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2型糖尿人と牛乳とヨーグルト、血糖値上昇は?
【20/03/31 らこ
2型患者の牛乳摂取後の血糖値推移教えて下さい
この記事&コメント読んで、今一番興味あるのは

・有酸素運動しないで「普通の牛乳」を2型人が飲んだら、血糖値推移はどうなるか?

です。私らこ は、自分パターンの食生活だと、便秘になります。無理して、

1. 納豆+キムチ+ザウアークラウト+スグキ漬け は毎日食べる
2. ヨーグルト または 牛乳 は、日暮れ前に20分以上歩いた時に直後食べる

をしてます。降雨などで歩かない日は食べません。
有酸素運動直後に摂取すれば筋肉に取り込まれ、血糖値上がらないからです。
乳糖による食後高血糖が怖いからです。

・3.6%前後の乳脂肪が勝って血糖値上がらないか?
・乳糖が勝って血糖値上がるのか?

知りたいです。
すぐに、とは言いません。お手すきの時に教えて頂ければ幸いです(ペコッ 】



こんにちは。

らこさんから
2型糖尿人が牛乳を飲んだら、血糖値の上昇はどうなるかとの
コメント・質問を頂きました。
牛乳やヨーグルトを飲んだり食べたりする機会は
糖尿人でもそこそこあると思います。

<牛乳やヨーグルト摂取と血糖値推移>結構、気になるテーマです。
気になったので、私自身がすでに実験をしていました。

牛乳とヨーグルトに含まれている糖質の差はどの程度あるのでしょう。
そして、両者を摂取したあとの、血糖値の上昇に差はあるのでしょうか。

今回は、これらについて、考察してみます。
まず、牛乳100ml中に5gの糖質が含まれていますが、
この糖質のほぼ全てが乳糖です。
一方、ヨーグルトに含まれている糖質は、乳糖だけではありません。
ヨーグルトは発酵乳に分類されます。

プレーンヨーグルトも100ml中に5gの糖質です。
「発酵乳は乳糖が牛乳よりも20~30%減少し、少量のガラクトース(0.2~1.3%)とブドウ糖(通常は痕跡)になり、これが乳酸に変化する。乳酸が生成しすぎると乳酸菌の生育が止まるので乳糖は完全に消費されない。普通乳酸は0.85~1.2%生成する。」

以上のことから発酵乳(ヨーグルト)に含まれる糖質は、
<乳糖+ガラクトース>
ということになります。
「乳酸」は、分類上は短鎖脂肪酸に含まれますが、血糖は上昇させません。
ガラクトースの血糖上昇作用はブドウ糖より低く、果糖(フルクトース)並のようです。
ブドウ糖は「通常は痕跡」レベルだそうです。
従いましてプレーンヨーグルト摂取による血糖上昇要因は、
乳糖と乳糖分解後のガラクトースが主です。
牛乳の糖質は全て乳糖なのに対して、ヨーグルトの糖質は<乳糖+ガラクトース>です。
従って、100g中に5gと、同量の糖質であれば、
ヨーグルトは牛乳よりは血糖上昇が少ない可能性が高いですね。

なお、日本人やアジア人に多い乳糖不耐症の場合は、
ラクターゼ(乳糖分解酵素)が少ないです。
ラクターゼは乳糖を分解して、ガラクトースとブドウ糖にします。
乳糖不耐症では、乳糖が分解できないかできても少量なので、
血糖値の上昇はラクターゼを正常に持っている人に比べると少ない可能性が高いですね。

通常は1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿人の血糖値を3mg上昇させます。
欧米人が牛乳を飲んだ場合は、乳糖を100%分解してブドウ糖とガラクトースになります。
ガラクトースはエネルギーを含有していて100%体内に吸収されますが、
ガラクトースの血糖上昇作用は果糖と同様にきわめて少ないです。
そうすると1gの乳糖は、3mg血糖上昇させることはなく、
それより少ないと考えられます。

しかし、日本人やアジア人では、乳糖分解酵素がどの程度残っているかによりますが、
乳糖の分解が少ないので1gの乳糖による血糖上昇は、
1~2mg以下のこともありうると思います。

以下、私自身(2型糖尿人)で実験してみました。

2013年10月31日(木)

午後5:30 空腹時血糖値:126mg
明治牛乳、200ml、炭水化物9.9g、食物繊維0。
午後6:30血糖値:148mg・・・22mg上昇

私の場合、牛乳は、1gの乳糖が2.2mg血糖値を上昇させています。
しかし、炊いたご飯やパンのように、
1gの糖質が3mg血糖値を上昇はさせていません。
私にはあるていど乳糖分解酵素が残っているので、
牛乳を飲んでも下痢をすることはないし、かなり吸収されています。

私は乳糖分解酵素は、ほとんど普通に残っていて、
乳糖(ラクトース)を分解して、ブドウ糖とガラクトースとして吸収しているけれど、
ガラクトース分はあまり血糖値を上げないので、
1gの乳糖が血糖値を、2.2mg上昇させたと考えられます。
乳糖が血糖値をどのていど上昇させるかは、
乳糖分解酵素の残存量により、かなり個人差がありそうですね。

次に、ヨーグルトで実験してみました。
2015年4月12日(日)

空腹時血糖値:107mg
小岩井ヨーグルト209g摂取(100g中に4.6gなので、9.6gの糖質)
1時間後血糖値:117mg
ヨーグルト成分の中の9.6gの糖質
を食べて、血糖値は10mgの上昇。


ヨーグルトの場合は、糖質は<乳糖+ガラクトース>なので、9.6gのうち、
乳糖分だけだと、少し少ないはずです。
結果として、ヨーグルトでは、1gの糖質が、1mgくらいしか血糖値を上昇させていませんでした。
私の場合は、牛乳の糖質に対してヨーグルトの糖質は、
約半分の血糖上昇ですんだということとなります。

個人差はあると思いますが、参考にして頂ければ幸いです。

ヨーグルトなら200g食べても、血糖値は10mgしか上昇しません。
この実験で少しヨーグルトが食べやすくなりました。(^^)

今回のブログ記事は、
元(株)江崎グリコ研究員・八木章さんにアドバイスをいただきました。
八木さん、ありがとうございました。


江部康二


☆☆☆
追記
私は2型糖尿人です。
2002年、52才のとき発症(発覚)です。

私の場合、
A)1gの糖質(穀物の澱粉、ブドウ糖、砂糖など)が
  約3mg血糖値を上昇させます。

B)牛乳の糖質(乳糖)1gが、血糖値を約2.2mg上昇
  させます。
  つまり乳糖は普通の糖質の2/3くらい私の血糖値を
  上昇させます。

C)ヨーグルトの糖質(乳糖+ガラクトース)1gが、血糖
  値を約1mg上昇させます。
  つまりヨーグルトの糖質は普通の糖質の、1/3くらい
  私の血糖値を上昇させます。


*私の場合、いろんな食材で食後血糖値のピークを測定しましたが 
ほぼ常に60分値がピークでした。

*私は成人後、20才代とか、牛乳を500mlとか1Lとか
飲んだこともありますが、下痢も何もないので、私は
比較的乳糖分解酵素が多く残存しているタイプと考
えられます。

*牛乳を少し飲むと下痢する人は、乳糖分解酵素が
あまり残存していないタイプなので、牛乳を少々飲ん
でも血糖値は上昇しにくいはずですが、そもそもあま
り飲めないですね。
カロリー計算法に関する疑問

こんにちは。

夏井睦先生が、ご著書
「炭水化物が人類を滅ぼす~糖質制限からみた生命の科学」(光文社新書)
の中で、現行のカロリー計算法に関して、第Ⅵ章で問題提起しておられますが、私も同感です。

今回、「日経サイエンス 2013 12 特集 食欲」に掲載の記事
「間違いだらけのカロリー計算」 R.ダン(ノースカロライナ州立大学) P53-56
を読んで大変興味深かったので、抜粋を簡単に紹介したいと思います。


鍵となる概念

■A)

現在売られている食品はほとんど全てにカロリー数がラベル表示されている。
だが、これらの数値の大半は消化の複雑さを無視した平均値に基づいており、
その意味で不正確だ。

■B)

食物から得られるカロリーが、食物の種類はもちろん、調理法や腸内微生物の種類、
食物を消化するのに私達が費やすエネルギーによって変わることが、
近年の研究で明らかになった。

■C)

現在のカロリー計算はこうした要因をまったく考慮に入れていない。
消化は非常に複雑で入り組んだ過程なので、
カロリー計算の改善に取り組んだとしても、
完璧に正確なものにするのは不可能だろう。



鍵となる概念(KEY CONCEPTS)に関して、R.ダン氏の言う通りと思います。

今まで、19世紀の米国の化学者アトウオーターの計算式が、
現在までさしたる疑問もなく使われ続けたのが不思議と言えば不思議です。
アトウォーターの換算係数は、例の

脂質:9kcal/g 蛋白質:4kcal/g 糖質:4kcal/g 

というやつです。

食物の熱量=
「食物を空気中で燃やした熱量」-「同量の食物を食べて出た排泄物を燃やして発生した熱量」


これの概算値が得られるのが、アトウォーターの換算係数です。

今までアトウォーターの換算係数に基づくカロリー計算に関して、
きっちり追試した研究は皆無だったのですが、
ハーバード大学のカーモディーが近年研究したものがあります。
カーモディーの原著までは、調べていません。
すいません。 m(_ _)m

マウスにさつまいもか赤身の肉を与えて、体重の変化を比較したものです。

1)生で形もそのまま
2)生で砕いたもの
3)形はそのままで加熱
4)砕いて加熱

結果は、食材を砕いても体重は増加しませんでしたが、
加熱すると、さつまいもでも赤身の肉でも、
加熱していない餌のマウスに比べて体重が増えました。

加熱によって、消化吸収しやすくなり、
摂取エネルギーが生食マウスに比べて、多くなったったと考えられます。

こうなると、アトウォーターの換算係数に基づくカロリー神話は、
加熱という調理法だけでも、簡単に崩壊している
ことがわかります。

さらに、上記A)B)C)の、3つの鍵となる概念(KEY CONCEPTS)を考慮すれば、
人体の消化・吸収におけるカロリー計算はそう簡単にはいかないということがわかります。

このように、食物の正確なカロリー計算は、ほぼ不可能と言えるのですが、
生肉、生魚、生野菜を食べると、加熱するよりは減量しやすいことは確かなようです。

通常、魚の刺身はOKですね。
牛の生レバーと生豚肉は禁止です。
ユッケは腸管出血性大腸菌O111による食中毒の危険性がありますので、
規格基準の要件が、大変厳しくなりました。
鶏肉を生で食べると、カンピロバクター食中毒やサルモネラ食中毒のリスクがあるので
こちらも要注意であり、規格基準がとても厳しくなりました。


江部康二
蛋白質・脂質・糖質と血糖値上昇に関しての論考。
こんにちは。
今回は、復習を兼ねて、
蛋白質・脂質・糖質と血糖値上昇に関して、考察してみます。

まず、米国糖尿病学会によれば、
血糖値に直接影響を与えるのは糖質だけで、
蛋白質・脂質は影響を与えません。
直接という言葉を使用しているのは、
1型糖尿病や2型でもインスリン分泌能が一定以上低下している場合には
蛋白質が間接的に血糖値を上げるからです。

脂質は直接的にも、間接的にも、
血糖値をあげませんし、インスリンも分泌させません。

蛋白質はインスリンとグルカゴンを両方分泌させるので
摂取しても、健常人や軽症糖尿人では血糖値を上昇させません。

1型糖尿病で、内因性インスリン分泌がなくて、グルカゴン分泌能が普通に
残っている場合は、グルカゴンによる糖新生で、
蛋白質が間接的に血糖値を上昇させますが、数時間以上持続します。
また2型糖尿病でも『 グルカゴン分泌 > インスリン分泌』の場合は
蛋白質が間接的に血糖値を上昇させます。


以下の青文字の記載は、高雄病院で検査した、
『蛋白質摂取と血糖値の変化』
2型糖尿人と1型糖尿人のデータです。
あえてささみだけ食べて実験しました。

2型糖尿病のAさん。60代男性。
2017/2/23(木)
          血糖値    インスリン     グルカゴン
8:30      139       8.0           151
ささみ200g摂取 210kcal。46.0gのたんぱく質。糖質ゼロ。脂質1.58g。
30分後       140    7.7           190
60分後       151    23.3          257
2時間後       147    26.2           195
3時間後       137    7.5           144
4時間後       127    5.7           100


1型糖尿病のBさん。インスリン強化療法中。10代男性。
ささみ。200g。210kcal。46.0gのたんぱく質。糖質ゼロ。脂質1.58g。

2017/2/17(金)
          血糖値     CPR         グルカゴン
8:30      115   0.6(1.5~3.5ng/ml)   128(70~174pg/ml)
ささみ200g摂取。210kcal。46.0gのたんぱく質。糖質ゼロ。脂質1.58g。
30分後       160    1.0         229
60分後       176    1.3         186
2時間後       193    1.3        154
3時間後       167    1.2         173
4時間後       159    0.9         122



2型糖尿人Aさんは、内因性インスリンはある程度分泌されていますが、グルカゴンの方が優性です。
そのため蛋白質摂取60分後がピークで、12mg血糖値上昇ですので、
1gの蛋白質が、0.26mg血糖値を上昇させています。
HbA1cは、5.7%~5.9%くらいで、コントロール良好です。

1型糖尿人Bさんも、内因性インスリンが少しだけ分泌されていますが、
グルカゴンの方がはるかに優性です。
そのため蛋白質摂取120分後がピークで、78mg血糖値上昇ですので、
1gの蛋白質が、1.7mg血糖値を上昇させています。
HbA1cは、6.0~6.5%くらいで、GAは18から19.5%くらいで、コントロール良好です。

このように、たんぱく質は、直接血糖値を上昇させることはありませんが、
グルカゴンによる糖新生によって、間接的に血糖値を上昇させることがあります。
その場合、以下のA)B)C)の3つのパターンがあると思います。
A)は確定ですし、B)C)はそれに準じると考えられます。

A)1型糖尿病で内因性インスリンがゼロレベルの人は、
 たんぱく質摂取でグルカゴンだけが分泌され、
 インスリンは分泌できないので、グルカゴンによる糖新生で、
 間接的にかなり血糖値が上昇する。
 高雄病院の1型の患者さん数人の検査で、個人差はあるが、
 1gのたんぱく質で、1.0~3.6mg/dl上昇した。

B)2型糖尿病でも、内因性インスリン分泌能がかなり不足している場合は、
 たんぱく質摂取で『グルカゴン分泌量 > インスリン分泌量』 となり、
 血糖値が上昇することがあると考えられる。

C)ロイシン、アルギニン、リジンなどの摂取刺激によって、
 体質的に、相対的にインスリン分泌量よりグルカゴン分泌量が多いタイプがあれば、
 2型糖尿病でインスリン分泌能が残っていても、たんぱく質摂取で血糖値が上昇すると思われる。



今まで、2型糖尿病では、基本的にB)パターン以外には、
たんぱく質が間接的に血糖値を上昇させることはないと考えていましたが
C)パターンがあることが明らかとなりました。
頻度がどのくらいあるかは、まだよくわかりませんが、ブログコメントなどを参考にすると
結構おられるように思います。

なお正常人では、蛋白質摂取で
インスリンとグルカゴンが同程度分泌されて、効果が相殺されるので
血糖値上昇がないと思われます。

日頃、摂取糖質量に比し、血糖値が上昇し過ぎるという2型糖尿人は、
上述の様な、ささみ実験をして、「たんぱく質と血糖上昇」に関して調べてみては如何でしょう。


江部康二
<ローカーボキッチン然>で食事してきました。
こんばんは。

<大阪 ローカーボ>
でグーグルで検索すると、
<ローカーボキッチン然>http://locabo-kitchen.jp/
がトップに出てきます。
然は、ぜんと読みます。

2019年12月17日、朝日カルチャー中之島の講演会のあと、
ローカーボキッチン然に、総勢9名で行ってきました。
全メニュー糖質7g以下で安心ですが、
牛ステーキとかチキンなどは、糖質はほとんどなしですね。
パスタに若干の糖質が含まれていますが許容範囲です。

大豆チップス
然サラダ
チーズと生ハムの盛り合わせ
チキンステーキ
カルボナーラ
グラスフェッド牛ステーキ


などなど、
美味しく楽しく糖質制限なディナーを堪能しました。

ブラマヨの小杉さんも来店されたそうです。
小杉さん、糖質制限でかなりの減量に成功しておられますね。

ローカーボキッチン然 オンラインショップ
https://www.zen-selection.jp/

糖質制限な様々な食品がネットで購入できます。

http://locabo-kitchen.jp/menu_cat/dessert#p1210
然-zen-バニラアイスクリーム
などデザートメニューがたっぷりです。

アイスクリームで実験してみました。
2019年11月
午後5時52分 血糖値:106mg
然-zen-バニラアイスクリーム  1個摂取
午後6時52分 血糖値:112mg

私の場合1gの糖質が3mg血糖値を上昇させるので
1個あたり2gの糖質見当であり、
表示の3gより少なくて、しっかり合格です。


江部康二


☆☆☆
以下は、お店のサイトの情報です。
 
ローカーボキッチン然 http://locabo-kitchen.jp/

薬剤師がプロデュースする低糖質食専門店 全メニュー糖質7g以下のこだわりの店
健康であることを諦めず、
糖質の量をコントロールするお手伝いをするために
ローカーボキッチンはスタートしました。

“ローカーボ”とは、ロー(=低い)、カーボハイドレート(=炭水化物)の略で、
炭水化物や糖質を低く抑え、食後の血糖値を上げない食事法のことです。
MEC食、糖質制限やケトジェニックダイエット等とも呼ばれる事もあり、
メディアでも注目されております。
オーナーである薬剤師がプロデュースし、
デザートも含め全メニュー7g以下の糖質を実現。
TV取材も多数ある、いま大注目のお店です。

低糖質ダイエット、ボディメイク、糖質の取れない方々のお手伝いの為に
全てのメニューに糖質量を表記し、一日の糖質摂取量が50g以下に出来るように、
一食あたりの糖質を極限まで減らしながら、
低糖質をまったく感じさせない味作りを行っています。
砂糖はまったく使用せず、根野菜など糖質の多い食材も出来るだけ避け、
自然と糖質を制限できるお店です。

糖質をたくさん摂っても痩せている人は?その2
こんにちは。
前回の続きです。
『炭水化物をしっかり食べても太らない人』とは、
基礎代謝が高いタイプ以外にはどんなパターンがあるのでしょう。

以下はあくまでも仮説ですが、
インスリンの効きが非常に良い(インスリン抵抗性が極めて低い)体質の人があるように思います。
つまり少量のインスリンでも筋肉が血糖値を取り込んでくれるので、
結構な量の炭水化物を摂取しても、
普通の人に比べて追加分泌インスリンが少なくてすんでいるタイプです。

また夜間の肝臓の糖新生も基礎分泌のインスリンが制御しているのですが、
インスリンの効きが悪いタイプだと、
夜中絶食中でもかなりの量のインスリンを分泌しないと、
早朝空腹時血糖値が制御できず高値になるので、
早朝空腹時の血中インスリン濃度が正常範囲でも高めとなります。
こういう人は、ぽっちゃり型で、糖尿病ではないですが、
早朝空腹時インスリンが、10~15μU/mL(基準値3~15)も出ていても、
早朝空腹時血糖値は100~109mg/dl(基準値109以下)とかで正常上限に近いです。

これに対して、インスリンの効きがいいタイプは、
夜中の基礎分泌も少量で糖新生をコントロールできるので、
早朝空腹時の血中インスリンは正常下限、
あるいはそれ以下でも制御できている人がいます。
こういう人はたいていやせ型で、
早朝空腹時インスリンが、1.5~3μU/mL(3~15)くらいなのに、
早朝空腹時血糖値は60~70mg/dlだったりします。
こういうタイプなら、かなり炭水化物を食べても太らないと思います。

さて、次にインスリンは二重三重の肥満ホルモンということを説明します。
脂肪細胞の周囲の毛細血管壁にあるLPL(リポタンパクリパーゼ)が活発になると、
血中の中性脂肪を遊離脂肪酸とグリセロールに分解して、
遊離脂肪酸を脂肪細胞内に取り込み中性脂肪に合成して蓄え太っていきます。
インスリンは脂肪細胞の周囲の毛細血管壁にあるLPLを活性化させるので、
脂肪細胞内に中性脂肪を蓄える方向に働きます。
これに対してHSL(ホルモン感受性リパーゼ)は脂肪細胞内にあって、
中性脂肪を遊離脂肪酸とグリセロールに分解して血中に放出させる作用があります。

まとめると、脂肪細胞の周囲の毛細血管壁にあるLPLは内部に中性脂肪を蓄えて太らせる働きがあり、
脂肪細胞内のHSLは逆に内部の中性脂肪を分解して血中に放出させ、やせさせる働きがあります。
インスリンはLPLを活性化させ、HSLを抑制するので、
インスリンが分泌されると太りやすいのです。

さらにインスリンは、GLUT4を介して余剰の血糖を脂肪細胞内に取り込み、
中性脂肪に合成して蓄えます。
このように二重三重の肥満ホルモンがインスリンなのです。

インスリン注射をしている糖尿病患者はしばしば太ります。
『ジョスリン糖尿病学』には
「食物摂取とは無関係の、インスリンの脂肪組織への直接的な脂肪生成効果」
と説明されています。

ハーバード大学医学部元教授、ジョージ・ケーヒルは
「脂肪を操るインスリンを、炭水化物(糖質)が操る」
と述べています。

肥満のメカニズムは、インスリンによる脂肪蓄積であり、
その血中濃度と総量が関係します。
そしてインスリンを大量に分泌させるのは糖質のみです。

基礎代謝が高い人とインスリンの効きが非常にいい人を例外として、
結局、糖質の頻回・過剰摂取とそれによるインスリンの頻回・過剰分泌が肥満の元凶と思います。
糖質をたくさん摂っても痩せている人は?その1
こんにちは。

全く糖質制限せず、たくさん糖質を摂取していても、太らないどころか痩せているうらやましい(?)人も一定います。
この人たちはなぜ太らないのでしょうか?
まず基本のおさらいです。

<摂取エネルギーと消費エネルギー>
<基礎代謝量、身体活動量、食事誘発熱産生>


1)摂取エネルギー > 消費エネルギー  → 体重増加
 摂取エネルギー = 消費エネルギー  → 体重不変
 摂取エネルギー < 消費エネルギー  → 体重減少


2)通常のカロリー制限食(高糖質食)なら
「消費エネルギー=基礎代謝量+身体活動量(運動や家事)+食事誘発
熱産生(DIT)」

3)糖質制限食なら、
高糖質食の時には無い
「肝臓の糖新生でエネルギーを消費」→基礎代謝の増加
「高蛋白食摂取」→食事誘発熱産生(DIT)の増加 」

が認められる。

1)は生理学的事実です。
2)3)を比較すると糖質制限食の方が高糖質食に比し、体重が減少し
やすいことは明白です。

それでは
「全く糖質制限せず、たくさん糖質を摂取していても、太らないどころか痩せているうらやましい(?)人」
は、いったいどういうメカニズムいなっているのでしょう。

まず基礎代謝が高い人が、そうなります。
かくいう私も30代までは、炭水化物をいくら食べても太りませんでした。
ラーメンもうどんもご飯もパンもおかずもしっかり食べてましたが体重は不変でした。
医学部で野球部だったので、6年間はかなり運動していて、細身でもそれなりの筋肉量があって、
基礎代謝が高かったのだと思います。
いくら食べても体重は学生時代と同じ56~57kgでした。

しかし40代になって、徐々にお腹がでてきて太りはじめました。
これは、十数年間学生時代と同じ体重であっても、運動してないので、
現実には筋肉量が徐々に減り続けて、脂肪が徐々に増え続けて
見かけ上の体重だけが一緒だったのだと思われます。
結局筋肉量が減って基礎代謝が減ったので、同じ摂取カロリーでも、
消費カロリーを上回るようになり太り始めたのだと思います。
このパターンが所謂中年太りの本態と思われます。

もう一つのパターンは、インスリンが曲者と思います。
インスリンの分泌が多ければ太ります。
基礎分泌インスリンも追加分泌インスリンも一緒のことで、その分泌量が多いほど太ります。
インスリンが肥満ホルモンたる所以です。

私見で仮説ですが、インスリンは基礎代謝を減らしている可能性があります。
インスリンは同化ホルモンであり、脂肪の分解(異化)を邪魔します
ので、基礎代謝が減る可能性があるのです。

常々言ってますように、糖質こそが肥満の元凶です。
それは、糖質だけが血糖値を上昇させ、インスリンを大量に分泌させるからです。
脂質は、単独ではインスリンを全く分泌させませんし、血糖値も上げません。

それでは、『炭水化物をしっかり食べても太らない人』とは、
基礎代謝が高いタイプ以外にはどんなパターンがあるのでしょうか?

次回に続きます。

江部康二
電子書籍『糖質量&炭水化物量ポケットガイド』発売中。
こんにちは。

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おかげさまで、アマゾンのレビューなどでも、具体的でわかりやすくて実用的など、高評価を頂いています。

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http://ul.sbcr.jp/o1gDb

糖質量&炭水化物量ポケットガイド(立ち読み版)
http://ul.sbcr.jp/BD-toushitsu


江部康二


☆☆☆
以下は、電子書籍『糖質量&炭水化物量ポケットガイド』のはじめにです。

はじめに
近年、糖質制限食に賛成する医療機関は順調に増えています。
2013年10月に「米国糖尿病学会」が5年ぶりに改訂した
「栄養療法に関する声明」の中で、
糖質制限食を正式に容認したことが、大きなプラスとなったと
考えられます。2017年8月には、
「炭水化物の摂取増加で死亡リスク上昇」という結論の論文が、
『ランセット』という信頼度の高い英国の医学雑誌に発表され、
これも大きな追い風となりました。
そして2019年4月、米国糖尿病学会は「成人糖尿病患者または予備軍患者への栄養療法」ガイドラインを発表しました。
その中で『糖質制限食』のエビデンスがもっとも豊富であるとして
積極的に推奨されています。
ここ数年で、糖質制限食Jは着実に普及しつつあるのです。
2016年7月のNHKクローズアップ現代の試算によれば、
糖質制限食市場は3184億円とのことですが、
昨今では各食品メーカーはもちろん、
コンビニエンスストアやファストフードでも、
糖質を抑えた商品やメニューを次々と投入しています。
低糖質商品のコーナーを設けるドラッグストアや
スーパーも見かけるようになりました。
糖質制限食は新たなビジネスチャンスにもなっているのです。



内容紹介
もう毎日のランチ選びで困らない!
コンビニやスーパーで選ぶべき市販食品、外食を実名で紹介!

生活習慣が原因の2型糖尿病の治療はもちろん、ダイエットや美容にも有効な糖質制限。
最近では、内臓脂肪を落とすのにも効果的と注目されています。

糖質制限を始めたときに最初に困るのが、毎日のランチです。
自宅でお昼を食べる人や弁当を作っている人は、糖質の低い食材で手作りできますが、
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そこで本書では、コンビニエンスストアやドラッグストア、スーパー、ファストフードなどで買える、
ランチにおすすめの商品を「実名」で多数掲載しました。

おすすめの組み合わせや、キーワード、写真からなど、
インデックスも工夫してありますので、さまざまな方法で商品を探すことができます。

野菜や肉類などの基本的な食材についても掲載していますので、
外食時にメニューに糖質量が掲載されていないときでも、おおよその糖質量を調べることができます。

本書はスマートフォンで使いやすいよう、レイアウトを設計してあります。
ぜひ、買い物や外食時に役立ててください。

●目次
はじめに
糖質制限Q&A
ランチインデックス
キーワードインデックス
写真インデックス
Part1 市販食品、外食編
Part2 素材、定番料理編
商品、素材目次

糖質制限食でHbA1c・血糖改善、体重減少。脂質データは?
【20/03/23 太郎
内蔵脂肪は多分落ちてきています。
オーディオブック 寝る前に聴いたら効果高いでしょうか。

本日糖尿病の定期検診でした。
H b a1c は、糖質制限初めて2週間目1/27 6.7でしたが、
約3ヶ月目の3/23 6.1と改善していました。
もっと下がると思いましたが、
ステロイド注射とか微妙に影響された時期もあり仕方ないです。
体重は、約2ヶ月目に-4キロになってからなぜか横ばいですが、
数値的には、少しずつゆっくり下がっており、
先週からウエストが減ったのかスラックスが緩くなってきました。
数人に痩せた?と言われました。
喘息があるのですが、呼吸が楽になり、動きが早くなってきました。
公園に散歩に行ったり、仕事で階段を移動するのも苦にならなくなりました。
何より、眠さ、だるさがないので快適に過ごせていました。

ただ、高脂血症的には横ばいでした。しかし、体重もゆっくり下がってるし、
血糖値は安定してるし、私としては、このまま行けると思っています。

ところが、糖質制限反対!の主治医は、ほぼフラットなビブレを見て、
「血糖はよくコントロールされているけれど、糖質制限するから、おかずばかり食べるので、高脂血症になるし、塩分を取り過ぎる」と。
糖質制限を勉強して、「あなたは何を学んで、何を実践してるの?」と何度も質問され、空腹時血糖値を130mg/dl未満でコントロールする様糖質を調整してると言っても、
全く受け入れてもらえず、再び、何を学んでいるの、の繰り返し。
一生懸命説明すると、「そんなの私はみんな知っている。聞きたいのは、あなたが何を学んでいるか」

全く意味が分かりませんでした。
確かに、鍋物が好きなので多くなり、そのせいか塩分が、9.7と、
気をつけなくてはいけないレベルと思いますが、
あんなに肉や脂質を食べて横ばいの数値ということは、
食べた脂質がイコール血液の脂質というわけではないから、
痩せたら脂質の数値も下がると思う。糖質制限の何がいけないのか、
全く理解できませんでした。

私は糖質制限は誰でもが効果を再現して実感出来る、科学的な方法だと思います。
主治医とは、また2ヶ月後お会いするのですが気が重いです。
何とか脂質の数値を改善するのが目標です。】


こんにちは。
太郎さんから、糖質制限食実践で、
HbA1c・血糖値改善、体重減少という、コメントを頂きました。
太郎さん、オーディオブックのご購入、ありがとうございます。
オーディオブックは、寝る前でも、通勤の途中でもいつでもOKと思いますよ。

さて、糖質制限反対派の主治医ですが、

<米国糖尿病学会(ADA)の糖質制限食に対する見解の変遷>
①ADAは、2007年まで糖尿病の食事療法において糖質制限食は推奨しないとしていた。
②2008年、「食事療法に関する声明2008」において、「減量が望まれる糖尿病患者には低  カロリー食、もしくは低炭水化物食によるダイエットが推奨される」と、1年の期限  付きで、糖質制限食の有効性を認める見解を記載。
③2011年、肥満を伴う糖尿病患者に2年間の期限付きで糖質制限食の有効性を容認。
④2013年10月、「食事療法に関する声明2013」において期限や限定なしで、
  糖質制限食を容認
⑤2019年4月、コンセンサス・レポートで糖質制限食が、エビデンスも最も豊富と記載。


上記のように米国糖尿病学会(ADA)は、
蓄積したエビデンスに基づき、見解を発表しています。
2007年までは、エビデンス不足のため、糖質制限食を否定しています。
その後、エビデンスの蓄積により、徐々に糖質制限食を肯定していき、
2013年10月には、正式に容認するに到りました。
さらに、2019年4月には、糖質制限食が最もエビデンスが豊富と明言しました。
まずは、このことを、主治医に説明してあげましょう。
もし、主治医がこのことをご存じなかったならば、
糖尿病専門医としては明らかに勉強不足と言えます。
この説明をしても、糖質制限反対が覆らないなら、
主治医を変更したほうが良いと思います。

太郎さんは、血糖自己測定器も持っておられるので、まずは
空腹時血糖値130mg/dl未満
食後1時間血糖値180mg/dl未満
食後2時間血糖値140mg/dl未満

を目指しましょう。
これらが達成されていれば、糖尿病合併症のリスクは、ほとんどなしです。

次に塩分が、9.7g/日とのことですが、
糖質制限食実践者なら、問題ないです。
インスリンは、体内に塩分と水分を貯留させるホルモンですが、
糖質セイゲニストなら、必要最小限しか分泌されません。
従って糖質セイゲニストは、一般人よりも、
塩分と水分を多く体外に排泄しているので、少々塩分摂取が多くでもOKなのです。

あとは脂質データですね。
HDLコレステロールが60mg/dl以上
中性脂肪が80mg/dl以下

を目指します。
この目標が達成されているならば、
悪玉の小粒子LDLコレステロールは極めて少なくて
標準の大きさの善玉のLDLコレステロールばかりなので心配ないです。
標準の大きさの善玉のLDLコレステロールは、
肝臓から細胞膜の原料であるコレステロールを末梢組織に運んでいく
極めて重要な仕事をしており、人体になくてはならない物質なのです。
糖質セイゲニストは、上記目標を達成している人がほとんどと思います。

現在多くの医師が
善玉と悪玉のLDLコレステロールを一緒くたにして
全て悪玉のように言っているますが、これは明らかな間違いです。

従って糖質セイゲニストのLDLコレステロールが少々高値でも
善玉なので心配ないのですが気になるようなら
魚を充分量食べて、EPA・DHA摂取が増加すると
LDLコレステロールが下がるようです。
手っ取り早く鯖(さば)の水煮缶でもいいです。


江部康二
人工甘味料の許容量や安全性は?
こんにちは。
人工甘味料に関してネガティブなことを書いているサイトが多くて、
気になっている人もおられると思います。
今回はゼロカロリー飲料水などに使用されている人工甘味料の許容量に関して、
考察してみます。

結論から言えば、
私は人工甘味料を、あまり気にしていません。

まず、人工甘味料は血糖値を上昇させませんし、インスリンも分泌させません。
現在、流通している人工甘味料には、
アスパルテーム、サッカリン、スクラロース、アセスルファムカリウム、ネオテーム、アドバンテーム
などがあります。
これらは米国食品医薬品庁(FDA)が認可しています。
ズルチン、チクロは使用禁止となっています。
まれな遺伝性疾患であるフェニルケトン尿症の患者さんは、
アスパルテームの成分であるフェニルアラニンの代謝困難になるので、アスパルテームの摂取を避けることが必要です。

http://www.ffcr.or.jp/shokuhin/upload/3f49dc74640c688e471ac1bcbf0c91b111a23406.pdf
各添加物の使用基準及び保存基準 (平成30年8月8日改正まで記載)
http://www.ffcr.or.jp/shokuhin/upload/3f49dc74640c688e471ac1bcbf0c91b111a23406.pdf (厚生省告示第370号 食品、添加物等の規格基準より抜粋)
各添加物の使用基準及び保存基準 (令和2年1月15日改正まで記載)
公益財団法人 日本食品化学研究振興財団
https://www.ffcr.or.jp/webupload/e3984852a08b38bffaa3d166a8176173c3916dd2.pdf
(厚生省告示第370号 食品、添加物等の規格基準より抜粋)


人工甘味料をはじめ添加物には使用基準と保存基準が決められています。

人工甘味料ではありませんが、
人工的に作る果糖ブドウ糖液化糖やブドウ糖果糖液化糖は異性化糖と呼ばれ、
血糖値も上げるし、インスリンも分泌させます。
安価なため、日本では清涼飲料水によく使用されており、
今では砂糖類の需要の40%程度となっています。
こちらは血糖値を上昇させますし、果糖はAGEsにブドウ糖の数十倍変わりやすいし、
これらの点に関して、果糖ブドウ糖液化糖など異性化糖は
人工甘味料よりはるかに危険がいっぱいです。

AGEsを考慮すれば、果糖ブドウ糖液化糖は、砂糖より危険と言えます。

人工甘味料のほうは、
使用基準と保存基準を守っていれば大丈夫と思います。

私自身も、サントリーオールフリーを時々飲んでいますが、
100mlあたり、エネルギーゼロ、糖質ゼロであり、糖質制限OK食品です。

オールフリーの栄養成分
麦芽、ホップ、香料、酸味料、糖類(糖化スターチ)、酸化防止剤(ビタミンC)、、
甘味料(アセスルファムK、スクラロース)

人工甘味料のアセスルファムKとスクラロースが含まれていますが、
オールフリー350ml缶を3本/日くらいなら、なんの問題もないと思います。
まあ私は、1日にせいぜい1本ですが・・・。

さて、安全性に関してですが、
まず人工の添加物に対する無毒性量という基準があります。
無毒性量というのは「これ以上食べると毒になる」という量の1/2の量のことです。
無毒性量を、さらに安全係数100で割ったものが1日許容摂取量(ADI)です。

日本人の人工甘味料の一日摂取量について調べてみました。
JECFA 又は内閣府食品安全委員会において設定された
一日摂取許容量(ADI)に対する占有率(以下「対 ADI 比」という。)
をみると
どの年齢層においても ADI を大きく下回っています。
すなわち日本人の人工甘味料の摂取量については安全性上、
特段の問題はないと考えられます。


種々の添加物の安全性に関しては、
食品添加物のFAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)による安全性評価
https://www.ffcr.or.jp/tenka/secure/post-20.html


を見ると、あいうえお順で、
人工甘味料を始めとしてほとんどの添加物が記載されています。

なお、ラカントSの主成分である
糖アルコールのエリスリトール
JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門委員会)により、1999年、
『安全性が十分に高いので、1日摂取許容量は定める必要がない(ADI not specified)』
との評価を受けており、その安全性は世界的にも認証されています。

ステビア甘味料に関しては、2008年6月の第69回JECFAで評価し、ADIが設定されました。
さらに2010年4月、EFSA(欧州食品安全機関)でも安全性に問題がないことが確認されました。 

江部康二
『内臓脂肪がストンと落ちる食事術』 オーディオブック刊行。
こんばんは。
 
『内臓脂肪がストンと落ちる食事術』のオーディオブックが
2020年2月28日、販売開始となりました。
以下のサイトでご購入頂けます。
『内臓脂肪がストンと落ちる食事術』
https://audiobook.jp/product/247317

 
オーディオブックというと、
視覚障害のある方のためのアイテムという印象があります。
勿論、それはおおいに役に立って欲しいのですが、
近年はビジネスパーソンにおいて、
通勤中の電車の中で聴かれている割合が結構多いのです。
 
また書籍を購入しても読み切れなかった方が、
オーディオブックで再挑戦してみるようなケースもあります。
通勤時間が一定ある場合は、オーディオブックは強い味方といえます。
 
そして、お風呂に時間をかけて入るタイプの人は
湯船につかってリラックスしているときに
じっくりオーディオブックを聞くという選択肢もあります。
 
オーディオブック『内臓脂肪がストンと落ちる食事術』
様々な方に、様々な場面で臨機応変に活用して頂ければ大変嬉しいです。
 
 

2019/6/21(金)の金スマで放映された『最強のやせる食事術』において
「内臓脂肪がストン!と落ちる食事術」(ダイヤモンド社、2019)
https://www.amazon.co.jp/dp/4478106487/  
 
book.jpg
 
をしっかり紹介して頂きました。
 
出演者の杉田かおるさんが、2週間で4kg減量に成功。
66.1⇒62.1kg
体脂肪率⇒38.3⇒36.5%
内臓脂肪137⇒110㎠。
内蔵脂肪が27㎠  低下⇒2週間で約2割内臓脂肪が減っていました。
 
出演者のみやぞんの相方の、あらぽん(芸人さん)さんは、
1週間で5kg減量に成功。

1週間で122.2⇒117.3kg
体脂肪率38.8⇒37.1%
内臓脂肪239⇒181㎠。
58㎠ 低下⇒ 1週間で、24%内臓脂肪が減っていました。
 
内臓脂肪はおもに腸間膜に蓄積される脂肪です。
内臓脂肪がたまるとお腹がポコッと出てきますが、
その腹囲がメタボリックシンドロームの診断基準の一つになっています。
 
メタボリックシンドロームでは、
脂質異常症・高血圧・糖尿病があって動脈硬化が進行しますので、
そこに血栓のできやすい状態が加われば、心筋梗塞や脳梗塞の危険が高まります。
内臓脂肪が蓄積すると、このようなこわいリスクが増加するので
間に合う内にキッチリ、何とかせねばなりません。
 
 
江部康二
食後血糖値について
こんばんは。
今回は食後血糖値について考察してみます。

食後血糖値の評価ですが、案外わかりにくくて
スッキリ理解するのに苦労します。
私も例に漏れませんので検討してみました。

食後高血糖が、大血管疾患、認知症、癌などのリスクになることは、
2007年と2011年の国際糖尿病連合「食後血糖値の管理に関するガイドライン」
において、多くのエビデンス(信頼度の高い英文研究論文)に則って、明示されています。


国際糖尿病連合(International Diabetes Federation:IDF)2007年
「食後血糖値の管理に関するガイドライン」


・ 食後および負荷後高血糖は大血管疾患の独立した危険因子である。
・ 糖負荷(GL*)の低い食事は食後血糖値のコントロールに有益である。
・ 食後血糖値をコントロールするためには、食事療法および薬物療法を考慮すべきである。
・ 食後高血糖は糖尿病網膜症と関係する。
・ 食後高血糖はIMT肥厚と関係する。
・ 食後高血糖は、酸化ストレスを生じ、血管内皮を障害する。
・ 食後高血糖は認知障害にも関係する。
・ 食後高血糖は癌発症リスク上昇と関連する。
・ 食後血糖と空腹時血糖を共にターゲットにすることは、
  血糖コントロール達成の最善の戦略である。
・ HbA1cは6.5%未満が目標。
・ 空腹時血糖値は100mg/dl未満をめざす。
・ 食後2時間血糖値は140mg/dLを超えないようにする。


*GL(glycemic lord)
GI値を100で割り、その食品1食分に含まれる糖質のグラム数をかけた数値。
GIよりGLのほうが、実際に食事をするときの参考になりやすい。
GL値10以下の食品が、低GL食品。 


国際糖尿病連合(International Diabetes Federation:IDF)2011年
「食後血糖値の管理に関するガイドライン」


2007年に比べて、それほど大きな変化はないように思います。
いずれも食後高血糖のリスクを、列挙して明示しています。
違いですが、私の発見したところでは、

*SMBG(血糖自己測定)を、食後高血糖チェックに一押しで推奨。
*食後血糖値は、食後1~2時間で測定されるべきで、
 160mg/dl未満が目標というのが追加。
*食後高血糖は心筋の血液量と血流を減らすと新たに言及。
*CGMが普及してきて、薬、食事、ストレス、運動など
 様々な要素が血糖に影響を与えるのをチェックできる。


これらが、2007年版に追加で、2011年版に加わりました。



ⅠとⅡとを、合わせて考慮すれば、
1時間値でも2時間値でも、ピークで160mg/dlを超える食後血糖値は、

大血管疾患
糖尿病網膜症
IMT肥厚
酸化ストレス→血管内皮障害
認知症


のリスクとなります。
大血管疾患には「脳血管障害、冠動脈疾患、末梢動脈疾患」が含まれ、
IMT肥厚や血管内皮障害があると、動脈硬化を発症します。
さらに、心筋の血液量と血流が減れば、冠動脈疾患のリスクとなります。



熊本スタディー(Kumamoto Study)

<細小血管合併症予防>のための目標
HbA1c:6.9%未満
空腹時血糖値:110mg/dl未満
食後2時間血糖値:180mg/dl未満
改訂第7版 糖尿病専門医研修ガイドブック 19、20ページ


*熊本スタディー
Shichiri M, et al. Diabetes Care 2000; 23: B21-B29.
2型糖尿病患者を対象に、
強化インスリン療法による厳格な血糖コントロールによって
細小血管障害が抑制できるかを検討した前向き試験で、110名を8年間追跡。
1987 年から 1997 年までの 10 年間、熊本大学の代謝内科で実施


熊本スタディーは、Diabetes Careという一流英文医学雑誌に掲載された
日本発の信頼度の高いエビデンスと言えます。
細小血管合併症には、糖尿病腎症・網膜症・神経障害があり、
糖尿病の三大合併症と呼ばれています。



日本糖尿病学会 熊本宣言2013

合併症予防のための目標
HbA1c7.0%未満
食後2時間血糖値180mg/dl未満
空腹時血糖値130mg/dl未満


食後2時間血糖値180mg/dl未満というのは、
国際糖尿病連合(IDF)の160mg/dl未満に比べて、やや緩いです。


結論

Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴを合わせて考慮すれば、
糖尿病合併症予防のためには、
①食後2時間血糖値は、180mg/dl未満を、
 理想的には食後1時間値は160mg/dl、2時間値は140mg/dl未満を目指す。
②空腹時血糖値は、130mg/dl未満を、理想的には100mg/dl未満を目指す。
③HbA1cは、7.0%未満を、理想的には6.5%未満を目指す。
ということとなります。

江部康二
キング醸造「MCTオイル100% 和風ドレッシング」。糖質制限OK。
こんばんは。
私が理事長を務める日本糖質制限医療推進協会の賛助団体会員で、
「日の出みりん」でお馴染みの、キング醸造株式会社さんによる
新しい低糖質食品「MCTオイル100% 和風ドレッシング」のご紹介です。

KIMG2260.jpg

私もサンプルをいただいたので、試食してみました。
普通のドレッシングと同じように使えて味も遜色ありません。
糖質を大幅にカットして、100gあたりで1.87gで、この味は優れものです。
大さじ1杯(15ml)当たりの糖質0.28gです。

素早く消化・吸収され、
すぐにエネルギーになりやすい「MCT(中鎖脂肪酸)オイル」を
100%使用した和風ドレッシングです。
玉ねぎ・かつお・昆布の旨みを引き立たせながら糖質を大幅にカットして、
コク深い味わいに仕立てられています。
サラダはもちろん、サラダチキンや焼き魚などの料理にかけてもよく合います。
糖質セイゲニストにとって、とても心強い味方ですね。

原材料
MCT(中鎖脂肪酸油)(マレーシア製造)、しょうゆ(本醸造)(小麦・大豆を含む)、醸造酢、かつお節エキス、
食塩、昆布エキス、玉ねぎエキス、たんぱく加水分解物/調味料(アミノ酸等)、増粘多糖類、甘味料(ステビア)


栄養成分(大さじ1杯 15ml当たり)
エネルギー:45kcl
たんぱく質:0.28g
脂質:4.6g
炭水化物:0.28g
- 糖質:0.28g
- 食物繊維:0g
食塩相当量:0.58g


キング醸造さんとは、
日の出みりん『低糖質メニュー料理教室 in 神戸北野ホテル』
での講演会を主催して頂いたご縁があります。
その場で、神戸北野ホテルの総支配人・総料理長の山口浩さんと私の
糖質制限なトークショーを、2回ほど行いました。
神戸北野ホテルは「世界一の朝食」で有名ですね。

以下は補足情報です。

3月4日から公式オンラインストア限定で販売しておられます。
・原材料、糖質量などの商品の詳細情報はこちらです。
https://hinode-mirin.co.jp/products/zero_carbohydrate/mct-dressing/

・公式オンラインストアはこちらです。
https://www.happysun-hinode.com/?pid=148984425

・糖質ゼロ・オフシリーズのラインナップはこちらです。https://hinode-mirin.co.jp/products/zero_carbohydrate/


江部康二

『スーパー糖質制限食』と『緩やかな糖質制限食』と糖尿病。
【20/03/17 れいくたうん
『糖質制限食と耐糖能』に関しての考察
江部先生、お世話になります。

「『糖質制限食と耐糖能』に関しての考察。」
読ませていただきました。
特にコメント欄のロカボに関する点、
>1.糖尿病発症者はスーパー糖質制限食実行
>2.境界人ならば、穏やかな糖質制限食でも効果あり

私としてはかなりショックです。
合併症の恐怖から逃げるには、スーパー糖質制限食しかないでしょうか?。
かかりつけ病院の管理栄養士が、山田悟先生のロカボを推薦されていて、
その管理栄養士から、
栄養バランス的に「フルグラ糖質カット」は引き続き食べてくださいね、
と言われてしまっています。
栄養バランスを考えた食事って、ほんと~に難しいですね。
プリントアウトしましたので、何度も読み返したいと思います。】



こんにちは。
れいくたうんさんから、
『スーパー糖質制限食』と『緩やかな糖質制限食』と糖尿病について
コメント、質問を頂きました。
ありがとうございます。

1.糖尿病発症者はスーパー糖質制限食実行
糖尿病と診断された人はスーパー糖質制限食が必要です。
緩やかな糖質制限だと食後血糖値が、
160mg/dl、180mg/dlを超えて上昇するので合併症が防げません。
体重64kgの糖尿人で、1gの糖質が3mg血糖値を上昇させます。
30gの糖質なら、ピーク90mg上昇で、
40gの糖質ならピーク120mgの上昇です。

2.境界人ならば、穏やかな糖質制限食でも効果あり

新潟労災病院消化器内科部長前川智先生の論文
「耐糖能異常に対する低炭水化物食の効果に関する後ろ向き研究」
Diabetes, Metabolic syndrome, Obesity, Target and Therapy
(ニュージーランドの英文雑誌)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4063858/  → ここで全文が閲覧可能です。
において報告されています。
緩やかな糖質制限食実践により、
境界型糖尿病の耐糖能が、69%の人で正常型に改善しています。

以下の本ブログ記事をご参照頂けば幸いです。
2017年11月06日 (月)
境界型糖尿病は治る?
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4381.html


境界型(IGT)では、体重64kgの人で、
1gの糖質が約2mg/dlくらい血糖値を上げます。



A)スーパー糖質制限食(3食主食なし)

スーパー糖質制限食では、1回の食事の糖質量は20g以下が目安です。
間食は、1日に1~2回で、1回の糖質量は5g以下が目安です。


B)山田悟先生の緩やかな糖質制限食(3食主食あり)
1回の食事の糖質量30~40g。
最近は、1回の食事の糖質量20~40gで3食食べ、
それとは別に間食を1日あたり10
g。

『スーパー糖質制限食』と『緩やかな糖質制限食』とでは、
1回の糖質摂取量設定に違いがあります。
それでは、二つの糖質制限食のスタンスはどう違うのでしょうか?
A)B)について検討してみます。


1)継続し易さと普及に関する配慮
継続し易さ、普及という面からは、普通に考えてB)が一番楽です。
A)はB)よりは厳しい糖質制限ですが、カロリー制限はないので
満足・満腹するまで食べることができて、それなりに続けやすいです。


2)食後高血糖改善効果

食後高血糖改善効果はA)が高いです。
B)はかなり劣ります。

A)は、臨床的に合併症予防ができるレベル、
  食後1時間血糖値180mg/dl未満、食後2時間血糖値140mg/dl未満達成を
  目指していて、ほとんどの場合それが可能です。
  国際糖尿病連合の目標食後1時間値、2時間値ともに160mg/dl未満も
  ほとんどの場合、達成できます。

B)は食後1時間血糖値180mg/dl未満、
  食後2時間血糖値140mg/dl未満を達成することは、
  困難な糖尿人が多いと思いますが、従来の糖尿病食(高糖質食)よりはましです。
  国際糖尿病連合の目標食後1時間値、2時間値ともに160mg/dl未満は、
  ほぼ達成困難です。
  従って、糖尿病合併症予防効果は、あまり期待できません。

3)追加分泌インスリン

A)は耐糖能正常型の人の場合でもインスリン追加分泌は2~3倍レベルですみます。
B)は耐糖能正常型なら、追加分泌インスリンは10倍~20倍レベルでます。

インスリンは人体に絶対必要であり、基礎分泌インスリンがなければヒトは死にます。
しかし、過剰インスリンには発ガン・アルツハイマー病・老化などのリスクがあるので、
少量ですむにこしたことはないのです。

従って、B)の場合は、野放しの高糖質食に比べればましですが、
インスリン過剰のリスクがあるていどあることになります。

A)の場合は、人類700万年間の狩猟・採集時代に、
野生の果物、ナッツ類、根茎類を食べたレベルと同程度の追加分泌インスリンなので
許容範囲と思います。

4)問題点

B)は、インスリン分泌が多いこと以外にも、
食後高血糖と平均血糖変動幅増大という酸化ストレスリスクに関しては、
効果が弱いので問題と言えます。
従って、糖尿病合併症予防効果は、あまり期待できません。
A)は、人によっては、実践するのにハードルが高いかもしれません。

5)考察

A)の場合、殆どの糖尿人において、
合併症予防という観点からは、問題ないと思われます。
体重減少効果も同様であり、「継続し易さ」「普及」「治療効果」において
バランスのとれた食事療法と言えます。

B)は、「継続し易さ」「普及」は優れていますが、肝腎の治療効果が劣ることと、
食後高血糖と平均血糖変動幅増大と糖尿病合併症という問題点を抱えています。

結論として、自画自賛になりますが、
高雄病院のスーパー糖質制限食がバランスがいいのかなと思います。(^^) 

一方、山田悟先生の緩い糖質制限食も、
役割分担という視点に立てば、対立するというよりも、
一人一人の嗜好やニーズに応じて、相補的なものと思います。

A)B)ともに、
日本糖尿病学会推奨の従来の糖尿病食(高糖質食)に比べれば
治療効果ははるかに高いのですから。


江部康二
決定版! 作りおき&レンチンで簡単! 糖質オフのやせる! ラクうま弁当350   ナツメ社
こんにちは。

決定版! 作りおき&レンチンで簡単! 糖質オフのやせる! ラクうま弁当350 大型本 - ナツメ社 2020/1/16
江部 康二 (著), 新谷 友里江 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4816367705/


book2020-1.jpg


2020年1月16日、刊行です。
おかげさまで、早くも重版が決定しました。(^^)       
アマゾンの動きはいまいちなので、心配だったのですが
レシピ本は、直接手に取って、本屋さんの店頭で内容を確認してから
購入される人が多いのかなと思いました。

本書が前もって送付されてきたので、
スタッフにも見せました。
すると、わかりやすく使いやすいと、とても評判が良いのです。
購入したいという人も多くて、嬉しい限りでした。

本書では、作りおきとレンチンでラクラク続く、
お弁当の定番おかずをたっぷり350種掲載してあります。

ゆる糖質オフも、きちんと糖質オフ(スーパー糖質制限食)も自由に選べます。
毎日お弁当の人もいれば、時々お弁当の人もいると思いますが、
この一冊で、美味しい糖質オフ弁当が簡単に作れるのでとても便利です。


☆☆☆
以下の緑文字の記載は、本書の「はじめに」です。

自分に合った糖質オフ弁当でおいしく食べてやせる!

   本書は糖質オフのお弁当の本です。カロリー制限食の場合、減量は極めて困難で、
そもそもひもじくて長く続けることは不可能と言えるでしょう。
その点、糖質制限食なら、厚生労働省のいう「推定エネルギー必要量」を、
しっかり摂取してよいので、満足感や満腹感があり、
しかも減量効果が速やかにでることでモチベーションも高まるため、
長く続けることが可能になります。
糖質を食べて血糖値が上昇すると、分泌されたインスリンが血液中のブドウ糖を
筋肉に取り込ませることで血糖値を下げますが、余ったブドウ糖は全て中性脂肪に
変えられ、脂肪細胞に蓄えられます。
これがインスリンが肥満ホルモンと言われる理由です。
一方、たんぱく質と脂質は直接血糖値を上げることはないので、食べても太りません。
いざ減量のために糖質制限食を始めたけれど、お昼は社員食堂に行くしかないなど、
昼ごはんで挫折する人が多いようです。
外食やコンビニを利用する手もありますが、
糖質制限中でもOKなメニューの選択肢は限られます。
そこで、家庭で作る糖質オフ弁当の出番です。
容量が決まっており、糖質量の管理がとても簡単です。
おかずを作りおきしておけば、当日詰め合わせるだけなので悩む必要もなく
ラクに続けることができ、毎日美味しく楽しく食べられます。
電子レンジ調理のレシピもあり、手早く一品追加できるのも魅力的です。
きちんと糖質オフのほうが、減量効果が速く出るのは必然なのですが、
ゆる糖質オフでも一定の効果は期待できます。
是非実践していただければ幸いです。

                                            2020年1月吉日 江部康二


***
以下の青文字の記載は出版社の内容紹介です。

内容紹介
ダイエット効果てきめんの「糖質オフ」。
ですが、使える食材や調味料が限られているため、レシピが思いつかない、
マンネリになってしまう、という方も多いのではないでしょうか。

本書では、作りおきとレンチンでラクラク続く、
お弁当の定番おかずをたっぷり350種掲載しました!

朝、作りおきおかずを詰めるだけだけ&パパッとレンジで作れるから、とにかくラクチン。
この一冊で、美味しい糖質オフ弁当が簡単に作れます。

全レシピ、1回分の糖質量、たんぱく質量、エネルギー量、
冷蔵・冷凍保存の期間を記載しています。

【本書のポイント】

●ゆる糖質オフも、きちんと糖質オフも自由に選べる!
本書では、糖質オフおかずや主食の組み合わせで、
糖質量を簡単に調整することができます。
主食なしできちんと糖質を減らし一気にやせたい方も、
主食を楽しみつつ少し長めのスパンでやせたい方も、
自分にあった方法を選ぶことができます!

●ボリューム満点! だから、糖質オフでもお弁当が楽しみに
糖質オフでがんばっていても、量が少なかったり、
味つけがマンネリだったりして味気ないお弁当では、挫折していまします。
本書で掲載しているおかずは、それぞれが低糖質なので、たくさん詰めても大丈夫。
味つけの種類も豊富で、マンネリになることもありません。

●こんなに食べられる! 主食レシピも満載
糖質オフといえば、主食は食べないのが基本ですが、やっぱり物足りなさが残るもの。
ゆる糖質オフだけでなく、きちんと糖質オフでも楽しめる主食レシピをたくさん掲載しました。
低糖質なカリフラワーごはんやおからごはん、糖質オフの麺、ブランパン、
ほぼ糖質ゼロの油揚げや厚揚げを活用したレシピなどを掲載しています。

●途中で飽きない! アレンジレシピを紹介
作りおきのおかずに、途中で飽きてしまった経験がある方も多いのでは?
本書では、アレンジレシピも掲載しているので、最後までおいしくいただけます。

【目次】(章タイトルのみ)
Part1 肉の作りおき&レンチンおかず
Part2 魚介の作りおき&レンチンおかず
Part3 卵&大豆製品・豆の作りおき&レンチンおかず
Part4 作りおき&レンチンでできる 色別サブおかず
コロナウイルスにかかったら飲んではいけない薬:NSAIDs
こんにちは。
2020年3月15日
ヤフーニュースhttps://news.yahoo.co.jp/byline/saorii/20200315-00167830/  
に、
『コロナウイルスにかかったら飲んではいけない薬:フランスの厚生大臣が発表』
という記事が載りました。

フランスの厚生大臣オリヴィエ・ヴェラン氏が、
コロナウイルスに関して、
『イブプロフェンを服用しないほうがよい』と勧告したのです。
フランスの厚生大臣Olivier Veran氏は神経科医で39歳という若さです。

厚生大臣は、自身のツイッターで、
「!新型コロナウイルス:感染者が(イブプロフェンやコルチゾンなどの)抗炎症薬を服用すると、
感染を悪化させる要因になる可能性があります。
熱がある場合は、パラセタモール(別名:アセトアミノフェン)を服用してください」

と述べています。

<アセトアミノフェンとNSAIDs>
イブプロフェンは、非ステロイド性の抗炎症薬(NSAID)に属していますが、
勧告がでるということは、フランスでも、ウィルス感染の発熱に対して
NSAIDを処方する医師がいるのでしょうね。

日本では、近年、風邪などウィルス感染の発熱に対して、
NSAIDsを処方する医師は激減して、
ほとんどが『アセトアミノフェン』を処方するようになっています。
昔は、ロキソニンやボルタレンなどのNSAIDsが、安易に使用されていたので、
これはとても良い変化と思います。

例えばインフルエンザに罹患した患者さんで高熱がでれば、
私も解熱剤を処方することがあります。
このときに「使ってもいい解熱剤はアセトアミノフェンだけ」ということです。
商品名はアセトアミノフェン、カロナール、コカール、アンヒバなどです。

それ以外の、ロキソニン、ボルタレン、ポンタール、インダシン、セレコッックス、
イブプロフェン、アスピリン・・・
これらの一般的なNSAIDsはインフルエンザ脳症のリスクがあるので
全て使用してはいけません。
インフルエンザ以外にも各種ウィルス、細菌、原虫などの
感染症が存在しての発熱には、NSAIDsは使用してはいけません。
こちらもアセトアミノフェンだけが使用OKです。

<NSAIDとプロスタグランジン>
この薬(NSAIDs)は、プロスタグランジンという物質の産生を抑えるために
腎臓への血液の流れが悪くなり、急性腎不全を起こすことがあります。
結構頻度が高く、薬を飲んだ後に尿量が減るようでしたら、要注意です。
特に高齢者の腰痛などに
ロキソニン(60)3錠/日 分×3 食後 7日間投与。
とかは、腎障害リスクがとても高くなるので危険です。

プロスタグランジンは全身の様々な組織や器官の細胞に存在します。
結局、NSAIDsは単純に熱を下げるだけではなく、全身の細胞において、
プロスタグランジンという物質の生合成を抑制するのです。

プロスタグランジンは、血圧低下作用や筋肉の収縮作用、黄体退行作用、
血管拡張作用など色々な役割をもつホルモンです。
NSAIDsは、プロスタグランジンの生合成を抑制するのですから、
様々な副作用が出て当たり前なのです。

さらに、痛みや炎症や、解熱の目的で長期に飲み続けると、
胃炎や胃潰瘍の副作用が起こることがあります。
NSAIDsは痛みの元となる物質を作り出す酵素(シクロオキシゲナーゼ:COX:コックス)
の働きを妨げて、解熱や鎮痛、抗炎症作用を発揮する薬です。

COXには2つの種類があり、COX-1は胃粘膜や血管にあって生体の恒常性の維持に、
COX-2は主に刺激があった時に作られ、痛みや炎症に関係しています。

NSAIDsは、COX-2の働きを抑えて、解熱、鎮痛、抗炎症作用を示しますが、
ほとんどのNSAIDsは、COX-2だけでなく、COX-1の働きも抑えるため、
胃酸の分泌が増えたり、胃粘膜の血流が悪くなったりして、
胃炎や胃潰瘍を起こす原因になるのです。

ロキソニン1~2錠/日とか頓用は、リウマチなど、症例により、
やむをえず投与することもあると思います。
私は、アセトアミノフェンが効かない時に、
生理痛とか、頭痛に頓用でなら、許容範囲と思って、処方することもあります。


<アセトアミノフェンの作用機序、使用量など>
結局、
比較的安全に使用できる、解熱剤、鎮痛剤は、アセトアミノフェンだけということです。
アセトアミノフェンは鎮痛・解熱作用を有しており、
NSAIDsと同様にCOXを阻害しますが、
その作用は弱く抗炎症作用はほとんどありません。
そのためアセトアミノフェンはNSAIDsには分類されていません。
アセトアミノフェンの作用機序は、中枢神経におけるCOX阻害と考えられていますが、
詳細な機序は未だに解明されていません。

発熱には、アセトアミノフェンを、
成人なら、1回に300~500~600mg、1日2回なら安全です。
年齢、症状により適宜増減で、原則として1日最大1,500mgです。

なお、本剤により重篤な肝障害が発現するおそれがあることに注意し、
1日総量1,500mgを超す高用量で長期投与する場合には、
定期的に肝機能等を確認するなど慎重に投与することも必要です。

腰痛や生理痛なら、 成人はアセトアミノフェンとして、
1回300~1000mgを経口服用し、服用間隔は4~6時間以上とし、
年齢、症状により適宜増減しますが、1日総量として4000mgが限度です。

禁忌として以下があります。
消化性潰瘍のある患者
重篤な血液の異常のある患者
重篤な肝障害のある患者
重篤な腎障害のある患者
重篤な心機能不全のある患者
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
アスピリン喘息


しかし、アセトアミノフェン禁忌の患者において、
通常のNSAIDsは、勿論禁忌です。

あと、痛みが強いときは、
トラムセット(トラマドール+アセトアミノフェン)が有効です。
トラマドールは非麻薬性オピオイド受容体刺激薬です。
トラムセットには、NSAIDsのような副作用はありませんが、
吐き気がすることがあります。
それで、初期の1~2週間は、吐き気止めと一緒に内服します。


江部康二























糖質制限で10kg減量成功。健康診断データはパーフェクト。
【20/03/14 ひのえうま
健康診断結果
こんにちは
いつもROM ばかりで、書き込むのは久しぶりです。
命をはっての商品開発、ありがとうございます。
久々に(10年ぶり😅)この商品でパンを焼こうかと検討中です。
キッチンの奥から、あれやこれや引っ張り出すことから始めねば!
さて、ドキドキの健康診断の結果が出ました。

γGTP 18
総コレステロール 228
HDL 72
TG 47
LDL 150
GLU 107(前回130)
HgA1c 6.0(前回6.4)

自分的には、パーフェクト💯じゃないかと、大喜びしています。
もちろん、他の項目は全て基準値以内でした。
体重は10kgマイナスで、言うことなし。
視力が悪いのと血圧が少々高いのがたまに傷ですが、他は本当に素晴らしくて。
中性脂肪なんか低すぎてびっくりです。

なお、主人も、A1cは5.5〜5.8を推移しており、絶好調です。
糖質制限食を続けながら、時々は甘いものも食べたり、ストレスを抜きつつ、
ずっと続けられています。
不思議なことに、目の前にドン!とお菓子があっても、
昔みたいに、ついつい手が伸びて、食べ続ける、という事が無くなりました。
これだけ食べよう、と決めただけ食べると満足してしまうのです。
気がついていなかったけれど、糖質中毒だったのでしょうね、反省です。

料理もすっかり板について、テキパキ作れる様になりました。
主人も私も、仕事には絶賛お弁当持参生活です。
お料理本、新刊が出るとダッシュで本屋に買いに行っています。
そのうち、自分で出版できそうなくらい(笑)、
糖質制限料理を楽しんで作らせて頂いています。
新コロ吹き荒れている今日この頃ですが、お体ご自愛され、
またブログをどんどんUPしていってください。楽しみにしております。
それではまた。】


こんにちは。
ひのえうまさんから、とても嬉しいご報告をコメント頂きました。
拙著をたくさんご購入頂き、ありがとうございます。

【γGTP 18
総コレステロール 228
HDL 72
TG 47
LDL 150
GLU 107(前回130)
HgA1c 6.0(前回6.4)】


検査データですが、仰る通り、パーフェクトですね。
HDLコレステロールが60mg/dl以上あり、
中性脂肪が60mg/dl以下ですので、
悪玉の小粒子LDLコレステロールや酸化LDLコレステロールは、
ほぼ皆無です。
従って、LDLコレステロール150mg/dlも、全て標準の大きさであり、
肝臓から末梢組織まで、
細胞膜の原料であるコレステロールを運んでくれる善玉ばかりです。

糖尿病関連の検査も
空腹時血糖値 130mg/dl ⇒ 107mg/dl と正常値に改善。
HbA1c  6.4% ⇒ 6.0% と正常値に改善。
こちらも素晴らしいです。

体重10kg減量成功も良かったです。
体重減少でインスリン抵抗性が改善することで、
空腹時血糖値が正常になったのだと思います。

【主人も、A1cは5.5〜5.8を推移しており、絶好調 】


ご主人が糖質制限食に理解を示されて、
ご夫婦で、糖質制限食実践なら、とてもやりやすいです。

ご主人の主治医が糖尿病専門医で、
従来の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)を推奨していたりしたら
夫婦げんかの元ですから、良かったです。


【糖質制限食を続けながら、時々は甘いものも食べたり、ストレスを抜きつつ、
ずっと続けられています。
不思議なことに、目の前にドン!とお菓子があっても、
昔みたいに、ついつい手が伸びて、食べ続ける、という事が無くなりました。
これだけ食べよう、と決めただけ食べると満足してしまうのです。
気がついていなかったけれど、糖質中毒だったのでしょうね、反省です。】


仰る通り、「炭水化物依存症」であったと思われます。
そして、時々甘いものを食べても、決めただけ食べることが出来ているのは
炭水化物依存症から脱却できたものと考えられます。
good job です。
これなら、時々甘いものを食べても大丈夫ですね。
もっとも、最近は糖質制限食OKのスイーツが
京都・西院のケーキ屋「菓子職人」さんとか
インターネットのサイトで販売されているので良い時代となりました。
私も糖質制限OKスイーツをたまに食べています。

ご夫婦で、絶賛糖質制限お弁当とは素晴らしいです。
これからもお二人で美味しく楽しく末長く糖質制限食で
健康ライフを目指しましょう。


江部康二
糖質制限食によるガン予防効果は?ケトン体の力は?
おはようございます。
感謝感謝さんからコメントを頂きました。

【20/03/15 感謝感謝
お気にかけて頂き恐縮至極
コメントを取り上げて頂き誠に恐縮至極。年は1957年生の62歳です。
『主食を抜けば糖尿病は良くなる』を拝読したのは2013年でしたが、
未だ未だ糖質制限への意識も知識も浅く二年間は「プチ」レベルでしたので、
HbA1cは6.8前後とさしたる改善はありませんでした。
これではいけないと思い「食品別糖質量ハンドブック」に掲載されている品目の糖質量を頭にたたき込み
「パーフェクトガイド」もボロボロになるくらい熟読し
「スーパー」を本格的に開始したのは2015年ですので58歳からです。
同時にSGMで測定を開始⇒HbA1c6.2レベルまで改善しましたが、
暁現象は収まらず、2016.05よりSGLT2を服用開始⇒総ケトン体値が劇的に改善し現在に至っております。
江部先生を「見習い」毎晩、純エタノール40g~60gを欠かさず「服用」しておりますが、
肝臓値・コレステロール値・MB値等も全て正常値。血圧も最良値です。
これも全て江部先生⇒糖質制限食事療法⇒高ケトン体状態のお陰です。
感謝の気持ちを言葉では表すことが出来ないことをお許し願います。感謝感謝。】




【20/03/13 感謝感謝
ケトン体に懸けてます
朝〜夕食前までの総糖質摂取量は3g以下、
夕食は「大食いタイプ」の為、10g〜35gの「スーパー」を実践しています。

その甲斐あり直近血液検査値⇒GA=12.4・GA/HbA1c⇒2.25 。
総ケトン体値=4,000と改善。

全て江部先生のお蔭で、感謝の気持ちは言葉ではとても表せません。
健康保険組合より補助が出ますが、人間ドック類は一切受けていません。
これ以上やりようがないほど「スーパー」を実践しても尚、
悪性腫瘍類(遺伝の可能性は高いですが)や糖尿病合併症を発症したのであれば、
往年の名調子『はい、それまーでぇよー』(古い!歳が判る(笑)と思い
ケトン体の治癒力の可能性に懸けております。

それにも拘らず発症して鬼籍に入った場合、
この身を献体し「日本糖質制限医療推進協会」所属の先生方により
徹底的に解剖⇒水晶体は両目とも人工レンズ、
糖尿病履歴は三十歳過ぎより糖質制限を開始するまで二十数年間、
HbA1c値が7.5(NGSP値に変換)に達した者が、
高ケトン体状態によりどれだけ全身の細胞が、
修復或いは悪化の進行が阻止できたのか?
何は阻止できなかったのか?
生還分岐点はどこだったのか?

生きている間は無理ですが(大笑)徹底的に解剖し解明して頂きたいと思っています。
江部先生の著作とブログに出会ったお蔭で命を救われた者ですから、
悪性腫瘍類の早期発見が出来なくとも何の悔いもありません。
四面楚歌の中、糖質制限食事療法の普及に心血を注いでこられた江部先生への
感謝の証しとして、
高ケトン体状態を維持し敢えて精密検査は行わないと云う
人体実験を継続して参りたい存じます。感謝感謝。】


こんばんは。
感謝感謝さんから、
糖質制限食でケトン体高値を保って悪性腫瘍類を予防するという
興味深いコメントを頂きました。
ありがとうございます。

糖質制限食実践で
グリコアルブミン(GA):12.4%
基準値が<11.6~16.4%>ですので、
血糖コントロールは極めて良好で、食後高血糖は皆無の素晴らしいデータです。
感謝感謝さんは、現在62歳くらいでしょうか?
糖質制限食を開始されたのが、57~58歳頃でしょうか?
それ以降は新たな糖尿病合併症は生じないと思います。

一方、30歳過ぎから、過去二十数年間、HbA1c7.5%ていどであったなら
全身の血管壁にAGEsがかなり蓄積していて「高血糖の記憶」と呼ばれる
動脈硬化が一定程度はある可能性はあります。

次に悪性腫瘍ですが、
実は、がん細胞が発生してから、画像診断的に発見可能な大きさになるのには、
かなり長い年月がかかります。

正常細胞ががん細胞に変わり、体が排除に失敗すると、
がん細胞は徐々に成長を始めます。
細胞分裂により1個が2個になり、2個が4個、
4個が8個、そして16個、32個、64個と倍々で増加していきます。
30回分裂を繰り返すと、約10億個に増え、
重さは約1グラム、直径1cm程度になります。
細胞1個が0.01mmで、1cm経になるのに10~20年かかります。
個体差やがんの種類によっても発育速度は異なります。
がん細胞が生まれてから活発に成長するようになるまでは、
長い期間がかかります。
しかし、がん細胞は成長するにしたがって、
発育速度が速くなるとされています。
2倍の大きさになるのは、例えば早期胃がんでは数年(2~6年)、
進行がんでは数ヶ月、転移した胃がんでは数週間とされています。
従来のがん検診では、腫瘍の大きさが1cm程度にならないと発見できませんでしたが、
PET検査では、早期の5mm程度の大きさでの発見が可能です。
しかしながら、5mmや1cmで早期発見したがんということでも、
がん細胞が発生してから、
すでに約10~20年間が経過していることとなります。


「スーパー糖質制限食」でケトン体高値で、理論的には、
『西欧型がん』の発生予防が期待されます。

一方、すでに発生しているがん細胞の縮小には
「ケトン食」レベルの厳しい食事が必要となります。

対策としては、がん細胞が発生する前に、間に合う内にできるだけ早く
「スーパー糖質制限食」を開始して予防を期待するということになるでしょうか。


江部康二

「メタボレスラボ」さん、「パンブエノ」さんのご紹介。
こんばんは。
「メタボレスラボ」さん、
「パンブエノ」さん

ご紹介です。

メタボレスラボ https://metaboless-labo.stores.jp/items/5d95463bbc45ac211708bdd8
パンブエノ http://picpanzee.com/panbueno.0501


メタボレスラボさんは、『こうじ江部粉』『京都江部粉』を発売しておられます。  

江部粉専門のベーカリーPan bueno(パンブエノ)さんが
糖質制限な『こうじ江部粉パン』『京都江部粉パン』を作っておられます。
プレーン、シナモン、クルミ、抹茶クリームチーズ、
ハリネズミチョコチョコ、ジャックオーランタンなどの
様々なこうじ江部粉パンを販売中です。
さらに新作の糖質制限パンもどんどん登場のようです。
血糖値上昇ほとんどなしなのは私が実験で確認済みです。
また美味しさも私が保証致します。
読者の皆さん、是非一度お運びあれ。

こうじ江部粉の命名は、
『江部こうじ』と『紅こうじ』『米こうじ』
を掛け合わせて誕生したそうです。
 
『京都江部粉』『こうじ江部粉』
はいずれも、研究開発段階で、私が自己測定器で血糖値を何度も何度も検査して、
調整を重ねて、やっと完成にこぎつけた珠玉の逸品です。
まさに血と汗と涙の一品です。
 
糖質制限なパンが、簡単に作成できます。
日本全国の糖質セイゲニストでパン好きの方々、
是非一度、お試しあれ。
 
 
江部康二
 
 
☆☆☆
以下は
メタボレスラボさんからの紹介文です。
 
【メタボレスラボは「こうじ江部粉」を販売しています。
こうじ江部粉は、高雄病院の江部康二先生にご監修いただいた京都江部粉をベースに、
紅麹と米麹をミックスして作られた糖質セイゲニストのためのミックス粉です。
 
特長は下記のとおりです。
こうじ江部粉を使用すると、糖質を抑えた食物繊維たっぷりのパン、
お菓子を作ることができます。
こうじ江部粉に含まれている糖質量は100gあたり11.0g(エリスリトールを除く)、
食物繊維量は23.4gです。
パンにすると、糖質量は100gあたり約5.8g(エリスリトールを除く)で、
一般的なロールパンに比べると糖質は
88%もカットされ、食物繊維量は12.3gで約6倍にもなります。
 
こうじ江部粉は癖の強いふすま、大豆粉を使用しておりませんので食べやすく、
こんにゃく配合により、パンにモチモチした食感を与えます。
 
こうじ江部粉には2種類の麹を配合しております。
米麹はパン生地のソフト化と、ほのかに甘い香り(発酵香)の付与が期待できます。
紅麹はモナコリンK、GABAを含み、健康食品素材として注目されております。
紅麹配合により、うっすらとかわいい色がつきます。
是非一度、癖になる不思議な味覚と食感をお楽しみください!】
ケトン体と脳と低血糖。
こんにちは。
今回は、『ケトン体と脳と低血糖』について考察してみます。

脳のエネルギー源はブドウ糖とケトン体です。
脳のエネルギー源はブドウ糖だけと信じてる人は、
さすがに大分減ってきたと思います。

それでは、ケトン体が十分産生できていて、
脳のエネルギー源となっている場合は、
血糖値が低下したとき(60mg/dl以下)でも、
いわゆる低血糖症状はでないのでしょうか?

答えは、「yes、低血糖症状はでない。」です。
血中総ケトン体値が3000~4000μmol/L以上のレベルであれば、
脳のエネルギー源はケトン体だけでも賄えると思われます。

私が初めて本断食(カロリーゼロ、塩分ゼロ、水摂取のみ)を3日間行ったとき、
4日目朝の空腹時血糖値は、35mg/dlでした。
1984年、34才の時のことです。

断食前は普通に糖質を摂取していましたし、初めての断食なので、
肝臓の糖新生があまり上手くできていなかったのでしょう。
またスーパー糖質制限食でも30~60g/日の糖質を摂取しますが、
断食の場合は0g/日の糖質摂取という差もあります。

糖尿病専門医研修ガイドブック(改訂第4版、2009年)293ページには、
低血糖症の定義として、

「低血糖症状があり血糖値60mg/dl以下」

と記載されています。

35mg/dlという検査データは完全な低血糖ですが、
動悸・頻脈・頭痛などいわゆる低血糖症状はなかったので、
厳密には「低血糖症」とは言えないかもしれません。

35mg/dlというのは、普通なら意識不明で昏睡のレベルですが、
断食中は血中ケトン体(脂肪酸の代謝産物)が高値となり、
脳の主エネルギー源となっているので、大丈夫なのです。

実際、ちゃんと外来診察も行っていました。
脳はケトン体をしっかり利用するという事実を34才の本断食当時、
既に自らの人体実験で証明していたみたいです。
脳がケトン体を利用できないならば、私は血糖値35mg/dlのとき、
あの世に旅立っていたはずですね。

低血糖症の症状は、まずは低血糖によって誘発された自律神経系の
変化に基づく反応から始まります。
個人差がありますが60mg/dl~70mg/dl以下になると、
自律神経症状(アドレナリンなどの分泌による症状)が出現します。

自覚症状不安、心悸亢進、動悸
他覚所見:発汗、蒼白、低体温、頻脈、振戦、高血圧、不整脈・・・


次いで血糖値が50mg/dl以下になると、
中枢神経系の機能不全による症状が出現します。

中枢神経機能低下症状

自覚症状:頭痛、かすみ目、複視、異常知覚、嘔気、眠気、倦怠感・・・
他覚所見:錯乱、奇異行動、興奮、譫妄、傾眠、失語、麻痺、痙攣、昏睡・・・

私の血糖値は35mg/dlでしたから、
通常なら、上記の低血糖症状が出現して当たり前なのですが、
基準値よりはるかに高値の血中ケトン体が脳のエネルギー源となって、
低血糖症状から、身体を守ってくれたのです。
ケトン体、とても頼りになる良い奴ですね。

江部康二
糖質制限食で体重が減りすぎる場合
スーパー糖質制限食実践と厚生労働省の言う「推定エネルギー必要量」を摂取なら、
適正体重になるケースが殆どです。
しかし、「糖質制限食で体重が減りすぎた。」と訴える人も時におられます。

摂取エネルギー < 消費エネルギー →  体重減少

スーパー糖質制限食で体重が減りすぎる場合は、
消費エネルギーが摂取エネルギーを上回っていることが明白です。
適正体重に関してBMIが、20以上~25未満 の間で、
その個人の一番体調がいい体重が、一つの目安です。

「厚生労働省・日本人の食事摂取基準」における推定エネルギー必要量を
確保していればスーパー糖質制限食実践で適正体重になれば、
それ以上減ることはありません。


「日本人の食事摂取基準」(2015年、厚生労働省)
に示す推定エネルギー必要量の範囲、
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf

推定エネルギー必要量(一日あたり)
             男性             女性
15-17才     2500 2850 3150   2050 2300 2550kcal
18-29才     2300 2650  3050   1650  1950   2200
30-49才     2300 2650  3050    1750  2000  2300
50-69才     2100 2450  2800   1650  1900 2200 
70才      1850 2200  2500    1500  1750 2000

身体活動レベル 低い 普通 高い   低い  普通  高い

くらいが目安です。


痩せ過ぎの人が「スーパー糖質制限食+推定エネルギー必要量」の実践により、
適正体重に増えることも経験します。
例えばBMIが17の人が、18になり20になりといったパターンです。

痩せすぎる場合の摂取エネルギー確保には、脂質の摂取が一番有効です。
脂質摂取なら、血糖値は全く上昇せず、インスリンの追加分泌もゼロです。
オリーブオイルをしっかり料理に使用したり、
ギリシャやスペインやイタリアのように直接飲んだり、
低糖質パンにつけて食べたりするのもよいでしょう。

エゴマ油や紫蘇油のαリノレン酸を、
生(非加熱)でそのまま野菜サラダにかけて食べるのもいいです。
脂質エネルギー確保には、ナッツ類ではクルミ・松の実・カボチャの種が、
糖質がとても少なくていいです。
乳製品の中では、チーズが脂質が多く糖質が少なく、良質のエネルギー源です。
他のナッツ類も、20~30粒くらいなら、糖質制限食OKの間食で、糖質は5g以下です。
果物のなかでは、アボカドやオリーブが糖質が少なくていいです。
他の果物類も、1/3個くらいなら、血糖値に関しては糖質制限食OKの間食です。

果糖は血糖値をあまり上げずに直接中性脂肪に変わるので、体重増加にも有効です。
ただ果糖はブドウ糖の数十倍、AGEsに変わりやすいので、
アボカドとオリーブ以外の果物は、とにかく少量にとどめるのが無難です。

[果物100gあたりの糖質含有量]
アボカド 0.9g
オリーブ 1.2
いちご 7.06
パパイア 7.28
レモン 7.6
夏みかん 8.8
もも 8.9
びわ 9.0
グレープフルーツ 9.0
すいか 9.2
メロン 9.9
はっさく 10.0
なし 10.4
いよかん 10.6
うんしゅうみかん 11.0
ネーブル 10.8
パインアップル 11.9
いちじく 12.4
西洋なし 12.5
りんご 14.8
キウイフルーツ 13.2
さくらんぼ 14
柿 14.3
ぶどう 15.1
バナナ 21.4


果物の糖質は果糖、ショ糖、ブドウ糖、糖アルコールなどです。
例えば、リンゴ1個(約240g)のカロリーは約150kcalであり、
ビタミンC含量は8mg、
遊離糖含有量は35.6g(果糖:18g、ブドウ糖:6g、ショ糖:9.6g、ソルビトール:2g)、
水溶性食物繊維含量は0.95g、不溶性食物繊維含量は2.95gくらいだそうです。
リンゴの100gあたりの糖質含有量は、14.8gです。

勿論、リンゴの種類によって、糖質含有量には一定のバラツキがあると思います。
桃、1玉の重さは230gくらいです。
100gあたりの糖質含有量は、8.9gくらいになります。


江部康二
糖質制限の大百科(洋泉社)【監修】江部康二 のご案内。
こんにちは。

『糖質制限の大百科』(洋泉社) 
【監修】江部康二


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のご案内です。

アマゾンへはこちらから

2019/6/19(水)発売開始です。
おかげさまで、ぼちぼち売れていて、
累計2万6000部となりました。

『食品別糖質量ハンドブック』などと合わせて、
洋泉社シリーズ累計で、37万部突破なので、
嬉しい限りです。
これもブログ読者の皆様のおかげと、感謝しております。

【この1冊で知りたいことがぜんぶわかる!
正しいやり方で、無理なくやせる、健康になる!
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5分でわかる!糖質制限の基礎知識。
コンビニ&外食フル活用!糖質制限のコツ。
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時短&作りおき!かんたん糖質制限レシピ92。
知って納得!糖質制限のメカニズムと効果。
食品別糖質含有量一覧付き。】


ということで、痒いところに手が届く感じの
サービス精神たっぷりの構成・内容となっています。
糖質制限食は、糖尿病の治療食として開始されましたが、
その後、肥満・メタボリックシンドロームを始め、
様々な生活習慣病にも有効であることが判明しました。
シンプルに言えば、<生活習慣病 = 糖質過剰摂取病>と言うことができます。
『糖質の頻回過剰摂取』とそれにともなう『血糖値の乱高下』『インスリンの頻回過剰分泌』が、
生活習慣病の元凶なのです。

本書がブログ読者の皆さんを始め、
糖尿病、メタボ、生活習慣病などを患っている皆さんのお役に立てれば幸いです。

江部康二


☆☆☆
以下の青字は、本文最初の2ページから引用です。

糖尿病の治療食として
スタートした糖質制限


日本で糖質制限をはじめたのは、私が理事長を務めている京都の高雄病院で、
当時の院長であった私の兄である江部洋一郎です。1999年のことでした。
私自身は、2001年、担当する患者さんに糖尿病治療の一環として、
糖質制限の指導を行ったところ、劇的な効果が見られました。
それ以降、当院では糖尿病の治療食として糖質制限食を実践し続けています。
従来、糖尿病に対する日本での治療方針は、カロリー制限一辺倒でした。
しかし、糖質を制限することのないカロリー制限食では、
糖尿病の大きなポイントである食後高血糖のコントロールができません。
糖質を制限せずにカロリーコントロールを行ったところで、
結局、病状は悪化し、薬に頼ることになってしまいます。
これに対して、糖質制限はまったく異なる考えかたで治療を行います。
カロリーや脂肪を制限するのではなく、「糖質を制限した食事を摂る」ことが基本となります。
糖質さえ控えれば、たんぱく質や脂質はしっかり食べてOKです。カロリー計算も必要ありません。


糖質を控えると
さまざまなメリットがある


糖質制限では、血糖値を直接上げる唯一の栄養素である糖質を控えます。
そのため、食事をしても血糖値の急激な上昇を招くことはありません。
これこそが、糖尿病だけにとどまらず、あらゆる不調や疾患の予防・改善につながるのです。
 さらに、血糖値の急上昇が起きるとインスリンというホルモンが分泌されます。
インスリンは、別名“肥満ホルモン”とも呼ばれます。
過剰に分泌されることで体脂肪が蓄積され、肥満を引き起こすからです。
これらを引き起こさない糖質制限は、血糖値の乱高下をなくし代謝を安定させることで、精神的にも落ちつきます。
全身の血流も改善するため、美肌や美髪など、美容にも役立つのです。

血中1,5-AG値の意義。糖質制限食と血中1,5-AG値。
こんにちは。

血中1,5-AG値と糖質制限食について時々質問があるので、考察してみます。
合わせて血中1,5-AG値の意義についても考察してみました。

1,5-AGは、ブドウ糖についで多い単糖で、広く生物界に存在します。
食物から経口的に摂取され、腎臓でほとんど再吸収され、
ごく一部が尿中に排泄されます。

栄養素としての働きはほとんどないようですが、
ブドウ糖と同じように血液中にいつも一定量存在しています。
また体内の各臓器に広く分布しプールされています。
食事からの供給量に比べて体内蓄積量が大きいので、
通常は食事の前後で血中濃度の差はありません。

血中1,5-AGは、フルクトサミンやグリコアルブミンやHbA1cでは、
チェックできない食後高血糖の状況を知ることができます。
高血糖があり尿中にブドウ糖が排泄されるようになると、
1,5-AGも尿中に排泄されるようになり、結果として血中の1,5-AGが低下します。
これはブドウ糖と1,5-AGとは構造が似ているため、
腎の尿細管での1,5-AG再吸収がブドウ糖により競合阻害されるためです。

従って、基本的には
「尿糖が陽性であるから、血中1,5-AGが低下する」
という公式が成り立ちます。
ほとんどの場合は、食後高血糖のような短時間のスパイク状の変化の影響を鋭敏に反映しています。
しかし、例えば高血糖がなくても尿糖が陽性になる腎性糖尿でも1,5-AGが低下します。

αGI(ベイスン、セイブルなど)は食後血糖上昇を改善し
血中 1,5-AG を増加させる効果があります。
但しαGI のうちアカルボースだけは 1,5-AG 増加が認められないと報告されています。
これはアカルボースの αアミラーゼ抑制作用により
1,5-AG の腸管からの吸収が阻害されることによると考えられています。

また、最近話題のSGLT2阻害薬でも、
一日に100gのブドウ糖が尿中に排泄されるわけですから、
血中1,5-AGは著明に低下すると思われます。
すなわち、SGLT2阻害薬を内服している人は、
血中1,5-AGを調べても意味がないということです。

「尿糖が陽性であるから、血中1,5-AGが低下する」という公式の例外として、
飢餓があります。
高血糖もなく尿糖もなくても食事から摂取される1,5-AGが
飢餓により枯渇したために、血中の1,5-AGが低下することとなります。

なお、血中1,5-AGは妊娠、慢性腎不全、重症肝硬変でも低下します。

また、アカルボース(グルコバイ)内服中の人も低値を示します。

1,5-AGはいろんな食材に含まれているそうなのですが、
どのような食材に多く含まれているのか調べてもはっきりわかりませんでした。
しかし、植物体のなかでデンプンから1,5-AGが生合成されるとの文献がありましたので、
どうやらデンプンの多い食材に1,5-AGが多く含まれいるようです。
そうすると 糖質制限食をある程度長期間実践していたら、
1,5-AGを多く含む食材の摂取が減るので、
血中1,5-AGが生理的に低下しても不思議ではありません。
この場合生理的な低下なのでまったく問題はありません。

保険診療では1,5-AGは、HbA1c、グリコアルブミン、フルクトサミンと同じ範疇の扱いを受け、
いずれか1つの項目を月1回に限ってしか認められていません。
高雄病院ではHbA1cを調べていて、血中1,5-AGは調べませんので、
糖尿病患者さんのデータがありません。

糖質制限食と血中1,5-AGに関して興味がありましたので、
私自身で調べてみたところ、
<2008年4月23日の江部康二の血液検査、スーパー糖質制限食6年目>
1,5-AG:5.8μg/ml(基準値は12~43) 
と立派に低値でし
たが、勿論生理的なもので何の問題もありません。

結論です。

1)一般的には、血中1,5-AGは、食後高血糖(尿糖)があると低下するマーカーである。
2)従って、HbA1cが正常でも、血中1,5-AGが低値なら食後高血糖を見逃している可能性がある。
3)SGLT2阻害薬を内服中の糖尿人は低値となるが問題はない。
4)アカルボース(グルコバイ)内服中の糖尿人も低値となるが、問題はない。
5)血中1,5-AGは妊娠、慢性腎不全、重症肝硬変でも低下する。
6)糖質制限食実践中であれば、血中1,5-AGは低値となるが、問題はない。




江部康二
グリコヘモグロビン(HbA1c)とグリコアルブミン(GA)を比較。
こんにちは。

今回の記事は、
グリコヘモグロビン(HbA1c)とグリコアルブミン(GA)を比較してみます。

HbA1c:4.9%~6.0%未満が基準値
GA:11.6%~16.4%が基準値

<GAとHbA1cのそれぞれの意義>

HbA1cは赤血球の寿命が120日であるため4ヵ月前から採血時まで、
一般には、過去2ヶ月の平均血糖値を反映します。
GAはアルブミンの半減期が17日であるため17日前から採血時まで、
一般には、過去2週間の平均血糖値を反映します。
HbA1cとGAは、どちらか一つを、健康保険で、月に一回検査できます。
HbA1cとGAを、同一月に同時に、健康保険で検査することはできません。

高雄病院の糖質制限・糖尿病学校(14日間入院)では、
HbA1cに変えて、退院時のGAを検査することがあります。
スーパー糖質制限食実践で、
必ず退院時GAが改善しますので患者さんに説明しやすいのです。
HbA1cは2週間では、血糖コントロール良好でも変化はありません。


<GAとHbA1cの測定原理と食後高血糖の反映度合い>

HbA1cとグリコアルブミン(GA)は、血液中のヘモグロビンとアルブミンが、
それぞれ血糖と結合して変化したものの割合を示す検査値で、原理は同じです。

血液中のブドウ糖は、いろんなものにへばり付く性質があり、
ヘモグロビン(赤血球の中にあるタンパク質)にくっついて変化したものがHbA1cで、
アルブミンという血清中のタンパク質にくっついて変化したものが、
グリコアルブミン(GA)ということです。

そして、同じ HbA1C値の糖尿病患者さんでも、食後高血糖が頻回にある患者さんの方が、
グリコアルブミンが高くなりやすいことが分かりました。

アルブミンが血糖と結合してグリコアルブミンになるスピードは、
ヘモグロビンが血糖と結合して HbA1Cになるスピードより、
9倍くらい速いと推測されています。


そのため、ごく短時間だけ現れる高血糖に対しては、
グリコアルブミン値の方が HbA1C値より敏感に反応しやすいと考えられます。
ごく短時間だけ現れる高血糖は、通常は糖質摂取後の高血糖です。
これが、「グリコアルブミン検査は食後高血糖の評価に適している」とされる理由です。


<糖質制限食なら、GAがHbA1cより相対的に良い>

ある年の江部康二の検査データ
HbA1c:5.8%(基準値4.9%~6.0%未満) 
グリコアルブミン(GA):13.5%(基準値11.6%~16.4%)


上記、江部康二の検査データだと、両方とも基準値内ですが、
グリコアルブミンのほうが、HbA1cより、相対的に良い数値です。
つまりHbA1cは基準値の上限に近いのに対して
GAは基準値の下限の方に近いです。
これはスーパー糖質制限食実践なので、食後高血糖が極めて少ないことを示しています。

一方、
ある60代男性糖尿人Aさんの検査では
HbA1c:5.8%
グリコアルブミン(GA):18.0%

でした。

江部康二とAさんと、HbA1cは全く同じです。
一方AさんのGAも20%未満と、コントロール良好ではあるのですが、
私のデータと比べるとGAは18.0%とかなり高値です。
つまりAさんは、私に比べると食後高血糖が一定あったこととなります。

よくよくAさんに聞いてみると
「麺類が好きで時々食べていました」
ということでした。

麺類を止めて貰ったら、GAも16.0%をきるようになりました。
すなわち、食後高血糖のない質の良いHbA1cと、食後高血糖のある質の悪いHbA1cとを、
GAを検査することで一定評価できるということになります。
一方、HbA1cは、短時間の食後高血糖を見逃してしまう欠陥のある検査なのです。

GAとHbA1cは同じ月には保険請求できませんので、
時々、GAも検査すれば良いと思います。

食後高血糖をよく反映するので、臨床的にはHbA1cより有用なので、
グリコアルブミン検査は今後、もっと普及して欲しいと思います。
なお、献血したときは、GAが検査して貰えます。



江部康二
HbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)に関する考察。
こんにちは。
今回の記事は、HbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)に関しての考察です。

HbA1c
正常値 6.0%未満
糖尿病予備軍 6.0%~6.4%
糖尿病の可能性が高い 6.5%~


<HbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)>
HbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)
赤血球の中に含まれているヘモグロビンは、鉄を含む赤色の色素部分のヘムと、
蛋白部分のグロビンでできています。
ヘモグロビンはグロビン部分の違いによりHbA、HbA2、HbFの3種類に分けられます。
成人では、HbAが97%を占めています。

血液中には、赤血球や糖類やその代謝産物が流れていて、
お互いに結合する傾向があります。
赤血球中のヘモグロビンと、血中のブドウ糖など単糖類が結合したものが、
グリケーティッドヘモグロビンです。

これを略してグリコヘモグロビンですが、HbA1とほぼ同義語として使用されています。
グリコヘモグロビンは、元のヘモグロビンとは電気的性質が異なるため、
検査により識別することができます。

HbA1は、さらにHbA1a、HbA1b、HbA1cなどに分けることができます。
このうち糖尿病の検査の指標として汎用されているHbA1cは、
ヘモグロビンA(HbA)にグルコース(ブドウ糖)が結合したものです。
当然、血糖値が高値であるほど、ヘモグロビンと結合しやすいのです。

HbA1cの生産量は、Hb(ヘモグロビン)の寿命と血糖値に依存します。
赤血球は骨髄で作られ、血液中を循環し寿命は約120日間ですから、
HbA1cは過去4ヶ月(120日間)の血糖値の動きを示しています。

より詳しく分析すると、HbA1c値の約50%は過去1ヶ月間の間に作られ、
約25%が過去2ヶ月、残りの約25%が過去3、4ヶ月で作られます。

従いまして、HbA1cの値は通常は、
過去1、2ヶ月の平均血糖値を反映していると考えればよいことになります。

血糖値は、空腹時や食後で変動するのに対し、
HbA1cはそれらにほとんど影響を受けないという特徴があります。
すなわち、血糖値は常に変化していますが、HbA1cは血中濃度が安定しています。

<HbA1cが実態より低値を示す場合>
溶血性貧血、腎性貧血など、赤血球の寿命が短縮するような病態のときは、
HbA1cの生産量がその分蓄積されずに減りますので、実際の値よりも低くなります。
肝硬変に伴う脾機能亢進による貧血も赤血球の寿命が短縮します。

鉄欠乏性貧血が鉄剤投与により急速に回復している時期も、
幼弱赤血球が増えて、赤血球の寿命が短くなり、HbA1cは低値となります。

糖尿病腎症から透析になった糖尿人の場合は、
腎性貧血で赤血球の寿命が短くなっているので、
見かけ上はHbA1cが改善して、低下したようにみえますが、
実態を反映していないことになります。

それで日本透析医学会では透析患者の血糖指標としては、
グリコアルブミン(GA)を推奨しています。

血液中のタンパク質の一種であるアルブミンに
ブドウ糖がくっついたものをグリコアルブミン(GA)といい、
GAは、約2週間の血糖状態をもっとも鋭敏に反映すると言われています。

そして、アルブミンは赤血球の寿命とは無関係なので、
貧血にも影響されないので、日本透析医学会が推奨しているわけですね。

<HbA1cが実態より高値を示す場合>

鉄欠乏性貧血の場合、鉄不足で貧血があり未治療のときは、
代償性に赤血球の寿命が延びるので、
HbA1cは寿命が延びた分蓄積して、高値にシフトします。

妊婦においては、妊娠の進行とともに胎児の鉄需要が増加しますが、
それに供給が追いつかず、しばしば鉄欠乏性貧血が生じます。
そのとき、代償的に赤血球寿命が延びて、
血糖と結合するヘモグロビンの量が相対的に増えます。
結果として、妊娠中、特に妊娠後期には、
HbA1cが偽高値をとることが知られています。
従って妊娠中の血糖コントロールの指標は
HbA1cではなく、グリコアルブミン(GA)が推奨されています。
「GA15.8%未満」をめざして妊娠中の血糖管理をします。


<HbA1cが異常値な場合に疑われる病気>

高値…糖尿病、異常ヘモグロビン血症、未治療の鉄欠乏性貧血など
低値…溶血性貧血、、腎不全、肝硬変、インスリノーマ(膵島線種)など


江部康二
決定版! 作りおき&レンチンで簡単! 糖質オフのやせる! ラクうま弁当350   ナツメ社
こんばんは。

決定版! 作りおき&レンチンで簡単! 糖質オフのやせる! ラクうま弁当350 大型本 - ナツメ社 2020/1/16
江部 康二 (著), 新谷 友里江 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4816367705/


book2020-1.jpg


2020年1月16日、刊行です。
おかげさまで、早くも重版が決定しました。(^^)       
アマゾンの動きはいまいちなので、心配だったのですが
レシピ本は、直接手に取って、本屋さんの店頭で内容を確認してから
購入される人が多いのかなと思いました。

本書が前もって送付されてきたので、
スタッフにも見せました。
すると、わかりやすく使いやすいと、とても評判が良いのです。
購入したいという人も多くて、嬉しい限りでした。

本書では、作りおきとレンチンでラクラク続く、
お弁当の定番おかずをたっぷり350種掲載してあります。

ゆる糖質オフも、きちんと糖質オフ(スーパー糖質制限食)も自由に選べます。
毎日お弁当の人もいれば、時々お弁当の人もいると思いますが、
この一冊で、美味しい糖質オフ弁当が簡単に作れるのでとても便利です。


☆☆☆
以下の緑文字の記載は、本書の「はじめに」です。

自分に合った糖質オフ弁当でおいしく食べてやせる!

   本書は糖質オフのお弁当の本です。カロリー制限食の場合、減量は極めて困難で、
そもそもひもじくて長く続けることは不可能と言えるでしょう。
その点、糖質制限食なら、厚生労働省のいう「推定エネルギー必要量」を、
しっかり摂取してよいので、満足感や満腹感があり、
しかも減量効果が速やかにでることでモチベーションも高まるため、
長く続けることが可能になります。
糖質を食べて血糖値が上昇すると、分泌されたインスリンが血液中のブドウ糖を
筋肉に取り込ませることで血糖値を下げますが、余ったブドウ糖は全て中性脂肪に
変えられ、脂肪細胞に蓄えられます。
これがインスリンが肥満ホルモンと言われる理由です。
一方、たんぱく質と脂質は直接血糖値を上げることはないので、食べても太りません。
いざ減量のために糖質制限食を始めたけれど、お昼は社員食堂に行くしかないなど、
昼ごはんで挫折する人が多いようです。
外食やコンビニを利用する手もありますが、
糖質制限中でもOKなメニューの選択肢は限られます。
そこで、家庭で作る糖質オフ弁当の出番です。
容量が決まっており、糖質量の管理がとても簡単です。
おかずを作りおきしておけば、当日詰め合わせるだけなので悩む必要もなく
ラクに続けることができ、毎日美味しく楽しく食べられます。
電子レンジ調理のレシピもあり、手早く一品追加できるのも魅力的です。
きちんと糖質オフのほうが、減量効果が速く出るのは必然なのですが、
ゆる糖質オフでも一定の効果は期待できます。
是非実践していただければ幸いです。

                                            2020年1月吉日 江部康二


***
以下の青文字の記載は出版社の内容紹介です。

内容紹介
ダイエット効果てきめんの「糖質オフ」。
ですが、使える食材や調味料が限られているため、レシピが思いつかない、
マンネリになってしまう、という方も多いのではないでしょうか。

本書では、作りおきとレンチンでラクラク続く、
お弁当の定番おかずをたっぷり350種掲載しました!

朝、作りおきおかずを詰めるだけだけ&パパッとレンジで作れるから、とにかくラクチン。
この一冊で、美味しい糖質オフ弁当が簡単に作れます。

全レシピ、1回分の糖質量、たんぱく質量、エネルギー量、
冷蔵・冷凍保存の期間を記載しています。

【本書のポイント】

●ゆる糖質オフも、きちんと糖質オフも自由に選べる!
本書では、糖質オフおかずや主食の組み合わせで、
糖質量を簡単に調整することができます。
主食なしできちんと糖質を減らし一気にやせたい方も、
主食を楽しみつつ少し長めのスパンでやせたい方も、
自分にあった方法を選ぶことができます!

●ボリューム満点! だから、糖質オフでもお弁当が楽しみに
糖質オフでがんばっていても、量が少なかったり、
味つけがマンネリだったりして味気ないお弁当では、挫折していまします。
本書で掲載しているおかずは、それぞれが低糖質なので、たくさん詰めても大丈夫。
味つけの種類も豊富で、マンネリになることもありません。

●こんなに食べられる! 主食レシピも満載
糖質オフといえば、主食は食べないのが基本ですが、やっぱり物足りなさが残るもの。
ゆる糖質オフだけでなく、きちんと糖質オフでも楽しめる主食レシピをたくさん掲載しました。
低糖質なカリフラワーごはんやおからごはん、糖質オフの麺、ブランパン、
ほぼ糖質ゼロの油揚げや厚揚げを活用したレシピなどを掲載しています。

●途中で飽きない! アレンジレシピを紹介
作りおきのおかずに、途中で飽きてしまった経験がある方も多いのでは?
本書では、アレンジレシピも掲載しているので、最後までおいしくいただけます。

【目次】(章タイトルのみ)
Part1 肉の作りおき&レンチンおかず
Part2 魚介の作りおき&レンチンおかず
Part3 卵&大豆製品・豆の作りおき&レンチンおかず
Part4 作りおき&レンチンでできる 色別サブおかず
米国糖尿病学会CEOは糖尿病をローカーボダイエットで管理。
おはようございます。
駐在君から、興味深い重要な情報をコメント頂きました。
いつもありがとうございます。

【20/03/05 駐在君
ADA改革
ADAのCEOになって1年半くらいのトレーシー・ブラウンですが、彼女自身は主食に限らず、でんぷん質の野菜や果物も食べ無いスーパ糖質制限です。急な用件で空港に行ってファーストフードしか選択肢が無いときもバーガーのパンは捨てると言ってます。実はアメリカは製薬会社がFDAなど規制当局とグルになって異常に高額なインスリン、薬価で糖尿人に負担を負わせています。糖尿人の中には薬漬けにされた上、インスリン代で生活が破綻する者もでる現状です。彼女はこの状況を何とかしたいと本気で考えているようです。元々は科学技術者からプロ企業経営者となり、多くの世界的大企業で重役を歴任してきた彼女が、娘さんの一言がきっかけで、自らの人生を見直し、後にボランティアでADAにかかわり、さらにCEOを引き受けた背景などはYOUTUBEの2部に渡る1時間あまりのインタビューでも述べられています。そして最も重要なことは彼女が本気でADAを改革しようとしていることです。今でもADA内部は製薬ロビー、地中海食派など一枚岩ではなく、それはウェブサイトを見ても解ります。記事の締めで糖質制限派でもあるDiet Doctorメンバーも「We’d love to form an “intentional and disruptive” partnership with her organization.私たちは彼女の組織と(改革の為の)「意図的で破壊的な」パートナーシップを結びたい。」と言ってます。はるかに遅れてる日本の某学界にもこのような人が現れるといいんですが...】






2020年3月5日(木)、夏井睦先生のブログに、

『新しいアメリカ糖尿病学会のCEO(トレイシー・ブラウン)は、
糖質制限をはじめられたようです。
動画と簡単な紹介です。⇒アメリカ糖尿病学会のCEO、自ら糖質制限を開始』


というコメントが載りました。
都内河北 鈴木さんからの情報です。
ありがとうございます。

広島市の
伊藤 欣朗(いとう きんろう) 先生のブログ 
http://itonaika.in/7057  

からの情報です。
伊藤欣朗先生、興味深い情報を、ありがとうございます。

高位のADA職員が低炭水化物ダイエットで個人的な成功を述べたのは初めてのことだそうです。
糖質セイゲニストにとっては、とても嬉しい歴史的転換点ですね。


以下の青字は米国の 『ダイエット ドクター』というサイトの記事です。

https://www.dietdoctor.com/breaking-news-american-diabetes-association-ceo-manages-her-diabetes-with-a-low-carb-diet
Diet Doctor

Breaking news: American Diabetes Association CEO manages her diabetes with a low-carb diet

Here’s some highly encouraging news: the influential CEO of the American Diabetes Association (ADA) is on the record as a low-carb eater.

In a recent podcast interview that is setting the low-carb world abuzz, ADA CEO Tracy Brown said she successfully manages her own type 2 diabetes, and has come off all her insulin and three other medications, by mindfully avoiding sugar and carbs.
Commentators are calling it a pivotal “tipping point” and hugely significant milestone in the acceptance for low-carb eating for diabetes. It marks the first time a high-placed ADA official has described personal success with a low-carb diet.

Brown, who took over the helm of the organization in 2018, is the first head of the ADA in its 80-year history to actually have diabetes, which was diagnosed 16 years ago. She says she is on track now to remove the final, fourth medication, by the summer because her blood sugar control is so good.・・・】



【ダイエット ドクター
ニュース速報:米国糖尿病学会のCEOは彼女の糖尿病をローカーボダイエットで管理している。
以下は、非常に心強いニュースです:アメリカ糖尿病学会(ADA)の影響力のあるCEOは、
低炭水化物食者として記録されています。

低炭水化物の世界を騒がせている最近のポッドキャストのインタビューで、
ADA CEOのトレイシー・ブラウンは、自分の2型糖尿病をうまく管理し、
砂糖と炭水化物を慎重に避けることで、彼女のインスリンと他の3つの薬をすべて中止したと述べました。

コメンテーターはそれを極めて重要な「転換点」で、
糖尿病の低炭水化物食の受け入れにおける非常に重要なマイルストーンと称しています。
高位のADA職員が低炭水化物ダイエットで個人的な成功を述べたのは初めてのことです。

2018年に組織の責任者を務めたブラウンは、80年の歴史の中で実際に糖尿病であるADAの最初の責任者であり、
16年前に診断されています。
彼女は、血糖コントロールがとても良いので、夏までに最後の4番目の薬を取り除くために、
今順調であると述べています。・・・】


江部康二
日本人の死因と糖質制限食の有効性
こんにちは。

厚生労働省が公表した「人口動態統計月報年計(概数)」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai18/dl/gaikyou30.pdf
によると、2018年度の日本人の死因の順位は、

第1位 悪性新生物(腫瘍)
第2位 心疾患(高血圧性を除く)
第3位 老衰
第4位 脳血管疾患
第5位 肺炎


となっています。

「老衰」は定義が難しいと思います。
厚労省が刊行している「死亡診断書記入マニュアル」をみると、
老衰は「高齢者で他に記載すべき死亡の原因がない、いわゆる自然死の場合のみ用いる」死因だとしています。
この時点で、すでに曖昧であり、結局老衰の定義など、あってないようなものですが、
「糖化」「酸化」老化の元凶です。
糖質制限食で、AGEsの蓄積を最小限度にとどめれば、
「糖化」「酸化」は、かなり予防できます。
そうすると、健康寿命が延びて、老化と老衰もあるていど予防できると思います。

残りの疾患を考慮すると、結局がん動脈硬化(心疾患と脳血管疾患)が、
死因の双璧と言っていいでしょう。

生活習慣病型のがんと動脈硬化は、
スーパー糖質制限食で予防できる可能性が高いです。
肺炎も血清アルブミン4.3g/dl以上あれば、予防しやすいのです。
糖質制限食で動物性たんぱく質をしっかり摂取して、
血清アルブミンを増やせば、肺炎も予防しやすくなります。

死因の第6位以下はこうなっています。
第6位 不慮の事故
第7位 誤嚥性肺炎
第8位 腎不全
第9位 認知症(血管性及び詳細不明の)
第10位 自殺


かつて死因として「糖尿病」が挙げられていたこともありましたが、
2018年度では10位以内には入っていません。

しかし、がん・心疾患・脳血管疾患・認知症には、
かなり色濃く糖尿病が関わっています。
肺炎も糖尿病のコントロールが悪いと重症化して命に関わります。
腎不全認知症に関しても糖尿病がおおいに関わっています。

こうみると、日本人の死因トップ10の内、6つに糖尿病が大きく関わっているので、
単独の糖尿病による死亡が順位に入っていなくても、安心できるものではありません。

スーパー糖質制限食実践で、
「血糖コントロール」「インスリン分泌コントロール」「肥満改善」を達成し、
<AGEsの蓄積><酸化ストレスリスク>を減らして、
動脈硬化・がん・老化・アルツハイマー病等を予防して、
楽しい快適な人生を送りましょう。


江部康二
『内臓脂肪がストンと落ちる食事術』 オーディオブック販売開始。
こんにちは。

『内臓脂肪がストンと落ちる食事術』のオーディオブックが
2020年2月28日、販売開始となりました。
以下のサイトでご購入頂けます。
『内臓脂肪がストンと落ちる食事術』
https://audiobook.jp/product/247317


オーディオブックというと、
視覚障害のある方のためのアイテムという印象があります。
勿論、それはおおいに役に立って欲しいのですが、
近年はビジネスパーソンにおいて、
通勤中の電車の中で聴かれている割合が結構多いのです。

また書籍を購入しても読み切れなかった方が、
オーディオブックで再挑戦してみるようなケースもあります。
通勤時間が一定ある場合は、オーディオブックは強い味方といえます。

そして、お風呂に時間をかけて入るタイプの人は
湯船につかってリラックスしているときに
じっくりオーディオブックを聞くという選択肢もあります。

オーディオブック『内臓脂肪がストンと落ちる食事術』
様々な方に、様々な場面で臨機応変に活用して頂ければ大変嬉しいです。



2019/6/21(金)の金スマで放映された『最強のやせる食事術』において
「内臓脂肪がストン!と落ちる食事術」(ダイヤモンド社、2019)
https://www.amazon.co.jp/dp/4478106487/


book.jpg

をしっかり紹介して頂きました。

出演者の杉田かおるさんが、2週間で4kg減量に成功。
66.1⇒62.1kg
体脂肪率⇒38.3⇒36.5%
内臓脂肪137⇒110㎠。
内蔵脂肪が27㎠ 低下⇒2週間で約2割内臓脂肪が減っていました。

出演者のみやぞんの相方の、あらぽん(芸人さん)さんは、
1週間で5kg減量に成功。

1週間で122.2⇒117.3kg
体脂肪率38.8⇒37.1%
内臓脂肪239⇒181㎠。
58㎠ 低下⇒ 1週間で、24%内臓脂肪が減っていました。

内臓脂肪はおもに腸間膜に蓄積される脂肪です。
内臓脂肪がたまるとお腹がポコッと出てきますが、
その腹囲がメタボリックシンドロームの診断基準の一つになっています。

メタボリックシンドロームでは、
脂質異常症・高血圧・糖尿病があって動脈硬化が進行しますので、
そこに血栓のできやすい状態が加われば、心筋梗塞や脳梗塞の危険が高まります。
内臓脂肪が蓄積すると、このようなこわいリスクが増加するので
間に合う内にキッチリ、何とかせねばなりません。


江部康二
基礎代謝。組織・器官の代謝率。
こんにちは。

人体の基礎代謝の比率に関して、いろんなデータがネット上で出回っています。

例えば
厚生労働省のe-ヘルスネット
加齢とエネルギー代謝https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-02-004.html

では、体重70kgの成人で、
肝臓21%、脳20%、心臓9%、腎臓8%、筋肉22%、その他16%
です。
この数値は、<栄養学総論 改定第3版南江堂>(☆)を参考にしています。 

これらの内外の報告の中で一番信頼できるデータが、

<人における組織・器官の代謝率:成人>
肝臓27%、脳19%、心臓7%、腎臓10%、筋肉18%、その他19% 


<人における組織・器官の代謝率:新生児>
肝臓20%、脳44%、心臓4%、腎臓7%、筋肉5%、その他20%


であり、
「 FAO/WHO/UNU合同特別専門委員会報告」1989、13ページのTABLE 2
に記載されています。
日本語訳はありましたが絶版です。

一般に通説として筋肉が基礎代謝比率は一番多いとか言われていて、
私も深く検証せずにそう思っていたのですが、
肝臓27%、筋肉18%というのは意外でした。
新生児の脳の比率は、すごいですね。

ともあれ、糖質制限食(高脂質・高タンパク食)においては、人体最大の基礎代謝率を占める肝臓が、
糖新生で活性化されるので、
糖質制限食で基礎代謝が増加するという仮説は、なかなか説得力があると自画自賛しています。
糖質セイゲニストにおいては、糖新生が多い分、肝臓の比率は27%より少し多い可能性もあります。

通常は、筋肉量の増加が基礎代謝の増加なのですが、例えば甲状腺機能亢進症でも、
基礎代謝の増加のために体重減少が生じます。

「エネルギー・蛋白質の必要量―FAO/WHO/UNU合同特別専門委員会報告-ヒトにおける基礎代謝率」
は、
医歯薬出版 (1990/03)で単行本になっているのですが、とっくに絶版です。


原著が以下のサイトに載っています。


http://www.fao.org/docrep/MEETING/004/M2845E/M2845E00.HTM
JointFAO/WHO/UNU Expert Consultation on
Energy andProtein Requirements
Rome, 5 to17 October 1981
BASALMETABOLIC RATE IN MAN
by J.V.G.A.Durnin
University of Glasgow
Glasgow Scotland
TABLE 2.MetabolicRates of Organs and Tissues in Man


アマゾン http://www.amazon.co.jp/dp/4263702476
エネルギー・蛋白質の必要量―FAO/WHO/UNU合同特別専門委員会報告 (WHOテクニカル・レポート・シリーズ)
単行本 - 1990/3
FAO/WHO/UNU合同特別専門委員会 (著), 井上五郎 (著)医歯薬出版 (1990/03) ⇒ 絶版です。



 (☆)糸川嘉則ほか 編 栄養学総論 改定第3版 南江堂, 141-164,2006.


江部康二
身体組成について検討してみました。
身体組成(しんたいそせい)
e-ヘルスネット

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-089.html    
【身体組成(しんたいそせい)身体の成分組成のことで、
体脂肪と骨と除脂肪軟組織の三要素に分類される。
体組成とも呼ばれる。
身体は「水分・たんぱく質・脂質・ミネラル」の4つの主要成分で組成され、
「脂肪・骨・除脂肪軟組織」の3要素に分類できます。
これらのバランスが崩れていると
肥満・浮腫・栄養失調・骨粗鬆症などの生活習慣病や
慢性疾患症状が現れてくる可能性があります。
近年では脂肪・骨・除脂肪軟組織などの構成比を
手軽に測定出来る「体組成計」と呼ばれる機械が市販されており、
これらの中には体重や体脂肪だけでなく
基礎代謝や内臓脂肪・筋肉量なども測定出来るものや
各部位毎に測定出来るものなど、
目的に応じて色々なレベルの機種があります。
身体組成を継続的に測定することにより、
より効果的な健康管理ができます。
また様々なエクササイズの成果を数値化し管理することも可能になります。】



こんにちは。
今回は身体組成について、検討してみました。

厚生労働省のe-ヘルスネットによれば、
身体は「水分・たんぱく質・脂質・ミネラル」の4つの主要成分で組成され、
「脂肪・骨・除脂肪軟組織」の3要素に分類できます。

このように、e-ヘルスネッの記載においては、
身体組成の成分には糖質が含まれていません。
実際には、身体組成の成分としての糖質は、1%以下と思われます。
具体的には体重が60kgの男性で、固形成分として、
肝臓のグリコーゲン(約100g)、筋肉のグリコーゲン(約300g)がありますが、
体組成の成分としては、微々たるものですね。
なお、液体成分中のブドウ糖は、
細胞内液のブドウ糖(約40g)と細胞外液のブドウ糖(約20g)があります。

女子栄養大の教科書(パワーポイントスライド)をみても、
糖質は体組成の成分としては無視してあります。

女子栄養大学
解剖・栄養生理学
序論
~解剖・生理学とは~
香川雅春
教科書:第1、3&4章
男性 水分:55~65% 脂肪:15~20% ミネラル:5.8~6.0% タンパク質:16~18%
女性 水分:55~65% 脂肪:20~30% ミネラル:5.5~6.0% タンパク質:14~16%

このように、人体の構成成分を検討してみると、
糖質はほとんど関与していないことが明らかです。
これなら、必須脂肪酸、必須アミノ酸、ビタミン、ミネラル、食物繊維
食材から摂取することが必要ですが、必須糖質はないというのも納得がいきます。
実際、理論的には必須糖質はゼロです。
国際食事エネルギーコンサルテーショングループの報告でも、
「炭水化物(この場合は糖質とほぼ同義)の理論的な最小必要量はゼロである」(☆)
と明記されています。


次に体組成の中でも、脳の組成を検討してみます。
脳は乾燥重量の約6割弱が脂質、約4割弱が蛋白質、数%がミネラルであり、
体組成に対して、脂質の割合がとても多いです。
神経細胞やグリア細胞の細胞膜成分の割合が大きいので、
結果としてコレステロールやリン脂質が多くなるのです。
リン脂質を構成する脂肪酸の中でも、
脳にはドコサヘキサエン酸(DHA)やアラキドン酸などの多価不飽和脂肪酸(PUFA)が
多く含まれています。

そのため、これらの PUFAs は適切な脳形成に必須の栄養素であると考えられています。

アラキドン酸が多く含まれる食材はまずは「母乳」です。
乳幼児の脳の発達に必須な成分がDHAやアラキドン酸ですが、
さすが母乳ですね。母乳にはDHAも含まれています。
アラキドン酸が多い食材はレバーや肉類、魚類、卵です。
魚には、DHAも多いです。

糖質制限食なら、肉類、魚類、卵をしっかり摂取するので、
乳幼児の脳の発達のためにも、質の良い母乳のためにも好ましい
ですね。


(☆)https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10365996
Eur J Clin Nutr. 1999 Apr;53 Suppl 1:S177-8.
Report of the IDECG Working Group on lower and upper limits
of carbohydrate and fat intake. International Dietary Energy
Consultative Group.
Bier DM, Brosnan JT, Flatt JP, Hanson RW, Heird W, Hellerste
in MK, Jequier E, Kalhan S, Koletzko B, Macdonald I, Owen O,
Uauy R.


江部康二