「肝臓の糖新生」が関与しているように思います。
目が覚めるというスイッチが入って、血糖値が上昇するのでしょう。

【私はセンサーが1分ごとに感知した値も知りたいので別のアプリも使っています。
そうすると、日常生活のこの動作をした瞬間に値が上がっているのだなあというのが観察されます。】


なるほど、人間の体は、そういう風にできているのですね。
「動作に応じて血糖値を上昇させて対応するという人体のシステム」は、合理的と言えます。

なお、「アボット社 FreeStyleリブレ(FGM)」は誤差が大きいです。
誤差はありますが、1日通しての血糖値の推移や、「目が覚めた」「動作をした」等の時に
血糖値が上昇するというのは確認できます。

病院で使用する「アボット社FreeStyleリブレPro」は、誤差は少ないです。

以下の記事が参考になるので、再掲します。

江部康二


☆☆☆
2017年12月26日の本ブログ記事

アボット社 FreeStyleリブレ(FGM)は誤差大。 FreeStyleリブレProはOK。


【17/12/25       hata34

FreeStyleリブレ

今まで使っていたNIPROのTRUE2GOに比べて空腹時では10mg、

10~20gのスーパーでは20mg以上の高い値になります。

20g以上の糖質ではもっと差が出るようです。

リブレは針を刺さなくてもOKだし、どこでも手軽に測れますから手放したくないです。

江部先生も使ってみてください。

そしてどう解釈したらいいか教えてください。よろしく。】



【17/12/25       rikko  

hata34様

フリースタイルリブレを使い始め、7個使用しました。誤差は結構大きいです。

今は血糖測定電極付きでないと購入できないようになり、

初めは何と無駄な事と思っていました。

しかしやたら低血糖を示すため都度指先からも測定するようにしたところ、

20~30高い数値を示し、低血糖でも何でもありませんでした。

 私の場合は境界型で、飲み会・食事会の時のみ服薬している状態ですが、

インシュリンを使っている方が

フリースタイルリブレの数値を元に注射をすると問題が出てくると思います。

他の方のブログでは高めに出る方もあれば、低めに出る方もある模様。

また、センサーの場所も関係あるようです。

あくまでも一つの目安と考えるか、
センサーの特性をその都度確認の上で使用した方が良いと思います。】

 
こんにちは。
hata34 さん、rikko さんから

FreeStyleリブレフラッシュグルコースモニタリングシステム(FGM)

の誤差についてコメントを頂きました。

とても参考になります。

ありがとうございました。

 

私も、2017/11/21~12/5までFreeStyleリブレを装着しましたが、

かなりの誤差でした。

私の場合はほとんどの場合、FGMの方がSMBG(血糖自己測定器)より高くでました。

例えば、早朝空腹時血糖値がFGMで160mg/dlもあり、ヾ(゜▽゜)

びっくりしてSMBGをしたら、105mg/dlでした。

またスーパー糖質制限食の昼食後1時間でFGMが206mg/dlもあり、ヾ(゜▽゜)

びっくりしてSMBGをしたら139mg/dlといった具合でした。

 

hata34 さんも、私と同様に、FGMが高めにでたのですね。

一方rikko さんの場合は、FGMで低血糖の数値がでて、

SMBGで調べたら20~30mg/dlくらい高めで低血糖ではなかったということです。

 

なるほど、FreeStyleリブレによるFGMの場合は、

20~60mmg高めにでたり、逆に20~30mgくらい低めにでることもあり、

誤差・バラツキが大きいようです。

個々のFreeStyleリブレの性能の精度に問題があると思われます。

FreeStyleリブレで、変なデータがでたときは、SMBGで再確認したほうがいいですね。

 

高雄病院で糖尿病入院患者さんに使用している医療機関用の

FreeStyleリブレProのほうは、誤差はあまりありませんでしたので

信頼度は高いです。

FreeStyleリブレFreeStyleリブレProの精度にこれほどの差があるとは

思いませんでした。

アボット社にもう少しFreeStyleリブレの精度を高めるように努力して欲しいです。


2018年度には、他のメーカーも、24時間血糖モニタリングシステムの器機を

発売するようですので、そちらも検討の余地があります。

アボット社さん、うかうかしている余裕はないですよ。

 
 江部康二


☆☆☆
なお、FreeStyleリブレにより、
一日の血糖値の推移と運動や食事の関係は明確にわかるのでとても便利です。
私の場合、寝床で目が覚めた途端に、10mgくらい血糖値が上昇しました。
またテニスのダブルスの試合中は50mgくらい血糖値が急上昇しました。
テニス終了後はすみやかに下がっていき、2時間後にはテニス開始前より運動効果でか少し下がります。
糖質制限で健康になろう ~糖尿病・メタボ・生活習慣病を考える~
こんにちは。
京都では、かなり久しぶりの糖質制限食の講演です。
京都の皆さん、是非ふるってご参加頂ければ幸いです。
主催は、NHK文化センター京都教室です。

糖質制限で健康になろう
~糖尿病・メタボ・生活習慣病を考える~
講師高雄病院 理事長 江部 康二

<教室講演>と<オンライン講演>
があります。

日本列島にヒトが住み始めたのは旧石器時代からです。
旧石器時代は約38000年前から16000年前までの約22000年間続きました。

ナウマン象、ニホンシカ、イノシシ、ウサギ・・・ などを狩猟してとり、
肉食が主でした。
・・・北海道ではマンモスも食べていました。

糖質摂取比率は10%以下でしたでしょう。
当時の日本列島は多くは亜寒帯性の針葉樹林が広がっていて、
植物性の食品は乏しく漁撈も未発達なため、
大型哺乳類を主とした狩猟に依存した生活でした。
植物食は自然薯(山芋)、百合根、コケモモ、松の実、マツボックリ、山菜などしか、
ありませんでした。

私達、日本人は、この肉食を主とした22000年間で、身体を形成したので、
肉食に特化して適合していると考えられます。


スーパー糖質制限食は、この旧石器時代の食生活と同様のPFCの摂取比率です。
米を食べ始めたのは、僅か2500年前の弥生時代からなので、肉食の歴史には遠く及びません。


江部康二


■教室受講
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1280128.html


糖質制限で健康になろう
~糖尿病・メタボ・生活習慣病を考える~

講師高雄病院 理事長 江部 康二
カテゴリー 特別・短期・1日講座
特別講座・講演会  健康
お友達におすすめ
医学的に考える糖質制限法とは?
★こちらは 教室講座 です★

糖質制限食の理論を解説し
旧石器時代・縄文時代・弥生時代の食生活にも触れ、
症例も提示して、わかりやすく解説します。


【講師紹介】江部 康二(えべ こうじ)
一般財団法人高雄病院理事長。
一般社団法人日本糖質制限医療推進協会理事長。
1950年京都府生まれ。
1974年京都大学医学部卒業。京都大学胸部疾患研究所を経て、1978年より高雄病院に医局長として勤務。
2000年理事長就任。
2001年から糖質制限食に取り組む。
2002年に自身の糖尿病に気づき、自ら糖質制限食を実践、
肥満と糖尿病を克服。
豊富な症例をもとに糖質制限食の研究を続けている。
著書・監修書多
開催期間 12/9、土曜日
日時15:00~16:30
回数:1回
途中受講できません
受講形態:対面型コース受講料(税込み)
教材費(税込み):会員3,432円一般(入会不要)4,125円
日程 ○2023/12/09(土)
持ち物筆記用具
備考●こちらは教室講座です。
オンライン講座ではありません。


■オンライン受講
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1282360.html

 糖質制限で健康になろう
~糖尿病・メタボ・生活習慣病を考える~
講師高雄病院 理事長 江部 康二

カテゴリー特別・短期・1日講座 >
 特別講座・講演会 健康・エクササイズ・スポーツ > 
お友達におすすめ
★「糖質制限食」の体系を確立したパイオニア!
★ こちらはオンライン講座です 

糖質制限食の理論を解説し
旧石器時代・縄文時代・弥生時代の食生活にも触れ、
症例も提示して、わかりやすく解説します。


【講師紹介】江部 康二(えべ こうじ)
一般財団法人高雄病院理事長。
一般社団法人日本糖質制限医療推進協会理事長。
1950年京都府生まれ。
1974年京都大学医学部卒業。
京都大学胸部疾患研究所を経て、1978年より高雄病院に医局長として勤務。
2000年理事長就任。
2001年から糖質制限食に取り組む。
2002年に自身の糖尿病に気づき、自ら糖質制限食を実践、肥満と糖尿病を克服。
豊富な症例をもとに糖質制限食の研究を続けている。
著書・監修書多
講座の詳細
教室名京都教室
開催期間12/9曜日・日時15:00~16:30
回数:1回
途中受講できません
受講形態オンラインコース受講料(税込み)
教材費(税込み):会員・一般(入会不要)3,300円日程
○2023/12/09(土)
●PC、タブレット(LANケーブルもしくはwi-fiに接続し、通信環境の良いところから参加してください)

※資料がある場合は招待メールにてご案内します。
※こちらの講座は教室講座を収録して配信します。
ご了承ください。
備考●事前にビデオ会議ツールZoomアプリをインストールしてください
(詳細は「オンライン講座受講前の準備」ページをご覧ください。)
※講座日前日にご登録のメールアドレスへZoomへの招待メールをお送りします。
※講座時間5分前よりZoomに入室いただけます。
世界がん研究基金「食べもの、栄養、運動とがん予防」報告。赤肉は?
こんにちは。
今や日本人の死因の一位はがんです。

厚生労働省
令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai22/index.html
第10表

によれば、

日本人の死因は、

第1位 悪性新生物(腫瘍)
第2位 心疾患(高血圧性を除く)
第3位 老衰
第4位 脳血管疾患
第5位 肺炎


です。
誰しも「がん予防」は気になるところです。

そこで、世界がん研究基金の報告を
糖質制限食の観点から見直してみました。

世界がん研究基金「食べもの、栄養、運動とがん予防」2007年報告に関して、
いろんな日本語のサイトで要約は載っているのですが、
肥満とがんに関して、内容が微妙に食い違っていて、
どう解釈したものか悩んでましたが
やっと英文の本家のサイトにたどり着きました。

World cancer reserch fund
http://www.wcrf-uk.org/preventing_cancer/recommendations.php


この本家のサイトで、内容を検討してみました。
全部読むのは大変なので必要な確認だけしてみました。
その結果、ウィキペディアの解説が、
よくまとまっているので、以下に引用しました。

【食生活指針
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A3%9F%E7%94%9F%E6%B4%BB%E6%8C%87%E9%87%9D

世界がん研究基金によるがん予防の勧告
1997年に4500以上の研究を研究を元に、「食べもの、栄養とがん予防」 (Food, Nutrition, and the Prevention of Cancer: A Global Perspective) が報告された。
日本では、がん予防14か条、タバコの制限を加えてがん予防15か条として紹介された。

2007年11月1日、世界がん研究基金とアメリカがん研究協会によって7000以上の研究を根拠に「食べもの、栄養、運動とがん予防」が報告されている。

①肥満 ゴール:BMIは21-23の範囲に。 推薦:標準体重の維持、BMI25未満。

②運動 推薦:毎日少なくとも30分の運動。

③体重を増やす飲食物 推薦:高エネルギーの食べものや砂糖入り飲料やフルーツジュース、ファーストフードの摂取を制限する。飲料として水や茶や無糖コーヒーが推奨される。
④植物性食品 ゴール:毎日少なくとも600gの野菜や果物と、少なくとも25グラムの食物繊維を摂取するための精白されていない穀物である全粒穀物と豆を食べる。 推奨:毎日400g以上の野菜や果物と、全粒穀物と豆を食べる。精白された穀物などを制限する。
トランス脂肪酸は心臓病のリスクとなるが、がんへの関与は知られていない。

⑤動物性食品 赤肉(牛・豚・羊)を制限し、加工肉(ハム、ベーコン、サラミ、燻製肉、熟成肉、塩蔵肉)は避ける。赤肉より、鶏肉や魚が推奨される。 ゴール:赤肉は週300g以下に。 推奨:赤肉は週500g以下に。乳製品は議論があるため推奨していない。

⑥アルコール 男性は1日2杯、女性は1日1杯まで。

⑦保存、調理 ゴール:塩分摂取量を1日に5g以下に。 推奨:塩辛い食べものを避ける。
塩分摂取量を1日に6g以下に。カビのある穀物や豆を避ける。

⑧サプリメント ゴール:サプリメントなしで栄養が満たせる。 推奨:がん予防のためにサプリメントに頼らない。

⑨母乳哺育 6か月、母乳哺育をする。これは母親を主に乳がんから、子供を肥満や病気から守る。

⑩がん治療後 がん治療を行ったなら、栄養、体重、運動について専門家の指導を受ける。

***
タバコの煙もがんの主因であると強調している。また、タバコとアルコールは相乗作用で発癌物質となる。】



<世界がん研究基金「食べもの、栄養、運動とがん予防」2007年報告に関する私の個人的な意見、主として糖質制限食の観点から>

①肥満
肥満に関しては、大腸・食道・膵臓・腎臓・子宮内膜(子宮)・乳房のガンになるリスクが高まるとしています。
これら6つのガンに関しては、はっきり肥満がリスクになるということです。
また、胆嚢に関しては、肥満がおそらく発ガンのリスクを高めるとしています。
そして、糖質制限食が肥満にはもっとも有効な治療法です。 (^_^)

②運動
は①とも関連してますね。運動はよいことですので私も賛成です。

③体重を増やす飲食物
体重を増やす飲食物は、炭水化物です。
摂取エネルギーは厚生労働省のいう「推定必要エネルギー」として、
糖質制限食実践が、体重を標準より増やさないためには一番いいです。

④植物性食品
植物性食品では、野菜から食物繊維の摂取を推奨で、賛成です。
しかし、穀物や果物は、血糖値を上昇させ、インスリンを過剰に分泌させるので
発がんリスクとなります。
やはり、糖質制限食のほうが、がん予防には良いです。

⑤動物性食品
欧米では、四つ足動物の肉を、一般に赤肉と呼ぶようです。
赤肉(牛・豚・羊)は週500g以下にという目標は、
日本人にはそんなに難しくはないように思いますが、
米国人にはとんでもなく厳しい数値目標ですね。
まあこれは、糖質を普通に食べている人における目標です。

加工肉は、少なめがいいと思いますが、日本人はもともとそんなに食べないですね。

最近は、動物性脂肪の害はないという文献も出てきているので個人的には、
もう少し赤肉を食べてもいいように思います。
また、スーパー糖質制限食実践者なら、「血糖値上昇」「過剰インスリン分泌」という
発がんリスクがほとんどないので、
この面からも赤肉をしっかり食べても大丈夫のように思います。
私自身は、豚肉、牛肉をよく食べます。鶏肉も魚もよく食べます。
「赤肉」:「魚・鶏肉」が1:1くらいです。

⑥アルコール
「男性は1日2杯まで」
これは仰有る通りかもしれませんが、残念ながら私には守れそうもありませんし、
守っていませんね。(-_-;)

⑦保存、調理
塩分6g以下ですか。結構厳しいですね。σ(=_=;)ヾ

⑧サプリメント
「がん予防のためにサプリメントには頼らない」と言い切ってあるのは嬉しいですね。
大賛成です。

⑨母乳哺育 6か月
こちらも賛成です。

⑩がん治療後
ガン治療後は、やはり「血糖値上昇」「過剰インスリン分泌」という発がんリスクをなくするために、スーパー糖質制限食が望ましいです。

***タバコ
タバコの害は言うまでもないですね。
タバコは確かにがんの主因の一つです。



江部康二
糖尿病とがんの関係。糖質制限食で発がんリスク予防。
おはようございます。

糖尿病患者にはがんが多いことが知られています。
今日の記事は


国立国際医療研究センター
糖尿病情報センター
http://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/070/020/04.html

のサイトを参考にして、
糖尿病とがんの関係について、検討してみます。


上記サイトから一部抜粋

がん
糖尿病の方は、神経障害、網膜症、腎症などの細小血管症以外にも、
心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、末梢動脈疾患などの
大血管症を合併することがあることはよく知られています。
糖尿病は、これらの合併症以外にも、がんを始めとして、
多くの病気と関係していることが報告されています。
糖尿病とがんの関係を検討するために、
日本糖尿病学会と日本癌学会が合同で専門家による委員会を設立し、2
013年7月に委員会報告を発表しました。
ここでは、この委員会報告を中心に、
糖尿病とがんの関係や糖尿病でがんのリスクが高くなる理由、
がん検診の重要性について紹介します。・・・

・・・
なぜ糖尿病だとがんのリスクが高くなるの?
まだ、糖尿病自体ががんの原因となるかどうかについては、
よくわかっていませんが、
仮に糖尿病ががんリスクを高めているとしたら、
いくつかの理由が考えられています。

血液中のインスリン濃度が高いこと
2型糖尿病の方の多くは、インスリンが効きにくくなっているために
血液中のインスリン濃度が高くなっています。
血液中の過剰なインスリンは発がんに関与する可能性があると考えられています。
インスリン注射(ランタス)で行われた臨床試験では、

血糖値が高いこと
高血糖そのものによる酸化ストレスが発がんに関係する可能性があると言われています。

炎症
2型糖尿病の方では、無症状ですが全身に慢性的な炎症がみられると言われます。
慢性の炎症は、発がんのリスクと考えられています。・・・】




上記抜粋で、
糖尿病でがんのリスクが高くなることの理由が3つあげられています。
1) 血液中のインスリン濃度が高いこと

初期~中期の糖尿病では、インスリン抵抗性があることも多く
そのために血中インスリン濃度が高値となります。
過剰なインスリンは活性酸素を発生させて、
酸化ストレスとなり発がんリスクを上昇させます。
またインスリンは強力な細胞増殖因子です。
それやこれやで、内因性インスリンの発がんリスクは強く疑われています。


一方、インスリン注射に関しても、ずっと発がんリスクが懸念されていたのですが、
ランタスによる大規模な研究が2012年に発表され、無罪となりました。
世界40カ国、573施設から1万2537人の糖尿病と前糖尿病疾患の患者が登録され、
ランタス治療群と標準治療群、それに加えて、ω3脂肪酸の投与の有無を組み合わせた、
4つのグループを6.2年(中央値)追跡調査した結果をまとめた、大規模な前向き試験です。
今まで、インスリンの発がん性の有無に答えを与える、これほど大規模な前向き試験はありませんでした。
  結果は、がん死、発がん全体でも、部位別(肺がん、結腸がん、乳がん、前立腺がん、  
メラノーマ、皮膚がん全体、そしてその他のがん)でも、
  ランタス投与群ではまったく差が認められませんでした。


ともあれ、糖質制限食なら、追加分泌インスリンは必要最低限となりますので
内因性インスリンによる発がん性はかなり予防可能と言えます。


2)血糖値が高いこと
高血糖により、活性酸素が発生して、酸化ストレスとなり
発がんリスクとなります。
一方、食後高血糖が糖質制限食実践により、リアルタイムに改善するので
発がんリスクの予防が可能となります。


3)炎症
2型糖尿病では無症状で全身の慢性炎症が認められ、発がんリスクとなるということですが、
これはあくまでも、血糖コントロールが良くない糖尿人のお話です。
私たち、糖質セイゲニストの糖尿人は血糖コントロール良好であり、
慢性炎症もありません。
また、スーパー糖質制限食なら、ケトン体が高値となります。
ケトン体は近年、心臓、腎臓、脳などの臓器保護作用があることが
示唆されており、炎症抑制作用も示唆されています。



江部康二
【医師が教える】 本当に怖い科学的根拠…「心血管死」「総死亡リスク」が高まる食事とは?
こんにちは。

ダイヤモンド・オンラインの記事が、以下、公開されています。
ブログ読者の皆さん、覗いて頂けたら嬉しいです。

【医師が教える】
本当に怖い科学的根拠…「心血管死」「総死亡リスク」が高まる食事とは?
https://diamond.jp/articles/-/330369 
江部康二
ライフ・社会
内臓脂肪がストンと落ちる食事術
2023.11.17 4:27 江部康二


TBS系『金スマ ~中居正広の金曜日のスマイルたちへ~』
「番組史上最も楽して痩せる食事術」として紹介され、
爆発的な反響をみせた『内臓脂肪がストン!と落ちる食事術』(ダイヤモンド社)。
美味しいものをお腹いっぱい食べて、なんならお酒も飲めるのに、運動なしでも痩せられるという驚きの食事術。

この食事術を、やはり運動なしで半年間実践して10kg痩せた経験があり、
現在70代にして20代の頃の体重をキープしている著者・江部康二医師が、
もう2度と太らない医学的に正しいダイエット法を伝授!
 ひもじくなるようなカロリー制限は一切ナシ。
お腹いっぱい食べていいし、筋トレもジョギングもしなくていい。
その体脂肪、運動ナシで落とす方法を教えましょう!

※本稿は、『内臓脂肪がストン!と落ちる食事術』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。


摂取量が多くなるほど
リスクが上がる栄養素


糖質制限をすると
どれほどリスクが低下するか?


詳しい内容は
https://diamond.jp/articles/-/330369 
のダイヤモンドオンラインのサイト
をご視聴頂ければ幸いです。


江部康二
炭水化物、糖質、糖類の違いは?糖質量の計算は?
【23/11/16 びお
糖質と糖類
糖質と糖類はどうちがうのでしょうか?エリスリトールは、
糖質ゼロで糖類約100%??だそうですが、
エリスリトールは食しても大丈夫でしょうか?
ちなみに糖尿病ではなくアトピー持ちですが、
アトピーコントロールに糖質制限をしようかと考えています。】


こんにちは。
ぴおさんから、炭水化物、糖質、糖類の違いなどについて
コメント・質問を頂きました。

まず、エリスリトールについてです。
エリスリトールは糖類ではありません。
エリスリトールは糖質に分類されますが、
カロリーゼロで血糖値の上昇もゼロです。
すなわち、糖質セイゲニストが摂取しても大丈夫です。

糖質制限食は、糖尿病やアトピー性皮膚炎など生活習慣病のほとんどに有効です。
逆に言えば、生活習慣病は糖質摂取過剰病と言うことができます。

さて
日頃何気なく使っている言葉、「炭水化物、糖質、糖類」これらの違いはどうなっているのでしょう。
健康増進法における栄養表示基準というのがあって、各メーカーさんはこれに従っています。

栄養表示基準では栄養成分表示を行う場合、
基本表示は<エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム>の5成分表示とされています。

「炭水化物、糖質、糖類」を整理すると下記の如くにまとめることができます。

①栄養表示基準上はたんぱく質や脂質、灰分(ミネラル分)のいずれにも分類されないものは炭水化物に計算。
②炭水化物=糖質+食物繊維
③糖質=糖類+三糖類以上+糖アルコール+合成甘味料
④糖類=単糖類+二糖類


*三糖類以上=でんぷん、オリゴ糖、デキストリン
*二糖類=砂糖、麦芽糖、乳糖
*単糖類=ブドウ糖、果糖、ガラクトース
*糖アルコール=エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトール、ラクチトール、マンニトールなど
*合成甘味料=アセスルファムK、スクラロース、アスパルテーム、サッカリン、ネオテーム、アドバンテームなど

**食物繊維
 一、水溶性食物繊維
  a)ポリデキストロース  
   海藻、こんにゃくの他、野菜、果汁類にも含まれる水溶性の食物繊維
   です。ぶどう糖などから作られます。
  b)難消化性デキストリン
   とうもろこしなどに含まれる水溶性の食物繊維です。とうもろこしでんぷん
   などを分解して作られます。糖質の吸収を穏やかにする作用があり、
   血糖値が高めの方向けの特定保健用食品の機能素材となっています。

 二、不溶性食物繊維  セルロース
   物の細胞壁の構成成分です。不溶性の食物繊維です。食品には粘性を
   与えたりするために利用されています。

食品100g中の炭水化物を表示するとき、基準に則れば、

炭水化物=100g-<水分+タンパク質+脂質+灰分>

となります。

つまり、栄養表示上は、たんぱく質、脂質、灰分のいずれにも分類されないものは、炭水化物に計算されます。
合成甘味料が糖質に分類されるのは、何だか変ですが、
炭水化物・糖質の栄養表示基準の定義に従えばそうなるようです。(∵)?

結論としては、
①糖質だけが血糖値を上昇させる。
②糖質のなかで、合成甘味料とエリスリトールは血糖値を上昇させない。
となります。


糖類・糖質・炭水化物の違いについては
アサヒ飲料のホームページ
https://www.asahiinryo.co.jp/customer/dictionary/ing_label.html
お客様相談室 栄養成分表示

にわかりやすく解説・図解してあるので、是非覗いてみて下さいね。

アサヒ飲料さん、お世話になります。
今日の記事は、おおいに参考にさせていただきました。
ありがとうございます。 m(_ _)mV

なお、栄養表示基準に則り、糖類ゼロなら、無糖と表示できます。
つまり砂糖やブドウ糖などの二糖類、単糖類がなければ、
合成甘味料や糖アルコールが含まれていても無糖と表示できるのです。

従って、無糖表示でマルチトールやキシリトールが含まれていても法律上はOKだけど、
血糖値は上昇することになりますので、糖尿人の皆さんはご用心ご用心。(=_=;) 

国連の食糧農業機関(FAO)及び世界保健機関(WHO)は、
JECFA(Joint Expert Committee on Food Additives)を設けて、
甘味料など添加物のの安全性評価を公表していますが、
糖アルコールは、極めて安全性が高いとされています。
妊婦にも大丈夫です。  
糖アルコールの中でエリスリトールだけは、
カロリーゼロで、血糖値の上昇もありません。
エリスリトールは、ワインや果物の天然の甘味成分です。
なお、食品のラベルに糖質量の表示がないことも多いです。
そういう時は、以前、西村 典彦 さんにコメント頂きましたが、

糖質量=【総カロリー  ―  (タンパク質×4+脂質×9) 】 ÷ 4

この式で、糖質量が計算できます。
これなら、「炭水化物・食物繊維・糖質」の表示がなくても、
糖質量を正確に知ることができますね。
西村さん、ありがとうございます。

最後に追加ですが、「糖分」という単語は、かなり曖昧に使用されています。
糖質あるいは糖類と同じ意味で、一般用語として使用されていて、ますます混乱の元となっています。
栄養表示基準には「糖分」という言葉は記載無しです。
私は、基本的に糖分という言葉は、使わないようにしています。

江部康二
短期効果が良い食事療法と短期効果が悪い食事療法、長期予後は?
こんにちは。

短期効果が極めて良い食事療法(スーパー糖質制限食)

短期効果が良くない食事療法(従来の糖尿病食)
が、厳然たる事実としてあります。

糖尿人の皆さんは、どちらを選びますか?

         同一摂取カロリー(1400kcal)の血糖日内変動検査の比較

                 従来の糖尿病食   スーパー糖質制限食
朝食前                 163         108mg/dl
朝食後2時間              387         142
昼食前                 318         102
昼食後2時間               337         122
夕食前                  223         90
夕食後2時間              204         130
眠前                   208         120



上記データは、ある2型糖尿患者Aさん(60代男性)の同一カロリーでの
糖尿病食(糖質60%)とスーパー糖質制限食(糖質12%)の入院時の日内変動の比較です。

入院時HbA1cは8.6%。

入院初日から従来の糖尿病食を開始して2日目に日内変動を測定し、
3日目から糖質制限食を開始して5日目に、糖質制限食での日内変動測定を実施しました。
本例の場合、わずか2日間の糖質制限食で耐糖能が大幅に改善して、空腹時血糖値が正常となっています。
また糖質制限食なら、食後血糖値の上昇は極めて少なく、血糖変動幅も少ないです。
上記のデータに見る如く、この糖尿人Aさんは、糖質制限食を実践する限りは正常人ですが、
糖質を一人前摂取すれば食後高血糖を生じ確実な糖尿人です。


そして日本糖尿病学会推奨の従来の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)には、エビデンスがありませんし、
このことは日本糖尿病学会も、認めています。

一方糖質制限食は、
米国糖尿病学会が、2019年4月の「コンセンサス・リコメンデーション」において
「糖質制限食は最も研究されている食事療法の一つである」と明言し、一推しで推奨しています。
2020年、2021年、2022年、2023年のガイドラインでも、「コンセンサス・リコメンデーション」をそのまま引用しています。


上記の糖尿人のデータで明らかなように、同一摂取カロリーの、
「スーパー糖質制限食(糖質12%)」VS「従来の糖尿病食(糖質60%)」においては、
短期効果には、顕著な差があります。

2型糖尿病で見られる血糖異常は、

空腹時血糖
食後血糖
血糖変動


の3つの要因で構成されています。
長い間、空腹時血糖値とHbA1cで、糖尿病コントロール状況の評価をするのが、一般的でした。例えば、会社などの健康診断がそうです。
しかし、近年、食後血糖値や1日を通しての血糖変動幅が注目されてきました。

つまり、空腹時血糖値とHbA1cだけでは、動脈硬化のリスクを見落としてしまうのです。
例えば近年、1日24時間を通しての「平均血糖変動幅増大」が、
一番酸化ストレスと相関していて、次が食後高血糖で、
それぞれ心血管疾患のリスクとなるとされています。
つまり、食後高血糖と平均血糖変動幅増大が
糖尿病合併症の元凶であるというエビデンスがあり、
それらを生じるのは糖質摂取時だけというのが厳然たる事実なのです。

短期効果が極めて良好な糖質制限食の長期予後を、
過去日本での経験がないということで懸念される糖尿病専門医が多いようです。
しかし、空腹時血糖値、食後血糖値、一日平均血糖変動幅の全てが改善するので、
糖尿病に関する動脈硬化のリスク要因は、スーパー糖質制限食では見当たらないと言えます。


一方、従来のカロリー制限食では、上記糖尿人さんのデータでも明らかなように、
食後高血糖、一日平均血糖変動幅増大は著明で、
壊滅的にコントロール不良です。

短期効果がこれほど悪い食事療法を、長期に続けて良い方に向かう可能性は皆無であり、
長期予後は必然的に不良です。

このように糖質を摂取しながら、
糖尿病の治療をするリスクは極めて重大であり、
日本糖尿病学会は、
早急に糖質制限食を選択肢の一つとして検討することが必要と思います。


江部康二
世界糖尿病デー。米国糖尿病学会。ブドウ糖負荷試験。食後高血糖。
【日付 名前
23/11/12 ぽんた
ご相談させてください。食後高血糖がありました。
江部先生、はじめまして。37歳女性です。
祖母が糖尿病で、母が境界型です。

1ヶ月ほど前にブドウ糖負荷試験を行い、いい結果ではなかったことにとてもショックを受けております。
糖尿病についての知識もなく、これからどのような生活をしていけばいいか不安に思っていたところ江部先生のブログに出会い、
ぜひ先生にご教授いただきたく、コメントを書かせていただきました。

・空腹時血糖値 98
・30分       191
・60分       177
・120分      134
・HbA1c 5.6
・インスリン前 4.6
・インスリン30分  32.2
・インスリン分泌指数 0.29
・インスリン抵抗性  1.11

154センチ58キロ太り気味ですが、現在54キロまで落ちました。
運動は1日最低30分はします。スクワットや腿上げなど。
甘いものが大好きで、常に何か食べていましたし、運動は全くしない、睡眠不足なことが多いなど、かなり悪い生活習慣でした。
今は睡眠時間もきちんと確保しています。

①私は今、1回の食事の糖質量を50gにして生活しております。
しかし、1時間値が180を超えているので、先生のおっしゃる緩やかな糖質制限30〜40gに変えた方が良いでしょうか?
間食は1日2回10g以内でよろしいですか?

②糖質制限と運動をしっかりしていれば、食後高血糖が治る見込みがあるでしょうか?
甘いものをたくさん食べたとしても、正常人のように血糖値が140くらいの上昇ですめば、本当に治ったと言えると思うのですが、
わたしはそのレベルまで治るでしょうか?
また、どのくらい糖質制限を続けると回復すると考えられますか?

③糖質制限はずっと続けていきたいと思っていますが、すい臓が回復したら、1ヶ月に1度は普通の人のようにデザートも食べて、
運動もしない日があっても平気でしょうか?

④母が境界型なのですが、勧めるならば、ゆるやかな糖質制限でよいですか?
66歳150センチ42キロ痩せ型です。

大変お忙しいのに、たくさんの質問をしてすみません。
お答えいただけたら嬉しく思います。】


こんにちは。
11月14日は、世界糖尿病デーです。
2019年4月のコンセンサス・リコメンデーション以降、
米国糖尿病学会は「糖質制限食は最もよく研究されている食事パターンの一つである」と明言し、
一推しで推奨しています。
糖質制限食については、厳格なものと緩やかなものを、共に容認しています。
日本糖尿病学会も、そろそろ糖質制限食を容認しても良いと思うのですが、
残念ながらまだまだのようです。

さて、ぽんたさんから、
【ブドウ糖負荷試験。食後高血糖。】などについて
コメント・質問を頂きました。

【75g経口ブドウ糖負荷試験
・空腹時血糖値    98
・30分       191
・60分       177
・120分      134
・HbA1c 5.6
・インスリン前 4.6
・インスリン30分  32.2
・インスリン分泌指数 0.29
・インスリン抵抗性  1.11】



75g経口ブドウ糖負荷試験の結果ですが、
ぽんたさんは、負荷後120分血糖値が、134mg/dlと、140mg/dl未満なので
正常型です。

・インスリン分泌指数 0.29  0.4以下で糖尿病型ですので、糖質制限食で将来の糖尿病発症を予防しましょう。
・インスリン抵抗性  1.11  1.6以下なので正常型です。


【154cm 
58kg:24.46
54kg:22.77】


体重は、良い感じに減量できています。


【①私は今、1回の食事の糖質量を50gにして生活しております。
しかし、1時間値が180を超えているので、
先生のおっしゃる緩やかな糖質制限30〜40gに変えた方が良いでしょうか?
間食は1日2回10g以内でよろしいですか?】


国際糖尿病連合は、合併症予防のために、
食後1時間・2時間血糖値160mg/dl未満を推奨しています。
ぽんたさんは、75gブドウ糖負荷試験の60分後血糖値が177mgなので、1gの糖質が1.05mg血糖値を上げています。
これなら、50gの糖質で、1時間値は52.67mg上昇です。

そうすると、空腹時98mg/dlなので、
50g糖質摂取後60分血糖値は、150.7mg/dlという計算となり、
160mg/dl未満を達成しますね。
つまり、1回の食事の糖質量50gで大丈夫です。

【②糖質制限と運動をしっかりしていれば、食後高血糖が治る見込みがあるでしょうか?
甘いものをたくさん食べたとしても、正常人のように血糖値が140くらいの上昇ですめば、
本当に治ったと言えると思うのですが、わたしはそのレベルまで治るでしょうか?
また、どのくらい糖質制限を続けると回復すると考えられますか?】


インスリン分泌不足とインスリン抵抗性(インスリンの効きが悪い状態)が合わさって、
インスリン作用不足を生じて糖尿病を発症します。
体重が減少したので、インスリン抵抗性はある程度、改善していると思います。
一方、インスリン分泌不足は治らないと考えられています。
糖尿病を発症した時点で、膵臓のβ細胞は、すでに2~3割ほど壊れているとされているのです。

【③糖質制限はずっと続けていきたいと思っていますが、
すい臓が回復したら、1ヶ月に1度は普通の人のようにデザートも食べて、
運動もしない日があっても平気でしょうか?】


糖質制限食を継続することが、優先順位の一番です。
そのため、月に1回、「デザートを食べて運動なし」の日があると継続できるのなら、
それは、平気とは言えませんが、まあOKとしましょう。
私は、まったくつらくないし我慢もしていませんので、
「スーパー糖質制限食」を365日/年実践しています。

【④母が境界型なのですが、勧めるならば、ゆるやかな糖質制限でよいですか?
66歳150センチ42キロ痩せ型です。】


境界型なら緩やかな糖質制限食で大丈夫です。
山田悟医師の推奨する緩やかな糖質制限食は
<1回の食事の糖質量20~40gで3食食べ、それとは別に間食を1日あたり10g>
です。


江部康二
久し振りの糖質制限食の京都講演です。主催はNHK文化センター京都です。
こんばんは。
京都では、かなり久しぶりの糖質制限食の講演です。
京都の皆さん、是非ふるってご参加頂ければ幸いです。
主催は、NHK文化センター京都教室です。

糖質制限で健康になろう
~糖尿病・メタボ・生活習慣病を考える~
講師高雄病院 理事長 江部 康二

<教室講演>と<オンライン講演>
があります。

江部康二


■教室受講
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1280128.html


糖質制限で健康になろう
~糖尿病・メタボ・生活習慣病を考える~

講師高雄病院 理事長 江部 康二
カテゴリー 特別・短期・1日講座
特別講座・講演会  健康
お友達におすすめ
医学的に考える糖質制限法とは?
★こちらは 教室講座 です★

糖質制限食の理論を解説し
旧石器時代・縄文時代・弥生時代の食生活にも触れ、
症例も提示して、わかりやすく解説します。


【講師紹介】江部 康二(えべ こうじ)
一般財団法人高雄病院理事長。
一般社団法人日本糖質制限医療推進協会理事長。
1950年京都府生まれ。
1974年京都大学医学部卒業。京都大学胸部疾患研究所を経て、1978年より高雄病院に医局長として勤務。
2000年理事長就任。
2001年から糖質制限食に取り組む。
2002年に自身の糖尿病に気づき、自ら糖質制限食を実践、
肥満と糖尿病を克服。
豊富な症例をもとに糖質制限食の研究を続けている。
著書・監修書多
開催期間 12/9、土曜日
日時15:00~16:30
回数:1回
途中受講できません
受講形態:対面型コース受講料(税込み)
教材費(税込み):会員3,432円一般(入会不要)4,125円
日程 ○2023/12/09(土)
持ち物筆記用具
備考●こちらは教室講座です。
オンライン講座ではありません。


■オンライン受講
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1282360.html

 糖質制限で健康になろう
~糖尿病・メタボ・生活習慣病を考える~
講師高雄病院 理事長 江部 康二

カテゴリー特別・短期・1日講座 >
 特別講座・講演会 健康・エクササイズ・スポーツ > 
お友達におすすめ
★「糖質制限食」の体系を確立したパイオニア!
★ こちらはオンライン講座です 

糖質制限食の理論を解説し
旧石器時代・縄文時代・弥生時代の食生活にも触れ、
症例も提示して、わかりやすく解説します。


【講師紹介】江部 康二(えべ こうじ)
一般財団法人高雄病院理事長。
一般社団法人日本糖質制限医療推進協会理事長。
1950年京都府生まれ。
1974年京都大学医学部卒業。
京都大学胸部疾患研究所を経て、1978年より高雄病院に医局長として勤務。
2000年理事長就任。
2001年から糖質制限食に取り組む。
2002年に自身の糖尿病に気づき、自ら糖質制限食を実践、肥満と糖尿病を克服。
豊富な症例をもとに糖質制限食の研究を続けている。
著書・監修書多
講座の詳細
教室名京都教室
開催期間12/9曜日・日時15:00~16:30
回数:1回
途中受講できません
受講形態オンラインコース受講料(税込み)
教材費(税込み):会員・一般(入会不要)3,300円日程
○2023/12/09(土)
●PC、タブレット(LANケーブルもしくはwi-fiに接続し、通信環境の良いところから参加してください)

※資料がある場合は招待メールにてご案内します。
※こちらの講座は教室講座を収録して配信します。
ご了承ください。
備考●事前にビデオ会議ツールZoomアプリをインストールしてください
(詳細は「オンライン講座受講前の準備」ページをご覧ください。)
※講座日前日にご登録のメールアドレスへZoomへの招待メールをお送りします。
※講座時間5分前よりZoomに入室いただけます。
オートミール、小麦、米、蕎麦と糖質含有量
こんばんは。

糖質制限食を実践中の糖尿病患者さんで、
「オートミールは大丈夫だと思って食べていました。」
と、勘違いしている患者さんが、時々おられます。

「オートミールも所詮は穀物なのでNG食品です。」というと、それなりにびっくりされます。
それと、「十割そばは大丈夫」と思い込んでおられる糖尿人がおられますが、誤解です。

そばも所詮は穀物なのでNG食品なのです。
オートミールもそばも、小麦や米に比べると確かに少し糖質含有量は少ないです。
しかし、言葉は悪いですが、糖質含有量が多いという欠点に関しては「目くそ、鼻くそを笑う」程度の差しかないのです。
オートミールとは、燕麦を脱穀して調理しやすく加工した食品です。
オートミールの原料である燕麦は、オート麦、オーツ麦、カラス麦とも呼ばれる、イネ科の植物です。

オートミール、小麦、米、蕎麦と糖質含有量

【出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年】
利用可能炭水化物を糖質としました。

100gあたり              
           タンパク質  脂質   糖質
オートミール     13.7    5.7    61.8g
小麦         8.3     1.5    74.1g
米           6.1     0.9    78.1g
そば         14.0    2.3     63.0g


米国小児科学会、小児や未成年の低炭水化物ダイエットに懸念を表明するリリースを発行
【23/11/08 中嶋一雄
米国小児科学会の見解
米国小児科学会、小児や未成年の低炭水化物ダイエットに懸念を表明するリリースを発行
https://sndj-web.jp/news/002499.php

原文
Low-Carbohydrate Diets in Children and Adolescents With or at Risk for Diabetes
https://doi.org/10.1542/peds.2023-063755


こんにちは。
中嶋一雄先生から、興味深い情報をコメントした頂きました。
ありがとうございます。

American Academy of Pediatrics Issues Policy on Low-Carbohydrate Diets
for Children and Adolescents With or At Risk of Diabetes


米国小児科学会(American Academy of Pediatrics;AAP)は、
糖尿病またはそのリスクのある小児や未成年が低炭水化物ダイエットを行うことに対して、ポリシーを発した。

・・・低炭水化物ダイエットでは、炭水化物の摂取量を 1 日の総カロリーの推奨される 45% ~ 65% 未満に制限します。超低炭水化物ダイエットでは 1 日あたり 20 ~ 50 グラムの炭水化物を摂取できますが、ケトジェニックダイエットでは一般に 1 日あたり 20 グラム未満の炭水化物を摂取できます。子供や十代の若者にとって、こうした食事制限が成長の鈍化、栄養不足、骨の健康状態の悪化、食行動の乱れにつながるのではないかという懸念があります。・・・

・・・「有名人や減量プログラムが、低炭水化物ダイエットやケトジェニックダイエットによる炭水化物制限を支持しているのをよく見かけますが、子供や十代の若者に対するこれらの食事計画の身体的、代謝的、心理的影響に関する証拠は限られています」とFAAP共同のタマラ・ハノン医師は述べた。・・・


要するに、米国小児科学会は、
「スーパー糖質制限食などケトジェニックダイエットや低炭水化物ダイエットが、成人には有効とのエビデンスがあるが、
子供や十代の若者に関するエビデンスは限られているので、推奨できない。」

という立場ということですね。
まあ、2000年代の現代の常識に従って、平面的に考察したら、
このような意見になるのでしょう。

一方、人類の食生活の歴史という縦系列の考察も必要と思います。

チンパンジーと分かれて以降、
人類は700万年間、小児や未成年に低炭水化物食を食べさせていましたし、
妊娠・出産・子育て・日常生活・狩猟・採集も全て、穀物なしの低炭水化物食でした。

ホモサピエンスになってからも、
29万年間、小児や未成年に低炭水化物食を食べさせていましたし、
妊娠・出産・子育て・日常生活・狩猟・採集も全て、穀物なしの低炭水化物食でした。

穀物食は、わずか1万年です。
つまり、小児や未成年の低炭水化物ダイエットに何の懸念もありませんし、
そのことは人類の歴史そのものが証明しています。
逆に、小児や未成年に、人類の歴史上700分の1しか食べたことのない穀物食を食べさせる方が、
大きなリスクと言えます。



江部康二




☆☆☆
以下の青字の記載は、米国小児科学会のポリシーの原文です。
緑字の記載は、そのグーグル翻訳です。


Despite the increasing popularity of low-carbohydrate and ketogenic diets for managing diabetes in adults, there are safety concerns to consider for youth with diabetes or prediabetes who are restricting carbohydrate intake to control weight or blood glucose

The American Academy of Pediatrics cautions against the use of low-carbohydrate diets for children and adolescents with or at risk of developing diabetes within a new clinical report that cites concerns over how overly restrictive dietary patterns may affect their health.

The clinical report, “Low-Carbohydrate Diets in Children and Adolescent With or at Risk for Diabetes” urges families and physicians to focus on reducing children’s consumption of nutrient-poor processed snacks and sugary beverages. Instead, children and teens should continue to eat healthy carbs found in vegetables, fruits, whole grains and legumes. The report, which provides carbohydrate recommendations for youths with type 1 or type 2 diabetes, obesity or prediabetes, will be published in the October 2023 Pediatrics (published online Sept. 18).

“We often see celebrities and weight loss programs endorsing carbohydrate restriction through low carb or ketogenic diets, but evidence is limited on the physical, metabolic and psychological effects of these dietary plans for children and teens,” said Tamara Hannon, MD, FAAP, co-author of the report, written by the Committee on Nutrition. “This statement is not about restrictive diets – it is about providing evidence to clinicians so they can support parents and families in making informed decisions. Be sure to bring your questions to your pediatrician, who knows you best and can help provide guidance on a healthy dietary plan.”

Low-carbohydrate diets restrict consumption to less than the recommended 45%-65% of total daily calories from carbohydrate. Very low-carbohydrate diets allow 20-50 grams per day, while ketogenic diets generally allow less than 20 grams of carbohydrate per day. For children and teens, there are concerns that these dietary restrictions could lead to growth deceleration, nutritional deficiencies, poor bone health and disordered eating behaviors.

Neither the American Diabetes Association nor the International Society for Pediatric and Adolescent Diabetes has endorsed the generalized use of low-carbohydrate diets in growing children and adolescents with type 1 diabetes.

Families who choose for their children and adolescents to follow a very low-carbohydrate or ketogenic diet should be monitored closely by a multidisciplinary team, the AAP states.


成人の糖尿病を管理するための低炭水化物ダイエットやケトジェニックダイエットの人気が高まっているにもかかわらず、体重や血糖値をコントロールするために炭水化物の摂取を制限している糖尿病または糖尿病予備軍の若者にとっては、安全上の懸念が考慮される必要があります。

米国小児科学会は、新しい臨床報告の中で、糖尿病を患っている、または糖尿病を発症するリスクがある小児および青少年に対する低炭水化物食の使用に対して警告し、過度に制限的な食事パターンが健康にどのような影響を与えるかについての懸念を挙げています。

臨床報告書「糖尿病を患う、または糖尿病のリスクのある小児および青少年の低炭水化物食」では、家族や医師に対し、栄養価の低い加工スナックや砂糖入り飲料の子供の摂取量を減らすことに重点を置くよう促しています。代わりに、子供や十代の若者たちは、野菜、果物、全粒穀物、豆類に含まれる健康的な炭水化物を食べ続けるべきです。この報告書は、1型または2型糖尿病、肥満、または前糖尿病の若者に対する炭水化物の推奨事項を提供しており、2023年10月の小児科誌(9月18日オンライン発行)に掲載される予定です。

「有名人や減量プログラムが、低炭水化物ダイエットやケトジェニックダイエットによる炭水化物制限を支持しているのをよく見かけますが、子供や十代の若者に対するこれらの食事計画の身体的、代謝的、心理的影響に関する証拠は限られています」とFAAP共同のタマラ・ハノン医師は述べた。 -栄養委員会によって書かれた報告書の著者。 「この声明は食事制限に関するものではありません。臨床医が情報に基づいた決定を下す際に親や家族をサポートできるように、臨床医に証拠を提供するものです。あなたの疑問を小児科医に必ず伝えてください。小児科医はあなたのことを最もよく知っており、健康的な食事計画についてのアドバイスを提供してくれるでしょう。」

低炭水化物ダイエットでは、炭水化物の摂取量を 1 日の総カロリーの推奨される 45% ~ 65% 未満に制限します。超低炭水化物ダイエットでは 1 日あたり 20 ~ 50 グラムの炭水化物を摂取できますが、ケトジェニックダイエットでは一般に 1 日あたり 20 グラム未満の炭水化物を摂取できます。子供や十代の若者にとって、こうした食事制限が成長の鈍化、栄養不足、骨の健康状態の悪化、食行動の乱れにつながるのではないかという懸念があります。

米国糖尿病協会も国際小児・青少年糖尿病学会も、1型糖尿病の成長期の小児および青少年に対する低炭水化物食の一般的な使用を支持していません。

AAPは、子供や青少年に超低炭水化物ダイエットやケトジェニックダイエットを選択した家族は、学際的なチームによって注意深く監視されるべきだと述べている。




The AAP also recommends:

Children aged 4 to 18 years should get 10% to 30% of their total energy intake as protein to support normal growth and development. Another 25% to 35% of energy intake should come from fat, mostly from polyunsaturated and monounsaturated fatty acids and less than 10% from saturated fats. Carbohydrates then provide the remaining 45%-65% energy requirements, with the recommendation that not more than 10% of calories per day come from added sugars.
Most calories from carbohydrates should come from fruits, vegetables, whole grains, legumes, and dairy products.
Families of children and adolescents with type 1 diabetes, prediabetes or type 2 diabetes may be counseled to follow a healthy dietary pattern strategy (provided by the Dietary Guidelines for Americans) and strive for 60 minutes per day of moderate to vigorous aerobic activity.
All pediatric patients with diabetes should be followed by a multidisciplinary diabetes care team, as well as their general pediatrician, with communication across disciplines. Dietary recommendations and support can be reinforced broadly.
Patients who have socioeconomic disadvantages are at increased risk for prediabetes and type 2 diabetes and face barriers to following Dietary Guidelines for Americans and restricting processed foods. Pediatricians can advocate for policies to strengthen federal nutrition programs and encourage families who qualify to participate in them.
Clinical reports created by AAP are written by medical experts, reflect the latest evidence in the field, and go through several rounds of peer review before being approved by the AAP Board of Directors and published in Pediatrics.


AAP は次のことも推奨しています。

4 ~ 18 歳の子供は、正常な成長と発達をサポートするために、総エネルギー摂取量の 10% ~ 30% をタンパク質として摂取する必要があります。エネルギー摂取量のさらに 25% ~ 35% は脂肪から摂取する必要があり、そのほとんどは多価不飽和脂肪酸および一価不飽和脂肪酸から摂取され、飽和脂肪から摂取されるのは 10% 未満です。炭水化物は残りの 45% ~ 65% のエネルギー必要量を提供しますが、追加の砂糖から得られるカロリーは 1 日あたり 10% 未満であることが推奨されています。
炭水化物のカロリーのほとんどは、果物、野菜、全粒穀物、豆類、乳製品から摂取する必要があります。
1 型糖尿病、前糖尿病、または 2 型糖尿病の小児および青少年の家族には、健康的な食事パターン戦略 (アメリカ人の食事ガイドラインによって提供されている) に従い、1 日あたり 60 分間の中程度から激しい有酸素運動に努めるようアドバイスされる場合があります。
すべての小児糖尿病患者は、一般の小児科医だけでなく、学際的な糖尿病ケアチームが専門分野を超えたコミュニケーションを図りながらフォローする必要があります。食事の推奨とサポートは幅広く強化できます。
社会経済的に不利な立場にある患者は、前糖尿病や2型糖尿病のリスクが高く、アメリカ人の食事ガイドラインに従うことや加工食品を制限することへの障壁に直面しています。小児科医は、連邦栄養プログラムを強化し、資格のある家族に参加を奨励する政策を提唱できます。
AAP によって作成された臨床レポートは医療専門家によって書かれ、現場の最新の証拠を反映し、数回の査読を経てから AAP 理事会によって承認され、Pediatrics 誌に掲載されます。



インフルエンザ流行。インフルエンザワクチンの効果は?
 こんばんは。 

国立衛生研究所インフルエンザ流行レベルマップ
https://kansen-levelmap.mhlw.go.jp/Hasseidoko/Levelmap/flu/new_jmap.html 


【2023年 第43週 (10月23日~10月29日) 
2023年11月1日現在2023年第43週の定点当たり報告数は19.68(患者報告数97,292)となり、
前週の定点当たり報告数16.41よりも増加した。
都道府県別では愛媛県(51.46)、埼玉県(33.08)、山梨県(29.56)、千葉県(29.25)、福島県(28.93)、愛知県(26.35)、
兵庫県(24.95)、高知県(23.66)、長野県(23.03)、鳥取県(22.86)、神奈川県(22.80)、静岡県(22.64)、大分県(21.79)、
山口県(21.51)、佐賀県(20.62)、福岡県(20.47)、東京都(19.91)の順となった。
44都道府県では前週の報告数よりも増加し、3都道府県では前週の報告数よりも減少した。】 


国立衛生研究所によれば、44都道府県でインフルエンザ罹患数が前週より増加し、
3都道府県では前週より減少しています。
つまり日本全国のほとんどの都道府県において、インフルエンザの増加と流行が続いています。
今年は、夏からインフルエンザが流行したので、
インフルエンザワクチン接種がかなり出遅れた感があります。 

さて、そのインフルエンザワクチンですが、副作用は重篤なものは極めて少ないようですが、
肝腎の有効性はどうなのでしょう。  
インフルエンザワクチンを接種した人も接種してない人もいると思いますが、
是非知っておいてほしいのは、インフルエンザワクチンは万能ではないということです。 
すなわち感染防御力は基本的になくて、重症化を防ぐことが期待されるていどの効能です。
ワクチンを打っている人も打っていない人も、手洗い、うがい、マスクがインフルエンザ予防の基本ですね。
特に、手洗いが思った以上に有効です。
ドアノブや電車のつり革など様々なものに触れることにより、 
自分の手にもウイルスが付着している可能性があります。
外出先から帰宅時や調理の前後、食事の前など、こまめに手を洗いましょう。
咳やくしゃみで飛んだ飛沫が服についても、数時間で感染力を失うとされています。
外出から帰宅したら着替えすることも予防に役立ちます。 

以下の青字は、厚生労働省サイトの記載です。
インフルエンザの予防にはみんなの「かからない」、「うつさない」という気持ちが大切です。手洗いでインフルエンザを予防して、かかったら、マスク等せきエチケットも忘れないでください。 インフルエンザにかかった人は、必ずマスクをして他人にうつさないように配慮が必要です。 

 <インフルエンザワクチンの有効性は?>
インフルエンザワクチンは、A型にもB型にも対応しています。
しかし、実は現行のインフルエンザワクチンには、水際で感染をシャットアウトするような効果はありません。
感染した後、重症化を防ぐ効果が期待されるという程度なので、過信するのは禁物です。 

理論的に考えても、ワクチンを接種することによりIgG抗体が血液・体液中に産生されますが、
粘膜面を防御しているIgA抗体は全くできません。
従って、インフルエンザウィルスが、咽や鼻の粘膜を突破して細胞内に侵入した後(感染が成立した後)、
はじめてIgG抗体がかけつけて戦うことになります。
つまり感染予防効果はゼロのワクチンなのです。

欧米では、鼻への噴霧ワクチンで、粘膜面のIgA抗体をつくる試みもされていますがあまり上手くいっていません。
IgA抗体を充分量増やす技術が難しいようです。 

下記の青字は国立感染研究所のホームページからの抜粋です。 
【7.インフルエンザワクチンの問題点
(2)「現行ワクチンの感染防御効果や発症阻止効果は完全ではありませんので、
ワクチン接種を受けてもインフルエンザに罹患する場合があり、
この場合には患者はウイルスを外部に排泄し、感染源となります。
従って、集団接種を行っても社会全体のインフルエンザ流行を完全に阻止することは難しいと考えられます。」 
(6)「現行のインフルエンザワクチンは皮下接種されています。
しかし、不活化ワクチンの皮下接種では、
インフルエンザウイルスの感染防御に中心的役割を果たすと考えられる気道の粘膜免疫や、
回復過程に重要であると考えられる細胞性免疫がほとんど誘導されません。
これは、インフルエンザウイルスの感染そのものを防御すると言う面では大きな短所であると考えられています。
しかし、この様な欠点を持ちながらも、
先に述べたように、ハイリスク群に対する現行インフルエンザワクチンの効果は明らかに認められています。
また、ワクチンの皮下接種でも血中の抗体産生は十分に刺激できるので、
インフルエンザに続発する肺炎などの合併症や最近問題となっているインフルエンザ脳炎・脳症の発生を抑えることには期待出来ると考えられています。」】

 
 <集団感染> 
 【石川県のホームページ
インフルエンザ様疾患2023年37週以降の累計施設数35(うち学校27)
インフルエンザ様疾患及び新型コロナウイルス感染症による集団感染事例集団感染事例について、
2023 年37 週(9/11~17)以降の施設等からの報告数を集計して公表しています。
報告数は学校で学級閉鎖等の措置が取られた場合及び、施設等から保健所に報告があった場合、
その数を集計したものです。
速報値を公表するものであり、後日修正する場合があります。】 


これらの集団感染において、
今年は夏からインフルエンザが流行したのでインフルエンザワクチン接種が間に合っていない施設もあるでしょう。
しかし例年、インフルエンザワクチンをしっかり接種していても集団感染は数多く発生しています。

例えば東京都内で、2019年9月2日以降で、
都内の学校や社会福祉施設等で発生したインフルエンザ様疾患の集団感染事例は、
9月22日までで、55件報告されています。

これらの集団感染において、少なくとも社会福祉施設では、
ほとんどの人はインフルエンザワクチンを接種しています。
このような事例で証明されたと言えますが、
感染防御にはインフルエンザワクチンは、
実際にまったく無力だったことが明らかとなりました。 

そもそもインフルエンザワクチンは「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」ということが効能です。
感染を防ぐためには、「手洗い、うがい、マスク」が必須です。  

<誤解>
ところが、多くの患者さんや医師が、ワクチンを接種していれば、
水際で感染防御できると誤解しておられるのです。
私は、過去長年、友人の医師などに、感染防御はできないと口を酸っぱくして言い続けてきたのですが、
皆なかなか信じてもらえませんでした。
どこかで誤った情報が流され続けていたのでしょうね。

ここ数年、新聞などでもやっと、
「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」という真実が報道されるようになりました。

逆に言えば、過去長年にわたり、あたかも感染防御できるような内容の報道に終始していたわけで、
そのことに関して自己批判も反省もないのは如何なものでしょう。

 インフルエンザワクチン注射を希望する患者さんがこられたら、
私はこのことを説明して、「手洗いやうがい、人混みを避けるなど、基本的なことが感染防御には大事なので、
ワクチンを接種したからといって油断しないでくださいね。」と付け加えます。 

<必要性>
別に私は、ワクチン接種が無意味といっているのではありません。
65歳以上の高齢者、呼吸器系や循環器系に慢性疾患を持つ患者、
糖尿病、腎臓病などの慢性疾患の患者、免疫低下状態の患者などでは、
インフルエンザに罹患し重症化すれば、肺炎などの重篤な合併症になり、
生命に危険が及ぶこともありますから必要だと思います。
若い人でも、受験生などは重症化したら困りますから、接種する意味はありますね。

 <感染防御>
①医療関係者は、インフルエンザ患者を診察するときはマスクをする。 診察が終わったら必ず手洗いをし、使い捨て紙タオルでふく。 マスクをはずしたときはうがいをする。
②急性の咳や熱がでている当事者はエチケットとして、マスクをする。
③満員電車の中など避けようがない密閉された場所にいくときはマスクをして乗る。
④人混みにでたあとは、手洗い・うがいを励行する。
⑤家族が一人インフルエンザに罹患したら、家の中でも当事者はマスクをする。  その一人は、違う部屋で寝る。
⑥飛沫は、会話では約1メートル、せきで約3メートル、くしゃみで約5メートル飛ぶこともあるので距離をとる。
⑦鼻水や痰を封じ込めるためにティッシュを使用し、使用後のティッシュは、 できればノンタッチごみ箱に廃棄すること。 

ブログ読者の皆さん、インフルエンザワクチンを接種している人も、
感染防御効果はないことをしっかり認識して、上記①から⑦を励行してくださいね。
これが実行されていれば、上述のような院内感染が猛威をふるうことはなかったでしょう。 

<終わりに>
インフルエンザワクチン接種に関して、賛成・反対、それぞれあると思います。
ブログ読者の皆さんには、インフルエンザワクチンの真実を知ってもらいたくて今回記事にしました。 


江部康二
非ステロイド系抗炎症薬と腎障害、胃潰瘍。アセトアミノフェンは比較的OK。
こんばんは。

新型コロナがやっと減少傾向となりましたが、今度はインフルエンザが流行してきました。
冬場は感冒やインフルエンザなどに罹る機会が多く、
医療機関に受診すると、結構安易に、解熱剤が処方されるので注意が必要です。
処方される解熱剤のほとんどが、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)です。

 2019年11月20日 (水)の記事で
非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)に関して、
脳症になるリスクがあるので、
インフルエンザに使用してはいけない
ということを、記事にしました。

より正確には、ウィルス、細菌、原虫などの感染症が存在しての発熱には、
NSAIDsは使用してはいけないということです。

つまり普通の感冒でもNSAIDsは使わないほうがいいのです。

また、この薬(NSAIDs)は、プロスタグランジンという物質の産生を抑えるために
腎臓への血液の流れが悪くなり、急性腎不全を起こすことがあります。
結構頻度が高く、薬を飲んだ後に尿量が減るようでしたら、要注意です。

実際に、私の糖尿病のご高齢の患者さんで、帯状疱疹になり、
受診した医療機関で、抗ウィルス薬と共に、ロキソニン3錠/日、
一日3回食後に内服となった方がおられました。
 7日分の薬を処方されて、
すでに5日間内服した時点で、高雄病院を受診されました。
血液検査したところ、すでにクレアチニン値が悪化していて、
腎不全の状態でした。
軽症でしたので、すぐにロキソニンを中止して、幸いクレアチニン値は改善しました。

プロスタグランジンは全身の様々な組織や器官の細胞に存在します。
結局、NSAIDsは単純に熱を下げるだけではなく、全身の細胞において、
プロスタグランジンという物質の生合成を抑制するのです。

プロスタグランジンは、血圧低下作用や筋肉の収縮作用、黄体退行作用、
血管拡張作用など色々な役割をもつホルモンです。
NSAIDsは、プロスタグランジンの生合成を抑制するのですから、
様々な副作用が出て当たり前なのです。

さらに、痛みや炎症や、解熱の目的で長期に飲み続けると、
胃炎や胃潰瘍の副作用が起こることがあります。
NSAIDsは痛みの元となる物質を作り出す酵素(シクロオキシゲナーゼ:COX:コックス)の働きを妨げて、
解熱や鎮痛、抗炎症作用を発揮する薬です。

COXには2つの種類があり、COX-1は胃粘膜や血管にあって生体の恒常性の維持に、
COX-2は主に刺激があった時に作られ、痛みや炎症に関係しています。

NSAIDsは、COX-2の働きを抑えて、解熱、鎮痛、抗炎症作用を示しますが、
ほとんどのNSAIDsは、COX-2だけでなく、COX-1の働きも抑えるため、
胃酸の分泌が増えたり、胃粘膜の血流が悪くなったりして、
胃炎や胃潰瘍を起こす原因になるのです。

 胃炎や胃潰瘍が起こると胃の痛み、吐き気などの症状が起こりますが、
ピロリ菌が元凶の一般的な胃潰瘍に比べ、
NSAIDsによる潰瘍は症状が出にくいのです。
そのため何も症状を感じないうちに、
突然、胃から出血して吐血や下血することがあります。
調査によれば、リウマチなどでNSAIDsを4週間以上内服している場合、
胃粘膜保護剤を内服していても、6割以上の人で、
胃粘膜障害が認められたということです。
 
このように考察してくると、
ロキソニン、ボルタレン、ポンタール、インダシン、アスピリン・・・
これらのごく一般的なNSAIDsは、有害事象が非常に多いので、
使用は極めて慎重にということです。

長期投与は勿論、基本的には不可です。
例えば、ロキソニン3錠/日とかは、長期投与だと
非常に副作用リスクが高いです。
ロキソニン3錠/日を連日だと、
特に高齢者では、1週間くらいでも腎症害のリスクとなります。

 ロキソニン1~2錠/日は、リウマチなど、症例により、
やむをえず投与することもあると思います。
私は、生理痛とか、頭痛に頓用でなら、許容範囲と思って、
処方することもあります。
 
結局、
比較的安全に使用できる、解熱剤、鎮痛剤は、アセトアミノフェンだけということです。
アセトアミノフェンは鎮痛・解熱作用を有しており、
NSAIDsと同様にCOXを阻害しますが、
その作用は弱く抗炎症作用はほとんどありません。
そのためアセトアミノフェンはNSAIDsには分類されていません。
アセトアミノフェンの作用機序は、中枢神経におけるCOX阻害と考えられていますが、
詳細な機序は未だに解明されていません。
商品名はカロナール、コカール、アンヒバなどです。

 発熱には、アセトアミノフェンを、
成人なら、1回に300~500~600mg、1日2回なら安全です。
年齢、症状により適宜増減で、原則として1日最大1,500mgです。

なお、本剤により重篤な肝障害が発現するおそれがあることに注意し、
1日総量1,500mgを超す高用量で長期投与する場合には、
定期的に肝機能等を確認するなど慎重に投与することも必要です。。

腰痛や生理痛なら、 成人はアセトアミノフェンとして、
1回300~1000mgを経口服用し、服用間隔は4~6時間以上とし、
年齢、症状により適宜増減しますが、1日総量として4000mgが限度です。

禁忌として以下があります。
消化性潰瘍のある患者
重篤な血液の異常のある患者
重篤な肝障害のある患者
重篤な腎障害のある患者
重篤な心機能不全のある患者
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
アスピリン喘息


しかし、アセトアミノフェン禁忌の患者において、
通常のNSAIDsは、勿論禁忌です。

 あと、痛みが強いときは、
トラムセット(トラマドール+アセトアミノフェン)が有効です。
トラマドールは非麻薬性オピオイド受容体刺激薬です。
トラムセットには、NSAIDsのような副作用はありませんが、
吐き気がすることがあります。
それで、初期の1~2週間は、吐き気止めと一緒に内服します。

 
江部康二

万病の元『糖尿病・メタボ・生活習慣病』を解決・糖質制限食」東京講演。ご報告。
こんにちは。

2023年11月5日(日)東京都内で、
「健康をセルフマネジメントする時代へ 
万病の元『糖尿病・メタボ・生活習慣病』
を解決する糖質制限食」

と題して、一般の方向けの講演会を開催しました。

講師は、札幌市の西岡第一病院 麻酔科部長の清水泰行先生と私です。
90名の参加者があり、大盛況で満員でした。
質問も多くあり、30分の質疑応答時間を確保していたのですが、
最後は時間が足らなくなり、打ち切りとなったのは申し訳ありませんでした。
懇親会も満員でした。
講演会も懇親会もおおいに盛り上がり、とても楽しい会となりました。
懇親会では、参加者がおおいに交流を深めておられて、とても有意義でした。

アンケートも沢山頂き、ありがとうございました。
皆、好意的なもので嬉しく思いました。

<清水泰行先生のプロフィール>
1967年(昭和42年)5月5日、
名古屋市で生まれる 56歳
北海道大学医学部卒業
趣味:マラソン
著書:運動するときスポーツドリンクを飲んではいけない (廣済堂健康人新書)
「糖質過剰」症候群 あらゆる病に共通する原因 (光文社新書)
肥満・糖尿病の人はなぜ新型コロナに弱いのか 「糖質過剰」症候群II
(光文社新書)
糖質オフ×プチ断食のW効果でやせる! 不調が消える!(主婦の友社)(監修)
ブログ
https://promea2014.com/blog/
ドクターシミズのひとりごと


参加者の中に、マラソンや自転車競技をしておられるかたもいて、
スポーツをするドクターである清水先生との質疑応答で
おおいに理解を深め、納得しておられました。

私は、清水先生の4枚目のスライド
初期設定
人間はほとんどの時間空腹であった
糖質摂取はほとんど無かった
頻繁に太陽を浴びていた
食糧を確保するために活動的であった


に、感銘を受けました。
言われてみると、まさにその通りであり、
糖質制限食の原点とも言えるスライドです。
近年、世界で「17時間断食や24時間断食が健康に良い」
と認められているのも「人類の初期設定」が空腹であるなら、おおいに納得です。


スライド13
慢性疾患は一度なると、一生のお付き合い?
日本糖尿病学会の2014年のテーマは何かご存知でしょうか?
「糖尿病とともに生きる」


こちらも大きな問題提起です。
日本糖尿病学会は「糖尿病は一生治らない」
という見解を明言しているわけで、まさに如何なものか?と思います。
言われた患者さんは、がっくりくると思います。
私は自分が糖尿病なので、言いやすいのですが、糖尿病患者さんには、
「私は糖質制限している限りは健常人で、糖質を食べたら糖尿人です。」
と説明しています。
つまり、ほとんどの2型糖尿病は、一生治らない病気ではなくて、
糖質制限さえしていれば、病気ではなく健常人なのです。

塩分制限には意味がないというスライド41も、説得力がありました。
また糖質制限ニストは、余分な水分と塩分は、そもそも体外に排泄されているので、
普通に味噌汁、醤油など塩分を摂っても問題ないのです。

スタチンは危険
というスライド61も、大賛成です。
65歳以上の心臓病を持っていない高齢者に心臓病の予防目的でスタチンを使う
と、逆に死亡率が上がる
長期10年以上のスタチンの使用が、乳がんの増加に関連している
LDLコレステロール値が高いほど、心房細動のリスクが低く、スタチン使用者は
非使用者よりも高い心房細動発生率を示した
スタチン使用に関連する筋萎縮性側索硬化症 (ALS) 様症状の報告が明らかに増加


このようにスタチンという薬は、メリットとデメリットを比較すると
デメリットのほうが明らかに多くて、要らない薬と言えます。

そして
スライド70
食の改善なくして、体の改善なし

スライド71
You are what you eat.
あなたはあなたが食べたものでできている


これらも、非常に示唆に富む言葉です。
清水先生、ありがとうございました。


私の講演は、
一番伝えたかった
「日本列島にヒトが住み始めたのは旧石器時代からで、
旧石器時代は約38000年前から16000年前までの約22000年間続いた。
この間、氷期で寒く、植物はほぼ針葉樹しかないので、
大型哺乳類を主とした狩猟に依存した生活で肉食が主で、糖質摂取比率は10%以下。
日本人は、この肉食を主とした22000年間で、身体を形成したので、
肉食に特化して適合している。
スーパー糖質制限食は、この旧石器時代の食生活と同様のPFCの摂取比率。
米を食べ始めたのは、僅か2500年前の弥生時代からで、肉食の歴史には遠く及ばない。」


という歴史的事実を、多数参加されていた医療関係者もだれもご存知なかったので、
ちょっと、「してやったり」気分で嬉しくなりました。 (^^)



江部康二
脂肪肝について その2
おはようございます。
前回の続きです。
 
血糖値を直接上昇させるのは、3大栄養素「糖質・脂質・タンパク質」のうち、
糖質だけなので、追加分泌インスリンが大量に必要となるのは、糖質摂取時だけです。
タンパク質は、少量の追加分泌インスリンを分泌させます。
脂質は、追加分泌インスリンを分泌させません。
 
脂肪肝も内臓脂肪肥満もメタボリック・シンドロームも、
糖質の頻回・過剰摂取によるインスリンの頻回・過剰分泌が根本要因だと思います。
内臓脂肪肥満やメタボになれば、インスリン抵抗性も出現してきて、
血糖値を正常に保つために基礎分泌インスリンの量も増加します。
 
このようにして、インスリン追加分泌も基礎分泌も過剰になり、
ますます、脂肪肝や内臓脂肪肥満やメタボリック・シンドロームは
進行して悪循環に陥ります。
 
上述の如く人体の生理・栄養・代謝面から理論的に考えてみると、
 
<糖質摂取→食後血糖値上昇→追加分泌インスリン大量分泌→血糖を筋肉が取り込む→
余剰の血糖は中性脂肪となる→脂肪肝・肥満>

 
ということが明確に理解できます。
つまり、糖質を普通に食べていたら、少々のカロリー制限をしても、
脂肪肝が改善することは極めて困難なのです。
 
一方、糖質制限食実践で、例えば肉・魚・豆腐などを摂取すれば、
当然高脂質・高タンパク食となりますが、
この間、常に脂肪が分解されエネルギー源として使われています。
つまり、糖質制限食を食べている最中にも、血糖値を保つために糖新生が行われますが、
糖新生のエネルギー源として、中性脂肪が分解されて脂肪酸やケトン体になり、
利用されているのです。
この「脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム」が日常的に利用されているのが、
人類本来の姿であり、農耕前の狩猟・採集時代700万年間はずっとそうでした。
 
糖質制限食で脂肪が分解されていた人が、糖質を摂取して血糖値が上昇すると、
 
<糖質制限食→中性脂肪分解→脂肪酸・ケトン体→骨格筋・心筋・内臓のエネルギー源>
 
というパターンが
 
<糖質摂取→食後血糖値上昇→追加分泌インスリン大量分泌→血糖を筋肉が取り込む→
余剰の血糖は中性脂肪となる→脂肪肝・肥満>

 
というパターンに変化し、脂肪肝・肥満につながるわけです。
 

私自身、2002年の糖尿病発覚の時点で、
メタボリックシンドロームの基準を満たしていました。
 
<身長167cm。 体重67kg 。高血圧140~180/90~110 。腹囲86cm。>
 
スーパー糖質制限食実践半年で10kg減量して57kg。
血圧は140~180/90~110  →  120~130/70~80。  
内臓脂肪CTも、126cm2 → 71cm2 (正常は100未満)
メタボリックシンドロームの基準が全て正常になりました。
腹部エコーでも脂肪肝は改善しました。その後、2023年11月現在まで、体重と血圧は同様で維持しています。この間、定期的な内服薬は一切なしです。
 
また、私だけでなく多くの脂肪肝の患者さんが
スーパー糖質制限食で速やかに改善しています。
 
本ブログ読者の脂肪肝の皆さんは、安心して魚も肉も卵も野菜もしっかり食べて、
美味しく楽しくスーパー糖質制限食で、脂肪肝改善を目指して下さい。
アルコール性脂肪肝もあるので、飲酒量はほどほどにしましょう。
 

なお、急性妊娠性脂肪肝(AFLP)はまれな疾患(6000~7000妊娠に1例ていど)ですが、
重篤となることもあり注意が必要です。
AFLPは理論的には糖質制限食で予防できると思います。
 
 
江部康二


☆☆☆
2023/11/5(日)は、糖質制限食の東京講演会です。
「健康をセルフマネジメントする時代へ 
万病の元『糖尿病・メタボ・生活習慣病』
を解決する糖質制限食」
脂肪肝について その1
こんばんは。
健康診断で脂肪肝を指摘される人が私の糖尿病患者さんにおいても、
かなりの確率でおられます。
それで今回は、脂肪肝について考察して整理してみました。

脂肪肝(しぼうかん)とは、文字通り肝臓に脂肪が蓄積した状態です。
近年、30代~40代を中心に増加傾向にあります。

日本人間ドック学会が2016年に発表した「全国集計結果」では、
「肝機能異常」のある人は、20年前と比較すると10.5ポイント上昇して、
男性の40.2%、女性の22.8%にみられました。
これらのほとんどが脂肪肝と思われます。

脂肪肝は

1)非アルコール性脂肪性肝疾患
 (NAFLD:nonalcoholic fatty liver disease)

a)単純脂肪肝:肥満などによるもの
b)非アルコール性脂肪性肝炎(NASH:Non-Alcoholic SteatoHepatitis)

2)アルコール性脂肪肝:飲酒によるもの

3)妊娠に伴うもの:急性妊娠性脂肪肝
 (AFLP:Acute Fatty Liver of Pregnancy)

などにわけられます。

NAFLD(nonalcoholic fatty liver disease、非アルコール性脂肪肝疾患)は、
アルコールを原因としない脂肪肝です。

NAFLDの8割から9割は炎症や線維化を伴わない「単純性脂肪肝」です。
多くは肥満が関係します。
単純脂肪肝の予後は良好です。

非アルコール性の脂肪肝はかつては、
放置してもさしたることはないと言われていましたが、
近年、上述の「NASH」が認識されるようになり、様相が一変しました。
非アルコール性脂肪性肝炎(Non-alcoholic steatohepatitis)を略してNASHです。

NASHは、肝炎から肝硬変や肝臓癌に進展することもあり、結構こわいのです。
NAFLDの1割くらいがNASHです。
結局、炎症を伴うか否かが、肝要ですが、
単純性脂肪肝からNASHへ進行することもあります。

[肝臓に脂肪が蓄積→脂肪肝→非アルコール性脂肪性肝炎→肝硬変→肝癌]
B型ウィルスやC型ウィルスや飲酒以外に、NASHからも肝癌になり得るので、
油断は禁物です。

<非アルコール性脂肪肝の根本要因は、脂質ではなく糖質>
(1) 糖質を摂取すると血糖値が上昇します。
(2) 血糖値が上昇すると追加分泌のインスリンが大量に分泌されます。
(3)追加分泌インスリンにより、筋肉細胞の糖輸送体が内部から細胞表面に移動します。
(4) 筋肉細胞の糖輸送体(Glut4)により血液中のブドウ糖は筋肉細胞内に取り込まれます。
(5) まずエネルギー源として利用し、次いでグリコーゲンとして筋肉中に蓄えます。
(6) 筋肉細胞に取り込まれずに、血液中で余ったブドウ糖は全て中性脂肪に変わり、
  脂肪細胞や肝臓に蓄えられます。


このように、糖質摂取により追加分泌のインスリンが大量・頻回に出ることが、
脂肪肝や肥満の根本要因であり、インスリンが肥満ホルモンと言われる所以です。

[次回につづく]

江部康二
『糖質制限食と耐糖能』について
こんばんは。
ときどき、コメントで質問などがありますので、
今回は、『糖質制限食と耐糖能』について考えてみます。


A)正常人
耐糖能正常な人が
スーパー糖質制限食を続けていて、
いきなり糖質摂取すると
血糖値が爆上がりする人が、時々おられます。
勿論、どうもない人もいます。

75g経口ブドウ糖負荷試験を実施する前の3日間は
150g/日以上の糖質を摂取することが推奨されています。

つまり、しばらく糖質制限食を続けていると、
いきなりの大量の糖質摂取に対して、
β細胞の準備ができていないので今までよりも、
血糖が上昇する人がいることは間違いないです。

しかし、スーパー糖質制限中でも、インスリン基礎分泌は出ていますし
野菜分の1回に約10gの糖質摂取に対して、
追加分泌インスリンも少量は出ています。
また、たんぱく質の摂取でもインスリンとグルカゴンが分泌されます。
従ってスーパー糖質制限食実践中でも、β細胞はある程度活動しています。

また、過剰な糖質摂取に対してβ細胞が疲弊して、
分泌能力が極端に減ってしまって発症するペットボトル症候群(清涼飲料水ケトーシス)が知られていますが、
スーパー糖質制限食の場合は、
β細胞は一定の休息を得て、疲弊はなく、基本的に元気です。
つまり、本当に耐糖能が低下しているのではないのです。

従って、150g/日の糖質を3日間摂取して、準備期間をおけば
β細胞はしっかりインスリンを分泌するので、本来の耐糖能に戻ると思います。



「糖質制限食を行うと耐糖能が低下する」という説を最初に唱えたのは、
ヒムスワースです。
「健康人に糖質の少ない食事を1週間与えて糖負荷試験を行った。高糖質食を与えたときには耐糖能は正常であったのに、
低糖質食によって糖尿病と判定されるほどに耐糖能が悪化した。」
というのが、ヒムスワースが1935年に発表した論文の結論です。

Himsworth HP. The dietetic factor determining the glucose tolerance and sensitivity to insulin of healthy men. Clin Sci 2, 67-94, 1935.

☆☆
ウィルカーソンらは
「糖質制限食を行っても耐糖能は低下しない」という論文を発表しました。
1960年、ウィルカーソン(Wilkerson)らが、
複数の受刑者を被験者として低糖質食が耐糖能に与える影響を再検討して、
糖質の摂取量を1日50グラムに制限しても、
耐糖能には大きな影響を及ぼさないという報告を行いました。
この報告がNew England Journal of Medicineという
影響力の大きな医学誌に掲載されました。

Wilkerson HLC, Hyman C, Kaufman M, McCuistion AC, Francis JO. Diagnostic evaluation of oral glucose tolerance tests in nondiabetic subjects after various levels of carbohydrate intake. N Engl J Med 262, 1047-1053, 1960.



B)糖尿人
2型糖尿病の診断基準をしっかり満たした人が、
1年間のスーパー糖質制限食実践で血糖値もHbA1cも正常値となり、
試しに白ご飯を一人前(糖質量は55g)摂取しても、
血糖はピーク140mg/dlを超えなくなった例もあります。

これは、スーパー糖質制限食で膵臓が休養できて、
β細胞が回復して耐糖能も改善したためと考えられます。

2008/10/29のブログ「糖質制限食と耐糖能改善」
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-590.html


もご参照いただければ幸いです。

以下は、糖尿人・江部康二のHOMA-βの推移です。
           HOMA-β            HbA1c(NGSP)
2004年:     12                5.5%(4.6~6.2)
2008年:     21                   5.7%
2009年:     29                    5.7%
2012年:     40                    5.9%
2014年:     40                    5.7%
2015年:     25.0                   5.9%
2016年:     40.6                   5.9%
2017年:     22.97                 5.8%
2018年:     31.6                   5.7%
2019年:     36.0       5.8%
2020年:          48                5.7%
2021年:         36                 5.7%
2022年:         33                 5.7%
2023年:        18.5        5.7% 

HOMA-β ・・・正常値:40-60  

インスリン分泌能は、トータルにみるとやや低めですが、
一定の波はありながらも、2004年に比べると、ほぼ維持できているようです。
HbA1cもコントロール良好を維持できています。
糖尿病発症は2002年6月のことです。HbA1cが6.7%ありました。

C)境界人

新潟労災病院消化器内科部長前川智先生の論文
「耐糖能異常に対する低炭水化物食の効果に関する後ろ向き研究」
Diabetes, Metabolic syndrome, Obesity, Target and Therapy
(ニュージーランドの英文雑誌)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4063858/  → ここで全文が閲覧可能です。

Diabetes Metab Syndr Obes. 2014; 7: 195–201.
Retrospective study on the efficacy of a low-carbohydrate diet for impaired glucose tolerance
Satoshi Maekawa,1 Tetsuya Kawahara,2 Ryosuke Nomura,1 Takayuki Murase,1 Yasuyoshi Ann,1 Masayuki Oeholm,1 and Masaru Harada3

12ヶ月間の低炭水化物ダイエット(120g/日の糖質)により、
境界型糖尿病36名中25名(69.4%)が、OGTTで正常化。
11名(30%)は境界型(IGT)のまま。
糖尿病発症は0名(0%)。

対照群(普通食)36名中、3名(8%)が正常化。
28名(78%)は不変でIGTのまま。
5名(14%)が糖尿病発症です。

糖質制限食実践により、境界型糖尿病の耐糖能が69%も正常化していて、
対照群に比べて素晴らしい成果です。


江部康二