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江部康二の2021年9月の検査データの報告と解説。
こんにちは。

今回の記事は、
2002年(52歳)糖尿病発覚以来
スーパー糖質制限食を足かけ20年実践中の、
江部康二の2021年9月の検査データの報告と解説です。

2002年6月に糖尿病確定診断で、HbA1cは6.7%でした。
このとき、体重は67kg、身長は167cm。
内臓脂肪CTは126cm2 (100未満正常)
血圧は140-150/90前後 → 外来終了時は180/100。

スーパー糖質制限食を実践して、1ヶ月後にはHbA1cは基準値内になり、
半年後には体重は10kg減少して57kgとなり、
血圧も120~130/80程度と、正常化しました。
そのまま2020年2月まで、血圧と体重は維持です。

HbA1cは2002年7月には、6.0%となり、
2002年8月以降は、ずっと5.6%~5.9%で、
2021年5月まで、あしかけ20年間経過しています。

内臓脂肪CTは、2004年10月には、71 cm2となっています。
2002年12月には、体重は10kg減量できていて、その後維持なので
内臓脂肪も、そのときには既に71cm2に改善していたと思われます。

<スーパー糖質制限食実践時の血液・尿検査データの推移>

①血糖値は糖質制限食実践時にリアルタイムに改善します。
②スーパー糖質制限食なら、HbA1cは月に1~2%改善します。
③中性脂肪も速やかに改善します。
④HDLコレステロールは増加しますが、増加の程度と速度に個人差があります。
⑤LDLコレステロールは低下・不変・上昇と個人差があります。
 上昇した人も半年〜1年~2年、3年、数年くらいで落ち着くことが多いですが、
 個人差があります。
⑥総コレステロールは、低下・不変・上昇と個人差があります。
 上昇した人も半年〜1年~2年、3年、数年くらいで落ち着くことが多いですが、
個人差があります。
⑦尿酸も低下・不変・上昇と個人差があります。
 上昇した場合は、ほとんどが摂取エネルギー不足が原因です。
⑧尿素窒素はやや増加傾向になる人が多いですが、そのうち落ちつくことが多いです。
⑨クレアチニンは不変です。
⑩血清シスタチンCも不変です。
⑪血清カリウムも不変です。
⑫血中ケトン体は基準値より高値となりますが、生理的なもので心配ありません。
⑬尿中ケトン体は当初3カ月〜半年は陽性になりますが、その後陰性になることが多いです。
⑭脂肪肝に付随するGPTやγGTP値も改善します。
⑮TSH、FT4、FT3も不変です。


上記に記載していない血液検査や尿検査については、
糖質制限食開始前後で差はありません。
以下は私の最新の検査データです。


<江部康二の2021年9月(71歳)の検査データ>

HbA1c:5.7%(4.6~6.2)
GA(グリコアルブミン):13.3%(11.6~16.0)

空腹時血糖値:97mg/dl(60~109)
空腹時インスリン:3.5μU/ml(3~15)

TSH:1.03(0.34~3.88)
F-T4:1.5(0.8~1.8)
F-T3:3.1(2.1~4.0)

中性脂肪:65mg(50~149)
総コレステロール:222mg(150~219)
HDL-コレステロール:95mg(40~85)
計算法LDL-コレステロール:113mg(140mg未満)
尿酸:4.1mg(3.4~7.0)
BUN:13.8mg(8~20)
クレアチニン:0.66mg(0.6~1.1)
血清シスタチンC:0.63g(0.61~1.00)
GOT:33(9~38)
GTP:29(5~39)
γGTP:39(84以下)
アルブミン:4.5g(3.8~5.3)

血色素量:14.8(13~17)
白血球数:5400(3900~9800)
赤血球数:460(400~560)

総ケトン体:1040.0μM/L(26.0~122)
βヒドロキシ酪酸:898.0μM/L(76以下) 糖質制限食中は生理的で正常値
アセト酢酸:142.0μM/L(13.0~69.0)


HbA1cは正常範囲内で、5.7%です。
空腹時血糖値が、糖尿病発症後、スーパー糖質制限食でも、
正常範囲内でやや高め(正常高値:100~109mg/dl)のことがありますが、
まあ、糖尿病歴、20年ですから仕方ありませんね。
とは言いながら、最近は、早朝空腹時血糖値が、
90mg台も時にあるようになりました。
今回は97mg/dlと正常値でした。

GAは正常範囲内で、上限には大分余裕があります。
これは、スーパー糖質制限食により食後高血糖がほとんどないためと思われます。
即ち「糖化」は正常人並みあるいはそれ以上に予防できていると考えられます。

甲状腺機能は、20年間常に、正常です。

総コレステロール値は、心血管疾患との関連性は無く、
脂質異常症の2007年以降のガイドラインから外れているので特に問題はありません。
HDL-コレステロールは多めです。
LDL-コレステロールは今回は正常です。
中性脂肪値が65と前回(2021年5月)より改善し、80以下となったのは、
気持ちお酒を減らしたからでしょうか。

HDL-Cが95(目標は60以上)と多く、中性脂肪が65(目標は80以下)と少ないので、
小粒子LDL-Cや酸化LDL-Cは、ほぼ皆無であり、極めて良好なパターンです。

スーパー糖質制限食なので、高タンパク・高脂質食なのですが、
尿酸は正常下限近くて、やや低めですね。
尿酸は抗酸化物質でもあるのですが、
スーパー糖質制限食実践で、私の身体には酸化ストレスが極めて少ないので
尿酸も少ないのだと思われます。
尿酸も食べ物由来は2割程度であとは個人の体質ですのでこんなものでしょう。

高タンパク食ですが、BUNもクレアチニンもシスタチンCも正常なので腎機能も問題なしです。

焼酎などぼちぼち飲む割には肝機能も正常です。 (^_^)

インスリンは、基礎分泌が3.5μU/mlと正常範囲で低めですが、
空腹時血糖値が97mg/dlと正常なので問題ないです。
むしろ少ないインスリン分泌量で、
血糖値は正常なので好ましいパターンと言えます。
狩猟・採集時代のご先祖のインスリン分泌も、こんなものだった可能性が高いです。

血糖値がコントロールできている限り、
インスリン分泌は少なければ少ないほど身体には優しいのです。
過剰のインスリンは百害あって一利なしです。

総ケトン体:1040.0μM/L(26.0~122)
βヒドロキシ酪酸:898.0μM/L(76以下) 
アセト酢酸:142.0μM/L(13.0~69.0)
と、ケトン体は一般的基準値に比べればかなり高値ですが、
生理的ケトーシスであり問題ありません。

即ち、私の血中ケトン体値は、あくまで生理的範囲のもので、
インスリン作用は一定確保されていて、空腹時血糖値も97mgと正常です。

見方を変えれば、農耕以前の人類皆糖質制限食だった頃は、
私のような血中ケトン体値のデータが当たり前で、
人類の標準だったと考えられます。

スーパー糖質制限食実践中の人の血中βヒドロキシ酪酸の標準値は、
200~800~1200μM/Lくらいと考えられますが、
3ヶ月くらい経過すると、尿中ケトン体は陰性になります。
これは、スーパー糖質制限食実践で、心筋・骨格筋などの体細胞が、
日常的に効率良くケトン体をエネルギー源として利用するようになったため、
尿中に排泄されないのだと考えられます。

ケトン食レベルの人達の、血中βヒドロキシ酪酸は、
3000~5000μM/Lレベルですが、尿中ケトン体は、常に陽性です。

なお、糖質制限食開始直後は、血中ケトン体の上昇に伴い、
尿中のケトン体も陽性となります。
徐々にケトン体の利用効率が良くなるに従い、
尿中ケトン体は減っていき、やがて陰性となります。


江部康二
体が変わる! 最強の糖質制限食-巣ごもり生活でも太らない! 刊行。
こんばんは。
2021年2月12日、

体が変わる! 最強の糖質制限食-巣ごもり生活でも太らない!
江部康二・沼津りえ著(学研プラス)
が刊行されました。

saikyo.png


太る理由は単純です。

『糖質摂取⇒血糖値上昇⇒インスリン分泌⇒血糖を筋肉が取り込む⇒余った血糖は全て中性脂肪に変わり脂肪組織に蓄えられる。』

これが生理学的事実であり、インスリンが肥満ホルモンと言われる所以です。
そして糖質摂取こそが太る原因なのです。

脂質を食べても血糖値は上昇せず、インスリンの分泌もありません。
たんぱく質摂取は、インスリンとグルカゴンを両方分泌させますが、
両ホルモンの効果が相殺されて、血糖値は上昇しません。
糖質制限食実践なら肥満ホルモンインスリンの分泌は
必要最小限ですむので太らないのです。

本書では、とてもわかりやすく糖質制限食の基礎理論が説明してあります。
また具体的な実践法もシンプルに具体的に記述してあります。
朝食、昼食、夕食jにわけてレシピ集もついています。
本書が皆さんの、太らない対策にお役に立てれば幸いです。

江部康二


以下の青字の記載は、本書の「はじめに」です。

はじめに  

新型コロナウイルスによる感染症が流行して以来、
世の中が大きく変わりました。
感染拡大を防ぐため、外出を控え、
自宅で“巣ごもり生活”を送っている人も多いと思います。
こうした生活が長引くなかで、
「以前よりも太ってしまった」という声をよく聞きます。
巣ごもり中の食生活では、家にあるもの、
保存がきくもので済ませようとして、
ごはんものやめん類など、
糖質メインの食事をよくとるようになったという人も多いのではないでしょうか。

また、リモートワーク中心の生活で、
あまりおなかが減っていないのに、
習慣的に以前と同じ量の食事をとっているのも原因かもしれません。
なかには、運動不足解消とダイエットのために、
エクササイズを始めてみたものの、うまく続かず、挫折した人もいるでしょう。 

そんなときこそ、糖質制限食がおすすめです。
糖質制限食は、糖質の多い食品を控えるだけの食事法です。
糖質さえ控えれば、食事の量を減らさなくても、
運動をしなくても、脂肪が燃えやすい体に変わります。
カロリー制限は不要で、お肉や脂っこいメニューをがまんする必要もなく、
満腹になるまで食べられます。

糖質制限食は、健康管理にも有効で、
生活習慣病をはじめ、さまざまな病気の予防や改善に効果があります。
筋肉の維持や増強にも役立つので、多くのアスリートも実践しています。
さらに、最近の研究結果では、糖質制限食を実践している人は、
糖質を多くとる食生活を送っている人に比べて、
AGEsの蓄積が少ないことや血中ケトン体高値により、
免疫力が高くなることもわかりました。 

本書では、まずPart1で、
糖質制限食のルールや食品の選び方、実践のコツを解説し、
Part2~4では、朝食・昼食・夕食の糖質制限食のポイントと、
3食自炊でもラクラク作れる、おすすめのレシピをそれぞれ紹介しています。
最後にPart5では、
糖質制限食を実践している人からよく寄せられる疑問をまとめた
Q&A集を設けました。 

糖質制限食は、運動不足でも筋肉を落とさずに健康的にやせられる、
まさに最強の食事法です。
ウィズコロナの時代、糖質制限食が、
みなさまの健康を守る一助となれば幸いです。

2021年2月        江部康二

日本列島と海峡。氷河期、氷期、間氷期。旧石器、、縄文、弥生時代。
こんにちは。
地球温暖化の話題など、いろいろマスコミを賑わしていますが、
実は今は「氷河期」であることを皆さん、ご存知でしょうか?

大陸上に氷河が存在する時代を「氷河時代」といいます。
すなわちグリーンランドと南極に
氷床(総面積5万km²以上の氷塊の集合体)がある現代は、氷河期なのです。

氷床は氷河より大規模なものを言います。
地球が誕生してから、
「氷河時代」「氷河がない暖かい時代」を数回繰り返してきました。

氷河時代の中でも「氷期」「間氷期」があり、数万年の期間で、
大陸上の氷河が増えたり減ったりしてきました。
最後の氷期(ウルム氷期)は、約7万年前に始まり約1万6千年前に終わりました。
その後、現在は間氷期にあり比較的温暖な時代と考えられています。

地球上の水は、固体(氷)液体(水)気体(水蒸気)の3つに形を変えながら、
陸、海、空を循環しています。

氷期では、間氷期に比べて、1年の平均気温が5〜10℃ほど下がります。
寒冷になると、蒸発(じょうはつ)した海水の一部は、雪となって積もって、
やがて氷河や氷床となっていきます。

こうして固体の氷が大量に陸上にとり残されていくと、
海水の源である液体の水が海に流れ込む量が減少します。
そうすると、氷期には、約130mほど海位がさがり
対馬(つしま)、関門(かんもん)、宗谷(そうや)、 間宮(まみや)の4海峡は陸続きとなり、朝鮮半島やロシアとの間を、歩いて行き来できたわけです。
しかし、津軽海峡だけは水深が深いので、
一貫して北海道と本州が陸続きになることはありません
でした。

このように氷期には日本海が、ほぼ内海(うちうみ)になり、
外海とは隔絶した時期が一定期間あったと思われます。
日本の旧石器時代(数万年前~16000年前)は、氷期であり、
日本と大陸は陸続きの期間が多かったと考えられます。
旧石器時代のご先祖は、
ナウマン象、マンモス、オオツノ鹿などの大型動物を狩猟するのが主たる生業であり、
糖質はほとんど摂取していないので虫歯率はゼロでした。

ウルム氷期後期になり、徐々に気候が暖かくなると、海位は徐々に上昇していき、
対馬、関門、津軽、宗谷、間宮の各海峡が出現してきて
日本列島は大陸と陸続きではなくなります。
そうなるとナウマン象、マンモスは大陸から渡って来れなくなります。
その頃から縄文時代が始まります。

縄文時代
が16000年前~約2500年前まで続き、
狩猟・採集・漁労の3者がほぼ均等に営まれていました。
ドングリや栗などの糖質摂取のため、虫歯率は約8%と増加です。

その後、弥生時代が2500年前(紀元前500年)~紀元後300年まで続きます。
弥生時代は卑弥呼・邪馬台国時代まで約800年間続いたこととなります。
稲作で米を食べるようになり、虫歯率は約16%とさらに増加しました。

その後、古墳時代が300年から始まります。
古墳時代のあとは、飛鳥時代が590年~710年までありました。
710年からは奈良時代、794年から平安時代です。


ウルム氷期が終わった後の縄文時代以降は、海位が130m上昇し
日本海は、太平洋やオホーツク海や東シナ海と5つの海峡で繋がっています。
我が国は北海道、本州、四国、九州とそれに付随する島々で成り立っていて、
島国であり、日本列島と呼ばれています。

間宮、宗谷、津軽、関門、対馬の各海峡の水深はどのくらいでしょう。、
間宮海峡は、深さは8~20m、
宗谷海峡は、深さは、30~70m、
津軽海峡は、140~450m、
関門海峡は、浅いところは工事で深くして、8~47m、
対馬海峡は、平均水深、90~100m
です。

間宮、宗谷、関門海峡は、かなり浅いです。
対馬海峡も、津軽海峡に比べれば浅いです。
氷期で、約130mほど海位が下がれば、
津軽以外の4海峡は、そのまま陸橋となり大陸と繋がってしまい、
日本海は、外海と交通のほとんどない内海に近い状況となります。
実は歴史上そのような時代も結構長く続いていたのです。

5海峡の中で、津軽海峡だけは、水深が最も浅い所でも140mあったので、
北海道と本州の間には氷期でも大河のような水路部が残り、
両岸の生物相が異なる結果となりました。
例えばマンモスは北海道までは渡ってきましたが、本州には渡れませんでした。
ナウマン象は、九州、本州、四国には渡ってきましたが、
北海道には渡れませんでした。
このように、九州と本州と四国は氷期には陸続きでした。

<各海峡の水深>
間宮海峡:深さは8~20m。
宗谷海峡:深さは30~70 m
津軽海峡:深さは140m~450m
関門海峡:最深部は水深47m。浅いところは3~6mしかなかったが、
     工事で、8~10mまで深くした。
対馬海峡:平均水深は約90~100m



江部康二
狩猟・採集民は農耕民より健康長寿。
こんにちは。

今回は
『狩猟採集民は農耕民より長命で健康だった』という古栄養学の研究を紹介します。

古代人の食生活を考察し、その食生活が当時の人間集団の存続に
どんな役割を果たしていたかを知ろうとする学問が
パレオ・ニュートリション(古栄養学)です。

骨で見分ける古代人の生活ぶり
http://www.wound-treatment.jp/dr/glucide_data/kagaku-asahi_1981.htm
科学朝日,41巻12号,1981年 記載の
カナダ・マックギル大教授/人類学 井川史子氏の論文


の要旨が以下の記事です。
本文は結構、長文ですが、興味ある人は、是非読んでみて下さい。

A)
ケンタッキー州,インディアン・ノール貝塚出土の285体の人骨
紀元前3400年から同2000年ころ
狩猟,漁労,植物採取をしていた人々の残した貝塚で出土

B)
ケンタッキー州,ハーディン・ビレッジ遺構出土の人骨296体
西暦1500年から1675年ころ
トウモロコシ,豆類,カボチャ類を栽培した人々が住んだ村落で出土


比較研究の条件として、
①一定数以上の人骨資料があること
②人種的条件が同じであること
③環境的条件が同じであること
④ヨーロッパ伝来の疾病が新しい要因として入っていな いこと

が、前提となっています。
すなわちハーディン・ビレッジの居住期間中、
ヨーロッパ人の侵入はこの地域に関する限りはなしという前提です。

米国、ケンタッキー州で出土した、上記の①②③④の条件を全て満たす
A)B)の人骨を比較した研究です。

狩猟・漁労・採集が生業の人骨285体と 、
トウモロコシ・豆類・カボチャ栽培が生業の人骨296体を比較したところ、
狩猟採集民のほうが、農耕民より長命であったことが判明しました。
男女ともにインディアン・ノールの狩猟採取民の方が長命でした。

死亡年齢で特に対照的なのは、4歳未満の小児死亡率の分布でした。
インディアン・ノールでは、70%が新生児と12ヶ月未満の乳児でしたが、
狩猟採集民は、新生児の間引きをする習慣があるので、
その影響があると考えられます。

一方ハーディン・ビレッジではその逆で、1~3歳の幼児が60%に達っしました。
すなわち、農耕民のほうは、離乳期に入ってからが危機であることが明らかです。
ハーディン・ビレッジの農耕民はトウモロコシ粉を水溶きしたようなものを
離乳食に用いたと考えられます。
それが生涯を通じての栄養的欠陥の始まりになったと思われます。

現代でも、アフリカや中央アメリカの農耕社会では
柔らかいでんぷん質の食事が離乳食として与えられると、
下痢が始まり、各種の細菌侵入による疾患が起こり、
タンパク質欠乏症を示すことが多いとされています。

ハーディン・ビレッジの農耕民でも同様のパターンが生じて、
短命に繋がった可能性があります。

また、
40歳以上はインディアン・ノールの狩猟採取民では12%くらいでしたが
ハーディン・ビレッジでは 5%しかなく、
さらに50歳以上になると前者は5%くらいあるのに対して、
後者は1.25%くらいしかいませんでした。

即ち、トウモロコシが主食の農耕民は、1~3歳の幼児が大量に死亡するだけでなく長生きの人も、
狩猟・採集民に比し、極端に少なかったのです。


近年まで狩猟・採集に頼る生活をしていたアフリカのブッシュマンやオーストラリア原住民のアボリジニについても研究が進み、
彼らの生活は、農耕民に比べて労働時間は短く、栄養上のバランスもよく、
健康状態もすぐれてい
るらしいことが明らかになりました。
ただ、狩猟採集生活の欠陥は、
一定面積内では居住可能な人口が制限される
ことです。

農耕が始まって、土地に定着する生活が始まると人口密度が上昇していきます。
その増えた人口のエネルギー源として、
最も確実に手に入り定期的に収穫できて保存もできる穀物(小麦、米、トウモロコシなど)」に依存するようになったのは
必然的なことと言えます。
しかしながら、穀物には、糖質はタップリ含まれていますが、
タンパク質や脂質が不足
しています。
必須アミノ酸や必須脂肪酸が不足することで、免疫力が低下します。
そうなると病気に対する抵抗力も低下して、病気に感染る機会も増えて、
狩猟・採取時代より不健康になっていったと考えられます。

<人体の構成成分>
水分:60~70%
タンパク質:15~20%
脂肪:13~20%
ミネラル:5~6%
糖質:1%以下


人体の構成成分として、タンパク質と脂質はとても重要ですが、
糖質はなんと1%以下です。
そして必須糖質はないのです。
摂取糖質がゼロでも、肝臓や腎臓で、アミノ酸やグリセロールや乳酸から
ブドウ糖を産生すので、大丈夫なのです。


江部康二
「急速な血糖値・HbA1c改善」と網膜症悪化。糖質制限食は?
こんばんは。
「急速な血糖値・HbA1cの改善により、
網膜症の一時的な悪化や眼底出血を起こすことがある」

という研究報告があります。

例えば
【網膜ドットコムのサイト
に以下のQ&Aが載っています

糖尿病網膜症・糖尿病黄斑浮腫のよくある質問
Q:急に血糖値を下げると糖尿病網膜症が悪化することがあると聞きました。
  本当ですか?
A:急激な血糖コントロールは一時的に糖尿病網膜症を悪化させることが
 報告されています 1)。
 このメカニズムにはまだ不明な点が多いのですが、
 一般的に、HbA1cの改善度は1ヵ月に0.5~1%を超えないようにすることが
 推奨されています。

急激な血糖コントロールで糖尿病網膜症が悪化するケースに下記があげられます。

糖尿病網膜症で糖尿病が発見されるなど、無治療期間が長い場合
血糖コントロール不良期間が長い場合
腎症の進行により透析導入が間近、あるいは透析導入直後の場合
活動性肝疾患、血液疾患、感染症などの全身疾患を有する場合
高血圧あるいは起立性低血圧を有する場合
妊娠中
高齢者 など

1)The Diabetes Control and Commplications Trial Research Group, Arch Ophthalmol. 1998; 116(7): 874-86.
監修:名古屋市立大学 視覚科学 教授 小椋祐一郎先生】



確かに、インスリン注射やSU剤などにより急速に血糖値が改善した場合、
改善速度が速いほど、網膜症の悪化率が高かったという論文報告があります。

実際に日常臨床で、糖尿病患者を診察しておられる医師においては
経験があることと思われます。
とは言え、一時的な悪化はあっても、
長期的には血糖コントロールが良い方が網膜症にも良いということも報告されています。

それでは 糖質制限食によって、血糖値が急速に改善した場合はどうなのでしょう?
網膜症の悪化や眼底出血の心配はないのでしょうか?
実は当初、私達も糖質制限食でインスリン注射以上に速やかに、
血糖コントロールが良くなるので、このことを懸念していました。
幸い、1999年、高雄病院で糖質制限食開始以来の経験で、
糖質制限食による改善では基本的に網膜症の悪化はありませんでしたので、
今は全く心配はしていません。

しかし、

(A)インスリン注射やSU剤による急速なHbA1c改善:網膜症悪化や眼底出血あり。
   何故、網膜症の悪化や眼底出血があるのか、現時点では原因不明。

(B)糖質制限によるより急速なHbA1c改善:網膜症の悪化なし
   こちらも、何故、網膜症が悪化しないのか現時点では理由は不明。


同じようにHbA1cが改善するのに、なぜこうも違うのか、疑問が残ります。

平均血糖値(HbA1c)が同じように良くなるにもかかわらず、
インスリンやSU剤の投与による場合と糖質制限食による場合で、
このように明暗がわかれるのには、必ず理由があるはずです。

それで、以下、あくまでも仮説ですが考察してみました。
以前は、長年にわたって血糖コントロールの評価基準として、
空腹時血糖値とHbA1cが使用されてきました。

しかし、近年の信頼度の高い研究により、
空腹時血糖値とHbA1cがコントロール良好でも、
糖尿病合併症は防げないことがわかってきたのです。

それどころか、糖質を普通に摂取しながら、
インスリン注射やSU剤で厳格に治療すると、
総死亡率が上昇するという信頼度の高いエビデンスが報告されました。(*)

すなわち、食後高血糖と平均血糖変動幅の増大が、最大の酸化ストレスリスクであり、
糖尿病合併症の元凶ということがわかってきたのです。
にもかかわらず、腹時血糖値とHbA1cだけによる評価では、
食後高血糖と平均血糖変動幅の増大は全く知ることができないのです。

人体は、酸化反応と抗酸化反応のバランスがとれていると、正常に機能します。
酸化反応が抗酸化反応を上まわった状態を酸化ストレスといいます。
酸化ストレスが、糖尿病合併症・動脈硬化・老化・癌・アルツハイマー・パーキンソン等、様々な疾病の元凶とされています。
このことは、世界中の医学界において、認められています。

糖質を普通に摂取しながら、インスリンやSU剤で厳格に治療してHbA1cを急速に下げると、
低血糖も生じやすくなるし、平均血糖変動幅の増大も必発となります。

つまり、(A)の場合は、見かけ上はHbA1cは急速に改善したように見えても、
その実態は、「低血糖」と「平均血糖変動幅増大」という
最大の酸化ストレスリスクをともなう『質の悪いHbA1c』だったのです。
従って、網膜症悪化や眼底出血を生じた可能性が高いのです。

世界的眼科外科医の深作秀春先生も私と同意見で、以下のコメントを頂きました。(**)

『深作眼科受診患者において、まだ、糖尿病性網膜症が軽いので、
糖尿病内科の専門医に糖尿病治療を委ねましょうと紹介します。
そして、内服薬やインシュリンなどを使って、
内科医は急速に血糖を下げようとするのです。
食事療法でカロリー制限もしていますが、糖質のご飯は同様に食べさせています。
つまり、ご飯を食べて高血糖になり、
それをインシュリンで無理やり下げると言う
「血糖のジェットコースター」状態となります。
その結果1か月もすると、糖尿病性網膜症は良くなるどころか、
どんどん悪化しているのです。』


一方、(B)の糖質制限食でHbA1cが改善した場合には、
薬も使用していないので、「低血糖」も「平均血糖変動幅増大」もない
『質のいいHbA1c』なのです。

そのため急速なHbA1c改善にもかかわらず、網膜症の悪化がないと考えられます。
これらにより、糖質制限食の場合、急速な血糖値改善にもかかわらず、
網膜症の悪化が生じにくいと考えられます。

既にインスリン注射やSU剤を内服していて、ある時に糖質制限食を開始して、
血糖値・HbA1cが急速に改善していく場合も、
インスリン注射やSU剤の量は基本的に減量されていくし、
代謝全般も改善されていくので、糖尿病網膜症悪化は起こりにくいと思います。

糖質を摂取して、インスリンやSU剤の効能だけに依存して血糖値を下げた場合と、
糖質制限食で薬物に頼らずに自然に血糖値が改善した場合との差、
すなわち「低血糖、食後高血糖、平均血糖変動幅増大」という酸化ストレスリスクが、
両者で全く異なることがお解りいただけたでしょうか。

なお、過去の高血糖のため、すでに糖尿病網膜症が存在している時は、
糖質制限食で血糖コントロール良好を維持していれば糖尿病網膜症の進行は、
徐々に止まると思います。
そして時間をかけて、ある程度改善する可能性はあります。
しかし、糖質制限食で血糖コントロール良好となっても、
既存の糖尿病網膜症が、メキメキ治るわけではありませんので、念のため。

それから、長期の糖尿病罹病期間があって、血糖コントロールが悪かったけれど、
その時点では網膜症はないと言われていた人が、
糖質制限食を開始して血糖コントロール良好となり、
数ヶ月後眼底検査をしたら軽症単純網膜症が発見された、
というようなことがまれにあります。
これは糖質制限食開始時点で既に潜在的な網膜症はあったのが、
時間的経過で顕在化したもので、高血糖の記憶(***)によるものと思われます。
すなわち糖質制限食で網膜症になったのではなく、
過去の高血糖の借金が顕在化したものと思われます。

以上、仮説の段階ではありますが、それなりに説得力のある説明と自負しています。


(*)2011/07/18 の本ブログ記事
「ACCORD試験の死亡リスクと低血糖とSMBGサブ解析2011」
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-1741.html
をご参照ください。

(**)2016年05月09日 (月)の本ブログ記事
「眼科・深作秀春先生のコメント。糖尿病専門医の治療で網膜症が悪化。」
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3791.html
をご参照ください。

(***)2010-11-14のブログ
「高血糖の記憶とAGE」
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-1432.html
をご参照ください。


江部康二


炭水化物の消化吸収。健常者と糖尿人。胃不全麻痺とは?
こんにちは。

昨日、『炭水化物は、タンパク質や脂質に比べて消化が悪い(遅い)?』
という題で、記事を書きましたが、やや短絡的で足りないところがありました。
金魚さんから、ご指摘を受け、再度、検討してみました。


【21/09/24 金魚
消化と血糖値の関係
いつも参考になる記事を
ありがとうございます。

ご飯が消化に10時間かかるとすると
血糖値もずっと上昇したままのように
思いますが、健常人の場合、
おにぎりを食べても食後2〜3時間で
空腹時血糖値に戻るのはなぜでしょうか。

よろしくお願いします。】



金魚 さん

ご指摘ありがとうございます。

確かに米国糖尿病学会の見解は
「摂取後直接血糖に影響を与えるのは炭水化物のみである。
炭水化物は速やかに吸収され、直接100%血糖に変わり、
ほぼ120分以内に吸収は終了する。
蛋白質・脂質は、摂取後、直接血糖に影響を及ぼすことはない。
『炭水化物・タンパク質・脂肪はカロリーを含有している。
炭水化物だけが、血糖値に直接影響を及ぼす。』」


となっています。

また
シドニー大学のグリセミック・インデックス(GI)のサイトの記載をみても、
炭水化物は速やかに吸収されています。
GI(グリセミック・インデックス)値とは、血糖値の上がりやすさを示す指数です。
精製度の低い食べ物は一般的に「GI値が低い」といわれています。

具体的に説明しましょう。まず、基準となるのはブドウ糖50gを摂取したときの血糖値の上昇カーブを2時間測定したグラフデータの下面積です。次に糖質50gを含む食品(ご飯とかパンとかイモとか)を摂取した後の血糖値の上昇カーブを2時間測ります。基準となるブドウ糖の下面積を100として、その何%にあたるかを表した数値がGI値というわけです。

 端的にいうと、GI値の数字が大きいほど食後の血糖値は上がりやすく、数字が小さいほど血糖値が上がりにくいということです。シドニー大学によれば、GI値は「70以上が高GI値」「56~69が中GI値」「55以下は低GI値」とされます。
以下はシドニー大学のデータです。
米の種類でも結構ばらつきます。
白米と玄米を比べてみると、
白米は75~89と高GI値、玄米は48~62と低・中GI値。

精製度の低い玄米のほうが、少し血糖値を上げにくいということになります。


昨日のブログ記事の炭水化物が胃に長く滞った症例ですが、
胃カメラをするくらいなので、
胃の機能が良くない状態だと炭水化物が胃に滞る可能性がありますね。


正常人で、胃の機能が健常な時は、ご指摘通り、①②が一般的と言えると思います。


【21/09/25 西村典彦
逆流性食道炎は拒絶反応?
私も糖質制限で速やかに逆流性食道炎が治りました。

炭水化物の消化は悪いと思います。常に2時間で消化するという事はないと思います。
以前にも投稿しましたが、私はうどんを食べると食後ピーク血糖値が5時間後になることがあります。その間、消化が続いており、糖質が供給され続けていると考えられます。
ただし、炭水化物なら何でもそうなるわけではなく、私の場合は今のところ、うどん限定です。なぜかは分かりません。同じような方はおられないでしょうか。
しかも2時間くらいで血糖値は一旦下がり始めるのでピークを過ぎたと思ってしまいますが、、再び上昇し、結局ピークが5時間後になります。
もし、2~3時間程度の計測だったら、その事に気づいていない可能性もあります。
当初、私もこの現象に騙され、うどんはあまり血糖値が上がらないのかと勘違いしました。

全く根拠はありませんが、逆流性食道炎は拒絶反応ではないかと思います。
長時間、胃の中に滞留する=消化できないと判断しタイムオーバーで排除しようとしているのではないかと勝手に思っています。
これは子供の自家中毒と同じじゃないかと思います。自家中毒(※)も炭水化物に対する拒絶反応だとこれも根拠なく思っています。

※自家中毒は、ケトン体高値が原因とされていたりしますが、これは原因と結果の取り違えだと考えています。 何らかの原因で嘔吐が繰り返され、結果、低エネルギーとなりそれを補うようにケトン体が産生されるのだと思います。】


西村典彦さん
コメントありがとうございます。
逆流性食道炎が速やかに治って良かったです。

さて、食後血糖値ですが、
糖尿人の場合は、西村さんのご経験のように、
食後血糖値のピークが5時間後にずれたりすることがあります。

バーンスタイン医師の糖尿病の解決 正常血糖値を得るための完全ガイド
2016/5/23 リチャード・K・バーンスタイン (著), 柴田 寿彦 (翻訳)

によると、この現象は「胃不全麻痺」と呼ばれています。

バーンスタイン医師は、米国の1型糖尿病の医師で糖質制限食実践中です。
87才現在、糖尿病合併症もなく、現役医師としてお元気にお過ごしです。

<胃排泄遅延・胃不全麻痺>が年期の入った糖尿人ではあります。
欧米人には、胃不全麻痺が結構多いようですが日本人でも当然ありえます。
胃不全麻痺のある糖尿人は、夕食を午後6時頃食べても、
胃からの排泄が遅延して吸収が遅くなり、
通常よりかなり遅れて血糖値が上昇することがあります。
そのため翌朝の空腹時血糖値が高値となることもあります。

西村典彦さんは、一定の年季の入った糖尿人だとお見受けしますので、
胃不全麻痺があり、食後5時間が血糖値のピークとなった可能性があります。


江部康二



炭水化物は、タンパク質や脂質に比べて消化が悪い(遅い)?
【21/09/24 yosshy
逆流性食道炎
私も4年ほど前から糖質制限してますが、
真っ先に逆流性食道炎が治りました。
これは、単純に炭水化物が消化が悪い事に原因があるのではないでしょうか。
肉などタンパク質はあっという間に消化されますが、米、うどんなど、
一見消化に良さそうな物は、胃の中で6、7時間以上とどまっているようです。
内視鏡で見ると、米だけ残ってるそうです。
https://www.endoscopyclinic-urawa.com/blog/2843/

当然、その間、ちょっとした原因で逆流する事は充分考えられます。】



こんにちは。
yosshy さんから、糖質制限食で、真っ先に逆流性食道炎が治ったという、
嬉しいコメントを頂きました。

そして、
『炭水化物は単純に消化が悪い(遅い)ので、
単純に胃の中に残留しやすく、
残留物がちょっとしたきっかけで逆流するのではないか』

というご意見を頂きました。
私も、炭水化物の消化の悪さが
逆流性食道炎の発症に関与している可能性があると思います。

ご紹介頂きました、みらい胃・大腸内視鏡クリニックの院長ブログを
拝見しました。
非常に参考になりました。
胃、大腸内視鏡検査専門クリニックで、院長は福島正嗣医師です。
福島正嗣先生、ありがとうございます。

みらい胃・大腸内視鏡クリニック
https://www.endoscopyclinic-urawa.com/blog/2843/


福島正嗣医師は、長年の内視鏡専門医としての診療経験に基づき、
うどん、そば、ご飯、おかゆなどの炭水化物が、
胃での消化に最も時間がかかるとのご意見です。

研究によるデータでもご飯は10時間、パンは6時間かかるということですが、
一方、肉はあっという間に消化され、30分もあれば完了するそうです。

福島医師が、寿司を食べて5時間後の方の、胃カメラをしたところ、
寿司ネタは残っていませんでしたが、ご飯だけが残っていたそうです。
要するに、タンパク質と脂質は胃で速やかに消化されて通過していくけれど、
糖質は数時間以上も胃の中の残留して消化されにくいということです。

一般に、重湯やお粥やパンがゆなどは、消化に良いイメージがあり、
風邪のときの食事などに、よく作られますが、
実は真逆で、最も胃にもたれるメニューだったということですね。

人類は、700万年間、穀物なしの糖質制限食で生活していました。
農耕が始まるまでは
木の実・ナッツ・魚貝類・果物・野草・自然薯など塊茎類・小動物・動物の肉・内臓・骨髄・昆虫などが
日常的な食料ですで、
この頃の食生活で糖質の占める割合はごく少なかったと言えます。

①木の実やナッツに少量の糖質が含まれています。
②果物は野生の果物なので糖質量は現代の巨大な果物に比べればかなり少ないです。

また①②はそれぞれたまに手に入るものであり、日常的な食糧ではありません。
なお人類はDNAの中にアミラーゼ遺伝子のコピーを多く持っているので、
農耕(穀物)以前に、塊茎類(山芋、百合根、ゴボウ、レンコンなど)を
そこそこ食べていたと思われます。

穀物には大量の糖質が含まれていますが、
穀物摂取は、わずか1万年前からに過ぎません。

結局、人類の消化管は、元々食べていた農耕前の食材のほうが
穀物よりも消化しやすいということなのでしょう。

肉食は、200~300万年前に開始されて、
この頃、脳が急速に大きくなったとされています。


江部康二

桑田佳祐さんと逆流性食道炎。糖質制限食の治療効果。
こんにちは。
2021年9月17日(金)のヤフーニュースに

「僕自身は空っぽの容れ物」――世の中の空気を歌に込め続ける桑田佳祐の今
https://news.yahoo.co.jp/articles/1a6ada5ec5b9058c5b5906883d6704c75a0ee9d0


という記事が掲載されました。
サザンオールスターズの桑田佳祐さんが
淡々と赤裸々に、ミュージシャンとしての43年の歴史を語っています。
とても興味深くよみました。
ブログ読者の皆さんも、是非、ご覧になってください。

1978年6月25日にシングル「勝手にシンドバッド」でデビュー。
1979年「いとしのエリー」の大ヒットをきっかけに、
日本を代表するロックグループとして名実ともに評価を受け、現在に至ります。
私はサザンオールスターズのファンであり、
「いとしのエリー」は、
わがバンド「ターニング・ポイント」のレパートリーです。

記事のなかで、「食道手術後であり、逆流性食道炎の症状で苦労していて、
ここ数年はほとんどリクライニング・チェアで頭の位置を高くした状態で寝ている。」
とありました。

本日は、「逆流性食道炎」と「糖質制限食」について、
記事にしたいと思います。
桑田さんのような、食道術後の逆流性食道炎に対しても、糖質制限は有効だと思います。
是非、実践して頂ければ嬉しい限りです。

逆流性食道炎は、酸性の胃液やそれと混ざった食物が、
食道に逆流して食道が炎症を起こし、
胸やけや胸の痛みなどを生じる病気です。

逆流性食道炎の症状を訴える患者さんのほとんどが、
糖質制限食開始後、リアルタイムに改善します。

当初、私自身が信じられなかったのですが、もう300人以上に試してみて、
脂っこいものより炭水化物が胸やけを起こす真犯人と確信しました。

ここまでくると、逆流性食道炎は、
炭水化物の過剰摂取が根本要因である可能性が極めて高いと思います。

700万年の人類の歴史のなかで、
炭水化物を大量に常食し始めたここ200~300年に発症した特殊な病気の一つが
逆流性食道炎
です。

一番印象的だったのは、中学校の頃から、
毎日昼食後1時間と夕食後1時間に、必ず胸やけがあった30代の男性患者さんです。
胸やけ以外は、何の病気も症状もありません。
特に、カレーライスの日は最悪で、夕食後1時間に加えて、
夜中の1時にも胸やけがあって苦しんだそうです。

この患者さんに、ブログ読者の皆さんでの成功経験があったので、
「騙されたと思って兎に角スーパー糖質制限食を試してごらん?」
と奨めてみました。

2週間後の外来診察で、糖質制限食開始当日から、
20年来の胸やけが一切消失
したという
驚きの報告をしていただきました。ヾ(゜▽゜)

カレーライスというのは、<ご飯+カレールーの小麦粉>で二重の糖質なので、
寿司飯(ご飯+砂糖)と共に最も血糖値を上げやすい食材です。σ(=_=;)ヾ 

「饅頭1個だと胸やけなしだけど、2個だと胸やけ必発」という人もあり、
個人の糖質摂取許容量の限界を超えると、
胃酸が出過ぎて胸やけを生じるような気もします。
逆流性食道炎を生じる限界の糖質摂取許容量には個人差があるようです。

逆流性食道炎の症状は、糖質制限食でリアルタイムに改善する例がほとんどです。
言い換えれば、糖質の過剰摂取が逆流性食道炎の原因の可能性が高いです。

それでは、そのメカニズムについて考察してみましょう。
まず血糖値が上昇すると、視床下部が感知し
副交感神経(迷走神経)を介して膵臓のランゲルハンス島のβ細胞に伝えられます。
このとき副交感神経が優位だと幽門が収縮し、噴門は弛緩しますので、
胃の内容物は食道へ逆流しやすくなります。
つまり糖質を摂取すると逆流性食道炎を起こしやすくなる理屈です。

この仮説は、岩手県久慈市の関上こどもクリニック、
関上勇先生からご教示頂きました。
私もこの仮説に賛成です。
関上先生、ありがとうございます。


江部康二
増補新版 糖質制限の大百科 (宝島社)。9/14(火)発売。
こんにちは。

増補新版 糖質制限の大百科 単行本
江部 康二  (監修)
出版社 ‎ 宝島社 (2021/9/14)

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daihyakka.jpg


9月14日(火)、発売です。
シリーズ累計52万部突破! 最新の食品成分表「八訂」に対応しています。

本当に「正しい」やりかた、知っていますか?
おなかいっぱい食べてやせる、もっと健康になる!

糖質制限の基礎知識から、外食&市販品活用のコツ、ひと目でわかるOK・NG食品、
109のかんたん糖質制限レシピまで、この1冊で知りたいことがぜんぶわかる! 巻末に食品別糖質含有量一覧付き。

本書が、ブログ読者の皆さんのお役に立てれば、嬉しい限りです。


今日からできる、無理なくやせる医師が教える正しい糖質制限

p6
やせる・若返る・健康になるいいことずくめの糖質制限

糖質制限では、血糖値を直接上げる唯一の栄養素である糖質を控えます。
そのため、食事をしても血糖値の急激な上昇を招くことはありません。
これこそが、糖尿病だけにとどまらず、あらゆる不調や疾患の予防・改善につながるのです。
 さらに、血糖値の急上昇が起きるとインスリンというホルモンが分泌されます。
インスリンは、別名“肥満ホルモン”とも呼ばれます。
過剰に分泌されることで体脂肪が蓄積され、肥満を引き起こすからです。
これらを引き起こさない糖質制限は、血糖値の乱高下をなくし代謝を安定させることで、精神的にも落ちつきます。
全身の血流も改善するため、美肌や美髪など、美容にも役立つのです。

p7
誰もがストレスなく実践できる糖質制限糖質制限のうれしいポイントは、
誰もがストレスなく取り組めるという点です。カロリー制限のような面倒な計算は不要。
ボリュームたっぷりの肉料理もOKです。そのため「食べたりない」という欲求不満とも無縁で、
正しく種類を選べばお酒を飲むこともできます。
食べものや飲みものの種類を選べば、自分のライフスタイルに合わせて思いきり食事を楽しむことができるので、
継続的に実践でき、確実に効果を実感できるのです。

p8
糖尿病の治療食として
スタートした糖質制限


日本で糖質制限をはじめたのは、私が理事長を務めている京都の高雄病院で、
当時の院長であった私の兄である江部洋一郎です。1999年のことでした。
私自身は、2001年、担当する患者さんに糖尿病治療の一環として、
糖質制限の指導を行ったところ、劇的な効果が見られました。
それ以降、当院では糖尿病の治療食として糖質制限食を実践し続けています。
従来、糖尿病に対する日本での治療方針は、カロリー制限一辺倒でした。
しかし、糖質を制限することのないカロリー制限食では、
糖尿病の大きなポイントである食後高血糖のコントロールができません。
糖質を制限せずにカロリーコントロールを行ったところで、
結局、病状は悪化し、薬に頼ることになってしまいます。
これに対して、糖質制限はまったく異なる考えかたで治療を行います。
カロリーや脂肪を制限するのではなく、「糖質を制限した食事を摂る」ことが基本となります。
糖質さえ控えれば、たんぱく質や脂質はしっかり食べてOKです。カロリー計算も必要ありません。


以下などが、増補した内容になります。
P153
Q9新型コロナウイルスに対して糖質制限は有効でしょうか?


A
糖質制限で免疫力を高めることで、ウイルスに強い体になります。
糖質制限食を実践している人は、糖質を食べている人に比べると、
血中ケトン体が 高値であり、AGEsの蓄積も最小限ですんでいます。
ケトン体は脂肪酸の分解産物ですが、それが高値であると、
心臓・腎臓・脳保護作用が期待できます。
スーパー糖質制限食なら、よりケトン体高値となるので、さらに効果が期待できます。
心臓・腎臓・脳が元気に活動していれば、当然免疫力も高まります。
また欧米の研究で、ケトン体がサイトカインストームを予防する可能性があります。・・・


江部康二
血糖値とホルモンの関係について
こんにちは。

今回は、血糖値とホルモンの関係について考えてみます。
まず血糖値を上昇させるホルモンとしては、糖新生を促す
グルカゴン、アドレナリン、コルチゾール、成長ホルモンがあります。
一方、血糖値を下げるホルモンは、インスリンだけです。

人体の中で、赤血球だけはミトコンドリアを持っていないので、
ブドウ糖だけが唯一のエネルギー源です。
人類の歴史において700万年間の狩猟・採集時代は、
赤血球のために血糖値を確保する必要があるので、
グルカゴンは、日常的に大活躍していたと考えられます。
アドレナリン、コルチゾール、成長ホルモンも、それぞれ、それなりに
血糖値上昇に貢献していたでしょう。

一方、インスリンは、基礎分泌分はしっかり働いていましたが、
追加分泌は、時々手に入る、野いちごなど野生の果物、
どんぐりや栗やクルミなど堅果類(けんかるい)、山芋(自然薯)などを
食べたときだけに働いていました。

つまり、狩猟・採集時代は、グルカゴンがメインであり、
インスリンは絶対に必要なのですが、ぼちぼちのようは存在でした。

副腎皮質からのコルチゾール分泌は、
視床下部-下垂体-副腎皮質系のフィードバック機構により調節されています。
例えば生体は、ストレス(飢餓、寒冷、外傷など)があると、
下垂体のACTH分泌を介して、
副腎皮質からのコルチゾール分泌を促し、
糖新生で血糖値が上昇します。
コルチゾールには糖新生作用があります。
糖質制限食を実践すると、血糖変動幅が極めて少なくなり、
全身の代謝が安定するので、
コルチゾールをはじめ全身のホルモンバランスも安定すると考えられます。

糖質制限食を続けている場合、インスリン基礎分泌は普通に必要ですが、
インスリン追加分泌は、必要最小限で済みます。
従って、膵臓のβ細胞は充分休養できているので、元気いっぱいです。

糖質制限食は、人類700万年間の狩猟・採集時代の食生活であり、
人類本来の食事で、人類の健康食と言えます。
狩猟・採集時代は、やはりインスリンの基礎分泌は必要ですが、
追加分泌は時々程度だったと考えられます。
ブドウ糖しかエネルギー源にできない赤血球のために、
人体には血糖値確保のためのバックアップシステムが複数あります。
これに対して、血糖値を下げるのは唯一インスリンのみであり、
バックアップシステムがありません。
このように、700万年間、インスリン追加分泌は時々必要だった程度なので、
わざわざバックアップシステムを構築する必然性がなかったと考えられます。

<血糖値確保のためのバックアップシステム>
1)グルカゴン
2)アドレナリン→ストレスで分泌増加
3)コルチゾール→ストレスで分泌増加
4)成長ホルモン
5)アミノ酸からの糖新生
6)グリセロール(中性脂肪の分解産物)からの糖新生
7)乳酸からの糖新生

<血糖値を下げるのはインスリンだけ>


現代のように糖質を、頻回に摂取し、
「血糖値上昇とインスリン大量分泌」を頻回に生じるとβ細胞は疲弊していき、
インスリン分泌能力が低下して、
40年、50年経過していくとで糖尿病発症となると考えられます。
700万年間、さほど働いていなかったβ細胞が、
農耕開始後1万年間は、結構、毎日稼働し始めて、
とくに精製炭水化物摂取後のこの200~300年は、
よく働いています。
ただ、日常的な運動(歩行、炊事、洗濯、薪割り、掃除、井戸くみなど・・・)
多かった時代は、筋肉がインスリンに依存することなく
血糖を取り込んでくれていたので、糖尿病も肥満も少なかったのです。

現代は、朝昼晩、3時のおやつ、夜食のラーメンと、
頻回・過剰に糖質を摂取していますので、
追加分泌インスリンは、馬車馬の如く働きづめです。
現代の食生活は、膵臓のβ細胞にとって、まさに受難の時代と言えます。

2型糖尿病は、狩猟・採集時代の700万年間は存在しなかった病気であり、
農耕開始(穀物食開始)以降に生じた新しい病気と考えられます。


江部康二
健常者および糖尿人における食後血糖値のピーク時間は?
こんにちは。
外来診察で、血糖自己測定器(SMBG)を所有している糖尿病患者さんから、
「食後血糖値はいつ測定したら良いですか?」という質問が、よくあります。
これに対しては、
「自分の食後血糖値のピーク時間に検査したら良いです。」と答えます。

それでは、
健常者および糖尿人における食後血糖値のピーク時間は、
どのくらいなのでしょうか?

答えは、
1)耐糖能正常者24名の食後血糖値のピークは、40分から50分
2)HbA1c8%未満の患者はおおむね1時間から90分の間にピーク
3)HbA1cが8%を超える患者では2時間後にピーク


です。

ピークが、後にずれるほど、耐糖能が良くないと言えるようです。

上記データは慈恵医科大学の西村理明氏の研究結果です。(*)

西村氏はCGMを駆使して血糖の変動を研究しています。

例えば、耐糖能正常者の24人を調べたところ、朝食後、昼食後、夕食後ともに血糖のピークは、40分から50分の時間帯に収まっていました。

西村氏は、
「スクリーニングの観点では、食後1時間の血糖値を見るのが重要なのは明らか」
とこれまでの検討から述べています。

さらに、治療目標の観点から、糖尿病患者の血糖変化も検証しています。

その結果、HbA1cが8%を超える患者では2時間後にピークがあったものの、
8%未満の患者はおおむね1時間から90分の間にピークがありました。

西村氏は、「管理目標として考える場合にも食後1時間をめどに血糖を測定するのが重要」としています。

現在、75g経口ブドウ糖負荷試験では、
糖尿病の診断としては、負荷後1時間値ではなく、
負荷後2時間値で評価しています。

一方、IDF(国際糖尿病連合)の指針は2011年に改訂され、
「食後高血糖の目標値は食後の時間にかかわらず、160mg/dL未満にする」
と変更されました。
つまり糖尿病合併症予防のためには、食後1時間値と2時間値も含めて
160mg/dl未満が目標となります。

糖尿病の早期発見には、食後2時間血糖値ではなく、
食後1時間血糖値による評価が、有用と考えられます。

私も、糖質制限食を推進する立場としては、
食後1時間血糖値を、IDFの目標のように、160mg/dl未満を目指すのが良いと思います。
スーパー糖質制限食なら、ほとんどの2型糖尿病患者においてそれが可能となります。


なお、自分の食後血糖値のピークは、休みの日などに、一度でよいので、
<食前、食後30分、食後60分、食後90分、食後120分、食後150分、食後180分>
などを測定して、知っておくと便利です。
ピークがわかれば、今後は食後血糖値のピーク時だけ測定すればよいです。

(*)
m3.com
https://www.m3.com/clinical/sanpiryoron/152762
食後血糖値、1時間か2時間か?


江部康二
岡山大病院 イベルメクチン治験 コロナ治療薬として期待
こんばんは。
9/19(日)のヤフーニュースに

https://news.yahoo.co.jp/articles/0cdf156b2e8bcd3656dbf3be84368e7f98d8e034
岡山大病院 イベルメクチン治験 コロナ治療薬として期待
9/19(日) 6:11配信
山陽新聞デジタル


という記事が配信されました。
北里大病院のイベルメクチン臨床試験に岡山大学も参加ということで、
これは朗報です。
良い結果がでることを期待したいです。

WHOやアメリカのCDCは
新型コロナウイルス感染症に対して、イベルメクチン内服は推奨しないとしています。

しかしアメリカの良心的臨床医師グループFLCCCは、
新型コロナに積極的にイベルメクチンを使用して、成果をあげ、
日々情報を発信しています。


江部康二


以下の青字の記載は、記事の要約です。

 【岡山大病院(岡山市北区鹿田町)は、
新型コロナウイルスの治療薬として期待される抗寄生虫薬「イベルメクチン」の臨床試験(治験)を進めている。
10月末までに陽性者5人に実施し、
治療効果を確認。治験の依頼をした北里大病院(相模原市)に結果を送る。

 イベルメクチンは、
2015年にノーベル医学生理学賞を受賞した大村智・北里大特別栄誉教授が開発に携わった経口薬。
疥癬(かいせん)などの治療薬として使われている。
海外の研究でコロナの増殖を抑える効果が報告されているが、
そのメカニズムなど不明な点がある。

 治験の対象者は、コロナのPCR検査で陽性となった体重40キロ以上の成人。
無症状または軽症の感染者で自宅か宿泊施設で療養していることなども条件となる。

 協力者は、同大病院に少なくとも7日間入院。
初日にイベルメクチンか偽薬を服用し、2日に1回のPCR検査や医師の診察を受け、
隔離解除の基準(発症から10日間など)を満たせば退院する。
その後、通院して服薬から15日目の症状を確認する。

 岡山大病院で治験を担当するのは総合内科・総合診療科。
萩谷英大准教授(感染症専門医)は「コロナの治療薬として、外来で処方できる内服薬はまだない。厳重な管理下で治験に協力したい」と話している。

 イベルメクチンの治験は、北里大病院などが昨年9月から実施。
岡山大病院には6月に協力依頼があった。】
10代男性、ファイザーワクチン副反応がコロナ入院確率より4~6倍高い
こんにちは。

2021/9/13(月)のヤフーニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/8391bafcb361cef858ea1558ae9c184d8365bd86

に、

「10代男性、ファイザー製ワクチンの副反応がコロナ入院の確率より4~6倍高い」
9/13(月)中央日報

と言う記事が掲載されました。米国の研究です。
中央日報の記事の転載ですが、中央日報は韓国の朝鮮語の日刊新聞です。

10代男性での研究ですが、10代であれば男女ともに、
新型コロナウイルス感染症による入院は極めて少ないと思います。

英紙ガーディアンによれば、
カリフォルニア大学の研究チームが
ファイザー製ワクチン2回接種後の心筋炎発生率を推定した結果、
健康な12~15歳の男性は100万人当たり162.2件で、
16~17歳の男性は100万人当たり94件でした。
 心筋炎の副反応を発症した10代の男性の86%が病院で診療を受けなければなりませんでした。
モデルナのワクチンでも同様の結果でした。

これに対して、現在の米国の感染率を考慮すると、
10代男性が、今後120日間に新型コロナウイルスに感染し病院に入院するのは100万人当たり44人と予測されました。

つまり、10代男性においては、
新型コロナウイルスに感染して入院する確率よりも、
ワクチン接種で心筋炎を発症する確率のほうが、4倍高いということです。

これでは、ワクチンを接種する意味はありませんね。


江部康二


以下の青字の記載は、上記記事の要約です。

【健康な10代男性の場合、
新型コロナウイルスに感染して入院する確率より、
ファイザーの新型コロナウイルスワクチンの副反応で入院する確率が高いという研究結果が出た。

英紙ガーディアンが13日に伝えたところによると、
カリフォルニア大学のトレイシー・ホウ博士の研究チームが1月から6カ月間に12~17歳の米国人男性を対象にワクチン2回接種後の副反応を分析した結果、
現在の米国の感染率で見ると新型コロナウイルス感染リスクよりファイザー製ワクチンの副反応のリスクが大きいことがわかった。

研究チームがファイザー製ワクチン2回接種後の心筋炎発生率を推定した結果、
健康な12~15歳の男性は100万人当たり162.2件で、
16~17歳の男性は100万人当たり94件であった。

これに対し現在の米国の感染率を考慮すると、
彼らが今後120日間に新型コロナウイルスに感染し病院に入院するのは100万人当たり44人と予測した。

彼らはまた「心筋炎の副反応を見せた10代の男性の86%が病院で診療を受けなければならなかった」とし、
同じmRNA系列のモデルナ製ワクチンでも同様の結果を示したと付け加えた。


◇英国、10代のワクチン接種勧告しない可能性も
英国のワクチン諮問機関であるワクチン・予防接種合同委員会(JCVI)は、
まだ12~15歳の健康な青少年にワクチン接種を勧告してはいないが、来週中に接種を勧告するかを決める方針だ。

この研究に参加していないサウサンプトン大学のサウル・ファウスト教授は「JCVIが10代のワクチン接種に対し慎重なアプローチを正当化しようとするとみられる」と評価した。

英国が10代に対するワクチン接種を勧告しないかもしれないという意味だ。英国はまだ10代が新型コロナウイルスで集団入院した事例がないため、新型コロナウイルスの危険度は大きくないとみている。
ガーディアンはデータの信頼性と米国の研究結果が英国でもそのまま現れるのかは不明だと指摘しながらも、「心筋炎の副反応の大部分が2回目のワクチン接種後に現れるため1回だけ接種するならば10代男性の副反応リスクを低減し、新型コロナウイルスから保護できる」とした。

英医薬品医療製品規制庁(MHRA)の報道官は「10代にワクチンを接種した後に発生しうる心筋炎・心膜炎などの副反応に対し安全にモニタリングする戦略が用意されている。
ワクチンの安全性に対し持続的に検討するだろう」と明らかにした。】
「痛風治療剤、新型コロナ予防・治療に効果」 米研究チーム
こんにちは。

2021/9/13(月)のヤフーニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/c09a7353628f2461b9d4b7bb77bc2e022dc9185f

に、

「痛風治療剤、新型コロナ予防・治療に効果」 
米研究チーム

と言う記事が掲載されました。
これはなかなかの朗報です。
パンダ石 さんから情報をコメント頂きました。
ありがとうございます。
中央日報の記事の転載ですが、中央日報は韓国の朝鮮語の日刊新聞です。

ベネシッド錠250mg(一般名:プロベネシド錠)という
ごく普通に痛風治療に使う内服薬のことです。
イベルメクチン、ベネシッドという安価な錠剤が、
新型コロナウイルス感染症の治療と予防にに有効というのは
大変嬉しいことです。

詳細は上記記事をご覧頂ければ幸いです。


江部康二


以下の青字の記載は、記事の要約です。

【痛風治療剤として使用されている薬物が
新型コロナの予防および治療に役立つ可能性があるという研究結果が発表された。
2021年9月13日、米国現地の医学専門紙などによると、
米国ジョージア大学研究チームは米国食品医薬局(FDA)の承認を受けた痛風治療剤(プロベネシド)を利用して
新型コロナをはじめとする呼吸器ウイルス疾患の治療に使うことができるという研究結果を
著名な学術誌「ネイチャー」の姉妹雑誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載した。

研究チームは特にプロベネシドが持つ広範囲の抗ウイルス特性を利用して
新型コロナをはじめ致命的な呼吸器ウイルスの予防と治療に効果をあげることができると期待した。

研究チームは哺乳類対象の臨床試験でプロベネシドが
ウイルス露出前と後のウイルス複製過程を遮断して感染を防ぐことを確認した。
治療だけでなく予防にも該当の薬物を使用できることを意味するというのが研究チームの説明だ。
あわせてインフルエンザH1N1ウイルスの複製が完全に遮断され、
試験官内の実験でRSウイルスにも効果的なことが明らかになり、
現在、インビボ(in vivo、生体内)研究を進めている。

研究チームは医師の処方で薬局で買うことができる内服薬のプロベネシドを通した
新型コロナ治療が便利性を高めると期待した。
研究チームは、今までの治療法は注射が主でしかも非常に高価であるが、
プロベネシドは安価で内服薬なので利便性が高いとした。

また「プロベネシドは一部の抗生剤の効能を高めるためにも使われ、
潜在的に他の新型コロナ治療法の効能を高めることができるだろう」と付け加えた。

この研究を率いたジョージア大学のラルフ・トリップ教授は
「プロベネシドは新型コロナを含めわれわれがテストしたすべてのRNA呼吸器ウイルスに効果があった」とし
「RSウイルス、新型コロナ、インフルエンザはすべて同じ季節に流行する場合が多い。
この経口用薬物を使って潜在的な感染および病気を減らすことができる」とした。】
動画「ドクター江部の糖質オフ!健康トークvol.6『インスリン抵抗性とは』
こんにちは。
依然として、新型コロナウイルス感染症が世の中を席巻しています。
私も2020年3月以降の糖質制限食講演会がほぼ皆無となって、
17ヶ月にわたり、
週末のテニスも休止で、外食・宴会も、一切なしです。 (*_*)

この10年間で最も暇な日々を過ごしています。
もっぱら、Kindleで本を読んでいます。
さすがにこれではならじと、ユーチューブに参画することとしました。

日本糖質制限医療推進協会のYouTubeチャンネルで、
動画「ドクター江部の糖質オフ!健康トーク」の配信を始めました。
一ヶ月に一本ずつくらい、配信していきたいと思います。

今回は、
ドクター江部の糖質オフ!健康トーク
▼ vol.6『インスリン抵抗性について』
https://youtu.be/kmGAkBcd-MI


糖尿病のことをほとんどご存知ない方でも理解できるような
とてもわかりやすい内容となっています。

糖尿病は日本のみならず世界的に増えています。
厚生労働省の2016年の調査によれば糖尿病が疑われる成人の推計が
1,000万人となっています。

何と言っても糖尿病でこわいのは合併症です。
血糖コントロールが悪いと、
シンプルに言えば、全身の血管がボロボロになり、動脈硬化が進行します。
三大合併症:糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、
大血管障害(心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病性足病変)など
を引き起こします。
結果として、糖尿病合併症が毎年、
人工透析16000人以上、失明3000人以上、 足切断3000人以上/年
発生しています。
合併症を予防できるのは、糖質制限食だけです。
現行の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)では、上述のような
合併症のオンパレードです。
誠に遺憾ながら、現行の糖尿病食は、『合併症製造食』としか言いようがありません。


ドクター江部の糖質オフ!健康トーク
▼ vol.1『糖質制限食と新型コロナ』 2021年03月25日 (木)
https://www.youtube.com/watch?v=YcpCTJQakeY&t=8s
▼ vol.2『糖質制限食とは』 2021年04月08日 (木)
https://www.youtube.com/watch?v=VLyBDm9zOv8
▼ vol.3『糖尿病とは』2021年5月17日(月)
https://www.youtube.com/watch?v=qri3THy-71U&t=205s
▼ vol.4『血糖値について』2021年7月15(木)
https://www.youtube.com/watch?v=P1tNrNWZ6bs
▼ vol.5『インスリンの役割と問題点』2021年8月11日(水)
https://www.youtube.com/watch?v=GnIskFRK_uA&t=9s


是非、ご視聴頂ければ幸いです。


江部康二


以下、事務局からのお知らせです。

*********

ブログ読者の皆様、弊会のYouTube動画を多数ご覧いただいておりまして、ありがとうございます。

江部理事長による動画「ドクター江部の糖質オフ!健康トーク vol.6」の配信をご案内申し上げます。

今回は「インスリン抵抗性」について、インスリン抵抗性とは?インスリン抵抗性があるとどうなるか?インスリン抵抗性が生じる原因は?等、解説しております。

よろしければ是非ご覧くださいませ。

ドクター江部の糖質オフ!健康トーク
▼ vol.6『インスリン抵抗性について』
https://youtu.be/kmGAkBcd-MI

▼協会YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCdh9uz2_XnhDyJj9pHDDW1A

一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会
https://www.toushitsuseigen.or.jp/
ワクチン接種率。7日間の新規死者数(人口100万人あたり)9/12現在。
こんにちは。
2021年9月14日(火)、テレビのワイドショーを見ていたら、
ワクチン礼賛一辺倒で、
ほとんど戦時中の 大本営発表(だいほんえいはっぴょう) み たいな雰囲気でした。
ワクチンを接種しない人は非国民とか差別されそうな勢いでした。

世界的にも接種して当然という認識の国が多く、
ヨーロッパではワクチンパスポートも現実味を帯びる様相です。

実際、ニューヨーク市では、2021/9/13(月)から、
屋内レストランやバーほか、映画館、コンサート会場、劇場、博物館、ジム、スポーツ試合など屋内アクティビティ施設において、
従業員と12歳以上の利用客は入り口で「ワクチン接種証明書」もしくはデジタル管理された「ワクチンパスポート」の提示が義務づけられました。

しかしながら、
ワクチン接種完了率と 7日間の新規死者数(人口100万人あたり) 2021/09/12現在を
見てみると、意外な事実が浮かび上がります。


ワクチン接種完了率   7日間の新規死者数(人口100万人あたり)2021/09/12現在


イスラエル 78%             25.43人
スペイン 75.02%             10.6人
イギリス 64.5%             14.3人
イタリア 63.92              6.7人
フランス 62.47%             11.1人 
米国 54.4%               34.1人
日本 51.1%               3.5人
ブラジル 34.5%             15.2人
インド 12.9%              1.4人


まずはワクチン接種のトップランナーのイスラエルの、
7日間の新規死者数(人口100万人あたり)2021/09/12現在を検討です。
主要国では米国に次ぐ多さです。

イスラエルの新規死者数は、2021/7/7から右肩上がりで急上昇し、
8/24くらいに、25.14人となり、その後9/11まで同じくらいの数字が続いています。
つまり新型コロナウイルスが変異して、デルタ株になった後は、
現行のワクチンはほぼ無効と言えます。
死者数が急増しているので、結果として重症化も防げていないのです。

更に、ワクチン接種完了率が低くて、医療水準も低い、
インドのほうが、ワクチンをしっかり接種している先進国より
はるかに死者数が少ないのには、驚きを禁じ得ません。

ワクチン接種完了率が僅か12.9%のインドの新規死者数が、1.4人というのは、
日本よりも少ないです。
これは、あくまでも仮説ですが、インドではイベルメクチンを処方している州が、
多いことが関与しているのかもしれません。

本記事の数値は
NHKのサイト(9月13日時点)
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/vaccine/world_progress/ 

を参照しました。

デルタ株に対して、ワクチンが無効とすれば、
感染予防には、日本国民一人一人が初心に戻ること、
すなわち、
『三密を避ける、マスク、手洗い、うがい、換気、ソーシャル・ディスタンスを保つ』
などの励行が必要と思います。
特に、対面や隣り合っての会話を伴う会食が大きな感染リスクとなるので
注意が必要です。
マスクなしでの、複数人数のカラオケも勿論NGです。

私達糖質セイゲニストも、スーパー糖質制限食実践で、
『血中ケトン体高値』『AGEs蓄積が最小限』『慢性炎症予防』
を確保して、免疫力向上に努めることが肝要と思います。

なお充分な睡眠や規則正しい生活など日常的なことも大切ですね。


江部康二
増補新版 糖質制限の大百科 (宝島社)。本日発売。
こんにちは。

増補新版 糖質制限の大百科 単行本 – 2021/9/14
江部 康二  (監修)出版社 ‏ : ‎ 宝島社 (2021/9/14)

https://amzn.to/3tsRm0w

daihyakka.jpg


9月14日、発売です。
シリーズ累計52万部突破! 最新の食品成分表「八訂」に対応しています。

本当に「正しい」やりかた、知っていますか?
おなかいっぱい食べてやせる、もっと健康になる!

糖質制限の基礎知識から、外食&市販品活用のコツ、ひと目でわかるOK・NG食品、
109のかんたん糖質制限レシピまで、この1冊で知りたいことがぜんぶわかる! 巻末に食品別糖質含有量一覧付き。

本書が、ブログ読者の皆さんのお役に立てれば、嬉しい限りです。


今日からできる、無理なくやせる医師が教える正しい糖質制限

p6
やせる・若返る・健康になるいいことずくめの糖質制限

糖質制限では、血糖値を直接上げる唯一の栄養素である糖質を控えます。
そのため、食事をしても血糖値の急激な上昇を招くことはありません。
これこそが、糖尿病だけにとどまらず、あらゆる不調や疾患の予防・改善につながるのです。
 さらに、血糖値の急上昇が起きるとインスリンというホルモンが分泌されます。
インスリンは、別名“肥満ホルモン”とも呼ばれます。
過剰に分泌されることで体脂肪が蓄積され、肥満を引き起こすからです。
これらを引き起こさない糖質制限は、血糖値の乱高下をなくし代謝を安定させることで、精神的にも落ちつきます。
全身の血流も改善するため、美肌や美髪など、美容にも役立つのです。

p7
誰もがストレスなく実践できる糖質制限糖質制限のうれしいポイントは、
誰もがストレスなく取り組めるという点です。カロリー制限のような面倒な計算は不要。
ボリュームたっぷりの肉料理もOKです。そのため「食べたりない」という欲求不満とも無縁で、
正しく種類を選べばお酒を飲むこともできます。
食べものや飲みものの種類を選べば、自分のライフスタイルに合わせて思いきり食事を楽しむことができるので、
継続的に実践でき、確実に効果を実感できるのです。

p8
糖尿病の治療食として
スタートした糖質制限


日本で糖質制限をはじめたのは、私が理事長を務めている京都の高雄病院で、
当時の院長であった私の兄である江部洋一郎です。1999年のことでした。
私自身は、2001年、担当する患者さんに糖尿病治療の一環として、
糖質制限の指導を行ったところ、劇的な効果が見られました。
それ以降、当院では糖尿病の治療食として糖質制限食を実践し続けています。
従来、糖尿病に対する日本での治療方針は、カロリー制限一辺倒でした。
しかし、糖質を制限することのないカロリー制限食では、
糖尿病の大きなポイントである食後高血糖のコントロールができません。
糖質を制限せずにカロリーコントロールを行ったところで、
結局、病状は悪化し、薬に頼ることになってしまいます。
これに対して、糖質制限はまったく異なる考えかたで治療を行います。
カロリーや脂肪を制限するのではなく、「糖質を制限した食事を摂る」ことが基本となります。
糖質さえ控えれば、たんぱく質や脂質はしっかり食べてOKです。カロリー計算も必要ありません。


以下などが、増補した内容になります。
P153
Q9新型コロナウイルスに対して糖質制限は有効でしょうか?


A
糖質制限で免疫力を高めることで、ウイルスに強い体になります。
糖質制限食を実践している人は、糖質を食べている人に比べると、
血中ケトン体が 高値であり、AGEsの蓄積も最小限ですんでいます。
ケトン体は脂肪酸の分解産物ですが、それが高値であると、
心臓・腎臓・脳保護作用が期待できます。
スーパー糖質制限食なら、よりケトン体高値となるので、さらに効果が期待できます。
心臓・腎臓・脳が元気に活動していれば、当然免疫力も高まります。
また欧米の研究で、ケトン体がサイトカインストームを予防する可能性があります。・・・


江部康二
ケトン体も脂肪酸も血液脳関門(BBB)を通過できる。
こんにちは。

血液脳関門(BBB)はとても大事なシステムですが、諸刃の剣でもあります。
BBBは、脳の血管と脳細胞の間での物質交換を制限する機構で、
神経機能に最適な環境を常に維持するのに役立っています。
一方、BBBがあることでほとんどの薬剤が血流から脳内へ移行できないため、
脳を対象とする治療において大きな障壁となっているのです。

さて一般には長い間、
「脂肪酸は血液脳関門(BBB)を通過できないがケトン体は通過できる」
とされていましたが、近年の研究で、
脂肪酸も血液脳関門を通過できることが明らかとなりました。

夏井睦医師著「炭水化物が人類を滅ぼす」(光文社新書、2013年)の231、232ページにも記載してあるように、
少なくともEPAやDHAという有名な脂肪酸が、現実に脂肪酸は血液脳関門を通過していることは確実です。

1)脂肪酸は血液脳関門を通過する。
2)脂肪酸はアストロサイトのミトコンドリア内でβ酸化されてエネルギー源となる。
3)神経細胞(ニューロン)では細胞膜の原料となるがエネルギー源としては使われない。


現時点で、1)2)3)が正解と考えられます。

アストロサイト(astrocyte)とは、中枢神経系に存在するグリア細胞の1つです。

グリア細胞 ( glial cell)は神経系を構成する神経細胞ではない細胞の総称であり、
ヒトの脳では細胞数で神経細胞の50倍ほど存在しているとされています。

アストロサイトは神経細胞を支えて支持してる細胞です。

毛細血管の周囲はアストロサイトの足突起に覆われていて、
神経細胞と毛細血管の間には常にアストロサイトが介在しています。

『毛細血管-アストロサイト-神経細胞』を一つの構成単位として捉えると
わかりやすいです。

脂肪酸は神経細胞の細胞膜の原料となりますが、
エネルギー源としてはほとんど使われません。

これは、エネルギー源として利用するとき、
酸素消費が一番少ないのがケトン体で次がブドウ糖であり、
脂肪酸は酸素消費が多いからと思われます。

仮説ではありますが、進化の過程で脳が酸素不足にならないように、
神経細胞のミトコンドリアは脂肪酸をエネルギー源としないように
脂肪酸を分解する酵素を減らしたと考えられます。

アストロサイトは脂肪酸を分解してケトン体を産生します。
ケトン体は神経細胞に輸送されてミトコンドリアで代謝されてエネルギー源になります。


江部康二
すべての新型コロナ変異株に対応?「口内に噴霧」の非mRNA型予防薬、商品化へ
こんばんは。
2021年9月10日(金)のヤフーニュースに

すべての新型コロナ変異株に対応?
「口内に噴霧」の非mRNA型予防薬、商品化へ
https://news.yahoo.co.jp/articles/52831e7dfd7e843177b838e007e8b1428fa22c3e

変異株を追いかけるようにワクチンを投与しても堂々めぐり
https://news.yahoo.co.jp/articles/52831e7dfd7e843177b838e007e8b1428fa22c3e?page=2

なぜ、新型コロナウイルスワクチンは副反応が強いか
https://news.yahoo.co.jp/articles/52831e7dfd7e843177b838e007e8b1428fa22c3e?page=3


という記事が掲載されました。

なかなか含蓄に富む記事でした。
是非、読んで見てください。
東京理科大学名誉教授、村上康文氏の解説も出色で、とてもわかりやすいです。
以下は、要約です。

まず、最初に

【世界でもっとも早くワクチン接種を実施したイスラエルからの、
「感染を防ぐ効果が6カ月で約60%、7カ月後には40%にまで低下した」という報告が世界を不安に陥れている。
また同国では、入院患者の60%がワクチン接種済みであるというレポートもある。】


とあります。
実際、イスラエルの現状は、大変なことになっています。
<イスラエル コロナ 死者数>で検索すると、デルタ株に変異してから
イスラエルのコロナ死者数が急速に上昇しているのが、
一目瞭然でわかります。
ジョン・ホプキンス大学のデータです。
新型コロナワクチン接種が開始されて、一旦確実に新型コロナ死者数は
減少してコントロールできたかに見えていたのですが、
2021年8月1日頃から、急激に死者数が増えています。
つまり現行のワクチン(イスラエルはファイザー社製)はデルタ株には、
ほとんど無効
なのです。

【デルタ株出現までは確かに、ワクチンがパンデミック収束の切り札であるとされてきました。しかし、『デルタ株』の出現で、状況は変わってしまいました。 デルタ株の感染力は1人から8人にうつる、と強力で、しかも接種者でも非接種者でも、ウイルス感染を広げる能力は同等、という研究結果があります。 突然変異はランダムに生じますが、ワクチン接種が進めば、ワクチンに抵抗性のある変異ウイルスが「選択」されるようになります。 ウイルスはDNA型とRNA型に大別されますが、コロナウイルスはRNA型ウイルスです。】

新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスは、RNAウイルスなので変異しやすいのです。
RNAウイルスが流行しているときに、有効なワクチンを接種すると、
必ず変異が生じて、ワクチン無効の変異株が、今までのものに取って代わり
新たな変異株が流行の主役になります。
<新型コロナワクチン VS 新型コロナウイルス>の戦いは、
後出しじゃんけんの立場のウイルスのほうが、勝利する理屈なのです。
現実に、変異株のデルタ株が、新型コロナワクチンを凌駕してしまいました。
このことは、東京理科大学名誉教授、村上康文氏も予測しておられました。

【複数の変異株に対して有効と考えられる「murak抗体(ムラック抗体)」が開発され、近く製品化される可能性があることがわかった。 この「ムラック抗体」は、東京理科大学名誉教授、村上康文氏(東京大学薬学系研究科 薬学専攻修了・薬学博士、オーダーメードメディカルリサーチ代表取締役)が率いる研究チームとDDサプライ株式会社が共同で開発した抗体だ。】
【約7割の配列をヒト抗体に置き換えたマウス由来の治療注射薬、抗ACE2モノクローナル抗体と、口腔内などに噴霧して使用する予防薬、抗スパイクタンパク質ニワトリ抗体です。 ウイルスの感染は、スパイクタンパク質(ウイルス側の因子)とACE2タンパク質が結合したときに起きます。
感染を防ぐには、ACE2タンパク質とスパイクタンパク質の二つがターゲットになります。 ACE2タンパク質は、新型コロナウイルスが感染する際の受容体、スパイクタンパク質は、ウイルス表面のトゲトゲした突起の部分です。 ACE2は宿主細胞(ウイルスに感染するヒトの細胞)側の因子なので、その抗体は、すべての変異ウイルスの侵入を阻害できます。】


抗ACE2モノクローナル抗体と、抗スパイクタンパク質ニワトリ抗体
が存在すれば、2つのシステムで感染予防が可能です。
抗ACE2モノクローナル抗体は、
新型コロナウイルスの受容体となる、ACE2受容体をブロックして、感染を予防します。
抗スパイクタンパク質ニワトリ抗体は、
新型コロナウイルスの表面にあるスパイクタンパク質に対する抗体で、スパイクタンパク質をブロックして感染を予防します。
東京理科大学名誉教授、村上康文氏らが、開発中の「murak抗体(ムラック抗体)」なら、理論的に新型コロナウイルスや変異株にも有効である可能性が高く、一刻も早い商品化がおおいに望まれます。


なぜ、新型コロナウイルスワクチンは副反応が強いか
ちなみに、従来のワクチンは毒性を排除した抗原を使用してきましたが、新型コロナワクチンで抗原として用いているスパイクタンパク質そのものが「毒素」であるという論文が既に発表されています。
そのためにワクチン接種後に強い副反応がひきおこされている可能性があります。
このような「スパイクタンパク質の全体」を抗原とすることにより、ワクチン接種者の中には抗体依存的感染増強(ADE)により重症化するという人が出てくる可能性が考えられます。
実際、RNA型ウイルスの「デング熱」では、フィリピンで、200人以上の子供がワクチン接種後、ADEで死亡するという悲劇が起きています。
逆に受容体結合部位(RBD)のみ、いわば「はじっこだけ」を抗原としたワクチン、すなわち「組み換えタンパク質型」のワクチンは副反応が弱く、ADEがおきる可能性が低いものと考えられます。
このようなワクチンは安全性が高いため、今後の主流になる可能性が高いと考えます。】


村上康文氏のご指摘通りです。
私も、「スパイクタンパク質」そのものが人体にとって、である可能性が高いと思います。


江部康二
多糖類のご飯やパンは分解と吸収に時間がかかる?
こんばんは。
今回は炭水化物と糖質のお話です。

炭水化物=糖質+食物繊維

食物繊維は血糖をあげません。
ほとんどの糖質は血糖を上げます。

炭水化物や糖質や食物繊維に関して
以下が健康増進法における定義です。
健康増進法における栄養表示基準では栄養成分表示を行う場合、
基本表示は

<エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム>
の5成分表示とされています。

「炭水化物、糖質、糖類」を整理すると下記の如くにまとめることができます。

栄養表示基準上はたんぱく質や脂質、灰分(ミネラル分)のいずれにも属さないものは炭水化物に分類されます。

①炭水化物=糖質+食物繊維
②糖質=糖類+糖アルコール+三糖類以上+合成甘味料
③糖類=単糖類+二糖類

*単糖類=ブドウ糖、果糖、ガラクトースなど
*二糖類=ショ糖、麦芽糖、乳糖など
*三糖類以上
 1)オリゴ糖:単糖類が3~20分子縮合して1分子になったもの
 2)多糖類:単糖類、数百~数千分子が縮合して1分子になったものでんぷん、デキストリンなど)

*糖アルコール=エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトールなど
*合成甘味料=アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、ネオテーム、アドバンテーム


糖質に分類されるなかで、エリスリトールと合成甘味料は血糖を上げません。

オリゴ糖の中では、フラクトオリゴ糖と乳果オリゴ糖(ラクトスクロース)
は、血糖値とインスリン値にほとんど影響を与えません。



ブドウ糖を摂取すると速やかに急激に血糖値が上がります。
同じ糖質でも多糖類のご飯やパンはまず単糖にまで細かく分解されないと体に吸収されません。
その分解(消化)と吸収に少し時間がかかります。
そのため血糖値の上昇はブドウ糖と比べてゆっくり進み、それほど高くなりません。

GIは、Glycemic Index(グリセミック・インデックス)の略で、食後血糖値の上昇度を示す指標のことです。
つまり、食品に含まれる糖質の吸収度合いを示し、摂取2時間までに血液中に入る糖質の量を計ったものです。
GIは、特に1990年代に脚光をあびはじめ、
2003年にWHOから「過体重、肥満、2型糖尿病の発症リスクを、低GI食品が低減させる可能性がある」
というレポートが出されました。
低GI食品は、現代人に急増しつつある肥満やメタボリックシンドロームの予防・改善の観点からも、注目されています。

糖尿人だと、多糖類のご飯やパンでも速やかに血糖値が上昇します。
単糖のブドウ糖とほとんど変わりません。
例えば、2型糖尿人の私が、ご飯を一膳食べれば、
1時間値は200mg/dlを軽く超えます。
比較的GIの高い胚芽米を一膳食べると、私の食後1時間血糖値は、
240mg/dlくらいまで、上昇します。
比較的GIの低い玄米なら、食後1時間血糖値は220mg/dlくらいですが、
差は小さいし、所詮200mg/dlを超えているので、
動脈硬化への害はほぼ一緒です。
つまり糖尿人にとって、GIは意味がありません。

以下は米国糖尿病学会が糖尿病患者用のテキストブックとして出版している書物に記載してある表です。
これは、糖尿人にも健常人にも適応されます。
でんぷんが、血糖に与える影響は、「大きい、速い」と明記されています。
でんぷんは多糖類です。

糖尿人にとっては、単糖類だ、多糖類だという分類は役に立ちません。
糖尿人は糖質の絶対量をカウントすることが優先順位の一番です。


食物グループ中の栄養素  米国糖尿病学会
              
食物グループ   血糖に与える影響  血糖に与える影響の速度

でんぷん         大きい                速い
果物           大きい                速い
牛乳(甘味料あり)   大きい                速い
野菜           小さい                速い
肉              ー                  ー
脂質             ー                  ー 


Life With Diabetes A Series of Teaching Outlines by the Michigan Diabetes Research and Training Center 2004


江部康二


糖尿病の罹病歴と早朝空腹時血糖値。暁現象。糖毒。
【日付 名前
21/09/08 ken
食後高血糖が時間が経っても下がらない
はじめまして。
私は現在73才の高齢者で、58才で糖尿病が分かってから、
糖尿病歴15年以上の者です。
いつも先生のプログを拝見させて頂いて、
私の糖尿病対策と生活のバイブルにさせて頂いています。ありがとうございます。

私は2006年7月(56才)の人間ドックで、
空腹時糖尿値=315、HbA1c(JDS値)=10.6%の糖尿病である事が分かりました。
江部先生の教え通り、薬は使わずスーパー糖質制限食を行ったところ、
2か月後の10月には空腹時糖尿値=133、HbA1c=6.4に低下しました。

その後、プチ糖質制限食を継続し、
2013年まで、HbA1c=6.5~7.0%を推移していました。
2013年に直腸癌の回復手術を行った後は、その前後の絶食のせいか、
空腹時血糖値=110~120、HbA1c(JDS値)=5.5~5.7%にまで低下しました。
以後、現在までプチ糖質制限食を継続しています。

ここからがご質問とアドバイスをお願いしたいことです。
2018年(70才)になると、
空腹時血糖値=170~190、HbA1c(NGSP値)=7.5~8.4%にまで上昇しました。

そして、2021年(73才)の現在は、
空腹時(早朝)血糖値≒212(166~266)と殆ど200以上になりました。
毎食事前も同様です。
しかも、ウオーキング等の運動の実施や食後いくら時間が経過しても、
以前の様には下がらず、6時間経過後も200前後にしか下がりません。

食後高血糖は理解できますが、
空腹時血糖値や早朝血糖値そして食後の時間経過後の血糖値の高さが
非常に気になっています。
最近のHbA1cは未だ測定していません。

この現象の解析とアドバイスを宜しくお願いします。
なお、プチ糖質制限食は継続し、
最近、血糖値測定器で毎回の血糖値の自己測定を再開しました。】



こんばんは。
ken さんから、早朝空腹時血糖値が改善しなくなったとのコメントを頂きました。
このような状態になるまでには、経年的な経過があります。
問題点はどこにあったのでしょう?

『糖尿病歴15年以上』
病歴が10年以上に及んでいることも、
早朝空腹時血糖値高値にかなり関与しています。

『2006年7月(56才)の人間ドックで、
空腹時糖尿値=315、HbA1c(JDS値)=10.6%の糖尿病。
薬は使わずスーパー糖質制限食を行ったところ、
2か月後の10月には空腹時糖尿値=133、HbA1c=6.4に低下』

素晴らしい成果です。
僅か2ヶ月で、HbA1c10.6% ⇒ 6.4%
とは、スーパー糖質制限食の効果は驚異的なものがありますね。

『その後、プチ糖質制限食を継続し、
2013年まで、HbA1c=6.5~7.0%を推移していました。
2013年に直腸癌の回復手術を行った後は、その前後の絶食のせいか、
空腹時血糖値=110~120、HbA1c(JDS値)=5.5~5.7%にまで低下しました。
以後、現在までプチ糖質制限食を継続しています。』

この時期に、大きなリスクが生じています。
すなわち、プチ糖質制限食ですと、朝食と昼食で必ず食後高血糖が生じています。
従って、糖尿病の場合はスーパー糖質制限食以外の選択肢はありません。
HbA1cが5.5~5.7%と一見良好ですが、食後高血糖があるので、
血糖変動幅の大きい「質の悪いHbA1c」であり、酸化ストレスを生じていて
膵臓のβ細胞も障害を受けています。
ダイエット目的の場合は、スーパー糖質制限食で数キログラム減量して、
その後は、プチ糖質制限食で維持するというパターンはありですが、
糖尿病と診断がついている時は、スーパー糖質制限食しかないのです。

『2018年(70才)になると、
空腹時血糖値=170~190、HbA1c(NGSP値)=7.5~8.4%にまで上昇』

早朝空腹時血糖値が高値となってきたのは「暁現象」のせいです。
β細胞がある程度障害されると、インスリン作用の不足が生じて、
午前4時~午前6時といった時間帯に肝臓が糖新生でブドウ糖を作るのを
制御できなくなります。そのため、夜、寝る前の血糖値より
早朝空腹時血糖値の方が高値となりますが、これを暁現象と呼びます。
インスリン作用が正常の人は、夜中や明け方に肝臓が糖新生しても、
インスリンが制御するので血糖値の上昇はなく、暁現象も生じません。

『2021年(73才)の現在は、
空腹時(早朝)血糖値≒212(166~266)と殆ど200以上になりました。
食後高血糖は理解できますが、
空腹時血糖値や早朝血糖値そして食後の時間経過後の血糖値の高さが
非常に気になっています。』

「暁現象+糖毒」の悪循環となっています。
一日を通しての平均血糖値が180mg/dlを超えてくると、
高血糖そのものがβ細胞を傷害し、
高血糖そのものが筋肉の血糖取り込みを邪魔するので、悪循環に陥ります。
その結果高血糖が持続することを、「糖毒」といいます。
糖毒状態を解除するには、
<スーパー糖質制限食の実践と、GLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬の併用>
などが必要ですので、主治医とよく相談しましょう。


江部康二
増補新版 糖質制限の大百科 。近日発売。
こんばんは。

増補新版 糖質制限の大百科 単行本 – 2021/9/14
江部 康二  (監修)出版社 ‏ : ‎ 宝島社 (2021/9/14)

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daihyakka.jpg


9月14日、発売となります。
シリーズ累計42万部突破! 最新の食品成分表「八訂」に対応しています。

本当に「正しい」やりかた、知っていますか?
おなかいっぱい食べてやせる、もっと健康になる!

糖質制限の基礎知識から、外食&市販品活用のコツ、ひと目でわかるOK・NG食品、
109のかんたん糖質制限レシピまで、この1冊で知りたいことがぜんぶわかる! 巻末に食品別糖質含有量一覧付き。

本書が、ブログ読者の皆さんのお役に立てれば、嬉しい限りです。


今日からできる、無理なくやせる医師が教える正しい糖質制限

p6
やせる・若返る・健康になるいいことずくめの糖質制限

糖質制限では、血糖値を直接上げる唯一の栄養素である糖質を控えます。
そのため、食事をしても血糖値の急激な上昇を招くことはありません。
これこそが、糖尿病だけにとどまらず、あらゆる不調や疾患の予防・改善につながるのです。
 さらに、血糖値の急上昇が起きるとインスリンというホルモンが分泌されます。
インスリンは、別名“肥満ホルモン”とも呼ばれます。
過剰に分泌されることで体脂肪が蓄積され、肥満を引き起こすからです。
これらを引き起こさない糖質制限は、血糖値の乱高下をなくし代謝を安定させることで、精神的にも落ちつきます。
全身の血流も改善するため、美肌や美髪など、美容にも役立つのです。

p7
誰もがストレスなく実践できる糖質制限糖質制限のうれしいポイントは、誰もがストレスなく取り組めるという点です。カロリー制限のような面倒な計算は不要。ボリュームたっぷりの肉料理もOKです。そのため「食べたりない」という欲求不満とも無縁で、正しく種類を選べばお酒を飲むこともできます。食べものや飲みものの種類を選べば、自分のライフスタイルに合わせて思いきり食事を楽しむことができるので、継続的に実践でき、確実に効果を実感できるのです。

p8
糖尿病の治療食として
スタートした糖質制限


日本で糖質制限をはじめたのは、私が理事長を務めている京都の高雄病院で、
当時の院長であった私の兄である江部洋一郎です。1999年のことでした。
私自身は、2001年、担当する患者さんに糖尿病治療の一環として、
糖質制限の指導を行ったところ、劇的な効果が見られました。
それ以降、当院では糖尿病の治療食として糖質制限食を実践し続けています。
従来、糖尿病に対する日本での治療方針は、カロリー制限一辺倒でした。
しかし、糖質を制限することのないカロリー制限食では、
糖尿病の大きなポイントである食後高血糖のコントロールができません。
糖質を制限せずにカロリーコントロールを行ったところで、
結局、病状は悪化し、薬に頼ることになってしまいます。
これに対して、糖質制限はまったく異なる考えかたで治療を行います。
カロリーや脂肪を制限するのではなく、「糖質を制限した食事を摂る」ことが基本となります。
糖質さえ控えれば、たんぱく質や脂質はしっかり食べてOKです。カロリー計算も必要ありません。


以下などが、増補した内容になります。
P153
Q9新型コロナウイルスに対して糖質制限は有効でしょうか?


A
糖質制限で免疫力を高めることで、ウイルスに強い体になります。
糖質制限食を実践している人は、糖質を食べている人に比べると、
血中ケトン体が 高値であり、AGEsの蓄積も最小限ですんでいます。
ケトン体は脂肪酸の分解産物ですが、それが高値であると、
心臓・腎臓・脳保護作用が期待できます。
スーパー糖質制限食なら、よりケトン体高値となるので、さらに効果が期待できます。
心臓・腎臓・脳が元気に活動していれば、当然免疫力も高まります。
また欧米の研究で、ケトン体がサイトカインストームを予防する可能性があります。・・・


江部康二
新型コロナ。感染率と死亡率。イスラエル、パレスチナ、日本。
こんばんは。
新型コロナウイルスの感染者数、感染率、死亡率を調べてみました。
2021年9月7日(火)に調べたのは、ウィキペディアの3日前のデータです。
(感染者数の概要 提供元: ウィキペディア)


全世界
国連人口基金(UNFPA)が発表した「世界人口白書2021」によると、
2021年の世界人口は78億7500万人。

全世界人口の2.78%が感染。感染後の死亡率は2.08%

感染者の合計数
2.19億人
感染後死亡者数
455万人


イスラエル

人口905.3万 (2019年)
新型コロナワクチン接種のトップランナー
ワクチン接種率78%。

全国民の12%が感染。感染後の死亡率は0.64%

感染者の合計数
112万人

感染後死亡者数
7,205人


パレスチナ
人口: 468.5万 (2019年)
新型コロナワクチン接種は、極めて不十分

全国民の7.2%が感染。感染後の死亡率は1.09%

感染者の合計数

33.6万人

感染後死亡者数
3,669人



英国

人口
6665万 (2019年)
新型コロナワクチン接種比率は71.1%と高い。
全国民の10.5%が感染。感染後の死亡率は1.9%

感染者の合計数
698万

死亡者数
13.3万

日本

人口:1.263億 (2019年)
新型コロナワクチン接種比率は59%
全国民の1.25%が感染。感染後の死亡率は1.04%。

感染者の合計数
158万人

感染後死亡者数

16,369人



<考察>

https://graphics.reuters.com/world-coronavirus-tracker-and-maps/ja/countries-and-territories/palestinian-territories/
2021年9月4日のウィキペディアのデータで、イスラエルもパレスチナも、
2021年8月1日頃から、急速に感染者数と死亡者数が増加しています。

米国CDCは、7月30日、マサチューセッツ州のクラスター発生を受けて
『新型コロナワクチンは、発症予防効果、感染予防効果はないが、重症化と死亡を防ぐ効果がある』との見解を発表しました。
しかし、新型コロナワクチンのトップランナーであるイスラエルで、
新規感染者数と死亡者数が急増しているので、デルタ株に対しては、
感染・発症予防効果も重症化・死亡予防効果もないということが、明白となりました。
<イスラエル コロナ 死亡者数>でグーグル検索するとグラフと数値が表示されます。
https://www.google.com/search?q=%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A8%E3%83%AB+%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A+%E6%AD%BB%E4%BA%A1%E8%80%85%E6%95%B0&oq=%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%80%80%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%80%80%E6%AD%BB%E4%BA%A1%E8%80%85%E6%95%B0&aqs=chrome..69i57.597j0j15&sourceid=chrome&ie=UTF-8

そして、イスラエルでは、全国民の12%が新型コロナに感染という、恐るべき数値となっています。
ワクチン接種不十分のパレスチナが感染率7.2%とイスラエルより、
かなり良い数値です。
また、9月4日のデータでイスラエルの感染後の死亡率は0.64%と、
日本の1.04%より低いのですが、死亡者数も急上昇しているので、
今後は上昇すると思われます。

日本の感染後死亡率がイスラエルより高い1.04%なのは、
自宅待機やホテル待機で、治療せずに放置しているからと思われます。
せめて、行政はイベルメクチンを待機者に処方してほしいものです。

デルタ株に対して、ワクチンが無効とすれば、
感染予防には、日本国民一人一人が初心に戻ること、
すなわち、
『三密を避ける、マスク、手洗い、うがい、換気、ソーシャル・ディスタンスを保つ』
などの励行が必要と思います。
特に、対面や隣り合っての会話を伴う会食が大きな感染リスクとなるので
注意が必要です。
マスクなしでの、複数人数のカラオケも勿論NGです。

私達糖質セイゲニストも、スーパー糖質制限食実践で、
『血中ケトン体高値』『AGEs蓄積が最小限』『慢性炎症予防』
を確保して、免疫力向上に努めることが肝要と思います。

なお充分な睡眠や規則正しい生活など日常的なことも大切ですね。


江部康二
菓子職人マンスリーケーキ(9月、10月)。タルトショコラ。
こんばんは。
私が監修を務める「菓子職人」さんが、
糖質制限マンスリーケーキの販売を開始されましたのでお知らせします。
9・10月の糖質制限マンスリーケーキは新発売の
菓子職人マンスリーケーキ(9月、10月)、タルトショコラです。
香り高いチョコレートムースと香ばしいタルトの組み合わせで、
糖質制限にはありえないおいしさです!

main_monthly09.jpg


monthly.jpg

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2021/8/27(金)
17時 血糖値:123mg
タルトショコラ100g摂取・・・エリスリトールを除く糖質は3.61g
18時 血糖値:133mg


10mg上昇です。
私の場合、1gの糖質が3mg血糖値を上昇させるので、
タルトショコラ100g中の糖質は、3.3gです。
すなわち糖質制限OK食材です。
私はチョコレートは大好きです。
しかしながら、糖質制限OKなチョコレートケーキなど、なかなかないので、
今回は嬉しい限りです。

菓子職人さん、いつも美味しい糖質制限マンスリーケーキを、ありがとうございます。
糖質セイゲニストの皆さん、是非ご賞味あれ。

江部康二
カフェインと各種飲料。カフェインと血糖値。コーヒーは?
こんばんは。
私は、コーヒーが好きでよく飲みます。
さしてこだわりはなくて、インスタント・コーヒーでも、
ドリップでも、何でもOKです。

コーヒー滲出液100g中に糖質は0.7gです。
1リットルのむと7gですが、血糖値上昇に関して
一日でそのくらいの糖質量なら大丈夫です。

一方、カフェインです。
1リットルのコーヒーなら、カフェインが600mgです。
これは多すぎますので、動悸や頭痛が生じる可能性もありますので
飲みすぎには注意です。

コーヒー(カフェインを含む)摂取と血糖値上昇ですが、
個人差が大きいようです。
以前、きのこさんから、以下のコメントを頂きました。

『私の場合コーヒーを飲むと血糖値が爆上がりします。(あくまでも私の場合です)
コーヒーだけでなくお茶やチョコレートでも同様です。
江部先生お墨付きの糖質制限ドットコムのチョコレートでも爆上がりします。』

『空腹時98mg/dl。コーヒー1杯摂取後30分で180mg/dl』


これはびっくりです。
コーヒー1杯150mlに、「糖質が1.05g 、カフェインが90mg」です。

これほどの血糖上昇は、聞いたことがありません。
糖質1gがいくら血糖を上げたとしても、せいぜい数mgレベルと思います。
従って、これだけの血糖上昇(82mg)は、ほとんどが、
カフェインの急性反応と思われます。
きのこさんは、カフェインの急性血糖上昇作用に対して
極めて敏感な体質と思われます。
このような体質があるということは、
医療関係者には是非、知っておいて欲しいと思います。
お茶や糖質制限OKチョコでの血糖上昇も、カフェインによるものと考えられます。

ちなみに、私の場合は、コーヒーを飲んでも、
血糖値の上昇は、ほとんどありません。

以下は、いろんな飲料のカフェイン含有量です。
福岡市薬剤師会さん、ありがとうございます。

福岡市薬剤師会のサイト
http://www.nagano-c.ed.jp/seiho/risuka/2007/2007-05.pdf
飲料別カフェイン含有量、100mlあたり

玉露 160mg
煎茶 20mg
番茶 10mg
ほうじ茶 20mg
釜炒り茶 10mg
玄米茶 10mg
ウーロン茶 20mg
紅茶   30mg
コーヒー  60mg
麦茶    0mg



日常に飲むいろんな飲料のなかで、コーヒーのカフェイン含有量は一番多いです。
カフェインを1日200~300mg以上摂取した場合は、
個人差はありますが、不眠・動悸・いらいら・頭痛・振戦・神経過敏などの
カフェイン過剰症状がでることがありますので、
コーヒーの飲みすぎにはご注意いただけば幸いです。

麦茶、杜仲茶、ルイボスティーなどは、カフェインゼロです。
爽健美茶、十六茶もカフェインゼロです。


江部康二
糖尿病。標準治療で⇒合併症⇒人工透析⇒死亡。
【日付 名前
21/09/03 ライフワーク光野
タクシー運転手の奥さん
 先日乗ったタクシーでの会話です。

奥さんが眼科医から勧められた検診で「糖尿病」が発覚。
「糖尿病専門医」なる輩の指示通り、律儀に治療を進めました。
その後は合併症へまっしぐら、やがて「人工透析」に至りました。

 奥さんを「人工透析」に送迎するため、
旦那さんはそれまでの会社を辞め、タクシーの運転手になりました。
6年間、親身に奥さんを介護されたそうです。

 最愛の奥さんを亡くされ1年。「未だに立ち直れない」そうです。

 糖尿病学会、どこまで犠牲者を出せば気が済むのでしょうか。
① 新たな治験があるにも関わらず、学ぼうともしない。
② 日々の糊口を凌ぐために、せっせと透析患者を増産する。
③ 人命を与る者として恬として恥じない。
④ いつの日か、愕然とするのでしょうか。
⑤ その時、どんな償いをするのでしょうか。
⑥ 「知らなかった~」で済ますのでしょうか。
⑦ 小生はいつも「自分を浄玻璃の鏡に照らして生きて行きたい」と思っています。
⑧ 糖尿病学会の専門医の先生方、間に合いますか! 】


こんばんは。
ライフワーク光野さんから、糖尿病学会に対して辛口のコメントを頂きました。

タクシー運転手さんの奥さん、検診で「糖尿病」が発覚。

糖尿病発症⇒標準治療⇒合併症発症⇒人工透析⇒死亡。

これは、大いなる悲劇です。
そして、糖尿病に対して標準治療を行えば、
同様のケースは日常的に発生してしまいます。
現実に、糖尿病から人工透析に至る人は、毎年新たに16000人以上です。

『血糖値に直接影響を与えるのは糖質だけで、蛋白質・脂質は与えない』

という生理学的事実があります。
「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」が、
酸化ストレスの最大のリスクであり、糖尿病合併症の元凶です。
標準治療である糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)では、
この二つが必ず生じます。
従って、糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)は合併症予防が困難どころか、
誠に遺憾ながら「合併症製造食」としか言いようがありません。

糖質制限食だけが、「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」を防ぎ、
合併症を予防することができます。

① 新たな治験があるにも関わらず、学ぼうともしない。
米国糖尿病学会は、2019年4月のコンセンサス・レポートで、
 糖質制限食が最もエビデンスが豊富であると明言しました。
 以後、2020年、2021年のガイドラインでも同様の見解です。
 この事実を糖尿病専門医が知らないか或いは知ってても無視するのは問題です。

② 日々の糊口を凌ぐために、せっせと透析患者を増産する。

糖尿病専門医が日々の生計をたてるために透析患者を増産ということは、
  さすがにないと思います。そういう悪意はないのですが、単純知識不足のために、
  透析患者を量産していることも極めて罪深いことと思います。

③ 人命を与(あずか)る者として恬(てん)として恥じない。

  医師として人命をあずかる使命があるなら、「糖質制限食」や「米国糖尿病学会の最新の見解」を知らないのは、
恥ずべきことであると私も思います。

④ いつの日か、愕然とするのでしょうか。
  そうですね。糖尿病専門医の中にも少数ながら糖質制限食賛成派はおられます。

⑤ その時、どんな償いをするのでしょうか。
標準治療を押しつけて合併症を生じさせた糖尿病専門医は懺悔するしかないのですが、
遺憾ながら、今更、懺悔の値打ちないということになります。

⑥ 「知らなかった~」で済ますのでしょうか。
糖質制限食や米国糖尿病学会の見解を認識して、今までの自分を「自己批判」できる
  医師なら今後は望ましい医師に変わってくれるでしょうか。

⑦ 小生はいつも「自分を浄玻璃(じょうはり)の鏡に照らして生きて行きたい」と思っています。
浄玻璃(じょうはり)の鏡とは、閻魔大王が亡者を裁くとき、
 善悪の見きわめに使用する鏡ですね。
 私は光野さんほどの覚悟はありませんが、今まで通り、糖質制限食を推進し、
 言い訳や後悔のない人生を歩んで生きたいと思っています。

⑧ 糖尿病学会の専門医の先生方、間に合いますか!
 現在でも糖尿病専門医の中にも少数ながら糖質制限食賛成派はおられます。
 賛成派が少しずつでも増えていくことを願っています。


江部康二
動画「ドクター江部の糖質オフ!健康トークvol.6『インスリン抵抗性とは』
こんにちは。
依然として、新型コロナウイルス感染症が世の中を席巻しています。
私も2020年3月以降の糖質制限食講演会がほぼ皆無となって、
17ヶ月にわたり、
週末のテニスも休止で、外食・宴会も、一切なしです。 (*_*)

この10年間で最も暇な日々を過ごしています。
もっぱら、Kindleで本を読んでいます。
さすがにこれではならじと、ユーチューブに参画することとしました。

日本糖質制限医療推進協会のYouTubeチャンネルで、
動画「ドクター江部の糖質オフ!健康トーク」の配信を始めました。
一ヶ月に一本ずつくらい、配信していきたいと思います。

今回は、
ドクター江部の糖質オフ!健康トーク
▼ vol.6『インスリン抵抗性について』
https://youtu.be/kmGAkBcd-MI


糖尿病のことをほとんどご存知ない方でも理解できるような
とてもわかりやすい内容となっています。

糖尿病は日本のみならず世界的に増えています。
厚生労働省の2016年の調査によれば糖尿病が疑われる成人の推計が
1,000万人となっています。

何と言っても糖尿病でこわいのは合併症です。
血糖コントロールが悪いと、
シンプルに言えば、全身の血管がボロボロになり、動脈硬化が進行します。
三大合併症:糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、
大血管障害(心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病性足病変)など
を引き起こします。
結果として、糖尿病合併症が毎年、
人工透析16000人以上、失明3000人以上、 足切断3000人以上/年
発生しています。
合併症を予防できるのは、糖質制限食だけです。
現行の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)では、上述のような
合併症のオンパレードです。
誠に遺憾ながら、現行の糖尿病食は、『合併症製造食』としか言いようがありません。


ドクター江部の糖質オフ!健康トーク
▼ vol.1『糖質制限食と新型コロナ』 2021年03月25日 (木)
https://www.youtube.com/watch?v=YcpCTJQakeY&t=8s
▼ vol.2『糖質制限食とは』 2021年04月08日 (木)
https://www.youtube.com/watch?v=VLyBDm9zOv8
▼ vol.3『糖尿病とは』2021年5月17日(月)
https://www.youtube.com/watch?v=qri3THy-71U&t=205s
▼ vol.4『血糖値について』2021年7月15(木)
https://www.youtube.com/watch?v=P1tNrNWZ6bs
▼ vol.5『インスリンの役割と問題点』2021年8月11日(水)
https://www.youtube.com/watch?v=GnIskFRK_uA&t=9s


是非、ご視聴頂ければ幸いです。


江部康二


以下、事務局からのお知らせです。

*********

ブログ読者の皆様、弊会のYouTube動画を多数ご覧いただいておりまして、ありがとうございます。

江部理事長による動画「ドクター江部の糖質オフ!健康トーク vol.6」の配信をご案内申し上げます。

今回は「インスリン抵抗性」について、インスリン抵抗性とは?インスリン抵抗性があるとどうなるか?インスリン抵抗性が生じる原因は?等、解説しております。

よろしければ是非ご覧くださいませ。

ドクター江部の糖質オフ!健康トーク
▼ vol.6『インスリン抵抗性について』
https://youtu.be/kmGAkBcd-MI

▼協会YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCdh9uz2_XnhDyJj9pHDDW1A

一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会
https://www.toushitsuseigen.or.jp/
新型コロナワクチン.。イスラエルで新型コロナ患者急増。
こんにちは。

新型コロナワクチン接種のトップランナーであるイスラエルで、
新型コロナワクチンの新規感染者が急激に増加しています。
人口100万人あたりだと、世界一の増加です。
イスラエルでは、これにともない、新型コロナ感染死亡者も急激に増加しています。
特に、2021年8月1日くらいから急増しています。
こちらも、人口100万人あたりだと、世界一の増加と思われます。

<イスラエル コロナ 死者数>
で、グーグルで検索すれば、
ジョン・ホプキンス大学の作成したグラフと数値を見ることができます。

このデータをみると、現在流行のデルタ株に対しては、現時点では
新型コロナワクチン(イスラエルはファイザー社)は、ほぼ無効と思われます。
ワクチンで獲得された中和抗体が大幅に減ったためなのか、
はたまた、デルタ株には、そもそもワクチンでできた抗体が無効なのか・・・。

いずれにせよ、<新型コロナワクチン VS 新型コロナウイルス>の闘いにおいて
データを見る限り、残念ながら、ワクチンの負け戦であるのが現状です。

こうなると感染予防には、日本国民一人一人が初心に戻ること、
すなわち、
『三密を避ける、マスク、手洗い、うがい、換気、ソーシャル・ディスタンスを保つ』
などの励行が必要と思います。
特に、対面や隣り合っての会話を伴う会食が大きな感染リスクとなるので
注意が必要です。
マスクなしでの、複数人数のカラオケも勿論NGです。

新型コロナウイルス感染予防対策ですが、
ワクチンが頼りにならないとすれば、
<スーパー糖質制限食実践>で、
<血中ケトン体高値><AGEs蓄積最小限>の二点を確立して
免疫力健常を保つことが、最適の対策だと私は思います。


江部康二
高血糖の記憶とステント。糖質制限食と糖尿病食(高糖質食)。
【21/08/30 S.t
狭心症と低血糖
江部先生こんにちは。
過去に先生のブログから糖質制限を知り助けられた者です。
しかし、それから不摂生がたたり、2度の狭心症手術(ステント留置)を受けて、
現在に至ります。
最近再び、血糖値が9%台になったため、糖質制限で6%台まで戻したのですが、
主治医からは『糖質制限を行うと、確実に低血糖になり、血管にダメージを与えるからやめた方が良い』と言われました。
6%後半で維持している方が良い、とのことでした。
お話では、イギリスの大学で糖質制限により寿命が短くなる、
という結果が出ている、とか。
毎食150g程度のご飯を食べてください、と言われています。
しかし、そう言われると気が緩み、今7%台まで戻しています。
やはり高血糖の記憶がある限り、
急激な糖質制限は心臓疾患には良くないのでしょうか。
江部先生はどうお考えになりますか?
※薬はカナリア、メトグルコ朝夕、高血圧、高脂血症など7種類飲んでおります。】


S.t さん
米国糖尿病学会(ADA)は、
2019年4月のコンセンサス・レポートで、
糖質制限食が最もエビデンスが豊富と明言しました。
このように糖質制限食の有効性・安全性はすでに確立しています。
それ以降の2020年、2021年のADAガイドラインでも、同様の見解です。
現在の米国糖尿病学会CEOトレイシー・ブラウンさん(女性)は、
ご自身が糖尿病であり、スーパー糖質制限食を実践しておられます。
このような米国糖尿病学会の最新の動向をご存じないとしたら
S.t さんの主治医は、残念ながら勉強不足ですね。

「主治医からは『糖質制限を行うと、確実に低血糖になり、血管にダメージを与えるからやめた方が良い』と言われました。」

これは、誤解です。
糖質制限食を実践すると『食後高血糖』『血糖変動幅増大』が最小限となるので、
低血糖を生じる可能性が、激減します。
糖質制限食で達成されたHbA1cは、『食後高血糖』『血糖変動幅増大』が
少ない『質の良いHbA1c』です。

これに対して、糖尿病食(高糖質食)を摂取すると
『食後高血糖』『血糖変動幅増大』を必ず生じます。
従って、低血糖も起こしやすくなります。
つまり糖尿病食で達成されたHbA1cは、
『食後高血糖』『血糖変動幅増大』を伴う『質の悪いHbA1c』であり、
血糖変動幅が大きいため、低血糖も生じやすくなります。

「やはり高血糖の記憶がある限り、
急激な糖質制限は心臓疾患には良くないのでしょうか。」

S.t さんは、2度の狭心症手術(ステント留置)を受けておられますので、
その時点で高血糖の記憶があったと思います。
このようなケースで、糖尿病食(高糖質食)を食べ続けると、
『食後高血糖』『血糖変動幅増大』で酸化ストレスとなり、
新たな高血糖の記憶を引き起こします。
そして、また狭心症を発症して、
3本目、4本目のステントが入る場合が多いです。

糖質制限食なら、『食後高血糖』『血糖変動幅増大』が最小限で、
酸化ストレスも最小限であり、新たな高血糖の記憶は生じません。
従って新たな狭心症を発症する可能性は低いので安心です。

スーパー糖質制限食をキッチリ実践されれば、
質の良いHbA1cで、6%くらの基準値内となり、
カナリア、メトグルコを減量・離脱できる可能性もあります。

S.t さんはステントが2本入っていますので、
定期的に循環器的検査を行っていると思います。
スーパー糖質制限食で、血糖・HbA1cを良好に保ち、
新たな高血糖の記憶が出現していないことも循環器科で確認できるので
ますます安心です。

江部康二