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インフルエンザ流行する、しない?予防接種の効果は?
こんにちは。

新型コロナウイルスとのウイルス間干渉により
昨年度はインフルエンザ感染者数が激減しました。
2020年11月15日~11月21日の期間が、定点あたり報告総数は23人でした。

今期の2021年11月15日~11月21日、
インフルエンザ感染者の定点あたり報告総数は、19人です。
こうなると今期もインフルエンザ感染者数は、
昨季と同様に極端に少ない可能性が高いと思われます。

ちなみに、新型コロナ前の2019年度11月11日~17日で、
定点あたり報告総数は、9107人です。
つまり、昨年度と今期は、
例年のインフルエンザ感染者数の約400分の1しか発症しないと思われます。

さて、インフルエンザワクチンを接種した人も接種してない人もいると思います。
インフルエンザ予防にワクチンを打つのなら、種類が多いA型と、感染力が弱くはないB型に備えておきたいです。
国内で広く用いられている「4価ワクチン」は、A型とB型両方への効果が期待されています。
しかし是非、知っておいて欲しいことは、
インフルエンザワクチンは万能ではないということです。

すなわち感染防御力は基本的になくて、
重症化を防ぐことが期待されるていどの効能です。
ワクチンを打っている人も打っていない人も、
『手洗い、うがい、マスク、三密を避ける』がインフルエンザ予防の基本ですね。
これは、新型コロナ予防策と一緒です。
特に、手洗いが思った以上に有効です。
ドアノブや電車のつり革など様々なものに触れることにより、 
自分の手にもウイルスが付着している可能性があります。
外出先から帰宅時や調理の前後、食事前などこまめに手を洗いましょう。
咳やくしゃみで飛んだ飛沫が服についても、数時間で感染力を失うとされています。
外出から帰宅したら着替えすることも予防に役立ちます。

以下の青字は、厚生労働省サイトの記載です。
インフルエンザの予防にはみんなの「かからない」、「うつさない」という気持ちが大切です。
手洗いでインフルエンザを予防して、かかったら、マスク等せきエチケットも忘れないでください。


インフルエンザにかかった人は、必ずマスクをして他人にうつさないように配慮が必要です。


<インフルエンザワクチンの有効性>
インフルエンザワクチンは、A型にもB型にも対応しています。
しかし、実は現行のインフルエンザワクチンには、
水際で感染をシャットアウトするような効果はありません。
感染した後、重症化を防ぐ効果が期待されるという程度なので、過信するのは禁物です。

理論的に考えても、ワクチンを接種することにより
IgG抗体が血液・体液中に産生されますが、
粘膜面を防御しているIgA抗体は全くできません。
従って、インフルエンザウィルスが、
咽や鼻の粘膜を突破して細胞内に侵入した後(感染が成立した後)、
はじめてIgG抗体がかけつけて戦うことになります。
欧米では、鼻への噴霧ワクチンで、粘膜面のIgA抗体をつくる試みもされていますが
あまり上手くいっていません。
IgA抗体を充分量増やす技術が難しいようです。

下記の青字は国立感染研究所のホームページ(2018年度)からの抜粋です。


【7.インフルエンザワクチンの問題点
(2)「現行ワクチンの感染防御効果や発症阻止効果は完全ではありませんので、
ワクチン接種を受けてもインフルエンザに罹患する場合があり、
この場合には患者はウイルスを外部に排泄し、感染源となります。
従って、集団接種を行っても社会全体のインフルエンザ流行を
完全に阻止することは難しいと考えられます。」

(6)「現行のインフルエンザワクチンは皮下接種されています。
しかし、不活化ワクチンの皮下接種では、
インフルエンザウイルスの感染防御に中心的役割を果たすと考えられる
気道の粘膜免疫や、
回復過程に重要であると考えられる細胞性免疫がほとんど誘導されません。
これは、インフルエンザウイルスの感染そのものを防御すると言う面では
大きな短所であると考えられています。
しかし、この様な欠点を持ちながらも、先に述べたように、
ハイリスク群に対する現行インフルエンザワクチンの効果は明らかに認められています。
また、ワクチンの皮下接種でも血中の抗体産生は十分に刺激できるので、
インフルエンザに続発する肺炎などの合併症や
最近問題となっているインフルエンザ脳炎・脳症の発生を抑えることには
期待出来ると考えられています。」



<集団感染>

 東京・練馬区の特別養護老人ホームで、
入所者49人が年末から年始(2017/2018)にかけて相次いでインフルエンザに感染していることがわかりました。
このうち、症状が重かった6人が医療機関に入院したということですが、
現在は回復しているということです。
 前橋市は2017年12月28日、
同市内の病院の入院棟にいた入院患者26人と職員4人の計30人がインフルエンザに集団感染し、
このうち80代の女性が死亡したと発表しました。
これらの集団感染において、ほとんどの人はインフルエンザワクチンを接種していました。
このように、感染防御にはワクチンは、
実際にまったく無力だったことが明らかとなりました。

そもそもインフルエンザワクチンは
「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」ということが効能です。
感染を防ぐためには、「手洗い、うがい、マスク」が必須です。


<誤解>

ところが、相変わらず多くの患者さんや医師が、ワクチンを接種していれば、
水際で感染防御できると誤解しておられるのです。
私は、過去10年間以上、友人の医師などに、
感染防御はできないと口を酸っぱくして言い続けてきたのですが、
皆なかなか信じてもらえませんでした。
どこかで誤った情報が流され続けていたのでしょうね。
ここ数年、新聞などでもやっと、
「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」という真実が報道されるようになりました。
逆に言えば、過去10年以上、
あたかも感染防御できるような内容の報道に終始していたわけで、
そのことに関して自己批判も反省もないのは如何なものでしょう。

インフルエンザワクチン注射を希望する患者さんがこられたら、
私はこのことを説明して、
「手洗いやうがい、人混みを避けるなど、基本的なことが感染防御には大事なので、
ワクチンを接種したからといって油断しないでくださいね。」
と付け加えます。

<必要性>

別に私は、ワクチンが無意味といっているのではありません。
65歳以上の高齢者、呼吸器系や循環器系に慢性疾患を持つ患者、
糖尿病、腎臓病などの慢性疾患の患者、免疫低下状態の患者などでは、
インフルエンザに罹患し重症化すれば、肺炎などの重篤な合併症になり、
生命に危険が及ぶこともありますから必要だと思います。
若い人でも、受験生などは重症化したら困りますから、
接種する意味はありますね。

<感染防御>
①医療関係者は、インフルエンザ患者を診察するときはマスクをする。
 診察が終わったら必ず手洗いをし、使い捨て紙タオルでふく。
 マスクをはずしたときはうがいをする。
②急性の咳や熱がでている当事者はエチケットとして、マスクをする。
③満員電車の中など避けようがない密閉された場所にいくときはマスクをして乗る。
④人混みにでたあとは、手洗い・うがいを励行する。
⑤家族が一人インフルエンザに罹患したら、家の中でも当事者はマスクをする。
  その一人は、違う部屋で寝る。
⑥咳で飛沫が飛ぶのは約1mであるので当事者から距離を取る。
⑦鼻水や痰を封じ込めるためにティッシュを使用し、使用後のティッシュは、
 できればノンタッチごみ箱に廃棄すること

ブログ読者の皆さん、インフルエンザワクチンを接種している人も、
感染防御効果はないことをしっかり認識して、
上記①~⑦を励行してくださいね。

これが実行されていれば、上述のような院内感染が猛威をふるうことはなかったでしょう。

<終わりに>
インフルエンザワクチン接種に、賛成の人も反対の人もあると思います。
ブログ読者の皆さんには、
インフルエンザワクチンの真実を知ってもらいたくて今回記事にしました。

江部康二
ミルネスショップ楽天市場にて低糖質パンを販売中です。
こんにちは。
糖質制限OKのパンが、
私が監修しているミネルスダイナーから、
ミネルスショップ楽天市場で発売中です。
株式会社フォワードはサラヤグループで新たに誕生した
食品を専門に取り扱う会社です。
ミルネスダイナーは株式会社フォワードが運営するECサイトです。

1)低糖質パンのご紹介
ミルネスショップ楽天市場店で、
1個【糖質:3.9g】の低糖質パンが販売中です。
この低糖質パンは、
サラヤ株式会社が運営する「ビタレーザキッチン」というお店で作られています。

2)低糖質パンの血糖検査結果と味の感想
例によって、糖尿人・江部康二が試食して実験を行いました。

2021年11月19日(金)
16時 血糖値:124mg
フォワードの糖質制限パン、丸いの一個摂取(80g、糖質3.9g)
17時 血糖値:128mg


血糖値上昇が、糖質量3.9gであれば、
(3.9g × 3mg = 11.7mg)
11.7mgの上昇があるはずですが、4mgで済みました。
私は糖尿人であり、通常は1gの糖質が3mg血糖値を上昇させます。
今回は、少量の糖質摂取に対して、私の追加分泌インスリン第一相が、
頑張ってくれた結果でしょう。
一定の個人差はあると思いますが、まずは糖質制限OK食品です。(^^)

普通のパンよりふっくらして大きめなので、食べてみてかなりの満足感がありました。
また、糖質制限OKなのに、しっかり甘みもあって、美味しく頂きました。
ブログ読者の皆さん、是非一度、ご賞味あれ。 

ミルネスショップ楽天市場
1袋(5個入り)
https://item.rakuten.co.jp/milnes/msr2077/
2袋(10個入り)
https://item.rakuten.co.jp/milnes/msr2078/
4袋(20個入り)
https://item.rakuten.co.jp/milnes/msr2079/


以下は、ミネルスショップからのお知らせです。

江部康二



☆☆☆
<ミルネスショップ楽天市場店からのお知らせ>
低糖質食品をメインに販売を行っているミルネスショップ楽天市場店(https://www.rakuten.ne.jp/gold/milnes/)です。
この度、江部先生にご試食頂いた低糖質パン、
是非主食にお困りの方お試し頂きたい1品です。
大きめのパンなので1/2個でも満足できる方も多いかと思います。
もちろん1個食べても糖質は3.9gですので、安心してお召し上がりください。

※パンをご注文頂ける皆様へ※
 1つずつ手作りで作っているため1日の生産量が限られています。
注文殺到時にはお届けにお時間がかかります。
予めご了承くださいませ。

今回、低糖質パンにも使えるクーポンを
江部先生のブログ読者様限定でご用意いたしました。
本日から12月4日19時59分まで利用できます!

【ミルネスショップ楽天市場店】
全商品に使える!10%オフクーポン!(お1人様1回限り、他クーポン併用不可)

クーポンURL ※楽天会員様は以下のURLからクーポンを獲得できます。
https://coupon.rakuten.co.jp/getCoupon?getkey=UUc1OS1VN0lCLU1DSkYtSk5YMA--&rt=

クーポンコード※URLでクーポンが獲得できなかった場合はこちらをご利用ください。
U7IB-QG59-MCJF-JNX0

皆様の糖質制限食のお手伝いができましたら私共も嬉しいです。
今後もよろしくお願いいたします。
糖質制限実践時に肝機能検査軽度上昇。低カロリーは?追加、11/28。
こんばんは。
以下追加の質問を頂きました。

【21/11/28
肝機能上昇について
取り上げていただき、ありがとうございます。
カロリー不足でも肝機能が悪くなるとは思ってもいませんでした。
もう少しカロリーをとるようにして、様子見してみます。

追加の質問をしてもよろしいでしょうか(・・;)

・今現在、脂肪肝ということだと思いますが、
ただ摂取カロリーを上げるだけでよろしいのでしょうか?
今現在ついている脂肪は、何もしなくても落ちるのでしょうか。
脂肪肝で調べると、大抵運動を増やすとか、脂肪を減らすとか書かれています。
今のままカロリーだけ増やすと、更に脂肪の上乗せにはならないですか?

・糖質が脂肪肝になりやすいのは知っていますが、
タンパク質や脂質の取りすぎでは常識を外れた量(1日2000kカロリー程度の摂取量)でなければ脂肪肝にはなりませんか?
ミックスナッツと、乳脂肪分をメインにとっていますが、脂肪分の種類によっては肝機能を悪くしやすいとかありますか?
特にチーズや生クリームが大好きなので、多めに摂取してるかもしれません。
(魚をよく食べるといいのはわかっていますが、
どうにも青魚は嫌いで、メカジキやタラや鮭などを食べる機会が多いです。DHAはサプリを飲んでいます)

・次の血液検査は何ヶ月後ぐらいが適切でしょうか?
(数値の動きはどれぐらいで出ますか?)】


今回のケースは、脂肪肝ではありません。
そもそも、BMI17.6%体脂肪率21%痩せすぎです。
痩せすぎなのに、摂取エネルギーも不足しています。
それで、体内の<脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム>だけでは
消費エネルギーに対して不足している状態です。
その不足のため、肝細胞の構造タンパク質まで燃やして、エネルギーとして利用するので、
血液検査で、肝機能検査が高値になってしまうわけです。
つまり、脂肪だけでは足りないのでタンパク質までエネルギー源として燃やしている状態であり、
体にとって、よろしくない危険な状態です。
糖質制限食の範囲内で、動物性脂肪、動物性蛋白、ナッツ、卵、チーズなど充分量摂取して
体重を増やしましょう。
ご質問のほとんどは、脂肪肝であることが前提の質問なので、それらについての回答はありません。

血液検査は、体重を増やして、体脂肪も増やして、BMI18.5にし
体脂肪率も22くらいに増やしてからとしましょう。

ところで、年齢は、何歳でしょう?

2021年11月28日(日)
江部康二





【21/11/26
糖質制限における肝機能について
先生、一つご相談させていただいてよろしいでしょうか。

スーパー糖質制限を始めて、HbA1cも下がり、腎機能も改善され、眠気もなくなり、
本当に日常のパフォーマンスが上がりました。
ただ、一つ懸念があります。
定期的に血液検査をしていますが、肝機能(ALT.AST.γGTP全て)が、
糖質制限を始めてから高めになっています。
様子見をしていますが、
下がりそうにありません。(全て50〜60ぐらい。女性なので高いと思います)。

糖質量は確実に減らしているので、
タンパク質の摂取量が個人的な分解能力を超えてしまっている可能性はないでしょうか。

或いは食べすぎ?体重はずっと停滞しています。痩せ型です。
2ヶ月程前まではプロテインも飲んでいましたが、やめてみました。
でも今回数値は変わっていませんでした。
主治医には糖質は少しだけ減らしていると言っています(糖質制限反対の方なので)
個人的には糖質制限を続けたいのですが、
このままずっと軽度高値?だと脂肪肝からの肝硬変とかなる可能性もあるのでしょうか。】


21/11/26 ドクター江部
Re: 糖質制限における肝機能について
肝機能が高めなのに関して摂取エネルギー不足が最も考えられます。
「糖質制限+脂肪制限」になっている可能性があります。
①身長・体重・年齢は?
②一日の総摂取カロリーは?


【21/11/26
糖質制限下の肝機能について
お答えありがとうございます。
肝機能が悪い→食べすぎかと思っていたのですが、
摂取カロリー不足なのですか!?
びっくりです!

カロリー不足だと何故肝機能が悪くなるのかよかったら
教えていただけませんでしょうか。
身長 165cm 体重 48kg
体脂肪率 21パーセント
摂取カロリーは1800〜2000kcalぐらいかと思います。
朝昼晩でご飯を食べず、1日通してちょこちょこ食べています。
ガッツリした運動はしていませんが、
1日5000〜7000歩(ウォーキング+生活での徒歩合計)ぐらいです。】


身長 165cm 体重 48kg
体脂肪率 21パーセント
BMIが、17.6%で、痩せすぎです。
痩せすぎだと、風邪をひきやすくなったり、総死亡率が上昇するので、
徐々に体重を増やして、BMI18.5以上を目指しましょう。
体脂肪率 21パーセントも、40歳以上の女性なら痩せすぎです。

<1日5000〜7000歩(ウォーキング+生活での徒歩合計) + 基礎代謝>
で、消費エネルギーが、1800〜2000kcal/日を上回っている可能性があります。
摂取エネルギーが不足すると、脂肪を燃やすだけで足りないので、
肝細胞も一部、エネルギーとして利用されるため燃やされます。
それで血液検査で肝機能検査が少し高値となります。

推定エネルギー必要量を摂取しましょう。
ウォーキングをしておられるので、身体活動レベルは、
普通と高いの中間くらいでしょうか。
そうすると、
年齢にもよりますが、2000~2100kca/日は摂ったほうが良いでしょう。
そうすれば、肝機能は正常になると思います。

<推定エネルギー必要量>

性別         男性                     女性
身体活動レベル(下記の表を参照)
         低い  ふつう  高い          低い  ふつう   高い

10から11歳  1,950  2,250  2,500         1,850  2,100  2,350
12から14歳  2,300  2,600  2,900          2,150  2,400  2,700
15から17歳  2,500  2,800  3,150          2,050  2,300  2,550
18から29歳  2,300  2,650  3,050          1,700  2,000   2,300
30から49歳  2,300  2,700  3,050          1,750  2,050   2,350
50から64歳  2,200  2,600  2,950          1,650  1,950   2,250
65から74歳  2,050  2,400  2,750          1,550  1,850   2,100
75歳以上   1,800   2,100 ―            1,400   1,650 ―
(単位 キロカロリー)


江部康二
暁現象の改善に、インターバル速歩、ながらジョギング。
【21/11/25
hanamizuki
朝の空腹時血糖値江部先生いつも参考になる資料をありがとうございます。
児玉さんもご自分の血糖値をはかりつつ糖質制限できていて素晴らしいですね。
そして朝の血糖値があまり高くなくて良い数値のほうではないでしょうか?

私はほぼスーパー糖質制限をしておりますが、朝は血糖値が高いです。
あまり低いときがないので参考になるかわかりませんが、
季節変動もあり(冬が高い)、ストレスでも高くなります。
現在はメトアナで安定してはいますが、朝は相変わらず120-150等ですね。

昼休みに速歩ができる時間があるようになるといくらか下がってきます。
自分の体で実験すると色々わかって面白いです。
江部先生の言う通り、
「速歩」は空腹時の血糖値を下げるにはとても良いようだなと思っています。
他に血糖値を下げる運動とか紹介されていますが効果があったことがありませんので。
江部先生ありがとうございます。】


こんばんは。
hanamizuki さんから、早朝空腹時血糖値高値について、コメントを頂きました。
早朝空腹時血糖値の高値は、暁現象と考えられます。

早朝の空腹時血糖値は、正常人では、寝る前より低いのが普通です。
ところが、就寝前よりも朝起きたときの血糖値のほうが高いという現象が、
糖尿人によくみられ、「暁現象」と呼ばれています。

朝方3~4時ころは、基礎分泌インスリンは一番低値になります。
さらにこの時間帯、成長ホルモンコルチゾールが増えて
血糖が上がりやすくなるのですが、
正常人は即座にインスリン分泌を増やして対応します。
糖尿人はインスリンを増加させてそれに対抗できないから、
暁現象を生じるとされています。

成長ホルモンは、肝臓でのグリコーゲン分解を促し、
また抗インスリン作用(インスリンを抑制し、血糖値を上昇させる)を持つため、
血糖値を上昇させます。
コルチゾールは肝臓での糖新生を促進させて、血糖値を上昇させます。

また糖尿病患者では起床前後の交換神経活性が暁現象に関係しています。
交感神経活性でカテコラミンなどのインスリン拮抗ホルモンが増えます。
膵臓では交感神経刺激によりインスリン分泌抑制グルカゴン分泌促進が起こり、
血糖値が上昇します。

夜間睡眠時は、肝臓がブドウ糖を合成して(糖新生)血液中に送り、
血糖値を維持しますが、もともと糖尿人は正常人に比べて糖新生が増加しています。

この時間帯、基礎分泌インスリンは、正常人なら少し分泌されれば血糖値が下がりますが、
2型の糖尿人は正常人の2倍の量が必要だといわれていますので、
そもそもハンディがあります。
糖新生が多くなると、
正常人なら即座に基礎分泌インスリンの分泌を増加させて対応します。
しかし、糖尿人はインスリンの分泌量調整がスムースにいかないために、
糖新生を制御できず、暁現象が起きると考えられます。

暁現象を改善するには運動が良いです。
簡単で長続きする運動として
<インターバル速歩><ながらジョギング>がお奨めです。

以下のブログ記事をご参照頂ければ幸いです。

インターバル速歩と体力。8000歩/日との比較。
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4826.html
2019年02月20日 (水)

体脂肪率の改善、糖質制限食、インターバル速歩、ながらジョグ。
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5345.html
2020年08月20日 (木)



メトアナは、<メトグルコ+スイニー(DPP4阻害薬)>の合剤です。
早朝空腹時血糖値130mg/dl未満を目指しましょう。

米国の糖尿病退役軍人285,705人の研究で、
A1c値は冬に高く、夏に低く、0.22の差がありました。
HbA1cは過去1~2ヶ月の平均血糖値の指標です。
つまり28万人という大規模な研究では、
血糖値は夏に低く、冬に高いということとなります。
hanamizuki さんの空腹時血糖値も、通常の季節変動ですね。

江部康二
ドクター江部の糖質オフ!健康トーク『コレステロールについて<前半>』
こんばんは。
日本では、急激に新型コロナウイルス感染症が減少しています。
一方、国民の83%がワクチン2回接種完了しているシンガポールでは、
感染爆発状態で、死亡者も急増です。
米国、英国、ドイツなどでも死者数が増加しています。
韓国でも2021年9月中旬から、コロナ死者数が急上昇して現在に到っています。

何故、これほどの差があるのか原因不明です。
日本は、新型コロナに関して、非常に運がいい状況と言えます。
2021年11月14日(水)、実に1年8ヶ月ぶりにテニスクラブに行ってきました。

ただ、日本でも、12月で冬になれば、新型コロナ感染症が再燃する可能性はあり、
油断は禁物です。
糖質制限食実践で、免疫力向上に努めましょう。

さて、
ドクター江部の糖質オフ!健康トーク 第8回は
▼ vol.8『コレステロールについて<前半>』
https://youtu.be/Z4CMJokvD5E

です。

コレステロールについては、ブログ読者の皆さんの関心も高いと思います。
一般にHDLコレステロールは善玉で、LDLコレステロールは悪玉とされていますが、
ことは、そんな単純なものではありません。
例えば、LDLコレステロールには、善玉もあるし悪玉もあるのです。
中性脂肪値が60mg/dl以下で、HDLコレステロールが60mg/dl以上なら、
LDLコレステロールは全て善玉となるのです。

江部康二

以下の青字の記載は、事務局からのお知らせです。

*********

ブログ読者の皆様、弊会のYouTube動画を多数ご覧いただいておりまして、ありがとうございます。

江部理事長による動画「ドクター江部の糖質オフ!健康トーク
vol.8」の配信をご案内申し上げます。
テーマは「コレステロール」についてで、今回と次回の2回に渡ってお話しいたします。

今回は、コレステロールとは、LDL/HDLコレステロールの役割、
本当の悪玉/善玉コレステロールとは、糖質制限食とコレステロール値等について解説しております。

ドクター江部の糖質オフ!健康トーク
▼ vol.8『コレステロールについて<前半>』
https://youtu.be/Z4CMJokvD5E

ご覧いただけますと、また、ご興味のある方へシェアしていただけますと幸いです。

▼協会YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCdh9uz2_XnhDyJj9pHDDW1A

一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会
https://www.toushitsuseigen.or.jp/

*********
朝の空腹時血糖値の変動。季節?睡眠?
【21/11/23 児玉
先生のブログで糖質制限を始めた境界型の者です。
いつも勉強させていただき、感謝しています。
自己採血するようになってから気づいたのですが、
私の場合、朝の空腹時血糖値に季節傾向があるようです。
冬と春は80~90、夏と秋は95~105の範囲に収まります。
生活習慣や食べ物は変わりませんので、季節要因かなと思います。
関連で思い当たる節があるとすれば、睡眠かもしれません。
冬と春はよく眠れますし、深い睡眠がとれています。
夏と秋は寝つきもいまいちで、
朝も早く目が覚めて睡眠時間も比較的短くなりがちです。
このような季節(気温?)傾向があるのは、私だけでしょうか?
それとも一般的にあることなのでしょうか?
先生の見解を教示していただけると幸いです。】


こんばんは。
児玉さんから、朝の空腹時血糖値と季節変動について
コメント・質問を頂きました。
まず、以下の緑文字の米国の糖尿病退役軍人285,705人の研究で、
A1c値は冬に高く、夏に低く、0.22の差がありました。
HbA1cは過去1~2ヶ月の平均血糖値の指標です。
つまり28万人という大規模な研究では、
血糖値は夏に低く、冬に高いということとなります。

『毎月のヘモグロビンA1c値の季節的パターン
American Journal of Epidemiology, Volume 161, Issue 6, 15 March 2005, Pages 565–574,
要約
この研究の目的は、米国の糖尿病退役軍人における2年間(1998年10月から2000年9月まで)の月間ヘモグロビンA1c(A1c)値の季節変動を調査することでした。
研究コホートには、856,181回のA1c検査を受けた285,705人の退役軍人が含まれていました。
著者らは、全例および年齢、性別、人種、インスリン使用、および気候地域によって定義された亜集団の月平均A1c値を計算しました。
A1c値は冬に高く、夏に低く、0.22の差がありました。・・・ 以下略 』


児玉さんの場合は、冬と春は80~90、夏と秋は95~105の範囲ということですから
米国退役軍人のデータとは、逆になります。
従って、児玉さんの早朝空腹時血糖値の変動は季節要因ではない可能性が高いです。

【・・・思い当たる節があるとすれば、睡眠かもしれません。
冬と春はよく眠れますし、深い睡眠がとれています。
夏と秋は寝つきもいまいちで、
朝も早く目が覚めて睡眠時間も比較的短くなりがちです。・・・】


季節要因ではないとすれば、仰る通り、睡眠が関与している可能性があります。
睡眠不足でも寝過ぎでも空腹時血糖値は高くなります。
睡眠不足が慢性化すると、空腹時血糖値が上昇し、基礎インスリン分泌能が低下するし、
メタボリックシンドロームや糖尿病の発症リスクが上昇するという調査結果があります。

睡眠時間は長すぎても短すぎてもよろしくないようで、
さまざまなガイドラインなどで推奨される睡眠時間を参照すると、
成人の理想的な睡眠時間として、6~9時間程度が1つの目安になるそうです。
7時間くらいが理想的です。
糖質制限食実践で、血糖値の上下動が最小限となり、
心理的に安定することも睡眠の質に良い影響を与えると思います。

なお、一般には、
個人の睡眠時間は季節によっても変化します。
秋から冬にかけて日が短くなるときに睡眠時間は長くなり、
春から夏にかけて短くなることからも
日照時間と深く関わっていると思われます。
 最も日の短い12月から1月に睡眠は長くなりやすく、
6月から7月の初夏に最も短くなることが分かっています。

江部康二
人類と甘味料・・・蜂蜜、砂糖、の歴史
こんばんは。
多くの人が、甘味料に関心を持っていると思います。
人類が最初に手にした甘味料は「蜂蜜」と考えられます。
次いで紀元前のインドで、「白砂糖」が生産されました。

本日のブログは「人類と甘味料・・・蜂蜜、砂糖の歴史」を考えてみます。

紀元前6000年頃に描かれた、スペインのアラーニャの洞窟の
壁画に、はちみつを採集する人の姿が描かれています。
このように、人類が初めて口にした甘味は、天然の蜂蜜といわれています。

ちなみに蜂蜜に含まれる糖質は、
果糖(約40%)とブドウ糖(約35%)とショ糖(数%)で構成されています。
果糖は血糖値をほとんど上げませんが、
中性脂肪に変わりやすいので太りやすい甘味です。
蜂蜜にはビタミンやミネラルも多く、その中には18種を越える有機酸が含まれ、
pH値は約3.7前後です。
蜂が集めてきた花蜜(主にショ糖)は、
働き蜂の唾液腺から分泌される転化酵素の働きによって
ショ糖からブドウ糖及び果糖へと変化し、水分20%まで濃縮されます。

蜂蜜以外の甘味料として、サトウキビの搾り汁を煮詰めて精製結晶「白砂糖」
を作り出すのに成功したのは、紀元前のインド人です。
インド砂糖は、アレクサンダー東征により西方へも伝わりましたが、
庶民には高嶺の花、かなりの貴重品だったと考えられます。
長らく西洋では、日常の甘味料としては、蜂蜜が唯一のものでした。

中国では玄奘(三蔵法師)のインド行きがきっかけで、
製糖法が伝わり、7世紀以降に砂糖生産が始まったとされています。
砂糖が日本に伝わったのは、奈良時代後期に鑑真和尚が唐から
渡来した折りと言われています。

ずっと貴重品だった砂糖はヨーロッパでは貴族だけが嗜むものでした。
産業革命を経て多量にかつ安価に生産できるようになり、
庶民にも解禁されて、イギリスでは紅茶とたっぷりの砂糖が一般的となりました。
現在では、その過剰摂取が、
世界中で肥満や糖尿病のもとであると問題になっています。
 
砂糖の主成分がショ糖(スクロース)です。
砂糖きび(甘蔗)と砂糖大根(甜菜)を原料として作ります。
ショ糖はブドウ糖と果糖が結合したものです。
ショ糖の純度の高いものがグラニュー糖(99.95%)や氷砂糖(99.98%)です。

家庭で最もポピュラーな上白糖は、独特のしっとりした感じを持たせるために、
ショ糖の結晶に濃厚な転化糖液(ビスコ)を少量ふりかけてあり、純度は97.8%です。
「転化糖」とは、ショ糖の分解(加水分解)によってできた
ブドウ糖と果糖の混合物で、ショ糖より甘みが強いです。

意外かもしれませんが、ショ糖は大豆、大根、白菜、ねぎ、
ほうれん草などの野菜やアーモン、ピーナッツドなどのナッツ類にも少量含まれています。


なお、砂糖の大量生産の歴史は、
欧米の西インド諸島植民地のサトウキビ栽培が始まりです。
イギリスやアメリカの白人が、
西インド諸島の原住民を奴隷として過酷な労働を強いて、
現地の人口が激減します。

そうなれば次はアフリカで黒人をさらって奴隷として西インド諸島で働かせて、
といったパターンが始まります。

要するにサトウキビ栽培の歴史は、奴隷制度の歴史そのもの
言っても過言ではないようです。
時が経ち、
徐々に人種差別反対、抵抗、反乱、革命・・・奴隷制度廃止へと歴史が動きます。

砂糖の話に興味がある方は、「砂糖の歴史」エリザベス・アボット著、
樋口幸子訳、河出書房新社、2011年5月
がお奨めです。
マニアックな大著ですので読むのに骨がおれますが・・・。


江部康二
ヒトや動物は、水だけでどのくらい生存可能なのか?
こんばんは。

夏場に高齢者が熱中症で死亡することが結構あります。
東京都監察医務院によりますと2020年の夏、
東京23区で熱中症で亡くなった人は200人に上り、
このうち65歳以上の高齢者は178人と全体の89%を占めました。

人間の体の多くは、水分(体液)でできています。
人間の体に占める水分の割合は成人で60%あります。
しかし体の中の水分は加齢とともに減っていき、
65歳以上の高齢者では50%であり、隠れ脱水状態なのです。
脱水があると汗も出にくくなり熱中症になる可能性が高くなります。
熱中症で亡くなった人のうち、65歳以上の高齢者が89%だったのも頷けます。
このように、水は生命活動において、極めて重要な存在です。

以下は、2017/12/02の本ブログ記事の再掲載です。
☆☆☆
それでは『ヒトや動物は、水だけでどのくらい生存可能なのか?』
これは、興味深い問題です。
「断食研究」という有名な本が手元にあったので読んでみました。
「断食研究」(高比良英雄著、岩波書店、昭和五年、151,152ページ)によれば

『水だけの断食で、犬で21~117日の生存日数記録がある。
種々の学者によって報告されているものを総括すれば、
平均生存日数は、犬は38日、豚34日、猫30日、家兎15日、
モルモット8日、白鼠3日である。
鳥類では、鶏14日、鳩11日、鷲35日である。
鮭、カメレオン、山椒魚は12ヶ月、亀は18ヶ月耐える。
蝸牛は殆ど2年間の断食に耐える。
蠍は368日間、蜘蛛は17ヶ月間耐える。
人間では64日間断食して死亡した英国囚人の例がある。』


以上は断食研究より。
冷血動物や昆虫は、非常に長く断食に耐えるようです。
ヒトでは、
断食382日という記録があり、イギリスの文献に載ってたようです。
これがおそらくヒトの断食世界記録であり、ちゃんと生存していたと思われます。
高度肥満の人の断食記録です。

あとIRA(アイルランド共和国軍)の方々が英国の刑務所で、
ハンガーストライキをしてます。
アイルランド歴史資料室 によれば6名の男性がハンガーストライキで亡くなっています。
59~73日間で死亡しています。
結局、当然ですが、
体脂肪がどのくらいの備蓄があるかにより、生存日数が決まると思います。
体脂肪が燃え尽くして、たんぱく質が燃え始めると生命の危険があると思われます。

<アイルランド共和国軍、ハンガーストライキの記録>
27歳。
1981年3月1日のハンガーストライキを開始し、
66日後の5月5日に亡くなった。

25歳。
1981年3月15日にハンガーストライキを開始し、
59日後の5月12日に亡くなった。

24歳。
3月22日にハンガーストライキを開始し、
61日後の1981年5月21日に亡くなった。

24歳。
3月22日にハンガーストライキを開始し、
61日後の1981年5月21日に亡くなった。

30歳。
5月9日にハンガーストライキを開始し、
61日後の1981年7月8日に亡くなった。

25歳。
5月22日にハンガーストライキを開始し、
73日後の1981年8月2日に亡くなった。


江部康二


☆☆☆
オスティナートさんから
スライヤー生化学の記述についてコメント頂きました。
ありがとうございます。

17/12/02 オスティナート
生存可能な飢餓の期間
過去に投稿したコメントがあります。
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3703.html

抜粋
生存可能な飢餓の期間は、主としてヒトのトリアシルグリセロール貯蔵量によって決まる。
貯蔵したトリアシルグリセロールが使い果たされた時にはどうなるのだろう。
残された唯一の燃料源はタンパク質である。
タンパク質の分解が加速し、心臓、肝臓、腎臓の機能が失われて否応なく死に至る。
参考にしていただけたら幸いです。
糖尿病は治るのでしょうか?治らないのでしょうか?
こんばんは。
厚生労働省の2016年「国民健康・栄養調査」の要点は以下のとおりです。

<患者・予備群の数>
「糖尿病が強く疑われる者」の割合は、12.1%であり、
男女別にみると男性16.3%、女性9.3% です。
「糖尿病の可能性を否定できない者」の割合は12.1%であり、
男女別にみると男性 12.2%、女性12.1%です。
「糖尿病が強く疑われる者」は約1,000 万人と推計され、
1997年以降増加し続けています。
また、「糖尿病の可能性を否定できない者」も約1,000 万人と推計され、
1997年以降増加していましたが2007 年以降減少しています。

<治療の状況>

「糖尿病が強く疑われる者」のうち、
現在治療を受けている者の割合は76.6%です。
男女別 にみると男性で78.7%、女性で74.1%であり、
男女とも有意に増加しているのは良いことです。
しかし、日本糖尿病学会主導の「カロリー制限・高糖質食」では
糖尿病合併症を防ぐのは困難なので、おおいに問題です。
性・年齢階級別にみると、
40 歳代男性では治療を受けている割合が他の年代よりも低いです。
これでは将来の合併症が野放しに発症するので、何とかしなくてはなりません。

<糖尿病は治るのでしょうか?治らないのでしょうか?>
このように、日本の糖尿病患者は1997年以降、増え続けているのが現状です。
さて、よくある質問の一つに
「糖尿病は治るのでしょうか?治らないのでしょうか?」というのがあります。
一般には、「一旦糖尿病になったら決して治らない。」というのが定説ですが、
本当のところはどうなのでしょう。
それではまず、どのようにして糖尿病が発症するのかを考えてみます。

日本人の糖尿病発症は、食後高血糖が数年間続いているのを見逃しているうちに、
遂に空腹時血糖値が上昇してきて、健康診断で発見されたというパターンが多いです。
即ち、当初は食後高血糖にならないように、
膵臓のβ細胞がインスリン追加分泌を頑張って沢山出し続けていくのですが、
ある日とうとう疲弊して追いつかなくなってきて、食後高血糖の段階に至ります。

この段階では、インスリン追加分泌の軽度の不足があり、
食後2時間値が140~199mgの境界型レベルになりますが、
まだ基礎分泌は保たれていて早朝空腹時血糖値は、
110mg/dl未満で正常範囲を保つことがほとんどです。
食後高血糖の段階になると、高血糖そのものが膵臓のβ細胞を障害します。
食後高血糖が180mgを超えてくると、
β細胞への直接のダメージでインスリン分泌不足を悪化させ、
また筋肉細胞のインスリン抵抗性も増してきて、糖毒と呼ばれる悪循環を生じます。

食後高血糖が数年間続くと、膵臓はさらに疲弊していき、
インスリン追加分泌の不足に加えて、インスリン基礎分泌不足となり、
とうとう早朝空腹時血糖値が高値となるのです。
空腹時血糖値が126mg/dl以上、
随時血糖値が200mg/dl以上で糖尿病型と診断されます。
糖毒状態が1日の中でも長時間続くようになれば、
急速に糖尿病が悪化していきます。

糖尿病は、インスリン分泌不足とインスリン抵抗性が合わさって発症しますが、
日本人は、インスリン分泌不足が主で、欧米人は、インスリン抵抗性が主とされています。
インスリン分泌不足とインスリン抵抗性を合わせて、インスリン作用不足と言います。

インスリン分泌不足が主の場合、糖尿病と診断された時点で
インスリンを作っている膵臓のランゲルハンス島のβ細胞の1~2割が壊れていて、
3~4割が疲弊していて、健常なのは、残りの半分くらいと考えられます。
一般に、糖尿病が治らないと言われるのは、
「インスリン分泌不足が主の糖尿病」であり、
既に壊れてしまったβ細胞は、元に戻らないと言う意味です。

しかし、糖質制限食を実践して、膵臓が充分休養できれば、
疲弊していたβ細胞が、正常に回復することが期待できます。
実際、入院時の空腹時血糖値が200mg/dl近かった方が、
糖質制限食実践数日で、110mgを切ってくることもあります。
この場合、β細胞数の一定の不足はあるけれども、
<残っているβ細胞の作用 + スーパー糖質制限食実践>により
血糖コントロールが正常レベルを保てているということになります。
例えば、糖尿人・江部康二がそのパターンです。

食後高血糖の期間・年数が長いほど、
β細胞がダメージを受けている割合が徐々に増えていき、
ダメージが大きい細胞は、回復しにくくなっていくということになります。


次に「インスリン抵抗性が主の糖尿病」を考えてみます。
この場合、インスリン分泌能力は、まだ比較的保たれていることが多いのです。
日本人でもこのタイプが少し増えてきています。
例えば、肥満や脂肪肝がありインスリン抵抗性が高まれば、
インスリンは分泌されていても、糖尿病を発症することがあります。
このとき何らかの方法で肥満や脂肪肝が改善すればインスリン抵抗性も減少します。
そうすると、適量のインスリンで、
筋肉細胞や脂肪細胞内にブドウ糖を取り込むことが可能となり、
インスリン分泌不足はないので血糖値は正常化し、
糖尿病が治ったような状態になります。
治るという言い方に語弊があるなら、
インスリン作用不足が改善し健常のパターンに戻るということです。

実際、そういう患者さんを数名経験しました。
例えば、初診時、
空腹時血糖値218mg/dl、HbA1c11.7%、163cm、72kgだった女性が、
内服薬なしでスーパー糖質制限食を1年間続けて、60kgと肥満が解消し、
HbA1cは5%前後で維持できていました。
そうすると、糖質を普通に摂取しても、
食後2時間血糖値は140mg/dl未満となりました。
勿論空腹時血糖値も正常範囲内です。
血液検査のデータでは、診断基準上は正常人としかいいようがありませんので、
糖尿病のレッテルも消えました。(^-^)v(^-^)v  
この患者さんが糖尿病専門医を受診して、いろいろ血液検査をされたとしても
「糖尿病ではありません。診断基準からみて正常です。」
という診断となるでしょう。

一方、江部康二の場合は、身長167cm、体重57kg前後を足かけ21年維持していますが、
「インスリン分泌不足が主でインスリン抵抗性が従の糖尿病」です。
スーパー 糖質制限食を続けているかぎりは正常人ですが、
糖質を一人前摂取すれば残念ながら食後時間血糖値は軽く200mg/dlを超えて、
立派な糖尿人です。
β細胞が既に1~2割壊れていて、決して治らないパターンです。(*- -)(*_ _)


結論です。
「インスリン分泌不足が主の糖尿病は、決して治らない。」
「インスリン抵抗性が主の糖尿病なら、抵抗性が改善すれば、
糖代謝が正常人のパターンに戻る人も時にいる。」
ということですね。


江部康二
菓子職人11月・12月限定マンスリー糖質制限ケーキ シャルロット
こんにばんは。
菓子職人11月・12月限定マンスリー糖質制限ケーキ シャルロット
発売中です。

【菓子職人 11月・12月限定マンスリーケーキ】
風味豊かなシュー生地とナッツクリームが絶妙 
シャルロット

main_monthly1911.jpg

糖質 2.46g カロリー 266kcal
※100gあたり ※エリストールを除く
https://shop.kashishokunin.co.jp/view/category/monthly11 


◆測定結果
2021年11月2日(火)
17時 血糖値:123mg
菓子職人マンスリー糖質制限ケーキ・シャルロット1個(100g)試食
18時 血糖値:123mg

シャルロット100gあたり摂取で、血糖値上昇なしです。
2.46gの糖質が含まれていました。
糖尿人・江部康二のピークの血糖値上昇は1gの糖質で3mg/dlです。
ということは「2.46g×3mg/dl=7.38mg」の血糖上昇予定です。
私の追加分泌インスリンの初期相が、7.38mg分の血糖上昇を
丁度ぴったり相殺したためと思われます。
ともあれ、100g中に2.46g以下の糖質量であることは間違いなく、
糖質制限食OK食品です。

糖質制限シャルロット  美味しさのヒミツ

monthly_cut1911.png


A ビスキュイ・キュイエール: 別立てで作った軽い生地
B シャンティー ショコラ : モリドール社のダークチョコレートと北海道産生クリームをあわせて軽く仕上げました
C クレーム・ブリューレ: 北海道産生クリームと濃いアーモンドミルクとたっぷりの卵黄を寒天で固めました
D 軽いチーズムース: マスカルポーネと卵黄、北海道産生クリームやオレンジのお酒で香りづけ、優しいムース状に仕上げました


糖質制限マンスリーケーキ
【11・12月限定 シャルロット】
軽いチーズムースとチョコクリームにブリュレ入り。
フルーツも華やか。
賞味期限:冷凍保存20日間、解凍後要冷蔵にて2日間
内容:直径約15cm×高さ14cm/約480g 1台
価格 4,500円
【ご購入はこちらから】
https://shop.kashishokunin.co.jp/view/category/monthly11

10月下旬から、京都もめっきり寒くなってきました。
ダークチョコと北海道産生クリームとアーモンドミルクの組み合わせで
なんだか、体も温まりそうですね。
糖質制限シャルロット、秋~冬にふさわしい、豊潤な味わいとなっています。

ブログ読者の皆さんも、是非、ご賞味頂ければ幸いです。

菓子職人さん、いつも美味しくて素敵な糖質制限スイーツを提供して頂き、
ありがとうございます。


江部康二
5~11歳のワクチン接種「早ければ2022年2月に開始」

朝日新聞に以下の記事が掲載されました。
5~11歳のワクチン接種「早ければ2022年2月に開始」 
厚労省が準備要請
新型コロナウイルス

2021年11月17日
【厚生労働省は5~11歳への新型コロナウイルスワクチンの接種について、
早ければ来年2月ごろから始める可能性があるとして、
接種を担う自治体に準備を進めるよう要請した。
小児向けのワクチンは、
米ファイザー社が今月10日に厚労省に承認申請を出したが、
まだ承認はしていない。・・・】



NHKのサイトに以下の記事が掲載されました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211115/k10013347871000.html
コロナワクチン3回目接種 2回目から
6か月たった人も対象で調整

2021年11月15日
【新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種について、
厚生労働省は、
これまで2回目の接種からおおむね8か月以上たった人を対象とする方針でしたが、
半年後にはワクチンの効果が低下すると海外で報告されていることから、
6か月たった人も対象にする方向で調整していることが分かりました。
厚生労働省は、来月から3回目の接種を始める方針で、
ファイザーのワクチンを15日から全国の自治体や医療機関などに配送します。・・・】



こんばんは。
相変わらず、テレビも新聞も「新型コロナワクチン」は接種して当たり前であり、
打たない人は、余程の変わりもの扱いです。
私はその変わり者であり、新型コロナワクチンは接種しません。
自分の頭でしっかり考えて、ワクチンのメリットとリスクを考慮して
自分で判断してワクチンを接種するか否かを決定するのが基本であることを
強調したいと思います。


A)シンガポールの現状

「シンガポール コロナ 死者数」
でグーグルで検索すると
シンガポールの悲惨な現状がわかります。
シンガポールは国民の83%がワクチン接種完了というワクチン先進国です。
しかしながら、ワクチン接種完了にも関わらず、
2021/9/20頃から、死者数が右肩上がりで、急増しています。
98%以上は無症状か軽症とされていますが、
現実には死者数は、すごい勢いで増加しています。
デルタ株に変異してからは、新型コロナワクチンが、死者数を減らすことにおいて
全く無力であることは、明白です。


B)ワクチン接種後の死者数

ヤフーニュース11/2(火) 9:06配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/86ce58a98eef24a3348f95834410062213dcadd8
によれば、
ワクチン接種後死亡1312人 すべて「因果関係なし」か「不明」
厚生労働省の専門部会による「新型コロナワクチン副反応データ分析」
では、因果関係なしか不明で処理されています。
多くは高齢者ですが、中には20代、30代の持病なしの健康な人々も含まれています。
報告されただけで1312例ですが、報告されていないワクチン接種後死亡者は
この10倍はあると思います。
これらの死亡者に関しては「因果関係不明」と切り捨てるのは極めて不自然です。
逆に「因果関係なしと断定することは困難である」と言うのが自然です。
死者数は新型コロナワクチン100万回接種あたり、9.26件であり、
インフルエンザワクチン100万回接種あたり、0.1~0.2件と比較すると
その件数は、46~92倍であり、異常としか言いようがありません。


C)年代別コロナ死者数
元ER看護師、野中しんすけさんの
https://www.youtube.com/watch?v=rzr0mwTPEnU
ユーチューブに、過去のコロナデータをまとめて表にしたものが提示してあり、
とてもわかりやすいです。
野中さん、データをまとめて頂いてありがとうございます。
とても助かります。以下表を引用させて頂きます。

その表によると
新型コロナウイルスのデータ(2021/4/7時点)

年齢  無症状or  軽い治療でも要した人 重症者(4/7時点) 死者
   治療不要の軽症

80歳以上 約73%      13%       0.10%       14%
70歳代  約81%      13%        0.30%       5.20%
60歳代  約87%      11%       0.10%       1.50%
50歳代  約82%      17%       0.05%        0.30%
40歳代  約90%      9%       0.03%         0.10%
30歳代  約92%      8%         0.001%      0.02%
20歳代  約91%      9%         0%         0.003%
10歳代  約90%      10%         0%        0%
10歳未満 約90%      10%        0%         0%


80歳以上の高齢者でも73%は無症状または治療不要の軽症というのは、
やや意外であり、良い意味のサプライズです。
30歳代、重症化率0.001%、20歳代以下は重症化率0%です。
30歳代で死者が0.02%、20歳代で死者が0.003%というのは、
持病がある方だと思います。

この表から考察すると、持病がない39歳以下の人は、
新型コロナワクチンの接種は不必要です

30歳代と20歳代では、持病がある人だけが接種すれば良いと思います。
19歳以下は、重症者も死者も0%ですから、ワクチン接種は不必要と言えます。


<A)B)C)をもとに考察>
①の5~11歳のワクチン接種「早ければ2022年2月に開始」
というのは、とんでもない大間違いということが明白です。
シンガポールで明らかなように、そもそもデルタ株には新型コロナワクチンは効きません。
そして、ワクチン接種後の死亡者は厳然として存在します。
5~11歳のコロナ死者数は、ゼロですから、ワクチンを接種して死亡する確率があるなら、絶対に接種してはいけません。

②のコロナワクチン3回目接種 2回目から6か月たった人も対象で調整
も、そもそもデルタ株には無効なのですから、3回接種しても無意味です。
無意味どころか、シンガポールの惨状をみていると
ワクチン接種によって「ADE」(抗体依存性免疫増強)
起こしている可能性もあります。
つまりワクチン接種によって、
人体にとって都合の悪い抗体ができてしまう可能性があるのです。
やはり自分の頭で考えていくと、
「新型コロナワクチン」は不必要と言えます。


江部康二
各栄養素の消化・吸収時間について。
こんばんは。
脂質・蛋白質・炭水化物の消化・吸収時間について検討してみました。
「胃内の停滞時間は、炭水化物→タンパク質→脂質の順に長くなります。」としれっと根拠なしに記載してあるサイトもあるのですが、
これは、間違っていると思います。
GI(グリセミック・インデックス)でみると、確かに、単独で摂取したブドウ糖や白米の 消化・吸収速度は速いです。
しかし、食材として、デンプンを摂取したときの消化・吸収は、場合により、脂質・蛋白質より長くなることがありえます。


<脂質と蛋白質>
食事後の胃内滞留時間は脂質と蛋白質が30分から1時間程度です。
そこから小腸で吸収されて代謝される時間ですが、
蛋白質は胃でほとんどがペプチドというアミノ酸数個の分子に分解されるため吸収速度は一定しています。
脂質も小腸に行く前に、十二指腸で胆汁などにより一連の変化を受けるのでこれも吸収速度が一定しています。
小腸では、15~30分以内に全て吸収されれると思われます。
普通の食物(魚介類や肉類)の脂質と蛋白質は、上記でよいと思います。

なお牛乳から作られるホエイプロテインは1~2時間で消化・吸収されますが、
カゼインプロテインが完全に消化・分解されるまでには7~8時間もかかるとされています。
大豆から作られるソイプロテインも完全に消化・分解されるまでには5~6時間とされています。

<炭水化物>

炭水化物の消化・吸収については
2018年11月18日(日)の本ブログを、以下一部修正して再掲します。

炭水化物の消化・吸収について
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4740.html
2018年11月18日 (日)
blog95.fc2.com/blog-entry-4740.html
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4740.html

【18/11/17 オスティナート
Re:Re: Re: ???
≪「デンプンは、胃で、45~60分かけていの分泌液と混合され、その糜粥(ビジュク)が胃から十二指腸に移動する。
十二指腸では糜粥(ビジュク)は膵液と混合して、15~30分以内に全て吸収されれる。」
ということですね。≫

についてですが、
ガイトンによりますと、
【時として1時間も継続する】とあります。
「継続」ですので、炭水化物を食べた直後から胃の分泌液と混合され、
糜粥(ビジュク)がその都度、胃から十二指腸に送り込まれ、
小腸では短時間で単糖まで分解され、吸収されるのだと思います。
(食べた全ての食物が胃の分泌液と混合されるまで、
胃から十二指腸に送り込まれないのではない。)

そのためブドウ糖の吸収には遅れますが、炭水化物を食べた場合にも、
直後から血糖値上昇があるのだと思います。

追記
※【時として1時間も継続する】について、、
●「場合によって(食べた食物の量や、食べ合わせ、又状態(製粉や、液状)によって異なる)すべて胃の分泌液と混合されるまでに1時間も継続する。」
と読み替えてみるとわかりやすいかと思います。】


なるほど。
オスティナートさん、ありがとうございます。
おかげさまで、やっと整合性をもって理解できました。
炭水化物の主成分はデンプンです。

①デンプンは、唾液中のα-アミラーゼにより加水分解される。
②食道は、消化吸収の働きはなく、蠕動運動で食物を通過させる。
③胃内でも、胃液と混和しない部分では、消化が進行して約70%が加水分解される。
④大量の胃液(粘液、塩酸、ペプシン)が分泌され、撹拌運動により食物と胃液が混ぜ合わされる。
⑤胃内で混ぜ合わされて糜粥(ビジュク)となり、蠕動運動によりその都度、チビチビ小刻みに十二指腸に移動していく。
⑥胃の内部の糜粥(ビジュク)は、時として1時間くらいかけて継続的に消化されて十二指腸に移送される。すなわち胃には貯留の働きもある。
⑦糜粥(ビジュク)は、小腸(十二指腸・空腸・回腸)で単糖に分解されて吸収される。


胃の消化物(糜粥)の十二指腸への移動は、
基本的にブドウ糖と同じメカニズム(胃の蠕動運動)と思われます。
胃の蠕動運動には、撹拌・粉砕・移送があります。
従って、炭水化物摂取後、
ブドウ糖の吸収速度にはおよびませんが、
あるていど速やかに血糖値が上昇し始めると考えられます。
しかし、胃内に1時間以上、停留している場合もあり、
その時は全て消化・吸収されるには、一定以上の時間がかかるので、
脂質・蛋白質より消化・吸収時間は長くなります。

なお、水分、塩分、アルコールも、ほとんどは小腸で吸収され、
胃では一部しか吸収されません。

尿酸値高値に関して。摂取エネルギー不足が関係。
【21/11/16 ボーン
尿酸値高値に関して

江部先生、こんにちわ。
いつもありがとうございます。

緩徐進行型1型糖尿病のボーンでございます。

スーパー糖質制限を始めて1年と4カ月目になりました。
このスーパー糖質制限のおかげでHbA1cは6.0をキープしており、
体調もすこぶる快調です。

ただ、例に漏れず尿酸値が高く、直近2回の検診で指摘されました。
前々回:11.3、前回:9.0となっており、
次回12月の検査で同じぐらいだったら薬を出しましょうと言われてしまいました。

原因はこちらの記事にある通り、摂取エネルギー不足でした。
食事だけですと1日1000kcal以下の計算になります(朝・夕の2食/1日制です)。
アルコール含めても1200~1300kcalだと思います。

そこで質問なのですが、
1.どのぐらいの期間、必要摂取エネルギーに戻せば改善するのでしょうか?

2.そもそも尿酸値の4.0-7.0という基準値は信用できるのでしょうか。
コレステロールの基準値の様に製薬会社の意向が入っていたりしないのでしょうか?

3.痛風や尿路結石などの原因は本当に尿酸値高値なのでしょうか。
痛風や尿路結石などの原因は別にあり、
患った人の尿酸値が高いだけということはないのでしょうか?
(ケトン体高値がケトアシドーシスの原因では無いのと同じ様に)

拙い質問で申し訳ありませんが宜しくお願いいたします。

私の基本情報は以下の通りです。

56歳、男性、身長167.3cm。(1年で0.7cm縮んじゃいました)
体重63,8kg。

2型糖尿病歴20年—>今年3月に緩徐進行1型糖尿病と診断。
2020年7月まで薬を服用、
プラス2018年2月〜2020年7月までインスリン投与。

1食の糖質10g以下目標のスーパー糖質制限を
2020年8月1日より始めて投薬は自主離脱。
2021年3月からは朝・夕の1日2食制を継続中。】



こんばんは。
緩徐進行1型糖尿病のボーンさんから、
尿酸値高値について、コメント質問を頂きました。

【スーパー糖質制限を始めて1年と4カ月目になりました。
このスーパー糖質制限のおかげでHbA1cは6.0をキープしており、
体調もすこぶる快調です。】


1型糖尿病で、HbA1c6.0%とは素晴らしいです。
スーパー糖質制限食を上手に実践しておられるのでしょう。
2018年2月〜2020年7月までインスリン投与ですが、
初診時に空腹時インスリン値は検査していますか?
インスリン注射中は、Cペプチド値は測定していますか?
してあれば、データをご教示頂ければ幸いです。

【56歳、男性、身長167.3cm。(1年で0.7cm縮んじゃいました)
体重63,8kg。】

167.3cm。63.8kgで、BMIは22.8です。
糖質制限食開始前の体重は何kgだったでしょう?
スーパー糖質制限食実践で、一定の減量ができていると思います。

【例に漏れず尿酸値が高く、直近2回の検診で指摘されました。
前々回:11.3、前回:9.0となっており、
次回12月の検査で同じぐらいだったら薬を出しましょうと言われてしまいました。

原因はこちらの記事にある通り、摂取エネルギー不足でした。
食事だけですと1日1000kcal以下の計算になります(朝・夕の2食/1日制です)。
アルコール含めても1200~1300kcalだと思います。】



アルコールは肝臓でしか代謝されないので、摂取エネルギーとしては
カウントされません。
従って、1000kcai/日ならかなりの低エネルギーです。
56歳、身体活動レベルが普通の男性なら、
厚生労働省のいう推定エネルギー必要量は2600kcal/日なので
かなり不足しています。
摂取エネルギー不足が、尿酸値が上昇した主たる要因と考えられます。


【1. どのぐらいの期間、必要摂取エネルギーに戻せば改善するのでしょうか?】
推定エネルギー必要量を確保すれば、速やかに尿酸値は改善します。
1ヶ月後くらいには正常化すると思います。

【2.そもそも尿酸値の4.0-7.0という基準値は信用できるのでしょうか。
コレステロールの基準値の様に製薬会社の意向が入っていたりしないのでしょうか?】


製薬会社の意向はないと思います。
実際に痛風発作が起きたら非常に痛いので、データ操作なしと思います。
公益財団法人 痛風・尿酸財団
http://www.tufu.or.jp/gout/gout2/61.html

のサイトによれば、
男女ともにこの値が7.0mg/dLまでは基準値内です。
血漿の中で尿酸は7mg/dLまでは溶けます。
しかし、これを超えると結晶になる傾向があります。

【3.痛風や尿路結石などの原因は本当に尿酸値高値なのでしょうか。
痛風や尿路結石などの原因は別にあり、
患った人の尿酸値が高いだけということはないのでしょうか?
(ケトン体高値がケトアシドーシスの原因では無いのと同じ様に)】


尿酸値と痛風発作に関しては、研究データがあります。
尿酸値9mg/dlを超えるようだと即発作が起きる可能性があります。
結石を構成する成分により数種類の結石に分類されます。
シュウ酸カルシウム結石、リン酸カルシウム結石、尿酸結石、
及びこれらが混在する結石が最も高頻度にみられます。


江部康二
人工甘味料の許容量や安全性は?
【21/11/14 としの
人工甘味料
今日は、内科医です。
私は甘味が欲しい時はラカントsにしています。
というのも先生が、「他の人工甘味料と違い摂取量に規制がない」とおっしゃっていたので(記憶違いなら申し訳ありません)。
人工甘味料が腸内細菌叢を乱したり、糖尿病の発症を増やす。(人工甘味料と糖代謝 櫻井 勝
〔糖尿病 59(1):33~35,2016〕)
など文献を見ますが。
先生が勧めていたパルスイートにはエリスリトールの他にも、アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物、アセスルファムKなども含まれています。
患者さんでパルスイートを使用している方もいますが認めて良いものかどうか悩んでます。
ご多忙の中申し訳ありませんが、よろしければ、ご解説お願い申し上げます。】


こんばんは。
内科医のとしのさんから、人工甘味料について、コメント・質問を頂きました。
人工甘味料に関してネガティブなことを書いているサイトが多くて、
気になっている人もおられると思います。
今回はゼロカロリー飲料水などに使用されている人工甘味料の許容量に関して、
考察してみます。

結論から言えば、
私は人工甘味料を、あまり気にしていません。
もちろん、甘味料としては、エリスリトールがカロリーゼロで血糖値上昇もなく安全性も高いので、第一選択となります。
ラカントSなら、エリスリトールが99%であとは羅漢果エキスなので、自然食派の人でも、全く問題はありません。
パルスイートゼロも主成分は、エリスリトールであり、
アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物、アセスルファムKはごく少量なので
自然食にこだわりのある人以外は、大丈夫です。

まず、人工甘味料は血糖値を上昇させませんし、インスリンも分泌させません。
現在、流通している人工甘味料には、
アスパルテーム、サッカリン、スクラロース、アセスルファムカリウム、ネオテーム、アドバンテーム
などがあります。
これらは米国食品医薬品庁(FDA)が認可しています。
ズルチン、チクロは使用禁止となっています。
まれな遺伝性疾患であるフェニルケトン尿症の患者さんは、
アスパルテームの成分であるフェニルアラニンの代謝困難になるので、アスパルテームの摂取を避けることが必要です。

http://www.ffcr.or.jp/shokuhin/upload/3f49dc74640c688e471ac1bcbf0c91b111a23406.pdf
各添加物の使用基準及び保存基準 (平成30年8月8日改正まで記載)
http://www.ffcr.or.jp/shokuhin/upload/3f49dc74640c688e471ac1bcbf0c91b111a23406.pdf (厚生省告示第370号 食品、添加物等の規格基準より抜粋)
各添加物の使用基準及び保存基準 (令和2年1月15日改正まで記載)
公益財団法人 日本食品化学研究振興財団
https://www.ffcr.or.jp/webupload/e3984852a08b38bffaa3d166a8176173c3916dd2.pdf
(厚生省告示第370号 食品、添加物等の規格基準より抜粋)


人工甘味料をはじめ添加物には使用基準と保存基準が決められています。

人工甘味料ではありませんが、
人工的に作る果糖ブドウ糖液化糖ブドウ糖果糖液化糖は異性化糖と呼ばれ、
血糖値も上げるし、インスリンも分泌させます。
安価なため、日本では清涼飲料水によく使用されており、
今では砂糖類の需要の40%程度となっています。
こちらは血糖値を上昇させますし、果糖はAGEsにブドウ糖の数十倍変わりやすいし、
これらの点に関して、果糖ブドウ糖液化糖など異性化糖は
人工甘味料よりはるかに危険がいっぱいです。
AGEsを考慮すれば、果糖ブドウ糖液化糖は、砂糖より危険と言えます。


人工甘味料のほうは、
使用基準と保存基準を守っていれば大丈夫と思います。

私自身も、サントリーオールフリーを時々飲んでいますが、
100mlあたり、エネルギーゼロ、糖質ゼロであり、糖質制限OK食品です。

オールフリーの栄養成分
麦芽、ホップ、香料、酸味料、糖類(糖化スターチ)、酸化防止剤(ビタミンC)、、
甘味料(アセスルファムK、スクラロース
)

人工甘味料のアセスルファムKとスクラロースが含まれていますが、
オールフリー350ml缶を3本/日くらいなら、なんの問題もないと思います。
まあ私は、1日にせいぜい1本ですが・・・。

さて、安全性に関してですが、
まず人工の添加物に対する無毒性量という基準があります。
無毒性量というのは「これ以上食べると毒になる」という量の1/2の量のことです。
無毒性量を、さらに安全係数100で割ったものが1日許容摂取量(ADI)です。

日本人の人工甘味料の一日摂取量について調べてみました。
JECFA 又は内閣府食品安全委員会において設定された
一日摂取許容量(ADI)に対する占有率(以下「対 ADI 比」という。)
をみると
どの年齢層においても ADI を大きく下回っています。
すなわち日本人の人工甘味料の摂取量については安全性上、
特段の問題はないと考えられます。


種々の添加物の安全性に関しては、
食品添加物のFAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)による安全性評価
https://www.ffcr.or.jp/tenka/secure/post-20.html


を見ると、あいうえお順で、
人工甘味料を始めとしてほとんどの添加物が記載されています。

なお、ラカントSの主成分である
糖アルコールのエリスリトールは
JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門委員会)により、1999年、
『安全性が十分に高いので、1日摂取許容量は定める必要がない(ADI not specified)』
との評価を受けており、その安全性は世界的にも認証されています。


ステビア甘味料に関しては、2008年6月の第69回JECFAで評価し、ADIが設定されました。
さらに2010年4月、EFSA(欧州食品安全機関)でも安全性に問題がないことが確認されました。

江部康二
コロナワクチン。心筋炎で20代男性が2名死亡。
こんばんは。
ヤフーニュースに以下の記事が掲載されました。共同通信の記事です。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c1dfd314c26c9d0707cbc35e1f2e5368cb87815f
モデルナ接種、心筋炎で4人死亡 うち2人は20代男性、因果不明
11/12(金) 19:41配信


 厚生労働省は12日に開いた副反応に関する専門部会で、米モデルナ製の新型コロナウイルスワクチンの接種後、男性4人が心筋炎を発症し死亡したと報告した。うち2人は20代男性で、若い男性へのモデルナ接種を巡っては、心臓の筋肉に炎症が起こる心筋炎などが出る割合が比較的高いとして、厚労省が注意を呼び掛けている。  心筋炎で死亡した事例が報告されたのは、モデルナ製では初めて。接種との因果関係はいずれも評価不能とされた。先行したファイザー製でも死亡事例は13例あり、若い男性に限ると20代の死亡例が1例ある。  
報告によると、死亡したのは20代2人と40代2人。


モデルナ社製の新型コロナワクチンは特に10代、20代で
ファイザー社製に比べて、かなり心筋炎が多いので要注意です。

厚生労働省は、
『mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチン接種後、頻度としてはごく稀ですが、心筋炎や心膜炎になったという報告がなされています。軽症の場合が多く、心筋炎や心膜炎のリスクがあるとしても、ワクチン接種のメリットの方が大きいと考えられています。』
との見解ですが、健康な20代男性2名、40代男性2名が、心筋炎で死亡というのは、極めて不幸な出来事です。
心筋炎という希な病気が、ワクチン接種後すぐに、健康な若者にたまたま自然に発症したというのには無理があり、
ワクチンとの因果関係を疑うのは当然と思います。

新型コロナワクチンに関して、当然、賛否両論があって良いと思いますが、
私は、少なくとも、持病のない若者に、
新型コロナワクチン接種は必要無いと思います。


元ER看護師、野中しんすけさんの
https://www.youtube.com/watch?v=qnrlh8_1StE
ユーチューブ
に、過去のコロナデータをまとめて表にしたものが提示してあり、
とてもわかりやすいです。
野中さん、データをまとめて頂いてありがとうございます。
とても助かります。以下表を引用させて頂きます。

その表による
ワクチン接種開始前と後の
新型コロナウイルス死亡率のデータ(2021/1/6前と1/6~10/16時点)比較です

年齢                                     
   
2021/1/6以前(ワクチン接種前)    1/6以後(ワクチン接種開始後)
          死亡率                    死亡率
80歳以上    12.305%                  15.09%
70歳代      4.544                    5.637
60歳代      1.37                     1.572
50歳代      0.3                      0.4
40歳代      0.088                     0.11
30歳代      0.0256                    0.003
20歳代      0.0034%                   0.006
10歳代      ゼロ                       0.0019
10歳未満     ゼロ                       ゼロ



80歳以上の高齢者の死亡率が圧倒的に多いですが、85%の人が死亡しないのは
日本人には肥満が少ないことなどが関与していると思います。
また、ワクチン接種前とワクチン接種後の死亡率は、
接種後の方が増加
しています。

やはり、デルタ株に対してはワクチンは無効と思われます。
現在、日本では理由不明で新型コロナ感染症が激減していますが、
2021年12月下旬とかで冬になれば、「第6波」がくる可能性が高いので
油断は禁物です。

データをみると、30歳代より若いと、死亡率は激減します。
この表から考察すると、持病がない39歳以下の人は、
新型コロナワクチンの接種は不必要です。

30歳代と20歳代では、持病がある人だけが接種すれば良いと思います。
19歳以下も持病がある人だけ接種すればよいと思います。
9歳以下は、死亡率0%ですから、ワクチン接種は不必要と言えます。

50歳代、40歳代の方も、持病がない人は接種の必要もないと思いますが、
持病がある人は、接種する選択肢もありです。

65歳以上の高齢者でも、健康な高齢者は打つ必要はないと思います。
持病があり、コントロールが悪い人は接種してもいいと思います。

71歳の私は健康な高齢者なので接種しません。
このように考察すると、日本人のかなりの人は新型コロナワクチンを接種する必要がないということになります。

重症化リスクがあるのは、
高齢者や、糖尿病、高血圧、慢性肺疾患、腎不全などの
持病を持っている人です。
肥満や喫煙や高尿酸血症もリスクとなります。
これらの重症化リスクの高い人は、
新型コロナワクチン接種を考慮する必要があります。


2021/11/12現在
https://web.sapmed.ac.jp/canmol/coronavirus/death?s=y#date
人口100万人あたりの各国の累計死者数。
札幌医大。
①イタリア:2194.5人
②英国:2108.2
③ブラジル:2872.1
④米国:2303.7
⑤メキシコ:2254.1
⑥フランス:1824.2
⑦アルゼンチン:2571.5
⑧ドイツ:1165.2
⑨南アフリカ:1508.5
⑩ロシア:1700.8
⑪カナダ:778.0
⑫トルコ:867.1
⑬世界:652.8
⑭サウジアラビア:253.1
⑮インドネシア:525.1
⑯インド:335.3
⑰日本:144.8
⑱オーストラリア:736.
⑲韓国:60.1
⑳中国:3.2


イタリアは、日本の15倍の死者数です。
英国は14.6倍、ブラジルは20倍、米国は16倍です。
このような状況ですので、欧米各国における新型コロナワクチンの意義と
日本における意義は同列に論じることはできません。


また、新型コロナウイルスがデルタ株に変異してから以降は、
ワクチンが無効の可能性
があります。
現実に国民の83%がワクチン接種を完了しているシンガポールで
2021/9/20頃から、死者数が右肩上がりで、
急増して、そのまま高止まりしています。


日本において、
米モデルナ製の新型コロナウイルスワクチンの接種後、
男性4人が心筋炎を発症し死亡しました。
うち2人は20代男性です。
極めて不幸な出来事です。
因果関係は評価不能と専門家は言いますが、
通常はあり得ないと思います。

つまりワクチンとの関連は評価不能というよりも、
ワクチンとの関連を完全に否定することは困難であると言うのがフェアと思います。


江部康二
増補新版 糖質制限の大百科 (宝島社)。9/14(火)から発売中。
こんばんは。

増補新版 糖質制限の大百科 単行本
江部 康二 (監修)
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本書が、ブログ読者の皆さんのお役に立てれば、嬉しい限りです。


今日からできる、無理なくやせる医師が教える正しい糖質制限

p6
やせる・若返る・健康になるいいことずくめの糖質制限

糖質制限では、血糖値を直接上げる唯一の栄養素である糖質を控えます。
そのため、食事をしても血糖値の急激な上昇を招くことはありません。
これこそが、糖尿病だけにとどまらず、あらゆる不調や疾患の予防・改善につながるのです。
 さらに、血糖値の急上昇が起きるとインスリンというホルモンが分泌されます。
インスリンは、別名“肥満ホルモン”とも呼ばれます。
過剰に分泌されることで体脂肪が蓄積され、肥満を引き起こすからです。
これらを引き起こさない糖質制限は、血糖値の乱高下をなくし代謝を安定させることで、精神的にも落ちつきます。
全身の血流も改善するため、美肌や美髪など、美容にも役立つのです。

p7
誰もがストレスなく実践できる糖質制限糖質制限のうれしいポイントは、
誰もがストレスなく取り組めるという点です。カロリー制限のような面倒な計算は不要。
ボリュームたっぷりの肉料理もOKです。そのため「食べたりない」という欲求不満とも無縁で、
正しく種類を選べばお酒を飲むこともできます。
食べものや飲みものの種類を選べば、自分のライフスタイルに合わせて思いきり食事を楽しむことができるので、
継続的に実践でき、確実に効果を実感できるのです。

p8
糖尿病の治療食として
スタートした糖質制限


日本で糖質制限をはじめたのは、私が理事長を務めている京都の高雄病院で、
当時の院長であった私の兄である江部洋一郎です。1999年のことでした。
私自身は、2001年、担当する患者さんに糖尿病治療の一環として、
糖質制限の指導を行ったところ、劇的な効果が見られました。
それ以降、当院では糖尿病の治療食として糖質制限食を実践し続けています。
従来、糖尿病に対する日本での治療方針は、カロリー制限一辺倒でした。
しかし、糖質を制限することのないカロリー制限食では、
糖尿病の大きなポイントである食後高血糖のコントロールができません。
糖質を制限せずにカロリーコントロールを行ったところで、
結局、病状は悪化し、薬に頼ることになってしまいます。
これに対して、糖質制限はまったく異なる考えかたで治療を行います。
カロリーや脂肪を制限するのではなく、「糖質を制限した食事を摂る」ことが基本となります。
糖質さえ控えれば、たんぱく質や脂質はしっかり食べてOKです。カロリー計算も必要ありません。


P153
Q9新型コロナウイルスに対して糖質制限は有効でしょうか?


A
糖質制限で免疫力を高めることで、ウイルスに強い体になります。
糖質制限食を実践している人は、糖質を食べている人に比べると、
血中ケトン体が 高値であり、AGEsの蓄積も最小限ですんでいます。
ケトン体は脂肪酸の分解産物ですが、それが高値であると、
心臓・腎臓・脳保護作用が期待できます。
スーパー糖質制限食なら、よりケトン体高値となるので、さらに効果が期待できます。
心臓・腎臓・脳が元気に活動していれば、当然免疫力も高まります。
また欧米の研究で、ケトン体がサイトカインストームを予防する可能性があります。・・・


江部康二
砂糖の取りすぎ、精神疾患のリスクに 脳の毛細血管に炎症 都医総研
【21/11/12 吉良
こんにちは
このような記事が。糖質の害についてはもっと警鐘を鳴らされるべきです。
「砂糖の取りすぎ、精神疾患のリスクに 脳の毛細血管に炎症 都医総研」
https://www.asahi.com/articles/ASPCB6G0BPCBULBJ00Q.html


こんにちは。
吉良さんから、

朝日新聞デジタル記事 アピタルに
2021年11月11日 掲載された
砂糖の取りすぎ、精神疾患のリスクに 脳の毛細血管に炎症 都医総研
https://www.asahi.com/articles/ASPCB6G0BPCBULBJ00Q.html
米科学誌サイエンス・アドバンシスのオンライン版に掲載版(https://science.org/doi/10.1126/sciadv.abl6077別ウインドウで開きます)(☆)

という記事について
コメント頂きました。
ありがとうございます。

統合失調症や双極性障害の患者さんは、
清涼飲料水を1日2リットル飲むなど、
多量の砂糖を取る傾向があるというのは知りませんでした。

この記事はマウスの実験ですが、
統合失調症や双極性障害の患者さんが大量の砂糖を摂取する傾向も含めて、
砂糖の弊害、恐るべしです。

マウスやラットなどネズミ類の本来の主食は草の種子(すなわち今の穀物)です。
マウスは米や麦を殻付きでそのまま食べていたと思いますが、
玄米で分量100 g あたり
カロリー (kcal) 349
水分15.5g
タンパク質6.8g
脂質2.7g
炭水化物73.8g

です。

砂糖大量というのがどの程度の量かは書いてないのでわかりませんが、
砂糖の水分は0.8%ていどでほとんどありません。
砂糖だけを大量というのは、マウスには経験のない餌ではあるでしょう。
従って、
『物体の位置を認識する機能が低下し、
毛繕いが異常に増え、巣作り行動が減ったことを確認』

といった所見を人間にそのまま当てはめるわけにはいきません。

一方、
『砂糖を過剰摂取したマウスの脳では毛細血管の炎症があり、
脳内の神経細胞の栄養となるブドウ糖の取り込みが低下』

していたということです。
こちらは、脳の毛細血管の炎症ということですから、
マウスに生じたことが、人間の脳の毛細血管にも起こりうる可能性を
示唆しています。
大量の砂糖摂取が、人間においても脳の毛細血管の炎症を生じて、
脳内の神経細胞の栄養となるブドウ糖の取り込みが低下し、
統合失調症や双極性障害の発症リスクになる可能性がある
と思います。


江部康二


(☆) 記事要約
 [東京都医学総合研究所などの研究班は11日、
思春期に砂糖を取りすぎると
統合失調症などの精神疾患を発症するリスクの一つになる可能性があると発表。
マウスを使った実験で確認。
平井志伸主任研究員は
「砂糖の過剰摂取に気を付けてスイーツを楽しんで」と呼びかけている。

 統合失調症や双極性障害は若い世代で多く、
遺伝的な要因と患者を取り巻く様々な環境要因が重なって発症する。
また、患者には清涼飲料水を1日2リットル飲むなど、
多量の砂糖を取る傾向がある。

 研究班が精神疾患の発症と関連がある遺伝子に変異があるマウスに、
餌として大量の砂糖を与えたところ、
物体の位置を認識する機能が低下し、
毛繕いが異常に増え、巣作り行動が減ったことを確認。

また、砂糖を過剰摂取したマウスの脳では毛細血管の炎症があり、
脳内の神経細胞の栄養となるブドウ糖の取り込みが低下していた。

 亡くなった統合失調症や双極性障害の患者の脳を調べたところ、
マウスと同様に、脳の毛細血管に炎症が起こっていたことが確認された。

平井さんは、グルコースの取り込みが低下し、
脳の神経細胞に栄養が行き渡らず、
精神疾患を発症している可能性があるとみている。

 これまで精神疾患と脳の毛細血管の炎症との関連はわかっておらず、
研究成果は新しい治療薬の開発や予防に役立つと期待されている。(姫野直行)]

糖質制限食に肯定的な信頼度の高いエビデンス。レベル1+、レベル1。
こんばんは。

相変わらず、根拠のない(エビデンスのない)糖質制限食批判が、
インターネットやユーチューブ(YouTube)で散見されます。

今回は、糖質制限食に肯定的なエビデンスとなる信頼度の高い論文を
取り上げてみました。
まずは、エビデンスレベルのもっとも高い
「エビデンスレベル1+」と「エビデンスレベル1」
の論文で、糖質制限食の有効性を示すものを列挙してみました。

集めてみると、こんなにたくさんあるのですね。

一方、糖質制限食に否定的な、
「エビデンスレベル1+」と「エビデンスレベル1」の論文は皆無です。

米国糖尿病学会は
2019年4月の<コンセンサスレポート>において
『糖質制限食が最もエビデンスが豊富である』と明言し、
2020年、2021年の<ガイドライン>においても、
同様の見解です。


この時点で、「糖質制限食是非論争」に
エビデンスレベルで、明白な決着がついたと言えます。




RCT(ランダム化比較試験)レベル1+

①Obesity Reviews(国際肥満研究連合の公式ジャーナル)2009年
体重減少、中性脂肪減少、HDL-C増加は低炭水化物食が低脂質・低カロリー食に比し有効。13の電子データベースの2000年1月~2007年3月の低炭水化物食と低脂質食比較RCTをメタ解析。
Systematic review of randomized controlled trials of low-carbohydrate vs. low-fat/low-calorie diets in the management of obesity and its comorbidities M. Hession,et all
 Obesity Reviews(国際肥満研究連合の公式ジャーナル)
 Volume 10, Issue 1, pages 36–50, January 2009

②Obesity Reviews(国際肥満研究連合の公式ジャーナル)2012年
23レポートのメタ解析によって
研究期間にかかわらず糖質制限食が体重,脂質,血糖,血圧を改善させる。
Obes Rev 2012; 13: 1048-1066Systematic review and meta-analysis of clinical trialsof the effects of low carbohydrate diets oncardiovascular risk factorsobr_1021

③システマティック・レビュー/53RCTのメタアナリシス。ランセット。
1)低脂肪食よりも糖質制限食の方が減量効果が高い。
2)低脂肪食は他の高脂肪食との比較で減量効果に有意差なし。
3)低脂肪食は普通食との比較でのみ、体重減少効果があった。
4)低脂肪食は、長期的な減量効果についての科学的裏付けがない。
Effect of Low-Fat Diet Interventions Versus Other Diet Interventions on Long-Term Weight Change in Adults:
  A Systematic Review and Meta-Analysis Lancet Diabetes Endocrinol 2015 Dec 01;3(12)968-979,
 DK Tobias, M Chen, JE Manson, DS Ludwig, W Willett, FB Hu



RCT(ランダム化比較試験)レベル1

①低糖質食 vs. 低脂質食。低糖質食の圧勝
低糖質食 vs. 低脂質食、減量や脂質データなどCVD(心血管疾患)リスク低減で、
低糖質食の圧勝。148人の肥満者を、1年間研究。
低糖質食は40g/日未満。
Effects of low-carbohydrate and low-fat diets: a randomized trial.
Bazzano LA et all
Ann Intern Med. 2014 Sep 2;161(5):309-18

②DIRECT低炭水化物食で一番体重減少・ HDL-C増加 
脂肪制限食(カロリー制限)、                           
地中海食(カロリー制限)、                            
低炭水化物食(カロリー無制限)の3群
低炭水化物群のみカロリー無制限のハンディがあったが、結局3群全て同じだけのカロリーが減少。満足度と満腹度。
当初糖質20g/日以下。3ヶ月後から120g/日以下を目指すも、結局女性150g/日、男性180g/日で40%の糖質。
糖質約50%の低脂肪食群、地中海食群(高糖質群)
DIRECT(Dietary Intervention Randomized Controlled Trial)         
322人を3群に分けて、2年間の研究。
Iris Shai,et all:Weight Loss with a Low-Carbohydrate,Mediterranean,or Low-Fat Diet. NENGLJ MED JULY17,2008、VOL359.NO.3 229-241

③DIRECTのフォローアップ研究。合計6年間。
地中海食、低炭水化物食の2群は、6年後も 体重減少に有意差あり。
Four-Year Follow-up after Two-Year Dietary Interventions
 N Engl J Med 2012; 367:1373-1374October 4, 2012

④低糖質地中海食(LCMD)。HbA1cレベルの大きな減少。
低糖質地中海食(LCMD)。8年間RCT研究論文。
糖質50%未満のLCMD群(108人)と低脂肪群(107人)の比較。女性は1500kcal/日。男性は1800kcal/日。
新たに診断された2型糖尿病患者では、LCMDは低脂肪食と比較して、HbA1cレベルの大きな減少、糖尿病の寛解率が高く、糖尿病治療薬の導入を遅らせた。
Diabetes Care. 2014 Jul;37(7):1824-30.
The effects of a Mediterranean diet on the need for diabetes drugs and remission of newly diagnosed type 2 diabetes: follow-up of a randomized trial.

⑤低炭水化物食が、肥満・HDL-C・TGを改善。   
       
JAMA  2007年3月  A TO Z 体重減少研究
アトキンス、ゾーン、ラーン、オーニッシュダイエットのそれぞれの1年間の体重減少効果などをみた。311人の女性を上記4グループに分けて追跡。これら4種のダイエット法は、いずれも米国でポピュラーなものである。
アトキンスは低炭水化物食(スーパー糖質制限食)、ラーンとオーニッシュは高炭水化物、低脂肪食、ゾーンは炭水化物40%
低炭水化物食が体重を最も減少させて、HDL-CとTGを改善。
Comparison of the Atkins, Zone, Ornish, and LEARN Diets for Change in Weight and Related Risk Factors Among Overweight Premenopausal Women
 The A TO Z Weight Loss Study: A Randomized Trial ,JAMA297:969-977



エビデンスレベル 「糖尿病診療ガイドライン2016」

レベル1 + 質の高いランダム化比較試験(RCT)および
     それらのメタアナリシス(MA)/システマティック・ レビュー(SR)
レベル1  それ以外のRCTおよびそれらのMA/SR
レベル2   前向きコホート研究およびそれらのMA/SR
         (事前に定めた)RCTサブ解析
レベル3  非ランダム化比較試験 前後比較試験
         後ろ向きコホート研究
         ケースコントロール研究およびそれらのMA/SR
         RCT後付けサブ解析
レベル4  横断研究 
      症例集積

*質の高いRCTとは①多数例②二重盲検、独立判定③高追跡率④ランダム割り付け法が明確などをさす。




江部康二



糖質の中でも、果糖の代謝は特殊です。
こんにちは。
今日は、果糖のお話です。

果物に含まれている糖質は、果糖、ショ糖、ブドウ糖などです。
この中のショ糖は、果糖とブドウ糖から構成されています。
市販されている砂糖の主成分がショ糖です。

皆さん、果物の糖質は、全て果糖と思っていませんでしたか?
実は、私も当初はそう思っていましたが、実態は違うのですね。
例えばリンゴ1個(約240g)のカロリーは約150kcalであり、
ビタミンC含量は8mg、
遊離糖含有量は35.6g(果糖:18g、ブドウ糖:6g、ショ糖:9.6g、ソルビトール:2g)、
水溶性食物繊維含量は0.95g、不溶性食物繊維含量は2.95gくらいだそうです。

さて、その果糖ですが、実に面白い性質をもっていますので検討してみましょう。
まず、果糖は、ブドウ糖とは代謝経路が全く異なっています。
そして、果糖のGI(血糖上昇指数)は20くらいと、大変低いです。
果糖の代謝経路は特殊で、10%がブドウ糖に変換され吸収されますが、
残りの90%は、果糖のまま吸収され、肝臓でそのまま直接代謝されます。
ですから、果糖は血糖値をほとんど上昇させず、
インスリンの分泌もほとんど促しません。

つまり、果糖のGI値が低いのは、
果糖が「ブドウ糖として」利用されるのはごく一部であるからであり、
果糖の吸収速度が遅いからGI値が低いというわけではありません。
消化吸収されて肝門脈に流れ込んだ果糖は肝臓で、
ブドウ糖より速く解糖作用をうけます。
これは、ブドウ糖が解糖系に入って代謝されていく時には、
ホスホフルクトキナーゼという酵素が必要なのですが、
果糖はこの段階をバイパスして、速やかに解糖系に入って代謝されるからです。
肝臓に取り込まれたブドウ糖、果糖は解糖系、TCAサイクルを経てATP産生に消費され、
余分なものは、グリコーゲン、中性脂肪に変換され蓄えられます。
肝臓のグリコーゲン蓄積には限りがあるので、
ブドウ糖より速やかに代謝された果糖の代謝産物により、
脂肪酸合成が促進され、中性脂肪の合成が亢進し、高中性脂肪血症となります。

血糖値の上昇をみるGI値では「ブドウ糖>砂糖>果糖」ですが、
中性脂肪値の上昇速度は、「果糖>砂糖>ブドウ糖」となります。
ですから、果糖は、ブドウ糖に比べれば血糖値はほとんど上昇させませんが、
中性脂肪合成を促進させ、太りやすい性質をもっています。

果物の糖質の主成分は果糖ですので、
血糖値はパンや米など穀物より上昇させにくいですが、
中性脂肪に変わるという意味では、太り安い食材です。
農耕以前の人類は、来るべき冬の食糧難に備えて、実りの秋に果物を摂取して、
効率よく中性脂肪を蓄えていたというのが私の仮説です。

従って、現代において、糖尿人やメタボ人には、
甘味料は「ラカントS」「パルスイートゼロ」などがお奨めです。
これらの主成分はエリスリトールであり、カロリーはゼロで血糖値も上昇させません。

血糖値を直接上昇させるのは、糖質・脂質・蛋白質のうち、糖質だけです。
体重64kgの糖尿人が1gの糖質摂取を摂取すると、血糖値を約3mg上昇させます。
しかし糖質のなかには果糖のようにほとんど血糖値を上げないものや、
エリスリトールのように、全く血糖値を上げないものも例外的に存在しているのです。

まとめ


① 果糖のGI(グリセミック・インデックス)は20程度と低いです。
② ブドウ糖のGIは、100です。
③ 果糖は、血糖値をほとんど上昇させません。
④ 果糖は中性脂肪に変わりやすく肥満しやすいです。
⑤ 果糖はブドウ糖の数十倍、AGEsに変わりやすいので危険な物質です。


**
今回のブログは「ハーパー・生化学」
原書27版、上代淑人監訳、丸善株式会社、2007年
などを参考にしました。


江部康二
グリセミック・インデックス(GI)と血糖値。糖質制限食は?
【21/11/09 としの
GI値
いつも大変勉強させて頂いております。
内科医です。

血糖日内変動、実際に数字で示されるとあらためて驚きます。
私はHbA1c5.8%、血糖値は白米150gで軽く200mg/dl超えます。
最近たまたま、りんご1個(糖質40g程)摂取後、
リブレであまり血糖値が上昇していない事に気づきました。
(違う日に2回測定しましたが50程までの上昇であったかと)。

私の場合、白米も玄米も血糖値が同程度に上昇するので、
GI値は参考にならないと考えていましたが、、、、。
りんごのGI値が37と白米よりだいぶ低いからでしょうか?

食べる物に関して一律に糖質量のみで患者さんに説明してきましたが、
GI値も考慮した説明が必要なのかと思案中です。
しかし、蕎麦のGI値は50ですが、
患者さんの血糖値はかなり上昇するなあと感じており、
GI値のみで判断は危険な感じもあります。
よろしければ御回答頂ければ幸いです。】



こんばんは。
グリセミック・インデックス(GI)について、
内科医のとしのさんから、コメント・質問を頂きました。

ちなみに日本のダイエットサイトにあるGIの数値は、
信頼度がイマイチです。

シドニー大学のGIのデータベースサイト
http://www.glycemicindex.com/foodSearch.php

が、最も信頼度が高いですが、英語です。
英語ですが、「apple」とか単語を書いてサーチすれば、
数値が表示されるので、理解できます。

シドニー大学のサイトによれば、
生リンゴのGIは
<40(アメリカ)、34(カナダ)、28(デンマーク)、44(イタリア)>
と記載されています。

Sugar (Sucrose), 100 g portion 65
砂糖のGIは65です。


 精製度の低い食べ物は一般的に「GI値が低い」といわれています。
GI(グリセミック・インデックス)値とは、血糖値の上がりやすさを示す指数です。

具体的に説明しましょう。
まず、基準となるのはブドウ糖50gを摂取したときの血糖値の上昇カーブを2時間測定したグラフデータの下面積です。
次に糖質50gを含む食品(ご飯とかパンとかイモとか)を摂取した後の血糖値の上昇カーブを2時間測ります。
基準となるブドウ糖の下面積を100として、
その何%にあたるかを表した数値がGI値というわけです。

 端的にいうと、GI値の数字が大きいほど食後の血糖値は上がりやすく、
数字が小さいほど血糖値が上がりにくいということです。
シドニー大学によれば、
GI値は「70以上が高GI値」「56~69が中GI値」「55以下は低GI値」とされます。
以下はシドニー大学のデータですが、米の種類により数値は結構ばらつきます。
白米と玄米を比べてみると、
白米は75~89と高GI値、玄米は48~62と低・中GI値。
精製度の低い玄米のほうが、少し血糖値を上げにくいということになります。


食後血糖値の上昇の目安として活用されるGI値には、実は4つの問題点があります。

 第一にGI値の大半は欧米人を被験者として計測されたものであり、
欧米人よりインスリン分泌能力が低い日本人にはそのまま当てはまらない可能性があります。
しかも欧米人で測った値でも研究者によって少なからぬ数値のバラツキがあり、
GI値の信頼性は決して高くないのです。

 第二にGI値は糖質を含む食品だけを単品で食べて計測した数値ですが、
実際の食事は単品で食べることはほとんどありません。
一食で十数種類の食品を食べるのが普通で、
糖質と同時に食物繊維、脂質、タンパク質などを摂りますから、
何をどのくらい一緒に食べているかでGI値は大きく変わるのです。

 第三にGI値はあくまでも糖質が主成分の食物を対象にしたものであり、
肉類や魚介類のように脂質やタンパク質が主成分の食品は対象外で計算不能です。
たとえば、豚肉は100g当たり0・5gの糖質しか含まれていませんから、
糖質50gを含む豚肉を食べてGI値を測ろうとすると5kg以上も食べないといけなくなり、
現実には測定不能です。

 第四にGI値は正常人のデータを元にしており、
血糖値が上がりやすい糖尿人には、そのまま当てはまりません。
糖尿人は玄米などGI値の低いものを食べたとしても、
普通に一人前摂取すれば200mg/㎗以上の危険な食後高血糖を起こしてしまうことを、
私たちは高雄病院入院患者さんの約1500人以上のデータで確認しています。

 糖尿人ではGI値よりも食品に含まれる糖質の絶対量(グラム数)が重要です。
高GI値であれ、低GI値であれ、糖質1gは体重64kgの2型糖尿病患者の血糖値を約3mg上昇させ、
1型糖尿病患者の血糖値を5mg上昇させるのです。

 以上を踏まえると糖尿人はもちろん、健常人でもGI値にこだわるのではなく、
糖質の絶対量を減らす試み(糖質制限食の実践)をしたほうが、
健康度を高め免疫力の向上には効果的です。



【最近たまたま、りんご1個(糖質40g程)摂取後、
リブレであまり血糖値が上昇していない事に気づきました。
(違う日に2回測定しましたが50程までの上昇であったかと)。】


例えばリンゴ1個(約240g)ですと、
・カロリー:約150kcal
・ビタミンC:8mg
・遊離糖含有量:35.6g (果糖:18g、ブドウ糖:6g、ショ糖:9.6g、ソルビトール:2g)
・水溶性食物繊維含量:0.95g
・不溶性食物繊維含量:2.95g
くらいです。

果糖のGI(血糖上昇指数)は20程度と低いです。
ブドウ糖のGIは、100です。
リンゴは果糖が多いので血糖値が上昇しにくいのです。
一方、果糖は中性脂肪に変わりやすく肥満しやすいです。
さらに、果糖はブドウ糖の数十倍、AGEsに変わりやすいので
危険な物質と言えます。


江部康二
短期効果が良い食事療法と短期効果が悪い食事療法、長期予後は?
こんばんは。
米国糖尿病学会によれば、血糖値に直接影響を与えるのは、糖質・脂質・蛋白質のうち、糖質だけであり
脂質と蛋白質は血糖値を直接上げることはありません。
この生理学的事実に基づいて、

短期効果が極めて良い食事療法(スーパー糖質制限食)

短期効果が極めて良くない食事療法(従来の糖尿病食)
が、厳然たる事実としてあります。

糖尿人の皆さんは、どちらを選びますか?

       同一摂取カロリー(1400kcal)の血糖日内変動検査の比較

                 従来の糖尿病食   スーパー糖質制限食
朝食前                 163         108mg/dl
朝食後2時間              387         142
昼食前                 318         102
昼食後2時間               337         122
夕食前                  223         90
夕食後2時間              204         130
眠前                   208         120



上記データは、ある2型糖尿患者Aさんの同一カロリーでの
糖尿病食(糖質60%)とスーパー糖質制限食(糖質12%)の入院時の日内変動の比較です。

入院時HbA1cは8.6%。

入院初日から従来の糖尿病食を開始して2日目に日内変動を測定し、
3日目から糖質制限食を開始して5日目に、糖質制限食での日内変動測定を実施しました。
本例の場合、わずか2日間の糖質制限食で耐糖能が大幅に改善して、空腹時血糖値が正常となっています。
また糖質制限食なら、食後血糖値の上昇は極めて少なく、血糖変動幅も少ないです。
上記のデータに見る如く、この糖尿人Aさんは、糖質制限食を実践する限りはほぼ正常人ですが、
糖質を一人前摂取すれば食後高血糖を生じ確実な糖尿人です。

そして、上記の糖尿人のデータで明らかなように、同一摂取カロリーの、
「スーパー糖質制限食(糖質12%)」VS「従来の糖尿病食(糖質60%)」においては、
短期効果には、顕著な差があります。

2型糖尿病で見られる血糖異常は、

空腹時血糖(FPG)
食後血糖(PPG)
MAGEで評価される血糖変動


の3つの要因で構成されています。
過去当分の間は、空腹時血糖値とHbA1cで、糖尿病コントロール状況の評価をするのが、一般的でした。
しかし、近年、食後血糖値や1日を通しての血糖変動幅が注目されてきました。

つまり、空腹時血糖値とHbA1cだけでは、動脈硬化のリスクを見落としてしまうのです。
例えば近年、MAGE(1日24時間を通しての平均血糖変動幅)が、
一番酸化ストレスと相関していて、次が食後高血糖で、それぞれ心血管疾患のリスクとなるとされています。
つまり、食後高血糖と平均血糖変動幅増大が糖尿病合併症の元凶であるというエビデンスがあり、
それらを生じるのは糖質摂取時だけというのが厳然たる事実なのです。

空腹時血糖値、食後血糖値、一日平均血糖変動幅の全てが改善するので、
糖尿病に関する動脈硬化のリスク要因は、スーパー糖質制限食では見当たらないと言えます。


一方、従来のカロリー制限食では、上記糖尿人さんのデータでも明らかなように、
食後血糖値、一日平均血糖変動幅は、壊滅的にコントロール不良です。

短期効果がこれほど悪い食事療法を、長期に続けて良い方に向かう可能性は皆無であり、
長期予後は必然的に不良です。

このように糖質を摂取しながら、
糖尿病の治療をするリスクは極めて重大であり、
日本糖尿病学会は、早急に糖質制限食を選択肢の一つとして検討することが必要と思います。
なお、米国糖尿病学会は、2019年4月のコンセンサスレポート以降、
『糖質制限食が最もエビデンスが豊富である』と明言しています。


江部康二

昆布の摂りすぎと甲状腺機能低下症。
【21/11/06 モン吉
甲状腺機能の数値低下
江部先生、こんばんは          

先生、マオマオさん横から失礼します。
私は糖質制限15年目ですが、4~5年前でしたか、
定期検査で先生から甲状腺機能の数値が低下していて、
橋本病の可能性を指摘されたことがありました。
甲状腺機能低下を色々調べてみると、
昆布やわかめ、ひじき、のり等にヨードが多く含まれ、
ヨードを摂りすぎると甲状腺機能の数値が低下する、
特に昆布にはヨードが多く含まれていることが分かりました。

以前から髪の毛が少し気なっていまして、
昆布やわかめは髪の毛に良いと言われていましたので、
以前は入れていませんでしたが、
丁度その頃朝、日によっては朝昼みそ汁にとろろ昆布を沢山入れていました。

「これが原因だ」と思い、とろろ昆布を止めました。
結果次回検査では、数値は正常になっていて、以来、ずっと数値は正常です。
私の場合は、とろろ昆布の摂りすぎが甲状腺機能の数値低下の原因でした。】


こんばんは。
モン吉さんから、昆布の摂りすぎと甲状腺機能低下症について
コメントを頂きました。
ありがとうございます。

【甲状腺機能低下を色々調べてみると、昆布やわかめ、ひじき、のり等にヨードが多く含まれ、ヨードを摂りすぎると甲状腺機能の数値が低下する、特に昆布にはヨードが多く含まれていることが分かりました。】

ヨードは甲状腺ホルモンの材料ですが、ヨードを摂りすぎるとヨードが甲状腺の組織内に蓄積してホルモン産生の過程を抑制してホルモン産生が低下して甲状腺機能低下症をきたすことがあります。この現象にはウォルフ-チャイコフ効果(Wolff-Chaikoff effect)という名前がついています。

昆布というと、健康なイメージがあって、昆布水を作って飲んだりとか、
もったいない精神で、出汁をとったあとの昆布を食べるとか、
モン吉さんのように「とろろ昆布健康法」とか、いろいろあります。

ほとんどの人が、『昆布の食べ過ぎで甲状腺機能低下症になることがある』などと
いうことは、全くご存じ無いと思います。
しかし、「昆布で甲状腺機能低下症」の人は思った以上に多いです。
私の患者さんにおいても、少なくとも過去20~30人はおられました。
勿論、モン吉さんと同様に、昆布摂取を中止したら、
甲状腺機能低下症は速やかに改善しました。


江部康二


以下の緑字の記載は、
http://www.jafsra.or.jp/information/info.php?seq=63
一般社団法人
日本食品安全協会
のサイトからの引用です。
とても参考になります。

とろろ昆布ダイエットに警鐘を

最近とろろ昆布がダイエットに良いとの情報をもとに、スーパー等の市場からとろろ昆布が消えるというような現象が起こっております。

 昆布の食べすぎはヨードの過剰摂取による甲状腺機能低下症を引き起こす可能性があります。我々はヨードを食事の成分からとっておりますが、その食材の中で極端にヨード含量が高いのが海藻です。日本人は海藻を多く摂取いたしますので通常の食事を摂っている方にはヨード不足は発生しません。しかし、欧米では海藻の摂取がほとんど無いために不足気味で、食塩にヨードを添加している国もあるほどです。

 現在、人間のヨードの最低必要量は、0.15mg/日位となっており、日本では成人の摂取上限値を3mg/日としております。日本の乾燥昆布は100グラム当たり100~400mgのヨードを含んでおりますので10g位の乾燥昆布を摂取するだけで上限値の3倍以上摂取することになります。ヨードは、不足すると甲状腺ホルモンを産生することができず甲状腺機能の低下を引き起こしますが、過剰に取りすぎても逆に、甲状腺機能低下を引き起こし、ひどいときには甲状腺腫を発症させると報告されています。実際に昆布の食べすぎによる甲状腺障害の報告は数多く認められております。

 今回、話題になっておりますとろろ昆布は、単なる乾燥昆布よりも一般的に食べやすく、実際に10g位は昆布類が好きな人なら食べても物足らないと感ずる量です。それが、ダイエットに結びつくと極端な量を摂取する人が出てきます。今までの日本人の食習慣から推測して、一日に10g位の昆布の摂取は毎日でなければそんなに心配する必要はないと考えられますが、現在のように、市場から消えるほど食べられているということは、一部の人に明らかに過剰摂取があることが考えられます。したがって、皆様のまわりにとろろ昆布ダイエットを実行しよう、または実行している人を見かけられましたら、注意喚起をしてあげてください。

 しかしながら、最近は和食的な食生活をしない人の場合、欧米人と同じように食事からのヨードの摂取が不足する傾向にあります。したがって、昆布を急に怖い食品として敬遠する必要は全くありません。昆布は、相変わらず食物繊維とミネラルの供給源としての重要な食品素材です。すなわち、昆布の料理が好きな人は、今まで通りの食べ方を続けても、かまわないと推測されます。ただ、一応、日本人成人のヨード一日摂取上限値が3mg/日であることと、乾燥昆布には100g当たり100mg以上のヨードを含んでいるということは頭の隅に留めておいてください。】






増補新版 糖質制限の大百科 (宝島社)。9/14(火)から発売中。
こんばんは。

増補新版 糖質制限の大百科 単行本
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daihyakka.jpg



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今日からできる、無理なくやせる医師が教える正しい糖質制限

p6
やせる・若返る・健康になるいいことずくめの糖質制限

糖質制限では、血糖値を直接上げる唯一の栄養素である糖質を控えます。
そのため、食事をしても血糖値の急激な上昇を招くことはありません。
これこそが、糖尿病だけにとどまらず、あらゆる不調や疾患の予防・改善につながるのです。
 さらに、血糖値の急上昇が起きるとインスリンというホルモンが分泌されます。
インスリンは、別名“肥満ホルモン”とも呼ばれます。
過剰に分泌されることで体脂肪が蓄積され、肥満を引き起こすからです。
これらを引き起こさない糖質制限は、血糖値の乱高下をなくし代謝を安定させることで、精神的にも落ちつきます。
全身の血流も改善するため、美肌や美髪など、美容にも役立つのです。

p7
誰もがストレスなく実践できる糖質制限糖質制限のうれしいポイントは、
誰もがストレスなく取り組めるという点です。カロリー制限のような面倒な計算は不要。
ボリュームたっぷりの肉料理もOKです。そのため「食べたりない」という欲求不満とも無縁で、
正しく種類を選べばお酒を飲むこともできます。
食べものや飲みものの種類を選べば、自分のライフスタイルに合わせて思いきり食事を楽しむことができるので、
継続的に実践でき、確実に効果を実感できるのです。

p8
糖尿病の治療食として
スタートした糖質制限


日本で糖質制限をはじめたのは、私が理事長を務めている京都の高雄病院で、
当時の院長であった私の兄である江部洋一郎です。1999年のことでした。
私自身は、2001年、担当する患者さんに糖尿病治療の一環として、
糖質制限の指導を行ったところ、劇的な効果が見られました。
それ以降、当院では糖尿病の治療食として糖質制限食を実践し続けています。
従来、糖尿病に対する日本での治療方針は、カロリー制限一辺倒でした。
しかし、糖質を制限することのないカロリー制限食では、
糖尿病の大きなポイントである食後高血糖のコントロールができません。
糖質を制限せずにカロリーコントロールを行ったところで、
結局、病状は悪化し、薬に頼ることになってしまいます。
これに対して、糖質制限はまったく異なる考えかたで治療を行います。
カロリーや脂肪を制限するのではなく、「糖質を制限した食事を摂る」ことが基本となります。
糖質さえ控えれば、たんぱく質や脂質はしっかり食べてOKです。カロリー計算も必要ありません。


P153
Q9新型コロナウイルスに対して糖質制限は有効でしょうか?


A
糖質制限で免疫力を高めることで、ウイルスに強い体になります。
糖質制限食を実践している人は、糖質を食べている人に比べると、
血中ケトン体が 高値であり、AGEsの蓄積も最小限ですんでいます。
ケトン体は脂肪酸の分解産物ですが、それが高値であると、
心臓・腎臓・脳保護作用が期待できます。
スーパー糖質制限食なら、よりケトン体高値となるので、さらに効果が期待できます。
心臓・腎臓・脳が元気に活動していれば、当然免疫力も高まります。
また欧米の研究で、ケトン体がサイトカインストームを予防する可能性があります。・・・


江部康二
米国糖尿病学会と糖質制限食。糖質制限食と甲状腺機能。
【2021/11/05 マオマオ
糖質制限で甲状腺機能低下になる可能性はありますか?
いつも勉強させていただき、ありがとうございます。
糖質制限を始めて一年弱。
HbA1cは5%台後半にまで下がり、低血糖もおこさなくなり、腎機能もよくなり、とても喜んでおります。

気になることがあります。
糖質制限を始めた頃から、徐々にTSH値が上がり出しました。(今の数値は9ぐらい)
ft3も低いです。摂取カロリーは2000kcal以上はとっています。日常運動量は軽度、たまにウォーキング程度です。
体重減は全くありません。
糖質制限によって、甲状腺機能低下を引き起こすことはあるでしょうか。

食後2時間ぐらいから息苦しさが出始め、そこで少し糖質を含むものをとると楽になります。
そしてまたしばらくすると息苦しさが出ます。
チラージンの最低量のものを服用して、今様子見中です。

甲状腺機能低下があるからか、一年弱たってもまだケトン体を作る能力がないのか、わかりません。
一応少し勉強はして、鉄とビタミンCは積極的にとるようにして、貧血などはないことを確認しました。

このような症状が出る方はいらっしゃいましたか?

糖質を少し多めにするとよいのかもしれませんが、
スタンダード以下レベルの糖質摂取でもあっという間にa1cが0.4程あがり、やはり糖質制限はしたいと思っています。

主治医は糖質制限大反対なので、相談出来ません。糖質を控えめにしているというだけで、
それでは治らないと言い切られました。
何かアドバイスをいただけませんでしょうか。】


マオマオさん。

【糖質制限を始めて一年弱。
HbA1cは5%台後半にまで下がり、低血糖もおこさなくなり、腎機能もよくなり】


それは良かったです。
そして糖質制限で甲状腺機能低下になることはありません。
これらは全く、別の事柄です。
2000kcal/日以上摂取とのことですが、
身長、体重、性別はどうでしょう?
体重減がないので、摂取エネルギーは足りていると思われます。

甲状腺機能低下症に関しては、念のため、橋本病の検査もしておきましょう。
具体的には、甲状腺に対する抗体である抗サイログロブリン抗体(TgAb)、
抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPOAb)を測定しましょう。

【食後2時間ぐらいから息苦しさが出始め、
そこで少し糖質を含むものをとると楽になります。
そしてまたしばらくすると息苦しさが出ます。
チラージンの最低量のものを服用して、今様子見中です。】


この症状は、糖質制限食をしていて生じるのでしょうか?
それとも糖質を食べたときに生じるのでしょうか?
ともあれ、TSHが9くらいのごく軽度の甲状腺機能低下症は、
無症状であり、息苦しさが出るようなことはありません。
糖質を食べたときに、息苦しさが出るなら、
機能性低血糖の症状と思われます。
糖質制限食で、息苦しさが出ることはありません。

【糖質を少し多めにするとよいのかもしれませんが、スタンダード以下レベルの糖質摂取でもあっという間にa1cが0.4程あがり、やはり糖質制限はしたいと思っています。】

スタンダード糖質制限食だと、一日一回糖質を摂取するので、
そのとき、機能性低血糖の症状として、息苦しさが出ることはありえます。
スーパー糖質制限食が良いと思います。

糖質制限食に関しては、米国糖尿病学会のお墨付きがあります。
米国糖尿病学会のトレーシー・ブラウン現CEOは、
自らスーパー糖質制限食を実践中であり、
それによりインスリン注射を中止できています。

米国糖尿病学会とスーパー糖質制限食とエビデンスについて

以下、経時的に検討してみました。
<米国糖尿病学会(ADA)の糖質制限食に対する見解の変遷>

①ADAは、2007年まで糖尿病の食事療法において糖質制限食は推奨しないとしていた。

②2008年、「食事療法に関する声明2008」において、

 「減量が望まれる糖尿病患者には低カロリー食、もしくは低炭水化物食によるダイエットが推奨される」と、

 1年の期限付きで、糖質制限食の有効性を認める見解を記載。

③2011年、肥満を伴う糖尿病患者に2年間の期限付きで糖質制限食の有効性を容認。

④2013年10月、「食事療法に関する声明2013」において期限や限定なしで、糖質制限食を容認

⑤2019年4月、コンセンサス・レポートで糖質制限食がエビデンスが最も豊富と記載。

⑥2020年4月、「栄養療法」

 地中海式、低炭水化物、およびベジタリアン食事パターンは、

 いずれも研究で良好な結果が示されている

 健康的な食事パターンの例である。

 個別の食事計画は、個人の好み、ニーズ、

 および目標に焦点を当てるべきである。

 糖尿病患者の全体的な炭水化物摂取量を減らすことは、

 血糖値を改善するために最も多くのエビデンスが示されているので、

 個人のニーズや好みに応じた様々な食事パターンに

 適用することができる。



米国糖尿病学会(ADA)は、
蓄積したエビデンスに基づき、見解を発表しています。
2007年までは、エビデンス不足のため、糖質制限食を否定しています。
その後、エビデンスの蓄積により、徐々に糖質制限食を肯定していき、
2013年10月には、正式に容認するに到りました。
さらに、2019年4月には、糖質制限食が最もエビデンスが豊富と明言しました。
糖質制限食に関しては
Low-Carbohydrate or Very Low-Carbohydrate Eating Patterns
(低炭水化物食、超低炭水化物食)

と記載してあります。
タンパク質の摂取比率は、一定なので、超低炭水化物食は、間違いなく高脂肪食です。
高雄病院のスーパー糖質制限食はこの「超低炭水化物食」に相当し、脂質摂取比率は56%です。
2020年のADA「栄養療法」においても『糖質制限食が最もエビデンスが豊富』と再び明言してあります。
2021年のADA(米国糖尿病学会)「栄養療法」も、2020年と同様の記載です。
甲状腺機能が低下する可能性があるような
食事療法を米国糖尿病学会が容認することはあり得ません。
すなわち、糖質制限食の安全性は、米国糖尿病学会により担保されていると言えます。


【主治医は糖質制限大反対なので、相談出来ません。
糖質を控えめにしているというだけで、それでは治らないと言い切られました。】


主治医には、米国糖尿病学会が、2019年4月から
糖質制限食が最もエビデンスが豊富と明言していることを教えてあげましょう。


江部康二
胆石術後と糖質制限食。
【21/11/04 れいくたうん
胆石手術
先生、お世話になります。

9月から胸痛、腹痛に悩まされ、10月22日、
胆石性急性胆のう炎及び肝機能障害ということで緊急オペを受けました。

肝臓に胆のうが癒着しており、はがす作業も含め術は9時間半に及びました。

術後ブドウ糖かなにかの点滴の影響で一度インシュリン注射を受けましたが、
その後のカロリー制限食にも耐え、
インシュリン注射をすることなく退院できました。

ただし、ここで問題発生です。
糖尿病で糖質制限、胆石で脂質制限をしたら食べるものがありません。

なにとぞご指導のほど、よろしくお願いいたします。
ちなみにhbAcは5.7でした。】


こんばんは。
れいくたうんさんから、胆石術後の糖質制限食について、コメント・質問を
頂きました。
結論からいうと、普通に糖質制限食をしても大丈夫です。
脂肪もタンパク質も今までどおり、普通に摂取してOKです。
脂肪を食べると、胆汁がよく流れるので、今後、胆道結石などの予防にもなると思います。


江部康二


以下、参考になるので、2014年10月7日の記事を再掲します。

糖質制限で胆石も消失!大幅な減量。大腸癌のリスクは?

【14/10/07 岸和田のセイゲニスト

糖質制限で胆石も消失!

先日は、隆祥館書店さんの出版記念講演会にて、有意義なお話しをお聴かせ頂き有難うございました。

講習会は、薄暗い室内(スライドでの講習会)、昼食直後なので眠気が少し心配でありましたが、ランチが糖質制限食(安ステーキ)の為か、先生のお話しが面白いのか、眠気も皆無で、集中して受講することが出来ました!(笑)

糖質依存からの脱却、大幅な減量、そして先日のエコー検査では、糖質制限以前(約半年前)に数個あった胆石もなぜか消失していました!

ちなみに、胆石症で過去に二度入院経験もあります。(^^;)

しかも糖質制限してからは、胆石症患者にはご法度とされる、かなり脂っこい食事(肉や魚、チーズや卵、唐揚げにマヨネーズ掛け)を毎日食しているのにも関わらずです!

あと少し心配は、こんな食事内容で大腸癌にならないのか位です。

ぬか喜びせず、野菜などの食物繊維も食べていきたいと思います。(^^;)

本当に有難うございました。m(_ _)m】



岸和田のセイゲニストさん

2014年10月5日(日)
隆祥館書店主催「江部康二出版記念 講演会・大阪」
ご参加、ありがとうございます。

60名の参加者で、医師も数名きておられ、熱心な質疑応答で、盛り上がりました。

サイン会も、長蛇の列でマジックインキがかすれるほどでした。

大阪の医師のネットワークも広がりそうです。

さて、糖質依存からの脱却、大幅な減量、良かったです。

糖質制限以前(約半年前)に数個あった胆石が消失したのはびっくりですね。私も初めて聞きました。

どなたか、岸和田のセイゲニストさんと同様に、胆石が糖質制限食で消えたという経験をお持ちの方はおられますか?

「しかも糖質制限してからは、胆石症患者にはご法度とされる、かなり脂っこい食事(肉や魚、チーズや卵、唐揚げにマヨネーズ掛け)を毎日食しているのにも関わらずです!
あと少し心配は、こんな食事内容で大腸癌にならないのか位です。」


糖質制限食を推進する、我々糖質セイゲニストとして、動物性脂肪の適切な摂取量はどのくらいかということですね。

1)<赤肉(牛・豚・羊)摂取と世界ガン研究基金2007年の報告>
World cancer reserch fund
http://www.wcrf-uk.org/preventing_cancer/recommendations.php

世界ガン研究基金の食生活指針の中で

「動物性食品 赤肉(牛・豚・羊)を制限し、加工肉(ハム、ベーコン、サラミ、燻製肉、熟成肉、塩蔵肉)は避ける。赤肉より、鶏肉や魚が推奨される。赤肉は週500g以下に。」

と記載されています。これは、ひとつの目安でしょうか。

「赤肉(牛・豚・羊)の摂取量を、週500g以下」というのは、日本人にとってはそんなに高いハードルではないですね。

ちり鍋、寄せ鍋、水炊き、湯豆腐、ちゃんこ鍋、かき鍋、石狩鍋・・・、野菜炒め、煮魚、焼き魚、おでん、ラカントSを使って麻婆豆腐、鶏肉料理・・・、週1回は、150gの牛ステーキを食べて・・・。

結構豪華な食生活でも、赤肉500g/週以下で目標達成です。

岸和田のセイゲニストさんも、目標達成ではないでしょうか。

でも、赤肉500g/週以下というのは、米国人には厳しい目標ですね。

まあ、世界ガン研究基金には逆らうようですが、スーパー糖質制限食をしている場合は、「食後高血糖」と「食後高インスリン血症」という明らかな発がんリスクがほとんどないので、私個人の意見としては、赤肉をもう少し摂取しても大丈夫という気がします。

2)<米国医師会雑誌2006年2月8日号>
米国の大規模介入試験において脂質熱量比率20%で強力に指導したグループは、対照群に比較して意外なことに、心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクを下げないことが、米国医師会雑誌2006年2月8日号で報告されました。総コレステロール値に関しても、両群に優位な差はありませんでした。

この研究は、5万人弱の閉経女性を対象に対照群を置き、平均8年間にわたって追跡した大がかりなもので、所謂EBM(科学的根拠に基づいた医療)的にはトップランクに位置する権威あるものです。

脂質熱量比率20%に減らしたわけですから、対照群の女性(脂質熱量比率30数%)に比べれば、動物性脂肪も植物性脂肪も含めて4割くらい脂肪摂取量を減らした計算です。

動物性脂肪も間違いなく減らしていますが、乳がん、大腸がん、心血管疾患(心筋梗塞など)は全く減りませんでした。

権威ある研究により、従来の常識(脂肪悪玉説)が根底から覆ったわけです。

少なくとも大腸がんと乳がんのリスクに関しては、脂肪を強力に減らしても、全く無意味だったわけですね。

岸和田のセイゲニストさんも、少し安心されていいと思いますよ。



江部康二
菓子職人11月・12月限定マンスリー糖質制限ケーキ シャルロット
こんにばんは。
菓子職人11月・12月限定マンスリー糖質制限ケーキ シャルロット
発売中です。

【菓子職人 11月・12月限定マンスリーケーキ】
風味豊かなシュー生地とナッツクリームが絶妙 
シャルロット

main_monthly1911.jpg

糖質 2.46g カロリー 266kcal
※100gあたり ※エリストールを除く
https://shop.kashishokunin.co.jp/view/category/monthly11 


◆測定結果
2021年11月2日(火)
17時 血糖値:123mg
菓子職人マンスリー糖質制限ケーキ・シャルロット1個(100g)試食
18時 血糖値:123mg

シャルロット100gあたり摂取で、血糖値上昇なしです。
2.46gの糖質が含まれていました。
糖尿人・江部康二のピークの血糖値上昇は1gの糖質で3mg/dlです。
ということは「2.46g×3mg/dl=7.38mg」の血糖上昇予定です。
私の追加分泌インスリンの初期相が、7.38mg分の血糖上昇を
丁度ぴったり相殺したためと思われます。
ともあれ、100g中に2.46g以下の糖質量であることは間違いなく、
糖質制限食OK食品です。

糖質制限シャルロット  美味しさのヒミツ

monthly_cut1911.png


A ビスキュイ・キュイエール: 別立てで作った軽い生地
B シャンティー ショコラ : モリドール社のダークチョコレートと北海道産生クリームをあわせて軽く仕上げました
C クレーム・ブリューレ: 北海道産生クリームと濃いアーモンドミルクとたっぷりの卵黄を寒天で固めました
D 軽いチーズムース: マスカルポーネと卵黄、北海道産生クリームやオレンジのお酒で香りづけ、優しいムース状に仕上げました


糖質制限マンスリーケーキ
【11・12月限定 シャルロット】
軽いチーズムースとチョコクリームにブリュレ入り。
フルーツも華やか。
賞味期限:冷凍保存20日間、解凍後要冷蔵にて2日間
内容:直径約15cm×高さ14cm/約480g 1台
価格 4,500円
【ご購入はこちらから】
https://shop.kashishokunin.co.jp/view/category/monthly11

10月下旬から、京都もめっきり寒くなってきました。
ダークチョコと北海道産生クリームとアーモンドミルクの組み合わせで
なんだか、体も温まりそうですね。
糖質制限シャルロット、秋~冬にふさわしい、豊潤な味わいとなっています。

ブログ読者の皆さんも、是非、ご賞味頂ければ幸いです。

菓子職人さん、いつも美味しくて素敵な糖質制限スイーツを提供して頂き、
ありがとうございます。


江部康二
「デルタ株のゲノム変異蓄積」修復追いつかず死滅か
こんばんは。

10/30(土) 16:22配信のヤフーニュースに

https://news.yahoo.co.jp/articles/ffc3131185430e24ea85bf09f4f8181e7ab3fa24
ゲノム変異、修復困難で死滅? コロナ第5波収束の一因か

という記事が掲載されました。
ニュース元は、共同通信です。

新型コロナウイルスの流行「第5波」の収束には、
流行を引き起こしたデルタ株でゲノム(全遺伝情報)の変異を修復する酵素が変化し、
働きが落ちたことが影響した可能性があるとの研究結果を
国立遺伝学研究所と新潟大のチームが30日までにまとめました。

2021年8月下旬のピーク前には、
ほとんどのウイルスが酵素の変化したタイプに置き換わっていました。
このウイルスではゲノム全体に変異が蓄積しており、
同研究所の井ノ上逸朗教授は
「修復が追いつかず死滅していったのではないか」と指摘しています。
研究は10月に開かれた日本人類遺伝学会で発表されました。

変異が積み重なるとやがてウイルスは増殖できなくなりますが、
ウイルスの「nsp14」という酵素が、変異を修復して、増殖が可能となっていたのです。

nsp14の遺伝子が変化したウイルスでは、ゲノムの変異が通常の10~20倍もあり、
増殖できなくなったと考えられます。

この説だと、日本で極めて急速に、
新型コロナ感染症が沈静化した現象を説明することが可能です。
この説が正しいなら、
12月で冬になっても新型コロナ感染症の再燃は生じないかもしれません。
これは朗報です。
しかし、日本でだけ、
何故こんな都合の良い「nsp14の遺伝子変化」が起こったのでしょう。
不思議です。

シンガポールでは、新型コロナ死者数は、9月23日頃から、
急増して、10月31日時点でも、増えたままです。


江部康二

ファクターXとインスリンレベル
【21/10/26 FOCS@山田改め、山田隆博
ファクターXとインスリンレベル
大阪大学の研究グループが、血中インスリンレベルを下げると、COVID-19に感染するリスクが低くなる可能性…についての論文をリリースしました。
https://diabetes.diabetesjournals.org/content/early/2021/10/21/db20-1094

脂肪細胞の高インスリン血症がGRP78の過剰発現を惹起し、スパイクタンパクとACE2との結合を増加させる…という機序です。

肥満者にはインスリン抵抗性があり、インスリンが大量分泌されて脂肪を同化することによって、さらにインスリン抵抗性が上がる…という負のスパイラルは広く知られており、肥満者に重症例が多いことの裏付けともなります。

別の研究報告では、SGLT-2阻害薬とGLP-1受容体作動薬がGRP78をダウンレギュレートさせる、と示しています。
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0014299921004027

1型の方は、SGLT-2iを投与することが望ましいでしょう。

さて、インスリンレベルを下げる簡単な手法があります。

そう、糖 質 制 限 です‼️

ケトン産生食は、GRP78発現のダウンレギュレーションをもたらした…との研究報告も存在します。
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S053155652030406X

結論:新型コロナに感染したら、SGLT-2iで血糖値を下げケトン産生食を摂取すれば、重症化を防ぐ可能性がある。

…と言えそうです。

さらに我々日本人は、欧米人と比べてインスリン分泌が少ないことが知られていますが、これこそ『ファクターX』の最後の欠片ではないでしょうか。

すなわち、
①BCG(日本株)予防接種による訓練免疫
②マスク、手洗い、うがいを励行する勤勉な国民性
③高い公衆衛生レベル
④納豆など発酵食品の多食
⑤インスリンレベルの低さ

…これらの5要因が重なり合った結果、
日本人の感染者、重症例が少ないと言えそうです。】



こんばんは。
山田隆博さんから、興味深いコメントを頂きました。
ありがとうございます。

【大阪大学の研究グループが、血中インスリンレベルを下げると、COVID-19に感染するリスクが低くなる可能性…についての論文をリリースしました。
https://diabetes.diabetesjournals.org/content/early/2021/10/21/db20-1094

脂肪細胞の高インスリン血症がGRP78の過剰発現を惹起し、
スパイクタンパクとACE2との結合を増加させる…という機序です。】


これは、とても価値ある論文です。
GRP78はンパク質の一種で
細胞膜に発現するとスパイクタンパクとACE2との結合を増加させるということです。
高インスリン血症があると、GRP78が過剰に発現してしまいます。


【肥満者にはインスリン抵抗性があり、インスリンが大量分泌されて脂肪を同化することによって、さらにインスリン抵抗性が上がる…という負のスパイラルは広く知られており、肥満者に重症例が多いことの裏付けともなります。】

仰る通りと思います。
これで、肥満者に重症者が多い理由が一つ、明確となりました。


【別の研究報告では、SGLT-2阻害薬とGLP-1受容体作動薬がGRP78をダウンレギュレートさせる、と示しています。
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0014299921004027


これもまた、価値ある論文です。
2019年9月に、ヨーロッパ心臓病学会(ESC)とEASDの共同によるガイドラインが改訂され、心血管病の既往があるかそのリスクが高い患者では、
メトホルミンではなく初めからSGLT2阻害薬かGLP-1受容体作動薬を使用することが推奨されています。
このように、
SGLT-2阻害薬とGLP-1受容体作動薬の評価が極めて高くなってきています。
私も、糖尿病患者さんに対して、心血管病やそのリスクがなくても
SGLT-2阻害薬とGLP-1受容体作動薬を第一選択薬とすることが多いです。
それがGRP78をダウンレギュレートさせてくれれば、
コロナ重症化の予防となります。


【インスリンレベルを下げる簡単な手法があります。
そう、糖 質 制 限 です‼️
ケトン産生食は、GRP78発現のダウンレギュレーションをもたらした…との研究報告も存在します。
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S053155652030406X


これまた、とても価値ある研究報告です。
スーパー糖質制限食なら、インスリンレベルは最小限ですみますし、
血中ケトン体は高値となります。


【結論:新型コロナに感染したら、SGLT-2iで血糖値を下げケトン産生食を摂取すれば、
重症化を防ぐ可能性がある。

…と言えそうです。】


仰る通りと思います。


【さらに我々日本人は、欧米人と比べてインスリン分泌が少ないことが知られていますが、これこそ『ファクターX』の最後の欠片ではないでしょうか。

すなわち、
①BCG(日本株)予防接種による訓練免疫
②マスク、手洗い、うがいを励行する勤勉な国民性
③高い公衆衛生レベル
④納豆など発酵食品の多食
⑤インスリンレベルの低さ

…これらの5要因が重なり合った結果、
日本人の感染者、重症例が少ないと言えそうです。】

こちらも鋭いご指摘です。
『ファクターX』の最後のピースが『低インスリン血症』
納得です。


江部康二