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現代は氷河時代です。ところで現生人類は初期、何を食べていたのでしょうか?
こんばんは。
本日の京都(2022/8/31、水)は、とても暑いです。
午前1時:26.0℃
午前3時:25.5℃
午前6時:25.0℃
午前7時:26.5℃
午後3時:36.4℃
午後6時:33.2℃

このように相変わらず暑い日々が続いていますが、
現代はどうやら氷河時代らしいです。
本日はそのあたりを考察するとともに
初期の現生人類は、何を食べていたのかを検討してみます。

氷河学的には、地球の歴史の中で、
地球上に大陸並みの大きさの氷床が存在している時代を氷河時代といいます。
この意味において、現在は、広大な氷床が南極大陸グリーンランドにあるため、
氷河時代ということになります。

氷河時代においては、氷期と間氷期を繰り返します。
実は現在は、氷河期の中の間氷期のようです。

最後の氷期であるウルム氷期が、始まったのが70000年前で
終了したのが16000年前です。

ウルム氷期の間は、現在のベーリング海峡は、
ベリンギア陸橋あるいはベリンギア大陸と呼ばれ、
シベリアとアラスカは陸続きでした。

ウルム氷期のころは、日本海もかなり海位が下がって、陸が多かったと思います。
氷期には海位が約130m下がるとされ、
対馬海峡、関門海峡、、宗谷海峡、間宮海峡は全て陸続き
陸橋状態になって大陸と繋がっていたと思われます。
瀬戸内海もほとんど陸地でした。
約16000年前に氷期が終わって間氷期になり海位が130m上昇して
今の日本列島が形成されたわけです。
津軽海峡だけは、水深がとても深いので、北海道と本州は陸続きにはなりませんでした。
つまり、マンモスは北海道までは来れたけれど、本州には渡れなかったのです。

さて、
人類は700万年前、チンパンジーとわかれて進化、
アルディピテクス、アウストラロピテクス・アファレンシス(アファール猿人)、パラントロプス・・・
ホモ属(ヒト属):ジャワ原人、北京原人、ネアンデルタール人など
栄枯盛衰を繰り返し進化、唯一現世人類(ホモ・サピエンス)だけが現存です。

ホモ・サピエンス(現生人類)は、
ヨーロッパでネアンデルタール人としばらく共存します。

ネアンデルタール人は、ヨーロッパを中心に13万年前から3万年前
まで生存
していました。

ホモ・サピエンス(現生人類)は、
最後の氷期(7万年前~16000年前のウルム氷期)に
アフリカからユーラシア大陸へ移動したと考えられます。

ネアンデルタール人とホモ・サピエンスが直接戦った
ならば、短期間、例えば数百年以内レベルで決着がつくと考えるのが普通です。

しかし、現実にはこの二つの種の人類は、ヨーロッパで1~2万年共存したあと、
ネアンデルタール人が徐々に衰退して滅びていきます。

約3万年前に絶滅したネアンデルタール人のゲノム(全遺伝情報)を
骨の化石から解読したところ、
現生人類とわずかに混血していたと推定されるとの研究結果を、
ドイツのマックス・プランク進化人類学研究所
米バイオ企業などの国際チームが
2010年5月7日付の米科学誌サイエンスに発表しています。

ネアンデルタール人は、脳の容量も現生人類より大きく膂力も優れていますし、
火や衣服も使用しています。
しかし、ネアンデルタール人は現世人類と比べると言語能力がかなり乏しく
人口の多いコミュニティの形成が困難であったと考えられます。
人口の多い集団ほど生き残りやすいことは間違いありません。
言語能力の巧拙が、
現世人類とネアンデルタール人の最も大きな違いと考えられ、
このことが、両者の盛衰を分けたと思います。

そしてネアンデルタール人は肉食が主食であったと考えられています。

共存していた二種の人類は、
当初は膂力に優れるネアンデルタール人が優勢であったと思われますが、
言語や文化の発達で組織的な狩りや道具の進歩により、
徐々に現生人類が獲物を先に取り尽くすようになり、
主食を奪われたネアンデルタール人は、衰退せざるを得なかったのでしょう。

このように歴史的に考察してみると、ホモ・サピエンス(現生人類)は、
雑食ではありますが、ネアンデルタール人と同様に
肉を日常的に摂取していた可能性が高い
と思います。
現生人類はネアンデルタール人が滅んでしまうくらい、
しっかり肉を摂取していたということですね。


江部康二
医者が教える 正しい糖質の減らし方 (TJMOOK)  2022/5/26刊行。
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医者が教える 正しい糖質の減らし方 (TJMOOK) ムック – 2022/5/26  
江部 康二  (監修) 宝島社

https://www.amazon.co.jp/dp/429902981X/

こんばんは。
『医者が教える 正しい糖質の減らし方 』
が、2022年5月26日(木)刊行されました。
自画自賛になりますが、とてもわかりやすく、よくまとまっています。 (^^)  
     
「増補新版 糖質制限の大百科」2021年9月(宝島社)
以来、久しぶりの新刊となります。
何だか、恥ずかしいのですが、7ページに私の全身の写真が載っています。

超健康体 江部康二
糖質制限20年目!72歳で持病なし、
虫歯なし、20代の体型をしっかり維持


身長:167cm/体重:57kg


髪:白髪はあるが薄毛には悩んでいない

耳:聴力低下もなく、患者さんとも楽しくお喋りできる

肌:シワもなくツヤがありつるんとした肌。
  肌年齢は52歳。
  糖質制限を始めた年齢で止まったまま。

睡眠:毎日7時間睡眠。
         夜中に尿意で目覚めることもなく睡眠の質は極めて良好。

運動:日頃からよく歩くことを心がけているが
      ジム通いなどの経験はなし。
      1~2週間に1回
      趣味のテニスをしている。

目:視力良好。
  近視、遠視、乱視はあるが
    それがほどよく相まって、
    『広辞苑』の小さな文字が
    裸眼で読めるほどの
    視力を維持している。

歯:歯は全部残っている。
  虫歯ゼロ、歯周病もなし。
  食後歯磨き、
    寝る前はていねい磨き。
    それと、年に1度歯科健診で
    歯石除去をしているだけ

脂肪:コレステロール値も
   中性脂肪値も基準値内。
      もちろんお腹もでていない

常備薬:定期的に飲んでいる薬なし。
    サプリメントも
    一切のんでいない



糖質制限ダイエットはブームを超え、もはや定番となっています。
しかし、ハードな糖質制限はハードルが高く、挫折する人も多いのが実情です。
そこで、糖質制限のパイオニアである江部康二が監修して、
改めて知りたい「糖質の正しい減らし方」を教えます。
はじめて糖質制限をする人、かつて制限したけどリバウンドした人、
これからの人生を軽やかに元気に暮らしたい人に最適な一冊です。


江部康二
糖質制限食の定義⇒1日の糖質摂取量130g/dl以下
こんばんは。
今回は、糖質制限食の定義などについて、考察してみます。

①糖質制限食の定義
バーンスタイン医師らは、
『ニュートリション・アンド・メタボリズム』という医学雑誌において
糖質制限食を以下のように定義しています。(Nutr Metab (Lond). 2008 Apr 8;5:9.)
「ADAは1日の炭水化物摂取量130g/dl、あるいは2000kcal食の26%以下を、
低炭水化物食と呼んでいるが、我々もこの数値を低炭水化物食のリーズナブルな
カットオフ値と考える。」


Dietary carbohydrate restriction in type 2 diabetes mellitus and metabolic syndrome: time for a critical appraisal.
Accurso A1, Bernstein RK et al.(Nutr Metab (Lond). 2008 Apr 8;5:9.) 
・・・
『The ADA designates low carbohydrate diets as less than 130 g/d or 26% of a nominal 2000 kcal diet and we consider this a reasonable cutoff for the definition of a low-carbohydrate diet. 』 ・・・

この、ADAおよびバーンスタイン医師等の糖質制限食の定義が
現時点で、私もリーズナブルと思います。


英語には「糖質」を意味する単語が存在しません。
<糖質 =available carbohydrate >
available carbohydrate ・・・二つの単語で糖質を意味する言葉となります。


<炭水化物 = 糖質+食物繊維>
糖質は血糖値を上げますが、食物繊維は血糖を上げません。


ケトジェニック・ダイエット

「very low carbohydrate ketogenic diet (VLCKD)」
ケトジェニック・ダイエットに関しても、同論文で言及しています。
(Nutr Metab (Lond). 2008 Apr 8;5:9.)
・・・
『The tipping point is empirically taken as the onset of ketonuria, also used as an indicator of compliance with a very low carbohydrate ketogenic diet (VLCKD). The threshold carbohydrate reduction for ketonuria varies among individuals, but a rough estimate is 50 g of carbohydrate per day or, approximately 10% of energy on a nominal 2000 kcal diet, (a target of 30 g/d is common in the early phases of popular VLCKD diets)』 ・・・


『・・・ケトン尿出現のための発端の炭水化物制限には、個人差がある。
しかし、大雑把には1日に50g、あるいは2000kcal食の10%ていどの炭水化物と推定する。(1日に30gの炭水化物摂取が初期相のポピュラーなVLCKDでの普通である )』


私自身は、高雄病院のスーパー糖質制限食実践で、
朝食なしの1日2食です。
1回の食事の糖質摂取量は、10~20g、なので一日に20~40gです。
しっかりケトジェニック・ダイエットの範疇に入っていますね。

⑤高雄病院糖質制限食の「1日摂取糖質量」の目安
スーパー糖質制限食
1日3食 主食を抜く
60g以下(1食あたり20g以下)

スタンダード糖質制限食
1日2食 主食を抜く
80~100g(主食あり1食あたり40~60g)

プチ糖質制限食
1日1食 主食を抜く
100~140g(主食あり1食あたり40~60g)
プチ糖質制限食だと、130g/日ぎりぎりがあり得るので少し留意する必要があります。


江部康二
2022年9月11日(日)、一般向け糖質制限食オンライン講演会の開催です。
こんにちは。
新型コロナ、日本の新規感染者数増加の勢いは高止まりといった状況です。
なかなか対面式の講演会を開催することが困難であり、
2022年9月11日(日)、
(一社)日本糖質制限医療推進協会主催一般向けオンライン講演会を開催することとしました。


「糖尿病の治療を受けているのによくならない方へ 
~糖尿病治療のベストな選択!糖質制限食の効果と安全性」
https://www.toushitsuseigen.or.jp/activities/cr4r


と題して、お話しします。
日本では、糖尿病合併症として、毎年新たに
約16000人以上の人工透析、
約3000人以上の失明、
約3000人以上の足切断

を生じています。

米国では糖尿病は増え続けていますが、糖尿病合併症は激減しています。
しかし、日本では糖尿病合併症は一向に減りません。
この差はいったい何なのでしょう?
使用している内服薬や注射薬は、日本と米国で、全く同一です。

何故、日米でこれほどの差があるのか本講演で
その原因を明らかにします。

また、糖尿病合併症を予防し、血糖コントロール良好を保つことのできる
糖質制限食の最新知識をわかりやすく系統的にお話します。


江部康二



以下事務局からのお知らせです。

*********

ブログ読者の皆様、弊会のイベントへ多数ご参加いただいておりまして、ありがとうございます。

本日はオンライン講演会の開催をご案内申し上げます。

2022年9月11日(日)、「糖尿病の治療を受けているのによくならない方へ ~糖尿病治療のベストな選択!糖質制限食の効果と安全性」と題して、オンライン講演会を開催いたします。

講師は、江部理事長です。たくさんのご参加を心よりお待ちしております。

☆講演会情報URL:http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity

//////////////ご案内/////////////////

(一社)日本糖質制限医療推進協会主催<オンライン講演会>

『 糖尿病の治療を受けているのによくならない方へ
  ~糖尿病治療のベストな選択!糖質制限食の効果と安全性 』

■日時:2022年9月11日(日)13:30~15:00頃

■講師:江部 康二 医師
    (一財)高雄病院 理事長 / (一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長

*** 講師より ***

糖尿病治療は多くの中高年にとって関心の高い、喫緊の課題です。

そして、糖尿病の治療を受けているのによくならない方は、結構な数おられると思います。

医師や栄養士の指導のもとに、「カロリー制限食」をひもじい思いで頑張っているのに、HbA1cが一向に改善しないケースも多いです。

ここで、「糖質制限食」の出番です。

血糖値を直接上昇させるのは三大栄養素のなかで、糖質だけです。

つまり、カロリーを制限しても高糖質な食事では、食後高血糖を防げず、糖尿病の改善や合併症の予防は困難であり、現実に減っていません。

一方で、糖質の摂取を控えると、食後高血糖を防げ、良好な血糖コントロールが可能となります。

糖質制限食は、1999年から京都・高雄病院において糖尿病治療食として開始され、「糖尿病合併症を予防できる唯一の食事療法」として画期的な成果をあげてきました。

米国糖尿病学会は、2019年4月のコンセンサス・レポート以降、「血糖値改善効果に関して、糖質制限食が最もエビデンスが豊富である」と明言しています。

今回は、糖質制限食による糖尿病治療の理論と実践についてお話しします。

また、従来の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)と糖質制限食の治療効果の比較をはじめ、症例も報告します。

*********

■受講費:賛助会員 無料 / 一般(賛助会員の方以外) 2,000円

■お支払い方法(賛助会員の方以外):クレジットカード/銀行振込/郵便振替 

*事前決済のみとなります。

*領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。

■お申し込みの流れ:

1. 下の「お申し込み方法」の該当するものからお申し込み下さい。
2. 事務局より一両日中(8月13~15日と日祝を除く)に、折り返しメールでご連絡申し上げます。

<一般(賛助会員の方以外)>
3.ご入金の確認後、予約確定のメールをお送りします。

■お申し込み方法:

★賛助会員の方:事務局へメールにて、お申し込み下さい。

★賛助会員入会+講演会参加をご希望の方:

1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up

2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
「入会ならびに講演会出席のお問い合わせ」を選択いただき、
「通信」欄に、「9/11オンライン講演会、参加希望」 とご記入下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact

★一般(会員以外)で、講演会の受講のみご希望の方:

下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-gen

■補足・ご案内事項:

*Zoomを使用したオンラインセミナーです。

・スマートフォンでもご参加可能ですが、パソコンかタブレット端末でご参加いただくと、画面が大きいため、スライド資料を閲覧しやすいです。

・事前に招待URLをお送りし、当日はそのURLにアクセスして、オンライン受講(参加)していただくかたちとなります。

・詳細はご予約後にご案内申し上げます。

*講演は60分程度の予定です。その後、質疑応答(Zoomの挙手機能を使用)も予定しております。

*当日の動画は、後日一定期間ご覧いただける予定です。(参加予約者様限定)

*予約制です。当日参加はできません。

*キャンセルは9月9日(金)までに事務局までご連絡願います。
それ以降のキャンセルの受講費ご返金は対応致しかねますので予めご了承下さい。
糖質セイゲニストは熱中症になりにくい?
こんばんは。
夏井睦先生をはじめ、糖質セイゲニストは
あまり水を飲まなくても、熱中症になりにくいようです。

これには酸化ストレスが関与している可能性があります。
糖質セイゲニストは、
食後高血糖や血糖変動幅増大も少なく、AGEs蓄積も最小限です。
従って、糖化や酸化が少ないので、そもそも酸化ストレスが非常に少ないのです。

以下の、ウェザー・ニュース(青字の記載)によると、ラットの実験ですが、
「水+梅干し」がSODの活性を高め『酸化ストレス』を減らすので
熱中症になりにくいそうです。

糖質セイゲニストは、酸化ストレスが少ないので、
いつもSOD活性には余裕があることになります。
それで、熱中症になりにくい身体の状態を維持できているのではないかと思います。

勿論、個人差はあるので、油断は禁物ですが・・・。



江部康二


https://weathernews.jp/s/topics/202008/260195/
熱中症の予防には「水+塩」よりも「水+梅干し」が効果的!?
2020/08/26 16:11 ウェザーニュース

以下記事の要約です。

今年の夏も猛烈な暑さが続き、熱中症で救急搬送、というニュースが相次いでいます。
熱中症予防には水分と塩分を摂ることが重要ですが、
塩分は梅干しで摂るとよいという説があります。

「水+梅干し」の方が効果が高いという結果が
「熱中症の原因の一つは汗をかいた時に水分と塩分などのミネラルが失われることです。
つまり、熱中症を防ぐには、塩分摂取が不可欠なのです」
と、和歌山県立医科大学准教授の宇都宮洋才先生。

では、どのように摂ればより効果的なのでしょうか。
①『水』
②『水+塩』
③『水+梅干し』

をラットに与え、
37℃の環境下で活動量の違いを見る実験をしたところ、
40分間は『水+梅干し』のラットがもっとも活動量が多いという結果に。
40分後は『水』、『水+塩』と同様に活動量が少なくなりましたが、
これらのラットを室温に戻したところ、
活動量がもっとも早く復活したのは『水+梅干し』のラットでした」(宇都宮先生)

梅の抗酸化作用が酸化ストレスを軽減する?
生物の体内の活性酸素の過剰な産生は、
細胞を傷害し、さまざまな疾患をもたらします。

「この活性酸素の傷害から生体を防御する抗酸化防御システムが生物には備わっていますが、
この防御システムより活性酸素の産生が上回ってしまうと『酸化ストレス』という状態が発生します。

暑さによって体温が上昇すると、上がった体温を下げようとするために血管が広がったり、
汗をかくなどしてエネルギーが消費されます。
その際に活性酸素が発生し、身体が酸化して『酸化ストレス』を引き起こし、
ダメージを与えます。

ラットの実験では、
抗酸化防御システムの一つ、SOD(活性酸素を除去する酵素)
『水+梅干し』でもっとも活性化していたので、
梅干しが持つ抗酸化作用にこの『酸化ストレス』を軽減する働きがあるのではないかと考えられています」(宇都宮先生)
新型コロナ発症を92%抑制も ――BCGは万能のパンデミック対策ワクチンになるかもしれない
こんにちは。
実業の日本フォーラムに
2022.08.19日

新型コロナ発症を92%抑制も
――BCGは万能のパンデミック対策ワクチンになるかもしれない
https://forum.j-n.co.jp/narrative/4040/?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=%25e6%2596%25b0%25e5%259e%258b%25e3%2582%25b3%25e3%2583%25ad%25e3%2583%258a%25e7%2599%25ba%25e7%2597%2587%25e3%2582%259292%25ef%25bc%2585%25e6%258a%2591%25e5%2588%25b6%25e3%2582%2582%25e2%2580%2595%25e2%2580%2595bcg%25e3%2581%25af%25e4%25b8%2587%25e8%2583%25bd%25e3%2581%25ae%25e3%2583%2591%25e3%2583%25b3%25e3%2583%2587


という記事が掲載されました。
東京慈恵会医科大学の浦島充佳教授が執筆されたものです。
中嶋一雄 先生から情報を頂きました。
ありがとうございます。

BCGと新型コロナウイルスに関して、今まで諸説が入り乱れていました。
本ブログでも、何回か記事に取り上げていますが、
立場としては、BCGが新型コロナ予防に有効の可能性があるというものでした。
今回の記事で、それが証明されたと言えます。
私としても嬉しい限りです。

以下の青字の記載は、記事の要約です。
黒字は私の解説です。

<BCGワクチンが新型コロナ発症を92%予防する>
 米ハーバード医学校の関連病院であるマサチューセッツ総合病院の研究チームが
「BCGワクチンを3回接種するとプラセボ(偽ワクチン)と比較して
新型コロナ発症を92%も予防できる」ことを二重盲検ランダム化臨床試験で突き止めた。さらにBCGは他の感染症も予防していた。
結果は有名な科学雑誌『Cell』 の姉妹誌、『Cell Reports Medicine』 に
2022年8月15日付けで誌上発表された。


マサチューセッツ総合病院の研究チームが
BCGの効果を二重盲検ランダム化臨床試験で、確認したものです。
その結果、「新型コロナ発症を92%も予防できる」という画期的な成果が得られました。
他の感染症も予防していたとのことです。
『Cell』 の姉妹誌、『Cell Reports Medicine』に誌上発表されていますので
すでに、査読も済んだ論文で、エビデンスと言えます。
セルの姉妹誌なので、極めて信頼度の高い論文です。
しかも、
BCGは安全、効果的、安価、長持ちと四拍子揃った理想的なワクチンなのです。

<BCGワクチンは自然免疫を強化する>
 BCGは結核予防のために接種されるが、
結核以外の呼吸器感染症やウイルス感染症を予防する効果が複数報告されています。

 ギニアビサウで乳児に対してBCGを接種する群としない群にランダムに振り分け5歳まで観察した研究があります。
3種混合ワクチンとBCGとを同時接種した場合、
死亡率を3分の1に抑えることができました。

 スペインではBCG接種を1981年で終了しましたが、
今なおバスク地方だけは新生児にBCGを接種しています。
長期フォローしたところ小児の肺炎による入院を
バスク地方はスペイン国内の他地域と比べ70%も抑えていました。

 BCGの効果は少なくとも50~60年維持されることも二重盲検ランダム化臨床試験の事後解析で示されました。
1935年から1938年にかけてアメリカ・インディアン3000人を対象にBCGかプラセボにランダムに振り分け接種されました
60年の時を経て再調査したところ、結核予防効果は52%でした。
このように長年にわたってワクチン効果が持続するのはBCGぐらいです。

 そのメカニズムとして、
ウイルスに感染した際に免疫細胞が非特異的に反応する自然免疫を訓練する、
いわゆる免疫訓練仮説(trained immunity)が提唱されています。

 BCGは、本来、結核予防のために接種されますが、
過去の研究で結核以外の呼吸器感染症やウイルス感染症を予防する効果が
報告されています。

 ギニアビサウで乳児に対してBCGを接種する群としない群に振り分け
5歳まで観察した研究では、BCG群の死亡率が3分の1ですんでいました。

 スペインではBCG接種を1981年で終了しましたが、
バスク地方だけは新生児にBCG接種を継続しています。
その結果、小児の肺炎による入院を
バスク地方はスペイン国内の他地域と比べ70%も抑えていました。
BCGの効果、素晴らしいです。

アメリカ・インディアン3000人を対象にランダムに振り分けて
BCGかプラセボが接種されました。
実に60年の時を経て再調査したところ、
BSGによる結核予防効果は52%もありました。
このように長期にわたって効果が持続するワクチンはBCGだけですが、
BCGにより自然免疫が訓練され強化されるという説が提唱されています。


<ハーバード研究チームがこの千載一遇の好機を逃すわけもない>

 Ⅰ型糖尿病患者は感染症に罹り易いことは以前より知られていました。
ハーバード研究チームは新型コロナの流行がまだ見られない、
3年前からⅠ型糖尿病患者の感染リスクを
BCG接種により下げられないか試みる臨床試験を開始していました。

アメリカでは現在、BCGワクチンプログラムを実施しておらず、
過去に実施したこともありません。
そのため純粋なBCGワクチンの感染予防効果をみるのに
アメリカはうってつけの国でした。

 被験者144人を2:1の割合で
ランダムにBCG群(96人)とプラセボ群(48人)に振り分けました。
BCGは最も有効性が期待できるということで日本製のTokyo-172が使われました。
BCGないしプラセボを4週間空けて2回、
1年後に3回目のブースター接種を実施しました。
よって被験者全員に対するワクチンの仕込みに2~3年を要しました。

 そして準備万端、
2020年の1月からいよいよ感染罹患頻度を調査しようとしたまさにその時、
新型コロナの流行がアメリカでもはじまりました。
チームは好機と捉え、新型コロナの罹患も評価項目に急遽含めることにしました。

 結果は冒頭に示した通り、
BCGは劇的な予防効果を示しました。
PCR検査陽性を新型コロナ発症とみなすならば、予防効果は100%です。
この観察は、新型コロナワクチン接種開始のため、2021年4月で打ち切られました。


アメリカでは現在、BCGワクチンプログラムを実施しておらず、
過去に実施したこともありません。
そのため純粋なBCGワクチンの感染予防効果をみるのに
アメリカはうってつけの国でした。

BCGは最も有効性が期待できるということで
日本製のTokyo-172が使われました。
1型糖尿病患者144人を2:1の割合で
ランダムにBCG群(96人)とプラセボ群(48人)に振り分けました。

2020年の1月からいよいよ感染罹患頻度を調査しようとしたまさにその時、
アメリカで新型コロナの流行が始まり、
急遽新型コロナ感染症も評価項目に追加されました。
BCGは劇的な予防効果を示しました。

「BCGワクチンを3回接種するとプラセボ(偽ワクチン)と比較して
新型コロナ発症を92%も予防できる」
という結果でした。
PCR検査陽性を新型コロナ発症とみなすならば、予防効果は100%で、
劇的なBCGの効果が確認できました。
二重盲検ランダム化臨床試験なので、信頼度は最も高いです。


<オールマイティのパンデミックワクチンになることに期待>

 BCGワクチンは安全、効果的、安価、長持ちと四拍子揃った理想的なワクチンです。また、どんなウイルス感染症にも有効であれば、ウイルスが変異しても新種のウイルスがパンデミック化しても右往左往する必要はありません。
さらに、mRNAワクチンの効果は6カ月で失われてしまいますが、
BCGのそれは60年持続します。

 もしもパンデミック前にツベルクリン反応陰性者を対象に適宜BCGワクチンを広く接種しておけば、平時の高齢者の肺炎死亡を減らすことができ、有事のパンデミックの際にも特異的ワクチンが開発されるまでの間、発症率・死亡率ともに低く抑えられます。

今回の新型コロナウイルスのパンデミックでは、多くの高齢者や中年、一部は若者においてもBCGの予防効果が失われている者があり、罹患したり重症化したりしてしまいました。
だからツベルクリン反応の陰性者には陽転するまで徹底的に
BCGを接種するシステムを復活し、
これを高齢者にも広げるのがよいのではないだろうか。

 ハーバードの研究チームの試験結果はまだ先駆けです。
人数も少ないしⅠ型糖尿病患者に限られています。
私は日本がリーダーシップをとって、
「BCGワクチンが特に急性気道感染症を予防し、
その死亡率を下げることができるか否かを検証する」
ための国際共同大規模臨床試験を提言したい。

東京慈恵会医科大学の浦島充佳教授の提言、素晴らしいです。
仰る通り、まずは日本人全体に「ツベルクリン反応」を実施して
陰性者には陽転するまで、徹底してBCGを摂取するシステムを復活させるのが
良いと思われます。
BCGは安全、効果的、安価、長持ちと四拍子揃った理想的なワクチンであり、
新型コロナウイルス感染予防効果も92%という、これ以上ない優れものです。
日本がリーダーシップをとって、BCGの急性気道感染症に対する予防効果を評価する
国際共同大規模臨床試験を是非実施してほしい
ものです。


江部康二
朝食にパンを食べるな。福島正嗣著。プレジデント社。
朝食にパンを食べるな。
福島正嗣著。
プレジデント社。
2022年8月2日発行
https://www.amazon.co.jp/dp/4833424622/


こんにちは。
「朝食にパンを食べるな。福島正嗣著。プレジデント社。」
が、2022年8月2日、発行されました。
このたび、福島正嗣先生から、ご献本頂きました。
ありがとうございます。

胃内視鏡6万件、大腸内視鏡3万件の消化器内科医
糖質制限食実践で、自らのメタボを克服した体験をもとに
「朝食にパンを食べるな」を執筆されています。
とても説得力があります。

何となく今まで、直感で三大栄養素の中で
炭水化物が一番、胃に滞留すると思っていたのですが、
バリバリの消化器内科医の福島先生が
「炭水化物が8時間で、脂質と蛋白質は30~60分」
と明言しておられるので、おおいに安心しました。

穀物のデンプンでαデンプンは、唾液のアミラーゼで分解されるので
炭水化物摂取で速やかに血糖値が上昇する
というのも。
納得です。

以下、私が自分のために、とても役に立ったページを
箇条書きにしておきます。

とても良い本です。
ブログ読者の皆さんも、是非、ご一読頂ければ幸いです。


江部康二


P8
パンの害。
糖質の害。
症状。

P21
糖質制限食。

P34
グルテンが消化・吸収を妨げる。

P37
食塩が胃を傷つける。

P72
栄養素の胃の滞留時間。
炭水化物がながい・・・8時間
脂質と蛋白質は30~60分。

P77
穀物のデンプンでαデンプンは、唾液のアミラーゼで分解されるので
炭水化物摂取で速やかに血糖値が上昇する。
唾液のアミラーゼで分解されなかったデンプンは、胃に滞留する。

P82
コレシストキニン。
逆食。

P97
AGEと活性酸素は相互に影響して、慢性炎症を生じる。

P104
機能性ディスペプシア。
胃もたれや胃痛の4~6割は機能性ディスペプシアである。

P106
過敏性腸も糖質制限で改善することが多い。

P108
SIBO(小腸細菌増殖症)。
低FODMAP食。

P112
好酸球性食道炎。
好酸球性胃腸炎。
胃カメラで、5000件に1件。
実態はもっと多いか?
難病指定。

P116
潰瘍性大腸炎。
糖質制限食有効。
しかし
薬物も併用。

P122
脂質異常症。
高中性脂肪血症。
糖質が原因。

P128
肉食と大腸癌。
発症リスク。
鶏肉OK。
赤身肉は少しリスク。

P143
胃腸は、4~5時間以上、食べ物を入れない時間を作らないと
正常に働かない。

P194
糖質制限開始初期の低血糖。
1~2週間はあり得る。
糖新生が追いつかない。
筆者は1週間後に低血糖でた。

P203
細胞の老化。
慢性炎症。

P209
長寿を妨げる2つのスイッチ。
IGF-1シグナル。
mTOR(エムトア)シグナル。

P213
ケトン体。
長寿遺伝子を活性化。

P217
断食がミトコンドリアにいいわけ。

P229
がんの予防には、高インスリンを避ける。




スーパー糖質制限食。江部康二と蛋白質摂取量。
【22/08/24       ゾー   
タンパク質摂取量
ゾーです。
9年前に先生の本を読んでから一家で糖質制限しています。
お陰で、体重8kg減で糖尿病にならずに済みました。感謝いたします。
 
一つ教えていただきたいのですが、
タンパク質摂取量が140~160gと書いてありますが、
どのような食事でそれだけのタンパク質が摂れるのか教えていただけませんか?
 
自身を振り返ってみてもそれだけの量はとれていないと思います。
最近、分子栄養学、オーソモレキュラー栄養学の本を読み始めて、昨年末からプロテイン、ビタミンを摂るようになり、この冬は毛布が必要なくなり、
よく出ていた鼻血も全く出なくなり、体調の変化を感じています。
 
また、仕事(歯医者です)では
糖質制限、歯周病と栄養、高タンパクなどのパンフレットを作り
患者さんに渡しています。
 
先生には大変感謝しています。
以前の日記で、たまに食事の内容が出てきたことがありましたが、
大体1日でどの様なものを食べられているのか大変興味があります。
よろしくお願いします。
ゾー(歯科医、74歳)】

 
 
こんにちは。
ゾーさんから、私の蛋白質摂取量について、ご質問を頂きました。
 
ゾー さん
拙著のご購入、患者さんへの糖質制限食のご紹介、ありがとうございます。
歯周病や虫歯への糖質制限食の効果は絶大ですので、
歯医者さんと糖質制限食は親和性が高いと思います。
また糖質制限食で体調良好、良かったです。
 
高雄病院のスーパー糖質制限食給食の、
平均値は<糖質12% 脂質56% たんぱく質32%>です。
 
1日に1800kcalとすると、蛋白質が32%なら、144gです。
糖質制限病院給食の場合は、材料費などの制限もあり、1800kcal/日が限度なのです。
 
家で普通に、スーパー=糖質制限食実践で
2000kcal/日なら、蛋白質32%で、160gとなります。
2200kcal/日なら、蛋白質32%で、176gとなります。
 
以下は私のとある一日の食事です。
朝食は、<コーヒー+生クリーム10cc>
昼食は、高雄病院のスーパー糖質制限給食(500~520kcal/日)

 
今は、新型コロナ流行のため、外食はしていませんが、
コロナ前のころ、月曜日の夜は、よく<和食さと>で一人飯でした。
<鍋、食べ放題、豚プレミアムコース>
私は65歳以上なのでシニア割引があります。
 
豚さとしゃぶプレミアム

かつおだし
鶏塩だし
 
鍋をセットして、
 <食べたもの>
肩ロース:3皿
バラ:3皿
鶏肉:1皿
生卵:2個
薄揚げ:1皿
ワカメ:1皿
茶碗蒸し:1個
牛ロースステーキ:小皿、1皿
シメサバの刺身:2皿
ミニロースカツ:1皿
オクラとめかぶのネバトロポン酢:1皿

 
牛ロースステーキのあまだれは、お湯で洗って食べました。
ミニロースカツも半分くらい衣をはいで食べました。
 
このように、結構、蛋白質は食べています。
勿論、腎機能を含め、血液・尿検査データは全て、正常です。
 
 
江部康二
高血糖の記憶とは。
こんにちは。
今回は、「高血糖の記憶」について、考えてみます。

「高血糖の記憶」そのものは、消えないので対処しようがないようにも思えますが、
糖尿人においては、前もって、頸動脈エコーや心臓のエコー検査などをしておくことは大切です。
例えば、高血糖の記憶により冠動脈狭窄などがあった場合、
検査で発見されれば、心筋梗塞を起こす前にステントを入れて予防することが可能です。

<高血糖の記憶>

糖尿病血管合併症のメカニズムを特徴的に説明する、
高血糖の記憶(hyperglycemic memory)と呼ばれる概念があります。
「高血糖の記憶」とは、過去の高血糖レベルとその曝露期間が生体に記憶され、
その後の血管合併症の進展を左右するという考え方です。

ヒトの糖尿病において、この「高血糖の記憶」の存在を示すエビデンス(証拠)として、
米国の1型糖尿病患者の大規模臨床研究・DCCTの
フォローアップ試験であるEDIC-DCCTの報告があります。
DCCTでは、1型糖尿病患者を従来の通常療法群と、
より厳格に血糖管理を行う強化療法群に分け、平均6.5年間追跡しました。
その結果、通常療法群に比べ強化療法群で平均HbA1c値が1.9%低下
し、強化療法群で血管合併症の進展リスクが大幅に減少しました。(*)

同研究終了後に行われたEDIC-DCCTでは、通常療法群にも強化療法を実施し、
両群をさらに平均11年間追跡しました。
つまり「継続的な強化療法群」と「通常療法→強化療法群」の2つのグループの比較が、
DCCT終了後11年間行われたことになりますね。
その結果、開始から3~4年で両群の平均HbA1c値がほぼ同等となったにも関わらず、
11年間の心筋梗塞、脳卒中、心血管死のリスクは
「継続的な強化療法群」の方が
やはり低かった(相対リスク57%低下)ことが報告されたのです。(**)

すなわち、糖尿人において一定期間血糖コントロールが不良であれば、
高血糖の記憶が「借金」のように生体内に残り、
その後良好なコントロールが得られても、
血管合併症リスクの差は縮まらないことが示されたわけです。
この借金の正体が、組織沈着「AGEs」(***)ではないかと考えられています。
組織に沈着したAGEsが血管を傷害し続け、
動脈硬化の元凶となり「高血糖の記憶」を最もよく説明します。
高血糖の記憶・借金を残さないためには、
糖尿病発症の初期の段階から血糖コントロールを保つことが大切です。
当然、早ければ早いほどいいわけです。

体内で蓄積されるAGEsの量について考察してみると、
「AGEsの蓄積量=血糖値の高さ×持続期間」で予測できます。
糖尿人の皆さん、カロリー制限食(高糖質食)では必ず、
食後高血糖が生じAGEsも蓄積していき、将来に借金を残します。
是非、糖質制限食で速やかな血糖コントロールを目指して下さいね。

「高血糖の記憶」が存在すれば、例え糖質制限食で血糖コントロール良好になっても、
半年後や1年後や2年後に、過去の借金の動脈硬化のために、
狭心症や心筋梗塞など糖尿病合併症をおこしえるということです。


(*)N Engl J Med 1993; 329: 977-986
(**)N Engl J Med 2005; 353: 2643-2653
(***)AGEs
ブドウ糖や果糖は生体内で蛋白質にへばり付く性質を持っています。
血糖は、糖化反応により血管壁のコラーゲンなど様々なタンパク質に付着します。
糖とタンパク質の結合物は変性してアマドリ化合物となります。
ここまでが糖化反応系の初期段階で、HbA1cやグリコアルブミンも
このアマドリ化合物の一種です。
この段階だとまだ分解・代謝が可能です。
このアマドリ化合物は糖化反応の後期段階になると、さらに変性してAGEsとなります。
Advanced Glycation End-productsの頭文字をとってAGEsと呼ばれます。
日本語では終末糖化産物と訳されています。
AGEsは分解・代謝は困難であり、消えない借金となります。
AGEsは、糖尿病合併症を引き起こす、重大な原因の1つです。


江部康二
糖質制限食と高尿酸血症
こんにちは。
高尿酸血症は、スーパー糖質制限食実践中によく見かける所見の一つです。
尿酸(UA)値に関してスーパー糖質制限食開始後<減少、不変、増加>
の3パターンがあります。
当初は理由がわからず、経過観察が一般的対応策でしたが、
殆どの場合、自然に基準値になっていきました。

自らが痛風患者であり、痛風専門医でもある、
元鹿児島大学病院内科教授、納(おさめ)光弘先生によれば、
食事よりストレスや肥満のほうが、尿酸値への影響が大きいとのことです。(*)

尿酸値を確実に上昇させるのは、重要なものから順番に
1、ストレス
2、肥満
3、大量の飲酒
4、激しい運動
5、プリン体の摂りすぎ

です。

納先生の指摘されているストレスは、精神的なもののようです。
これらの5項目に加えて、私の考えでは、
特殊例として肉体的ストレスである
「断食や極端な低カロリーのときは尿酸値上昇」というのがあります。
高雄病院では、1984年以来、絶食療法(断食療法)を実施しています。
最近はスーパー糖質制限食で絶食療法に匹敵する効果が得られるので、
入院して絶食療法をする患者さんは、まれとなりました。

一方、1984年から10数年間は年間100人以上、絶食療法を行ってきました。
トータルすれば2000人以上ですね。
そして絶食療法を行った場合、殆ど全ての人において、
尿酸値が急上昇しました。

尿酸(UA)の基準値は3.4~7.0mg/dlです。
例えば、入院時は尿酸値は基準値内だった人が、
絶食療法中に、8~9~11mg/dlと急上昇したケースが複数ありました。
幸いそれで、痛風発作を起こす人は、ありませんでした。

私自身の患者さんで、スーパー糖質制限食実践後、
本来正常だった尿酸値が、基準値を超えて上昇した人が、
当初の段階で、約10名くらいおられたのですが、
絶食療法の経験を思い出して、
きっちり問診したら、
結局全員が摂取エネルギー不足だったことが判明しました。
それで、しっかり脂質・たんぱく質を摂取してエネルギーを確保したら、
速やかに高尿酸血症は改善しました。

その後、スーパー糖質制限食を実践するときは
厚生労働省のいう<推定エネルギー必要量>を、
確保するように指導してからは、高尿酸血症はほぼなくなりました。

ちなみに、私は高たんぱく食で、140~160g/日のたんぱく質を摂取しています。
すなわち、
超高たんぱく食(2.5g/kg)ですが、摂取エネルギーが充分確保されているので、
尿酸値は、何回測定しても、2.7~3.7mg/dlくらいです。
またスーパー糖質制限食実践で、酸化ストレスが極めて少ないので
抗酸化作用のある尿酸が低いという見方もできます。

尿酸値に関しては体質もあるていど関係していると思いますが、
急に上昇した場合は、摂取エネルギー不足がポイントです。
もし、スーパー糖質制限食を開始して、
今まで正常値だった尿酸値が急に上昇してきたときは、
摂取エネルギー不足を考慮していただけば幸いです。


(*)参考
「痛風はビールを飲みながらでも治る」(小学館文庫)2004年
鹿児島大学病院内科教授、納(おさめ)光弘先生 著


江部康二
スーパー糖質制限食10年のオスティナートさんからコメントを頂きました。
【22/08/20 オスティナート
スーパー糖質制限食を始めて10年1ヶ月が過ぎました。
江部先生こんにちは

江部先生の著書を拝見し、スーパー糖質制限食を始めて、10年になりました。
ご飯、うどん、そば、パスタ、春雨、そうめん、その他小麦製品等、主食は食べていません。
唯一食べたのは、全大腸検査食のお粥だけです。

糖質制限開始当初は、限りなく糖質0を目指しておりましたが、
最近は、主食以外の糖質についてはかなり緩くなって、
1食20gの糖質を摂取するようになっております。

・人間ドック:年1回(胃内視鏡検査・頸動脈エコー・脳ドック・2年に1度の     全大腸検査を含む)
・眼科精密検査:年1回(糖尿病網膜症他)
・毎年受けている人間ドックやその結果による精密検査を除き、
 6年間糖尿病治療のため、病院(内科)での診療を受けていません。
・糖尿病発症後の、インスリン注射や糖尿病治療薬の服用は一切ありません。

※今年の人間ドックでの検査結果(一部)です。

〇人間ドック・2022/7/19
・空腹時血糖値:133
・Hb A1c:5.8
・尿酸値:7.7
・HDL:113
・LDL:71
・中性脂肪:37
・血圧:125・80
・腎臓・肝臓・膵臓すべて正常

〇糖尿病発症・2012/6
・空腹時血糖値:227
・Hb A1c:8.2
・尿酸値:4.4
・HDL:72
・LDL:141
・中性脂肪:122
・血圧:130

「暁現象」とはこれからも長い付き合いとなりそうです。


●自然農法(無肥料・無農薬)と糖質制限の驚きの関係

私は現在、自然農法で野菜を育てています。

〇無肥料と糖質制限について

・無肥料について

肥料は(N・P・K)チッソ・リン酸・カリが主な成分です。
中でもチッソが重要な栄養素です。
やはり、肥料がなければ野菜は育ちません。
そこで、大量の雑草を使って堆肥を作り(雑草堆肥)良質な栄養として供給しています。
ただし、小動物(ミミズ等)や微生物により有機物から無機物に分解され植物に吸収されるため、
時間が掛かります。
【肥料は、堆肥と区別しました。(海外では、肥料と堆肥(compost)は別に扱われています。】

・糖質制限について

栄養成分には脂質・タンパク質・炭水化物、中でもエネルギーとして、
炭水化物(糖質)が使われます。
糖質が制限されると、貯蔵(肝臓や筋肉細胞)されているグリコーゲンや、グリセロールやタンパク質を使った糖新生(肝臓)によってグルコースが作られ、エネルギーとなり、そして低血糖を防ぎます。
また、ケトン体(短鎖脂肪酸)も上昇し、エネルギーとして使われます。

〇無農薬と糖尿病治療薬不使用について

・無農薬について

農薬は一切使いません。
理由については、いろいろな考えがありますので、ここではあえて述べないことにします。
農薬を使わなくてもおいしい野菜が育ちます。

・糖尿病治療薬不使用について

糖質制限により、インスリンや経口血糖降下薬を使わなくても、HbA1c5.8は維持していますので、
糖尿病治療薬は不使用です。

●自然農法と糖質制限的糖尿病治療、
共に薬に頼らなくても問題ないようです。】



こんにちは。
スーパー糖質制限食を実践されて10年1ヶ月の
オスティナートさんからコメントを頂きました。
ありがとうございます。


【スーパー糖質制限食を始めて、10年になりました。
ご飯、うどん、そば、パスタ、春雨、そうめん、その他小麦製品等、主食は食べていません。
唯一食べたのは、全大腸検査食のお粥だけです。】
糖質制限開始当初は、限りなく糖質0を目指しておりましたが、
最近は、主食以外の糖質についてはかなり緩くなって、
1食20gの糖質を摂取するようになっております。

・人間ドック:年1回(胃内視鏡検査・頸動脈エコー・脳ドック・2年に1度の     全大腸検査を含む)
・眼科精密検査:年1回(糖尿病網膜症他)
・毎年受けている人間ドックやその結果による精密検査を除き、
 6年間糖尿病治療のため、病院(内科)での診療を受けていません。
・糖尿病発症後の、
 インスリン注射や糖尿病治療薬の服用は一切ありません。】


10年間、糖質制限食を実践、最近の6年間は糖尿病診療や治療なしで、
スーパー糖質制限食だけで血糖コントロール良好、素晴らしいです。
実は、がん細胞が発生してから、画像診断的に発見可能な大きさになるのには、
かなり長い年月がかかります。
正常細胞ががん細胞に変わり、体が排除に失敗すると、
がん細胞は徐々に成長を始めます。

細胞分裂により1個が2個になり、2個が4個、
4個が8個、そして16個、32個、64個と倍々で増加していきます。
30回分裂を繰り返すと、約10億個に増え、
重さは約1グラム、直径1cm程度になります。
細胞1個が0.01mmで、1cm経になるのに10~20年かかります。

個体差やがんの種類によっても発育速度は異なります。
がん細胞が生まれてから活発に成長するようになるまでは、
長い期間がかかります。

しかし、がん細胞は成長するにしたがって、
発育速度が速くなるとされています。
2倍の大きさになるのは、例えば早期胃がんでは数年(2-6年)、
進行がんでは数ヶ月、転移した胃がんでは数週間とされています。

従来のがん検診では、腫瘍の大きさが1cm程度にならないと発見できませんでしたが、
PET検査では、早期の5mm程度の大きさでの発見が可能です。
しかしながら、5mmや1cmで早期発見したがんということでも、
がん細胞が発生してから、
すでに約10~20年間が経過
していることとなります。

オスティナートさんは、あと10年スーパー糖質制限食を実践されたら、
『がん検診』も必要なくなると思います。



【〇糖尿病発症・2012/6       人間ドック・2022/7/19
・空腹時血糖値:227           ・ 133mg/dl
・Hb A1c:8.2                ・ 5.8%
・尿酸値:4.4                 ・ 7.7mg/dl
・HDL:72                   ・ 113mg/dl
・LDL:141                   ・ 74mg/dl
・中性脂肪:122               ・ 37mg/dl
・血圧:130                 ・ 125/80
                      腎臓・肝臓・膵臓すべて正常】


HbA1c、HDL-C、LDL-C、中性脂肪、血圧と見事な改善で、全て正常です。
①中性脂肪値が37と60mg/dl以下
②HDL-C値が113と60mg/dl以上

なので、LDL-Cも全て標準の大きさの善玉であり、
肝臓から細胞膜の原料であるコレステロールを末梢組織まで運ぶ
重要な役目を果たしています。
すなわちちょい悪の「小粒子LDL-C」や悪玉の「酸化LDL-C」は皆無であり
動脈硬化のリスクもありません。

空腹時血糖値は227mg/dlから133mg/dlと改善していますが、
まだ、126mg/dl以上であり「糖尿病型」です。
仰る通り、『暁現象』と思われます。
ウォーキングなどの有酸素運動で、早朝空腹時血糖値が改善することはありますが、
オスティナートさんは、運動は足りてますよね。

尿酸値が、4.4mg/dlから7.7mg/dlとやや高値となっていますが
摂取エネルギーがやや少なめの可能性はないでしょうか?


【・糖質制限について

栄養成分には脂質・タンパク質・炭水化物、中でもエネルギーとして、
炭水化物(糖質)が使われます。
糖質が制限されると、貯蔵(肝臓や筋肉細胞)されているグリコーゲンや、グリセロールやタンパク質を使った糖新生(肝臓)によってグルコースが作られ、エネルギーとなり、そして低血糖を防ぎます。
また、ケトン体(短鎖脂肪酸)も上昇し、エネルギーとして使われます。

〇無農薬と糖尿病治療薬不使用について

・無農薬について

農薬は一切使いません。
理由については、いろいろな考えがありますので、
ここではあえて述べないことにします。
農薬を使わなくてもおいしい野菜が育ちます。

・糖尿病治療薬不使用について

糖質制限により、インスリンや経口血糖降下薬を使わなくても、
HbA1c5.8は維持していますので、
糖尿病治療薬は不使用です。

●自然農法と糖質制限的糖尿病治療、
共に薬に頼らなくても問題ないようです。】



農薬を使わなくてもおいしい野菜が育ち、
糖質制限により、糖尿病治療薬不使用で、HbA1c5.8%を維持できておられ、
誠に good job であり、
オスティナートさんは『糖質セイゲニストの鑑』です。

これからも美味しく楽しく糖質制限食を実践されて
健康長寿を目指して頂ければ幸いです。



江部
2022年9月11日(日)、一般向けオンライン講演会の開催です。
こんにちは。
新型コロナ、日本の新規感染者数増加の勢いは高止まりといった状況です。
なかなか対面式の講演会を開催することが困難であり、
2022年9月11日(日)、
(一社)日本糖質制限医療推進協会主催一般向けオンライン講演会を開催することとしました。


「糖尿病の治療を受けているのによくならない方へ 
~糖尿病治療のベストな選択!糖質制限食の効果と安全性」
https://www.toushitsuseigen.or.jp/activities/cr4r


と題して、お話しします。
日本では、糖尿病合併症として、毎年新たに
約16000人以上の人工透析、
約3000人以上の失明、
約3000人以上の足切断

を生じています。

米国では糖尿病は増え続けていますが、糖尿病合併症は激減しています。
しかし、日本では糖尿病合併症は一向に減りません。
この差はいったい何なのでしょう?
使用している内服薬や注射薬は、日本と米国で、全く同一です。

何故、日米でこれほどの差があるのか本講演で
その原因を明らかにします。

また、糖尿病合併症を予防し、血糖コントロール良好を保つことのできる
糖質制限食の最新知識をわかりやすく系統的にお話します。


江部康二



以下事務局からのお知らせです。

*********

ブログ読者の皆様、弊会のイベントへ多数ご参加いただいておりまして、ありがとうございます。

本日はオンライン講演会の開催をご案内申し上げます。

2022年9月11日(日)、「糖尿病の治療を受けているのによくならない方へ ~糖尿病治療のベストな選択!糖質制限食の効果と安全性」と題して、オンライン講演会を開催いたします。

講師は、江部理事長です。たくさんのご参加を心よりお待ちしております。

☆講演会情報URL:http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity

//////////////ご案内/////////////////

(一社)日本糖質制限医療推進協会主催<オンライン講演会>

『 糖尿病の治療を受けているのによくならない方へ
  ~糖尿病治療のベストな選択!糖質制限食の効果と安全性 』

■日時:2022年9月11日(日)13:30~15:00頃

■講師:江部 康二 医師
    (一財)高雄病院 理事長 / (一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長

*** 講師より ***

糖尿病治療は多くの中高年にとって関心の高い、喫緊の課題です。

そして、糖尿病の治療を受けているのによくならない方は、結構な数おられると思います。

医師や栄養士の指導のもとに、「カロリー制限食」をひもじい思いで頑張っているのに、HbA1cが一向に改善しないケースも多いです。

ここで、「糖質制限食」の出番です。

血糖値を直接上昇させるのは三大栄養素のなかで、糖質だけです。

つまり、カロリーを制限しても高糖質な食事では、食後高血糖を防げず、糖尿病の改善や合併症の予防は困難であり、現実に減っていません。

一方で、糖質の摂取を控えると、食後高血糖を防げ、良好な血糖コントロールが可能となります。

糖質制限食は、1999年から京都・高雄病院において糖尿病治療食として開始され、「糖尿病合併症を予防できる唯一の食事療法」として画期的な成果をあげてきました。

米国糖尿病学会は、2019年4月のコンセンサス・レポート以降、「血糖値改善効果に関して、糖質制限食が最もエビデンスが豊富である」と明言しています。

今回は、糖質制限食による糖尿病治療の理論と実践についてお話しします。

また、従来の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)と糖質制限食の治療効果の比較をはじめ、症例も報告します。

*********

■受講費:賛助会員 無料 / 一般(賛助会員の方以外) 2,000円

■お支払い方法(賛助会員の方以外):クレジットカード/銀行振込/郵便振替 

*事前決済のみとなります。

*領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。

■お申し込みの流れ:

1. 下の「お申し込み方法」の該当するものからお申し込み下さい。
2. 事務局より一両日中(8月13~15日と日祝を除く)に、折り返しメールでご連絡申し上げます。

<一般(賛助会員の方以外)>
3.ご入金の確認後、予約確定のメールをお送りします。

■お申し込み方法:

★賛助会員の方:事務局へメールにて、お申し込み下さい。

★賛助会員入会+講演会参加をご希望の方:

1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up

2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
「入会ならびに講演会出席のお問い合わせ」を選択いただき、
「通信」欄に、「9/11オンライン講演会、参加希望」 とご記入下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact

★一般(会員以外)で、講演会の受講のみご希望の方:

下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-gen

■補足・ご案内事項:

*Zoomを使用したオンラインセミナーです。

・スマートフォンでもご参加可能ですが、パソコンかタブレット端末でご参加いただくと、画面が大きいため、スライド資料を閲覧しやすいです。

・事前に招待URLをお送りし、当日はそのURLにアクセスして、オンライン受講(参加)していただくかたちとなります。

・詳細はご予約後にご案内申し上げます。

*講演は60分程度の予定です。その後、質疑応答(Zoomの挙手機能を使用)も予定しております。

*当日の動画は、後日一定期間ご覧いただける予定です。(参加予約者様限定)

*予約制です。当日参加はできません。

*キャンセルは9月9日(金)までに事務局までご連絡願います。
それ以降のキャンセルの受講費ご返金は対応致しかねますので予めご了承下さい。
膵炎と糖質制限食2。慢性膵炎。
膵炎と糖質制限食2。慢性膵炎。

今回は、慢性膵炎と糖質制限食のお話です。

2)「慢性膵炎」

■慢性膵炎の臨床診断基準(膵臓24: 645-708,2009)
慢性膵炎の診断項目
① 特徴的な画像所見
② 特徴的な組織所見
③ 反復する上腹部痛発作
④ 血中または尿中膵酵素値の異常
⑤ 膵外分泌障害
⑥ 1日80g以上(純エタノール換算)の持続する飲酒歴

慢性膵炎確診: a、bのいずれかが認められる。
a. ①または②の確診所見。
b. ①または②の準確診所見と, ③④⑤のうち2項目以上。

慢性膵炎準確診:①または②の準確診所見が認められる。
早期慢性膵炎:③~⑥のいずれか2項目以上と早期慢性膵炎の画像所見が認められる。

難病情報センターのサイトから抜粋

定義

膵臓の内部に不規則な線維化、細胞浸潤、実質の脱落、肉芽組織などの慢性変化が生じ、進行すると膵外分泌・内分泌機能の低下を伴う病態である。

膵内部の病理組織学的変化は、基本的には膵臓全体に存在するが、病変の程度は不均一で、分布や進行性も様々である。

これらの変化は、持続的な炎症やその遺残により生じ、多くは非可逆性である。

慢性膵炎では、腹痛や腹部圧痛などの臨床症状、膵外分泌・内分泌機能不全による臨床症候を伴うものが典型的である。
臨床観察期間内では、無痛性あるいは無症候性症例も存在し、このような症例では、臨床診断基準をより厳密に適用するべきである。

慢性膵炎を、成因によってアルコール性と非アルコール性に分類する。

自己免疫性膵炎と閉塞性膵炎は、治療により病態や病理所見が改善する事があり、可逆性である点より、現時点では膵の慢性炎症として別個に扱う。

分類
・アルコール性慢性膵炎
・非アルコール性慢性膵炎(特発性、遺伝性、家族性など)
注 1. 自己免疫性膵炎および閉塞性膵炎は、現時点では膵の慢性炎症として別個に扱う。


慢性膵炎に関して詳しくは
難病情報センターのサイト
http://www.nanbyou.or.jp/entry/193
をご参照いただけば幸いです。


厚生労働省難治性疾患克服研究事業難治性膵疾患に関する調査研究班の全国調査によると、2011年1年間に医療機関を受診した慢性膵炎患者さんの数は約67,000人、人口10万人あたりの数は52.4人と推定されています。

2011年の1年間に新たに慢性膵炎を発病した患者さんは約18,000人でした。

慢性膵炎は、再燃と改善(間欠期)を繰り返しながら、徐々に膵臓が慢性炎症のために壊れて膵機能不全に進行していく病気です。

確定診断には画像診断或いは組織診断が必須です。

慢性膵炎の再燃期は、腹痛があり、アミラーゼ・リパーゼなどが高値となります。

慢性膵炎の再燃期は、急性膵炎に準じる治療が必要なので、絶飲食や、脂肪制限が必要であり、糖質制限食は無理です。

絶飲食の期間を過ぎても、腹痛を有する時期は、禁酒と脂肪制限が必要です。

食事中脂肪は1回摂取量10g以下、1日摂取量30g(0.5g/kg/日)が目安となります。

再燃を予防するには、アルコールを控えることと禁煙が最も重要です。

間欠期で腹痛がない時期も、確定診断がついている慢性膵炎では、高脂肪食は好ましくないので、糖質制限食はNGと思われます。

しかし、本格的に診断基準を満たしている慢性膵炎とアミラーゼが軽度高値だけで腹痛もないというレベルの状態とは違うと思います。

現在、アミラーゼやリパーゼが少し高いだけで、他の検査が正常で、腹痛もなければ糖質制限食はOKと思います。

しかしアルコールとタバコは、膵臓には大変良くないので注意が必要です。


江部康二
膵炎と糖質制限食。急性膵炎。
こんにちは。

<膵炎と糖質制限食>
今回まずは、急性膵炎のお話です。
次回は慢性膵炎のお話です。

1)「急性膵炎」
診断基準を満たす急性膵炎は、急性腹症の一つであり、軽症と重症に分けられます。

急性膵炎臨床診断基準  (2008年改訂) 
1) 上腹部に急性腹痛発作と圧痛がある。
2) 血中、または尿中に膵酵素の上昇がある。
3) 超音波、CTまたはMRIで膵に急性膵炎に伴う異常所見がある。

上記 3項目中 2項目以上を満たし、他の膵疾患および急性腹症を除外したものを急性膵炎と診断。ただし、慢性膵炎の急性発症は急性膵炎に含める。膵酵素は膵特異性の高いもの(膵アミラーゼ、リパーゼなど)を測定することが望ましい。

急性膵炎で症状があるときは、治療として、まず膵臓を安静に保つために食事や水分の摂取を禁じ、点滴を大量にします。
重症の場合は10%近くが死亡するこわい病気です。
たんぱく分解酵素阻害薬の投与。
感染症を予防するために抗菌薬も投与。
重症急性膵炎では、循環管理や呼吸管理などの集中治療。
動注治療、持続的血液濾過透析などが必要となります。

急性膵炎は、致命的経過をとることがある重症例を除き、
一般的には可逆性であり、臨床的回復後約 6 か月経過すると、膵臓は機能的・形態的にほぼ旧に復するとされます。

詳しくは
難病情報センター
http://www.nanbyou.or.jp/entry/119
急性膵炎のサイト
をご参照ください。

ともあれ急性膵炎の症状が、治まったら、糖質制限食は実践OKとなります。

一方アルコールが急性膵炎のもっとも多い原因ですから、過度な飲酒を控えることが大変重要です。

1日あたりの飲酒量が増えるに伴い急性膵炎のリスクが上昇することが知られています。


江部康二


☆☆☆
以下、難病情報センター
http://www.nanbyou.or.jp/entry/119
のサイトから一部抜粋。

1. 重症急性膵炎とはどのような病気ですか
急性膵炎とは、食物の消化に必要な消化酵素(炭水化物を分解するアミラーゼ、たんぱく質を分解するトリプシン、脂肪を分解するリパーゼなど)と血糖の調節に必要なホルモン(血糖を下げるインスリンと血糖を高くするグルカゴンなど)を分泌する膵臓に、急激に炎症が起こり激烈な腹痛がおこる病気です。本来、食べ物を溶かす働きをする消化酵素が、膵臓自身を溶かしてしまう病気ともいえます。急性膵炎の中には、膵臓が腫れるだけで容易に回復する比較的軽症のもの(浮腫性膵炎)から、膵臓や周囲に出血や壊死を起こし(壊死性膵炎)、急激に死に至る重症例まで様々あり、その程度により軽症と重症とに分類されています。このうち、重症急性膵炎とは膵臓だけではなく、肺、腎臓、肝臓、消化管などの重要臓器にも障害を起こしたり(多臓器不全)、重篤な感染症を合併する致命率の高い急性膵炎を指します。重症急性膵炎は、10%近くの方が亡くなられる重い病気で、厚生労働省の特定疾患(いわゆる「難病」)に指定されています。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか
急性膵炎は通常、持続的で激しい上腹部痛で発症します。急性膵炎の中には、膵臓が腫れただけで容易に回復する比較的軽症のもの(浮腫性膵炎)から、膵臓や周囲に出血や壊死を起こし(壊死性膵炎)、急激に死に至る重症例まで様々あり、その程度により軽症と重症とに分類されています。このうち、重症急性膵炎では膵臓だけではなく、肺、腎臓、肝臓、消化管などの重要臓器にも障害を起こしたり(多臓器不全)、重篤な感染症を合併することがあります。急性膵炎全体では約2%、重症急性膵炎では約8%の方が治療にも関わらず、亡くなられます。急性膵炎の長期予後は比較的良好であり、多くは発症前と同じ状態にまで回復して社会復帰することが可能とされます。しかし、膵臓が広い範囲で壊死に陥った場合には膵臓の機能が欠落し、糖尿病や消化吸収障害などの後遺症が出ることがあります。これらに対しては適切な治療(食事療法やインスリン投与、消化酵素剤の服用)により対応します。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか
アルコールが急性膵炎のもっとも多い原因ですから、過度な飲酒を控えることが大変重要です。1日あたりの飲酒量が増えるに伴い急性膵炎のリスクが上昇することが知られています。急性膵炎の発生要因に関する研究によると、急性膵炎発症前24時間に100グラム以上のアルコール相当量を飲酒した場合には、飲酒しなかった場合に比べて膵炎のリスクは4.4倍に上昇します。同様に、膵炎発症前1か月間の飲酒量(アルコール相当量)が1日あたり50-99グラムでは3.5倍、100グラム以上では5.4倍に膵炎リスクが上昇します。
1型糖尿病のリチャード・K・バーンスタイン医師、お元気です。
リチャード・K・バーンスタイン医師
ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BBK%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%B3

リチャード・K・バーンスタイン(英語: Richard K. Bernstein, 1934年6月17日生まれ )は、
アメリカ合衆国の医師。糖尿病患者の血糖値の正常化に向けて、炭水化物の摂取を制限する食事法を奨めている。バーンスタイン自身も1型糖尿病患者であり、12歳の時に発症した。ニューヨーク州・ママロネック(英語版)に構えた自身の診療所で、糖尿病患者、糖尿病予備軍の患者の治療を行っている。

生い立ち

ニューヨーク市に生まれる[1]。12歳の時に1型糖尿病を発症する。今後、20年以上に亘って、「ごく普通の糖尿病患者」と呼ばれる状態が続くことになる。医者や従来までの糖尿病ガイドラインに従っていたバーンスタインであったが、糖尿病の合併症は悪化の一途を辿っていた。30代のころには、身体の内部の悪化がかなり進んでいた[2]。




バーンスタイン医師の糖尿病の解決 第4版 
リチャード・K・バーンスタイン著
柴田 寿彦訳
体 裁 A5判,482ページ
定 価 本体5,800円+税
発 行 メディカルトリビューン
発 売 金芳堂
2016年5月刊行


バーンスタイン医師は、1934年6月17日生まれですから
2022年8月現在、88歳です。
12歳のとき、1型糖尿病を発症ですから、当時の1型糖尿病患者としては
かなりの御長命と言えます。
また、糖尿病合併症もなく、お元気にお過ごしです。

2015年にスコットランドのダンディー大学が2万4,691人の1型糖尿病患者を対象に行った調査によると、
20代前半の1型糖尿病患者は健康な人と比べて男性で11.1年、女性で12.9年平均余命が短いということが報告されています。

なお、1975年の米国の調査では1型糖尿病患者の寿命は健常者よりも27年短いと報告されていたため、
この40年で1型糖尿病患者の寿命は大幅に改善されていることがわかります。


☆☆☆
以下、メディカルトリビューンのサイトから、私のブックレビューを転載です。

https://medical-tribune.co.jp/news/2016/0526503509/
氏の生き様が詰まった書
【書評】バーンスタイン医師の糖尿病の解決第4版
高雄病院理事長 江部 康二

ワーク・ライフ | 2016.05.26 17:30

 2007年にDr.Bernstein's Diabetes Solution(第3版)が出版され,その後糖尿病治療において新しい発展があり,
2011年にDr.Bernstein's Diabetes Solution(第4版)が改訂出版された。

本書はその訳本であり,
新型のインスリン注射薬,DPP-4阻害薬,インクレチン関連注射薬などの解説も追加してありバージョンアップしている。

 本書にはバーンスタイン医師の生き様そのものが詰まっているが,まずはその波瀾万丈の軌跡をたどってみたい。

バーンスタイン医師は,1946年,12歳のときに1型糖尿病を発症し,

当初から糖尿病専門医に通院して従来の「低脂肪・高炭水化物食(カロリーの45%は炭水化物)」と
大量のインスリン注射というパターンを20年以上続けた。

その結果,30歳代でとうとう蛋白尿が出現し糖尿病腎症第3期となり,さまざまな合併症も出現した。

この間,頻回の低血糖発作に苦しみ,蛋白尿は次第に増加していった。

 1969年,35歳のとき,血糖自己測定器が新発売され,技師という職業柄,
血糖値と食事の関係を3年間にわたって徹底的に検証した。

当時はまだ「血糖値の正常化によって,糖尿病合併症を予防する」という概念がどこにもなかったが,転機が訪れる。

動物実験ではあるが「血糖値の正常化で合併症の予防・改善ができる」という論文を発見したのである。

しかし主治医に言っても「動物と人間は同じじゃない,人間の血糖値を正常化することはできない」と否定された。

 そこで1973年,糖尿病発症後27年目の39歳のときから,彼は彼自身の身体を実験台にして,

「血糖値を正常に保つ」ように食事の糖質量とインスリン単位を調節し始めた。

いろいろな人体実験をして血糖値を正常範囲に保つ方法を確認していった。

この過程において,彼はついに『厳格な糖質制限食』を導入し,
主治医が決めたインスリン投与量を激減させることに成功し目標を達成した。

蛋白尿も改善・消失し,何年も続いた全身疲労感がなくなった。

 彼は彼自身の発見を他の糖尿病患者にも知らせたいと思い,医学雑誌に論文を投稿するが相手にされない。

医師でないものが発言しても説得力を持たないと判断した彼は,自らが医師になることを決意し,
1979年,45歳のときにアルバート・アインシュタイン医科大学に入学した。

1983年に49歳で医師になり,糖尿病治療学を徹底的に研究し,診療所を開設して多数の患者さんを診察し,

そのデータを参考に本を出版して,厳格な糖質制限食を中心とした糖尿病治療の普及に努めてきた。

糖質制限食こそが,従来の治療法ではどうしようもなかった1型糖尿病患者であるバーンスタイン医師の命を救ったのである。

 2016年4月現在,合併症もなく元気に過ごしておられ,現在は82歳くらいと思う。

彼の生存そのものが提唱する治療法の有効性の証明といえる。

糖尿病治療に当たる医師はもちろんのこと,
1型および2型糖尿病患者にも本書の数々の実戦的なノウハウは大いに役立つと思うので,ぜひご一読あれ。


バーンスタイン医師の糖尿病の解決 第4版 
リチャード・K・バーンスタイン著
柴田 寿彦訳(総合病院南生協病院 名誉院長)
体 裁 A5判,482ページ
定 価 本体5,800円+税
ISBN 978-4-7653-1674-3
発 行 メディカルトリビューン
発 売 金芳堂
 本書は1997年5月に初版が刊行され,それまでの糖尿病治療を覆す内容から全米ベストセラーとなった。
日本語版は2005年に原著2版を刊行,読者の声に応えて第3版を刊行し,このたび第4版がついに刊行―。

元ボンドガールのハル・ベリー、22歳で糖尿病と診断されてから「絶対に食べない」3つの食品
こんにちは。

ヤフーニュースに、
2022年8月14日(日)

https://news.yahoo.co.jp/articles/7ebc93e7ba99886a2c5c4bb60750e16240185c77
元ボンドガールのハル・ベリー、22歳で糖尿病と診断されてから「絶対に食べない」3つの食品


という記事が掲載されました。
山梨人さんから、コメントを頂きました。
ありがとうございます。
以下、記事の要約と私の意見を述べてみます。

ハリウッドハリウッド女優のハル・ベリーハル・ベリーは
22歳のときに糖尿病糖尿病と診断されて以来、
食生活を劇的に変えたという。
「いくつかの食べ物には一切口にしていない」という。
「特定の食べ物を避けるのは難しいけれど、それらを今も食べたいと思うかなど時々聞かれるけれど、
私の答えはノー。
確かに、最初は信じられないほど難しいことは事実。
でもいくつかの特定の食品をやめた後、
私は無限の健康と活気を取り戻した気分になり、
もう後戻りはしていない。ハルが別れを告げた3つの食べ物とは。


この冒頭のハル・ベリーの発言で、
どうやら糖質制限食実践の予感がしますね。


1. 砂糖
糖尿病と診断される直前の19歳か20歳のとき、私は完全に砂糖依存症でした。砂糖漬けだったのです。
しかし糖尿病の診断後、スイッチが入ったように感じました。健康が危ぶまれていたので、それ以来砂糖で満たされた人生をきっぱりやめました。


ハル・ベリー、素晴らしい決断です。
結局、自分の頭で考えて、自分で決断して選択するしかないのです。


最初はとても大変でした。私の身体は砂糖に依存していたので、
やめたときは頭痛とひどい気分の落ち込みがあったほど。
でも数週間のうちに私は気分が良くなり始めました。


おそらく砂糖だけでなく「炭水化物依存症」であったと思われます。
炭水化物依存症から抜け出すのは「コカイン依存症」「アルコール依存症」と
同様、強い意志が必要です。
ハル・ベリーはとても強い意志力をもって
砂糖や炭水化物をきっぱり、止めていて、素晴らしいです。


結局、甘いものを食べたいという私の欲求は完全になくなったのです。
もう味も好きじゃない。
今、目の前に巨大なデザートの皿が置かれたとしても、
まったく興味がわきません。


つらい移行期間を経て、一旦炭水化物依存から脱却してしまえば、
「眠気がない、気分変動がない、動悸や息切れがない、冷や汗や頭痛もない」
など、糖質制限食実践で得られる、多くのメリットを体験できているので
継続するモチベーションはしっかりあると思います。


2. 白い炭水化物
糖分の摂取をやめた後は、
炭水化物が直接糖分に分解されることがわかりました。
糖尿病を上手に管理するためそれらもやめました。
ごはん(玄米でも)、パスタ、パンを捨て、
そして振り返ることはありませんでした。


大正解です。表題が「白い炭水化物」だったので
玄米や、全粒粉のパン(茶色い炭水化物)ならOKという路線は
まずいと思っていたのですが、ハル・ベリー、花丸でした。


私はこれらの白い炭水化物を食生活から取り除き、
ケトライフスタイルについてさらに学びました。
そして高糖質食の摂取をできるだけ少なく、
代わりに低糖質の代替食品とたっぷりの健康的な脂肪を摂ることにしました。


ハル・ベリー、スーパー糖質制限食(ケトジェニックダイエット)に関しても
しっかり理解していて、素晴らしいです。


じゃがいもをつぶす代わりに、バターと塩でカリフラワーのマッシュを作る。それはとても美味しくクリーミーで、私の子どもたちは違いさえ知りません。
しかし、子どもたちがパスタを食べるときは、ズッキーニの麺を選びます。これらの代替品により、私は子どもたちと一緒に食事を楽しみながら、自分に合った方法で体に栄養を与えることが簡単になります


自分の健康のためにも子供たちの健康のためにも
「カリフラワーのマッシュ」「ズッキーニの麺」
大正解の代替品です。



https://news.yahoo.co.jp/articles/7ebc93e7ba99886a2c5c4bb60750e16240185c77?page=2

3. ワイン習慣
私にとってパズルの最後のピースはワインでした。
数年前にDry Farm Winesを発見したとき、好奇心をそそられました。
ナチュラル、オーガニックオーガニック、バイオダイナミックのワインは、砂糖や化学薬品を一切含んでおらず低糖質のため、ケトフレンドリーであり、普通のボトルほどアルコールはありません。
今までのワインはよく頭痛を起こしましたが、これらは違う。


ワインをあきらめるのではなく、自分に合うワインを発見されたようで
良かったです。頭痛がないのは良かったです。
もっとも、ワインに関しては、赤でも白でも
辛口であれば、糖質含有量は極めて少なく、血糖値上昇の心配はないので
ブログ読者の皆さんには、適宜、嗜んで頂ければ幸いです。



江部康二
「タンパク質と亜鉛こそ、健康の鍵」無料講演会。
こんにちは。
2022年8月21日(日)13時~16時に船橋きららホールで
宗田先生、寺田先生、奥平先生の御3名による
無料講演会が開催されます。

タイトル「タンパク質と亜鉛こそ、健康の鍵」
https://i-my.jp/seminar.html



オンライン配信は、前もって1000円でチケット購入となります。
★オンライン配信(1,000円(税込+手数料込)、
https://kipz.fun/mall/event/1540


「タンパク質と亜鉛」
私にとっても大変興味深いテーマです。
一定の年齢になると、亜鉛の消化吸収能力が衰えるので、
40代・50代以上になると亜鉛不足の方が多いです。
そして糖尿人は亜鉛不足の方が多いです。
またアトピー性皮膚炎の人も、亜鉛不足のことが多いです。
私の診察室には「亜鉛を多く含む食品」のパンフレットがおいてあります。
シンプルには、牡蠣をはじめとして動物性蛋白質をしっかり食べましょう。


ブログ読者の皆さん。
興味ある方は、是非ご参加あれ。


江部康二



テーマ
【 タンパク質と亜鉛こそ、健康の鍵 】
 未来はあなたのカラダ次第!子どもから大人まで、食事の基礎を学ぼう


日時 
2022年8月21日(日)13時~16時
開場/12:30 開演/13:00

場所 
船橋市民文化創造館きららホール (JR船橋駅南口、京成船橋駅より直結フェイルビル6階)

演者
1.宗田哲男(産婦人科医)
 宗田マタニティクリニック院長(千葉県市原市)
【 母子を救う妊婦食と離乳食 】
2.奥平智之(精神科医)
 日本栄養精神医学研究会 会長・医療法人山口病院 副院長(埼玉県川越市)
【 コロナ対策とメンタルヘルスにおける栄養の重要性 】
3.寺田伸一(形成外科医)
 船橋ゆーかりクリニック院長(千葉県船橋市)
【 亜鉛から始まる美肌の世界 】


2022年9月11日(日)、一般向けオンライン講演会の開催です。
こんにちは。
新型コロナ、日本の新規感染者数増加の勢いは高止まりといった状況です。
なかなか対面式の講演会を開催することが困難であり、
2022年9月11日(日)、
(一社)日本糖質制限医療推進協会主催一般向けオンライン講演会を開催することとしました。


「糖尿病の治療を受けているのによくならない方へ 
~糖尿病治療のベストな選択!糖質制限食の効果と安全性」
https://www.toushitsuseigen.or.jp/activities/cr4r


と題して、お話しします。
日本では、糖尿病合併症として、毎年新たに
約16000人以上の人工透析、
約3000人以上の失明、
約3000人以上の足切断

を生じています。

米国では糖尿病は増え続けていますが、糖尿病合併症は激減しています。
しかし、日本では糖尿病合併症は一向に減りません。
この差はいったい何なのでしょう?
使用している内服薬や注射薬は、日本と米国で、全く同一です。

何故、日米でこれほどの差があるのか本講演で
その原因を明らかにします。

また、糖尿病合併症を予防し、血糖コントロール良好を保つことのできる
糖質制限食の最新知識をわかりやすく系統的にお話します。


江部康二



以下事務局からのお知らせです。

*********

ブログ読者の皆様、弊会のイベントへ多数ご参加いただいておりまして、ありがとうございます。

本日はオンライン講演会の開催をご案内申し上げます。

2022年9月11日(日)、「糖尿病の治療を受けているのによくならない方へ ~糖尿病治療のベストな選択!糖質制限食の効果と安全性」と題して、オンライン講演会を開催いたします。

講師は、江部理事長です。たくさんのご参加を心よりお待ちしております。

☆講演会情報URL:http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity

//////////////ご案内/////////////////

(一社)日本糖質制限医療推進協会主催<オンライン講演会>

『 糖尿病の治療を受けているのによくならない方へ
  ~糖尿病治療のベストな選択!糖質制限食の効果と安全性 』

■日時:2022年9月11日(日)13:30~15:00頃

■講師:江部 康二 医師
    (一財)高雄病院 理事長 / (一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長

*** 講師より ***

糖尿病治療は多くの中高年にとって関心の高い、喫緊の課題です。

そして、糖尿病の治療を受けているのによくならない方は、結構な数おられると思います。

医師や栄養士の指導のもとに、「カロリー制限食」をひもじい思いで頑張っているのに、HbA1cが一向に改善しないケースも多いです。

ここで、「糖質制限食」の出番です。

血糖値を直接上昇させるのは三大栄養素のなかで、糖質だけです。

つまり、カロリーを制限しても高糖質な食事では、食後高血糖を防げず、糖尿病の改善や合併症の予防は困難であり、現実に減っていません。

一方で、糖質の摂取を控えると、食後高血糖を防げ、良好な血糖コントロールが可能となります。

糖質制限食は、1999年から京都・高雄病院において糖尿病治療食として開始され、「糖尿病合併症を予防できる唯一の食事療法」として画期的な成果をあげてきました。

米国糖尿病学会は、2019年4月のコンセンサス・レポート以降、「血糖値改善効果に関して、糖質制限食が最もエビデンスが豊富である」と明言しています。

今回は、糖質制限食による糖尿病治療の理論と実践についてお話しします。

また、従来の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)と糖質制限食の治療効果の比較をはじめ、症例も報告します。

*********

■受講費:賛助会員 無料 / 一般(賛助会員の方以外) 2,000円

■お支払い方法(賛助会員の方以外):クレジットカード/銀行振込/郵便振替 

*事前決済のみとなります。

*領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。

■お申し込みの流れ:

1. 下の「お申し込み方法」の該当するものからお申し込み下さい。
2. 事務局より一両日中(8月13~15日と日祝を除く)に、折り返しメールでご連絡申し上げます。

<一般(賛助会員の方以外)>
3.ご入金の確認後、予約確定のメールをお送りします。

■お申し込み方法:

★賛助会員の方:事務局へメールにて、お申し込み下さい。

★賛助会員入会+講演会参加をご希望の方:

1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up

2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
「入会ならびに講演会出席のお問い合わせ」を選択いただき、
「通信」欄に、「9/11オンライン講演会、参加希望」 とご記入下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact

★一般(会員以外)で、講演会の受講のみご希望の方:

下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-gen

■補足・ご案内事項:

*Zoomを使用したオンラインセミナーです。

・スマートフォンでもご参加可能ですが、パソコンかタブレット端末でご参加いただくと、画面が大きいため、スライド資料を閲覧しやすいです。

・事前に招待URLをお送りし、当日はそのURLにアクセスして、オンライン受講(参加)していただくかたちとなります。

・詳細はご予約後にご案内申し上げます。

*講演は60分程度の予定です。その後、質疑応答(Zoomの挙手機能を使用)も予定しております。

*当日の動画は、後日一定期間ご覧いただける予定です。(参加予約者様限定)

*予約制です。当日参加はできません。

*キャンセルは9月9日(金)までに事務局までご連絡願います。
それ以降のキャンセルの受講費ご返金は対応致しかねますので予めご了承下さい。
糖質制限食で血糖コントロール良好。ソモジー効果?
【22/08/12 shig
江部先生

いつもお世話になっております。
10年前に先生の著書を拝読して以来、ずっと糖質セイゲニストです。
おかげさまで、Max 6.8%だったHbA1cはほぼ6%以下に収まっていますし、
早朝血糖値も100mg/dl以下です。
糖質制限開始直後に、血糖降下薬からも離脱しています。

最近、私も興味本位でFGM(FreeStyle Libre)を自費購入し、装着してみました。
糖質制限食のおかげで、食事前後の変動幅は40mg/dl程度に収まっており予想通りだったのですが、
意外にも、夜間就寝時には1時間のうちに25~30mg/dlほどの急激な低下と上昇が見られました(逆スパイク、とでもいうのでしょうか)。その際、血糖の最低値は70mg/dlを下回っており、覚醒時にはあり得ない数値が出ていたので驚いた次第です。

就寝時に装着しているスマートバンドで計測した心拍数は、
低血糖発生の直後に100~120回/分ほどまで上昇していました。

FGMをつける前までは、なぜ夜間に突然心拍数があがるのだろうと不思議に思い、
主治医からは不整脈かもしれないので、
今度ホルター心電図検査をしてみようかとも言われていたのですが、
まさか血糖の「逆スパイク」が起こっていたとはまったく考えていませんでした。

これは医学的にはソモジー効果に分類される現象かと思うのですが、
インスリンや血糖降下薬を服用していない場合でも発生する機序にはどのようなことが考えられるでしょうか。
血糖値が突然下がってしまうという点に、なにか糖尿人に特有の問題(あるいは他の疾病との関係)があるのか、興味があります。

今までは正常人や糖尿病予備群がFGMをつけることがなかったので、
FGMの普及により、もっといろいろなことがわかってくるかもしれませんね。FreeStyleLibreがせめて今の半額ぐらいになれば、
常時装着できるのになあと思っています。

今では(セイゲニストとしては本意ではないのですが仕方なく)就寝前に小さじ1杯のアカシヤ蜂蜜をなめて夜間低血糖に対応しています。「逆スパイク」は完全には治まりませんが、低血糖域まで血糖値が落ちることはなくなっています。 】


こんばんは。
shig さんから、嬉しいコメントをいただきました。
コメント、拙著のご購入、ありがとうございます。


「10年前に先生の著書を拝読して以来、ずっと糖質セイゲニストです。
おかげさまで、Max 6.8%だったHbA1cはほぼ6%以下に収まっていますし、
早朝血糖値も100mg/dl以下です。
糖質制限開始直後に、血糖降下薬からも離脱しています。」


血糖値、HbA1cの改善、血糖降下薬からの離脱、
素晴らしい成果です。
糖質制限食を上手に実践しておられるのでしょう。
内服薬なしで、糖質制限食のみで、血糖値、HbA1cが、
基準値内ですから、shig さんは、
「糖質制限食を実践する限り正常人」と言えます。


「夜間就寝時には1時間のうちに25~30mg/dlほどの急激な低下と上昇が見られました(逆スパイク、とでもいうのでしょうか)。その際、血糖の最低値は70mg/dlを下回っており、覚醒時にはあり得ない数値が出ていたので驚いた次第です。
就寝時に装着しているスマートバンドで計測した心拍数は、
低血糖発生の直後に100~120回/分ほどまで上昇していました。」


なるほど、今まで、原因不明で、夜間心拍数が上昇していたのが、
FGM(FreeStyle Libre)装着のおかげで、
「夜間低血糖のために心拍数が上昇」 と判明しましたので
よかったと思います。

「ソモジー効果」とは、インスリン療法を行っている患者さんで、低血糖の後に反動的に血糖値が上昇する現象です。
「ソモジー効果」のソモジーは発見者の名前です。
低血糖状態では、カテコールアミン(ノルエピネフリン、エピネフリン)やコルチゾールなどのインスリン拮抗ホルモンが分泌され、その結果、高血糖となります。

コルチゾール
成長ホルモン
ノルエピネフリン
エピネフリン
グルカゴン

が血糖値を上昇させるホルモンです。

これらのうち成長ホルモンは、午前0時をピークに
急速に分泌が減少します。

このため、午前0時から午前2時にかけて低血糖となる可能性はあります。
勿論個人差はあります。


「今では(セイゲニストとしては本意ではないのですが仕方なく)就寝前に小さじ1杯のアカシヤ蜂蜜をなめて夜間低血糖に対応しています。「逆スパイク」は完全には治まりませんが、低血糖域まで血糖値が落ちることはなくなっています。」


アカシヤ蜂蜜だとインスリンだけが分泌されるので、さじ加減がとても
難しいと思います。
タンパク質摂取なら<インスリンとグルカゴン>が共に分泌されます。
夕食後の夜食で、あるていどタンパク質を摂取しておけば就寝後の低血糖が
予防できると思います。


江部康二
「質の良いHbA1c」と「質の悪いHbA1c」。FREESTYLEリブレの保険適用拡大。
【22/08/10 西村 典彦
CGM,FGMの効果
私のHbA1cの生涯のMAX値は6.9ですが、微少な眼底出血痕がありました。
糖質制限後は速やかに消失しましたが、7.0以下でも合併症は起こります。
糖質制限前、夕食後には、起き上がれないくらいの眠気に襲われたり、
夜中に着替えるくらい大量の寝汗をかいたりすることが頻繁にありました。
75gOGTTを受けた時、4時間後にリブレで40mg/dLとなり、異様な眠気に襲われ、食パン1枚を捕食しました。
糖質制限前は、毎晩のように低血糖を起こしていたものと思われます。

その後、4年以上、私費でフリースタイルリブレとSMBGでデータを取り続けたおかげで、
何を食べるとどのような血糖変化になるかはおよそ把握できました。

定年退職後は、収入もないので高価なフリースタイルリブレは、旅行など日常と生活が変わる時のみ装着し、
平素は早朝のSMBGのみとして、半年に一度のクリニックでの検査にどのような変化があるかを実験中です。

以前から、ケトン電極も抜き打ち的に使用し、ケトン体値をチェックし、糖質制限ができている事も確認しています。
今のところ、HbA1c、血糖値には大きな変化がないので、早朝のSMBGでの確認のみで、
以前と同様の糖質制限が継続されているはずです。

リブレで長期に血糖変化を見てきたので食事と血糖変化の関係が細かく理解でき、
食習慣を改善できたおかげと思います。
現在も食べたものはすべてPFCを記録しています。
ただ、リブレは高価で無収入の現在、私費で継続的に使用するには負担が大きすぎます。
これで合併症が防げるのなら、保険適用にしても十分に元が取れるくらいの効果はあるはずです。
体温計や、血圧計のようにもっと自由にCGM、FGMが利用できる環境にならないものかと思います。】



西村 典彦 さん

貴重な体験報告をありがとうございます。

「私のHbA1cの生涯のMAX値は6.9ですが、微少な眼底出血痕がありました。
糖質制限後は速やかに消失しましたが、7.0以下でも合併症は起こります。」


仰る通りと思います。
糖尿病学会のいう[太字]「合併症予防の目標、HbA1c6.9%以下/太字]
というのは、あくまでもアバウトな目安にすぎませえん。

そもそも、
HbA1cには「質の良いHbA1c」「質の悪いHbA1c」があります。

糖質制限食実践で達成されるHbA1cは、
「食後高血糖」「血糖変動幅増大」「空腹時低血糖」
のない、「質の良いHbA1c」です。
従って、血糖コントロール良好と糖尿病合併症の予防が可能です。

これに対して現行の糖尿病食(低脂肪・高糖質食)
の場合は、毎食ごとに、「食後高血糖」と「血糖値変動幅増大」を生じていて「質の悪いHbA1c」です。
その後空腹時や夜間睡眠時に「空腹時低血糖」を生じます。
「食後高血糖」「血糖変動幅増大」「空腹時低血糖」はいずれも
活性酸素を発生させ、酸化ストレスリスクとなり、
糖尿病合併症の要因となります。


「糖質制限前、夕食後には、起き上がれないくらいの眠気に襲われたり、夜中に着替えるくらい大量の寝汗をかいたりすることが頻繁にありました。」

この頃は、まさに「質の悪いHbA1c」であったと思われ、
そのため、眼底出血が生じたと考えられます。
糖質制限食実践で、速やかに消失して良かったです。


「その後、4年以上、私費でフリースタイルリブレとSMBGでデータを取り続けたおかげで、何を食べるとどのような血糖変化になるかはおよそ把握できました。」

正解です。
自分で、、何を食べるとどのような血糖変化になるかを把握することは
「食後高血糖」「血糖変動幅増大」「空腹時低血糖」をコントロールする上で
大変重要な要素です。


「平素は早朝のSMBGのみとして、半年に一度のクリニックでの検査にどのような変化があるかを実験中です。以前から、ケトン電極も抜き打ち的に使用し、ケトン体値をチェックし、糖質制限ができている事も確認しています。」


こちらも正解です。
西村さんくらい「糖質制限理論」に精通しておられたら
半年に一度のクリニック受診で、充分です。
ケトン体値チェックも抜かりないです。

なお、
インスリン療法を行っているすべての糖尿病患者さんに
FREESTYLEリブレの保険適用が拡大されました。

2022年4月1日より適用されました。
好ましい変化です。

アボット社。
https://www.abbott.co.jp/media-center/press-releases/03-04-2022.html



江部康二

 何故、日本で糖尿病合併症が減らないのか?・・・CGMで明らかに。
こんにちは。
 
高雄病院では糖尿病患者さんに
CGM(持続ブドウ糖測定)を実施しています。
 
初回入院の患者さんは、
第1日目と2日目は、従来の糖尿病食(高糖質食)を食べて貰います。
第3日目からは、スーパー糖質制限食に変更します。
摂取カロリーは、従来の糖尿病食とスーパー糖質制限食で、同一としています。
 
CGMは非常に情報量が多い検査で、極めて有用です。
もっと、普及したらいいのになと思います。
 
例えば内服薬なしで、第1日目と2日目に
従来の糖尿病食を食べていただいた2型糖尿病患者さんで
夕食後は軽く200mg/dlを軽く超えていた方がおられました。
その人は翌朝明け方の午前3時頃には、
血糖値は60mg/dlを切っていました。
自覚症状はなかったので、CGMをしていなかったら、
全くわからなかったと思います。
HbA1cは6.8%くらいでまあまあコントロール良好でした。
午前8時の空腹時血糖値は、100mgくらいでした。
 
そのとき思ったのは、薬があるなしに関わらず、
実は日本中にこのようなケースが沢山あるのではないかということです。
 
このケース、HbA1cと午前8時の血糖値はコントロール良好ですが、
24時間を通して観察すると「血糖値の乱高下」が生じているので
酸化ストレスが増大していて、糖尿病合併症のリスクはたっぷりあります。
HbA1cはあくまでも平均血糖値を示しているに過ぎないので、
<血糖値の乱高下、平均血糖変動幅増大、食後高血糖、低血糖>
が存在したとしても、それを拾い上げることは不可能なのです。
 
しかしながら、現行の日本糖尿病学会の「血糖コントロール目標」は
HbA1cであり、7.0%未満が、合併症予防の目標値です。
 
そしてほとんどの病院において、
「HbA1cと早朝空腹時血糖値」により、糖尿病コントロールの評価をしています。
これでは、
「血糖値の乱高下 → 平均血糖変動幅増大」 及び 「食後高血糖」
という最大の酸化ストレスリスクも「低血糖」もチェックできません。
 
従って、例え「HbA1cと早朝空腹時血糖値」がコントロール良好でも、
糖尿病合併症を起こしてしまう糖尿病患者さんが、後を絶たないわけです。
 
 
日本では、2012年の統計まで糖尿病患者は増え続けています。
そして、日本では、糖尿病合併症は米国と異なり減少していません。
米国では糖尿病は増え続けていますが、糖尿病合併症は激減しています。
 
日本糖尿病学会『第56回日本糖尿病学会年次学術集会』熊本宣言2013
の記載が以下です。
『糖尿病合併症で苦しむ患者さんの数は今なお減少していません。
糖尿病腎症で透析になる人が年間16000人以上。
糖尿病網膜症で失明する人が年間3000人以上。
糖尿病足病変で切断する人が年間3000人以上。』

日本では、ほとんどの糖尿病患者さんが
糖質摂取比率50~60%のカロリー制限食を指導されています。
高糖質食を糖尿病患者さんが摂取すれば、
<血糖値の乱高下、平均血糖変動幅増大、食後高血糖>を必ず生じます。
人によれば、低血糖を生じることもあります。
これでは、糖尿病合併症が、減らないのも当たり前としか言いようがありません。
 
スーパー糖質制限食なら
<血糖値の乱高下、平均血糖変動幅増大、食後高血糖、低血糖>
は生じません。
このことは、CGMで明らかです。
純粋理論的に、糖尿病合併症を予防できる唯一の食事療法が
『糖質制限食』であることは、明白と思います。
 
日本全国の糖尿人の皆さん、
とにかくできるだけ早く、間に合う内に糖質制限食を導入して
糖尿病合併症を防ぎましょう。
 
 
江部康二
適正体重は?糖質制限食で体重が減りすぎる場合は?
こんにちは。
糖質制限食で体重が減りすぎる場合は、
厚生労働省のいう「推定エネルギー必要量」は確保して、
脂肪と蛋白質を充分量摂取しましょう。

1)世界ガン研究基金の報告(2007)では、ガン予防にはBMI:20~25未満 が目標。
2)ランセットの論文では欧米人はBMI:22.5~25 が総死亡率が一番低い。(*)
3)ニューイングランド・ジャーナルの論文では、アジア人はBMI:23~27 が 
  総死亡率が一番低い。(**)

1)2)3)を考慮すれば、
体重に関しては、BMI:20 は確保する方が、安全といえます。
総死亡率を低下させて、がん予防するには、BMI20以上で25未満が最も推奨されます。

(*)
Prospective Studies Collaboration
PSC, Whitlock G, et al. Lancet 2009; 373: 1083-96

(**)
Zheng W, et al.N Engl J Med. 2011 Feb 24;364(8):719-29.
Association between body-mass index and risk of death in more than 1 million Asians.



糖質制限食で体重が減りすぎる場合
スーパー糖質制限食実践と厚生労働省の言う「推定エネルギー必要量」を摂取なら、
適正体重になるケースが殆どです。
しかし、「糖質制限食で体重が減りすぎた。」と訴える人も時におられます。

摂取エネルギー < 消費エネルギー →  体重減少

スーパー糖質制限食で体重が減りすぎる場合は、
消費エネルギーが摂取エネルギーを上回っていることが明白です。
適正体重に関してBMIが、20以上~25未満 の間で、
その個人の一番体調がいい体重が、一つの目安です。

「厚生労働省・日本人の食事摂取基準」における推定エネルギー必要量を
確保していればスーパー糖質制限食実践で適正体重になれば、
それ以上減ることはありません。

「日本人の食事摂取基準」(2020年、厚生労働省)
に示す推定エネルギー必要量の範囲、

https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

推定エネルギー必要量(一日あたり)
             男性             女性
15-17才     2500 2850 3150   2050 2300 2550kcal
18-29才     2300 2650  3050   1650  1950   2200
30-49才     2300 2650  3050    1750  2000  2300
50-69才     2100 2450  2800   1650  1900 2200 
70才      1850 2200  2500    1500  1750 2000

身体活動レベル 低い 普通 高い   低い  普通  高い

くらいが目安です。



痩せ過ぎの人が「スーパー糖質制限食+推定エネルギー必要量」の実践により、
適正体重に増えることも経験します。
例えばBMIが17の人が、18になり20になりといったパターンです。

痩せすぎる場合の摂取エネルギー確保には、脂質の摂取が一番有効です。
脂質摂取なら、血糖値は全く上昇せず、インスリンの追加分泌もゼロです。
オリーブオイルをしっかり料理に使用したり、
ギリシャやスペインやイタリアのように直接飲んだり、
低糖質パンにつけて食べたりするのもよいでしょう。

やや高価ですが、エゴマ油や紫蘇油のαリノレン酸を、
生(非加熱)でそのまま野菜サラダにかけて食べるのもいいです。
脂質エネルギー確保には、ナッツ類ではクルミ・松の実・カボチャの種が、
糖質がとても少なくていいです。
乳製品の中では、チーズが脂質が多く糖質が少なく、良質のエネルギー源です。
他のナッツ類も、20~30粒くらいなら、糖質制限食OKの間食で、糖質は5g以下です。
果物のなかでは、アボカドやオリーブが糖質が少なくていいです。

果糖は血糖値をあまり上げずに直接中性脂肪に変わるので、体重増加に有効です。
ただ果糖はブドウ糖の数十倍、AGEsに変わりやすいので、
アボカドとオリーブ以外の果物は、とにかく少量にとどめるのが無難です。


江部康二
朝食にパンを食べるな。福島正嗣著。プレジデント社。
朝食にパンを食べるな。
福島正嗣著。
プレジデント社。
2022年8月2日発行
https://www.amazon.co.jp/dp/4833424622/


こんにちは。
「朝食にパンを食べるな。福島正嗣著。プレジデント社。」
が、2022年8月2日、発行されました。

早速、キンドルで購入して、読みました。
胃内視鏡6万件、大腸内視鏡3万件の消化器内科医
糖質制限食実践で、自らのメタボを克服した体験をもとに
「朝食にパンを食べるな」を執筆されています。
とても説得力があります。

何となく今まで、直感で三大栄養素の中で
炭水化物が一番、胃に滞留すると思っていたのですが、
バリバリの消化器内科医の福島先生が
「炭水化物が8時間で、脂質と蛋白質は30~60分」
と明言しておられるので、おおいに安心しました。

穀物のデンプンでαデンプンは、唾液のアミラーゼで分解されるので
炭水化物摂取で速やかに血糖値が上昇する
というのも。
納得です。

以下、私が自分のために、とても役に立ったページを
箇条書きにしておきます。

とても良い本です。
ブログ読者の皆さんも、是非、ご一読頂ければ幸いです。


江部康二


P8
パンの害。
糖質の害。
症状。

P21
糖質制限食。

P34
グルテンが消化・吸収を妨げる。

P37
食塩が胃を傷つける。

P72
栄養素の胃の滞留時間。
炭水化物がながい・・・8時間
脂質と蛋白質は30~60分。

P77
穀物のデンプンでαデンプンは、唾液のアミラーゼで分解されるので
炭水化物摂取で速やかに血糖値が上昇する。
唾液のアミラーゼで分解されなかったデンプンは、胃に滞留する。

P82
コレシストキニン。
逆食。

P97
AGEと活性酸素は相互に影響して、慢性炎症を生じる。

P104
機能性ディスペプシア。
胃もたれや胃痛の4~6割は機能性ディスペプシアである。

P106
過敏性腸も糖質制限で改善することが多い。

P108
SIBO(小腸細菌増殖症)。
低FODMAP食。

P112
好酸球性食道炎。
好酸球性胃腸炎。
胃カメラで、5000件に1件。
実態はもっと多いか?
難病指定。

P116
潰瘍性大腸炎。
糖質制限食有効。
しかし
薬物も併用。

P122
脂質異常症。
高中性脂肪血症。
糖質が原因。

P128
肉食と大腸癌。
発症リスク。
鶏肉OK。
赤身肉は少しリスク。

P143
胃腸は、4~5時間以上、食べ物を入れない時間を作らないと
正常に働かない。

P194
糖質制限開始初期の低血糖。
1~2週間はあり得る。
糖新生が追いつかない。
筆者は1週間後に低血糖でた。

P203
細胞の老化。
慢性炎症。

P209
長寿を妨げる2つのスイッチ。
IGF-1シグナル。
mTOR(エムトア)シグナル。

P213
ケトン体。
長寿遺伝子を活性化。

P217
断食がミトコンドリアにいいわけ。

P229
がんの予防には、高インスリンを避ける。




ビタミンのサプリメントで骨折が増える 1.5倍のリスク報告も
こんばんは。
日刊ゲンダイヘルスケアのサイトに
2022/7/17、
医者も知らない医学の新常識
「ビタミンのサプリメントで骨折が増える 1.5倍のリスク報告も」
https://hc.nikkan-gendai.com/articles/277851

by 石原藤樹

という記事が掲載されました。
2019年の米国医師会関連の医学誌に発表された論文の報告です。

日本でも、
「ビタミン剤は飲んで効いたら儲けもの、効かなくても人畜無害であろう。」
といったイメージで、気軽にビタミン剤やマルチビタミンを摂っている人は
結構おられます。
しかしながら、ビタミン剤で健康への良い影響が科学的に確認されたものは
存在しないということを、まずは知っておかなくてはなりません。

 また、βカロテンとビタミンEを取りすぎると病気の危険が高まる可能性があることも知識として必要です。

 さらに、
ビタミンB6とB12をサプリメントで大量に取っている閉経後の女性は、
50%近くも大腿骨頚部骨折のリスクが増加したという報告があることにも
留意しておく必要があります。

 私自身は「スーパー糖質制限食」を52歳から開始して72歳現在まで
続けていますが、この間、ビタミン剤やサプリはゼロです。
スーパー糖質制限食実践で
<必須脂肪酸、必須アミノ酸、ビタミン、ミネラル、食物繊維>
など身体に必要なものは全て摂取できているので、
そもそも、ビタミンもサプリも必要ないのです。

これからも、美味しく楽しく末長く、糖質制限食実践で、
健康長寿を目指したいと思います。


江部康二


以下の青字の記載は記事の要約です。

 【今年公表された米国予防医学専門委員会の報告書によると、
ビタミンとミネラルのサプリメントの中で、
明確に健康への良い影響が科学的に確認されたものはない。

特にβカロテンとビタミンEを取りすぎると、
むしろ病気の危険が高まる可能性がある、と指摘されている。

 多くの人が使用しているマルチビタミンについても、
その有効性は確認されなかった。

ビタミンの中でもビタミンB群のような水溶性ビタミンは、
体で過剰になれば水に溶けて尿から出ていくので、
たくさん取っても問題はないと考えられてた。

しかし、2019年の米国医師会関連の医学誌に発表された論文によると、
ビタミンB6とB12をサプリメントで大量に取っている閉経後の女性は、
50%近くも大腿骨頚部骨折のリスクが増加したと報告されている。

 その原因は不明だが、
ビタミン自身が骨の代謝に悪影響を与えた可能性も指摘されている。

食事から栄養が不足気味の場合には、
サプリメントの活用は有効だが、
食事がしっかり取れているのに、
健康のためにサプリメントを取ることは、
危険な場合もある。】
医者が教える 正しい糖質の減らし方 (TJMOOK)  2022/5/26刊行。
book1.jpg

医者が教える 正しい糖質の減らし方 (TJMOOK) ムック – 2022/5/26  
江部 康二  (監修) 宝島社

https://www.amazon.co.jp/dp/429902981X/

こんばんは。
『医者が教える 正しい糖質の減らし方 』
が、2022年5月26日(木)刊行されました。
自画自賛になりますが、とてもわかりやすく、よくまとまっています。 (^^)  
     
「増補新版 糖質制限の大百科」2021年9月(宝島社)
以来、久しぶりの新刊となります。
何だか、恥ずかしいのですが、7ページに私の全身の写真が載っています。

超健康体 江部康二
糖質制限20年目!72歳で持病なし、
虫歯なし、20代の体型をしっかり維持


身長:167cm/体重:57kg


髪:白髪はあるが薄毛には悩んでいない

耳:聴力低下もなく、患者さんとも楽しくお喋りできる

肌:シワもなくツヤがありつるんとした肌。
  肌年齢は52歳。
  糖質制限を始めた年齢で止まったまま。

睡眠:毎日7時間睡眠。
         夜中に尿意で目覚めることもなく睡眠の質は極めて良好。

運動:日頃からよく歩くことを心がけているが
      ジム通いなどの経験はなし。
      1~2週間に1回
      趣味のテニスをしている。

目:視力良好。
  近視、遠視、乱視はあるが
    それがほどよく相まって、
    『広辞苑』の小さな文字が
    裸眼で読めるほどの
    視力を維持している。

歯:歯は全部残っている。
  虫歯ゼロ、歯周病もなし。
  食後歯磨き、
    寝る前はていねい磨き。
    それと、年に1度歯科健診で
    歯石除去をしているだけ

脂肪:コレステロール値も
   中性脂肪値も基準値内。
      もちろんお腹もでていない

常備薬:定期的に飲んでいる薬なし。
    サプリメントも
    一切のんでいない



糖質制限ダイエットはブームを超え、もはや定番となっています。
しかし、ハードな糖質制限はハードルが高く、挫折する人も多いのが実情です。
そこで、糖質制限のパイオニアである江部康二が監修して、
改めて知りたい「糖質の正しい減らし方」を教えます。
はじめて糖質制限をする人、かつて制限したけどリバウンドした人、
これからの人生を軽やかに元気に暮らしたい人に最適な一冊です。


江部康二
糖質制限食なら、我慢しなくても、自然に摂取カロリーが減る。
こんにちは。

「糖質制限食」は、血糖コントロールは勿論のこと、減量にも最適です。
しかも、『我慢しなくても自然に摂取カロリーが減る』という利点があります。
このことは信頼度の高い英文論文で保証されています。
すなわち有名な「DIRECT試験」で、以下の青字の記載が論文の概要です。

DIRECT.jpg

よく引用されるイスラエルのShai先生の有名な論文、DIRECT
「低炭水化物食で体重減少・ HDL-C増加・HbA1c改善  RCT研究論文」

イスラエルの322人(男性86%)
(1)低脂肪食(カロリー制限あり)女性1500kcal、男性1800kcal
(2)オリーブ油の地中海食(カロリー制限あり)女性1500kcal、男性1800kcal
(3)低炭水化物食(カロリー制限なし)
3グループの食事法を2年間
低炭水化物食が、最も体重減少。HDL-Cも増加。
36名の糖尿病患者においてHbA1cが有意差をもって改善


Iris Shai,et all:Weight Loss with a Low-Carbohydrate,Mediterranean,or Low-Fat Diet. NENGLJ MED JULY17,2008、VOL359. NO.3 229-241


糖質制限群は、最初の2ヶ月は20g/日に糖質を制限、
その後3ヶ月目からは徐々に緩めて120g/日までOKと設定しています。

しかしながら、6ヶ月後、12ヶ月後、24ヶ月後、
40~41%の糖質を摂取しています。

つまり、このDIRECT論文も、
糖質40%の糖質制限食群(中糖質群)と
糖質約50%の低脂肪食群、地中海食群(高糖質群)を比べた研究ということになります。

3群とも、出発点のベースラインからは、日々の摂取カロリーが、
6ヶ月後、12ヶ月後、24ヶ月後と全て、有意に減少しています。

ベースラインからのカロリー減少幅に3群で有意差はありませんでした。

糖質制限食群はカロリー制限なしの設定ですが、
低脂肪食群、地中海食群と有意差無く摂取エネルギーが減少しています。
つまり、同一カロリーの3群を比較検討した研究ということになります。

糖質制限食群は、脂質・蛋白質が多いので満足度・満腹度が高いので
カロリー制限なしの設定でしたが、
自然に我慢すること無く他の2群と同じだけのカロリーが減りました。
これは、かなり大きなメリットと言えます。


それで女性1500kcal、男性1800calのカロリー制限ありの他の2群に摂取カロリーを合わせてみると糖質制限食群でも、
女性で150g/日、男性で180g/日の炭水化物を摂取していることになります。

設定の120g/日をかなりオーバーしています。

これでは折角減少した体重もリバウンドを起こすでしょうね。

現実に2年後には、3群ともリバウンドを起こしています。

脂肪制限食が一番リバウンドが大きいです。
糖質制限食群も一番体重が減少していますが、
当初の5ヶ月間で達成した体重減少からは少しリバウンドしています。

この経過は、グラフをご参照ください。

私のようにスーパー糖質制限食実践中の場合、
一旦減少して適正になった体重はリバウンドを起こすことなく維持できます。

スーパー糖質制限食の場合は、
40~60g/日の糖質摂取量で、糖質の摂取比率は12%くらいです。

私の場合は、2002年にスーパー糖質制限食半年で10kg減量して、
167cm、57kgとなり、2022年8月現在も維持しています。

DIRECTの糖質摂取120g/日、糖質摂取比率40%は、
高雄病院のスーパー糖質制限食と比べると大きな差があります。

DIRECTによれば、40%の緩い糖質制限食でも、
「最も体重減少。HDL-Cも増加。HbA1cが有意差をもって改善。」
ということができます。(RCT研究論文2年間のエビデンスあり)

一方、スーパー糖質制限食に比べると、体重減少にリバウンドを生じています。

私は、やはり今後もずっと継続してスーパー糖質制限食を続けていきます。


DIRECT

Table2 炭水化物摂取比率
糖質制限群
ベースラインン:50.8%
6ヶ月後:41.4
12ヶ月後:41.6
24ヶ月後:40.4


地中海食群
ベースラインン:51.5%
6ヶ月後:49.8
12ヶ月後:50.0
24ヶ月後:50.2


低脂肪食群
ベースラインン:51.8%
6ヶ月後:50.4
12ヶ月後:50.5
24ヶ月後:50.7



江部康二
決定版! 作りおき&帰ってすぐでき!糖質オフのやせる!ラクうまレシピ350
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こんにちは。

決定版! 作りおき&帰ってすぐでき!糖質オフのやせる!ラクうまレシピ350
(ほめられHappyレシピ)
大形本 2020/6/15 ナツメ社

江部康二 (著), 新谷友里江 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4816368647/


2020年7月2日刊行です。
おかげさまで、2022年8月20日、第8刷が発行されます。
総発行部数は、36,000部となります。これも、ブログ読者の皆様方の応援の賜物であり、ありがたいことです。

  本書は簡単に作れる糖質オフのレシピを350種ほど紹介しています。
従来のカロリー制限食の場合、つらい思いをしてもやせることは、とても難しく、
そもそもひもじくて長く続けることはほとんど不可能です。
その点、糖質制限食なら、厚生労働省のいう「推定エネルギー必要量」を、
しっかり摂取してよいので、満足感や満腹感があり、
しかも減量効果が速やかにでることでモチベーションも高まるため、
長く続けることが可能になります。

ただ、糖質オフメニューをつくろうとしても、
各人の料理のレパートリーって、そんなに多くないと思います。
本書は、冷凍作りおき、冷蔵作りおき、速攻レシピが満載で、
時短でラクに簡単に料理ができます。
レシピは糖質10g以下が基本であり、小鉢では、5g以下がほとんどで
スーパー糖質制限食に対応しています。

糖質を食べて血糖値が上昇すると、分泌されたインスリンが血液中のブドウ糖を
筋肉に取り込ませることで血糖値を下げますが、余ったブドウ糖は全て中性脂肪に
変えられ、脂肪細胞に蓄えられます。
これがインスリンが肥満ホルモンと言われる理由です。
一方、たんぱく質と脂質は直接血糖値を上げることはないので、食べても太りません。
糖質制限食なら肥満ホルモンインスリンの分泌が最小限ですむので
スムースな減量が可能なのです。

いざ減量のために糖質制限食を始めたとして、
料理の手間暇がなかなかのハードルとなります。
そこで、家庭で作る糖質オフ簡単レシピの出番です。
ラクに続けることができ、毎日美味しく楽しく食べられます。
本書が、読者の皆様の家庭内糖質制限食実践においてお役に立てれば幸いです。


江部康二

糖質制限食の有効性と安全性。米国。日本。
こんにちは。

ユーチューブやマスコミなどで、
根拠のない糖質制限批判をしているケースがあります。
間違いだらけの情報発信は視聴者に大変迷惑です。

今回は、糖質制限食の有効性と安全性の根拠となる米国糖尿病学会の見解の変遷を述べ、
次に日本における変化についても検討してみます。


1)米国糖尿病学会と糖質制限食、見解の変遷

『2007年まで糖尿病の食事療法において糖質制限食は推奨せず。
2008年、「食事療法に関する声明2008」において、
 「減量が望まれる糖尿病患者には低カロリー食、もしくは低炭水化物食によるダイ エットが推奨される」
 と1年の期限付きで糖質制限食の有効性を認める見解を記載。
2011年、肥満を伴う糖尿病患者に2年間の期限付きで糖質制限食の有効性を容認。
2013年10月、 「食事療法に関する声明2013」において期限や限定なしで、
 糖質制限食を容認。
2019年4月、コンセンサスレポートにおいて、
 糖質制限食が最もエビデンスが豊富であると明言。
2020年、2021年、2022年のガイドラインでもコンセンサスレポートを引用し、
 同様の見解。』


2007年までは糖質制限食を全面否定していた、ADA(米国糖尿病学会)ですが、
6年間のの歳月を経て、肯定も批判も含めて多数の研究論文を検証して、
2013年、糖質制限食を正式に容認しました。
すなわち糖質制限食の有効性に関しては、
ADAにおいては、エビデンスレベルで担保されたと考えられます。
このように、2013年10月の時点で、糖質制限食の是非については、
米国においては、すでに決着はついているということです。
さらに、2019年4月のコンセンサスレポートで、
『糖質制限食が最もエビデンスが豊富』と明言し、その後も同様の見解です。
現時点で、糖質制限食の有効性と安全性は米国糖尿病学会により担保されていると言えます。
米国糖尿病学会のCEOであるトレーシー・ブラウン氏は、自身がスーパー糖質制限食を実践中であり、
それによりインスリン注射から離脱されています。


2)日本における糖質制限食

日本でもADA「食事療法に関する声明2013」以降、明らかに流れが変わりました。
その流れを受けて、2016年7月2日号の週刊東洋経済の記事において、
日本糖尿病学会の門脇孝理事長は、
『緩い糖質制限食には既に賛成の立場であり、自身は元慎重派である』
と述べておられます。
2015年4月から東大病院では、糖質40%というメニューを提供されているそうです。
門脇孝理事長、大変身ですが、
とてもいい方向への変化なので私としても嬉しい限りです。

1)により、米国では勿論正式に受容ですし、
2)より日本でも糖質制限食容認の方向に舵をきっているのがわかります。

3)糖新生
糖質制限食実践で低血糖になるのではないかと心配する人もいます。
しかし人体には「糖新生」 という機能があります。
肝臓や腎臓で、アミノ酸、乳酸、グリセロール(脂肪酸の分解物)などを原料にして
糖新生機能により、ブドウ糖を作ります。
糖新生は、糖質を食べている人でも空腹時や睡眠時には、
日常的に行っています。
スーパー糖質制限食実践者では、ステーキを食べている最中にも、
脂肪分解をエネルギー源として糖新生が行われて、血糖値を保ちます。

4)糖質制限食による身体の変化

体操選手やテコンドー選手や自転車選手と糖質制限食の研究論文もあり、
糖質制限で筋肉は落ちません。

全身の血流・代謝が良くなるので、肌は荒れませんし、しっとりしてきますし、
髪の毛も抜けませんし、顎の下もたるみません。

食後の眠気がリアルタイムに改善し、
勉強や作業能率が向上し、やる気がでます。

糖質制限中は、糖新生が活発になるので、
血糖値は正常に保たれ脳や赤血球などのエネルギー源になりますます。

また脳はケトン体という脂肪酸の分解物をいくらでも利用します。

糖質制限中は、血中ケトン体は高値となります。

普通に糖質を食べている人でも、空腹時や睡眠時は、
心筋・骨格筋など多くの体細胞は
ケトン体と脂肪酸を主なエネルギー源としています。

『肌荒れ、髪の毛が抜ける、眠くなる、顎の下がたるむ、やる気がでない』
これらの症状は、全て摂取カロリー不足が原因であり、糖質制限は無関係です。
摂取カロリーを<推定エネルギー必要量>ほど摂れば、これらの症状は速やかに改善します。

5)まとめ

世界史では、人類がチンパンジーと分かれて誕生したのが、
700万年前、農耕開始(麦の栽培)が1万年前です。
狩猟・採集時代の700万年間は穀物などないので、
人類は皆糖質制限食でした。
すなわち糖質制限食こそが、人類本来の食事であり、人類の健康食なのです。

日本史では、約38000年前に日本列島にヒトが住むようになりましたが、
米の栽培は、2500年前の弥生時代からに過ぎません。
日本人も3万数千年の長い糖質制限食時代を経たあとに、米食が始まったのであり、
『日本人は昔から米を食べてきた。』というのは、誤解に過ぎません。


江部康二
菓子職人マンスリーケーキ 8月、9月限定 プレミアムチーズケーキのご案内。
こんにちは。
私が監修をつとめる「菓子職人糖質制限マンスリーケーキ」のご案内です。
菓子職人糖質制限マンスリーケーキシリーズですが、今回が最後の御案内となります。

菓子職人マンスリーケーキ

8月、9月限定
映画のワンシーンから登場!

プレミアムチーズケーキ
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https://www.kashishokunin.co.jp/toushitsuseigen/products/monthly/monthly04.php " target="_blank" title="ご購入はこちら">" target="_blank" title="【ご購入はこちら】">【ご購入はこちら】

のご紹介です。

表示糖質は100gあたり2.39gです。

夏でもすっきりのプレミアムチーズケーキです。

生クリーム、レアチーズケーキ 、半熟ベイクドチーズの三層重ねで構成されています。

江部康二の人体実験で、

2022年7月
午後4時 109mg
プレミアムチーズケーキ一個(100g) 摂取
午後5時 60分後血糖値:103mg


ピークの60分後で6mgほど血糖値が下がっていました。
2.39gの糖質摂取による血糖上昇よりも
インスリン追加分泌第一相の血糖低下作用が上回ったのでしょう。
入院中のスーパー糖質制限食摂取時の2型糖尿人でも
食後のほうが食前より血糖値が低いことが時々あります。

100gあたり2.39gの糖質表示ですが、
表示成分通り以下とみなしてOKですね。
100g中に糖質5g以下であれば、糖質制限OK食材です。
勿論個人差はあると思いますが、
これなら糖質セイゲニストにも安心です。

甘味料はもっぱら、
血糖上昇ゼロのエリスリトールです。
糖質制限中の方にも、美味しいケーキで季節を感じていただけます。
菓子職人さんの『糖質制限マンスリーケーキ』
我々糖質セイゲニストの強い味方です。
菓子職人さん、ありがとうございます。
菓子職人プレミアムチーズケーキ
私には、月替わりで糖質制限OKなケーキを食べることができて嬉しい限りです。

ブログ読者の皆さん、是非ご賞味あれ!!

お問い合わせは以下です。

☆☆☆
彩韻菓子工房有限会社

〒615-0032 京都府京都市右京区西院西高田町19
TEL:075-311-4606
FAX:075-311-4123
営業時間:午前9:00から午後8:00(年中無休)

ホームページ: http://www.kashishokunin.co.jp/
お問い合わせ: info@kashishokunin.co.jp



江部康二