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医者が教える 正しい糖質の減らし方 (TJMOOK)  2022/5/26刊行
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医者が教える 正しい糖質の減らし方 (TJMOOK) ムック – 2022/5/26  
江部 康二  (監修) 宝島社

https://www.amazon.co.jp/dp/429902981X/

こんにちは。
『医者が教える 正しい糖質の減らし方 』
が、2022年5月26日(木)刊行されました。
自画自賛になりますが、とてもわかりやすく、よくまとまっています。 (^^)  
     
「増補新版 糖質制限の大百科」2021年9月(宝島社)
以来、久しぶりの新刊となります。
何だか、恥ずかしいのですが、7ページに私の全身の写真が載っています。

超健康体 江部康二
糖質制限20年目!72歳で持病なし、
虫歯なし、20代の体型をしっかり維持


身長:167cm/体重:57kg


髪:白髪はあるが薄毛には悩んでいない

耳:聴力低下もなく、患者さんとも楽しくお喋りできる

肌:シワもなくツヤがありつるんとした肌。
  肌年齢は52歳。
  糖質制限を始めた年齢で止まったまま。

睡眠:毎日7時間睡眠。
         夜中に尿意で目覚めることもなく睡眠の質は極めて良好。

運動:日頃からよく歩くことを心がけているが
      ジム通いなどの経験はなし。
      1~2週間に1回
      趣味のテニスをしている。

目:視力良好。
  近視、遠視、乱視はあるが
    それがほどよく相まって、
    『広辞苑』の小さな文字が
    裸眼で読めるほどの
    視力を維持している。

歯:歯は全部残っている。
  虫歯ゼロ、歯周病もなし。
  食後歯磨き、
    寝る前はていねい磨き。
    それと、年に1度歯科健診で
    歯石除去をしているだけ

脂肪:コレステロール値も
   中性脂肪値も基準値内。
      もちろんお腹もでていない

常備薬:定期的に飲んでいる薬なし。
    サプリメントも
    一切のんでいない



糖質制限ダイエットはブームを超え、もはや定番となっています。
しかし、ハードな糖質制限はハードルが高く、挫折する人も多いのが実情です。
そこで、糖質制限のパイオニアである江部康二が監修して、
改めて知りたい「糖質の正しい減らし方」を教えます。
はじめて糖質制限をする人、かつて制限したけどリバウンドした人、
これからの人生を軽やかに元気に暮らしたい人に最適な一冊です。


江部康二
糖質摂取と食後の眠気。デブリンの生化学。
こんばんは。
2022年6月27日(月)のブログ記事で、食後の眠気について言及しました。

食後は眠気がきて当たり前と思っている人が多いと思います。
しかし、糖質セイゲニストは、食後の眠気はまずありません。
「糖質摂取と食後の眠気」に関してですが、いろんな仮説があります。
その中で、以前、T-akasakaさんから、デブリンの生化学の記述を、コメント頂きました。
ありがとうございます。

「血液脳関門を介する輸送に対して他のアミノ酸がトリプトファンと競合すると、
トリプトファンの利用率が減弱する。
糖質の催眠効果は、インスリンの遊離が促進され、
他のアミノ酸が同化作用により血液中濃度が低下することにより競合が緩和され、
脳内に入るトリプトファン量が増加することにより眠気を引き起こす」
原書7版 p990



トリプトファン (Tryptophan) はアミノ酸の一種で、
ヒトにおける9つの必須アミノ酸の内の1つです。

セロトニン・メラトニンといったホルモンの前駆体でもあります。

メラトニンはトリプトファンからセロトニンを経て体内合成されます。
メラトニンは睡眠ホルモンとも呼ばれています。

糖質摂取→インスリン多量分泌→トリプトファン以外のアミノ酸の骨格筋への取り込みと蛋白質合成促進→
トリプトファン以外の血中アミノ酸濃度低下→相対的に血中トリプトファン濃度上昇→
血液脳関門を通過するトリプトファン増加→脳内トリプトファン量増加→
セロトニン増加→メラトニン増加→眠気出現



インスリンは、骨格筋に作用して、
トリプトファン以外のアミノ酸の細胞内への取り込みを増加させて、
蛋白質合成を促進させます。

バリン、ロイシン、イソロイシンは、筋肉合成に関わる主要なアミノ酸ですが、
中でもロイシンの役割が重要です。

血中のトリプトファンは輸送体によって脳内に運ばれますが、
この輸送体はバリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニンなど
長鎖中性アミノ酸も輸送します。


インスリン分泌によりバリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニンなど
トリプトファン以外の長鎖中性アミノ酸が、
筋肉合成に使われて血中濃度が低下すれば、
相対的に血中トリプトファン濃度が上昇します。

このように、競合する他のアミノ酸が減少すると、
血液脳関門を通過するトリプトファンが増加して、睡眠ホルモンであるメラトニン産生が増えて、
眠気が出現することとなります。


江部康二
アレアレ症候群。糖質制限食で改善、認知症の予防も。カラダチャンネル。
こんにちは。
カラダチャンネルのサイトに、以下の私のインタビュー記事が掲載されました。
前編と後編に分かれていますが、わかりやすくよくまとまっています。
ブログ読者の皆さん、是非、ご視聴頂ければ幸いです。
URLをクリックすれば、記事の全文を読むことができます。


好きだった俳優の名前が思い出せない!?「アレアレ症候群」と認知症の関係とは【糖質の過剰摂取にご注意!】
2022年06月28日
https://karadachannel.jp/beauty-health/6880/

【アレアレ症候群】もの忘れが多い人、メタボな人は認知症になりやすい!? 「ボケないための食事術」とは
2022年06月28日
https://karadachannel.jp/beauty-health/6897/


人の名前が思い出せない、好きだった俳優や女優の名前が出てこない、
とっさに漢字が思い出せないなど、
「イメージは頭の中に浮かぶのに、該当する言葉が出てこない」
という経験がある人は多いのではないでしょうか。

「アレアレ症候群」とは、
「あれあれ、あれって何だっけ?」
「あれあれ、あれ……誰だっけ?」
「あれあれ、あそこどこだっけ?」
などと言ってしまうことから名づけられたもの。

・好きだった俳優の名前や映画のタイトルが思い出せない
・大事な会議や商談の場で、取引先の担当者の名前が出てこない
・昨日食べた昼食がなんだったか思い出せない
・自宅から外出した後に、部屋の電気を消したかどうか思い出せない


こんな症状に思いあたることがあったら、それはきっと「アレアレ症候群」の典型的な症状。
そして、ひょっとしたら軽度認知症(MCI)や認知症の前段階かもしれない――。

今回、このアレアレ症候群についてお話を伺ったのは、糖質制限食の第一人者で、
糖尿病治療に長年携わり日本でも早くから糖質制限食を実践・啓蒙されてきた江部康二先生

江部先生によると、アレアレ症候群が悪化したり、
また軽度認知症(MCI)や認知症にまで進んでしまう主な理由は「食事」。
そして、食事による「糖化」「酸化」が引き起こす「老化」に原因があるのだと言います。

・・・・・・続く
漢方でいう『気虚』と糖質制限食。
【22/06/27 ミーハー
漢方医
今朝のNHKのあさイチをみていると、漢方医の木村容子氏(東京女子医大東洋医学研究所所長)が出演していました。この番組も、メンバーが一新して、以前のような反糖質制限的な発言も少なくなってきています。ところが木村氏は、「気虚」タイプの人は、「糖質制限がしないほうが良い」として、せっかくスタンダード糖質制限(夜は糖質をできるだけ摂取しない)をしている博多大吉氏の糖質摂取を勧めていました。
漢方の世界も半世紀前と違って、科学的・医学的な裏付けが蓄積して、健康保険の対象にもなってきているのに、まだ、こんな状況なのですね。江部康二先生や江部洋一郎先生のような先達がいるのに、残念です。】


こんにちは。
ミーハーさんから、
2022年6月27日(月)の、NHKのあさイチの内容についてコメント頂きました。
ありがとうございます。

【木村氏は、「気虚」タイプの人は、
「糖質制限がしないほうが良い」として
せっかくスタンダード糖質制限(夜は糖質をできるだけ摂取しない)
をしている博多大吉氏の糖質摂取を勧めていました。】


これは、全く無根拠な発言ですね。
漢方で言う『気虚』とは、
簡単にいうと元気の気が不足している状態です。
まあ、元気がない感じですね。

疲れや倦怠感があり、冷え症もあることが多いです。
胃腸も弱く、食欲不振や胃もたれ、下痢をしやすいなどの症状もでやすいです。
体力がなくて風邪もひきやすいです。

漢方薬としては、補中益気湯などを使うことが多いです。
実は、歴史的にみても、高雄病院は日本有数の漢方の病院です。
エキス剤だけではなく、健康保険の効く煎じ薬まで処方できる数少ない病院の一つです。

そして、糖尿病患者さんにも痩せ型の気虚タイプはおられますし、
漢方薬希望の患者さん(消化器疾患、アレルギー疾患、皮膚疾患、呼吸器疾患・・・)
の中にも気虚の人は時々おられます。
痩せ型の気虚タイプでも、
糖尿病であれば、勿論『スーパー糖質制限食』がベストです。
蛋白質と脂質を充分量(厚生労働省の言う「推定エネルギー必要量」) 摂取して頂ければ
血糖コントロール良好は勿論のこと、
痩せ過ぎている人は、適正体重まで徐々に増えていきます。

糖尿がない気虚の人も、糖質制限食で体調が良好になる人が多いです。
①スーパー糖質制限食(3食とも主食なし)
②スタンダード糖質制限食(夕食と朝か昼のどちらかは主食なし)
③プチ糖質制限食(夕食だけが主食なし)


博多大吉さんは、プチ糖質制限食を実践しておられたのでしょうか。
それで、体調が良いなら、全く問題ないです。

さて、食後眠たくなるのは当たり前と思っておられる人も多いと思いますが、
実際には『糖質を食べると食後眠たくなる』というのが真実です。

例えば受験生であれば、せめて博多大吉さんと同様のプチ糖質制限食を実践すれば、
夕食後の眠気がなくなって勉強がはかどるので是非試して欲しいです。
リアルタイムに効果があるので、今日の夕食から早速、試してみましょう。


江部康二
【糖質制限のプロが教える】お米や麺類の食べ過ぎで生じる「本当に怖い症状」とは??
こんにちは。

ダイヤモンド・オンラインで
『内臓脂肪がストンと落ちる食事術』の記事が
3日間連続[6月24日(金)、25日(土)、26日(日)]で掲載されます。
本日は、その記事のご紹介です。

江部康二


【糖質制限のプロが教える】お米や麺類の食べ過ぎで生じる「本当に怖い症状」とは??
江部康二:医師・財団法人高雄病院理事長
https://diamond.jp/articles/-/303859
2022.6.26

上記URLをクリックして、記事をご覧頂ければ幸いです。


血糖値を上げるのは「糖質」だけ
 糖質過多による第1のダメージは、食後に血糖値が急激に上がる「食後高血糖」です。
血糖は全身のエネルギー源になりますが、血糖値が高すぎるのは危険です。
 そして、その血糖値を上げるのは糖質だけです。
たんぱく質や脂質は血糖値を上げません。
低カロリーでも糖質がたっぷりなら、血糖値は上がります。
高カロリーでも糖質ゼロなら、血糖値は上がりません。
 具体的に言うと、低カロリーでも糖質が多いそばを食べると血糖値は上がりますが、
高カロリーでも糖質をほとんど含まないサーロインステーキなら血糖値は上がらないのです。

日本で糖尿病患者が増えている理由

本当に怖い「食後高血糖」



【著者からのメッセージ】
「運動なんて、まっぴらごめんだ!」それでも結構です。

ひもじくなるようなカロリー制限は必要ありませんし、
お腹いっぱい食べてもいいです。
筋トレもジョギングも、しなくていいです。

糖質制限と1日2食の“半日断食”の組み合わせ
で、
最初の1週間で体重2~3kgがストンと落ちて、
その後、適正体重になったところでずっとキープ。
ポッコリお腹は、気づけば見事に凹んでしまいます。
そして、もう二度と太りません!

そのことは、現在70代にして20代の頃の体重をキープしている私自身が実証しています。
ぜひみなさんにも『内臓脂肪がストン!と落ちる食事術』をお読みいただき、
スリムな体と超健康体を手に入れ、いつまでも若々しくいられるようにしていただければ、
著者としてこの上ない幸せです。


【本書の目次】
序章 筋トレしなくても「食べトレ」すればいいんです
第1章 内臓脂肪を落としたいなら1日2食がいい
第2章 内臓脂肪を劇的に減らす
第3章 内臓脂肪がストンと落ちる食事術
第4章 脂質は摂っても太らない
第5章 糖質は必須じゃない
第6章 「食べトレ」で“糖質病”とサヨナラ

【糖質制限のプロが教える】「果物・野菜100%ジュースは危険な飲み物」と断言する理由?
こんにちは。

ダイヤモンド・オンラインで
『内臓脂肪がストンと落ちる食事術』の記事が
3日間連続[6月24日(金)、25日(土)、26日(日)]で掲載されます。
本日は、その記事のご紹介です。

江部康二


【糖質制限のプロが教える】
「果物・野菜100%ジュースは危険な飲み物」と断言する理由?

江部康二:医師・財団法人高雄病院理事長
https://diamond.jp/articles/-/303855
2022.6.25



水分に溶けた糖質は血糖値を急上昇させやすい
今回は、糖質をたくさん含む「飲み物」についてです。
飲み物に含まれる糖質は水分に溶け込んでいるため、
体内に吸収されやすく、血糖値をガツンと上げやすいので、特に注意が必要です。

 コーラなどの炭酸飲料やジュースなどの甘い清涼飲料水は、
平均10%の濃度で「砂糖」や「果糖」といった糖質を含んでいます。
500mlサイズのペットボトル1本には糖質50gくらいが溶けている計算ですが、
これは角砂糖10個以上に相当します。

 ヘルシーなイメージが強いスポーツ飲料も、糖質をたくさん含んでいます。
喉ごしのいい清涼飲料水と同様、一気にごくごく飲んでしまうので超危険です。


果糖はとくに要注意

糖質が多い「NGなお酒」とは?

糖質摂取のリスクが低いお酒とは?


====
第1回6/24(金):【1週間で3キロやせた!】ぽっこりお腹がみごとに凹む「医学的に正しい食事法」とは?
https://diamond.jp/articles/-/303855

第2回6/25(土):【糖質制限のプロが教える】「果物・野菜100%ジュースは危険な飲み物」と断言する理由
https://diamond.jp/articles/-/303858

第3回6/26(日):【糖質制限のプロが教える】お米や麺類の食べ過ぎで生じる「本当に怖い症状」とは?
https://diamond.jp/articles/-/303859
====




【著者からのメッセージ】
「運動なんて、まっぴらごめんだ!」それでも結構です。

ひもじくなるようなカロリー制限は必要ありませんし、
お腹いっぱい食べてもいいです。
筋トレもジョギングも、しなくていいです。

糖質制限と1日2食の“半日断食”の組み合わせ
で、
最初の1週間で体重2~3kgがストンと落ちて、
その後、適正体重になったところでずっとキープ。
ポッコリお腹は、気づけば見事に凹んでしまいます。
そして、もう二度と太りません!

そのことは、現在70代にして20代の頃の体重をキープしている私自身が実証しています。
ぜひみなさんにも『内臓脂肪がストン!と落ちる食事術』をお読みいただき、
スリムな体と超健康体を手に入れ、いつまでも若々しくいられるようにしていただければ、
著者としてこの上ない幸せです。


【本書の目次】
序章 筋トレしなくても「食べトレ」すればいいんです
第1章 内臓脂肪を落としたいなら1日2食がいい
第2章 内臓脂肪を劇的に減らす
第3章 内臓脂肪がストンと落ちる食事術
第4章 脂質は摂っても太らない
第5章 糖質は必須じゃない
第6章 「食べトレ」で“糖質病”とサヨナラ


ダイヤモンド・オンライン『内臓脂肪がストンと落ちる食事術』記事。
こんにちは。

ダイヤモンド・オンラインで
『内臓脂肪がストンと落ちる食事術』の記事が
3日間連続で掲載されます。
本日は、その記事のご紹介です。

江部康二


【1週間で3キロやせた!】ぽっこりお腹がみごとに凹む
「医学的に正しい食事法」とは?

江部康二:医師・財団法人高雄病院理事長
https://diamond.jp/articles/-/303855
2022.6.24 3:25


梅雨が明ければ、すぐに夏がやってくる。
夏は気温が高く汗をよくかくため、「痩せやすい」と思いがちだが、
実は、夏こそ「太りやすい季節」でもある。
運動不足や偏った食生活によって基礎代謝が低下しやすく
、気をつけないとすぐに「夏太り」してしまうからだ。

そこで参考になるのが、「糖質制限のカリスマ医師」とも呼ばれる
江部康二氏の著書『内臓脂肪がストンと落ちる食事術』だ。

本書は、江部氏が提唱する、
糖質制限と1日2食を組み合わせた「食べトレ」の方法を解説し、
「医学的に正しい」体重の落とし方を明かした1冊。

本稿では、夏に太りやすい理由と「食べトレ」の具体的な内容をご紹介する。
(執筆・構成/根本隼)

====
第1回6/24(金):【1週間で3キロやせた!】ぽっこりお腹がみごとに凹む「医学的に正しい食事法」とは?
https://diamond.jp/articles/-/303855

第2回6/25(土):【糖質制限のプロが教える】「果物・野菜100%ジュースは危険な飲み物」と断言する理由
https://diamond.jp/articles/-/303858

第3回6/26(日):【糖質制限のプロが教える】お米や麺類の食べ過ぎで生じる「本当に怖い症状」とは?
https://diamond.jp/articles/-/303859
====


夏は「あっという間に」太りやすくなる

「夏太り」の原因とは?

内臓脂肪型肥満は万病のもと

男性の肥満の9割は「内臓脂肪型肥満」

「医学的に正しい」体重の落とし方


食事の時間を空けると脂肪が燃焼する


【著者からのメッセージ】
「運動なんて、まっぴらごめんだ!」それでも結構です。

ひもじくなるようなカロリー制限は必要ありませんし、
お腹いっぱい食べてもいいです。
筋トレもジョギングも、しなくていいです。

糖質制限と1日2食の“半日断食”の組み合わせ
で、
最初の1週間で体重2~3kgがストンと落ちて、
その後、適正体重になったところでずっとキープ。
ポッコリお腹は、気づけば見事に凹んでしまいます。
そして、もう二度と太りません!

そのことは、現在70代にして20代の頃の体重をキープしている私自身が実証しています。
ぜひみなさんにも『内臓脂肪がストン!と落ちる食事術』をお読みいただき、
スリムな体と超健康体を手に入れ、いつまでも若々しくいられるようにしていただければ、
著者としてこの上ない幸せです。


【本書の目次】
序章 筋トレしなくても「食べトレ」すればいいんです
第1章 内臓脂肪を落としたいなら1日2食がいい
第2章 内臓脂肪を劇的に減らす
第3章 内臓脂肪がストンと落ちる食事術
第4章 脂質は摂っても太らない
第5章 糖質は必須じゃない
第6章 「食べトレ」で“糖質病”とサヨナラ






「米国糖尿病学会と糖質制限食」。見解の歴史的変遷。ユーチューブ。
こんばんは。
本日は、ユーチューブのご案内です。

糖尿病・メタボ対策に! ドクター江部の糖質オフ!健康トーク
vol.12『米国糖尿病学会と糖質制限食』
https://www.youtube.com/watch?v=nLPLrkXlRc8&t=319s

今回のテーマは
「米国糖尿病学会と糖質制限食」 見解の歴史的変遷
です。


糖質制限食に関して、現在は、
エビデンスに基づいた米国糖尿病学会のお墨付きがあります。
米国糖尿病学会のトレーシー・ブラウン現CEOは、
自らスーパー糖質制限食を実践中であり、
それによりインスリン注射を中止できています。


米国糖尿病学会とスーパー糖質制限食とエビデンスについて

以下、経年的に検討してみました。


<米国糖尿病学会(ADA)の糖質制限食に対する見解の変遷>

①ADAは、2007年まで糖尿病の食事療法において糖質制限食は推奨しないとしていた。

②2008年、「食事療法に関する声明2008」において、

 「減量が望まれる糖尿病患者には低カロリー食、もしくは低炭水化物食によるダイエットが推奨される」と、

 1年の期限付きで、糖質制限食の有効性を認める見解を記載。

③2011年、肥満を伴う糖尿病患者に2年間の期限付きで糖質制限食の有効性を容認。

④2013年10月、「食事療法に関する声明2013」において期限や限定なしで、糖質制限食を容認

⑤2019年4月、コンセンサス・レポートで糖質制限食がエビデンスが最も豊富と記載。

⑥2020年4月、「栄養療法」

 地中海式、低炭水化物、およびベジタリアン食事パターンは、

 いずれも研究で良好な結果が示されている

 健康的な食事パターンの例である。

 個別の食事計画は、個人の好み、ニーズ、

 および目標に焦点を当てるべきである。

 糖尿病患者の全体的な炭水化物摂取量を減らすことは、

 血糖値を改善するために最も多くのエビデンスが示されているので、

 個人のニーズや好みに応じた様々な食事パターンに

 適用することができる。


米国糖尿病学会(ADA)は、
蓄積したエビデンスに基づき、見解を発表しています。
2007年までは、エビデンス不足のため、糖質制限食を否定しています。
その後、エビデンスの蓄積により、徐々に糖質制限食を肯定していき、
2013年10月には、正式に容認するに到りました。
さらに、2019年4月にはコンセンサス・レポートで、
「糖質制限食が最もエビデンスが豊富」と明言しました。
糖質制限食に関しては
Low-Carbohydrate or Very Low-Carbohydrate Eating Patterns
(低炭水化物食、超低炭水化物食)
と記載してあります。
タンパク質の摂取比率は、一定なので、超低炭水化物食は、間違いなく高脂肪食です。
高雄病院のスーパー糖質制限食はこの「超低炭水化物食」に相当し、脂質摂取比率は56%です。
2020年のADA「栄養療法」においても
『糖質制限食が最もエビデンスが豊富』と再び明言してあります。
2021年、2022年のADA(米国糖尿病学会)「栄養療法」も、
2020年と同様の記載です。

すなわち、糖質制限食の安全性と有効性は、エビデンスに基づき、
米国糖尿病学会により担保されている
と言えます。


江部康二


以下、事務局からのお知らせです。

*********

ブログ読者の皆様、弊会のYouTube動画を多数ご覧いただいておりまして、
ありがとうございます。

江部理事長による動画「ドクター江部の糖質オフ!健康トーク vol.12」の配信を
ご案内申し上げます。

テーマは、「米国糖尿病学会と糖質制限食」です。
米国糖尿病学会の糖質制限食に関する見解の変遷についてお話しております。

ドクター江部の糖質オフ!健康トーク
▼ vol.12『米国糖尿病学会と糖質制限食』
https://youtu.be/nLPLrkXlRc8

ご覧いただけますと、また、ご興味のある方へシェアしていただけますと幸いです。

▼協会YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCdh9uz2_XnhDyJj9pHDDW1A

一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会
https://www.toushitsuseigen.or.jp/

*********
もうすぐ60歳になるトム・クルーズが実践している、5つの「しない」習慣とは  
こんにちは。
ヤフーニュースのサイトに
2022年6月21日
 
もうすぐ60歳になるトム・クルーズが実践している、5つの「しない」習慣とは
https://news.yahoo.co.jp/articles/8975b7f4cf337f148f7165796e4c04e7ef4129a7?page=1

 
という記事が、掲載されました。
確かに、トム・クルーズ氏、
2022年7月で60歳になるとは思えない、若々しいアクションとルックスですね。
 
①揚げない
②いい油しか食べない
③パスタやパンに手を出さない
④スイーツは食べない
⑤お腹を減らしすぎない

 
これらの5項目に加えて、徹底したワークアウトで体を鍛え上げていて、
自分でスタントもこなしているそうです。
「ワークアウト」とは、体の強さや見た目を向上させるために運動することです。
 
トム・クルーズ氏、基本、糖質制限食ですね。
①②、揚げ物は食べないけれど、
油は、意識して、オリーブオイルなど、身体に良い油を摂っています。
③④は、まさに、糖質制限食です。
 
私は、揚げ物も平気で食べていますし、バターやラードも使いますし、
動物性脂肪は身体に良いと思っています。
また、糖質制限OKのスイーツも、適宜食べています。
アメリカには、日本のように、手軽に手に入る『糖質制限OKスイーツ』
がないのでしょうね。
トム・クルーズ氏、この点はちょっと、お気の毒ですね。
 
トム・クルーズ氏は、身体を鍛えていて運動をよくしているので、
空腹になることがあるのでしょう。
 
私は、スポーツジムには行かないし、筋トレもしていません。
とても、トム・クルーズ氏のように「ワークアウト」するような暇はないのですが、
1日8000歩ほど歩いて(6割以上が早歩き)、その中で『ながらジョグ』を15分間以上確保しています。
理事長室が小高い丘の上の建物にあります。
自分から電話をすることは皆無で、用事があれば必ず歩いて行きます。
栄養課に用事があれば、地下まで駆け下り、療養型病床に用事があれば3階まで駆け上がります。
これで、理論上は筋力維持ができているはずです。
 
例えば、階段をいきなり『駆け上がっても、駆け下りても、何ともない』ので
それなりに筋力も確保できていると思われます。
仕事場と家庭内でのこれらの運動で、72歳で筋力維持できているので
かなり効率は良いと思っています。
 
そして、スーパー糖質制限食実践で血糖変動幅が極めて少ないので
空腹感もほとんどなく、間食もほぼしません。
 
 
江部康二
医者が教える 正しい糖質の減らし方 (TJMOOK) ムック – 2022/5/26
book1.jpg

医者が教える 正しい糖質の減らし方 (TJMOOK) ムック – 2022/5/26
江部 康二 (監修) 宝島社

https://www.amazon.co.jp/dp/429902981X/

こんにちは。
『医者が教える 正しい糖質の減らし方 』
が、2022年5月26日(木)刊行されました。
自画自賛になりますが、とてもわかりやすく、よくまとまっています。 (^^)  
     
「増補新版 糖質制限の大百科」2021年9月(宝島社)
以来、久しぶりの新刊となります。
何だか、恥ずかしいのですが、7ページに私の全身の写真が載っています。

超健康体 江部康二
糖質制限20年目!72歳で持病なし、
虫歯なし、20代の体型をしっかり維持


身長:167cm/体重:57kg


髪:白髪はあるが薄毛には悩んでいない

耳:聴力低下もなく、患者さんとも楽しくお喋りできる

肌:シワもなくツヤがありつるんとした肌。
  肌年齢は52歳。
  糖質制限を始めた年齢で止まったまま。

睡眠:毎日7時間睡眠。
夜中に尿意で目覚めることもなく睡眠の質は極めて良好。

運動:日頃からよく歩くことを心がけているが
ジム通いなどの経験はなし。
1~2週間に1回
趣味のテニスをしている。

目:視力良好。
  近視、遠視、乱視はあるが
それがほどよく相まって、
『広辞苑』の小さな文字が
裸眼で読めるほどの
視力を維持している。

歯:歯は全部残っている。
  虫歯ゼロ、歯周病もなし。
  食後歯磨き、
寝る前はていねい磨き。
それと、年に1度歯科健診で
歯石除去をしているだけ

脂肪:コレステロール値も
   中性脂肪値も基準値内。
もちろんお腹もでていない

常備薬:定期的に飲んでいる薬なし。
    サプリメントも
    一切のんでいない



糖質制限ダイエットはブームを超え、もはや定番となっています。
しかし、ハードな糖質制限はハードルが高く、挫折する人も多いのが実情です。
そこで、糖質制限のパイオニアである江部康二が監修して、
改めて知りたい「糖質の正しい減らし方」を教えます。
はじめて糖質制限をする人、かつて制限したけどリバウンドした人、
これからの人生を軽やかに元気に暮らしたい人に最適な一冊です。


江部康二
腎機能検査に関してシスタチンCがクレアチニンより有用です。
こんにちは。
今日は、血清シスタチンCのお話です。

腎臓には血液をろ過して、体の中に溜まった老廃物や水分、取り過ぎた塩分などを尿と一緒に
体の外へ出してくれる働きがあります
腎臓はいらなくなった余分なものを体から排出して、必要なものだけをしっかり体の中に残してくれるので、
体内の環境を正常に保つことができるのです。

糸球体での濾過量(GFR)は、正常では一定に維持され、腎機能を知るうえで最も重要な指標となります。

血清シスタチンCの数値や血清クレアチニンの数値から、、
年齢と性別を考慮して、腎臓の働きを推測した値を、
eGFR(推定糸球体濾過量)と言います。

<血清シスタチンC GFR>
<血清クレアチニン GFR>

で、ネットで検索すれば、
eGFR(推定糸球体濾過量)を計算するサイトが見つかります。
便利なので、利用しましょう。

腎機能検査として、一般的な血清クレアチニンや尿素窒素は食事や筋肉量、
運動などの影響を受けますが、
血清シスタチンC値はそれらの影響を受けないため、
小児・老人・妊産婦・アスリートなどでも問題なく測定できます。

また、クレアチニン値はGFRが30mL/分(腎不全)前後まで低下した頃から上昇するのに対し、
シスタチンC値はGFRが70mL/分前後の軽度~中等度の腎機能障害でも上昇するので、
腎機能障害の早期診断にたいへん有用です。

したがって、血清クレアチニンや尿素窒素が正常であっても、
尿検査で蛋白あるいは潜血反応に異常が認められた場合には、
早期腎症の可能性がありえるので、血清シスタチンCを調べるのが有用です。

血清クレアチニン値が既に高値(2mg/dL以上)であれば、
シスタチンCを測定する意義はありません。
一方、ごく軽度上昇例で評価が困難な場合、
シスタチンC測定で腎機能を検査するのがお奨めです。


江部康二



インスリン、インスリン抵抗性。リポタンパクリパーゼ、中性脂肪。
こんにちは。

今回は、
「インスリン、インスリン抵抗性。リポタンパクリパーゼ、ホルモン感受性リパーゼ、中性脂肪、」
などのお話しです。

筋肉細胞や脂肪細胞の毛細血管の壁には、
リポタンパクリパーゼ(LPL)があります。

毛細血管壁のリポタンパクリパーゼ(LPL)が、
血中のキロミクロンやV-LDLの積み荷の中性脂肪を、
脂肪酸とモノグリセリドに分解して、
筋肉細胞や脂肪細胞に取り込ませてエネルギー源として利用させます。

脂肪細胞の中では、リポ蛋白リパーゼによって分解されて取り込まれた脂肪酸は、
余剰のものは中性脂肪に再合成して蓄えます。
リポ蛋白リパーゼは脂肪細胞内の中性脂肪貯蔵を促進する方向に働きます。

ホルモン感受性リパーゼ(HSL)は、脂肪細胞内に存在して、トリグリセリドを、遊離脂肪酸とモノグリセリドとに分解し、遊離脂肪酸を、血液中に、放出させます。(HSLは、脂肪細胞の中性脂肪分解を促進します。)
インスリンは、ホルモン感受性リパーゼ(HSL)の活性をは、低下させます(脂肪細胞内の中性脂肪分解を抑制します)。

健康でスリムな体型で内臓脂肪も正常範囲の人が、
主食で糖質を摂取して、あと普通におかずで脂質も摂取したと仮定します。

糖質摂取で血糖値が上昇して、
追加分泌インスリンが大量にでます。
脂質摂取でキロミクロン(積み荷は中性脂肪)も出現します。

インスリンは、
A)筋肉細胞毛細血管壁のリポタンパクリパーゼ(LPL)を抑制します。
B)脂肪細胞毛細血管壁のリポタンパクリパーゼ(LPL)を活性化します。


筋肉細胞の毛細血管壁では、
インスリンによりリポタンパクリパーゼ(LPL)が抑制されるので、
血中の脂肪酸・ケトン体をエネルギーとして使えなくなるので、
もっぱらブドウ糖を利用します。
それで血糖値は下がります。

一方、脂肪細胞の毛細血管壁のリポタンパクリパーゼ(LPL)は、
インスリンにより活性化されるので、
血中の中性脂肪を脂肪酸とモノグリセリドにどんどん分解します。
分解された脂肪酸は脂肪細胞に取り込まれてエネルギー源として利用されますが、
余剰のものは、中性脂肪に再合成して脂肪細胞に蓄えます。

このようにして、食事由来の血液中の中性脂肪は、
徐々に基準値に下がります。

健康でスリムな体型で内臓脂肪も正常範囲の人は、
このように、糖質や脂質を食べても血糖値も正常にコンロトールされますし、
中性脂肪値も空腹時には基準値内に戻ります。


一方、肥満などでインスリン抵抗性がある人が、
主食で糖質を摂取して、あと普通に脂質も摂取したと仮定します。

インスリン抵抗性の本質は、何らかの理由で、
「生理的なインスリン濃度では、インスリン本来の作用が発揮できないこと」
とされています。


インスリン本来の作用とは、「筋肉・肝臓・脂肪におけるエネルギーの蓄積」です。

インスリン抵抗性があると、生理的なインスリン濃度では、
脂肪細胞の毛細血管壁のリポタンパクリパーゼ(LPL)が充分に活性化されず、
血中の中性脂肪は分解されにくい状況であり、
脂肪細胞内にそれ以上エネルギー蓄積をできない状態となっています。
それでキロミクロンの積み荷の中性脂肪は減りません。

そして、脂肪細胞が脂肪酸を細胞内に蓄えることができなくなると、
肝臓に過剰に供給されます。
肝臓でもインスリン抵抗性があり、
過剰な遊離脂肪酸は中性脂肪の合成を促進して、
VLDLとして血中に放出されますので食後高中性脂肪血症となります。

肝臓でのVLDL合成は、通常はインスリン濃度が増えれば抑制されますが、
インスリン抵抗性があるため、抑制がきかず合成されるのです。


一方、筋肉細胞にもインスリン抵抗性はあり、
血糖値を取り込みにくくなっていますが、
追加分泌インスリンにより
筋肉の毛細血管壁の中のリポタンパクリパーゼ(LPL)は抑制されます。

糖尿病になっていない段階なら、
筋肉細胞は脂肪酸を取り込めない代わりに、
ブドウ糖を取り込んで血糖値は下がりますが、
中性脂肪は分解されず血中に残ります。


このようにインスリン抵抗性がある人が、
<糖質+脂質>を摂取すれば、
食事由来のキロミクロンと肝臓由来のVLDLの両方で
血中の中性脂肪が高値となります。
この場合、食後高中性脂肪血症は遷延して、
空腹時中性脂肪値も高値となることが多いです。

インスリン抵抗性がある人でも、
スーパー糖質制限食を摂取した時は、
追加分泌インスリンは極少量しか出ません。
従いまして、筋肉中のリポタンパクリパーゼは、
食中・食後もよく働いて
キロミクロンの中性脂肪を分解して筋肉細胞に取り込みます。
そして血中の中性脂肪値は減少するわけです。 (^^)


いやはや食後脂質代謝は、なかなか複雑で難しいです。
あるていど自分に理解できたことを説明してみましたが、
まだまだ不十分と思います。(・・?)


江部康二
糖質制限食と塩分摂取。
こんばんは。
今回は、糖質制限食と塩分摂取について考えてみます。

 インスリンは、交感神経を活性化させたり、腎臓でナトリウムの再吸収を促進させます。
ナトリウムと共に水分も再吸収されるので、高血圧の要因となります。
糖質ありの普通の食事をしていると過剰のインスリンが分泌されるので
浮腫みやすく血圧も上昇しやすくなります。

スーパー糖質制限食を実践すると、インスリン分泌が必要最小限に減るので
ナトリウムと水分は腎臓から排泄される方向にシフトします。
スーパー糖質制限食を開始して、2~3日で、2kgくらい体重が減少しますが
これは脂肪が燃えたのではなく水分の移動です。

糖質制限と共に『塩分制限』もしてしまうと、
摂取エネルギーは充分量であっても、
身体の塩分が不足することがあります。
こうなると、だるくなったり、ぼーっとしたり、頭重・頭痛があったり、
ぼんやりしたり、動きが鈍くなったりします。

過去の記事で、
「スーパー糖質制限食で血糖値は改善し体重も改善したが、
身体がだるかったり、動きが悪くなったりした。」
というような訴えがあったら
ほとんどが、『摂取エネルギー不足』であると説明してきました。

しかしながら、摂取エネルギーは明らかに充分であるにもかかわらず、
同様の訴えをする人が散見されるという実態があります。
このようなケースは、『塩分不足』の可能性が高いと思われます。

私自身、以前、塩分制限実験をしたことがあります。
摂取カロリーは普通にして、厳格な塩分制限食(味はほとんどないです)にしたら
ぼーとしてだるくなって集中力が低下しました。

このように考察してくると
糖質制限食実践の場合は、塩分制限は必要ないです。

また、とくにスーパー糖質制限食実践の場合は
『水分・塩分』が排泄されやすくなるので
しっかり水分補給して塩分も普通に摂るほうが良いです。


江部康二
アドラーと 糖質制限で子供を輝かせる 〜 叱らない子育てのために
こんにちは。
三島塾・三島学塾長の講演会のお知らせです。
ZOOMでの講演会です。
金沢の糖質制限ケーキ屋・堀田茂吉さん(JAPAN KETONE CLUB代表)主催です。

「子供の糖質制限」というテーマにおいて
日本で最も経験富な、三島塾長のお話、
きっと大いに役に立つと思います。
ブログ読者の皆さんも、是非、ご参加あれ。

江部康二


JAPAN KETONE CLUB 主催

2022年6月19日(日)
zoom

アドラーと 糖質制限で 子供を輝かせる
〜 叱らない子育てのために


三島塾・三島学塾長講演会
CLUB  JAPAN KETONE

金沢の堀田茂吉さん主催

日時
2022年6月19日(日) 13:00 - 15:00 zoom

講演90分、質疑応答30分



詳細は以下の通りです。

https://www.japanketoneclub.com/event-details/adorato-toshitsuseigende-kodomowokagayakaseru-shikaranaikosodatenotameni


学習塾で体験されたことをもとに
「子供の糖質制限」の本を書かれている「三島塾」の三島学先生にお話を伺います。

<内容>

糖質制限とは

三島塾の塾生の食事/学習・運動の成果・学習障害の改善/入浴・睡眠も大事/時短、簡単、でもおいしい人気のレシピ紹介(主菜、副菜、おやつ)/プロテイン・サプリメントの摂り方

<講師紹介>


三島学(みしままなぶ):1950年宮城県生まれ。
高校教員、代々木ゼミナール予備校の講師を経て、 2008年「三島塾」を北九州に立ち上げる。
2011年自らの糖尿病治療に、江部式「糖質制限」を取り入れ、効果を実感。
*お申し込みのかたは当日見逃してもあとからアーカイブで視聴できます。







過剰インスリンの害と高血糖の害。
【22/06/15 みっちゃん
インスリンが諸悪の根源
江部先生と同じ京都大学医学部を卒業されて、
現在はクリニックを開業されている新井圭輔医師の書籍を読んで、目から鱗でした。
江部先生と同じく、糖質制限を提唱しておられますが、
高血糖に関しては少し主張が異なります。
血糖値やA1cは少々高くても合併症の危険はほとんどなく、
その原因となるのはインスリンであるとの見解です。
多くの疾患や合併症の原因となる動脈硬化ですが、
それはインスリンの記憶とのことでした。
私もそう思います。
江部先生は、これについて如何お考えでしょうか?】


こんにちは。

みっちゃんから、
【『過剰のインスリンの害』はあるけれど
『高血糖の害』はないのではないか?】

という意見・コメントを頂きました。

結論から言いますと、
『高血糖の害』は確実に存在します。

高血糖はガンや血管障害の独立したリスクです。

1)
高血糖のリスクも、独立して明確に存在。
①早朝空腹時血糖値が140mgを超えてくるとがんのリスク。
②食後高血糖もガンや血管障害のリスク(国際糖尿病連合2007、2011)

2)
インスリン注射やSU剤がない時代から糖尿病は存在。
高血糖の害による合併症で平均寿命は短かった。

3)
日本初代糖尿人の藤原道長は、51歳の頃には高血糖による合併症オンパレードで、
1027年、61歳で死亡。
勿論、インスリン、SU剤なし。

4)
インスリン過剰の害とは別に、独立して高血糖の害が存在する。


昨日の記事では、過剰インスリンの害についても述べました。
結論は、
「インスリンは絶対に必要なホルモンであるが、少なくてすめばすむほど身体には優しい」
ということです。

今日の記事の結論は、「空腹時血糖高値」も「食後血糖高値」もいずれもインスリンとは無関係に、ガンや合併症や血管障害のリスクとなるということです。



A)韓国のJee等は空腹時血糖値140mg/dl以上で、
男女とも悪性腫瘍の発症リスクが有意に上昇すると報告。(2005年)
JAMA. 2005;293(2):194-202.


B)国際糖尿病連合・2011年「食後血糖値の管理に関するガイドライン」 
国際糖尿病連合・2011年発表 
「食後血糖値の管理に関するガイドライン」
http://www.idf.org/sites/default/files/postmeal%20glucose%20guidelines.pdf
の内容の抜粋を紹介します。
2007年の国際糖尿病連合「食後血糖値の管理に関するガイドライン」
http://www.idf.org/webdata/docs/Guideline_PMG_final.pdf
から、4年ぶりの改訂です。
以下、まずは
国際糖尿病連合(International Diabetes Federation:IDF)2007年
「食後血糖値の管理に関するガイドライン」
から抜粋です。

• 食後および負荷後高血糖は大血管疾患の独立した危険因子である。
• 糖負荷(GL*)の低い食事は食後血糖値のコントロールに有益である。
• 食後血糖値をコントロールするためには、食事療法および薬物療法を考慮すべき    である。
• 食後高血糖は糖尿病網膜症と関係する。
• 食後高血糖はIMT肥厚と関係する。
• 食後高血糖は、酸化ストレスを生じ、血管内皮を障害する。
• 食後高血糖は認知障害にも関係する。
• 食後高血糖は癌発症リスク上昇と関連する。
• 食後血糖と空腹時血糖を共にターゲットにすることは、血糖コントロール達成の    最善の戦略である。
• HbA1cは6.5%未満が目標。
• 空腹時血糖値は100mg/dl未満をめざす。
• 食後2時間血糖値は140mg/dLを超えないようにする。


*GL(glycemic lord)
GI値を100で割り、その食品1食分に含まれる糖質のグラム数をかけた数値。
GIよりGLのほうが、実際に食事をするときの参考になりやすい。
GL値10以下の食品が、低GL食品。 

国際糖尿病連合2007年発表の「食後血糖値の管理に関するガイドライン」と比べて、
2011年のガイドラインはそれほど大きな変化はないように思います。
いずれも食後高血糖のリスクを、列挙して明示しています。

違いですが、私の発見したところでは、

*SMBG(血糖自己測定)を、食後高血糖チェックに一押しで推奨。
*食後血糖値は、食後1~2時間で測定されるべきで、
 160mg/dl未満が目標というのが追加。
*食後高血糖は心筋の血液量と血流を減らすと新たに言及。
*CGMが普及してきて、薬、食事、ストレス、運動など
 様々な要素が血糖に影響を与えるのをチェックできる。

これらが、2007年版に追加で、加わりました。

C)
国立研究開発法人 国立がん研究センター 社会と健康研究センター
予防研究グループ
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3753.html
ヘモグロビンA1c(HbA1c)とがん罹患との関連について
多目的コホート研究(JPHC研究)からの成果報告
Int J Cancer. 2016 Apr 1;138(7):1741-53.

これまでのコホート研究により糖尿病患者では大腸がん、膵がん、肝がん、子宮内膜がんなどのがん罹患リスクが1.5~4倍高く、
全がんも約1.2倍高いと報告されています。
今回の報告では、非糖尿病域の高HbA1c値でも全がんリスクが高いことが判明しました。
本研究結果は、慢性的な高血糖が全がんリスクと関連することを示唆しています。

D)

日本初代糖尿人、後一条天皇の摂政太政大臣藤原道長

日本の歴史の中で、糖尿病と関わりがある有名人はかなりいると思いますが、文献上の初代は、おそらく藤原道長(966~1027年)でしょう。

後一条天皇の摂政太政大臣であり、紫式部の『源氏物語』の主人公である光源氏のモデルとも言われています。
道長は平安貴族のなかでも、栄耀栄華の頂点を極めた人物と言えます。

しかし、自ら著した『御堂関白記(みどうかんぱくき)』によれば、30才をすぎた頃から病(胸病)を患っていたようです。

胸痛や胸苦しさを繰り返し起こしているので、いわゆる心臓神経症だったのかはたまた狭心症だったのか、まあ、あまり健康ではなかったようです。

51才のとき三条天皇を譲位させ、後一条天皇を擁立して外祖父となり、ゆるぎない地位を確立しました。

53才のとき娘の威子(いし)を後一条天皇の中宮としました。

このときの宴で詠んだのが

「この世をば我が世とぞ思ふ望月(もちづき)の欠けたることもなしと思へば」

という有名な歌です。

この歌は、同時代の貴族である右大臣の藤原実資(957~1046年)の著した『小右記(しょうゆうき)』に記載されています。

藤原実資は、藤原道長のライバルともいえ、数少ない道長に隷属しない対等の関係の人物でした。

その『小右記』に、道長が51才のとき、「外出中に気分が悪くなり帰途についたが、そのおりしきりに水をほしがっていた」とあります。

道長はしばしば口の渇きを訴え、昼夜なく水をほしがり、脱力感にもおそわれていました。

これは客観的にみて、かなり進行した糖尿病の症状です。

53才で「この世をば・・・」を詠んだときには、糖尿病はさらに進行していたことでしょう。

事実、目の具合がかなり悪くなっていたことが『御堂関白記』に書いてあり、
糖尿病網膜症あるいは糖尿病白内障を患っていたと思われます。

道長は、61歳で亡くなりましたが、晩年は糖尿病合併症による症状のオンパレードに苦しめられていたようです。

最終的に背中に大きな膿瘍ができて、感染コントロール不能となり死亡したようです。

栄耀栄華を極めたとは言え、頂点のころには視力低下、脱力感など、決して幸せではなかったと思われます。


江部康二

がんと血糖値とインスリン。発症予防にはスーパー糖質制限食。
こんにちは。
現在、日本人の死因の一位はがんです。
 
<国立がん研究センターの最新のデータ>

https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html
1.最新がん統計のまとめ
・2019年に新たに診断されたがんは999,075例(男性566,460例、女性432,607例)
・2020年にがんで死亡した人は378,385人(男性220,989人、女性157,396人)
・2009~2011年にがんと診断された人の5年相対生存率は
  男女計で64.1 %(男性62.0 %、女性66.9 %)
・日本人が一生のうちにがんと診断される確率は(2018年データに基づく)
  男性65.0%(2人に1人)・・・実際は3人に2人くらいで女性より多いです。
  女性50.2%(2人に1人)
・日本人ががんで死亡する確率は(2020年のデータに基づく)
  男性26.7%(4人に1人)
  女性17.9%(6人に1人)

 
 
今回はがんと血糖値とインスリンについて考察してみました。
合わせて、スーパー糖質制限食によるがん発症予防についても
検討してみました。
 
Ⅰ 血糖値上昇と発がんリスク
 
A)国際糖尿病連合(International Diabetes Federation:IDF)2011年
「食後血糖値の管理に関するガイドライン」
によれば、食後血糖値は1時間か2時間で測定すべきであり、
ピークで160mg/dlを超える食後血糖値は、
癌のリスクとなります。
 
B)JPHC研究によれば、
肝がんを除外すると、HbA1c値は直線的に全がんリスク上昇と関連していました 。
すなわちB型ウィルス、C型ウィルスという
ウィルス感染による特殊な発がんリスクを除外すると
『血糖値が高いほど、直線的に全がんになりやすい』
という、とても簡明な結論です。
ヘモグロビンA1c(HbA1c)とがん罹患との関連について。
多目的コホート研究(JPHC研究)。
(International Journal of Cancer 2015年11月WEB先行公開)
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3753.html

 
 C)韓国のJee等は空腹時血糖値140mg/dl以上で、
男女とも悪性腫瘍の発症リスクが有意に上昇すると報告。(2005年)
JAMA. 2005;293(2):194-202.
 
 
Ⅱ インスリンと発がんリスク
 
A)インスリン注射をしている糖尿人は、メトグルコで治療している糖尿人に比べて
ガンのリスクが1.9倍というカナダの研究もあります。
2005年の第65回米国糖尿病学会、
カナダのSamantha博士等が、10309名の糖尿病患者の研究成果を報告、
その後論文化。コホート研究。
 「メトフォルミン(インスリン分泌を促進させない薬)を使用しているグループに比べて、インスリンを注射しているグループは、癌死亡率が1.9倍高まる。
SU剤(インスリン分泌促進剤)を内服しているグループは癌死亡率が1.3倍高まる。」 
Diabetes Care February 2006 vol. 29 no. 2 254-258
 
B)Cペプタイド値が高い男性は、低い男性に比べ最大で3倍程度、大腸癌になりやすい。
国立がん研究センター、「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果。
57%が空腹時、他は非空腹時で共に大腸癌群は高値。厚生労働省研究班が2007年、疫学調査結果を発表し英文論文化。研究班は、全国9地域で40-69歳の男女約4万人を、1990年から2003年まで追跡。                       
Int J Cancer. 2007 May 1;120(9):2007-12.
 
  Ⅰ、Ⅱより、
『血糖値上昇と高インスリン血症は、発がんリスクとなる』
いうエビデンスがあります。
 このように過剰インスリンの弊害を考慮すると、
インスリンは血糖コントロールができている限り少なければ少ないほど、
身体には好ましいことがわかります。
 
 別の言い方をすれば、農耕開始後、精製炭水化物開始後、
特に第二次大戦後に世界の食糧事情が良くなってからの糖質の頻回・過剰摂取が、
インスリンの頻回・過剰分泌を招き、
がん発症リスクの元凶となった構造が見えてきます。
 
スーパー糖質制限食を実践すれば、
インスリンの分泌は必要最小限で済むようになり、
がん発症予防が期待できます。
 
ブログ読者の皆さんも、スーパー糖質制限食実践で、
必要最低限のインスリンで血糖コントロール良好を維持して、
健康ライフを送ってくださいね。
 
スーパー糖質制限食なら、血糖上昇が少なくて、インスリン分泌が少ないので、
理論的に、がん発症予防が期待できます。
 
 
糖質制限食とヒト発癌に関する考察
 
A)「スーパー糖質制限食で発癌のリスク上昇というエビデンスはない。」
B)「スーパー糖質制限食で発癌のリスク減少というエビデンスもない。」
C)「糖質摂取比率12%の集団と通常食の集団における癌の発生を、
長期間経過観察した臨床研究は、存在しない。」

 
1)スーパー糖質制限食で、明確な発癌リスクである高血糖と高インスリン血症は、
一日を通して確実に改善する。
2)スーパー糖質制限食で、発癌リスクを減らすHDL-Cが増加する。
3)スーパー糖質制限食を長期間続けて将来発癌リスクが上昇するとしたら1)2)の利点を帳消しにしてさらにそれを上回る何らかの発癌リスクがあると仮定するしかない。   →そのようなリスクは知られていない。

 
4) 1)2)3)を考慮すれば、あくまでも仮説であるが、糖質制限食により、生活習慣病型癌の予防効果が期待できる。
 
江部康二


アドラーと 糖質制限で子供を輝かせる 〜 叱らない子育てのために
こんにちは。
三島塾・三島学塾長の講演会のお知らせです。
ZOOMでの講演会です。
金沢の糖質制限ケーキ屋・堀田茂吉さん(JAPAN KETONE CLUB代表)主催です。

「子供の糖質制限」というテーマにおいて
日本で最も経験富な、三島塾長のお話、
きっと大いに役に立つと思います。
ブログ読者の皆さんも、是非、ご参加あれ。

江部康二


JAPAN KETONE CLUB 主催

2022年6月19日(日)
zoom

アドラーと 糖質制限で 子供を輝かせる
〜 叱らない子育てのために


三島塾・三島学塾長講演会
CLUB  JAPAN KETONE

金沢の堀田茂吉さん主催

日時
2022年6月19日(日) 13:00 - 15:00 zoom

講演90分、質疑応答30分



詳細は以下の通りです。

https://www.japanketoneclub.com/event-details/adorato-toshitsuseigende-kodomowokagayakaseru-shikaranaikosodatenotameni


学習塾で体験されたことをもとに
「子供の糖質制限」の本を書かれている「三島塾」の三島学先生にお話を伺います。

<内容>

糖質制限とは

三島塾の塾生の食事/学習・運動の成果・学習障害の改善/入浴・睡眠も大事/時短、簡単、でもおいしい人気のレシピ紹介(主菜、副菜、おやつ)/プロテイン・サプリメントの摂り方

<講師紹介>


三島学(みしままなぶ):1950年宮城県生まれ。
高校教員、代々木ゼミナール予備校の講師を経て、 2008年「三島塾」を北九州に立ち上げる。
2011年自らの糖尿病治療に、江部式「糖質制限」を取り入れ、効果を実感。
*お申し込みのかたは当日見逃してもあとからアーカイブで視聴できます。










糖質制限食(肉や魚が主)が健康食である理由。
こんにちは。
肉、魚など動物性タンパク質、脂肪は人体に優しい健康食で、
たくさん食べてよいというのが糖質制限食の立場です。
そして糖質制限食に大きな追い風が吹きました。

米国糖尿病学会
が2019年4月の「コンセンサス・レポート」において
『糖質制限食が最もエビデンスが豊富である』
と明言したのです。
2020年、2021年、2022年のガイドラインでも同様の見解です。
「緩やかな糖質制限食」と「厳格な糖質制限食」をともに認めています。

高雄病院の「スーパー糖質制限食」は、厳格な糖質制限食に相当します。
つまり、今や、糖質制限食の有効性と安全性に関して、
米国糖尿病学会のお墨付きがあるということであり、嬉しい限りです。


次に糖質制限食について理論的に考えてみましょう。
単純には、農耕開始前の700万年間の狩猟・採取時代には、
肉・魚はメインに摂取していたものの一つということです。

さらに絞って、我々ホモ・サピエンスは約30万年前にアフリカで誕生し、
狩猟・漁労・採集を生業として食生活をおくり、
突然変異を繰り返して、消化管など内蔵、脳、栄養、代謝、生理システムを完成させました。
(2017年6月8日、イギリスの科学誌『ネイチャー』に、ドイツ・マックス・プランク進化人類学研究所などの研究チームが従来の20万年前という常識を覆して30万年前にアフリカで誕生という内容を発表しました。)

この間、肉・魚などをメインに摂取しながら、
それに適合するように、人体のシステムは完成されました。
現実に、必須脂肪酸と必須アミノ酸、ビタミン・ミネラル・微量元素、食物繊維は、人体で生産できないので必ず食材から摂取する必要があります。
これに対して必須糖質はなく、理論的には糖質ゼロでもヒトは生きることができます。
結局、狩猟・採集をしながら完成された人体のシステムには、
狩猟・採集時代の食生活こそが本来の食生活であり健康食と言えます。

農耕開始後1万年間は、穀物が主食となりました。
しかし、狩猟・採集で形づくられた人体のシステムにとって、
摂取エネルギーの50~60%を穀物から摂取することは、本来無理筋なのです。

ヒューマン・ニュートリション 基礎・食事・臨床 第10版
JS Garrow WPT james A Ralph 編
日本語版監修 細谷憲政


上記は、英国の最も権威ある栄養学の本で、920ぺージに及ぶ大著です。

この本の75ページに

『現代の食事では、・・・・・デンプンや遊離糖に由来する「利用
されやすいグルコース」を大量に摂取するようになっている。この
ような食事内容は血漿グルコースおよびインスリン値の定期的な上
昇をもたらし、糖尿病、冠状動脈疾患、がん、老化等、多くの点で
健康に有害であることが強く指摘されている。

農業の発明以来、ヒトは穀物をベースとした食物を摂取するように
なったが、進化に要する時間の尺度は長く、ヒトの消化管はまだ穀
物ベースの食物に適応していない。ましてや高度に加工された現代
の食物に対して、到底適応しきれてないのである。』


と記載してあります。

常日頃、糖質制限食の立場から私が主張している、
「人類の主食は穀物ではない」
と完全に一致する内容ですね。

ヒューマン・ニュートリションでは、穀物の過剰摂取の害、
特に精製炭水化物による「血漿グルコースおよびインスリン値の定期的な上昇」が多くの点で健康に有害と強調しています。

これも私が日頃主張している
「炭水化物摂取によるグルコースミニスパイクとインスリンの
頻回・過剰分泌が生活習慣病の元凶である。」

という説と、全く同じといっていいと思います。
糖質過剰摂取は、糖尿病、冠状動脈疾患、がん、老化以外に、アルツハイマー病の元凶でもあります。

肉、魚など動物性タンパク質、脂肪の摂取では、
血糖値の上昇もインスリンの過剰分泌もないので、
上述の病気の予防が可能です。
すなわち糖質制限食は人類本来の食事であり、人類の健康食と言えるのです。

江部康二
医者が教える 正しい糖質の減らし方 (TJMOOK) ムック – 2022/5/26
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医者が教える 正しい糖質の減らし方 (TJMOOK) ムック – 2022/5/26
江部 康二 (監修) 宝島社

https://www.amazon.co.jp/dp/429902981X/

こんにちは。
『医者が教える 正しい糖質の減らし方 』
が、2022年5月26日(木)刊行されました。

「増補新版 糖質制限の大百科」2021年9月(宝島社)
以来、久しぶりの新刊となります。
何だか、恥ずかしいのですが、7ページに私の全身の写真が載っています。

超健康体 江部康二
糖質制限20年目!72歳で持病なし、
虫歯なし、20代の体型をしっかり維持


身長:167cm/体重:57kg


髪:白髪はあるが薄毛には悩んでいない

耳:聴力低下もなく、患者さんとも楽しくお喋りできる

肌:シワもなくツヤがありつるんとした肌。
  肌年齢は52歳。
  糖質制限を始めた年齢で止まったまま。

睡眠:毎日7時間睡眠。
夜中に尿意で目覚めることもなく睡眠の質は極めて良好。

運動:日頃からよく歩くことを心がけているが
ジム通いなどの経験はなし。
1~2週間に1回
趣味のテニスをしている。

目:視力良好。
  近視、遠視、乱視はあるが
それがほどよく相まって、
『広辞苑』の小さな文字が
裸眼で読めるほどの
視力を維持している。

歯:歯は全部残っている。
  虫歯ゼロ、歯周病もなし。
  食後歯磨き、
寝る前はていねい磨き。
それと、年に1度歯科健診で
歯石除去をしているだけ

脂肪:コレステロール値も
   中性脂肪値も基準値内。
もちろんお腹もでていない

常備薬:定期的に飲んでいる薬なし。
    サプリメントも
    一切のんでいない



糖質制限ダイエットはブームを超え、もはや定番となっています。
しかし、ハードな糖質制限はハードルが高く、挫折する人も多いのが実情です。
そこで、糖質制限のパイオニアである江部康二が監修して、
改めて知りたい「糖質の正しい減らし方」を教えます。
はじめて糖質制限をする人、かつて制限したけどリバウンドした人、
これからの人生を軽やかに元気に暮らしたい人に最適な一冊です。


江部康二
血糖自己測定(SMBG)器の精度と誤差。糖尿人でなくても測定を。
こんにちは。
血糖自己測定器ですが、
私自身は、ニプロの『フリースタイルフリーダムライト』を
使用しています。
高雄病院の患者さんも、多くの人が同一機種です。

自己血糖測定器の指先の採血は、毛細血管血の値です。
病院で採血する血糖値は、静脈の血です。

動脈血>毛細血管血>静脈血

の順番で血糖値は少し高値となります。
動脈から静脈に流れるにしたがって、筋組織などにブドウ糖を供給していくので、
消費されて血糖値は少しずつ低くなっていきます。
通常、特に食後においては、
動脈血は静脈血より10~20mg血糖値が高いとされています。

病院の器械による血糖測定は、静脈の血液の血漿成分の血糖値です。
一方、SMBGでは、指先の穿刺による毛細血管全血でです。

即ち、指頭のSMBG(毛細血管血)のほうが、10~20mg、
病院の静脈血より高値となることがありります。

また、病院や検査機関の検査機器に比べると、
簡易血糖自己測定器の誤差は、かなり大きいです。

センサーのロット誤差、個別誤差、機器の精度などいろいろあるので、
メーカーの言う20%程度の誤差は、
仕方ないと考えた方がいいですね。( ̄_ ̄|||)

例えば、江部康二のある日の午前8時半の、
空腹時手掌血糖値(毛細血管血)がSMBGで143mg/dl もあって、
びっくりしました。
それで丁度いい機会なので、30分後の午前9時過ぎに江部診療所で空腹時採血して、
微生物研究所に検査を依頼しました。
その結果は100mg/dlでした。
毛細血管血>静脈血ということを割り引いても、約20%の誤差ですね。

また、高雄病院に入院された糖尿人がSMBGを持っておられたら、
病院のデータと比較することがあります。
誤差は10~20mgていどまでのことも多いですが、
やはり食後の血糖値では、40~60mgの差があることがあります。

そういったことを承知の上で、上手に使えば、おおいに役に立つと思いますよ。
まあ、早朝空腹時血糖値は比較的安定してますし、
食前・食後血糖値の差を見るのには少々の誤差は問題ないと思います。

例えば、脂の乗った牛ロースステーキ200g(1000kcal)を食べても
食後血糖値は3mg未満しか上昇しませんが、
白ご飯1膳(150g)食べたら、食後血糖値は160mg以上上昇します。
(1gの糖質が体重64kgの糖尿人の血糖値を約3mg上昇させます)

こういった、通常はお医者さんが教えてくれないような生理学的事実が、
自分で確かめられるのは大きな利点といえます。

“self-monitoring of blood glucose”血糖自己測定、頭文字をとってSMBGといいます。

食事療法、運動療法、薬物療法につぐ糖尿病治療の第四の柱といわれる
血糖自己測定
ですが、どんどん進歩して、
4~5秒程度の時間で、以前より少量の血液(0.3μL~0.6μL)で測定でき、
かなり便利になりました。
以前は、採血量が3μL必要で、測定結果も30秒必要でした。

「SMBGをすると、それ以前に比べてHbA1cが0.5%下がった」という米国の報告もあるようですので
糖尿人必須のアイテムかもしれませんね。 (^^)

いろんなメーカーが血糖自己測定器を発売していますが
痛くなくて早くてエラーがなく、使いやすいのは

ニプロフリースタイルフリーダム
アキュチェックアビバ
グルテストNEO
テルモメディセーフフィット

あたりかなと思います。
精度・誤差は、これらのメーカーにおいては、結局約20%となります。
これらに比し、韓国製のものは、調べた範囲では、
残念ながら誤差が大きいように思います。

1 痛くない
採血量が以前の機種が3μL必要なのに対して、

ニプロフリースタイルフリーダムは0.3μL
アキュチェックアビバ、グルテストNEOは0.6μL

と少ないです。これくらいの量だと、針で刺した皮膚の穴も小さくてすむので、
痛くないのです。

また、ほとんどの機種が指先からの採血なのですが、
ニプロフリースタイルフリーダムは、
指先以外に、手掌、前腕、上腕、太股、ふくらはぎでもOKです。
指先を使う仕事の人にはアドバンテージですね。

アキュチェックアビバ、ワンタッチウルトラも、
指頭だけでなく手掌でも測定できます。その分、採血時の痛みはほとんど無いです。

私自身の経験では、指先はやはり敏感な部位ですので、たまに痛いことがあります。
とくに3μL必要な旧型アセンシア・ブリーズではやや痛かったです。

最も簡単なのは手掌で、穿刺器具の針の深さは1(1~5まであります)と一番浅くして、外套を軽く押し込んで穿刺し、もう一回外套を軽く押して血液をしぼります。
ニプロフリースタイルフリーダムはこれで大丈夫です。

2 早い
ニプロフリースタイルフリーダムとアキュチェックアビバは測定時間4~5秒と、
おそらく全機種中最短です。
グルテストNEOも5.5秒で、ほとんど遜色なしですね。

3 エラーがない
やはり、採血量が少ないほどエラーも出ないと思います。
私もアセンシア・ブリーズのときは3μL必要なので、
検体量が足らない時にエラーがでました。
その意味では、ニプロフリースタイルフリーダムは0.3μLで最小の検体量ですね。


上述の特徴を参考にしていただいて、適宜選んでいただけば幸いです。
なお、現在、糖尿病や予備軍でない人も、
一度食後1時間血糖値を測定してみるとよいと思います。
食後1時間値が180mg/dlを超えていると
2時間値が140mg/dl未満で、正常型であっても
将来糖尿病になりやすいので注意が必要なのです。


江部康二
血糖自己測定(SMBG)はいつ測定?日内変動。
こんにちは。

高雄病院では糖尿病入院患者さんには
FreeStyleリブレProによるCGM(Continuous Glucose Monitoring)
を実施していますが、とても有用です。

私自身は、
FreeStyleリブレによるフラッシュグルコースモニタリング(FGM)
は一度装着してみましたが、やや誤差があるのと、
14日毎に、装着し直す必要があることを勘案し、
その後は、また元通り、血糖自己測定(SMBG)器に戻しました。
血糖自己測定器、なかなか便利で重宝です。

しかし、インスリン注射やトルリシティ注射やビクトーザ注射などを打っていない糖尿人は、
血糖自己測定器やセンサー、ランセットなど
私費になりますので結構高くつきます。

特にセンサーは、1枚¥110-くらいして使い捨てなので、一番問題です。

そうなると、血糖自己測定を毎日何回もしたら、負担が大きくなりますので、
いつするかが気になるところです。
それでも、FGMよりは、安価と思います。

糖尿病合併症予防のためには

1) 空腹時血糖値130mg/dl未満→126mg/dl未満→さらには110mg/dl未満

2) 食後2時間血糖値180mg/dlmg/dl未満→さらには140mg/dl未満

3) 理想的には食後1時間血糖値180mg/dl未満→さらには160mg/dl未満

4) HbA1c7.0未満→さらには6.0%未満


1)2)3)4)の糖尿人の目標達成を目指します。

まずは、早朝空腹時血糖値を測定します。

このデータが126mg/dl未満なら、2日に1回で充分と思います。

110mg/dl未満なら、3~4日に1回で充分と思います。
126mg/dl以上なら、毎日測定です。

次に朝食後1時間血糖値と朝食後2時間血糖値を測定します。

まずは、同一の日、例えば日曜日に食前、食後1時間、食後2時間血糖値を測定して、
自分は1時間値と2時間値とどちらがピークのタイプかを知っておきましょう。

当初食後血糖値を測定するときは、1回の食事で糖質20gくらいと、
スーパー糖質制限食としてはあえて少し多めの糖質を摂取して測定するほうが
結果がわかりやすいです。

体重64kgの2型糖尿人で、
1gの糖質が3mg血糖値を上昇、1型糖尿人で5mg上昇させます。

それから、同一の糖質量でも、
朝食後と昼食後と夕食後の血糖血の上昇が異なる場合があります。
通常は、1日の最初の食事である朝食後の血糖値が
最も上昇しやすいです。


昼食前と食後1時間或いは2時間のピーク時を測定します。
そして、夕食前と食後1時間或いは2時間のピーク時を測定します。
後は寝る前(例えば午后10時とか11時とか)の血糖値を測定します。

これら、

早朝空腹時、朝食後1時間、食後2時間

昼前、昼食後1時間或いは2時間

夕前、夕食後1時間或いは2時間

眠前


の血糖値測定を、1日でこなして、日内変動をみるのもわかりやすいです。
1回日内変動を測定して、しっかりデータをとっておけばいいです。

1日に8回も測定が嫌な人は、朝セット、昼セット、夕セットの、
日にちをずらして、記録しておけばいいです。

こうして、とりあえず、一日の朝・昼・夕・眠前のデータがとれたら、
あとは、糖質の多いものを食べた時に測定して実験します。

スーパー糖質制限食のときはそんなに血糖上昇はないので、
大多数の人は頻回の測定は必要ありません。

趣味的に果物を1/3個、あえて1/2個で食後血糖値測定、(バナナ、リンゴ、苺、梨、みかん、スイカ、メロンなど)。
あるいは、「グルコバイやベイスンなどαGI薬」「グルファストやスターシスなどグリニド系薬」を食直前30秒に内服して
炊いたご飯を100gや食パン六枚切1枚で測定するなどやってみればよいでしょう。

自分の場合、どの程度のグラム数の糖質までなら、

2) 食後2時間血糖値180mg/dlmg/dl未満→さらには140mg/dl未満

3) 理想的には食後1時間血糖値180mg/dl未満

の目標が達成できるかを、実験します。

最初に、一定しっかり、上記をこなして記録しておけば、
あとは早朝空腹時血糖値を適宜、食後1時間あるいは2時間ピーク時血糖値を食物により、適宜測定でOKです。


江部康二
糖質制限OKな飲み物。夏の水分補給。 脱水・熱中症予防。
 こんにちは。
かなり暑い日が続くようになってきました。
こうなると脱水注意がとても大事です。
熱中症で運ばれる患者さんも、ほとんどがベースに脱水があります。
ブログ読者の皆さんも水分補給には充分留意してくださいね。
 
さて、スポーツや肉体労働をしていない時、脱水予防に水分補給するなら、水が一番です。
汗を多くかいていない時は塩分補給は必要なく、水分補給だけで充分です。
 
お茶でもよいです。 単なる炭酸水もいいです。 個人的にはペリエが一番好きですが、
日常的にはもっと安価な炭酸水を購入しています。
具体的には、近くのコンビニに置いてあるウィルキンソン炭酸水が多いです。
 
水やお茶など糖質のない糖質制限OKの飲み物は沢山あります。
糖質がごく少量の飲み物としては、成分未調整の豆乳もあります。
ブラックコーヒーも糖質はごく少量です。
私も、豆乳や、「ブラックコーヒー+生クリーム」をよく飲みます。
 
カフェインを気にするなら、水が一番ですが、お茶の中では、番茶がカフェインが少ないですね。
玄米茶は10mg/100mlです。
麦茶、杜仲茶、ルイボスティーなどは、カフェインゼロです。
爽健美茶、十六茶もカフェインゼロです。
 
福岡県薬剤師会のサイト
http://www.fpa.or.jp/library/kusuriQA/50.pdf
 
飲料別カフェイン含有量
滲出液100ml中
 
玉露 160mg・・・・・・・・・・・糖質は0g (0kcal)。タンパク質    1.3g (5.2kcal)
煎茶 20mg・・・・・・・・・・・・・・  糖質は0.2g (0.8kcal)。タンパク質0.2g (0.8kcal)。計2キロカロリー
番茶 10mg・・・・・・・・・・・・・    糖質は0.1g (0.4kcal)。表示はゼロカロリー
ほうじ茶 20mg・・・・・・・・・・・・・糖質は0.1g(0.4kcal)。表示はゼロカロリー
釜炒り茶 10mg・・・・・・・・・・・・糖質は微量。0.1g未満?。
玄米茶 10mg・・・・・・・・・・・・糖質は0g (0kcal)。
ウーロン茶 20mg・・・・・・・・・・・・糖質は0.1g (0.4kcal)。表示はゼロカロリー
紅茶  30mg   ・・・・・・・・・・・糖質は0.1g。表示はゼロカロリー
コーヒー  60mg  ・・・・・・・・・・糖質は0.7g。2.8kcal。
麦茶    0mg・・・・・・・・・・・・・0.3g (1.2kcal)

上記、カフェインの量は、福岡市薬剤師会のサイトからの引用です。
糖質量などは、私が調べました。
 
野外労働やスポーツで、一定以上汗をかいたときは、水分に加えて、塩分補給も必要です。
熱中症ガイドライン・日本救急医学会2015年によれば熱中症の予防・治療には
 
「0.1 から 0.2%程度の食塩水、つまり 1L の水に 1 から 2g の 食塩。
推奨されている 飲 水 量 は 高 齢 者 を 含 む 学 童 か ら 成 人 が 500 ~ 1,000mL /日、
幼児が 300 ~ 600mL /日、乳児が 体重 1kg 当たり 30 ~ 50mL /日を目安としている。」

とされています。
 
手っ取り早くは、アクエリアスゼロでもいいと思います。
 
炭水化物0.7gと記載されていますが、カロリーゼロなので血糖を上昇させることは、
まずないです。
 
アクエリアスゼロ
100mlあたり
エネルギー      0kcal
タンパク質      0g
脂質    0g
炭水化物 0.7g
ナトリウム      40mg
カリウム 9mg
マグネシウム    1.2mg
L-カルニチン    10mg
 
原材料名 : 果糖、塩化Na、L-カルニチン L-酒石酸塩、香料、クエン酸、クエン酸Na、
甘味料(アセスルファムK、スクラロース)、
塩化K、硫酸Mg、乳酸Ca、酸化防止剤(ビタミンC)

 
人工甘味料が嫌な人や節約したい場合は、
「1L の麦茶に 1 g の 食塩」を自分で作って飲めば良いと思います。
 
江部康二
 
「米国糖尿病学会と糖質制限食」。見解の歴史的変遷。ユーチューブ。
こんにちは。
本日は、ユーチューブのご案内です。

糖尿病・メタボ対策に! ドクター江部の糖質オフ!健康トーク
vol.12『米国糖尿病学会と糖質制限食』
https://www.youtube.com/watch?v=nLPLrkXlRc8&t=319s

今回のテーマは
「米国糖尿病学会と糖質制限食」 見解の歴史的変遷
です。


糖質制限食に関して、現在は、
エビデンスに基づいた米国糖尿病学会のお墨付きがあります。
米国糖尿病学会のトレーシー・ブラウン現CEOは、
自らスーパー糖質制限食を実践中であり、
それによりインスリン注射を中止できています。


米国糖尿病学会とスーパー糖質制限食とエビデンスについて

以下、経年的に検討してみました。


<米国糖尿病学会(ADA)の糖質制限食に対する見解の変遷>

①ADAは、2007年まで糖尿病の食事療法において糖質制限食は推奨しないとしていた。

②2008年、「食事療法に関する声明2008」において、

 「減量が望まれる糖尿病患者には低カロリー食、もしくは低炭水化物食によるダイエットが推奨される」と、

 1年の期限付きで、糖質制限食の有効性を認める見解を記載。

③2011年、肥満を伴う糖尿病患者に2年間の期限付きで糖質制限食の有効性を容認。

④2013年10月、「食事療法に関する声明2013」において期限や限定なしで、糖質制限食を容認

⑤2019年4月、コンセンサス・レポートで糖質制限食がエビデンスが最も豊富と記載。

⑥2020年4月、「栄養療法」

 地中海式、低炭水化物、およびベジタリアン食事パターンは、

 いずれも研究で良好な結果が示されている

 健康的な食事パターンの例である。

 個別の食事計画は、個人の好み、ニーズ、

 および目標に焦点を当てるべきである。

 糖尿病患者の全体的な炭水化物摂取量を減らすことは、

 血糖値を改善するために最も多くのエビデンスが示されているので、

 個人のニーズや好みに応じた様々な食事パターンに

 適用することができる。


米国糖尿病学会(ADA)は、
蓄積したエビデンスに基づき、見解を発表しています。
2007年までは、エビデンス不足のため、糖質制限食を否定しています。
その後、エビデンスの蓄積により、徐々に糖質制限食を肯定していき、
2013年10月には、正式に容認するに到りました。
さらに、2019年4月にはコンセンサス・レポートで、
「糖質制限食が最もエビデンスが豊富」と明言しました。
糖質制限食に関しては
Low-Carbohydrate or Very Low-Carbohydrate Eating Patterns
(低炭水化物食、超低炭水化物食)
と記載してあります。
タンパク質の摂取比率は、一定なので、超低炭水化物食は、間違いなく高脂肪食です。
高雄病院のスーパー糖質制限食はこの「超低炭水化物食」に相当し、脂質摂取比率は56%です。
2020年のADA「栄養療法」においても
『糖質制限食が最もエビデンスが豊富』と再び明言してあります。
2021年、2022年のADA(米国糖尿病学会)「栄養療法」も、
2020年と同様の記載です。

すなわち、糖質制限食の安全性と有効性は、エビデンスに基づき、
米国糖尿病学会により担保されている
と言えます。


江部康二


以下、事務局からのお知らせです。

*********

ブログ読者の皆様、弊会のYouTube動画を多数ご覧いただいておりまして、
ありがとうございます。

江部理事長による動画「ドクター江部の糖質オフ!健康トーク vol.12」の配信を
ご案内申し上げます。

テーマは、「米国糖尿病学会と糖質制限食」です。
米国糖尿病学会の糖質制限食に関する見解の変遷についてお話しております。

ドクター江部の糖質オフ!健康トーク
▼ vol.12『米国糖尿病学会と糖質制限食』
https://youtu.be/nLPLrkXlRc8

ご覧いただけますと、また、ご興味のある方へシェアしていただけますと幸いです。

▼協会YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCdh9uz2_XnhDyJj9pHDDW1A

一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会
https://www.toushitsuseigen.or.jp/

*********
肝臓自身のエネルギー源は、ブドウ糖、脂肪酸、アミノ酸。
【22/06/06 肝臓

江部先生

いつも有益な情報をありがとうございます。

⑥肝臓はケトン体を、脂肪酸から生成するが、自分では利用せずに、他の組織に供給する。


肝臓はスクシニルcoaトランスフェラーゼが存在しない為、
ケトン体を利用出来ないというのは生化学の書籍にも書かれている事ではありますが、

糖質制限中は
肝臓への栄養は糖新生で補われるのでしょうか?

糖質制限実践者が疑問に感じる内容でしたので質問させて頂きました。

もし過去記事や書籍にてこちらについて書かれている場合は
お時間のある時にURLやタイトルを教えて頂きたいです。】


こんばんは。
肝臓さんから、肝臓自身のエネルギー源は、何?という
コメント・質問を頂きました。

肝臓さん。
肝臓のエネルギー源は、糖質制限実践者も糖質摂取者も共に
脂肪酸とブドウ糖とアミノ酸です。
以下、ご参照頂ければ幸いです。


人体の臓器や細胞のエネルギー源。小腸と大腸は特殊。
2022年05月08日 (日)の記事に一部追加


人体のエネルギー源として
A)脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム
B)ブドウ糖-グリコーゲンエネルギーシステム

があります。
人体のほとんどの細胞が、A)B)をエネルギー源として使用しています。

A)脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム
体内の脂肪組織の中性脂肪は、分解されて脂肪酸とグリセロールになります。
脂肪酸は脳と赤血球以外の人体組織のエネルギー源となります。
ケトン体は肝細胞内で、
「脂肪酸→β酸化→アセチルCoA→ケトン体」
という順番で誰においても日常的に生成されていて肝臓では使用されずに、
他の臓器、脳や筋肉のエネルギー源として供給されます。
これは、最も効率のよいエネルギー源であるケトン体を、
自らは使用せずに他の臓器に優先的に回すという趣旨です。
脂肪酸-ケトン体エネルギーシステムは、安静時や空腹時や睡眠時は、人体の主たるエネルギーシステムです。


B)ブドウ糖-グリコーゲンエネルギーシステム
ブドウ糖は、筋肉と肝臓にグリコ-ゲンとして蓄えられています。
通常成人男子では90~150gが肝臓に肝グリコーゲンとして貯蔵されていて、
100~400gのグリコーゲンが筋肉内に存在します。
筋肉中のグリコーゲンは筋肉細胞のエネルギー源となりますが、血糖にはなりません。
糖質摂取後最初の3~4時間は消化管から吸収されたブドウ糖が身体のエネルギー源となり、
その後余った血糖は肝・筋・脂肪組織にグリコーゲンや中性脂肪として蓄えられます。
肝臓のグリコーゲンは、食後3~4時間くらいが経過したら、血糖確保のために使用されます。
さらに食後数時間が経過すると、肝臓では糖新生をして、血糖を正常値に維持します。
ブドウ糖-グリコーゲンエネルギーシステムは、本来は緊急時(逃走・闘争など)の手っ取り早いエネルギー源です。
あとは、30分以上歩いて、筋肉の収縮が維持されると、GLUT4が細胞表面にトランスロケーションして、
インスリン非依存的に筋肉細胞が血糖を取り込みます。
糖質を摂取してインスリンが分泌されると、筋肉細胞や脂肪細胞のGLUT4が細胞表面にトランスロケーションして
血糖を取り込みます。



A)B)以外の例外のエネルギー源として、グルタミンと短鎖脂肪酸があります。

C)グルタミン

小腸はグルタミンが主たるエネルギー源です。
グルタミンが50~60%、ケトン体が15~20%、ブドウ糖は5~7%とごく少ないです。
グルタミンは血中に最も多く含まれている遊離アミノ酸です。
小腸がグルタミンを主たるエネルギー源にしているのは、食べものを消化吸収したとき、
ブドウ糖や脂肪酸などは他の臓器に優先的に供給するためと思われます。

D)短鎖脂肪酸
大腸は、短鎖脂肪酸しか、エネルギー源として使いません。
大腸は腸内細菌が、食物繊維を分解して作った短鎖脂肪酸をエネルギー源として利用しています。
また体内で産生された短鎖脂肪酸もエネルギー源とします。



さて、A)B)がエネルギー源となっているほとんどの細胞について整理してみます。

キーワードは、ミトコンドリアです。

ミトコンドリアは細胞内にあるエネルギー生産装置です。
赤血球以外の全ての臓器や組織は細胞内にミトコンドリアを持っています。

ミトコンドリアがあると、TCAサイクルを回して、脂肪酸やケトン体をエネルギー源として利用することができるのです。
血液脳関門は、脳細胞の周囲にあり、脳細胞を物理的かつ化学的に守っています。
アストロサイトは血液脳関門の構成要素であり、血管内皮と共に血液脳関門を形成しています。

1)赤血球
 ミトコンドリアを持っていないので、「ブドウ糖」しかエネルギー源として利用できません。
 人体でミトコンドリアを持っていないのは、赤血球だけです。

2)脳
①ブドウ糖、脂肪酸、ケトン体は血液脳関門を通過する。
②脂肪酸はアストロサイトではミトコンドリア内でβ酸化されてエネルギー源となる。
③脂肪酸は神経細胞では細胞膜の原料となりエネルギー源としては使われない。

 従って、脳は「ブドウ糖+ケトン体」をエネルギー源として、利用します。

3)筋肉・内臓・脂肪など、ほとんどの肝外体組織

 ミトコンドリアを細胞内に有しているので、
「ブドウ糖+ケトン体+脂肪酸」をエネルギー源として 利用します。
興味深いのは、
主たるエネルギー源はケトン体と脂肪酸でありブドウ糖ではないことです。

「ハーパー・生化学」(原著27版)の訳本、155ぺージ・図16-9の説明に、
「心臓のような肝外組織では代謝エネルギー源は次の順に好まれて酸化される。
(1)ケトン体.(2)脂肪酸.(3)グルコース」

との記載があります。


4)肝臓
 肝細胞のなかで、ケトン体が生成されますが、肝細胞自らはケトン体を利用せず、
血中に送り込んで他の 組織に供給します。
 肝細胞は 「ブドウ糖+脂肪酸+アミノ酸」をエネルギー源として利用します。
とくにBCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)は、
肝臓のエネルギー源になりやすいアミノ酸です。


江部康二



昆布の糖質、だしを取った後の昆布は食べてOK。甲状腺機能低下症は?
こんにちは。
「昆布は健康に良いそうなので食べても良いですか?」
といった質問を、外来患者さんから受けることがあります。
昆布の糖質量について、以前オスティナートさんから詳しい情報を
コメントして頂きましたので、再考してみます。

【18/06/10 オスティナート
昆布の糖質
だし用の素干し昆布100gでだしを取った後の昆布の重量は約5倍になります。
(柔らかくなるまで煮ると6倍)
よって、糖質は約25.1g/500g、100gあたり約5gとなります。

家庭(4~6人分)で素干し昆布20gを使って、
だしを取った後の昆布の重量は約100gとなります。
(是非お試しください)

●利尻昆布/素干し(可食部100g当たり)
・エネルギー:138kcal
・水分:13.2g
・タンパク質:8.0g
・脂質:2.0
・糖質:25.1g
・食物繊維:31.4g
・灰分:20.3g
日本食品標準成分表2015年版(七訂)

私はだしを取った後の昆布を、刻んだり煮物にして、
いつもおいしく食べています。
なお、一度に食べる量が25~50g(糖質1.25~2.5g)ですので、
血糖値の上昇はほとんどありません。】


オスティナートさん、
耳寄りな情報を、ありがとうございました。

今まで、昆布に関して
「だしはとってもいいけれど、糖質が多いので食べてはだめ」
と、本ブログでも記載してきました。

しかし、だしを取って膨らんだ昆布は、
オスティナートさんがご指摘のように
100g中に約5gの糖質であり、
糖質制限OK食材と言えます。

私は、乾燥重量で、100g中に25.1gも糖質があるので
単純に糖質が多いのでNG食材と思っていましたが
「だしを取って膨らんだ昆布は、
適量(25~50g)なら、糖質制限食的に食べても大丈夫」

と考え直しました。
ブログ読者の皆さんも、オスティナートさんのように
だしを取った後の昆布を、適宜美味しく食べて頂ければよいと思います。


一方、甲状腺機能低下症の問題があります。
過去、健康に良いということで昆布を積極的に食べてていた方々において、
私の経験だけでも40名以上の甲状腺機能低下症を認めました。
多くの場合昆布に含まれるヨード(ヨウ素)の過剰摂取によるものと考えられました。

高雄病院と江部診療所では、外来患者さんに、
定期的に年に2回くらい、血液尿検査をすることが多いのですが、
その中で、TSHが高値でFT4が軽度低値の人が、
時々発見されるということです。
これらの方々のほとんどが、聞いてみると昆布を積極的に食べておられました。
そして、昆布を止めたら、甲状腺機能は速やかに正常値に戻りました。

ヨウ素は、甲状腺ホルモンを作るために必要な一方、過剰に摂取すると
甲状腺ホルモンが作られなくなり甲状腺機能低下症となることがあります。
お摘まみ昆布、塩昆布、おしゃぶり昆布・・・などヘルシーイメージで食べ過ぎると
甲状腺機能低下症を発症することがあるので要注意なのです。

あと、ヨウ素含有のうがい薬(イソジンガーグルなど)を、
毎日うがいのときに使用するなどすれば、結果としてヨウ素吸収が過剰となり、
やはり、甲状腺機能低下症のリスクになるので、気をつけましょう。
うがいは水で行えばOKで、薬は要りません。

京都大学健康科学センターの川村孝教授(公衆衛生学)らが
2005年に発表した論文には、
風邪とうがいの関係に関する実験結果が報告されています。
「うがいしない群」「うがい薬使用群」「水うがい群」
の3群で検討してみると、水うがい群が唯一<かぜ予防効果>がありました。


なお、TSHが高値でFT4が軽度低値の人の中には
橋本病などで、甲状腺ホルモンの補充が必要な人もまれにはおられますが、
この場合は、治療が必要です。


ともあれ、やはり、昆布の食べ過ぎやうがい薬には要注意ということになります。


江部康二

菓子職人、6月・7月限定、糖質制限Monthly cake、タルトティラミス。
こんにちは。
菓子職人、6月・7月限定糖質制限Monthly cake、タルトティラミスのご案内です。

tiramisu1.jpg
初夏の新感覚デザート。
糖質制限タルトティラミス

https://www.kashishokunin.co.jp/toushitsuseigen/products/monthly/monthly07.php
100gあたり、エリスリトールを除く糖質は4.02g


さっくり香ばしいタルト生地に、
クリーミーなマスカルポーネクリームと口当たりのよい香り高いカフェジュレ。
ティラミスにプラスアルファの美味しさです。

tiramisu2.jpg


2022年5月27日(金)
16時30分 血糖値:119mg/dl
菓子職人のケーキ タルトティラミス 1個
17時半 60分後血糖値:106mg/dl


江部康二の場合、1gの糖質が3mg血糖値を上昇させますが
今回は食後のほうが血糖値が下がりました。
これは、追加分泌インスリン第一相が、しっかり出て、
タルトティラミスの4gの糖質の血糖上昇分を
カバーしておつりがきたものと思います。

糖尿病入院患者さんでも、食前血糖値よりも
高雄病院の糖質制限給食を食べたあとの血糖値のほうがかえって下がることが
たまにありますが、同じ理由と思います。

糖質制限タルトティラミス100g中に4gの糖質を含有と想定通り、あるいは想定以下のデータです。
勿論、糖質制限OK食品です。

極上の甘さに加えて、初夏向きのサッパリ感があり、とても食べやすいです。

血糖測定人体実験のためとはいえ、いつも糖質制限OKなケーキを、
一番早く味わうことができて、ささやかながら幸せをかみしめています。

菓子職人さん、ありがとうございます。

読者の皆さんも、是非、ご賞味あれ。


江部康二
自分史三、糖尿病発症と糖質制限食実践。
こんにちは。
今日の記事は

自分史二、 糖尿病発症に到った経緯②。
糖質制限食との出会い。
2022年06月02日 (木)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5979.html


の続きです。

自分自身が糖尿病になって、できれば薬はなしで食事療法のみで血糖コントロールしたいという思いも強くありました。
そして父が糖尿病合併症のオンパレードが元で永眠したのを目の当たりにしているので、
いやでもモチベーションは高まりました。

父は、糖尿病足病変を繰り返し、ついには足指の壊死を合併し、
とうとう77歳で右大腿部から切断という事態になってしまいました。
80歳で心筋梗塞と肺炎となり、永眠しました。
同じように糖尿病でしたが、母は糖質制限食が間に合い、
合併症もなく91歳で天寿を全うしました。

私は、2002年6月の糖尿病発症(正確には発覚?)時点で、
身長167cm、体重67kgで、腹囲86cm、内臓脂肪CT126cm2 、高血圧など
メタボリック・シンドロームの診断基準を全て満たしていました。


HbA1c:6.7%(NGSP)。
血圧は普段が140~150/90~100、夜の診察が終わったあとには、
180/110とかをたたきだして外来ナースがびっくりしていましたが、
私もびっくりがっくりでした。

糖質制限食は1999年に兄の江部洋一郎院長(当時)が導入し
当初、半信半疑だった私も2001年に糖尿病の患者さんに初めて実施し
劇的改善を得ていたので、うまくいく確信はありました。

肉類・魚貝類・野菜・豆腐・納豆・海草・茸など
おかずは食べ放題で主食(糖質)だけはなしです。
2002年糖尿病発症当時は、酒は日本酒、ビールなどの糖質を含んでいる醸造酒は中止し、
もっぱら焼酎(蒸留酒)としました。
辛口の赤ワインだけは醸造酒の中でも血糖値をほとんど上昇させないので
適宜飲みました。
2022年現在は、白ワインも糖質が少ないものは飲んでいますし
糖質ゼロ発泡酒や糖質ゼロビールも発売されているので重宝しています。

発症後は即、
スーパー糖質制限食実践を開始して、3週間後のHbA1cは6.0%(NGSP)と改善し、
その後は2022年現在にいたるまで、ずっと6.0%未満(5.6~5.8%)をキープしていて正常型であり、
合併症ももちろんなしです。
メタボのほうもスーパー糖質制限食開始半年で10kgの減量に成功し血圧も、
120~130/70~80と正常になり、腹囲78cm、内臓脂肪CT71cm2と改善しました。
その後も2022年6月現在まで、体重は57kgを維持しています。
 
今の私の知識が、40歳頃にあれば、
そもそも、糖尿病にはなっていないと思います。
まあ、「覆水盆に返らず」ですね。

そして、現在の私の経験と知識を、
ブログ読者の皆さんと共有することで、
多くの方の糖尿病発症予防が可能となれば、一番嬉しいです。
勿論、すでに糖尿病を発している方も、糖質制限食なら
薬はなしか必要最小限で、コントロール良好となります。


江部康二
自分史二、 糖尿病発症に到った経緯②。糖質制限食との出会い。
こんにちは。
今日の記事は


本ブログ記事
「自分史一、糖尿病発症に到った経緯」
2022年06月01日 (水)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5978.html


の続きです。

自分史二、糖尿病発症と糖質制限食

 おそらく42~43歳ごろから毎日食事の度に食後高血糖を繰り返し、
だめ押しに毎晩毎晩、
雨の日も風の日も雪の日も律儀に純米酒と恵比寿ビールで飲酒後高血糖を生じていたのでしょう。

このごろはテニスの帰りにスポーツジムにもよって、週1回は、自転車こぎや腹筋・背筋運動もやってましたが、
なぜか体重は徐々に増加し腹回りも順調に育っていきました。
しっかり摘めるお肉なので筋肉増強ではなく脂肪増強に間違いありません。
「何故だ!!」戸惑いと憤りが湧いてくるものの誰のせいでもありませんし現実は厳しいものでした。

「今までの健康を目指したライフスタイルは全部ムダだったのか!?」とガックリと来ました。
正しいと信じていた常識が、完全に間違いだったと思い知らされたのですから、無理もありませんでした。

でも、予兆はありました。肉や脂を控えて運動も続けていたのに、
40歳を超えた頃から体重が徐々に増えていきました。
50歳を迎えた頃には、お腹周りのサイズは完全にメタボの領域に達していたのです。
明らかにおかしかったのです。

40歳頃まで、体重は不変でしたが、運動量はしれていたので、
現実には筋肉量が徐々に減り、その分脂肪量が徐々増えて、
結果として基礎代謝が減っていたものと思われます。
いわゆる中年太りですね。


それでも、「まさか」と心のどこかで思いながら血糖値を調べてみた結果、
疑いもなく糖尿病だと診断するしかない数値が出てしまったわけです。

 さすがにしばらく落ち込みましたが
「まあ、仕方がない。事実は事実。俺は糖尿病や、これからは自分の糖尿病も治療しなければならないな。」
と受け入れました。
そしてふと「これって、かえってラッキーかもしれない」気づいたのです。
高雄病院では、すでに1999年から、兄江部洋一郎院長(当時)が、日本で初めて
糖尿病治療に糖質制限食を導入していました。

当初2年間は「兄貴がまた変なことをやっているわ。」というスタンスで
私も三人の管理栄養士も傍観していました。
しかし、2001年からは私も糖尿病患者さんに積極的に糖質制限食という全く新しい食事療法を開始していたので、
確かめたいことや試したいことは山ほどありました。

今後は、患者さんにいちいち頼まなくても、自分自身を実験材料に、
まずは簡単にいろいろな食材で血糖値測定を試せるわけです。
自分自身で実験し、多くの糖尿病患者さんにも協力をお願いし、
この日から、いよいよ本格的に高雄病院の糖質制限食研究が始まりました。


続く。


江部康二
自分史一、糖尿病発症に到った経緯① 。
こんにちは。
今日のブログ記事は

高雄病院と<ハンガーストライキ・断食・玄米魚菜食>三
2022年05月30日 (月)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5976.html

 
の続きです。
 
今回は、私、江部康二が糖尿病発症に到った経緯です
すでに糖尿病を発症されている方も、
糖尿病予備軍の方にも参考になる内容と思いますよ。
 
<糖尿病発症に到った経緯>
 
 もともと父も母も糖尿病で、父は77歳の時糖尿病による血流傷害のため右大腿切断手術をし、
その後心筋梗塞や肺炎にもなり、80歳で永眠しました。
家族歴は完璧なので、私もそこそこ警戒はしていたのですが、
2002年の病院の健康診断(52歳時)で遂にHbA1Cが6.7%と糖尿病の域に達していました。ヾ(゜▽゜)
翌日慌てて、給食(胚芽米)を食べて1時間後の血糖値を測定してみると250mg/dlもあり愕然としました。
 
さらに次の日は血糖値を上昇させにくい玄米で実験してみても食後1時間血糖値は228mg/dlもあり、
軽く200アップで、ほとんど変わりませんでした。
 
ついでといっては何ですがメタボ、高血圧も発症していました。
この時、身長は167cm、体重は67kg(40歳のころは、57kg)。
血圧は夜診の終了後などは180/110とかにまで上昇していました。
通常でも、140/90~100くらいでした。
 
 通常健康診断で調べる朝一番の空腹時血糖値は十数年間ずっと108mg以下で安心していました。
しかし1998年には115mgで初めて糖尿病と正常の境界領域になっていたのに油断して放置していたのです。
 
 もっとも34歳から、基本玄米が主食で、魚中心で肉や脂は控えめで野菜はたっぷり摂り、
週に2回はテニスをし、週1回スポーツジムにも通っているし、
普通の中年サラリーマン諸氏よりは、はるかに健康的なライフスタイルのはずでしたが・・・?
 
2000年に
「完全米飯給食が日本を救う」(東洋経済新報社)という本を
井上ひさしさんや、幕内秀夫さんと共著で刊行していたこともあり、
 旅先では玄米は無理なので、とにかく、おにぎりとかご飯をしっかり食べるように心がけていました。
パン(小麦)を食べることはまずなくて、努力して、米(玄米、白米)をタップリ食べていました。
 
 さらに40歳過ぎから
「酒をやるなら純米大吟醸、ビール飲むなら恵比寿ビール、愛読書並びに推薦書は『夏子の酒』・・・」
てなキャッチコピーでそれまでのウィスキーやブランデーから純米酒と恵比寿ビールに切り替えて
当時浴びるように飲んでいたのが敗因の一つでした。
 
結局、私の場合、大量の<ご飯(玄米、白米)+恵比寿ビール+純米大吟醸>
三位一体となって、糖尿病発症コースにまっしぐらに突っ走ったのだと思います。
 
今なら、血糖値を直接上昇させるのが糖質だけ、
醸造酒は血糖値を上昇させ、蒸留酒は上げないという知識があるのですが・・・。 ( ̄_ ̄|||)
 
通常食後高血糖が数年間続いたあとに、空腹時血糖値が上昇すると言われているので、
実は1990年代の初めごろからとっくに食後高血糖が存在した可能性が高かったのです。
 
読者の皆さんも糖尿病の早期チェックには空腹時血糖値ではなく主食摂取後1時間血糖値を調べてくださいね。
これが180mg/dlを超えていると将来糖尿病になりやすいのです。
 
続く。
 
 
江部康二