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第12回(令和4年、2022年)修道医会・文化功労賞を受賞しました。
こんにちは。
第12回(令和4年、2022年)修道医会・文化功労賞を、
『糖質制限食の有用性と実践法について多くの著書を出版し、
医学界および一般社会の啓発に努めた』
ことで、
私が受賞しました。
大変名誉なことでありがたいことです。

2022年7月30日(土)受賞式が、ズームで行われました。
修道医会は、修道高校出身の医師と医学生が発足させ
広島での第1回目の総会が、昭和34年(1959)に開催されました。
2022年現在、会員数が1000名を超え、発足して60数年を迎えました。
以下は、受賞時の私の挨拶の文章です。


ご挨拶

こんばんは。
ただいまご紹介頂きました高雄病院の江部です。
先日、修道医会文化功労賞という栄誉ある賞を受賞したと、
松本正俊先生からご一報頂き、
驚くと共に感謝し、大変嬉しく思いました。

私は、修道高校第20回卒で、その年京大医学部に入学しました。
今回受賞に到った「糖質制限食の啓蒙・普及」活動ですが、
1999年に私の2歳上の兄・江部洋一郎医師が、
高雄病院で糖尿病治療に糖質制限食を導入し開始したものです。

兄も修道高校出身で京大医学部卒で、当時高雄病院院長でした。
私と兄は、
「保育園・幼稚園・小学校・中学校・高校・大学・勤務先」
と全て一緒であり、おそらくギネスブック掲載なみの珍しい兄弟です。

さて、2002年私自身が糖尿病を発症しました。
実は父も母も糖尿病で、いわばサラブレッドの家系でした。
ここから、薬なしで食事療法のみで、糖尿病をコントロールしようと、
さらに「糖質制限食」を徹底的に研究しました。
本も多数出版し、ベストセラーになったものもあります。

おかげさまで、52歳で糖尿病を発症して現在72歳ですが
合併症もなく他の持病もなく、健康で元気に過ごしています。

20年間糖質制限食を実践した結果、
眼は裸眼で広辞苑が読めて車の運転ができ、
耳は、聴力低下がありません。
歯は全て残っておき、虫歯もありません。
嗅覚も味覚も正常です。
身長は縮んでおらず、夜間の排尿もありません。

これは72歳では、かなりのレアケースです。
何だか自慢話になってしまいましたのでこれぐらいにしておきます。

最後になりましたが
この度は、宮本勝也会長、松本正俊事務局長を始め修道医会の先生方、
誠にありがとうございました。
感謝すると共に御礼申し上げます。
ありがとうございました。


江部康二(修道高校第20回卒)


新型コロナワクチン。 無効どころか、かえって感染者数を増やしている。
コロナワクチン
世界の接種状況と新規感染者数。


日経新聞のウェブサイトに
2022/7/28(木)
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-vaccine-status/
チャートで見るコロナワクチン 世界の接種状況は。


という記事が掲載され、
世界の新型コロナワクチン接種状況
人口100万人あたり新規感染者数
7日間移動平均が掲載されました。
以下は日経新聞の表の要約です。

2022/7/28(木)現在のデータ
必要接種完了者の割合  100万人あたり新規感染者数7日移動平均

世界         62.7%               129.8人
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
チリ          92.2            368.8

ウルグアイ      83.2             83.2

マルタ          91.1             278.3

台湾          84.3             975.0

韓国          86.2             1,402.9

シンガポール       87.9             1,599.4

ブータン        87.2             47.6

イタリア        80.5             1,142.6

ドイツ           76.2             1,034.0

ブルネイ・ ダルサラーム 97.5            3,834.3

ペルー           84.5             362.5

アイスランド        81.1             482.6

ニウエ           87.6           
  
ベルギー       79.2             363.6

ポルトガル        86.3             389.3

パラオ           101.1             0.0

オランダ        69.4             233.2

キューバ        88.1             8.6

ルクセンブルク       73.2             799.7

アルゼンチン       83.0             131.7

ベトナム        82.4             11.4

日本      80.9             1,414.6

デンマーク       82.2             310.3

カタール        95.1             370.0

香港           86.8             559.9

アイルランド      81.0             306.9

フランス        78.6             986.1

フィンランド        78.4             0.0

カナダ           82.9             129.6

英国           75.0             297.7

ニュージーランド     81.2             1,132.8

バーレーン          71.9             540.2

ギリシャ         71.2             0.0

イスラエル        66.7             589.2

ノルウェー        75.3             39.7

カンボジア        86.2             1.1

クック諸島        84.0

サンマリノ        69.6             1,473.2

中国           90.2             0.6

オーストリア      73.9             1,279.2

オーストラリア       84.6             1,780.4

アンドラ        69.2             479.0

スペイン        85.7             213.8

ブラジル        80.1             174.7

キプロス       72.6             1,618.6

スウェーデン        73.9             79.3

アラブ首長国連邦     99.0             142.5

マレーシア        84.7             126.6

モーリシャス        77.2             496.5

リヒテンシュタイン     69.3             673.3

コスタリカ         82.0             3,421.5

トルコ         63.0             381.7

ナウル           79.2

エクアドル      79.6             155.4

スイス        69.5             620.4

セーシェル        82.2             214.7

メキシコ         62.0             158.1
  
タイ            81.4             32.5

マカオ         94.8             5.4

ハンガリー        63.6             150.9

パナマ           72.4             209.8

チェコ            64.3             229.9

ルワンダ         68.1             2.4

タジキスタン         52.8             0.0

スリランカ         66.4             3.4

エストニア        63.8             217.8

ウズベキスタン        46.1             1.9

トンガ             91.9             134.7

サモア            100.2             88.2

イラン             69.1             96.5

リトアニア          67.2             348.2

アゼルバイジャン       48.0             27.3

米国              66.3             379.8

クウェート            77.9             185.3

ポーランド           59.4             69.7
 
モンゴル           66.4             252.3

エルサルバドル          66.6             0.0

スロベニア         58.2             780.7

サウジアラビア          72.0             12.5

モルディブ           71.2             107.9

スロバキア          50.7             228.6

ホンジュラス           54.8             56.6

ラトビア            68.7             679.1

セルビア          47.5             648.1

モナコ               65.4             584.1

コロンビア            71.3             66.9

パラグアイ          49.0             260.8

ネパール           70.3             11.5

バングラデシュ         73.1             3.9

クロアチア           55.5             338.3

ドミニカ共和国           55.4             45.0

グアテマラ           38.0             256.6

トルクメニスタン48.4 - -

ミクロネシア連邦        53.3             2,568.5

インドネシア           62.0             18.5

マーシャル諸島         51.8             34.0

モロッコ          63.5             20.9

ボツワナ           64.3             18.8

フィジー            70.9             58.9

モンテネグロ           45.7             1,375.0

ボリビア            51.8             476.0

パキスタン           58.4             2.5

オマーン            59.6             0.0

フィリピン            65.6             25.8

カザフスタン          49.7             116.8

東ティモール           55.1             1.2

ベリーズ           54.8             192.8

トリニダード・トバゴ       51.1               96.5

サントメ・プリンシペ       45.3               8.3

アルバニア           44.1             410.9

チュニジア            54.0             166.9

ブルガリア            29.8             239.6

ロシア            52.1             44.7

ベラルーシ             67.4             0.0

レバノン             34.9             433.0

ガイアナ            58.6             86.8

スリナム            40.5             4.0

バハマ            40.6             58.8

北マケドニア           40.2             310.8

ジンバブエ             31.5             0.9

パレスチナ             36.9             279.9

ヨルダン             44.6             61.0

グレナダ             34.4             84.8

エジプト              37.0             0.0

南アフリカ             32.3             5.0

コソボ                46.4             703.1

セントクリストファー・ネービス    50.4             108.0

エスワティニ              29.5             2.6

インド                   67.4             13.9

キリバス              50.8             215.0

ドミニカ               42.3             0.0

ガーナ               25.4             0.0

モーリタニア              28.7             11.5

セントルシア              29.7             176.5

ミャンマー               50.6             0.3

ボスニア・ヘルツェゴビナ        25.8             99.7

セントビンセント・グレナディーン    27.9              110.9

バヌアツ                 41.2             0.0

モルドバ                 39.0             427.1

ナミビア                 17.5             0.0

アンゴラ                 22.5             0.4

リビア                   17.7             20.6

ベネズエラ                 50.2             12.9

エチオピア                   33.3             0.8

ジョージア                  34.3             297.0

レソト                    40.7             0.0

ウクライナ                   34.3             6.4

コートジボワール                 25.8             2.1

ジャマイカ                   24.2             44.0


モザンビーク                    45.1             1.3

アルメニア                    33.3             49.4
      
アルジェリア                   15.6             1.5

トーゴ                       25.6             2.4

ウガンダ                     26.3             1.0

ケニア                      17.3             1.3

ナイジェリア                      12.0             0.9

イラク                        19.1             72.1

ガンビア                       14.7             2.7

ソロモン諸島                     26.5             0.0

赤道ギニア                       14.8             7.3

ザンビア                       26.8             6.8

シエラレオネ                    24.0             0.1

シリア                    10.5             1.1

マダガスカル                    4.7             0.6

カメルーン                      4.6             0.8

ガボン                       11.5             7.8

スーダン                      10.3             0.4

マラウイ                      7.9             2.3

セネガル                      6.4             2.5

カーボベルデ                     55.3             31.8

リベリア                     46.0             0.1

ベナン                      22.2             0.0

ギニア                     20.7             0.0

ギニアビサウ                    17.4             0.8

イエメン                      1.5             0.0

ブルンジ                      0.1             9.6

ニカラグア                     84.5             0.5

ラオス -                       70.6             5.5

アンティグア・バーブーダ                63.5           44.4

バルバドス -                53.6         1,217.2

ツバル - 52.2 - -

ルーマニア                   42.1             363.5

コモロ -                   41.6             5.4

中央アフリカ                  25.8             0.0

キルギス                    20.1             21.5

タンザニア                   17.6               0.0

ジブチ -                   17.4             0.0

アフガニスタン                  13.6             4.2

チャド -                    12.7             0.0

ニジェール                   11.9             0.0

コンゴ共和国                    11.9             0.0

南スーダン                     11.3             0.0

ソマリア                      10.4             0.4
 
ブルキナファソ-                     7.8             0.0

マリ -                       7.1             0.1


パプアニューギニア                3.1             0.2

コンゴ民主共和国                  2.5             0.4

ハイチ -                      1.4             1.5


表をみて明らかなように、
シンガポールは、87.95%と極めて高い接種率にもかかわらず、新規感染者数は1599.4人と非常に多いです。
同様にオーストラリアも、84.6%と極めて高い接種率にもかかわらず、新規感染者数は1780.4人と非常に多いです。 
ニュージーランドも、81.2%と高い接種率にもかかわらす、新規感染者数は1132.8人と多いです。

日本は、接種率80.9%と高いですが
人口100万人あたりの新規感染者数は1414.6人
世界有数の新型コロナ感染国となりました。
米国が379.8人ですから、日本のほうが約4倍の新規感染者数です。  

一方、ワクチン接種率の極めて低い国、
例えばパプアニューギニアは接種率3.1%しかないのに、
新規感染者数は、0.2人、
同様にコンゴ民主共和国は接種率2.5%で、新規感染者数は0.4人、
ハイチは接種率1.4%で、新規感染者数は1.5人です。

パプアニューギニアで、人口100万人あたりの新規感染者数は、
シンガポールの3000分の1、
欧米など新型コロナワクチン先進国にくらべても、英国の1500分の1です。

これらの事実を考慮すれば、新型コロナワクチンには、コロナ感染を予防する効果がないことは明白です。
さらに言えば、
ワクチン接種率の高い欧米諸国のほうが、
ワクチン接種率の低いアフリカ諸国などより、
はるかに新規感染者数が多いということは、
ワクチンが感染予防に無効どころか、かえって新規感染者数を増やしている可能性があります。
すなわち、新型コロナワクチンが身体に本来備わっている『自然免疫力』を障害している可能性があります。


江部康二
大学図書館と「糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド」
【14/05/04 精神科医師A
図書館での所蔵
Cinii Books で検索すると全国の大学図書館に所蔵されていますが、
医学部はゼロです
http://ci.nii.ac.jp/ncid/BB13612576#anc-library

また、国立国会図書館サーチでも、主要公立図書館の所蔵が調査できます
http://iss.ndl.go.jp/ 】



こんにちは。
2014年、精神科医師Aさんから、図書館の情報をコメントして頂きました。
ありがとうございます。

25の大学図書館が
「糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド」
を所蔵してくれていました。

でも医学部はゼロなのですね。( ̄_ ̄|||)

そして、国立国会図書館サーチ(http://iss.ndl.go.jp/)、江部康二で検索すると、
過去に出版したほとんど全ての本が出てきます。
また、過去医学雑誌に掲載された論文も、
ファーストネームでもそれ以外でもほとんど網羅して出てきます。
これは便利ですね。
日本東洋医学会誌など、論文掲載されたのがいつだったかとか、
うろ覚えだったのがここで確認できました。


さて、2022年7月、久しぶりに
http://ci.nii.ac.jp/ncid/BB13612576#anc-library
で検索してみました。
そうすると、
「糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド」
大学図書館所蔵が、25件から54件に増加していました。

そして
京都府立医科大学 附属図書館図
札幌保健医療大学 図書館
東京医療保健大学 附属世田谷図書館世田谷
東京女子医科大学 図書館
洛和会音羽病院 図書室

と、医療系の大学や病院で所蔵されていました。

2019年4月に、米国糖尿病学会のコンセンサスレポートで
『エビデンスが最も豊富なのは、糖質制限食である』
と報告されたのは記憶に新しいところです。

日本でも、2014年は医療系の大学や病院での蔵書はゼロであったのが、、
2022年は5件もあったので、糖質制限食かなり浸透ですね。
嬉しい限りです。

一方、
京都府立医大があるのに、我が母校の京大医学部がないのは、寂しい限りです。


江部康二



糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド
江部康二著
東洋経済新報社, 2013.8

大学図書館所蔵 54件 / 全54件 2022年


愛知学泉大学 岡崎図書館
青森県立保健大学 附属図書館
旭川大学 図書館
麻布大学 附属学術情報センター図
飯田女子短期大学 図書館
桜花学園大学・名古屋短期大学 図書館図
大阪公立大学 羽曳野図書センター
沖縄大学 図書館図書館
神奈川工科大学 附属図書館
鎌倉女子大学 図書館
川崎医療福祉大学 附属図書館
関東学院大学 図書館 分館
京都府立医科大学 附属図書館図
近畿大学 農学部図書館農図
岐阜県立看護大学 図書館
岐阜女子大学 図書館
久留米信愛短期大学 図書館図
高知学園大学・高知学園短期大学 図書館
公立大学法人 札幌市立大学 附属図書館 桑園キャンパス
相模女子大学 附属図書館
札幌保健医療大学 図書館
山陽学園大学 図書館
四国大学 附属図書館
尚絅学院大学 図書館
城西大学 水田記念図書館
武大学 附属図書館商
精華女子短期大学 附属図書館
専修大学 図書館図
仙台大学 図書館
園田学園女子大学 図書館
中部学院大学 附属図書館
帝塚山学院大学 図書館図
帝塚山大学 図書館 分館 (学園前キャンパス図書館)図
東京医療保健大学 附属世田谷図書館世田谷
東京家政学院大学 附属図書館図
東京女子医科大学 図書館
東京農業大学 図書館図
東京家政大学 図書館図書館
東洋大学 附属図書館 板倉図書館
長崎県立大学 シーボルト校 附属図書館
名古屋文理大学 図書情報センター名図
名寄市立大学 図書館図
日本大学 図書館 国際関係学部分館国際
花園大学 情報センター(図書館)
弘前大学 附属図書館本館
広島国際大学 図書館 呉分館呉図
広島女学院大学 図書館
藤女子大学 図書館 花川館
三重短期大学 附属図書館
南九州大学・南九州短期大学 図書館図
宮城学院女子大学 図書館
名桜大学 附属図書館
洛和会音羽病院 図書室
龍谷大学 瀬田図書館図

以下Cinii Books  から転載です。
http://ci.nii.ac.jp/ncid/BB13612576#anc-library



糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド
江部康二著
東洋経済新報社, 2013.8

大学図書館所蔵 25件 2014年

愛知学泉大学 岡崎図書館
493.123/エ 220045167
青森県立保健大学 附属図書館
493.123||E13 00151475
麻布大学 附属学術情報センター図
11056870
大阪府立大学 羽曳野図書センター
3060013930
神奈川工科大学 附属図書館
493.12||E 111808929
近畿大学 農学部図書館農図
60047676
岐阜県立看護大学 図書館
61095334
岐阜女子大学 図書館
00105809
相模女子大学 附属図書館
493.12||E 1553107
四国大学 附属図書館
493.123 003250437
尚絅学院大学 図書館
493.123||Te 1157116
城西大学 水田記念図書館
5201350711
精華女子短期大学 附属図書館
493.12 000029900
仙台大学 図書館
H00014200
中部学院大学 附属図書館
493.123||EB 110207014
帝塚山大学 図書館 分館 (学園前キャンパス図書館)図
498.583//E13 2110026900
東京医療保健大学 附属世田谷図書館世田谷
117178
東京農業大学 図書館図
493.123||E13 00274490
名古屋文理大学 図書情報センター名図
493/E13 310001947
日本大学 国際関係学部図書館国際
493.123||E13 00427283Q
花園大学 情報センター(図書館)
493.123/E 13 00289122
広島女学院大学 図書館
493.123/Ebe 272098
藤女子大学 図書館 花川館
493.1||E13 213104102
北海道薬科大学 図書館・医薬情報センター
493.123||E 13 894354
三重短期大学 附属図書館
ドクター江部の糖質オフ!健康トーク ▼ vol.13『日本における糖質制限食』
こんにちは。
本日は、ユーチューブのご案内です。

ドクター江部の糖質オフ!健康トーク
▼ vol.13『日本における糖質制限食』
https://youtu.be/tQxKF3fWgUg


今回のテーマは
「日本における糖質制限食」 見解の歴史的変遷
です。

糖質制限食に関して、2019年4月以降は、
エビデンスに基づいた米国糖尿病学会のお墨付きがあります。
米国糖尿病学会のトレーシー・ブラウン現CEOは、
自らスーパー糖質制限食を実践
中であり、
それによりインスリン注射を中止できています。

おかげ様で、2022年現在、糖質制限食はますます順調に普及してきています。
2005年に私が「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)
を日本初の糖質制限食の本として刊行したころとは、大きな違いがあります。

現在ではファミリーレストランのガストやリンガーハットでも、くら寿司でも
糖質オフメニューがあります。
ローソンやファミリーマートやセブンイレブンでも、
糖質制限OK食品が販売されています。

私は、糖質制限食はブームではなく、生理学的なな真実そのものと考えています。
従ってブームのように消え去ることはなく、今後もどんどん繁栄していくと思います。


さて今回は、糖質制限食と糖尿病食の日本の歴史を考察してみました。

<プロローグ>
富士経済の調査によると、
糖質制限市場は2019年度は3612億円の見込みです。
2022年、糖質制限市場はさらに加速して拡大し、
糖質ゼロビールも、2社から発売されています。

<夏目漱石と糖尿病と厳重食>
文豪夏目漱石(1867~1916年)は、糖尿病であり、
厳重食で改善しましたが、大正5年12月、胃潰瘍による出血で死亡しました。

<厳重食=スーパー糖質制限食 >
当時の「厳重食」は、まさに「スーパー糖質制限食」であり、
穀物や芋などのデンプンはなしでした。

<日本における糖尿病食事療法の変遷① >
日本糖尿病学会のバイブルといえる「食品交換表」初版
1965年(昭和40年)に発行されましたが、
適正なカロリー糖質量の制限という記載がありました。

<日本における糖尿病食事療法の変遷②>
1969年の第2版で糖尿病食事療法の原則から、
「糖質制限」が消えて、「カロリーの制限」が登場しました。
これ以降の食品交換表は、2013年、11年ぶりに改訂された第7版にいたるまで、
「カロリー制限」一辺倒でした。

<日本における糖尿病食事療法の変遷③>
長年、炭水化物摂取比率が60%だったのが、糖尿病治療ガイド2022年では40~60%と少し、
糖質制限食に歩み寄ってきています。

<日本における糖質制限食の歴史①>
 戦前までは、厳重食があったのですが、1969年以降はすっかり消えてしまいました。
その後の糖質制限食の臨床実践は、1999年から釜池医師が宇和島で開始し、
同時に高雄病院でも筆者の兄江部洋一郎医師が開始し有効例を重ねました。
その経験を踏まえ医学文献では、2004年に筆者が本邦初の糖質制限食有効例の報告を行いました3)。
2005年には筆者が本邦初の一般向けの本を出版しました4)。

<日本における糖質制限食の歴史②>
2006年荒木医師が「断糖宣言」、2007年釜池医師が「糖質ゼロの食事術」を刊行しました。
坂東医師、中村医師は約1000人を肥満外来で治療し糖質制限食の有効性を2008年に報告しました5)。
2009年、2010年、医学雑誌に筆者が小論文を発表しました6)7)。
その後、2012年に山田悟医師、白澤医師、2013年に夏井医師、2014年に渡辺信幸医師、
2015年に宗田医師が一般向け糖質制限食の本を出版しました8)9)10)11)12)。
糖質制限食の広がり、いよいよ加速がついてきて、私も毎年著書を上梓しています13)14)15)16)17)18)19)20)21)22)23)24)25)26)。


1)香川綾: 女子栄養大学「栄養と料理」 第4巻第4号 p46
  糖尿病の手当と食餌療法、昭和13年(1938年)
2)香川昇三:女子栄養大学「栄養と料理」 第9巻第5号 p27 
  糖尿病患者の厳重食、 昭和18年(1943年)
3)江部康二他:糖尿病食事療法として糖質制限食を実施した3症例,
      京都医学会雑誌51(1):125-130、2004
4)江部康二:主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ、
  2005年(東洋経済新報社)
5)坂東浩,中村巧:カーボカウントと糖質制限食, 治療,90(12):3105-3111,2008
6)江部康二:主食を抜けば(糖質を制限すれば)糖尿病は良くなる!,
  治療,91(4):682-683,2009
7)江部康二:低糖質食(糖質制限食carbohydrate restriction)の意義,
  内科,105(1):100-103,2010
8)山田悟:糖質制限食のススメ、2012年(東洋経済新報社)
9)白澤卓二:<白澤式>ケトン食事法、2012年(かんき出版)
10)夏井睦:「炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学」、光文社新書、2013年
11)渡辺信幸:日本人だからこそ「ご飯」を食べるな 肉・卵・チーズが健康長寿をつくる 、2014年(講談社)
12)宗田哲男:「ケトン体が人類を救う 糖質制限でなぜ健康になるのか」、光文社新書、2015年
13)江部康二:「人類最強の『糖質制限』論 ケトン体を味方にして痩せる、健康になる」、SB新書、2016年
14)江部康二:外食でやせる! 「糖質オフ」で食べても飲んでも太らない体を手に入れる、2017年(毎日新聞出版)
15)江部康二:「江部康二の糖質制限革命」2017年(東洋経済新報社)
16)江部康二:「女性のためのラクやせ糖質制限ハンドブック」2018年(洋泉社)
17)江部康二:「男性のための糖質制限最強ダイエットハンドブック」2018年(洋泉社)
18)江部康二:「男・50代からの糖質制限」2018年(東洋経済新報社)
19)江部康二:「内臓脂肪がストン!とおちる食事術」2019年(ダイヤモンド社)
20)江部康二:「糖質制限の大百科」2019年(洋泉社)
21)江部康二:「名医が考えた認知症にならない最強の食事術」2020年(宝島社)
22)江部康二:「ダイエット・糖質制限に必携! 食品別糖質量ハンドブック」 2020年(宝島社)
23)江部康二:医学的に正しい「糖質制限」見るだけノート2020年(宝島社)
24)江部康二:「体が変わる! 最強の糖質制限食-巣ごもり生活でも太らない!」2021年(学研プラス)
25)江部康二:「増補新版 糖質制限の大百科」2021年(宝島社)
26)江部康二:「医者が教える 正しい糖質の減らし方」2022年5月(宝島社)


江部康二





以下、事務局からのお知らせです。



*********



ブログ読者の皆様、弊会のYouTube動画を多数ご覧いただいておりまして、ありがとうございます。



江部理事長による動画「ドクター江部の糖質オフ!健康トーク vol.13」の配信をご案内申し上げます。



テーマは、「日本における糖質制限食」です。



日本における、糖尿病食事療法の変遷と糖質制限食の歴史についてお話しております。



ドクター江部の糖質オフ!健康トーク

▼ vol.13『日本における糖質制限食』

https://youtu.be/tQxKF3fWgUg



ご覧いただけますと、また、ご興味のある方へシェアしていただけますと幸いです。



▼協会YouTubeチャンネル

https://www.youtube.com/channel/UCdh9uz2_XnhDyJj9pHDDW1A



一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会

https://www.toushitsuseigen.or.jp/



*********

接種後死亡、初の救済認定 コロナワクチン健康被害
こんにちは。
ヤフーニュースに
共同通信の記事が掲載されました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/1e983b4bdd11a3312db7ee1ceba7376510bbbb4d
接種後死亡、初の救済認定 コロナワクチン健康被害
7/25(月) 21:42配信
130
コメント130件


 【厚生労働省の感染症・予防接種審査分科会は25日、
新型コロナウイルスワクチン接種後に急性アレルギー反応や急性心筋梗塞を発症し死亡した90代女性の死亡一時金の請求を認めた。
予防接種健康被害救済制度でコロナワクチンの死亡事例が救済認定されたのは初めて。  
厚労省によると、女性は脳虚血発作などの基礎疾患があった。
接種後に発症した健康被害に関し分科会は、ワクチンとの因果関係が否定できないと判断した。
同省は女性の接種時期や回数を明らかにしていない。
健康被害救済審査について担当者は「医学的に厳密な因果関係までは必要としない」と説明している。】



ワクチン接種による副反応や健康被害をなくすことは不可能なことから、
国は接種との因果関係が否定できない場合には、
医療費などを給付する「健康被害救済制度」を設けています。
予防接種や法律の専門家からなる厚労省の疾病・障害認定審査会が
接種後の有害事象とワクチンとの因果関係を認定すれば給付を受けられます。
死亡一時金は4420万円。
病気と予防接種との関係について
「認定」「否認」「保留」の3段階で判断し、
保留だった場合には審査を継続します。

初の救済認定ということで、良いことと思います。
一方、新型コロナワクチン接種後の死亡例に関しては、
『ワクチンとの因果関係がないと証明するのは困難である』
というのが、普通の考えと思います。

予防接種開始(2021年2月17日)から2022年6月12日までに
新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例は1761件あります。
医師が積極的に報告しないこともあるので、
接種後の死亡で報告されていない事例もかなりあると思われます。


江部康二
AIが分析「コロナにかからない人が食べているもの」発症リスクの高い食品もチェック
【22/07/25 糖尿人
AIが分析
「コロナにかからない人が食べているもの」発症リスクの高い食品もチェック

江部先生

お世話になります
先日コロナの記事で気になった内容があり
投稿します。
引用記事で申し訳ないのですが
AIが分析したとところで重症化する人はブドウ糖を多く取っていたとのことです
いずれにしても取らないほうが良いとおもいます。
記事張ります
https://news.yahoo.co.jp/articles/4f4756674a3215d9f891f8e01b2cfd924e4494b5

こんにちは。
糖尿人さんから、興味深い情報をコメント頂きました。
ありがとうございます。
2022/7/22(金)のヤフーニュースの記事です。

ヤフーニュース
22/07/25
AIが分析
「コロナにかからない人が食べているもの」発症リスクの高い食品もチェック
https://news.yahoo.co.jp/articles/4f4756674a3215d9f891f8e01b2cfd924e4494b5


早速、私も記事を見ました。
以下要約と意見です。

AI(人工知能)が延べ1万5000食品データを分析した
「新型コロナ 発症した人 しなかった人」(幻冬舎)
という本が注目を集めているそうです。
AIが1万人分のヘルスケアのデータと
さらに世界中の新型コロナに関する論文を読み込み、
『コロナにかからなかった人は何を食べているのか』
という傾向を導き出したものです。

「男女1500人を対象に、PCR検査でコロナ陽性になった人がよく食べているものをAIが分析したところ、
例えばブドウ糖を多く取っている人は、取っていない人に比べて6.8倍も発症リスクが高いという結果が出ました・・・。」


発症リスクが高い5つの食品

①「甘いもの」
②「悪い油」
③「乳製品」
④「小麦製品」
⑤「添加物」


糖質制限食的には、①②④⑤は、食べない方が良いものとして、賛成です。
③は、チーズやバターやヨーグルトは糖質制限OK食品ですが、
日本人でそれほど大量に食べる人はいないと思います。


陽性にならない人が食べているもの

食物繊維

「おから、もずく、リンゴ、バナナ、わかめなど食物繊維を豊富に含む食材。
とくに良いのは水溶性の食物繊維です。
その代表は海藻類や豆類、ゴボウやニンジン、サトイモなどの根菜、果物です。
糖質制限食的には、海草や大豆・大豆製品はOKです。

発酵食品
「納豆、キムチ、米ぬか、酒粕、甘酒、酢、米こうじなどの〈発酵食品〉がひとつ。
納豆は糖質制限OK食品です。

魚・ナッツ・アマニ油(DHA・EPA)
イワシ・サバなど青魚・ナッツ・アマニ油。
DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)が多く含まれる。
これらは全て、糖質制限OK食品です。

濃厚接触者でもPCR陰性になる確率が高い食べ物
トップは「豚ロース」の46倍。
ぬか漬けに使う「米ぬか」は29.8倍、
「海藻」が25.3倍、
「酒粕」は23倍、
「グリーンピース」が22.1倍となった。
豚ロースと海藻は、糖質制限OK食品です。

食べていない人に比べ10倍以上の差がついたものには、
「デーツ」「おから」「あおさ」「もずく」「エゴマ油」「甘酒」「ぶどう」「酢」「オリーブ油」「梅干し」があった。
「デーツ」「甘酒」「ぶどう」は、糖質制限NGですが、他はOKです。


江部康二
糖質制限食とスタンス。高雄病院方式と山田悟医師方式。
こんばんは。
私自身は、2002年糖尿病発症以来、
焼酎飲んで、肉や魚貝を食べて、卵にチーズに豆腐に野菜・海藻・茸を食べて、
糖質制限チョコ、糖質制限ピザ、糖質制限ケーキ・・・を食べて、
2022年まで、美味しく楽しく、
そしてきっちり長くスーパー糖質制限食を続けてきました。

実に、20年間ですが、私はこの食事がつらくないから、
健康長寿のためにも、今後も末長く糖質制限食を続けようと思います。

しかしながら、人はなかなか弱いものです。
「わかっちゃいるけど、やめられない」人もまた結構おられます。
私の患者さんでも、どうしても糖質がやめられない人もおられます。

私は糖質制限食の先達の医師として、糖尿病患者さんに、
最良の糖尿病食事療法である糖質制限食を説明して、
糖尿病のコントロールの仕方を指導するのがお仕事です。

糖尿病合併症の話もして、
それを防ぐことができるのは糖質制限食だけであることも説明します。
しかし、それを患者さんが受け止めて理解してどう実践するかは、
患者さん自身の仕事であり、私の仕事ではありません。

『馬を水辺に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない。』
というイギリスの諺があります。

英語表記では
「You  can  take  a  horse  to  the  water, but  you  can’t  make  him  drink.」
です。
ですから、私は糖質制限食を患者さんに、決して押しつけることはありません。


もちろん高雄病院の
1)スーパー糖質制限食
2)スタンダード糖質制限食
3)プチ糖質制限食

のなかで、
1)が一番効果があることは明らかですのでそれを薦めます。
しかし患者さんによっては、1)ができない人もいます。
そのようなときは、2)でも3)でもいいです。
糖尿人だと、2)は一日一回、食後高血糖を生じ、
3)は一日二回食後高血糖を生じるのでなんといっても、1)がお奨めです。

もっとも、糖質制限食は、やらないよりやった方が、例えどのタイプであれ、
糖尿病学会推奨のカロリー制限食(高糖質食)よりは、はるかにましなのです。
私は、ぬるいかもしれませんが、そういうスタンスの医師です。

また、話のしやすい対等感覚の医師もいれば、
残念ながら上から目線の相談しにくい医師もいるのが現実です。
まあ、このブログへのコメント・質問も糖質制限食に関することなら、
初歩的なことも含めて大丈夫、OKです。
反復して似たような質問があっても、
またそれがブログ読者の皆さんの復習になるし新たな勉強にもなります。
糖質制限食に関する知識をインターネットで世界中で共有できて・・・。
それが、私の貢献感にもなりますので・・・

さて、今、日本で実践されている糖質制限食には

A)高雄病院のスーパー糖質制限食(1回の食事の糖質量20g以下)
B)山田悟医師の緩い糖質制限食(1回の食事の糖質量20~40g)


などがあり、1回の糖質摂取量設定に違いがあります。

それでは、各糖質制限食のスタンスはどう違うのでしょうか?
まず、A)B)について検討してみます。


1)継続し易さと普及に関する配慮

継続し易さ、普及という面からは、普通に考えてB)が楽です。

A)スーパー-糖質制限食はつらくない人は継続できます。
また「スタンダード」「プチ」といったラインナップも設定されていて、
最近は「緩やかな」という選択肢もあるので、
継続し易さと普及ということも考慮しているわけです。
緩やかなというのは、山田流と一緒の糖質量です。



2)食後高血糖改善効果

食後高血糖改善効果はA)が高いです。
B)はかなり劣ります。
A)は、臨床的に合併症予防ができるレベル、
食後1時間血糖値180mg/dl未満、食後2時間血糖値140mg/dl未満達成を目指していて、ほとんどの場合それが可能です。

B)は食後1時間血糖値180mg/dl未満、食後2時間血糖値140mg/dl未満を達成することは、
困難な糖尿人が多いと思いますが、従来の糖尿病食(高糖質食)よりはましです。

3)追加分泌インスリン
A)は耐糖能正常型の人の場合でもインスリン追加分泌は2~3倍レベルですみます。
B)は耐糖能正常型なら、追加分泌インスリンは10倍~20倍レベルでます。
インスリンは人体に絶対必要であり、基礎分泌インスリンがなければヒトは死にます。
しかし、インスリンには発ガンリスクやアルツハイマー病発症のリスクがあるので、
少量ですむにこしたことはないのです。

従って、B)の場合は、野放しの高糖質食に比べればましですが、
インスリン過剰のリスクがあるていどあることになります。
A)の場合は、人類700万年間の狩猟・採集時代に、野生の果物、ナッツ類、根茎類を食べたレベルと同程度の追加分泌インスリンなので許容範囲と思います。


4)問題点


B)は、インスリン分泌が多いこと以外にも、食後高血糖と平均血糖変動幅増大という酸化ストレスリスクに関しては、
効果が弱いので問題と言えます。


5)考察

A)の場合、殆どの糖尿人において、合併症予防という観点からは、
問題ないと思われます。

体重減少効果も同様であり、「継続し易さ」「普及」「治療効果」において
バランスのとれた食事療法と言えます。

B)は、「継続し易さ」「普及」は優れていますが、
肝腎の治療効果が劣ることと、
食後高血糖と平均血糖変動幅増大という問題点を抱えています。


結論として、自画自賛になりますが、高雄病院のスーパー糖質制限食がバランスがいいのかなと思います。(^^) 

一方、山田悟医師の緩い糖質制限食も、役割分担という視点に立てば、
対立するというよりも、一人一人の嗜好やニーズに応じて、相補的なものと思います。

A)B)ともに、日本糖尿病学会推奨の従来の糖尿病食(高糖質食)に比べれば治療効果ははるかに高いのですから。




江部康二
【本ブログのコメント・質問・記事に関するお願い】2022年7月。
こんばんは。

本ブログに頂くコメントや質問ですが、
マスメディアのサイトやヤフーニュースなどの記事に対しては
私なりの意見を述べることは可能な場合が多いと思います。
一方、ユーチューブや個人的なサイトなどの記事に関しては、
私に判断が困難な場合もあり、コメントや質問を削除させて頂くことがありますので、
ご了承頂ければ幸いです。




【本ブログのコメント・質問・記事に関するお願い】

こんばんは。
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。

糖質制限食に関する質問についてですが、実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、
医師としての責任・債務がありますので、個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。

一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、
ボランティアで回答させていただいています。
診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。
私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。
また、ブログ記事や本に関しても同様に、
糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。
従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、
自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m

そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、
普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、
ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。
またネットで簡単に検索可能なことは、ご自分でお調べください。
質問が増えてきましたので、
糖質制限食と関わりがないと判断した質問にはお答えできない場合もありますので、
ご了承ください。m(_ _)m

普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、
何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、
ブログ本文記事にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。
質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、質問がかなり増えてきていますので、
なかなか即、お答えすることが困難となってきています。

糖質制限食に関わりのある全ての質問に、
本文かコメントでお答えするようできるだけ努力はしていますが、
できないときはご容赦願います。m(_ _)m

それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、
コメント欄にお答えするか、
一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、
よろしくお願い申し上げます。


【糖質制限食を実践される時のご注意】

糖質制限食実践によりリアルタイムに血糖値が改善します。

このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、
減薬しないと低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。


一方、薬を使用してない糖尿人やメタボ人は、低血糖の心配はほとんどないので、
自力で糖質制限食を実践して糖尿病やメタボ改善を目指していただけば幸いです。

内服薬やインスリン注射なしの糖尿人が糖質制限食を実践すると、
食後高血糖は改善しますが、低血糖にはなりません。
血糖値が正常範囲である程度下がると、
肝臓でアミノ酸・乳酸・グリセロール(脂肪の分解物)などから、
ブドウ糖を作るからです。
これを糖新生といいます。

塩分に関しては、スーパー糖質制限食の場合は、今まで通りで特に制限の必要はありません。
「スーパー糖質制限+塩分制限」だと、塩分不足で身体がだるかったり、集中力が低下することがあるので注意が必要です。


診断基準を満たす膵炎がある場合、肝硬変の場合、
そして長鎖脂肪酸代謝異常症・尿素サイクル異常症は、
糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。

糖質制限食は相対的に高脂肪食になるので、診断基準を満たしている膵炎の患者さんには適応とならないのです。
進行した肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。
長鎖脂肪酸代謝異常症では、肉や魚などに含まれる長鎖脂肪酸が上手く利用できないので、適応となりません。
尿素サイクル異常症もまれな疾患ですが、
タンパク質の代謝に問題があるので
高タンパク食である糖質制限食は向きません。


腎機能に関して、日本腎臓病学会編「CKD診療ガイド2018」において、eGFR60ml/分以上あれば顕性たんぱく尿の段階でも、
たんぱく質は過剰な摂取をしないという表現となっていて、
制限という記載はなしです。
従いまして、糖尿病腎症第3期でも、eGFR60ml/分以上なら、糖質制限食OKです。

また、米国糖尿病学会(ADA)は
Position Statement on Nutrition Therapy(栄養療法に関する声明)
Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版
において、糖尿病腎症患者に対する蛋白質制限の意義を明確に否定しました。
根拠はランク(A)ですので、信頼度の高いRCT研究論文に基づく見解です。

今後は、糖尿病腎症第3期以降で、eGFRが60ml/分未満の場合も、
患者さんとよく相談して、糖質制限食を実践するか否か、
個別に対応することとなります。


なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、
糖新生能力が低下していることがあり、
まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。

また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。
糖質制限食もその一つですので、
合わないとご自分で判断されたら中止して頂ければ幸いです。


【糖質制限食とは】

米国糖尿病協会(ADA)の患者教育用のテキストブックLife With Diabetes(2004年版)には、以下の記載があります。

「摂取後直接血糖に影響を与えるのは糖質のみである。
糖質は速やかに吸収され、直接100%血糖に変わり、ほぼ120分以内に吸収は終了する。
蛋白質・脂質は、摂取後、直接血糖に影響を及ぼすことはない。
『炭水化物・タンパク質・脂肪はカロリーを含有している。
炭水化物だけが、血糖値に直接影響を及ぼす。』」


これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。 
1997年版のLife With Diabetes(ADA刊行)では、
「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載がありましたが、2004年版以降は変更されています。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが直接、血糖値を上昇させます。
従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。
脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。
タンパク質はごく少量のインスリンを追加分泌させます。

現在糖尿病において、
食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。
食後高血糖が、
心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。
また一日における、食前・食後・空腹時など
血糖値の変動幅(平均血糖変動幅)が大きいほど、
酸化ストレスが増強し動脈硬化のリスクとなることがわかってきました。
そして、食後高血糖と平均血糖変動幅増大を起こすのは、
三大栄養素のなかで糖質だけなのです。

1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。
炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には、55.3gの糖質が含まれており、
血糖値を166mg上昇させます。
一方、和牛サーロインステーキ(脂身つき)を200g(約1000キロカロリー)食べても、
糖質含有量は1gもないので、食後血糖は3mg未満の上昇しかないのです。 
なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。

糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースに、
できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。
抜く必要がある主食とは 、
米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら、
薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、
カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、
一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、
食後高血糖が必ず生じるのです。

糖尿病の改善には、
カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。

なお糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。
日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド2018-2019」の
男性1600~2000kcal
女性1400~1800kcal
ほど厳しいカロリー制限は必要ありませんが、

「日本人の食事摂取基準」(2015年、厚生労働省)
に示す推定エネルギー必要量の範囲、
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf

推定エネルギー必要量(一日あたり)
                                      男性                                         女性
15-17才        2500 2850 3150       2050 2300 2550kcal
18-29才        2300  2650    3050              1650  1950   2200
30-49才        2300  2650   3050              1750  2000   2300
50-69才        2100  2450   2800               1650  1900 2200 
70才             1850  2200   2500               1500  1750 2000

身体活動レベル    低い 普通 高い          低い  普通  高い

くらいが目安です。


そして2013年に糖尿病食事療法に関して画期的な変化がありました。
米国糖尿病学会が、
2013年10月発表の『栄養療法に関する声明』において、
全ての糖尿病患者に適した唯一無二の治療食は存在しないと明記したのです。
これはそのまま、1969年の食品交換表第2版以降一貫して、糖尿病治療食として、
唯一無二の「カロリー制限・高糖質食」を推奨し続けている日本糖尿病学会への
痛烈な批判となっています。

さらに、米国糖尿病学会は『栄養療法に関する声明2013』において
地中海食、ベジタリアン食、DASH食、低脂質食などと共に
「糖質制限食」も正式に受容しました。
このことは糖質制限食を推進する私達にとって、大変大きな追い風となりました。

また米国糖尿病学会は、2019年4月、
「成人糖尿病患者または予備軍患者への栄養療法」コンセンサスレポート
において、糖質制限食(Low-carbohydrate eating patterns)が、
エビデンスも最も豊富であると明言
しています。
2020年4月、「栄養療法」ガイドラインにおいても
 『地中海式、低炭水化物、およびベジタリアン食事パターンは、
 いずれも研究で良好な結果が示されている 健康的な食事パターンの例である。
 個別の食事計画は、個人の好み、ニーズ、 および目標に焦点を当てるべきである。
 糖尿病患者の全体的な炭水化物摂取量を減らすことは、
 血糖値を改善するために最も多くのエビデンスが示されているので、
 個人のニーズや好みに応じた様々な食事パターンに 適用することができる。』
と明言しています。
2021年、2022年のガイドラインでも同様の見解です。

このように糖質制限食の信頼度はますます高まっています。

なお、門脇孝日本糖尿病学会理事長によれば
東大病院では、2015年4月から、糖質40%の糖質制限食を供給しているそうです。
また門脇孝東大糖尿病・代謝内科教授ご自身も、緩やかな糖質制限食を実践されているとのことです。
2016/7/1(金)
東洋経済オンライン 
http://toyokeizai.net/articles/-/125237



<江部康二著 参考図書>


理論
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ」2005年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008年
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009年 宮本輝先生との対談本
「やせる食べ方」2010年
「うちの母は糖尿人」2010年 監修:江部康二 著:伊藤きのと
(東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010年(ナツメ社)
腹いっぱい食べて楽々痩せる『満腹ダイエット』 (ソフトバンク新書)2011年
「主食をやめると健康になる」(ダイヤモンド社)2011年
「血糖コントロールの新常識! 糖質制限 完全ガイド」 (別冊宝島)2012年
「食品別糖質量ハンドブック」2012年(洋泉社)、
「糖質オフ!健康法」(PHP文庫)2012年
「主食を抜けば糖尿病はよくなる!糖質制限食のすすめ」(文春文庫)2012年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」(文春文庫)2012年
「女性のための糖質制限ダイエットハンドブック」2012年(洋泉社)
「糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド」2013年(東洋経済新報社)
「医療の巨大転換を加速する」糖質制限食と湿潤療法のインパクト
 2013年(東洋経済新報社) 夏井睦先生との対談本
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ 新版」2014年(東洋経済新報社)
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!2 実践編 新版」2014年(東洋経済新報社)
「炭水化物の食べ過ぎで早死にしてはいけません」2014年(東洋経済新報社)
一生太らない「やせる! 食べ方」2014年 (PHP文庫)
江部先生、「糖質制限は危ない」って本当ですか?2015年(洋泉社)
「なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか」2015年(ナツメ社)
「糖質制限の教科書」2015年(洋泉社)監修
「糖質オフ!健康法」2016年3月(PHP研究所 )
「人類最強の糖質制限論」2016年4月(SB新書)
「ハンディ版糖質制限の教科書」2016年4月(洋泉社)
「増補新版食品別糖質量ハンドブック」2016年6月(洋泉社)
「Dr.江部の健康食の新常識100 」(TJMOOK)2016年11月(宝島社)
マンガでわかる「糖質オフ! 」健康法2016年12月、(PHP研究所 )
外食でやせる! 「糖質オフ」で食べても飲んでも太らない体を手に入れる、2017年4月(毎日新聞出版)
「江部康二の糖質制限革命」2017年4月(東洋経済新報社)
「男・50代からの糖質制限」2018年11月(東洋経済新報社)
「内臓脂肪がストン!とおちる食事術」2019年5月(ダイヤモンド社)
「糖質制限の大百科」2019年7月(洋泉社)
「糖質量&炭水化物量ポケットガイド」電子書籍、2019年8月(SBクリエイティブ)
名医が考えた認知症にならない最強の食事術2020年6月(宝島社)
ダイエット・糖質制限に必携! 食品別糖質量ハンドブック 2020年9月(宝島社)江部 康二 (監修)
医学的に正しい「糖質制限」見るだけノート2020年10月(宝島社)
「体が変わる! 最強の糖質制限食-巣ごもり生活でも太らない! 」2021年2月(学研プラス)江部康二 (著), 沼津りえ (著)
「増補新版 糖質制限の大百科」2021年9月(宝島社)江部康二(監修)
「医者が教える 正しい糖質の減らし方」2022年6月(宝島社)江部康二(監修)

など多数。

レシピ
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006年(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん2009年(アスペクト)
dancyuプレジデントムック 「満腹ダイエット 」 2009年(プレジデント社)
「血糖値を上げない!健康おつまみ109」2010年(東洋経済新報社)
「やせる食べ方レシピ集」 2010年(東洋経済新報社)
「糖質オフダイエット 」2011年(レタスクラブ、角川マーケティング)
「誰もがストレスなくやせられる!糖質制限ダイエット」2011年(講談社)
「主食を抜けば糖尿病はよくなる」レシピ集2011年(東洋経済新報社)
高雄病院の「糖質制限」給食2012年(講談社)
糖尿病がどんどんよくなる「糖質制限食」おすすめレシピ集2012年(ナツメ社)
糖質制限の「主食もどき」レシピ2013年(東洋経済新報社)
高雄病院Dr江部が食べている「糖質制限」ダイエット2013年(講談社)
糖質オフのダイエット弁当2013年(家の光協会)
高雄病院「糖質制限給食」朝 昼 夕 14日間完全プログラム
糖尿病・肥満改善が自宅でできる! 2013年(講談社)
2週間チャレンジ! 糖質制限の太らない生活 2014年(洋泉社mook)
電子レンジで糖質オフの作りおき 2016年10月(宝島社)
「やせぐせがつく糖質オフの作りおき 」2017年3月(宝島社)
「高雄病院の糖質制限作りおき 」2017年5月(洋泉社)
「作りおきおかずで簡単! 朝・昼・晩 糖質オフのダイエット献立」2017年10月 (家の光協会)
「いくら食べても太らない! 旨い酒のつまみ 」2018年5月(宝島社)
「決定版! スグやせ! 糖質オフのラクうまレシピ150」2018年6月(ナツメ社)
「女性のためのラクやせ糖質制限ハンドブック」2018年9月(洋泉社)
「男性のための糖質制限最強ダイエットハンドブック」2018年10月(洋泉社)
「レンチン!糖質オフの作りおきおかず」2018年10月(宝島社)
「魔法のダイエットみそ汁 」 2019年2月(日本文芸社)
「決定版! 作りおき&レンチンで簡単! 糖質オフのやせる! ラクうま弁当350 」 2020年2月(ナツメ社)
「決定版! 作りおき&帰ってすぐできる 糖質オフのやせる! ラクうまレシピ350 」 2020年7月(ナツメ社



江部康二
ワクチンで拡大防げる? 新型コロナ「BA・5」今わかっていること 。
こんにちは。
以下の記事が、2022年7月21日(木)毎日新聞のサイトに掲載されました。

https://mainichi.jp/articles/20220721/k00/00m/040/038000c
ワクチンで拡大防げる? 新型コロナ「BA・5」今わかっていること
毎日新聞 2022/7/21 11:30(最終更新 7/22 11:27) 1324文字


記事を読んで見ましたが、
米ハーバード大の研究チームも英オックスフォード大などの研究チームも、
新型コロナワクチンは、「『BA・5』の感染を防ぐ効果は高くない」としています。
つまり、ワクチンで感染予防はできないので、
流行を防ぐこともできないと言うことです。

コロナウイルスに詳しい水谷哲也・東京農工大教授(ウイルス学)も
「『BA・5』は、これまでの変異株や派生型の中でも多くの変異がある」
ので
「ワクチンによる抗体が、スパイクたんぱく質を認識しづらくなっている可能性がある」
としています。
つまり、現行の新型コロナワクチンが、「『BA・5』には無効の可能性がある
指摘しています。

それでは、重症化予防はワクチンで可能なのでしょうか?
北里大の中山哲夫特任教授(臨床ウイルス学)は
「『BA・5』は重症化する可能性があるが、
海外で感染者が増えても重症例が増えていないのは、
ワクチン接種の効果」
と考えているそうです。

しかし、オミクロン株は、感染力は強いものの、
重症化率は、デルタ株に比べると明らかに低くなっています。

大阪府のデータですが、
2022/7/20時点で、感染者数は、100186人と急上昇していますが
入院1858人中、重症は23人と非常に少ないです。
入院率は、1.85%と少なく、
入院患者の重症率は、わずか1.2%です。
重症病床使用率は、わずか4%です。

厚生労働省の統計でも
60歳未満で重症化率は
デルタ株で0.56%(2021年7月から10月)
オミクロン株で0.03%(2022年1月から2月)
です。


デルタ株でもオミクロン株でも、多くの日本人はワクチンは接種していますので、
オミクロン株の重症化率が、デルタ株の19分の1と少ないのは、
ワクチンは無関係で、オミクロン株の特性
と言えます。

元々、日本人は、新型コロナ感染時の重症化率は、米国人の20分の1くいらいしか
なかったのですが、オミクロン株になってますます重症化しにくくなっています。
日本における新型コロナワクチンの価値はますます減っていますので、
60歳以下の健康な人は接種する必要性はないように思います。


江部康二



以下の青字の記載
https://mainichi.jp/articles/20220721/k00/00m/040/038000c
ワクチンで拡大防げる? 新型コロナ「BA・5」
今わかっていること
毎日新聞 2022/7/21 11:30

の要約です。

【新型コロナウイルスの感染「第7波」では、
オミクロン株の派生型「BA・5」が主流になっている。
国立感染症研究所は「BA・5」の割合が今週時点で96%に達したと推計。
感染力が強く、各地の新規感染者数は過去最多を更新している。
「BA・5」の感染拡大に対処するのに、ワクチン接種は期待できるのか。
「BA・5」で今、分かっていることをまとめた。

<「BA・5」には多くの変異>

「『BA・5』は、これまでの変異株や派生型の中でも多くの変異がある」

 コロナウイルスに詳しい水谷哲也・東京農工大教授(ウイルス学)はそう説明する。

水谷さんらによると、「BA・5」は中国で最初に見つかった株と比べて少なくとも計34カ所の変異があり、
スパイクたんぱく質の立体構造や化学的な性質も変わっている可能性があるという。

34カ所の中には、ワクチンの感染予防効果を弱める特徴を持つ変異が3カ所あった。
これまでの変異株や派生型で、この三つがそろったことはなく、
水谷さんは、ワクチンの限界を懸念する。

 「ワクチンによる抗体が、スパイクたんぱく質を認識しづらくなっている可能性がある」

<重症化防ぐには有効か>
 海外の研究でも「BA・5」に対するワクチンの感染予防効果について、
芳しくない結果が報告されている。

 米ハーバード大の研究チームも
英オックスフォード大などの研究チームも、
新型コロナワクチンは、「『BA・5』の感染を防ぐ効果は高くない」とみている。

北里大の中山哲夫特任教授(臨床ウイルス学)は
「『BA・5』は重症化する可能性があるが、
海外で感染者が増えても重症例が増えていないのは、
ワクチン接種の効果」と考えている。
このため
「3回目接種や、高齢者らへの4回目接種は確実に進めるべきだ」と主張する。】
ワインに含まれる糖質量。辛口ワインなら赤白ともにOK。
こんにちは。
暑い日々が続きます。
夏は、キリリと冷えた辛口の白ワイン、
秋と言えば、やっぱり赤ワインですかね。

五訂日本食品標準成分表によれば、
赤ワイン100ml中に1.5gの糖質、
白ワイン100ml中に2.0gの糖質、
純米酒100ml中には3.6gの糖質、
純米吟醸酒だと100ml中に4.1gの糖質、
ビールは100ml中に3.1gの糖質、


がそれぞれ含まれています。

しかし、辛口ワインの血糖を上昇させる糖質はもっと少ないと考えられます。

以前ワインの糖質量に関してYukiさんから、とても詳しいコメントをいただきました。

ブログ読者の皆さんも是非この貴重な情報を共有して欲しいと思い記事にしました。

Yukiさんのコメントは大変長い力作です。
ネットでいろいろ調べていただいて、苦労されたことと思います。
Yukiさん、ありがとうございました。m(_ _)m

長編なのですが、興味がある方は、是非、Yukiさんの本編をお読みいただけば幸いです。

お忙しい方には以下、私が、Yukiさんのコメントの要約を作成してみました。


「甲府盆地にあるワイナリー"機山ワイン"のサイトによれば、
辛口ワインの場合、含まれるブドウ糖(グルコース)量は
ボトル一本(720ml)あたり最小で0.15g、最大で0.6g。
果糖(フルクトース)は最小0.75g、最大1.5g。」


これでおよその目処が立ちますね。


「栽培条件の異なるブドウ『甲州』を用いた
ワインの 個性化醸造技術の確立に関する研究(第3報)
www.yitc.go.jp/Houkoku/data/H19/kei14.pdf  
表16 38試験区のワインの各種分析結果 から
平均値(g/L)
有機酸:クエン酸0.7 酒石酸2.1 リンゴ酸1.8 コハク酸1.0 乳酸0.3 酢酸0.3(合計6.2)
糖類:ブドウ糖0.0 果糖3.8(合計3.8)
グリセリン6.5(グリセリン?!そんな物が入っていたとは知りませんでした)
これらを合計すると、1リットル中に全部で16.5g。
その内ブドウ糖、果糖以外の炭水化物が12.7g。
他にタンニン、アントシアニンなどのポリフェノールが
赤ワインの場合平均230mg/100ml(2.3g/L)含まれているはずなので、
おおざっぱに、糖類以外の炭水化物15g、糖類は4g、全炭水化物19g。
結局、辛口赤ワインには100ml中1g以下の糖類しか含まれておらず、
その内多くが果糖、故に血糖値をほとんど上げないお酒ってことになるのでは?」


私もYukiさんの説に賛成です。

ワイン1リットル中に、炭水化物が合計19g。
ワイン1リットル中に、血糖値を上昇させる糖類(ワインなら果糖とブドウ糖)は4gていど。
残りの15gの炭水化物は血糖値を上昇させない、グリセリンや有機酸など。

結局、辛口赤ワインなどには、
100ml中0.4gの糖類しか含まれておらず、その多くが果糖。
果糖は血糖にはほとんど変わらない。果糖のGIは20。
このように考察してみると、辛口赤ワインはビールに比べれば全然安全ですね。


「五訂増補日本食品標準成分表 [第1章]-2-2
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu3/toushin/05031802/001/002.htm
> (4) 一般成分
> 4 炭水化物
> 炭水化物は、従来同様いわゆる『差し引き法による炭水化物』すなわち、
> 水分、たんぱく質、脂質及び灰分の合計(グラム)を100グラムから
> 差し引いた値で 示した。

つまり、 水、たんぱく質、脂質、灰分、以外の物はみんなまとめて炭水化物扱い。
結局は残り物の数合わせなので、糖質、食物繊維の含有量が低い食品の場合、
あんまり当てになる数字じゃなくなっていると思います。

> なお、硝酸イオン、アルコール、酢酸、タンニン、カフェイン及びテオブ
>ロミンを比較的多く含む食品や、加熱により二酸化炭素が多量に発生する
>食品 については、これらの含量も差し引いて炭水化物量を求めた。

そこで五訂日本食品標準成分表を見ると、ワインは備考欄にアルコール以外の記載がないので、
有機酸、ポリフェノール、糖アルコール、その他の微量な芳香成分などひっくるめて炭水化物にカウントされている思われます。

ワインは有機酸が多いのでこれが結構な%を占めてるはず。
あと、調べてみたらグリセリンがかなり含まれてて、ちょっとびっくりしました。

www.yitc.go.jp/Houkoku/data/H19/kei14.pdf
によると、これらのワインの平均値では、グリセリンが6.5g/L、有機酸は6.2g/L。
これだけでも100ml中1.3gになりますから、炭水化物カウントの過半数を占めてしまいます。」


炭水化物の定義が
『水分、たんぱく質、脂質及び灰分の合計(グラム)を100グラムから差し引いた値』
なので、五訂増補日本食品標準成分表の中の赤ワイン100g中に1.5gの炭水化物、食物繊維はゼロ。
1.5gからグリセリンと有機酸1.3gをひけば、血糖値を上昇させる果糖やブドウ糖などは0.2gと極微量ですね。
これなら血糖値はほとんど上昇しません。



「結論。
ことワインに関しては炭水化物量ではなく"残糖"、を指標にしましょう。
私の独断ですが、ワインに含まれる糖分以外の炭水化物(定義上の)による血糖上昇作用は、きっと、、、おそらく、、、たぶん、、、、、、無視してかまわないレベルだと思われます。
(本当かな?)
江部先生、いかがでしょうか?」


Yukiさん。
ありがとうございます。

【ワインに含まれている炭水化物のかなりの量を「グリセリン+有機酸」が占めていて、これらは血糖値を上昇させない。】

【ワインに含まれている「果糖+ブドウ糖」の"残糖"およびエリスリトール以外の糖アルコールなどが血糖値を上昇させるが、
極微量である。】

私もYukiさんの結論に賛成です。

少なくとも辛口ワインなら、
赤でも白でも糖質制限食OK食品と言えそうですね。(⌒o⌒)v

なお、貴腐ワインとかアイスワインとか
甘口ワインは"残糖"が、辛口の10倍くらいあるので、NGですね。



江部康二






☆☆☆

<Yukiさんのコメント>

10/03/05 Yuki

ワインの血糖上昇作用について
江部先生こんにちは、初めてコメントします。以前から、大変素晴らしいブログと思いよく読ませて頂いておりました。どうやら私の母が境界型の糖尿病で、いよいよ本気で糖質制限を始めました。今後もこのブログにお世話になって参ります。 非常に長文で失礼します。

ワインの血糖上昇作用、私も非常に気になります。 調べてみました。
まず、これです。

オーストラリアワインについてのページから

甘辛度の表示

>1リットル当たりの残糖量(RZ/l)
>トロッケン(辛口):残糖分は最大9 g RZ/l。
>ただし、糖度と酸度の差が2 g/l 未満であること。
>例えば、残糖8 g/lのワインが辛口に分類されるためには、
>酸度が6g/l以上でなければならない。

>エクストラトロッケン(極辛口):残糖分は4 g /l以下。
>ハルプトロッケン(中辛口):残糖分は12 g /l以下。
>リープリッヒ:(中甘口):残糖分は45 g /l以下。
>ズュース(甘口): 残糖分は45 g /l以上。
(http://www.winesfromaustria.jp/wl-quality.html)

残糖=ワイン中の、ブドウ糖+果糖です

更に、別のサイトをヒットしたので、そのデータで計算してみました。

甲府盆地にあるワイナリー"機山ワイン"のサイトから
"ワイナリー便り" vol.128 2007/2" 

>ぶどう中の糖は酵母によって代謝され、アルコールを生産します。
>酵母はグルコースとフルクトースを同時にアルコール発酵に使用し
>ますが代謝に必要なエネルギーが異なるため、グルコースを消費す
>る速度の方がややフルクトースを消費する速度より早くなります。
>このため醗酵が進むにつれてフルクトースの割合が高くなってきま
>す( glucophillic)。
>一般に辛口ワインには 0.2-0.8 g/Lのグルコースと1-2 g/Lのフルクト
>ースが含まれており、超甘口ワインでは30 g/Lのグルコースと60 g/L
>のフルクトースが含まれていると言われています。
(http://www.kizan.co.jp/monthly/0702.html


こういうのって、多分ソムリエには常識なんでしょうが、素人には初耳でした。もっとまとまったサイトがあれば良いんですが。

このデータによれば、辛口ワインの場合、含まれるブドウ糖(グルコース)量はボトル一本あたり最小で0.15g、最大で0.6g。
果糖(フルクトース)は最小0.75g、最大1.5g。

ワインに含まれている総炭水化物量が仮に15g/L(五訂日本食品標準成分表から赤ワインのデータ、100ml中に1.5g)として、ボトル一本で11.3g。ブドウ糖と果糖以外の炭水化物が9.2gから10.4g。
この、その他の炭水化物とはアラビノースやキシロースなど五炭糖(血糖上昇作用はあるのか?)、マルトースやキシリトール(血糖上昇が遅い)、更にはエリスリトール(血糖上昇を起こさない)、などでしょうから、血糖上昇はかなり穏やかになるはず。

仮に、これらが全部エリスリトール以外の糖アルコールだとして、ブドウ糖の半分の血糖上昇作用があるとすれば、ブドウ糖換算で4.5gから5.2g程度分の血糖上昇を引き起こす計算。

つまり、辛口赤ワインの場合、ブドウ糖が一本あたりおよそ4.7gから5.8g、果糖が0.75gから1.5g含まれているのと同じ。
果糖のグリセミック指数を20として、ブドウ糖の5分の1の血糖上昇作用とすれば、正常人の場合、辛口赤ワイン一本飲むとブドウ糖を4.9gから6.1g摂取したのと同じ血糖上昇が起きるはず。
2型糖尿病の場合、糖質1gあたりの血糖値上昇を3mgとして、ブドウ糖6.1gで約18.3mgの血糖値上昇。で、いいのかな~。

結構安全?
いや、ビール750ml(ワインボトル一本分)中、糖質23gよりははるかに安全だと思います。ビールはアルコール度数が低いので赤ワインと同じだけ酔っぱらおうと思ったらこの2~3倍飲まないとなりませんし。
これが正しければ、先生のおっしゃってた

「2009年05月10日 (日) またあくまでも体験と印象ていどですが、赤ワインをボトル1本飲んでも血糖値は上昇しないようです。ビールなどとは、はっきり違います。」

の謎が解けるのでは?

更に、ちょっと良い物を見つけました。

"株式会社 和田屋"のホームページから
低糖ドイツワインの説明文を引用。

1. 通常ワインには果汁由来のぶどう糖(グルコース)、果糖(フラクトース)の2種の糖分が含まれています。
2. ドイツ発低糖ワインは分子構造が小さく、体内にすぐ吸収され、血糖値を左右するぶどう糖の量を極力抑え、体内で分解される速度が比較的緩やかな果糖により「ドイツワインのおいしさ」の1つの要素である甘み成分を一定量残す事に成功したものです。
3. 製法的には、果汁を発酵させる際に、ぶどう糖の方が果糖より早くアルコール分解されるという特性を利用し、ある程度発酵が進んだ段階で遠心分離器及びフィルターによる澱引きを行い、果糖の割合を高めています。
4. 下記 基準を守ってつくられています。

■全糖リッター当り20g以下、そのうちぶどう糖は4g以下。
■酸化防止剤(亜硫酸塩)は150mg/L以下。
■アルコール度は12%以下。
■ワインとアルコールのカロリー値は、663/Lキロカロリー以下。
■総カロリーは740/Lキロカロリー以下。
(http://www.rakuten.co.jp/wadaya/138900/1863119/)


このサイトで掲示している栄養成分表示はどうやら間違っているらしいので、別のサイトでみつけた同じワインの栄養成分表示を出しておきます。

"テーニッヒャー・ザンクト・ミヒャエル・リースリング・カビネット・トロッケン"

白 やや辛口 アルコール度数 10% 産地 モーゼル 格付 カビネット 
栄養成分表示<100ml当たり>
エネルギー61kcalたんぱく質0.2g 脂質0g 炭水化物2.0g ナトリウム2.2mg フラクトース0.41g グルコース0.29g
(http://www.newmenu.net/wine/detail/gekkeikan:10000093.html)

"モーゼルラント・ドルンフェルダー・トロッケン"

赤 ライトボディー アルコール度数 11% 産地 ドイツ 格付 ターフェルヴァイン
栄養成分表示<100ml当たり>
エネルギー76kcalたんぱく質0.1g 脂質 0g 炭水化物1.0g ナトリウム1.7mg フラクトース0.3g グルコース0.2g 
(http://www.newmenu.net/wine/detail/gekkeikan:10000095.html)

かなり良さそうですよね?

10/03/05 Yuki
ワインの血糖上昇作用について追伸
あっと、追加です。

ワインに含まれるエリスリトールについて、
http://www.mfc.co.jp/erisuri/002.htm
技術情報|エリスリトール|主要製品紹介|三菱化学フーズ株式会社

赤ワイン 170mg/L (つまり0.017g/100ml)
白ワイン 280mg/L (つまり0.028g/100ml)
大した事ないですね。
キシリトールについては分かりませんでした。

先のコメントで、有機酸とかポリフェノールを忘れてました。これらは炭水化物として計算されてるはず。
何とか含有量が分からないかと探してみました。

栽培条件の異なるブドウ「甲州」を用いたワインの 個性化醸造技術の確立に関する研究(第3報) www.yitc.go.jp/Houkoku/data/H19/kei14.pdf  表16 38試験区のワインの各種分析結果 から

平均値(g/L)

有機酸:クエン酸0.7 酒石酸2.1 リンゴ酸1.8 コハク酸1.0 乳酸0.3 酢酸0.3(合計6.2)
糖類:ブドウ糖0.0 果糖3.8(合計3.8)
グリセリン6.5(グリセリン?!そんな物が入っていたとは知りませんでした)

これらを合計すると全部で16.5。
その内ブドウ糖、果糖以外の炭水化物が12.7。
他にタンニン、アントシアニンなどのポリフェノールが赤ワインの場合平均230mg/100ml(2.3g/L)含まれているはずなので、 おおざっぱに、糖類以外の炭水化物15g、糖類は4g、全炭水化物19g。

結局、辛口赤ワインには100ml中1g以下の糖質しか含まれておらず、その内多くが果糖、故に血糖値をほとんど上げないお酒ってことになるのでは?

10/03/05 Yuki
ワインの炭水化物カウント
ワインの炭水化物カウント

あ、糖質ポリスさんこんにちは、実はblogにお世話になってます。
どうも。

五訂増補日本食品標準成分表 [第1章]-2-2
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu3/toushin/05031802/001/002.htm

> (4) 一般成分
> 4 炭水化物

> 炭水化物は、従来同様いわゆる「差し引き法による炭水化物」すなわち、
> 水分、たんぱく質、脂質及び灰分の合計(グラム)を100グラムから
> 差し引いた値で 示した。

つまり、 水、たんぱく質、脂質、灰分、以外の物はみんなまとめて炭水化物扱い。 結局は残り物の数合わせなので、糖質、食物繊維の含有量が低い食品の場合、あんまり当てになる数字じゃなくなっていると思います。

> なお、硝酸イオン、アルコール、酢酸、タンニン、カフェイン及びテオブ
>ロミンを比較的多く含む食品や、加熱により二酸化炭素が多量に発生する
>食品 については、これらの含量も差し引いて炭水化物量を求めた。

そこで五訂日本食品標準成分表を見ると、ワインは備考欄にアルコール以外の記載がないので、有機酸、ポリフェノール、糖アルコール、その他の微量な芳香成分などひっくるめて炭水化物にカウントされている思われます。

ワインは有機酸が多いのでこれが結構な%を占めてるはず。 あと、調べてみたらグリセリンがかなり含まれてて、ちょっとびっくりしました。

www.yitc.go.jp/Houkoku/data/H19/kei14.pdf
によると、これらのワインの平均値では、グリセリンが6.5g/L、有機酸は6.2g/L。これだけでも100ml中1.3gになりますから、炭水化物カウントの過半数を占めてしまいます。

結局そういうことじゃないかと。

それに加えてポリフェノールが赤で平均0.23g/100ml、エリスリトールが0.017g/100ml。その他の微量成分の積み重ねがあって炭水化物カウントは増えるけれども、つまるところ平均的な人間が、「辛口だな~、糖分がないな~」と感じる、いわゆる辛口ワイン(含まれる糖分10g/L以下の定義で) の100m中に含まれる糖分は1g以下。

ブドウ果汁中の糖分はほぼ全部ブドウ糖と果糖です。start地点でのそれらの割合は半々。しかし、ワイン酵母はアルコール発酵に際してブドウ糖を優先的に使うので、赤だろうが白だろうがワインが辛口になるまで発酵させた場合、残糖として残るのはあらかた全部果糖になってしまいます。

したがって、トロッケン、セック、セッコなどEU法で保証された辛口スティルワインの場合、含まれるブドウ糖の量は0.5g/100ml以下(それどころかおそらく果糖の半分以下のはず。0.0g/100mlであることも多いはず。)であると確信を持って言うことができます。

そのため辛口ワインを飲んだときの血糖値上昇は更に起きにくくなっている、と。
何て素晴らしい、安心して飲めるじゃありませんか。

中口のスティルワイン(モワルー、ミルト、アマービレなど)の場合でも含まれるブドウ糖は1.5g/100ml以下ですね。ボトル一本飲んだらブドウ糖が最大で11.25g。ここまでくるとちょっとまずいかな。

結論。

ことワインに関しては炭水化物量ではなく"残糖"、を指標にしましょう。私の独断ですが、ワインに含まれる糖分以外の炭水化物(定義上の)による血糖上昇作用は、きっと、、、おそらく、、、たぶん、、、、、、無視してかまわないレベルだと思われます。(本当かな?)
江部先生、いかがでしょうか?

追伸

ワインの甘辛度による分類法(EUの場合)、見つけました。
http://blogs.dion.ne.jp/yottyokky/archives/8945908.html

(1)残糖
*残糖とは、発酵完了後あるいは人工的に発酵を中断させた時点のワイン中に残る1リットル当りの糖分のことである。EUの規定では、この残糖分の量により甘辛度が分類される。

(2)スティル・ワインの分類
※数値の重複部分はどちらの表示でも可。
*フランス
0~5g/l:ブリュット(Brut) 
0~10g/l:セック(Sec)
10~20g/l:ドゥミ・セック(Demi-sec)
20~30g/l:モワルー(Moelleux)
30~40g/l:ドゥー(Doux)
40g/l~:リクルー(Liquoreux)
*ドイツ 
0~10g/l:トロッケン(Trocken)
10~20g/l:ハルプトロッケン(Halptrocken)
20~30g/l:ミルト(Mild)
30~40g/l:リープリッヒ(Lieblich)
40g/l~:ズィス(S醇гs)
*イタリア
0~10g/l:セッコ(Secco)
10~20g/l:アッボカート(Abboccato)
20~30g/l:アマービレ(Amabile)
30~40g/l:ドルチェ(Dolce) 

(3)スパークリング・ワインの分類
※数値の重複部分はどちらの表示でも可。
*フランス
0~3g/l:ブリュット・ナチュール(Brut Nature)
0~ 6g/l:エクストラ・ブリュット(Extra Brut)
0~15g/l:ブリュット(Brut) 
12~20g/l:エクストラ・セック(Extra Sec)
17~33g/l:セック(Sec)
33~50g/l:ドゥミ・セック(Demi Sec)
50g/l~:ドゥー(Doux)
*ドイツ
0~6g/l:エクストラ・ブリュット(Extra Brut)
6~15g/l:ブリュット(Brut)
12~20g/l:エクストラ・トロッケン(Extra Trocken)
17~35g/l:トロッケン(Trocken)
35~50g/l:ハルプ・トロッケン(Halbtrocken)
50g/l~:ミルト(Mild)
*イタリア
0g/l:ドス・パセ(Dos Passe)
0~6g/l:エクストラ・ブリュット(Extra Brut)
0~15g/l:ブリュット(Brut)
12~20g/l:エクストラ・セッコ(Extra Secco)
17~35g/l:セッコ(Secco)
35~50g/l:セミ・セッコ(Semi Secco)
50g/l~:ドルチェ(Dolce)

医者が教える 正しい糖質の減らし方 (TJMOOK)  2022/5/26刊行。
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医者が教える 正しい糖質の減らし方 (TJMOOK) ムック – 2022/5/26  
江部 康二  (監修) 宝島社

https://www.amazon.co.jp/dp/429902981X/

こんばんは。
『医者が教える 正しい糖質の減らし方 』
が、2022年5月26日(木)刊行されました。
自画自賛になりますが、とてもわかりやすく、よくまとまっています。 (^^)  
     
「増補新版 糖質制限の大百科」2021年9月(宝島社)
以来、久しぶりの新刊となります。
何だか、恥ずかしいのですが、7ページに私の全身の写真が載っています。

超健康体 江部康二
糖質制限20年目!72歳で持病なし、
虫歯なし、20代の体型をしっかり維持


身長:167cm/体重:57kg


髪:白髪はあるが薄毛には悩んでいない

耳:聴力低下もなく、患者さんとも楽しくお喋りできる

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  肌年齢は52歳。
  糖質制限を始めた年齢で止まったまま。

睡眠:毎日7時間睡眠。
         夜中に尿意で目覚めることもなく睡眠の質は極めて良好。

運動:日頃からよく歩くことを心がけているが
      ジム通いなどの経験はなし。
      1~2週間に1回
      趣味のテニスをしている。

目:視力良好。
  近視、遠視、乱視はあるが
    それがほどよく相まって、
    『広辞苑』の小さな文字が
    裸眼で読めるほどの
    視力を維持している。

歯:歯は全部残っている。
  虫歯ゼロ、歯周病もなし。
  食後歯磨き、
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貧血があるとHbA1cの値は上がる?下がる?
こんにちは。
貧血があるとHbA1cの値は上がるのでしょうか?
それとも下がるのでしょうか?

貧血とHbA1cの関係を説明する前に、HbA1c(ヘモグロビンA1c)とは何かを考えてみましょう。

赤血球の中に含まれているヘモグロビンは、鉄を含む赤色の色素部分のヘムと、蛋白部分のグロビンでできています。
ヘモグロビンはグロビン部分の違いによりHbA、HbA2、HbFの3種類に分けられます。
成人では、HbAが97%を占めています。
血液中には、赤血球や糖類やその代謝産物が流れていて、お互いに結合する傾向があります。
赤血球中のヘモグロビンと、血中のブドウ糖など単糖類が結合したものが、グリケーティッドヘモグロビンです。
これを略してグリコヘモグロビンですが、HbA1とほぼ同義語として使用されています。
グリコヘモグロビンは、元のヘモグロビンとは電気的性質が異なるため、検査により識別することができます。
HbA1は、さらにHbA1a、HbA1b、HbA1cなどに分けることができます。

このうち糖尿病の検査の指標として汎用されているHbA1cは、ヘモグロビンA(HbA)にグルコース(ブドウ糖)が結合したものです。当然、血糖値が高値であるほど、ヘモグロビンと結合しやすいのです。

HbA1cの生産量は、Hb(ヘモグロビン)の寿命と血糖値に依存します。
赤血球は骨髄で作られて血液中を循環し、寿命は約120日間ですから、
HbA1cは過去4ヶ月(120日間)の血糖値の動きを示しています。

より詳しく分析すると、HbA1c値の約50%は過去1ヶ月間の間に作られ、
約25%が過去2ヶ月、残りの約25%が過去3~4ヶ月で作られます。
従いまして、HbA1cの値は通常は過去1~2ヶ月の平均血糖値を反映していると、考えればよいことになります。

さて、溶血性貧血、腎性貧血など、赤血球の寿命が短縮するような病態のときは、
HbA1cの生産量がその分蓄積されずに減りますので、実際の値よりも低くなります。
肝硬変に伴う脾機能亢進による貧血も赤血球の寿命が短縮します。

鉄欠乏性貧血の場合、鉄不足で貧血のときは、
代償性に赤血球の寿命が延びるので、HbA1cは寿命が延びた分蓄積して、高値にシフトします。

鉄剤投与を開始して、鉄欠乏性貧血が回復している時期は、
幼弱赤血球が増えて、赤血球の寿命が短くなり、HbA1cは低値となります。

従いまして、糖尿病腎症から透析になった糖尿人の場合は、腎性貧血で赤血球の寿命が短くなっているので、
見かけ上はHbA1cが改善して、低下したようにみえますが、実態を反映していないことになります。
それで日本透析医学会では透析患者の血糖指標としては、グリコアルブミン(GA)を推奨しています。

血液中のタンパク質の一種であるアルブミンにブドウ糖がくっついたものをグリコアルブミン(GA)といい、
GAは、約2週間の血糖状態をもっとも鋭敏に反映すると言われています。
そして、アルブミンは赤血球の寿命とは無関係なので、貧血にも影響されないので、
日本透析医学会が推奨しているわけですね。


江部康二
ドクター江部の糖質オフ!健康トーク ▼ vol.13『日本における糖質制限食』
こんにちは。
本日は、ユーチューブのご案内です。

ドクター江部の糖質オフ!健康トーク
▼ vol.13『日本における糖質制限食』
https://youtu.be/tQxKF3fWgUg


今回のテーマは
「日本における糖質制限食」 見解の歴史的変遷
です。

糖質制限食に関して、2019年4月以降は、
エビデンスに基づいた米国糖尿病学会のお墨付きがあります。
米国糖尿病学会のトレーシー・ブラウン現CEOは、
自らスーパー糖質制限食を実践
中であり、
それによりインスリン注射を中止できています。

おかげ様で、2022年現在、糖質制限食はますます順調に普及してきています。
2005年に私が「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)
を日本初の糖質制限食の本として刊行したころとは、大きな違いがあります。

現在ではファミリーレストランのガストやリンガーハットでも、くら寿司でも
糖質オフメニューがあります。
ローソンやファミリーマートやセブンイレブンでも、
糖質制限OK食品が販売されています。

私は、糖質制限食はブームではなく、生理学的なな真実そのものと考えています。
従ってブームのように消え去ることはなく、今後もどんどん繁栄していくと思います。


さて今回は、糖質制限食と糖尿病食の日本の歴史を考察してみました。

<プロローグ>
富士経済の調査によると、
糖質制限市場は2019年度は3612億円の見込みです。
2022年、糖質制限市場はさらに加速して拡大し、
糖質ゼロビールも、2社から発売されています。

<夏目漱石と糖尿病と厳重食>
文豪夏目漱石(1867~1916年)は、糖尿病であり、
厳重食で改善しましたが、大正5年12月、胃潰瘍による出血で死亡しました。

<厳重食=スーパー糖質制限食 >
当時の「厳重食」は、まさに「スーパー糖質制限食」であり、
穀物や芋などのデンプンはなしでした。

<日本における糖尿病食事療法の変遷① >
日本糖尿病学会のバイブルといえる「食品交換表」初版
1965年(昭和40年)に発行されましたが、
適正なカロリー糖質量の制限という記載がありました。

<日本における糖尿病食事療法の変遷②>
1969年の第2版で糖尿病食事療法の原則から、
「糖質制限」が消えて、「カロリーの制限」が登場しました。
これ以降の食品交換表は、2013年、11年ぶりに改訂された第7版にいたるまで、
「カロリー制限」一辺倒でした。

<日本における糖尿病食事療法の変遷③>
長年、炭水化物摂取比率が60%だったのが、糖尿病治療ガイド2022年では40~60%と少し、
糖質制限食に歩み寄ってきています。

<日本における糖質制限食の歴史①>
 戦前までは、厳重食があったのですが、1969年以降はすっかり消えてしまいました。
その後の糖質制限食の臨床実践は、1999年から釜池医師が宇和島で開始し、
同時に高雄病院でも筆者の兄江部洋一郎医師が開始し有効例を重ねました。

その経験を踏まえ医学文献では、2004年に筆者が本邦初の糖質制限食有効例の報告を行いました3)。
2005年には筆者が本邦初の一般向けの本を出版しました4)。

<日本における糖質制限食の歴史②>
2006年荒木医師が「断糖宣言」、2007年釜池医師が「糖質ゼロの食事術」を刊行しました。
坂東医師、中村医師は約1000人を肥満外来で治療し糖質制限食の有効性を2008年に報告しました5)。
2009年、2010年、医学雑誌に筆者が小論文を発表しました6)7)。

その後、2012年に山田悟医師、白澤医師、2013年に夏井医師、2014年に渡辺信幸医師、
2015年に宗田医師が一般向け糖質制限食の本を出版しました8)9)10)11)12)。
糖質制限食の広がり、いよいよ加速がついてきて、私も毎年著書を上梓しています13)14)15)16)17)18)19)20)21)22)23)24)25)26)。


1)香川綾: 女子栄養大学「栄養と料理」 第4巻第4号 p46
  糖尿病の手当と食餌療法、昭和13年(1938年)
2)香川昇三:女子栄養大学「栄養と料理」 第9巻第5号 p27 
  糖尿病患者の厳重食、 昭和18年(1943年)
3)江部康二他:糖尿病食事療法として糖質制限食を実施した3症例,
      京都医学会雑誌51(1):125-130、2004
4)江部康二:主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ、
  2005年(東洋経済新報社)
5)坂東浩,中村巧:カーボカウントと糖質制限食, 治療,90(12):3105-3111,2008
6)江部康二:主食を抜けば(糖質を制限すれば)糖尿病は良くなる!,
  治療,91(4):682-683,2009
7)江部康二:低糖質食(糖質制限食carbohydrate restriction)の意義,
  内科,105(1):100-103,2010
8)山田悟:糖質制限食のススメ、2012年(東洋経済新報社)
9)白澤卓二:<白澤式>ケトン食事法、2012年(かんき出版)
10)夏井睦:「炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学」、光文社新書、2013年
11)渡辺信幸:日本人だからこそ「ご飯」を食べるな 肉・卵・チーズが健康長寿をつくる 、2014年(講談社)
12)宗田哲男:「ケトン体が人類を救う 糖質制限でなぜ健康になるのか」、光文社新書、2015年
13)江部康二:「人類最強の『糖質制限』論 ケトン体を味方にして痩せる、健康になる」、SB新書、2016年
14)江部康二:外食でやせる! 「糖質オフ」で食べても飲んでも太らない体を手に入れる、2017年(毎日新聞出版)
15)江部康二:「江部康二の糖質制限革命」2017年(東洋経済新報社)
16)江部康二:「女性のためのラクやせ糖質制限ハンドブック」2018年(洋泉社)
17)江部康二:「男性のための糖質制限最強ダイエットハンドブック」2018年(洋泉社)
18)江部康二:「男・50代からの糖質制限」2018年(東洋経済新報社)
19)江部康二:「内臓脂肪がストン!とおちる食事術」2019年(ダイヤモンド社)
20)江部康二:「糖質制限の大百科」2019年(洋泉社)
21)江部康二:「名医が考えた認知症にならない最強の食事術」2020年(宝島社)
22)江部康二:「ダイエット・糖質制限に必携! 食品別糖質量ハンドブック」 2020年(宝島社)
23)江部康二:医学的に正しい「糖質制限」見るだけノート2020年(宝島社)
24)江部康二:「体が変わる! 最強の糖質制限食-巣ごもり生活でも太らない!」2021年(学研プラス)
25)江部康二:「増補新版 糖質制限の大百科」2021年(宝島社)
26)江部康二:「医者が教える 正しい糖質の減らし方」2022年5月(宝島社)


江部康二


以下、事務局からのお知らせです。

*********

ブログ読者の皆様、弊会のYouTube動画を多数ご覧いただいておりまして、ありがとうございます。

江部理事長による動画「ドクター江部の糖質オフ!健康トーク vol.13」の配信をご案内申し上げます。

テーマは、「日本における糖質制限食」です。

日本における、糖尿病食事療法の変遷と糖質制限食の歴史についてお話しております。

ドクター江部の糖質オフ!健康トーク
▼ vol.13『日本における糖質制限食』
https://youtu.be/tQxKF3fWgUg

ご覧いただけますと、また、ご興味のある方へシェアしていただけますと幸いです。

▼協会YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCdh9uz2_XnhDyJj9pHDDW1A

一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会
https://www.toushitsuseigen.or.jp/

*********
アニサキス症とアニサキスアレルギー②
こんにちは。
今回の記事は前回の続きで
アニサキス症とアニサキスアレルギー②です。
まずは、魚を食べて生じるアレルギーの全体像です。

<魚を食べて生じるアレルギー>
①魚自体のアレルギー  
②ヒスタミンによる“アレルギー様食中毒”または“ヒスタミン食中毒”  
③アニサキスアレルギー 

魚を食べて生じるアレルギーには、上記の3つのタイプがあります。
このうち一番多いのが③のアニサキスアレルギーです。
また、②のヒスタミン中毒の場合は、抗原抗体反応が関与していないので、
厳密にはアレルギーではありません。
①の魚アレルギーを起こしやすいのは、
魚の筋肉に含まれた『パルブアルブミン』という蛋白質です。

<アニサキスアレルギー>
魚を食べて蕁麻疹や口唇のピリピリ感などがでたことがある人は、かなりおられると思います。こんな時は、この魚はアレルギーがでるので自分には合わないと、普通は思います。まあ、上記①のパターンと思うわけですね。
しかし、実態として、一番多いのは、実はアニサキスアレルギーなのです。
蕁麻疹、発熱、頭痛、顔や体の紅潮、口唇のピリピリ感、ひどければ、
アナフィラキシーショックなどの様々なアレルギー症状が出現します。
これらは1型アレルギーで、IgE抗体が関与して、抗原抗体反応により、
ヒスタミンが遊離されてアレルギー症状がでます。

前日のブログで解説した「アニサキス症」に第一回目に罹患した時に、
「感作」されると、第二回目にアニサキスのタンパク成分を保有する魚を食べるとアニサキスアレルギーを発症します。
感作されていなければ、アニサキスアレルギーは生じません。
感作というのは、特定の抗原(アレルゲン)に対して過敏状態になることです。
アレルゲンは、基本的にタンパク質成分です。
アニサキスは死んでいても、タンパク成分が魚の筋肉に
残っていれば、アレルギー反応を生じるわけです。
現在アレルゲンとして、
アニサキスの16種類のタンパク成分がわかっています。
このアニサキスの抗原は、熱にも凍結にも強いものがあります。
これらのアレルゲンに対するアレルギー反応は、個人差が大きいです。
極端に言えば、1人1人皆、それぞれ反応は異なると考えられます。
アナフィラキシーショックまで起こす人は、まれとは思いますが、
アナフィラキシーショックは命に関わる病態なので、
魚を食べるときは、細心の注意が必要となります。

オキアミは、ほとんどの種類の魚の餌となっているので、
オキアミのもつアニサキスをほとんどの魚が保有していることとなります。

<症状の治療>
アニサキスアレルギーを発症したときは、
抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤を内服します。
症状が強ければ、ステロイド剤の内服や注射が必要となります。
アナフィラキシーショックで血圧低下のときは、
ボスミン0.3mlの筋注が一番有効です。

<予防・改善>
プーさんが、ご指摘のように
スーパー糖質制限食で、花粉症が治ったり改善したりした人は
大勢おられます。
アトピー性皮膚炎や気管支喘息などアレルギーも関与する疾患も
スーパー糖質制限食で改善します。
このように、スーパー糖質制限食でアレルギーが改善した例は多いです。
アニサキスアレルギーの「予防・改善」に対しても
スーパー糖質制限食が有効である可能性は期待できると思います。


以下は、
厚生労働省のサイトhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000042953.html
より引用です

消費者の皆さまへ
◆ 魚を購入する際は、新鮮な魚を選びましょう。また、丸ごと1匹で購入した際は、速やかに内臓を取り除いてください。
◆ 内臓を生で食べないでください。
◆ 目視で確認して、アニサキス幼虫を除去してください。

※ 一般的な料理で使う食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても、アニサキス幼虫は死滅しません。

事業者の皆さまへ
◆ 新鮮な魚を選び、速やかに内臓を取り除いてください。
◆ 魚の内臓を生で提供しないでください。
◆ 目視で確認して、アニサキス幼虫を除去してください。
◆ 冷凍してください。 (-20℃で24時間以上冷凍)
◆ 加熱してください。(70℃以上、または60℃なら1分)


※ 一般的な料理で使う食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても、アニサキス幼虫は死滅しません。


江部康二
アニサキス症とアニサキスアレルギーについて①。
こんにちは。
2022年7月3日(日)、毎日新聞のサイトに
以下の青字の記事が掲載されました。

https://mainichi.jp/articles/20220703/ddm/012/040/082000c
アニサキス食中毒増加 胃腸に激痛 
魚に寄生/年7000人被害推定も


どうやら、アニサキス食中毒が増えているようです。
カンピロバクターやノロウイルスによる食中毒を抑え、
2018年から最多の発生件数を占めています。
食中毒が発生したら営業停止処分を受けるので、飲食店は要注意です。

以前、プーさんにご教示頂きましたが、アニサキス食中毒には、
「アニサキス症」と「アニサキスアレルギー」の二つがあります。

プーさんがご指摘のように、まず最初にアニサキス症となり、
その後アニサキスアレルギーを発症する人もいれば発症しない人もいます。

<アニサキスとアニサキス症>
アニサキスの幼虫(白くて2~3mm×0.5mm)が寄生している魚を
人が生で食べてアニサキス症を発症します。
アニサキスの本来の寄生宿主は、クジラ、イルカ、アザラシなどで、
これらの胃に寄生して卵を産みます。
この卵が海中に糞便とともに排泄され、それをオキアミなどが取りこみ、
そこで幼虫になります。
幼虫の感染しているオキアミを魚が食べると、
魚の内臓に幼虫のまま寄生します。
オキアミは地球の海洋生態系のエンジンを動かす燃料のようなもので、
いろんな魚がオキアミを食べます。

そして、アニサキスが寄生している魚をヒトが食べると、アニサキス症を発症します。
アニサキスにとっては、ヒトの胃は、本来の寄生環境ではないので、
胃壁に頭を突っ込んで(刺入して)、脱出しようとします。
胃壁に頭を突っ込まれたら痛そうですが、実は胃の粘膜を生検しても痛みはなく、
胃粘膜そのものには疼痛センサーはありませんので、これだけでは痛みません。
しかし、アニサキスアレルギーがあると、刺入によりアレルギー反応が出現し
疼痛物質が作られるので激しく痛むのです。
治療は胃カメラでアニサキスを取り出すことです。
胃、腸、腸管外にアニサキスが刺入しますが、9割は胃アニサキス症です。

なお、故森繁久彌さんは、昭和62年に名古屋で公演中に
腹部の激痛を訴えて緊急手術を受けました。
サバの押しずしを食べて腸管アニサキス症を発症したのです。

アニサキスは、魚の内臓に寄生していますが、
魚が死ぬとすぐに筋肉に移行します。
その筋肉を食べてアニサキス症になるわけなので、
速やかに内臓を処理した魚なら、ほぼ安全です。

アニサキス症の元となる魚は、
サバ、イワシ、アジ、カツオ、キンメダイ、タラ、ホッケ、サケ、イカなどですが、
一番多いのはサバです。
養殖魚では冷凍オキアミなどを食料として使用するので、
養殖魚にはアニサキスの寄生は大変少ないです。

以下は、
厚生労働省のサイトhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000042953.html
より引用です

消費者の皆さまへ
◆ 魚を購入する際は、新鮮な魚を選びましょう。また、丸ごと1匹で購入した際は、速やかに内臓を取り除いてください。
◆ 内臓を生で食べないでください。
◆ 目視で確認して、アニサキス幼虫を除去してください。

※ 一般的な料理で使う食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても、アニサキス幼虫は死滅しません。

事業者の皆さまへ
◆ 新鮮な魚を選び、速やかに内臓を取り除いてください。
◆ 魚の内臓を生で提供しないでください。
◆ 目視で確認して、アニサキス幼虫を除去してください。
◆ 冷凍してください。 (-20℃で24時間以上冷凍)
◆ 加熱してください。(70℃以上、または60℃なら1分)


※ 一般的な料理で使う食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても、アニサキス幼虫は死滅しません。

続く。

江部康二

「アルパカ抗体」 全ての新型コロナに有効? 京都大学などの研究チームが発表
こんにちは。
2022年7月14日のヤフーニュースに

https://news.yahoo.co.jp/articles/8dca40ad92470cfe1f5328a56648c851aa61f1a0
「アルパカ抗体」 全ての新型コロナに有効? 京都大学などの研究チームが発表
7/14(木) 15:17配信


という記事が掲載されました。
テレビ朝日報道局のニュースの引用です。
アルパカ抗体、とても役に立ちそうです。

興味深い記事なので、以下要約してみました。

【新型コロナ感染時にウイルスの働きを抑える中和抗体を、
アルパカから抽出することに成功したと、
京都大学などの研究チームが発表した。
ヒトの抗体よりも小さく、全ての変異ウイルスを中和できるという。

京都大学大学院の高折晃史教授らが見つけた中和抗体は、
アルパカに新型コロナのスパイクタンパクを注射し、
免疫を働かせて作られた抗体を抽出したもの。

「アルパカ抗体」と名付けられたこの抗体は、
ヒトが持つ抗体の10分の1の大きさ

ヒトの抗体はウイルスの表面にくっつくが、
「アルパカ抗体」は新型コロナが持つ突起部分、
スパイクタンパク質にある深い溝にまで入り込むことができる。
この深い溝では、免疫をすりぬけるなどの変異がほとんど見らないため、
オミクロン株をはじめとした全ての新型コロナウイルスの働きを抑えると期待される。

高折教授は、「今後は治療薬としての実用化も目指す」と意気込む。

京都大学大学院 高折晃史教授:
「我々が目指しているのは、吸入薬として開発したいと考えている」
「マウスに普通の株、デルタ株、オミクロン株をチャレンジして、1日後に1回だけ吸入するとそれだけで効果がある」
「局所で増殖しているウイルスに直接作用しているのは非常に有効ではないかなと思う」

テレビ朝日報道局】



江部康二
ペットボトル症候群(清涼飲料水ケトアシドーシス)と糖毒。
こんばんは。
昨夜の京都は、夜は25℃くらいで、
エアコンなしで眠れました。

さて、暑くなってくるとペットボトルを持ち歩いたりして、
清涼飲料水を1日2~3リットル毎日飲み続ける人がいます。

もともと軽症2型糖尿病であったり境界型糖尿病レベルの人が、
液体の糖質(清涼飲料水)のような吸収されやすい糖質を、
多量に毎日のように摂取していると、飲む度に血糖値が急上昇するので、
高血糖にならないようにインスリンが大量に追加分泌されます。

このようなペットボトル生活を、1~2週間から1ヶ月近く続けていると、
ついには膵臓のβ細胞(インスリンを作る細胞)が疲弊してしまい、
インスリンの生産が追いつかなくなり血糖値が高くなり、
一日を通して、200mg/dlを超えるようになってしまいます。

一旦血糖値が高くなると糖毒状態となります。(*)

糖毒の悪循環が続けばインスリン作用は遂に欠落してしまい、
糖尿病性ケトアシドーシスという重篤な病態になり、
血糖値は300~1000mg/dlにもなり、
ものの1~2週間で意識の混濁や昏睡に陥るケースもあります。
治療が遅れたら、死亡することもあり得ます。

この状態を俗にペットボトル症候群と呼びますが、正式名称は清涼飲料水ケトアシドーシスです。

この様なときは、緊急入院して生理的食塩水の点滴で脱水を補正し、
インスリン注射をして、血糖値をコントロールします。

血糖がコントロールできれば糖毒状態は急速に改善し、
インスリン分泌能力も回復することがほとんどです。

従って、退院後はもとの状態に戻るので、インスリン注射も勿論必要ありません。

清涼飲料水ケトアシドーシスの特徴

①清涼飲料水を大量に摂取する(一日平均約2リットル)
②青年期から中年にかけての男性に多い
③発症時に肥満があるが肥満歴を有する人が大半
④血縁者に糖尿病患者がいるケースが半分以上
⑤患者に病識がないか乏しい


大量の液体の糖質を摂取することが、ペットボトル症候群(清涼飲料水ケトーシス)の元凶です。

液体糖質大量摂取以外には起こりえない病態ですが、
今でも時々見かけますので、注意が必要です。

2型糖尿病で、糖尿病ケトアシドーシスを発症する場合、ほとんどがペットボトル症候群です。


液体糖質摂取によるペットボトル症候群は、
日本人に多い病態で、欧米人にはほとんど見られません。
このことには、インスリン分泌能力の差が関係していると思われます。

日本人は、生来、インスリン分泌能力が、欧米人に比べると低いので、
β細胞が疲弊しやすく、ペットボトル症候群を生じやすいものと思われます。

これに対して欧米人は、、清涼飲料水を大量に飲んでも、
元々インスリン分泌能力が高いので、β細胞が疲弊することがなく、
200mg/dlを超える高血糖にもなりにくいにくいものと思われます。

そのかわり、肥満ホルモンであるインスリンを長期にわたり大量に分泌し続ける能力により、
欧米人においては、150kgを超える巨大な肥満患者が多数存在することになります。


いずれにせよ、ブドウ糖や砂糖入りの清涼飲料水は、危険な飲み物という認識が必要と思います。
コーラやファンタやスポーツ飲料など、糖質を含有しているものは、
全てペットボトル症候群の元凶となり得ます。
アクエリアスゼロだけは、カロリーゼロで糖質ゼロなので、飲んでも大丈夫です。

糖尿人や境界人の方々は、
水分補給はお水や麦茶やルイボスティーなど、糖質ゼロでカフェインゼロのものが好ましいです。

ちなみに米国飲料協会(ABA)は、
公立小中学校でのエネルギー量(糖質)の多い清涼飲料水の発売を2009年、全面停止しています。


(*)糖毒
① 高血糖の持続→膵臓のランゲルハンス島のβ細胞にダメージ→インスリン分泌低下
② 高血糖の持続→細胞レベルでのインスリン抵抗性増大
高血糖があると①と②が体内で生じます。
インスリン分泌低下と抵抗性増大が生じれば、ますます高血糖となります。

≪高血糖の持続→インスリン分泌低下とインスリン抵抗性増大→高血糖の持続→≫

この悪循環パターンを、臨床的には「糖毒」 と呼びます。

なぜ、高血糖自体がインスリン分泌を低下させるのか、インスリン抵抗性を増大させるのか、
最先端の研究で調べられてはいるのですが、はっきり言ってまだよくわからないのが現状です。




江部康二
糖質制限中の食事と間食。一回に食べる糖質量が大事。
こんばんは。
糖質制限中の食事と間食について、考えてみます。
 
スーパー糖質制限食では、一回の食事の糖質量
<10~20g以下> が目安となります。
 
これは、体重64kgの2型糖尿人において、ピークは
1gの糖質が約3mg血糖値を上昇させるということが前提となっています。
 
空腹時血糖値が100mg/dlとコントロール良好な2型糖尿人において
一回に40gの糖質を摂取すると120mgの血糖値上昇で、ピークの食後血糖値は220mg/dlとなり、
安全圏の180mg/dlを軽く超えてしまいます。
 
それで一定の安全率を考慮して、食後血糖値が180mg/dlを超えないように
一回の食事の糖質量を<10~20g以下> と設定しています。
 
 
同様に、間食に関しては
一回の間食の糖質量<5gていど> を目安としています。
間食は15時くらいに、一日に一回が無難でしょう。
 
 
<合併症予防のための目標値(日本糖尿病学会)>
①空腹時血糖値:130mg/dl未満
②食後2時間血糖値:180mg/dl未満
③HbA1c:7.0%未満

 
①②③をクリアすることが合併症予防において肝要です。
従って、一回の食事の糖質量が大事であって、
一日の食事の糖質量はそれに準じるという位置づけです。
一回の間食においても、その糖質量が大事です。
 
つまり、糖尿人が、
A)『朝:20g 昼:20g 夕:20g』
の糖質をそれぞれ摂取すると合計60g/日の糖質量ですが、
食後血糖値はをクリアできる可能性が高いです。
また、もクリアできると思います。
 
しかし
B)『朝:なし 昼:なし 夕:60g』
というパターンで、一回に60gの糖質を摂取すると食後血糖値は急上昇(「60g×3mg=180mg」)して、
軽く200mg/dlを超えることとなり危険です。
 
一日の食事の糖質量は60gで同一ですが、
食後高血糖に関しては、A)B)で大きな差があります。
 
また、スタンダード糖質制限食は、
三食糖質を食べている糖尿人に比べるとはるかに好ましいのですが、
スーパー糖質制限食実践者に比べると、一日一回、180mg/dlを超える
食後高血糖のリスクがあるのでそのことを承知しておくことが大切です。
 
同様に、プチ糖質制限食だと、糖尿人においては、
一日二回、180mg/dlを超える食後高血糖のリスクがあるので注意が必要です。
 
なお、間食向けの糖質制限OK食品は
チーズ、ゆで卵、天日干しスルメ、メザシ、焼き海苔、ホタテ貝柱、
クルミ、アーモンド、ヘーゼルナッツ、マカダミアアッツ、
などです。
 
 
江部康二
ワクチン接種後死亡は6月24日までに1770件 厚労省が報告。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5eb769dbfb595fabd7c5d52c8c1d7246cb7eff92
ワクチン接種後死亡は6月24日までに1770件 厚労省が報告
【コロナ第7波に備える最新知識】

7/12(火) 9:06配信

厚労省は7月8日、新型コロナワクチンの接種と副反応との関連性を議論する専門部会を開催した。
同会に提出した資料によると、予防接種開始(2021年2月17日)から2022年6月12日までに
新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例は1761件
(ファイザー社製1603件でうち3回目接種後148件、モデルナ社製157件で同85件、アストラゼネカ社製1件で同0件)。

その後、6月24日までに9件(ファイザー社製6件、モデルナ社製3件)の報告があった。  
つまり、予防接種開始以来、
1770件(ファイザー社製1609件、モデルナ社製160件、アストラゼネカ社製1件)の死亡が報告されたことになる。

■4回目接種後の死亡事例も  
さらに、6月24日以降、ファイザー社製の4回目接種後の死亡事例が1件あったことが報告された。
これは98歳女性の事例で、病気や薬の服用はなく、
4回目ワクチン接種の翌日6月28日朝、施設のスタッフが巡回中に亡くなっていたのを発見したという。  

専門部会では2022年6月12日までに報告された1761件の死亡とワクチン接種との関連について、
α(ワクチンと死亡との因果関係が否定できないもの)、
β(ワクチンと死亡との因果関係が認められないもの)、
γ(情報不足等によりワクチンと死亡の因果関係が評価できないもの)と評価している。

その結果は以下の通り。
▼ファイザー社製 α=0件、β=10件、γ=1593件
▼モデルナ社製 α=0件、β=1件、γ=156件
▼アストラゼネカ社製 α=0件、β=0件、γ=1件
▼ノババックス α=0件、β=0件、γ=0件  

今回の会合でも死亡例の報告に関しては、
「現時点においては、個々の死亡事例について
新型コロナワクチンとの因果関係があると結論づけることのできた事例は認められない。
死亡例の報告に関しては、現時点においては、
4回目接種後の事例も含め、引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められない」
とした。】



こんにちは。
2022年7月12日(火)のヤフーニュースに

ワクチン接種後死亡は6月24日までに1770件 厚労省が報告
【コロナ第7波に備える最新知識】


という上記記事が掲載されました。
専門部会によれば、ワクチン後死亡1770件中に
ワクチンとの因果関係が否定できないものは0件
無関係というのが、11件で、残りは評価不能です。

これでは、ワクチン接種後死亡例のほとんどを、評価不能として
判断を避けて逃げていると言われても仕方ないと思います。


しかしながら、新型コロナウイルス感染症の合併症に、
脳血栓と脳出血があります。
コロナウイルスの表面にある『スパイクタンパク』によりウイルスは、
血管内に侵入しますが、そのスパイクタンパクが血管内皮を障害して
血栓や出血
を生じると思われます。

新型コロナワクチンが作用すると体内にスパイクタンパクが産生されます。
頻度は低いとは言え、このスパイクタンパクが、新型コロナウイルスと同様に、
血管内皮に何らかの障害を生じて、出血や心血管患を起こしている可能性が高いです。
ワクチンによるスパイクタンパクが脳出血などの障害を起こすが否かは
ほとんど<ロシアン・ルーレット>状態と言えます。

つまり『ワクチンとの関連は評価不能』というよりも、
『ワクチンとの関連を完全に否定することは困難である』と言うのがフェアと思います。

人口100万人あたりの新型コロナ死者数が、欧米の12分の1~18分の1の日本では、
ワクチンのデメリットの方がメリットを上回っている可能性もあります。
特に持病や肥満のない若者への接種は、即接種中止すべきと思います。

そもそも、人口100万人あたりの新型コロナ死者数が日本の12倍から18倍の欧米と日本を同列に論じて、
「ワクチン接種」
を煽る政府やマスコミの姿勢は、如何なものかと思います。
欧米と日本では、新型コロナワクチンの意義が全く異なっていることを明確にすべきです。

江部康二
『置き換えレシピで、美味しく楽しく!低糖質料理教室(京都)』開催。
こんにちは。
2022年8月23日(火)、京都にて、日本糖質制限医療推進協会主催の
『置き換えレシピで、美味しく楽しく!低糖質料理教室(京都)』
を開催します。

講師は、管理栄養士の佐々木栄子さん(ローカーボクラブ代表/
日本糖質制限医療推進協会アドバイザー)です。

佐々木栄子さんは2017年に、著書『糖質オフのやせる「おきかえ」レシピ』
PHP研究所より出版されました。
こちらの書籍は、私が監修し、解説を執筆しております。

生協会員の方向けの限定販売で、一般書店では販売していませんが、
PHP研究所さんのHP(※)から直接ご購入いただけます。
http://www.php.co.jp/family/detail.php?id=83505

2019年11月末以来の久しぶりの料理教室開催です。
テーマは、「スパイシーなエスニックランチ&イタリアンドルチェを低糖質で」だそうです。
新たなジャンルでの低糖質レシピ、乞うご期待です(^^)/

江部康二


以下事務局からのお知らせです。

*************

ブログ読者の皆様、いつも弊会のイベントへ多数ご参加いただきまして、 ありがとうございます。

2022年8月23日(火)に京都で、管理栄養士の佐々木栄子先生による、低糖質料理教室を開催いたします。

テーマは、「スパイシーなエスニックランチ&イタリアンドルチェを低糖質で」です。

メインは、ボリューム感のある、エスニックなご飯ものを低糖質で。

サブは、たんぱく質、ビタミン、食物繊維が効率良く摂れる、アジアン風おかずスープを。

デザートは、混ぜるだけで簡単だけれど本格派の、低糖質イタリアンドルチェをご紹介します。

お手頃価格の食材で、日々の食事に役立つ低糖質メニューを学べる教室です。

糖質制限食のレパートリーを増やしたい、マンネリおかずを解消したい、こんなお悩みをお持ちの方にもおすすめです。

関西にお住まいの方をはじめ、皆さまのご参加をお待ちしております。

◇料理・スイーツ教室情報URL: http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity

●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●

(一社)日本糖質制限医療推進協会主催

『置き換えレシピで、美味しく楽しく!低糖質料理教室(京都)』

◆テーマ:「スパイシーなエスニックランチ&イタリアンドルチェを低糖質で」

◆日時: 2022年8月23日(火) 11:30~15:30頃 ※開場・受付は11:15~

◆会場: あじわい館(京の食文化ミュージアム)調理実習室

〒600-8813 京都市下京区中堂寺南町130番地  京都青果センタービル3階
http://www.kyo-ajiwaikan.com/access

♪講師: 佐々木栄子 管理栄養士/健康運動実践指導者/当会アドバイザー

◆参加費: 賛助会員料金 3,400円/一般料金 4,000円

◆定員・対象: 16名様 ・一般(18歳以上)

◆当日の流れ: レシピ説明 ・デモンストレーション→ 実習→ 試食→ 片付け後、解散

◆ご持参いただくもの:エプロン、三角巾、ふきん(タオル)2、3枚(台ふき用・食器ふき用)、筆記用具、不織布マスク

■お支払い方法: クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。

■お申し込みの流れ:

1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込みください。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4. 当日、直接会場までお越しいただき、受付にてお名前をお伝えください。

■お申し込み方法:

★賛助会員の方: 事務局へメールにてお申し込み下さい。

★賛助会員入会+教室参加をご希望の方:

1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up

2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
「入会ならびに講演会等出席のお問い合わせ」を選択いただき、
「通信」欄に「8/23 京都料理教室、参加希望」とご記入下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact

★一般(会員以外の方)で、教室参加ご希望の方:

下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/cooking

◆その他

・予約制です。当日参加はできません。

・当日の開場・受付開始は、レッスン開始時間の15分前からです。

・お申し込み後、キャンセルされる場合は、8月19日(金)までにご連絡ください。
8月20日(土)以降のキャンセルは、参加費の半額をキャンセル料金としていただきますので、予めご了承ください。

・実習室で作ったもの以外の飲食はできません。ご自宅で作ったお料理やお菓子などの持ち込みはできませんのでご注意ください。

・皆さまで実習と試食を行っていただきますので、香水などのフレグランスはお控えください。

・調理実習室内は土足禁止のため、会場に設置されたスリッパに履き替えていただきます。

・ご試食時以外は、不織布マスクをご着用ください。試食は黙食をお願いいたします。

・手指のアルコール消毒にご協力ください。

・咳や発熱など風邪に似た症状がある方、体調に不安がある方は、ご受講をご遠慮ください。

●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●
【口にしてはいけない】いつの間にか脂肪がたまってしまう「危険な食品」とは?
おはようございます。

ダイヤモンド・オンライン
『内臓脂肪がストンと落ちる食事術』の記事が
2022年7月8日(金)、9日(土)、10日(日)の3日間連続で掲載されます。
本日は、その記事のご紹介です。
詳しい内容は記事をご覧頂ければ幸いです。


江部康二


第6回7/10(日):【口にしてはいけない】
いつの間にか脂肪がたまってしまう「危険な食品」とは?

江部康二:医師・財団法人高雄病院理事長
内臓脂肪がストンと落ちる食事術
2022年7月10日(日) 4:00
https://diamond.jp/preview/17552583548a55f53fc6a9c6570bfb212b5d05e5
監修 江部診療所院長 医師 江部康二



日本にも大量輸入されている「危険な果糖」
 果物・野菜100%ジュースは糖質を多く含むので危険ですが、
さらに注意が必要なのは異性化糖と呼ばれるタイプの果糖です。

 この果糖の主原料は果物ではなく、安価なトウモロコシから作るコーンシロップ。
これを加工すると果糖、ブドウ糖が大量に製造できるのです。
異性化糖は砂糖よりも低コストで製造できるため、アメリカで大量生産されており、
日本にも大量輸入されています。

 果糖とブドウ糖からなる異性化糖のうち、
果糖のほうが多いと果糖ブドウ糖液糖、
逆にブドウ糖のほうが多いとブドウ糖果糖液糖と表記されます。


2種類の果糖はいずれも「猛毒」


「異性化糖」は中性脂肪の発生装置のようなもの



【著者からのメッセージ】
「運動なんて、まっぴらごめんだ!」それでも結構です。

ひもじくなるようなカロリー制限は必要ありませんし、
お腹いっぱい食べてもいいです。
筋トレもジョギングも、しなくていいです。

糖質制限と1日2食の“半日断食”の組み合わせ
で、
最初の1週間で体重2~3kgがストンと落ちて、
その後、適正体重になったところでずっとキープ。
ポッコリお腹は、気づけば見事に凹んでしまいます。
そして、もう二度と太りません!

そのことは、現在70代にして20代の頃の体重をキープしている私自身が実証しています。
ぜひみなさんにも『内臓脂肪がストン!と落ちる食事術』をお読みいただき、
スリムな体と超健康体を手に入れ、いつまでも若々しくいられるようにしていただければ、
著者としてこの上ない幸せです。


【本書の目次】
序章 筋トレしなくても「食べトレ」すればいいんです
第1章 内臓脂肪を落としたいなら1日2食がいい
第2章 内臓脂肪を劇的に減らす
第3章 内臓脂肪がストンと落ちる食事術
第4章 脂質は摂っても太らない
第5章 糖質は必須じゃない
第6章 「食べトレ」で“糖質病”とサヨナラ




====
第4回7/8(金):「ラクに痩せられる人」と「全然痩せられない人」食生活の決定的な違いとは?
https://diamond.jp/preview/335c20586dc11adc29d10b9482b623e2ad5dfc71

第5回7/9(土): 70代で20代の頃の体重をキープする医師が教える「太らない食事のコツ」とは?
https://diamond.jp/preview/fb9f1723fae40fd3a6f635a006ead7ef1e0999f1

第6回7/10(日):【口にしてはいけない】いつの間にか脂肪がたまってしまう「危険な食品」とは?
https://diamond.jp/preview/17552583548a55f53fc6a9c6570bfb212b5d05e5
====
70代で20代の頃の体重をキープする医師が教える 「太らない食事のコツ」とは?
おはようございます。

ダイヤモンド・オンライン
『内臓脂肪がストンと落ちる食事術』の記事が
2022年7月8日(金)、9日(土)、10日(日)の3日間連続で掲載されます。
本日は、その記事のご紹介です。
詳しい内容は記事をご覧頂ければ幸いです。


江部康二


第5回7/9(土):70代で20代の頃の体重をキープする医師が教える
「太らない食事のコツ」とは?

江部康二:医師・財団法人高雄病院理事長
内臓脂肪がストンと落ちる食事術
2022年7月9日(土) 4:00

https://diamond.jp/preview/fb9f1723fae40fd3a6f635a006ead7ef1e0999f1
監修 江部診療所院長 医師 江部康二


和食店で糖質制限するコツ
 外食で糖質制限をするコツを紹介します。
今回は、ランチでお世話になることが多い定食店です。

 ビジネス街などに多い和食店では、ご飯だけでなく、
おかずにも糖質が多く含まれがちです。ご飯に合うように、
砂糖やみりんといった糖質をたくさん使った甘辛い味つけが多く、
特に煮物、照り焼きなどは糖質が多めです。

 注文するときに「糖質制限中なので」と説明して、
ご飯を断るか、半分にしましょう。
近頃は糖質制限が市民権を得てきましたから、お店側も納得してくれるはずです。

 和食店では丼ご飯が多く、1人前で「糖質100g前後」も含みます。
もし食べるなら、少なくとも丼ご飯は3分の1に減らしてもらいましょう。
食物繊維が多い「玄米」や「五穀米」を選べるなら、少しだけマシです。


焼き魚や刺し身、竜田揚げや生姜焼きがオススメ


糖質制限のために洋食で避けたいメニューは?


サラダや唐揚げを追加して栄養やカロリーを補う



【著者からのメッセージ】
「運動なんて、まっぴらごめんだ!」それでも結構です。

ひもじくなるようなカロリー制限は必要ありませんし、
お腹いっぱい食べてもいいです。
筋トレもジョギングも、しなくていいです。

糖質制限と1日2食の“半日断食”の組み合わせ
で、
最初の1週間で体重2~3kgがストンと落ちて、
その後、適正体重になったところでずっとキープ。
ポッコリお腹は、気づけば見事に凹んでしまいます。
そして、もう二度と太りません!

そのことは、現在70代にして20代の頃の体重をキープしている私自身が実証しています。
ぜひみなさんにも『内臓脂肪がストン!と落ちる食事術』をお読みいただき、
スリムな体と超健康体を手に入れ、いつまでも若々しくいられるようにしていただければ、
著者としてこの上ない幸せです。


【本書の目次】
序章 筋トレしなくても「食べトレ」すればいいんです
第1章 内臓脂肪を落としたいなら1日2食がいい
第2章 内臓脂肪を劇的に減らす
第3章 内臓脂肪がストンと落ちる食事術
第4章 脂質は摂っても太らない
第5章 糖質は必須じゃない
第6章 「食べトレ」で“糖質病”とサヨナラ


ダイヤモンド・オンライン『内臓脂肪がストンと落ちる食事術』記事。
おはようございます。

ダイヤモンド・オンライン
『内臓脂肪がストンと落ちる食事術』の記事が
2022年7月8日(金)、9日(土)、10日(日)の3日間連続で掲載されます。
本日は、その記事のご紹介です。
詳しい内容は記事をご覧頂ければ幸いです。

江部康二


第4回7/8(金):「ラクに痩せられる人」と「全然痩せられない人」食生活の決定的な違いとは?
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江部康二:医師・財団法人高雄病院理事長
内臓脂肪がストンと落ちる食事術

2022.7.8 3:20


今年は全国各地で史上最速の梅雨明けを記録し、早くも夏本番の暑さが続いている。
夏は気温が高く汗をよくかくため、「痩せやすい」と思いがちだが、
実は夏こそ「太りやすい季節」でもある。
運動不足や偏った食生活によって基礎代謝が低下しやすく、
気をつけないとすぐに「夏太り」してしまうからだ。

そこで参考になるのが、70代で20代の頃の体重をキープし続ける
「カリスマ医師」の江部康二氏の著書『内臓脂肪がストンと落ちる食事術』だ。
本書は、江部氏が提唱する、糖質制限と1日2食を組み合わせた「食べトレ」の方法を解説し、
「医学的に正しい」体重の落とし方を明かした1冊。

本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、
無理なく痩せられる人と全然痩せられない人の決定的な違いを解説する。(構成/根本隼)

監修 江部診療所院長 医師 江部康二


肉に含まれる糖質はほぼゼロ

糖質制限スタートから「半年で10キロ」やせた

カロリー制限は効果がないどころか、むしろ「危険」

糖質制限だとリバウンドも起こりにくい

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第4回7/8(金):「ラクに痩せられる人」と「全然痩せられない人」食生活の決定的な違いとは?
https://diamond.jp/preview/335c20586dc11adc29d10b9482b623e2ad5dfc71





【著者からのメッセージ】
「運動なんて、まっぴらごめんだ!」それでも結構です。

ひもじくなるようなカロリー制限は必要ありませんし、
お腹いっぱい食べてもいいです。
筋トレもジョギングも、しなくていいです。

糖質制限と1日2食の“半日断食”の組み合わせ
で、
最初の1週間で体重2~3kgがストンと落ちて、
その後、適正体重になったところでずっとキープ。
ポッコリお腹は、気づけば見事に凹んでしまいます。
そして、もう二度と太りません!

そのことは、現在70代にして20代の頃の体重をキープしている私自身が実証しています。
ぜひみなさんにも『内臓脂肪がストン!と落ちる食事術』をお読みいただき、
スリムな体と超健康体を手に入れ、いつまでも若々しくいられるようにしていただければ、
著者としてこの上ない幸せです。


【本書の目次】
序章 筋トレしなくても「食べトレ」すればいいんです
第1章 内臓脂肪を落としたいなら1日2食がいい
第2章 内臓脂肪を劇的に減らす
第3章 内臓脂肪がストンと落ちる食事術
第4章 脂質は摂っても太らない
第5章 糖質は必須じゃない
第6章 「食べトレ」で“糖質病”とサヨナラ

エリザベス女王「低糖質メニュー」と大好物「ダークチョコレート」に健康の秘密あり?
こんにちは。
2022年7月4日(月)のヤフーニュースに
https://news.yahoo.co.jp/articles/825ff1e285368a847461d0dae7dcced21886e39d
エリザベス女王「低糖質メニュー」と大好物「ダークチョコレート」に健康の秘密あり
NEWSポストセブン

という記事が、掲載されました。

なんと、エリザベス女王、低糖質メニューだったのですね。
とても、おそれおおいですが、とても親近感を覚えます。
糖質セイゲニストとしては、とても嬉しいニュースです。
以下、要約と私の意見です。

 在位70年を迎えた英国のエリザベス女王(96才)。
平均寿命が約82才とされるイギリスにおいて、
それを軽々と飛び越え、96才にしてなお国民からの愛に元気でチャーミングな姿で応え続ける。
衰え知らずの活躍ぶりの背景には、
さまざまなマイルールがあるという。

朝食の時間は毎日8時半頃と決まっており、意識しているのはたんぱく質と野菜、果物を多めに摂ること。
朝食の時間が一定であることは、起床時間も一定であると思われ
まず、良い睡眠を確保で、健康にいいです。

朝食、昼食、夕食の三食ともに、
じゃがいもやパスタといった炭水化物をさけた低糖質のメニューが多いそうです。
まさに『糖質制限食』であり、とても望ましい食生活です。

 英国が誇るアフタヌーンティー文化のもと、女王も量は控えめだが、お菓子もよく口にし、
なかでも大好物はダークチョコレートだ。
お菓子は糖質制限的には基本NG食品ですが、
ダークチョコレートなら、糖質はとても少なくて良いですね。

公務を終えると毎日、寝る前に日記を書き、23時に就寝するそうで、
規則正しい就寝時間と起床時間で、
こちらも、とても良い習慣です。

休日は家族や愛犬のコーギーと過ごしたり、
3才から習慣になっている乗馬を楽しむことが多いという。
動物と親しんでリラックスしたり、
乗馬など適切な運動を続けられていて、素晴らしいです。


江部康二
高齢者の腎機能検査は、シスタチンCがクレアチニンより有用。
こんにちは。
今日は、血清シスタチンCのお話で、2022/6/20(月)の記事の追加です。
 
<高齢者とクレアチニンとシスタチンC>

高齢者の場合は、ほとんどの人で、筋肉量が少ないです。
そうすると、一般によく用いられる腎機能検査の「血清クレアチニン値」だと、
筋肉量が少ない分、低値になります。
つまり、本当は腎機能障害があるのに、「血清クレアチニン値」だと
正常範囲になってしまうケースがかなりあると
思われます。
このような時、「血清シスタチンC」だと、筋肉量に影響されずに
正確な腎機能を評価することができ、とても有用です。

血清クレアチニンの基準値は、男性1.2mg/dl以下、女性1.0mg/dl以下です。
血清シスタチンCの基準値は、
男性0.63~0.95mg/L、女性0.56~0.87mg/L です。
 
例えば、75歳男性Aさんの血清クレアチニン値は0.76mg/dlで基準値内でした。
しかし、同時に血清シスタチンCを調べたら、1.76mg/dlで基準値を超えていて
腎機能障害が認められました。


同様に、77歳女性Aさんのクレアチニン値は0.58mg/dlで基準値内でした。
しかし、同時に血清シスタチンCを調べたら、1.48mg/dlで基準値を超えていて
腎機能障害が認められました。


つまり、AさんもBさんも、腎機能障害があるけれど、血清クレアチニン検査だけでは
見逃してしまうということになります。
 
今後、高齢者の腎機能検査は、血清クレアチニンではなく
血清シスタチンCを主に実施するのが良い
と言えます。
 
 
国連の世界保健機関(WHO)の定義では、65歳以上の人が高齢者となります。 
65-74歳までを前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と呼びます。
総務省によれば、日本の65歳以上の高齢者は、2020年は3617万人・総人口の28.7%で、過去最高の更新が続いています。
 

江部康二
 



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
腎臓には血液をろ過して、体の中に溜まった老廃物や水分、取り過ぎた塩分などを尿と一緒に
体の外へ出してくれる働きがあります
腎臓はいらなくなった余分なものを体から排出して、必要なものだけをしっかり体の中に残してくれるので、
体内の環境を正常に保つことができるのです。
 
糸球体での濾過量(GFR)は、正常では一定に維持され、腎機能を知るうえで最も重要な指標となります。
 
血清シスタチンCの数値や血清クレアチニンの数値から、、
年齢と性別を考慮して、腎臓の働きを推測した値を、
eGFR(推定糸球体濾過量)と言います。
 
<血清シスタチンC GFR>
<血清クレアチニン GFR>

で、ネットで検索すれば、
eGFR(推定糸球体濾過量)を計算するサイトが見つかります。
便利なので、利用しましょう。
 
腎機能検査として、一般的な血清クレアチニンや尿素窒素は食事や筋肉量、
運動などの影響を受けますが、
血清シスタチンC値はそれらの影響を受けないため、
小児・老人・妊産婦・アスリートなどでも問題なく測定できます。
 
また、クレアチニン値はGFRが30mL/分(腎不全)前後まで低下した頃から上昇するのに対し、
シスタチンC値はGFRが70mL/分前後の軽度~中等度の腎機能障害でも上昇するので、
腎機能障害の早期診断にたいへん有用です。
 
したがって、血清クレアチニンや尿素窒素が正常であっても、
尿検査で蛋白あるいは潜血反応に異常が認められた場合には、
早期腎症の可能性がありえるので、血清シスタチンCを調べるのが有用です。
 
血清クレアチニン値が既に高値(2mg/dL以上)であれば、
シスタチンCを測定する意義はありません。
一方、ごく軽度上昇例で評価が困難な場合、
シスタチンC測定で腎機能を検査するのがお奨めです。
 
 
江部康二
生命と塩。牛乳とヨーグルトとマサイ族。ヒトは塩なしでも生きていける。
【22/07/03 citizeness
タイトルなし
糖質制限をしていて塩分制限をすると「ぼーとしてだるくなって集中力が低下」するとのことですが、
これは糖質制限ではインスリン分泌が少ないために腎臓でナトリウムが再吸収されずにナトリウム不足になるからですか?

狩猟・採集時代というのは糖質制限食だったと思います。
当時すでに「塩」を用いて調理していたのでしょうか?

古来のマサイ族はほぼ牛乳のみで生活していたそうです。
低塩分でも問題なかったのは、牛乳にはそれなりに糖質が含まれているからでしょうか?

少し不思議に思ったので、質問させていただきました。
よろしくお願いいたします。】



citizeness さん

『糖質制限をしていて塩分制限をすると「ぼーとしてだるくなって集中力が低下」するとのことですが、
これは糖質制限ではインスリン分泌が少ないために腎臓でナトリウムが再吸収されずにナトリウム不足になるからですか?』


糖質制限食の実践により、余剰の水分と塩分は排出されます。
従って、塩分制限は必要ないこととなります。

『糖質制限をしていて塩分制限をすると「ぼーとしてだるくなって集中力が低下」する』

というのは、私の記述でしょうか?
私が、人体実験として、スーパー糖質制限食で、
摂取エネルギーは普通にして、塩分をゼロレベルにしたら
「ぼーとしてだるくなって集中力が低下」したことはあります。
普通の糖質ありの食事の人でも、いきなり塩分ゼロにすると、
「ぼーとしてだるくなって集中力が低下」すると思います。
スーパー糖質制限食で、塩分制限7g/日とか、問題ないと思います。
塩分制限7g/日未満というのは、実際の食生活ではかなり困難だと思います。
もっとも、慣れてしまえば、かつてのアイヌの人達のように、塩分ゼロでも生きていけるようです。


『狩猟・採集時代というのは糖質制限食だったと思います。
当時すでに「塩」を用いて調理していたのでしょうか?』


内臓や血液や骨髄も食べていたのでそれらに塩分があったと思います。


『古来のマサイ族はほぼ牛乳のみで生活していたそうです。
低塩分でも問題なかったのは、牛乳にはそれなりに糖質が含まれているからでしょうか?』


コップ1杯の牛乳が約200mlだとすると、
日本のどのメーカーも食塩相当量で計算すると、0.2g程度となります。
マサイ族の牛乳やヨーグルト摂取で、塩分は1.8g/日となっています。
わが国でも北海道のアイヌの人たちが塩を用いるようになったのは、倭人と交渉をもつようになってからだそうです。
つまり、塩はほとんどなくても、生命には影響しないということですね。
ブラジル・ヤノマモインディアンも、ほぼ食塩摂取はないですが、普通に生活しています。

マサイ族の主食は牛乳とヨーグルトです。
牛乳、ヨーグルト合わせて1日に2〜3Lも摂取します。
毎日、牛の放牧をしながら何kmも歩き、その間、牛乳を入れた「キブユ」というひょうたんを腰にぶら下げ続けているので、
数日間で牛乳は自然発酵し、ヨーグルトになります。
長時間歩いていますから、主に摂取するのは新鮮な牛乳より、搾乳してから2〜3日が経過したものや、
さらに時間がたってヨーグルトになったものの方が主となります。
この主食だけで不足する鉄分は、牛の生き血を週に数回、牛乳に混ぜて飲むことで補います。


木村修一・足立己幸編『食塩』,栄大選書(1981)より
1人1日当たりの食塩摂取量


国または種族名          摂取量 g/日
日本                11-16
イギリス               15-20
北アメリカ              4-24
タイ                 9
スリランカ               7
グリーンランド・エスキモー      3-5
アフリカ・マサイ族          1.8
ブラジル・ヤノマモインディアン   0.1



江部康二
ケトン体と短鎖脂肪酸。オリゴ糖。
【22/07/03 yama
短鎖脂肪酸について
先生こんにちは。先生のブログと著作をいつも興味深く拝見しております。
先生にこの度質問したいことがあり、ご連絡いたしました。
もしお時間があればご教示いただければ幸いです。

https://narukinhonda.com/naruhealth/antiaging/ketone-bodies-short-chain-fatty-acids.html

上記のサイトにて、短鎖脂肪酸が腸内で作られるケトン体なので、
糖質制限して肝臓からケトン体を作るより、
食物繊維を多く摂取して腸内で短鎖脂肪酸を作る方が効率がいいのでは
と述べられていますが、実際に短鎖脂肪酸はケトン体といい得るのでしょうか。

また私は現在、短鎖脂肪酸を作り出すためにオリゴ糖を摂取するようにしています。
オリゴ糖は難消化性の糖質なので糖質制限では摂取してもよいと考えているのですが、
こちらも先生のご見解をお伺いできれば幸いです。
末筆となりますが、先生のますますのご活躍を心より祈念いたしております。】



こんにちは。
yamaさんから、短鎖脂肪酸とケトン体について、コメント・質問を頂きました。

<ケトン体>
生体内におけるケトン体は、β-ヒドロキシ酪酸、アセト酢酸、アセトンの3つです。
このうち、β-ヒドロキシ酪酸は、化学構造上はケトンではないのですが、
医学・生化学の世界では、慣習的にケトン体の一員とされています。
従って<短鎖脂肪酸=ケトン体>ということではありません。

また、スーパー糖質制限食実践者は、ステーキを食べている最中でもケトン体を産生しています。
すなわち一日中<脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム>が、主たるエネルギー源として稼働しています。
そして、普通に糖質を摂取している人でも、空腹時や睡眠時は
<脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム>
主たるエネルギー源として稼働しているのです。

<短鎖脂肪酸>
ヤクルトさんのサイトがわかりやすいので以下、引用させて頂きます。謝謝!
https://institute.yakult.co.jp/dictionary/word_3163.php ヤクルト中央研究所
脂肪酸とは、油脂を構成する成分のひとつで、数個から数十個の炭素が鎖のように繋がった構造をしています。
そのうち炭素の数が6個以下のものが短鎖脂肪酸と呼ばれ、
酢酸、プロピオン酸、酪酸などが含まれます。
短鎖脂肪酸は、ヒトの大腸において、
消化されにくい食物繊維やオリゴ糖を腸内細菌が発酵することにより生成されます。
生成された短鎖脂肪酸の大部分は大腸粘膜組織から吸収され、
上皮細胞の増殖や粘液の分泌、水やミネラルの吸収のための
エネルギー源として利用されます。
また、一部は血流に乗って全身に運ばれ、
肝臓や筋肉、腎臓などの組織で
エネルギー源や脂肪を合成する材料として利用されます。
その他にも短鎖脂肪酸には、
腸内を弱酸性の環境にすることで有害な菌の増殖を抑制する、
大腸の粘膜を刺激して蠕動運動を促進する、
ヒトの免疫反応を制御する、などさまざまな機能があることが知られています。

<オリゴ糖>
オリゴ糖は、少糖類と呼ばれることもあります。
オリゴとは少ないという意味です。
明確な定義はないのですが、一般には、
単糖類が3~20分子縮合して1分子になったものをオリゴ糖と言います。
中でも、
フラクトオリゴ糖

乳果オリゴ糖(ラクトスクロース)

は、
血糖値とインスリン値にほとんど影響を与えません。
ラフィノース、キシロオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖は
一定難消化性ですが、少し血糖値を上げる可能性があります。
イソマルトオリゴ糖は、あるていど血糖値をあげると思います。

つまり、フラクトオリゴ糖と乳果オリゴ糖以外のオリゴ糖は
血糖値を上げる
ので、注意が必要です。


江部康二
菓子職人、7-8月限定のマンスリーケーキ、レモンのレアチーズケーキ発売中。
こんにちは。
私が監修を務める「菓子職人」さんが、7-8月限定のマンスリーケーキの販売を開始されましたのでお知らせします。

「糖質制限中の方にも、美味しいケーキで季節を感じていただきたい。
菓子職人より、月替わりでお楽しみいただける糖質制限マンスリーケーキお届けします」(菓子職人さんHPより)

レモンのレアチーズケーキ

main_monthly1908.jpg

レモンのレアチーズケーキ 美味しさのヒミツ

monthly_cut1908.jpg

A 表面ジュレ(レモン)
B レアチーズケーキ
C レモンクリーム
D クリームチーズのホワイトチョコレート
E スフレ生地

F ココナッツファイン

糖質 3.41g / カロリー 333kcal
※100gあたり ※エリストールを除く

https://www.kashishokunin.co.jp/toushitsuseigen/products/monthly/monthly08.php
ご購入はこちらから


【血糖値測定】
2022/7/1 金曜日

・16時20分  血糖値:110mg/dl
・菓子職人レモンのレアチーズケーキ1個(100g)摂取。  
・17時20分 血糖値:108mg/dl


レモンの香りが爽やかな、夏にふさわしい逸品でした。

糖質含有量が3.41gですが、血糖値がかえって下がりました。
レモンのレアチーズケーキ(100g中、糖質3.41)の糖質に対して
私の追加分泌インスリンがでて、「3.41g×3mg=10.23mg」をカバーして
少し余裕があって余った分、血糖値が下がったのでしょう。
入院患者さんでも、時々食前より食後血糖値が下がることがあります。

菓子職人さん、Good Job! です。謝謝!!
まさに、スーパー糖質制限合格食品ですね。

糖質セイゲニストの皆さん、是非ご賞味あれ。


江部康二
人類と甘味料。蜂蜜と砂糖の歴史。
こんにちは。
我々糖質セイゲニスト一押しの甘味料と言えば、エリスリトールであり、血糖値も上げず、カロリーもゼロです。
安全性に関しても、
国連食糧農業機関(FAO)
のお墨付きであり、妊婦でも大丈夫です。
エリスリトールが主成分で、手に入りやすいのは、サラヤの「ラカントS」や味の素の「パルスイートカロリーゼロ」です。

一方、糖質セイゲニストでない人においては、砂糖蜂蜜などが一般的な甘味料です。
糖尿病の患者さんでも、メタボリックシンドロームの患者さんでも、そしてさまざまな生活習慣病の患者さんでも、
老若男女を問わず、甘党はかなりの割合でおられます。
かく言う私も、決して甘党ではないつもりで、日ごろ家人に「甘いものなんか要らないもんね」などと言ってはいるのですが、
コロナ禍前に、宴会で酔っぱらって帰宅した翌朝には、テーブルの上のチョコレートがきれいさっぱり無くなっていたりしますので(記憶にはないのですが……)、
大きなことは言えません。

そういうわけで、今回のブログ記事は、人類と甘味料について検討してみます。
紀元前6000年頃に描かれた、スペイン・アラーニャ洞窟の壁画には、蜂蜜を採集する人の姿が残っています。
その絵が示すように、人類が初めて口にした甘味は、天然の蜂蜜と言われています。
ちなみに蜂蜜に含まれる糖質は、果糖(約40%)、ブドウ糖(約35%)、ショ糖(スクロース、数%)です。

蜂が集めてきた花の蜜は主にショ糖なのですが、働き蜂の唾液腺から分泌される転化酵素の働きによってブドウ糖及び果糖へと変化し、
同時に水分が約20%にまで濃縮されます。 
果糖は血糖値をほとんど上げない糖質なのですが、中性脂肪に変わりやすい性質があるため、蜂蜜は太りやすい甘味料です。
一方で、ビタミンやミネラルの含有量が多く、その中には18種を超える有機酸が含まれていて「pH値は3.2-4.9」つまり酸性を示します。
しかし蜂蜜はカルシウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウムなどの体内に吸収されるとアルカリ性を示すミネラルが豊富なので、アルカリ性食品に分類されます。
ちなみに酸性を示すミネラルは、塩素、リン、硫黄などです。

蜂蜜以外の甘味料として、サトウキビ(甘藷<カンショ>)の搾り汁を煮詰めて精製した結晶、
いわゆる「白砂糖」を作り出すのに成功したのは、紀元前のインド人です。
インドの砂糖は、アレクサンダー大王(紀元前356年-323年)の東征により西方、現在の中東から欧州へと伝わりましたが、
庶民には高嶺の花、かなりの貴重品でした。
ですから長らく西洋でも日常の甘味料としては蜂蜜が唯一のものでした。 

中国では玄奘(三蔵法師)のインド行きがきっかけで、製糖法が伝わり、7世紀以降に砂糖生産が始まったとされています。
砂糖が日本に伝わったのは、奈良時代後期に鑑真が唐から渡来した折と言われています。
欧州、中国、日本いずれでも砂糖はずっと貴重品で、たしなむことができるのは貴族だけでした。

17世紀後半以降、砂糖は多量にかつ安価に生産できるようになります。
同時に、庶民にも解禁され、英国では紅茶にたっぷりの砂糖を入れることが一般的となりました。
世界に広がったその風習が、砂糖の過剰摂取につながり、英国のみならず世界中の肥満や糖尿病の元凶であると問題になっています。 

砂糖の大量生産の歴史は、カリブ海の西インド諸島に築かれた欧州各国の植民地で行われたサトウキビ栽培に端を発します。
欧州の白人が、西インド諸島に住んでいた人たちを奴隷として過酷な労働を強いた結果、現地の人口が激減します。
するとアフリカから黒人を奴隷として連れてきて働かせる、ということを行いました。
サトウキビ栽培の歴史は、奴隷制度の歴史そのものと言っても過言ではありません。

時がたち、徐々に奴隷制度廃止へと歴史が動きますが、
この辺の話題は「砂糖の歴史」(エリザベス・アボット著、樋口幸子訳、河出書房新社)という本に詳しく書かれていますので、
興味のある人にはお薦めです。
マニアックな大著ですので読むのに骨がおれますが……。
悲惨な歴史を経て、庶民の口にも入るようになった砂糖ですが、その主成分はショ糖で、ブドウ糖と果糖が結合したものです。
サトウキビのほか、サトウダイコン(甜菜<テンサイ>)からも作られます。
砂糖の中でもショ糖の純度の高いものがグラニュー糖(99.95%)や氷砂糖(99.98%)です。
家庭で最もポピュラーな上白糖は、独特のしっとりした感じを持たせるために、
ショ糖の結晶に濃厚な転化糖液(ビスコ)を少量ふりかけたもので、純度は97.8%です。

「転化糖」とは、ショ糖を加水分解してできたブドウ糖と果糖の混合物で、ショ糖より甘みが強いものです。
意外かもしれませんが、天然のショ糖は大豆、大根、白菜、ネギ、ホウレンソウなどの野菜や、アーモンド、ピーナツなどのナッツ類にも少量含まれています。
植物が持つ天然のエネルギー源として、存在しているのでしょう。

料理をする人の間では、「ショ糖含有率が高い大豆がおいしい」と言われており、その一例が夏に枝豆として食べられる品種です。
中にはショ糖を100gあたり4.3gも含む品種もあります。
この時点で糖質量としては本醸造の清酒と同じくらいです。
もちろんかなり甘くておいしいと思いますが、ショ糖に加えて、でんぷんや麦芽糖も含まれているので糖質制限をしている人には
甘すぎる枝豆は、要注意の食材です。

米国では著述家、ウイリアム・ダフティが1975年「Sugar Blues(シュガー・ブルース)」(邦訳は「砂糖病(シュガー・ブルース)甘い麻薬の正体」)を著して、
砂糖の毒性、危険性を説きました。
以来、砂糖はことあるごとに悪者扱いされて、糖尿病はもちろんさまざまな病気の元凶と言われてきましたが、
私はあくまでもトータルの糖質摂取量が問題だと考えています。

結局、糖質であればもとが米でも麦でもサトウキビでも、血糖値を上昇させ、血糖変動幅を増大させ、代謝が乱れ、心理的にも不安定になるのです。
さまざまなミネラルを含み、栄養価が高い蜂蜜でも、ほぼ純粋なショ糖であるグラニュー糖でも、その事実には差はありません。


江部康二
糖質摂取と食後の眠気。デブリンの生化学。
こんにちは。
2022年6月27日(月)のブログ記事で、食後の眠気について言及しました。

食後は眠気がきて当たり前と思っている人が多いと思います。
しかし、糖質セイゲニストは、食後の眠気はまずありません。
「糖質摂取と食後の眠気」に関してですが、いろんな仮説があります。
その中で、以前、T-akasakaさんから、デブリンの生化学の記述を、コメント頂きました。
ありがとうございます。

「血液脳関門を介する輸送に対して他のアミノ酸がトリプトファンと競合すると、
トリプトファンの利用率が減弱する。
糖質の催眠効果は、インスリンの遊離が促進され、
他のアミノ酸が同化作用により血液中濃度が低下することにより競合が緩和され、
脳内に入るトリプトファン量が増加することにより眠気を引き起こす」
原書7版 p990



トリプトファン (Tryptophan) はアミノ酸の一種で、
ヒトにおける9つの必須アミノ酸の内の1つです。

セロトニン・メラトニンといったホルモンの前駆体でもあります。

メラトニンはトリプトファンからセロトニンを経て体内合成されます。
メラトニンは睡眠ホルモンとも呼ばれています。

糖質摂取→インスリン多量分泌→トリプトファン以外のアミノ酸の骨格筋への取り込みと蛋白質合成促進→
トリプトファン以外の血中アミノ酸濃度低下→相対的に血中トリプトファン濃度上昇→
血液脳関門を通過するトリプトファン増加→脳内トリプトファン量増加→
セロトニン増加→メラトニン増加→眠気出現



インスリンは、骨格筋に作用して、
トリプトファン以外のアミノ酸の細胞内への取り込みを増加させて、
蛋白質合成を促進させます。

バリン、ロイシン、イソロイシンは、筋肉合成に関わる主要なアミノ酸ですが、
中でもロイシンの役割が重要です。

血中のトリプトファンは輸送体によって脳内に運ばれますが、
この輸送体はバリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニンなど
長鎖中性アミノ酸も輸送します。


インスリン分泌によりバリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニンなど
トリプトファン以外の長鎖中性アミノ酸が、
筋肉合成に使われて血中濃度が低下すれば、
相対的に血中トリプトファン濃度が上昇します。

このように、競合する他のアミノ酸が減少すると、
血液脳関門を通過するトリプトファンが増加して、睡眠ホルモンであるメラトニン産生が増えて、
眠気が出現する
こととなります。


江部康二