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糖尿人にとって、適正な糖質の摂取量は?
こんばんは。
糖尿人にとって、適正な糖質の摂取量は、どのくらいなのでしょう。
国際糖尿病連合は、合併症予防のための目標値として、
食後1時間、2時間血糖値が160mg/dl未満と、設定しています。


①糖質はどれくらいの量で毒性を示すのでしょうか。
  国際糖尿病連合によれば、160mg/dl以上の血糖値は、血管内皮に害をなします。
 この目標値ですが、各個人によって、許容糖質量は異なることとなります。
 Aさんは、1回の食事の糖質量が20gなら、食後血糖値は160mg/dl未満、
 Bさんは、1回の食事の糖質量が30gなら、食後血糖値は160mg/dl未満、
   Cさんは、1回の食事の糖質量が40gなら、食後血糖値は160mg/dl未満、
 Dさんは、1回の食事の糖質量が50gなら、食後血糖値は160mg/dl未満、
 Eさんは、1回の食事の糖質量が60gなら、食後血糖値は160mg/dl未満、

このように、耐糖能に関していろんな人がいると思います。

スーパー糖質制限食で、1回の食事の糖質量が20g以下と設定しているのは、
重症~軽症まで、どんなタイプの糖尿人でも、この設定なら、多くの人が
食後血糖値160mg/dl未満を達成できるからです。
目標達成なら、血管内皮の障害は予防できるとされています。

アバウトではありますが、体重が64kgの糖尿人で、1gの糖質を摂取すると、
3mgほど血糖値を上昇させます。体重が32kgの人は、6mgほど上昇させる計算です。

②糖質摂取量は、少なければ少ないほど良いのでしょうか?

 理論的には必須糖質はゼロです。(☆)
 しかし、ヒトは、ビタミンCと食物繊維を食物から摂取する必要があります。
 そうすると、必然的に葉野菜、ブロッコリー、ピーマン、ゴーヤなどの糖質含有量の少ない野菜や、海藻、茸、ナッツ類などを
 摂取することとなります。
 従って野菜や海藻や茸分の糖質は、摂取されることとなります。
 1日2食の、江部康二の糖質摂取量は、<10g×2/日>くらいです。
 脂質とタンパク質に関しては、肉類、魚貝類、卵製品、乳製品、大豆製品は毎日充分量を食べています。

③適正な糖質摂取量の指標は?
 食後ピーク血糖値160mg/dl未満を達成すれば、適正な糖質量摂取と言えます。
 短期的な治療量と長期の維持量ですが、
 私は日々の毎回の食事の目標をクリアする糖質摂取量の積み重ねが、
 そのまま 糖尿病合併症予防のための長期の維持量になると考えています。
 つまり、毎回の食事で食後血糖値160mg/dl未満をクリアする糖質量を摂取して、
 それを日々積み重ねていけば、数年、10年、20年・・・と続いていきます。
 糖質摂取量の下限ですが、1回の食事ならゼロでも大丈夫です。
 しかし、1日を通したら、野菜や海藻などで、食物繊維とビタミンCの補充をすることは必要と思います。
 私は、このような考え方で、52歳から73歳まで、スーパー糖質制限食を実践していますし、今後も続けていこうと思います。
 
④LDL コレステロール値、HDL コレステロール値、中性脂肪値の目標は?
   ①HDLコレステロールは60mg/dl以上、  ②中性脂肪値80mg/dl以下、理想的には60mg/dl以下  

①②を達成していれば、LDLコレステロールも標準の大きさの善玉であり、
肝臓から末梢組織まで細胞膜の原料であるコレステロールを運んでいく  
重要な役割を果たしてくれています。  
①②を達成していれば、悪玉の小粒子LDLコレステロールや酸化LDLコレステロールは、ほとんど存在しないのです。  
スーパー糖質制限食を実践すれば①②が達成できます。


ブログ読者の糖尿時の皆さん、美味しく楽しく末長くスーパー糖質制限食を実践されて、
健康長寿を目指して頂ければ幸いです。
糖尿人ではない皆さんも、スーパー糖質制限食の実践で、
生活習慣病の予防と治療を達成されて、健康長寿を目指して頂ければ幸いです。



(☆)
必須糖質は存在しません。
体内で必要なブドウ糖は、肝臓で糖新生してまかなうので、
食物から摂取する必要はないのです。
国際食事エネルギーコンサルテーショングループの報告では、
「炭水化物(この場合は糖質とほぼ同義)の理論的な最小必要量はゼロである」(☆☆) 
と明記されています。

(☆☆)
Eur J Clin Nutr. 1999 Apr;53 Suppl 1:S177-8.
Report of the IDECG Working Group on lower and upper limits of carbohydrate and fat intake. International Dietary Energy Consultative Group.
Bier DM, Brosnan JT, Flatt JP, Hanson RW, Heird W, Hellerstein MK, Jéquier E, Kalhan S, Koletzko B, Macdonald I, Owen O, Uauy R.



江部康二

食後血糖値の上限は?HbA1cの問題点は?質の悪いHbA1cは?
こんにちは。
今回は、食後血糖値の上限とHbA1cの問題点について、検討してみます。

<食後血糖値>

国際糖尿病連合(International Diabetes Federation:IDF)2011年
「食後血糖値の管理に関するガイドライン」
は2007年のガイドラインに比べて、それほど大きな変化はなく、
いずれも食後高血糖のリスクを、列挙して明示しています。
食後血糖値は、食後1~2時間で測定されるべきで、
160mg/dl未満が目標とされています。
この数値は、多くのエビデンスに基づいて決定されているので、
食後血糖値が160mg/dl未満なら、糖尿病合併症の予防が可能
考えられます。

<HbA1c>

HbA1cは、糖尿病コントロールの指標として、一般に検査されていますが、
実は大きな欠陥があります。
すなわち、HbA1cは平均血糖値を反映していますが、
食後高血糖を見逃しやすいのです。

例えば糖質制限食を実践していて、<HbA1c:6.9%>なら
食後高血糖や平均血糖変動幅増大のない「質の良いHbA1c」です。

一方、従来の糖尿病食(カロリー制限高糖質食)を摂取しつつ、
インスリン注射やSU剤で治療していて<HbA1c:6.9%>で、
一見コントロール良好に見えても、
こちらは「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」を伴う「質の悪いHbA1c」で、
実態には大きな違いがあるのです。
例えば食後血糖値が230mg/dlあっても空腹時血糖値が70mg/dlと
低めなら、HbA1cは6.9%くらいになります。
この「230mg ⇒ 70mg」 といった大きな変動幅が、活性酸素を発生させ、
最大の酸化ストレスリスクとなります。
これでは糖尿病合併症は防げません。

日本の2型糖尿病患者の2017年度の平均HbA1cは、7.03%です。
従って、日本糖尿病学会の合併症予防のための目標、7.0%未満まで、
あとほんのちょっとです。
ところが、2017年度も含めて、
毎年新たに、人工透析16000人以上、足切断3000人以上、失明3000人以上と
合併症は10年、20年減少していません。

このように合併症が多いままであることを考慮すれば、
日本の糖尿病患者さんの平均HbA1c7.03%というのは、
「質の悪いHbA1c」であると言えます。

すなわち、糖質を摂取エネルギーの50~60%摂取している従来の糖尿病食では、
「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」を防ぐことはできず、活性酸素を発生させて、酸化ストレスを生じ
合併症リスクとなっているのです。


江部康二

江部康二の2023年6月の検査データの報告と解説。
こんにちは。

今回の記事は、
2002年(52歳)糖尿病発覚以来
スーパー糖質制限食を21年間実践中の、
江部康二の2023年6月の検査データの報告と解説です。
調度、高雄病院の健康診断がありました。

身長:167cm 体重:56kg 腹囲:78cm
血圧:138/82 81/分
視力(裸眼) 右:1.0 左:0.6


身長は若い頃に比べて、全く縮んでいません。
体重もほとんど変わっていません。
視力は、去年より、良くなっています。


2002年6月に糖尿病確定診断で、HbA1cは6.7%でした。
このとき、体重は67kg、身長は167cm。
内臓脂肪CTは126cm2 (100未満正常)
血圧は140-150/90前後 → 外来終了時は180/100。

スーパー糖質制限食を実践して、1ヶ月後にはHbA1cは基準値内になり、
半年後には体重は10kg減少して57kgとなり、
血圧も120~138/75~85程度と、落ち着きました
そのまま2023年6月まで、血圧と体重は維持です。

HbA1cは2002年7月には、6.0%となり、
2002年8月以降は、ずっと5.6%~5.9%で、
2023年6月まで、21年間経過しています。

内臓脂肪CTは、2004年10月には、71 cm2となっています。
2002年12月には、体重は10kg減量できていて、その後維持なので
内臓脂肪も、そのときには既に71cm2に改善していたと思われます。

<スーパー糖質制限食実践時の血液・尿検査データの推移>

①血糖値は糖質制限食実践時にリアルタイムに改善します。
②スーパー糖質制限食なら、HbA1cは月に1~2%改善します。
③中性脂肪も速やかに改善します。
④HDLコレステロールは増加しますが、増加の程度と速度に個人差があります。
⑤LDLコレステロールは低下・不変・上昇と個人差があります。
 上昇した人も半年〜1年~2年、3年、数年くらいで落ち着くことが多いですが、
 個人差があります。
⑥総コレステロールは、低下・不変・上昇と個人差があります。
 上昇した人も半年〜1年~2年、3年、数年くらいで落ち着くことが多いですが、
個人差があります。
⑦尿酸も低下・不変・上昇と個人差があります。
 上昇した場合は、ほとんどが摂取エネルギー不足が原因です。
⑧尿素窒素はやや増加傾向になる人が多いですが、そのうち落ちつくことが多いです。
⑨クレアチニンは不変です。
⑩血清シスタチンCも不変です。
⑪血清カリウムも不変です。
⑫血中ケトン体は基準値より高値となりますが、生理的なもので心配ありません。
⑬尿中ケトン体は当初3カ月〜半年は陽性になりますが、その後陰性になることが多いです。
⑭脂肪肝に付随するGPTやγGTP値も改善します。
⑮TSH、FT4、FT3も不変です。


上記に記載していない血液検査や尿検査については、
糖質制限食開始前後で差はありません。


以下は私の最新の検査データ(2023年6月)です。

HbA1c:5.7%(4.6~6.2)
空腹時血糖値:102mg/dl(60~109)
空腹時インスリン:1.9μU/ml(3~15)

HOMA-β:18.5

TSH:1.00(0.34~3.88)
F-T4:1.1(0.8~1.8)
F-T3:3.0(2.1~4.0)

中性脂肪:65mg(50~149)
総コレステロール:176mg(150~219)

HDL-コレステロール:74mg(40~85)

計算法LDL-コレステロール:89mg(140mg未満)

尿酸:3.6mg(3.4~7.0)
BUN:17..3mg(8~20)
クレアチニン:0.69mg(0.6~1.1)
シスタチンC:0.69mg
GOT:21(9~38)
GTP:19(5~39)
γGTP:41(84以下)
アルブミン:4.3g(3.8~5.3)

血色素量:14.3(13~17)
白血球数:5300(3900~9800)
赤血球数:450(400~560)



HbA1cは正常範囲内で、5.7%です。
空腹時血糖値が、糖尿病発症後、スーパー糖質制限食でも、
正常範囲内でやや高め(正常高値:100~109mg/dl)のことがありますが、
まあ、糖尿病歴、20年ですから仕方ありませんね。
とは言いながら、最近は、早朝空腹時血糖値が、
90mg台も時にあるようになりました。
今回は102mg/dlと正常値でした。

甲状腺機能は、2002年~2023年、常に正常です。

総コレステロール値は、心血管疾患との関連性は無く、
脂質異常症の2007年以降のガイドラインから外れているので特に問題はありません。
HDL-コレステロールは正常で少し多めです。
LDL-コレステロールは今回は正常です。
中性脂肪値が65mgといい感じなのは、最近お酒を減らしているからと思います。

HDL-Cが74(目標は60以上)と多く良好で、中性脂肪が65と低めです。
これなら小粒子LDL-Cや酸化LDL-Cは、ほぼ皆無で、良好なパターンです。

スーパー糖質制限食なので、高タンパク・高脂質食なのですが、
尿酸は正常やや低めですね。
尿酸は抗酸化物質でもあるのですが、
スーパー糖質制限食実践で、私の身体には酸化ストレスが極めて少ないので
尿酸も少ないのだと思われます。
尿酸も食べ物由来は2割程度であとは個人の体質ですのでこんなものでしょう。

高タンパク食ですが、BUNもクレアチニンもシスタチンCも正常なので腎機能も問題なしです。

糖質ゼロビールや焼酎などぼちぼち飲む割には肝機能も正常です。 (^_^)

インスリンは、基礎分泌が1.9μU/mlと正常より少し低めですが、
空腹時血糖値が102mg/dlと正常なので問題ないです。
むしろ少ないインスリン分泌量で、
血糖値は正常なので好ましいパターンと言えます。
狩猟・採集時代のご先祖のインスリン分泌も、こんなものだった可能性が高いです。

血糖値がコントロールできている限り、
インスリン分泌は少なければ少ないほど身体には優しいのです。
過剰のインスリンは百害あって一利なしです。


江部康二
糖質制限食と血清尿酸値。痛風発作。
こんばんは。
先日、外来に痛風の患者さんが来られました。
高尿酸血症だけなら、まあ無症状なのですが、
痛風発作を起こしたら、結構な激痛で歩くのも大変です。
2~3日はシビアな状態が続き、もとに戻るには数日かかります。

痛風発作が起こってしまったときは,尿酸値を下げる薬は使わずに、
いわゆる消炎・鎮痛剤(ロキソニン、ボルタレンなど)を2.3日、短期間の使用で、
患部の痛みや腫れを取り除きます。
腎機能障害がある患者さんは、消炎・鎮痛剤は使いにくいので、
ステロイド薬を内服して貰うこともあります。

発作が治まったら痛風の原因である高尿酸血症に対する治療を始めます。
尿酸を体内で作りすぎている場合はフェブリクなどの産生抑制剤を選択し、
尿酸の排泄が悪い場合は、ユリノーム
などの排泄促進剤を選びます。

尿の検査で<尿酸・クレアチニン比>を調べて
0.4以下なら、排泄が悪いタイプで、0.8以上なら生産過剰タイプです。
両者の混合型もあります。


さて糖質制限食の実戦で血清尿酸値が上昇することが時にあります。



<糖質制限食と血清尿酸値>
今回の記事は、糖質制限食と血清尿酸値についての考察です。
尿酸値に関しては、糖質制限食実践で、
減少する人、不変の人、増加する人と個人差が大きいです。

もともと尿酸が高値だったのが糖質制限食で基準値になる人がいますが、
これは問題ないですね。
肥満がある人が糖質制限食で減量に成功したら、
尿酸値が基準値になることは考えられます。

もともと尿酸値は正常だったのに、糖質制限食実践後にで高値となる人が時々おられます。
尿酸高値の一番多い原因は、糖質を制限したことではなく、
結果として低カロリー過ぎた場合です。

糖質制限食開始後、急に尿酸値が上昇したときは、栄養指導で確認したところ、
ほとんどの人において、摂取エネルギー不足でした。
通常、糖質制限食開始後に、一旦、尿酸値が上昇した人も、
摂取エネルギー不足を解消すれば
速やかに元の値に戻ることが多いので経過をみて良いと思います。

<体内での尿酸の生成と排泄>

尿酸は尿から排泄されるだけでなく、消化液や汗からも排泄されます。
腎臓からの排泄は約3/4を占め一番多いですが、 消化液や汗からの排泄機能も、
血清尿酸値の個人差にある程度関係しているのでしょう。

体内で尿酸をつくり過ぎるか尿からの排泄が悪いため、
高尿酸血症になると考えられてきましたが、
これらに腸からの排泄障害や皮膚の汗からの排泄障害も加わることとなりました。

あくまでも私見ですが、この腸や皮膚からの尿酸排泄は、
生活習慣やストレスの影響を一番受けやすいような気がします。

<高尿酸血症と服薬基準>

過去痛風発作を起こしたことがない場合は、
尿酸8~9mg/dlとかでも、食事療法と生活習慣の改善で経過をみてよいと思います。
『すでに痛風発作を起こしたことがある場合』、
『尿酸値8.0mg/dl以上ですでに腎障害・結石・高血圧などの合併症のある場合』、
『無症状であっても尿酸値が9.0mg/dl以上の場合』

は、薬物療法の適応になります
高尿酸血症は、
狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、動脈硬化の危険因子の一つですので注意が必要です。
男女ともに尿酸値が7.0mg/dLまでは基準値内です。
これを超えると異常で、高尿酸血症と呼ばれます。
(公益財団法人 痛風・尿酸財団)
https://www.tufu.or.jp/gout/gout2/61


<食事療法>
過去尿路結石のあった人や家系的に腎臓結石持の方々は、
尿酸が高値となったときは、梅干しを食べるとか、
わかめ・ほうれん草・大根・キャベツ・茄子・しいたけなど摂取で、
尿をアルカリに保って尿酸が結晶化しにくいようして、
尿酸値が基準値にもどるのを待つのが安全と思います。
尿路結石の予防になります。

ただ、低カロリーすぎると、どんな内容の食事でも、
尿酸値が上昇するので注意が必要です。
例えば断食(絶食)をすると、尿酸値は急激に上昇します。
断食前6mg/dlが、断食中は9~10mg/dlに急上昇したりします。


さて糖質制限食を実践すれば、相対的に高タンパク・高脂質食となります。
尿酸値は、従来、肉の摂りすぎや、
ビールの飲み過ぎで高値となるということが常識だったのですが、
食事由来のプリン体は総量の約20%に過ぎず、
体内で生合成するプリン体80%に比し、かなり少ないということが判明しました。

例えば、江部康二は、2002年以来18年間、
スーパー糖質制限食実践で130g~150g/日のタンパク質を摂取していて、
かなりの高タンパク食です。
しかしながら、尿酸値は、
一貫して2.4~3.5mg/dl(基準値は3.4~7.0)程度と低い方です。
尿酸は体内の酸化ストレスに対抗する物質という説があります。
私はスーパー糖質制限食で体内の酸化ストレスが少ないので、
尿酸も少なくてすんでいるというポジティブな仮説もありかと考えています。

<納光弘先生の見解>
自らが痛風患者であり、痛風専門医でもある、
元鹿児島大学病院内科教授、納(おさめ)光弘先生によれば、
食事よりストレスや肥満の方が、尿酸値への影響が多いことがわかってきました。

<尿酸を上昇させる要因>
尿酸を確実に上昇させるのは、重要なものから順番に

1、ストレス
2、肥満
3、大量の飲酒
4、激しい運動
5、プリン体の摂りすぎ


だそうです。

尿酸値に影響を与える5つの要素について、詳しく見ていきましょう。

1 ストレス
実はストレスが一番尿酸値を上昇させます。
鹿児島大学の納光弘先生もご自身が痛風でして、
徹底的に自分で人体実験をされて、
ビールより何よりストレスが高尿酸血症の原因と断定しておられます。
納先生ご自身は、学会の会頭を引き受けて忙しくてプレッシャーが高かった時期が
最も尿酸値が上昇したそうです。
学会が終了したら、ビールを飲んでも下がったそうです。
これは、もっぱら心理的ストレスですね。
一方、断食は究極の肉体的ストレスという見方もできます。

2 肥満
体重増加も尿酸を増加させる要因なので、糖質制限食で減量すると、
尿酸値も低下すると思います。
肥満が改善すれば、尿酸値も改善する可能性があります。

3 飲酒
アルコールを大量に(日本酒1日3合程度以上)飲めば尿酸値は上昇し、
断酒すれば下降します。
アルコールが尿酸値に影響を与える要因は二つあります。
一つは、アルコールが代謝の途中で乳酸になり、
乳酸が腎臓からの尿酸排泄を抑制すること。
もう一つは、継続的に多量にアルコールを摂取したときに(日本酒1日4合以上を毎日)、
アルコールが尿酸の代謝を促進させて尿酸値が上がることです。

なお、お酒に含まれているプリン体自身の量は、
体内の尿酸プールの量に比べて少ないのでほとんど影響はありません。
例えばビール大瓶633㏄中のプリン体はたったの32.4㎎に過ぎません。
適量のアルコールならストレスが解消され尿酸値を下げます。
適量の目安は、日本酒1.5合、ビール約750㏄、
ワイングラス2杯、焼酎のお湯割りコップ2杯程度です。

4 激しい運動
激しい運動は尿酸を上昇させますが、軽い有酸素運動は大丈夫です。
筋トレなどの無酸素運動も尿酸値を上げます。

5 プリン体の摂りすぎ
プリン体が非常に多い食品はさすがに大量にはとらない方がいいでしょう。
しかし、日常的な食生活の中では、プリン体を気にするほどのことはなさそうです。
何故ならプリン体は約80%が体内で生合成され、
食事由来のプリン体は約20%に過ぎないからです。

☆プリン体の多い食品

(1)きわめて多い(100g中300㎎以上):鶏レバー、白子など

(2)多い(100g中200-300㎎):豚レバー、牛レバー、かつお、
まいわし、大正えびなど


<尿酸の生成と排泄、尿酸プール>

☆尿酸の生成
プリン体の代謝産物として、尿酸が作られます。
一日で産生される尿酸の総量:約700㎎

☆尿酸の排泄
一日で排出される尿酸の量:約700㎎
・ 尿から排泄:約525㎎(3/4)
・ 汗や消化液から排泄:約175㎎(1/4)

☆尿酸の体内プール
・ 健康な人の体内には常に1200㎎程度の尿酸がプールされています。

尿酸は、このように毎日生産と排泄を繰り返しながら一定量を保っています。

しかし、尿酸の排泄がうまくいかなくなったり、尿酸が体内で作られすぎると、尿酸値が上がります。

<痛風発作の誘因>
・アルコールの多飲
・激しい運動
・ストレス
・尿酸値を上げる薬物(利尿剤など)
・早食い・大食い

なお、尿酸は、温度が下がるほど結晶化しやすくなります。
だから、人体で一番温度の低い足指の関節で痛風発作を生じやすいのですね。


*参考
「痛風はビールを飲みながらでも治る」(小学館文庫)2004年
鹿児島大学病院内科教授、納(おさめ)光弘先生 著

**プリン体
プリン体は核酸(DNAおよびRNA)の構成要素として体内で遺伝情報を保存しています。
また生物が生命活動を行う際に必要とするエネルギーは、
プリン体の一種であるアデノシン三リン酸(ATP)から供給されます。

***帝人ファーマ株式会社のサイトを参考にさせて頂きました。
ありがとうございます。
https://medical.teijin-pharma.co.jp/materials/iyaku/detail/skhk4v0000000xuk-att/skhk4v0000000xv1.pdf


江部康二

【医師が教える】 果汁100%ジュースが引き起こす思いがけない体の疾患
こんにちは。
ダイヤモンド・オンラインに以下の記事が掲載されました。
ブログ読者の皆さん、詳細は記事をご覧いただければ幸いです。

江部康二

https://diamond.jp/articles/-/323281
【医師が教える】
果汁100%ジュースが引き起こす思いがけない体の疾患
江部康二

ライフ・社会
内臓脂肪がストンと落ちる食事術
2023.6.25 3:22


TBS系『金スマ ~中居正広の金曜日のスマイルたちへ~』
「番組史上最も楽して痩せる食事術」として紹介され、爆発的な反響をみせた
『内臓脂肪がストン!と落ちる食事術』(ダイヤモンド社)。

美味しいものをお腹いっぱい食べて、なんならお酒も飲めるのに、
運動なしでも痩せられるという驚きの食事術。


この食事術を、やはり運動なしで半年間実践して10kg痩せた経験があり、
現在70代にして20代の頃の体重をキープしている著者・江部康二医師が、
もう2度と太らない医学的に正しいダイエット法を伝授!

ひもじくなるようなカロリー制限は一切ナシ。
お腹いっぱい食べていいし、筋トレもジョギングもしなくていい。
その体脂肪、運動ナシで落とす方法を教えましょう!
※本稿は、『内臓脂肪がストン!と落ちる食事術』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。


お酒を飲まなくても脂肪肝になる

果糖を甘くみてはいけない
国際がん研究機関(IARC)の概要とIARC発がん性分類について。
こんにちは。
厚生労働省の「人口動態統計(確定数)」(2021年)によると、
日本人の死因のトップは「悪性新生物」で、26.5%を占めています。
日本人の2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで死亡しています。

人工甘味料や添加物などに関して、
発がん性とかいろいろ雑誌や本やマスコミなどに書かれていますが、
ほとんどが信頼度の低いもので根拠も明らかではありません。

化学物質、混合物、環境の発がん性リスクに関して、
国際がん研究機関 (IARC)が詳細に検討しています。
これが一番信頼度が高いと思われます。
例えばアルコール飲料には、明確な発がん性があります。
私はそれを承知の上で毎日お酒を嗜んでいますが・・・。.
太陽光にも、発がん性が認められますが、私は毎日浴びています。
外で、テニスをすることもあります。
ガソリンにも発がん性がが疑われるそうですが、私は毎日ガソリン車に乗っています。
コーヒーにも発がん性が疑われるそうですが、承知の上で私は毎日飲んでいます。
結局、地球上の文明国で生活している以上は、
発がんリスクゼロにするのは不可能です。

高血糖、高インスリン血症は活性酸素を発生させ「酸化ストレス」を生じ、発がんリスクとなります。
私の場合は、医学的に明白な発がんリスクである「高血糖」「高インスリン血症」を、
スーパー糖質制限食で予防していますので、
日本でガソリン車を運転して普通の生活環境で暮らしていますが心配はしていません。

正確な最新情報は、
IARC のウェブサイト
http://monographs.iarc.fr/
https://monographs.iarc.fr/list-of-classifications/

で確認して頂ければ幸いです。

江部康二

以下の農林水産省のサイトが参考になります。


農林水産省

https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/iarc.html
国際がん研究機関(IARC)の概要とIARC発がん性分類について
更新日:令和4年1月6日

国際がん研究機関(IARC)の概要
国際がん研究機関(International Agency for Research on Cancer, IARC)は、世界保健機関(WHO)の一機関で、発がん状況の監視、発がん原因の特定、発がん性物質のメカニズムの解明、発がん制御の科学的戦略の確立を目的として活動しています。

IARC発がん性分類について
IARCは、主に、人に対する発がん性に関する様々な物質・要因(作用因子)を評価し、4段階に分類しています。IARCによる発がん性の分類は、人に対する発がん性があるかどうかの「証拠の強さ」を示すものです。物質の発がん性の強さや暴露量に基づくリスクの大きさを示すものではありません。

表・IARCによる発がん性の分類(出典:IARC Monographs on the Identification of Carcinogenic Hazards to Humans(PDF:353KB)(外部リンク))

グループ1
(121種類※) ヒトに対して発がん性がある。
(Carcinogenic to humans)
例)アルコール飲料、ベンゾ[a]ピレン、ベンゼン、アフラトキシン等

このカテゴリーは、ヒトにおいて「発がん性の十分な証拠」がある場合に適用される。
また、「暴露を受けたヒトにおいて作用因子が発がん性物質の重要な特性を示す有力な証拠」があり、かつ実験動物において「発がん性の十分な証拠」がある場合はこのカテゴリーに分類される可能性がある。

グループ2A
(90種類※) ヒトに対しておそらく発がん性がある。
(Probably carcinogenic to humans)
例)アクリルアミド、亜硝酸塩等

このカテゴリーは一般的に、発がん性評価のワーキンググループが下した評価が、以下のうち少なくとも2つを含み、その中に暴露を受けたヒトまたはヒトの細胞もしくは組織のいずれかに係るものを少なくとも1つ含む場合に適用される。
・ヒトにおいて「発がん性の限定的な証拠」がある
・実験動物において「発がん性の十分な証拠」がある
・「作用因子が発がん性物質の主要な特性を示す有力な証拠」がある

ヒトにおける「発がん性の証拠が不十分」な場合は、「ヒトの細胞もしくは組織における作用因子が発がん性物質の重要な特性を示す有力な証拠」がなければならない。
また、「ヒトにおける発がん性の限定的な証拠」がある場合は、他の独立した実験系からの評価(例:実験動物における「発がん性の十分な証拠」または「実験系における作用因子が発がん性物質の重要な特性を示す有力な証拠」)があれば、この区分に分類される場合がある。
「実験動物における発がん性の作用機序がヒトでは作用しないという有力な証拠」が1つ以上の腫瘍部位で存在する場合は、追加の検討を行う。具体的には、全体としてグループ2Aに区分するために、残りの腫瘍部位が、「実験動物における十分な証拠」として評価できるか検討する必要がある。
以上とは別に、「作用因子が、その作用機序からみて、1つ以上の作用要因がグループ1またはグループ2Aに分類されている一群の作用因子に属する有力な証拠」がある場合にも、このカテゴリーが適用される。

グループ2B
(322種類※) ヒトに対して発がん性がある可能性がある。
(Possibly carcinogenic to humans)
例)わらび、漬けもの、鉛等

このカテゴリーは一般的に、発がん性評価のワーキンググループが下した評価が、以下のうちいずれか1つのみを含む場合に適用される。
・ヒトにおいて「発がん性の限定的な証拠」がある
・実験動物において「発がん性の十分な証拠」がある
・「作用因子が発がん性物質の重要な特性を示す有力な証拠」がある

このカテゴリーは、暴露を受けたヒトまたはヒトの細胞もしくは組織への有力な作用機序の証拠については要求されず、実験動物を用いた発がん性試験のみに由来する証拠や、実験系において「作用因子が発がん性物質の重要な特性を示す有力な証拠」だけで適用される。
グループ2A同様、「実験動物における発がん性の作用機序がヒトでは作用しないという有力な証拠」が1つ以上の腫瘍部位で存在する場合は、追加の検討を行う。具体的には、全体としてグループ2Bに区分するために、残りの腫瘍部位が、「実験動物における十分な証拠」として評価できるか検討する必要がある。

グループ3
(498種類※) ヒトに対する発がん性について分類できない。
(Not classifiable as to its carcinogenicity to humans)

他のグループに分類できない作用因子は一般にこのカテゴリーに分類される。
また、「実験動物における発がん性の作用機序がヒトでは作用しないという有力な証拠」が1つ以上の腫瘍部位について存在し、残りの腫瘍部位が、「実験動物における十分な証拠」とは評価されず、かつヒトにおける研究や作用機序の研究に由来するデータから、他のカテゴリーに分類することが適当でない場合も含む。
グループ3の評価は、発がん性がないことまたは全体として安全であることを断定するものではない。多くの場合は、作用因子が未知の発がん性をもつ可能性や、研究の著しい不足があることを意味している。
ヒトと実験動物の両方において「発がん性がないことを示唆する証拠」、あるいは、ヒトのがんに関連する試験法による発がんの作用機序を否定する有力な証拠により補完される実験動物において「発がん性がないことを示唆する証拠」を通じ、作用因子が発がん活性を示さないと示唆される場合には、ワーキンググループは、作用因子について十分に研究され、かつ発がんの証拠がないものとする一文を評価に追加することができる。
※2021年11月時点の種類です


<参考解説>
国際がん研究機関(IARC)による加工肉及びレッドミートの発がん性分類評価について
国際がん研究機関(IARC)によるコーヒー、マテ茶及び非常に熱い飲料の発がん性分類評価について

<参考リンク>
IARCホームページ(外部リンク)
IARCによる発がん性の分類(外部リンク)
IARCの評価書(外部リンク)
個別の化学物質の発がん性分類については、独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)のデータベースにも掲載されています。NITE-CHRIP(化学物質総合情報提供システム)(外部リンク)

お問合せ先
消費・安全局食品安全政策課
担当者:リスク管理企画班
代表:03-3502-8111(内線4453)
ダイヤルイン:03-6744-2135


江部康二とライブ活動。バンド、ターニング・ポイント。
こんばんは。
現在は、知る人ぞ知るといった状況ですが、
私は、コロナ前は、バンドとライブ活動を長年やってきました。

以前、以下のYouTubeをご視聴頂きました。
いちご白書をもう一度https://www.youtube.com/watch?v=Lot0HeIv-jw  
1,411 回視聴 2014/01/22江部康二医師が趣味でやっているバンド、
Turning Pointのライブの映像です。


毎月第三金曜日(午後8時~)がライブです。
今回は、2014年1月17日(金)の第三金曜ライブから「いちご白書をもう一度」です。


このブログ記事を見て、YouTubeをご視聴頂いた、音楽関係のプロの方から
「声は良く出ているし、音程もまあまあだし、リズムもそこそこで、合格点です。」
との感想を頂きました。
おそらく(アマチュアにしては・・・)という一言が入るのでしょうが・・・。

そこでこりずにもう一回です。
今回は、
https://www.youtube.com/watch?v=PTlGV3wGwnA
My Girlです。
2013/12/08のライブです。


ターニング・ポイント(TURNING POINT)1987年結成、当初年1回のライブ活動、1992年から年3回のライブ活動。
1994年11月からマンスリー第三金曜ライブを開始。

第三金曜ライブは、2014年12月が最後で20周年で、いったん終了しました。
理由は、ライブハウス(憧夢)が閉店してしまったからです。
まあ20年よく続いたと思いますので、一区切りでした。

そこからは、年二回、春と秋に京都のライブハウス「モダンタイムス」「アメリカングラフィティー」で、
貸し切りのライブパーティーを開催してきました。
¥4500-で、2ドリンクつきで、バイキング形式の食べ放題ですから、お得感が満載です。
「下手な歌がなければもっとお得だけど・・・」。という影の声も聞こえてきそうですが、大丈夫です。
わたし、そこそこ歌はそこそこ上手なのです。 (^^) 
まあ、好みはあると思いますが、聞いて頂ければわかると思います。

年二回のライブパーティーも、新型コロナ感染症の影響で、2020年からは開催できていません。
2019年秋までは、年2回の貸し切りライブパーティーは続いていたので、
かなかに息の長いバンドであったといえます。

レパートリーは、ビートルズ、ジョン・レノン、オールディーズ、レイ・チャールズ、エリック・クラプトン、
サイモンとガーファンクル、カーペンターズ、キャロル・キング、CCR、テンプテーションズ、
ベン・E・キング、ローリング・ストーンズ、ベット・ミドラー、ママス&パパス、ルイ・アームストロング、

日本のフォークソング、サザンオースターズ、尾崎豊、バンバン、井上陽水、ワイルド・ワンズ、安全地帯、
ユーミン、中島みゆき、モップス、いるか、坂本九、Jウォーク、ズー・ニー・ブー、


と、要するに何でもありのバンドです。
まあだからこそ煮詰まることなく長く続いたのかなと思います。プ
レスリーバンドとか、特化すると、レパートリーが限られるので年二回とかのライブでも曲目がかぶってしまい、
お客さんもあきるので、なかなか長続きしないようです。

そろそろ、なんとか再開したい想いは強いのですが、
ボーカル3名
ギター1名
ドラムス1名
キーボード1名
ベース1名

と大所帯であり、練習も大変で、
一部高齢化もあり、なかなか踏み切れないのです。

現在まだまだ思案中なのですが、
ライブ活動再開の際は、ブログ読者の皆さん、
是非、応援よろしくお願い申し上げます。  m(_ _)m      

江部康二
魚のアレルギーとアニサキス症とアニサキスアレルギー
こんにちは。
今回の記事は、魚のアレルギーとアニサキス症とアニサキスアレルギーです。
まずは、魚を食べて生じるアレルギーの全体像です。

<魚を食べて生じるアレルギー>
①魚自体のアレルギー  
②ヒスタミンによる“アレルギー様食中毒”または“ヒスタミン食中毒”  
③アニサキスアレルギー 

魚を食べて生じるアレルギーには、上記の3つのタイプがあります。
このうち一番多いのが③のアニサキスアレルギーです。
また、②のヒスタミン中毒の場合は、抗原抗体反応が関与していないので、
厳密にはアレルギーではありません。
①の魚アレルギーを起こしやすいのは、
魚の筋肉に含まれた『パルブアルブミン』という蛋白質です。

ウィキペディアによれば
【アニサキス(学名:Anisakis)は回虫目アニサキス科アニサキス属に属する線虫の総称。
非淡水魚・回遊魚など海洋生物に寄生する寄生虫であり、
2021年の日本における食中毒のほぼ半数を占め、アニサキス症の原因寄生虫として知られる.
96-97%の人は体内にアニサキスが入っても無症状や軽症状であるが、
アニサキスアレルギーであると加熱などしても重度の症状がでる。】

ということです。


  まず最初にアニサキス症となり、
その後アニサキスアレルギーを発症する人もいれば発症しない人もいます。

<アニサキスとアニサキス症>
アニサキスの幼虫(白くて2~3mm×0.5mm)が寄生している魚を
人が生で食べてアニサキス症を発症します。
アニサキスの本来の寄生宿主は、クジラ、イルカ、アザラシなどで、
これらの胃に寄生して卵を産みます。
成虫は2~3cmですが、
この卵が海中に糞便とともに排泄され、それをオキアミなどが取りこみ、
そこで幼虫になります。
幼虫の感染しているオキアミを魚が食べると、
魚の内臓に幼虫のまま寄生します。
オキアミは地球の海洋生態系のエンジンを動かす燃料のようなもので、
いろんな魚がオキアミを食べます。

そして、アニサキスが寄生している魚をヒトが食べると、アニサキス症を発症します。
アニサキスにとっては、ヒトの胃は、本来の寄生環境ではないので、
胃壁に頭を突っ込んで(刺入して)、脱出しようとします。
胃壁に頭を突っ込まれたら痛そうですが、実は胃の粘膜を生検しても痛みはなく、
胃粘膜そのものには疼痛センサーはありませんので、これだけでは痛みません。
しかし、アニサキスアレルギーがあると、刺入によりアレルギー反応が出現し
疼痛物質が作られるので痛むのです。
治療は胃カメラでアニサキスを取り出すことです。
胃、腸、腸管外にアニサキスが刺入しますが、9割は胃アニサキス症です。

なお、故森繁久彌さんは、昭和62年に名古屋で公演中に
腹部の激痛を訴えて緊急手術を受けました。
サバの押しずしを食べて腸管アニサキス症を発症したのです。

アニサキスは、魚の内臓に寄生していますが、
魚が死ぬとすぐに筋肉に移行します。
その筋肉を食べてアニサキス症になるわけなので、
速やかに内臓を処理した魚なら、安全です。

アニサキス症の元となる魚は、
サバ、イワシ、アジ、カツオ、キンメダイ、タラ、ホッケ、サケ、イカなどですが、
一番多いのはサバです。
養殖魚では冷凍オキアミなどを食料として使用するので、
養殖魚にはアニサキスの寄生は大変少ないです。  

<アニサキスアレルギー>
魚を食べて蕁麻疹や口唇のピリピリ感などがでたことがある人は、かなりおられると思います。こんな時は、この魚はアレルギーがでるので自分には合わないと、普通は思います。まあ、上記①のパターンと思うわけですね。
しかし、実態として、一番多いのは、実はアニサキスアレルギーなのです。
蕁麻疹、発熱、頭痛、顔や体の紅潮、口唇のピリピリ感、ひどければ、
アナフィラキシーショックなどの様々なアレルギー症状が出現します。
これらは1型アレルギーで、IgE抗体が関与して、抗原抗体反応により、
ヒスタミンが遊離されてアレルギー症状がでます。

「アニサキス症」に第一回目に罹患した時に、
「感作」されると、第二回目にアニサキスのタンパク成分を保有する魚を食べるとアニサキスアレルギーを発症します。
感作されていなければ、アニサキスアレルギーは生じません。
感作というのは、特定の抗原(アレルゲン)に対して過敏状態になることです。
アレルゲンは、基本的にタンパク質成分です。
アニサキスは死んでいても、タンパク成分が魚の筋肉に
残っていれば、アレルギー反応を生じるわけです。
現在アレルゲンとして、
アニサキスの16種類のタンパク成分がわかっています。
このアニサキスの抗原は、熱にも凍結にも強いものがあります。
これらのアレルゲンに対するアレルギー反応は、個人差が大きいです。
極端に言えば、1人1人皆、それぞれ反応は異なると考えられます。
アナフィラキシーショックまで起こす人は、まれとは思いますが、
アナフィラキシーショックは命に関わる病態なので、
魚を食べるときは、細心の注意が必要となります。

オキアミは、ほとんどの種類の魚の餌となっているので、
オキアミのもつアニサキスをほとんどの魚が保有していることとなります。

<症状の治療>
アニサキスアレルギーを発症したときは、
抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤を内服します。
症状が強ければ、ステロイド剤の内服や注射が必要となります。
アナフィラキシーショックで血圧低下のときは、
ボスミン0.3mlの筋注が一番有効です。



以下は、
厚生労働省のサイトhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000042953.html
より引用です

消費者の皆さまへ
◆ 魚を購入する際は、新鮮な魚を選びましょう。また、丸ごと1匹で購入した際は、速やかに内臓を取り除いてください。
◆ 内臓を生で食べないでください。
◆ 目視で確認して、アニサキス幼虫を除去してください。

※ 一般的な料理で使う食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても、アニサキス幼虫は死滅しません。

事業者の皆さまへ
◆ 新鮮な魚を選び、速やかに内臓を取り除いてください。
◆ 魚の内臓を生で提供しないでください。
◆ 目視で確認して、アニサキス幼虫を除去してください。
◆ 冷凍してください。 (-20℃で24時間以上冷凍)
◆ 加熱してください。(70℃以上、または60℃なら1分)


※ 一般的な料理で使う食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても、アニサキス幼虫は死滅しません。


江部康二
夏に多い『魚のうそアレルギー』とは?ヒスタミンの影響。
こんにちは。

夏に多い『魚のうそアレルギー』とは?
https://news.yahoo.co.jp/byline/horimukaikenta/20200623-00184543/  
アレルギー専門医堀向健太医師解説
日本アレルギー学会専門医・指導医。
日本小児科学会指導医。


少し前ですが、ヤフーニュース2020/6/23(火)に掲載された、
上記の興味深い記事を参考にして、本日のブログ記事を作成しました。
堀向健太先生、ありがとうございます。

<魚の細菌性食中毒>

夏は、まずは魚の食中毒(腸炎ビブリオ)に要注意です。
腸炎ビブリオは、海水や海産の「魚介類」などに生息している細菌です。
4℃以下だと、ほぼ増殖しないので、夏場で刺身などを購入した時は、
氷や保冷剤を用いて、低温を維持して持ち帰りましょう。

<本当の魚アレルギーは、青身魚より白身魚の方が多い>
魚アレルギーを起こしやすいのは、
魚の筋肉に含まれた『パルブアルブミン』という蛋白質です。
パルブアルブミンは、青身魚よりも白身魚のほうが多く含まれていることがわかっています。従って抗原抗体反応による、魚アレルギーは白身魚のほうが多いのです。
青身魚のサバのアレルギー(☆☆☆)が有名なので目立ちますが、
トータルには白身魚のアレルギ-のほうが多いということですね。

<魚のうそのアレルギーとは⇒ヒスタミンによる食中毒>
一方、魚アレルギーとは別のものである、
ヒスタミン(☆)という化学物質による症状のことを
『魚のうそのアレルギー』と呼んで注意喚起しておられます。
魚のうそのアレルギーとは、
魚肉に直接含まれるヒスタミンによる症状を指しています。
医学的には抗原抗体反応は無関係であり、アレルギー反応ではないので、
仮性アルルゲンなどと呼ばれます。
厚生労働省は、『ヒスタミンによる食中毒』(☆☆)として解説しています。

青身の魚の筋肉には『ヒスチジン』というアミノ酸が多く含まれています。
そして、青身の魚の筋肉にいる細菌の作用で、『ヒスタミン』に変わってきます。
ヒスチジンが多く含まれる食品(魚肉など)を常温に放置したりすると、
食品中のヒスタミン産生菌が増殖し、ヒスチジンからヒスタミンがどんどん生成されて、
蓄積していきます。
ヒスタミンは加熱しても安定であり、一旦できたものは消えないので
ヒスタミンによる食中毒を生じてしまうのです。
夏の魚による食中毒症状を起こす原因として、
上述のビブリオ菌よりも、ヒスタミンによる中毒のほうが多いという
統計結果もあるくらいですので要注意です。
低温管理と、冷蔵庫からだしたら、速やかに食べるということですね。

<ヒスタミンによる中毒の症状と経過>
ヒスタミンによる中毒の症状としては、
原因となる魚を食べてから10分から90分以内に、
顔が赤くなったり、蕁麻疹、動悸、頭痛、めまいなどを起こします。
ほとんどは3~36時間以内に良くなりますが、
まれにショックを起こすこともあります。
症状としてはアレルギーとそっくりです。

(☆)
ヒスタミン

種々の動植物組織に存在し生理機能に作用を及ぼす物質です。
動物体内でこれが過剰に遊離するとアレルギーを起こします。
花粉症のくしゃみ・鼻水もヒスタミンのせいです。



(☆☆)ヒスタミンによる食中毒について - 厚生労働省
ヒスタミンによる食中毒とは?
ヒスタミン食中毒は、ヒスタミンが高濃度に蓄積された食品、特に魚類及びその加工品を食べることにより発症する、アレルギー様の食中毒です。
ヒスタミンは、食品中に含まれるヒスチジン(タンパク質を構成する20種類のアミノ酸の一種)にヒスタミン産生菌(例、Morganella morganii)の酵素が作用し、ヒスタミンに変換されることにより生成します。
そのため、ヒスチジンが多く含まれる食品を常温に放置する等の不適切な管理をすることで、食品中のヒスタミン産生菌が増殖し、ヒスタミンが生成されます。
ヒスタミンは熱に安定であり、また調理加工工程で除去できないため、
一度生成されると食中毒を防ぐことはできません。


(☆☆☆)鯖などの青魚を食べて起きるアレルギー
①魚自体のアレルギー  
②ヒスタミンによる“アレルギー様食中毒”または“ヒスタミン食中毒”  
③アニサキスアレルギー 
の3つがある。
このうち一番多いのが③アニサキスアレルギーである。



江部康二




【医師が教える】清涼飲料水に含まれる“猛毒”ともいえる要注意の成分。一位に。
こんにちは。
『内臓脂肪がストン!と落ちる食事術』(ダイヤモンド社)
から、一部抜粋したダイヤモンド・オンラインの記事が
週間ランキングで、一位になりました。
とても嬉しいです。

江部康二


ダイヤモンド・オンライン
【医師が教える】清涼飲料水に含まれる“猛毒”ともいえる要注意の成分
https://diamond.jp/articles/-/324653


書籍オンライン週間人気記事ランキングBEST5(2023年6月9日~6月15日)


先週(金~木)の「書籍オンライン」で、特に読者の反響が大きかった「人気記事BEST5」をご紹介します。
【週間人気記事1位】
【医師が教える】清涼飲料水に含まれる“猛毒”ともいえる要注意の成分

週間ランキング1位はこちらの記事です。

TBS系『金スマ ~中居正広の金曜日のスマイルたちへ~』
「番組史上最も楽して痩せる食事術」として紹介され、
爆発的な反響をみせた『内臓脂肪がストン!と落ちる食事術』(ダイヤモンド社)。

美味しいものをお腹いっぱい食べて、なんならお酒も飲めるのに、
運動なしでも痩せられるという驚きの食事術。

この食事術を、やはり運動なしで半年間実践して10kg痩せた経験があり、
現在70代にして20代の頃の体重をキープしている著者・江部康二医師が、
もう2度と太らない医学的に正しいダイエット法を伝授!

ひもじくなるようなカロリー制限は一切ナシ。
お腹いっぱい食べていいし、筋トレもジョギングもしなくていい。
その体脂肪、運動ナシで落とす方法を教えましょう!

※本稿は、『内臓脂肪がストン!と落ちる食事術』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。

ADA(米国糖尿病学会)と糖質制限食の歴史。
こんにちは。
今回は、米国糖尿病学会と糖質制限食の歴史について考察してみます。

米国糖尿病学会(ADA)が、2019年4月
「成人糖尿病患者または予備軍患者への栄養療法」
コンセンサス・レポートを発表しました。
糖質制限食が最も積極的に推奨されています。

http://care.diabetesjournals.org/content/42/5/731  
Nutrition Therapy for Adults With Diabetes or Prediabetes: A Consensus Report
Diabetes Care 2019 May; 42(5): 731-754.https://doi.org/10.2337/dci19-0014

http://care.diabetesjournals.org/content/42/5/731
で、全文を見ることができます。


<ADAと糖質制限食の歴史>
①2007年まで糖尿病の食事療法において糖質制限食は推奨しないとしていた。
②2008年、「食事療法に関する声明2008」において、「減量が望まれる糖尿病患者には低カロリー食、もしくは低炭水化物食によるダイエットが推奨される」と、1年の期限付きで、糖質制限食の有効性を認める見解を記載。
③2011年、肥満を伴う糖尿病患者に2年間の期限付きで糖質制限食の有効性を容認。
④2013年10月の『成人糖尿病患者の食事療法に関する声明』において、
•全ての糖尿病患者に適した“one-size-fits-all(唯一無二の)”食事パターンは存在しないと明言。 
→ patient-centered approach を強調。
•患者ごとに個別に様々な食事パターン〔地中海食,ベジタリアン食,糖質制限食,低脂質食,DASH食〕が受容可能。
•最適な炭水化物、蛋白質、脂質における理想的な比率を示唆するエビデンスはない。
•炭水化物摂取をモニタリングは、依然として血糖管理の改善における重要な戦略である。

2013年10月に米国糖尿病学会が「栄養療法に関する声明」において
『糖質制限食』を地中海食などど共に正式に認めました。
米国糖尿病学会の「栄養療法に関する声明」の改訂委員の一人は
デューク大学のヤンシー先生でした。
デューク大学では、2008年から、
炭水化物を20g/日未満に制限する「糖質制限-ケトジェニック食」(ケトン食)
を臨床に用いています。



<ADA、2019年のコンセンサス・レポート>
ADAの、2019年4月発表の
「成人糖尿病患者または予備軍患者への栄養療法」コンセンサス・レポート
では、
糖質制限食(Low-carbohydrate eating patterns)が、
ボリュームとして一番大きく取り上げられていて、
『2型糖尿病で最も研究されてきたパターンである』 と明言してあります。
この6年間で、大きく前進した感があります。

一方、非常に効果があるので、脱水や低血糖の予防の必要があり
開始時に医師などに相談するようにとの記載があります。

マクロ栄養素・コンセンサス・リコメンデーションにおいて
「エビデンスは、糖尿病および予備軍における最適な炭水化物、蛋白質、脂質のカロリー比率はないことを示唆している」との記載があります。
それで、糖質制限食以外にも以下の食事パターンも取り上げてあります。
総じて、基本姿勢は、2013年と2019年と同様ですが糖質制限食が目立ってきた感じです。

糖質制限食の次に記載ボリュームが大きいのは地中海食です。
エビデンスが蓄積してきた結果、ADAは
「糖質制限食」「地中海食」の二つを他とは別格に
有効性があると捉えているように思えます。

1)Mediterranean-Style Eating Pattern(地中海食)
2)Vegetarian or Vegan Eating Patterns(ベジタリアン食)
3)Low-Fat Eating Pattern(低脂肪食)
Very Low-Fat: Ornish or Pritikin Eating Patterns
4)Low-Carbohydrate or Very Low-Carbohydrate Eating Patterns
(低炭水化物食、超低炭水化物食)
5)DASH Eating Pattern(高血圧食)
6)Paleo Eating Pattern(パレオ食)
 7)Intermittent Fasting(間欠的断食)

<食事パターン・コンセンサス・リコメンデーション>(☆)

糖尿病の管理には、さまざまな食事パターンが許容されます。
特定の個人における異なる食事パターンの周囲を比較した利点のエビデンスが強化されるまで、医療提供者はそのパターンに共通しているキーとなる要素に焦点を当てるべきです。

○でんぷん質のない野菜を重視する。

○砂糖や精製した穀物の追加を最小限に抑える。

○可能な限り、高度に加工された食品よりも自然食品を選ぶ。」


糖尿病患者の全炭水化物摂取量を減らすことは、血糖を改善するための最も多くの証拠を示してきており、
個人のニーズや好みに合ったさまざまな食事パターンに適用することができます。

血糖値目標を達成していない、または血糖降下薬の服用量を減らすことが優先される成人2型糖尿病患者では、
低炭水化物または超低炭水化物の食事プランで炭水化物摂取量を減らすことが現実的です。



<食事パターン・コンセンサス・リコメンデーション
糖質制限食(低炭水化物食、超低炭水化物食)>
(☆☆)

低炭水化物食、特に非常に低い低炭水化物食パターンは、HbA1cを下げて、
糖尿病薬を減らすことを示してきた。
これらの食事パターンは、2型糖尿病で最も研究されてきたパターンである。


・・・中略・・・

非常に低い低炭水化物食パターンを実践すると、利尿が生じ、速やかに血糖値が下がる。
それ故に、開始時には、脱水予防やインスリンと経口糖尿病薬を減らして低血糖を予防するために、知識豊富な医師などに相談する必要がある。・・・

以下略。


ADA(米国糖尿病学会)の2020年、2021年、2022年、2023年のガイドラインにおいても、
2019年4月のコンセンサス・レポートが、そのまま記載されています。


糖質制限食(低炭水化物食、超低炭水化物食)の有効性と安全性については、
ADAのお墨付きということができるので、私としても嬉しい限りです。



江部康二



EATING PATTERNS Consensus recommendations(☆)
A variety of eating patterns (combinations of different foods or food groups) are acceptable for the management of diabetes.

Until the evidence surrounding comparative benefits of different eating patterns in specific individuals strengthens, health care providers should focus on the key factors that are common among the patterns:

○ Emphasize nonstarchy vegetables.

○ Minimize added sugars and refined grains.

○ Choose whole foods over highly processed foods to the extent possible.

Reducing overall carbohydrate intake for individuals with diabetes has demonstrated the most evidence for improving glycemia and may be applied in a variety of eating patterns that meet individual needs and preferences.

For select adults with type 2 diabetes not meeting glycemic targets or where reducing antiglycemic medications is a priority, reducing overall carbohydrate intake with low- or very low-carbohydrate eating plans is a viable approach.


EATING PATTERNS Consensus recommendations
Low-Carbohydrate or Very Low-Carbohydrate Eating Patterns(☆☆)

Low-carbohydrate eating patterns, especially very low-carbohydrate (VLC) eating patterns, have been shown to reduce A1C and the need for antihyperglycemic medications. These eating patterns are among the most studied eating patterns for type 2 diabetes. One meta-analysis of RCTs that compared low-carbohydrate eating patterns (defined as ≤45% of calories from carbohydrate) to high-carbohydrate eating patterns (defined as >45% of calories from carbohydrate) found that A1C benefits were more pronounced in the VLC interventions (where <26% of calories came from carbohydrate) at 3 and 6 months but not at 12 and 24 months (110).
Another meta-analysis of RCTs compared a low-carbohydrate eating pattern (defined as <40% of calories from carbohydrate) to a low-fat eating pattern (defined as <30% of calories from fat). In trials up to 6 months long, the low-carbohydrate eating pattern improved A1C more, and in trials of varying lengths, lowered triglycerides, raised HDL-C, lowered blood pressure, and resulted in greater reductions in diabetes medication (111). Finally, in another meta-analysis comparing low-carbohydrate to high-carbohydrate eating patterns, the larger the carbohydrate restriction, the greater the reduction in A1C, though A1C was similar at durations of 1 year and longer for both eating patterns (112). Table 4 provides a quick reference conversion of percentage of calories from carbohydrate to grams of carbohydrate based on number of calories consumed per day.
                             
Quick reference conversion of percent calories from carbohydrate shown in grams per day as reported in the research reviewed for this report
Because of theoretical concerns regarding use of VLC eating plans in people with chronic kidney disease, disordered eating patterns, and women who are pregnant, further research is needed before recommendations can be made for these subgroups. Adopting a VLC eating plan can cause diuresisand swiftly reduce blood glucose; therefore, consultation with a knowledgeable practitioner at the onset is necessary to prevent dehydration and reduce insulin and hypoglycemic medications to prevent hypoglycemia.
No randomized trials were found in people with type 2 diabetes that varied the saturated fat content of the low- or very low-carbohydrate eating patterns to examine effects on glycemia, CVD risk factors, or clinical events. Most of the trials using a carbohydrate-restricted eating pattern did not restrict saturated fat; from the current evidence, this eating pattern does not appear to increase overall cardiovascular risk, but long-term studies with clinical event outcomes are needed (113-117).








眼科と糖尿病網膜症。従来の糖尿病食と糖質制限食の差。
こんにちは。
従来の糖尿病治療において、短期間でHbA1cが急速に改善すると、
かえって糖尿病網膜症が悪化することが知られています。

確かに、インスリン注射やSU剤などにより急速に血糖値が改善した場合、
改善速度が速いほど、網膜症の悪化率が高かったという論文報告があります。
実際に日常臨床上、糖尿人を診察しておられる医師においては
同様の経験があると思います。とは言え、一時的な悪化はあっても、
長期的には血糖コントロールが良い方が網膜症にも良いということも報告されています。

それでは 糖質制限食によって、血糖値が急速に改善した場合はどうなのでしょう?
網膜症の悪化や眼底出血の心配はないのでしょうか?
実は当初、私達も糖質制限食で
インスリン注射以上に速やかに血糖コントロールが良くなるので、
このことを懸念していました。
幸い、1999年、高雄病院で糖質制限食開始以来の経験で、
糖質制限食による改善では基本的に網膜症の悪化はありませんでしたので、
今は全く心配はしていません。

しかし、

(A)インスリン注射やSU剤による急速なHbA1c改善:網膜症悪化や眼底出血あり。
何故、網膜症の悪化や眼底出血があるのか、現時点では原因不明。

(B)糖質制限によるより急速なHbA1c改善:網膜症の悪化なし
こちらも、何故、網膜症が悪化しないのか現時点では理由は不明。


同じようにHbA1cが改善するのに、なぜこうも違うのか、疑問が残ります。
平均血糖値(HbA1c)が同じように良くなるにもかかわらず、
インスリンやSU剤の投与による場合と糖質制限食による場合で、
このように明暗がわかれるのには、必ず理由があるはずです。

それで、以下、あくまでも仮説ですが考察してみました。
以前は、長年にわたって血糖コントロールの評価基準として、
空腹時血糖値とHbA1cが使用されてきました。

しかし、近年の信頼度の高い研究により、空腹時血糖値とHbA1cがコントロール良好でも、
糖尿病合併症は防げないことがわかってきたのです。
それどころか、糖質を普通に摂取しながら、インスリン注射やSU剤で厳格に治療すると、
総死亡率が上昇するという信頼度の高いエビデンスが報告されました。(*)
すなわち、食後高血糖と平均血糖変動幅の増大が、最大の酸化ストレスリスクであり、
糖尿病合併症の元凶ということがわかってきたのです。
空腹時血糖値とHbA1cだけによる評価では、
食後高血糖と平均血糖変動幅の増大は全く知ることができないのです。

人体は、酸化反応と抗酸化反応のバランスがとれていると、正常に機能します。
酸化反応が抗酸化反応を上まわった状態を酸化ストレスといいます。
酸化ストレスが、糖尿病合併症・動脈硬化・老化・癌・アルツハイマー・パーキンソン等、様々な疾病の元凶とされています。

このことは、世界中の医学界において、認められています。
糖質を普通に摂取しながら、インスリンやSU剤で厳格に治療して
HbA1cを急速に下げると、低血糖も生じやすくなるし、
平均血糖変動幅の増大も必ず生じます。

つまり、(A)の場合は、見かけ上はHbA1cは急速に改善したように見えても、
その実態は、「低血糖」と「平均血糖変動幅増大」という最大の酸化ストレスリスクをともなう『質の悪いHbA1c』だったのです。

従って、網膜症悪化や眼底出血を生じた可能性が高いのです。

一方、(B)糖質制限食でHbA1cが改善した場合には、
薬も使用していないので、「低血糖」も「平均血糖変動幅増大」もない『質のいいHbA1c』なのです。

そのため急速なHbA1c改善にもかかわらず、網膜症の悪化がないと考えられます。
これらにより、糖質制限食の場合、急速な血糖値改善にもかかわらず、
網膜症の悪化が生じにくいと考えられます。
既にインスリン注射やSU剤を内服していて、ある時に糖質制限食を開始して、
血糖値・HbA1cが急速に改善していく場合も、
インスリン注射やSU剤の量は基本的に減量されていくし、
代謝全般も改善されていくので、糖尿病網膜症は起こりにくいと思います。

糖質を摂取して、インスリンやSU剤の効能だけに依存して血糖値を下げた場合と、
糖質制限食で薬物に頼らずに自然に血糖値が改善した場合との差、
すなわち「低血糖、食後高血糖、平均血糖変動幅増大」という酸化ストレスリスクが、
両者で全く異なることがお解りいただけたでしょうか。

なお、過去の高血糖のため、すでに糖尿病網膜症が存在している時は、
糖質制限食で血糖コントロール良好を維持していれば糖尿病網膜症の進行は、
徐々に止まると思います。
そして時間をかけて、ある程度改善する可能性はあります。
しかし、糖質制限食で血糖コントロール良好となっても、
既存の糖尿病網膜症が、メキメキ治るわけではありませんので、念のため。

それから、一定の糖尿病罹病期間があって、血糖コントロールが悪かったけれど、
その時点では網膜症はないと言われていた人が、
糖質制限食を開始して血糖コントロール良好となり、
数ヶ月後眼底検査をしたら軽症単純網膜症が発見された、
というようなことがまれにあります。
これは糖質制限食開始時点で既に潜在的な網膜症はあったのが、
時間的経過で顕在化したもので、高血糖の記憶(**)によるものと思われます。
すなわち糖質制限食で網膜症になったのではなく、
過去の高血糖の借金が顕在化したものと思われます。

以上、仮説の段階ではありますが、それなりに説得力のある説明であると自負しています。

(*)2011/07/18 の本ブログ記事
「ACCORD試験の死亡リスクと低血糖とSMBGサブ解析2011」
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-1741.html
をご参照ください。

(**)2010-11-14のブログ
「高血糖の記憶とAGE」
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-1432.html
をご参照ください。


江部康二



芋焼酎と日本酒、ビール、食後の血糖値上昇が低いのはどれか?
こんにちは。
私は、晩酌には、糖質ゼロビールを350ml缶を一缶、まず飲んで次は焼酎のロックを、チビチビ飲んでいます。
焼酎の種類は、もっぱら芋焼酎で、25%のものです。
濃いアルコールは咽頭粘膜や食道粘膜への刺激になり、がんのリスクとなるので
35%とか40%とかの濃度の濃い焼酎は飲みません。


少し前ですが、yanosonoさんから、
芋焼酎に関するとても興味深い情報(日経グッディの記事)をコメント頂きました。
ありがとうございます。

日経グッデイの当該の記事を読んでみました。
以下は、記事の要約、抜粋と感想です。


芋焼酎と日本酒、ビール、食後の血糖値上昇が低いのはどれか?
http://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100015/051500045/


まずは、ちょっとビックリなのですが、

「鹿児島大学は全国唯一の“焼酎学講座”が開設された大学で、
焼酎についての研究も盛んに行われています。
そして、私が糖尿病、肥満などを専門としていたことから、
芋焼酎の健康面での機能性に注目しました。
特に糖代謝にいい影響があるのではないかと考えたわけです。
鹿児島は何を食べてもおいしいので、つい食べ過ぎてしまいます。
さらに、車社会で慢性的に運動不足になりがちなので、実は肥満の方が多いのです」


という、鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 特任教授の乾明夫さんのコメントです。
さすが鹿児島というか、焼酎に特化して学術的に研究というのは、
衝撃的ですし、そりゃー日本全国で唯一というのも納得ですね。

今回の実験の被験者は30~50代の男女6人で、「郷土の宝」である芋焼酎のため、
鹿児島大学のスタッフが被験者となったそうです。
その心意気やよしであり、good job です。

芋焼酎との比較対象は、水、ビール、日本酒の3種です。
飲酒量は、芋焼酎(アルコール度数15%)は333mL、
ビール(同5%)は1000 mL、日本酒(同15%)は333mLで、
純アルコール量はいずれも約40gと同等になるように調整です。

水も比較対象になっているのが興味深いです。
おそらく約710kcalの同一の食事での実験です。

研究結果ですが、
http://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100015/051500045/?P=3
このアドレスで、グラフが見れます。


食事摂取後の血糖値の上昇は、
ビールが最も高く、次に水、日本酒で、
芋焼酎が最も低値でした。

芋焼酎は、糖質・カロリーともにゼロの“水”より、
血糖値の上昇が抑えられていました。

つまり、芋焼酎には積極的に血糖値を下げる
何らかの成分が存在することとなります。

もっとも、ビールには結構大量の糖質が含まれています。
100g中に3gくらいの糖質ですから、1000mlなら約30gの糖質でこれは多いですね。
第2位の水は糖質ゼロ・カロリーゼロですから、
このときの血糖値の上昇は、710kcalの食事に含まれる糖質によるものです。

第3位の日本酒ですが、333ml中の糖質含有量は、約13gですが、
それでも水より少し食後血糖値の上昇が低いので
日本酒にも、何らかの血糖値を下げる物質が含まれていることとなります。

そして最後に焼酎は、水よりかなり明確に食後血糖値の上昇が少ないですが、
これには焼酎の糖質含有量がゼロということも関係していると思います。

結局、日本酒と芋焼酎が、水より食後血糖値の上昇を抑制しましたが
効果としては芋焼酎の圧勝です。

結論です。
①日本酒と芋焼酎と水の結果を考慮すれば、
 アルコールそのものに血糖上昇抑制作用がある可能性が高い。
②芋焼酎には血糖上昇抑制作用があるが、それが、アルコール以外の成分も関与しているかは 現時点ではわからない。


ということとなります。
エチルアルコール単独で40g摂取して、芋焼酎(アルコール40g)摂取と比較して頂けば
芋焼酎にアルコール以外の血糖上昇抑制成分があるかどうかがわかると思います。
乾明夫先生、是非よろしくお願い申し上げます。


江部康二
玄米魚菜食で糖尿病を発症した江部康二。
 こんばんは。
 『内臓脂肪がストンと落ちる食事術(江部康二著、東洋経済新報社)』において、
一日二食を推奨しています。 

実は、私は、1984年、34歳のときに本断食をしたのをきっかけに朝食抜きの1日2食としました。
朝は、<コーヒー+生クリーム10cc> だけです。
また、同時に玄米魚菜食を実践し、動物性脂肪は極力減らしました。
四つ足肉類はなしで、魚介類と鶏肉はありです。 

ところがです、このような、いわゆる『ヘルシーな』食生活を、34歳から続けていたにも関わらず、
52歳で、何と糖尿病であることが発覚しました。
2002年6月のことです。
HbA1cが6.7%ありました。
なおかつ、高血圧もあり、メタボリック症候群の診断基準を満たしていました。
普段が、140~150/88~90くらいで、外来終了時は、180~190/100~110もありました。

167cmと身長は変わりませんが、体重は57kgから徐々に増えて、52歳時には、とうとう67kgとなっていました。
内臓脂肪CTも、126平方センチ(100未満正常)と基準値を超えていました。 

これではならじと、即、スーパー糖質制限食を開始してHbA1cは1ヶ月後に6.0%となり、
体重は半年後に10kgの減量に成功して57kgとなり 、血圧も120/80ていどとなり、
現在まで21年間それを維持しています。

HbA1cもその後、5.7~5.9%を維持していて、6.0%を超えることはありません。
 結局、34歳のときから73歳現在まで、39年間、朝断食で、昼夕の食事の1日2食です。 

そして52歳のときからは、21年間、スーパー糖質制限食を実践中です。

歯は全て残っていて虫歯なし。
眼は裸眼で広辞苑が読めます。
聴力低下なし。
夜間の尿もなし。
身長低下なし。
 

スーパー糖質制限食の実践で糖化が最小限ですんでいるので
「糖化」⇒「老化」の流れも最小限ですんでいる成果だと思います。  

江部康二
清涼飲料水に含まれる“猛毒”ともいえる要注意の成分。ダイヤモンドオンライン記事。
おはようございます。

【内臓脂肪がストンと落ちる食事術】
から、一部、抜粋した
以下のダイヤモンド・オンラインの記事が、
アクセス・ランキング第1位となっています。
https://diamond.jp/articles/-/323280
嬉しい限りです。


【医師が教える】
清涼飲料水に含まれる“猛毒”ともいえる要注意の成分

江部康二
ライフ・社会
内臓脂肪がストンと落ちる食事術
2023.6.11 3:30


TBS系『金スマ ~中居正広の金曜日のスマイルたちへ~』
「番組史上最も楽して痩せる食事術」として紹介され、
爆発的な反響をみせた『内臓脂肪がストン!と落ちる食事術』(ダイヤモンド社)。
美味しいものをお腹いっぱい食べて、なんならお酒も飲めるのに、運動なしでも痩せられるという驚きの食事術。

この食事術を、やはり運動なしで半年間実践して10kg痩せた経験があり、
現在70代にして20代の頃の体重をキープしている著者・江部康二医師が、
もう2度と太らない医学的に正しいダイエット法を伝授!
ひもじくなるようなカロリー制限は一切ナシ。
お腹いっぱい食べていいし、筋トレもジョギングもしなくていい。
その体脂肪、運動ナシで落とす方法を教えましょう!

※本稿は、『内臓脂肪がストン!と落ちる食事術』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。

詳しい内容は
https://diamond.jp/articles/-/323280
のダイヤモンドオンラインのサイト
をご視聴頂ければ幸いです。


江部康二
糖質制限下でも食後高血糖継続:通院治療開始すべきか?
【糖質制限下でも食後高血糖継続:通院治療開始すべきか?

いつも ブログ 楽しく拝見させていただいております。産業医として働いております、 38歳の3児の母です。
もともと 第二子妊娠中に妊娠糖尿病を指摘され 、江部先生のブログや著書を読んで、
 食事制限のみでコントロールをしていたのですが、
 第二子の産後も血糖値を確認していたところ、 食後高血糖があることが分かりましたので 、
糖質制限を5年以上継続しています。

その後の健診や第三子妊娠中も、糖質制限を継続していたおかげで血糖値異常を指摘されることはなく、
江部先生には感謝しております。
最近糖質を制限しているにも関わらず、
食後の血糖がなかなか下がらなくなってきたので、相談させてください。

現在 第3子出産後1年半になります。
現在から1年前ぐらいの産後半年のタイミングで、フリースタイル リブレで血糖値の推移を測った際には、
だいたい 一食あたりの糖質が20グラムになると 血糖値が150ぐらいになってしまい 、
ひどい時だと食事中の脂質の量が少ない場合は一時的に180にもなることがあったのですが、
そのため できるだけ 糖質は10g 程度に抑えるようにして、
食後運動できるタイミングで食事をとるなど 工夫していました。

その当時の私の食後血糖値のパターンとしては、立ち上がりが遅く、
じわじわ上がってピークが食後一時間ではなく二時間に近いタイミングで、
食後3時間になるまでには100以下に戻る、反動で85未満の低血糖になることはないが高血糖の時間帯が長い、
ということが多く、インスリンの分泌が遅くかつインスリン抵抗性も高いのだろうなと愚考しておりました。
一年前がこの様な状態です。

それからずっと1食あたりの糖質量か 20g を超えないように、
1日トータル糖質量を50g 以下に抑えるようにしています。

先日1年ぶりにフリースタイルリブレを使って血糖値の動向を確認しました。
すると、血糖値が更に下がりにくくなっておりました。
具体的には、7時に朝食で10グラム程度糖質を摂って、
食後30分〜2時間の間に通勤があるので5000歩程歩いているのですが、
血糖値が食後一時間のタイミングで135まで上がったあと、
午前中ずっと120を下回らないことが多いのです。

忙しいのと血糖値が更に上がるのが怖く、仕事中の昼食はアーモンド20個程度なのですが、
そうすると血糖値は上がらないものの下がらないまま、15時頃にはやっと100くらいになり、
また歩いて通勤して(一日の歩数は12000歩程度です)、

17時頃には90-100くらいのことが多いのですが、
18時に糖質量は多くても15グラムまでに抑えて夕食を食べて、
その後小さい子がいるので19時に入浴し21時に就寝するのですが、
食後の入浴で150程度まで血糖値が上がり、寝る直前まで120あたりと高い状態が続き、
リブレで確認すると0時くらいまで120程度、
朝起きても110の日もあり、暁現象か120程度の日もあり、
夜間就寝時の血糖値が高めになっておりました。

リブレで平均グルコース値を見ると、
一日平均114
0-6時の平均103
6-12時の平均120
12-18時の平均112
18-24時の平均125
となっておりました。

目標血糖値を70-120に設定しているのですが、120より上の時間帯が25%ありました。
一年前より明らかに平均血糖値(100未満)も高いですし、血糖値が下がるまでの所要時間がかなり長くなっています。
ちなみに一年前と現在で体重は47-48キロ程度(身重147センチ)とほぼ変わっておりません。30歳時の41キロまで減量したいと思っていますがなかなか出来ておりませんが、体組成計で測るとほとんどが皮下脂肪で内臓脂肪のレベルはかなり低いようです。遺伝か高校生の時から高脂血症(ldlもhdlも高め、tgは低い)はあり経過観察中、高血圧はありません。睡眠時間は7時間は確保しています。38歳で、三人の子どもがいるため、健康寿命を伸ばしたいです。

江部先生に相談したいのは、今後内科受診して服薬治療すべきかについてです。
今糖負荷試験をすれば間違いなく糖尿病と診断されると思うのですが、
早めに治療開始すべきでしょうか?
それとも、血糖値が高い時間が長いとは言え、120程度ですので経過観察の方が良いでしょうか?
個人的には120程度でも血管の炎症で老化が進みそうで恐怖を感じています。

また、仮に受診をするのであれば、既に食事療法と運動(徒歩通勤+1日20分の筋トレ)はしているので
すぐ内服を検討すると思うのですが、
内服治療をするのであれば、どのタイプの薬が糖質制限食との組み合わせで良いでしょうか?
SGLT2阻害薬が作用機序から向いているのではと思ったのですが第一選択ではないと思います。

正直なところ、育児で慌ただしく定期通院内服は避けたい、
育児が落ち着いて減量すればいつか耐糖能も改善するのかと思っていたのですが、
加齢のせいか同じ生活でも血糖値が下がらないならそろそろ内服すべきかと考えています。

ご多忙な中たいへん恐れ入りますが、
江部先生の率直なご意見を伺えれば幸いです。ご教示いただけるととても嬉しいです、よろしくお願いいたします。】


こんにちは。産業医母さんから
【糖質制限下でも食後高血糖継続:通院治療開始すべきか?】
というコメント、質問を頂きました。
まず、結論を言いますが、
このまま内服薬なしで、スーパー糖質制限食を実践されれば良いです。
とにかく、薬はなしか、少ないほどいいです。
私も、立派な糖尿人ですが、52歳で発病して以降、ずっと内服薬なしです。

【1年前ぐらいの産後半年のタイミングで、フリースタイル リブレで血糖値の推移を測った際には、
だいたい 一食あたりの糖質が20グラムになると 血糖値が150ぐらいになってしまい 、
ひどい時だと食事中の脂質の量が少ない場合は一時的に180にもなることがあったのですが、
そのため できるだけ 糖質は10g 程度に抑えるようにして、
食後運動できるタイミングで食事をとるなど 工夫していました。
その当時の私の食後血糖値のパターンとしては、立ち上がりが遅く、
じわじわ上がってピークが食後一時間ではなく二時間に近いタイミングで、
食後3時間になるまでには100以下に戻る、
反動で85未満の低血糖になることはないが高血糖の時間帯が長い】


国際糖尿病連合によれば、合併症予防のためには、
食後1時間値も2時間値も、160mg/dl未満が目標です。
産業医母さんは、1年前の時点で、この目標をほぼクリアしておられます。

【一年前からずっと1食あたりの糖質量か 20g を超えないように、1日トータル糖質量を50g 以下に抑えるようにしています。】


賢明な判断だと思います。

【先日1年ぶりにフリースタイルリブレを使って血糖値の動向を確認しました。
すると、血糖値が更に下がりにくくなっておりました。
具体的には、7時に朝食で10グラム程度糖質を摂って、食後30分〜2時間の間に通勤があるので5000歩程歩いているのですが、
血糖値が食後一時間のタイミングで135まで上がったあと、午前中ずっと120を下回らないことが多いのです。】


こちらも、国際糖尿病連合の目標、「食後1時間値も2時間値も、160mg/dl未満」を、
充分、満たしておられるので全く問題ないと思います。

【忙しいのと血糖値が更に上がるのが怖く、仕事中の昼食はアーモンド20個程度なのですが、
そうすると血糖値は上がらないものの下がらないまま、15時頃にはやっと100くらいになり、
また歩いて通勤して(一日の歩数は12000歩程度です)、17時頃には90-100くらいのことが多いのです】


食事は、1日2食でも3食でも1食でも良いですので、こちらも問題ないです。
私は、朝は<コーヒー+生クリーム10ml>、
昼は高雄病院のスーパー糖質制限給食、
夕は、内食も外食もしますが、メニューを選んでスーパー糖質制限食は維持しています。

【18時に糖質量は多くても15グラムまでに抑えて夕食を食べて、
その後小さい子がいるので19時に入浴し21時に就寝するのですが、
食後の入浴で150程度まで血糖値が上がり、寝る直前まで120あたりと高い状態が続き、
リブレで確認すると0時くらいまで120程度、朝起きても110の日もあり、
暁現象か120程度の日もあり、夜間就寝時の血糖値が高めになっておりました。】


【リブレで平均グルコース値を見ると、
一日平均114
0-6時の平均103
6-12時の平均120
12-18時の平均112
18-24時の平均125
となっておりました。】


こちらも、素晴らしいデータです。
早朝空腹時血糖値が平均で103mg/dlなら、正常範囲です。
また、食前・食後をふくめて、一日の平均血糖値が114mg/dlというのも素晴しい数値です。

【目標血糖値を70-120に設定しているのですが、120より上の時間帯が25%ありました。
一年前より明らかに平均血糖値(100未満)も高いですし、血糖値が下がるまでの所要時間がかなり長くなっています。】


こちらも、食後1時間・2時間血糖値が160mg/dl未満という目標ををクリアすればよいのです。
120mg/dlというのは、厳し過ぎますし、そこまでストイックにする必要はありません。

【江部先生に相談したいのは、今後内科受診して服薬治療すべきかについてです。
今糖負荷試験をすれば間違いなく糖尿病と診断されると思うのですが、早めに治療開始すべきでしょうか?
それとも、血糖値が高い時間が長いとは言え、120程度ですので経過観察の方が良いでしょうか?
個人的には120程度でも血管の炎症で老化が進みそうで恐怖を感じています。】


勿論、内服薬の必要性はありません。
食後1時間・2時間血糖値160mg/dl未満であれば、合併症のおそれはありません。

【内服治療をするのであれば、どのタイプの薬が糖質制限食との組み合わせで良いでしょうか?
SGLT2阻害薬が作用機序から向いているのではと思ったのですが第一選択ではないと思います。】


産業医母 さんの場合、現時点で内服薬の必要性はありません。
一方、もし将来的に、暁現象がはっきりしてきて、早朝空腹時血糖値が130~140mg/dlを超えてくるようなら、
最初からSGLT2阻害薬を選択して良いと思います。
なお、身長・体重はどの程度でしょう。
厚生労働省は、BMI20以上25未満で、その個人の体調が良いならそれでよしとしています。


江部康二
乳児てんかんとケトン体と母乳。乳糖、グルコース、ガラクソース、ヒトミルクオリゴ糖。
【 23/06/08 田中
どこにコンタクトを取ればよいか分からずでしたので
こちらに書き込みをお許しください。
娘乳児がてんかんで母乳にケトンを出すため母体をケトン食にしている者です。
導入は2週間ほど前からで、
母体は順調にケトンが出ているものの(尿検査)フラフラが改善されず、
力がでません。
かなりカロリーは摂っていると思います。
計算したことがないですが、
朝昼晩女性にしてはかなり多めに、
糖質を抜いて(タンパク質はそれほどこだわって抜いてません)
mctオイルをバシャバシャとかけています。

フラつきをなくさないと、
もう直ぐ来る娘の入院付き添いが私しかできないので
なんとか体力を戻したいと思っています。
この症状は低血糖?血を採れば理由がわかるでしょうか?
ケトンは尿検査のキットで一番色が濃い紫になっています。

また、母乳もリトマス紙で中程度のケトンが検出されましたが、
それを飲ませると娘がケトン食をできているという解釈で良いのでしょうか?
哺乳瓶がだめなのでケトンミルクが飲めず母乳をケトンに改造してみた次第です。】



こんにちは。
田中さんから『乳児てんかんとケトン体と母乳』
についてコメント・質問を頂きました。

田中 さん
ケトン食でケトン体が尿にしっかり陽性なら、
血中ケトン体も高値なのでとても良いです。
血中ケトン体が高値なら、母乳のケトン体も高値となると思います。

【母乳もリトマス紙で中程度のケトンが検出されましたが、
それを飲ませると娘がケトン食をできているという解釈で良いのでしょうか?】


それで良いと思います。

さて、フラフラが改善されないとのことですが、
やはり摂取エネルギー不足が一番可能性があります。

授乳婦で、18-29歳なら、
2050kcalの基本に加えて450kcalが追加必要エネルギーとなり、
合計2500kcal/日が必要です。
まずは、ご自分の摂取エネルギーを計算してみましょう。

また貧血などの可能性もあるので、
血液検査(血糖値、ケトン体値、貧血の検査、肝機能、腎機能、膵機能など)を
調べてみましょう。

次に、母乳(人乳)とその成分について、考察してみます。
それぞれの成分が役割を分担して、
赤ちゃんの身体を守り育てるように精妙な工夫が成されており
おおいに感心します。

日本食品標準成分表2015(七訂)によれば、

人乳は100gで、65kcal、炭水化物が7.2g、
利用可能炭水化物(単糖当量)6.7g、脂質が3.5gくらいです。
糖質が総カロリーの44.9%
脂質が総カロリーの48.46%


です。

日本食品標準成分表には、具体的な記載はありませんが、
ヒトミルクオリゴ糖(HMO)は、
乳糖および脂肪に次いでヒトの乳の3番目に豊富な固体成分を形成
しています。

さて1デシリットル(dl)は100ml です。
血糖値が100mg/dlくらいと仮定すると
循環血液量4000ml中に、ブドウ糖は合計で4gしかありません。
100g中に100mg(0.1g)のブドウ糖しか含まれていない血液から
母乳(100g中に6.7gの糖質)を作るのですから、
乳房内でかなり濃縮していることとなります。

『おっぱい先生の母乳育児「超」入門』 平田喜代美/著  東洋経済新報社  2010年
  P96~98 「母乳育児で生まれるふたつの『愛情ホルモン』」に、
   「赤ちゃんが唇と舌を使って乳頭に与えた刺激が、お母さんの脊髄を通って脳に伝わると、脳の脳下垂体前葉というところから、母乳をつくる『プロラクチン』という物質が分泌されます。このプロラクチンの作用によって、お母さんの乳房の中の毛細血管にたくさんの血液が流れ、その血液が母乳となって乳房の中に蓄えられます。このとき、約1ミリリットルの母乳をつくるのに、500ミリリットルの血液が乳房を通過するといわれています。」と記載あり。


ということで、1mlの母乳をつくるのに、500mlの血液が必要なのですね。
私も、全く知らなかったので、調べてとても勉強になりました。

上記のように母乳には、糖質もかなり含まれていますが、
それ以上の高脂質食でもありますね。

母乳が高脂質食なので、母乳育児中の乳児の血中ケトン体値は、
成人基準値よりはかなり高値となります。

ヒトが吸収できる単糖には、ブドウ糖、果糖、ガラクトースがあります。

人乳あるいは哺乳類のお乳に、
乳糖が含まれていることの意味は何か考えてみました。

乳糖は「ガラクトース+ブドウ糖」で構成されています。

エネルギー補給だけならブドウ糖だけでもいいようなものなのに、
ガラクトースが必要なのには、理由があるようです。

乳糖が母乳の糖質の 80% 以上で、
全エネルギーの 約38%を占めます。

乳糖以外には微量のグルコース、ガラクトース、
種々のオリゴ糖などを含有しています。
ヒトミルクオリゴ糖(HMO)は、母乳で三番目に多い成分ですが、
そのほとんどは口腔や上部消化管で分解されずに大腸まで到達し、
ビフィズス菌など善玉腸内細菌の栄養源として利用されます。

善玉のビフィズス菌が栄養源を得れば、
酢酸や酪酸といった短鎖脂肪酸を生成して、大腸粘膜のエネルギー源となり、また腸内を酸性に保つことで、
腸内の悪玉の大腸菌群などが減少することが明らかとなっています。

ガラクトースで構成されるガラクトオリゴ糖も、同様に
糞便中のビフィズス菌数増加や腸内細菌叢の改善と、
これに伴う糞便中の酢酸濃度の上昇により腸内の酸性濃度を維持してくれます。

また、ガラクトースは、急速に発達する乳児の中枢神経系の完成に
重要な役割を果たす
とされています。
そしてガラクトースは自然免疫反応のブレーキ役を担っていますが、
病原体に感染した時には、ガラクトース糖鎖の量が減少して
ブレーキが解除される仕組みになっています。


江部康二



WHOが初の「認知症予防ガイドライン」を発表。2019年。
糖尿病ネットワーク
https://dm-net.co.jp/calendar/2019/029157.php  
糖尿病を治療して認知症を防ぐ 
WHOが初の「認知症予防ガイドライン」を発表
2019年05月29日
カテゴリー:   糖尿病合併症 運動療法 食事療法


こんにちは。
少し前ですが、
糖尿病ネットワークに、
「認知症と認知機能低下のリスクを減らすためのWHOガイドライン」
の記事が掲載されました。

新しいガイドラインによると、
『運動の習慣化、禁煙、アルコール摂取の抑制、健康的な食事、
血圧・コレステロール・血糖値のコントロールにより、
認知症の発症リスクを減らすことができる。
身体にとって良いことは脳にとっても良いことが示されている』

とのことです。

このうち、
『運動の習慣化、禁煙、アルコール摂取の抑制、
血圧・コレステロール・血糖値のコントロール』
に関しては、私も賛成です。

しかしながら、WHOの言う以下の青字部分の健康的な食事に関しては、
私には別の意見があります。

【栄養バランスの良い健康的な食事はすべての成人に勧められる
野菜や果物、雑穀や玄米などの全粒穀類、
マメ類、ナッツ類を十分に食べ、
野菜と果物は1日に400g以上を食べることが推奨される。
1日に2,000kcalを摂取している人では、
吸収の早い単純糖質の摂取を5%未満に、
脂肪の摂取を30%未満に抑える。
脂肪の多い牛や豚などの動物性食品を抑え、
食塩の摂取量を1日5g未満にするのが理想的。】



葉野菜など糖質の少ないものはOKとして、
根菜は糖質が多いので少量にとどめるのがよいです。

果物は、いつも述べているように、AGEsにブドウ糖の数十倍なりやすい果糖が多いし、
ブドウ糖やショ糖もあるので、少量にします。

玄米も雑穀もデンプンが多いので糖質制限食的にはNGです。

豆類は大豆製品(納豆、豆腐、揚げなど)以外は糖質が多いのでNGです。

ナッツ類は、糖質含有量の少ないものを適量ならOK。
クルミやアーモンドが糖質含有量が少ないので推奨です。

葉野菜やブロッコリー、ゴーヤ、カリフラワーなど糖質が少ないものはOK。
果物は、少量とします。

単純糖質(砂糖やブドウ糖や果糖など)は、勿論、なしです。

脂肪は、50~60%摂取しても糖質制限的にはOKです。

牛や豚などの動物性食品もしっかり食べてOKです。

食塩は、今まで通りの摂取でOKです。
糖質セイゲニストにおいては、インスリン追加分泌が最小限なので、
体内の塩分と水分が排泄される方向なので、OKなのです。


日本人における認知症の研究としては有名な『久山町研究』があります。

<久山町研究>
山町では1985年から2012年まで5回にわたり65歳以上の全住民を対象にした認知症に関する調査を実施。
過去5回で高齢者認知症の有病率が6.7%から17.9%まで急増。
認知症患者の6割を占めるアルツハイマー型に限れば、約9倍に増えていた。
「米の摂取量を減らして、大豆、緑黄色野菜、淡色野菜、海藻類、牛乳・乳製品を多く摂るというパターンで
認知症のリスクが下がる。」

  第22回日本疫学会学術総会、2012年1月26日(木)〜28日(土)で
  九州大学・小澤 未央 氏が報告。
  Am J Clin Nutr. 2013 May;97(5):1076-82. 論文掲載。


久山町研究における認知症予防の食事パターンに、魚と肉と卵を加えたら、何とそのまま『糖質制限食』です。
この研究結果を考慮すれば、米を含めて穀物やデンプンを制限する糖質制限食で認知症予防が期待できます。


江部康二



☆☆☆
以下の青字の記載は、糖尿病ネットワーク、2019年05月29日の記事から
一部、抜粋です。

糖尿病ネットワーク
https://dm-net.co.jp/calendar/2019/029157.php  
糖尿病を治療して認知症を防ぐ 
WHOが初の「認知症予防ガイドライン」を発表
2019年05月29日
カテゴリー:   糖尿病合併症 運動療法 食事療法




 世界保健機関(WHO)は認知症と認知機能を予防するための具体的な介入方法をまとめた初のガイドラインの公開を開始した。
 認知症リスクは生活習慣改善により減らせるとして、WHOは各国に対応を求めている。
認知症は30年間で3倍に増加
 世界保健機関(WHO)は認知症と認知機能を予防するための具体的な介入方法をまとめた初のガイドラインの公開を開始した。
 新しいガイドラインによると、運動の習慣化、禁煙、アルコール摂取の抑制、健康的な食事、血圧・コレステロール・血糖値のコントロールにより、認知症の発症リスクを減らすことができる。身体にとって良いことは脳にとっても良いことが示されている。        
                       
 「今後30年間で、世界の認知症の有病者数は3倍に増加すると予測されています。認知症のリスクを減らすために、できることを今すぐ実行すべきです」と、WHO局長のテドロス アダノム氏は言う。

 認知症は、アルツハイマー病や脳卒中など、脳に影響を与えるさまざまな病気や傷害から生じ、記憶、思考、行動、理解、計算、学習能力、言語活動、判断に影響を与える。
 認知症は、世界中で5,000万人が罹患しており、毎年約1,000万例が新たに発症している。認知症を発症し、脳がダメージを受けてしまうと、元の状態に戻すのは多くの場合で困難だ。
 患者だけでなく社会が負う経済的負担も大きく、認知症による社会的費用の損失は2030年までに年間220兆円に膨れ上がると予想されている。公衆衛生上の問題として急速に拡大している。



食事と運動を改善すれば認知症リスクは減らせる
 WHOが公開している
「認知症と認知機能低下のリスクを減らすためのWHOガイドライン」
の主な内容は以下の通り――。

運動・身体活動には認知機能低下を予防する効果がある


栄養バランスの良い健康的な食事はすべての成人に勧められる
野菜や果物、雑穀や玄米などの全粒穀類、マメ類、ナッツ類を十分に食べ、野菜と果物は1日に400g以上を食べることが推奨される。
1日に2,000kcalを摂取している人では、吸収の早い単純糖質の摂取を5%未満に、脂肪の摂取を30%未満に抑える。脂肪の多い牛や豚などの動物性食品を抑え、食塩の摂取量を1日5g未満にするのが理想的。


肥満や過体重のある人では、介入して適正な体重にコントロールするで、
認知症のリスクを低下できる可能性がある


高血圧のある人は、WHOのガイドラインに従い適切な治療を受けるべき


糖尿病のある人は、適切な治療を受け生活スタイルを改善するべき


喫煙は身体の健康を害するだけでなく、認知症と認知機能低下のリスクにもなる。たばこを吸う人は禁煙が勧められる


ビタミンB、E、多価不飽和脂肪酸、マルチビタミンのサプリメントは、認知症予防の観点からは推奨されない


過度のアルコール摂取を習慣としている人には、認知症予防の観点から、飲酒量を減らすか断酒が勧められる


社会的な交流と支援は人生を通じて健康や幸福に強く関連している。生活において社会的な関わりは必要だ
 

認知症による社会的・経済的な損失は大きく、治療ケアの不足は世界中で課題になっている。一方で、認知症の危険因子を減らすために取り組めることは多い。WHOは各国に認知症対策の政策を立ち上げることを求めている。
 ガイドラインは、医療従事者が認知症や認知機能低下を予防するため必要なことを患者にアドバイスするときの根拠となる。それはまた、政府や政策立案者、計画当局が健康的な生活スタイルを奨励するプログラムを設計する際にも参考になる。

Adopting a healthy lifestyle helps reduce the risk of dementia(世界保健機関 2019年5月14日)Adopting a healthy lifestyle helps reduce the risk of dementia(世界保健機関 2019年5月14日)
Risk reduction of cognitive decline and dementia:WHO Guidelines(世界保健機関)Risk reduction of cognitive decline and dementia:WHO Guidelines(世界保健機関)
Dementia:Key facts






長寿率。超高齢化率。山梨県の棡原村。沖縄県の大宜味村。
こんにちは。
今回は、いわゆる長寿村について考察してみます。

まずは、以前は長寿村の代表と言われた棡原村(ゆずりはらむら)について検討してみます。
棡原村はかつて山梨県北都留郡にあった村で今は廃止となっています。
そして、現在では、単なる過疎の村であって、長寿村ではなかったことが明らかとなっています。
以下は、長寿率と超高齢化率の定義です。

<長寿率と超高齢化率>
☆長寿率:65歳以上人口/全年齢人口(%)
☆超高齢化率:90歳以上人口/65歳以上人口(%)



長寿指標   全国(75) 秋田県(75) 沖縄県(75) 棡原村(77)
超高齢化率   0.92     0.55     2.46    0.90
長寿率    4.86    5.26       7.25   9.36
出典:松崎俊久・柴田博 老人科診療 1981:2:341


棡原村は、以前の長寿率でみると、9.36で全国平均の倍近くあって、
一見長寿村のように見えますが、
超高齢化率は0.90であって、全国平均レベルに過ぎません。
この現象は、若者が都会に出て行った結果過疎化してしまった村で、
高齢者比率が結果として多くなったということを意味していて、
本当の長寿村ではなかったということを示しています。

これに対して沖縄は、超高齢化率が2.46で全国平均の2.67倍であり、
本当の長寿であることを示しています。
「沖縄の長寿のもっとも大きな要因は、
日本全体がまだ肉不足にあえいでいた頃から
肉をよく食べ、また脂肪摂取量が
全国の平均を1日5gくらい上回っていたことである。」

「また冷蔵庫の普及の遅れた沖縄は、
腐敗を防ぐためもあって油をよく使っていましたが
その分、食塩摂取量は全国一少なかったのです。」

と柴田博氏は、著書で指摘しています。

結局、沖縄の食文化は、長期間琉球王国として独立していて、
日本の他の地域とは大きく異なっていたということが重要です。
日本では仏教の伝来と普及により675年、天武天皇(飛鳥時代)が最初の食肉禁止令を発布しました。
この時禁止されたのは、牛・馬・犬・鶏の家畜と、猿の肉です。
しかし、なぜか当時最も食された鹿や猪は禁止されませんでした。
ともあれ、沖縄では仏教はほとんど普及しなかったため、
肉食タブーという文化がそもそも存在していなかったので
肉食文化が発達し、豚や山羊を常食していました。

この肉食文化や油の積極的摂取が、
当時の沖縄の長寿におおいに貢献したと考えられ、
糖質制限食の立場からも、おおいに納得がいきます。


☆☆☆
参考:長寿の嘘 柴田博著 2018年9月 株式会社ブックマン社



江部康二
糖尿病早期発見のために 。糖尿病の診断。境界型の分類。
こんにちは。
今回はブログ読者の皆さんに、
糖尿病を早期発見するための方法をお知らせしたいと思います。

糖尿病の発見は、早ければ早いほどいいです。
境界型の段階で見つかれば、さらにいいです。
今回は、早期発見のノウハウを説明したいと思います。


<糖代謝異常の判定基準(日本糖尿病学会)>
A) 糖尿病型
①早朝空腹時血糖値が126mg/dl以上
②75gOGTTで120分後血糖値が200mg/dl以上
③随時血糖値200mg/dl以上
④HbA1c≧6.5%
①~④のいずれかが確認された場合は「糖尿病型」と判定する。

B) 正常型
⑤早朝空腹時血糖値が110mg/dl未満
⑥75gOGTTで120分後血糖値が140mg/dl未満
⑤および⑥の血糖値が確認された場合は「正常型」と判定する。

C) 境界型
正常型にも糖尿病型にも属さない場合は「境界型」と判定する。


<75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)>
*朝まで、10時間以上の絶食のあと検査を実施する。
*検査終了までは、運動・喫煙は控える。
*負荷試験の前3日間は、150g/日以上の糖質摂取を、日本糖尿病学会は推奨。
*糖尿病と診断がついている場合は、原則として実施しない。


<糖尿病の診断>
1)  異なる日に①②③を、再確認できたら糖尿病と診断。

2) 「①+④」「②+④」「③+④」が同時に確認できたらは糖尿病と診断。

3)  ④単独の場合、再検査で血糖値が糖尿病型なら、糖尿病と診断。

4)  血糖値が糖尿病型で糖尿病の典型的症状があるか糖尿病網膜症があれば糖尿病と診断。

* 糖尿病の診断には血糖検査は必須であり、HbA1cだけでは診断できない。


< 境界型の分類>
境界型にはWHO分類のIGT、IFG、IFG/IGTがある。

・IFG(Impaired fasting glycaemia): 空腹時血糖異常
・IGT(Impaired Glucose Tolerance): 耐糖能異常

a) 2時間値が140-199mg/dlとなる耐糖能異常であるIGT (Impaired Glucose Tolerance)
IGT単独なら早朝空腹時血糖値は110mg/dl未満で正常である。

b) 空腹時血糖値が110-125mg/dlとなるIFG (Impaired fasting glycaemia)
IFG単独なら75gOGTTにて2時間値は140mg/dl未満で正常である。

c) 両者の合併であるIFG/IGTの3つのパターンがある。


< 糖尿病発症に到る流れ>
Ⅰ) IGT→糖尿病(食後血糖値200mg/dl以上または75gOGTT2時間値200mg/dl以上) 
このパターンの場合、既に糖尿病を発症している段階でも
早朝空腹時血糖値は正常で健診で見逃されるので、注意が必要。

Ⅱ) IGT→IFG/IGT→糖尿病(上記200mg/dl以上または空腹時血糖値126mg/dl以上)

このパターンは、IFG/IGTの段階で、通常の健診でもチェックできる。 

Ⅲ) IFG→IFG/IGT→糖尿病  

通常の健診でもチェックできる。パターンとしては少ない。


日本人では、IGTや200mg/dl以上の食後高血糖が、数年から10年続いて、
初めて早朝空腹時血糖値が110mg/dlを超えることが、最も多いとされています。

つまりⅠ)Ⅱ)のパターンが多くて、Ⅲ)のパターンは少ないのですね。

従いまして、一般的な健康診断の早朝空腹時血糖値で、
糖尿病の早期診断をするのは、おおいに無理があります。

そもそも日本人ではIFG単独の例は、かなり少ないと考えられます。

Ⅰ)Ⅱ)Ⅲ)どのパターンでも、

最終的には、IGTを経て糖尿病型になると考えられます。
IFGからいきなり糖尿病型になるというのは、少ないと思います。

従って、なんとかIGTの段階(糖尿病発症前)でチェックできれば、
治療的には大変役立ちます。

<早期発見には>
そのためには、75g経口ブドウ糖負荷試験が一番確実です。

しかし、かなり面倒で手間暇も費用もかかりますから、
デンプン(糖質)一人前を食べ始めて1時間後の血糖値、
あるいは尿糖を調べれば簡便です。
尿糖が陽性ということは、180mg/dlを超える血糖値があった可能性が高いです。


1時間値が180mg/dlを超えていると、2時間値が140mg/dl未満で正常でも、
将来糖尿病になりやすいので注意が必要なのです。

糖尿病は、インスリン作用不足(インスリン分泌不足+インスリン抵抗性)がベースにあり、発症します。

日本人では、インスリン分泌不足が主で、インスリン抵抗性が従と言われています。
IGTの段階で、まずインスリン追加分泌が不足、あるいは遷延しています。

それが数年以上続いて、インスリン基礎分泌も不足してきたら、IFGも合併してきます。

一方、欧米人では、インスリン抵抗性が主で、インスリン分泌不足が従とされています。

この場合、インスリン分泌能力はまだあるけれど、
効きが悪い(インスリン抵抗性)ため高血糖となります。

そうすると、インスリン抵抗性のため、
基礎分泌のインスリンの量では早朝空腹時血糖値がやや高いけど、
追加分泌は大量に出せるので食後高血糖は防いでいるというIFGの人が、
日本より高率に存在する可能性があります。

日本人でも肥満が目立つ人は、
インスリン抵抗性が主の欧米パターンの糖尿病発症もありえます。

この場合、早期に発見できれば、インスリン分泌能力は残っているので、
肥満が改善してインスリン抵抗性が改善すれば、
糖尿病がほぼ治ったごとくになることもあり得ます。

ともあれ、IGT、IFG、IFG/IGTの段階で発見できればおおきなアドバンテージです。
この段階でなら、緩やかな糖質制限食でも、糖尿病発症は防げると思いますよ。ヾ(^▽^)


勿論、すでに糖尿病と診断された人は、スーパー糖質制限食が最適です。


江部康二
医師が教える】 実は“果物は太りやすい”決定的理由。
おはようございます。
今回もダイヤモンドオンラインの記事の紹介です。
【医師が教える】 実は“果物は太りやすい”決定的理由。
https://diamond.jp/articles/-/323279

内臓脂肪がストンと落ちる食事術(江部康二著)
より一部を編集・抜粋したものです。

現代の果物は、ご先祖が食べていた果物とは似て非なるものです。
「野イチゴ」「あまおう」を比べてみれば、一目瞭然ですね。
糖度ははるかに高く、大きさもとても大きいのです。

この記事、ダイヤモンドオンラインで、2位にランクされています。


以下は記事の要約です。
詳しくは、下記のURLで記事をご覧頂ければ幸いです。
https://diamond.jp/articles/-/323279


江部康二


【医師が教える】実は“果物は太りやすい”決定的理由

江部康二
https://diamond.jp/articles/-/323279
ライフ・社会
内臓脂肪がストンと落ちる食事術
2023.6.4 3:20

TBS系『金スマ ~中居正広の金曜日のスマイルたちへ~』
「番組史上最も楽して痩せる食事術」として紹介され、
爆発的な反響をみせた『内臓脂肪がストン!と落ちる食事術』(ダイヤモンド社)

美味しいものをお腹いっぱい食べて、なんならお酒も飲めるのに、
運動なしでも痩せられるという驚きの食事術。
この食事術を、やはり運動なしで半年間実践して10kg痩せた経験があり、
現在70代にして20代の頃の体重をキープしている著者・江部康二医師が、
もう2度と太らない医学的に正しいダイエット法を伝授!

ひもじくなるようなカロリー制限は一切ナシ
お腹いっぱい食べていいし、筋トレもジョギングもしなくていい。
その体脂肪、運動ナシで落とす方法を教えましょう!

※本稿は、『内臓脂肪がストン!と落ちる食事術』(ダイヤモンド社)
より一部を抜粋・編集したものです。

果物はヘルシーな食べ物?
果物の甘みのもとは要注意
全身を駆け巡る“果糖の害悪”
果汁100%の果物ジュースは危険?
厚労省も注意をうながす



日本の糖尿病食・糖質制限食の歴史。
<プロローグ>
こんにちは。

現在ではファミリーレストランのガストやリンガーハットでも、くら寿司でも
糖質オフメニューがあります。
ローソンやファミリーマートでも、糖質制限なパンが販売されています。
あの山崎パンも、今や、糖質制限なパンを販売しています。

2005年に日本で初めて、
糖質制限食の本「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(糖尿経済新報社)を刊行した頃は、
糖質制限な食品が何もなくて、とても苦労したのですが、今や、今昔の感があります。

2016/7/20(水)、NHKクローズアップ現代で糖質制限食が特集されました。
NHKによれば、糖質制限食が空前のブームだそうで、
関連の市場は当時で¥3184億円とのことでした。

今や2023年で、糖質制限市場はさらに加速して拡大しています。
中国や韓国や台湾でも、私の糖質制限の本の訳本が出版されています。

私は、糖質制限食はブームではなく、科学的な真理そのものと考えています。
従ってブームのように消え去ることはなく、今後もどんどん繁栄していくと思います。

今回は、その糖質制限食と糖尿病食の歴史を考察してみました。

<夏目漱石と糖尿病と厳重食>
文豪夏目漱石(1867~1916年)は、糖尿病でした。
大正5年(1916)正月、右の上膊(上腕)神経に強い痛みと右上膊(上腕)の不全麻痺。
薬、マッサージは無効。4月、糖尿病と診断。
教え子の医師真鍋嘉一郎により、5月から、当時の最先端治療の「厳重食」を開始。尿糖は消失。
7月終わりには、右の上膊神経に強い痛みと右上膊の不全麻痺が改善。
神経衰弱の症状も減退。糖尿病も改善。11月、胃潰瘍が再発。
12月9日、胃潰瘍による出血で死亡。
厳重食で、糖尿病と糖尿病神経障害は著明改善ですが、残念ながら胃潰瘍のために死去しています。

<厳重食=スーパー糖質制限食>

昭和13年、18年の女子栄養大学の以下の「厳重食」の解説をみると、まさに、「厳重食=スーパー糖質制限食」です。

『肉類(牛、豚、鶏、魚肉、内臓、心臓、肝臓、舌、膈、腎臓、骨髄)、貝類、卵類(鶏卵、鳥卵、魚卵)、脂肪類(バター類、豚脂、ヘッド、肝油、オリーブ油、ごま油、)、豆類(豆腐、油揚げなど)、
味噌は少量、野菜(含水炭素5%以下)小松菜、京菜、白菜、筍、レタス、蕗、大根、アスパラ、果実(含水炭素の少ないもの)びわ、すもも、苺、いちじく、メロン、パイナップル、パパイヤ、りんご、蜜柑、夏みかん・・・
*梨、ブドウ、柿、バナナはやや糖質が多いので警戒を要する。』


夏目漱石と厳重食1)2)については、
精神科医師Aこと中嶋一雄医師に資料を提供して頂きました。ありがとうございました。

<日本における糖尿病食事療法の変遷>
日本でも、昭和18年(1943年) 頃は、まだ厳重食のほうが、幅を利かせていたようです。

そして日本糖尿病学会のバイブルのような食品交換表初版が1965年に発行されました。
この時、適正なカロリーということが強調されました、。
解説には、食事療法の原則として
「①適正なカロリー②糖質量の制限③糖質、たんぱく質、脂質のバランス④ビタミンおよびミネラルの適正な補給」
と記載されています。
なんと、2番目には驚くべきことに「糖質量の制限」と明記してあります。
これが、1969年の第2版になると
「①適正なカロリー(カロリーの制限)②糖質、たんぱく質、脂質のバランス③ビタミンおよびミネラルの適正な補給」
と変更されて、
「糖質量の制限」という文言が削除されています。
糖尿病食事療法の原則から、「糖質制限」が消えて、「カロリーの制限」が登場したのが2版です。

これ以降の食品交換表は、2013年、11年ぶりに改訂された第7版にいたるまで、「カロリー制限」一辺倒でした。

2013年10月の米国糖尿病学会の「栄養療法に関する声明」では、全ての糖尿病患者に適した“one-size-fits-all(唯一無二の)”食事パターンは存在しないとの見解を表明しました。
これに対して、日本糖尿病学会は、唯一無二の糖尿病食事療法として「カロリー制限・高糖質食」を、
1969年以来、現在まで推奨し続けています。

<日本における糖質制限食の歴史>
 戦前までは、厳重食があったのですが、1969年以降はすっかり消えてしまいました。
その後の糖質制限食の臨床実践は、1999年から釜池医師が宇和島で開始し、
同時に高雄病院でも筆者の兄江部洋一郎医師が開始し有効例を重ねました。

その経験を踏まえ医学文献では、2004年に筆者が本邦初の糖質制限食有効例の報告を行いました3)。
2005年には筆者が本邦初の一般向けの本を出版しました4)。

2006年荒木医師が「断糖宣言」、2007年釜池医師が「糖質ゼロの食事術」を刊行しました。
坂東医師、中村医師は約1000人を肥満外来で治療し糖質制限食の有効性を2008年に報告しました5)。
2009年、2010年、医学雑誌に筆者が小論文を発表しました6)7)。

その後、2012年に山田悟医師、白澤医師、2013年に夏井医師、2014年に渡辺信幸医師、
2015年に宗田医師が一般向け糖質制限食の本を出版しました8)9)10)11)12)。
糖質制限食の広がり、いよいよ加速がついてきました13)14)15)。
その後もほぼ毎年、糖質制限食の本を刊行しています。16)17)18)19)20)21)22)23)。


1)香川綾: 女子栄養大学「栄養と料理」 第4巻第4号 p46
  糖尿病の手当と食餌療法、昭和13年(1938年)
2)香川昇三:女子栄養大学「栄養と料理」 第9巻第5号 p27 
  糖尿病患者の厳重食、 昭和18年(1943年)
3)江部康二他:糖尿病食事療法として糖質制限食を実施した3症例,
      京都医学会雑誌51(1):125-130、2004
4)江部康二:主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ、
  2005年(東洋経済新報社)
5)坂東浩,中村巧:カーボカウントと糖質制限食, 治療,90(12):3105-3111,2008
6)江部康二:主食を抜けば(糖質を制限すれば)糖尿病は良くなる!,
  治療,91(4):682-683,2009
7)江部康二:低糖質食(糖質制限食carbohydrate restriction)の意義,
  内科,105(1):100-103,2010
8)山田悟:糖質制限食のススメ、2012年(東洋経済新報社)
9)白澤卓二:<白澤式>ケトン食事法、2012年(かんき出版)
10)夏井睦:「炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学」、光文社新書、2013年
11)渡辺信幸:日本人だからこそ「ご飯」を食べるな 肉・卵・チーズが健康長寿をつくる 、2014年(講談社)
12)宗田哲男:「ケトン体が人類を救う 糖質制限でなぜ健康になるのか」、光文社新書、2015年
13)江部康二:「人類最強の『糖質制限』論 ケトン体を味方にして痩せる、健康になる」、SB新書、2016年
14)江部康二:外食でやせる! 「糖質オフ」で食べても飲んでも太らない体を手に入れる、2017年(毎日新聞出版)
15)江部康二:江部康二の糖質制限革命」2017年(東洋経済新報社)
16)「男・50代からの糖質制限」2018年(東洋経済新報社)「内臓脂肪がストン!とおちる食事術」2019年5月(ダイヤモンド社)
17)「糖質制限の大百科」2019年7月(洋泉社)
18)「糖質量&炭水化物量ポケットガイド」電子書籍、2019年8月(SBクリエイティブ)
19)「名医が考えた認知症にならない最強の食事術」2020年6月(宝島社)
20)「ダイエット・糖質制限に必携! 食品別糖質量ハンドブック 」2020年9月(宝島社)江部 康二 (監修)
21)医学的に正しい「糖質制限」見るだけノート2020年10月(宝島社)
22)「増補新版 糖質制限の大百科」2021年9月(宝島社)
23)医者が教える 正しい糖質の減らし方 (TJMOOK) ムック – 2022/5/26 江部 康二 (監修)


など多数。

夕食時間が早いと翌朝空腹時血糖値が好ましく下がる。
こんにちは。
今回は、
「夕食時間が早いと翌朝空腹時血糖値が好ましく下がる。」
というお話です。

数年前の日曜日のことですが、お昼に東京で仕事があり、
日帰り出張でした。
打ち合わせが終了したあと、出版社の編集の人と夕食を共にしました。
バルバッコア・クラシコ 丸の内店で
ブラジル料理のシュラスコをご馳走していただきました。
ありがとうございました。

肉を塊のまま串に刺し、そのまま岩塩のみで焼き上げる
ブラジリアンバーベキュー(シュラスコ)の専門店です。
そのままの状態でテーブルまで運び、
目の前で好きな部分を好きなだけ切り分けてくれます。
肉は油を一切使用せずに焼き上げるそうです。
店内中央にある 30 種類にも及ぶ巨大な
フレッシュ・サラダバーも自慢とのことです。

夕方5時~食事開始で、おなかいっぱい、
様々な部位の肉とサラダを食べました。
赤ワインもしっかり飲みました。
シュラスコは、生まれて初めて食べましたが、
のでなかなか美味しくて興味深い体験でした。

まさしく美味しく楽しく糖質制限食の夕餉を堪能しました。
午後7時過ぎの新幹線で帰京しましたが、
おなかいっぱいだったので、何も食べずに、焼酎の水割り2杯飲んで
深夜0時に眠りにつきました。

そうすると翌日のの
早朝空腹時血糖値(午前7時)が82mg/dlとかなり低めでした。
びっくりして再度検査しても85mg/dlでした。

私も、一定の「暁現象」があるので、通常の早朝空腹時血糖値は
調子がいいと100mg~109mg/dl、
ややもすると110mg~125mg/dlと境界型
くらいのこともあります。
今までは、100mg/dlを切ることは年間通してあまりありませんでした。

従って、私としては、年間通して、82mg/dlというのは自己最低記録に近いのです。
夕食は通常は、早くても午後7時半で、遅ければ午後9~10時です。

今回の、空腹時血糖値82mg/dlという記録は
前夜の食事が午後5時~6時半くらいまでという
超早めだったことの影響の可能性が高いです。

もちろん、夕食開始が早いほうが翌朝の血糖値が下がることは経験していたので
なんとか午後9時までに食べるようにつとめてはいたのですが、
午後5時に夕食開始というのは年間通してまずありません。

東京日帰りのおかげで、とても良い経験をしました。
「暁現象」で困っておられるブログ読者の皆さん、
可能ならば、選択肢の一つとして、夕食を早めに食べて実験してみて下さい。


江部康二