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「座りすぎ」でがんのリスク増加、追跡装置で客観的に調査。
こんにちは。

<CNNのOdd News>
少し前ですが、
「座りすぎ」でがんのリスク増加、追跡装置で客観的に調査
https://www.cnn.co.jp/fringe/35155632.html
という記事が、
CNNのOdd News(ちょっと変わったニュース)に掲載されました。

JAMA(米国医師会雑誌)という権威ある医学雑誌での発表ですので
信頼度は高いと思われます。
そして、約8000人の参加者に
起きている時間について7日間連続で追跡装置を装着したということで、
運動の程度が客観的に把握されているのが、肝要なところです。

今までの研究では、運動量(座る、軽度な運動、中度の運動)に関しては
自己申告なので、正確さにおいて信頼度にかけるところがありました。

『約8000人に5年間の追跡調査を行い、最も座りがちな人々は、年齢や性別、疾病状態を勘案しても、
最も座らない人たちと比較して、がんで死亡するリスクが82%高い』

ということです。

また、がん罹患に関しては、
運動不足の人が軽度の運動を30分すれば、8%リスクが減り、
中度の運動なら、31%リスク軽減とのことです。


<私が実践しているのは、ながらジョグ>
『今は、めちゃくちゃ暑いので、散歩なんてとんでもない。』
という方もおられると思います。
そんな方にお奨めなのが『ながらジョギング』⇒略して『ながらジョグ』です。
私は夕食を済ませて、ブログ記事を書いて一段落したら、
日曜日なら『半沢直樹』を見ながら、25%焼酎のロックをチビチビ吞みながら
3分間くらいテレビの前で、垂直方向にジョギングして、しばらく休んで(歩いて)
また3分間くらいながらジョギングをして・・・で、
見終わる頃には、『ながらジョグ』3分間×5回くらいに、なっています。
合計30分の軽度の運動です。
面倒くさがりの私でも、これなら続けることができています。
週に5回やれば充分と思います。
エビデンスはなくエベデンスしかありませんが、
筋肉への負荷が多いという意味では、
インターバル速歩に匹敵する効果、
あるいはそれ以上の効果が期待できるように思います。 (^^)

皆さんも是非、試して頂ければ幸いです。
以下の青字がCNNのOdd News(2020.6.22)記事です。


☆☆☆
Odd News https://www.cnn.co.jp/fringe/35155632.html
「座りすぎ」でがんのリスク増加、追跡装置で客観的に調査


2020.06.22 (CNN) 長い時間座り続けているとがんのリスクが高まる可能性があるとの研究結果が
医学誌JAMAで発表された。
報告書の主筆で、米テキサス大学MDアンダーソンがんセンターでがん予防に携わるスーザン・ギルクリスト准教授は
「動かないこととがんによる死亡の間に強い関連が明らかにみられた最初の研究だ」と述べた。
一方で、少なくとも30分間の肉体的な運動と置き換えることで、リスクを低減できるとしている。
ギルクリスト氏は「我々の研究は、座る時間を少なくし、動く時間を増やすということの重要性について補強するものだ」と述べた。
研究では2009年から13年の間、約8000人の参加者に起きている時間について7日間連続で追跡装置を装着してもらった。
調査開始時でがんをわずらっていた参加者はいなかった。
参加者は全員、2003年から07年に行われていた3万人の45歳以上の米成人を対象に行われていた
より大規模な脳卒中に関する研究にも参加していた。
5年間の追跡調査を行い、研究者は、最も座りがちな人々は、年齢や性別、疾病状態を勘案しても、
最も座らない人たちと比較して、がんで死亡するリスクが82%高いことを発見した。
先に行われた研究では健康的な食事や運動、禁煙といった健康的なライフスタイルを選ぶことで、
がんによる死は50%以上予防可能だということが示されている。
しかし、座ることとがんについて、過去の研究では自己申告であり客観的なデータではなかった。
今回の研究では追跡装置を装着することで、より正確に運動が及ぼす影響について推計することができた。
研究では、座っている時間30分をウォーキングなど軽度な運動に置き換えることで
がんになるリスクを8%軽減できることがわかった。
中度の運動でも31%リスク軽減につながるという。


江部康二
名医が考えた 認知症にならない最強の食事術 宝島社 江部康二著。
名医が考えた 認知症にならない最強の食事術
江部康二著 宝島社


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http://urx.blue/07K6


こんにちは。
名医が考えた 認知症にならない最強の食事術
江部康二著 宝島社

2020/6/10から発売中です。
幸い、アマゾンでの書評も高評価を頂いています。

近年AGEs(終末糖化産物)の蓄積が、
老化や認知症の元凶であることがわかってきました。
そして、糖質摂取量が多いほど食後高血糖を生じ、
年余に渡り、AGEsは沢山蓄積していきます。

糖尿病合併症の元凶もAGEsなのですが、
糖尿病でない人もAGEsの蓄積により老化や認知症を生じるのです。
そして、AGEs蓄積を最小限におさえて、
『糖化』『老化』『認知症』発症リスクを予防できる食事療法は
唯一糖質制限食だけなのです。
本書を読んで、間に合う内に、認知症予防を心がけて頂ければ幸いです。

以下の青字は、本書の「はじめに」です。


はじめに


 私は1974年に京大医学部を卒業しました。
医師になり46年が経過して2020年現在70歳です。
同級生は110人卒業しましたが、10名はすでに逝去されました。
医者の不養生というわけでもないのですが、仕事上の重責とか毎日のようなサービス残業とか、
精神的にも肉体的にもかなりストレスフルなのがこの職業なので、医師は思った以上に短命なのです。

 岐阜県保険医協会が実施した調査(2008~2017年)で、開業医の死亡時平均年齢が70.8歳と短く、
特に60歳代の死亡割合が34%と最も多いことが明らかになりました。
厚生労働省の統計にある死亡時平均年齢(2015年)は、男性が77.7歳、女性が84.3歳であり、明らかな差がありました。
日本人全体の死亡割合では80歳代がピークであり、医師の60歳代がピークというのはいかにも若すぎます。

 さてこのように医師は短命という事実もあり、4年に1回オリンピックの年に開催していた同窓会を、
誰がいつ死ぬかわかならいということで近年は2年に1回と改めました。
4年前の同窓会で、「一番なりたくない病気は何?」という話題となりましたが、
約60名の出席者全員が「アルツハイマー病(認知症)」ということで一致しました。
 がんもこわい病気ですが、間に合えば完治できることもありますし、転移があって完治が困難であっても、
基本的に意識は最後まで保たれることがほとんどということもあって、
「一番なりたくない病気はがん」と発言した同級生はゼロでした。

 認知症の患者とその予備軍は65歳以上では4人に1人もいます。
 認知症は、日本のような高齢化社会におけるもっとも重要な疾患の一つです。
2018年現在わが国には約 462 万人の認知症患者が存在し、
さらに認知症予備軍と考えられる軽度認知障害の高齢者が約 400万人もいます。
軽度認知障害 は、認知症への進行リスクが高く、該当者は年率 10 ~15% で認知症に進行するとされています。

 このように増え続ける認知症ですが、現代医学において根治につながる治療法はありません。
従って可能な限り早期に認知症および 軽度認知障害を発見してなんらかの介入を行い、
進行を止めるあるいは症状を改善させることが求められます。

 認知症との関連で注目されている物質に AGEsがあります。
AGEs については本文で詳しく説明します。
AGEs は、糖尿病合併症(透析、切断、失明など)の元凶と考えられてきましたが、
近年糖尿病のみでなく、動脈硬化進展の主役の一つとされ、
老化、認知症、慢性炎症、腎不全などにも関与していることが判明しました。

 糖尿病患者では AGEs の増加とともに認知症あるいは軽度認知障害へ移行することが知られています。
一方、糖尿病でない人も皮膚AGEs の蓄積量と軽度認知障害とに関連があることが判明しました。
皮膚にAGEsが蓄積していれば脳にも同様に蓄積しているということです。

 このようにAGEsの蓄積が認知症に関与していることが明らかとなっていますが、
糖質制限食なら、AGEsの蓄積を最小量におさえることが可能です。
糖質制限食は1999年、高雄病院が日本で初めて糖尿病治療に導入した食事療法です。
近年糖尿病以外にも様々な生活習慣病に効果があることが明らかとなっています。

 糖質制限食実践は早ければ早いほどいいです。
軽度認知障害の段階で糖質制限食を実践すれば、認知症への進行を予防できるし、
軽度認知障害が改善し正常に戻ることも期待できます。
なにしろ本文で紹介しますが、アルツハイマー病を発症したあと、
スーパー糖質制限食実践で一週間足らずで正常に戻った方さえおられるのです。

 40代、50代から糖質制限食を実践していれば、
軽度認知障害のリスクもなくなりますし、健康長寿が約束されます。
さらに早期の20代、30代から糖質制限食を実践すれば、糖化に伴う老化が予防できます。

 私は、52歳で糖尿病を発症して以来、スーパー糖質制限食を実践していますが、
70歳現在、歯は全て残り虫歯なし、聴力低下なし、視力低下なし、
身長縮まず、夜間尿なし、内服薬なし、合併症なしです。
明らかに「糖化⇒老化」が予防できているのだと考えられます。

 月~土と毎日外来診察を行い、入院患者さんも担当しています。
ほぼ毎日ブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」を更新し、
本も出版し、講演活動も行っており、とても元気です。
読者の皆さんが健康長寿を達成されるよう本書および糖質制限食がお役に立てれば幸いです。


江部康二
BCGワクチンが新型コロナウィルスの拡散率を低下させる可能性を示唆。京大。
こんにちは。
中嶋一雄先生から、BCGワクチンと新型コロナウィルスに関する耳よりな情報を
コメント頂きました。
BCGワクチン接種義務の制度化が新型コロナウイルスの拡散率を低下させる可能性を示唆
という題で、京都大学のサイトに研究成果が発表されています。
中嶋先生、ありがとうございます。
以下の青字は、京都大学のサイトの記載です。

『BCGワクチンが新型コロナの感染予防・重症化予防に有効である。』
という仮説、私はずっと賛成派で興味津々だったのですが、
なかなか仮説の域を脱却できない状況でした。

・・・計130数カ国を比較した結果、
BCGワクチンの接種を少なくとも2000年まで義務付けていた国々では、
そうでない国々と比べて、
感染者数、死亡者数共に増加率が有意に低いことを見出しました。・・・


今回、京都大学の北山忍 こころの未来研究センター特任教授(ミシガン大学教授)らの研究グループが、
BCG摂取国では、感染者数、死亡者数共に増加率が有意に低いことを
見いだされたということで、これは私にとって嬉しい限りです。

BCGの有効性が単なる仮説の段階から、統計的に有意さがあることが示されました。
大きな前進と言えます。


☆☆☆
京都大学
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2020/200731_4.html  
BCGワクチン接種義務の制度化が新型コロナウイルスの拡散率を低下させる可能性を示唆

2020年08月25日

 北山忍 こころの未来研究センター特任教授(ミシガン大学教授)らの研究グループは、BCGワクチン接種義務の制度化が新型コロナウイルスの拡散率を低下させる可能性を示唆しました。

 新型コロナウイルスによる感染者数や死亡者数は国ごとに大きく異なります。
この事実の説明として、
BCGワクチン接種義務の制度が関わっているのではないかと議論されています。
しかし、現在のところ、
国際比較データの分析に伴う方法的問題から結論は明らかではありません。

 そこで本研究グループは、
まず国ごとの流行の初期における感染者数と死亡者数の増加率を見ることにより
報告バイアスの効果を排除し、
さらに、様々な交絡要因を統計的に統制しました。

その上で、計130数カ国を比較した結果、
BCGワクチンの接種を少なくとも2000年まで義務付けていた国々では、
そうでない国々と比べて、
感染者数、死亡者数共に増加率が有意に低いことを見出しました。

この結果は、BCGワクチンの接種義務を制度化することにより、
新型コロナウイルスの流行を将来的に抑制できるという可能性を示唆しています。
そこで今後、各国ごとに、
このような制度を採用・維持するための議論が必要になるかと思われます。

 本研究成果は、2020年7月31日に、
国際学術誌「Science Advances」に掲載されました。


江部康二


LDLコレステロール値が スーパー糖質制限食実践で順調に低下。
【20/08/28 岡安
LDLコレステロール
昨年の4月1日から6月30日まで、スーパー糖質制限を行い、10キロ減量できました。
昨年5月初旬に献血をした所、コレステロール値がとても高く、
病院で、血液検査をしました。

先生のブログに中性脂肪値が低く、HDLコレステロールが高ければ問題ないとのことが載っていたので
大丈夫かなとは思っていたのですが、
昨年9月の江部先生の大阪でのセミナーに参加させていただき、直接質問させて頂いた所、
気にしなくても大丈夫ですよ!と太鼓判を押していただいたので、
その後の経過観察として、血液検査のみ受け、薬は飲んでいません。

半年で数値がすごく良くなったのでコメントさせて頂いております。
お医者さんには、不思議だなあ〜、ほんとに不思議だと言われました(笑)

19/8/14
中性脂肪 57
HDLコレステロール 85.3
LDLコレステロール 223
HbA1C 5.6

20/2/5
中性脂肪 86
HDLコレステロール 93.1
LDLコレステロール 192
HbA1C 5.7

20/8/26
中性脂肪 52
HDLコレステロール 78.4
LDLコレステロール 131
HbA1C 6.0

となりました。
現在は、ほぼ、主食は食べてなく、たまに外食の時は気にせず食べています。

体重は、3キロほど増え、女性58歳165センチ56キロ程です。

HbA1C の値が少しづつ増えているのがちょっときになるのですが、もう少しちゃんと、糖質制限した方が良いでしょうか?

ただ、運動ができていないので、もう少し動いたら、大丈夫かなあとも思っています。

もう少し糖質制限しながら、軽い運動をやり始めようかと思っています。】




岡安 さん
まずは、スーパー糖質制限食実践91日間で、10kgの減量成功、素晴らしいです。


19/8/14
中性脂肪 57
HDLコレステロール 85.3
LDLコレステロール 223
HbA1C 5.6

20/2/5
中性脂肪 86
HDLコレステロール 93.1
LDLコレステロール 192
HbA1C 5.7

20/8/26
中性脂肪 52
HDLコレステロール 78.4
LDLコレステロール 131
HbA1C 6.0


2019/8/14の検査でも、
中性脂肪が60mg/dl以下、
HDLコレステロールが60mg/dl以上なので
LDLコレステロールも全て標準の大きさの善玉です。
標準の大きさの善玉LDLは、肝臓から末梢組織に
コレステロールという細胞膜の原料を運ぶという大切な役割を
担っています。
小粒子LDLコレステロールや酸化LDLコレステロールといった悪玉は
ほぼ皆無といえ安心です。

とは言え、主治医は、
『高コレステロール血症を放置したら、動脈硬化になり、
心筋梗塞や脳梗塞のリスクになるので、スタチンを内服しなさい。』

などと、脅してくるでしょう。
『内服はしたくない』と毎度、バトルをするのも、
さすがにストレスになりますので困りものです。

基本的には、食時由来のコレステロールが少ないと
肝臓が沢山コレステロールを産生して、細胞膜の原料を確保します。
一方、食時由来のコレステロールが多いと、
肝臓は、コレステロールの産生を減らして調整します。
こういった生理学的事実があるので、
米国でも日本でも、コレステロールを多く含む食材(卵など)の制限を
2015年に撤廃しました。


岡安 さんの場合は、

19/8/14 20/2/5 20/8/26
LDLコレステロール 223     192     131mg/dl

と、半年ごとにスムースにLDLコレステロール値が減少して、
1年後には、基準値に収まっています。
スーパー糖質制限食実践者の、典型的経過の一つのパターンです。
スーパー糖質制限食実践者では、よくあるので、不思議ではありません。

岡安 さんの肝臓は、
比較的食材からのコレステロールに
速やかに反応してくれるタイプの肝臓だったのだと思います。

ただ、肝臓が生産調整をしてくれる速度には、
かなり個人差もあるようでスーパー糖質制限食実践で3年経っても、
なかなかLDLコレステロールの低下速度がゆっくりな人もいます。

ともあれ、米国も日本も食材のコレステロール値は、エビデンスに基づいて、
一定期間経過すれば、血中のコレステロール値には影響しないという見解ですので
スーパー糖質セイゲニストにとっては、とても嬉しいことですね。


江部康二
人体の臓器や細胞のエネルギー源。小腸と大腸は特殊。
【20/08/26 naochabin
質問です。
なぜ人間は本当は糖質を必要としない(糖質は体に害を及ぼすしかない)のに細胞は糖質をエネルギー源とするのですか?
昔の狩猟民族の時は穀物がなかったため動物の細胞は糖質ではなくてタンパク質、脂質をエネルギーとしていたのですか?
教えて下さい。】


こんばんは。
naochabin さんから、糖質、脂質、タンパク質の役割や、
人体のエネルギー源について、質問を頂きました。

人体のエネルギー源として
A)脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム
B)ブドウ糖-グリコーゲンエネルギーシステム
があります。
人体のほとんどの細胞が、A)B)をエネルギー源として使用しています。

A)脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム
体内の脂肪組織の中性脂肪は、分解されて脂肪酸とグリセロールになります。
脂肪酸は脳と赤血球以外の人体組織のエネルギー源となります。
ケトン体は肝細胞内で、
「脂肪酸→β酸化→アセチルCoA→ケトン体」
という順番で誰においても日常的に生成されていて肝臓では使用されずに、
他の臓器、脳や筋肉のエネルギー源として供給されます。
これは、最も効率のよいエネルギー源であるケトン体を、
自らは使用せずに他の臓器に優先的に回すという趣旨です。
脂肪酸-ケトン体エネルギーシステムは、安静時や空腹時や睡眠時は、人体の主たるエネルギーシステムです。


B)ブドウ糖-グリコーゲンエネルギーシステム
ブドウ糖は、筋肉と肝臓にグリコ-ゲンとして蓄えられています。
通常成人男子では90~150gが肝臓に肝グリコーゲンとして貯蔵されていて、
100~400gのグリコーゲンが筋肉内に存在します。
筋肉中のグリコーゲンは筋肉細胞のエネルギー源となりますが、血糖にはなりません。
糖質摂取後最初の3~4時間は消化管から吸収されたブドウ糖が身体のエネルギー源となり、
その後余った血糖は肝・筋・脂肪組織にグリコーゲンや中性脂肪として蓄えられます。
肝臓のグリコーゲンは、食後3~4時間くらいが経過したら、血糖確保のために使用されます。
さらに食後数時間が経過すると、肝臓では糖新生をして、血糖を正常値に維持します。
ブドウ糖-グリコーゲンエネルギーシステムは、本来は緊急時(逃走・闘争など)の手っ取り早いエネルギー源です。
あとは、30分以上歩いて、筋肉の収縮が維持されると、GLUT4が細胞表面にトランスロケーションして、
インスリン非依存的に筋肉細胞が血糖を取り込みます。
糖質を摂取してインスリンが分泌されると、筋肉細胞や脂肪細胞のGLUT4が細胞表面にトランスロケーションして
血糖を取り込みます。



A)B)以外の例外のエネルギー源として、グルタミンと短鎖脂肪酸があります。

C)グルタミン

小腸はグルタミンが主たるエネルギー源です。
グルタミンが50~60%、ケトン体が15~20%、ブドウ糖は5~7%とごく少ないです。
グルタミンは血中に最も多く含まれている遊離アミノ酸です。
小腸がグルタミンを主たるエネルギー源にしているのは、食べものを消化吸収したとき、
ブドウ糖や脂肪酸などは他の臓器に優先的に供給するためと思われます。

D)短鎖脂肪酸
大腸は、短鎖脂肪酸しか、エネルギー源として使いません。
大腸は腸内細菌が、食物繊維を分解して作った短鎖脂肪酸をエネルギー源として利用しています。
また体内で産生された短鎖脂肪酸もエネルギー源とします。



さて、A)B)がエネルギー源となっているほとんどの細胞について整理してみます。

キーワードは、ミトコンドリアです。

ミトコンドリアは細胞内にあるエネルギー生産装置です。
赤血球以外の全ての臓器や組織は細胞内にミトコンドリアを持っています。

ミトコンドリアがあると、TCAサイクルを回して、脂肪酸やケトン体をエネルギー源として利用することができるのです。
血液脳関門は、脳細胞の毛細血管にあり、脳細胞を物理的かつ化学的に守っています。

1)赤血球
 ミトコンドリアを持っていないので、「ブドウ糖」しかエネルギー源として利用できません。
 人体でミトコンドリアを持っていないのは、赤血球だけです。

2)脳
①ブドウ糖、脂肪酸、ケトン体は血液脳関門を通過する。
②脂肪酸はアストロサイトではミトコンドリア内でβ酸化されてエネルギー源となる。
③脂肪酸は神経細胞では細胞膜の原料となりエネルギー源としては使われない。

 従って、脳は「ブドウ糖+ケトン体」をエネルギー源として、利用します。

3)筋肉・内臓・脂肪など、ほとんどの肝外体組織

 ミトコンドリアを細胞内に有しているので、
「ブドウ糖+ケトン体+脂肪酸」をエネルギー源として 利用します。
興味深いのは、
主たるエネルギー源はケトン体と脂肪酸でありブドウ糖ではないことです。

「ハーパー・生化学」(原著27版)の訳本、155ぺージ・図16-9の説明に、
「心臓のような肝外組織では代謝エネルギー源は次の順に好まれて酸化される。
(1)ケトン体.(2)脂肪酸.(3)グルコース」

との記載があります。


4)肝臓
 肝細胞のなかで、ケトン体が生成されますが、肝細胞自らはケトン体を利用せず、
血中に送り込んで他の 組織に供給します。
 従って肝細胞は 「ブドウ糖+脂肪酸」をエネルギー源として利用します。


江部康二
ミルネスダイナー(サラヤグループ)から低糖質ミルクチョコ販売開始。
こんばんは。
私が監修している ミルネスダイナーから、
低糖質ミルクチョコなど、糖質制限OK食品が販売開始です。

「株式会社フォワードはサラヤグループで新たに誕生した
食品を専門に取り扱う会社です。
ミルネスダイナーは株式会社フォワードが運営するECサイトです。」

例によって、私が人体実験しました。

2020/8/11(火)
午前9時25分血糖値:95mg
糖質制限ミルクチョコ35g摂取
午前10時25分血糖値:108mg
午前10時26分血糖値:107mg 


食後ピークの血糖値は60分後で、『95mg ⇒ 108mg』
の上昇でした。
糖質制限ミルクチョコ35g(糖質4.9g想定)摂取で、
ピークで13mgの血糖値上昇なので、4.3gの糖質含有という計算になります。
想定よりやや少ない数値でしたが安心です。
糖尿人の江部康二は、1gの糖質が3mg血糖値を上昇させます。
小さい粒なので、量的には結構沢山ありましたが、
美味しく頂きました。

特集ページTOPページ
https://milnesdiner.jp/special.html?fkey=lowcarb

特集ページ 糖尿病患者向け
https://milnesdiner.jp/special.html?fkey=lowcarbdm

特集ページ 一般向け
https://milnesdiner.jp/special.html?fkey=lowcarbetc


☆☆☆
以下の青字の記載は、ミネルスダイナーからの紹介分です。

はじめまして。
江部先生にご紹介頂きました、
低糖質食品をメインに販売を行っている
「ミルネスダイナー」(https://milnesdiner.jp/)です。
まだ、商品数は少ないですが、
皆様の健康な食生活のお手伝いができるような
低糖質食品をはじめとする健康商品を
今後もどんどん販売して参ります!

この度は江部康二先生にブログでご紹介頂きました、
「低糖質ミルクチョコレート」の特別クーポンを
皆様にプレゼントさせていただきたいと思います。

通常価格1㎏4800円を
クーポンご利用で3600円にてご購入いただけます!

クーポンコードはEhF__vOcSc

ご購入手続きのお支払い方法の画面にて
クーポンコードをご入力する欄がございますので、
上記のクーポンコードをコピーして貼り付けて
「適用」ボタンを押してください。

※クーポンご使用のご注意
・低糖質ミルクチョコレートをご購入いただいた方のみ
 ご利用いただけるクーポンです。
・期間中、お一人様、1回限りご利用いただけます。
・他のクーポンと併用はできません。
・チョコレートを複数ご購入いただいた場合も割引は1200円です。
・商品のキャンセル、返品等に伴う再発行・返金・換金は
 受け付けておりません。

皆様からのご利用をミルネスダイナースタッフ一同、
心よりお待ちしております。


江部康二
糖尿病早期診断には、空腹時血糖値より食後血糖値が大事。
こんばんは。
職場の健康診断では、
糖尿病チェックのため、早朝空腹時の血糖値とHbA1cを検査します。
これは普通の企業は勿論のこと、医療機関でも同様です。

<空腹時血糖値>

・110mg/dl未満 : 正常型
・110~125 : 境界型
・126以上 : 糖尿病型


<75g経口ブドウ糖負荷試験・食後2時間血糖値>

・140未満 : 正常型
・140~199 : 境界型
・200以上 : 糖尿病型

正常型、境界型、糖尿病型は、上記のように定義されています。

しかし、食後の高血糖が数年間続いてから、
はじめて空腹時血糖値が境界領域に悪化してくることがほとんどです。
従って、今の健康診断のシステムでは、
初期の糖尿病を見逃してしまう可能性が極めて高いのです。
食後の血糖値を測定すれば、境界型や初期の糖尿病をチェックできるのですが、
現実には行われていません。

私も、高雄病院という医療機関に1978年から勤務しているのですが、
年一回の職場健診は早朝空腹時の採血でした。
1997年には107、1998年には115、1999年には112mg/dlでした。

両親ともに糖尿病なので
「境界領域か。そろそろ糖尿病やばいかな?」くらい軽くとらえていたのです。
今から思えば、この時点で充分食後高血糖だったのです。

そして2002年、たまたま主食(糖質)摂取後1時間の血糖値を測定したら250mg/dlあり、HbA1cは6.7%で、
糖尿人確定となったのです。
胚芽米の炊いたご飯を一人前食べた結果です。
念のため玄米の炊いたご飯を一人前食べたときは、228mg/dlくらいでした。
確かに玄米のほうが胚芽米より食後血糖値は低めですが、
所詮は200mg/dl以上であり、合併症予防という点で、臨床的には無意味です。

現在、糖尿病でない患者さんにも、主食(糖質)摂取後、
1時間あるいは2時間の血糖値測定を勧めて、
糖尿病の早期発見を目指しています。
食後1時間値が、180mg/dlを超えていれば、食後2時間値が140mg/dlの正常型でも、
将来糖尿病になりやすいので注意が必要です。

正確なデータが必要なときは、75g経口ブドウ糖負荷試験を実施します。
しかしそれは、検査代もいるし、2時間以上時間がかかるし面倒くさいです。
普通に糖質のある食事(ご飯とかパンなどとおかず)をしたら、
ほとんどの場合1回の食事の糖質量は70~80gあるので、
それで充分代わりになります。
午前8時に食べ始めたら、午前9時が食後1時間で、午前10時が食後2時間です。

さらに簡便には、ドラッグストアで尿糖試験紙を購入して
食後1時間~2時間の尿糖を測定したらいいです。
これなら医療機関に行く必要もないので安価ですね。
尿糖が陽性なら、食後血糖値が180mg/dlを超えている可能性が高いので、
医療機関で精査が必要です。


江部康二
入院しておかゆ摂取し認知症発症⇒退院後糖質制限食で回復
【20/08/23 kyon
糖質制限食は認知症予防になると思います
初めまして
いろいろ質問したいこともありますが、
今回は96歳の父親のことでお知らせを。

江部先生と同じで、
我が家は糖尿病の家系です。

父親は40代のころから糖尿病で
カロリー制限食でした。
インスリン注射の時もありましたが、
今は小食で朝晩食事前にメトグルコとグルファスト薬を飲んでます。
去年6月に糖質制限を知り父親と私も糖質制限をやり始めました。

順調にいってたのですが、
去年9月初めに父親が尿路感染で高熱が出て即入院したのですが、
食事はおかゆばかりで、入院3日目に認知症になりました。
あれだけ気丈な父親が…看護婦さんに言われて、びっくりです。
6日目には体調が良くなってるので、家で介護されたほうが良いですよ。
環境が変わると認知症(レビー小体?)がひどくなりますよ。
と言われました。

帰って糖質制限食をすると1週間で元に戻りました。
今では普通に会話をし、普通に歩き、新聞も読み、計算もでき、おしめもしません。
改めて糖質制限ってすごいなあと思いました。
始めて1年とすこしですが、カロリー食より、
断然食事量が多く、食べ物も豊かで楽しくやっております。
これからも多くの患者さんのためにブログで糖質制限食の良さを発信してください。】



こんばんは。
kyon さんから、御父上が、糖質制限食実践で、
認知症から回復したという嬉しいコメントを頂きました。

2019年6月から、親子で糖質制限食を開始され、順調だったのが
9月初めに尿路感染症で高熱がでて入院となりました。
おそらく腎盂腎炎であったと思われます。

入院後は食事はお粥ばかりで、3日目には、認知症を発症してしまいました。
看護師さんにも環境が変わると認知症がひどくなると、
退院を奨められました。

退院後、自宅で糖質制限食実践して1週間で元に戻ったとのことで
良かったです。

入院後の糖尿病食(カロリー制限高糖質食)摂取で、
血糖値の乱高下が生じたのだと思います。
2型糖尿病と診断された人が、一人前のお粥など糖質を摂取すると
食後血糖値は軽く200mg/dlを超え、
場合により300mg/dlとなることもあります。
朝晩食事前のメトグルコとグルファスト内服くらいでは、
とても太刀打ちできません。
さらに、内因性のインスリンがあるていど残っている場合は、
食後のインスリン追加分泌が遷延してでてしまい、
夕食前空腹時とか夜間睡眠時に、
60mg/dlとかの低血糖を生じることがあります。

食後高血糖、空腹時低血糖、血糖値の乱高下により
酸化ストレスが激増します。
この酸化ストレスの急増が、心理面の不安定や認知症のリスクとなります。
御父上の、入院3日目で認知症発症の背景には
上記のようなメカニズムが関与していたと思います。

退院後は、糖質制限食実践なので、
食後高血糖、空腹時低血糖、血糖値の乱高下がなくなり、
酸化ストレスも一気に減少したものと思います。
1週間で復活されて、良かったです。

糖質制限食なら、動物性タンパク質も豊富で、
普通に歩いていれば、筋肉量の低下も予防できますので、
フレイルやサルコペニアにもなりにくいです。

これからも美味しく楽しく末長く、糖質制限食を続けられて
健康ライフを目指して頂ければ幸いです。


江部康二
新型コロナ 第2波で重症や死亡が少ないわけ。

毎日新聞医療プレミア
https://mainichi.jp/premier/health/articles/20200817/med/00m/100/001000c  

実践!感染症講義 -命を救う5分の知識-新型コロナ 
第2波で重症や死亡が少ないわけ谷口恭・太融寺町谷口医院院長



こんにちは。
毎日新聞医療プレミアで
2020年8月18日、上記記事が掲載されました。
以下の青字部分は記事の内容の要約です。

【端的に言うと、第一波では、死亡率が感染者の5.3%を占めていたのに、
第二波では、死亡率がわずか0.5%なのです。

第一波は、緊急事態宣言解除後5月末には、
感染者は累積で1万6851人、死者は891人で、感染者の約5.3%を占めました。

一方、第二波は、6月以降、
感染者数は3万9000人近く増えて8月17日には計5万5667人、
死者は208人増えて1099人になりました。
6月以降の死者は、208人で、感染者は約39000人で、死亡率は0.5%です。

何故、第二波で死亡率が、第一波の1/10に激減したのかに関して
以下の3つの仮説があります。

#1 ウイルスが変異して弱毒化した。
#2 第1波のときに多くの日本人がウイルスに感染し(あるいはウイルスにさらされ)、すでに多くの日本人には“免疫”がある。
#3 重症化しやすい高齢者や持病のある人たちは自発的に自粛をしており、そうした感染者の人数は増えていない。
   第2波で感染者が増えたのは、軽症で、第1波のときなら検査の対象とされず見逃されていたような人たちが、
   今回は検査を受けているからに過ぎない。変異はあるが弱毒化の証拠はない】


#1ですが、
新型コロナウィルスが変異しているのは間違いない事実です。
例えば武漢型とか欧州型というくらいですから、
ウィルスが変異して異なっているわけです。
また、日本の6月以降の第二波は、さらに変異した新型コロナウィルスです。
しかしながら、弱毒化したという確固たる根拠はありません。


#2は、2つあります。
一つは京都大学大学院医学研究科特定教授の上久保靖彦氏の説です。
「日本では既に”集団免疫が達成”されている。」
「本当は抗体がある人でも、既存の抗体検査では陰性という結果が出る。」
との主張です。全てデータに基づいており、かなりの説得力です。
上久保教授の説に関しては、以下の本ブログ記事をご参照頂ければ幸いです。
京都大学大学院研究科特定教授・上久保靖彦氏。集団免疫説。 
2020年08月17日 (月)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5342.html


二つ目は、国際医療福祉大学大学院の高橋泰教授の説で
「新型コロナは毒性が低く、そもそも抗体は不要であり自然免疫で十分だ」
というものです。
高橋氏は、新型コロナに感染した人は、自然免疫レベルで追い払い、
獲得免疫の出番がなかったので、血中抗体ができなかったとしています。
高橋氏の説は、
「BCGワクチンによる自然免疫の向上」という私のお気に入りの説とも
重なっています。
しかしながら、#2の二つの説は、新型コロナ感染症に関して、
日本人が、欧米に比べて死亡率が非常に低いことを説明しますが、
日本国内での、第一波と第二波の死亡率の極端な差を、説明できません。


#3は、
重症化しやすい高齢者や持病のある人たちは自発的に自粛しているので
死亡率が減少したという説です。
確かに、第二波の感染者は、
ホストやホステスのいる夜のお店での感染が多く、若者が目立っています。

厚生労働省によれば、6月以降は「高齢の感染者」が減少しています。
60歳以上の感染者数は、5月27日までで約5200人、
それ以降8月12日まででは約4400人と減少しています。
一方、全体の感染者数は5月27日までが約1万6500人、
それ以降8月12日までがが3万3000人と倍増しています。
第2波では感染者が倍増しているのに、高齢の感染者は減っています。
高齢者が街に出なくなったことが、関与していると思われます。

高齢者の感染減少が、死亡率減少に関与していることは間違いないと思います。
 高齢者が集まるカラオケ喫茶やサロンは営業を大幅に縮小し、
高齢者が集まる診療所やクリニックの多くは、
少しでも発熱がある患者の受診を断っています。
高雄病院と江部診療所でも、発熱や咽頭痛などの患者は
電話診察としています。

<結論>
日本国内の新型コロナウィルス感染症において、
5月27日までの第一波に対して
それ以降8月12日までの第二波の死亡率が、1/10以下に減少したのは
#3の高齢者の外出自粛がもっとも大きな要因と考えられます。


江部康二
名医が考えた 認知症にならない最強の食事術 宝島社 江部康二著
名医が考えた 認知症にならない最強の食事術
江部康二著 宝島社


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http://urx.blue/07K6


こんばんは。
名医が考えた 認知症にならない最強の食事術
江部康二著 宝島社

2020/6/10から発売中です。
幸い、アマゾンでの書評も高評価を頂いています。

近年AGEs(終末糖化産物)の蓄積が、
老化や認知症の元凶であることがわかってきました。
そして、糖質摂取量が多いほど食後高血糖を生じ、
年余に渡り、AGEsは沢山蓄積していきます。

糖尿病合併症の元凶もAGEsなのですが、
糖尿病でない人もAGEsの蓄積により老化や認知症を生じるのです。
そして、AGEs蓄積を最小限におさえて、
『糖化』『老化』『認知症』発症リスクを予防できる食事療法は
唯一糖質制限食だけなのです。
本書を読んで、間に合う内に、認知症予防を心がけて頂ければ幸いです。

以下の青字は、本書の「はじめに」です。


はじめに


 私は1974年に京大医学部を卒業しました。
医師になり46年が経過して2020年現在70歳です。
同級生は110人卒業しましたが、10名はすでに逝去されました。
医者の不養生というわけでもないのですが、仕事上の重責とか毎日のようなサービス残業とか、
精神的にも肉体的にもかなりストレスフルなのがこの職業なので、医師は思った以上に短命なのです。

 岐阜県保険医協会が実施した調査(2008~2017年)で、開業医の死亡時平均年齢が70.8歳と短く、
特に60歳代の死亡割合が34%と最も多いことが明らかになりました。
厚生労働省の統計にある死亡時平均年齢(2015年)は、男性が77.7歳、女性が84.3歳であり、明らかな差がありました。
日本人全体の死亡割合では80歳代がピークであり、医師の60歳代がピークというのはいかにも若すぎます。

 さてこのように医師は短命という事実もあり、4年に1回オリンピックの年に開催していた同窓会を、
誰がいつ死ぬかわかならいということで近年は2年に1回と改めました。
4年前の同窓会で、「一番なりたくない病気は何?」という話題となりましたが、
約60名の出席者全員が「アルツハイマー病(認知症)」ということで一致しました。
 がんもこわい病気ですが、間に合えば完治できることもありますし、転移があって完治が困難であっても、
基本的に意識は最後まで保たれることがほとんどということもあって、
「一番なりたくない病気はがん」と発言した同級生はゼロでした。

 認知症の患者とその予備軍は65歳以上では4人に1人もいます。
 認知症は、日本のような高齢化社会におけるもっとも重要な疾患の一つです。
2018年現在わが国には約 462 万人の認知症患者が存在し、
さらに認知症予備軍と考えられる軽度認知障害の高齢者が約 400万人もいます。
軽度認知障害 は、認知症への進行リスクが高く、該当者は年率 10 ~15% で認知症に進行するとされています。

 このように増え続ける認知症ですが、現代医学において根治につながる治療法はありません。
従って可能な限り早期に認知症および 軽度認知障害を発見してなんらかの介入を行い、
進行を止めるあるいは症状を改善させることが求められます。

 認知症との関連で注目されている物質に AGEsがあります。
AGEs については本文で詳しく説明します。
AGEs は、糖尿病合併症(透析、切断、失明など)の元凶と考えられてきましたが、
近年糖尿病のみでなく、動脈硬化進展の主役の一つとされ、
老化、認知症、慢性炎症、腎不全などにも関与していることが判明しました。

 糖尿病患者では AGEs の増加とともに認知症あるいは軽度認知障害へ移行することが知られています。
一方、糖尿病でない人も皮膚AGEs の蓄積量と軽度認知障害とに関連があることが判明しました。
皮膚にAGEsが蓄積していれば脳にも同様に蓄積しているということです。

 このようにAGEsの蓄積が認知症に関与していることが明らかとなっていますが、
糖質制限食なら、AGEsの蓄積を最小量におさえることが可能です。
糖質制限食は1999年、高雄病院が日本で初めて糖尿病治療に導入した食事療法です。
近年糖尿病以外にも様々な生活習慣病に効果があることが明らかとなっています。

 糖質制限食実践は早ければ早いほどいいです。
軽度認知障害の段階で糖質制限食を実践すれば、認知症への進行を予防できるし、
軽度認知障害が改善し正常に戻ることも期待できます。
なにしろ本文で紹介しますが、アルツハイマー病を発症したあと、
スーパー糖質制限食実践で一週間足らずで正常に戻った方さえおられるのです。

 40代、50代から糖質制限食を実践していれば、
軽度認知障害のリスクもなくなりますし、健康長寿が約束されます。
さらに早期の20代、30代から糖質制限食を実践すれば、糖化に伴う老化が予防できます。

 私は、52歳で糖尿病を発症して以来、スーパー糖質制限食を実践していますが、
70歳現在、歯は全て残り虫歯なし、聴力低下なし、視力低下なし、
身長縮まず、夜間尿なし、内服薬なし、合併症なしです。
明らかに「糖化⇒老化」が予防できているのだと考えられます。

 月~土と毎日外来診察を行い、入院患者さんも担当しています。
ほぼ毎日ブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」を更新し、
本も出版し、講演活動も行っており、とても元気です。
読者の皆さんが健康長寿を達成されるよう本書および糖質制限食がお役に立てれば幸いです。

江部康二
糖質制限で痩せすぎる場合。
【20/08/20 太陽
糖質制限で痩せすぎる場合
私は、40代男で大食漢であるものの、
満腹でも無理して食べなければすぐ痩せてしまいます。
糖質制限5年目ですが、開始前のBMIは20前後であったものの、
現在18.5にまで落ちてしまいました。
一日2食、朝500キロカロリー、夕1500キロカロリー程度です。
運動量は毎朝ランニングをしていますが、事務職で日中はほとんど動いていません。
血液検査では肝機能、コリンエステラーゼが基準値よりやや高く、
過栄養と言われております。
私のような場合はどのようにしたらよろしいでしょうか?】



20/08/21 ドクター江部
Re: 糖質制限で痩せすぎる場合
太陽 さん

①具体的な身長と体重は?

②ランニングの強度は?
 ジョギングくらい?もっとハード?

③ランニングの距離と時間は?

④血液検査では肝機能、コリンエステラーゼが基準値よりやや高く、過栄養・・・脂肪肝でしょうか?


【20/08/21 太陽
Re :Re:糖質制限で痩せ過ぎる場合
江部先生、ご返信ありがとうございます。

①具体的な身長と体重は?
173.5cm、55.4kgです。

②ランニングの強度は?
 ジョギングよりやや強い強度で、 1キロ平均6分ペースです。
休日で週1回はハードなランニングをします。

③ランニングの距離と時間は?
平日50〜60分、8〜10㎞
休日70分、12km

④血液検査では肝機能、コリンエステラーゼが基準値よりやや高く、過栄養・・・脂肪肝でしょうか?

エコー検査もしていますが、脂肪肝と診断されていません。
飲酒は毎晩糖質オフビール(4%)350ml2缶程度です。
具体的な数値は
AST40、ALT42、ALP337、γ-GTP32、ChE536 です。】



太陽さん。
結論から言いますと、明らかに摂取エネルギー不足です。
2000kcal/日では、全く不足しています。
以下の>緑文字の記載は、2020年度の「日本人の食事摂取基準」です。

「日本人の食事摂取基準」(2020年、厚生労働省)
に示す推定エネルギー必要量の範囲

https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf (P84)

【推定エネルギー必要量 Kcal/日】
・男性    低い    普通    高い(身体活動レベル)

15-17才    2500    2800    3150
18-29才    2300    2650    3050
30-49才    2300    2700    3050
50-64才    2200    2600    2950
65-74才    2050    2400    2750
75以上    1800    2100    -

・女性     低い    普通    高い(身体活動レベル)

15-17才    2050    2300    2550kcal
18-29才    1700    2000    2300
30-49才    1750    2050    2350
50-64才    1650    1950    2250
65-74才    1550    1850    2100
75以上    1400    1650    -

太陽さんは、40代の男性ですから、
身体活動レベルが低い人でも、2300kcal/日ほど必要です。
太陽さんは、毎日ランニング10kmなので、身体活動レベルは普通以上であり、
2700kcal/日ほど必要です。

ジョギングよりやや強い強度で、 1キロ平均6分ペース。
休日で週1回はハードなランニング。
平日50〜60分、8〜10㎞
休日70分、12km


ジョギングは時速7kmペースです。
太陽さんは、ジョギングよりやや強いランニングで、時速10kmペースです。

       参考時速(km/時) METs値
通常歩行      4.0      3.0
速足         6.4      5.0
軽いジョギング   7.0      6.0
ランニング      8.0      8.3
ランニング      10.8      10.5
出典:国立健康・栄養研究所、改訂版「身体活動のメッツ(METs)表」より抜粋


太陽さんの、ランニングの消費エネルギーは
約520kcalです。

計算式
消費カロリー(kcal) = メッツ × 体重kg × 運動時間 × 1.05


メッツ値は運動によるエネルギー消費量が、安静時の何倍にあたるかを示す値です。
メッツ値は厚生労働省の「健康づくりのための身体活動基準2013」の値を使用しています。

従って、太陽さんの1日の
必要エネルギーは
<推定必要エネルギー(2700kcal) + ランニング分(520kcal) = 3220kcal>
となります。
太陽さんの、現在の摂取エネルギー2000kcal/日では全く足りません。

太陽さんは、決して大食漢ではありません。
動物性脂肪、動物性タンパク質を充分量摂取して、体重を増やしましょう。
太陽さんの肝機能障害は、摂取エネルギー不足のため
肝細胞が一部分解されて、エネルギーとして使用されている可能性があります。
コリンエステラーゼ高値だけが謎です。
もしかしたら、体質的にコリンエステラーゼが高い家系の可能性があります。
もう一つの可能性は甲状腺機能亢進症でコリンエスタラーゼが上昇することがあるので
調べてみましょう。


江部康二
体脂肪率の改善、糖質制限食、インターバル速歩、ながらジョグ。
【20/08/20 金魚
体脂肪率について
いつもありがとうございます。

知り合いの方(50代女性)が半年の糖質制限でBMIは、
21まで下がりましたが、体脂肪率が30%と高く、変動がないようです。

親が糖尿病なので、普段は、納豆や豆腐、
たんぱく質多めで主食より野菜多めの生活です。

運動は、10〜30分程度は、やっていると言っていました。
運動内容までは、聞いていません。

体脂肪率を25%くらいまで下げるために何が必要でしょうか。

よろしくお願いします。】



こんばんは。
金魚さんから、半年の糖質制限で、BMIは21となったが、
体脂肪率が30%から減りにくいというコメントと質問を頂きました。

金魚さん、
50代女性で、体脂肪率30%なら、標準内に入っています。
以下のタニタのサイトでご確認頂ければ幸いです。
ただ30%は、<標準+>なので25%にして<標準->にしたいという
気持ちはわかります。

体組成計の測定項目の見かたについて
https://www.tanita.co.jp/health/measure/taisoseikei/

この中に、体脂肪率の項目もあります。

BMI:21も、標準内で、少し痩せ型です。
食事摂取基準2015では
18歳以上では目標とするBMIの範囲を年齢ごとに定めています。

<年齢ごとの目標とするBMIの範囲>

年齢(歳)        目標とするBMI
18~49          18.5~24.9
50~69         20.0~24.9
70以上          21.5~24.9


1)世界ガン研究基金の報告(2007)では、ガン予防にはBMI:20~25未満 が目標。
2)ランセットの論文では欧米人はBMI:22.5~25 が総死亡率が一番低い。
3)ニューイングランド・ジャーナルの論文では、アジア人はBMI:23~27 が 
  総死亡率が一番低い。


1)2)3)を考慮すれば、
体重に関しては、BMI:20以上で25未満が目標となります。


さて、体脂肪率を減らす工夫ですが、
糖質制限食の体重減少効果には以下の四つのメカニズムが関与しています。

<糖質制限食による体重減少効果>

①インスリン(肥満ホルモン)追加分泌が少量ですむ。
②食事中も含めて常に体脂肪が燃えている。
③食事中も含めて常に肝臓で糖新生が行われ、それにかなりのエネルギーを消費する。
④高タンパク食により、食事誘発熱産生(DIT)が亢進する。


高蛋白食は、摂食時の食事誘発熱産生(DIT)が通常食に比べて増加します。

DITによる消費エネルギーは、実質吸収エネルギーの、糖質では6%、脂質では4%、タンパク質で30%です。

食事誘発熱産生(DIT)を、もっと簡単に説明すると、食事において
100キロカロリーの糖質だけを摂取した時は、6キロカロリーが、
100キロカロリーの脂質だけを摂取した時は、4キロカロリーが、
100キロカロリーのタンパク質だけを摂取した時は、30キロカロリーが
熱に変わり、消費エネルギーとしてカウントされるということです。

<運動>
『高タンパク食+運動』が筋肉量を増やして、体脂肪率を下げます。
ブログ記事でよく取り上げていますが『インターバル速歩』 がおすすめです。
以下の本ブログ記事をご参照頂ければ、幸いです。
インターバル速歩と体力。8000歩/日との比較。
2019年02月20日 (水)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4826.html

これで筋肉量が増えれば、相対的に体脂肪率が減ります。

<私が実践しているのは、ながらジョグ>

『今は、めちゃくちゃ暑いので、散歩なんてとんでもない。』
という方もおられると思います。
そんな方にお奨めなのが『ながらジョギング』⇒略して『ながらジョグ』です。
私は夕食を済ませて、ブログ記事を書いて一段落したら、
日曜日なら『半沢直樹』を見ながら、25%焼酎のロックをチビチビ吞みながら
3分間くらいテレビの前で、垂直方向にジョギングして、しばらく休んで
また3分間くらいながらジョギングをして・・・で、
見終わる頃には、『ながらジョグ』3分間×5回くらいに、なっています。
面倒くさがりの私でも、これなら続けることができています。
週に5回やれば充分と思います。
エビデンスはなくエベデンスしかありませんが、
筋肉への負荷が多いという意味では、
インターバル速歩に匹敵する効果、
あるいはそれ以上の効果が期待できるように思います。 (^^)

皆さんも是非、試して頂ければ幸いです。


江部康二
スーパー糖質制限食でも体重が減りにくい場合。
こんばんは。
スーパー糖質制限食を実践しているにも関わらず、
体重が減少しにくい場合は以下のパターンがあります。

A)<基礎礎代謝が低い場合>
基礎代謝が低いタイプの人は
「糖質制限+カロリー制限」が必要です。
女性に時にあり、数%くらいの比率です。
スーパー糖質制限食を実践して推定エネルギー必要量を摂取しているけれど
体重が減らないタイプがあります。
この場合、推定エネルギー必要量から、200kcalくら減らしてみましょう。

B)<大食漢タイプの場合>
大食いの方々がおられます。やはり数%の比率です。
自分が大食いであると自覚していない方もおられますので、
一度、一日の摂取エネルギーを計算してみると良いです。
このタイプは
「糖質制限食+人並みの摂取カロリー」が必要です。
こちらは、推定エネルギー必要量を摂取するようにしましょう。


C)<減量できないときは?>

いつのまにか、糖質制限が緩くなった可能性があります。


何らかの理由で、基礎代謝が低下した可能性があります。


知らぬ間に、摂取カロリーが多くなった可能性があります。


すでに、BMI20以上~25未満で適正体重になっていることがあります。


元々、小さい頃から肥満があった場合、
あるていど減量できてもそこで止まることがあります。
私の知る範囲で、小さい頃から肥満だった男性が、
30kgの減量に成功して90kgとなり、BMIが32まで改善しましたが、
そこからぴったり減り止まり、90~92kgを行ったり来たりしています。
小さい頃からの肥満の場合、同様のパターンの人が複数います。
①大きくなった脂肪細胞は、
スーパー糖質制限食ですみやかに標準の大きさまで小さくなる。
②標準の大きさの脂肪細胞になれば、それ以上は小さくならない。
③脂肪細胞の数は、減少しない。
④成人でも、脂肪細胞が一定以上大きくなって限界に達すると分裂して
脂肪細胞の数が増える。分裂して増えた脂肪細胞がまた大きくなり体重が増える。

①の分までは体重は、すみやかに減少します。
しかし、②③により、そこで体重は減り止まります。
この説は、以前福助さんから、ご教示頂きましたが、説得力があります。
④に関しては、田頭秀悟先生から、論文をご教示頂きました。

江部康二
医療従事者対象のオンラインセミナー開催のご案内。10月4日(日)。
こんにちは。
2020年10月4日(日)、
医療従事者の方を対象にオンラインセミナーを開催いたします。
4月5日東京での開催を中止としましたセミナーをこのたび、
オンラインで催すことといたしました。

日時:2020年10月4日(日)12:30~17:00頃

内容:
◇第1部:「糖質制限食による糖尿病指導① ~高雄病院の食事と栄養指導」
 講師: 橋本 眞由美 管理栄養士 / (一財)高雄病院 栄養科長

◇第2部:「糖質制限食による糖尿病指導② ~理論と臨床」 13:20頃~
 講師: 江部康二 医師 
    (一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長

◇第3部: 「発表・討議」 15:15頃~
・『糖質制限による糖尿病治療の導入法(外来で糖質制限による糖尿病治療の実際)』
 佐藤 信昭 医師 / 茅ヶ崎徳洲会病院(神奈川)  副院長(内科)
・『コメ消費大国カンボジアにおける糖質制限指導の苦労』
 奥澤 健 医師 / ケンクリニック(カンボジア) 院長
・『外来での2型糖尿病に対する中等度糖質制限食と筋力トレーニングの組み合わせの効果について』
 宇佐見 啓治 医師 / うさみ内科(福島) 院長
・『糖質制限+たんぱく強化食による産後うつの栄養学的管理』
 林 美穂 管理栄養士 / 宗田マタニティクリニック(千葉)
・『耐糖能低下を合併する消化器癌患者に対する術前術後糖質制限輸液の経験』
 村上 博史 医師 / 西部総合病院(埼玉) 外科

*第3部は、発表10分・討議7分ずつを予定しております。


江部康二、事務局、各講師は、東京の広い会議室に
まばらに、座って、Zoomで対応します。
初めての試みですが、プロカメラマンによるテクニカルサポートを受けますので、
きっと大丈夫と思います。

江部康二


☆☆☆
以下事務局からのお知らせです。

***********

ブログ読者の皆様、いつも弊会のイベントへ多数ご参加いただきましてありがとうございます。

2020年10月4日(日)、医療従事者の方を対象にオンラインセミナーを開催いたします。

4月5日東京での開催を中止としましたセミナーをこのたび、オンラインで催すことといたしました。

第1部は高雄病院の橋本眞由美
管理栄養士による講義で、高雄病院の糖質制限食と栄養指導について、症例も交えてお話しいたします。

第2部は理事長による講義で、糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論や臨床例について解説いたします。

第3部は発表・討議で、医師と管理栄養士、5名の方々に発表いただき、
ディスカッションを行います。

医療従事者向けセミナーは、医療機関での糖質制限食指導の普及促進、ブラッシュアップ、発展を目指して2013年より開催しております。

2019年3月のセミナー(東京)より、臨床で糖質制限を採り入れておられる医療従事者の方々に発表いただき、指導法や症例などの共有、意見交換をしていただく「発表・討議」の時間を設け、参加いただいた方から、大変参考になる、刺激になった等ご好評いただいております。

今回もバラエティに富んだテーマにて発表エントリーいただきました。

医療従事者の皆様のご参加を心よりお待ちしております。

*セミナー情報URL:http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity

//////////////ご案内/////////////////

日本糖質制限医療推進協会主催<オンラインセミナー>
 「医療従事者向け糖質制限食セミナー」

■日時:2020年10月4日(日)12:30~17:00頃

​■内容:

◇第1部:「糖質制限食による糖尿病指導① ~高雄病院の食事と栄養指導」

 講師: 橋本 眞由美 管理栄養士 / (一財)高雄病院 栄養科長

◇第2部:「糖質制限食による糖尿病指導② ~理論と臨床」 13:20頃~

 講師: 江部康二 医師 
    (一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長

◇第3部: 「発表・討議」 15:15頃~

・『糖質制限による糖尿病治療の導入法(外来で糖質制限による糖尿病治療の実際)』
 佐藤 信昭 医師 / 茅ヶ崎徳洲会病院(神奈川)  副院長(内科)

・『コメ消費大国カンボジアにおける糖質制限指導の苦労』
 奥澤 健 医師 / ケンクリニック(カンボジア) 院長

・『外来での2型糖尿病に対する中等度糖質制限食と筋力トレーニングの組み合わせの効果について』
 宇佐見 啓治 医師 / うさみ内科(福島) 院長

・『糖質制限+たんぱく強化食による産後うつの栄養学的管理』
 林 美穂 管理栄養士 / 宗田マタニティクリニック(千葉)

・『耐糖能低下を合併する消化器癌患者に対する術前術後糖質制限輸液の経験』
 村上 博史 医師 / 西部総合病院(埼玉) 外科

*第3部は、発表10分・討議7分ずつを予定しております。

■対象:

医療従事者の方(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、理学療法士、鍼灸師など)

■受講費:

・医師・歯科医師の方: 賛助会員 6,400円 / 一般(会員以外) 8,000円

・上記以外の医療従事者の方: 賛助会員 4,400円 / 一般(会員以外) 5,500円

<補足・ご案内>

*Zoomを使用したオンラインセミナーです。

・スマートフォンでもご参加可能ですが、スライド資料をご覧いただくために、パソコンかタブレット端末でご参加いただくことを推奨いたします。

・事前に招待URLをお送りし、当日はそのURLにアクセスしていただき、オンライン受講(参加)していただくかたちとなります。

・当日までにZoomのインストールを済ませていただくことを推奨いたします。

・詳細はご予約後にご案内申し上げます。

・挙手機能を使用して、オンラインでの質疑応答、討議も予定しております。

*第1部・第2部の映写資料データ(PDF)を後日ダウンロードしていただけます。

*当日のセミナー動画は、後日一定期間ご覧いただけます。(セミナー参加者様限定)

■お支払い方法:クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。

※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。

■お申し込みの流れ:

1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込み下さい。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。

■お申し込み方法:

★賛助会員の方:事務局へメールにて、医療機関でのご職種をご記入の上、お申し込み下さい。

★賛助会員入会をご希望の方:

1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up

2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
 「通信」欄に以下をご記入下さい。
 ① 「10/4オンラインセミナー、参加希望」 とご記入下さい。
 ② 医療機関でのご職種をご記入下さい。
 http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact

★一般(会員以外)で、セミナーの受講のみご希望の方:

下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-med

■その他:

・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは10月2日(金)までに事務局までご連絡願います。それ以降のご返金は対応致しかねますので予めご了承下さい。

京都大学大学院研究科特定教授・上久保靖彦氏。集団免疫説。 
特番『衝撃!日本では既に”集団免疫が達成”されている!?』
ゲスト:京都大学大学院医学研究科特定教授 上久保靖彦氏
https://www.youtube.com/watch?v=hF0HBmIFWMs
1時間2分45秒 2020/7/19
ユーチューブ


こんにちは
ユーチューブで、
京都大学大学院研究科特定教授・上久保靖彦氏の
「日本では既に”集団免疫が達成”されている」
というお話を視聴しました。
上久保教授の説は、全てデータに基づいており、
説得力があります。
新型コロナウイルスの感染拡大と変異の情報は
「GSAID:“Genomic epidemioloGy of hCoV-19”」
で見ることができます。
上久保教授は、BCGワクチンの新型コロナ予防効果に対しては
否定はしておられませんが、やや懐疑的です。

しかし、その後、
新型コロナ感染予防においてBCG追加接種が有効という
デザインされた研究の成果が発表されました。
新型コロナ感染予防においてBCG追加接種が有効。
2020年08月12日 (水)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5336.html


こうなると、日本での新型コロナ感染症の
重症者数、死亡者数が極めて少ないという事実に対して
①既に集団免疫が達成されていたという『上久保説』⇒T細胞免疫の獲得
②「赤ちゃんの時に摂取したBCG(日本株)の効果で自然免疫が増強し
 そのまま成人になってもあるていど増強が継続していた。」
 という『自然免疫増強説』


の二つの説明ができます。
私は、<①+②>が、両方とも関わって、
日本人の新型コロナ感染症の重症者と死亡者が極めて少なかったのだと考えています。

なお、上久保教授は、マスク効果には否定的というか、
集団免疫ができているので要らないというご見解ですが、
私はマスクは有用と思います。
コロナウィルスは不織布のサージカルマスクを通過できない大きさなので、
健康保有者から外部にウィルスが排出されるのを防ぎます。
また、マスクをしていれば、外部からのコロナウィルスの侵入を防げます。
マスクは免疫が出来ていない人のコロナ感染を予防できます。

以下は
京都大学大学院研究科特定教授 上久保靖彦教授
のお話の要約です。
<集団免疫>
日本では既に集団免疫が達成されている。
インフルエンザの流行動向から、新型コロナの動向を解析した。
インフルエンザの流行jの動向と新型コロナの流行がマッチしている。

<ウィルス干渉>
2019年12月はインフルエンザの山がとても小さかった。
ウィルス干渉によるものと思われる。
インフルエンザに感染してサイトカインが出ると新型コロナは侵入できない。
新型コロナでサイトカインがでるとインフルエンザは侵入できない。
この現象がウィルス干渉である。
新型コロナのウィルス干渉で、日本で12月のインフルが例年に比し大幅に減った。

<新型コロナ、S型、K型、G型の3種がある>
新型コロナには、大きく分けて、S型、K型、G型がある。
武漢でまずS型が発生した。
2019年12月、日本もS型が発生した。・・・S型は単なる風邪レベルの症状ですむ。

ウィルスの表面にあるスパイクが、ヒトのACE2受容体に、はまりこんで感染成立。
中国から2020年1月、2月中国人が多数日本に観光に来た。
この時、K型が日本に上陸した。
そのあとK型で56%免疫が出来た。・・・K型も単なる風邪レベルの症状ですむ。

武漢のG型は強毒で危険。
欧米型のG型も強毒で危険。

<日本では既に集団免疫ができていた>

集団免疫は人口の85%で欧米型Gタイプに対抗できる。
緊急事態宣言解除しても2020年7月19日の時点で、
コロナ死亡者数が極めて少ない。

K型に罹っていない人が欧米型G型に罹り危険。
2019年12月23日、Sが日本上陸し、インフルエンザが少し抑制された。
K型が2020年1月13日に日本上陸し、インフルエンザがかなり抑制された。
日本人はSとKに感染しても風邪程度なので気がついていない。

武漢から9000人が日本に、
何十万人の中国人が3月9日までに日本入国した。
新型コロナK型の健康保有者は結構いたはずである。

クルーズ船が2020年2月3日なので、その前である。
つまり、クルーズ船の来港のはるか前に新型コロナSとKは
とっくに日本に上陸していたこととなる。
それで既に集団免疫ができていいた。

<ADE(抗体依存性感染増強)>
ADE:半端な抗体でかえって感染増強
欧米ではS型だけでK型入らなかったので、ADEを発症して重症化した。
S型への抗体には「抗体依存性感染増強(ADE)」という悪い効果がある。
それは、以前感染したウイルスに対して成立した免疫が、
次に感染したウイルスの重症化を引き起こすことである。

<欧米と台湾>
欧米では2月1日に入国制限したのでK型が入らなかった。
S型は中和抗体ができないし、細胞免疫も活性化させない。
K型はT細胞の免疫を活性化させる。
K型ははサイトカイン、T細胞性免疫を活性化させる。

台湾は2月1日に封鎖したが、
その前に中国から沢山の台湾人が帰国していたので、K型が持ち込まれた。
それで日本と同様に、新型コロナの重症者や死亡者が少ない。

<T細胞免疫とB細胞免疫>

T細胞免疫・・・K型でおおいに増強する。
B細胞免疫・・・液性免疫の抗体はK型でもできないがそれは、
      T細胞免疫の段階でで新型コロナを撃退したからである。

自然免疫・・・上久保氏は「新型コロナとはあまり関係ないと思う。」
                「BCGは、関係ないと思う。」
<PCR検査の限界>
K型新型コロナの感染で1月に風邪症状の人が日本で沢山いた。
今の集団PCR検査は、無症状の人(免疫獲得している)を拾い上げている。
死亡者数が増えないのがその証拠。
免疫を獲得していても、たまたま新型コロナに暴露されたら、
PCRで陽性になるが、防御を突破しての感染ではない。

<抗体検査の限界とT細胞免疫の検査>
ソフトバンクの抗体検査は?
カットオフ値が高い設定だと、抗体陰性で出ない。
抗体がとても高い人は兎も角として、低い抗体の人はあっても見逃す。
T細胞免疫も検査できるので、京大でキットを開発中である。

<論文投稿と情報サイトGSAID>
3/27に論文投稿した。
新型コロナウイルスの感染拡大と変異の情報は
「GSAID:“Genomic epidemioloGy of hCoV-19”」で確認できる)。

<PCRの特異度は高い>
コロナ亜種でも、PCR陽性?
クラミジアでもPCR陽性?
ということはないと思う。。
鼻風邪コロナウィルスは・・・
新型コロナのPCRはまあ特異度は高いです。

<コロナのため、他の病気の重症者の受け入れが不足>

日本では他の病気重症者が、コロナ以外で死亡して
4月の超過死亡は少し増えた。

<三密とマスク>
上久保教授は三密やマスクには否定的見解。
集団免疫が既にできているので不必要との見解。

<ブースター効果>
獲得免疫が低下してきたら再暴露でブースター効果が期待できる・・・
従って閉鎖しないほうがいい・・・
ブースターしないと、獲得免疫が消えてしまう可能性あり。



江部康二
成人に”絶対禁止”の皮下注射。BCGワクチンの接種ミス。
https://mainichi.jp/articles/20200410/k00/00m/040/275000c
新型コロナ予防しようと…BCGワクチン接種ミス 
成人に“絶対禁止”の皮下注射
毎日新聞2020年4月10日


こんにちは。
毎日新聞の2020年4月10日のウェブサイトに
上記記事が掲載されました。

私は、本ブログで、仮説ではありますが、
『BCGには自然免疫を向上させる効果があり、
新型コロナ感染症防御にも役立つ可能性がある』

と述べてきました。
これは、赤ちゃんの時に接種したBCG(日本株)が、
長年にわたり、自然免疫の向上に役立っているという意味であり、
成人で再接種することを推奨しているわけではありません。
患者さんが、「BCG接種はしてもらえますか?」と仰ることもまれにありますが、
「日本では赤ちゃんのBCGを確保するため、成人には接種していません」
と言って断ります。

一方、中嶋一雄先生の情報提供で、
「結核蔓延国に渡航する企業駐在員や外務省職員、
その家族にBCG接種が行われています
また、陸上自衛隊では、海外派遣の候補者に前もってBCG接種をしています。」


ということで、成人でもBCG再接種する場合があります。
つまり、毎日新聞の記事にあるように、
“絶対禁止”の皮下注射というのは、
成人でも子どもでも赤ちゃんでも、注射(皮下も筋肉も)は駄目よということですね。

BCGは、はんこ型の接種でごく微量を皮膚に入れるというのが基本です。

しかし成人への接種はあくまでも特殊例に限られるということです。


「乾燥BCGワクチン」の添付文書

①通常、溶剤を加えたものを上腕外側のほぼ中央部に滴下塗布し、経皮用接種針(管針)を用いて行う。

②本剤は、経皮接種用の濃厚なワクチンであり、もし皮内等に注射すると強い局所反応を呈するので、
絶対に注射してはならない。



<毎日新聞記事の要約>
新型コロナ予防しようと…BCGワクチン接種ミス 
成人に“絶対禁止”の皮下注射
毎日新聞2020年4月10日

https://mainichi.jp/articles/20200410/k00/00m/040/275000c

BCGワクチンを、誤って皮下注射し、発熱やじんましん、血尿などの健康被害が出ていたことを厚生労働省が10日、
明らかにしました。
BCGは0歳児が対象の結核予防ワクチンですが、
新型コロナ感染を予防のために接種を受けた成人でした。
乳児向けの在庫が不足しており、製造元は目的外の使用を見合わせるよう医師らに求めています。
 BCGは本来、腕に塗ったBCG溶液のうち、細い針でわずかな量だけ体内に入れます。
説明文書には「絶対に注射してはならない」と記載されています。
同省によると、4月初め、BCG溶液を成人に、
誤って全量皮下注射し、
間もなく発熱などがあり救急外来を受診したそうです。

出荷量3倍に「乳児接種に懸念」
 BCGは、新型コロナウイルスにも有効だとする説が浮上し、海外でも研究が始まっています。
製薬会社「日本ビーシージー製造」によると、
3月末に出荷量が通常の3倍に急増しました。
乳児の分を確保するため、現在は出荷を抑えています。
国内メーカーは同社だけで、
出生数を基に8カ月以上かけて製造するため、
急な需要の増加には対応できません。
 東京保険医協会は9日、「乳児への定期接種ができなくなる」との懸念を同省に伝えました。
 大人への接種については、日本小児科学会が
「(安全面の)知見は十分ではない。すでに免疫がある場合、副反応が出る可能性がある」との見解を示し、
注意を呼び掛けています。



江部康二
パチンコ・パチスロ店と新型コロナ。 クラスター発生なし。
こんにちは。

パチンコ・パチスロ店では、新型コロナのクラスター発生なしです。

私はパチンコはしませんが、
2018年のパチンコ・パチスロ参加人口は820万人と推計され、
うちパチンコファンは672万人、パチスロファンが504万人という結果で、
国民的娯楽と言えます。

【新型コロナウイルスの感染拡大に伴う政府の「緊急事態宣言」を受け、小池百合子東京都知事は4月10日の記者会見で、東京都の緊急事態措置として一部の施設に休業を要請。その対象施設を公表し、パチンコホールも含まれることが正式に分かった。
休業要請の対象となる施設は、「遊興施設等」「大学、学習塾等」「運動、遊技施設」「劇場等」「集会・展示施設」「商業施設」毎で細かく分類され、パチンコホールは、麻雀店、ゲームセンターと同じく「運動、遊技施設」に含まれた。都では、これらの施設に対し、4月11日から休業の実施を求めている。】


【大阪府の吉村洋文知事は4月30日、府の休業要請に応じていなかったパチンコ店が全店休業したことを明らかにした。】

東京でも大阪でも、新型コロナ感染予防のために、パチンコ店にも
休業要請がなされています。
休業しないパチンコ店に対して、日本中で自粛警察的なバッシングが結構ありました。

一方、休業要請前にも、とても多くの人(820万人)が
パチンコやパチスロに行ってましたが、
新型コロナのクラスター発生は、8月14日現在まで、聞いたことがありません。

パチンコ店は、一定の換気はしているようですが、
三密のうち、密閉密集は基本的にあてはまります。
しかし、パチンコ店で会話やハグはほぼ皆無なので、密接はなしです。

このように考察してくると、三密のうち、密接を回避するだけでも、
クラスターは発生しないということが、
日本全国のパチンコ店とそのユーザー820万人により、証明された
こととなります。

こうなるとレストランでも横並びで座って会食して会話しなかったら、
感染はしないということとなりますが、それは楽しくないですね。(*_*)

<感染拡大が懸念される一定の条件を満たす場所の例>
・ライブハウス
・スポーツジム
・屋形船
・ビュッフェスタイルの会食
・雀荘
・スキーのゲストハウス
・密閉された仮設テント
・ホストクラブ
・キャバクラ
・対面式テーブルのレストラン

など、三密<密閉・密集・密接>のある場所が、
クラスター発生が懸念される施設です。
密閉や密集は文字通りの意味です。
密接というのは、至近距離での会話やハグや運動です。

『パチンコ店でクラスター発生なし』という事実を鑑みると
三密の中でも、『密接』がもっとも危険と言えます。



江部康二
『糖質制限で子どもが変わる! 三島塾レシピ』 ダ・ヴィンチで記事に
こんにちは。

2020/8/5(水)、ダ・ヴィンチニュースで
『糖質制限で子どもが変わる! 三島塾レシピ』
の記事がアップされました。https://ddnavi.com/review/653947/a/

いま、糖質だらけの食事で子どもが壊れかけている!?
集中力と学力を伸ばす、子どもの糖質制限食本に注目が


☆☆☆

糖質制限で子どもが変わる! 三島塾レシピ
― 成績&集中力アップ! もう「勉強しなさい! 」は言わなくてOK
– 2017/6/7 主婦の友社
三島 学 (著), 江部 康二 (監修)


が、2017年6月7日から販売中です。


自粛期間中の食生活で糖質過多の子どもが急増!
 新型コロナの影響により、ここ半年の間で家庭の食生活は急激に変化しました。休校で子どもたちは給食がなくなり、親は収入が減少する人も多く、スーパーではカップ麺やパスタの棚が品切れになり、料理サイトや料理書でも手軽に安くお腹を満たす糖質たっぷりの料理に人気が集まりました。

 そのような中、「食事と学習のセット」で、子どもたちを指導している学習塾を紹介した本『糖質制限で子どもが変わる!三島塾レシピ』(主婦の友社)が、学校再開後に顕著になった、子どもの食事の乱れと学習の遅れの関係や、キレやすくなった、不登校生が増えたなど子どもの問題行動を心配している親たちに注目されています。

糖質制限は成長期の子どもにこそ必要だった
 著者の三島学さんは「自粛中に定着した糖質過多の食事は、子どもの集中力の低下や多動を招き、学力の伸びにストップをかけます」と警鐘を鳴らします。また、この本の監修者で、「糖質制限の第一人者」江部康二医師は「子どもの骨格や内臓、そして脳の成長に必須なのは、たんぱく質と脂質、そしてビタミン、ミネラル、食物繊維。糖質ではありません。自粛期間中であっても、これらの栄養素を主にとり、意識して糖質を減らす食事が望ましいですね」といいます。

 三島塾では、8年ほど前から、子どもたちが糖質制限食を実践していますが、授業中の眠気がなくなり、集中力が増して、学力や運動能力がどんどん向上した実例が多くあるといいます。同書では、三島塾で子どもたちが食べている、簡単でおいしい糖質制限レシピを紹介しています。

詳しくは以下のサイトでご覧下さい。
https://ddnavi.com/review/653947/a/


 前著で、世界で初めての「子供の糖質制限」の本を上梓された三島塾長が、
『糖質制限で子供が変わる!三島塾レシピ』を刊行されました。

 嬉しいことに、
「糖質制限」が子供を救う
を読んでいただいた主婦の友社さんから依頼があり、
とてもスムースに出版の運びとなりました。
三島塾長の血と汗と涙のこもった珠玉のレシピ集ですから、
必ずや読者の皆さんのお役にたてると思います。 

 私が常々言うように、糖質制限食は人類本来の食事であり、人類の健康食です。
ですから、子供の健康にもおおいに役立つはずです。
人類700万年間の歴史において、穀物を食べ始めたのは、約1万年前。
人体はその歴史のほぼすべての期間で、
糖質制限食を摂取しつつ突然変異を繰り返して、
消化・吸収・代謝のシステムを完成させています。

 すなわち我々の体は糖質制限食に特化して適合していると考えられるのです。
農耕開始前の人類は糖質制限食を実践しながら
妊娠・出産・子育てを含む日常生活を過ごしていたと考えられます。

 子供の成長において必須であるのは、
たんぱく質と脂質、そしてビタミン、ミネラル、食物繊維です。
筋肉や骨格や内臓の成長に特に大切なのは
たんぱく質と脂質であり、糖質ではありません。

 体の組成は、
水分55~65%、たんぱく質14~18%、脂肪=15~30%、ミネラル5~6%、
そして糖質は1%以下です。
もちろん個人差がありますが、
糖質は身体組成の成分としては、極めて微々たるものであり、
理論的には必須糖質はありません。

 本の内容はぜひ読んでいただきたいのですが、糖質制限食を実践することで、
子どもの授業中の眠気がなくなり、多動が消え、
集中力が増して学力がどんどん向上して、
劇的に変わったという三島塾での実例も、理論編でたくさん出てきます。

 おかだ小児科医院(滋賀県高島市)の岡田清春先生は
「おかゆから始めない離乳食のすすめ」を実践しておられます。
赤ちゃんの発育がとても健康的で丈夫になるとのことです。
本書に2ページ執筆していただいてます。

おかげさまで前著

「糖質制限」が子供を救う(日本糖質制限医療推進協会、大垣書店)
http://books.rakuten.co.jp/rb/14600870/
 

アマゾン:https://www.amazon.co.jp/dp/4903954021/
の売れ行きも好調です。


 妊婦も赤ちゃんも子供も大人も糖質制限食で、健康になります。
まさに人類本来の食事、人類の健康食と言えます。
2020年は「子供の糖質制限」が重要なキーワードになるかもしれません。


江部康二
新型コロナ感染予防においてBCG追加接種が有効。
【20/08/12 駐在君
新型コロナ感染予防におけるBCG追加接種の有効性
https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.08.10.20172288v1

新型コロナ感染予防においてBCG追加接種が有効だと言う論文です。
病院や高齢者施設のスタッフには朗報では無いでしょうか。
興味深いので以下に要約しました。

「BCGが結核以外の病原体を撃退する免疫系の能力を増加させる可能性がある証拠は、過去にも研究されている。この非特異的免疫は、特に普遍的なBCG接種国において、より少ない感染症例の報告が我々の興味を引いた。そこで予防的免疫の可能性を期待し、エミレーツ国際病院(アラブ首長国連邦)の全スタッフ(出生時BCGは受けている)に2020年3月初旬に追加BCGワクチンを提供し、その後2020年6月末までに全病院スタッフに新型コロナ感染の検査を行った。方法は対象を追加BCGワクチン接種と未接種の2郡に分け、感染率を比較した。基準としてワクチンは全スタッフにオファーした結果、被験者として71名がBCG追加接種を受けいれた。この群では新型コロナ感染陽性例は無かった。あとの209人がワクチン接種を受けなかったが、そのうち18人がPCRで新型コロナ陽性を確認した。つまりワクチン未接種群の感染率は8.6%に対し、追加接種群ではゼロであった。(フィッシャーの直接確率検定のp値=0.004)。結論として本知見は、特に高リスク医療集団においてBCG追加摂取が新型コロナ感染予防における潜在的有効性を実証した。」】



こんばんは。
駐在君から、
「新型コロナ感染予防においてBCG追加接種が有効」
という、耳よりな情報をコメント頂きました。
ありがとうございます。

疫学的には、BCG(日本株、ロシア株)が、新型コロナ感染症の死亡率を減らすということが、明らかでしたが、
デザインされた研究ではないので、仮説という扱いとなっていました。

今回はデザインされた研究ですので、エビデンスレベルと言えます。


【エミレーツ国際病院(アラブ首長国連邦)の全スタッフ(出生時BCGは受けている)に2020年3月初旬に追加BCGワクチンを提供し、その後2020年6月末までに全病院スタッフに新型コロナ感染の検査を行った。】


【全スタッフにオファーした結果、被験者として71名がBCG追加接種を受けいれた。この群では新型コロナ感染陽性例は無かった。
あとの209人がワクチン接種を受けなかったが、
そのうち18人がPCRで新型コロナ陽性。】


【ワクチン未接種群の感染率は8.6%に対し、追加接種群ではゼロで、
統計的に有意差があった。】

【結論として高リスク医療集団においてBCG追加摂取が新型コロナ感染予防における潜在的有効性を実証。】


「BCGワクチンが、自然免疫を向上させることで、新型コロナの感染率を減らし、重症化も減らす。」
という可能性をずっと主張してきた私としては、とても嬉しい研究論文です。
駐在君、今回も大変ありがとうございます。

江部康二
新型コロナウィルスに対するマスクの効果。
https://mainichi.jp/premier/health/articles/20200603/med/00m/100/001000c
実践!感染症講義 -命を救う5分の知識-新型コロナ 感染は「サージカルマスク」で
防げる谷口恭・太融寺町谷口医院院長


こんばんは。
毎日新聞医療プレミアに2020年6月3日、上記の記事が掲載されました。
文章が長いので、肝要なところをまとめてみました。

「呼気に含まれるウイルスとマスクの有効性」という論文をを香港大の研究者たちが発表しましたが、
この内容がとても興味深いものでした。

研究では3種類の感染症に罹患(りかん)した人に協力してもらっています。
かぜのコロナウィルス、インフルエンザ、ライノウィルスです。
30分間特殊な器械に顔を入れて呼吸をしてもらい、
サージカルマスクを装着した場合としない場合で、
どの程度呼気に含まれるウイルス量が変わるのかが調べられています。
サージカルマスクは市販されている不織布の普通のマスクで、
医療関係者も使用しますが、N95マスクではないです。

粒子の大きさ1000分の5mm超が飛沫で、1000分の5mm以下がエアロゾルです。
<感染者の口から出た飛沫やエアロゾルからウィルスが検出された割合>
                   飛沫           エアロゾル
              マスクなし   あり      マスクなし     あり
風邪のコロナウィルス 30%     0%        40%       0%
           (10人中3人) (11人中0人)  (10人中4人)  (11人中0人)
  
インフルエンザウィルス 26%     4%       35%     22%
          (23人中6人) (27人中1人)  (23人中8人)  (27人中6人)


ライノウィルス      28%       22%     56%     38%
          (32人中9人) (27人中6人)  (34人中19人) (32人中12人)



サージカルマスクを着用すれば、
マスクを通して吐いた息からはコロナウイルスが排出されていません。
従って、新型コロナ感染者がサージカルマスクをしていれば、
ウィルスは外には排出されないと言えます。
また健常者がマスクをしていれば、少なくても飛沫やエアロゾルからの
新型コロナウィルス感染は防げるということになります。

インフルエンザは、患者さんがマスクをしていても、5人に1人くらいは、
ウィルスがマスクの外に出ていくので、感染しないように注意が必要です。

ライノウィルスは、小さくて大きさはコロナウィルスの1/5くらいです。
インフルエンザウィルスの大きさは、コロナとライノの中間くらいです。
ライノウィルスは、普通の風邪の原因として最も多い病原体です。
ライノウィルスに関しては、サージカルマスクの効果はそれほど期待できないようです。

なお、「布マスク」はサージカルマスクとは異なるものであり、
ほとんどの粒子を通過させてしまうので、ほぼ無意味と言えます。

この研究では、普通の風邪のコロナウィルスですが、
新型コロナウィルスも大きさは一緒なので、
マスクの効果も同一と考えてよいと思います。


江部康二
血糖値スパイクのコントロールについて
【20/08/09 モフモフ
☆☆血糖値スパイクのコントロールについて質問
いつも様々な糖質制限の情報を発信して頂きありがとうございます。
現在、糖質制限を行っている夫の血糖値スパイクのコントロール方法について
アドバイスを頂きたく、メールしました。

夫は現在59歳。1年前まで糖質制限を行わず、
糖尿病の薬を朝食後グラクティブ25㎎ 1錠とメトホルミン塩酸塩錠500㎎ 1錠、 
夕食後 メトホルミン塩酸塩錠500㎎ 1錠 服用しA1cは、6.5~7.9で経過。  
食事に関しては、多い時は60g/食 程度の炭水化物を摂取しておりました。

1年前より糖質制限を開始。糖尿病の薬の服用を2019年6月中旬頃より中止し
2019年11月A1cは6.6、2020年7月A1cは6.2で経過しております。
 
 ・FreeStyleリブレを使って2020年4月23日から2週間分の血糖値を測定
 ・朝食後血糖値の最高値は160~180(炭水化物摂取量数グラム)
 ・昼食後血糖値の最高値は180~220(炭水化物摂取量10グラム~20グラム)
 ・夕食後血糖値の最高値は160~180(炭水化物摂取量10グラム~20グラム、
  酎ハイまたはハイボール1杯、糖質0ビール350ml一本、赤ワイン150ml)
 ・空腹時の血糖値は90~110
 ・朝、昼の食事後のテニス時の血糖値の最高値は200~350、
休憩すると一気に120くらいまで下がります。

■ご相談内容
 
・血糖値スパイクの解消(緩和)方法があれば教えていただけないでしょうか?
・テニス時の高血糖の解消(緩和)方法があれば教えていただけないでしょうか?
・このまま血糖値スパイクを繰り返した場合の危険性について教えてください 。

よろしくお願い致します。】


こんにちは。
モフモフさんから、血糖値スパイクのコントロールについて、
コメント・質問を頂きました。

【夫は現在59歳。1年前まで糖質制限を行わず、
糖尿病の薬を朝食後グラクティブ25㎎ 1錠とメトホルミン塩酸塩錠500㎎ 1錠、 
夕食後 メトホルミン塩酸塩錠500㎎ 1錠 服用しA1cは、6.5~7.9で経過。  
食事に関しては、多い時は60g/食 程度の炭水化物を摂取しておりました。】


1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿人の血糖値を、3mg上昇させます。
<炭水化物=糖質+食物繊維>
であり、食物繊維は血糖値を上昇させません。
ともあれ、簡便に<炭水化物 ≑ 糖質>として、話を進めます。

グラクティブとメトホルミンは、食後血糖値の上昇に対しては、
ほとんど効果はありません。
60gの糖質摂取なら、180mgくらいの血糖上昇となり、
食前が90mg/dlでも、食後血糖値のピークは、270mg/dlとなります。
また、インスリン分泌能力は、かなり残っていると思われますので、
夕食前とか夜中とかの空腹時には、血糖値は60~70mg/dlとかの
低血糖一歩手前くらいになっている可能性があります。
即ち、血糖の乱高下があった可能性が高いです。
HbA1cは、平均血糖値をみているだけなので、血糖値の乱高下があっても
わかりません。
このような、HbA1cは例え6.5%とコントロール良好にみえても、
食後高血糖平均血糖変動幅増大のある『質の悪いHbA1c』と言えます。
即ち、質の悪いHbA1cなら、6.9%以下と一見良好でも合併症は防げません。
現実に、毎年新たに、
糖尿病腎症から16000人以上の人工透析導入、
糖尿病網膜症から3000人以上が失明、
糖尿病足病変から3000人以上が足切断
が、発症しています


【1年前より糖質制限を開始。糖尿病の薬の服用を2019年6月中旬頃より中止し
2019年11月A1cは6.6、2020年7月A1cは6.2で経過しております。】

糖質制限食実践者のHbA1cは、食後高血糖や平均血糖変動幅増大のない
『質の良いHbA1c』ですので、合併症の予防ができます。
このまま薬なしで、糖質制限食を続けて健康ライフを目指しましょう。

実はFreeStyleリブレ(FGM)は、結構誤差があります。
私も、自分で人体実験してみましたが、ほとんどのデータにおいて、
FGMの方がSMBG(血糖自己測定)より高くでました。
例えば、早朝空腹時血糖値がFGMで160mg/dlもあり、ヾ(゜▽゜)
びっくりしてSMBGをしたら、105mg/dlでした。
またスーパー糖質制限食の昼食後1時間でFGMが206mg/dlもあり、ヾ(゜▽゜)
びっくりしてSMBGをしたら139mg/dlといった具合でした。

一方、FreeStyleリブレ(FGM)により、
一日の血糖値の推移と運動や食事の関係は明確にわかるのでとても便利です。
私の場合、寝床で目が覚めた途端に、10mgくらい血糖値が上昇しました。
またテニスのダブルスの試合中は50mgくらい血糖値が急上昇しました。
テニス終了後はすみやかに下がっていき、
2時間後にはテニス開始前より運動効果でか少し下がりました。

FreeStyleリブレProのほうは高雄病院の糖尿病入院患者さんに
既に300人以上に使用しましたが、
採血検査と比較して空腹時血糖値がやや低めにでる傾向はあります。
場合によって20~30mg低くでます。
しかし食後血糖値に関しては、比較的信頼度の高いデータと思われます。

結論としては、FreeStyleリブレ(FGM)で食後血糖値が想定よりかなり上昇した場合は、
誤差の可能性が高いので、SMBG(血糖自己測定器)でチェックするのが良いと思います。


【・血糖値スパイクの解消(緩和)方法があれば教えていただけないでしょうか?】

上述のように、SMBGでチェックしてみましょう。

【・テニス時の高血糖の解消(緩和)方法があれば教えていただけないでしょうか?】
運動時には、心拍数が上昇して、アドレナリンが分泌されますので、
糖新生により、血糖値が上昇します。
これは、自然で生理的なことなので、問題ないです。
誰でもアドレナリンが出るレベルの運動中には、血糖値は上昇します。
運動・闘争時などにはアドレナリンが出て、
血糖値を上げて状況に適応しているわけです。

【・このまま血糖値スパイクを繰り返した場合の危険性について教えてください。】
SMBGで確認してみましょう。
スーパー糖質制限食実践なら、血糖値スパイクは生じていないので、
合併症も発症しないとおもいます
一方上述のように、食後高血糖と平均血糖変動幅増大がある
『質の悪いHbA1c』なら合併症を生じる可能性が高いのです。


江部康二
医療従事者対象のオンラインセミナー開催のご案内。10月4日(日)。
こんにちは。
2020年10月4日(日)、
医療従事者の方を対象にオンラインセミナーを開催いたします。
4月5日東京での開催を中止としましたセミナーをこのたび、
オンラインで催すことといたしました。

日時:2020年10月4日(日)12:30~17:00頃

内容:
◇第1部:「糖質制限食による糖尿病指導① ~高雄病院の食事と栄養指導」
 講師: 橋本 眞由美 管理栄養士 / (一財)高雄病院 栄養科長

◇第2部:「糖質制限食による糖尿病指導② ~理論と臨床」 13:20頃~
 講師: 江部康二 医師 
    (一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長

◇第3部: 「発表・討議」 15:15頃~
・『糖質制限による糖尿病治療の導入法(外来で糖質制限による糖尿病治療の実際)』
 佐藤 信昭 医師 / 茅ヶ崎徳洲会病院(神奈川)  副院長(内科)
・『コメ消費大国カンボジアにおける糖質制限指導の苦労』
 奥澤 健 医師 / ケンクリニック(カンボジア) 院長
・『外来での2型糖尿病に対する中等度糖質制限食と筋力トレーニングの組み合わせの効果について』
 宇佐見 啓治 医師 / うさみ内科(福島) 院長
・『糖質制限+たんぱく強化食による産後うつの栄養学的管理』
 林 美穂 管理栄養士 / 宗田マタニティクリニック(千葉)
・『耐糖能低下を合併する消化器癌患者に対する術前術後糖質制限輸液の経験』
 村上 博史 医師 / 西部総合病院(埼玉) 外科

*第3部は、発表10分・討議7分ずつを予定しております。


江部康二、事務局、各講師は、東京の広い会議室に
まばらに、座って、Zoomで対応します。
初めての試みですが、プロカメラマンによるテクニカルサポートを受けますので、
きっと大丈夫と思います。

江部康二


☆☆☆
以下事務局からのお知らせです。

***********

ブログ読者の皆様、いつも弊会のイベントへ多数ご参加いただきましてありがとうございます。

2020年10月4日(日)、医療従事者の方を対象にオンラインセミナーを開催いたします。

4月5日東京での開催を中止としましたセミナーをこのたび、オンラインで催すことといたしました。

第1部は高雄病院の橋本眞由美
管理栄養士による講義で、高雄病院の糖質制限食と栄養指導について、症例も交えてお話しいたします。

第2部は理事長による講義で、糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論や臨床例について解説いたします。

第3部は発表・討議で、医師と管理栄養士、5名の方々に発表いただき、
ディスカッションを行います。

医療従事者向けセミナーは、医療機関での糖質制限食指導の普及促進、ブラッシュアップ、発展を目指して2013年より開催しております。

2019年3月のセミナー(東京)より、臨床で糖質制限を採り入れておられる医療従事者の方々に発表いただき、指導法や症例などの共有、意見交換をしていただく「発表・討議」の時間を設け、参加いただいた方から、大変参考になる、刺激になった等ご好評いただいております。

今回もバラエティに富んだテーマにて発表エントリーいただきました。

医療従事者の皆様のご参加を心よりお待ちしております。

*セミナー情報URL:http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity

//////////////ご案内/////////////////

日本糖質制限医療推進協会主催<オンラインセミナー>
 「医療従事者向け糖質制限食セミナー」

■日時:2020年10月4日(日)12:30~17:00頃

​■内容:

◇第1部:「糖質制限食による糖尿病指導① ~高雄病院の食事と栄養指導」

 講師: 橋本 眞由美 管理栄養士 / (一財)高雄病院 栄養科長

◇第2部:「糖質制限食による糖尿病指導② ~理論と臨床」 13:20頃~

 講師: 江部康二 医師 
    (一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長

◇第3部: 「発表・討議」 15:15頃~

・『糖質制限による糖尿病治療の導入法(外来で糖質制限による糖尿病治療の実際)』
 佐藤 信昭 医師 / 茅ヶ崎徳洲会病院(神奈川)  副院長(内科)

・『コメ消費大国カンボジアにおける糖質制限指導の苦労』
 奥澤 健 医師 / ケンクリニック(カンボジア) 院長

・『外来での2型糖尿病に対する中等度糖質制限食と筋力トレーニングの組み合わせの効果について』
 宇佐見 啓治 医師 / うさみ内科(福島) 院長

・『糖質制限+たんぱく強化食による産後うつの栄養学的管理』
 林 美穂 管理栄養士 / 宗田マタニティクリニック(千葉)

・『耐糖能低下を合併する消化器癌患者に対する術前術後糖質制限輸液の経験』
 村上 博史 医師 / 西部総合病院(埼玉) 外科

*第3部は、発表10分・討議7分ずつを予定しております。

■対象:

医療従事者の方(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、理学療法士、鍼灸師など)

■受講費:

・医師・歯科医師の方: 賛助会員 6,400円 / 一般(会員以外) 8,000円

・上記以外の医療従事者の方: 賛助会員 4,400円 / 一般(会員以外) 5,500円

<補足・ご案内>

*Zoomを使用したオンラインセミナーです。

・スマートフォンでもご参加可能ですが、スライド資料をご覧いただくために、パソコンかタブレット端末でご参加いただくことを推奨いたします。

・事前に招待URLをお送りし、当日はそのURLにアクセスしていただき、オンライン受講(参加)していただくかたちとなります。

・当日までにZoomのインストールを済ませていただくことを推奨いたします。

・詳細はご予約後にご案内申し上げます。

・挙手機能を使用して、オンラインでの質疑応答、討議も予定しております。

*第1部・第2部の映写資料データ(PDF)を後日ダウンロードしていただけます。

*当日のセミナー動画は、後日一定期間ご覧いただけます。(セミナー参加者様限定)

■お支払い方法:クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。

※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。

■お申し込みの流れ:

1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込み下さい。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。

■お申し込み方法:

★賛助会員の方:事務局へメールにて、医療機関でのご職種をご記入の上、お申し込み下さい。

★賛助会員入会をご希望の方:

1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up

2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
 「通信」欄に以下をご記入下さい。
 ① 「10/4オンラインセミナー、参加希望」 とご記入下さい。
 ② 医療機関でのご職種をご記入下さい。
 http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact

★一般(会員以外)で、セミナーの受講のみご希望の方:

下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-med

■その他:

・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは10月2日(金)までに事務局までご連絡願います。それ以降のご返金は対応致しかねますので予めご了承下さい。

日本のコロナ死亡率、欧米より大幅に低い7・5% 持病の少なさ影響か
こんにちは。
ヤフーニュース8/6(木)に、

https://news.yahoo.co.jp/articles/2daf0860ddb41dc116813d664490de5cf4b10a7c
日本のコロナ死亡率、欧米より大幅に低い7・5% 持病の少なさ影響か
8/6(木) 18:12配信


上記記事が掲載されました。
久堀さんからコメントを頂きました
ありがとうございます。
産経新聞からの引用記事です。


<内容の要約>
 【新型コロナウイルスに感染した国内の入院患者の死亡率は7・5%で、20%台の欧米などと比べ非常に低いことが国立国際医療研究センターの大規模調査で6日、分かりました。
欧米と比べ糖尿病や肥満の割合が少ないことが影響している可能性があるといいます。
 調査は、流行の第1波を中心とした7月7日までに陽性と判定された全国の入院患者2638人を対象に、治療の経過などを分析しました。
 患者は中高年が中心で、死者数は197人でした。
国内の新型コロナ患者の調査としては最大規模です。
海外の死亡率は、中国が28%、英国が26%、米ニューヨーク州は21~24%で、日本の7.5%は、非常に低かったのです。
日本の死亡率の低さは以前から言われていましたが、
学術的な調査で裏付けられたと言えます。
患者の持病の割合を調べたところ、糖尿病は日本が16・7%なのに対し、英国は30・2%、米国は28~35%に達っしました。
 肥満と診断された割合も日本が5・5%なのに対し、英国は9%、米国は40%で、いずれも日本の低さが目立ちました。
 今回は中間報告のため、死亡率が低い原因は分析していないが、同センターの早川佳代子・総合感染症科医長は「糖尿病や肥満は重症化に関連しているとの報告が海外でも相次いでいた。日本の割合が非常に低かった点にヒントが隠されているのかもしれない」と指摘しました。
 同センターは現在も調査を継続しており、登録した患者は8月3日時点で約4800人に達しました。】



国立国際医療研究センターの見解は、
欧米と比べ糖尿病や肥満の割合が少ないことが
影響している可能性があるとのことです。
わかりやすく、英国との比較で検討してみます。
       
      死亡率    糖尿病    肥満
英国    26%     30.2%    9%
日本    7.5%    16.7%    5.5%

 
確かに、英国と比べて日本は、糖尿病率も肥満率も約半分強と少ないです。
しかしこれだけでは、死亡率が英国の約1/3以下であることの要因としては
すこし物足りません。
私は、やはり以前から提唱している仮説
「BCG接種が日本人の自然免疫を高めていて、新型コロナ感染時の重症化を防ぎ死亡率を下げている」
で、物足りない分を補えると思います。

国際医療福祉大学の高橋泰教授も
「自然免疫力(特に細胞性免疫)の強化にBCGの日本株とロシア株が関与した可能性は高い」
と指摘されています。

高橋教授のご見解に関しては、以下のブログ記事をご参照頂ければ幸いです。

新型コロナ、日本人は自然免疫力が高いので死亡率が低い。
2020年07月26日 (日)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5319.html



江部康二
朗報。酒飲みでも、タバコ(-)なら食道がんのリスクなし。
こんばんは。
相変わらず、ほぼ毎日お酒を呑んでいる江部康二です。
勿論糖質制限食OKの糖質ゼロ発泡酒、焼酎、辛口ワイン、ハイボールなどですよ。
今回は、アルコールと食道ガンのお話しです。
糖質セイゲニストには酒飲みが多いので、耳寄りな情報かもしれませんね。

日本人に多いのですが、遺伝的に、お酒を呑むとすぐに赤くなる体質があります。
そしてこの体質の場合はアルコールを呑むと食道ガンになりやすいというのが定説です。
アルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドを分解する酵素が
2型アセトアルデヒド分解酵素(ALDH2)で、この酵素の働きが弱いと
少しのお酒で赤くなってしまうのです。
アセトアルデヒドのヒトへの発ガン性は2010年に、WHOが認定しています。

実はかくいう私も、お酒を呑むとすぐに赤くなるタイプです。( ̄_ ̄|||)
まあ鍛えられたのか、かなりの量は呑めるようにはなっています。(^^)  

この鍛えて呑めるようになったというのが曲者で、
本来、アセトアルデヒド分解酵素が弱くて、
お酒など呑まない方が良いに決まっている体質なのについつい呑んでしまうわけです。

結局、アセトアルデヒド分解酵素が弱いにもかかわらず、お酒をたくさん呑む人達が
日本人の食道がんの患者さんの約70%を占めているのです、ご用心、ご用心。(=_=;)

ところが、『捨てる神あれば拾う神あり』です。
「酒飲みでも、タバコ(-)なら食道がんのリスクなし」
という結論の信頼度の高い論文を発見したのです。(☆)
しかも、欧米人でなくて、日本人のデータですから、『鬼に金棒』です。

(☆)
国立がん研究センター
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/338.html
飲酒と食道がんの発生率との関係について
-「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果-


この研究によれば、
「お酒で顔が赤くなる体質でもならない体質でも、
飲酒による食道がんリスクへの影響は見られませんでした。
ただし、喫煙指数20以上のヘビースモーカーでは影響が現れ
1日当たり2合以上の大量飲酒グループで顔が赤くなる体質の食道がんのリスクが、
2合未満で顔が赤くならない体質に比べ3.4倍高くなっていました。」

げにタバコの害、恐るべしです。
喫煙の量を示す国際的な指標として、喫煙指数 Pack-yearsがあります。
Pack years=(1日の喫煙本数/20本)×喫煙年数という計算法です。
すなわち「1日のタバコの箱数×年数」という意味です。

1日1箱のタバコを20年間吸ったら、喫煙指数が20になります。
私は、タバコを吸ったことがないので、喫煙指数は20未満というかゼロです。
ということは、結構お酒を呑んでいるけれど(1日当たり2合以上、(-_-;) )、
食道がんリスクはないという誠に有り難いご宣託ではありませんか。

なお、今日のお話はあくまでも『食道がん』にしぼったお話しですので
誤解のないように御願いします。

アルコールは食道がん以外にも
他のがんなどのリスクとなることも努々お忘れ無く。

それから、適量のアルコールという基本もあることをお忘れなく。
あとは自己管理、自己責任でよろしくお願い申し上げます。  m(_ _)m

<アルコールの適量>
世界がん研究基金2007年の勧告では、アルコールの推奨量は、男性は1日2杯、女性は1日1杯までとしています。
1杯はアルコール10~15グラムに相当します。

米国糖尿病学会は、
アルコール24g(30ml)/日を食事と共に摂る程度なら適量としていますが、
ビール(5%)なら600ml
ワイン(15%)なら200ml
ウイスキー(43%)なら70ml
焼酎(25%)なら120ml
糖質ゼロ発泡酒(4%)なら750ml

に相当します。

<アルコールのリスク>
世界がん研究基金の2007年の勧告で、アルコール摂取は、「口腔・咽頭・喉頭がん、食道がん、大腸がん(男性)、乳がん」の確実なリスクであり、「肝臓がん、大腸がん(女性)」 のリスクとなるので要注意です。

それから、過度のアルコール摂取は、
肝細胞内での脂肪酸からの中性脂肪の過剰合成を引き起こします。

その一部は肝臓外へ分泌されて高中性脂肪血症の原因となり、
一部は肝細胞内に蓄積されて脂肪肝の原因となります。


江部康二
菓子職人、8-9月のマンスリーケーキ、レモンのレアチーズケーキ発売中。
こんにちは。
私が監修を務める「菓子職人」さんが、8-9月のマンスリーケーキの販売を開始されましたのでお知らせします。

「糖質制限中の方にも、美味しいケーキで季節を感じていただきたい。
菓子職人より、月替わりでお楽しみいただける糖質制限マンスリーケーキお届けします」(菓子職人さんHPより)

レモンのレアチーズケーキ

main_monthly1908.jpg

レモンのレアチーズケーキ 美味しさのヒミツ

monthly_cut1908.jpg

A 表面ジュレ(レモン)
B レアチーズケーキ
C レモンクリーム
D クリームチーズのホワイトチョコレート
E スフレ生地

F ココナッツファイン

糖質 3.41g / カロリー 333kcal
※100gあたり ※エリストールを除く

【血糖値測定】
2020/8/4 火曜日

・16時08分(食後4時間) 血糖値:128mg/dl
・菓子職人レモンのレアチーズケーキ1個(100g)摂取。  
・17時08分 血糖値:114mg/dl


レモンの香りが爽やかな、夏にふさわしい逸品でした。

糖質含有量が3.41gですが、血糖値がかえって下がりました。
レモンのレアチーズケーキ(100g中、糖質3.41)の糖質に対して
私の追加分泌インスリンがでて、「3.41g×3mg=10.23mg」をカバーして
少し余裕があって余った分、血糖値が下がったのでしょう。
入院患者さんでも、時々食前より食後血糖値が下がることがあります。

菓子職人さん、Good Job! です。謝謝!!
まさに、スーパー糖質制限合格食品ですね。

糖質セイゲニストの皆さん、是非ご賞味あれ。

ご購入はこちらから

江部康二
「タンパク質摂取で血糖値上昇する場合」
こんにちは。
たんぱく質摂取で血糖値が上昇する場合を、考えてみました。

たんぱく質の成分のアミノ酸のなかで、リジン・ロイシン・アルギニンはインスリンを分泌させますが、
同時にインスリン拮抗ホルモンのグルカゴン(血糖上昇作用あり)も分泌させますので、通
常はタンパク質摂取で血糖値は上昇しません。

米国糖尿病学会は、
「血糖値に直接影響を与えるのは糖質だけであり、たんぱく質・脂質は直接影響を与えることはない」
としています。
この表現は、間接的にはたんぱく質が血糖値を上昇させることがあるのを示唆していると思います。

<たんぱく質摂取で血糖値が上昇する場合>
以下のA)B)C)三パターンがあると思います。

A)1型糖尿病で内因性インスリンがゼロレベルの場合
たんぱく質摂取でグルカゴンだけが分泌され、インスリンは分泌できないので、
グルカゴンによる糖新生で、間接的にかなり血糖値が上昇します。
高雄病院の1型の患者さん数人の検査で、個人差がありますが、
1gのたんぱく質で、1.0~3.6mg/dl血糖値が上昇しました。

B)2型糖尿病でも、内因性インスリン分泌能がかなり不足している場合
たんぱく質摂取で
『グルカゴン分泌量 > インスリン分泌量』 
となり、血糖値が上昇することがあると思います。

そして、仮説ですが、3番目のパターンがあり得ると思います。
C)相対的にインスリン分泌量よりグルカゴン分泌量が多いタイプ
ロイシン、アルギニン、リジンの摂取刺激によって、インスリンとグルカゴンが両方分泌されます。
体質的に、相対的にインスリン分泌量よりグルカゴン分泌量が多いタイプがあれば、
2型糖尿病でインスリン分泌能が残っていても、
たんぱく質摂取で血糖値が上昇すると思われます。

<ササミ実験>
タンパク質摂取で血糖値が上昇するかどうか、確かめるのは簡単です。
朝の空腹時血糖値を測定して、
鶏ササミ200g(タンパク質43.6g、脂質1.6g、糖質0g)だけを食べて、
食後1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間血糖値を測定してみましょう。
ササミにも、リジン・ロイシン・アルギニンが含まれています。

<ササミ実験・症例>
以下の緑文字の記載は、高雄病院で検査した、蛋白質摂取と血糖値の変化の
2型糖尿人と1型糖尿人のデータです。

2型糖尿病のAさん。60代男性。
2017/2/23(木)
          血糖値    インスリン     グルカゴン
8:30      139       8.0           151
ささみ200g摂取 210kcal。46.0gのたんぱく質。糖質ゼロ。脂質1.58g。
30分後       140    7.7          190
60分後       151    23.3        257
2時間後       147    26.2        195
3時間後       137    7.5         144
4時間後       127    5.7         100


1型糖尿病のBさん。インスリン強化療法中。10代男性。
ささみ。200g。210kcal。46.0gのたんぱく質。糖質ゼロ。脂質1.58g。

2017/2/17(金)
         血糖値    CPR        グルカゴン
8:30      115  0.6(1.5~3.5ng/ml) 128(70~174pg/ml)
ささみ200g摂取。210kcal。46.0gのたんぱく質。糖質ゼロ。脂質1.58g。
30分後       160    1.0         229
60分後       176    1.3         186
2時間後       193    1.3        154
3時間後       167    1.2         173
4時間後       159    0.9         122


<ササミ実験症例のデータ解説>
2型糖尿人Aさんは、内因性インスリンはある程度分泌されていますが、
グルカゴンの方が優性です。
そのため蛋白質摂取60分後がピークで、
12mg血糖値上昇ですので、1gの蛋白質が、
0.26mg血糖値を上昇させています。
HbA1cは、5.7%~5.9%くらいで、コントロール良好です。

1型糖尿人Bさんも、内因性インスリンが少しだけ分泌されていますが、
グルカゴンの方がはるかに優性です。
そのため蛋白質摂取120分後がピークで、78mg血糖値上昇ですので、
1gの蛋白質が、1.7mg血糖値を上昇させています。
HbA1cは、6.0~6.5%くらいで、GAは18から19.5%くらいで、
コントロール良好です。

このように、たんぱく質は、直接血糖値を上昇させることはありませんが、
グルカゴンによる糖新生によって、間接的に血糖値を上昇させることがあります。



江部康二
糖質・脂質・タンパク質摂取と追加分泌インスリンの関係
こんにちは。
今回は、糖質・脂質・タンパク質摂取と追加分泌インスリンの関係を考察してみます。
ネットで、「スーパー糖質制限食を続けると、膵臓のβ細胞のインスリン分泌能力が低下する」などと
無根拠なデマが流れたりするので、キッチリ説明して反論します。

<糖質摂取は大量のインスリンを追加分泌させる>
 血糖値を直接上昇させるのは、糖質だけです。糖質摂取による食後高血糖に対して、
追加分泌インスリンが大量に分泌されて、血糖を下げます。

<タンパク質摂取は少量のインスリンを追加分泌させる>
 アミノ酸の中で、ロイシン、アルギニン、リジンはインスリンを分泌させます。
そして、例えば牛肉のタンパク質の成分には、ロイシン、アルギニン、リジンが含まれています。
正常人が牛サーロインステーキを200g食べても、血糖値に直接影響を与えるのはグリコーゲン分の糖質だけで1g未満なので、
3mgも上昇しません。
それなのにインスリンだけが分泌されたら、低血糖になってしまいます。
低血糖にならないのは、同時にインスリン拮抗ホルモンのグルカゴン(糖新生による間接的血糖上昇作用あり)も分泌されて、
効果が相殺されるからです。
すなわち、ロイシン、アルギニン、リジンが含まれているタンパク質を食べると、
追加分泌のインスリンが少量ながら分泌されるということです。
このようにスーパー糖質制限食でも、少量の追加分泌インスリンは出ています。
つまり、野菜もなしの糖質ゼロ食でも、タンパク質摂取分の追加分泌インスリンは出るということです。

<脂質摂取はインスリンを分泌させない>
 脂質摂取は、血糖値を上げないし、インスリン追加分泌もゼロです。

<基礎分泌インスリン>
基礎分泌インスリンは、スーパー糖質制限食でも糖質ゼロ食でも、
24時間常に出続けていますので膵臓のβ細胞はずっと働き続けているわけです。

<考察>
このように、スーパー糖質制限食を継続して実践していても、基礎分泌インスリンは普通に出ています。
またスーパー糖質制限食実践でも、野菜分の糖質が10gくらいはあるので、
基礎分泌の2~3倍の追加分泌インスリンは出ます。
従って、膵臓のβ細胞が、スーパー糖質制限食実践で休業状態になり過ぎて、
インスリン分泌能力が低下するなどどいうのは、無用の心配ということです。


江部康二

次回は、「タンパク質摂取で血糖値上昇する場合」 です。




ケトン食の基礎から実践まで 改訂第2版
こんばんは。
長い間、無実の罪で世界中で悪者扱いされてきた「ケトン体」ですが、
近年、少なくとも欧米では、おおいに見直されていて、
いまや「とってもいい奴」という認識に変わってきています。
その血中ケトン体を増やすには、なんと言っても「ケトン食」です。

そのケトン食関連の日本の本の中で、金字塔のような位置づけにあった本が

『ケトン食の基礎から実践まで 』 
―ケトン食に関わるすべての方へ
藤井達哉 (著)  2011/3/1 診断と治療社

でした、

良書でしたが、しばらく絶版になっていて、入手を諦めていました。
そして久しぶりに検索したら、なんと改訂第2版が刊行されていました。

keton.jpg

https://www.amazon.co.jp/dp/4787823205/
ケトン食の基礎から実践まで 改訂第2版
藤井 達哉、 永井 利三郎 | 2018/4/25 診断と治療社 
¥4620

難治てんかん, GLUT1欠損症などに有効な「ケトン食」について,
医師・栄養士をはじめとした治療に携わる者に必須の情報をすべて盛り込んだ,基礎から実践までをカバーする実用書.
レシピや食品交換表など,患者家族が実践する上で参考になる内容も掲載している.
改訂第2版では、最新の知見を盛り込み,日本食品標準成分表2015年版に対応.また、
患者家族のためのQ&Aを充実させた.  



前著から、かなりボリュームアップして、最新の内容も盛り込んであり、
ますます大変素晴らしい良書となっています。
ケトン体、ケトン食に興味をおもちの読者の皆さん、
是非、ご一読あれ。


江部康二
進行性がん患者で新しいケトン食療法による有望な結果
http://www.med.osaka-u.ac.jp/archives/22811  

「癌ケトン食治療コンソーシアム」研究成果
進行性がん患者で新しいケトン食療法による有望な結果
~国際科学雑誌Nutrientsで発表~


国立大学法人 大阪大学(総長:西尾 章治郎)、明治ホールディングス株式会社(代表取締役社長:川村 和夫)および日清オイリオグループ株式会社(代表取締役社長:久野 貴久)の協働ユニット「癌ケトン食治療コンソーシアム」(代表研究者:大阪大学 大学院医学系研究科 先進融合医学 特任教授(常勤)萩原 圭祐)は、
癌治療に有効なケトン食※1による食事療法を確立することを目的として、
エビデンス構築のための臨床研究、基礎研究を推進しています。
このたび、進行性のがん患者を対象とした臨床研究において、
中鎖脂肪酸油※2(MCT)を含むフォーミュラ食品※3を使用した新しいケトン食療法によって、有望な結果が得られました。
本研究成果は、2020年5月19日に国際科学雑誌Nutrientsのオンライン速報版で公開されました。 

■論文タイトル:
Promising Effect of a New Ketogenic Diet Regimen in Patients with Advanced Cancer(進行性がん患者における新しいケトン食療法の有望な効果)
■概要:
近年の研究によって、ケトン食(低炭水化物・高脂肪の食事)を用いた食事療法は、癌患者にとって有力な支持療法になりうると期待されていますが、炭水化物の制限等、具体的な食事の摂り方については明らかになっていません。今回、癌ケトン食治療コンソーシアムで癌治療に有効なケトン食療法を開発し、様々な癌腫の患者(ステージIV)を対象に症例研究を実施しました。研究に参加した55人の患者のうち、3か月間ケトン食療法を実施した37人の患者のデータを分析しました。その結果、食事に関連する重篤な有害事象は観察されませんでした。PET-CTの診断の結果、開始3か月の時点で5名の患者が部分奏効を示しました。また開始1年後には、3人の患者が完全奏効し、7人の患者が部分奏効でした。生存期間の中央値は32.2(最大:80.1)か月で、3年生存率は44.5%でした。また、ケトン食療法の開始3か月後における、血清Alb値、血糖値、CRPによる評点(ABCスコア)を使用して、患者を層別化すると生存率が有意に異なることが明らかになりました。今回の結果から、大阪大学で開発したケトン食療法は、様々な種類の進行がん患者に対して、有望な支持療法になる可能性が示されました。】


こんにちは。
「癌ケトン食治療コンソーシアム」研究成果として、
『進行性がん患者で新しいケトン食療法による有望な結果』
と題して、国際科学雑誌Nutrientsで発表がなされました。
代表研究者の
大阪大学 大学院医学系研究科 先進融合医学 特任教授(常勤)
萩原圭祐先生は、私の漢方関係の古くからの知り合いです。
「ケトン食とがん」、萩原先生により、
このように素晴らしい発展をとげたことは嬉しい限りです。
癌腫の患者(ステージIV)55人の患者のうち、3か月間ケトン食療法を実施した37人の患者のデータを分析した結果、開始1年後には、3人の患者が完全奏効し、7人の患者が部分奏効です。
研究参加者は全て癌腫ステージⅣの患者さんなので、素晴らしい成果と思います。


実は、「ケトン食とがん」に関する研究は、
当初、私が萩原先生にお願いして、
2013年2月から阪大で開始されたものが、最初です。


http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-2644.html  
非小細胞肺がんⅣ期の患者さんとケトン食、臨床研究のお知らせ。
2013年08月22日 (木)


非小細胞肺がんⅣ期の患者さんに絞って、研究がなされました。
非小細胞肺がんⅣ期の場合、極めて予後不良なので、
ケトン食が有効なら、結果がでやすいと考え、対象を絞ったのです。


http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3579.html  
肺癌患者におけるケトン食の有用性と安全性についての検討
2015年11月04日 (水)


2015年10月29日から31日に京都(国立京都国際会館)で行われた
第53回日本癌治療学会学術州会において、29日木曜日に、
「肺癌患者におけるケトン食の有用性と安全性についての検討」
と題して、大阪大学大学院医学系研究科漢方医学寄附講座、
萩原 圭祐教授らの発表がありました。
研究に参加された5症例いずれも、
ケトン食同意のインフォームド・コンセント時は、肺腺癌Ⅳ期でした。
以下は、2013年2月から研究開始で、
2015年10月29日の癌学会での発表時点でのデータです。
肺がんⅣ期の症例で、ケトン食を導入して症例1と症例4は、
1年後に寛解して、その後も経過良好で、
それぞれ974日間生存中、617日間生存中で、ケトン食を継続中です。
症例3は、がん胸膜播種がありますが、792日後も生存で、ケトン食継続中です。
症例2と症例5はケトン食を継続せずにいずれも死亡されています。
症例が少ないので、断定的なことは言えませんが、
2例は寛解(がんが消えること)して、
Ⅳ期と診断後974日間、617日間の比較的長期の生存ですから、
ケトン食には肺癌Ⅳ期の患者さんに対して、
一定の延命効果がある可能性が示されたと思います。
Ⅳ期肺癌の生存中央値が、8~10ヶ月ですので、
ケトン食継続中の3名の、32ヶ月、26ヶ月、20ヶ月というのは、
なかなかの数字と思います。


上述のように、ケトン体はがんに対しても、一定の効果が期待できるようです。
がんに対する効果以外にも
ケトン体の一種であるBHBは心不全患者の心機能を改善し、
認知機能を向上させることが、ヒトを対象とした小規模な臨床試験で実証されています。
実験室での実験では、BHBは2型糖尿病に対する効果が期待でき、
有害な炎症を抑制することが示されています。
血中ケトン体の上昇は、重度の呼吸器感染症で発生する低酸素関連の組織損傷に対して
広く保護することが示されています。
ケトン体高値により、心臓・腎臓・脳保護作用が期待できます。

ケトン体、これからもいろんな人体に有用な作用が、
研究され証明されていくと思います。



江部康二
決定版! 作りおき&レンチンで簡単! 糖質オフのやせる! ラクうま弁当350 ナツメ社
こんばんは。

決定版! 作りおき&レンチンで簡単! 糖質オフのやせる! ラクうま弁当350 大型本 - ナツメ社 2020/1/16
江部 康二 (著), 新谷 友里江 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4816367705/


book2020-1.jpg


2020年1月16日、刊行です。
おかげさまで、重版です。(^^)       
アマゾンの動きはいまいちなので、心配だったのですが
レシピ本は、直接手に取って、本屋さんの店頭で内容を確認してから
購入される人が多いのかなと思いました。

スタッフにも見せました。
すると、わかりやすく使いやすいと、とても評判が良いのです。
購入したいという人も多くて、嬉しい限りでした。

本書では、作りおきとレンチンでラクラク続く、
お弁当の定番おかずをたっぷり350種掲載してあります。

ゆる糖質オフも、きちんと糖質オフ(スーパー糖質制限食)も自由に選べます。
毎日お弁当の人もいれば、時々お弁当の人もいると思いますが、
この一冊で、美味しい糖質オフ弁当が簡単に作れるのでとても便利です。


☆☆☆
以下の緑文字の記載は、本書の「はじめに」です。

自分に合った糖質オフ弁当でおいしく食べてやせる!

本書は糖質オフのお弁当の本です。カロリー制限食の場合、減量は極めて困難で、
そもそもひもじくて長く続けることは不可能と言えるでしょう。
その点、糖質制限食なら、厚生労働省のいう「推定エネルギー必要量」を、
しっかり摂取してよいので、満足感や満腹感があり、
しかも減量効果が速やかにでることでモチベーションも高まるため、
長く続けることが可能になります。
糖質を食べて血糖値が上昇すると、分泌されたインスリンが血液中のブドウ糖を
筋肉に取り込ませることで血糖値を下げますが、余ったブドウ糖は全て中性脂肪に
変えられ、脂肪細胞に蓄えられます。
これがインスリンが肥満ホルモンと言われる理由です。
一方、たんぱく質と脂質は直接血糖値を上げることはないので、食べても太りません。
いざ減量のために糖質制限食を始めたけれど、お昼は社員食堂に行くしかないなど、
昼ごはんで挫折する人が多いようです。
外食やコンビニを利用する手もありますが、
糖質制限中でもOKなメニューの選択肢は限られます。
そこで、家庭で作る糖質オフ弁当の出番です。
容量が決まっており、糖質量の管理がとても簡単です。
おかずを作りおきしておけば、当日詰め合わせるだけなので悩む必要もなく
ラクに続けることができ、毎日美味しく楽しく食べられます。
電子レンジ調理のレシピもあり、手早く一品追加できるのも魅力的です。
きちんと糖質オフのほうが、減量効果が速く出るのは必然なのですが、
ゆる糖質オフでも一定の効果は期待できます。
是非実践していただければ幸いです。

2020年1月吉日 江部康二


***
以下の青文字の記載は出版社の内容紹介です。

内容紹介
ダイエット効果てきめんの「糖質オフ」。
ですが、使える食材や調味料が限られているため、レシピが思いつかない、
マンネリになってしまう、という方も多いのではないでしょうか。

本書では、作りおきとレンチンでラクラク続く、
お弁当の定番おかずをたっぷり350種掲載しました!

朝、作りおきおかずを詰めるだけだけ&パパッとレンジで作れるから、とにかくラクチン。
この一冊で、美味しい糖質オフ弁当が簡単に作れます。

全レシピ、1回分の糖質量、たんぱく質量、エネルギー量、
冷蔵・冷凍保存の期間を記載しています。

【本書のポイント】

●ゆる糖質オフも、きちんと糖質オフも自由に選べる!
本書では、糖質オフおかずや主食の組み合わせで、
糖質量を簡単に調整することができます。
主食なしできちんと糖質を減らし一気にやせたい方も、
主食を楽しみつつ少し長めのスパンでやせたい方も、
自分にあった方法を選ぶことができます!

●ボリューム満点! だから、糖質オフでもお弁当が楽しみに
糖質オフでがんばっていても、量が少なかったり、
味つけがマンネリだったりして味気ないお弁当では、挫折していまします。
本書で掲載しているおかずは、それぞれが低糖質なので、たくさん詰めても大丈夫。
味つけの種類も豊富で、マンネリになることもありません。

●こんなに食べられる! 主食レシピも満載
糖質オフといえば、主食は食べないのが基本ですが、やっぱり物足りなさが残るもの。
ゆる糖質オフだけでなく、きちんと糖質オフでも楽しめる主食レシピをたくさん掲載しました。
低糖質なカリフラワーごはんやおからごはん、糖質オフの麺、ブランパン、
ほぼ糖質ゼロの油揚げや厚揚げを活用したレシピなどを掲載しています。

●途中で飽きない! アレンジレシピを紹介
作りおきのおかずに、途中で飽きてしまった経験がある方も多いのでは?
本書では、アレンジレシピも掲載しているので、最後までおいしくいただけます。

【目次】(章タイトルのみ)
Part1 肉の作りおき&レンチンおかず
Part2 魚介の作りおき&レンチンおかず
Part3 卵&大豆製品・豆の作りおき&レンチンおかず
Part4 作りおき&レンチンでできる 色別サブおかず