2023年04月30日 (日)
【23/04/30
糖質制限1周年
糖質制限による耐糖能について
江部先生初めてコメントします。
夏井先生を通じて江部先生の存在を知り、依頼ブログや書籍で勉強させていただいております。
私は糖尿病ではありませんが、ストレスから自律神経症状があった時期に物は試しで糖質制限を始めたら、
それらの症状がなくなり、体調が良くなってからは1日2食、主食なしの生活を1年継続しております。
先日ある栄養の専門家?がしているyoutube動画をみていた時に、
「糖質制限をしている人が久しぶりに糖質をとると体がだるくなったり、何となく体の不調があるというのがみられるが、
これは耐糖能異常の証拠である」と言っていたのが気になりました。
確かに久しぶりに米やパンを食べると、明らかに体がだるくなったり、
胃がもたれたりといった症状がみられていたので、自分としては、
これらの症状をもって「やっぱり糖質は体によくないんだ」とポジティブに捉えていたのですが、
これが耐糖能異常を示唆する症状と言われると反論できない自分がいます。
ご面倒かと思いますが、このことについて先生のお考えを教えていただければ幸いです。】
こんにちは。
糖質制限1周年さんから、
「糖質制限食と耐糖能」について、コメント・質問を頂きました。
結論から言うと、
①糖質制限食実践者でも基礎分泌インスリンは普通に分泌されます。
②そして追加分泌インスリンは、必要最小限で済むので、インスリンを分泌するβ細胞は
休養充分で、元気いっぱいです。
従って、①②より、糖質制限食で耐糖能が低下することはありません。
以下、さらに根拠を述べます。
、糖質制限食と耐糖能についての考察です。
「糖質制限食を続けると耐糖能が落ち糖尿病になる」と
主張する医師や栄養士がいますが、これは本当でしょうか?
結論から言えば、正しくありません。
高雄病院では1999年から 江部洋一郎院長(当時)が糖質制限食を始めて、
2001年からは私、江部康二も取り組んでいますので、
2023年現在もう足かけ25年になります。
この間、下記の三点は高雄病院の1600人以上の糖尿病入院患者さん
でもしっかり確認済みです。
・糖質制限食により食後血糖値も空腹時血糖値も改善します。
・糖質制限食により膵臓のβ細胞が休養できるので、
疲弊していた β細胞が回復します。
・β細胞の回復により、耐糖能とインスリン分泌能も改善します。
糖質制限食で耐糖能が落ちるという話は、
ヒムスワースの正常人の耐糖能に関する論文(1935年発表)に
由来すると思われます。
「健康人に糖質の少ない食事を1週間与えて糖負荷試験を行った。
高糖質食を与えたときには耐糖能は正常であったのに、低糖質食に
よって糖尿病と判定されるほどに耐糖能が悪化した。」(☆)
というのが、ヒムスワースが1935年に発表した論文の結論です。
一方、 1960年、ウィルカーソン(Wilkerson)らが、
受刑者を被験者として低糖質食が耐糖能に与える影響を再検討して、
「糖質の摂取量を1日50グラムに制限しても、
耐糖能には大きな影響を及ぼさない」(☆☆)という報告を行いました。
この報告がNew England Journal of Medicineという
影響力の大きな医学誌に掲載されました。
正常人が糖質制限食をして75gブドウ糖負荷試験をした場合、
ヒムスワースとウィルカーソンで全く異なる結論です。
論文の信頼度としては、New England Journal of Medicineの
ウィルカーソンのほうが上ですが、断定することはできません。
ブログ読者さんのコメントで、「糖質制限食を実践して75gブドウ糖
負荷試験をしたら以前より悪化した。」という報告もときにありますので、
これについて検討してみます。
75g経口ブドウ糖負荷試験実施前3日間は、
150g/日以上の糖質摂取が、日本糖尿病学会の推奨となっています。
これは、糖質制限をあるていどの期間続けた正常人が、
いきなり、ブドウ糖負荷試験あるいは糖質一人前摂取で、
耐糖能低下のように見えるデータがでることが、時にあるからと思われます。
私見ですが、これは、
追加分泌インスリンを出す必要がほとんどない糖質制限食を続けていた場合には、
糖質摂取に対して、β細胞が準備ができていない状態であった可能性があります。
従って、150g/日以上の糖質を3日間摂取することで準備を整えてから検査をすると、
β細胞の準備ができているので、
もともと正常型だった人なら耐糖能が普通に戻ると思われます。
スーパー糖質制限食実践でβ細胞は休養できていて、 元気いっぱいで、
なおかつ血糖コントロール良好ですので、
高血糖によりβ細胞が障害されている可能性はありません。
ですから、β細胞のインスリン分泌能力も準備さえ整えば、
正常に作用すると考えられます。
つまり、正常人が糖質制限中にいきなり糖質摂取したとき、
一見耐糖能が低下したようなデータが出ることがありますが、
これは本当にβ細胞が障害されて耐糖能が落ちたのではないので、
心配ないということです。
糖質制限食実践者においては、食後高血糖によるβ細胞の障害はないので、
本当にインスリン分泌能が低下するということは考えられません。
一方、2型糖尿病の診断基準をしっかり満たした人が、
1年間のスーパー糖質制限食実践で血糖値もHbA1cも正常値となり、
試しに白ご飯を一人前摂取しても、
食後血糖値は140mg/dlを超えなくなった例もあります。
これは、スーパー糖質制限食で膵臓が休養できて、
β細胞が回復して耐糖能も改善したためと考えられます。
なお本ブログの読者の糖尿人の方々で、
糖質制限食で耐糖能改善されたかたは複数おられます。
(☆)
Himsworth HP. The dietetic factor determining the glucose tolerance and sensitivity to insulin of healthy men. Clin Sci 2, 67-94, 1935.
(☆☆)
Wilkerson HLC, Hyman C, Kaufman M, McCuistion AC, Francis JO. Diagnostic evaluation of oral glucose tolerance tests in nondiabetic subjects after various levels of carbohydrate intake. N Engl J Med 262, 1047-1053, 1960.
江部康二
糖質制限1周年
糖質制限による耐糖能について
江部先生初めてコメントします。
夏井先生を通じて江部先生の存在を知り、依頼ブログや書籍で勉強させていただいております。
私は糖尿病ではありませんが、ストレスから自律神経症状があった時期に物は試しで糖質制限を始めたら、
それらの症状がなくなり、体調が良くなってからは1日2食、主食なしの生活を1年継続しております。
先日ある栄養の専門家?がしているyoutube動画をみていた時に、
「糖質制限をしている人が久しぶりに糖質をとると体がだるくなったり、何となく体の不調があるというのがみられるが、
これは耐糖能異常の証拠である」と言っていたのが気になりました。
確かに久しぶりに米やパンを食べると、明らかに体がだるくなったり、
胃がもたれたりといった症状がみられていたので、自分としては、
これらの症状をもって「やっぱり糖質は体によくないんだ」とポジティブに捉えていたのですが、
これが耐糖能異常を示唆する症状と言われると反論できない自分がいます。
ご面倒かと思いますが、このことについて先生のお考えを教えていただければ幸いです。】
こんにちは。
糖質制限1周年さんから、
「糖質制限食と耐糖能」について、コメント・質問を頂きました。
結論から言うと、
①糖質制限食実践者でも基礎分泌インスリンは普通に分泌されます。
②そして追加分泌インスリンは、必要最小限で済むので、インスリンを分泌するβ細胞は
休養充分で、元気いっぱいです。
従って、①②より、糖質制限食で耐糖能が低下することはありません。
以下、さらに根拠を述べます。
、糖質制限食と耐糖能についての考察です。
「糖質制限食を続けると耐糖能が落ち糖尿病になる」と
主張する医師や栄養士がいますが、これは本当でしょうか?
結論から言えば、正しくありません。
高雄病院では1999年から 江部洋一郎院長(当時)が糖質制限食を始めて、
2001年からは私、江部康二も取り組んでいますので、
2023年現在もう足かけ25年になります。
この間、下記の三点は高雄病院の1600人以上の糖尿病入院患者さん
でもしっかり確認済みです。
・糖質制限食により食後血糖値も空腹時血糖値も改善します。
・糖質制限食により膵臓のβ細胞が休養できるので、
疲弊していた β細胞が回復します。
・β細胞の回復により、耐糖能とインスリン分泌能も改善します。
糖質制限食で耐糖能が落ちるという話は、
ヒムスワースの正常人の耐糖能に関する論文(1935年発表)に
由来すると思われます。
「健康人に糖質の少ない食事を1週間与えて糖負荷試験を行った。
高糖質食を与えたときには耐糖能は正常であったのに、低糖質食に
よって糖尿病と判定されるほどに耐糖能が悪化した。」(☆)
というのが、ヒムスワースが1935年に発表した論文の結論です。
一方、 1960年、ウィルカーソン(Wilkerson)らが、
受刑者を被験者として低糖質食が耐糖能に与える影響を再検討して、
「糖質の摂取量を1日50グラムに制限しても、
耐糖能には大きな影響を及ぼさない」(☆☆)という報告を行いました。
この報告がNew England Journal of Medicineという
影響力の大きな医学誌に掲載されました。
正常人が糖質制限食をして75gブドウ糖負荷試験をした場合、
ヒムスワースとウィルカーソンで全く異なる結論です。
論文の信頼度としては、New England Journal of Medicineの
ウィルカーソンのほうが上ですが、断定することはできません。
ブログ読者さんのコメントで、「糖質制限食を実践して75gブドウ糖
負荷試験をしたら以前より悪化した。」という報告もときにありますので、
これについて検討してみます。
75g経口ブドウ糖負荷試験実施前3日間は、
150g/日以上の糖質摂取が、日本糖尿病学会の推奨となっています。
これは、糖質制限をあるていどの期間続けた正常人が、
いきなり、ブドウ糖負荷試験あるいは糖質一人前摂取で、
耐糖能低下のように見えるデータがでることが、時にあるからと思われます。
私見ですが、これは、
追加分泌インスリンを出す必要がほとんどない糖質制限食を続けていた場合には、
糖質摂取に対して、β細胞が準備ができていない状態であった可能性があります。
従って、150g/日以上の糖質を3日間摂取することで準備を整えてから検査をすると、
β細胞の準備ができているので、
もともと正常型だった人なら耐糖能が普通に戻ると思われます。
スーパー糖質制限食実践でβ細胞は休養できていて、 元気いっぱいで、
なおかつ血糖コントロール良好ですので、
高血糖によりβ細胞が障害されている可能性はありません。
ですから、β細胞のインスリン分泌能力も準備さえ整えば、
正常に作用すると考えられます。
つまり、正常人が糖質制限中にいきなり糖質摂取したとき、
一見耐糖能が低下したようなデータが出ることがありますが、
これは本当にβ細胞が障害されて耐糖能が落ちたのではないので、
心配ないということです。
糖質制限食実践者においては、食後高血糖によるβ細胞の障害はないので、
本当にインスリン分泌能が低下するということは考えられません。
一方、2型糖尿病の診断基準をしっかり満たした人が、
1年間のスーパー糖質制限食実践で血糖値もHbA1cも正常値となり、
試しに白ご飯を一人前摂取しても、
食後血糖値は140mg/dlを超えなくなった例もあります。
これは、スーパー糖質制限食で膵臓が休養できて、
β細胞が回復して耐糖能も改善したためと考えられます。
なお本ブログの読者の糖尿人の方々で、
糖質制限食で耐糖能改善されたかたは複数おられます。
(☆)
Himsworth HP. The dietetic factor determining the glucose tolerance and sensitivity to insulin of healthy men. Clin Sci 2, 67-94, 1935.
(☆☆)
Wilkerson HLC, Hyman C, Kaufman M, McCuistion AC, Francis JO. Diagnostic evaluation of oral glucose tolerance tests in nondiabetic subjects after various levels of carbohydrate intake. N Engl J Med 262, 1047-1053, 1960.
江部康二
2023年04月29日 (土)
こんにちは。
今回は「糖質制限食の過去・現在・未来」について
考察してみます。
<糖質制限食の過去・現在>
私が、一般向けの、日本初の糖質制限の本
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」2005年(東洋経済新報社)
を上梓したころは、
はっきり言って、四面楚歌の状態でした。
糖質制限食賛成派の医師は、高雄病院グループ以外は皆無であり、
本を読んで入院してきた糖尿病患者さんも、
「主治医には黙ってこっそり来た」「主治医に言ったら、怒られた」といった状況でした。
私も、勿論、他の医師には、奇人・変人扱いされていたと思います。
本ブログを立ち上げたのが、2007/2/27(火)です。
その後、理論面の本やレシピ本などを各社から多数出版してきました。
ブログを見たり、本を購入した糖尿病サバイバーの皆さんや減量に成功したダイエッターの方々が、
ご自分のブログ、ツイッター、フェイスブックなどで糖質制限食のことを
草の根的に広めて頂いたのも今日の隆盛の大きな力となったと思います。
この間、私自身も、ブログで毎日情報発信し、本を上梓するなど、
糖質制限食を日本に広める役目を確実に果たしてきたかなと自負しています。
2010年頃からは、テレビ・新聞・雑誌などのマスコミが、こぞって糖質制限食を取り上げるようになり、
世間一般の認知度は格段に上がりました。
さらに流れが、はっきり変わったのは、
2012/1/15(日)第15回日本病態栄養学会年次学術集会(国立京都国際会館)において
「糖尿病治療に低炭水化物食は是か?非か?」というディベートセッションが開催されてからです。
通常は3000人規模の学会に4000人の医師・栄養士が参加し大きな反響を巻き起こしました。
このことは糖質制限食が医学界の表舞台に初登場したという意味で、大きな一歩といえます。
私のブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」のアクセス件数もこの日を境に1000件以上増えて、
現在1日に数千件のアクセスがある人気ブログとなりました。
このセッション以降、日本全国の医師会や病院から講演依頼が相次ぐようになり、
医学界にも爆発的に糖質制限食が広がり始めました。
2012年は、糖質制限食普及において、飛躍の年となりました。
このように、医学界だけではなく、
在野の糖質セイゲニスト達(糖尿人、ダイエッターなど)も今日の日本の糖質制限食の歴史を切り開いてきたと言えます。
さらに、米国糖尿病学会は『栄養療法に関する声明2013』において
地中海食、ベジタリアン食、DASH食、低脂質食などと共に「糖質制限食」も正式に受容しました。
このことは糖質制限食を推進する私達にとって、強い味方となりました。
さらに、米国糖尿病学会は、2019年4月、コンセンサス・レポートにおいて
『糖質制限食は2型糖尿病で最も研究されている食事パターンの1つ』
と明言し、一推しで推奨しました。
2020年、2021年、2022年、2023年のガイドラインでも同様の見解です。
このことは糖質制限食にとって、とても大きな追い風となりました。
すなわち、現在、糖質制限食の有効性と安全性に関しては
米国糖尿病学会のお墨付きがあるというわけです。
近年、外食産業やコンビニでも糖質制限食OK食材が販売されるようになりました。
NHKクローズアップ現代によれば2016年7月時点で、
糖質制限食の社会への浸透による市場規模は既に3000億円を超えているそうです。
近年、さらに市場規模は拡大していると思います。
<糖質制限食の未来>
このような現状において、糖質制限食は様々な生活習慣病の予防と治療に顕著な効果を発揮し、
医療費削減の切り札となると思います。
さらに糖質制限食により社会が大きく変わり、様々な経済効果をもたらし、
健康寿命をのばす可能性があります。
糖質制限食に内在する大きなポテンシャルにより、
日本において、栄養学や医学における意識革命、産業界における経済革命が起こる可能性が高いと考えています。
<間違った常識に囚われるのは危険>
そして最後に、従来の常識に囚われていたら、生命の危険があるのが、糖尿病の食事療法の世界です。
『血糖値を直接上昇させるのは糖質だけであり、タンパク質・脂質は上げない』という生理学的事実に基づき、
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を予防できるのは糖質制限食だけです。
糖質を摂取すれば、必ず「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じます。
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」は酸化ストレスを生じ、合併症のリスクとなります。
従って、従来の糖尿病食(高糖質食)実践では、純粋理論的に合併症予防は不可能です。
従来の糖尿病食は、『合併症製造食』としか言いようがないのが現実なのです。
糖尿人の皆さんは、まだ間に合ううちに、是非、自分の頭でしっかり考えて、
常識の殻を打ち破り真実を理解していただき、身を守って欲しいと思います。
江部康二
今回は「糖質制限食の過去・現在・未来」について
考察してみます。
<糖質制限食の過去・現在>
私が、一般向けの、日本初の糖質制限の本
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」2005年(東洋経済新報社)
を上梓したころは、
はっきり言って、四面楚歌の状態でした。
糖質制限食賛成派の医師は、高雄病院グループ以外は皆無であり、
本を読んで入院してきた糖尿病患者さんも、
「主治医には黙ってこっそり来た」「主治医に言ったら、怒られた」といった状況でした。
私も、勿論、他の医師には、奇人・変人扱いされていたと思います。
本ブログを立ち上げたのが、2007/2/27(火)です。
その後、理論面の本やレシピ本などを各社から多数出版してきました。
ブログを見たり、本を購入した糖尿病サバイバーの皆さんや減量に成功したダイエッターの方々が、
ご自分のブログ、ツイッター、フェイスブックなどで糖質制限食のことを
草の根的に広めて頂いたのも今日の隆盛の大きな力となったと思います。
この間、私自身も、ブログで毎日情報発信し、本を上梓するなど、
糖質制限食を日本に広める役目を確実に果たしてきたかなと自負しています。
2010年頃からは、テレビ・新聞・雑誌などのマスコミが、こぞって糖質制限食を取り上げるようになり、
世間一般の認知度は格段に上がりました。
さらに流れが、はっきり変わったのは、
2012/1/15(日)第15回日本病態栄養学会年次学術集会(国立京都国際会館)において
「糖尿病治療に低炭水化物食は是か?非か?」というディベートセッションが開催されてからです。
通常は3000人規模の学会に4000人の医師・栄養士が参加し大きな反響を巻き起こしました。
このことは糖質制限食が医学界の表舞台に初登場したという意味で、大きな一歩といえます。
私のブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」のアクセス件数もこの日を境に1000件以上増えて、
現在1日に数千件のアクセスがある人気ブログとなりました。
このセッション以降、日本全国の医師会や病院から講演依頼が相次ぐようになり、
医学界にも爆発的に糖質制限食が広がり始めました。
2012年は、糖質制限食普及において、飛躍の年となりました。
このように、医学界だけではなく、
在野の糖質セイゲニスト達(糖尿人、ダイエッターなど)も今日の日本の糖質制限食の歴史を切り開いてきたと言えます。
さらに、米国糖尿病学会は『栄養療法に関する声明2013』において
地中海食、ベジタリアン食、DASH食、低脂質食などと共に「糖質制限食」も正式に受容しました。
このことは糖質制限食を推進する私達にとって、強い味方となりました。
さらに、米国糖尿病学会は、2019年4月、コンセンサス・レポートにおいて
『糖質制限食は2型糖尿病で最も研究されている食事パターンの1つ』
と明言し、一推しで推奨しました。
2020年、2021年、2022年、2023年のガイドラインでも同様の見解です。
このことは糖質制限食にとって、とても大きな追い風となりました。
すなわち、現在、糖質制限食の有効性と安全性に関しては
米国糖尿病学会のお墨付きがあるというわけです。
近年、外食産業やコンビニでも糖質制限食OK食材が販売されるようになりました。
NHKクローズアップ現代によれば2016年7月時点で、
糖質制限食の社会への浸透による市場規模は既に3000億円を超えているそうです。
近年、さらに市場規模は拡大していると思います。
<糖質制限食の未来>
このような現状において、糖質制限食は様々な生活習慣病の予防と治療に顕著な効果を発揮し、
医療費削減の切り札となると思います。
さらに糖質制限食により社会が大きく変わり、様々な経済効果をもたらし、
健康寿命をのばす可能性があります。
糖質制限食に内在する大きなポテンシャルにより、
日本において、栄養学や医学における意識革命、産業界における経済革命が起こる可能性が高いと考えています。
<間違った常識に囚われるのは危険>
そして最後に、従来の常識に囚われていたら、生命の危険があるのが、糖尿病の食事療法の世界です。
『血糖値を直接上昇させるのは糖質だけであり、タンパク質・脂質は上げない』という生理学的事実に基づき、
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を予防できるのは糖質制限食だけです。
糖質を摂取すれば、必ず「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じます。
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」は酸化ストレスを生じ、合併症のリスクとなります。
従って、従来の糖尿病食(高糖質食)実践では、純粋理論的に合併症予防は不可能です。
従来の糖尿病食は、『合併症製造食』としか言いようがないのが現実なのです。
糖尿人の皆さんは、まだ間に合ううちに、是非、自分の頭でしっかり考えて、
常識の殻を打ち破り真実を理解していただき、身を守って欲しいと思います。
江部康二
2023年04月28日 (金)
こんばんは。
2023年6月13日(火)京都で、
日本糖質制限医療推進協会主催の「低糖質スイーツ教室」を開催します。
京都でのスイーツ教室開催は、2019年の秋以来です。
講師は以前と同様で、パティシエの小寺幹成さんと管理栄養士の佐々木栄子さんです。
・小寺さんのプロフェッショナルな技を直接見て、おいしく低糖質なスイーツづくりを学べること
さらに、
・糖質制限による栄養指導のご経験豊富な佐々木さんの的確なアドバイスも得られること
が、
この教室の嬉しいところと思います。
テーマは、先日開催した東京での講習会と同じ「フィナンシェとババロア」ですが、
今回は、参加者の皆さんで実際に作ってみる「実習」も行うそうです。
私もフィナンシェとババロアをバレンタイン?プレゼントでいただき、試食しました。
食べやすく、美味しかったです。
皆さん奮ってご参加くださいね^^v
江部康二
以下、事務局からのお知らせです。
******************
ブログ読者の皆様、いつも弊会のイベントへ多数ご参加いただきまして、ありがとうございます。
本日は、低糖質スイーツ教室の開催をご案内申し上げます。
2023年6月13日(火)京都で、「低糖質スイーツ教室」を開催いたします。
☆低糖質スイーツ教室
おいしい低糖質洋菓子をご自宅で作っていただけるように、お菓子作りの基礎から学べる講座です。
小寺パティシエに低糖質菓子を作る際のコツや工夫、様々な技術をデモンストレーションや実習でレクチャーいただき、参加者様からの質問や疑問にもお答えいただきます。
また、佐々木先生に、低糖質菓子をご家庭で作りやすくするための工夫やレッスンで学んだことを更に活用するアイデアなど、多岐に渡ってアドバイスいただきます。
血糖値が気になってお菓子を控えているという方、安心の低糖質スイーツを作りたいという方、お菓子作りは初めてという方も、是非ご参加ください。
☆今回の内容
テーマ:「フィナンシェとババロア」
マドレーヌと違って、全卵ではなく、卵白を使う金塊型の焼き菓子「フィナンシェ」。
今回は、このフィナンシェ作りをメインに催し、実習も行います。
フィナンシェを上手に作るには、「焦がしバター」がキーになります。
デモンストレーションとあわせて、この焦がしバターの作り方、材料の混ぜ方など、各工程を丁寧に説明。
その後、実際に参加者の皆様で作っていただき、簡単なようで難しいフィナンシェ作りを学んでいただきます。
試食では、少量の小麦粉を使ったものと大豆粉を使ったもの、2種のプレーンタイプと、アレンジタイプを召し上がっていただく予定です。
また、フィナンシェ作りで余った卵黄の活用法として、「ババロア」作りも、デモと試食にてご紹介します。
関西にお住まいの方をはじめ、皆さまのご参加をお待ちしております。
●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●
(一社)日本糖質制限医療推進協会主催
「パティシエに学ぶ、おいしく作れる低糖質スイーツ(京都)」
♪テーマ:「フィナンシェとババロア」
◆日時: 2023年6月13日(火) 13:00~15:45頃 ※開場・受付は12:45~
◆会場: あじわい館(京の食文化ミュージアム)調理実習室
〒600-8813 京都市下京区中堂寺南町130番地 京都青果センタービル3階
http://www.kyo-ajiwaikan.com/access
♪講師:
・小寺幹成 「パティスリー ロア・レギューム」オーナーパティシエ
・佐々木栄子 管理栄養士/健康運動実践指導者(当会アドバイザー)
◆参加費: 賛助会員料金 3,400円/一般料金 4,000円
◆定員・対象: 20名様 ・一般(18歳以上)
◆当日の流れ: レシピ説明・デモ→ 実習 → 試食 → 片付け後、解散
◆ご持参いただくもの:
エプロン、三角巾、ふきん(タオル)2枚(台ふき用・食器ふき用)、筆記用具
◆お支払い方法: クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。
◆お申し込みの流れ:
1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込みください。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4. 当日、直接会場までお越しいただき、受付にてお名前をお伝えください。
◆お申し込み方法:
※当教室は、一般の方にご自宅で作っていただくことを趣旨とした教室です。
製菓や料理のお仕事をしておられる方、食品会社で企画・開発をしておられる方など、
業界の方の場合は、その旨をお書き添えの上、お申し込みください。
★賛助会員の方: 事務局へメールにてお申し込み下さい。
★賛助会員入会+教室参加をご希望の方:
1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up
2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
「入会ならびに講演会等出席のお問い合わせ」を選択いただき、
「通信」欄に「6/13京都スイーツ教室、参加希望」とご記入下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact
★一般(会員以外の方)で、教室参加ご希望の方:
下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/cooking
◆その他
・予約制です。当日参加はできません。
・お申し込み後、キャンセルされる場合は、6月8日(木)までにご連絡ください。
6月9日(金)以降のキャンセルは、参加費の半額をキャンセル料金として頂戴いたしますので、予めご了承ください。
・実習室で作ったもの以外の飲食はできません。ご自宅で作ったお料理やお菓子などの持ち込みはできませんのでご注意ください。
・皆さまで実習と試食を行っていただきますので、香水などのフレグランスはお控えください。
◆弊会イベント情報URL: http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity
●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●
2023年6月13日(火)京都で、
日本糖質制限医療推進協会主催の「低糖質スイーツ教室」を開催します。
京都でのスイーツ教室開催は、2019年の秋以来です。
講師は以前と同様で、パティシエの小寺幹成さんと管理栄養士の佐々木栄子さんです。
・小寺さんのプロフェッショナルな技を直接見て、おいしく低糖質なスイーツづくりを学べること
さらに、
・糖質制限による栄養指導のご経験豊富な佐々木さんの的確なアドバイスも得られること
が、
この教室の嬉しいところと思います。
テーマは、先日開催した東京での講習会と同じ「フィナンシェとババロア」ですが、
今回は、参加者の皆さんで実際に作ってみる「実習」も行うそうです。
私もフィナンシェとババロアをバレンタイン?プレゼントでいただき、試食しました。
食べやすく、美味しかったです。
皆さん奮ってご参加くださいね^^v
江部康二
以下、事務局からのお知らせです。
******************
ブログ読者の皆様、いつも弊会のイベントへ多数ご参加いただきまして、ありがとうございます。
本日は、低糖質スイーツ教室の開催をご案内申し上げます。
2023年6月13日(火)京都で、「低糖質スイーツ教室」を開催いたします。
☆低糖質スイーツ教室
おいしい低糖質洋菓子をご自宅で作っていただけるように、お菓子作りの基礎から学べる講座です。
小寺パティシエに低糖質菓子を作る際のコツや工夫、様々な技術をデモンストレーションや実習でレクチャーいただき、参加者様からの質問や疑問にもお答えいただきます。
また、佐々木先生に、低糖質菓子をご家庭で作りやすくするための工夫やレッスンで学んだことを更に活用するアイデアなど、多岐に渡ってアドバイスいただきます。
血糖値が気になってお菓子を控えているという方、安心の低糖質スイーツを作りたいという方、お菓子作りは初めてという方も、是非ご参加ください。
☆今回の内容
テーマ:「フィナンシェとババロア」
マドレーヌと違って、全卵ではなく、卵白を使う金塊型の焼き菓子「フィナンシェ」。
今回は、このフィナンシェ作りをメインに催し、実習も行います。
フィナンシェを上手に作るには、「焦がしバター」がキーになります。
デモンストレーションとあわせて、この焦がしバターの作り方、材料の混ぜ方など、各工程を丁寧に説明。
その後、実際に参加者の皆様で作っていただき、簡単なようで難しいフィナンシェ作りを学んでいただきます。
試食では、少量の小麦粉を使ったものと大豆粉を使ったもの、2種のプレーンタイプと、アレンジタイプを召し上がっていただく予定です。
また、フィナンシェ作りで余った卵黄の活用法として、「ババロア」作りも、デモと試食にてご紹介します。
関西にお住まいの方をはじめ、皆さまのご参加をお待ちしております。
●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●
(一社)日本糖質制限医療推進協会主催
「パティシエに学ぶ、おいしく作れる低糖質スイーツ(京都)」
♪テーマ:「フィナンシェとババロア」
◆日時: 2023年6月13日(火) 13:00~15:45頃 ※開場・受付は12:45~
◆会場: あじわい館(京の食文化ミュージアム)調理実習室
〒600-8813 京都市下京区中堂寺南町130番地 京都青果センタービル3階
http://www.kyo-ajiwaikan.com/access
♪講師:
・小寺幹成 「パティスリー ロア・レギューム」オーナーパティシエ
・佐々木栄子 管理栄養士/健康運動実践指導者(当会アドバイザー)
◆参加費: 賛助会員料金 3,400円/一般料金 4,000円
◆定員・対象: 20名様 ・一般(18歳以上)
◆当日の流れ: レシピ説明・デモ→ 実習 → 試食 → 片付け後、解散
◆ご持参いただくもの:
エプロン、三角巾、ふきん(タオル)2枚(台ふき用・食器ふき用)、筆記用具
◆お支払い方法: クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。
◆お申し込みの流れ:
1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込みください。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4. 当日、直接会場までお越しいただき、受付にてお名前をお伝えください。
◆お申し込み方法:
※当教室は、一般の方にご自宅で作っていただくことを趣旨とした教室です。
製菓や料理のお仕事をしておられる方、食品会社で企画・開発をしておられる方など、
業界の方の場合は、その旨をお書き添えの上、お申し込みください。
★賛助会員の方: 事務局へメールにてお申し込み下さい。
★賛助会員入会+教室参加をご希望の方:
1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up
2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
「入会ならびに講演会等出席のお問い合わせ」を選択いただき、
「通信」欄に「6/13京都スイーツ教室、参加希望」とご記入下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact
★一般(会員以外の方)で、教室参加ご希望の方:
下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/cooking
◆その他
・予約制です。当日参加はできません。
・お申し込み後、キャンセルされる場合は、6月8日(木)までにご連絡ください。
6月9日(金)以降のキャンセルは、参加費の半額をキャンセル料金として頂戴いたしますので、予めご了承ください。
・実習室で作ったもの以外の飲食はできません。ご自宅で作ったお料理やお菓子などの持ち込みはできませんのでご注意ください。
・皆さまで実習と試食を行っていただきますので、香水などのフレグランスはお控えください。
◆弊会イベント情報URL: http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity
●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●
2023年04月27日 (木)
こんにちは。
2023年4月24日(月)
ヤフーニュースに糖質制限食を、
根拠なく批判する以下の題目の記事が掲載されました。
糖質制限をすると「眠れなくなる」って本当なの? 糖尿病専門医に聞いてみた
https://news.yahoo.co.jp/articles/088d1b7c740cc26b01e4835dbb2df2a1342a7f06?fbclid=IwAR3RdSG7Yik9b0jPeyeOOOwEjjef4ETR5b0LHRABN32lBwxoI-63jCXTjvc
医師からの指導やダイエットなどを理由に、日常的に「糖質制限」を行っている人は少なくないと思います。メリットもデメリットもさまざまある糖質制限ですが、中には「夜、眠れなくなった」「なかなか寝つけないようになった」といった睡眠への影響を感じるケースもあるようです。 糖質制限と睡眠には、どのような関連性があるのでしょうか。著書に「血糖値を自力で下げるやり方大全」(フォレスト出版)がある、内科医・糖尿病専門医の市原由美江さんに聞きました。
内容を一部、抜粋して、反論します。
自律神経の乱れによって睡眠に影響
Q.そもそも、糖質制限を行うことで体にどのような変化が起こるのですか。
【 市原さん「脳は糖質をエネルギーとして利用するので、糖質制限により、記憶力や集中力の低下などを自覚することがあります。また、糖質制限をするとおかずの摂取が多くなり、結果として塩分過多になる傾向があります。こうなると血圧が上がりやすくなり、腎臓にも負担がかかります。 一方、糖質制限をすると血糖値が下がりやすくなるので、例えば『食後高血糖』の影響で食後の眠気やだるさを自覚していた人は、これらが改善する可能性があります」】
そもそも、糖質制限食を実践したからといって、低血糖になることはありません。肝臓が糖新生をして赤血球のために血糖値を確保するからです。赤血球はミトコンドリアを持っていないので、人体で唯一
ブドウ糖しか利用できません。
また、実は脳はケトン体を最も好んでエネルギー源とします。ブドウ糖よりもケトン体が大好きなのです。つまりスーパー糖質制食の実践で、血中ケトン体が高値となることは、脳にとってとても好ましいことなのです。
次に血圧のお話です。
糖質制限食実践により、血圧が下がる人が多いです。
これは追加分泌インスリンが最小量で済むためです。
インスリンには体内に水分と塩分を溜め込む作用があります。
糖質制限食実践によりインスリン分泌が減れば、余剰の水分と塩分が体内から排泄されるので、血圧が下がることが多いのです。
そして、厚生労働省によれば、高タンパク食により、
腎臓に負担がかかるというエビデンスはありません。
Q.糖質制限を行うと、「夜、眠れない」など睡眠に影響が出ることがあるのは事実でしょうか。
【市原さん「事実です。自律神経には交感神経と副交感神経があり、日中の活動している時間帯は交感神経が、寝る前などのリラックスしている時間帯は副交感神経が優位になってバランスを取っています。糖質制限によって記憶力や集中力の低下が起こり、日中の生活リズムが乱れると、自律神経まで乱れて、睡眠に悪影響を与える可能性が考えられます」】
これは、無知と誤解としかいいようがありませんね。
糖質制限食実践により、
食後血糖値の上昇や血糖変動幅増大が最小限で済みます。
気持ちは安定し、記憶力や集中力も高まり、
睡眠も良質なものとなります。
一方、糖質摂取により正常人でも、血糖値の急上昇や血糖変動幅の増大が起こります。
血糖値の急上昇や急降下により眠気が生じます。
また血糖変動幅増大により心理的に不安定になり、
イライラしたり、睡眠の質もよくないものとなります。
Q.どうしても糖質制限が必要な場合、悪影響を抑えながら行うためのポイントや注意点とは。
【市原さん「そもそも、医学的に“糖質制限が必要な状況”はありません。糖質制限は一時的にブームになりましたが、長期的にみると死亡率が上がるなどのリスクが多く報告されています。糖質制限をすることで体重は減りますが、筋肉も減るので代謝の悪い体になり、結果として太りやすくなるのです。 また、糖尿病で血糖値を気にする人が糖質制限をすることがありますが、糖質を制限すると、代わりに脂質やタンパク質、塩分の摂取量が多くなります。そのため、腎臓の負担が増えたり、脂質の代謝に異常が生じる『脂質異常症』が悪化したりと、体への悪影響が起こります。 今は、適量の糖質を取る『糖質コントロール』が主流です。1食あたりの糖質を50グラム前後、多くても70グラムにとどめるように意識してみてください。ちなみに一般的な食事では、主食以外の糖質は約20グラムです」】
これも、無知と誤解としかいいようがありません。
とにかく勉強不足です。
糖質制限食は、タンパク質摂取が多いので、筋肉が減ることはありません。
体重は肥満者は減少し、痩せている人は増加して、適正体重となります。
また厚生労働省によれば、現時点で、高タンパク食で腎機能が悪化するというエビデンスはありません。
そして糖質制限食実践により、HDL-コレステロールが増加し、
空腹時中性脂肪値が正常低値になるので脂質データも改善します。
さらに、
米国糖尿病学会は、2019年4月、コンセンサス・レポートにおいて
『糖質制限食は2型糖尿病で最も研究されている食事パターンの1つ』
と明言し、一推しで推奨しました。
2020年、2021年、2022年、2023年のガイドラインでも同様の見解です。
このことは糖質制限食にとって、とても大きな追い風となりました。
すなわち、糖質制限食の有効性と安全性に関しては
米国糖尿病学会のお墨付きがあるというわけです。
内科医・糖尿病専門医の市原由美江さん、
日本糖尿学会のガイドラインだけではなく
米国糖尿病学会のガイドラインも勉強して頂ければ幸いです。
江部康二
2023年4月24日(月)
ヤフーニュースに糖質制限食を、
根拠なく批判する以下の題目の記事が掲載されました。
糖質制限をすると「眠れなくなる」って本当なの? 糖尿病専門医に聞いてみた
https://news.yahoo.co.jp/articles/088d1b7c740cc26b01e4835dbb2df2a1342a7f06?fbclid=IwAR3RdSG7Yik9b0jPeyeOOOwEjjef4ETR5b0LHRABN32lBwxoI-63jCXTjvc
医師からの指導やダイエットなどを理由に、日常的に「糖質制限」を行っている人は少なくないと思います。メリットもデメリットもさまざまある糖質制限ですが、中には「夜、眠れなくなった」「なかなか寝つけないようになった」といった睡眠への影響を感じるケースもあるようです。 糖質制限と睡眠には、どのような関連性があるのでしょうか。著書に「血糖値を自力で下げるやり方大全」(フォレスト出版)がある、内科医・糖尿病専門医の市原由美江さんに聞きました。
内容を一部、抜粋して、反論します。
自律神経の乱れによって睡眠に影響
Q.そもそも、糖質制限を行うことで体にどのような変化が起こるのですか。
【 市原さん「脳は糖質をエネルギーとして利用するので、糖質制限により、記憶力や集中力の低下などを自覚することがあります。また、糖質制限をするとおかずの摂取が多くなり、結果として塩分過多になる傾向があります。こうなると血圧が上がりやすくなり、腎臓にも負担がかかります。 一方、糖質制限をすると血糖値が下がりやすくなるので、例えば『食後高血糖』の影響で食後の眠気やだるさを自覚していた人は、これらが改善する可能性があります」】
そもそも、糖質制限食を実践したからといって、低血糖になることはありません。肝臓が糖新生をして赤血球のために血糖値を確保するからです。赤血球はミトコンドリアを持っていないので、人体で唯一
ブドウ糖しか利用できません。
また、実は脳はケトン体を最も好んでエネルギー源とします。ブドウ糖よりもケトン体が大好きなのです。つまりスーパー糖質制食の実践で、血中ケトン体が高値となることは、脳にとってとても好ましいことなのです。
次に血圧のお話です。
糖質制限食実践により、血圧が下がる人が多いです。
これは追加分泌インスリンが最小量で済むためです。
インスリンには体内に水分と塩分を溜め込む作用があります。
糖質制限食実践によりインスリン分泌が減れば、余剰の水分と塩分が体内から排泄されるので、血圧が下がることが多いのです。
そして、厚生労働省によれば、高タンパク食により、
腎臓に負担がかかるというエビデンスはありません。
Q.糖質制限を行うと、「夜、眠れない」など睡眠に影響が出ることがあるのは事実でしょうか。
【市原さん「事実です。自律神経には交感神経と副交感神経があり、日中の活動している時間帯は交感神経が、寝る前などのリラックスしている時間帯は副交感神経が優位になってバランスを取っています。糖質制限によって記憶力や集中力の低下が起こり、日中の生活リズムが乱れると、自律神経まで乱れて、睡眠に悪影響を与える可能性が考えられます」】
これは、無知と誤解としかいいようがありませんね。
糖質制限食実践により、
食後血糖値の上昇や血糖変動幅増大が最小限で済みます。
気持ちは安定し、記憶力や集中力も高まり、
睡眠も良質なものとなります。
一方、糖質摂取により正常人でも、血糖値の急上昇や血糖変動幅の増大が起こります。
血糖値の急上昇や急降下により眠気が生じます。
また血糖変動幅増大により心理的に不安定になり、
イライラしたり、睡眠の質もよくないものとなります。
Q.どうしても糖質制限が必要な場合、悪影響を抑えながら行うためのポイントや注意点とは。
【市原さん「そもそも、医学的に“糖質制限が必要な状況”はありません。糖質制限は一時的にブームになりましたが、長期的にみると死亡率が上がるなどのリスクが多く報告されています。糖質制限をすることで体重は減りますが、筋肉も減るので代謝の悪い体になり、結果として太りやすくなるのです。 また、糖尿病で血糖値を気にする人が糖質制限をすることがありますが、糖質を制限すると、代わりに脂質やタンパク質、塩分の摂取量が多くなります。そのため、腎臓の負担が増えたり、脂質の代謝に異常が生じる『脂質異常症』が悪化したりと、体への悪影響が起こります。 今は、適量の糖質を取る『糖質コントロール』が主流です。1食あたりの糖質を50グラム前後、多くても70グラムにとどめるように意識してみてください。ちなみに一般的な食事では、主食以外の糖質は約20グラムです」】
これも、無知と誤解としかいいようがありません。
とにかく勉強不足です。
糖質制限食は、タンパク質摂取が多いので、筋肉が減ることはありません。
体重は肥満者は減少し、痩せている人は増加して、適正体重となります。
また厚生労働省によれば、現時点で、高タンパク食で腎機能が悪化するというエビデンスはありません。
そして糖質制限食実践により、HDL-コレステロールが増加し、
空腹時中性脂肪値が正常低値になるので脂質データも改善します。
さらに、
米国糖尿病学会は、2019年4月、コンセンサス・レポートにおいて
『糖質制限食は2型糖尿病で最も研究されている食事パターンの1つ』
と明言し、一推しで推奨しました。
2020年、2021年、2022年、2023年のガイドラインでも同様の見解です。
このことは糖質制限食にとって、とても大きな追い風となりました。
すなわち、糖質制限食の有効性と安全性に関しては
米国糖尿病学会のお墨付きがあるというわけです。
内科医・糖尿病専門医の市原由美江さん、
日本糖尿学会のガイドラインだけではなく
米国糖尿病学会のガイドラインも勉強して頂ければ幸いです。
江部康二
2023年04月25日 (火)
こんにちは。
糖尿人が、本やネットで糖質制限食に辿り着いて、
HbA1c10.0%ていどが、半年で6.0%ていどに改善したというケースは、
外来患者さんでもブログコメントでもたくさんあります。
一方、
糖質制限食で成功→油断→糖質普通に摂取⇒HbA1c再悪化
というケースも外来患者さんでもブログコメントでも時々あります。
人は皆、弱い側面を持っているので、糖質制限食継続というのが困難な人が
やはりおられるのです。
勿論、油断して糖質を食べて、一旦HbA1cが6%未満から、
7.0%以上に悪化しても、再びスーパー糖質制限食を実践すれば、
ほとんどの場合、速やかに血糖コントロールが良好となり、
HbA1c6.0%未満になる可能性が高いと思います。
再起をかけてのスーパー糖質制限食は、早ければ早いほど良いです。
180mg/dlを超える食後血糖値があれば、
膵臓のβ細胞がダメージを受けます。
それが長引けば、β細胞は、徐々に死滅していきます。
また、国際糖尿病連合によれば、
食後1時間・2時間血糖値が、160mg/dl以上になると
合併症や動脈硬化や発がんのリスクとなります。
インスリンを作るβ細胞がたくさん死滅してしまうと、
スーパー糖質制限食でもコントロールが困難なレベルとなり、
インスリン注射が必要となります。
糖質制限というと、制限がつらいと思われる方は
『糖質制限食は、言いかえれば脂質・タンパク質食べ放題食』
というふうに認識して頂ければ、気分が楽と思います。
私自身は、両親が糖尿病でした。
は糖尿病ながら、糖質制限食が間にあって、
91才で入院し、3ヶ月で大往生で、天寿を全うしました。
一方、父は糖質制限食導入が間に合わず、77才で糖尿病性足病変(足の指の壊疽)のため、右下肢を膝上から切断し、
その後、心筋梗塞や肺炎を繰り返して80才で永眠しました。
父の姿を見てきたことが、私自身の糖質制限食継続へのモチベーションを一定高めていることは、間違いないです。
一方、私は2002年から、スーパー糖質制限食を足かけ21年続けているわけですが、
全然つらくないし、我慢していることもありません。
カロリー制限食に比べれば、スーパー糖質制限食はとても楽であり、
美味しく楽しく満足・満腹するまで食べることができるので、
長く続けて行くことに、苦痛はまったくありません。
糖質さえ制限すれば、あとは、
肉類・魚貝類・卵・乳製品・大豆製品・野菜・海草・茸・・・すべてOKで、
糖質制限なアルコールもOKなのですから、
これほど気楽な食事療法は他にないと思います。
最後に、戒めの言葉と言いますか、医療のもつ現実的側面を語ることとします。
具体的には医師・患者関係で、それぞれがはたす役割があるということです。
1)
医師は糖質制限食という糖尿病を克服する食事療法を患者さんに教えることができます。
スーパー糖質制限食の治療効果や合併症予防効果を説明して
患者さんに理解・納得して貰えるように務めるのが医師の役割です。
2)
スーパー糖質制限食を、理解し納得して、治療法として選択して続けて行くのは患者さんの役割です。
糖尿病と診断されたとき、初期の段階なら、ほとんどの人は
スーパー糖質制限食実践なら健康人、糖質を食べたら糖尿人です。
そして、1)2)の如く医師の仕事と患者さんの仕事は峻別されているのです。
患者さん自身がやるべき仕事を医師がやることは不可能なのです。
江部康二
糖尿人が、本やネットで糖質制限食に辿り着いて、
HbA1c10.0%ていどが、半年で6.0%ていどに改善したというケースは、
外来患者さんでもブログコメントでもたくさんあります。
一方、
糖質制限食で成功→油断→糖質普通に摂取⇒HbA1c再悪化
というケースも外来患者さんでもブログコメントでも時々あります。
人は皆、弱い側面を持っているので、糖質制限食継続というのが困難な人が
やはりおられるのです。
勿論、油断して糖質を食べて、一旦HbA1cが6%未満から、
7.0%以上に悪化しても、再びスーパー糖質制限食を実践すれば、
ほとんどの場合、速やかに血糖コントロールが良好となり、
HbA1c6.0%未満になる可能性が高いと思います。
再起をかけてのスーパー糖質制限食は、早ければ早いほど良いです。
180mg/dlを超える食後血糖値があれば、
膵臓のβ細胞がダメージを受けます。
それが長引けば、β細胞は、徐々に死滅していきます。
また、国際糖尿病連合によれば、
食後1時間・2時間血糖値が、160mg/dl以上になると
合併症や動脈硬化や発がんのリスクとなります。
インスリンを作るβ細胞がたくさん死滅してしまうと、
スーパー糖質制限食でもコントロールが困難なレベルとなり、
インスリン注射が必要となります。
糖質制限というと、制限がつらいと思われる方は
『糖質制限食は、言いかえれば脂質・タンパク質食べ放題食』
というふうに認識して頂ければ、気分が楽と思います。
私自身は、両親が糖尿病でした。
は糖尿病ながら、糖質制限食が間にあって、
91才で入院し、3ヶ月で大往生で、天寿を全うしました。
一方、父は糖質制限食導入が間に合わず、77才で糖尿病性足病変(足の指の壊疽)のため、右下肢を膝上から切断し、
その後、心筋梗塞や肺炎を繰り返して80才で永眠しました。
父の姿を見てきたことが、私自身の糖質制限食継続へのモチベーションを一定高めていることは、間違いないです。
一方、私は2002年から、スーパー糖質制限食を足かけ21年続けているわけですが、
全然つらくないし、我慢していることもありません。
カロリー制限食に比べれば、スーパー糖質制限食はとても楽であり、
美味しく楽しく満足・満腹するまで食べることができるので、
長く続けて行くことに、苦痛はまったくありません。
糖質さえ制限すれば、あとは、
肉類・魚貝類・卵・乳製品・大豆製品・野菜・海草・茸・・・すべてOKで、
糖質制限なアルコールもOKなのですから、
これほど気楽な食事療法は他にないと思います。
最後に、戒めの言葉と言いますか、医療のもつ現実的側面を語ることとします。
具体的には医師・患者関係で、それぞれがはたす役割があるということです。
1)
医師は糖質制限食という糖尿病を克服する食事療法を患者さんに教えることができます。
スーパー糖質制限食の治療効果や合併症予防効果を説明して
患者さんに理解・納得して貰えるように務めるのが医師の役割です。
2)
スーパー糖質制限食を、理解し納得して、治療法として選択して続けて行くのは患者さんの役割です。
糖尿病と診断されたとき、初期の段階なら、ほとんどの人は
スーパー糖質制限食実践なら健康人、糖質を食べたら糖尿人です。
そして、1)2)の如く医師の仕事と患者さんの仕事は峻別されているのです。
患者さん自身がやるべき仕事を医師がやることは不可能なのです。
江部康二
2023年04月24日 (月)
米国糖尿病食事療法の変遷
<インスリン発見前>
1900年代初期までは米国では糖尿病治療食としては、糖質制限食が主流でし た。
それも、ほぼスーパー糖質制限食です。おそら くヨーロッパでも同様で あった思われます。
この頃すでに、食後血糖値を上昇させるのは、3大栄養素 のなかで主として糖質であるという ことが、認識されていたからです。
当時 は血糖値の測定はまだあまり一般的でなかったたので、もっぱら尿糖を検査し ていました。
尿糖が でない食事療法が糖尿病治療において優れているとさ れ、それが糖質制限食でした。
個人差はありますが尿に糖が出始めるのは、血 糖値が 170~180mg/dLを超えたときですので、当時としてはなかなか良い指標 でした。
例えば、糖尿病学の父と呼ばれるエリオット・ジョスリン医師が執筆した「ジョスリン糖尿病学」の初版は1916年出版ですが、 炭水化物は総摂取カロ リーの20%が標準と記載してあります。
このころ1型糖尿病は、診断後平均余 命6ヶ月の致命的な病気でした。
そ の1型糖尿病患者に、フレデリック・アレ ン医師の考案した「飢餓療法(炭水化物をほとんど含まない400kcal/日てい どの食 事)」が適用されて、極端な低カロリー食で、寿命を数ヶ月から1~2 年、まれに3年延ばしましたが、結局は致命的な疾患でした。
飢餓療法が一定の 効果をあげたのは、内因性インスリンゼロの1型糖尿病においては、糖質が直接血糖値を上昇させると共に、タンパク質も間接的に糖新生により血糖値を 上昇させることが関与していたと考えられます。
ちなみにジョスリン医師とア レン医師は、ハーバード大学医学 部の同窓生で良い友人でした。
<インスリン抽出以後>
1921年にカナダの整形外科医フレデリック・バンティングと医学生チャール ズ・ベストがインスリンの抽出に初めて成功しまし た。
トロント総合病院に おいて、1922年に当時14才の1型糖尿病患者(レナード・トンプスン少年)に 初めて注射し、血糖コント ロールに成功しました。
1型糖尿病はインスリン の登場までは、致命的な病気でしたが、インスリンにより生命を保つことが可 能となりました。
その後、インスリンを注射しておけば糖質を摂取しても血 糖値が上昇しないことが、徐々に周知されるようになりました。
その結果、 正常人なみに糖質を食べても、インスリンさえ打っておけばいいという流れと なっていき、1型においても2型においても、米国糖尿人の糖質摂取量は徐々に増えていきました。
<ADA(米国糖尿病学会)食事療法ガイドラインの変遷など>
ADA(米国糖尿病学会)ガイドラインが初めて制定されたのが1950年です。
上 述の流れを受けて、第一回目のガイドライン制 定時には、ADAは総摂取カロ リーに対して、炭水化物の摂取量を以前より増やしました。
1950年のガイドラ インでは炭水化物40% を推奨。
1971年のガイドラインでは炭水化物45%に増えました。
1986年のガイドライン でさらに炭水化物60%と増加。
1994 年のガイドラインでは、総摂取カロリー に対してタンパク質10~20%という規定がありますが、炭水化物・脂質の規定 はなくなりまし た。
1994年のガイドラインの時、オリーブオイルたっぷりの 地中海食も選択肢に加わわりました。
1994年以降、ガイドラインでは 炭水化 物と脂肪のカロリー比を固定しなくなりました。
1993年に発表された米国の1 型糖尿病研究・DCCTにおいて、糖質管理食 (カーボカウント)が成功を収め たことから、欧米では、糖質管理食が、1型糖尿病患者を中心に広まっていき ました。
1997年版米国 糖尿病学会の患者用テキストブックには
「糖質は 100%、タンパク質が50%、脂質が10%未満血糖に変わる」
とされていましたが、 2004年版では
「血糖値を上昇させるのは、糖質だけで、タンパク質・脂 質は上昇させない」
という記載に変更されました。
2005 年、ボストンのジョ スリン糖尿病センターは、炭水化物の推奨量を40%に下げました(Joslin Diabetes Mellitus 第14版、2005年、616ページ)。
ジョスリン糖尿病セン ターは、全米で最も評価の高い糖尿病治療センターの一つです。
<近年のADA(米国糖尿病学会)の、「食事療法に関する声明」の変遷>
2007年までは、ADA(米国糖尿病学会)は、食事療法において、糖質制限食は 推奨しないとしていました。
ADA(米国糖尿 病学会)の「食事療法に関する声 明2008」において「糖質のモニタリングは血糖管理の鍵となる」とランクAで 推奨され、「減量が望 まれる糖尿病患者には低カロリー食、もしくは低炭水 化物食によるダイエットが推奨される」と低糖質食を一定支持する見解が初めてだされました。
さらに2013年10月のADA(米国糖尿病学会)の、成人糖尿病 患者の食事療法に関する声明(Position Statement on Nutrition Therapy) では、全ての糖尿病患者に適した唯一無二の食事パターンは存在しないとの見 解を表明しました。
そして、患者ごとにさまざまな食事パターン 〔地中海 食,ベジタリアン食,糖質制限食,低脂質食,DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食〕が受容可能であるとしています。
糖質制限食も正式 に認められています。
このADAの見解は、1969年の食品交換表第2版 以降、 2013年の第7版まで、40年以上一貫して唯一無二のカロリー制限食を推奨し続 けている日本糖尿病学会への痛烈な批判となっ ています。
ADAの「食事療法に 関する声明2013」は、
糖質制限食にとって、強い味方となりました。
さらに、米国糖尿病学会は、2019年4月、コンセンサス・レポートにおいて
『糖質制限食は2型糖尿病で最も研究されている食事パターンの1つ』 と明言し、
一推しで推奨しています。
2020年、2021年、2022年、2023年のガイドラインでも同様の見解です。
このことは糖質制限食にとって大きな追い風とななりました。
糖質制限食はその有効性と安全性において、
米国糖尿病学会のお墨付きがあるわけで、私としても大変心強い限りです。
江部康二
<インスリン発見前>
1900年代初期までは米国では糖尿病治療食としては、糖質制限食が主流でし た。
それも、ほぼスーパー糖質制限食です。おそら くヨーロッパでも同様で あった思われます。
この頃すでに、食後血糖値を上昇させるのは、3大栄養素 のなかで主として糖質であるという ことが、認識されていたからです。
当時 は血糖値の測定はまだあまり一般的でなかったたので、もっぱら尿糖を検査し ていました。
尿糖が でない食事療法が糖尿病治療において優れているとさ れ、それが糖質制限食でした。
個人差はありますが尿に糖が出始めるのは、血 糖値が 170~180mg/dLを超えたときですので、当時としてはなかなか良い指標 でした。
例えば、糖尿病学の父と呼ばれるエリオット・ジョスリン医師が執筆した「ジョスリン糖尿病学」の初版は1916年出版ですが、 炭水化物は総摂取カロ リーの20%が標準と記載してあります。
このころ1型糖尿病は、診断後平均余 命6ヶ月の致命的な病気でした。
そ の1型糖尿病患者に、フレデリック・アレ ン医師の考案した「飢餓療法(炭水化物をほとんど含まない400kcal/日てい どの食 事)」が適用されて、極端な低カロリー食で、寿命を数ヶ月から1~2 年、まれに3年延ばしましたが、結局は致命的な疾患でした。
飢餓療法が一定の 効果をあげたのは、内因性インスリンゼロの1型糖尿病においては、糖質が直接血糖値を上昇させると共に、タンパク質も間接的に糖新生により血糖値を 上昇させることが関与していたと考えられます。
ちなみにジョスリン医師とア レン医師は、ハーバード大学医学 部の同窓生で良い友人でした。
<インスリン抽出以後>
1921年にカナダの整形外科医フレデリック・バンティングと医学生チャール ズ・ベストがインスリンの抽出に初めて成功しまし た。
トロント総合病院に おいて、1922年に当時14才の1型糖尿病患者(レナード・トンプスン少年)に 初めて注射し、血糖コント ロールに成功しました。
1型糖尿病はインスリン の登場までは、致命的な病気でしたが、インスリンにより生命を保つことが可 能となりました。
その後、インスリンを注射しておけば糖質を摂取しても血 糖値が上昇しないことが、徐々に周知されるようになりました。
その結果、 正常人なみに糖質を食べても、インスリンさえ打っておけばいいという流れと なっていき、1型においても2型においても、米国糖尿人の糖質摂取量は徐々に増えていきました。
<ADA(米国糖尿病学会)食事療法ガイドラインの変遷など>
ADA(米国糖尿病学会)ガイドラインが初めて制定されたのが1950年です。
上 述の流れを受けて、第一回目のガイドライン制 定時には、ADAは総摂取カロ リーに対して、炭水化物の摂取量を以前より増やしました。
1950年のガイドラ インでは炭水化物40% を推奨。
1971年のガイドラインでは炭水化物45%に増えました。
1986年のガイドライン でさらに炭水化物60%と増加。
1994 年のガイドラインでは、総摂取カロリー に対してタンパク質10~20%という規定がありますが、炭水化物・脂質の規定 はなくなりまし た。
1994年のガイドラインの時、オリーブオイルたっぷりの 地中海食も選択肢に加わわりました。
1994年以降、ガイドラインでは 炭水化 物と脂肪のカロリー比を固定しなくなりました。
1993年に発表された米国の1 型糖尿病研究・DCCTにおいて、糖質管理食 (カーボカウント)が成功を収め たことから、欧米では、糖質管理食が、1型糖尿病患者を中心に広まっていき ました。
1997年版米国 糖尿病学会の患者用テキストブックには
「糖質は 100%、タンパク質が50%、脂質が10%未満血糖に変わる」
とされていましたが、 2004年版では
「血糖値を上昇させるのは、糖質だけで、タンパク質・脂 質は上昇させない」
という記載に変更されました。
2005 年、ボストンのジョ スリン糖尿病センターは、炭水化物の推奨量を40%に下げました(Joslin Diabetes Mellitus 第14版、2005年、616ページ)。
ジョスリン糖尿病セン ターは、全米で最も評価の高い糖尿病治療センターの一つです。
<近年のADA(米国糖尿病学会)の、「食事療法に関する声明」の変遷>
2007年までは、ADA(米国糖尿病学会)は、食事療法において、糖質制限食は 推奨しないとしていました。
ADA(米国糖尿 病学会)の「食事療法に関する声 明2008」において「糖質のモニタリングは血糖管理の鍵となる」とランクAで 推奨され、「減量が望 まれる糖尿病患者には低カロリー食、もしくは低炭水 化物食によるダイエットが推奨される」と低糖質食を一定支持する見解が初めてだされました。
さらに2013年10月のADA(米国糖尿病学会)の、成人糖尿病 患者の食事療法に関する声明(Position Statement on Nutrition Therapy) では、全ての糖尿病患者に適した唯一無二の食事パターンは存在しないとの見 解を表明しました。
そして、患者ごとにさまざまな食事パターン 〔地中海 食,ベジタリアン食,糖質制限食,低脂質食,DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食〕が受容可能であるとしています。
糖質制限食も正式 に認められています。
このADAの見解は、1969年の食品交換表第2版 以降、 2013年の第7版まで、40年以上一貫して唯一無二のカロリー制限食を推奨し続 けている日本糖尿病学会への痛烈な批判となっ ています。
ADAの「食事療法に 関する声明2013」は、
糖質制限食にとって、強い味方となりました。
さらに、米国糖尿病学会は、2019年4月、コンセンサス・レポートにおいて
『糖質制限食は2型糖尿病で最も研究されている食事パターンの1つ』 と明言し、
一推しで推奨しています。
2020年、2021年、2022年、2023年のガイドラインでも同様の見解です。
このことは糖質制限食にとって大きな追い風とななりました。
糖質制限食はその有効性と安全性において、
米国糖尿病学会のお墨付きがあるわけで、私としても大変心強い限りです。
江部康二
2023年04月23日 (日)
こんにちは。
今回は痩せ過ぎの人と糖質制限食について考えてみます。
私も痩せ過ぎは良くないと思います。
https://epi.ncc.go.jp/can_prev/evaluation/2830.html
国立がん研究センターの、日本の7つのコホート。
35万人以上のデータを併せたプール解析。
BMIの水準が死亡リスクに与える影響を死因別・男女別に推定し、
その研究成果を専門誌において発表。
(Journal of Epidemiology 2011年21巻417-430ページ)。
死亡リスクが最もすくないのは、
男性はBMIが、25.0~26.9
女性はBMIが、23.0~24.9
でした。男女ともBMIが21.0~26.9の範囲では死亡リスクは低いです。
男性では、それよりBMI高値では死亡リスクは上昇に転じるのですが、
統計学的に有意に高くなるのはBMI30-40の肥満だけです。
死亡リスクの上昇は、むしろBMI低値(やせ)の方がより顕著でした。
女性でも痩せ過ぎのほうが、死亡リスクが上昇が顕著でした。
男性では
BMI23.0~24.9の死亡リスクが1.00とすれば、
BMI14.0~18.9の死亡リスクは1.78でした。
女性では
BMI23.0~24.9の死亡リスクが1.00とすれば、
BMI14.0~18.9の死亡リスクは1.61でした。
糖質制限食で肥満の人は体重減少しますが、
痩せ過ぎの人は体重が増加します。
いずれもその人における適正体重になって落ち着きます。
糖質制限食は、言い方を変えれば『脂肪・タンパク質無制限食』です。
痩せすぎの人は、脂の乗った肉類(牛・豚。鶏)や魚貝類を
お腹いっぱい食べて下さい。
痩せ過ぎの人は『ベジファースト』ではなく
『肉・魚ファースト』で食事をするように心がけましょう。
1)世界ガン研究基金の報告(2007)では、ガン予防にはBMI:20~25未満 が目標。
2)ランセットの論文では欧米人はBMI:22.5~25 が総死亡率が一番低い。(*)
3)ニューイングランド・ジャーナルの論文では、アジア人はBMI:23~27 が 総死亡率が一番低い。(**)
1)2)3)を考慮すれば、現在痩せすぎの人は、
少なくともBMI:20 は確保する方が、安全といえます。
ガン予防も含めると、適正体重はBMI:20~25 くらいで、
その個人の一番体調の良い体重が目標です。
なお、、現在既に適正体重の場合、
スーパー糖質制限食でもそれ以上痩せることはありません。
すでにBMIが20とか22とかの女性で、
「スーパー糖質制限食をきっちり実践しているのに痩せない。」
という苦情が時々、本ブログにコメントされます。
それで、上記「適正体重」の話は、時々ブログ記事にしています。
(*)
Prospective Studies Collaboration
PSC, Whitlock G, et al. Lancet 2009; 373: 1083–96
(**)
Zheng W, et al.N Engl J Med. 2011 Feb 24;364(8):719-29.
Association between body-mass index and risk of death in more than 1 million Asians.
江部康二
今回は痩せ過ぎの人と糖質制限食について考えてみます。
私も痩せ過ぎは良くないと思います。
https://epi.ncc.go.jp/can_prev/evaluation/2830.html
国立がん研究センターの、日本の7つのコホート。
35万人以上のデータを併せたプール解析。
BMIの水準が死亡リスクに与える影響を死因別・男女別に推定し、
その研究成果を専門誌において発表。
(Journal of Epidemiology 2011年21巻417-430ページ)。
死亡リスクが最もすくないのは、
男性はBMIが、25.0~26.9
女性はBMIが、23.0~24.9
でした。男女ともBMIが21.0~26.9の範囲では死亡リスクは低いです。
男性では、それよりBMI高値では死亡リスクは上昇に転じるのですが、
統計学的に有意に高くなるのはBMI30-40の肥満だけです。
死亡リスクの上昇は、むしろBMI低値(やせ)の方がより顕著でした。
女性でも痩せ過ぎのほうが、死亡リスクが上昇が顕著でした。
男性では
BMI23.0~24.9の死亡リスクが1.00とすれば、
BMI14.0~18.9の死亡リスクは1.78でした。
女性では
BMI23.0~24.9の死亡リスクが1.00とすれば、
BMI14.0~18.9の死亡リスクは1.61でした。
糖質制限食で肥満の人は体重減少しますが、
痩せ過ぎの人は体重が増加します。
いずれもその人における適正体重になって落ち着きます。
糖質制限食は、言い方を変えれば『脂肪・タンパク質無制限食』です。
痩せすぎの人は、脂の乗った肉類(牛・豚。鶏)や魚貝類を
お腹いっぱい食べて下さい。
痩せ過ぎの人は『ベジファースト』ではなく
『肉・魚ファースト』で食事をするように心がけましょう。
1)世界ガン研究基金の報告(2007)では、ガン予防にはBMI:20~25未満 が目標。
2)ランセットの論文では欧米人はBMI:22.5~25 が総死亡率が一番低い。(*)
3)ニューイングランド・ジャーナルの論文では、アジア人はBMI:23~27 が 総死亡率が一番低い。(**)
1)2)3)を考慮すれば、現在痩せすぎの人は、
少なくともBMI:20 は確保する方が、安全といえます。
ガン予防も含めると、適正体重はBMI:20~25 くらいで、
その個人の一番体調の良い体重が目標です。
なお、、現在既に適正体重の場合、
スーパー糖質制限食でもそれ以上痩せることはありません。
すでにBMIが20とか22とかの女性で、
「スーパー糖質制限食をきっちり実践しているのに痩せない。」
という苦情が時々、本ブログにコメントされます。
それで、上記「適正体重」の話は、時々ブログ記事にしています。
(*)
Prospective Studies Collaboration
PSC, Whitlock G, et al. Lancet 2009; 373: 1083–96
(**)
Zheng W, et al.N Engl J Med. 2011 Feb 24;364(8):719-29.
Association between body-mass index and risk of death in more than 1 million Asians.
江部康二
2023年04月21日 (金)
こんにちは。
近年のCGMの普及で、見直された薬剤があります。
それが、α(アルファ)-グルコシターゼ阻害薬剤(α-GI薬)です。
その意味は、あとで説明します。
糖質制限食を実践していても、旅行や外食などで、
どうしても糖質摂取せざるを得ないこともありますので
その様なときは、α-GI薬の出番なのです。
デンプンのような多糖類は、α-アミラーゼという消化酵素の作用を得て、
二糖類(麦芽糖や蔗糖)やオリゴ糖に分解されます。
つまり、α-アミラーゼは、
穀物や芋のデンプンと呼ばれる多くの糖の集合体を
まず第一段階で分解して少し大きさを小さくしています。
その後、この二糖類やオリゴ糖は、
マルターゼ、スクラーゼ、グルコアミラーゼなどの酵素により、
単糖(ブドウ糖、果糖、ガラクトース等)に分解されて小腸から体内に吸収されます。
マルターゼ、スクラーゼ、グルコアミラーゼなどの酵素を総称して、
α-グルコシダーゼと呼びます。
この、α-グルコシダーゼの働きを阻害することにより、
腸管からの糖質の分解・吸収を遅延させて、
食後高血糖を抑制するお薬が、
『α-グルコシダーゼ阻害薬』(グルコバイ、ベイスン、セイブル)です。
グルコバイ(アカルボース)はα-グルコシダーゼだけではなく、
α-アミラーゼに対する阻害作用も、もっています。
ベイスン(ボグリボース)やセイブル(ミグリトール)は、
α-グルコシダーゼの活性を阻害しますが、α-アミラーゼには影響を与えません。
従って、グルコバイの方が少し効果が強いですが、副作用もやや生じやすいです。
副作用とは、ガス、腹満、腹痛、軟便などです。
それぞれ常用量で下記程度に血糖値を下げるとされています。
グルコバイ: 1時間値50mg、 2時間値40mg
ベイスン: 1時間値40mg、 2時間値30mg
セイブル: 1時間値60mg、 2時間値20mg
しかし、これほど下がらない人もあります。
セイブルは1時間値を下げるけれど、2時間値はあまり下げないのが特徴です。
いずれの薬も結構個人差が大きいですし、
印象としては上記の数字ほど下がらない人のほうが多いです。
作用機序から考えて、膵臓のβ細胞には全く影響を与えないので、
SU剤のように疲れた膵臓を鞭打つといった欠点はありません。(^^)
しかし、比較的頻度の多い副作用として、
分解が遅れて腸管に残った糖質が醗酵してガスがでたり、
お腹が張ったり、下痢をすることがあります。(-_-;)
ガスの貯留により、腸閉塞(イレウス)のような症状になる事があるので、
腹部手術歴の有る方は、禁忌とされています。
私自身で行った人体実験では、かなり興味深いことがありました。
グルコバイの常用量を食直前に服用して何種類かの食品を試食してみました。
蕎麦はほとんど腹満がなかったのですが、
お餅は最悪で、腹満・腹痛・ガスのフルコースで、
病院に行こうか?(∵)?と思ったくらいでした。
うどんやご飯は、蕎麦に比べたらやや腹満・ガスなど出やすかったですね。
個人差はあると思いますが、参考にしていただければと思います。
現在は、私は、食事の工夫(スーパー糖質制限食)をしていますので、内服薬は一切なしです。
糖尿人でスーパー 糖質制限食実践中の患者さんの場合は、ほとんど薬はなしですが、
お昼だけ主食ありの『スタンダード 糖質制限食』の時は、
α-GI薬を食直前に内服してもらうことがあります。
従いまして、「糖尿病には糖質制限食」の高雄病院でも
比較的使用頻度の高いのが『α-グルコシダーゼ阻害薬』です。
高雄病院入院中にグルコバイ100mgを、食時開始30秒前に内服して、
昼食に例えば炊いたご飯100g摂取など少なめで実験し、
食後2時間血糖値値が180mgを超えない量をリサーチすることもあります。
炊いたご飯お茶碗一杯は約150gで、糖質を55g含んでいますが、
それでは糖質が多すぎて太刀打ちできないので、約100gに減らして実験します。
グルコバイ・ベイスン・セイブルを飲み忘れた場合、
食べ始めてからすぐに飲んでもそれなりに有効です。
食事終了時に内服しても無効です。
基本的に安全性の高い薬ですが、まれに肝障害を来す例があるので、
定期的な血液検査を推奨します。
朗報として、最近のCGM(Continuous Glucose Monitoring:持続ブドウ糖測定)システムの普及で、
α-GI薬が、食後高血糖と共に平均血糖変動幅増大を
ある程度コントロールしていることが判明し、
その有効性が見直されています。
これなら活性酸素の発生が少なくなり、酸化ストレスも減少します。
2002年、2003年に、LancetやJAMA(米国医師会雑誌)に掲載されたSTOP-NIDDMという臨床試験(*)(**)で、
アカルボース(α-グルコシダーゼ阻害薬・グルコバイ)による治療は、
2型糖尿病の発症を36%、心血管疾患の発症を49%抑制すると報告されました。
2008年6月にヘルシンキで「第5回糖尿病とその合併症予防に関する世界会議」(WCPD)が開催され、
STOP-NIDDM試験のまとめが発表されました。
あまりにも、結果が良すぎるので、当時私は信用していなかったのですが、
近年のCGMの普及により、STOP-NIDDMの結果は、
信頼できるものであったと納得がいきました。
CGMの普及により、α-GI薬のように見直される薬剤もあれば、
SU剤のように欠点がもろに暴露された薬剤もあり、栄枯盛衰ですね。
(*)
Lancet. 2002 Jun 15;359(9323):2072-7.
Acarbose for prevention of type 2 diabetes mellitus: the STOP-NIDDM randomised trial.
Chiasson JL1, Josse RG, Gomis R, Hanefeld M, Karasik A, Laakso M; STOP-NIDDM Trail Research Group.
(**)
Chiasson JL, Josse RG, Gomis R, Hanefeld M, Karasik A, Laakso M, STOP-NIDDM Trial Research Group
: Acarbose treatment and the risk of cardiovascular disease and hypertension in patients with impaired glucose tolerance: the STOP-NIDDM trial. JAMA 2003; 290: 486-494.
江部康二
近年のCGMの普及で、見直された薬剤があります。
それが、α(アルファ)-グルコシターゼ阻害薬剤(α-GI薬)です。
その意味は、あとで説明します。
糖質制限食を実践していても、旅行や外食などで、
どうしても糖質摂取せざるを得ないこともありますので
その様なときは、α-GI薬の出番なのです。
デンプンのような多糖類は、α-アミラーゼという消化酵素の作用を得て、
二糖類(麦芽糖や蔗糖)やオリゴ糖に分解されます。
つまり、α-アミラーゼは、
穀物や芋のデンプンと呼ばれる多くの糖の集合体を
まず第一段階で分解して少し大きさを小さくしています。
その後、この二糖類やオリゴ糖は、
マルターゼ、スクラーゼ、グルコアミラーゼなどの酵素により、
単糖(ブドウ糖、果糖、ガラクトース等)に分解されて小腸から体内に吸収されます。
マルターゼ、スクラーゼ、グルコアミラーゼなどの酵素を総称して、
α-グルコシダーゼと呼びます。
この、α-グルコシダーゼの働きを阻害することにより、
腸管からの糖質の分解・吸収を遅延させて、
食後高血糖を抑制するお薬が、
『α-グルコシダーゼ阻害薬』(グルコバイ、ベイスン、セイブル)です。
グルコバイ(アカルボース)はα-グルコシダーゼだけではなく、
α-アミラーゼに対する阻害作用も、もっています。
ベイスン(ボグリボース)やセイブル(ミグリトール)は、
α-グルコシダーゼの活性を阻害しますが、α-アミラーゼには影響を与えません。
従って、グルコバイの方が少し効果が強いですが、副作用もやや生じやすいです。
副作用とは、ガス、腹満、腹痛、軟便などです。
それぞれ常用量で下記程度に血糖値を下げるとされています。
グルコバイ: 1時間値50mg、 2時間値40mg
ベイスン: 1時間値40mg、 2時間値30mg
セイブル: 1時間値60mg、 2時間値20mg
しかし、これほど下がらない人もあります。
セイブルは1時間値を下げるけれど、2時間値はあまり下げないのが特徴です。
いずれの薬も結構個人差が大きいですし、
印象としては上記の数字ほど下がらない人のほうが多いです。
作用機序から考えて、膵臓のβ細胞には全く影響を与えないので、
SU剤のように疲れた膵臓を鞭打つといった欠点はありません。(^^)
しかし、比較的頻度の多い副作用として、
分解が遅れて腸管に残った糖質が醗酵してガスがでたり、
お腹が張ったり、下痢をすることがあります。(-_-;)
ガスの貯留により、腸閉塞(イレウス)のような症状になる事があるので、
腹部手術歴の有る方は、禁忌とされています。
私自身で行った人体実験では、かなり興味深いことがありました。
グルコバイの常用量を食直前に服用して何種類かの食品を試食してみました。
蕎麦はほとんど腹満がなかったのですが、
お餅は最悪で、腹満・腹痛・ガスのフルコースで、
病院に行こうか?(∵)?と思ったくらいでした。
うどんやご飯は、蕎麦に比べたらやや腹満・ガスなど出やすかったですね。
個人差はあると思いますが、参考にしていただければと思います。
現在は、私は、食事の工夫(スーパー糖質制限食)をしていますので、内服薬は一切なしです。
糖尿人でスーパー 糖質制限食実践中の患者さんの場合は、ほとんど薬はなしですが、
お昼だけ主食ありの『スタンダード 糖質制限食』の時は、
α-GI薬を食直前に内服してもらうことがあります。
従いまして、「糖尿病には糖質制限食」の高雄病院でも
比較的使用頻度の高いのが『α-グルコシダーゼ阻害薬』です。
高雄病院入院中にグルコバイ100mgを、食時開始30秒前に内服して、
昼食に例えば炊いたご飯100g摂取など少なめで実験し、
食後2時間血糖値値が180mgを超えない量をリサーチすることもあります。
炊いたご飯お茶碗一杯は約150gで、糖質を55g含んでいますが、
それでは糖質が多すぎて太刀打ちできないので、約100gに減らして実験します。
グルコバイ・ベイスン・セイブルを飲み忘れた場合、
食べ始めてからすぐに飲んでもそれなりに有効です。
食事終了時に内服しても無効です。
基本的に安全性の高い薬ですが、まれに肝障害を来す例があるので、
定期的な血液検査を推奨します。
朗報として、最近のCGM(Continuous Glucose Monitoring:持続ブドウ糖測定)システムの普及で、
α-GI薬が、食後高血糖と共に平均血糖変動幅増大を
ある程度コントロールしていることが判明し、
その有効性が見直されています。
これなら活性酸素の発生が少なくなり、酸化ストレスも減少します。
2002年、2003年に、LancetやJAMA(米国医師会雑誌)に掲載されたSTOP-NIDDMという臨床試験(*)(**)で、
アカルボース(α-グルコシダーゼ阻害薬・グルコバイ)による治療は、
2型糖尿病の発症を36%、心血管疾患の発症を49%抑制すると報告されました。
2008年6月にヘルシンキで「第5回糖尿病とその合併症予防に関する世界会議」(WCPD)が開催され、
STOP-NIDDM試験のまとめが発表されました。
あまりにも、結果が良すぎるので、当時私は信用していなかったのですが、
近年のCGMの普及により、STOP-NIDDMの結果は、
信頼できるものであったと納得がいきました。
CGMの普及により、α-GI薬のように見直される薬剤もあれば、
SU剤のように欠点がもろに暴露された薬剤もあり、栄枯盛衰ですね。
(*)
Lancet. 2002 Jun 15;359(9323):2072-7.
Acarbose for prevention of type 2 diabetes mellitus: the STOP-NIDDM randomised trial.
Chiasson JL1, Josse RG, Gomis R, Hanefeld M, Karasik A, Laakso M; STOP-NIDDM Trail Research Group.
(**)
Chiasson JL, Josse RG, Gomis R, Hanefeld M, Karasik A, Laakso M, STOP-NIDDM Trial Research Group
: Acarbose treatment and the risk of cardiovascular disease and hypertension in patients with impaired glucose tolerance: the STOP-NIDDM trial. JAMA 2003; 290: 486-494.
江部康二
2023年04月20日 (木)
こんにちは。
今朝(2023/4/20、木曜日)の毎日新聞朝刊の13面に
いきいき生きる
糖尿病のトリセツ
肥満を伴う糖尿病治療
https://mainichi.jp/articles/20230420/ddm/013/100/012000c
というタイトルの記事が載りました。
岐阜大教授の矢部大介医師が執筆されています。
食事の適正化で、減量を目指すとして、
1日の摂取カロリーの目安を
25kcal/kg × 標準体重(kg) 以下とするとありました。
私は、身長167cmですので、
BMI22に相当する標準体重は61.36kgです。
そうすると、適正な摂取カロリーは、1534kcal/日となります。
私は体重56kgくらいで、まったく肥満していませんが、
肥満していたとしても、1534kcal/日は、あまりにも寂しいですね。
以前入院されていた糖尿病の40代女性は、160cm、70kg、 BMI:27.3でした。
標準体重(BMI22)は、56.3kgとなります。
この方も矢部教授の示す適切な摂取カロリーは
25kcal/kg × 標準体重(kg) ⇒ 25kcal ×56.3kg =1400kcal
となります。
1400kcal/日(糖尿病学会推奨のカロリー制限食)は、ひもじいですね。
このかたは、2週間の高雄病院入院で
1600kcal/日のスーパー糖質制限食を実践し、3kgの減量に成功されました。
このように、スーパー糖質制限食なら、カロリー制限食のような
ひもじい思いをしなくても、減量可能なのです。
なお、長期のカロリー制限食は、男性では骨密度低下のリスクとなるという
以下の青字の記載の研究報告があります。
「Look AHEAD」試験は2012年9月に中止され、治療経過観察期間は中央値は9.6年でした。
Look AHEAD試験は2013年に報告されたランダム化比較試験(RCT)です。
BMI 25以上の2型糖尿病患者が対象です。
1)強化介入群:カロリー制限(1,200~1,800kcal/日)と運動で7%以上の体重減量を達成・維持する群〕2,570例
2)対照群:2575例での研究です。
2014年にLook AHEAD試験の、骨密度の変化に関するサブ解析が報告されました。
「ディアベテス・ケア(米国糖尿病学会誌)2014; 37: 2822-2829」
骨密度データのある1,309例のサブ解析です。
解析の結果、男性では強化介入群では対照群に比べて、
有意に全大腿骨近位部、大腿骨頸部の骨密度の低下が大きいことが判明しましたが、
腰椎では差はなしでした。
全大腿骨近位部の骨密度の変化に対しては体重減少が有意に相関していました。
女性では両群ともに骨密度が低下し、
どの部分についても両群に差異はありませんでした。
結局、本研究は1,200~1,800kcalのカロリー制限食が
平均身長174.9cmの男性において有意に骨密度を低下させることを示しています。
江部康二
今朝(2023/4/20、木曜日)の毎日新聞朝刊の13面に
いきいき生きる
糖尿病のトリセツ
肥満を伴う糖尿病治療
https://mainichi.jp/articles/20230420/ddm/013/100/012000c
というタイトルの記事が載りました。
岐阜大教授の矢部大介医師が執筆されています。
食事の適正化で、減量を目指すとして、
1日の摂取カロリーの目安を
25kcal/kg × 標準体重(kg) 以下とするとありました。
私は、身長167cmですので、
BMI22に相当する標準体重は61.36kgです。
そうすると、適正な摂取カロリーは、1534kcal/日となります。
私は体重56kgくらいで、まったく肥満していませんが、
肥満していたとしても、1534kcal/日は、あまりにも寂しいですね。
以前入院されていた糖尿病の40代女性は、160cm、70kg、 BMI:27.3でした。
標準体重(BMI22)は、56.3kgとなります。
この方も矢部教授の示す適切な摂取カロリーは
25kcal/kg × 標準体重(kg) ⇒ 25kcal ×56.3kg =1400kcal
となります。
1400kcal/日(糖尿病学会推奨のカロリー制限食)は、ひもじいですね。
このかたは、2週間の高雄病院入院で
1600kcal/日のスーパー糖質制限食を実践し、3kgの減量に成功されました。
このように、スーパー糖質制限食なら、カロリー制限食のような
ひもじい思いをしなくても、減量可能なのです。
なお、長期のカロリー制限食は、男性では骨密度低下のリスクとなるという
以下の青字の記載の研究報告があります。
「Look AHEAD」試験は2012年9月に中止され、治療経過観察期間は中央値は9.6年でした。
Look AHEAD試験は2013年に報告されたランダム化比較試験(RCT)です。
BMI 25以上の2型糖尿病患者が対象です。
1)強化介入群:カロリー制限(1,200~1,800kcal/日)と運動で7%以上の体重減量を達成・維持する群〕2,570例
2)対照群:2575例での研究です。
2014年にLook AHEAD試験の、骨密度の変化に関するサブ解析が報告されました。
「ディアベテス・ケア(米国糖尿病学会誌)2014; 37: 2822-2829」
骨密度データのある1,309例のサブ解析です。
解析の結果、男性では強化介入群では対照群に比べて、
有意に全大腿骨近位部、大腿骨頸部の骨密度の低下が大きいことが判明しましたが、
腰椎では差はなしでした。
全大腿骨近位部の骨密度の変化に対しては体重減少が有意に相関していました。
女性では両群ともに骨密度が低下し、
どの部分についても両群に差異はありませんでした。
結局、本研究は1,200~1,800kcalのカロリー制限食が
平均身長174.9cmの男性において有意に骨密度を低下させることを示しています。
江部康二
2023年04月19日 (水)
「23/04/19 倉田
血糖値測定器についての質問ですが、よろしくお願いします。
1. 私は、フリースタイルリブレという腕に装着する測定器と針を指にさす測定器の両方を使って血糖値を自己測定していますが、数値にかなり誤差があるように思います。そして最近、フリースタイルリブレについて、血糖値に高めの数値が出ることが分かったので回収するという記事を目にしました。
その後、改善されたのかどうか確認できていませんが、アマゾンで一時、販売されなくなっていましたが、現在は販売が再開されています。私は、再び購入して常時測定していますが、依然として針を刺す測定器と数値に誤差があるように思います。どちらを信用したらよいか分からないので困っているのですが、測定器のこのあたりの事情について、江部先生が何か把握されていることがおありでしょうか。
2. 「医療従事者向け糖質制限食セミナー」の記事で、佐藤信昭医師は「基本、全員にCGMを装着する。・・・ちゃんと、糖質制限食が実践できているか否かは、空腹時の中性脂肪値を検査すればわかる。空腹時中性脂肪値が高値なら、スーパー糖質制限食は実践できていない。」と発言されています。
私はスーパー糖質制限を実践できているつもりですが、本当にできているのだろうかと疑わししいときもあります。この記事で「空腹時中性脂肪値」を知ることで、それが明確になるということを初めて知りました。CGMとはフリースタイルリブレのことだと思いますが、それには中性脂肪値が表示されるのでしょうか。
3. 高橋裕彦医師は「CGMでみるとHbA1cの検査が、5.1%とか5.2%とかでも、食後血糖値が200~300mg/dlを超えている人が沢山いるのに気がついた。HbA1cだけではそれを見逃してしまうので危険である。」と発言されています。
その人達は糖尿病ではなく、スーパー糖質制限を実践していない正常人ではないかと思われます。私は糖尿人ですが、スーパー糖質制限を実践していて、HbA1cは6%ですが、食後1、2時間血糖値は平均的に150~140以下を推移しています。ただ、19時夕食後10時間の早朝血糖値が、正常値の70~109を超える120~130程度になることが多いので、この点がやや気になっています。
当初は薬も飲んでいましたが、今は薬はやめて様子を見ています。夕食後に薬(スーグラ1錠)を飲むと、早朝血糖値も正常値に収まることが多いですが、この状態ではまだ薬を飲んだほうが良いと言えるのでしょうか。
また、要するに、究極の問題は、数値自体というより糖尿病による合併症が発症するかどうかだと思いますが、合併症が発症した患者について、HbA1cや血糖値の状態や推移に関するリスク確率の詳細なデータは存在するのでしょうか。」
こんにちは。
倉田さんから、
「医療従事者向け糖質制限食セミナー」<東京&オンライン>ご報告。
2023年04月17日 (月)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/
一昨日の、上記の本ブログ記事に関して、コメント・質問を頂きました。
ありがとうございます。
【血糖値測定器についての質問ですが、よろしくお願いします。
1. 私は、フリースタイルリブレという腕に装着する測定器と
針を指にさす測定器の両方を使って血糖値を自己測定していますが、
数値にかなり誤差があるように思います。
私は、再び購入して常時測定していますが、
依然として針を刺す測定器と数値に誤差があるように思います。
どちらを信用したらよいか分からないので困っているのですが、
測定器のこのあたりの事情について、
江部先生が何か把握されていることがおありでしょうか。】
まず、結論ですが、血糖自己測定器の数値の方が信頼度が高いです。
私も、販売されてすぐに
2017/11/21~12/5までFreeStyleリブレを装着しましたが、
かなりの誤差でした。
私の場合はほとんどの場合、FreeStyleリブレで測定したFGMの方が
SMBG(血糖自己測定器)より高くでました。
例えば、早朝空腹時血糖値がFGMで160mg/dlもあり、ヾ(゜▽゜)
びっくりしてSMBGをしたら、105mg/dlでした。
またスーパー糖質制限食の昼食後1時間でFGMが206mg/dlもあり、ヾ(゜▽゜)
びっくりしてSMBGをしたら139mg/dlといった具合でした。
FreeStyleリブレによるFGMの場合は、SMBGの数値よりも、
20~60mmg高めにでたり、逆に20~30mgくらい低めにでることもあり、
誤差・バラツキが大きいようです。
FreeStyleリブレの性能の精度に問題があると思われます。
FreeStyleリブレで、変なデータがでたときは、
SMBGで再確認したほうがいいですね。
高雄病院で糖尿病入院患者さんに使用している医療機関用の
FreeStyleリブレProのほうは、誤差はあまりありませんでしたので
信頼度は高いです。
FreeStyleリブレとFreeStyleリブレProの精度にこれほどの差があるとは
思いませんでした。
☆☆☆
なお、FreeStyleリブレでも、
一日の血糖値の推移と運動や食事の関係は明確にわかるのでとても便利です。
私の場合、寝床で目が覚めた途端に、10mgくらい血糖値が上昇しました。
またテニスのダブルスの試合中は50mgくらい血糖値が急上昇しました。
テニス終了後はすみやかに下がっていき、2時間後にはテニス開始前より運動効果でか少し下がります。
【2. 「医療従事者向け糖質制限食セミナー」の記事で、佐藤信昭医師は「基本、全員にCGMを装着する。・・・ちゃんと、糖質制限食が実践できているか否かは、空腹時の中性脂肪値を検査すればわかる。空腹時中性脂肪値が高値なら、スーパー糖質制限食は実践できていない。」と発言されています。
私はスーパー糖質制限を実践できているつもりですが、本当にできているのだろうかと疑わししいときもあります。この記事で「空腹時中性脂肪値」を知ることで、それが明確になるということを初めて知りました。CGMとはフリースタイルリブレのことだと思いますが、それには中性脂肪値が表示されるのでしょうか。】
中性脂肪値やHbA1cは、普通の血液検査で調べておられます。
FreeStyleリブレは、ブドウ糖濃度だけの測定です。
【3. 高橋裕彦医師は「CGMでみるとHbA1cの検査が、5.1%とか5.2%とかでも、食後血糖値が200~300mg/dlを超えている人が沢山いるのに気がついた。HbA1cだけではそれを見逃してしまうので危険である。」と発言されています。
その人達は糖尿病ではなく、
スーパー糖質制限を実践していない正常人ではないかと思われます。】
<HbA1cと空腹時血糖値>の検査だけだと、
本当は糖尿病や食後高血糖があっても、見逃してしまうので危険だということで
高橋先生は警鐘を鳴らしておられるのだと思います。
つまり、<HbA1cと空腹時血糖値>の検査だけだと、正常人ではないのに
正常人と見誤ってしまうことがありえるということです。
【私は糖尿人ですが、スーパー糖質制限を実践していて、HbA1cは6%ですが、
食後1、2時間血糖値は平均的に150~140以下を推移しています。】
スーパー糖質制限食を実践しておられてHbA1c6%であれば
「食後高血糖」や「血糖変動幅増大」のない
『質の良いHbA1c』なので心配ないと思います。
食後血糖値が150mg~140mg/dl以下・・・食後1.2時間値が
160mg/dl未満という国際糖尿病連合の基準を満たしておられるので、
合併症のリスクはないと思います。
【ただ、19時夕食後10時間の早朝血糖値が、
正常値の70~109を超える120~130程度になることが多いので、
この点がやや気になっています。】
いわゆる『暁現象』(☆)だと考えられます。
【当初は薬も飲んでいましたが、今は薬はやめて様子を見ています。
夕食後に薬(スーグラ1錠)を飲むと、早朝血糖値も正常値に収まることが多いですが、
この状態ではまだ薬を飲んだほうが良いと言えるのでしょうか。】
まずは、インターバル速歩などで、暁現象の改善を目指しましょう。
運動が困難であれば、『SGLT2阻害薬』の内服もありだと思います。
『SGLT2阻害薬』は、糖尿病への効果だけでなく、
心・腎・脳保護作用も認められており、とても良い薬ということが判明しています。
【また、要するに、究極の問題は、数値自体というより糖尿病による合併症が発症するかどうかだと思いますが、合併症が発症した患者について、HbA1cや血糖値の状態や推移に関するリスク確率の詳細なデータは存在するのでしょうか。】
①
国際糖尿病連合(International Diabetes Federation:IDF)2007年
「食後血糖値の管理に関するガイドライン」
②
国際糖尿病連合(International Diabetes Federation:IDF)2011年
「食後血糖値の管理に関するガイドライン」
③
熊本スタディー(Kumamoto Study)
④
日本糖尿病学会
合併症予防のためにはHbA1c7.0%未満を目指す。
①②③といったエビデンスや、④の糖尿病学会の見解があります。
食後血糖値について
2020年03月21日 (土)の本ブログ記事
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5194.html
この記事もご参照頂ければ幸いです。
江部康二
(☆)『暁現象』
早朝の空腹時血糖値は、正常人では、寝る前より低いのが普通です。
ところが、就寝前よりも朝起きたときの血糖値のほうが高いという現象が、
糖尿人によくみられ、「暁現象」と呼ばれています。
朝方3~4時ころは、基礎分泌インスリンは一番低値になります。
さらにこの時間帯、成長ホルモンとコルチゾールが増えて
血糖が上がりやすくなるのですが、
正常人は即座にインスリン分泌を増やして対応します。
糖尿人はインスリンを増加させてそれに対抗できないから、
暁現象を生じるとされています。
成長ホルモンは、肝臓でのグリコーゲン分解を促し、
また抗インスリン作用(インスリンを抑制し、血糖値を上昇させる)を持つため、
血糖値を上昇させます。
コルチゾールは肝臓での糖新生を促進させて、血糖値を上昇させます。
また糖尿病患者では起床前後の交換神経活性が暁現象に関係しています。
交感神経活性でカテコラミンなどのインスリン拮抗ホルモンが増えます。
膵臓では交感神経刺激によりインスリン分泌抑制とグルカゴン分泌促進が起こり、
血糖値が上昇します。
夜間睡眠時は、肝臓がブドウ糖を合成して(糖新生)血液中に送り、
血糖値を維持しますが、もともと糖尿人は正常人に比べて糖新生が増加しています。
この時間帯、基礎分泌インスリンは、正常人なら少し分泌されれば血糖値が下がりますが、
2型の糖尿人は正常人の2倍の量が必要だといわれていますので、
そもそもハンディがあります。
糖新生が多くなると、
正常人なら即座に基礎分泌インスリンの分泌を増加させて対応します。
しかし、糖尿人はインスリンの分泌量調整がスムースにいかないために、
糖新生を制御できず、暁現象が起きると考えられます。
暁現象を改善するには運動が良いです。
簡単で長続きする運動として
<インターバル速歩>や<ながらジョギング>がお奨めです。
血糖値測定器についての質問ですが、よろしくお願いします。
1. 私は、フリースタイルリブレという腕に装着する測定器と針を指にさす測定器の両方を使って血糖値を自己測定していますが、数値にかなり誤差があるように思います。そして最近、フリースタイルリブレについて、血糖値に高めの数値が出ることが分かったので回収するという記事を目にしました。
その後、改善されたのかどうか確認できていませんが、アマゾンで一時、販売されなくなっていましたが、現在は販売が再開されています。私は、再び購入して常時測定していますが、依然として針を刺す測定器と数値に誤差があるように思います。どちらを信用したらよいか分からないので困っているのですが、測定器のこのあたりの事情について、江部先生が何か把握されていることがおありでしょうか。
2. 「医療従事者向け糖質制限食セミナー」の記事で、佐藤信昭医師は「基本、全員にCGMを装着する。・・・ちゃんと、糖質制限食が実践できているか否かは、空腹時の中性脂肪値を検査すればわかる。空腹時中性脂肪値が高値なら、スーパー糖質制限食は実践できていない。」と発言されています。
私はスーパー糖質制限を実践できているつもりですが、本当にできているのだろうかと疑わししいときもあります。この記事で「空腹時中性脂肪値」を知ることで、それが明確になるということを初めて知りました。CGMとはフリースタイルリブレのことだと思いますが、それには中性脂肪値が表示されるのでしょうか。
3. 高橋裕彦医師は「CGMでみるとHbA1cの検査が、5.1%とか5.2%とかでも、食後血糖値が200~300mg/dlを超えている人が沢山いるのに気がついた。HbA1cだけではそれを見逃してしまうので危険である。」と発言されています。
その人達は糖尿病ではなく、スーパー糖質制限を実践していない正常人ではないかと思われます。私は糖尿人ですが、スーパー糖質制限を実践していて、HbA1cは6%ですが、食後1、2時間血糖値は平均的に150~140以下を推移しています。ただ、19時夕食後10時間の早朝血糖値が、正常値の70~109を超える120~130程度になることが多いので、この点がやや気になっています。
当初は薬も飲んでいましたが、今は薬はやめて様子を見ています。夕食後に薬(スーグラ1錠)を飲むと、早朝血糖値も正常値に収まることが多いですが、この状態ではまだ薬を飲んだほうが良いと言えるのでしょうか。
また、要するに、究極の問題は、数値自体というより糖尿病による合併症が発症するかどうかだと思いますが、合併症が発症した患者について、HbA1cや血糖値の状態や推移に関するリスク確率の詳細なデータは存在するのでしょうか。」
こんにちは。
倉田さんから、
「医療従事者向け糖質制限食セミナー」<東京&オンライン>ご報告。
2023年04月17日 (月)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/
一昨日の、上記の本ブログ記事に関して、コメント・質問を頂きました。
ありがとうございます。
【血糖値測定器についての質問ですが、よろしくお願いします。
1. 私は、フリースタイルリブレという腕に装着する測定器と
針を指にさす測定器の両方を使って血糖値を自己測定していますが、
数値にかなり誤差があるように思います。
私は、再び購入して常時測定していますが、
依然として針を刺す測定器と数値に誤差があるように思います。
どちらを信用したらよいか分からないので困っているのですが、
測定器のこのあたりの事情について、
江部先生が何か把握されていることがおありでしょうか。】
まず、結論ですが、血糖自己測定器の数値の方が信頼度が高いです。
私も、販売されてすぐに
2017/11/21~12/5までFreeStyleリブレを装着しましたが、
かなりの誤差でした。
私の場合はほとんどの場合、FreeStyleリブレで測定したFGMの方が
SMBG(血糖自己測定器)より高くでました。
例えば、早朝空腹時血糖値がFGMで160mg/dlもあり、ヾ(゜▽゜)
びっくりしてSMBGをしたら、105mg/dlでした。
またスーパー糖質制限食の昼食後1時間でFGMが206mg/dlもあり、ヾ(゜▽゜)
びっくりしてSMBGをしたら139mg/dlといった具合でした。
FreeStyleリブレによるFGMの場合は、SMBGの数値よりも、
20~60mmg高めにでたり、逆に20~30mgくらい低めにでることもあり、
誤差・バラツキが大きいようです。
FreeStyleリブレの性能の精度に問題があると思われます。
FreeStyleリブレで、変なデータがでたときは、
SMBGで再確認したほうがいいですね。
高雄病院で糖尿病入院患者さんに使用している医療機関用の
FreeStyleリブレProのほうは、誤差はあまりありませんでしたので
信頼度は高いです。
FreeStyleリブレとFreeStyleリブレProの精度にこれほどの差があるとは
思いませんでした。
☆☆☆
なお、FreeStyleリブレでも、
一日の血糖値の推移と運動や食事の関係は明確にわかるのでとても便利です。
私の場合、寝床で目が覚めた途端に、10mgくらい血糖値が上昇しました。
またテニスのダブルスの試合中は50mgくらい血糖値が急上昇しました。
テニス終了後はすみやかに下がっていき、2時間後にはテニス開始前より運動効果でか少し下がります。
【2. 「医療従事者向け糖質制限食セミナー」の記事で、佐藤信昭医師は「基本、全員にCGMを装着する。・・・ちゃんと、糖質制限食が実践できているか否かは、空腹時の中性脂肪値を検査すればわかる。空腹時中性脂肪値が高値なら、スーパー糖質制限食は実践できていない。」と発言されています。
私はスーパー糖質制限を実践できているつもりですが、本当にできているのだろうかと疑わししいときもあります。この記事で「空腹時中性脂肪値」を知ることで、それが明確になるということを初めて知りました。CGMとはフリースタイルリブレのことだと思いますが、それには中性脂肪値が表示されるのでしょうか。】
中性脂肪値やHbA1cは、普通の血液検査で調べておられます。
FreeStyleリブレは、ブドウ糖濃度だけの測定です。
【3. 高橋裕彦医師は「CGMでみるとHbA1cの検査が、5.1%とか5.2%とかでも、食後血糖値が200~300mg/dlを超えている人が沢山いるのに気がついた。HbA1cだけではそれを見逃してしまうので危険である。」と発言されています。
その人達は糖尿病ではなく、
スーパー糖質制限を実践していない正常人ではないかと思われます。】
<HbA1cと空腹時血糖値>の検査だけだと、
本当は糖尿病や食後高血糖があっても、見逃してしまうので危険だということで
高橋先生は警鐘を鳴らしておられるのだと思います。
つまり、<HbA1cと空腹時血糖値>の検査だけだと、正常人ではないのに
正常人と見誤ってしまうことがありえるということです。
【私は糖尿人ですが、スーパー糖質制限を実践していて、HbA1cは6%ですが、
食後1、2時間血糖値は平均的に150~140以下を推移しています。】
スーパー糖質制限食を実践しておられてHbA1c6%であれば
「食後高血糖」や「血糖変動幅増大」のない
『質の良いHbA1c』なので心配ないと思います。
食後血糖値が150mg~140mg/dl以下・・・食後1.2時間値が
160mg/dl未満という国際糖尿病連合の基準を満たしておられるので、
合併症のリスクはないと思います。
【ただ、19時夕食後10時間の早朝血糖値が、
正常値の70~109を超える120~130程度になることが多いので、
この点がやや気になっています。】
いわゆる『暁現象』(☆)だと考えられます。
【当初は薬も飲んでいましたが、今は薬はやめて様子を見ています。
夕食後に薬(スーグラ1錠)を飲むと、早朝血糖値も正常値に収まることが多いですが、
この状態ではまだ薬を飲んだほうが良いと言えるのでしょうか。】
まずは、インターバル速歩などで、暁現象の改善を目指しましょう。
運動が困難であれば、『SGLT2阻害薬』の内服もありだと思います。
『SGLT2阻害薬』は、糖尿病への効果だけでなく、
心・腎・脳保護作用も認められており、とても良い薬ということが判明しています。
【また、要するに、究極の問題は、数値自体というより糖尿病による合併症が発症するかどうかだと思いますが、合併症が発症した患者について、HbA1cや血糖値の状態や推移に関するリスク確率の詳細なデータは存在するのでしょうか。】
①
国際糖尿病連合(International Diabetes Federation:IDF)2007年
「食後血糖値の管理に関するガイドライン」
②
国際糖尿病連合(International Diabetes Federation:IDF)2011年
「食後血糖値の管理に関するガイドライン」
③
熊本スタディー(Kumamoto Study)
④
日本糖尿病学会
合併症予防のためにはHbA1c7.0%未満を目指す。
①②③といったエビデンスや、④の糖尿病学会の見解があります。
食後血糖値について
2020年03月21日 (土)の本ブログ記事
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5194.html
この記事もご参照頂ければ幸いです。
江部康二
(☆)『暁現象』
早朝の空腹時血糖値は、正常人では、寝る前より低いのが普通です。
ところが、就寝前よりも朝起きたときの血糖値のほうが高いという現象が、
糖尿人によくみられ、「暁現象」と呼ばれています。
朝方3~4時ころは、基礎分泌インスリンは一番低値になります。
さらにこの時間帯、成長ホルモンとコルチゾールが増えて
血糖が上がりやすくなるのですが、
正常人は即座にインスリン分泌を増やして対応します。
糖尿人はインスリンを増加させてそれに対抗できないから、
暁現象を生じるとされています。
成長ホルモンは、肝臓でのグリコーゲン分解を促し、
また抗インスリン作用(インスリンを抑制し、血糖値を上昇させる)を持つため、
血糖値を上昇させます。
コルチゾールは肝臓での糖新生を促進させて、血糖値を上昇させます。
また糖尿病患者では起床前後の交換神経活性が暁現象に関係しています。
交感神経活性でカテコラミンなどのインスリン拮抗ホルモンが増えます。
膵臓では交感神経刺激によりインスリン分泌抑制とグルカゴン分泌促進が起こり、
血糖値が上昇します。
夜間睡眠時は、肝臓がブドウ糖を合成して(糖新生)血液中に送り、
血糖値を維持しますが、もともと糖尿人は正常人に比べて糖新生が増加しています。
この時間帯、基礎分泌インスリンは、正常人なら少し分泌されれば血糖値が下がりますが、
2型の糖尿人は正常人の2倍の量が必要だといわれていますので、
そもそもハンディがあります。
糖新生が多くなると、
正常人なら即座に基礎分泌インスリンの分泌を増加させて対応します。
しかし、糖尿人はインスリンの分泌量調整がスムースにいかないために、
糖新生を制御できず、暁現象が起きると考えられます。
暁現象を改善するには運動が良いです。
簡単で長続きする運動として
<インターバル速歩>や<ながらジョギング>がお奨めです。
2023年04月17日 (月)
こんにちは。
2023年4月16日(日)、医療従事者の方を対象にセミナーを開催しました。
「医療従事者向け糖質制限食セミナー」<東京&オンライン>
2023年4月16日(日)12:30~17:00
第1部は高雄病院の橋本眞由美 管理栄養士による講義です。
高雄病院における糖質制限食提供の実際をお話ししました。
あとは、コンビニやファミレスでの糖質制限食のコツや、継続のためのコツなども説明しました。
第2部は私による講義で、糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論の解説や症例検討などを行いました。
今回は、日本列島にヒトが居住し始めた旧石器時代の食生活は、
38000年前~22000年間、肉食ばかりであったことなど、新たな知識を披露しました。
第3部は発表・討議で、糖質制限食の指導を行っておられる医師の方々に発表いただき、 ディスカッションを行いました。
①「糖質制限治療の実践症例~年間のべ1000名を超える外来指導より見えるもの」
佐藤信昭医師、茅ヶ崎徳州会病院(神奈川)副院長(内科)
基本、全員にCGMを装着する。
糖質を食べたら血糖値が上昇し、糖質制限なら血糖値が上昇しないことを、
CGMを印刷して、目で見て患者さんに確認して貰うことで、
糖質制限食の正しさを理解してもらう。薬は使わない。
薬で下げるのではなく、糖質制限食なら血糖値は上がらない。
ちゃんと、糖質制限食が実践できているか否かは、空腹時の中性脂肪値を検査すれば
わかる。空腹時中性脂肪値が高値なら、スーパー糖質制限食は実践できていない。
②「対話する糖質制限医療~糖質制限を指導してはいけない!?」
オンライン発表
田頭秀吾医師、たがしゅうオンラインクリニック院長
思いが強すぎると分断が生まれる。
「対話」によるオープンダイアローグ・アプローチ。
違っていて当たり前、公平で対等な立場、相手への尊重、わかったつもりにならない、
違う部分に注目、特定の目的を持たずに、お盆の上に載せていく、答えなくてもいい、
説得・助言・提案は避ける、ハーモニー(調和)よりもポリフォニー(多声)を大事に、
「対話」は「会話」とは違う。
会話はお互いに理解するための手段であるが、
「対話」は、理解しなくてよいし、相手と自分がいかに違っているかを知る手段。
違っているからこそ対話ができる。
対話の目的は対話と続けること。「対話」は「分断」を予防する。
③「高LDL-C血症に対する中等度糖質制限食と筋力トレーニングの組み合わせの効果について」
宇佐見啓治医師、うさみ内科(福島)、院長、運動療法指導歴30年
LDL-Cは、運動しても下がらないというのが、
帝京大学名誉教授寺本民生氏(動脈硬化学会)の説である。
しかし、「プチ糖質制限食」と伸縮性収縮(エキセントリック)運動により、
脂質異常症の患者(男性13名、女性7名)の、LDL-Cと中性脂肪値が改善した。
なお夕食後30分に運動するのがベストである。
④「糖質制限食と薬理学的糖質制限の失敗から学ぶ糖質中毒
~糖質依存症のメカニズム~」
影山広行医師、株式会社ドクターバンク
700万年間の狩猟・採集時代は、糖質は貴重なものであり食べられることは喜びであった。
美味しい食事や性行為などで、ドーパミンが放出され、快感が得られる(報酬系)。
これは食事や性行為は生きるために必要なので反復する必要があり、
そのような行動をクセにするために「報酬系」がセットされたのである。
農耕開始後、とくに現代は糖質過剰時代となったのであるが、
この<糖質摂取⇒報酬系>という原初のセットがいまだに稼働していて、
それが結果として『糖質依存症』を発症させていると考えられる。
⑤「カンボジアにおける『ほろ酔い低糖質セミナー&パーティーの実施』」
奥平健医師、ケンクリニック(カンボジア)院長
夏井睦先生のブログを見て。2012年に糖質制限食を開始。
2023年60歳であるが対年齢は40歳である。
カンボジア人は、お米が命の国民なので糖質制限食は極めて困難。
お互い素面での糖質制限食講演は上手くいかなかった。
それで焼酎の試飲会のときに呑み始めて1時間くらい経ってから、
講演をしたら大成功だったので『ほろ酔い低糖質セミナー&パーティー』が定着して、何度か実施した。
今後は、低糖質食専門レストランを医院に併設したい。
⑥「糖質制限食の導入の実際~フリースタイルリブレを用いて」
高橋裕彦(ゆうひこ)医師、たかはし整形外科医院(香川) 院長
2008年、夏井睦先生の本をきっかけに糖質制限食を知った。
整形外科であるが、『糖尿病が改善した』『肥満が改善した』という美容師さんなどの口コミでどんどん、
糖尿病患者と肥満患者が来院するようになった。
CGMは情報が多いので、糖尿病患者には全員つけていて、GLP1受容体作動薬注射薬を週一回打っている。
インスリンを打っていないのでCGMの費用は持ち出しであるが何とかトントンである。
CGMでみるとHbA1cの検査が、5.1%とか5.2%とかでも、
食後血糖値が200~300mg/dlを超えている人が沢山いるのに気がついた。
HbA1cだけではそれを見逃してしまうので危険である。
CGMの機器は150個くらいある。
他医から転院してきた糖尿病患者のほとんどで減薬できた。
約665名の糖質制限食希望肥満患者の体重は、
約9割の患者で5kg以上減量でき、約4割の患者で10kg以上減量できた。
参加者は55名でした。
オンラインと会場と半々くらいでした。
懇親会も15名の出席でいろいろなお話でしっかり交流することができて
とても有意義でした。
糖質制限食を実践している方々なので
皆さんが自分の頭で考えて決断して選択するタイプであり、
多士済々でとても楽しかったです。
懇親会のレストランは
Aux Delices de Dodine(オ デリス ド ドディーヌ)東京ミッドタウン八重洲店
https://tabelog.com/tokyo/A1302/A130201/13278415/
です。
美味しい糖質制限な料理とワイン、そして糖質ゼロビールも用意して頂きました。謝謝!!
新型コロナのために、3年ぶりの実参加講演会開催でしたが、
今後はまた定期的に開催していきたいと思います。
江部康二
2023年4月16日(日)、医療従事者の方を対象にセミナーを開催しました。
「医療従事者向け糖質制限食セミナー」<東京&オンライン>
2023年4月16日(日)12:30~17:00
第1部は高雄病院の橋本眞由美 管理栄養士による講義です。
高雄病院における糖質制限食提供の実際をお話ししました。
あとは、コンビニやファミレスでの糖質制限食のコツや、継続のためのコツなども説明しました。
第2部は私による講義で、糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論の解説や症例検討などを行いました。
今回は、日本列島にヒトが居住し始めた旧石器時代の食生活は、
38000年前~22000年間、肉食ばかりであったことなど、新たな知識を披露しました。
第3部は発表・討議で、糖質制限食の指導を行っておられる医師の方々に発表いただき、 ディスカッションを行いました。
①「糖質制限治療の実践症例~年間のべ1000名を超える外来指導より見えるもの」
佐藤信昭医師、茅ヶ崎徳州会病院(神奈川)副院長(内科)
基本、全員にCGMを装着する。
糖質を食べたら血糖値が上昇し、糖質制限なら血糖値が上昇しないことを、
CGMを印刷して、目で見て患者さんに確認して貰うことで、
糖質制限食の正しさを理解してもらう。薬は使わない。
薬で下げるのではなく、糖質制限食なら血糖値は上がらない。
ちゃんと、糖質制限食が実践できているか否かは、空腹時の中性脂肪値を検査すれば
わかる。空腹時中性脂肪値が高値なら、スーパー糖質制限食は実践できていない。
②「対話する糖質制限医療~糖質制限を指導してはいけない!?」
オンライン発表
田頭秀吾医師、たがしゅうオンラインクリニック院長
思いが強すぎると分断が生まれる。
「対話」によるオープンダイアローグ・アプローチ。
違っていて当たり前、公平で対等な立場、相手への尊重、わかったつもりにならない、
違う部分に注目、特定の目的を持たずに、お盆の上に載せていく、答えなくてもいい、
説得・助言・提案は避ける、ハーモニー(調和)よりもポリフォニー(多声)を大事に、
「対話」は「会話」とは違う。
会話はお互いに理解するための手段であるが、
「対話」は、理解しなくてよいし、相手と自分がいかに違っているかを知る手段。
違っているからこそ対話ができる。
対話の目的は対話と続けること。「対話」は「分断」を予防する。
③「高LDL-C血症に対する中等度糖質制限食と筋力トレーニングの組み合わせの効果について」
宇佐見啓治医師、うさみ内科(福島)、院長、運動療法指導歴30年
LDL-Cは、運動しても下がらないというのが、
帝京大学名誉教授寺本民生氏(動脈硬化学会)の説である。
しかし、「プチ糖質制限食」と伸縮性収縮(エキセントリック)運動により、
脂質異常症の患者(男性13名、女性7名)の、LDL-Cと中性脂肪値が改善した。
なお夕食後30分に運動するのがベストである。
④「糖質制限食と薬理学的糖質制限の失敗から学ぶ糖質中毒
~糖質依存症のメカニズム~」
影山広行医師、株式会社ドクターバンク
700万年間の狩猟・採集時代は、糖質は貴重なものであり食べられることは喜びであった。
美味しい食事や性行為などで、ドーパミンが放出され、快感が得られる(報酬系)。
これは食事や性行為は生きるために必要なので反復する必要があり、
そのような行動をクセにするために「報酬系」がセットされたのである。
農耕開始後、とくに現代は糖質過剰時代となったのであるが、
この<糖質摂取⇒報酬系>という原初のセットがいまだに稼働していて、
それが結果として『糖質依存症』を発症させていると考えられる。
⑤「カンボジアにおける『ほろ酔い低糖質セミナー&パーティーの実施』」
奥平健医師、ケンクリニック(カンボジア)院長
夏井睦先生のブログを見て。2012年に糖質制限食を開始。
2023年60歳であるが対年齢は40歳である。
カンボジア人は、お米が命の国民なので糖質制限食は極めて困難。
お互い素面での糖質制限食講演は上手くいかなかった。
それで焼酎の試飲会のときに呑み始めて1時間くらい経ってから、
講演をしたら大成功だったので『ほろ酔い低糖質セミナー&パーティー』が定着して、何度か実施した。
今後は、低糖質食専門レストランを医院に併設したい。
⑥「糖質制限食の導入の実際~フリースタイルリブレを用いて」
高橋裕彦(ゆうひこ)医師、たかはし整形外科医院(香川) 院長
2008年、夏井睦先生の本をきっかけに糖質制限食を知った。
整形外科であるが、『糖尿病が改善した』『肥満が改善した』という美容師さんなどの口コミでどんどん、
糖尿病患者と肥満患者が来院するようになった。
CGMは情報が多いので、糖尿病患者には全員つけていて、GLP1受容体作動薬注射薬を週一回打っている。
インスリンを打っていないのでCGMの費用は持ち出しであるが何とかトントンである。
CGMでみるとHbA1cの検査が、5.1%とか5.2%とかでも、
食後血糖値が200~300mg/dlを超えている人が沢山いるのに気がついた。
HbA1cだけではそれを見逃してしまうので危険である。
CGMの機器は150個くらいある。
他医から転院してきた糖尿病患者のほとんどで減薬できた。
約665名の糖質制限食希望肥満患者の体重は、
約9割の患者で5kg以上減量でき、約4割の患者で10kg以上減量できた。
参加者は55名でした。
オンラインと会場と半々くらいでした。
懇親会も15名の出席でいろいろなお話でしっかり交流することができて
とても有意義でした。
糖質制限食を実践している方々なので
皆さんが自分の頭で考えて決断して選択するタイプであり、
多士済々でとても楽しかったです。
懇親会のレストランは
Aux Delices de Dodine(オ デリス ド ドディーヌ)東京ミッドタウン八重洲店
https://tabelog.com/tokyo/A1302/A130201/13278415/
です。
美味しい糖質制限な料理とワイン、そして糖質ゼロビールも用意して頂きました。謝謝!!
新型コロナのために、3年ぶりの実参加講演会開催でしたが、
今後はまた定期的に開催していきたいと思います。
江部康二
2023年04月16日 (日)
おはようございます。
いまでこそ、<糖尿病治療と糖質制限食>で有名な高雄病院ですが、
もともとは、アトピー治療で全国的に有名であり、治療実績もしっかり上げてきました。
高雄病院では、1978年以来、長年アトピー性皮膚炎の患者さんを診察してきました。
入院治療したアトピー患者さんの総数は、おそらく世界有数レベルだと思います。
また、外来治療してきたアトピー患者さんの総数も同様です。
その中で、高雄病院方式といえる治療法が確立していきました。
症状の改善率や根本的に治る率も、世界有数レベルと自負しています。
高雄病院方式のアトピー性皮膚炎治療は 、入院しての「アトピー学校」につきると思います。
アトピー学校とは1995年から開始された「アトピー治療のための教育プログラム」です。
1999年からプロトピック軟膏が使えるようになり、アトピー患者さんの改善率や治癒率は劇的に向上しました。
<漢方治療+食事療法+ステロイド外用薬+プロトピック軟膏>により、
アトピー性皮膚炎の根治を目指すのが高雄病院のアトピー性皮膚炎治療です。
24年間、プロトピック軟膏を日本で一番多く使ってきて、まさに人生を変える力のある素晴らしい薬だと実感しています。
プロトピック軟膏のジェネリックであるタクロリムス軟膏も同様に有効です。
また、近年、コレクチム軟膏が発売されてなかなか重宝です。
とくに、プロトピック軟膏やタクロリムス軟膏で、火照ったり、ヒリヒリしたりする患者さんがたまにおられるのですが、
そういう場合にとても有効であり、火照りもヒリヒリもまずありません。
高雄病院アトピー学校では、まずは入院していただき、漢方生薬や漢方エキスを内服して、
ステロイド外用薬やプロトピック軟膏を塗布して、症状のコントロールをします。
そのあとは、退院したあともコントロール良好が保てるように、
食生活、外用薬の上手なぬりかた・やめかた、漢方薬の役割など・・・、
アトピーの自己管理に必要な知識や技を入院中に学んでもらい、また体験していただきます。
高雄病院アトピー学校において、アトピーを治すというよりも、
アトピーの根本的な治し方を学んでいただくということです。
入院してアトピーの皮膚症状が良くなるのは、
ある意味当たり前なのですが、退院後もその良い状態を保つことは結構難しいことなのです。
他の病院と高雄病院の入院治療における一番大きな違いは、
退院後の自己管理のための教育システムがあるかないかです。
この入院システムを学校と呼んでいるのは、教育の意味が大きいからなのです。
また、食生活や治療指針の提供・勉強や漢方薬の投与も、他の病院とはひと味違う特徴です。
ともあれ、漢方、食事療法、外用療法で、皮膚のコントロール良好の状態を保ち続けることが根治への道です。
食事療法は、当初は玄米魚菜食が中心でした。
1999年に私の兄、江部洋一郎現名誉院長が糖質制限食を高雄病院に導入しました。
2001年からは、病院全体で糖質制限食に取り組みました。
アトピー患者さん、糖尿病患者さんともに高雄病院に入院しておられますので、
玄米魚菜食と糖質制限食もともに供給しています。
入院中、糖質制限食に興味をもったアトピー患者さんが、退
院後、自発的に糖質制限食を実践される場合もあり、ほとんどが良好な結果を得ています。
アトピーの小学生が、祖父が糖尿病で糖質制限食を実践しているのを見て、
真似をして夕食だけのプチ糖質制限食をしたところ、著明に改善した例もあります。
またブログ読者の方で、「糖尿病+アトピー」があり、糖尿病のために糖質制限食を実践したところ、
長年の乾燥肌が改善しアトピーもよくなった例もあります。
長年アトピー性皮膚炎で苦しんできた30代女性から、
スーパー糖質制限食実践1ヶ月でかなり落ち着いたというコメントをブログに頂いたこともあります。
糖質制限食実践により、全身の血流と代謝が良くなりますので、多くの場合、乾燥肌が改善してきます。
だいたい、1~3ヶ月で効果があることが多いです。
私自身アトピーではないのですが、乾燥肌が改善し、にきび・吹き出物がほとんどでなくなりました。
特に冬場は、顔が乾燥して、足の指にしもやけもできていましたが、52歳で、糖質制限食開始後は、すっかりよくなりました。
2023年4月現在、73歳ですが、そのまま体調は良好です。
肌も、73歳にしてはしわも少ないし、アトピーの小学生から「先生の肌はきれいですね」と褒められることもあります。
勿論個人差はあります。
また漢方治療と食事療法だけではなくて、
世界標準のアトピー外用治療も併用する方が、より速くコントロール良好になると思います。
生活の質を速やかに改善することも、アトピー治療においてとても大切なことと思います。
江部康二
いまでこそ、<糖尿病治療と糖質制限食>で有名な高雄病院ですが、
もともとは、アトピー治療で全国的に有名であり、治療実績もしっかり上げてきました。
高雄病院では、1978年以来、長年アトピー性皮膚炎の患者さんを診察してきました。
入院治療したアトピー患者さんの総数は、おそらく世界有数レベルだと思います。
また、外来治療してきたアトピー患者さんの総数も同様です。
その中で、高雄病院方式といえる治療法が確立していきました。
症状の改善率や根本的に治る率も、世界有数レベルと自負しています。
高雄病院方式のアトピー性皮膚炎治療は 、入院しての「アトピー学校」につきると思います。
アトピー学校とは1995年から開始された「アトピー治療のための教育プログラム」です。
1999年からプロトピック軟膏が使えるようになり、アトピー患者さんの改善率や治癒率は劇的に向上しました。
<漢方治療+食事療法+ステロイド外用薬+プロトピック軟膏>により、
アトピー性皮膚炎の根治を目指すのが高雄病院のアトピー性皮膚炎治療です。
24年間、プロトピック軟膏を日本で一番多く使ってきて、まさに人生を変える力のある素晴らしい薬だと実感しています。
プロトピック軟膏のジェネリックであるタクロリムス軟膏も同様に有効です。
また、近年、コレクチム軟膏が発売されてなかなか重宝です。
とくに、プロトピック軟膏やタクロリムス軟膏で、火照ったり、ヒリヒリしたりする患者さんがたまにおられるのですが、
そういう場合にとても有効であり、火照りもヒリヒリもまずありません。
高雄病院アトピー学校では、まずは入院していただき、漢方生薬や漢方エキスを内服して、
ステロイド外用薬やプロトピック軟膏を塗布して、症状のコントロールをします。
そのあとは、退院したあともコントロール良好が保てるように、
食生活、外用薬の上手なぬりかた・やめかた、漢方薬の役割など・・・、
アトピーの自己管理に必要な知識や技を入院中に学んでもらい、また体験していただきます。
高雄病院アトピー学校において、アトピーを治すというよりも、
アトピーの根本的な治し方を学んでいただくということです。
入院してアトピーの皮膚症状が良くなるのは、
ある意味当たり前なのですが、退院後もその良い状態を保つことは結構難しいことなのです。
他の病院と高雄病院の入院治療における一番大きな違いは、
退院後の自己管理のための教育システムがあるかないかです。
この入院システムを学校と呼んでいるのは、教育の意味が大きいからなのです。
また、食生活や治療指針の提供・勉強や漢方薬の投与も、他の病院とはひと味違う特徴です。
ともあれ、漢方、食事療法、外用療法で、皮膚のコントロール良好の状態を保ち続けることが根治への道です。
食事療法は、当初は玄米魚菜食が中心でした。
1999年に私の兄、江部洋一郎現名誉院長が糖質制限食を高雄病院に導入しました。
2001年からは、病院全体で糖質制限食に取り組みました。
アトピー患者さん、糖尿病患者さんともに高雄病院に入院しておられますので、
玄米魚菜食と糖質制限食もともに供給しています。
入院中、糖質制限食に興味をもったアトピー患者さんが、退
院後、自発的に糖質制限食を実践される場合もあり、ほとんどが良好な結果を得ています。
アトピーの小学生が、祖父が糖尿病で糖質制限食を実践しているのを見て、
真似をして夕食だけのプチ糖質制限食をしたところ、著明に改善した例もあります。
またブログ読者の方で、「糖尿病+アトピー」があり、糖尿病のために糖質制限食を実践したところ、
長年の乾燥肌が改善しアトピーもよくなった例もあります。
長年アトピー性皮膚炎で苦しんできた30代女性から、
スーパー糖質制限食実践1ヶ月でかなり落ち着いたというコメントをブログに頂いたこともあります。
糖質制限食実践により、全身の血流と代謝が良くなりますので、多くの場合、乾燥肌が改善してきます。
だいたい、1~3ヶ月で効果があることが多いです。
私自身アトピーではないのですが、乾燥肌が改善し、にきび・吹き出物がほとんどでなくなりました。
特に冬場は、顔が乾燥して、足の指にしもやけもできていましたが、52歳で、糖質制限食開始後は、すっかりよくなりました。
2023年4月現在、73歳ですが、そのまま体調は良好です。
肌も、73歳にしてはしわも少ないし、アトピーの小学生から「先生の肌はきれいですね」と褒められることもあります。
勿論個人差はあります。
また漢方治療と食事療法だけではなくて、
世界標準のアトピー外用治療も併用する方が、より速くコントロール良好になると思います。
生活の質を速やかに改善することも、アトピー治療においてとても大切なことと思います。
江部康二
2023年04月14日 (金)
こんばんは。
京都大学が、2023年3月30日、
週に1日または2日だけでも1日あたり8,000歩の歩数を達成することで
健康に良い影響が得られることを明らかにしました。
井上浩輔 医学研究科助教と津川友介 カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)准教授らの研究グループが、
米国の国民健康栄養調査データを用いて検証したものです。
毎日新聞(3月30日夕刊 7面)、産経新聞(3月30日夕刊 7面)および日本経済新聞(3月30日夕刊 11面)に掲載されました。
以下、ヤフージャパンにも掲載されました。
ヤフージャパン
https://news.yahoo.co.jp/articles/97786dfdcb853553b355e03e3b3de286d47280a4
京都大学が
2023年03月30日公開。
1日8000歩、週1~2日でも死亡率低下 それでも米国人には難しい理由
ヤフージャパンの記事が、一番わかりやすいので、ご参照頂ければ幸いです。
以下の緑色の記載は、ヤフージャパンの記事の要約です。
【1日平均5000歩弱しか歩かない米国人にとっては、
この目標すら達成は困難かもしれません。
8000歩歩いた日が週に1~2回あった人は、
1回もなかった人と比べて10年後の全死因死亡率が14.9%低く、
心血管疾患による死亡率も8.1%低下していました。
年齢別では、65歳以上で死亡リスクが19.9%下がり、
65歳未満では7.4%低下しました。
性別でみると、男性が20.8%減、女性が11.6%減で、
男性の方がメリットが大きかったです。
今月発表された1999~2018年の研究15件のメタ分析結果では、
60歳未満では1日8000~1万歩で早期死亡のリスクが低下するが、
60歳以上では1日6000~8000歩でもリスクが下がることが示されました。
ただ、米国人の平均歩数は1日4800歩です。
米疾病対策センター(CDC)が2017~20年に行った調査では、
平均して各州人口の25%以上が
直近1カ月間に仕事以外で運動をしていないと回答しました。
世界保健機関(WHO)の推計によると、
運動不足を一因とする死者数は世界で年間320万人に上ります。
また、医学誌「The Lancet(ランセット)」に発表された2016年の研究結果では、
運動不足は年間推計約540億ドル(約7兆円)もの医療費に
関連しているとされています。】
私としては、いつも推奨している<インターバル速歩>が
一番、簡単で継続しやすい効果のある運動と思います。
本ブログ記事
有酸素運動と筋力維持。インターバル速歩。ながらジョギング。
2022年04月18日 (月)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5938.html
をご参照頂ければ幸いです。
江部康二
☆☆☆
以下は京都大学の記事です。
京都大学
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2023-03-30
1週間の歩行パターンと死亡リスクの関連を明らかに
-週2回しっかり歩くことで健康は維持できるか?-
公開日
2023年03月30日
井上浩輔 医学研究科助教と津川友介 カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)准教授らの研究グループは、
米国の国民健康栄養調査データを用いて、週に1日または2日だけでも1日あたり8,000歩の歩数を達成することで
健康に良い影響が得られることを明らかにしました。
今までの研究により、平均的に8,000歩/日以上歩く人は死亡率が低くなることがわかっていましたが、
週に数日だけ歩く場合の健康への影響については分かっていませんでした。
本研究では、加速度計で測定された歩数の情報を用いて、
1日に8,000歩以上歩いた日数が0日、1~2日、3~7日であった場合の死亡リスクをそれぞれ検討しました。
その結果、1週間に8,000歩以上歩く日数が多い人ほど、
全死亡と心血管疾患の死亡リスクが低いことが示されました。
興味深いことに、その死亡リスク低下率は初めの数日で大きく、
週に1日または2日でも8,000歩以上歩いている人は、
週に3日以上定期的に歩行している人とほぼ同等の死亡リスク減少を認めました。
本研究結果は、週に1~2日程度でも目標歩数を達成することが
健康に十分良い影響をもたらす可能性を示唆します。
運動の時間を確保できない人や、仕事の都合上定期的な運動が難しい人でも、
週に数日間だけ歩く習慣を取り入れることで健康リスクを低減できる可能性があり、
現代社会の働く世代や高齢者にとって重要なエビデンスとなることが期待されます。
本研究成果は、2023年3月29日に、
国際学術誌「JAMA Network Open」に、オンライン掲載されました。
週に一度も8,000歩/日以上歩いていない人に比べて、
1~2日歩いている人は14.9%、3日以上ある人いる人は全死亡率が16.5%低かった。
同様に心血管死亡率についても、週に一度も8,000歩/日以上歩いていない人に比べて、
1~2日歩いている人は8.0%、3日以上ある人いる人は8.4%低かった。
研究者のコメント
「本研究は井上(筆頭著者)が内科外来で患者さんから聞かれた次の質問から始まりました。
『先生、たくさん歩く必要があることはわかりました。
でも忙しくて平日はそんなに歩くことができません。週末にためて歩いても問題ないでしょうか?』
この問いに答えるべく文献検索をしたところ、
身体活動量については週2回だけ運動しても
十分に健康のベネフィットが得られるという
先行研究を見つけたものの(これを“Weekend warrior”と呼びます)、
歩数についてはエビデンスがないことに気づき、本研究を遂行するに至りました。
本結果が外来で質問された患者さんをはじめ多くの人々にとって役立つ歩行指針として
世の中に貢献できますと臨床研究者として嬉しく思います。」(井上浩輔)
メディア掲載情報
毎日新聞(3月30日夕刊 7面)、産経新聞(3月30日夕刊 7面)および日本経済新聞(3月30日夕刊 11面)に掲載されました。
京都大学が、2023年3月30日、
週に1日または2日だけでも1日あたり8,000歩の歩数を達成することで
健康に良い影響が得られることを明らかにしました。
井上浩輔 医学研究科助教と津川友介 カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)准教授らの研究グループが、
米国の国民健康栄養調査データを用いて検証したものです。
毎日新聞(3月30日夕刊 7面)、産経新聞(3月30日夕刊 7面)および日本経済新聞(3月30日夕刊 11面)に掲載されました。
以下、ヤフージャパンにも掲載されました。
ヤフージャパン
https://news.yahoo.co.jp/articles/97786dfdcb853553b355e03e3b3de286d47280a4
京都大学が
2023年03月30日公開。
1日8000歩、週1~2日でも死亡率低下 それでも米国人には難しい理由
ヤフージャパンの記事が、一番わかりやすいので、ご参照頂ければ幸いです。
以下の緑色の記載は、ヤフージャパンの記事の要約です。
【1日平均5000歩弱しか歩かない米国人にとっては、
この目標すら達成は困難かもしれません。
8000歩歩いた日が週に1~2回あった人は、
1回もなかった人と比べて10年後の全死因死亡率が14.9%低く、
心血管疾患による死亡率も8.1%低下していました。
年齢別では、65歳以上で死亡リスクが19.9%下がり、
65歳未満では7.4%低下しました。
性別でみると、男性が20.8%減、女性が11.6%減で、
男性の方がメリットが大きかったです。
今月発表された1999~2018年の研究15件のメタ分析結果では、
60歳未満では1日8000~1万歩で早期死亡のリスクが低下するが、
60歳以上では1日6000~8000歩でもリスクが下がることが示されました。
ただ、米国人の平均歩数は1日4800歩です。
米疾病対策センター(CDC)が2017~20年に行った調査では、
平均して各州人口の25%以上が
直近1カ月間に仕事以外で運動をしていないと回答しました。
世界保健機関(WHO)の推計によると、
運動不足を一因とする死者数は世界で年間320万人に上ります。
また、医学誌「The Lancet(ランセット)」に発表された2016年の研究結果では、
運動不足は年間推計約540億ドル(約7兆円)もの医療費に
関連しているとされています。】
私としては、いつも推奨している<インターバル速歩>が
一番、簡単で継続しやすい効果のある運動と思います。
本ブログ記事
有酸素運動と筋力維持。インターバル速歩。ながらジョギング。
2022年04月18日 (月)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5938.html
をご参照頂ければ幸いです。
江部康二
☆☆☆
以下は京都大学の記事です。
京都大学
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2023-03-30
1週間の歩行パターンと死亡リスクの関連を明らかに
-週2回しっかり歩くことで健康は維持できるか?-
公開日
2023年03月30日
井上浩輔 医学研究科助教と津川友介 カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)准教授らの研究グループは、
米国の国民健康栄養調査データを用いて、週に1日または2日だけでも1日あたり8,000歩の歩数を達成することで
健康に良い影響が得られることを明らかにしました。
今までの研究により、平均的に8,000歩/日以上歩く人は死亡率が低くなることがわかっていましたが、
週に数日だけ歩く場合の健康への影響については分かっていませんでした。
本研究では、加速度計で測定された歩数の情報を用いて、
1日に8,000歩以上歩いた日数が0日、1~2日、3~7日であった場合の死亡リスクをそれぞれ検討しました。
その結果、1週間に8,000歩以上歩く日数が多い人ほど、
全死亡と心血管疾患の死亡リスクが低いことが示されました。
興味深いことに、その死亡リスク低下率は初めの数日で大きく、
週に1日または2日でも8,000歩以上歩いている人は、
週に3日以上定期的に歩行している人とほぼ同等の死亡リスク減少を認めました。
本研究結果は、週に1~2日程度でも目標歩数を達成することが
健康に十分良い影響をもたらす可能性を示唆します。
運動の時間を確保できない人や、仕事の都合上定期的な運動が難しい人でも、
週に数日間だけ歩く習慣を取り入れることで健康リスクを低減できる可能性があり、
現代社会の働く世代や高齢者にとって重要なエビデンスとなることが期待されます。
本研究成果は、2023年3月29日に、
国際学術誌「JAMA Network Open」に、オンライン掲載されました。
週に一度も8,000歩/日以上歩いていない人に比べて、
1~2日歩いている人は14.9%、3日以上ある人いる人は全死亡率が16.5%低かった。
同様に心血管死亡率についても、週に一度も8,000歩/日以上歩いていない人に比べて、
1~2日歩いている人は8.0%、3日以上ある人いる人は8.4%低かった。
研究者のコメント
「本研究は井上(筆頭著者)が内科外来で患者さんから聞かれた次の質問から始まりました。
『先生、たくさん歩く必要があることはわかりました。
でも忙しくて平日はそんなに歩くことができません。週末にためて歩いても問題ないでしょうか?』
この問いに答えるべく文献検索をしたところ、
身体活動量については週2回だけ運動しても
十分に健康のベネフィットが得られるという
先行研究を見つけたものの(これを“Weekend warrior”と呼びます)、
歩数についてはエビデンスがないことに気づき、本研究を遂行するに至りました。
本結果が外来で質問された患者さんをはじめ多くの人々にとって役立つ歩行指針として
世の中に貢献できますと臨床研究者として嬉しく思います。」(井上浩輔)
メディア掲載情報
毎日新聞(3月30日夕刊 7面)、産経新聞(3月30日夕刊 7面)および日本経済新聞(3月30日夕刊 11面)に掲載されました。
2023年04月13日 (木)
こんにちは。
今日は、脂肪肝のお話です。
脂肪肝(しぼうかん)とは、文字通り肝臓に脂肪が蓄積した状態です。
近年、30代~40代を中心に増加傾向にあります。
脂肪肝は
1)非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD:nonalcoholic fatty liver disease)
a)単純脂肪肝 肥満などによるもの
b)非アルコール性脂肪性肝炎(NASH:Non-Alcoholic SteatoHepatitis)
2)アルコール性脂肪肝 飲酒によるもの
3)妊娠に伴うもの 急性妊娠性脂肪肝(AFLP)
AFLP:Acute Fatty Liver of Pregnancy
などにわけられます。
NAFLD(nonalcoholic fatty liver disease、非アルコール性脂肪肝疾患)は、アルコールを原因としない脂肪肝です。
NAFLDの8割から9割は炎症や線維化を伴わない「単純性脂肪肝」です。
多くは肥満が関係します。
単純脂肪肝の予後は良好です。
非アルコール性の脂肪肝はかつては、放置してもさしたることはないと言われていましたが、
近年、上述の「NASH」が認識されるようになり、様相が一変しました。
非アルコール性脂肪性肝炎(Non-alcoholic steatohepatitis)を略してNASHです。
NASHは、肝炎から肝硬変や肝臓癌に進展することもあり、結構こわいのです。
NAFLDの1割くらいが、NASHです。
単純性脂肪肝からNASHへ進行することもあります。
肝臓に脂肪が蓄積→脂肪肝→非アルコール性脂肪性肝炎→肝硬変→肝癌
B型ウィルスやC型ウィルスや飲酒以外に、NASHからも肝癌になり得るので、ゆめゆめ油断は禁物なのです。
脂肪肝の根本要因は、脂質ではなく糖質です。
①糖質を摂取すると血糖値が上昇します。
②血糖値が上昇すると追加分泌のインスリンが大量に分泌されます。
③追加分泌インスリンにより、筋肉細胞の糖輸送体が内部から細胞表面に移動します。
④筋肉細胞の糖輸送体(Glut4)により血液中のブドウ糖は細胞内に取り込まれます。
⑤まずエネルギー源として利用し、次いでグリコーゲンとして筋肉中に蓄えます。
⑥筋肉細胞に取り込まれずに、血液中で余ったブドウ糖は全て中性脂肪に変わり、
脂肪細胞や肝臓に蓄えられます。
このように、糖質を摂取して追加分泌のインスリンが大量・頻回に出ることが、
脂肪肝や肥満の根本要因であり、インスリンが肥満ホルモンと言われる所以です。
血糖値を上昇させるのは、3大栄養素「糖質・脂質・タンパク質」のうち、糖質だけです。
脂質・タンパク質は血糖値を上昇させません。
追加分泌インスリンが大量に必要となるのは、糖質摂取時だけです。
タンパク質は、ごく少量の追加分泌インスリンを分泌させます。
脂質は、追加分泌インスリンを分泌させません。
脂肪肝も内臓脂肪肥満もメタボリック・シンドロームも、
糖質の頻回・過剰摂取によるインスリンの頻回・過剰分泌が根本要因と思います。
現状の医学界も、脂質の摂りすぎが脂肪肝に繋がると言っているようでは、
いつまでたっても、脂肪肝の増加をくい止めることはできません。
早く、脂肪肝の成り立ちの本質に気がついて欲しいものです。
内臓脂肪肥満やメタボになれば、
インスリン抵抗性も出現してきて、血糖値を正常に保つために基礎分泌インスリンの量も増加します。
このようにして、インスリン追加分泌も基礎分泌も過剰になり、
ますます、脂肪肝や内臓脂肪肥満やメタボリック・シンドロームは進行して悪循環に陥ります。
上述の如く人体の生理・栄養・代謝面から理論的に考えてみると、
<糖質→食後血糖値上昇→追加分泌インスリン大量分泌→中性脂肪合成→脂肪肝・肥満>
ということが明確に理解できます。
つまり、糖質を普通に食べていたら、少々のカロリー制限をしても、脂肪肝が改善することは極めて困難なのです。
一方、糖質制限食実践で、例えば肉・魚・豆腐などを摂取すれば、
当然高脂質・高タンパク食となりますが、この間常に脂肪が分解されエネルギー源として使われています。
つまり、糖質制限食を食べている最中にも同時に中性脂肪が分解されて脂肪酸やケトン体になり、
骨格筋・心筋・内臓でエネルギー源として利用されているのです。
この「脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム」が日常的に利用されているのが、
人類本来の姿であり、農耕前の700万年間はずっとそうでした。
糖質制限食で脂肪が分解されていた人が、糖質を摂取して血糖値が上昇すると、
「糖質制限食→中性脂肪分解→脂肪酸・ケトン体上昇→骨格筋・心筋・内臓のエネルギー源」
というパターンが
「糖質摂取→血糖値上昇→追加分泌インスリン大量分泌→中性脂肪合成」
というパターンに変化し、脂肪肝・肥満につながるわけです。
私自身、2002年の糖尿病発覚の時点で、メタボリックシンドロームの基準を満たしていました。
<身長167cm 体重66kg 高血圧140~180/90~110 腹囲86cm>
スーパー糖質制限食実践半年で10kg減量して56kg。
血圧は140~180/90~110 → 120~130/70~80。
メタボリックシンドロームの基準が全て正常になりました。
内臓脂肪CT126cm2 → 70cm2 (正常は100未満)
となりました。
腹部エコーでも脂肪肝は改善しました。
私だけでなく多くの脂肪肝の患者さんがスーパー糖質制限食で速やかに改善しています。
ブログ読者の脂肪肝の皆さん、安心して魚も肉も卵も野菜もしっかり食べて、
美味しく楽しくスーパー糖質制限食で、脂肪肝改善を目指して下さいね。
なお、急性妊娠性脂肪肝(AFLP)はまれな疾患(6000~7000妊娠に1例ていど)ですが、
重篤となることもあり注意が必要です。
AFLPは理論的には糖質制限食で予防できると思います。
江部康二
今日は、脂肪肝のお話です。
脂肪肝(しぼうかん)とは、文字通り肝臓に脂肪が蓄積した状態です。
近年、30代~40代を中心に増加傾向にあります。
脂肪肝は
1)非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD:nonalcoholic fatty liver disease)
a)単純脂肪肝 肥満などによるもの
b)非アルコール性脂肪性肝炎(NASH:Non-Alcoholic SteatoHepatitis)
2)アルコール性脂肪肝 飲酒によるもの
3)妊娠に伴うもの 急性妊娠性脂肪肝(AFLP)
AFLP:Acute Fatty Liver of Pregnancy
などにわけられます。
NAFLD(nonalcoholic fatty liver disease、非アルコール性脂肪肝疾患)は、アルコールを原因としない脂肪肝です。
NAFLDの8割から9割は炎症や線維化を伴わない「単純性脂肪肝」です。
多くは肥満が関係します。
単純脂肪肝の予後は良好です。
非アルコール性の脂肪肝はかつては、放置してもさしたることはないと言われていましたが、
近年、上述の「NASH」が認識されるようになり、様相が一変しました。
非アルコール性脂肪性肝炎(Non-alcoholic steatohepatitis)を略してNASHです。
NASHは、肝炎から肝硬変や肝臓癌に進展することもあり、結構こわいのです。
NAFLDの1割くらいが、NASHです。
単純性脂肪肝からNASHへ進行することもあります。
肝臓に脂肪が蓄積→脂肪肝→非アルコール性脂肪性肝炎→肝硬変→肝癌
B型ウィルスやC型ウィルスや飲酒以外に、NASHからも肝癌になり得るので、ゆめゆめ油断は禁物なのです。
脂肪肝の根本要因は、脂質ではなく糖質です。
①糖質を摂取すると血糖値が上昇します。
②血糖値が上昇すると追加分泌のインスリンが大量に分泌されます。
③追加分泌インスリンにより、筋肉細胞の糖輸送体が内部から細胞表面に移動します。
④筋肉細胞の糖輸送体(Glut4)により血液中のブドウ糖は細胞内に取り込まれます。
⑤まずエネルギー源として利用し、次いでグリコーゲンとして筋肉中に蓄えます。
⑥筋肉細胞に取り込まれずに、血液中で余ったブドウ糖は全て中性脂肪に変わり、
脂肪細胞や肝臓に蓄えられます。
このように、糖質を摂取して追加分泌のインスリンが大量・頻回に出ることが、
脂肪肝や肥満の根本要因であり、インスリンが肥満ホルモンと言われる所以です。
血糖値を上昇させるのは、3大栄養素「糖質・脂質・タンパク質」のうち、糖質だけです。
脂質・タンパク質は血糖値を上昇させません。
追加分泌インスリンが大量に必要となるのは、糖質摂取時だけです。
タンパク質は、ごく少量の追加分泌インスリンを分泌させます。
脂質は、追加分泌インスリンを分泌させません。
脂肪肝も内臓脂肪肥満もメタボリック・シンドロームも、
糖質の頻回・過剰摂取によるインスリンの頻回・過剰分泌が根本要因と思います。
現状の医学界も、脂質の摂りすぎが脂肪肝に繋がると言っているようでは、
いつまでたっても、脂肪肝の増加をくい止めることはできません。
早く、脂肪肝の成り立ちの本質に気がついて欲しいものです。
内臓脂肪肥満やメタボになれば、
インスリン抵抗性も出現してきて、血糖値を正常に保つために基礎分泌インスリンの量も増加します。
このようにして、インスリン追加分泌も基礎分泌も過剰になり、
ますます、脂肪肝や内臓脂肪肥満やメタボリック・シンドロームは進行して悪循環に陥ります。
上述の如く人体の生理・栄養・代謝面から理論的に考えてみると、
<糖質→食後血糖値上昇→追加分泌インスリン大量分泌→中性脂肪合成→脂肪肝・肥満>
ということが明確に理解できます。
つまり、糖質を普通に食べていたら、少々のカロリー制限をしても、脂肪肝が改善することは極めて困難なのです。
一方、糖質制限食実践で、例えば肉・魚・豆腐などを摂取すれば、
当然高脂質・高タンパク食となりますが、この間常に脂肪が分解されエネルギー源として使われています。
つまり、糖質制限食を食べている最中にも同時に中性脂肪が分解されて脂肪酸やケトン体になり、
骨格筋・心筋・内臓でエネルギー源として利用されているのです。
この「脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム」が日常的に利用されているのが、
人類本来の姿であり、農耕前の700万年間はずっとそうでした。
糖質制限食で脂肪が分解されていた人が、糖質を摂取して血糖値が上昇すると、
「糖質制限食→中性脂肪分解→脂肪酸・ケトン体上昇→骨格筋・心筋・内臓のエネルギー源」
というパターンが
「糖質摂取→血糖値上昇→追加分泌インスリン大量分泌→中性脂肪合成」
というパターンに変化し、脂肪肝・肥満につながるわけです。
私自身、2002年の糖尿病発覚の時点で、メタボリックシンドロームの基準を満たしていました。
<身長167cm 体重66kg 高血圧140~180/90~110 腹囲86cm>
スーパー糖質制限食実践半年で10kg減量して56kg。
血圧は140~180/90~110 → 120~130/70~80。
メタボリックシンドロームの基準が全て正常になりました。
内臓脂肪CT126cm2 → 70cm2 (正常は100未満)
となりました。
腹部エコーでも脂肪肝は改善しました。
私だけでなく多くの脂肪肝の患者さんがスーパー糖質制限食で速やかに改善しています。
ブログ読者の脂肪肝の皆さん、安心して魚も肉も卵も野菜もしっかり食べて、
美味しく楽しくスーパー糖質制限食で、脂肪肝改善を目指して下さいね。
なお、急性妊娠性脂肪肝(AFLP)はまれな疾患(6000~7000妊娠に1例ていど)ですが、
重篤となることもあり注意が必要です。
AFLPは理論的には糖質制限食で予防できると思います。
江部康二
2023年04月11日 (火)
糖質制限食とお酒。
こんにちは。
新型コロナ感染症が一段落して、宴会が復活しています。
かくいう私も、2023年3月から、3年ぶりに外食や会食を楽しんでいて、お酒も嗜んでいます。
今回は、糖質制限食とお酒に関する考察です。
糖質制限食実践において、お酒は飲んでも良いのですが、
OKのものと、NGのものがあります。
まずは、OKのお酒ですが、蒸留酒があります。
蒸留酒には糖質は、ほぼ含まれていません。
原料が麦でも芋でも米でも黒糖でもOKで、
ウィスキー、焼酎、ウオッカ、ジンなどがあります。
醸造酒には糖質が含まれているので、原則的にはNGです。
ビールや日本酒や紹興酒はNGです。
その中で、糖質ゼロビールや糖質ゼロ発泡酒は、大丈夫です。
ワインも、日本食品標準成分表では、糖質含有量は
100mlあたり、白ワインは2g、赤ワインは1.5gとなっていますが、辛口であればもっと少ないです。
レストランなどでは、ワインボトル1本からグラス6杯分とるのが最も一般的です。
ボトル1本は750mlなので、グラスワイン1杯あたりの分量は125mlです。
従いまして、辛口ワインなら、2~3杯(250~375ml)までであれば、
糖質は<3.0~4.5g>以下であり、糖質制限OKなのです。
私の場合夕食後は晩酌で、
焼酎の水割り2~3杯か、赤ワインをボトル半分くらいです。
適量より、やや多めですが、肝機能など全て正常です。
赤ワインは、最近はピノノワール単独が多いです。
チリワインが、比較的安くて美味しいです。
日中は暑くなってきたので、糖質ゼロビールも吞みます。
おつまみは、チーズ、焼き海苔、糖質の少ないナッツなどです。
あと、カクテルって毎日飲むわけではないですが、
たまに洒落た店やホテルのバーというシチュエーションで、
「バーテンさん、芋焼酎水割り!」
ではさすがに芸がないので、時に飲みたいお酒ですね。
<糖質制限食OKのカクテル>
昔読んだ、レイモンド・チャンドラーの名作「長いお別れ」の中で、
私立探偵フィリップ・マーロウが好むカクテルがギムレットです。
「プレイバック」のフィリップ・マーロウの決めセリフ
「タフじゃなくては生きていけない。やさしくなくては、生きている資格はない」
(生島次郎訳)
(If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive.)
かっこいいですね。
人生で一回ぐらい言ってみたいです。
結局、糖質制限OKカクテルは
ジンベースかウオッカベースが多いです。
ジンベース
ギムレット、ジンライム、ジンリッキー、マティーニ
ウオッカベース
ブラディーメアリー、ウォッカマティーニ
糖尿人のご同輩、たまには洒落たホテルのバーでカクテルを・・・
よきパートナーと共に・・・
<アルコールと血糖低下作用>
アルコールには、血糖低下作用があります。
しかし、個人差が大きいので、(A)gのアルコールが血糖値を(B)mg、
低下させるというように一律にはいきません。
エネルギー源としては、[アルコール→糖質→脂質→タンパク質]の順で利用されます。
焼酎、ウィスキーなど蒸留酒には糖質は含まれていないので、
血糖は全く上昇しません。
しかし、アルコールを摂取すると、人体に対する毒物とみなされて、
優先的に肝臓で分解されますので、
その間、同じ補酵素を使う糖新生がブロックされてしまいます。
従って、アルコールを摂取すると結果として、
肝臓の糖新生を抑制することとなります。
血中アルコール濃度が上昇している間は、糖新生はブロックされるので、
個人差が大きいと思いますが、酒を飲んでいる最中は、
血糖値が下がる人もいると思います。
また、一定量以上のアルコールを摂取すれば、肝臓の夜間糖新生はブロックされ、
翌朝の早朝空腹時血糖値は、下がる可能性が高いです。
アルコールの血糖低下作用については個人差が大きいので、ご注意ください。
なお、SU剤内服中の糖尿人やインスリン注射中の糖尿人は、
過度のアルコール摂取により糖新生が阻害されると
低血糖になりやすいので要注意です。
正常人でも、空きっ腹で大量のアルコールを摂取すれば、
低血糖になる可能性もあります。
<アルコールの適量>
世界がん研究基金2007年の勧告では、アルコールの推奨量は、
男性は1日2杯、女性は1日1杯までとしています。
1杯はアルコール10~15グラムに相当します。
米国糖尿病学会は、
アルコール24g(30ml)/日を食事と共に摂る程度なら適量としていますが、
ビール(5%)なら600ml
ワイン(15%)なら200ml
ウイスキー(43%)なら70ml
焼酎(25%)なら120ml
糖質ゼロ発泡酒(4%)なら750ml
に相当します。
<アルコールのリスク>
世界がん研究基金の2007年の勧告で、アルコール摂取は、
「口腔・咽頭・喉頭がん、食道がん、大腸がん(男性)、乳がん」の確実なリスクであり、
「肝臓がん、大腸がん(女性)」 のリスクとなるので要注意です。 (→ο←)
それから、過度のアルコール摂取は、
肝細胞内での脂肪酸からの中性脂肪の過剰合成を引き起こします。
その一部は肝臓外へ分泌されて高中性脂肪血症の原因となり、
一部は肝細胞内に蓄積されて脂肪肝の原因となります。
江部康二
こんにちは。
新型コロナ感染症が一段落して、宴会が復活しています。
かくいう私も、2023年3月から、3年ぶりに外食や会食を楽しんでいて、お酒も嗜んでいます。
今回は、糖質制限食とお酒に関する考察です。
糖質制限食実践において、お酒は飲んでも良いのですが、
OKのものと、NGのものがあります。
まずは、OKのお酒ですが、蒸留酒があります。
蒸留酒には糖質は、ほぼ含まれていません。
原料が麦でも芋でも米でも黒糖でもOKで、
ウィスキー、焼酎、ウオッカ、ジンなどがあります。
醸造酒には糖質が含まれているので、原則的にはNGです。
ビールや日本酒や紹興酒はNGです。
その中で、糖質ゼロビールや糖質ゼロ発泡酒は、大丈夫です。
ワインも、日本食品標準成分表では、糖質含有量は
100mlあたり、白ワインは2g、赤ワインは1.5gとなっていますが、辛口であればもっと少ないです。
レストランなどでは、ワインボトル1本からグラス6杯分とるのが最も一般的です。
ボトル1本は750mlなので、グラスワイン1杯あたりの分量は125mlです。
従いまして、辛口ワインなら、2~3杯(250~375ml)までであれば、
糖質は<3.0~4.5g>以下であり、糖質制限OKなのです。
私の場合夕食後は晩酌で、
焼酎の水割り2~3杯か、赤ワインをボトル半分くらいです。
適量より、やや多めですが、肝機能など全て正常です。
赤ワインは、最近はピノノワール単独が多いです。
チリワインが、比較的安くて美味しいです。
日中は暑くなってきたので、糖質ゼロビールも吞みます。
おつまみは、チーズ、焼き海苔、糖質の少ないナッツなどです。
あと、カクテルって毎日飲むわけではないですが、
たまに洒落た店やホテルのバーというシチュエーションで、
「バーテンさん、芋焼酎水割り!」
ではさすがに芸がないので、時に飲みたいお酒ですね。
<糖質制限食OKのカクテル>
昔読んだ、レイモンド・チャンドラーの名作「長いお別れ」の中で、
私立探偵フィリップ・マーロウが好むカクテルがギムレットです。
「プレイバック」のフィリップ・マーロウの決めセリフ
「タフじゃなくては生きていけない。やさしくなくては、生きている資格はない」
(生島次郎訳)
(If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive.)
かっこいいですね。
人生で一回ぐらい言ってみたいです。
結局、糖質制限OKカクテルは
ジンベースかウオッカベースが多いです。
ジンベース
ギムレット、ジンライム、ジンリッキー、マティーニ
ウオッカベース
ブラディーメアリー、ウォッカマティーニ
糖尿人のご同輩、たまには洒落たホテルのバーでカクテルを・・・
よきパートナーと共に・・・
<アルコールと血糖低下作用>
アルコールには、血糖低下作用があります。
しかし、個人差が大きいので、(A)gのアルコールが血糖値を(B)mg、
低下させるというように一律にはいきません。
エネルギー源としては、[アルコール→糖質→脂質→タンパク質]の順で利用されます。
焼酎、ウィスキーなど蒸留酒には糖質は含まれていないので、
血糖は全く上昇しません。
しかし、アルコールを摂取すると、人体に対する毒物とみなされて、
優先的に肝臓で分解されますので、
その間、同じ補酵素を使う糖新生がブロックされてしまいます。
従って、アルコールを摂取すると結果として、
肝臓の糖新生を抑制することとなります。
血中アルコール濃度が上昇している間は、糖新生はブロックされるので、
個人差が大きいと思いますが、酒を飲んでいる最中は、
血糖値が下がる人もいると思います。
また、一定量以上のアルコールを摂取すれば、肝臓の夜間糖新生はブロックされ、
翌朝の早朝空腹時血糖値は、下がる可能性が高いです。
アルコールの血糖低下作用については個人差が大きいので、ご注意ください。
なお、SU剤内服中の糖尿人やインスリン注射中の糖尿人は、
過度のアルコール摂取により糖新生が阻害されると
低血糖になりやすいので要注意です。
正常人でも、空きっ腹で大量のアルコールを摂取すれば、
低血糖になる可能性もあります。
<アルコールの適量>
世界がん研究基金2007年の勧告では、アルコールの推奨量は、
男性は1日2杯、女性は1日1杯までとしています。
1杯はアルコール10~15グラムに相当します。
米国糖尿病学会は、
アルコール24g(30ml)/日を食事と共に摂る程度なら適量としていますが、
ビール(5%)なら600ml
ワイン(15%)なら200ml
ウイスキー(43%)なら70ml
焼酎(25%)なら120ml
糖質ゼロ発泡酒(4%)なら750ml
に相当します。
<アルコールのリスク>
世界がん研究基金の2007年の勧告で、アルコール摂取は、
「口腔・咽頭・喉頭がん、食道がん、大腸がん(男性)、乳がん」の確実なリスクであり、
「肝臓がん、大腸がん(女性)」 のリスクとなるので要注意です。 (→ο←)
それから、過度のアルコール摂取は、
肝細胞内での脂肪酸からの中性脂肪の過剰合成を引き起こします。
その一部は肝臓外へ分泌されて高中性脂肪血症の原因となり、
一部は肝細胞内に蓄積されて脂肪肝の原因となります。
江部康二
2023年04月10日 (月)
こんにちは。
2023年4月16日(日)、医療従事者の方を対象にセミナーを開催いたします。
「医療従事者向け糖質制限食セミナー」<東京&オンライン>
2023年4月16日(日)12:30~17:00
参加方法は、東京での会場参加かオンライン参加かを選択していただけます。
第1部は高雄病院の橋本眞由美 管理栄養士による講義です。
第2部は私による講義で、糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論の解説や症例検討などを行います。
第3部は発表・討議で、糖質制限食の指導を行っておられる医師の方々に発表いただき、 ディスカッションを行います。
6名の医師は勿論、高雄病院勤務ではありません。
参加者皆で、活発な討論を行い、実のあるセミナーにしたいと思います。
当日セミナー終了後に、会場参加者でご希望いただく方々との懇親会(食事会)も催すことになりました。
私も3年ぶりの懇親会、歓談が楽しみです。
江部康二
以下、事務局からのお知らせです。
***********
ブログ読者の皆様、いつも弊会のイベントへ多数ご参加いただきましてありがとうございます。
本日は、医療従事者向けセミナーの開催をご案内申し上げます。
2023年4月16日(日)、医療従事者の方を対象にセミナーを開催いたします。
参加方法は、東京での会場参加かオンライン参加かを選択していただけます。
第1部は高雄病院の橋本眞由美 管理栄養士による講義で、高雄病院の糖質制限食と栄養指導について、コロナ禍の影響や患者様の様子なども交えてお話しいたします。
第2部は江部理事長による講義で、糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論の解説や症例検討などを予定しております。
第3部は発表・討議で、糖質制限食の指導を行っておられる医師の方々に発表いただき、 ディスカッションを行います。
医療従事者向けセミナーは、医療機関での糖質制限食指導の普及促進、ブラッシュアップ、発展を目指して2013年より開催しております。
また、2019年3月のセミナーより、臨床で糖質制限を採り入れておられる医療従事者の方々に発表いただき、指導法や症例などの共有、意見交換をしていただく「発表・討議」の時間を設け、参加いただいた方から、大変参考になる、刺激になる等ご好評いただいております。
今回も多様なテーマで6名の医師の方々にエントリーしていただいております。
医療従事者の皆様のご参加を心よりお待ちしております。
*セミナー後懇親会開催のお知らせ
セミナー終了後、会場参加者様でご希望の方を対象に懇親会(食事会)を催します。
セミナーの会場参加をお申し込みいただいた際に、詳細をご案内申し上げます。
*セミナー情報URL:http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity
//////////////ご案内/////////////////
一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会主催
「医療従事者向け糖質制限食セミナー」<東京&オンライン>
■日時:2023年4月16日(日)12:30~17:00頃
■会場:アットビジネスセンター東京駅八重洲通り 604号室
〒104-0032 東京都中央区八丁堀1-9-8 八重洲通ハタビル 6階
https://abc-kaigishitsu.com/tokyo_yaesudori/access.html
■内容:
◇第1部:「糖質制限食による糖尿病指導① ~高雄病院の食事と栄養指導」12:30~
講師: 橋本 眞由美 管理栄養士 / (一財)高雄病院 栄養科
◇第2部:「糖質制限食による糖尿病指導② ~理論と臨床」 13:20頃~
講師: 江部 康二 医師
(一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長
◇第3部: 「発表・討議」 15:05頃~
・「糖質制限治療の実践症例 ~年間のべ1,000名を超える外来指導より見えるもの」
佐藤 信昭 医師 / 茅ヶ崎徳洲会病院(神奈川) 副院長(内科)
・「対話する糖質制限医療 ~糖質制限を指導してはいけない!?」
田頭 秀悟 医師 / たがしゅうオンラインクリニック 院長
・「高LDL-C血症に対する中等度糖質制限食と筋力トレーニングの組み合わせの効果について」
宇佐見 啓治 医師 / うさみ内科(福島) 院長
・「糖質制限と薬理学的糖質制限の失敗から学ぶ糖質中毒~糖質依存症のメカニズム~」
影山 広行 医師 / 株式会社ドクターバンク
・「カンボジアにおける『ほろ酔い低糖質食セミナー&パーティー』の実施」
奥澤 健 医師 / ケンクリニック(カンボジア) 院長
・「糖質制限食の導入の実際 ~フリースタイルリブレプロを用いて」
髙橋 裕彦 医師 / たかはし整形外科医院(香川) 院長
*第3部は、発表10分・討議6分ずつを予定しております。
*第3部の発表者様の中には、オンラインで発表される方もいらっしゃる予定です。
*第1部・第2部の映写資料データ(PDF)は、後日ダウンロードしていただけます。
*当日のセミナー動画は、後日一定期間ご覧いただけます。(セミナー参加予約者様限定)
■参加対象:
医療従事者の方(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、理学療法士、鍼灸師など)
■受講費:
1.会場参加(東京会場へご来場の方)
・医師・歯科医師の方: 賛助会員 6,800円 / 一般(会員以外) 8,500円
・上記以外の医療従事者の方: 賛助会員 4,800円 / 一般(会員以外)6,000円
2.オンライン参加
・医師・歯科医師の方: 賛助会員 7,200円 / 一般(会員以外) 9,000円
・上記以外の医療従事者の方: 賛助会員 5,200円 / 一般(会員以外)6,500円
<オンライン参加についての補足・ご案内>
*Zoomを使用して行います。
・スマートフォンでもご参加可能ですが、パソコンかタブレット端末でご参加いただくと、画面が大きいため、スライド資料を閲覧しやすいです。
・事前に招待URLをお送りし、当日はそのURLにアクセスして、オンライン受講(参加)していただくかたちとなります。
・詳細はご予約後にご案内申し上げます。
・Zoomの挙手機能を使用して、オンライン参加の方も質疑応答や討議で挙手・発言していただる予定です。
■お支払い方法:クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。
※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。
■お申し込みの流れ:
1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込み下さい。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
■お申し込み方法:
★賛助会員の方:
事務局へメールにて、
①会場 or オンライン、どちらでの参加ご希望か
②医療機関でのご職種
をご記入の上、お申し込み下さい。
★賛助会員入会をご希望の方:
1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up
2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
「入会ならびに講演会等出席に関するお問い合せ」をご選択下さい。
「通信」欄には、以下をご記入下さい。
① 「4/16セミナー、会場 or オンライン(←ご希望の参加方法をご記入下さい)参加希望」 とご記入下さい。
② 医療機関でのご職種をご記入下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact
★一般(会員以外)で、セミナーの受講のみご希望の方:
下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-med
■その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは4月14日(金)までに事務局へご連絡願います。それ以降のご返金は対応致しかねますので予めご了承下さい。
2023年4月16日(日)、医療従事者の方を対象にセミナーを開催いたします。
「医療従事者向け糖質制限食セミナー」<東京&オンライン>
2023年4月16日(日)12:30~17:00
参加方法は、東京での会場参加かオンライン参加かを選択していただけます。
第1部は高雄病院の橋本眞由美 管理栄養士による講義です。
第2部は私による講義で、糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論の解説や症例検討などを行います。
第3部は発表・討議で、糖質制限食の指導を行っておられる医師の方々に発表いただき、 ディスカッションを行います。
6名の医師は勿論、高雄病院勤務ではありません。
参加者皆で、活発な討論を行い、実のあるセミナーにしたいと思います。
当日セミナー終了後に、会場参加者でご希望いただく方々との懇親会(食事会)も催すことになりました。
私も3年ぶりの懇親会、歓談が楽しみです。
江部康二
以下、事務局からのお知らせです。
***********
ブログ読者の皆様、いつも弊会のイベントへ多数ご参加いただきましてありがとうございます。
本日は、医療従事者向けセミナーの開催をご案内申し上げます。
2023年4月16日(日)、医療従事者の方を対象にセミナーを開催いたします。
参加方法は、東京での会場参加かオンライン参加かを選択していただけます。
第1部は高雄病院の橋本眞由美 管理栄養士による講義で、高雄病院の糖質制限食と栄養指導について、コロナ禍の影響や患者様の様子なども交えてお話しいたします。
第2部は江部理事長による講義で、糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論の解説や症例検討などを予定しております。
第3部は発表・討議で、糖質制限食の指導を行っておられる医師の方々に発表いただき、 ディスカッションを行います。
医療従事者向けセミナーは、医療機関での糖質制限食指導の普及促進、ブラッシュアップ、発展を目指して2013年より開催しております。
また、2019年3月のセミナーより、臨床で糖質制限を採り入れておられる医療従事者の方々に発表いただき、指導法や症例などの共有、意見交換をしていただく「発表・討議」の時間を設け、参加いただいた方から、大変参考になる、刺激になる等ご好評いただいております。
今回も多様なテーマで6名の医師の方々にエントリーしていただいております。
医療従事者の皆様のご参加を心よりお待ちしております。
*セミナー後懇親会開催のお知らせ
セミナー終了後、会場参加者様でご希望の方を対象に懇親会(食事会)を催します。
セミナーの会場参加をお申し込みいただいた際に、詳細をご案内申し上げます。
*セミナー情報URL:http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity
//////////////ご案内/////////////////
一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会主催
「医療従事者向け糖質制限食セミナー」<東京&オンライン>
■日時:2023年4月16日(日)12:30~17:00頃
■会場:アットビジネスセンター東京駅八重洲通り 604号室
〒104-0032 東京都中央区八丁堀1-9-8 八重洲通ハタビル 6階
https://abc-kaigishitsu.com/tokyo_yaesudori/access.html
■内容:
◇第1部:「糖質制限食による糖尿病指導① ~高雄病院の食事と栄養指導」12:30~
講師: 橋本 眞由美 管理栄養士 / (一財)高雄病院 栄養科
◇第2部:「糖質制限食による糖尿病指導② ~理論と臨床」 13:20頃~
講師: 江部 康二 医師
(一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長
◇第3部: 「発表・討議」 15:05頃~
・「糖質制限治療の実践症例 ~年間のべ1,000名を超える外来指導より見えるもの」
佐藤 信昭 医師 / 茅ヶ崎徳洲会病院(神奈川) 副院長(内科)
・「対話する糖質制限医療 ~糖質制限を指導してはいけない!?」
田頭 秀悟 医師 / たがしゅうオンラインクリニック 院長
・「高LDL-C血症に対する中等度糖質制限食と筋力トレーニングの組み合わせの効果について」
宇佐見 啓治 医師 / うさみ内科(福島) 院長
・「糖質制限と薬理学的糖質制限の失敗から学ぶ糖質中毒~糖質依存症のメカニズム~」
影山 広行 医師 / 株式会社ドクターバンク
・「カンボジアにおける『ほろ酔い低糖質食セミナー&パーティー』の実施」
奥澤 健 医師 / ケンクリニック(カンボジア) 院長
・「糖質制限食の導入の実際 ~フリースタイルリブレプロを用いて」
髙橋 裕彦 医師 / たかはし整形外科医院(香川) 院長
*第3部は、発表10分・討議6分ずつを予定しております。
*第3部の発表者様の中には、オンラインで発表される方もいらっしゃる予定です。
*第1部・第2部の映写資料データ(PDF)は、後日ダウンロードしていただけます。
*当日のセミナー動画は、後日一定期間ご覧いただけます。(セミナー参加予約者様限定)
■参加対象:
医療従事者の方(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、理学療法士、鍼灸師など)
■受講費:
1.会場参加(東京会場へご来場の方)
・医師・歯科医師の方: 賛助会員 6,800円 / 一般(会員以外) 8,500円
・上記以外の医療従事者の方: 賛助会員 4,800円 / 一般(会員以外)6,000円
2.オンライン参加
・医師・歯科医師の方: 賛助会員 7,200円 / 一般(会員以外) 9,000円
・上記以外の医療従事者の方: 賛助会員 5,200円 / 一般(会員以外)6,500円
<オンライン参加についての補足・ご案内>
*Zoomを使用して行います。
・スマートフォンでもご参加可能ですが、パソコンかタブレット端末でご参加いただくと、画面が大きいため、スライド資料を閲覧しやすいです。
・事前に招待URLをお送りし、当日はそのURLにアクセスして、オンライン受講(参加)していただくかたちとなります。
・詳細はご予約後にご案内申し上げます。
・Zoomの挙手機能を使用して、オンライン参加の方も質疑応答や討議で挙手・発言していただる予定です。
■お支払い方法:クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。
※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。
■お申し込みの流れ:
1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込み下さい。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
■お申し込み方法:
★賛助会員の方:
事務局へメールにて、
①会場 or オンライン、どちらでの参加ご希望か
②医療機関でのご職種
をご記入の上、お申し込み下さい。
★賛助会員入会をご希望の方:
1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up
2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
「入会ならびに講演会等出席に関するお問い合せ」をご選択下さい。
「通信」欄には、以下をご記入下さい。
① 「4/16セミナー、会場 or オンライン(←ご希望の参加方法をご記入下さい)参加希望」 とご記入下さい。
② 医療機関でのご職種をご記入下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact
★一般(会員以外)で、セミナーの受講のみご希望の方:
下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-med
■その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは4月14日(金)までに事務局へご連絡願います。それ以降のご返金は対応致しかねますので予めご了承下さい。
2023年04月09日 (日)
こんにちは。かなり前になるのですが、
境界型のtoさんから、
実験<糖質ありと糖質制限。食後血糖値比較。>
というコメントを頂きました。
toさん、ありがとうございます。
数値データとして、とても参考になるので、再掲します。
まずは、【HbA1c(NGSP):5.1% そして食前血糖値:81mg/dl 】
なら、病院にいっても、間違いなく、「あなたは耐糖能正常です」と診断されます。
ところが、とんこつラーメン1杯、餃子3個 (おおよそ 糖質 85gか?) 食べて、
2時間後血糖値は230mg/dlとは、糖質恐るべしですね。
toさんの場合は1gの糖質が、1.75mg、血糖値を上昇させる計算です。
一般的な糖尿人なら、体重が64kgとして、1gの糖質が3mg血糖値を上昇させるので、それよりはましなのですが、食後高血糖と平均血糖変動幅増大が著明であり、酸化ストレスリスク(++)です。
つまり、toさんが普通に糖質を食べたら、
心筋梗塞や脳梗塞のリスクは糖尿人と変わらないということになりますのでご用心、ご用心。
夕食は居酒屋で、「芋焼酎水割り一杯 とスーパー糖質制限食」です。
血糖値の上昇も変動幅もとても少なくて、酸化ストレスリスクはなしです。
焼酎一杯なので、アルコールで血糖が下がったわけではないです。
すなわち、スーパー糖質制限食なら、「食後高血糖と平均血糖変動幅増大」はほとんど無しでとても好ましいです。
なお、耐糖能が正常型の場合は、食後2時間血糖値は何を食べても140mg/dl未満です。
そして、食後1時間血糖値が180mg/dlを超える場合は、
例え正常型でも将来、糖尿病になりやすいので注意が必要です。
江部康二
【13/04/17
to
わたしは、スーパーを始める前は境界型(隠れ糖尿病)でHbA1 5.9(JDS)でした。
今、半年近くのスーパー糖質制限食で直近の採血で
HbA1c 4.8(JDS)(5.1(NGSP))
になっていますが、
先日Freedom Liteを手にれたことがきかけで
一週間ほど前に 昼食に
ちょっと実験してみました。
とんこつラーメン1杯、餃子3個
(おおよそ 糖質 85gか?)
食べて測定してみました。
驚きの変化でした。
食前 81
30分 177
1時間 224
1時30分 228
2時間 230
2時間30分 182
3時間 177
3時間30分 189
4時間 169
4時間30分 144
5時間 124
5時間30分 103
6時間 80
それでやっと血糖値下がったの確認して
家族と今度は居酒屋へ(笑)
ほとんどこの6時間後に次のもの食べました。
芋焼酎水割り一杯
アボガドとエビのサラダ
チーズしそベーコン巻き串1本
砂ずり串2本
豚バラ串2本
ねぎま串2本
それで
その食事中 78
食後30分 84
1時間 90
1時間30分 97
ここで約4km(50分)のウォーキング開始
2時間 67 (ウォーキング途中)
ウォーキング終了
2時間30分 86
3時間 101
そして 翌朝おきて 92
(2時間の 67 は、測定誤差っぽいです)
これを糖質制限の理解のない先生に見せたら
わたしは投薬されますよね?
正常人はこれと同じことをしても140mgを超えないのでしょうか?
ちょっと信じられないんですが。
参考までに投稿しました。】
境界型のtoさんから、
実験<糖質ありと糖質制限。食後血糖値比較。>
というコメントを頂きました。
toさん、ありがとうございます。
数値データとして、とても参考になるので、再掲します。
まずは、【HbA1c(NGSP):5.1% そして食前血糖値:81mg/dl 】
なら、病院にいっても、間違いなく、「あなたは耐糖能正常です」と診断されます。
ところが、とんこつラーメン1杯、餃子3個 (おおよそ 糖質 85gか?) 食べて、
2時間後血糖値は230mg/dlとは、糖質恐るべしですね。
toさんの場合は1gの糖質が、1.75mg、血糖値を上昇させる計算です。
一般的な糖尿人なら、体重が64kgとして、1gの糖質が3mg血糖値を上昇させるので、それよりはましなのですが、食後高血糖と平均血糖変動幅増大が著明であり、酸化ストレスリスク(++)です。
つまり、toさんが普通に糖質を食べたら、
心筋梗塞や脳梗塞のリスクは糖尿人と変わらないということになりますのでご用心、ご用心。
夕食は居酒屋で、「芋焼酎水割り一杯 とスーパー糖質制限食」です。
血糖値の上昇も変動幅もとても少なくて、酸化ストレスリスクはなしです。
焼酎一杯なので、アルコールで血糖が下がったわけではないです。
すなわち、スーパー糖質制限食なら、「食後高血糖と平均血糖変動幅増大」はほとんど無しでとても好ましいです。
なお、耐糖能が正常型の場合は、食後2時間血糖値は何を食べても140mg/dl未満です。
そして、食後1時間血糖値が180mg/dlを超える場合は、
例え正常型でも将来、糖尿病になりやすいので注意が必要です。
江部康二
【13/04/17
to
わたしは、スーパーを始める前は境界型(隠れ糖尿病)でHbA1 5.9(JDS)でした。
今、半年近くのスーパー糖質制限食で直近の採血で
HbA1c 4.8(JDS)(5.1(NGSP))
になっていますが、
先日Freedom Liteを手にれたことがきかけで
一週間ほど前に 昼食に
ちょっと実験してみました。
とんこつラーメン1杯、餃子3個
(おおよそ 糖質 85gか?)
食べて測定してみました。
驚きの変化でした。
食前 81
30分 177
1時間 224
1時30分 228
2時間 230
2時間30分 182
3時間 177
3時間30分 189
4時間 169
4時間30分 144
5時間 124
5時間30分 103
6時間 80
それでやっと血糖値下がったの確認して
家族と今度は居酒屋へ(笑)
ほとんどこの6時間後に次のもの食べました。
芋焼酎水割り一杯
アボガドとエビのサラダ
チーズしそベーコン巻き串1本
砂ずり串2本
豚バラ串2本
ねぎま串2本
それで
その食事中 78
食後30分 84
1時間 90
1時間30分 97
ここで約4km(50分)のウォーキング開始
2時間 67 (ウォーキング途中)
ウォーキング終了
2時間30分 86
3時間 101
そして 翌朝おきて 92
(2時間の 67 は、測定誤差っぽいです)
これを糖質制限の理解のない先生に見せたら
わたしは投薬されますよね?
正常人はこれと同じことをしても140mgを超えないのでしょうか?
ちょっと信じられないんですが。
参考までに投稿しました。】
2023年04月07日 (金)
【23/04/04川鹿
夜間のかゆみは低血糖と関係があるか
はじめてまして。いつも勉強させていただいています。
私はアトピーや精神的なストレスや不安に効くかなと思って自主的に糖質制限を一年半前に始めました。
効能として感じたことは、子供の頃から居眠りをしていて、大人になってからも会議中などでうたた寝してしまうので困っていましたが、糖質制限を始めてからは、日中に眠くなることが随分と減りました。以前は頻繁に間食していたのですが、その癖もなくなりました。おならが減り便が良い固さになりました。
先日HbA1Cをはじめて測ってもらったところ、5.5で、思ったよりも低くないのだなと思いました。普段、穀物と果物は食べませんが、社交的な場面では方針を崩して主食や甘いものを食べることがあります。そのせいかもしれません。
私の場合、食後高血糖とか、機能性低血糖というやつなのかなとかんぐっています。
昔、夜勤をしていた時は低血糖で気を失って倒れたことが何回かありました。
今でもたまにケーキのようなものを外で食べると動悸がして疲れることがあります。
穀物のある食事をした後は食後3-4時間後に眠くなることがあります。
糖質制限するきっかけになったアトピーはやはり今でもよくなく、
夜中にかゆみで目がさめることがよくあり、
血糖値と関係するのかなとネットで調べてみたのですが、よくわかりませんでした。
夜間のかゆみは夜間低血糖とは関係はありますか?
子供の頃から結構な量を使っっているステロイドの塗り薬の量が、
血糖値に影響することも考えられるでしょうか?
ちなみに私は40です。
記事と関係ないコメントですみません。
ブログのネタになりそうでしたら記事にしていただけたら嬉しいです。】
こんにちは。
川鹿さんから、糖質制限食で、機能性低血糖の症状が改善したという
嬉しいコメントを頂きました。
【子供の頃から居眠りをしていて、大人になってからも会議中などでうたた寝してしまうので困っていましたが、糖質制限を始めてからは、日中に眠くなることが随分と減りました。以前は頻繁に間食していたのですが、その癖もなくなりました。おならが減り便が良い固さになりました。】
ご指摘通り、機能性低血糖による眠気が、糖質制限食で改善したのだと思います。
【HbA1Cをはじめて測ってもらったところ、5.5%で、
思ったよりも低くないのだなと思いました。】
HbA1cは、平均血糖値ですから、食後250mg/dlで、
数時間後の空腹時50mg/dlとかの低血糖なら、
平均値であるHbA1cは、一見6%未満で良好に見えますが
これは、血糖変動幅の大きい質の悪いHbA1cです。
質の悪いHbA1cでは、動脈硬化を生じる可能性があります。
一方、川鹿さんの現在のHbA1c5.5%は、
糖質制限食の実践で血糖変動幅の小さい質の良いHbA1cです。
これなら動脈硬化のリスクはないので安心です。
またAGEsの蓄積も最小限ですむので、糖化からくる老化も最小限で済みます。
【今でもたまにケーキのようなものを外で食べると動悸がして疲れることがあります。
穀物のある食事をした後は食後3-4時間後に眠くなることがあります。】
この症状も、機能性低血糖の可能性が高いです。
【夜間のかゆみは夜間低血糖とは関係はありますか?】
これは、私にもよくわかりません。
今まで、機能性低血糖の患者さんを複数診てきましたが
痒みを訴えた人はありませんでした。
【子供の頃から結構な量を使っっているステロイドの塗り薬の量が、
血糖値に影響することも考えられるでしょうか?】
外用薬が血糖値に影響を及ぼすことはまずありません。
またステロイド薬による副作用は血糖値の上昇になり、低血糖ではありません。
機能性低血糖症は、1924年アメリカのSeale Harrisによって指摘された疾患で、
血糖値の低下に伴ない、精神的・身体的症状を来たす疾患です。
易疲労感、気力低下、眠気、集中力低下、物忘れ、不安、いらいら、頭痛、めまい、発汗、震え、心悸亢進、筋肉痛、甘いものに対する異常な欲求、異常な空腹感・・・ などの症状がみられます。
ほとんどの機能性低血糖の背景には、インスリンの過剰分泌及び遷延分泌があります。
やせ型でインスリン抵抗性がなくても、機能性低血糖を生じる人はおられます。
機能性低血糖症は、糖質を摂取して血糖値が上昇して、追加分泌インスリンが基礎分泌インスリンの10倍、20倍、30倍レベル出たときに、早ければ食後2時間、通常は4時間から5時間くらいで発症することが多いです。
はっきりしている場合は、糖質摂取4~5時間後の血糖値が60mg/dl以下になります。
家族歴に2型糖尿病があって、現在は正常型で糖尿病を発症していない人は、インスリン追加分泌が遷延することがあり、機能性低血糖が特に起こりやすいです。
境界型および糖尿病でも、軽症の段階だと、インスリン分泌能力はまだ残っています。
そして、インスリン追加分泌が出遅れて遷延するのが2型糖尿病の特徴なので、
「機能性低血糖+境界型」あるいは「機能性低血糖+糖尿病型」
というパターンは、結構あると思います。
一方、家族歴に2型糖尿病がなくて、現在糖尿病的には全く正常でも、
インスリンが過剰に分泌されるタイプの「機能性低血糖+正常型」もあります。
こちらは若い人に多く、それこそ小学生や中学生でもありえると思います。
当然、高校生や大学生は言うまでもありません。
いずれにせよ
<糖質摂取による血糖値上昇→インスリン過剰分泌・分泌遷延→機能性低血糖>
というパターンです。
従って、精製炭水化物が、最も機能性低血糖を起こしやすいです。
未精製の炭水化物はややましですが、やはり起こす可能性があります。
A)機能性低血糖が原因で生じている症状は、糖質制限食でリアルタイムに改善します。
B)糖質制限食で改善しない症状は、機能性低血糖とは無関係ということです。
A)B)はシンプルですが、重要なことなので、「自分は機能性低血糖かも?」と思っている皆さんは、しっかり覚えておきましょう。
糖質制限食なら、食後高血糖がほとんどなくて、
インスリン追加分泌もごく少量なので機能性低血糖をほとんど生じません。
スーパー糖質制限食なら、インスリン追加分泌は、野菜分の少量の糖質に対応して、
せいぜい2~3倍くらいまでです。
この機能性低血糖症、日本ではあまり認知されていませんが、
きっちり問診してみると、若い人でも結構おられますので注意が必要ですね。
機能性低血糖症の場合、糖質摂取後30分で140mg/dl程度に上昇した血糖値が、
60分後に80mg/dlなったりします。
これだけ血糖の変動幅が大きい(60mg)と、眠気も来そうですね。
さらに4時間~5時間に40~60mg/dlとかまで下がることがあり、
低血糖症状を生じます。
血糖値が40mg~60mg/dlなら明らかな低血糖ですが、
60mg/dl以上あって正常範囲でも、
血糖値が1時間で50mg以上下がると眠気などの症状も出やすいようです。
江部康二
夜間のかゆみは低血糖と関係があるか
はじめてまして。いつも勉強させていただいています。
私はアトピーや精神的なストレスや不安に効くかなと思って自主的に糖質制限を一年半前に始めました。
効能として感じたことは、子供の頃から居眠りをしていて、大人になってからも会議中などでうたた寝してしまうので困っていましたが、糖質制限を始めてからは、日中に眠くなることが随分と減りました。以前は頻繁に間食していたのですが、その癖もなくなりました。おならが減り便が良い固さになりました。
先日HbA1Cをはじめて測ってもらったところ、5.5で、思ったよりも低くないのだなと思いました。普段、穀物と果物は食べませんが、社交的な場面では方針を崩して主食や甘いものを食べることがあります。そのせいかもしれません。
私の場合、食後高血糖とか、機能性低血糖というやつなのかなとかんぐっています。
昔、夜勤をしていた時は低血糖で気を失って倒れたことが何回かありました。
今でもたまにケーキのようなものを外で食べると動悸がして疲れることがあります。
穀物のある食事をした後は食後3-4時間後に眠くなることがあります。
糖質制限するきっかけになったアトピーはやはり今でもよくなく、
夜中にかゆみで目がさめることがよくあり、
血糖値と関係するのかなとネットで調べてみたのですが、よくわかりませんでした。
夜間のかゆみは夜間低血糖とは関係はありますか?
子供の頃から結構な量を使っっているステロイドの塗り薬の量が、
血糖値に影響することも考えられるでしょうか?
ちなみに私は40です。
記事と関係ないコメントですみません。
ブログのネタになりそうでしたら記事にしていただけたら嬉しいです。】
こんにちは。
川鹿さんから、糖質制限食で、機能性低血糖の症状が改善したという
嬉しいコメントを頂きました。
【子供の頃から居眠りをしていて、大人になってからも会議中などでうたた寝してしまうので困っていましたが、糖質制限を始めてからは、日中に眠くなることが随分と減りました。以前は頻繁に間食していたのですが、その癖もなくなりました。おならが減り便が良い固さになりました。】
ご指摘通り、機能性低血糖による眠気が、糖質制限食で改善したのだと思います。
【HbA1Cをはじめて測ってもらったところ、5.5%で、
思ったよりも低くないのだなと思いました。】
HbA1cは、平均血糖値ですから、食後250mg/dlで、
数時間後の空腹時50mg/dlとかの低血糖なら、
平均値であるHbA1cは、一見6%未満で良好に見えますが
これは、血糖変動幅の大きい質の悪いHbA1cです。
質の悪いHbA1cでは、動脈硬化を生じる可能性があります。
一方、川鹿さんの現在のHbA1c5.5%は、
糖質制限食の実践で血糖変動幅の小さい質の良いHbA1cです。
これなら動脈硬化のリスクはないので安心です。
またAGEsの蓄積も最小限ですむので、糖化からくる老化も最小限で済みます。
【今でもたまにケーキのようなものを外で食べると動悸がして疲れることがあります。
穀物のある食事をした後は食後3-4時間後に眠くなることがあります。】
この症状も、機能性低血糖の可能性が高いです。
【夜間のかゆみは夜間低血糖とは関係はありますか?】
これは、私にもよくわかりません。
今まで、機能性低血糖の患者さんを複数診てきましたが
痒みを訴えた人はありませんでした。
【子供の頃から結構な量を使っっているステロイドの塗り薬の量が、
血糖値に影響することも考えられるでしょうか?】
外用薬が血糖値に影響を及ぼすことはまずありません。
またステロイド薬による副作用は血糖値の上昇になり、低血糖ではありません。
機能性低血糖症は、1924年アメリカのSeale Harrisによって指摘された疾患で、
血糖値の低下に伴ない、精神的・身体的症状を来たす疾患です。
易疲労感、気力低下、眠気、集中力低下、物忘れ、不安、いらいら、頭痛、めまい、発汗、震え、心悸亢進、筋肉痛、甘いものに対する異常な欲求、異常な空腹感・・・ などの症状がみられます。
ほとんどの機能性低血糖の背景には、インスリンの過剰分泌及び遷延分泌があります。
やせ型でインスリン抵抗性がなくても、機能性低血糖を生じる人はおられます。
機能性低血糖症は、糖質を摂取して血糖値が上昇して、追加分泌インスリンが基礎分泌インスリンの10倍、20倍、30倍レベル出たときに、早ければ食後2時間、通常は4時間から5時間くらいで発症することが多いです。
はっきりしている場合は、糖質摂取4~5時間後の血糖値が60mg/dl以下になります。
家族歴に2型糖尿病があって、現在は正常型で糖尿病を発症していない人は、インスリン追加分泌が遷延することがあり、機能性低血糖が特に起こりやすいです。
境界型および糖尿病でも、軽症の段階だと、インスリン分泌能力はまだ残っています。
そして、インスリン追加分泌が出遅れて遷延するのが2型糖尿病の特徴なので、
「機能性低血糖+境界型」あるいは「機能性低血糖+糖尿病型」
というパターンは、結構あると思います。
一方、家族歴に2型糖尿病がなくて、現在糖尿病的には全く正常でも、
インスリンが過剰に分泌されるタイプの「機能性低血糖+正常型」もあります。
こちらは若い人に多く、それこそ小学生や中学生でもありえると思います。
当然、高校生や大学生は言うまでもありません。
いずれにせよ
<糖質摂取による血糖値上昇→インスリン過剰分泌・分泌遷延→機能性低血糖>
というパターンです。
従って、精製炭水化物が、最も機能性低血糖を起こしやすいです。
未精製の炭水化物はややましですが、やはり起こす可能性があります。
A)機能性低血糖が原因で生じている症状は、糖質制限食でリアルタイムに改善します。
B)糖質制限食で改善しない症状は、機能性低血糖とは無関係ということです。
A)B)はシンプルですが、重要なことなので、「自分は機能性低血糖かも?」と思っている皆さんは、しっかり覚えておきましょう。
糖質制限食なら、食後高血糖がほとんどなくて、
インスリン追加分泌もごく少量なので機能性低血糖をほとんど生じません。
スーパー糖質制限食なら、インスリン追加分泌は、野菜分の少量の糖質に対応して、
せいぜい2~3倍くらいまでです。
この機能性低血糖症、日本ではあまり認知されていませんが、
きっちり問診してみると、若い人でも結構おられますので注意が必要ですね。
機能性低血糖症の場合、糖質摂取後30分で140mg/dl程度に上昇した血糖値が、
60分後に80mg/dlなったりします。
これだけ血糖の変動幅が大きい(60mg)と、眠気も来そうですね。
さらに4時間~5時間に40~60mg/dlとかまで下がることがあり、
低血糖症状を生じます。
血糖値が40mg~60mg/dlなら明らかな低血糖ですが、
60mg/dl以上あって正常範囲でも、
血糖値が1時間で50mg以上下がると眠気などの症状も出やすいようです。
江部康二
2023年04月06日 (木)
こんにちは。
脂質・蛋白質・炭水化物の消化・吸収時間について検討してみました。
「胃内の停滞時間は、炭水化物→タンパク質→脂質の順に長くなります。」
などとしれっと根拠なしに記載してあるサイトもあるのですが、
これは、間違っていると思います。
GI(グリセミック・インデックス)でみると、確かに、単独で摂取したブドウ糖や白米の 消化・吸収速度は速いです。
しかし、食材として、デンプンを摂取したときの消化・吸収は、場合により、脂質・蛋白質より長くなることがありえます。
<脂質と蛋白質>
食事後の胃内滞留時間は脂質と蛋白質が30分から1時間程度です。
そこから小腸で吸収されて代謝される時間ですが、
蛋白質は胃でほとんどがペプチドというアミノ酸数個の分子に分解されるため吸収速度は一定しています。
脂質も小腸に行く前に、十二指腸で胆汁などにより一連の変化を受けるのでこれも吸収速度が一定しています。
小腸では、15~30分以内に全て吸収されれると思われます。
普通の食物(魚介類や肉類)の脂質と蛋白質は、上記でよいと思います。
なお牛乳から作られるホエイプロテインは1~2時間で消化・吸収されますが、
カゼインプロテインが完全に消化・分解されるまでには7~8時間もかかるとされています。
大豆から作られるソイプロテインも完全に消化・分解されるまでには5~6時間とされています。
<炭水化物>
炭水化物の消化・吸収については
2018年11月18日(日)の本ブログを、以下一部修正して再掲します。
炭水化物の消化・吸収について
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4740.html。
2018年11月18日 (日)
blog95.fc2.com/blog-entry-4740.html
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4740.html
【18/11/17 オスティナート
Re:Re: Re: ???
≪「デンプンは、胃で、45~60分かけていの分泌液と混合され、その糜粥(ビジュク)が胃から十二指腸に移動する。
十二指腸では糜粥(ビジュク)は膵液と混合して、15~30分以内に全て吸収されれる。」
ということですね。≫
についてですが、
ガイトンによりますと、
【時として1時間も継続する】とあります。
「継続」ですので、炭水化物を食べた直後から胃の分泌液と混合され、
糜粥(ビジュク)がその都度、胃から十二指腸に送り込まれ、
小腸では短時間で単糖まで分解され、吸収されるのだと思います。
(食べた全ての食物が胃の分泌液と混合されるまで、
胃から十二指腸に送り込まれないのではない。)
そのためブドウ糖の吸収には遅れますが、炭水化物を食べた場合にも、
直後から血糖値上昇があるのだと思います。
追記
※【時として1時間も継続する】について、、
●「場合によって(食べた食物の量や、食べ合わせ、又状態(製粉や、液状)によって異なる)すべて胃の分泌液と混合されるまでに1時間も継続する。」
と読み替えてみるとわかりやすいかと思います。】
なるほど。
オスティナートさん、ありがとうございます。
おかげさまで、やっと整合性をもって理解できました。
炭水化物の主成分はデンプンです。
①デンプンは、唾液中のα-アミラーゼにより加水分解される。
②食道は、消化吸収の働きはなく、蠕動運動で食物を通過させる。
③胃内でも、胃液と混和しない部分では、消化が進行して約70%が加水分解される。
④大量の胃液(粘液、塩酸、ペプシン)が分泌され、撹拌運動により食物と胃液が混ぜ合わされる。
⑤胃内で混ぜ合わされて糜粥(ビジュク)となり、蠕動運動によりその都度、チビチビ小刻みに十二指腸に移動していく。
⑥胃の内部の糜粥(ビジュク)は、時として1時間くらいかけて継続的に消化されて十二指腸に移送される。すなわち胃には貯留の働きもある。
⑦糜粥(ビジュク)は、小腸(十二指腸・空腸・回腸)で単糖に分解されて吸収される。
胃の消化物(糜粥)の十二指腸への移動は、
基本的にブドウ糖と同じメカニズム(胃の蠕動運動)と思われます。
胃の蠕動運動には、撹拌・粉砕・移送があります。
従って、炭水化物摂取後、
ブドウ糖の吸収速度にはおよびませんが、
あるていど速やかに血糖値が上昇し始めると考えられます。
しかし、胃内に1時間以上、停留している場合もあり、
その時は全て消化・吸収されるには、一定以上の時間がかかるので、
脂質・蛋白質より消化・吸収時間は長くなります。
なお、水分、塩分、アルコールも、ほとんどは小腸で吸収され、
胃では一部しか吸収されません。
脂質・蛋白質・炭水化物の消化・吸収時間について検討してみました。
「胃内の停滞時間は、炭水化物→タンパク質→脂質の順に長くなります。」
などとしれっと根拠なしに記載してあるサイトもあるのですが、
これは、間違っていると思います。
GI(グリセミック・インデックス)でみると、確かに、単独で摂取したブドウ糖や白米の 消化・吸収速度は速いです。
しかし、食材として、デンプンを摂取したときの消化・吸収は、場合により、脂質・蛋白質より長くなることがありえます。
<脂質と蛋白質>
食事後の胃内滞留時間は脂質と蛋白質が30分から1時間程度です。
そこから小腸で吸収されて代謝される時間ですが、
蛋白質は胃でほとんどがペプチドというアミノ酸数個の分子に分解されるため吸収速度は一定しています。
脂質も小腸に行く前に、十二指腸で胆汁などにより一連の変化を受けるのでこれも吸収速度が一定しています。
小腸では、15~30分以内に全て吸収されれると思われます。
普通の食物(魚介類や肉類)の脂質と蛋白質は、上記でよいと思います。
なお牛乳から作られるホエイプロテインは1~2時間で消化・吸収されますが、
カゼインプロテインが完全に消化・分解されるまでには7~8時間もかかるとされています。
大豆から作られるソイプロテインも完全に消化・分解されるまでには5~6時間とされています。
<炭水化物>
炭水化物の消化・吸収については
2018年11月18日(日)の本ブログを、以下一部修正して再掲します。
炭水化物の消化・吸収について
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4740.html。
2018年11月18日 (日)
blog95.fc2.com/blog-entry-4740.html
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4740.html
【18/11/17 オスティナート
Re:Re: Re: ???
≪「デンプンは、胃で、45~60分かけていの分泌液と混合され、その糜粥(ビジュク)が胃から十二指腸に移動する。
十二指腸では糜粥(ビジュク)は膵液と混合して、15~30分以内に全て吸収されれる。」
ということですね。≫
についてですが、
ガイトンによりますと、
【時として1時間も継続する】とあります。
「継続」ですので、炭水化物を食べた直後から胃の分泌液と混合され、
糜粥(ビジュク)がその都度、胃から十二指腸に送り込まれ、
小腸では短時間で単糖まで分解され、吸収されるのだと思います。
(食べた全ての食物が胃の分泌液と混合されるまで、
胃から十二指腸に送り込まれないのではない。)
そのためブドウ糖の吸収には遅れますが、炭水化物を食べた場合にも、
直後から血糖値上昇があるのだと思います。
追記
※【時として1時間も継続する】について、、
●「場合によって(食べた食物の量や、食べ合わせ、又状態(製粉や、液状)によって異なる)すべて胃の分泌液と混合されるまでに1時間も継続する。」
と読み替えてみるとわかりやすいかと思います。】
なるほど。
オスティナートさん、ありがとうございます。
おかげさまで、やっと整合性をもって理解できました。
炭水化物の主成分はデンプンです。
①デンプンは、唾液中のα-アミラーゼにより加水分解される。
②食道は、消化吸収の働きはなく、蠕動運動で食物を通過させる。
③胃内でも、胃液と混和しない部分では、消化が進行して約70%が加水分解される。
④大量の胃液(粘液、塩酸、ペプシン)が分泌され、撹拌運動により食物と胃液が混ぜ合わされる。
⑤胃内で混ぜ合わされて糜粥(ビジュク)となり、蠕動運動によりその都度、チビチビ小刻みに十二指腸に移動していく。
⑥胃の内部の糜粥(ビジュク)は、時として1時間くらいかけて継続的に消化されて十二指腸に移送される。すなわち胃には貯留の働きもある。
⑦糜粥(ビジュク)は、小腸(十二指腸・空腸・回腸)で単糖に分解されて吸収される。
胃の消化物(糜粥)の十二指腸への移動は、
基本的にブドウ糖と同じメカニズム(胃の蠕動運動)と思われます。
胃の蠕動運動には、撹拌・粉砕・移送があります。
従って、炭水化物摂取後、
ブドウ糖の吸収速度にはおよびませんが、
あるていど速やかに血糖値が上昇し始めると考えられます。
しかし、胃内に1時間以上、停留している場合もあり、
その時は全て消化・吸収されるには、一定以上の時間がかかるので、
脂質・蛋白質より消化・吸収時間は長くなります。
なお、水分、塩分、アルコールも、ほとんどは小腸で吸収され、
胃では一部しか吸収されません。
2023年04月04日 (火)
2023年4月5日追加記載です。
自分の頭で考えれば、今回のファイザー社のmRNAワクチンに問題点があることは明白です。
以下、問題点を列記してみます。
①人類初の遺伝子ワクチン
②スパイクタンパクが人体にどのくらいとどまるのか不明。
③スパイクタンパクが抗体産生以外にどのような作用を有すのか不明。
④2021年5月12日時点で、ワクチン接種後死亡者が39人。
その多くが、脳出血、脳血栓、心疾患など心血管疾患で死亡。
報告されていない死亡者もあると思われる。
スパイクタンパクが心血管系に障害を与えて死亡した可能性がある。
⑤長期的安全性は全く担保されていない
⑥新型コロナに感染したときにADE(抗体依存性免疫増強)が生じる可能性がある
⑦僅か、10ヶ月で作られ、過去にない短期間の製造。
⑧2021年、2022年は本来臨床試験の段階
⑨2023年1月時点で、新型コロナワクチン接種後の死亡事例数は約2千件
などのリスクがあります。
これらの情報を把握した上で、
新型コロナワクチンを打ちたい人は打てばいいですし、
接種したくない人は接種しなければ良いと思います。
なお新型コロナワクチンを接種して、IgG抗体は産生できますが、粘膜防御のIgA抗体は産生されません。
従って、感染そのものを防ぐことは、できませんし、流行を予防することも不可能です。
重症化や発症を予防できる可能性はあります。
一方、ワクチン接種した人がコロナに感染して発症しなくても、他人に感染させる可能性はあるので、
注意が必要です。
【日付 名前
23/04/03 中嶋一雄
徳島大学からの論文
A case of fatal multi-organ inflammation following COVID-19 vaccination
14歳の日本人女子がmRNAコロナワクチン3回目接種後2日目に突然死亡
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1344622323000548】
こんにちは。
中嶋一雄先生から、
14歳の日本人女子がmRNAコロナワクチン3回目接種後2日目に突然死亡
という論文をコメント頂きました。
ありがとうございます。
日本法医学会の機関紙、Legal Medicineに載った徳島大学の論文です。
【Legal Medicine
Volume 63, July 2023, 102244
Legal Medicine
Case Report
A case of fatal multi-organ inflammation following COVID-19 vaccination
COVID-19ワクチン接種後に致死的な多臓器炎を呈した1例
Author links open overlay panelHideyuki Nushida a, Asuka Ito a, Hiromitsu Kurata a b, Hitomi Umemoto a c, Itsuo Tokunaga a, Hirofumi Iseki a b, Akiyoshi Nishimura a
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Cite
https://doi.org/10.1016/j.legalmed.2023.102244
Get rights and content
Abstract
要約
A 14-year-old Japanese girl died unexpectedly 2 days after receiving the third dose of the BNT1262b2 mRNA COVID-19 vaccine. Autopsy findings showed congestive edema of the lungs, T-cell lymphocytic and macrophage infiltration in the lungs, pericardium, and myocardium of the left atria and left ventricle, liver, kidneys, stomach, duodenum, bladder, and diaphragm. Since there was no preceding infection, allergy, or drug toxicity exposure, the patient was diagnosed with post-vaccination pneumonia, myopericarditis, hepatitis, nephritis, gastroenteritis, cystitis, and myositis. Although neither type of inflammation is fatal by itself, arrhythmia is reported to be the most common cause of death in patients with atrial myopericarditis. In the present case, arrhythmia of atrial origin was assumed as the cause of cardiac failure and death. In sudden post-vaccination deaths, aggressive autopsy systemic search and histological examination involving extensive sectioning of the heart, including the atrium, are indispensable.
14歳の日本人女児が,
BNT1262b2 mRNA COVID-19ワクチンの3回目の接種後2日目に突然死した.
剖検所見では,肺のうっ血性浮腫,肺,心膜,左心房・左心室の心筋,肝臓,腎臓,胃,十二指腸,膀胱,横隔膜にT細胞リンパ球およびマクロファージ浸潤が認められた.先行して感染症、アレルギー、薬物毒性曝露がなかったため、ワクチン接種後の肺炎、心筋炎、肝炎、腎炎、胃腸炎、膀胱炎、筋炎と診断されました。
いずれの炎症もそれ自体では致死的ではないが、
心房性心筋炎患者では不整脈が最も多い死因となることが報告されている。
本症例では、心房由来の不整脈が心不全と死因として想定された。
ワクチン接種後の突然死では、
積極的な剖検による全身検索と心房を含む心臓の広範な切開を伴う組織学的検査が不可欠である。】
2022年7月26日時点の集計で、
新型コロナウイルス感染症致死率
80歳以上:5.0%
70代:1.6%
60代:0.4%
50代:0.1%
40代:0.0%
30代:0.0%
20代:0.0%
10代:0.0%
10歳未満:0.0%
です。
2022年7月までの累積数では、
高齢層である80歳以上の致死率(感染死亡率)は5.0%、
70代では1.6%となっています。
40代までは、致死率0.0%となっているのと比べると
高齢者では大きな値となっています。
しかし、新型コロナが広がりはじめた2020年4月ごろと比較すると
高齢者の致死率のレベルは大きく縮小したことも事実です。
新型コロナウイルス感染症そのものが、2020年の初期の段階の頃に比べると
2022年には随分弱毒化したと言えます。
2023年時点では、新型コロナウイルス感染症は、
普通の風邪と、ほぼ同様で、危険性は大幅に減っているのです。
このような状況で、
【14歳の日本人女子がmRNAコロナワクチン3回目接種後2日目に突然死亡】
という痛ましいワクチン事故が起こってしまいました。
14歳ですから、新型コロナ感染症による致死率は0%で、
重症化率もほとんどありません。
その元気な14歳が、mRNAコロナワクチン3回目接種後2日目に突然死亡ですから
やりきれないものがあります。
ご家族の無念さを思うと本当につらいです。
2023年1月時点で、新型コロナワクチン接種後の死亡事例数は約2千件あります。
厚生労働省は、ほとんどを因果関係不明としています。
しかし私は
「新型コロナワクチンとの因果関係なしと証明することは極めて困難である」
という表現が正確であると思います。
何度でも言います。
こんなワクチンは必要ありません。
江部康二
自分の頭で考えれば、今回のファイザー社のmRNAワクチンに問題点があることは明白です。
以下、問題点を列記してみます。
①人類初の遺伝子ワクチン
②スパイクタンパクが人体にどのくらいとどまるのか不明。
③スパイクタンパクが抗体産生以外にどのような作用を有すのか不明。
④2021年5月12日時点で、ワクチン接種後死亡者が39人。
その多くが、脳出血、脳血栓、心疾患など心血管疾患で死亡。
報告されていない死亡者もあると思われる。
スパイクタンパクが心血管系に障害を与えて死亡した可能性がある。
⑤長期的安全性は全く担保されていない
⑥新型コロナに感染したときにADE(抗体依存性免疫増強)が生じる可能性がある
⑦僅か、10ヶ月で作られ、過去にない短期間の製造。
⑧2021年、2022年は本来臨床試験の段階
⑨2023年1月時点で、新型コロナワクチン接種後の死亡事例数は約2千件
などのリスクがあります。
これらの情報を把握した上で、
新型コロナワクチンを打ちたい人は打てばいいですし、
接種したくない人は接種しなければ良いと思います。
なお新型コロナワクチンを接種して、IgG抗体は産生できますが、粘膜防御のIgA抗体は産生されません。
従って、感染そのものを防ぐことは、できませんし、流行を予防することも不可能です。
重症化や発症を予防できる可能性はあります。
一方、ワクチン接種した人がコロナに感染して発症しなくても、他人に感染させる可能性はあるので、
注意が必要です。
【日付 名前
23/04/03 中嶋一雄
徳島大学からの論文
A case of fatal multi-organ inflammation following COVID-19 vaccination
14歳の日本人女子がmRNAコロナワクチン3回目接種後2日目に突然死亡
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1344622323000548】
こんにちは。
中嶋一雄先生から、
14歳の日本人女子がmRNAコロナワクチン3回目接種後2日目に突然死亡
という論文をコメント頂きました。
ありがとうございます。
日本法医学会の機関紙、Legal Medicineに載った徳島大学の論文です。
【Legal Medicine
Volume 63, July 2023, 102244
Legal Medicine
Case Report
A case of fatal multi-organ inflammation following COVID-19 vaccination
COVID-19ワクチン接種後に致死的な多臓器炎を呈した1例
Author links open overlay panelHideyuki Nushida a, Asuka Ito a, Hiromitsu Kurata a b, Hitomi Umemoto a c, Itsuo Tokunaga a, Hirofumi Iseki a b, Akiyoshi Nishimura a
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https://doi.org/10.1016/j.legalmed.2023.102244
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Abstract
要約
A 14-year-old Japanese girl died unexpectedly 2 days after receiving the third dose of the BNT1262b2 mRNA COVID-19 vaccine. Autopsy findings showed congestive edema of the lungs, T-cell lymphocytic and macrophage infiltration in the lungs, pericardium, and myocardium of the left atria and left ventricle, liver, kidneys, stomach, duodenum, bladder, and diaphragm. Since there was no preceding infection, allergy, or drug toxicity exposure, the patient was diagnosed with post-vaccination pneumonia, myopericarditis, hepatitis, nephritis, gastroenteritis, cystitis, and myositis. Although neither type of inflammation is fatal by itself, arrhythmia is reported to be the most common cause of death in patients with atrial myopericarditis. In the present case, arrhythmia of atrial origin was assumed as the cause of cardiac failure and death. In sudden post-vaccination deaths, aggressive autopsy systemic search and histological examination involving extensive sectioning of the heart, including the atrium, are indispensable.
14歳の日本人女児が,
BNT1262b2 mRNA COVID-19ワクチンの3回目の接種後2日目に突然死した.
剖検所見では,肺のうっ血性浮腫,肺,心膜,左心房・左心室の心筋,肝臓,腎臓,胃,十二指腸,膀胱,横隔膜にT細胞リンパ球およびマクロファージ浸潤が認められた.先行して感染症、アレルギー、薬物毒性曝露がなかったため、ワクチン接種後の肺炎、心筋炎、肝炎、腎炎、胃腸炎、膀胱炎、筋炎と診断されました。
いずれの炎症もそれ自体では致死的ではないが、
心房性心筋炎患者では不整脈が最も多い死因となることが報告されている。
本症例では、心房由来の不整脈が心不全と死因として想定された。
ワクチン接種後の突然死では、
積極的な剖検による全身検索と心房を含む心臓の広範な切開を伴う組織学的検査が不可欠である。】
2022年7月26日時点の集計で、
新型コロナウイルス感染症致死率
80歳以上:5.0%
70代:1.6%
60代:0.4%
50代:0.1%
40代:0.0%
30代:0.0%
20代:0.0%
10代:0.0%
10歳未満:0.0%
です。
2022年7月までの累積数では、
高齢層である80歳以上の致死率(感染死亡率)は5.0%、
70代では1.6%となっています。
40代までは、致死率0.0%となっているのと比べると
高齢者では大きな値となっています。
しかし、新型コロナが広がりはじめた2020年4月ごろと比較すると
高齢者の致死率のレベルは大きく縮小したことも事実です。
新型コロナウイルス感染症そのものが、2020年の初期の段階の頃に比べると
2022年には随分弱毒化したと言えます。
2023年時点では、新型コロナウイルス感染症は、
普通の風邪と、ほぼ同様で、危険性は大幅に減っているのです。
このような状況で、
【14歳の日本人女子がmRNAコロナワクチン3回目接種後2日目に突然死亡】
という痛ましいワクチン事故が起こってしまいました。
14歳ですから、新型コロナ感染症による致死率は0%で、
重症化率もほとんどありません。
その元気な14歳が、mRNAコロナワクチン3回目接種後2日目に突然死亡ですから
やりきれないものがあります。
ご家族の無念さを思うと本当につらいです。
2023年1月時点で、新型コロナワクチン接種後の死亡事例数は約2千件あります。
厚生労働省は、ほとんどを因果関係不明としています。
しかし私は
「新型コロナワクチンとの因果関係なしと証明することは極めて困難である」
という表現が正確であると思います。
何度でも言います。
こんなワクチンは必要ありません。
江部康二
2023年04月03日 (月)
こんばんは。
2023年4月16日(日)、医療従事者の方を対象にセミナーを開催いたします。
「医療従事者向け糖質制限食セミナー」<東京&オンライン>
2023年4月16日(日)12:30~17:00
参加方法は、東京での会場参加かオンライン参加かを選択していただけます。
第1部は高雄病院の橋本眞由美 管理栄養士による講義です。
第2部は私による講義で、糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論の解説や症例検討などを行います。
第3部は発表・討議で、糖質制限食の指導を行っておられる医師の方々に発表いただき、 ディスカッションを行います。
6名の医師は勿論、高雄病院勤務ではありません。
参加者皆で、活発な討論を行い、実のあるセミナーにしたいと思います。
当日セミナー終了後に、会場参加者でご希望いただく方々との懇親会(食事会)も催すことになりました。
私も3年ぶりの懇親会、歓談が楽しみです。
江部康二
以下、事務局からのお知らせです。
***********
ブログ読者の皆様、いつも弊会のイベントへ多数ご参加いただきましてありがとうございます。
本日は、医療従事者向けセミナーの開催をご案内申し上げます。
2023年4月16日(日)、医療従事者の方を対象にセミナーを開催いたします。
参加方法は、東京での会場参加かオンライン参加かを選択していただけます。
第1部は高雄病院の橋本眞由美 管理栄養士による講義で、高雄病院の糖質制限食と栄養指導について、コロナ禍の影響や患者様の様子なども交えてお話しいたします。
第2部は江部理事長による講義で、糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論の解説や症例検討などを予定しております。
第3部は発表・討議で、糖質制限食の指導を行っておられる医師の方々に発表いただき、 ディスカッションを行います。
医療従事者向けセミナーは、医療機関での糖質制限食指導の普及促進、ブラッシュアップ、発展を目指して2013年より開催しております。
また、2019年3月のセミナーより、臨床で糖質制限を採り入れておられる医療従事者の方々に発表いただき、指導法や症例などの共有、意見交換をしていただく「発表・討議」の時間を設け、参加いただいた方から、大変参考になる、刺激になる等ご好評いただいております。
今回も多様なテーマで6名の医師の方々にエントリーしていただいております。
医療従事者の皆様のご参加を心よりお待ちしております。
*セミナー後懇親会開催のお知らせ
セミナー終了後、会場参加者様でご希望の方を対象に懇親会(食事会)を催します。
セミナーの会場参加をお申し込みいただいた際に、詳細をご案内申し上げます。
*セミナー情報URL:http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity
//////////////ご案内/////////////////
一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会主催
「医療従事者向け糖質制限食セミナー」<東京&オンライン>
■日時:2023年4月16日(日)12:30~17:00頃
■会場:アットビジネスセンター東京駅八重洲通り 604号室
〒104-0032 東京都中央区八丁堀1-9-8 八重洲通ハタビル 6階
https://abc-kaigishitsu.com/tokyo_yaesudori/access.html
■内容:
◇第1部:「糖質制限食による糖尿病指導① ~高雄病院の食事と栄養指導」12:30~
講師: 橋本 眞由美 管理栄養士 / (一財)高雄病院 栄養科
◇第2部:「糖質制限食による糖尿病指導② ~理論と臨床」 13:20頃~
講師: 江部 康二 医師
(一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長
◇第3部: 「発表・討議」 15:05頃~
・「糖質制限治療の実践症例 ~年間のべ1,000名を超える外来指導より見えるもの」
佐藤 信昭 医師 / 茅ヶ崎徳洲会病院(神奈川) 副院長(内科)
・「対話する糖質制限医療 ~糖質制限を指導してはいけない!?」
田頭 秀悟 医師 / たがしゅうオンラインクリニック 院長
・「高LDL-C血症に対する中等度糖質制限食と筋力トレーニングの組み合わせの効果について」
宇佐見 啓治 医師 / うさみ内科(福島) 院長
・「糖質制限と薬理学的糖質制限の失敗から学ぶ糖質中毒~糖質依存症のメカニズム~」
影山 広行 医師 / 株式会社ドクターバンク
・「カンボジアにおける『ほろ酔い低糖質食セミナー&パーティー』の実施」
奥澤 健 医師 / ケンクリニック(カンボジア) 院長
・「糖質制限食の導入の実際 ~フリースタイルリブレプロを用いて」
髙橋 裕彦 医師 / たかはし整形外科医院(香川) 院長
*第3部は、発表10分・討議6分ずつを予定しております。
*第3部の発表者様の中には、オンラインで発表される方もいらっしゃる予定です。
*第1部・第2部の映写資料データ(PDF)は、後日ダウンロードしていただけます。
*当日のセミナー動画は、後日一定期間ご覧いただけます。(セミナー参加予約者様限定)
■参加対象:
医療従事者の方(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、理学療法士、鍼灸師など)
■受講費:
1.会場参加(東京会場へご来場の方)
・医師・歯科医師の方: 賛助会員 6,800円 / 一般(会員以外) 8,500円
・上記以外の医療従事者の方: 賛助会員 4,800円 / 一般(会員以外)6,000円
2.オンライン参加
・医師・歯科医師の方: 賛助会員 7,200円 / 一般(会員以外) 9,000円
・上記以外の医療従事者の方: 賛助会員 5,200円 / 一般(会員以外)6,500円
<オンライン参加についての補足・ご案内>
*Zoomを使用して行います。
・スマートフォンでもご参加可能ですが、パソコンかタブレット端末でご参加いただくと、画面が大きいため、スライド資料を閲覧しやすいです。
・事前に招待URLをお送りし、当日はそのURLにアクセスして、オンライン受講(参加)していただくかたちとなります。
・詳細はご予約後にご案内申し上げます。
・Zoomの挙手機能を使用して、オンライン参加の方も質疑応答や討議で挙手・発言していただる予定です。
■お支払い方法:クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。
※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。
■お申し込みの流れ:
1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込み下さい。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
■お申し込み方法:
★賛助会員の方:
事務局へメールにて、
①会場 or オンライン、どちらでの参加ご希望か
②医療機関でのご職種
をご記入の上、お申し込み下さい。
★賛助会員入会をご希望の方:
1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up
2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
「入会ならびに講演会等出席に関するお問い合せ」をご選択下さい。
「通信」欄には、以下をご記入下さい。
① 「4/16セミナー、会場 or オンライン(←ご希望の参加方法をご記入下さい)参加希望」 とご記入下さい。
② 医療機関でのご職種をご記入下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact
★一般(会員以外)で、セミナーの受講のみご希望の方:
下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-med
■その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは4月14日(金)までに事務局へご連絡願います。それ以降のご返金は対応致しかねますので予めご了承下さい。
2023年4月16日(日)、医療従事者の方を対象にセミナーを開催いたします。
「医療従事者向け糖質制限食セミナー」<東京&オンライン>
2023年4月16日(日)12:30~17:00
参加方法は、東京での会場参加かオンライン参加かを選択していただけます。
第1部は高雄病院の橋本眞由美 管理栄養士による講義です。
第2部は私による講義で、糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論の解説や症例検討などを行います。
第3部は発表・討議で、糖質制限食の指導を行っておられる医師の方々に発表いただき、 ディスカッションを行います。
6名の医師は勿論、高雄病院勤務ではありません。
参加者皆で、活発な討論を行い、実のあるセミナーにしたいと思います。
当日セミナー終了後に、会場参加者でご希望いただく方々との懇親会(食事会)も催すことになりました。
私も3年ぶりの懇親会、歓談が楽しみです。
江部康二
以下、事務局からのお知らせです。
***********
ブログ読者の皆様、いつも弊会のイベントへ多数ご参加いただきましてありがとうございます。
本日は、医療従事者向けセミナーの開催をご案内申し上げます。
2023年4月16日(日)、医療従事者の方を対象にセミナーを開催いたします。
参加方法は、東京での会場参加かオンライン参加かを選択していただけます。
第1部は高雄病院の橋本眞由美 管理栄養士による講義で、高雄病院の糖質制限食と栄養指導について、コロナ禍の影響や患者様の様子なども交えてお話しいたします。
第2部は江部理事長による講義で、糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論の解説や症例検討などを予定しております。
第3部は発表・討議で、糖質制限食の指導を行っておられる医師の方々に発表いただき、 ディスカッションを行います。
医療従事者向けセミナーは、医療機関での糖質制限食指導の普及促進、ブラッシュアップ、発展を目指して2013年より開催しております。
また、2019年3月のセミナーより、臨床で糖質制限を採り入れておられる医療従事者の方々に発表いただき、指導法や症例などの共有、意見交換をしていただく「発表・討議」の時間を設け、参加いただいた方から、大変参考になる、刺激になる等ご好評いただいております。
今回も多様なテーマで6名の医師の方々にエントリーしていただいております。
医療従事者の皆様のご参加を心よりお待ちしております。
*セミナー後懇親会開催のお知らせ
セミナー終了後、会場参加者様でご希望の方を対象に懇親会(食事会)を催します。
セミナーの会場参加をお申し込みいただいた際に、詳細をご案内申し上げます。
*セミナー情報URL:http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity
//////////////ご案内/////////////////
一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会主催
「医療従事者向け糖質制限食セミナー」<東京&オンライン>
■日時:2023年4月16日(日)12:30~17:00頃
■会場:アットビジネスセンター東京駅八重洲通り 604号室
〒104-0032 東京都中央区八丁堀1-9-8 八重洲通ハタビル 6階
https://abc-kaigishitsu.com/tokyo_yaesudori/access.html
■内容:
◇第1部:「糖質制限食による糖尿病指導① ~高雄病院の食事と栄養指導」12:30~
講師: 橋本 眞由美 管理栄養士 / (一財)高雄病院 栄養科
◇第2部:「糖質制限食による糖尿病指導② ~理論と臨床」 13:20頃~
講師: 江部 康二 医師
(一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長
◇第3部: 「発表・討議」 15:05頃~
・「糖質制限治療の実践症例 ~年間のべ1,000名を超える外来指導より見えるもの」
佐藤 信昭 医師 / 茅ヶ崎徳洲会病院(神奈川) 副院長(内科)
・「対話する糖質制限医療 ~糖質制限を指導してはいけない!?」
田頭 秀悟 医師 / たがしゅうオンラインクリニック 院長
・「高LDL-C血症に対する中等度糖質制限食と筋力トレーニングの組み合わせの効果について」
宇佐見 啓治 医師 / うさみ内科(福島) 院長
・「糖質制限と薬理学的糖質制限の失敗から学ぶ糖質中毒~糖質依存症のメカニズム~」
影山 広行 医師 / 株式会社ドクターバンク
・「カンボジアにおける『ほろ酔い低糖質食セミナー&パーティー』の実施」
奥澤 健 医師 / ケンクリニック(カンボジア) 院長
・「糖質制限食の導入の実際 ~フリースタイルリブレプロを用いて」
髙橋 裕彦 医師 / たかはし整形外科医院(香川) 院長
*第3部は、発表10分・討議6分ずつを予定しております。
*第3部の発表者様の中には、オンラインで発表される方もいらっしゃる予定です。
*第1部・第2部の映写資料データ(PDF)は、後日ダウンロードしていただけます。
*当日のセミナー動画は、後日一定期間ご覧いただけます。(セミナー参加予約者様限定)
■参加対象:
医療従事者の方(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、理学療法士、鍼灸師など)
■受講費:
1.会場参加(東京会場へご来場の方)
・医師・歯科医師の方: 賛助会員 6,800円 / 一般(会員以外) 8,500円
・上記以外の医療従事者の方: 賛助会員 4,800円 / 一般(会員以外)6,000円
2.オンライン参加
・医師・歯科医師の方: 賛助会員 7,200円 / 一般(会員以外) 9,000円
・上記以外の医療従事者の方: 賛助会員 5,200円 / 一般(会員以外)6,500円
<オンライン参加についての補足・ご案内>
*Zoomを使用して行います。
・スマートフォンでもご参加可能ですが、パソコンかタブレット端末でご参加いただくと、画面が大きいため、スライド資料を閲覧しやすいです。
・事前に招待URLをお送りし、当日はそのURLにアクセスして、オンライン受講(参加)していただくかたちとなります。
・詳細はご予約後にご案内申し上げます。
・Zoomの挙手機能を使用して、オンライン参加の方も質疑応答や討議で挙手・発言していただる予定です。
■お支払い方法:クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。
※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。
■お申し込みの流れ:
1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込み下さい。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
■お申し込み方法:
★賛助会員の方:
事務局へメールにて、
①会場 or オンライン、どちらでの参加ご希望か
②医療機関でのご職種
をご記入の上、お申し込み下さい。
★賛助会員入会をご希望の方:
1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up
2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
「入会ならびに講演会等出席に関するお問い合せ」をご選択下さい。
「通信」欄には、以下をご記入下さい。
① 「4/16セミナー、会場 or オンライン(←ご希望の参加方法をご記入下さい)参加希望」 とご記入下さい。
② 医療機関でのご職種をご記入下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact
★一般(会員以外)で、セミナーの受講のみご希望の方:
下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-med
■その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは4月14日(金)までに事務局へご連絡願います。それ以降のご返金は対応致しかねますので予めご了承下さい。
2023年04月02日 (日)
こんばんは。
今回は、人類の大好きな甘みについて考察してみました。
最近は糖質制限食OKのスイ-ツ(エリスリトールなど使用)が普通に販売されていて、
糖質セイゲニストにとってとても幸せな時代となっていて、私としてもうれしい限りです。
食品メーカーさんがビジネスチャンスとしてとらえてはりきってくれていて、ありがたいことです。
糖尿病の患者さんでも、メタボリックシンドロームの患者さんでも、
そしてアトピー性皮膚炎の患者さんでも、老若男女を問わず、
甘党はかなりの割合でおられるでしょう。
かく言う私も、決して甘党ではないつもりで、日ごろ家人に「甘いものなんか要らないもんね」などと言ってはいるのですが、
酔っぱらって帰宅した翌朝には、テーブルの上のチョコレートがきれいさっぱり無くなっていたりしますので(記憶にはないのですが……)、大きなことは言えません。
最近は血糖を上げないエリスリトールやステビアを使用したチョコレートもあるので大丈夫なのです。
一方で「糖類ゼロ」というキャッチコピーの場合は
ほぼマルチトールという血糖を砂糖の半分くらい上げる甘味料がたっぷり含まれているので見極めが重要です。
そういうわけで、今回はさまざまな甘みのもとについて検討してみます。
人類史上初の甘味料 蜂蜜
紀元前6000年頃に描かれた、スペイン・アラーニャ洞窟の壁画には、蜂蜜を採集する人の姿が残っています。
この絵が示すように、人類が初めて口にした甘味は、天然の蜂蜜と言われています。
ちなみに蜂蜜に含まれる糖質は、果糖(約40%)、ブドウ糖(約35%)、ショ糖(スクロース、数%)です。
蜂が集めてきた花の蜜は主にショ糖なのですが、
働き蜂の唾液腺から分泌される転化酵素の働きによってブドウ糖及び果糖へと変化し、
同時に水分が約20%にまで濃縮されます。
果糖は血糖値をほとんど上げない糖質なのですが、
中性脂肪に変わりやすい性質があるため、蜂蜜は太りやすい甘味料です。
一方で、ビタミンやミネラルの含有量が多く、
その中には18種を超える有機酸が含まれていてpH値は3.2~4.9、つまり酸性を示します。
しかし蜂蜜はカルシウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウムなどの体内に吸収されるとアルカリ性を示すミネラルが豊富なので、
アルカリ性食品に分類されます。
ちなみに酸性を示すミネラルは、塩素、リン、硫黄などです。
インドから世界に広がった砂糖
蜂蜜以外の甘味料として、サトウキビ(甘藷<カンショ>)の搾り汁を煮詰めて精製した結晶、
いわゆる「白砂糖」を作り出すのに成功したのは、紀元前のインド人です。
インドの砂糖は、アレクサンダー大王(紀元前356年~同323年)の東征により、
西方、現在の中東から欧州へと伝わりましたが、庶民には高嶺の花、かなりの貴重品でした。
ですから長らく西洋でも日常の甘味料としては蜂蜜が唯一のものでした。
中国では玄奘(三蔵法師)のインド行きがきっかけで、製糖法が伝わり、
7世紀以降に砂糖生産が始まったとされています。
砂糖が日本に伝わったのは、奈良時代後期に鑑真が唐から渡来した折と言われています。
欧州、中国、日本いずれでも砂糖はずっと貴重品で、たしなむことができるのは貴族だけでした。
奴隷制と切り離せない砂糖大量生産の歴史
17世紀後半以降、砂糖は多量にかつ安価に生産できるようになります。
同時に、庶民にも解禁され、英国では紅茶にたっぷりの砂糖を入れることが一般的となりました。
世界に広がったその風習が、砂糖の過剰摂取につながり、
英国のみならず世界中の肥満や糖尿病の元凶であると問題になっています。
余談になりますが、砂糖の大量生産の歴史は、
カリブ海の西インド諸島に築かれた欧州各国の植民地で行われたサトウキビ栽培に端を発します。
欧州の白人が、西インド諸島に住んでいた人たちを奴隷として過酷な労働を強いた結果、現地の人口が激減します。
するとアフリカから黒人を奴隷として連れてきて働かせる、ということを行いました。
サトウキビ栽培の歴史は、奴隷制度の歴史そのものと言っても過言ではないようです。
時がたち、徐々に奴隷制度廃止へと歴史が動きますが、
この辺の話題は「砂糖の歴史」(エリザベス・アボット著、樋口幸子訳、河出書房新社)という本に詳しく書かれていますので、
興味のある人にはお薦めです。
マニアックな大著ですので読むのに骨がおれますが……。
砂糖だけではないショ糖を含む食品
そういう悲惨な歴史を経て、庶民の口にも入るようになった砂糖ですが、
その主成分はショ糖で、ブドウ糖と果糖が結合したものです。
サトウキビのほか、サトウダイコン(甜菜<テンサイ>)からも作られます。
砂糖の中でもショ糖の純度の高いものがグラニュー糖(99.95%)や氷砂糖(99.98%)です。
家庭で最もポピュラーな上白糖は、独特のしっとりした感じを持たせるために、
ショ糖の結晶に濃厚な転化糖液(ビスコ)を少量ふりかけたもので、純度は97.8%です。
「転化糖」とは、ショ糖を加水分解してできたブドウ糖と果糖の混合物で、ショ糖より甘みが強いものです。
意外かもしれませんが、ショ糖は大豆、大根、白菜、ネギ、ホウレンソウなどの野菜や、
アーモンド、ピーナツなどのナッツ類にも少量含まれています。
植物が持つ天然のエネルギー源として、存在しているのでしょう。
料理をする人の間では、「ショ糖含有率が高い大豆がおいしい」と言われており、
その一例が夏に枝豆として食べられる品種です。
中にはショ糖を100gあたり4.3gも含む品種もあります。
この時点で糖質量としては本醸造の清酒と同じくらいです。
もちろんかなり甘くておいしいと思いますが、
ショ糖に加えて、でんぷんや麦芽糖も含まれているので糖質制限をしている人には要注意の食材です。
糖質はみな同じ砂糖だけが悪者ではない、
米国では著述家、ウイリアム・ダフティが1975年「Sugar Blues(シュガー・ブルース)」(邦訳は「砂糖病(シュガー・ブルース)甘い麻薬の正体」)を著して、砂糖の毒性、危険性を説きました。
以来、砂糖はことあるごとに悪者扱いされて、
糖尿病はもちろんさまざまな病気の元凶と言われてきましたが、
私はあくまでもトータルの糖質摂取量が問題だと考えています。
結局、糖質であればもとが米でも麦でも砂糖でも、
血糖値を上昇させ、血糖変動幅を増大させ、代謝が乱れ、心理的にも不安定になるのです。
さまざまなミネラルを含み、栄養価が高い蜂蜜でも、
ほぼ純粋なショ糖であるグラニュー糖でも、その事実には差はありません。
繰り返し強調しますが、砂糖だけが悪者ではなくて、砂糖を含めて糖質の頻回・過剰摂取が、
様々なさ生活習慣病の元凶であると、私は考えています。
江部康二
今回は、人類の大好きな甘みについて考察してみました。
最近は糖質制限食OKのスイ-ツ(エリスリトールなど使用)が普通に販売されていて、
糖質セイゲニストにとってとても幸せな時代となっていて、私としてもうれしい限りです。
食品メーカーさんがビジネスチャンスとしてとらえてはりきってくれていて、ありがたいことです。
糖尿病の患者さんでも、メタボリックシンドロームの患者さんでも、
そしてアトピー性皮膚炎の患者さんでも、老若男女を問わず、
甘党はかなりの割合でおられるでしょう。
かく言う私も、決して甘党ではないつもりで、日ごろ家人に「甘いものなんか要らないもんね」などと言ってはいるのですが、
酔っぱらって帰宅した翌朝には、テーブルの上のチョコレートがきれいさっぱり無くなっていたりしますので(記憶にはないのですが……)、大きなことは言えません。
最近は血糖を上げないエリスリトールやステビアを使用したチョコレートもあるので大丈夫なのです。
一方で「糖類ゼロ」というキャッチコピーの場合は
ほぼマルチトールという血糖を砂糖の半分くらい上げる甘味料がたっぷり含まれているので見極めが重要です。
そういうわけで、今回はさまざまな甘みのもとについて検討してみます。
人類史上初の甘味料 蜂蜜
紀元前6000年頃に描かれた、スペイン・アラーニャ洞窟の壁画には、蜂蜜を採集する人の姿が残っています。
この絵が示すように、人類が初めて口にした甘味は、天然の蜂蜜と言われています。
ちなみに蜂蜜に含まれる糖質は、果糖(約40%)、ブドウ糖(約35%)、ショ糖(スクロース、数%)です。
蜂が集めてきた花の蜜は主にショ糖なのですが、
働き蜂の唾液腺から分泌される転化酵素の働きによってブドウ糖及び果糖へと変化し、
同時に水分が約20%にまで濃縮されます。
果糖は血糖値をほとんど上げない糖質なのですが、
中性脂肪に変わりやすい性質があるため、蜂蜜は太りやすい甘味料です。
一方で、ビタミンやミネラルの含有量が多く、
その中には18種を超える有機酸が含まれていてpH値は3.2~4.9、つまり酸性を示します。
しかし蜂蜜はカルシウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウムなどの体内に吸収されるとアルカリ性を示すミネラルが豊富なので、
アルカリ性食品に分類されます。
ちなみに酸性を示すミネラルは、塩素、リン、硫黄などです。
インドから世界に広がった砂糖
蜂蜜以外の甘味料として、サトウキビ(甘藷<カンショ>)の搾り汁を煮詰めて精製した結晶、
いわゆる「白砂糖」を作り出すのに成功したのは、紀元前のインド人です。
インドの砂糖は、アレクサンダー大王(紀元前356年~同323年)の東征により、
西方、現在の中東から欧州へと伝わりましたが、庶民には高嶺の花、かなりの貴重品でした。
ですから長らく西洋でも日常の甘味料としては蜂蜜が唯一のものでした。
中国では玄奘(三蔵法師)のインド行きがきっかけで、製糖法が伝わり、
7世紀以降に砂糖生産が始まったとされています。
砂糖が日本に伝わったのは、奈良時代後期に鑑真が唐から渡来した折と言われています。
欧州、中国、日本いずれでも砂糖はずっと貴重品で、たしなむことができるのは貴族だけでした。
奴隷制と切り離せない砂糖大量生産の歴史
17世紀後半以降、砂糖は多量にかつ安価に生産できるようになります。
同時に、庶民にも解禁され、英国では紅茶にたっぷりの砂糖を入れることが一般的となりました。
世界に広がったその風習が、砂糖の過剰摂取につながり、
英国のみならず世界中の肥満や糖尿病の元凶であると問題になっています。
余談になりますが、砂糖の大量生産の歴史は、
カリブ海の西インド諸島に築かれた欧州各国の植民地で行われたサトウキビ栽培に端を発します。
欧州の白人が、西インド諸島に住んでいた人たちを奴隷として過酷な労働を強いた結果、現地の人口が激減します。
するとアフリカから黒人を奴隷として連れてきて働かせる、ということを行いました。
サトウキビ栽培の歴史は、奴隷制度の歴史そのものと言っても過言ではないようです。
時がたち、徐々に奴隷制度廃止へと歴史が動きますが、
この辺の話題は「砂糖の歴史」(エリザベス・アボット著、樋口幸子訳、河出書房新社)という本に詳しく書かれていますので、
興味のある人にはお薦めです。
マニアックな大著ですので読むのに骨がおれますが……。
砂糖だけではないショ糖を含む食品
そういう悲惨な歴史を経て、庶民の口にも入るようになった砂糖ですが、
その主成分はショ糖で、ブドウ糖と果糖が結合したものです。
サトウキビのほか、サトウダイコン(甜菜<テンサイ>)からも作られます。
砂糖の中でもショ糖の純度の高いものがグラニュー糖(99.95%)や氷砂糖(99.98%)です。
家庭で最もポピュラーな上白糖は、独特のしっとりした感じを持たせるために、
ショ糖の結晶に濃厚な転化糖液(ビスコ)を少量ふりかけたもので、純度は97.8%です。
「転化糖」とは、ショ糖を加水分解してできたブドウ糖と果糖の混合物で、ショ糖より甘みが強いものです。
意外かもしれませんが、ショ糖は大豆、大根、白菜、ネギ、ホウレンソウなどの野菜や、
アーモンド、ピーナツなどのナッツ類にも少量含まれています。
植物が持つ天然のエネルギー源として、存在しているのでしょう。
料理をする人の間では、「ショ糖含有率が高い大豆がおいしい」と言われており、
その一例が夏に枝豆として食べられる品種です。
中にはショ糖を100gあたり4.3gも含む品種もあります。
この時点で糖質量としては本醸造の清酒と同じくらいです。
もちろんかなり甘くておいしいと思いますが、
ショ糖に加えて、でんぷんや麦芽糖も含まれているので糖質制限をしている人には要注意の食材です。
糖質はみな同じ砂糖だけが悪者ではない、
米国では著述家、ウイリアム・ダフティが1975年「Sugar Blues(シュガー・ブルース)」(邦訳は「砂糖病(シュガー・ブルース)甘い麻薬の正体」)を著して、砂糖の毒性、危険性を説きました。
以来、砂糖はことあるごとに悪者扱いされて、
糖尿病はもちろんさまざまな病気の元凶と言われてきましたが、
私はあくまでもトータルの糖質摂取量が問題だと考えています。
結局、糖質であればもとが米でも麦でも砂糖でも、
血糖値を上昇させ、血糖変動幅を増大させ、代謝が乱れ、心理的にも不安定になるのです。
さまざまなミネラルを含み、栄養価が高い蜂蜜でも、
ほぼ純粋なショ糖であるグラニュー糖でも、その事実には差はありません。
繰り返し強調しますが、砂糖だけが悪者ではなくて、砂糖を含めて糖質の頻回・過剰摂取が、
様々なさ生活習慣病の元凶であると、私は考えています。
江部康二
2023年04月01日 (土)
【23/04/01猫
AGEsについておはようございます。
先生、私の地方紙、徳島新聞にAGEsに関する記事がありました。
確か、愛媛の先生のお話ですが、やはりピントが外れておりました。
基本は食事順と焦げの食べ物、脂質などでした。
ただ、パトロンに対する忖度があるのかもしれません。
何せ、糖尿病日本トップランキングの県ですからね。
とある分野では金のなる木なのは間違いありません(笑)
しかし、AGEsの言葉を新聞で見たのは初めてだったように思います。】
こんにちは。
猫さんから、AGEsについて、コメント・質問を頂きました。
徳島新聞では、初めてですか。
朝日、毎日、読売新聞とかでは、近年、ときどき、AGEsの
話題が載ることがあるように、思います。
今回は、「高血糖の記憶」について、考えてみます。
「高血糖の記憶」そのものは、消えないので対処しようがないようにも思えますが、
糖尿人においては、前もって、頸動脈エコーや心臓のエコー検査などをしておくことは大切です。
例えば、高血糖の記憶により冠動脈狭窄などがあった場合、
検査で発見されれば、心筋梗塞を起こす前にステントを入れて予防することが可能です。
<高血糖の記憶>
糖尿病血管合併症のメカニズムを特徴的に説明する、
高血糖の記憶(hyperglycemic memory)と呼ばれる概念があります。
「高血糖の記憶」とは、過去の高血糖レベルとその曝露期間が生体に記憶され、
その後の血管合併症の進展を左右するという考え方です。
ヒトの糖尿病において、この「高血糖の記憶」の存在を示すエビデンス(証拠)として、
米国の1型糖尿病患者の大規模臨床研究・DCCTの
フォローアップ試験であるEDIC-DCCTの報告があります。
DCCTでは、1型糖尿病患者を従来の通常療法群と、
より厳格に血糖管理を行う強化療法群に分け、平均6.5年間追跡しました。
その結果、通常療法群に比べ強化療法群で平均HbA1c値が1.9%低下
し、強化療法群で血管合併症の進展リスクが大幅に減少しました。(*)
同研究終了後に行われたEDIC-DCCTでは、通常療法群にも強化療法を実施し、
両群をさらに平均11年間追跡しました。
つまり「継続的な強化療法群」と「通常療法→強化療法群」の2つのグループの比較が、
DCCT終了後11年間行われたことになりますね。
その結果、開始から3~4年で両群の平均HbA1c値がほぼ同等となったにも関わらず、
11年間の心筋梗塞、脳卒中、心血管死のリスクは
「継続的な強化療法群」の方が
やはり低かった(相対リスク57%低下)ことが報告されたのです。(**)
すなわち、糖尿人において一定期間血糖コントロールが不良であれば、
高血糖の記憶が「借金」のように生体内に残り、
その後良好なコントロールが得られても、
血管合併症リスクの差は縮まらないことが示されたわけです。
この借金の正体が、組織沈着「AGEs」(***)ではないかと考えられています。
組織に沈着したAGEsが血管を傷害し続け、
動脈硬化の元凶となり「高血糖の記憶」を最もよく説明します。
高血糖の記憶・借金を残さないためには、
糖尿病発症の初期の段階から血糖コントロールを保つことが大切です。
当然、早ければ早いほどいいわけです。
体内で蓄積されるAGEsの量について考察してみると、
「AGEsの蓄積量=血糖値の高さ×持続期間」で予測できます。
糖尿人の皆さん、カロリー制限食(高糖質食)では必ず、
食後高血糖が生じAGEsも蓄積していき、将来に借金を残します。
是非、糖質制限食で速やかな血糖コントロールを目指して下さいね。
「高血糖の記憶」が存在すれば、例え糖質制限食で血糖コントロール良好になっても、
半年後や1年後や2年後に、過去の借金の動脈硬化のために、
狭心症や心筋梗塞など糖尿病合併症をおこしえるということです。
(*)N Engl J Med 1993; 329: 977-986
(**)N Engl J Med 2005; 353: 2643-2653
(***)AGEs
ブドウ糖や果糖は生体内で蛋白質にへばり付く性質を持っています。
血糖は、糖化反応により血管壁のコラーゲンなど様々なタンパク質に付着します。
糖とタンパク質の結合物は変性してアマドリ化合物となります。
ここまでが糖化反応系の初期段階で、HbA1cやグリコアルブミンも
このアマドリ化合物の一種です。
この段階だとまだ分解・代謝が可能です。
このアマドリ化合物は糖化反応の後期段階になると、さらに変性してAGEsとなります。
Advanced Glycation End-productsの頭文字をとってAGEsと呼ばれます。
日本語では終末糖化産物と訳されています。
AGEsは分解・代謝は困難であり、消えない借金となります。
AGEsは、糖尿病合併症を引き起こす、重大な原因の1つです。
江部康二
AGEsについておはようございます。
先生、私の地方紙、徳島新聞にAGEsに関する記事がありました。
確か、愛媛の先生のお話ですが、やはりピントが外れておりました。
基本は食事順と焦げの食べ物、脂質などでした。
ただ、パトロンに対する忖度があるのかもしれません。
何せ、糖尿病日本トップランキングの県ですからね。
とある分野では金のなる木なのは間違いありません(笑)
しかし、AGEsの言葉を新聞で見たのは初めてだったように思います。】
こんにちは。
猫さんから、AGEsについて、コメント・質問を頂きました。
徳島新聞では、初めてですか。
朝日、毎日、読売新聞とかでは、近年、ときどき、AGEsの
話題が載ることがあるように、思います。
今回は、「高血糖の記憶」について、考えてみます。
「高血糖の記憶」そのものは、消えないので対処しようがないようにも思えますが、
糖尿人においては、前もって、頸動脈エコーや心臓のエコー検査などをしておくことは大切です。
例えば、高血糖の記憶により冠動脈狭窄などがあった場合、
検査で発見されれば、心筋梗塞を起こす前にステントを入れて予防することが可能です。
<高血糖の記憶>
糖尿病血管合併症のメカニズムを特徴的に説明する、
高血糖の記憶(hyperglycemic memory)と呼ばれる概念があります。
「高血糖の記憶」とは、過去の高血糖レベルとその曝露期間が生体に記憶され、
その後の血管合併症の進展を左右するという考え方です。
ヒトの糖尿病において、この「高血糖の記憶」の存在を示すエビデンス(証拠)として、
米国の1型糖尿病患者の大規模臨床研究・DCCTの
フォローアップ試験であるEDIC-DCCTの報告があります。
DCCTでは、1型糖尿病患者を従来の通常療法群と、
より厳格に血糖管理を行う強化療法群に分け、平均6.5年間追跡しました。
その結果、通常療法群に比べ強化療法群で平均HbA1c値が1.9%低下
し、強化療法群で血管合併症の進展リスクが大幅に減少しました。(*)
同研究終了後に行われたEDIC-DCCTでは、通常療法群にも強化療法を実施し、
両群をさらに平均11年間追跡しました。
つまり「継続的な強化療法群」と「通常療法→強化療法群」の2つのグループの比較が、
DCCT終了後11年間行われたことになりますね。
その結果、開始から3~4年で両群の平均HbA1c値がほぼ同等となったにも関わらず、
11年間の心筋梗塞、脳卒中、心血管死のリスクは
「継続的な強化療法群」の方が
やはり低かった(相対リスク57%低下)ことが報告されたのです。(**)
すなわち、糖尿人において一定期間血糖コントロールが不良であれば、
高血糖の記憶が「借金」のように生体内に残り、
その後良好なコントロールが得られても、
血管合併症リスクの差は縮まらないことが示されたわけです。
この借金の正体が、組織沈着「AGEs」(***)ではないかと考えられています。
組織に沈着したAGEsが血管を傷害し続け、
動脈硬化の元凶となり「高血糖の記憶」を最もよく説明します。
高血糖の記憶・借金を残さないためには、
糖尿病発症の初期の段階から血糖コントロールを保つことが大切です。
当然、早ければ早いほどいいわけです。
体内で蓄積されるAGEsの量について考察してみると、
「AGEsの蓄積量=血糖値の高さ×持続期間」で予測できます。
糖尿人の皆さん、カロリー制限食(高糖質食)では必ず、
食後高血糖が生じAGEsも蓄積していき、将来に借金を残します。
是非、糖質制限食で速やかな血糖コントロールを目指して下さいね。
「高血糖の記憶」が存在すれば、例え糖質制限食で血糖コントロール良好になっても、
半年後や1年後や2年後に、過去の借金の動脈硬化のために、
狭心症や心筋梗塞など糖尿病合併症をおこしえるということです。
(*)N Engl J Med 1993; 329: 977-986
(**)N Engl J Med 2005; 353: 2643-2653
(***)AGEs
ブドウ糖や果糖は生体内で蛋白質にへばり付く性質を持っています。
血糖は、糖化反応により血管壁のコラーゲンなど様々なタンパク質に付着します。
糖とタンパク質の結合物は変性してアマドリ化合物となります。
ここまでが糖化反応系の初期段階で、HbA1cやグリコアルブミンも
このアマドリ化合物の一種です。
この段階だとまだ分解・代謝が可能です。
このアマドリ化合物は糖化反応の後期段階になると、さらに変性してAGEsとなります。
Advanced Glycation End-productsの頭文字をとってAGEsと呼ばれます。
日本語では終末糖化産物と訳されています。
AGEsは分解・代謝は困難であり、消えない借金となります。
AGEsは、糖尿病合併症を引き起こす、重大な原因の1つです。
江部康二
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