2022年04月30日 (土)
こんにちは。
今回は、血糖調節システムについて検討してみます。
人体の血糖調節は、なかなか精妙で複雑なシステムにより維持されています。
血糖値は、
「食事」「肝臓によるグリコーゲン分解・糖新生と糖の取り込み」「運動」「ストレス」「インスリン・グルカゴンなどホルモン」「女性の生理」・・・
などなど、いろいろな要素が合わさって調節されています。
1) 空腹時
食物吸収が終了した直後(食事開始2時間後)には、肝臓のグリコーゲン分解が、循環血液中に入るブドウ糖の主要な供給源です。
食後数時間が経過し、絶食状態が持続すると、血糖値維持のために、筋肉など多くの組織のエネルギー源は、ブドウ糖から脂肪酸やケトン体に変わります。
そして、ブドウ糖の供給源は、肝のグリコーゲン分解から糖新生(*)に切り替わります。
なお、筋肉には「グルコース6リン酸→グルコース」 とする回路がないので筋肉中のグリコーゲンからはグルコース(ブドウ糖)は作れません。
つまり筋肉中のグリコーゲンは筋肉細胞のみのエネルギー源であり
血糖にはなりません。
2) 主食摂食時(糖質あり)
血糖値を直接上昇させるのは、糖質・脂質・タンパク質のうち、糖質だけです。
糖質摂食時には、消化管から吸収されたブドウ糖は、門脈血からまず肝臓に約50%取り込まれ、それ以外が血液の大循環に回ります。
肝細胞でのブドウ糖取り込み自体は、糖輸送体Glut2(**)を介して行われ、インスリン追加分泌とは関係ありません。
しかし、肝に取り込まれたブドウ糖は、インスリンによりグリコーゲンとして蓄えられます。
糖質を摂取して血糖値が上昇すれば、正常人では速やかにインスリンが追加分泌されます。この場合、追加分泌は基礎分泌の数倍~30倍レベルの大量となります。
例えば基礎分泌が5μU/mlなら追加分泌は、30~150μU/mlとかです。
肝臓に取り込まれなかったブドウ糖は、肝静脈から血中に入り、動脈血中に入ったブドウ糖は、インスリン追加分泌により細胞表面に移動した糖輸送体GLUT4により、骨格筋細胞や脂肪細胞に取り込まれます。骨格筋が、約70%の血糖を取り込みます。
これにより血糖値も速やかに下がります。
筋肉中に取り込まれた血糖は、エネルギー源として使われ、残りはグリコーゲンとして蓄えられます。
取り込まれず余った血糖は、インスリンにより脂肪組織か肝臓に取り込まれ、中性脂肪に変換され蓄えられます。
インスリン濃度が高いと、脂肪細胞の毛細血管にあるリポ蛋白リパーゼが活性化されて、血液中の中性脂肪が分解されて、脂肪酸とグリセロールになります。脂肪酸は、筋肉や体細胞や脂肪細胞のエネルギー源となります。
グリセロールはほとんどエネルギー源にはなりませんが、肝臓での糖新生の原料となります。
余剰の脂肪酸は、脂肪細胞に取り込まれて、中性脂肪として蓄えられます。
インスリンは、中性脂肪の合成を促進し、中性脂肪の分解を抑制します。
インスリンが肥満ホルモンたる所以です。
糖尿人では、<肝臓のグリコーゲン分解と糖新生>が摂食時にも抑制されにくいので、食後高血糖となります。
また糖尿人は、門脈血からの肝臓のブドウ糖取り込みも低下しているので、この面でも食後高血糖を起こしやすいのです。
さらに糖尿人の場合は、血液中のブドウ糖(食後高血糖)は、
<インスリン分泌不足>と<筋肉や脂肪細胞におけるインスリン抵抗性>により、
処理されにくいので、食後高血糖が遷延します。
また、インスリン作用不足による脂質代謝異常、アミノ酸代謝異常、高血糖そのものによるインスリン作用低下、インスリン拮抗ホルモン優位など、様々な因子が重なり合って、高血糖が持続します。
さらに、糖尿人の一部においては、胃不全麻痺(***)による内容物の排出遅延があり、
吸収も遅延して通常よりかなり遅れて血糖値が上昇することがあります。
3) 糖質制限食を摂取時(糖質がごく少量)
糖質摂取が野菜分のごく少量なので、食後血糖値はほとんど上昇しません。
追加分泌インスリンもごく少量で、基礎分泌の2倍くらいです。
正常人で基礎分泌が5μU/mlなら追加分泌は、10μU/mlとかです。
糖質制限食を摂取時は、食事している最中にも脂質が常に燃えています。
また食事中にも、肝臓でアミノ酸などから糖新生も行われています。
このため糖質摂取がごく少量でも低血糖にはならないのです。
糖尿人が糖質制限食を実践すれば、食後高血糖が改善しますが、糖新生により低血糖にはなりません。
正常人が糖質制限食を実践すれば、食後血糖値は正常値の範囲で低めとなります。
例えば正常人で食後1時間のピークの血糖値は、
糖質ありでは、130~160mg/dl
糖質制限ならせいぜい110~120mg/dl
くらいです。
勿論、肝臓で糖新生しますので、低血糖にはなりません。
4) 運動時
安静時には、インスリンの基礎分泌はありますが少量なので、糖輸送体(Glut4)は細胞表面に出てこれず、筋肉細胞・脂肪細胞は血糖をほとんど取り込まめません。
運動時(筋収縮時)には筋肉細胞の糖輸送体(Glut4)がインスリン追加分泌がなくても細胞表面に移動して、
血糖を取り込むことが可能となり、血糖値が下がります。
筋肉細胞が血糖を取り込んでエネルギー源とした後、筋肉中のグリコーゲンが満杯になれば、取り込みはストップします。
脂肪細胞は、運動には無関係です。
ジョギングや歩行ていどの軽い運動が適切とされています。
糖尿人でインスリンの基礎分泌があるていど以上不足していると、
運動によりかえって血糖値が上昇することがあるので注意が必要です。
バーンスタイン医師によれば、個人差はありますが、空腹時血糖値170mg/dlを超えているような場合は、
そのような可能性があるとのことです。
また、強度の強い運動だと、アドレナリンや副腎皮質ホルモンなどのインスリン拮抗ホルモンが分泌されますので、
血糖値が上昇することがあります。
4) ストレス
急性のストレスがあると、アドレナリン、グルカゴン、副腎皮質ステロイドホルモンなど血糖値を上げるホルモンが分泌されますので血糖値が上昇します。
血糖値は、1)、2)、3)、4)などの因子が複雑に絡み合ったシステムにより調節されています。
たかが血糖値されど血糖値、なかなか一筋縄ではいきませんね。
江部康二
(*)糖新生
①脂肪組織→グリセロール(中性脂肪の分解物)→肝臓→糖新生→脂肪組織・筋肉
②筋肉→アミノ酸→肝臓→糖新生→筋肉・脂肪組織
③ブドウ糖代謝→乳酸→肝臓→糖新生→筋肉・脂肪組織
①②③はごく日常的に誰でも行っており、肝臓、筋肉、脂肪組織の間で行ったり来たり、日々糖新生の調節が行われているわけです。
糖新生の調整は、インスリンが行っています。
インスリンは、強力な糖新生抑制因子です。
インスリン不足だと肝臓がブドウ糖をつくり過ぎることになります。
(**)糖輸送体(Glut:glucose transporter)
ブドウ糖が細胞膜を通過して細胞内に取り込まれるためには、
グルコーストランスポーター(糖輸送体)と呼ばれる膜蛋白が必要です。
Glut1~Glut14が報告されています。
Glut1(脳、赤血球、網膜などの糖輸送体)はインスリン非依存性です。
Glut2(肝臓、膵臓のβ細胞などの糖輸送体)はインスリン非依存性です。
Glut4(筋肉細胞、脂肪細胞の糖輸送体)はインスリン依存性です。
(***)胃不全麻痺
バーンスタイン医師(米国の1型糖尿病の医師で糖質制限食実践中)の本にも記載されている<胃排泄遅延・胃不全麻痺>が
年期の入った糖尿人ではありえます。
欧米人には、胃不全麻痺が結構多いようですが日本人でも当然ありえます。
胃不全麻痺のある糖尿人は、夕食を午後6時頃食べても、胃からの排泄が遅延して吸収が遅くなり、
通常よりかなり遅れて血糖値が上昇することがあります。
そのため翌朝の空腹時血糖値が高値となることがあります。
今回は、血糖調節システムについて検討してみます。
人体の血糖調節は、なかなか精妙で複雑なシステムにより維持されています。
血糖値は、
「食事」「肝臓によるグリコーゲン分解・糖新生と糖の取り込み」「運動」「ストレス」「インスリン・グルカゴンなどホルモン」「女性の生理」・・・
などなど、いろいろな要素が合わさって調節されています。
1) 空腹時
食物吸収が終了した直後(食事開始2時間後)には、肝臓のグリコーゲン分解が、循環血液中に入るブドウ糖の主要な供給源です。
食後数時間が経過し、絶食状態が持続すると、血糖値維持のために、筋肉など多くの組織のエネルギー源は、ブドウ糖から脂肪酸やケトン体に変わります。
そして、ブドウ糖の供給源は、肝のグリコーゲン分解から糖新生(*)に切り替わります。
なお、筋肉には「グルコース6リン酸→グルコース」 とする回路がないので筋肉中のグリコーゲンからはグルコース(ブドウ糖)は作れません。
つまり筋肉中のグリコーゲンは筋肉細胞のみのエネルギー源であり
血糖にはなりません。
2) 主食摂食時(糖質あり)
血糖値を直接上昇させるのは、糖質・脂質・タンパク質のうち、糖質だけです。
糖質摂食時には、消化管から吸収されたブドウ糖は、門脈血からまず肝臓に約50%取り込まれ、それ以外が血液の大循環に回ります。
肝細胞でのブドウ糖取り込み自体は、糖輸送体Glut2(**)を介して行われ、インスリン追加分泌とは関係ありません。
しかし、肝に取り込まれたブドウ糖は、インスリンによりグリコーゲンとして蓄えられます。
糖質を摂取して血糖値が上昇すれば、正常人では速やかにインスリンが追加分泌されます。この場合、追加分泌は基礎分泌の数倍~30倍レベルの大量となります。
例えば基礎分泌が5μU/mlなら追加分泌は、30~150μU/mlとかです。
肝臓に取り込まれなかったブドウ糖は、肝静脈から血中に入り、動脈血中に入ったブドウ糖は、インスリン追加分泌により細胞表面に移動した糖輸送体GLUT4により、骨格筋細胞や脂肪細胞に取り込まれます。骨格筋が、約70%の血糖を取り込みます。
これにより血糖値も速やかに下がります。
筋肉中に取り込まれた血糖は、エネルギー源として使われ、残りはグリコーゲンとして蓄えられます。
取り込まれず余った血糖は、インスリンにより脂肪組織か肝臓に取り込まれ、中性脂肪に変換され蓄えられます。
インスリン濃度が高いと、脂肪細胞の毛細血管にあるリポ蛋白リパーゼが活性化されて、血液中の中性脂肪が分解されて、脂肪酸とグリセロールになります。脂肪酸は、筋肉や体細胞や脂肪細胞のエネルギー源となります。
グリセロールはほとんどエネルギー源にはなりませんが、肝臓での糖新生の原料となります。
余剰の脂肪酸は、脂肪細胞に取り込まれて、中性脂肪として蓄えられます。
インスリンは、中性脂肪の合成を促進し、中性脂肪の分解を抑制します。
インスリンが肥満ホルモンたる所以です。
糖尿人では、<肝臓のグリコーゲン分解と糖新生>が摂食時にも抑制されにくいので、食後高血糖となります。
また糖尿人は、門脈血からの肝臓のブドウ糖取り込みも低下しているので、この面でも食後高血糖を起こしやすいのです。
さらに糖尿人の場合は、血液中のブドウ糖(食後高血糖)は、
<インスリン分泌不足>と<筋肉や脂肪細胞におけるインスリン抵抗性>により、
処理されにくいので、食後高血糖が遷延します。
また、インスリン作用不足による脂質代謝異常、アミノ酸代謝異常、高血糖そのものによるインスリン作用低下、インスリン拮抗ホルモン優位など、様々な因子が重なり合って、高血糖が持続します。
さらに、糖尿人の一部においては、胃不全麻痺(***)による内容物の排出遅延があり、
吸収も遅延して通常よりかなり遅れて血糖値が上昇することがあります。
3) 糖質制限食を摂取時(糖質がごく少量)
糖質摂取が野菜分のごく少量なので、食後血糖値はほとんど上昇しません。
追加分泌インスリンもごく少量で、基礎分泌の2倍くらいです。
正常人で基礎分泌が5μU/mlなら追加分泌は、10μU/mlとかです。
糖質制限食を摂取時は、食事している最中にも脂質が常に燃えています。
また食事中にも、肝臓でアミノ酸などから糖新生も行われています。
このため糖質摂取がごく少量でも低血糖にはならないのです。
糖尿人が糖質制限食を実践すれば、食後高血糖が改善しますが、糖新生により低血糖にはなりません。
正常人が糖質制限食を実践すれば、食後血糖値は正常値の範囲で低めとなります。
例えば正常人で食後1時間のピークの血糖値は、
糖質ありでは、130~160mg/dl
糖質制限ならせいぜい110~120mg/dl
くらいです。
勿論、肝臓で糖新生しますので、低血糖にはなりません。
4) 運動時
安静時には、インスリンの基礎分泌はありますが少量なので、糖輸送体(Glut4)は細胞表面に出てこれず、筋肉細胞・脂肪細胞は血糖をほとんど取り込まめません。
運動時(筋収縮時)には筋肉細胞の糖輸送体(Glut4)がインスリン追加分泌がなくても細胞表面に移動して、
血糖を取り込むことが可能となり、血糖値が下がります。
筋肉細胞が血糖を取り込んでエネルギー源とした後、筋肉中のグリコーゲンが満杯になれば、取り込みはストップします。
脂肪細胞は、運動には無関係です。
ジョギングや歩行ていどの軽い運動が適切とされています。
糖尿人でインスリンの基礎分泌があるていど以上不足していると、
運動によりかえって血糖値が上昇することがあるので注意が必要です。
バーンスタイン医師によれば、個人差はありますが、空腹時血糖値170mg/dlを超えているような場合は、
そのような可能性があるとのことです。
また、強度の強い運動だと、アドレナリンや副腎皮質ホルモンなどのインスリン拮抗ホルモンが分泌されますので、
血糖値が上昇することがあります。
4) ストレス
急性のストレスがあると、アドレナリン、グルカゴン、副腎皮質ステロイドホルモンなど血糖値を上げるホルモンが分泌されますので血糖値が上昇します。
血糖値は、1)、2)、3)、4)などの因子が複雑に絡み合ったシステムにより調節されています。
たかが血糖値されど血糖値、なかなか一筋縄ではいきませんね。
江部康二
(*)糖新生
①脂肪組織→グリセロール(中性脂肪の分解物)→肝臓→糖新生→脂肪組織・筋肉
②筋肉→アミノ酸→肝臓→糖新生→筋肉・脂肪組織
③ブドウ糖代謝→乳酸→肝臓→糖新生→筋肉・脂肪組織
①②③はごく日常的に誰でも行っており、肝臓、筋肉、脂肪組織の間で行ったり来たり、日々糖新生の調節が行われているわけです。
糖新生の調整は、インスリンが行っています。
インスリンは、強力な糖新生抑制因子です。
インスリン不足だと肝臓がブドウ糖をつくり過ぎることになります。
(**)糖輸送体(Glut:glucose transporter)
ブドウ糖が細胞膜を通過して細胞内に取り込まれるためには、
グルコーストランスポーター(糖輸送体)と呼ばれる膜蛋白が必要です。
Glut1~Glut14が報告されています。
Glut1(脳、赤血球、網膜などの糖輸送体)はインスリン非依存性です。
Glut2(肝臓、膵臓のβ細胞などの糖輸送体)はインスリン非依存性です。
Glut4(筋肉細胞、脂肪細胞の糖輸送体)はインスリン依存性です。
(***)胃不全麻痺
バーンスタイン医師(米国の1型糖尿病の医師で糖質制限食実践中)の本にも記載されている<胃排泄遅延・胃不全麻痺>が
年期の入った糖尿人ではありえます。
欧米人には、胃不全麻痺が結構多いようですが日本人でも当然ありえます。
胃不全麻痺のある糖尿人は、夕食を午後6時頃食べても、胃からの排泄が遅延して吸収が遅くなり、
通常よりかなり遅れて血糖値が上昇することがあります。
そのため翌朝の空腹時血糖値が高値となることがあります。
2022年04月28日 (木)
【日付 名前 22/04/28 ken
糖質制限食の耐糖性の向上について
何度か質問させて頂いて、先生から的確なご回答を頂いている ken です。
いつも、有難うございます。私は、年齢は73歳で、糖尿病歴≧15年です。
体重は62kg、身長176cmの痩せ型2型糖尿病患者です。
2006年に糖尿病発症(判明)以来、糖質制限食を行い、
現在は、1日糖質量≒90g程度の糖質制限食を続けています。
現在の血糖値の状況は、手の平の毛細管血液の自己血糖値測定値で、
早朝空腹時血糖値≒150~170で、HbA1c≒6.3%程度を推移しています。
しかし、食後血糖値が200を超える事が半数あり、
少し油断して麺類やご飯を一人前程度食事すると、
食後血糖値は、300を超えます。
私の耐糖性は余り改善されていないと感じています。
なお、昨年9月に測定したC-ペプチド精密は0.9でした。
ここからが質問です。
① 糖質制限食を継続することで、
糖尿病の原因である耐糖性の改善は期待できるのでしょうか?
② インスリン基礎分泌能、インスリン追加分泌能、
インスリン抵抗性は改善するのでしょうか?
③ 糖質制限食は身体に入れる糖質を下げるのだから、
血糖値やHbA1cが下がるのは理解できます。
もし、糖質制限食の継続でも糖尿病の根本原因である耐糖性が改善されないのなら、
一生糖質制限食を続けなければならないのでしょうか?
アドバイスを宜しくお願いします。】
こんにちは。
『糖質制限食実践にて耐糖能が向上するのか』
について、ken さんから、コメント・質問を頂きました。
【現在は、1日糖質量≒90g程度の糖質制限食を続けています。
現在の血糖値の状況は、手の平の毛細管血液の自己血糖値測定値で、
早朝空腹時血糖値≒150~170で、HbA1c≒6.3%程度を推移しています。】
HbA1c≒6.3%程度なら、コントロール良好です。
しかし、早朝空腹時血糖値≒150~170mg/dl
は、明らかに、コントロール不良です。
早朝空腹時血糖値130mg/dl以上の糖尿人は、
がんのリスクが上昇するというエビデンスがあります。
SGLT2阻害薬を内服するなどして
早朝空腹時血糖値130mg/dl未満を目指しましょう。
SGLT2阻害薬を内服だけで、130mg/dl未満が達成できなければ
リベルサス1錠を追加しましょう。
【食後血糖値が200を超える事が半数あり、
少し油断して麺類やご飯を一人前程度食事すると、
食後血糖値は、300を超えます。】
日本糖尿病学会の合併症予防のための目標は、
1)食後2時間値血糖値:180mg/dl未満
2)HbA1c:7.0%未満
です。
国際糖尿病連合の合併症予防のための目標は
食後1時間・2時間血糖値が160mg/dl未満
です。
合併症予防のためには、スーパー糖質制限食をキッチリ実践しましょう。
【① 糖質制限食を継続することで、
糖尿病の原因である耐糖性の改善は期待できるのでしょうか?】
【② インスリン基礎分泌能、インスリン追加分泌能、
インスリン抵抗性は改善するのでしょうか?】
2型糖尿病の診断基準をしっかり満たした人が、
1年間のスーパー糖質制限食実践で血糖値もHbA1cも正常値となり、
体重もBMIが正常となり、
試しに白ご飯を一人前摂取しても、
食後血糖値は140mg/dlを超えなくなった例もあります。
これは、スーパー糖質制限食で膵臓が休養できて、
β細胞が回復して耐糖能も改善したためと考えられます。
インスリン基礎分泌能、インスリン追加分泌能、
インスリン抵抗性も改善したものと思われます。
なお本ブログの読者の糖尿人の方々で、
糖質制限食で耐糖能改善されたかたは複数おられますが、
個人差はあると思います。
【③ 糖質制限食は身体に入れる糖質を下げるのだから、
血糖値やHbA1cが下がるのは理解できます。
もし、糖質制限食の継続でも糖尿病の根本原因である耐糖性が改善されないのなら、
一生糖質制限食を続けなければならないのでしょうか?】
糖尿病を発症して時点で、
ベータ細胞はすでに半分は壊れているという研究データがあります。
糖尿病を発症したら一生治らないというのはこのことを指しています。
残りの半分のβ細胞は、壊れてはいないけど疲弊しているものと
健常なβ細胞が、1/4ずつということとなります。
疲弊していたベータ細胞は、糖質制限食で休養を得て、回復してくれます。
50%のβ細胞が健常なら、上記の方々のように耐糖能改善が期待できます。
ただ、糖質制限食を止めて、糖質を摂取すれば、
再び糖尿病発症というケースが多いと思います。
一生、糖質制限食を続けるのが安心です。
糖質制限食を継続することで
A)血中ケトン体高値
B)血糖値正常
C)AGEs蓄積が最小限
D)インスリン追加分泌が最小限
が達成できます。
A)により、心・腎・脳の保護作用あり。
B)C)D) により、<糖化><酸化><慢性炎症>
が、最小限ですむので、がん、老化、アルツハイマー病など生活習慣病の
予防・改善が期待できます。
一生糖質制限食を続けることの意義は大変大きいのです。
江部康二
糖質制限食の耐糖性の向上について
何度か質問させて頂いて、先生から的確なご回答を頂いている ken です。
いつも、有難うございます。私は、年齢は73歳で、糖尿病歴≧15年です。
体重は62kg、身長176cmの痩せ型2型糖尿病患者です。
2006年に糖尿病発症(判明)以来、糖質制限食を行い、
現在は、1日糖質量≒90g程度の糖質制限食を続けています。
現在の血糖値の状況は、手の平の毛細管血液の自己血糖値測定値で、
早朝空腹時血糖値≒150~170で、HbA1c≒6.3%程度を推移しています。
しかし、食後血糖値が200を超える事が半数あり、
少し油断して麺類やご飯を一人前程度食事すると、
食後血糖値は、300を超えます。
私の耐糖性は余り改善されていないと感じています。
なお、昨年9月に測定したC-ペプチド精密は0.9でした。
ここからが質問です。
① 糖質制限食を継続することで、
糖尿病の原因である耐糖性の改善は期待できるのでしょうか?
② インスリン基礎分泌能、インスリン追加分泌能、
インスリン抵抗性は改善するのでしょうか?
③ 糖質制限食は身体に入れる糖質を下げるのだから、
血糖値やHbA1cが下がるのは理解できます。
もし、糖質制限食の継続でも糖尿病の根本原因である耐糖性が改善されないのなら、
一生糖質制限食を続けなければならないのでしょうか?
アドバイスを宜しくお願いします。】
こんにちは。
『糖質制限食実践にて耐糖能が向上するのか』
について、ken さんから、コメント・質問を頂きました。
【現在は、1日糖質量≒90g程度の糖質制限食を続けています。
現在の血糖値の状況は、手の平の毛細管血液の自己血糖値測定値で、
早朝空腹時血糖値≒150~170で、HbA1c≒6.3%程度を推移しています。】
HbA1c≒6.3%程度なら、コントロール良好です。
しかし、早朝空腹時血糖値≒150~170mg/dl
は、明らかに、コントロール不良です。
早朝空腹時血糖値130mg/dl以上の糖尿人は、
がんのリスクが上昇するというエビデンスがあります。
SGLT2阻害薬を内服するなどして
早朝空腹時血糖値130mg/dl未満を目指しましょう。
SGLT2阻害薬を内服だけで、130mg/dl未満が達成できなければ
リベルサス1錠を追加しましょう。
【食後血糖値が200を超える事が半数あり、
少し油断して麺類やご飯を一人前程度食事すると、
食後血糖値は、300を超えます。】
日本糖尿病学会の合併症予防のための目標は、
1)食後2時間値血糖値:180mg/dl未満
2)HbA1c:7.0%未満
です。
国際糖尿病連合の合併症予防のための目標は
食後1時間・2時間血糖値が160mg/dl未満
です。
合併症予防のためには、スーパー糖質制限食をキッチリ実践しましょう。
【① 糖質制限食を継続することで、
糖尿病の原因である耐糖性の改善は期待できるのでしょうか?】
【② インスリン基礎分泌能、インスリン追加分泌能、
インスリン抵抗性は改善するのでしょうか?】
2型糖尿病の診断基準をしっかり満たした人が、
1年間のスーパー糖質制限食実践で血糖値もHbA1cも正常値となり、
体重もBMIが正常となり、
試しに白ご飯を一人前摂取しても、
食後血糖値は140mg/dlを超えなくなった例もあります。
これは、スーパー糖質制限食で膵臓が休養できて、
β細胞が回復して耐糖能も改善したためと考えられます。
インスリン基礎分泌能、インスリン追加分泌能、
インスリン抵抗性も改善したものと思われます。
なお本ブログの読者の糖尿人の方々で、
糖質制限食で耐糖能改善されたかたは複数おられますが、
個人差はあると思います。
【③ 糖質制限食は身体に入れる糖質を下げるのだから、
血糖値やHbA1cが下がるのは理解できます。
もし、糖質制限食の継続でも糖尿病の根本原因である耐糖性が改善されないのなら、
一生糖質制限食を続けなければならないのでしょうか?】
糖尿病を発症して時点で、
ベータ細胞はすでに半分は壊れているという研究データがあります。
糖尿病を発症したら一生治らないというのはこのことを指しています。
残りの半分のβ細胞は、壊れてはいないけど疲弊しているものと
健常なβ細胞が、1/4ずつということとなります。
疲弊していたベータ細胞は、糖質制限食で休養を得て、回復してくれます。
50%のβ細胞が健常なら、上記の方々のように耐糖能改善が期待できます。
ただ、糖質制限食を止めて、糖質を摂取すれば、
再び糖尿病発症というケースが多いと思います。
一生、糖質制限食を続けるのが安心です。
糖質制限食を継続することで
A)血中ケトン体高値
B)血糖値正常
C)AGEs蓄積が最小限
D)インスリン追加分泌が最小限
が達成できます。
A)により、心・腎・脳の保護作用あり。
B)C)D) により、<糖化><酸化><慢性炎症>
が、最小限ですむので、がん、老化、アルツハイマー病など生活習慣病の
予防・改善が期待できます。
一生糖質制限食を続けることの意義は大変大きいのです。
江部康二
2022年04月27日 (水)
こんにちは。
糖質制限食の、
1日の食事回数と1回の糖質量、食後血糖値について、考察してみます。
スーパー糖質制限食の場合は、1回の食事の糖質量を20g以下としています。
私自身の1回の食事の糖質量は10gくらいと思います。
例えば、<牛ステーキ300g + 野菜サラダ>なら、糖質量は10g以下と思います。
食材は、カロリー制限ではないので、豊富です。
肉類や魚介類は、糖質が少なく、糖質制限OK食材です。
カロリーの多い、油の乗った肉(牛、豚、羊、鶏など)やジビエ料理でもOKです。
魚も日本では種類豊富で、
鯛、、鮪、平目、甘鯛、ノドクロ、キンメダイ、ホッケ、ブリ、サワラ、イワシ、サンマ、シラス、キス、
アイナメ、赤魚、アンコウ、キス、カツオ、オコゼ、サケ、タラ、サバ、スズキ、ベラ、メバル、ニシン、
鯉、鮎、岩魚、鰻、鯰、ドジョウ・・・
貝も、アカガイ、アサリ、アワビ、牡蠣、岩牡蠣、サザエ、シジミ、タイラギ、
トコブシ、トリガイ、バイガイ、ハマグリ、ホッキ貝、帆立貝、マテ貝、ムラサキ貝、
ヤコウガイ・・・
卵、ゆで卵、だし巻き、目玉焼、スクランブルエッグ、チーズなども
ほとんど糖質なしですね。
豆腐、揚げ、湯葉、がんもどきなどの大豆製品もいいです。
野菜も、葉野菜、海草、キノコ、ブロッコリー、カリフラワー、ゴーヤ、ピーマンなど
なら糖質は少なくて、食物繊維は豊富です。
人類は長い間、1日2食であり、3食の歴史は短いです。
それで、私自身は、1日2食で、朝は<コーヒー+生クリーム10ml>
としています。
農耕時代前の狩猟・採集時代は、1日1~2食であり、
場合により、1~2~3週間水だけというようなことも日常的であったと
考えられます。
人類において、一定時間の絶食があるほうが自然であり、
1日3回の食事というのは、700万年間の狩猟・採集時代に比べると
過剰であり、不自然と思われます。
一定時間の絶食により、消化管粘膜と腸内細菌の関係も整うと思われますし、
オートファジーも活性化されて、アンチエイジング効果が期待できます。
1回の食事の糖質量が、10gていど。
そして低糖質の食材は上述のように種類が豊富なので、
私は日常の食生活で困ることはありません。
我が家の食卓では鍋料理が多いです。
鍋料理なら低糖質食材が自由自在です。
そして、私自身は、低糖質の食材以外は口にしませんが、
低糖質食材が豊富に手に入るので、不自由することはありません。
近年、食品メーカーやファミレスが糖質制限OKの食材やメニューをどんどん出してくれるようになり糖質セイゲニストにとって、
とても暮らしやすい時代となりました。
江部康二
糖質制限食の、
1日の食事回数と1回の糖質量、食後血糖値について、考察してみます。
スーパー糖質制限食の場合は、1回の食事の糖質量を20g以下としています。
私自身の1回の食事の糖質量は10gくらいと思います。
例えば、<牛ステーキ300g + 野菜サラダ>なら、糖質量は10g以下と思います。
食材は、カロリー制限ではないので、豊富です。
肉類や魚介類は、糖質が少なく、糖質制限OK食材です。
カロリーの多い、油の乗った肉(牛、豚、羊、鶏など)やジビエ料理でもOKです。
魚も日本では種類豊富で、
鯛、、鮪、平目、甘鯛、ノドクロ、キンメダイ、ホッケ、ブリ、サワラ、イワシ、サンマ、シラス、キス、
アイナメ、赤魚、アンコウ、キス、カツオ、オコゼ、サケ、タラ、サバ、スズキ、ベラ、メバル、ニシン、
鯉、鮎、岩魚、鰻、鯰、ドジョウ・・・
貝も、アカガイ、アサリ、アワビ、牡蠣、岩牡蠣、サザエ、シジミ、タイラギ、
トコブシ、トリガイ、バイガイ、ハマグリ、ホッキ貝、帆立貝、マテ貝、ムラサキ貝、
ヤコウガイ・・・
卵、ゆで卵、だし巻き、目玉焼、スクランブルエッグ、チーズなども
ほとんど糖質なしですね。
豆腐、揚げ、湯葉、がんもどきなどの大豆製品もいいです。
野菜も、葉野菜、海草、キノコ、ブロッコリー、カリフラワー、ゴーヤ、ピーマンなど
なら糖質は少なくて、食物繊維は豊富です。
人類は長い間、1日2食であり、3食の歴史は短いです。
それで、私自身は、1日2食で、朝は<コーヒー+生クリーム10ml>
としています。
農耕時代前の狩猟・採集時代は、1日1~2食であり、
場合により、1~2~3週間水だけというようなことも日常的であったと
考えられます。
人類において、一定時間の絶食があるほうが自然であり、
1日3回の食事というのは、700万年間の狩猟・採集時代に比べると
過剰であり、不自然と思われます。
一定時間の絶食により、消化管粘膜と腸内細菌の関係も整うと思われますし、
オートファジーも活性化されて、アンチエイジング効果が期待できます。
1回の食事の糖質量が、10gていど。
そして低糖質の食材は上述のように種類が豊富なので、
私は日常の食生活で困ることはありません。
我が家の食卓では鍋料理が多いです。
鍋料理なら低糖質食材が自由自在です。
そして、私自身は、低糖質の食材以外は口にしませんが、
低糖質食材が豊富に手に入るので、不自由することはありません。
近年、食品メーカーやファミレスが糖質制限OKの食材やメニューをどんどん出してくれるようになり糖質セイゲニストにとって、
とても暮らしやすい時代となりました。
江部康二
2022年04月26日 (火)
こんにちは。
NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220426/k10013598651000.html
「“暗黒の細胞死” ハエの腸で発見」理化学研究所が発表
2022年4月26日 6時26分
こんにちは。
NHKのウェブサイトに、上記の興味深いニュースが載っていました。
今まで、アポトーシス、ネクローシス、オートファジーという3つの現象は知られていましたが、
エレボーシス(暗黒の細胞死)というのは、新発見です。
これまで全く知られていなかった新しいタイプの「細胞死」が
ショウジョウバエの腸で起きているということです。
私も、初めて聞きました。
ショウジョウバエでの研究ですが、
ショウジョウバエ以外の動物でも『エレボーシス』が確認されれば、
これまでの細胞死の概念が大きく広がる可能性があります。
以下の青字の記載は記事の要約です。
【理化学研究所などのグループは、ショウジョウバエの腸で、
これまで全く知られていなかった新しいタイプの「細胞死」が起きていることを発見した。
細胞が黒くなって死んでいくように見えることから「暗黒の細胞死」を意味する「エレボーシス」と名付けた。
これは、理化学研究所生命機能科学研究センターの
ユ・サガン、チームリーダーなどのグループが発表した。
グループでは、ショウジョウバエの腸で、
一部の細胞に特殊なたんぱく質が現れ、内部から徐々に壊れて死んでいく現象が起こっているのを見つけた。
これまで動物の腸では細胞がみずから死んでいく「アポトーシス」と呼ばれる仕組みで
古い細胞から新しい細胞に入れ代わると考えられていた。
しかしグループの詳しい調べで、
ショウジョウバエの腸ではこの「アポトーシス」とは異なる仕組みで細胞が死んでいて、
これまで知られていない新しいタイプの細胞死であることが確認された。
細胞が黒くなって死んでいくように見えることから
グループではこの現象を「暗黒の細胞死」を意味する「エレボーシス」と名付けた。
ユ チームリーダーは
「今後、研究が進んでショウジョウバエ以外の動物でも『エレボーシス』が確認されれば、
これまでの細胞死の概念が広がる可能性がある」
と話した。】
詳しくは理化学研究所のサイトをご覧頂ければ幸いです。
https://www.riken.jp/press/2022/20220426_2/
江部康二
☆アポトーシス
アポトーシスとは、多細胞生物の体を構成する細胞の死に方の一種で、
個体をより良い状態に保つために積極的に引き起こされる。
あらかじめ遺伝的プログラムに組み込まれ、管理・調節された細胞の自殺という意味で、
プログラム細胞死とも呼ばれる。
細胞内外の環境の悪化によって起こる細胞死、ネクローシスの対語として用いられる。
個体発生において、余分な細胞を取り除く必要のある状況で見られる(手指形成過程における水かきの消失など)。
また、がん化した細胞など内部に異常を起こした細胞のほとんどは、
アポトーシスによって取り除かれ続けており、
これにより、ほとんどの腫瘍の成長は未然に防がれている。
☆ネクローシス
一般に、身体の一部分を構成する細胞・組織・器官等の死を指す語であり、
広義にネクローシスと壊死はほぼ同義に用いられる。
細胞死の形態的特徴として、
細胞核をはじめとする細胞内小器官を構成する膜の崩壊、細胞の膨化、細胞膜の破壊などが挙げられる。
感染、物理的破壊、化学的損傷、血流の減少などによって細胞膜の破壊、内容物の漏洩が起こり、
組織内においては炎症の原因となる。
血流減少によるものを特に梗塞と呼ぶ。
☆オートファジー
オートファジーは、細胞内を正常な状態に保つために、細胞内で不要となった物質を分解する、
いわばリサイクル業者のようなはたらきをしている。
分解された老廃物はリサイクルされ、生きるためのエネルギーとなる。
2016年、大隅良典教授がノーベル生理学・医学賞を受賞したことでオートファジーが注目された。
NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220426/k10013598651000.html
「“暗黒の細胞死” ハエの腸で発見」理化学研究所が発表
2022年4月26日 6時26分
こんにちは。
NHKのウェブサイトに、上記の興味深いニュースが載っていました。
今まで、アポトーシス、ネクローシス、オートファジーという3つの現象は知られていましたが、
エレボーシス(暗黒の細胞死)というのは、新発見です。
これまで全く知られていなかった新しいタイプの「細胞死」が
ショウジョウバエの腸で起きているということです。
私も、初めて聞きました。
ショウジョウバエでの研究ですが、
ショウジョウバエ以外の動物でも『エレボーシス』が確認されれば、
これまでの細胞死の概念が大きく広がる可能性があります。
以下の青字の記載は記事の要約です。
【理化学研究所などのグループは、ショウジョウバエの腸で、
これまで全く知られていなかった新しいタイプの「細胞死」が起きていることを発見した。
細胞が黒くなって死んでいくように見えることから「暗黒の細胞死」を意味する「エレボーシス」と名付けた。
これは、理化学研究所生命機能科学研究センターの
ユ・サガン、チームリーダーなどのグループが発表した。
グループでは、ショウジョウバエの腸で、
一部の細胞に特殊なたんぱく質が現れ、内部から徐々に壊れて死んでいく現象が起こっているのを見つけた。
これまで動物の腸では細胞がみずから死んでいく「アポトーシス」と呼ばれる仕組みで
古い細胞から新しい細胞に入れ代わると考えられていた。
しかしグループの詳しい調べで、
ショウジョウバエの腸ではこの「アポトーシス」とは異なる仕組みで細胞が死んでいて、
これまで知られていない新しいタイプの細胞死であることが確認された。
細胞が黒くなって死んでいくように見えることから
グループではこの現象を「暗黒の細胞死」を意味する「エレボーシス」と名付けた。
ユ チームリーダーは
「今後、研究が進んでショウジョウバエ以外の動物でも『エレボーシス』が確認されれば、
これまでの細胞死の概念が広がる可能性がある」
と話した。】
詳しくは理化学研究所のサイトをご覧頂ければ幸いです。
https://www.riken.jp/press/2022/20220426_2/
江部康二
☆アポトーシス
アポトーシスとは、多細胞生物の体を構成する細胞の死に方の一種で、
個体をより良い状態に保つために積極的に引き起こされる。
あらかじめ遺伝的プログラムに組み込まれ、管理・調節された細胞の自殺という意味で、
プログラム細胞死とも呼ばれる。
細胞内外の環境の悪化によって起こる細胞死、ネクローシスの対語として用いられる。
個体発生において、余分な細胞を取り除く必要のある状況で見られる(手指形成過程における水かきの消失など)。
また、がん化した細胞など内部に異常を起こした細胞のほとんどは、
アポトーシスによって取り除かれ続けており、
これにより、ほとんどの腫瘍の成長は未然に防がれている。
☆ネクローシス
一般に、身体の一部分を構成する細胞・組織・器官等の死を指す語であり、
広義にネクローシスと壊死はほぼ同義に用いられる。
細胞死の形態的特徴として、
細胞核をはじめとする細胞内小器官を構成する膜の崩壊、細胞の膨化、細胞膜の破壊などが挙げられる。
感染、物理的破壊、化学的損傷、血流の減少などによって細胞膜の破壊、内容物の漏洩が起こり、
組織内においては炎症の原因となる。
血流減少によるものを特に梗塞と呼ぶ。
☆オートファジー
オートファジーは、細胞内を正常な状態に保つために、細胞内で不要となった物質を分解する、
いわばリサイクル業者のようなはたらきをしている。
分解された老廃物はリサイクルされ、生きるためのエネルギーとなる。
2016年、大隅良典教授がノーベル生理学・医学賞を受賞したことでオートファジーが注目された。
2022年04月25日 (月)
こんにちは。
私が監修をつとめる「菓子職人糖質制限マンスリーケーキ」のご案内です。
菓子職人マンスリーケーキ
4月、5月限定
映画のワンシーンから登場!
プレミアムチーズケーキ

【ご購入はこちら】
のご紹介です。
表示糖質は100gあたり2.39gです。
春らしいプレミアムチーズケーキです。
生クリーム、レアチーズケーキ 、半熟ベイクドチーズの三層重ねで構成されています。
江部康二の人体実験で、
2022年4月1日(金)
午後4時 109mg
プレミアムチーズケーキ一個(100g) 摂取
午後5時 60分後血糖値:103mg
ピークの60分後で6mgほど血糖値が下がっていました。
2.39gの糖質摂取による血糖上昇よりも
インスリン追加分泌第一相の血糖低下作用が上回ったのでしょう。
入院中のスーパー糖質制限食摂取時の2型糖尿人でも
食後のほうが食前より血糖値が低いことが時々あります。
100gあたり2.39gの糖質表示ですが、
表示成分通りとみなしてOKですね。
100g中に糖質5g以下であれば、糖質制限OK食材です。
勿論個人差はあると思いますが、
これなら糖質セイゲニストにも安心です。
甘味料はもっぱら、
血糖上昇ゼロのエリスリトールです。
糖質制限中の方にも、美味しいケーキで季節を感じていただけます。
菓子職人さんの『糖質制限マンスリーケーキ』
我々糖質セイゲニストの強い味方です。
菓子職人さん、ありがとうございます。
菓子職人プレミアムチーズケーキ、
私は、月替わりで糖質制限OKなケーキを食べることができて嬉しい限りです。
ブログ読者の皆さん、是非ご賞味あれ!!
お問い合わせは以下です。
☆☆☆
彩韻菓子工房有限会社
〒615-0032 京都府京都市右京区西院西高田町19
TEL:075-311-4606
FAX:075-311-4123
営業時間:午前9:00から午後8:00(年中無休)
ホームページ: http://www.kashishokunin.co.jp/
お問い合わせ: info@kashishokunin.co.jp
江部康二
私が監修をつとめる「菓子職人糖質制限マンスリーケーキ」のご案内です。
菓子職人マンスリーケーキ
4月、5月限定
映画のワンシーンから登場!
プレミアムチーズケーキ

【ご購入はこちら】
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生クリーム、レアチーズケーキ 、半熟ベイクドチーズの三層重ねで構成されています。
江部康二の人体実験で、
2022年4月1日(金)
午後4時 109mg
プレミアムチーズケーキ一個(100g) 摂取
午後5時 60分後血糖値:103mg
ピークの60分後で6mgほど血糖値が下がっていました。
2.39gの糖質摂取による血糖上昇よりも
インスリン追加分泌第一相の血糖低下作用が上回ったのでしょう。
入院中のスーパー糖質制限食摂取時の2型糖尿人でも
食後のほうが食前より血糖値が低いことが時々あります。
100gあたり2.39gの糖質表示ですが、
表示成分通りとみなしてOKですね。
100g中に糖質5g以下であれば、糖質制限OK食材です。
勿論個人差はあると思いますが、
これなら糖質セイゲニストにも安心です。
甘味料はもっぱら、
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糖質制限中の方にも、美味しいケーキで季節を感じていただけます。
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我々糖質セイゲニストの強い味方です。
菓子職人さん、ありがとうございます。
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私は、月替わりで糖質制限OKなケーキを食べることができて嬉しい限りです。
ブログ読者の皆さん、是非ご賞味あれ!!
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☆☆☆
彩韻菓子工房有限会社
〒615-0032 京都府京都市右京区西院西高田町19
TEL:075-311-4606
FAX:075-311-4123
営業時間:午前9:00から午後8:00(年中無休)
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江部康二
2022年04月24日 (日)
【22/04/23 tomo
糖尿病患者の睡眠について
初めまして。
こちらには大変お世話になっております。
私、51歳の女性で、昨年10月に糖尿病の診断を受け、6カ月が経ちました。
糖質制限で、数値は、10.5%から5.7%、
体重も68キロから53キロまで落ちました。
それでも、病気への恐怖感なのか、眠れなくなり、
寝ても4時間ほどではっと目が覚めてしまい、毎日へろへろになってしまいます。
糖質制限による眠りへの影響ていうのは、ないのでしょうか?
目覚めると、お腹が空きすぎてる状態だったりもします。
リブレをつけていますが、ちょうど、4時ころにがくっと血糖値が下がる時があり、
その時に目覚めてしまっていることもあるようです。
中途覚醒せず、もう少し眠れるように、
何かご教授頂けないでしょうか?よろしくお願いします。】
tomo さん
身長はどれくらいでしょう?
BMIはどれくらいでしょう?
摂取エネルギーはどのくらいでしょう?
6ヶ月で、68キロから53キロと、15kg減量です。
減量速度がはやいので、摂取エネルギー不足の可能性があります。
【眠れなくなり、寝ても4時間ほどではっと目が覚めてしまい、
毎日へろへろになってしまいます。】
糖質制限食実践で睡眠の質が良くなることがほとんでです。
ただカロリー不足だと夜中に目が覚めることがあります。
【目覚めると、お腹が空きすぎてる状態だったりもします。】
この症状は、摂取エネルギー不足の可能性が高いです。
【日付 名前
22/04/24 tomo
眠りにつきまして
ご返答ありがとうございます。
身長は、160cm、BMIは21です。
性格的に怖がりのせいか、糖尿病と診断されて以来、
恐怖感が強く、心因性によるものかとも思っておりましたが、
リブレで血糖値を観察しているうちに、血糖値が上がるのが恐くなり、
だんだん食事も淡白なものになっていっているのも確かだと思います。
座りきりの仕事のため
朝、昼は、糖質も10グラム程度に控え、チーズや卵料理を中心に食べています。
毎度、空腹感にも苛まれています。
血糖値を上げないで、お腹を満たすのは、かなり難しいです。
夕食は、少しは多めに食べ、30分ほどの散歩をし、血糖値を下げてから、
就寝しています。
カロリー計算は、してきませんでしたが、そこも重要なのですね。
脂質が多いと、血糖値が下がりにくいこともあるようですが、
そのあたりはどうなのでしょうか?
また、今一度、毎食の血糖値が180までなら、
合併症の危険は回避できるのでしょうか?
まだまだ不安が多くて、落ち着いた生活が出来ません。
ご教授、よろしくお願いします。】
6ヶ月で、160cm、68キロ(BMI:26.6)から
53キロ(BMI:20.7)ロと、15kg減量です。
現時点で「痩せすぎ」というわけではないのですが、
ヘロヘロだったり、目が覚めたら空腹ということなら、
やはり、摂取エネルギー不足と考えられます。
【座りきりの仕事のため
朝、昼は、糖質も10グラム程度に控え、チーズや卵料理を中心に食べています。
毎度、空腹感にも苛まれています。
血糖値を上げないで、お腹を満たすのは、かなり難しいです。】
6ヶ月の糖質制限で、HbA1c数値は、10.5%から5.7%に改善していますので、
2型糖尿病であり、自分自身の内因性インスリンもしっかり分泌されています。
そうすると、タンパク質や脂質は血糖値を上昇させません。
脂の乗ったサーロインステーキを、1回に「200g」(635kcal)食べても、
血糖値はステーキ中のグリコーゲン(200gで0.8g)分しか上昇しないので、
わずか2.4mgの上昇であり、3mgも上昇しません。
お腹いっぱい、満足・満腹するまで、しっかり脂質とタンパク質を食べましょう。
摂取カロリーの目安は、厚生労働省のいう<推定エネルギー必要量>です。
日本糖尿病学会のいう「カロリー制限食」は無視でよいです。
豚バラとは鶏モモとかカロリーが多くて糖質はほとんどないものを食べましょう。
牛かたや牛ロースもいいです。
うなぎの白焼きも、高カロリー・低糖質で、いいですね。
果物ならアボカドが高カロリー・低糖質で糖質制限OK食品です。
これらなら、血糖値を上げないで、お腹を満たすことができます。
『血糖値を上げるのは糖質だけで、タンパク質・脂質は上げない』
ということをしっかり記憶しておきましょう。
【夕食は、少しは多めに食べ、30分ほどの散歩をし、血糖値を下げてから、
就寝しています。】
スーパー糖質制限食なら、食後血糖値はほとんど上昇しないので
血糖値を下げるための散歩も必要ないです。
一方、筋力確保のための散歩は、望ましいです。
これに対して、ごはん1膳(150g)は、252kcalと少ないカロリーですが
含まれる糖質量は55gで、血糖値はピーク165mg上昇します。
食前の血糖値が100mg/dlとかでいい感じでも
ごはん1膳食べただけで、食後のピークの血糖値は265mg/dlで軽く
200を超えてきkます。
【カロリー計算は、してきませんでしたが、そこも重要なのですね。】
ヘロヘロになったり空腹にならないように
<推定エネルギー必要量>をしっかり摂取しましょう。
【脂質が多いと、血糖値が下がりにくいこともあるようですが、
そのあたりはどうなのでしょうか?】
脂質は血糖値を全く上げないので、問題はないです。
ただ脂質と糖質を一緒に食べると、血糖値の上昇はややゆっくりになりますので、
その分血糖値の下がりかたもゆっくりになります。
【今一度、毎食の血糖値が180までなら、
合併症の危険は回避できるのでしょうか?】
①日本糖尿病学会は、食後2時間血糖値が140mg/dl未満なら
合併症の予防ができるとしています。
②国際糖尿病連合は、食後1時間・2時間血糖値が
160mg/dl未満なら、合併症の予防ができるとしています。
江部康二
糖尿病患者の睡眠について
初めまして。
こちらには大変お世話になっております。
私、51歳の女性で、昨年10月に糖尿病の診断を受け、6カ月が経ちました。
糖質制限で、数値は、10.5%から5.7%、
体重も68キロから53キロまで落ちました。
それでも、病気への恐怖感なのか、眠れなくなり、
寝ても4時間ほどではっと目が覚めてしまい、毎日へろへろになってしまいます。
糖質制限による眠りへの影響ていうのは、ないのでしょうか?
目覚めると、お腹が空きすぎてる状態だったりもします。
リブレをつけていますが、ちょうど、4時ころにがくっと血糖値が下がる時があり、
その時に目覚めてしまっていることもあるようです。
中途覚醒せず、もう少し眠れるように、
何かご教授頂けないでしょうか?よろしくお願いします。】
tomo さん
身長はどれくらいでしょう?
BMIはどれくらいでしょう?
摂取エネルギーはどのくらいでしょう?
6ヶ月で、68キロから53キロと、15kg減量です。
減量速度がはやいので、摂取エネルギー不足の可能性があります。
【眠れなくなり、寝ても4時間ほどではっと目が覚めてしまい、
毎日へろへろになってしまいます。】
糖質制限食実践で睡眠の質が良くなることがほとんでです。
ただカロリー不足だと夜中に目が覚めることがあります。
【目覚めると、お腹が空きすぎてる状態だったりもします。】
この症状は、摂取エネルギー不足の可能性が高いです。
【日付 名前
22/04/24 tomo
眠りにつきまして
ご返答ありがとうございます。
身長は、160cm、BMIは21です。
性格的に怖がりのせいか、糖尿病と診断されて以来、
恐怖感が強く、心因性によるものかとも思っておりましたが、
リブレで血糖値を観察しているうちに、血糖値が上がるのが恐くなり、
だんだん食事も淡白なものになっていっているのも確かだと思います。
座りきりの仕事のため
朝、昼は、糖質も10グラム程度に控え、チーズや卵料理を中心に食べています。
毎度、空腹感にも苛まれています。
血糖値を上げないで、お腹を満たすのは、かなり難しいです。
夕食は、少しは多めに食べ、30分ほどの散歩をし、血糖値を下げてから、
就寝しています。
カロリー計算は、してきませんでしたが、そこも重要なのですね。
脂質が多いと、血糖値が下がりにくいこともあるようですが、
そのあたりはどうなのでしょうか?
また、今一度、毎食の血糖値が180までなら、
合併症の危険は回避できるのでしょうか?
まだまだ不安が多くて、落ち着いた生活が出来ません。
ご教授、よろしくお願いします。】
6ヶ月で、160cm、68キロ(BMI:26.6)から
53キロ(BMI:20.7)ロと、15kg減量です。
現時点で「痩せすぎ」というわけではないのですが、
ヘロヘロだったり、目が覚めたら空腹ということなら、
やはり、摂取エネルギー不足と考えられます。
【座りきりの仕事のため
朝、昼は、糖質も10グラム程度に控え、チーズや卵料理を中心に食べています。
毎度、空腹感にも苛まれています。
血糖値を上げないで、お腹を満たすのは、かなり難しいです。】
6ヶ月の糖質制限で、HbA1c数値は、10.5%から5.7%に改善していますので、
2型糖尿病であり、自分自身の内因性インスリンもしっかり分泌されています。
そうすると、タンパク質や脂質は血糖値を上昇させません。
脂の乗ったサーロインステーキを、1回に「200g」(635kcal)食べても、
血糖値はステーキ中のグリコーゲン(200gで0.8g)分しか上昇しないので、
わずか2.4mgの上昇であり、3mgも上昇しません。
お腹いっぱい、満足・満腹するまで、しっかり脂質とタンパク質を食べましょう。
摂取カロリーの目安は、厚生労働省のいう<推定エネルギー必要量>です。
日本糖尿病学会のいう「カロリー制限食」は無視でよいです。
豚バラとは鶏モモとかカロリーが多くて糖質はほとんどないものを食べましょう。
牛かたや牛ロースもいいです。
うなぎの白焼きも、高カロリー・低糖質で、いいですね。
果物ならアボカドが高カロリー・低糖質で糖質制限OK食品です。
これらなら、血糖値を上げないで、お腹を満たすことができます。
『血糖値を上げるのは糖質だけで、タンパク質・脂質は上げない』
ということをしっかり記憶しておきましょう。
【夕食は、少しは多めに食べ、30分ほどの散歩をし、血糖値を下げてから、
就寝しています。】
スーパー糖質制限食なら、食後血糖値はほとんど上昇しないので
血糖値を下げるための散歩も必要ないです。
一方、筋力確保のための散歩は、望ましいです。
これに対して、ごはん1膳(150g)は、252kcalと少ないカロリーですが
含まれる糖質量は55gで、血糖値はピーク165mg上昇します。
食前の血糖値が100mg/dlとかでいい感じでも
ごはん1膳食べただけで、食後のピークの血糖値は265mg/dlで軽く
200を超えてきkます。
【カロリー計算は、してきませんでしたが、そこも重要なのですね。】
ヘロヘロになったり空腹にならないように
<推定エネルギー必要量>をしっかり摂取しましょう。
【脂質が多いと、血糖値が下がりにくいこともあるようですが、
そのあたりはどうなのでしょうか?】
脂質は血糖値を全く上げないので、問題はないです。
ただ脂質と糖質を一緒に食べると、血糖値の上昇はややゆっくりになりますので、
その分血糖値の下がりかたもゆっくりになります。
【今一度、毎食の血糖値が180までなら、
合併症の危険は回避できるのでしょうか?】
①日本糖尿病学会は、食後2時間血糖値が140mg/dl未満なら
合併症の予防ができるとしています。
②国際糖尿病連合は、食後1時間・2時間血糖値が
160mg/dl未満なら、合併症の予防ができるとしています。
江部康二
2022年04月23日 (土)
【日付 名前
22/04/23 NEKO
糖質制限+ビール=湿疹?
何年か前に質問させていただき、その時はうやむやになっていた件で、
進展がありましたのでご報告します。
まあ、大したことではないのですが。。。
私の夫は糖質制限を5年ほど前から始めてから体調良く
お腹の贅肉もスッキリで良いことづくめだったのですが、
唯一額に赤い湿疹のようなものが広がるようになりました。
卵を控えたり色々試したのですが効果なく。
たまたま先日、2週間ほどアルコール抜きをしたら
湿疹がきれいさっぱり無くなりました!
そしてある日の夜ビールを飲んだら翌朝早速湿疹が。
白ワインでの実験では大丈夫でした。
赤ワインはまだ実験中です。
(ビールのように明らかな反応はありませんでしたが、少し赤くなっていました)。
飲んでいたビールはサントリーの糖質ゼロパーフェクトビールです。
夫は珍しい例なのかもしれませんが、
もし患者さんにそういう方がいらっしゃいましたら
ビールからワインに変更されると改善されるかもしれません。
何故ワインは大丈夫でビールが駄目なのか不思議ですが、
本人的にはワインが大丈夫と分かってとても嬉しそうです
(ビールで翌朝湿疹が戻った時にはアルコール自体が犯人かと思いましたから)。】
こんにちは。
NEKO さんから
糖質制限+ビール=湿疹?
というコメントを頂きました。
お連れ合いが、糖質制限食実践で、体調が良く、お腹の贅肉もスッキリで
良いことづくめだったのですが
唯一額に赤い湿疹のようなものが広がるようになったそうです。
A)たまたま2週間ほどアルコール抜きをしたら
湿疹がきれいさっぱり無くなった。
B)サントリーの糖質ゼロパーフェクトビールを飲んだら、翌朝早速湿疹(+)。
C)白ワインでの実験では大丈夫で、湿疹は出ず。
D)赤ワインは微妙で、おでこの赤みが少々あり。
A)により、おでこの皮疹にアルコール摂取が関与している可能性があります。
しかし
C)により、白ワインのアルコールなら皮疹がでないことが確認できました。
つまり単純に<糖質制限+アルコール> で皮疹出現ということではありません。
そして
B)により、糖質ゼロビールで皮疹がでることが確認できました。
従って、おでこの皮疹は糖質が原因ではありません。
そもそも糖質制限食を5年間実践していて、おでこの皮疹が出現という経過であり、
糖質制限食実践前は、おでこの皮疹はありませんでした。
赤ワインは微妙なので、ちょっとおいておいて、
<糖質制限+ビール+アルコール> により皮疹が出現することが確認できたこととなります。
NEKOさんに質問ですが、
赤い皮疹は盛り上がりや痒みはどうでしょう。
さて、私には現時点でこの現象の解明はできないのですが、
読者の皆さんで、似たような体験をお持ちのかたはおられるでしょうか?
おられましたら、是非コメント頂ければ、とても助かります。
よろしくお願い申し上げます。
江部康二
22/04/23 NEKO
糖質制限+ビール=湿疹?
何年か前に質問させていただき、その時はうやむやになっていた件で、
進展がありましたのでご報告します。
まあ、大したことではないのですが。。。
私の夫は糖質制限を5年ほど前から始めてから体調良く
お腹の贅肉もスッキリで良いことづくめだったのですが、
唯一額に赤い湿疹のようなものが広がるようになりました。
卵を控えたり色々試したのですが効果なく。
たまたま先日、2週間ほどアルコール抜きをしたら
湿疹がきれいさっぱり無くなりました!
そしてある日の夜ビールを飲んだら翌朝早速湿疹が。
白ワインでの実験では大丈夫でした。
赤ワインはまだ実験中です。
(ビールのように明らかな反応はありませんでしたが、少し赤くなっていました)。
飲んでいたビールはサントリーの糖質ゼロパーフェクトビールです。
夫は珍しい例なのかもしれませんが、
もし患者さんにそういう方がいらっしゃいましたら
ビールからワインに変更されると改善されるかもしれません。
何故ワインは大丈夫でビールが駄目なのか不思議ですが、
本人的にはワインが大丈夫と分かってとても嬉しそうです
(ビールで翌朝湿疹が戻った時にはアルコール自体が犯人かと思いましたから)。】
こんにちは。
NEKO さんから
糖質制限+ビール=湿疹?
というコメントを頂きました。
お連れ合いが、糖質制限食実践で、体調が良く、お腹の贅肉もスッキリで
良いことづくめだったのですが
唯一額に赤い湿疹のようなものが広がるようになったそうです。
A)たまたま2週間ほどアルコール抜きをしたら
湿疹がきれいさっぱり無くなった。
B)サントリーの糖質ゼロパーフェクトビールを飲んだら、翌朝早速湿疹(+)。
C)白ワインでの実験では大丈夫で、湿疹は出ず。
D)赤ワインは微妙で、おでこの赤みが少々あり。
A)により、おでこの皮疹にアルコール摂取が関与している可能性があります。
しかし
C)により、白ワインのアルコールなら皮疹がでないことが確認できました。
つまり単純に<糖質制限+アルコール> で皮疹出現ということではありません。
そして
B)により、糖質ゼロビールで皮疹がでることが確認できました。
従って、おでこの皮疹は糖質が原因ではありません。
そもそも糖質制限食を5年間実践していて、おでこの皮疹が出現という経過であり、
糖質制限食実践前は、おでこの皮疹はありませんでした。
赤ワインは微妙なので、ちょっとおいておいて、
<糖質制限+ビール+アルコール> により皮疹が出現することが確認できたこととなります。
NEKOさんに質問ですが、
赤い皮疹は盛り上がりや痒みはどうでしょう。
さて、私には現時点でこの現象の解明はできないのですが、
読者の皆さんで、似たような体験をお持ちのかたはおられるでしょうか?
おられましたら、是非コメント頂ければ、とても助かります。
よろしくお願い申し上げます。
江部康二
2022年04月22日 (金)
<プロローグ>
こんにちは。
現在ではファミリーレストランのガストやリンガーハットでも、くら寿司でも
糖質オフメニューがあります。
ローソンやファミリーマートでも、糖質制限なパンが販売されています。
なんと、あの「山崎パン」からも糖質制限OKな食パンが、2021年6月頃から
発売されていて、1枚あたりの糖質は5.9gです。
2016/7/20(水)、NHKクローズアップ現代で糖質制限食が特集されました。
NHKによれば、糖質制限食が空前のブームだそうで、
関連の市場は当時で¥3184億円とのことでした。
富士経済の調査によると、2018年度の糖質オフ・ゼロ市場は前年比4.6%増の3514億円に拡大し、
2019年度は同2.8%増の3612億円へ伸びる見込みでした。
今や2022年で、糖質制限市場はさらに加速して拡大しています。
私は、糖質制限食はブームではなく、科学的な真理そのものと考えています。
従ってブームのように消え去ることはなく、今後もどんどん繁栄していくと思います。
今回は、その糖質制限食と糖尿病食の歴史を考察してみました。
<夏目漱石と糖尿病と厳重食>
文豪夏目漱石(1867~1916年)は、糖尿病でした。
大正5年(1916)正月、右の上膊(上腕)神経に強い痛みと右上膊(上腕)の不全麻痺。
薬、マッサージは無効。4月、糖尿病と診断。
教え子の医師真鍋嘉一郎により、5月から、当時の最先端治療の「厳重食」を開始。尿糖は消失。
7月終わりには、右の上膊神経に強い痛みと右上膊の不全麻痺が改善。
神経衰弱の症状も減退。糖尿病も改善。11月、胃潰瘍が再発。
12月9日、胃潰瘍による出血で死亡。
厳重食で、糖尿病と糖尿病神経障害は著明改善ですが、残念ながら胃潰瘍のために死去しています。
<厳重食=スーパー糖質制限食>
昭和13年、18年の女子栄養大学の以下の「厳重食」の解説をみると、まさに、「厳重食=スーパー糖質制限食」です。
『肉類(牛、豚、鶏、魚肉、内臓、心臓、肝臓、舌、膈、腎臓、骨髄)、貝類、卵類(鶏卵、鳥卵、魚卵)、脂肪類(バター類、豚脂、ヘッド、肝油、オリーブ油、ごま油、)、豆類(豆腐、油揚げなど)、
味噌は少量、野菜(含水炭素5%以下)小松菜、京菜、白菜、筍、レタス、蕗、大根、アスパラ、果実(含水炭素の少ないもの)びわ、すもも、苺、いちじく、メロン、パイナップル、パパイヤ、りんご、蜜柑、夏みかん・・・
*梨、ブドウ、柿、バナナはやや糖質が多いので警戒を要する。』
夏目漱石と厳重食1)2)については、
精神科医師Aこと中嶋一雄医師に資料を提供して頂きました。ありがとうございました。
<日本における糖尿病食事療法の変遷>
日本でも、昭和18年(1943年) 頃は、まだ厳重食のほうが、幅を利かせていたようです。
そして日本糖尿病学会のバイブルのような食品交換表初版が1965年に発行されました。
この時、適正なカロリーということが強調されました、。
解説には、食事療法の原則として
「①適正なカロリー②糖質量の制限③糖質、たんぱく質、脂質のバランス④ビタミンおよびミネラルの適正な補給」
と記載されています。
なんと、2番目には驚くべきことに「糖質量の制限」と明記してあります。
これが、1969年の第2版になると
「①適正なカロリー(カロリーの制限)②糖質、たんぱく質、脂質のバランス③ビタミンおよびミネラルの適正な補給」
と変更されて、
「糖質量の制限」という文言が削除されています。
糖尿病食事療法の原則から、「糖質制限」が消えて、「カロリーの制限」が登場したのが2版です。
これ以降の食品交換表は、2013年、11年ぶりに改訂された第7版にいたるまで、「カロリー制限」一辺倒でした。
2013年10月の米国糖尿病学会の「栄養療法に関する声明」では、全ての糖尿病患者に適した“one-size-fits-all(唯一無二の)”食事パターンは存在しないとの見解を表明しました。
これに対して、日本糖尿病学会は、唯一無二の糖尿病食事療法として「カロリー制限・高糖質食」を、
1969年以来、現在まで推奨し続けています。
<日本における糖質制限食の歴史>
戦前までは、厳重食があったのですが、1969年以降はすっかり消えてしまいました。
その後の糖質制限食の臨床実践は、1999年から釜池医師が宇和島で開始し、
同時に高雄病院でも筆者の兄江部洋一郎医師が開始し有効例を重ねました。
その経験を踏まえ医学文献では、2004年に筆者が本邦初の糖質制限食有効例の報告を行いました3)。
2005年には筆者が本邦初の一般向けの本を出版しました4)。
2006年荒木医師が「断糖宣言」、2007年釜池医師が「糖質ゼロの食事術」を刊行しました。
坂東医師、中村医師は約1000人を肥満外来で治療し糖質制限食の有効性を2008年に報告しました5)。
2009年、2010年、医学雑誌に筆者が小論文を発表しました6)7)。
その後、2012年に山田悟医師、白澤医師、2013年に夏井医師、2014年に渡辺信幸医師、
2015年に宗田医師が一般向け糖質制限食の本を出版しました8)9)10)11)12)。
糖質制限食の広がり、いよいよ加速がついてきました13)14)15)。
1)香川綾: 女子栄養大学「栄養と料理」 第4巻第4号 p46
糖尿病の手当と食餌療法、昭和13年(1938年)
2)香川昇三:女子栄養大学「栄養と料理」 第9巻第5号 p27
糖尿病患者の厳重食、 昭和18年(1943年)
3)江部康二他:糖尿病食事療法として糖質制限食を実施した3症例,
京都医学会雑誌51(1):125-130、2004
4)江部康二:主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ、
2005年(東洋経済新報社)
5)坂東浩,中村巧:カーボカウントと糖質制限食, 治療,90(12):3105-3111,2008
6)江部康二:主食を抜けば(糖質を制限すれば)糖尿病は良くなる!,
治療,91(4):682-683,2009
7)江部康二:低糖質食(糖質制限食carbohydrate restriction)の意義,
内科,105(1):100-103,2010
8)山田悟:糖質制限食のススメ、2012年(東洋経済新報社)
9)白澤卓二:<白澤式>ケトン食事法、2012年(かんき出版)
10)夏井睦:「炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学」、光文社新書、2013年
11)渡辺信幸:日本人だからこそ「ご飯」を食べるな 肉・卵・チーズが健康長寿をつくる 、2014年(講談社)
12)宗田哲男:「ケトン体が人類を救う 糖質制限でなぜ健康になるのか」、光文社新書、2015年
13)江部康二:「人類最強の『糖質制限』論 ケトン体を味方にして痩せる、健康になる」、SB新書、2016年
14)江部康二:外食でやせる! 「糖質オフ」で食べても飲んでも太らない体を手に入れる、2017年(毎日新聞出版)
15)江部康二:江部康二の糖質制限革命」2017年(東洋経済新報社)
16)江部康二:「男・50代からの糖質制限」2018年(東洋経済新報社)
17)江部康二:「内臓脂肪がストン!とおちる食事術」2019年(ダイヤモンド社)
18)江部康二:「糖質制限の大百科」2019年(洋泉社)
19)江部康二:「糖質量&炭水化物量ポケットガイド」電子書籍、2019年(SBクリエイティブ)
20)江部康二:「名医が考えた認知症にならない最強の食事術」2020年(宝島社)
21)江部康二:「ダイエット・糖質制限に必携! 食品別糖質量ハンドブック 」2020年(宝島社) (監修)
22)医学的に正しい「糖質制限」見るだけノート2020年(宝島社)
23)「増補新版 糖質制限の大百科」2021年9月(宝島社)
など多数。
こんにちは。
現在ではファミリーレストランのガストやリンガーハットでも、くら寿司でも
糖質オフメニューがあります。
ローソンやファミリーマートでも、糖質制限なパンが販売されています。
なんと、あの「山崎パン」からも糖質制限OKな食パンが、2021年6月頃から
発売されていて、1枚あたりの糖質は5.9gです。
2016/7/20(水)、NHKクローズアップ現代で糖質制限食が特集されました。
NHKによれば、糖質制限食が空前のブームだそうで、
関連の市場は当時で¥3184億円とのことでした。
富士経済の調査によると、2018年度の糖質オフ・ゼロ市場は前年比4.6%増の3514億円に拡大し、
2019年度は同2.8%増の3612億円へ伸びる見込みでした。
今や2022年で、糖質制限市場はさらに加速して拡大しています。
私は、糖質制限食はブームではなく、科学的な真理そのものと考えています。
従ってブームのように消え去ることはなく、今後もどんどん繁栄していくと思います。
今回は、その糖質制限食と糖尿病食の歴史を考察してみました。
<夏目漱石と糖尿病と厳重食>
文豪夏目漱石(1867~1916年)は、糖尿病でした。
大正5年(1916)正月、右の上膊(上腕)神経に強い痛みと右上膊(上腕)の不全麻痺。
薬、マッサージは無効。4月、糖尿病と診断。
教え子の医師真鍋嘉一郎により、5月から、当時の最先端治療の「厳重食」を開始。尿糖は消失。
7月終わりには、右の上膊神経に強い痛みと右上膊の不全麻痺が改善。
神経衰弱の症状も減退。糖尿病も改善。11月、胃潰瘍が再発。
12月9日、胃潰瘍による出血で死亡。
厳重食で、糖尿病と糖尿病神経障害は著明改善ですが、残念ながら胃潰瘍のために死去しています。
<厳重食=スーパー糖質制限食>
昭和13年、18年の女子栄養大学の以下の「厳重食」の解説をみると、まさに、「厳重食=スーパー糖質制限食」です。
『肉類(牛、豚、鶏、魚肉、内臓、心臓、肝臓、舌、膈、腎臓、骨髄)、貝類、卵類(鶏卵、鳥卵、魚卵)、脂肪類(バター類、豚脂、ヘッド、肝油、オリーブ油、ごま油、)、豆類(豆腐、油揚げなど)、
味噌は少量、野菜(含水炭素5%以下)小松菜、京菜、白菜、筍、レタス、蕗、大根、アスパラ、果実(含水炭素の少ないもの)びわ、すもも、苺、いちじく、メロン、パイナップル、パパイヤ、りんご、蜜柑、夏みかん・・・
*梨、ブドウ、柿、バナナはやや糖質が多いので警戒を要する。』
夏目漱石と厳重食1)2)については、
精神科医師Aこと中嶋一雄医師に資料を提供して頂きました。ありがとうございました。
<日本における糖尿病食事療法の変遷>
日本でも、昭和18年(1943年) 頃は、まだ厳重食のほうが、幅を利かせていたようです。
そして日本糖尿病学会のバイブルのような食品交換表初版が1965年に発行されました。
この時、適正なカロリーということが強調されました、。
解説には、食事療法の原則として
「①適正なカロリー②糖質量の制限③糖質、たんぱく質、脂質のバランス④ビタミンおよびミネラルの適正な補給」
と記載されています。
なんと、2番目には驚くべきことに「糖質量の制限」と明記してあります。
これが、1969年の第2版になると
「①適正なカロリー(カロリーの制限)②糖質、たんぱく質、脂質のバランス③ビタミンおよびミネラルの適正な補給」
と変更されて、
「糖質量の制限」という文言が削除されています。
糖尿病食事療法の原則から、「糖質制限」が消えて、「カロリーの制限」が登場したのが2版です。
これ以降の食品交換表は、2013年、11年ぶりに改訂された第7版にいたるまで、「カロリー制限」一辺倒でした。
2013年10月の米国糖尿病学会の「栄養療法に関する声明」では、全ての糖尿病患者に適した“one-size-fits-all(唯一無二の)”食事パターンは存在しないとの見解を表明しました。
これに対して、日本糖尿病学会は、唯一無二の糖尿病食事療法として「カロリー制限・高糖質食」を、
1969年以来、現在まで推奨し続けています。
<日本における糖質制限食の歴史>
戦前までは、厳重食があったのですが、1969年以降はすっかり消えてしまいました。
その後の糖質制限食の臨床実践は、1999年から釜池医師が宇和島で開始し、
同時に高雄病院でも筆者の兄江部洋一郎医師が開始し有効例を重ねました。
その経験を踏まえ医学文献では、2004年に筆者が本邦初の糖質制限食有効例の報告を行いました3)。
2005年には筆者が本邦初の一般向けの本を出版しました4)。
2006年荒木医師が「断糖宣言」、2007年釜池医師が「糖質ゼロの食事術」を刊行しました。
坂東医師、中村医師は約1000人を肥満外来で治療し糖質制限食の有効性を2008年に報告しました5)。
2009年、2010年、医学雑誌に筆者が小論文を発表しました6)7)。
その後、2012年に山田悟医師、白澤医師、2013年に夏井医師、2014年に渡辺信幸医師、
2015年に宗田医師が一般向け糖質制限食の本を出版しました8)9)10)11)12)。
糖質制限食の広がり、いよいよ加速がついてきました13)14)15)。
1)香川綾: 女子栄養大学「栄養と料理」 第4巻第4号 p46
糖尿病の手当と食餌療法、昭和13年(1938年)
2)香川昇三:女子栄養大学「栄養と料理」 第9巻第5号 p27
糖尿病患者の厳重食、 昭和18年(1943年)
3)江部康二他:糖尿病食事療法として糖質制限食を実施した3症例,
京都医学会雑誌51(1):125-130、2004
4)江部康二:主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ、
2005年(東洋経済新報社)
5)坂東浩,中村巧:カーボカウントと糖質制限食, 治療,90(12):3105-3111,2008
6)江部康二:主食を抜けば(糖質を制限すれば)糖尿病は良くなる!,
治療,91(4):682-683,2009
7)江部康二:低糖質食(糖質制限食carbohydrate restriction)の意義,
内科,105(1):100-103,2010
8)山田悟:糖質制限食のススメ、2012年(東洋経済新報社)
9)白澤卓二:<白澤式>ケトン食事法、2012年(かんき出版)
10)夏井睦:「炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学」、光文社新書、2013年
11)渡辺信幸:日本人だからこそ「ご飯」を食べるな 肉・卵・チーズが健康長寿をつくる 、2014年(講談社)
12)宗田哲男:「ケトン体が人類を救う 糖質制限でなぜ健康になるのか」、光文社新書、2015年
13)江部康二:「人類最強の『糖質制限』論 ケトン体を味方にして痩せる、健康になる」、SB新書、2016年
14)江部康二:外食でやせる! 「糖質オフ」で食べても飲んでも太らない体を手に入れる、2017年(毎日新聞出版)
15)江部康二:江部康二の糖質制限革命」2017年(東洋経済新報社)
16)江部康二:「男・50代からの糖質制限」2018年(東洋経済新報社)
17)江部康二:「内臓脂肪がストン!とおちる食事術」2019年(ダイヤモンド社)
18)江部康二:「糖質制限の大百科」2019年(洋泉社)
19)江部康二:「糖質量&炭水化物量ポケットガイド」電子書籍、2019年(SBクリエイティブ)
20)江部康二:「名医が考えた認知症にならない最強の食事術」2020年(宝島社)
21)江部康二:「ダイエット・糖質制限に必携! 食品別糖質量ハンドブック 」2020年(宝島社) (監修)
22)医学的に正しい「糖質制限」見るだけノート2020年(宝島社)
23)「増補新版 糖質制限の大百科」2021年9月(宝島社)
など多数。
2022年04月21日 (木)
こんにちは。
新型コロナ新規感染者数、
日本で、2022/2/11くらいで一旦、ピークアウトしたように見えましたが、
その後しばらくして、再び増加パターンに変化していて、油断は禁物です。
現在主流のオミクロン株には、既存の新型コロナワクチンの効果は、ほぼ期待できません。
現実に、世界各国をみても、
ワクチン接種率が高い国のほうが、接種率が低い国よりも
人口100万人あたりの感染者数が多い状況が続いています。
私たちは糖質制限食実践で、免疫力を向上させて、身を守りましょう。
さて、
ユーチューブ
ドクター江部の糖質オフ!健康トーク
▼ vol.11『糖質制限食が有効な疾患<後半>』
https://youtu.be/UrWO4YmNXZE
の御案内です。
<前半>
糖尿病
内臓脂肪肥満
メタボリックシンドローム
肥満
<後半>
その他、ほぼ全ての生活習慣病:
高血圧、脂質異常症、逆流性食道炎、片頭痛、
にきび、歯周病、潰瘍性大腸炎、アトピー性皮膚炎、
喘息、尋常性乾癬など。
江部康二
以下、事務局からのお知らせです。
*********
ブログ読者の皆様、弊会のYouTube動画を多数ご覧いただいておりまして、ありがとうございます。
江部理事長による動画「ドクター江部の糖質オフ!健康トーク
vol.11」の配信をご案内申し上げます。
テーマは、前回に続いて「糖質制限食が有効な疾患」です。
今回は、逆流性食道炎、歯周病、にきび、花粉症、アトピー性皮膚炎、喘息、高血圧、脂質異常症、尋常性乾癬、片頭痛、潰瘍性大腸炎の改善例についてお話しております。
ドクター江部の糖質オフ!健康トーク
▼ vol.11『糖質制限食が有効な疾患<後半>』
https://youtu.be/UrWO4YmNXZE
ご覧いただけますと、また、ご興味のある方へシェアしていただけますと幸いです。
▼協会YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCdh9uz2_XnhDyJj9pHDDW1A
一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会
https://www.toushitsuseigen.or.jp/
*********
新型コロナ新規感染者数、
日本で、2022/2/11くらいで一旦、ピークアウトしたように見えましたが、
その後しばらくして、再び増加パターンに変化していて、油断は禁物です。
現在主流のオミクロン株には、既存の新型コロナワクチンの効果は、ほぼ期待できません。
現実に、世界各国をみても、
ワクチン接種率が高い国のほうが、接種率が低い国よりも
人口100万人あたりの感染者数が多い状況が続いています。
私たちは糖質制限食実践で、免疫力を向上させて、身を守りましょう。
さて、
ユーチューブ
ドクター江部の糖質オフ!健康トーク
▼ vol.11『糖質制限食が有効な疾患<後半>』
https://youtu.be/UrWO4YmNXZE
の御案内です。
<前半>
糖尿病
内臓脂肪肥満
メタボリックシンドローム
肥満
<後半>
その他、ほぼ全ての生活習慣病:
高血圧、脂質異常症、逆流性食道炎、片頭痛、
にきび、歯周病、潰瘍性大腸炎、アトピー性皮膚炎、
喘息、尋常性乾癬など。
江部康二
以下、事務局からのお知らせです。
*********
ブログ読者の皆様、弊会のYouTube動画を多数ご覧いただいておりまして、ありがとうございます。
江部理事長による動画「ドクター江部の糖質オフ!健康トーク
vol.11」の配信をご案内申し上げます。
テーマは、前回に続いて「糖質制限食が有効な疾患」です。
今回は、逆流性食道炎、歯周病、にきび、花粉症、アトピー性皮膚炎、喘息、高血圧、脂質異常症、尋常性乾癬、片頭痛、潰瘍性大腸炎の改善例についてお話しております。
ドクター江部の糖質オフ!健康トーク
▼ vol.11『糖質制限食が有効な疾患<後半>』
https://youtu.be/UrWO4YmNXZE
ご覧いただけますと、また、ご興味のある方へシェアしていただけますと幸いです。
▼協会YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCdh9uz2_XnhDyJj9pHDDW1A
一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会
https://www.toushitsuseigen.or.jp/
*********
2022年04月20日 (水)
こんにちは。
毎日新聞 2022/4/20 朝刊 に
https://mainichi.jp/articles/20220420/ddm/012/040/077000c
梅毒患者が急拡大 かつて診断少ない「幽霊病」
前年比1.6倍 感染気づかぬケースも
という記事が掲載されました。
以下の青字の記載は、記事の要約です。
何はともあれ、風俗店には、ご用心ご用心です。
2021年は性別、年代別にみると20代女性が最も多かったので要注意です。
早期に経口抗生剤(ペニシリン系)を服用すれば、回復するので、
身に覚えがあれば、速やかに血液検査することが大切です。
感染機会から2ヶ月以上経過していれば血液検査で診断できます。
抗生剤(基本はペニシリン系)を2~12週間服用します。
梅毒の筋肉注射治療が、日本でも認可され使用することができるようになりました。
ファイザーより発売された“ステルイズ(持続性ペニシリン製剤)”というお薬です。
治療は、1回の持続性ペニシリン注射ですむようです。
一方、一度梅毒に感染すると、一生抗体は残ります。
即ち、過去梅毒に感染した既往は、一生ついて回るので、感染しないのが一番なのです。
【かつてはめったに診断することがない「幽霊病」と言われた性感染症、梅毒が急増しています。
2022年の患者数は、過去最多を記録した2021年の1・6倍のペースで報告されています。
その感染の広がりから専門医は「もはや普通の性感染症になった」と指摘したいます。
2011年以降増加に転じ、
2013年から爆発的に増えました。
国立感染症研究所によると、2021年は7875人が確認され、これまで最多だった7007人(2018年)を更新しました。
2022年は4月10日現在、全国で2592人が報告され、2021同時期の1595人と比べ、1.6倍と急増しています。
2021年度に過去最多を更新したのに
2022年度は、そのさらに1.6倍です。
増加の詳しい原因はわかっていませんが、梅毒の患者と性交渉し感染に気づかないままさらに他人に感染させている状況です。
梅毒は「梅毒トレポネーマ」という細菌が、性行為などによって性器や口などの皮膚や粘膜の目に見えない小さな傷から侵入して感染します。
感染後2~3週間で性器などに耳の軟骨ぐらいの硬さのしこりができます。
2~3カ月後には手のひらや足の裏など全身に発疹が出ますが、痛みやかゆみがないことが特徴です。
早期に経口薬を服用すれば回復するので、身に覚えがあれば、速やかに血液検査することが大切です。
感染機会から2ヶ月以上経過していれば血液検査で診断できます。
抗生剤(基本はペニシリン系)を2~12週間服用します。
放置すると、数年から十数年をかけて、脳や目、心臓、神経などを侵し、重大な合併症を引き起こして命を落とすこともありえます。
性風俗産業で働く人が患者の多くを占めています。
定期的に検査結果の提示を義務付けている店舗がある一方で、性感染症に関する対策が取られていないところもあります。
これだけ増加してきているということは、定期的に梅毒検査を実施していない風俗店が多くなっている証拠と言えます。
2021年10~12月の患者数は、東京が675人、大阪247人、愛知135人と多かったです。
一方、人口100万人あたりの報告数は東京(49・9人)に次いで高知(30・2人)が多く、
大阪、岡山、福島、広島、香川も20人を超え、都市部に限らず地方でも増えています。
2021年は性別、年代別にみると20代女性が最も多かったです。
女性の感染増加によって、懸念されるのが胎盤を通じて赤ちゃんに感染する「先天梅毒」です。
ここ数年は20人前後で推移しており、2021年の0歳児の感染確認は21人でした。】
江部康二
毎日新聞 2022/4/20 朝刊 に
https://mainichi.jp/articles/20220420/ddm/012/040/077000c
梅毒患者が急拡大 かつて診断少ない「幽霊病」
前年比1.6倍 感染気づかぬケースも
という記事が掲載されました。
以下の青字の記載は、記事の要約です。
何はともあれ、風俗店には、ご用心ご用心です。
2021年は性別、年代別にみると20代女性が最も多かったので要注意です。
早期に経口抗生剤(ペニシリン系)を服用すれば、回復するので、
身に覚えがあれば、速やかに血液検査することが大切です。
感染機会から2ヶ月以上経過していれば血液検査で診断できます。
抗生剤(基本はペニシリン系)を2~12週間服用します。
梅毒の筋肉注射治療が、日本でも認可され使用することができるようになりました。
ファイザーより発売された“ステルイズ(持続性ペニシリン製剤)”というお薬です。
治療は、1回の持続性ペニシリン注射ですむようです。
一方、一度梅毒に感染すると、一生抗体は残ります。
即ち、過去梅毒に感染した既往は、一生ついて回るので、感染しないのが一番なのです。
【かつてはめったに診断することがない「幽霊病」と言われた性感染症、梅毒が急増しています。
2022年の患者数は、過去最多を記録した2021年の1・6倍のペースで報告されています。
その感染の広がりから専門医は「もはや普通の性感染症になった」と指摘したいます。
2011年以降増加に転じ、
2013年から爆発的に増えました。
国立感染症研究所によると、2021年は7875人が確認され、これまで最多だった7007人(2018年)を更新しました。
2022年は4月10日現在、全国で2592人が報告され、2021同時期の1595人と比べ、1.6倍と急増しています。
2021年度に過去最多を更新したのに
2022年度は、そのさらに1.6倍です。
増加の詳しい原因はわかっていませんが、梅毒の患者と性交渉し感染に気づかないままさらに他人に感染させている状況です。
梅毒は「梅毒トレポネーマ」という細菌が、性行為などによって性器や口などの皮膚や粘膜の目に見えない小さな傷から侵入して感染します。
感染後2~3週間で性器などに耳の軟骨ぐらいの硬さのしこりができます。
2~3カ月後には手のひらや足の裏など全身に発疹が出ますが、痛みやかゆみがないことが特徴です。
早期に経口薬を服用すれば回復するので、身に覚えがあれば、速やかに血液検査することが大切です。
感染機会から2ヶ月以上経過していれば血液検査で診断できます。
抗生剤(基本はペニシリン系)を2~12週間服用します。
放置すると、数年から十数年をかけて、脳や目、心臓、神経などを侵し、重大な合併症を引き起こして命を落とすこともありえます。
性風俗産業で働く人が患者の多くを占めています。
定期的に検査結果の提示を義務付けている店舗がある一方で、性感染症に関する対策が取られていないところもあります。
これだけ増加してきているということは、定期的に梅毒検査を実施していない風俗店が多くなっている証拠と言えます。
2021年10~12月の患者数は、東京が675人、大阪247人、愛知135人と多かったです。
一方、人口100万人あたりの報告数は東京(49・9人)に次いで高知(30・2人)が多く、
大阪、岡山、福島、広島、香川も20人を超え、都市部に限らず地方でも増えています。
2021年は性別、年代別にみると20代女性が最も多かったです。
女性の感染増加によって、懸念されるのが胎盤を通じて赤ちゃんに感染する「先天梅毒」です。
ここ数年は20人前後で推移しており、2021年の0歳児の感染確認は21人でした。】
江部康二
2022年04月19日 (火)
こんにちは。
コレステロール値を下げるために、よく使用されるスタチン製剤には、
エビデンスレベルで糖尿病発症リスクがあります。
スタチンが糖尿病発症リスクとなることは、確実のようです。
『コレステロール値は高い方が長生き』
という主張の日本脂質栄養学会と
『コレステロール値は低いほど良い』
という主張の日本動脈硬化学会のバトルは
記憶に新しいです。
バトルに決着がついたわけではなく、世界でもバトルが続いています。
その中で、私は、
『糖質セイゲニストのコレステロール値は下げる必要はない』という立場です。
つまり、スタチン不要論者です。
さて、脳は脂質に富み、ヒト脳の乾燥重量の65%が脂質です。
脳脂質の半分がリン脂質、コレステロールが1/4、糖脂質が1/4です。
コレステロールは、生体のあらゆる細胞膜の構築に必須の物質であり、
肝臓で合成し腸肝循環によって制御・調節されています。
コレステロールは、細胞膜や男性ホルモン、女性ホルモンなどの原料であり、
人体に必要不可欠な大切な物質です。
ヒトだけではなく、約2億2500万年前に哺乳類が誕生して以来、
生命現象の根幹をなす細胞膜などの原料として一貫して利用されてきたのです。
そのため血清コレステロール値は、
摂取された食物のコレステロールが少ない場合は肝臓での合成が高まり、
一方、摂取コレステロールが多い場合は、肝臓での合成が徐々に減少して、
一定量を必ず確保するよう調整しています。
このように、人体にとって大切なコレステロールが、少々高値だからといって
害をなすとはとても思えません。
あくまでも、『小粒子LDLコレステロール』と『酸化LDLコレステロール』だけが
悪玉であって、肝臓から末梢組織に細胞膜の原料であるコレステロールを運んでくれる
標準の大きさのLDLコレステロールは、当然どうみても善玉なのです。
糖質セイゲニストは、HDLコレステロールが多くて、中性脂肪値が低めなので、
『小粒子LDLコレステロール』と『酸化LDLコレステロール』はほとんどなくて
善玉の標準の大きさのLDLコレステロールばかりです。
HDLコレステロール値が60mg/dl以上で
中性脂肪値が80mg/dl以下なら
ほとんどのLDLコレステロールは標準の大きさの善玉です。
HDLコレステロール値が60mg/dl以上で
中性脂肪値が60mg/dl以下なら
全てのLDLコレステロールが標準の大きさの善玉であり、
悪玉の『小粒子LDLコレステロール』と『酸化LDLコレステロール』は皆無です。
従って、糖質セイゲニストのコレステロール値が高くても問題はなく
スタチン内服も必要ないのです。
☆☆☆ <スタチン製剤が糖尿病発症リスクとするエビデンス>
一般社団法人 日本老年医学会
「高齢者脂質異常症診療ガイドライン 2017」
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/tool/pdf/guideline2017_03.pdf11ページ
CQ3 スタチンは高齢者において,有害事象を増加させるか?
【要約】
●高齢者においてスタチン治療は糖尿病の新規発症を
有意に増加させるので注意を要する(推奨グレードB).
13RCTのメタ解析の結果、スタチンにより糖尿病の新規発症が9%増加とのことです。
スタチンによる糖尿病発症の危険因子~日本のPMSデータ
http://www.carenet.com/news/general/carenet/45572
ケアネット、2018/03/05の記事です。
以下、抜粋、要約です。
慶應義塾大学薬学部の橋口 正行氏らが、
日本の市販後調査(PMS)データベースを使用したコホート内ケースコントロール研究で検討した結果、
スタチン使用により、糖尿病や高血糖症の発症が増加する可能性が示唆されたそうです。
低用量スタチンでの糖尿病リスク~日本のコホート研究
http://www.carenet.com/news/general/carenet/45627
こちらもケアネット、2018/03/08の記事です。
以下、抜粋、要約です。
秋田大学医学部附属病院薬剤部の加藤 正太郎氏らが、低用量スタチン服用患者を、
高力価スタチン群と低力価スタチン群に分けて糖尿病新規発症リスクを評価しました。
その結果、高力価スタチン群では低力価スタチン群と比べ有意に発症リスクが高かったとのことです。
江部康二
コレステロール値を下げるために、よく使用されるスタチン製剤には、
エビデンスレベルで糖尿病発症リスクがあります。
スタチンが糖尿病発症リスクとなることは、確実のようです。
『コレステロール値は高い方が長生き』
という主張の日本脂質栄養学会と
『コレステロール値は低いほど良い』
という主張の日本動脈硬化学会のバトルは
記憶に新しいです。
バトルに決着がついたわけではなく、世界でもバトルが続いています。
その中で、私は、
『糖質セイゲニストのコレステロール値は下げる必要はない』という立場です。
つまり、スタチン不要論者です。
さて、脳は脂質に富み、ヒト脳の乾燥重量の65%が脂質です。
脳脂質の半分がリン脂質、コレステロールが1/4、糖脂質が1/4です。
コレステロールは、生体のあらゆる細胞膜の構築に必須の物質であり、
肝臓で合成し腸肝循環によって制御・調節されています。
コレステロールは、細胞膜や男性ホルモン、女性ホルモンなどの原料であり、
人体に必要不可欠な大切な物質です。
ヒトだけではなく、約2億2500万年前に哺乳類が誕生して以来、
生命現象の根幹をなす細胞膜などの原料として一貫して利用されてきたのです。
そのため血清コレステロール値は、
摂取された食物のコレステロールが少ない場合は肝臓での合成が高まり、
一方、摂取コレステロールが多い場合は、肝臓での合成が徐々に減少して、
一定量を必ず確保するよう調整しています。
このように、人体にとって大切なコレステロールが、少々高値だからといって
害をなすとはとても思えません。
あくまでも、『小粒子LDLコレステロール』と『酸化LDLコレステロール』だけが
悪玉であって、肝臓から末梢組織に細胞膜の原料であるコレステロールを運んでくれる
標準の大きさのLDLコレステロールは、当然どうみても善玉なのです。
糖質セイゲニストは、HDLコレステロールが多くて、中性脂肪値が低めなので、
『小粒子LDLコレステロール』と『酸化LDLコレステロール』はほとんどなくて
善玉の標準の大きさのLDLコレステロールばかりです。
HDLコレステロール値が60mg/dl以上で
中性脂肪値が80mg/dl以下なら
ほとんどのLDLコレステロールは標準の大きさの善玉です。
HDLコレステロール値が60mg/dl以上で
中性脂肪値が60mg/dl以下なら
全てのLDLコレステロールが標準の大きさの善玉であり、
悪玉の『小粒子LDLコレステロール』と『酸化LDLコレステロール』は皆無です。
従って、糖質セイゲニストのコレステロール値が高くても問題はなく
スタチン内服も必要ないのです。
☆☆☆ <スタチン製剤が糖尿病発症リスクとするエビデンス>
一般社団法人 日本老年医学会
「高齢者脂質異常症診療ガイドライン 2017」
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/tool/pdf/guideline2017_03.pdf11ページ
CQ3 スタチンは高齢者において,有害事象を増加させるか?
【要約】
●高齢者においてスタチン治療は糖尿病の新規発症を
有意に増加させるので注意を要する(推奨グレードB).
13RCTのメタ解析の結果、スタチンにより糖尿病の新規発症が9%増加とのことです。
スタチンによる糖尿病発症の危険因子~日本のPMSデータ
http://www.carenet.com/news/general/carenet/45572
ケアネット、2018/03/05の記事です。
以下、抜粋、要約です。
慶應義塾大学薬学部の橋口 正行氏らが、
日本の市販後調査(PMS)データベースを使用したコホート内ケースコントロール研究で検討した結果、
スタチン使用により、糖尿病や高血糖症の発症が増加する可能性が示唆されたそうです。
低用量スタチンでの糖尿病リスク~日本のコホート研究
http://www.carenet.com/news/general/carenet/45627
こちらもケアネット、2018/03/08の記事です。
以下、抜粋、要約です。
秋田大学医学部附属病院薬剤部の加藤 正太郎氏らが、低用量スタチン服用患者を、
高力価スタチン群と低力価スタチン群に分けて糖尿病新規発症リスクを評価しました。
その結果、高力価スタチン群では低力価スタチン群と比べ有意に発症リスクが高かったとのことです。
江部康二
2022年04月18日 (月)
【22/04/18 光一
有酸素運動と筋力低下について
いつも貴重な情報をありがとうございます。
以前、運動について江部先生に質問させて頂いたのですが、
その時に「狩猟採集民の運動は歩行がメインでたまに走る程度」と教えて頂きました。
運動に関しては筋トレのような無酸素運動よりも、
有酸素運動の方が人類には適しているとのことでしたが、
有酸素運動のみの運動ですと将来的に筋力が低下したりしないのでしょうか?
スーパー糖質制限をしていれば、
有酸素のみの運動でも筋量を維持できるのでしょうか?】
こんにちは。
有酸素運動と筋力低下について、
光一 さんからコメント・質問を頂きました。
これは、<有酸素運動だけで筋力維持やアップが可能か?>
というテーマでもありますが、
結論からいうと、筋トレなしでも、可能と思います。
まずは自然環境における野生動物や狩猟民について考察してみます。
野生動物の運動は歩行がメインでたまに走るていどです。
勿論、筋トレはしていませんが、それで筋力低下はありません。
①ライオン:たいてい寝ていて、狩りのときだけ全力で数秒くらい走る。
②シマウマ:通常は寝ているか、歩いていて、
ライオンに追われた時だけ全力で10~20秒走る
③狩猟民:ジョギング程度の速度で、数時間、獲物が疲れるまで追い続けて仕留める。
ヒトは、長距離走に最も向いている動物です。
まあライオンに追われたら、10秒くらいは全力で走るでしょう。
次はエビデンスレベルのお話です。
http://www.jtrc.or.jp/interval/interview.php
科学的エビデンスが支えるインターバル速歩
信州大学大学院特任教授
NPO法人熟年体育大学リサーチセンター副理事
医学博士能勢博
まずはこのサイトを覗いてみました。
能勢博士によれば、
ヒトの体力は20歳代をピークとし、30歳を過ぎると、
誰しも10歳加齢するごとに5~10%ずつ低下していくそうです。
これを防ぐために
アメリカ・スポーツ医学会(ACSM)は、
個人の最大体力の 60~80%に相当する強度の運動を、
1日20分以上、週に3日以上実施する個別運動処方を推奨しています。
そうすれば6カ月で体力が10%向上し、
それに比例して生活習慣病の症状が改善するそうです。
しかし、通常のウォーキングでは運動強度が低すぎて、
効果が上がらない、とのことです。
そこで、能勢博士が推奨するのが「インターバル速歩」です。
いつでも、どこでも、誰でも、そして安価に、
体力向上のための運動トレーニングができます。
インターバル速歩ですが、
これは、「速歩」と、「緩歩」を3分間ずつ交互に行うものです。
これを速歩が1日トータルで15分以上になるように、
週に4日以上実践すればOKです。
速歩ばかり、行えばよいようなものですが、
なかなか速歩を5分、10分連続的に
続けるのは体力的に難しい人が多いようです。
それで、3分交代なのですね。
ウィークデ―が忙しい人は、週末にまとめてトータルの速歩時間が
週60分になるように実施してもいいそうです。
能勢博士の研究によれば
インターバル速歩を5ヶ月間行えば、
1)体力が最大20%増加。
2)生活習慣病指標が20%改善。
3)医療費が20%抑制。
とのことで、これを「20%の法則」と呼ぶそうです。
体力が20%向上ですから、有酸素運動のみでも筋力向上が可能ということです。
☆江部康二:私は、1979年29歳で高雄病院就職以来、
2022年72歳現在まで、勤務日は毎日速歩で院内を、60分以上は、歩いています。
自分から電話をすることはありません。
栄養課に用事があれば地下まで歩き、
療養型に用事があるときは三階まで歩きます。
また、高雄病院理事長室が、丘の上に立つ建物の中にあるので、
毎日坂道を数往復しているのも筋力維持に良さそうです。
基本、私の歩行は、ほとんどが速歩で、ゆっくり歩きはあまりありません。
手持ちの、ヤマサの活動量計で測定すると、
歩数の60~70%が速歩(パワー ウオーク)でした。
結果として、8000歩/日くらい歩いています。
勤務中に5000歩くらいで、
あとはテレビやユーチューブを見ながら「ながらジョギング」などです。
8000歩中、5000~6000歩は「速歩+ジョギング」です。
筋トレはしていませんが、いきなりスクワット10回とかも可能ですので、
筋肉量は維持できていると思います。
生来のせっかちな性格と早歩きパターンが、
72年間、結果として、私の体力を保ってくれたようで、ありがたいことでした。
江部康二
有酸素運動と筋力低下について
いつも貴重な情報をありがとうございます。
以前、運動について江部先生に質問させて頂いたのですが、
その時に「狩猟採集民の運動は歩行がメインでたまに走る程度」と教えて頂きました。
運動に関しては筋トレのような無酸素運動よりも、
有酸素運動の方が人類には適しているとのことでしたが、
有酸素運動のみの運動ですと将来的に筋力が低下したりしないのでしょうか?
スーパー糖質制限をしていれば、
有酸素のみの運動でも筋量を維持できるのでしょうか?】
こんにちは。
有酸素運動と筋力低下について、
光一 さんからコメント・質問を頂きました。
これは、<有酸素運動だけで筋力維持やアップが可能か?>
というテーマでもありますが、
結論からいうと、筋トレなしでも、可能と思います。
まずは自然環境における野生動物や狩猟民について考察してみます。
野生動物の運動は歩行がメインでたまに走るていどです。
勿論、筋トレはしていませんが、それで筋力低下はありません。
①ライオン:たいてい寝ていて、狩りのときだけ全力で数秒くらい走る。
②シマウマ:通常は寝ているか、歩いていて、
ライオンに追われた時だけ全力で10~20秒走る
③狩猟民:ジョギング程度の速度で、数時間、獲物が疲れるまで追い続けて仕留める。
ヒトは、長距離走に最も向いている動物です。
まあライオンに追われたら、10秒くらいは全力で走るでしょう。
次はエビデンスレベルのお話です。
http://www.jtrc.or.jp/interval/interview.php
科学的エビデンスが支えるインターバル速歩
信州大学大学院特任教授
NPO法人熟年体育大学リサーチセンター副理事
医学博士能勢博
まずはこのサイトを覗いてみました。
能勢博士によれば、
ヒトの体力は20歳代をピークとし、30歳を過ぎると、
誰しも10歳加齢するごとに5~10%ずつ低下していくそうです。
これを防ぐために
アメリカ・スポーツ医学会(ACSM)は、
個人の最大体力の 60~80%に相当する強度の運動を、
1日20分以上、週に3日以上実施する個別運動処方を推奨しています。
そうすれば6カ月で体力が10%向上し、
それに比例して生活習慣病の症状が改善するそうです。
しかし、通常のウォーキングでは運動強度が低すぎて、
効果が上がらない、とのことです。
そこで、能勢博士が推奨するのが「インターバル速歩」です。
いつでも、どこでも、誰でも、そして安価に、
体力向上のための運動トレーニングができます。
インターバル速歩ですが、
これは、「速歩」と、「緩歩」を3分間ずつ交互に行うものです。
これを速歩が1日トータルで15分以上になるように、
週に4日以上実践すればOKです。
速歩ばかり、行えばよいようなものですが、
なかなか速歩を5分、10分連続的に
続けるのは体力的に難しい人が多いようです。
それで、3分交代なのですね。
ウィークデ―が忙しい人は、週末にまとめてトータルの速歩時間が
週60分になるように実施してもいいそうです。
能勢博士の研究によれば
インターバル速歩を5ヶ月間行えば、
1)体力が最大20%増加。
2)生活習慣病指標が20%改善。
3)医療費が20%抑制。
とのことで、これを「20%の法則」と呼ぶそうです。
体力が20%向上ですから、有酸素運動のみでも筋力向上が可能ということです。
☆江部康二:私は、1979年29歳で高雄病院就職以来、
2022年72歳現在まで、勤務日は毎日速歩で院内を、60分以上は、歩いています。
自分から電話をすることはありません。
栄養課に用事があれば地下まで歩き、
療養型に用事があるときは三階まで歩きます。
また、高雄病院理事長室が、丘の上に立つ建物の中にあるので、
毎日坂道を数往復しているのも筋力維持に良さそうです。
基本、私の歩行は、ほとんどが速歩で、ゆっくり歩きはあまりありません。
手持ちの、ヤマサの活動量計で測定すると、
歩数の60~70%が速歩(パワー ウオーク)でした。
結果として、8000歩/日くらい歩いています。
勤務中に5000歩くらいで、
あとはテレビやユーチューブを見ながら「ながらジョギング」などです。
8000歩中、5000~6000歩は「速歩+ジョギング」です。
筋トレはしていませんが、いきなりスクワット10回とかも可能ですので、
筋肉量は維持できていると思います。
生来のせっかちな性格と早歩きパターンが、
72年間、結果として、私の体力を保ってくれたようで、ありがたいことでした。
江部康二
2022年04月17日 (日)
こんにちは。
よく「日本人は昔から農耕民族であり・・・」といった話をされる医師や栄養士がおられるのですが、
これは事実とは全く異なっています。
すなわち、明白な事実誤認です。
日本列島人類(日本人)は、「狩猟採集時代」のほうが「農耕時代」よりはるかに長い、
というのが、論争の余地のない歴史的事実です。
日本人の始まりは、約38000年前からの旧石器時代(約22000年間続いた)です。
その後、約16000年前から縄文時代が始まります。
縄文時代が、約13500年間続いた後、
約2500年前から弥生時代が始まります。
つまり、日本人は、約35500年間の狩猟・採集時代を経て、約2500年前から稲作時代に移行したこととなります。
<狩猟・採集時代:農耕時代>は<35500年:2500年>で<14:1>です。
従って、日本人は狩猟・採集時代に比べると農耕民族の歴史は、極めて浅いと言えます。
それでは、日本人の「狩猟採集時代」と「農耕時代」を振り返って検討してみます。
<旧石器時代>
日本列島に初めて人類が移住してきたのが約38000年前で、旧石器時代と呼ばれています。
縄文以前の38000年前頃から16000年前までの旧石器時代の日本列島では、
マンモスやナウマンゾウやニホンシカ、イノシシなど狩猟が生業だったようです。
旧石器時代の人々は、大型哺乳動物を追い、
キャンプ生活・遊動生活を営みながら頻繁に移動生活を繰り返してきました。
<旧石器から縄文へ>
最終氷期(ウルム氷期)は、約2万年前の最盛期が過ぎると地球規模で温暖化に向かいました。
そして温暖化により海位が徐々に上昇していきました。
約13000年前には海位は100m以上上昇して、中国大陸と陸続きであったところに現在の日本海が出現し、
1万年前に氷期が終わります。
ウルム氷期は7万年前に始まり、1万年前に終了です。
そして、針葉樹林が日本列島全体に生えていたのが、
西南日本から太平洋沿岸伝いに落葉広葉樹林が拡がり、
北海道を除いて列島のほとんどが落葉広葉樹林と照葉樹林におきかわりました。
コナラ亜属やブナ属、クリ属など堅果類が繁茂するようになりました。
また、温暖化による植生の変化は、
マンモスやトナカイ、あるいはナウマンゾウやオオツノジカなどの大型哺乳動物の生息環境を悪化させ
、約1万年前までには、日本列島から、これらの大型哺乳動物がほぼ絶滅してしまいました。
なお、津軽海峡は最大水深が約450mと深かったので、氷期でも陸続きとならずに
海峡として存在していましたので、
マンモスは北海道までしか来ることができませんでした。
<縄文時代>
縄文時代は、年代でいうと今から約1万6000年前から約2500年前まであり、
世界史では中石器時代ないし新石器時代に相当する時代です。
縄文時代で最も古い定住集落が発見されているのが九州南部で、およそ1万1000年前に季節的な定住が始まり、
1万年ほど前に通年の定住も開始されたと推測されています。
縄文時代ミズナラ、コナラ、クルミ、クリ、トチノキといった堅果類の採集が盛んに行われるようになりました。
狩猟・植物採取・漁労の3つの新たな生業体系が、縄文時代の生産力を発展させました。
<弥生時代>
一般に約2500年前から約1700年前(西暦300年)までの800年間が
弥生時代とされています。
稲作を中心とする農耕社会が成立し、
北部九州から本州最北端以北を除く日本列島各地へ急速に広まりました。
紀元(西暦0年)前後には100くらいの「国」が中国と通交していたとされています。
当時の日本列島は中国から倭・倭国と呼ばれていました。
2世紀後半に倭国大乱と呼ばれる内乱が生じ、その後邪馬台国の卑弥呼が倭国王となりました。
卑弥呼は魏との通交により倭国連合の安定を図りました。
弥生時代のあとは、古墳時代、飛鳥時代、奈良時代・・・と続いていきます。
<日本における稲作の歴史>
日本では、弥生時代以降が、稲作中心の農耕時代です。
一方、縄文後期、現在から約4000~5000年前に、陸稲の栽培されていた可能性が有力となっています。
水田の開始は弥生時代で約2500年前です。
すなわち、本格的な稲作・農耕社会が始まるのは弥生時代ですが、
縄文後期には一部地域で陸稲の栽培が行われていたようです。
縄文時代の陸稲は、<狩猟・植物採取・漁労>の3つの主たる生業体系に、
プラスαといった位置づけです。
従いまして、「日本人は農耕民族」といったお話は、
「弥生時代」(約2500年前~約1700年前)以降だけにに言えることです。
そして、「旧石器時代」(約38000年前頃~約16000年前)は
もっぱら狩猟が主たる生業です。
「縄文時代」(約1万6000年前~約2500年前)は
<狩猟・植物採取・漁労>の3つが主たる生業となります。
<旧石器時代・縄文時代・弥生時代と虫歯率>
旧石器時代人:虫歯率0%
縄文人:12000~2300年前 狩猟採集 虫歯率8.2%
弥生人(土井ヶ浜):2000年前 農耕 虫歯率19.7%
弥生人(三津):2000年前 農耕 虫歯率16.2%
現代日本人:1993年 虫歯率31.3%
アメリカ先住民:7600年前 狩猟採集 虫歯率0.4%
アメリカ先住民:3000年前 狩猟採集 虫歯率2.4%
オーストラリア先住民:近代 狩猟採集 虫歯率4.6%
イヌイット(グリーンランド):近代 狩猟採集 虫歯率2.2%
イヌイット(アラスカ):近代 狩猟採集 虫歯率1.9%
狩猟が生業だった旧石器時代人は、虫歯率ゼロ、
どんぐりや栗を食べていた縄文人は、虫歯率8%、
米を食べていた弥生人は、虫歯率16%です。
糖質摂取が増えるほど、確実に虫歯率が増えています。
「げに、糖質、恐るべし」ですね。
最後にもう一度「日本人は昔から農耕民族であり・・・」といった話は、
明白な事実誤認であることを強調しておきたいと思います。
本日の原稿は
①アフリカで誕生した人類が日本人になるまで 溝口優司著 ソフトバンク新書
②古病理学辞典 藤田尚編、同成社
を参考にさせて頂きました。
江部康二
よく「日本人は昔から農耕民族であり・・・」といった話をされる医師や栄養士がおられるのですが、
これは事実とは全く異なっています。
すなわち、明白な事実誤認です。
日本列島人類(日本人)は、「狩猟採集時代」のほうが「農耕時代」よりはるかに長い、
というのが、論争の余地のない歴史的事実です。
日本人の始まりは、約38000年前からの旧石器時代(約22000年間続いた)です。
その後、約16000年前から縄文時代が始まります。
縄文時代が、約13500年間続いた後、
約2500年前から弥生時代が始まります。
つまり、日本人は、約35500年間の狩猟・採集時代を経て、約2500年前から稲作時代に移行したこととなります。
<狩猟・採集時代:農耕時代>は<35500年:2500年>で<14:1>です。
従って、日本人は狩猟・採集時代に比べると農耕民族の歴史は、極めて浅いと言えます。
それでは、日本人の「狩猟採集時代」と「農耕時代」を振り返って検討してみます。
<旧石器時代>
日本列島に初めて人類が移住してきたのが約38000年前で、旧石器時代と呼ばれています。
縄文以前の38000年前頃から16000年前までの旧石器時代の日本列島では、
マンモスやナウマンゾウやニホンシカ、イノシシなど狩猟が生業だったようです。
旧石器時代の人々は、大型哺乳動物を追い、
キャンプ生活・遊動生活を営みながら頻繁に移動生活を繰り返してきました。
<旧石器から縄文へ>
最終氷期(ウルム氷期)は、約2万年前の最盛期が過ぎると地球規模で温暖化に向かいました。
そして温暖化により海位が徐々に上昇していきました。
約13000年前には海位は100m以上上昇して、中国大陸と陸続きであったところに現在の日本海が出現し、
1万年前に氷期が終わります。
ウルム氷期は7万年前に始まり、1万年前に終了です。
そして、針葉樹林が日本列島全体に生えていたのが、
西南日本から太平洋沿岸伝いに落葉広葉樹林が拡がり、
北海道を除いて列島のほとんどが落葉広葉樹林と照葉樹林におきかわりました。
コナラ亜属やブナ属、クリ属など堅果類が繁茂するようになりました。
また、温暖化による植生の変化は、
マンモスやトナカイ、あるいはナウマンゾウやオオツノジカなどの大型哺乳動物の生息環境を悪化させ
、約1万年前までには、日本列島から、これらの大型哺乳動物がほぼ絶滅してしまいました。
なお、津軽海峡は最大水深が約450mと深かったので、氷期でも陸続きとならずに
海峡として存在していましたので、
マンモスは北海道までしか来ることができませんでした。
<縄文時代>
縄文時代は、年代でいうと今から約1万6000年前から約2500年前まであり、
世界史では中石器時代ないし新石器時代に相当する時代です。
縄文時代で最も古い定住集落が発見されているのが九州南部で、およそ1万1000年前に季節的な定住が始まり、
1万年ほど前に通年の定住も開始されたと推測されています。
縄文時代ミズナラ、コナラ、クルミ、クリ、トチノキといった堅果類の採集が盛んに行われるようになりました。
狩猟・植物採取・漁労の3つの新たな生業体系が、縄文時代の生産力を発展させました。
<弥生時代>
一般に約2500年前から約1700年前(西暦300年)までの800年間が
弥生時代とされています。
稲作を中心とする農耕社会が成立し、
北部九州から本州最北端以北を除く日本列島各地へ急速に広まりました。
紀元(西暦0年)前後には100くらいの「国」が中国と通交していたとされています。
当時の日本列島は中国から倭・倭国と呼ばれていました。
2世紀後半に倭国大乱と呼ばれる内乱が生じ、その後邪馬台国の卑弥呼が倭国王となりました。
卑弥呼は魏との通交により倭国連合の安定を図りました。
弥生時代のあとは、古墳時代、飛鳥時代、奈良時代・・・と続いていきます。
<日本における稲作の歴史>
日本では、弥生時代以降が、稲作中心の農耕時代です。
一方、縄文後期、現在から約4000~5000年前に、陸稲の栽培されていた可能性が有力となっています。
水田の開始は弥生時代で約2500年前です。
すなわち、本格的な稲作・農耕社会が始まるのは弥生時代ですが、
縄文後期には一部地域で陸稲の栽培が行われていたようです。
縄文時代の陸稲は、<狩猟・植物採取・漁労>の3つの主たる生業体系に、
プラスαといった位置づけです。
従いまして、「日本人は農耕民族」といったお話は、
「弥生時代」(約2500年前~約1700年前)以降だけにに言えることです。
そして、「旧石器時代」(約38000年前頃~約16000年前)は
もっぱら狩猟が主たる生業です。
「縄文時代」(約1万6000年前~約2500年前)は
<狩猟・植物採取・漁労>の3つが主たる生業となります。
<旧石器時代・縄文時代・弥生時代と虫歯率>
旧石器時代人:虫歯率0%
縄文人:12000~2300年前 狩猟採集 虫歯率8.2%
弥生人(土井ヶ浜):2000年前 農耕 虫歯率19.7%
弥生人(三津):2000年前 農耕 虫歯率16.2%
現代日本人:1993年 虫歯率31.3%
アメリカ先住民:7600年前 狩猟採集 虫歯率0.4%
アメリカ先住民:3000年前 狩猟採集 虫歯率2.4%
オーストラリア先住民:近代 狩猟採集 虫歯率4.6%
イヌイット(グリーンランド):近代 狩猟採集 虫歯率2.2%
イヌイット(アラスカ):近代 狩猟採集 虫歯率1.9%
狩猟が生業だった旧石器時代人は、虫歯率ゼロ、
どんぐりや栗を食べていた縄文人は、虫歯率8%、
米を食べていた弥生人は、虫歯率16%です。
糖質摂取が増えるほど、確実に虫歯率が増えています。
「げに、糖質、恐るべし」ですね。
最後にもう一度「日本人は昔から農耕民族であり・・・」といった話は、
明白な事実誤認であることを強調しておきたいと思います。
本日の原稿は
①アフリカで誕生した人類が日本人になるまで 溝口優司著 ソフトバンク新書
②古病理学辞典 藤田尚編、同成社
を参考にさせて頂きました。
江部康二
2022年04月15日 (金)
【22/04/15 西村 典彦
ケトン体の日内変動について
以下は私のケトン体(各食事前)と食事(PFC比率)の日内変動です。
脂質割合が70%以上ですからケトン食に近い食事です。
朝食にはココナッツオイルやMCTオイル、オリーブオイル、
バターなどを摂ることが多いです。
4月4日
朝食前 200μmol/L(557kcal, 9%,86%,5%)
昼食前 800μmol/L(662kcal, 19%,74%,7%)
夕食前 700μmol/L(705kcal, 20%,75%,5%)
翌朝 200μmol/L
4月14日
朝食前 200μmol/L(415kcal, 18%,71%,11%)
昼食前 400μmol/L(623kcal, 15%,75%,10%)
夕食前 400μmol/L(876kcal, 17%,75%, 9%)
※ケトン体値はβヒドロキシ酪酸値で、リブレのケトン電極で測定したものです。
このデータでは分かりませんが、
糖質を多めに摂った日が続くとその後にしっかりと制限しても数日間はケトン体は増えにくい傾向がみられます。
体内のブドウ糖が残っているのでしょうか。
また、PFC比率だけではなく食事量(総カロリー)が少ないと増える傾向にあります。
例えば極端に言えば絶食の後は増えます。
前日の夕食前よりも翌朝のケトン体は、ほとんどの場合、減少します。
寝ている間のエネルギー消費が少ないためでしょうか。
私自身の傾向はある程度はつかんでいますが、
血糖値の予測(摂取糖質量でほぼ分かる)のようには分からない事が多いです。
分かっているのは、朝食前が最も少なく、昼食前が一番多いと言う事ですが、
これには食事のパターンが影響しています。
また、体内の糖を枯渇させ、脂肪分の多い食事を摂れば確実に増加すると言う事です。
以上、参考まで。】
こんにちは。
ケトン体の日内変動について
西村典彦さんから、コメントを頂きました。
とても参考になります。
ありがとうございます。
【4月4日
朝食前 200μmol/L(557kcal, P:9%, F:86%, C:5%)
昼食前 800μmol/L(662kcal, P:19%, F:74%, C:7%)
夕食前 700μmol/L(705kcal, P:20%, F:75%, C:5%)
翌朝 200μmol/L】
βヒドロキシ酪酸(BHB)の基準値は、74 μmol/L以下くらいですので、
昼食前とか夕食前は結構高値です。
これは、朝食も昼食も夕食も、ケトン食レベルのPFC比率であるからと思います。
特に、朝食のFが86%と高値であり、まさにケトン食なので、
昼食前のBHBが高値となったと思われます。
朝食前のBHBが200μmol/Lと、昼食や夕食前より、
やや低くなっているのは、眠っている最中にBHBが身体のエネルギー源として
利用された結果、下がったものと考えられます。
赤血球だけは、24時間常に、ブドウ糖しかエネルギー源にできませんが
人体の他の細胞は、
空腹時や睡眠時は<脂肪酸-ケトン体>を主たるエネルギー源としています。
【糖質を多めに摂った日が続くとその後にしっかりと制限しても数日間はケトン体は増えにくい傾向がみられます。】
糖質ありの普通食から、ケトン食にきりかえても、
2~3日間、あるいは数日間は、血中ケトン体が高値になりません。
2日間で高値になる人と数日かかる人と、個人差があります。
【PFC比率だけではなく食事量(総カロリー)が少ないと増える傾向にあります。
例えば極端に言えば絶食の後は増えます。】
そうですね。
ご指摘通りと思います。
絶食療法(超少食療法)のときは、
甲田光雄先生の<すまし汁断食>だと総ケトン体3000~4000μmol/Lくらいになり、
<スーパー糖質制限食断食>だと、総ケトン体5000~6000μmol/Lくらいになります。
以下は、1991年に私が、
甲田光雄先生推奨のすまし汁断食(210kcalの黒砂糖、3gの塩)
を行った時のデータが以下です。
3日間の漸減食
3日間の210kcal/日の超少食期
3日間の漸増食
というパターンです。
1991年
3/4 1200kcal/日
3/5 1200
3/6 1200
3/7 1000
3/8 700
3/9 330
3/10 210
3/11 210
3/12 210
3/13 350
3/14 600
3/15 1000
3/16 1200
3/17 1600
3/18 1600
3/13、断食(超少食期)あけの朝で
βヒドロキシ酪酸:3507μM/L
空腹時血糖値:52mg/dl
でした。
すまし汁断食中は、外来業務、病棟業務、テニスクラブでテニス・・・要するに、
ごく普通の日常を送っていました。
2015年2月に
高雄病院に入院されて超少食療法を実践された男性のデータも示します。
この男性は、スーパー糖質制限食流の超少食療法を実践されました。
すなわち、甲田式の黒砂糖はなしで、豆腐を主として超少食療法です。
甲田式すまし汁断食に比べて、スーパー糖質制限食流の超少食療法のほうが
ケトン体は高値となります。
断食(超少食期:210kcal/日)あけの朝で
空腹時血糖値:41mg/dl
βヒドロキシ酪酸:5562μM/L
というデータでしたが、全く普通に喋って歩いて問題なしでした。
江部康二
ケトン体の日内変動について
以下は私のケトン体(各食事前)と食事(PFC比率)の日内変動です。
脂質割合が70%以上ですからケトン食に近い食事です。
朝食にはココナッツオイルやMCTオイル、オリーブオイル、
バターなどを摂ることが多いです。
4月4日
朝食前 200μmol/L(557kcal, 9%,86%,5%)
昼食前 800μmol/L(662kcal, 19%,74%,7%)
夕食前 700μmol/L(705kcal, 20%,75%,5%)
翌朝 200μmol/L
4月14日
朝食前 200μmol/L(415kcal, 18%,71%,11%)
昼食前 400μmol/L(623kcal, 15%,75%,10%)
夕食前 400μmol/L(876kcal, 17%,75%, 9%)
※ケトン体値はβヒドロキシ酪酸値で、リブレのケトン電極で測定したものです。
このデータでは分かりませんが、
糖質を多めに摂った日が続くとその後にしっかりと制限しても数日間はケトン体は増えにくい傾向がみられます。
体内のブドウ糖が残っているのでしょうか。
また、PFC比率だけではなく食事量(総カロリー)が少ないと増える傾向にあります。
例えば極端に言えば絶食の後は増えます。
前日の夕食前よりも翌朝のケトン体は、ほとんどの場合、減少します。
寝ている間のエネルギー消費が少ないためでしょうか。
私自身の傾向はある程度はつかんでいますが、
血糖値の予測(摂取糖質量でほぼ分かる)のようには分からない事が多いです。
分かっているのは、朝食前が最も少なく、昼食前が一番多いと言う事ですが、
これには食事のパターンが影響しています。
また、体内の糖を枯渇させ、脂肪分の多い食事を摂れば確実に増加すると言う事です。
以上、参考まで。】
こんにちは。
ケトン体の日内変動について
西村典彦さんから、コメントを頂きました。
とても参考になります。
ありがとうございます。
【4月4日
朝食前 200μmol/L(557kcal, P:9%, F:86%, C:5%)
昼食前 800μmol/L(662kcal, P:19%, F:74%, C:7%)
夕食前 700μmol/L(705kcal, P:20%, F:75%, C:5%)
翌朝 200μmol/L】
βヒドロキシ酪酸(BHB)の基準値は、74 μmol/L以下くらいですので、
昼食前とか夕食前は結構高値です。
これは、朝食も昼食も夕食も、ケトン食レベルのPFC比率であるからと思います。
特に、朝食のFが86%と高値であり、まさにケトン食なので、
昼食前のBHBが高値となったと思われます。
朝食前のBHBが200μmol/Lと、昼食や夕食前より、
やや低くなっているのは、眠っている最中にBHBが身体のエネルギー源として
利用された結果、下がったものと考えられます。
赤血球だけは、24時間常に、ブドウ糖しかエネルギー源にできませんが
人体の他の細胞は、
空腹時や睡眠時は<脂肪酸-ケトン体>を主たるエネルギー源としています。
【糖質を多めに摂った日が続くとその後にしっかりと制限しても数日間はケトン体は増えにくい傾向がみられます。】
糖質ありの普通食から、ケトン食にきりかえても、
2~3日間、あるいは数日間は、血中ケトン体が高値になりません。
2日間で高値になる人と数日かかる人と、個人差があります。
【PFC比率だけではなく食事量(総カロリー)が少ないと増える傾向にあります。
例えば極端に言えば絶食の後は増えます。】
そうですね。
ご指摘通りと思います。
絶食療法(超少食療法)のときは、
甲田光雄先生の<すまし汁断食>だと総ケトン体3000~4000μmol/Lくらいになり、
<スーパー糖質制限食断食>だと、総ケトン体5000~6000μmol/Lくらいになります。
以下は、1991年に私が、
甲田光雄先生推奨のすまし汁断食(210kcalの黒砂糖、3gの塩)
を行った時のデータが以下です。
3日間の漸減食
3日間の210kcal/日の超少食期
3日間の漸増食
というパターンです。
1991年
3/4 1200kcal/日
3/5 1200
3/6 1200
3/7 1000
3/8 700
3/9 330
3/10 210
3/11 210
3/12 210
3/13 350
3/14 600
3/15 1000
3/16 1200
3/17 1600
3/18 1600
3/13、断食(超少食期)あけの朝で
βヒドロキシ酪酸:3507μM/L
空腹時血糖値:52mg/dl
でした。
すまし汁断食中は、外来業務、病棟業務、テニスクラブでテニス・・・要するに、
ごく普通の日常を送っていました。
2015年2月に
高雄病院に入院されて超少食療法を実践された男性のデータも示します。
この男性は、スーパー糖質制限食流の超少食療法を実践されました。
すなわち、甲田式の黒砂糖はなしで、豆腐を主として超少食療法です。
甲田式すまし汁断食に比べて、スーパー糖質制限食流の超少食療法のほうが
ケトン体は高値となります。
断食(超少食期:210kcal/日)あけの朝で
空腹時血糖値:41mg/dl
βヒドロキシ酪酸:5562μM/L
というデータでしたが、全く普通に喋って歩いて問題なしでした。
江部康二
2022年04月14日 (木)
こんにちは。
新型コロナ新規感染者数、
日本で、2022/2/11くらいで一旦、ピークアウトしたように見えましたが、
その後しばらくして、再び増加パターンに変化しています。
現在主流のオミクロン株には、既存の新型コロナワクチンの効果は、ほぼ期待できません。
現実に、世界各国をみても、
ワクチン接種率が高い国のほうが、接種率が低い国よりも
人口100万人あたりの感染者数が多い状況が続いています。
私たちは糖質制限食実践で、免疫力を向上させて、身を守りましょう。
さて、
ユーチューブ
ドクター江部の糖質オフ!健康トーク
▼ vol.11『糖質制限食が有効な疾患<後半>』
https://youtu.be/UrWO4YmNXZE
の御案内です。
<前半>
糖尿病
内臓脂肪肥満
メタボリックシンドローム
肥満
<後半>
その他、ほぼ全ての生活習慣病:
高血圧、脂質異常症、逆流性食道炎、片頭痛、
にきび、歯周病、潰瘍性大腸炎、アトピー性皮膚炎、
喘息、尋常性乾癬など。
江部康二
以下、事務局からのお知らせです。
*********
ブログ読者の皆様、弊会のYouTube動画を多数ご覧いただいておりまして、ありがとうございます。
江部理事長による動画「ドクター江部の糖質オフ!健康トーク
vol.11」の配信をご案内申し上げます。
テーマは、前回に続いて「糖質制限食が有効な疾患」です。
今回は、逆流性食道炎、歯周病、にきび、花粉症、アトピー性皮膚炎、喘息、高血圧、脂質異常症、尋常性乾癬、片頭痛、潰瘍性大腸炎の改善例についてお話しております。
ドクター江部の糖質オフ!健康トーク
▼ vol.11『糖質制限食が有効な疾患<後半>』
https://youtu.be/UrWO4YmNXZE
ご覧いただけますと、また、ご興味のある方へシェアしていただけますと幸いです。
▼協会YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCdh9uz2_XnhDyJj9pHDDW1A
一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会
https://www.toushitsuseigen.or.jp/
*********
新型コロナ新規感染者数、
日本で、2022/2/11くらいで一旦、ピークアウトしたように見えましたが、
その後しばらくして、再び増加パターンに変化しています。
現在主流のオミクロン株には、既存の新型コロナワクチンの効果は、ほぼ期待できません。
現実に、世界各国をみても、
ワクチン接種率が高い国のほうが、接種率が低い国よりも
人口100万人あたりの感染者数が多い状況が続いています。
私たちは糖質制限食実践で、免疫力を向上させて、身を守りましょう。
さて、
ユーチューブ
ドクター江部の糖質オフ!健康トーク
▼ vol.11『糖質制限食が有効な疾患<後半>』
https://youtu.be/UrWO4YmNXZE
の御案内です。
<前半>
糖尿病
内臓脂肪肥満
メタボリックシンドローム
肥満
<後半>
その他、ほぼ全ての生活習慣病:
高血圧、脂質異常症、逆流性食道炎、片頭痛、
にきび、歯周病、潰瘍性大腸炎、アトピー性皮膚炎、
喘息、尋常性乾癬など。
江部康二
以下、事務局からのお知らせです。
*********
ブログ読者の皆様、弊会のYouTube動画を多数ご覧いただいておりまして、ありがとうございます。
江部理事長による動画「ドクター江部の糖質オフ!健康トーク
vol.11」の配信をご案内申し上げます。
テーマは、前回に続いて「糖質制限食が有効な疾患」です。
今回は、逆流性食道炎、歯周病、にきび、花粉症、アトピー性皮膚炎、喘息、高血圧、脂質異常症、尋常性乾癬、片頭痛、潰瘍性大腸炎の改善例についてお話しております。
ドクター江部の糖質オフ!健康トーク
▼ vol.11『糖質制限食が有効な疾患<後半>』
https://youtu.be/UrWO4YmNXZE
ご覧いただけますと、また、ご興味のある方へシェアしていただけますと幸いです。
▼協会YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCdh9uz2_XnhDyJj9pHDDW1A
一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会
https://www.toushitsuseigen.or.jp/
*********
2022年04月13日 (水)
こんにちは。
スーパー糖質制限食やケトン食実践で、
血中ケトン体が上昇します。
しかしながらケトン体の上昇には、かなり個人差があります。
<スーパー糖質制限食>
通常スーパー糖質制限食(糖質12%、脂質56%、タンパク質)でも、
400~800~1200 μM/Lくらいになる人が多いですが。
200 μM/Lくらいの人もいます。
私自身も同じような食事(スーパー糖質制限食)をしているつもりなのですが、
総ケトン体値は、
200~400~800~1200と結構ばらつきます。
理由は、よくわかりません。
ココナッツオイルやMCTオイルなど中鎖脂肪酸を摂取すると
ケトン体は上昇しやすいです。
またケトン体の日内変動もあるようですが、
私もしっかり把握はしていません。
一方、ケトン食レベルの食事だと
ケトン体は確実に上昇します。
<Ketogenic Diet(ケトン食)>
<脂肪>:<非脂肪(炭水化物+たんぱく質)>の重量比がケトン比です。
基本のケトン食はケトン比が3:1です。
例えばわかりやすく
<脂質90g:非脂肪(炭水化物+たんぱく質)30g>
で、ケトン比が3:1です。
脂肪が810kcal、非脂肪(炭水化物+たんぱく質)が120kcalなので
脂質摂取比率は約87%と高値です。
ケトン食は小児難治性てんかんの治療食として、確立しています。
ケトン食実践だと、
血中総ケトン体値は
4000~5000 μM/L(基準値26~122)レベルとなります。
ケトン体はこのように高値となりますが、
インスリン作用があるていど保たれていれば、安全なものです。
ついでに
ケトン食とスーパー糖質制限食の違いについて考えてみます。
<ケトン食とスーパー糖質制限食の違い>
ケトン食だど、脂質摂取比率87%で、
血中総ケトン体は、4000~5000μM/Lレベルとなります。
これくらいケトン体が高値だと、尿中ケトン体も常に陽性です。
つまり、体内で利用しきれない血中ケトン体が尿中に出続けるということであり、
難治性てんかんの治療には、それほど高濃度のケトン体が必要となります。
このレベルの高濃度のケトン体値は、人類のご先祖もあまり経験していないと思われます。
従ってケトン食はあくまでも治療食であり、人類本来の食事ということではありません。
一方、スーパー糖質制限食は脂質摂取比率が56%くらいです。
たんぱく質は32%くらい、糖質は12%くらいです。
これらは、高雄病院給食一週間のメニューの平均値ですから、
個々の食事ではそこそこのバラツキはあります。
スーパー糖質制限食の場合は、
当初は尿中ケトン体が陽性となりますが1~3ヶ月くらいで陰性となります。
血中総ケトン体は、400~800~1200μM/Lレベルですが、
心筋や骨格筋や体細胞がしっかりケトン体を利用して、
腎臓の再吸収の効率も良くなるので、尿中には排泄されなくなります。
つまり血中ケトン体は全て体内で利用されています。
スーパー糖質制限食は、狩猟・採集時代700万年間の人類の食生活が目安であり、
糖尿病の治療食ではありますが、
その本質は人類本来の食事、人類の健康食と言えます。
<結論>
1、ケトン食は「治療食」である。
2、スーパー糖質制限食は、「治療食」かつ「人類の健康食」である。
江部康二
スーパー糖質制限食やケトン食実践で、
血中ケトン体が上昇します。
しかしながらケトン体の上昇には、かなり個人差があります。
<スーパー糖質制限食>
通常スーパー糖質制限食(糖質12%、脂質56%、タンパク質)でも、
400~800~1200 μM/Lくらいになる人が多いですが。
200 μM/Lくらいの人もいます。
私自身も同じような食事(スーパー糖質制限食)をしているつもりなのですが、
総ケトン体値は、
200~400~800~1200と結構ばらつきます。
理由は、よくわかりません。
ココナッツオイルやMCTオイルなど中鎖脂肪酸を摂取すると
ケトン体は上昇しやすいです。
またケトン体の日内変動もあるようですが、
私もしっかり把握はしていません。
一方、ケトン食レベルの食事だと
ケトン体は確実に上昇します。
<Ketogenic Diet(ケトン食)>
<脂肪>:<非脂肪(炭水化物+たんぱく質)>の重量比がケトン比です。
基本のケトン食はケトン比が3:1です。
例えばわかりやすく
<脂質90g:非脂肪(炭水化物+たんぱく質)30g>
で、ケトン比が3:1です。
脂肪が810kcal、非脂肪(炭水化物+たんぱく質)が120kcalなので
脂質摂取比率は約87%と高値です。
ケトン食は小児難治性てんかんの治療食として、確立しています。
ケトン食実践だと、
血中総ケトン体値は
4000~5000 μM/L(基準値26~122)レベルとなります。
ケトン体はこのように高値となりますが、
インスリン作用があるていど保たれていれば、安全なものです。
ついでに
ケトン食とスーパー糖質制限食の違いについて考えてみます。
<ケトン食とスーパー糖質制限食の違い>
ケトン食だど、脂質摂取比率87%で、
血中総ケトン体は、4000~5000μM/Lレベルとなります。
これくらいケトン体が高値だと、尿中ケトン体も常に陽性です。
つまり、体内で利用しきれない血中ケトン体が尿中に出続けるということであり、
難治性てんかんの治療には、それほど高濃度のケトン体が必要となります。
このレベルの高濃度のケトン体値は、人類のご先祖もあまり経験していないと思われます。
従ってケトン食はあくまでも治療食であり、人類本来の食事ということではありません。
一方、スーパー糖質制限食は脂質摂取比率が56%くらいです。
たんぱく質は32%くらい、糖質は12%くらいです。
これらは、高雄病院給食一週間のメニューの平均値ですから、
個々の食事ではそこそこのバラツキはあります。
スーパー糖質制限食の場合は、
当初は尿中ケトン体が陽性となりますが1~3ヶ月くらいで陰性となります。
血中総ケトン体は、400~800~1200μM/Lレベルですが、
心筋や骨格筋や体細胞がしっかりケトン体を利用して、
腎臓の再吸収の効率も良くなるので、尿中には排泄されなくなります。
つまり血中ケトン体は全て体内で利用されています。
スーパー糖質制限食は、狩猟・採集時代700万年間の人類の食生活が目安であり、
糖尿病の治療食ではありますが、
その本質は人類本来の食事、人類の健康食と言えます。
<結論>
1、ケトン食は「治療食」である。
2、スーパー糖質制限食は、「治療食」かつ「人類の健康食」である。
江部康二
2022年04月12日 (火)
こんにちは。
糖質を食べると食後血糖値は必ず上昇します。
しかし、インスリン作用が正常なら、血糖値の上昇はコントロールされるので
食後高血糖にはなりません。
この食後高血糖(IGT)という言葉は、結構よく使用します。
では、正式な「食後高血糖」の定義はご存知でしょうか?
シンプルに、食後2時間血糖値が140mg/dl以上あれば、食後高血糖です。
国際糖尿病連合によれば、
食後1~2時間の血糖値が160mg/dl未満が目標です。
食後2時間血糖値が、200mg/dlを超えたら、「糖尿病型」ですので、
具体的には「食後高血糖」とは、
食後2時間血糖値が、140~199mg/dlの間の数値をさすこととなります。
若年正常人では、食後血糖値が140mg/dLを超えることはほとんどありません。
そして、食後2~3時間以内に食事の前の値に戻ります。
食後1時間血糖値が180mg/dlを超えていると、食後2時間血糖値が140mg/dl未満で正常でも、
将来糖尿病になりやすいことがわかっています。
40代~50代になると、普通に糖質を摂取して1時間後血糖値が
180mg/dlを超える人が増えていきますので要注意なのです。
糖質制限食なら、食後1時間値が180mg/dlを超えたり
食後2時間値が140mg/dlを超えることはまずないので、
将来の糖尿病発症が予防できます。
糖尿病前段階の食後高血糖が何故問題になるかというと、
心筋梗塞などの合併症リスクが結構あるからです。
日本人を対象に実施された大規模研究「舟形町コホート」(☆)でも、
食後血糖値が高めの耐糖能異常(IGT)は
心血管死および総死亡のの危険因子であることが示されました。
すなわち「食後高血糖(糖尿病予備群・IGT)」は糖尿病前段階ですが、
死亡リスクが上昇することが日本人の研究で確認されたということです。
一方、空腹時血糖値が110~125mg/dlで食後高血糖がないタイプ(IFG)は
総死亡と心血管死について、
正常型群と優位差がありませんでした。
*IFG:空腹時血糖値やや高値、110~125mg/dl
*IGT:食後高血糖、食後2時間血糖値が140~199mg/dl
このように同じ、境界型の糖尿病予備群でも
「食後高血糖(IGT)」と「空腹時血糖障害(IFG)」
では、死亡リスクが全く異なることが、舟形町研究で明らかとなりました。
げに「食後高血糖(IGT)」、恐るべしです。
なお、通常の健康診断では、糖尿病に関しては、
空腹時血糖値とHbA1cしか検査しません。
①空腹時血糖値正常、HbA1c正常、食後高血糖なし。→質のいいHbA1c
②空腹時血糖値正常、HbA1c正常、食後高血糖あり。→質の悪いHbA1c
現実には、①と②のパターンがあります。
②の質の悪いHbA1cパターンの場合は、「食後高血糖」と「空腹時低血糖」の平均値が
示されており、「平均血糖変動幅増大」もあるので合併症リスクが大きいです。
従来の糖尿病食を食べて、インスリンやSU剤で血糖を下げようとした場合、
②のパターンが多いです。
実際、糖尿病合併症(透析・切断・失明)は減少していません。
一方、①のパターンは、スーパー糖質制限食で、薬なしで、血糖コントロールを
目指した場合です。
こちらは合併症リスクがありません。
②のパターンの場合は、食後高血糖はほぼ確実に見逃すこととなりますので
合併症を防ぐことは困難です。
ご用心、ご用心。
(☆)参照
糖尿病ネットワーク
https://dm-net.co.jp/daikibo/funagata_study_2/
2016年09月12日
Funagata Study(2)
舟形町研究
図1:NGT群、IGT群、糖尿病群での累積生存割合(生命表法による)
A: 総死亡についての累積生存割合
IGT群、糖尿病群、どちらもNGT群と比較して有意に低い
B: 心血管疾患(冠動脈疾患と脳卒中)による死亡についての累積生存割合
やはりIGT群、糖尿病群どちらもNGT群と比較して有意に低い
死因を心血管疾患に限定した結果が図1Bです。追跡期間終了時点での各群の累積生存割合はNGT群で0.988、IGT群で0.962、糖尿病群で0.954となり、やはり両群ともNGT群より有意に低下していました。NGT群と比べて、IGT群では4年目から累積生存割合が有意に低下しており、総死亡の場合と比べて2年早く有意な差がついていました。
江部康二
糖質を食べると食後血糖値は必ず上昇します。
しかし、インスリン作用が正常なら、血糖値の上昇はコントロールされるので
食後高血糖にはなりません。
この食後高血糖(IGT)という言葉は、結構よく使用します。
では、正式な「食後高血糖」の定義はご存知でしょうか?
シンプルに、食後2時間血糖値が140mg/dl以上あれば、食後高血糖です。
国際糖尿病連合によれば、
食後1~2時間の血糖値が160mg/dl未満が目標です。
食後2時間血糖値が、200mg/dlを超えたら、「糖尿病型」ですので、
具体的には「食後高血糖」とは、
食後2時間血糖値が、140~199mg/dlの間の数値をさすこととなります。
若年正常人では、食後血糖値が140mg/dLを超えることはほとんどありません。
そして、食後2~3時間以内に食事の前の値に戻ります。
食後1時間血糖値が180mg/dlを超えていると、食後2時間血糖値が140mg/dl未満で正常でも、
将来糖尿病になりやすいことがわかっています。
40代~50代になると、普通に糖質を摂取して1時間後血糖値が
180mg/dlを超える人が増えていきますので要注意なのです。
糖質制限食なら、食後1時間値が180mg/dlを超えたり
食後2時間値が140mg/dlを超えることはまずないので、
将来の糖尿病発症が予防できます。
糖尿病前段階の食後高血糖が何故問題になるかというと、
心筋梗塞などの合併症リスクが結構あるからです。
日本人を対象に実施された大規模研究「舟形町コホート」(☆)でも、
食後血糖値が高めの耐糖能異常(IGT)は
心血管死および総死亡のの危険因子であることが示されました。
すなわち「食後高血糖(糖尿病予備群・IGT)」は糖尿病前段階ですが、
死亡リスクが上昇することが日本人の研究で確認されたということです。
一方、空腹時血糖値が110~125mg/dlで食後高血糖がないタイプ(IFG)は
総死亡と心血管死について、
正常型群と優位差がありませんでした。
*IFG:空腹時血糖値やや高値、110~125mg/dl
*IGT:食後高血糖、食後2時間血糖値が140~199mg/dl
このように同じ、境界型の糖尿病予備群でも
「食後高血糖(IGT)」と「空腹時血糖障害(IFG)」
では、死亡リスクが全く異なることが、舟形町研究で明らかとなりました。
げに「食後高血糖(IGT)」、恐るべしです。
なお、通常の健康診断では、糖尿病に関しては、
空腹時血糖値とHbA1cしか検査しません。
①空腹時血糖値正常、HbA1c正常、食後高血糖なし。→質のいいHbA1c
②空腹時血糖値正常、HbA1c正常、食後高血糖あり。→質の悪いHbA1c
現実には、①と②のパターンがあります。
②の質の悪いHbA1cパターンの場合は、「食後高血糖」と「空腹時低血糖」の平均値が
示されており、「平均血糖変動幅増大」もあるので合併症リスクが大きいです。
従来の糖尿病食を食べて、インスリンやSU剤で血糖を下げようとした場合、
②のパターンが多いです。
実際、糖尿病合併症(透析・切断・失明)は減少していません。
一方、①のパターンは、スーパー糖質制限食で、薬なしで、血糖コントロールを
目指した場合です。
こちらは合併症リスクがありません。
②のパターンの場合は、食後高血糖はほぼ確実に見逃すこととなりますので
合併症を防ぐことは困難です。
ご用心、ご用心。
(☆)参照
糖尿病ネットワーク
https://dm-net.co.jp/daikibo/funagata_study_2/
2016年09月12日
Funagata Study(2)
舟形町研究
図1:NGT群、IGT群、糖尿病群での累積生存割合(生命表法による)
A: 総死亡についての累積生存割合
IGT群、糖尿病群、どちらもNGT群と比較して有意に低い
B: 心血管疾患(冠動脈疾患と脳卒中)による死亡についての累積生存割合
やはりIGT群、糖尿病群どちらもNGT群と比較して有意に低い
死因を心血管疾患に限定した結果が図1Bです。追跡期間終了時点での各群の累積生存割合はNGT群で0.988、IGT群で0.962、糖尿病群で0.954となり、やはり両群ともNGT群より有意に低下していました。NGT群と比べて、IGT群では4年目から累積生存割合が有意に低下しており、総死亡の場合と比べて2年早く有意な差がついていました。
江部康二
2022年04月11日 (月)
こんにちは。
私は、2002年、52歳の時に自分が糖尿病と発覚してから、
できれば薬を飲まずに済むようにと、徹底的に糖尿病の食事療法を研究しました。
その結果、既に糖尿病を患っている人には、『糖質制限食』がベストの選択である、との結論に達しました。
糖尿病を発症したら、その時点でもう体内の糖質を処理する
システム(インスリン作用)が破綻していて、
糖質を普通に食べることができない身体になっているということなのです。
そして糖尿病発症を確実に予防できるのは、糖質制限食だけなのです。
もう少し早く、40歳でこのことに気がついていていれば、
糖尿病にならずにすんだのにと、今更ながら残念な思いです。
父も母も糖尿病ですから、いつか来る道と解ってはいたのですが、
結果として油断でした。
糖尿病の人や肥満・メタボリックシンドロームや生活習慣病の人の治療・予防には
スーパー糖質制限食がベストの食事療法です。
そして 『糖質制限食』実践により、
糖尿病の人では「食後高血糖(グルコーススパイク)」「血糖変動幅増大」が予防でき、
血糖コントロール良好となり、合併症が予防できます。
糖尿病の人が、従来の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)を食べれば、
必ず「食後高血糖」と「血糖変動幅増大」を生じるので、合併症予防は困難です。
耐糖能正常型の人においても、「グルコースミニスパイク」が予防できるので、
生活習慣病の予防・治療が期待できます。
生活習慣病の根本要因は、
頻回過剰のグルコースミニスパイクとそれに伴う頻回過剰のインスリン追加分泌です。
血糖値に直接影響を与えるのは糖質のみであり、
タンパク質・脂質は直接血糖に影響を与えることはありません。
従って、糖尿病の人の「食後高血糖(グルコーススパイク)」「血糖変動幅増大」、
耐糖能正常型の人の「グルコースミニスパイク」、
を予防できるのは、スーパー糖質制限食のみです。
このことが食事療法において根源的に大切です。
今回は
『糖質制限食十箇条』2022年版
のご紹介です。
『糖質制限食十箇条』2022年版
-糖尿病や肥満が気になる人に-
一、 糖質の摂取を減らす。可能なら一回の食事の糖質量は20g以下とする。
二、 糖質制限した分、タンパク質や脂質が主成分の食品は充分量食べる。
三、やむを得ず主食(ご飯、パン、麺類など)を摂るときは少量とする。
四、水、番茶、麦茶、ほうじ茶などゼロカロリー飲料はOK。果汁・清涼飲料水はNG。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類はOK。果物はなしかごく少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)、糖質ゼロビールはOK。辛口ワインも適量OK。
醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツはNG。
十、可能なら化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
*糖尿病の人がやむを得ず糖質を摂取するときは、
食直前に、「αGI剤」か「グリニド系薬剤」を内服すると、食後高血糖がある程度防げる。
*牛乳は100mlくらいならOK。成分未調整豆乳は200mlくらいOK。
*肉類と魚貝類の摂取量は<1:1>が目安。
『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
1回の食事の糖質量は20g以下。
二、スタンダード糖質制限食は、一日一回(朝か昼)少量の主食あり。夕食は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。朝と昼は少量の主食あり。
嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
☆
抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。
☆
魚貝・肉・卵・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べる。
糖質制限食の理論的根拠
1、血糖値を直接上昇させるのは糖質だけで、たんぱく質・脂質は上昇させない。
2、糖質を摂取しなければ血糖値は上昇しない。
3、糖質制限食を実践すれば食後血糖値はほとんど上昇せず糖尿病は改善する。
4、食前・食後の血糖値血糖変動幅が少ないので生活習慣病の予防ができる。
5、食後血糖値の上昇が極めて少ないので、追加分泌インスリンも少量ですむ。
6、過剰なインスリンは肥満・がん・アルツハイマー病などのリスクとなるので、
血糖コントロールができる限りで少量であるほど身体にはいい。
ということで、とてもシンプルです。
上記6つは、生理学的な事実やエビデンスがあることですので信頼度は高いです。
糖質制限食実践前のご注意
診断基準を満たす膵炎がある場合、肝硬変の場合、
そして長鎖脂肪酸代謝異常症・尿素サイクル異常症は、
糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
慢性腎臓病(IgA腎症など)も、原則として適応となりません。
糖尿病腎症は、医師と相談の必要があります。
なお本にも書きましたが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため、既に経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、
以下の本などを参考にされて、
自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
推奨著書
主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ」2005年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008年
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009年 宮本輝先生との対談本
「やせる食べ方」2010年
「うちの母は糖尿人」2010年 監修:江部康二 著:伊藤きのと
(東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010年(ナツメ社)
腹いっぱい食べて楽々痩せる『満腹ダイエット』 (ソフトバンク新書)2011年
「主食をやめると健康になる」(ダイヤモンド社)2011年
「血糖コントロールの新常識! 糖質制限 完全ガイド」 (別冊宝島)2012年
「食品別糖質量ハンドブック」2012年(洋泉社)、
「糖質オフ!健康法」(PHP文庫)2012年
「主食を抜けば糖尿病はよくなる!糖質制限食のすすめ」(文春文庫)2012年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」(文春文庫)2012年
「女性のための糖質制限ダイエットハンドブック」2012年(洋泉社)
「糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド」2013年(東洋経済新報社)
「医療の巨大転換を加速する」糖質制限食と湿潤療法のインパクト
2013年(東洋経済新報社) 夏井睦先生との対談本
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ 新版」2014年(東洋経済新報社)
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!2 実践編 新版」2014年(東洋経済新報社)
「炭水化物の食べ過ぎで早死にしてはいけません」2014年(東洋経済新報社)
一生太らない「やせる! 食べ方」2014年 (PHP文庫)
江部先生、「糖質制限は危ない」って本当ですか?2015年(洋泉社)
「なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか」2015年(ナツメ社)
「糖質制限の教科書」2015年(洋泉社)監修
「糖質オフ!健康法」2016年3月(PHP研究所 )
「人類最強の糖質制限論」2016年4月(SB新書)
「ハンディ版糖質制限の教科書」2016年4月(洋泉社)
「増補新版食品別糖質量ハンドブック」2016年6月(洋泉社)
「Dr.江部の健康食の新常識100 」(TJMOOK)2016年11月(宝島社)
マンガでわかる「糖質オフ! 」健康法2016年12月、(PHP研究所 )
外食でやせる! 「糖質オフ」で食べても飲んでも太らない体を手に入れる、2017年4月(毎日新聞出版)
「江部康二の糖質制限革命」2017年4月(東洋経済新報社)
「男・50代からの糖質制限」2018年11月(東洋経済新報社)
「内臓脂肪がストン!とおちる食事術」2019年5月(ダイヤモンド社)
「糖質制限の大百科」2019年7月(洋泉社)
「糖質量&炭水化物量ポケットガイド」電子書籍、2019年8月(SBクリエイティブ)
「名医が考えた認知症にならない最強の食事術」2020年6月(宝島社)
「ダイエット・糖質制限に必携! 食品別糖質量ハンドブック」 2020年9月(宝島社)江部 康二監修
医学的に正しい「糖質制限」見るだけノート2020年10月(宝島社)
「体が変わる! 最強の糖質制限食-巣ごもり生活でも太らない!」2021年2月(学研プラス)
「増補新版 糖質制限の大百科」 2021年9月(宝島社)
など多数
レシピ
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006年(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん2009年(アスペクト)
dancyuプレジデントムック 「満腹ダイエット 」 2009年(プレジデント社)
「血糖値を上げない!健康おつまみ109」2010年(東洋経済新報社)
「やせる食べ方レシピ集」 2010年(東洋経済新報社)
「糖質オフダイエット 」2011年(レタスクラブ、角川マーケティング)
「誰もがストレスなくやせられる!糖質制限ダイエット」2011年(講談社)
「主食を抜けば糖尿病はよくなる」レシピ集2011年(東洋経済新報社)
高雄病院の「糖質制限」給食2012年(講談社)
糖尿病がどんどんよくなる「糖質制限食」おすすめレシピ集2012年(ナツメ社)
糖質制限の「主食もどき」レシピ2013年(東洋経済新報社)
高雄病院Dr江部が食べている「糖質制限」ダイエット2013年(講談社)
糖質オフのダイエット弁当2013年(家の光協会)
高雄病院「糖質制限給食」朝 昼 夕 14日間完全プログラム
糖尿病・肥満改善が自宅でできる! 2013年(講談社)
2週間チャレンジ! 糖質制限の太らない生活 2014年(洋泉社mook)
電子レンジで糖質オフの作りおき 2016年10月(宝島社)
「やせぐせがつく糖質オフの作りおき 」2017年3月(宝島社)
「高雄病院の糖質制限作りおき 」2017年5月(洋泉社)
「作りおきおかずで簡単! 朝・昼・晩 糖質オフのダイエット献立」2017年10月 (家の光協会)
「いくら食べても太らない! 旨い酒のつまみ 」2018年5月(宝島社)
「決定版! スグやせ! 糖質オフのラクうまレシピ150」2018年6月(ナツメ社)
「女性のためのラクやせ糖質制限ハンドブック」2018年9月(洋泉社)
「男性のための糖質制限最強ダイエットハンドブック」2018年10月(洋泉社)
「レンチン!糖質オフの作りおきおかず」2018年10月(宝島社)
「魔法のダイエットみそ汁 」 2019年2月(日本文芸社)
「決定版! 作りおき&レンチンで簡単! 糖質オフのやせる! ラクうま弁当350 」 2020年2月(ナツメ社)
「決定版! 作りおき&帰ってすぐできる 糖質オフのやせる! ラクうまレシピ350 」 2020年7月(ナツメ社
江部康二
2022年04月10日 (日)
こんにちは。
今回は、高インスリン血症と発ガンリスクのお話しです。
インスリンは、分泌されていないと、生命の危険があります。
1921年にカナダの整形外科医フレデリック・バンティングと
医学生チャールズ・ベストがインスリンの抽出に初めて成功しました。
1922年に当時14才の1型糖尿病患者、
レナード・トンプソン少年に初めて注射し、血糖コントロールに成功しました。
1型糖尿病はインスリンの登場までは、診断後平均余命6ヶ月の致命的な病気でしたが、
インスリンにより生命を保つことが可能となりました。
その後、インスリンを注射しておけば糖質を摂取しても血糖値が上昇しないことが、
徐々に周知されるようになりました。
その結果、正常人なみに糖質を食べても、
インスリンさえ打っておけばいいという流れとなっていき、
米国糖尿人の糖質摂取量は徐々に増えていきました。
しかし、近年、インスリンの弊害がいろいろ周知されるようになりました。
例えば、高インスリン血症が発ガンのリスクになることも明らかとなりました。
日本の論文と米国の論文を紹介します。
1)
「Cペプタイド値が高い男性(高インスリン血症の男性)は、
低い男性に比べ最大で3倍程度、大腸癌になりやすい」という疫学調査が、
厚生労働省研究班により2007年発表され論文として掲載されました。
( Int J Cancer. 2007 May 1;120(9):2007-12.)
こちらは、日本の論文ですが、男性では高インスリン血症の発ガンリスクが
明白となりました。
男性では、C‐ペプタイドの値の最も高いグループの大腸がんリスクは、
最も低いグループの3.2倍で、
値の高いグループほどリスクがだんだん高くなる関連がみられました。
女性では、関連がみられませんでした
2)
2009年にInt J Cancerに掲載された米国の論文があります。(☆)
Women's Health Initiative clinical trialsから5450人を平均8年
間経過をみて、190人が乳ガンを発症しました。
(International Journal of Cancer
Volume 125, Issue 11, pages 2704-2710, 1 December 2009)
閉経後の女性において、
空腹時高インスリン血症は乳がんのリスクとなりましたが、
高血糖は関連がなかったという結論です。
空腹時高インスリン血症ということは、米国の女性ですから、
肥満によるインスリン抵抗性がおおいに関連していると思います。
インスリン抵抗性による高インスリン血症の米国女性に、
乳ガンリスクがあるということです。
空腹時高インスリン血症の日本女性は、そんなにいないと思います。
しかし日本女性でも
「肥満・インスリン抵抗性・高インスリン血症」のある人は、乳ガン要注意ですね。
高インスリン血症による発癌の機序は、
インスリンが各種組織の成長因子であることが関わるとされています。
動物実験では、高インスリン血症が、
各種癌細胞の形成や増殖に関与するとの報告があります。
ともあれ、高インスリン血症は
男性の大腸ガン、女性の乳ガンのリスクとなることは間違いないようです。
糖質を摂取すれば、食後血糖値は上昇し、高インスリン血症となります。
糖質制限食なら、高インスリン血症を防ぐことができます。
(☆)
International Journal of Cancer
Volume 125, Issue 11, pages 2704-2710, 1 December 2009
要約
実験や疫学的なエビデンスによれば、血液中の血糖やインスリンは、
乳がんの発がんを促す可能性がある。
しかしながら乳がん発がんリスクと血中グルコースやインスリンと
の関連を検討したコホート研究はほとんどない。
そして、過去の研究の測定はベースライン1回だけである。
我々は、「women in the Women's Health Initiative clinical tr
ials 」の6%のランダムなサンプルを使用して
ベースラインと1、3、6年後の空腹時血液サンプルの
血糖値とインスリン値を解析して閉経後の乳がんリスクの縦断的な研究を実施した。
さらに観察研究として1%の女性の、
ベースライン時と3年目の空腹時血液サンプルで測定された
グルコース値とインスリン値を分析に含めた。
我々はコックス比例ハザードモデルを使って、
乳癌リスクとベースライン及び経過時の血清グルコース値およびインスリン値の関連を
ハザード比の95%信頼区間を評価した。
全ての統計的テストは2面的にした。
ベースラインの血糖値とインスリン値を測定した5450人の女性の中で
平均8年間の観察期間中に190人の乳がんが確認された。
全母集団において最高の三分位のベースラインインスリングループは
最も低いグループに比べて倍の乳がん増加リスクがあった。
(多変量ハザード比2.22、95%信頼区間1.39?3.53)
そして介入試験に登録されていない女性に比べると3倍のリスクがあった。
(多変量ハザード比3.15、95%信頼区間1.61?6.17)
血糖レベルはリスクと無関係であった。
繰り返し測定の分析は、ベースライン分析の結果を支持した。
これらのデータは、血清インスリンレベル上昇は、
閉経後乳がんの危険因子である可能性を示唆している。
閉経後乳がんのリスクは、肥満と糖尿病で増加し、
この両者はインスリン抵抗性の増加で特徴付けられ、
結果として循環血中のインスリンとブドウ糖が増加する。
インスリンは、細胞増殖を促進し、動物モデルにおける乳がん成長を強める。
一方、ブドウ糖はインスリン抵抗性を悪化させ、
悪性クローンに恩恵を与えがん細胞に発育の利点を供給する。
それ故に比較的高レベルのブドウ糖やインスリンは
乳がんの病因となるというのはうなづける。
過去の少数の研究では空腹時血糖値・インスリン値と閉経後乳がん発症リスクの関連を
直接調査しているが、相反する結果が得られた。
しかしながら、これらの研究は1回のベースラインの測定のみに基づいている。
繰り返した計測の解析により経過観察期間中、
これらの要素の乳がんの発達における役割および関連の評価の精度を
上げることができる。
それゆえに我々は乳がんリスクの縦断的研究を実施し、
「Women's Health Initiative clinical trial」の参加者の
6%の空腹時血糖値・インスリン値を、
ベースライン、1、3、6年後に測定した(WHI-CT)。
そして観察研究として
1%の女性のベースラインと3年目の測定を実施した(WHI-OS)。
江部康二
今回は、高インスリン血症と発ガンリスクのお話しです。
インスリンは、分泌されていないと、生命の危険があります。
1921年にカナダの整形外科医フレデリック・バンティングと
医学生チャールズ・ベストがインスリンの抽出に初めて成功しました。
1922年に当時14才の1型糖尿病患者、
レナード・トンプソン少年に初めて注射し、血糖コントロールに成功しました。
1型糖尿病はインスリンの登場までは、診断後平均余命6ヶ月の致命的な病気でしたが、
インスリンにより生命を保つことが可能となりました。
その後、インスリンを注射しておけば糖質を摂取しても血糖値が上昇しないことが、
徐々に周知されるようになりました。
その結果、正常人なみに糖質を食べても、
インスリンさえ打っておけばいいという流れとなっていき、
米国糖尿人の糖質摂取量は徐々に増えていきました。
しかし、近年、インスリンの弊害がいろいろ周知されるようになりました。
例えば、高インスリン血症が発ガンのリスクになることも明らかとなりました。
日本の論文と米国の論文を紹介します。
1)
「Cペプタイド値が高い男性(高インスリン血症の男性)は、
低い男性に比べ最大で3倍程度、大腸癌になりやすい」という疫学調査が、
厚生労働省研究班により2007年発表され論文として掲載されました。
( Int J Cancer. 2007 May 1;120(9):2007-12.)
こちらは、日本の論文ですが、男性では高インスリン血症の発ガンリスクが
明白となりました。
男性では、C‐ペプタイドの値の最も高いグループの大腸がんリスクは、
最も低いグループの3.2倍で、
値の高いグループほどリスクがだんだん高くなる関連がみられました。
女性では、関連がみられませんでした
2)
2009年にInt J Cancerに掲載された米国の論文があります。(☆)
Women's Health Initiative clinical trialsから5450人を平均8年
間経過をみて、190人が乳ガンを発症しました。
(International Journal of Cancer
Volume 125, Issue 11, pages 2704-2710, 1 December 2009)
閉経後の女性において、
空腹時高インスリン血症は乳がんのリスクとなりましたが、
高血糖は関連がなかったという結論です。
空腹時高インスリン血症ということは、米国の女性ですから、
肥満によるインスリン抵抗性がおおいに関連していると思います。
インスリン抵抗性による高インスリン血症の米国女性に、
乳ガンリスクがあるということです。
空腹時高インスリン血症の日本女性は、そんなにいないと思います。
しかし日本女性でも
「肥満・インスリン抵抗性・高インスリン血症」のある人は、乳ガン要注意ですね。
高インスリン血症による発癌の機序は、
インスリンが各種組織の成長因子であることが関わるとされています。
動物実験では、高インスリン血症が、
各種癌細胞の形成や増殖に関与するとの報告があります。
ともあれ、高インスリン血症は
男性の大腸ガン、女性の乳ガンのリスクとなることは間違いないようです。
糖質を摂取すれば、食後血糖値は上昇し、高インスリン血症となります。
糖質制限食なら、高インスリン血症を防ぐことができます。
(☆)
International Journal of Cancer
Volume 125, Issue 11, pages 2704-2710, 1 December 2009
要約
実験や疫学的なエビデンスによれば、血液中の血糖やインスリンは、
乳がんの発がんを促す可能性がある。
しかしながら乳がん発がんリスクと血中グルコースやインスリンと
の関連を検討したコホート研究はほとんどない。
そして、過去の研究の測定はベースライン1回だけである。
我々は、「women in the Women's Health Initiative clinical tr
ials 」の6%のランダムなサンプルを使用して
ベースラインと1、3、6年後の空腹時血液サンプルの
血糖値とインスリン値を解析して閉経後の乳がんリスクの縦断的な研究を実施した。
さらに観察研究として1%の女性の、
ベースライン時と3年目の空腹時血液サンプルで測定された
グルコース値とインスリン値を分析に含めた。
我々はコックス比例ハザードモデルを使って、
乳癌リスクとベースライン及び経過時の血清グルコース値およびインスリン値の関連を
ハザード比の95%信頼区間を評価した。
全ての統計的テストは2面的にした。
ベースラインの血糖値とインスリン値を測定した5450人の女性の中で
平均8年間の観察期間中に190人の乳がんが確認された。
全母集団において最高の三分位のベースラインインスリングループは
最も低いグループに比べて倍の乳がん増加リスクがあった。
(多変量ハザード比2.22、95%信頼区間1.39?3.53)
そして介入試験に登録されていない女性に比べると3倍のリスクがあった。
(多変量ハザード比3.15、95%信頼区間1.61?6.17)
血糖レベルはリスクと無関係であった。
繰り返し測定の分析は、ベースライン分析の結果を支持した。
これらのデータは、血清インスリンレベル上昇は、
閉経後乳がんの危険因子である可能性を示唆している。
閉経後乳がんのリスクは、肥満と糖尿病で増加し、
この両者はインスリン抵抗性の増加で特徴付けられ、
結果として循環血中のインスリンとブドウ糖が増加する。
インスリンは、細胞増殖を促進し、動物モデルにおける乳がん成長を強める。
一方、ブドウ糖はインスリン抵抗性を悪化させ、
悪性クローンに恩恵を与えがん細胞に発育の利点を供給する。
それ故に比較的高レベルのブドウ糖やインスリンは
乳がんの病因となるというのはうなづける。
過去の少数の研究では空腹時血糖値・インスリン値と閉経後乳がん発症リスクの関連を
直接調査しているが、相反する結果が得られた。
しかしながら、これらの研究は1回のベースラインの測定のみに基づいている。
繰り返した計測の解析により経過観察期間中、
これらの要素の乳がんの発達における役割および関連の評価の精度を
上げることができる。
それゆえに我々は乳がんリスクの縦断的研究を実施し、
「Women's Health Initiative clinical trial」の参加者の
6%の空腹時血糖値・インスリン値を、
ベースライン、1、3、6年後に測定した(WHI-CT)。
そして観察研究として
1%の女性のベースラインと3年目の測定を実施した(WHI-OS)。
江部康二
2022年04月09日 (土)
こんにちは。
新型コロナウイルス感染症、オミクロン株が一旦収まりかけていたのが、
変異株でまた再燃しつつあるので油断は禁物です。
現在、オミクロン株「BA.2」が支配的になっており、さらに新たな変異株「XE」も懸念されます。
新型コロナウィルス肺炎が重症化する例において、
サイトカインストーム(☆)と呼ばれる「免疫の過剰反応」が
関与している可能性が示唆されています。
2020年3月15日
ヤフーニュースhttps://news.yahoo.co.jp/byline/saorii/20200315-00167830/
に、
『コロナウイルスにかかったら飲んではいけない薬:フランスの厚生大臣が発表』
という記事が載りました。
フランスの厚生大臣オリヴィエ・ヴェラン氏が、
コロナウイルスに関して、
『イブプロフェンを服用しないほうがよい』と勧告したのです。
フランスの厚生大臣Olivier Veran氏は神経科医で39歳という若さです。
厚生大臣は、自身のツイッターで、
「!新型コロナウイルス:感染者が(イブプロフェンなどの)抗炎症薬を服用すると、
感染を悪化させる要因になる可能性があります。
熱がある場合は、パラセタモール(別名:アセトアミノフェン)を服用してください」
と述べています。
これは、イブプロフェンなどのNSAIDsと言われる「消炎鎮痛解熱剤」の内服が、
サイトカインストーム(☆)を引き起こして
新型コロナウィルス肺炎の重症化を招くことを懸念しての発言と思います。
安全な鎮痛解熱剤は「アセトアミノフェン」だけです。
免疫細胞の活性化や機能抑制には、
サイトカインと総称される生理活性蛋白質が重要な役割を担っています。
サイトカインは免疫系のバランスの乱れなどによってその制御がうまくいかなくなると、
サイトカインの過剰な産生状態を引き起こし、ひどい場合には致死的な状態に陥ります。
全身の細胞から通常量をはるかに超えるサイトカインが放出され、
体内を嵐のように駆け巡ります。
この過剰反応をサイトカインストームと呼びます。
TERUMO(テルモ)のサイト
https://www.terumo.co.jp/pressrelease/detail/20200413/1074/index.html
に
治療機器として初
テルモの血液成分分離装置、新型コロナウイルスに対して米国での緊急使用が許諾
吸着カートリッジと組み合わせて、サイトカインストーム抑制を期待
という記事が掲載されています。
【テルモ株式会社の遠心型血液成分分離装置「スペクトラオプティア」が、米国食品医薬品局(FDA)から、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者さんを対象とする緊急使用の許諾(EUA: Emergency Use Authorization)を受けました。
・・・中略
スペクトラオプティアは、患者さんの血液を専用のディスポーザブル回路に通すことで、血球と血漿に分離します。回路に接続したD2000吸着カートリッジが、血漿中に存在するサイトカインを減らし、血液は、また患者さんの体内に戻ります。サイトカインの減少により、サイトカインストームが抑制され、呼吸障害の改善が期待されます。後略・・・】
米国食品医薬品局(FDA)が許諾したとのことですので、
新型コロナウィルスの重症化にサイトカインストームが関与している可能性は高いと
思われます。
このサイトカインストームを引き起こしやすい薬物がNSAIDs「消炎鎮痛解熱剤」です。
アセトアミノフェン以外のほぼ全ての消炎鎮痛解熱剤にリスクがあります。
結局、安全性が一定確立している、解熱剤は、アセトアミノフェンだけです。
アセトアミノフェンの商品名は、カロナール、コカール、アンヒバ座薬などです。
他の解熱剤(ロキソニン、ボルタレン、ポンタール、インダシン、ブレシン、セレコックス、アスピリン、イブプロフェン・・・)は使用してはいけません。
薬局の市販薬にもロキソニンなどがありますので細心の注意が必要です。
インフルエンザ脳症の原因も、
NSAIDs投与によるサイトカインストームと考えられています。
要するに安全なのは、アセトアミノフェンだけです。
なお、他の風邪などのウィルス感染でも同様の危険性は有り得ますので、
私は大人も子供も、解熱剤はアセトアミノフェンしか処方しません。
(☆)サイトカインストーム
http://www.jst.go.jp/crest/immunesystem/result/05.html
独立行政法人 科学技術振興機構のサイトから抜粋
5.免疫系におけるサイトカインの役割
病原体に対する免疫系の攻撃としては、主に好中球やマクロファージなどの自然免疫系の貪食細胞による貪食作用、キラーT細胞による細胞傷害性物質の放出による宿主細胞の破壊、B細胞が産生する抗体による病原体の不活化などがあります。このような免疫細胞の活性化や機能抑制には、サイトカインと総称される生理活性蛋白質が重要な役割を担っています。サイトカインには白血球が分泌し、免疫系の調節に機能するインターロイキン類、白血球の遊走を誘導するケモカイン類、ウイルスや細胞の増殖を抑制するインターフェロン類など、様々な種類があり、今も発見が続いています。サイトカインは免疫系のバランスの乱れなどによってその制御がうまくいかなくなると、サイトカインストームと呼ばれるサイトカインの過剰な産生状態を引き起こし、ひどい場合には致死的な状態に陥ります。サイトカインは本来の病原体から身を守る役割のほかに、様々な疾患に関与していることが明らかになってきています。
平野チームは、自ら発見したサイトカインの一種であるIL-6が自己免疫疾患の発症制御において、中心的な役割を担っていることを独自に開発した疾患モデルマウスを用いて明らかにしています。また、免疫細胞の中枢神経系への侵入口を発見したことから、神経系自己免疫疾患の発症仮説を提唱しています。岩倉チームは、炎症性サイトカインであるIL-17ファミリー分子の機能的役割を解析する中で、これらファミリー分子が感染防御と炎症抑制において、役割分担されていることを見出しています。
江部康二
新型コロナウイルス感染症、オミクロン株が一旦収まりかけていたのが、
変異株でまた再燃しつつあるので油断は禁物です。
現在、オミクロン株「BA.2」が支配的になっており、さらに新たな変異株「XE」も懸念されます。
新型コロナウィルス肺炎が重症化する例において、
サイトカインストーム(☆)と呼ばれる「免疫の過剰反応」が
関与している可能性が示唆されています。
2020年3月15日
ヤフーニュースhttps://news.yahoo.co.jp/byline/saorii/20200315-00167830/
に、
『コロナウイルスにかかったら飲んではいけない薬:フランスの厚生大臣が発表』
という記事が載りました。
フランスの厚生大臣オリヴィエ・ヴェラン氏が、
コロナウイルスに関して、
『イブプロフェンを服用しないほうがよい』と勧告したのです。
フランスの厚生大臣Olivier Veran氏は神経科医で39歳という若さです。
厚生大臣は、自身のツイッターで、
「!新型コロナウイルス:感染者が(イブプロフェンなどの)抗炎症薬を服用すると、
感染を悪化させる要因になる可能性があります。
熱がある場合は、パラセタモール(別名:アセトアミノフェン)を服用してください」
と述べています。
これは、イブプロフェンなどのNSAIDsと言われる「消炎鎮痛解熱剤」の内服が、
サイトカインストーム(☆)を引き起こして
新型コロナウィルス肺炎の重症化を招くことを懸念しての発言と思います。
安全な鎮痛解熱剤は「アセトアミノフェン」だけです。
免疫細胞の活性化や機能抑制には、
サイトカインと総称される生理活性蛋白質が重要な役割を担っています。
サイトカインは免疫系のバランスの乱れなどによってその制御がうまくいかなくなると、
サイトカインの過剰な産生状態を引き起こし、ひどい場合には致死的な状態に陥ります。
全身の細胞から通常量をはるかに超えるサイトカインが放出され、
体内を嵐のように駆け巡ります。
この過剰反応をサイトカインストームと呼びます。
TERUMO(テルモ)のサイト
https://www.terumo.co.jp/pressrelease/detail/20200413/1074/index.html
に
治療機器として初
テルモの血液成分分離装置、新型コロナウイルスに対して米国での緊急使用が許諾
吸着カートリッジと組み合わせて、サイトカインストーム抑制を期待
という記事が掲載されています。
【テルモ株式会社の遠心型血液成分分離装置「スペクトラオプティア」が、米国食品医薬品局(FDA)から、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者さんを対象とする緊急使用の許諾(EUA: Emergency Use Authorization)を受けました。
・・・中略
スペクトラオプティアは、患者さんの血液を専用のディスポーザブル回路に通すことで、血球と血漿に分離します。回路に接続したD2000吸着カートリッジが、血漿中に存在するサイトカインを減らし、血液は、また患者さんの体内に戻ります。サイトカインの減少により、サイトカインストームが抑制され、呼吸障害の改善が期待されます。後略・・・】
米国食品医薬品局(FDA)が許諾したとのことですので、
新型コロナウィルスの重症化にサイトカインストームが関与している可能性は高いと
思われます。
このサイトカインストームを引き起こしやすい薬物がNSAIDs「消炎鎮痛解熱剤」です。
アセトアミノフェン以外のほぼ全ての消炎鎮痛解熱剤にリスクがあります。
結局、安全性が一定確立している、解熱剤は、アセトアミノフェンだけです。
アセトアミノフェンの商品名は、カロナール、コカール、アンヒバ座薬などです。
他の解熱剤(ロキソニン、ボルタレン、ポンタール、インダシン、ブレシン、セレコックス、アスピリン、イブプロフェン・・・)は使用してはいけません。
薬局の市販薬にもロキソニンなどがありますので細心の注意が必要です。
インフルエンザ脳症の原因も、
NSAIDs投与によるサイトカインストームと考えられています。
要するに安全なのは、アセトアミノフェンだけです。
なお、他の風邪などのウィルス感染でも同様の危険性は有り得ますので、
私は大人も子供も、解熱剤はアセトアミノフェンしか処方しません。
(☆)サイトカインストーム
http://www.jst.go.jp/crest/immunesystem/result/05.html
独立行政法人 科学技術振興機構のサイトから抜粋
5.免疫系におけるサイトカインの役割
病原体に対する免疫系の攻撃としては、主に好中球やマクロファージなどの自然免疫系の貪食細胞による貪食作用、キラーT細胞による細胞傷害性物質の放出による宿主細胞の破壊、B細胞が産生する抗体による病原体の不活化などがあります。このような免疫細胞の活性化や機能抑制には、サイトカインと総称される生理活性蛋白質が重要な役割を担っています。サイトカインには白血球が分泌し、免疫系の調節に機能するインターロイキン類、白血球の遊走を誘導するケモカイン類、ウイルスや細胞の増殖を抑制するインターフェロン類など、様々な種類があり、今も発見が続いています。サイトカインは免疫系のバランスの乱れなどによってその制御がうまくいかなくなると、サイトカインストームと呼ばれるサイトカインの過剰な産生状態を引き起こし、ひどい場合には致死的な状態に陥ります。サイトカインは本来の病原体から身を守る役割のほかに、様々な疾患に関与していることが明らかになってきています。
平野チームは、自ら発見したサイトカインの一種であるIL-6が自己免疫疾患の発症制御において、中心的な役割を担っていることを独自に開発した疾患モデルマウスを用いて明らかにしています。また、免疫細胞の中枢神経系への侵入口を発見したことから、神経系自己免疫疾患の発症仮説を提唱しています。岩倉チームは、炎症性サイトカインであるIL-17ファミリー分子の機能的役割を解析する中で、これらファミリー分子が感染防御と炎症抑制において、役割分担されていることを見出しています。
江部康二
2022年04月08日 (金)
【22/04/06 福助
中谷美紀、血糖調節異常で医師の指導を受けていると告白…
江部先生
過去記事へのコメントで申し訳ございませんが、
以前は美容、健康のためと思っていましたが、
実は「血糖調節異常」だったとのことです。
インシュリンの遅延タイプでしょうか?
「お昼は棗バターと少量のノンシュガーチョコレート、プロテイン、MCTオイルなど」
「12年前にベジタリアンをやめて医師の処方によりビタミンB群とナイアシンをしっかり摂取」
と、徹底して健康管理に努めているようです。(^^)b
----------------------------------
「中谷美紀、血糖調節異常で医師の指導を受けていると告白…「ただのワガママ」と誤解受けることも」
3/31(木) 9:39配信 スポーツ報知
https://news.yahoo.co.jp/articles/83a664f1317bfb90e91b3d98b20038a87a0c35af】
こんにちは。
福助さんから、女優の中谷美紀さんが、
血糖調節異常で、医師の指導を受けているとのコメントを頂きました。
福助 さん、
中谷美紀さんは「機能性低血糖」と思われます。
ご指摘通り、インスリンの過剰分泌及び遷延分泌があると思われます。
機能性低血糖はスーパー糖質制限食でコントロール良好となります。
機能性低血糖症は、1924年アメリカのSeale Harrisによって指摘された疾患で、
血糖値の低下に伴ない、精神的・身体的症状を来たす疾患です。
易疲労感、気力低下、眠気、集中力低下、物忘れ、不安、いらいら、頭痛、めまい、発汗、震え、心悸亢進、筋肉痛、甘いものに対する異常な欲求、異常な空腹感・・・ などの症状がみられます。
ほとんどの機能性低血糖の背景には、インスリンの過剰分泌及び遷延分泌があります。
やせ型でインスリン抵抗性がなくても、機能性低血糖を生じる人はおられます。
機能性低血糖症は、糖質を摂取して血糖値が上昇して、追加分泌インスリンが基礎分泌インスリンの10倍、20倍、30倍レベル出たときに、早ければ食後2時間、通常は4時間から5時間くらいで発症することが多いです。
はっきりしている場合は、糖質摂取4~5時間後の血糖値が60mg/dl以下になります。
家族歴に2型糖尿病があって、現在は正常型で糖尿病を発症していない人は、インスリン追加分泌が遷延することがあり、機能性低血糖が特に起こりやすいです。
境界型および糖尿病でも、軽症の段階だと、インスリン分泌能力はまだ残っています。
そして、インスリン追加分泌が出遅れて遷延するのが2型糖尿病の特徴なので、
「機能性低血糖+境界型」あるいは「機能性低血糖+糖尿病型」
というパターンは、結構あると思います。
勿論「機能性低血糖+正常型」もあります。
一方、家族歴に2型糖尿病がなくて、現在糖尿病的には全く正常でも、
インスリンが過剰に分泌されるタイプの「機能性低血糖+正常型」もあります。
こちらは若い人に多く、それこそ小学生や中学生でもありえると思います。
当然、高校生や大学生は言うまでもありません。
いずれにせよ
<糖質摂取による血糖値上昇→インスリン過剰分泌・分泌遷延→機能性低血糖>
というパターンです。
従って、精製炭水化物が、最も機能性低血糖を起こしやすいです。
未精製の炭水化物はややましですが、やはり起こす可能性があります。
A)機能性低血糖が原因で生じている症状は、糖質制限食でリアルタイムに改善します。
B)糖質制限食で改善しない症状は、機能性低血糖とは無関係ということです。
A)B)はシンプルですが、重要なことなので、「自分は機能性低血糖かも?」と思っている皆さんは、しっかり覚えておきましょう。
糖質制限食なら、食後高血糖がほとんどなくて、
インスリン追加分泌もごく少量なので機能性低血糖をほとんど生じません。
スーパー糖質制限食なら、インスリン追加分泌は、野菜分の少量の糖質に対応して、
せいぜい2~3倍くらいまでです。
この機能性低血糖症、日本ではあまり認知されていませんが、
きっちり問診してみると、若い人でも結構おられますので注意が必要ですね。
機能性低血糖症の場合、糖質摂取後30分で140mg/dl程度に上昇した血糖値が、
60分後に80mg/dlなったりします。
これだけ血糖の変動幅が大きい(60mg)と、眠気も来そうですね。
さらに4時間~5時間に40~60mg/dlとかまで下がることがあり、
低血糖症状を生じます。
血糖値が40mg~60mg/dlなら明らかな低血糖ですが、
60mg/dl以上あって正常範囲でも、
血糖値が1時間で50mg以上下がると眠気などの症状も出やすいようです。
江部康二
中谷美紀、血糖調節異常で医師の指導を受けていると告白…
江部先生
過去記事へのコメントで申し訳ございませんが、
以前は美容、健康のためと思っていましたが、
実は「血糖調節異常」だったとのことです。
インシュリンの遅延タイプでしょうか?
「お昼は棗バターと少量のノンシュガーチョコレート、プロテイン、MCTオイルなど」
「12年前にベジタリアンをやめて医師の処方によりビタミンB群とナイアシンをしっかり摂取」
と、徹底して健康管理に努めているようです。(^^)b
----------------------------------
「中谷美紀、血糖調節異常で医師の指導を受けていると告白…「ただのワガママ」と誤解受けることも」
3/31(木) 9:39配信 スポーツ報知
https://news.yahoo.co.jp/articles/83a664f1317bfb90e91b3d98b20038a87a0c35af】
こんにちは。
福助さんから、女優の中谷美紀さんが、
血糖調節異常で、医師の指導を受けているとのコメントを頂きました。
福助 さん、
中谷美紀さんは「機能性低血糖」と思われます。
ご指摘通り、インスリンの過剰分泌及び遷延分泌があると思われます。
機能性低血糖はスーパー糖質制限食でコントロール良好となります。
機能性低血糖症は、1924年アメリカのSeale Harrisによって指摘された疾患で、
血糖値の低下に伴ない、精神的・身体的症状を来たす疾患です。
易疲労感、気力低下、眠気、集中力低下、物忘れ、不安、いらいら、頭痛、めまい、発汗、震え、心悸亢進、筋肉痛、甘いものに対する異常な欲求、異常な空腹感・・・ などの症状がみられます。
ほとんどの機能性低血糖の背景には、インスリンの過剰分泌及び遷延分泌があります。
やせ型でインスリン抵抗性がなくても、機能性低血糖を生じる人はおられます。
機能性低血糖症は、糖質を摂取して血糖値が上昇して、追加分泌インスリンが基礎分泌インスリンの10倍、20倍、30倍レベル出たときに、早ければ食後2時間、通常は4時間から5時間くらいで発症することが多いです。
はっきりしている場合は、糖質摂取4~5時間後の血糖値が60mg/dl以下になります。
家族歴に2型糖尿病があって、現在は正常型で糖尿病を発症していない人は、インスリン追加分泌が遷延することがあり、機能性低血糖が特に起こりやすいです。
境界型および糖尿病でも、軽症の段階だと、インスリン分泌能力はまだ残っています。
そして、インスリン追加分泌が出遅れて遷延するのが2型糖尿病の特徴なので、
「機能性低血糖+境界型」あるいは「機能性低血糖+糖尿病型」
というパターンは、結構あると思います。
勿論「機能性低血糖+正常型」もあります。
一方、家族歴に2型糖尿病がなくて、現在糖尿病的には全く正常でも、
インスリンが過剰に分泌されるタイプの「機能性低血糖+正常型」もあります。
こちらは若い人に多く、それこそ小学生や中学生でもありえると思います。
当然、高校生や大学生は言うまでもありません。
いずれにせよ
<糖質摂取による血糖値上昇→インスリン過剰分泌・分泌遷延→機能性低血糖>
というパターンです。
従って、精製炭水化物が、最も機能性低血糖を起こしやすいです。
未精製の炭水化物はややましですが、やはり起こす可能性があります。
A)機能性低血糖が原因で生じている症状は、糖質制限食でリアルタイムに改善します。
B)糖質制限食で改善しない症状は、機能性低血糖とは無関係ということです。
A)B)はシンプルですが、重要なことなので、「自分は機能性低血糖かも?」と思っている皆さんは、しっかり覚えておきましょう。
糖質制限食なら、食後高血糖がほとんどなくて、
インスリン追加分泌もごく少量なので機能性低血糖をほとんど生じません。
スーパー糖質制限食なら、インスリン追加分泌は、野菜分の少量の糖質に対応して、
せいぜい2~3倍くらいまでです。
この機能性低血糖症、日本ではあまり認知されていませんが、
きっちり問診してみると、若い人でも結構おられますので注意が必要ですね。
機能性低血糖症の場合、糖質摂取後30分で140mg/dl程度に上昇した血糖値が、
60分後に80mg/dlなったりします。
これだけ血糖の変動幅が大きい(60mg)と、眠気も来そうですね。
さらに4時間~5時間に40~60mg/dlとかまで下がることがあり、
低血糖症状を生じます。
血糖値が40mg~60mg/dlなら明らかな低血糖ですが、
60mg/dl以上あって正常範囲でも、
血糖値が1時間で50mg以上下がると眠気などの症状も出やすいようです。
江部康二
2022年04月06日 (水)
こんにちは。
ヤフーニュースに2022年4月5日、
https://news.yahoo.co.jp/articles/9628f0c179564c9c75b3f81b988cdc53f4b98ac7
「帯状ほう疹」患者が急増 3回目接種後に発症した男性(20代)の場合は…
というBSS山陰放送の記事が掲載されました。
確かに、コロナ禍のなか、「帯状ほう疹」の患者が急増しています。
私の外来でも、帯状疱疹、単純疱疹ともに増えています。
一体なぜなのでしょうか。
近畿大学医学部皮膚科学教室 大塚篤司 主任教授 が、インタビューに答えておられます。
以下、一部を引用します。
近畿大学医学部皮膚科学教室 大塚篤司 主任教授
①「私が近畿大学で患者さんを診ている限りでは、去年の春から夏にかけては、帯状疱疹の患者さんが非常に多く増えた印象があります。だいたい1.5倍~2倍くらい患者さんを診た印象はあります」
②「高齢者の人が基本的にかかりやすいので、50代以上の人が多いんですが、20代でも受診される人がいて、それは普段とは違う印象がありました。コロナ禍でストレスがかかって、帯状ほう疹発症する可能性がひとつあります」
③「コロナワクチンを打ったことによって、イメージとして、脊髄のところにいた免疫が駆り出されて、ほかの免疫のところに働いたために、ヘルペスが増えやすくなったというのは論文等でいわれています。多いところの報告だと、コロナワクチン接種者の10%くらいの人にヘルペスウイルスの活性化があったという報告もあります。帯状ほう疹は治療薬もあるし、後遺症もほとんど無く治療が可能です。コロナは治療薬ほとんど出ていないですし、後遺症の問題もあるので、バランスを考えると、コロナワクチンをしっかり接種してもらいたいと思います」
①大塚教授の仰るように、私の外来でも帯状疱疹の患者さんが1.5~2倍に増えた印象があります。
また単純疱疹が、「熱の華」の「口唇ヘルペス」ていどが普通のはずが、
顔面全体に皮疹・発赤・腫脹が出現して非常に重症化した症例を経験しました。
医師になって48年ですが、これまで診てきた単純疱疹で、圧倒的に最も重症でした。
「新型コロナワクチン接種による人体の免疫力低下」のせいと思われます。
②20代で帯状疱疹というのは、コロナ禍以前には、ほとんどなかったことであり、異常な状況と言えます。
コロナ禍のストレスというよりも、「新型コロナワクチン接種による人体の免疫力の低下」の可能性が高いと思われます。
③大塚篤司教授、ご自分でも、「新型コロナワクチン接種による免疫力の低下で
ヘルペスが増えた」と認めておられます。
その上で、新型コロナワクチン接種のメリットのほうが大きいとしておられます。
しかしながら新型コロナ感染症は、そもそも59歳以下は、ほとんど重症化しないので、
59歳以下の人にワクチンを打つメリットはないと思います。
江部康二
ヤフーニュースに2022年4月5日、
https://news.yahoo.co.jp/articles/9628f0c179564c9c75b3f81b988cdc53f4b98ac7
「帯状ほう疹」患者が急増 3回目接種後に発症した男性(20代)の場合は…
というBSS山陰放送の記事が掲載されました。
確かに、コロナ禍のなか、「帯状ほう疹」の患者が急増しています。
私の外来でも、帯状疱疹、単純疱疹ともに増えています。
一体なぜなのでしょうか。
近畿大学医学部皮膚科学教室 大塚篤司 主任教授 が、インタビューに答えておられます。
以下、一部を引用します。
近畿大学医学部皮膚科学教室 大塚篤司 主任教授
①「私が近畿大学で患者さんを診ている限りでは、去年の春から夏にかけては、帯状疱疹の患者さんが非常に多く増えた印象があります。だいたい1.5倍~2倍くらい患者さんを診た印象はあります」
②「高齢者の人が基本的にかかりやすいので、50代以上の人が多いんですが、20代でも受診される人がいて、それは普段とは違う印象がありました。コロナ禍でストレスがかかって、帯状ほう疹発症する可能性がひとつあります」
③「コロナワクチンを打ったことによって、イメージとして、脊髄のところにいた免疫が駆り出されて、ほかの免疫のところに働いたために、ヘルペスが増えやすくなったというのは論文等でいわれています。多いところの報告だと、コロナワクチン接種者の10%くらいの人にヘルペスウイルスの活性化があったという報告もあります。帯状ほう疹は治療薬もあるし、後遺症もほとんど無く治療が可能です。コロナは治療薬ほとんど出ていないですし、後遺症の問題もあるので、バランスを考えると、コロナワクチンをしっかり接種してもらいたいと思います」
①大塚教授の仰るように、私の外来でも帯状疱疹の患者さんが1.5~2倍に増えた印象があります。
また単純疱疹が、「熱の華」の「口唇ヘルペス」ていどが普通のはずが、
顔面全体に皮疹・発赤・腫脹が出現して非常に重症化した症例を経験しました。
医師になって48年ですが、これまで診てきた単純疱疹で、圧倒的に最も重症でした。
「新型コロナワクチン接種による人体の免疫力低下」のせいと思われます。
②20代で帯状疱疹というのは、コロナ禍以前には、ほとんどなかったことであり、異常な状況と言えます。
コロナ禍のストレスというよりも、「新型コロナワクチン接種による人体の免疫力の低下」の可能性が高いと思われます。
③大塚篤司教授、ご自分でも、「新型コロナワクチン接種による免疫力の低下で
ヘルペスが増えた」と認めておられます。
その上で、新型コロナワクチン接種のメリットのほうが大きいとしておられます。
しかしながら新型コロナ感染症は、そもそも59歳以下は、ほとんど重症化しないので、
59歳以下の人にワクチンを打つメリットはないと思います。
江部康二
2022年04月05日 (火)
【22/04/04 apple
食後中性脂肪値の目安について
江部先生
いつもブログを拝見し、糖質制限について勉強させていただいております
さて、血液検査結果についてご相談させてください(50歳、女性、閉経済み)
結果は以下のとおりです
食後3時間値
血糖値100
グリコアルブミン12.9
HbA1C5.3
LDL109
HDL93
中性脂肪179
AST19
ALT20
γ-GPT14
因みに、非空腹時の中性脂肪値を検査するのは初めてで、
2ヶ月前は空腹時で34でした
また、2か月前よりタンパク質量を減らした結果、
HbA1Cが6.2→5.3、グリコアルブミンが14.0→12.9となりました
タンパク質を減らした代わりに、オイルやナッツの摂取量を増やしています
検査前の食事は糖質4g、タンパク質30g、
脂質61gくらいでした
脂質の内訳は、MCTオイル15g、ナッツ20g、
オイルサーディンとそのオリーブオイル36gくらいです
食後の中性脂肪値はいくつくらいまでが良いのでしょうか?
かかりつけ医によると、食後は200位までならOKとのことでした
江部先生のご意見をお聞かせください
また、食後中性脂肪値を改善するには
どのような食事が良いかご教授くださるとありがたいです
お忙しいところお手数おかけいたします
宜しくお願い申し上げます】
こんにちは。
apple さんから、食後の中性脂肪値について、コメント・質問を頂きました。
【2か月前よりタンパク質量を減らした結果、
HbA1Cが6.2→5.3%、グリコアルブミンが14.0→12.9%となりました】
【検査前の食事は糖質4g、タンパク質30g、脂質61gくらい】
タンパク質(P):17.5% 脂質(F):80.1% 糖質(C):2.3%
高雄病院スーパー糖質制限給食のPFC平均比率が<P32%:F56%:C12%>
ですので、apple さんの場合は、ケトン食に近いぐらい脂質の比率が多いですね。
タンパク質を減らして
HbA1Cが6.2→5.3%、グリコアルブミンが14.0→12.9%
と平均血糖値が低下しているのでapple さんは、
『タンパク質によるグルカゴン分泌』が『タンパク質によるインスリン分泌』より
優位なタイプと思われます。
ただ、平均血糖値だけ下げれば良いということではありません。
50歳ということも考慮すれば、
筋肉量の維持と免疫力の確保のために、
もう少しタンパク質摂取量を増やす方が望ましいです。
スーパー糖質制限食の「P:32%」まで行かなくても、
最低でも「P:20%」以上は確保しましょう。
【食後3時間値
血糖値100
グリコアルブミン12.9
HbA1C5.3
LDL109
HDL93
中性脂肪179
AST19
ALT20
γ-GPT14】
中性脂肪値以外は基準値内ですね。
中性脂肪値も食後3時間であれば、問題ない数値です。
<血中の中性脂肪値>
血液検査で測定されている中性脂肪値は、
食事由来のキロミクロンの積み荷の中性脂肪と、
肝臓で作っているVLDLの積み荷の中性脂肪を合計したものです。
筋肉細胞や脂肪細胞の毛細血管の壁には、リポタンパクリパーゼ(LPL)があります。
リポタンパクリパーゼ(LPL)が、リポタンパク質の積み荷の中性脂肪を、
2つの脂肪酸と1つのモノグリセリドに分解して、
筋肉細胞や脂肪細胞に取り込ませて利用させます。
リポタンパクリパーゼが正常に働いていれば、
中性脂肪値は食後5~6時間で基準値内に戻るはずです。
しかし、食後2~3時間から4~5時間ぐらいは、
食事由来の中性脂肪が血中に乳び状態であるので、個人差はあると思いますが、
高中性脂肪値となります。
スーパー糖質制限食実践中で、脂質・タンパク質を中心の食生活なら、
食後2時間~5時間くらいは食事由来のキロミクロンで高中性脂肪血症になる理屈です。
この間リポタンパクリパーゼ(LPL)がせっせと働いて、
食後5~6時間経過すれば中性脂肪値を基準値内に下げてくれると思います。
従って、スーパー糖質制限食で、
食後5~6時間以降と空腹時の中性脂肪値は当然基準値内に治まりますが、
食後1~5時間くらいの間は中性脂肪値は高値となります。
これは生理的な現象ですので心配はいりません。
<まとめ>
appleさんは、空腹時中性脂肪値は34mg/dlで60以下であり、
HDL-Cも93mg/dlで、60を超えていて、とても良好です。
このデータなら、「小粒子LDL-C」や「酸化LDL-C」は皆無で、
LDL-Cは全て標準の大きさの善玉であり、脂質データは極めて良好です。
中性脂肪値が、179mg/dlとやや高値なのも
食後3時間のデータであれば、全く問題ありあません。
江部康二
食後中性脂肪値の目安について
江部先生
いつもブログを拝見し、糖質制限について勉強させていただいております
さて、血液検査結果についてご相談させてください(50歳、女性、閉経済み)
結果は以下のとおりです
食後3時間値
血糖値100
グリコアルブミン12.9
HbA1C5.3
LDL109
HDL93
中性脂肪179
AST19
ALT20
γ-GPT14
因みに、非空腹時の中性脂肪値を検査するのは初めてで、
2ヶ月前は空腹時で34でした
また、2か月前よりタンパク質量を減らした結果、
HbA1Cが6.2→5.3、グリコアルブミンが14.0→12.9となりました
タンパク質を減らした代わりに、オイルやナッツの摂取量を増やしています
検査前の食事は糖質4g、タンパク質30g、
脂質61gくらいでした
脂質の内訳は、MCTオイル15g、ナッツ20g、
オイルサーディンとそのオリーブオイル36gくらいです
食後の中性脂肪値はいくつくらいまでが良いのでしょうか?
かかりつけ医によると、食後は200位までならOKとのことでした
江部先生のご意見をお聞かせください
また、食後中性脂肪値を改善するには
どのような食事が良いかご教授くださるとありがたいです
お忙しいところお手数おかけいたします
宜しくお願い申し上げます】
こんにちは。
apple さんから、食後の中性脂肪値について、コメント・質問を頂きました。
【2か月前よりタンパク質量を減らした結果、
HbA1Cが6.2→5.3%、グリコアルブミンが14.0→12.9%となりました】
【検査前の食事は糖質4g、タンパク質30g、脂質61gくらい】
タンパク質(P):17.5% 脂質(F):80.1% 糖質(C):2.3%
高雄病院スーパー糖質制限給食のPFC平均比率が<P32%:F56%:C12%>
ですので、apple さんの場合は、ケトン食に近いぐらい脂質の比率が多いですね。
タンパク質を減らして
HbA1Cが6.2→5.3%、グリコアルブミンが14.0→12.9%
と平均血糖値が低下しているのでapple さんは、
『タンパク質によるグルカゴン分泌』が『タンパク質によるインスリン分泌』より
優位なタイプと思われます。
ただ、平均血糖値だけ下げれば良いということではありません。
50歳ということも考慮すれば、
筋肉量の維持と免疫力の確保のために、
もう少しタンパク質摂取量を増やす方が望ましいです。
スーパー糖質制限食の「P:32%」まで行かなくても、
最低でも「P:20%」以上は確保しましょう。
【食後3時間値
血糖値100
グリコアルブミン12.9
HbA1C5.3
LDL109
HDL93
中性脂肪179
AST19
ALT20
γ-GPT14】
中性脂肪値以外は基準値内ですね。
中性脂肪値も食後3時間であれば、問題ない数値です。
<血中の中性脂肪値>
血液検査で測定されている中性脂肪値は、
食事由来のキロミクロンの積み荷の中性脂肪と、
肝臓で作っているVLDLの積み荷の中性脂肪を合計したものです。
筋肉細胞や脂肪細胞の毛細血管の壁には、リポタンパクリパーゼ(LPL)があります。
リポタンパクリパーゼ(LPL)が、リポタンパク質の積み荷の中性脂肪を、
2つの脂肪酸と1つのモノグリセリドに分解して、
筋肉細胞や脂肪細胞に取り込ませて利用させます。
リポタンパクリパーゼが正常に働いていれば、
中性脂肪値は食後5~6時間で基準値内に戻るはずです。
しかし、食後2~3時間から4~5時間ぐらいは、
食事由来の中性脂肪が血中に乳び状態であるので、個人差はあると思いますが、
高中性脂肪値となります。
スーパー糖質制限食実践中で、脂質・タンパク質を中心の食生活なら、
食後2時間~5時間くらいは食事由来のキロミクロンで高中性脂肪血症になる理屈です。
この間リポタンパクリパーゼ(LPL)がせっせと働いて、
食後5~6時間経過すれば中性脂肪値を基準値内に下げてくれると思います。
従って、スーパー糖質制限食で、
食後5~6時間以降と空腹時の中性脂肪値は当然基準値内に治まりますが、
食後1~5時間くらいの間は中性脂肪値は高値となります。
これは生理的な現象ですので心配はいりません。
<まとめ>
appleさんは、空腹時中性脂肪値は34mg/dlで60以下であり、
HDL-Cも93mg/dlで、60を超えていて、とても良好です。
このデータなら、「小粒子LDL-C」や「酸化LDL-C」は皆無で、
LDL-Cは全て標準の大きさの善玉であり、脂質データは極めて良好です。
中性脂肪値が、179mg/dlとやや高値なのも
食後3時間のデータであれば、全く問題ありあません。
江部康二
2022年04月04日 (月)
【22/04/04 Maroyamama
先生こんにちは。お世話になります。
お伺いしたいことがあります。
先日、息子(40歳)が会社で健康診断を受け、結果を持ち帰りました。
「総コレステロールがやや高めで動脈硬化が起こりやすくなります、
また軽度の糖代謝異常を認めます、糖尿病に進行しないために生活習慣の改善が必要」
との所見でした。検査項目を見ますと、
BMI 19.7
HDL 93
LDL 102
TG 42
空腹時血糖 97
HbA1c 5.6
となっていて、これのどこが問題なのかよくわかりません。
息子は普段は、朝昼は糖質制限食ですが、
夜はどうしてもご飯を食べたいということで、
小さめのお茶椀に軽く一杯の白御飯を食べています。
お酒はシングルモルトウイスキーをワンショット、
赤ワインを軽く一杯で、肝機能は問題無しです。
先生はどう思われますか?
改善すべき点をご教授頂ければ幸いです。】
Maroyamamaさん。
HDL-Cが60mg/l以上、
TGが60MG/DL以下、
そうすると、脂質データはLDL-Cも全て善玉となり良好です。
HbA1c5.6%・・・こいつがくせ者です。
いわゆるメタボ検診では、
HbA1c5.6%以上を対象に「75g経口ブドウ糖負荷試験」を推奨しています。
これだと、境界型の食後高血糖や軽症の糖尿病の段階で
診断できるという意図です。
意図はわかるのですが、HbA1c5.6%以上の人全てに、
75g経口ブドウ糖負荷試験を実施するというのは、
大変な手間と費用が必要であり、現実的ではありません。
そんな莫大な医療費をかけるよりは、
普通に糖質摂取後1~2時間の尿糖を調べれば、
かなりの確率で食後高血糖を拾い上げることができますし、
金も手間も随分楽だと思います。
すなわち、血糖値が170~180mg/dlを超えていると、尿糖が陽性になるのです。
これでひっかかった人だけが、75gOGTTを受ければいいと思います。
さらにメタボ健診で日本糖尿病学会は、
今までの空腹時血糖値の基準に、「正常高値」を追加しました。
正常型:100mg/dL未満
正常高値:100mg/dL~110mg/dL未満
境界型糖尿病:110mg/dL~126mg/dL未満
糖尿病型:126mg/dL以上
この正常高値という新しい概念の100mg/dL~110mg/dL未満が追加になった理由として、
日本糖尿病学会は次のように説明しています。
「正常高値である100mg/dL~110mg/dL未満の人を対象に経口ブドウ糖負荷試験を行ったところ、
25%~45%の人が境界型か糖尿病に属していた。」
「空腹時血糖値の正常高値の追加によって、上記の25%~45%の境界型か糖尿病型の方を、
健康診断などで早期発見出来る。」
こちらも、全員に75gOGTTをするのでは無くて、
上記と同様に、普通に糖質摂取後1~2時間の尿糖を調べれば、
スクリーニングできます。
「空腹時血糖値」「空腹時インスリン値」「食後1時間血糖値」「食後2時間血糖値」
「HbA1c」「糖質摂取後1~2時間の尿糖」
の中で、いわゆる食後高血糖(境界型、IGT)を早期診断するのに
一番いいのは、上記の尿糖検査か
「食後1時間血糖値」「食後2時間血糖値」です。
食後1時間血糖値が180mg/dlを超えていると将来糖尿病になりやすいです。
食後2時間血糖値が140mg/dlを超えていれば、境界型です。
HbA1cは、過去1~2ヶ月の平均血糖値を反映していますが、
食後高血糖を見逃す可能性があるので、欠陥のある検査です。
江部康二
☆☆☆75g経口ブドウ糖負荷試験の意義
メタボ検診で推奨の75g経口ブドウ糖負荷試験は、
今まで糖尿病と診断されたことがない人に行う検査です。
既に、糖尿病と診断がついている場合は、この検査を実施すれば、
必ず高血糖(ブドウ糖スパイク)を生じるので倫理的にみても、適応となりません。
HbA1cの値などが、正常範囲内でやや高めで
軽症の糖尿病が隠れていないかというときになどに行う検査です。
HbA1cの基準値は、6.2%未満です。
なお75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)実施前の3日間は
150g/日以上の糖質を摂取することが推奨されています。
糖質制限をしたまま、75g経口ブドウ糖負荷試験を受けると
糖質に対する人体の準備ができていないので、
一見耐糖能が低下しているようなデータになることがあるからです。
先生こんにちは。お世話になります。
お伺いしたいことがあります。
先日、息子(40歳)が会社で健康診断を受け、結果を持ち帰りました。
「総コレステロールがやや高めで動脈硬化が起こりやすくなります、
また軽度の糖代謝異常を認めます、糖尿病に進行しないために生活習慣の改善が必要」
との所見でした。検査項目を見ますと、
BMI 19.7
HDL 93
LDL 102
TG 42
空腹時血糖 97
HbA1c 5.6
となっていて、これのどこが問題なのかよくわかりません。
息子は普段は、朝昼は糖質制限食ですが、
夜はどうしてもご飯を食べたいということで、
小さめのお茶椀に軽く一杯の白御飯を食べています。
お酒はシングルモルトウイスキーをワンショット、
赤ワインを軽く一杯で、肝機能は問題無しです。
先生はどう思われますか?
改善すべき点をご教授頂ければ幸いです。】
Maroyamamaさん。
HDL-Cが60mg/l以上、
TGが60MG/DL以下、
そうすると、脂質データはLDL-Cも全て善玉となり良好です。
HbA1c5.6%・・・こいつがくせ者です。
いわゆるメタボ検診では、
HbA1c5.6%以上を対象に「75g経口ブドウ糖負荷試験」を推奨しています。
これだと、境界型の食後高血糖や軽症の糖尿病の段階で
診断できるという意図です。
意図はわかるのですが、HbA1c5.6%以上の人全てに、
75g経口ブドウ糖負荷試験を実施するというのは、
大変な手間と費用が必要であり、現実的ではありません。
そんな莫大な医療費をかけるよりは、
普通に糖質摂取後1~2時間の尿糖を調べれば、
かなりの確率で食後高血糖を拾い上げることができますし、
金も手間も随分楽だと思います。
すなわち、血糖値が170~180mg/dlを超えていると、尿糖が陽性になるのです。
これでひっかかった人だけが、75gOGTTを受ければいいと思います。
さらにメタボ健診で日本糖尿病学会は、
今までの空腹時血糖値の基準に、「正常高値」を追加しました。
正常型:100mg/dL未満
正常高値:100mg/dL~110mg/dL未満
境界型糖尿病:110mg/dL~126mg/dL未満
糖尿病型:126mg/dL以上
この正常高値という新しい概念の100mg/dL~110mg/dL未満が追加になった理由として、
日本糖尿病学会は次のように説明しています。
「正常高値である100mg/dL~110mg/dL未満の人を対象に経口ブドウ糖負荷試験を行ったところ、
25%~45%の人が境界型か糖尿病に属していた。」
「空腹時血糖値の正常高値の追加によって、上記の25%~45%の境界型か糖尿病型の方を、
健康診断などで早期発見出来る。」
こちらも、全員に75gOGTTをするのでは無くて、
上記と同様に、普通に糖質摂取後1~2時間の尿糖を調べれば、
スクリーニングできます。
「空腹時血糖値」「空腹時インスリン値」「食後1時間血糖値」「食後2時間血糖値」
「HbA1c」「糖質摂取後1~2時間の尿糖」
の中で、いわゆる食後高血糖(境界型、IGT)を早期診断するのに
一番いいのは、上記の尿糖検査か
「食後1時間血糖値」「食後2時間血糖値」です。
食後1時間血糖値が180mg/dlを超えていると将来糖尿病になりやすいです。
食後2時間血糖値が140mg/dlを超えていれば、境界型です。
HbA1cは、過去1~2ヶ月の平均血糖値を反映していますが、
食後高血糖を見逃す可能性があるので、欠陥のある検査です。
江部康二
☆☆☆75g経口ブドウ糖負荷試験の意義
メタボ検診で推奨の75g経口ブドウ糖負荷試験は、
今まで糖尿病と診断されたことがない人に行う検査です。
既に、糖尿病と診断がついている場合は、この検査を実施すれば、
必ず高血糖(ブドウ糖スパイク)を生じるので倫理的にみても、適応となりません。
HbA1cの値などが、正常範囲内でやや高めで
軽症の糖尿病が隠れていないかというときになどに行う検査です。
HbA1cの基準値は、6.2%未満です。
なお75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)実施前の3日間は
150g/日以上の糖質を摂取することが推奨されています。
糖質制限をしたまま、75g経口ブドウ糖負荷試験を受けると
糖質に対する人体の準備ができていないので、
一見耐糖能が低下しているようなデータになることがあるからです。
2022年04月03日 (日)
こんにちは。
2型糖尿病発症時のβ細胞機能は、どのていど残存しているのでしょう。
何と、すでに正常の50%に低下しているとのことです。
https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2007/PA02724_03
医学書院のサイトに記載されていますので、
以下要約してみました。
上記サイトにグラフが載っていますので参考にして頂ければ幸いです。
A)1型糖尿病
自己免疫疾患による1型糖尿病は、
β細胞の量が低下して、残存β細胞量が10%前後になったときに、
糖尿病を発症するとされています。
B)2型糖尿病
2型糖尿病におけるβ細胞機能低下については、
ジョスリン糖尿病学の第14章、
糖尿病における経口薬治療の部分に掲載されているそうです。
UKPDS(United Kingdom Prospective Diabetes Study)の患者データをもとに、
HOMA-β指数を算出し、
推定した膵β細胞機能を縦軸に、横軸に罹病期間をとっています。
2型糖尿病患者のβ細胞機能は、
診断時点ですでに正常の50%前後であり、
年間約4%の割合で機能が低下し、
β細胞機能が15%前後となった時点で経口薬の効果は期待できず、
インスリン治療が必要となるということです。
<考察>
これでは、2型糖尿病も、慢性進行性の不治の病ということになり、
あまりにも寂しいお話ではありませんか。
しかしちょっと待ってください。
この結論はあくまでも、普通に糖質を50%くらい摂取している糖尿人のデータです。
すなわち、スーパー糖質制限食実践者には当てはまらないと考えられます。
年間約4%の割合で機能が低下していく主な要因は、
食後高血糖によるβ細胞の障害と考えられます。
スーパー糖質制限食なら、
食後高血糖が最小限(1.2時間値160mg/dl未満)ですみ、
β細胞の障害もほとんどないので、β細胞機能も保たれると思います。
N数が、1に過ぎませんが、私は52歳で糖尿病を発症し、
現在72歳となっています。
HbA1cは、20年間、一貫して5.6~5.8%くらいで維持されています。
今朝の空腹時血糖値は、SMBGで101mg/dlでした。
20年間、β細胞機能は、充分、保たれていると思われます。
☆UKPDS
1977年から1991年までの間に英国の23施設で
新規に糖尿病と診断された25〜65歳の患者が対象。
これらの該当者のうち2回の空腹時血糖値が
いずれも108mg/dLより高かった者を適格とした。
7616名の患者中、除外基準に該当する2514名を除外し、
残った5102名の候補者に3カ月間の食事療法を行った後、
空腹時血糖値が109mg/dL以上270mg/dL以下の者4209名を対象者として、
研究が行われた。
2型糖尿病の大規模研究として、金字塔とされる研究の一つである。
江部康二
2型糖尿病発症時のβ細胞機能は、どのていど残存しているのでしょう。
何と、すでに正常の50%に低下しているとのことです。
https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2007/PA02724_03
医学書院のサイトに記載されていますので、
以下要約してみました。
上記サイトにグラフが載っていますので参考にして頂ければ幸いです。
A)1型糖尿病
自己免疫疾患による1型糖尿病は、
β細胞の量が低下して、残存β細胞量が10%前後になったときに、
糖尿病を発症するとされています。
B)2型糖尿病
2型糖尿病におけるβ細胞機能低下については、
ジョスリン糖尿病学の第14章、
糖尿病における経口薬治療の部分に掲載されているそうです。
UKPDS(United Kingdom Prospective Diabetes Study)の患者データをもとに、
HOMA-β指数を算出し、
推定した膵β細胞機能を縦軸に、横軸に罹病期間をとっています。
2型糖尿病患者のβ細胞機能は、
診断時点ですでに正常の50%前後であり、
年間約4%の割合で機能が低下し、
β細胞機能が15%前後となった時点で経口薬の効果は期待できず、
インスリン治療が必要となるということです。
<考察>
これでは、2型糖尿病も、慢性進行性の不治の病ということになり、
あまりにも寂しいお話ではありませんか。
しかしちょっと待ってください。
この結論はあくまでも、普通に糖質を50%くらい摂取している糖尿人のデータです。
すなわち、スーパー糖質制限食実践者には当てはまらないと考えられます。
年間約4%の割合で機能が低下していく主な要因は、
食後高血糖によるβ細胞の障害と考えられます。
スーパー糖質制限食なら、
食後高血糖が最小限(1.2時間値160mg/dl未満)ですみ、
β細胞の障害もほとんどないので、β細胞機能も保たれると思います。
N数が、1に過ぎませんが、私は52歳で糖尿病を発症し、
現在72歳となっています。
HbA1cは、20年間、一貫して5.6~5.8%くらいで維持されています。
今朝の空腹時血糖値は、SMBGで101mg/dlでした。
20年間、β細胞機能は、充分、保たれていると思われます。
☆UKPDS
1977年から1991年までの間に英国の23施設で
新規に糖尿病と診断された25〜65歳の患者が対象。
これらの該当者のうち2回の空腹時血糖値が
いずれも108mg/dLより高かった者を適格とした。
7616名の患者中、除外基準に該当する2514名を除外し、
残った5102名の候補者に3カ月間の食事療法を行った後、
空腹時血糖値が109mg/dL以上270mg/dL以下の者4209名を対象者として、
研究が行われた。
2型糖尿病の大規模研究として、金字塔とされる研究の一つである。
江部康二
2022年04月02日 (土)
こんにちは。
私が監修をつとめる「菓子職人糖質制限マンスリーケーキ」のご案内です。
菓子職人マンスリーケーキ
4月、5月限定
映画のワンシーンから登場!
プレミアムチーズケーキ

【ご購入はこちら】
のご紹介です。
表示糖質は100gあたり2.39gです。
春らしいプレミアムチーズケーキです。
生クリーム、レアチーズケーキ 、半熟ベイクドチーズの三層重ねで構成されています。
江部康二の人体実験で、
2022年4月1日(金)
午後4時 109mg
プレミアムチーズケーキ一個(100g) 摂取
午後5時 60分後血糖値:103mg
ピークの60分後で6mgほど血糖値が下がっていました。
2.39gの糖質摂取による血糖上昇よりも
インスリン追加分泌第一相の血糖低下作用が上回ったのでしょう。
入院中のスーパー糖質制限食摂取時の2型糖尿人でも
食後のほうが食前より血糖値が低いことが時々あります。
100gあたり2.39gの糖質表示ですが、
表示成分通りとみなしてOKですね。
100g中に糖質5g以下であれば、糖質制限OK食材です。
勿論個人差はあると思いますが、
これなら糖質セイゲニストにも安心です。
甘味料はもっぱら、
血糖上昇ゼロのエリスリトールです。
糖質制限中の方にも、美味しいケーキで季節を感じていただけます。
菓子職人さんの『糖質制限マンスリーケーキ』
我々糖質セイゲニストの強い味方です。
菓子職人さん、ありがとうございます。
菓子職人プレミアムチーズケーキ、
私は、月替わりで糖質制限OKなケーキを食べることができて嬉しい限りです。
ブログ読者の皆さん、是非ご賞味あれ!!
お問い合わせは以下です。
☆☆☆
彩韻菓子工房有限会社
〒615-0032 京都府京都市右京区西院西高田町19
TEL:075-311-4606
FAX:075-311-4123
営業時間:午前9:00から午後8:00(年中無休)
ホームページ: http://www.kashishokunin.co.jp/
お問い合わせ: info@kashishokunin.co.jp
江部康二
私が監修をつとめる「菓子職人糖質制限マンスリーケーキ」のご案内です。
菓子職人マンスリーケーキ
4月、5月限定
映画のワンシーンから登場!
プレミアムチーズケーキ

【ご購入はこちら】
のご紹介です。
表示糖質は100gあたり2.39gです。
春らしいプレミアムチーズケーキです。
生クリーム、レアチーズケーキ 、半熟ベイクドチーズの三層重ねで構成されています。
江部康二の人体実験で、
2022年4月1日(金)
午後4時 109mg
プレミアムチーズケーキ一個(100g) 摂取
午後5時 60分後血糖値:103mg
ピークの60分後で6mgほど血糖値が下がっていました。
2.39gの糖質摂取による血糖上昇よりも
インスリン追加分泌第一相の血糖低下作用が上回ったのでしょう。
入院中のスーパー糖質制限食摂取時の2型糖尿人でも
食後のほうが食前より血糖値が低いことが時々あります。
100gあたり2.39gの糖質表示ですが、
表示成分通りとみなしてOKですね。
100g中に糖質5g以下であれば、糖質制限OK食材です。
勿論個人差はあると思いますが、
これなら糖質セイゲニストにも安心です。
甘味料はもっぱら、
血糖上昇ゼロのエリスリトールです。
糖質制限中の方にも、美味しいケーキで季節を感じていただけます。
菓子職人さんの『糖質制限マンスリーケーキ』
我々糖質セイゲニストの強い味方です。
菓子職人さん、ありがとうございます。
菓子職人プレミアムチーズケーキ、
私は、月替わりで糖質制限OKなケーキを食べることができて嬉しい限りです。
ブログ読者の皆さん、是非ご賞味あれ!!
お問い合わせは以下です。
☆☆☆
彩韻菓子工房有限会社
〒615-0032 京都府京都市右京区西院西高田町19
TEL:075-311-4606
FAX:075-311-4123
営業時間:午前9:00から午後8:00(年中無休)
ホームページ: http://www.kashishokunin.co.jp/
お問い合わせ: info@kashishokunin.co.jp
江部康二
2022年04月01日 (金)
こんにちは。
新型コロナ感染症、一旦鎮静化するかに見えましたが
またぞろ、感染者が増え始める兆しがあり、予断を許さない状況です。
政府が推している新型コロナワクチンは頼りにならないので、
自分自身の免疫力を健常に保つことがとても重要となります・
今日は、糖質制限食と免疫力について検討してみます。
免疫力とは、病原菌や毒素やその他の異物に対して、
抵抗して打ちかつ能力です。
体には、まずは
「ウイルスや細菌を体内に侵入させない」ためのシステムと、
「侵入した敵と戦う」という2段階の免疫の仕組みが
存在しています。
第一段階 防御=「粘膜免疫」
日々の生活で、体内にはウイルスや細菌、花粉などの“ 異物” が絶えず侵入しようとします。
しかし、これらの異物を“ 侵入” させないように私たちの体を守っているのが「粘膜免疫」です。
粘膜免疫が働く場所は、目、鼻、口、腸管などの粘膜です。
ここで異物が粘膜を介して体内に入るのを防ぎ、体外に出してしまうことで感染を防ぎます。
第二段階 攻撃=「全身免疫」
病原体が「粘膜免疫」を突破して体内に侵入し、増殖してしまった状態が「感染」です。
体に侵入したウイルスや細菌に対しては、第2段階の「全身免疫」が働きます。
全身免疫のシステムでは、免疫細胞が病原体を捕えて、排除するよう働きます。
また、体内で生まれたがん細胞のような“ 異物” を攻撃するのも、全身免疫の役割です。
全身免疫には『自然免疫』と『獲得免疫』があります。
自然免疫:活躍するのは好中球やマクロファージ、樹状細胞といった食細胞です
獲得免疫:細胞性免疫と液性免疫(抗体)があります。
さて糖質セイゲニストにおいては、
糖質を食べている人に比べると
<①ケトン体高値><②AGEsの蓄積が少ない>
①②という二つのアドバンテージがあります。
<①ケトン体高値>
ケトン体高値により、心臓・腎臓・脳保護作用および、慢性炎症を抑える効果が期待できます。
SGLT2阻害薬の臨床試験である「EMPA-REG OUTCOM試験」「CANVAS試験」において、
心臓・腎臓・脳保護作用が、認められました。
その理由として、SGLT2阻害薬による血中ケトン体高値が、
心臓・腎臓・脳保護に良い影響を与えている可能性が示唆されました。
スーパー糖質制限食なら、よりケトン体高値となるので、
おおいに心臓・腎臓・脳保護作用が期待できます。
心臓・腎臓・脳が元気に活動していれば、当然免疫力も高まります。
また、近年「慢性炎症」が注目されています。
慢性炎症を伴う病気として
ぜんそくやアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患、関節リウマチなどの自己免疫疾患が良く知られています。
最近の研究によって、これまで慢性炎症との関連についてはほとんど顧みられなかった病気でも、
実は慢性炎症が関わっていることがわかってきました。
加齢とともに増加するがん、動脈硬化、肥満、アルツハイマー病などの種々の疾患、さらには老化そのものも、
慢性的な炎症性の変化によって症状が進行するのではないかと考えられる証拠が見つかってきたのです。
この慢性炎症がどのようにして生じるのかはこれまで不明でしたが、
近年、インフラマソーム(☆)と呼ばれる自然免疫経路を介して
動脈硬化の炎症反応が起こっていることが明らかとなっています。
インフラマソームは、2型糖尿病・動脈硬化・アルツハイマー病・老化などにおいて炎症応答を促進します。
ケトン体の中でも、βヒドロキシ酪酸は、インフラマソームを抑制することがわかっています。
糖質制限食により身体の様々な慢性炎症が治まれば、当然免疫力は高まります。
<②AGEsの蓄積が少ない>
②により、<糖化 ⇒ 老化>という流れが最小限で済みます。
老化すれば、免疫力も低下するのは必然です。
私は、52歳の時に糖尿病の確定診断がついて、
以降は72歳現在まで20年間スーパー糖質制限食を続けています。
*歯は全て残り虫歯なし。
*目は裸眼で広辞苑が読める。
*身長は縮んでいない。
*聴力低下なし。
*夜間尿なし。
*内服薬なし。
*糖尿病合併症なし。
勿論、髪の毛は白くなり、前髪はやや後退気味であり、
完全に老化が防げているわけではありません。
しかし『糖化の延長上にある老化』は、最小限ですんでいるので、
上記が達成できているのだと思います。
逆に言えば、AGEsの蓄積が、歯周病・虫歯、視力低下、背が縮む、
聴力低下、夜間頻尿など所謂老化症状の元凶と言えます。
従いまして、同年代の糖質を摂取している人に比べたら、
糖質セイゲニストは、老化の少ない分、
免疫力はかなり高いと思います。
私も糖尿病という持病はありますが、血糖コントロール極めて良好で、
AGEsの蓄積も最小限ですんでいるので、
同年代の糖質を普通に食べている健常人(AGEsの蓄積が多い)よりも免疫力は高いと思います。
(☆)インフラマソーム
複数のタンパク質からなるタンパク複合体で、
主に自然免疫細胞を中心に発現し、
感染や傷害に伴う危険シグナルに応答 して、
炎症反応の誘導や進展に重要な役割を果たしていることが
明らかになっている。
江部康二
新型コロナ感染症、一旦鎮静化するかに見えましたが
またぞろ、感染者が増え始める兆しがあり、予断を許さない状況です。
政府が推している新型コロナワクチンは頼りにならないので、
自分自身の免疫力を健常に保つことがとても重要となります・
今日は、糖質制限食と免疫力について検討してみます。
免疫力とは、病原菌や毒素やその他の異物に対して、
抵抗して打ちかつ能力です。
体には、まずは
「ウイルスや細菌を体内に侵入させない」ためのシステムと、
「侵入した敵と戦う」という2段階の免疫の仕組みが
存在しています。
第一段階 防御=「粘膜免疫」
日々の生活で、体内にはウイルスや細菌、花粉などの“ 異物” が絶えず侵入しようとします。
しかし、これらの異物を“ 侵入” させないように私たちの体を守っているのが「粘膜免疫」です。
粘膜免疫が働く場所は、目、鼻、口、腸管などの粘膜です。
ここで異物が粘膜を介して体内に入るのを防ぎ、体外に出してしまうことで感染を防ぎます。
第二段階 攻撃=「全身免疫」
病原体が「粘膜免疫」を突破して体内に侵入し、増殖してしまった状態が「感染」です。
体に侵入したウイルスや細菌に対しては、第2段階の「全身免疫」が働きます。
全身免疫のシステムでは、免疫細胞が病原体を捕えて、排除するよう働きます。
また、体内で生まれたがん細胞のような“ 異物” を攻撃するのも、全身免疫の役割です。
全身免疫には『自然免疫』と『獲得免疫』があります。
自然免疫:活躍するのは好中球やマクロファージ、樹状細胞といった食細胞です
獲得免疫:細胞性免疫と液性免疫(抗体)があります。
さて糖質セイゲニストにおいては、
糖質を食べている人に比べると
<①ケトン体高値><②AGEsの蓄積が少ない>
①②という二つのアドバンテージがあります。
<①ケトン体高値>
ケトン体高値により、心臓・腎臓・脳保護作用および、慢性炎症を抑える効果が期待できます。
SGLT2阻害薬の臨床試験である「EMPA-REG OUTCOM試験」「CANVAS試験」において、
心臓・腎臓・脳保護作用が、認められました。
その理由として、SGLT2阻害薬による血中ケトン体高値が、
心臓・腎臓・脳保護に良い影響を与えている可能性が示唆されました。
スーパー糖質制限食なら、よりケトン体高値となるので、
おおいに心臓・腎臓・脳保護作用が期待できます。
心臓・腎臓・脳が元気に活動していれば、当然免疫力も高まります。
また、近年「慢性炎症」が注目されています。
慢性炎症を伴う病気として
ぜんそくやアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患、関節リウマチなどの自己免疫疾患が良く知られています。
最近の研究によって、これまで慢性炎症との関連についてはほとんど顧みられなかった病気でも、
実は慢性炎症が関わっていることがわかってきました。
加齢とともに増加するがん、動脈硬化、肥満、アルツハイマー病などの種々の疾患、さらには老化そのものも、
慢性的な炎症性の変化によって症状が進行するのではないかと考えられる証拠が見つかってきたのです。
この慢性炎症がどのようにして生じるのかはこれまで不明でしたが、
近年、インフラマソーム(☆)と呼ばれる自然免疫経路を介して
動脈硬化の炎症反応が起こっていることが明らかとなっています。
インフラマソームは、2型糖尿病・動脈硬化・アルツハイマー病・老化などにおいて炎症応答を促進します。
ケトン体の中でも、βヒドロキシ酪酸は、インフラマソームを抑制することがわかっています。
糖質制限食により身体の様々な慢性炎症が治まれば、当然免疫力は高まります。
<②AGEsの蓄積が少ない>
②により、<糖化 ⇒ 老化>という流れが最小限で済みます。
老化すれば、免疫力も低下するのは必然です。
私は、52歳の時に糖尿病の確定診断がついて、
以降は72歳現在まで20年間スーパー糖質制限食を続けています。
*歯は全て残り虫歯なし。
*目は裸眼で広辞苑が読める。
*身長は縮んでいない。
*聴力低下なし。
*夜間尿なし。
*内服薬なし。
*糖尿病合併症なし。
勿論、髪の毛は白くなり、前髪はやや後退気味であり、
完全に老化が防げているわけではありません。
しかし『糖化の延長上にある老化』は、最小限ですんでいるので、
上記が達成できているのだと思います。
逆に言えば、AGEsの蓄積が、歯周病・虫歯、視力低下、背が縮む、
聴力低下、夜間頻尿など所謂老化症状の元凶と言えます。
従いまして、同年代の糖質を摂取している人に比べたら、
糖質セイゲニストは、老化の少ない分、
免疫力はかなり高いと思います。
私も糖尿病という持病はありますが、血糖コントロール極めて良好で、
AGEsの蓄積も最小限ですんでいるので、
同年代の糖質を普通に食べている健常人(AGEsの蓄積が多い)よりも免疫力は高いと思います。
(☆)インフラマソーム
複数のタンパク質からなるタンパク複合体で、
主に自然免疫細胞を中心に発現し、
感染や傷害に伴う危険シグナルに応答 して、
炎症反応の誘導や進展に重要な役割を果たしていることが
明らかになっている。
江部康二
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