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「菓子職人糖質制限マンスリーケーキ」のご案内。チョコレートシフォン。
こんばんは。

私が監修をつとめる「菓子職人糖質制限マンスリーケーキ」のご案内です。

2022年、1・2月は、
風味豊かなしっとり生地 チョコレートシフォンケーキ
糖質 3.19g 
カロリー 339kcal
※100gあたり
※エリストールを除く糖質

2019年1月チョコレートシフォンケーキホール

https://shop.kashishokunin.co.jp/view/category/lowglucide_monthly01

表示糖質は100gあたり3.19gですが、
江部康二の人体実験で、

2022/1/18(火)
16時 血糖値:110mg
チョコレートシフォン 100g 摂取 
糖質含有量は3.19g(エリスリトールを除く)
17時 血糖値:115mg

美味しく楽しく頂きましたが
5mgしか上昇しませんでした。

私の場合は、糖質1gが血糖値を3mg上昇させるので
菓子職人チョコレートシフォンケーキ(1個100g)で、
私にとっては、1.7gの糖質という計算となります。

従って表示成分よりかなり低くて素晴らしいです。
勿論個人差はあると思いますが、
これなら糖質セイゲニストにも安心です。

甘味料はもっぱら、
血糖上昇ゼロのエリスリトールです。
糖質制限中の方にも、美味しいケーキで季節を感じていただけます。
菓子職人さんの『糖質制限マンスリーケーキ』
我々糖質セイゲニストの強い味方です。
菓子職人さん、ありがとうございます。

ブログ読者の皆さん、是非ご賞味あれ!!

お問い合わせは以下です。

☆☆☆
彩韻菓子工房有限会社

〒615-0032 京都府京都市右京区西院西高田町19
TEL:075-311-4606
FAX:075-311-4123
営業時間:午前9:00から午後8:00(年中無休)

ホームページ: http://www.kashishokunin.co.jp/
お問い合わせ: info@kashishokunin.co.jp



江部康二


☆☆☆
菓子職人
【チョコレートシフォンケーキ 美味しさのヒミツ】

monthly_cut1901.jpg

A チョコレート・シフォンケーキ
モリドール社のノンシュガーダークチョコレートとカカオマス(カカオパート100%)、ノンシュガーミルクチョコレートを
たっぷりシフォンケーキに溶かして練り込み、北海道産生クリームやヘーゼルナッツオイル、ラム酒で
香りづけをしました。
糖質制限ミックス粉、ココナッツフラワー、ココアでつなぎをつくりシフォン風に仕上げチョコチップで食感を出しました。

B 仕上げの生クリーム
北海道産生クリームとマスカルポーネパウダーを加えて風味をあげ、エリスリトールや有機アガベイヌリン、羅漢果で
品のいい甘さに仕上げました。
メトホルミンについて。
こんにちは。
今回は、糖尿病経口薬のなかでメトホルミンのお話です。

ビグアナイド系薬剤のメトグルコ(メトホルミン塩酸塩)が
2010年5月に発売されました。。

メトホルミンは、糖尿病の内服薬の中で、ビグアナイド系薬剤に属します。
2型糖尿病治療において、長い間、第一選択薬となっています。

ビグアナイド系薬剤は、その中の一つのフェンホルミンという薬が
乳酸アシドーシス(*)という副作用を起こしやすかったため、
一時期他の薬も含めてほとんど使われていませんでした。

しかし乳酸アシドーシスを起こしにくい
塩酸メトホルミン(メルビン、グリコランなど)塩酸ブホルミン(ジベトスB、ジベトンSなど)などが近年見直されてきました。

これは、英国の大規模臨床試験(UKPDS:1998年報告)で、
「塩酸メトホルミン投与により肥満のある2型糖尿病患者で死亡率を減少させた」
という結果がでたことによる影響が大きいと思います。

ビグアナイド剤の作用は、肝臓での糖新生の抑制が主で、
その他消化管からの糖吸収の抑制、末梢組織でのインスリン抵抗性の改善などがあります。

従ってSU剤とは違って、膵臓に直接作用するのではなく、
膵外作用で血糖値を下げますので、
膵臓には優しい薬といえます。
また体重増加を生じないのも長所ですね。 (^_^)

単独使用では、低血糖を起こす危険は極めて低いです。
糖質制限食的にも、問題の少ない良い薬です。

しかし、肝腎の効きがそれほど良くなかったのです。
理論的にはいい感じなのになぜでしょう?

実は、欧米における1日使用量は1500~2250mgくらいで、最大量2550mg/日までOKなのですが、
日本では1日、750mg以下となっていたのです。

私も、膵臓に負担をかけない糖質制限食にぴったりの薬ということで、
大勢の患者さんに処方してみたのですが、
量が少なすぎるためなのか、「効いた!」という印象がやや薄かったのです。

しかし、2010年5月20日、メトグルコ(メトホルミン塩酸塩)錠が、新薬として発売され、許可用量が増えました。
維持量が750~1500mg/日で、最大量が2250mg/日までOKとなりました。

1000mg/日くらいから、手応えを感じて、1500mg/日くらい投与するようになり、効果が確認できるようになりました。
日本人の場合は、1500mg/日以上の量だと、下痢をする人が多いです。

750mg/日以下だと、あまり効いた印象のないメトホルミンですが、1000mg/日以上だと効くように思います。


なお、肝障害や腎障害がある人は、
乳酸アシドーシスを起こしやすいので注意が必要です。
また、心肺機能に障害のある人や高齢者も、
腎予備力の低下がありえるので慎重投与です。
上記以外の人には、副作用は少ない薬です。

作用機序から考えて、服用するなら、
1日2~3回定期的に飲むほうが効果がでると思います。
ただ、早朝空腹時血糖値が高値の場合は、
夕食後と寝る前に内服して夜間の糖新生をブロックするのもありと思います。

血糖値が180~200mg/dlを超えてくると、
それだけでインスリン抵抗性が増します。
<糖質制限食+メトホルミン>で、1日24時間を通して、
血糖値が180mgを超えなくなると、
インスリン抵抗性が速やかに改善し、
同じ食事をしていても血糖コントロールがとても良くなります。

(*)
乳酸アシドーシス
ビグアナイド系薬剤は、肝における乳酸からの糖新生を抑制することで血糖を下げるので、
相対的に乳酸が増加します。
通常は乳酸が増加すればその代謝が活発となり、乳酸値のバランスは保たれます。
しかし、肝での乳酸の代謝能が低下している場合や、腎機能障害があるときは、
乳酸が増加した時に処理しきれずに高乳酸血症となり、乳酸アシドーシスを発症する危険性があります。

乳酸アシドーシスの初期症状として悪心、嘔吐、腹痛、下痢等や、倦怠感、筋肉痛などがあります。


江部康二
糖尿病発症に至るプロセス
こんにちは。
今回は、糖尿病発症に至るプロセスを考察してみます。


<糖尿病発症に到るプロセス>

1) 正常型→IGT→糖尿病 

2)正常型→ IGT→IFG/IGT→糖尿病

3) 正常型→IFG→IFG/IGT→糖尿病 
 

糖尿病発症に到る流れとしては、上記1)2)3)の3つのパターンがあります。

IGT: Impaired Glucose Tolerance :耐糖能異常
IFG:Impaired Fasting Glucose :空腹時高血糖

です。
IGTもIFGも糖尿病の前段階の病態です。

1)の場合は、既に糖尿病を発症していても早朝空腹時血糖値は正常で健診で見逃されるので、注意が必要です。
2)の場合は、IFG/IGTの段階で、通常の健診でもチェックできます。
3)の場合も通常の健診でチェックできますが、パターンとしては少ないです。

日本人では、IGTや200mg/dl以上の食後高血糖が数年から10年続いて、初めて早朝空腹時血糖値が110mg/dlを超えることが多いとされています。

つまり1)のパターンが多くて、3)のパターンは少ないのですね。

従いまして、一般的な健康診断の早朝空腹時血糖値で、糖尿病の早期診断をするのは、大いに無理があります。

そもそも日本人ではIFG単独の例は、かなり少ないと考えられます。

1)2)3)どのパターンでも、最終的には、IGTを経て糖尿病型になると考えられます。
IFGからいきなり糖尿病型になるというのは、少ないと思います。

<糖尿病早期発見のためには>

従って、なんとかIGTの段階(糖尿病発症前)でチェックできれば、治療的には大変役立ちます。

そのためには、75g経口ブドウ糖負荷試験が一番確実です。

しかし、かなり面倒で手間暇がかかりますから、一人前のご飯やパンを食べ始めて60分後の血糖値、あるいは60~90分後の尿糖を調べれば簡便です。

1時間値が180mg/dlを超えていると、2時間値が140mg/dl未満で正常でも、将来糖尿病になりやすいので注意が必要なのです。

尿糖が陽性だと、ピークの血糖値が180mg/dlを超えている可能性が高いのです。

ともあれ、IGT、IFG、IFG/IGTの段階で発見できればおおきなアドバンテージですね。

この段階でなら、緩やかな糖質制限食でも、糖尿病発症は防げると思いますよ。

勿論、すでに糖尿病と診断された人は、スーパー糖質制限食が最適です。

<日本人と糖尿病発症パターンと欧米人の糖尿病発症パターンは異なる>

糖尿病は、インスリン作用不足(インスリン分泌不足+インスリン抵抗性)がベースにあり、発症します。

日本人では、インスリン分泌不足が主で、インスリン抵抗性が従と言われています。

IGTの段階で、まずインスリン追加分泌が不足、あるいは遷延しています。

それが数年以上続いて、インスリン基礎分泌も不足してきたら、IFGも合併してきます。
発症時の平均BMIは24~25くらいです。

一方、欧米人では、インスリン抵抗性が主で、インスリン分泌不足が従とされています。
発症時の平均BMIは31~32くらいで、かなりの肥満です。

この場合、インスリン分泌能力はまだあるけれど、効きが悪い(インスリン抵抗性)ため高血糖となります。

そうすると、インスリン抵抗性のため、基礎分泌のインスリンの量では早朝空腹時血糖値がやや高いけど、追加分泌は大量に出せるので食後高血糖は防いでいるというIFGの人が、欧米人では日本より高率に存在する可能性があります。

日本人でも肥満が目立つ人は、インスリン抵抗性が主の欧米パターンの糖尿病発症もありえます。

この場合、早期に発見できれば、インスリン分泌能力は残っているので、肥満が改善してインスリン抵抗性が改善すれば、糖尿病がほぼ治ることもあり得ます。


☆☆☆ 参考

A) 正常型
「空腹時血糖値が110mg/dl未満かつ
 120分後血糖値が140mg/dl未満」を満たせば正常型。

B) 境界型

正常型にも糖尿病型にも属さない場合を言う。
具体的にはWHO分類のIGT、IFG、IFG/IGTがある。

1) 2時間値が140-199mg/dlとなる耐糖能異常であるIGT (Impaired Glucose Tolerance)
IGT単独なら早朝空腹時血糖値は110mg/dl未満で正常である。

2) 空腹時血糖値が110-125mg/dlとなるIFG (Impaired fasting glycaemia)
IFG単独なら75gOGTTにて2時間値は140mg/dl未満で正常である。

3) 両者の合併であるIFG/IGT

の3つのパターンがある。

C) 糖尿病型

①「空腹時血糖値が126mg/dl以上または120分後血糖値が200mg/dl以上」
   を満たせば糖尿病型。

② 随時血糖値200mg/dl以上は糖尿病型

③ HbA1c≧6.5%は糖尿病型



江部康二
インスリンの功罪③。インスイリン過剰の「罪」について。
こんばんは。
インスリンシリーズの三回目は
インスリンの功罪③。インスリン過剰の「罪」について。
です。

先日、ある製薬メーカーさんの社内勉強会で
糖尿病と糖質制限食のお話しをしてきました。

製薬メーカーの社員で、医師や薬剤師に製品の

「効能、副作用、トピック、研究論文・・・」など
様々な情報を紹介してくれるのが、MRさんです。(*)

皆さん、よく勉強しておられるので
私もいろいろ教えて貰うことも多いです。
そんな、MRさんの社内勉強会ですから、
インスリン注射のこともよくご存知です。

ところがインスリンの、「功罪」のうち、「功」のほうは
よくご存知でしたが、「罪」のほうは、ほとんどご存知ないのです。

それで、本日のブログはインスリンの功罪というお題とすることとしました。

まずは、インンスリンがないと、人は死亡します。
基礎分泌のインスリンは生命維持に絶対に必要なのです。
実際、1921年にインスリンが合成されるまでは、
1型糖尿病で内因性インスリンゼロの場合は平均余命は半年程度でした。
インスリンが開発されて以降、1型糖尿病の寿命は劇的に改善しています。

一方で過剰なインスリンの害にはエビデンスがあります。

たとえ基準値内でも、インスリンの血中濃度が高いほど、
アルツハイマー病、がん、肥満、高血圧などのリスクとなります。

また、高インスリン血症は活性酸素を発生させ、酸化ストレスを増加させます。

酸化ストレスは、老化・癌・動脈硬化・その他多くの疾患の元凶とされています。
パーキンソン病、狭心症、心筋梗塞、アルツハイマー病などにも
酸化ストレスの関与の可能性
があります。


1)ロッテルダム研究によれば、
インスリン使用中の糖尿人ではアルツハイマー病の相対危険度は4.3倍です。

Rotterdam研究(Neurology1999:53:1937-1942)
「高齢者糖尿病における、脳血管性痴呆(VD)の相対危険度は2.0倍。
アルツハイマー型痴呆(AD)の相対危険度は1.9倍。
インスリン使用者の相対危険度は4.3倍」



2)インスリン注射をしている糖尿人は、
メトグルコで治療している糖尿人に比べて
ガンのリスクが1.9倍というカナダの研究もあります。

2005年の第65回米国糖尿病学会、
カナダのSamantha博士等が、10309名の糖尿病患者の研究成果を報告、
その後論文化。コホート研究。
 「メトフォルミン(インスリン分泌を促進させない薬)を使用しているグループに比べて、インスリンを注射しているグループは、癌死亡率が1.9倍高まる。SU剤(インスリン分泌促進剤)を内服しているグループは癌死亡率が1.3倍高まる。」 
Diabetes Care February 2006 vol. 29 no. 2 254-258 



3)Cペプタイド値が高い男性は、低い男性に比べ最大で3倍程度、大腸癌になりやすい。
国立がん研究センター、「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果。

57%が空腹時、他は非空腹時で共に大腸癌群は高値。厚生労働省研究班が2007年、疫学調査結果を発表し英文論文化。研究班は、全国9地域で40-69歳の男女約4万人を、1990年から2003年まで追跡。                       
Int J Cancer. 2007 May 1;120(9):2007-12.



このように過剰インスリンの弊害を見てみると、
インスリンは血糖コントロールができている限り少なければ少ないほど、
身体には好ましいことがわかります。

別の言い方をすれば、農耕開始後、精製炭水化物開始後、
特に第二次大戦後に世界の食糧事情が良くなってからの糖質の頻回・過剰摂取が、
インスリンの頻回・過剰分泌を招き、
様々な生活習慣病の元凶となった構造が見えてきます。

スーパー糖質制限食を実践すれば、インスリンの分泌は必要最小限で済むようになり、
様々な生活習慣病の予防が期待できます。

ブログ読者の皆さんも、スーパー糖質制限食実践で、
必要最低限のインスリンで血糖こントロールを維持して、
健康ライフを送ってくださいね。


(*)
【MR】[medical representative]医薬情報担当者。
薬についての知識や情報を医師や薬剤師に提供する製薬メーカーの営業担当者。

江部康二
インスリンの功罪②。農耕前、狩猟・採集時代のインスリンの役割。
こんばんは。

今回はインスリンシリーズの2回目です。
農耕前、狩猟・採集時代のインスリンの役割について考察してみます。

 細胞がブドウ糖を取り込むためには「糖輸送体」という特別なタンパク質が必要です。
英語の頭文字からGLUT(グルット)と呼ばれ、現時点でグルット1〜グルット14までが確認されています。
正式にはグルコーストランスポーター(glucose transporter)です。
 このうちグルット1は赤血球・脳・網膜などの糖輸送体で、脳細胞や赤血球の表面にあるため、
血流さえあればいつでも血液中からブドウ糖を取り込めます。

 これに対して筋肉細胞と脂肪細胞に特化した糖輸送体がグルット4で、
ふだんは細胞の内部に沈んでいるのでブドウ糖をほとんど取り込めません。
しかし血糖値が上昇してインスリンが追加分泌されると、
細胞内に沈んでいたグルット4が細胞表面に移動してきて、ブドウ糖を取り込めるようになるのです。
グルット14種の中でインスリンに依存しているのはグルット4だけです。

 インスリンとグルット4の役割を、農耕が始まる前の時代までさかのぼって考えてみました。
 グルット4は、今でこそ獅子奮迅の大活躍なのですが、農耕前はほとんど活動することはなかったと考えられます。
すなわち農耕後、日常的に穀物を食べるようになってからは
「食後血糖値の上昇→インスリン追加分泌→グルット4が筋肉細胞・脂肪細胞の表面に移動→ブドウ糖を細胞内
へ取り込む」
というシステムが、
毎日食事のたびに稼働するようになったのです。

 しかし、狩猟・採集時代には穀物はなかったので、たまの糖質摂取でごく軽い血糖値上昇があり、
インスリン少量追加分泌のときだけグルット4の出番があったにすぎません。
運よく果物やナッツ類が採集できた場合のみです。

この頃は、血糖値は慌てて下げなくてはいけないほど上昇しないので、グルット4の役割は、
筋肉細胞で血糖値を下げるというよりは、
脂肪細胞で中性脂肪をつくらせて冬に備えるほ
うが、はるかに大きな意味を持っていたと思います。
 すなわち、農耕前は「インスリン+グルット4」のコンビは、たまに糖質(野生の果物やナッツ類)を摂ったときだけ、
もっぱら中性脂肪の生産システムとして活躍していたものと考えられます。
すなわち、狩猟・採集時代の「インスリン+グルット4」は、
もっぱら飢餓に対するセーフティーネットとして貢献していたと思われます。
また、摂取した糖質は肝臓にも取り込まれてグリコーゲンを蓄えますが、
あまった血糖が中性脂肪に変えられて脂肪細胞に蓄えられます。

 このようにインスリンの中性脂肪蓄積システムは、長い間、
人類の生存におおいに貢献
してきたのですが、
いまは日常的に1日に3~5回糖質を摂取する時代です。

このため「インスリン+グルット4」のコンビは今や「肥満システム」と化してしまい、
インスリンは肥満ホルモンと呼ばれるようになってしまいました。


江部康二

インスリンの功罪①。インスリンの役割を中心に。
1)
基礎分泌インスリンは、ヒトの生命維持に必要不可欠です。

2)
スーパー糖質制限食でも、食後は基礎分泌の2~3倍レベルのインスリンは追加分泌されますし、追加分泌インスリンも必要不可欠です。

3)
インスリン注射で、1型糖尿病患者の命が助かるようになり、近年、寿命が延びてきました。

4)
しかし、過剰なインスリンは、酸化ストレスとなり、
がん、老化、動脈硬化、糖尿病合併症、アルツハイマー病などのリスクとなります。



こんばんは。

今回はインスリンの功罪のうち、主としてその役割について考察してみます。

インスリンには、24時間継続して少量出続けている基礎分泌と、糖質を摂取して血糖値が上昇したときに出る追加分泌の2種類があります。
タンパク質摂取でも少量のインスリンが追加分泌されますが、脂質摂取では、インスリンは追加分泌されません。
これでまず解るのは、食物を摂取していないときでも、人体の代謝には、少量のインスリンが必須ということですね。

このインスリンの基礎分泌がなくなったら、人体の代謝全体が崩壊していきます。
つまり、基礎分泌のインスリンがないと、全身の高度な代謝失調が生じ、生命の危険があります。
例えば「運動をしたらインスリン非依存的に血糖値がさがる」といっても、インスリン基礎分泌が確保されているのが前提のお話です。
もし、基礎インスリンが不足している状態で運動すれば、運動で血糖値はかえって上昇します。
また、肝臓で行っている糖新生も、基礎インスリンが分泌されていなければ制御不能となり、空腹時血糖値が300mg/dl~400mg/dl、或いはこれ以上にもなります。

また、糖質を食べて血糖値が上昇したとき、追加分泌のインスリンがでなければ、高血糖が持続します。
高血糖の持続は糖毒といわれ、膵臓のβ細胞を傷害し、インスリン抵抗性を悪化させます。

急激に発症するタイプの1型糖尿病であれば、短期間でインスリン分泌がゼロになるので、
基礎分泌も追加分泌もなくなり血糖値が急上昇して、
随時で250~500mgとか600mg/dl以上1000mgにもなります。

細胞はブドウ糖を利用できないので、脂肪の分解産物のケトン体が急上昇し、
エネルギー源にしますが、酸性血症となり意識障害を生じ、放置すれば死に至ります。
インスリン作用が欠落しているときの血中ケトン体上昇は病態であり、極めて危険です。

上述のインスリン作用欠落による糖尿病ケトアシドーシスは、
インスリン作用が確保されていて糖質制限食や断食で
生理的にケトン体が上昇する場合とは、まったく異なる病態です。

さてブドウ糖が、細胞膜を通過するためには、特別な膜輸送タンパク質が必要です。
それが糖輸送体(GLUT)であり、現在GLUT1~GLUT14まで確認されています。
GLUT1は赤血球・脳・網膜などの糖輸送体で常に細胞の表面にあり、血流さえあれば即血糖を取り込めます。
これに対して筋肉細胞と脂肪細胞に特異的なのがGLUT4で、基礎分泌のインスリンレベルだと、通常は細胞内部に沈んでいます。

GLUT1~GLUT14の中で、インスリンに依存しているのはGLUT4だけで特殊です。
筋肉細胞と脂肪細胞にあるGLUT-4は、インスリン追加分泌がないと細胞内に沈んでいるのでブドウ糖を取り込めません。
インスリンが追加分泌されるとGLUT-4は細胞表面に移動して血糖を取り込むのです。

このようにインスリンは、生命の維持に必須の重要なホルモンであることが確認できました。
また近年、1型糖尿病患者の寿命は延びています。

以下、糖尿病ネットワークから一部抜粋。
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2016/024725.php


1975年に米国で行われた調査では1型糖尿病患者の寿命は、健康人に比べて27年短いとされていました。
スコットランドのダンディー大学が2万4,691人の1型糖尿病患者を対象に行った調査では、20代前半の糖尿病患者の予想される平均余命は、健康な人に比べ男性で11.1年、女性で12.9年短いという結果になりました(2015年1月報告)。
このようにインスリンの使用法や種類が改善されたことで、1型糖尿病患者の寿命はかなり改善されてきています。
インスリン注射が、おおいに役に立っているわけです。


☆☆☆インスリンの作用
インスリンは、グリコーゲン合成・タンパク質合成・脂肪合成など、栄養素の同化を促進し、筋肉、脂肪組織、肝臓に取り込む。
インスリンが作用するのは、主として、筋肉(骨格筋、心筋)、脂肪組織、肝臓である。

1)糖質代謝
*ブドウ糖の筋肉細胞・脂肪細胞内への取り込みを促進させる。
*グリコーゲン合成を促進させる。
*グリコーゲン分解を抑制する。
*肝臓の糖新生を抑制し、ブドウ糖の血中放出を抑制する。

2)タンパク質代謝
*骨格筋に作用してタンパク質合成を促進させる。
*骨格筋に作用してタンパク質の異化を抑制する。

3)脂質代謝
*脂肪の合成を促進する。
*脂肪の分解を抑制する。




江部康二
「「老化と万病」のもと『糖化』を防ぐ!「糖質制限食」のすすめ 」
こんにちは。
オミクロン株の流行で、対面の講演会は困難な状況が続いています。
そこで
「「老化と万病」のもと『糖化』を防ぐ!「糖質制限食」のすすめ 」
と題して、オンライン講演会を開催しますので、ご案内いたします。

糖化ストレスや酸化ストレスの蓄積により慢性炎症を生じます。

そして、その延長上に老化やがんを始めとして、
様々な生活習慣病(糖尿病、動脈硬化、高血圧、パーキンソン病、アルツハイマー病など)の発症があります。

糖質を摂取すると血糖値が上昇し、
血糖値が高いほどAGEsがたくさん蓄積していき糖化ストレスとなっていきます。
すなわち、三大栄養素のうち、糖化ストレスを生じるのは糖質だけであり、
脂質・タンパク質では生じません。

糖質制限食を実践すれば、糖化ストレスを大幅に減らすことができるので
老化やがんや慢性炎症を予防することが可能となります。

また、『食後高血糖』『血糖変動幅増大』『インスリン過剰分泌』
活性酸素を発生させて、酸化ストレスの元となります。
糖質制限食なら、食後高血糖、血糖変動幅増大、インスリン過剰分泌を、
防ぐことが可能です。

このように、糖質制限食なら、糖化ストレスも酸化ストレスも
最小限ですみますので、がん、老化、生活習慣病を予防できる可能性が高いのです。

江部康二


以下の青字の記載は事務局からのお知らせです。

*********

ブログ読者の皆様、弊会のYouTube動画を多数ご覧いただいておりまして、
ありがとうございます。

本日はオンライン講演会の開催をご案内申し上げます。

2022年2月27日(日)、「「老化と万病」のもと『糖化』を防ぐ!
「糖質制限食」のすすめ 」と題して、オンライン講演会を開催いたします。

講師は、江部理事長です。たくさんのご参加を心よりお待ちしております。

☆講演会情報URL:http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity

//////////////ご案内/////////////////

(一社)日本糖質制限医療推進協会主催<オンライン講演会>

「老化と万病」のもと『糖化』を防ぐ! 「糖質制限食」のすすめ

■日時:2022年2月27日(日)14:00~15:20頃

■講師:江部 康二
    (一財)高雄病院 理事長 / (一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長

*** 講師より ***

タンパク質にブドウ糖や果糖が結合することを「糖化」と言います。

血液検査でよく見かける「HbA1c(ヘモグロビンエイワンシー)」は、
赤血球の中にあるヘモグロビンというタンパク質に血糖が結合したものです。
血糖値が高いほどHbA1cが多くなるので、
糖尿病の評価を行う上での重要な指標とされています。

HbA1cは初期の糖化産物で、体内で分解できるのですが、
糖化が進行して「AGEs(終末糖化産物)」になると、分解が困難となります。

このAGEsの蓄積が動脈硬化の元凶であり、糖尿病合併症の主たる要因であり、万病の元です。

また、「老化」とは加齢に伴い、カラダの機能が衰えていくことです。
人は血管から老いるとされ、動脈硬化が大きな要因です。
つまり、糖化の延長線上に老化があると言えます。

糖化を最小限にとどめることのできる食事法が、「糖質制限食」です。
美味しく、楽しく糖質制限食を実践して、健康を保ちましょう!

*****

■受講費:賛助会員 無料 / 一般(賛助会員の方以外) 2,000円

■お支払い方法(賛助会員以外):クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。

*領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。

■お申し込みの流れ:

1. 下の「お申し込み方法」の該当するものからお申し込み下さい。
2. 事務局より一両日中に(日祝を除く)、折り返しメールでご連絡申し上げます。
<一般(賛助会員の方以外)>
3.ご入金の確認後、予約確定のメールをお送りします。

■お申し込み方法:

★賛助会員の方:事務局へメールにて、お申し込み下さい。

★賛助会員入会をご希望の方:

1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up

2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
「入会ならびに講演会出席のお問い合わせ」を選択いただき、
「通信」欄に、「2/27オンライン講演会、参加希望」 とご記入下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact

★一般(会員以外)で、講演会の受講のみご希望の方:

下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-gen

■補足・ご案内事項:

*Zoomを使用したオンライン講演会です。

・スマートフォンでもご参加可能ですが、パソコンかタブレット端末でご参加いただくと、
画面が大きいため、スライド資料を閲覧しやすいです。

・事前に招待URLをお送りし、当日はそのURLにアクセスして、オンライン受講(参加)していただくかたちとなります。

・当日までにZoomのインストールを済ませていただくことを推奨いたします。

・詳細はご予約後にご案内申し上げます。

*講演は60分程度の予定です。その後、質疑応答(Zoomの挙手機能を使用)も予定しております。

*当日の動画は、後日一定期間ご覧いただける予定です。(参加予約者様限定)

*予約制です。当日参加はできません。

*キャンセルは2月25日(金)までに事務局までご連絡願います。
それ以降のキャンセルの受講費ご返金は対応致しかねますので予めご了承下さい。

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月に数回の高血糖時に備え内服治療は必要でしょうか?
【22/01/24 育休中産業医
月に数回の高血糖時に備え内服治療は必要でしょうか?

こんにちは、いつも有用な情報を提供してくださってありがとうございます。
私は二人目妊娠時に妊娠糖尿病を発症し、出産後も食後高血糖が改善しないため、
先生のブログを参考に糖質制限をしている者です。

元々著書は拝読しておりましたが、二人目妊娠時にブログの閲覧を開始し、
おかげさまで血糖コントロールに成功し、第二子は無事に出産、
その後も糖質制限食で健診時もHbA1cは5.3-5.6%(30代後半)程度で
推移することが出来ています。

1年に数回、フリースタイルリブレ(リブレの誤差を確認するため数回のウルトラビューによる随時末梢血糖確認の上)の使用をしてグルコーススパイクがないか確認していますが、普段の食事であれば血糖値80-130mg/dlに抑えることが出来ております。

ただ、まれにイベントで糖質摂取量が多いと(自覚的に)、
リブレで血糖値ご160程度になることが分かっています、
そのパターンも食後2時間くらいから120を超え出し、
4時間程度で最高値になりその後6時間くらいで100未満に下がるため、
耐糖能異常は確実にあり(インスリンの分泌が遅く分泌量も少ないタイプ?)、
糖質制限はずっと続けないといけないと自覚しております。

今回ご相談がありコメントしました。
この度、第三子を出産しました。
今回の妊娠中は糖質制限食を実施継続していたため、
尿糖でひっかかることもなく無事出産しました。
(OGTTをしたら確実に治療対象になったと思いますが)

現在産後一ヶ月で、授乳中で、産前の体重に戻りました(身長147cm. 体重44kg)

耐糖能異常に変化がないかフリースタイルリブレで確認したところ、
普段の食事(糖質量概算20グラム以下)では血糖値120を超えることはありませんが、イベント等の糖質摂取時(家族のお誕生日でケーキを食べる、お客様と外食する等で糖質量概算50グラム程度)には、
食後2時間で120, 4時間で血糖値150程度の最高値、
そこから徐々に下がり血糖値が100未満になったのは6時間後でした。

典型的な短時間での血糖値の乱高下のグルコーススパイクではありませんが、
高血糖持続時間が長いので体へは負担がかかっているのでは、と愚考しております。

問題は、月に数回はこの様なイベントがあることです。
家族は普段同じ食事を摂れないことを理解してくれていますが、
お祝いの時は一緒に楽しみたいですし、気のおけない友人以外との外食は、
気を遣わせてしまわない様にどうしても糖質の多い食事を口にすることがあります。

選べる場合は選びますし、気休めにメタバリア等の血糖値の上がりにくいサプリを使う等の工夫はしますが、同じ様な高血糖になっていると思います。
本来はこういう場面でも糖質制限色を貫けば問題はないのですが、
私の我儘ではありますが、QOLとの天秤にかけ、月に数回の機会は受け入れております。

江部先生にご質問をしたいのは、この月に数回、確実に高血糖になる状況があることに対し、予防的に薬を飲んだ方が良いか否かです。
以前、堀江貴文氏が予防的にSGLT2阻害薬を自費診療で内服していることを思い出したので、叔父の内科医であればその様な処方をお願い出来るかもしれない、
と思った所存です。
(ただし、叔父が自費診療対応が出来なければ、OGTTをしてもらって保険診療で内服処方をお願いすることになると思われますが、もし境界型の数値であれば内服薬は一度目の診察で処方してもらえない印象なので不安です、無知で申し訳ありません)

月に数回であれば許容範囲なのか、可能であれば予防的に内服しておく方がベターなのか、江部先生のご意見をお聞かせいただければ幸いです。
不躾なご相談で恐縮ですが、ご教授お願いいたします。

追伸;私は企業の専属産業医として勤務しているのですが、
自身の体験を踏まえて、社員に食後高血糖のリスクを広く伝えています。
僭越ながら、個人的な保健指導の際には
勝手に先生の書籍やブログも勧めさせていただいております。
早めに受診して食事だけでコントロール出来ている社員もおり、
先生には日頃からたいへん感謝しております。】


こんにちは。
育休産業医さんから、
『月に数回の高血糖時に備え内服治療は必要でしょうか?』
との、コメント・質問を頂きました。

【元々著書は拝読しておりましたが、二人目妊娠時にブログの閲覧を開始し、
おかげさまで血糖コントロールに成功し、第二子は無事に出産、
その後も糖質制限食で健診時もHbA1cは5.3-5.6%(30代後半)程度で推移】


拙著のご購入、ありがとうございます。
糖質制限食実践で、第二子を無事にご出産、良かったです。
HbA1cも素晴らしい値です。

【まれにイベントで糖質摂取量が多いと(自覚的に)、
リブレで血糖値ご160程度になることが分かっています、
そのパターンも食後2時間くらいから120を超え出し、
4時間程度で最高値になりその後6時間くらいで100未満に下がるため、
耐糖能異常は確実にあり(インスリンの分泌が遅く分泌量も少ないタイプ?)、
糖質制限はずっと続けないといけないと自覚しております。】


食後4時間が血糖値のピークなので、仰る通り、
内因性インスリンの分泌がやや遷延するタイプと思われますが、
分泌量はあるていど確保できていると思います。

一方、耐糖能が完全に正常なら、食後血糖値のピークは30~60分となります。
ただ、ピークが160mg/dlくらいなので、
血管壁への害はほとんどないと思われます。
それでもスーパー糖質制限食なら、「血糖値80-130mg/dl」なので
血糖コントロール良好と共にAGEsの蓄積も最小限にとどめることができるので、
健康度は高まります。

糖尿病合併症予防のためには
世界糖尿病連合は、食後1時間・2時間血糖値を160mg/dl未満を目標で、
日本糖尿病学会は、食後2時間血糖値が180mg/dl未満が目標です。


育休中産業さんは、しっかり目標を達成できておられます。

【この度、第三子を出産しました。
今回の妊娠中は糖質制限食を実施継続していたため、
尿糖でひっかかることもなく無事出産しました。
(OGTTをしたら確実に治療対象になったと思いますが)

現在産後一ヶ月で、授乳中で、産前の体重に戻りました。
(身長147cm. 体重44kg)】


妊娠糖尿病もなくて、無事出産、おめでとうございます。
身長147cm、体重44kgも、産前の体重に戻って良かったです。
BMIが20.4でほどよいと思います。

【イベントで糖質摂取量が多いのが月に数回であれば許容範囲なのか、
可能であれば予防的に内服しておく方がベターなのか、
江部先生のご意見をお聞かせいただければ幸いです。
不躾なご相談で恐縮ですが、ご教授お願いいたします。】


上述しましたように、
世界糖尿病連合、食後1時間・2時間血糖値を160mg/dl未満、
日本糖尿病学会、食後2時間血糖値が180mg/dl未満

という目標をクリアしておられるので、
月に数回であれば、全く問題ないです。
勿論薬も必要ないです。

【私は企業の専属産業医として勤務しているのですが、
自身の体験を踏まえて、社員に食後高血糖のリスクを広く伝えています。
僭越ながら、個人的な保健指導の際には
勝手に先生の書籍やブログも勧めさせていただいております。
早めに受診して食事だけでコントロール出来ている社員もおり、
先生には日頃からたいへん感謝しております。】


拙著のご推奨、ありがとうございます。
社員さんの保健指導に、
拙著やブログがお役に立てているなら、嬉しい限りです。
育休産業医さん、これからも美味しく楽しく末長く
糖質制限食を続けられて、健康長寿を目指して頂ければ幸いです。


江部康二
即効型インスリン分泌促進剤。グルファスト。スターシス。シュアポスト。
こんにちは。
本日は、即効型インスリン分泌促進剤の解説です。

グルファスト、スターシス、シュアポストは速効型インスリン分泌促進剤で、
グリニド系薬剤に分類されます。

約2時間くらい膵臓のβ細胞に働いてインスリン分泌を促します。

ごく短時間なのでβ細胞への負担は少ないです。

これに対してSU剤のアマリールやグリミクロンやオイグルコンは
約12~24時間β細胞に働くので、作用時間が長い分、
膵臓のβ細胞に負担をかけています。

グリニド系薬剤に関しては、
冠婚葬祭や旅行など、やむを得ず糖質を摂取せざるをえないようなとき
食直前30秒に内服しますが、このていどなら、
膵臓のβ細胞への負担は全く問題ありません。

私も、糖尿病患者さんに、
旅行中とか外食でやむを得ないときなどのために、
αGI薬やグリニド系薬剤を処方しています。

1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿人の血糖値を、約3mg血糖値を上昇させます。

グリニド系薬剤の効果には個人差があり、
1錠で20~60mgくらい血糖値を下げるとされています。

食後2時間血糖値180mg/dl未満を達成するには、
薬を飲んで、炊いたご飯一杯150gのところを、
100gくらい(2/3の量)に謙虚に食べるくらいが一般的です


グリニド系薬剤の中で、グルファストは食直前に内服して、β細胞に働きかけ、
主としてインスリン追加分泌第1相の分泌を促します。
追加分泌第1相は、β細胞にプールされているインスリンです。
その後、追加分泌第2相にもあるていど作用します。

食後血糖値の改善といっても、
β細胞そのものが正常に復活するという意味ではないので、
糖質摂取時だけのほうが好ましいです。

高雄病院の入院患者さんのデータでは、炊いたご飯100gくらいなら、
グルファストで食後2時間血糖値180mg未満となる人もおられます。

グリニド系薬剤は、約2時間ていどだけ、膵臓のβ細胞を働かせますので、
SU剤に比べれば、β細胞への負担は少ないです。

炊いたご飯100gでも、
グルコバイ単独やグルファスト単独では、180mgを超える糖尿人も、
「グルファスト+グルコバイ」なら、
食後2時間血糖値180mg未満の一応の目標達成の人が増えます。



江部康二
新型コロナワクチン、「5~11歳」接種、2022年3月開始へ
こんにちは。
2022年1月21日(金)の朝日新聞朝刊によれば、
新型コロナワクチンの「5~11歳」接種が、
2022年3月以降に開始される予定のようです。

しかしながら、新型コロナワクチンの「5~11歳」への接種は、
『百害あって一利なし』
なので、親は自分の頭でしっかり考えて
接種しないと決めることが肝要
です。
子供達を守らなくてはなりません。

4回接種のイスラエルの専門家が『オミクロン株には効かない可能性がある』と
述べているようなワクチンを子供に接種する意図が不明で
す。
効かないコロナワクチンでも
副反応はインフルエンザワクチンの10倍近いのですから、
子供に打ってはいけないワクチンです


<デルタ株感染の年代別死者数>

以下は、現在のオミクロン株よりも、強毒であるデルタ株感染のデータ表です。
去年(2021年)のデータです。

年代別コロナ死者数
元ER看護師、野中しんすけさんの
https://www.youtube.com/watch?v=rzr0mwTPEnU

ユーチューブに、過去のコロナデータをまとめて表にしたものが提示してあり、
とてもわかりやすいです。
野中さん、データをまとめて頂いてありがとうございます。
とても助かります。以下表を引用させて頂きます。

その表によると
新型コロナウイルスのデータ(2021/4/7時点、デルタ株)

年齢  無症状or  軽い治療でも要した人 重症者(4/7時点)   死者
   治療不要の軽症

80歳以上 約73%      13%       0.10%       14%
70歳代  約81%      13%        0.30%       5.20%
60歳代  約87%      11%       0.10%       1.50%
50歳代  約82%      17%       0.05%        0.30%
40歳代  約90%      9%       0.03%         0.10%
30歳代  約92%      8%         0.001%      0.02%
20歳代  約91%      9%         0%         0.003%
10歳代  約90%      10%         0%        0%
10歳未満 約90%      10%        0%         0%


80歳以上の高齢者でも73%は無症状または治療不要の軽症というのは、
やや意外であり、良い意味のサプライズです。
30歳代、重症化率0.001%、20歳代以下は重症化率0%です。
30歳代で死者が0.02%、20歳代で死者が0.003%というのは、
持病がある方だと思います。

この表から考察すると、持病がない39歳以下の人は、
新型コロナワクチンの接種は不必要
です。
2022年1月現在の感染はデルタ株より弱毒のオミクロン株ですので
新型コロナワクチンの必要性はさらに低い
と言えます。

まして、インフルエンザワクチンの10倍近い副反応が出現する新型コロナワクチンの2022年3月からの「5~11歳」への接種は、暴挙と言えます。

30歳代と20歳代では、持病がある人だけが接種すれば良いと思います。
19歳以下は、重症者も死者も0%ですから、ワクチン接種は不必要と言えます。

<新型コロナワクチン接種後の報告された死亡者数>
2021年12月24日、厚生労働省は、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(以下、専門部会)を開催。収集した副反応のデータを基に接種と副反応との関連性を議論しました。
 予防接種開始(2月17日)から12月5日までに
新型コロナワクチン接種後の死亡疑いとして報告された事例は1402件(ファイザー社製1343件、モデルナ社製59件、アストラゼネカ社製0件)でした。
 なお、12月6~17日に医療機関または製造販売業者から死亡として報告された件数は29件(ファイザー社製22件、モデルナ社製6件、アストラゼネカ社製1件)でした。
 この結果、2021年2月17日~12月17日に計1431件のワクチン接種後の死亡報告があったことになります。

厚生労働省の専門部会による「新型コロナワクチン副反応データ分析」
では、相変わらず因果関係なしか不明で処理されています。
多くは高齢者ですが、中には20代、30代の持病なしの健康な人々も含まれています。
報告されただけで1431例ですが、報告されていないワクチン接種後死亡者は
この10倍はあると思います。

これらの死亡者に関しては「因果関係不明」と切り捨てるのは極めて不自然です。
逆に「因果関係なしと断定することは困難である」と言うのが自然です。

死者数は新型コロナワクチン100万回接種あたり、9.26件であり、
インフルエンザワクチン100万回接種あたり、0.1~0.2件と比較すると
その件数は、46~92倍であり、異常な死者数としか言いようがありません


江部康二
イスラエル 4回目接種 オミクロン株感染防止効果は不十分か
【22/01/19 中嶋一雄
4回目のイスラエル
イスラエル 4回目接種 オミクロン株感染防止効果は不十分か
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220118/k10013437811000.html

こんにちは。
中嶋一雄先生から、
【イスラエル 4回目接種 オミクロン株感染防止効果は不十分か】
という、NHK NEWS WEB のサイトのことをコメント頂きました。
ありがとうございます。

7カ国の人口100万人あたりの感染者数とワクチン接種率。
2022年01月18日 (火)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5852.html


上記の、1月18日の本ブログ記事でも述べましたが、
新型コロナワクチンは、オミクロン株に対して、
感染予防効果も発症予防効果も認められないことは明白です。

今回のNHK NEWS WEBの記事は
イスラエル最大の政府系の病院「シェバ・メディカル・センター」の専門家が
「オミクロン株に対しては感染を防ぐ十分な効果を得られない可能性がある」
と述べています。
コロナワクチンがオミクロン株に無効という意味で、
大きな意味をもつ発言と思います。

江部康二


以下の青字の記載は、はNHK NEWS WEBの記事の要約です。

☆☆☆
【NHK NEWS WEB
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220118/k10013437811000.html
イスラエル 4回目接種 オミクロン株感染防止効果は不十分か

2022年1月18日 23時04分 新型コロナウイルス

新型コロナウイルスの4回目のワクチン接種が進められているイスラエルの病院のチームは17日、
初期段階での研究結果として、4回目の接種で抗体の量は増えたものの、
オミクロン株の感染を防ぐ効果は十分には得られない可能性があると発表。

イスラエルでは、今月から60歳以上の人や医療従事者、
それに病気などで免疫機能が低下している人に対して、
4回目のワクチン接種が進められていて、
これまでにおよそ53万人が接種を終えている。

こうした中、国内最大の政府系の病院「シェバ・メディカル・センター」は17日、
4回目の接種を終えた病院のスタッフなどの抗体の量の変化について、
研究結果を発表。

それによると、ファイザーのワクチンを3回接種した人、
270人余りを2つのグループにわけ、1つのグループにはファイザーのワクチンを、
もう1つのグループにはモデルナのワクチンをそれぞれ追加接種した。

その結果、いずれのグループでも抗体の増加が確認され、
3回目の接種のあとよりも多かった。

ただ、4回接種した人の中からも感染者が出ているということで、
会見した病院の専門家は、初期段階での結果だと強調したうえで、
「オミクロン株に対しては感染を防ぐ十分な効果を得られない可能性がある」と指摘し、
今後4回目の接種をしたあとの感染状況などについて、
引き続き調査を進めるとしている。】
「菓子職人糖質制限マンスリーケーキ」のご案内。チョコレートシフォン。
こんにちは。

私が監修をつとめる「菓子職人糖質制限マンスリーケーキ」のご案内です。

2022年、1・2月は、
風味豊かなしっとり生地 チョコレートシフォンケーキ
糖質 3.19g 
カロリー 339kcal
※100gあたり
※エリストールを除く糖質

2019年1月チョコレートシフォンケーキホール

https://shop.kashishokunin.co.jp/view/category/lowglucide_monthly01

表示糖質は100gあたり3.19gですが、
江部康二の人体実験で、

2022/1/18(火)
16時 血糖値:110mg
チョコレートシフォン 100g 摂取 
糖質含有量は3.19g(エリスリトールを除く)
17時 血糖値:115mg

美味しく楽しく頂きましたが
5mgしか上昇しませんでした。

私の場合は、糖質1gが血糖値を3mg上昇させるので
菓子職人チョコレートシフォンケーキ(1個100g)で、
私にとっては、1.7gの糖質という計算となります。

従って表示成分よりかなり低くて素晴らしいです。
勿論個人差はあると思いますが、
これなら糖質セイゲニストにも安心です。

甘味料はもっぱら、
血糖上昇ゼロのエリスリトールです。
糖質制限中の方にも、美味しいケーキで季節を感じていただけます。
菓子職人さんの『糖質制限マンスリーケーキ』
我々糖質セイゲニストの強い味方です。
菓子職人さん、ありがとうございます。

ブログ読者の皆さん、是非ご賞味あれ!!

お問い合わせは以下です。

☆☆☆
彩韻菓子工房有限会社

〒615-0032 京都府京都市右京区西院西高田町19
TEL:075-311-4606
FAX:075-311-4123
営業時間:午前9:00から午後8:00(年中無休)

ホームページ: http://www.kashishokunin.co.jp/
お問い合わせ: info@kashishokunin.co.jp



江部康二


☆☆☆
菓子職人
【チョコレートシフォンケーキ 美味しさのヒミツ】


A チョコレート・シフォンケーキ
モリドール社のノンシュガーダークチョコレートとカカオマス(カカオパート100%)、ノンシュガーミルクチョコレートを
たっぷりシフォンケーキに溶かして練り込み、北海道産生クリームやヘーゼルナッツオイル、ラム酒で
香りづけをしました。
糖質制限ミックス粉、ココナッツフラワー、ココアでつなぎをつくりシフォン風に仕上げチョコチップで食感を出しました。

B 仕上げの生クリーム
北海道産生クリームとマスカルポーネパウダーを加えて風味をあげ、エリスリトールや有機アガベイヌリン、羅漢果で
品のいい甘さに仕上げました。
7カ国の人口100万人あたりの感染者数とワクチン接種率。
こんにちは。

元ER看護師、野中しんすけさんのユーチューブ
https://www.youtube.com/watch?v=wsa_mJgrGXo&t=256s
2022/01/14
【7カ国比較】ワクチン4回目を接種しているイスラエルと日本を加えた7カ国を比較してみた
【数字が見えてきました】


に、7カ国の、
人口100万人あたりの新型コロナ感染者数と新型コロナワクチン接種率を、
表にしたものが提示してあり、とてもわかりやすいです。
野中さん、データをまとめて頂いてありがとうございます。

野中さんは、ワクチンに関してもコロナ感染に関しても
中立な立場で信頼できる情報を発信しておられます。
とても助かります。
興味ある人は、是非、野中しんすけさんのユーチューブを視聴して下さいね。

以下表を引用させて頂きます


野中しんすけさんのユーチューブ(2022/1/14)の表
2022/1/12時点のデータ

人口100万人あたり感染者数      ワクチン接種率
オーストラリア:3958人           80.33%
イスラエル:3699人             75.74%。4回目接種開始。
アメリカ:2374人               74%
イギリス:2159人               76.3%
南アフリカ:109人               32%。
日本:59人                   80.25%。
タンザニア:0人とか50人とか        3.38%



南アフリカは、オミクロン株発祥の地ですが、接種率32%と低いのにも関わらず、
感染者数は、109人と、イスラエルの36分の1、イギリスの20分の1です。
タンザニアにいたっては、接種率がわずか3.38%と極めて低いにも関わらず、
感染者数は0~50人と、極めて少ないです。

このように、冷静に事実を検証してみると、
新型コロナワクチンは、オミクロン株に対して、
感染予防効果も発症予防効果も認められないことは明白です。

さらに副反応はインフルエンザワクチンの10倍近くあり、
死亡したかたも日本で100人以上おられます。

テニスのジョコビッチ選手が新型コロナワクチンを拒否して、
オーストラリアオープンに参加できなくなりましたが、
非常に残念に思います。

オーストラリア政府は、
感染予防効果も発症予防効果も認められないワクチンを接種しないジョコビッチ選手を入国拒否としましたが、
根拠がありません。

無効なワクチンを断固拒否したジョコビッチ選手の勇気を賞賛したいです。


江部康二
ドクター江部の糖質オフ!健康トーク『コレステロールについて<後半>』
こんにちは。
日本では、2021年8月26日の24950人をピークに
一気に新型コロナ感染者数が急減しました。
その後、12月中旬から少し増え始めて、12月27日現在も漸増傾向です。

そして冬を迎えて、2020年1月1日以降は、1月16日に到るまで
右肩上がりで増加中です。
オミクロン株には、既存の新型コロナワクチンの効果は、ほぼ期待できません。
糖質制限食実践で、免疫力向上に努めましょう。

さて、
ドクター江部の糖質オフ!健康トーク 第9回は
▼ vol.9『コレステロールについて<後半>』
https://youtu.be/zbXSIHrLdiY

です。

コレステロールについては、ブログ読者の皆さんの関心も高いと思います。
一般にHDLコレステロールは善玉で、LDLコレステロールは悪玉とされていますが、
ことは、そんな単純なものではありません。
例えば、LDLコレステロールには、善玉もあるし悪玉もあるのです。
中性脂肪値が60mg/dl以下で、HDLコレステロールが60mg/dl以上なら、
LDLコレステロールは全て善玉となるのです。


江部康二


以下の青字の記載は、事務局からのお知らせです。


*********

ブログ読者の皆様、弊会のYouTube動画を多数ご覧いただいておりまして、ありがとうございます。


江部理事長による動画「ドクター江部の糖質オフ!健康トーク
vol.9」の配信をご案内申し上げます。

テーマは、前回に続いて「コレステロール」についてです。

今回は、LDLコレステロール値が基準値より高い場合、薬で下げる方がよいか・下げなくてよいか、LDLコレステロールを下げる薬について、食事によるコレステロール摂取について等、お話ししております。


ドクター江部の糖質オフ!健康トーク
▼ vol.9『コレステロールについて<後半>』
https://youtu.be/zbXSIHrLdiY

ご覧いただけますと、また、ご興味のある方へシェアしていただけますと幸いです。


▼協会YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCdh9uz2_XnhDyJj9pHDDW1A

一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会
https://www.toushitsuseigen.or.jp/

*********
『α-GI薬』(グルコバイ、ベイスン、セイブル)の役割と糖質制限食。
こんにちは。
今回は、α(アルファ)-グルコシターゼ阻害薬剤(α-GI薬)について考えてみます。
糖質制限食を実践していても、旅行や外食などで、
どうしても糖質摂取せざるを得ないこともありますので
その様なときは、α-GI薬の出番なのです。

デンプンのような多糖類は、α-アミラーゼという消化酵素の作用を得て、
二糖類(麦芽糖や蔗糖)やオリゴ糖に分解されます。

つまり、α-アミラーゼは、
穀物や芋のデンプンと呼ばれる多くの糖の集合体を
まず第一段階で分解して少し大きさを小さくしています。

その後、この二糖類やオリゴ糖は、
マルターゼ、スクラーゼ、グルコアミラーゼなどの酵素により、
単糖(ブドウ糖、果糖、ガラクトース等)に分解されて小腸から体内に吸収されます。

マルターゼ、スクラーゼ、グルコアミラーゼなどの酵素を総称して、
α-グルコシダーゼと呼びます。

この、α-グルコシダーゼの働きを阻害することにより、
腸管からの糖質の分解・吸収を遅延させて、
食後高血糖を抑制するお薬が、
『α-グルコシダーゼ阻害薬』(グルコバイ、ベイスン、セイブル)です。

グルコバイ(アカルボース)はα-グルコシダーゼだけではなく、
α-アミラーゼに対する阻害作用も、もっています。
ベイスン(ボグリボース)やセイブル(ミグリトール)は、
α-グルコシダーゼの活性を阻害しますが、α-アミラーゼには影響を与えません。
従って、グルコバイの方が少し効果が強いですが、副作用もやや生じやすいです。
副作用とは、ガス、腹満、腹痛、軟便などです。

それぞれ常用量で下記程度に血糖値を下げるとされています。

グルコバイ: 1時間値50mg、 2時間値40mg
ベイスン:  1時間値40mg、 2時間値30mg
セイブル:  1時間値60mg、 2時間値20mg


しかし、これほど下がらない人もあります。
セイブルは1時間値を下げるけれど、2時間値はあまり下げないのが特徴です。
いずれの薬も結構個人差が大きいですし、
印象としては上記の数字ほど下がらない人のほうが多いです。

作用機序から考えて、膵臓のβ細胞には全く影響を与えないので、
SU剤のように疲れた膵臓を鞭打つといった欠点はありません。(^^)

しかし、比較的頻度の多い副作用として、
分解が遅れて腸管に残った糖質が醗酵してガスがでたり、
お腹が張ったり、下痢をすることがあります。(-_-;)

ガスの貯留により、腸閉塞(イレウス)のような症状になる事があるので、
腹部手術歴の有る方は、禁忌とされています。
私自身で行った人体実験では、かなり興味深いことがありました。
グルコバイの常用量を食直前に服用して何種類かの食品を試食してみました。
蕎麦はほとんど腹満がなかったのですが、
お餅は最悪で、腹満・腹痛・ガスのフルコースで、
病院に行こうか?(∵)?と思ったくらいでした。
うどんやご飯は、蕎麦に比べたらやや腹満・ガスなど出やすかったですね。
個人差はあると思いますが、参考にしていただければと思います。

現在は、私は、食事の工夫(スーパー糖質制限食)をしていますので、内服薬は一切なしです。

糖尿人でスーパー 糖質制限食実践中の患者さんの場合は、ほとんど薬はなしですが、
お昼だけ主食ありの『スタンダード 糖質制限食』の時は、
α-GI薬を食直前に内服してもらうことがあります。

従いまして、「糖尿病には糖質制限食」の高雄病院でも
比較的使用頻度の高いのが『α-グルコシダーゼ阻害薬』です。

高雄病院入院中にグルコバイ100mgを、食時開始30秒前に内服して、
昼食に例えば炊いたご飯100g摂取など少なめで実験し、
食後2時間血糖値値が180mgを超えない量をリサーチすることもあります。

炊いたご飯お茶碗一杯は約150gで、糖質を55g含んでいますが、
それでは糖質が多すぎて太刀打ちできないので、約100gに減らして実験します。

グルコバイ・ベイスン・セイブルを飲み忘れた場合、
食べ始めてからすぐに飲んでもそれなりに有効です。
食事終了時に内服しても無効です。
基本的に安全性の高い薬ですが、まれに肝障害を来す例があるので、
定期的な血液検査を推奨します。


朗報として、最近のCGM(Continuous Glucose Monitoring:持続ブドウ糖測定)システムの普及で、
α-GI薬が、食後高血糖と共に平均血糖変動幅増大を
ある程度コントロールしていることが判明し、
その有効性が見直されています。

これなら活性酸素の発生が少なくなり、酸化ストレスも減少します。

2002年、2003年に、LancetやJAMA(米国医師会雑誌)に掲載されたSTOP-NIDDMという臨床試験(*)(**)で、
アカルボース(α-グルコシダーゼ阻害薬・グルコバイ)による治療は、
2型糖尿病の発症を36%、心血管疾患の発症を49%抑制すると報告されました。

2008年6月にヘルシンキで「第5回糖尿病とその合併症予防に関する世界会議」(WCPD)が開催され、
STOP-NIDDM試験のまとめが発表されました。
あまりにも、結果が良すぎるので、当時私は信用していなかったのですが、
近年のCGMの普及により、STOP-NIDDMの結果は、
信頼できるものであったと納得がいきました。

CGMの普及により、α-GI薬のように見直される薬剤もあれば、
SU剤のように欠点がもろに暴露された薬剤もあり、栄枯盛衰ですね。

(*)
Lancet. 2002 Jun 15;359(9323):2072-7.
Acarbose for prevention of type 2 diabetes mellitus: the STOP-NIDDM randomised trial.
Chiasson JL1, Josse RG, Gomis R, Hanefeld M, Karasik A, Laakso M; STOP-NIDDM Trail Research Group.

(**)
Chiasson JL, Josse RG, Gomis R, Hanefeld M, Karasik A, Laakso M, STOP-NIDDM Trial Research Group
: Acarbose treatment and the risk of cardiovascular disease and hypertension in patients with impaired glucose tolerance: the STOP-NIDDM trial. JAMA 2003; 290: 486-494.



江部康二
SU剤は極力、使用制限する方向で。日本糖尿病学会は勧告すべき。
こんにちは。
今回は、長年、繁用されてきたSU剤についての考察です。
SU薬は、経口血糖降下薬の中では最も古くから使用されている薬です。

日本薬学会第136年会(横浜)
2016年3月27日の発表
2型糖尿病薬処方割合の推移


によると、
2005年度では、SU薬が50%以上を占めていて
ダントツです。
2位は、αGI薬で、2005年度で、20%くらいです。

その後、SU薬は減り続け、
2010年に登場したDPP-4阻害薬が増え続けて、
2012年に逆転しています。

2015年には、SU薬は、20%まで減少し、
DPP-4阻害薬は増え続けて、40%を超えています。

SU薬はこのように激減していますが、いまだにまだ処方する医師もいるとうことなので、
注意が必要です。


私の場合、スーパー糖質制限食が上手く実践できないために、コントロールがいまいちの糖尿人に、やむを得ずSU剤(アマリール:第3世代)を投与するときも、原則として、0.5mgの錠剤を1錠/日などのごく少量にしていました。

SU剤は、疲れたβ細胞を鞭打つ側面がありますから、少量に越したことはないのです。

そしてもし、グリペンクラミド(オイグルコン、ダオニール:第2世代SU剤)や第一世代のSU剤(ジメリンなど)を服用しておられる方がいたら、心筋障害のリスクがあるので即刻中止した方が無難です。

しかしながら、アマリールやグリミクロン(第3世代)も、HbA1cの改善効果はあるけれど、食後高血糖をマッチング良く防ぐことができないことと、空腹時には低血糖を招きやすい欠点が、CGM(☆)により明らかとなってきました。

つまり、SU剤は「平均血糖変動幅増大」「食後高血糖」という最大の酸化ストレスリスクを予防できていないどころか、悪化させている可能性が極めて高いのです。一見改善したように見えても、実は質の悪いHbA1cなのです。

CGMにより検査してみると、SU剤を内服して食事しても、食後高血糖はほとんど防げていなくて、空腹時の低血糖を生じていることが多かったのです。

例えば、夕食前にSU剤を内服して、従来の糖尿病食(高糖質食)を摂取すると、食後1時間とか2時間の血糖値は軽く200mg/dlを超えてきます。

なおかつ、夜中の午前3時頃には、50~60mg/dlなどの低血糖を高率に生じていたのです。

平均血糖値(HbA1c)は、一見6.5%とか良好でも、SU剤を内服していた場合は、「食後250mg/dlと空腹時50mg/dl」の
平均値をみているだけで、極めて質の悪いHbA1cなのです。

これでは、わざわざ平均血糖変動幅を増大させて食後高血糖は防げず、空腹時低血糖を頻回に起こすという
百害あって一利なしの薬物ということになります。

酸化ストレスリスクをもっとも生じやすい薬物がSU剤といえます。

このため私自身は、現在SU剤を、ほぼすべて中止して、SGLT2(エスジーエルティーツー)阻害薬、DPP-4(ディーピーピーフォー)阻害薬、メトホルミン、リベルサス(GLP1受容体作動薬)などに変更しました。
スーパー糖質制限食実践なら、SU薬の必要性は、皆無です。

日本糖尿病学会は、これらのCGMデータによる生理学的事実を、広く一般医師に公表し説明する義務があると思います。

しっかり説明して、SU剤の使用制限或いは中止を早急に勧告すべきです。

これは、日本糖尿病学会の喫緊の義務と思いますが、日本糖尿病学会さん、如何でしょう。


江部康二



(☆)CGM
CGM(Continuous Glucose Monitoring:持続ブドウ糖測定)システム


ブドウ糖値を数日間連続的に測定できる持続ブドウ糖測定装置(CGMS)が、2012年4月から日本でも保険適応となり、日常臨床で使用できるようになりました。

ブドウ糖値の日内変動を24時間通して把握できるので、SMBG(血糖自己測定器)やHbA1cによるデータとは異なる情報を得ることができます。

15分ごとに測定して、24時間で96回、14日間で1344回のブドウ糖測定が可能です。

血糖ではなく皮下間質液中のブドウ糖値を連続測定するのですが、血糖値と同様とみなしてよいと思われます。

2000年頃、欧米で開発され使用されるようになりました。


江部康二

糖尿病治療。内服薬。注射薬。

こんにちは。
糖尿病治療のための、内服薬、注射薬がどんどん増えてきました。
20年前までは内服薬はSU薬、メトホルミン、αGI薬、アクトスくらいしかなかったので
大きく様変わりしました。
現在は、内服薬が9種類に増え、
注射薬はインスリンに加えてGLP1受容体作動薬もあります。
これらの糖尿病の内服薬と注射薬について、
一つ一つ、私のわかる範囲で、解説していこうと思います。


<インスリンを分泌させる薬>
スルホニル尿素薬(SU(エスユー)薬)
グリベンクラミド(ダオニール、オイグルコン)、
グリクラジド(グリミクロン)、グリメピリド(アマリール)など

速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)
ナテグリニド(ファスティック、スターシス)、ミチグリニドカルシウム水和物(グルファスト)、レパグリニド(シュアポスト)など


<インスリンを効きやすくする薬>
ビグアナイド薬
ブホルミン塩酸塩(ジベトス)、メトホルミン塩酸塩(メトグルコ、グリコラン)など
(ビグアナイド薬を服用しているかたへ )

チアゾリジン薬
ピオグリタゾン塩酸塩(アクトス)


<糖の吸収や排泄(はいせつ)を調整する薬>

α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI:アルファー・ジーアイ)
アカルボース(グルコバイ)、ボグリボース(ベイスン)、ミグリトール(セイブル)など

SGLT2(エスジーエルティーツー)阻害薬

イプラグリフロジンL-プロリン(スーグラ)、ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物(フォシーガ)、ルセオグリフロジン水和物(ルセフィ)、トホグリフロジン水和物(デベルザ、アプルウェイ)、カナグリフロジン水和物(カナグル)、エンパグリフロジン(ジャディアンス) 


<インクレチンの一種GLP1に作用する薬>
DPP-4(ディーピーピーフォー)阻害薬
毎日内服するタイプ
シタグリプチンリン酸塩水和物(ジャヌビア、グラクティブ)、ビルダグリプチン(エクア)、アログリプチン安息香酸塩(ネシーナ)、リナグリプチン(トラゼンタ)、テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物(テネリア)、アナグリプチン(スイニー)、サキサグリプチン水和物(オングリザ)

週1回内服するタイプ
トレラグリプチンコハク酸塩(ザファテック) 
オマリグリプチン(マリゼブ)


リベルサス:GLP1受容体作動薬。内服薬1錠/日

トルリシティ:1/週、皮下注射

ビクトーザ注射:毎日皮下注射


<ツイミーグ>
最も最近発売された、新しい作用機序の内服薬。


<インスリン注射>


<「インスリン+GLP1受容体作動薬」の注射>
ゾルトファイ


江部康二
食物繊維のエネルギーは0kcal/g、1kcal/g、2kcal/gの三群がある
こんにちは。

<炭水化物=糖質+食物繊維>

です。

そして、

『①糖質は人体に消化吸収されて血糖値を上げてエネルギーも含有する。

②食物繊維は消化吸収されず血糖値を上げずエネルギーも含有しない。』

というのが、一般的な理解です。

は、はぼ正しいです。
 例外として糖アルコールの中で『エリスリトール』だけは
 体内に吸収されますが利用されず、エネルギーはゼロです。
 また合成甘味料は、血糖値をあげず、エネルギーもゼロです。

は、正確ではありません。
確かに、食物繊維は人体には吸収されませんが、
腸内細菌の餌となるものがあります。
腸内細菌は食物繊維を餌にして短鎖脂肪酸を産生しますが、
それがエネルギーを含有しているのです。
つまり、血糖値は上昇させませんが、
エネルギーは含有している食物繊維があるのです。

実は、食物繊維のエネルギー換算は、 
0kcal/g、1kcal/g、2kcal/gの三群がある
のです。

食物繊維の発酵・分解性はその種類によって異なっているので、三群に大別されるのです。
ペクチンのように腸内細菌によって容易に発酵・分解され、短鎖脂肪酸を産生して、エネルギーを供給するもの、
セルロースのように腸内細菌による発酵・分解をほとんど受けず、
短鎖脂肪酸を生成しないもの、これらの中間的なものがあります。

一般財団法人日本食品分析センター
Japan Food Research Laboratories
No.34 Jul. 2003
食物繊維の熱量(エネルギー)について


によれば、
平成15年2月17日付の厚生労働省の2種の通知
『「栄養表示基準等の取扱いについて」の 一部改正について』(食新発 第 0217001 号)ならびに
『「栄養表示基準における栄養成分等の 分析方法等について」の一部改正について』(食新発 第 0217002 号)により、
栄養表示基準に おける食物繊維の熱量(エネルギー)の取扱いが改正されました。

食物繊維は最大で1g 当たり2kcal であり、大腸内の腸内細菌による 発酵・分解を受け難いものでは、
その発酵・分解性に応じて1g 当たり1kcal あるいは0kcal とされたようです。
奥ら(*)は、食物繊維の発酵・分解性に基づいて食物繊維素材のエネルギー換算係数を決めるに当たっての基準として
以下を提案しています。

①発酵・分解率が 75%以上のもの2 kcal/g
②発酵・分解率が 25%以上,75%未満のもの 1 kcal/g
③発酵・分解率が 25%未満のもの0 kcal/g


市販食物繊維素材のエネルギー換算係数(奥らの表を簡略化して以下作成)
① 2kcal/g:  タマリンドシードガム、グァーガム、
             グァーガム酵素分解物
             小麦胚芽、湿熱処理でんぷん(難消化性でんぷん)、
             水溶性大豆食物繊維(WSSF)、プルラン
② 1kcal/g:  アラビアガム、難消化性デキストリン、
              ビートファイバー
③ 0kcal/g:  低分子化アルギン酸ナトリウム、寒天、
              キサンタンガム、ジェランガム、サイリウム種皮、
              セルロース、ポリデキストロース


☆☆☆ 

コーンファイバー、水溶性コーンファイバー(アラビノキシラン)、小麦ふすま、specialty dextrin、難消化性でんぷんに関しては、データが少なかったが暫定的に、2kcal/gを用いる。


参考文献(*)
奥 恒行,山田 和彦,金谷 建一郎:日本食物繊維研究会誌,6,81-86(2002)


江部康二
SARS-CoV-2感染に対するBCGワクチン接種の効果
【22/01/12 中嶋一雄
BCGとSARS-CoV-2
Effect of BCG vaccination against SARS-CoV-2 infection

https://doi.org/10.7883/yoken.JJID.2021.406

BCGワクチン接種がSARS-CoV-2感染から保護できることを示した
しかし、BCGワクチン接種がCOVID-19の重症度を低下させることができるという証拠は不十分である】



こんにちは。
中嶋一雄先生から、
SARS-CoV-2感染に対するBCGワクチン接種の効果

という論文を、ご紹介頂きました。
Embase、PubMed、Web of Science、Cochrane Library、BioRxiv、およびMedRxivデータベース

に掲載された論文で、信頼度の高いものを、8つ選択して
メタ解析したものです。
従って、この論文の信頼度もかなり高いと言えます。

結論としては
①BCGワクチン接種がSARS-CoV-2(新型コロナウイルス)感染の予防に役割を果たす可能性がある。
②BCGワクチン接種がCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の重症度を軽減できるという十分な証拠はない。


ということです。
ともあれ、BCG接種が新型コロナウイルスの予防に役立つ可能性があるとは、
日本などBCG接種を実施している国々においてはとても良いお話です。

江部康二


☆☆☆
以下の青字の記載
この論文の「題名」と「概要」の
グーグル翻訳です。

SARS-CoV-2感染に対するBCGワクチン接種の効果

概要
以前の研究に基づいて、我々は、Bacillus Calmette–Guérin(BCG)ワクチン接種がSARS-CoV-2感染の予防に役割を果たす可能性があることを発見しました。したがって、このメタ分析を実施して、この保護効果を調査しました。 Embase、PubMed、Web of Science、Cochrane Library、BioRxiv、およびMedRxivデータベースで、BCGワクチン接種とSARS-CoV-2感染またはCOVID-19疾患との関係を評価した研究を検索しました。含まれているすべての研究の質は、非ランダム化研究におけるバイアスのリスク-介入および医療研究および質の機関を通じて評価されました。レビューマネージャー(バージョン5.3)は、すべてのデータ分析を実施するために使用されました。合計8つの研究が最終的にメタアナリシスに含まれました。私たちの一次分析では、BCGワクチン接種グループのSARS-CoV-2感染率は、対照グループと比較して有意に低く、オッズ比(OR)は0.61(95%信頼区間(CI)0.39〜0.95、P = 0.03)でした。 I2 = 31%、およびP = 0.21(不均一性の場合)。私たちの研究は、BCGワクチン接種がSARS-CoV-2感染を防ぐことができることを示しました。しかし、BCGワクチン接種がCOVID-19の重症度を軽減できるという十分な証拠はありません。



J-STAGE home/Japanese Journal of Infectious .../Advance online publication/Article overview
Effect of BCG vaccination against SARS-CoV-2 infection
Ya-Ping Li, Jie-Wen Cai, Li-Juan Liao, Han Ding, Xun-Jie Cao, Guo-Dong Zhu, Xu-Guang Guo
Author information
Keywords: BCG vaccination, SARS-CoV-2 infection, COVID-19
Article ID: JJID.2021.406
DOI https://doi.org/10.7883/yoken.JJID.2021.406

Abstract
Based on previous studies, we found that Bacillus Calmette–Guérin(BCG) vaccination may have a role in preventing SARS-CoV-2 infection. Thus, we conducted this meta-analysis to investigate this protective effect. We searched in Embase, PubMed, Web of Science, Cochrane Library, BioRxiv, and MedRxiv databases for studies that evaluated the relationship between BCG vaccination and SARS-CoV-2 infection or COVID-19 disease. The quality of all included studies was assessed through the Risk of Bias in Non-randomized Studies - of Interventions and the Agency for Healthcare Research and Quality. Review Manager (Version 5.3) was used for conducting all data analyses. A total of 8 studies were ultimately included in our meta-analysis. Our primary analysis found significantly lower SARS-CoV-2 infection rate in the BCG vaccination group compared to the control group, with a odds ratio (OR) of 0.61, (95% confidence interval (CI) 0.39 to 0.95, P = 0.03; I2 = 31%, and P = 0.21 for heterogeneity). Our study indicated that BCG vaccination can protect against SARS-CoV-2 infection. However, there is insufficient evidence that BCG vaccination can reduce the severity of COVID-19.
炭水化物、糖質、糖類の違いは?
こんにちは。

日頃何気なく使っている言葉、「炭水化物、糖質、糖類」これらの違いはどうなっているのでしょう。
健康増進法における栄養表示基準というのがあって、各メーカーさんはこれに従っています。

栄養表示基準では栄養成分表示を行う場合、
基本表示は<エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム>の5成分表示とされています。

「炭水化物、糖質、糖類」を整理すると下記の如くにまとめることができます。

①栄養表示基準上はたんぱく質や脂質、灰分(ミネラル分)のいずれにも分類されないものは炭水化物に計算。
②炭水化物=糖質+食物繊維
③糖質=糖類+三糖類以上+糖アルコール+合成甘味料
④糖類=単糖類+二糖類


*三糖類以上=でんぷん、オリゴ糖、デキストリン
*二糖類=砂糖、麦芽糖、乳糖
*単糖類=ブドウ糖、果糖、ガラクトース
*糖アルコール=エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトール、ラクチトール、マンニトールなど
*合成甘味料=アセスルファムK、スクラロース、アスパルテーム、サッカリン、ネオテーム、アドバンテームなど

**食物繊維
 一、水溶性食物繊維
  a)ポリデキストロース  
   海藻、こんにゃくの他、野菜、果汁類にも含まれる水溶性の食物繊維
   です。ぶどう糖などから作られます。
  b)難消化性デキストリン
   とうもろこしなどに含まれる水溶性の食物繊維です。とうもろこしでんぷん
   などを分解して作られます。糖質の吸収を穏やかにする作用があり、
   血糖値が高めの方向けの特定保健用食品の機能素材となっています。

 二、不溶性食物繊維  セルロース
   物の細胞壁の構成成分です。不溶性の食物繊維です。食品には粘性を
   与えたりするために利用されています。

食品100g中の炭水化物を表示するとき、基準に則れば、

炭水化物=100g-<水分+タンパク質+脂質+灰分>

となります。

つまり、栄養表示上は、たんぱく質、脂質、灰分のいずれにも分類されないものは、炭水化物に計算されます。
合成甘味料が糖質に分類されるのは、何だか変ですが、
炭水化物・糖質の栄養表示基準の定義に従えばそうなるようです。(∵)?

このあたりのことは
アサヒ飲料のホームページ
https://www.asahiinryo.co.jp/customer/dictionary/ing_label.html
お客様相談室 栄養成分表示

にわかりやすく解説・図解してあるので、是非覗いてみて下さいね。

アサヒ飲料さん、お世話になります。
今日の記事は、おおいに参考にさせていただきました。
ほぼ毎日アサヒスタイルフリー飲んでますのでご容赦のほど・・・m(_ _)mV

なお、栄養表示基準に則り、糖類ゼロなら、無糖と表示できます。
つまり砂糖やブドウ糖などの二糖類、単糖類がなければ、
合成甘味料や糖アルコールが含まれていても無糖と表示できるのです。

従って、無糖表示でマルチトールやキシリトールが含まれていても法律上はOKだけど、
血糖値は上昇することになりますので、糖尿人の皆さんはご用心ご用心。(=_=;) 

国連の食糧農業機関(FAO)及び世界保健機関(WHO)は、
JECFA(Joint Expert Committee on Food Additives)を設けて、
甘味料など添加物のの安全性評価を公表していますが、
糖アルコールは、極めて安全性が高いとされています。
妊婦にも大丈夫です。
糖アルコールの中でエリスリトールだけは、
カロリーゼロで、血糖値の上昇もありません。

エリスリトールは、ワインや果物の天然の甘味成分です。

最後に追加ですが、「糖分」という単語は、かなり曖昧に使用されています。
糖質あるいは糖類と同じ意味で、一般用語として使用されていて、ますます混乱の元となっています。
栄養表示基準には「糖分」という言葉は記載無しです。
私は、基本的に糖分という言葉は、使わないようにしています。

江部康二
夜間睡眠時の脂肪燃焼。
こんばんは。
糖質を普通に摂取している人でも、食物摂取開始後数時間経過した空腹時には、
基本的に脂肪が燃えて、血糖値確保のために肝臓や腎臓では糖新生が行われます。

そしてこの時間帯は、心筋や骨格筋などほとんどの体細胞の主要なエネルギー源は、
「脂肪酸-ケトン体」です。

従って、人類700万年の歴史で、狩猟・採集時代も農耕時代も空腹時や睡眠時は、
脂肪が燃えてエネルギー源となり、糖新生も普通に行っているわけです。
つまり、700万年間、「脂肪酸-ケトン体」エネルギーシステムも、
「ブドウ糖-グリコーゲン」エネルギーシステムも、
日常的に普通に毎日、エネルギー源として利用しているのです。
赤血球はブドウ糖しかエネルギー源に利用できないので、
空腹時や夜間の糖新生は、もっぱら赤血球のためと言えます。

昼間の空腹時でも脂肪は燃えますが、夕食から睡眠時の絶食時間は一番長いです。
糖質のある夕食を午後6時頃食べて、午後11~12時に就寝なら、
夜中は、しっかり脂肪が燃えて肝臓では糖新生がおこなわれています。

そして、朝食抜きのスーパー糖質制限食で、昼と夜の一日2食なら、
約17時間くらいは絶食時間が持続
して、その間は脂肪が燃え続けて、
血中ケトン体値も400~800~1200μM/mlとかと上昇し、
基準値(26~122μmoL/L)の数倍から10倍くらいとなります。

糖新生するためのエネルギー源は、脂肪の燃焼から得られるので、
糖質摂取後、数時間経って眠るなら、
睡眠中に脂肪が燃えてくれるので肥満には繋がらないのです。

しかし、夜食として午後9時から10時にラーメンなどを食べたら、
血糖値が上昇してしまいます。
そうすると夜間は上昇した血糖は脳でも筋肉でも使われないので、
血糖を下げるため、インスリンが大量に分泌されて脂肪分解を邪魔します。
本来脂肪が燃えて、肝臓で糖新生する時間帯の夜中に、
インスリンが血糖を中性脂肪に変えて脂肪細胞に蓄積する方向に向かいますので
太りやすいのです。

スーパー糖質制限食なら、食事中も含めて常に脂肪が燃えていますが、
空腹時間が連続して長いほど、よりしっかり燃えることになります。

糖新生も空腹時間中は、摂食時より多めに行われます。
例えば絶食療法(断食)の初期は、
数日目で血中のケトン体が3000~4000μM/L(26~122)くらいに上昇します。
血中ケトン体が高値ということは、それだけ脂肪が燃えている証拠です。

絶食療法で一定期間が経過すると、血中のケトン体はあるていど下がって安定します。
2002年からスーパー糖質制限食実践中の私の早朝空腹時のケトン体は、
400~1200μM/mlくらいです。
このまま、絶食を続ければ血中ケトン体は
一旦3000~4000μM/mlになると思います。
要するに空腹時間(絶食時間)が長いほど、
脂肪の分解は高まり血中ケトン体も上昇します。


江部康二
執着について。
【22/01/08 モン吉
断捨離
江部先生、こんばんは              
72歳のお誕生日おめでとうございます。

>ブログ読者の皆様も、「様々な執着」を減らすと、
心に余裕が生まれると思いますよ。 (^^) 

江部先生の仰られる通りだと思います。
私は、物に対する執着心がありすぎて、余裕もなく断捨離も出来ないのでしょうね。
衣類は、スーツ、シャツ、靴下、下着等も全部自分で買います。スーツやコートは大学生の時に買った物が未だに着られるので、捨てられずに着ています。その為、スーツ40着、コート10着、ネクタイ、靴下、ハンカチ等各50位ずつはあります。

又、車も拘りがありますので、困ったものです。私はお酒は飲めませんが、車が飲んべえです。
バイクも好きで、二十歳の時に中古で買ったメグロをつい最近まで乗っていました。

高校生の時に買ったコンポステレオも未だに使い、途中で買い足したので、今はアンプ3台、レコードプレーヤー3台、スピーカー6台、レコード200枚、CDデッキとCD、チューナー、腕時計他等と自分の部屋に所狭しと置いています。私はレコードの優しいサウンドが好きです。鬼嫁にはどれもガラクタに見えるようで、ゴミ屋敷といわれています。

電化製品も洗濯機以外は、全部自分好みで買います。
鬼嫁は、あまり執着心はありませんので、お金を用意するだけです。
こんな状態ですから、正直疲れます。
鬼嫁からすれば、どこかの相談コーナーに、相談したいレベルでしょうね
江部先生のようになれると良いです。
とりあえずは70歳を目途に、少し何とかとは思っていますが・・・。】



こんばんは。
モン吉さんから、「執着」について、コメントを頂きました。
ありがとうございます。

衣食住・・・

まずは、衣に対するこだわりというか執着がすごいですね。
ここまで衣服に拘っておられるなら、それはそれで楽しいでしょうから
「快」や「楽」を感じることができるのでポジティブと思います。

車やバイクもいいです。
20歳のとき、中古で買ったメグロをつい最近まで乗っていたとは
超長寿なバイクです。
モン吉さん、たしか65歳ですから、中古バイク45年間とはすごいです。
メグロとはカワサキのバイクですね。
こちらも楽しみがいっぱいありそうで、
「快」や「楽」を感じることができると思いますのでポジティブです。

アンプ、ステレオ、スピーカー、プレーヤー、レドード、CD、CDデッキ、チューナー
音楽関係も半端ないです。
いえいえ、ゴミ屋敷ではなく、立派に「快」や「楽」を生んでくれる素敵な空間です。

お連れ合いも、モン吉さんといいコンビであり、
鬼嫁ではなく、「割れ鍋に綴じ蓋」の良い夫婦とお見受けしました。

執着もモン吉さんレベルに到達していれば、
生きる喜びであり、とても「good job」と思いますよ。

なお執着に関しては
『反応しない練習 
あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」
2015年7月29日刊行 KADOKAWA
草薙龍瞬 著

僧侶。1969年生まれ。』
で勉強させて頂きました。
草薙老師、ありがとうございました。


江部康二


☆☆☆
2022年は36年に1度巡ってくる五黄の寅の年です。執着が少ない。
http://koujiebe.blog95.fc2.com/

2022年1月8日の本ブログ記事

こんにちは。
私は、1950年1月8日生まれです。
五黄の寅で、本日、72歳になりました。
寅年の中でも、2022年は36年に1度しか巡ってこない
「五黄の寅(ごおうのとら)」と呼ばれる特別な年です。

近年の五黄の寅の年と、その年に生まれた人の2022年現在の年齢は以下の通りです。

【近年の五黄の寅の年と年齢】

五黄の寅の年 年齢(2022年現在)

1914(大正3)年 108歳

1950(昭和25)年 72歳

1986(昭和61)年 36歳

2022(令和4)年 0歳


最も強運である五黄の寅を持つ人の性格は、

「実行力がある」「自分の意見がはっきりしている」「気が強い」「人情味がある」「頑固な面がある」とされていて、おおむね当たっているような気がします。

このような一般論はさておいて、
私自身が思う自分の性格の最大の特徴は、「執着の少なさ」です。
単純に言えば、「糖質制限食」という執着はありますが、
それ以外に対する執着は、ほぼ無いと思います。
例えば「衣・食・住」ですが、服は連れ合いが選んだものをそのまま着ています。

食は、美味しい物は大好きで、コロナ禍の前はよく、数人で外食に行ってました。
コロナ禍で今は外食ゼロですが、とくにつらくはありません。
家で連れ合いが作ってくれる物で充分ですし、
連れ合いが風邪で寝込んだりしたときは、
糖質制限OKな冷凍食品を電子レンジでチンして食べてます。
糖質制限以外は執着がないので、それでとくに不満はありません。

今の自宅も連れ合いが探して選んだものであり、
私はほぼ関与していなくて、購入資金を提供しただけです。

自家用車を運転していますが、車への執着はなく、
連れ合いや子供達が選んだものをそのままOKとしています。
過去数台いろいろ車を購入してきましたが、私が選んだことは一度もありません。
さらに、車を石や駐車場のコンクリートの柱に擦ったりして傷がついても、
修理したことは一度もありません。
ただエンジン周りだけは、しっかり定期点検しています。
車の役割は「雨・風をしのげて動けばよい」と考えているからで、
自分で洗車したり、車の中を掃除したりしたことも一度もありません。
つまり、執着がないので、普通のマイカー所有者に比べると
車に使う労力も時間もエネルギーも最小限
ですんでいると思います。

私は、コロナ前は、日本全国で年間20回以上糖質制限食の講演会をしていました。
月、火、水、木、金、土と外来診療をこなし、病棟入院患者さんも担当しています。
ブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」の記事はほぼ毎日更新し、
コメントの質問にもほぼ全部回答しています。
さらに本の執筆活動もありますので、
トータルすれば世間一般の人の倍以上の仕事量と思われます。
頭も体も両方おおいに使っていますが、疲れることはほとんどありません。
スーパー糖質制限食実践のおかげで心身共に健康で元気なのですが、
一般的な執着がほぼないので、
いろんな執着に費やす心理的エネルギーが極端に少ないと考えられます。
そのため、講演や診療やブログ更新や執筆に必要な心のエネルギーが、
余裕を持って確保できているのだと思います。

2020年、2021年とコロナ自粛で外食や会食ができなくなって、
ストレスがたまり「コロナ太り」という言葉まで誕生しましたが、
私はとくにストレスとは感じていません。
よいチャンスなので、もっぱら、Kindleで本を購入して読んでいます。
Kindleなら年末・年始も祝祭日も日曜日も時間帯も関係なく
いつでも好きな本を購入できますので、とても便利です。
もっとも白状しますが、半分以上は漫画です。
全巻を一気に購入とかしますが、
フレンチレストランに数人で出かけて、
ワインを3本開けるとかの費用(基本、私の奢りです)に比べたら、
極めて安価と言え、プチ贅沢を楽しんでいる気分です。

ブログ読者の皆様も、「様々な執着」を減らすと、
心に余裕が生まれると思いますよ。 (^^)       


江部康二
2022年は36年に1度巡ってくる五黄の寅の年です。執着が少ない。
こんにちは。
私は、1950年1月8日生まれです。
五黄の寅で、本日、72歳になりました。
寅年の中でも、2022年は36年に1度しか巡ってこない
「五黄の寅(ごおうのとら)」と呼ばれる特別な年です。

近年の五黄の寅の年と、その年に生まれた人の2022年現在の年齢は以下の通りです。

【近年の五黄の寅の年と年齢】

五黄の寅の年 年齢(2022年現在)

1914(大正3)年 108歳

1950(昭和25)年 72歳

1986(昭和61)年 36歳

2022(令和4)年 0歳


最も強運である五黄の寅を持つ人の性格は、

「実行力がある」「自分の意見がはっきりしている」「気が強い」「人情味がある」「頑固な面がある」とされていて、おおむね当たっているような気がします。

このような一般論はさておいて、
私自身が思う自分の性格の最大の特徴は、「執着の少なさ」です。
単純に言えば、「糖質制限食」という執着はありますが、
それ以外に対する執着は、ほぼ無いと思います。
例えば「衣・食・住」ですが、服は連れ合いが選んだものをそのまま着ています。

食は、美味しい物は大好きで、コロナ禍の前はよく、数人で外食に行ってました。
コロナ禍で今は外食ゼロですが、とくにつらくはありません。
家で連れ合いが作ってくれる物で充分ですし、
連れ合いが風邪で寝込んだりしたときは、
糖質制限OKな冷凍食品を電子レンジでチンして食べてます。
糖質制限以外は執着がないので、それでとくに不満はありません。

今の自宅も連れ合いが探して選んだものであり、
私はほぼ関与していなくて、購入資金を提供しただけです。

自家用車を運転していますが、車への執着はなく、
連れ合いや子供達が選んだものをそのままOKとしています。
過去数台いろいろ車を購入してきましたが、私が選んだことは一度もありません。
さらに、車を石や駐車場のコンクリートの柱に擦ったりして傷がついても、
修理したことは一度もありません。
ただエンジン周りだけは、しっかり定期点検しています。
車の役割は「雨・風をしのげて動けばよい」と考えているからで、
自分で洗車したり、車の中を掃除したりしたことも一度もありません。
つまり、執着がないので、普通のマイカー所有者に比べると
車に使う労力も時間もエネルギーも最小限
ですんでいると思います。

私は、コロナ前は、日本全国で年間20回以上糖質制限食の講演会をしていました。
月、火、水、木、金、土と外来診療をこなし、病棟入院患者さんも担当しています。
ブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」の記事はほぼ毎日更新し、
コメントの質問にもほぼ全部回答しています。
さらに本の執筆活動もありますので、
トータルすれば世間一般の人の倍以上の仕事量と思われます。
頭も体も両方おおいに使っていますが、疲れることはほとんどありません。
スーパー糖質制限食実践のおかげで心身共に健康で元気なのですが、
一般的な執着がほぼないので、
いろんな執着に費やす心理的エネルギーが極端に少ないと考えられます。
そのため、講演や診療やブログ更新や執筆に必要な心のエネルギーが、
余裕を持って確保できているのだと思います。

2020年、2021年とコロナ自粛で外食や会食ができなくなって、
ストレスがたまり「コロナ太り」という言葉まで誕生しましたが、
私はとくにストレスとは感じていません。
よいチャンスなので、もっぱら、Kindleで本を購入して読んでいます。
Kindleなら年末・年始も祝祭日も日曜日も時間帯も関係なく
いつでも好きな本を購入できますので、とても便利です。
もっとも白状しますが、半分以上は漫画です。
全巻を一気に購入とかしますが、
フレンチレストランに数人で出かけて、
ワインを3本開けるとかの費用(基本、私の奢りです)に比べたら、
極めて安価と言え、プチ贅沢を楽しんでいる気分です。

ブログ読者の皆様も、「様々な執着」を減らすと、
心に余裕が生まれると思いますよ。 (^^)       


江部康二
米ファウチ博士 オミクロン株 「感染対策緩めるべきではない」
こんにちは。

NHK NEWS WEB
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220106/k10013417161000.html
に、2022年1月6日 8時56分
米ファウチ博士 オミクロン株 「感染対策緩めるべきではない


という記事が、掲載されました。

アメリカ政府の首席医療顧問を務めるフファウチ博士によれば、
オミクロン株はデルタ株より、弱毒性の可能性が高いです。
一方、感染力はオミクロン株のほうがデルタ株より強いので、
感染の急速な拡大に繋がっています。

弱毒でも、感染者が急増すれば、入院患者も死亡者も結果として増加します。
また医療従事者に感染が広がれば、病院の業務にも影響が及んできます。

本ブログ記事
新型コロナウイルス感染症、日本では急減。理由は?
2021年10月18日 (月)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5762.html

において
①冬場になると、換気をしなくなる。
②コロナウイルスそのものも、冬場に活動的になる可能性がある。

①②より、冬場に感染が再燃する可能性があると
と記載しましたが、やはり冬になって(とくに2022年の年始から)
新型コロナウイルス感染症が急増してきました。

新型コロナワクチンは、デルタ株にも無効ですので
オミクロン株に有効である可能性は低いです。

やはり、感染予防には、日本国民一人一人が初心に戻ること、
すなわち、
『三密を避ける、マスク、手洗い、うがい、換気、ソーシャル・ディスタンスを保つ』
などの励行が必要と思います。
特に、対面や隣り合っての会話を伴う会食が大きな感染リスクとなるので
注意が必要です。
マスクなしでの、複数人数のカラオケも勿論NGです。


江部康二


以下の青字の記載
上述の
NHK NEWS WEB
米ファウチ博士 オミクロン株 「感染対策緩めるべきではない」

という記事の要約です。

【新型コロナウイルスの感染者の急激な増加が続く中、
アメリカ政府の首席医療顧問を務めるファウチ博士は、
変異ウイルスのオミクロン株について
「重症化しにくいとしても、大量の感染者が出れば医療機関には大きな負担となる」
と述べ、対策を緩めるべきではないと警告しました。

アメリカでは、新型コロナウイルスの感染者の急激な増加が続き、
一日に報告される感染者の数は1週間の平均でおよそ55万人に達しているほか、
新たに入院する人も一日およそ1万5600人、
死者の数もおよそ1200人と、増加傾向が続いています。

ファウチ博士は5日の会見で、
オミクロン株はこれまでの変異ウイルスよりさらに感染力が強く、
感染の急激な拡大につながっているとしたうえで
「複数の研究から、オミクロン株はほかの変異ウイルスに比べて重症化しにくいことが示されている」
と述べました。

しかし、感染拡大が現在のペースで続いた場合
「重症化しにくいとしても、多くの感染者が出れば医療機関には大きな負担となる。
ワクチンの接種や、マスクの着用といった感染対策を緩めるべきではない」
と警告しました。

東部メリーランド州は4日、
新型コロナウイルスに感染して入院している人が3000人を超え、
過去最も多くなったとして非常事態宣言を出したほか、
アメリカ各地でも医療従事者の感染が相次ぐなど
医療のひっ迫への懸念が高まっています。】



母乳(人乳)。乳糖。グルコース。ガラクトース。ヒトミルクオリゴ糖。
こんばんは。
今回は、母乳(人乳)とその成分について、考察してみます。
それぞれの成分が役割を分担して、
赤ちゃんの身体を守り育てるように精妙な工夫が成されており
おおいに感心します。

日本食品標準成分表2015(七訂)によれば、

人乳は100gで、65kcal、炭水化物が7.2g、
利用可能炭水化物(単糖当量)6.7g、脂質が3.5gくらいです。
糖質が総カロリーの44.9%
脂質が総カロリーの48.46%


です。

日本食品標準成分表には、具体的な記載はありませんが、
ヒトミルクオリゴ糖(HMO)は、
乳糖および脂肪に次いでヒトの乳の3番目に豊富な固体成分を形成
しています。

さて1デシリットル(dl)は100ml です。
血糖値が100mg/dlくらいと仮定すると
循環血液量4000ml中に、ブドウ糖は合計で4gしかありません。
100g中に100mg(0.1g)のブドウ糖しか含まれていない血液から
母乳(100g中に6.7gの糖質)を作るのですから、
乳房内でかなり濃縮していることとなります。

『おっぱい先生の母乳育児「超」入門』 平田喜代美/著  東洋経済新報社  2010年
  P96~98 「母乳育児で生まれるふたつの『愛情ホルモン』」に、
   「赤ちゃんが唇と舌を使って乳頭に与えた刺激が、お母さんの脊髄を通って脳に伝わると、脳の脳下垂体前葉というところから、母乳をつくる『プロラクチン』という物質が分泌されます。このプロラクチンの作用によって、お母さんの乳房の中の毛細血管にたくさんの血液が流れ、その血液が母乳となって乳房の中に蓄えられます。このとき、約1ミリリットルの母乳をつくるのに、500ミリリットルの血液が乳房を通過するといわれています。」と記載あり。


ということで、1mlの母乳をつくるのに、500mlの血液が必要なのですね。
私も、全く知らなかったので、調べてとても勉強になりました。

上記のように母乳には、糖質もかなり含まれていますが、
それ以上の高脂質食でもありますね。

母乳が高脂質食なので、母乳育児中の乳児の血中ケトン体値は、
成人基準値よりはかなり高値となります。

ヒトが吸収できる単糖には、ブドウ糖、果糖、ガラクトースがあります。

人乳あるいは哺乳類のお乳に、
乳糖が含まれていることの意味は何か考えてみました。

乳糖は「ガラクトース+ブドウ糖」で構成されています。

エネルギー補給だけならブドウ糖だけでもいいようなものなのに、
ガラクトースが必要なのには、理由があるようです。

乳糖が母乳の糖質の 80% 以上で、
全エネルギーの 約38%を占めます。

乳糖以外には微量のグルコース、ガラクトース、
種々のオリゴ糖などを含有しています。
ヒトミルクオリゴ糖(HMO)は、母乳で三番目に多い成分ですが、
そのほとんどは口腔や上部消化管で分解されずに大腸まで到達し、
ビフィズス菌など善玉腸内細菌の栄養源として利用されます。

善玉のビフィズス菌が栄養源を得れば、
酢酸や酪酸といった短鎖脂肪酸を生成して、大腸粘膜のエネルギー源となり、また腸内を酸性に保つことで、
腸内の悪玉の大腸菌群などが減少することが明らかとなっています。

ガラクトースで構成されるガラクトオリゴ糖も、同様に
糞便中のビフィズス菌数増加や腸内細菌叢の改善と、
これに伴う糞便中の酢酸濃度の上昇により腸内の酸性濃度を維持してくれます。

また、ガラクトースは、急速に発達する乳児の中枢神経系の完成に
重要な役割を果たす
とされています。
そしてガラクトースは自然免疫反応のブレーキ役を担っていますが、
病原体に感染した時には、ガラクトース糖鎖の量が減少して
ブレーキが解除される仕組みになっています。


江部康二

阪大の論文。イベルメクチンが新型コロナ肺炎に有効。
【22/01/04 中嶋一雄

阪大の論文
イベルメクチンをコロナ肺炎患者に使いました
気管内挿管期間の短縮と、消化器合併症の軽減ができました

doi.org/10.1016/j.jiac.2021.12.024】


こんばんは。
中嶋一雄先生から、「イベルメクチンがコロナ肺炎に有効」という
阪大の論文を、コメントで紹介して頂きました。
ありがとうございます。

ICUで人工呼吸器を装着したCOVID-19患者がこの研究の対象です。
入院後3日以内にイベルメクチンを投与された人工呼吸器を装着した患者は
イベルメクチン群に割り当てられ、他の患者は対照群に割り当てられました。

全部で88人の対象患者のうち39人の患者はイベルメクチングループに分類され、
残りの49人の患者は対照グループに分類されました。
対照群と比較したイベルメクチン群の胃腸合併症のハザード比は、
0.221で、約4.5分の1ですんでいます。
イベルメクチン群では人工呼吸なしの日が、対象群の1.92倍であり、
有効性が確認されています。

このように、
イベルメクチンは、機械的人工呼吸を受けている重度のCOVID-19患者において、
胃腸の合併症を改善し、人工呼吸器のない日数を増やしました。
SARS-Cov-2による胃腸症状の予防は、
COVID-19感染肺炎の予後と関連している可能性があります。

新型コロナ感染症に対する治療として、高額な新薬が開発されていますが、
安価で安全ななイベルメクチンが有効なのですから、即使用するべきと思います。

江部康二


☆☆☆

以下の緑文字の記載は、阪大の英文論文の概要をグーグル翻訳したものです。



イベルメクチン投与は、COVID-19の換気された患者の胃腸合併症の低下と人工呼吸器のない日数の増加に関連しています:傾向スコア分析

序章
COVID-19患者は、予後不良の消化器症状を示すことが報告されています。駆虫薬であるイベルメクチンは、COVID-19患者に使用されています。この研究の目的は、イベルメクチンがCOVID-19の換気された患者の胃腸合併症と人工呼吸器のない日数に影響を与えるかどうかを評価することでした。

方法
ICUで人工呼吸器を装着したCOVID-19患者がこの研究に含まれました。入院後3日以内にイベルメクチンを投与された人工呼吸器を装着した患者はイベルメクチン群に割り当てられ、他の患者は対照群に割り当てられました。イベルメクチン群の患者は、鼻腔チューブを介してイベルメクチン200μg/ kgを投与されました。入院から4週間以内の胃腸合併症と人工呼吸器のない日数の発生率は、逆確率均等法による傾向スコアを使用して臨床転帰として評価されました。

結果
この研究には88人の患者を含め、そのうち39人の患者はイベルメクチングループに分類され、49人の患者は対照グループに分類されました。対照群と比較したイベルメクチン群の胃腸合併症のハザード比は、Cox比例ハザード回帰モデルで0.221(95%信頼区間[CI]、0.057〜0.855; p = 0.029)でした。対照群と比較した人工呼吸器のない日のオッズ比は、比例オッズロジスティック回帰モデルで1.920(95%CI、1.076〜3.425; p = 0.027)でした。

結論
イベルメクチンは、機械的人工呼吸を受けている重度のCOVID-19患者において、胃腸の合併症と人工呼吸器のない日数を改善しました。 SARS-Cov-2による胃腸症状の予防は、COVID-19の結果と関連している可能性があります。


糖質摂取実験とデータの解釈。
【22/01/04 年男(としおとこ)
タイトルなし
江部先生、いつもブログを拝見しております。
今年も先生のブログで勉強させていただき、精進していきたいと考えています。
普段は糖質制限している私ですが、元旦だけは解除して、
実験を兼ねて摂取しています。

【実験内容】
■計測は自己採血による機器にて
■元旦の朝の空きっ腹におしるこ(餅4個、栗入り)
■トータル糖質量は204g
■運動や移動はせず、座りっぱなし
【実験結果】
血糖値の推移
 食前:94
 食べ始めから30分:182
 食べ始めから45分:185
 食べ始めから60分:198
 食べ始めから75分:126(猛烈な眠気あり)
 食べ始めから90分: 99(猛烈な眠気あり)

【先生にお伺いしたいこと】
健康でインスリン分泌が正常な人は、
どれだけ糖質を摂取しても血糖値が140を超えないそうですが、
それは事実でしょうか?
私の場合、それを大きく上回っていますが、
遅れてインスリンは分泌されているようです。
そのインスリン分泌の「効き」はどのように判断できますでしょうか?
ご多忙の所、恐縮ですが、先生のご意見、ご指導をいただけると幸いです。
よろしくお願い致します。】


こんにちは。
年男さんから、糖質摂取実験とデータについて、コメント・質問を頂きました。

【■トータル糖質量は204g
 ■運動や移動はせず、座りっぱなし
【実験結果】
血糖値の推移
 食前:94
 食べ始めから30分:182
 食べ始めから45分:185
 食べ始めから60分:198
 食べ始めから75分:126(猛烈な眠気あり)
 食べ始めから90分: 99(猛烈な眠気あり)】


糖尿病診断のために、<75g経口ブドウ糖負荷試験>が実施されることがあります。
つまり糖質75g摂取での検査ですね。
年男さんの、204gはかなり多い負荷であったと言えます。

結果として、90分値が99mg/dlですので
120分値も、まず140mg/dl未満と思われます。
ということは、耐糖能は正常型であると考えられます。

【食べ始めから60分:198
 食べ始めから75分:126(猛烈な眠気あり)】


わずか15分で、62mg/dl血糖値が下がっています。
この急劇な血糖変動が、強烈な眠気の原因と言えます。

 【食べ始めから90分: 99(猛烈な眠気あり)】

この時も、わずか30分で、
ピークの198mg/dlから99mg/dl低下しています。
やはり、血糖値の急激な低下で眠気を生じたのでしょう。
一般的には、60分で、60mg/dl以上血糖値が下がると眠気を催します。

追加分泌インスリンのピークは、60分~75分です。
ご指摘通りやや遅めです。
204gの糖質摂取で、
94mg/dlからピークが198mg/dlと、104mg/dl上昇しています。
そうすると、1gの糖質が0.5mg/dlほど、血糖値を上昇させています。


1gの糖質が、体重64kgの糖尿人の場合、
ピークで3mg/dl血糖値を上昇させます。
もちろん個人差はありますが、およその目安になります。
女性で体重が48kgなら、<64kg÷48kg=1.33・・・3mg×1.33=3.99mg>
1gの糖質摂取で、約4mg血糖値が上昇する計算となります。

境界型だと、1gの糖質が約2mg/dl血糖値を上昇させます。

正常人でも1gの糖質が0.5~1mgていど血糖値を上昇させるのですが、
正常人の場合は多くのグラム数の糖質を食べれば、
リアルタイムにインスリンが必要なだけ多く出て対応します。
従って、正常人は通常1時間値が140~180mgまでですみます。
勿論2時間値は140mg未満です。


年男さんは、1gの糖質で0.5mg/dlの血糖上昇ですから、
やはり耐糖能は正常型です。


【健康でインスリン分泌が正常な人は、
どれだけ糖質を摂取しても血糖値が140を超えないそうですが、
それは事実でしょうか?】


これは20歳くらいまでの正常人の話です。
30代、40代、50代になってくると、
正常人でも、糖質摂取後1時間血糖値は
180mg/dl~199mg/dlくらいになることもあります。
それでも、食後2時間血糖値が140mg/dl未満なら正常型です。


【私の場合、それを大きく上回っていますが、
遅れてインスリンは分泌されているようです。】


正常人および糖尿人における食後血糖値上昇のピーク時間は、
東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科准教授の西村理明氏の研究によれば、

1)耐糖能正常者24名の食後血糖値のピークは、40分から50分
2)HbA1c8%未満の患者はおおむね1時間から90分の間にピーク
3)HbA1cが8%を超える患者では2時間後にピーク


です。
年男さんの場合、インスリン追加分泌がやや遅れ気味ですが、
204gという大量の糖質摂取のせいかもしれませんね。


江部康二
百寿者は、しっかり食べている。タンパク質摂取が大事。
こんにちは。
お正月ですので、100歳以上の長寿の人の食という「めでたい話題」としました。

少し前ですが

日経Goodayに
2018/2/24
「100歳以上の長寿には小食が多い」 ウソ・ホント?


という記事が載りました。

結論は
「100歳以上の長寿には小食が多い」はウソでして、
「しっかり食べている」が正解です。

以下の青字の記載は、日経Goodayの記事の要約です。

 【厚生労働省が2017年9月に発表したデータによると、
現在日本には100歳以上の高齢者が全国に6万7824人だそうで
随分増えたものだと思います。
 47年間、連続で増加し続けているとのことです。

 慶應義塾大学医学部では1992年から、
百歳以上生きる人(百寿者)の医学調査を行っています。
当時の百寿者は4000人程度ですから、
25年間で、16倍以上に増えています。
 「粗食がいい」とか「カロリーを制限すると寿命が延びる」という説もありますが
実際の「百寿者」の食生活は、どのようなものか興味ある話題です。

 長寿者の研究を行っている
慶應義塾大学医学部百寿総合研究センター講師の新井康通さんは、
「百寿者はむしろしっかり食べています」と述べています。
 摂取カロリーも、80代と同レベルで栄養状態が良いのが基本です。

 60代ぐらいまでは、糖尿病やメタボ予防に、
肥満しないような食生活が基本ですが、
それ以降は、むしろしっかり食べて筋肉や骨を維持することの方が重要です。
カロリー制限の目的は、体脂肪を減らすことですが、
実際は、筋肉や骨も同時に弱くなりますし、
通常、筋肉と骨は加齢とともに減っていきます。

 70~80代以降になると、筋肉と骨格系の衰えの方が重要な問題です。
新井講師は
「個人差はありますが、70代ぐらいになったら頭を切り替え、
『やせないようにしっかり食べる』ことを優先した方がいいのです。
栄養素では、たんぱく質をきちんと食べることが大事です」。
 「もちろん百寿者には肥満の人はほとんどいませんので、
若いころから食べ過ぎる習慣はなかったと思われます。
でも、小食でもない。とりわけ高齢になってからは、
むしろしっかり食べたほうがいいと、覚えておいてください」
と述べています。】


私も、基本は新井講師の考えに賛成ですが、
もっと早くから高蛋白・高脂肪食で良いと思っています。
つまり糖質制限食を推奨します。

健康長寿の実現には、筋肉と骨を維持することも肝要ですが、
「糖化」「酸化」や「AGEsの蓄積」「慢性炎症」を最小限にすることも大切です。

糖化と酸化とAGEsの蓄積と慢性炎症が、全ての生活習慣病の元凶と言えます。
糖質を摂取して血糖値が急上昇する(糖化)ことで、
活性酸素が発生し(酸化)AGEsが蓄積し、慢性炎症も誘発します。

糖質制限食実践なら、
活性酸素発生やAGEs蓄積、そして糖化や慢性炎症も最小限ですむので
免疫力が健常となり、新型コロナを含めて感染症にも強くなれます。
ブログ読者の皆さん、糖質制限食実践で、
美味しく楽しく、健康長寿を目指しましょう


私自身は、52歳に糖尿病が発覚してから、
スーパー糖質制限食を続けています。
従って、52歳から「高蛋白・高脂肪食」をしっかり摂取していることになります。
おかげで、71歳現在、内服薬なしで、糖尿病合併症もなしで、他の成人病もなしで、
血液検査のデータは全て正常です。

歯は全部残っていて、虫歯はなし、
身長も縮んでないし、
夜間の尿も行きません。
聴力低下もなく、視力は裸眼で広辞苑が読めます。

医学部を卒業して24年目ですが、110名のうちすでに10名逝去されています。
残った100名の同級生のほとんどが、何か内服薬を飲んでいます。
高血圧、脂質異常症、痛風、糖尿病・・・
同級生の医師からは「江部君は変だよ。早く何か病気になりなさい。」
と誘惑されています。

ともあれ、今は、
52歳で糖尿病になってとても運が良かったと、糖尿病に感謝しています。
糖尿病を発症してなくて、普通にラーメンや寿司やケーキを食べ続けていたら
今頃は、歯は何本か抜けて、背は縮み、
夜中に2.3回は尿に行く人生であったと思います。


江部康二
健康診断で、血糖値376mg/dl、尿糖4+。玄米でも糖尿病発症。
【22/01/02 yumi
頭が真っ白です。
初めまして。
明けましておめでとうございます。

糖尿病のことを検索していたところ先生のhpを拝見致しご連絡致しました。
昨年年末12/29健康診断を受診致しました。
結果 糖尿病と診断  【 血糖値376 尿糖4+ 】

ここ4年ぐらいがストレスが溜まり食事も不規則な生活をしておりました。
仕事・実母親・兄弟・子供たちのこと

今までは食事は玄米、オーガニック等して規則正しい生活をしていました。

今どうしてよいか分からなくメールいたしました。

1/4に空腹の血液検査に行きます。

宜しくお願い致します。】


こんにちは。
yumi さんから、【 血糖値376mg/dl 尿糖4+ 】で、
頭が真っ白になったというコメントを頂きました。

2022年1月4日の空腹時の検査で、
血糖値と共に血中インスリン値も測定しましょう。
その他、一般的な、
肝機能・腎機能・膵機能・貧血・脂質値(HDL-C、LDL-C、中性脂肪)・電解質なども
血液検査で調べておきましょう。
一般的な検査は健康診断ですんでいれば、しなくてもよいですが、
その場合、HDL-C値、LDL-C値、中性脂肪値や、基準値をはずれている検査値も、
ご教示ください。
糖尿病の家族歴(父上、母上など)もご教示ください。

1月4日の検査で、自分のインスリンがあるていど分泌されていることが確認できれば、
スーパー糖質制限食実践で、内服薬やインスリン注射なしで
血糖コントロールができると思います。


実は私自身も、34歳から玄米魚菜食を実践していて、
52歳で糖尿病を発症しました。
もともと父も母も糖尿病で、家族歴は完璧なので、
私もそこそこ警戒はしていたのですが、
2002年の病院の健康診断(52歳時)で
遂にHbA1Cが6.7%と糖尿病の域に達していました。ヾ(゜▽゜)
翌日慌てて、給食(胚芽米)を食べて
1時間後の血糖値を測定してみると250mg/dlもあり愕然としました。

さらに次の日は血糖値を上昇させにくい玄米で実験してみても
食後1時間血糖値は228mg/dlもあり、
軽く200アップで、ほとんど変わりませんでした。
ついでといっては何ですがメタボ、高血圧も発症していました。
身長167cm、体重67kgで、
腹囲86cm、内臓脂肪CT126cm2 、高血圧など
メタボリック・シンドロームの診断基準を全て満たしていました
その頃の空腹時血糖値は、126mg/dlとか」127mg/dlくらいでした。

血圧は普段が140~150/90~100、夜の診察が終わったあとには、
180/110とかをたたきだして外来ナースがびっくりしていましたが、
私もびっくりがっくりでした。

発症後は即、
スーパー糖質制限食実践を開始して、
3週間後のHbA1cは6.0%(NGSP)と改善し、
その後は2021年12月まで、ずっと6.0%未満をキープしていて、
合併症ももちろんなしです。
メタボのほうもスーパー糖質制限食開始半年で10kgの減量に成功し血圧も、
120~130/70~80と正常
になり、腹囲78cm、内臓脂肪CT71cm2と改善しました。
その後も2022年1月現在まで、体重は57kg前後を維持しています。
空腹時血糖値は、良いときは96mg/dlとか97mg/dl、
高めのときは、118mg/dlとか121mg/dlとか、境界型のこともあります。

通常食後高血糖が数年間続いたあとに、
空腹時血糖値が上昇すると言われているので、
実は1990年代の初めごろから
とっくに食後高血糖が存在した可能性が高かったのです。

読者の皆さんも糖尿病や境界型の早期発見には
空腹時血糖値ではな主食摂取後1時間血糖値くを調べてくださいね。
これが180mg/dlを超えていると将来糖尿病になりやすいのです。


江部康二

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。 
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江部康二