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人体の細胞のエネルギー源、赤血球、脳、肝臓、小腸、大腸は特殊②
こんにちは。
今回の記事は、2023/3/29(水)のブログ記事
人体の細胞のエネルギー源、赤血球、脳、肝臓、小腸、大腸は特殊。
2023年03月29日 (水)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-6242.html

の続きです。

前回は赤血球と脳の話をしたので、
今回は、肝臓、小腸、大腸のエネルギー源の解説です。

ケトン体の工場・肝臓はケトン体を使わない
 前項に出た「肝外組織」という言葉は、臓器を「肝臓とそれ以外」に分ける考え方に基づきます。
つまり、それくらい肝臓はさまざまな面で特殊な機能を持っているということです。

 肝臓には実に多彩な機能がありますが、その一つが
「ケトン体という極めて効率のいいエネルギー源を作り出し、体中に供給すること」です。
肝臓は脂肪酸からケトン体を産生しますが、
そのケトン体を自分では利用せずに他の組織、臓器に供給し、
肝臓自体は脂肪酸とブドウ糖だけを使います。
つまり肝臓はケトン体を作る工場ですが、ケトン体をエネルギー源として使うことはできません。
作ったケトン体を自分で消費しないよう、そのための酵素が欠損しているのです。

食料から得たエネルギーはほかの臓器へ、小腸
 小腸の細胞のエネルギー源もほかにない特徴があります。
ケトン体は全体の15~20%、ブドウ糖は5~7%で、50~60%はグルタミン(注1)が占めています(その他、グルタミン酸、アスパラギン酸も小腸細胞のエネルギー源になります)。

グルタミンはアミノ酸の一種です。
アミノ酸といえば、生物の体を作る主要な成分、たんぱく質を構成する物質ですが、
結合してたんぱく質とならず、アミノ酸単独の状態で体内に存在するものを「遊離アミノ酸」といい、
グルタミンは血液中に最も多く含まれている遊離アミノ酸です。
体内でも合成されますが、豚肉、鶏肉、カツオ、サケ、チーズ、アーモンド、エビなどさまざまな食材に含まれています。

 小腸が他の臓器と異なり、グルタミンを主要なエネルギー源としているのは、
食材を分解して得られた脂肪酸やブドウ糖は他の臓器に回し
自らはグルタミンを使うことに適合したのでしょう。

小腸という門番は、自身はグルタミンを利用して
一般的なエネルギー源である脂肪酸やブドウ糖は人体の他の組織や臓器に供給しているわけです。

短鎖脂肪酸のみを使う大腸
 あまり知られていませんが、大腸の細胞のエネルギー源は短鎖脂肪酸のみです(注1)
ケトン体のうち、βヒドロキシ酪酸とアセト酢酸も短鎖脂肪酸の一種です。
ケトン体は主に肝臓で作られますが、広く短鎖脂肪酸というくくりで言うと、
食品から取った食物繊維を大腸の腸内細菌が分解して作る酪酸、酢酸、プロピオン酸なども、
短鎖脂肪酸に含まれます。
短鎖脂肪酸そのものを含む食材は、酢かバターくらいしかありません。
従って、ヒトは摂取した食物繊維から、酪酸菌、ビフィズス菌などの腸内細菌の力を借りて、
酪酸や酢酸、プロピオン酸などの短鎖脂肪酸を作り、これを大腸のエネルギー源にしています。

このプロセスは同時に腸内を弱酸性に保つ効果があり、
いわゆる悪玉菌の増加をコントロールしていると考えられます。
つまり、食物繊維の摂取は、ダイエットにいいとか便通がよくなるなどの目的だけではなく、
人体と腸内細菌にとって必須のことなのです。

食物繊維には不溶性と水溶性がありますが、腸内細菌のエサとなるのは主に水溶性食物繊維で、
アボカド、オクラ、きのこ類、海藻類、こんにゃく、ヤマイモ、ゴボウ、納豆などに含まれます。

各臓器のエネルギー源を知って効率のよい糖質制限食を
 最後に糖質制限食と人体の各組織のエネルギー源との関連を述べましょう。
まず脳はブドウ糖しか使えないから糖質制限食は問題だ、というのは誤りで、脳はケトン体を好んで利用します。

またケトン体を必要以上に危険視するのも、おかしなことです。
多くの臓器がケトン体を主なエネルギー源として使っているのですから。

そして糖質制限食でも食物繊維は十分摂取できます。
ブロッコリー、カリフラワー、ゴーヤ、オクラ、キノコ、海藻など糖質の少ない
野菜などで食物繊維はしっかり摂りましょう。

人体の各組織のエネルギー源は、各臓器の目的、機能に応じて実に精妙に設計、構築されています。
その設計に合う形で糖質制限食を活用していくことが、糖質制限食のメリットを最大限享受するコツだと思います。

注1:「治療に活かす!栄養療法 はじめの一歩」清水健一郎著、羊土社、2011年


江部康二
人体の細胞のエネルギー源、赤血球、脳、肝臓、小腸、大腸は特殊。
こんにちは。

2023年03月25日 (土)の本ブログ記事で、人体の主要なエネルギー源としての
(1)「脂肪酸-ケトン体」システム
(2)「ブドウ糖-グリコーゲン」システム
について、説明しました。

この2系統以外に、グルタミン(小腸)短鎖脂肪酸(大腸)も人体のエネルギー源になります。
そして、人体は各組織や細胞ごとに「何をエネルギー源とするか」を微妙に、精密に変えているのです。

今回は主要2系統以外のエネルギー源に焦点を当て、
人体のエネルギー確保の仕組みの全体像を考えてみます。
 
例外的なエネルギー源を持つ五つのもの
まず全体像を見ましょう。人体の中で、
○赤血球
○脳
○肝臓
○小腸
○大腸

の五つは、主要2系統と異なる、例外的なエネルギー確保の仕組みを持っています。
今回の記事は、まず赤血球と脳について解説します。

ブドウ糖しか使えない赤血球
 赤血球は人体の細胞で唯一、内部にミトコンドリアを持っていません。
ミトコンドリアは細胞内にあるエネルギー生産装置で、脂肪酸やケトン体をエネルギーに変えることができます。
赤血球は成熟する最終段階でミトコンドリアを含むいくつかの細胞内器官を捨て去り、
乾燥重量の約9割を、酸素を運ぶためのヘモグロビンが占めるという特殊な細胞になります。

その結果、赤血球は酸素運搬に特化した機能を獲得しますが、
ブドウ糖しかエネルギー源にできなくなります。

酸素不足を防ぐため脂肪酸を使わない神経細胞

 脳には、血管から脳に移行する物質を選択的に制限する「血液脳関門」という仕組みがあります。
脳を毒性のある物質から守るための仕組みですが、ブ
ドウ糖やケトン体は通過することができ、脳の神経細胞のエネルギー源となります。

また脂肪酸も血液脳関門を通過します。
そして「アストログリア」という、神経細胞を周囲で支えている細胞のエネルギー源になります。
しかし、脂肪酸は神経細胞そのもののエネルギー源としてはほとんど使われません。
エネルギー源として見た時、
同じエネルギーを得るのに必要な酸素の量が
一番少ないのがケトン体、次がブドウ糖で、脂肪酸は最も酸素消費が多いためだと思います。

ヒトの進化の過程で、脳が酸素不足に陥らないように、
神経細胞は脂肪酸をエネルギー源とすることを避ける選択をし、
神経細胞の中の脂肪酸を分解する酵素を減らしたのだろうと考えられます。

米ハーバード大のDr.Cahillはその論文で「多くの研究により、
ヒトの脳はブドウ糖なしでケトン体だけでも生存できると思われるが、
実験的にも倫理的にも証明は難しい」としています(注1)

日本では、いまだに「ブドウ糖は脳の唯一のエネルギー源である」と言っている医師や栄養士がいますが、
明らかに間違いです。
脳はいくらでもケトン体をエネルギー源として使えますし
そのことは欧米では医師・看護師・栄養士の共通知識です。

“ガス欠”で止まらないようケトン体を活用 する心筋
 安静にし、空腹の時や軽い運動だけをしている時は、
骨格筋、心筋の細胞は脂肪酸とケトン体を主要なエネルギー源としています。
医学生が使う生化学の教科書「ハーパー・生化学」には
「心臓のような肝外組織(編注:肝臓以外の組織のこと。肝臓と他の臓器を特に区別する時に使われる表現)では
代謝エネルギー源は(1)ケトン体(2)脂肪酸(3)グルコースの順に好まれて酸化される」と明記されています(注2)
念のためですが、グルコースはブドウ糖のことです。

 これは論理的に考えれば分かることです。
例えば、筋肉細胞の中に蓄えているグリコーゲンが一定レベル以下まで減ると、
筋肉は収縮できなくなります。
筋肉中に蓄えられるグリコーゲンの備蓄は少量です。
もし心筋が「ブドウ糖-グリコーゲン」システムを主たるエネルギー源としていたら、
エネルギーが枯渇して止まるリスクが高くなるので、
心臓は備蓄量の多い「脂肪酸-ケトン体」システムを好むのでしょう。

 逆に言えば、「ブドウ糖-グリコーゲン」システムは、
手っ取り早く効率よくエネルギーを確保できるシステムです。
しかし備蓄が極めて少ないエネルギー源であるため、
短時間の運動など激しい筋肉の収縮時に積極的に利用されます。

腎臓、肺、脾臓、胃、食道
 これらも肝外組織であり、「ハーパー・生化学」によれば、
日常的には脂肪酸とケトン体が主要なエネルギー源であり、
合わせてブドウ糖も使うと記載されています。

次回は、肝臓、小腸、大腸のエネルギー源について、解説します。

注1:Annu. Rev. Nutr. 2006. 26:1-22 FUEL METABOLISM IN STARVATION George F. Cahill, Jr.
注2:「ハーパー・生化学」(原書27版)上代淑人監訳、2007年、155ぺージ図16-9の説明。


江部康二
HbA1cが低ければ、太っていても健康になれるのか。
【23/03/26 うさこ
ダイエットについて
こんにちは

HbA1cが低ければ、太っていても健康になれるのかという質問です。

私は、スーパー糖質制限を始めて約6年、
1日の糖質摂取量は30~40gほどです。
アルコールは毎日、多分2〜3合(焼酎、ウイスキー、糖質ゼロビール、糖質ゼロ日本酒、赤ワインなど)を飲みます。

年齢49歳(女)身長154cm・体重は開始時89kg→5ヶ月後65kg→1年後以降は71〜74kgで
カロリーも減らさないと糖質制限のみでは痩せないタイプです。

開始当初はジムにも半年ほど通い、
カロリーも制限したので65kgまで減量しましたが
その後はカロリーをなかなか制限できず、体重は停滞ぎみです。

更年期も影響したのか、鉄欠乏性貧血になり、
2021年11月よりフェロミア錠を服用しています。
HbA1cは5%、Hbは12.3g/dL、赤血球数393万/μL、フェリチン15.7ng/ml

アレルギー体質で花粉症などはあるものの、
1〜2ヶ月に1度はひいていた風邪も、この6年、ひいていません。
HbA1cの数値を現状維持できれば、
このまま減量できなくても健康になれるのでしょうか?

よろしくお願いします。】


こんにちは。
うさこさんから、
【HbA1cが低ければ、太っていても健康になれるのか】
という質問を頂きました。


Ⅰ <HbA1cの数値とがん>

2019年の日本人の死因の順位は2018年と同様、
第1位「悪性新生物(腫瘍)」、
第2位「心疾患(高血圧性を除く)」、
第3位「老衰」、
第4位「脳血管疾患」、
第5位「肺炎」

でした。

死因の1位はがんです。
がんが死因に占める割合は、年齢とともに高くなっていきますが、
男性では65~69歳がピークで、この年代では、
がん死亡は死因全体の半分弱を占めます。
女性では55~59歳がピークで、死亡の6割近くが、がんによるものです。

国立がん研究センターがん予防・健診研究センター・予防研究グループの多目的コホート研究(JPHC研究)から、
興味深い報告がなされ、論文化されました。
ろんぶんの結論は、
『肝がんを除外すると、HbA1c値は直線的に全がんリスク上昇と関連』
ということです。
肝がんは、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスが大きな要因を占めていて
『感染症型のがん』 です。
すなわちこの感染症型がんの肝がんを除いたら、
生活習慣病型のがんは、HbA1cが低いほど、発症しにくいというエビデンスがあると
言えます。
うさこさんは、少なくともがんに関してはHbA1cが5.0%ならリスクは
かなり少ないと考えられます。



Ⅱ <肥満と総死亡率>
【年齢49歳(女)身長154cm
・体重は開始時89kg→5ヶ月後65kg→1年後以降は71〜74kg】


154cm。
89kg(BMI:37.5) ⇒ 65kg(BMI:27.4)⇒ 71~74kg(BMI:29.9~31.2)


1)世界ガン研究基金の報告(2007)では、ガン予防にはBMI:20~25未満 が目標。
2)ランセットの論文では欧米人はBMI:22.5~25 が総死亡率が一番低い。(*)
3)ニューイングランド・ジャーナルの論文では、アジア人はBMI:23~27 が 
  総死亡率が一番低い。(**)


1)2)3)を考慮すれば、
体重に関しては、BMI:20 は確保する方が、安全といえます。
総死亡率を低下させて、がん予防するには、BMI20以上で25未満が最も推奨されます。

(*)
Prospective Studies Collaboration
PSC, Whitlock G, et al. Lancet 2009; 373: 1083-96

(**)
Zheng W, et al.N Engl J Med. 2011 Feb 24;364(8):719-29.
Association between body-mass index and risk of death in more than 1 million Asians.


このように、痩せ過ぎは良くないので、BMI20は確保しましょう。
一方、アジア人はBMI:23~27 が総死亡率が一番低いです。
そうするとうさこさんのBMI 29.9~31.2は、さすがに多いです
総死亡率を減らすには、BMI27以下を目指しましょう。


 【アレルギー体質で花粉症などはあるものの、
1〜2ヶ月に1度はひいていた風邪も、この6年、ひいていません。
HbA1cの数値を現状維持できれば、
このまま減量できなくても健康になれるのでしょうか?】


糖質制限食で健康度が向上していて、望ましいです。
ただ、肥満も健康上のリスクなので改善を目指しましょう。


<結論>

Ⅰ、Ⅱ、Ⅲより
うさこさんは、6年間の糖質制限食実践で体調良好であり、がんのリスクは低いものの、
肥満による総死亡率上昇のリスクがあります。
折角ですから、BMI27まで改善させて、健康長寿を目指しましょう。


江部康二
2023年4月16日(日)、医療従事者の方を対象にセミナーを開催。
おはようございます。

2023年4月16日(日)、医療従事者の方を対象にセミナーを開催いたします。

「医療従事者向け糖質制限食セミナー」<東京&オンライン>
2023年4月16日(日)12:30~17:00


参加方法は、東京での会場参加かオンライン参加かを選択していただけます。

第1部は高雄病院の橋本眞由美 管理栄養士による講義です。

第2部は私による講義で、糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論の解説や症例検討などを行います。

第3部は発表・討議で、糖質制限食の指導を行っておられる医師の方々に発表いただき、 ディスカッションを行います。

6名の医師は勿論、高雄病院勤務ではありません。

参加者皆で、活発な討論を行い、実のあるセミナーにしたいと思います。
当日セミナー終了後に、会場参加者でご希望いただく方々との懇親会(食事会)も催すことになりました。
私も3年ぶりの懇親会、歓談が楽しみです。

江部康二

以下、事務局からのお知らせです。

***********

ブログ読者の皆様、いつも弊会のイベントへ多数ご参加いただきましてありがとうございます。

本日は、医療従事者向けセミナーの開催をご案内申し上げます。
2023年4月16日(日)、医療従事者の方を対象にセミナーを開催いたします。

参加方法は、東京での会場参加かオンライン参加かを選択していただけます。

第1部は高雄病院の橋本眞由美 管理栄養士による講義で、高雄病院の糖質制限食と栄養指導について、コロナ禍の影響や患者様の様子なども交えてお話しいたします。

第2部は江部理事長による講義で、糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論の解説や症例検討などを予定しております。

第3部は発表・討議で、糖質制限食の指導を行っておられる医師の方々に発表いただき、 ディスカッションを行います。

医療従事者向けセミナーは、医療機関での糖質制限食指導の普及促進、ブラッシュアップ、発展を目指して2013年より開催しております。

また、2019年3月のセミナーより、臨床で糖質制限を採り入れておられる医療従事者の方々に発表いただき、指導法や症例などの共有、意見交換をしていただく「発表・討議」の時間を設け、参加いただいた方から、大変参考になる、刺激になる等ご好評いただいております。

今回も多様なテーマで6名の医師の方々にエントリーしていただいております。

医療従事者の皆様のご参加を心よりお待ちしております。

*セミナー後懇親会開催のお知らせ

セミナー終了後、会場参加者様でご希望の方を対象に懇親会(食事会)を催します。
セミナーの会場参加をお申し込みいただいた際に、詳細をご案内申し上げます。

*セミナー情報URL:http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity

//////////////ご案内/////////////////


一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会主催
「医療従事者向け糖質制限食セミナー」<東京&オンライン>

■日時:2023年4月16日(日)12:30~17:00頃

■会場:アットビジネスセンター東京駅八重洲通り 604号室

〒104-0032 東京都中央区八丁堀1-9-8 八重洲通ハタビル 6階
https://abc-kaigishitsu.com/tokyo_yaesudori/access.html

■内容:

◇第1部:「糖質制限食による糖尿病指導① ~高雄病院の食事と栄養指導」12:30~

 講師: 橋本 眞由美 管理栄養士 / (一財)高雄病院 栄養科

◇第2部:「糖質制限食による糖尿病指導② ~理論と臨床」 13:20頃~

 講師: 江部 康二 医師 
    (一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長

◇第3部: 「発表・討議」 15:05頃~

・「糖質制限治療の実践症例 ~年間のべ1,000名を超える外来指導より見えるもの」
 佐藤 信昭 医師 / 茅ヶ崎徳洲会病院(神奈川)  副院長(内科)

・「対話する糖質制限医療 ~糖質制限を指導してはいけない!?」
 田頭 秀悟 医師 / たがしゅうオンラインクリニック 院長

・「高LDL-C血症に対する中等度糖質制限食と筋力トレーニングの組み合わせの効果について」
 宇佐見 啓治 医師 / うさみ内科(福島) 院長

・「糖質制限と薬理学的糖質制限の失敗から学ぶ糖質中毒~糖質依存症のメカニズム~」
 影山 広行 医師 / 株式会社ドクターバンク

・「カンボジアにおける『ほろ酔い低糖質食セミナー&パーティー』の実施」
 奥澤 健 医師 / ケンクリニック(カンボジア) 院長

・「糖質制限食の導入の実際 ~フリースタイルリブレプロを用いて」
 髙橋 裕彦 医師 / たかはし整形外科医院(香川) 院長

*第3部は、発表10分・討議6分ずつを予定しております。

*第3部の発表者様の中には、オンラインで発表される方もいらっしゃる予定です。

*第1部・第2部の映写資料データ(PDF)は、後日ダウンロードしていただけます。

*当日のセミナー動画は、後日一定期間ご覧いただけます。(セミナー参加予約者様限定)

■参加対象:

医療従事者の方(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、理学療法士、鍼灸師など)

■受講費:

1.会場参加(東京会場へご来場の方)

・医師・歯科医師の方: 賛助会員 6,800円 / 一般(会員以外) 8,500円

・上記以外の医療従事者の方: 賛助会員 4,800円 / 一般(会員以外)6,000円

2.オンライン参加

・医師・歯科医師の方: 賛助会員 7,200円 / 一般(会員以外) 9,000円

・上記以外の医療従事者の方: 賛助会員 5,200円 / 一般(会員以外)6,500円

<オンライン参加についての補足・ご案内>

*Zoomを使用して行います。

・スマートフォンでもご参加可能ですが、パソコンかタブレット端末でご参加いただくと、画面が大きいため、スライド資料を閲覧しやすいです。

・事前に招待URLをお送りし、当日はそのURLにアクセスして、オンライン受講(参加)していただくかたちとなります。

・詳細はご予約後にご案内申し上げます。

・Zoomの挙手機能を使用して、オンライン参加の方も質疑応答や討議で挙手・発言していただる予定です。

■お支払い方法:クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。

※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。

■お申し込みの流れ:

1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込み下さい。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。

■お申し込み方法:

★賛助会員の方:
事務局へメールにて、
①会場 or オンライン、どちらでの参加ご希望か
②医療機関でのご職種
をご記入の上、お申し込み下さい。

★賛助会員入会をご希望の方:

1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up

2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
「入会ならびに講演会等出席に関するお問い合せ」をご選択下さい。
「通信」欄には、以下をご記入下さい。
① 「4/16セミナー、会場 or オンライン(←ご希望の参加方法をご記入下さい)参加希望」 とご記入下さい。
② 医療機関でのご職種をご記入下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact

★一般(会員以外)で、セミナーの受講のみご希望の方:

下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-med

■その他:

・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは4月14日(金)までに事務局へご連絡願います。それ以降のご返金は対応致しかねますので予めご了承下さい。
人体のエネルギー源、「脂肪酸-ケトン体」「ブドウ糖-グリコーゲン」。
おはようございます。
今回は復習を兼ねて、人体のエネルギー源について考察してみます。
 
まず、知っておきたい重要なことは、
全ての人類において、糖質摂取の有無にかかわらず、
空腹時や睡眠時は、「脂肪酸-ケトン体」が主要なエネルギー源であるということです。
 
つまり、「脂肪酸-ケトン体」エネルギーシステムは、特殊なものではなく
全人類で日常的に利用されているエネルギーシステムなのです。
 
繰り返しますが、
普通にパンやご飯を食べている人においても(糖質カットしていなくても)
空腹時や睡眠時は「脂肪酸-ケトン体」エネルギーシステム
が主たるエネルギーシステムとして働いているのです。
糖質を摂取している場合は、食事開始から2時間までは
食事由来の糖質をエネルギー源として利用し
その後肝臓のグリコーゲン分解で血糖値を維持し、
数時間後(空腹時)には、肝臓の糖新生で血糖値を維持するようになります。
この数時間後(空腹時)には、前述の如く
「脂肪酸-ケトン体」エネルギーシステムが身体の主たるエネルギーシステムとなります。
 
糖質制限食の場合は、食事を開始したあとも、血糖値の上昇が最小限なので
「脂肪酸-ケトン体」エネルギーシステムが稼働しています。
つまり、ステーキを食べている最中にも脂肪が燃えています。
それで、糖質セイゲニストは減量しやすいのです。
 
さて、人体のエネルギー源のお話しを続けます。
細胞が生きていくには、エネルギー源が必要です。
今日のお話しは基本的に論争の余地のない、生理学的事実が中心です。
少し面倒くさいですが、この人体のエネルギーシステムのことがあるていどわかったら、
糖質制限食のことも含めて、常識の壁を越えるきっかけとなると思います。
糖新生のことも説明したいと思います。


人体にはエネルギー源として、

1)「脂肪酸-ケトン体のシステム」


と、

2)「ブドウ糖-グリコーゲンのシステム」

があります。

<人体のエネルギー源Ⅰ:脂肪酸-ケトン体システム>

①脳はケトン体(脂肪酸の代謝産物)をいつでも利用できる。
②心筋・骨格筋など多くの体細胞は日常生活では脂肪酸-ケトン体が主エネルギー源であり、人体を自動車に例えるならガソリンの代わりは脂質である。
③赤血球を除く全ての細胞はミトコンドリアを持っているので、脂肪酸-ケトン体エネルギーシステムを利用できる。
④糖質制限食実践中や絶食中の血中ケトン体上昇は、インスリン作用が保たれており生理的なもので病的ではない。農耕開始前の人類は皆そうであった。
⑤備蓄の体脂肪は大量にあるエネルギー源で、体重50kg、体脂肪率20%の成人なら
 10kgで90000キロカロリーあり、水だけで2ヶ月生存できる。
⑥肝臓はケトン体を、脂肪酸から生成するが、自分では利用せずに、他の組織に供給する。



<人体のエネルギー源Ⅱ:ブドウ糖-グリコーゲンシステム>


①人体で赤血球だけはミトコンドリアがないのでブドウ糖しか利用できない。
②日常生活でブドウ糖を主エネルギー源として利用しているのは赤血球・脳・網膜など。
③ブドウ糖-グリコーゲンエネルギーシステムの本質は
 「常に赤血球の、唯一のエネルギー源」
 「筋肉が収縮したときのエネルギー源」→緊急時のターボエンジン
 「血糖値が上昇しインスリンが追加分泌された時、筋肉・脂肪細胞のエネルギー源」
 「日常生活では脳・網膜・生殖腺胚上皮など特殊部位の主エネルギー源」
④備蓄グリコーゲンは極めて少量で、成人で約250gていどである。
 約1000キロカロリーしかなく、強度の高い運動なら1~2時間で枯渇してしまう。



ここで大切なことは、日常生活では、骨格筋・心筋を始めほとんどの体細胞は、
主エネルギー源として、備蓄がたっぷりある「脂肪酸-ケトン体システム」を利用しているということです。

即ち、人体を自動車に例えれば、ガソリンの代わりは脂肪酸-ケトン体であり、
決してブドウ糖-グリコーゲンではありません。

例えば、心筋がブドウ糖を主たるエネルギー源として利用したりしたら、
グリコーゲンの備蓄は約250gしかないので、
いつ枯渇して止まるかもしれませんね。

日常生活で、ブドウ糖をエネルギー源としているのは、
「赤血球・脳・網膜・生殖腺胚上皮」といった特殊な細胞だけです。

糖質制限食実践中は脂肪酸-ケトン体を主たるエネルギー源として、
しっかり利用しているので、エネルギー不足には決してなりません。
人類700万年の歴史の内、農耕開始前は
人類皆糖質制限食だったことをお忘れなく。

糖質を摂取したときは、血糖値が上昇し追加分泌のインスリンが出て、
筋肉でブドウ糖を利用させます。
食物吸収が終了した直後には、肝臓のグリコーゲン分解が、
循環血液中に入るブドウ糖の主要な供給源です。
食後数時間が経過し、絶食状態が持続すると、
ブドウ糖の供給源は、肝のグリコーゲン分解から糖新生に切り替わります。
食後この時間帯になると筋肉や体細胞のほとんどは、
「脂肪酸-ケトン体のシステム」をエネルギー源として利用するようになります。

<糖新生>
肝臓の糖新生は、ブドウ糖しか利用できない「赤血球」などのために、
最低限の血糖値を確保するために日常的に行われています。
ですから、人類の700万年の歴史において、
ごく普通に日常的に毎日、肝臓の糖新生は行われてきたわけで、
珍しいことでも何でもありません。

肝臓の糖新生は、脂肪酸の代謝産物のグリセロール、
筋肉から供給されるアミノ酸(アラニン、グルタニン)、
ブドウ糖代謝の産物の乳酸などから行われます。
肝臓は筋肉由来のアミノ酸などから日常的に糖新生を行っていますが、
筋肉ではタンパク質の分解と合成が毎日行われています。

①脂肪組織→グリセロール(脂肪酸の分解物)や脂肪酸→肝臓→糖新生→脂肪組織・筋肉
②筋肉→アミノ酸→肝臓→糖新生→筋肉・脂肪組織
③ブドウ糖代謝→乳酸→肝臓→糖新生→筋肉・脂肪組織

①②③はごく日常的に人体で行われており、
肝臓、筋肉、脂肪組織の間で行ったり来たりしながら、
日々糖新生の調節が行われているわけです

700万年間の人類の歴史の中で農耕前の狩猟・採集時代は、
糖質制限食を摂取しているか、空腹や絶食や飢餓が日常的でしたので、
肝臓は毎日、今以上に糖新生を行い、
よく働いてきたしそれだけのキャパシティーを持っているということですね。

糖質制限食実践中は、脂肪酸-ケトン体エネルギー源がたっぷり利用できますので、
決してエネルギー不足にはなりません。
糖質制限食の場合は、食事からのブドウ糖供給が極めて少ないので、
食事中でも、肝臓の糖新生は行われています。
肝臓の糖新生は脂肪を燃やして賄われて結構エネルギーを消費するので
痩せやすいのです。

なお肝臓の糖新生は、人体全体のエネルギー源を確保しているのではありません。
ブドウ糖しか利用できない「赤血球」という特殊な細胞と、
日常的にブドウ糖を利用している脳や網膜などのために、
最低限の血糖値を確保しているのです。


<タンパク質>

次に三大栄養素のうちタンパク質は、
エネルギー源として使われることはありえますが、基本的に少ないです。
タンパク質は、主として人体の組織の材料として使われています。

適切なエネルギー源が確保されていれば、
食事から摂取したタンパク質(アミノ酸)は、
人体に吸収されて組織のタンパク質合成に使われます。

タンパク質を主たるエネルギー源として使われざるを得ないときは、
例えば「飢餓→絶食」が続いたときなどです。
体内の糖質、脂質をエネルギー源として使い果たした後は、
やむを得ず筋肉細胞のタンパク質を主たるエネルギー源として使いますが、
これは死の一歩手前です。


江部康二
インスリンの功罪③。農耕前、狩猟・採集時代のインスリンの役割。
こんばんは。

今回はインスリンシリーズの3回目です。
農耕前、狩猟・採集時代のインスリンの役割について考察してみます。

 細胞がブドウ糖を取り込むためには「糖輸送体」という特別なタンパク質が必要です。
英語の頭文字からGLUT(グルット)と呼ばれ、現時点でグルット1〜グルット14までが確認されています。
正式にはグルコーストランスポーター(glucose transporter)です。
 このうちグルット1は赤血球・脳・網膜などの糖輸送体で、脳細胞や赤血球の表面にあるため、
血流さえあればいつでも血液中からブドウ糖を取り込めます。
 これに対して筋肉細胞と脂肪細胞に特化した糖輸送体がグルット4で、
ふだんは細胞の内部に沈んでいるのでブドウ糖をほとんど取り込めません。
しかし血糖値が上昇してインスリンが追加分泌されると、
細胞内に沈んでいたグルット4が細胞表面に移動してきて、ブドウ糖を取り込めるようになるのです。
グルット14種の中でインスリンに依存しているのはグルット4だけです。

 インスリンとグルット4の役割を、農耕が始まる前の時代までさかのぼって考えてみました。
 グルット4は、糖質過剰摂取時代の今でこそ獅子奮迅の大活躍なのですが、
農耕前はほとんど活動することはなかったと考えられます。

すなわち農耕後、日常的に穀物を食べるようになってからは
「食後血糖値の上昇→インスリン追加分泌→グルット4が筋肉細胞・脂肪細胞の表面に移動→ブドウ糖を細胞内へ取り込む」
というシステムが、毎日食事のたびに稼働するようになったのです。

 しかし、狩猟・採集時代には穀物はなかったので、たまの糖質摂取でごく軽い血糖値上昇があり、
インスリン少量追加分泌のときだけグルット4の出番があったにすぎません。
運よく野生の小さな果物やナッツ類や自然薯などが採集できた場合のみです。

この頃は、血糖値は慌てて下げなくてはいけないほど上昇しないので、グルット4の役割は、
筋肉細胞で血糖値を下げるというよりは、
脂肪細胞で中性脂肪をつくらせて脂肪組織に蓄えて、
来たるべき冬の飢餓に備えるほうが、はるかに大きな意味を持っていたと思います。

 すなわち、農耕前は「インスリン+グルット4」のコンビは、
たまに糖質(野生の果物やナッツ類)を摂ったときだけ、
もっぱら中性脂肪の生産・蓄積システムとして活躍していたものと考えられます。

狩猟・採集時代の「インスリン+グルット4」は、
もっぱら飢餓に対するセーフティーネットとして貢献していたと思われます。
また、摂取した糖質は肝臓にも取り込まれてグリコーゲンを蓄えますが、
あまった血糖が中性脂肪に変えられて脂肪細胞に蓄えられます。

このようにインスリンの中性脂肪蓄積システムは、長い間、
人類の生存におおいに貢献してきた
のですが、
いまは日常的に1日に3~5回糖質を摂取する時代です。

このため「インスリン+グルット4」のコンビは今や「肥満システム」と化してしまい、
インスリンは肥満ホルモンと呼ばれるようになってしまったのです。


江部康二
インスリンの功罪②。インスリンの役割を中心に。

1) 
基礎分泌インスリンは、ヒトの生命維持に必要不可欠です。 

2) 
スーパー糖質制限食でも、基礎分泌の2~3倍レベルのインスリンは分泌されますし、 追加分泌インスリンも必要不可欠です。 

3)
インスリン注射で、1型糖尿病患者の命が助かるようになり、
近年、寿命が延びてきました。

4) 
一方、過剰なインスリンは、酸化ストレスとなり、がん、老化、動脈硬化、
糖尿病合併症、アルツハイマー病などのリスクとなります。 



こんにちは。

今回はインスリンの功罪のうち、主としてその役割について考察してみます。

インスリンには、24時間継続して少量出続けている基礎分泌と、
糖質を摂取して血糖値が上昇したときに出る追加分泌の2種類があります。

タンパク質摂取でも少量のインスリンが追加分泌されますが、脂質摂取では、インスリンは追加分泌されません。
これでまず解るのは、食物を摂取していないときでも、人体の代謝には、少量のインスリンが必須ということですね。
このインスリンの基礎分泌がなくなったら、人体の代謝全体が崩壊していきます。
つまり、基礎分泌のインスリンがないと、全身の高度な代謝失調が生じ、生命の危険があります。

例えば「運動をしたらインスリン非依存的に血糖値がさがる」といっても、
インスリン基礎分泌が確保されているのが前提のお話です。

もし、基礎インスリンが不足している状態で運動すれば、運動で血糖値はかえって上昇します。
また、肝臓で行っている糖新生も、基礎インスリンが分泌されていなければ制御不能となり、
空腹時血糖値が300mg/dl~400mg/dl、或いはこれ以上にもなります。
また、糖質を食べて血糖値が上昇したとき、追加分泌のインスリンがでなければ、高血糖が持続します。
高血糖の持続は糖毒といわれ、膵臓のβ細胞を傷害し、インスリン抵抗性を悪化させます。

急激に発症するタイプの1型糖尿病であれば、短期間でインスリン分泌がゼロになるので、
基礎分泌も追加分泌もなくなり血糖値が急上昇して、
随時で250~500mgとか600mg/dl以上1000mgにもなります。

細胞はブドウ糖を利用できないので、脂肪の分解産物のケトン体が急上昇し、
エネルギー源にしますが、酸性血症となり意識障害を生じ、放置すれば死に至ります。
インスリン作用が欠落しているときの血中ケトン体上昇は病態であり、極めて危険です。

上述のインスリン作用欠落による糖尿病ケトアシドーシスは、
インスリン作用が確保されていて糖質制限食や断食で
生理的にケトン体が上昇する場合とは、まったく異なる病態です。

さてブドウ糖が、細胞膜を通過するためには、特別な膜輸送タンパク質が必要です。
それが糖輸送体(GLUT)であり、現在GLUT1~GLUT14まで確認されています。
GLUT1は赤血球・脳・網膜などの糖輸送体で常に細胞の表面にあり、血流さえあれば即血糖を取り込めます。
これに対して筋肉細胞と脂肪細胞に特異的なのがGLUT4で、
基礎分泌のインスリンレベルだと、通常は細胞内部に沈んでいます。

GLUT1~GLUT14の中で、インスリンに依存しているのはGLUT4だけで特殊です。
筋肉細胞と脂肪細胞にあるGLUT-4は、インスリン追加分泌がないと細胞内に沈んでいるのでブドウ糖を取り込めません。
インスリンが追加分泌されるとGLUT-4は細胞表面に移動して血糖を取り込むのです。
このようにインスリンは、生命の維持に必須の重要なホルモンであることが確認できました。
また近年、1型糖尿病患者の寿命は延びています。

以下、糖尿病ネットワークから一部抜粋。
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2016/024725.php
1975年に米国で行われた調査では1型糖尿病患者の寿命は、健康人に比べて27年短いとされていました。
スコットランドのダンディー大学が2万4,691人の1型糖尿病患者を対象に行った調査では、
20代前半の糖尿病患者の予想される平均余命は、
健康な人に比べ男性で11.1年、女性で12.9年短いという結果になりました(2015年1月報告)。

このようにインスリンの使用法や種類が改善されたことで、1型糖尿病患者の寿命はかなり改善されてきています。
インスリン注射が、おおいに役に立っているわけです。


☆☆☆インスリンの作用
インスリンは、グリコーゲン合成・タンパク質合成・脂肪合成など、栄養素の同化を促進し、筋肉、脂肪組織、肝臓に取り込む。
インスリンが作用するのは、主として、筋肉(骨格筋、心筋)、脂肪組織、肝臓である。

1)糖質代謝

*ブドウ糖の筋肉細胞・脂肪細胞内への取り込みを促進させる。
*グリコーゲン合成を促進させる。
*グリコーゲン分解を抑制する。
*肝臓の糖新生を抑制し、ブドウ糖の血中放出を抑制する。

2)タンパク質代謝
*骨格筋に作用してタンパク質合成を促進させる。
*骨格筋に作用してタンパク質の異化を抑制する。

3)脂質代謝

*脂肪の合成を促進する。
*脂肪の分解を抑制する。



江部康二
スーパー糖質制限食でHbA1c劇的改善、質の良いHbA1cと質の悪いHbA1c。追加報告。
【23/03/20
ひのえうま
ご報告です!

こんにちは、江部先生!
早速のお返事、ありがとうございます。

主人のデータですが、
A1c10.5だった頃は、57歳で、身長165cm 体重85kg
現在、A1c5.3時点では、61歳、165cm 体重68kg
です!
短期間で下着から、スーツまで、全部ブカブカになって、買い直しになってしまいました。(経済的にはダメージ大きいですが(笑)嬉しい誤算でもあります!)
体重は、グルファスト飲んでいた時は、65kgだったこともありましたが、やめた途端68kgになって少し焦りましたが、それをキープしています。

主治医の先生も、糖質制限がこんなに効果があって、継続していれば、ほぼ健康がキープできることに感心されてくださっているそうです。
薬を飲まずに済む生活は、本当に気分がいいですね。
時々、チートデイを儲けながら、気づけば、4年、続けていたんだな、と、しみじみ思います。
おうちご飯がいちばんの薬となっていますので、お弁当も、特別なことがない限り、仕事のある日は作っています。
外食時は、ご飯は要りません、と、断れるようにもなりました。最初から、ご飯なしを選べるお店も増えましたしね!
江部先生が、糖質制限を提唱してくださっていなければ、こんなに家庭内が平和だったか、甚だ疑問です。
薬を飲みながら、体の至る所を痛めつけ、合併症に怯えながら、暮らしていたと思うのです。
ですので、本当に感謝しかありません。
ありがとうございます。

ちなみに、最後に私の体重も聞いてください!
糖質制限の前は、150.4cm 57kg
今年の健康診断は150.4cm 46.1kgでした!
50代でも、痩せることはできるんだって証明できます!
また、血管年齢の見方も教えていただき、ありがとうございました。
次回は、血糖値ももっと下げてお邪魔します!
それではまた、ROMに戻らせていただきます。 】


こんいちは。
ひのえうまさんから、追加報告をコメント頂きました。
ありがとうございます。

【主人のデータですが、
A1c10.5だった頃は、57歳で、身長165cm 体重85kg・・・BMI:31.2
現在、A1c5.3時点では、61歳、165cm 体重68kg・・・BMI:24.98】


当初は、 BMI:31.2ですから、米国でも肥満ですね。
現在は、 BMI:24.98なので、ギリギリですが、肥満脱却で、良かったです。

【主治医の先生も、糖質制限がこんなに効果があって、継続していれば、
ほぼ健康がキープできることに感心されてくださっているそうです。】

主治医も糖質制限食に反対しないで感心してくれているとは、素晴しいです。
good job です。
闇雲に糖質制限反対するの医師も多いので、ご主人は良い医師に巡り合えて良かったです。

【時々、チートデイを儲けながら、気づけば、4年、続けていたんだな、と、しみじみ思います。
おうちご飯がいちばんの薬となっていますので、
お弁当も、特別なことがない限り、仕事のある日は作っています。
外食時は、ご飯は要りません、と、断れるようにもなりました。
最初から、ご飯なしを選べるお店も増えましたしね!】


まさに「継続は力なり」です。
愛妻糖質制限弁当の継続・・・ひのえうまさんも、good job です。
そうですね。
最近は、ご飯なしを選べる店も増えてきて、糖質制限食が実践しやすくなって
嬉しい限りです。
2005年に「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社 )
を糖質制限食の最初の本として刊行したころは、
そんなお店は全くなくて苦労したことが思い出されます。

【江部先生が、糖質制限を提唱してくださっていなければ、
こんなに家庭内が平和だったか、甚だ疑問です。
薬を飲みながら、体の至る所を痛めつけ、合併症に怯えながら、暮らしていたと思うのです。】


ありがとうございます。
おっしゃる通り、現行の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)では、
人工透析、下肢切断、失明などの糖尿病合併症をふせぐことは困難
です。
日本糖尿病学会推奨の糖尿病食は、誠に遺憾ながら『合併症製造食』としかいいようがありません。

【ちなみに、最後に私の体重も聞いてください!
糖質制限の前は、150.4cm 57kg
今年の健康診断は150.4cm 46.1kgでした!
50代でも、痩せることはできるんだって証明できます!】


BMIが、25.2から20.4に改善ですね。
これ以上の減量は必要ないので、動物製たんぱく質と動物製脂肪はしっかり充分量を食べて
筋力が低下しないように心がけましょう。

【それではまた、ROMに戻らせていただきます。】

ROMって、なんのことかわからなかったので調べたら、
見るだけで、コメントはしないというスタンスのことでした。


江部康二




スーパー糖質制限食でHbA1c劇的改善、質の良いHbA1cと質の悪いHbA1c。
2023年03月20日 (月)

【23/03/19 ひのえうま

主人の結果も私の健康診断良かったです!
こんにちは、江部先生!

夫のA1cが、5.3になったので、嬉しくてご報告にまいりました!
他の数値も、全て問題なく、高血圧が残るのみ、となりました。
A1c10.5を叩き出して、ハッキリ糖尿病、と、診断された人には、
5台に戻るのはなかなか難しい、と聞いていたので、
ましてや、5.5以下になるなんて、本当に驚きました。
途中、一度、6.0に戻って焦ったこともありましたが(笑)

やはり、コロナで、プール通いも一時中断していましたし、
私の捻挫で、ウォーキングもままならなくなっていたのがテキメンでした。
(ご近所が物騒になって、ウォーキングなどは、2人で行うように、
とお達しが出ていたので、1人では腰が重かった…)

すぐに、数値に出てくるので、対処も早く、
普段はスタンダードとスーパーの間くらいでしたが、
運動があまりできない間は、スーパー糖質制限に戻したところ、
スッと戻りました。いや、むしろ良くなりました。

ただ、主人の場合、どれくらいの期間かはわかりませんが、
高血糖を放置していたツケは回って来て、白内障の進行が思ったより早く、
この春には、白内障の手術が決まりました。
毎年、キチンと検診に通っていたので、そろそろと言われてはいて、
落ち着いて受け止めることができました。

一方、私の方は去年、コロナ騒動で、健診ものびのびになってしまい、
ご報告もできませんでした。
(いつも1月だったのが、この3年間は3月になってしまいました)
2年まとめてご報告に…


2022年3月→2023年3月
血圧 131/87→118/79
総コレステロール 229→246
中性脂肪 76→75
HDL 60→67
LDL 159→163
血糖値 98→110
A1c 5.9→6.0



血糖値は100前後、A1cは6.0前後をウロウロして、
スパッと下がりきりませんが、糖質制限をしての6.0なので、
昔みたいに心配していません。

コレステロールは、近所のお魚屋さんが店じまいをしてしまい、
いいお魚がなかなか手に入り辛くなっていて、
肉食が増えていたことも原因の一つかな、と反省しています。
このくらいの数値のうちに、立て直そうと思います。
ちょっと車で出なくてはなりませんが、
いい魚介を扱っているスーパーまで買いに行きます。

女性は更年期からコレステロールが高くなりがちとは聞いていたので、
心配ではあり、今年はオプションで、動脈硬化度の検査もしてみました。
CAVIは8.4で、境界線とは言え、ギリギリセーフ!
アテロームABI 1.03(左)1.02(右)全くの正常と出ました。
少々硬くなって来てるので、高血圧もなるほどと頷けました。
来年までに、改革して、今より良くできるよう、がんばります!

PS 高血糖になったと悩んでいた知人にも、
先生の本を一冊プレゼントしましたところ、大変喜んでもらえました。
こちらのブログも併せて紹介させていただきました。
これからも、ますますのご活躍をお祈り致しております。
長々と申し訳ございませんでした。
これからもよろしくお願い致します。】



こんにちは。
ひのえうまさんから、とても嬉しいコメント頂きました。
ありがとうございます。

【お連れ合いののA1cが、10.5% ⇒ 5.3%
他の数値も、全て問題なく、高血圧が残るのみ。】


スーパー糖質制限食で、素晴らしい改善です。
ご指摘通り、通常の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)による治療では、
例え薬物を併用しても10.5%の人が、6%をきるというのは極めて困難です。
ちなみに身長と年齢は、どのくらいでしょう。
また体重の変化は糖質制限食実践前と後ではどうなりましたか?

有酸素運動は、筋力維持や健康のためにしたほうが、良いのですが、
今回のお連れ合いのように、運動が困難な状況のときもあります。
それでも、スーパー糖質制限食実践なら、血糖値はリアルタイムにメキメキと
改善します。


【主人の場合、どれくらいの期間かはわかりませんが、
高血糖を放置していたツケは回って来て、白内障の進行が思ったより早く、
この春には、白内障の手術が決まりました。
毎年、キチンと検診に通っていたので、そろそろと言われてはいて、
落ち着いて受け止めることができました。】


そうですね。
糖尿人において一定期間血糖コントロールが不良であれば、
高血糖の記憶が「借金」のように生体内に残り
その後良好なコントロールが得られても、
合併症リスクの差は縮まらないことが、わかっています。
この借金の正体が、組織沈着AGEs(☆)ではないかと言われています。
お連れ合いは、HbA1cが良好なので、安心して白内障手術を受けることができます。
HbA1cが7%以上あると、手術を嫌がられます。


ひのえうまさんのデータ
【2022年3月        →   2023年3月
血圧       131/87  →  118/79
総コレステロール 229    →  246
中性脂肪     76    →   75
HDL        60    →   67
LDL        159    →  163
血糖値      98     →  110
A1c        5.9    →   6.0 】


血圧は良好ですね。
2023年3月は、中性脂肪が75mgと80mg以下で、HDLコレステロールが67と
60以上でgoodです。
これなら、LDLコレステロールも全て標準の大きさの善玉であり、
肝臓から細胞膜の原料であるコレステロールを末梢組織に運んでいく重要な役割を果たしています。
血糖値110mgも境界型くらいですが、スーパー糖質制限食継続で
109以下の基準値になると思います。


【血糖値は100前後、A1cは6.0前後をウロウロして、
スパッと下がりきりませんが、糖質制限をしての6.0なので、
昔みたいに心配していません。】


仰る通り、スーパー糖質制限食でHbA1cが6.0%くらいの場合は、
「食後高血糖」「血糖変動幅増大」のない質の良いHbA1cであり合併症の問題はないです。
内服薬を飲んだりインスリン注射をして、糖質を食べてのHbA1cは、
「食後高血糖」「血糖変動幅増大」を伴う、質の悪いHbA1cであり、
これでは酸化ストレスを生じるので合併症は防げません。
現実に、毎年新たに、
16000人以上の人工透析、3000人以上の失明、3000人以上の足切断患者が
発症しているのがその証拠です。
すなわち、現行の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)では
糖尿病合併症は防げない
のです。

なお、ABIは下肢の末梢動脈硬化病変の診断の手がかりとして、又
重症度のマーカーとしてもちいられる信頼できる指標ですが、
CAVIは信頼度の低い検査ですので、こちらの検査結果も心配は要りません。


(☆)
AGEsとは、Advanced Glycation End Productsの略語であり、
終末糖化産物、後期糖化生成物などと訳されます。
タンパク質に糖が曝露されることによる糖化反応で作られた最終的な生成物のことであり、身体の様々な老化に関与する物質と言えます。
また糖尿病合併症の元凶の一つとされています。


江部康二
スーパー糖質制限食でHbA1c劇的改善、質の良いHbA1cと質の悪いHbA1c。
【23/03/19 ひのえうま

主人の結果も私の健康診断良かったです!
こんにちは、江部先生!

夫のA1cが、5.3になったので、嬉しくてご報告にまいりました!
他の数値も、全て問題なく、高血圧が残るのみ、となりました。
A1c10.5を叩き出して、ハッキリ糖尿病、と、診断された人には、
5台に戻るのはなかなか難しい、と聞いていたので、
ましてや、5.5以下になるなんて、本当に驚きました。
途中、一度、6.0に戻って焦ったこともありましたが(笑)

やはり、コロナで、プール通いも一時中断していましたし、
私の捻挫で、ウォーキングもままならなくなっていたのがテキメンでした。
(ご近所が物騒になって、ウォーキングなどは、2人で行うように、
とお達しが出ていたので、1人では腰が重かった…)

すぐに、数値に出てくるので、対処も早く、
普段はスタンダードとスーパーの間くらいでしたが、
運動があまりできない間は、スーパー糖質制限に戻したところ、
スッと戻りました。いや、むしろ良くなりました。

ただ、主人の場合、どれくらいの期間かはわかりませんが、
高血糖を放置していたツケは回って来て、白内障の進行が思ったより早く、
この春には、白内障の手術が決まりました。
毎年、キチンと検診に通っていたので、そろそろと言われてはいて、
落ち着いて受け止めることができました。

一方、私の方は去年、コロナ騒動で、健診ものびのびになってしまい、
ご報告もできませんでした。
(いつも1月だったのが、この3年間は3月になってしまいました)
2年まとめてご報告に…


2022年3月→2023年3月
血圧 131/87→118/79
総コレステロール 229→246
中性脂肪 76→75
HDL 60→67
LDL 159→163
血糖値 98→110
A1c 5.9→6.0



血糖値は100前後、A1cは6.0前後をウロウロして、
スパッと下がりきりませんが、糖質制限をしての6.0なので、
昔みたいに心配していません。

コレステロールは、近所のお魚屋さんが店じまいをしてしまい、
いいお魚がなかなか手に入り辛くなっていて、
肉食が増えていたことも原因の一つかな、と反省しています。
このくらいの数値のうちに、立て直そうと思います。
ちょっと車で出なくてはなりませんが、
いい魚介を扱っているスーパーまで買いに行きます。

女性は更年期からコレステロールが高くなりがちとは聞いていたので、
心配ではあり、今年はオプションで、動脈硬化度の検査もしてみました。
CAVIは8.4で、境界線とは言え、ギリギリセーフ!
アテロームABI 1.03(左)1.02(右)全くの正常と出ました。
少々硬くなって来てるので、高血圧もなるほどと頷けました。
来年までに、改革して、今より良くできるよう、がんばります!

PS 高血糖になったと悩んでいた知人にも、
先生の本を一冊プレゼントしましたところ、大変喜んでもらえました。
こちらのブログも併せて紹介させていただきました。
これからも、ますますのご活躍をお祈り致しております。
長々と申し訳ございませんでした。
これからもよろしくお願い致します。】



こんにちは。
ひのえうまさんから、とても嬉しいコメント頂きました。
ありがとうございます。

【お連れ合いののA1cが、10.5% ⇒ 5.3%
他の数値も、全て問題なく、高血圧が残るのみ。】


スーパー糖質制限食で、素晴らしい改善です。
ご指摘通り、通常の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)による治療では、
例え薬物を併用しても10.5%の人が、6%をきるというのは極めて困難です。
ちなみに身長と年齢は、どのくらいでしょう。
また体重の変化は糖質制限食実践前と後ではどうなりましたか?

有酸素運動は、筋力維持や健康のためにしたほうが、良いのですが、
今回のお連れ合いのように、運動が困難な状況のときもあります。
それでも、スーパー糖質制限食実践なら、血糖値はリアルタイムにメキメキと
改善します。


【主人の場合、どれくらいの期間かはわかりませんが、
高血糖を放置していたツケは回って来て、白内障の進行が思ったより早く、
この春には、白内障の手術が決まりました。
毎年、キチンと検診に通っていたので、そろそろと言われてはいて、
落ち着いて受け止めることができました。】


そうですね。
糖尿人において一定期間血糖コントロールが不良であれば、
高血糖の記憶が「借金」のように生体内に残り
その後良好なコントロールが得られても、
合併症リスクの差は縮まらないことが、わかっています。
この借金の正体が、組織沈着AGEs(☆)ではないかと言われています。
お連れ合いは、HbA1cが良好なので、安心して白内障手術を受けることができます。
HbA1cが7%以上あると、手術を嫌がられます。


ひのえうまさんのデータ
【2022年3月        →   2023年3月
血圧       131/87  →  118/79
総コレステロール 229    →  246
中性脂肪     76    →   75
HDL        60    →   67
LDL        159    →  163
血糖値      98     →  110
A1c        5.9    →   6.0 】


血圧は良好ですね。
2023年3月は、中性脂肪が75mgと80mg以下で、HDLコレステロールが67と
60以上でgoodです。
これなら、LDLコレステロールも全て標準の大きさの善玉であり、
肝臓から細胞膜の原料であるコレステロールを末梢組織に運んでいく重要な役割を果たしています。
血糖値110mgも境界型くらいですが、スーパー糖質制限食継続で
109以下の基準値になると思います。


【血糖値は100前後、A1cは6.0前後をウロウロして、
スパッと下がりきりませんが、糖質制限をしての6.0なので、
昔みたいに心配していません。】


仰る通り、スーパー糖質制限食でHbA1cが6.0%くらいの場合は、
「食後高血糖」「血糖変動幅増大」のない質の良いHbA1cであり合併症の問題はないです。
内服薬を飲んだりインスリン注射をして、糖質を食べてのHbA1cは、
「食後高血糖」「血糖変動幅増大」を伴う、質の悪いHbA1cであり、
これでは酸化ストレスを生じるので合併症は防げません。
現実に、毎年新たに、
16000人以上の人工透析、3000人以上の失明、3000人以上の足切断患者が
発症しているのがその証拠です。
すなわち、現行の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)では
糖尿病合併症は防げない
のです。

なお、ABIは下肢の末梢動脈硬化病変の診断の手がかりとして、又
重症度のマーカーとしてもちいられる信頼できる指標ですが、
CAVIは信頼度の低い検査ですので、こちらの検査結果も心配は要りません。


(☆)
AGEsとは、Advanced Glycation End Productsの略語であり、
終末糖化産物、後期糖化生成物などと訳されます。
タンパク質に糖が曝露されることによる糖化反応で作られた最終的な生成物のことであり、身体の様々な老化に関与する物質と言えます。
また糖尿病合併症の元凶の一つとされています。


江部康二
インスリンの功罪①。特に「罪」について。
【23/03/17 アリス
江部先生ありがとうございます
糖尿病歴8年 市の健診でHBA1Cが12を超えていたので 即入院1か月間カロリー制限の勉強とインシュリンを打つ練習 退院してすぐ先生のブログに出会い 糖質制限を始めました 
今も元気に保育士の仕事ができる喜びを感じています
江部先生のこのブログを知らずに市民病院インシュリンをうちつずけていたら今頃どうなっていたでしょう~糖質制限を教えてくださった江部先生に感謝の気持ちでいっぱいです
カロリー制限では合併症は防げないのに それを知りながら 正しいことを教えないお医者様は悪魔ですね 私はそう思っています】



23/03/18 ドクター江部
アリス さん
HbA1c12%超えから、糖質制限食でインスリン注射なしで
血糖値が改善して、元気に保育士の仕事をしておられるとは、よかったです。

多くの医師が、『自分の頭で考える』
という習慣がないので
ガイドライン通りの治療しかご存じないし、それが当たり前で、
それ以外の治療があるという選択肢がないのが日本の糖尿病医療の現状です。
しかし、現状の糖尿病食で、合併症が防げていないのですから
『自分の頭で考えない』というのも、悪魔ではないにしても、一定の罪と言えます。

インスリン注射に関しては、
医師は、その有用な面ばかりを強調することがほとんどなのですが、
実はインスリン注射にはデメリットもあるのです。

<インスリンの功罪①。特に「罪」について。>

先日、ある製薬メーカーさんの社内勉強会で
糖尿病と糖質制限食のお話しをしてきました。
製薬メーカーの社員で、医師や薬剤師に製品の
「効能、副作用、トピック、研究論文・・・」など
様々な情報を紹介してくれるのが、MRさんです。(*)

皆さん、よく勉強しておられるので
私もいろいろ教えて貰うことも多いです。
そんな、MRさんの社内勉強会ですから、
インスリン注射のこともよくご存知です。

ところがインスリンの、「功罪」のうち、「功」のほうは
よくご存知でした
、「罪」のほうは、ほとんどご存知ないのです。

それで、本日のブログはインスリンの功罪というお題とすることとしました。

まずは、インンスリンがないと、人は死亡します。
基礎分泌のインスリンは生命維持に絶対に必要なのです。
実際、1921年にインスリンが合成されるまでは、
1型糖尿病で内因性インスリンゼロの場合は平均余命は半年程度でした。
インスリンが開発されて以降、1型糖尿病の寿命は劇的に改善しています。

一方で過剰なインスリンの害にはエビデンスがあります。
たとえ基準値内でも、インスリンの血中濃度が高いほど、
アルツハイマー病、がん、老化、肥満、高血圧などのリスクとなります。

また、高インスリン血症は活性酸素を発生させ、酸化ストレスを増加させます。
酸化ストレスは、老化・癌・動脈硬化・その他多くの疾患の元凶とされています。
パーキンソン病、狭心症、心筋梗塞、アルツハイマー病などにも
酸化ストレスの関与の可能性があります。


1)ロッテルダム研究によれば、
インスリン使用中の糖尿人ではアルツハイマー病の相対危険度は4.3倍です。

Rotterdam研究(Neurology1999:53:1937-1942)
「高齢者糖尿病における、脳血管性痴呆(VD)の相対危険度は2.0倍。
アルツハイマー型痴呆(AD)の相対危険度は1.9倍。
インスリン使用者の相対危険度は4.3倍」


2)インスリン注射をしている糖尿人は、
メトグルコで治療している糖尿人に比べて
ガンのリスクが1.9倍というカナダの研究もあります。

2005年の第65回米国糖尿病学会、
カナダのSamantha博士等が、10309名の糖尿病患者の研究成果を報告、
その後論文化。コホート研究。
 「メトフォルミン(インスリン分泌を促進させない薬)を使用しているグループに比べて、インスリンを注射しているグループは、癌死亡率が1.9倍高まる。SU剤(インスリン分泌促進剤)を内服しているグループは癌死亡率が1.3倍高まる。」 
Diabetes Care February 2006 vol. 29 no. 2 254-258 


3)Cペプタイド値が高い男性は、低い男性に比べ最大で3倍程度、大腸癌になりやすい。
国立がん研究センター、「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果。

57%が空腹時、他は非空腹時で共に大腸癌群は高値。厚生労働省研究班が2007年、疫学調査結果を発表し英文論文化。研究班は、全国9地域で40-69歳の男女約4万人を、1990年から2003年まで追跡。                       
Int J Cancer. 2007 May 1;120(9):2007-12.


このように過剰インスリンの弊害を見てみると、
インスリンは血糖コントロールができている限り少なければ少ないほど、
身体には好ましいことがわかります。

別の言い方をすれば、農耕開始後、精製炭水化物開始後、
特に第二次大戦後に世界の食糧事情が良くなってからの糖質の頻回・過剰摂取が、
インスリンの頻回・過剰分泌を招き、酸化ストレスを生じ、
様々な生活習慣病の元凶となった構造が見えてきます。

スーパー糖質制限食を実践すれば、インスリンの分泌は必要最小限で済むようになり、
様々な生活習慣病の予防が期待できます。

ブログ読者の皆さんも、スーパー糖質制限食実践で、
必要最低限のインスリンで血糖こントロールを維持して、
健康ライフを送ってくださいね。


(*)
【MR】[medical representative]医薬情報担当者。
薬についての知識や情報を医師や薬剤師に提供する製薬メーカーの営業担当者。


江部康二
妊婦の糖質制限と子供の肥満は関係ある?
【23/03/16 そらまめ

スーパー糖質制限をしている潰瘍性大腸炎持ちの妊娠6週目の者です。
ヨミドクターのコラムにて気になる内容を見つけたので、
質問させていただいております。
以下引用です。

「英国のサウサンプトンで母子に対して行われた研究では、
妊娠初期の炭水化物摂取量と、
生まれた子どもが6歳、9歳のときの体脂肪量の関係が調べられました。
その結果、母親の炭水化物の1日の摂取量が少なかったケースほど、
子どもの体脂肪量が多くなる傾向がはっきりしたのです。
つまり、妊娠初期に糖質を制限し過ぎると、
子どもの肥満につながる可能性が指摘されました。」


UCもあり、糖質制限をやめるつもりも過剰な糖質摂取をするつもりもありませんが、
炭水化物の低摂取が胎児に影響があり、生まれてきた後も影響が残るのでしょうか?
お答えいただきますと嬉しく思います。
よろしくお願いいたします。】



こんにちは。

そらまめ さんから

ヨミドクターの記事に、

「妊婦の糖質制限は生活習慣病になりやすい子を産むことに繋がる」

という福岡秀興氏の記事が掲載されていましたが、
どうなのでしょうといういうコメント・質問を頂きました。

結論から言いますと、妊婦が糖質制限食を実践しても何の問題もありません。
日本では、宗田マタニティークリニックと永井マザースホスピタルにて、
過去、数千人以上の健康な糖質制限ベビーとママがおられます。


ヨミドクター
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20171219-OYTET50009/
2017年12月20日
妊婦は気をつけて! 炭水化物抜きで子どもが肥満、動脈硬化、高血圧に


福岡秀興・早稲田大ナノ・ライフ創新研究機構招聘研究員は、
以前から英国のサウサンプトン研究を引用して、
糖質制限食批判をされてますが、
根本的な勘違いをしておられます。

福岡氏の引用元の論文は、
炭水化物摂取が
261.5g/日未満
297.5g/日未満
351.0g/日未満[/太字]
351.0g/日以上

の4群の妊婦の研究です。

即ち、全員が大量の炭水化物摂取をしていての研究です。
従って、そもそも糖質制限食とは、全く無関係の論文です。

糖質制限食とは130g/日以下の糖質摂取が定義となります。
糖質制限食の妊婦と、子供の肥満に関する論文はありません。

原著は以下です。
Epigenetic Gene Promoter Methylation at Birth Is
Associated With Child’s Later Adiposity                      
Diabetes 60:1528–1534, 2011


「出産時のエピジェネティックな遺伝子プロモーターのメチル化が、
子供の後の肥満に関係している」
という題です。
子供達が9歳のときに、肥満のチェックをしています。
261.5g/日未満の炭水化物摂取群の女性の子供が、
出産時のエピジェネティックな遺伝子プロモーターのメチル化が増加していて
それが肥満と関係しているかもしれないという仮説です。

この論文で調べられているのは、
エピジェネティック修飾のなかでもDNAのメチル化です。
著者らの結論も、「may」ですから、かもしれないという仮説レベルであり、
福岡秀興氏、これを確固たるエビデンスのように語られては、困ったものです。
繰り返しますが、この論文の結論は、所詮仮説に過ぎません(*)

私は、この論文の仮説は、子供の肥満のごく一部の要因を説明する可能性は否定しませんが、
普通に考えて、出生後の食生活のほうがはるかに大きな要因となると思います。


また、この仮説は、少なくとも日本女性には、全くあてはまらないと思います。
悪阻(つわり)も考慮すれば、妊娠初期の日本女性のかなりの人が、
炭水化物摂取が261.5g/日未満であり、この研究における最も少ない炭水化物摂取量群に入ると思います。
しかし、過去も現在も、日本の子供が英国の子供より肥満が多いとはとても言えませんね。

なお、「炭水化物摂取量」ではなくて、「飢餓と妊婦と子供の将来の肥満」に関しては
明確なデータがあります。
第2次大戦の1944年11月から1945年のドイツ降伏まで
オランダは約半年間の飢餓状態におかれました。

この時の妊婦から生まれた子供は、成人してから、肥満と糖尿病になる確率が
高かったことが知られています。
特定の遺伝子にエピジェネチックにメチル化が起こり、
これらの発現が調整されたと考えられています。



(*)
CONCLUSIONS:
Our findings suggest a substantial component of metabolic disease risk has a prenatal developmental basis. Perinatal epigenetic analysis may have utility in identifying individual vulnerability to later obesity and metabolic disease.

結論:
私たちの知見は、代謝性疾患リスクの実質的な要素が、出生前の発育基盤を有することを示唆している。周産期エピジェネティック分析は、後の肥満および代謝疾患に対する個々の脆弱性を確認するのに有用かもしれない。





江部康二

日本糖尿病学会への提言(2)
こんばんは。

日本糖尿病学会への提言(2)
糖尿病合併症とカロリー制限食の弊害
です。

日本糖尿病学会『第56回日本糖尿病学会年次学術集会』熊本宣言2013
の記載が以下です。
『糖尿病合併症で苦しむ患者さんの数は今なお減少していません。
糖尿病腎症で透析になる人が年間16000人以上。
糖尿病網膜症で失明する人が年間3000人以上。
糖尿病足病変で切断する人が年間3000人以上。』



ここで疑問が出てきます。
これらの方々は、全て医師や栄養士の言うことを聞かずに、
薬もまともに内服せずに暴飲・暴食をしたのでしょうか?

いえいえそんなことはありません。

ほとんどの方は、医師や栄養士の言うとおりに、
つらくとも我慢してカロリー制限食を実践し、
酒も飲まず、運動もし、血糖コントロールが徐々に悪くなれば、
経口糖尿病薬が増えていき、それでも効果が良くならなければ、
インスリン注射を導入して、清く正しく頑張ってきたにもかかわらず、
糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病壊疽、心筋梗塞、脳卒中・・・を合併してきてしまったのです。

日本では、ほとんどの糖尿病患者さんが
糖質摂取比率50~60%の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)を指導されています。
この高糖質食を糖尿病患者さんが摂取すれば、
<食後高血糖、血糖値の乱高下、平均血糖変動幅増大>を必ず生じます。
これでは、糖尿病合併症が、減らないのも当たり前としか言いようがありません。

即ち、糖尿病患者さんに罪はないのです。
罪は一重に、現行の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)にあるのです。

この食事を食べる限りは、
かなり運が良くない限り糖尿病合併症から免れることは至難の技です。

何故なら、糖質を摂取する限り、
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅の増大」を必ず生じるからです。

食後高血糖と平均血糖変動幅増大は、糖尿病合併症の最も大きな要因です。
食後高血糖と平均血糖変動幅増大を防ぐことこそが
合併症予防の優先順位の一番なのです。
そして糖質制限食が唯一、食後高血糖を防ぐ治療食なのです。


ACCORD(RCT研究論文)よれば、

「糖質を普通に摂取しながら、強力な糖尿病の薬物治療を行えばかえって総死亡率が上昇する」

という、明白なエビデンスが存在します。

以下の本ブログ記事をご参照頂ければ幸いです。
ACCORD後の血糖管理・推奨HbA1cは? 2011年米国糖尿病学会
2011年07月20日 (水)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-1743.html



私は一人の医師であり、一人の糖尿病患者です。
医師としてそして一糖尿病患者として、日本糖尿病学会に、提言します。

1)
ACCORDなどの明白なエビデンスを無視せずに、現実を認めて、ワンパターンの食事療法(カロリー制限・高糖質食)の見直しに着手するのが、糖尿病専門医として科学的な態度と言えるのではないでしょうか?

2)
また、従来の日本の糖尿病治療(カロリー制限・高糖質食と薬物療法)で、糖尿病網膜症で失明、糖尿病腎症で透析、糖尿病壊疽で下肢を切断、心筋梗塞、脳梗塞・・・といった糖尿病合併症が毎年多数発症している現状を、どのようにとらえておられるのでしょうか?
現実に多くの糖尿病患者さんを苦しめてきたという反省はないのでしょうか?
是非、冷静に日本の糖尿病治療と合併症の現状を検討して頂きたいと思います。

3)
さらに、糖尿病専門医が推奨するカロリー制限食(高糖質・低脂質食)では、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅の増大」を生じ、酸化ストレスリスクを決して防げないという生理学的事実を、糖尿病患者さんに、どう説明し、納得してもらうおつもりなのでしょう。

短期的に破滅的に効果が悪い食事療法(カロリー制限・高糖質食)を、長期間にわたり糖尿病患者さんに推奨するなら、倫理的にも科学的根拠を示す義務があります。糖尿病専門医として、科学的思考をされることを切に望むものです。

4)
農耕開始前の人類約700万年間の進化の歴史は狩猟・採集であり、農耕開始(穀物摂取開始)は約1万年前からに過ぎないことを、認識してください。

5)
日本人も旧石器時時代と縄文時代の約35000年間は狩猟・採集であり、農耕開始(米摂取開始)は弥生時代以降の約3000年間に過ぎないことを、認識してください。



★ACCORD
Effects of Intensive Glucose Lowering in Type 2 Diabetes
The Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes Study Group
N Engl J Med 2008; 358:2545-2559

江部康二
3月29日(水)に東京・池袋で、「低糖質スイーツ作りのデモ・試食会」を開催
こんにちは。

2023年3月29日(水)東京・池袋にて、
日本糖質制限医療推進協会主催の「低糖質スイーツ作りのデモ・試食会」
を開催します。


当会は、低糖質スイーツ教室を2017年~2020年1月まで東京と京都で開催し、
ブログ読者の皆さんにも多数参加いただきました。
その節は、ありがとうございました。

このたび、「パティシエに学ぶ、おいしく作れる低糖質スイーツ(東京)~デモ・試食会」と題して、
久しぶりに講習会を催すことになりました。

講師は以前と同様で、パティシエの小寺幹成さんと管理栄養士の佐々木栄子さんです。

・小寺さんのプロフェッショナルな技を直接見て、おいしく低糖質なスイーツづくりを学べること
さらに、
・糖質制限による栄養指導のご経験豊富な佐々木さんの的確なアドバイスも得られること
が、この教室の嬉しいところと思います。

今回のテーマは「フィナンシェとババロア」だそうです。
私もバレンタイン?プレゼントでいただき、どちらも試食しました。
食べやすく、美味しかったです。
皆さん奮ってご参加くださいね^^v


江部康二


以下、事務局からのお知らせです。

******************

ブログ読者の皆様、いつも弊会のイベントへ多数ご参加いただきまして、ありがとうございます。

本日は、低糖質スイーツ講習会の開催をご案内申し上げます。

2023年3月29日(水)に東京・池袋で、「低糖質スイーツ作りのデモ・試食会」を開催いたします。

☆低糖質スイーツ作りのデモ・試食会

パティシエによる低糖質スイーツ作りのデモンストレーションや解説を聴講および試食いただく会です。

おいしい低糖質洋菓子をご自宅で作っていただけるよう、パティシエの小寺幹成先生が、作る際のコツや工夫、様々な技術をデモンストレーションでレクチャー。参加者様からの質問や疑問にもお答え下さいます。

また、管理栄養士の佐々木栄子先生から、低糖質菓子をご家庭で作りやすくするための工夫、学んだことを更に活用するアイデアなど、様々なアドバイスをいただきます。

血糖値が気になってお菓子を控えているという方、安心の低糖質スイーツを作りたいという方、お菓子作りは初めてという方も、是非ご参加ください。

☆今回の内容

マドレーヌと違って、全卵ではなく、卵白を使う金塊型の焼き菓子「フィナンシェ」。

今回は、このフィナンシェをメインに催します。

フィナンシェを上手に作るには、「焦がしバター」がキーになります。

デモンストレーションとあわせて、この焦がしバターの作り方、材料の混ぜ方など、各工程を丁寧に説明。

簡単なようで難しいフィナンシェ作りを学んでいただきます。

試食では、少量の小麦粉を使ったもの、大豆粉を使ったもの、2種のプレーンタイプと、アレンジタイプ1種を召し上がっていただく予定です。

また、フィナンシェ作りで余った卵黄の活用法として、「ババロア」作りもご紹介。こちらもご試食を用意いたします。

関東にお住まいの方をはじめ、皆さまのご参加をお待ちしております。

●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●

(一社)日本糖質制限医療推進協会主催
「パティシエに学ぶ、おいしく作れる低糖質スイーツ(東京)~デモ・試食会」

♪テーマ:「フィナンシェとババロア」

◆日時: 2023年3月29日(水) 13:30~15:30頃 ※開場・受付は13:15~

◆会場: としま区民センター5F 「キッチンルーム」
〒170-0013 東京都豊島区東池袋1-20-10
https://toshima-civic-center.jp/access/

以前教室開催していた会場(IKE・Biz)とは異なります。お間違えの無いようお越し下さい。

♪講師:

・小寺幹成 「パティスリー ロア・レギューム」オーナーパティシエ

・佐々木栄子 管理栄養士/健康運動実践指導者(当会アドバイザー)

◆参加費: 賛助会員 2,800円 / 一般(会員以外) 3,400円

◆定員・対象: 18名様 ・一般(18歳以上)

◆ご持参いただくもの:筆記用具

◆お支払い方法: クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。

◆お申し込みの流れ:

1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込みください。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4. 当日、直接会場までお越しいただき、受付にてお名前をお伝えください。

◆お申し込み方法:

※当教室は、一般の方にご自宅で作っていただくことを趣旨とした教室です。
製菓や料理のお仕事をしておられる方、食品会社で企画・開発をしておられる方など、
業界の方の場合は、その旨をお書き添えの上、お申し込みください。

★賛助会員の方: 事務局へメールにてお申し込み下さい。

★賛助会員入会+教室参加をご希望の方:

1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up

2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
「入会ならびに講演会等出席のお問い合わせ」を選択いただき、
「通信」欄に「3/29スイーツデモ・試食会、参加希望」とご記入下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact

★一般(会員以外の方)で、教室参加ご希望の方:

下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/cooking

◆その他

・予約制です。当日参加はできません。

・当日の開場・受付は、デモ・試食会開始時間の15分前からです。

・デモ・試食会では、実習は行いません。

・お申し込み後、キャンセルされる場合は、3月24日(金)までにご連絡ください。
3月25日(土)以降のキャンセルは、参加費の半額をキャンセル料金として頂戴しますので、予めご了承ください。

・皆様でご試食いただきますので、香水などのフレグランスはお控えください。

◆弊会イベント情報URL: http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity

●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●
日本糖尿病学会への提言。3大栄養素と血糖値について。
1)
2004年版のLife With Diabetes(米国糖尿病学会・ADA)には、
「Carbohydrate,protein,and fat contain calories.
Only Carbohydrates directly affect blood glucose levels. 」 3rd Ed,2004(☆☆)

直訳すると、

「炭水化物・タンパク質・脂肪はカロリーを含有している。
炭水化物だけが、血糖値に直接作用する。」


と記載されています。

1997年版のLife With Diabetes(☆)では、
「糖質100%、蛋白質50%、脂質10%未満が血糖に変わる」
としていましたが、
2004年版で削除され、上記に変更されました。

上記以外にも1997版で記載されていた、
脂質とタンパク質と血糖に関する記載が 2004年版では全て削除されています。
2009年版(☆☆☆)もそれを継続しています。

1997年から2004年の間に、多くの研究・論文などエビデンスが蓄積されて、
米国糖尿病学会の見解が、

「血糖値を直接上げるのは3大栄養素の内、糖質だけである。」

と変化したものと考えられます。

このことは、米国糖尿病学会の公式見解であり、
Life With Diabetes は患者教育用の医療者むけのテキストブックです。

つまり、米国では糖尿病患者さんに、

「炭水化物・タンパク質・脂肪はカロリーを含有している。
炭水化物だけが、血糖値に直接作用する。」


という生理学的事実を教育しているわけです。

米国では患者さんに教育している3大栄養素と血糖のことを日本では、
一切説明しません。

例えば、
日本糖尿病学会編・著 2020-2021 糖尿病治療ガイド

④食事療法(48ージ~51ページ)においても
この重要な生理学的事実に一切触れていません。

糖尿病食事療法において極めて重要な、3大栄養素と血糖のことを、
患者さんに説明しないのは、不可思議であり、アンフェアと思います。

「糖質だけが直接血糖値を上げる」
「タンパク質・脂質は直接血糖値を上げることはない」

という生理学的事実を知れば、
日本糖尿病学会推奨の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)
に疑問をもつ患者さんが増えると思います。

日本糖尿病学会として、3大栄養素と血糖値のことを、
現状のまま糖尿病患者さんに教育しないのなら、
なぜ説明しないのか、その根拠を示す必要があると思います。


註1 
「1型でも内因性インスリンがあるていど残っている場合は、
タンパク質は血糖値をほとんど上げないことがある。

しかし、内因性インスリンがゼロの場合は、バーンスタイン医師が言うように、
体重64kgとして1gのタンパク質が約0.94mg上昇させる
1gのタンパク質がどの程度血糖を上げるかには個人差がある。

リジン、ロイシン、アルギニンなどのアミノ酸がグルカゴンとインスリンを同時に分泌させるので、通常は血糖値に影響を与えない。

しかし、内因性インスリンが分泌ゼロの場合、
グルカゴンだけが分泌され肝臓の糖新生により、血糖値が上昇する。
タンパク質が直接、血糖値に変わるのではない。」

これは高雄病院に入院された150人の1型糖尿病患者さんを、
糖質制限食で治療して得た見解です。



註2
炭水化物=糖質+食物繊維


註3
英語には糖質に匹敵する単語がありません。
糖質=available carbohydrate
となります。




江部康二




Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines 
by the Michigan Diabetes Research and Training Center,
American Diabetes Assoiation ,2nd Ed,1997

☆☆
Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines 
by the Michigan Diabetes Research and Training Center,
American Diabetes Assoiation ,3rd Ed,2004

☆☆☆
Life With Diabetes:A Siries of Teaching Outlines 
by the Michigan Diabetes Research and Training Center ,
American Diabetes Assoiation ,4th Edition,2009

糖質制限OKな飲み物。水分補給。 脱水予防。
【23/03/11 ピンパン
アクエリアスゼロ
江部先生
大変ご無沙汰しております。先生の本を購入させて頂いた後に、こちらのブログを知り、
神戸から京都まで通うのは(無理ではないですが)厳しかった為、
芦屋の吉田先生をご紹介頂いた者です。その際は、本当に有難うございました。

久しぶりに書き込ませて頂きます。今回記事の中でふれられている「アクエリアスゼロ」について、一つご質問があります。

仰る通り、糖質は500mlのペットボトルでも3.5gとわずかですが、
人工甘味料(アセスルファムK、スクラロース)が含まれています。
私の勉強不足でしたら訂正頂きたいのですが、以前、このタイプの人工甘味料は、
血糖値を上げると、何かで記事を読んだ記憶があるのですが、
脱水症状の抑制の面も含め、推奨されているという事ですが、
血糖値の上昇という部分については、特に気にする様な影響はないのでしょうか。
教えて頂けると幸いです。】


こんにちは。
ピンパンさんから、アクエリアスゼロについて、コメント・質問を頂きました。
まず、人工甘味料は、血糖値を上げませんので、ご心配なく。
糖質は500mlのペットボトルでも3.5g なら、10.5mg/dlしか
血糖値を上昇させないので、糖質制限OK食品ですね。

2023年3月12日(日)、本日は全国的に暖かいです。
最高気温は全国的に平年よりも高い予想です。
札幌:9℃/1℃ 仙台:12/6 新潟:20/5 東京:19/10 金沢:24/8
名古屋:21/11 大阪:23/12 広島:20/12 福岡:22/14 那覇:24℃/19℃

こうなると春でも脱水注意が大事です。
熱中症で運ばれる患者さんも、ほとんどがベースに脱水があります。
ブログ読者の皆さんも水分補給には充分留意してくださいね。
 
さて、スポーツや肉体労働をしていない時、脱水予防に水分補給するなら、水が一番です。
汗を多くかいていない時は塩分補給は必要なく、水分補給だけで充分です。
お茶でもよいです。 単なる炭酸水もいいです。
個人的にはペリエが一番好きですが、
日常的にはもっと安価な炭酸水を購入しています。
具体的には、近くのコンビニに置いてあるウィルキンソン炭酸水が多いです。
 
水やお茶など糖質のない糖質制限OKの飲み物は沢山あります。
糖質がごく少量の飲み物としては、成分未調整の豆乳もあります。
ブラックコーヒーも糖質はごく少量です。
私も、豆乳や、「ブラックコーヒー+生クリーム」をよく飲みます。
 
カフェインを気にするなら、
水が一番ですが、お茶の中では、番茶がカフェインが少ないですね。
玄米茶は10mg/100mlです。
麦茶、杜仲茶、ルイボスティーなどは、カフェインゼロです。
爽健美茶、十六茶もカフェインゼロです。
 
福岡県薬剤師会のサイト
http://www.fpa.or.jp/library/kusuriQA/50.pdf
 
飲料別カフェイン含有量
滲出液100ml中
 
玉露 160mg・・・・・・・・・・・糖質は0g (0kcal)。タンパク質    1.3g (5.2kcal)
煎茶 20mg・・・・・・・・・・・・・・  糖質は0.2g (0.8kcal)。タンパク質0.2g (0.8kcal)。計2キロカロリー
番茶 10mg・・・・・・・・・・・・・    糖質は0.1g (0.4kcal)。表示はゼロカロリー
ほうじ茶 20mg・・・・・・・・・・・・・糖質は0.1g(0.4kcal)。表示はゼロカロリー
釜炒り茶 10mg・・・・・・・・・・・・糖質は微量。0.1g未満?。
玄米茶 10mg・・・・・・・・・・・・糖質は0g (0kcal)。
ウーロン茶 20mg・・・・・・・・・・・・糖質は0.1g (0.4kcal)。表示はゼロカロリー
紅茶  30mg   ・・・・・・・・・・・糖質は0.1g。表示はゼロカロリー
コーヒー  60mg  ・・・・・・・・・・糖質は0.7g。2.8kcal。
麦茶    0mg・・・・・・・・・・・・・0.3g (1.2kcal)

上記、カフェインの量は、福岡市薬剤師会のサイトからの引用です。
糖質量などは、私が調べました。

 
野外労働やスポーツで、一定以上汗をかいたときは、
水分に加えて、塩分補給も必要です。
熱中症ガイドライン・日本救急医学会2015年によれば熱中症の予防・治療には
 
「0.1 から 0.2%程度の食塩水、つまり 1L の水に 1 から 2g の 食塩。
推奨されている 飲 水 量 は 高 齢 者 を 含 む 学 童 か ら 成 人 が 500 ~ 1,000mL /日、
幼児が 300 ~ 600mL /日、乳児が 体重 1kg 当たり 30 ~ 50mL /日を目安としている。」

とされています。
 
手っ取り早くは、アクエリアスゼロでもいいと思います。
炭水化物0.7gと記載されていますが
カロリーゼロなので血糖を上昇させることは、ほとんどないです。
 
アクエリアスゼロ:1本が500ml
100mlあたり
エネルギー      0kcal
タンパク質      0g
脂質    0g
炭水化物 0.7g
ナトリウム      40mg
カリウム 9mg
マグネシウム    1.2mg
L-カルニチン    10mg
 
原材料名 : 果糖、塩化Na、L-カルニチン L-酒石酸塩、香料、クエン酸、クエン酸Na、
甘味料(アセスルファムK、スクラロース)、
塩化K、硫酸Mg、乳酸Ca、酸化防止剤(ビタミンC)

 
人工甘味料が嫌な人や節約したい場合は、
「1L の麦茶に 1 g の 食塩」を自分で作って飲めば良いと思います。
 
江部康二
 
5,300年前の人類「アイスマン」は、糖質セイゲニスト
こんにちは。
2022年、日本公開から1カ月足らずで国内の累計興行収入が43億円を突破した
トム・クルーズ主演『トップガン マーヴェリック』。
本作に出演したマーベリック(トム・クルーズ)のライバルが
アイスマン(ヴァル・キルマー)といいますが、
本作ではマーベリックとアイスマンの揺るぎない友情が描かれています。

アイスマンで、少し昔の記事を思い出しました。
オーストリア・アルプス標高3,500mの氷河から発見された、
5,300年前に死亡した世界最古の人類の冷凍ミイラ
「アイスマン」と呼ばれているのです。
私は、古人類学や考古学が好きなのです。


【13/03/24 とっさん

5,300年前の人類は、糖質セイゲニスト

3/24(日) 21:00~NHKスペシャル「アイスマン」の放送内容を報告します。

我々糖質セイゲニストとしては、5,300年前の人類が何を食べていたかは、多いに関心のあるところである。放送は全体的として、エビデンスに基づいた内容。私の主観を排除し、概要を報告。

① オーストリア・アルプス標高3,500mの氷河から発見された、5,300年前に死亡した世界最古の冷凍ミイラの話。体全体が冷凍保存状態で、これを「アイスマン」と名付け、多くの科学者によって、解凍され分析された。胃・腸・脳・皮膚などから、食餌内容物や体細胞などが収集・解析された結果が報じられた。

② 胃の内容物は、先ずは動物性脂肪で、ヨーロッパ・アルプスに棲息する山羊(ヤギ)の種類を食べていた。次に現在ハーブとして用いられている植物種。

③ 胃と腸には、加水性の小麦と煤(スス)があり、その実態はパンであった。ちなみに人類にとってパンは、既に8,000年前にエジプトで焼かれていたが、給料として用いられた程に超貴重品であった(即ち少量しかなかった)。

以上が、5,300年前の人類の食餌。

さらに以下は、道具や衣に関する解析結果。

④ 純度99.7%の銅製の斧(オノ)。アイスマンの発見により、精錬技術の歴史は定説より1,000年も繰り上がることに。
⑤ 山羊(ヤギ)の毛皮で、黒と茶のツートンカラーに縫われたマント。そして、アルプスの山を歩くに耐えうる程の靴(材料は草本?木本?の植物に見えた)。

⑥ 中国文明での「針」に類似する傷が皮膚皮下にあり、一種の医療行為と推定される。

⑦ 「アイスマン」の死因は、背後から胸部に矢じりを打ち込まれ、側頭部を殴打されたことによる大量脳出血。即ち、殺人事件であった。

⑧ 胃から腸にかけての消化器部位ごとの内容物の分析から、死の直前3日の間、アルプス山中のアップダウンを激しく移動していた。死に様も併せて推理すると、殺害者に追われていたと考えるのが自然。

以上が、番組の概要です。

ここから、私の主観を二つ三つ。

Ⅰ。 5,300年前の人類の食餌は、野生種の小麦を僅かに食べたかも知れないが、生命維持の専らの食餌は、動物性の蛋白質と脂質であり、紛れもなく糖質セイゲニストであったと確信する。

Ⅱ。 エジプト・メソポタミヤから遠く離れたアルプス地方に、思いのほか高度な文明があった。

Ⅲ。 しかし、文明が無条件に素晴らしいことではない。石器・鉄器・小麦/米の農耕を手にして以降、物や土地や命の奪い合いを、人間は始めた。

長々とすいませんでした。】



とっさん から、
3/24(日) 21:00~NHKスペシャル「アイスマン」の放送内容を
ご報告いただきました。

ありがとうございます。

私も、たまたまあの番組、見ていました。

アイスマン発見以来、イタリアにおいて特殊な保管室に安置。

氷点下で湿度95%くらいで時々水をかけて厳密に保存して乾燥と腐敗を予防。

今回、周到な準備をへて、研究チームを編成して、発見20年目に解凍して内蔵や脳や皮膚など百数十の検体を採取して検査・研究。


ということでした。

とっさんがご指摘のごとく、事実に基づいた大変興味深い内容で、
今回は、NHKに拍手を贈りたいと思います。ヾ(^▽^)

詳細は、とっさんのご報告をみていただくとして、私からの追加です。


⑤アイスマンの靴の一番外側は、確か熊の毛皮と説明していたと思います。丈夫な熊の毛皮の中に草を敷いていたようです。

⑥皮膚の紋様は、炭で入れ墨して作ってあって、その部位は驚くべきことに、中国医学の鍼灸経穴と、ほぼ一致していた。

5300年前に鍼灸治療に類似した医療行為が既になされていた可能性が高いということです。

パンは、当時、あったとしても給与代わりの、超貴重品です。

従ってアイスマンは、日常は山羊や兎の肉にハーブを散りばめたものが主食のようで、確かに糖質セイゲニストの先達で、結構グルメですね。

ジビエ料理・・・野生動物の肉にハーブ・・・フランス料理の原点を見る思いです。(^^)

アイスマン、侮るべからず!? ♪(・∀・)  


江部康二
「医療従事者向け糖質制限食セミナー」<東京&オンライン>4月16日(日)
こんにちは。

2023年4月16日(日)、医療従事者の方を対象にセミナーを開催いたします。

「医療従事者向け糖質制限食セミナー」<東京&オンライン>
2023年4月16日(日)12:30~17:00


参加方法は、東京での会場参加かオンライン参加かを選択していただけます。

第1部は高雄病院の橋本眞由美 管理栄養士による講義です。

第2部は私による講義で、糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論の解説や症例検討などを行います。

第3部は発表・討議で、糖質制限食の指導を行っておられる6名の医師の方々に発表いただき、 ディスカッションを行います。

6名の医師は勿論、高雄病院勤務ではありません。

参加者皆で、活発な討論を行い、実のあるセミナーにしたいと思います。
当日セミナー終了後に、会場参加者でご希望いただく方々との懇親会(食事会)も催すことになりました。
私も3年ぶりの懇親会、歓談が楽しみです。

江部康二




以下事務局からのお知らせです。

***********

ブログ読者の皆様、いつも弊会のイベントへ多数ご参加いただきましてありがとうございます。

本日は、医療従事者向けセミナーの開催をご案内申し上げます。
2023年4月16日(日)、医療従事者の方を対象にセミナーを開催いたします。

参加方法は、東京での会場参加かオンライン参加かを選択していただけます。

第1部は高雄病院の橋本眞由美 管理栄養士による講義で、高雄病院の糖質制限食と栄養指導について、コロナ禍の影響や患者様の様子なども交えてお話しいたします。

第2部は江部理事長による講義で、糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論の解説や症例検討などを予定しております。

第3部は発表・討議で、糖質制限食の指導を行っておられる6名の医師の方々に発表いただき、 ディスカッションを行います。

医療従事者向けセミナーは、医療機関での糖質制限食指導の普及促進、ブラッシュアップ、発展を目指して2013年より開催しております。

また、2019年3月のセミナーより、臨床で糖質制限を採り入れておられる医療従事者の方々に発表いただき、指導法や症例などの共有、意見交換をしていただく「発表・討議」の時間を設け、参加いただいた方から、大変参考になる、刺激になる等ご好評いただいております。

今回も多様なテーマで6名の医師の方々にエントリーしていただいております。

医療従事者の皆様のご参加を心よりお待ちしております。
*セミナー後懇親会開催のお知らせ
セミナー終了後、会場参加者様でご希望の方を対象に懇親会(食事会)を催します。
会場参加をお申し込みいただいた方々には、詳細確定次第、近日中にご案内申し上げます。

*セミナー情報URL:http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity

//////////////ご案内/////////////////


一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会主催
「医療従事者向け糖質制限食セミナー」<東京&オンライン>

■日時:2023年4月16日(日)12:30~17:00頃

■会場:アットビジネスセンター東京駅八重洲通り 604号室

〒104-0032 東京都中央区八丁堀1-9-8 八重洲通ハタビル 6階
https://abc-kaigishitsu.com/tokyo_yaesudori/access.html

■内容:

◇第1部:「糖質制限食による糖尿病指導① ~高雄病院の食事と栄養指導」12:30~

 講師: 橋本 眞由美 管理栄養士 / (一財)高雄病院 栄養科

◇第2部:「糖質制限食による糖尿病指導② ~理論と臨床」 13:20頃~

 講師: 江部 康二 医師 
    (一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長

◇第3部: 「発表・討議」 15:05頃~

・「糖質制限治療の実践症例 ~年間のべ1,000名を超える外来指導より見えるもの」
 佐藤 信昭 医師 / 茅ヶ崎徳洲会病院(神奈川)  副院長(内科)

・「対話する糖質制限医療 ~糖質制限を指導してはいけない!?」
 田頭 秀悟 医師 / たがしゅうオンラインクリニック 院長

・「高LDL-C血症に対する中等度糖質制限食と筋力トレーニングの組み合わせの効果について」
 宇佐見 啓治 医師 / うさみ内科(福島) 院長

・「糖質制限と薬理学的糖質制限の失敗から学ぶ糖質中毒~糖質依存症のメカニズム~」
 影山 広行 医師 / 株式会社ドクターバンク

・「カンボジアにおける『ほろ酔い低糖質食セミナー&パーティー』の実施」
 奥澤 健 医師 / ケンクリニック(カンボジア) 院長

・「糖質制限食の導入の実際 ~フリースタイルリブレプロを用いて」
 髙橋 裕彦 医師 / たかはし整形外科医院(香川) 院長

*第3部は、発表10分・討議6分ずつを予定しております。

*第3部の発表者様の中には、オンラインで発表される方もいらっしゃる予定です。

*第1部・第2部の映写資料データ(PDF)は、後日ダウンロードしていただけます。

*当日のセミナー動画は、後日一定期間ご覧いただけます。(セミナー参加予約者様限定)

■参加対象:

医療従事者の方(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、理学療法士、鍼灸師など)

■受講費:

1.会場参加(東京会場へご来場の方)

・医師・歯科医師の方: 賛助会員 6,800円 / 一般(会員以外) 8,500円

・上記以外の医療従事者の方: 賛助会員 4,800円 / 一般(会員以外)6,000円


2.オンライン参加

・医師・歯科医師の方: 賛助会員 7,200円 / 一般(会員以外) 9,000円

・上記以外の医療従事者の方: 賛助会員 5,200円 / 一般(会員以外)6,500円


<オンライン参加についての補足・ご案内>

*Zoomを使用して行います。

・スマートフォンでもご参加可能ですが、パソコンかタブレット端末でご参加いただくと、画面が大きいため、スライド資料を閲覧しやすいです。

・事前に招待URLをお送りし、当日はそのURLにアクセスして、オンライン受講(参加)していただくかたちとなります。

・詳細はご予約後にご案内申し上げます。

・Zoomの挙手機能を使用して、オンライン参加の方も質疑応答や討議で挙手・発言していただる予定です。


■お支払い方法:クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。

※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。

■お申し込みの流れ:

1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込み下さい。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。

■お申し込み方法:

★賛助会員の方:
事務局へメールにて、
①会場 or オンライン、どちらでの参加ご希望か
②医療機関でのご職種
をご記入の上、お申し込み下さい。

★賛助会員入会をご希望の方:

1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up

2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
「入会ならびに講演会等出席に関するお問い合せ」をご選択下さい。
「通信」欄には、以下をご記入下さい。
① 「4/16セミナー、会場 or オンライン(←ご希望の参加方法をご記入下さい)参加希望」 とご記入下さい。
② 医療機関でのご職種をご記入下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact

★一般(会員以外)で、セミナーの受講のみご希望の方:

下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-med

■その他:

・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは4月14日(金)までに事務局へご連絡願います。それ以降のご返金は対応致しかねますので予めご了承下さい。
「世界腎臓デー」。腎機能検査は、血清シスタチンCを調べよう。
こんにちは。
3月第2木曜日(2023年3月9日)は「世界腎臓デー」です。


【慢性腎臓病(CKD)とは
慢性腎臓病(CKD)患者数は日本国内に1,330万人(成人の8人に1人)*¹、
世界で9.1%*²が罹患しているとされ、
年々増加傾向にある注意が必要な病気です。
慢性腎臓病(CKD)は腎臓の機能が低下したり、
たんぱく尿などの腎臓の異常が続いたりする病気ですが、
初期はあまり症状が現れず、自覚しにくいことが特徴です。
気づかず症状が進むと、透析治療や腎移植が必要となるリスクが高まり、
心臓病や脳卒中を発症する危険性も高まると言われています。
※1 日本腎臓学会 CKD診療ガイド2012
※2 Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study 2017】



慢性腎臓病(CKD)患者数が、日本国内に1330万人ですから、12.5%です。
世界平均が9.1%なので、日本はCKD患者数が多い国と言えます。

慢性腎臓病(CKD)は、勿論、早期発見して早期治療する方がよいに決まっています。
CKDの特効薬はないのが現状ですが、原因疾患で一番多いのは糖尿病です。
糖尿病を早期からキッチリ治療して、CKD発症を予防するのが、正解の治療と言えますが、
それには糖質制限食が最適です。
腎機能検査ですが、血清クレアチニン値ではなく、
血清シスタチンCを調べるのがベストです。


高齢者の腎機能はクレアチニンで評価してはいけません。
高齢者の腎機能はシスタチンCで評価しなくてはなりません。
ブログ読者の医師・看護師の方々は、是非同僚や知り合いの医師・看護師の方々に
この情報を拡散するようよろしくお願い申し上げます。

例えば、75歳男性Aさんの血清クレアチニン値は0.76mg/dlで基準値内で、
eGFRは75.9mL/min/1.73m2と正常でした。

しかし、同時に血清シスタチンCを調べたら、1.76mg/dlで基準値を超えていて
eGFRは30.61 mL/min/1.73m2としっかり腎機能障害でした。


同様に、77歳女性Aさんのクレアチニン値は0.58mg/dlで基準値内で
eGFRは73.89 mL/min/1.73m2で正常でした。
しかし、同時に血清シスタチンCを調べたら、1.48mg/dlで基準値を超えていて
eGFRは39.59 mL/min/1.73m2で腎機能障害が認められました。


つまり、AさんもBさんも、本当は腎機能障害があるけれど、
血清クレアチニン検査は正常であり、
見逃してしまうということになります。

クレアチニンは筋肉量や運動が結果に影響します。
高齢者は筋肉量が少ないので、
本当は腎機能障害があるのに見かけ上、正常にでてしまうのです。
血清シスタチンCが、それらに影響を受けない
最も、信頼度の高い腎機能検査です。

高齢者の場合は、ほとんどの人において、筋肉量が少ないです。
そうすると、一般によく用いられる腎機能検査の「血清クレアチニン値」だと、
筋肉量が少ない分、低値になります。
つまり、本当は腎機能障害があるのに、「血清クレアチニン値」だと
正常範囲になってしまうケースがかなりあると
思われます。
このような時、「血清シスタチンC」だと、筋肉量に影響されずに
正確な腎機能を評価することができ、とても有用です。

血清クレアチニンの基準値は、男性1.2mg/dl以下、女性1.0mg/dl以下です。
血清シスタチンCの基準値は、男性0.63~0.95mg/L、女性0.56~0.87mg/L です。


国連の世界保健機関(WHO)の定義では、65歳以上の人が高齢者です。
65-74歳までを前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と呼びます。
総務省によれば、日本の65歳以上の高齢者は、
2020年は3617万人・総人口の28.7%で、過去最高の更新が続いています。


筋肉量
20歳を基準。
30歳で、6%低下
40歳で、12%低下。
50歳で、18%低下。
60歳で、24%低下。
70歳で、30%低下。


筋肉量に関しては
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/rouka/undoukei-rouka.html
健康長寿ネット
を参考にさせて頂きました。
ありがとうございます。

これだと、
少なくとも60歳以上はクレアチニンは当てにならないのでシスタチンCで評価すべきです。
基本40歳以上はシスタチンCがいいです。

しかし、1/3ヶ月でないと保険適応となりません。
つまり、1月に検査したら、次は4月となります。


腎臓には血液をろ過して、体の中に溜まった老廃物や水分、
取り過ぎた塩分などを尿と一緒に
体の外へ出してくれる働きがあります
腎臓はいらなくなった余分なものを体から排出して、
必要なものだけをしっかり体の中に残してくれるので、
体内の環境を正常に保つことができるのです。

糸球体での濾過量(GFR)は、正常では一定に維持され、
腎機能を知るうえで最も重要な指標となります。

血清シスタチンCの数値や血清クレアチニンの数値から、
年齢と性別を考慮して、腎臓の働きを推測した値を、
eGFR(推定糸球体濾過量)と言います。

<血清シスタチンC GFR>
<血清クレアチニン GFR>

で、ネットで検索すれば、
eGFR(推定糸球体濾過量)を計算するサイトが見つかります。
便利なので、利用しましょう。
そこで計算して、eGFRが60以上なら心配ないです。


腎機能検査として、一般的な血清クレアチニンや尿素窒素は食事や筋肉量、
運動などの影響を受けますが、
血清シスタチンC値はそれらの影響を受けないため、
小児・老人・妊産婦・アスリートなどでも問題なく測定できます。

また、クレアチニン値はGFRが30mL/分(腎不全)前後まで低下した頃から上昇するのに対し、
シスタチンC値はGFRが70mL/分前後の軽度~中等度の腎機能障害でも上昇するので、
腎機能障害の早期診断にたいへん有用です。

したがって、血清クレアチニンや尿素窒素が正常であっても、
尿検査で蛋白あるいは潜血反応に異常が認められた場合には、
早期腎症の可能性がありえるので、血清シスタチンCを調べるのが有用です。

血清クレアチニン値が既に高値(2mg/dL以上)であれば、
シスタチンCを測定する意義はありません。
一方、ごく軽度上昇例で評価が困難な場合、
シスタチンC測定で腎機能を検査するのがお奨めです。


江部康二
2型糖尿病、日本人と欧米人は、発症パターンが違う。
こんにちは。
インスリンは血糖値を下げる作用をもつホルモンです。
糖尿病の95%以上を占める2型糖尿病は、インスリン作用不足があると発症します。
日本人は欧米人に比べ肥満していないのに糖尿病を発症するといわれています。
これは、日本人のインスリン分泌能力が
欧米人の半分程度と低いためと考えられています。

2型糖尿病は、

「インスリン分泌不足+インスリン抵抗性」

が合わさって、『インスリン作用不足』を生じ、発症します。
日本人はインスリン分泌不足が主で、インスリン抵抗性は従です。
糖尿病発症時の平均BMIは24くらいで、正常範囲です。

一方、欧米人はインスリン抵抗性が主で、インスリン分泌不足は従です。
糖尿病発症時の平均BMIは32くらいで、肥満です。

インスリンは、血糖値を下げる唯一のホルモンで、
基礎分泌インスリンは、24時間少量持続分泌されています。

これに対して追加分泌インスリンは、
糖質摂取時、数倍~30倍分泌、
脂質摂取時、分泌なし、
タンパク質摂取時、少量分泌です。

またインスリンは肥満ホルモンの側面があり、
このことはUKPDSやACCORDといった大規模臨床試験でも確認されています。
欧米人のインスリン分泌能力は、アジア人の倍以上と言われています。
まず、糖質の頻回過剰摂取による追加インスリン分泌で、肥満が生じます。
肥満が生じるとインスリン抵抗性が生じます。
インスリン抵抗性が生じると、基礎分泌インスリンも過剰に出るようになり、
ますます肥満します。

この「インスリン過剰→肥満→インスリン更に過剰→肥満→・・・・・・」の悪循環で、肥満は巨大になっていきます。
それでもインスリン分泌能力があるので、さらに過剰に分泌して、20年、30年、40年に及べば、欧米では150kgや200kg超の体重は珍しくありません。
従って、インスリン分泌能力はまだ残っているけれど、
巨大肥満によるインスリン抵抗性増強によって糖尿病を発症します。

日本人の場合は、インスリン頻回過剰分泌が10年、20年レベル続くと、
膵臓のβ細胞が疲弊して、分泌能力が低下して、糖尿病を発症します。
従って肥満していない糖尿病が普通なのです。

このように、同じ2型糖尿病でも、欧米人とアジア人は発症要因が基本的に異なっていて、
ほとんど別の病気といってもいいくらいです。
極端に言えば、欧米には肥満していない2型糖尿病は、ほぼ存在しないということです。
例えば、私は身長167cm、体重56kg、BMI:20.0で、正常痩せ型の2型糖尿病です。
しかし、私の体型で糖尿病であると言えば、欧米の医師は血液検査もせずに、
1型糖尿病と断定
するでしょう。

このことは、ロサンゼルス、パリ、ジュネーブの正常体型の2型女性糖尿人
お三方から、『検査もせずに、1型糖尿病と断定された』とブログにコメントいただいて確認しています。

ブログ読者の皆さんのご参考まで。。。


江部康二
「人類の将来の食糧危機を解決するのは昆虫食だ」国連食糧農業機関(FAO)
【23/03/04 中嶋一雄
コオロギ食の話題で炎上
最近、SNSでコオロギを食べることが話題になっています。
Twitterでは「漢方でも“妊婦は禁忌”とされ、
先人も食べなかった」と言われています
江部先生のご意見はいかがでしょうか

https://twitter.com/KadotaRyusho/status/1630578420357931009?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1630578420357931009%7Ctwgr%5Ea30b9f5c50f62af585651d102b9f6612359a5ebe%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fagora-web.jp%2Farchives%2F230302015007.html


こんにちは。
中嶋一雄先生からコオロギ食について、コメント・質問を頂きました。


【グリラスが国内で初めて、学校給食へ食用コオロギパウダーを供給!
徳島県立小松島西高等学校にコオロギを使った給食が登場
コオロギを使ったメニューは選択性で生徒へ提供
株式会社グリラス
2022年11月30日 13時00分
 徳島大学発のベンチャー企業として、食用コオロギに関連する品種改良・生産・原料加工・商品開発・販売を一貫して国内で行う株式会社グリラス(本社:徳島県鳴門市、代表取締役:渡邉 崇人、以下「グリラス」)は、2022年11月28日(月)に徳島県立小松島西高等学校(以下、「小松島西高校」で提供された学校給食へ、自社で生産した国産食用フタホシコオロギの粉末「グリラスパウダー」※1の供給を行いました。】



2022年11月28日、徳島県立「小松島西高校」の給食で、フタホシコオロギの粉末「グリラスパウダー」が
使用されました。

私自身はコオロギを食べたことがあります。
食用コオロギを海外のメーカーが送ってくれたもの(加工していなくて、形態はコオロギのまま)をそのまま食べましたが、
美味しくはなかったです。


2013年5月、「人類の将来の食糧危機を解決するのは昆虫食だ」
と国連食糧農業機関(FAO)が報告書を提出しています。

2022年11月15日で、地球人口は、80億人です。
まだまだ人口は増加していくので、
どこかの時点で「食料危機」が訪れる可能性が高いのです。
とくに、動物性たんぱく質の確保が重要であり、
私達糖質セイゲニストにおいても、動物性たんぱく質確保は
最優先課題と言えます。

魚介類や肉類はおおいに食べたいのですが、生産効率に問題があります。
FAOによれば、
『牛は体重1キロ増やすのに飼料8キロが必要で、昆虫は2キロ。
温室効果ガスの排出も昆虫なら、家畜よりはるかに少なく、
豚の10分の1から100分の1。』

です。

食料確保かつエコロジーの観点からも
昆虫食は優れものと言えます。


以下の青字部分は、少し古い記事ですが、糖質セイゲニスト的には、
昆虫食はかなり興味深い分野ですので改めて一部要約してご紹介します。

2013年に毎日新聞に掲載されたものです。

・・・・・引用ここから・・・・
人類救うか、昆虫食  栄養・エコ、いいことずくめ
/大阪 毎日新聞


今年5月、国連食糧農業機関(FAO)が
「人類の将来の食糧危機を解決するのは昆虫食だ」という報告書を出し、
昆虫が大いに注目されはじめました。
調べると世界では、虫は結構普通に食べられています。

◇実は、自然と口に
「食べられている」というのは「知らないうちに食べている」ということも含みます。
米食品医薬品局は食品への昆虫混入の最大許容レベルを決めているのです。
「ピーナツバター100グラム当たり昆虫断片50個」
「缶詰トマト500グラム中に果実バエ卵10個」など。
裏を返せば加工食品には結構混入してしまうということです。
これとは別にアジア、アフリカ、ラテンアメリカなどの熱帯地方を中心に
世界で20億人の人びとが昆虫を常食しています。

◇食糧危機そこまで
FAOによれば、人口増加、都市化、中流層の拡大によって世界的に食料需要が増加。
2030年までに90億人超の人類を養うためにさらなる食料、
特にたんぱく源が必要ですが、
現在の家畜増産を続けると土地や水源の汚染、過剰放牧による森林劣化、
それによる気候変動や環境破壊が懸念されています。
その解決策の一つとして昆虫食が浮上しています。
別項に挙げるように、環境、健康、暮らし、
のいずれの面でもいいことだらけのようですが、課題もあります。

◇どう養殖するか
第一に量の問題。森林など自然界から採取するだけでは限界があります。
FAOは昆虫の養殖の拡大が必要と指摘しています。
機械化が昆虫産業の育成のカギです。
また食料、飼料としての昆虫の生産や取引を管理、規制する枠組みも未整備です。
衛生的な生産・加工および食品調理が必要ですが、食品安全基準も必要でしょう。
家畜より安全と言われる昆虫ですが、
殺虫剤の使用規制や人間に媒介する病気がないかのさらなる研究も求められています。

◇抵抗感、やっぱり
しかし、昆虫食推進の最大の壁は「見た目」かもしれません。
虫を食べる文化のないところではどうしても「虫」というだけで敬遠されがちです。
ただエビやカニだって味を知らなければ敬遠されそうな外見です。
FAO林業局エバ・ミューラー林業経済政策・林産品部長も
「20年前にはヨーロッパの人間は誰も生の魚を食べることなど考えもしなかったのに、今ではみんなが寿司(すし)を愛しているでしょ。何事も変わりうるのです」
と話しています。

*衛生やアレルギーの点から、昆虫を調理したり食べたりする時は、
必ず専門家の指導に従ってください。

==============

<FAO2013年報告書のポイント>
「なぜ昆虫食なのか」について報告書は三つの視点から理由を挙げています。
1=自然環境に優しい
・飼料転換効率の良さ。
 飼料転換効率とは「体重1キロ増やすのに 飼料(えさ)がどれだけ必要か」を表す。
 牛は体重1キロ増やすのに飼料8キロが必要なのに昆虫は2キロだ。
・温室効果ガスの排出が家畜よりはるかに少ない。
 豚の10分の1から100分の1。
・生ゴミや人糞(じんぷん)をえさにでき、しかもそれらを高質なたんぱくに変える。
・家畜に比べて必要とする水がかなり少ない。
・昆虫は家畜に比べ育てる土地の制約が少ない。

2=健康に優しい
・家畜の肉や魚に比べて高たんぱくで栄養価も高い。
 特に栄養不良の子どもへの食品補助としては重要。
 食物繊維や鉄分、銅、リンなどの微量栄養素も豊富。
・鳥インフルやBSEのような人畜共通感染症の危険が少ない。

3=人の暮らしに優しい
・昆虫は採集が簡単で、設備投資や飼育コストも安い。
・女性や土地をもたない社会の最貧層の人たちでも採集でき、
 食生活を改善し街頭で販売することで現金収入をもたらす。
・昆虫は食品や飼料への加工が比較的に容易。
 まるまる食べられるものもある。ペーストや粉状にもできる。

・・・・・引用ここまで・・・・・



いかがでしょうか?
私は好き嫌い、ほとんどなくて何でも食べるので問題ないですが・・・

◇実は、自然と口に

「ピーナツバター100グラム当たり昆虫断片50個」
「缶詰トマト500グラム中に果実バエ卵10個」
を許容している・・・。
これは、衝撃のデータです。
ということは日本人を含めて世界中のほとんどの人が、
日常的に昆虫や蝿の卵を食べていたということですね。ヾ(゜▽゜)

◇食糧危機そこまで
特に糖質セイゲニストが世に溢れてきたら、
FAOの予想以上に動物性タンパク質が不足する可能性があります。
我々糖質セイゲニストは、必然的に昆虫食を検討せざるをえない流れとなるでしょう。

◇どう養殖するか
安全性は勿論大切ですが、効率よく養殖できる昆虫を探すことが肝要です。
我が朋友夏井睦先生は、「理論的にはウジ虫がいいかも」と述べておられました。
確かに、とても育てやすいし、清潔な環境を保ちやすいし、
安いし、栄養豊富だし、美味だし・・・
・・・有力候補の一つであることは間違いないですね。(ノ´▽`)ノ

◇抵抗感、やっぱり

心理的な壁を乗り越えるのは容易ではないので、
まずは虫の種類をラテン語の学名とかで正々堂々?と表示して、
市販のハンバーグに何気なく混ぜるとかいう戦略もありかなと
密かに企んでいる私です。
あるいは、「原材料にマゴット(Maggots)を含む」などの表現なら美味しそうですね。
Maggotsは、壊死組織を除去するのにも医療的に使用されている有用なものです。
「マゴット セラピー」として知られています。

<FAO2013報告書のポイント>
「なぜ昆虫食なのか」

1=自然環境に優しい
2=健康に優しい
3=人の暮らしに優しい

FAO、素晴らしいです。天晴れです。

全世界の糖質セイゲニストの皆さん、
人類の未来のため、食糧危機回避のため昆虫食に注目ですね。

なお、東京では、すでに日常的に昆虫食を提供するレストランが複数あるそうで、
夏井睦先生は、時々食べに行かれているようですよ。


江部康二
エリスリトールの安全性についての考察。EBMの観点から。
こんにちは。
エリスリトールの安全性について
「エリスリトールは心臓疾患の原因になり得る」
とする後ろ向きコホート研究の解析論文が
ネイチャー・メディスンに発表されました。

nature medicine
Article
Published: 27 February 2023
The artificial sweetener erythritol and cardiovascular event risk
https://www.nature.com/articles/s41591-023-02223-9


それで、心配ということで
レタスさん、元メタボさん、小野さんから
コメント・質問を頂きました。
結論から先に言うと、
『エリスリトールの安全性については全く問題ありません。』
ので心配はいりません。


【23/02/28 レタス
エリスリトールについて
いつもブログ読ませていただいております。
糖尿病と診断された10年前より糖質制限を始め、
お陰様でヘモグロビンa1cもずっと5.5を保っております。
甘いものが好きなので日々エリスリトールを使って料理やお菓子作りをしております。

ところが本日娘から慌ててラインが来ました。
https://twitter.com/livedoornews/status/1630448467347914752?s=46&t=hD_KNf8bBklszbf6QRa-jg
これを読んだ娘はエリスリトールは危険と言っております。
江部先生から見てこの記事はどう思われますか?
教えてくださるととてもありがたいです。】



【23/03/01 元メタボ
エリスリトールについて、気になる記事がでました。

カロリーゼロの甘味料、心臓発作や脳卒中リスク増大と関係 米研究 - CNN.co.jp
https://www.cnn.co.jp/fringe/35200613.html


【23/03/03 小野
甘味料エリスリトールについて
江部先生
2月27日、Nature Medicineで「エリスリトールは心臓疾患の原因になり得る」という研究結果が発表されてショックを受けている糖質制限歴12年の者です。低糖質のケーキや各種スイーツを作るのにエリスリトールはなくてはならない存在です。しかし、今回の発表を読み、続けて使ってもよいものか不安になりました。実験の対象者3千人がもともと健常者ではなかったとは言え、台湾にて糖質制限の本を出版してエリスリトールを使ったお菓子を紹介してきた人間として、責任さえ感じます。
江部先生のご意見を伺えましたらありがたく存じます。よろしくお願い申し上げます。
小野】



エリスリトールは危険という論文が、2023年2月27日に
ネイチャー・メディスンに一つ発表されたということです。
ネイチャー・メディスンは権威ある医学雑誌の一つですが、
この論文は、「後ろ向きコホート研究」の解析をしたもので
そもそも、エビデンスレベルは低いのです。


一方、過去数十年に渡って、エリスリトールの安全性を証明する論文は、
極めて多数報告されています。
たった一つの論文でうろたえる必要はありません。
私は、今までも今後も、普通にエリスリトールを使用します。


糖類の分子に水素を添加することにより、アルコール基(-OH)をもつ糖質が得られますが、
これらを「糖アルコール」と言います。

虫歯菌に利用されないことと、消化管で吸収されにくいので低カロリー甘味料としてよく使用されています。

代表的なものに、ソルビトール 、マルチトール 、エリスリトール 、ラクチトール 、キシリトール などがあります。

これらの糖アルコールは、天然素材を原料としており、分類としては合成甘味料には属しません。

国連の食糧農業機関(FAO)及び世界保健機関(WHO)は、JECFA(Joint Expert Committee on Food Additives)を設けて、甘味料など添加物のの安全性評価を公表していますが、これらの糖アルコールは、極めて安全性が高いとされています。
妊婦にも大丈夫です。

糖アルコールの中で血糖値を全く上昇させないのは、唯一エリスリトールだけです。

他の糖アルコールは、砂糖の半分くらい血糖値を上昇させますが、上昇幅には個人差があります。



現在EBMが、医学界を席巻しています。

<EBMとは>

 イービーエム(EBM)とは、『Evidence-Based Medicine』の頭文字をとったもので、
『(科学的)根拠に基づいた医療』と訳されています。
科学的根拠(エビデンス)とは、
これまでに行われてきた医学・医療に関する研究成果を指します。
1991年に登場した言葉で、北米を中心にして広まり、日本にも90年代後半より浸透してきました。

医学界において、evidence(エビデンス、証拠、根拠)となるのは、
基本的に医学雑誌に掲載された論文です。
ニューイングランド・ジャーナル、ランセット、
ネイチャー・メディスン、米国医師会雑誌など、
定評ある医学専門誌に掲載された論文であることも、
evidence(エビデンス、証拠)の大きな要素となります。

その論文も
①無作為割り付け臨床試験(RCT)
②前向きコホート研究

の二つが信頼度の高いものとなります。
「糖尿病診療ガイドライン2016」によれば、

・レベル1+: 質の高いランダム化比較試験(RCT)およびそれらの
メタアナリシス(MA)/ システマティック・レビュー(SR)

・レベル1:それ以外のRCTおよびそれらのMA / SR

・レベル2:前向きコホート研究およびそれらのMA / SR 
     (事前に定めた)RCTサブ解析

・レベル3:非ランダム化比較試験 前後比較試験
      後ろ向きコホート研究
      ケースコントロール研究およびそれらのMA / SR
      RCT後付けサブ解析

・レベル4:横断研究 症例集積

*質の高いRCTとは
(1)多数例
(2)二重盲検、独立判定
(3)高追跡率
(4)ランダム割り付け法が明確

などをさす。 

といった順番で、信頼度に差をつけられています。
これを研究デザインのヒエラルキーと呼ぶそうです。
他にコンセンサスがありますが、コンセンサスは、
実証的研究に基づかない権威者の意見や合意なので、エビデンスとは言えません。
一般にエビデンスレベルが高い研究論文と言うときは、

(1) レベル1+ / レベル1
(2) レベル2

に基づく論文のことをさします。

症例報告も大切な医学研究の一つなのですが、
ことEBMというときは、「無作為割り付け臨床試験(RCT)」と「前向きコホート研究」
だけ考慮すればいいということです。

かつて、医学界では
実証的研究に基づかない権威者の意見や合意(コンセンサス)が幅を利かしていて、
学会発表などでも、有名大教授で権威者の先生が「私はこう思う」といったら、
水戸黄門の印籠みたいなもので「ヘヘー、恐れ入りました」という事で
一件落着という世界だったのです。

権威者が、何人か寄り集まって、ガイドラインの内容を決めると、
コンセンサスによる決定となります。
これは、上述のヒエラルキーからみると、エビデンスレベルは最低、
エビデンスなしということです。

権威者の意見や、コンセンサスに基づく見解などに頼っているのは、
非科学的であるという批判が、世界中の医学界で続出して、
それではよろしくないということで、
evidence based medhicine(証拠に基づく医学)→略してEBMが登場したわけです。


結論です。
EBMの観点から今回の
「エリスリトールは心臓疾患の原因になり得る」
という後ろ向きコホート研究の解析論文を評価すると
「無作為割り付け臨床試験(RCT)」や「前向きコホート研究」ではないので
信頼度は低いと断定できます。
安心して、エリスリトールを使用して良いです。



江部康二

3月29日(水)に東京・池袋で、「低糖質スイーツ作りのデモ・試食会」を開催
こんにちは。

2023年3月29日(水)東京・池袋にて、
日本糖質制限医療推進協会主催の「低糖質スイーツ作りのデモ・試食会」
を開催します。


当会は、低糖質スイーツ教室を2017年~2020年1月まで東京と京都で開催し、
ブログ読者の皆さんにも多数参加いただきました。
その節は、ありがとうございました。

このたび、「パティシエに学ぶ、おいしく作れる低糖質スイーツ(東京)~デモ・試食会」と題して、
久しぶりに講習会を催すことになりました。

講師は以前と同様で、パティシエの小寺幹成さんと管理栄養士の佐々木栄子さんです。

・小寺さんのプロフェッショナルな技を直接見て、おいしく低糖質なスイーツづくりを学べること
さらに、
・糖質制限による栄養指導のご経験豊富な佐々木さんの的確なアドバイスも得られること
が、この教室の嬉しいところと思います。

今回のテーマは「フィナンシェとババロア」だそうです。
私もバレンタイン?プレゼントでいただき、どちらも試食しました。
食べやすく、美味しかったです。
皆さん奮ってご参加くださいね^^v


江部康二


以下、事務局からのお知らせです。

******************

ブログ読者の皆様、いつも弊会のイベントへ多数ご参加いただきまして、ありがとうございます。

本日は、低糖質スイーツ講習会の開催をご案内申し上げます。

2023年3月29日(水)に東京・池袋で、「低糖質スイーツ作りのデモ・試食会」を開催いたします。

☆低糖質スイーツ作りのデモ・試食会

パティシエによる低糖質スイーツ作りのデモンストレーションや解説を聴講および試食いただく会です。

おいしい低糖質洋菓子をご自宅で作っていただけるよう、パティシエの小寺幹成先生が、作る際のコツや工夫、様々な技術をデモンストレーションでレクチャー。参加者様からの質問や疑問にもお答え下さいます。

また、管理栄養士の佐々木栄子先生から、低糖質菓子をご家庭で作りやすくするための工夫、学んだことを更に活用するアイデアなど、様々なアドバイスをいただきます。

血糖値が気になってお菓子を控えているという方、安心の低糖質スイーツを作りたいという方、お菓子作りは初めてという方も、是非ご参加ください。

☆今回の内容

マドレーヌと違って、全卵ではなく、卵白を使う金塊型の焼き菓子「フィナンシェ」。

今回は、このフィナンシェをメインに催します。

フィナンシェを上手に作るには、「焦がしバター」がキーになります。

デモンストレーションとあわせて、この焦がしバターの作り方、材料の混ぜ方など、各工程を丁寧に説明。

簡単なようで難しいフィナンシェ作りを学んでいただきます。

試食では、少量の小麦粉を使ったもの、大豆粉を使ったもの、2種のプレーンタイプと、アレンジタイプ1種を召し上がっていただく予定です。

また、フィナンシェ作りで余った卵黄の活用法として、「ババロア」作りもご紹介。こちらもご試食を用意いたします。

関東にお住まいの方をはじめ、皆さまのご参加をお待ちしております。

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(一社)日本糖質制限医療推進協会主催
「パティシエに学ぶ、おいしく作れる低糖質スイーツ(東京)~デモ・試食会」

♪テーマ:「フィナンシェとババロア」

◆日時: 2023年3月29日(水) 13:30~15:30頃 ※開場・受付は13:15~

◆会場: としま区民センター5F 「キッチンルーム」
〒170-0013 東京都豊島区東池袋1-20-10
https://toshima-civic-center.jp/access/

以前教室開催していた会場(IKE・Biz)とは異なります。お間違えの無いようお越し下さい。

♪講師:

・小寺幹成 「パティスリー ロア・レギューム」オーナーパティシエ

・佐々木栄子 管理栄養士/健康運動実践指導者(当会アドバイザー)

◆参加費: 賛助会員 2,800円 / 一般(会員以外) 3,400円

◆定員・対象: 18名様 ・一般(18歳以上)

◆ご持参いただくもの:筆記用具

◆お支払い方法: クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。

◆お申し込みの流れ:

1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込みください。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4. 当日、直接会場までお越しいただき、受付にてお名前をお伝えください。

◆お申し込み方法:

※当教室は、一般の方にご自宅で作っていただくことを趣旨とした教室です。
製菓や料理のお仕事をしておられる方、食品会社で企画・開発をしておられる方など、
業界の方の場合は、その旨をお書き添えの上、お申し込みください。

★賛助会員の方: 事務局へメールにてお申し込み下さい。

★賛助会員入会+教室参加をご希望の方:

1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up

2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
「入会ならびに講演会等出席のお問い合わせ」を選択いただき、
「通信」欄に「3/29スイーツデモ・試食会、参加希望」とご記入下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact

★一般(会員以外の方)で、教室参加ご希望の方:

下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/cooking

◆その他

・予約制です。当日参加はできません。

・当日の開場・受付は、デモ・試食会開始時間の15分前からです。

・デモ・試食会では、実習は行いません。

・お申し込み後、キャンセルされる場合は、3月24日(金)までにご連絡ください。
3月25日(土)以降のキャンセルは、参加費の半額をキャンセル料金として頂戴しますので、予めご了承ください。

・皆様でご試食いただきますので、香水などのフレグランスはお控えください。

◆弊会イベント情報URL: http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity

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