2023年01月31日 (火)
【23/01/30 末ちゃん
タイトルなし
明快ですね!
江部先生をはじめ、志を同じくする方々の地道な働きかけのおかげです、糖質制限食の認知は。しかし、いつも疑問に思うのですが、医学は科学なのに、なぜ新しい事実を受け入れて革新していかないのでしょう。素人考えでは利権という人間の醜い執着心が原因ではないかと。結局はカネの問題なのでしょうか。】
こんばんは。
末ちゃん から、『日本では何故、糖質制限食が広がりにくいのか?』
という、コメント・質問を頂きました。
私が理事長をつとめる
「日本糖質制限医療推進協会」https://www.toushitsuseigen.or.jp/
の
「提携医療機関」https://www.toushitsuseigen.or.jp/med-institution
を見て頂ければよいのですが、
実は、北海道から沖縄まで、糖質制限食賛成派の医療機関は
広がってきているのです。
一般社団法人「日本糖質制限医療推進協会」は2013年5月1日に、
ホームページをオープンし、会誌を発行する運びとなりました。
その後、医療従事者対象セミナーを年2回開催して、
徐々に糖質制限食賛成派の医師が増えて行きました。
そして、
門脇孝東大糖尿病・代謝内科教授・日本糖尿病学会理事長は
「東大病院では、2015年4月から、糖質40%の糖質制限食を供給している。」
と明言され、ご自身も緩やかな糖質制限食を実践されているとのことです。
☆☆☆出典2016/7/1(金)東洋経済オンライン https://toyokeizai.net/articles/-/125237?page=4
また、2017年2月7日(火)午後から、東京大学医学部に行ってきました。
実は東大に行ったのは生まれて初めての経験でした。
渡邊昌先生、門脇孝先生、江部康二の3人で、教授室で鼎談を行いました。
日本糖尿病学会のトップと、糖質制限食や糖尿病食などについて
じっくり話し合うことができて、とても有意義な90分間でした。
渡邊昌先生は、医学雑誌「医と食」の編集長です。
門脇孝先生は、
一般社団法人 日本糖尿病学会 理事長 であり、
東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科教授(当時)です。
門脇孝氏は、2020年から虎の門病院で院長をされています。
つまり、日本糖尿病学会のトップは、
すでに糖質制限食を容認しておられるということなのです。
問題は、糖尿病専門医の方々と思います。
糖尿病専門医で、糖質制限食を容認している方もおられますが、
残念ながら多数派は、糖質制限食反対なのです。
これは、利権というより、面子の問題と考えられます。
20年、30年、40年と唯一無二の「糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)」
を患者さんに指導してきているので、
いまさら、「糖質制限食」が良いとは言えないのでしょう。
中には、自己批判をして、「従来の糖尿病食より糖質制限食が良い」
と明言する糖尿病専門医もおられますが、かなりの勇気がいると思います。
2019年4月、米国糖尿病学会は<コンセンサス・レポート>において、
『エビデンスが最も豊富なのは糖質制限食である』と明言しました。
その後、2020年、2021年、2022年、2023年のガイドラインでも
同様の見解を維持しています。
このように、糖質制限食はその有効性と安全性について
米国糖尿病学会のお墨付きというわけで、私としても嬉しい限りなのです。
日本の糖尿病専門医も早く、変わって欲しいものです。
江部康二
タイトルなし
明快ですね!
江部先生をはじめ、志を同じくする方々の地道な働きかけのおかげです、糖質制限食の認知は。しかし、いつも疑問に思うのですが、医学は科学なのに、なぜ新しい事実を受け入れて革新していかないのでしょう。素人考えでは利権という人間の醜い執着心が原因ではないかと。結局はカネの問題なのでしょうか。】
こんばんは。
末ちゃん から、『日本では何故、糖質制限食が広がりにくいのか?』
という、コメント・質問を頂きました。
私が理事長をつとめる
「日本糖質制限医療推進協会」https://www.toushitsuseigen.or.jp/
の
「提携医療機関」https://www.toushitsuseigen.or.jp/med-institution
を見て頂ければよいのですが、
実は、北海道から沖縄まで、糖質制限食賛成派の医療機関は
広がってきているのです。
一般社団法人「日本糖質制限医療推進協会」は2013年5月1日に、
ホームページをオープンし、会誌を発行する運びとなりました。
その後、医療従事者対象セミナーを年2回開催して、
徐々に糖質制限食賛成派の医師が増えて行きました。
そして、
門脇孝東大糖尿病・代謝内科教授・日本糖尿病学会理事長は
「東大病院では、2015年4月から、糖質40%の糖質制限食を供給している。」
と明言され、ご自身も緩やかな糖質制限食を実践されているとのことです。
☆☆☆出典2016/7/1(金)東洋経済オンライン https://toyokeizai.net/articles/-/125237?page=4
また、2017年2月7日(火)午後から、東京大学医学部に行ってきました。
実は東大に行ったのは生まれて初めての経験でした。
渡邊昌先生、門脇孝先生、江部康二の3人で、教授室で鼎談を行いました。
日本糖尿病学会のトップと、糖質制限食や糖尿病食などについて
じっくり話し合うことができて、とても有意義な90分間でした。
渡邊昌先生は、医学雑誌「医と食」の編集長です。
門脇孝先生は、
一般社団法人 日本糖尿病学会 理事長 であり、
東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科教授(当時)です。
門脇孝氏は、2020年から虎の門病院で院長をされています。
つまり、日本糖尿病学会のトップは、
すでに糖質制限食を容認しておられるということなのです。
問題は、糖尿病専門医の方々と思います。
糖尿病専門医で、糖質制限食を容認している方もおられますが、
残念ながら多数派は、糖質制限食反対なのです。
これは、利権というより、面子の問題と考えられます。
20年、30年、40年と唯一無二の「糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)」
を患者さんに指導してきているので、
いまさら、「糖質制限食」が良いとは言えないのでしょう。
中には、自己批判をして、「従来の糖尿病食より糖質制限食が良い」
と明言する糖尿病専門医もおられますが、かなりの勇気がいると思います。
2019年4月、米国糖尿病学会は<コンセンサス・レポート>において、
『エビデンスが最も豊富なのは糖質制限食である』と明言しました。
その後、2020年、2021年、2022年、2023年のガイドラインでも
同様の見解を維持しています。
このように、糖質制限食はその有効性と安全性について
米国糖尿病学会のお墨付きというわけで、私としても嬉しい限りなのです。
日本の糖尿病専門医も早く、変わって欲しいものです。
江部康二
2023年01月30日 (月)
こんばんは。
さすがに、『脳はブドウ糖しかエネルギー源にできない』という戯言をいう
医師や栄養士は減ったと思います。
ブログ読者の皆さんは、脳はケトン体を利用できるしもっとも好んでいるという
ことは勿論知ってますよね。
今回のブログは、お医者さんや栄養士さんがあまり知らない、
栄養・代謝・生理学的事実を羅列してみました。
以下は、全て生理学的事実であり、論争の余地はありません。
あるのは、知っているか知らないかの差だけです。
<栄養・代謝>
①血糖値を直接上昇させるのは、糖質だけである。
②タンパク質は、間接的に血糖値を上昇させる。
③脂質は、血糖値を、全く上昇させない。
④追加分泌インスリンが大量に必要なのは、糖質だけである。
⑤タンパク質を摂取すると、少量の追加分泌インスリンがでるが、
同時にグルカゴンも分泌されるので、通常は血糖値は変化しない。
⑥脂質を摂取しても、追加分泌インスリンは、でない。
⑦糖質制限食で高血糖は速やかに改善するが、
肝臓や腎臓の糖新生などにより血糖値は確保されるので、低血糖にはならない。
<人体のエネルギー源Ⅰ:脂肪酸-ケトン体システム>
①脳は、ケトン体(脂肪酸の代謝産物)をいつでも利用できる。
②心筋・骨格筋など、多くの体細胞は、日常生活では脂肪酸-ケトン体が主エネルギー源であり、人体を従来の自動車に例えるなら、ガソリンの代わりは脂質である。
③赤血球を除く全ての細胞は、ミトコンドリアを持っているので、脂肪酸-ケトン体エネルギーシステムを利用できる。
④糖質制限食実践中や絶食中の血中ケトン体上昇は、インスリン作用が保たれており、
生理的なものであって病的ではない。農耕開始前の人類は、皆そうであった。
<人体のエネルギー源Ⅱ:ブドウ糖-グリコーゲンシステム>
①人体で唯一赤血球だけは、ミトコンドリアがないので、ブドウ糖しか利用できない。
②日常生活で、ブドウ糖を主エネルギー源として利用しているのは、赤血球・脳・網膜など。
③ブドウ糖-グリコーゲンエネルギーシステムの本質は
「常に赤血球の唯一のエネルギー源」
「筋肉が収縮したときのエネルギー源」
「血糖値が上昇しインスリンが追加分泌された時、筋肉・脂肪細胞のエネルギー源」
「日常生活では脳・網膜・生殖腺胚上皮の主エネルギー源」
<肥満改善と糖質制限食>
①糖質制限食実践中は、食事中も含めて常に脂肪が燃えている。
②糖質制限食実践中は、追加分泌インスリン(肥満ホルモン)が最小限しか出ない。
③糖質制限食実践中は、食事誘発熱産生(DIT)が、糖質食に比べると増える。
④糖質制限食実践中は肝臓や腎臓でアミノ酸やグリセロールを原料に糖新生が行われ、
大量のエネルギーを消費する。
⑤少なくとも同一カロリー摂取なら、①②③④の4つの利点により、
糖質制限食が高糖質食に比し、体重減少効果がある。
*糖質制限食を3ヶ月~半年続けていると、体細胞のケトン体利用効率が高くなり、
血中ケトン体が高値でも利用されるので、尿中や呼気中に排泄されなくなる。
**糖質を摂取すれば血糖値が急峻に上昇し、インスリンが追加分泌され、
①②③④の4つの利点は、即失われるので肥満しやすい。
江部康二
さすがに、『脳はブドウ糖しかエネルギー源にできない』という戯言をいう
医師や栄養士は減ったと思います。
ブログ読者の皆さんは、脳はケトン体を利用できるしもっとも好んでいるという
ことは勿論知ってますよね。
今回のブログは、お医者さんや栄養士さんがあまり知らない、
栄養・代謝・生理学的事実を羅列してみました。
以下は、全て生理学的事実であり、論争の余地はありません。
あるのは、知っているか知らないかの差だけです。
<栄養・代謝>
①血糖値を直接上昇させるのは、糖質だけである。
②タンパク質は、間接的に血糖値を上昇させる。
③脂質は、血糖値を、全く上昇させない。
④追加分泌インスリンが大量に必要なのは、糖質だけである。
⑤タンパク質を摂取すると、少量の追加分泌インスリンがでるが、
同時にグルカゴンも分泌されるので、通常は血糖値は変化しない。
⑥脂質を摂取しても、追加分泌インスリンは、でない。
⑦糖質制限食で高血糖は速やかに改善するが、
肝臓や腎臓の糖新生などにより血糖値は確保されるので、低血糖にはならない。
<人体のエネルギー源Ⅰ:脂肪酸-ケトン体システム>
①脳は、ケトン体(脂肪酸の代謝産物)をいつでも利用できる。
②心筋・骨格筋など、多くの体細胞は、日常生活では脂肪酸-ケトン体が主エネルギー源であり、人体を従来の自動車に例えるなら、ガソリンの代わりは脂質である。
③赤血球を除く全ての細胞は、ミトコンドリアを持っているので、脂肪酸-ケトン体エネルギーシステムを利用できる。
④糖質制限食実践中や絶食中の血中ケトン体上昇は、インスリン作用が保たれており、
生理的なものであって病的ではない。農耕開始前の人類は、皆そうであった。
<人体のエネルギー源Ⅱ:ブドウ糖-グリコーゲンシステム>
①人体で唯一赤血球だけは、ミトコンドリアがないので、ブドウ糖しか利用できない。
②日常生活で、ブドウ糖を主エネルギー源として利用しているのは、赤血球・脳・網膜など。
③ブドウ糖-グリコーゲンエネルギーシステムの本質は
「常に赤血球の唯一のエネルギー源」
「筋肉が収縮したときのエネルギー源」
「血糖値が上昇しインスリンが追加分泌された時、筋肉・脂肪細胞のエネルギー源」
「日常生活では脳・網膜・生殖腺胚上皮の主エネルギー源」
<肥満改善と糖質制限食>
①糖質制限食実践中は、食事中も含めて常に脂肪が燃えている。
②糖質制限食実践中は、追加分泌インスリン(肥満ホルモン)が最小限しか出ない。
③糖質制限食実践中は、食事誘発熱産生(DIT)が、糖質食に比べると増える。
④糖質制限食実践中は肝臓や腎臓でアミノ酸やグリセロールを原料に糖新生が行われ、
大量のエネルギーを消費する。
⑤少なくとも同一カロリー摂取なら、①②③④の4つの利点により、
糖質制限食が高糖質食に比し、体重減少効果がある。
*糖質制限食を3ヶ月~半年続けていると、体細胞のケトン体利用効率が高くなり、
血中ケトン体が高値でも利用されるので、尿中や呼気中に排泄されなくなる。
**糖質を摂取すれば血糖値が急峻に上昇し、インスリンが追加分泌され、
①②③④の4つの利点は、即失われるので肥満しやすい。
江部康二
2023年01月29日 (日)
【23/01/27 倉田
質問ですが、よろしくお願いします。
糖尿病との関連で、心筋梗塞又は脳梗塞について質問させて頂きます。
よろしくお願いいたします。
血管の梗塞要因として、糖尿病、高血圧があげられますが、
糖尿病は食事療法(糖質制限)によりコントロールできることが証明されています。
しかし、高血圧の要因や改善方法がよく分かりません。
私は、一つの要因としては、糖尿病などで血管が傷ついて動脈硬化が起こり、
そのために高血圧になると理解しています。
つまり、高血圧が先ではなく、動脈硬化が先にあるのではないか、ということです。
そうだとすると、動脈硬化を改善することによって、
高血圧が改善されるという理屈になります。
であれば、高血圧を改善するには、硬化した血管を柔軟化や拡張する、
あるいは血液を「さらさら」にする、という方法により血圧が下がると考えられます。
医師の多くは、高血圧の治療として降圧剤を処方すると思いますが、
降圧剤は、そのような作用がある薬なのでしょうか。
血管の柔軟化や拡張については、薬ではなく体操で可能とする説(医師より整体師に多い)を見かけます。
この説は証拠があるのか疑わしいと思っていますが、
降圧剤は血管を柔軟化や拡張できる薬でしようか。
それとも、降圧剤は血液を「さらさら」にする薬だとすると、
血液を「さらさら」にすると言われている食品があります。
そのような食品を食べることによって高血圧を改善できれば、
これも薬がいらないことになりますが、その点はどうお考えでしょうか。
以上、私の認識に間違いがあるかもしれませんが、
それも含めて、江部先生のお考え聞かせ願えれば幸いです。】
こんにちは。
倉田さんから、コメント・質問を頂きました。
倉田 さん
「高血圧の要因や改善方法がよく分かりません。
私は、一つの要因としては、糖尿病などで血管が傷ついて動脈硬化が起こり、そのために高血圧になると理解しています。」
一般的な高血圧は「本態性高血圧」が正式名称です。
本態性というくらいですから、原因はよくわからないということです。
喫煙や肥満、運動不足、塩分摂取過多、睡眠不足、加齢ストレスなど
様々な要因が合わさって発症すると考えられます。
動脈硬化(どうみゃくこうか)は、
動脈の血管が硬くなって弾力性が失われた状態です。
内腔にプラークがついたり血栓が生じたりして血管が詰まりやすくなります。
動脈硬化は、喫煙・コレステロール・高血圧・糖尿病・肥満・運動不足などの危険因子が重なることによって発症しやすくなります。
従って、高血圧や糖尿病と動脈硬化は相互に関連していると言えます。
糖質制限食や運動によって、糖尿病はもちろんですが、高血圧も改善することがあります。
一方、一旦成立した動脈硬化は、改善は困難と思います。
動脈硬化は加齢も大きく関与しています。
誰でも、20歳の時にに比べれば、40歳、50歳、60歳、70歳・・・と年齢と共に
動脈硬化が進んでいきます。
以下に降圧剤の代表的な種類と一覧を示します。
【高血圧の治療薬について】種類一覧・値段・副作用など総まとめ
カルシウム拮抗薬
ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)
ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)
利尿剤
α1(アルファワン)遮断薬
β(ベータ)遮断薬
中枢性交感神経抑制薬(中枢性α2アゴニスト)
一旦生じた動脈硬化を治す薬はありませんので
降圧剤は対症療法となります。
近年、慢性炎症という概念が注目されています。
すなわち、動脈硬化、高血圧、糖尿病など生活習慣病も
ベースに慢性炎症があるという考え方です。
炎症には急性炎症と慢性炎症があります。
<炎症>
炎症はその経過によって、急性炎症と慢性炎症に分けられます。
経過がすみやかで早期に終息する炎症を急性炎症といいます。
<急性炎症>
急性炎症の徴候として、古くから、ケルススの 4 徴と呼ばれる
発赤(赤くなる)・発熱(熱が出る)・疼痛(痛い)・腫脹(腫れる) が知られています。
外因性因子としては細菌、ウイルス、外傷、熱、紫外線、強酸、毒物などがあり、内因性因子としては免疫反応があります。
<慢性炎症>
一方、組織障害が長期にわたる場合や、原因となる病原がなかなか処理されない場合には炎症が長引きます。
4 週間以上、長引く炎症を慢性炎症といいます。.
近年この「慢性炎症」が注目されています。
慢性炎症を伴う病気として
ぜんそくやアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患、関節リウマチなどの自己免疫疾患が良く知られています。 最近の研究によって、これまで慢性炎症との関連についてはほとんど顧みられなかった病気でも、
実は慢性炎症が関わっていることがわかってきました。
加齢とともに増加するがん、動脈硬化、糖尿病、高血圧、肥満、アルツハイマー病などの種々の疾患、さらには老化そのものも、慢性的な炎症性の変化によって症状が進行するのではないかと考えられる証拠が見つかってきたのです。
糖化や酸化が慢性炎症の要因となっているのです。
<慢性炎症に対する糖質制限食の意義>
糖化ストレスや酸化ストレスの蓄積により慢性炎症を生じます。
そして、その延長上に老化やがんを始めとして、
様々な生活習慣病(糖尿病、動脈硬化、高血圧、パーキンソン病、アルツハイマー病など)の発症があります。
糖質を摂取すると血糖値が上昇し、血糖値が高いほどAGEsがたくさん蓄積していき糖化ストレスとなっていきます。
すなわち、三大栄養素のうち、糖化ストレスを生じるのは糖質だけであり、
脂質・タンパク質では生じません。
糖質制限食を実践すれば、糖化ストレスを大幅に減らすことができるので
老化やがんや慢性炎症を予防することが可能となります。
また、『食後高血糖』『血糖変動幅増大』『インスリン過剰分泌』は
活性酸素を発生させて、酸化ストレスの元となります。
糖質制限食なら、食後高血糖、血糖変動幅増大、インスリン過剰分泌を、
防ぐことが可能です。
このように、糖質制限食なら、糖化ストレスも酸化ストレスも慢性炎症も
最小限ですみますので、がん、老化、生活習慣病を予防・改善できる可能性が高いのです。
<糖質制限食 + 有酸素運動>で、
①内服薬なしで、糖尿病・高血圧ともにコントロール良好という患者さんもおられます。
②糖尿病はコントロール良好ですが、降圧剤併用の患者さんもおられます。
③経口糖尿病薬と降圧剤が必要な患者さんもおられます。
ブログ読者の皆さん、是非、美味しく楽しく末長く糖質制限食実践で、
がん、老化、慢性炎症、生活習慣病を予防し、健康長寿を目指しましょう。
江部康二
質問ですが、よろしくお願いします。
糖尿病との関連で、心筋梗塞又は脳梗塞について質問させて頂きます。
よろしくお願いいたします。
血管の梗塞要因として、糖尿病、高血圧があげられますが、
糖尿病は食事療法(糖質制限)によりコントロールできることが証明されています。
しかし、高血圧の要因や改善方法がよく分かりません。
私は、一つの要因としては、糖尿病などで血管が傷ついて動脈硬化が起こり、
そのために高血圧になると理解しています。
つまり、高血圧が先ではなく、動脈硬化が先にあるのではないか、ということです。
そうだとすると、動脈硬化を改善することによって、
高血圧が改善されるという理屈になります。
であれば、高血圧を改善するには、硬化した血管を柔軟化や拡張する、
あるいは血液を「さらさら」にする、という方法により血圧が下がると考えられます。
医師の多くは、高血圧の治療として降圧剤を処方すると思いますが、
降圧剤は、そのような作用がある薬なのでしょうか。
血管の柔軟化や拡張については、薬ではなく体操で可能とする説(医師より整体師に多い)を見かけます。
この説は証拠があるのか疑わしいと思っていますが、
降圧剤は血管を柔軟化や拡張できる薬でしようか。
それとも、降圧剤は血液を「さらさら」にする薬だとすると、
血液を「さらさら」にすると言われている食品があります。
そのような食品を食べることによって高血圧を改善できれば、
これも薬がいらないことになりますが、その点はどうお考えでしょうか。
以上、私の認識に間違いがあるかもしれませんが、
それも含めて、江部先生のお考え聞かせ願えれば幸いです。】
こんにちは。
倉田さんから、コメント・質問を頂きました。
倉田 さん
「高血圧の要因や改善方法がよく分かりません。
私は、一つの要因としては、糖尿病などで血管が傷ついて動脈硬化が起こり、そのために高血圧になると理解しています。」
一般的な高血圧は「本態性高血圧」が正式名称です。
本態性というくらいですから、原因はよくわからないということです。
喫煙や肥満、運動不足、塩分摂取過多、睡眠不足、加齢ストレスなど
様々な要因が合わさって発症すると考えられます。
動脈硬化(どうみゃくこうか)は、
動脈の血管が硬くなって弾力性が失われた状態です。
内腔にプラークがついたり血栓が生じたりして血管が詰まりやすくなります。
動脈硬化は、喫煙・コレステロール・高血圧・糖尿病・肥満・運動不足などの危険因子が重なることによって発症しやすくなります。
従って、高血圧や糖尿病と動脈硬化は相互に関連していると言えます。
糖質制限食や運動によって、糖尿病はもちろんですが、高血圧も改善することがあります。
一方、一旦成立した動脈硬化は、改善は困難と思います。
動脈硬化は加齢も大きく関与しています。
誰でも、20歳の時にに比べれば、40歳、50歳、60歳、70歳・・・と年齢と共に
動脈硬化が進んでいきます。
以下に降圧剤の代表的な種類と一覧を示します。
【高血圧の治療薬について】種類一覧・値段・副作用など総まとめ
カルシウム拮抗薬
ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)
ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)
利尿剤
α1(アルファワン)遮断薬
β(ベータ)遮断薬
中枢性交感神経抑制薬(中枢性α2アゴニスト)
一旦生じた動脈硬化を治す薬はありませんので
降圧剤は対症療法となります。
近年、慢性炎症という概念が注目されています。
すなわち、動脈硬化、高血圧、糖尿病など生活習慣病も
ベースに慢性炎症があるという考え方です。
炎症には急性炎症と慢性炎症があります。
<炎症>
炎症はその経過によって、急性炎症と慢性炎症に分けられます。
経過がすみやかで早期に終息する炎症を急性炎症といいます。
<急性炎症>
急性炎症の徴候として、古くから、ケルススの 4 徴と呼ばれる
発赤(赤くなる)・発熱(熱が出る)・疼痛(痛い)・腫脹(腫れる) が知られています。
外因性因子としては細菌、ウイルス、外傷、熱、紫外線、強酸、毒物などがあり、内因性因子としては免疫反応があります。
<慢性炎症>
一方、組織障害が長期にわたる場合や、原因となる病原がなかなか処理されない場合には炎症が長引きます。
4 週間以上、長引く炎症を慢性炎症といいます。.
近年この「慢性炎症」が注目されています。
慢性炎症を伴う病気として
ぜんそくやアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患、関節リウマチなどの自己免疫疾患が良く知られています。 最近の研究によって、これまで慢性炎症との関連についてはほとんど顧みられなかった病気でも、
実は慢性炎症が関わっていることがわかってきました。
加齢とともに増加するがん、動脈硬化、糖尿病、高血圧、肥満、アルツハイマー病などの種々の疾患、さらには老化そのものも、慢性的な炎症性の変化によって症状が進行するのではないかと考えられる証拠が見つかってきたのです。
糖化や酸化が慢性炎症の要因となっているのです。
<慢性炎症に対する糖質制限食の意義>
糖化ストレスや酸化ストレスの蓄積により慢性炎症を生じます。
そして、その延長上に老化やがんを始めとして、
様々な生活習慣病(糖尿病、動脈硬化、高血圧、パーキンソン病、アルツハイマー病など)の発症があります。
糖質を摂取すると血糖値が上昇し、血糖値が高いほどAGEsがたくさん蓄積していき糖化ストレスとなっていきます。
すなわち、三大栄養素のうち、糖化ストレスを生じるのは糖質だけであり、
脂質・タンパク質では生じません。
糖質制限食を実践すれば、糖化ストレスを大幅に減らすことができるので
老化やがんや慢性炎症を予防することが可能となります。
また、『食後高血糖』『血糖変動幅増大』『インスリン過剰分泌』は
活性酸素を発生させて、酸化ストレスの元となります。
糖質制限食なら、食後高血糖、血糖変動幅増大、インスリン過剰分泌を、
防ぐことが可能です。
このように、糖質制限食なら、糖化ストレスも酸化ストレスも慢性炎症も
最小限ですみますので、がん、老化、生活習慣病を予防・改善できる可能性が高いのです。
<糖質制限食 + 有酸素運動>で、
①内服薬なしで、糖尿病・高血圧ともにコントロール良好という患者さんもおられます。
②糖尿病はコントロール良好ですが、降圧剤併用の患者さんもおられます。
③経口糖尿病薬と降圧剤が必要な患者さんもおられます。
ブログ読者の皆さん、是非、美味しく楽しく末長く糖質制限食実践で、
がん、老化、慢性炎症、生活習慣病を予防し、健康長寿を目指しましょう。
江部康二
2023年01月27日 (金)
【あまいミカン
寒いですね、おはようございます。
いつもお世話になります。
去年健康診断で早朝血糖値が126あり要検査を言い渡されました。
その後自分でお医者様に行き検査しても問題なし(OGTT)は受けていません。
自分で安物の血糖検査キットを買って測っていますが、
夏ごろは平均90前後で推移していましたが冬に入ると70前後で推移しています。
冬には血糖値は下がるものなのでしょうか?】
こんばんは。
甘いミカンさんから、夏と冬の血糖値検査データの差異について、
コメント・質問を頂きました。
甘いミカンさん、ともあれ
早朝空腹時血糖値が126mg/dlだったのが、
90mg/dlとか70mg/dlと改善しているので
良かったです。
糖質制限食を実践しておられるのですね。
まず、以下の緑文字の米国の糖尿病退役軍人285,705人の研究で、
A1c値は冬に高く、夏に低く、0.22の差がありました。
HbA1cは過去1~2ヶ月の平均血糖値の指標です。
つまり28万人という大規模な研究では、
平均血糖値は冬に高く、夏に低いということとなります。
『毎月のヘモグロビンA1c値の季節的パターン
American Journal of Epidemiology, Volume 161, Issue 6, 15 March 2005, Pages 565-574,
要約
この研究の目的は、米国の糖尿病退役軍人における2年間(1998年10月から2000年9月まで)の月間ヘモグロビンA1c(A1c)値の季節変動を調査することでした。
研究コホートには、856,181回のA1c検査を受けた285,705人の退役軍人が含まれていました。
著者らは、全例および年齢、性別、人種、インスリン使用、および気候地域によって定義された亜集団の月平均A1c値を計算しました。
A1c値は冬に高く、夏に低く、0.22の差がありました。・・・ 以下略 』
このように、米国の大規模研究では
『血糖値は、冬に高く、夏に低い』
という結果(エビデンス)がでています。
しかし甘いミカンさんの場合は
『血糖値は、夏に高く、冬に低い』
という結果がでています。
エビデンスということで、論じれば
『血糖値は、冬に高く、夏に低い』
となりますが、
甘いミカンさんの場合は真逆であり
『血糖値は、夏に高く、冬に低い』
という結果です。
結論としては、エビデンスを無視することはできませんが、
それぞれの個人においては、エビデンスに当てはまらないことが
あり得るということです。
この場合は、エビデンスよりも個人のデータを優先することになります。
つまりエビデンスに縛られる必要はないのです。
甘いミカンさんの場合も、個人のデータを優先して頂ければよいと思います。
江部康二
寒いですね、おはようございます。
いつもお世話になります。
去年健康診断で早朝血糖値が126あり要検査を言い渡されました。
その後自分でお医者様に行き検査しても問題なし(OGTT)は受けていません。
自分で安物の血糖検査キットを買って測っていますが、
夏ごろは平均90前後で推移していましたが冬に入ると70前後で推移しています。
冬には血糖値は下がるものなのでしょうか?】
こんばんは。
甘いミカンさんから、夏と冬の血糖値検査データの差異について、
コメント・質問を頂きました。
甘いミカンさん、ともあれ
早朝空腹時血糖値が126mg/dlだったのが、
90mg/dlとか70mg/dlと改善しているので
良かったです。
糖質制限食を実践しておられるのですね。
まず、以下の緑文字の米国の糖尿病退役軍人285,705人の研究で、
A1c値は冬に高く、夏に低く、0.22の差がありました。
HbA1cは過去1~2ヶ月の平均血糖値の指標です。
つまり28万人という大規模な研究では、
平均血糖値は冬に高く、夏に低いということとなります。
『毎月のヘモグロビンA1c値の季節的パターン
American Journal of Epidemiology, Volume 161, Issue 6, 15 March 2005, Pages 565-574,
要約
この研究の目的は、米国の糖尿病退役軍人における2年間(1998年10月から2000年9月まで)の月間ヘモグロビンA1c(A1c)値の季節変動を調査することでした。
研究コホートには、856,181回のA1c検査を受けた285,705人の退役軍人が含まれていました。
著者らは、全例および年齢、性別、人種、インスリン使用、および気候地域によって定義された亜集団の月平均A1c値を計算しました。
A1c値は冬に高く、夏に低く、0.22の差がありました。・・・ 以下略 』
このように、米国の大規模研究では
『血糖値は、冬に高く、夏に低い』
という結果(エビデンス)がでています。
しかし甘いミカンさんの場合は
『血糖値は、夏に高く、冬に低い』
という結果がでています。
エビデンスということで、論じれば
『血糖値は、冬に高く、夏に低い』
となりますが、
甘いミカンさんの場合は真逆であり
『血糖値は、夏に高く、冬に低い』
という結果です。
結論としては、エビデンスを無視することはできませんが、
それぞれの個人においては、エビデンスに当てはまらないことが
あり得るということです。
この場合は、エビデンスよりも個人のデータを優先することになります。
つまりエビデンスに縛られる必要はないのです。
甘いミカンさんの場合も、個人のデータを優先して頂ければよいと思います。
江部康二
2023年01月26日 (木)
こんばんは。
昨夜(1/25水曜日)、江部診療所の夜診を終えて帰宅するとき
いつもの北大路を西進していたら、道路が凍結していて
車が滑ってかなり危険な状況でした。
ちなみに私の車は普通のタイヤです。
慌てて南下すると、凍結はなくて走りやすく
無事、自宅に辿り着きました。
北大路通りと南の通りで、凍結度合いは全く違いました。
わずかな温度差(1度くらい)なのでしょうが、大きな差がありました。
今朝(1/26木曜日)は、道路凍結を見越して、
車での通勤はあきらめて、歩いて高雄病院に出勤しました。
私の記憶が確かなら、過去一回だけ、歩いて出勤したことがありますが、
今回は、気象庁によれば10年に1度の大寒波ということなので、
頻度としてはこんなものかと思います。
京都市右京区の10月26日(木)の気温は
午前1時 2時 3時 4時 5時 6時 7時 8時 9時 10時
-1.0 -2.0 -2.0 -2.5 -3.5 -4.0 -3.4 -2.2 -0.5 1.8℃
午前9時まで氷点下で、午前6時は-4.0℃とは
半端ない寒さです。
私の記憶が確かなら、氷点下4℃なんて知らないぞと思ったら、
私の記憶は確かではなくて、どうやら40~60年前は、
もっともっと寒かったようです。
京都の最低気温ランキング01月25日時点
年月日 気温
1 1963年01月25日 -8.1℃
2 1963年01月24日 -7.2℃
3 1977年02月16日 -7℃
4 1963年01月26日 -6.8℃
5 1981年02月27日 -6.7℃
京都市では1月24日(火)夕方から、急に雪が強くなり始めました。
市内では、わずか45分ほどで道路が真っ白になり、
積雪15センチを記録しました。
高雄病院は山沿いなので、積雪20~30cmでした。
積雪に関しても、こんなに積もったのは知らないぞと思ったら、
やはり他にもありました。
京都市中京区で61年ぶり20センチ超える積雪 観測史上3位タイの22センチ
2015/1/3 のニュース 産経WEST
京都市内も2015年3日未明にかけて大雪に見舞われた。京都地方気象台によると、京都市中京区で3日午前1時、昭和29年(1954年)に41センチを観測して以来、61年ぶりに20センチを超える22センチを記録。京都市内で観測史上3位タイとなる積雪となった。
過去、一回だけ歩いて出勤したと言いましたが、
どうやらこの記事の2015年1月3日の翌日の4日のできごとだったのかもしれません。
今回、歩いて出勤と書きましたが、正解でした。
そもそも走っている車は、普段の5分の1以下で極めて少なかったです。
山道は、案の定凍結していて、走行危険状態でした。
とくに小高くなっている地点では「ツルツル」状態でした。
歩道を歩いていても凍結していて、よく滑りました。
家をでたとき、普段の靴では滑るので、もどって
オムニコート用のテニスシューズに履き替えました。
雪用の靴ではありませんが、普段の靴よりかなりましでした。
普段の靴は「メレル」です。
とにかく、履きやすいのが利点であり、靴ベラも全く必要ありませんし
歩きやすいし疲れにくいしなかなかの優れものなのです。
でも、雪道ではよく滑りました。
今日は、朝からとても寒かったのですが、救いは晴れていたことです。
氷点下の気温でも、日光が差していれば、凍結は解消してくれます。
日陰ではいつまでも凍結が持続しますので、太陽様々です。
まだまだ、しばらく寒い日々が続くようですが
ブログ読者の皆さん、しっかり防寒して乗り切って頂ければ幸いです。
江部康二
昨夜(1/25水曜日)、江部診療所の夜診を終えて帰宅するとき
いつもの北大路を西進していたら、道路が凍結していて
車が滑ってかなり危険な状況でした。
ちなみに私の車は普通のタイヤです。
慌てて南下すると、凍結はなくて走りやすく
無事、自宅に辿り着きました。
北大路通りと南の通りで、凍結度合いは全く違いました。
わずかな温度差(1度くらい)なのでしょうが、大きな差がありました。
今朝(1/26木曜日)は、道路凍結を見越して、
車での通勤はあきらめて、歩いて高雄病院に出勤しました。
私の記憶が確かなら、過去一回だけ、歩いて出勤したことがありますが、
今回は、気象庁によれば10年に1度の大寒波ということなので、
頻度としてはこんなものかと思います。
京都市右京区の10月26日(木)の気温は
午前1時 2時 3時 4時 5時 6時 7時 8時 9時 10時
-1.0 -2.0 -2.0 -2.5 -3.5 -4.0 -3.4 -2.2 -0.5 1.8℃
午前9時まで氷点下で、午前6時は-4.0℃とは
半端ない寒さです。
私の記憶が確かなら、氷点下4℃なんて知らないぞと思ったら、
私の記憶は確かではなくて、どうやら40~60年前は、
もっともっと寒かったようです。
京都の最低気温ランキング01月25日時点
年月日 気温
1 1963年01月25日 -8.1℃
2 1963年01月24日 -7.2℃
3 1977年02月16日 -7℃
4 1963年01月26日 -6.8℃
5 1981年02月27日 -6.7℃
京都市では1月24日(火)夕方から、急に雪が強くなり始めました。
市内では、わずか45分ほどで道路が真っ白になり、
積雪15センチを記録しました。
高雄病院は山沿いなので、積雪20~30cmでした。
積雪に関しても、こんなに積もったのは知らないぞと思ったら、
やはり他にもありました。
京都市中京区で61年ぶり20センチ超える積雪 観測史上3位タイの22センチ
2015/1/3 のニュース 産経WEST
京都市内も2015年3日未明にかけて大雪に見舞われた。京都地方気象台によると、京都市中京区で3日午前1時、昭和29年(1954年)に41センチを観測して以来、61年ぶりに20センチを超える22センチを記録。京都市内で観測史上3位タイとなる積雪となった。
過去、一回だけ歩いて出勤したと言いましたが、
どうやらこの記事の2015年1月3日の翌日の4日のできごとだったのかもしれません。
今回、歩いて出勤と書きましたが、正解でした。
そもそも走っている車は、普段の5分の1以下で極めて少なかったです。
山道は、案の定凍結していて、走行危険状態でした。
とくに小高くなっている地点では「ツルツル」状態でした。
歩道を歩いていても凍結していて、よく滑りました。
家をでたとき、普段の靴では滑るので、もどって
オムニコート用のテニスシューズに履き替えました。
雪用の靴ではありませんが、普段の靴よりかなりましでした。
普段の靴は「メレル」です。
とにかく、履きやすいのが利点であり、靴ベラも全く必要ありませんし
歩きやすいし疲れにくいしなかなかの優れものなのです。
でも、雪道ではよく滑りました。
今日は、朝からとても寒かったのですが、救いは晴れていたことです。
氷点下の気温でも、日光が差していれば、凍結は解消してくれます。
日陰ではいつまでも凍結が持続しますので、太陽様々です。
まだまだ、しばらく寒い日々が続くようですが
ブログ読者の皆さん、しっかり防寒して乗り切って頂ければ幸いです。
江部康二
2023年01月25日 (水)
昨日(2023/1/24、火曜日)は夜診担当でした。
診療時間帯は、17時~20時までです。
夜診開始前くらいから雪が降り始めて、みるみるうちにつもっていきました。
結局、キャンセルが相次ぎ、32名の予約患者さんのうち
たどり着けたのは5名だけでした。
道は、積雪で
通常の車では通行が困難な状態でした。
4WDの車で来た人が2人で、あとは、福王子から歩いてきたひとが3人でした。
高雄病院は、京都市の西北にあり、山の麓に建っているので、
下界というか京都駅のあたりと比べると、2度くらい気温が低いです。
大寒波、かなりこたえました。
積雪量も市内よりはかなり多いです。
最低気温は-4度くらいいってました。
積雪も、高雄病院の駐車場に泊まっている車の屋根だと30cmくらいは
積もっていました。
夜診が結果として暇だったのは仕方ないとして、
兵庫県でアルバイトのあと、当直にくるはずであった医師が、
電車が止まってこれなくなり、他に誰もいなかったので
やむをえず、私が当直することとなりました。
職員の方々も、道路の積雪と凍結で、帰宅困難になった人がいて、
結局3人が、泊まり込みとなりました。
いやはやご苦労様でした。
へき地手当が必要かと思いました。
新型コロナウイルス感染症では、
高雄病院は一応京都市内ではありますが、
一般的京都市からは、ほぼ隔離状態なので、
発熱患者さんは極めて少なくてすみました。
今回の大寒波では、この立地条件が、
交通の便という意味では、かなり苦労することとなりました。
1/25(水)、お昼前に一旦、帰宅しましたが、
幸い、朝から結構日が照ってくれたので、ごく一部雪は溶けていましたが
日陰は雪と凍結があり注意が必要でした。
以前、三菱パジェロに乗っていたとき、同じような積雪・凍結があった年がありましたが、4WDなので、全く問題なしでした。
日頃は「車は、雨がしのげて、動けばいい」などと言って、
洗車や掃除も一切したことのない私ですが、
今後、4WDの車に買い換えようかとも思っています。
江部康二
診療時間帯は、17時~20時までです。
夜診開始前くらいから雪が降り始めて、みるみるうちにつもっていきました。
結局、キャンセルが相次ぎ、32名の予約患者さんのうち
たどり着けたのは5名だけでした。
道は、積雪で
通常の車では通行が困難な状態でした。
4WDの車で来た人が2人で、あとは、福王子から歩いてきたひとが3人でした。
高雄病院は、京都市の西北にあり、山の麓に建っているので、
下界というか京都駅のあたりと比べると、2度くらい気温が低いです。
大寒波、かなりこたえました。
積雪量も市内よりはかなり多いです。
最低気温は-4度くらいいってました。
積雪も、高雄病院の駐車場に泊まっている車の屋根だと30cmくらいは
積もっていました。
夜診が結果として暇だったのは仕方ないとして、
兵庫県でアルバイトのあと、当直にくるはずであった医師が、
電車が止まってこれなくなり、他に誰もいなかったので
やむをえず、私が当直することとなりました。
職員の方々も、道路の積雪と凍結で、帰宅困難になった人がいて、
結局3人が、泊まり込みとなりました。
いやはやご苦労様でした。
へき地手当が必要かと思いました。
新型コロナウイルス感染症では、
高雄病院は一応京都市内ではありますが、
一般的京都市からは、ほぼ隔離状態なので、
発熱患者さんは極めて少なくてすみました。
今回の大寒波では、この立地条件が、
交通の便という意味では、かなり苦労することとなりました。
1/25(水)、お昼前に一旦、帰宅しましたが、
幸い、朝から結構日が照ってくれたので、ごく一部雪は溶けていましたが
日陰は雪と凍結があり注意が必要でした。
以前、三菱パジェロに乗っていたとき、同じような積雪・凍結があった年がありましたが、4WDなので、全く問題なしでした。
日頃は「車は、雨がしのげて、動けばいい」などと言って、
洗車や掃除も一切したことのない私ですが、
今後、4WDの車に買い換えようかとも思っています。
江部康二
2023年01月24日 (火)
こんにちは。
2023年1月24日(火)毎日新聞、朝刊に
https://mainichi.jp/articles/20230124/ddm/012/040/109000c
コロナ・3年の光景
ワクチン公平分配、霧散 アフリカ接種率28%止まり
獲得競争や貧弱な医療体制
という記事が掲載されました。
記事の趣旨は、
『先進国がワクチンを先に接種していったため、
資金力のないアフリカの国々の接種率が28%しかなかった。
貧富の差で新型コロナワクチン接種率に差がでないように、
世界保健機関(WHO)などが作った枠組み「COVAX(コバックス)」は、
一定の成果をあげたが、現実にはアフリカ接種率は28%止まりであった。』
ということで、アフリカ諸国の接種率の低さを強調して嘆いたものでした。
毎日新聞 2023年1月24日の記事
https://mainichi.jp/articles/20230124/ddm/012/040/109000c
ワクチン接種完了者の割合(2023年1月11日)
アフリカ:28%
欧州:67%
北米:66%
アジア:72%
南米:78%
人口10万人あたり感染者数
日本経済新聞 2023年1月22日時点の統計
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-chart-list/
韓国:57914人
イタリア:43050
英国:36279
米国:30153
日本:25870
ブラジル:17053
ロシア:14915
インド:3153
人口10万人あたり感染者数
2023年1月22日時点の統計
コンゴ:99.4人
タンザニア:67人
カメルーン:456人
エチオピア:415人
しかしながら、上記の数字データで明らかなように、
ワクチン接種完了者の割合が、欧州、北米、アジア、南米の半分以下しかない
アフリカの人口10万人あたりの累積感染者数が、
欧州、北米、アジア、南米に比べて40分の1~800分の1以下しかありません。
これはワクチンを接種したほうが、
新型コロナウイルスに感染しやすかったという動かぬ証拠と言えます。
その理由は
『新型コロナワクチンがヒトの自然免疫を低下させた』
ためと考えられます。
毎日新聞の記事では、貧困国のワクチン接種率が極めて低くて
不公平で問題であるとしていますが、
結果として、ワクチンを打たなかったほうが、感染者数が圧倒的に少なくてすんだわけで、
いやはや、極めて皮肉な結果となったと言えます。
近畿大学医学部皮膚科学教室の大塚篤司主任教授が
「私が近畿大学で患者さんを診ている限りでは、去年(2021年)の春から夏にかけては、
帯状疱疹の患者さんが非常に多く増えた印象があります。
だいたい1.5倍~2倍くらい患者さんを診た印象はあります」
と述べておられます。
帯状疱疹の患者さんが2倍に増えたのは、
『新型コロナワクチンがヒトの自然免疫を低下させた』
ためと考えられます。
以下の本ブログ記事をご参照頂ければ幸いです。
「帯状ほう疹」患者が急増 3回目接種後に発症した男性(20代)の場合は…
2022年04月06日 (水)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5928.html
勿論、私・江部康二は、新型コロナワクチンは1回も接種していません。
江部康二
2023年1月24日(火)毎日新聞、朝刊に
https://mainichi.jp/articles/20230124/ddm/012/040/109000c
コロナ・3年の光景
ワクチン公平分配、霧散 アフリカ接種率28%止まり
獲得競争や貧弱な医療体制
という記事が掲載されました。
記事の趣旨は、
『先進国がワクチンを先に接種していったため、
資金力のないアフリカの国々の接種率が28%しかなかった。
貧富の差で新型コロナワクチン接種率に差がでないように、
世界保健機関(WHO)などが作った枠組み「COVAX(コバックス)」は、
一定の成果をあげたが、現実にはアフリカ接種率は28%止まりであった。』
ということで、アフリカ諸国の接種率の低さを強調して嘆いたものでした。
毎日新聞 2023年1月24日の記事
https://mainichi.jp/articles/20230124/ddm/012/040/109000c
ワクチン接種完了者の割合(2023年1月11日)
アフリカ:28%
欧州:67%
北米:66%
アジア:72%
南米:78%
人口10万人あたり感染者数
日本経済新聞 2023年1月22日時点の統計
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-chart-list/
韓国:57914人
イタリア:43050
英国:36279
米国:30153
日本:25870
ブラジル:17053
ロシア:14915
インド:3153
人口10万人あたり感染者数
2023年1月22日時点の統計
コンゴ:99.4人
タンザニア:67人
カメルーン:456人
エチオピア:415人
しかしながら、上記の数字データで明らかなように、
ワクチン接種完了者の割合が、欧州、北米、アジア、南米の半分以下しかない
アフリカの人口10万人あたりの累積感染者数が、
欧州、北米、アジア、南米に比べて40分の1~800分の1以下しかありません。
これはワクチンを接種したほうが、
新型コロナウイルスに感染しやすかったという動かぬ証拠と言えます。
その理由は
『新型コロナワクチンがヒトの自然免疫を低下させた』
ためと考えられます。
毎日新聞の記事では、貧困国のワクチン接種率が極めて低くて
不公平で問題であるとしていますが、
結果として、ワクチンを打たなかったほうが、感染者数が圧倒的に少なくてすんだわけで、
いやはや、極めて皮肉な結果となったと言えます。
近畿大学医学部皮膚科学教室の大塚篤司主任教授が
「私が近畿大学で患者さんを診ている限りでは、去年(2021年)の春から夏にかけては、
帯状疱疹の患者さんが非常に多く増えた印象があります。
だいたい1.5倍~2倍くらい患者さんを診た印象はあります」
と述べておられます。
帯状疱疹の患者さんが2倍に増えたのは、
『新型コロナワクチンがヒトの自然免疫を低下させた』
ためと考えられます。
以下の本ブログ記事をご参照頂ければ幸いです。
「帯状ほう疹」患者が急増 3回目接種後に発症した男性(20代)の場合は…
2022年04月06日 (水)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5928.html
勿論、私・江部康二は、新型コロナワクチンは1回も接種していません。
江部康二
2023年01月23日 (月)
こんばんは。
今回は糖質制限食とサプリメント、肉、脂質について考えてみました。
食・健康情報評価協会さんのサイトhttp://afie.or.jp/
が、とても参考になります。
「食と健康」の重要論文をすべて調査し、健康情報の評価をしている、
とのことで、このサイト、信頼度が高いと思います。
このサイトの冒頭に
世の中にある「食と健康」の情報は、ほとんどが誤りです。・・・
・・・当協会の調べでは、「本当に健康になる食」とは次のような内容です。
・野菜は多くの疾患の予防に効果的
・肉、脂質、炭水化物は要注意
・食品からとる栄養は効果的だが、サプリは効果的とはいいがたい
と記載してあります。
私も基本的に賛成です。
ただ、肉と脂質に関しては糖質を摂取している普通の人においては、賛成ですが、
酸化ストレスの極めて少ない糖質セイゲニストにおいては問題はないと考えています。
このサイト「食と健康」の重要論文をすべて調査しているとのことですが、
調査対象の論文のほとんどが
「糖質を普通に40~60%摂取している人」が対象の論文です。
従って、糖質摂取比率が、10~12%程度のスーパー糖質制限食実践者においては、
視点を変えて考察することが必要です。
例えば、ほとんどの生活習慣病が、
「食後血糖値の上昇」「高インスリン血症」「平均血糖変動幅増大」
という活性酸素を発生させる三大酸化ストレスリスクが元凶です。
この三大リスクを毎3回/日、間食を入れたら5回/日、
毎日毎日繰り返しているのが日本の食生活の現状です。
これでは、生活習慣病が減らないのは当たりまえです。
肉や脂質を充分量摂取しても、
これらの三大リスクを予防できる唯一の食事が「スーパー糖質制限食」です。
スーパー糖質制限食実践なら、これらの三大リスクは生じません。
糖質セイゲニストは、ぶれることなく「スーパー糖質制限食」を実践して
健康ライフを送りましょう。
糖質を普通に食べている人も、本ブログ記事を読んで納得がいけば
是非糖質制限食を導入して頂ければ幸いです。
少し前ですが、毎日新聞医療プレミア、ヘルスデーニュースに
『サプリメントに死亡リスク低減効果なし?』2019年4月20日
https://mainichi.jp/premier/health/articles/20190419/med/00m/070/003000d
という記事が載りました。(☆)
私は、サプリメントは、飲んでいませんし
患者さんに奨めることも、ほぼ無いので、
まあ、そんなものかなという感想です。
米タフツ大学准教授のFang Fang Zhang氏らが
「Annals of Internal Medicine」4月8日オンライン版に発表
ということなら、信頼度は高いと言えます。
アナルズオブインターナルメディスンは
ニューイングランドジャーナル、
ランセット、
ブリティッシュメディカルジャーナル
などに次ぐランクの医学雑誌で、
インパクトファクターも高いです。
『ビタミンAとビタミンK、マグネシウム、亜鉛、銅を適度に
食品から摂取すると、
全死亡率または心疾患や脳卒中などの心血管疾患による死亡率は低下するが、
サプリから摂取しても効果はない。』
食品から摂取すると効果があるのに
サプリからでは効果が無いという事実は、とても興味深い報告です。
「今回の結果からも、健康な人ではサプリメントによるベネフィットは得られないことは明らかだ。サプリメントは栄養バランスに富んだ食事の代わりにはならない」
「栄養素を食品から摂取した場合とサプリメントから摂取した場合で有益性に差が出た理由は明らかになっていない。」
とZhang氏は述べています。
この「健康な人では」というのが、キーワードかもしれません。
つまり、鉄欠乏性貧血の患者さんに鉄剤を投与するとか
亜鉛欠乏による味覚障害や皮膚障害の患者さんに、亜鉛を含む製剤を投与するとかは、
当然、サプリメントでも健康保険に収載されている薬剤でも有効です。
即ち、「健康な人」ではなく「病気の人」には、サプリメントも有効です。
高雄病院の推奨する『スーパー糖質制限食』においては、
魚介類、肉類、卵、卵製品、乳製品 ⇒糖質はほとんどなし
豆腐、納豆、⇒糖質はほとんどなし
葉野菜、ブロッコリー、ゴーヤ、ピーマンなど・・・⇒糖質が少ない
海草、茸⇒糖質が少ない
くるみ、アーモンド ⇒糖質が少ない
など、幅広い食品を満遍なく食べるので、糖質だけは制限していますが、
必須脂肪酸、必須アミノ酸、ビタミン、ミネラル、食物繊維
など、全て食材から摂取可能なので、基本サプリは必要ないのです。
『サプリメントは栄養バランスに富んだ食事の代わりにはならない』
というのは、けだし名言と思います。
一方、ベジタリアンの場合には、
ビタミンB12、ビタミンD、EPA・DHAが不足しやすいので
それらを、サプリで補充することには意味があります。
そして日照を受ける機会が少ない寒冷地では、
ビタミンD不足がありえるので、必要ならビタミンDの補充もありと考えられます。
また、生理のある女性や出産後の女性の鉄欠乏性貧血には、
保険内で鉄剤を処方することも必要ですし、
ご本人が鉄のサプリを購入して飲んでも有効です。
(☆)
毎日新聞医療プレミア ヘルスデーニュース
『サプリメントに死亡リスク低減効果なし?』2019年4月20日
https://mainichi.jp/premier/health/articles/20190419/med/00m/070/003000d
記事の要約
【この研究は、米国国民健康栄養調査(NHANES)から1999~2010年のデータと死亡記録(National Death Index)データを関連づけて分析したもの。
20歳以上の米国成人3万899人を対象に、食品およびサプリメントからの栄養素の摂取量と死亡率との関連を前向きに調べた。
その結果、対象者の半数以上が1種類以上のサプリメントを摂取し、
3分の1以上はマルチビタミンを摂取していた。
また、サプリメントの中ではビタミンCの摂取頻度が最も高く、ビタミンE、カルシウム、ビタミンDが続いた。
中央値で6.1年追跡した結果、全般的なサプリメントの常用と死亡率との間には関連は見られなかった。
一方、ビタミンAとビタミンK、マグネシウム、亜鉛、銅を適度に摂取すると、
全死亡率または心疾患や脳卒中などの心血管疾患による死亡率は低下することが示された。
しかし、これらのリスク低減効果は、栄養素を食品から摂取した場合に限られることも分かった。
さらに、カルシウムの過剰摂取は、がんによる死亡リスクの増加と関連することも示された。
Zhang氏によれば、
米国人口の半数以上が何らかのサプリメントを常用しているが、
「今回の結果からも、健康な人ではサプリメントによるベネフィットは得られないことは明らかだ。
サプリメントは栄養バランスに富んだ食事の代わりにはならない」と述べている。
また、栄養素を食品から摂取した場合とサプリメントから摂取した場合で有益性に差が出た理由は明らかになっていない。
この点について、Zhang氏は「食品から摂取した場合には、身体が栄養素の吸収を調整したり、制限したりできるのに対し、
サプリメントでは、こうしたコントロールができないためではないか」と説明している。
この研究には関与していない米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン・ヘルスの管理栄養士であるSamantha Heller氏は
「一種類の栄養素を摂取したからといって健康上の問題が解決するわけではないが、
状況によっては栄養素の補充が必要なこともある」と指摘する。
その一例として、完全採食主義者ではビタミンB12やビタミンD、オメガ3脂肪酸など特定の栄養素が不足しがちなことを挙げている。】
江部康二
今回は糖質制限食とサプリメント、肉、脂質について考えてみました。
食・健康情報評価協会さんのサイトhttp://afie.or.jp/
が、とても参考になります。
「食と健康」の重要論文をすべて調査し、健康情報の評価をしている、
とのことで、このサイト、信頼度が高いと思います。
このサイトの冒頭に
世の中にある「食と健康」の情報は、ほとんどが誤りです。・・・
・・・当協会の調べでは、「本当に健康になる食」とは次のような内容です。
・野菜は多くの疾患の予防に効果的
・肉、脂質、炭水化物は要注意
・食品からとる栄養は効果的だが、サプリは効果的とはいいがたい
と記載してあります。
私も基本的に賛成です。
ただ、肉と脂質に関しては糖質を摂取している普通の人においては、賛成ですが、
酸化ストレスの極めて少ない糖質セイゲニストにおいては問題はないと考えています。
このサイト「食と健康」の重要論文をすべて調査しているとのことですが、
調査対象の論文のほとんどが
「糖質を普通に40~60%摂取している人」が対象の論文です。
従って、糖質摂取比率が、10~12%程度のスーパー糖質制限食実践者においては、
視点を変えて考察することが必要です。
例えば、ほとんどの生活習慣病が、
「食後血糖値の上昇」「高インスリン血症」「平均血糖変動幅増大」
という活性酸素を発生させる三大酸化ストレスリスクが元凶です。
この三大リスクを毎3回/日、間食を入れたら5回/日、
毎日毎日繰り返しているのが日本の食生活の現状です。
これでは、生活習慣病が減らないのは当たりまえです。
肉や脂質を充分量摂取しても、
これらの三大リスクを予防できる唯一の食事が「スーパー糖質制限食」です。
スーパー糖質制限食実践なら、これらの三大リスクは生じません。
糖質セイゲニストは、ぶれることなく「スーパー糖質制限食」を実践して
健康ライフを送りましょう。
糖質を普通に食べている人も、本ブログ記事を読んで納得がいけば
是非糖質制限食を導入して頂ければ幸いです。
少し前ですが、毎日新聞医療プレミア、ヘルスデーニュースに
『サプリメントに死亡リスク低減効果なし?』2019年4月20日
https://mainichi.jp/premier/health/articles/20190419/med/00m/070/003000d
という記事が載りました。(☆)
私は、サプリメントは、飲んでいませんし
患者さんに奨めることも、ほぼ無いので、
まあ、そんなものかなという感想です。
米タフツ大学准教授のFang Fang Zhang氏らが
「Annals of Internal Medicine」4月8日オンライン版に発表
ということなら、信頼度は高いと言えます。
アナルズオブインターナルメディスンは
ニューイングランドジャーナル、
ランセット、
ブリティッシュメディカルジャーナル
などに次ぐランクの医学雑誌で、
インパクトファクターも高いです。
『ビタミンAとビタミンK、マグネシウム、亜鉛、銅を適度に
食品から摂取すると、
全死亡率または心疾患や脳卒中などの心血管疾患による死亡率は低下するが、
サプリから摂取しても効果はない。』
食品から摂取すると効果があるのに
サプリからでは効果が無いという事実は、とても興味深い報告です。
「今回の結果からも、健康な人ではサプリメントによるベネフィットは得られないことは明らかだ。サプリメントは栄養バランスに富んだ食事の代わりにはならない」
「栄養素を食品から摂取した場合とサプリメントから摂取した場合で有益性に差が出た理由は明らかになっていない。」
とZhang氏は述べています。
この「健康な人では」というのが、キーワードかもしれません。
つまり、鉄欠乏性貧血の患者さんに鉄剤を投与するとか
亜鉛欠乏による味覚障害や皮膚障害の患者さんに、亜鉛を含む製剤を投与するとかは、
当然、サプリメントでも健康保険に収載されている薬剤でも有効です。
即ち、「健康な人」ではなく「病気の人」には、サプリメントも有効です。
高雄病院の推奨する『スーパー糖質制限食』においては、
魚介類、肉類、卵、卵製品、乳製品 ⇒糖質はほとんどなし
豆腐、納豆、⇒糖質はほとんどなし
葉野菜、ブロッコリー、ゴーヤ、ピーマンなど・・・⇒糖質が少ない
海草、茸⇒糖質が少ない
くるみ、アーモンド ⇒糖質が少ない
など、幅広い食品を満遍なく食べるので、糖質だけは制限していますが、
必須脂肪酸、必須アミノ酸、ビタミン、ミネラル、食物繊維
など、全て食材から摂取可能なので、基本サプリは必要ないのです。
『サプリメントは栄養バランスに富んだ食事の代わりにはならない』
というのは、けだし名言と思います。
一方、ベジタリアンの場合には、
ビタミンB12、ビタミンD、EPA・DHAが不足しやすいので
それらを、サプリで補充することには意味があります。
そして日照を受ける機会が少ない寒冷地では、
ビタミンD不足がありえるので、必要ならビタミンDの補充もありと考えられます。
また、生理のある女性や出産後の女性の鉄欠乏性貧血には、
保険内で鉄剤を処方することも必要ですし、
ご本人が鉄のサプリを購入して飲んでも有効です。
(☆)
毎日新聞医療プレミア ヘルスデーニュース
『サプリメントに死亡リスク低減効果なし?』2019年4月20日
https://mainichi.jp/premier/health/articles/20190419/med/00m/070/003000d
記事の要約
【この研究は、米国国民健康栄養調査(NHANES)から1999~2010年のデータと死亡記録(National Death Index)データを関連づけて分析したもの。
20歳以上の米国成人3万899人を対象に、食品およびサプリメントからの栄養素の摂取量と死亡率との関連を前向きに調べた。
その結果、対象者の半数以上が1種類以上のサプリメントを摂取し、
3分の1以上はマルチビタミンを摂取していた。
また、サプリメントの中ではビタミンCの摂取頻度が最も高く、ビタミンE、カルシウム、ビタミンDが続いた。
中央値で6.1年追跡した結果、全般的なサプリメントの常用と死亡率との間には関連は見られなかった。
一方、ビタミンAとビタミンK、マグネシウム、亜鉛、銅を適度に摂取すると、
全死亡率または心疾患や脳卒中などの心血管疾患による死亡率は低下することが示された。
しかし、これらのリスク低減効果は、栄養素を食品から摂取した場合に限られることも分かった。
さらに、カルシウムの過剰摂取は、がんによる死亡リスクの増加と関連することも示された。
Zhang氏によれば、
米国人口の半数以上が何らかのサプリメントを常用しているが、
「今回の結果からも、健康な人ではサプリメントによるベネフィットは得られないことは明らかだ。
サプリメントは栄養バランスに富んだ食事の代わりにはならない」と述べている。
また、栄養素を食品から摂取した場合とサプリメントから摂取した場合で有益性に差が出た理由は明らかになっていない。
この点について、Zhang氏は「食品から摂取した場合には、身体が栄養素の吸収を調整したり、制限したりできるのに対し、
サプリメントでは、こうしたコントロールができないためではないか」と説明している。
この研究には関与していない米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン・ヘルスの管理栄養士であるSamantha Heller氏は
「一種類の栄養素を摂取したからといって健康上の問題が解決するわけではないが、
状況によっては栄養素の補充が必要なこともある」と指摘する。
その一例として、完全採食主義者ではビタミンB12やビタミンD、オメガ3脂肪酸など特定の栄養素が不足しがちなことを挙げている。】
江部康二
2023年01月22日 (日)
ナショナル・ジオグラフィック
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/23/010500004/?n_cid=nbpnng_mled_html&xadid=10005
宇宙&科学
1日3回、1~2分間活発に動くだけで死亡リスクが4割減、研究
運動嫌いに朗報、「運動とは言えないほどのわずかな活動」にも高い効果
2023.01.07
こんばんは。
ナショナル・ジオグラフィックのサイトに
2023年1月7日、上記の記事が掲載されました。
2022年12月8日付けで学術誌「Nature Medicine」に発表された最新の研究によると、
早歩きをする、荷物を運ぶ、家事のペースを上げるなど、
1日3回、1~2分間「活発に動く」だけで、健康に大きな効果があるといいます。
詳しくは、ナショナル・ジオグラフィックのサイトを
ご参照頂ければ幸いです。
日常的な活動でも高強度で1~2分間、毎日3回行うと、
死亡リスクが最大40%下がり、
がんや心血管疾患による死亡率も下がることがわかりました。
ただし、例えば、週4、5回の定期的なエクササイズによる効果の方が明らかに高いそうですので
過信するのは禁物です。
しかし 『高強度の運動を1~2分間、毎日3回行う』
というのは、非常にハードルが低いので
日頃運動習慣のない人は、試してみる価値は十分ありそうです。
1〜2分の高強度の身体活動を毎日3回以上行っている人は、
がんで死亡するリスクが40%弱、
心血管疾患で死亡するリスクが約49%低いことが明らかになりました。
このような強度の高い活動の回数が多いほど、
死亡リスクが低くなります。
なぜ短時間の高強度の運動が死亡リスクを下げるのかはわかっていませんが、
結果オーライということで、OKでしょう。
早歩きも高強度の運動なので
いつも本ブログで推奨している「インターバル速歩」
なら、より高い効果が期待できそうですね。
以下の本ブログ記事もご参照頂ければ幸いです。
「2千歩でも速歩でも効果 ウォーキングの研究」。
インターバル速歩がより簡単。
2022年11月16日 (水)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-6133.html
江部康二
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/23/010500004/?n_cid=nbpnng_mled_html&xadid=10005
宇宙&科学
1日3回、1~2分間活発に動くだけで死亡リスクが4割減、研究
運動嫌いに朗報、「運動とは言えないほどのわずかな活動」にも高い効果
2023.01.07
こんばんは。
ナショナル・ジオグラフィックのサイトに
2023年1月7日、上記の記事が掲載されました。
2022年12月8日付けで学術誌「Nature Medicine」に発表された最新の研究によると、
早歩きをする、荷物を運ぶ、家事のペースを上げるなど、
1日3回、1~2分間「活発に動く」だけで、健康に大きな効果があるといいます。
詳しくは、ナショナル・ジオグラフィックのサイトを
ご参照頂ければ幸いです。
日常的な活動でも高強度で1~2分間、毎日3回行うと、
死亡リスクが最大40%下がり、
がんや心血管疾患による死亡率も下がることがわかりました。
ただし、例えば、週4、5回の定期的なエクササイズによる効果の方が明らかに高いそうですので
過信するのは禁物です。
しかし 『高強度の運動を1~2分間、毎日3回行う』
というのは、非常にハードルが低いので
日頃運動習慣のない人は、試してみる価値は十分ありそうです。
1〜2分の高強度の身体活動を毎日3回以上行っている人は、
がんで死亡するリスクが40%弱、
心血管疾患で死亡するリスクが約49%低いことが明らかになりました。
このような強度の高い活動の回数が多いほど、
死亡リスクが低くなります。
なぜ短時間の高強度の運動が死亡リスクを下げるのかはわかっていませんが、
結果オーライということで、OKでしょう。
早歩きも高強度の運動なので
いつも本ブログで推奨している「インターバル速歩」
なら、より高い効果が期待できそうですね。
以下の本ブログ記事もご参照頂ければ幸いです。
「2千歩でも速歩でも効果 ウォーキングの研究」。
インターバル速歩がより簡単。
2022年11月16日 (水)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-6133.html
江部康二
2023年01月20日 (金)
こんばんは。
膠原病などの病気で、長期間ステロイド薬を内服したとき、
ステロイド糖尿病を発症することがあります。
ステロイド糖尿病について、まず簡単に整理してみます。
ステロイド、副腎皮質ホルモンと言ったら、
糖質コルチコイド(コルチゾール)のことを指し、
ステロイドホルモンの代表選手です。
副腎皮質ホルモンを一定以上の量、長期にわたり投与することにより、
糖尿病・耐糖能異常をきたすことがあります。
文献によると、副腎皮質ホルモンの長期投与で糖尿病状態となる頻度は7.3%です。
副腎皮質ホルモンの分泌過剰症であるクッシング症候群という病気がありますが、
約80%に軽い耐糖能異常が認められます。
ステロイド(糖質コルチコイド)の作用として
①肝臓の糖新生亢進作用
②骨格筋などのインスリン抵抗性の亢進
③高グルカゴン血症
④食欲増進作用
⑤インスリン分泌能の抑制
があります。
これらの作用により耐糖能が低下すると考えられます。
例えば、コルチゾールという副腎皮質ホルモン投与後、
2~3時間で血糖値が上昇し始め、約5~8時間でピークとなります。
ステロイド投与により糖尿病を発症する場合ですが、
現実にはもともと糖尿病の素因があった人が発症することが多いです。
まあ、この場合は、ステロイド糖尿病というよりは、
2型糖尿病の発症にステロイド投与が他の環境因子などと共に
一つのきっかけとなったということですね。
厳密な意味でのステロイド糖尿病は、外部からのステロイド投与がなくなれば、
糖尿病が消失することが定義となります。
例えば、膠原病の治療で、ステロイド薬(プレドニンなど)を一定期間期内服した時、
糖尿病を発症することがあります。
家族歴に糖尿病が全くなくて、肥満などの要因もない場合は、
純粋なステロイド糖尿病で、プレドニンが休薬となれば、
治る可能性が高いと言えます。
一方、家族歴に糖尿病があれば、
ステロイド薬内服をきっかけに、
2型糖尿病を発症した可能性もありえると思います。
いずれにせよ、スーパー糖質制限食実践でコントロール良好になると思われます。
江部康二
ステロイド糖尿病の詳細は、
日本内分泌学会の以下の青字の記載をご参照頂ければ幸いです。
【日本内分泌学会
ステロイド糖尿病
http://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=99#:~:text=%E4%BD%95%E3%82%89%E3%81%8B%E3%81%AE%E7%96%BE%E6%82%A3%E3%81%AE%E6%B2%BB%E7%99%82%E3%81%AB%E3%81%82%E3%81%9F%E3%82%8A,%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%82%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
最終更新日:2019年11月9日
ステロイド糖尿病
何らかの疾患の治療にあたり、ステロイド投与をされた際に発症する糖尿病を、ステロイド糖尿病といいます。ステロイドの投与は内服のみならず、外用薬、吸入薬、注射薬といった多種多様な形で存在しますので、患者本人がステロイド療法の経験がないと思っていても、知らぬ間に投与されて見逃されているケースもあります。特に皮膚の外用薬や、関節内注射は見逃されやすいケースです。
この病気の患者さんはどのくらいいるのですか
1962年のわが国の疫学調査によれば、ステロイドを投与された疾患群628例のうち糖尿病発症は46例の7.3%と報告されています。ステロイド投与量に応じた発症頻度の増加もありますが、発症には投与期間との因果関係が強く、90日投与で66%に、300 日投与では94.2%に発症しています。
この病気はどのような人に多いのですか
ステロイド糖尿病発症の危険因子として、投与量と投与期間に伴うステロイド量の蓄積、高齢者、糖尿病の家族暦を有する者、肥満者といった2型糖尿病の発症リスクを持つもことが報告されており、そのような背景を有する患者ではステロイド投与前後の耐糖能の注意深い経過観察が必要です。患者自身はステロイド投与に気づいていない場合も多くありますので、詳細な病歴の聴取と同時に患者がかかりつけの医療機関に、直接担当医が確認することも重要です。
この病気の原因はわかっているのですか
ステロイド糖尿病の中心病態は、インスリン抵抗性と肝臓からの糖放出の亢進です。特に肝臓はステロイド糖尿病の中心病態となる臓器といえます。肝細胞において、インスリンはホスホエノ-ルピルビン酸カルボキシラーゼ(PEPCK)の遺伝子発現を抑制するのに対して、ステロイドはこれを上昇させることで糖新生を促進していることが知られています(図)。また、ステロイドは筋肉や脂肪組織といったインスリンに反応して糖を取り込む臓器において糖取り込みを抑制することが知られています。また、ステロイドは筋肉や脂肪組織の異化を亢進することで、肝臓に対して新たな糖新生の基質を送り込み、肝糖放出の促進を増長しています(図)。一方、ステロイドがインスリンの分泌能を抑制していることも知られている。】
膠原病などの病気で、長期間ステロイド薬を内服したとき、
ステロイド糖尿病を発症することがあります。
ステロイド糖尿病について、まず簡単に整理してみます。
ステロイド、副腎皮質ホルモンと言ったら、
糖質コルチコイド(コルチゾール)のことを指し、
ステロイドホルモンの代表選手です。
副腎皮質ホルモンを一定以上の量、長期にわたり投与することにより、
糖尿病・耐糖能異常をきたすことがあります。
文献によると、副腎皮質ホルモンの長期投与で糖尿病状態となる頻度は7.3%です。
副腎皮質ホルモンの分泌過剰症であるクッシング症候群という病気がありますが、
約80%に軽い耐糖能異常が認められます。
ステロイド(糖質コルチコイド)の作用として
①肝臓の糖新生亢進作用
②骨格筋などのインスリン抵抗性の亢進
③高グルカゴン血症
④食欲増進作用
⑤インスリン分泌能の抑制
があります。
これらの作用により耐糖能が低下すると考えられます。
例えば、コルチゾールという副腎皮質ホルモン投与後、
2~3時間で血糖値が上昇し始め、約5~8時間でピークとなります。
ステロイド投与により糖尿病を発症する場合ですが、
現実にはもともと糖尿病の素因があった人が発症することが多いです。
まあ、この場合は、ステロイド糖尿病というよりは、
2型糖尿病の発症にステロイド投与が他の環境因子などと共に
一つのきっかけとなったということですね。
厳密な意味でのステロイド糖尿病は、外部からのステロイド投与がなくなれば、
糖尿病が消失することが定義となります。
例えば、膠原病の治療で、ステロイド薬(プレドニンなど)を一定期間期内服した時、
糖尿病を発症することがあります。
家族歴に糖尿病が全くなくて、肥満などの要因もない場合は、
純粋なステロイド糖尿病で、プレドニンが休薬となれば、
治る可能性が高いと言えます。
一方、家族歴に糖尿病があれば、
ステロイド薬内服をきっかけに、
2型糖尿病を発症した可能性もありえると思います。
いずれにせよ、スーパー糖質制限食実践でコントロール良好になると思われます。
江部康二
ステロイド糖尿病の詳細は、
日本内分泌学会の以下の青字の記載をご参照頂ければ幸いです。
【日本内分泌学会
ステロイド糖尿病
http://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=99#:~:text=%E4%BD%95%E3%82%89%E3%81%8B%E3%81%AE%E7%96%BE%E6%82%A3%E3%81%AE%E6%B2%BB%E7%99%82%E3%81%AB%E3%81%82%E3%81%9F%E3%82%8A,%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%82%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
最終更新日:2019年11月9日
ステロイド糖尿病
何らかの疾患の治療にあたり、ステロイド投与をされた際に発症する糖尿病を、ステロイド糖尿病といいます。ステロイドの投与は内服のみならず、外用薬、吸入薬、注射薬といった多種多様な形で存在しますので、患者本人がステロイド療法の経験がないと思っていても、知らぬ間に投与されて見逃されているケースもあります。特に皮膚の外用薬や、関節内注射は見逃されやすいケースです。
この病気の患者さんはどのくらいいるのですか
1962年のわが国の疫学調査によれば、ステロイドを投与された疾患群628例のうち糖尿病発症は46例の7.3%と報告されています。ステロイド投与量に応じた発症頻度の増加もありますが、発症には投与期間との因果関係が強く、90日投与で66%に、300 日投与では94.2%に発症しています。
この病気はどのような人に多いのですか
ステロイド糖尿病発症の危険因子として、投与量と投与期間に伴うステロイド量の蓄積、高齢者、糖尿病の家族暦を有する者、肥満者といった2型糖尿病の発症リスクを持つもことが報告されており、そのような背景を有する患者ではステロイド投与前後の耐糖能の注意深い経過観察が必要です。患者自身はステロイド投与に気づいていない場合も多くありますので、詳細な病歴の聴取と同時に患者がかかりつけの医療機関に、直接担当医が確認することも重要です。
この病気の原因はわかっているのですか
ステロイド糖尿病の中心病態は、インスリン抵抗性と肝臓からの糖放出の亢進です。特に肝臓はステロイド糖尿病の中心病態となる臓器といえます。肝細胞において、インスリンはホスホエノ-ルピルビン酸カルボキシラーゼ(PEPCK)の遺伝子発現を抑制するのに対して、ステロイドはこれを上昇させることで糖新生を促進していることが知られています(図)。また、ステロイドは筋肉や脂肪組織といったインスリンに反応して糖を取り込む臓器において糖取り込みを抑制することが知られています。また、ステロイドは筋肉や脂肪組織の異化を亢進することで、肝臓に対して新たな糖新生の基質を送り込み、肝糖放出の促進を増長しています(図)。一方、ステロイドがインスリンの分泌能を抑制していることも知られている。】
2023年01月19日 (木)
こんばんは。
「糖質を摂取して薬を飲んで血糖コントロールする」
のと
「糖質制限食で薬なしで血糖コントロールする」
のと人体にとってどのくらいの差があるのでしょうか?
通常の日本糖尿病学会推奨のカロリー制限食(高糖質食)を摂取した場合、
糖質が60%ですから、例えば女性で500キロカロリー×3回/日で
合計1500キロカロリー/日なら、
1回の糖質の摂取量は約75gで一日合計225gです。
1gの糖質が約3mg、2型糖尿人の血糖値を上昇させます。
αGI薬やグリニド系薬は一定の効果はありますが、限定的で個人差もあります。
従ってαGI薬やグリニド系薬を食直前に内服していても、
ほとんどの2型糖尿人において、
従来の糖尿病食(糖質60%)を摂取する限りは、
確実に180mg/dlを超える食後高血糖が生じます。
そして、この食後高血糖のために、年余にわたりβ細胞が傷害されていくのです。
今までの糖尿病治療は、この点において根本的に間違っていたと言えます。
個人差があるなかで、<αGI薬+グリニド系薬>食直前内服で、
普通に糖質ありの食事を摂取しても、
食後一時間値が180mg/dllを超えず、食後2時間値が140mg/dl未満なら、
問題ないと言えます。
しかし2型糖尿人のほとんどにおいて薬はそんなには効きませんので、
普通の食事をして、食後一時間値が180mg/dllを超えず、
食後2時間値が140mg/dl未満を達成するのが極めて困難です。
HbA1cは平均血糖値なので、食後250mg、空腹時50mgで、
凸凹状態でも、平均血糖値であるHbA1cは6.5%とかで一見良好ですが
質の悪いHbA1cなので、望ましくないのです。
グリニド系薬は膵臓のβ細胞を2~3時間だけ働かせますが、
αGI薬は、デンプンの分解をゆっくりさせて食後高血糖を防いでいますので
膵臓への直接の作用はありません。
SU剤は、食後高血糖と平均血糖変動幅改善効果がほとんどみられず、
低血糖は生じやすいので、使いにくい薬剤となりました。
ピオグリタゾンは、男性の膀胱癌の懸念でフランスでは許可していませんし、
女性には使えますが、浮腫と体重増加があるので、やや使いにくいのです。
メトホルミン、DPP-4阻害剤、SGLT2阻害薬、
経口GLP-1受容体作動薬、イメグリミン塩酸塩 も
内服薬としてありますが、食後高血糖を防ぐことはは困難です。
これに対して、スーパー糖質制限食なら
『食後高血糖』と『平均血糖変動幅増大』が最小限ですむので
質の良いHbA1cとなるのです。
江部康二
2023年01月18日 (水)
こんばんは。
スーパー糖質制限食を実践していても、たまに糖質を食べたい時や、食べざるを得ないときがありますが、
その時の糖質摂取量許容範囲はどのくらいなのでしょう?
旅行中とか、葬式、結婚式などの時は、「私は糖質制限食中なのでご飯は食べません」とか
皆の前でなかなか言いづらいものですので、今回は、それについて、考えてみます。
< 食後血糖値の許容範囲について>
体重64kgの2型糖尿人で、個人差はありますが、1gの糖質が約3mg血糖値を上昇させます。
食品別糖質量ハンドブックで食材の糖質量をチェックしつつ、1回に何gまでなら問題ないのかを考えましょう。
日本糖尿病学会の熊本宣言(2013年)によれば、食後2時間の血糖値が180mg/dl未満で収まる糖質量なら、動脈硬化のリスクが少ないので一応、許容範囲ということになります。
例えば、6枚切りトースト1枚(糖質量26.6g)食べても、食後2時間血糖値が180mg/dl未満ならギリギリOKということです。
つまり
[空腹時血糖値]+[糖質1g摂取による血糖値上昇×糖質量] が180mg/dl未満になるよう、各自で調整すればよいのです。
理想的には、
食後1時間血糖値が180mg/dl未満
食後2時間血糖値が140mg/dl未満
を目指します。
< 食直前の内服薬と糖質摂取について>
α-グルコシターゼ阻害薬であるグルコバイや、速攻型インスリン分泌促進薬であるグルファストを食前に飲んでも、
糖質のドカ食いはよくありません。
というか、α-グルコシターゼ阻害薬や速攻型インスリン分泌促進薬には、それほど大きな力はないのです。
高雄病院入院中の糖尿人では、退院前に下記のような実験をすることがあります。
食事30秒前にグルコバイ100mgを内服して、炊いたご飯100g(糖質34.2g)を食べてもらいます。
これは茶碗2/3杯くらいの量です。
食後2時間血糖値が180mg/dl未満ならぼちぼちですが、理想的には140mg/dl未満を目指します。
180mg/dl以上ある場合、次は食事30秒前に「グルコバイ100mg+グルファスト10mg」を内服して、再
び炊いたご飯100g(糖質34.2g)を食べて実験します。
これで、たいていは食後2時間血糖値が180mg/dlを切るようになります。
この実験で使うのは「炊いたごはん100g」と少なめです。
ドカ食いで、例えば300gのご飯を食べれば、糖質量は100g以上となります。
薬で食後高血糖を抑えきれる量ではないですね。
清く正しくより、美味しく楽しく末長く糖質制限食を続けることが大切です。
糖尿人も時々は、薬を内服して、丼や寿司、菓子類なども楽しんでいいとは思いますが、
大量には食べないようにしましょう。
江部康二
スーパー糖質制限食を実践していても、たまに糖質を食べたい時や、食べざるを得ないときがありますが、
その時の糖質摂取量許容範囲はどのくらいなのでしょう?
旅行中とか、葬式、結婚式などの時は、「私は糖質制限食中なのでご飯は食べません」とか
皆の前でなかなか言いづらいものですので、今回は、それについて、考えてみます。
< 食後血糖値の許容範囲について>
体重64kgの2型糖尿人で、個人差はありますが、1gの糖質が約3mg血糖値を上昇させます。
食品別糖質量ハンドブックで食材の糖質量をチェックしつつ、1回に何gまでなら問題ないのかを考えましょう。
日本糖尿病学会の熊本宣言(2013年)によれば、食後2時間の血糖値が180mg/dl未満で収まる糖質量なら、動脈硬化のリスクが少ないので一応、許容範囲ということになります。
例えば、6枚切りトースト1枚(糖質量26.6g)食べても、食後2時間血糖値が180mg/dl未満ならギリギリOKということです。
つまり
[空腹時血糖値]+[糖質1g摂取による血糖値上昇×糖質量] が180mg/dl未満になるよう、各自で調整すればよいのです。
理想的には、
食後1時間血糖値が180mg/dl未満
食後2時間血糖値が140mg/dl未満
を目指します。
< 食直前の内服薬と糖質摂取について>
α-グルコシターゼ阻害薬であるグルコバイや、速攻型インスリン分泌促進薬であるグルファストを食前に飲んでも、
糖質のドカ食いはよくありません。
というか、α-グルコシターゼ阻害薬や速攻型インスリン分泌促進薬には、それほど大きな力はないのです。
高雄病院入院中の糖尿人では、退院前に下記のような実験をすることがあります。
食事30秒前にグルコバイ100mgを内服して、炊いたご飯100g(糖質34.2g)を食べてもらいます。
これは茶碗2/3杯くらいの量です。
食後2時間血糖値が180mg/dl未満ならぼちぼちですが、理想的には140mg/dl未満を目指します。
180mg/dl以上ある場合、次は食事30秒前に「グルコバイ100mg+グルファスト10mg」を内服して、再
び炊いたご飯100g(糖質34.2g)を食べて実験します。
これで、たいていは食後2時間血糖値が180mg/dlを切るようになります。
この実験で使うのは「炊いたごはん100g」と少なめです。
ドカ食いで、例えば300gのご飯を食べれば、糖質量は100g以上となります。
薬で食後高血糖を抑えきれる量ではないですね。
清く正しくより、美味しく楽しく末長く糖質制限食を続けることが大切です。
糖尿人も時々は、薬を内服して、丼や寿司、菓子類なども楽しんでいいとは思いますが、
大量には食べないようにしましょう。
江部康二
2023年01月17日 (火)
こんばんは。
2023年1月16日のヤフーニュースに
『 1月16日、エーザイは、米バイオジェンと共同開発しているアルツハイマー病の新薬「レカネマブ(米国ブランド名:LEQEMBI)」について、日本国内で新薬承認申請を行ったと発表した。
[東京 2023年1月16日 ロイター] 』
https://news.yahoo.co.jp/articles/cabde28bac8bbd593d94dc0564cbdb01c0d4497b
という記事が掲載されました。
軽度認知症など早期アルツハイマー病に関わる適応を対象としています。
同新薬は2013年1月6日、米国で迅速承認を取得しています。
症状の進行を遅らせる効果が確認できたとしています。
アルツハイマー病に有効な藥が開発されたのはよいことです。
しかし、アルツハイマー病に罹らないことはもっとよいことです。
高齢化の進展とともに、認知症患者数も増加しています。
2012年時点で約462万人に上ることが厚生労働省研究班の調査で明らかになっています。
65歳以上の認知症患者数は2020年に約602万人です。
そして、その数が2025年には730万人へ増加し、
65歳以上の5人に1人が認知症を発症すると推計されています。
今日は認知症が糖質制限食で予防・改善できるというお話です
「認知症」という言葉には、ほとんどの人が不安を感じると思います。
認知症とは「いったん正常に発達した知能が、後天的な脳の障害によって低下した状態」と定義されています。
知能の低下とは、たとえば「さっき人と会ったことを覚えていない」「食事をしたことを忘れる」などの記憶障害、
「文字を読んでも意味がわからない」「簡単な計算ができない」といった判断力の低下、
「見えないものが見える」という幻覚、「財布を盗まれた」という妄想に至るまで
記憶や判断力に障害が起こることを指します。
認知症の患者とその予備軍は65歳以上では4人にひとりであり、これは大変な数といえます。
さて、この認知症ですが、ひとつの病気のことを指すのではなく、いくつかの病気の総称として用いられています。
つまり、知能を低下させる病気はひとつに限定されるわけではないということです。
その代表的なものとしては4つあり、
それぞれ「アルツハイマー型認知症」「脳血管性認知症」「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症」と呼ばれています。
さて、この認知症のなかで、圧倒的に多いのが、アルツハイマー病で、およそ70%を占めています。
70%というのはすごい数字ですが、逆に言えばアルツハイマー病に気をつけておけば、
認知症に対する不安は大きく軽減されることになるわけです。
そしてアルツハイマー病をはじめとする認知症の予防に絶大な効果を発揮するのが、糖質制限食です。
認知症は、日本のような高齢化社会において、もっとも重要な病気の一つです。
2012年時点でわが国には約 462 万人の認知症患者がいます。
また認知症予備軍とされる軽度認知障害(MCI)を呈する高齢者は約 400万人存在すると考えられています。
MCI は、アルツハイマー病を含む認知症のリスクを増加させる
老化の一般的な障害とされています。
MCI と判定された場合は、年率 10 ~15% で認知症に進行することが知られています。
認知症患者数は 、2020年で631万人にのぼり、
今後さらに増加していくと予想されますが、
これまで認知症の根治につながる治療法は確立していません。
近年認知症との関連で注目されている糖化ストレスマーカーとして
終末糖化産物(advanced glycation endproducts: AGEs)があります。
AGEs の産生増加は糖尿病にともなう炎症や酸化ストレスの亢進など多くの病態と関連し、
加齢や動脈硬化もその一つです。
そして、アルツハイマー病のような認知症では正常老化のそれに比べてAGEsの蓄積が加速されているのです。
AGEsの蓄積という糖化ストレスが、酸化ストレスも招きアルツハイマー病の元凶となっていますし、
他の型の認知症にも関与していると思われます。
また、動脈硬化や老化も同様にAGEsのせいです。
アルツハイマー病を改善させる治療法も治療薬もない現状では、
可能な限り早期に認知症および MCIを発見して何らかの介入を行うことが必要です。
そしてその唯一の解決法が『糖質制限食』です。
糖質制限食なら、蓄積するAGEsを最小限に抑えることができるので
MCIや認知症の予防・改善が可能です。
本ブログに、よくコメントを頂いている『らこさん』の場合も、
釣り銭が計算できなくなるといったアルツハイマー病発症の段階から
糖質制限食開始してわずか1週間足らずで正常に復活しておられ、
その後現在まで10年間元気に過ごしておられます。
ブログ読者の皆さんも、是非糖質制限食を実践されて、
将来のMCIやアルツハイマー病の予防を心がけて頂ければ幸いです。
江部康二
2023年1月16日のヤフーニュースに
『 1月16日、エーザイは、米バイオジェンと共同開発しているアルツハイマー病の新薬「レカネマブ(米国ブランド名:LEQEMBI)」について、日本国内で新薬承認申請を行ったと発表した。
[東京 2023年1月16日 ロイター] 』
https://news.yahoo.co.jp/articles/cabde28bac8bbd593d94dc0564cbdb01c0d4497b
という記事が掲載されました。
軽度認知症など早期アルツハイマー病に関わる適応を対象としています。
同新薬は2013年1月6日、米国で迅速承認を取得しています。
症状の進行を遅らせる効果が確認できたとしています。
アルツハイマー病に有効な藥が開発されたのはよいことです。
しかし、アルツハイマー病に罹らないことはもっとよいことです。
高齢化の進展とともに、認知症患者数も増加しています。
2012年時点で約462万人に上ることが厚生労働省研究班の調査で明らかになっています。
65歳以上の認知症患者数は2020年に約602万人です。
そして、その数が2025年には730万人へ増加し、
65歳以上の5人に1人が認知症を発症すると推計されています。
今日は認知症が糖質制限食で予防・改善できるというお話です
「認知症」という言葉には、ほとんどの人が不安を感じると思います。
認知症とは「いったん正常に発達した知能が、後天的な脳の障害によって低下した状態」と定義されています。
知能の低下とは、たとえば「さっき人と会ったことを覚えていない」「食事をしたことを忘れる」などの記憶障害、
「文字を読んでも意味がわからない」「簡単な計算ができない」といった判断力の低下、
「見えないものが見える」という幻覚、「財布を盗まれた」という妄想に至るまで
記憶や判断力に障害が起こることを指します。
認知症の患者とその予備軍は65歳以上では4人にひとりであり、これは大変な数といえます。
さて、この認知症ですが、ひとつの病気のことを指すのではなく、いくつかの病気の総称として用いられています。
つまり、知能を低下させる病気はひとつに限定されるわけではないということです。
その代表的なものとしては4つあり、
それぞれ「アルツハイマー型認知症」「脳血管性認知症」「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症」と呼ばれています。
さて、この認知症のなかで、圧倒的に多いのが、アルツハイマー病で、およそ70%を占めています。
70%というのはすごい数字ですが、逆に言えばアルツハイマー病に気をつけておけば、
認知症に対する不安は大きく軽減されることになるわけです。
そしてアルツハイマー病をはじめとする認知症の予防に絶大な効果を発揮するのが、糖質制限食です。
認知症は、日本のような高齢化社会において、もっとも重要な病気の一つです。
2012年時点でわが国には約 462 万人の認知症患者がいます。
また認知症予備軍とされる軽度認知障害(MCI)を呈する高齢者は約 400万人存在すると考えられています。
MCI は、アルツハイマー病を含む認知症のリスクを増加させる
老化の一般的な障害とされています。
MCI と判定された場合は、年率 10 ~15% で認知症に進行することが知られています。
認知症患者数は 、2020年で631万人にのぼり、
今後さらに増加していくと予想されますが、
これまで認知症の根治につながる治療法は確立していません。
近年認知症との関連で注目されている糖化ストレスマーカーとして
終末糖化産物(advanced glycation endproducts: AGEs)があります。
AGEs の産生増加は糖尿病にともなう炎症や酸化ストレスの亢進など多くの病態と関連し、
加齢や動脈硬化もその一つです。
そして、アルツハイマー病のような認知症では正常老化のそれに比べてAGEsの蓄積が加速されているのです。
AGEsの蓄積という糖化ストレスが、酸化ストレスも招きアルツハイマー病の元凶となっていますし、
他の型の認知症にも関与していると思われます。
また、動脈硬化や老化も同様にAGEsのせいです。
アルツハイマー病を改善させる治療法も治療薬もない現状では、
可能な限り早期に認知症および MCIを発見して何らかの介入を行うことが必要です。
そしてその唯一の解決法が『糖質制限食』です。
糖質制限食なら、蓄積するAGEsを最小限に抑えることができるので
MCIや認知症の予防・改善が可能です。
本ブログに、よくコメントを頂いている『らこさん』の場合も、
釣り銭が計算できなくなるといったアルツハイマー病発症の段階から
糖質制限食開始してわずか1週間足らずで正常に復活しておられ、
その後現在まで10年間元気に過ごしておられます。
ブログ読者の皆さんも、是非糖質制限食を実践されて、
将来のMCIやアルツハイマー病の予防を心がけて頂ければ幸いです。
江部康二
2023年01月16日 (月)
こんばんは。
今回は糖質制限食とテーラーメード・ダイエット③です。
糖尿病の人が糖質を一人前摂取すると、未精製の穀物でさえも、
食後血糖値は軽く200mgを超えてきます。
この急峻な食後高血糖のことを「グルコーススパイク」とよび、
糖尿病の人で動脈硬化が生じる元凶となります。
精製炭水化物を摂取した時に、
耐糖能が正常の人でも生じる食後血糖値が160mg、170mgという状態を、
私は「グルコースミニスパイク」と名付けました。
このグルコースミニスパイクが、生体の恒常性をかく乱し、
アレルギー疾患を発症・悪化させたり、将来の生活習慣病発症のもととなると思います。
過去、世界中にいろんな食事療法がありましたが、
経験的に有効とされているものは、玄米菜食、ゲルソン療法、甲田療法など、
基本的にグルコースミニスパイクが少ないという一点で一致しています。
私は現在、世界の文明国に氾濫する生活習慣病の元凶は、
精製炭水化物やジャンクフードや清涼飲料水による、
『グルコースミニスパイクとインスリンの頻回・過剰追加分泌』と考えています。
これらにより、活性酸素が発生して酸化ストレスリスクとなるのです。
繰り返しますが、グルコースミニスパイクの考えは、
「耐糖能が正常な人でも高GI食品を摂取すると食前血糖値が100mgくらいから、
食後160~170mgくらいまで上昇し、インスリンの過剰追加分泌を生じる。」
ということです。
しかし、低GI食品なら、耐糖能が正常な人は、食前100mgくらいから食後140mgくらいまでの上昇ですみ、
インスリンの追加分泌も高GI食品にくらべれば少なくてすみます。
つまり、グルコースミニスパイクは、糖尿人ではなく正常人におけるお話しです。
そして、食前と食後の血糖値の差が少ないほど、
代謝の恒常性(ホメオスターシス)が保たれて身体に優しいということです。
糖尿病を発症していない段階の人においては、
グルコースミニスパイクを防ぐことが、生活習慣病の発症予防に重要です。
糖尿病以外の慢性疾患の患者さんにおいても、
グルコースミニスパイクを防ぎ代謝を安定させて自然治癒力を高めることが大切です。
グルコースミニスパイクを防ぐには、糖質制限食、低GI食品そして運動という選択肢があります。
とくに糖質制限食なら、食後の血糖値はほとんど上昇しません。
一方、糖尿人においては、低GI食品でも普通に糖質を一人前摂取すれば、
食後血糖値は200mg/dlを超えてきます。
すなわち、正常人では意味のあったGIが、糖尿人ではほとんど無意味となります。
糖尿人においては、糖質制限食以外の食事療法は、
必ず食後高血糖を生じて動脈硬化のリスクを背負うこととなり、危険です。
従って、糖尿人には糖質制限食が唯一の安全で有効な食事療法です。
☆高雄病院食生活十箇条 2023年1月
アトピー性皮膚炎などアレルギー疾患の患者さんや糖尿病・肥満以外の患者さんに、
そして生活習慣病予防に、「食生活十箇条」を提案しました。
『高雄病院食生活十箇条』
一、主食は未精製の穀物(玄米、全粒粉のパンなど)。運動量により量を調整。
二、白パン・白砂糖など精製炭水化物の摂取は極力減らす
三、発酵食品(味噌、漬け物、納豆など)をきちんと食べる
四、液体でカロリーを摂らない(飲みものは水、番茶、麦茶、ほうじ茶など)
五、魚貝類はしっかり食べ、肉類は適量を摂る
六、糖質量が少ない野菜や海草や茸はしっかり食べる。果物はなしでよい。
七、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)など身体に良い油脂は積極的に摂る
八、牛乳は少量にとどめ、チーズやプレーンヨーグルトは適量摂る
九、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ
十、食事は楽しく、ゆっくり、よくかんで
☆☆
『糖質制限食十箇条』
-糖尿病や肥満が気になる人に- 2023年1月
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質の摂取は極力控える。
三、やむを得ず主食を摂るときは少量にとどめる。
四、液体でエネルギーを摂取しない。水や茶はOK。成分未調整豆乳は適量OK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物はなしでよい。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は、蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
糖質ゼロビールはOK。辛口の赤・白ワインも適量OK。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。
*炭水化物=糖質+食物繊維
江部康二
今回は糖質制限食とテーラーメード・ダイエット③です。
糖尿病の人が糖質を一人前摂取すると、未精製の穀物でさえも、
食後血糖値は軽く200mgを超えてきます。
この急峻な食後高血糖のことを「グルコーススパイク」とよび、
糖尿病の人で動脈硬化が生じる元凶となります。
精製炭水化物を摂取した時に、
耐糖能が正常の人でも生じる食後血糖値が160mg、170mgという状態を、
私は「グルコースミニスパイク」と名付けました。
このグルコースミニスパイクが、生体の恒常性をかく乱し、
アレルギー疾患を発症・悪化させたり、将来の生活習慣病発症のもととなると思います。
過去、世界中にいろんな食事療法がありましたが、
経験的に有効とされているものは、玄米菜食、ゲルソン療法、甲田療法など、
基本的にグルコースミニスパイクが少ないという一点で一致しています。
私は現在、世界の文明国に氾濫する生活習慣病の元凶は、
精製炭水化物やジャンクフードや清涼飲料水による、
『グルコースミニスパイクとインスリンの頻回・過剰追加分泌』と考えています。
これらにより、活性酸素が発生して酸化ストレスリスクとなるのです。
繰り返しますが、グルコースミニスパイクの考えは、
「耐糖能が正常な人でも高GI食品を摂取すると食前血糖値が100mgくらいから、
食後160~170mgくらいまで上昇し、インスリンの過剰追加分泌を生じる。」
ということです。
しかし、低GI食品なら、耐糖能が正常な人は、食前100mgくらいから食後140mgくらいまでの上昇ですみ、
インスリンの追加分泌も高GI食品にくらべれば少なくてすみます。
つまり、グルコースミニスパイクは、糖尿人ではなく正常人におけるお話しです。
そして、食前と食後の血糖値の差が少ないほど、
代謝の恒常性(ホメオスターシス)が保たれて身体に優しいということです。
糖尿病を発症していない段階の人においては、
グルコースミニスパイクを防ぐことが、生活習慣病の発症予防に重要です。
糖尿病以外の慢性疾患の患者さんにおいても、
グルコースミニスパイクを防ぎ代謝を安定させて自然治癒力を高めることが大切です。
グルコースミニスパイクを防ぐには、糖質制限食、低GI食品そして運動という選択肢があります。
とくに糖質制限食なら、食後の血糖値はほとんど上昇しません。
一方、糖尿人においては、低GI食品でも普通に糖質を一人前摂取すれば、
食後血糖値は200mg/dlを超えてきます。
すなわち、正常人では意味のあったGIが、糖尿人ではほとんど無意味となります。
糖尿人においては、糖質制限食以外の食事療法は、
必ず食後高血糖を生じて動脈硬化のリスクを背負うこととなり、危険です。
従って、糖尿人には糖質制限食が唯一の安全で有効な食事療法です。
☆高雄病院食生活十箇条 2023年1月
アトピー性皮膚炎などアレルギー疾患の患者さんや糖尿病・肥満以外の患者さんに、
そして生活習慣病予防に、「食生活十箇条」を提案しました。
『高雄病院食生活十箇条』
一、主食は未精製の穀物(玄米、全粒粉のパンなど)。運動量により量を調整。
二、白パン・白砂糖など精製炭水化物の摂取は極力減らす
三、発酵食品(味噌、漬け物、納豆など)をきちんと食べる
四、液体でカロリーを摂らない(飲みものは水、番茶、麦茶、ほうじ茶など)
五、魚貝類はしっかり食べ、肉類は適量を摂る
六、糖質量が少ない野菜や海草や茸はしっかり食べる。果物はなしでよい。
七、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)など身体に良い油脂は積極的に摂る
八、牛乳は少量にとどめ、チーズやプレーンヨーグルトは適量摂る
九、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ
十、食事は楽しく、ゆっくり、よくかんで
☆☆
『糖質制限食十箇条』
-糖尿病や肥満が気になる人に- 2023年1月
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質の摂取は極力控える。
三、やむを得ず主食を摂るときは少量にとどめる。
四、液体でエネルギーを摂取しない。水や茶はOK。成分未調整豆乳は適量OK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物はなしでよい。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は、蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
糖質ゼロビールはOK。辛口の赤・白ワインも適量OK。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。
*炭水化物=糖質+食物繊維
江部康二
2023年01月15日 (日)
こんにちは。
今日は、比較的暖かいです。
今朝も、嵯峨山上陵(さがのやまのえのみささぎ)まで、参詣してきました。
陵墓は海抜180mで、登り口からの高低差は100mくらいだそうです。
さて今回は、糖質制限食とテーラーメード・ダイエット②です。
「雨ニモマケズ」 宮沢賢治
【雨にも負けず
風にも負けず
雪にも夏の暑さにも負けぬ
丈夫なからだをもち
慾はなく
決して怒らず
いつも静かに笑っている
一日に玄米四合と
味噌と少しの野菜を食べ
あらゆることを
自分を勘定に入れずに
よく見聞きし分かり
そして忘れず
野原の松の林の陰の
小さな萱ぶきの小屋にいて
東に病気の子供あれば
行って看病してやり
西に疲れた母あれば
行ってその稲の束を負い
南に死にそうな人あれば
行ってこわがらなくてもいいといい
北に喧嘩や訴訟があれば
つまらないからやめろといい
日照りの時は涙を流し
寒さの夏はおろおろ歩き
みんなにでくのぼーと呼ばれ
褒められもせず
苦にもされず
そういうものに
わたしは
なりたい】
宮沢賢治は玄米4合ですが、今の我々からみると、超大量のご飯ですね。
1896年(明治29年)8月27日生まれで、
1933年(昭和8年)9月21日逝去です。
当時の一般の人は、玄米ではなく白米をしっかり大量に食べていたと思います。
それでも糖尿病にはならなかった。
当時と現代の決定的な差はやはり運動量の違いが大きいと思います。
明治のように、電気もガスも水道も自動車も自転車もない時代は、
日常生活や家事そのものが結構な運動であったと考えられます。
井戸の水くみ、拭き掃除、掃き掃除、庭仕事、薪つくり、隣町までお使い・・・
現代人に比べれば10倍くらいの桁違いの日常の運動量でしょう。
これならば、白米を食べて血糖値が上昇しかけても、インスリンに依存することなく即効、
筋肉細胞がブドウ糖を取り込んでくれるので、膵臓のβ細胞への負担も少なくてすみます。
日本において、自動車の保有台数と糖尿病罹患者数のグラフが、右肩上がりの平行線というデータもあります。
また徳島県は、長年にわたり日本一人口あたりの糖尿病患者数が、
一番多い期間が結構あったのは有名です。
徳島県では,平成5年から平成18年にかけて、
14年連続して「糖尿病死亡率全国ワースト1位」が続いていました。
平成19年には糖尿病死亡率は全国ワースト7位と改善傾向がみられたものの、
平成20年から平成25年にかけて,またもや連続で「全国ワースト1位」となりました。
その後,平成26年から平成28年に かけて、ワースト1位を脱却していましたが,
平成29年は再び「全国ワースト1位」となりました。
平成30年はワースト2位、令和元年は再び「全国ワースト1位」,
令和2年はワースト5位と糖尿病死亡率の高い状態が続いています。
徳島県は、公共道路交通網が未発達な県としても有名です。
県民は、ごく近くのコンビニなどにも自動車でいき、運動不足となる生活習慣となっています。
糖尿病に既に罹患している人は、
糖質を一人前摂取すれば、必ず食後2時間血糖値は200mg/dlを超えてきます。
また、肥満した人が糖質を摂取すれば、体重減少させるのは極めて困難です。
これらの方には、糖質制限食しかありません。
逆に言えば、糖尿病・肥満のない人は、自分の日常の運動量に応じて、
糖質を摂取することが可能と言えます。
そのようにして食べ分けていくこと(テーラーメード・ダイエット)が、
人類80億人を養っていくには、不可欠といえます。
例えば、野球部やサッカー部で毎日たっぷり運動している子供達は、
例え白米を丼で2~3杯食べたとしても、筋肉がどんどん血糖を取り込むので、
インスリン追加分泌など膵臓への負担もごく少なくてすむと思います。
一方、本が好きで運動をほとんどしない子供であれば、
糖質摂取量は、あるていど減らしたほうが無難です。
また正常人が糖質を摂取する場合は、
グルコースミニスパイクに関して、GIが一定の意味をもつと思いますので、
未精製の穀物などGIの低いものを運動量に応じて主食にするのがよいと思います。
江部康二
今日は、比較的暖かいです。
今朝も、嵯峨山上陵(さがのやまのえのみささぎ)まで、参詣してきました。
陵墓は海抜180mで、登り口からの高低差は100mくらいだそうです。
さて今回は、糖質制限食とテーラーメード・ダイエット②です。
「雨ニモマケズ」 宮沢賢治
【雨にも負けず
風にも負けず
雪にも夏の暑さにも負けぬ
丈夫なからだをもち
慾はなく
決して怒らず
いつも静かに笑っている
一日に玄米四合と
味噌と少しの野菜を食べ
あらゆることを
自分を勘定に入れずに
よく見聞きし分かり
そして忘れず
野原の松の林の陰の
小さな萱ぶきの小屋にいて
東に病気の子供あれば
行って看病してやり
西に疲れた母あれば
行ってその稲の束を負い
南に死にそうな人あれば
行ってこわがらなくてもいいといい
北に喧嘩や訴訟があれば
つまらないからやめろといい
日照りの時は涙を流し
寒さの夏はおろおろ歩き
みんなにでくのぼーと呼ばれ
褒められもせず
苦にもされず
そういうものに
わたしは
なりたい】
宮沢賢治は玄米4合ですが、今の我々からみると、超大量のご飯ですね。
1896年(明治29年)8月27日生まれで、
1933年(昭和8年)9月21日逝去です。
当時の一般の人は、玄米ではなく白米をしっかり大量に食べていたと思います。
それでも糖尿病にはならなかった。
当時と現代の決定的な差はやはり運動量の違いが大きいと思います。
明治のように、電気もガスも水道も自動車も自転車もない時代は、
日常生活や家事そのものが結構な運動であったと考えられます。
井戸の水くみ、拭き掃除、掃き掃除、庭仕事、薪つくり、隣町までお使い・・・
現代人に比べれば10倍くらいの桁違いの日常の運動量でしょう。
これならば、白米を食べて血糖値が上昇しかけても、インスリンに依存することなく即効、
筋肉細胞がブドウ糖を取り込んでくれるので、膵臓のβ細胞への負担も少なくてすみます。
日本において、自動車の保有台数と糖尿病罹患者数のグラフが、右肩上がりの平行線というデータもあります。
また徳島県は、長年にわたり日本一人口あたりの糖尿病患者数が、
一番多い期間が結構あったのは有名です。
徳島県では,平成5年から平成18年にかけて、
14年連続して「糖尿病死亡率全国ワースト1位」が続いていました。
平成19年には糖尿病死亡率は全国ワースト7位と改善傾向がみられたものの、
平成20年から平成25年にかけて,またもや連続で「全国ワースト1位」となりました。
その後,平成26年から平成28年に かけて、ワースト1位を脱却していましたが,
平成29年は再び「全国ワースト1位」となりました。
平成30年はワースト2位、令和元年は再び「全国ワースト1位」,
令和2年はワースト5位と糖尿病死亡率の高い状態が続いています。
徳島県は、公共道路交通網が未発達な県としても有名です。
県民は、ごく近くのコンビニなどにも自動車でいき、運動不足となる生活習慣となっています。
糖尿病に既に罹患している人は、
糖質を一人前摂取すれば、必ず食後2時間血糖値は200mg/dlを超えてきます。
また、肥満した人が糖質を摂取すれば、体重減少させるのは極めて困難です。
これらの方には、糖質制限食しかありません。
逆に言えば、糖尿病・肥満のない人は、自分の日常の運動量に応じて、
糖質を摂取することが可能と言えます。
そのようにして食べ分けていくこと(テーラーメード・ダイエット)が、
人類80億人を養っていくには、不可欠といえます。
例えば、野球部やサッカー部で毎日たっぷり運動している子供達は、
例え白米を丼で2~3杯食べたとしても、筋肉がどんどん血糖を取り込むので、
インスリン追加分泌など膵臓への負担もごく少なくてすむと思います。
一方、本が好きで運動をほとんどしない子供であれば、
糖質摂取量は、あるていど減らしたほうが無難です。
また正常人が糖質を摂取する場合は、
グルコースミニスパイクに関して、GIが一定の意味をもつと思いますので、
未精製の穀物などGIの低いものを運動量に応じて主食にするのがよいと思います。
江部康二
2023年01月13日 (金)
こんばんは
世界人口は2022年11月15日に80億人に達した見込みです。
人類の進化の歴史から考えて、
農耕が始まる前の狩猟・採集時代は、穀物が主食ということはありえません。
人類がチンパンジーと分かれて700万年の歴史です。
その後、アウストラロピテクス属、パラントロプス属、ヒト属など様々な人類が栄枯盛衰を繰り返し、
結局、約30万年前に東アフリカで誕生したホモ・サピエンス(現世人類)だけが現存しているわけです。
ここで大切なこと、そして本質的なことは、過去の人類は、
全て狩猟・採集が生業だったということです。
つまり、農耕が始まる前の約700万年間は、人類皆糖質制限食であり、
ヒトは進化に要した時間の大部分で、狩猟・採集生活をしていたということです。
従って、現世人類の行動や生理・代謝を決める遺伝子セット(DNA)は、
突然変異を繰り返しながら、
狩猟・採集の生活条件に適応するようにプログラムされていると考えるのが自然です。
必然的に人類の食生活は本来、糖質制限食であったと考えられます。
大雑把ですが、人類の歴史が約700万年とすれば、農耕が始まって1万年であり、
穀物が主食である期間はわずか1/700となります。
すなわち、人類の歴史において、99%以上の期間は、食生活は、糖質制限食でした。
繰り返しますが、700万年の人類の進化の過程では、
<狩猟・採集期間>:<農耕期間>=700対1で、
圧倒的に狩猟・採集期間のほうが長いのです。
このように人体においては、糖質制限食のほうが本来の食事であり、
穀物に総摂取カロリーの60%も依存するような食事を摂取するようになったのは、
ごく短期間に過ぎないのです。
即ち、人体は、本来穀物に依存して生きるような遺伝的システムは、持っていないということになります。
しかし、人口増加を支えるため、やむを得ず穀物摂取が主食となっていったものと考えられます。
例えば、
<ヒューマン・ニュートリション 基礎・食事・臨床 第10版 2004年
JS Garrow WPT james A Ralph 編 日本語版監修 細谷憲政(医歯薬出版)>
という英国の栄養学の大著の75ページに
【『現代の食事では、・・・・・デンプンや遊離糖に由来する「利用されやすいグルコース」を大量に摂取するようになっている。このような食事内容は血漿グルコースおよびインスリン値の定期的な上昇をもたらし、糖尿病、冠状動脈疾患、がん、老化等、多くの点で健康に有害であることが強く指摘されている。
農業の発明以来、ヒトは穀物をベースとした食物を摂取するようになったが、進化に要する時間の尺度は長く、ヒトの消化管はまだ穀物ベースの食物に適応していない。ましてや高度に加工された現代の食物に対して、到底適応しきれてないのである。』】
と記載されています。
日本で糖質制限食を推進する立場の私達にとって、
英国にも同様の視点・考え方の栄養学者がおられることは、誠に心強い限りです。
私が警鐘を鳴らしている「グルコースミニスパイク」に関しても、また然りであり、
ヒューマン・ニュートリションでも同様の指摘があります。
さて農耕が始まって一番大きな変化は、単位面積あたり約60倍の人口を養えるようになったことです。
従って、人類の本来の食生活が糖質制限食であり、
健康に最も適した食事だとしても、現時点で人類皆糖質制限食というわけにはいきません。
人類が皆糖質制限食に切り替えれば、現時点では、
70億人以上の人類が飢え死にしかねませんので・・・。
そこでテーラーメード・ダイエットの考え方が必要となってきます。
穀物を食べることができる人とそうでない人を、はっきりわけようという提案です。
まず穀物を食べるということに関して、明治・大正・戦前の昭和の日本人は、
総摂取カロリーの70~80%が米を中心とした糖質でした。
しかし、糖尿病や肥満の人は、極めて少なかったことは明らかです。
この頃のような日常生活での運動量があれば、
穀物をしっかり食べても、少なくとも糖尿病・肥満に関しては問題はなかったのです。
しかしながら
現代人が、明治・大正・戦前の昭和の日本人レベルの日常生活での運動量を確保するのは
ほぼ不可能と言えます。
従って、現代人が糖質摂取比率60%という今の普通の食生活を続ける限りは
糖尿病や肥満の蔓延は不可避と言えます。
江部康二
世界人口は2022年11月15日に80億人に達した見込みです。
人類の進化の歴史から考えて、
農耕が始まる前の狩猟・採集時代は、穀物が主食ということはありえません。
人類がチンパンジーと分かれて700万年の歴史です。
その後、アウストラロピテクス属、パラントロプス属、ヒト属など様々な人類が栄枯盛衰を繰り返し、
結局、約30万年前に東アフリカで誕生したホモ・サピエンス(現世人類)だけが現存しているわけです。
ここで大切なこと、そして本質的なことは、過去の人類は、
全て狩猟・採集が生業だったということです。
つまり、農耕が始まる前の約700万年間は、人類皆糖質制限食であり、
ヒトは進化に要した時間の大部分で、狩猟・採集生活をしていたということです。
従って、現世人類の行動や生理・代謝を決める遺伝子セット(DNA)は、
突然変異を繰り返しながら、
狩猟・採集の生活条件に適応するようにプログラムされていると考えるのが自然です。
必然的に人類の食生活は本来、糖質制限食であったと考えられます。
大雑把ですが、人類の歴史が約700万年とすれば、農耕が始まって1万年であり、
穀物が主食である期間はわずか1/700となります。
すなわち、人類の歴史において、99%以上の期間は、食生活は、糖質制限食でした。
繰り返しますが、700万年の人類の進化の過程では、
<狩猟・採集期間>:<農耕期間>=700対1で、
圧倒的に狩猟・採集期間のほうが長いのです。
このように人体においては、糖質制限食のほうが本来の食事であり、
穀物に総摂取カロリーの60%も依存するような食事を摂取するようになったのは、
ごく短期間に過ぎないのです。
即ち、人体は、本来穀物に依存して生きるような遺伝的システムは、持っていないということになります。
しかし、人口増加を支えるため、やむを得ず穀物摂取が主食となっていったものと考えられます。
例えば、
<ヒューマン・ニュートリション 基礎・食事・臨床 第10版 2004年
JS Garrow WPT james A Ralph 編 日本語版監修 細谷憲政(医歯薬出版)>
という英国の栄養学の大著の75ページに
【『現代の食事では、・・・・・デンプンや遊離糖に由来する「利用されやすいグルコース」を大量に摂取するようになっている。このような食事内容は血漿グルコースおよびインスリン値の定期的な上昇をもたらし、糖尿病、冠状動脈疾患、がん、老化等、多くの点で健康に有害であることが強く指摘されている。
農業の発明以来、ヒトは穀物をベースとした食物を摂取するようになったが、進化に要する時間の尺度は長く、ヒトの消化管はまだ穀物ベースの食物に適応していない。ましてや高度に加工された現代の食物に対して、到底適応しきれてないのである。』】
と記載されています。
日本で糖質制限食を推進する立場の私達にとって、
英国にも同様の視点・考え方の栄養学者がおられることは、誠に心強い限りです。
私が警鐘を鳴らしている「グルコースミニスパイク」に関しても、また然りであり、
ヒューマン・ニュートリションでも同様の指摘があります。
さて農耕が始まって一番大きな変化は、単位面積あたり約60倍の人口を養えるようになったことです。
従って、人類の本来の食生活が糖質制限食であり、
健康に最も適した食事だとしても、現時点で人類皆糖質制限食というわけにはいきません。
人類が皆糖質制限食に切り替えれば、現時点では、
70億人以上の人類が飢え死にしかねませんので・・・。
そこでテーラーメード・ダイエットの考え方が必要となってきます。
穀物を食べることができる人とそうでない人を、はっきりわけようという提案です。
まず穀物を食べるということに関して、明治・大正・戦前の昭和の日本人は、
総摂取カロリーの70~80%が米を中心とした糖質でした。
しかし、糖尿病や肥満の人は、極めて少なかったことは明らかです。
この頃のような日常生活での運動量があれば、
穀物をしっかり食べても、少なくとも糖尿病・肥満に関しては問題はなかったのです。
しかしながら
現代人が、明治・大正・戦前の昭和の日本人レベルの日常生活での運動量を確保するのは
ほぼ不可能と言えます。
従って、現代人が糖質摂取比率60%という今の普通の食生活を続ける限りは
糖尿病や肥満の蔓延は不可避と言えます。
江部康二
2023年01月12日 (木)
【23/01/11 はま
低糖質・高タンパク質食生活で作業記憶能が低下
あけましておめでとうございます。
私は2年ほど前に糖尿病であることが発覚し、
それ以来、江部先生のブログを励みに、
薬には頼らず糖質制限で血糖値を管理しています。
体質が変わりましてとても体調が良くなりました。
ところが、最近、「大学ジャーナルオンライン」というサイトで
以下のような論文が紹介されています。
「低糖質・高タンパク質食生活で作業記憶能が低下、群馬大学が検証」
なんと「海馬での神経の新生や成長・生存に関係するタンパク質のmRNA量を低下させることを見出した。」というのです。
ケトン体質で脳を働かせることは認知症予防にもなると考えていましたので、
真逆の研究結果が発表されたので少し不安になっています。
先生のお考えをお聞かせいただけたら幸いです。】
こんばんは。
はまさんから、
「低糖質・高タンパク質食生活で作業記憶能が低下、群馬大学が検証」
という論文が「大学ジャーナルオンライン」というサイトに掲載されたということで
コメント・質問を頂きました。
まず重要なポイントは、これはマウスでの実験ということです。
マウスの実験結果をそのままヒトにあてはめることは、できません。
<ヒトと糖質制限食>に関しては、米国糖尿病学会の見解がわかりやすいです。
米国糖尿病学会と糖質制限食、見解の変遷
『2007年まで糖尿病の食事療法において糖質制限食は推奨せず。
2008年、「食事療法に関する声明2008」において、
「減量が望まれる糖尿病患者には低カロリー食、もしくは低炭水化物食によるダイ エットが推奨される」
と1年の期限付きで糖質制限食の有効性を認める見解を記載。
2011年、肥満を伴う糖尿病患者に2年間の期限付きで糖質制限食の有効性を容認。
2013年10月、 「食事療法に関する声明2013」において期限や限定なしで、
糖質制限食を容認。
2019年4月、コンセンサスレポートにおいて、
糖質制限食が最もエビデンスが豊富であると明言。
2020年、2021年、2022年のガイドラインでもコンセンサスレポートを引用し、
同様の見解。』
2007年までは糖質制限食を全面否定していた、ADA(米国糖尿病学会)ですが、
6年間のの歳月を経て、肯定も批判も含めて多数の研究論文を検証して、
2013年、糖質制限食を正式に容認しました。
すなわち糖質制限食の有効性に関しては、
ADAにおいては、エビデンスレベルで担保されたと考えられます。
このように、2013年10月の時点で、糖質制限食の是非については、
米国においては、すでに決着はついているということです。
さらに、2019年4月のコンセンサスレポートで、
『糖質制限食が最もエビデンスが豊富』と明言し、その後も同様の見解です。
現時点で、糖質制限食の有効性と安全性は米国糖尿病学会により担保されていると言えます。
2021年まで米国糖尿病学会のCEOを務めたトレーシー・ブラウン氏は、
自身がスーパー糖質制限食を実践されており、
それによりインスリン注射から離脱されています。
また、<ケトン食とマウス> に関する実験でも、
セル・メタボリズムやサイエンスという極めて信頼度の高い科学雑誌において
以下の如く、ポジティブな成果がでています。
ケトン食でマウスの「死亡率減少、記憶力向上、健康寿命延長」というのは
信頼度の高い論文(セル・メタボリズム)の結論です。
論文には、BHB(βヒドロキシ酪酸)はシグナル作用を有し、
脳内の分子レベルの経路を調整して、炎症やフリーラジカルによる損傷を抑制することが記載してあります。
これにより、BHBに抗老化作用があることも示唆されていて、
ケトン食でマウスの「死亡率減少、記憶力向上、健康寿命延長」という
本論文の結論も説明できます。
BHB(βヒドロキシ酪酸)はケトン基を持っていないので、厳密にはケトン体ではないのですが、
一般にケトン体として扱われています。
このように考察してくると
血中ケトン体高値そのものが、一定の代謝の不利を乗り越えて
「死亡率減少、記憶力向上、健康寿命延長」をもたらしたと考えられます。
スーパー糖質制限食でもケトン体高値となりますが、
ケトン食だと非常に高値となります。
なお、以前ブログ記事にもしましたが、
「βヒドロキシ酪酸は内在性のヒストン脱アセチル化酵素の阻害剤として酸化ストレスの抑制に寄与する」
という大変興味深いScience の論文がありました。(☆)
サイエンスですから、インパクトファクター30前後と高いです。
興味がある人は、著者による日本語訳
http://first.lifesciencedb.jp/archives/6286
を見ていただけばいいですが、難しいです。
専門的過ぎて、私にもよくわからない部分が多いです。
ともあれ、マウスの実験ではありますが、
「ケトン体が酸化ストレスの抑制に寄与する」という糖質セイゲニストにとって、
大変ありがたい結論であることは確認できました。
酸化ストレスは、動脈硬化や老化やがん、パーキンソン病やアルツハイマー病や認知症にも深く関わっています。
酸化ストレスが抑制できればこれらの病気のリスクが減ることにつながります。
βヒドロキシ酪酸(ケトン体の一種)なかなかの優れものですね。
(☆)
Suppression of oxidative stress by β-hydroxybutyrate, an endogenous histone deacetylase inhibitor.
Tadahiro Shimazu, Matthew D. Hirschey, John Newman, Wenjuan He, Kotaro Shirakawa, Natacha Le Moan, Carrie A. Grueter, Hyungwook Lim, Laura R. Saunders, Robert D. Stevens, Christopher B. Newgard, Robert V. Farese Jr., Rafael de Cabo, Scott Ulrich, Katerina Akassoglou, Eric Verdin
Science, 339, 211-214 (2013)
江部康二
低糖質・高タンパク質食生活で作業記憶能が低下
あけましておめでとうございます。
私は2年ほど前に糖尿病であることが発覚し、
それ以来、江部先生のブログを励みに、
薬には頼らず糖質制限で血糖値を管理しています。
体質が変わりましてとても体調が良くなりました。
ところが、最近、「大学ジャーナルオンライン」というサイトで
以下のような論文が紹介されています。
「低糖質・高タンパク質食生活で作業記憶能が低下、群馬大学が検証」
なんと「海馬での神経の新生や成長・生存に関係するタンパク質のmRNA量を低下させることを見出した。」というのです。
ケトン体質で脳を働かせることは認知症予防にもなると考えていましたので、
真逆の研究結果が発表されたので少し不安になっています。
先生のお考えをお聞かせいただけたら幸いです。】
こんばんは。
はまさんから、
「低糖質・高タンパク質食生活で作業記憶能が低下、群馬大学が検証」
という論文が「大学ジャーナルオンライン」というサイトに掲載されたということで
コメント・質問を頂きました。
まず重要なポイントは、これはマウスでの実験ということです。
マウスの実験結果をそのままヒトにあてはめることは、できません。
<ヒトと糖質制限食>に関しては、米国糖尿病学会の見解がわかりやすいです。
米国糖尿病学会と糖質制限食、見解の変遷
『2007年まで糖尿病の食事療法において糖質制限食は推奨せず。
2008年、「食事療法に関する声明2008」において、
「減量が望まれる糖尿病患者には低カロリー食、もしくは低炭水化物食によるダイ エットが推奨される」
と1年の期限付きで糖質制限食の有効性を認める見解を記載。
2011年、肥満を伴う糖尿病患者に2年間の期限付きで糖質制限食の有効性を容認。
2013年10月、 「食事療法に関する声明2013」において期限や限定なしで、
糖質制限食を容認。
2019年4月、コンセンサスレポートにおいて、
糖質制限食が最もエビデンスが豊富であると明言。
2020年、2021年、2022年のガイドラインでもコンセンサスレポートを引用し、
同様の見解。』
2007年までは糖質制限食を全面否定していた、ADA(米国糖尿病学会)ですが、
6年間のの歳月を経て、肯定も批判も含めて多数の研究論文を検証して、
2013年、糖質制限食を正式に容認しました。
すなわち糖質制限食の有効性に関しては、
ADAにおいては、エビデンスレベルで担保されたと考えられます。
このように、2013年10月の時点で、糖質制限食の是非については、
米国においては、すでに決着はついているということです。
さらに、2019年4月のコンセンサスレポートで、
『糖質制限食が最もエビデンスが豊富』と明言し、その後も同様の見解です。
現時点で、糖質制限食の有効性と安全性は米国糖尿病学会により担保されていると言えます。
2021年まで米国糖尿病学会のCEOを務めたトレーシー・ブラウン氏は、
自身がスーパー糖質制限食を実践されており、
それによりインスリン注射から離脱されています。
また、<ケトン食とマウス> に関する実験でも、
セル・メタボリズムやサイエンスという極めて信頼度の高い科学雑誌において
以下の如く、ポジティブな成果がでています。
ケトン食でマウスの「死亡率減少、記憶力向上、健康寿命延長」というのは
信頼度の高い論文(セル・メタボリズム)の結論です。
論文には、BHB(βヒドロキシ酪酸)はシグナル作用を有し、
脳内の分子レベルの経路を調整して、炎症やフリーラジカルによる損傷を抑制することが記載してあります。
これにより、BHBに抗老化作用があることも示唆されていて、
ケトン食でマウスの「死亡率減少、記憶力向上、健康寿命延長」という
本論文の結論も説明できます。
BHB(βヒドロキシ酪酸)はケトン基を持っていないので、厳密にはケトン体ではないのですが、
一般にケトン体として扱われています。
このように考察してくると
血中ケトン体高値そのものが、一定の代謝の不利を乗り越えて
「死亡率減少、記憶力向上、健康寿命延長」をもたらしたと考えられます。
スーパー糖質制限食でもケトン体高値となりますが、
ケトン食だと非常に高値となります。
なお、以前ブログ記事にもしましたが、
「βヒドロキシ酪酸は内在性のヒストン脱アセチル化酵素の阻害剤として酸化ストレスの抑制に寄与する」
という大変興味深いScience の論文がありました。(☆)
サイエンスですから、インパクトファクター30前後と高いです。
興味がある人は、著者による日本語訳
http://first.lifesciencedb.jp/archives/6286
を見ていただけばいいですが、難しいです。
専門的過ぎて、私にもよくわからない部分が多いです。
ともあれ、マウスの実験ではありますが、
「ケトン体が酸化ストレスの抑制に寄与する」という糖質セイゲニストにとって、
大変ありがたい結論であることは確認できました。
酸化ストレスは、動脈硬化や老化やがん、パーキンソン病やアルツハイマー病や認知症にも深く関わっています。
酸化ストレスが抑制できればこれらの病気のリスクが減ることにつながります。
βヒドロキシ酪酸(ケトン体の一種)なかなかの優れものですね。
(☆)
Suppression of oxidative stress by β-hydroxybutyrate, an endogenous histone deacetylase inhibitor.
Tadahiro Shimazu, Matthew D. Hirschey, John Newman, Wenjuan He, Kotaro Shirakawa, Natacha Le Moan, Carrie A. Grueter, Hyungwook Lim, Laura R. Saunders, Robert D. Stevens, Christopher B. Newgard, Robert V. Farese Jr., Rafael de Cabo, Scott Ulrich, Katerina Akassoglou, Eric Verdin
Science, 339, 211-214 (2013)
江部康二
2023年01月10日 (火)
こんにちは。
NHK首都圏ナビのサイトに
国立がん研究センターなどの研究班が発表した
がん10年生存率の記事が載っていました。
がん10年生存率は、確実に延びています。
近年のがん治療法の進歩が大きく関与していると考えられます。
2002年までの4年間に診断された人 53.9%
2003年までの4年間に診断された人 54.2%
2004年までの4年間に診断された人 55.6%
2005年までの4年間に診断された人 56.4%
2006年までの4年間に診断された人 57.2%
2007年までの4年間に診断された人 58.3%
2008年までの4年間に診断された人 58.9%
と毎年、確実に延びています。
がんの部位による10年生存率のステージ別のデータ詳細は
NHK首都圏ナビのサイト
https://www.nhk.or.jp/shutoken/newsup/20211110c.html
にて確認して頂ければ幸いです。
一方、2010年の「人口動態統計の概況」によれば、
1981年に「がん」が死亡者数の第一位になっており、
2008年のデータでは、日本人の3人に1人ががんで亡くなっています。
国立がん研究センター(2007年)によると
日本人の2人に1人が生涯でがんになります。
男性が55.7%で、女性が41.3%です。
前立腺がん(全体99.2%)
・女性の乳がん(全体87.5%)
・甲状腺がん(全体86.8%)
・子宮体がん(全体82.3%)
は10年生存率が良好ですが、
・胆のうがん、胆管がん(全体19.8%)
・肝臓がん(全体17.6%)
・すい臓がん(全体6.6%)
などは、10年生存率が低いです。
がんの治療法が進歩して、10年生存率が向上しているのは好ましいことですが、
がんにならないに、こしたことはありません。
「食後高血糖」「食後高インスリン血症」「平均血糖変動幅増大」が活性酸素を発生させて
酸化ストレスを生じて、発がんのリスクとなります。
糖質制限食ならこれら三つの酸化ストレスリスクを予防できるので、がんの予防になると考えられます。
江部康二
以下の青字の記載は記事の要約です
詳しくは、NHKのサイトをご参照頂ければ幸いです。
がん10年生存率 58.9% がんの部位・ステージ別のデータ詳細まとめ
https://www.nhk.or.jp/shutoken/newsup/20211110c.html
• 2021年11月10日 ·
•
•
• 【首都圏ネットワーク
全国の主ながん専門病院でがんと診断された人の10年後の生存率は、
最新の集計で58.9%だったと
国立がん研究センターなどの研究班が発表しました。
がんの部位、進行度別の10年生存率のデータを図表でまとめました。
がんの部位や進行度による10年生存率は
研究班は、2008年までの4年間に全国の32の主ながん専門病院でがんと診断された12万人あまりのデータを分析しました。その結果、がん医療の効果をはかる指標となる、10年後の生存率は、全体で58.9%となりました。
がんの部位による10年生存率
・前立腺がん(全体99.2%)
・女性の乳がん(全体87.5%)
・甲状腺がん(全体86.8%)
・子宮体がん(全体82.3%)
・大腸がん(全体69.7%)
・子宮頸がん(全体68.2%)
・胃がん(全体67.3%)
・咽頭がん(全体64.2%)
・腎臓がんなど(全体63.3%)
・ぼうこうがん(全体63.0%)
・卵巣がん(全体51.0%)
・食道がん(全体34.4%)
・肺がん(全体33.6%)
・胆のうがん、胆管がん(全体19.8%)
・肝臓がん(全体17.6%)
・すい臓がん(全体6.6%)
10年生存率は向上する傾向が続く
全国の主ながん専門病院で作る「全国がんセンター協議会」の集計データに基づく10年生存率は、向上する傾向が続いています。
「全国がんセンター協議会」の生存率調査のウェブサイトによる10年生存率のデータです。
2002年までの4年間に診断された人 53.9%
2003年までの4年間に診断された人 54.2%
2004年までの4年間に診断された人 55.6%
2005年までの4年間に診断された人 56.4%
2006年までの4年間に診断された人 57.2%
2007年までの4年間に診断された人 58.3%
2008年までの4年間に診断された人 58.9%
「全国がんセンター協議会」のウェブサイトでは、
部位ごとにステージ別の生存率も見ることができます。
10年生存率は年々向上してきていますが、去年は新型コロナウイルスの感染をおそれて、
がん検診を受けた人が3割減るなどして、早期に見つかるケースが減ったことが分かっていて、
今後、影響が出ないか懸念も出ています。
専門家 “治療法の進歩で生存率向上”
データをまとめた群馬県衛生環境研究所の猿木信裕所長は「10年生存率は徐々に向上してきている。
治療法の進歩が背景にあり、がんは治る病気でともに生きることができる病気になりつつあると言えると思う。
中には、数字のみを見て、不安に思われる患者さんもいるかもしれないが、
がんの種類や年齢、進行の度合いなど、患者さんの状態によってかなり変化が出てくる。
主治医と治療について相談するときの参考として見てもらいたい」と話しています。
一方で、新型コロナウイルスの感染拡大による受診控えで、
去年、早期に見つかるケースが減ったことについては「早期の発見が減っていたとしても、
診断法、治療法が進歩してきている中で、どの程度、生存率に影響するのか、
総合的にこれから評価していくことが求められる。影響を注視していきたい」と述べました。
NHK首都圏ナビのサイトに
国立がん研究センターなどの研究班が発表した
がん10年生存率の記事が載っていました。
がん10年生存率は、確実に延びています。
近年のがん治療法の進歩が大きく関与していると考えられます。
2002年までの4年間に診断された人 53.9%
2003年までの4年間に診断された人 54.2%
2004年までの4年間に診断された人 55.6%
2005年までの4年間に診断された人 56.4%
2006年までの4年間に診断された人 57.2%
2007年までの4年間に診断された人 58.3%
2008年までの4年間に診断された人 58.9%
と毎年、確実に延びています。
がんの部位による10年生存率のステージ別のデータ詳細は
NHK首都圏ナビのサイト
https://www.nhk.or.jp/shutoken/newsup/20211110c.html
にて確認して頂ければ幸いです。
一方、2010年の「人口動態統計の概況」によれば、
1981年に「がん」が死亡者数の第一位になっており、
2008年のデータでは、日本人の3人に1人ががんで亡くなっています。
国立がん研究センター(2007年)によると
日本人の2人に1人が生涯でがんになります。
男性が55.7%で、女性が41.3%です。
前立腺がん(全体99.2%)
・女性の乳がん(全体87.5%)
・甲状腺がん(全体86.8%)
・子宮体がん(全体82.3%)
は10年生存率が良好ですが、
・胆のうがん、胆管がん(全体19.8%)
・肝臓がん(全体17.6%)
・すい臓がん(全体6.6%)
などは、10年生存率が低いです。
がんの治療法が進歩して、10年生存率が向上しているのは好ましいことですが、
がんにならないに、こしたことはありません。
「食後高血糖」「食後高インスリン血症」「平均血糖変動幅増大」が活性酸素を発生させて
酸化ストレスを生じて、発がんのリスクとなります。
糖質制限食ならこれら三つの酸化ストレスリスクを予防できるので、がんの予防になると考えられます。
江部康二
以下の青字の記載は記事の要約です
詳しくは、NHKのサイトをご参照頂ければ幸いです。
がん10年生存率 58.9% がんの部位・ステージ別のデータ詳細まとめ
https://www.nhk.or.jp/shutoken/newsup/20211110c.html
• 2021年11月10日 ·
•
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• 【首都圏ネットワーク
全国の主ながん専門病院でがんと診断された人の10年後の生存率は、
最新の集計で58.9%だったと
国立がん研究センターなどの研究班が発表しました。
がんの部位、進行度別の10年生存率のデータを図表でまとめました。
がんの部位や進行度による10年生存率は
研究班は、2008年までの4年間に全国の32の主ながん専門病院でがんと診断された12万人あまりのデータを分析しました。その結果、がん医療の効果をはかる指標となる、10年後の生存率は、全体で58.9%となりました。
がんの部位による10年生存率
・前立腺がん(全体99.2%)
・女性の乳がん(全体87.5%)
・甲状腺がん(全体86.8%)
・子宮体がん(全体82.3%)
・大腸がん(全体69.7%)
・子宮頸がん(全体68.2%)
・胃がん(全体67.3%)
・咽頭がん(全体64.2%)
・腎臓がんなど(全体63.3%)
・ぼうこうがん(全体63.0%)
・卵巣がん(全体51.0%)
・食道がん(全体34.4%)
・肺がん(全体33.6%)
・胆のうがん、胆管がん(全体19.8%)
・肝臓がん(全体17.6%)
・すい臓がん(全体6.6%)
10年生存率は向上する傾向が続く
全国の主ながん専門病院で作る「全国がんセンター協議会」の集計データに基づく10年生存率は、向上する傾向が続いています。
「全国がんセンター協議会」の生存率調査のウェブサイトによる10年生存率のデータです。
2002年までの4年間に診断された人 53.9%
2003年までの4年間に診断された人 54.2%
2004年までの4年間に診断された人 55.6%
2005年までの4年間に診断された人 56.4%
2006年までの4年間に診断された人 57.2%
2007年までの4年間に診断された人 58.3%
2008年までの4年間に診断された人 58.9%
「全国がんセンター協議会」のウェブサイトでは、
部位ごとにステージ別の生存率も見ることができます。
10年生存率は年々向上してきていますが、去年は新型コロナウイルスの感染をおそれて、
がん検診を受けた人が3割減るなどして、早期に見つかるケースが減ったことが分かっていて、
今後、影響が出ないか懸念も出ています。
専門家 “治療法の進歩で生存率向上”
データをまとめた群馬県衛生環境研究所の猿木信裕所長は「10年生存率は徐々に向上してきている。
治療法の進歩が背景にあり、がんは治る病気でともに生きることができる病気になりつつあると言えると思う。
中には、数字のみを見て、不安に思われる患者さんもいるかもしれないが、
がんの種類や年齢、進行の度合いなど、患者さんの状態によってかなり変化が出てくる。
主治医と治療について相談するときの参考として見てもらいたい」と話しています。
一方で、新型コロナウイルスの感染拡大による受診控えで、
去年、早期に見つかるケースが減ったことについては「早期の発見が減っていたとしても、
診断法、治療法が進歩してきている中で、どの程度、生存率に影響するのか、
総合的にこれから評価していくことが求められる。影響を注視していきたい」と述べました。
2023年01月09日 (月)
こんにちは。
肝臓の糖新生は、人体においてごく日常的に行われています。
糖質制限食を実践中は、食事中でも肝臓や腎臓で糖新生が行われています。
通常、腎臓は. 糖新生の約 25% を担っています。
糖質を摂取している人においても、夜間睡眠中とか、食後数時間経過したら、誰でも肝臓で糖新生を行っています。
食物吸収が終了した直後には、肝臓のグリコーゲン分解が、循環血液中に入るブドウ糖の主要な供給源です。
食後数時間が経過し、絶食状態が持続すると、ブドウ糖の供給源は、肝のグリコーゲン分解から糖新生に切り替わります。
従って、人類700万年の歴史において、糖新生は日常的に、
ごく普通に行われてきたわけで、珍しいことでも何でもありません。
①脂肪組織→グリセロール(脂肪酸の分解物)や脂肪酸→肝臓→糖新生→脂肪組織・筋肉
②筋肉→アミノ酸→肝臓→糖新生→筋肉・脂肪組織
③ブドウ糖代謝→乳酸→肝臓→糖新生→筋肉・脂肪組織
①②③はごく日常的に誰でも行っており、肝臓、筋肉、脂肪組織の間で行ったり来たり、
日々糖新生の調節が行われているわけです。
このように、筋肉も睡眠中などに、一定量の分解と再生を毎日繰り返しています。
さて、糖質制限食実践で、筋肉のアミノ酸分解が亢進してアンモニア生成過剰につながるリスクはないのでしょうか?
アミノ酸は、アミノ基があるために酸化的分解を受けにくいので、
アミノ酸を分解するには、まずアミノ基をはずすことが必要です。
①アミノ基転移:アミノ酸分解の過程で、αケト酸とグルタミン酸ができます。
②酸化的脱アミノ:グルタミン酸はミトコンドリアの中でαケトグルタル酸とアンモニアになります。
α-ケトグルタル酸はTCA回路の一員です。
③アンモニアの処理:生じたアンモニアは生体に有害であるため、肝臓の尿素回路によって無毒な尿素に変換され、腎臓から排泄されます。
脱アミノ化されて生じるα-ケト酸は、「ブドウ糖の合成」や「ケトン体や脂肪酸の合成」に利用されます。
アンモニアですが、検査会社のSRLのページによると、
「アンモニア(NH3)はタンパク質の代謝過程でアミノ酸から脱アミノされて生じ、肝で尿素合成に利用されるが、血中NH3の大部分は消化管(小腸粘膜と大腸内細菌)由来とされる。NH3の解毒は肝細胞での尿素回路に依存し、尿素は腎より尿中に排泄される。
したがって、肝臓機能の低下による尿素サイクル活性の低下、腸内におけるNH3産生の増加および門脈副血行枝による門脈血の大循環系への流入などの場合には血中NH3濃度が高値となる。」
と、記載されています。
人体の小腸や大腸で、酵素や腸内細菌の働きで、食物中のタンパク質や消化管への分泌液に含まれる尿素が分解され、
アミノ酸が脱アミノされてアンモニアが生じます。
血中アンモニアの大部分は、腸壁から血管内に吸収された消化管由来のものです。
糖質制限食だと高タンパク食になるので、腸管においてやや多めにアミノ酸からアンモニアが産生されます。
また、肝臓でのアミノ酸から糖新生の過程でも、一定のアンモニアができます。
ミトコンドリア内でアンモニア産生なので、赤血球以外の細胞では人体どこでもアンモニアができる理屈ですね。
いずれにせよ、消化管由来のものも、体内のミトコンドリア内で生じたものも、
アンモニアは肝臓の尿素回路で尿素に変換され、腎臓から尿中に排泄されます。
糖質制限食で少々アンモニアが多めに生じても、
肝臓で処理して尿素にして腎臓から排泄するので問題はありません。
尿素がたくさん産生されたときには、尿素窒素(BUN)が生理的に今の基準値より高値となることがありますが、
血清クレアチニン値や血清シスタチンC値は正常なので腎機能の悪化ではなく問題はありません。
なお、筋肉運動でもアンモニア産生は増加します。
☆☆☆
アミノ酸の分解に関しては
「アミノ酸の分解」代謝マップ
http://www.sc.fukuoka-u.ac.jp/~bc1/Biochem/amino_met.htm
のサイトの記述を参考にさせていただきました。
謝謝。m(_ _)mV
江部康二
肝臓の糖新生は、人体においてごく日常的に行われています。
糖質制限食を実践中は、食事中でも肝臓や腎臓で糖新生が行われています。
通常、腎臓は. 糖新生の約 25% を担っています。
糖質を摂取している人においても、夜間睡眠中とか、食後数時間経過したら、誰でも肝臓で糖新生を行っています。
食物吸収が終了した直後には、肝臓のグリコーゲン分解が、循環血液中に入るブドウ糖の主要な供給源です。
食後数時間が経過し、絶食状態が持続すると、ブドウ糖の供給源は、肝のグリコーゲン分解から糖新生に切り替わります。
従って、人類700万年の歴史において、糖新生は日常的に、
ごく普通に行われてきたわけで、珍しいことでも何でもありません。
①脂肪組織→グリセロール(脂肪酸の分解物)や脂肪酸→肝臓→糖新生→脂肪組織・筋肉
②筋肉→アミノ酸→肝臓→糖新生→筋肉・脂肪組織
③ブドウ糖代謝→乳酸→肝臓→糖新生→筋肉・脂肪組織
①②③はごく日常的に誰でも行っており、肝臓、筋肉、脂肪組織の間で行ったり来たり、
日々糖新生の調節が行われているわけです。
このように、筋肉も睡眠中などに、一定量の分解と再生を毎日繰り返しています。
さて、糖質制限食実践で、筋肉のアミノ酸分解が亢進してアンモニア生成過剰につながるリスクはないのでしょうか?
アミノ酸は、アミノ基があるために酸化的分解を受けにくいので、
アミノ酸を分解するには、まずアミノ基をはずすことが必要です。
①アミノ基転移:アミノ酸分解の過程で、αケト酸とグルタミン酸ができます。
②酸化的脱アミノ:グルタミン酸はミトコンドリアの中でαケトグルタル酸とアンモニアになります。
α-ケトグルタル酸はTCA回路の一員です。
③アンモニアの処理:生じたアンモニアは生体に有害であるため、肝臓の尿素回路によって無毒な尿素に変換され、腎臓から排泄されます。
脱アミノ化されて生じるα-ケト酸は、「ブドウ糖の合成」や「ケトン体や脂肪酸の合成」に利用されます。
アンモニアですが、検査会社のSRLのページによると、
「アンモニア(NH3)はタンパク質の代謝過程でアミノ酸から脱アミノされて生じ、肝で尿素合成に利用されるが、血中NH3の大部分は消化管(小腸粘膜と大腸内細菌)由来とされる。NH3の解毒は肝細胞での尿素回路に依存し、尿素は腎より尿中に排泄される。
したがって、肝臓機能の低下による尿素サイクル活性の低下、腸内におけるNH3産生の増加および門脈副血行枝による門脈血の大循環系への流入などの場合には血中NH3濃度が高値となる。」
と、記載されています。
人体の小腸や大腸で、酵素や腸内細菌の働きで、食物中のタンパク質や消化管への分泌液に含まれる尿素が分解され、
アミノ酸が脱アミノされてアンモニアが生じます。
血中アンモニアの大部分は、腸壁から血管内に吸収された消化管由来のものです。
糖質制限食だと高タンパク食になるので、腸管においてやや多めにアミノ酸からアンモニアが産生されます。
また、肝臓でのアミノ酸から糖新生の過程でも、一定のアンモニアができます。
ミトコンドリア内でアンモニア産生なので、赤血球以外の細胞では人体どこでもアンモニアができる理屈ですね。
いずれにせよ、消化管由来のものも、体内のミトコンドリア内で生じたものも、
アンモニアは肝臓の尿素回路で尿素に変換され、腎臓から尿中に排泄されます。
糖質制限食で少々アンモニアが多めに生じても、
肝臓で処理して尿素にして腎臓から排泄するので問題はありません。
尿素がたくさん産生されたときには、尿素窒素(BUN)が生理的に今の基準値より高値となることがありますが、
血清クレアチニン値や血清シスタチンC値は正常なので腎機能の悪化ではなく問題はありません。
なお、筋肉運動でもアンモニア産生は増加します。
☆☆☆
アミノ酸の分解に関しては
「アミノ酸の分解」代謝マップ
http://www.sc.fukuoka-u.ac.jp/~bc1/Biochem/amino_met.htm
のサイトの記述を参考にさせていただきました。
謝謝。m(_ _)mV
江部康二
2023年01月07日 (土)
NHK
特設サイト
新型コロナウイルス
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/eighthwave/detail/detail_37.html
新型コロナ 全国の死者数456人
一日の発表としては過去最多
2023年1月6日
厚生労働省によりますと、1月6日に発表した新型コロナウイルスによる全国の死者数は456人で、2022年12月29日の420人を上回って、一日の発表としては、これまでで最も多くなりました。
また、1月6日に発表した国内の新たな感染者は、空港の検疫などを含め24万5542人で、静岡、大分、茨城、和歌山、鳥取、岡山、山梨の7つの県で過去最多となりました。
国内で亡くなった人は、栃木県で33人、北海道で30人、大阪府で29人、東京都で29人、福岡県で29人、埼玉県で25人、兵庫県で18人、群馬県で18人、愛知県で16人、三重県で14人、熊本県で14人、千葉県で13人、岡山県で11人、愛媛県で9人、新潟県で9人、大分県で8人、山口県で8人、福島県で8人、静岡県で8人、香川県で8人、鹿児島県で8人、和歌山県で7人、宮城県で7人、長崎県で7人、長野県で7人、高知県で7人、島根県で6人、神奈川県で6人、佐賀県で5人、奈良県で5人、岩手県で5人、広島県で5人、徳島県で5人、滋賀県で5人、秋田県で5人、京都府で4人、宮崎県で4人、石川県で4人、茨城県で4人、青森県で4人、岐阜県で3人、富山県で2人、福井県で2人、山形県で1人、鳥取県で1人の合わせて456人、累計で5万8952人となっています。
こんばんは。
NHK 新型コロナウイルス 特設サイト
に、2023年1月6日(金)、上記の記事が掲載されました。
実はデルタ株に比較して、
オミクロン株の致死率は明らかに減少しているのです。
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.pref.oita.jp/uploaded/attachment/2133849.pdf
大分県の統計では
デルタ株 オミクロン株
重症化率 5.5% 0.8%
致死率 0.4% 0.04%
オミクロン株の致死率はデルタ株の10分の1です。
しかしながら、
感染者数が桁違いに多くなっているので、
死亡者の絶対数も増加しているのが現状です。
新規感染者数(新規陽性者)は全国で24万5542人で、
昨夏の第7波のピーク(26万1004人)に迫りつつあり、
国内の累計感染者数は3000万人を超えました。
何らかの症状があって、PCR検査で陽性の人が、
累積で3000万人を超えたということです。
ことの始まりのクルーズ船の新型コロナ感染クラスター発生ケースの調査で、無症状の感染者のいる確率は、17.9%という数字が導き出されいます。
2020年12月18日にBMJ(ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル)に発表された論文でも、「新型コロナウイルス感染で無症状・無症候の方の割合」は
様々な研究の検証から17〜20%であることがわかりました。
つまり実際に感染している方の5人に1人が
無症状・無症候だったということです。
そうすると
「感染して状があってPCR陽性の人(3000万人)」
「感染しても症状がない人」⇒検査なし
を合計すると、アバウトですが、4000万人近い人が
日本国内で、既感染者の可能性があります。
つまり、日本国民の3人に1人が既感染者というわけです。
例年(新型コロナ発生前)、日本国内のインフルエンザ感染者数は、
推定約1000万人と言われています。
インフルエンザも新型コロナ感染症と同様に無症状感染の人もいます。
はっきり陽性と確認できた人数を、新型コロナとインフルエンザで比較すると
3000万人対1000万人で、新型コロナが3倍です。
これは、どうみても新型コロナが多すぎます。
皮膚科学会によれば、
新型コロナワクチン開始前と開始後の、
帯状疱疹患者数を比較すると、2倍に増えています。
これは、状況証拠ではありますが、
新型コロナワクチン接種が、人体の自然免疫を低下させた可能性が高いです。
世界の状況をみても、
新型コロナワクチンを十分な回数接種している国々のほうが
ワクチン接種をほとんどしてないアフリカなどの国々に比較して
新規感染者数が、桁違いに多いという事実があります。
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-6085.html
世界のワクチン接種状況と新規感染者数は。
2022年09月20日 (火)
このことは、新型コロナワクチン接種が、
かえって感染者数を増やしたとしか言いようがありません。
私は新型コロナワクチンは、1回も接種していませんし
これからも接種するつもりは、全くありません。
江部康二
特設サイト
新型コロナウイルス
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/eighthwave/detail/detail_37.html
新型コロナ 全国の死者数456人
一日の発表としては過去最多
2023年1月6日
厚生労働省によりますと、1月6日に発表した新型コロナウイルスによる全国の死者数は456人で、2022年12月29日の420人を上回って、一日の発表としては、これまでで最も多くなりました。
また、1月6日に発表した国内の新たな感染者は、空港の検疫などを含め24万5542人で、静岡、大分、茨城、和歌山、鳥取、岡山、山梨の7つの県で過去最多となりました。
国内で亡くなった人は、栃木県で33人、北海道で30人、大阪府で29人、東京都で29人、福岡県で29人、埼玉県で25人、兵庫県で18人、群馬県で18人、愛知県で16人、三重県で14人、熊本県で14人、千葉県で13人、岡山県で11人、愛媛県で9人、新潟県で9人、大分県で8人、山口県で8人、福島県で8人、静岡県で8人、香川県で8人、鹿児島県で8人、和歌山県で7人、宮城県で7人、長崎県で7人、長野県で7人、高知県で7人、島根県で6人、神奈川県で6人、佐賀県で5人、奈良県で5人、岩手県で5人、広島県で5人、徳島県で5人、滋賀県で5人、秋田県で5人、京都府で4人、宮崎県で4人、石川県で4人、茨城県で4人、青森県で4人、岐阜県で3人、富山県で2人、福井県で2人、山形県で1人、鳥取県で1人の合わせて456人、累計で5万8952人となっています。
こんばんは。
NHK 新型コロナウイルス 特設サイト
に、2023年1月6日(金)、上記の記事が掲載されました。
実はデルタ株に比較して、
オミクロン株の致死率は明らかに減少しているのです。
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.pref.oita.jp/uploaded/attachment/2133849.pdf
大分県の統計では
デルタ株 オミクロン株
重症化率 5.5% 0.8%
致死率 0.4% 0.04%
オミクロン株の致死率はデルタ株の10分の1です。
しかしながら、
感染者数が桁違いに多くなっているので、
死亡者の絶対数も増加しているのが現状です。
新規感染者数(新規陽性者)は全国で24万5542人で、
昨夏の第7波のピーク(26万1004人)に迫りつつあり、
国内の累計感染者数は3000万人を超えました。
何らかの症状があって、PCR検査で陽性の人が、
累積で3000万人を超えたということです。
ことの始まりのクルーズ船の新型コロナ感染クラスター発生ケースの調査で、無症状の感染者のいる確率は、17.9%という数字が導き出されいます。
2020年12月18日にBMJ(ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル)に発表された論文でも、「新型コロナウイルス感染で無症状・無症候の方の割合」は
様々な研究の検証から17〜20%であることがわかりました。
つまり実際に感染している方の5人に1人が
無症状・無症候だったということです。
そうすると
「感染して状があってPCR陽性の人(3000万人)」
「感染しても症状がない人」⇒検査なし
を合計すると、アバウトですが、4000万人近い人が
日本国内で、既感染者の可能性があります。
つまり、日本国民の3人に1人が既感染者というわけです。
例年(新型コロナ発生前)、日本国内のインフルエンザ感染者数は、
推定約1000万人と言われています。
インフルエンザも新型コロナ感染症と同様に無症状感染の人もいます。
はっきり陽性と確認できた人数を、新型コロナとインフルエンザで比較すると
3000万人対1000万人で、新型コロナが3倍です。
これは、どうみても新型コロナが多すぎます。
皮膚科学会によれば、
新型コロナワクチン開始前と開始後の、
帯状疱疹患者数を比較すると、2倍に増えています。
これは、状況証拠ではありますが、
新型コロナワクチン接種が、人体の自然免疫を低下させた可能性が高いです。
世界の状況をみても、
新型コロナワクチンを十分な回数接種している国々のほうが
ワクチン接種をほとんどしてないアフリカなどの国々に比較して
新規感染者数が、桁違いに多いという事実があります。
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-6085.html
世界のワクチン接種状況と新規感染者数は。
2022年09月20日 (火)
このことは、新型コロナワクチン接種が、
かえって感染者数を増やしたとしか言いようがありません。
私は新型コロナワクチンは、1回も接種していませんし
これからも接種するつもりは、全くありません。
江部康二
2023年01月06日 (金)
[全農広報部【公式】日本の食を味わう
https://twitter.com/zennoh_food/status/1529066488669163520
夕飯にもう一品ほしい…卵はある…でもフライパンを汚したくない…そんな時はゆで卵をたこ焼き風にアレンジするとラクでおいしくて見た目もにぎやかです。
卵をゆでたら、たこ焼きソース、マヨ、青のり、おかかをかけるだけ。
2個はペロリと食べられます。
ゆで卵界にニューウェーブ、きました。
午後8:47 ・ 2022年5月24日]
こんばんは。
北九州三島塾の塾長、三島学さんから
おもしろい情報を頂きました。
三島さん、ありがとうございます。
全農広報部【公式】日本の食を味わう
に、ゆで卵のたこ焼き風アレンジが掲載されました。
https://twitter.com/zennoh_food/status/1529066488669163520
なかなかユニークな発想でいい感じです。
ゆで卵、マヨ、青のり、おかかは
完全な糖質制限OK食材です。
一般的なたこ焼きソースは
100g当たり
たんぱく質1.7g 脂質0g 炭水化物29.7g
です。
一個のたこ焼きに塗るソースは、好みによりますが、5gか10gでしょう。
ゆで卵二個というのはそれなりのボリュームですから、
二個で計算します。
一個あたり、1.5g~3gです。
二個で、3~6gです。
これなら、糖質制限OKの食材ですね。
糖質オフお好みソースがありますので
それを使えば、もっと糖質が減りますね。
ゆで卵のたこ焼き風アレンジ、これなら簡単なので
私でも作れそうです。
全農広報部さん、ありがとうございます、
江部康二
https://twitter.com/zennoh_food/status/1529066488669163520
夕飯にもう一品ほしい…卵はある…でもフライパンを汚したくない…そんな時はゆで卵をたこ焼き風にアレンジするとラクでおいしくて見た目もにぎやかです。
卵をゆでたら、たこ焼きソース、マヨ、青のり、おかかをかけるだけ。
2個はペロリと食べられます。
ゆで卵界にニューウェーブ、きました。
午後8:47 ・ 2022年5月24日]
こんばんは。
北九州三島塾の塾長、三島学さんから
おもしろい情報を頂きました。
三島さん、ありがとうございます。
全農広報部【公式】日本の食を味わう
に、ゆで卵のたこ焼き風アレンジが掲載されました。
https://twitter.com/zennoh_food/status/1529066488669163520
なかなかユニークな発想でいい感じです。
ゆで卵、マヨ、青のり、おかかは
完全な糖質制限OK食材です。
一般的なたこ焼きソースは
100g当たり
たんぱく質1.7g 脂質0g 炭水化物29.7g
です。
一個のたこ焼きに塗るソースは、好みによりますが、5gか10gでしょう。
ゆで卵二個というのはそれなりのボリュームですから、
二個で計算します。
一個あたり、1.5g~3gです。
二個で、3~6gです。
これなら、糖質制限OKの食材ですね。
糖質オフお好みソースがありますので
それを使えば、もっと糖質が減りますね。
ゆで卵のたこ焼き風アレンジ、これなら簡単なので
私でも作れそうです。
全農広報部さん、ありがとうございます、
江部康二
2023年01月05日 (木)
【23/01/04 ぷくぷくぷう
オートファジーとがん
糖質制限8年の50代女性です。
糖尿病予備軍の1人でもあるので、
8年前先生のブログを見つけた時は
目からウロコの糖質制限には生きる希望が湧いて安堵しました。
老後も元気に過ごせるよう、
これからも糖質制限生活を楽しく続けていこうと思っています。
以前オートファジーに興味を持ち、
青木厚先生の『「空腹」こそ最強のクスリ』という本を読んで
朝食抜き生活をしていたのですが、
その本の中に、空腹はがん予防においても非常に効果的であるが、
すでにがんが体内に発生している場合は、
逆効果になるおそれがある。
オートファジーが働くと自分で栄養を作り出すため
がん細胞が生き残りやすくなってしまうというような記述があり、
もし自分の体内に診断できないような小さながん細胞があったら、
その成長を、はやめてしまうことになるのではと
不安になりやめてしまいました。
心配ならやめておけと言われそうですが、オートファジー魅力的です。
オートファジーとがん細胞について先生はどうお考えになりますか?】
【東京理科大学 TOKYO UNIVERSITY OF SCIENCE
https://www.tus.ac.jp/today/archive/20220831_3608.html
2022.08.31 Wed UP
オートファジーががん細胞を排除することを発見、新たながん治療法開発に期待
~細胞競合によるがん細胞除去におけるオートファジーの役割を解明~
研究の要旨
・近年、腫瘍発生を防ぐ仕組みとして、
上皮層に発生したがん変異細胞を正常上皮細胞が排除する細胞競合という生命現象が注目されています。
しかし、細胞競合を制御する分子論的メカニズムの全容は解明されていません。
・今回、正常細胞に囲まれたがん変異細胞内ではリソソームの機能が低下し、
オートファゴソームが蓄積することが
細胞競合によるがん変異細胞の排除に必要であることを明らかにしました。
・がんが進行した中・後期では、オートファジーはがん細胞の生存・増殖を助長しますが、
超初期では細胞競合を介して抗腫瘍的に機能することが本研究より明らかになったことから、
今後、がんの進⾏時期を考慮した制がん戦略が必要になると考えられます。】
こんばんは。
オートファジーとがんについて
ぷくぷくぷう さんから、コメント・質問を頂きました。
【青木厚先生の『「空腹」こそ最強のクスリ』という本に
『空腹はがん予防においても非常に効果的であるが、
すでにがんが体内に発生している場合は、逆効果になるおそれがある。
オートファジーが働くと自分で栄養を作り出すため
がん細胞が生き残りやすくなってしまうというような記述があり・・・』】
なるほど、それは心配になりますね。
上記、緑文字の東京理科大のサイトに
興味ある記載がありました。
論文そのものは、長いので、必要な部分だけ抜粋しています。
【がんが進行した中・後期では、オートファジーはがん細胞の生存・増殖を助長しますが、
超初期では細胞競合を介して抗腫瘍的に機能することが本研究より明らかになった】
とあります。
すなわち、青木厚先生の主張と同じ内容です。
まとめると、
オートファジーは
『がんの予防によいし、超初期のがんには抗腫瘍的に働くが、
中・後期のがんには、腫瘍促進的に働く』ということになります。
実は、1個のがん細胞が、PETやCTで発見できる、5mm~10mmの大きさになるのに
10年~20年かかるという事実があります。
超初期のがん、というのも、すでに発見されているとしたら、
5mm径くらいの大きさが最小です。
つまり、超初期のがんといっても、実は10年以上は経過しているわけです。
それなら、現時点でがんが発見されていない人は、
超初期のがんよりも、さらに前の段階となりますので、
オートファジーが抗腫瘍的に働くと考えられます。
安心して<スーパー糖質制限食 +17時間断食 + オートファジー>
を実践して、がん予防および健康ライフを楽しみましょう。
江部康二
オートファジーとがん
糖質制限8年の50代女性です。
糖尿病予備軍の1人でもあるので、
8年前先生のブログを見つけた時は
目からウロコの糖質制限には生きる希望が湧いて安堵しました。
老後も元気に過ごせるよう、
これからも糖質制限生活を楽しく続けていこうと思っています。
以前オートファジーに興味を持ち、
青木厚先生の『「空腹」こそ最強のクスリ』という本を読んで
朝食抜き生活をしていたのですが、
その本の中に、空腹はがん予防においても非常に効果的であるが、
すでにがんが体内に発生している場合は、
逆効果になるおそれがある。
オートファジーが働くと自分で栄養を作り出すため
がん細胞が生き残りやすくなってしまうというような記述があり、
もし自分の体内に診断できないような小さながん細胞があったら、
その成長を、はやめてしまうことになるのではと
不安になりやめてしまいました。
心配ならやめておけと言われそうですが、オートファジー魅力的です。
オートファジーとがん細胞について先生はどうお考えになりますか?】
【東京理科大学 TOKYO UNIVERSITY OF SCIENCE
https://www.tus.ac.jp/today/archive/20220831_3608.html
2022.08.31 Wed UP
オートファジーががん細胞を排除することを発見、新たながん治療法開発に期待
~細胞競合によるがん細胞除去におけるオートファジーの役割を解明~
研究の要旨
・近年、腫瘍発生を防ぐ仕組みとして、
上皮層に発生したがん変異細胞を正常上皮細胞が排除する細胞競合という生命現象が注目されています。
しかし、細胞競合を制御する分子論的メカニズムの全容は解明されていません。
・今回、正常細胞に囲まれたがん変異細胞内ではリソソームの機能が低下し、
オートファゴソームが蓄積することが
細胞競合によるがん変異細胞の排除に必要であることを明らかにしました。
・がんが進行した中・後期では、オートファジーはがん細胞の生存・増殖を助長しますが、
超初期では細胞競合を介して抗腫瘍的に機能することが本研究より明らかになったことから、
今後、がんの進⾏時期を考慮した制がん戦略が必要になると考えられます。】
こんばんは。
オートファジーとがんについて
ぷくぷくぷう さんから、コメント・質問を頂きました。
【青木厚先生の『「空腹」こそ最強のクスリ』という本に
『空腹はがん予防においても非常に効果的であるが、
すでにがんが体内に発生している場合は、逆効果になるおそれがある。
オートファジーが働くと自分で栄養を作り出すため
がん細胞が生き残りやすくなってしまうというような記述があり・・・』】
なるほど、それは心配になりますね。
上記、緑文字の東京理科大のサイトに
興味ある記載がありました。
論文そのものは、長いので、必要な部分だけ抜粋しています。
【がんが進行した中・後期では、オートファジーはがん細胞の生存・増殖を助長しますが、
超初期では細胞競合を介して抗腫瘍的に機能することが本研究より明らかになった】
とあります。
すなわち、青木厚先生の主張と同じ内容です。
まとめると、
オートファジーは
『がんの予防によいし、超初期のがんには抗腫瘍的に働くが、
中・後期のがんには、腫瘍促進的に働く』ということになります。
実は、1個のがん細胞が、PETやCTで発見できる、5mm~10mmの大きさになるのに
10年~20年かかるという事実があります。
超初期のがん、というのも、すでに発見されているとしたら、
5mm径くらいの大きさが最小です。
つまり、超初期のがんといっても、実は10年以上は経過しているわけです。
それなら、現時点でがんが発見されていない人は、
超初期のがんよりも、さらに前の段階となりますので、
オートファジーが抗腫瘍的に働くと考えられます。
安心して<スーパー糖質制限食 +17時間断食 + オートファジー>
を実践して、がん予防および健康ライフを楽しみましょう。
江部康二
2023年01月04日 (水)
こんばんは。
今回のユーチューブ動画は、人体のエネルギー源のお話しです。
ドクター江部の糖質オフ!健康トーク
▼ vol.15
『人体のエネルギーシステム
~人体の主要なエネルギー源は? 脂肪 VS 糖質』
https://youtu.be/bsNWbcUSn8A
と題して、お話しします。
読者の皆さんも、何となく『糖質-ブドウ糖』が主な人体のエネルギー源なのかなと思っておられる人も多いと思います。
また、カロリー制限食容認派の管理栄養士の中には、
相変らず「脳のエネルギー源はブドウ糖だけである」という
間違った知識に固執している方々も多いようです。
一方、本ブログ読者の皆さんは、
「脳の最も好むエネルギー源はケトン体である」
という正しい知識をお持ちの方が多いと思います。
このことは、医学の教科書であるハーパー生化学に、
「脳も心臓も最も好むエネルギー源はケトン体である。」
と明記してあります。
人体を従来の自動車に例えるならば
ガソリンの代わりは脂肪であり、糖質ではありません。
700万年間の人類の歴史において、
空腹時、安静時、睡眠時の主たるエネルギー源は脂肪でした。
ブドウ糖は、「闘争」や「逃走」といった緊急事態と
たまに果物など糖質にありついたときの、いわばいざというときの
エネルギー源だったのです。
今回は、このあたりのことを、できるだけわかりやすく
お話ししたいと思います。
江部康二
以下、事務局からのお知らせです。
*********
ブログ読者の皆様、弊会のYouTube動画を多数ご覧いただいておりまして、
ありがとうございます。
江部理事長による動画「ドクター江部の糖質オフ!健康トーク vol.15」の配信をご案内申し上げます。
今回のテーマは「人体のエネルギーシステム ~人体の主要なエネルギー源は? 脂肪 VS 糖質」です。
「ブドウ糖ーグリコーゲンエネルギーシステム」と「ケトン体ー脂肪酸エネルギーシステム」、それぞれ本来の役割について検討し、人体の主要なエネルギー源は何か、エネルギー源として摂取する必要があるのは糖質なのか、脂肪なのかについて話しております。
ドクター江部の糖質オフ!健康トーク
▼ vol.15
『人体のエネルギーシステム
~人体の主要なエネルギー源は? 脂肪 VS 糖質』
https://youtu.be/bsNWbcUSn8A
ご覧いただけますと、また、ご興味のある方へシェアしていただけますと幸いです。
▼協会YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCdh9uz2_XnhDyJj9pHDDW1A
一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会
https://www.toushitsuseigen.or.jp/
*********
今回のユーチューブ動画は、人体のエネルギー源のお話しです。
ドクター江部の糖質オフ!健康トーク
▼ vol.15
『人体のエネルギーシステム
~人体の主要なエネルギー源は? 脂肪 VS 糖質』
https://youtu.be/bsNWbcUSn8A
と題して、お話しします。
読者の皆さんも、何となく『糖質-ブドウ糖』が主な人体のエネルギー源なのかなと思っておられる人も多いと思います。
また、カロリー制限食容認派の管理栄養士の中には、
相変らず「脳のエネルギー源はブドウ糖だけである」という
間違った知識に固執している方々も多いようです。
一方、本ブログ読者の皆さんは、
「脳の最も好むエネルギー源はケトン体である」
という正しい知識をお持ちの方が多いと思います。
このことは、医学の教科書であるハーパー生化学に、
「脳も心臓も最も好むエネルギー源はケトン体である。」
と明記してあります。
人体を従来の自動車に例えるならば
ガソリンの代わりは脂肪であり、糖質ではありません。
700万年間の人類の歴史において、
空腹時、安静時、睡眠時の主たるエネルギー源は脂肪でした。
ブドウ糖は、「闘争」や「逃走」といった緊急事態と
たまに果物など糖質にありついたときの、いわばいざというときの
エネルギー源だったのです。
今回は、このあたりのことを、できるだけわかりやすく
お話ししたいと思います。
江部康二
以下、事務局からのお知らせです。
*********
ブログ読者の皆様、弊会のYouTube動画を多数ご覧いただいておりまして、
ありがとうございます。
江部理事長による動画「ドクター江部の糖質オフ!健康トーク vol.15」の配信をご案内申し上げます。
今回のテーマは「人体のエネルギーシステム ~人体の主要なエネルギー源は? 脂肪 VS 糖質」です。
「ブドウ糖ーグリコーゲンエネルギーシステム」と「ケトン体ー脂肪酸エネルギーシステム」、それぞれ本来の役割について検討し、人体の主要なエネルギー源は何か、エネルギー源として摂取する必要があるのは糖質なのか、脂肪なのかについて話しております。
ドクター江部の糖質オフ!健康トーク
▼ vol.15
『人体のエネルギーシステム
~人体の主要なエネルギー源は? 脂肪 VS 糖質』
https://youtu.be/bsNWbcUSn8A
ご覧いただけますと、また、ご興味のある方へシェアしていただけますと幸いです。
▼協会YouTubeチャンネル
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一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会
https://www.toushitsuseigen.or.jp/
*********
2023年01月03日 (火)
こんばんは。
今日は、お正月に相応しく「オートファジーと糖質制限食」
というポジティブでおめでたいお話です。
オートファジーは、細胞内を正常な状態に保つために、
細胞内で不要となった物質を分解する、
いわばリサイクル業者のようなはたらきをしています。
分解された老廃物はリサイクルされ、
生きるためのエネルギー源となります。
2016年、大隅良典教授がノーベル生理学・医学賞を受賞したことで
オートファジーが注目されました。
オートファジーは酵母から哺乳動物まで認められる細胞内分解機構であり、
細胞内浄化、栄養素のリサイクルと恒常性の維持を担っています。
現在までに、老化がオートファジーの活性低下を引き起こすこと、
一方で、オートファジーが抑制されると
老化との関連性の高い退行性変化や疾患が引き起こされることが
明らかにされています。
さらに、薬理学的特性あるいは遺伝学的特性に基づいた延命治療は
オートファジーを活性化すること、
一方で、オートファジーが抑制されると
延命効果が妨げられることが様々なモデル動物において分かっています。
加齢でオートファジーの活性が低下します。
歯周病は加齢とともに発症 ・ 進行する慢性炎症疾患です。
老化に伴うオートファジーの活性低下が
歯周病発症に一定の影響を及ぼすと考えられます。
そうすると食生活などによって
オートファジーの活性低下を予防するのも
歯周病の予防・改善に有益と考えられます。
近年の研究により、
カロリー制限、間欠的断食、超低糖質食(スーパー糖質制限食など)が
オートファジーを活性化させ寿命を延ばすのに極めて有効とされています。。
一般的に40歳前後の人の成長ホルモンの分泌量は
20歳前後の人の5割程度で、老化の原因の一つとなります。
一定以上の空腹時間をつくると成長ホルモンの分泌が促されます。
オートファジーは細胞内浄化や栄養素のリサイクルだけでなく、
老化防止効果や延命効果をもたらします。
しかしながら、オートファジーの活性は老化に伴い減弱していきます。
ブログ読者の皆さんも、できれば、
朝食抜きで一日二食のスーパー糖質制限食を実践されて、
オートファジーや成長ホルモン分泌を活性化させて、
健康長寿を目指して頂ければ幸いです。
江部康二
今日は、お正月に相応しく「オートファジーと糖質制限食」
というポジティブでおめでたいお話です。
オートファジーは、細胞内を正常な状態に保つために、
細胞内で不要となった物質を分解する、
いわばリサイクル業者のようなはたらきをしています。
分解された老廃物はリサイクルされ、
生きるためのエネルギー源となります。
2016年、大隅良典教授がノーベル生理学・医学賞を受賞したことで
オートファジーが注目されました。
オートファジーは酵母から哺乳動物まで認められる細胞内分解機構であり、
細胞内浄化、栄養素のリサイクルと恒常性の維持を担っています。
現在までに、老化がオートファジーの活性低下を引き起こすこと、
一方で、オートファジーが抑制されると
老化との関連性の高い退行性変化や疾患が引き起こされることが
明らかにされています。
さらに、薬理学的特性あるいは遺伝学的特性に基づいた延命治療は
オートファジーを活性化すること、
一方で、オートファジーが抑制されると
延命効果が妨げられることが様々なモデル動物において分かっています。
加齢でオートファジーの活性が低下します。
歯周病は加齢とともに発症 ・ 進行する慢性炎症疾患です。
老化に伴うオートファジーの活性低下が
歯周病発症に一定の影響を及ぼすと考えられます。
そうすると食生活などによって
オートファジーの活性低下を予防するのも
歯周病の予防・改善に有益と考えられます。
近年の研究により、
カロリー制限、間欠的断食、超低糖質食(スーパー糖質制限食など)が
オートファジーを活性化させ寿命を延ばすのに極めて有効とされています。。
一般的に40歳前後の人の成長ホルモンの分泌量は
20歳前後の人の5割程度で、老化の原因の一つとなります。
一定以上の空腹時間をつくると成長ホルモンの分泌が促されます。
オートファジーは細胞内浄化や栄養素のリサイクルだけでなく、
老化防止効果や延命効果をもたらします。
しかしながら、オートファジーの活性は老化に伴い減弱していきます。
ブログ読者の皆さんも、できれば、
朝食抜きで一日二食のスーパー糖質制限食を実践されて、
オートファジーや成長ホルモン分泌を活性化させて、
健康長寿を目指して頂ければ幸いです。
江部康二
2023年01月02日 (月)
こんばんは。
2023/1/1(元旦)は、
午前7時40分頃、自宅を出発して、
嵯峨山上陵(さがのやまのえのみささぎ)
後鳥羽天皇陵、
兒神社を参拝してきました。
元旦なので参詣ではなく参拝で、なにげに拝んできました。
嵯峨山上陵(さがのやまのえのみささぎ)は嵯峨山の頂上にあります。
530段ある石段の途中に、木々の切れ目が2カ所あり、
10~20秒くらい、眼下の眺望を楽しみました。
広沢の池、大沢の池、大覚寺が一望でき、
京都市あたりの町並みも手前はきれいに見え、遠方はややモヤってました。
はるか彼方には朝靄(あさもや)に煙る山並みを見晴らすことができました。
木々の切れ目のある2カ所で、抜群の眺望を楽しみました。
嵯峨山の頂上にある嵯峨山上陵(さがのやまのえのみささぎ)、
平安貴族の方々は、いったいどうやって、参拝していたのでしょうね?
江部康二
2023/1/1(元旦)は、
午前7時40分頃、自宅を出発して、
嵯峨山上陵(さがのやまのえのみささぎ)
後鳥羽天皇陵、
兒神社を参拝してきました。
元旦なので参詣ではなく参拝で、なにげに拝んできました。
嵯峨山上陵(さがのやまのえのみささぎ)は嵯峨山の頂上にあります。
530段ある石段の途中に、木々の切れ目が2カ所あり、
10~20秒くらい、眼下の眺望を楽しみました。
広沢の池、大沢の池、大覚寺が一望でき、
京都市あたりの町並みも手前はきれいに見え、遠方はややモヤってました。
はるか彼方には朝靄(あさもや)に煙る山並みを見晴らすことができました。
木々の切れ目のある2カ所で、抜群の眺望を楽しみました。
嵯峨山の頂上にある嵯峨山上陵(さがのやまのえのみささぎ)、
平安貴族の方々は、いったいどうやって、参拝していたのでしょうね?
江部康二
2023年01月01日 (日)
ブログ読者の皆さん
明けましておめでとうございます。
旧年中は、糖質制限なコメント・質問など
いろいろ応援頂き、ありがとうございました。
本年もよろしくお願い申し上げます。
江部康二
明けましておめでとうございます。
旧年中は、糖質制限なコメント・質問など
いろいろ応援頂き、ありがとうございました。
本年もよろしくお願い申し上げます。
江部康二
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