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糖質制限食とダイエット。インターバル速歩との組み合わせが良い。
こんばんは。

糖質制限食とダイエットそしてインターバル速歩、
望月さんとの質疑応答です。
減量を目指す皆さんの参考になれば幸いです。


【20/07/29 望月
ダイエットについて質問
こんばんは
一日糖質20g以下の糖質制限で20キロ近く減量したのですが、
そこからまったく落ちなくて悩んでいます。

<減量できないときは?>に記述されている
・2 何らかの理由で、基礎代謝が低下した可能性、
・4 すでに、BMI20以上~25未満で適正体重
に当てはまると自分では推測しているのですが、
その場合の対処法等をご教授していただきたいです。

だいぶ痩せたのですが、
まだお腹に余分な脂肪が多いので更に減量を進めたいといった所です。

男性(26歳)169cm(体重は一年程で89kg → 67kg前後)

摂取カロリーは体重が落ちるまで低くした結果1600kcal前後で、
身体活動レベルは、在宅でほとんど家に出ないため低い。

カロリーは断食に近いほどカロリーを減らしても変化がないため、
太らないレベルで維持(太らないけど痩せはしない)。

糖質は大雑把ですが、現在も20gを超えないように注意しています。

ケトーシスは、Amazonで5000円程で購入できるケトンメーターで逐一計測して、
ほぼ常に最大値を維持している状態です。
最近は使用してないのですが、ケトンスティックも一番濃い色を維持できています。

67kgまで落としてから三ヶ月近く変化がなく悩んでいます。

ここからの減量はどのように進めたらいいでしょうか?
高度にケトーシスを維持している場合でも、しっかり脂質を取るべきでしょうか?
ケトジェニックダイエットに向いているサプリメント等はありますか?

よろしくおねがいします。】



20/07/30 ドクター江部
Re: ダイエットについて質問
望月 さん

男性(26歳)169cm(体重は一年程で89kg → 67kg前後)

この数値ならBMIは23.46です。
体調が良いならこのくらいでもOKと思います。
糖質制限食は基礎対はは落ちないので

・4 すでに、BMI20以上~25未満で適正体重
だと思います。

あとは、脂肪細胞の大きさは、<大 ⇒ 標準>に半年から1年で減少しますので
これで体重が減ります。
一方、標準より増えた脂肪細胞の数は減りませんので、ここで減少が止まる理屈です。

ケトン体高値なので食事療法は上手くできていると思います。
あとは、<インターバル速歩>がお薦めです。


【20/07/31 望月
返答ありがとうございます
うまく理解できていなくて申し訳ないのですが、
つまり、適正体重なので減少が止まっていて、
今後は今の食事を続けた上でしっかりと運動をして減量を目指すべきなのでしょうか?

ケトジェニックダイエットはとにかく脂質をしっかり摂取しなければならない。
というのをよく目にします。
ですが、ケトン体高値を維持できているのであれば、
そんなに摂取を必要しないと思うのですが、その点はどうなんでしょうか?

インターバル速歩初めて聞きました。
試してみたいと思います。
ありがとうございます。】


20/07/31 ドクター江部
Re: 返答ありがとうございます
望月 さん


男性(26歳)169cm(体重は一年程で89kg → 67kg前後)

この数値ならBMIは23.46です。
体調が良いならこのくらいでもOKと思います。
すでに、BMI20以上~25未満で適正体重の可能性があります。


二つめの仮説です。
脂肪細胞に脂肪が溜まっていくと大きくなります。
大きくなって限界に達すると、分裂して2つになりますので数がふえます。
分裂して一旦標準の大きさになった脂肪細胞が再び大きくなっていき肥満となります。
脂肪細胞の大きさは、<大 ⇒ 標準>に半年から1年で減少しますので
これで体重が減ります。
一方、標準より増えた脂肪細胞の数は減りませんので、
ここで減少が止まる理屈です。


ケトン体高値なので食事療法(スーパ-糖質制限食)は上手くできていると思います。


インターバル速歩は以下の記事を参考にして頂ければ幸いです。
『インターバル速歩』と体力、『一日に8000歩』との比較で優位。
2019年09月10日 (火)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5007.htm
l



江部康二
「ケトン体」が腎臓病を予防 滋賀医大チーム
こんばんは

「ケトン体」が腎臓病を予防 糖尿病急性合併症の原因物質 安全な濃度究明へ 
滋賀医大チーム /滋賀毎日新聞2020年7月29日 地方版滋賀県 
https://mainichi.jp/articles/20200729/ddl/k25/040/164000c


毎日新聞朝刊に、上記記事が掲載されました。
「ケトン体が糖尿病急性合併症の原因物質」とこの記事では断定していますが、
これは、勘違いです。
インスリン作用があるていど確保されていれば、
糖尿病急性合併症(糖尿病ケトアシドーシス)は起こりません。

<糖尿病ケトアシドーシスの発症機序>
「インスリン作用の不足→拮抗ホルモンの過剰→全身の代謝障害→糖利用の低下・脂肪分解の亢進→高血糖・高遊離脂肪酸血症→ケトン体の産生亢進→ケトアシドーシス」
即ち、ケトン体高値は、始まり(原因)ではなくあくまでも結果なのです。

インスリン作用が確保されていれば、血中総ケトン体(基準値28~120μmol/L )が
4000~6000になっても、ケトアシドーシスにはなりません。
例えば難治性てんかんの治療食である「ケトン食」を実践すると、血中ケトン体値は、
4000~6000になりますが、インスリン作用が確保されているのでアシドーシスにはなりません。

ともあれ、日本では長い間、悪者扱いされ、ほとんどの医師に忌み嫌われてきたケトン体が、
腎臓障害を予防する働きがある
と発表された滋賀医大チーム、good jobです。
ケトン体大好きおじさんの私としては、嬉しい限りです。

<記事内容の要約>
滋賀医科大の前川聡教授(糖尿病内分泌・腎臓内科)は
「(腎臓への障害が進むと必要になる)人工透析治療の導入を減らすことにつながる、
画期的な発見」と期待しておられます。
7月28日付の米科学誌「セル・メタボリズム」電子版に論文が掲載されました。
セルメタボリズムはインパクトファクター15.95と信頼度の高い学術雑誌です。
研究チームは、腎臓からブドウ糖を排出して血糖値を低下させる糖尿病治療薬「SGLT2阻害薬」が、
患者のケトン体濃度を高めながら、強い腎臓保護効果があることに着目しました。
マウスを使った実験で、ケトン体が不足すると腎臓病の原因となり、
適切な濃度のケトン体供給が腎臓保護につながることを、世界で初めて証明しました。
更に、糖尿病性腎臓病を引き起こす原因の一つ、たんぱく質「mTORC1(エムトークワン)」の暴走についても、
ケトン体が抑制することを発見しました。
 前川教授は
「今後はヒトに近いカニクイザルで検証し、腎臓保護に有効かつ安全なケトン体濃度を見いだしていきたい」
と話されました。



江部康二
新型コロナ、回復後も体調不良が長引く人も。
新型コロナくらし情報 
体調不良が長引く人も 回復者、実態調査へ 厚労省
毎日新聞2020年7月28日 地方版大阪府関西
https://mainichi.jp/articles/20200728/ddl/k27/040/370000c


こんばんは。
新型コロナウィルス感染症ですが、罹患して回復したあとも
体調不良が長引く人がいることが、わかってきました。

新型コロナウィルスによる肺炎は、間質性肺炎がほとんどです。
肺胞を包んでいる組織が間質です
「呼吸」とは、吸った空気を気管・気管支・細気管支を介して、末端の肺胞まで運び、
肺胞の周りの「間質」の中を流れる毛細血管中の血液に酸素を与えるための作業です。

普通の細菌性肺炎は、肺胞性肺炎です。
こちらは、治ったら、肺機能もほぼ回復します。
一方、コロナの間質性肺炎は、治る過程で間質に線維化を生じてしまうので、
治癒したとしても、線維化は消えないので、理論的にほぼ必ず、
後遺症がでると思われます。

このように、新型コロナウイルス感染症から回復した人の中には、
肺機能の低下をはじめとする体調不良が長く続く人がいることが分かってきました。
頻度や持続期間などは明らかになっていません。
厚生労働省は、回復者2000人を対象に、
実態を調べ解決策を探る研究を始めることを決め、
2021年3月まで続けるとしています。

こうした「後遺症」のような症状について、イタリアで論文が発表されました。
【退院者向け外来を訪れた19~84歳の計143人についての経過報告です。
発症から平均2カ月後の時点で、87%が何らかの不調を抱え、
55%は三つ以上の症状がありました。
倦怠感(53%)、息苦しさ(43%)、関節痛(27%)、
胸の痛み(22%)などがよくみられ、せきや嗅覚障害などが続きます。

外来の受診者は症状がある人に偏っている可能性が高いため、
数値の解釈は慎重にする必要がありますが
イタリアの研究チームは「退院後の症状にも注意を払うべきだ」と指摘しています。】


イタリアの報告でも、後遺症に関して、
息苦しさ、胸の痛み、せきなど、
肺間質の線維化の直接的影響の関与するものが
多いです。
倦怠感は、肺線維化の直接の影響かどうか明確ではありませんが、
息苦しさがあれば、当然倦怠感もありそうです。


江部康二
新型コロナに対するケトン体の試験戦略
【20/07/26
駐在君
新型コロナに対するケトン体の試験戦略

主に老化関連疾患を研究する米バック研究所(The Buck Institute)が中心となり、
呼吸器ウイルス感染に対する免疫代謝的対策としてのケトン体の研究をする中で、
彼ら以外の多くの研究者に対しても新型コロナや季節性インフルエンザなどの呼吸器感染症の治療としてもっとケトン体に注目するように促しています。

その理由のポイントとして「すでに基礎研究において、BHB(ケトン体であるβ-ヒドロキシ酪酸)が炎症誘発性経路NLRP3の活性化を直接阻害することが証明されているが、このNLRP3は新型コロナの重症化原因の中心であるサイトカインストームの一因となっている可能性が高い。」と言ってます。

また「BHBが感染後の自然免疫にどのように影響するかを解明することは、研究者が積極的に取り組んでほしい重要な前臨床問題の一つである。」とも言っています。

結論としてケトン体を研究することは、(糖尿病や心血管疾患だけでなく)新型コロナとの闘いにおいて有望であり、私たちの寿命を延ばすのに役立つだろうといってます。この研究が広まれば糖質制限がさらに見直される機会になるかもしれません。
https://www.sciencedaily.com/releases/2020/07/200715131230.htm
https://www.cell.com/med/fulltext/S2666-6340(20)30013-1】


こんにちは。
駐在君から、ケトン体に関する研究論文についてコメント頂きました。
有用な情報をありがとうございます。

<論文の要約>
https://www.sciencedaily.com/releases/2020/07/200715131230.htm
ケトン体のCOVID-19に対する試験戦略を概説
2020年7月15日
「Buck Institute of Aging」(バック研究所)。バック・エイジング研究所

要約。
新しいレビューは、代謝と免疫を研究している研究者に、COVID-19、季節性インフルエンザおよび他の呼吸器感染症に対する可能性のある治療法として、老化に関する役割のために広く研究されているケトン体に注意を向けることを奨励している。]


<日本の医師とケトン体>
ケトン体は、『糖尿病ケトアシドーシス』というこわい病気があるので、
日本では、今でもケトン体高値を恐れる医師が多いです。
私の糖尿病患者さん(スーパー糖質制限食実践中)が、たまたま風邪などで
近医を受診されたとき、尿中ケトン体が陽性だったりすると大騒ぎになることがほとんどで、説明しても医師はなかなか理解してくれないようです。

<欧米の医師・研究者とケトン体>
一方、欧米では、着々とケトン体の研究が進んでいて、
今回は、新型コロナウィスルやインフルエンザや他の呼吸器感染症にも
有効な可能性があるということで、日本のケトン体大好きおじさんである私としては
嬉しい限りです。
また、老化を予防する役割を期待して、ケトン体は広く研究されているということです。

<ケトン体の抗炎症効果と研究課題>
駐在君ご指摘のように

「すでに基礎研究において、BHB(ケトン体であるβ-ヒドロキシ酪酸)が炎症誘発性経路NLRP3の活性化を直接阻害することが証明されているが、
このNLRP3は新型コロナの重症化原因の中心であるサイトカインストームの一因となっている可能性が高い。」

ケトン体が、
サイトカインストームを予防してくれる可能性があるのは素晴らしいことです。

「BHBが感染後の自然免疫にどのように影響するかを解明することは、研究者が積極的に取り組んでほしい重要な前臨床問題の一つである。」

こちらは、研究課題です。

<確認されているケトン体の効果>
一方、
ケトン体の一種であるBHBは心不全患者の心機能を改善し、認知機能を向上させることが、ヒトを対象とした小規模な臨床試験で実証されています。
実験室での実験では、BHBは2型糖尿病に対する効果が期待でき、有害な炎症を抑制することが示されています。
血中ケトン体の上昇は、重度の呼吸器感染症で発生する低酸素関連の組織損傷に対して広く保護することが示されています。

著者らは、筋肉機能を強化し、感染者のせん妄を減衰させたり回避したりする方法として、
ケトン体の補充を試験する臨床研究を期待しているそうです。

日本は、かなり出遅れてますが、世界目線では
ケトン体の未来は前途洋々ですね。

<ケトン体高値のメリット、私のまとめ>

ケトン体高値により、心臓・腎臓・脳保護作用が期待できます。
SGLT2阻害薬(糖尿病治療薬)の大規模臨床試験である「EMPA-REG OUTCOM試験」「CANVAS試験」において、
心臓・腎臓・脳保護作用が、認められました。

その理由として、SGLT2阻害薬による血中ケトン体高値が、
心臓・腎臓・脳保護に良い影響を与えている可能性が示唆されました。
スーパー糖質制限食なら、よりケトン体高値となるので、さらに期待できますね。
心臓・腎臓・脳が元気に活動していれば、当然免疫力も高まります。

江部康二
決定版! 作りおき&帰ってすぐでき!糖質オフのやせる!ラクうまレシピ350
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【Amazon商品リンク】

こんばんは。

決定版! 作りおき&帰ってすぐでき!糖質オフのやせる!ラクうまレシピ350
(ほめられHappyレシピ)
大形本 2020/6/15 ナツメ社

江部康二 (著), 新谷友里江 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4816368647/


6月15日(月)刊行です。

  本書は簡単に作れる糖質オフのレシピを350種ほど紹介しています。
従来のカロリー制限食の場合、つらい思いをしてもやせることは、とても難しく、
そもそもひもじくて長く続けることはほとんど不可能です。
その点、糖質制限食なら、厚生労働省のいう「推定エネルギー必要量」を、
しっかり摂取してよいので、満足感や満腹感があり、
しかも減量効果が速やかにでることでモチベーションも高まるため、
長く続けることが可能になります。

ただ、糖質オフメニューをつくろうとしても、
各人の料理のレパートリーって、そんなに多くないと思います。
本書は、冷凍作りおき、冷蔵作りおき、速攻レシピが満載で、
時短でラクに簡単に料理ができます。
レシピは糖質10g以下が基本であり、小鉢では、5g以下がほとんどで
スーパー糖質制限食に対応しています。

糖質を食べて血糖値が上昇すると、分泌されたインスリンが血液中のブドウ糖を
筋肉に取り込ませることで血糖値を下げますが、余ったブドウ糖は全て中性脂肪に
変えられ、脂肪細胞に蓄えられます。
これがインスリンが肥満ホルモンと言われる理由です。
一方、たんぱく質と脂質は直接血糖値を上げることはないので、食べても太りません。
糖質制限食なら肥満ホルモンインスリンの分泌が最小限ですむので
スムースな減量が可能なのです。

いざ減量のために糖質制限食を始めたとして、
料理の手間暇がなかなかのハードルとなります。
そこで、家庭で作る糖質オフ簡単レシピの出番です。
ラクに続けることができ、毎日美味しく楽しく食べられます。
本書が、読者の皆様の家庭内糖質制限食実践においてお役に立てれば幸いです。


江部康二
新型コロナ、日本人は自然免疫力が高いので死亡率が低い。
こんにちは。

https://toyokeizai.net/articles/-/363402  
新型コロナ、日本で重症化率・死亡率が低いワケ高橋泰教授が「感染7段階モデル」で見える化


興味深い記事が、東洋経済オンラインに、
2020/7/17(金)掲載されました。
国際医療福祉大学の高橋泰教授のお話です。
久堀さんにコメント頂きました。ありがとうございます。
なんといっても、日本人はBCGのおかげで、
「自然免疫力」が向上しているのがポイントと言えます。
高橋泰教授も「自然免疫力(特に細胞性免疫)の強化にBCGの日本株とロシア株が関与した可能性は高い」
とされています。
日頃、「BCGによる自然免疫力向上」仮説を提唱している私としては、嬉しい限りです。
以下、記事の要約です。

<抗体検査>
新型コロナのIgG抗体検査を行ったところ、ロンドンで16.7%、
ニューヨークは12.3%、東京が0.1%でした。
単純に考えると、
『東京ではほとんど感染してないので抗体を持つ人が少ない』
となりますが、いかにも不自然です。
新型コロナ日本での感染初確認は2020年1月16日です。
その後、日本は強力なロックダウンを実施していないので、
新型コロナに暴露した人が欧米より極端に少ないとは考えにくいのです。

<自然免疫と獲得免疫>
今年5月6日のJAMA(アメリカ医師会雑誌)に発表された「新型コロナの診断テストの解釈」という論文に、
新型コロナは抗体の発動が非常に遅いことが報告されました。

ここで高橋泰教授は、
「なかなか獲得免疫が動き出さないが、その間に自然免疫が新型コロナを処理してしまい、治ってしまうことが多い」
という仮説を立てられました。

つまり、「日本人は自然免疫力が強力なので、
獲得免疫が発動する前に、自然免疫だけで新型コロナを追い払って治癒した。それで抗体ができなかった」
という説です。

なるほど、この説なら、東京では新型コロナのIgG抗体を持つ人が、欧米に比べて極めて少なかったことの説明がつきます。

<発症者死亡率>
そして、日本人の新型コロナ発症者死亡率が低いことも説明できます。要するに日本人は自然免疫のおかげで、発症しにくいし、発症しても重症化しにくいということです。
発症者死亡率は、
日本では0~69歳で0.01%、70歳以上では40倍の0.4%だが、欧州は0~69歳で0.05%、70歳以上が2%でした。
要するに欧州の死亡率は、日本の5倍です。

<高橋教授のシミュレーション>
高橋教授のシミュレーションの結果は以下です。
『まず、国民の少なくとも3割程度がすでに新型コロナの暴露を経験したとみられる。暴露率は30~45%が妥当だろう。そして、暴露した人の98%がステージ1かステージ2、すなわち無症状か風邪の症状で済む。すなわち自然免疫までで終了する。
獲得免疫が出動(抗体が陽性になる)するステージ3、ステージ4に至る人は暴露者の2%程度で、そのうち、サイトカイン・ストームが発生して重症化するステージ5に進む人は、
20代では暴露した人10万人中5人、
30~59歳では同1万人中3人、
60~69歳では同1000人中1.5人、
70歳以上では同1000人中3人程度』

<人口100万人あたりの死者数が少ない>
日本の、人口100万人たりの死者数が欧米の100分の1であることについて
3つの要因の差という仮説

第1に暴露率
日本の場合、重症化しやすい「高齢者の暴露率」が低かったのが効いた。

第2に、自然免疫力
自然免疫で治る人の比率が欧米より日本人(アジア人)のほうが高く、その結果「軽症以上の発症比率」が低くなるが、抗体陽性率も低くなる。自然免疫力(特に細胞性免疫)の強化にBCGの日本株とロシア株が関与した可能性は高いとみている。
「(暴露した人の)軽症以上の発症比率」については、自然免疫力が標準分布と仮定し、シミュレーションの結果を当てはめると、自然免疫で処理できる率が日本人は98%で、対応できないのは2%。

第3は、「発症者死亡率」
日本は欧米に比べて低いと考えられる。
その理由としては、
欧米人に比べて血栓ができにくいことがある。
サイトカイン・ストームが起きても、
日本のほうが重症化する可能性が低い。


江部康二

手足口病発症が激減、昨年の1/100に!コロナ予防の手洗いが有効か。
こんばんは。

2020/7/25(土)読売新聞の朝刊によると、
手足口病が、昨年(2019年)に比し、激減しています。

ヤフーニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/6128712997e801809da70e79b5bcb6eb21aba432
「手足口病」昨年の100分の1、過去最低水準…「コロナ予防で手洗い徹底」

2020/7/25(土)読売新聞 朝刊

国立感染症研究所によると、
7月6~12日の1週間に
全国約3000の小児科から報告のあった患者数は436人(昨年同期約4万人)。
この時期としては、1981年に統計を取り始めて以来、最低水準でした。
40000人 ⇒ 436人 手洗い効果で、まさに激減としかいいようがありません。

手足口病は夏季に流行し、7月にピークを迎えるウイルス性の感染症です。
潜伏期間は、3〜6日間で、
手掌や足底や口腔内に水疱がでて、発熱します。
特に治療法はありませんが、
発熱は2~3日、水疱は7~10日くらいで治ります。

発熱はそれほど高熱でなく、通常は38度以下です。
口内炎の痛みから、飲食が困難の時は、脱水注意で、
時に点滴が必要なこともあります。
5歳未満の小児が80%を占めますが、まれに大人にも感染します。
回復後も口から1〜2週間、
便から2〜4週間にわたってウイルスが排泄されるので、要注意です。

ごく稀なのですが、髄膜炎や脳炎や心筋炎といった
重大な病気を生じることがあります。


感染経路は「飛沫感染」「接触感染」ですので、新型コロナと同様です。
新型コロナ対策で手洗いを徹底していることで、
手足口病のウィルス感染も予防できているというわけです。

ヘルパンギーナや咽頭結膜熱(プール熱)といった夏に流行する他の感染症も
低水準で推移しているので、手洗いって感染症対策に極めて有用ですね。
手洗いさえキッチリしておけば、普通に登園して普通に授業を受けても
大丈夫ということなので、これはなかなかの朗報です。


江部康二

妊娠糖尿病診断。出産後も境界型継続。糖質制限食。
【日付 名前
20/07/22 ゆきぼくり
妊娠糖尿病診断後出産後も境界型継続について

先生、はじめまして。
突然、コメント欄から失礼します。
私は現在、38歳です。
第1子は31歳で出産しそのときは妊娠糖尿病は指摘されませんでした。
(ブドウ糖負荷試験自体なかった)
第2子を37歳で出産しました。
そのとき妊娠糖尿病(ブドウ糖負荷試験で糖代謝異常)の診断がありました。
空腹時は問題なく2時間値が下がらないタイプでした。
血糖測定と低糖質食、5回食で、食後2時間値ほぼ120以下にキープできたため、
出産までインスリン使用なく経過しました。

出産後は普通の食事ができるとの事で、普通に食事をしていましたが、
今年1月のフォロー採血で境界型でした。
やはり2時間値が147と高い状態でした。
それでもインスリンの抵抗性と分泌は問題ないので
様子をみて半年後の評価として7月また採血をしました。

7月、採血をしてみると悪化をしていて1時間値は211、2時間値は175と高く
今回はインスリン分泌も悪くなっていました。
正直、ショックでかなり辛いです。
内分泌の先生は祖母が糖尿病、父以外の兄弟3人が糖尿病なので
遺伝性も強いのではないかと言われましたが、
尚更、今後、良くなる兆しが見えなくなり辛いです。

また血糖を計り、低糖質で生活していこうと思います。
本当は先生の病院に受診をしたいのですが、関東に住んでいるため、
通院が難しくこのような形でコメント欄に書かせて頂きました。
そこで先生にお聞きしたいのですが、
境界型でも糖質20グラム目安の方がいいのでしょうか?
お忙しいとは思いますが、お返事を頂けたら幸いです。】



【第1子は31歳で出産しそのときは妊娠糖尿病は指摘されませんでした。
(ブドウ糖負荷試験自体なかった) 】


2010年、世界統一の妊娠糖尿病(GDM)診断基準が、作成されました。

第一子を31歳で出産なら、2013年ですから、日本でも
ブドウ糖負荷試験をして、妊娠糖尿病をチェックする産婦人科が多くなっていた
と思うのですが、なしだったのですね。


【第二子、妊娠糖尿病(ブドウ糖負荷試験で糖代謝異常)の診断がありました。
空腹時は問題なく2時間値が下がらないタイプでした。】

<診断基準>
1)妊娠糖尿病
糖尿病ではなかった人が、
妊娠後初めて妊娠糖尿病の基準をみたした場合は「妊娠糖尿病」です。
妊娠糖尿病は、糖尿病にいたっていない糖代謝異常であり、
妊娠時に診断された明らかな糖尿病は含まれません。
妊娠糖尿病は75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)によって診断されます。

負荷前値が92mg/dl以上、
1時間値180mg/dl以上、
2時間値153mg/dl以上、
のいずれかがあれば、
妊娠糖尿病(GDM)と診断されます。

妊婦さんの7〜9%は妊娠糖尿病と診断されます。
特に肥満がある人、糖尿病の家族歴のある人、
高齢妊娠、巨大児出産既往のある人などは
ハイリスクですので必ず検査をうけましょう。


【血糖測定と低糖質食、5回食で、食後2時間値ほぼ120以下にキープできたため、
出産までインスリン使用なく経過しました。】


これは、素晴らしい成果です。
良かったです。
妊娠糖尿病はインスリン抵抗性が主たる要因の耐糖能障害であり、
実は、体内のインスリン分泌は多いくらいです。
そこに外部からインスリンを打ったりしたら、
非常に肥満しやすくなり体重コントロールが大変になるのです。

<妊娠中の血糖値コントロール目標>
朝食前血糖値:70~100mg/dl未満
食後2時間血糖値:120mg/dl未満
GA(グリコアルブミン)15.8%未満
妊娠中の血糖値コントロール目標は
「妊娠糖尿病」「妊娠中の明らかな糖尿病」「糖尿病合併妊娠」
の3つとも上記となります。
できれば、食後1時間血糖値:140mg/dl未満もクリアすることが望ましいです。
HbA1c6.2%未満も目標なのですが、
妊婦で鉄欠乏状態があると、HbA1cは正確な数値を示さないので、
GA(グリコアルブミン)の方が頼りになるのです。


【2020年1月のフォロー採血で境界型でした。
2時間値が147と高い状態でした。インスリンの抵抗性と分泌は問題ない】

【2020年7月、採血をしてみると悪化をしていて
1時間値は211、2時間値は175と高く今回はインスリン分泌も悪くなっていた。】


出産後は、普通の食事だったので、境界型と耐糖能が悪化したのだと思います。
妊娠糖尿病は、元々糖尿病ではなかった人が、妊娠をきっかけに耐糖能が悪化して発症します。しかし、妊娠糖尿病にならない人が真の耐糖能正常者とするならば、
妊娠糖尿病を発症した人は、それに比べたら一定、耐糖能は良くないわけです。
また、妊娠糖尿病は出産後は、正常型に戻るとされていますが、一旦妊娠糖尿病になった人は将来糖尿病になりやすいことが判明しています。
また、ブドウ糖負荷試験の1時間値が180mg/dlを超えている場合は、将来糖尿病になりやすいです。


【内分泌の先生は祖母が糖尿病、父以外の兄弟3人が糖尿病なので
遺伝性も強いのではないかと言われました。】


2型糖尿病は結構遺伝的素因が関与します。
私も、両親共に2型糖尿病でした。
ゆきぼくりさんも、おおいに素質があるので、
このまま行けば、しっかり糖尿病を発症する可能性が高いです。
境界型から糖尿病への進行を予防するためなら、
緩やかな糖質制限食でも大丈夫です。
すなわち、1回の食事の糖質量が40gくらいでも、
糖尿病発症は予防できると思います。
勿論、AGEs蓄積予防の観点からは、辛くなければ糖質20gでもOKです。


江部康二


【ゆきぼくり
妊娠糖尿病診断後出産後も境界型継続について 追加
先生、早速のお返事、大変嬉しく思います。もう一つ伺いたかったのですが、
妊娠中から食後2時間の血糖は120以下にと言われました。
今回、また血糖測定を行っていくことになりましたが、食後1時間値140、2時間値120以下を目安にとのことでした。
普通の基準より血糖値が低いと思いますが、
やはり糖尿病だとこの値が基準なのでしょうか? 】


「食後1時間値140、2時間値120以下」
この数値目標は、妊娠中の目標と同じですね。
国際糖尿病連合は、食後1時間値も2時間値も160mg/dl未満を目標としています。
国際糖尿病連合の目標でも良いと思いますが、
AGEs蓄積予防の観点からは、
「食後1時間値140、2時間値120以下」
がより好ましいですね。


江部康二
名医が考えた 認知症にならない最強の食事術 宝島社 江部康二著
名医が考えた 認知症にならない最強の食事術
江部康二著 宝島社


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こんにちは。
名医が考えた 認知症にならない最強の食事術
江部康二著 宝島社

2020/6/10から発売中です。
幸い、アマゾンでの書評も高評価を頂いています。

近年AGEs(終末糖化産物)の蓄積が、
老化や認知症の元凶であることがわかってきました。
そして、糖質摂取量が多いほど食後高血糖を生じ、
年余に渡り、AGEsは沢山蓄積していきます。

糖尿病合併症の元凶もAGEsなのですが、
糖尿病でない人もAGEsの蓄積により老化や認知症を生じるのです。
そして、AGEs蓄積を最小限におさえて、
『糖化』『老化』『認知症』発症リスクを予防できる食事療法は
唯一糖質制限食だけなのです。


以下の青字は、本書の「はじめに」です。


はじめに


 私は1974年に京大医学部を卒業しました。
医師になり46年が経過して2020年現在70歳です。
同級生は110人卒業しましたが、10名はすでに逝去されました。
医者の不養生というわけでもないのですが、仕事上の重責とか毎日のようなサービス残業とか、
精神的にも肉体的にもかなりストレスフルなのがこの職業なので、医師は思った以上に短命なのです。

 岐阜県保険医協会が実施した調査(2008~2017年)で、開業医の死亡時平均年齢が70.8歳と短く、
特に60歳代の死亡割合が34%と最も多いことが明らかになりました。
厚生労働省の統計にある死亡時平均年齢(2015年)は、男性が77.7歳、女性が84.3歳であり、明らかな差がありました。
日本人全体の死亡割合では80歳代がピークであり、医師の60歳代がピークというのはいかにも若すぎます。

 さてこのように医師は短命という事実もあり、4年に1回オリンピックの年に開催していた同窓会を、
誰がいつ死ぬかわかならいということで近年は2年に1回と改めました。
4年前の同窓会で、「一番なりたくない病気は何?」という話題となりましたが、
約60名の出席者全員が「アルツハイマー病(認知症)」ということで一致しました。
 がんもこわい病気ですが、間に合えば完治できることもありますし、転移があって完治が困難であっても、
基本的に意識は最後まで保たれることがほとんどということもあって、
「一番なりたくない病気はがん」と発言した同級生はゼロでした。

 認知症の患者とその予備軍は65歳以上では4人に1人もいます。
 認知症は、日本のような高齢化社会におけるもっとも重要な疾患の一つです。
2018年現在わが国には約 462 万人の認知症患者が存在し、
さらに認知症予備軍と考えられる軽度認知障害の高齢者が約 400万人もいます。
軽度認知障害 は、認知症への進行リスクが高く、該当者は年率 10 ~15% で認知症に進行するとされています。

 このように増え続ける認知症ですが、現代医学において根治につながる治療法はありません。
従って可能な限り早期に認知症および 軽度認知障害を発見してなんらかの介入を行い、
進行を止めるあるいは症状を改善させることが求められます。

 認知症との関連で注目されている物質に AGEsがあります。
AGEs については本文で詳しく説明します。
AGEs は、糖尿病合併症(透析、切断、失明など)の元凶と考えられてきましたが、
近年糖尿病のみでなく、動脈硬化進展の主役の一つとされ、
老化、認知症、慢性炎症、腎不全などにも関与していることが判明しました。

 糖尿病患者では AGEs の増加とともに認知症あるいは軽度認知障害へ移行することが知られています。
一方、糖尿病でない人も皮膚AGEs の蓄積量と軽度認知障害とに関連があることが判明しました。
皮膚にAGEsが蓄積していれば脳にも同様に蓄積しているということです。

 このようにAGEsの蓄積が認知症に関与していることが明らかとなっていますが、
糖質制限食なら、AGEsの蓄積を最小量におさえることが可能です。
糖質制限食は1999年、高雄病院が日本で初めて糖尿病治療に導入した食事療法です。
近年糖尿病以外にも様々な生活習慣病に効果があることが明らかとなっています。

 糖質制限食実践は早ければ早いほどいいです。
軽度認知障害の段階で糖質制限食を実践すれば、認知症への進行を予防できるし、
軽度認知障害が改善し正常に戻ることも期待できます。
なにしろ本文で紹介しますが、アルツハイマー病を発症したあと、
スーパー糖質制限食実践で一週間足らずで正常に戻った方さえおられるのです。

 40代、50代から糖質制限食を実践していれば、
軽度認知障害のリスクもなくなりますし、健康長寿が約束されます。
さらに早期の20代、30代から糖質制限食を実践すれば、糖化に伴う老化が予防できます。

 私は、52歳で糖尿病を発症して以来、スーパー糖質制限食を実践していますが、
70歳現在、歯は全て残り虫歯なし、聴力低下なし、視力低下なし、
身長縮まず、夜間尿なし、内服薬なし、合併症なしです。
明らかに「糖化⇒老化」が予防できているのだと考えられます。

 月~土と毎日外来診察を行い、入院患者さんも担当しています。
ほぼ毎日ブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」を更新し、
本も出版し、講演活動も行っており、とても元気です。
読者の皆さんが健康長寿を達成されるよう本書および糖質制限食がお役に立てれば幸いです。

江部康二
脂肪悪玉説と米国栄養ガイドラインの失敗。ADA食事療法の変遷。
こんにちは。
西村典彦さんから、「脂肪悪玉説の歴史的背景は?」という質問を頂きました。

<脂肪悪玉説の始まり>
1950年代にアメリカミネソタ大学のアンセル・キーズ博士が
『バター、チーズ、赤身肉に多く含まれる飽和脂肪酸は、血液中のコレステロール値を上昇させ、その結果、狭心症や心筋梗塞など冠動脈疾患の原因になる』
という説を主張しました。
これが脂肪悪玉説の始まりと言われています。

<米国栄養ガイドラインの失敗>
アンセル・キーズ博士の仮説に従って、米国では、炭水化物摂取比率を増やし、
脂肪摂取比率を減らす栄養指導が行われました。

1977年、米国栄養ガイドライン。脂質減らし、炭水化物を増やせ。
脂質摂取率は30年間減り続けた。 1971年36.9%⇒2000年32.8%
炭水化物摂取率は30年間増え続けた。 1971年42.4%⇒2000年49.0%
目標達成したのに、肥満は30年で倍増。
目標達成したのに、糖尿病はわずか10年で2.5倍増。

脂質摂取比率が減って、炭水化物(糖質+食物線維)摂取比率が増えて、
目標達成したはずなのに肥満倍増、糖尿病激増で、結果は大失敗です。
こうなると真犯人は糖質の頻回・過剰摂取、の可能性が大なのです。

<米国糖尿病学会(ADA)と食事療法の変遷、糖質制限食は?>
①ADAは、2007年まで糖尿病の食事療法において糖質制限食は推奨しないとしていた。
②2008年、「食事療法に関する声明2008」において、
 「減量が望まれる糖尿病患者には低カロリー食、もしくは低炭水化物食によるダイエットが推奨される」と、
 1年の期限付きで、糖質制限食の有効性を認める見解を記載。
③2011年、肥満を伴う糖尿病患者に2年間の期限付きで糖質制限食の有効性を容認。
④2013年10月、「食事療法に関する声明2013」において期限や限定なしで、糖質制限食を容認
⑤2019年4月、コンセンサス・レポートで糖質制限食が、エビデンスも最も豊富と記載。
⑥2020年4月、「栄養療法」
 地中海式、低炭水化物、およびベジタリアン食事パターンは、
 いずれも研究で良好な結果が示されている
 健康的な食事パターンの例である。
 個別の食事計画は、個人の好み、ニーズ、
 および目標に焦点を当てるべきである。
 糖尿病患者の全体的な炭水化物摂取量を減らすことは、
 血糖値を改善するために最も多くのエビデンスが示されているので、
 個人のニーズや好みに応じた様々な食事パターンに
 適用することができる。

<「TIME」紙と脂肪悪玉説>
1984年のアメリカ「TIME」紙の表紙は、目玉焼きとベーコンの絵です。
食べる脂質を減らそうというメッセージでした。
しかし30年後同紙において
「バターを食べましょう。なぜ科学者たちは脂質を悪玉と誤認したのか」
という内容を特集しています。
このように、米国のマスコミにおいても、脂肪悪玉説は払拭されたようです。
現在は、1980年代からアメリカの国策であった脂質の摂取量削減が方針転換され、脂質をもっと摂取したほうが良い(その代わり糖質の摂取量を減らす)という流れに変わってきています。
 

江部康二
飽和脂肪酸は悪玉ではありません。
【20/07/20 としの
動物性脂肪
いつも勉強させていただいております。
動物の脂質は飽和脂肪酸が多く含まれており、動脈硬化の原因の一つと思います。
摂取量は気を付けたほうが、いいと思いますが、どうでしょうか。】


こんにちは。
医師のとしのさんから、飽和脂肪酸は動脈硬化の原因の一つではないかと
コメントを頂きました。

確かに脂肪悪玉説が、戦後、先進国を席巻して、
「大腸ガン、乳ガン、心筋梗塞などの元凶は脂肪摂取過剰である。」
という(根拠のない)定説がまことしやかに信じられてきたと思います。

これに対して、大変興味深い研究結果が発表されています。
RCT論文と前向きコホート研究があります。

まずは、RCT論文です。

<RCT論文>

米国医師会雑誌、2006年2月8日号に掲載された3本の論文において
「<低脂肪+野菜豊富な食生活>は乳癌、大腸癌、心血管疾患リスクを下げないし、
総コレステロール値も不変であった。」
という報告がなされたのです。
米国医師会雑誌は、インパクトファクターが高く、
ニューイングランドジャーナルに次ぐ権威有る医学雑誌です。
RCT研究論文ですので、エビデンスレベルも信頼度が高いです。
5万人弱の閉経女性を対象に、対照群を置き、平均8年間にわたって追跡した結果です。
高額の費用をつぎ込んだ大規模臨床試験で、二度とできない高いレベルの研究です。
2万5千人ずつにグループ分けをして、
一方は、脂肪熱量比率20%で強力に低脂肪食を指導しました。
残るグループは脂肪制限なしなので、米国女性平均なら30数%の脂肪摂取比率です。
平均的米国女性に対して、約半分近くまで、脂肪摂取比率を厳格に減らして臨床試験を実施したわけです。

研究をデザインした医師は、
「高脂肪食が大腸ガン、乳ガン、心血管疾患のリスクを増大させる=脂肪悪玉説」
という従来の定説を掲げて、それを証明するためにこのRCTを実施したと思います。

すなわち、
「低脂肪食実践により、大腸ガン、乳ガン、心血管疾患のリスクが減少する」
と信じてこのRCTを開始したと考えられます。

ところが、豈図らんや、
低脂肪食は、乳癌、大腸癌、心血管疾患リスクを全く下げなかったのです。
これは、即ち、脂肪悪玉説が根底から否定されたということです。

結論です。
『5万人を8年間追跡したJAMA掲載のRCT研究論文で、
少なくとも乳ガン・大腸ガン・心血管疾患に関しては、脂肪悪玉説は否定された。』

ということになります。
脂肪悪玉説を根底から覆す良質の信頼度の高いエビデンスですね。

*Journal of American Medical Association(JAMA)誌
2006年2月8日号の疾患ごとにまとめられた3本の論文で報告。
*Low-Fat Dietary Pattern and Risk of Invasive Breast Cancer
  Low-Fat Dietary Pattern and Risk of Colorectal Cancer
  Low-Fat Dietary Pattern and Risk of Cardiovascular Disease
  : The Women's Health Initiative Randomized Controlled Dietary Modification Trial
JAMA ,295(6):629-642.  643-654. 655-666.


次いで前向きコホート研究です。

<前向きコホート研究>

低炭水化物・高脂肪・高タンパク食に冠動脈疾患のリスクなし
一方総炭水化物摂取量は冠動脈疾患リスクの中等度増加に関連していた。
高GLは冠動脈疾患リスク増加と強く関連していた。
ニューイングランドジャーナルのコホート研究  
82802人 20年間 2006年掲載 ハーバード大学
炭水化物摂取比率36.8±6.1%グループと58.8±7.0%のグループの比較。
Halton TL, et al. Low-carbohydrate-diet score and the risk of coronary heart disease in women. New England Journal of Medicine 2006;355:1991-2002.


21論文、約35万人をメタアナリシスして、
5~23年追跡して1.1万人の脳心血管イベントが発生。
飽和脂肪摂取量と脳心血管イベントハザード比を検証してみると、
飽和脂肪酸摂取量と脳心血管イベント発生は、関係がないことが判明。
Siri-Tarino, P.W., et al., Meta-analysis of prospective cohort studies evaluating the association of saturated fat with cardiovascular disease.  Am J Clin Nutr, 2010. 91(3): p. 535-46.


 『炭水化物の摂取増加で死亡リスク上昇』
ランセット誌のオンライン版(2017/8/29)で、
 カナダ・マックマスター大学のMahshid Dehghan博士らが報告。
5大陸18カ国で全死亡および心血管疾患への食事の影響を検証した大規模疫学前向きコホート研究(Prospective Urban Rural Epidemiology:PURE)の結果。
2003年1月1日時点で35~70歳の13万5335例を登録し、
2013年3月31日まで中央値で7.4年間も追跡調査。
論文の内容を要約
1)炭水化物摂取量の多さは全死亡リスク上昇と関連。
2)総脂質および脂質の種類別の摂取は全死亡リスクの低下と関連。
3)総脂質および脂質の種類は、心血管疾患(CVD)、心筋梗塞、CVD死と関連しない。
4)飽和脂質は脳卒中と逆相関している。

炭水化物摂取比率    総死亡率
1群 46.4%          4.1%
2群 54.6%         4.2%
3群 60.8%         4.5%
4群 67.7%         4.9%
5群 77.2%         7.2%

脂肪の摂取比率     総死亡率
1群 10.6%         6.7%
2群 18.0%         5.1%
3群 24.2%         4.6%
4群 29.1%         4.3%
5群 35.3%         4.1%


前向きコホート研究①の結論は
「高脂肪食に冠動脈疾患のリスクなし」
です。

前向きコホート研究②の結論は
「飽和脂肪酸摂取量と脳心血管イベント発生は、関係がない」
です。
つまり、肉の脂も大丈夫ということです。

前向きコホート研究③の結論は
「脂肪の摂取比率が多いほど総死亡率は低下する」
です。
つまり、脂肪が体に悪いどころか、
多く食べるほど、体に良いということです。


江部康二


肉、魚など動物性タンパク質、脂肪は人体に優しい健康食。
こんにちは。
本ブログでは、肉、魚など動物性タンパク質、脂肪は人体に優しい健康食で、
たくさん食べてよいといつも述べています。

糖質を摂取すると食後血糖値が急上昇して、インスリンが大量に分泌されます。
糖質摂取で、「食後高血糖」「平均血糖幅増大」「高インスリン血症」が生じ、
酸化ストレスリスク上昇となり、人体にとって有害です。

それでは動物性タンパク質、脂肪は、安全なのでしょうか?

米国糖尿病学会は、
2019年4月、コンセンサス・レポートで糖質制限食が、
エビデンスも最も豊富と明言しました。
糖質制限食に関しては、低炭水化物食、超低炭水化物食共に記載してあります。
タンパク質の摂取比率は、一定なので、超低炭水化物食は、間違いなく高脂肪食です。
高雄病院のスーパー糖質制限食はこの「超低炭水化物食」に相当し、
脂質摂取比率は56%、タンパク質32%、糖質12%です。

さらに2020年4月、ガイドラインの「栄養療法」において
 『地中海式、低炭水化物、およびベジタリアン食事パターンは、
 いずれも研究で良好な結果が示されている 健康的な食事パターンの例である。
 個別の食事計画は、個人の好み、ニーズ、および目標に焦点を当てるべきである。
 糖尿病患者の全体的な炭水化物摂取量を減らすことは、
 血糖値を改善するために最も多くのエビデンスが示されているので、
 個人のニーズや好みに応じた様々な食事パターンに 適用することができる。』

としています。
従って、高脂肪食の安全性に関しては、エビデンスありですね。


さらに理論的に考察してみます。。
単純には、700万年間の農耕開始前の狩猟・採取時代には、
肉・魚はメインに摂取していたものの一つということです。
さらに絞って、我々ホモ・サピエンスは20万年間、
狩猟・採集を生業として食生活をおくり、突然変異を繰り返して、
消化管、栄養、代謝、生理システムを完成させました。
この間、雑食ではありますが、穀物なしで、肉・魚などの高タンパク食をメインに摂取しながら、
それに適合するように、人体のシステムは完成されました。

現実に、必須脂肪酸、必須アミノ酸、ビタミン、ミネラル、食物繊維、微量元素などは、
人体で生産できないので必ず食材から摂取する必要があります。
これに対して必須糖質はなく、理論的には糖質ゼロでもヒトは生きることができます。
結局、狩猟・採集をしながら完成された人体のシステムには、
狩猟・採集時代の食生活こそが本来の食生活であり健康食と言えます。

農耕開始後1万年間は、穀物が主食となりました。
しかし、狩猟・採集で形づくられた人体のシステムにとって、
摂取エネルギーの50~60%を穀物から摂取することは、本来無理筋なのです。

ヒューマン・ニュートリション 基礎・食事・臨床 第10版
JS Garrow WPT james A Ralph 編
日本語版監修 細谷憲政
上記は、英国の最も権威ある栄養学の本で、920ぺージに及ぶ大著です。
この本の75ページに

『現代の食事では、・・・・・デンプンや遊離糖に由来する「利用されやすいグルコース」を大量に摂取するようになっている。このような食事内容は血漿グルコースおよびインスリン値の定期的な上昇をもたらし、糖尿病、冠状動脈疾患、がん、老化等、
多くの点で健康に有害であることが強く指摘されている。
農業の発明以来、ヒトは穀物をベースとした食物を摂取するようになったが、
進化に要する時間の尺度は長く、ヒトの消化管はまだ穀物ベースの食物に適応していない。ましてや高度に加工された現代の食物に対して、到底適応しきれてないのである。』


と記載してあります。

常日頃、糖質制限食の立場から私が主張している、
「人類の主食は穀物ではない」
と完全に一致する内容ですね。

ヒューマン・ニュートリションでは、穀物の過剰摂取の害、
特に精製炭水化物による「血漿グルコースおよびインスリン値の定期的な上昇」
多くの点で健康に有害と強調しています。

これも私が日頃主張している

「精製炭水化物摂取によるグルコースミニスパイクとインスリンの頻回・過剰分泌が
生活習慣病の元凶である。」


という説と、全く同じといっていいと思います。


江部康二
らこさんのアルツハイマー型認知症再発実験。血糖値。ケトン体値。
【20/07/18 らこ
血中のケトン体とブドウ糖の増減
6月14-15日の私らこ の血中のケトン体とブドウ糖の増減について教えて下さい。

0. 前日の13日に「りんごたっぷりのソース掛けたトンカツ食べてアルツハイマー型認知症再発実験」することにした
1. 14日17-18時、妻と2人で「メンチカツ2枚、カツセット1、黒豚ロースカツ1」を食う
2. アルツハイマー型認知症再発の認識なし。支払いもクレジットカードで無問題。帰宅まで、赤信号無視なし。風呂入ってから、焼酎なた豆茶割りをつまみなしで呑む。
3. 翌15日起床。銀行行く日の認識あり。普通にスーパー糖質制限食の朝食食い、13時過ぎに駅前の銀行5行に行き、内2行でキャッシュカード忘れる。
4. 銀行からの電話で、キャッシュカードを返してもらい、「大丈夫」と思う
5. 19時に「ハッと気付き」アルツハイマー型認知症再発を認識
--------
11年前、経口糖負荷試験受けた時は、1時間値200越え、2時間値160割りでした。
インスリンは、遅れているが、2時間後は日本糖尿病学会基準だと、正常範囲内です。
鼻水が大量に口に流れてきたのは、食事の後半でした。
--------
食事中に血中ブドウ糖の増化があった、は確実です。
それから翌15日15時前はアルツハイマー型認知症再発状態間違いなしです。
ATMの「取り忘れ警告音認識できず」が5行中2行でしたから。
--------
◎どんなタイミングで血中のケトン体とブドウ糖が増減したか?】


こんにちは。
らこさんから、アルツハイマー型認知症再発実験の記録をコメント頂きました。

14日の17時、りんごたっぷりのソースをかけたトンカツを摂取して実験開始。

食事中に大量の水鼻が流れてきた時点で、血糖値がかなり上昇しています。
おそらく200mg/dlを超えていたでしょう。
血糖値上昇と共に、血中ケトン体値が減少したと思われます。
血糖上昇開始後60分で、血中ケトン体値は、約半分まで低下します。
この時点で、脳細胞の主たるエネルギー源であったケトン体が減少していますので
結構、アルツハイマー型認知症の再発があり得たと思います。
ただ、奥様も一緒だったので、明確な症状が出ずにすんだものと思います。


3 翌15日起床。銀行行く日の認識あり。普通にスーパー糖質制限食の朝食食い、
13時過ぎに駅前の銀行5行に行き、内2行でキャッシュカード忘れる。


糖質摂取開始後、20時間目ですが、銀行5行のうち2行で、
ATMの取り忘れ警告音を認識できずに、キャッシュカードを忘れてますので、
健忘症が出現しています。⇒アルツハイマー型認知症の症状


5 19時に「ハッと気付き」アルツハイマー型認知症再発を認識

15日は、朝昼夕とスーパー糖質制限食ですので食後糖値の上昇は
朝昼夕とも最小限ですんでいます。
15時前は「ハット気付き」がないので
アルツハイマー型認知症再発状態だったのでしょう。
19時になって、この時点で、糖質摂取開始後26時間が経過して、
血中ケトン体が一定のレベルまで上昇してきて
健常な思考が回復したものと思われます。


11年前、経口糖負荷試験受けた時は、1時間値200越え、2時間値160割りでした。

75g経口ブドウ糖負荷試験で、1時間値が180mgを超えているので
将来糖尿病になりやすいことがわかります。
2時間値が160mg/dl未満ですが、140mg/dlを超えていれば、
11年前の時点で、<境界型>で、食後高血糖タイプであったと思われます。


江部康二
糖質制限に和食は危険!? 認知症予防にもなる定食の選び方を名医が指南
こんにちは。
https://news.yahoo.co.jp/articles/af9f6497907455a3c58b1f23a58d75c939a18397
糖質制限に和食は危険!? 認知症予防にもなる定食の選び方を名医が指南

2020年7月15日(月)のヤフーニュースに
上記記事が掲載されました。

名医が考えた 認知症にならない最強の食事術
宝島社


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内容は上記『名医が考えた認知症にならない最強の食事術』
からの抜粋です。

近年AGEs(終末糖化産物)の蓄積が、
老化や認知症の元凶であることがわかってきました。
そして、糖質摂取量が多いほど食後高血糖を生じ、
年余に渡り、AGEsは沢山蓄積していきます。

糖尿病合併症の元凶もAGEsなのですが、
糖尿病でない人もAGEsの蓄積により老化や認知症を生じるのです。
そして、AGEs蓄積を最小限におさえて、
『糖化』『老化』『認知症』発症リスクを予防できる食事療法は
唯一糖質制限食だけなのです。


以下の青字はヤフーニュース記事の要約です。

和食は海外でブームになるなど、いかにも健康的なイメージがあります。
しかし認知症を防ぐ食事術の観点からも、糖質制限の観点からも、両手を広げてウェルカム......というわけにはいきません。
和食には糖質制限中にはあまり食べない方がいいメニューがあると高雄病院理事長の江部康二先生は言います。
それはどのようなメニューなのでしょうか?

<和食店のメニュー、糖質がふんだんに使われている!>
和食には糖質制限中にはあまり食べないほうがいいメニューがあります。
例えば、砂糖やミリンなどをたっぷり使った料理が多いのです。
魚料理なら、照り焼き、西京焼き、蒲焼きなどはすべて味つけのために、
砂糖などがタップリ使われています。
肉料理なら、肉じゃが、すき焼き、筑前煮などは砂糖タップリです。
定食のご飯は、勿論NGです。

<和食店では何を食べればいい? 寿司は避けるべき>

 和食店を利用するケ場合は、砂糖タップリのメニューは避けて、
魚なら焼き魚定食や刺身定食を、
肉なら鶏肉の竜田揚げ定食や豚の生姜焼き定食、しゃぶしゃぶ定食などをチョイスするようにしましょう。
ご飯は食べないのが一番ですが、食べるとしてもお茶碗半分くらいに。
和食といえば寿司もありますが、寿司飯は砂糖を含む白米なので
ダブル炭水化物でありこれは完全にNGです。

<高級料亭のコースは要注意>
 高級料亭であるほど、糖質制限食的には鬼門です。
味つけに凝っているので、砂糖を使うことが多いのです。
コース料理は、先付に始まり、煮物や蒸し物、酢の物、あえ物、焼き物、汁物、そしてご飯。
このうち安心して食べられるのは焼き物と汁物だけです。
それ以外の料理は砂糖をタップリ使用していますので、
認知症リスクがたっぷりです。
このように高級料亭は要注意ですが、
フレンチのコースなどは料理に砂糖を使用していないので、
パンやデザートのケーキに気をつければ、あとは大丈夫です。

<教えてくれたのは……>
江部康二 (えべ・こうじ) 医師
【Profile】 1950年、京都府生まれ。京都市右京区・高雄病院理事長。
数多くの臨床活動の中からダイエット、糖尿病克服に画期的な効果がある「糖質制限食」の体系を確立。
ブログ『ドクター江部の糖尿病徒然日記』にて糖尿病や糖質制限食にまつわる情報を日々発信している。
『「糖質オフ!」健康法 主食を抜けば生活習慣病は防げる!』(PHP文庫)、
『内臓脂肪がストンと落ちる食事術』(ダイヤモンド社)など、多数の著書がある。

書籍『名医が考えた 認知症にならない最強の食事術』 著者/江部康二

編集/株式会社クリエイティブ・スイート
編集協力/柚木崎寿久(オフィスゆきざき)
WEB編集/FASHION BOX



江部康二

人工甘味料は、血糖値を上げず、インスリンも分泌させない。定期摂取?
こんにちは。

今回は、人工甘味料と血糖値、インスリンの正確な情報のお話です。

まず結論ですが、

人工甘味料は血糖値を上昇させることはありません。
人工甘味料はインスリンを分泌させることもありません。


ネットでは、相変わらず、
「人工甘味料が血糖を上昇させる」
「人工甘味料がインスリンを分泌させる」
といった、間違った情報が日常的に発信されていますので、
私も繰り返し正確な情報を発信する必要があるようです。

次いで人工甘味料の定期的摂取に関してです。
「ノンカロリー人工甘味料は、予想に反して代謝を障害し疾患リスクを増加させる」
という人工甘味料に関する総説論文に関して検討してみましょう。
Trends in Endocrinology & Metabolism(TEM)に掲載された論文(☆)です。
TEMの2012年のインパクトファクターは8.901ですのでなかなかの医学雑誌です。

まず、人工甘味料のみでは、
インスリンやインクレチン分泌が促進されることはないことが記載されています。
人工甘味料を直接胃や腸に注入しても、通常の食後に起こるホルモン(インスリンやGLP-1のようなインクレチン)分泌の急性変化は起きないことが知られているとのことです。

しかし、人工甘味料飲料が、体重減少に役立ったり、2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントを防止したりするといった証拠はほとんど得られていないし、人工甘味料飲料を定期的に摂取している人は、そうでない人よりそれらの疾患のリスクが上昇するとのことです。
そのリスクの増加は、従来の砂糖による飲料と同程度だそうです。

TEM掲載論文の結論です。

1)人工甘味料は、インスリンを追加分泌させない。
2)しかし、人工甘味料飲料を定期的に摂取すると、肥満・2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントリスクを高める恐れがある。
3)飲料以外に含まれる人工甘味料が、どのような影響を及ぼすかは、はっきりしていない。


このような、今までの常識に反する結果は、人工甘味料飲料が「砂糖飲料の摂取後に引き起こされるべき、学習によって獲得された反応を減弱させる」という効果を有すためと思われます。
人工甘味料飲料摂取では砂糖飲料摂取の際に得られるはずのエネルギーが得られないので、それを代償するためにこのような反応が生じると思われます。
つまり人工甘味料飲料は甘いけれど、脳は満足しないので、かえって摂食が増加し、肥満しやすくなるということです。

少なくとも、糖質を普通に食べている人においては、人工甘味料清涼飲料水を毎日飲んだりするのは、
辞めた方がいいようですね。

一方、あくまでも私見ですが
人工甘味料飲料を定期的に摂取して、肥満・2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントリスクを高める恐れがあるのは普通に糖質を摂取している人における話と思います。

あくまでも私見ですが、糖質セイゲニストにおいては、人工甘味料飲料水を定期的に、通常量(350ml×1~3回/日)とか摂取しても肥満しないし、2型糖尿病にもならないし、メタボにも心筋梗塞にもならないと思います。

スーパー糖質制限食そのものが、「肥満・2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベント」のリスクである『食後高血糖』『平均血糖変動幅増大』『高インスリン血症』を大幅に減らしています。

あとは、読者の皆さん、人工甘味料や人工甘味料飲料に関しては、
自分で考えて、自己責任でお願いします。 m(_ _)m


江部康二



【(☆)<論文総説内容>

1. ノンカロリー清涼飲料水=ASB(artificially sweetened beverage)と

   従来の砂糖による清涼飲料水=SSB(sugar-sweetened beverage)

2. ノンカロリー人工甘味料を用いた清涼飲料水(ASB)による悪影響

(1) ASBの飲用についての観察研究

(2) ASBの効果を見る介入研究

(3) ASB飲用と肥満についての因果関係は正しいのか?


3. ASB飲用に対する生理的反応

(1) 人工甘味料摂取は、ショ糖摂取とは異なる脳の反応を引き起こす

(2) 人工甘味料のみではインスリンやインクレチン分泌が促進されることはない

(3) ノンカロリー人工甘味料を摂取すると、摂食後のインスリンやインクレチンの放出が増強されなくなる


4. ASB飲用による生理的反応の障害: ASBは学習によって獲得した反応(learned responses)を減弱させる


結語

① ヒトやマウス・ラットモデルにおいて、ASBが体重減少に役立ったり、2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベ強調文ントを防止したりするといった証拠はほとんど得られていない。一方、ASBを定期的に摂取しているヒトでは、そうでないヒトよりそれらのリスクが増加すること(しかもそのリスク増加は、SSB摂取の場合と同程度)が示唆されている。

② このような、今までの常識に反する結果は、ASBが「SSBの摂取後に引き起こされるべき、学習によって獲得された反応を減弱させる」という効果(ASB摂取ではSSB摂取の際に得られるはずのエネルギーが得られないので、それを代償するために起こると考えられる)を持つことによる考えられている。

③ノンカロリー人工甘味料は多くの食物にも含まれるようになってきた。そのような食物がASBのように体重や代謝に対して悪影響を与えるのか どうかは、まだはっきりしていない。しかし、食物の甘味は、ノンカロリーかどうかによらず摂取に注意が必要であることは間違いなさそうである。】



(☆)

Artificial sweeteners produce the counterintuitive effect of inducing metabolic derangements.
Susan E. Swithers
Trends in Endocrinology & Metabolism, Volume 24, Issue 9, 431-441, 11 July 2013

この英文論文を、「一人抄読会」というブログで、
糖尿病・代謝内分泌科のドクターが要約と解説をしておられます。
詳しい内容は、
一人抄読会 
http://syodokukai.exblog.jp/19325507 

を見て頂ければ幸いです。
菓子職人さんのマンスリー糖質制限ケーキ、7月はオランジュです。
こんばんは。
菓子職人さんのマンスリー糖質制限ケーキ、7月はオランジュです。

7月8月限定 Monthly cake
オレンジの甘みと酸味が絶妙!オランジュ
100gあたり、エリスリトールを除く糖質 5.06g 、カロリー 245kcal


s_2018年7月オランジュ

2020/7/2午後17:45 
昼食後5時間血糖値:107mg
菓子職人マンスリー糖質制限ケーキ、オランジュ100g、1個摂取。
午後18:45 血糖値:119mg


s_2018年7月オランジュ(イメージ)

菓子職人さんのマンスリー糖質制限ケーキ、オランジュ、
100g1個、試食しました。
食後60分で、12mgの血糖値上昇でした。
私の場合、1gの糖質が3mg血糖値を上昇させるので、
オランジュ100g、1個に4gの糖質含有という計算であり、
しっかり合格でした。

オレンジの甘みと酸味、とても美味しく、頂きました。
今回は、想定より、血糖値の上昇が少なくて済みました。

一定の測定誤差はあるとは思いますが、
完璧に、スーパー糖質制限OK食品ですね。
糖質セイゲニストの皆さん、是非ご賞味あれ。

【ご購入はこちらから】


江部康二
糖尿病と糖質制限食。開始は早ければ早いほどよい。
こんばんは。

会社の健康診断で、高血糖を指摘されて、医療機関への受診を奨められても
自覚症状がない場合は、放置する人が結構います。
これでは、折角の健康診断が無駄になってしまいます。

2~3年間放置くらいなら、糖尿病合併症発症には、
まだ間に合う段階ですので、是非速やかに受診しましょう。

数年間放置してしまうと、糖尿病の合併症が生じてしまう可能性が
ありますので、治療開始は早ければ早いほどいいのです。

そして、薬物に頼らず食事療法で血糖コントロールするのが糖尿病治療の王道です。
ちなみに、私は52歳で糖尿病を発症して70歳現在まで薬なしで
スーパー糖質制限食を18年間続けていますが、合併症はゼロです。

さて、糖尿病の評価ですが、以前は、「空腹時血糖値」「HbA1c」だけで、
血糖コントロール良好か否かを決めていました。しか
し、近年、それだけでは足りないことが明確となりました。

すなわち、『食後高血糖』『平均血糖変動幅増大』が、
糖尿病における最大の合併症リスクということが判明したのです。
従来の定番の評価基準「空腹時血糖値」と「HbA1c」の検査だけでは
食後高血糖と平均血糖変動幅増大を捉えることが困難なのです。

そして『食後高血糖』と『平均血糖変動幅増大』を生じるのは、
タンパク質、脂質、糖質のうち、糖質だけです。
そうすると、日本糖尿病学会推奨の従来の糖尿病食(高糖質・低脂質肪食)では、
『食後高血糖』と『平均血糖変動幅増大』が食事の度に必ず生じることになり、
合併症の予防は極めて困難となります。
現実に、毎年新たに、
糖尿病腎症からの透析が16000人以上、
糖尿病足病変からの足切断が3000人以上、
糖尿病網膜症からの失明が3000人以上
発症しています。
現行の糖尿病治療(カロリー制限・高糖質食+薬物療法)
が決して上手くいっていない動かぬ証拠と言えます。

これに対して、スーパー糖質制限食なら、
『食後高血糖』と『平均血糖変動幅増大』はまったく生じず、
合併症リスクもありません。
糖尿病と糖質制限食、合併症予防のためには開始は早ければ早いほどよいです。

スーパー糖質制限食では、1回の食事の糖質量が、10~20g以下を目安とします。

これだとほとんどの糖尿人において、食後高血糖が生じず、
平均血糖変動幅の増大も防げるからです。
国際糖尿病連合によれば、
食後1時間血糖値、食後2時間血糖値のいずれも160mg/dl未満が目標ですが、
糖質制限食なら達成可能です。
従来の糖尿病食(カロリー制限高糖質食)では、目標達成は極めて厳しいです。

1回の間食時の糖質量は5g以下が目安で、間食は1日2回くらいまでとします。
の範囲内であれば、小さなチョコレートを時々食べてもOKです。
この調子で、美味しく楽しく末長く糖質制限食を続けていただければよいと思います。

最近は低糖質スイーツもいろいろ出てきています。
インターネットや街のお店でも、
低糖質スイーツを販売しているところが増えています。

ケーキを我慢する必要はありません。
低糖質ケーキをしっかり食べても大丈夫です。
糖質含有量を確認して購入しましょう。

そして、美味しく楽しく末長く、糖質制限食を実践して健康ライフを目指しましょう。


江部康二
新型コロナ3カ月で抗体減少なら…集団免疫とワクチン効果は“風前の灯火”
こんばんは。

https://news.yahoo.co.jp/articles/f893afeeb12cba355572c9643088f8182f6076f9
新型コロナ3カ月で抗体減少なら…集団免疫とワクチン効果は“風前の灯火”
7/10(金) 配信

2020年7月20日(金)のヤフーニュースに、

新型コロナ3カ月で抗体減少なら…集団免疫とワクチン効果は“風前の灯火”

という記事が掲載されました。
7万人を対象にした検査結果をスペインの保健省が発表したものです。
感染して一旦できた抗体が、3ヶ月目に14%の人で陰性になったのです。

中国の重慶医科大学ななどの研究チームも、2020年6月に同様の論文を
発表しています。
このことから「新型コロナウィルスに対する抗体は2、3カ月で激減する」と報じられました。

ハーバード大学院卒で医学博士・作家の左門新氏(元WHO専門委員)によれば、
「抗体が3カ月で消える感染症は、これまで人間の生活の中にほとんどありませんでした」とのことです。
また、抗体が3ヶ月で激減してしまうと、スウェーデンで実施されてきた「集団免疫」獲得作戦も、まったく通用しないことになります。
それどころか、一回新型コロナウィルスに感染して治癒した人が、
4ヶ月後にまた罹患してしまうことも充分あり得ます。

今までの、経験や常識が通用しないウィルスです。
『血管内に侵入できること』『抗体が3ヶ月で激減すること』
この二つの特徴だけでも、治療が困難であり、再感染もありうるという
大変、厄介なウィルスです。

インフルエンザは、ワクチンの接種から抗体ができるまでの期間は約2週間、
一度できた抗体の持続期間は5カ月~6ヶ月程度と考えられています。

現在、世界中で、新型コロナウィルスに対するワクチンを開発中ですが、
例え、完成しても3ヶ月しか効果が持続しないのなら、予防効果もそんなには期待できないことになります。

こうなると、ブログ読者の皆さん、
スーパー糖質制限食で、免疫力を向上させて、
身を守ることが最善の作戦かもしれません。
糖質制限食と免疫力向上に関しては、
以下の緑字のブログ記事をご参照頂ければ幸いです。

サンデー毎日 2020年6月7日号に『糖質制限食のススメ』掲載。
2020年06月01日 (月)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5261.html




☆☆☆
新型コロナ3カ月で抗体減少なら…集団免疫とワクチン効果は“風前の灯火”
https://news.yahoo.co.jp/articles/f893afeeb12cba355572c9643088f8182f6076f9


以下の青字はは記事の要約です。

 【新型コロナの抗体は3カ月しかもたない――。
こんな研究結果が明らかになった。スペイン保健省が発表。  
スペイン保健省は、
同国の7万人を対象に3カ月にわたって3回の抗体検査を実施。
14%は3回目で陰性となった。
抗体は3カ月で減少することが判明。  
中国の重慶医科大学などの研究チームも6月半ば、同様の論文を発表。
いったん抗体が検出された人でも、退院から2カ月後には、症状があった人の96・8%、無症状の人の93・3%は、抗体が減少。
このことから「コロナ抗体は2、3カ月で激減する」と報じられた。

 新型コロナについては、当初から「集団免疫」が期待されてきた。
国民の60%が感染して抗体ができれば、
ウイルス感染を無力化できるという考え方。
スウェーデンなどは集団免疫戦略を取り続け、現在、6%までこぎ着けている。
しかし免疫効果が3カ月しかもたないとなると、
はかない夢が打ち砕かれたことに。
抗体が3カ月で消える感染症は、これまで人間の生活の中にほとんど無かった。

医師や看護師などの負担も増大

深刻な問題がある。
ワクチン接種だ。現在、日本を含む世界中で100種類以上のワクチンの候補が研究途上にある。
だがワクチンも3カ月で効き目を失うかもしれない。
「通常のインフルエンザのワクチンは1回注射すると約6カ月間、効果が持続。
しかし新型コロナは抗体が3カ月しかもたないとすると、たとえば、10月にワクチン接種を受けたら、
1月に2度目の接種を受けなければならない可能性がある。
費用の負担が増えるし、1度は受けたけど2度目は面倒くさいという人も出る。
医師や看護師などの負担も4倍になるので現場が混乱。
ワクチンが予防接種に有効かという疑問の声も上がりそう」(左門新氏)
 
新型コロナは夏になっても消えない。
抗体の効き目が3カ月ならば、年間に4回も接種必要。
ワクチンが完成しても効果が半減とは絶望的。
本当に新型コロナは厄介。】


江部康二
おいしく、ヘルシー、環境にもいい・・・食材に「ダテョウ」の時代がやってくる?
こんにちは。
毎日新聞2020年3月7日(土)のウェブサイトに
とても興味深い「ダチョウ」の記事が載りました。
https://mainichi.jp/articles/20200307/k00/00m/040/016000c

おいしく、ヘルシー、環境にもいい… 
食材に「ダチョウ」の時代がやってくる?


まあ、ダチョウには若干気の毒なお話なのですが、
ダチョウの肉が美味しくてとても人気が出てきているそうです。
飼育に手間がかからず、環境にも優しく、餌の穀物も豚の1/4ですみ、
糖質制限OK食材ということで、これからはダチョウの時代がくるかもしれませんね。
以下は、記事の要約です。

<飼育に手間がかからない>
まずは飼育に手間がかからないそうで、
「めったに鳴かず、育てやすい。ふん尿の量が少なくてほとんど臭わず、掃除の手間もかからない」
「肉はおいしく世話もしやすい。環境問題を解決するダチョウに大きなポテンシャルを感じる」
ということです。

<環境に優しい>
ついで、環境に優しいです。
地球温暖化が問題となっていますが、
家畜用の牛などはゲップに
メタンガスなどの温室効果ガスが含まれています。
牛は、鶏や豚に比べて、排出する温室効果ガスが多く、
国連食糧農業機関のデータでは6倍以上とされています。
全世界の温室効果ガス排出の18%が畜産業関連と言われ、
中でも牛肉生産による排出量が最も多いのです。
一方、ダチョウはゲップをすることがほとんどありませんので
温室効果ガスの排出が極めて少ないのです。。

<餌の穀物が豚の1/4>
 三つ目の利点は、餌も他の家畜に比べて少なくて済むことです。
穀物を人間用と取り合うことなく、
食糧不足問題の解決にも寄与します。
ダチョウの餌は通常、牧草や桑の葉、アルファルファなどが中心で、
トウモロコシやコメといった穀物飼料の割合は少ないのです。
成鳥1羽からとれる肉の量は豚1頭とだいたい同じですが、
餌になる穀物の量は豚の4分の1程度で済みます。

<増える需要、供給追いつかず>
 地球温暖化などの問題の解決に「一役買う食材」として、
ダチョウの可能性を提唱しているのが、
周囲から「ダチョウくん」と呼ばれる茨城県筑西市の
加藤貴之さん(33)です。
ダチョウ肉を扱う会社を設立し、
2019年には牧場もオープンしました。
加藤さんには「肉を仕入れたい」「自分も牧場を開きたい」といった相談が続々と寄せられているといいます。
5~6年ほど前から、ジビエなど新たな肉の需要を背景に牧場のオープンが相次ぎ、現在は加藤さんが把握する限り埼玉県美里町や鹿児島県鹿屋市など全国に10カ所はあるといいます。

<美味しいし糖質制限OK食材>

 加藤さんがダチョウ肉を提供する2日間限りの「だちょうレストラン」が1月、
東京都渋谷区にオープンしました。
メニューはダチョウバーガー、モモ肉のたたき、ハツや砂肝、レバーの盛り合わせなど。店内はにぎわい、開店50分後には満席となりました。
モモ肉のたたき、ハツや砂肝、レバーの盛り合わせなどは糖質制限OK食材です。
 お客の30代男性は「初めて食べた。クセが全然なくておいしい。特に砂肝は貝のような食感が独特で面白い。ダチョウの印象が変わった」と話しています。
京都にも「ダチョウ肉」を提供する居酒屋さんはあるようですので、
新型コロナ自粛が一段落したら、私も是非一度、食べてみたいと思います。


江部康二
【本ブログのコメント・質問・記事に関するお願い】2020年7月。
【本ブログのコメント・質問・記事に関するお願い】

ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。

糖質制限食に関する質問についてですが、実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、
医師としての責任・債務がありますので、個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。

一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、
ボランティアで回答させていただいています。
診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。
私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。
また、ブログ記事や本に関しても同様に、
糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。
従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、
自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m

そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、
普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、
ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。
またネットで簡単に検索可能なことは、ご自分でお調べください。
質問が増えてきましたので、
糖質制限食と関わりがないと判断した質問にはお答えできない場合もありますので、
ご了承ください。m(_ _)m

普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、
何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、
ブログ本文記事にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。
質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、質問がかなり増えてきていますので、
なかなか即、お答えすることが困難となってきています。

糖質制限食に関わりのある全ての質問に、
本文かコメントでお答えするようできるだけ努力はしていますが、
できないときはご容赦願います。m(_ _)m

それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、
コメント欄にお答えするか、
一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、
よろしくお願い申し上げます。


【糖質制限食を実践される時のご注意】

糖質制限食実践によりリアルタイムに血糖値が改善します。

このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、
減薬しないと低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。


一方、薬を使用してない糖尿人やメタボ人は、低血糖の心配はほとんどないので、
自力で糖質制限食を実践して糖尿病やメタボ改善を目指していただけば幸いです。

内服薬やインスリン注射なしの糖尿人が糖質制限食を実践すると、
食後高血糖は改善しますが、低血糖にはなりません。
血糖値が正常範囲である程度下がると、
肝臓でアミノ酸・乳酸・グリセロール(脂肪の分解物)などから、
ブドウ糖を作るからです。
これを糖新生といいます。

塩分に関しては、スーパー糖質制限食の場合は、今まで通りで特に制限の必要はありません。
「スーパー糖質制限+塩分制限」だと、塩分不足で身体がだるかったり、集中力が低下することがあるので注意が必要です。


診断基準を満たす膵炎がある場合、肝硬変の場合、
そして長鎖脂肪酸代謝異常症・尿素サイクル異常症は、
糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。

糖質制限食は相対的に高脂肪食になるので、診断基準を満たしている膵炎の患者さんには適応とならないのです。
進行した肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。
長鎖脂肪酸代謝異常症では、肉や魚などに含まれる長鎖脂肪酸が上手く利用できないので、適応となりません。
尿素サイクル異常症もまれな疾患ですが、
タンパク質の代謝に問題があるので
高タンパク食である糖質制限食は向きません。


腎機能に関して、日本腎臓病学会編「CKD診療ガイド2018」において、eGFR60ml/分以上あれば顕性たんぱく尿の段階でも、
たんぱく質は過剰な摂取をしないという表現となっていて、
制限という記載はなしです。
従いまして、糖尿病腎症第3期でも、eGFR60ml/分以上なら、糖質制限食OKです。

また、米国糖尿病学会(ADA)は
Position Statement on Nutrition Therapy(栄養療法に関する声明)
Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版
において、糖尿病腎症患者に対する蛋白質制限の意義を明確に否定しました。
根拠はランク(A)ですので、信頼度の高いRCT研究論文に基づく見解です。

今後は、糖尿病腎症第3期以降で、eGFRが60ml/分未満の場合も、
患者さんとよく相談して、糖質制限食を実践するか否か、
個別に対応することとなります。


なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、
糖新生能力が低下していることがあり、
まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。

また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。
糖質制限食もその一つですので、
合わないとご自分で判断されたら中止して頂ければ幸いです。


【糖質制限食とは】

米国糖尿病協会(ADA)の患者教育用のテキストブックLife With Diabetes(2004年版)には、以下の記載があります。

「摂取後直接血糖に影響を与えるのは糖質のみである。
糖質は速やかに吸収され、直接100%血糖に変わり、ほぼ120分以内に吸収は終了する。
蛋白質・脂質は、摂取後、直接血糖に影響を及ぼすことはない。
『炭水化物・タンパク質・脂肪はカロリーを含有している。
炭水化物だけが、血糖値に直接影響を及ぼす。』」


これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。 
1997年版のLife With Diabetes(ADA刊行)では、
「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載がありましたが、2004年版以降は変更されています。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが直接、血糖値を上昇させます。
従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。
脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。
タンパク質はごく少量のインスリンを追加分泌させます。

現在糖尿病において、
食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。
食後高血糖が、
心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。
また一日における、食前・食後・空腹時など
血糖値の変動幅(平均血糖変動幅)が大きいほど、
酸化ストレスが増強し動脈硬化のリスクとなることがわかってきました。
そして、食後高血糖と平均血糖変動幅増大を起こすのは、
三大栄養素のなかで糖質だけなのです。

1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。
炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には、55.3gの糖質が含まれており、
血糖値を166mg上昇させます。
一方、和牛サーロインステーキ(脂身つき)を200g(約1000キロカロリー)食べても、
糖質含有量は1gもないので、食後血糖は3mg未満の上昇しかないのです。 
なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。

糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースに、
できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。
抜く必要がある主食とは 、
米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら、
薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、
カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、
一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、
食後高血糖が必ず生じるのです。

糖尿病の改善には、
カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。

なお糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。
日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド2018-2019」の
男性1600~2000kcal
女性1400~1800kcal
ほど厳しいカロリー制限は必要ありませんが、

「日本人の食事摂取基準」(2015年、厚生労働省)
に示す推定エネルギー必要量の範囲、
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf

推定エネルギー必要量(一日あたり)
                 男性                    女性
15-17才        2500 2850 3150       2050 2300 2550kcal
18-29才        2300 2650  3050         1650  1950   2200
30-49才        2300 2650  3050          1750  2000  2300
50-69才        2100 2450  2800          1650  1900 2200 
70才          1850 2200  2500          1500  1750 2000

身体活動レベル    低い 普通 高い          低い  普通  高い

くらいが目安です。


そして2013年に糖尿病食事療法に関して画期的な変化がありました。
米国糖尿病学会が、
2013年10月発表の『栄養療法に関する声明』において、
全ての糖尿病患者に適した唯一無二の治療食は存在しないと明記したのです。
これはそのまま、1969年の食品交換表第2版以降一貫して、糖尿病治療食として、
唯一無二の「カロリー制限・高糖質食」を推奨し続けている日本糖尿病学会への
痛烈な批判となっています。

さらに、米国糖尿病学会は『栄養療法に関する声明2013』において
地中海食、ベジタリアン食、DASH食、低脂質食などと共に
「糖質制限食」も正式に受容しました。
このことは糖質制限食を推進する私達にとって、大変大きな追い風となりました。

また米国糖尿病学会は、2019年4月、
「成人糖尿病患者または予備軍患者への栄養療法」コンセンサスレポート
において、糖質制限食(Low-carbohydrate eating patterns)が、
エビデンスも最も豊富であると明言
しています。
このように糖質制限食の信頼度はますます高まっています。

なお、門脇孝日本糖尿病学会理事長によれば
東大病院では、2015年4月から、糖質40%の糖質制限食を供給しているそうです。
また門脇孝東大糖尿病・代謝内科教授ご自身も、緩やかな糖質制限食を実践されているとのことです。
2016/7/1(金)
東洋経済オンライン 
http://toyokeizai.net/articles/-/125237



<江部康二著 参考図書>


理論
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ」2005年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008年
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009年 宮本輝先生との対談本
「やせる食べ方」2010年
「うちの母は糖尿人」2010年 監修:江部康二 著:伊藤きのと
(東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010年(ナツメ社)
腹いっぱい食べて楽々痩せる『満腹ダイエット』 (ソフトバンク新書)2011年
「主食をやめると健康になる」(ダイヤモンド社)2011年
「血糖コントロールの新常識! 糖質制限 完全ガイド」 (別冊宝島)2012年
「食品別糖質量ハンドブック」2012年(洋泉社)、
「糖質オフ!健康法」(PHP文庫)2012年
「主食を抜けば糖尿病はよくなる!糖質制限食のすすめ」(文春文庫)2012年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」(文春文庫)2012年
「女性のための糖質制限ダイエットハンドブック」2012年(洋泉社)
「糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド」2013年(東洋経済新報社)
「医療の巨大転換を加速する」糖質制限食と湿潤療法のインパクト
 2013年(東洋経済新報社) 夏井睦先生との対談本
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ 新版」2014年(東洋経済新報社)
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!2 実践編 新版」2014年(東洋経済新報社)
「炭水化物の食べ過ぎで早死にしてはいけません」2014年(東洋経済新報社)
一生太らない「やせる! 食べ方」2014年 (PHP文庫)
江部先生、「糖質制限は危ない」って本当ですか?2015年(洋泉社)
「なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか」2015年(ナツメ社)
「糖質制限の教科書」2015年(洋泉社)監修
「糖質オフ!健康法」2016年3月(PHP研究所 )
「人類最強の糖質制限論」2016年4月(SB新書)
「ハンディ版糖質制限の教科書」2016年4月(洋泉社)
「増補新版食品別糖質量ハンドブック」2016年6月(洋泉社)
「Dr.江部の健康食の新常識100 」(TJMOOK)2016年11月(宝島社)
マンガでわかる「糖質オフ! 」健康法2016年12月、(PHP研究所 )
外食でやせる! 「糖質オフ」で食べても飲んでも太らない体を手に入れる、2017年4月(毎日新聞出版)
「江部康二の糖質制限革命」2017年4月(東洋経済新報社)
「男・50代からの糖質制限」2018年11月(東洋経済新報社)
「内臓脂肪がストン!とおちる食事術」2019年5月(ダイヤモンド社)
「糖質制限の大百科」2019年7月(洋泉社)
「糖質量&炭水化物量ポケットガイド」電子書籍、2019年8月(SBクリエイティブ)
名医が考えた認知症にならない最強の食事術2020年6月(宝島社)

など多数。

レシピ
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006年(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん2009年(アスペクト)
dancyuプレジデントムック 「満腹ダイエット 」 2009年(プレジデント社)
「血糖値を上げない!健康おつまみ109」2010年(東洋経済新報社)
「やせる食べ方レシピ集」 2010年(東洋経済新報社)
「糖質オフダイエット 」2011年(レタスクラブ、角川マーケティング)
「誰もがストレスなくやせられる!糖質制限ダイエット」2011年(講談社)
「主食を抜けば糖尿病はよくなる」レシピ集2011年(東洋経済新報社)
高雄病院の「糖質制限」給食2012年(講談社)
糖尿病がどんどんよくなる「糖質制限食」おすすめレシピ集2012年(ナツメ社)
糖質制限の「主食もどき」レシピ2013年(東洋経済新報社)
高雄病院Dr江部が食べている「糖質制限」ダイエット2013年(講談社)
糖質オフのダイエット弁当2013年(家の光協会)
高雄病院「糖質制限給食」朝 昼 夕 14日間完全プログラム
糖尿病・肥満改善が自宅でできる! 2013年(講談社)
2週間チャレンジ! 糖質制限の太らない生活 2014年(洋泉社mook)
電子レンジで糖質オフの作りおき 2016年10月(宝島社)
「やせぐせがつく糖質オフの作りおき 」2017年3月(宝島社)
「高雄病院の糖質制限作りおき 」2017年5月(洋泉社)
「作りおきおかずで簡単! 朝・昼・晩 糖質オフのダイエット献立」2017年10月 (家の光協会)
「いくら食べても太らない! 旨い酒のつまみ 」2018年5月(宝島社)
「決定版! スグやせ! 糖質オフのラクうまレシピ150」2018年6月(ナツメ社)
「女性のためのラクやせ糖質制限ハンドブック」2018年9月(洋泉社)
「男性のための糖質制限最強ダイエットハンドブック」2018年10月(洋泉社)
「レンチン!糖質オフの作りおきおかず」2018年10月(宝島社)
「魔法のダイエットみそ汁 」 2019年2月(日本文芸社)
「決定版! 作りおき&レンチンで簡単! 糖質オフのやせる! ラクうま弁当350 」 2020年2月(ナツメ社)
「決定版! 作りおき&帰ってすぐできる 糖質オフのやせる! ラクうまレシピ350 」 2020年7月(ナツメ社



江部康二
糖質制限食で、耐糖能改善。一見、耐糖能悪化例は?
【20/07/10 トンボ

江部先生

いつも糖質制限の情報をありがとうございます。

1週間前からフリースタイルリブレを使用し、
食後の血糖値を測定しています。

糖質制限を始める前は、おにぎり一つ食べるだけで
食後血糖値が200を超え、2時間後には正常値に戻るような
いわゆる血糖値スパイク状態だったのですが
現在、血糖値がほぼ80くらいで安定しています。

たまに糖質の高いものを食べたりして
どれくらい上がるか実験してみたりもしているのですが、
上がっても160くらい、大体は140くらいまで上がって
すぐ下がるようになり、血糖値スパイクが起こらなくなりました。

アルコールも結構飲むほうですが、糖質制限前は
夜間に低血糖発作並みの数値(40~50)が頻繁に起きていましたが
現在は夜間もずっと80くらいで安定しています。

今回のフリースタイルリブレが壊れてるんじゃ?と思うくらい
糖質制限前と結果が異なるのでびっくりしています。

糖質制限を始めたのは去年の2月なのですが
体質が変わったのでしょうか?

あまり厳格な糖質制限を勧めない本などでは、
厳格な糖質制限を長い間すると、たまに糖質をとっただけで
かえって大きなスパイクが起きると書いてあるのもありますが
逆のことが起きています。】



こんばんは。
トンボさんから、
糖質制限食で耐糖能が改善したという嬉しい体験をコメント頂きました。
ありがとうございます。

2019年2月から糖質制限食開始、
2020年7月初旬から「フリースタイルリブレ」で血糖値を測定中で、
耐糖能が改善していたとのことです。

糖質制限前は、おにぎり一つ食べて食後血糖値が200mg/dlアップで、
食後2時間値は正常に戻るということで
典型的な『グルコーススパイク』状態だったのが、
1年5ヶ月後の2020年7月には、血糖値上昇が140~160mg/dlまでで
済むようになっていて、見事に耐糖能改善です。
グルコーススパイクがあると、狭心症や心筋梗塞のリスクとなるので
改善して良かったです。


【アルコールも結構飲むほうですが、糖質制限前は
夜間に低血糖発作並みの数値(40~50)が頻繁に起きていましたが
現在は夜間もずっと80くらいで安定しています。】


夜間の低血糖は、何時頃でしょうか?
ともあれ、糖質摂取による『機能性低血糖』であった可能性があります。
機能性低血糖であれば、糖質制限食で改善すると思います。
機能性低血糖に関しては、以下の本ブログ記事をご参照頂ければ幸いです。
2018年01月15日 (月)
機能性低血糖症が糖質制限食で改善。低体重と推定エネルギー必要量。
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4448.html


さて、
【厳格な糖質制限を勧めない本などでは、
厳格な糖質制限を長い間すると、たまに糖質をとっただけで
かえって大きなスパイクが起きると書いてある】


この現象は、生じる人と生じない人がいます。

75g経口ブドウ糖負荷試験実施前3日間は、150g/日以上の糖質摂取が、
日本糖尿病学会の推奨となっています。

これは、糖質制限をあるていどの期間続けた正常人が、いきなり、
ブドウ糖負荷試験を実施したり、糖質を一人前摂取すると、
耐糖能低下のように見えるデータがでることが、時にあるからです。

私見ですが、これは基礎分泌インスリンは普通に出しているけれど、
追加分泌インスリンをあまり出す必要がない糖質制限食を続けていた場合には、
糖質摂取に対して、β細胞が準備ができていない状態であった可能性があります。

前もって、150g/日以上の糖質を3日間摂取することで準備を整えてから検査をすると、
β細胞の準備ができているので、
もともと正常型だった人なら耐糖能がデータ的に普通に戻ると考えられます。

スーパー糖質制限食実践でβ細胞は休養できていて、
なおかつ血糖コントロール良好ですので、
高血糖によりβ細胞が障害されている可能性はありません。
従って、β細胞のインスリン分泌能力も準備さえ整えば、
正常に作用すると考えられます。
つまり、正常人が糖質制限中にいきなり糖質摂取したとき、
一見耐糖能が低下したようなデータが出ることがありますが、
これは本当にβ細胞が障害されて耐糖能が落ちたのではないので、
心配ないということです。
糖質制限食実践者においては、食後高血糖によるβ細胞の障害はないので、
本当にインスリン分泌能が低下するということは考えられません。



「糖質制限食を行うと耐糖能が低下する」という説を最初に唱えたのは、
ヒムスワースです。
「健康人に糖質の少ない食事を1週間与えて糖負荷試験を行った。
高糖質食を与えたときには耐糖能は正常であったのに、
低糖質食によって糖尿病と判定されるほどに耐糖能が悪化した。」
というのが、ヒムスワースが1935年に発表した論文の結論です。

Himsworth HP. The dietetic factor determining the glucose tolerance and sensitivity to insulin of healthy men. Clin Sci 2, 67-94, 1935.

☆☆
ウィルカーソンらは
「糖質制限食を行っても耐糖能は低下しない」という論文を発表しました。
1960年、ウィルカーソン(Wilkerson)らが、
複数の受刑者を被験者として低糖質食が耐糖能に与える影響を再検討して、
糖質の摂取量を1日50グラムに制限しても、
耐糖能には大きな影響を及ぼさないという報告を行いました。
この報告がNew England Journal of Medicineという
影響力の大きな医学誌に掲載されました。

Wilkerson HLC, Hyman C, Kaufman M, McCuistion AC, Francis JO. Diagnostic evaluation of oral glucose tolerance tests in nondiabetic subjects after various levels of carbohydrate intake. N Engl J Med 262, 1047-1053, 1960.


<結論>
ヒムスワースとウィルカーソンの論文を考慮すれば、
糖質制限食を継続実践中の正常人が、いきなり糖質を摂取した場合
「一見耐糖能が低下したようなデータを呈する」人と、
「耐糖能は正常なデータを示す」人とが
いるということとなります。

結局、個人差があるということでしょうね。


江部康二
牛のげっぷとメタンガスと地球温暖化。ダチョウは?
こんばんは。
毎日新聞2020年6月23日朝刊13pに以下の記載がありました。

【農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構、茨城県つくば市)によると、
乳牛は毎日10~20キロほどのえさを食べ、
300~600リットルのげっぷをする。
国立環境研究所(同市)によると、
2018年度に国内の肉牛・乳牛計約383万5000頭がげっぷで出したメタンの量は約28万4000トン。
CO2に換算すると710万3000トンに相当する。
日本国内の飼育頭数は海外に比べて多くないため、国内の温室効果ガスの年間排出量の約0・6%にすぎないが、
世界全体でみると、
CO2換算で温室効果ガス排出量の約4%が家畜由来のメタンだとされる。】

近年、地球温暖化が、問題となっています。 
二酸化炭素(CO2)が温室効果ガスとして最も有名であり、
例えば原子力発電所に関しては、
「CO2を排泄しないクリーンなエネルギー源」などと
宣伝に利用されています。
しかし、原発を稼働すると生じる高レベル放射性廃棄物(核のごみ)は、
10万年間封じ込めないと危険
とされていますから、
これ以上ない「ダーティーエネルギー」ですので、
騙されないように注意が必要です。

温室効果ガスの排出削減が急務になっている現代ですが、
実は牛のげっぷに含まれるメタンガスの温室効果はCO2の25倍です。
CO2換算で温室効果ガス排出量の約4%が
家畜(牛や羊など)由来のメタンガスですから、ばかになりません。

牛は反すう動物に属し、四つの胃を持っています。
最も大きく、反すうに使う第1胃には、さまざまな細菌や真菌がすんでいて、
食物繊維などを分解しますが、この時水素が発生します。
第1胃には水素を食べるメタン菌がすんでいて、この菌が
胃の中の水素とCO2を化学反応させてメタンガスが発生します。

メタンガスを発生させにくい牛の飼料が研究され、
またメタンガスを発生させにくい性質の牛を選ぶような試みもなされています。

一方、今後は、肉牛の代わりにダチョウの肉を食べるなどの社会的な食習慣の変化も
一考の余地があると思います。

牛は、鶏や豚に比べて、排出する温室効果ガスが多く、国連食糧農業機関のデータでは6倍以上とされています。
全世界の温室効果ガス排出の数%が畜産業関連と言われ、中でも牛肉生産による排出量が最も多いのです。
一方、ダチョウはゲップをすることがほとんどありませんので温室効果ガスの排出が極めて少ないのです。


江部康二
名医が考えた認知症にならない最強の食事術(宝島) 実践者インタビュー
こんにちは。

名医が考えた 認知症にならない最強の食事術
宝島社


book1.jpg


http://urx.blue/07K6


以下の青字は、
名医が考えた認知症にならない最強の食事術(宝島社)
36~37ページ 実践者インタビュー

です。
アルツハイマー病が1週間で治ったという驚異の体験が語られています。
まずは、ご一読頂ければ幸いです。


36~37ページ
実践者インタビュー

「1週間の食事療法で思考と視界がクリアになった!」 

ラコさん (60歳)

 11年前、49歳時、若年性アルツハイマー認知症中期であることを自覚する出来事があったラコさん。
それは趣味のオペラチケット日を誤認したことから始まりました。

「自分が認知症を発症してわかったことは、
物事を認識できる日もあれば、認識できない日もあるということです。
2009年3月、月日が認識できなくなり、
2万円を超えるオペラ公演チケットに行けなかったことが極めてショックでした。
この時以来オペラ公演日を認識できず、何度も観賞できなくなりました。
 この一件に前後して、赤信号無視で何度もクラクションを鳴らされました。認識できないのです。
また買い物をした際におつりの勘定ができなくなりました。
とりあえず千円札で支払いを済ませ、小銭を財布にため込むようになっていました。
さらに2009年9月には両眼性複視を発症。
片目をつぶって歩くしかできず、階段昇降さえ不自由になり、頭痛もひどい。
このあたりで、糖尿病合併症をまず疑ったのです。」


そこでスーパー糖質制限食を実行したラコさんは、驚異の体験をします。

「まず、1週間もたたないうちに両眼性複視がおさまり、視界がクリアになりました。
おつりの勘定もできるようになっており、オペラ公演日がきちんと認識でき普通に観賞しました。
赤信号もきちんと認識できました。」


 体質的に異種タンパク質アレルギーをもつラコさんは様々な改良を加えました。

「スタートした当初は便秘がひどかったので、納豆を食べ始めました。
当初は1日75gで、今は1日30g。正直嫌いですが、年365日食べています」


 その甲斐もあり、2020年5月現在まで病状は再発していないということです。

「私の父親もアルツハイマー型認知症で、80歳時に信号待ちの赤信号が認識できず、
自動車にはねられて骨折しました。
現在の一般的な健康診断では空腹時の血糖値しかわかりません。
私は食後の血糖値を計測したことによって、
はじめて自分が糖尿病合併症と若年性アルツハイマーの危険にさらされていることがわかりました。
私の金銭的損害はオペラチケット代金だけでしたが、
父と同じく赤信号を認識できなかったので、もしあのまま放置していたら、
全く同じく車にはねられていたことでしょう」



オペラの公演日を、認識できなくなり、2万円もするチケットを何度も無駄にしてしまったこと、
赤信号を認識できずに信号無視で何度もクラクションを鳴らされたこと、
買い物でおつりの勘定ができなくなったことなど、認知症の症状が赤裸々に語られています。
これだけ症状が揃っていれば、どの医師が診察しても「認知症」の診断を下すと思います。
認知症の中でも、70%を占めるアルツハイマー病と診断されると思います。
しかも、49歳発症で、若年性アルツハイマー病です。

「アルツハイマー病の概要:
アルツハイマー病は、不可逆的な進行性の脳疾患で、記憶や思考能力がゆっくりと障害され、
最終的には日常生活の最も単純な作業を行う能力さえも失われる病気です。
ほとんどのアルツハイマー病の患者では、60歳以降に初めて症状が現れます。
アルツハイマー病は、高齢者における認知症の最も一般的な原因です。」


このようにアルツハイマー病は「不可逆的な進行性の脳疾患」なので、
一旦罹患した人が改善するということは、今までの医学常識では、あり得ません。

そのあり得ないはずの奇跡が、スーパー糖質制限食実践後、
1週間足らずでラコさんに起こったのです。

2009年9月に奇跡的復活を遂げて以降、2020年5月現在まで11年間、
改善を維持しておられるのは素晴らしい事実です。
このことは、スーパー糖質制限食実践において、
アルツハイマー病改善の長期的な効果が期待できることを、示唆しています。

ラコさんに起こったことは今後は、誰にでも起こる可能性があります。

スーパー糖質制限食が登場する前は、
アルツハイマー病は「不可逆的な進行性の脳疾患」でしたが、
スーパー糖質制限食が登場した以後は
アルツハイマー病は「可逆的で改善しうる脳疾患」となりました。

スーパー糖質制限食実践で、
認知症予備軍を予防する
認知症を予防する
認知症予備軍を改善させる
認知症を改善させる

この4つが可能となりました。


江部康二
災害時、非常時の糖質制限食。
【20/07/06
puzzle613  
災害時の非常食
こんばんは。先生に質問があります!九州地方の豪雨災害を見て心配になった事があります。
避難所の非常食は炭水化物がメインかと思います。私は一年間糖質制限継続しているので、
自宅に非常食を備蓄するなら炭水化物ではなく、高タンパク質メニューを買い置きしたいです。
先生ならば、どういう非常食を購入していますか?】



こんばんは。

puzzle613  さんから
災害時の糖質制限食についてコメント・質問を頂きました。

仰る通り、災害時に避難所に届けられるのは、菓子パンやおにぎり、
カップ麺、レトルトカレー、パックご飯、クッキー、クラッカーなど、
炭水化物がほとんどと思いますので、糖質セイゲニストにはNGです。

従いまして
基本的には、備蓄しておくのが一番で、備えあれば憂いなしです。

災害に備える食料の備蓄ですが、
冷蔵庫も使えなくなると仮定して室温保存でOKなものがいいですね。

ナッツ類、ビーフジャーキー、サラミなどは、糖質制限OKです。
天日干しのスルメ、ゲソ、貝柱、めざし、鮭とば、干し海老などの干物もOKです。

コンビーフ、ツナ、マグロ、カツオ、サバ、カキ、ホタテ、ムール貝、豚肉・・・
などの缶詰もOKです。
蒲焼きのタイプの缶詰は甘く糖質が多いので、NGです。
必ず、糖質や炭水化物の量をチェックする習慣をつけましょう。

たけのこ、アスパラガス・・・などの野菜缶詰もOKです。
大豆の缶詰もあります。

グリーンピースの水煮は100g中13gの糖質ですが、非常時にはよしとしましょう。

あと、水のペットボトル(2リットル)10本の備蓄もあると安心です。

マルサンアイのアーモンドミルクは、賞味期限が半年と長く、
室温で保存可能で、
1パック200ml中に糖質は1gと極めて少なく、なかなかの優れものです。

豆乳も賞味期限が半年ほどの長いものは、殺菌温度が高く130度から150度で加熱されて完全な無菌化の状況で、
光と空気を遮断できる容器に入れられます。
それで半年という長い賞味期限と常温保存が可能となります。
完全滅菌ですので、全くの無添加で、糖質は100ml中に2.2gくらいです。

なお、災害時でも牛乳は手に入ると思います。
牛乳は、100ml中に5gの糖質なので、
400ml飲んでも、糖質は20gです。
平時は、アーモンドミルクや豆乳に比べると糖質含有量がやや多いので、
少量にとどめた方がいいのですが、
非常時や災害時は、手に入りやすい牛乳でしのぐのもありと思います。

私自身は、低糖質のナッツやお摘まみになる缶詰や干物は、常時、備蓄しています。
豆乳、牛乳も常時、備蓄です。
アーモンドミルクは見つけたら、購入しています。
牛乳は平時は家人が飲んでいます。

江部康二
2020年7月1日(水)高雄病院の健康診断がありました。
こんにちは。
2020年7月1日(水)高雄病院の健康診断がありました。

<2020年7月1(水)高雄病院健康診断データ①>
血圧129/78 体重:56.7kg 内服薬:なし
身長:167.0cm 腹囲:79cm 年齢:70歳

私は、20歳のとき、身長:167.0cm、体重:53~54kg、腹囲:72cm でした。
身長は、20歳の時から全く縮んでいませんでした。(^^)
腹囲と体重はさすがに増えています。( ̄_ ̄|||)

運動は、ここ数年は講演の合間をぬって、
2週間に1回のテニス(ダブルス)とインターバル速歩(ほぼ毎日)くらいです。
新型コロナの影響で、2020年3月からはテニスはしていません。
インターバル速歩の代わりに、
室内でテレビを見ながらジョギングもどきをすることも多いです。

<52歳、メタボリックシンドローム・糖尿病発症時データ>
52歳の糖尿病発症時点(2002年6月)で、
身長167.0cm、体重67kgで、腹囲86cm、内臓脂肪CT126cm2 
高血圧などメタボリック・シンドロームの診断基準を全て満たしていました。
HbA1c:6.7%(NGSP)
血圧は普段が140~150/90~100
夜の診察が終わったあとには、180/110とかをたたきだして
外来ナースがびっくりしていましたが、私もびっくりがっくりでした。
52歳で糖尿病発症後は70歳現在まで18年間、スーパー糖質制限食を継続しています。

<2020年7月1(水)高雄病院健康診断データ②>
空腹時血糖値:101mg 
HbA1c:5.5%(6.0未満、NGSP)
尿酸:3.3mg/dl(3.7~7.8)
TC:216mg/dl(142~248)
TG:52mg/dl(40~234)
HDL-C:105mg/dl(38~90)
LDL-C:101mg/dl(65~163)
BUN:12.2mg/dl(8~20)
クレアチニン:0.70mg/dl(0.65~1.07)
GTP:37U/L(13~64) 
GOT:27U/L(13~30)
GPT:31U/L(10~42)
白血球:5900(3300~8600)
赤血球:479万(435~555)
ヘモグロビン:14.8g/dl(13.7~16.8)
血小板:26.7万(15.8~34.8)

今回の健診では、HbA1c:5.5%と、この1年で一番いい数字でした。
空腹時血糖値も最近は、100mg/dl未満のことも多いので
血糖コントロールはまあまあです。
尿酸(抗酸化作用あり)はいつも低めですが、
スーパー糖質制限食実践で酸化ストレスが低いためかと思われます。

脂質データは、中性脂肪が52mg/dlと60mg/dl以下で、
HDL-Cが105mg/dlと60mg/dl以上であり、
LDL-Cも全て善玉のパターンです。

クレアチニン0.7mg/dl(eGFR:84.7)で、正常です。
私はかなりの高タンパク食(約150g/日)ですが、このように腎機能も正常です。
腎機能正常な人が、高タンパク食を摂取して腎機能が悪化するというエビデンスはありません。
また、米国糖尿病学会は、
「糖尿病腎症に低タンパク食は推奨しない」としています。


江部康二
世界を救う?昆虫食 価値観の壁を越えれば
https://mainichi.jp/articles/20200705/ddm/014/040/014000c  
斎藤幸平の分岐点ニッポン資本主義の先へ 
世界を救う?昆虫食 価値観の壁を越えれば
毎日新聞2020年7月5日

こんにちは。
上記の興味深い記事が、毎日新聞に掲載されました。
詳しくは毎日新聞のウェブサイトを見て頂ければ幸いです。

斉藤幸平大阪市立大学准教授が、
昆虫食のプロである、近畿大3年の清水和輝さんを取材して記事にしておられます。
清水さんは奈良のレストランのシェフ、川辺瞬さんの協力を得て日夜、
レシピ開発に励んでいます。
この日、のニューは、コオロギパスタ、コオロギだしのカレー、コオロギパウダーのスコーンと、コオロギのフルコースでした。

昆虫食レシピを紹介するかずきさんの動画は
「昆TUBEちゃんねる」(https://kontube.work/)

で配信中です。

日本では、2020年5月に「無印良品」を展開する良品計画がコオロギせんべいを発売し、即日売り切れて話題になったそうです。
せんべいの材料となるコオロギ養殖場が徳島にあると聞き、
6月下旬に鳴門へ向かわれました。
昆虫科学を専門とし、
国内で食用コオロギの養殖に成功した徳島大の渡辺崇人助教(35)の養殖場です。

渡辺助教が「コオロギ食が地球を救う」というその理由は「高い飼料効率」です。
たとえば牛は体重1kgを増やすのに、
約10kgの穀物と2万2000Lもの水
が必要となります。
一方、コオロギ1kgは1.7kgの穀物とわずか4Lの水で済みます。
高たんぱく質で低糖質、健康にいい不飽和脂肪酸も豊富です。
しかも、牛と違って、飼育面積は非常にコンパクトで、
森林伐採などはまったく必要ありません。 
また、餌におからやふすまのような食品残渣(ざんさ)を使えば、
ゴミを減らしながら、植物性の炭水化物を動物性たんぱく質に変えることができます。
虫の糞(ふん)は、肥料として農業に使えます。

2013年5月、国連食糧農業機関(FAO)
「人類の将来の食糧危機を解決するのは昆虫食だ」

という報告書を出しています。
「人口増加や温暖化への対策として、昆虫が従来の家畜に代わる新食材になる。」
とのことです。

<FAO2013報告書のポイント>
「なぜ昆虫食なのか」
 1=自然環境に優しい
 2=健康に優しい
 3=人の暮らしに優しい


うーむ。FAO、素晴らしいです。天晴れです。(^-^)v(^-^)v 
全世界の糖質セイゲニストの皆さん、
人類の未来のため、食糧危機回避のため昆虫食に注目です。

少ない餌で育つ昆虫はたんぱく質が豊富で、
牛のげっぷに含まれるメタンガスの排出もありません。
欧州連合(EU)も2018年に食品として認めました。

実は糖質セイゲニスト的には、昆虫食って、完全無欠の糖質制限食なのです。
私は好き嫌い、ほとんどなくて何でも食べるキャラなのでいいとして、(^^)
読者の紳士淑女の皆さんのなかには

「昆虫なんて、嫌やー!!!」┗(●゚∀゚)┛

と絶叫される方もあるでしょう。
でも、そこの貴方、まあそう叫ばずに、人類の未来のために一緒に考えてみましょう。

◇実は、自然と口に

米国食料医薬品庁は
「ピーナツバター100グラム当たり昆虫断片50個」
「缶詰トマト500グラム中に果実バエ卵10個」
までは、許容範囲としています。
これは、衝撃のデータですね。
ほとんどの紳士淑女の皆さんが、
実は日常的に昆虫や蝿の卵を食べていたということですね。ヾ(゜▽゜)

◇食糧危機そこまで

夏井先生も、ご自身のブログで昆虫食に言及しておられます。
特に糖質セイゲニストが世に溢れてきたら、
FAO予想以上に動物性タンパク質が不足する可能性があります。
我々糖質セイゲニストは、必然的に昆虫食を検討・研究せざるをえない流れとなります。

◇どう養殖するか
安全性は勿論大切ですが、効率よく養殖できる昆虫を探すことが肝要です。
夏井先生は、「理論的にはウジ虫がいいかも」と述べておられました。
確かに、とても育てやすいし、清潔な環境を保ちやすいし、安いし、栄養豊富だし、
美味だし・・・有力候補の一つであることは間違いないですね。(ノ´▽`)ノ
今回の、コオロギもとても有力です。
大量生産できて安くなればいいですね。

◇抵抗感、やっぱり
心理的な壁を乗り越えるのは容易ではないので、
まずは虫の種類をラテン語の学名とかで正々堂々?と表示して、
市販のハンバーグに何気なく混ぜるとかいう戦略もありかなと
密かに企んでいる私です。(∵)?
例えばマゴットハンバーグなんて、
可愛くて美味しそうなメニューですよね。 (⌒o⌒)v

江部康二
どうすれば安全安心 糖尿病患者、コロナで重症化? 血糖値上昇予防が肝心
こんにちは。
毎日新聞2020年7月2日(木)夕刊に

どうすれば安全安心
糖尿病患者、コロナで重症化? 血糖値上昇予防が肝心
https://mainichi.jp/articles/20200702/dde/012/040/011000c


という記事が掲載されました。
東京女子医大糖尿病・代謝内科の三浦順之助准教授による基本的な心構えの解説です。

新型コロナウイルス感染症は、糖尿病、高血圧など慢性疾患を持っていると
重症化しやすいことが報告されています。
また長期間の外出自粛で、運動不足、ストレスなど
血糖値に悪影響を与える要因が増加するので注意が必要です。

三浦順之助准教授は、
 「自粛によって間食が増えたり、運動が減ったりして体重が増え、コントロールが悪くなった患者さんがいる。しかし一方で、在宅で3食きちんとバランスの取れた食事をしたことで、血糖値が改善した人もいる。考え方次第です」と話します。
 どんなものをどのぐらい食べると、どのように血糖が変化するのか。
どうすれば高血糖を抑えられるのか。

と解説しておられます。

しかし、「血糖値を直接上昇させるのは、糖質だけであり、タンパク質と脂質は上昇させない」
という最も重要な生理学的事実を糖尿病患者さんに教育することなしには、
食後血糖値のコントロールは不可能です。

即ち、日本糖尿病学会推奨の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)では、
食後高血糖を予防することは困難です。

スーパー糖質制限食なら「食後高血糖」を確実にコントロールすることが可能です。
スーパー糖質制限食実践で「食後高血糖」を予防すれば免疫力は維持できます。
さらに、AGEs蓄積が最小限ですみますので、糖化の延長上にある老化も最小限ですみ、免疫力も維持できます。


以下の青字は、この記事の要約です。

☆☆☆
規則正しい生活心がけ/体重増加で症状悪化も/通院せず電話受診検討
https://mainichi.jp/articles/20200702/dde/012/040/011000c

三浦准教授によると、糖尿病患者は「糖尿病だと新型コロナウイルス感染症にかかりやすい」と誤解しているケースが多いそうです。
実際には、糖尿病患者の感染率は、中国や米国からの報告で、感染率は人口全体との間で差がみられませんでした。
厚生労働省や国際糖尿病連合なども、密接な接触を避け、頻繁に手を洗い、バランスのいい食事や十分な睡眠を取って体調を整えるという一般的な注意点を挙げています。
一方、感染率は一般人と変わりませんが、糖尿病患者の新型コロナ感染症」重症化率は、明らかに高くおおいに問題です。
 米疾病対策センター(CDC)が2~3月、新型コロナウイルス感染症にかかった患者7162人を対象に、持病との関係を調べた報告では、新型コロナウイルス感染症患者全体に比べて、糖尿病患者は入院、人工呼吸器による治療の割合がいずれも高く、集中治療室(ICU)に入った患者の中では糖尿病患者が最多で3割を超えていました。

入院
糖尿病:24%
慢性肺疾患:15%
循環器疾患:23%
慢性腎臓病:9%

集中治療室
糖尿病:32%
慢性肺疾患:21%
循環器疾患:29%
慢性腎臓病:12%


三浦准教授によれば、糖尿病で高血糖になると免疫の働きが低下しやすいです。
さらに、高血糖が持続すると血管が傷み、血の巡りが悪くなって傷が治りにくくなります。
動脈硬化や糖尿病性腎症が進んで全身状態が悪くなれば感染症悪化のリスクも高まり、いっそう注意が必要です。
 日本にも当てはまるかどうかは検証する必要がありますが。
中国からの報告では、糖尿病患者でも血糖コントロールが良好なグループは血糖コントロールが悪いグループに比べて死亡率が大幅に低かったのです。
 三浦准教授は、コロナ対策に重要なのは、血糖値を上げないよう心掛けることだと強調しています。
 糖尿病患者さんは、外来受診時や栄養指導、療養相談などの機会に、食事や運動などを通じた血糖管理の方法を学んでいます。
だが、それが実践できているか否か。「自粛やテレワークで家にいる時間を、自分の血糖管理の在り方を考え直す機会にしてはどうか」と三浦准教授は、
呼びかけています。
 「自粛によって間食が増えたり、運動が減ったりして体重が増え、コントロールが悪くなった患者さんがいる。しかし一方で、在宅で3食きちんとバランスの取れた食事をしたことで、血糖値が改善した人もいる。考え方次第です」と話します。
 どんなものをどのぐらい食べると、どのように血糖が変化するのか。
どうすれば高血糖を抑えられるのか。
 インスリン注射で血糖管理している患者は、適切な注射のタイミングや量について考えてみる。自粛中に規則正しい生活を心掛けながら自分の血糖値と向き合う生活を続ければ、おのずと自分なりの管理方法が分かってくるといいます。
 通院に困っている人も多い。流行の程度が違う都県境を越えて通う人や、子どもや高齢者と同居している人では、感染リスクを考えて通院をためらう例もあります。
 三浦准教授は「そんなときは、電話で再診を受けたり、処方箋を家の近くの薬局に送ってもらえたりできる場合がある。かかりつけの医師とよく相談してほしい」とアドバイスしています。


江部康二

菓子職人さんのマンスリー糖質制限ケーキ、7月はオランジュです。
こんにちは。
菓子職人さんのマンスリー糖質制限ケーキ、7月はオランジュです。

7月8月限定 Monthly cake
オレンジの甘みと酸味が絶妙!オランジュ
100gあたり、エリスリトールを除く糖質 5.06g 、カロリー 245kcal


s_2018年7月オランジュ

2020/7/2午後17:45 
昼食後5時間血糖値:107mg
菓子職人マンスリー糖質制限ケーキ、オランジュ100g、1個摂取。
午後18:45 血糖値:119mg


s_2018年7月オランジュ(イメージ)

菓子職人さんのマンスリー糖質制限ケーキ、オランジュ、
100g1個、試食しました。
食後60分で、12mgの血糖値上昇でした。
私の場合、1gの糖質が3mg血糖値を上昇させるので、
オランジュ100g、1個に4gの糖質含有という計算であり、
しっかり合格でした。

オレンジの甘みと酸味、とても美味しく、頂きました。
今回は、想定より、血糖値の上昇が少なくて済みました。

一定の測定誤差はあるとは思いますが、
完璧に、スーパー糖質制限OK食品ですね。
糖質セイゲニストの皆さん、是非ご賞味あれ。

【ご購入はこちらから】


江部康二
決定版! 作りおき&帰ってすぐでき!糖質オフのやせる!ラクうまレシピ350
rakuuma.jpg

【Amazon商品リンク】

こんにちは。

決定版! 作りおき&帰ってすぐでき!糖質オフのやせる!ラクうまレシピ350
(ほめられHappyレシピ)
大形本 2020/6/15 ナツメ社

江部康二 (著), 新谷友里江 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4816368647/


6月15日(月)刊行です。

本書は簡単に作れる糖質オフのレシピを350種ほど紹介しています。
従来のカロリー制限食の場合、つらい思いをしてもやせることは、とても難しく、
そもそもひもじくて長く続けることはほとんど不可能です。
その点、糖質制限食なら、厚生労働省のいう「推定エネルギー必要量」を、
しっかり摂取してよいので、満足感や満腹感があり、
しかも減量効果が速やかにでることでモチベーションも高まるため、
長く続けることが可能になります。

ただ、糖質オフメニューをつくろうとしても、
各人の料理のレパートリーって、そんなに多くないと思います。
本書は、冷凍作りおき、冷蔵作りおき、速攻レシピが満載で、
時短でラクに簡単に料理ができます。
レシピは糖質10g以下が基本であり、小鉢では、5g以下がほとんどで
スーパー糖質制限食に対応しています。

糖質を食べて血糖値が上昇すると、分泌されたインスリンが血液中のブドウ糖を
筋肉に取り込ませることで血糖値を下げますが、余ったブドウ糖は全て中性脂肪に
変えられ、脂肪細胞に蓄えられます。
これがインスリンが肥満ホルモンと言われる理由です。
一方、たんぱく質と脂質は直接血糖値を上げることはないので、食べても太りません。
糖質制限食なら肥満ホルモンインスリンの分泌が最小限ですむので
スムースな減量が可能なのです。

いざ減量のために糖質制限食を始めたとして、
料理の手間暇がなかなかのハードルとなります。
そこで、家庭で作る糖質オフ簡単レシピの出番です。
ラクに続けることができ、毎日美味しく楽しく食べられます。
本書が、読者の皆様の家庭内糖質制限食実践においてお役に立てれば幸いです。


江部康二
アンケート調査による日本人糖尿病の死因
こんにちは。

本日の記事は、
日本人糖尿病の死因について検討した論文があったので、
要約して、考察してみました。
私も一糖尿人として、少し気になるところではあります。
もっとも、本研究の糖尿病患者さんは、糖質を普通に食べている方々です。

我々糖質セイゲニストは
「食後高血糖」「血糖変動幅増大」「食後高インスリン血症」 が最小限なので、
酸化ストレスリスクが低く、悪性腫瘍にはなりにくいと思われます。
また、<糖化⇒老化> が最小限なので免疫力も維持できており、
感染症にも罹りにくいと思います。
そして、「AGEsの蓄積」も最小限なので、血管障害も生じにくいと考えられます。


―糖尿病の死因に関する委員会報告―
アンケート調査による日本人糖尿病の死因
―2001~2010 年の 10 年間,45,708 名での検討―

〔糖尿病 59(9):667~684,2016〕
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/59/9/59_667/_pdf/-char/ja



【要約】
アンケート調査方式で,全国 241 施設から 45,708 名が集計され、
2001~2010 年の10年間における日本人糖尿病患者の死因を分析した。
45,708 名中 978 名が剖検例であった



1)<死因の順位>
全症例 45,708 名中の死因、
第 1 位は悪性新生物の 38.3 %であり,
第 2 位は感染症の 17.0 %,
第 3位は血管障害(慢性腎不全,虚血性心疾患,脳血管障害)の 14.9 %で,
糖尿病性昏睡は 0.6 %であった.


第一位、悪性新生物の中では肺癌が 7.0 %と最も高率であり、
第2位の感染症では、肺炎が多く68%を占めていました。

血管障害の中では慢性腎不全が 3.5 %に対して、
虚血性心疾患と脳血管障害がそれぞれ 4.8 %と 6.6 %でした。

虚血性心疾患のほとんどが心筋梗塞でした。
虚血性心疾患以外の心疾患が 8.7 %と意外に高率で、そのほとんどが心不全でした。

脳血管障害の内訳では脳梗塞が脳出血の 1.7 倍でした。

2)<年代別死因>
血管障害全体の比率は、30歳代以降で年代による大きな差は認められませんでした。

糖尿病性腎症による慢性腎不全は,30 歳代で,
心筋梗塞は 40 歳代で,脳血管障害は 30 歳代で比率が増加し,
それ以降の年代において同程度でした。

50 歳代までは脳出血,60 歳代以降では脳梗塞の比率が高かったです。

悪性新生物の比率は,
50歳代および 60 歳代でそれぞれ 46.3 %および 47.7 %と高率であり、
50 歳代以降で悪性新生物による死亡者全体の 97.4 %を占めていました。

感染症のなかでも肺炎による死亡比率は年代が上がるとともに高率となり、
70 歳代以降では 20.0 %と上昇しています。
肺炎による死亡者全体の 80.7 %は 70 歳代以降でした。

糖尿病性昏睡による死亡は,
10 歳代および 20 歳代でそれぞれ 14.6 %および 10.4 %と高率であり,
それらの年代では悪性新生物に次いで第 2 位でした。


3)<血糖コントロールの良否と死亡時年齢との関連>
血糖コントロール不良群では良好群に比し 1.6 歳短命でした。
その差は悪性新生物に比し
血管合併症とりわけ糖尿病性腎症による腎不全で大きかったです。

4)<糖尿病罹病期間と血管障害死の関連>
糖尿病性腎症の 73.4 %が 10 年以上の罹病期間を有していたのに対して、
虚血性心疾患および脳血管障害では、
10 年以上の罹病期間を有したのはそれぞれ 62.7 %と 50 %でした。

5)<治療内容と死因に関する全症例での検討>
食事療法単独 18.8 %、経口血糖降下薬療法 33.9 %、インスリン療法 41.9 %と、
インスリン治療患者さんが最も死亡者が多かったです。
とりわけ糖尿病性腎症では53.7 %を占め、
虚血性心疾患での 38.9 %,脳血管障害での 39 %に比べて高頻度でした。
インスリン治療が必要なさんは、
食事療法単独や経口血糖降下薬治療の患者さんに比べると、
糖尿病がより重症であったと考えられます。

6)<糖尿病患者の平均死亡時年齢>
男性 71.4 歳、女性 75.1 歳で、
同時代の日本人一般の平均寿命に比して、
それぞれ 8.2 歳、11.2 歳短命でした。
しかしながら,前回(1991~2000 年)の調査成績と比べると、
男性で 3.4 歳、女性で 3.5 歳の延命が認められ、
日本人一般における平均寿命の伸び(男性 2.0 歳,女性 1.7 歳)より大きかったです。


江部康二