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ストレスと血糖値
こんばんは。
新型コロナウィルス感染症の流行で、
自粛やテレワークを強いられている人が多いです。
私の患者さん達もほとんどの人が、自粛でストレスがたまると仰ってます。

新型コロナ関連のストレスは、
感染への不安、身近な人の死への不安、仕事や解雇への不安、友人と交流できないなど
心理的なストレスがメインと思われます。
あとは、外出が減って運動不足などの生理的なストレスもあります。
運動不足で肥満して内臓脂肪がたまれば、悪玉ホルモンが分泌されて
血圧が上がったり、血栓ができやすくなったりで、化学的ストレスとなります。

つまり、新型コロナ自粛は、
様々な種類のストレスのオンパレード状態を引き起こしてしまう可能性があります。

血糖値は食事、運動、ストレスなどにより変動します。

ストレスは大きく四つにわけることができます。

一番目は、何と言っても心理的ストレスです
死別.離婚.結婚.引っ越しなど人生の大きな出来事、
家庭での母子関係.嫁姑関係、会社や学校や地域での人間関係など
日常的な厄介事、様々な不満.失望.挫折、不安などがあげられれます。
大きくまとめると、これらの心理的ストレスのほぼ全てが
結局人間関係のストレスです


二番目は、生理的ストレスです。
サービス残業などによる過労、睡眠不足、
細菌・ウィルスによる感染などがあります。

三番目は、物理的なストレスです。

 日光、暑さ、寒さ、乾燥、湿気、騒音などです。

四番目は、化学的ストレスです。
 薬物や大気汚染の他、酸素の欠乏や過剰、悪玉ホルモン、栄養不足等です。


人間はこれらのストレスを感じると、
アドレナリン、グルカゴン、副腎皮質ステロイドホルモンといった
抗ストレスホルモンを分泌しますが、
これらのホルモンは血糖値を上げる作用があります。
そのため、食事とは無関係に血糖値が上昇することがあるのです。

例えば入院中の2型糖尿人で、同室者と喧嘩して不眠の日の翌朝、
いつもより50mg/dl近く空腹時血糖値が上昇した方がありました。

また、1型の糖尿人で、コントロール良好だったのが、
生理が始まったとたん100mg/dl血糖値が上昇した女性もおられました。

今の日本でストレスのない仕事などないと思いますので、どう付き合うかですね。

例えば、急ぎの仕事を任されて、とても忙しくて睡眠も不足気味で、
ストレスたっぷりだったけど、上手く処理できて相手先にも喜んでもらえた、
というような展開であれば、
達成感で自己治癒力はぐっと高まる方向になりますから、
まんざらストレスもネガティブな面ばかりではないです。

このように、ストレスを利用して、
ポジティブなエネルギーに替えてしまうことも可能ですから、
視点を切り替えてみるのもいいです。

私は普通のお医者さんよりは、かなり忙しく過ごしています。
(月)~(土)と外来診察があり、病棟の入院患者さんも担当しています。
ブログはほぼ毎日更新していますし、本や雑誌の原稿も書いてます。
講演は日本全国で年間30回くらいこなしています。
忙しいけれど、とりあえず元気ですし、風邪で外来を休んだことも一度もありません。

結局、週末のテニスや月1回のライブで気分転換をして、
ストレス解消してるのでしょうか。
それと適量(?)のお酒もなかなかに、心地よい変性意識状態にしてくれます。

今は、新型コロナ流行のため、2020年3月からはテニスもライブも中止ですが、
まあ、おかげさまで相変わらず元気です。
私の場合、職場も家庭も友人も、全て人間関係が良好なので、
それが、功を奏しているのかなと思っています。


江部康二
スウェーデン方式は成功?失敗?・・・ロックダウンは成功?失敗?
【20/09/29 猫
おはようございます
以前から先生のブログを読んで考えていました。

もしかして、Go To のキャンペーンは、
集団免疫を獲得させるための実験じゃないのかと疑っています。
何せ、国がそれほどお金をかけなくて良い。
お金も回る。
自己責任を感じさせることができる。
BCGの日本株を国民が獲得しているので、
それほどひどくはならないだろうという楽観論。
そしてまた、海外からの人の流入を許可したのも同じような理由なのか? 
などと考えてしまいます。
ただ、本当のところはどうなのでしょうね。
ウイルスとの知恵比べで、
奴等の進化速度は確か人などよりも数百万倍速いという記憶があるのですが、
もしウイルス間干渉より協調を選んだならば、恐ろしいことになりそうですが。】



こんばんは。
猫 さんから、
【・・・Go To のキャンペーンは、
集団免疫を獲得させるための実験じゃないのか疑っています。・・・】

とのコメントを頂きました。

<集団免疫>
スウェーデンが、ロックダウンとか一切せずに、普通の生活を送る政策をとりました。
結果は、当初は、老人施設などで死亡者が他国より増加しました。

しかし、2020年夏には、新規感染者は他国より低く抑えられていました。
「集団免疫作戦」「持続可能な政策」を一貫させた結果、
現時点ではそれが成功しつつあるように見えます。

<ロックダウン>
新型コロナは、感染者の8割はごく軽症か無症状なので、
都市封鎖(ロックダウン)の前にすでに、周囲に感染が広がっている可能性が高いです。
従って理論的には隔離(ロックダウン)の意義は少ないです。
まあ現実には、発熱・症状がある人は、
自宅待機か高齢者や持病がある人は入院となりますが・・・

日本でも、新型コロナ第一号患者は、2020年1月ですが、
その前から中国から大量の観光客が新型コロナウィルスと共に、日本に来ていて、
2月から3月初めまで、大量の観光客は続いていました。
従って、日本人の多くは、自粛要請とかロックダウンとかは関係なく、
とっくに新型コロナに感染していたけれど
軽症か無症状の人がほとんどであった可能性が高いと思われます。

欧米に比し軽症・無症状がほとんどだったのは、BCGワクチン摂取も含めて
自然免疫力が欧米人より高かったことが大きいと思います。


つまり日本人は、
『中国からの大量の観光客のおかげ?』
で、
知らないうちに集団免疫を獲得していた可能性が高いのです。


なお、郊外など隔離された環境にある高齢者の施設は、
集団免疫を獲得していない可能性があるので注意が必要です。

<ウィルス間の干渉>
ウィルス間の干渉は、マウスでは明らかなようですが、
人間では確認されているわけではありませんので、
「ウィルス間干渉、新型コロナウィルスVSインフルエンザウィルス」
というのは、あくまでも『仮説』です。
一方、仮説ではありますが、
他に『南半球の冬のインフルエンザシーズンに罹患者がゼロレベル』であった
という事実を説明できる理論はないと思います。

なお、ご指摘通り、
インフルウィルスやコロナウィルスは、RNAウィルスで大変、変異しやすいです。
インフルウィルスは、人の1000倍の確率で変異するそうです。

しかしウィルス間の干渉は、ウィルス同士の本能のようなものであり、
変異したとしても、協調は考えにくいですね。


江部康二
ウィルス間干渉、新型コロナウィルスVSインフルエンザウィルス。
こんにちは。
本日は、
『ウィルス間干渉、新型コロナウィルスVSインフルエンザウィルス』
と題しての再考察です。

厚生労働省によれば
2020年9月14日~9月20日までで
日本全国のインフルエンザ患者の報告数は4名です。
2019年の同期のインフルエンザ罹患数は、5716名です。
https://www.mhlw.go.jp/content/000675937.pdf

計算すると、1429分の一となり
やはり、去年の1000分の1以下です。

2020年9月7日~9月13日のインフルエンザ罹患数と同様に
極端に低い数字です。
驚きのデータですが、理由はあるはずです。

このようなデータが続くとなると
新型コロナウィルスによる「ウィルス間干渉」
が、最も説得力のある理由のように思えます。
つまり現在の日本においては、
新型コロナウィルスが先に出張って感染して縄張りを主張しているので、
そこにインフルエンザウィルスが入り込めない状況ということです。

この「ウィルス間干渉仮説」が、正しいなら
最近、マスコミがおおいに煽っている
『今年の冬は<新型コロナ+インフルエンザ>のダブル感染で大変なことになる』
というのは、単なるデマということになります。

南半球の冬のインフルエンザシーズン(2020年7月~8月)では、
「例年に比し極端にインフルエンザ罹患数が少なかった」という事実には言及せずに、
「<新型コロナ+インフルエンザ>のダブル感染がこわい」と騒いでいる人達に対して、
私などはインフルエンザワクチン会社の回し者か?などと勘ぐってしまいます。

マスコミに登場する専門家の医師達も、
南半球の冬のインフルエンザシーズン(2020年7月~8月)に、
「インフルエンザ罹患者が、ほぼ皆無であった」という現実をしっかり見つめて考察した上で
発言して欲しいと思います。

私は日本において、2020年11月~2011年3月のインフルエンザ流行は
ほとんど生じない可能性が高いと思います。

「ウィルス間干渉、新型コロナウィルスVSインフルエンザウィルス」に関しては
以下の2020年09月14日 (月)の本ブログ記事を
ご参照頂ければ、幸いです。


☆☆☆
【希望?】この冬の南半球で、
インフルエンザになる人がビックリするほど少なかったことが判明
市川衛 | 医療の「翻訳家」2020/9/11(金)

https://news.yahoo.co.jp/byline/mamoruichikawa/20200911-00197625/

2020年09月14日 (月)


こんにちは。
2020/9/11(金)のヤフーニュースに、
上記の記事が掲載されました。

オーストラリアや南アフリカなど南半球の国々で、
この冬、インフルエンザの流行が記録的に少なかったということです。

オーストラリア保健省は、新型コロナ対策の、
・適切なマスク着用
・3密を避ける
・帰宅時などに手を洗う

の励行が、インフルエンザの発症予防に役立った可能性を指摘しています。
https://news.yahoo.co.jp/byline/mamoruichikawa/20200911-00197625/

グラフをみれば明らかなように、
2019年のオーストラリアのインフルエンザの流行は7月にピークがあり、
ほぼ例年通りの感染者数であったと思われます。、
これに対して2020年は、ピークどころか、
4月からほとんど感染者数ゼロが続いています。
インフルエンザの検査は多く行われているのに、
ほとんど検出されていないわけですから、
流行は本当に起きていない可能性が高いです。

私も新型コロナ対策が一定ていど奏功した可能性はあると思います。
しかし新型コロナウィルスに感染している人はそこそこいるわけですから
インフルエンザだけが感染ゼロというのは、
コロナ対策奏功だけでは説明がつかないと思います。

さて、ウィルス間干渉という現象があります。(☆)
1個の細胞に複数のウイルスが感染したときに
一方あるいはその両方の増殖が抑制される現象です。
あくまでも仮説ですが、今回の新型コロナ流行とインフルエンザ激減に関して、
端的に言ってこのウィルス間の干渉が生じた可能性があります。
https://news.yahoo.co.jp/byline/mamoruichikawa/20200911-00197625/

A)2020年7月中旬から8月初旬にかけて
オーストラリアの新型コロナがピークになった。
新型コロナウィルスによるウィルス干渉により、
インフルエンザが激減したと考えられる。

B)2020年7月初旬から8月初旬にかけて
南アフリカの新型コロナがピークになった。
新型コロナウィルスによるウィルス干渉により、
インフルエンザが激減したと考えられる。

C)2020年5月初旬から8月初旬にかけて
チリの新型コロナが流行した。
新型コロナウィルスによるウィルス干渉により、
インフルエンザが激減したと考えられる。


国民性からみて、少なくとも、南アフリカやチリの人々が、
「手洗い励行、マスク着用、三密回避」を励行したとは、考えにくいです。
また、オーストラリアも、
日本ほど「手洗い励行、マスク着用、三密回避」を励行しているとは思えません。

さらに日本においても、
D)2019年から2020年度のインフルエンザ感染者数が、例年に比べて激減した。
 この現象も新型コロナウィルスによるウィルス干渉のためと考えられる。

 インフルエンザ感染者数は、1月の第4週あたりがピークですが
 2020年度の患者数は例年の1/4~1/6です。
 新型コロナの日本初の感染者報告は、2020年1月16日ですが、症状がないか軽い人が8割ですから、
 もう少し前から日本に上陸していた可能性が高いです。
 従って、今冬のインフルエンザ激減に関しても、
 ウィルス間の干渉によって説明できると思います。

<結論>
A)B)C)D)を考慮すると、新型コロナが流行している限りは、
日本において、2020年11月~2011年3月のインフルエンザ流行は
ほとんど生じない可能性が高いと思います。

(☆)ウィキペディア
ウイルス学における干渉(かんしょう、interference)とは
1個の細胞に複数のウイルスが感染したときに
一方あるいはその両方の増殖が抑制される現象。
干渉の機構として、一方のウイルスが吸着に必要なレセプターを占領あるいは破壊してしまうために
他方のウイルスが吸着することができなくなる、
増殖に必要な成分が一方に利用され、他方が利用できない、
一方が他方の増殖を阻害する因子を放出するなどの異種ウイルス間の干渉現象のほか、
同種ウイルス間で欠陥干渉粒子(DI粒子)による増殖の阻害、
インターフェロンによる増殖の抑制がある。


江部康二


「メタボレスラボ」さん、「パンブエノ」さんのご紹介。
こんばんは。

「メタボレスラボ」さん、「パンブエノ」さん
ご紹介です。
メタボレスラボ https://metaboless-labo.stores.jp/items/5d95463bbc45ac211708bdd8
パンブエノ http://picpanzee.com/panbueno.0501


メタボレスラボさんは、こうじ江部粉を発売しておられます。  
江部粉専門のベーカリーPan bueno(パンブエノ)さんが
糖質制限な『こうじ江部粉パン』を作っておられます。
プレーン、シナモン、クルミ、抹茶クリームチーズ、
ハリネズミチョコチョコ、ジャックオーランタンなどの
様々なこうじ江部粉パンを販売中です。
さらに新作の糖質制限パンもどんどん登場のようです。血糖値上昇ほとんどなしなのは私が実験で確認済みです。
また美味しさも私が保証致します。読者の皆さん、是非一度お運びあれ。

こうじ江部粉の命名は、
『江部こうじ』と『紅こうじ』『米こうじ』
を掛け合わせて誕生したそうです。
 
『京都江部粉』『こうじ江部粉』
はいずれも、研究開発段階で、私が自己測定器で血糖値を何度も何度も検査して、
調整を重ねて、やっと完成にこぎつけた珠玉の逸品です。
まさに血と汗と涙の一品です。
 
糖質制限なパンが、簡単に作成できます。
日本全国の糖質セイゲニストでパン好きの方々、
是非一度、お試しあれ。
 
 
江部康二
 
 
☆☆☆
以下は
メタボレスラボさんからの紹介文です。
 
【メタボレスラボは「こうじ江部粉」を販売しています。
こうじ江部粉は、高雄病院の江部康二先生にご監修いただいた京都江部粉をベースに、
紅麹と米麹をミックスして作られた糖質セイゲニストのためのミックス粉です。
 
特長は下記のとおりです。
こうじ江部粉を使用すると、糖質を抑えた食物繊維たっぷりのパン、
お菓子を作ることができます。
こうじ江部粉に含まれている糖質量は100gあたり11.0g(エリスリトールを除く)、
食物繊維量は23.4gです。
パンにすると、糖質量は100gあたり約5.8g(エリスリトールを除く)で、
一般的なロールパンに比べると糖質は
88%もカットされ、食物繊維量は12.3gで約6倍にもなります。
 
こうじ江部粉は癖の強いふすま、大豆粉を使用しておりませんので食べやすく、
こんにゃく配合により、パンにモチモチした食感を与えます。
 
こうじ江部粉には2種類の麹を配合しております。
米麹はパン生地のソフト化と、ほのかに甘い香り(発酵香)の付与が期待できます。
紅麹はモナコリンK、GABAを含み、健康食品素材として注目されております。
紅麹配合により、うっすらとかわいい色がつきます。
是非一度、癖になる不思議な味覚と食感をお楽しみください!】

漢方薬と民間薬の違い
こんばんは。
今回は、「漢方薬と民間薬の違い」のお話です。

2020年09月24日 (木)の本ブログ記事「漢方薬のルーツ」で
漢方の処方が完成されていく過程を想像してみました。
すなわち漢方は、生薬の組み合わせの妙が命です。

これに対して、民間薬は基本的に一味で、百人の患者さんがきても、
様々な種類の病気であっても、ワンパターンで対応するのが特徴です。

かつて一世を風靡した紅茶キノコは何処へ?と思っていたら、
次はヨーグルトきのこの登場。
シジウム茶にアロエジュースにプロポリス・・・。
すべてワンパターンですね。

これらの中で、例えばアロエは漢方藥でもあり、便通をよくし、
体の熱をとる作用をもっています。
暑がりで便秘ぎみの人にはそれなりに結構な薬なのですが、
冷え性で下痢しやすい人が飲んだら、ますます悪化することになります。

またヨーグルトきのこは、寒い乾燥したコーカサス地方の伝統的な飲み物です。
日本のような高温多湿の環境で家庭で気軽に育てれば、
雑菌やカビなど何が生えてくるやら保証のかぎりではありません。

てなわけで、やはりワンパターンで万病に効くような結構な代物はありません。

その点漢方は、一人一人の症状.病態に応じてテーラーメードの処方がでます。

個々の生薬には、熱や炎症や腫れなどをとる対症療法的なものと、
気・血の流れを整えて自己治癒力を高めるようなものがあります。

これらを上手に組み合わせて効果が出やすく副作用がでにくいよう
にするのが漢方医の腕の見せ所といえます。


江部康二
人体のエネルギー源、「脂肪酸-ケトン体」「ブドウ糖-グリコーゲン」
【20/09/25 まるお
ケトン食のギモン
江部先生こんにちは。
ワタシは予備軍くらいのもので(BMI27、a1c6.2)自己管理で糖質制限やケトン食を取り入れようと思い、こちらやネットで情報収集していたのですが、いわゆるケトーシス状態で理解不能な事が生じましたので先生に教えをいただければと思いこちらへと投稿させていただきました。
糖質がカットされる事によりオキザロ酢酸が不足してクレブス回路でのアセチルCOAの利用が滞って余ったアセチルCOAから肝臓でケトン体を生成し、それらが脳や他の臓器で利用…というのまでは理解できたのですが、
例えば脳関門を越えたのちアセチルCOAに戻されてクレブス回路で使わおうとしてもそもそもそこでもオキザロ酢酸が不足していて回路に入ったアセチルCOAからの反応が進まないのでは?という疑問です。
ケトン食でも少量の糖質は取りますが、これらの糖質を減らし過ぎますと上記の理由でエネルギー不足になるなどのデメリットがあるのでしょうか?

過体重の為ケトン食で速やかに減量しようと思うのですが、いまいち機序が出来ず、糖質制限でのんびりと落とすしかないなかな…と頭を悩ませてるいるところですが、先生著書の糖質制限革命にもケトン食の可能性にも触れられていますし、こちらにも紹介されていた大阪大学での癌患者への有効性などを拝見し是非取り入れたいなとおもっています。
間違ってるところも多々かもしれませんが宜しくご教授願います。】



こんにちは。
まるおさんから、ケトン体やケトン食について、コメント・質問を頂きました。

まず、知っておきたい重要なことは、
全ての人類において、糖質摂取の有無にかかわらず、
空腹時や睡眠時は、「脂肪酸-ケトン体」が主要なエネルギー源であるということです。

つまり、「脂肪酸-ケトン体」エネルギーシステムは、特殊なものではなく
全人類で日常的に利用されているエネルギーシステムなのです。

繰り返しますが、
普通にパンやご飯を食べている人においても(糖質カットしていなくても)
空腹時や睡眠時は「脂肪酸-ケトン体」エネルギーシステム
が主たるエネルギーシステムとして働いているのです。
糖質を摂取している場合は、食事開始から2時間は
食事由来の糖質をエネルギー源として利用し
その後肝臓のグリコーゲン分解で血糖値を維持し、
数時間後には、肝臓の糖新生で血糖値を維持するようになります。
この数時間後(空腹時)には、前述の如く
「脂肪酸-ケトン体」エネルギーシステムが身体の主たるエネルギーシステムとなります。

糖質制限食の場合は、食事を開始したあとも、血糖値の上昇が最小限なので
「脂肪酸-ケトン体」エネルギーシステムが稼働しています。
つまり、ステーキを食べている最中にも脂肪が燃えています。

さて、人体のエネルギー源のお話しを続けます。
細胞が生きていくには、エネルギー源が必要です。
今日のお話しは基本的に論争の余地のない、生理学的事実が中心です。
少し面倒くさいですが、この人体のエネルギーシステムのことがあるていどわかったら、
糖質制限食のことも含めて、常識の壁を越えるきっかけとなると思います。
糖新生のことも説明したいと思います。


人体にはエネルギー源として、

1)「脂肪酸-ケトン体のシステム」


と、

2)「ブドウ糖-グリコーゲンのシステム」

があります。

<人体のエネルギー源Ⅰ:脂肪酸-ケトン体システム>

①脳はケトン体(脂肪酸の代謝産物)をいつでも利用できる。
②心筋・骨格筋など多くの体細胞は日常生活では脂肪酸-ケトン体が主エネルギー源であり、人体を自動車に例えるならガソリンの代わりは脂質である。
③赤血球を除く全ての細胞はミトコンドリアを持っているので、脂肪酸-ケトン体エネルギーシステムを利用できる。
④糖質制限食実践中や絶食中の血中ケトン体上昇は、インスリン作用が保たれており生理的なもので病的ではない。農耕開始前の人類は皆そうであった。
⑤備蓄の体脂肪は大量にあるエネルギー源で、体重50kg、体脂肪率20%の成人なら
 10kgで90000キロカロリーあり、水だけで2ヶ月生存できる。
⑥肝臓はケトン体を、脂肪酸から生成するが、自分では利用せずに、他の組織に供給。



<人体のエネルギー源Ⅱ:ブドウ糖-グリコーゲンシステム>


①人体で赤血球だけはミトコンドリアがないのでブドウ糖しか利用できない。
②日常生活でブドウ糖を主エネルギー源として利用しているのは赤血球・脳・網膜など。
③ブドウ糖-グリコーゲンエネルギーシステムの本質は
 「常に赤血球の、唯一のエネルギー源」
 「筋肉が収縮したときのエネルギー源」→緊急時のターボエンジン
 「血糖値が上昇しインスリンが追加分泌された時、筋肉・脂肪細胞のエネルギー源」
 「日常生活では脳・網膜・生殖腺胚上皮など特殊部位の主エネルギー源」
④備蓄グリコーゲンは極めて少量で、成人で約250gていどである。
 約1000キロカロリーしかなく、強度の高い運動なら1~2時間で枯渇してしまう。



ここで大切なことは、日常生活では、骨格筋・心筋を始めほとんどの体細胞は、
主エネルギー源として、備蓄がたっぷりある「脂肪酸-ケトン体システム」を利用しているということです。

即ち、人体を自動車に例えれば、ガソリンの代わりは脂肪酸-ケトン体であり、
決してブドウ糖-グリコーゲンではありません。

例えば、心筋がブドウ糖を主たるエネルギー源として利用したりしたら、
グリコーゲンの備蓄は約250gしかないので、
いつ枯渇して止まるかもしれませんね。

日常生活で、ブドウ糖をエネルギー源としているのは、
「赤血球・脳・網膜・生殖腺胚上皮」といった特殊な細胞だけです。

糖質制限食実践中は脂肪酸-ケトン体を主たるエネルギー源として、
しっかり利用しているので、エネルギー不足には決してなりません。
人類700万年の歴史の内、農耕開始前は
人類皆糖質制限食だったことをお忘れなく。

糖質を摂取したときは、血糖値が上昇し追加分泌のインスリンが出て、
筋肉でブドウ糖を利用させます。
食物吸収が終了した直後には、肝臓のグリコーゲン分解が、
循環血液中に入るブドウ糖の主要な供給源です。
食後数時間が経過し、絶食状態が持続すると、
ブドウ糖の供給源は、肝のグリコーゲン分解から糖新生に切り替わります。
食後この時間帯になると筋肉や体細胞のほとんどは、
「脂肪酸-ケトン体のシステム」をエネルギー源として利用するようになります。

<糖新生>
肝臓の糖新生は、ブドウ糖しか利用できない「赤血球」などのために、
最低限の血糖値を確保するために日常的に行われています。
ですから、人類の700万年の歴史において、
ごく普通に日常的に毎日、肝臓の糖新生は行われてきたわけで、
珍しいことでも何でもありません。

肝臓の糖新生は、脂肪酸の代謝産物のグリセロール、
筋肉から供給されるアミノ酸(アラニン、グルタニン)、
ブドウ糖代謝の産物の乳酸などから行われます。
肝臓は筋肉由来のアミノ酸などから日常的に糖新生を行っていますが、
筋肉ではタンパク質の分解と合成が毎日行われています。

①脂肪組織→グリセロール(脂肪酸の分解物)や脂肪酸→肝臓→糖新生→脂肪組織・筋肉
②筋肉→アミノ酸→肝臓→糖新生→筋肉・脂肪組織
③ブドウ糖代謝→乳酸→肝臓→糖新生→筋肉・脂肪組織

①②③はごく日常的に人体で行われており、
肝臓、筋肉、脂肪組織の間で行ったり来たりしながら、
日々糖新生の調節が行われているわけです

700万年間の人類の歴史の中で農耕前の狩猟・採集時代は、
糖質制限食を摂取しているか、空腹や絶食や飢餓が日常的でしたので、
肝臓は毎日、今以上に糖新生を行い、
よく働いてきたしそれだけのキャパシティーを持っているということですね。

糖質制限食実践中は、脂肪酸-ケトン体エネルギー源がたっぷり利用できますので、
決してエネルギー不足にはなりません。
糖質制限食の場合は、食事からのブドウ糖供給が極めて少ないので、
食事中でも、肝臓の糖新生は行われています。
肝臓の糖新生は脂肪を燃やして賄われて結構エネルギーを消費するので
痩せやすいのです。

なお肝臓の糖新生は、人体全体のエネルギー源を確保しているのではありません。
ブドウ糖しか利用できない「赤血球」という特殊な細胞と、
日常的にブドウ糖を利用している脳や網膜などのために、
最低限の血糖値を確保しているのです。


<タンパク質>

次に三大栄養素のうちタンパク質は、
エネルギー源として使われることはありえますが、基本的に少ないです。
タンパク質は、主として人体の組織の材料として使われています。

適切なエネルギー源が確保されていれば、
食事から摂取したタンパク質(アミノ酸)は、
人体に吸収されて組織のタンパク質合成に使われます。

タンパク質を主たるエネルギー源として使われざるを得ないときは、
例えば「飢餓→絶食」が続いたときなどです。
体内の糖質、脂質をエネルギー源として使い果たした後は、
やむを得ず筋肉細胞のタンパク質を主たるエネルギー源として使いますが、こ
れは死の一歩手前です。


江部康二
漢方薬のルーツ
こんばんは。
高雄病院は健康保険適用で、
漢方生薬、漢方エキス剤などを処方できる病院です。
健康保険内で漢方生薬を処方できる病院は、日本でも数少ないと思います。
漢方生薬ですが、病気によっては、
まれに保険外の生薬を処方することもあります。

さて今回は、漢方薬ののルーツのお話です。
漢方薬が薬として成り立つまでには、
昔の中国の人々の様々な苦労があったことでしょう。

一般に民間薬の場合は、「ドクダミ健康法」とか「ハトムギ健康法」とか、
一種類の生薬だけで、どんな症状にも有効という、アバウトなイメージです。
しかしワンパターンなので、害もないけれど
そんなに良く効くという印象はないことがほとんどです、

一方、漢方処方の場合は、民間薬のワンパターンに対して、
生薬を組み合わせて処方することで、
薬効を高めいろんな病態に適合させて有効性を高めています。

さてそれでは漢方薬のルーツと題して、古代中国に想像力を馳せてみます。

中国古代伝説中の三皇帝の一人に神農がいます。
外観は人間ですが頭には神のシンボルである二つの知恵コブがありました。
民に農耕を教えたことから神農と呼ばれるようになりました。
また神農は百草(多種類の生薬)を服用して薬効を確かめていたために、
一日に70もの毒に遇ったそうです。
そして医薬の始祖として古くから医家に祭られていました。

神農は神様なので毒で死なずにすんだようですが、
結構危ない目に遭った人もいたようです。
それではここで古代中国のとある架空の村にタイムスリップしてます。

ある日、村長の劉備さんが風邪をひいて、麻黄という生薬を飲んでみました。
でも効果がないので、物知りの孔明さんに聞いて
桂皮と併せて服用してみるとうまく汗がでて、
風邪の症状がスッと楽になりました。

これを聞いた隣村の曹操さんが風邪をひいた時この二味を服用した
ところ、汗が出て、また汗が出て、さらに汗がでて、とうとうショ
ックみたいになって、家人は大騒ぎでした。

「こりゃ、まずいな」と反省した孔明さんは、
この二つの生薬に甘草を加えて汗が出すぎないように一工夫。
さらに咳止めの杏仁を入れて、
麻黄湯(麻黄、杏仁、桂皮、甘草)という
四味のバランスのとれた処方が完成しました。

とまあこんな感じで、先人の経験や犠牲のもと、効果が出やすくて、
副作用がでにくい漢方生薬の組み合わせが蓄積されていったものと考えられます。

この組み合わせの妙が、一味でワンパターンの民間薬と違うところで、
漢方薬最大の特徴で長所といえます。

江部康二



医療従事者対象のオンラインセミナー開催のご案内。10月4日(日)。
こんにちは。
2020年10月4日(日)、
医療従事者の方を対象にオンラインセミナーを開催いたします。
4月5日東京での開催を中止としましたセミナーをこのたび、
オンラインで催すことといたしました。

日時:2020年10月4日(日)12:30~17:00頃

内容:
◇第1部:「糖質制限食による糖尿病指導① ~高雄病院の食事と栄養指導」
 講師: 橋本 眞由美 管理栄養士 / (一財)高雄病院 栄養科長

◇第2部:「糖質制限食による糖尿病指導② ~理論と臨床」 13:20頃~
 講師: 江部康二 医師 
    (一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長

◇第3部: 「発表・討議」 15:15頃~
・『糖質制限による糖尿病治療の導入法(外来で糖質制限による糖尿病治療の実際)』
 佐藤 信昭 医師 / 茅ヶ崎徳洲会病院(神奈川)  副院長(内科)
・『コメ消費大国カンボジアにおける糖質制限指導の苦労』
 奥澤 健 医師 / ケンクリニック(カンボジア) 院長
・『外来での2型糖尿病に対する中等度糖質制限食と筋力トレーニングの組み合わせの効果について』
 宇佐見 啓治 医師 / うさみ内科(福島) 院長
・『糖質制限+たんぱく強化食による産後うつの栄養学的管理』
 林 美穂 管理栄養士 / 宗田マタニティクリニック(千葉)
・『耐糖能低下を合併する消化器癌患者に対する術前術後糖質制限輸液の経験』
 村上 博史 医師 / 西部総合病院(埼玉) 外科

*第3部は、発表10分・討議7分ずつを予定しております。


江部康二、事務局、各講師は、東京の広い会議室に
まばらに、座って、Zoomで対応します。
初めての試みですが、プロカメラマンによるテクニカルサポートを受けますので、
きっと大丈夫と思います。

発表・討議は私が司会を務めさせて頂きます。
活発な討議ができればいいなと思っています。
ブログ読者の医療関係者の皆様、是非ご参加頂ければ幸いです。

江部康二


☆☆☆
以下事務局からのお知らせです。

***********

ブログ読者の皆様、いつも弊会のイベントへ多数ご参加いただきましてありがとうございます。

2020年10月4日(日)、医療従事者の方を対象にオンラインセミナーを開催いたします。

4月5日東京での開催を中止としましたセミナーをこのたび、オンラインで催すことといたしました。

第1部は高雄病院の橋本眞由美
管理栄養士による講義で、高雄病院の糖質制限食と栄養指導について、症例も交えてお話しいたします。

第2部は理事長による講義で、糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論や臨床例について解説いたします。

第3部は発表・討議で、医師と管理栄養士、5名の方々に発表いただき、
ディスカッションを行います。

医療従事者向けセミナーは、医療機関での糖質制限食指導の普及促進、ブラッシュアップ、発展を目指して2013年より開催しております。

2019年3月のセミナー(東京)より、臨床で糖質制限を採り入れておられる医療従事者の方々に発表いただき、指導法や症例などの共有、意見交換をしていただく「発表・討議」の時間を設け、参加いただいた方から、大変参考になる、刺激になった等ご好評いただいております。

今回もバラエティに富んだテーマにて発表エントリーいただきました。

医療従事者の皆様のご参加を心よりお待ちしております。

*セミナー情報URL:http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity

//////////////ご案内/////////////////

日本糖質制限医療推進協会主催<オンラインセミナー>
 「医療従事者向け糖質制限食セミナー」

■日時:2020年10月4日(日)12:30~17:00頃

​■内容:

◇第1部:「糖質制限食による糖尿病指導① ~高雄病院の食事と栄養指導」

 講師: 橋本 眞由美 管理栄養士 / (一財)高雄病院 栄養科長

◇第2部:「糖質制限食による糖尿病指導② ~理論と臨床」 13:20頃~

 講師: 江部康二 医師 
    (一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長

◇第3部: 「発表・討議」 15:15頃~

・『糖質制限による糖尿病治療の導入法(外来で糖質制限による糖尿病治療の実際)』
 佐藤 信昭 医師 / 茅ヶ崎徳洲会病院(神奈川)  副院長(内科)

・『コメ消費大国カンボジアにおける糖質制限指導の苦労』
 奥澤 健 医師 / ケンクリニック(カンボジア) 院長

・『外来での2型糖尿病に対する中等度糖質制限食と筋力トレーニングの組み合わせの効果について』
 宇佐見 啓治 医師 / うさみ内科(福島) 院長

・『糖質制限+たんぱく強化食による産後うつの栄養学的管理』
 林 美穂 管理栄養士 / 宗田マタニティクリニック(千葉)

・『耐糖能低下を合併する消化器癌患者に対する術前術後糖質制限輸液の経験』
 村上 博史 医師 / 西部総合病院(埼玉) 外科

*第3部は、発表10分・討議7分ずつを予定しております。

■対象:

医療従事者の方(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、理学療法士、鍼灸師など)

■受講費:

・医師・歯科医師の方: 賛助会員 6,400円 / 一般(会員以外) 8,000円

・上記以外の医療従事者の方: 賛助会員 4,400円 / 一般(会員以外) 5,500円

<補足・ご案内>

*Zoomを使用したオンラインセミナーです。

・スマートフォンでもご参加可能ですが、スライド資料をご覧いただくために、パソコンかタブレット端末でご参加いただくことを推奨いたします。

・事前に招待URLをお送りし、当日はそのURLにアクセスしていただき、オンライン受講(参加)していただくかたちとなります。

・当日までにZoomのインストールを済ませていただくことを推奨いたします。

・詳細はご予約後にご案内申し上げます。

・挙手機能を使用して、オンラインでの質疑応答、討議も予定しております。

*第1部・第2部の映写資料データ(PDF)を後日ダウンロードしていただけます。

*当日のセミナー動画は、後日一定期間ご覧いただけます。(セミナー参加者様限定)

■お支払い方法:クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。

※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。

■お申し込みの流れ:

1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込み下さい。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。

■お申し込み方法:

★賛助会員の方:事務局へメールにて、医療機関でのご職種をご記入の上、お申し込み下さい。

★賛助会員入会をご希望の方:

1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up

2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
 「通信」欄に以下をご記入下さい。
 ① 「10/4オンラインセミナー、参加希望」 とご記入下さい。
 ② 医療機関でのご職種をご記入下さい。
 http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact

★一般(会員以外)で、セミナーの受講のみご希望の方:

下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-med

■その他:

・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは10月2日(金)までに事務局までご連絡願います。それ以降のご返金は対応致しかねますので予めご了承下さい。

インフルエンザ患者報告数が2019年同期に比し、激減。ウィルス間干渉か。
【イナガキ
少し前の話題 インフル
江部先生

今月のインフル患者、
例年の千分の一らしいです。

やはり、
今年の冬は異例の結果になりそう。】


こんにちは。
イナガキさんから、
今月のインフル患者、例年の千分の一という情報をコメント頂きました。
ありがとうございます。
早速、調べてみました。

厚生労働省の
インフルエンザ発生状況について
2020年9月18日
https://www.mhlw.go.jp/content/000673572.pdf
インフルエンザ定点当たり報告数・都道府県別


厚生労働省によれば、
2020年9月7日~9月13日の
インフルエンザ患者の報告数は
日本全国で4人です。
2019年同期のインフルエンザ患者報告数は5738人です。
計算すると、1435分の一となり
なんと、去年の1000分の1以下です。

驚きのデータですが、理由はあるはずです。
あくまでも仮説ではありますが
新型コロナウィルスによる「ウィルス間干渉」
が、最もわかりやすい理由のように思えます。

この「ウィルス間干渉仮説」が、正しいなら
今、マスコミがおおいに煽っている
『今年の冬は<新型コロナ+インフルエンザ>のダブル感染で大変なことになる』
というのは、単なるデマということになります。

南半球のインフルエンザシーズン(7~8月の冬)では、
「例年に比し極端にインフルエンザ罹患数が少なかった」という事実には言及せずに、
「<新型コロナ+インフルエンザ>のダブル感染がこわい」と騒いでいる人達に対して、
私などはワクチン会社の回し者か?などと勘ぐってしまいます。

「ウィルス干渉とインフルエンザと新型コロナ」に関しては
以下の2020年09月14日 (月)の本ブログ記事を
ご参照頂ければ、幸いです。


☆☆☆
【希望?】この冬の南半球で、
インフルエンザになる人がビックリするほど少なかったことが判明
市川衛 | 医療の「翻訳家」2020/9/11(金)

https://news.yahoo.co.jp/byline/mamoruichikawa/20200911-00197625/

2020年09月14日 (月)


こんにちは。
2020/9/11(金)のヤフーニュースに、
上記の記事が掲載されました。

オーストラリアや南アフリカなど南半球の国々で、
この冬、インフルエンザの流行が記録的に少なかったということです。

オーストラリア保健省は、新型コロナ対策の、
・適切なマスク着用
・3密を避ける
・帰宅時などに手を洗う

の励行が、インフルエンザの発症予防に役立った可能性を指摘しています。
https://news.yahoo.co.jp/byline/mamoruichikawa/20200911-00197625/

グラフをみれば明らかなように、
2019年のオーストラリアのインフルエンザの流行は7月にピークがあり、
ほぼ例年通りの感染者数であったと思われます。、
これに対して2020年は、ピークどころか、
4月からほとんど感染者数ゼロが続いています。
インフルエンザの検査は多く行われているのに、
ほとんど検出されていないわけですから、
流行は本当に起きていない可能性が高いです。

私も新型コロナ対策が一定ていど奏功した可能性はあると思います。
しかし新型コロナウィルスに感染している人はそこそこいるわけですから
インフルエンザだけが感染ゼロというのは、
コロナ対策奏功だけでは説明がつかないと思います。

さて、ウィルス間の干渉という現象があります。(☆)
1個の細胞に複数のウイルスが感染したときに
一方あるいはその両方の増殖が抑制される現象です。
あくまでも仮説ですが、今回の新型コロナ流行とインフルエンザ激減に関して、
端的に言ってこのウィルス間の干渉が生じた可能性があります。
https://news.yahoo.co.jp/byline/mamoruichikawa/20200911-00197625/

A)2020年7月中旬から8月初旬にかけて
オーストラリアの新型コロナがピークになった。
新型コロナウィルスによるウィルス干渉により、
インフルエンザが激減したと考えられる。

B)2020年7月初旬から8月初旬にかけて
南アフリカの新型コロナがピークになった。
新型コロナウィルスによるウィルス干渉により、
インフルエンザが激減したと考えられる。

C)2020年5月初旬から8月初旬にかけて
チリの新型コロナが流行した。
新型コロナウィルスによるウィルス干渉により、
インフルエンザが激減したと考えられる。


国民性からみて、少なくとも、南アフリカやチリの人々が、
「手洗い励行、マスク着用、三密回避」を励行したとは、考えにくいです。
また、オーストラリアも、
日本ほど「手洗い励行、マスク着用、三密回避」を励行しているとは思えません。

さらに日本においても、
D)2019年から2020年度のインフルエンザ感染者数が、例年に比べて激減した。
 この現象も新型コロナウィルスによるウィルス干渉のためと考えられる。

 インフルエンザ感染者数は、1月の第4週あたりがピークですが
 2020年度の患者数は例年の1/4~1/6です。
 新型コロナの日本初の感染者報告は、2020年1月16日ですが、症状がないか軽い人が8割ですから、
 もう少し前から日本に上陸していた可能性が高いです。
 従って、今冬のインフルエンザ激減に関しても、
 ウィルス間の干渉によって説明できると思います。

<結論>
A)B)C)D)を考慮すると、新型コロナが流行している限りは、
日本において、2020年11月~2011年3月のインフルエンザ流行は
ほとんど生じない可能性が高いと思います。

(☆)ウィキペディア
ウイルス学における干渉(かんしょう、interference)とは
1個の細胞に複数のウイルスが感染したときに
一方あるいはその両方の増殖が抑制される現象。
干渉の機構として、一方のウイルスが吸着に必要なレセプターを占領あるいは破壊してしまうために
他方のウイルスが吸着することができなくなる、
増殖に必要な成分が一方に利用され、他方が利用できない、
一方が他方の増殖を阻害する因子を放出するなどの異種ウイルス間の干渉現象のほか、
同種ウイルス間で欠陥干渉粒子(DI粒子)による増殖の阻害、
インターフェロンによる増殖の抑制がある。


江部康二


オリゴ糖(少糖類)とは?血糖値の上昇は?
【20/09/19 よよ

こんばんは。いつも読ませいただきとても勉強になります。
糖質制限もずっと続けています。
この度は糖類のことをお聞きしたいのですが、私はラカントを使っていますが、
ビートオリゴ糖は糖尿病でも使えるという記事を読みました。
大丈夫でしょうか。】


こんばんは。
よよさんから、ビートオリゴ糖について
コメント・質問を頂きました。
今回は、オリゴ糖について、考えてみます。

オリゴ糖は、少糖類と呼ばれることもあります。
オリゴとは少ないという意味です。

明確な定義はないのですが、一般には、
単糖類が3~20分子縮合して1分子になったものをオリゴ糖と言います。(☆)

ラフィノース (ビートオリゴ糖) は、天然に存在するオリゴ糖の1種で、
主にビートから抽出して精製されますが、
キャベツ、ブロッコリー、アスパラガスなど植物に広く含まれています。
ラフィノースそのものは、ほとんど消化されませんが、吸収がゼロではありません。
エネルギー換算係数は2kcal/g です。
ブドウ糖のエネルギー換算係数は4kcal/gです。

商品として発売されている「ビートオリゴ糖」の多くは、
天然ビートオリゴ糖(学名:ラフィノース)を含んでいますが、
ショ糖や糖類も多く含まれていますので、
糖質制限的には、NG食材の場合が多いです。
例えばあるメーカーの商品は
ビートオリゴ糖(ショ糖・糖類:67%、水分:22%、オリゴ糖:11%)
ラフィノースの甘味度は、砂糖を100とした場合、20%強しかないので、
単独では甘味料としては使いにくいと思います。

オリゴ糖は、一般に胃や小腸で吸収されてにくく、低カロリーであり、
大腸まで達して、ビフィズス菌などの餌になるとされています。

中でも、フラクトオリゴ糖と乳果オリゴ糖(ラクトスクロース)は、
血糖値とインスリン値に影響をほとんど与えません。


ラフィノース、キシロオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖は
一定難消化性ですが、少し血糖値を上げる可能性があります。

イソマルトオリゴ糖は、あるていど血糖値をあげると思います。



ラフィノースは、 消化されにくく、低カロリーで、腸内のビフィズス菌の増殖を促進する働きがあり、
エネルギー換算係数は2kcal/g です。


キシロオリゴ糖も、消化されにくく、低カロリーで、腸内のビフィズス菌の増殖を促進する働きがあり、
エネルギー換算係数は2kcal/g です。


ガラクトオリゴ糖も、消化されにくく、低カロリーで、腸内のビフィズス菌の増殖を促進する働きがあり、
エネルギー換算係数は2~3kcal/g です。


フラクトオリゴ糖は、摂取しても、血糖値を上昇させず、インスリンの分泌も促しません。
消化酵素によって消化されにくいため、体内に吸収されることもほとんどなく
低カロリーです。血糖値は上げませんが、腸内細菌の餌となり、短鎖脂肪酸を作ると思われ、
エネルギー換算係数は約1.6~2.2kcal/g です。


乳果オリゴ糖(ラクトスクロース)も、 消化されにくく、摂取しても血糖値の上昇や、
インスリン分泌にほとんど影響を与えません。
また、腸内のビフィズス菌の増殖を促進し、便の性状を改善する働きがあります。
エネルギー換算係数は2kcal/g ですので、やはり短鎖脂肪酸のエネルギーと思います。


イソマルトオリゴ糖は、
他の難消化性のオリゴ糖に比べると小腸内ではある程度消化されますが、
でん粉などに比べると消化されにくいです
エネルギー換算係数は4kcal/g で、ビフィズス菌の餌になります。
小腸であるていど消化されるので、血糖値もあるていど上昇すると思います。



(☆)

健康増進法における栄養表示基準では栄養成分表示を行う場合、基本表示は

<エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム>

の5成分表示とされています。

「炭水化物、糖質、糖類」を整理すると下記の如くにまとめることができます。

栄養表示基準上はたんぱく質や脂質、灰分(ミネラル分)のいずれにも分類されないものは炭水化物に計算。

①炭水化物=糖質+食物繊維
②糖質=糖類+糖アルコール+三糖類以上+合成甘味料
③糖類=単糖類+二糖類

*単糖類=ブドウ糖、果糖、ガラクトースなど
*二糖類=ショ糖、麦芽糖、乳糖など
*三糖類以上
 1)オリゴ糖:単糖類が3~20分子縮合して1分子になったもの
 2)多糖類:単糖類、数百~数千分子が縮合して1分子になったものでんぷん、デキストリンなど)

*糖アルコール=エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトールなど
*合成甘味料=アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、ネオテーム、アドバンテーム



江部康二
名医が考えた 認知症にならない最強の食事術 宝島社 江部康二著。
名医が考えた 認知症にならない最強の食事術
江部康二著 宝島社


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http://urx.blue/07K6


こんにちは。
名医が考えた 認知症にならない最強の食事術
江部康二著 宝島社

2020/6/10から発売中です。
幸い、アマゾンでの書評も高評価を頂いています。

近年AGEs(終末糖化産物)の蓄積が、
老化や認知症の元凶であることがわかってきました。
そして、糖質摂取量が多いほど食後高血糖を生じ、
年余に渡り、AGEsは沢山蓄積していきます。

糖尿病合併症の元凶もAGEsなのですが、
糖尿病でない人もAGEsの蓄積により老化や認知症を生じるのです。
そして、AGEs蓄積を最小限におさえて、
『糖化』『老化』『認知症』発症リスクを予防できる食事療法は
唯一糖質制限食だけなのです。
本書を読んで、間に合う内に、認知症予防を心がけて頂ければ幸いです。

以下の青字は、本書の「はじめに」です。


はじめに


 私は1974年に京大医学部を卒業しました。
医師になり46年が経過して2020年現在70歳です。
同級生は110人卒業しましたが、10名はすでに逝去されました。
医者の不養生というわけでもないのですが、仕事上の重責とか毎日のようなサービス残業とか、
精神的にも肉体的にもかなりストレスフルなのがこの職業なので、医師は思った以上に短命なのです。

 岐阜県保険医協会が実施した調査(2008~2017年)で、開業医の死亡時平均年齢が70.8歳と短く、
特に60歳代の死亡割合が34%と最も多いことが明らかになりました。
厚生労働省の統計にある死亡時平均年齢(2015年)は、男性が77.7歳、女性が84.3歳であり、明らかな差がありました。
日本人全体の死亡割合では80歳代がピークであり、医師の60歳代がピークというのはいかにも若すぎます。

 さてこのように医師は短命という事実もあり、4年に1回オリンピックの年に開催していた同窓会を、
誰がいつ死ぬかわかならいということで近年は2年に1回と改めました。
4年前の同窓会で、「一番なりたくない病気は何?」という話題となりましたが、
約60名の出席者全員が「アルツハイマー病(認知症)」ということで一致しました。
 がんもこわい病気ですが、間に合えば完治できることもありますし、転移があって完治が困難であっても、
基本的に意識は最後まで保たれることがほとんどということもあって、
「一番なりたくない病気はがん」と発言した同級生はゼロでした。

 認知症の患者とその予備軍は65歳以上では4人に1人もいます。
 認知症は、日本のような高齢化社会におけるもっとも重要な疾患の一つです。
2018年現在わが国には約 462 万人の認知症患者が存在し、
さらに認知症予備軍と考えられる軽度認知障害の高齢者が約 400万人もいます。
軽度認知障害 は、認知症への進行リスクが高く、該当者は年率 10 ~15% で認知症に進行するとされています。

 このように増え続ける認知症ですが、現代医学において根治につながる治療法はありません。
従って可能な限り早期に認知症および 軽度認知障害を発見してなんらかの介入を行い、
進行を止めるあるいは症状を改善させることが求められます。

 認知症との関連で注目されている物質に AGEsがあります。
AGEs については本文で詳しく説明します。
AGEs は、糖尿病合併症(透析、切断、失明など)の元凶と考えられてきましたが、
近年糖尿病のみでなく、動脈硬化進展の主役の一つとされ、
老化、認知症、慢性炎症、腎不全などにも関与していることが判明しました。

 糖尿病患者では AGEs の増加とともに認知症あるいは軽度認知障害へ移行することが知られています。
一方、糖尿病でない人も皮膚AGEs の蓄積量と軽度認知障害とに関連があることが判明しました。
皮膚にAGEsが蓄積していれば脳にも同様に蓄積しているということです。

 このようにAGEsの蓄積が認知症に関与していることが明らかとなっていますが、
糖質制限食なら、AGEsの蓄積を最小量におさえることが可能です。
糖質制限食は1999年、高雄病院が日本で初めて糖尿病治療に導入した食事療法です。
近年糖尿病以外にも様々な生活習慣病に効果があることが明らかとなっています。

 糖質制限食実践は早ければ早いほどいいです。
軽度認知障害の段階で糖質制限食を実践すれば、認知症への進行を予防できるし、
軽度認知障害が改善し正常に戻ることも期待できます。
なにしろ本文で紹介しますが、アルツハイマー病を発症したあと、
スーパー糖質制限食実践で一週間足らずで正常に戻った方さえおられるのです。

 40代、50代から糖質制限食を実践していれば、
軽度認知障害のリスクもなくなりますし、健康長寿が約束されます。
さらに早期の20代、30代から糖質制限食を実践すれば、糖化に伴う老化が予防できます。

 私は、52歳で糖尿病を発症して以来、スーパー糖質制限食を実践していますが、
70歳現在、歯は全て残り虫歯なし、聴力低下なし、視力低下なし、
身長縮まず、夜間尿なし、内服薬なし、合併症なしです。
明らかに「糖化⇒老化」が予防できているのだと考えられます。

 月~土と毎日外来診察を行い、入院患者さんも担当しています。
ほぼ毎日ブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」を更新し、
本も出版し、講演活動も行っており、とても元気です。
読者の皆さんが健康長寿を達成されるよう本書および糖質制限食がお役に立てれば幸いです。


江部康二
今や全医学生が学ぶ漢方と西洋医学。両立の時代。
こんばんは。
今でこそ、糖質制限食で有名な高雄病院ですが、元々は漢方の病院として有名であり、
現在も漢方生薬を処方できる日本でも数少ない病院の一つです。

 私は、漢方医として東洋医学に携わり、西洋医として西洋医学にも携わっています。
なぜ両方の医療に携わるのか。今回は、その理由をお話ししたいと思います。

<漢方、東洋医学、西洋医学>
 漢方とは、煎じ薬(生薬)やエキス剤などによる内服治療を指すのが一般的です。
ただ広義には、内服治療、はり・きゅうのような外部の刺激治療を合わせた、
日本独自の発展を遂げた医療のことをいいます。

 漢方を日本で広めたのは、室町時代の医者である田代三喜(さんき)だとされています。彼は明にわたって医学を学び、それを持ち帰って日本流にアレンジしたといわれています。

 その後、江戸時代後期にオランダ医学が入ってきたために、
それまでの医学と新しい医学とを区別する必要が生じました。
そこで、それまでの治療法を「漢(中国の)」「方(治療方法)」、
新しいオランダ医学を「蘭方(らんぽう)」と呼ぶようになったのです。

 ちなみに、現代中国では伝統医学を「中医学」と呼びます。
これは、日本の「漢方」とは考え方も含めて異なる体系です。

 「東洋医学」「西洋医学」は地理的な意味を表します。
トルコのボスポラス海峡より東方の医学を東洋医学、
それより西方の医学を西洋医学と呼びます。
もちろん漢方は東洋医学の一つです。

<認められていなかった漢方⇒医学部のカリキュラムに>
 さて、1883(明治16)年に公布された医師免許規則は、
医師になるためには西洋医学の教育のみが必要と定めていたため、
日本ではしばらく西洋医だけしか認められていませんでした。
漢方は、西洋医の中で志をもって学ぶ医師により、綿々と受け継がれてきたのです。

 その後、2001年に文部科学省が策定した
「医学教育モデル・コア・カリキュラム」に「和漢薬を概説できる」という目標が追記されました。
それ以降、医学部の教育に漢方が盛り込まれるようになりました。
現在は、カリキュラムに「漢方医学の特徴や、主な和漢薬(漢方薬)の適応、薬理作用を概説できる」という目標が明記されており、全国の医学部で漢方教育が行われています

<西洋医学の得意分野>
 西洋医学は原因がはっきりしている病気を得意とします。

 例えば、近年急激に患者の報告数が増えている梅毒という病気の治療は、その典型例です。国立感染症研究所によると、2017年の患者報告数は5770人で、現行の集計方式となった1999年以降で初めて5000人を超え大問題となっています。

 梅毒は、梅毒トレポネーマという菌が感染して発病するという「原因」が分かっています。西洋医学はこの原因に対して、ペニシリンなどの抗生物質が効くことを突き止め、特効薬を開発したのです。今では、ちゃんと受診して診断がつけば、抗菌薬の投与でごく簡単に治療ができます。

 特効薬が開発されるまで梅毒は不治の病で、
当時の漢方医はおおいに嘆いていたといいますから、
このような分野に関しては西洋医学のすごさが分かります。

<原因不明の病気には漢方>
 しかし、なぜその病気になってしまうのかという根本的な原因がはっきりしない病気もたくさんあります。そのような病気には漢方が有効です。
原因不明で体調のバランスが崩れている人ならば、漢方だけで健康な状態に戻れます。

 私が理事長を務める高雄病院は、常勤医師の全てが西洋医学に加え、
漢方治療を実践しています。
ですから、さまざまな現代病の患者さんが、漢方治療を求めてやってきます。

 潰瘍性大腸炎、SLEなどの難病、気管支ぜんそくなどの呼吸器疾患、リウマチなどの膠原(こうげん)病、過敏性腸症候群などの消化器疾患、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患、高血圧などの循環器疾患、糖尿病などの代謝疾患、ネフローゼ症候群などの腎疾患……。そのほかにも、風邪をひきやすい、不妊症、冷え性、微熱があるといった人から、「なんやしんどい」と訴える人まで、西洋医学的には診断がつかないものもあります。

 このような患者さんに対して漢方医は、
人体の「気」「血」の流れや五臓六腑(ごぞうろっぷ)のバランスをチェックして、
それを整えるような薬を処方します。

<漢方と西洋医学の両立が大切>
 もちろん、漢方だけでなく西洋医学的治療も必要です。
交通事故で骨折して手術するとか、根治的ながんの手術とかは西洋医学の独壇場です。
両方をうまく使いこなすスタンスが重要と思います。

 漢方も西洋医学も、それぞれに得意分野があるので、
どちらか一方が優れていて他方が劣っているということはありません。
役割分担で相補的に対応し、
少しでも患者さんの症状を楽にすることが最も良いと考えています。


江部康二
豆腐など「大豆食品」で膵臓がんリスク上昇?
【20/09/16 クッキー
豆腐と膵臓ガン
いつも先生のブログで勉強させて頂いております。
今回、糖質制限をしている私にとって気になる記事がありました。
豆腐を食べるほど膵臓ガンのリスクが高まるという内容です。
私はあまり信用してませんが、
先生のご意見を聞かせていただけると幸いです。https://news.yahoo.co.jp/articles/0095a2b4863918533eee78555aee35270161cb6f



こんばんは。
クッキーさんから、
豆腐など「大豆食品」で膵臓がんリスク上昇?日本での研究より
9/16(水)
https://news.yahoo.co.jp/articles/0095a2b4863918533eee78555aee35270161cb6f

という
ヤフーニュースの記事の情報をコメント頂きました。
クッキーさん、ありがとうございます。
糖質セイゲニストは、豆腐や納豆なども多く摂取するので気になるところです。

ヤフーニュースの内容ですが、
発酵性大豆食品(納豆、味噌、醤油)は、膵臓がんの増加とは関係が無く、
非発酵性大豆食品(豆腐、油揚げ、豆乳)の摂取が多いと
膵臓がんのリスクが高くなるという発表です。
総大豆食品摂取量が多いグループも同様の結果です。

まず、当該の
国立がん研究センター「多目的コホート研究(JPHC)」)
の研究者が、サイト内で
『1回のアンケート調査から計算された摂取量で計算しており、
追跡中の食事の変化については考慮していないという研究の限界があります。』

と述べておられます。

また、記事にもあるように豆類に関しては、欧米の先行研究で、
むしろ膵臓がんを予防する効果が報告されています。

同じ多目的コホート(JPHC)研究 (2020年1月30日公開)
https://epi.ncc.go.jp/jphc/825/8437.html

において
発酵性大豆食品の摂取量が多いと総死亡リスクが低くなる可能性が示唆されています。

発酵性大豆食品(納豆、味噌、醤油)の中で、
味噌汁や醤油は毎日のように摂取していると思います。
非発酵性大豆食品(豆腐、油揚げ、豆乳)のほうは、
普通の食生活の人は毎日は摂取しないと思います。

従って、我々糖質セイゲニストにおきましては、
発酵性大豆食品は積極的に摂取して総死亡率を下げつつ、
非発酵性食品は時々摂取くらいにしておけば、
あまり問題にするほどではないと思います。

以下の緑文字の記載は、今回のヤフーニュースの元ネタとなった
国立がん研究センターのJPHC研究です。

☆☆☆
https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8492.html
大豆食品の摂取量と膵がん罹患の関連
―多目的コホート研究(JPHC研究)からの成果報告―


私たちは、いろいろな生活習慣と、がん・脳卒中・心筋梗塞などの病気との関係を明らかにし、日本人の生活習慣病予防と健康寿命の延伸に役立てるための研究を行っています。平成7年(1995年)と平成10年(1998年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古、大阪府吹田の10保健所(呼称は2019年現在)にお住まいだった45~74歳の方々のうち、食事調査票に回答し、がんになっていなかった約9万人を、平成25年(2013年)まで追跡した調査結果にもとづいて、大豆食品とその後の膵がん罹患との関連を調べた結果を専門誌で論文発表しましたので紹介します
(Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2020年6月公開)。

膵がんは予後が良くないがんなので、予防に関する研究結果の蓄積が望まれています。大豆食品には、たんぱく質、イソフラボン、レクチン等の多くの成分が含まれ、これまでにも循環器疾患や、一部のがんにおいてリスクが低下する可能性が報告されてきました。しかし、膵がん罹患との関連については報告も少なく、よくわかっていませんでした。そこで、私たちは、多目的コホート研究において、大豆食品摂取量と膵がん罹患との関連について検討しました。

食事調査アンケート調査の結果を用いて、総大豆食品・発酵性大豆食品・非発酵性大豆食品・各大豆食品(納豆、味噌、豆腐類)の摂取量を計算し、等分に4つのグループに分け、最も少ないグループと比較したその他のグループの、その後平均約17年間の膵がん罹患リスクを調べました。分析にあたって、性別、年齢、地域、肥満度、喫煙、飲酒、身体活動、糖尿病(または服薬)の有無、膵がん家族歴、コーヒー、魚類、肉類、果物類、野菜類、総エネルギー摂取量で統計学的に調整し、これらの影響をできるだけ取り除きました。

大豆食品摂取量と膵がん罹患リスクが関連
総大豆食品摂取量が多いと、膵がん罹患リスクが高いという関連がみられました。非発酵性大豆食品(豆腐類、高野豆腐、油揚げ、豆乳)摂取において同様の関連がみられましたが、発酵性大豆食品摂取(納豆、みそ)において関連はみられませんでした(図1)。

個々の大豆食品では、豆腐類の摂取が多いと膵がん罹患リスクが高いという関連がみられましたが、その他の大豆食品において関連は見られませんでした(図2)。

今回の研究から見えてきたこと
今回の研究では、総大豆食品摂取量が多いと膵がん罹患リスクが高いという関連がみられましたが、発酵性大豆食品摂取については膵がん罹患との関連はみられませんでした。

これまでの欧米の疫学研究では、インゲン豆、レンズ豆、エンドウ豆、大豆などを含むマメ科の植物の摂取は膵がんリスク低下との関連が示唆されています。今回の研究では、豆類の種類の違いによる栄養成分の違い(インゲン豆、レンズ豆、エンドウ豆は大豆に比べて、炭水化物が多く、脂質が少ない、大豆はたんぱく質、脂質が多い)や、観察期間の違い(欧米の研究は6~8.3年であり、本研究は約17年と長い)などのため、先行研究とは異なる結果になったと考えられました。

総大豆食品摂取量が多いと膵がん罹患リスクが高い理由は、よくわかっていませんが、動物実験では非加熱大豆飼料を与えられた動物では、下痢などのほか、膵臓の腫れがみられたとの報告や、大豆に含まれるトリプシンインヒビターなどの消化酵素阻害成分の消化酵素や消化管ホルモンへの影響などが考察されます。

今回の研究の限界として、1回のアンケート調査から計算された摂取量で計算しており、追跡中の食事の変化については考慮していないことや、様々な要因について統計学的に十分調整できていないことがあります。今回の結果を確認するためには今後のさらなる研究が必要です。


江部康二
ストレスと血糖値.
ストレスと血糖値

こんばんは。
コロナ自粛で、ストレスがたまるという方もおられると思います。
今回は、ストレスと血糖値のお話です。

血糖値は食事、運動、ストレスなどにより変動します。
ストレスは大きく三つにわけることができます。

一番目は、何と言っても心理的ストレスです。
死別.離婚.結婚.引っ越しなど人生の大きな出来事、家庭での母子関係.嫁姑関係、
会社や学校や地域での人間関係など日常的な厄介事、様々な不満.失望.挫折、
不安などがあげられれます。

二番目は、生理的ストレスです。
サービス残業などによる過労、不眠、細菌・ウィルスによる感染などがあります。

三番目は、物理的なストレスで、日光、暑さ、寒さ、乾燥、湿気、騒音などです。

人間はこれらのストレスを感じると、アドレナリン、グルカゴン、
副腎皮質ステロイドホルモンといった抗ストレスホルモンを分泌しますが、
これらのホルモンは血糖値を上げる作用があります。
そのため、食事とは無関係に血糖値が上昇することがあるのですね。

例えば2型の糖尿人で不眠の日の翌日、
いつもより50mg/dl近く空腹時血糖値が上昇した方がありました。
また、1型の糖尿人で、コントロール良好だったのが、
生理が始まったとたん100mg/dl血糖値が上昇した女性もおられました。

今の日本でストレスのない仕事などないと思いますので、
どう付き合うかですね。

例えば、急ぎの仕事を任されて、とても忙しくて睡眠も不足気味で、
ストレスたっぷりだったけど、上手く処理できて相手先にも喜んでもらえた、
というような展開であれば、達成感で自己治癒力はぐっと高まる方向になりますから、
まんざらストレスもネガティブな面ばかりではないですね。

このように、ストレスを利用して、
ポジティブなエネルギーに替えてしまうことも可能ですから、
視点を切り替えてみるのもいいですね。

私は普通のお医者さんよりは、かなり忙しく過ごしています。
(月)~(土)と外来診察があり、病棟の入院患者さんも担当しています。
ブログは、ほぼ毎日更新してますし、本や雑誌の原稿も書いてます。
新型コロナの前は、講演は日本全国で年間30回くらいこなしていました。

忙しいけれど、とりあえず元気ですし、風邪で外来を休んだことも一度もありません。
結局、週末のテニスや月1回のライブで気分転換をして、
ストレス解消していたのでしょうか。
それと適量(?)のお酒もなかなかに、心地よい変性意識状態にしてくれますね。

今は、コロナ自粛で、3月以降、テニスもなし、ライブもなしで、講演会も激減です。
それでも元気なのは、結局、人間関係がいつも良好なことがよい影響を与えてくれているのだと思います。


江部康二
食品別糖質量ハンドブック 江部 康二 (監修) 宝島社 2020/9/10刊行
こんにちは。

ダイエット・糖質制限に必携! 食品別糖質量ハンドブック 江部 康二 (監修)
宝島社 2020/9/10
https://www.amazon.co.jp/dp/4299008561/


が刊行されました。
2012年11月に『食品別糖質制限ハンドブック』(洋泉社)を上梓して以降、
累計約17万部となっています。
2015年12月に日本食品標準成分表が改訂され、七訂となりました。
15年ぶりの大幅な改訂で、項目が200増え、
成分表のデータもかなりの変更がありました。
『食品別糖質ハンドブック』もこれに対応して、収録食品の数も増やしました。

今回、版元の合併で宝島社の刊行となる本書では、さらに内容を追加しています。
この間、米国糖尿病学会は、2013年10月に糖質制限食を正式に容認し、
2019年4月には、『エビデンスが一番豊富なのは、糖質制限食である』と明言しました。

日本でも、近年、飲食業界において、
糖質制限食がおおいにクローズアップされてきました。
今や糖尿病や肥満・メタボだけでなく、
健康のためにもよい人類の正解の食事であり、糖質制限食の時代到来と言えます。

以下の青字は、本書の「はじめに」です。


はじめに

私が理事長を務める高雄病院は1999年、
日本で初めて糖質制限食を糖尿病治療に導入しました。
以来、高雄病院では入院患者と外来患者を合わせると
5000人以上の、糖質制限食による劇的な血糖値改善の治療実績を持っています。
そうした中で、手近に食品別の糖質量がひと目でわかる本があれば
というニーズに応えようと、
2012年11月に『食品別糖質制限ハンドブック』(洋泉社刊)を刊行し、
おかげさまで読者の皆さまの大きな支持を得て、版を重ねることができました。
現在、発行部数は17万部に達しようとする勢いです。 
この間の2015年12月に日本食品標準成分表が改訂され、七訂となりました。
15年ぶりの大幅な改訂で、項目が200増え、
成分表のデータもかなりの変更がありました。
『食品別糖質ハンドブック』もこれに完全に対応して、
収録食品を見直すとともに、収録食品の数も1200に増やしました。
今回、版元の合併で宝島社の刊行となる本書では、さらに内容を追加しています。
身近な食品や料理の糖質・カロリー・たんぱく質・脂質・塩分量などが
写真入りでわかるように工夫されている本書は、
糖質制限食を指導する立場の医師・栄養士はもちろん、
糖質制限食実践中の方々の強い味方となってくれると思います。 
近年、糖質制限食は社会的に広く認知されるようになり、
糖尿病、メタボリック・シンドローム、肥満の患者さんだけでなく、
健康のために実践されている方も多くなっています。
2013年10月に米国糖尿病学会が「栄養療法に関する声明」において、
地中海食やベジタリアン食、低脂質食などとともに糖質制限食を正式に受容したのは、
糖質制限食の普及にとり大きな追い風となりました。おかげで日本においても医師の支持がかなり増えてきました。 
糖質制限食というと、
現代の普通の食事である高糖質食と比べて特別な食事と思いがちですが、
実は糖質制限食こそが人類本来の食事なのです。 
諸説ありますが、人類がチンパンジーと分かれて誕生したのが約700万年前、
農耕がはじまったのが約1万年前です。
農耕がはじまる前は、「狩猟」「採集」「漁労」で食べものを手に入れていて、
穀物はなかったのですから、人類皆糖質制限食といえます。
すなわち、糖質制限食は約700万年間の人類の食事であり、
人類の健康食といえるのです。 
読者の皆さまには、本書を参考に、おいしく楽しく末永く糖質制限食を実践されて、
健康を保っていただければ幸いです。

2020年8月
高雄病院理事長 江部康二
南半球でインフルエンザになる人がビックリするほど少なかった。ウィルス干渉?
【希望?】この冬の南半球で、インフルエンザになる人がビックリするほど少なかったことが判明
市川衛 | 医療の「翻訳家」2020/9/11(金)

https://news.yahoo.co.jp/byline/mamoruichikawa/20200911-00197625/

こんにちは。
2020/9/11(金)のヤフーニュースに、
上記の記事が掲載されました。

オーストラリアや南アフリカなど南半球の国々で、
この冬、インフルエンザの流行が記録的に少なかったということです。

オーストラリア保健省は、新型コロナ対策の、
・適切なマスク着用
・3密を避ける
・帰宅時などに手を洗う

の励行が、インフルエンザの発症予防に役立った可能性を指摘しています。
https://news.yahoo.co.jp/byline/mamoruichikawa/20200911-00197625/

グラフをみれば明らかなように、
2019年のオーストラリアのインフルエンザの流行は7月にピークがあり、
ほぼ例年通りの感染者数であったと思われます。、
これに対して2020年は、ピークどころか、
4月からほとんど感染者数ゼロが続いています。
インフルエンザの検査は多く行われているのに、
ほとんど検出されていないわけですから、
流行は本当に起きていない可能性が高いです。

私も新型コロナ対策が一定ていど奏功した可能性はあると思います。
しかし新型コロナウィルスに感染している人はそこそこいるわけですから
インフルエンザだけが感染ゼロというのは、
コロナ対策奏功だけでは説明がつかないと思います。

さて、ウィルス間の干渉という現象があります。(☆)
1個の細胞に複数のウイルスが感染したときに
一方あるいはその両方の増殖が抑制される現象です。
あくまでも仮説ですが、今回の新型コロナ流行とインフルエンザ激減に関して、
端的に言ってこのウィルス間の干渉が生じた可能性があります。
https://news.yahoo.co.jp/byline/mamoruichikawa/20200911-00197625/

A)2020年7月中旬から8月初旬にかけて
オーストラリアの新型コロナがピークになった。
新型コロナウィルスによるウィルス干渉により、
インフルエンザが激減したと考えられる。

B)2020年7月初旬から8月初旬にかけて
南アフリカの新型コロナがピークになった。
新型コロナウィルスによるウィルス干渉により、
インフルエンザが激減したと考えられる。

C)2020年5月初旬から8月初旬にかけて
チリの新型コロナが流行した。
新型コロナウィルスによるウィルス干渉により、
インフルエンザが激減したと考えられる。


国民性からみて、少なくとも、南アフリカやチリの人々が、
「手洗い励行、マスク着用、三密回避」を励行したとは、考えにくいです。
また、オーストラリアも、
日本ほど「手洗い励行、マスク着用、三密回避」を励行しているとは思えません。

さらに日本においても、
D)2019年から2020年度のインフルエンザ感染者数が、例年に比べて激減した。
 この現象も新型コロナウィルスによるウィルス干渉のためと考えられる。

 インフルエンザ感染者数は、1月の第4週あたりがピークですが
 2020年度の患者数は例年の1/4~1/6です。
 新型コロナの日本初の感染者報告は、2020年1月16日ですが、症状がないか軽い人が8割ですから、
 もう少し前から日本に上陸していた可能性が高いです。
 従って、今冬のインフルエンザ激減に関しても、
 ウィルス間の干渉によって説明できると思います。

<結論>
A)B)C)D)を考慮すると、新型コロナが流行している限りは、
日本において、2020年11月~2011年3月のインフルエンザ流行は
ほとんど生じない可能性が高いと思います。


(☆)ウィキペディア
ウイルス学における干渉(かんしょう、interference)とは
1個の細胞に複数のウイルスが感染したときに
一方あるいはその両方の増殖が抑制される現象。
干渉の機構として、一方のウイルスが吸着に必要なレセプターを占領あるいは破壊してしまうために
他方のウイルスが吸着することができなくなる、
増殖に必要な成分が一方に利用され、他方が利用できない、
一方が他方の増殖を阻害する因子を放出するなどの異種ウイルス間の干渉現象のほか、
同種ウイルス間で欠陥干渉粒子(DI粒子)による増殖の阻害、
インターフェロンによる増殖の抑制がある。


江部康二


HbA1c、1,5-AG、GA。1,5-AGは食後高血糖を反映?
【20/09/05 Rabi
登山での血糖値&糖質50g取得時の血糖値
江部先生

こんにちは。Rabiと申します。毎日ブログ楽しみにしています。

「名医が考えた 認知症にならない最強の食事術」で色々勉強しています。

今回は登山の時の血糖値の状況の報告と、食後血糖値について質問です。

私のデータです。
48歳男性:169cm、61kg
糖質制限は5年ほど、ここ2年ぐらいはスーパー糖質制限です。
糖尿病ではなく、健康法の流れで糖質制限にたどり着きました。

朝にバターコーヒー2杯、夕食のみが通常の食事です。
 「名医が考えた 認知症にならない最強の食事術」にどうしても糖質の食事を取らざるを得ないときは、「サラシアがいい」と書いてあったので、早速買ってみたのですが、
効果がどのぐらいであるかわからないので、とうとう血糖値を測る機械を買いました。
朝は105ぐらいで、その後100を切るぐらいが通常です。

・登山の話
先日劔岳登山に行ったのですが、上りのかなり負荷が高いところは、ペースをあげると急に疲れが出るので、糖新生が間に合っていないのかな?と感じました。
頂上では、血糖値68でした。そのあと下りになると、78まで上りました。
夕食以外は特に行動食も必要でなかったので、8時間ぐらいの登山では脂肪が燃焼し続けていたのかな?と、ホクホクしていました。

最終日はちょっとした上りの後、長い下りだったのですが、いまいちペースが上がらず家族に置いて行かれてしまい、お腹は減っていないものの、チョコ(カカオ90%)でも食べるかと、リックを置いて、血糖値を測ったところなんと58だったのです。
下りで負荷がかかっていないので、そこまで下がっているとは思わなかったのですが、
面白かったので、そのまま下り、下りきったところでは、78まで戻っていました。
脂肪が燃焼し、ケトン体が出ている際には血糖値が下がっていても、問題なしと、
先生のブログに買いてあったので、その通りだなぁと感じた次第です。

さて、本題ですが、その後黒部ダムまで行って、名物だからと、ダムカレーを食べたところ、食後2時間の血糖値が200まで達してしまいました。

10:19 105
10:50 119
11:20 111
11:51 131
12:21 199

カレーだから糖質量も相当だったと思うので、血糖値は上がるとは思ったのですが、
200まで行くとは思っていなかったので、少し心配になりました。

帰ってきてから再度、測ってみようと思い、黒糖かりんとう60gで実験したところ、
やはり上がってしまいました。

13:54 87
14:47 148
15:22 198
15:57 160
17:08 116

スーパー糖質制限を続けていると、インシュリンの出方が一時的に悪くなるため、経口ブドウ糖糖負荷テストを行う際には、しばらく糖質をとって体をならす必要があると、記事にあったので、そのパターンなのではないかと思ってはいます。が、1gの糖質で、血糖値を2近くあげてしまうのはちょっとショックでした。

友人宅で食事をご馳走になる場合で、かつ糖質の場合もあるので、その度に200を超えるのは怖いな。と思い、ご相談させていただきました。本にあったように、サラシアがひとつの対処法だと思うのですが、200の血糖値を150ぐらいにするような効果はないんじゃないかと思いますので、
どのようにするのが良いのかアドバイスお願いいたします。】


Rabi さん

拙著のご購入、ありがとうございます。
下りで、血糖58mg/dlでも、大丈夫だったのは
ご指摘通り、血中ケトン体が上昇していて
脳細胞はケトン体をエネルギー源としていたのだと
思います。

この際、親しい友人には
「健康のために糖質制限食を実践している。」
と告げるのがスッキリすると思います。
そして友人にも糖質制限食を推奨しましょう。

AGEsの蓄積予防のために、糖尿病でない人も
糖質制限食を実践するのが安全です。
それにより
<AGEs蓄積⇒糖化⇒老化>
というパターンが最小限ですみます。


【20/09/12 Rabi
タイトルなし
江部先生!

さっそくコメントありがとうございました!

そうですね!それが一番です!無理して糖質食べて、
血糖値があがったのをみて、がっかりすることはやめることにします。

しかし、食後高血糖がきになって、血液検査に行ってきました。
その結果をきょうもらったのですが、

HbA1c 4.7
1・5AG 9.9
GA   12

というけっかでした。HbA1c、GAは問題ないと思いますが、
1・5AGは、食後高血糖があると、診断されました。

たしかにここ1週間ぐらいは、テストで何回か糖質を取りましたが、
どのぐらいの期間を判定しているのでしょうか?

ブログでは、HbA1cについてはよく取り上げられていますが、
GAと、1,5-AGはあまりなかったので、一度取り上げていただきたいです!

GAは献血をすると取得できるので定期的にとっています。】



Rabi さん

「HbA1cは赤血球の寿命が120日であるため3ヵ月前から採血時まで」
「GAはアルブミンの半減期が17日であるため3週間前から採血時まで」


の平均血糖値を反映します。

A)HbA1c
1)過去、1~3ヶ月の平均血糖値の評価となるので、動きはゆっくりである。
2)食後高血糖を鋭敏にキャッチすることができない欠点がある。

B)GA(グリコアルブミン)
1)過去、3週間の平均血糖値の評価になるので、改善速度が速い。
2)比較的短期の血糖管理状態を評価できる。
3)食後血糖値を鋭敏に反映するので、HbA1cの欠点を補える。

C)1,5-AG
1)糖質制限食実践者においては、検査することの意味がない。
2)糖質制限食実践者では、食材(穀物など)からの1,5-AGが少ないので、食後血糖正常者においても基準値より低値となるが、これは正常である。
3)糖質を摂取している糖尿人においては、尿糖が多い場合は1,5-AGが低値となり、
   食後高血糖を反映している。3~7日の血糖応答を評価している。
   短期の血糖管理状態を評価できる。
4)SGLT2阻害薬も尿糖が多くでるので、1,5-AGが低値となるが、意味はない。
5)血中1,5-AGは妊娠、慢性腎不全、重症肝硬変でも低下。また、アカルボース(グルコバイ)内服中の人も低値を示す。


通常は、HbA1cを保険で測定したら、GAと1,5-AGは保険が適用されません。
1型糖尿病と妊娠糖尿病の場合は、月に2項目まで保険で算定可能ですので
HbA1cとGAを測定しようと思います。


江部康二
インフルエンザワクチンの考察。
こんばんは。 
今日は9月12日(土)で、江部診療所で午前中は外来診療でした。
2~3人の患者さんに「今年のインフルエンザワクチンは、いつから接種できますか?」と聞かれました。
 9月9日(水)の夜診でも、同様の質問を受けました。
8月下旬に、厚生労働省が高齢者や子どもなど優先度が高い人たちに対して、
早めにインフルエンザワクチンを接種するよう呼びかける方針を示したことの影響と思われます。

 また、今年の冬はインフルエンザと新型コロナウイルス感染症が同時に流行する可能性があるため、
インフルエンザワクチンを早めに接種したいと思う患者さんもおられるようです。
ワクチン接種後、抵抗力がつく まで2週間かかるとされ、効果が持続する期間は約5か月間ですので、
10月初めに接種すれば、翌2021年の3月初めまではカバーできます。
江部診療所では、例年より1ヶ月早く、10月初めくらいから接種開始を考えています。

さて、インフルエンザワクチンを接種したことがある人も
接種したことがない人もいると思います。
是非、知っておいて欲しいことは、
インフルエンザワクチンは万能ではないということです

すなわち感染防御力は基本的になくて、
重症化を防ぐことが期待されるていどの効能
です。
ワクチンを打っている人も打っていない人も、
手洗い、うがい、マスクがインフルエンザ予防の基本ですね。
特に、手洗いが思った以上に有効です。
ドアノブや電車のつり革など様々なものに触れることにより、 
自分の手にもウイルスが付着している可能性があります。
外出先から帰宅時や調理の前後、食事前などこまめに手を洗いましょう。
咳やくしゃみで飛んだ飛沫が服についても、数時間で感染力を失うとされています。
外出から帰宅したら着替えすることも予防に役立ちます。

以下の青字は、厚生労働省サイトの記載です。
インフルエンザの予防にはみんなの「かからない」、
「うつさない」という気持ちが大切です。
手洗いでインフルエンザを予防して、かかったら、
マスク等せきエチケットも忘れないでください。
インフルエンザにかかった人は、
必ずマスクをして他人にうつさないように配慮が必要です



<インフルエンザワクチンの有効性>

インフルエンザワクチンは、A型にもB型にも対応しています。
しかし、実は現行のインフルエンザワクチンには、
水際で感染をシャットアウトするような効果はありません。
感染した後、重症化を防ぐ効果が期待されるという程度なので、過信するのは禁物です。

理論的に考えても、ワクチンを接種することにより
IgG抗体が血液・体液中に産生されますが、
粘膜面を防御しているIgA抗体は全くできません。
従って、インフルエンザウィルスが、
咽や鼻の粘膜を突破して細胞内に侵入した後(感染が成立した後)、
はじめてIgG抗体が駆けつけて戦うことになります。
欧米では、鼻への噴霧ワクチンで、粘膜面のIgA抗体をつくる試みもされていますが
あまり上手くいっていません。
IgA抗体を充分量増やす技術が難しいようです。

下記の青字は国立感染研究所のホームページからの抜粋です。

【7.インフルエンザワクチンの問題点
(2)「現行ワクチンの感染防御効果や発症阻止効果は完全ではありませんので、
ワクチン接種を受けてもインフルエンザに罹患する場合があり、
この場合には患者はウイルスを外部に排泄し、感染源となります。
従って、集団接種を行っても社会全体のインフルエンザ流行を
完全に阻止することは難しいと考えられます。」

(6)「現行のインフルエンザワクチンは皮下接種されています。
しかし、不活化ワクチンの皮下接種では、
インフルエンザウイルスの感染防御に中心的役割を果たすと考えられる
気道の粘膜免疫や、
回復過程に重要であると考えられる細胞性免疫がほとんど誘導されません。
これは、インフルエンザウイルスの感染そのものを防御すると言う面では
大きな短所であると考えられています。
しかし、この様な欠点を持ちながらも、先に述べたように、
ハイリスク群に対する現行インフルエンザワクチンの効果は明らかに認められています。
また、ワクチンの皮下接種でも血中の抗体産生は十分に刺激できるので、
インフルエンザに続発する肺炎などの合併症や
最近問題となっているインフルエンザ脳炎・脳症の発生を抑えることには
期待出来ると考えられています。」】



<集団感染>

 東京・練馬区の特別養護老人ホームで、
入所者49人が年末から年始(2017/2018)にかけて相次いでインフルエンザに感染していることがわかりました。
このうち、症状が重かった6人が医療機関に入院したということですが、
現在は回復しているということです。
 前橋市は2017年12月28日、
同市内の病院の入院棟にいた入院患者26人と職員4人の計30人がインフルエンザに集団感染し、このうち80代の女性が死亡したと発表しました。
これらの集団感染において、ほとんどの人はインフルエンザワクチンを接種していました。
このように、感染防御にはワクチンは、
実際にまったく無力だったことが明らかとなりました。

そもそもインフルエンザワクチンは
「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」ということが効能です。
感染を防ぐためには、「手洗い、うがい、マスク」が必須です。


<誤解>

ところが、相変わらず多くの患者さんや医師が、ワクチンを接種していれば、
水際で感染防御できると誤解しておられるのです。
私は、過去10年間以上、友人の医師などに、
感染防御はできないと口を酸っぱくして言い続けてきたのですが、
皆なかなか信じてもらえませんでした。
どこかで誤った情報が流され続けていたのでしょうね。
ここ数年、新聞などでもやっと、
「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」という真実が報道されるようになりました。
逆に言えば、過去10年以上、
あたかも感染防御できるような内容の報道に終始していたわけで、
そのことに関して自己批判も反省もないのは如何なものでしょう。

インフルエンザワクチン注射を希望する患者さんがこられたら、
私はこのことを説明して、
「手洗いやうがい、人混みを避けるなど、基本的なことが感染防御には大事なので、
ワクチンを接種したからといって油断しないでくださいね。」

と付け加えます。

<必要性>
別に私は、ワクチンが無意味といっているのではありません。
65歳以上の高齢者、呼吸器系や循環器系に慢性疾患を持つ患者、
糖尿病、腎臓病などの慢性疾患の患者、免疫低下状態の患者などでは、
インフルエンザに罹患し重症化すれば、肺炎などの重篤な合併症になり、
生命に危険が及ぶこともありますから必要だと思います。
若い人でも、受験生などは重症化したら困りますから、
接種する意味はありますね。

<感染防御>
①医療関係者は、インフルエンザ患者を診察するときはマスクをする。
 診察が終わったら必ず手洗いをし、使い捨て紙タオルでふく。
 マスクをはずしたときはうがいをする。
②急性の咳や熱がでている当事者はエチケットとして、マスクをする。
③満員電車の中など避けようがない密閉された場所にいくときはマスクをして乗る。
④人混みにでたあとは、手洗い・うがいを励行する。
⑤家族が一人インフルエンザに罹患したら、家の中でも当事者はマスクをする。
  その一人は、違う部屋で寝る。
⑥咳で飛沫が飛ぶのは約1mであるので当事者から距離を取る。
⑦鼻水や痰を封じ込めるためにティッシュを使用し、使用後のティッシュは、
 できればノンタッチごみ箱に廃棄すること

ブログ読者の皆さん、インフルエンザワクチンを接種している人も、
感染防御効果はないことをしっかり認識して、
上記①~⑦を励行してくださいね。

これが実行されていれば、上述のような院内感染が猛威をふるうことはなかったでしょう。

<終わりに>
インフルエンザワクチン接種に、賛成の人も反対の人もあると思います。
ブログ読者の皆さんには、
インフルエンザワクチンの真実を知ってもらいたくて記事にしました。

江部康二
医療従事者対象のオンラインセミナー開催のご案内。10月4日(日)。
こんにちは。
2020年10月4日(日)、
医療従事者の方を対象にオンラインセミナーを開催いたします。
4月5日東京での開催を中止としましたセミナーをこのたび、
オンラインで催すことといたしました。

日時:2020年10月4日(日)12:30~17:00頃

内容:
◇第1部:「糖質制限食による糖尿病指導① ~高雄病院の食事と栄養指導」
 講師: 橋本 眞由美 管理栄養士 / (一財)高雄病院 栄養科長

◇第2部:「糖質制限食による糖尿病指導② ~理論と臨床」 13:20頃~
 講師: 江部康二 医師 
    (一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長

◇第3部: 「発表・討議」 15:15頃~
・『糖質制限による糖尿病治療の導入法(外来で糖質制限による糖尿病治療の実際)』
 佐藤 信昭 医師 / 茅ヶ崎徳洲会病院(神奈川)  副院長(内科)
・『コメ消費大国カンボジアにおける糖質制限指導の苦労』
 奥澤 健 医師 / ケンクリニック(カンボジア) 院長
・『外来での2型糖尿病に対する中等度糖質制限食と筋力トレーニングの組み合わせの効果について』
 宇佐見 啓治 医師 / うさみ内科(福島) 院長
・『糖質制限+たんぱく強化食による産後うつの栄養学的管理』
 林 美穂 管理栄養士 / 宗田マタニティクリニック(千葉)
・『耐糖能低下を合併する消化器癌患者に対する術前術後糖質制限輸液の経験』
 村上 博史 医師 / 西部総合病院(埼玉) 外科

*第3部は、発表10分・討議7分ずつを予定しております。


江部康二、事務局、各講師は、東京の広い会議室に
まばらに、座って、Zoomで対応します。
初めての試みですが、プロカメラマンによるテクニカルサポートを受けますので、
きっと大丈夫と思います。

発表・討議は私が司会を務めさせて頂きます。
活発な討議ができればいいなと思っています。
ブログ読者の医療関係者の皆様、是非ご参加頂ければ幸いです。

江部康二


☆☆☆
以下事務局からのお知らせです。

***********

ブログ読者の皆様、いつも弊会のイベントへ多数ご参加いただきましてありがとうございます。

2020年10月4日(日)、医療従事者の方を対象にオンラインセミナーを開催いたします。

4月5日東京での開催を中止としましたセミナーをこのたび、オンラインで催すことといたしました。

第1部は高雄病院の橋本眞由美
管理栄養士による講義で、高雄病院の糖質制限食と栄養指導について、症例も交えてお話しいたします。

第2部は理事長による講義で、糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論や臨床例について解説いたします。

第3部は発表・討議で、医師と管理栄養士、5名の方々に発表いただき、
ディスカッションを行います。

医療従事者向けセミナーは、医療機関での糖質制限食指導の普及促進、ブラッシュアップ、発展を目指して2013年より開催しております。

2019年3月のセミナー(東京)より、臨床で糖質制限を採り入れておられる医療従事者の方々に発表いただき、指導法や症例などの共有、意見交換をしていただく「発表・討議」の時間を設け、参加いただいた方から、大変参考になる、刺激になった等ご好評いただいております。

今回もバラエティに富んだテーマにて発表エントリーいただきました。

医療従事者の皆様のご参加を心よりお待ちしております。

*セミナー情報URL:http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity

//////////////ご案内/////////////////

日本糖質制限医療推進協会主催<オンラインセミナー>
 「医療従事者向け糖質制限食セミナー」

■日時:2020年10月4日(日)12:30~17:00頃

​■内容:

◇第1部:「糖質制限食による糖尿病指導① ~高雄病院の食事と栄養指導」

 講師: 橋本 眞由美 管理栄養士 / (一財)高雄病院 栄養科長

◇第2部:「糖質制限食による糖尿病指導② ~理論と臨床」 13:20頃~

 講師: 江部康二 医師 
    (一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長

◇第3部: 「発表・討議」 15:15頃~

・『糖質制限による糖尿病治療の導入法(外来で糖質制限による糖尿病治療の実際)』
 佐藤 信昭 医師 / 茅ヶ崎徳洲会病院(神奈川)  副院長(内科)

・『コメ消費大国カンボジアにおける糖質制限指導の苦労』
 奥澤 健 医師 / ケンクリニック(カンボジア) 院長

・『外来での2型糖尿病に対する中等度糖質制限食と筋力トレーニングの組み合わせの効果について』
 宇佐見 啓治 医師 / うさみ内科(福島) 院長

・『糖質制限+たんぱく強化食による産後うつの栄養学的管理』
 林 美穂 管理栄養士 / 宗田マタニティクリニック(千葉)

・『耐糖能低下を合併する消化器癌患者に対する術前術後糖質制限輸液の経験』
 村上 博史 医師 / 西部総合病院(埼玉) 外科

*第3部は、発表10分・討議7分ずつを予定しております。

■対象:

医療従事者の方(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、理学療法士、鍼灸師など)

■受講費:

・医師・歯科医師の方: 賛助会員 6,400円 / 一般(会員以外) 8,000円

・上記以外の医療従事者の方: 賛助会員 4,400円 / 一般(会員以外) 5,500円

<補足・ご案内>

*Zoomを使用したオンラインセミナーです。

・スマートフォンでもご参加可能ですが、スライド資料をご覧いただくために、パソコンかタブレット端末でご参加いただくことを推奨いたします。

・事前に招待URLをお送りし、当日はそのURLにアクセスしていただき、オンライン受講(参加)していただくかたちとなります。

・当日までにZoomのインストールを済ませていただくことを推奨いたします。

・詳細はご予約後にご案内申し上げます。

・挙手機能を使用して、オンラインでの質疑応答、討議も予定しております。

*第1部・第2部の映写資料データ(PDF)を後日ダウンロードしていただけます。

*当日のセミナー動画は、後日一定期間ご覧いただけます。(セミナー参加者様限定)

■お支払い方法:クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。

※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。

■お申し込みの流れ:

1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込み下さい。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。

■お申し込み方法:

★賛助会員の方:事務局へメールにて、医療機関でのご職種をご記入の上、お申し込み下さい。

★賛助会員入会をご希望の方:

1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up

2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
 「通信」欄に以下をご記入下さい。
 ① 「10/4オンラインセミナー、参加希望」 とご記入下さい。
 ② 医療機関でのご職種をご記入下さい。
 http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact

★一般(会員以外)で、セミナーの受講のみご希望の方:

下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-med

■その他:

・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは10月2日(金)までに事務局までご連絡願います。それ以降のご返金は対応致しかねますので予めご了承下さい。

新型コロナワクチン、治験中断。英アストラゼネカ社。
こんばんは。

[ワクチン、副作用疑いで治験中断 英製薬大手、日本法人も

9/9(水) 8:27配信

【ワシントン共同】
英製薬大手アストラゼネカが英オックスフォード大と共同開発している新型コロナウイルスのワクチンを巡り、臨床試験(治験)に参加したボランティアに深刻な副作用が疑われる事例が発生し、米国での治験が中断していると欧米メディアが8日、報じた。
同社日本法人の広報担当者は取材に「全世界的に中断すると本社がコメントしている」として、日本での治験を中断する方針を示した。
米国の医薬専門サイトによると、問題となっている事例は英国での治験で起きたとみられる。症状などは不明だが、回復の見込みという。]



共同通信から上記の、記事が配信されました。
新型コロナウィルスに対する英アストラゼネカ社のワクチンの治験が、
中断されたとのことです。

米紙ニューヨーク・タイムズは、関係筋の情報として、
英国でワクチン接種後に
被験者が神経障害の一種の横断性脊髄(せきずい)炎と診断されたと報じました。

海外産の新型コロナウイルスのワクチンを巡り、日本政府は8月、
アストラゼネカが開発に成功した場合、2021年初めから1億2000万回分、
うち3000万回分は2021年3月末までに供給を受けることで
基本合意していましたので、影響は必至です。

安全で有効なワクチンが早くできればそれに越したことはないのですが、
すでに完成しているらしいロシアや中国のワクチンは、
早すぎるので安全性が担保されているのか疑問です。

また有効性に関しても、
同じ呼吸器感染症のインフルエンザワクチンの有効性から考えても
多くは期待できない可能性があります。
ちなみにインフルエンザワクチンは、
『感染防御はできないが、重症化を防ぐことが期待される』
ていどの有効性です。

一方、日本人は、BCGワクチンを打っているので『自然免疫力』が向上していて
新型コロナを防御できている可能性が高いです。

BCGの新型コロナに対する有効性ですが、
2020年3月初旬から6月にかけて実施された
アラブ首長国連邦のエミレーツ国際病院で行われた研究で、
明らかにされています。
71人の被験者がブースターBCGワクチン接種を受けて、
この群では COVID 19 感染陽性例はゼロでした。
209人の被験者はワクチン接種を受けておらず、
18例のPCR陽性COVID 19感染が確認されました。
ワクチン未接種群の感染率は8.6%であったのに対し、
ブースターワクチン接種群ではゼロでした

また、糖質セイゲニストにおいては
『ケトン体高値』『AGEsの蓄積が少ない』ということがあるので
自然免疫力の向上が期待できます。


江部康二
食後2時間血糖値の変化について
【20/09/09 TAKASHI
2時間血糖値の変化
先生、はじめまして、

私は4年ほど前に(62歳の時)病院の検査で食後血糖値が180あり先生より指摘を受けました。(昼食後3時間位の血糖値です)

毎年職場の健診ではA1Cは5.4~5.6、空腹血糖値は100前後で指摘もありませんでした。

しかしもしかして糖尿病ではと心配になり色々調べて先生のブログに巡りあい、書籍を購入し、それからは糖質制限に取り組みスーパーとはいきませんがスタンダード位でしょうか、朝夕食事に主食は一切食べないようにし、昼はHBの糖質を抑えた全粒粉パン(26g/100g)を60g位食べています。

副食は高糖質のものは避け野菜、乳製品、魚肉類を主に食しています。

1日の糖質量は正確ではないですがだいたい90g~100g位です。結果体重は開始から半年ほどで78kgから62kgまで落ちました。

A1Cは5.1から5.4の間を推移しています。血糖はSMBG値で空腹時で95から110、食後1時間で100から115、2時間値で115から125で推移していました。

SMBGを始めてからわかったのですが私の場合は2時間血糖値が最高値になるようです。

先生のブログ、書籍を熟読し実践したおかげで現在血糖値は若干高いもののグルコーススパイクもある程度回避できているものと思い元気に生活できております。

この8月位から若干緩んできた制限意識を締めるため改めて食事を見直し、1日糖質量を70g位に抑えるようにしました。

食事内容が変わりませんので、SMBGはここ3ヶ月は測定していませんでした。
(3ヶ月毎の病院での検査もA1C5.1から5.4、血糖値も100前後と問題ありませんでした)

1週間前からSMBGを測定したところ、同じ食事内容なのに1時間値が130位、2時間値が110から120と今まで違い2時間値が低くなる傾向が出てきました。

また食後血糖値も高くなる傾向が見えてきました。

以前より糖質制限をキツメに実施しているつもりがこの結果が不思議であり、残念な気持ちであります。

このところの暑さによるSMBGのストリップへの影響、体のストレスの増加などとあれこれ考えましたが分からず、もしよろしければ江部先生のご意見を伺えればと思い投稿しました。

よろしくお願いいたします。】



こんばんは。
TAKASHI さんから、食後2時間血糖値の変化について
コメント・質問を頂きました。

【1日の糖質量は正確ではないですがだいたい90g~100g位です。結果体重は開始から半年ほどで78kgから62kgまで落ちました。】

緩やかな糖質制限食で、半年で16kgの減量ですから、素晴らしい成果です。

A【1日の糖質量は90g~100g。血糖はSMBG値で空腹時で95から110、食後1時間で100から115、2時間値で115から125で推移していました。】

B【1日糖質量を70g。1週間前からSMBGを測定したところ、同じ食事内容なのに1時間値が130位、2時間値が110から120と今まで違い2時間値が低くなる傾向が出てきました。】

まず、AもBも極めて血糖コントロールは良好です。
国際糖尿病連合は、合併症予防のために、
食後1時間値も2時間値も、160mg/dl未満を目標としていますが軽くクリアです。


東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科准教授の西村理明氏の研究によれば、

1)耐糖能正常者24名の食後血糖値のピークは、40分から50分
2)HbA1c8%未満の患者はおおむね1時間から90分の間にピーク
3)HbA1cが8%を超える患者では2時間後にピーク


です。
ピークが、後にずれるほど、耐糖能が良くないと言えるようです。
上記データは慈恵医科大学の西村理明氏の研究結果です。
西村氏はCGMを駆使して血糖の変動を研究されています。
例えば、耐糖能正常者の24人を調べたところ、
朝食後、昼食後、夕食後ともに血糖のピークは、
40分から50分の時間帯に収まっていました。
次に、糖尿病患者の血糖変化も検証しています。
その結果、HbA1cが8%を超える患者では2時間後にピークがあったものの、
8%未満の患者はおおむね1時間から90分の間にピークがありました。



TAKASHI さんの耐糖能ですが、
B のほうは、食後1時間値がピークであり、2時間値は下がっています。
確かに食後1時間値は130mgくらいで、A より少し高いのですが、
2時間値は、110mg~120mgと、A より下がっています。

従って、西村理明氏の研究結果によるならば
B のほうが、食後1時間にピークがきて、2時間値は下がっているので
より健常者の耐糖能パターンに近づいたと言えます。

ということで、TAKASHI さん、Bのパターンで問題ないと思いますので、
このままBパターンを続けられて、健康ライフを目指して頂ければ幸いです。


江部康二
ミルネスダイナー(サラヤグループ)から低糖質白がゆ販売開始。
こんにちは。
私が監修している ミルネスダイナーから、
低糖質白がゆなど、糖質制限OK食品が販売開始です。
 
株式会社フォワードはサラヤグループで新たに誕生した
食品を専門に取り扱う会社です。
ミルネスダイナーは株式会社フォワードが運営するECサイトです。
 
例によって、私が人体実験しました。
 
2020/8/28(金)
17時10分 血糖値:123mg
低糖質白がゆ80g(糖質4.56g)摂取
18時10分 血糖値:136mg

 
食後ピークの血糖値は60分後で、『123mg ⇒ 136mg』
の上昇でした。
糖質おかゆ80g(糖質4.56g想定)摂取で、
ピークで13mgの血糖値上昇なので、4.3gの糖質含有という計算になります。
想定よりやや少ない数値でしたが安心です。
糖尿人の江部康二は、1gの糖質が3mg血糖値を上昇させます。
低糖質白がゆ、美味しく頂きました。

低糖質白がゆ1パック (200g)当たり 糖質量11.4g です。
https://milnesdiner.jp/goods/index.html?ggcd=F2014  

おかずが、魚貝類、肉類、大豆製品、ブロッコリー、ゴーヤ、海藻、茸などなら
1回の食事の糖質量は、20g以下に充分収まりますね。

 
特集ページTOPページ
https://milnesdiner.jp/special.html?fkey=lowcarb

特集ページ 糖尿病患者向け
https://milnesdiner.jp/special.html?fkey=lowcarbdm

特集ページ 一般向け
https://milnesdiner.jp/special.html?fkey=lowcarbetc


☆☆☆
以下の青字の記載は、ミネルスダイナーからの紹介文です。
 
本日、江部先生にご紹介頂きました、
低糖質食品をメインに販売を行っている「ミルネスダイナー」(https://milnesdiner.jp/)です。 
ご紹介いただきました、「低糖質白がゆ」は糖質制限をして、
どうしても主食を抜くのがツラいという方にぴったりの商品です!
糖質量は1パック11.4gですので、おかずにお肉のソテーや焼き魚、サラダを足していただいても
糖質20g以内で食事ができます!
温めずに常温でも食べられますので、災害時用の非常食としても活躍できるのではないかと思います。 
この度は江部康二先生にブログでご紹介頂きました、
「低糖質白かゆ」の12個セットと36個セットの特別クーポンを皆様にプレゼントさせていただきたいと思います。
 クーポンご利用にて
12個セット 通常価格2,080円 → 1,800円
36個セット 通常価格6,080円 → 5,800円でお買い求めいただけます。

 クーポンコードはmJeKyIsBdb

ご購入手続きのお支払い方法の画面にてクーポンコードをご入力する欄がございますので、
上記のクーポンコードをコピーして貼り付けて「適用」ボタンを押してください。
 ※クーポンご使用のご注意・低糖質白がゆの「12個セット」または「36個セット」をご購入いただいた方のみ
ご利用いただけるクーポンです。

・期間中、お一人様、1回限りご利用いただけます。
・他のクーポンと併用はできません。
・対象商品を複数ご購入いただいた場合も割引金額は変わりません。
・商品のキャンセル、返品等に伴う再発行・返金・換金は受け付けておりません。

 皆様の食生活のお手伝いができましたら私共も嬉しいです。
ミルネスダイナースタッフ一同、心よりお待ちしております。 

 

江部康二
スーパー糖質制限食で、HbA1cが著明改善。糖尿病網膜症は?
【20/09/07 高野豆腐
はじめまして
糖質制限のお陰で血糖値が改善して本当に感謝してるので、
一言お礼を言いたくて投稿しました。

今年1月に網膜症になり病院に行ったら、
HbA1cが12.1、空腹時血糖値が245と、糖尿病が発覚しました。

身内に糖尿病の者が多いけど、
「自分だけは大丈夫」と変な自信を持ってたのですごくショックを受け、
江部先生の著書、ブログ、YouTubeで報道特集の動画などを見て、
糖質制限を始めました。

1月中旬からスタンダード、2月中旬からはスーパー糖質制限を続けていますが、
先月8月にはHbA1cが5.8、空腹時血糖値124となり、
1月に糖尿病が発覚してから僅か7ヵ月間でかなり改善してきました。

網膜症の進行を抑える為にも今後もスーパー糖質制限を続けていくつもりです。

今後も先生の著書やブログを楽しみにしています。本当にありがとうございました!】



こんにちは。
高野豆腐さんから、
糖質制限食でHbA1cが改善したという、とても嬉しいコメントを頂きました。

高野豆腐さん、拙著のご購入ありがとうございます。
2020年1月に糖尿病網膜症になったというのは、
自覚症状があって、眼科受診されて、
そのとき糖尿病網膜症と診断されたということでしょうか。

ともあれ、
1月中旬からスタンダード、2月中旬からスーパー糖質制限食実践で、
HbA1cが、12.1%から5.8%
空腹時血糖値が、245mg/dlから124mg/dl

と素晴らしい改善です。

高野豆腐さんは、眼科受診されているので安心なのですが、
実は、インスリン注射やSU剤を使って、HbA1cを急速に改善させると
糖尿病網膜症が悪化することが知られています。

確かに、インスリン注射やSU剤などにより急速に血糖値が改善した場合、
改善速度が速いほど、網膜症の悪化率が高かったという論文報告があります。
実際に日常臨床上、糖尿人を診察しておられる医師においては
経験があることと思われます。
 従来の糖尿病食だと「糖質摂取+薬物療法」による治療となります。
HbA1cを早く低下させようとすると、どうしても薬物過剰気味となり、
『血糖値の乱高下(平均血糖変動幅増大)』を生じます。
例えば食後血糖値は200mg/dlを超え、空腹時血糖値は70mg/dlとかになります。
これでは、HbA1cが7%未満で一見コントロール良好に見えても
血糖変動幅が大きく酸化ストレスリスクとなる「質の悪いHbA1c」です。
この酸化ストレスリスク増大により、糖尿病網膜症が悪化すると考えられます。

それでは 糖質制限食によって、血糖値が急速に改善した場合はどうなのでしょう?
網膜症の悪化や眼底出血の心配はないのでしょうか?
実は当初、私達も糖質制限食で
インスリン注射以上に速やかに血糖コントロールが良くなるので、
このことを懸念していました。
幸い、1999年、高雄病院で糖質制限食開始以来の経験で、2020年現在まで
糖質制限食によるHbA1c改善では基本的に網膜症の悪化はありませんでしたので、
今は全く心配はしていません。

糖質制限食でHbA1cが改善した場合には、
薬も使用していないので、
「低血糖」「平均血糖変動幅増大」もない『質のいいHbA1c』なのです。
そのため急速なHbA1c改善にもかかわらず、
酸化ストレスリスク増大はないので網膜症の悪化がないと考えられます。
高野豆腐さんも、安心して、スーパー糖質制限食を続けられて
健康ライフを目指しましょう。

次に、既にインスリン注射やSU剤を内服していて、ある時に糖質制限食を開始して、
血糖値・HbA1cが急速に改善していく場合はどうでしょう。
まずスーパー糖質制限食なら、SU剤は即中止できます。
またインスリン注射もどんどん減量されていくので、
「低血糖」「平均血糖変動幅増大」も生じにくい『質のいいHbA1c』であり、
糖尿病網膜症の悪化も起こりにくいと思います。


江部康二
「インスリン低値だけども早朝空腹時血糖値は正常」→良いことです。
こんにちは。

先月来られた糖尿病の新患さんですが、
ブドウ糖負荷試験の結果を持参されました。

・空腹時血糖値:88mg/dl  インスリン:2.8μU/mL(3~15)
・30分血糖値:154     インスリン:3.1
・60分血糖値:185    インスリン:36.9
・120分血糖値:146    インスリン:51.6


主治医は、「インスリンが出ていないのに血糖がそれほど高くない。インスリン分泌指数(⊿IRI/⊿BS)が0.00以下なんてあまり見かけない。不思議な結果だ」と言い、ブドウ糖負荷試験の再検査を指示されたそうです。
ジャヌビアと、たまに外食時にベイスンを服用しておられます。
糖質は昼少しのみでかなり頑張っているそうです。

1)⊿IRI/⊿BS:0.0045 であり、インスリン分泌指数は確かに低いですね。
2)HOMA-β:40.32 と正常で、インスリン追加分泌能第2相は大丈夫です。
3)HOMA-R:0.6と正常で、インスリン抵抗性の指標も大丈夫です。


75gブドウ糖負荷試験は、2時間血糖値が146mg/dlと境界型です。
インスリン基礎分泌がやや低めですが、
早朝空腹時血糖は正常なのでうまく折り合いがついていて、好ましいです。
従って、もう一回ブドウ糖負荷試験を実施する必要はないと思います。

基礎インスリンが低くて、早朝空腹時血糖が正常なのは、
基礎分泌インスリンが高めで早朝空腹時血糖が正常な状態より良いことなのです。
インスリンは血糖値が正常であれば、低ければ低いほど、身体には優しいのです。
基礎インスリンが低くて、早朝空腹時血糖が正常なのは、
糖質制限食の影響かもしれません。

インスリンには、24時間少量持続的に出ている基礎分泌と、
糖質を摂取したときに大量にでる追加分泌があります。

一般に、空腹時のIRI(インスリン)は、基礎分泌とインスリン抵抗性の評価に用います。
負荷後のIRI(インスリン)は、追加分泌の評価に用います。

追加分泌のインスリンには、即分泌される第1相と少し遅れて出る第2相があります。
正常人は、血糖値が上昇し始めたら即インスリンが追加分泌されます。
この第1相反応は、もともとプールされていたインスリンが5~10分間分泌されて、
糖質摂取時の急激な食後高血糖を防いでいます。
その後、膵臓のベータ細胞は、第2相反応と呼ばれる持続するインスリン分泌を行います。
糖尿人の場合は、第1相が欠落・不足していたり、
第2相も、不足・遷延したりすることが結構あるようです。

HOMA-βは、空腹時血糖値と空腹時インスリン値で計算するのですが、
経口血糖負荷試験時の2時間値のインスリン分泌量と、
よく相関することがわかっています。

インスリン分泌指数が低いので、
この方は、第1相がかなり低値で糖尿人のよくあるパターンと言えます。
一方HOMA-βが正常ということは、
インスリン追加分泌の第2相は正常にでていることになります。
罹病期間の長い糖尿人では、HOMA-βが基準値を下回ることが多いです。

それから、負荷後60分血糖値が180mg/dlを超えているので、
将来糖尿病を発症しやすいです。
現在は境界型ですが、糖質制限食で、将来の糖尿病発症を予防しましょう。

通常は、インスリン抵抗性があるとき、インスリンが多く出るようになります。
インスリン抵抗性はHOMA-IRで計算しますが、
空腹時のIRI(インスリン)が上限近い、
あるいはそれ以上あればそれだけでもインスリン抵抗性がある可能性が高いです。
空腹時のIRI(インスリン)の基準値は、施設にもよりますが3~15μU/mLくらいです。

この方は、HOMA-R:0.6と正常でインスリン抵抗性はなく、正常です。
そして少量のインスリンで空腹時血糖コントロールができており、
とても好ましい状態と言えます。
つまりインスリンの効きがいいので、少量のインスリンで事足りているわけです。
従って、空腹時血糖値に関しては全く問題ないと思います。

私は、農耕以前(穀物摂取なし)の人類の早朝空腹時のインスリン値は、
1.5~6.0μU/mlくらいが基準値ではなかったかと考えています。
つまり、空腹時IRI:10μU/mlなどは、基準値(3~15μU/ml)内ですが、
すでに肥満などによるインスリン抵抗性があるのではないかと思うのです。

ただ、インンスリンがないと、人は死亡します。
実際、1921年にインスリンが合成されるまでは、
1型糖尿病で内因性インスリンゼロの場合は平均余命は半年程度でした。

一方、インスリンは肥満ホルモンであり、過剰分泌では発癌性があり、
アルツハイマー病のリスクともなり、老化のリスクでもあります。
つまり、インスリンというホルモンは人体に絶対に必要なのですが、
血糖コントロールができている限りにおいて、
その分泌が少なければ少ないほど身体には優しいのです。
言い換えれば、インスリン分泌が少なくてすむ食生活を心がけていれば、
肥満、癌、アルツハイマー病、老化、動脈硬化などのリスクは減少するのです。

①インスリン分泌指数
インスリン追加分泌のうち初期追加分泌能はインスリン分泌指数で見る。
Insulinogenic index(⊿IRI/⊿BS)=(負荷後30分IRI値-負荷前IRI値)/ (負荷後30分血糖値-負荷前血糖値)
0.4以上は初期追加分泌能維持。2型ではほぼ0.3以下となります。

②HOMA-β
<HOMA-β=360×空腹時インスリン値(μU/mL)/空腹時血糖値(mg/dL)-63>
インスリン基礎分泌の指標の一つである。
肥満していない健常者のHOMA-βの基準値は、50~120くらいとのことです。

③HOMA-IR (インスリン抵抗性指標)
<HOMA-R=空腹時血糖値(mg/dL)×空腹時インスリン値(μU/mL)/405 >
1.6以下が正常、2.5以上は抵抗性あり。
空腹時血糖値140mg以下なら信頼度高い。
一方、空腹時血糖値141mg以上でも、HOMA-Rが高値であれば、
インスリン抵抗性が疑われます。

④Cペプチドインデックス
既にインスリン注射を打っている場合はCペプチドインデックスを用います。
CPI= <空腹時血中CPR値(ng/㎖)/空腹時血糖値(mg/㎗)> × 100
CPI>1.2 の場合、食事療法・運動療法を基本として
経口薬でコントロールが可能な状態です。
CPI<0.8の場合はインスリン療法が必要と言えます。

(☆)
参考
改訂第7版「糖尿病専門医研修ガイドブック」日本糖尿病学会編(診断と治療社)2017
134、135、136ページ

江部康二
第2波コロナ致死率「0.9%」大きく減る。
【20/09/05 久堀
第2波コロナ致死率「0.9%」大きく減る

https://news.yahoo.co.jp/articles/d56ae475556213875a7464e3afe7048818a1392c

推計を担当した鈴木基センター長は、
「ウイルスが弱毒化した説は考えていない。
検査対象の拡大により、無症状や軽症例が多く見つかるようになったため、
致命率が下がったとみられ、『第2波』の数値の方が、病気の実態を、
より表している可能性がある」
と話しています。】



こんばんは。
久堀さんから、ヤフーニュースの
【第2波コロナ致死率「0.9%」大きく減る】
という記事をコメントで紹介して頂きました。
国立感染症研究所の鈴木基センター長のお話です。
日テレニュースからの転載です。
久堀さん,
ありがとうございます。

鈴木基センター長のご指摘通りと思います。
ウィルスの毒性は、第1波も第2波も、同様だと思います。

第1波のときは、症状のある人だけに検査対象者を絞ってPCR検査を実施していて、
無症状者や軽症者は、検査対象に含まれていなかったと思われます。
有症状者に絞れば、致死率が5.8%あったのも頷けます。

第2波では、検査対象を広げて、無症状者や軽症者もPCR検査を実施したので
致死率が0.9%に低下したものと思われます。
また第2波では、第1波に比べて、若者の感染が多かったです。

各国の調査をみても、10代の感染者の8割程が無症状であるのに対して、
70歳以上となると7割程の方に症状が現れるとの報告があります。
このことから、年齢が大いに関係していることが考えられます。
70歳以上の有症状者の致死率は、かなり高いです。
第2波では、若年層の感染者が多かったことが、
致死率の低下に影響したとみられます。

☆☆☆
第2波コロナ致死率「0.9%」大きく減る

9/4(金) 22:36配信
日テレニュース24
https://news.yahoo.co.jp/articles/d56ae475556213875a7464e3afe7048818a1392c

国立感染症研究所は、新型コロナウイルスの感染者のうち、
亡くなった人の割合を推計したところ、
第2波では0.9%で、第1波より大きく減ったと発表しました。
国立感染症研究所は、新型コロナウイルスへの感染が報告された人のうち、
亡くなった人の割合を誤差などを調整して推計しました。
その結果、致死率は、1月から5月のいわゆる「第1波」は、
5月末時点で、5.8%で、
6月以降のいわゆる「第2波」では、
8月19日時点で0.9%でした。
第2波は、第1波と比較して、
亡くなる人の割合が4.9ポイント低くなっています。
70歳以上では、「第1波」は24.5%、
「第2波」は8.7%と大きく低下しました。
推計を担当した鈴木基センター長は、
「ウイルスが弱毒化した説は考えていない。検査対象の拡大により、
無症状や軽症例が多く見つかるようになったため、
致命率が下がったとみられ、『第2波』の数値の方が、病気の実態を、
より表している可能性がある」と話しています。


江部康二
菓子職人9月・10月限定マンスリーケーキ.カフェとココナッツのムースケーキ.
こんにちは。

菓子職人9月・10月限定マンスリーケーキ

カフェとココナッツのムースケーキ

発売中です。

s_2018年9月カフェとココナッツのムースケーキ


測定結果
2020年9月1日(火)
午後4時前 106mg/dl
午後5時、菓子職人ケーキ【カフェ&ココナッツ】100g摂取
60分後、午後7時血糖値:117mg/dl


カフェ&ココナッツケーキ100gあたり摂取で、11mg/dl血糖値上昇です。
糖尿人・江部康二のピークの血糖値上昇は1gの糖質で3mg/dlです。
ということは「11mg/dl÷3mg/dl=3.7g」の糖質含有量で、ほぼ想定範囲で、糖質制限食合格です。

菓子職人 9月・10月限定   Monthly cake(マンスリーケーキ)
ほろ苦コーヒーゼリーがプルっと!
カフェとココナッツのムースケーキ
販売ページ


s_2018年9月カフェとココナッツのムースケーキ(カット)

糖質 3.55g カロリー 249kcal
※100gあたり ※エリストールを除く
賞味期限:冷凍保存20日間、解凍後要冷蔵にて2日間
内容:直径15cm×高さ4.5cm/約530g 1台
価格 4,500円(税込)


カフェとココナッツのムースケーキ 美味しさのヒミツ
monthly_cut1909.jpg


A 生クリーム
B コーヒーのジュレ
C ムースココナッツ 
D コーヒーゼリー
E ムースカフェ
F ココア生地
G ココナッツファイン


コーヒージュレとゼリーの爽やかな清涼感ある甘さと、生クリームとココナッツのしっとりとしたボリューム感の合わせ技で、
芳醇な味わいとなっています。

ブログ読者の皆さんも、是非、ご賞味頂ければ幸いです。

美味しくて素敵な糖質制限スイーツをいつも提供して頂き、菓子職人さん、ありがとうございます。

【ご購入はこちらから】


江部康二


世界で糖尿病が増加。一旦診断された糖尿病は治るか?治らないか?
こんにちは。
世界的に糖尿病が増えています。
世界糖尿病デーの2019年11月14日、国際糖尿病連合は、
世界の糖尿病人口は4億6300万人に増加と報告しました。
人類にとって糖尿病が大きな脅威になっています。
さて、一旦診断された糖尿病は、治るのでしょうか?治らないのでしょうか?
一般には、「一旦糖尿病になったら決して治らない」というのが定説ですが、
本当のところはどうなのでしょう。

<糖尿病発症のプロセス>
それではまず、どのようにして糖尿病が発症するのかを考えてみます。
日本人の糖尿病発症は、食後高血糖が数年間続いているのを見逃しているうちに、
遂に空腹時血糖値が上昇してきて、健康診断で発見されたというパターンが多いです。
即ち、当初は食後高血糖にならないように、
糖質を摂取したあと膵臓のβ細胞が
インスリン追加分泌を頑張って大量に出し続けていきます。
インスリン(肥満ホルモン)の大量分泌が一定期間続くと肥満を生じることもあります。
肥満があるとインスリン抵抗性(効きが悪くなる)が出現します。

そして長年β細胞が頑張った結果、
ある日とうとう疲弊して分泌が追いつかなくなってきて、
食後高血糖の段階に至ります。
この段階では、インスリン追加分泌の軽度の不足があり、
食後2時間血糖値値が140~199mgの境界型レベルになりますが、
まだ基礎分泌は保たれていて早朝空腹時血糖値は、
110mg/dl未満で正常範囲を保つことがほとんどです。
食後高血糖の段階になると、高血糖そのものが膵臓のβ細胞を障害します。

食後高血糖が180mgを超えてくると、
β細胞への直接のダメージでインスリン分泌不足を悪化させ、
また筋肉細胞のインスリン抵抗性も増してきて、糖毒と呼ばれる悪循環を生じます。
食後高血糖が数年間続くと、膵臓はさらに疲弊していき、
インスリン追加分泌の不足に加えて、インスリン基礎分泌不足となり、
とうとう早朝空腹時血糖値が高値となり、糖尿病を発症します。

・空腹時血糖値が126mg/dl以上
・随時血糖値が200mg/dl以上


で糖尿病型と診断されます。
糖毒状態が1日の中でも長時間続くようになれば、急速に糖尿病が悪化していきます。

糖尿病は、「インスリン分泌不足」「インスリン抵抗性」が合わさって発症しますが、日本人は、インスリン分泌不足が主で、欧米人は、インスリン抵抗性が主とされています。
インスリン分泌不足とインスリン抵抗性を合わせて、「インスリン作用不足」と言います。

A)<インスリン分泌不足が主の糖尿病>
インスリン分泌不足が主の場合、糖尿病と診断された時点で、
インスリンを作っている膵臓のランゲルハンス島のβ細胞の2~3割が壊れていて、
2~3割が疲弊していて、健常なのは、残りの半分くらいと考えられます。
一般に、糖尿病が治らないと言われるのは、既に壊れてしまったβ細胞は、
決して元に戻らないと言う意味です。

しかし、糖質制限食を実践して、膵臓が充分休養できれば、
疲弊していたβ細胞が、正常に回復することが期待できます。
実際、入院時の空腹時血糖値が200mg近かった方が、
糖質制限食実践数日~10日で、110mgを切ってくることもあります。
特に罹病期間が短い場合は、回復が早いです。
食後高血糖の期間・年数が長いほど、
β細胞がダメージを受けている割合が徐々に増えていき、
ダメージが大きい細胞は、回復しにくくなっていくということになります。

次にインスリン抵抗性が主の糖尿病を考えてみます。

B)<インスリン抵抗性が主の糖尿病>
この場合、インスリン分泌能力はあるていど保たれていることが多いのです。
日本人でもこのタイプが少し増えてきています。
例えば、高度肥満や脂肪肝がありインスリン抵抗性が高まれば、
インスリンは分泌されていても、糖尿病を発症することがあります。
このとき何らかの方法で肥満や脂肪肝が改善すれば、インスリン抵抗性が減少します。
そうすると、適量のインスリンで
筋肉細胞や脂肪細胞内にブドウ糖を取り込むことが可能となり、
元々インスリン分泌不足は、ほとんどないので血糖値は正常化し、
糖尿病が治ることになります。
治るという言い方に語弊があるなら、
インスリン作用不足が改善し健常のパターンに戻るということです。

実際、そういう患者さんを数名経験しました。

例えば、「空腹時血糖値218mg/dl、HbA1c11.7%、163cm、72kg」だった女性が、
内服薬なしでスーパー糖質制限食を1年続けて、60kgと肥満が解消し、
HbA1cは5.5%前後で保ち、
糖質を普通に摂取しても食後2時間血糖値が140mg/dl未満となりました。
勿論、空腹時血糖値も正常範囲です。
血液検査のデータでは、診断基準上は正常人としかいいようがありませんので、
糖尿病のレッテルも消えました。
現段階なら、この患者さんが糖尿病専門医を受診して、
いろいろ血液検査をされたとしても
「糖尿病ではありません。診断基準からみて正常です。」
という診断となるでしょう。

C)<江部康二の場合>
私の場合は、インスリン分泌不足が主でインスリン抵抗性が従の糖尿病でして、
スーパー 糖質制限食を続けているかぎりは正常人ですが、
糖質を摂取すれば残念ながら食後時間血糖値は200mgを超えて、
立派な糖尿病です。
β細胞が既に2~3割壊れていて、決して治らないパターンですね。

D)<結論>
インスリン分泌不足のタイプの糖尿病は、発症したら、基本的に治りません。
一方、
「インスリン抵抗性が主の糖尿病なら、抵抗性が改善すれば、糖代謝が正常人のパターンに戻る人もまれにいる」ということです。


江部康二

医療従事者対象のオンラインセミナー開催のご案内。10月4日(日)。
こんにちは。
2020年10月4日(日)、
医療従事者の方を対象にオンラインセミナーを開催いたします。
4月5日東京での開催を中止としましたセミナーをこのたび、
オンラインで催すことといたしました。

日時:2020年10月4日(日)12:30~17:00頃

内容:
◇第1部:「糖質制限食による糖尿病指導① ~高雄病院の食事と栄養指導」
 講師: 橋本 眞由美 管理栄養士 / (一財)高雄病院 栄養科長

◇第2部:「糖質制限食による糖尿病指導② ~理論と臨床」 13:20頃~
 講師: 江部康二 医師 
    (一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長

◇第3部: 「発表・討議」 15:15頃~
・『糖質制限による糖尿病治療の導入法(外来で糖質制限による糖尿病治療の実際)』
 佐藤 信昭 医師 / 茅ヶ崎徳洲会病院(神奈川)  副院長(内科)
・『コメ消費大国カンボジアにおける糖質制限指導の苦労』
 奥澤 健 医師 / ケンクリニック(カンボジア) 院長
・『外来での2型糖尿病に対する中等度糖質制限食と筋力トレーニングの組み合わせの効果について』
 宇佐見 啓治 医師 / うさみ内科(福島) 院長
・『糖質制限+たんぱく強化食による産後うつの栄養学的管理』
 林 美穂 管理栄養士 / 宗田マタニティクリニック(千葉)
・『耐糖能低下を合併する消化器癌患者に対する術前術後糖質制限輸液の経験』
 村上 博史 医師 / 西部総合病院(埼玉) 外科

*第3部は、発表10分・討議7分ずつを予定しております。


江部康二、事務局、各講師は、東京の広い会議室に
まばらに、座って、Zoomで対応します。
初めての試みですが、プロカメラマンによるテクニカルサポートを受けますので、
きっと大丈夫と思います。

発表・討議は私が司会を務めさせて頂きます。
活発な討議ができればいいなと思っています。
ブログ読者の医療関係者の皆様、是非ご参加頂ければ幸いです。

江部康二


☆☆☆
以下事務局からのお知らせです。

***********

ブログ読者の皆様、いつも弊会のイベントへ多数ご参加いただきましてありがとうございます。

2020年10月4日(日)、医療従事者の方を対象にオンラインセミナーを開催いたします。

4月5日東京での開催を中止としましたセミナーをこのたび、オンラインで催すことといたしました。

第1部は高雄病院の橋本眞由美
管理栄養士による講義で、高雄病院の糖質制限食と栄養指導について、症例も交えてお話しいたします。

第2部は理事長による講義で、糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論や臨床例について解説いたします。

第3部は発表・討議で、医師と管理栄養士、5名の方々に発表いただき、
ディスカッションを行います。

医療従事者向けセミナーは、医療機関での糖質制限食指導の普及促進、ブラッシュアップ、発展を目指して2013年より開催しております。

2019年3月のセミナー(東京)より、臨床で糖質制限を採り入れておられる医療従事者の方々に発表いただき、指導法や症例などの共有、意見交換をしていただく「発表・討議」の時間を設け、参加いただいた方から、大変参考になる、刺激になった等ご好評いただいております。

今回もバラエティに富んだテーマにて発表エントリーいただきました。

医療従事者の皆様のご参加を心よりお待ちしております。

*セミナー情報URL:http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity

//////////////ご案内/////////////////

日本糖質制限医療推進協会主催<オンラインセミナー>
 「医療従事者向け糖質制限食セミナー」

■日時:2020年10月4日(日)12:30~17:00頃

​■内容:

◇第1部:「糖質制限食による糖尿病指導① ~高雄病院の食事と栄養指導」

 講師: 橋本 眞由美 管理栄養士 / (一財)高雄病院 栄養科長

◇第2部:「糖質制限食による糖尿病指導② ~理論と臨床」 13:20頃~

 講師: 江部康二 医師 
    (一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長

◇第3部: 「発表・討議」 15:15頃~

・『糖質制限による糖尿病治療の導入法(外来で糖質制限による糖尿病治療の実際)』
 佐藤 信昭 医師 / 茅ヶ崎徳洲会病院(神奈川)  副院長(内科)

・『コメ消費大国カンボジアにおける糖質制限指導の苦労』
 奥澤 健 医師 / ケンクリニック(カンボジア) 院長

・『外来での2型糖尿病に対する中等度糖質制限食と筋力トレーニングの組み合わせの効果について』
 宇佐見 啓治 医師 / うさみ内科(福島) 院長

・『糖質制限+たんぱく強化食による産後うつの栄養学的管理』
 林 美穂 管理栄養士 / 宗田マタニティクリニック(千葉)

・『耐糖能低下を合併する消化器癌患者に対する術前術後糖質制限輸液の経験』
 村上 博史 医師 / 西部総合病院(埼玉) 外科

*第3部は、発表10分・討議7分ずつを予定しております。

■対象:

医療従事者の方(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、理学療法士、鍼灸師など)

■受講費:

・医師・歯科医師の方: 賛助会員 6,400円 / 一般(会員以外) 8,000円

・上記以外の医療従事者の方: 賛助会員 4,400円 / 一般(会員以外) 5,500円

<補足・ご案内>

*Zoomを使用したオンラインセミナーです。

・スマートフォンでもご参加可能ですが、スライド資料をご覧いただくために、パソコンかタブレット端末でご参加いただくことを推奨いたします。

・事前に招待URLをお送りし、当日はそのURLにアクセスしていただき、オンライン受講(参加)していただくかたちとなります。

・当日までにZoomのインストールを済ませていただくことを推奨いたします。

・詳細はご予約後にご案内申し上げます。

・挙手機能を使用して、オンラインでの質疑応答、討議も予定しております。

*第1部・第2部の映写資料データ(PDF)を後日ダウンロードしていただけます。

*当日のセミナー動画は、後日一定期間ご覧いただけます。(セミナー参加者様限定)

■お支払い方法:クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。

※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。

■お申し込みの流れ:

1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込み下さい。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。

■お申し込み方法:

★賛助会員の方:事務局へメールにて、医療機関でのご職種をご記入の上、お申し込み下さい。

★賛助会員入会をご希望の方:

1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up

2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
 「通信」欄に以下をご記入下さい。
 ① 「10/4オンラインセミナー、参加希望」 とご記入下さい。
 ② 医療機関でのご職種をご記入下さい。
 http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact

★一般(会員以外)で、セミナーの受講のみご希望の方:

下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-med

■その他:

・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは10月2日(金)までに事務局までご連絡願います。それ以降のご返金は対応致しかねますので予めご了承下さい。

激論甲子園:緊急シンポ 獣医学と医学との共闘でコロナに対峙する
【20/08/31 升麻
「1/100作戦」の宮沢先生
9月13日(日)に兵庫県西宮市で、コロナウイルスや呼吸器ウイルス学の専門家が登壇するシンポジウムが開催されます。
京都大学の宮沢孝幸先生が企画されました。

なぜか国の専門家会議には含まれていない、コロナウイルスや呼吸器系ウイルス学の専門家の方々の考えを聞ける貴重な機会だと思います。
また、シンポジウムの後、結婚式などを想定した、安全な宴会を体験する実践形式のセミナーもあります。

会場参加の一般枠はすでに埋まってますが、企業・ホテル関係・旅行関係の枠は、実質一般枠だそうです。
YouTube参加もできます。
一人でも多くの方に参加していただけたらと思い、江部先生にお知らせ致しました。

https://20200913-1-100.peatix.com/
https://20200913-buffet.peatix.com/ 】



こんばんは。
升麻さんから、京都大学の宮沢先生が主催される
新型コロナウィルスに関する緊急シンポジウムの情報をコメント頂きました。
升麻さん、ありがとうございます。
会場参加枠はすでに受付終了ですが、
YouTube参加もできるので、私も参加しようと思います。
貴重な機会ですので、ブログ読者の皆さんも是非、
ユーチューブでの参加をご検討頂ければ幸いです。


江部康二


https://20200913-1-100.peatix.com/

激論甲子園:緊急シンポ 獣医学と医学との共闘でコロナに対峙する

ご挨拶

 2019年に発生した新型コロナウイルスが世界中に流行して混乱しています。
 残念なことに世の中には誤った情報が流れており、深刻なインフォデミックを引き起こしています。私たちは、新型コロナウイルスの正しい知識を身につけ、ストレスのない日常を一刻も早く取り戻さなければなりません。さもなければ、確実に「恐慌」に突入します。
 正しい情報を知るために、今回は、コロナウイルス研究と呼吸器ウイルス研究、ゲノム研究の国内の第一人者をお呼びいたしました。正確な情報発信とともに、今回の「コロナウイルス騒動(あえてそう呼びます)」の何が問題だったかを明確にし、専門家のあり方を問いたいと思っています。
 このシンポジウムはインターネットでも配信します。多くの方が受講されることを願っています。

京都大学 レジリエンス実践ユニット
宮沢 孝幸

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講演者
1. 京都大学     宮沢孝幸 「1/100作戦」
2. 仙台医療センター 西村秀一 「医師(呼吸器系ウイルス学)からみたウィズコロナ時代」
3. 東京農工大学   水谷哲也 「SARSコロナウイルスの専門家による新型コロナウイルス解説」
4. 北里大学     高野友美 「猫伝染性腹膜炎における抗体介在性感染増強作用とワクチン開発」(リモート講演)
5. 東海大学     中川草  「新型コロナウイルスのゲノム解析からわかること、わからないこと」(リモート講演)
6. 京都大学     藤井聡  「危機管理からみたウィズコロナ時代」
※講演順・タイトルは変更の可能性があります


タイムテーブル
1. 登壇者による講演 各30分 有料配信あり
2. 座談会      60分  無料配信あり

日時
• 2020年9月13日(日)
• 受付開始 12:00
• 開場   12:30
• 講演開始 13:00
• 終了予定 17:00

会場
• ホテルヒューイット甲子園
• 2階:甲陽
http://hotel-hewitt.com/

イベント形式
• 会場参加     最大90名(有料, 3000円)
• 登壇者による講演 YouTubeライブ配信(有料, 1000円, 申し込みいただいた方に限定公開URLをお送りします)
• 座談会      YouTubeライブ配信(無料, 申し込みの必要はありません)

ご注意
• 講演終了後、会場参加・有料講演参加者にはYouTube配信のアーカイブURLをお送りいたします。
• 内容はアーカイブでご確認いただけますので、参加できなかった場合の払い戻しはありません。
• いただいた寄付は、今回のシンポジウム運営費に当てさせていただき、余剰が出た場合は主催・共催・協賛学会の運営費とさせていただきます。

GoToトラベルキャンペーンを利用すると割引が受けられます
• 宿泊:ホテルヒューイット甲子園のGoToトラベルキャンペーン情報
• 移動:JTBのGoToトラベルキャンペーン情報(詳しくは最寄りの店舗にお問い合わせください)

本講演会における新型コロナウイルス感染症への対策
• 24時間換気システムによる換気に加え、定期的なドアの開放による換気を行います。
• 本講演会ではソーシャルディスタンス確保のため、通常350人収容可能な会場を使用しますが、会場参加は最大90名としております。
• 参加者席から演台までは3メートルの距離を確保しています。
• 当日熱がある方は入場お断りすることがあります。
• 喘息などで咳が出る方は、マスクの着用をお願いします。
• 発言、 会話するときはマスクの着用を求めますので、 必ずご持参ください。
• 入場の際、アルコール消毒等をいたします。 ご協力ください。

主催・共催・協賛
• 主催:京都大学レジリエンス実践ユニット
• 共催:小動物ウイルス病研究会、関西ウイルスクラブ(KVC)、ホテルヒューイット甲子園
• 協賛:日本レトロウイルス研究会、環境ウイルス集会