2023年10月31日 (火)
こんにちは。
今回のブログは
「女性ホルモンと血糖値」「更年期と血糖値」
そして「糖質制限食」についてです。
「女性ホルモンと血糖値」
まずは女性ホルモンと血糖値と生理について考察します。
女性ホルモンは、インスリンにも影響を与えています。
エストロゲンはインスリンの効きを良くし、
プロゲステロンは効きを悪くすると考えられています
従って、月経中と月経が終了してしばらく(エストロゲンが上昇する卵胞期)は、
血糖値は低めになりますが、
排卵後月経前までの2週間程度(プロゲステロンが上昇する黄体期)は
血糖値が上昇しやすくなります。
1型糖尿病では生理前に血糖値が上昇することが多いようです。
早朝空腹時血糖値は、60mgとか上昇することがあり、2型に比し差が顕著です。
1型糖尿病女性を対象に調査した研究では、70%の人が月経前に血糖が上がり、
約半数の人が月経初日に血糖が下がったとの報告があります。
つまり、1型でも個人差があるということです。
2型糖尿病でも、理論的には生理前に血糖上昇傾向があるはずですが、
1型ほど顕著ではありません。
個人差はありますが、インスリン分泌能が充分残っている2型糖尿病なら、
黄体期にも血糖値上昇がないようです。
「更年期と血糖値」
次に更年期と血糖値についての考察です。
そして糖質制限食の実践で更年期障害の症状が改善するメカニズムについても考察です。
更年期障害の症状には自律神経症状として「動悸」「発汗」、
精神症状として「イライラ」「そわそわ」などがあります。
これらの症状は、糖質摂取による『血糖値の乱高下』により、
更年期でなくても生じます。
そして更年期の人が普通に糖質を摂取すると、
『ホルモンバランスの乱れ』による症状と『血糖値の乱高下』による症状が、
ダブルで生じるので、いわゆる更年期障害の症状が、きつく出やすいと思われます。
血糖値の乱高下は活性酸素を発生させ酸化ストレスの大きなリスクとなりますので、
それがないだけでも、更年期障害の症状はマイルドになると思います。
酸化ストレスは「がん、動脈硬化、老化、糖尿病合併症、アルツハイマー病、
メタボリックシンドローム、パーキンソン病、狭心症、心筋梗塞、慢性炎症・・・」
など様々な生活習慣病に関与することが明らかとなっています。
それが、糖質制限食実践で、最小限になることは、更年期障害予防だけではなく、
生きていく上で大きなアドバンテージとなります。
更年期については、「糖尿病と女性のライフサポートネットワーク」
田中佳代準教授の記事(☆)を参考にさせて頂きました。謝謝。
江部康二
(☆)糖尿病と女性のライフサポートネットワーク
http://www.dm-net.co.jp/dlsnw/information/001/001/02.php
代表 田中 佳代(久留米大学医学部看護学科母性看護学准教授)
今回のブログは
「女性ホルモンと血糖値」「更年期と血糖値」
そして「糖質制限食」についてです。
「女性ホルモンと血糖値」
まずは女性ホルモンと血糖値と生理について考察します。
女性ホルモンは、インスリンにも影響を与えています。
エストロゲンはインスリンの効きを良くし、
プロゲステロンは効きを悪くすると考えられています
従って、月経中と月経が終了してしばらく(エストロゲンが上昇する卵胞期)は、
血糖値は低めになりますが、
排卵後月経前までの2週間程度(プロゲステロンが上昇する黄体期)は
血糖値が上昇しやすくなります。
1型糖尿病では生理前に血糖値が上昇することが多いようです。
早朝空腹時血糖値は、60mgとか上昇することがあり、2型に比し差が顕著です。
1型糖尿病女性を対象に調査した研究では、70%の人が月経前に血糖が上がり、
約半数の人が月経初日に血糖が下がったとの報告があります。
つまり、1型でも個人差があるということです。
2型糖尿病でも、理論的には生理前に血糖上昇傾向があるはずですが、
1型ほど顕著ではありません。
個人差はありますが、インスリン分泌能が充分残っている2型糖尿病なら、
黄体期にも血糖値上昇がないようです。
「更年期と血糖値」
次に更年期と血糖値についての考察です。
そして糖質制限食の実践で更年期障害の症状が改善するメカニズムについても考察です。
更年期障害の症状には自律神経症状として「動悸」「発汗」、
精神症状として「イライラ」「そわそわ」などがあります。
これらの症状は、糖質摂取による『血糖値の乱高下』により、
更年期でなくても生じます。
そして更年期の人が普通に糖質を摂取すると、
『ホルモンバランスの乱れ』による症状と『血糖値の乱高下』による症状が、
ダブルで生じるので、いわゆる更年期障害の症状が、きつく出やすいと思われます。
血糖値の乱高下は活性酸素を発生させ酸化ストレスの大きなリスクとなりますので、
それがないだけでも、更年期障害の症状はマイルドになると思います。
酸化ストレスは「がん、動脈硬化、老化、糖尿病合併症、アルツハイマー病、
メタボリックシンドローム、パーキンソン病、狭心症、心筋梗塞、慢性炎症・・・」
など様々な生活習慣病に関与することが明らかとなっています。
それが、糖質制限食実践で、最小限になることは、更年期障害予防だけではなく、
生きていく上で大きなアドバンテージとなります。
更年期については、「糖尿病と女性のライフサポートネットワーク」
田中佳代準教授の記事(☆)を参考にさせて頂きました。謝謝。
江部康二
(☆)糖尿病と女性のライフサポートネットワーク
http://www.dm-net.co.jp/dlsnw/information/001/001/02.php
代表 田中 佳代(久留米大学医学部看護学科母性看護学准教授)
2023年10月29日 (日)
おはようございます。
【内臓脂肪がストンと落ちる食事術】
から、一部、抜粋した
以下のダイヤモンド・オンラインの記事が、
アクセス・ランキング第1位となっています。
https://diamond.jp/articles/-/330366
嬉しい限りです。
【医師が教える】
医師自身の「高血圧」が
半年で正常値に戻った方法とは?江部康二
ライフ・社会
内臓脂肪がストンと落ちる食事術
2023.10.27 4:04
TBS系『金スマ ~中居正広の金曜日のスマイルたちへ~』で
「番組史上最も楽して痩せる食事術」として紹介され、
爆発的な反響をみせた『内臓脂肪がストン!と落ちる食事術』(ダイヤモンド社)。
美味しいものをお腹いっぱい食べて、なんならお酒も飲めるのに、運動なしでも痩せられるという驚きの食事術。
この食事術を、やはり運動なしで半年間実践して10kg痩せた経験があり、
現在70代にして20代の頃の体重をキープしている著者・江部康二医師が、
もう2度と太らない医学的に正しいダイエット法を伝授!
ひもじくなるようなカロリー制限は一切ナシ。
お腹いっぱい食べていいし、筋トレもジョギングもしなくていい。
その体脂肪、運動ナシで落とす方法を教えましょう!
※本稿は、『内臓脂肪がストン!と落ちる食事術』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。
詳しい内容は
https://diamond.jp/articles/-/330366
のダイヤモンドオンラインのサイトをご視聴頂ければ幸いです。
江部康二
【内臓脂肪がストンと落ちる食事術】
から、一部、抜粋した
以下のダイヤモンド・オンラインの記事が、
アクセス・ランキング第1位となっています。
https://diamond.jp/articles/-/330366
嬉しい限りです。
【医師が教える】
医師自身の「高血圧」が
半年で正常値に戻った方法とは?江部康二
ライフ・社会
内臓脂肪がストンと落ちる食事術
2023.10.27 4:04
TBS系『金スマ ~中居正広の金曜日のスマイルたちへ~』で
「番組史上最も楽して痩せる食事術」として紹介され、
爆発的な反響をみせた『内臓脂肪がストン!と落ちる食事術』(ダイヤモンド社)。
美味しいものをお腹いっぱい食べて、なんならお酒も飲めるのに、運動なしでも痩せられるという驚きの食事術。
この食事術を、やはり運動なしで半年間実践して10kg痩せた経験があり、
現在70代にして20代の頃の体重をキープしている著者・江部康二医師が、
もう2度と太らない医学的に正しいダイエット法を伝授!
ひもじくなるようなカロリー制限は一切ナシ。
お腹いっぱい食べていいし、筋トレもジョギングもしなくていい。
その体脂肪、運動ナシで落とす方法を教えましょう!
※本稿は、『内臓脂肪がストン!と落ちる食事術』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。
詳しい内容は
https://diamond.jp/articles/-/330366
のダイヤモンドオンラインのサイトをご視聴頂ければ幸いです。
江部康二
2023年10月28日 (土)
【23/10/27川鹿
朝食後の血糖値は上がりやすい!?毎日ブログを楽しみにしています。私は31週の妊婦で体重は50kgです。
先日OGTTを初めて受け、2時間後の値が153だったため妊娠糖尿病と診断されました。(開始前は83でした)
糖質制限食を自己判断で二年間続けているのですが、それを伝えてもOGTT直前の三日間に糖質を摂るようには言われていませんでした。検査では食前と2時間後の値しか計らないため、自分で血糖値測定器を持って言って勝手に測ってみたところ、以下のようになりました。
開始前106,
30分後185,
1時間後247,
2時間後196,
3時間後126,
4時間後97,
5時間後86,
6時間後95,
血糖値自己測定器と血液検査の差がかなりあるのに驚いたのと、自分の1時間後の血糖値スパイクとその後の急降下に、ショックを受けました。
直前三日間に糖質を十分に取っていなかったせいかもしれないと期待して、その後一週間程度自己測定を続けていますが、あまり結果がよろしくありません。
というのも、いつも朝食後の血糖値の上がり方が大きいのです。朝食で摂る糖質の量は12〜18g程度なのですが、糖質1gあたり血糖値が2mg前後上がります。たまに1gの糖質あたり4mgも上がることがあります。
昼食や夕食では20-35gくらいの糖質を摂るのですが、その場合は糖質1gあたり1mg前後の上昇で収まることが多いです。
空腹がしばらく続いた後の糖分は血糖値を上げやすいのでしょうか。
OGTT前の数日には糖質を十分取っておけというのもそういうことですよね。
朝ごはんの糖質をよりカットして、油分とか食物繊維が主になるように変更して試してみようと思っています。
また、計測し初めのうちは、吸収遅延型のビタミンcサプリを就寝前や朝食と昼食の間に500-1500mg飲んでいたのですが(貧血気味と指摘されているので鉄サプリの効率を高めるためです)、ビタミンCを飲むと血糖自己測定器の値が高くなることに気がつきました。血糖値自体に影響しているわけではないようですが、機械が間違えるようです。ビタミンCの量を250mgに減らし、就寝前だけにしたところ、値が落ち着きました。
妊娠中の鉄サプリの服用が胎児の1型糖尿病になる確率をあげるという話を読んだこともあるし、鉄サプリの服用が自身の2型糖尿病になる確率をあげるという話もドクターしみず氏のブログで読んだことがあります。
https://promea2014.com/blog/?p=19915
サプリも考えものですね。】
こんばんは。川鹿さんから、食後血糖値などについて、コメント・質問を頂きました。
【開始前106,
30分後185,
1時間後247,
2時間後196,
3時間後126,
4時間後97,
5時間後86,
6時間後95,】
負荷後2時間血糖値が196mg/dlです。140mg/dl~199mg/dlの間なので、糖尿病はギリギリ大丈夫で、境界型糖尿病の診断となります。国際糖尿病連合によれば、合併症予防のためには、食後1時間値も2時間値も160mg/dl未満が目標となります。スーパー糖質制限食(1回の食事の糖質量が10~20g以下)なら、目標を達成できますが、それ以外の食事だと、160mg/dl以上の食後高血糖を生じます。
【いつも朝食後の血糖値の上がり方が大きいのです。朝食で摂る糖質の量は12〜18g程度なのですが、糖質1gあたり血糖値が2mg前後上がります。たまに1gの糖質あたり4mgも上がることがあります。
昼食や夕食では20-35gくらいの糖質を摂るのですが、その場合は糖質1gあたり1mg前後の上昇で収まることが多いです。】
①一日の最初の食事、すなわち朝食が血糖値が上昇しやすいです。同じ糖質量でも、昼と夜の食事のほうが血糖値の上昇は少ないです。これは、単純に膵臓のβ細胞の準備ができていないからです。breakfast(朝食)は、直訳すると断食を破るという意味ですね。
②体重64kgの糖尿人で、1gの糖質が3mgほど血糖値を上昇させます。体重32kgの糖尿人なら、1gの糖質が6mgほど血糖値を上昇させます。境界型なら、1gの糖質が2mgほど血糖値を上昇させます。
勿論、個人差はあります。
【もう一つ気がついたことは、私は起床後の血糖値がやや高めです。100mg以上になることもあります。試しに朝食を食べずに2時間後に測ってみると血糖値が下がっています。これはやはり就寝中の糖新生にインスリンが追いついていないのでしょうか。自分は家族に糖尿病もいないから糖尿ではないだろうと思っていたので残念です。】
就寝時の血糖値が90mg/dlくらいで、夜中に何も食べていないのに、午前7時の血糖値が120mg/dlくらいあることがあります。
これは「暁現象」と呼ばれています。
朝方3~4時ころは、基礎分泌インスリンは一番の低値になります。
さらにこの時間帯、成長ホルモンとコルチゾールが増えて
血糖が上がりやすくなるのですが、
正常人は即座にインスリン分泌を増やして対応します。
糖尿人や境界人はインスリンを増加させてそれに対抗できないから、
暁現象を生じるとされています。
成長ホルモンは、肝臓でのグリコーゲン分解を促し、
また抗インスリン作用(インスリンを抑制し、血糖値を上昇させる)を持つため、
血糖値を上昇させます。
コルチゾールは肝臓での糖新生を促進させて、血糖値を上昇させます。
【 計測し初めのうちは、吸収遅延型のビタミンcサプリを就寝前や朝食と昼食の間に500-1500mg飲んでいたのですが(貧血気味と指摘されているので鉄サプリの効率を高めるためです)、ビタミンCを飲むと血糖自己測定器の値が高くなることに気がつきました。血糖値自体に影響しているわけではないようですが、機械が間違えるようです。ビタミンCの量を250mgに減らし、就寝前だけにしたところ、値が落ち着きました。】
ビタミンCとブドウ糖の構造式が似ているので、血糖自己測定器がビタミンCをブドウ糖と勘違いして、計測するのでビタミンC摂取で、見かけ上、血糖自己測定器の数値が上昇します。
【妊娠中の鉄サプリの服用が胎児の1型糖尿病になる確率をあげるという話を読んだこともあるし、鉄サプリの服用が自身の2型糖尿病になる確率をあげるという話もドクターしみず氏のブログで読んだことがあります。
https://promea2014.com/blog/?p=19915
サプリも考えものですね。】
以下は、HTTPS://PROMEA2014.COM/BLOG/?P=19915 ドクターシミズのひとりごと
からの引用です。
シミズ先生、有意義なブログを、いつもありがとうございます。
『・・・ラクトフェリンに守られていない状態の鉄は危険なのかもしれません。人類は進化の過程で、鉄の塊を口に入れたことはないでしょう。鉄はあくまで肉などに含まれる成分でしかありません。食品から得られる鉄と、鉄の塊のサプリでは人体に対する影響は違う可能性があります。胎児でも新生児でも、もしかしたら膵臓のβ細胞が鉄に対して脆弱なのかもしれませんし、鉄が免疫に作用しているのかもしれません。母子の妊娠時から乳児期の鉄の摂取の仕方は慎重に考えるべきでしょう。・・・】
江部康二
朝食後の血糖値は上がりやすい!?毎日ブログを楽しみにしています。私は31週の妊婦で体重は50kgです。
先日OGTTを初めて受け、2時間後の値が153だったため妊娠糖尿病と診断されました。(開始前は83でした)
糖質制限食を自己判断で二年間続けているのですが、それを伝えてもOGTT直前の三日間に糖質を摂るようには言われていませんでした。検査では食前と2時間後の値しか計らないため、自分で血糖値測定器を持って言って勝手に測ってみたところ、以下のようになりました。
開始前106,
30分後185,
1時間後247,
2時間後196,
3時間後126,
4時間後97,
5時間後86,
6時間後95,
血糖値自己測定器と血液検査の差がかなりあるのに驚いたのと、自分の1時間後の血糖値スパイクとその後の急降下に、ショックを受けました。
直前三日間に糖質を十分に取っていなかったせいかもしれないと期待して、その後一週間程度自己測定を続けていますが、あまり結果がよろしくありません。
というのも、いつも朝食後の血糖値の上がり方が大きいのです。朝食で摂る糖質の量は12〜18g程度なのですが、糖質1gあたり血糖値が2mg前後上がります。たまに1gの糖質あたり4mgも上がることがあります。
昼食や夕食では20-35gくらいの糖質を摂るのですが、その場合は糖質1gあたり1mg前後の上昇で収まることが多いです。
空腹がしばらく続いた後の糖分は血糖値を上げやすいのでしょうか。
OGTT前の数日には糖質を十分取っておけというのもそういうことですよね。
朝ごはんの糖質をよりカットして、油分とか食物繊維が主になるように変更して試してみようと思っています。
また、計測し初めのうちは、吸収遅延型のビタミンcサプリを就寝前や朝食と昼食の間に500-1500mg飲んでいたのですが(貧血気味と指摘されているので鉄サプリの効率を高めるためです)、ビタミンCを飲むと血糖自己測定器の値が高くなることに気がつきました。血糖値自体に影響しているわけではないようですが、機械が間違えるようです。ビタミンCの量を250mgに減らし、就寝前だけにしたところ、値が落ち着きました。
妊娠中の鉄サプリの服用が胎児の1型糖尿病になる確率をあげるという話を読んだこともあるし、鉄サプリの服用が自身の2型糖尿病になる確率をあげるという話もドクターしみず氏のブログで読んだことがあります。
https://promea2014.com/blog/?p=19915
サプリも考えものですね。】
こんばんは。川鹿さんから、食後血糖値などについて、コメント・質問を頂きました。
【開始前106,
30分後185,
1時間後247,
2時間後196,
3時間後126,
4時間後97,
5時間後86,
6時間後95,】
負荷後2時間血糖値が196mg/dlです。140mg/dl~199mg/dlの間なので、糖尿病はギリギリ大丈夫で、境界型糖尿病の診断となります。国際糖尿病連合によれば、合併症予防のためには、食後1時間値も2時間値も160mg/dl未満が目標となります。スーパー糖質制限食(1回の食事の糖質量が10~20g以下)なら、目標を達成できますが、それ以外の食事だと、160mg/dl以上の食後高血糖を生じます。
【いつも朝食後の血糖値の上がり方が大きいのです。朝食で摂る糖質の量は12〜18g程度なのですが、糖質1gあたり血糖値が2mg前後上がります。たまに1gの糖質あたり4mgも上がることがあります。
昼食や夕食では20-35gくらいの糖質を摂るのですが、その場合は糖質1gあたり1mg前後の上昇で収まることが多いです。】
①一日の最初の食事、すなわち朝食が血糖値が上昇しやすいです。同じ糖質量でも、昼と夜の食事のほうが血糖値の上昇は少ないです。これは、単純に膵臓のβ細胞の準備ができていないからです。breakfast(朝食)は、直訳すると断食を破るという意味ですね。
②体重64kgの糖尿人で、1gの糖質が3mgほど血糖値を上昇させます。体重32kgの糖尿人なら、1gの糖質が6mgほど血糖値を上昇させます。境界型なら、1gの糖質が2mgほど血糖値を上昇させます。
勿論、個人差はあります。
【もう一つ気がついたことは、私は起床後の血糖値がやや高めです。100mg以上になることもあります。試しに朝食を食べずに2時間後に測ってみると血糖値が下がっています。これはやはり就寝中の糖新生にインスリンが追いついていないのでしょうか。自分は家族に糖尿病もいないから糖尿ではないだろうと思っていたので残念です。】
就寝時の血糖値が90mg/dlくらいで、夜中に何も食べていないのに、午前7時の血糖値が120mg/dlくらいあることがあります。
これは「暁現象」と呼ばれています。
朝方3~4時ころは、基礎分泌インスリンは一番の低値になります。
さらにこの時間帯、成長ホルモンとコルチゾールが増えて
血糖が上がりやすくなるのですが、
正常人は即座にインスリン分泌を増やして対応します。
糖尿人や境界人はインスリンを増加させてそれに対抗できないから、
暁現象を生じるとされています。
成長ホルモンは、肝臓でのグリコーゲン分解を促し、
また抗インスリン作用(インスリンを抑制し、血糖値を上昇させる)を持つため、
血糖値を上昇させます。
コルチゾールは肝臓での糖新生を促進させて、血糖値を上昇させます。
【 計測し初めのうちは、吸収遅延型のビタミンcサプリを就寝前や朝食と昼食の間に500-1500mg飲んでいたのですが(貧血気味と指摘されているので鉄サプリの効率を高めるためです)、ビタミンCを飲むと血糖自己測定器の値が高くなることに気がつきました。血糖値自体に影響しているわけではないようですが、機械が間違えるようです。ビタミンCの量を250mgに減らし、就寝前だけにしたところ、値が落ち着きました。】
ビタミンCとブドウ糖の構造式が似ているので、血糖自己測定器がビタミンCをブドウ糖と勘違いして、計測するのでビタミンC摂取で、見かけ上、血糖自己測定器の数値が上昇します。
【妊娠中の鉄サプリの服用が胎児の1型糖尿病になる確率をあげるという話を読んだこともあるし、鉄サプリの服用が自身の2型糖尿病になる確率をあげるという話もドクターしみず氏のブログで読んだことがあります。
https://promea2014.com/blog/?p=19915
サプリも考えものですね。】
以下は、HTTPS://PROMEA2014.COM/BLOG/?P=19915 ドクターシミズのひとりごと
からの引用です。
シミズ先生、有意義なブログを、いつもありがとうございます。
『・・・ラクトフェリンに守られていない状態の鉄は危険なのかもしれません。人類は進化の過程で、鉄の塊を口に入れたことはないでしょう。鉄はあくまで肉などに含まれる成分でしかありません。食品から得られる鉄と、鉄の塊のサプリでは人体に対する影響は違う可能性があります。胎児でも新生児でも、もしかしたら膵臓のβ細胞が鉄に対して脆弱なのかもしれませんし、鉄が免疫に作用しているのかもしれません。母子の妊娠時から乳児期の鉄の摂取の仕方は慎重に考えるべきでしょう。・・・】
江部康二
2023年10月27日 (金)
こんばんは。
今回は、インスリン、Cペプチド、「インスリン分泌指標」や「インスリン抵抗性指標」について
検討してみます。
早朝空腹時のインスリン(IRI)や血糖値を測定することで
いろんな指標が計算できます。
【インスリン、Cペプチド】
インスリン
早朝空腹時の血中インスリン(基準値は3.5~15μU/mL)を測定すれば、基礎分泌能力がわかります。
Cペプチド
通常は、血液中のインスリン(IRI)そのものを測定しますが、
インスリン注射中の糖尿人は、C-ペプタイド(CPR)というものを調べます。
IRIの測定は、注射したインスリンの影響を受けますので不正確になりますが、
CPRの方は、外から注射したインスリンとは無関係の、
内因性インスリンの分泌状態を示しています。
早朝空腹時血中CPR(基準値は1.5~3.5ng/mL)を測定することで、
インスリンの基礎分泌能力がわかります。
蓄尿して一日尿中のCPR(基準値は17~181μg/day)を測定することは、
一日の内因性インスリン分泌総量(基礎分泌+追加分泌)の指標となります。
以下に、臨床上役に立つ
インスリン分泌指標、インスリン抵抗性指標をまとめてみます。
【インスリン分泌指標】
HOMA-β
<HOMA-β=360×空腹時インスリン値(μU/mL)/(空腹時血糖値(mg/dL)-63)>
空腹時の検査であるが経口血糖負荷試験時の2時間値のインスリン分泌量と、よく相関する。
空腹時血糖値130mg以下なら信頼度高い。
正常値:40-60
30%以下は軽度、15%以下は顕著なインスリン分泌低下。
インスリン使用中の患者には使えない。
インスリン分泌指数
インスリン追加分泌のうち初期追加分泌能はインスリン分泌指数で見る。
Insulinogenic index(⊿IRI/⊿BS)
=(負荷後30分IRI値-負荷前IRI値)/ (負荷後30分血糖値-負荷前血糖値)
0.4以上は初期追加分泌能維持。2型では0.3以下が多い。
SUIT指数
空腹時CPR(ng/ml)×1485/<空腹時血糖値(mg/dl)-61.8>
50%以下は軽度、20%以下は顕著なインスリン分泌低下。
30%以下だとインスリン治療が必要。
Cペプチドインデックス(CPI)
空腹時CPR(ng/ml)×100/空腹時血糖値(mg/dl)
1.2以上は正常。0.8以下でインスリン分泌低下。
1.2以上の場合は食事や経口薬治療、0.8未満の場合はインスリン療法を選択。
空腹時血糖値140mg/dl以上なら、CPIのほうが、HOMA-βやSUIT指数より信頼度が高い。
【インスリン抵抗性指標】
<HOMA-R=空腹時血糖値(mg/dL)×空腹時インスリン値(μU/mL)/405 >
1.6以下が正常、2.5以上は抵抗性あり。
空腹時血糖値140mg以下なら信頼度高い。
江部康二
今回は、インスリン、Cペプチド、「インスリン分泌指標」や「インスリン抵抗性指標」について
検討してみます。
早朝空腹時のインスリン(IRI)や血糖値を測定することで
いろんな指標が計算できます。
【インスリン、Cペプチド】
インスリン
早朝空腹時の血中インスリン(基準値は3.5~15μU/mL)を測定すれば、基礎分泌能力がわかります。
Cペプチド
通常は、血液中のインスリン(IRI)そのものを測定しますが、
インスリン注射中の糖尿人は、C-ペプタイド(CPR)というものを調べます。
IRIの測定は、注射したインスリンの影響を受けますので不正確になりますが、
CPRの方は、外から注射したインスリンとは無関係の、
内因性インスリンの分泌状態を示しています。
早朝空腹時血中CPR(基準値は1.5~3.5ng/mL)を測定することで、
インスリンの基礎分泌能力がわかります。
蓄尿して一日尿中のCPR(基準値は17~181μg/day)を測定することは、
一日の内因性インスリン分泌総量(基礎分泌+追加分泌)の指標となります。
以下に、臨床上役に立つ
インスリン分泌指標、インスリン抵抗性指標をまとめてみます。
【インスリン分泌指標】
HOMA-β
<HOMA-β=360×空腹時インスリン値(μU/mL)/(空腹時血糖値(mg/dL)-63)>
空腹時の検査であるが経口血糖負荷試験時の2時間値のインスリン分泌量と、よく相関する。
空腹時血糖値130mg以下なら信頼度高い。
正常値:40-60
30%以下は軽度、15%以下は顕著なインスリン分泌低下。
インスリン使用中の患者には使えない。
インスリン分泌指数
インスリン追加分泌のうち初期追加分泌能はインスリン分泌指数で見る。
Insulinogenic index(⊿IRI/⊿BS)
=(負荷後30分IRI値-負荷前IRI値)/ (負荷後30分血糖値-負荷前血糖値)
0.4以上は初期追加分泌能維持。2型では0.3以下が多い。
SUIT指数
空腹時CPR(ng/ml)×1485/<空腹時血糖値(mg/dl)-61.8>
50%以下は軽度、20%以下は顕著なインスリン分泌低下。
30%以下だとインスリン治療が必要。
Cペプチドインデックス(CPI)
空腹時CPR(ng/ml)×100/空腹時血糖値(mg/dl)
1.2以上は正常。0.8以下でインスリン分泌低下。
1.2以上の場合は食事や経口薬治療、0.8未満の場合はインスリン療法を選択。
空腹時血糖値140mg/dl以上なら、CPIのほうが、HOMA-βやSUIT指数より信頼度が高い。
【インスリン抵抗性指標】
<HOMA-R=空腹時血糖値(mg/dL)×空腹時インスリン値(μU/mL)/405 >
1.6以下が正常、2.5以上は抵抗性あり。
空腹時血糖値140mg以下なら信頼度高い。
江部康二
2023年10月26日 (木)
こんにちは。
糖質制限食の普及がどんどん進んでいます。
これ自体はとても好ましいことです。
しかしながらこれにに伴い、主治医に内緒で、
患者さんが自分で勝手に糖質制限食を実践することがあり得ます。
このような場合、内服薬の種類によっては低血糖のリスクがあるので、
主治医とよく相談して開始するのが基本です。
一方、主治医が糖質制限食反対派の場合、相談し難いことも確かです。
今回は糖質制限食したときに、併用すると低血糖リスクがある内服薬と
低血糖リスクのない内服薬を考察してみます。
実際には、インスリン注射・SU剤・即効型インスリン分泌促進剤など、
インスリンが関与する治療を受けている場合は、減薬や休薬をせずに、
スーパー糖質制限食を実践すれば、低血糖の可能性があるので、
厳重な注意(休薬や減薬)が必要ということです。
スーパー糖質制限食なら、食後血糖値の上昇は少ないので、
そもそもSU剤・即効型インスリン分泌促進剤は休薬できます。
なお、メトグルコ、SGLT2阻害薬(スーグラ、ルセフィ、ジャディアンスなど)、
α-GI薬(アカルボース、ベイスンなど)、DPP-4阻害薬(ジャヌビア、グラクティブ、エクア、ネシーナなど)、
リベルサス(経口GLP-1受容体作動薬)、ツイミーグ、アクトス、
などの内服薬は、糖質制限食を実践しても低血糖のリスクは、ほぼ、ありません。
GLP-1受容体作動薬注射(トルリシティ、ビクトーザ、パリエッタなど)も
糖質制限食を実践しても低血糖のリスクは、ほぼ、ありません。
インスリン注射単位も食直前の超速効型は、
糖尿病摂取時時に比べると1/3~1/4以下になり、中止できる糖尿人もいます。
1日1回の長時間作用型のインスリン注射も、3/4~1/2に減ることもあります。
「スーパー糖質制限食」を実践すれば、「休薬・減薬」しても、
血糖コントロールは良好となります。
血糖値を直接上昇させるのは、<糖質・脂質・タンパク質>のうち糖質だけなので、
糖質を制限すれば、リアルタイムに食後高血糖が改善します。
つまりスーパー糖質制限食実践時には、
インスリン注射・SU剤・即効型インスリン分泌促進剤などの薬物は、
必ず休薬するか減薬しないといけないわけです。
糖質制限食普及に伴い、現時点で北海道から沖縄まで、
糖質制限食賛成派の医師が増えてきています。(☆)
糖尿病で薬物療法を受けている糖尿人は、必ず医師と相談して、
安全に糖質制限食を実践していただきたいと思います。
なおSU剤は、食後高血糖は防がず、空腹時低血糖を生じる可能性が高い、
百害あって一利なしの薬物なので、使用禁止にしたいくらいです。
特に、グリペンクラミド(オイグルコン、ダオニール:第2世代SU剤)や
第一世代のSU剤(ジメリンなど)を服用しておられる方がいたら、
心筋障害のリスクがあるので即刻中止することをお奨めします。
日本全体でも、SU剤の使用頻度は大幅に減少しています。
しかし、まれですが、ごく少量の第三世代のアマリール(0.5)1錠投与で、
非常に改善するケースがあります。
私自身はSU剤は、ほとんど使いません。
100人に1人くらい、アマリール(0.5)1錠×1、朝食後処方することがあります。
(☆)
一般社団法人
日本糖質制限医療推進協会
提携医療機関
https://www.toushitsuseigen.or.jp/med-institution
江部康二
糖質制限食の普及がどんどん進んでいます。
これ自体はとても好ましいことです。
しかしながらこれにに伴い、主治医に内緒で、
患者さんが自分で勝手に糖質制限食を実践することがあり得ます。
このような場合、内服薬の種類によっては低血糖のリスクがあるので、
主治医とよく相談して開始するのが基本です。
一方、主治医が糖質制限食反対派の場合、相談し難いことも確かです。
今回は糖質制限食したときに、併用すると低血糖リスクがある内服薬と
低血糖リスクのない内服薬を考察してみます。
実際には、インスリン注射・SU剤・即効型インスリン分泌促進剤など、
インスリンが関与する治療を受けている場合は、減薬や休薬をせずに、
スーパー糖質制限食を実践すれば、低血糖の可能性があるので、
厳重な注意(休薬や減薬)が必要ということです。
スーパー糖質制限食なら、食後血糖値の上昇は少ないので、
そもそもSU剤・即効型インスリン分泌促進剤は休薬できます。
なお、メトグルコ、SGLT2阻害薬(スーグラ、ルセフィ、ジャディアンスなど)、
α-GI薬(アカルボース、ベイスンなど)、DPP-4阻害薬(ジャヌビア、グラクティブ、エクア、ネシーナなど)、
リベルサス(経口GLP-1受容体作動薬)、ツイミーグ、アクトス、
などの内服薬は、糖質制限食を実践しても低血糖のリスクは、ほぼ、ありません。
GLP-1受容体作動薬注射(トルリシティ、ビクトーザ、パリエッタなど)も
糖質制限食を実践しても低血糖のリスクは、ほぼ、ありません。
インスリン注射単位も食直前の超速効型は、
糖尿病摂取時時に比べると1/3~1/4以下になり、中止できる糖尿人もいます。
1日1回の長時間作用型のインスリン注射も、3/4~1/2に減ることもあります。
「スーパー糖質制限食」を実践すれば、「休薬・減薬」しても、
血糖コントロールは良好となります。
血糖値を直接上昇させるのは、<糖質・脂質・タンパク質>のうち糖質だけなので、
糖質を制限すれば、リアルタイムに食後高血糖が改善します。
つまりスーパー糖質制限食実践時には、
インスリン注射・SU剤・即効型インスリン分泌促進剤などの薬物は、
必ず休薬するか減薬しないといけないわけです。
糖質制限食普及に伴い、現時点で北海道から沖縄まで、
糖質制限食賛成派の医師が増えてきています。(☆)
糖尿病で薬物療法を受けている糖尿人は、必ず医師と相談して、
安全に糖質制限食を実践していただきたいと思います。
なおSU剤は、食後高血糖は防がず、空腹時低血糖を生じる可能性が高い、
百害あって一利なしの薬物なので、使用禁止にしたいくらいです。
特に、グリペンクラミド(オイグルコン、ダオニール:第2世代SU剤)や
第一世代のSU剤(ジメリンなど)を服用しておられる方がいたら、
心筋障害のリスクがあるので即刻中止することをお奨めします。
日本全体でも、SU剤の使用頻度は大幅に減少しています。
しかし、まれですが、ごく少量の第三世代のアマリール(0.5)1錠投与で、
非常に改善するケースがあります。
私自身はSU剤は、ほとんど使いません。
100人に1人くらい、アマリール(0.5)1錠×1、朝食後処方することがあります。
(☆)
一般社団法人
日本糖質制限医療推進協会
提携医療機関
https://www.toushitsuseigen.or.jp/med-institution
江部康二
2023年10月24日 (火)
こんにちは。
これから、11月、12月と宴会シーズンの幕開けです。
今回は、アルコールと糖尿病などについて、考察します。
アルコールの悪影響については、
<アルコールのリスク>や<アルコールと糖尿病> の項をご参照頂ければ幸いです。
また、糖尿病以外にもがんや脂肪肝や脂質異常症など様々な疾患の悪化要因となります。
☆☆☆の、e-ヘルスネットの記載をご参照ください。
<アルコールと血糖低下作用>
確かに、アルコールには、血糖低下作用があります。
しかし、個人差が大きいので、(A)gのアルコールが血糖値を(B)mg、
低下させるというように一律にはいきません。
エネルギー源としては、[アルコール→糖質→脂質→タンパク質]の順で利用されます。
焼酎、ウィスキーなど蒸留酒には糖質は含まれていないので、
血糖は全く上昇しません。
しかし、アルコールを摂取すると、人体に対する毒物とみなされて、
優先的に肝臓で分解されますので、
その間、同じ補酵素を使う糖新生がブロックされてしまいます。
従って、アルコールを摂取すると結果として、
肝臓の糖新生を抑制することとなります。
血中アルコール濃度が上昇している間は、糖新生はブロックされるので、
個人差が大きいと思いますが、酒を飲んでいる最中は、
血糖値が下がる人もいると思います。
また、一定量以上のアルコールを摂取すれば、肝臓の夜間糖新生はブロックされ、
翌朝の早朝空腹時血糖値は、下がる可能性が高いです。
アルコールの血糖低下作用については個人差が大きいので、ご注意ください。
なお、SU剤内服中の糖尿人やインスリン注射中の糖尿人は、
過度のアルコール摂取により糖新生が阻害されると
低血糖になりやすいので要注意です。
グリニド系薬剤(グルファストやスターシスなど)も
作用時間は短いですが低血糖要注意です。
正常人でも、空きっ腹で大量のアルコールを摂取すれば、
低血糖になる可能性もあります。
<アルコールの適量>
世界がん研究基金2007年の勧告では、アルコールの推奨量は、
男性は1日2杯、女性は1日1杯までとしています。
1杯はアルコール10~15グラムに相当します。
米国糖尿病学会は、
アルコール24g(30ml)/日を食事と共に摂る程度なら適量としていますが、
ビール(5%)なら600ml
ワイン(15%)なら200ml
ウイスキー(43%)なら70ml
焼酎(25%)なら120ml
糖質ゼロ発泡酒(4%)なら750ml
に相当します。
<アルコールのリスク>
世界がん研究基金の2007年の勧告で、アルコール摂取は、
「口腔・咽頭・喉頭がん、食道がん、大腸がん(男性)、乳がん」の確実なリスクであり、
「肝臓がん、大腸がん(女性)」 のリスクとなるので要注意です。 (→ο←)
それから、過度のアルコール摂取は、
肝細胞内での脂肪酸からの中性脂肪の過剰合成を引き起こします。
その一部は肝臓外へ分泌されて高中性脂肪血症の原因となり、
一部は肝細胞内に蓄積されて脂肪肝の原因となります。
<アルコールと糖尿病>
e-ヘルスネットの記載によれば、
『アルコールはアルコールそのもの作用やアルコールの代謝に伴って血糖値に影響を与えます。
適度な飲酒は糖尿病の発病に抑制的に働く可能性が推定されています。
しかし多量飲酒は発病の危険性を高め、
特に肝障害や膵障害が加わるとコントロールが難しい糖尿病になるため、
糖尿病患者さんは多量飲酒は避けるべきです。
血糖コントロールが良好で合併症がない場合は、
酒肴(つまみ)や飲酒量に注意した適度の飲酒であれば
良いと考えられています。』
☆☆☆
以下のの記載は、厚生労働省のe-ヘルスネットのサイトの記載です。
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol-summaries/a-01#:~:text=%E6%80%A5%E6%80%A7%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%AB%E4%B8%AD%E6%AF%92,%E6%AF%8E%E5%B9%B4%E7%99%BA%E7%94%9F%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
e-ヘルスネット > 飲酒 > アルコールによる健康障害
アルコールによる健康障害
急性アルコール中毒
急性アルコール中毒は飲酒により意識レベルが低下し、嘔吐、呼吸状態が悪化するなど危険な状態に陥ります。若年者・女性・高齢者などでリスクが高まり、とくに大学生や新社会人では一気飲みとして飲酒させられ、死亡に至るケースが毎年発生しています。急性アルコール中毒が疑われた場合、適切な処置や対応法を取りましょう。
アルコールと肝臓病
アルコールの飲みすぎにより肝臓病がおこります。はじめは脂肪肝で、飲みすぎれば誰にでも起こります。飲み続けているとアルコール性肝炎になり、死亡することもあり得ます。さらに飲み続けると肝硬変という最終段階に入ります。ここまで来ると治すことが困難になります。そうならないような飲み方、またアルコール性肝臓病の早期発見が大切です。
アルコールとすい臓病
すい臓(膵臓)病には急性すい炎と慢性すい炎および慢性すい炎から起こる糖尿病があります。飲みすぎる人がすべてすい臓病になるわけではありませんが、すい臓病の原因としてアルコールの飲みすぎが多くなっています。特に慢性すい炎の状態ではお酒がやめられないアルコール依存症になっている場合が多く見られます。したがって常習飲酒者で慢性すい炎の診断を受けた場合は、断酒をするべくアルコール依存症治療の専門病院への受診をお勧めします。
アルコールと循環器疾患
適量の飲酒は循環器疾患に保護的に働くといわれています。その目安は男性では2ドリンク、すなわちビール中ビン1本または日本酒1合くらいまでで、女性ではこれより少ない量が推奨されます。過度の飲酒は逆に循環器疾患のリスク因子になります。「節度ある適度な飲酒」を守ることが肝要です。
アルコールとメタボリックシンドローム
メタボリックシンドロームに関わる高血圧・高脂血症(脂質異常症)・高血糖には、お酒の飲みすぎが関与している場合が多数見られます。そのためメタボリックシンドロームの予防および治療には、「節度ある適度な飲酒」として成人男子では1日平均2ドリンク(純アルコールで20g/日本酒換算約1合)程度までとし、さらに週に2日間の休肝日を入れることが大切です。
アルコールとうつ、自殺
アルコール依存症とうつ病の合併は頻度が高く、アルコール依存症にうつ症状が見られる場合やうつ病が先で後から依存症になる場合などいくつかのパターンに分かれます。アルコールと自殺も強い関係があり、自殺した人のうち1/3の割合で直前の飲酒が認められます。
アルコールと認知症
アルコール依存症および大量飲酒者には脳萎縮が高い割合でみられること、大量に飲酒したりアルコールを乱用した経験のある人では認知症になる人が多いといった疫学調査結果から、大量の飲酒は認知症の危険性を高めることが示されています。一方で少量ないし中等量の飲酒は認知症の原因にはならないのみならず、認知症の予防になる可能性があります。
アルコールと癌(がん)
WHO(世界保健機関)の評価(2007年)では、飲酒は口腔・咽頭・喉頭・食道・肝臓・大腸と女性の乳房の癌の原因となるとされています。またアルコールそのものに発癌(がん)性があり、少量の飲酒で赤くなる体質の2型アルデヒド脱水素酵素の働きが弱い人では、アルコール代謝産物のアセトアルデヒドが食道癌の原因となるとも結論づけています。
→ アルコールと癌(がん) 記事詳細へ
アルコールと歯科疾患
ほどほどの量のお酒が口腔機能に影響を与えることは少ないと思われます。しかしアルコールの過剰摂取を継続すると次第に身体機能が低下してきます。それに伴い口腔衛生の低下や唾液分泌の異常などが起こりやすくなります。その結果として口腔環境が悪化し歯科疾患に罹りやすくなり食機能の低下が懸念されます。
アルコールの消化管への影響
アルコールはほぼ全ての消化管に影響するため、適切な摂取が行なわれないと、胃食道逆流症・マロリーワイス症候群・急性胃粘膜病変(AGML)・門脈圧亢進性胃炎・下痢・吸収障害・痔核など、様々な疾患や症状の原因となります。
アルコール性肝炎と非アルコール脂肪性肝炎
アルコール性と非アルコール性、ふたつの肝炎の組織像は類似しており、肝臓内の酸化ストレスなど共通の発症メカニズムが研究されています。両者とも進行すると肝硬変や肝臓癌に至ります。アルコール性肝炎は常習飲酒家で大量飲酒後に発症し、救命率の低い重症型アルコール性肝炎もあります。アルコール依存症が背景にある場合はその専門治療が必要です。非アルコール性脂肪性肝炎は、過食・運動不足・肥満・糖尿病・脂質異常症などに伴う脂肪肝を背景として発症します。
アルコールと痛風
痛風は高尿酸血症の結果生ずる関節炎です。アルコール摂取により体内での尿酸量が増大し、時に痛風発作となって現れます。高尿酸血症はメタボリックシンドロームとも関連が深く、アルコールの飲み方を再考すべき機会となります。
アルコールと糖尿病
アルコールはアルコールそのもの作用やアルコールの代謝に伴って血糖値に影響を与えます。適度な飲酒は糖尿病の発病に抑制的に働く可能性が推定されています。しかし多量飲酒は発病の危険性を高め、特に肝障害や膵障害が加わるとコントロールが難しい糖尿病になるため、糖尿病患者さんは多量飲酒は避けるべきです。血糖コントロールが良好で合併症がない場合は、酒肴(つまみ)や飲酒量に注意した適度の飲酒であれば良いと考えられています。
アルコールと高脂血症
血液中の脂質が基準値を超えてしまうことを高脂血症といいます。アルコールが関係する高脂血症は中性脂肪(トリグリセリド)とHDLコレステロールの増加です。飲酒時の摂取エネルギーを減少させれば基準値にもどる可能性もありますが、アルコールの代謝そのものに伴う脂質代謝異常もからんでいる場合は、飲酒コントロールを行うことも必要です。
胎児性アルコール症候群
妊娠中の母親の飲酒は、胎児・乳児に対して低体重・顔面を中心とする奇形・脳障害などを引き起こす可能性があり、胎児性アルコール症候群と言われます。胎児性アルコール症候群には治療法はなく、また少量の飲酒でも妊娠のどの時期でも生じる可能性があることから、妊娠中の女性は完全にお酒を止めるようにしましょう。
これから、11月、12月と宴会シーズンの幕開けです。
今回は、アルコールと糖尿病などについて、考察します。
アルコールの悪影響については、
<アルコールのリスク>や<アルコールと糖尿病> の項をご参照頂ければ幸いです。
また、糖尿病以外にもがんや脂肪肝や脂質異常症など様々な疾患の悪化要因となります。
☆☆☆の、e-ヘルスネットの記載をご参照ください。
<アルコールと血糖低下作用>
確かに、アルコールには、血糖低下作用があります。
しかし、個人差が大きいので、(A)gのアルコールが血糖値を(B)mg、
低下させるというように一律にはいきません。
エネルギー源としては、[アルコール→糖質→脂質→タンパク質]の順で利用されます。
焼酎、ウィスキーなど蒸留酒には糖質は含まれていないので、
血糖は全く上昇しません。
しかし、アルコールを摂取すると、人体に対する毒物とみなされて、
優先的に肝臓で分解されますので、
その間、同じ補酵素を使う糖新生がブロックされてしまいます。
従って、アルコールを摂取すると結果として、
肝臓の糖新生を抑制することとなります。
血中アルコール濃度が上昇している間は、糖新生はブロックされるので、
個人差が大きいと思いますが、酒を飲んでいる最中は、
血糖値が下がる人もいると思います。
また、一定量以上のアルコールを摂取すれば、肝臓の夜間糖新生はブロックされ、
翌朝の早朝空腹時血糖値は、下がる可能性が高いです。
アルコールの血糖低下作用については個人差が大きいので、ご注意ください。
なお、SU剤内服中の糖尿人やインスリン注射中の糖尿人は、
過度のアルコール摂取により糖新生が阻害されると
低血糖になりやすいので要注意です。
グリニド系薬剤(グルファストやスターシスなど)も
作用時間は短いですが低血糖要注意です。
正常人でも、空きっ腹で大量のアルコールを摂取すれば、
低血糖になる可能性もあります。
<アルコールの適量>
世界がん研究基金2007年の勧告では、アルコールの推奨量は、
男性は1日2杯、女性は1日1杯までとしています。
1杯はアルコール10~15グラムに相当します。
米国糖尿病学会は、
アルコール24g(30ml)/日を食事と共に摂る程度なら適量としていますが、
ビール(5%)なら600ml
ワイン(15%)なら200ml
ウイスキー(43%)なら70ml
焼酎(25%)なら120ml
糖質ゼロ発泡酒(4%)なら750ml
に相当します。
<アルコールのリスク>
世界がん研究基金の2007年の勧告で、アルコール摂取は、
「口腔・咽頭・喉頭がん、食道がん、大腸がん(男性)、乳がん」の確実なリスクであり、
「肝臓がん、大腸がん(女性)」 のリスクとなるので要注意です。 (→ο←)
それから、過度のアルコール摂取は、
肝細胞内での脂肪酸からの中性脂肪の過剰合成を引き起こします。
その一部は肝臓外へ分泌されて高中性脂肪血症の原因となり、
一部は肝細胞内に蓄積されて脂肪肝の原因となります。
<アルコールと糖尿病>
e-ヘルスネットの記載によれば、
『アルコールはアルコールそのもの作用やアルコールの代謝に伴って血糖値に影響を与えます。
適度な飲酒は糖尿病の発病に抑制的に働く可能性が推定されています。
しかし多量飲酒は発病の危険性を高め、
特に肝障害や膵障害が加わるとコントロールが難しい糖尿病になるため、
糖尿病患者さんは多量飲酒は避けるべきです。
血糖コントロールが良好で合併症がない場合は、
酒肴(つまみ)や飲酒量に注意した適度の飲酒であれば
良いと考えられています。』
☆☆☆
以下のの記載は、厚生労働省のe-ヘルスネットのサイトの記載です。
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol-summaries/a-01#:~:text=%E6%80%A5%E6%80%A7%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%AB%E4%B8%AD%E6%AF%92,%E6%AF%8E%E5%B9%B4%E7%99%BA%E7%94%9F%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
e-ヘルスネット > 飲酒 > アルコールによる健康障害
アルコールによる健康障害
急性アルコール中毒
急性アルコール中毒は飲酒により意識レベルが低下し、嘔吐、呼吸状態が悪化するなど危険な状態に陥ります。若年者・女性・高齢者などでリスクが高まり、とくに大学生や新社会人では一気飲みとして飲酒させられ、死亡に至るケースが毎年発生しています。急性アルコール中毒が疑われた場合、適切な処置や対応法を取りましょう。
アルコールと肝臓病
アルコールの飲みすぎにより肝臓病がおこります。はじめは脂肪肝で、飲みすぎれば誰にでも起こります。飲み続けているとアルコール性肝炎になり、死亡することもあり得ます。さらに飲み続けると肝硬変という最終段階に入ります。ここまで来ると治すことが困難になります。そうならないような飲み方、またアルコール性肝臓病の早期発見が大切です。
アルコールとすい臓病
すい臓(膵臓)病には急性すい炎と慢性すい炎および慢性すい炎から起こる糖尿病があります。飲みすぎる人がすべてすい臓病になるわけではありませんが、すい臓病の原因としてアルコールの飲みすぎが多くなっています。特に慢性すい炎の状態ではお酒がやめられないアルコール依存症になっている場合が多く見られます。したがって常習飲酒者で慢性すい炎の診断を受けた場合は、断酒をするべくアルコール依存症治療の専門病院への受診をお勧めします。
アルコールと循環器疾患
適量の飲酒は循環器疾患に保護的に働くといわれています。その目安は男性では2ドリンク、すなわちビール中ビン1本または日本酒1合くらいまでで、女性ではこれより少ない量が推奨されます。過度の飲酒は逆に循環器疾患のリスク因子になります。「節度ある適度な飲酒」を守ることが肝要です。
アルコールとメタボリックシンドローム
メタボリックシンドロームに関わる高血圧・高脂血症(脂質異常症)・高血糖には、お酒の飲みすぎが関与している場合が多数見られます。そのためメタボリックシンドロームの予防および治療には、「節度ある適度な飲酒」として成人男子では1日平均2ドリンク(純アルコールで20g/日本酒換算約1合)程度までとし、さらに週に2日間の休肝日を入れることが大切です。
アルコールとうつ、自殺
アルコール依存症とうつ病の合併は頻度が高く、アルコール依存症にうつ症状が見られる場合やうつ病が先で後から依存症になる場合などいくつかのパターンに分かれます。アルコールと自殺も強い関係があり、自殺した人のうち1/3の割合で直前の飲酒が認められます。
アルコールと認知症
アルコール依存症および大量飲酒者には脳萎縮が高い割合でみられること、大量に飲酒したりアルコールを乱用した経験のある人では認知症になる人が多いといった疫学調査結果から、大量の飲酒は認知症の危険性を高めることが示されています。一方で少量ないし中等量の飲酒は認知症の原因にはならないのみならず、認知症の予防になる可能性があります。
アルコールと癌(がん)
WHO(世界保健機関)の評価(2007年)では、飲酒は口腔・咽頭・喉頭・食道・肝臓・大腸と女性の乳房の癌の原因となるとされています。またアルコールそのものに発癌(がん)性があり、少量の飲酒で赤くなる体質の2型アルデヒド脱水素酵素の働きが弱い人では、アルコール代謝産物のアセトアルデヒドが食道癌の原因となるとも結論づけています。
→ アルコールと癌(がん) 記事詳細へ
アルコールと歯科疾患
ほどほどの量のお酒が口腔機能に影響を与えることは少ないと思われます。しかしアルコールの過剰摂取を継続すると次第に身体機能が低下してきます。それに伴い口腔衛生の低下や唾液分泌の異常などが起こりやすくなります。その結果として口腔環境が悪化し歯科疾患に罹りやすくなり食機能の低下が懸念されます。
アルコールの消化管への影響
アルコールはほぼ全ての消化管に影響するため、適切な摂取が行なわれないと、胃食道逆流症・マロリーワイス症候群・急性胃粘膜病変(AGML)・門脈圧亢進性胃炎・下痢・吸収障害・痔核など、様々な疾患や症状の原因となります。
アルコール性肝炎と非アルコール脂肪性肝炎
アルコール性と非アルコール性、ふたつの肝炎の組織像は類似しており、肝臓内の酸化ストレスなど共通の発症メカニズムが研究されています。両者とも進行すると肝硬変や肝臓癌に至ります。アルコール性肝炎は常習飲酒家で大量飲酒後に発症し、救命率の低い重症型アルコール性肝炎もあります。アルコール依存症が背景にある場合はその専門治療が必要です。非アルコール性脂肪性肝炎は、過食・運動不足・肥満・糖尿病・脂質異常症などに伴う脂肪肝を背景として発症します。
アルコールと痛風
痛風は高尿酸血症の結果生ずる関節炎です。アルコール摂取により体内での尿酸量が増大し、時に痛風発作となって現れます。高尿酸血症はメタボリックシンドロームとも関連が深く、アルコールの飲み方を再考すべき機会となります。
アルコールと糖尿病
アルコールはアルコールそのもの作用やアルコールの代謝に伴って血糖値に影響を与えます。適度な飲酒は糖尿病の発病に抑制的に働く可能性が推定されています。しかし多量飲酒は発病の危険性を高め、特に肝障害や膵障害が加わるとコントロールが難しい糖尿病になるため、糖尿病患者さんは多量飲酒は避けるべきです。血糖コントロールが良好で合併症がない場合は、酒肴(つまみ)や飲酒量に注意した適度の飲酒であれば良いと考えられています。
アルコールと高脂血症
血液中の脂質が基準値を超えてしまうことを高脂血症といいます。アルコールが関係する高脂血症は中性脂肪(トリグリセリド)とHDLコレステロールの増加です。飲酒時の摂取エネルギーを減少させれば基準値にもどる可能性もありますが、アルコールの代謝そのものに伴う脂質代謝異常もからんでいる場合は、飲酒コントロールを行うことも必要です。
胎児性アルコール症候群
妊娠中の母親の飲酒は、胎児・乳児に対して低体重・顔面を中心とする奇形・脳障害などを引き起こす可能性があり、胎児性アルコール症候群と言われます。胎児性アルコール症候群には治療法はなく、また少量の飲酒でも妊娠のどの時期でも生じる可能性があることから、妊娠中の女性は完全にお酒を止めるようにしましょう。
2023年10月23日 (月)
こんにちは。
日赤医療センターでは母乳育児を推進しています。
母乳育児は、赤ちゃんにもお母さんにもいいことがいっぱいです。
今回は、母乳とその成分について、考察してみます。
日本食品標準成分表2015(七訂)によれば、
人乳は100gで、65kcal、炭水化物が7.2g、
利用可能炭水化物(単糖当量)6.7g、脂質が3.5gくらいです。
糖質が総カロリーの44.9%
脂質が総カロリーの48.46%
です。
日本食品標準成分表には、具体的な記載はありませんが、
ヒトミルクオリゴ糖(HMO)は、
乳糖および脂肪に次いでヒトの乳の3番目に豊富な固体成分を形成しています。
さて1デシリットル(dl)は100ml です。
血糖値が100mg/dlくらいと仮定すると
循環血液量4000ml中に、ブドウ糖は合計で4gしかありません。
100g中に100mg(0.1g)のブドウ糖しか含まれていない血液から
母乳(100g中に6.7gの糖質)を作るのですから、
乳房内でかなり濃縮していることとなります。
『おっぱい先生の母乳育児「超」入門』 平田喜代美/著 東洋経済新報社 2010年
P96~98 「母乳育児で生まれるふたつの『愛情ホルモン』」に、
「赤ちゃんが唇と舌を使って乳頭に与えた刺激が、お母さんの脊髄を通って脳に伝わると、脳の脳下垂体前葉というところから、母乳をつくる『プロラクチン』という物質が分泌されます。このプロラクチンの作用によって、お母さんの乳房の中の毛細血管にたくさんの血液が流れ、その血液が母乳となって乳房の中に蓄えられます。このとき、約1ミリリットルの母乳をつくるのに、500ミリリットルの血液が乳房を通過するといわれています。」と記載あり。
ということで、1mlの母乳をつくるのに、500mlの血液が必要なのですね。
私も、全く知らなかったので、調べてとても勉強になりました。
上記のように母乳には、糖質もかなり含まれていますが、
それ以上の高脂質食でもありますね。
母乳が高脂質食なので、母乳育児中の乳児の血中ケトン体値は、
成人基準値よりはかなり高値となります。
ヒトが吸収できる単糖には、ブドウ糖、果糖、ガラクトースがあります。
人乳あるいは哺乳類のお乳に、
乳糖が含まれていることの意味は何か考えてみました。
乳糖は「ガラクトース+ブドウ糖」で構成されています。
エネルギー補給だけならブドウ糖だけでもいいようなものなのに、
ガラクトースが必要なのには、理由があるようです。
乳糖が母乳の糖質の 80% 以上で、
全エネルギーの 約38%を占めます。
乳糖以外には微量のグルコース、ガラクトース、
種々のオリゴ糖などを含有しています。
ヒトミルクオリゴ糖(HMO)は、母乳で三番目に多い成分ですが、
そのほとんどは口腔や上部消化管で分解されずに大腸まで到達し、
ビフィズス菌など善玉腸内細菌の栄養源として利用されます。
善玉のビフィズス菌が栄養源を得れば、
酢酸や酪酸といった短鎖脂肪酸を生成して、大腸粘膜のエネルギー源となり、また腸内を酸性に保つことで、
腸内の悪玉の大腸菌群などが減少することが明らかとなっています。
ガラクトースで構成されるガラクトオリゴ糖も、同様に
糞便中のビフィズス菌数増加や腸内細菌叢の改善と、
これに伴う糞便中の酢酸濃度の上昇により腸内の酸性濃度を維持してくれます。
また、ガラクトースは、急速に発達する乳児の中枢神経系の完成に
重要な役割を果たすとされています。
そしてガラクトースは自然免疫反応のブレーキ役を担っていますが、
病原体に感染した時には、ガラクトース糖鎖の量が減少して
ブレーキが解除される仕組みになっています。
江部康二
日赤医療センターでは母乳育児を推進しています。
母乳育児は、赤ちゃんにもお母さんにもいいことがいっぱいです。
今回は、母乳とその成分について、考察してみます。
日本食品標準成分表2015(七訂)によれば、
人乳は100gで、65kcal、炭水化物が7.2g、
利用可能炭水化物(単糖当量)6.7g、脂質が3.5gくらいです。
糖質が総カロリーの44.9%
脂質が総カロリーの48.46%
です。
日本食品標準成分表には、具体的な記載はありませんが、
ヒトミルクオリゴ糖(HMO)は、
乳糖および脂肪に次いでヒトの乳の3番目に豊富な固体成分を形成しています。
さて1デシリットル(dl)は100ml です。
血糖値が100mg/dlくらいと仮定すると
循環血液量4000ml中に、ブドウ糖は合計で4gしかありません。
100g中に100mg(0.1g)のブドウ糖しか含まれていない血液から
母乳(100g中に6.7gの糖質)を作るのですから、
乳房内でかなり濃縮していることとなります。
『おっぱい先生の母乳育児「超」入門』 平田喜代美/著 東洋経済新報社 2010年
P96~98 「母乳育児で生まれるふたつの『愛情ホルモン』」に、
「赤ちゃんが唇と舌を使って乳頭に与えた刺激が、お母さんの脊髄を通って脳に伝わると、脳の脳下垂体前葉というところから、母乳をつくる『プロラクチン』という物質が分泌されます。このプロラクチンの作用によって、お母さんの乳房の中の毛細血管にたくさんの血液が流れ、その血液が母乳となって乳房の中に蓄えられます。このとき、約1ミリリットルの母乳をつくるのに、500ミリリットルの血液が乳房を通過するといわれています。」と記載あり。
ということで、1mlの母乳をつくるのに、500mlの血液が必要なのですね。
私も、全く知らなかったので、調べてとても勉強になりました。
上記のように母乳には、糖質もかなり含まれていますが、
それ以上の高脂質食でもありますね。
母乳が高脂質食なので、母乳育児中の乳児の血中ケトン体値は、
成人基準値よりはかなり高値となります。
ヒトが吸収できる単糖には、ブドウ糖、果糖、ガラクトースがあります。
人乳あるいは哺乳類のお乳に、
乳糖が含まれていることの意味は何か考えてみました。
乳糖は「ガラクトース+ブドウ糖」で構成されています。
エネルギー補給だけならブドウ糖だけでもいいようなものなのに、
ガラクトースが必要なのには、理由があるようです。
乳糖が母乳の糖質の 80% 以上で、
全エネルギーの 約38%を占めます。
乳糖以外には微量のグルコース、ガラクトース、
種々のオリゴ糖などを含有しています。
ヒトミルクオリゴ糖(HMO)は、母乳で三番目に多い成分ですが、
そのほとんどは口腔や上部消化管で分解されずに大腸まで到達し、
ビフィズス菌など善玉腸内細菌の栄養源として利用されます。
善玉のビフィズス菌が栄養源を得れば、
酢酸や酪酸といった短鎖脂肪酸を生成して、大腸粘膜のエネルギー源となり、また腸内を酸性に保つことで、
腸内の悪玉の大腸菌群などが減少することが明らかとなっています。
ガラクトースで構成されるガラクトオリゴ糖も、同様に
糞便中のビフィズス菌数増加や腸内細菌叢の改善と、
これに伴う糞便中の酢酸濃度の上昇により腸内の酸性濃度を維持してくれます。
また、ガラクトースは、急速に発達する乳児の中枢神経系の完成に
重要な役割を果たすとされています。
そしてガラクトースは自然免疫反応のブレーキ役を担っていますが、
病原体に感染した時には、ガラクトース糖鎖の量が減少して
ブレーキが解除される仕組みになっています。
江部康二
2023年10月22日 (日)
おはようございます。
2023年11月5日(日)東京都内で、
「健康をセルフマネジメントする時代へ
万病の元『糖尿病・メタボ・生活習慣病』
を解決する糖質制限食」
と題して、一般の方向けの講演会を開催いたします。
講師は、札幌市の西岡第一病院 麻酔科部長の清水泰行先生と私です。
清水先生は、ブログ「ドクターシミズのひとりごと」で、
豊富な文献や知識をもとに
糖質制限食を始めとして様々な情報を日々発信しておられます。
第1部は、私の「糖尿病治療のベストな選択!データと歴史が示す糖質制限食の有効性」という題の講演です。
糖質制限食の最新知識と旧石器時代のお話をします。
日本列島にヒトが住み始めたのは旧石器時代からです。
旧石器時代は約38000年前から16000年前までの約22000年間続きました。
ナウマン象、ニホンシカ、イノシシ、ウサギ・・・ などを狩猟してとり、肉食が主でした。
・・・北海道ではマンモスも食べていました。
糖質摂取比率は10%以下でしたでしょう。
当時の日本列島は多くは亜寒帯性の針葉樹林が広がっていて、
植物性の食品は乏しく漁撈も未発達なため、大型哺乳類を主とした狩猟に依存した生活でした。
植物食は自然薯(山芋)、百合根、コケモモ、松の実、山菜などしか、ありませんでした。
私達、日本人は、この肉食を主とした22000年間で、身体を形成したので、
肉食に特化して適合していると考えられます。
スーパー糖質制限食は、この旧石器時代の食生活と同様のPFCの摂取比率です。
米を食べ始めたのは、僅か2500年前の弥生時代からなので、肉食の歴史には遠く及びません。
第2部は、
清水先生に「医療では健康は得られない ~医療の常識は本当か?~」と題して、
お話しいただきます。
講師より
「現代の生活習慣や食事は、人類の本来のものとはかけ離れてしまっています。
人間の代謝は食事と運動で変化します。
食事が間違っていれば、代謝も悪くなり、様々な疾患や症状を起こすでしょう。
糖質制限はかつてない広がりを見せていますが、日本の医療はいまだそれに逆行しています。
医療は日々進歩していると言われています。様々な治療法や薬が開発され、救われた人もいるでしょう。
しかし一方で、様々な病気が激増しています。まさにパンデミックです。
医学教育や医療は病気に対応する方向へ進むだけで、
病気にならないように予防する方向へとはほとんど進んでいません。
薬による検査の数値の正常化を目標とした医療では、
根本原因はそのままにされてしまうので、健康にはなれません。
健康を取り戻すためには、人間の本来の初期設定に戻す必要があります。
医療の常識や定説を覆し、根本から健康になるためにはどうすれば良いのか?
様々なエビデンスを提示して、糖質過剰摂取の危険性、
糖質制限で得られる大きなメリットなどについてお話させていただきます。」
ブログ読者の皆さん是非、東京講演会にご参加頂ければ、幸いです。
江部康二
以下事務局からのお知らせです。
*************
ブログ読者の皆様、いつも弊会のイベントへ多数ご参加いただきまして、 ありがとうございます。
11月5日(日)東京都内で、「健康をセルフマネジメントする時代へ 万病の元『糖尿病・メタボ・生活習慣病』を解決する糖質制限食」と題して、一般の方向けの講演会を開催いたします。
講師は、札幌市の西岡第一病院 麻酔科部長の清水泰行先生と当会理事長の江部康二医師です。
第1部は、江部理事長が「糖尿病治療のベストな選択!データと歴史が示す糖質制限食の有効性」 と題してお話しします。
第2部は、清水先生に「医療では健康は得られない ~医療の常識は本当か?~」と題して、お話しいただきます。
清水先生は、健康や医療に関する定説に疑問を抱き、あまたの論文を参照しつつ考察を重ねて、ブログ「ドクターシミズのひとりごと」で精力的に情報を発信しておられ、『「糖質過剰」症候群 あらゆる病に共通する原因』(光文社新書)等のご著書も上梓されています。
また、糖質制限を実践されながら、100㎞のウルトラマラソンも走るマラソンランナーでもいらっしゃいます。
糖尿病・メタボをはじめ生活習慣病でお困りの方、健康を取り戻したい方、健康を上手にセルフマネジメントされたい方、必聴の内容です。
関東にお住まいの方をはじめ、たくさんのご参加をお待ちしております。
*当日講演会終了後に、賛助会員交流会を開催いたします。
☆講演会・賛助会員交流会情報URL: http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity
///////////////////ご案内/////////////////////
(一社)日本糖質制限医療推進協会主催 講演会(東京)
~健康をセルフマネジメントする時代へ~
万病の元「糖尿病・メタボ・生活習慣病」を解決する糖質制限食
◆日程:2023年11月5日(日)13:40~16:30頃 ※開場・受付は、13:20~
◆会場: WATERRAS COMMON 3F「ワテラスコモンホール」
東京都千代田区神田淡路町2丁目101番地
http://www.waterrascommon.com/access.html
◆受講費:賛助会員 2,800円 / 一般(会員の方以外)3,300円
◆内容: 第1部・第2部は講演各60分程度、最後に質疑応答を予定しております。
・第1部
「糖尿病治療のベストな選択!データと歴史が示す糖質制限食の有効性」
講師: 江部 康二 医師 / (一財)高雄病院・(一社)日本糖質制限医療推進協会理事長
・第2部
「医療では健康は得られない ~医療の常識は本当か?~」
講師: 清水 泰行 医師 / 社会医療法人仁陽会 西岡第一病院 麻酔科部長
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<清水先生より>
現代の生活習慣や食事は、人類の本来のものとはかけ離れてしまっています。
人間の代謝は食事と運動で変化します。
食事が間違っていれば、代謝も悪くなり、様々な疾患や症状を起こすでしょう。
糖質制限はかつてない広がりを見せていますが、日本の医療はいまだそれに逆行しています。
医療は日々進歩していると言われています。様々な治療法や薬が開発され、救われた人もいるでしょう。
しかし一方で、様々な病気が激増しています。まさにパンデミックです。
医学教育や医療は病気に対応する方向へ進むだけで、病気にならないように予防する方向へとはほとんど進んでいません。
薬による検査の数値の正常化を目標とした医療では、根本原因はそのままにされてしまうので、健康にはなれません。
健康を取り戻すためには、人間の本来の初期設定に戻す必要があります。
医療の常識や定説を覆し、根本から健康になるためにはどうすれば良いのか?
様々なエビデンスを提示して、糖質過剰摂取の危険性、糖質制限で得られる大きなメリットなどについてお話させていただきます。
<清水先生ご略歴>
北海道大学医学部卒業。
『「糖質過剰」症候群 あらゆる病に共通する原因』 (光文社新書)など、これまでに3冊の著書を上梓している。
麻酔、ペインクリニック(痛み専門の治療)だけでなく、患者さんの健康的な食事の相談、糖質制限にも積極的に対応。
自身のブログ(*)では、病気および健康や運動、薬の副作用等の多くの情報を発信し続けている。
ウルトラマラソン(100km)も走るマラソンランナーでもある。
*「ドクターシミズのひとりごと」 https://promea2014.com/blog/
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
◆お支払い方法: クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。
◆お申し込み方法:
★賛助会員の方:
事務局へメールにて、参加ご希望のイベント名をご明記の上、お申し込み下さい。
※複数名でお申し込みの場合は、全員のご氏名をご明記下さい。
※領収書の発行をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。
★賛助会員入会をご希望の方:
1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up
2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
「入会ならびに講演会出席のお問い合わせ」を選択いただき、「通信」欄に参加ご希望のイベント名(11/5東京講演会、賛助会員交流会)をご記入下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact
★一般(会員以外の方)で、講演会への参加のみご希望の方:
下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-gen
■その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・当日は直接各会場へお越し頂き、受付にてお名前をお伝えください。
・講演会のキャンセルは11月2日(木)までに、交流会のキャンセルは10月31日(火)までに事務局へメールにてご連絡願います。
これら以降のご返金は対応致しかねますので、予めご了承ください。
2023年11月5日(日)東京都内で、
「健康をセルフマネジメントする時代へ
万病の元『糖尿病・メタボ・生活習慣病』
を解決する糖質制限食」
と題して、一般の方向けの講演会を開催いたします。
講師は、札幌市の西岡第一病院 麻酔科部長の清水泰行先生と私です。
清水先生は、ブログ「ドクターシミズのひとりごと」で、
豊富な文献や知識をもとに
糖質制限食を始めとして様々な情報を日々発信しておられます。
第1部は、私の「糖尿病治療のベストな選択!データと歴史が示す糖質制限食の有効性」という題の講演です。
糖質制限食の最新知識と旧石器時代のお話をします。
日本列島にヒトが住み始めたのは旧石器時代からです。
旧石器時代は約38000年前から16000年前までの約22000年間続きました。
ナウマン象、ニホンシカ、イノシシ、ウサギ・・・ などを狩猟してとり、肉食が主でした。
・・・北海道ではマンモスも食べていました。
糖質摂取比率は10%以下でしたでしょう。
当時の日本列島は多くは亜寒帯性の針葉樹林が広がっていて、
植物性の食品は乏しく漁撈も未発達なため、大型哺乳類を主とした狩猟に依存した生活でした。
植物食は自然薯(山芋)、百合根、コケモモ、松の実、山菜などしか、ありませんでした。
私達、日本人は、この肉食を主とした22000年間で、身体を形成したので、
肉食に特化して適合していると考えられます。
スーパー糖質制限食は、この旧石器時代の食生活と同様のPFCの摂取比率です。
米を食べ始めたのは、僅か2500年前の弥生時代からなので、肉食の歴史には遠く及びません。
第2部は、
清水先生に「医療では健康は得られない ~医療の常識は本当か?~」と題して、
お話しいただきます。
講師より
「現代の生活習慣や食事は、人類の本来のものとはかけ離れてしまっています。
人間の代謝は食事と運動で変化します。
食事が間違っていれば、代謝も悪くなり、様々な疾患や症状を起こすでしょう。
糖質制限はかつてない広がりを見せていますが、日本の医療はいまだそれに逆行しています。
医療は日々進歩していると言われています。様々な治療法や薬が開発され、救われた人もいるでしょう。
しかし一方で、様々な病気が激増しています。まさにパンデミックです。
医学教育や医療は病気に対応する方向へ進むだけで、
病気にならないように予防する方向へとはほとんど進んでいません。
薬による検査の数値の正常化を目標とした医療では、
根本原因はそのままにされてしまうので、健康にはなれません。
健康を取り戻すためには、人間の本来の初期設定に戻す必要があります。
医療の常識や定説を覆し、根本から健康になるためにはどうすれば良いのか?
様々なエビデンスを提示して、糖質過剰摂取の危険性、
糖質制限で得られる大きなメリットなどについてお話させていただきます。」
ブログ読者の皆さん是非、東京講演会にご参加頂ければ、幸いです。
江部康二
以下事務局からのお知らせです。
*************
ブログ読者の皆様、いつも弊会のイベントへ多数ご参加いただきまして、 ありがとうございます。
11月5日(日)東京都内で、「健康をセルフマネジメントする時代へ 万病の元『糖尿病・メタボ・生活習慣病』を解決する糖質制限食」と題して、一般の方向けの講演会を開催いたします。
講師は、札幌市の西岡第一病院 麻酔科部長の清水泰行先生と当会理事長の江部康二医師です。
第1部は、江部理事長が「糖尿病治療のベストな選択!データと歴史が示す糖質制限食の有効性」 と題してお話しします。
第2部は、清水先生に「医療では健康は得られない ~医療の常識は本当か?~」と題して、お話しいただきます。
清水先生は、健康や医療に関する定説に疑問を抱き、あまたの論文を参照しつつ考察を重ねて、ブログ「ドクターシミズのひとりごと」で精力的に情報を発信しておられ、『「糖質過剰」症候群 あらゆる病に共通する原因』(光文社新書)等のご著書も上梓されています。
また、糖質制限を実践されながら、100㎞のウルトラマラソンも走るマラソンランナーでもいらっしゃいます。
糖尿病・メタボをはじめ生活習慣病でお困りの方、健康を取り戻したい方、健康を上手にセルフマネジメントされたい方、必聴の内容です。
関東にお住まいの方をはじめ、たくさんのご参加をお待ちしております。
*当日講演会終了後に、賛助会員交流会を開催いたします。
☆講演会・賛助会員交流会情報URL: http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity
///////////////////ご案内/////////////////////
(一社)日本糖質制限医療推進協会主催 講演会(東京)
~健康をセルフマネジメントする時代へ~
万病の元「糖尿病・メタボ・生活習慣病」を解決する糖質制限食
◆日程:2023年11月5日(日)13:40~16:30頃 ※開場・受付は、13:20~
◆会場: WATERRAS COMMON 3F「ワテラスコモンホール」
東京都千代田区神田淡路町2丁目101番地
http://www.waterrascommon.com/access.html
◆受講費:賛助会員 2,800円 / 一般(会員の方以外)3,300円
◆内容: 第1部・第2部は講演各60分程度、最後に質疑応答を予定しております。
・第1部
「糖尿病治療のベストな選択!データと歴史が示す糖質制限食の有効性」
講師: 江部 康二 医師 / (一財)高雄病院・(一社)日本糖質制限医療推進協会理事長
・第2部
「医療では健康は得られない ~医療の常識は本当か?~」
講師: 清水 泰行 医師 / 社会医療法人仁陽会 西岡第一病院 麻酔科部長
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<清水先生より>
現代の生活習慣や食事は、人類の本来のものとはかけ離れてしまっています。
人間の代謝は食事と運動で変化します。
食事が間違っていれば、代謝も悪くなり、様々な疾患や症状を起こすでしょう。
糖質制限はかつてない広がりを見せていますが、日本の医療はいまだそれに逆行しています。
医療は日々進歩していると言われています。様々な治療法や薬が開発され、救われた人もいるでしょう。
しかし一方で、様々な病気が激増しています。まさにパンデミックです。
医学教育や医療は病気に対応する方向へ進むだけで、病気にならないように予防する方向へとはほとんど進んでいません。
薬による検査の数値の正常化を目標とした医療では、根本原因はそのままにされてしまうので、健康にはなれません。
健康を取り戻すためには、人間の本来の初期設定に戻す必要があります。
医療の常識や定説を覆し、根本から健康になるためにはどうすれば良いのか?
様々なエビデンスを提示して、糖質過剰摂取の危険性、糖質制限で得られる大きなメリットなどについてお話させていただきます。
<清水先生ご略歴>
北海道大学医学部卒業。
『「糖質過剰」症候群 あらゆる病に共通する原因』 (光文社新書)など、これまでに3冊の著書を上梓している。
麻酔、ペインクリニック(痛み専門の治療)だけでなく、患者さんの健康的な食事の相談、糖質制限にも積極的に対応。
自身のブログ(*)では、病気および健康や運動、薬の副作用等の多くの情報を発信し続けている。
ウルトラマラソン(100km)も走るマラソンランナーでもある。
*「ドクターシミズのひとりごと」 https://promea2014.com/blog/
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
◆お支払い方法: クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。
◆お申し込み方法:
★賛助会員の方:
事務局へメールにて、参加ご希望のイベント名をご明記の上、お申し込み下さい。
※複数名でお申し込みの場合は、全員のご氏名をご明記下さい。
※領収書の発行をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。
★賛助会員入会をご希望の方:
1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up
2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
「入会ならびに講演会出席のお問い合わせ」を選択いただき、「通信」欄に参加ご希望のイベント名(11/5東京講演会、賛助会員交流会)をご記入下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact
★一般(会員以外の方)で、講演会への参加のみご希望の方:
下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-gen
■その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・当日は直接各会場へお越し頂き、受付にてお名前をお伝えください。
・講演会のキャンセルは11月2日(木)までに、交流会のキャンセルは10月31日(火)までに事務局へメールにてご連絡願います。
これら以降のご返金は対応致しかねますので、予めご了承ください。
2023年10月20日 (金)
こんばんは。
本ブログに頂くコメントや質問ですが、
マスメディアのサイトやヤフーニュースなどの記事に対しては
私なりの意見を述べることは可能な場合が多いと思います。
一方、ユーチューブや個人的なサイトなどの記事に関しては、
私に判断が困難な場合もあり、コメントや質問を削除させて頂くことがありますので、
ご了承頂ければ幸いです。
【本ブログのコメント・質問・記事に関するお願い】
こんばんは。
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
糖質制限食に関する質問についてですが、実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、
医師としての責任・債務がありますので、個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。
一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、
ボランティアで回答させていただいています。
診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。
私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。
また、ブログ記事や本に関しても同様に、
糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。
従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、
自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m
そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、
普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、
ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。
またネットで簡単に検索可能なことは、ご自分でお調べください。
質問が増えてきましたので、
糖質制限食と関わりがないと判断した質問にはお答えできない場合もありますので、
ご了承ください。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、
何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、
ブログ本文記事にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。
質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、質問がかなり増えてきていますので、
なかなか即、お答えすることが困難となってきています。
糖質制限食に関わりのある全ての質問に、
本文かコメントでお答えするようできるだけ努力はしていますが、
できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、
コメント欄にお答えするか、
一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、
よろしくお願い申し上げます。
【糖質制限食を実践される時のご注意】
糖質制限食実践によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、
減薬しないと低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人やメタボ人は、低血糖の心配はほとんどないので、
自力で糖質制限食を実践して糖尿病やメタボ改善を目指していただけば幸いです。
内服薬やインスリン注射なしの糖尿人が糖質制限食を実践すると、
食後高血糖は改善しますが、低血糖にはなりません。
血糖値が正常範囲である程度下がると、
肝臓でアミノ酸・乳酸・グリセロール(脂肪の分解物)などから、
ブドウ糖を作るからです。
これを糖新生といいます。
塩分に関しては、スーパー糖質制限食の場合は、今まで通りで特に制限の必要はありません。
「スーパー糖質制限+塩分制限」だと、塩分不足で身体がだるかったり、集中力が低下することがあるので注意が必要です。
診断基準を満たす膵炎がある場合、肝硬変の場合、
そして長鎖脂肪酸代謝異常症・尿素サイクル異常症は、
糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は相対的に高脂肪食になるので、診断基準を満たしている膵炎の患者さんには適応とならないのです。
進行した肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。
長鎖脂肪酸代謝異常症では、肉や魚などに含まれる長鎖脂肪酸が上手く利用できないので、適応となりません。
尿素サイクル異常症もまれな疾患ですが、
タンパク質の代謝に問題があるので
高タンパク食である糖質制限食は向きません。
腎機能に関して、日本腎臓病学会編「CKD診療ガイド2018」において、eGFR60ml/分以上あれば顕性たんぱく尿の段階でも、
たんぱく質は過剰な摂取をしないという表現となっていて、
制限という記載はなしです。
従いまして、糖尿病腎症第3期でも、eGFR60ml/分以上なら、糖質制限食OKです。
また、米国糖尿病学会(ADA)は
Position Statement on Nutrition Therapy(栄養療法に関する声明)
Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版
において、糖尿病腎症患者に対する蛋白質制限の意義を明確に否定しました。
根拠はランク(A)ですので、信頼度の高いRCT研究論文に基づく見解です。
今後は、糖尿病腎症第3期以降で、eGFRが60ml/分未満の場合も、
患者さんとよく相談して、糖質制限食を実践するか否か、
個別に対応することとなります。
なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、
糖新生能力が低下していることがあり、
まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。
また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。
糖質制限食もその一つですので、
合わないとご自分で判断されたら中止して頂ければ幸いです。
【糖質制限食とは】
米国糖尿病協会(ADA)の患者教育用のテキストブックLife With Diabetes(2004年版)には、以下の記載があります。
「摂取後直接血糖に影響を与えるのは糖質のみである。
糖質は速やかに吸収され、直接100%血糖に変わり、ほぼ120分以内に吸収は終了する。
蛋白質・脂質は、摂取後、直接血糖に影響を及ぼすことはない。
『炭水化物・タンパク質・脂肪はカロリーを含有している。
炭水化物だけが、血糖値に直接影響を及ぼす。』」
これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
1997年版のLife With Diabetes(ADA刊行)では、
「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載がありましたが、2004年版以降は変更されています。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが直接、血糖値を上昇させます。
従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。
脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。
タンパク質はごく少量のインスリンを追加分泌させます。
現在糖尿病において、
食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。
食後高血糖が、
心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。
また一日における、食前・食後・空腹時など
血糖値の変動幅(平均血糖変動幅)が大きいほど、
酸化ストレスが増強し動脈硬化のリスクとなることがわかってきました。
そして、食後高血糖と平均血糖変動幅増大を起こすのは、
三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。
炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には、55.3gの糖質が含まれており、
血糖値を166mg上昇させます。
一方、和牛サーロインステーキ(脂身つき)を200g(約1000キロカロリー)食べても、
糖質含有量は1gもないので、食後血糖は3mg未満の上昇しかないのです。
なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースに、
できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。
抜く必要がある主食とは 、
米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら、
薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、
カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、
一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、
食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、
カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。
なお糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。
日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド2018-2019」の
男性1600~2000kcal
女性1400~1800kcal
ほど厳しいカロリー制限は必要ありませんが、
「日本人の食事摂取基準」(2015年、厚生労働省)
に示す推定エネルギー必要量の範囲、
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf
推定エネルギー必要量(一日あたり)
男性 女性
15-17才 2500 2850 3150 2050 2300 2550kcal
18-29才 2300 2650 3050 1650 1950 2200
30-49才 2300 2650 3050 1750 2000 2300
50-69才 2100 2450 2800 1650 1900 2200
70才 1850 2200 2500 1500 1750 2000
身体活動レベル 低い 普通 高い 低い 普通 高い
くらいが目安です。
そして2013年に糖尿病食事療法に関して画期的な変化がありました。
米国糖尿病学会が、
2013年10月発表の『栄養療法に関する声明』において、
全ての糖尿病患者に適した唯一無二の治療食は存在しないと明記したのです。
これはそのまま、1969年の食品交換表第2版以降一貫して、糖尿病治療食として、
唯一無二の「カロリー制限・高糖質食」を推奨し続けている日本糖尿病学会への
痛烈な批判となっています。
さらに、米国糖尿病学会は『栄養療法に関する声明2013』において
地中海食、ベジタリアン食、DASH食、低脂質食などと共に
「糖質制限食」も正式に受容しました。
このことは糖質制限食を推進する私達にとって、大変大きな追い風となりました。
また米国糖尿病学会は、2019年4月、
「成人糖尿病患者または予備軍患者への栄養療法」コンセンサス・リコメンデーション
において、糖質制限食(Low-carbohydrate eating patterns)が、
最も研究された食事パターンの一つであると明言し、一推しで推奨しています。
2020年4月、「栄養療法」ガイドラインにおいても
『地中海式、低炭水化物、およびベジタリアン食事パターンは、
いずれも研究で良好な結果が示されている 健康的な食事パターンの例である。
個別の食事計画は、個人の好み、ニーズ、 および目標に焦点を当てるべきである。
糖尿病患者の全体的な炭水化物摂取量を減らすことは、
血糖値を改善するために最も多くのエビデンスが示されているので、
個人のニーズや好みに応じた様々な食事パターンに 適用することができる。』
と明言しています。
2021年、2022年、2023年のガイドラインでも同様の見解です。
このように糖質制限食の信頼度はますます高まっています。
なお、門脇孝日本糖尿病学会理事長によれば
東大病院では、2015年4月から、糖質40%の糖質制限食を供給しているそうです。
また門脇孝東大糖尿病・代謝内科教授ご自身も、緩やかな糖質制限食を実践されているとのことです。
2016/7/1(金)
東洋経済オンライン
http://toyokeizai.net/articles/-/125237
<江部康二著 参考図書>
理論
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ」2005年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008年
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009年 宮本輝先生との対談本
「やせる食べ方」2010年
「うちの母は糖尿人」2010年 監修:江部康二 著:伊藤きのと
(東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010年(ナツメ社)
腹いっぱい食べて楽々痩せる『満腹ダイエット』 (ソフトバンク新書)2011年
「主食をやめると健康になる」(ダイヤモンド社)2011年
「血糖コントロールの新常識! 糖質制限 完全ガイド」 (別冊宝島)2012年
「食品別糖質量ハンドブック」2012年(洋泉社)、
「糖質オフ!健康法」(PHP文庫)2012年
「主食を抜けば糖尿病はよくなる!糖質制限食のすすめ」(文春文庫)2012年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」(文春文庫)2012年
「女性のための糖質制限ダイエットハンドブック」2012年(洋泉社)
「糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド」2013年(東洋経済新報社)
「医療の巨大転換を加速する」糖質制限食と湿潤療法のインパクト
2013年(東洋経済新報社) 夏井睦先生との対談本
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ 新版」2014年(東洋経済新報社)
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!2 実践編 新版」2014年(東洋経済新報社)
「炭水化物の食べ過ぎで早死にしてはいけません」2014年(東洋経済新報社)
一生太らない「やせる! 食べ方」2014年 (PHP文庫)
江部先生、「糖質制限は危ない」って本当ですか?2015年(洋泉社)
「なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか」2015年(ナツメ社)
「糖質制限の教科書」2015年(洋泉社)監修
「糖質オフ!健康法」2016年3月(PHP研究所 )
「人類最強の糖質制限論」2016年4月(SB新書)
「ハンディ版糖質制限の教科書」2016年4月(洋泉社)
「増補新版食品別糖質量ハンドブック」2016年6月(洋泉社)
「Dr.江部の健康食の新常識100 」(TJMOOK)2016年11月(宝島社)
マンガでわかる「糖質オフ! 」健康法2016年12月、(PHP研究所 )
外食でやせる! 「糖質オフ」で食べても飲んでも太らない体を手に入れる、2017年4月(毎日新聞出版)
「江部康二の糖質制限革命」2017年4月(東洋経済新報社)
「男・50代からの糖質制限」2018年11月(東洋経済新報社)
「内臓脂肪がストン!とおちる食事術」2019年5月(ダイヤモンド社)
「糖質制限の大百科」2019年7月(洋泉社)
「糖質量&炭水化物量ポケットガイド」電子書籍、2019年8月(SBクリエイティブ)
名医が考えた認知症にならない最強の食事術2020年6月(宝島社)
ダイエット・糖質制限に必携! 食品別糖質量ハンドブック 2020年9月(宝島社)江部 康二 (監修)
医学的に正しい「糖質制限」見るだけノート2020年10月(宝島社)
「体が変わる! 最強の糖質制限食-巣ごもり生活でも太らない! 」2021年2月(学研プラス)江部康二 (著), 沼津りえ (著)
「増補新版 糖質制限の大百科」2021年9月(宝島社)江部康二(監修)
「医者が教える 正しい糖質の減らし方」2022年6月(宝島社)江部康二(監修)
など多数。
レシピ
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006年(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん2009年(アスペクト)
dancyuプレジデントムック 「満腹ダイエット 」 2009年(プレジデント社)
「血糖値を上げない!健康おつまみ109」2010年(東洋経済新報社)
「やせる食べ方レシピ集」 2010年(東洋経済新報社)
「糖質オフダイエット 」2011年(レタスクラブ、角川マーケティング)
「誰もがストレスなくやせられる!糖質制限ダイエット」2011年(講談社)
「主食を抜けば糖尿病はよくなる」レシピ集2011年(東洋経済新報社)
高雄病院の「糖質制限」給食2012年(講談社)
糖尿病がどんどんよくなる「糖質制限食」おすすめレシピ集2012年(ナツメ社)
糖質制限の「主食もどき」レシピ2013年(東洋経済新報社)
高雄病院Dr江部が食べている「糖質制限」ダイエット2013年(講談社)
糖質オフのダイエット弁当2013年(家の光協会)
高雄病院「糖質制限給食」朝 昼 夕 14日間完全プログラム
糖尿病・肥満改善が自宅でできる! 2013年(講談社)
2週間チャレンジ! 糖質制限の太らない生活 2014年(洋泉社mook)
電子レンジで糖質オフの作りおき 2016年10月(宝島社)
「やせぐせがつく糖質オフの作りおき 」2017年3月(宝島社)
「高雄病院の糖質制限作りおき 」2017年5月(洋泉社)
「作りおきおかずで簡単! 朝・昼・晩 糖質オフのダイエット献立」2017年10月 (家の光協会)
「いくら食べても太らない! 旨い酒のつまみ 」2018年5月(宝島社)
「決定版! スグやせ! 糖質オフのラクうまレシピ150」2018年6月(ナツメ社)
「女性のためのラクやせ糖質制限ハンドブック」2018年9月(洋泉社)
「男性のための糖質制限最強ダイエットハンドブック」2018年10月(洋泉社)
「レンチン!糖質オフの作りおきおかず」2018年10月(宝島社)
「魔法のダイエットみそ汁 」 2019年2月(日本文芸社)
「決定版! 作りおき&レンチンで簡単! 糖質オフのやせる! ラクうま弁当350 」 2020年2月(ナツメ社)
「決定版! 作りおき&帰ってすぐできる 糖質オフのやせる! ラクうまレシピ350 」 2020年7月(ナツメ社
江部康二
本ブログに頂くコメントや質問ですが、
マスメディアのサイトやヤフーニュースなどの記事に対しては
私なりの意見を述べることは可能な場合が多いと思います。
一方、ユーチューブや個人的なサイトなどの記事に関しては、
私に判断が困難な場合もあり、コメントや質問を削除させて頂くことがありますので、
ご了承頂ければ幸いです。
【本ブログのコメント・質問・記事に関するお願い】
こんばんは。
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
糖質制限食に関する質問についてですが、実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、
医師としての責任・債務がありますので、個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。
一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、
ボランティアで回答させていただいています。
診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。
私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。
また、ブログ記事や本に関しても同様に、
糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。
従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、
自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m
そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、
普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、
ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。
またネットで簡単に検索可能なことは、ご自分でお調べください。
質問が増えてきましたので、
糖質制限食と関わりがないと判断した質問にはお答えできない場合もありますので、
ご了承ください。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、
何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、
ブログ本文記事にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。
質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、質問がかなり増えてきていますので、
なかなか即、お答えすることが困難となってきています。
糖質制限食に関わりのある全ての質問に、
本文かコメントでお答えするようできるだけ努力はしていますが、
できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、
コメント欄にお答えするか、
一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、
よろしくお願い申し上げます。
【糖質制限食を実践される時のご注意】
糖質制限食実践によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、
減薬しないと低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人やメタボ人は、低血糖の心配はほとんどないので、
自力で糖質制限食を実践して糖尿病やメタボ改善を目指していただけば幸いです。
内服薬やインスリン注射なしの糖尿人が糖質制限食を実践すると、
食後高血糖は改善しますが、低血糖にはなりません。
血糖値が正常範囲である程度下がると、
肝臓でアミノ酸・乳酸・グリセロール(脂肪の分解物)などから、
ブドウ糖を作るからです。
これを糖新生といいます。
塩分に関しては、スーパー糖質制限食の場合は、今まで通りで特に制限の必要はありません。
「スーパー糖質制限+塩分制限」だと、塩分不足で身体がだるかったり、集中力が低下することがあるので注意が必要です。
診断基準を満たす膵炎がある場合、肝硬変の場合、
そして長鎖脂肪酸代謝異常症・尿素サイクル異常症は、
糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は相対的に高脂肪食になるので、診断基準を満たしている膵炎の患者さんには適応とならないのです。
進行した肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。
長鎖脂肪酸代謝異常症では、肉や魚などに含まれる長鎖脂肪酸が上手く利用できないので、適応となりません。
尿素サイクル異常症もまれな疾患ですが、
タンパク質の代謝に問題があるので
高タンパク食である糖質制限食は向きません。
腎機能に関して、日本腎臓病学会編「CKD診療ガイド2018」において、eGFR60ml/分以上あれば顕性たんぱく尿の段階でも、
たんぱく質は過剰な摂取をしないという表現となっていて、
制限という記載はなしです。
従いまして、糖尿病腎症第3期でも、eGFR60ml/分以上なら、糖質制限食OKです。
また、米国糖尿病学会(ADA)は
Position Statement on Nutrition Therapy(栄養療法に関する声明)
Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版
において、糖尿病腎症患者に対する蛋白質制限の意義を明確に否定しました。
根拠はランク(A)ですので、信頼度の高いRCT研究論文に基づく見解です。
今後は、糖尿病腎症第3期以降で、eGFRが60ml/分未満の場合も、
患者さんとよく相談して、糖質制限食を実践するか否か、
個別に対応することとなります。
なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、
糖新生能力が低下していることがあり、
まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。
また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。
糖質制限食もその一つですので、
合わないとご自分で判断されたら中止して頂ければ幸いです。
【糖質制限食とは】
米国糖尿病協会(ADA)の患者教育用のテキストブックLife With Diabetes(2004年版)には、以下の記載があります。
「摂取後直接血糖に影響を与えるのは糖質のみである。
糖質は速やかに吸収され、直接100%血糖に変わり、ほぼ120分以内に吸収は終了する。
蛋白質・脂質は、摂取後、直接血糖に影響を及ぼすことはない。
『炭水化物・タンパク質・脂肪はカロリーを含有している。
炭水化物だけが、血糖値に直接影響を及ぼす。』」
これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
1997年版のLife With Diabetes(ADA刊行)では、
「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載がありましたが、2004年版以降は変更されています。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが直接、血糖値を上昇させます。
従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。
脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。
タンパク質はごく少量のインスリンを追加分泌させます。
現在糖尿病において、
食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。
食後高血糖が、
心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。
また一日における、食前・食後・空腹時など
血糖値の変動幅(平均血糖変動幅)が大きいほど、
酸化ストレスが増強し動脈硬化のリスクとなることがわかってきました。
そして、食後高血糖と平均血糖変動幅増大を起こすのは、
三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。
炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には、55.3gの糖質が含まれており、
血糖値を166mg上昇させます。
一方、和牛サーロインステーキ(脂身つき)を200g(約1000キロカロリー)食べても、
糖質含有量は1gもないので、食後血糖は3mg未満の上昇しかないのです。
なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースに、
できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。
抜く必要がある主食とは 、
米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら、
薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、
カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、
一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、
食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、
カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。
なお糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。
日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド2018-2019」の
男性1600~2000kcal
女性1400~1800kcal
ほど厳しいカロリー制限は必要ありませんが、
「日本人の食事摂取基準」(2015年、厚生労働省)
に示す推定エネルギー必要量の範囲、
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf
推定エネルギー必要量(一日あたり)
男性 女性
15-17才 2500 2850 3150 2050 2300 2550kcal
18-29才 2300 2650 3050 1650 1950 2200
30-49才 2300 2650 3050 1750 2000 2300
50-69才 2100 2450 2800 1650 1900 2200
70才 1850 2200 2500 1500 1750 2000
身体活動レベル 低い 普通 高い 低い 普通 高い
くらいが目安です。
そして2013年に糖尿病食事療法に関して画期的な変化がありました。
米国糖尿病学会が、
2013年10月発表の『栄養療法に関する声明』において、
全ての糖尿病患者に適した唯一無二の治療食は存在しないと明記したのです。
これはそのまま、1969年の食品交換表第2版以降一貫して、糖尿病治療食として、
唯一無二の「カロリー制限・高糖質食」を推奨し続けている日本糖尿病学会への
痛烈な批判となっています。
さらに、米国糖尿病学会は『栄養療法に関する声明2013』において
地中海食、ベジタリアン食、DASH食、低脂質食などと共に
「糖質制限食」も正式に受容しました。
このことは糖質制限食を推進する私達にとって、大変大きな追い風となりました。
また米国糖尿病学会は、2019年4月、
「成人糖尿病患者または予備軍患者への栄養療法」コンセンサス・リコメンデーション
において、糖質制限食(Low-carbohydrate eating patterns)が、
最も研究された食事パターンの一つであると明言し、一推しで推奨しています。
2020年4月、「栄養療法」ガイドラインにおいても
『地中海式、低炭水化物、およびベジタリアン食事パターンは、
いずれも研究で良好な結果が示されている 健康的な食事パターンの例である。
個別の食事計画は、個人の好み、ニーズ、 および目標に焦点を当てるべきである。
糖尿病患者の全体的な炭水化物摂取量を減らすことは、
血糖値を改善するために最も多くのエビデンスが示されているので、
個人のニーズや好みに応じた様々な食事パターンに 適用することができる。』
と明言しています。
2021年、2022年、2023年のガイドラインでも同様の見解です。
このように糖質制限食の信頼度はますます高まっています。
なお、門脇孝日本糖尿病学会理事長によれば
東大病院では、2015年4月から、糖質40%の糖質制限食を供給しているそうです。
また門脇孝東大糖尿病・代謝内科教授ご自身も、緩やかな糖質制限食を実践されているとのことです。
2016/7/1(金)
東洋経済オンライン
http://toyokeizai.net/articles/-/125237
<江部康二著 参考図書>
理論
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ」2005年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008年
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009年 宮本輝先生との対談本
「やせる食べ方」2010年
「うちの母は糖尿人」2010年 監修:江部康二 著:伊藤きのと
(東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010年(ナツメ社)
腹いっぱい食べて楽々痩せる『満腹ダイエット』 (ソフトバンク新書)2011年
「主食をやめると健康になる」(ダイヤモンド社)2011年
「血糖コントロールの新常識! 糖質制限 完全ガイド」 (別冊宝島)2012年
「食品別糖質量ハンドブック」2012年(洋泉社)、
「糖質オフ!健康法」(PHP文庫)2012年
「主食を抜けば糖尿病はよくなる!糖質制限食のすすめ」(文春文庫)2012年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」(文春文庫)2012年
「女性のための糖質制限ダイエットハンドブック」2012年(洋泉社)
「糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド」2013年(東洋経済新報社)
「医療の巨大転換を加速する」糖質制限食と湿潤療法のインパクト
2013年(東洋経済新報社) 夏井睦先生との対談本
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ 新版」2014年(東洋経済新報社)
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!2 実践編 新版」2014年(東洋経済新報社)
「炭水化物の食べ過ぎで早死にしてはいけません」2014年(東洋経済新報社)
一生太らない「やせる! 食べ方」2014年 (PHP文庫)
江部先生、「糖質制限は危ない」って本当ですか?2015年(洋泉社)
「なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか」2015年(ナツメ社)
「糖質制限の教科書」2015年(洋泉社)監修
「糖質オフ!健康法」2016年3月(PHP研究所 )
「人類最強の糖質制限論」2016年4月(SB新書)
「ハンディ版糖質制限の教科書」2016年4月(洋泉社)
「増補新版食品別糖質量ハンドブック」2016年6月(洋泉社)
「Dr.江部の健康食の新常識100 」(TJMOOK)2016年11月(宝島社)
マンガでわかる「糖質オフ! 」健康法2016年12月、(PHP研究所 )
外食でやせる! 「糖質オフ」で食べても飲んでも太らない体を手に入れる、2017年4月(毎日新聞出版)
「江部康二の糖質制限革命」2017年4月(東洋経済新報社)
「男・50代からの糖質制限」2018年11月(東洋経済新報社)
「内臓脂肪がストン!とおちる食事術」2019年5月(ダイヤモンド社)
「糖質制限の大百科」2019年7月(洋泉社)
「糖質量&炭水化物量ポケットガイド」電子書籍、2019年8月(SBクリエイティブ)
名医が考えた認知症にならない最強の食事術2020年6月(宝島社)
ダイエット・糖質制限に必携! 食品別糖質量ハンドブック 2020年9月(宝島社)江部 康二 (監修)
医学的に正しい「糖質制限」見るだけノート2020年10月(宝島社)
「体が変わる! 最強の糖質制限食-巣ごもり生活でも太らない! 」2021年2月(学研プラス)江部康二 (著), 沼津りえ (著)
「増補新版 糖質制限の大百科」2021年9月(宝島社)江部康二(監修)
「医者が教える 正しい糖質の減らし方」2022年6月(宝島社)江部康二(監修)
など多数。
レシピ
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006年(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん2009年(アスペクト)
dancyuプレジデントムック 「満腹ダイエット 」 2009年(プレジデント社)
「血糖値を上げない!健康おつまみ109」2010年(東洋経済新報社)
「やせる食べ方レシピ集」 2010年(東洋経済新報社)
「糖質オフダイエット 」2011年(レタスクラブ、角川マーケティング)
「誰もがストレスなくやせられる!糖質制限ダイエット」2011年(講談社)
「主食を抜けば糖尿病はよくなる」レシピ集2011年(東洋経済新報社)
高雄病院の「糖質制限」給食2012年(講談社)
糖尿病がどんどんよくなる「糖質制限食」おすすめレシピ集2012年(ナツメ社)
糖質制限の「主食もどき」レシピ2013年(東洋経済新報社)
高雄病院Dr江部が食べている「糖質制限」ダイエット2013年(講談社)
糖質オフのダイエット弁当2013年(家の光協会)
高雄病院「糖質制限給食」朝 昼 夕 14日間完全プログラム
糖尿病・肥満改善が自宅でできる! 2013年(講談社)
2週間チャレンジ! 糖質制限の太らない生活 2014年(洋泉社mook)
電子レンジで糖質オフの作りおき 2016年10月(宝島社)
「やせぐせがつく糖質オフの作りおき 」2017年3月(宝島社)
「高雄病院の糖質制限作りおき 」2017年5月(洋泉社)
「作りおきおかずで簡単! 朝・昼・晩 糖質オフのダイエット献立」2017年10月 (家の光協会)
「いくら食べても太らない! 旨い酒のつまみ 」2018年5月(宝島社)
「決定版! スグやせ! 糖質オフのラクうまレシピ150」2018年6月(ナツメ社)
「女性のためのラクやせ糖質制限ハンドブック」2018年9月(洋泉社)
「男性のための糖質制限最強ダイエットハンドブック」2018年10月(洋泉社)
「レンチン!糖質オフの作りおきおかず」2018年10月(宝島社)
「魔法のダイエットみそ汁 」 2019年2月(日本文芸社)
「決定版! 作りおき&レンチンで簡単! 糖質オフのやせる! ラクうま弁当350 」 2020年2月(ナツメ社)
「決定版! 作りおき&帰ってすぐできる 糖質オフのやせる! ラクうまレシピ350 」 2020年7月(ナツメ社
江部康二
2023年10月19日 (木)
こんにちは。
おかげ様で、2023年現在、糖質制限食はますます順調に普及してきています。
2005年1月に私が「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)
を日本初の糖質制限食の本として刊行したころとは、大きな違いがあります。
富士経済の調査では、2018年度の糖質オフ・ゼロ市場は前年比4.6%増の3514億円に拡大し、
2019年度は同2.8%増の3612億円だそうです。
2020年、2021年、2022年、2023年と
さらに糖質制限食の市場規模は拡大していると思われます。
なんと言っても、2013年10月に米国糖尿病学会が5年ぶりに改訂した
「栄養療法に関する声明」のなかで、
地中海食やベジタリアン食などどともに「糖質制限食」を正式に容認したことが、
大きな追い風となりました。
そして、2019年4月、米国糖尿病学会は<コンセンサス・リコメンデーション>において、
『糖質制限食は最も研究された食事パターンの一つである』
と明言し、一推しで推奨しました。
2020年、2021年、2022年、2023年のガイドラインにおいても同様の見解です。
日本の糖質制限食シーンにおいてもこれ以上ないほどの大きな追い風です。
現在ではファミリーレストランのガストやリンガーハットでも、くら寿司でも
糖質オフメニューがあります。
ローソンやファミリーマートやセブンイレブンでも、
糖質制限OK食品が販売されています。
2016年7月20日(水)、
NHKクローズアップ現代で糖質制限食が特集されました。
NHKによれば、糖質制限食が空前のブームだそうで、
関連の市場は当時で¥3184億円とのことでした。
私は、糖質制限食はブームではなく、科学的な真実そのものと考えています。
従ってブームのように消え去ることはなく、今後もどんどん繁栄していくと思います。
今や2023年で、糖質制限市場はさらに加速して拡大しています。
中国や台湾や韓国では、既に私の糖質制限食の本の訳本が出版されています。
さて今回は、糖質制限食と糖尿病食の日本の歴史を考察してみました。
<夏目漱石と糖尿病と厳重食>
文豪夏目漱石(1867~1916年)は、糖尿病でした。
大正5年(1916)正月、右の上膊(上腕)神経に強い痛みと右上膊(上腕)の不全麻痺。
薬、マッサージは無効。4月、糖尿病と診断。
教え子の医師真鍋嘉一郎により、5月から、当時の最先端治療の「厳重食」を開始。尿糖は消失。
7月終わりには、右の上膊神経に強い痛みと右上膊の不全麻痺が改善。
神経衰弱の症状も減退。糖尿病も改善。11月、胃潰瘍が再発。
12月9日、胃潰瘍による出血で死亡。
厳重食で、糖尿病と糖尿病神経障害は著明改善ですが、残念ながら胃潰瘍のために死去しています。
<厳重食=スーパー糖質制限食>
昭和13年、18年の女子栄養大学の以下の「厳重食」の解説をみると、まさに、「厳重食=スーパー糖質制限食」です。
『肉類(牛、豚、鶏、魚肉、内臓、心臓、肝臓、舌、膈、腎臓、骨髄)、貝類、卵類(鶏卵、鳥卵、魚卵)、脂肪類(バター類、豚脂、ヘッド、肝油、オリーブ油、ごま油、)、豆類(豆腐、油揚げなど)、
味噌は少量、野菜(含水炭素5%以下)小松菜、京菜、白菜、筍、レタス、蕗、大根、アスパラ、果実(含水炭素の少ないもの)びわ、すもも、苺、いちじく、メロン、パイナップル、パパイヤ、りんご、蜜柑、夏みかん・・・
*梨、ブドウ、柿、バナナはやや糖質が多いので警戒を要する。』
夏目漱石と厳重食1)2)については、
中嶋一雄医師に資料を提供して頂きました。
ありがとうございました。
<日本における糖尿病食事療法の変遷>
日本でも、昭和18年(1943年) 頃は、まだ厳重食のほうが、幅を利かせていたようです。
そして日本糖尿病学会のバイブルのような食品交換表初版が1965年に発行されました。
この時、適正なカロリーということが強調されました、。
解説には、食事療法の原則として
「①適正なカロリー②糖質量の制限③糖質、たんぱく質、脂質のバランス④ビタミンおよびミネラルの適正な補給」
と記載されています。
なんと、2番目には驚くべきことに「糖質量の制限」と明記してあります。
これが、1969年の第2版になると
「①適正なカロリー(カロリーの制限)②糖質、たんぱく質、脂質のバランス③ビタミンおよびミネラルの適正な補給」
と変更されて、
「糖質量の制限」という文言が削除されています。
糖尿病食事療法の原則から、「糖質制限」が消えて、「カロリーの制限」が登場したのが2版です。
これ以降の食品交換表は、2013年、11年ぶりに改訂された第7版にいたるまで、「カロリー制限」一辺倒でした。
2013年10月の米国糖尿病学会の「栄養療法に関する声明」では、全ての糖尿病患者に適した“one-size-fits-all(唯一無二の)”食事パターンは存在しないとの見解を表明しました。
これに対して、日本糖尿病学会は、唯一無二の糖尿病食事療法として「カロリー制限・高糖質食」を、
1969年以来、現在まで推奨し続けています。
<日本における糖質制限食の歴史>
戦前までは、厳重食があったのですが、1969年以降はすっかり消えてしまいました。
その後の糖質制限食の臨床実践は、1999年から釜池医師が宇和島で開始し、
同時に高雄病院でも筆者の兄江部洋一郎医師が開始し有効例を重ねました。
その経験を踏まえ医学文献では、2004年に筆者が本邦初の糖質制限食有効例の報告を行いました3)。
2005年には筆者が本邦初の一般向けの本を出版しました4)。
2006年荒木医師が「断糖宣言」、2007年釜池医師が「糖質ゼロの食事術」を刊行しました。
坂東医師、中村医師は約1000人を肥満外来で治療し糖質制限食の有効性を2008年に報告しました5)。
2009年、2010年、医学雑誌に筆者が小論文を発表しました6)7)。
その後、2012年に山田悟医師、白澤医師、2013年に夏井医師、2014年に渡辺信幸医師、
2015年に宗田医師が一般向け糖質制限食の本を出版しました8)9)10)11)12)。
糖質制限食の広がり、いよいよ加速がついてきて、私も毎年著書を上梓しています13)14)15)16)17)18)19)20)21)22)23)24)25)26)。
1)香川綾: 女子栄養大学「栄養と料理」 第4巻第4号 p46
糖尿病の手当と食餌療法、昭和13年(1938年)
2)香川昇三:女子栄養大学「栄養と料理」 第9巻第5号 p27
糖尿病患者の厳重食、 昭和18年(1943年)
3)江部康二他:糖尿病食事療法として糖質制限食を実施した3症例,
京都医学会雑誌51(1):125-130、2004
4)江部康二:主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ、
2005年(東洋経済新報社)
5)坂東浩,中村巧:カーボカウントと糖質制限食, 治療,90(12):3105-3111,2008
6)江部康二:主食を抜けば(糖質を制限すれば)糖尿病は良くなる!,
治療,91(4):682-683,2009
7)江部康二:低糖質食(糖質制限食carbohydrate restriction)の意義,
内科,105(1):100-103,2010
8)山田悟:糖質制限食のススメ、2012年(東洋経済新報社)
9)白澤卓二:<白澤式>ケトン食事法、2012年(かんき出版)
10)夏井睦:「炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学」、光文社新書、2013年
11)渡辺信幸:日本人だからこそ「ご飯」を食べるな 肉・卵・チーズが健康長寿をつくる 、2014年(講談社)
12)宗田哲男:「ケトン体が人類を救う 糖質制限でなぜ健康になるのか」、光文社新書、2015年
13)江部康二:「人類最強の『糖質制限』論 ケトン体を味方にして痩せる、健康になる」、SB新書、2016年
14)江部康二:外食でやせる! 「糖質オフ」で食べても飲んでも太らない体を手に入れる、2017年(毎日新聞出版)
15)江部康二:「江部康二の糖質制限革命」、2017年(東洋経済新報社)
16)江部康二:「女性のためのラクやせ糖質制限ハンドブック」、2018年(洋泉社)
17)江部康二:「男性のための糖質制限最強ダイエットハンドブック」、2018年(洋泉社)
18)江部康二:「男・50代からの糖質制限」、2018年(東洋経済新報社)
19)江部康二:「内臓脂肪がストン!とおちる食事術」、2019年(ダイヤモンド社)
20)江部康二:「糖質制限の大百科」、2019年(洋泉社)
21)江部康二:「名医が考えた認知症にならない最強の食事術」、2020年(宝島社)
22)江部康二:「ダイエット・糖質制限に必携! 食品別糖質量ハンドブック」、 2020年(宝島社)
23)江部康二:医学的に正しい「糖質制限」見るだけノート」、2020年(宝島社)
24)江部康二:「体が変わる! 最強の糖質制限食-巣ごもり生活でも太らない!」、2021年(学研プラス)
25)江部康二:増補新版「糖質制限の大百科」、2021年(宝島社)
26)江部康二:医者が教える 正しい糖質の減らし方 (TJMOOK) ムック、 2022年(宝島社)
おかげ様で、2023年現在、糖質制限食はますます順調に普及してきています。
2005年1月に私が「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)
を日本初の糖質制限食の本として刊行したころとは、大きな違いがあります。
富士経済の調査では、2018年度の糖質オフ・ゼロ市場は前年比4.6%増の3514億円に拡大し、
2019年度は同2.8%増の3612億円だそうです。
2020年、2021年、2022年、2023年と
さらに糖質制限食の市場規模は拡大していると思われます。
なんと言っても、2013年10月に米国糖尿病学会が5年ぶりに改訂した
「栄養療法に関する声明」のなかで、
地中海食やベジタリアン食などどともに「糖質制限食」を正式に容認したことが、
大きな追い風となりました。
そして、2019年4月、米国糖尿病学会は<コンセンサス・リコメンデーション>において、
『糖質制限食は最も研究された食事パターンの一つである』
と明言し、一推しで推奨しました。
2020年、2021年、2022年、2023年のガイドラインにおいても同様の見解です。
日本の糖質制限食シーンにおいてもこれ以上ないほどの大きな追い風です。
現在ではファミリーレストランのガストやリンガーハットでも、くら寿司でも
糖質オフメニューがあります。
ローソンやファミリーマートやセブンイレブンでも、
糖質制限OK食品が販売されています。
2016年7月20日(水)、
NHKクローズアップ現代で糖質制限食が特集されました。
NHKによれば、糖質制限食が空前のブームだそうで、
関連の市場は当時で¥3184億円とのことでした。
私は、糖質制限食はブームではなく、科学的な真実そのものと考えています。
従ってブームのように消え去ることはなく、今後もどんどん繁栄していくと思います。
今や2023年で、糖質制限市場はさらに加速して拡大しています。
中国や台湾や韓国では、既に私の糖質制限食の本の訳本が出版されています。
さて今回は、糖質制限食と糖尿病食の日本の歴史を考察してみました。
<夏目漱石と糖尿病と厳重食>
文豪夏目漱石(1867~1916年)は、糖尿病でした。
大正5年(1916)正月、右の上膊(上腕)神経に強い痛みと右上膊(上腕)の不全麻痺。
薬、マッサージは無効。4月、糖尿病と診断。
教え子の医師真鍋嘉一郎により、5月から、当時の最先端治療の「厳重食」を開始。尿糖は消失。
7月終わりには、右の上膊神経に強い痛みと右上膊の不全麻痺が改善。
神経衰弱の症状も減退。糖尿病も改善。11月、胃潰瘍が再発。
12月9日、胃潰瘍による出血で死亡。
厳重食で、糖尿病と糖尿病神経障害は著明改善ですが、残念ながら胃潰瘍のために死去しています。
<厳重食=スーパー糖質制限食>
昭和13年、18年の女子栄養大学の以下の「厳重食」の解説をみると、まさに、「厳重食=スーパー糖質制限食」です。
『肉類(牛、豚、鶏、魚肉、内臓、心臓、肝臓、舌、膈、腎臓、骨髄)、貝類、卵類(鶏卵、鳥卵、魚卵)、脂肪類(バター類、豚脂、ヘッド、肝油、オリーブ油、ごま油、)、豆類(豆腐、油揚げなど)、
味噌は少量、野菜(含水炭素5%以下)小松菜、京菜、白菜、筍、レタス、蕗、大根、アスパラ、果実(含水炭素の少ないもの)びわ、すもも、苺、いちじく、メロン、パイナップル、パパイヤ、りんご、蜜柑、夏みかん・・・
*梨、ブドウ、柿、バナナはやや糖質が多いので警戒を要する。』
夏目漱石と厳重食1)2)については、
中嶋一雄医師に資料を提供して頂きました。
ありがとうございました。
<日本における糖尿病食事療法の変遷>
日本でも、昭和18年(1943年) 頃は、まだ厳重食のほうが、幅を利かせていたようです。
そして日本糖尿病学会のバイブルのような食品交換表初版が1965年に発行されました。
この時、適正なカロリーということが強調されました、。
解説には、食事療法の原則として
「①適正なカロリー②糖質量の制限③糖質、たんぱく質、脂質のバランス④ビタミンおよびミネラルの適正な補給」
と記載されています。
なんと、2番目には驚くべきことに「糖質量の制限」と明記してあります。
これが、1969年の第2版になると
「①適正なカロリー(カロリーの制限)②糖質、たんぱく質、脂質のバランス③ビタミンおよびミネラルの適正な補給」
と変更されて、
「糖質量の制限」という文言が削除されています。
糖尿病食事療法の原則から、「糖質制限」が消えて、「カロリーの制限」が登場したのが2版です。
これ以降の食品交換表は、2013年、11年ぶりに改訂された第7版にいたるまで、「カロリー制限」一辺倒でした。
2013年10月の米国糖尿病学会の「栄養療法に関する声明」では、全ての糖尿病患者に適した“one-size-fits-all(唯一無二の)”食事パターンは存在しないとの見解を表明しました。
これに対して、日本糖尿病学会は、唯一無二の糖尿病食事療法として「カロリー制限・高糖質食」を、
1969年以来、現在まで推奨し続けています。
<日本における糖質制限食の歴史>
戦前までは、厳重食があったのですが、1969年以降はすっかり消えてしまいました。
その後の糖質制限食の臨床実践は、1999年から釜池医師が宇和島で開始し、
同時に高雄病院でも筆者の兄江部洋一郎医師が開始し有効例を重ねました。
その経験を踏まえ医学文献では、2004年に筆者が本邦初の糖質制限食有効例の報告を行いました3)。
2005年には筆者が本邦初の一般向けの本を出版しました4)。
2006年荒木医師が「断糖宣言」、2007年釜池医師が「糖質ゼロの食事術」を刊行しました。
坂東医師、中村医師は約1000人を肥満外来で治療し糖質制限食の有効性を2008年に報告しました5)。
2009年、2010年、医学雑誌に筆者が小論文を発表しました6)7)。
その後、2012年に山田悟医師、白澤医師、2013年に夏井医師、2014年に渡辺信幸医師、
2015年に宗田医師が一般向け糖質制限食の本を出版しました8)9)10)11)12)。
糖質制限食の広がり、いよいよ加速がついてきて、私も毎年著書を上梓しています13)14)15)16)17)18)19)20)21)22)23)24)25)26)。
1)香川綾: 女子栄養大学「栄養と料理」 第4巻第4号 p46
糖尿病の手当と食餌療法、昭和13年(1938年)
2)香川昇三:女子栄養大学「栄養と料理」 第9巻第5号 p27
糖尿病患者の厳重食、 昭和18年(1943年)
3)江部康二他:糖尿病食事療法として糖質制限食を実施した3症例,
京都医学会雑誌51(1):125-130、2004
4)江部康二:主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ、
2005年(東洋経済新報社)
5)坂東浩,中村巧:カーボカウントと糖質制限食, 治療,90(12):3105-3111,2008
6)江部康二:主食を抜けば(糖質を制限すれば)糖尿病は良くなる!,
治療,91(4):682-683,2009
7)江部康二:低糖質食(糖質制限食carbohydrate restriction)の意義,
内科,105(1):100-103,2010
8)山田悟:糖質制限食のススメ、2012年(東洋経済新報社)
9)白澤卓二:<白澤式>ケトン食事法、2012年(かんき出版)
10)夏井睦:「炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学」、光文社新書、2013年
11)渡辺信幸:日本人だからこそ「ご飯」を食べるな 肉・卵・チーズが健康長寿をつくる 、2014年(講談社)
12)宗田哲男:「ケトン体が人類を救う 糖質制限でなぜ健康になるのか」、光文社新書、2015年
13)江部康二:「人類最強の『糖質制限』論 ケトン体を味方にして痩せる、健康になる」、SB新書、2016年
14)江部康二:外食でやせる! 「糖質オフ」で食べても飲んでも太らない体を手に入れる、2017年(毎日新聞出版)
15)江部康二:「江部康二の糖質制限革命」、2017年(東洋経済新報社)
16)江部康二:「女性のためのラクやせ糖質制限ハンドブック」、2018年(洋泉社)
17)江部康二:「男性のための糖質制限最強ダイエットハンドブック」、2018年(洋泉社)
18)江部康二:「男・50代からの糖質制限」、2018年(東洋経済新報社)
19)江部康二:「内臓脂肪がストン!とおちる食事術」、2019年(ダイヤモンド社)
20)江部康二:「糖質制限の大百科」、2019年(洋泉社)
21)江部康二:「名医が考えた認知症にならない最強の食事術」、2020年(宝島社)
22)江部康二:「ダイエット・糖質制限に必携! 食品別糖質量ハンドブック」、 2020年(宝島社)
23)江部康二:医学的に正しい「糖質制限」見るだけノート」、2020年(宝島社)
24)江部康二:「体が変わる! 最強の糖質制限食-巣ごもり生活でも太らない!」、2021年(学研プラス)
25)江部康二:増補新版「糖質制限の大百科」、2021年(宝島社)
26)江部康二:医者が教える 正しい糖質の減らし方 (TJMOOK) ムック、 2022年(宝島社)
2023年10月18日 (水)
こんにちは。
1999年に高雄病院で、糖尿病入院患者さんに
糖質制限給食の供給が開始されました。
第二次世界大戦終了以降では、日本で初めてのことです。
その経験をもとに、2005年1月、やはり日本で初めての糖質制限食の本、
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』糖質制限食のすすめ(東洋経済新報社)を上梓しました。
2006年、荒木裕医師が、「断糖宣言!」(エディットハウス)、
2007年、釜池豊秋医師が、
「医者に頼らない! 糖尿病の新常識・糖質ゼロの食事術」(実業之日本社)
を刊行されましたが、ここまでが、糖質制限食草創期の本と言えると思います。
その後、糖質制限食が徐々に広がっていきましたが、
2010年代になると、様々な医師が「糖質制限食」関連の本を
数多く出版するようになりました。
糖質制限食の日本における発展という意味では、望ましいことと言えますが、
各医師の推奨する「糖質制限食」のスタンスが一定異なっていることもあり、
糖質制限食を実践している方々に少々とまどいが見受けられるようです。
今回は、そこらあたりを整理してみたいと思います。
まず、糖質制限食は、美味しく楽しく末長く続けることが大切です。
毎日、朝昼夕と糖質(主食)を食べている場合に比べれば、
1/週とか1/月とかの糖質摂取なら、おおいにましです。
糖尿人であれば、そういうとき、可能なら、グリニド系薬かα-GI薬、
或いはその両者を食直前30秒に内服して
食後高血糖をできるだけ抑えるようにすればいいですね。
私は多数の糖尿人を診察していますが、
きっちりスーパー糖質制限食を実践されて、
血液検査データ全て正常で、薬なし、合併症なしの方も、おられます。
私自身も2002年以来、焼酎やハイボールを飲んで、
肉類や魚貝類をいろいろ食べて、
卵にチーズに豆腐に野菜・海藻・茸を食べて、
糖質制限ピザ、糖質制限ケーキ、糖質制限チョコ・・・を食べて、
2023年10月現在まで、
美味しく楽しく、そしてきっちり長くスーパー糖質制限食を続けています。
勿論、内服薬なしで合併症もなしです。
2007年には業界で初めて“糖質ゼロ”を実現した発泡酒『アサヒスタイルフリー<生>』が発売されました。
2020年10月にキリンが新発売した
「一番搾り 糖質ゼロ」は機能系ビールの先駆けでした。
その後、アサヒやサントリーからも糖質ゼロビールが発売されました。
左党(お酒飲のみ)にとっては、嬉しいことでしたね。
私は全くつらくないので、
今後も末長く糖質制限食を続けることができると思います。
しかしながら、人はなかなか弱いものです。
「わかっちゃいるけど、やめられない」人もまた結構おられます。
私の患者さんでも、どうしても糖質がやめられない人もおられます。
私は糖質制限食の先達の医師として、糖尿病患者さんに、
最良の糖尿病食事療法である糖質制限食を説明して、
糖尿病のコントロールの仕方を指導するのがお仕事です。
糖尿病合併症の話もして、
それを防ぐことができるのは糖質制限食だけであることも説明します。
それを患者さんが受け止めて理解してどう実践するかは、
患者さん自身の仕事であり、私の仕事ではありません。
ですから、私は決して押しつけることはありません。
高雄病院方式の糖質制限食には3パターンがあります。
もちろん
1)スーパー糖質制限食(3食主食なし)
2)スタンダード糖質制限食(2食主食なし)
3)プチ糖質制限食(1食主食なし)
のなかで、
1)が一番効果があることは明らかですのでそれを薦めます。
しかし患者さんによっては、1)ができない人もいます。
そのようなときは、2)でも3)でもいいです。
スーパー糖質制限食では、1回の食事の糖質量は20g以下が目安です。
間食は、1日に1~2回で、1回の糖質量は5g以下が目安です。
糖質制限食は、やらないよりやった方が、例えどのタイプであれ、
糖尿病学会推奨のカロリー制限食(高糖質食)よりは、はるかにましなのです。
私は、ぬるいかもしれませんが、そういうスタンスの医師です。
皆さんが、糖質セイゲニストで優秀な患者さんだったら
糖質制限な医師はとても楽なのですが、現実はそうはいきません。
また、話のしやすい対等感覚の医師もいれば、
残念ながら上から目線の相談しにくい医師もいるのが現実です。
私に関しては、対等感覚の医師を目指しているので、
このブログへのコメント・質問も糖質制限食に関することなら、
初歩的なことも含めて大丈夫、OKです。
反復して似たような質問があっても、
またそれがブログ読者の皆さんの復習になるし新たな勉強にもなります。
糖質制限食に関する知識をインターネットで世界中で共有できて・・・。
それが、私自身の貢献感にもなりますので・・・
さて、日本で実践されている糖質制限食には
A)高雄病院のスーパー糖質制限食(1回の食事の糖質量20g以下)
B)山田悟先生の緩い糖質制限食(1回の食事の糖質量30~40g)
最近は(1回の食事の糖質量20~40gで3食食べ、それとは別に間食を1日あたり10g)
C)釜池豊秋先生の糖質ゼロ食(1日1食で、夕食、糖質は5g以下)
α)荒木裕先生の断糖食
β)渡辺信幸先生のMEC食
などがあり、1回の糖質摂取量設定に違いがあります。
それでは、各糖質制限食のスタンスはどう違うのでしょうか?
まず、A)B)C)について検討してみます。
1)継続し易さと普及に関する配慮
継続し易さ、普及という面からは、普通に考えてB)が一番楽です。
A)はそれに、次いで楽ですし、当初から「スーパー」「スタンダード」「プチ」といったラインナップが設定されていて、
最近は「緩やかな」という選択肢もあるので、
継続し易さと普及ということを重視しているわけです。
C)は、ベストと思う食事療法をストイックに実践するという求道者のスタンスであり、
継続し易さや普及ということは、優先順位としては全く考慮されていません。
つまりC)はやりたい人やれる人が実践すればよいのであって、
やりやすくするというスタンスは皆無です。
従って、A)B)の立場の糖質セイゲニストとC)の立場の求道者とは、
いくら話し合っても折り合いがつくことは不可能ですので、
私も無駄な努力をするつもりはありません。
2)食後高血糖改善効果
食後高血糖改善効果はC)が一番高いです。
A)がその次でB)はかなり劣ります。
C)なら、食後高血糖はほとんどありません。
A)は、臨床的に合併症予防ができるレベル、
食後1時間血糖値180mg/dl未満、食後2時間血糖値140mg/dl未満達成を
目指していて、ほとんどの場合それが可能です。
B)は食後1時間血糖値180mg/dl未満、
食後2時間血糖値140mg/dl未満を達成することは、
困難な糖尿人が多いと思いますが、従来の糖尿病食(高糖質食)よりはましです。
3)追加分泌インスリン
C)は耐糖能正常型の人でも、インスリン追加分泌はごくごく少量です。
A)は耐糖能正常型の人の場合でもインスリン追加分泌は2~3倍レベルですみます。
B)は耐糖能正常型なら、追加分泌インスリンは10倍~20倍レベルでます。
インスリンは人体に絶対必要であり、基礎分泌インスリンがなければヒトは死にます。
しかし、インスリンには発ガンリスクやアルツハイマー病のリスクがあるので、
少量ですむにこしたことはないのです。
従って、B)の場合は、野放しの高糖質食に比べればましですが、
インスリン過剰のリスクがあるていどあることになります。
A)の場合は、人類700万年間の狩猟・採集時代に、
野生の果物、ナッツ類、根茎類を食べたレベルと同程度の追加分泌インスリンなので
許容範囲と思います。
4)問題点
B)は、インスリン分泌が多いこと以外にも、
食後高血糖と平均血糖変動幅増大という酸化ストレスリスクに関しては、
効果が弱いので問題と言えます。
C)は、始めにくいこと、継続しにくいこと、普及しにくいことが問題点です。
5)考察
A)の場合、C)よりは治療効果は若干劣りますが、
殆どの糖尿人において、合併症予防という観点からは、問題ないと思われます。
体重減少効果も同様であり、「継続し易さ」「普及」「治療効果」において
バランスのとれた食事療法と言えます。
B)は、「継続し易さ」「普及」は優れていますが、肝腎の治療効果が劣ることと、
食後高血糖と平均血糖変動幅増大という問題点を抱えています。
C)は、始めにくいこと・継続しにくいこと・普及しにくいことという弱点がありますが、
治療効果は抜群ですので、ビタミンCの摂取(野菜から摂取)に留意して、
個人的にやれる人はやればいいと思います。
結論として、自画自賛になりますが、
高雄病院のスーパー糖質制限食が一番バランスがいいのかなと思います。(^^)
一方、山田悟先生の緩い糖質制限食や釜池豊秋先生の糖質ゼロ食も、
役割分担という視点に立てば、対立するというよりも、
一人一人の嗜好やニーズに応じて、相補的なものと思います。
A)B)C)の3者ともに、
日本糖尿病学会推奨の従来の糖尿病食(高糖質食)に比べれば
治療効果ははるかに高いのですから。
6) α)とβ)について
α)の荒木式は、ほぼスーパー糖質制限食に近いと思います。
ただ、ビールに関して、麦芽とホップだけの本物のビールは
呑んでもよいとされていますが、糖質含有量は、
米・コーン・スターチが含まれている普通のビールと同じだけあるので、
勿論NG食品です。
β)のMEC食も、基本的にはスーパー糖質制限食に近いと思います。
一日に摂るべき食品はM(お肉)・E(卵)・C(チーズ)の三点で、
これらをしっかり食べて、
その上でさらに食べたいと思ったら他の食品(糖質を含む)も
適度にOKということです。
あとは、一口、30回は噛んで食べようということです。
ビタミンCと食物繊維の摂取に注意すれば、MEC食もOKと思います。
ただ糖質を多く摂取すれば当然食後高血糖となるので、注意が必要です。
江部康二
1999年に高雄病院で、糖尿病入院患者さんに
糖質制限給食の供給が開始されました。
第二次世界大戦終了以降では、日本で初めてのことです。
その経験をもとに、2005年1月、やはり日本で初めての糖質制限食の本、
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』糖質制限食のすすめ(東洋経済新報社)を上梓しました。
2006年、荒木裕医師が、「断糖宣言!」(エディットハウス)、
2007年、釜池豊秋医師が、
「医者に頼らない! 糖尿病の新常識・糖質ゼロの食事術」(実業之日本社)
を刊行されましたが、ここまでが、糖質制限食草創期の本と言えると思います。
その後、糖質制限食が徐々に広がっていきましたが、
2010年代になると、様々な医師が「糖質制限食」関連の本を
数多く出版するようになりました。
糖質制限食の日本における発展という意味では、望ましいことと言えますが、
各医師の推奨する「糖質制限食」のスタンスが一定異なっていることもあり、
糖質制限食を実践している方々に少々とまどいが見受けられるようです。
今回は、そこらあたりを整理してみたいと思います。
まず、糖質制限食は、美味しく楽しく末長く続けることが大切です。
毎日、朝昼夕と糖質(主食)を食べている場合に比べれば、
1/週とか1/月とかの糖質摂取なら、おおいにましです。
糖尿人であれば、そういうとき、可能なら、グリニド系薬かα-GI薬、
或いはその両者を食直前30秒に内服して
食後高血糖をできるだけ抑えるようにすればいいですね。
私は多数の糖尿人を診察していますが、
きっちりスーパー糖質制限食を実践されて、
血液検査データ全て正常で、薬なし、合併症なしの方も、おられます。
私自身も2002年以来、焼酎やハイボールを飲んで、
肉類や魚貝類をいろいろ食べて、
卵にチーズに豆腐に野菜・海藻・茸を食べて、
糖質制限ピザ、糖質制限ケーキ、糖質制限チョコ・・・を食べて、
2023年10月現在まで、
美味しく楽しく、そしてきっちり長くスーパー糖質制限食を続けています。
勿論、内服薬なしで合併症もなしです。
2007年には業界で初めて“糖質ゼロ”を実現した発泡酒『アサヒスタイルフリー<生>』が発売されました。
2020年10月にキリンが新発売した
「一番搾り 糖質ゼロ」は機能系ビールの先駆けでした。
その後、アサヒやサントリーからも糖質ゼロビールが発売されました。
左党(お酒飲のみ)にとっては、嬉しいことでしたね。
私は全くつらくないので、
今後も末長く糖質制限食を続けることができると思います。
しかしながら、人はなかなか弱いものです。
「わかっちゃいるけど、やめられない」人もまた結構おられます。
私の患者さんでも、どうしても糖質がやめられない人もおられます。
私は糖質制限食の先達の医師として、糖尿病患者さんに、
最良の糖尿病食事療法である糖質制限食を説明して、
糖尿病のコントロールの仕方を指導するのがお仕事です。
糖尿病合併症の話もして、
それを防ぐことができるのは糖質制限食だけであることも説明します。
それを患者さんが受け止めて理解してどう実践するかは、
患者さん自身の仕事であり、私の仕事ではありません。
ですから、私は決して押しつけることはありません。
高雄病院方式の糖質制限食には3パターンがあります。
もちろん
1)スーパー糖質制限食(3食主食なし)
2)スタンダード糖質制限食(2食主食なし)
3)プチ糖質制限食(1食主食なし)
のなかで、
1)が一番効果があることは明らかですのでそれを薦めます。
しかし患者さんによっては、1)ができない人もいます。
そのようなときは、2)でも3)でもいいです。
スーパー糖質制限食では、1回の食事の糖質量は20g以下が目安です。
間食は、1日に1~2回で、1回の糖質量は5g以下が目安です。
糖質制限食は、やらないよりやった方が、例えどのタイプであれ、
糖尿病学会推奨のカロリー制限食(高糖質食)よりは、はるかにましなのです。
私は、ぬるいかもしれませんが、そういうスタンスの医師です。
皆さんが、糖質セイゲニストで優秀な患者さんだったら
糖質制限な医師はとても楽なのですが、現実はそうはいきません。
また、話のしやすい対等感覚の医師もいれば、
残念ながら上から目線の相談しにくい医師もいるのが現実です。
私に関しては、対等感覚の医師を目指しているので、
このブログへのコメント・質問も糖質制限食に関することなら、
初歩的なことも含めて大丈夫、OKです。
反復して似たような質問があっても、
またそれがブログ読者の皆さんの復習になるし新たな勉強にもなります。
糖質制限食に関する知識をインターネットで世界中で共有できて・・・。
それが、私自身の貢献感にもなりますので・・・
さて、日本で実践されている糖質制限食には
A)高雄病院のスーパー糖質制限食(1回の食事の糖質量20g以下)
B)山田悟先生の緩い糖質制限食(1回の食事の糖質量30~40g)
最近は(1回の食事の糖質量20~40gで3食食べ、それとは別に間食を1日あたり10g)
C)釜池豊秋先生の糖質ゼロ食(1日1食で、夕食、糖質は5g以下)
α)荒木裕先生の断糖食
β)渡辺信幸先生のMEC食
などがあり、1回の糖質摂取量設定に違いがあります。
それでは、各糖質制限食のスタンスはどう違うのでしょうか?
まず、A)B)C)について検討してみます。
1)継続し易さと普及に関する配慮
継続し易さ、普及という面からは、普通に考えてB)が一番楽です。
A)はそれに、次いで楽ですし、当初から「スーパー」「スタンダード」「プチ」といったラインナップが設定されていて、
最近は「緩やかな」という選択肢もあるので、
継続し易さと普及ということを重視しているわけです。
C)は、ベストと思う食事療法をストイックに実践するという求道者のスタンスであり、
継続し易さや普及ということは、優先順位としては全く考慮されていません。
つまりC)はやりたい人やれる人が実践すればよいのであって、
やりやすくするというスタンスは皆無です。
従って、A)B)の立場の糖質セイゲニストとC)の立場の求道者とは、
いくら話し合っても折り合いがつくことは不可能ですので、
私も無駄な努力をするつもりはありません。
2)食後高血糖改善効果
食後高血糖改善効果はC)が一番高いです。
A)がその次でB)はかなり劣ります。
C)なら、食後高血糖はほとんどありません。
A)は、臨床的に合併症予防ができるレベル、
食後1時間血糖値180mg/dl未満、食後2時間血糖値140mg/dl未満達成を
目指していて、ほとんどの場合それが可能です。
B)は食後1時間血糖値180mg/dl未満、
食後2時間血糖値140mg/dl未満を達成することは、
困難な糖尿人が多いと思いますが、従来の糖尿病食(高糖質食)よりはましです。
3)追加分泌インスリン
C)は耐糖能正常型の人でも、インスリン追加分泌はごくごく少量です。
A)は耐糖能正常型の人の場合でもインスリン追加分泌は2~3倍レベルですみます。
B)は耐糖能正常型なら、追加分泌インスリンは10倍~20倍レベルでます。
インスリンは人体に絶対必要であり、基礎分泌インスリンがなければヒトは死にます。
しかし、インスリンには発ガンリスクやアルツハイマー病のリスクがあるので、
少量ですむにこしたことはないのです。
従って、B)の場合は、野放しの高糖質食に比べればましですが、
インスリン過剰のリスクがあるていどあることになります。
A)の場合は、人類700万年間の狩猟・採集時代に、
野生の果物、ナッツ類、根茎類を食べたレベルと同程度の追加分泌インスリンなので
許容範囲と思います。
4)問題点
B)は、インスリン分泌が多いこと以外にも、
食後高血糖と平均血糖変動幅増大という酸化ストレスリスクに関しては、
効果が弱いので問題と言えます。
C)は、始めにくいこと、継続しにくいこと、普及しにくいことが問題点です。
5)考察
A)の場合、C)よりは治療効果は若干劣りますが、
殆どの糖尿人において、合併症予防という観点からは、問題ないと思われます。
体重減少効果も同様であり、「継続し易さ」「普及」「治療効果」において
バランスのとれた食事療法と言えます。
B)は、「継続し易さ」「普及」は優れていますが、肝腎の治療効果が劣ることと、
食後高血糖と平均血糖変動幅増大という問題点を抱えています。
C)は、始めにくいこと・継続しにくいこと・普及しにくいことという弱点がありますが、
治療効果は抜群ですので、ビタミンCの摂取(野菜から摂取)に留意して、
個人的にやれる人はやればいいと思います。
結論として、自画自賛になりますが、
高雄病院のスーパー糖質制限食が一番バランスがいいのかなと思います。(^^)
一方、山田悟先生の緩い糖質制限食や釜池豊秋先生の糖質ゼロ食も、
役割分担という視点に立てば、対立するというよりも、
一人一人の嗜好やニーズに応じて、相補的なものと思います。
A)B)C)の3者ともに、
日本糖尿病学会推奨の従来の糖尿病食(高糖質食)に比べれば
治療効果ははるかに高いのですから。
6) α)とβ)について
α)の荒木式は、ほぼスーパー糖質制限食に近いと思います。
ただ、ビールに関して、麦芽とホップだけの本物のビールは
呑んでもよいとされていますが、糖質含有量は、
米・コーン・スターチが含まれている普通のビールと同じだけあるので、
勿論NG食品です。
β)のMEC食も、基本的にはスーパー糖質制限食に近いと思います。
一日に摂るべき食品はM(お肉)・E(卵)・C(チーズ)の三点で、
これらをしっかり食べて、
その上でさらに食べたいと思ったら他の食品(糖質を含む)も
適度にOKということです。
あとは、一口、30回は噛んで食べようということです。
ビタミンCと食物繊維の摂取に注意すれば、MEC食もOKと思います。
ただ糖質を多く摂取すれば当然食後高血糖となるので、注意が必要です。
江部康二
2023年10月16日 (月)
こんばんは。
少し前ですが、2020年3月12日、
雑誌ターザンに
糖質オフの効果は19世紀から知られていた!
圧巻の糖質オフ年代記。
https://tarzanweb.jp/post-209408
取材・体験・文/Mr.TRAINING(ケンジ)
イラストレーション/more rock art all(ケンジ)、東海林巨樹
という記事が掲載されました。
私も登場しています。
世界の糖質制限食の歴史的経過がよくまとまっていますので、
おおいに参考になります。
ケンジさん、ターザンさん、ありがとうございます。
以下要約して、本ブログ記事としました。
江部康二
糖質制限の歴史(1)1825~1960年
著名な美食家ブリア=サヴァランの代表作『美味礼讃(1825年)』で、「脂肪太りの主たる原因はデンプン質の食品の食べすぎにある。デンプン質の摂取を多少なりとも減らせば、肥満を抑制できる」とはっきり指摘しているそうです
糖質制限食ブームの立役者・ウィリアム・バンティング。
ロンドンの葬儀屋ウィリアム・バンティングが、糖質制限食で1年間で23kgの減量に成功し、自らの体験を『市民に宛てた肥満に関する書簡』という冊子にまとめて1863年に出版しました。
糖尿病を患った文豪・夏目漱石。
https://news.yahoo.co.jp/articles/31a0943299fb97156d315612f7d6fafbb56923a3?page=2
漱石は1916年に糖尿病と診断されて、医師の薦めで「厳重食餌」と呼ばれる食事療法を始めました。内容は、スーパー糖質制限食であり、糖尿病は可「以前したようです。
フレデリック・バンティングがインスリンを発見。
1921年、カナダの医師フレデリック・バンティングと医学生チャールズ・ベストが、
インスリンを発見しました。
糖質制限の歴史(2)1972~1998年
米国の心臓病医ロバート・アトキンス博士は100kgあった自らの減量体験を基に1日の糖質摂取を20gまでにする糖質制限食を提唱しました。
1972年に『アトキンス博士のダイエット・レボリューション』を刊行して
世界中で読まれました。
一方、50年代にアメリカのアンセル・キース博士らが、肉類などの飽和脂肪酸が血中のコレステロール値を上げて心臓病の原因となると報告したことにより、1960~1980年代はアメリカでは脂質悪玉説が一世を風靡しました。
『糖尿病の解決』『シュガーバスター』が、それぞれベストセラーに。
https://news.yahoo.co.jp/articles/31a0943299fb97156d315612f7d6fafbb56923a3?page=3
逆風にめげず、糖質制限食が復活するのは90年代のアメリカでした。
1997年には、1型糖尿病のアメリカの医師リチャード・バーンスタインがベストセラー『糖尿病の解決』を刊行しました。彼は、糖質1日130g以下の食事を糖質制限食と定義したパイオニアの一人です。彼自身は、朝6g、昼12g、夕12gの糖質で、一日に30gの糖質摂取でした。
減量目的での糖質制限食の発展に貢献したのは、1998年にアメリカで発売された『シュガーバスター』で、100万部を超えるベストセラーとなりました。
糖質制限の歴史(3)1999~2007年
日本では1999年に京都・高雄病院で江部洋一郎医師が糖尿病治療に、
愛媛・宇和島で釜池豊秋医師が肥満治療のために糖質制限食を導入しました。
市場に糖質制限食が出回りだす。
2005年、江部洋一郎医師の実弟・江部康二医師が、日本初の糖質制限食の一般書『主食を抜けば糖尿病は良くなる!―糖質制限食のすすめ』を出版。主食など糖質の多い食品を3食ともカットするスーパー糖質制限食を提案しました。この本はロングセラーとなり、以降“糖質制限食”という言葉がメディアに登場し始めました。 この頃から、糖質ゼロの清涼飲料水やビール系飲料がポツポツと市場に出回るようになりました。
糖質制限の歴史(4)2008~2015年
https://news.yahoo.co.jp/articles/31a0943299fb97156d315612f7d6fafbb56923a3?page=4
2008年には、アメリカ糖尿病学会(ADA)が、肥満の糖尿病患者に限り、1年間の期限付きで糖質制限食を認めました。その後ADAは段階的に許容範囲を広げて、とうとう2013年には、肥満の有無に限らず、糖質制限食の有効性を全面的に認めるようになりました。った。2019年4月以降は、ADAは『エビデンスが最も多いのは糖質制限食である』と明言しています。
ちなみに、日本糖尿病学会は、糖質制限食をオフィシャルには認めていません。
2012年、Tarzan本誌が初めて一冊丸ごと糖質制限食を特集。
2012年1月に京都で日本病態栄養学会年次学術集会という権威のある集まりがあり、「糖尿病治療に低炭水化物食は是か? 非か?」というディベートが行われました。是側の演者は、江部康二であり、非側は久保明医師で、座長は門脇孝日本糖尿病学会理事長でした。ディベートは江部康二の圧勝となりました。
日本で初めて、公の場で糖質制限食が取り上げられたという意味では画期的な出来事でした。この学会の内容が、Tarzanの一冊丸ごと特集号と
なったようです。
続いて日本における糖質制限食の普及にインパクトが大きかったのは、北里大学北里研究所病院の山田悟糖尿病センター長が、緩やかな糖質制限食を「ロカボ」と名付けて提案したことです。ロカボとはローカーボ(低糖質)のカジュアルな呼び名です。糖質を1食20~40g+間食10gで1日70~130g以内に抑える方法です。ご飯やパンなどを適度に楽しみつつ、減量や糖尿病改善も期待できるため、取り入れる人が増えています。
糖質制限食は年々進化と広がりを見せて、コンビニやファストフードまで拡大中です。中食や外食でも、目的や体質に応じて糖質の摂取量を好きにコントロールしやすい時代になってきました。「お米を食べないなんて頭がおかしい!」と変人扱いされた頃からすると隔世の感があります。最新の調査でも、成人男性の3人に1人、成人女性の5人に1人以上は肥満であり、糖尿病患者も一向に減りません。糖質制限食の役割は、今後より大きくなりそうです。
少し前ですが、2020年3月12日、
雑誌ターザンに
糖質オフの効果は19世紀から知られていた!
圧巻の糖質オフ年代記。
https://tarzanweb.jp/post-209408
取材・体験・文/Mr.TRAINING(ケンジ)
イラストレーション/more rock art all(ケンジ)、東海林巨樹
という記事が掲載されました。
私も登場しています。
世界の糖質制限食の歴史的経過がよくまとまっていますので、
おおいに参考になります。
ケンジさん、ターザンさん、ありがとうございます。
以下要約して、本ブログ記事としました。
江部康二
糖質制限の歴史(1)1825~1960年
著名な美食家ブリア=サヴァランの代表作『美味礼讃(1825年)』で、「脂肪太りの主たる原因はデンプン質の食品の食べすぎにある。デンプン質の摂取を多少なりとも減らせば、肥満を抑制できる」とはっきり指摘しているそうです
糖質制限食ブームの立役者・ウィリアム・バンティング。
ロンドンの葬儀屋ウィリアム・バンティングが、糖質制限食で1年間で23kgの減量に成功し、自らの体験を『市民に宛てた肥満に関する書簡』という冊子にまとめて1863年に出版しました。
糖尿病を患った文豪・夏目漱石。
https://news.yahoo.co.jp/articles/31a0943299fb97156d315612f7d6fafbb56923a3?page=2
漱石は1916年に糖尿病と診断されて、医師の薦めで「厳重食餌」と呼ばれる食事療法を始めました。内容は、スーパー糖質制限食であり、糖尿病は可「以前したようです。
フレデリック・バンティングがインスリンを発見。
1921年、カナダの医師フレデリック・バンティングと医学生チャールズ・ベストが、
インスリンを発見しました。
糖質制限の歴史(2)1972~1998年
米国の心臓病医ロバート・アトキンス博士は100kgあった自らの減量体験を基に1日の糖質摂取を20gまでにする糖質制限食を提唱しました。
1972年に『アトキンス博士のダイエット・レボリューション』を刊行して
世界中で読まれました。
一方、50年代にアメリカのアンセル・キース博士らが、肉類などの飽和脂肪酸が血中のコレステロール値を上げて心臓病の原因となると報告したことにより、1960~1980年代はアメリカでは脂質悪玉説が一世を風靡しました。
『糖尿病の解決』『シュガーバスター』が、それぞれベストセラーに。
https://news.yahoo.co.jp/articles/31a0943299fb97156d315612f7d6fafbb56923a3?page=3
逆風にめげず、糖質制限食が復活するのは90年代のアメリカでした。
1997年には、1型糖尿病のアメリカの医師リチャード・バーンスタインがベストセラー『糖尿病の解決』を刊行しました。彼は、糖質1日130g以下の食事を糖質制限食と定義したパイオニアの一人です。彼自身は、朝6g、昼12g、夕12gの糖質で、一日に30gの糖質摂取でした。
減量目的での糖質制限食の発展に貢献したのは、1998年にアメリカで発売された『シュガーバスター』で、100万部を超えるベストセラーとなりました。
糖質制限の歴史(3)1999~2007年
日本では1999年に京都・高雄病院で江部洋一郎医師が糖尿病治療に、
愛媛・宇和島で釜池豊秋医師が肥満治療のために糖質制限食を導入しました。
市場に糖質制限食が出回りだす。
2005年、江部洋一郎医師の実弟・江部康二医師が、日本初の糖質制限食の一般書『主食を抜けば糖尿病は良くなる!―糖質制限食のすすめ』を出版。主食など糖質の多い食品を3食ともカットするスーパー糖質制限食を提案しました。この本はロングセラーとなり、以降“糖質制限食”という言葉がメディアに登場し始めました。 この頃から、糖質ゼロの清涼飲料水やビール系飲料がポツポツと市場に出回るようになりました。
糖質制限の歴史(4)2008~2015年
https://news.yahoo.co.jp/articles/31a0943299fb97156d315612f7d6fafbb56923a3?page=4
2008年には、アメリカ糖尿病学会(ADA)が、肥満の糖尿病患者に限り、1年間の期限付きで糖質制限食を認めました。その後ADAは段階的に許容範囲を広げて、とうとう2013年には、肥満の有無に限らず、糖質制限食の有効性を全面的に認めるようになりました。った。2019年4月以降は、ADAは『エビデンスが最も多いのは糖質制限食である』と明言しています。
ちなみに、日本糖尿病学会は、糖質制限食をオフィシャルには認めていません。
2012年、Tarzan本誌が初めて一冊丸ごと糖質制限食を特集。
2012年1月に京都で日本病態栄養学会年次学術集会という権威のある集まりがあり、「糖尿病治療に低炭水化物食は是か? 非か?」というディベートが行われました。是側の演者は、江部康二であり、非側は久保明医師で、座長は門脇孝日本糖尿病学会理事長でした。ディベートは江部康二の圧勝となりました。
日本で初めて、公の場で糖質制限食が取り上げられたという意味では画期的な出来事でした。この学会の内容が、Tarzanの一冊丸ごと特集号と
なったようです。
続いて日本における糖質制限食の普及にインパクトが大きかったのは、北里大学北里研究所病院の山田悟糖尿病センター長が、緩やかな糖質制限食を「ロカボ」と名付けて提案したことです。ロカボとはローカーボ(低糖質)のカジュアルな呼び名です。糖質を1食20~40g+間食10gで1日70~130g以内に抑える方法です。ご飯やパンなどを適度に楽しみつつ、減量や糖尿病改善も期待できるため、取り入れる人が増えています。
糖質制限食は年々進化と広がりを見せて、コンビニやファストフードまで拡大中です。中食や外食でも、目的や体質に応じて糖質の摂取量を好きにコントロールしやすい時代になってきました。「お米を食べないなんて頭がおかしい!」と変人扱いされた頃からすると隔世の感があります。最新の調査でも、成人男性の3人に1人、成人女性の5人に1人以上は肥満であり、糖尿病患者も一向に減りません。糖質制限食の役割は、今後より大きくなりそうです。
2023年10月15日 (日)
こんにちは。
新型コロナウイルス感染症の位置づけは、以前は「2類相当」でしたが、
2023年5月8日に「5類」になりました。
つまりインフルエンザと同等ということになり、ほぼ普通に外出できることとなりました。
2類という位置づけのときは、
新型コロナによる自粛で、
外出が減って運動不足で『コロナ太り』したとか、
私の糖尿病患者さんでもかなりの人が仰ってました。
また、飲み会、女子会などコミュニケーション機会が減って
『コロナうつ』だと仰る方も時におられました。
まあ、本格的うつ病というよりは、
うつ状態、うつ傾向といった軽いものですが・・・。
それでは糖尿病という病気と心理的な問題は、何か関係あるのでしょうか?
以下、考察してみました。
糖尿病の治療というと、
<厳格なカロリー制限の食事療法、
お酒は飲んではだめ、運動療法、内服薬、インス
リン注射・・・>
複雑で時間がかかり制限と苦痛を伴う治療を、
長期間続けなくてはならないのですから、糖尿人は結構大変です。
このように、経済的にも肉体的にも一定の負担があり、
結果として心理的負担もかなり大きいので当然気分も滅入りやすいし、
うつにもなりやすいのです。
しかもカロリー制限の食事療法を続けている限りは、HbA1c 6.9%
以下のコントロール良好を達成できている糖尿人は、
インスリンを打っても薬を飲んでも、統計的には約半分です。
つまり、現状では、半分の糖尿人は血糖コントロール不良で、
医師や栄養士から無言の非難を浴びている感じがしますし、
自分でも言われたとおりにちゃんと食事も運動もしているのに
「なぜだー!」という心境でしょう。
こうなると投げやりになったり、うつっぽくなっても不思議ではありませんね。
実際、糖尿病とうつ病ですが、Diabetes Care という米国の医学雑誌に
『糖尿病患者はうつ病になるリスクが2倍も高い』
という論文が載ったことがあります。
つまり、糖尿人はうつになりやすいようですし、また厄介なことに、
うつがあると糖尿病も悪化しやすいという側面もあります。
うつがあると運動不足、肥満などが出現しやすく、インスリン抵抗性が増します。
また、うつにより治療へのコンプライアンスの悪さもでてきます。
これらにより糖尿病が悪化するのです。
また、たとえHbA1cが基準値内でも、
普通の糖尿病食(カロリー制限高糖質食)で、
血糖値が急に上昇したり下がったりする『質の悪いHbA1c』だと、
心理的に不安定になりやすく、うつ状態にもなりやすいのです。
ここまで糖尿人にとってやや暗いお話でしたが、救いはあります。
つまり、逆に言えば、うつ病の治療をきっちりすることで、
糖尿病が改善することもあるということですね。
そして、高雄病院お奨めの『糖質制限食』だと、カロリー計算は要らないし、
お酒も飲めるし、お肉もお魚も食べ放題。運動もしたくない方はしなくてもOKです。
HbA1cも、血糖変動幅が最小限ですむ『質の良いHbA1c』です。
カロリー制限の糖尿病食に比べれば、面倒くささや制約が殆どありません。
糖質摂取さえ制限すればあとは自由ですので、長期に渡って実践でき、
苦痛は少なく、心理的にはずいぶん楽ですね。 (^^)
私もスーパー糖質制限食がベースで、
たまに、ごく少量の果物を摂取するパターンですが、つらさは全くありません。
糖質制限食なら血糖変動幅の上昇がほとんどないので、
代謝が安定しますし、心理的にも安定します。
うつもスーパー糖質制限食で改善することが多いですが、
その改善の度合いには個人差があります。
お魚をたくさん食べればEPAやDHAも豊富に摂取されるので、
脳の活動にもプラスに働きます。
糖尿人の皆さん、是非とも、
美味しく楽しく末長く糖質制限食を実践してくださいね。
江部康二
新型コロナウイルス感染症の位置づけは、以前は「2類相当」でしたが、
2023年5月8日に「5類」になりました。
つまりインフルエンザと同等ということになり、ほぼ普通に外出できることとなりました。
2類という位置づけのときは、
新型コロナによる自粛で、
外出が減って運動不足で『コロナ太り』したとか、
私の糖尿病患者さんでもかなりの人が仰ってました。
また、飲み会、女子会などコミュニケーション機会が減って
『コロナうつ』だと仰る方も時におられました。
まあ、本格的うつ病というよりは、
うつ状態、うつ傾向といった軽いものですが・・・。
それでは糖尿病という病気と心理的な問題は、何か関係あるのでしょうか?
以下、考察してみました。
糖尿病の治療というと、
<厳格なカロリー制限の食事療法、
お酒は飲んではだめ、運動療法、内服薬、インス
リン注射・・・>
複雑で時間がかかり制限と苦痛を伴う治療を、
長期間続けなくてはならないのですから、糖尿人は結構大変です。
このように、経済的にも肉体的にも一定の負担があり、
結果として心理的負担もかなり大きいので当然気分も滅入りやすいし、
うつにもなりやすいのです。
しかもカロリー制限の食事療法を続けている限りは、HbA1c 6.9%
以下のコントロール良好を達成できている糖尿人は、
インスリンを打っても薬を飲んでも、統計的には約半分です。
つまり、現状では、半分の糖尿人は血糖コントロール不良で、
医師や栄養士から無言の非難を浴びている感じがしますし、
自分でも言われたとおりにちゃんと食事も運動もしているのに
「なぜだー!」という心境でしょう。
こうなると投げやりになったり、うつっぽくなっても不思議ではありませんね。
実際、糖尿病とうつ病ですが、Diabetes Care という米国の医学雑誌に
『糖尿病患者はうつ病になるリスクが2倍も高い』
という論文が載ったことがあります。
つまり、糖尿人はうつになりやすいようですし、また厄介なことに、
うつがあると糖尿病も悪化しやすいという側面もあります。
うつがあると運動不足、肥満などが出現しやすく、インスリン抵抗性が増します。
また、うつにより治療へのコンプライアンスの悪さもでてきます。
これらにより糖尿病が悪化するのです。
また、たとえHbA1cが基準値内でも、
普通の糖尿病食(カロリー制限高糖質食)で、
血糖値が急に上昇したり下がったりする『質の悪いHbA1c』だと、
心理的に不安定になりやすく、うつ状態にもなりやすいのです。
ここまで糖尿人にとってやや暗いお話でしたが、救いはあります。
つまり、逆に言えば、うつ病の治療をきっちりすることで、
糖尿病が改善することもあるということですね。
そして、高雄病院お奨めの『糖質制限食』だと、カロリー計算は要らないし、
お酒も飲めるし、お肉もお魚も食べ放題。運動もしたくない方はしなくてもOKです。
HbA1cも、血糖変動幅が最小限ですむ『質の良いHbA1c』です。
カロリー制限の糖尿病食に比べれば、面倒くささや制約が殆どありません。
糖質摂取さえ制限すればあとは自由ですので、長期に渡って実践でき、
苦痛は少なく、心理的にはずいぶん楽ですね。 (^^)
私もスーパー糖質制限食がベースで、
たまに、ごく少量の果物を摂取するパターンですが、つらさは全くありません。
糖質制限食なら血糖変動幅の上昇がほとんどないので、
代謝が安定しますし、心理的にも安定します。
うつもスーパー糖質制限食で改善することが多いですが、
その改善の度合いには個人差があります。
お魚をたくさん食べればEPAやDHAも豊富に摂取されるので、
脳の活動にもプラスに働きます。
糖尿人の皆さん、是非とも、
美味しく楽しく末長く糖質制限食を実践してくださいね。
江部康二
2023年10月14日 (土)
こんにちは。
<炭水化物=糖質+食物繊維>
です。
そして、
『①糖質は人体に消化吸収されて血糖値を上げてエネルギーも含有する。』
『②食物繊維は消化吸収されず血糖値を上げずエネルギーも含有しない。』
というのが、一般的な理解です。
①は正しいのですが、
②は正確ではありません。
確かに、食物繊維は人体には吸収されませんが、
腸内細菌の餌となるものがあります。
腸内細菌は食物繊維を餌にして短鎖脂肪酸を産生しますが、
それがエネルギーを含有しているのです。
つまり、血糖値は上昇させませんが、
エネルギーは含有している食物繊維があるのです。
実は、食物繊維のエネルギー換算は、
0kcal/g、1kcal/g、2kcal/gの三群があります。
食物繊維の発酵・分解性はその種類によって異なっているので、三群に大別されるのです。
ペクチンのように腸内細菌によって容易に発酵・分解され、短鎖脂肪酸を産生して、エネルギーを供給するもの、
セルロースのように腸内細菌による発酵・分解をほとんど受けず、
短鎖脂肪酸を生成しないもの、これらの中間的なものがあります。
一般財団法人日本食品分析センター
Japan Food Research Laboratories
No.34 Jul. 2003
食物繊維の熱量(エネルギー)について
によれば、
平成15年2月17日付の厚生労働省の2種の通知
『「栄養表示基準等の取扱いについて」の 一部改正について』(食新発 第 0217001 号)ならびに
『「栄養表示基準における栄養成分等の 分析方法等について」の一部改正について』(食新発 第 0217002 号)により、
栄養表示基準に おける食物繊維の熱量(エネルギー)の取扱いが改正されました。
食物繊維は最大で1g 当たり2kcal であり、大腸内の腸内細菌による 発酵・分解を受け難いものでは、
その発酵・分解性に応じて1g 当たり1kcal あるいは0kcal とされたようです。
奥ら(*)は、
食物繊維の発酵・分解性に基づいて食物繊維素材のエネルギー換算係数を決めるに当たっての基準として
以下を提案しています。
①発酵・分解率が 75%以上のもの2 kcal/g
②発酵・分解率が 25%以上,75%未満のもの 1 kcal/g
③発酵・分解率が 25%未満のもの0 kcal/g
市販食物繊維素材のエネルギー換算係数(奥らの表を簡略化して以下作成)
① 2kcal/g: タマリンドシードガム、グァーガム、
グァーガム酵素分解物
小麦胚芽、湿熱処理でんぷん(難消化性でんぷん)、
水溶性大豆食物繊維(WSSF)、プルラン
② 1kcal/g: アラビアガム、難消化性デキストリン、
ビートファイバー
③ 0kcal/g: 低分子化アルギン酸ナトリウム、寒天、
キサンタンガム、ジェランガム、サイリウム種皮、
セルロース、ポリデキストロース
☆☆☆
コーンファイバー、水溶性コーンファイバー(アラビノキシラン)、小麦ふすま、specialty dextrin、
難消化性でんぷんに関しては、データが少なかったが暫定的に、2kcal/gを用いる。
参考文献(*)
奥 恒行,山田 和彦,金谷 建一郎:日本食物繊維研究会誌,6,81-86(2002)
江部康二
<炭水化物=糖質+食物繊維>
です。
そして、
『①糖質は人体に消化吸収されて血糖値を上げてエネルギーも含有する。』
『②食物繊維は消化吸収されず血糖値を上げずエネルギーも含有しない。』
というのが、一般的な理解です。
①は正しいのですが、
②は正確ではありません。
確かに、食物繊維は人体には吸収されませんが、
腸内細菌の餌となるものがあります。
腸内細菌は食物繊維を餌にして短鎖脂肪酸を産生しますが、
それがエネルギーを含有しているのです。
つまり、血糖値は上昇させませんが、
エネルギーは含有している食物繊維があるのです。
実は、食物繊維のエネルギー換算は、
0kcal/g、1kcal/g、2kcal/gの三群があります。
食物繊維の発酵・分解性はその種類によって異なっているので、三群に大別されるのです。
ペクチンのように腸内細菌によって容易に発酵・分解され、短鎖脂肪酸を産生して、エネルギーを供給するもの、
セルロースのように腸内細菌による発酵・分解をほとんど受けず、
短鎖脂肪酸を生成しないもの、これらの中間的なものがあります。
一般財団法人日本食品分析センター
Japan Food Research Laboratories
No.34 Jul. 2003
食物繊維の熱量(エネルギー)について
によれば、
平成15年2月17日付の厚生労働省の2種の通知
『「栄養表示基準等の取扱いについて」の 一部改正について』(食新発 第 0217001 号)ならびに
『「栄養表示基準における栄養成分等の 分析方法等について」の一部改正について』(食新発 第 0217002 号)により、
栄養表示基準に おける食物繊維の熱量(エネルギー)の取扱いが改正されました。
食物繊維は最大で1g 当たり2kcal であり、大腸内の腸内細菌による 発酵・分解を受け難いものでは、
その発酵・分解性に応じて1g 当たり1kcal あるいは0kcal とされたようです。
奥ら(*)は、
食物繊維の発酵・分解性に基づいて食物繊維素材のエネルギー換算係数を決めるに当たっての基準として
以下を提案しています。
①発酵・分解率が 75%以上のもの2 kcal/g
②発酵・分解率が 25%以上,75%未満のもの 1 kcal/g
③発酵・分解率が 25%未満のもの0 kcal/g
市販食物繊維素材のエネルギー換算係数(奥らの表を簡略化して以下作成)
① 2kcal/g: タマリンドシードガム、グァーガム、
グァーガム酵素分解物
小麦胚芽、湿熱処理でんぷん(難消化性でんぷん)、
水溶性大豆食物繊維(WSSF)、プルラン
② 1kcal/g: アラビアガム、難消化性デキストリン、
ビートファイバー
③ 0kcal/g: 低分子化アルギン酸ナトリウム、寒天、
キサンタンガム、ジェランガム、サイリウム種皮、
セルロース、ポリデキストロース
☆☆☆
コーンファイバー、水溶性コーンファイバー(アラビノキシラン)、小麦ふすま、specialty dextrin、
難消化性でんぷんに関しては、データが少なかったが暫定的に、2kcal/gを用いる。
参考文献(*)
奥 恒行,山田 和彦,金谷 建一郎:日本食物繊維研究会誌,6,81-86(2002)
江部康二
2023年10月12日 (木)
こんにちは。
としのさんの疑問に対して、田村亮先生から、適切なご回答を頂きました。
田村先生、ありがとうございます。
【23/10/11
としの
ありがとうございます先生、
糖質制限のエビデンスを網羅頂き誠にありがとうございました!
未だに分からないのが、
名古屋大学の論文で何故高糖質摂取の健康男性の死亡率が高くならなかったのか、
という事です。
不健康な食生活が目に浮かぶのですが。
サブ解析が出ればいいと思っています。】
【23/10/12
田村 亨
おはようございます。
この名古屋大の報告は、
食事把握が最初の1回のみで、しかもいつもの頻度調査(FFQ)であり、
信頼度は低いです。
特に気にすることは無いと思います。】
それでは、
今回は、糖質制限食の長期的安全性と根拠となる信頼度の高い論文を紹介したいと思います。
糖質制限食の長期的安全性と根拠となる信頼度の高い論文
さて医学においてディベート(討論)を行うとき、現時点ではEBMにより根拠を明らかにする必要があります。
例えば、「糖質制限食の長期的安全性に関して是か?非か?」といった主題で、
是側と非側が、EBMに基づいてディベートを行うわけです。
evidence based medicine(証拠に基づく医学)→略してEBM
EBMが現在、医学界を席巻しています。
医学界において、evidence(エビデンス、証拠、根拠)となるのは、基本的に医学雑誌に掲載された論文です。
ニューイングランド・ジャーナル、ランセット、米国医師会雑誌など、
定評ある医学専門誌に掲載された論文であることも、evidence(エビデンス、証拠)の大きな要素となります。
その論文も
①無作為割り付け臨床試験(RCT)
②前向きコホート研究
③コホート内症例割り付け研究
④後ろ向けコホート研究
⑤症例対照研究
⑥地域相関研究
⑦時系列研究
⑧症例報告
⑨実証的研究に基づかない権威者の意見
といった順番で、信頼度に差をつけられています。
結局、根拠となるEBMとしては、現実にはこれらの中で
①無作為割り付け臨床試験(RCT)
②前向きコホート研究
の二つだけとなります。
以下に、EBMとして信頼度の高い長期の研究を列挙します。
いずれも、糖質制限食の長期的安全性を保証する論文です。
1)はRCT論文で8年間であり、信頼度はトップランクの研究です。
2)3)4)5)は前向きコホート研究であり、信頼度は上から二番目です。
糖質制限食の長期的安全性の肯定に関しては、
EBMに基づき少なくとも五つの信頼度の高い研究論文が存在するわけです。
なおこれらの論文は、スーパー糖質制限食に関するものではありません。
普通に食事をしている集団(糖質も食べている)において、
糖質を多く食べている群と比較的少ない群を比較したものです。
例えば
2)は
炭水化物摂取比率36.8±6.1%グループと58.8±7.0%のグループの比較です。
炭水化物摂取の多いグループは冠動脈疾患リスクが増加です。
4)は
糖質摂取比率51.5%のグループと糖質摂取比率72.7%のグループの比較です。
糖質摂取比率が一番少ない51.5%のグループは一番多い72.7%のグループに比較すると
心血管死のリスクが59%しかありません。
いずれも糖質大量摂取の弊害(心血管リスク)を如実に示しています。
結果として糖質摂取が少ないほど心血管リスク軽減において有利になることも示しています。
長期の研究
1)RCT論文
低糖質地中海食(LCMD)。8年間RCT論文。
糖質50%未満のLCMD群と低脂肪群の比較。
女性は1800kcal/日。男性は1800kcal/日。
新たに診断された2型糖尿病患者では、LCMDは低脂肪食と比較して、
HbA1cレベルの大きな減少、糖尿病の寛解率が高く、糖尿病治療薬の導入を遅らせた。
Diabetes Care. 2014 Jul;37(7):1824-30.
The effects of a Mediterranean diet on the need for diabetes drugs and remission of newly diagnosed type 2 diabetes: follow-up of a randomized trial.
2)前向きコホート研究
低炭水化物・高脂肪・高タンパク食に冠動脈疾患のリスクなし
一方総炭水化物摂取量は冠動脈疾患リスクの中等度増加に関連していた。
高GLは冠動脈疾患リスク増加と強く関連していた。
ニューイングランドジャーナルのコホート研究
82802人 20年間 2006年掲載 ハーバード大学
炭水化物摂取比率36.8±6.1%グループと58.8±7.0%のグループの比較。
Halton TL, et al. Low-carbohydrate-diet score and the risk of coronary heart disease in women. New England Journal of Medicine 2006;355:1991-2002.
3)前向きコホート研究
21論文、約35万人をメタアナリシスして、
5~23年追跡して1.1万人の脳心血管イベントが発生。
飽和脂肪摂取量と脳心血管イベントハザード比を検証してみると、
飽和脂肪酸摂取量と脳心血管イベント発生は、関係がないことが判明。
Siri-Tarino, P.W., et al., Meta-analysis of prospective cohort studies evaluating the association of saturated fat with cardiovascular disease. Am J Clin Nutr, 2010. 91(3): p. 535-46.
4)前向きコホート研究
「糖質制限食の安全性にエビデンス」
前向きコホート試験NIPPON DATA80 29年間 中村保幸
第10分位(糖質摂取比率51.5%)のグループは、
第1分位(糖質摂取比率72.7%)のグループに比べて女性においては心血管死のリスクが、
59%しかないという素晴らしい結論で、糖質制限食の圧勝。
Br J Nutr 2014; 112: 916-924
5)前向きコホート研究
上海コホート研究
「糖質摂取量により4群に分けて、糖質摂取量が多いほど心血管疾患の発症リスクが高い」
11万7366人を対象に、調べた研究。
女性が6万4,854人で、平均追跡期間が9.8年。
男性が5万2,512人で、平均追跡期間が5.4年。
女性 心血管発症リスク
1、糖質摂取量264g/日未満 ---------- 1.00
2、糖質摂取量264g~282g/日未満-------- 1.19
3、糖質摂取量282g~299g/日未満-------- 1.76
4、糖質摂取量299g/日以上 ----------- 2.41
男性 心血管発症リスク
1、糖質摂取量296g/日未満 ------------ 1.00
2、糖質摂取量296g~319g/日未満 ---------- 1.50
3、糖質摂取量319g~339g/日未満 ---------- 2.22
4、糖質摂取量339g/日以上
Am J Epidemiol. 2013 Nov 15;178(10):1542-9.
Dietary carbohydrates, refined grains, glycemic load, and risk of coronary heart disease in Chinese adults.
としのさんの疑問に対して、田村亮先生から、適切なご回答を頂きました。
田村先生、ありがとうございます。
【23/10/11
としの
ありがとうございます先生、
糖質制限のエビデンスを網羅頂き誠にありがとうございました!
未だに分からないのが、
名古屋大学の論文で何故高糖質摂取の健康男性の死亡率が高くならなかったのか、
という事です。
不健康な食生活が目に浮かぶのですが。
サブ解析が出ればいいと思っています。】
【23/10/12
田村 亨
おはようございます。
この名古屋大の報告は、
食事把握が最初の1回のみで、しかもいつもの頻度調査(FFQ)であり、
信頼度は低いです。
特に気にすることは無いと思います。】
それでは、
今回は、糖質制限食の長期的安全性と根拠となる信頼度の高い論文を紹介したいと思います。
糖質制限食の長期的安全性と根拠となる信頼度の高い論文
さて医学においてディベート(討論)を行うとき、現時点ではEBMにより根拠を明らかにする必要があります。
例えば、「糖質制限食の長期的安全性に関して是か?非か?」といった主題で、
是側と非側が、EBMに基づいてディベートを行うわけです。
evidence based medicine(証拠に基づく医学)→略してEBM
EBMが現在、医学界を席巻しています。
医学界において、evidence(エビデンス、証拠、根拠)となるのは、基本的に医学雑誌に掲載された論文です。
ニューイングランド・ジャーナル、ランセット、米国医師会雑誌など、
定評ある医学専門誌に掲載された論文であることも、evidence(エビデンス、証拠)の大きな要素となります。
その論文も
①無作為割り付け臨床試験(RCT)
②前向きコホート研究
③コホート内症例割り付け研究
④後ろ向けコホート研究
⑤症例対照研究
⑥地域相関研究
⑦時系列研究
⑧症例報告
⑨実証的研究に基づかない権威者の意見
といった順番で、信頼度に差をつけられています。
結局、根拠となるEBMとしては、現実にはこれらの中で
①無作為割り付け臨床試験(RCT)
②前向きコホート研究
の二つだけとなります。
以下に、EBMとして信頼度の高い長期の研究を列挙します。
いずれも、糖質制限食の長期的安全性を保証する論文です。
1)はRCT論文で8年間であり、信頼度はトップランクの研究です。
2)3)4)5)は前向きコホート研究であり、信頼度は上から二番目です。
糖質制限食の長期的安全性の肯定に関しては、
EBMに基づき少なくとも五つの信頼度の高い研究論文が存在するわけです。
なおこれらの論文は、スーパー糖質制限食に関するものではありません。
普通に食事をしている集団(糖質も食べている)において、
糖質を多く食べている群と比較的少ない群を比較したものです。
例えば
2)は
炭水化物摂取比率36.8±6.1%グループと58.8±7.0%のグループの比較です。
炭水化物摂取の多いグループは冠動脈疾患リスクが増加です。
4)は
糖質摂取比率51.5%のグループと糖質摂取比率72.7%のグループの比較です。
糖質摂取比率が一番少ない51.5%のグループは一番多い72.7%のグループに比較すると
心血管死のリスクが59%しかありません。
いずれも糖質大量摂取の弊害(心血管リスク)を如実に示しています。
結果として糖質摂取が少ないほど心血管リスク軽減において有利になることも示しています。
長期の研究
1)RCT論文
低糖質地中海食(LCMD)。8年間RCT論文。
糖質50%未満のLCMD群と低脂肪群の比較。
女性は1800kcal/日。男性は1800kcal/日。
新たに診断された2型糖尿病患者では、LCMDは低脂肪食と比較して、
HbA1cレベルの大きな減少、糖尿病の寛解率が高く、糖尿病治療薬の導入を遅らせた。
Diabetes Care. 2014 Jul;37(7):1824-30.
The effects of a Mediterranean diet on the need for diabetes drugs and remission of newly diagnosed type 2 diabetes: follow-up of a randomized trial.
2)前向きコホート研究
低炭水化物・高脂肪・高タンパク食に冠動脈疾患のリスクなし
一方総炭水化物摂取量は冠動脈疾患リスクの中等度増加に関連していた。
高GLは冠動脈疾患リスク増加と強く関連していた。
ニューイングランドジャーナルのコホート研究
82802人 20年間 2006年掲載 ハーバード大学
炭水化物摂取比率36.8±6.1%グループと58.8±7.0%のグループの比較。
Halton TL, et al. Low-carbohydrate-diet score and the risk of coronary heart disease in women. New England Journal of Medicine 2006;355:1991-2002.
3)前向きコホート研究
21論文、約35万人をメタアナリシスして、
5~23年追跡して1.1万人の脳心血管イベントが発生。
飽和脂肪摂取量と脳心血管イベントハザード比を検証してみると、
飽和脂肪酸摂取量と脳心血管イベント発生は、関係がないことが判明。
Siri-Tarino, P.W., et al., Meta-analysis of prospective cohort studies evaluating the association of saturated fat with cardiovascular disease. Am J Clin Nutr, 2010. 91(3): p. 535-46.
4)前向きコホート研究
「糖質制限食の安全性にエビデンス」
前向きコホート試験NIPPON DATA80 29年間 中村保幸
第10分位(糖質摂取比率51.5%)のグループは、
第1分位(糖質摂取比率72.7%)のグループに比べて女性においては心血管死のリスクが、
59%しかないという素晴らしい結論で、糖質制限食の圧勝。
Br J Nutr 2014; 112: 916-924
5)前向きコホート研究
上海コホート研究
「糖質摂取量により4群に分けて、糖質摂取量が多いほど心血管疾患の発症リスクが高い」
11万7366人を対象に、調べた研究。
女性が6万4,854人で、平均追跡期間が9.8年。
男性が5万2,512人で、平均追跡期間が5.4年。
女性 心血管発症リスク
1、糖質摂取量264g/日未満 ---------- 1.00
2、糖質摂取量264g~282g/日未満-------- 1.19
3、糖質摂取量282g~299g/日未満-------- 1.76
4、糖質摂取量299g/日以上 ----------- 2.41
男性 心血管発症リスク
1、糖質摂取量296g/日未満 ------------ 1.00
2、糖質摂取量296g~319g/日未満 ---------- 1.50
3、糖質摂取量319g~339g/日未満 ---------- 2.22
4、糖質摂取量339g/日以上
Am J Epidemiol. 2013 Nov 15;178(10):1542-9.
Dietary carbohydrates, refined grains, glycemic load, and risk of coronary heart disease in Chinese adults.
2023年10月11日 (水)
こんにちは。
2023年11月5日(日)東京都内で、
「健康をセルフマネジメントする時代へ
万病の元『糖尿病・メタボ・生活習慣病』
を解決する糖質制限食」
と題して、一般の方向けの講演会を開催いたします。
講師は、札幌市の西岡第一病院 麻酔科部長の清水泰行先生と私です。
清水先生は、ブログ「ドクターシミズのひとりごと」で、
豊富な文献や知識をもとに
糖質制限食を始めとして様々な情報を日々発信しておられます。
第1部は、私の「糖尿病治療のベストな選択!データと歴史が示す糖質制限食の有効性」という題の講演です。
糖質制限食の最新知識と旧石器時代のお話をします。
日本列島にヒトが住み始めたのは旧石器時代からです。
旧石器時代は約38000年前から16000年前までの約22000年間続きました。
ナウマン象、ニホンシカ、イノシシ、ウサギ・・・ などを狩猟してとり、肉食が主でした。
・・・北海道ではマンモスも食べていました。
糖質摂取比率は10%以下でしたでしょう。
当時の日本列島は多くは亜寒帯性の針葉樹林が広がっていて、
植物性の食品は乏しく漁撈も未発達なため、大型哺乳類を主とした狩猟に依存した生活でした。
植物食は自然薯(山芋)、百合根、コケモモ、松の実、山菜などしか、ありませんでした。
私達、日本人は、この肉食を主とした22000年間で、身体を形成したので、
肉食に特化して適合していると考えられます。
スーパー糖質制限食は、この旧石器時代の食生活と同様のPFCの摂取比率です。
米を食べ始めたのは、僅か2500年前の弥生時代からなので、肉食の歴史には遠く及びません。
第2部は、
清水先生に「医療では健康は得られない ~医療の常識は本当か?~」と題して、
お話しいただきます。
講師より
「現代の生活習慣や食事は、人類の本来のものとはかけ離れてしまっています。
人間の代謝は食事と運動で変化します。
食事が間違っていれば、代謝も悪くなり、様々な疾患や症状を起こすでしょう。
糖質制限はかつてない広がりを見せていますが、日本の医療はいまだそれに逆行しています。
医療は日々進歩していると言われています。様々な治療法や薬が開発され、救われた人もいるでしょう。
しかし一方で、様々な病気が激増しています。まさにパンデミックです。
医学教育や医療は病気に対応する方向へ進むだけで、
病気にならないように予防する方向へとはほとんど進んでいません。
薬による検査の数値の正常化を目標とした医療では、
根本原因はそのままにされてしまうので、健康にはなれません。
健康を取り戻すためには、人間の本来の初期設定に戻す必要があります。
医療の常識や定説を覆し、根本から健康になるためにはどうすれば良いのか?
様々なエビデンスを提示して、糖質過剰摂取の危険性、
糖質制限で得られる大きなメリットなどについてお話させていただきます。」
ブログ読者の皆さん是非、東京講演会にご参加頂ければ、幸いです。
江部康二
以下事務局からのお知らせです。
*************
ブログ読者の皆様、いつも弊会のイベントへ多数ご参加いただきまして、 ありがとうございます。
11月5日(日)東京都内で、「健康をセルフマネジメントする時代へ 万病の元『糖尿病・メタボ・生活習慣病』を解決する糖質制限食」と題して、一般の方向けの講演会を開催いたします。
講師は、札幌市の西岡第一病院 麻酔科部長の清水泰行先生と当会理事長の江部康二医師です。
第1部は、江部理事長が「糖尿病治療のベストな選択!データと歴史が示す糖質制限食の有効性」 と題してお話しします。
第2部は、清水先生に「医療では健康は得られない ~医療の常識は本当か?~」と題して、お話しいただきます。
清水先生は、健康や医療に関する定説に疑問を抱き、あまたの論文を参照しつつ考察を重ねて、ブログ「ドクターシミズのひとりごと」で精力的に情報を発信しておられ、『「糖質過剰」症候群 あらゆる病に共通する原因』(光文社新書)等のご著書も上梓されています。
また、糖質制限を実践されながら、100㎞のウルトラマラソンも走るマラソンランナーでもいらっしゃいます。
糖尿病・メタボをはじめ生活習慣病でお困りの方、健康を取り戻したい方、健康を上手にセルフマネジメントされたい方、必聴の内容です。
関東にお住まいの方をはじめ、たくさんのご参加をお待ちしております。
*当日講演会終了後に、賛助会員交流会を開催いたします。
☆講演会・賛助会員交流会情報URL: http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity
///////////////////ご案内/////////////////////
(一社)日本糖質制限医療推進協会主催 講演会(東京)
~健康をセルフマネジメントする時代へ~
万病の元「糖尿病・メタボ・生活習慣病」を解決する糖質制限食
◆日程:2023年11月5日(日)13:40~16:30頃 ※開場・受付は、13:20~
◆会場: WATERRAS COMMON 3F「ワテラスコモンホール」
東京都千代田区神田淡路町2丁目101番地
http://www.waterrascommon.com/access.html
◆受講費:賛助会員 2,800円 / 一般(会員の方以外)3,300円
◆内容: 第1部・第2部は講演各60分程度、最後に質疑応答を予定しております。
・第1部
「糖尿病治療のベストな選択!データと歴史が示す糖質制限食の有効性」
講師: 江部 康二 医師 / (一財)高雄病院・(一社)日本糖質制限医療推進協会理事長
・第2部
「医療では健康は得られない ~医療の常識は本当か?~」
講師: 清水 泰行 医師 / 社会医療法人仁陽会 西岡第一病院 麻酔科部長
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<清水先生より>
現代の生活習慣や食事は、人類の本来のものとはかけ離れてしまっています。
人間の代謝は食事と運動で変化します。
食事が間違っていれば、代謝も悪くなり、様々な疾患や症状を起こすでしょう。
糖質制限はかつてない広がりを見せていますが、日本の医療はいまだそれに逆行しています。
医療は日々進歩していると言われています。様々な治療法や薬が開発され、救われた人もいるでしょう。
しかし一方で、様々な病気が激増しています。まさにパンデミックです。
医学教育や医療は病気に対応する方向へ進むだけで、病気にならないように予防する方向へとはほとんど進んでいません。
薬による検査の数値の正常化を目標とした医療では、根本原因はそのままにされてしまうので、健康にはなれません。
健康を取り戻すためには、人間の本来の初期設定に戻す必要があります。
医療の常識や定説を覆し、根本から健康になるためにはどうすれば良いのか?
様々なエビデンスを提示して、糖質過剰摂取の危険性、糖質制限で得られる大きなメリットなどについてお話させていただきます。
<清水先生ご略歴>
北海道大学医学部卒業。
『「糖質過剰」症候群 あらゆる病に共通する原因』 (光文社新書)など、これまでに3冊の著書を上梓している。
麻酔、ペインクリニック(痛み専門の治療)だけでなく、患者さんの健康的な食事の相談、糖質制限にも積極的に対応。
自身のブログ(*)では、病気および健康や運動、薬の副作用等の多くの情報を発信し続けている。
ウルトラマラソン(100km)も走るマラソンランナーでもある。
*「ドクターシミズのひとりごと」 https://promea2014.com/blog/
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
◆お支払い方法: クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。
◆お申し込み方法:
★賛助会員の方:
事務局へメールにて、参加ご希望のイベント名をご明記の上、お申し込み下さい。
※複数名でお申し込みの場合は、全員のご氏名をご明記下さい。
※領収書の発行をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。
★賛助会員入会をご希望の方:
1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up
2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
「入会ならびに講演会出席のお問い合わせ」を選択いただき、「通信」欄に参加ご希望のイベント名(11/5東京講演会、賛助会員交流会)をご記入下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact
★一般(会員以外の方)で、講演会への参加のみご希望の方:
下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-gen
■その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・当日は直接各会場へお越し頂き、受付にてお名前をお伝えください。
・講演会のキャンセルは11月2日(木)までに、交流会のキャンセルは10月31日(火)までに事務局へメールにてご連絡願います。
これら以降のご返金は対応致しかねますので、予めご了承ください。
2023年11月5日(日)東京都内で、
「健康をセルフマネジメントする時代へ
万病の元『糖尿病・メタボ・生活習慣病』
を解決する糖質制限食」
と題して、一般の方向けの講演会を開催いたします。
講師は、札幌市の西岡第一病院 麻酔科部長の清水泰行先生と私です。
清水先生は、ブログ「ドクターシミズのひとりごと」で、
豊富な文献や知識をもとに
糖質制限食を始めとして様々な情報を日々発信しておられます。
第1部は、私の「糖尿病治療のベストな選択!データと歴史が示す糖質制限食の有効性」という題の講演です。
糖質制限食の最新知識と旧石器時代のお話をします。
日本列島にヒトが住み始めたのは旧石器時代からです。
旧石器時代は約38000年前から16000年前までの約22000年間続きました。
ナウマン象、ニホンシカ、イノシシ、ウサギ・・・ などを狩猟してとり、肉食が主でした。
・・・北海道ではマンモスも食べていました。
糖質摂取比率は10%以下でしたでしょう。
当時の日本列島は多くは亜寒帯性の針葉樹林が広がっていて、
植物性の食品は乏しく漁撈も未発達なため、大型哺乳類を主とした狩猟に依存した生活でした。
植物食は自然薯(山芋)、百合根、コケモモ、松の実、山菜などしか、ありませんでした。
私達、日本人は、この肉食を主とした22000年間で、身体を形成したので、
肉食に特化して適合していると考えられます。
スーパー糖質制限食は、この旧石器時代の食生活と同様のPFCの摂取比率です。
米を食べ始めたのは、僅か2500年前の弥生時代からなので、肉食の歴史には遠く及びません。
第2部は、
清水先生に「医療では健康は得られない ~医療の常識は本当か?~」と題して、
お話しいただきます。
講師より
「現代の生活習慣や食事は、人類の本来のものとはかけ離れてしまっています。
人間の代謝は食事と運動で変化します。
食事が間違っていれば、代謝も悪くなり、様々な疾患や症状を起こすでしょう。
糖質制限はかつてない広がりを見せていますが、日本の医療はいまだそれに逆行しています。
医療は日々進歩していると言われています。様々な治療法や薬が開発され、救われた人もいるでしょう。
しかし一方で、様々な病気が激増しています。まさにパンデミックです。
医学教育や医療は病気に対応する方向へ進むだけで、
病気にならないように予防する方向へとはほとんど進んでいません。
薬による検査の数値の正常化を目標とした医療では、
根本原因はそのままにされてしまうので、健康にはなれません。
健康を取り戻すためには、人間の本来の初期設定に戻す必要があります。
医療の常識や定説を覆し、根本から健康になるためにはどうすれば良いのか?
様々なエビデンスを提示して、糖質過剰摂取の危険性、
糖質制限で得られる大きなメリットなどについてお話させていただきます。」
ブログ読者の皆さん是非、東京講演会にご参加頂ければ、幸いです。
江部康二
以下事務局からのお知らせです。
*************
ブログ読者の皆様、いつも弊会のイベントへ多数ご参加いただきまして、 ありがとうございます。
11月5日(日)東京都内で、「健康をセルフマネジメントする時代へ 万病の元『糖尿病・メタボ・生活習慣病』を解決する糖質制限食」と題して、一般の方向けの講演会を開催いたします。
講師は、札幌市の西岡第一病院 麻酔科部長の清水泰行先生と当会理事長の江部康二医師です。
第1部は、江部理事長が「糖尿病治療のベストな選択!データと歴史が示す糖質制限食の有効性」 と題してお話しします。
第2部は、清水先生に「医療では健康は得られない ~医療の常識は本当か?~」と題して、お話しいただきます。
清水先生は、健康や医療に関する定説に疑問を抱き、あまたの論文を参照しつつ考察を重ねて、ブログ「ドクターシミズのひとりごと」で精力的に情報を発信しておられ、『「糖質過剰」症候群 あらゆる病に共通する原因』(光文社新書)等のご著書も上梓されています。
また、糖質制限を実践されながら、100㎞のウルトラマラソンも走るマラソンランナーでもいらっしゃいます。
糖尿病・メタボをはじめ生活習慣病でお困りの方、健康を取り戻したい方、健康を上手にセルフマネジメントされたい方、必聴の内容です。
関東にお住まいの方をはじめ、たくさんのご参加をお待ちしております。
*当日講演会終了後に、賛助会員交流会を開催いたします。
☆講演会・賛助会員交流会情報URL: http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity
///////////////////ご案内/////////////////////
(一社)日本糖質制限医療推進協会主催 講演会(東京)
~健康をセルフマネジメントする時代へ~
万病の元「糖尿病・メタボ・生活習慣病」を解決する糖質制限食
◆日程:2023年11月5日(日)13:40~16:30頃 ※開場・受付は、13:20~
◆会場: WATERRAS COMMON 3F「ワテラスコモンホール」
東京都千代田区神田淡路町2丁目101番地
http://www.waterrascommon.com/access.html
◆受講費:賛助会員 2,800円 / 一般(会員の方以外)3,300円
◆内容: 第1部・第2部は講演各60分程度、最後に質疑応答を予定しております。
・第1部
「糖尿病治療のベストな選択!データと歴史が示す糖質制限食の有効性」
講師: 江部 康二 医師 / (一財)高雄病院・(一社)日本糖質制限医療推進協会理事長
・第2部
「医療では健康は得られない ~医療の常識は本当か?~」
講師: 清水 泰行 医師 / 社会医療法人仁陽会 西岡第一病院 麻酔科部長
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<清水先生より>
現代の生活習慣や食事は、人類の本来のものとはかけ離れてしまっています。
人間の代謝は食事と運動で変化します。
食事が間違っていれば、代謝も悪くなり、様々な疾患や症状を起こすでしょう。
糖質制限はかつてない広がりを見せていますが、日本の医療はいまだそれに逆行しています。
医療は日々進歩していると言われています。様々な治療法や薬が開発され、救われた人もいるでしょう。
しかし一方で、様々な病気が激増しています。まさにパンデミックです。
医学教育や医療は病気に対応する方向へ進むだけで、病気にならないように予防する方向へとはほとんど進んでいません。
薬による検査の数値の正常化を目標とした医療では、根本原因はそのままにされてしまうので、健康にはなれません。
健康を取り戻すためには、人間の本来の初期設定に戻す必要があります。
医療の常識や定説を覆し、根本から健康になるためにはどうすれば良いのか?
様々なエビデンスを提示して、糖質過剰摂取の危険性、糖質制限で得られる大きなメリットなどについてお話させていただきます。
<清水先生ご略歴>
北海道大学医学部卒業。
『「糖質過剰」症候群 あらゆる病に共通する原因』 (光文社新書)など、これまでに3冊の著書を上梓している。
麻酔、ペインクリニック(痛み専門の治療)だけでなく、患者さんの健康的な食事の相談、糖質制限にも積極的に対応。
自身のブログ(*)では、病気および健康や運動、薬の副作用等の多くの情報を発信し続けている。
ウルトラマラソン(100km)も走るマラソンランナーでもある。
*「ドクターシミズのひとりごと」 https://promea2014.com/blog/
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
◆お支払い方法: クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。
◆お申し込み方法:
★賛助会員の方:
事務局へメールにて、参加ご希望のイベント名をご明記の上、お申し込み下さい。
※複数名でお申し込みの場合は、全員のご氏名をご明記下さい。
※領収書の発行をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。
★賛助会員入会をご希望の方:
1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up
2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
「入会ならびに講演会出席のお問い合わせ」を選択いただき、「通信」欄に参加ご希望のイベント名(11/5東京講演会、賛助会員交流会)をご記入下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact
★一般(会員以外の方)で、講演会への参加のみご希望の方:
下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-gen
■その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・当日は直接各会場へお越し頂き、受付にてお名前をお伝えください。
・講演会のキャンセルは11月2日(木)までに、交流会のキャンセルは10月31日(火)までに事務局へメールにてご連絡願います。
これら以降のご返金は対応致しかねますので、予めご了承ください。
2023年10月10日 (火)
【23/10/09としの 名古屋大学
こんにちは
名古屋大学から糖質制限に関する論文が発表されました。
『日本人の食事による炭水化物と脂肪の摂取量と死亡リスク:日本の多機関
共同コホート研究』
8万人9年間に渡る研究で、特に糖尿病、肥満者を対象としていないようです。
男性で糖質摂取40%未満では死亡リスク1.59倍とのこと。死亡した方の詳細は記載はありませんでした。
ADAも推奨している糖質摂取食はあくまで糖尿病の方に対してであり、
健康な人には薦めるエビデンスは無い、という事でしょうか?
よろしければお返事よろしくお願いします。】
日付名前23/10/09
ドクター江部
Re: 名古屋大学
としの さん
①名古屋大学の研究ですが、
「男性で糖質摂取40%未満では死亡リスク1.59倍とのこと」
本研究は 「2005 年に調査を開始」ですから
糖質摂取40%未満といっても、スーパー糖質制限食レベルの、
糖質接種率12%という人は皆無と思われます。
普通の日本人ですから、40%未満といっても、
35~39%くらいは糖質摂取比率はあったと思います。
というのは、私が初めて「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」を刊行したのが
2005年だからです。
従って、スーパー糖質制限食とは、無関係の研究と言えます。
②
ご指摘通り、「糖質制限食を健康な人に薦めるエビデンスは無い」と思います。
ただ、日本人のご先祖は、旧石器時代から日本列島に居住し始めており、
実に22000間、マンモス、ナウマン象、シカ、イノシシなど肉食が主であり、
植物食は自然薯、コケモモくらいしかありませんでした。
肉ばかり22000間食べて、日本人は身体を育成したのです。⇒まさにスーパー糖質制限食です。
米食は、わずかに2500年前からに過ぎません。
【日付 23/10/09
名前 としの
糖質制限先生お返事ありがとうございます。
私がとても驚いたのは、男性で65%以上の糖質摂取でも死亡率は高くならない事です。(女性は高まります)。
二万年以上もの食形態にはまだ遠いとはいえ、それに近い、
糖質摂取が少ないグループで、死亡率が高まり、糖質65%以上でも死亡率が低いのはなぜなのか、、。
女性では違うデータが出たのは何故か。不思議です。
私は糖質制限は健常者にも良い食事と考えていて、自身もIGTで緩やかな糖質制限をしていますが、
境界型糖尿病では糖質制限のエビデンスはあるでしょうか?
糖尿病に関して、糖質制限のエビデンスを恥ずかしながらまとめて勉強したいと思いました。
先生お手数ではありますが、知るべきエビデンスをご教示頂ければとても嬉しいです。
誠に申し訳ありません。】
としの さん
①名古屋大学の研究ですが、
[太字] 「男性で糖質摂取40%未満では死亡リスク1.59倍とのこと」[/太字]
本研究は 「2005 年に調査を開始」ですから
糖質摂取40%未満といっても、スーパー糖質制限食レベルの、
糖質接種率12%という人は皆無と思われます。
普通の日本人ですから、40%未満といっても、
35~39%くらいは糖質摂取比率はあったと思います。
というのは、私が初めて「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」を刊行したのが
2005年だからです。
従って、スーパー糖質制限食とは、無関係の研究と言えます。
「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」「インスリン過剰分泌」などが
活性酸素を発生させ糖化ストレス・酸化ストレスを生じ、慢性炎症を生じ、
がん、アルツハイマー病、老化、様々な生活習慣病などの発症の元凶となります。
35~39%くらいの糖質摂取比率 では、「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」「インスリン過剰分泌」は予防できませんので、死亡率は減りません。
「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」「インスリン過剰分泌」を予防できるのは、
「スーパー糖質制限食」だけで、理論的には死亡率も減ると考えられます。
②
ご指摘通り、「糖質制限食を健康な人に薦めるエビデンスは無い」と思います。
健康人を対象にしたRCTなど存在しないからです。
肥満や糖尿病などの病気がある人々に対してRCTが実践されます。
ただ、日本人のご先祖は、旧石器時代から日本列島に居住し始めており、
実に22000間、マンモス、ナウマン象、シカ、イノシシなど肉食が主であり、
植物食は自然薯、コケモモくらいしかありませんでした。
肉ばかり22000間食べて、日本人は身体を育成したのです。⇒まさにスーパー糖質制限食です。
米食は、わずか2500年前からに過ぎません。
糖質制限食に関するエビデンスを以下にまとめてみました。
糖質制限食に肯定的な信頼度の高いエビデンス。
レベル1+、レベル1。
まずは、エビデンスレベルのもっとも高い
「エビデンスレベル1+」と「エビデンスレベル1」
の論文で、糖質制限食の有効性を示すものを列挙してみました。
集めてみると、こんなにたくさんあるのですね。
一方、糖質制限食に否定的な、
「エビデンスレベル1+」と「エビデンスレベル1」の論文は皆無です。
そして米国糖尿病学会は
2019年4月の<コンセンサスレポート>において
『糖質制限食は、2型糖尿病で最も研究されてきたパターンである。』
『低炭水化物食、特に非常に低い低炭水化物食パターンは、HbA1cを下げて、
糖尿病薬を減らすことを示してきた。』
と明言し、一推しで推奨しています。
2020年、2021年、2022年、2023年の<ガイドライン>においても、
同様の見解です。
この時点で、「糖質制限食是非論争」に
エビデンスレベルで、明白な決着がついたと言えます。
RCT(ランダム化比較試験)レベル1+
①Obesity Reviews(国際肥満研究連合の公式ジャーナル)2009年
体重減少、中性脂肪減少、HDL-C増加は低炭水化物食が低脂質・低カロリー食に比し有効。13の電子データベースの2000年1月~2007年3月の低炭水化物食と低脂質食比較RCTをメタ解析。
Systematic review of randomized controlled trials of low-carbohydrate vs. low-fat/low-calorie diets in the management of obesity and its comorbidities M. Hession,et all
Obesity Reviews(国際肥満研究連合の公式ジャーナル)
Volume 10, Issue 1, pages 36–50, January 2009
②Obesity Reviews(国際肥満研究連合の公式ジャーナル)2012年
23レポートのメタ解析によって
研究期間にかかわらず糖質制限食が体重,脂質,血糖,血圧を改善させる。
Obes Rev 2012; 13: 1048-1066Systematic review and meta-analysis of clinical trialsof the effects of low carbohydrate diets oncardiovascular risk factorsobr_1021
③システマティック・レビュー/53RCTのメタアナリシス。ランセット。
1)低脂肪食よりも糖質制限食の方が減量効果が高い。
2)低脂肪食は他の高脂肪食との比較で減量効果に有意差なし。
3)低脂肪食は普通食との比較でのみ、体重減少効果があった。
4)低脂肪食は、長期的な減量効果についての科学的裏付けがない。
Effect of Low-Fat Diet Interventions Versus Other Diet Interventions on Long-Term Weight Change in Adults:
A Systematic Review and Meta-Analysis Lancet Diabetes Endocrinol 2015 Dec 01;3(12)968-979,
DK Tobias, M Chen, JE Manson, DS Ludwig, W Willett, FB Hu
RCT(ランダム化比較試験)レベル1
①低糖質食 vs. 低脂質食。低糖質食の圧勝
低糖質食 vs. 低脂質食、減量や脂質データなどCVD(心血管疾患)リスク低減で、
低糖質食の圧勝。148人の肥満者を、1年間研究。
低糖質食は40g/日未満。
Effects of low-carbohydrate and low-fat diets: a randomized trial.
Bazzano LA et all
Ann Intern Med. 2014 Sep 2;161(5):309-18
②DIRECT低炭水化物食で一番体重減少・ HDL-C増加
脂肪制限食(カロリー制限)、
地中海食(カロリー制限)、
低炭水化物食(カロリー無制限)の3群
低炭水化物群のみカロリー無制限のハンディがあったが、結局3群全て同じだけのカロリーが減少。満足度と満腹度。
当初糖質20g/日以下。3ヶ月後から120g/日以下を目指すも、結局女性150g/日、男性180g/日で40%の糖質。
糖質約50%の低脂肪食群、地中海食群(高糖質群)
DIRECT(Dietary Intervention Randomized Controlled Trial)
322人を3群に分けて、2年間の研究。
Iris Shai,et all:Weight Loss with a Low-Carbohydrate,Mediterranean,or Low-Fat Diet. NENGLJ MED JULY17,2008、VOL359.NO.3 229-241
③DIRECTのフォローアップ研究。合計6年間。
地中海食、低炭水化物食の2群は、6年後も 体重減少に有意差あり。
Four-Year Follow-up after Two-Year Dietary Interventions
N Engl J Med 2012; 367:1373-1374October 4, 2012
④低糖質地中海食(LCMD)。HbA1cレベルの大きな減少。
低糖質地中海食(LCMD)。8年間RCT研究論文。
糖質50%未満のLCMD群(108人)と低脂肪群(107人)の比較。女性は1500kcal/日。男性は1800kcal/日。
新たに診断された2型糖尿病患者では、LCMDは低脂肪食と比較して、HbA1cレベルの大きな減少、糖尿病の寛解率が高く、糖尿病治療薬の導入を遅らせた。
Diabetes Care. 2014 Jul;37(7):1824-30.
The effects of a Mediterranean diet on the need for diabetes drugs and remission of newly diagnosed type 2 diabetes: follow-up of a randomized trial.
⑤低炭水化物食が、肥満・HDL-C・TGを改善。
JAMA 2007年3月 A TO Z 体重減少研究
アトキンス、ゾーン、ラーン、オーニッシュダイエットのそれぞれの1年間の体重減少効果などをみた。311人の女性を上記4グループに分けて追跡。これら4種のダイエット法は、いずれも米国でポピュラーなものである。
アトキンスは低炭水化物食(スーパー糖質制限食)、ラーンとオーニッシュは高炭水化物、低脂肪食、ゾーンは炭水化物40%
低炭水化物食が体重を最も減少させて、HDL-CとTGを改善。
Comparison of the Atkins, Zone, Ornish, and LEARN Diets for Change in Weight and Related Risk Factors Among Overweight Premenopausal Women
The A TO Z Weight Loss Study: A Randomized Trial ,JAMA297:969-977
エビデンスレベル 「糖尿病診療ガイドライン2016」
レベル1 + 質の高いランダム化比較試験(RCT)および
それらのメタアナリシス(MA)/システマティック・ レビュー(SR)
レベル1 それ以外のRCTおよびそれらのMA/SR
レベル2 前向きコホート研究およびそれらのMA/SR
(事前に定めた)RCTサブ解析
レベル3 非ランダム化比較試験 前後比較試験
後ろ向きコホート研究
ケースコントロール研究およびそれらのMA/SR
RCT後付けサブ解析
レベル4 横断研究
症例集積
*質の高いRCTとは①多数例②二重盲検、独立判定③高追跡率④ランダム割り付け法が明確などをさす。
江部康二
こんにちは
名古屋大学から糖質制限に関する論文が発表されました。
『日本人の食事による炭水化物と脂肪の摂取量と死亡リスク:日本の多機関
共同コホート研究』
8万人9年間に渡る研究で、特に糖尿病、肥満者を対象としていないようです。
男性で糖質摂取40%未満では死亡リスク1.59倍とのこと。死亡した方の詳細は記載はありませんでした。
ADAも推奨している糖質摂取食はあくまで糖尿病の方に対してであり、
健康な人には薦めるエビデンスは無い、という事でしょうか?
よろしければお返事よろしくお願いします。】
日付名前23/10/09
ドクター江部
Re: 名古屋大学
としの さん
①名古屋大学の研究ですが、
「男性で糖質摂取40%未満では死亡リスク1.59倍とのこと」
本研究は 「2005 年に調査を開始」ですから
糖質摂取40%未満といっても、スーパー糖質制限食レベルの、
糖質接種率12%という人は皆無と思われます。
普通の日本人ですから、40%未満といっても、
35~39%くらいは糖質摂取比率はあったと思います。
というのは、私が初めて「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」を刊行したのが
2005年だからです。
従って、スーパー糖質制限食とは、無関係の研究と言えます。
②
ご指摘通り、「糖質制限食を健康な人に薦めるエビデンスは無い」と思います。
ただ、日本人のご先祖は、旧石器時代から日本列島に居住し始めており、
実に22000間、マンモス、ナウマン象、シカ、イノシシなど肉食が主であり、
植物食は自然薯、コケモモくらいしかありませんでした。
肉ばかり22000間食べて、日本人は身体を育成したのです。⇒まさにスーパー糖質制限食です。
米食は、わずかに2500年前からに過ぎません。
【日付 23/10/09
名前 としの
糖質制限先生お返事ありがとうございます。
私がとても驚いたのは、男性で65%以上の糖質摂取でも死亡率は高くならない事です。(女性は高まります)。
二万年以上もの食形態にはまだ遠いとはいえ、それに近い、
糖質摂取が少ないグループで、死亡率が高まり、糖質65%以上でも死亡率が低いのはなぜなのか、、。
女性では違うデータが出たのは何故か。不思議です。
私は糖質制限は健常者にも良い食事と考えていて、自身もIGTで緩やかな糖質制限をしていますが、
境界型糖尿病では糖質制限のエビデンスはあるでしょうか?
糖尿病に関して、糖質制限のエビデンスを恥ずかしながらまとめて勉強したいと思いました。
先生お手数ではありますが、知るべきエビデンスをご教示頂ければとても嬉しいです。
誠に申し訳ありません。】
としの さん
①名古屋大学の研究ですが、
[太字] 「男性で糖質摂取40%未満では死亡リスク1.59倍とのこと」[/太字]
本研究は 「2005 年に調査を開始」ですから
糖質摂取40%未満といっても、スーパー糖質制限食レベルの、
糖質接種率12%という人は皆無と思われます。
普通の日本人ですから、40%未満といっても、
35~39%くらいは糖質摂取比率はあったと思います。
というのは、私が初めて「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」を刊行したのが
2005年だからです。
従って、スーパー糖質制限食とは、無関係の研究と言えます。
「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」「インスリン過剰分泌」などが
活性酸素を発生させ糖化ストレス・酸化ストレスを生じ、慢性炎症を生じ、
がん、アルツハイマー病、老化、様々な生活習慣病などの発症の元凶となります。
35~39%くらいの糖質摂取比率 では、「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」「インスリン過剰分泌」は予防できませんので、死亡率は減りません。
「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」「インスリン過剰分泌」を予防できるのは、
「スーパー糖質制限食」だけで、理論的には死亡率も減ると考えられます。
②
ご指摘通り、「糖質制限食を健康な人に薦めるエビデンスは無い」と思います。
健康人を対象にしたRCTなど存在しないからです。
肥満や糖尿病などの病気がある人々に対してRCTが実践されます。
ただ、日本人のご先祖は、旧石器時代から日本列島に居住し始めており、
実に22000間、マンモス、ナウマン象、シカ、イノシシなど肉食が主であり、
植物食は自然薯、コケモモくらいしかありませんでした。
肉ばかり22000間食べて、日本人は身体を育成したのです。⇒まさにスーパー糖質制限食です。
米食は、わずか2500年前からに過ぎません。
糖質制限食に関するエビデンスを以下にまとめてみました。
糖質制限食に肯定的な信頼度の高いエビデンス。
レベル1+、レベル1。
まずは、エビデンスレベルのもっとも高い
「エビデンスレベル1+」と「エビデンスレベル1」
の論文で、糖質制限食の有効性を示すものを列挙してみました。
集めてみると、こんなにたくさんあるのですね。
一方、糖質制限食に否定的な、
「エビデンスレベル1+」と「エビデンスレベル1」の論文は皆無です。
そして米国糖尿病学会は
2019年4月の<コンセンサスレポート>において
『糖質制限食は、2型糖尿病で最も研究されてきたパターンである。』
『低炭水化物食、特に非常に低い低炭水化物食パターンは、HbA1cを下げて、
糖尿病薬を減らすことを示してきた。』
と明言し、一推しで推奨しています。
2020年、2021年、2022年、2023年の<ガイドライン>においても、
同様の見解です。
この時点で、「糖質制限食是非論争」に
エビデンスレベルで、明白な決着がついたと言えます。
RCT(ランダム化比較試験)レベル1+
①Obesity Reviews(国際肥満研究連合の公式ジャーナル)2009年
体重減少、中性脂肪減少、HDL-C増加は低炭水化物食が低脂質・低カロリー食に比し有効。13の電子データベースの2000年1月~2007年3月の低炭水化物食と低脂質食比較RCTをメタ解析。
Systematic review of randomized controlled trials of low-carbohydrate vs. low-fat/low-calorie diets in the management of obesity and its comorbidities M. Hession,et all
Obesity Reviews(国際肥満研究連合の公式ジャーナル)
Volume 10, Issue 1, pages 36–50, January 2009
②Obesity Reviews(国際肥満研究連合の公式ジャーナル)2012年
23レポートのメタ解析によって
研究期間にかかわらず糖質制限食が体重,脂質,血糖,血圧を改善させる。
Obes Rev 2012; 13: 1048-1066Systematic review and meta-analysis of clinical trialsof the effects of low carbohydrate diets oncardiovascular risk factorsobr_1021
③システマティック・レビュー/53RCTのメタアナリシス。ランセット。
1)低脂肪食よりも糖質制限食の方が減量効果が高い。
2)低脂肪食は他の高脂肪食との比較で減量効果に有意差なし。
3)低脂肪食は普通食との比較でのみ、体重減少効果があった。
4)低脂肪食は、長期的な減量効果についての科学的裏付けがない。
Effect of Low-Fat Diet Interventions Versus Other Diet Interventions on Long-Term Weight Change in Adults:
A Systematic Review and Meta-Analysis Lancet Diabetes Endocrinol 2015 Dec 01;3(12)968-979,
DK Tobias, M Chen, JE Manson, DS Ludwig, W Willett, FB Hu
RCT(ランダム化比較試験)レベル1
①低糖質食 vs. 低脂質食。低糖質食の圧勝
低糖質食 vs. 低脂質食、減量や脂質データなどCVD(心血管疾患)リスク低減で、
低糖質食の圧勝。148人の肥満者を、1年間研究。
低糖質食は40g/日未満。
Effects of low-carbohydrate and low-fat diets: a randomized trial.
Bazzano LA et all
Ann Intern Med. 2014 Sep 2;161(5):309-18
②DIRECT低炭水化物食で一番体重減少・ HDL-C増加
脂肪制限食(カロリー制限)、
地中海食(カロリー制限)、
低炭水化物食(カロリー無制限)の3群
低炭水化物群のみカロリー無制限のハンディがあったが、結局3群全て同じだけのカロリーが減少。満足度と満腹度。
当初糖質20g/日以下。3ヶ月後から120g/日以下を目指すも、結局女性150g/日、男性180g/日で40%の糖質。
糖質約50%の低脂肪食群、地中海食群(高糖質群)
DIRECT(Dietary Intervention Randomized Controlled Trial)
322人を3群に分けて、2年間の研究。
Iris Shai,et all:Weight Loss with a Low-Carbohydrate,Mediterranean,or Low-Fat Diet. NENGLJ MED JULY17,2008、VOL359.NO.3 229-241
③DIRECTのフォローアップ研究。合計6年間。
地中海食、低炭水化物食の2群は、6年後も 体重減少に有意差あり。
Four-Year Follow-up after Two-Year Dietary Interventions
N Engl J Med 2012; 367:1373-1374October 4, 2012
④低糖質地中海食(LCMD)。HbA1cレベルの大きな減少。
低糖質地中海食(LCMD)。8年間RCT研究論文。
糖質50%未満のLCMD群(108人)と低脂肪群(107人)の比較。女性は1500kcal/日。男性は1800kcal/日。
新たに診断された2型糖尿病患者では、LCMDは低脂肪食と比較して、HbA1cレベルの大きな減少、糖尿病の寛解率が高く、糖尿病治療薬の導入を遅らせた。
Diabetes Care. 2014 Jul;37(7):1824-30.
The effects of a Mediterranean diet on the need for diabetes drugs and remission of newly diagnosed type 2 diabetes: follow-up of a randomized trial.
⑤低炭水化物食が、肥満・HDL-C・TGを改善。
JAMA 2007年3月 A TO Z 体重減少研究
アトキンス、ゾーン、ラーン、オーニッシュダイエットのそれぞれの1年間の体重減少効果などをみた。311人の女性を上記4グループに分けて追跡。これら4種のダイエット法は、いずれも米国でポピュラーなものである。
アトキンスは低炭水化物食(スーパー糖質制限食)、ラーンとオーニッシュは高炭水化物、低脂肪食、ゾーンは炭水化物40%
低炭水化物食が体重を最も減少させて、HDL-CとTGを改善。
Comparison of the Atkins, Zone, Ornish, and LEARN Diets for Change in Weight and Related Risk Factors Among Overweight Premenopausal Women
The A TO Z Weight Loss Study: A Randomized Trial ,JAMA297:969-977
エビデンスレベル 「糖尿病診療ガイドライン2016」
レベル1 + 質の高いランダム化比較試験(RCT)および
それらのメタアナリシス(MA)/システマティック・ レビュー(SR)
レベル1 それ以外のRCTおよびそれらのMA/SR
レベル2 前向きコホート研究およびそれらのMA/SR
(事前に定めた)RCTサブ解析
レベル3 非ランダム化比較試験 前後比較試験
後ろ向きコホート研究
ケースコントロール研究およびそれらのMA/SR
RCT後付けサブ解析
レベル4 横断研究
症例集積
*質の高いRCTとは①多数例②二重盲検、独立判定③高追跡率④ランダム割り付け法が明確などをさす。
江部康二
2023年10月09日 (月)
【23/10/08
ライフワーク光野
ノーベル生理学・医学賞にカリコ氏
NHKETVで表記カリコ教授と山中教授のオンライン対談(再放送?)が放映されました。
2023年10月7日11:00
・mRNAの研究は、過去10年以上続けられおり、その成果がコロナワクチン開発のスピード化に貢献した。
・山中教授のIPSの増殖用途にも採用されている。
・以上の事を元に、山中教授よりお褒めの言葉があり、
「日本でもワクチン接種を勧めるべきだ」とのコメントがありました。
この対談を世俗の輩の「雑音」と看過する訳には行きません。
是非とも江部先生に解説を頂きたく存じます。】
『23/10/08ドクター江部
Re: ノーベル生理学・医学賞にカリコ氏
ライフワーク光野 さん
東京の大新聞やテレビ、NHKは、いずれも政府に忖度するので、
新型コロナワクチンの副反応や接種後死亡者に関する報道が、極めて小さいし少ないです。
これに対して、名古屋のCBCテレビは、
新型コロナワクチンの副反応や接種後死亡者に関する報道を、しっかりと行なっています。
例えば、以下の記事があります。
<strong>https://www.chunichi.co.jp/article/696518
CBCテレビ、大石邦彦アナウンサーが追った新型コロナワクチン報道の特別番組『評価不能 新型コロナワクチンの光と影
27日午後放送
2023年5月25日 17時00分』
CBCテレビによれば
「新型コロナワクチンによる副反応の症状は数万件、接種後の死亡事例は2000件に上る。」
です。
新型コロナワクチンを接種後、死亡例が、2023年5月時点で2000件です。
2023年10月現在は、ワクチン接種後死亡例はもっと増えています。
厚生労働省は、ほとんどの症例で、
「新型コロナワクチン接種と死亡との因果関係は評価不能」
という立場です。
しかし、健康だった人がワクチン接種後に急死するわけですから、
『死亡とワクチンとの関連は評価不能』ではなくて、
『死亡とワクチンとの関連を完全に否定することは困難である』と言うのがフェアな考えだと思います。
このように、新型コロナワクチンは危険がいっぱいの接種してはいけないワクチンです。
ノーベル賞などとんでもないです。
【ワクチン接種100万回あたりの死亡率
インフルエンザワクチン:0.1~0.2件
新型コロナワクチン:9.26件
月間保団連11
November 2021
No.1356 35-39
新型コロナウイルスワクチンにおける情報公開
小島 盛二 名古屋大学名誉教授 】
月刊保団連に掲載された小島 盛二 名古屋大学名誉教授の記事で、
新型コロナワクチンの接種後死亡率がインフルエンザワクチン接種後死亡率の46~92倍ということがわかります。
新型コロナワクチン「コミナティ筋注」の効果に関する理論的考察。
以下は2022年9月22日((木))のブログ記事です。
おはようございます。
【新型コロナ】国内初のCOVID-19ワクチン「コミナティ筋注」
が承認取得し
ワクチン接種は2021年2月17日に開始されています。
欧米より2ヶ月遅れということです。
以下の黒字の記載は、2021年2月18日の私のブログ記事です。
COVID-19ワクチン「コミナティ筋注」に対する当時の私の見解を述べています。
接種開始から、1年7ヶ月が経過した2022年9月22(木)時点での私の考えは、
青色字で記載しました。
基本は変わりませんが、追加があります。
2023年10月時点の私の考えは、茶色字で追加しました。
新型コロナワクチン「コミナティ筋注」の効果に関する理論的考察。
2021年02月18日 (木)
こんばんは。
今回は、新型コロナワクチンの効果と問題点に関して
理論的に考察してみます。
①感染は防げない。
インフルエンザワクチンも新型コロナワクチンも、
IgG抗体を産生させますが、粘膜面にあるIgA抗体は産生させません。
従って、水際(粘膜面)で感染防御というのは理論的には、あり得ません。
粘膜面で感染して、粘膜細胞内にウィルスが侵入して、
そこで初めて、IgG抗体が出動できるわけです。
ワクチン接種で感染が防げないことは明確となりました。
2023年10月も同様の見解です。そもそも、流行が防げていません。
②発症は防げる?
インフルエンザのように、
潜伏期が1~4日間くらい(多くは1~2日)の場合、
発症を防ぐことも困難です。
感染したあとIgG抗体が駆けつけてウイルスと闘いますが、
潜伏期が短いとIgG抗体も発症を防げないのです。
新型コロナウイルスの場合、潜伏期間は1~14日間ほどとされており、
感染してから症状を発症するまでの平均期間は5~6日ほどです。
こちらは、潜伏期が1~2日とか短ければ、
インフルエンザと同様にIgG抗体が駆けつけても発症予防は困難です。
一方、潜伏期が5~6日間とか長ければ、IgG抗体が間に合って
発症予防が可能と思われます。
ワクチン接種で発症が防げないことも明確となりました。
2023年も、同じ見解です。
③重症化は防げる。
新型コロナワクチンで生成されたIgG抗体が、
感染後すぐに駆けつけても発症が防げないことはあります。
それでも、IgG抗体がまともに働けば、新型コロナウイルスの数は
減少するので、発症したあとの重症化は防げる可能性があります。
つまりサイトカインストームに到る前の段階で、IgG抗体が働いて
重症化を防いでくれるということです。
ワクチンが重症化を防ぐかどうかは研究待ちですが、
オミクロン株はデルタ株に比べると、そもそも重症化率が明らかに低いです。
新型コロナウイルスが、変異するごとに弱毒化して軽症化しているので、
ワクチンの効果で重症化が防げているかどうかは不明です。
④ADEの可能性は?
ワクチン接種者が感染した場合に出てくるもので、
ADE(抗体依存性免疫増強)という現象があります。
ワクチン接種者が有すIgG抗体が、
新型コロナ感染時にかえって、症状を悪化させることがあり得るのです。
ADEがどの程度の頻度あり得るのかが懸念されます。
ワクチン接種後の死亡者も報告されているだけで、
1700名以上なので一定数のADEが発生していると思われます。
ワクチン接種後の死亡者は、2000名以上となっているので、
一定数のADEが発生している可能性が高いです。
⑤人類が未経験の遺伝子ワクチン
mRNAワクチンは人類は未経験です。
10年、20年後の副反応のことは全く担保されておらず、
長期的な安全性に不安があります。
この見解は、2022年9月現在も変わりません。
この見解は、2023年10月現在も変わりません。
新型コロナワクチンは自然免疫を低下させているので、
将来のがんや膠原病の発症が懸念されます。
接種開始前と開始後で比較すると「帯状疱疹」の患者数が2倍に増加しているので
このワクチンが自然免疫を低下させている可能性が極めて高いのです。
①②③④⑤を考慮すると
私自身は、今回のファイザー社の新型コロナワクチン「コミナティ筋注」を
1回も接種していませんし、今後も接種するつもりはありません。
モデルナ社のワクチンも同様です。その代わり、スーパー糖質制限食実践で
しっかり免疫力向上を維持していきたいと思います。
この結論も、一貫して変わりません。
武田社の組換えタンパクワクチンは不活化ワクチンの一種であり、
B型肝炎ウイルスワクチンなど、他のワクチンでも使用実績があります。
mRNAワクチンのような未知のワクチンではありませんが、
高齢でリスクのある人など、適応はごく限られると思います。
江部康二
ライフワーク光野
ノーベル生理学・医学賞にカリコ氏
NHKETVで表記カリコ教授と山中教授のオンライン対談(再放送?)が放映されました。
2023年10月7日11:00
・mRNAの研究は、過去10年以上続けられおり、その成果がコロナワクチン開発のスピード化に貢献した。
・山中教授のIPSの増殖用途にも採用されている。
・以上の事を元に、山中教授よりお褒めの言葉があり、
「日本でもワクチン接種を勧めるべきだ」とのコメントがありました。
この対談を世俗の輩の「雑音」と看過する訳には行きません。
是非とも江部先生に解説を頂きたく存じます。】
『23/10/08ドクター江部
Re: ノーベル生理学・医学賞にカリコ氏
ライフワーク光野 さん
東京の大新聞やテレビ、NHKは、いずれも政府に忖度するので、
新型コロナワクチンの副反応や接種後死亡者に関する報道が、極めて小さいし少ないです。
これに対して、名古屋のCBCテレビは、
新型コロナワクチンの副反応や接種後死亡者に関する報道を、しっかりと行なっています。
例えば、以下の記事があります。
<strong>https://www.chunichi.co.jp/article/696518
CBCテレビ、大石邦彦アナウンサーが追った新型コロナワクチン報道の特別番組『評価不能 新型コロナワクチンの光と影
27日午後放送
2023年5月25日 17時00分』
CBCテレビによれば
「新型コロナワクチンによる副反応の症状は数万件、接種後の死亡事例は2000件に上る。」
です。
新型コロナワクチンを接種後、死亡例が、2023年5月時点で2000件です。
2023年10月現在は、ワクチン接種後死亡例はもっと増えています。
厚生労働省は、ほとんどの症例で、
「新型コロナワクチン接種と死亡との因果関係は評価不能」
という立場です。
しかし、健康だった人がワクチン接種後に急死するわけですから、
『死亡とワクチンとの関連は評価不能』ではなくて、
『死亡とワクチンとの関連を完全に否定することは困難である』と言うのがフェアな考えだと思います。
このように、新型コロナワクチンは危険がいっぱいの接種してはいけないワクチンです。
ノーベル賞などとんでもないです。
【ワクチン接種100万回あたりの死亡率
インフルエンザワクチン:0.1~0.2件
新型コロナワクチン:9.26件
月間保団連11
November 2021
No.1356 35-39
新型コロナウイルスワクチンにおける情報公開
小島 盛二 名古屋大学名誉教授 】
月刊保団連に掲載された小島 盛二 名古屋大学名誉教授の記事で、
新型コロナワクチンの接種後死亡率がインフルエンザワクチン接種後死亡率の46~92倍ということがわかります。
新型コロナワクチン「コミナティ筋注」の効果に関する理論的考察。
以下は2022年9月22日((木))のブログ記事です。
おはようございます。
【新型コロナ】国内初のCOVID-19ワクチン「コミナティ筋注」
が承認取得し
ワクチン接種は2021年2月17日に開始されています。
欧米より2ヶ月遅れということです。
以下の黒字の記載は、2021年2月18日の私のブログ記事です。
COVID-19ワクチン「コミナティ筋注」に対する当時の私の見解を述べています。
接種開始から、1年7ヶ月が経過した2022年9月22(木)時点での私の考えは、
青色字で記載しました。
基本は変わりませんが、追加があります。
2023年10月時点の私の考えは、茶色字で追加しました。
新型コロナワクチン「コミナティ筋注」の効果に関する理論的考察。
2021年02月18日 (木)
こんばんは。
今回は、新型コロナワクチンの効果と問題点に関して
理論的に考察してみます。
①感染は防げない。
インフルエンザワクチンも新型コロナワクチンも、
IgG抗体を産生させますが、粘膜面にあるIgA抗体は産生させません。
従って、水際(粘膜面)で感染防御というのは理論的には、あり得ません。
粘膜面で感染して、粘膜細胞内にウィルスが侵入して、
そこで初めて、IgG抗体が出動できるわけです。
ワクチン接種で感染が防げないことは明確となりました。
2023年10月も同様の見解です。そもそも、流行が防げていません。
②発症は防げる?
インフルエンザのように、
潜伏期が1~4日間くらい(多くは1~2日)の場合、
発症を防ぐことも困難です。
感染したあとIgG抗体が駆けつけてウイルスと闘いますが、
潜伏期が短いとIgG抗体も発症を防げないのです。
新型コロナウイルスの場合、潜伏期間は1~14日間ほどとされており、
感染してから症状を発症するまでの平均期間は5~6日ほどです。
こちらは、潜伏期が1~2日とか短ければ、
インフルエンザと同様にIgG抗体が駆けつけても発症予防は困難です。
一方、潜伏期が5~6日間とか長ければ、IgG抗体が間に合って
発症予防が可能と思われます。
ワクチン接種で発症が防げないことも明確となりました。
2023年も、同じ見解です。
③重症化は防げる。
新型コロナワクチンで生成されたIgG抗体が、
感染後すぐに駆けつけても発症が防げないことはあります。
それでも、IgG抗体がまともに働けば、新型コロナウイルスの数は
減少するので、発症したあとの重症化は防げる可能性があります。
つまりサイトカインストームに到る前の段階で、IgG抗体が働いて
重症化を防いでくれるということです。
ワクチンが重症化を防ぐかどうかは研究待ちですが、
オミクロン株はデルタ株に比べると、そもそも重症化率が明らかに低いです。
新型コロナウイルスが、変異するごとに弱毒化して軽症化しているので、
ワクチンの効果で重症化が防げているかどうかは不明です。
④ADEの可能性は?
ワクチン接種者が感染した場合に出てくるもので、
ADE(抗体依存性免疫増強)という現象があります。
ワクチン接種者が有すIgG抗体が、
新型コロナ感染時にかえって、症状を悪化させることがあり得るのです。
ADEがどの程度の頻度あり得るのかが懸念されます。
ワクチン接種後の死亡者も報告されているだけで、
1700名以上なので一定数のADEが発生していると思われます。
ワクチン接種後の死亡者は、2000名以上となっているので、
一定数のADEが発生している可能性が高いです。
⑤人類が未経験の遺伝子ワクチン
mRNAワクチンは人類は未経験です。
10年、20年後の副反応のことは全く担保されておらず、
長期的な安全性に不安があります。
この見解は、2022年9月現在も変わりません。
この見解は、2023年10月現在も変わりません。
新型コロナワクチンは自然免疫を低下させているので、
将来のがんや膠原病の発症が懸念されます。
接種開始前と開始後で比較すると「帯状疱疹」の患者数が2倍に増加しているので
このワクチンが自然免疫を低下させている可能性が極めて高いのです。
①②③④⑤を考慮すると
私自身は、今回のファイザー社の新型コロナワクチン「コミナティ筋注」を
1回も接種していませんし、今後も接種するつもりはありません。
モデルナ社のワクチンも同様です。その代わり、スーパー糖質制限食実践で
しっかり免疫力向上を維持していきたいと思います。
この結論も、一貫して変わりません。
武田社の組換えタンパクワクチンは不活化ワクチンの一種であり、
B型肝炎ウイルスワクチンなど、他のワクチンでも使用実績があります。
mRNAワクチンのような未知のワクチンではありませんが、
高齢でリスクのある人など、適応はごく限られると思います。
江部康二
2023年10月07日 (土)
こんばんは。
少し前に来られた糖尿病の新患さんですが、
ブドウ糖負荷試験の結果を持参しておられました。
・空腹時血糖値:88mg/dl インスリン:2.8μU/mL(3~15)
・30分血糖値:154 インスリン:3.1
・60分血糖値:185 インスリン:36.9
・120分血糖値:146 インスリン:51.6
主治医は、
「インスリンが出ていないのに血糖がそれほど高くない。
インスリン分泌指数(⊿IRI/⊿BS)が0.00以下なんてあまり見かけない。
不思議な結果だ」
と言い、
ブドウ糖負荷試験の再検査を指示されたそうです。
ジャヌビアの内服と、たまに外食時にベイスンを服用しておられます。
糖質は昼少しのみ摂取で、かなり頑張っているそうです。
1)⊿IRI/⊿BS:0.0045 であり、インスリン分泌指数は確かに低いですね。
2)HOMA-β:40.32 と正常で、インスリン追加分泌能第2相は大丈夫です。
3)HOMA-R:0.6と正常で、インスリン抵抗性の指標も大丈夫です。
75gブドウ糖負荷試験は、2時間血糖値が146mg/dlと境界型です。
インスリン基礎分泌がやや低めですが、
早朝空腹時血糖は正常なのでうまく折り合いがついていて、好ましいです。
従って、もう一回ブドウ糖負荷試験を実施する必要はないと思います。
基礎インスリンが低くて、早朝空腹時血糖が正常なのは、
基礎分泌インスリンが高めで早朝空腹時血糖が正常な状態より良いことなのです。
インスリンは血糖値が正常であれば、低ければ低いほど、身体には優しいのです。
基礎インスリンが低くて、早朝空腹時血糖が正常なのは、
糖質制限食の影響かもしれません。
インスリンには、24時間少量持続的に出ている基礎分泌と、
糖質を摂取したときに大量にでる追加分泌があります。
一般に、空腹時のIRI(インスリン)は、基礎分泌とインスリン抵抗性の評価に用います。
負荷後のIRI(インスリン)は、追加分泌の評価に用います。
追加分泌のインスリンには、即分泌される第1相と少し遅れて出る第2相があります。
正常人は、血糖値が上昇し始めたら即インスリンが追加分泌されます。
この第1相反応は、もともとプールされていたインスリンが5~10分間分泌されて、
糖質摂取時の急激な食後高血糖を防いでいます。
その後、膵臓のベータ細胞は、第2相反応と呼ばれる持続するインスリン分泌を行います。
糖尿人の場合は、第1相が欠落・不足していたり、
第2相も、不足・遷延したりすることが結構あるようです。
HOMA-βは、空腹時血糖値と空腹時インスリン値で計算するのですが、
経口血糖負荷試験時の2時間値のインスリン分泌量と、
よく相関することがわかっています。
インスリン分泌指数が低いので、
この方は、第1相がかなり低値で糖尿人のよくあるパターンと言えます。
一方HOMA-βが正常ということは、
インスリン追加分泌の第2相は正常にでていることになります。
罹病期間の長い糖尿人では、HOMA-βが基準値を下回ることが多いです。
それから、負荷後60分血糖値が180mg/dlを超えているので、
将来、糖尿病を発症しやすいタイプということになります。
現在は境界型ですが、糖質制限食を実践して、将来の糖尿病発症を予防しましょう。
通常は、インスリン抵抗性があるとき、インスリンが多く出るようになります。
インスリン抵抗性はHOMA-IRで計算しますが、
空腹時のIRI(インスリン)が上限近い、
あるいはそれ以上あればそれだけでもインスリン抵抗性がある可能性が高いです。
空腹時のIRI(インスリン)の基準値は、施設にもよりますが3~15μU/mLくらいです。
この方は、HOMA-R:0.6と正常でインスリン抵抗性はなく、正常です。
そして少量のインスリンで空腹時血糖コントロールができており、
とても好ましい状態と言えます。
つまりインスリンの効きがいいので、少量のインスリンで事足りているわけです。
従って、空腹時血糖値に関しては全く問題ないと思います。
私は、農耕以前(穀物摂取なし)の人類の早朝空腹時のインスリン値は、
1.5~6.0μU/mlくらいが基準値ではなかったかと考えています。
つまり、空腹時IRI:10μU/mlなどは、基準値(3~15μU/ml)内ですが、
すでに肥満などによるインスリン抵抗性があるのではないかと思うのです。
ただ、インスリンがないと、人は死亡します。
実際、1921年にインスリンが合成されるまでは、
1型糖尿病で内因性インスリンゼロの場合は平均余命は半年程度でした。
一方、インスリンは肥満ホルモンであり、過剰分泌では発癌性があり、
アルツハイマー病のリスクともなり、老化のリスクでもあります。
つまり、インスリンというホルモンは人体に絶対に必要なのですが、
血糖コントロールができている限りにおいて、
その分泌が少なければ少ないほど身体には優しいのです。
言い換えれば、インスリン分泌が少なくてすむ食生活を心がけていれば、
肥満、癌、アルツハイマー病、老化、動脈硬化などのリスクは減少するのです。
①インスリン分泌指数
インスリン追加分泌のうち初期追加分泌能はインスリン分泌指数で見る。
Insulinogenic index(⊿IRI/⊿BS)=(負荷後30分IRI値-負荷前IRI値)/ (負荷後30分血糖値-負荷前血糖値)
0.4以上は初期追加分泌能維持。2型ではほぼ0.3以下となります。
②HOMA-β
<HOMA-β=360×空腹時インスリン値(μU/mL)/空腹時血糖値(mg/dL)-63>
インスリン基礎分泌の指標の一つである。
肥満していない健常者のHOMA-βの基準値は、50~120くらいとのことです。
③HOMA-IR (インスリン抵抗性指標)
<HOMA-R=空腹時血糖値(mg/dL)×空腹時インスリン値(μU/mL)/405 >
1.6以下が正常、2.5以上は抵抗性あり。
空腹時血糖値140mg以下なら信頼度高い。
一方、空腹時血糖値141mg以上でも、HOMA-Rが高値であれば、
インスリン抵抗性が疑われます。
④Cペプチドインデックス
既にインスリン注射を打っている場合はCペプチドインデックスを用います。
CPI= <空腹時血中CPR値(ng/㎖)/空腹時血糖値(mg/㎗)> × 100
CPI>1.2 の場合、食事療法・運動療法を基本として
経口薬でコントロールが可能な状態です。
CPI<0.8の場合はインスリン療法が必要と言えます。
(☆)
参考
改訂第7版「糖尿病専門医研修ガイドブック」日本糖尿病学会編(診断と治療社)2017
134、135、136ページ
江部康二
少し前に来られた糖尿病の新患さんですが、
ブドウ糖負荷試験の結果を持参しておられました。
・空腹時血糖値:88mg/dl インスリン:2.8μU/mL(3~15)
・30分血糖値:154 インスリン:3.1
・60分血糖値:185 インスリン:36.9
・120分血糖値:146 インスリン:51.6
主治医は、
「インスリンが出ていないのに血糖がそれほど高くない。
インスリン分泌指数(⊿IRI/⊿BS)が0.00以下なんてあまり見かけない。
不思議な結果だ」
と言い、
ブドウ糖負荷試験の再検査を指示されたそうです。
ジャヌビアの内服と、たまに外食時にベイスンを服用しておられます。
糖質は昼少しのみ摂取で、かなり頑張っているそうです。
1)⊿IRI/⊿BS:0.0045 であり、インスリン分泌指数は確かに低いですね。
2)HOMA-β:40.32 と正常で、インスリン追加分泌能第2相は大丈夫です。
3)HOMA-R:0.6と正常で、インスリン抵抗性の指標も大丈夫です。
75gブドウ糖負荷試験は、2時間血糖値が146mg/dlと境界型です。
インスリン基礎分泌がやや低めですが、
早朝空腹時血糖は正常なのでうまく折り合いがついていて、好ましいです。
従って、もう一回ブドウ糖負荷試験を実施する必要はないと思います。
基礎インスリンが低くて、早朝空腹時血糖が正常なのは、
基礎分泌インスリンが高めで早朝空腹時血糖が正常な状態より良いことなのです。
インスリンは血糖値が正常であれば、低ければ低いほど、身体には優しいのです。
基礎インスリンが低くて、早朝空腹時血糖が正常なのは、
糖質制限食の影響かもしれません。
インスリンには、24時間少量持続的に出ている基礎分泌と、
糖質を摂取したときに大量にでる追加分泌があります。
一般に、空腹時のIRI(インスリン)は、基礎分泌とインスリン抵抗性の評価に用います。
負荷後のIRI(インスリン)は、追加分泌の評価に用います。
追加分泌のインスリンには、即分泌される第1相と少し遅れて出る第2相があります。
正常人は、血糖値が上昇し始めたら即インスリンが追加分泌されます。
この第1相反応は、もともとプールされていたインスリンが5~10分間分泌されて、
糖質摂取時の急激な食後高血糖を防いでいます。
その後、膵臓のベータ細胞は、第2相反応と呼ばれる持続するインスリン分泌を行います。
糖尿人の場合は、第1相が欠落・不足していたり、
第2相も、不足・遷延したりすることが結構あるようです。
HOMA-βは、空腹時血糖値と空腹時インスリン値で計算するのですが、
経口血糖負荷試験時の2時間値のインスリン分泌量と、
よく相関することがわかっています。
インスリン分泌指数が低いので、
この方は、第1相がかなり低値で糖尿人のよくあるパターンと言えます。
一方HOMA-βが正常ということは、
インスリン追加分泌の第2相は正常にでていることになります。
罹病期間の長い糖尿人では、HOMA-βが基準値を下回ることが多いです。
それから、負荷後60分血糖値が180mg/dlを超えているので、
将来、糖尿病を発症しやすいタイプということになります。
現在は境界型ですが、糖質制限食を実践して、将来の糖尿病発症を予防しましょう。
通常は、インスリン抵抗性があるとき、インスリンが多く出るようになります。
インスリン抵抗性はHOMA-IRで計算しますが、
空腹時のIRI(インスリン)が上限近い、
あるいはそれ以上あればそれだけでもインスリン抵抗性がある可能性が高いです。
空腹時のIRI(インスリン)の基準値は、施設にもよりますが3~15μU/mLくらいです。
この方は、HOMA-R:0.6と正常でインスリン抵抗性はなく、正常です。
そして少量のインスリンで空腹時血糖コントロールができており、
とても好ましい状態と言えます。
つまりインスリンの効きがいいので、少量のインスリンで事足りているわけです。
従って、空腹時血糖値に関しては全く問題ないと思います。
私は、農耕以前(穀物摂取なし)の人類の早朝空腹時のインスリン値は、
1.5~6.0μU/mlくらいが基準値ではなかったかと考えています。
つまり、空腹時IRI:10μU/mlなどは、基準値(3~15μU/ml)内ですが、
すでに肥満などによるインスリン抵抗性があるのではないかと思うのです。
ただ、インスリンがないと、人は死亡します。
実際、1921年にインスリンが合成されるまでは、
1型糖尿病で内因性インスリンゼロの場合は平均余命は半年程度でした。
一方、インスリンは肥満ホルモンであり、過剰分泌では発癌性があり、
アルツハイマー病のリスクともなり、老化のリスクでもあります。
つまり、インスリンというホルモンは人体に絶対に必要なのですが、
血糖コントロールができている限りにおいて、
その分泌が少なければ少ないほど身体には優しいのです。
言い換えれば、インスリン分泌が少なくてすむ食生活を心がけていれば、
肥満、癌、アルツハイマー病、老化、動脈硬化などのリスクは減少するのです。
①インスリン分泌指数
インスリン追加分泌のうち初期追加分泌能はインスリン分泌指数で見る。
Insulinogenic index(⊿IRI/⊿BS)=(負荷後30分IRI値-負荷前IRI値)/ (負荷後30分血糖値-負荷前血糖値)
0.4以上は初期追加分泌能維持。2型ではほぼ0.3以下となります。
②HOMA-β
<HOMA-β=360×空腹時インスリン値(μU/mL)/空腹時血糖値(mg/dL)-63>
インスリン基礎分泌の指標の一つである。
肥満していない健常者のHOMA-βの基準値は、50~120くらいとのことです。
③HOMA-IR (インスリン抵抗性指標)
<HOMA-R=空腹時血糖値(mg/dL)×空腹時インスリン値(μU/mL)/405 >
1.6以下が正常、2.5以上は抵抗性あり。
空腹時血糖値140mg以下なら信頼度高い。
一方、空腹時血糖値141mg以上でも、HOMA-Rが高値であれば、
インスリン抵抗性が疑われます。
④Cペプチドインデックス
既にインスリン注射を打っている場合はCペプチドインデックスを用います。
CPI= <空腹時血中CPR値(ng/㎖)/空腹時血糖値(mg/㎗)> × 100
CPI>1.2 の場合、食事療法・運動療法を基本として
経口薬でコントロールが可能な状態です。
CPI<0.8の場合はインスリン療法が必要と言えます。
(☆)
参考
改訂第7版「糖尿病専門医研修ガイドブック」日本糖尿病学会編(診断と治療社)2017
134、135、136ページ
江部康二
2023年10月06日 (金)
こんにちは。
糖質制限食に関して、耐糖能が悪化するなどネガティブな情報を、
ネットで発信する医師や医療関係者が時々おられます。
結論から言いますと、『スーパー糖質制限食』実践で、
厳格に糖質摂取を制限しても問題はありません。
これに関しては、米国糖尿病学会のお墨付きがあります。
米国糖尿病学会のトレーシー・ブラウン前CEOは、
自らスーパー糖質制限食を実践中であり、
それによりインスリン注射を中止しておられます。
米国糖尿病学会とスーパー糖質制限食とエビデンスについて、
以下、経時的に検討してみました。
<米国糖尿病学会(ADA)の糖質制限食に対する見解の変遷>
①ADAは、2007年まで糖尿病の食事療法において糖質制限食は推奨しないとしていた。
②2008年、「食事療法に関する声明2008」において、
「減量が望まれる糖尿病患者には低カロリー食、もしくは低炭水化物食によるダイエットが推奨される」と、
1年の期限付きで、糖質制限食の有効性を認める見解を記載。
③2011年、肥満を伴う糖尿病患者に2年間の期限付きで糖質制限食の有効性を容認。
④2013年10月、「食事療法に関する声明2013」において期限や限定なしで、糖質制限食を容認
⑤2019年4月、コンセンサス・リコメンデーションで、糖質制限食が、
最も研究されている食事パターンと記載し、一推しで推奨。
⑥2020年4月、「栄養療法」(米国糖尿病学会ガイドライン)
地中海式、低炭水化物、およびベジタリアン食事パターンは、
いずれも研究で良好な結果が示されている
健康的な食事パターンの例である。
個別の食事計画は、個人の好み、ニーズ、
および目標に焦点を当てるべきである。
糖尿病患者の全体的な炭水化物摂取量を減らすことは、
血糖値を改善するために最も多くのエビデンスが示されているので、
個人のニーズや好みに応じた様々な食事パターンに
適用することができる。
米国糖尿病学会(ADA)は、
蓄積したエビデンスに基づき、見解を発表しています。
2007年までは、エビデンス不足のため、糖質制限食を否定しています。
その後、エビデンスの蓄積により、徐々に糖質制限食を肯定していき、
2013年10月には、正式に容認するに到りました。
さらに、2019年4月には、
食事パターン・コンセンサス・リコメンンデーションにおいて
糖質制限食が最もエビデンスが研究された食事パターンとし、一推しで推奨しました。
糖質制限食に関しては
Low-Carbohydrate or Very Low-Carbohydrate Eating Patterns
(低炭水化物食、超低炭水化物食)
と記載してあります。
タンパク質の摂取比率は、一定なので、超低炭水化物食は、間違いなく高脂肪食です。
高雄病院のスーパー糖質制限食はこの「超低炭水化物食」に相当し、
脂質摂取比率は56%です。
2020年のADA「栄養療法」においても『糖質制限食が最もエビデンスが研究された食事パターン』と再び明言してあります。
2021年、2022年、2023年のADA(米国糖尿病学会)「栄養療法」も、
2020年と同様の記載です。
耐糖能が悪化する可能性があるような
食事療法を米国糖尿病学会が容認することはあり得ません。
すなわち、糖質制限食の安全性は、米国糖尿病学会により担保されていると言えます。
ただし、米国糖尿病学会の
<食事パターン・コンセンサス・リコメンデーション
糖質制限食(低炭水化物食、超低炭水化物食)>
において、
・・・中略
非常に低い低炭水化物食パターンを実践すると、利尿が生じ、速やかに血糖値が下がる。
それ故に、開始時には、脱水予防やインスリンと経口糖尿病薬を減らして低血糖を予防するために、知識豊富な医師などに相談する必要がある。・・・以下略
とありますので、念のため。
江部康二
糖質制限食に関して、耐糖能が悪化するなどネガティブな情報を、
ネットで発信する医師や医療関係者が時々おられます。
結論から言いますと、『スーパー糖質制限食』実践で、
厳格に糖質摂取を制限しても問題はありません。
これに関しては、米国糖尿病学会のお墨付きがあります。
米国糖尿病学会のトレーシー・ブラウン前CEOは、
自らスーパー糖質制限食を実践中であり、
それによりインスリン注射を中止しておられます。
米国糖尿病学会とスーパー糖質制限食とエビデンスについて、
以下、経時的に検討してみました。
<米国糖尿病学会(ADA)の糖質制限食に対する見解の変遷>
①ADAは、2007年まで糖尿病の食事療法において糖質制限食は推奨しないとしていた。
②2008年、「食事療法に関する声明2008」において、
「減量が望まれる糖尿病患者には低カロリー食、もしくは低炭水化物食によるダイエットが推奨される」と、
1年の期限付きで、糖質制限食の有効性を認める見解を記載。
③2011年、肥満を伴う糖尿病患者に2年間の期限付きで糖質制限食の有効性を容認。
④2013年10月、「食事療法に関する声明2013」において期限や限定なしで、糖質制限食を容認
⑤2019年4月、コンセンサス・リコメンデーションで、糖質制限食が、
最も研究されている食事パターンと記載し、一推しで推奨。
⑥2020年4月、「栄養療法」(米国糖尿病学会ガイドライン)
地中海式、低炭水化物、およびベジタリアン食事パターンは、
いずれも研究で良好な結果が示されている
健康的な食事パターンの例である。
個別の食事計画は、個人の好み、ニーズ、
および目標に焦点を当てるべきである。
糖尿病患者の全体的な炭水化物摂取量を減らすことは、
血糖値を改善するために最も多くのエビデンスが示されているので、
個人のニーズや好みに応じた様々な食事パターンに
適用することができる。
米国糖尿病学会(ADA)は、
蓄積したエビデンスに基づき、見解を発表しています。
2007年までは、エビデンス不足のため、糖質制限食を否定しています。
その後、エビデンスの蓄積により、徐々に糖質制限食を肯定していき、
2013年10月には、正式に容認するに到りました。
さらに、2019年4月には、
食事パターン・コンセンサス・リコメンンデーションにおいて
糖質制限食が最もエビデンスが研究された食事パターンとし、一推しで推奨しました。
糖質制限食に関しては
Low-Carbohydrate or Very Low-Carbohydrate Eating Patterns
(低炭水化物食、超低炭水化物食)
と記載してあります。
タンパク質の摂取比率は、一定なので、超低炭水化物食は、間違いなく高脂肪食です。
高雄病院のスーパー糖質制限食はこの「超低炭水化物食」に相当し、
脂質摂取比率は56%です。
2020年のADA「栄養療法」においても『糖質制限食が最もエビデンスが研究された食事パターン』と再び明言してあります。
2021年、2022年、2023年のADA(米国糖尿病学会)「栄養療法」も、
2020年と同様の記載です。
耐糖能が悪化する可能性があるような
食事療法を米国糖尿病学会が容認することはあり得ません。
すなわち、糖質制限食の安全性は、米国糖尿病学会により担保されていると言えます。
ただし、米国糖尿病学会の
<食事パターン・コンセンサス・リコメンデーション
糖質制限食(低炭水化物食、超低炭水化物食)>
において、
・・・中略
非常に低い低炭水化物食パターンを実践すると、利尿が生じ、速やかに血糖値が下がる。
それ故に、開始時には、脱水予防やインスリンと経口糖尿病薬を減らして低血糖を予防するために、知識豊富な医師などに相談する必要がある。・・・以下略
とありますので、念のため。
江部康二
2023年10月05日 (木)
こんにちは。
厚生労働省から推奨されている成人の1日のビタミンC摂取量は100㎎とされていますが、
スーパー糖質制限を行っている場合もこの推奨量は食事から摂取した方が良いのでしょうか?
それともスーパー糖質セイゲニストの場合は、ビタミンC必要量は、ごく少量でよいのでしょうか?
我が畏友、夏井睦先生のブログに、以下の記述がありました。
http://www.wound-treatment.jp/title_new_2019-08.htm
(ここから引用)
私はここ数年,野菜は意識して食べていませんが,それでも体調は大丈夫みたいです。
ビタミンC摂取量はほぼゼロと思われますが,未だに壊血病は発症していません。
先史時代には野菜は単なる雑草で,そのままでは食べられない代物でした。
ヒトがそういう「煮ても焼いても食えない」雑草を品種改良して,
今日の「野菜」にしたのです。
つまり,ヒトが野菜を食べるようになったのは過去数千年です。
それ以前のヒト属は野菜は食べずに暮らしていて,
しかも絶滅していなかったのですから,ヒトの健康に野菜は必要ないのかも。
(引用終わり)
夏井先生、食物繊維は大腸での腸内細菌による短鎖脂肪酸生成に必要らしいので
海藻や青汁で摂取しているそうです。
ビタミンCは、抗酸化作用などがあります。
糖質セイゲニストの場合は、酸化ストレスが少ないので、
ビタミンCの必要量はかなり少なくてすむ可能性があります。
従って、夏井流でOKの人もいると思います。
一方で、個人差があるので、一般的な糖質セイゲニストは
まあ、安全率をかけて、
野菜から「ビタミンC+食物繊維」を摂取するのがよいと思います。
実は、マサイ族もビタミンC摂取量は極めて少なく、
血中濃度は壊血病レベルですが、健康です。
マサイ族も夏井先生と同様に糖質制限食です。
ビタミンCは、抗酸化作用などがあります。
糖質セイゲニストの場合は、酸化ストレスが少ないので、
マサイ族と同様に、ビタミンCの必要量はかなり少なくてすむ可能性があります。
マサイ族も野菜や果物は全く食べません。
<マサイ族と牛乳とヨーグルトとビタミンC>
東アフリカ、ケニアからタンザニアにかけて住むマサイ族は、主たる食事として牛乳、ヨーグルト、
牛の生き血を取る伝統的食生活を送ってきました。
これらの食事では、ビタミンC摂取が非常に少なくなりますが、彼らの健康度は良好でした。
サバンナの民、マサイ族の独特な食生活から「ヒトにとって必要な栄養素」について考えてみます。
マサイ族の主食は現在でも牛乳とヨーグルトです。牛乳、ヨーグルト合わせて1日に2〜3Lも摂取します。
毎日、牛の放牧をしながら何kmも歩き、その間、牛乳を入れた「キブユ」というひょうたんを腰にぶら下げ続けているので、
数日間で牛乳は自然発酵し、ヨーグルトになります。
長時間歩いていますから、主に摂取するのは新鮮な牛乳より、搾乳してから2〜3日が経過したものや、
さらに時間がたってヨーグルトになったものの方が主となります。
この主食だけで不足する鉄分は、牛の生き血を週に数回、牛乳に混ぜて飲むことで補います。
<野菜や果物を食べないマサイ族のビタミンC摂取量は>
彼らの伝統的食生活では、野菜や果物は一切食べないそうです。
となるとビタミンCをいかに摂取しているのかが不思議です。
ヒトはビタミンCを体内で合成できず、必ず食物から摂取せねばなりません。
マサイ族にとって牛は財産であり、殺して牛肉を食べることはありません。
ヤギやヒツジも飼っていて、こちらはお祝いごとや家族に病人が出て栄養をつけたい時には食べるといいます。
この時、ヤギやヒツジの生レバーや生の小腸も食用になります。
「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」で、野菜や果物に含まれるビタミンCを調べてみると、
100gあたり赤ピーマン170mg、パセリ120mg、甘ガキ70mg、イチゴ62mg、ゆでブロッコリー54mgなどとなります。
牛の生レバーのビタミンC含有量は100g中30mg、生の小腸は同じく15mgです。
ヤギやヒツジの生レバー、生小腸のデータは載っていないのですが、牛に準ずる程度でしょう。
しかしマサイ族は日常的に生レバーや生小腸を食べているわけではありません。
一方、牛の血漿(けっしょう)に含まれるビタミンCは1.4〜3.6mg/dLで、人の血漿(0.6〜1.4mg/dL)より高いそうです。
しかしそれでも、牛の血を1L飲んだところで摂取できるビタミンCはせいぜい30mgです。やはり十分な量とは言えません。
彼らの主食である牛乳はどうでしょうか。彼らが飲む新鮮な牛乳の中には、ビタミンCが2.2mg/dL含まれています。
ひょうたんに入れて、数日間発酵させてから飲む場合、この量は減少します。
例えばひょうたんの中で4日間経過すると、0.4mg/dLにまで減ってしまいます。
つまり牛乳、ヨーグルト、牛の生き血から得られる日々のビタミンC摂取量は、せいぜい1日30mg程度。
厚生労働省の推奨量である1日100mgに到底足りません。
<極端に低い血中ビタミンC濃度>
マサイ族と居住エリアが重なり、主に農耕生活を行うバンツー族という人々がいます。
バンツー族は穀物、野菜など何でも食べます。
ケニアの研究者が、この二つの種族の食生活と血液検査データを比較検討した論文があります。(注1)
前述のマサイ族が飲む牛乳のビタミンC含有量を調べたのもこの論文です。
マサイ族21人、バンツー族24人を対象に調べた論文のデータによると、
伝統的な食事をしているマサイ族の血清ビタミンC濃度は、0.16mg/dLです。
バンツー族は0.56mg/dL。
厚労省の「日本人の食事摂取基準2015年」は、日本人に1日100mgのビタミンC摂取を推奨し、
日本の大手検査会社エスアールエルは日本人の血清ビタミンC濃度の基準値を0.55〜1.68mg/dL としています。
つまりバンツー族では日本人の基準値の正常下限であり、マサイ族に至っては極端に低値ということです。
白血球の中に含まれるビタミンCの濃度でも、マサイ族はバンツー族の半分以下だと言います。
<なぜマサイ族やイヌイットに壊血病が起きないのか>
マサイ族、バンツー族ともに総じて身体に異常はないそうです。
論文では結論として、マサイ族の血清ビタミンC濃度が低いのは、
単純に食物から摂取するビタミンCが少ないからと考えられるとし、
これほど低いのに(ビタミンC不足で起きる)壊血病や貧血などは見られない理由については、
さらなる研究が必要と締めくくっています。
アラスカのイヌイットが生肉、生魚を主食とする伝統的食生活を送っていた頃は、
野菜と果物の摂取が極めて少なかったため、ビタミンC摂取不足による壊血病のリスクが指摘されていました。
イヌイットのビタミンC摂取量は、カナダの白人と比較してかなり少量でした。
イヌイットの妊娠中の女性の平均ビタミンC摂取量は28mg/日で、血清ビタミンC濃度は0.25mg/dL。
一方、カナダ全国の白人の妊婦になるとそれぞれ平均133mg/日、1.01mg/dLでした。
イヌイットの血清ビタミンC濃度は、壊血病になる危険ラインの0.2mg/dL未満の場合も多いのです。(注2)
しかし、そういうイヌイットには歯肉出血が高率に見られたそうですが、
死に至るような重症の壊血病が多発しているというデータはありません。
壊血病は、15世紀から17世紀の大航海時代、船員の間に死者が続出して、非常に恐れられた病気でした。
ビタミンCと壊血病の関係が明らかになったのは、1932年のことです。
血清ビタミンC濃度が同レベルに低いイヌイットとマサイ族ですが、イヌイットは歯肉出血のリスクが生じていた程度、
マサイ族にいたってはビタミンC不足の影響が感じられない健康な状態でした。
イヌイットにおいても壊血病のリスクはあるものの、死者が出るような事態はありませんでした。
<糖質制限食の徹底でビタミンCは少量で済む?>
大航海時代の船員にビタミンC不足による壊血病の死者が続出したのに対して、
イヌイットやマサイ族にはそれが無かった理由について、
私は「糖質制限食を実践している者は、ビタミンCの必要量が少なくて済むのではないか」という仮説を持っています。
糖質制限食実践中の人は、高血糖や高インスリン血症という酸化ストレスリスクが極めて少なくなります。
ビタミンCの主要な作用の一つは抗酸化作用で、体内の活性酸素を消去してくれます。
伝統的食生活を送っていた頃のイヌイットやマサイ族は、
「スーパー糖質制限食」を実践している状態なので、酸化ストレスが極めて少なくなります。
結果としてビタミンCの必要量も、
糖質を食べている人(大航海時代の白人の船員たちのような)に比べるとかなり少量で済んだ可能性があります。
全く健康なマサイ族と、多少のリスクがあるイヌイットの差は、
生活している環境からくる酸化ストレスの差が多少あったためかもしれません。
例えばイヌイットの暮らす北極圏は、太陽からの強力な紫外線にさらされており、
紫外線は酸化ストレスリスクです。
<ビタミンCの必須量を探ると人類の食生活史が見えるかも…>
あくまでも仮説ですが、このように考察すると、
人類の本当の血清ビタミンC基準値はどの程度に設定すべきなのかという疑問が浮かびます。
本当のビタミンC摂取必要量はどのくらいなのでしょう?
人類が700万年の進化の過程でいったい何を食べてきたのかを考察するのに、
人体で合成できないビタミンCの必須量を考えることは非常に重要だと思われます。
ヒトはアスコルビン酸合成能、つまり体内でビタミンCを合成する機能を進化の過程で失いました。
アスコルビン酸を作り出すプロセスの中で、重要な役割を果たす酵素、
L-グロノラクトンオキシダーゼが霊長類と一部の哺乳類では突然変異により失われているのです。
その時期は3500万〜5500万年前と推定されています。(注3)
「人類」と一口にいっても、人類史の中では多くの「種」の人類が生まれては消え、
現在残っているのは現生人類(ホモ・サピエンス)だけです。
他の種も含めて人類はすべてビタミンCを合成できなかったと考えられています。
そのため、すべての人類は野草や果実からビタミンCを摂取していたはずです。
現生人類においても、伝統的食生活を営んでいたマサイ族やイヌイット以外は、
野草や果実からビタミンCを摂取していたと考えられます。
マサイ族やイヌイットの研究から、
糖質制限食実践者においてはビタミンC必要量がかなり少なくて済む可能性が見えてきた、
と私は考えています。
しかしながら、我々はマサイ族ではありませんので、現時点では糖質制限食を実践しつつ、
葉野菜、ブロッコリー、ゴーヤーなどからしっかりビタミンCを摂取することを推奨します。
注1:"Low ascorbate status in the Masai of Kenya" The American Journal of Clinical Nutrition 27: MARCH 1974, pp. 310-314.
http://www.ajcn.org/cgi/reprint/27/3/310.pdf
注2:"Neonatal hypertyrosinemia and evidence of deficiency of ascorbic acid in Arctic and subarctic peoples" 624-626 CMA JOURNAL/OCTOBER 4,1975/VOL.113
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1956727/pdf/canmedaj01544-0034.pdf
注3:井村裕夫「進化医学 人への進化が生んだ疾患」:19ページ、2012年、羊土社
江部康二
厚生労働省から推奨されている成人の1日のビタミンC摂取量は100㎎とされていますが、
スーパー糖質制限を行っている場合もこの推奨量は食事から摂取した方が良いのでしょうか?
それともスーパー糖質セイゲニストの場合は、ビタミンC必要量は、ごく少量でよいのでしょうか?
我が畏友、夏井睦先生のブログに、以下の記述がありました。
http://www.wound-treatment.jp/title_new_2019-08.htm
(ここから引用)
私はここ数年,野菜は意識して食べていませんが,それでも体調は大丈夫みたいです。
ビタミンC摂取量はほぼゼロと思われますが,未だに壊血病は発症していません。
先史時代には野菜は単なる雑草で,そのままでは食べられない代物でした。
ヒトがそういう「煮ても焼いても食えない」雑草を品種改良して,
今日の「野菜」にしたのです。
つまり,ヒトが野菜を食べるようになったのは過去数千年です。
それ以前のヒト属は野菜は食べずに暮らしていて,
しかも絶滅していなかったのですから,ヒトの健康に野菜は必要ないのかも。
(引用終わり)
夏井先生、食物繊維は大腸での腸内細菌による短鎖脂肪酸生成に必要らしいので
海藻や青汁で摂取しているそうです。
ビタミンCは、抗酸化作用などがあります。
糖質セイゲニストの場合は、酸化ストレスが少ないので、
ビタミンCの必要量はかなり少なくてすむ可能性があります。
従って、夏井流でOKの人もいると思います。
一方で、個人差があるので、一般的な糖質セイゲニストは
まあ、安全率をかけて、
野菜から「ビタミンC+食物繊維」を摂取するのがよいと思います。
実は、マサイ族もビタミンC摂取量は極めて少なく、
血中濃度は壊血病レベルですが、健康です。
マサイ族も夏井先生と同様に糖質制限食です。
ビタミンCは、抗酸化作用などがあります。
糖質セイゲニストの場合は、酸化ストレスが少ないので、
マサイ族と同様に、ビタミンCの必要量はかなり少なくてすむ可能性があります。
マサイ族も野菜や果物は全く食べません。
<マサイ族と牛乳とヨーグルトとビタミンC>
東アフリカ、ケニアからタンザニアにかけて住むマサイ族は、主たる食事として牛乳、ヨーグルト、
牛の生き血を取る伝統的食生活を送ってきました。
これらの食事では、ビタミンC摂取が非常に少なくなりますが、彼らの健康度は良好でした。
サバンナの民、マサイ族の独特な食生活から「ヒトにとって必要な栄養素」について考えてみます。
マサイ族の主食は現在でも牛乳とヨーグルトです。牛乳、ヨーグルト合わせて1日に2〜3Lも摂取します。
毎日、牛の放牧をしながら何kmも歩き、その間、牛乳を入れた「キブユ」というひょうたんを腰にぶら下げ続けているので、
数日間で牛乳は自然発酵し、ヨーグルトになります。
長時間歩いていますから、主に摂取するのは新鮮な牛乳より、搾乳してから2〜3日が経過したものや、
さらに時間がたってヨーグルトになったものの方が主となります。
この主食だけで不足する鉄分は、牛の生き血を週に数回、牛乳に混ぜて飲むことで補います。
<野菜や果物を食べないマサイ族のビタミンC摂取量は>
彼らの伝統的食生活では、野菜や果物は一切食べないそうです。
となるとビタミンCをいかに摂取しているのかが不思議です。
ヒトはビタミンCを体内で合成できず、必ず食物から摂取せねばなりません。
マサイ族にとって牛は財産であり、殺して牛肉を食べることはありません。
ヤギやヒツジも飼っていて、こちらはお祝いごとや家族に病人が出て栄養をつけたい時には食べるといいます。
この時、ヤギやヒツジの生レバーや生の小腸も食用になります。
「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」で、野菜や果物に含まれるビタミンCを調べてみると、
100gあたり赤ピーマン170mg、パセリ120mg、甘ガキ70mg、イチゴ62mg、ゆでブロッコリー54mgなどとなります。
牛の生レバーのビタミンC含有量は100g中30mg、生の小腸は同じく15mgです。
ヤギやヒツジの生レバー、生小腸のデータは載っていないのですが、牛に準ずる程度でしょう。
しかしマサイ族は日常的に生レバーや生小腸を食べているわけではありません。
一方、牛の血漿(けっしょう)に含まれるビタミンCは1.4〜3.6mg/dLで、人の血漿(0.6〜1.4mg/dL)より高いそうです。
しかしそれでも、牛の血を1L飲んだところで摂取できるビタミンCはせいぜい30mgです。やはり十分な量とは言えません。
彼らの主食である牛乳はどうでしょうか。彼らが飲む新鮮な牛乳の中には、ビタミンCが2.2mg/dL含まれています。
ひょうたんに入れて、数日間発酵させてから飲む場合、この量は減少します。
例えばひょうたんの中で4日間経過すると、0.4mg/dLにまで減ってしまいます。
つまり牛乳、ヨーグルト、牛の生き血から得られる日々のビタミンC摂取量は、せいぜい1日30mg程度。
厚生労働省の推奨量である1日100mgに到底足りません。
<極端に低い血中ビタミンC濃度>
マサイ族と居住エリアが重なり、主に農耕生活を行うバンツー族という人々がいます。
バンツー族は穀物、野菜など何でも食べます。
ケニアの研究者が、この二つの種族の食生活と血液検査データを比較検討した論文があります。(注1)
前述のマサイ族が飲む牛乳のビタミンC含有量を調べたのもこの論文です。
マサイ族21人、バンツー族24人を対象に調べた論文のデータによると、
伝統的な食事をしているマサイ族の血清ビタミンC濃度は、0.16mg/dLです。
バンツー族は0.56mg/dL。
厚労省の「日本人の食事摂取基準2015年」は、日本人に1日100mgのビタミンC摂取を推奨し、
日本の大手検査会社エスアールエルは日本人の血清ビタミンC濃度の基準値を0.55〜1.68mg/dL としています。
つまりバンツー族では日本人の基準値の正常下限であり、マサイ族に至っては極端に低値ということです。
白血球の中に含まれるビタミンCの濃度でも、マサイ族はバンツー族の半分以下だと言います。
<なぜマサイ族やイヌイットに壊血病が起きないのか>
マサイ族、バンツー族ともに総じて身体に異常はないそうです。
論文では結論として、マサイ族の血清ビタミンC濃度が低いのは、
単純に食物から摂取するビタミンCが少ないからと考えられるとし、
これほど低いのに(ビタミンC不足で起きる)壊血病や貧血などは見られない理由については、
さらなる研究が必要と締めくくっています。
アラスカのイヌイットが生肉、生魚を主食とする伝統的食生活を送っていた頃は、
野菜と果物の摂取が極めて少なかったため、ビタミンC摂取不足による壊血病のリスクが指摘されていました。
イヌイットのビタミンC摂取量は、カナダの白人と比較してかなり少量でした。
イヌイットの妊娠中の女性の平均ビタミンC摂取量は28mg/日で、血清ビタミンC濃度は0.25mg/dL。
一方、カナダ全国の白人の妊婦になるとそれぞれ平均133mg/日、1.01mg/dLでした。
イヌイットの血清ビタミンC濃度は、壊血病になる危険ラインの0.2mg/dL未満の場合も多いのです。(注2)
しかし、そういうイヌイットには歯肉出血が高率に見られたそうですが、
死に至るような重症の壊血病が多発しているというデータはありません。
壊血病は、15世紀から17世紀の大航海時代、船員の間に死者が続出して、非常に恐れられた病気でした。
ビタミンCと壊血病の関係が明らかになったのは、1932年のことです。
血清ビタミンC濃度が同レベルに低いイヌイットとマサイ族ですが、イヌイットは歯肉出血のリスクが生じていた程度、
マサイ族にいたってはビタミンC不足の影響が感じられない健康な状態でした。
イヌイットにおいても壊血病のリスクはあるものの、死者が出るような事態はありませんでした。
<糖質制限食の徹底でビタミンCは少量で済む?>
大航海時代の船員にビタミンC不足による壊血病の死者が続出したのに対して、
イヌイットやマサイ族にはそれが無かった理由について、
私は「糖質制限食を実践している者は、ビタミンCの必要量が少なくて済むのではないか」という仮説を持っています。
糖質制限食実践中の人は、高血糖や高インスリン血症という酸化ストレスリスクが極めて少なくなります。
ビタミンCの主要な作用の一つは抗酸化作用で、体内の活性酸素を消去してくれます。
伝統的食生活を送っていた頃のイヌイットやマサイ族は、
「スーパー糖質制限食」を実践している状態なので、酸化ストレスが極めて少なくなります。
結果としてビタミンCの必要量も、
糖質を食べている人(大航海時代の白人の船員たちのような)に比べるとかなり少量で済んだ可能性があります。
全く健康なマサイ族と、多少のリスクがあるイヌイットの差は、
生活している環境からくる酸化ストレスの差が多少あったためかもしれません。
例えばイヌイットの暮らす北極圏は、太陽からの強力な紫外線にさらされており、
紫外線は酸化ストレスリスクです。
<ビタミンCの必須量を探ると人類の食生活史が見えるかも…>
あくまでも仮説ですが、このように考察すると、
人類の本当の血清ビタミンC基準値はどの程度に設定すべきなのかという疑問が浮かびます。
本当のビタミンC摂取必要量はどのくらいなのでしょう?
人類が700万年の進化の過程でいったい何を食べてきたのかを考察するのに、
人体で合成できないビタミンCの必須量を考えることは非常に重要だと思われます。
ヒトはアスコルビン酸合成能、つまり体内でビタミンCを合成する機能を進化の過程で失いました。
アスコルビン酸を作り出すプロセスの中で、重要な役割を果たす酵素、
L-グロノラクトンオキシダーゼが霊長類と一部の哺乳類では突然変異により失われているのです。
その時期は3500万〜5500万年前と推定されています。(注3)
「人類」と一口にいっても、人類史の中では多くの「種」の人類が生まれては消え、
現在残っているのは現生人類(ホモ・サピエンス)だけです。
他の種も含めて人類はすべてビタミンCを合成できなかったと考えられています。
そのため、すべての人類は野草や果実からビタミンCを摂取していたはずです。
現生人類においても、伝統的食生活を営んでいたマサイ族やイヌイット以外は、
野草や果実からビタミンCを摂取していたと考えられます。
マサイ族やイヌイットの研究から、
糖質制限食実践者においてはビタミンC必要量がかなり少なくて済む可能性が見えてきた、
と私は考えています。
しかしながら、我々はマサイ族ではありませんので、現時点では糖質制限食を実践しつつ、
葉野菜、ブロッコリー、ゴーヤーなどからしっかりビタミンCを摂取することを推奨します。
注1:"Low ascorbate status in the Masai of Kenya" The American Journal of Clinical Nutrition 27: MARCH 1974, pp. 310-314.
http://www.ajcn.org/cgi/reprint/27/3/310.pdf
注2:"Neonatal hypertyrosinemia and evidence of deficiency of ascorbic acid in Arctic and subarctic peoples" 624-626 CMA JOURNAL/OCTOBER 4,1975/VOL.113
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1956727/pdf/canmedaj01544-0034.pdf
注3:井村裕夫「進化医学 人への進化が生んだ疾患」:19ページ、2012年、羊土社
江部康二
2023年10月03日 (火)
こんにちは。
現行の日本糖尿病学会推奨の「糖尿病食」は、カロリー制限・高糖質食です。
ただ、長い間、炭水化物摂取比率60%だったのが、
最近50~60%になり、さらに2019年からは40~60%となっています。
少しずつですが、糖質制限食に歩み寄っています。
これは、よいことだと思います。
しかしながら、炭水化物摂取比率40%でも、
1800kcal/日摂取なら、一日量は180gとなります。
一日三食として、一回の食事の炭水化物量は60gあります。
1gの糖質が、体重64kgの糖尿人の血糖値を3mg上昇させます。
ということは、一回の食事で食後血糖値のピークは180mg/dl上昇するので、
食後血糖値は、毎回軽く200mg/dlを超えてきます。
これでは、糖尿病合併症を防ぐことはできません。
<現行の糖尿病食は合併症製造食>
我々糖尿人は耐糖能が低下していますので、
糖質を摂取すると必ず
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じます。
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」は最大の酸化ストレスリスクであり
糖尿病合併症の元凶とされています。
従って、普通の糖質摂取比率が40~60%の食事というのは
糖尿人にとっては、明確に害悪であり毒と言っても過言ではないと思います。
現行の糖尿病食は、誠に遺憾ながら「合併症製造食」としか言いようがありません。
現実に今の日本では、糖尿病学会も認めるように
糖尿病合併症は全く減少していません。
人工透析が毎年16000人以上、
失明が毎年3000人以上、
足の切断が毎年3000人以上です。
この事実は、現行の糖尿病治療(カロリー制限・高糖質食+薬物療法)が
決して上手くいっていない動かぬ証拠と言えます
現行の糖尿病治療が上手くいっているなら、
合併症は減り続けているはずです。
<体内で作られるAGEsが糖尿病合併症を引き起こす>
最近、AGEs(*)が注目されています。
その理由はさまざまな糖尿病合併症の元凶の一つと考えられるようになったからです。
まず、AGEsは酸化ストレスのリスクとなります。
そのプロセスは多様ですが、最も分かりやすいのは、
AGEsが血管の内壁にたまり、動脈硬化を引き起こす例でしょう。
動脈硬化によって障害を受ける血管の部位によって、生じる糖尿病合併症は異なりますが、
いずれも血管病と言って過言ではありません。
血管壁のAGEsは消えない借金であり「高血糖の記憶 」と呼ばれています。
体内で高血糖により産生されたAGEsが、細小血管合併症に関わることは、以前から指摘されていました。
細小血管合併症とは、糖尿病網膜症や糖尿病腎症です。
さらに近年「高血糖の記憶」という概念で、
米国の大規模臨床研究・DCCTのフォローアップ試験であるEDIC-DCCTの報告、
UKPDSの20年後の解析で、大血管合併症にもAGEsが関わっているという説が有力となっています。
大血管合併症とは、心筋梗塞や脳梗塞などです。
AGEsによる合併症発症のリスクは、「血糖値×持続期間」で決まります。
高血糖であればあるほど、そして高血糖である期間が長ければ長いほど、
AGEsの生成、蓄積量は多くなるからです。
従って、長年糖尿病を患っている患者は糖化が生じやすく、
AGEsの蓄積も、糖尿病でない人に比べて必然的に多くなります。
その結果、心筋梗塞や脳梗塞にもなりやすくなるので、
糖尿病は「老化」が早く進む病気とも言われてきました。
<糖質制限食と糖尿人>
糖尿人においては「スーパー糖質制限食」だけが
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅」と「AGEsの蓄積」が生じない食事療法であり、
合併症予防を考えると理論的には他に選択の余地はありません。
一方、糖質制限食は、強制するようなものではありません。
自分で考えて自分で判断し選択して自己責任で実践するものです。
(*)AGEs
糖化とは、ブドウ糖(グルコース)などの糖が、直接たんぱく質などに結合する反応のことです。
糖尿病の検査指標として一般的に使われているヘモグロビンA1c(HbA1c)は糖化したヘモグロビンのことです。
HbA1cは、たんぱく質と糖が結合する「糖化反応系」の初期段階で作られる「アマドリ化合物」の一種で、
アマドリ化合物からさらに糖化反応が進むと、
最終的に「終末糖化産物(AGEs=advanced glycation endproducts)」というものができあがります。
AGEsには体内で産生されるものと食事由来のものがあります。
体内で産生されるAGEsが有害であること明白です。
糖質制限食では、肉や魚や卵など動物性たんぱく質を焼いて食べることがよくありますが、
食事由来のAGEsは、私は無害と考えています。
根拠は、火を使い始めて以降、人類の寿命は明らかに延びているからです。
江部康二
現行の日本糖尿病学会推奨の「糖尿病食」は、カロリー制限・高糖質食です。
ただ、長い間、炭水化物摂取比率60%だったのが、
最近50~60%になり、さらに2019年からは40~60%となっています。
少しずつですが、糖質制限食に歩み寄っています。
これは、よいことだと思います。
しかしながら、炭水化物摂取比率40%でも、
1800kcal/日摂取なら、一日量は180gとなります。
一日三食として、一回の食事の炭水化物量は60gあります。
1gの糖質が、体重64kgの糖尿人の血糖値を3mg上昇させます。
ということは、一回の食事で食後血糖値のピークは180mg/dl上昇するので、
食後血糖値は、毎回軽く200mg/dlを超えてきます。
これでは、糖尿病合併症を防ぐことはできません。
<現行の糖尿病食は合併症製造食>
我々糖尿人は耐糖能が低下していますので、
糖質を摂取すると必ず
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じます。
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」は最大の酸化ストレスリスクであり
糖尿病合併症の元凶とされています。
従って、普通の糖質摂取比率が40~60%の食事というのは
糖尿人にとっては、明確に害悪であり毒と言っても過言ではないと思います。
現行の糖尿病食は、誠に遺憾ながら「合併症製造食」としか言いようがありません。
現実に今の日本では、糖尿病学会も認めるように
糖尿病合併症は全く減少していません。
人工透析が毎年16000人以上、
失明が毎年3000人以上、
足の切断が毎年3000人以上です。
この事実は、現行の糖尿病治療(カロリー制限・高糖質食+薬物療法)が
決して上手くいっていない動かぬ証拠と言えます
現行の糖尿病治療が上手くいっているなら、
合併症は減り続けているはずです。
<体内で作られるAGEsが糖尿病合併症を引き起こす>
最近、AGEs(*)が注目されています。
その理由はさまざまな糖尿病合併症の元凶の一つと考えられるようになったからです。
まず、AGEsは酸化ストレスのリスクとなります。
そのプロセスは多様ですが、最も分かりやすいのは、
AGEsが血管の内壁にたまり、動脈硬化を引き起こす例でしょう。
動脈硬化によって障害を受ける血管の部位によって、生じる糖尿病合併症は異なりますが、
いずれも血管病と言って過言ではありません。
血管壁のAGEsは消えない借金であり「高血糖の記憶 」と呼ばれています。
体内で高血糖により産生されたAGEsが、細小血管合併症に関わることは、以前から指摘されていました。
細小血管合併症とは、糖尿病網膜症や糖尿病腎症です。
さらに近年「高血糖の記憶」という概念で、
米国の大規模臨床研究・DCCTのフォローアップ試験であるEDIC-DCCTの報告、
UKPDSの20年後の解析で、大血管合併症にもAGEsが関わっているという説が有力となっています。
大血管合併症とは、心筋梗塞や脳梗塞などです。
AGEsによる合併症発症のリスクは、「血糖値×持続期間」で決まります。
高血糖であればあるほど、そして高血糖である期間が長ければ長いほど、
AGEsの生成、蓄積量は多くなるからです。
従って、長年糖尿病を患っている患者は糖化が生じやすく、
AGEsの蓄積も、糖尿病でない人に比べて必然的に多くなります。
その結果、心筋梗塞や脳梗塞にもなりやすくなるので、
糖尿病は「老化」が早く進む病気とも言われてきました。
<糖質制限食と糖尿人>
糖尿人においては「スーパー糖質制限食」だけが
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅」と「AGEsの蓄積」が生じない食事療法であり、
合併症予防を考えると理論的には他に選択の余地はありません。
一方、糖質制限食は、強制するようなものではありません。
自分で考えて自分で判断し選択して自己責任で実践するものです。
(*)AGEs
糖化とは、ブドウ糖(グルコース)などの糖が、直接たんぱく質などに結合する反応のことです。
糖尿病の検査指標として一般的に使われているヘモグロビンA1c(HbA1c)は糖化したヘモグロビンのことです。
HbA1cは、たんぱく質と糖が結合する「糖化反応系」の初期段階で作られる「アマドリ化合物」の一種で、
アマドリ化合物からさらに糖化反応が進むと、
最終的に「終末糖化産物(AGEs=advanced glycation endproducts)」というものができあがります。
AGEsには体内で産生されるものと食事由来のものがあります。
体内で産生されるAGEsが有害であること明白です。
糖質制限食では、肉や魚や卵など動物性たんぱく質を焼いて食べることがよくありますが、
食事由来のAGEsは、私は無害と考えています。
根拠は、火を使い始めて以降、人類の寿命は明らかに延びているからです。
江部康二
2023年10月02日 (月)
こんにちは。
今回は、
基礎代謝と各臓器の基礎代謝の比率について考察してみます。
基礎代謝とは、
①仰向けに寝る
②食事はなし
③適温でリラックスした状態
①②③の条件を満たしたときに消費されるエネルギーのことです。
人体の基礎代謝の比率に関して、いろんなデータがネット上で出回っています。
例えば厚生労働省のe-ヘルスネットのデータは以下です。
厚生労働省e-ヘルスネット 基礎代謝の比率
骨格筋 22%
肝臓 21%
脳 20%
心臓 9%
腎臓 8%
脂肪組織 4%
その他 16%
しかしながら、これらの様々な基礎代謝に関する情報の中で一番信頼できるデータが、
<人における組織・器官の代謝率:成人>
肝臓27%、脳19%、心臓7%、腎臓10%、筋肉18%、その他19%
<人における組織・器官の代謝率:新生児>
肝臓20%、脳44%、心臓4%、腎臓7%、筋肉5%、その他20%
であり、「 FAO/WHO/UNU合同特別専門委員会報告」1989、13ページのTABLE 2に記載されています。
日本語訳はありましたが絶版です。
一般に通説として筋肉が基礎代謝の比率で一番多いとか言われていて、私も深く検証せずにそう思っていたのですが、
肝臓27%、筋肉18%というのは意外でした。
新生児の脳の比率は、すごいですね。
ともあれ、糖質制限食(高脂質・高タンパク食)においては、人体最大の基礎代謝率を占める肝臓が、
糖新生で活性化されるので、
糖質制限食で基礎代謝が増加するという仮説は、なかなか説得力があると自画自賛しています。
糖質セイゲニストにおいては、糖新生が多い分、肝臓の比率は27%より少し多い可能性もあります。
通常は、筋肉量の増加が基礎代謝の増加なのですが、例えば甲状腺機能亢進症でも、
基礎代謝の増加のために体重減少が生じます。
「エネルギー・蛋白質の必要量―FAO/WHO/UNU合同特別専門委員会報告-ヒトにおける基礎代謝率」は、医歯薬出版 (1990/03)で単行本になっているのですが、とっくに絶版です。
原著が以下のサイトに載っています。
http://www.fao.org/docrep/MEETING/004/M2845E/M2845E00.HTM
Joint FAO/WHO/UNU Expert Consultation on
Energy and Protein Requirements
Rome, 5 to 17 October 1981
BASAL METABOLIC RATE IN MAN
by
J.V.G.A. Durnin
University of Glasgow
Glasgow
Scotland
TABLE 2.Metabolic Rates of Organs and Tissues in Man
アマゾン
http://www.amazon.co.jp/dp/4263702476
エネルギー・蛋白質の必要量―FAO/WHO/UNU合同特別専門委員会報告 (WHOテクニカル・レポート・シリーズ)
単行本 – 1990/3
FAO/WHO/UNU合同特別専門委員会 (著), 井上五郎 (著)医歯薬出版 (1990/03)
残念ながら絶版です。
江部康二
今回は、
基礎代謝と各臓器の基礎代謝の比率について考察してみます。
基礎代謝とは、
①仰向けに寝る
②食事はなし
③適温でリラックスした状態
①②③の条件を満たしたときに消費されるエネルギーのことです。
人体の基礎代謝の比率に関して、いろんなデータがネット上で出回っています。
例えば厚生労働省のe-ヘルスネットのデータは以下です。
厚生労働省e-ヘルスネット 基礎代謝の比率
骨格筋 22%
肝臓 21%
脳 20%
心臓 9%
腎臓 8%
脂肪組織 4%
その他 16%
しかしながら、これらの様々な基礎代謝に関する情報の中で一番信頼できるデータが、
<人における組織・器官の代謝率:成人>
肝臓27%、脳19%、心臓7%、腎臓10%、筋肉18%、その他19%
<人における組織・器官の代謝率:新生児>
肝臓20%、脳44%、心臓4%、腎臓7%、筋肉5%、その他20%
であり、「 FAO/WHO/UNU合同特別専門委員会報告」1989、13ページのTABLE 2に記載されています。
日本語訳はありましたが絶版です。
一般に通説として筋肉が基礎代謝の比率で一番多いとか言われていて、私も深く検証せずにそう思っていたのですが、
肝臓27%、筋肉18%というのは意外でした。
新生児の脳の比率は、すごいですね。
ともあれ、糖質制限食(高脂質・高タンパク食)においては、人体最大の基礎代謝率を占める肝臓が、
糖新生で活性化されるので、
糖質制限食で基礎代謝が増加するという仮説は、なかなか説得力があると自画自賛しています。
糖質セイゲニストにおいては、糖新生が多い分、肝臓の比率は27%より少し多い可能性もあります。
通常は、筋肉量の増加が基礎代謝の増加なのですが、例えば甲状腺機能亢進症でも、
基礎代謝の増加のために体重減少が生じます。
「エネルギー・蛋白質の必要量―FAO/WHO/UNU合同特別専門委員会報告-ヒトにおける基礎代謝率」は、医歯薬出版 (1990/03)で単行本になっているのですが、とっくに絶版です。
原著が以下のサイトに載っています。
http://www.fao.org/docrep/MEETING/004/M2845E/M2845E00.HTM
Joint FAO/WHO/UNU Expert Consultation on
Energy and Protein Requirements
Rome, 5 to 17 October 1981
BASAL METABOLIC RATE IN MAN
by
J.V.G.A. Durnin
University of Glasgow
Glasgow
Scotland
TABLE 2.Metabolic Rates of Organs and Tissues in Man
アマゾン
http://www.amazon.co.jp/dp/4263702476
エネルギー・蛋白質の必要量―FAO/WHO/UNU合同特別専門委員会報告 (WHOテクニカル・レポート・シリーズ)
単行本 – 1990/3
FAO/WHO/UNU合同特別専門委員会 (著), 井上五郎 (著)医歯薬出版 (1990/03)
残念ながら絶版です。
江部康二
2023年10月01日 (日)
【23/09/30 糖尿人
お世話になります。
早朝空腹時血糖
江部先生
早朝空腹時血糖 について質問したくメールします。
空腹時血糖高い値 だと体に悪影響及ぼすことが考察されるのでしょうか?
健康診断の数値105mg・dl規定
暁現象があるか判定のため?
暁現象が発生する理由の考察
教えていただければ幸いです。】
おはようございます。
こんにちは。
糖尿人 さんから、早朝空腹時血糖値高値について、コメントを頂きました。
まず、早朝空腹時血糖値ですが、105mg/dlなら、109mg/dl以下であり、正常値です。
日本糖尿病学会は、合併症予防のためには、早朝空腹時血糖値130mg/dl未満を推奨しています。
糖尿病の人における早朝空腹時血糖値の高値は、暁現象と考えられます。
早朝の空腹時血糖値は、正常人では、寝る前より低いのが普通です。
ところが、就寝前よりも朝起きたときの血糖値のほうが高いという現象が、
糖尿人によくみられ、「暁現象」と呼ばれています。
朝方3~4時ころは、基礎分泌インスリンは一番低値になります。
さらにこの時間帯、成長ホルモンとコルチゾールが増えて
血糖が上がりやすくなるのですが、
正常人は即座にインスリン分泌を増やして対応します。
糖尿人はインスリンを増加させてそれに対抗できないから、
暁現象を生じるとされています。
成長ホルモンは、肝臓でのグリコーゲン分解を促し、
また抗インスリン作用(インスリンを抑制し、血糖値を上昇させる)を持つため、
血糖値を上昇させます。
コルチゾールは肝臓での糖新生を促進させて、血糖値を上昇させます。
また糖尿病患者では起床前後の交感神経活性化が暁現象に関係しています。
交感神経活性化でカテコラミンなどのインスリン拮抗ホルモンが増えます。
膵臓では交感神経刺激によりインスリン分泌抑制とグルカゴン分泌促進が起こり、
血糖値が上昇します。
夜間睡眠時は、肝臓がブドウ糖を合成して(糖新生)血液中に送り、
血糖値を維持しますが、もともと糖尿人は正常人に比べて糖新生が増加しています。
この時間帯、基礎分泌インスリンは、正常人なら少し分泌されれば血糖値が下がりますが、
2型の糖尿人は正常人の2倍の量が必要だといわれていますので、
そもそもハンディがあります。
糖新生が多くなると、
正常人なら即座に基礎分泌インスリンの分泌を増加させて対応します。
しかし、糖尿人はインスリンの分泌量調整がスムースに血糖値いために、
糖新生を制御できず、暁現象が起きると考えられます。
暁現象を改善するには運動が良いです。
簡単で長続きする運動として
<インターバル速歩>や<ながらジョギング>がお奨めです。
以下のブログ記事をご参照頂ければ幸いです。
インターバル速歩と体力。8000歩/日との比較。
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4826.html
2019年02月20日 (水)
体脂肪率の改善、糖質制限食、インターバル速歩、ながらジョグ。
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5345.html
2020年08月20日 (木)
米国の糖尿病退役軍人285,705人の研究で、
A1c値は冬に高く、夏に低く、0.22の差がありました。
HbA1cは過去1~2ヶ月の平均血糖値の指標です。
つまり28万人という大規模な研究では、
血糖値は夏に低く、冬に高いということとなります。
糖尿人さんの空腹時血糖値は、季節変動はありますか?
江部康二
お世話になります。
早朝空腹時血糖
江部先生
早朝空腹時血糖 について質問したくメールします。
空腹時血糖高い値 だと体に悪影響及ぼすことが考察されるのでしょうか?
健康診断の数値105mg・dl規定
暁現象があるか判定のため?
暁現象が発生する理由の考察
教えていただければ幸いです。】
おはようございます。
こんにちは。
糖尿人 さんから、早朝空腹時血糖値高値について、コメントを頂きました。
まず、早朝空腹時血糖値ですが、105mg/dlなら、109mg/dl以下であり、正常値です。
日本糖尿病学会は、合併症予防のためには、早朝空腹時血糖値130mg/dl未満を推奨しています。
糖尿病の人における早朝空腹時血糖値の高値は、暁現象と考えられます。
早朝の空腹時血糖値は、正常人では、寝る前より低いのが普通です。
ところが、就寝前よりも朝起きたときの血糖値のほうが高いという現象が、
糖尿人によくみられ、「暁現象」と呼ばれています。
朝方3~4時ころは、基礎分泌インスリンは一番低値になります。
さらにこの時間帯、成長ホルモンとコルチゾールが増えて
血糖が上がりやすくなるのですが、
正常人は即座にインスリン分泌を増やして対応します。
糖尿人はインスリンを増加させてそれに対抗できないから、
暁現象を生じるとされています。
成長ホルモンは、肝臓でのグリコーゲン分解を促し、
また抗インスリン作用(インスリンを抑制し、血糖値を上昇させる)を持つため、
血糖値を上昇させます。
コルチゾールは肝臓での糖新生を促進させて、血糖値を上昇させます。
また糖尿病患者では起床前後の交感神経活性化が暁現象に関係しています。
交感神経活性化でカテコラミンなどのインスリン拮抗ホルモンが増えます。
膵臓では交感神経刺激によりインスリン分泌抑制とグルカゴン分泌促進が起こり、
血糖値が上昇します。
夜間睡眠時は、肝臓がブドウ糖を合成して(糖新生)血液中に送り、
血糖値を維持しますが、もともと糖尿人は正常人に比べて糖新生が増加しています。
この時間帯、基礎分泌インスリンは、正常人なら少し分泌されれば血糖値が下がりますが、
2型の糖尿人は正常人の2倍の量が必要だといわれていますので、
そもそもハンディがあります。
糖新生が多くなると、
正常人なら即座に基礎分泌インスリンの分泌を増加させて対応します。
しかし、糖尿人はインスリンの分泌量調整がスムースに血糖値いために、
糖新生を制御できず、暁現象が起きると考えられます。
暁現象を改善するには運動が良いです。
簡単で長続きする運動として
<インターバル速歩>や<ながらジョギング>がお奨めです。
以下のブログ記事をご参照頂ければ幸いです。
インターバル速歩と体力。8000歩/日との比較。
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4826.html
2019年02月20日 (水)
体脂肪率の改善、糖質制限食、インターバル速歩、ながらジョグ。
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5345.html
2020年08月20日 (木)
米国の糖尿病退役軍人285,705人の研究で、
A1c値は冬に高く、夏に低く、0.22の差がありました。
HbA1cは過去1~2ヶ月の平均血糖値の指標です。
つまり28万人という大規模な研究では、
血糖値は夏に低く、冬に高いということとなります。
糖尿人さんの空腹時血糖値は、季節変動はありますか?
江部康二
| ホーム |