2019年12月31日 (火)
こんにちは .
2019年もブログ読者の皆さんには、
コメントや質問など、たくさんの応援をいただきありがとうございました。
引き続き来年もよろしくお願い申し上げます。
2019年は、何と言っても、
米国糖尿病学会がコンセンサス・レポートにおいて
「糖質制限食が最もエビデンスが豊富」と明言したことが
一番のニュースでした。
糖質制限食を長年推進してきた私としては、
最高に嬉しいニュースでした。
2019年も恒例となった糖質制限食10大ニュースを、
本ブログ記事のなかから、選んでみました。
それでは、良いお年をお迎えください。 m(_ _)m
①
ADA「成人糖尿病患者または予備軍患者への栄養療法」 コンセンサス・レポート発表。
2019年04月28日 (日)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4884.html
今回、ADAの、2019年4月発表の
「成人糖尿病患者または予備軍患者への栄養療法」コンセンサス・レポートで、
糖質制限食(Low-carbohydrate eating patterns)が、
ボリュームとして一番大きく取り上げられていて、
エビデンスも最も豊富であると明言してあります。
2013年10月の「食事療法に関する声明」において、
糖質制限食が初めて容認されましたが、
この6年間で、大きく前進した感があります。
②
マレーシアのマハティール首相は現役で糖質セイゲニスト。
2019年10月23日 (水)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5045.html
駐在君から素敵な情報をコメント頂きました。
ありがとうございます。
駐在君は、現在は引退され、シンガポールをベースに悠々自適の生活を送っておられます。
その近隣のマレーシアのマハティール首相は、94歳で現役であり、
とてもお元気で、大変若く見えます。
マハティール首相、なんと糖質セイゲンストであり、ドクターでもあり、
確かに故日野原重明先生と共通項が多いですね。
③
糖尿病治療の目標と治療の優先順位。2019年5月。
2019年05月13日 (月)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4894.html
糖尿病治療の目標は、
『健康な人と変わらない日常生活の質(QOL)の維持、
健康な人と変わらない寿命の確保。
血糖、体重、血圧、血清脂質の良好なコントロール状態の維持。
糖尿病細小血管合併症(網膜症、腎症、神経障害)および
動脈硬化性疾患(冠動脈疾患、脳血管障害、末梢動脈疾患)の発症、進展の阻止。』
日本糖尿病学会 糖尿病治療ガイド2018-2019 (文光堂)
ということとなります。
端的に言えば、糖尿病合併症から毎年新たに、16000人以上の人工透析、
3000人以上の失明、3000人以上の足切断に至るという厳しい現実は、
現行の糖尿病治療(カロリー制限高糖質食+薬物療法)が、
失敗している動かぬ証拠と言えます。
糖質制限食実践なら、糖尿病合併症を予防できる可能性が高いのです。
③
第92回日本内分泌学会学術総会のご報告。糖質制限食講演。
2019年05月09日 (木)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4891.html
日本内分泌学会学術総会というメジャーな舞台で
「糖質制限食」を取り上げて頂ける時代になったのだなという感慨があります。
その意味で、座長をつとめて頂いた小野美明先生、佐藤文俊先生には
おおいに感謝したいと思います。m(_ _)mVV
また、合計90分間も時間を頂き、じっくり意見を述べ討論できたのも
素晴らしいことでした。立ち見がでる盛況でした。
④
3年ぶりに「糖尿病診療ガイドライン 2019」刊行。
2019年12月18日 (水)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5100.html
2019年10月17日
日本糖尿病学会が、3年ぶりに「糖尿病診療ガイドライン 2019」を刊行しました。
総エネルギー摂取量を設定する際の体重について、
前回までのガイドラインでは、
body mass index (BMI, kg/m2)が22となる標準体重を用いていました。
JDS2019では標準体重という言葉が目標体重と言い換えられ、
65歳未満ではこれまで通りBMI22、65歳以上ではBMI22~25と幅を持たせています。
これは、良いことと私も思います。
しかしながら、相変わらず糖質制限食への言及はありません。
①血糖に直接影響を与えるのは糖質だけで、蛋白質・脂質は与えない。
②食後高血糖と平均血糖変動幅増大が糖尿病合併症の元凶である。
③糖質を50~60%摂取する日本の糖尿病食では、食後高血糖と平均血糖変動幅を予防することは、理論的に困難である。
ガイドラインには、①②③という極めて重要な生理学的事実やエビデンスの解説が
欠落しているのは残念です。
④
金スマ、最強のやせる食事術。本は全アマゾンで第一位。
2019年06月22日 (土) 内臓脂肪がストン!と落ちる食事術
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4934.html
金スマ、『最強のやせる食事術』のみの放送で、
それ以外のコンテンツはなしであり、
私としては、満足度100%で、嬉しい限りでした。 (^^)
「内臓脂肪がストン!と落ちる食事術」の映像が頻繁にでていました。
おかげさまで、
6/21(金)の時点で、全アマゾンで、何と堂々の第一位にランクされました。
6/22(土)、21時の時点でも、一位をキープですから素晴らしいです。ヾ(゜▽゜)
中居正広さんと何度も京都に足を運んで頂いたディレクターさんに感謝です。
⑤
大坂なおみ選手、全豪オープン優勝、おめでとうございます。
2019年01月28日 (月)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4806.html
大坂なおみ選手、2019年1月26日土()全豪オープン優勝、おめでとうございます。
2018年9月9日(日)全米オープン初優勝に続き、
女子ツアーでは14大会ぶりの四大大会2連勝を果たしました。
グランドスラム初優勝からの2連勝は史上6人目です。
大坂選手の体型からみて、基本は「糖質制限食」を続けていると思われます。
糖質制限食と普通食を比べた場合、
最高強度の運動以外は
全て糖質制限食の方がパフォーマンスが良くて、
筋肉のダメージも少ないという研究報告があります。
大坂なおみ選手、糖質制限食で、またNo.1に復帰して欲しいですね。
⑥
スーパー糖質制限食でアルツハイマー病から生還。ケトン体の威力。
2019年11月25日 (月)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5077.html
らこ さんから、アルツハイマー型認知症が、
スーパー糖質制限食実践1週間しないで完治して、
その後10年以上再発なしという素晴らしい体験をコメント頂きました。
らこさん、ありがとうございます。
スーパー糖質制限食とケトン体の威力、すごいですね。
アルツハイマー型認知症が治ったくらいですから、
当然、スーパー糖質制限食なら、認知症予防が可能と思われます。
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター によれば、
ケトン食により認知機能改善効果があるとのことです。
https://www.ncnp.go.jp/up/1473903063.pdf
⑦
産後うつの原因は糖質過多・鉄不足。宗田哲男先生。
2019年04月24日 (水)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4880.html
産婦人科医の宗田哲男先生から、
糖質制限食推進派にとって、
とても力強いコメントを頂きました。
ありがとうございます。
『産後うつの原因は糖質過多・鉄不足』
という明快なご指摘です。
女性には月経など貧血になりやすい条件がありますし、
若い女性に多くみられるダイエットや偏食なども貧血を助長しています。
貧血まで至らない鉄欠乏状態(隠れ貧血)まで含めると、
月経のある女性の約半数は何らかの鉄欠乏状態にあるともされています。
つまり、妊娠可能な年齢の女性は、しっかり、肉や魚介類を摂取して
貧血や鉄欠乏状態を改善しておくことが、望ましいと言えます。
それには、スーパー糖質制限食が一番適しています。
スーパー糖質制限食なら、適正体重をキープできて、
ヘム鉄が豊富なので、貧血にもなりにくいです。
血流・代謝が良くなるので、妊娠もしやすくなります。
そして、赤ちゃんを授かった時も、糖質制限食なら体重コントロールも容易ですし、
妊娠糖尿病も予防することができるし、母子ともに健康で安全となることが多いです。
⑦
ビタミンCと酸化ストレスと糖質セイゲニスとマサイ族。
2019年09月27日 (金)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5023.html
マサイ族やイヌイットの研究から、
糖質制限食実践者においては、
ビタミンC必要量がかなり少なくて済む可能性が見えてきた、と私は考えています。
我が畏友、糖質セイゲニストの夏井睦先生も
ビタミンCの摂取はほとんどないそうですが、お元気です。
しかしながら、夏井先生は別格として、
我々はマサイ族ではありませんので、現時点では糖質制限食を実践しつつ、
葉野菜、ブロッコリー、ゴーヤーなどから
しっかりビタミンCを摂取することを推奨します。
⑧
糖質制限食に肯定的な信頼度の高いエビデンスあり、
否定派論文にはなし。
2019年11月10日 (日)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5062.html
相変わらず、一部マスコミで糖質制限食批判が散見されます。
そこで決着をつけるべく
糖質制限食に肯定的なエビデンスとなる信頼度の高い論文を取り上げてみました。
エビデンスレベルのもっとも高い
「エビデンスレベル1+」と「エビデンスレベル1」
の論文で、糖質制限食の有効性を示すものを列挙してみました。
集めてみると、多数ありました。
一方、糖質制限食に否定的な、
「エビデンスレベル1+」と「エビデンスレベル1」の論文は皆無です。
この時点で、「糖質制限食是非論争」に
エビデンスレベルで、明白な決着がついたと言えます。
⑨
WHOが初の「認知症予防ガイドライン」を発表。
2019年06月25日 (火)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4937.html
「認知症と認知機能低下のリスクを減らすためのWHOガイドライン」
が発表されました。
新しいガイドラインによると、
『運動の習慣化、禁煙、アルコール摂取の抑制、健康的な食事、
血圧・コレステロール・血糖値のコントロールにより、
認知症の発症リスクを減らすことができる。
身体にとって良いことは脳にとっても良いことが示されている』
とのことです。
残念ながら、「過剰なインスリンがアルツハイマー病の元凶の一つである。」という
大変重要な事実が指摘されていません。
糖質制限食なら、過剰なインスリン分泌がないので、認知症予防に有効です。
⑨
ロカボフェス in 宝塚 のご報告です。
2019年10月15日 (火)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5039.html
ロカボフェス in 宝塚
2019/10/12(土)の台風の影響があり、
遠方の人のキャンセルがありましたが、
10/13(日)当日は250人の参加者があり、満員御礼でした。
中川智子宝塚市長のご挨拶など
私の講演
宗田先生のご講演
講演のあとはライブ
元宝塚劇団悠木京さんの歌
ジャズピアニストの藤森さんの伴奏と、
マリー秋澤さんの父上、秋澤一先生のクラリネット演奏をバックに
私が「Let it be」と「Imajine」を歌いました。
⑩
『糖質制限食十箇条』2019年版
2019年01月30日 (水)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4808.html
最新バージョンの『糖質制限食十箇条』です。結構、毎年進化しています。
糖尿病の人や肥満・メタボリックシンドロームや生活習慣病の人の治療・予防には
スーパー糖質制限食がベストの食事療法です。
そして 『糖質制限食』実践により、
糖尿病の人では「食後高血糖(グルコーススパイク)」「血糖変動幅増大」が予防でき、
血糖コントロール良好となります。
耐糖能正常型の人においても、「グルコースミニスパイク」が予防できるので、
生活習慣病の予防・治療が期待できます。
生活習慣病の根本要因は、
頻回過剰のグルコースミニスパイクとそれに伴う頻回過剰のインスリン追加分泌です。
<学会>
第92回日本内分泌学会学術総会のご報告。糖質制限食講演。
2019年05月09日 (木)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4891.html
日本糖尿病学会年次学術集会 【食事療法関係】報告。しらねのぞるばさん。
2019年05月26日 (日)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4905.html
2019年、第22回 日本病態栄養学会年次学術集会の感想
2019年01月15日 (火)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4794.html
<本>
糖質制限の大百科(洋泉社) 【監修】江部康二 刊行。
2019年06月27日 (木)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4939.html
金スマ、最強のやせる食事術。本は全アマゾンで第一位。
2019年06月22日 (土)
内臓脂肪がストン!と落ちる食事術
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4934.html
電子書籍『糖質量&炭水化物量ポケットガイド』発売開始。
2019年09月01日 (日)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4996.html
血糖値を上げない 肉食で糖質オフ大成功! 本日、発売。
2019年09月25日 (水)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5021.html
<テレビ>
金スマ、最強のやせる食事術。本は全アマゾンで第一位。
2019年06月22日 (土) 内臓脂肪がストン!と落ちる食事術
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4934.html
ビーバップ!ハイヒール、今夜11月14日(木)放映。江部康二出演です。
2019年11月14日 (木)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5066.html
<日本糖質制限医療推進協会主催講演会・セミナー>
2019年3月31(日)『医療従事者対象糖質制限食セミナーin 東京』
2019年6月9日(日)一般向け講演会(徳島)「糖質制限食講演会 in 徳島」
2019年9月22日(日)一般向け講演会(大阪)
2019年9月29日(日)一般向け講演会(東京)
<本年のブログ記事の中で、十傑には入らなかったけれど、
興味深いもの>
糖質制限ミックス粉。京都江部粉。満を持して発売開始。
2019年08月23日 (金)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4989.html
暁現象の解消策。 GLP1アナログ注射1回/週、皮下がお奨め。
2019年09月30日 (月)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-date-201909.html
1型糖尿病患者における糖質制限について。
2019年12月01日 (日)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5083.html
糖質制限食と塩分摂取。
2019年01月27日 (日)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4672.html
海外旅行と糖質制限食
2019年02月21日 (木)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-1768.html
筋トレと糖質制限食。糖質制限でも筋肉増強OK。
2019年03月10日 (日)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4842.html
80歳以上の降圧。140/90未満で死亡リスク上昇。
2019年03月26日 (火)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4857.html
お酒は血糖値を上げるのか、それとも下げるのか。
2019年09月08日 (日)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5004.html
『インターバル速歩』と体力、『一日に8000歩』との比較で優位。
2019年09月10日 (火)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5007.html
『サプリメントに死亡リスク低減効果なし?』毎日新聞医療プレミア
2019年10月11日 (金)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5036.html
江部康二の2019年10月の検査データの報告と解説。
2019年10月29日 (火)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5051.html
動物と糖尿病。犬、猫、鯉、ピューマなど肉食獣と糖尿病。
2019年12月30日 (月)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5111.html
糖質制限食とAGEs 2019年3月。
2019年03月11日 (月)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4843.html
2019年もブログ読者の皆さんには、
コメントや質問など、たくさんの応援をいただきありがとうございました。
引き続き来年もよろしくお願い申し上げます。
2019年は、何と言っても、
米国糖尿病学会がコンセンサス・レポートにおいて
「糖質制限食が最もエビデンスが豊富」と明言したことが
一番のニュースでした。
糖質制限食を長年推進してきた私としては、
最高に嬉しいニュースでした。
2019年も恒例となった糖質制限食10大ニュースを、
本ブログ記事のなかから、選んでみました。
それでは、良いお年をお迎えください。 m(_ _)m
①
ADA「成人糖尿病患者または予備軍患者への栄養療法」 コンセンサス・レポート発表。
2019年04月28日 (日)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4884.html
今回、ADAの、2019年4月発表の
「成人糖尿病患者または予備軍患者への栄養療法」コンセンサス・レポートで、
糖質制限食(Low-carbohydrate eating patterns)が、
ボリュームとして一番大きく取り上げられていて、
エビデンスも最も豊富であると明言してあります。
2013年10月の「食事療法に関する声明」において、
糖質制限食が初めて容認されましたが、
この6年間で、大きく前進した感があります。
②
マレーシアのマハティール首相は現役で糖質セイゲニスト。
2019年10月23日 (水)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5045.html
駐在君から素敵な情報をコメント頂きました。
ありがとうございます。
駐在君は、現在は引退され、シンガポールをベースに悠々自適の生活を送っておられます。
その近隣のマレーシアのマハティール首相は、94歳で現役であり、
とてもお元気で、大変若く見えます。
マハティール首相、なんと糖質セイゲンストであり、ドクターでもあり、
確かに故日野原重明先生と共通項が多いですね。
③
糖尿病治療の目標と治療の優先順位。2019年5月。
2019年05月13日 (月)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4894.html
糖尿病治療の目標は、
『健康な人と変わらない日常生活の質(QOL)の維持、
健康な人と変わらない寿命の確保。
血糖、体重、血圧、血清脂質の良好なコントロール状態の維持。
糖尿病細小血管合併症(網膜症、腎症、神経障害)および
動脈硬化性疾患(冠動脈疾患、脳血管障害、末梢動脈疾患)の発症、進展の阻止。』
日本糖尿病学会 糖尿病治療ガイド2018-2019 (文光堂)
ということとなります。
端的に言えば、糖尿病合併症から毎年新たに、16000人以上の人工透析、
3000人以上の失明、3000人以上の足切断に至るという厳しい現実は、
現行の糖尿病治療(カロリー制限高糖質食+薬物療法)が、
失敗している動かぬ証拠と言えます。
糖質制限食実践なら、糖尿病合併症を予防できる可能性が高いのです。
③
第92回日本内分泌学会学術総会のご報告。糖質制限食講演。
2019年05月09日 (木)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4891.html
日本内分泌学会学術総会というメジャーな舞台で
「糖質制限食」を取り上げて頂ける時代になったのだなという感慨があります。
その意味で、座長をつとめて頂いた小野美明先生、佐藤文俊先生には
おおいに感謝したいと思います。m(_ _)mVV
また、合計90分間も時間を頂き、じっくり意見を述べ討論できたのも
素晴らしいことでした。立ち見がでる盛況でした。
④
3年ぶりに「糖尿病診療ガイドライン 2019」刊行。
2019年12月18日 (水)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5100.html
2019年10月17日
日本糖尿病学会が、3年ぶりに「糖尿病診療ガイドライン 2019」を刊行しました。
総エネルギー摂取量を設定する際の体重について、
前回までのガイドラインでは、
body mass index (BMI, kg/m2)が22となる標準体重を用いていました。
JDS2019では標準体重という言葉が目標体重と言い換えられ、
65歳未満ではこれまで通りBMI22、65歳以上ではBMI22~25と幅を持たせています。
これは、良いことと私も思います。
しかしながら、相変わらず糖質制限食への言及はありません。
①血糖に直接影響を与えるのは糖質だけで、蛋白質・脂質は与えない。
②食後高血糖と平均血糖変動幅増大が糖尿病合併症の元凶である。
③糖質を50~60%摂取する日本の糖尿病食では、食後高血糖と平均血糖変動幅を予防することは、理論的に困難である。
ガイドラインには、①②③という極めて重要な生理学的事実やエビデンスの解説が
欠落しているのは残念です。
④
金スマ、最強のやせる食事術。本は全アマゾンで第一位。
2019年06月22日 (土) 内臓脂肪がストン!と落ちる食事術
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4934.html
金スマ、『最強のやせる食事術』のみの放送で、
それ以外のコンテンツはなしであり、
私としては、満足度100%で、嬉しい限りでした。 (^^)
「内臓脂肪がストン!と落ちる食事術」の映像が頻繁にでていました。
おかげさまで、
6/21(金)の時点で、全アマゾンで、何と堂々の第一位にランクされました。
6/22(土)、21時の時点でも、一位をキープですから素晴らしいです。ヾ(゜▽゜)
中居正広さんと何度も京都に足を運んで頂いたディレクターさんに感謝です。
⑤
大坂なおみ選手、全豪オープン優勝、おめでとうございます。
2019年01月28日 (月)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4806.html
大坂なおみ選手、2019年1月26日土()全豪オープン優勝、おめでとうございます。
2018年9月9日(日)全米オープン初優勝に続き、
女子ツアーでは14大会ぶりの四大大会2連勝を果たしました。
グランドスラム初優勝からの2連勝は史上6人目です。
大坂選手の体型からみて、基本は「糖質制限食」を続けていると思われます。
糖質制限食と普通食を比べた場合、
最高強度の運動以外は
全て糖質制限食の方がパフォーマンスが良くて、
筋肉のダメージも少ないという研究報告があります。
大坂なおみ選手、糖質制限食で、またNo.1に復帰して欲しいですね。
⑥
スーパー糖質制限食でアルツハイマー病から生還。ケトン体の威力。
2019年11月25日 (月)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5077.html
らこ さんから、アルツハイマー型認知症が、
スーパー糖質制限食実践1週間しないで完治して、
その後10年以上再発なしという素晴らしい体験をコメント頂きました。
らこさん、ありがとうございます。
スーパー糖質制限食とケトン体の威力、すごいですね。
アルツハイマー型認知症が治ったくらいですから、
当然、スーパー糖質制限食なら、認知症予防が可能と思われます。
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター によれば、
ケトン食により認知機能改善効果があるとのことです。
https://www.ncnp.go.jp/up/1473903063.pdf
⑦
産後うつの原因は糖質過多・鉄不足。宗田哲男先生。
2019年04月24日 (水)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4880.html
産婦人科医の宗田哲男先生から、
糖質制限食推進派にとって、
とても力強いコメントを頂きました。
ありがとうございます。
『産後うつの原因は糖質過多・鉄不足』
という明快なご指摘です。
女性には月経など貧血になりやすい条件がありますし、
若い女性に多くみられるダイエットや偏食なども貧血を助長しています。
貧血まで至らない鉄欠乏状態(隠れ貧血)まで含めると、
月経のある女性の約半数は何らかの鉄欠乏状態にあるともされています。
つまり、妊娠可能な年齢の女性は、しっかり、肉や魚介類を摂取して
貧血や鉄欠乏状態を改善しておくことが、望ましいと言えます。
それには、スーパー糖質制限食が一番適しています。
スーパー糖質制限食なら、適正体重をキープできて、
ヘム鉄が豊富なので、貧血にもなりにくいです。
血流・代謝が良くなるので、妊娠もしやすくなります。
そして、赤ちゃんを授かった時も、糖質制限食なら体重コントロールも容易ですし、
妊娠糖尿病も予防することができるし、母子ともに健康で安全となることが多いです。
⑦
ビタミンCと酸化ストレスと糖質セイゲニスとマサイ族。
2019年09月27日 (金)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5023.html
マサイ族やイヌイットの研究から、
糖質制限食実践者においては、
ビタミンC必要量がかなり少なくて済む可能性が見えてきた、と私は考えています。
我が畏友、糖質セイゲニストの夏井睦先生も
ビタミンCの摂取はほとんどないそうですが、お元気です。
しかしながら、夏井先生は別格として、
我々はマサイ族ではありませんので、現時点では糖質制限食を実践しつつ、
葉野菜、ブロッコリー、ゴーヤーなどから
しっかりビタミンCを摂取することを推奨します。
⑧
糖質制限食に肯定的な信頼度の高いエビデンスあり、
否定派論文にはなし。
2019年11月10日 (日)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5062.html
相変わらず、一部マスコミで糖質制限食批判が散見されます。
そこで決着をつけるべく
糖質制限食に肯定的なエビデンスとなる信頼度の高い論文を取り上げてみました。
エビデンスレベルのもっとも高い
「エビデンスレベル1+」と「エビデンスレベル1」
の論文で、糖質制限食の有効性を示すものを列挙してみました。
集めてみると、多数ありました。
一方、糖質制限食に否定的な、
「エビデンスレベル1+」と「エビデンスレベル1」の論文は皆無です。
この時点で、「糖質制限食是非論争」に
エビデンスレベルで、明白な決着がついたと言えます。
⑨
WHOが初の「認知症予防ガイドライン」を発表。
2019年06月25日 (火)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4937.html
「認知症と認知機能低下のリスクを減らすためのWHOガイドライン」
が発表されました。
新しいガイドラインによると、
『運動の習慣化、禁煙、アルコール摂取の抑制、健康的な食事、
血圧・コレステロール・血糖値のコントロールにより、
認知症の発症リスクを減らすことができる。
身体にとって良いことは脳にとっても良いことが示されている』
とのことです。
残念ながら、「過剰なインスリンがアルツハイマー病の元凶の一つである。」という
大変重要な事実が指摘されていません。
糖質制限食なら、過剰なインスリン分泌がないので、認知症予防に有効です。
⑨
ロカボフェス in 宝塚 のご報告です。
2019年10月15日 (火)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5039.html
ロカボフェス in 宝塚
2019/10/12(土)の台風の影響があり、
遠方の人のキャンセルがありましたが、
10/13(日)当日は250人の参加者があり、満員御礼でした。
中川智子宝塚市長のご挨拶など
私の講演
宗田先生のご講演
講演のあとはライブ
元宝塚劇団悠木京さんの歌
ジャズピアニストの藤森さんの伴奏と、
マリー秋澤さんの父上、秋澤一先生のクラリネット演奏をバックに
私が「Let it be」と「Imajine」を歌いました。
⑩
『糖質制限食十箇条』2019年版
2019年01月30日 (水)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4808.html
最新バージョンの『糖質制限食十箇条』です。結構、毎年進化しています。
糖尿病の人や肥満・メタボリックシンドロームや生活習慣病の人の治療・予防には
スーパー糖質制限食がベストの食事療法です。
そして 『糖質制限食』実践により、
糖尿病の人では「食後高血糖(グルコーススパイク)」「血糖変動幅増大」が予防でき、
血糖コントロール良好となります。
耐糖能正常型の人においても、「グルコースミニスパイク」が予防できるので、
生活習慣病の予防・治療が期待できます。
生活習慣病の根本要因は、
頻回過剰のグルコースミニスパイクとそれに伴う頻回過剰のインスリン追加分泌です。
<学会>
第92回日本内分泌学会学術総会のご報告。糖質制限食講演。
2019年05月09日 (木)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4891.html
日本糖尿病学会年次学術集会 【食事療法関係】報告。しらねのぞるばさん。
2019年05月26日 (日)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4905.html
2019年、第22回 日本病態栄養学会年次学術集会の感想
2019年01月15日 (火)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4794.html
<本>
糖質制限の大百科(洋泉社) 【監修】江部康二 刊行。
2019年06月27日 (木)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4939.html
金スマ、最強のやせる食事術。本は全アマゾンで第一位。
2019年06月22日 (土)
内臓脂肪がストン!と落ちる食事術
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4934.html
電子書籍『糖質量&炭水化物量ポケットガイド』発売開始。
2019年09月01日 (日)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4996.html
血糖値を上げない 肉食で糖質オフ大成功! 本日、発売。
2019年09月25日 (水)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5021.html
<テレビ>
金スマ、最強のやせる食事術。本は全アマゾンで第一位。
2019年06月22日 (土) 内臓脂肪がストン!と落ちる食事術
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4934.html
ビーバップ!ハイヒール、今夜11月14日(木)放映。江部康二出演です。
2019年11月14日 (木)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5066.html
<日本糖質制限医療推進協会主催講演会・セミナー>
2019年3月31(日)『医療従事者対象糖質制限食セミナーin 東京』
2019年6月9日(日)一般向け講演会(徳島)「糖質制限食講演会 in 徳島」
2019年9月22日(日)一般向け講演会(大阪)
2019年9月29日(日)一般向け講演会(東京)
<本年のブログ記事の中で、十傑には入らなかったけれど、
興味深いもの>
糖質制限ミックス粉。京都江部粉。満を持して発売開始。
2019年08月23日 (金)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4989.html
暁現象の解消策。 GLP1アナログ注射1回/週、皮下がお奨め。
2019年09月30日 (月)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-date-201909.html
1型糖尿病患者における糖質制限について。
2019年12月01日 (日)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5083.html
糖質制限食と塩分摂取。
2019年01月27日 (日)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4672.html
海外旅行と糖質制限食
2019年02月21日 (木)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-1768.html
筋トレと糖質制限食。糖質制限でも筋肉増強OK。
2019年03月10日 (日)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4842.html
80歳以上の降圧。140/90未満で死亡リスク上昇。
2019年03月26日 (火)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4857.html
お酒は血糖値を上げるのか、それとも下げるのか。
2019年09月08日 (日)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5004.html
『インターバル速歩』と体力、『一日に8000歩』との比較で優位。
2019年09月10日 (火)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5007.html
『サプリメントに死亡リスク低減効果なし?』毎日新聞医療プレミア
2019年10月11日 (金)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5036.html
江部康二の2019年10月の検査データの報告と解説。
2019年10月29日 (火)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5051.html
動物と糖尿病。犬、猫、鯉、ピューマなど肉食獣と糖尿病。
2019年12月30日 (月)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5111.html
糖質制限食とAGEs 2019年3月。
2019年03月11日 (月)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4843.html
2019年12月30日 (月)
【19/12/30 じょん
肉食獣の糖尿病
江部先生、おはようございます。
都内河北 鈴木さんの記事のピューマが糖尿病を発症したということは衝撃的でした。
ピューマはネコ科なので、肉食獣の中でも、クマとは異なり、
雑食ではなく完全な肉食です。
そんなピューマがなぜ糖尿病になってしまうのでしょうか?
タンパク質から糖を生成する糖新生のシステムに異常を生じたのでしょうか?
人間も今でこそ雑食ですが、肉食獣と考えた方が良いと理解しています。
そして糖質を摂らなければ、糖尿病にはなり得ないと理解していました。
しかし、やはり糖新生のシステムに異常が起これば、
糖尿病になることもあるのでしょうか?
昔のイヌイットは完全な肉食だったと思うのですが、
彼らでも糖尿病が発症することはあったのでしょうか?
糖質を摂らない肉食獣にとって糖新生は非常に重要だと思います。
そこに異常が生じることが糖尿病の原因なのかどうか、
そういうことがあり得るのかどうか、あるいは他の原因があるのでしょうか?
糖質制限を続ける上で気をつける点はあるのでしょうか?】
【毎日新聞https://mainichi.jp/articles/20191228/k00/00m/040/166000c
国内最高齢ピューマの「ピコ」死ぬ 17歳、腎不全で治療 天王寺動物園
死因は調査中。毎日新聞2019年12月28日。
以下は記事の要約です。
国内最高齢だった雌のピューマ「ピコ」が2019/12/28、死亡しました。
2018年夏ごろから慢性的な腎不全の治療を受け、12月には糖尿病と診断されていました。
園によると、ピコは12月6日に突然、歩行時にふらつくようになり、
検査で糖尿病と判明しました。高齢が主な原因とみられるといいます。
園は11日から展示を見合わせて投薬治療をしていたが、ピコは立つのがつらい様子で、徐々に食欲もなくなり、28日朝、飼育員が寝室を訪れると死んでいた。
飼育員によると、ピューマの飼育下の平均年齢は15~20歳とのことです。
園の獣医、高見一利さん(53)は「高齢動物が多くなってきている。人為的な原因で動物が死なないように管理を徹底していきたい」と話しました。】
じょんさん
コメントをありがとうございます。
私も、ピューマが糖尿病になったという記事をみてびっくりしました。
より身近な動物の中では、犬は、1型糖尿病が多く、猫は2型糖尿病が多いようです。
1型糖尿病のほとんどは、自己免疫疾患であり、生活習慣病ではありません。
何らかのウィルス疾患などに罹患して、発熱などの症状が出た時、
体内の免疫細胞の活動が亢進して対処します。
このとき、亢進した免疫細胞活動が、勢い余って、自身の膵臓のβ細胞を
攻撃(免疫の誤作動)して、β細胞を破壊してしまい、1型糖尿病を発症します。
2型糖尿病は、食生活が色濃く関わる生活習慣病です。
人間でもそうですが、猫でも食べ過ぎや運動不足、肥満などが元凶です。
猫は、本来完全肉食動物なので、
「高タンパク質+低炭水化物」食即ち「糖質制限食」が、好ましいのです。
そこに、飼い主が食べているような「高糖質食」を餌として与えてしまうと、
必然的に肥満を生じやがて「2型糖尿病」を発症してしまうわけです。
このように猫の糖尿病は、人間と同じ生活習慣病型の2型糖尿病なので、
飼い主さんが、猫の食性(肉食)をしっかり把握して、
餌として「糖質制限食」を与えていれば、肥満にも2型糖尿病にもなりません。
つまり、飼い猫が糖尿病になったということは、
ほぼ飼い主の責任なので注意が必要ですね。
ピューマ「ピコ」ですが、
2018年夏ごろから慢性的な腎不全の治療を受け、
12月には糖尿病と診断されていたそうです。
これは、普通に考えると、先に糖尿病を発症していて、
糖尿病腎症から腎不全になったという順番と思われます。
ピューマの飼育において、プロの動物園ですから、
餌は完全肉食であったと思われます。
そうすると、あくまでも仮説ですが、
2型糖尿病(生活習慣病)の発症は考えにくいので
1型糖尿病(自己免疫疾患)であった可能性のほうが高いです。
犬や猫を含めて、動物の糖尿病の治療は「インスリン注射+食事療法」が一般的です。
国内最高齢ピューマの「ピコ」も、
「インスリン注射+肉食」で治療していたと思われます。
死因は調査中とのことですが、腎不全の治療は極めて困難なので
腎不全そのもので死亡した可能性が高いと思います。
人間の場合は、腎不全になったら人工透析がありますが、
動物の人工透析は無理です。
「ピコ」の冥福を祈ります。
それから、イヌイットですが、伝統的食生活(生肉や生魚)のころは、
糖尿病は極めてまれでした。心筋梗塞も極めてまれでした。
なお、鯉にも1型糖尿病があります。
正常の鯉の血糖値は50mg/dlを切るほど低く、
糖尿にしても100mg/dl程度だそうです。
高血糖、即、糖尿病ではなく、例えば鶏の血糖は200mg/dlでも、
それが正常であり、糖尿病ではありません。
高血糖が存在して、それによる二次的な障害、
合併症がある場合に糖尿病ということとなります。
本日のブログ記事は、以下のサイトを参考にさせて頂きました。謝謝。
大阪大学 平野賢一(CNT)研究室
医学研究つれづれ草
連載 < インスリン発見物語 >
連載に向けて(その2):人類そして生物の進化と糖尿病の歴史
http://cnt-osaka.com/lab/igaku_mamechisiki/igaku_mame/mame5-2.html
江部康二
肉食獣の糖尿病
江部先生、おはようございます。
都内河北 鈴木さんの記事のピューマが糖尿病を発症したということは衝撃的でした。
ピューマはネコ科なので、肉食獣の中でも、クマとは異なり、
雑食ではなく完全な肉食です。
そんなピューマがなぜ糖尿病になってしまうのでしょうか?
タンパク質から糖を生成する糖新生のシステムに異常を生じたのでしょうか?
人間も今でこそ雑食ですが、肉食獣と考えた方が良いと理解しています。
そして糖質を摂らなければ、糖尿病にはなり得ないと理解していました。
しかし、やはり糖新生のシステムに異常が起これば、
糖尿病になることもあるのでしょうか?
昔のイヌイットは完全な肉食だったと思うのですが、
彼らでも糖尿病が発症することはあったのでしょうか?
糖質を摂らない肉食獣にとって糖新生は非常に重要だと思います。
そこに異常が生じることが糖尿病の原因なのかどうか、
そういうことがあり得るのかどうか、あるいは他の原因があるのでしょうか?
糖質制限を続ける上で気をつける点はあるのでしょうか?】
【毎日新聞https://mainichi.jp/articles/20191228/k00/00m/040/166000c
国内最高齢ピューマの「ピコ」死ぬ 17歳、腎不全で治療 天王寺動物園
死因は調査中。毎日新聞2019年12月28日。
以下は記事の要約です。
国内最高齢だった雌のピューマ「ピコ」が2019/12/28、死亡しました。
2018年夏ごろから慢性的な腎不全の治療を受け、12月には糖尿病と診断されていました。
園によると、ピコは12月6日に突然、歩行時にふらつくようになり、
検査で糖尿病と判明しました。高齢が主な原因とみられるといいます。
園は11日から展示を見合わせて投薬治療をしていたが、ピコは立つのがつらい様子で、徐々に食欲もなくなり、28日朝、飼育員が寝室を訪れると死んでいた。
飼育員によると、ピューマの飼育下の平均年齢は15~20歳とのことです。
園の獣医、高見一利さん(53)は「高齢動物が多くなってきている。人為的な原因で動物が死なないように管理を徹底していきたい」と話しました。】
じょんさん
コメントをありがとうございます。
私も、ピューマが糖尿病になったという記事をみてびっくりしました。
より身近な動物の中では、犬は、1型糖尿病が多く、猫は2型糖尿病が多いようです。
1型糖尿病のほとんどは、自己免疫疾患であり、生活習慣病ではありません。
何らかのウィルス疾患などに罹患して、発熱などの症状が出た時、
体内の免疫細胞の活動が亢進して対処します。
このとき、亢進した免疫細胞活動が、勢い余って、自身の膵臓のβ細胞を
攻撃(免疫の誤作動)して、β細胞を破壊してしまい、1型糖尿病を発症します。
2型糖尿病は、食生活が色濃く関わる生活習慣病です。
人間でもそうですが、猫でも食べ過ぎや運動不足、肥満などが元凶です。
猫は、本来完全肉食動物なので、
「高タンパク質+低炭水化物」食即ち「糖質制限食」が、好ましいのです。
そこに、飼い主が食べているような「高糖質食」を餌として与えてしまうと、
必然的に肥満を生じやがて「2型糖尿病」を発症してしまうわけです。
このように猫の糖尿病は、人間と同じ生活習慣病型の2型糖尿病なので、
飼い主さんが、猫の食性(肉食)をしっかり把握して、
餌として「糖質制限食」を与えていれば、肥満にも2型糖尿病にもなりません。
つまり、飼い猫が糖尿病になったということは、
ほぼ飼い主の責任なので注意が必要ですね。
ピューマ「ピコ」ですが、
2018年夏ごろから慢性的な腎不全の治療を受け、
12月には糖尿病と診断されていたそうです。
これは、普通に考えると、先に糖尿病を発症していて、
糖尿病腎症から腎不全になったという順番と思われます。
ピューマの飼育において、プロの動物園ですから、
餌は完全肉食であったと思われます。
そうすると、あくまでも仮説ですが、
2型糖尿病(生活習慣病)の発症は考えにくいので
1型糖尿病(自己免疫疾患)であった可能性のほうが高いです。
犬や猫を含めて、動物の糖尿病の治療は「インスリン注射+食事療法」が一般的です。
国内最高齢ピューマの「ピコ」も、
「インスリン注射+肉食」で治療していたと思われます。
死因は調査中とのことですが、腎不全の治療は極めて困難なので
腎不全そのもので死亡した可能性が高いと思います。
人間の場合は、腎不全になったら人工透析がありますが、
動物の人工透析は無理です。
「ピコ」の冥福を祈ります。
それから、イヌイットですが、伝統的食生活(生肉や生魚)のころは、
糖尿病は極めてまれでした。心筋梗塞も極めてまれでした。
なお、鯉にも1型糖尿病があります。
正常の鯉の血糖値は50mg/dlを切るほど低く、
糖尿にしても100mg/dl程度だそうです。
高血糖、即、糖尿病ではなく、例えば鶏の血糖は200mg/dlでも、
それが正常であり、糖尿病ではありません。
高血糖が存在して、それによる二次的な障害、
合併症がある場合に糖尿病ということとなります。
本日のブログ記事は、以下のサイトを参考にさせて頂きました。謝謝。
大阪大学 平野賢一(CNT)研究室
医学研究つれづれ草
連載 < インスリン発見物語 >
連載に向けて(その2):人類そして生物の進化と糖尿病の歴史
http://cnt-osaka.com/lab/igaku_mamechisiki/igaku_mame/mame5-2.html
江部康二
2019年12月28日 (土)
こんばんは。

血糖値を上げない 肉食で糖質オフ大成功! 単行本 – 2019/9/25
江部康二(監修) 出版社: KADOKAWA (2019/9/25)
https://www.amazon.co.jp/dp/4048965654
2019年9月25日、刊行です。
第1章
肥満、生活習慣病の原因は
糖質過多&たんぱく質不足だった!
第2章
糖質・脂質・たんぱく質のバランスがカギ
ダイエットできて、健康長寿になる食べ方
第3章
無理なく効果を上げる
糖質をオフする食べ方
第1章と第2章では
わかりやすく糖質制限食の基礎理論を解説しています。
第3章では、朝・昼・夕の糖質制限な献立や
様々な肉を使ったレシピが掲載されています。
ブログ読者の皆さん、肉好きの皆さん、
是非、ご一読頂き、本書を活用していただければ、幸いです。
以下は、本書の『はじめに』です。
☆☆☆
はじめに
私が理事長を務める京都・高雄病院は、糖尿病とその合併症を防ぐために、
日本で初めて、1999年から「糖質制限食」を取り入れた病院です。
当時の日本ではまだ、「糖尿病をまねく肥満の原因は、
脂肪たっぷりの高カロリー食であり、
改善するにはカロリー制限食を実施するしかない」と考えられていましたから、
これはかなり大胆な方向転換でした。
理由は簡単です。
「糖尿病や肥満の原因は脂質や肉類の過剰摂取ではなく、
食後血糖値を上げる糖質(ご飯、パン、麺類などの炭水化物や甘いもの)の
過剰摂取と血糖値を下げるインスリン(肥満ホルモン)の過剰分泌である」
ということが明らかになってきたからです。
この新事実は、
2004年、アメリカ糖尿病学会が患者さんに配るテキストブックに記載されました。
諸悪の根源が糖質の過剰摂取なら、
それまで高雄病院で提供してきた
「玄米魚菜食(玄米と魚介類、野菜をたっぷり食べ、
脂質や肉類は控えるカロリー制限食)」
を続けていたのでは、逆に糖尿病を悪化させる危険性があります。
事実、「玄米魚菜食」では糖尿病は改善しませんでした。
それどころか、34歳から「玄米魚菜食」を実践してきた私も、
糖質の過剰摂取でじわじわと体重が増えて内臓脂肪が溜まり、
52歳で糖尿病を発症してしまったのです。
そこで「糖質制限食」を導入してみると、驚くような成果がでたのです。
患者さんたちは薬に頼ることなく短期間で血糖値が改善し、運
動もしていないのに内臓脂肪が減り、次々に肥満が解消していきました。
糖尿病と高血圧と診断された私も、
糖質制限開始からわずか半年で体重が10kg落ち、内臓脂肪は激減。
糖尿病診断の指標のひとつは6・7%でしたが、
糖質制限開始2カ月で5・7%となり、血圧も正常に戻りました。
さらに驚くのは、52歳から17年間糖質制限を続けてきたことで、
70歳目前の私が、現在も超健康体を維持できていることです。
身長・体重は20代の頃と変わりません。視力、聴力の低下もありません。
歯は全部残っていて、虫歯も歯周病もありません。
毎日7時間睡眠で、夜中に尿意で目が覚めるということもありません。
日常的に飲んでいる薬もなければ、サプリメントも利用していません。
HbA1cもその後17年間は基準値内(5・6〜5・9%)を維持しています。
京都大学医学部の同窓会に出席すると、
同級生から「なんで江部だけ、そんなに元気なんだ!」と驚かれますが、
糖質制限で体内の糖化が防げるため、老化の速度が極めて緩やかになり、
健康で若々しい身体を保てるのだと実感しています。
運動をしなくても短期間でダイエットができ、
糖尿病をはじめ生活習慣病のリスクがなくなり、
アンチエイジングにも効果があることから、
糖質制限はここ数年で急速に注目を集め、
スポーツ選手たちも体調管理に取り入れるほどになりました。
その一方で、自己流の、間違った糖質制限を行い、
病気をまねいている人も少なくないと感じています。
糖質制限を行うなら、たんぱく質+脂質摂取を強化すること。
なかでも肉類をしっかり食べること。
それこそが人類最強の健康長寿食です。
江部康二

血糖値を上げない 肉食で糖質オフ大成功! 単行本 – 2019/9/25
江部康二(監修) 出版社: KADOKAWA (2019/9/25)
https://www.amazon.co.jp/dp/4048965654
2019年9月25日、刊行です。
第1章
肥満、生活習慣病の原因は
糖質過多&たんぱく質不足だった!
第2章
糖質・脂質・たんぱく質のバランスがカギ
ダイエットできて、健康長寿になる食べ方
第3章
無理なく効果を上げる
糖質をオフする食べ方
第1章と第2章では
わかりやすく糖質制限食の基礎理論を解説しています。
第3章では、朝・昼・夕の糖質制限な献立や
様々な肉を使ったレシピが掲載されています。
ブログ読者の皆さん、肉好きの皆さん、
是非、ご一読頂き、本書を活用していただければ、幸いです。
以下は、本書の『はじめに』です。
☆☆☆
はじめに
私が理事長を務める京都・高雄病院は、糖尿病とその合併症を防ぐために、
日本で初めて、1999年から「糖質制限食」を取り入れた病院です。
当時の日本ではまだ、「糖尿病をまねく肥満の原因は、
脂肪たっぷりの高カロリー食であり、
改善するにはカロリー制限食を実施するしかない」と考えられていましたから、
これはかなり大胆な方向転換でした。
理由は簡単です。
「糖尿病や肥満の原因は脂質や肉類の過剰摂取ではなく、
食後血糖値を上げる糖質(ご飯、パン、麺類などの炭水化物や甘いもの)の
過剰摂取と血糖値を下げるインスリン(肥満ホルモン)の過剰分泌である」
ということが明らかになってきたからです。
この新事実は、
2004年、アメリカ糖尿病学会が患者さんに配るテキストブックに記載されました。
諸悪の根源が糖質の過剰摂取なら、
それまで高雄病院で提供してきた
「玄米魚菜食(玄米と魚介類、野菜をたっぷり食べ、
脂質や肉類は控えるカロリー制限食)」
を続けていたのでは、逆に糖尿病を悪化させる危険性があります。
事実、「玄米魚菜食」では糖尿病は改善しませんでした。
それどころか、34歳から「玄米魚菜食」を実践してきた私も、
糖質の過剰摂取でじわじわと体重が増えて内臓脂肪が溜まり、
52歳で糖尿病を発症してしまったのです。
そこで「糖質制限食」を導入してみると、驚くような成果がでたのです。
患者さんたちは薬に頼ることなく短期間で血糖値が改善し、運
動もしていないのに内臓脂肪が減り、次々に肥満が解消していきました。
糖尿病と高血圧と診断された私も、
糖質制限開始からわずか半年で体重が10kg落ち、内臓脂肪は激減。
糖尿病診断の指標のひとつは6・7%でしたが、
糖質制限開始2カ月で5・7%となり、血圧も正常に戻りました。
さらに驚くのは、52歳から17年間糖質制限を続けてきたことで、
70歳目前の私が、現在も超健康体を維持できていることです。
身長・体重は20代の頃と変わりません。視力、聴力の低下もありません。
歯は全部残っていて、虫歯も歯周病もありません。
毎日7時間睡眠で、夜中に尿意で目が覚めるということもありません。
日常的に飲んでいる薬もなければ、サプリメントも利用していません。
HbA1cもその後17年間は基準値内(5・6〜5・9%)を維持しています。
京都大学医学部の同窓会に出席すると、
同級生から「なんで江部だけ、そんなに元気なんだ!」と驚かれますが、
糖質制限で体内の糖化が防げるため、老化の速度が極めて緩やかになり、
健康で若々しい身体を保てるのだと実感しています。
運動をしなくても短期間でダイエットができ、
糖尿病をはじめ生活習慣病のリスクがなくなり、
アンチエイジングにも効果があることから、
糖質制限はここ数年で急速に注目を集め、
スポーツ選手たちも体調管理に取り入れるほどになりました。
その一方で、自己流の、間違った糖質制限を行い、
病気をまねいている人も少なくないと感じています。
糖質制限を行うなら、たんぱく質+脂質摂取を強化すること。
なかでも肉類をしっかり食べること。
それこそが人類最強の健康長寿食です。
江部康二
2019年12月27日 (金)
こんばんは。
近年、日本人の死因の一位はがんです。
誰しも「がん予防」は気になるところです。
以下は
世界がん研究基金「食べもの、栄養、運動とがん予防」2007年報告
日本語のサマリーのPDFですので
参考にして頂けば幸いです。
https://www.wcrf.org/sites/default/files/SER-SUMMARY-%28Japanese%29.pdf
今回は、この世界がん研究基金の報告を
糖質制限食の観点から見直してみました。
世界がん研究基金「食べもの、栄養、運動とがん予防」2007年報告に関して、
いろんな日本語のサイトで要約は載っているのですが、
肥満とがんに関して、内容が微妙に食い違っていて、
どう解釈したものか悩んでましたが
やっと英文の本家のサイトにたどり着きました。
World cancer reserch fund
http://www.wcrf-uk.org/preventing_cancer/recommendations.php
この本家のサイトで、内容を検討してみました。
全部読むのは大変なので必要な確認だけしてみました。
その結果、ウィキペディアの解説が、
よくまとまっているので、以下に引用しました。
【食生活指針
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A3%9F%E7%94%9F%E6%B4%BB%E6%8C%87%E9%87%9D
世界がん研究基金によるがん予防の勧告
1997年に4500以上の研究を研究を元に、「食べもの、栄養とがん予防」 (Food, Nutrition, and the Prevention of Cancer: A Global Perspective) が報告された。
日本では、がん予防14か条、タバコの制限を加えてがん予防15か条として紹介された。
2007年11月1日、世界がん研究基金とアメリカがん研究協会によって7000以上の研究を根拠に「食べもの、栄養、運動とがん予防」が報告されている。
①肥満 ゴール:BMIは21-23の範囲に。 推薦:標準体重の維持、BMI25未満。
②運動 推薦:毎日少なくとも30分の運動。
③体重を増やす飲食物 推薦:高エネルギーの食べものや砂糖入り飲料やフルーツジュース、ファーストフードの摂取を制限する。飲料として水や茶や無糖コーヒーが推奨される。
④植物性食品 ゴール:毎日少なくとも600gの野菜や果物と、少なくとも25グラムの食物繊維を摂取するための精白されていない穀物である全粒穀物と豆を食べる。 推奨:毎日400g以上の野菜や果物と、全粒穀物と豆を食べる。精白された穀物などを制限する。
トランス脂肪酸は心臓病のリスクとなるが、がんへの関与は知られていない。
⑤動物性食品 赤肉(牛・豚・羊)を制限し、加工肉(ハム、ベーコン、サラミ、燻製肉、熟成肉、塩蔵肉)は避ける。赤肉より、鶏肉や魚が推奨される。 ゴール:赤肉は週300g以下に。 推奨:赤肉は週500g以下に。乳製品は議論があるため推奨していない。
⑥アルコール 男性は1日2杯、女性は1日1杯まで。
⑦保存、調理 ゴール:塩分摂取量を1日に5g以下に。 推奨:塩辛い食べものを避ける。
塩分摂取量を1日に6g以下に。カビのある穀物や豆を避ける。
⑧サプリメント ゴール:サプリメントなしで栄養が満たせる。 推奨:がん予防のためにサプリメントに頼らない。
⑨母乳哺育 6か月、母乳哺育をする。これは母親を主に乳がんから、子供を肥満や病気から守る。
⑩がん治療後 がん治療を行ったなら、栄養、体重、運動について専門家の指導を受ける。
***
タバコの煙もがんの主因であると強調している。また、タバコとアルコールは相乗作用で発癌物質となる。】
<世界がん研究基金「食べもの、栄養、運動とがん予防」2007年報告に関する私の個人的な意見、主として糖質制限食の観点から>
①肥満
肥満に関しては、大腸・食道・膵臓・腎臓・子宮内膜(子宮)・乳房のガンになるリスクが高まるとしています。
これら6つのガンに関しては、はっきり肥満がリスクになるということです。
また、胆嚢に関しては、肥満がおそらく発ガンのリスクを高めるとしています。
そして、糖質制限食が肥満改善と予防には、もっとも有効な治療法です。 (^_^)
②運動
は①とも関連してますね。運動はよいことですので私も賛成です。
ただ、漫然と8000歩歩くのでは、効果は限定的と思います。
<インターバル速歩>が、短時間ですみ効果もあり続けやすいと思います。
③体重を増やす飲食物
体重を増やす飲食物は、炭水化物です。
炭水化物を摂取すれば、血糖値が上昇し、
「肥満ホルモン」インスリンが大量に分泌されます。
摂取エネルギーは厚生労働省のいう「推定必要エネルギー」として、
糖質制限食実践が、体重を標準より増やさないためには一番いいです。
④植物性食品
植物性食品では、野菜から食物繊維の摂取を推奨で、賛成です。
しかし、穀物や果物は、血糖値を上昇させ、インスリンを過剰に分泌させるので
発がんリスクとなりますし、AGEsも蓄積させます。
やはり、糖質制限食のほうが、がん予防には良いです。
⑤動物性食品
欧米では、四つ足動物の肉を、一般に赤肉と呼ぶようです。
赤肉(牛・豚・羊)は週500g以下にという目標は、
日本人にはそんなに難しくはないように思いますが、
米国人にはとんでもなく厳しい数値目標ですね。
まあこれは、糖質を普通に食べている人における目標です。
加工肉は、少なめがいいと思いますが、日本人はもともとそんなに食べないですね。
最近は、動物性脂肪の害はないという文献も出てきているので個人的には、
もう少し赤肉を食べてもいいように思います。
また、スーパー糖質制限食実践者なら、「血糖値上昇」「過剰インスリン分泌」という
発がんリスクがほとんどないので、
この面からも赤肉をしっかり食べても大丈夫のように思います。
私自身は、豚肉、牛肉をよく食べます。鶏肉も魚もよく食べます。
「赤肉」:「魚・鶏肉」が1:1くらいです。
⑥アルコール
「男性は1日2杯まで」
これは仰有る通りかもしれませんが、残念ながら私には守れそうもありませんし、
守っていませんね。(-_-;)
⑦保存、調理
塩分6g以下ですか。結構厳しいですね。σ(=_=;)ヾ
しかしながら糖質セイゲニストの場合は、
水分と塩分を体内に溜め込むインスリンの分泌が少ないので
普通の人に比べれば、塩分制限はあまり必要ないです。
⑧サプリメント
「がん予防のためにサプリメントには頼らない」と言い切ってあるのは嬉しいですね。
大賛成です。
サプリメントに、がん予防効果はありあません。
⑨母乳哺育 6か月
こちらも賛成です。
⑩がん治療後
ガン治療後は、やはり「血糖値上昇」「過剰インスリン分泌」という発がんリスクをなくするために、スーパー糖質制限食が望ましいです。
***タバコ
タバコの害は言うまでもないですね。
タバコは確かにがんの主因の一つです。
江部康二
近年、日本人の死因の一位はがんです。
誰しも「がん予防」は気になるところです。
以下は
世界がん研究基金「食べもの、栄養、運動とがん予防」2007年報告
日本語のサマリーのPDFですので
参考にして頂けば幸いです。
https://www.wcrf.org/sites/default/files/SER-SUMMARY-%28Japanese%29.pdf
今回は、この世界がん研究基金の報告を
糖質制限食の観点から見直してみました。
世界がん研究基金「食べもの、栄養、運動とがん予防」2007年報告に関して、
いろんな日本語のサイトで要約は載っているのですが、
肥満とがんに関して、内容が微妙に食い違っていて、
どう解釈したものか悩んでましたが
やっと英文の本家のサイトにたどり着きました。
World cancer reserch fund
http://www.wcrf-uk.org/preventing_cancer/recommendations.php
この本家のサイトで、内容を検討してみました。
全部読むのは大変なので必要な確認だけしてみました。
その結果、ウィキペディアの解説が、
よくまとまっているので、以下に引用しました。
【食生活指針
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A3%9F%E7%94%9F%E6%B4%BB%E6%8C%87%E9%87%9D
世界がん研究基金によるがん予防の勧告
1997年に4500以上の研究を研究を元に、「食べもの、栄養とがん予防」 (Food, Nutrition, and the Prevention of Cancer: A Global Perspective) が報告された。
日本では、がん予防14か条、タバコの制限を加えてがん予防15か条として紹介された。
2007年11月1日、世界がん研究基金とアメリカがん研究協会によって7000以上の研究を根拠に「食べもの、栄養、運動とがん予防」が報告されている。
①肥満 ゴール:BMIは21-23の範囲に。 推薦:標準体重の維持、BMI25未満。
②運動 推薦:毎日少なくとも30分の運動。
③体重を増やす飲食物 推薦:高エネルギーの食べものや砂糖入り飲料やフルーツジュース、ファーストフードの摂取を制限する。飲料として水や茶や無糖コーヒーが推奨される。
④植物性食品 ゴール:毎日少なくとも600gの野菜や果物と、少なくとも25グラムの食物繊維を摂取するための精白されていない穀物である全粒穀物と豆を食べる。 推奨:毎日400g以上の野菜や果物と、全粒穀物と豆を食べる。精白された穀物などを制限する。
トランス脂肪酸は心臓病のリスクとなるが、がんへの関与は知られていない。
⑤動物性食品 赤肉(牛・豚・羊)を制限し、加工肉(ハム、ベーコン、サラミ、燻製肉、熟成肉、塩蔵肉)は避ける。赤肉より、鶏肉や魚が推奨される。 ゴール:赤肉は週300g以下に。 推奨:赤肉は週500g以下に。乳製品は議論があるため推奨していない。
⑥アルコール 男性は1日2杯、女性は1日1杯まで。
⑦保存、調理 ゴール:塩分摂取量を1日に5g以下に。 推奨:塩辛い食べものを避ける。
塩分摂取量を1日に6g以下に。カビのある穀物や豆を避ける。
⑧サプリメント ゴール:サプリメントなしで栄養が満たせる。 推奨:がん予防のためにサプリメントに頼らない。
⑨母乳哺育 6か月、母乳哺育をする。これは母親を主に乳がんから、子供を肥満や病気から守る。
⑩がん治療後 がん治療を行ったなら、栄養、体重、運動について専門家の指導を受ける。
***
タバコの煙もがんの主因であると強調している。また、タバコとアルコールは相乗作用で発癌物質となる。】
<世界がん研究基金「食べもの、栄養、運動とがん予防」2007年報告に関する私の個人的な意見、主として糖質制限食の観点から>
①肥満
肥満に関しては、大腸・食道・膵臓・腎臓・子宮内膜(子宮)・乳房のガンになるリスクが高まるとしています。
これら6つのガンに関しては、はっきり肥満がリスクになるということです。
また、胆嚢に関しては、肥満がおそらく発ガンのリスクを高めるとしています。
そして、糖質制限食が肥満改善と予防には、もっとも有効な治療法です。 (^_^)
②運動
は①とも関連してますね。運動はよいことですので私も賛成です。
ただ、漫然と8000歩歩くのでは、効果は限定的と思います。
<インターバル速歩>が、短時間ですみ効果もあり続けやすいと思います。
③体重を増やす飲食物
体重を増やす飲食物は、炭水化物です。
炭水化物を摂取すれば、血糖値が上昇し、
「肥満ホルモン」インスリンが大量に分泌されます。
摂取エネルギーは厚生労働省のいう「推定必要エネルギー」として、
糖質制限食実践が、体重を標準より増やさないためには一番いいです。
④植物性食品
植物性食品では、野菜から食物繊維の摂取を推奨で、賛成です。
しかし、穀物や果物は、血糖値を上昇させ、インスリンを過剰に分泌させるので
発がんリスクとなりますし、AGEsも蓄積させます。
やはり、糖質制限食のほうが、がん予防には良いです。
⑤動物性食品
欧米では、四つ足動物の肉を、一般に赤肉と呼ぶようです。
赤肉(牛・豚・羊)は週500g以下にという目標は、
日本人にはそんなに難しくはないように思いますが、
米国人にはとんでもなく厳しい数値目標ですね。
まあこれは、糖質を普通に食べている人における目標です。
加工肉は、少なめがいいと思いますが、日本人はもともとそんなに食べないですね。
最近は、動物性脂肪の害はないという文献も出てきているので個人的には、
もう少し赤肉を食べてもいいように思います。
また、スーパー糖質制限食実践者なら、「血糖値上昇」「過剰インスリン分泌」という
発がんリスクがほとんどないので、
この面からも赤肉をしっかり食べても大丈夫のように思います。
私自身は、豚肉、牛肉をよく食べます。鶏肉も魚もよく食べます。
「赤肉」:「魚・鶏肉」が1:1くらいです。
⑥アルコール
「男性は1日2杯まで」
これは仰有る通りかもしれませんが、残念ながら私には守れそうもありませんし、
守っていませんね。(-_-;)
⑦保存、調理
塩分6g以下ですか。結構厳しいですね。σ(=_=;)ヾ
しかしながら糖質セイゲニストの場合は、
水分と塩分を体内に溜め込むインスリンの分泌が少ないので
普通の人に比べれば、塩分制限はあまり必要ないです。
⑧サプリメント
「がん予防のためにサプリメントには頼らない」と言い切ってあるのは嬉しいですね。
大賛成です。
サプリメントに、がん予防効果はありあません。
⑨母乳哺育 6か月
こちらも賛成です。
⑩がん治療後
ガン治療後は、やはり「血糖値上昇」「過剰インスリン分泌」という発がんリスクをなくするために、スーパー糖質制限食が望ましいです。
***タバコ
タバコの害は言うまでもないですね。
タバコは確かにがんの主因の一つです。
江部康二
2019年12月26日 (木)
こんばんは。
2019年、東京にて開催し、
ご好評いただいた医療従事者対象糖質制限食セミナーを
2020年2月9日(日)、大阪にて開催致します。
日本糖質制限医療推進協会主催
医療従事者対象糖質制限食セミナー
in 大阪
開催
第1部
高雄病院の橋本眞由美 管理栄養士による講義で、
高雄病院の糖質制限食と栄養指導について、症例も交えてお話しいたします。
第2部
江部康二による講義で、糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論や
高雄病院での臨床例について解説いたします。
第3部
発表・討議で、5名の医師の方にご発表いただき、
ディスカッションを行います。
なおご参加頂いた皆さんには、
第1部講演・第2部講演のPPTスライドの資料をダウンロードしていただけます。
大阪、神戸、京都、滋賀など関西の医療従事者の皆さん、奮ってご参加くださいね。
江部康二
以下事務局からのお知らせです。
***********
ブログ読者の皆様、いつも弊会のイベントへ多数ご参加
いただきましてありがとうございます。
2020年2月9日(日)、大阪にて医療従事者の方を対象に
糖質制限食セミナーを開催いたします。
第1部は高雄病院の橋本眞由美 管理栄養士による講義で、
高雄病院の糖質制限食と栄養指導について、症例も交えてお話しいたします。
第2部は理事長による講義で、糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論や
高雄病院での臨床例について解説いたします。
第3部は、発表・討議で、5名の医師の方に発表いただき、
ディスカッションを行います。
今年3月に東京で開催したセミナーより、臨床で糖質制限を採り入れておられる
医療従事者の方々に発表いただき、指導法や症例などの共有、意見交換をしていただく
「発表・討議」の時間を新たに設けました。
参加いただいた方から、大変参考になる、刺激になった等ご好評いただき、
2020年のセミナーでも継続する運びとなりました。
医療従事者の皆様のご参加を心よりお待ちしております。
*セミナー情報URL:http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity
*東京では、2020年4月5日(日)のセミナー開催を予定しております。
第3部などの内容は異なります。2020年1月下旬より募集ご案内を開始致します。
//////////////ご案内/////////////////
(一社)日本糖質制限医療推進協会主催
「医療従事者向け糖質制限食セミナー(大阪)」
■日時:2020年2月9日(日)12:20~16:40頃
※開場・受付は12:00~
■会場: 大阪大学中之島センター 講義室406
〒530-0005 大阪市北区中之島4-3-53
http://www.onc.osaka-u.ac.jp/others/map/index.php
■内容:
◇第1部:「糖質制限食による糖尿病指導① ~高雄病院の食事と栄養指導」
講師: 橋本 眞由美 管理栄養士 / (一財)高雄病院 栄養科長
◇第2部:「糖質制限食による糖尿病指導② ~理論と臨床」 13:10頃~
講師: 江部康二 医師
(一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長
◇第3部: 「発表・討議」 15:00頃~
・『職場での「食後血糖測定」「糖質制限ランチ会」』
林田 耕治 医師(産業医)/ トータルヘルス株式会社(福岡) 代表取締役
・『糖質制限と薬理学的糖質制限により治療中の17例についての検討』
影山 広行 医師 /
うずまさ診療所、クリニックこまつ、萱島生野病院(京都、大阪) 内科
・『糖尿病患者よ、糖尿病専門医から逃げろ(そのインスリン、本当に必要ですか?)』
髙橋 裕彦 医師 / たかはし整形外科医院(香川) 院長
・『整形外科的疾患及び内科的疾患に対する、3165例の肥満外来の実践(糖質割合33%)』
中村 巧 医師 / 医)中村整形外科リハビリクリニック(兵庫) 理事長
・『重症活動性潰瘍性大腸炎に対する補助療法としての糖質制限輸液、食による寛解導入、維持の経験』
村上 博史 医師 / 西部総合病院(埼玉) 外科
*第3部は、発表10分・討議7分ずつを予定しております。
■対象:
医療従事者の方(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、理学療法士、鍼灸師など)
■受講費:
・医師・歯科医師の方: 賛助会員 7,200円 / 一般(会員以外) 9,000円
・上記以外の医療従事者の方: 賛助会員 5,200円 / 一般(会員以外) 6,500円
*参加頂いた皆様には、第1部・第2部の映写資料データ(PDF)を後日ダウンロードしていただけます。
■お支払い方法:
クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。
※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。
■お申し込みの流れ:
1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込み下さい。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4. 当日、直接会場までお越し下さい。
■お申し込み方法:
★賛助会員の方:
事務局へメールにて、医療機関でのご職種をご記入の上、お申し込み下さい。
★賛助会員入会をご希望の方:
1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up
2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
「通信」欄に以下をご記入下さい。
① 「2/9東京セミナー、参加希望」 とご記入下さい。
② 医療機関でのご職種をご記入下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact
★一般(会員以外)で、セミナーの受講のみご希望の方:
下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-med
■その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは2月7日(金)までに事務局までご連絡願います。
それ以降のご返金は対応致しかねますので予めご了承下さい。
2019年、東京にて開催し、
ご好評いただいた医療従事者対象糖質制限食セミナーを
2020年2月9日(日)、大阪にて開催致します。
日本糖質制限医療推進協会主催
医療従事者対象糖質制限食セミナー
in 大阪
開催
第1部
高雄病院の橋本眞由美 管理栄養士による講義で、
高雄病院の糖質制限食と栄養指導について、症例も交えてお話しいたします。
第2部
江部康二による講義で、糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論や
高雄病院での臨床例について解説いたします。
第3部
発表・討議で、5名の医師の方にご発表いただき、
ディスカッションを行います。
なおご参加頂いた皆さんには、
第1部講演・第2部講演のPPTスライドの資料をダウンロードしていただけます。
大阪、神戸、京都、滋賀など関西の医療従事者の皆さん、奮ってご参加くださいね。
江部康二
以下事務局からのお知らせです。
***********
ブログ読者の皆様、いつも弊会のイベントへ多数ご参加
いただきましてありがとうございます。
2020年2月9日(日)、大阪にて医療従事者の方を対象に
糖質制限食セミナーを開催いたします。
第1部は高雄病院の橋本眞由美 管理栄養士による講義で、
高雄病院の糖質制限食と栄養指導について、症例も交えてお話しいたします。
第2部は理事長による講義で、糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論や
高雄病院での臨床例について解説いたします。
第3部は、発表・討議で、5名の医師の方に発表いただき、
ディスカッションを行います。
今年3月に東京で開催したセミナーより、臨床で糖質制限を採り入れておられる
医療従事者の方々に発表いただき、指導法や症例などの共有、意見交換をしていただく
「発表・討議」の時間を新たに設けました。
参加いただいた方から、大変参考になる、刺激になった等ご好評いただき、
2020年のセミナーでも継続する運びとなりました。
医療従事者の皆様のご参加を心よりお待ちしております。
*セミナー情報URL:http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity
*東京では、2020年4月5日(日)のセミナー開催を予定しております。
第3部などの内容は異なります。2020年1月下旬より募集ご案内を開始致します。
//////////////ご案内/////////////////
(一社)日本糖質制限医療推進協会主催
「医療従事者向け糖質制限食セミナー(大阪)」
■日時:2020年2月9日(日)12:20~16:40頃
※開場・受付は12:00~
■会場: 大阪大学中之島センター 講義室406
〒530-0005 大阪市北区中之島4-3-53
http://www.onc.osaka-u.ac.jp/others/map/index.php
■内容:
◇第1部:「糖質制限食による糖尿病指導① ~高雄病院の食事と栄養指導」
講師: 橋本 眞由美 管理栄養士 / (一財)高雄病院 栄養科長
◇第2部:「糖質制限食による糖尿病指導② ~理論と臨床」 13:10頃~
講師: 江部康二 医師
(一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長
◇第3部: 「発表・討議」 15:00頃~
・『職場での「食後血糖測定」「糖質制限ランチ会」』
林田 耕治 医師(産業医)/ トータルヘルス株式会社(福岡) 代表取締役
・『糖質制限と薬理学的糖質制限により治療中の17例についての検討』
影山 広行 医師 /
うずまさ診療所、クリニックこまつ、萱島生野病院(京都、大阪) 内科
・『糖尿病患者よ、糖尿病専門医から逃げろ(そのインスリン、本当に必要ですか?)』
髙橋 裕彦 医師 / たかはし整形外科医院(香川) 院長
・『整形外科的疾患及び内科的疾患に対する、3165例の肥満外来の実践(糖質割合33%)』
中村 巧 医師 / 医)中村整形外科リハビリクリニック(兵庫) 理事長
・『重症活動性潰瘍性大腸炎に対する補助療法としての糖質制限輸液、食による寛解導入、維持の経験』
村上 博史 医師 / 西部総合病院(埼玉) 外科
*第3部は、発表10分・討議7分ずつを予定しております。
■対象:
医療従事者の方(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、理学療法士、鍼灸師など)
■受講費:
・医師・歯科医師の方: 賛助会員 7,200円 / 一般(会員以外) 9,000円
・上記以外の医療従事者の方: 賛助会員 5,200円 / 一般(会員以外) 6,500円
*参加頂いた皆様には、第1部・第2部の映写資料データ(PDF)を後日ダウンロードしていただけます。
■お支払い方法:
クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。
※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。
■お申し込みの流れ:
1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込み下さい。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4. 当日、直接会場までお越し下さい。
■お申し込み方法:
★賛助会員の方:
事務局へメールにて、医療機関でのご職種をご記入の上、お申し込み下さい。
★賛助会員入会をご希望の方:
1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up
2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
「通信」欄に以下をご記入下さい。
① 「2/9東京セミナー、参加希望」 とご記入下さい。
② 医療機関でのご職種をご記入下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact
★一般(会員以外)で、セミナーの受講のみご希望の方:
下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-med
■その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは2月7日(金)までに事務局までご連絡願います。
それ以降のご返金は対応致しかねますので予めご了承下さい。
2019年12月25日 (水)
【19/12/25 みゅう
コンセンサス・レポートのどの部分の文章が糖質制限の安全性をかいてるのでしょうか?
最近ユーチューバーで糖質制限が危険という動画が沢山あるので真実を知りたいです。】
こんにちは。
みゅうさんから、糖質制限食の安全制に関して、コメント・質問を頂きました。
これに関しては、
米国糖尿病学会と糖質制限食の歴史を振り返ると
エビデンスも安全性も担保されていることがわかります。
歴史については、文末の緑文字の記載を参考にしてください。
米国糖尿病学会は、当初、糖質制限食を推奨しなかったのが、
1年の期限つきで推奨、
次いで2年の期限つきで推奨です。
もっとも期限つきということは、
当時は、安全性が2年間しか保証されていなかったこととなります。
2013年には、期限なしで糖質制限食を容認です。
この期限なしで容認した時点で、米国糖尿病学会において
安全性もエビデンスも一定担保されたと言えます。
さらに、2019年4月にはコンセンサス・レポートで
糖質制限食がエビデンスが一番豊富と明言しました。
コンセンサス・レポートの
<食事パターン・コンセンサス・リコメンデーション>で、
『血糖値目標を達成していない、
または血糖降下薬の服用量を減らすことが優先される成人2型糖尿病患者では、
低炭水化物または超低炭水化物の食事プランで
炭水化物摂取量を減らすことが現実的です。』
と述べています。
一方、日本糖尿病学会推奨の糖尿病食(カロリー制限高糖質食)には、
有効性を示すエビデンスも安全性を示すエビデンスも存在しません。
日本の糖尿病食にエビデンスがないことは、
日本糖尿病学会も厚生労働省も認めています。
理論的には、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」が、
糖尿病合併症の元凶であることは明らかです。
そして、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じるのは
糖質を摂取したときだけであり、蛋白質・脂質摂取では生じません。
従って、従来の糖尿病食(カロリー制限高糖質食)では、
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を防ぐことは困難であり、
現実に日本の糖尿病合併症は減っていません。
現行の日本の糖尿病治療(カロリー制限高糖質食+薬物療法)で、
毎年新たに16000人以上の透析、3000人以上の足切断、3000人以上の失明が
発生しています。
合併症を防ぐために治療しているのに、全く減っていないのは
現行の糖尿病治療の失敗以外の何ものでもありません。
これに対して、米国ではこの20年間(1990~2010年)で、足切断などの
糖尿病合併症が半減しています。
ところで、
「ジョスリン糖尿病学」は、世界で最も権威のある糖尿病学の教科書です。
2005年に発行された改訂版では、
炭水化物摂取比率40%以下を推奨しています。
つまり、ジョスリン糖尿病センターでは、
ADAより、かなり早くから糖質制限食を推奨していたこととなりますね。
結局、
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じず、
糖尿病合併症を予防できる食事療法は、「糖質制限食」だけなのです。
糖尿人の皆さんは、是非、自分の頭で考えて正しい選択をして
身を守って頂きたいと思います。
<ADAと糖質制限食の歴史>
①2007年まで糖尿病の食事療法において糖質制限食は推奨しないとしていた。
②2008年、「食事療法に関する声明2008」において、「減量が望まれる糖尿病患者には低カロリー食、もしくは低炭水化物食によるダイエットが推奨される」と、1年の期限付きで、糖質制限食の有効性を認める見解を記載。
③2011年、肥満を伴う糖尿病患者に2年間の期限付きで糖質制限食の有効性を容認。
④2013年10月の『成人糖尿病患者の食事療法に関する声明』において、
•全ての糖尿病患者に適した“one-size-fits-all(唯一無二の)”食事パターンは存在しないと明言。
→ patient-centered approach を強調。
•患者ごとに個別に様々な食事パターン〔地中海食,ベジタリアン食,糖質制限食,低脂質食,DASH食〕が受容可能。
•最適な炭水化物、蛋白質、脂質における理想的な比率を示唆するエビデンスはない。
•炭水化物摂取をモニタリングは、依然として血糖管理の改善における重要な戦略である。
2013年に、初めて、ADAは期限などの前提なしで糖質制限食を正式に容認しています。
⑤2019年4月、コンセンサス・レポートにおいて
糖質制限食が最もエビデンスが多いと明言しています。
江部康二
コンセンサス・レポートのどの部分の文章が糖質制限の安全性をかいてるのでしょうか?
最近ユーチューバーで糖質制限が危険という動画が沢山あるので真実を知りたいです。】
こんにちは。
みゅうさんから、糖質制限食の安全制に関して、コメント・質問を頂きました。
これに関しては、
米国糖尿病学会と糖質制限食の歴史を振り返ると
エビデンスも安全性も担保されていることがわかります。
歴史については、文末の緑文字の記載を参考にしてください。
米国糖尿病学会は、当初、糖質制限食を推奨しなかったのが、
1年の期限つきで推奨、
次いで2年の期限つきで推奨です。
もっとも期限つきということは、
当時は、安全性が2年間しか保証されていなかったこととなります。
2013年には、期限なしで糖質制限食を容認です。
この期限なしで容認した時点で、米国糖尿病学会において
安全性もエビデンスも一定担保されたと言えます。
さらに、2019年4月にはコンセンサス・レポートで
糖質制限食がエビデンスが一番豊富と明言しました。
コンセンサス・レポートの
<食事パターン・コンセンサス・リコメンデーション>で、
『血糖値目標を達成していない、
または血糖降下薬の服用量を減らすことが優先される成人2型糖尿病患者では、
低炭水化物または超低炭水化物の食事プランで
炭水化物摂取量を減らすことが現実的です。』
と述べています。
一方、日本糖尿病学会推奨の糖尿病食(カロリー制限高糖質食)には、
有効性を示すエビデンスも安全性を示すエビデンスも存在しません。
日本の糖尿病食にエビデンスがないことは、
日本糖尿病学会も厚生労働省も認めています。
理論的には、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」が、
糖尿病合併症の元凶であることは明らかです。
そして、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じるのは
糖質を摂取したときだけであり、蛋白質・脂質摂取では生じません。
従って、従来の糖尿病食(カロリー制限高糖質食)では、
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を防ぐことは困難であり、
現実に日本の糖尿病合併症は減っていません。
現行の日本の糖尿病治療(カロリー制限高糖質食+薬物療法)で、
毎年新たに16000人以上の透析、3000人以上の足切断、3000人以上の失明が
発生しています。
合併症を防ぐために治療しているのに、全く減っていないのは
現行の糖尿病治療の失敗以外の何ものでもありません。
これに対して、米国ではこの20年間(1990~2010年)で、足切断などの
糖尿病合併症が半減しています。
ところで、
「ジョスリン糖尿病学」は、世界で最も権威のある糖尿病学の教科書です。
2005年に発行された改訂版では、
炭水化物摂取比率40%以下を推奨しています。
つまり、ジョスリン糖尿病センターでは、
ADAより、かなり早くから糖質制限食を推奨していたこととなりますね。
結局、
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じず、
糖尿病合併症を予防できる食事療法は、「糖質制限食」だけなのです。
糖尿人の皆さんは、是非、自分の頭で考えて正しい選択をして
身を守って頂きたいと思います。
<ADAと糖質制限食の歴史>
①2007年まで糖尿病の食事療法において糖質制限食は推奨しないとしていた。
②2008年、「食事療法に関する声明2008」において、「減量が望まれる糖尿病患者には低カロリー食、もしくは低炭水化物食によるダイエットが推奨される」と、1年の期限付きで、糖質制限食の有効性を認める見解を記載。
③2011年、肥満を伴う糖尿病患者に2年間の期限付きで糖質制限食の有効性を容認。
④2013年10月の『成人糖尿病患者の食事療法に関する声明』において、
•全ての糖尿病患者に適した“one-size-fits-all(唯一無二の)”食事パターンは存在しないと明言。
→ patient-centered approach を強調。
•患者ごとに個別に様々な食事パターン〔地中海食,ベジタリアン食,糖質制限食,低脂質食,DASH食〕が受容可能。
•最適な炭水化物、蛋白質、脂質における理想的な比率を示唆するエビデンスはない。
•炭水化物摂取をモニタリングは、依然として血糖管理の改善における重要な戦略である。
2013年に、初めて、ADAは期限などの前提なしで糖質制限食を正式に容認しています。
⑤2019年4月、コンセンサス・レポートにおいて
糖質制限食が最もエビデンスが多いと明言しています。
江部康二
2019年12月24日 (火)
こんばんは。
<大阪 ローカーボ>
でグーグルで検索すると、
<ローカーボキッチン然>http://locabo-kitchen.jp/
がトップに出てきます。
然は、ぜんと読みます。
2019年12月17日、朝日カルチャー中之島の講演会のあと、
ローカーボキッチン然に、総勢9名で行ってきました。
全メニュー糖質7g以下で安心ですが、
牛ステーキとかチキンなどは、糖質はほとんどなしですね。
パスタに若干の糖質が含まれていますが許容範囲です。
大豆チップス
然サラダ
チーズと生ハムの盛り合わせ
チキンステーキ
カルボナーラ
グラスフェッド牛ステーキ
などなど、
美味しく楽しく糖質制限なディナーを堪能しました。
ブラマヨの小杉さんも来店されたそうです。
小杉さん、糖質制限でかなりの減量に成功しておられますね。
ローカーボキッチン然 オンラインショップ
https://www.zen-selection.jp/
糖質制限な様々な食品がネットで購入できます。
http://locabo-kitchen.jp/menu_cat/dessert#p1210
然-zen-バニラアイスクリーム
などデザートメニューがたっぷりです。
アイスクリームで実験してみました。
2019年11月
午後5時52分 血糖値:106mg
然-zen-バニラアイスクリーム 1個摂取
午後6時52分 血糖値:112mg
私の場合1gの糖質が3mg血糖値を上昇させるので
1個あたり2gの糖質見当であり、
表示の3gより少なくて、しっかり合格です。
江部康二
☆☆☆
以下は、お店のサイトの情報です。
ローカーボキッチン然 http://locabo-kitchen.jp/
薬剤師がプロデュースする低糖質食専門店 全メニュー糖質7g以下のこだわりの店
健康であることを諦めず、
糖質の量をコントロールするお手伝いをするために
ローカーボキッチンはスタートしました。
“ローカーボ”とは、ロー(=低い)、カーボハイドレート(=炭水化物)の略で、
炭水化物や糖質を低く抑え、食後の血糖値を上げない食事法のことです。
MEC食、糖質制限やケトジェニックダイエット等とも呼ばれる事もあり、
メディアでも注目されております。
オーナーである薬剤師がプロデュースし、
デザートも含め全メニュー7g以下の糖質を実現。
TV取材も多数ある、いま大注目のお店です。
低糖質ダイエット、ボディメイク、糖質の取れない方々のお手伝いの為に
全てのメニューに糖質量を表記し、一日の糖質摂取量が50g以下に出来るように、
一食あたりの糖質を極限まで減らしながら、
低糖質をまったく感じさせない味作りを行っています。
砂糖はまったく使用せず、根野菜など糖質の多い食材も出来るだけ避け、
自然と糖質を制限できるお店です。
<大阪 ローカーボ>
でグーグルで検索すると、
<ローカーボキッチン然>http://locabo-kitchen.jp/
がトップに出てきます。
然は、ぜんと読みます。
2019年12月17日、朝日カルチャー中之島の講演会のあと、
ローカーボキッチン然に、総勢9名で行ってきました。
全メニュー糖質7g以下で安心ですが、
牛ステーキとかチキンなどは、糖質はほとんどなしですね。
パスタに若干の糖質が含まれていますが許容範囲です。
大豆チップス
然サラダ
チーズと生ハムの盛り合わせ
チキンステーキ
カルボナーラ
グラスフェッド牛ステーキ
などなど、
美味しく楽しく糖質制限なディナーを堪能しました。
ブラマヨの小杉さんも来店されたそうです。
小杉さん、糖質制限でかなりの減量に成功しておられますね。
ローカーボキッチン然 オンラインショップ
https://www.zen-selection.jp/
糖質制限な様々な食品がネットで購入できます。
http://locabo-kitchen.jp/menu_cat/dessert#p1210
然-zen-バニラアイスクリーム
などデザートメニューがたっぷりです。
アイスクリームで実験してみました。
2019年11月
午後5時52分 血糖値:106mg
然-zen-バニラアイスクリーム 1個摂取
午後6時52分 血糖値:112mg
私の場合1gの糖質が3mg血糖値を上昇させるので
1個あたり2gの糖質見当であり、
表示の3gより少なくて、しっかり合格です。
江部康二
☆☆☆
以下は、お店のサイトの情報です。
ローカーボキッチン然 http://locabo-kitchen.jp/
薬剤師がプロデュースする低糖質食専門店 全メニュー糖質7g以下のこだわりの店
健康であることを諦めず、
糖質の量をコントロールするお手伝いをするために
ローカーボキッチンはスタートしました。
“ローカーボ”とは、ロー(=低い)、カーボハイドレート(=炭水化物)の略で、
炭水化物や糖質を低く抑え、食後の血糖値を上げない食事法のことです。
MEC食、糖質制限やケトジェニックダイエット等とも呼ばれる事もあり、
メディアでも注目されております。
オーナーである薬剤師がプロデュースし、
デザートも含め全メニュー7g以下の糖質を実現。
TV取材も多数ある、いま大注目のお店です。
低糖質ダイエット、ボディメイク、糖質の取れない方々のお手伝いの為に
全てのメニューに糖質量を表記し、一日の糖質摂取量が50g以下に出来るように、
一食あたりの糖質を極限まで減らしながら、
低糖質をまったく感じさせない味作りを行っています。
砂糖はまったく使用せず、根野菜など糖質の多い食材も出来るだけ避け、
自然と糖質を制限できるお店です。
2019年12月23日 (月)
こんばんは。
今回はインスリンシリーズの3回目です。
インスリンは、今では『血糖値を下げるホルモン』という認識が一般的です。
しかし、本来のインスリンの役割は『脂肪を蓄えるホルモン』であったと思われます。
このことを証明するために、
農耕前、狩猟・採集時代のインスリンの役割について考察してみます。
細胞がブドウ糖を取り込むためには「糖輸送体」という特別なタンパク質が必要です。
英語の頭文字からGLUT(グルット)と呼ばれ、
現時点でグルット1〜グルット14までが確認されています。
正式にはグルコーストランスポーター(glucose transporter)です。
このうちグルット1は赤血球・脳・網膜などの糖輸送体で、脳細胞や赤血球の表面にあるため、
血流さえあればいつでも血液中からブドウ糖を取り込めます。
これに対して筋肉細胞と脂肪細胞に特化した糖輸送体が「グルット4」で、
ふだんは細胞の内部に沈んでいるのでブドウ糖をほとんど取り込めません。
しかし血糖値が上昇してインスリンが追加分泌されると、
細胞内に沈んでいたグルット4が細胞表面に移動してきて、ブドウ糖を取り込めるようになるのです。
グルット14種の中でインスリンに依存しているのはグルット4だけです。
インスリンとグルット4の役割を、農耕が始まる前の時代までさかのぼって考えてみました。
グルット4は、今でこそ獅子奮迅の大活躍なのですが、
農耕前はほとんど活動することはなかったと考えられます。
すなわち農耕後、日常的に穀物を食べるようになってからは
「食後血糖値の上昇→インスリン追加分泌→グルット4が筋肉細胞・脂肪細胞の表面に移動→
ブドウ糖を細胞内へ取り込む」
というシステムが、
毎日食事のたびに稼働するようになったのです。
しかし、狩猟・採集時代には穀物はなかったので、
たまの糖質摂取でごく軽い血糖値上昇があり、
インスリン少量追加分泌のときだけグルット4の出番があったにすぎません。
これは、運よく果物やナッツ類が採集できた場合のみです。
この頃は、血糖値は慌てて下げなくてはいけないほど上昇しないので、
グルット4の役割は、筋肉細胞で血糖値を下げるというよりは、
脂肪細胞で中性脂肪をつくらせて冬に備えるほうが、
はるかに大きな意味を持っていたと考えられます。
すなわち、農耕前は「インスリン+グルット4」のコンビは、
たまに糖質(野生の果物やナッツ類や根茎類)を摂ったときだけ、
中性脂肪の生産システムとして活躍していたものと考えられます。
すなわち、狩猟・採集時代の「インスリン+グルット4」のシステムは、
もっぱら『飢餓に対するセーフティーネット』として貢献していたと思われます。
また、摂取した糖質由来のブドウ糖は肝臓にも取り込まれ、
インスリンがグリコーゲンとして蓄えますが、
あまった血糖が中性脂肪に変えられて脂肪細胞に蓄えられます。
このように<糖質摂取+インスリン分泌+グルット4>の中性脂肪蓄積システムは、
長い間、人類の生存におおいに貢献してきたのです。
しかし、現代は日常的に1日に3~5回糖質を摂取する時代です。
このため<糖質摂取+インスリン分泌+グルット4>のトリオは、
今や「肥満システム」と化してしまい、
インスリンは肥満ホルモンと呼ばれるようになってしまいました。
江部康二
今回はインスリンシリーズの3回目です。
インスリンは、今では『血糖値を下げるホルモン』という認識が一般的です。
しかし、本来のインスリンの役割は『脂肪を蓄えるホルモン』であったと思われます。
このことを証明するために、
農耕前、狩猟・採集時代のインスリンの役割について考察してみます。
細胞がブドウ糖を取り込むためには「糖輸送体」という特別なタンパク質が必要です。
英語の頭文字からGLUT(グルット)と呼ばれ、
現時点でグルット1〜グルット14までが確認されています。
正式にはグルコーストランスポーター(glucose transporter)です。
このうちグルット1は赤血球・脳・網膜などの糖輸送体で、脳細胞や赤血球の表面にあるため、
血流さえあればいつでも血液中からブドウ糖を取り込めます。
これに対して筋肉細胞と脂肪細胞に特化した糖輸送体が「グルット4」で、
ふだんは細胞の内部に沈んでいるのでブドウ糖をほとんど取り込めません。
しかし血糖値が上昇してインスリンが追加分泌されると、
細胞内に沈んでいたグルット4が細胞表面に移動してきて、ブドウ糖を取り込めるようになるのです。
グルット14種の中でインスリンに依存しているのはグルット4だけです。
インスリンとグルット4の役割を、農耕が始まる前の時代までさかのぼって考えてみました。
グルット4は、今でこそ獅子奮迅の大活躍なのですが、
農耕前はほとんど活動することはなかったと考えられます。
すなわち農耕後、日常的に穀物を食べるようになってからは
「食後血糖値の上昇→インスリン追加分泌→グルット4が筋肉細胞・脂肪細胞の表面に移動→
ブドウ糖を細胞内へ取り込む」
というシステムが、
毎日食事のたびに稼働するようになったのです。
しかし、狩猟・採集時代には穀物はなかったので、
たまの糖質摂取でごく軽い血糖値上昇があり、
インスリン少量追加分泌のときだけグルット4の出番があったにすぎません。
これは、運よく果物やナッツ類が採集できた場合のみです。
この頃は、血糖値は慌てて下げなくてはいけないほど上昇しないので、
グルット4の役割は、筋肉細胞で血糖値を下げるというよりは、
脂肪細胞で中性脂肪をつくらせて冬に備えるほうが、
はるかに大きな意味を持っていたと考えられます。
すなわち、農耕前は「インスリン+グルット4」のコンビは、
たまに糖質(野生の果物やナッツ類や根茎類)を摂ったときだけ、
中性脂肪の生産システムとして活躍していたものと考えられます。
すなわち、狩猟・採集時代の「インスリン+グルット4」のシステムは、
もっぱら『飢餓に対するセーフティーネット』として貢献していたと思われます。
また、摂取した糖質由来のブドウ糖は肝臓にも取り込まれ、
インスリンがグリコーゲンとして蓄えますが、
あまった血糖が中性脂肪に変えられて脂肪細胞に蓄えられます。
このように<糖質摂取+インスリン分泌+グルット4>の中性脂肪蓄積システムは、
長い間、人類の生存におおいに貢献してきたのです。
しかし、現代は日常的に1日に3~5回糖質を摂取する時代です。
このため<糖質摂取+インスリン分泌+グルット4>のトリオは、
今や「肥満システム」と化してしまい、
インスリンは肥満ホルモンと呼ばれるようになってしまいました。
江部康二
2019年12月22日 (日)
こんばんは。
以前、自らが1型糖尿病の医師(糖尿病専門医)の講演会があり、
私も良い勉強になると思い参加しました。
講演会の後にお話する機会があったので、確認したところ、
結構大量のインスリン注射を打っておられました。
私が
「インスリンの単位は少なければ少ないほど身体には優しいと思うのですが、如何でしょう?」
と質問すると、
怪訝な顔をしておられました。
つまり、インスリンの功罪のうち、功のほうは良くご存じなのでしょうが、
罪のほうは、ほとんどご存じないようでした。
また、
ある製薬メーカーさんの社内勉強会で糖尿病と糖質制限食のお話しをしたことがあります。
製薬メーカーの社員で、医師や薬剤師に製品の
「効能、副作用、トピック、研究論文・・・」など
様々な情報を紹介してくれるのが、MRさんです。(*)
皆さん、よく勉強しておられるので私もいろいろ教えて貰うことも多いです。
そんな、MRさん達の社内勉強会ですから、インスリン注射のこともよくご存知です。
ところがインスリンの、「功罪」のうち、「功」のほうは
よくご存知でしたが、「罪」のほうは、ほとんどご存知ないのです。
それで、本日のブログはインスリンの功罪というお題とすることとしました。
まずは、インンスリンがないと、人は死亡します。
基礎分泌のインスリンは生命維持に絶対に必要なのです。
実際、1921年にインスリンが合成されるまでは、
1型糖尿病で内因性インスリンゼロの場合は平均余命は、診断後半年程度でした。
インスリンが開発されて以降、1型糖尿病の寿命は劇的に改善しています。
一方で過剰なインスリンの害にはエビデンスがあります。
たとえ基準値内でも、インスリンの血中濃度が高いほど、
アルツハイマー病、がん、肥満、高血圧、動脈硬化などのリスクとなります。
また、高インスリン血症は活性酸素を発生させ、酸化ストレスを増加させます。
酸化ストレスは、老化・癌・動脈硬化・その他多くの疾患の元凶とされています。
パーキンソン病、狭心症、心筋梗塞、アルツハイマー病なども、
酸化ストレス関与の可能性が高いです。
1)ロッテルダム研究によれば、
インスリン使用中の糖尿人では、
一般の高齢者に比し、アルツハイマー病の相対危険度は4.3倍です。
Rotterdam研究(Neurology1999:53:1937-1942)
「高齢者糖尿病における、脳血管性痴呆(VD)の相対危険度は2.0倍。
アルツハイマー型痴呆(AD)の相対危険度は1.9倍。
インスリン使用者の相対危険度は4.3倍」
2)インスリン注射をしている糖尿人は、
メトグルコで治療している糖尿人に比べて
ガンのリスクが1.9倍というカナダの研究もあります。
2005年の第65回米国糖尿病学会、
カナダのSamantha博士等が、10309名の糖尿病患者の研究成果を報告、
その後論文化。コホート研究。
「メトフォルミン(インスリン分泌を促進させない薬)を使用しているグループに比べて、インスリンを注射しているグループは、癌死亡率が1.9倍高まる。SU剤(インスリン分泌促進剤)を内服しているグループは癌死亡率が1.3倍高まる。」
Diabetes Care February 2006 vol. 29 no. 2 254-258
3)Cペプタイド値が高い男性は、低い男性に比べ最大で3倍程度、大腸癌になりやすい。
国立がん研究センター、「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果。
57%が空腹時、他は非空腹時で共に大腸癌群は高値。厚生労働省研究班が2007年、疫学調査結果を発表し英文論文化。
研究班は、全国9地域で40-69歳の男女約4万人を、1990年から2003年まで追跡。
Int J Cancer. 2007 May 1;120(9):2007-12.
このように過剰インスリンの弊害を見てみると、
インスリンは血糖コントロールができている限り少なければ少ないほど、
身体には好ましいことがわかります。
別の言い方をすれば、農耕開始後、精製炭水化物開始後、
特に第二次大戦後に世界の食糧事情が良くなってからの糖質の頻回・過剰摂取が、
インスリンの頻回・過剰分泌を招き、
様々な生活習慣病の元凶となった構造が見えてきます。
スーパー糖質制限食を実践すれば、
インスリンの分泌は必要最小限で済むようになり、
様々な生活習慣病の予防が期待できます。
ブログ読者の皆さんも、スーパー糖質制限食実践で、
必要最低限のインスリンで血糖コントロールを維持して、
健康ライフを送ってくださいね。
(*)
【MR】[medical representative]医薬情報担当者。
薬についての知識や情報を医師や薬剤師に提供する製薬メーカーの営業担当者。
江部康二
以前、自らが1型糖尿病の医師(糖尿病専門医)の講演会があり、
私も良い勉強になると思い参加しました。
講演会の後にお話する機会があったので、確認したところ、
結構大量のインスリン注射を打っておられました。
私が
「インスリンの単位は少なければ少ないほど身体には優しいと思うのですが、如何でしょう?」
と質問すると、
怪訝な顔をしておられました。
つまり、インスリンの功罪のうち、功のほうは良くご存じなのでしょうが、
罪のほうは、ほとんどご存じないようでした。
また、
ある製薬メーカーさんの社内勉強会で糖尿病と糖質制限食のお話しをしたことがあります。
製薬メーカーの社員で、医師や薬剤師に製品の
「効能、副作用、トピック、研究論文・・・」など
様々な情報を紹介してくれるのが、MRさんです。(*)
皆さん、よく勉強しておられるので私もいろいろ教えて貰うことも多いです。
そんな、MRさん達の社内勉強会ですから、インスリン注射のこともよくご存知です。
ところがインスリンの、「功罪」のうち、「功」のほうは
よくご存知でしたが、「罪」のほうは、ほとんどご存知ないのです。
それで、本日のブログはインスリンの功罪というお題とすることとしました。
まずは、インンスリンがないと、人は死亡します。
基礎分泌のインスリンは生命維持に絶対に必要なのです。
実際、1921年にインスリンが合成されるまでは、
1型糖尿病で内因性インスリンゼロの場合は平均余命は、診断後半年程度でした。
インスリンが開発されて以降、1型糖尿病の寿命は劇的に改善しています。
一方で過剰なインスリンの害にはエビデンスがあります。
たとえ基準値内でも、インスリンの血中濃度が高いほど、
アルツハイマー病、がん、肥満、高血圧、動脈硬化などのリスクとなります。
また、高インスリン血症は活性酸素を発生させ、酸化ストレスを増加させます。
酸化ストレスは、老化・癌・動脈硬化・その他多くの疾患の元凶とされています。
パーキンソン病、狭心症、心筋梗塞、アルツハイマー病なども、
酸化ストレス関与の可能性が高いです。
1)ロッテルダム研究によれば、
インスリン使用中の糖尿人では、
一般の高齢者に比し、アルツハイマー病の相対危険度は4.3倍です。
Rotterdam研究(Neurology1999:53:1937-1942)
「高齢者糖尿病における、脳血管性痴呆(VD)の相対危険度は2.0倍。
アルツハイマー型痴呆(AD)の相対危険度は1.9倍。
インスリン使用者の相対危険度は4.3倍」
2)インスリン注射をしている糖尿人は、
メトグルコで治療している糖尿人に比べて
ガンのリスクが1.9倍というカナダの研究もあります。
2005年の第65回米国糖尿病学会、
カナダのSamantha博士等が、10309名の糖尿病患者の研究成果を報告、
その後論文化。コホート研究。
「メトフォルミン(インスリン分泌を促進させない薬)を使用しているグループに比べて、インスリンを注射しているグループは、癌死亡率が1.9倍高まる。SU剤(インスリン分泌促進剤)を内服しているグループは癌死亡率が1.3倍高まる。」
Diabetes Care February 2006 vol. 29 no. 2 254-258
3)Cペプタイド値が高い男性は、低い男性に比べ最大で3倍程度、大腸癌になりやすい。
国立がん研究センター、「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果。
57%が空腹時、他は非空腹時で共に大腸癌群は高値。厚生労働省研究班が2007年、疫学調査結果を発表し英文論文化。
研究班は、全国9地域で40-69歳の男女約4万人を、1990年から2003年まで追跡。
Int J Cancer. 2007 May 1;120(9):2007-12.
このように過剰インスリンの弊害を見てみると、
インスリンは血糖コントロールができている限り少なければ少ないほど、
身体には好ましいことがわかります。
別の言い方をすれば、農耕開始後、精製炭水化物開始後、
特に第二次大戦後に世界の食糧事情が良くなってからの糖質の頻回・過剰摂取が、
インスリンの頻回・過剰分泌を招き、
様々な生活習慣病の元凶となった構造が見えてきます。
スーパー糖質制限食を実践すれば、
インスリンの分泌は必要最小限で済むようになり、
様々な生活習慣病の予防が期待できます。
ブログ読者の皆さんも、スーパー糖質制限食実践で、
必要最低限のインスリンで血糖コントロールを維持して、
健康ライフを送ってくださいね。
(*)
【MR】[medical representative]医薬情報担当者。
薬についての知識や情報を医師や薬剤師に提供する製薬メーカーの営業担当者。
江部康二
2019年12月21日 (土)
1)
基礎分泌インスリンは、ヒトの生命維持に必要不可欠です。
2)
スーパー糖質制限食でも、食後は基礎分泌の2~3倍レベルのインスリンは追加分泌されますし、追加分泌インスリンも必要不可欠です。
3)
インスリン注射で、1型糖尿病患者の命が助かるようになり、近年、寿命が延びてきました。
4)
しかし、過剰なインスリンは、酸化ストレスとなり、
がん、老化、動脈硬化、糖尿病合併症、アルツハイマー病などのリスクとなります。
こんにちは。
今回はインスリンの役割について考察してみます。
インスリンには、24時間継続して少量出続けている基礎分泌と、
糖質や蛋白質を摂取したときに出る追加分泌の2種類があります。
タンパク質摂取でも少量のインスリンが追加分泌されますが、
脂質摂取では、インスリンは追加分泌されません。
タンパク質摂取時には、グルカゴンも同時に分泌されるので、
健常人や2型糖尿病では、効果が相殺されて、通常は血糖の上昇はありません。
基礎分泌インスリンが存在しているということは、
食物を摂取していないときでも、人体の代謝には、少量のインスリンが必須ということです。
このインスリンの基礎分泌がなくなったら、人体の代謝全体が崩壊していきます。
つまり、基礎分泌インスリンがないと、全身の高度な代謝失調が生じ、生命の危険があります。
実際、1921年のインスリン登場までは、1型糖尿病と診断されたら
平均余命は、半年しかありませんでした。
例えば「運動をしたらインスリン非依存的に血糖値がさがる」といっても、
インスリン基礎分泌が確保されているのが前提のお話です。
もし、基礎インスリンが不足している状態で運動すれば、運動で血糖値はかえって上昇します。
また、肝臓で行っている糖新生も、基礎インスリンが分泌されていなければ制御不能となり、
空腹時血糖値が300mg/dl~400mg/dl、或いはこれ以上にもなります。
また、糖質を食べて血糖値が上昇したとき、追加分泌のインスリンがでなければ、
高血糖が持続します。
高血糖の持続は糖毒といわれ、膵臓のβ細胞を傷害し、インスリン抵抗性を悪化させます。
急激に発症するタイプの1型糖尿病であれば、短期間でインスリン分泌がゼロになるので、
基礎分泌も追加分泌もなくなり血糖値が急上昇して、
随時で250~500mgとか600mg/dl以上1000mgにもなります。
細胞はブドウ糖を利用できないので、脂肪の分解産物のケトン体が急上昇し、
エネルギー源にしますが、酸性血症となり意識障害を生じ、放置すれば死に至ります。
インスリン作用が欠落・不足しているときの血中ケトン体上昇は病態であり、極めて危険です。
上述のインスリン作用欠落による糖尿病ケトアシドーシスは、
インスリン作用が確保されていてケトン食や糖質制限食や断食で
生理的にケトン体が上昇する場合とは、まったく異なる病態です。
さてブドウ糖が、細胞膜を通過するためには、特別な膜輸送タンパク質が必要です。
それが糖輸送体(GLUT)であり、現在GLUT1~GLUT14まで確認されています。
GLUT1は赤血球・脳・網膜などの糖輸送体で常に細胞の表面にあり、
血流さえあれば即血糖を取り込めます。
これに対して筋肉細胞と脂肪細胞に特異的なのがGLUT4で、
基礎分泌のインスリンレベルだと、通常は細胞内部に沈んでいます。
GLUT1~GLUT14の中で、インスリンに依存しているのはGLUT4だけで特殊です。
筋肉細胞と脂肪細胞にあるGLUT-4は、
インスリン追加分泌がないと細胞内に沈んでいるのでブドウ糖を取り込めません。(☆)
インスリンが追加分泌されるとGLUT-4は細胞表面に移動して血糖を取り込むのです。
このようにインスリンは、生命の維持に必須の重要なホルモンであることが確認できました。
また近年、1型糖尿病患者の寿命は延びています。
以下、糖尿病ネットワークから一部抜粋。
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2016/024725.php
1975年に米国で行われた調査では1型糖尿病患者の寿命は、
健康人に比べて27年短いとされていました。
スコットランドのダンディー大学が2万4,691人の1型糖尿病患者を対象に行った調査では、
20代前半の糖尿病患者の予想される平均余命は、
健康な人に比べ男性で11.1年、女性で12.9年短いという結果になりました(2015年1月報告)。
このようにインスリンの使用法や種類が改善されたことで、
1型糖尿病患者の寿命はかなり改善されてきています。
インスリン注射が、おおいに役に立っているわけです。
(☆)
運動をして筋肉が収縮した場合は、インスリンに非依存的に、GLUT-4が、
筋細胞表面にトランスロケーションするので、血糖を取り込むことができます。
☆☆☆インスリンの作用
インスリンは、グリコーゲン合成・タンパク質合成・脂肪合成など、栄養素の同化を促進し、筋肉、脂肪組織、肝臓に取り込む。同化ホルモンである。
T、 Bリンパ球の機能を増強する作用もある。
インスリンが作用するのは、主として、筋肉(骨格筋、心筋)、脂肪組織、肝臓である。
1)糖質代謝
*ブドウ糖の筋肉細胞・脂肪細胞内への取り込みを促進させる。
*グリコーゲン合成を促進させる。
*グリコーゲン分解を抑制する。
*肝臓の糖新生を抑制し、ブドウ糖の血中放出を抑制する。
2)タンパク質代謝
*骨格筋に作用してタンパク質合成を促進させる。
*骨格筋に作用してタンパク質の異化を抑制する。
3)脂質代謝
*脂肪の合成を促進する。
*脂肪の分解を抑制する。
江部康二
基礎分泌インスリンは、ヒトの生命維持に必要不可欠です。
2)
スーパー糖質制限食でも、食後は基礎分泌の2~3倍レベルのインスリンは追加分泌されますし、追加分泌インスリンも必要不可欠です。
3)
インスリン注射で、1型糖尿病患者の命が助かるようになり、近年、寿命が延びてきました。
4)
しかし、過剰なインスリンは、酸化ストレスとなり、
がん、老化、動脈硬化、糖尿病合併症、アルツハイマー病などのリスクとなります。
こんにちは。
今回はインスリンの役割について考察してみます。
インスリンには、24時間継続して少量出続けている基礎分泌と、
糖質や蛋白質を摂取したときに出る追加分泌の2種類があります。
タンパク質摂取でも少量のインスリンが追加分泌されますが、
脂質摂取では、インスリンは追加分泌されません。
タンパク質摂取時には、グルカゴンも同時に分泌されるので、
健常人や2型糖尿病では、効果が相殺されて、通常は血糖の上昇はありません。
基礎分泌インスリンが存在しているということは、
食物を摂取していないときでも、人体の代謝には、少量のインスリンが必須ということです。
このインスリンの基礎分泌がなくなったら、人体の代謝全体が崩壊していきます。
つまり、基礎分泌インスリンがないと、全身の高度な代謝失調が生じ、生命の危険があります。
実際、1921年のインスリン登場までは、1型糖尿病と診断されたら
平均余命は、半年しかありませんでした。
例えば「運動をしたらインスリン非依存的に血糖値がさがる」といっても、
インスリン基礎分泌が確保されているのが前提のお話です。
もし、基礎インスリンが不足している状態で運動すれば、運動で血糖値はかえって上昇します。
また、肝臓で行っている糖新生も、基礎インスリンが分泌されていなければ制御不能となり、
空腹時血糖値が300mg/dl~400mg/dl、或いはこれ以上にもなります。
また、糖質を食べて血糖値が上昇したとき、追加分泌のインスリンがでなければ、
高血糖が持続します。
高血糖の持続は糖毒といわれ、膵臓のβ細胞を傷害し、インスリン抵抗性を悪化させます。
急激に発症するタイプの1型糖尿病であれば、短期間でインスリン分泌がゼロになるので、
基礎分泌も追加分泌もなくなり血糖値が急上昇して、
随時で250~500mgとか600mg/dl以上1000mgにもなります。
細胞はブドウ糖を利用できないので、脂肪の分解産物のケトン体が急上昇し、
エネルギー源にしますが、酸性血症となり意識障害を生じ、放置すれば死に至ります。
インスリン作用が欠落・不足しているときの血中ケトン体上昇は病態であり、極めて危険です。
上述のインスリン作用欠落による糖尿病ケトアシドーシスは、
インスリン作用が確保されていてケトン食や糖質制限食や断食で
生理的にケトン体が上昇する場合とは、まったく異なる病態です。
さてブドウ糖が、細胞膜を通過するためには、特別な膜輸送タンパク質が必要です。
それが糖輸送体(GLUT)であり、現在GLUT1~GLUT14まで確認されています。
GLUT1は赤血球・脳・網膜などの糖輸送体で常に細胞の表面にあり、
血流さえあれば即血糖を取り込めます。
これに対して筋肉細胞と脂肪細胞に特異的なのがGLUT4で、
基礎分泌のインスリンレベルだと、通常は細胞内部に沈んでいます。
GLUT1~GLUT14の中で、インスリンに依存しているのはGLUT4だけで特殊です。
筋肉細胞と脂肪細胞にあるGLUT-4は、
インスリン追加分泌がないと細胞内に沈んでいるのでブドウ糖を取り込めません。(☆)
インスリンが追加分泌されるとGLUT-4は細胞表面に移動して血糖を取り込むのです。
このようにインスリンは、生命の維持に必須の重要なホルモンであることが確認できました。
また近年、1型糖尿病患者の寿命は延びています。
以下、糖尿病ネットワークから一部抜粋。
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2016/024725.php
1975年に米国で行われた調査では1型糖尿病患者の寿命は、
健康人に比べて27年短いとされていました。
スコットランドのダンディー大学が2万4,691人の1型糖尿病患者を対象に行った調査では、
20代前半の糖尿病患者の予想される平均余命は、
健康な人に比べ男性で11.1年、女性で12.9年短いという結果になりました(2015年1月報告)。
このようにインスリンの使用法や種類が改善されたことで、
1型糖尿病患者の寿命はかなり改善されてきています。
インスリン注射が、おおいに役に立っているわけです。
(☆)
運動をして筋肉が収縮した場合は、インスリンに非依存的に、GLUT-4が、
筋細胞表面にトランスロケーションするので、血糖を取り込むことができます。
☆☆☆インスリンの作用
インスリンは、グリコーゲン合成・タンパク質合成・脂肪合成など、栄養素の同化を促進し、筋肉、脂肪組織、肝臓に取り込む。同化ホルモンである。
T、 Bリンパ球の機能を増強する作用もある。
インスリンが作用するのは、主として、筋肉(骨格筋、心筋)、脂肪組織、肝臓である。
1)糖質代謝
*ブドウ糖の筋肉細胞・脂肪細胞内への取り込みを促進させる。
*グリコーゲン合成を促進させる。
*グリコーゲン分解を抑制する。
*肝臓の糖新生を抑制し、ブドウ糖の血中放出を抑制する。
2)タンパク質代謝
*骨格筋に作用してタンパク質合成を促進させる。
*骨格筋に作用してタンパク質の異化を抑制する。
3)脂質代謝
*脂肪の合成を促進する。
*脂肪の分解を抑制する。
江部康二
2019年12月20日 (金)
こんばんは。
2020年1月26日(日)13:30~15:00
NHKカルチャー青山教室にて
『内蔵脂肪が落ちる食事術』
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1190722.html
と題して、お話します。
2019/6/21(金)の金スマで放映された『最強のやせる食事術』において
「内臓脂肪がストン!と落ちる食事術」(ダイヤモンド社、2019)
https://www.amazon.co.jp/dp/4478106487/

をしっかり紹介して頂きました。
出演者の杉田かおるさんが、2週間で4kg減量に成功。
66.1⇒62.1kg
体脂肪率⇒38.3⇒36.5%
内臓脂肪137⇒110㎠。
内蔵脂肪が27㎠ 低下⇒2週間で約2割内臓脂肪が減っていました。
出演者のみやぞんの相方の、あらぽん(芸人さん)さんは、
1週間で5kg減量に成功。
1週間で122.2⇒117.3kg
体脂肪率38.8⇒37.1%
内臓脂肪239⇒181㎠。
58㎠ 低下⇒ 1週間で、24%内臓脂肪が減っていました。
内臓脂肪はおもに腸間膜に蓄積される脂肪です。
内臓脂肪がたまるとお腹がポコッと出てきますが、
その腹囲がメタボリックシンドロームの診断基準の一つになっています。
メタボリックシンドロームでは、
脂質異常症・高血圧・糖尿病があって動脈硬化が進行しますので、
そこに血栓のできやすい状態が加われば、心筋梗塞や脳梗塞の危険が高まります。
内臓脂肪が蓄積すると、このようなこわいリスクが増加するので
間に合う内にキッチリ、何とかせねばなりません。
2020年1月26日(日)の講座では、
『内蔵脂肪が落ちる食事術』の基礎理論(糖質制限食理論)をお話しし、
内臓脂肪CTで実例も紹介します。
わかりやすく楽しいお話を目指しますので、
東京、関東などのブログ読者の皆さん、是非ご参加頂けば幸いです。
江部康二
以下は、NHKカルチャー青山教室のサイトの案内文です。
☆☆☆
NHKカルチャー青山教室
内臓脂肪が落ちる食事術
講師高雄病院理事長 江部康二
“浮き輪”のようなポッコリお腹をシェイプアップするには内臓脂肪が鍵です。
内臓脂肪が増えると、生活習慣病のリスクが高まり、
見た目だけでなく健康面でも良くありません。
2002年から糖質制限を取り入れ、肥満と糖尿病を克服し、
20代の頃とほぼ変わらない体型を維持されている江部康二先生が、
しっかり食べても太らない、内臓脂肪を劇的に減らす方法を、
実践例を交えてお伝えします。
日々の食事で糖質を控えることを意識し、
内臓脂肪を落とし、万病を未然に防ぐ健康的な生活を送りましょう。
講座の詳細
教室名 青山教室
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1190722.html
開催期間 1/26(日) 曜日・日時 1/26(日) 13:30~15:00
回 数 1回 途中受講 できます
受講料(税込み) 教材費(税込み)
会員 3,784円
一般(入会不要) 4,466円
日程 2020/01/26(日)
申し込み 電話:03-3475-1151
ホームページ:https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1190722.html
持ち物
■筆記用具
■会場受付にて下記をご提示下さい。
【窓口支払の方】
お手続き時にお渡しする受講票をお持ちください。【ホームページからお手続きの方】
自動送信される申込み完了メールをご提示下さい。【コンビニ郵便振込の方】
「払込み受領証」が受講票の代わりになります。
備考
■この講座は4階グランルームⅡで行います。
■特別講座のため、1/19(日)以降の解約は致しかねます。ご了承ください。
■講座中の録音・録画・写真撮影はご遠慮ください。
■自由席 ■30分前開場予定
2020年1月26日(日)13:30~15:00
NHKカルチャー青山教室にて
『内蔵脂肪が落ちる食事術』
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1190722.html
と題して、お話します。
2019/6/21(金)の金スマで放映された『最強のやせる食事術』において
「内臓脂肪がストン!と落ちる食事術」(ダイヤモンド社、2019)
https://www.amazon.co.jp/dp/4478106487/

をしっかり紹介して頂きました。
出演者の杉田かおるさんが、2週間で4kg減量に成功。
66.1⇒62.1kg
体脂肪率⇒38.3⇒36.5%
内臓脂肪137⇒110㎠。
内蔵脂肪が27㎠ 低下⇒2週間で約2割内臓脂肪が減っていました。
出演者のみやぞんの相方の、あらぽん(芸人さん)さんは、
1週間で5kg減量に成功。
1週間で122.2⇒117.3kg
体脂肪率38.8⇒37.1%
内臓脂肪239⇒181㎠。
58㎠ 低下⇒ 1週間で、24%内臓脂肪が減っていました。
内臓脂肪はおもに腸間膜に蓄積される脂肪です。
内臓脂肪がたまるとお腹がポコッと出てきますが、
その腹囲がメタボリックシンドロームの診断基準の一つになっています。
メタボリックシンドロームでは、
脂質異常症・高血圧・糖尿病があって動脈硬化が進行しますので、
そこに血栓のできやすい状態が加われば、心筋梗塞や脳梗塞の危険が高まります。
内臓脂肪が蓄積すると、このようなこわいリスクが増加するので
間に合う内にキッチリ、何とかせねばなりません。
2020年1月26日(日)の講座では、
『内蔵脂肪が落ちる食事術』の基礎理論(糖質制限食理論)をお話しし、
内臓脂肪CTで実例も紹介します。
わかりやすく楽しいお話を目指しますので、
東京、関東などのブログ読者の皆さん、是非ご参加頂けば幸いです。
江部康二
以下は、NHKカルチャー青山教室のサイトの案内文です。
☆☆☆
NHKカルチャー青山教室
内臓脂肪が落ちる食事術
講師高雄病院理事長 江部康二
“浮き輪”のようなポッコリお腹をシェイプアップするには内臓脂肪が鍵です。
内臓脂肪が増えると、生活習慣病のリスクが高まり、
見た目だけでなく健康面でも良くありません。
2002年から糖質制限を取り入れ、肥満と糖尿病を克服し、
20代の頃とほぼ変わらない体型を維持されている江部康二先生が、
しっかり食べても太らない、内臓脂肪を劇的に減らす方法を、
実践例を交えてお伝えします。
日々の食事で糖質を控えることを意識し、
内臓脂肪を落とし、万病を未然に防ぐ健康的な生活を送りましょう。
講座の詳細
教室名 青山教室
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1190722.html
開催期間 1/26(日) 曜日・日時 1/26(日) 13:30~15:00
回 数 1回 途中受講 できます
受講料(税込み) 教材費(税込み)
会員 3,784円
一般(入会不要) 4,466円
日程 2020/01/26(日)
申し込み 電話:03-3475-1151
ホームページ:https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1190722.html
持ち物
■筆記用具
■会場受付にて下記をご提示下さい。
【窓口支払の方】
お手続き時にお渡しする受講票をお持ちください。【ホームページからお手続きの方】
自動送信される申込み完了メールをご提示下さい。【コンビニ郵便振込の方】
「払込み受領証」が受講票の代わりになります。
備考
■この講座は4階グランルームⅡで行います。
■特別講座のため、1/19(日)以降の解約は致しかねます。ご了承ください。
■講座中の録音・録画・写真撮影はご遠慮ください。
■自由席 ■30分前開場予定
2019年12月19日 (木)
こんばんは。
今回は、『糖質制限食と体重減少』について、考察してみます。
糖質制限食を実践しても体重が減少しにくい場合は以下のパターンがあります。
A)<基礎礎代謝が低い場合>
基礎代謝が低いタイプの人は
「糖質制限+カロリー制限」が必要です。
女性に時にあり、数%くらいの比率です。
B)<大食漢タイプの場合>
大食いの方々がおられます。やはり数%の比率です。
このタイプは
「糖質制限食+人並みの摂取カロリー」が必要です。
C)<減量できないときは?>
①
いつのまにか、糖質制限が緩くなった可能性があります。
②
何らかの理由で、基礎代謝が低下した可能性があります。
③
知らぬ間に、摂取カロリーが多くなった可能性があります。
④
すでに、BMI20以上~25未満で適正体重になっていることがあります。
⑤
元々、小さい頃から肥満があった場合、
あるていど減量できてもそこで止まることがあります。
私の知る範囲で、小さい頃から肥満だった男性が、
30kgの減量に成功して90kgとなり、BMIが32まで改善しましたが、
そこからぴったり減り止まり、90~92kgを行ったり来たりしています。
小さい頃からの肥満の場合、同様のパターンの人が複数いますので、
何か目に見えない壁があるように感じます。
成人後に肥満した場合は、糖質制限食実践で、
順調に標準体重まで改善することがほとんどですので、
何か違いがあるはずなのです。
これはあくまでも仮説ですが、『脂肪細胞の数』で、
あるていど説明がつくと思われます。
肥満した場合、まずは個々の脂肪細胞が大きくなります。
さらに脂肪蓄積が続くと、脂肪細胞はそれ以上大きくなれない段階にいたり
分裂して、小さくなり普通の大きさの脂肪細胞になります。
しかしさらに脂肪蓄積が続けば、一旦小さくなった脂肪細胞は
再び限界まで大きくなります。
このとき、糖質制限食を実践すれば、個々の脂肪細胞の大きさは
速やかに標準まで戻り減量できます。
しかし、倍増した脂肪細胞の数は減りませんので、
ここで体重減少はストップしてしまいます。
<スーパー糖質制限食と体重減少>
スーパー糖質制限食なら、 運動量不変で、体脂肪が減ります。
例えば、血中総ケトン体の基準値は、26~122μM/Lですが、
スーパー糖質制限食実践中は、 400~1000~2000μM/Lくらいに上昇します。
肝臓で脂肪酸の分解物のアセチルCoAからケトン体を作ります。
ケトン体の上昇は、まさに脂肪が燃えている証拠ですね。
かくいう私も、52歳のとき、167cm、67kgから、運動量は不変で、
半年で57kgに減量し、学生時代の体重に戻りました。
階段は駆け上がるし、週1テニスは普通にしてましたので、
筋肉は落ちていないと思いますので、脂肪が燃えて減量できたと考えられます。
69歳現在も57kgで、階段は駆け上がります。
但し、4階くらいまでですが・・・。(^^;)
なお、筋肉は年齢相応ていどあるいは少し多いかもしれません。
筋トレはしていませんが、<インターバル速歩>を物心ついたころから、
実践していて、成人後もずっと続けているからです。
要するに、人生のほとんどで、基本は常に速歩なので、
期せずして<インターバル速歩>をほぼ毎日していたこととなります。
さて、次いで、糖質制限食で何故、脂肪が燃えて減量できるのかを考えて見ます。
まず、インスリンについて考えて見ます。
<肥満ホルモンインスリン>
◇インスリンは脂肪細胞内の中性脂肪分解を抑制します。
◇インスリンは血中の中性脂肪を分解し脂肪細胞内に蓄えます。
◇インスリンは筋肉細胞に血糖を取り込ませますが、余剰の血糖は脂肪細胞に取り込ませて中性脂肪として蓄えます。
◇肥満のメカニズムはインスリンによる脂肪蓄積と考えられます。
◇インスリンを大量に分泌させるのは、糖質のみです。
◇インスリンは、別名肥満ホルモンと呼ばれています。
<スーパー糖質制限食の4つの利点>
◆<糖質制限食による体重減少効果>
①インスリン(肥満ホルモン)追加分泌が少量ですむ。
②食事中も含めて常に体脂肪が燃えている。
③食事中も含めて常に肝臓で糖新生が行われ、それにかなりのエネルギーを消費する。
④高タンパク食により、食事誘発熱産生(DIT)が亢進する。
高蛋白食は、摂食時の食事誘発熱産生(DIT)が通常食に比べて増加します。
DITによる消費エネルギーは、実質吸収エネルギーの、糖質では6%、脂質では4%、タンパク質で30%です。
食事誘発熱産生(DIT)を、もっと簡単に説明すると、食事において
100キロカロリーの糖質だけを摂取した時は、6キロカロリーが、
100キロカロリーの脂質だけを摂取した時は、4キロカロリーが、
100キロカロリーのタンパク質だけを摂取した時は、30キロカロリーが
熱に変わり、消費エネルギーとしてカウントされるということです。
◆<糖質を摂取した場合>
A)血糖値が上昇してインスリン(肥満ホルモン)がたっぷり分泌される。
B)体脂肪は燃えなくなり、血糖値が中性脂肪に変わり蓄積される。
C)肝臓の糖新生はストップする。
D)高タンパク食よる亢進した食事誘発熱産生(DIT)はなくなる。
①②③④とA)B)C)D)両者を比べてみれば、高糖質食より糖質制限食の方が、
体重減少効果が高いことが一目でわかると思います。
たとえ低脂質食でカロリー制限していても、
糖質を摂れば体重減少への利点がすべて消えてしまうわけです。
これは食べ物に含まれるカロリーとは無関係の生理学的な特質であり、
あくまで糖質を摂るかどうかがカギとなります。
<摂取エネルギーと消費エネルギー、基礎代謝量、身体活動量、食事誘発熱産生>
1)摂取エネルギー > 消費エネルギー → 体重増加
摂取エネルギー = 消費エネルギー → 体重不変
摂取エネルギー < 消費エネルギー → 体重減少
2)通常のカロリー制限食(高糖質食)なら
「消費エネルギー=基礎代謝量+身体活動量(運動や家事)+食事誘発熱産生(DIT)」
3)糖質制限食なら、高糖質食の時には無い
「肝臓の糖新生でエネルギーを消費」→基礎代謝の増加
「高蛋白食摂取」→食事誘発熱産生(DIT)の増加 」
が認められる。
1)は生理学的事実です。
2)3)を比較すると糖質制限食の方が高糖質食に比し、
体重が減少しやすいことは明白です。
<推定エネルギー必要量と糖質制限食>
減量を目指す時に、日本糖尿病学会推奨のように
男性:1400~2000kcal/日
女性:1200~1800kcal/日
といった、厳しいカロリー制限は必要ありません。
「日本人の食事摂取基準」(2015年、厚生労働省)
に示す推定エネルギー必要量の範囲、
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf
推定エネルギー必要量/日
男性 女性
15-17才 2500 2850 3150 2050 2300 2550kcal
18-29才 2300 2650 3050 1650 1950 2200
30-49才 2300 2650 3050 1750 2000 2300
50-69才 2100 2450 2800 1650 1900 2200
70才 1850 2200 2500 1500 1750 2000
身体活動レベル 低い 普通 高い 低い 普通 高い
くらいが目安です。
スーパー糖質制限食実践と「日本人の食事摂取基準」の標準的な摂取エネルギーなら、
ほとんどの人が適正体重になると思います。
江部康二
今回は、『糖質制限食と体重減少』について、考察してみます。
糖質制限食を実践しても体重が減少しにくい場合は以下のパターンがあります。
A)<基礎礎代謝が低い場合>
基礎代謝が低いタイプの人は
「糖質制限+カロリー制限」が必要です。
女性に時にあり、数%くらいの比率です。
B)<大食漢タイプの場合>
大食いの方々がおられます。やはり数%の比率です。
このタイプは
「糖質制限食+人並みの摂取カロリー」が必要です。
C)<減量できないときは?>
①
いつのまにか、糖質制限が緩くなった可能性があります。
②
何らかの理由で、基礎代謝が低下した可能性があります。
③
知らぬ間に、摂取カロリーが多くなった可能性があります。
④
すでに、BMI20以上~25未満で適正体重になっていることがあります。
⑤
元々、小さい頃から肥満があった場合、
あるていど減量できてもそこで止まることがあります。
私の知る範囲で、小さい頃から肥満だった男性が、
30kgの減量に成功して90kgとなり、BMIが32まで改善しましたが、
そこからぴったり減り止まり、90~92kgを行ったり来たりしています。
小さい頃からの肥満の場合、同様のパターンの人が複数いますので、
何か目に見えない壁があるように感じます。
成人後に肥満した場合は、糖質制限食実践で、
順調に標準体重まで改善することがほとんどですので、
何か違いがあるはずなのです。
これはあくまでも仮説ですが、『脂肪細胞の数』で、
あるていど説明がつくと思われます。
肥満した場合、まずは個々の脂肪細胞が大きくなります。
さらに脂肪蓄積が続くと、脂肪細胞はそれ以上大きくなれない段階にいたり
分裂して、小さくなり普通の大きさの脂肪細胞になります。
しかしさらに脂肪蓄積が続けば、一旦小さくなった脂肪細胞は
再び限界まで大きくなります。
このとき、糖質制限食を実践すれば、個々の脂肪細胞の大きさは
速やかに標準まで戻り減量できます。
しかし、倍増した脂肪細胞の数は減りませんので、
ここで体重減少はストップしてしまいます。
<スーパー糖質制限食と体重減少>
スーパー糖質制限食なら、 運動量不変で、体脂肪が減ります。
例えば、血中総ケトン体の基準値は、26~122μM/Lですが、
スーパー糖質制限食実践中は、 400~1000~2000μM/Lくらいに上昇します。
肝臓で脂肪酸の分解物のアセチルCoAからケトン体を作ります。
ケトン体の上昇は、まさに脂肪が燃えている証拠ですね。
かくいう私も、52歳のとき、167cm、67kgから、運動量は不変で、
半年で57kgに減量し、学生時代の体重に戻りました。
階段は駆け上がるし、週1テニスは普通にしてましたので、
筋肉は落ちていないと思いますので、脂肪が燃えて減量できたと考えられます。
69歳現在も57kgで、階段は駆け上がります。
但し、4階くらいまでですが・・・。(^^;)
なお、筋肉は年齢相応ていどあるいは少し多いかもしれません。
筋トレはしていませんが、<インターバル速歩>を物心ついたころから、
実践していて、成人後もずっと続けているからです。
要するに、人生のほとんどで、基本は常に速歩なので、
期せずして<インターバル速歩>をほぼ毎日していたこととなります。
さて、次いで、糖質制限食で何故、脂肪が燃えて減量できるのかを考えて見ます。
まず、インスリンについて考えて見ます。
<肥満ホルモンインスリン>
◇インスリンは脂肪細胞内の中性脂肪分解を抑制します。
◇インスリンは血中の中性脂肪を分解し脂肪細胞内に蓄えます。
◇インスリンは筋肉細胞に血糖を取り込ませますが、余剰の血糖は脂肪細胞に取り込ませて中性脂肪として蓄えます。
◇肥満のメカニズムはインスリンによる脂肪蓄積と考えられます。
◇インスリンを大量に分泌させるのは、糖質のみです。
◇インスリンは、別名肥満ホルモンと呼ばれています。
<スーパー糖質制限食の4つの利点>
◆<糖質制限食による体重減少効果>
①インスリン(肥満ホルモン)追加分泌が少量ですむ。
②食事中も含めて常に体脂肪が燃えている。
③食事中も含めて常に肝臓で糖新生が行われ、それにかなりのエネルギーを消費する。
④高タンパク食により、食事誘発熱産生(DIT)が亢進する。
高蛋白食は、摂食時の食事誘発熱産生(DIT)が通常食に比べて増加します。
DITによる消費エネルギーは、実質吸収エネルギーの、糖質では6%、脂質では4%、タンパク質で30%です。
食事誘発熱産生(DIT)を、もっと簡単に説明すると、食事において
100キロカロリーの糖質だけを摂取した時は、6キロカロリーが、
100キロカロリーの脂質だけを摂取した時は、4キロカロリーが、
100キロカロリーのタンパク質だけを摂取した時は、30キロカロリーが
熱に変わり、消費エネルギーとしてカウントされるということです。
◆<糖質を摂取した場合>
A)血糖値が上昇してインスリン(肥満ホルモン)がたっぷり分泌される。
B)体脂肪は燃えなくなり、血糖値が中性脂肪に変わり蓄積される。
C)肝臓の糖新生はストップする。
D)高タンパク食よる亢進した食事誘発熱産生(DIT)はなくなる。
①②③④とA)B)C)D)両者を比べてみれば、高糖質食より糖質制限食の方が、
体重減少効果が高いことが一目でわかると思います。
たとえ低脂質食でカロリー制限していても、
糖質を摂れば体重減少への利点がすべて消えてしまうわけです。
これは食べ物に含まれるカロリーとは無関係の生理学的な特質であり、
あくまで糖質を摂るかどうかがカギとなります。
<摂取エネルギーと消費エネルギー、基礎代謝量、身体活動量、食事誘発熱産生>
1)摂取エネルギー > 消費エネルギー → 体重増加
摂取エネルギー = 消費エネルギー → 体重不変
摂取エネルギー < 消費エネルギー → 体重減少
2)通常のカロリー制限食(高糖質食)なら
「消費エネルギー=基礎代謝量+身体活動量(運動や家事)+食事誘発熱産生(DIT)」
3)糖質制限食なら、高糖質食の時には無い
「肝臓の糖新生でエネルギーを消費」→基礎代謝の増加
「高蛋白食摂取」→食事誘発熱産生(DIT)の増加 」
が認められる。
1)は生理学的事実です。
2)3)を比較すると糖質制限食の方が高糖質食に比し、
体重が減少しやすいことは明白です。
<推定エネルギー必要量と糖質制限食>
減量を目指す時に、日本糖尿病学会推奨のように
男性:1400~2000kcal/日
女性:1200~1800kcal/日
といった、厳しいカロリー制限は必要ありません。
「日本人の食事摂取基準」(2015年、厚生労働省)
に示す推定エネルギー必要量の範囲、
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf
推定エネルギー必要量/日
男性 女性
15-17才 2500 2850 3150 2050 2300 2550kcal
18-29才 2300 2650 3050 1650 1950 2200
30-49才 2300 2650 3050 1750 2000 2300
50-69才 2100 2450 2800 1650 1900 2200
70才 1850 2200 2500 1500 1750 2000
身体活動レベル 低い 普通 高い 低い 普通 高い
くらいが目安です。
スーパー糖質制限食実践と「日本人の食事摂取基準」の標準的な摂取エネルギーなら、
ほとんどの人が適正体重になると思います。
江部康二
2019年12月18日 (水)
おはようございます。
2019年10月17日
日本糖尿病学会が、3年ぶりに「糖尿病診療ガイドライン 2019」を刊行しました。
このガイドラインに対して、
東京女子医科大学の馬場園哲也教授が解説を しておられます。
以下の緑の文字のサイトで見ることができます。
東京女子医科大学糖尿病センターhttp://twmu-diabetes.jp/network/diabetes-news-no173.php
DIABETES NEWS No.173
2019 November/December
この馬場園教授の解説に、私が糖質制限食の立場からのお話を付け加えてみました。
東京女子医科大学 内科学(第三)講座
(糖尿病・代謝内科)教授・講座主任
馬場園哲也
日本糖尿病学会はこのたび「糖尿病診療ガイドライン 2019」(以下 JDS2019)を刊行しました。
3年ぶりの改訂となる今回の主な変更点について述べたいと思います。
◆「標準体重」から「目標体重」へ
第3章食事療法のQ3-3「総エネルギー摂取量をどのように定めるか?」は、最も注目すべき改訂といえます。
総エネルギー摂取量を設定する際の体重について、前回までのガイドラインでは、
body mass index (BMI, kg/m2)が22となる標準体重を用いていました。
JDS2019では標準体重という言葉が目標体重と言い換えられ、
65歳未満ではこれまで通りBMI22、65歳以上ではBMI22~25と幅を持たせています。
日本人における最近のエネルギー消費量調査、日本人糖尿病患者におけるBMIと総死亡率、
さらには高齢者におけるフレイル予防などが考慮された結果といえます。
江部:この、標準体重から目標体重への変化は、良いことと思います。
65歳以上の高齢者では、痩せのほうが総死亡率を上昇させるので、BMI22~25は、それなりにリーズナブルです。
一方、ニューイングランド・ジャーナルの論文では、アジア人はBMI:23~27が、総死亡率が一番低いとされています。
1)世界ガン研究基金の報告(2007)では、ガン予防にはBMI:20~25未満 が目標。
2)ランセットの論文では欧米人はBMI:22.5~25 が総死亡率が一番低い。(*)
3)ニューイングランド・ジャーナルの論文では、アジア人はBMI:23~27 が総死亡率が一番低い。(**)
(*)
Prospective Studies Collaboration
PSC, Whitlock G, et al. Lancet 2009; 373: 1083-96
(**)
Zheng W, et al.N Engl J Med. 2011 Feb 24;364(8):719-29.
Association between body-mass index and risk of death in more than 1 million Asians.
◆炭水化物の摂取量
低炭水化物食の議論は続いており、その有効性と安全性についてはいまだエビデンスが不十分といえます。
Q3-5「炭水化物の摂取量は糖尿病の管理にどう影響するか」に対するステートメントは、
「炭水化物摂取量と糖尿病の発症リスク、糖尿病の管理状態との関連性は確認されていない」と、
前回とほぼ同様の記載となっています。
江部:結局、糖質制限食に関しては今まで通りですね。
米国糖尿病学会が、2013年10月、「栄養療法に関する声明」において
糖質制限食を、地中海食、ベジタリアン食、脂肪制限食、高血圧食と共に、容認し、
2019年4月、コンセンサスレポートで、糖質制限食がエビデンスが最も多いと明言したのとは、おおきな違いがあります。
①血糖に直接影響を与えるのは糖質だけで、蛋白質・脂質は与えない。
②食後高血糖と平均血糖変動幅増大が糖尿病合併症の元凶である。
③糖質を50~60%摂取する日本の糖尿病食では、食後高血糖と平均血糖変動幅を予防することは、理論的に困難である。
ガイドラインには、①②③という極めて重要な生理学的事実やエビデンスの解説が欠落しているのは残念です。
◆血糖降下薬の選択
昨年アメリカ糖尿病学会(ADA)とヨーロッパ糖尿病学会(EASD)が発表したコンセンサスガイドラインでは、
メトホルミンを第一選択薬とすることが踏襲され、
加えて最近のエビデンスに基づいて各糖尿病薬間の差別化を図ったアルゴリズムが示されました。
(DIABETES NEWS No.167「ADAとEASDからの2型糖尿病患者の高血糖管理に関するコンセンサスレポート」参照)。
また本年9月には、ヨーロッパ心臓病学会(ESC)とEASDの共同によるガイドラインが改訂され、
心血管病の既往があるかそのリスクが高い患者では、
メトホルミンではなく初めからSGLT2阻害薬かGLP-1受容体作動薬を使用することが推奨されています。
JDS2019では、Q5-2「血糖降下薬の選択はどのように行うか?」に対して
「薬物の選択は、それぞれの薬物作用の特性や副作用を考慮に入れながら、
各患者の病態に応じて行う」というステートメントが返され、
第一選択薬を特に指定しない従来の考え方が踏襲されました。
その理由として、日本人と欧米人では2型糖尿病の病態やライフスタイルが異なることなどが挙げられています。
江部:日本人においても、 SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬が、血糖コントロールに有効で、他剤とは明白に差があります。
従って、心血管病の既往があるかそのリスクが高い患者だけでなく、食事療法だけでコントロール良好が達成できていない全ての糖尿病患者に、SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬が第一選択剤と思われます。
◆糖尿病(性)腎症
2018年に日本腎臓学会が刊行した「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン 2018」で提唱された糖尿病性腎臓病(DKD)という概念は、その定義や糖尿病性腎症との違いが不明確であることから混乱が生じています(馬場園哲也:DITN No.480,2018)。
JDS2019ではこれまで同様、糖尿病性腎症という疾患名が引き続き用いられました。
今後両学会の意見調整が必要です。
江部:日本では糖尿病腎症に、低蛋白食が推奨されています。
米国糖尿病学会は、2013年10月の「食事療法に関する声明2013」で、エビデンスがないので糖尿病腎症に低蛋白食は推奨しないと明言していて、
2019年4月のコンセンサス・レポートにおいても、同様の見解でした。
従って、高雄病院では、糖尿病腎症の患者さんに対しても糖質制限食(高蛋白食)を推奨しています。血糖コントロールを良好にすることが腎症悪化予防に有効と考えられるからです。勿論患者さんによく説明して毎月検査をしながら実施します。
2019年10月17日
日本糖尿病学会が、3年ぶりに「糖尿病診療ガイドライン 2019」を刊行しました。
このガイドラインに対して、
東京女子医科大学の馬場園哲也教授が解説を しておられます。
以下の緑の文字のサイトで見ることができます。
東京女子医科大学糖尿病センターhttp://twmu-diabetes.jp/network/diabetes-news-no173.php
DIABETES NEWS No.173
2019 November/December
この馬場園教授の解説に、私が糖質制限食の立場からのお話を付け加えてみました。
東京女子医科大学 内科学(第三)講座
(糖尿病・代謝内科)教授・講座主任
馬場園哲也
日本糖尿病学会はこのたび「糖尿病診療ガイドライン 2019」(以下 JDS2019)を刊行しました。
3年ぶりの改訂となる今回の主な変更点について述べたいと思います。
◆「標準体重」から「目標体重」へ
第3章食事療法のQ3-3「総エネルギー摂取量をどのように定めるか?」は、最も注目すべき改訂といえます。
総エネルギー摂取量を設定する際の体重について、前回までのガイドラインでは、
body mass index (BMI, kg/m2)が22となる標準体重を用いていました。
JDS2019では標準体重という言葉が目標体重と言い換えられ、
65歳未満ではこれまで通りBMI22、65歳以上ではBMI22~25と幅を持たせています。
日本人における最近のエネルギー消費量調査、日本人糖尿病患者におけるBMIと総死亡率、
さらには高齢者におけるフレイル予防などが考慮された結果といえます。
江部:この、標準体重から目標体重への変化は、良いことと思います。
65歳以上の高齢者では、痩せのほうが総死亡率を上昇させるので、BMI22~25は、それなりにリーズナブルです。
一方、ニューイングランド・ジャーナルの論文では、アジア人はBMI:23~27が、総死亡率が一番低いとされています。
1)世界ガン研究基金の報告(2007)では、ガン予防にはBMI:20~25未満 が目標。
2)ランセットの論文では欧米人はBMI:22.5~25 が総死亡率が一番低い。(*)
3)ニューイングランド・ジャーナルの論文では、アジア人はBMI:23~27 が総死亡率が一番低い。(**)
(*)
Prospective Studies Collaboration
PSC, Whitlock G, et al. Lancet 2009; 373: 1083-96
(**)
Zheng W, et al.N Engl J Med. 2011 Feb 24;364(8):719-29.
Association between body-mass index and risk of death in more than 1 million Asians.
◆炭水化物の摂取量
低炭水化物食の議論は続いており、その有効性と安全性についてはいまだエビデンスが不十分といえます。
Q3-5「炭水化物の摂取量は糖尿病の管理にどう影響するか」に対するステートメントは、
「炭水化物摂取量と糖尿病の発症リスク、糖尿病の管理状態との関連性は確認されていない」と、
前回とほぼ同様の記載となっています。
江部:結局、糖質制限食に関しては今まで通りですね。
米国糖尿病学会が、2013年10月、「栄養療法に関する声明」において
糖質制限食を、地中海食、ベジタリアン食、脂肪制限食、高血圧食と共に、容認し、
2019年4月、コンセンサスレポートで、糖質制限食がエビデンスが最も多いと明言したのとは、おおきな違いがあります。
①血糖に直接影響を与えるのは糖質だけで、蛋白質・脂質は与えない。
②食後高血糖と平均血糖変動幅増大が糖尿病合併症の元凶である。
③糖質を50~60%摂取する日本の糖尿病食では、食後高血糖と平均血糖変動幅を予防することは、理論的に困難である。
ガイドラインには、①②③という極めて重要な生理学的事実やエビデンスの解説が欠落しているのは残念です。
◆血糖降下薬の選択
昨年アメリカ糖尿病学会(ADA)とヨーロッパ糖尿病学会(EASD)が発表したコンセンサスガイドラインでは、
メトホルミンを第一選択薬とすることが踏襲され、
加えて最近のエビデンスに基づいて各糖尿病薬間の差別化を図ったアルゴリズムが示されました。
(DIABETES NEWS No.167「ADAとEASDからの2型糖尿病患者の高血糖管理に関するコンセンサスレポート」参照)。
また本年9月には、ヨーロッパ心臓病学会(ESC)とEASDの共同によるガイドラインが改訂され、
心血管病の既往があるかそのリスクが高い患者では、
メトホルミンではなく初めからSGLT2阻害薬かGLP-1受容体作動薬を使用することが推奨されています。
JDS2019では、Q5-2「血糖降下薬の選択はどのように行うか?」に対して
「薬物の選択は、それぞれの薬物作用の特性や副作用を考慮に入れながら、
各患者の病態に応じて行う」というステートメントが返され、
第一選択薬を特に指定しない従来の考え方が踏襲されました。
その理由として、日本人と欧米人では2型糖尿病の病態やライフスタイルが異なることなどが挙げられています。
江部:日本人においても、 SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬が、血糖コントロールに有効で、他剤とは明白に差があります。
従って、心血管病の既往があるかそのリスクが高い患者だけでなく、食事療法だけでコントロール良好が達成できていない全ての糖尿病患者に、SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬が第一選択剤と思われます。
◆糖尿病(性)腎症
2018年に日本腎臓学会が刊行した「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン 2018」で提唱された糖尿病性腎臓病(DKD)という概念は、その定義や糖尿病性腎症との違いが不明確であることから混乱が生じています(馬場園哲也:DITN No.480,2018)。
JDS2019ではこれまで同様、糖尿病性腎症という疾患名が引き続き用いられました。
今後両学会の意見調整が必要です。
江部:日本では糖尿病腎症に、低蛋白食が推奨されています。
米国糖尿病学会は、2013年10月の「食事療法に関する声明2013」で、エビデンスがないので糖尿病腎症に低蛋白食は推奨しないと明言していて、
2019年4月のコンセンサス・レポートにおいても、同様の見解でした。
従って、高雄病院では、糖尿病腎症の患者さんに対しても糖質制限食(高蛋白食)を推奨しています。血糖コントロールを良好にすることが腎症悪化予防に有効と考えられるからです。勿論患者さんによく説明して毎月検査をしながら実施します。
2019年12月17日 (火)
申し訳ありません。
売り切れとなってました。
こんにちは。
いよいよ2019年度も押し迫ってきましたね。
菓子職人さんでは、恒例の糖質制限クリスマスケーキの予約受付中です。
https://www.kashishokunin.co.jp/toushitsuseigen/
勿論、私の血糖測定実験をクリアした優れもののケーキ達です。
まずは、
糖質制限クリスマス・ドウ・ショコラ
4~5名様用、直径15cm、5000円
限定台数100台

「軽いシフォンケーキタイプのチョコレート生地に3種類(ダークチョコレート・ホワイトチョコレート・ミルクチョコレート)の口どけの良いチョコレートムースの層の構成です。チョコレート好きのための上品な香りと甘さを兼ねそなえたクリスマスイブにぜひ召し上がっていただきたい逸品です。表面はダークチョコレートとココアバターをスプレーガンで吹き付けてミルクチョコレートのガナッシュで表情をつけました。」
2019年10月8日(火)
午後4時 血糖値:101mg
菓子職人さんのクリスマスチョコレートケーキ1/6(100g)を摂取。
午後5時 血糖値:108mg
60分後の血糖値上昇は、7mgですので
100g中に、わずか2.3gの糖質です。
糖質制限ケーキとしては、花丸です。
続きまして
糖質制限 ホワイトフロマージュ(クリスマスチーズケーキ)
4~5名様用、直径15cm、5000円
限定台数100台

「オーストラリア産と北海道産クリームチーズをたっぷり使用した口どけの良いチーズケーキ、クレームブリュレ、イタリア産マスカルポーネ、フランス産フロマージュブラン、北海道産生クリームと卵黄をたっぷり使用した濃厚プリンのレアチーズムース。クリームチーズとフロマージュブランの2種類のチーズや、ヨーグルトやオレンジのお酒で香りづけた軽いムース。」
2019年9月30日(月)
午後9時14分 血糖値:108mg
菓子職人ホワイトフロマージュ(クリスマスチーズケーキ)1/6(100g)を摂取。
午後10時14分 血糖値:107mg
何と、血糖値が全く上昇しませんでした。
こちらも、糖質制限花丸ケーキです。
ブログ読者の皆さん、
糖質制限クリスマス・ドウ・ショコラ
と
糖質制限 ホワイトフロマージュ(クリスマスチーズケーキ)
どちらにされますか?
https://www.kashishokunin.co.jp/products/xmas2019/
あるいは、2つともというものおおいにありですね。 (^^)
江部康二
売り切れとなってました。
こんにちは。
いよいよ2019年度も押し迫ってきましたね。
菓子職人さんでは、恒例の糖質制限クリスマスケーキの予約受付中です。
https://www.kashishokunin.co.jp/toushitsuseigen/
勿論、私の血糖測定実験をクリアした優れもののケーキ達です。
まずは、
糖質制限クリスマス・ドウ・ショコラ
4~5名様用、直径15cm、5000円
限定台数100台

「軽いシフォンケーキタイプのチョコレート生地に3種類(ダークチョコレート・ホワイトチョコレート・ミルクチョコレート)の口どけの良いチョコレートムースの層の構成です。チョコレート好きのための上品な香りと甘さを兼ねそなえたクリスマスイブにぜひ召し上がっていただきたい逸品です。表面はダークチョコレートとココアバターをスプレーガンで吹き付けてミルクチョコレートのガナッシュで表情をつけました。」
2019年10月8日(火)
午後4時 血糖値:101mg
菓子職人さんのクリスマスチョコレートケーキ1/6(100g)を摂取。
午後5時 血糖値:108mg
60分後の血糖値上昇は、7mgですので
100g中に、わずか2.3gの糖質です。
糖質制限ケーキとしては、花丸です。
続きまして
糖質制限 ホワイトフロマージュ(クリスマスチーズケーキ)
4~5名様用、直径15cm、5000円
限定台数100台

「オーストラリア産と北海道産クリームチーズをたっぷり使用した口どけの良いチーズケーキ、クレームブリュレ、イタリア産マスカルポーネ、フランス産フロマージュブラン、北海道産生クリームと卵黄をたっぷり使用した濃厚プリンのレアチーズムース。クリームチーズとフロマージュブランの2種類のチーズや、ヨーグルトやオレンジのお酒で香りづけた軽いムース。」
2019年9月30日(月)
午後9時14分 血糖値:108mg
菓子職人ホワイトフロマージュ(クリスマスチーズケーキ)1/6(100g)を摂取。
午後10時14分 血糖値:107mg
何と、血糖値が全く上昇しませんでした。
こちらも、糖質制限花丸ケーキです。
ブログ読者の皆さん、
糖質制限クリスマス・ドウ・ショコラ
と
糖質制限 ホワイトフロマージュ(クリスマスチーズケーキ)
どちらにされますか?
https://www.kashishokunin.co.jp/products/xmas2019/
あるいは、2つともというものおおいにありですね。 (^^)
江部康二
2019年12月16日 (月)
こんばんは。
糖尿病患者が、がんになりやすいことに関しては、以前からエビデンスがあります。
高血糖に発がんリスクのエビデンスがあるので、
糖尿病患者にがんが多いことは想定範囲と言えます。
高血糖があると活性酸素が発生して、酸化ストレスリスクとなるのです。
さらに高血糖があると、ブドウ糖がSODなどの抗酸化酵素にへばりついて
その作用を邪魔するため、酸化ストレスリスクが増すのです。
さらに、2014年に、「糖尿病患者は発がん後の死亡率も高い」ということが、
信頼度の高いデンマークの研究により認識されました。
(Diabetologia 2014; 57: 927-934)
(1) 非糖尿病(糖尿病ではない人)
(2) 無投薬糖尿病(糖尿病ではあるが薬物療法を受けていない人)
(3) 経口薬糖尿病(糖尿病であって経口血糖降下薬を内服している
もののインスリン注射はしていない人)
(4) インスリン糖尿病(糖尿病であって経口血糖降下薬の併用の有
無を問わずインスリン注射をしている人
の4つのグループの分けての研究です。
大腸がん、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、子宮体がん、膀胱がんで、
3つの糖尿病群全てで、糖尿病者の死亡率が非糖尿病者より高くなっていました。
また、インスリン糖尿病では、
それらに加え、直腸がん、肺がん、前立腺がんでの死亡率も高くなっていました。
70歳でがんと診断された2年の糖尿病罹病歴を持つ患者での生存率を
モデル計算してみると、がん診断後2年での生存率は、
男性では
(1) 非糖尿病70%
(2) 非インスリン糖尿病(無投薬糖尿病,経口薬糖尿病)60%
(3) インスリン糖尿病20%
女性では
(1) 非糖尿病80%
(2) 非インスリン糖尿病70%
(3) インスリン糖尿病30%
発がん後の死亡率とモデル計算の生存率を検討してみると、
インスリン糖尿病が突出して予後が悪いです。
高インスリン血症そのものに、発がんリスクのエビデンスがあるのですが、
これほど顕著とは、げにインスリン恐るべしです。
また高インスリン血症は、活性酸素を発生させ酸化ストレスリスクとなります。
近年の研究で、
高インスリン血症や高血糖による
酸化ストレス(生体において酸化反応が抗酸化反応を上まわっている状態)が、
発がん、老化、動脈硬化、アルツハイマー病、パーキンソン病などの
リスクとなるとされています。
今回のデンマークの研究で、高インスリン血症の発がんリスクが、
鮮明に証明されたと言えます。
いつも述べていますが、
「インスリンは人体の生存に必要不可欠であるが、その量は少なく
て済む程、身体には優しい」
ということを改めて強調したいと思います。
スーパー糖質制限食なら、インスリンは必要最低限で済むので、
大きな利点と言えます。
スーパー糖質制限食なら、正常人においても、糖尿人においても、
「高血糖」「高インスリン血症」という発がんリスクを著明に減らしますので、
発がん予防できる可能性も高いのです。
インスリン注射をしている糖尿人においても、高糖質食に比べれば、
スーパー糖質制限食実践で、その単位を1/3以下に減らせるので、
発がんリスクや発がん後の死亡リスクも減らす可能性が高いです。
今回のデンマークの研究も、当然普通に糖質を摂取してのデータです。
日本においても従来の糖尿病食(高糖質・低脂質食)を摂取すれば、
「糖尿病患者はがんになりやすいだけでなく、発がん後の死亡率も高い」
ということになるのは想像に難くありません。
スーパー糖質制限食なら、それが防げる可能性が高いのです。
江部康二
糖尿病患者が、がんになりやすいことに関しては、以前からエビデンスがあります。
高血糖に発がんリスクのエビデンスがあるので、
糖尿病患者にがんが多いことは想定範囲と言えます。
高血糖があると活性酸素が発生して、酸化ストレスリスクとなるのです。
さらに高血糖があると、ブドウ糖がSODなどの抗酸化酵素にへばりついて
その作用を邪魔するため、酸化ストレスリスクが増すのです。
さらに、2014年に、「糖尿病患者は発がん後の死亡率も高い」ということが、
信頼度の高いデンマークの研究により認識されました。
(Diabetologia 2014; 57: 927-934)
(1) 非糖尿病(糖尿病ではない人)
(2) 無投薬糖尿病(糖尿病ではあるが薬物療法を受けていない人)
(3) 経口薬糖尿病(糖尿病であって経口血糖降下薬を内服している
もののインスリン注射はしていない人)
(4) インスリン糖尿病(糖尿病であって経口血糖降下薬の併用の有
無を問わずインスリン注射をしている人
の4つのグループの分けての研究です。
大腸がん、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、子宮体がん、膀胱がんで、
3つの糖尿病群全てで、糖尿病者の死亡率が非糖尿病者より高くなっていました。
また、インスリン糖尿病では、
それらに加え、直腸がん、肺がん、前立腺がんでの死亡率も高くなっていました。
70歳でがんと診断された2年の糖尿病罹病歴を持つ患者での生存率を
モデル計算してみると、がん診断後2年での生存率は、
男性では
(1) 非糖尿病70%
(2) 非インスリン糖尿病(無投薬糖尿病,経口薬糖尿病)60%
(3) インスリン糖尿病20%
女性では
(1) 非糖尿病80%
(2) 非インスリン糖尿病70%
(3) インスリン糖尿病30%
発がん後の死亡率とモデル計算の生存率を検討してみると、
インスリン糖尿病が突出して予後が悪いです。
高インスリン血症そのものに、発がんリスクのエビデンスがあるのですが、
これほど顕著とは、げにインスリン恐るべしです。
また高インスリン血症は、活性酸素を発生させ酸化ストレスリスクとなります。
近年の研究で、
高インスリン血症や高血糖による
酸化ストレス(生体において酸化反応が抗酸化反応を上まわっている状態)が、
発がん、老化、動脈硬化、アルツハイマー病、パーキンソン病などの
リスクとなるとされています。
今回のデンマークの研究で、高インスリン血症の発がんリスクが、
鮮明に証明されたと言えます。
いつも述べていますが、
「インスリンは人体の生存に必要不可欠であるが、その量は少なく
て済む程、身体には優しい」
ということを改めて強調したいと思います。
スーパー糖質制限食なら、インスリンは必要最低限で済むので、
大きな利点と言えます。
スーパー糖質制限食なら、正常人においても、糖尿人においても、
「高血糖」「高インスリン血症」という発がんリスクを著明に減らしますので、
発がん予防できる可能性も高いのです。
インスリン注射をしている糖尿人においても、高糖質食に比べれば、
スーパー糖質制限食実践で、その単位を1/3以下に減らせるので、
発がんリスクや発がん後の死亡リスクも減らす可能性が高いです。
今回のデンマークの研究も、当然普通に糖質を摂取してのデータです。
日本においても従来の糖尿病食(高糖質・低脂質食)を摂取すれば、
「糖尿病患者はがんになりやすいだけでなく、発がん後の死亡率も高い」
ということになるのは想像に難くありません。
スーパー糖質制限食なら、それが防げる可能性が高いのです。
江部康二
2019年12月15日 (日)
こんばんは。
2019年、東京にて開催し、
ご好評いただいた医療従事者対象糖質制限食セミナーを
2020年2月9日(日)、大阪にて開催致します。
日本糖質制限医療推進協会主催
医療従事者対象糖質制限食セミナー
in 大阪
開催
第1部
高雄病院の橋本眞由美 管理栄養士による講義で、
高雄病院の糖質制限食と栄養指導について、症例も交えてお話しいたします。
第2部
江部康二による講義で、糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論や
高雄病院での臨床例について解説いたします。
第3部
発表・討議で、5名の医師の方にご発表いただき、
ディスカッションを行います。
なおご参加頂いた皆さんには、
第1部講演・第2部講演のPPTスライドの資料をダウンロードしていただけます。
大阪、神戸、京都、滋賀など関西の医療従事者の皆さん、奮ってご参加くださいね。
江部康二
以下事務局からのお知らせです。
***********
ブログ読者の皆様、いつも弊会のイベントへ多数ご参加
いただきましてありがとうございます。
2020年2月9日(日)、大阪にて医療従事者の方を対象に
糖質制限食セミナーを開催いたします。
第1部は高雄病院の橋本眞由美 管理栄養士による講義で、
高雄病院の糖質制限食と栄養指導について、症例も交えてお話しいたします。
第2部は理事長による講義で、糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論や
高雄病院での臨床例について解説いたします。
第3部は、発表・討議で、5名の医師の方に発表いただき、
ディスカッションを行います。
今年3月に東京で開催したセミナーより、臨床で糖質制限を採り入れておられる
医療従事者の方々に発表いただき、指導法や症例などの共有、意見交換をしていただく
「発表・討議」の時間を新たに設けました。
参加いただいた方から、大変参考になる、刺激になった等ご好評いただき、
2020年のセミナーでも継続する運びとなりました。
医療従事者の皆様のご参加を心よりお待ちしております。
*セミナー情報URL:http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity
*東京では、2020年4月5日(日)のセミナー開催を予定しております。
第3部などの内容は異なります。2020年1月下旬より募集ご案内を開始致します。
//////////////ご案内/////////////////
(一社)日本糖質制限医療推進協会主催
「医療従事者向け糖質制限食セミナー(大阪)」
■日時:2020年2月9日(日)12:20~16:40頃
※開場・受付は12:00~
■会場: 大阪大学中之島センター 講義室406
〒530-0005 大阪市北区中之島4-3-53
http://www.onc.osaka-u.ac.jp/others/map/index.php
■内容:
◇第1部:「糖質制限食による糖尿病指導① ~高雄病院の食事と栄養指導」
講師: 橋本 眞由美 管理栄養士 / (一財)高雄病院 栄養科長
◇第2部:「糖質制限食による糖尿病指導② ~理論と臨床」 13:10頃~
講師: 江部康二 医師
(一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長
◇第3部: 「発表・討議」 15:00頃~
・『職場での「食後血糖測定」「糖質制限ランチ会」』
林田 耕治 医師(産業医)/ トータルヘルス株式会社(福岡) 代表取締役
・『糖質制限と薬理学的糖質制限により治療中の17例についての検討』
影山 広行 医師 /
うずまさ診療所、クリニックこまつ、萱島生野病院(京都、大阪) 内科
・『糖尿病患者よ、糖尿病専門医から逃げろ(そのインスリン、本当に必要ですか?)』
髙橋 裕彦 医師 / たかはし整形外科医院(香川) 院長
・『整形外科的疾患及び内科的疾患に対する、3165例の肥満外来の実践(糖質割合33%)』
中村 巧 医師 / 医)中村整形外科リハビリクリニック(兵庫) 理事長
・『重症活動性潰瘍性大腸炎に対する補助療法としての糖質制限輸液、食による寛解導入、維持の経験』
村上 博史 医師 / 西部総合病院(埼玉) 外科
*第3部は、発表10分・討議7分ずつを予定しております。
■対象:
医療従事者の方(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、理学療法士、鍼灸師など)
■受講費:
・医師・歯科医師の方: 賛助会員 7,200円 / 一般(会員以外) 9,000円
・上記以外の医療従事者の方: 賛助会員 5,200円 / 一般(会員以外) 6,500円
*参加頂いた皆様には、第1部・第2部の映写資料データ(PDF)を後日ダウンロードしていただけます。
■お支払い方法:
クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。
※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。
■お申し込みの流れ:
1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込み下さい。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4. 当日、直接会場までお越し下さい。
■お申し込み方法:
★賛助会員の方:
事務局へメールにて、医療機関でのご職種をご記入の上、お申し込み下さい。
★賛助会員入会をご希望の方:
1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up
2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
「通信」欄に以下をご記入下さい。
① 「2/9東京セミナー、参加希望」 とご記入下さい。
② 医療機関でのご職種をご記入下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact
★一般(会員以外)で、セミナーの受講のみご希望の方:
下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-med
■その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは2月7日(金)までに事務局までご連絡願います。
それ以降のご返金は対応致しかねますので予めご了承下さい。
2019年、東京にて開催し、
ご好評いただいた医療従事者対象糖質制限食セミナーを
2020年2月9日(日)、大阪にて開催致します。
日本糖質制限医療推進協会主催
医療従事者対象糖質制限食セミナー
in 大阪
開催
第1部
高雄病院の橋本眞由美 管理栄養士による講義で、
高雄病院の糖質制限食と栄養指導について、症例も交えてお話しいたします。
第2部
江部康二による講義で、糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論や
高雄病院での臨床例について解説いたします。
第3部
発表・討議で、5名の医師の方にご発表いただき、
ディスカッションを行います。
なおご参加頂いた皆さんには、
第1部講演・第2部講演のPPTスライドの資料をダウンロードしていただけます。
大阪、神戸、京都、滋賀など関西の医療従事者の皆さん、奮ってご参加くださいね。
江部康二
以下事務局からのお知らせです。
***********
ブログ読者の皆様、いつも弊会のイベントへ多数ご参加
いただきましてありがとうございます。
2020年2月9日(日)、大阪にて医療従事者の方を対象に
糖質制限食セミナーを開催いたします。
第1部は高雄病院の橋本眞由美 管理栄養士による講義で、
高雄病院の糖質制限食と栄養指導について、症例も交えてお話しいたします。
第2部は理事長による講義で、糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論や
高雄病院での臨床例について解説いたします。
第3部は、発表・討議で、5名の医師の方に発表いただき、
ディスカッションを行います。
今年3月に東京で開催したセミナーより、臨床で糖質制限を採り入れておられる
医療従事者の方々に発表いただき、指導法や症例などの共有、意見交換をしていただく
「発表・討議」の時間を新たに設けました。
参加いただいた方から、大変参考になる、刺激になった等ご好評いただき、
2020年のセミナーでも継続する運びとなりました。
医療従事者の皆様のご参加を心よりお待ちしております。
*セミナー情報URL:http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity
*東京では、2020年4月5日(日)のセミナー開催を予定しております。
第3部などの内容は異なります。2020年1月下旬より募集ご案内を開始致します。
//////////////ご案内/////////////////
(一社)日本糖質制限医療推進協会主催
「医療従事者向け糖質制限食セミナー(大阪)」
■日時:2020年2月9日(日)12:20~16:40頃
※開場・受付は12:00~
■会場: 大阪大学中之島センター 講義室406
〒530-0005 大阪市北区中之島4-3-53
http://www.onc.osaka-u.ac.jp/others/map/index.php
■内容:
◇第1部:「糖質制限食による糖尿病指導① ~高雄病院の食事と栄養指導」
講師: 橋本 眞由美 管理栄養士 / (一財)高雄病院 栄養科長
◇第2部:「糖質制限食による糖尿病指導② ~理論と臨床」 13:10頃~
講師: 江部康二 医師
(一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長
◇第3部: 「発表・討議」 15:00頃~
・『職場での「食後血糖測定」「糖質制限ランチ会」』
林田 耕治 医師(産業医)/ トータルヘルス株式会社(福岡) 代表取締役
・『糖質制限と薬理学的糖質制限により治療中の17例についての検討』
影山 広行 医師 /
うずまさ診療所、クリニックこまつ、萱島生野病院(京都、大阪) 内科
・『糖尿病患者よ、糖尿病専門医から逃げろ(そのインスリン、本当に必要ですか?)』
髙橋 裕彦 医師 / たかはし整形外科医院(香川) 院長
・『整形外科的疾患及び内科的疾患に対する、3165例の肥満外来の実践(糖質割合33%)』
中村 巧 医師 / 医)中村整形外科リハビリクリニック(兵庫) 理事長
・『重症活動性潰瘍性大腸炎に対する補助療法としての糖質制限輸液、食による寛解導入、維持の経験』
村上 博史 医師 / 西部総合病院(埼玉) 外科
*第3部は、発表10分・討議7分ずつを予定しております。
■対象:
医療従事者の方(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、理学療法士、鍼灸師など)
■受講費:
・医師・歯科医師の方: 賛助会員 7,200円 / 一般(会員以外) 9,000円
・上記以外の医療従事者の方: 賛助会員 5,200円 / 一般(会員以外) 6,500円
*参加頂いた皆様には、第1部・第2部の映写資料データ(PDF)を後日ダウンロードしていただけます。
■お支払い方法:
クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。
※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。
■お申し込みの流れ:
1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込み下さい。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4. 当日、直接会場までお越し下さい。
■お申し込み方法:
★賛助会員の方:
事務局へメールにて、医療機関でのご職種をご記入の上、お申し込み下さい。
★賛助会員入会をご希望の方:
1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up
2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
「通信」欄に以下をご記入下さい。
① 「2/9東京セミナー、参加希望」 とご記入下さい。
② 医療機関でのご職種をご記入下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact
★一般(会員以外)で、セミナーの受講のみご希望の方:
下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-med
■その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは2月7日(金)までに事務局までご連絡願います。
それ以降のご返金は対応致しかねますので予めご了承下さい。
2019年12月14日 (土)
こんにちは。
秋から冬は感染性胃腸炎が流行ります。
感染性胃腸炎とは、細菌やウイルスなどの病原体による感染症です。
ウイルス感染による胃腸炎が多いのですが、
特にノロウィルス感染症は、大変うつりやすいので注意が必要です。
症状としては、嘔吐と下痢が必発です。
潜伏時間は24~48時間で、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、発熱が主症状です。
通常3日以内で回復します。
感染経路は疫学的調査から、カキの関与が強く指摘されています。
中心部までの充分な加熱でノロウィルスは死滅します。
ノロウイルス汚染のおそれのある食品の場合は、
食品の中心温度85~90℃で90秒間以上の加熱が必要です。
ノロウイルスに感染した調理従事者が
食品を汚染したことが原因と疑われる事例も多く発生しています。
原因食品としては、特にカキを含む二枚貝が多く報告されています。
ノロウィルスはインフルエンザウィルスより、
はるかに感染しやすいのです。
ノロウィルスで直接死亡することは、まずありません。
しかし、高齢者などでは、
下痢・嘔吐による脱水や、吐瀉物による気道閉塞で死亡する場合もあります。
脱水には点滴での水分補給が有効です。
ノロウイルスは手指や食品などを介して、主として経口で感染します。
患者のふん便や吐瀉物には、大量のノロウィルスがいます。
とくに、感染源となりやすいのは吐瀉物です。
吐瀉物がじゅうたんにあって、乾燥しても12日間くらいは感染力があります。
また、乾燥した吐瀉物が微細な浮遊物となって感染源となります。
床等に飛び散った患者の吐ぶつやふん便を処理するときには、
使い捨てのガウン(エプロン)、マスクと手袋を着用し汚物中のウイルスが飛び散らないように、
ふん便、吐ぶつをペーパータオル等で静かに拭き取ります。
拭き取った後は、次亜塩素酸ナトリウム(*)で浸すように床を拭き取り、
その後水拭きをします。
おむつ等は、速やかに閉じてふん便等を包み込みます。
おむつや拭き取りに使用したペーパータオル等は、ビニール袋に密閉して廃棄します。
食品からの感染予防には加熱が有効です。
二枚貝の加熱調理でウイルスを失活させるには、
中心部が85~90℃で少なくとも90秒間の加熱が必要とされています。
手洗いは、感染予防に極めて有効です。
手指、手掌、手背、爪、指間、全てを万遍なく洗うことが必要です。
15秒ぐらいかけて洗います。
消毒タイプで液体の石鹸があれば、使用します。
石鹸がなければお湯洗い・水洗いだけでも充分有効です。
手に残った水分は素早く拭き取ります。使い捨てのペーパータオルがいいです。
(*)
■次亜塩素酸ナトリウムの消毒液の作り方(広島市、福山市のサイトから引用)
ノロウイルスに対しては塩素系消毒剤である 次亜塩素酸ナトリウム による消毒が有効です。
次亜塩素酸ナトリウムは、薄めて使用します。
市販されている家庭用塩素系漂白剤(ハイター、ブリーチなど)の濃度は、約5%です。
■便やおう吐物が付着した床,衣類,トイレなどの消毒をする場合…
濃度が 0.1%(1,000ppm) の消毒液を作ります。(1リットルの水にハイター20ml))
■おもちゃ,調理器具,直接手で触れる部分などの消毒をする場合…
濃度が 0.02%(200ppm) の消毒液を作ります。(1リットルの水にハイター5ml))
●家庭用塩素系漂白剤のキャップの容量は通常20ml~25mlです。容器に書いてありますので、確認して使用してください。
【消毒液(次亜塩素酸ナトリウム溶液)を扱うときの注意】
・使用する時は換気を十分に行ってください。
・有毒な塩素ガスが発生しますので,酸性のものと絶対に混ぜないでください!
・皮膚への刺激が強いので,直接触れないよう,ビニール手袋などを使用してください。
・皮膚に付着した場合は,直ちに大量の水で十分洗い流してください。
・目に入った場合は,直ちに大量の水で十分洗い流し,医師の診察を受けてください。
・消毒液は,濃度が高いほどノロウイルスに対して有効ですが,反面,金属が錆びたり,
漂白(変色)作用が強くなったりしますので,注意してください。
・金属に使用した場合は,消毒後,水で洗い流すか,ふき取るなどしてください。
★ 感染経路(広島市のサイトから引用)
感染経路は、基本的にはノロウイルスが口から入り、消化器に達して主に腸管で増殖して感染します。
ノロウイルスが口に達する経路は様々で、具体的な経路を下に示しました。
感染性胃腸炎の原因となる病原体の中でも、ノロウイルスは他の病原体と異なり、経口感染や接触感染のみならず、
飛沫感染や空気感染を起こすことが最近になってわかってきました。
これらの感染経路を理解することが、予防する上で大切です。
1. 経口感染(食中毒)
・ウイルスに汚染された食品(二枚貝に含まれていることがあります。)を、
生または十分に加熱しないで食べた場合。
・感染した人が調理して食品や水が汚染され、それを食べたり飲んだりした場合。
2. 接触感染
・感染した人の便や吐物にふれ、手指をとおして口から入った場合。
・感染した人の手指や感染した人が触れた衣服、器具等に接触し、手指をとおして口から入った場合。
3. 飛沫感染
・患者の便や吐物が飛び散り、その飛沫(ノロウイルスを含んだ小さな水滴。1~2m飛散します。)を吸い込んだ場合。
・便や吐物を不用意に始末したときに発生した飛沫を吸い込んだ場合。
4. 空気感染
・患者の便や吐物の処理が不十分なため、それらが乾燥して飛沫よりもさらに細かい粒子となって空気中を 漂い、それを吸い込んだ場合。この場合感染源からかなり離れた場所でも、感染する可能性があります。
江部康二
☆☆☆
以下厚生労働省のサイトから引用・抜粋
厚生労働省・ノロウイルスに関するQ&A
(作成:平成16年2月4日 最終改定:平成27年6月30日)
ノロウイルスによる食中毒及び感染症の発生を防止するため、ノロウイルスに関する正しい知識と予防対策等について理解を深めていただきたく、厚生 労働省において、次のとおりノロウイルスに関するQ&Aを作成しました。今後、ノロウイルスに関する知見の進展等に対応して、逐次、本Q&Aを更新してい くこととしています。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html
Q1 ノロウイルスによる胃腸炎はどのようなものですか?
A1 ノロウイルスによる感染性胃腸炎や食中毒は、一年を通して発生していますが、
特に冬季に流行します。
ノロウイルスは手指や食品などを介して、経口で感染し、ヒトの腸管で増殖し、おう吐、下痢、腹痛などを起こします。健康な方は軽症で回復しますが、子どもやお年寄りなどでは重症化したり、吐ぶつを誤って気道に詰まらせて死亡することがあります。
ノロウイルスについてはワクチンがなく、
また、治療は輸液などの対症療法に限られます。
従って、皆様の周りの方々と一緒に、次の予防対策を徹底しましょう。
患者のふん便や吐ぶつには大量のウイルスが排出されるので、
(1)食事の前やトイレの後などには、必ず手を洗いましょう。
(2)下痢やおう吐等の症状がある方は、
食品を直接取り扱う作業をしないようにしましょう。
(3)胃腸炎患者に接する方は、患者のふん便や吐ぶつを適切に処理し、
感染を広げないようにしましょう。
特に、子どもやお年寄りなど抵抗力の弱い方は、
加熱が必要な食品は中心部までしっかり加熱して食べましょう。
また、調理器具等は使用後に洗浄、殺菌しましょう。
Q3 ノロウイルスはどうやって感染するのですか?
A3
このウイルスの感染経路はほとんどが経口感染で、
次のような感染様式があると考えられています。
(1)患者のノロウイルスが大量に含まれるふん便や吐ぶつから人の手などを介して二次感 染した場合
(2)家庭や共同生活施設などヒト同士の接触する機会が多いところでヒトからヒトへ飛沫 感染等直接感染する場合
(3)食品取扱者(食品の製造等に従事する者、飲食店における調理従事者、家庭で調理を 行う者などが含まれます。)が感染しておりその者を介して汚染した食品を食べた場合
(4)汚染されていた二枚貝を、生あるいは十分に加熱調理しないで食べた場合
(5)ノロウイルスに汚染された井戸水や簡易水道を消毒不十分で摂取した場合
などがあります。
特に、食中毒では(3)のように食品取扱者を介してウイルスに汚染された食品を原因とする事例が、近年増加傾向にあります。
また、ノロウイルスは(3)、(4)、(5)のように食品や水を介したウイルス性食中毒の原因になるばかりでなく、(1)、(2)のようにウイルス性急性胃腸炎(感染症)の原因にもなります。この多彩な感染経路がノロウイルスの制御を困難なものにしています。
Q8 ノロウイルスに感染するとどんな症状になるのですか?
A8
潜伏期間(感染から発症までの時間)は24~48時間で、主症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛であり、発熱は軽度です。通常、これら症状が1~2日続いた後、治癒し、後遺症もありません。また、感染しても発症しない場合や軽い風邪のような症状の場合もあります。
Q9 国内でノロウイルスの感染による死者はいますか?
A9
病院や社会福祉施設でノロウイルスの集団感染が発生している時期に、当該施設で死者が出たことがあります。
しかし、もともとの疾患や体力の低下などにより介護を必要としていた方などが亡くなった場合、ノロウイルスの感染がどの程度影響したのか見極めることは困難です。
なお、吐いた物を誤嚥することによる誤嚥性肺炎や吐いた物を喉に詰まらせて窒息する場合など、ノロウイルスが関係したと思われる場合であっても直接の原因とはならない場合もあります。
Q10 発症した場合の治療法はありますか?
A10
現在、このウイルスに効果のある抗ウイルス剤はありません。このため、通常、対症療法が行われます。特に、体力の弱い乳幼児、高齢者は、脱水症状を起こしたり、体力を消耗したりしないように、水分と栄養の補給を充分に行いましょう。脱水症状がひどい場合には病院で輸液を行うなどの治療が必要になります。
止しゃ薬(いわゆる下痢止め薬)は、病気の回復を遅らせることがあるので使用しないことが望ましいでしょう。
Q13 ノロウイルス食中毒の予防方法は?
A13
ノロウイルス食中毒を防ぐためには、(1)食品取扱者や調理器具などからの二次汚染を防止する (2)特に子どもやお年寄りなどの抵抗力の弱い方は、加熱が必要な食品は中心部までしっかり加熱することが重要です。特に、ノロウイルスに感染した人のふん便や吐ぶつには大量のウイルスが排出されるため、大量調理施設の食品取扱者がノロウイルスに感染していると、大規模な食中毒となる可能性があります。
Q15 手洗いはどのようにすればいいのですか?
A15
手洗いは、 手指に付着しているノロウイルスを減らす最も有効な方法です。 調理を行う前(特に飲食業を行っている場合は食事を提供する前も)、食事の前、トイレに行った後、下痢等の患者の汚物処理やオムツ交換等を行った後(手袋をして直接触れないようにしていても)には必ず行いましょう。常に爪を短く切って、指輪等をはずし、石けんを十分泡立て、ブラシなどを使用して手指を洗浄します。すすぎは温水による流水で十分に行い、清潔なタオル又はペーパータオルで拭きます。石けん自体にはノロウイルスを直接失活化する効果はありませんが、手の脂肪等の汚れを落とすことにより、ウイルスを手指から剥がれやすくする効果があります。
なお、消毒用エタノールによる手指消毒は、石けんと流水を用いた手洗いの代用にはなりませんが、すぐに石けんによる手洗いが出来ないような場合、あくまで一般的な感染症対策の観点から手洗いの補助として用いてください。
Q16 ノロウイルスに汚染された可能性のある調理台や調理器具はどのように殺菌したらいいのですか?
A16
一般的な感染症対策として、消毒用エタノールや逆性石鹸(塩化ベンザルコニウム)が用いられることがありますが、ノロウイルスを完全に失活化する方法としては、次亜塩素酸ナトリウム※や加熱による処理があります。
調理器具等は洗剤などを使用し十分に洗浄した後、次亜塩素酸ナトリウム※(塩素濃度200ppm)で浸すように拭くことでウイルスを失活化できます。
また、まな板、包丁、へら、食器、ふきん、タオル等は熱湯(85℃以上)で1分以上の加熱が有効です。
なお、二枚貝などを取り扱うときは、専用の調理器具(まな板、包丁等)を使用するか、調理器具を使用の都度洗浄、熱湯消毒する等の対策により、他の食材への二次汚染を防止するよう、特に注意するよう気をつけましょう。
※家庭用の次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤でも代用できます。(使用に当たっては「使用上の注意」を確認しましょう。)
Q18 ノロウイルスによる感染性胃腸炎のまん延を防止する方法は?
A18
家庭内や集団で生活している施設においてノロウイルスが発生した場合、そのまん延を防ぐためには、ノロウイルスに感染した人のふん便や吐ぶつからの二次感染、ヒトからヒトへの直接感染、飛沫感染を予防する必要があります。
毎年、11月頃から2月の間に、乳幼児や高齢者の間でノロウイルスによる急性胃腸炎が流行しますが、この時期の乳幼児や高齢者の下痢便および吐ぶつには、ノロウイルスが大量に含まれていることがありますので、おむつ等の取扱いには十分注意しましょう。
Q19 患者のふん便や吐ぶつを処理する際に注意することはありますか?
A19
ノロウイルスが感染・増殖する部位は小腸と考えられています。したがって、嘔吐症状が強いときには、小腸の内容物とともにウイルスが逆流して、吐ぶつとともに排泄されます。このため、ふん便と同様に吐ぶつ中にも大量のウイルスが存在し感染源となりうるので、その処理には十分注意する必要があります。
12日以上前にノロウイルスに汚染されたカーペットを通じて、感染が起きた事例も知られており、時間が経っても、患者の吐ぶつ、ふん便やそれらにより汚染された床や手袋などには、感染力のあるウイルスが残っている可能性があります。このため、これら感染源となるものは必ず処理をしましょう。
床等に飛び散った患者の吐ぶつやふん便を処理するときには、使い捨てのガウン(エプロン)、マスクと手袋を着用し汚物中のウイルスが飛び散らないように、ふん便、吐ぶつをペーパータオル等で静かに拭き取ります。拭き取った後は、次亜塩素酸ナトリウム※(塩素濃度約200ppm)で浸すように床を拭き取り、その後水拭きをします。おむつ等は、速やかに閉じてふん便等を包み込みます。
おむつや拭き取りに使用したペーパータオル等は、ビニール袋に密閉して廃棄します。(この際、ビニール袋に廃棄物が充分に浸る量の次亜塩素酸ナトリウム※(塩素濃度約1,000ppm)を入れることが望ましい。)
また、ノロウイルスは乾燥すると容易に空中に漂い、これが口に入って感染することがあるので、吐ぶつやふん便は乾燥しないうちに床等に残らないよう速やかに処理し、処理した後はウイルスが屋外に出て行くよう空気の流れに注意しながら十分に喚気を行うことが感染防止に重要です。
11月頃から2月の間に、乳幼児や高齢者の間でノロウイルスによる急性胃腸炎が流行します。この時期の乳幼児や高齢者の下痢便および吐ぶつには、ノロウイルスが大量に含まれていることがありますので、おむつ等の取扱いには十分注意しましょう。
※家庭用の次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤でも代用できます。(使用に当たっては「使用上の注意」を確認しましょう。)
Q20 吐ぶつやふん便が布団などのリネン類に付着した場合はどのように処理をすればよいですか。
A20
リネン等は、付着した汚物中のウイルスが飛び散らないように処理した後、洗剤を入れた水の中で静かにもみ洗いします。その際にしぶきを吸い込まないよう注意してください。下洗いしたリネン類の消毒は85℃・1分間以上の熱水洗濯が適しています。ただし、熱水洗濯が行える洗濯機がない場合には、次亜塩素酸ナトリウム※の消毒が有効です。その際も十分すすぎ、高温の乾燥機などを使用すると殺菌効果は高まります。布団などすぐに洗濯できない場合は、よく乾燥させ、スチームアイロンや布団乾燥機を使うと効果的です。また、下洗い場所を次亜塩素酸ナトリウム※(塩素濃度約200ppm)で消毒後、洗剤を使って掃除をする必要があります。次亜塩素酸ナトリウム※には漂白作用があります。薬剤の「使用上の注意」を確認してください。
※家庭用の次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤でも代用できます。(使用に当たっては「使用上の注意」を確認しましょう。)
Q21 感染者が使用した食器類の消毒はどのようにしたらよいですか?
A21
施設の厨房等多人数の食事の調理、配食等をする部署へ感染者の使用した食器類や吐ぶつが付着した食器類を下膳する場合、注意が必要です。可能であれば食器等は、厨房に戻す前、食後すぐに次亜塩素酸ナトリウム液に十分浸し、消毒します。
また、食器等の下洗いや嘔吐後にうがいをした場所等も次亜塩素酸ナトリウム※(塩素濃度約200ppm)で消毒後、洗剤を使って掃除をするようにしてください。
※家庭用の次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤でも代用できます。(使用に当たっては「使用上の注意」を確認しましょう。)
Q22 感染者が発生した場合、環境の消毒はどのようにしたらよいですか?
A22
ノロウイルスは感染力が強く、環境(ドアノブ、カーテン、リネン類、日用品など)からもウイルスが検出されます。感染者が発生した場合、消毒が必要な場合次亜塩素酸ナトリウム※などを使用してください。ただし、次亜塩素酸ナトリウム※は金属腐食性がありますので、消毒後の薬剤の拭き取りを十分にするよう注意してください。
※家庭用の次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤でも代用できます。(使用に当たっては「使用上の注意」を確認しましょう。)
秋から冬は感染性胃腸炎が流行ります。
感染性胃腸炎とは、細菌やウイルスなどの病原体による感染症です。
ウイルス感染による胃腸炎が多いのですが、
特にノロウィルス感染症は、大変うつりやすいので注意が必要です。
症状としては、嘔吐と下痢が必発です。
潜伏時間は24~48時間で、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、発熱が主症状です。
通常3日以内で回復します。
感染経路は疫学的調査から、カキの関与が強く指摘されています。
中心部までの充分な加熱でノロウィルスは死滅します。
ノロウイルス汚染のおそれのある食品の場合は、
食品の中心温度85~90℃で90秒間以上の加熱が必要です。
ノロウイルスに感染した調理従事者が
食品を汚染したことが原因と疑われる事例も多く発生しています。
原因食品としては、特にカキを含む二枚貝が多く報告されています。
ノロウィルスはインフルエンザウィルスより、
はるかに感染しやすいのです。
ノロウィルスで直接死亡することは、まずありません。
しかし、高齢者などでは、
下痢・嘔吐による脱水や、吐瀉物による気道閉塞で死亡する場合もあります。
脱水には点滴での水分補給が有効です。
ノロウイルスは手指や食品などを介して、主として経口で感染します。
患者のふん便や吐瀉物には、大量のノロウィルスがいます。
とくに、感染源となりやすいのは吐瀉物です。
吐瀉物がじゅうたんにあって、乾燥しても12日間くらいは感染力があります。
また、乾燥した吐瀉物が微細な浮遊物となって感染源となります。
床等に飛び散った患者の吐ぶつやふん便を処理するときには、
使い捨てのガウン(エプロン)、マスクと手袋を着用し汚物中のウイルスが飛び散らないように、
ふん便、吐ぶつをペーパータオル等で静かに拭き取ります。
拭き取った後は、次亜塩素酸ナトリウム(*)で浸すように床を拭き取り、
その後水拭きをします。
おむつ等は、速やかに閉じてふん便等を包み込みます。
おむつや拭き取りに使用したペーパータオル等は、ビニール袋に密閉して廃棄します。
食品からの感染予防には加熱が有効です。
二枚貝の加熱調理でウイルスを失活させるには、
中心部が85~90℃で少なくとも90秒間の加熱が必要とされています。
手洗いは、感染予防に極めて有効です。
手指、手掌、手背、爪、指間、全てを万遍なく洗うことが必要です。
15秒ぐらいかけて洗います。
消毒タイプで液体の石鹸があれば、使用します。
石鹸がなければお湯洗い・水洗いだけでも充分有効です。
手に残った水分は素早く拭き取ります。使い捨てのペーパータオルがいいです。
(*)
■次亜塩素酸ナトリウムの消毒液の作り方(広島市、福山市のサイトから引用)
ノロウイルスに対しては塩素系消毒剤である 次亜塩素酸ナトリウム による消毒が有効です。
次亜塩素酸ナトリウムは、薄めて使用します。
市販されている家庭用塩素系漂白剤(ハイター、ブリーチなど)の濃度は、約5%です。
■便やおう吐物が付着した床,衣類,トイレなどの消毒をする場合…
濃度が 0.1%(1,000ppm) の消毒液を作ります。(1リットルの水にハイター20ml))
■おもちゃ,調理器具,直接手で触れる部分などの消毒をする場合…
濃度が 0.02%(200ppm) の消毒液を作ります。(1リットルの水にハイター5ml))
●家庭用塩素系漂白剤のキャップの容量は通常20ml~25mlです。容器に書いてありますので、確認して使用してください。
【消毒液(次亜塩素酸ナトリウム溶液)を扱うときの注意】
・使用する時は換気を十分に行ってください。
・有毒な塩素ガスが発生しますので,酸性のものと絶対に混ぜないでください!
・皮膚への刺激が強いので,直接触れないよう,ビニール手袋などを使用してください。
・皮膚に付着した場合は,直ちに大量の水で十分洗い流してください。
・目に入った場合は,直ちに大量の水で十分洗い流し,医師の診察を受けてください。
・消毒液は,濃度が高いほどノロウイルスに対して有効ですが,反面,金属が錆びたり,
漂白(変色)作用が強くなったりしますので,注意してください。
・金属に使用した場合は,消毒後,水で洗い流すか,ふき取るなどしてください。
★ 感染経路(広島市のサイトから引用)
感染経路は、基本的にはノロウイルスが口から入り、消化器に達して主に腸管で増殖して感染します。
ノロウイルスが口に達する経路は様々で、具体的な経路を下に示しました。
感染性胃腸炎の原因となる病原体の中でも、ノロウイルスは他の病原体と異なり、経口感染や接触感染のみならず、
飛沫感染や空気感染を起こすことが最近になってわかってきました。
これらの感染経路を理解することが、予防する上で大切です。
1. 経口感染(食中毒)
・ウイルスに汚染された食品(二枚貝に含まれていることがあります。)を、
生または十分に加熱しないで食べた場合。
・感染した人が調理して食品や水が汚染され、それを食べたり飲んだりした場合。
2. 接触感染
・感染した人の便や吐物にふれ、手指をとおして口から入った場合。
・感染した人の手指や感染した人が触れた衣服、器具等に接触し、手指をとおして口から入った場合。
3. 飛沫感染
・患者の便や吐物が飛び散り、その飛沫(ノロウイルスを含んだ小さな水滴。1~2m飛散します。)を吸い込んだ場合。
・便や吐物を不用意に始末したときに発生した飛沫を吸い込んだ場合。
4. 空気感染
・患者の便や吐物の処理が不十分なため、それらが乾燥して飛沫よりもさらに細かい粒子となって空気中を 漂い、それを吸い込んだ場合。この場合感染源からかなり離れた場所でも、感染する可能性があります。
江部康二
☆☆☆
以下厚生労働省のサイトから引用・抜粋
厚生労働省・ノロウイルスに関するQ&A
(作成:平成16年2月4日 最終改定:平成27年6月30日)
ノロウイルスによる食中毒及び感染症の発生を防止するため、ノロウイルスに関する正しい知識と予防対策等について理解を深めていただきたく、厚生 労働省において、次のとおりノロウイルスに関するQ&Aを作成しました。今後、ノロウイルスに関する知見の進展等に対応して、逐次、本Q&Aを更新してい くこととしています。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html
Q1 ノロウイルスによる胃腸炎はどのようなものですか?
A1 ノロウイルスによる感染性胃腸炎や食中毒は、一年を通して発生していますが、
特に冬季に流行します。
ノロウイルスは手指や食品などを介して、経口で感染し、ヒトの腸管で増殖し、おう吐、下痢、腹痛などを起こします。健康な方は軽症で回復しますが、子どもやお年寄りなどでは重症化したり、吐ぶつを誤って気道に詰まらせて死亡することがあります。
ノロウイルスについてはワクチンがなく、
また、治療は輸液などの対症療法に限られます。
従って、皆様の周りの方々と一緒に、次の予防対策を徹底しましょう。
患者のふん便や吐ぶつには大量のウイルスが排出されるので、
(1)食事の前やトイレの後などには、必ず手を洗いましょう。
(2)下痢やおう吐等の症状がある方は、
食品を直接取り扱う作業をしないようにしましょう。
(3)胃腸炎患者に接する方は、患者のふん便や吐ぶつを適切に処理し、
感染を広げないようにしましょう。
特に、子どもやお年寄りなど抵抗力の弱い方は、
加熱が必要な食品は中心部までしっかり加熱して食べましょう。
また、調理器具等は使用後に洗浄、殺菌しましょう。
Q3 ノロウイルスはどうやって感染するのですか?
A3
このウイルスの感染経路はほとんどが経口感染で、
次のような感染様式があると考えられています。
(1)患者のノロウイルスが大量に含まれるふん便や吐ぶつから人の手などを介して二次感 染した場合
(2)家庭や共同生活施設などヒト同士の接触する機会が多いところでヒトからヒトへ飛沫 感染等直接感染する場合
(3)食品取扱者(食品の製造等に従事する者、飲食店における調理従事者、家庭で調理を 行う者などが含まれます。)が感染しておりその者を介して汚染した食品を食べた場合
(4)汚染されていた二枚貝を、生あるいは十分に加熱調理しないで食べた場合
(5)ノロウイルスに汚染された井戸水や簡易水道を消毒不十分で摂取した場合
などがあります。
特に、食中毒では(3)のように食品取扱者を介してウイルスに汚染された食品を原因とする事例が、近年増加傾向にあります。
また、ノロウイルスは(3)、(4)、(5)のように食品や水を介したウイルス性食中毒の原因になるばかりでなく、(1)、(2)のようにウイルス性急性胃腸炎(感染症)の原因にもなります。この多彩な感染経路がノロウイルスの制御を困難なものにしています。
Q8 ノロウイルスに感染するとどんな症状になるのですか?
A8
潜伏期間(感染から発症までの時間)は24~48時間で、主症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛であり、発熱は軽度です。通常、これら症状が1~2日続いた後、治癒し、後遺症もありません。また、感染しても発症しない場合や軽い風邪のような症状の場合もあります。
Q9 国内でノロウイルスの感染による死者はいますか?
A9
病院や社会福祉施設でノロウイルスの集団感染が発生している時期に、当該施設で死者が出たことがあります。
しかし、もともとの疾患や体力の低下などにより介護を必要としていた方などが亡くなった場合、ノロウイルスの感染がどの程度影響したのか見極めることは困難です。
なお、吐いた物を誤嚥することによる誤嚥性肺炎や吐いた物を喉に詰まらせて窒息する場合など、ノロウイルスが関係したと思われる場合であっても直接の原因とはならない場合もあります。
Q10 発症した場合の治療法はありますか?
A10
現在、このウイルスに効果のある抗ウイルス剤はありません。このため、通常、対症療法が行われます。特に、体力の弱い乳幼児、高齢者は、脱水症状を起こしたり、体力を消耗したりしないように、水分と栄養の補給を充分に行いましょう。脱水症状がひどい場合には病院で輸液を行うなどの治療が必要になります。
止しゃ薬(いわゆる下痢止め薬)は、病気の回復を遅らせることがあるので使用しないことが望ましいでしょう。
Q13 ノロウイルス食中毒の予防方法は?
A13
ノロウイルス食中毒を防ぐためには、(1)食品取扱者や調理器具などからの二次汚染を防止する (2)特に子どもやお年寄りなどの抵抗力の弱い方は、加熱が必要な食品は中心部までしっかり加熱することが重要です。特に、ノロウイルスに感染した人のふん便や吐ぶつには大量のウイルスが排出されるため、大量調理施設の食品取扱者がノロウイルスに感染していると、大規模な食中毒となる可能性があります。
Q15 手洗いはどのようにすればいいのですか?
A15
手洗いは、 手指に付着しているノロウイルスを減らす最も有効な方法です。 調理を行う前(特に飲食業を行っている場合は食事を提供する前も)、食事の前、トイレに行った後、下痢等の患者の汚物処理やオムツ交換等を行った後(手袋をして直接触れないようにしていても)には必ず行いましょう。常に爪を短く切って、指輪等をはずし、石けんを十分泡立て、ブラシなどを使用して手指を洗浄します。すすぎは温水による流水で十分に行い、清潔なタオル又はペーパータオルで拭きます。石けん自体にはノロウイルスを直接失活化する効果はありませんが、手の脂肪等の汚れを落とすことにより、ウイルスを手指から剥がれやすくする効果があります。
なお、消毒用エタノールによる手指消毒は、石けんと流水を用いた手洗いの代用にはなりませんが、すぐに石けんによる手洗いが出来ないような場合、あくまで一般的な感染症対策の観点から手洗いの補助として用いてください。
Q16 ノロウイルスに汚染された可能性のある調理台や調理器具はどのように殺菌したらいいのですか?
A16
一般的な感染症対策として、消毒用エタノールや逆性石鹸(塩化ベンザルコニウム)が用いられることがありますが、ノロウイルスを完全に失活化する方法としては、次亜塩素酸ナトリウム※や加熱による処理があります。
調理器具等は洗剤などを使用し十分に洗浄した後、次亜塩素酸ナトリウム※(塩素濃度200ppm)で浸すように拭くことでウイルスを失活化できます。
また、まな板、包丁、へら、食器、ふきん、タオル等は熱湯(85℃以上)で1分以上の加熱が有効です。
なお、二枚貝などを取り扱うときは、専用の調理器具(まな板、包丁等)を使用するか、調理器具を使用の都度洗浄、熱湯消毒する等の対策により、他の食材への二次汚染を防止するよう、特に注意するよう気をつけましょう。
※家庭用の次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤でも代用できます。(使用に当たっては「使用上の注意」を確認しましょう。)
Q18 ノロウイルスによる感染性胃腸炎のまん延を防止する方法は?
A18
家庭内や集団で生活している施設においてノロウイルスが発生した場合、そのまん延を防ぐためには、ノロウイルスに感染した人のふん便や吐ぶつからの二次感染、ヒトからヒトへの直接感染、飛沫感染を予防する必要があります。
毎年、11月頃から2月の間に、乳幼児や高齢者の間でノロウイルスによる急性胃腸炎が流行しますが、この時期の乳幼児や高齢者の下痢便および吐ぶつには、ノロウイルスが大量に含まれていることがありますので、おむつ等の取扱いには十分注意しましょう。
Q19 患者のふん便や吐ぶつを処理する際に注意することはありますか?
A19
ノロウイルスが感染・増殖する部位は小腸と考えられています。したがって、嘔吐症状が強いときには、小腸の内容物とともにウイルスが逆流して、吐ぶつとともに排泄されます。このため、ふん便と同様に吐ぶつ中にも大量のウイルスが存在し感染源となりうるので、その処理には十分注意する必要があります。
12日以上前にノロウイルスに汚染されたカーペットを通じて、感染が起きた事例も知られており、時間が経っても、患者の吐ぶつ、ふん便やそれらにより汚染された床や手袋などには、感染力のあるウイルスが残っている可能性があります。このため、これら感染源となるものは必ず処理をしましょう。
床等に飛び散った患者の吐ぶつやふん便を処理するときには、使い捨てのガウン(エプロン)、マスクと手袋を着用し汚物中のウイルスが飛び散らないように、ふん便、吐ぶつをペーパータオル等で静かに拭き取ります。拭き取った後は、次亜塩素酸ナトリウム※(塩素濃度約200ppm)で浸すように床を拭き取り、その後水拭きをします。おむつ等は、速やかに閉じてふん便等を包み込みます。
おむつや拭き取りに使用したペーパータオル等は、ビニール袋に密閉して廃棄します。(この際、ビニール袋に廃棄物が充分に浸る量の次亜塩素酸ナトリウム※(塩素濃度約1,000ppm)を入れることが望ましい。)
また、ノロウイルスは乾燥すると容易に空中に漂い、これが口に入って感染することがあるので、吐ぶつやふん便は乾燥しないうちに床等に残らないよう速やかに処理し、処理した後はウイルスが屋外に出て行くよう空気の流れに注意しながら十分に喚気を行うことが感染防止に重要です。
11月頃から2月の間に、乳幼児や高齢者の間でノロウイルスによる急性胃腸炎が流行します。この時期の乳幼児や高齢者の下痢便および吐ぶつには、ノロウイルスが大量に含まれていることがありますので、おむつ等の取扱いには十分注意しましょう。
※家庭用の次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤でも代用できます。(使用に当たっては「使用上の注意」を確認しましょう。)
Q20 吐ぶつやふん便が布団などのリネン類に付着した場合はどのように処理をすればよいですか。
A20
リネン等は、付着した汚物中のウイルスが飛び散らないように処理した後、洗剤を入れた水の中で静かにもみ洗いします。その際にしぶきを吸い込まないよう注意してください。下洗いしたリネン類の消毒は85℃・1分間以上の熱水洗濯が適しています。ただし、熱水洗濯が行える洗濯機がない場合には、次亜塩素酸ナトリウム※の消毒が有効です。その際も十分すすぎ、高温の乾燥機などを使用すると殺菌効果は高まります。布団などすぐに洗濯できない場合は、よく乾燥させ、スチームアイロンや布団乾燥機を使うと効果的です。また、下洗い場所を次亜塩素酸ナトリウム※(塩素濃度約200ppm)で消毒後、洗剤を使って掃除をする必要があります。次亜塩素酸ナトリウム※には漂白作用があります。薬剤の「使用上の注意」を確認してください。
※家庭用の次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤でも代用できます。(使用に当たっては「使用上の注意」を確認しましょう。)
Q21 感染者が使用した食器類の消毒はどのようにしたらよいですか?
A21
施設の厨房等多人数の食事の調理、配食等をする部署へ感染者の使用した食器類や吐ぶつが付着した食器類を下膳する場合、注意が必要です。可能であれば食器等は、厨房に戻す前、食後すぐに次亜塩素酸ナトリウム液に十分浸し、消毒します。
また、食器等の下洗いや嘔吐後にうがいをした場所等も次亜塩素酸ナトリウム※(塩素濃度約200ppm)で消毒後、洗剤を使って掃除をするようにしてください。
※家庭用の次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤でも代用できます。(使用に当たっては「使用上の注意」を確認しましょう。)
Q22 感染者が発生した場合、環境の消毒はどのようにしたらよいですか?
A22
ノロウイルスは感染力が強く、環境(ドアノブ、カーテン、リネン類、日用品など)からもウイルスが検出されます。感染者が発生した場合、消毒が必要な場合次亜塩素酸ナトリウム※などを使用してください。ただし、次亜塩素酸ナトリウム※は金属腐食性がありますので、消毒後の薬剤の拭き取りを十分にするよう注意してください。
※家庭用の次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤でも代用できます。(使用に当たっては「使用上の注意」を確認しましょう。)
2019年12月13日 (金)
こんばんは。
朝日カルチャーセンター中之島教室にて
糖質制限食講座開催です。
老後の備え、認知症予防に糖質制限食
https://www.asahiculture.jp/course/nakanoshima/9d2aab8c-4a2f-a977-7b1e-5d048b51ecb0
2019/12/17(火)15:30~17:00
朝日カルチャーセンター 朝日JTB・交流文化塾
中之島教室
TEL:06-6222-5222
『糖尿病コントロール不良』『白米を多く摂取』などで認知症リスクが高まります。
最新の内容も含めて、わかりやすくて楽しいお話しを目指します。
講師は江部康二です。
年間約30回講演をしていますが、
結構、新しい話題も多いので、スライドも毎回更新しています。
今回もわかりやすくお話しますので、乞うご期待です。
講演が75分間で質疑応答が15分間です。
大阪・兵庫・京都・滋賀や近畿圏の糖尿人やメタボ人の方々やそのご家族など、
奮ってご参加いただけば幸いです。
お陰様で、糖質制限食は順調に普及してきています。
2005年に私が「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)
を日本初の糖質制限食の本として刊行したころとは、大きな違いがあります。
なんと言っても、2013年10月に米国糖尿病学会が5年ぶりに改訂した
「栄養療法に関する声明」のなかで、
地中海食やベジタリアン食などどともに「糖質制限食」を正式に容認したことが、
大きな追い風となりました。
2016年7月のNHKクローズアップ現代の試算によれば、
糖質制限市場は、3184億円とのことです。
医学界より、企業のほうが糖質制限食をビジネスチャンスと捉えて
行動が迅速なようです。
くら寿司やガストやリンガーハットなども糖質制限メニューを投入で、
なかなかの発展状況です。
2017年8月には、
「炭水化物の摂取増加で死亡リスク上昇」
という結論のランセット(Lancet)論文が発表され、
糖質制限食にとって大きな追い風となりました。
Lancet誌オンライン版2017年8月29日号掲載
https://doi.org/10.1016/S0140-6736(17)32252-3
さらに、2019年4月、米国糖尿病学会は「コンセンサス・レポート」において
『糖質制限食が最もエビデンスが豊富である』と報告しました。
糖質制限食の発展、まさに、今昔の感ありですね。
江部康二
☆☆☆
以下は朝日カルチャーセンター中之島教室のサイトから一部抜粋です。
老後の備え、認知症予防に糖質制限食
講師 江部康二高雄病院理事長
内容
糖質制限食は、1999年から京都・高雄病院において糖尿病治療食として開始され、合併症を予防できる唯一の食事療法として画期的な成果をあげてきました。近年多くの研究論文により糖尿病・肥満・生活習慣病などに対する糖質制限食の治療効果が証明されています。米国糖尿病学会は2019年4月のガイドラインで、血糖値改善効果に関して糖質制限食が最もエビデンスが豊富であると明言しました。『糖尿病コントロール不良』『白米を多く摂取』などで認知症リスクが高まります。老後の備え、認知症予防には、糖質制限食実践あるのみです。
日程 2019/12/17
曜日・時間 火曜 15:30~17:00
受講料(税込) 会員 3,080円 一般 3,630円
講師紹介 江部 康二 (エベ コウジ)
<プロフィール>
・1950年生まれ。
・1974年京都大学医学部卒業。
・1974年から京都大学胸部疾患研究所第一内科(現在京大呼吸器内科)
にて呼吸器科を学ぶ。
・1978年から高雄病院に医局長として勤務。1996年副院長就任。
・1999年高雄病院に糖質制限食導入。
・2000年理事長就任。
・2001年から糖質制限食に本格的に取り組む。
・ 2002年に自ら糖尿病であると気づいて以来、さらに糖尿病治療の研究に力を 注ぎ、「糖質制限食」の体系を確立。これにより自身の糖尿病を克服。
内科医/漢方医/一般財団法人高雄病院理事長/一般社団法人日本糖質制限医療推進協会理事長。
<著書>
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』2005年(東洋経済新報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編』2008年(東洋経済新報社)
『我ら糖尿人、元気なのにはわけがある』2009年(東洋経済新報社・作家宮本輝氏との対談本)
『糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食』2010年(ナツメ社)
『主食をやめると健康になる』2011年(ダイヤモンド社)
『食品別糖質量ハンドブック』2012年(洋泉社)監修
『糖質オフ!健康法』2012年(PHP文庫)
『糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド』2013年(東洋経済新報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!新版』2014年(東洋経済新報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!2 実践編 新版』2014年(東洋経済新報社)
『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません』2014年(東洋経済新報社)
『なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか』2015年(ナツメ社)
『糖質制限の教科書』2015年(洋泉社)監修
『よくわかる! すぐできる! 「 糖質オフ! 」健康法 』2016年(PHP研究所)
『人類最強の「糖質制限」論~ケトン体を味方に して痩せる、健康になる』2016年(SB新書)
『江部康二の糖質制限革命』2017年(東洋経済新報社)
『男・50代からの糖質制限』2018年(東洋経済新報社)
『内臓脂肪がストン!とおちる食事術』2019年(ダイヤモンド社)
『糖質制限の大百科』2019年(洋泉社)
など多数。
ブログ『ドクター江部の糖尿病徒然日記( http://koujiebe.blog95.fc2.com/ )は日に数千件のアクセスがあり、糖尿病のかたやそのご家族から寄せられた質問への回答や、糖尿病・糖質制限食に関する 情報の発信に、日々尽力している。
朝日カルチャーセンター中之島教室にて
糖質制限食講座開催です。
老後の備え、認知症予防に糖質制限食
https://www.asahiculture.jp/course/nakanoshima/9d2aab8c-4a2f-a977-7b1e-5d048b51ecb0
2019/12/17(火)15:30~17:00
朝日カルチャーセンター 朝日JTB・交流文化塾
中之島教室
TEL:06-6222-5222
『糖尿病コントロール不良』『白米を多く摂取』などで認知症リスクが高まります。
最新の内容も含めて、わかりやすくて楽しいお話しを目指します。
講師は江部康二です。
年間約30回講演をしていますが、
結構、新しい話題も多いので、スライドも毎回更新しています。
今回もわかりやすくお話しますので、乞うご期待です。
講演が75分間で質疑応答が15分間です。
大阪・兵庫・京都・滋賀や近畿圏の糖尿人やメタボ人の方々やそのご家族など、
奮ってご参加いただけば幸いです。
お陰様で、糖質制限食は順調に普及してきています。
2005年に私が「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)
を日本初の糖質制限食の本として刊行したころとは、大きな違いがあります。
なんと言っても、2013年10月に米国糖尿病学会が5年ぶりに改訂した
「栄養療法に関する声明」のなかで、
地中海食やベジタリアン食などどともに「糖質制限食」を正式に容認したことが、
大きな追い風となりました。
2016年7月のNHKクローズアップ現代の試算によれば、
糖質制限市場は、3184億円とのことです。
医学界より、企業のほうが糖質制限食をビジネスチャンスと捉えて
行動が迅速なようです。
くら寿司やガストやリンガーハットなども糖質制限メニューを投入で、
なかなかの発展状況です。
2017年8月には、
「炭水化物の摂取増加で死亡リスク上昇」
という結論のランセット(Lancet)論文が発表され、
糖質制限食にとって大きな追い風となりました。
Lancet誌オンライン版2017年8月29日号掲載
https://doi.org/10.1016/S0140-6736(17)32252-3
さらに、2019年4月、米国糖尿病学会は「コンセンサス・レポート」において
『糖質制限食が最もエビデンスが豊富である』と報告しました。
糖質制限食の発展、まさに、今昔の感ありですね。
江部康二
☆☆☆
以下は朝日カルチャーセンター中之島教室のサイトから一部抜粋です。
老後の備え、認知症予防に糖質制限食
講師 江部康二高雄病院理事長
内容
糖質制限食は、1999年から京都・高雄病院において糖尿病治療食として開始され、合併症を予防できる唯一の食事療法として画期的な成果をあげてきました。近年多くの研究論文により糖尿病・肥満・生活習慣病などに対する糖質制限食の治療効果が証明されています。米国糖尿病学会は2019年4月のガイドラインで、血糖値改善効果に関して糖質制限食が最もエビデンスが豊富であると明言しました。『糖尿病コントロール不良』『白米を多く摂取』などで認知症リスクが高まります。老後の備え、認知症予防には、糖質制限食実践あるのみです。
日程 2019/12/17
曜日・時間 火曜 15:30~17:00
受講料(税込) 会員 3,080円 一般 3,630円
講師紹介 江部 康二 (エベ コウジ)
<プロフィール>
・1950年生まれ。
・1974年京都大学医学部卒業。
・1974年から京都大学胸部疾患研究所第一内科(現在京大呼吸器内科)
にて呼吸器科を学ぶ。
・1978年から高雄病院に医局長として勤務。1996年副院長就任。
・1999年高雄病院に糖質制限食導入。
・2000年理事長就任。
・2001年から糖質制限食に本格的に取り組む。
・ 2002年に自ら糖尿病であると気づいて以来、さらに糖尿病治療の研究に力を 注ぎ、「糖質制限食」の体系を確立。これにより自身の糖尿病を克服。
内科医/漢方医/一般財団法人高雄病院理事長/一般社団法人日本糖質制限医療推進協会理事長。
<著書>
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』2005年(東洋経済新報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編』2008年(東洋経済新報社)
『我ら糖尿人、元気なのにはわけがある』2009年(東洋経済新報社・作家宮本輝氏との対談本)
『糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食』2010年(ナツメ社)
『主食をやめると健康になる』2011年(ダイヤモンド社)
『食品別糖質量ハンドブック』2012年(洋泉社)監修
『糖質オフ!健康法』2012年(PHP文庫)
『糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド』2013年(東洋経済新報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!新版』2014年(東洋経済新報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!2 実践編 新版』2014年(東洋経済新報社)
『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません』2014年(東洋経済新報社)
『なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか』2015年(ナツメ社)
『糖質制限の教科書』2015年(洋泉社)監修
『よくわかる! すぐできる! 「 糖質オフ! 」健康法 』2016年(PHP研究所)
『人類最強の「糖質制限」論~ケトン体を味方に して痩せる、健康になる』2016年(SB新書)
『江部康二の糖質制限革命』2017年(東洋経済新報社)
『男・50代からの糖質制限』2018年(東洋経済新報社)
『内臓脂肪がストン!とおちる食事術』2019年(ダイヤモンド社)
『糖質制限の大百科』2019年(洋泉社)
など多数。
ブログ『ドクター江部の糖尿病徒然日記( http://koujiebe.blog95.fc2.com/ )は日に数千件のアクセスがあり、糖尿病のかたやそのご家族から寄せられた質問への回答や、糖尿病・糖質制限食に関する 情報の発信に、日々尽力している。
2019年12月12日 (木)
【19/12/07 さくらちゃん
PCOS
はじめまして。多能嚢胞生卵巣症候群で5年悩んでおり、ヤーズ内服中(以前はマーベロン)の29歳です。
ピルをやめると無月経で、ずっとピルを飲んでいます。
BMIは22で、ふつう体系で、LH FSHは正常範囲内ですがエコーで多嚢胞があるのと、
アンドロゲンの値が0.5くらいとやや高いです。
赤ニキビとまではいきまけんが、コメドがたくさんできてしまいます。
もともと肌トラブルゼロで、周りからも肌を褒めてもらうことが多く自分のチャームポイントとしていました。
憂鬱な5年間で、今でもそれが続いておりいろんなことに億劫になり、自分に自信が持てません。
診断されて以降ずっとその状態が続いています。
多嚢胞診断されるまでは、まったく食事に気をつけず、お菓子、ご飯、パンはたくさん食べておりました。
運動もしておりましたが、その分食べていました。
初めてニキビがバッと出たときは1日泣き崩れて家から出れませんでした。
しかし、泣いててもしょうがないし、自分の生活に原因があると思い、
その後改心しようと、もともとぽっちゃりぎみだったので、(いつもBMI22、やせたときで20.5-21)
アンドロゲンの値を少しでも下げたくインスリン抵抗性に改善するために
もともと炭水化物をたくさんとってしまっていたのを、
低GIの食事を意識し作って食べたり、パンは全粒粉かご飯も玄米にし、食べる量は毎回半分にしています。
また、お魚を意識して食べるようにしたり、お肉も赤身しか食べないようにしたり努力しています。
甘いものも元々大好きでしたが、極力食べないようにしたり、食べても甘くないお菓子を食べたりします。
スタバのラテものみたいときはシロップも1/3にしています。
外食でフレンチのコースになった時もデザートは抜きにしてもらったり、
我慢して出てきても一口で食べなかったりします。
お酒はハイボールです。ワインも甘いと感じ、ワインはもここ3年はのまなくなりました。
日本酒も極力選択しないようにしています。
そのほかは、メトホルミンを飲んだり、ランニングをしたりしています。
ランニングに関しては、30日のうち25日ランニングしたりすることもありましたが、
正直非現実的で、疲れてしまいました。
朝が一番脂肪からおとすときき、朝ランをよくしています。現在は週に2.3回です。
アンドロゲンの値が高い以上、もう、限界があるのはわかっていますが、
それを少しでも下げる努力をしたく改善方法はないかと思い、
今回ご相談としてコメントさせていただきました。
また現在の体重よりもあと5キロ落としたいです。
スーパー糖質制限に関しては、するとイライラがすごく、わたしには無理だと2日以上したことはありません。
また、肌へ色素沈着することも聞き、、怖くてできません。
エビデンスはあるのでしょうか。
また、一時期はサラダ生活してましたが、
低糖質、食物繊維の多く体に良いものには腸内ガスを発生させるものが多く、
たくさん食べないとお腹いっぱいにならないので、
余計お腹がパンパンにはって便秘がちになるのも糖質制限の難点だと思ってます。
便秘になるから体重測っても重い時期が続いたり。
今後も続けていくしかないのですかわ生活が変化していく中での、
自分にあった続けられる糖質制限をまだ見つけられないです。
お腹減ってない時は食べないって言う当たり前のこともできなかったりします。
だから私は昔から永遠にぽっちゃりなんです。
あと5キロやせたいけど、やる気出して3キロ痩せてそのあとリバウンド殴り返し。
毎日カロリーももう4年くらいつけております。その気力も何年落ちております。
もしよければ、コメントの方くださりませんでしょうか。よろしくお願いいたします。】
こんばんは。
さくらちゃんから、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)について
コメント、質問を頂きました。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは、卵胞が嚢胞性変化を起こし排卵しにくくなる障害です。
卵巣には多くの卵細胞がありますが、通常は月に一つずつ成長して排卵します。
卵細胞は卵胞という袋に包まれています。
卵細胞が成長していくにつれて、卵胞も大きくなっていきます。
卵胞が約2cmくらいまで大きくなると破裂して、卵細胞が排卵されます。
多嚢胞性卵巣症候群では、卵胞が卵巣の中に慢性的に多くあり、
一定の大きさまでは成長するのですが、そこで止まってしまいます。
卵胞はそれ以上大きくなれないので、排卵がおこりにくくなる病気です。
排卵がないので、症状としては9割以上の人に月経異常が生じます。
排卵障害があれば当然不妊となります。50%くらいが肥満を伴います。
男性ホルモン増加による症状もみられます。
日本産婦人科学会によれば、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の原因には諸説がありますが、
はっきりとは解明されてるわけではありません。
現時点では、原因として黄体ホルモン過剰によるテストステロン(男性ホルモン)過剰、
糖代謝異常(インスリン過剰)、遺伝要因などが考えられています。
近年とくに、インスリン抵抗性とそれに伴うインスリンの過剰分泌と
PCOSとの関連が注目されています。
インスリンの過剰分泌を正常化するという意味では、糖質制限食がベストの治療法です。
これはあくまでも仮説ですが、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の発症そのものに、
「糖質の頻回・過剰摂取によるグルコース・ミニスパイクと
それに伴う頻回・過剰のインスリン追加分泌」が大きく関わっている可能性があります。
さて、糖質制限食で、ニキビは改善することがほとんどです。
さくらちゃんは、スーパー糖質制限食でイライラするなら、
最初は「プチ糖質制限食」か「緩やかな糖質制限」で開始すれば良いと思います。
厚生労働省のいう「推定エネルギー必要量」は確保して、
脂肪と蛋白質を充分量摂取しましょう。
1)世界ガン研究基金の報告(2007)では、ガン予防にはBMI:20~25未満 が目標。
2)ランセットの論文では欧米人はBMI:22.5~25 が総死亡率が一番低い。
3)ニューイングランド・ジャーナルの論文では、アジア人はBMI:23~27 が
総死亡率が一番低い。
1)2)3)を考慮すれば、
体重に関しては、BMI:20 は確保する方が、安全といえます。
多嚢胞性卵巣に関しては、以下の本ブログ記事をご参照頂けば幸いです。
多嚢胞性卵巣の症状が糖質制限食実践半年で改善。
2016年03月31日 (木)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3746.html
糖質制限食と症状改善、脂漏性皮膚炎、多嚢胞性卵巣症候群など
2010年12月22日 (水)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-1489.html
江部康二
PCOS
はじめまして。多能嚢胞生卵巣症候群で5年悩んでおり、ヤーズ内服中(以前はマーベロン)の29歳です。
ピルをやめると無月経で、ずっとピルを飲んでいます。
BMIは22で、ふつう体系で、LH FSHは正常範囲内ですがエコーで多嚢胞があるのと、
アンドロゲンの値が0.5くらいとやや高いです。
赤ニキビとまではいきまけんが、コメドがたくさんできてしまいます。
もともと肌トラブルゼロで、周りからも肌を褒めてもらうことが多く自分のチャームポイントとしていました。
憂鬱な5年間で、今でもそれが続いておりいろんなことに億劫になり、自分に自信が持てません。
診断されて以降ずっとその状態が続いています。
多嚢胞診断されるまでは、まったく食事に気をつけず、お菓子、ご飯、パンはたくさん食べておりました。
運動もしておりましたが、その分食べていました。
初めてニキビがバッと出たときは1日泣き崩れて家から出れませんでした。
しかし、泣いててもしょうがないし、自分の生活に原因があると思い、
その後改心しようと、もともとぽっちゃりぎみだったので、(いつもBMI22、やせたときで20.5-21)
アンドロゲンの値を少しでも下げたくインスリン抵抗性に改善するために
もともと炭水化物をたくさんとってしまっていたのを、
低GIの食事を意識し作って食べたり、パンは全粒粉かご飯も玄米にし、食べる量は毎回半分にしています。
また、お魚を意識して食べるようにしたり、お肉も赤身しか食べないようにしたり努力しています。
甘いものも元々大好きでしたが、極力食べないようにしたり、食べても甘くないお菓子を食べたりします。
スタバのラテものみたいときはシロップも1/3にしています。
外食でフレンチのコースになった時もデザートは抜きにしてもらったり、
我慢して出てきても一口で食べなかったりします。
お酒はハイボールです。ワインも甘いと感じ、ワインはもここ3年はのまなくなりました。
日本酒も極力選択しないようにしています。
そのほかは、メトホルミンを飲んだり、ランニングをしたりしています。
ランニングに関しては、30日のうち25日ランニングしたりすることもありましたが、
正直非現実的で、疲れてしまいました。
朝が一番脂肪からおとすときき、朝ランをよくしています。現在は週に2.3回です。
アンドロゲンの値が高い以上、もう、限界があるのはわかっていますが、
それを少しでも下げる努力をしたく改善方法はないかと思い、
今回ご相談としてコメントさせていただきました。
また現在の体重よりもあと5キロ落としたいです。
スーパー糖質制限に関しては、するとイライラがすごく、わたしには無理だと2日以上したことはありません。
また、肌へ色素沈着することも聞き、、怖くてできません。
エビデンスはあるのでしょうか。
また、一時期はサラダ生活してましたが、
低糖質、食物繊維の多く体に良いものには腸内ガスを発生させるものが多く、
たくさん食べないとお腹いっぱいにならないので、
余計お腹がパンパンにはって便秘がちになるのも糖質制限の難点だと思ってます。
便秘になるから体重測っても重い時期が続いたり。
今後も続けていくしかないのですかわ生活が変化していく中での、
自分にあった続けられる糖質制限をまだ見つけられないです。
お腹減ってない時は食べないって言う当たり前のこともできなかったりします。
だから私は昔から永遠にぽっちゃりなんです。
あと5キロやせたいけど、やる気出して3キロ痩せてそのあとリバウンド殴り返し。
毎日カロリーももう4年くらいつけております。その気力も何年落ちております。
もしよければ、コメントの方くださりませんでしょうか。よろしくお願いいたします。】
こんばんは。
さくらちゃんから、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)について
コメント、質問を頂きました。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは、卵胞が嚢胞性変化を起こし排卵しにくくなる障害です。
卵巣には多くの卵細胞がありますが、通常は月に一つずつ成長して排卵します。
卵細胞は卵胞という袋に包まれています。
卵細胞が成長していくにつれて、卵胞も大きくなっていきます。
卵胞が約2cmくらいまで大きくなると破裂して、卵細胞が排卵されます。
多嚢胞性卵巣症候群では、卵胞が卵巣の中に慢性的に多くあり、
一定の大きさまでは成長するのですが、そこで止まってしまいます。
卵胞はそれ以上大きくなれないので、排卵がおこりにくくなる病気です。
排卵がないので、症状としては9割以上の人に月経異常が生じます。
排卵障害があれば当然不妊となります。50%くらいが肥満を伴います。
男性ホルモン増加による症状もみられます。
日本産婦人科学会によれば、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の原因には諸説がありますが、
はっきりとは解明されてるわけではありません。
現時点では、原因として黄体ホルモン過剰によるテストステロン(男性ホルモン)過剰、
糖代謝異常(インスリン過剰)、遺伝要因などが考えられています。
近年とくに、インスリン抵抗性とそれに伴うインスリンの過剰分泌と
PCOSとの関連が注目されています。
インスリンの過剰分泌を正常化するという意味では、糖質制限食がベストの治療法です。
これはあくまでも仮説ですが、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の発症そのものに、
「糖質の頻回・過剰摂取によるグルコース・ミニスパイクと
それに伴う頻回・過剰のインスリン追加分泌」が大きく関わっている可能性があります。
さて、糖質制限食で、ニキビは改善することがほとんどです。
さくらちゃんは、スーパー糖質制限食でイライラするなら、
最初は「プチ糖質制限食」か「緩やかな糖質制限」で開始すれば良いと思います。
厚生労働省のいう「推定エネルギー必要量」は確保して、
脂肪と蛋白質を充分量摂取しましょう。
1)世界ガン研究基金の報告(2007)では、ガン予防にはBMI:20~25未満 が目標。
2)ランセットの論文では欧米人はBMI:22.5~25 が総死亡率が一番低い。
3)ニューイングランド・ジャーナルの論文では、アジア人はBMI:23~27 が
総死亡率が一番低い。
1)2)3)を考慮すれば、
体重に関しては、BMI:20 は確保する方が、安全といえます。
多嚢胞性卵巣に関しては、以下の本ブログ記事をご参照頂けば幸いです。
多嚢胞性卵巣の症状が糖質制限食実践半年で改善。
2016年03月31日 (木)
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糖質制限食と症状改善、脂漏性皮膚炎、多嚢胞性卵巣症候群など
2010年12月22日 (水)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-1489.html
江部康二
2019年12月11日 (水)
こんにちは。
新刊本の『糖質制限の大百科』(洋泉社)
【監修】江部康二

のご案内です。
【ご購入はこちらから】
2019/6/19(水)発売開始です。
おかげさまで、ぼちぼち売れていて、
累計2万6000部となりました。
『食品別糖質量ハンドブック』などと合わせて、
洋泉社シリーズ累計で、37万部突破なので、
嬉しい限りです。
これもブログ読者の皆様のおかげと、感謝しております。
この1冊で知りたいことがぜんぶわかる!
正しいやり方で、無理なくやせる、健康になる!
ひと目でわかる!OK・NG食品別糖質量。
5分でわかる!糖質制限の基礎知識。
コンビニ&外食フル活用!糖質制限のコツ。
疑問も不安も解消!糖質制限Q&A。
時短&作りおき!かんたん糖質制限レシピ92。
知って納得!糖質制限のメカニズムと効果。
食品別糖質含有量一覧付き。
ということで、痒いところに手が届く感じの
サービス精神たっぷりの構成・内容となっています。
本書がブログ読者の皆さんを始め、
糖尿病、メタボ、生活習慣病などを患っている皆さんのお役に立てれば幸いです。
江部康二
☆☆☆
以下の青字は、本文最初の2ページから引用です。
糖尿病の治療食として
スタートした糖質制限
日本で糖質制限をはじめたのは、私が理事長を務めている京都の高雄病院で、
当時の院長であった私の兄である江部洋一郎です。1999年のことでした。
私自身は、2001年、担当する患者さんに糖尿病治療の一環として、
糖質制限の指導を行ったところ、劇的な効果が見られました。
それ以降、当院では糖尿病の治療食として糖質制限食を実践し続けています。
従来、糖尿病に対する日本での治療方針は、カロリー制限一辺倒でした。
しかし、糖質を制限することのないカロリー制限食では、
糖尿病の大きなポイントである食後高血糖のコントロールができません。
糖質を制限せずにカロリーコントロールを行ったところで、
結局、病状は悪化し、薬に頼ることになってしまいます。
これに対して、糖質制限はまったく異なる考えかたで治療を行います。
カロリーや脂肪を制限するのではなく、「糖質を制限した食事を摂る」ことが基本となります。
糖質さえ控えれば、たんぱく質や脂質はしっかり食べてOKです。カロリー計算も必要ありません。
糖質を控えると
さまざまなメリットがある
糖質制限では、血糖値を直接上げる唯一の栄養素である糖質を控えます。
そのため、食事をしても血糖値の急激な上昇を招くことはありません。
これこそが、糖尿病だけにとどまらず、あらゆる不調や疾患の予防・改善につながるのです。
さらに、血糖値の急上昇が起きるとインスリンというホルモンが分泌されます。
インスリンは、別名“肥満ホルモン”とも呼ばれます。
過剰に分泌されることで体脂肪が蓄積され、肥満を引き起こすからです。
これらを引き起こさない糖質制限は、血糖値の乱高下をなくし代謝を安定させることで、精神的にも落ちつきます。
全身の血流も改善するため、美肌や美髪など、美容にも役立つのです。
新刊本の『糖質制限の大百科』(洋泉社)
【監修】江部康二

のご案内です。
【ご購入はこちらから】
2019/6/19(水)発売開始です。
おかげさまで、ぼちぼち売れていて、
累計2万6000部となりました。
『食品別糖質量ハンドブック』などと合わせて、
洋泉社シリーズ累計で、37万部突破なので、
嬉しい限りです。
これもブログ読者の皆様のおかげと、感謝しております。
この1冊で知りたいことがぜんぶわかる!
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ひと目でわかる!OK・NG食品別糖質量。
5分でわかる!糖質制限の基礎知識。
コンビニ&外食フル活用!糖質制限のコツ。
疑問も不安も解消!糖質制限Q&A。
時短&作りおき!かんたん糖質制限レシピ92。
知って納得!糖質制限のメカニズムと効果。
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ということで、痒いところに手が届く感じの
サービス精神たっぷりの構成・内容となっています。
本書がブログ読者の皆さんを始め、
糖尿病、メタボ、生活習慣病などを患っている皆さんのお役に立てれば幸いです。
江部康二
☆☆☆
以下の青字は、本文最初の2ページから引用です。
糖尿病の治療食として
スタートした糖質制限
日本で糖質制限をはじめたのは、私が理事長を務めている京都の高雄病院で、
当時の院長であった私の兄である江部洋一郎です。1999年のことでした。
私自身は、2001年、担当する患者さんに糖尿病治療の一環として、
糖質制限の指導を行ったところ、劇的な効果が見られました。
それ以降、当院では糖尿病の治療食として糖質制限食を実践し続けています。
従来、糖尿病に対する日本での治療方針は、カロリー制限一辺倒でした。
しかし、糖質を制限することのないカロリー制限食では、
糖尿病の大きなポイントである食後高血糖のコントロールができません。
糖質を制限せずにカロリーコントロールを行ったところで、
結局、病状は悪化し、薬に頼ることになってしまいます。
これに対して、糖質制限はまったく異なる考えかたで治療を行います。
カロリーや脂肪を制限するのではなく、「糖質を制限した食事を摂る」ことが基本となります。
糖質さえ控えれば、たんぱく質や脂質はしっかり食べてOKです。カロリー計算も必要ありません。
糖質を控えると
さまざまなメリットがある
糖質制限では、血糖値を直接上げる唯一の栄養素である糖質を控えます。
そのため、食事をしても血糖値の急激な上昇を招くことはありません。
これこそが、糖尿病だけにとどまらず、あらゆる不調や疾患の予防・改善につながるのです。
さらに、血糖値の急上昇が起きるとインスリンというホルモンが分泌されます。
インスリンは、別名“肥満ホルモン”とも呼ばれます。
過剰に分泌されることで体脂肪が蓄積され、肥満を引き起こすからです。
これらを引き起こさない糖質制限は、血糖値の乱高下をなくし代謝を安定させることで、精神的にも落ちつきます。
全身の血流も改善するため、美肌や美髪など、美容にも役立つのです。
2019年12月10日 (火)
こんにちは。
西村典彦さんから、「スーパー糖質制限食」と「ケトン食」について
コメント・質問を頂きましたので、考察してみます。
【19/12/09 西村 典彦
糖質制限の基本的な理解
いつもお世話になっております。
初心に帰って基本的な質問です。
江部先生の糖質制限メソッドでは、スーパー、スタンダード、プチと
糖質量に合わせて3段階ありますが、
改めて「食品別糖質量ハンドブック」を見ますと、
まず、それぞれのPFC比率が記載(P10)されています。
そこで改めて基本的な質問ですが、
(1)3段階の糖質量は、
どのような意味があるのでしょうか(特にスーパー糖質制限について)。
食後血糖値を上げないと言う意味であれば、
上がらないのであればもう少し多くても効果は同じなのでしょうか。
※総カロリーは厚労省の指針に従ったとします。
(2)例えば、糖質量的にはスーパーであってもPFC比率は、それぞれだと思いますが、
PFC比率も糖質制限の効果に関して影響があるのでしょうか。
今回は、ごく基本的な質問ですが、耐糖能が改善傾向にあり、
今後、どのような方法(微調整)をとるのが良いか模索しています。】
西村 典彦 さん
(1)
スーパー糖質制限食では、1回の食事の糖質量を20g以下を目指します。
これは、糖尿病患者さんでも、過半数において、
食後の血糖値が160~180mg/dlを超えないようにという意図で設定しています。
言い換えれば、境界型やごく軽症の糖尿病なら、
1回の食事の糖質量を30~40gとしても
食後血糖値が160~180mg/dlを超えないならば、許容できるということです。
糖尿病ではなくて、ダイエット目的なら、
例えば、スーパー糖質制限食で、5kg減量して目標達成なので
その後はプチで体重をキープするといったパターンが考えられます。
(2)
ケトン食(Fが87%、PとCで13%)
スーパー糖質制限食(P32%、F56%、C12%)
です。
ケトン食は治療食です。
スーパー糖質制限食は治療食兼健康食です。
以下をご参照頂けば幸いです。
ケトン食とスーパー糖質制限食、違いは?
2018年02月01日 (木)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4466.html
【19/12/09 西村 典彦
Re: Re: 糖質制限の基本的な理解
回答ありがとうございます。
ケトン食は治療食、スーパー糖質制限食は治療食兼健康食との事ですが、治療食とは健康の一部を犠牲にして又は短期間だけ、治療のための栄養が偏った食事であると認識していますが、ケトン食を続けると健康に対してどのような弊害があるのでしょうか。】
西村 典彦 さん
古典的ケトン食は、元々、
「小児難治性てんかん」に対する治療食でした。
てんかん治療のための内服薬が、効果がないとき、
ケトン食が導入されて、かなりの効果をあげてきました。
ケトン食療法には、低血糖、嘔気・嘔吐、便秘・下痢、体重減少、
活動性低下などが副作用として生じる場合があります。
てんかん情報センター
http://epilepsy-info.jp/question/faq7-3/
一定の副作用はあり得ますが、
「GLUT1欠損症」においては、ケトン食が唯一の治療法です。
脳細胞の糖受容体は、GLUT1ですが、
その働きが良くない場合は、脳はブドウ糖をエネルギー源として
上手く利用できないので、失神、てんかん発作、発育不全などを生じます。
しかし、ケトン食なら脳はケトン体をエネルギー源とするので
普通に発育・成長が可能です。
ケトン食は、
メイヨークリニック(米国)のワイルダー博士によって1921年に作られました。
世界的に権威のある治療ガイドラインの
COCHRANE LIBRARY(コクランライブラリー)10年版と、
NICE(英国国立医療技術評価機構)が発行するガイドライン11年版で、
ケトン食療法は難治性小児てんかんの治療法に採用されています。
また日本でも2016年4月、難治性てんかん患者を対象に保険適用になりました。
<スーパー糖質制限食とケトン食の違い、それぞれの役割>
スーパー糖質制限食とケトン食の違い、役割を考えてみます。
<スーパー糖質制限食>
スーパー糖質制限食とは、三食とも主食なしのおかずばかりという食事です。
スーパー糖質制限食は、糖尿病やメタボなど
さまざまな生活習慣病の予防と治療に効果があります。
高雄病院給食メニューの平均値では、
スーパー糖質制限食は糖質12%、脂質56%、タンパク質32%の割合です。
糖質制限で糖質摂取が相対的に減少すると、
脂肪の分解が進んで肝臓がケトン体を作り、血液や尿の中に放出します。
高雄病院のスーパー糖質制限食を食べると、
総ケトン体の数値が400~1200~2000μmol/Lほどになる人が多いようです。
総ケトン体の基準値は26~122μmol/L です。
私自身も、いつも同じような食事(スーパー糖質制限食)をしているつもりなのですが、
総ケトン体値は、200~1200まで結構ばらつきます。
ココナッツオイルやMCTオイルなど中鎖脂肪酸を摂取すると
ケトン体は上昇しやすくなります。
またケトン体の日内変動もあるようです。
ケトン食レベルの食事では、ケトン体数値は確実に上昇します。
<ケトン食>
ケトン食は、本来は難治性てんかんの子供に用いられている治療食で、
究極の糖質制限食です。
米やパンなど炭水化物をできるだけ食べず、
砂糖の代わりに人工甘味料を使い、
卵、豆腐、肉、魚主体の食事に食用油を添加します。
そして「脂肪:非脂肪(たんぱく質+糖質)」の値を、
3:1~4:1に保つことを目標とします。
古典的ケトン食は「脂肪:非脂肪(たんぱく質+糖質)」を表すケトン比が3:1です。
例えば、2歳くらいで930kcal/日なら、
「脂質90gに対し、非脂肪(たんぱく質+糖質)は30g」の割合です。
脂肪810kcal、非脂肪120kcalなので、脂質摂取比率は約87%と高い値です。
ケトン食を実践すると、血中総ケトン体は4000~5000μmol/Lレベル、
基準値の40~50倍になりますが、インスリン作用が保たれていれば、
ケトアシドーシスにはならず、基本、安全です。
<ケトン食とスーパー糖質制限食の違い>
一言でいうと、ケトン食は「治療食」、スーパー糖質制限食は「治療食兼健康食」です。
ケトン食で血中総ケトン体が4000~5000μM/Lの高い値になると、
尿中ケトン体も常に陽性になります。
つまり、体内で利用しきれない血中ケトン体が尿中に出続けるということです。
ここまで高濃度のケトン体値は、人類の祖先もあまり経験したことがないので、
余剰の血中ケトン体が、尿中に排泄されるわけです。
スーパー糖質制限食の場合、当初は尿中ケトン体は陽性ですが、
1~3カ月ほどで陰性になります。
血中総ケトン体は400~1200~2000μM/Lほどで、
心筋や骨格筋、体細胞がしっかりケトン体を利用し、
腎臓の再吸収効率も良くなるので、尿中に排泄されなくなります。
血中ケトン体がすべて体内で利用されるのです。
高雄病院の給食の平均値では、スーパー糖質制限食の脂質摂取比率は56%、
たんぱく質は32%、糖質は12%です。
雑食である現世人類<ホモ・サピエンス>が狩猟・採集時代に食べていたものを
目安にした糖尿病の治療食で、
その本質は人類本来の食事、人類の健康食と言うことができます。
すなわち、糖尿病や肥満以外にも、ほとんどの生活習慣病に有効です。
このことを思えば、
実は<糖質の頻回過剰摂取とそれに伴うインスリンの頻回過剰分泌>が生活習慣病の元凶と思われます。
これに対し、ケトン食はあくまでも治療食であり、人類本来の食事ではありません。
ケトン食は、糖質制限を徹底させたもので、
スーパー糖質制限食よりさらに、糖質摂取は少なくなります。
嘔吐(おうと)、下痢、便秘など副作用も報告されています。
安全に行うにはケトン食に詳しい医師や栄養士の指導が必要です。
<結論>
(1)ケトン食は「治療食」
(2)スーパー糖質制限食は「治療食」かつ「人類の健康食」です。
江部康二
西村典彦さんから、「スーパー糖質制限食」と「ケトン食」について
コメント・質問を頂きましたので、考察してみます。
【19/12/09 西村 典彦
糖質制限の基本的な理解
いつもお世話になっております。
初心に帰って基本的な質問です。
江部先生の糖質制限メソッドでは、スーパー、スタンダード、プチと
糖質量に合わせて3段階ありますが、
改めて「食品別糖質量ハンドブック」を見ますと、
まず、それぞれのPFC比率が記載(P10)されています。
そこで改めて基本的な質問ですが、
(1)3段階の糖質量は、
どのような意味があるのでしょうか(特にスーパー糖質制限について)。
食後血糖値を上げないと言う意味であれば、
上がらないのであればもう少し多くても効果は同じなのでしょうか。
※総カロリーは厚労省の指針に従ったとします。
(2)例えば、糖質量的にはスーパーであってもPFC比率は、それぞれだと思いますが、
PFC比率も糖質制限の効果に関して影響があるのでしょうか。
今回は、ごく基本的な質問ですが、耐糖能が改善傾向にあり、
今後、どのような方法(微調整)をとるのが良いか模索しています。】
西村 典彦 さん
(1)
スーパー糖質制限食では、1回の食事の糖質量を20g以下を目指します。
これは、糖尿病患者さんでも、過半数において、
食後の血糖値が160~180mg/dlを超えないようにという意図で設定しています。
言い換えれば、境界型やごく軽症の糖尿病なら、
1回の食事の糖質量を30~40gとしても
食後血糖値が160~180mg/dlを超えないならば、許容できるということです。
糖尿病ではなくて、ダイエット目的なら、
例えば、スーパー糖質制限食で、5kg減量して目標達成なので
その後はプチで体重をキープするといったパターンが考えられます。
(2)
ケトン食(Fが87%、PとCで13%)
スーパー糖質制限食(P32%、F56%、C12%)
です。
ケトン食は治療食です。
スーパー糖質制限食は治療食兼健康食です。
以下をご参照頂けば幸いです。
ケトン食とスーパー糖質制限食、違いは?
2018年02月01日 (木)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4466.html
【19/12/09 西村 典彦
Re: Re: 糖質制限の基本的な理解
回答ありがとうございます。
ケトン食は治療食、スーパー糖質制限食は治療食兼健康食との事ですが、治療食とは健康の一部を犠牲にして又は短期間だけ、治療のための栄養が偏った食事であると認識していますが、ケトン食を続けると健康に対してどのような弊害があるのでしょうか。】
西村 典彦 さん
古典的ケトン食は、元々、
「小児難治性てんかん」に対する治療食でした。
てんかん治療のための内服薬が、効果がないとき、
ケトン食が導入されて、かなりの効果をあげてきました。
ケトン食療法には、低血糖、嘔気・嘔吐、便秘・下痢、体重減少、
活動性低下などが副作用として生じる場合があります。
てんかん情報センター
http://epilepsy-info.jp/question/faq7-3/
一定の副作用はあり得ますが、
「GLUT1欠損症」においては、ケトン食が唯一の治療法です。
脳細胞の糖受容体は、GLUT1ですが、
その働きが良くない場合は、脳はブドウ糖をエネルギー源として
上手く利用できないので、失神、てんかん発作、発育不全などを生じます。
しかし、ケトン食なら脳はケトン体をエネルギー源とするので
普通に発育・成長が可能です。
ケトン食は、
メイヨークリニック(米国)のワイルダー博士によって1921年に作られました。
世界的に権威のある治療ガイドラインの
COCHRANE LIBRARY(コクランライブラリー)10年版と、
NICE(英国国立医療技術評価機構)が発行するガイドライン11年版で、
ケトン食療法は難治性小児てんかんの治療法に採用されています。
また日本でも2016年4月、難治性てんかん患者を対象に保険適用になりました。
<スーパー糖質制限食とケトン食の違い、それぞれの役割>
スーパー糖質制限食とケトン食の違い、役割を考えてみます。
<スーパー糖質制限食>
スーパー糖質制限食とは、三食とも主食なしのおかずばかりという食事です。
スーパー糖質制限食は、糖尿病やメタボなど
さまざまな生活習慣病の予防と治療に効果があります。
高雄病院給食メニューの平均値では、
スーパー糖質制限食は糖質12%、脂質56%、タンパク質32%の割合です。
糖質制限で糖質摂取が相対的に減少すると、
脂肪の分解が進んで肝臓がケトン体を作り、血液や尿の中に放出します。
高雄病院のスーパー糖質制限食を食べると、
総ケトン体の数値が400~1200~2000μmol/Lほどになる人が多いようです。
総ケトン体の基準値は26~122μmol/L です。
私自身も、いつも同じような食事(スーパー糖質制限食)をしているつもりなのですが、
総ケトン体値は、200~1200まで結構ばらつきます。
ココナッツオイルやMCTオイルなど中鎖脂肪酸を摂取すると
ケトン体は上昇しやすくなります。
またケトン体の日内変動もあるようです。
ケトン食レベルの食事では、ケトン体数値は確実に上昇します。
<ケトン食>
ケトン食は、本来は難治性てんかんの子供に用いられている治療食で、
究極の糖質制限食です。
米やパンなど炭水化物をできるだけ食べず、
砂糖の代わりに人工甘味料を使い、
卵、豆腐、肉、魚主体の食事に食用油を添加します。
そして「脂肪:非脂肪(たんぱく質+糖質)」の値を、
3:1~4:1に保つことを目標とします。
古典的ケトン食は「脂肪:非脂肪(たんぱく質+糖質)」を表すケトン比が3:1です。
例えば、2歳くらいで930kcal/日なら、
「脂質90gに対し、非脂肪(たんぱく質+糖質)は30g」の割合です。
脂肪810kcal、非脂肪120kcalなので、脂質摂取比率は約87%と高い値です。
ケトン食を実践すると、血中総ケトン体は4000~5000μmol/Lレベル、
基準値の40~50倍になりますが、インスリン作用が保たれていれば、
ケトアシドーシスにはならず、基本、安全です。
<ケトン食とスーパー糖質制限食の違い>
一言でいうと、ケトン食は「治療食」、スーパー糖質制限食は「治療食兼健康食」です。
ケトン食で血中総ケトン体が4000~5000μM/Lの高い値になると、
尿中ケトン体も常に陽性になります。
つまり、体内で利用しきれない血中ケトン体が尿中に出続けるということです。
ここまで高濃度のケトン体値は、人類の祖先もあまり経験したことがないので、
余剰の血中ケトン体が、尿中に排泄されるわけです。
スーパー糖質制限食の場合、当初は尿中ケトン体は陽性ですが、
1~3カ月ほどで陰性になります。
血中総ケトン体は400~1200~2000μM/Lほどで、
心筋や骨格筋、体細胞がしっかりケトン体を利用し、
腎臓の再吸収効率も良くなるので、尿中に排泄されなくなります。
血中ケトン体がすべて体内で利用されるのです。
高雄病院の給食の平均値では、スーパー糖質制限食の脂質摂取比率は56%、
たんぱく質は32%、糖質は12%です。
雑食である現世人類<ホモ・サピエンス>が狩猟・採集時代に食べていたものを
目安にした糖尿病の治療食で、
その本質は人類本来の食事、人類の健康食と言うことができます。
すなわち、糖尿病や肥満以外にも、ほとんどの生活習慣病に有効です。
このことを思えば、
実は<糖質の頻回過剰摂取とそれに伴うインスリンの頻回過剰分泌>が生活習慣病の元凶と思われます。
これに対し、ケトン食はあくまでも治療食であり、人類本来の食事ではありません。
ケトン食は、糖質制限を徹底させたもので、
スーパー糖質制限食よりさらに、糖質摂取は少なくなります。
嘔吐(おうと)、下痢、便秘など副作用も報告されています。
安全に行うにはケトン食に詳しい医師や栄養士の指導が必要です。
<結論>
(1)ケトン食は「治療食」
(2)スーパー糖質制限食は「治療食」かつ「人類の健康食」です。
江部康二
2019年12月09日 (月)
こんばんは。
いよいよ断食のお話です。
実は断食といっても、いきなり、何も食べないという訳ではありません。
<断食の手順>
1984年、8月8日~8月10日までは、3日間かけて<漸減食>です。
次に8月11日~13日の3日間が、水だけ摂取で、塩もゼロで、カロリーもゼロです。
最後の8月14日~16日までは、3日間かけて<漸増食>です。
つまり徐々に摂取エネルギーを減らして、体に慣れさせたあと、
本断食(カロリーゼロ、塩ゼロ)に入り、
その後、徐々に摂取エネルギーを増やして、元の状態に戻していくということです。
具体的な断食(絶食療法)の手順ですが、
始まりの3日間は、1200kcal/日→770kcal/日→330kcal/日
と漸減していきます。
8月11日~13日の3日間 は、ゼロキロカロリー/日で、塩もゼロです。
次の3日間は、330kcal/日→770kcal/日→1200kcal/日と徐々に戻します。
<断食の体験>
漸減食の段階では、まあ腹減ったという感覚はあります。
ゼロキロカロリーの最初の二日間は、午前中立ち眩み・脱力感がありましたが、
三日目はほぼ通常の健康状態でした。
それでも三日目の血糖値は35mg/dlと、ビックリするような数値が記録されました。
断食中悟ったことは空腹感と食欲とは別物ということでした。
三日目ともなると空腹感は全くないのですが、
頭の中にはいろんな食物が自然に浮かんできて
ふと気付くとよだれが出ていたりするのには閉口しました。
体重は4kg減って47kg(身長は167cm)、
ウエストは5cm減って60cmとなりました。
<断食後>
断食後、少食(約1200Cal)を保っている間は、
睡眠時間が目に見えて短くなり、
今まで9時間(ホントです)寝ていたのが7時間で済むようになりました。
毎朝6時に目が覚めるものだから時間をもてあまし、
愛犬ジュリー(当時の愛犬でビーグル犬です)を連れて小一時間、
広沢の池の奥山に散歩に行き、帰りはひたすら走って帰るのが日課となりました。
一方いい事ばかりではなくて、話しには聞いてましたが、
やたら食い意地がはってきて、どんな食べ物にでも思わず手をだしてしまいそうになり、
女房・子供に白い目でみられてしまいました。
久しぶりに出会う親切な友人達は、私のこけた頬をみながら
『おまえ、どっか身体の具合い悪いんやないか?医者の不養生いうし、一遍入院して精密検査したほうがええのんちゃうか?!』
その度同じ説明を繰り返し、約一ヶ月間私は《壊れたレコード》状態でした。
(レコードって、一時市場から消滅しかけていましたが、
ここ数年、マニアの間ででは「LPレコード」の余韻のある音質が好まれて
復活してきているようですね。)
<その後の断食>
とまあこんな具合いで、断食初体験が経過したんですが、
その後しばらく毎年1回断食をしていました。
2回目からは、すまし汁断食や果汁断食.重湯断食などで、
一番減らすときも210kcal/日を3日間であり、本断食は最初の一回だけです。
鼻炎は断食後基本的にはコントロール良好です。
しかし忘年会シーズン(深酒)や中国旅行(砂糖+味の素+酒)のおりは
それなりに再発して小青竜湯など漢方薬を服用してました。
12~13回断食してその後はしていませんが、
第一回断食(34才時)後は『朝食抜きの一日二食でプチ断食』を継続していて、
食生活(玄米魚菜食)にはそれなりに気をつけていました。
<糖尿病発症>
ああ、それなのに、そんな私が、
52才で糖尿病になってしまうなんて!!何故だ??
その理由は、以下のブログ記事に書いてあります。
私が糖尿病発症に到った過程 。米、恵比寿ビール、純米大吟醸。
2019年12月04日 (水)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5086.html
<スーパー糖質制限食断食>
なお、1999年からは、高雄病院では糖質制限食を給食に導入しています。
糖質制限食実践中で、血中ケトン体リッチな場合は、断食が楽にできます。
高雄病院の経験でも、すまし汁断食(重湯)、果汁断食などに比べて
スーパー糖質制限断食(豆腐)は、非常に楽にできます。
江部康二
いよいよ断食のお話です。
実は断食といっても、いきなり、何も食べないという訳ではありません。
<断食の手順>
1984年、8月8日~8月10日までは、3日間かけて<漸減食>です。
次に8月11日~13日の3日間が、水だけ摂取で、塩もゼロで、カロリーもゼロです。
最後の8月14日~16日までは、3日間かけて<漸増食>です。
つまり徐々に摂取エネルギーを減らして、体に慣れさせたあと、
本断食(カロリーゼロ、塩ゼロ)に入り、
その後、徐々に摂取エネルギーを増やして、元の状態に戻していくということです。
具体的な断食(絶食療法)の手順ですが、
始まりの3日間は、1200kcal/日→770kcal/日→330kcal/日
と漸減していきます。
8月11日~13日の3日間 は、ゼロキロカロリー/日で、塩もゼロです。
次の3日間は、330kcal/日→770kcal/日→1200kcal/日と徐々に戻します。
<断食の体験>
漸減食の段階では、まあ腹減ったという感覚はあります。
ゼロキロカロリーの最初の二日間は、午前中立ち眩み・脱力感がありましたが、
三日目はほぼ通常の健康状態でした。
それでも三日目の血糖値は35mg/dlと、ビックリするような数値が記録されました。
断食中悟ったことは空腹感と食欲とは別物ということでした。
三日目ともなると空腹感は全くないのですが、
頭の中にはいろんな食物が自然に浮かんできて
ふと気付くとよだれが出ていたりするのには閉口しました。
体重は4kg減って47kg(身長は167cm)、
ウエストは5cm減って60cmとなりました。
<断食後>
断食後、少食(約1200Cal)を保っている間は、
睡眠時間が目に見えて短くなり、
今まで9時間(ホントです)寝ていたのが7時間で済むようになりました。
毎朝6時に目が覚めるものだから時間をもてあまし、
愛犬ジュリー(当時の愛犬でビーグル犬です)を連れて小一時間、
広沢の池の奥山に散歩に行き、帰りはひたすら走って帰るのが日課となりました。
一方いい事ばかりではなくて、話しには聞いてましたが、
やたら食い意地がはってきて、どんな食べ物にでも思わず手をだしてしまいそうになり、
女房・子供に白い目でみられてしまいました。
久しぶりに出会う親切な友人達は、私のこけた頬をみながら
『おまえ、どっか身体の具合い悪いんやないか?医者の不養生いうし、一遍入院して精密検査したほうがええのんちゃうか?!』
その度同じ説明を繰り返し、約一ヶ月間私は《壊れたレコード》状態でした。
(レコードって、一時市場から消滅しかけていましたが、
ここ数年、マニアの間ででは「LPレコード」の余韻のある音質が好まれて
復活してきているようですね。)
<その後の断食>
とまあこんな具合いで、断食初体験が経過したんですが、
その後しばらく毎年1回断食をしていました。
2回目からは、すまし汁断食や果汁断食.重湯断食などで、
一番減らすときも210kcal/日を3日間であり、本断食は最初の一回だけです。
鼻炎は断食後基本的にはコントロール良好です。
しかし忘年会シーズン(深酒)や中国旅行(砂糖+味の素+酒)のおりは
それなりに再発して小青竜湯など漢方薬を服用してました。
12~13回断食してその後はしていませんが、
第一回断食(34才時)後は『朝食抜きの一日二食でプチ断食』を継続していて、
食生活(玄米魚菜食)にはそれなりに気をつけていました。
<糖尿病発症>
ああ、それなのに、そんな私が、
52才で糖尿病になってしまうなんて!!何故だ??
その理由は、以下のブログ記事に書いてあります。
私が糖尿病発症に到った過程 。米、恵比寿ビール、純米大吟醸。
2019年12月04日 (水)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5086.html
<スーパー糖質制限食断食>
なお、1999年からは、高雄病院では糖質制限食を給食に導入しています。
糖質制限食実践中で、血中ケトン体リッチな場合は、断食が楽にできます。
高雄病院の経験でも、すまし汁断食(重湯)、果汁断食などに比べて
スーパー糖質制限断食(豆腐)は、非常に楽にできます。
江部康二
2019年12月08日 (日)
「ハンガーストライキ京大生支援グループ」には、医師は私1人でしたが、
看護師さんが複数おられたので、毎日、
バイタルサイン( 血圧・脈拍数・呼吸数・体温など)を測定して貰いました。
<ハンガーストライキの京大生>1984/5/12~6/2(22日間)
毎日血圧、脈拍、体温、尿などの情報を貰い、時々往診していたのですが、
5月12日から開始してハンガーストライキ22日目に、
いよいよ体力の限界ということで、私がドクターストップをかけました。
京都の四条河原町の高島屋の前にテントをはって泊まり込んでいた、
N.O.君というその京大生は22日間のハンストを終えて
1984年6月3日、高雄病院に担架で運ばれて入院してきました。
さすがに15kg体重が減り、169cm、48kgと痩せさらばえてはいましたが、
目には力があり自力で立ち上がることも可能でした。
当方の心配などは杞憂と終わり、
筆舌に尽くしがたいほど美味といわれる最初のおもゆを味わって以後、
翌日には自力でゆっくり歩行できて、以後順調に快復していきました。
N.O.君いわく
『なにを食べてもかつて味わったことがないほどおいしいし体の爽快さも抜群です。』
<玄米魚菜食の導入>
1974年に京大医学部を卒業し京大胸部研(現京大呼吸器内科)で西洋医学を学び、
1978年から高雄病院で東洋医学も学びましたが、
当時臨床的に壁に当たっていたこともあり、
興味深い実例を目の当たりにして、
兄と院長(当時)の賛同を得てほぼ一瞬にして
高雄病院への《玄米魚菜食》《断食》の導入が決まりました。
おかげで給食(栄養科)を始めとして
関連各部門の悲痛な叫びが約一週間続いたと風の噂に聞いています。
厳格な『玄米菜食』だと、ビタミンB12やEPA・DHAが不足する恐れがあるので、
魚介類と鶏肉はOKとしましたが、
1984年当時、病院で玄米というのは、日本中でほとんどなかったと思います。
<自分自身も玄米魚菜食に>
患者さんに食べさせるのなら自らもということで、
積年の肉や脂の多い食生活を改め、甘い物も一切やめました。
白米も玄米にし、玄米魚菜食的食生活に切り替えました。
『何事もほどほどがよろし!』という中国三千年の教えを忠実に守って
酒だけは控える程度にとどめておきました。
10日間くらい経過して、不思議なことに
中学校以来長年の付き合いであったアレルギー性鼻炎がぴったりととまってしまいました。
ところが深酒が三日も続くと天罰てきめん、鼻炎が再発し、
つくずく食生活の重要さを身をもって思い知らされてしまいました。
もう一つの変化は<うんこの量>です。
一ヶ月くらい玄米魚菜食を続けていると<うんこの量>が約三倍になりました。
しかも朝・昼・晩と食事をするたびに便意を催して、
台湾バナナ二本分くらいずつでるのですからびっくりしてしまいます。
『何やあいつ病院にUNKOしにいっとるんか。仕事する時間なんかないやないか!』
とお叱りをうけるかもわかりませんが、
一回の排泄時間そのものは著明に短縮しほぼ一瞬・一気に出て、
しかも糞切りがよいのですから心配御無用!
<断食への序章>
さて、かくのごとき驚くべき効果に力を得て皆に吹聴してまわっていたら
『先生こうなったら断食もやらなくちゃ男じゃないよ!』
てな過激な意見が、あれよあれよという間に多数派を占めていき、
やはり根が軽く悪のりしやすい性格が災いして
『うん、断食なんて簡単よ。僕なんか日頃正しい食い物食べてるから、やろうと思うたらいつでもできるもんネ。』
などと言っているうちに、
しっかり断食予定表ができあがってしまい、
8月11日~13日の3日間、
外来などの仕事もしながら断食に突入する破目となってしまいました。
続く
看護師さんが複数おられたので、毎日、
バイタルサイン( 血圧・脈拍数・呼吸数・体温など)を測定して貰いました。
<ハンガーストライキの京大生>1984/5/12~6/2(22日間)
毎日血圧、脈拍、体温、尿などの情報を貰い、時々往診していたのですが、
5月12日から開始してハンガーストライキ22日目に、
いよいよ体力の限界ということで、私がドクターストップをかけました。
京都の四条河原町の高島屋の前にテントをはって泊まり込んでいた、
N.O.君というその京大生は22日間のハンストを終えて
1984年6月3日、高雄病院に担架で運ばれて入院してきました。
さすがに15kg体重が減り、169cm、48kgと痩せさらばえてはいましたが、
目には力があり自力で立ち上がることも可能でした。
当方の心配などは杞憂と終わり、
筆舌に尽くしがたいほど美味といわれる最初のおもゆを味わって以後、
翌日には自力でゆっくり歩行できて、以後順調に快復していきました。
N.O.君いわく
『なにを食べてもかつて味わったことがないほどおいしいし体の爽快さも抜群です。』
<玄米魚菜食の導入>
1974年に京大医学部を卒業し京大胸部研(現京大呼吸器内科)で西洋医学を学び、
1978年から高雄病院で東洋医学も学びましたが、
当時臨床的に壁に当たっていたこともあり、
興味深い実例を目の当たりにして、
兄と院長(当時)の賛同を得てほぼ一瞬にして
高雄病院への《玄米魚菜食》《断食》の導入が決まりました。
おかげで給食(栄養科)を始めとして
関連各部門の悲痛な叫びが約一週間続いたと風の噂に聞いています。
厳格な『玄米菜食』だと、ビタミンB12やEPA・DHAが不足する恐れがあるので、
魚介類と鶏肉はOKとしましたが、
1984年当時、病院で玄米というのは、日本中でほとんどなかったと思います。
<自分自身も玄米魚菜食に>
患者さんに食べさせるのなら自らもということで、
積年の肉や脂の多い食生活を改め、甘い物も一切やめました。
白米も玄米にし、玄米魚菜食的食生活に切り替えました。
『何事もほどほどがよろし!』という中国三千年の教えを忠実に守って
酒だけは控える程度にとどめておきました。
10日間くらい経過して、不思議なことに
中学校以来長年の付き合いであったアレルギー性鼻炎がぴったりととまってしまいました。
ところが深酒が三日も続くと天罰てきめん、鼻炎が再発し、
つくずく食生活の重要さを身をもって思い知らされてしまいました。
もう一つの変化は<うんこの量>です。
一ヶ月くらい玄米魚菜食を続けていると<うんこの量>が約三倍になりました。
しかも朝・昼・晩と食事をするたびに便意を催して、
台湾バナナ二本分くらいずつでるのですからびっくりしてしまいます。
『何やあいつ病院にUNKOしにいっとるんか。仕事する時間なんかないやないか!』
とお叱りをうけるかもわかりませんが、
一回の排泄時間そのものは著明に短縮しほぼ一瞬・一気に出て、
しかも糞切りがよいのですから心配御無用!
<断食への序章>
さて、かくのごとき驚くべき効果に力を得て皆に吹聴してまわっていたら
『先生こうなったら断食もやらなくちゃ男じゃないよ!』
てな過激な意見が、あれよあれよという間に多数派を占めていき、
やはり根が軽く悪のりしやすい性格が災いして
『うん、断食なんて簡単よ。僕なんか日頃正しい食い物食べてるから、やろうと思うたらいつでもできるもんネ。』
などと言っているうちに、
しっかり断食予定表ができあがってしまい、
8月11日~13日の3日間、
外来などの仕事もしながら断食に突入する破目となってしまいました。
続く
2019年12月07日 (土)
こんばんは。
朝日カルチャーセンター中之島教室にて
糖質制限食講座開催です。
老後の備え、認知症予防に糖質制限食
https://www.asahiculture.jp/course/nakanoshima/9d2aab8c-4a2f-a977-7b1e-5d048b51ecb0
2019/12/17(火)15:30~17:00
朝日カルチャーセンター 朝日JTB・交流文化塾
中之島教室
TEL:06-6222-5222
『糖尿病コントロール不良』『白米を多く摂取』などで認知症リスクが高まります。
最新の内容も含めて、わかりやすくて楽しいお話しを目指します。
講師は江部康二です。
年間約30回講演をしていますが、
結構、新しい話題も多いので、スライドも毎回更新しています。
今回もわかりやすくお話しますので、乞うご期待です。
講演が75分間で質疑応答が15分間です。
大阪・兵庫・京都・滋賀や近畿圏の糖尿人やメタボ人の方々やそのご家族など、
奮ってご参加いただけば幸いです。
お陰様で、糖質制限食は順調に普及してきています。
2005年に私が「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)
を日本初の糖質制限食の本として刊行したころとは、大きな違いがあります。
なんと言っても、2013年10月に米国糖尿病学会が5年ぶりに改訂した
「栄養療法に関する声明」のなかで、
地中海食やベジタリアン食などどともに「糖質制限食」を正式に容認したことが、
大きな追い風となりました。
2016年7月のNHKクローズアップ現代の試算によれば、
糖質制限市場は、3184億円とのことです。
医学界より、企業のほうが糖質制限食をビジネスチャンスと捉えて
行動が迅速なようです。
くら寿司やガストやリンガーハットなども糖質制限メニューを投入で、
なかなかの発展状況です。
2017年8月には、
「炭水化物の摂取増加で死亡リスク上昇」
という結論のランセット(Lancet)論文が発表され、
糖質制限食にとって大きな追い風となりました。
Lancet誌オンライン版2017年8月29日号掲載
https://doi.org/10.1016/S0140-6736(17)32252-3
さらに、2019年4月、米国糖尿病学会は「コンセンサス・レポート」において
『糖質制限食が最もエビデンスが豊富である』と報告しました。
糖質制限食の発展、まさに、今昔の感ありですね。
江部康二
☆☆☆
以下は朝日カルチャーセンター中之島教室のサイトから一部抜粋です。
老後の備え、認知症予防に糖質制限食
講師 江部康二高雄病院理事長
内容
糖質制限食は、1999年から京都・高雄病院において糖尿病治療食として開始され、合併症を予防できる唯一の食事療法として画期的な成果をあげてきました。近年多くの研究論文により糖尿病・肥満・生活習慣病などに対する糖質制限食の治療効果が証明されています。米国糖尿病学会は2019年4月のガイドラインで、血糖値改善効果に関して糖質制限食が最もエビデンスが豊富であると明言しました。『糖尿病コントロール不良』『白米を多く摂取』などで認知症リスクが高まります。老後の備え、認知症予防には、糖質制限食実践あるのみです。
日程 2019/12/17
曜日・時間 火曜 15:30~17:00
受講料(税込) 会員 3,080円 一般 3,630円
講師紹介 江部 康二 (エベ コウジ)
<プロフィール>
・1950年生まれ。
・1974年京都大学医学部卒業。
・1974年から京都大学胸部疾患研究所第一内科(現在京大呼吸器内科)
にて呼吸器科を学ぶ。
・1978年から高雄病院に医局長として勤務。1996年副院長就任。
・1999年高雄病院に糖質制限食導入。
・2000年理事長就任。
・2001年から糖質制限食に本格的に取り組む。
・ 2002年に自ら糖尿病であると気づいて以来、さらに糖尿病治療の研究に力を 注ぎ、「糖質制限食」の体系を確立。これにより自身の糖尿病を克服。
内科医/漢方医/一般財団法人高雄病院理事長/一般社団法人日本糖質制限医療推進協会理事長。
<著書>
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』2005年(東洋経済新報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編』2008年(東洋経済新報社)
『我ら糖尿人、元気なのにはわけがある』2009年(東洋経済新報社・作家宮本輝氏との対談本)
『糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食』2010年(ナツメ社)
『主食をやめると健康になる』2011年(ダイヤモンド社)
『食品別糖質量ハンドブック』2012年(洋泉社)監修
『糖質オフ!健康法』2012年(PHP文庫)
『糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド』2013年(東洋経済新報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!新版』2014年(東洋経済新報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!2 実践編 新版』2014年(東洋経済新報社)
『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません』2014年(東洋経済新報社)
『なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか』2015年(ナツメ社)
『糖質制限の教科書』2015年(洋泉社)監修
『よくわかる! すぐできる! 「 糖質オフ! 」健康法 』2016年(PHP研究所)
『人類最強の「糖質制限」論~ケトン体を味方に して痩せる、健康になる』2016年(SB新書)
『江部康二の糖質制限革命』2017年(東洋経済新報社)
『男・50代からの糖質制限』2018年(東洋経済新報社)
『内臓脂肪がストン!とおちる食事術』2019年(ダイヤモンド社)
『糖質制限の大百科』2019年(洋泉社)
など多数。
ブログ『ドクター江部の糖尿病徒然日記( http://koujiebe.blog95.fc2.com/ )は日に数千件のアクセスがあり、糖尿病のかたやそのご家族から寄せられた質問への回答や、糖尿病・糖質制限食に関する 情報の発信に、日々尽力している。
朝日カルチャーセンター中之島教室にて
糖質制限食講座開催です。
老後の備え、認知症予防に糖質制限食
https://www.asahiculture.jp/course/nakanoshima/9d2aab8c-4a2f-a977-7b1e-5d048b51ecb0
2019/12/17(火)15:30~17:00
朝日カルチャーセンター 朝日JTB・交流文化塾
中之島教室
TEL:06-6222-5222
『糖尿病コントロール不良』『白米を多く摂取』などで認知症リスクが高まります。
最新の内容も含めて、わかりやすくて楽しいお話しを目指します。
講師は江部康二です。
年間約30回講演をしていますが、
結構、新しい話題も多いので、スライドも毎回更新しています。
今回もわかりやすくお話しますので、乞うご期待です。
講演が75分間で質疑応答が15分間です。
大阪・兵庫・京都・滋賀や近畿圏の糖尿人やメタボ人の方々やそのご家族など、
奮ってご参加いただけば幸いです。
お陰様で、糖質制限食は順調に普及してきています。
2005年に私が「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)
を日本初の糖質制限食の本として刊行したころとは、大きな違いがあります。
なんと言っても、2013年10月に米国糖尿病学会が5年ぶりに改訂した
「栄養療法に関する声明」のなかで、
地中海食やベジタリアン食などどともに「糖質制限食」を正式に容認したことが、
大きな追い風となりました。
2016年7月のNHKクローズアップ現代の試算によれば、
糖質制限市場は、3184億円とのことです。
医学界より、企業のほうが糖質制限食をビジネスチャンスと捉えて
行動が迅速なようです。
くら寿司やガストやリンガーハットなども糖質制限メニューを投入で、
なかなかの発展状況です。
2017年8月には、
「炭水化物の摂取増加で死亡リスク上昇」
という結論のランセット(Lancet)論文が発表され、
糖質制限食にとって大きな追い風となりました。
Lancet誌オンライン版2017年8月29日号掲載
https://doi.org/10.1016/S0140-6736(17)32252-3
さらに、2019年4月、米国糖尿病学会は「コンセンサス・レポート」において
『糖質制限食が最もエビデンスが豊富である』と報告しました。
糖質制限食の発展、まさに、今昔の感ありですね。
江部康二
☆☆☆
以下は朝日カルチャーセンター中之島教室のサイトから一部抜粋です。
老後の備え、認知症予防に糖質制限食
講師 江部康二高雄病院理事長
内容
糖質制限食は、1999年から京都・高雄病院において糖尿病治療食として開始され、合併症を予防できる唯一の食事療法として画期的な成果をあげてきました。近年多くの研究論文により糖尿病・肥満・生活習慣病などに対する糖質制限食の治療効果が証明されています。米国糖尿病学会は2019年4月のガイドラインで、血糖値改善効果に関して糖質制限食が最もエビデンスが豊富であると明言しました。『糖尿病コントロール不良』『白米を多く摂取』などで認知症リスクが高まります。老後の備え、認知症予防には、糖質制限食実践あるのみです。
日程 2019/12/17
曜日・時間 火曜 15:30~17:00
受講料(税込) 会員 3,080円 一般 3,630円
講師紹介 江部 康二 (エベ コウジ)
<プロフィール>
・1950年生まれ。
・1974年京都大学医学部卒業。
・1974年から京都大学胸部疾患研究所第一内科(現在京大呼吸器内科)
にて呼吸器科を学ぶ。
・1978年から高雄病院に医局長として勤務。1996年副院長就任。
・1999年高雄病院に糖質制限食導入。
・2000年理事長就任。
・2001年から糖質制限食に本格的に取り組む。
・ 2002年に自ら糖尿病であると気づいて以来、さらに糖尿病治療の研究に力を 注ぎ、「糖質制限食」の体系を確立。これにより自身の糖尿病を克服。
内科医/漢方医/一般財団法人高雄病院理事長/一般社団法人日本糖質制限医療推進協会理事長。
<著書>
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』2005年(東洋経済新報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編』2008年(東洋経済新報社)
『我ら糖尿人、元気なのにはわけがある』2009年(東洋経済新報社・作家宮本輝氏との対談本)
『糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食』2010年(ナツメ社)
『主食をやめると健康になる』2011年(ダイヤモンド社)
『食品別糖質量ハンドブック』2012年(洋泉社)監修
『糖質オフ!健康法』2012年(PHP文庫)
『糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド』2013年(東洋経済新報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!新版』2014年(東洋経済新報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!2 実践編 新版』2014年(東洋経済新報社)
『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません』2014年(東洋経済新報社)
『なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか』2015年(ナツメ社)
『糖質制限の教科書』2015年(洋泉社)監修
『よくわかる! すぐできる! 「 糖質オフ! 」健康法 』2016年(PHP研究所)
『人類最強の「糖質制限」論~ケトン体を味方に して痩せる、健康になる』2016年(SB新書)
『江部康二の糖質制限革命』2017年(東洋経済新報社)
『男・50代からの糖質制限』2018年(東洋経済新報社)
『内臓脂肪がストン!とおちる食事術』2019年(ダイヤモンド社)
『糖質制限の大百科』2019年(洋泉社)
など多数。
ブログ『ドクター江部の糖尿病徒然日記( http://koujiebe.blog95.fc2.com/ )は日に数千件のアクセスがあり、糖尿病のかたやそのご家族から寄せられた質問への回答や、糖尿病・糖質制限食に関する 情報の発信に、日々尽力している。
2019年12月06日 (金)
こんばんは。
いまでこそ、「糖質制限食」のパイオニアとして有名な高雄病院ですが、
もともとは、「玄米魚菜食」を推奨していました。
こちらは1984年からですので病院給食として玄米を提供したのは、
高雄病院が日本初だったと思います。
当時はアトピー性皮膚炎の入院患者さんが大勢いて、
漢方治療と共に、玄米魚菜食や断食療法(絶食療法)を導入して、
治療効果をあげていたのです。
ちなみにやはり日本で初めて病院給食で「糖質制限食」を導入したのが
1999年ですから、玄米魚菜食のほうがはるかに早いですね。
今は、アトピー性皮膚炎の入院患者さんには、
「玄米魚菜食」とするか「糖質制限食」とするかを、選択してもらっています。
糖尿病患者さんやメタボ患者さんには、勿論「糖質制限食」あるのみです。
さて、私が食生活について、
本格的に興味を持ったきっかけは1984年5月にかかってきた一本の電話からでした。
全共闘最後の世代である私に、京大医学部時代の友人から
「京大の学生が高島屋の前で泊まり込みでハンガーストライキをするので
健康管理をしてくれないか?」
との電話が高雄病院にあったのです。
聞けば核ミサイル(トマホーク)を積んだ米国の原子力潜水艦が
佐世保に寄港することになり、それに反対の京大生が、
水だけしか摂らないハンガーストライキをして抗議するというお話でした。
そもそも日本には非核三原則(ひかくさんげんそく)があり、
核ミサイルなどとんでもないお話なのです。
非核三原則とは、
「核兵器をもたず、つくらず、もちこませず」という三つの原則からなる、
日本の国是であり、1967年の衆議院予算委員会において、
佐藤栄作内閣総理大臣が示しました。
元全共闘の医師はいるし、
当時は元アラブゲリラの看護師さんまでいた高雄病院ですから
こんな依頼があったのですが、1984年、私が34才のときでした。
当方西洋医かつ漢方医ではあるけれど、
当世、飢死にしかけたような患者を現実にみたことはないし、
医学文献にも心当たりはないし、いかに面倒みるべきか、はたと困ってしまいました。
そこでようやく思い至ったのが《ハンスト=断食》ではないかという
シンプルな認識でした。
日本では昔から断食を行う施設があり、
1930年には「断食研究」という国立栄養研究所の高比良英雄博士の大著が
刊行されています。
あわててこれまで興味はあったけれど、
あえて避けてきた断食・食養の本を買いあさり受け入れ態勢を整えました。
これが私と《玄米魚菜食》《断食》とのなれそめでした。
このことが、きっかけとなり、以後<食生活と健康>について
興味をもつようになりました。
江部康二
いまでこそ、「糖質制限食」のパイオニアとして有名な高雄病院ですが、
もともとは、「玄米魚菜食」を推奨していました。
こちらは1984年からですので病院給食として玄米を提供したのは、
高雄病院が日本初だったと思います。
当時はアトピー性皮膚炎の入院患者さんが大勢いて、
漢方治療と共に、玄米魚菜食や断食療法(絶食療法)を導入して、
治療効果をあげていたのです。
ちなみにやはり日本で初めて病院給食で「糖質制限食」を導入したのが
1999年ですから、玄米魚菜食のほうがはるかに早いですね。
今は、アトピー性皮膚炎の入院患者さんには、
「玄米魚菜食」とするか「糖質制限食」とするかを、選択してもらっています。
糖尿病患者さんやメタボ患者さんには、勿論「糖質制限食」あるのみです。
さて、私が食生活について、
本格的に興味を持ったきっかけは1984年5月にかかってきた一本の電話からでした。
全共闘最後の世代である私に、京大医学部時代の友人から
「京大の学生が高島屋の前で泊まり込みでハンガーストライキをするので
健康管理をしてくれないか?」
との電話が高雄病院にあったのです。
聞けば核ミサイル(トマホーク)を積んだ米国の原子力潜水艦が
佐世保に寄港することになり、それに反対の京大生が、
水だけしか摂らないハンガーストライキをして抗議するというお話でした。
そもそも日本には非核三原則(ひかくさんげんそく)があり、
核ミサイルなどとんでもないお話なのです。
非核三原則とは、
「核兵器をもたず、つくらず、もちこませず」という三つの原則からなる、
日本の国是であり、1967年の衆議院予算委員会において、
佐藤栄作内閣総理大臣が示しました。
元全共闘の医師はいるし、
当時は元アラブゲリラの看護師さんまでいた高雄病院ですから
こんな依頼があったのですが、1984年、私が34才のときでした。
当方西洋医かつ漢方医ではあるけれど、
当世、飢死にしかけたような患者を現実にみたことはないし、
医学文献にも心当たりはないし、いかに面倒みるべきか、はたと困ってしまいました。
そこでようやく思い至ったのが《ハンスト=断食》ではないかという
シンプルな認識でした。
日本では昔から断食を行う施設があり、
1930年には「断食研究」という国立栄養研究所の高比良英雄博士の大著が
刊行されています。
あわててこれまで興味はあったけれど、
あえて避けてきた断食・食養の本を買いあさり受け入れ態勢を整えました。
これが私と《玄米魚菜食》《断食》とのなれそめでした。
このことが、きっかけとなり、以後<食生活と健康>について
興味をもつようになりました。
江部康二
2019年12月05日 (木)
こんにちは。
多くの人が経験する中年太り、私もモロに経験しました。
今回は、私が米摂取で中年太りに至ったプロセスと、
糖質制限食で解決したプロセスのお話しです。
私の飲酒歴は学生時代からで、タバコは一切なしです。
京大医学部入学が、1968年です。
学生時代はお金がないですから、札幌ジャイアンツ(当時の巨大な瓶ビール)や一升瓶の料理用ワイン、安物の日本酒の三倍醸造酒の一升瓶などが中心でした。
学生時代は、身長167cm、55~56kgくらいで、いくら食べても飲んでも決して太りませんでした。
三倍醸造酒で二日酔いになると最悪で、三日酔いくらいになるので、日本酒は大嫌いになりました。( ̄_ ̄|||)
それで1974年、社会人になってからは、ブランデーやウィスキーをもっぱら飲んでいました。
その頃の私は、結構な大食いのほうで、割り勘負けはまずありませんでしたが、炭水化物も含めていくら食べても飲んでも決して太りませんでした。
医学生時代は野球部で6年間練習や試合をしていたので、その分の筋肉の貯金があって、社会人になってからもしばらくは基礎代謝が盛んだったのでしょう。
とある時、尾瀬あきら作の漫画「夏子の酒」を読んで感動し、40歳過ぎからからは、純米酒に目覚めました。
三倍醸造酒は最悪ですが、純米酒は最高に美味しかったです。(⌒o⌒)v
「酒をやるなら純米大吟醸、ビール飲むなら恵比寿ビール、愛読書並びに推薦書は夏子の酒・・・」
てなキャッチコピーで、それまでのウィスキーやブランデーから純米酒と恵比寿ビールに切り替えて、当時浴びるように飲んでいました。
主食は、病院では玄米で、家では胚芽米でした。当時は「粗食のすすめ」で有名な幕内秀夫先生の推進する
「学校給食と子供の健康を考える会」にも関係していて「学校給食を完全米飯に」という運動をしていたこともあり、外食、講演や旅行などの食事や、新幹線の駅弁では、おかずよりは兎に角米飯をしっかり食べるようにしていました。忙しい時は、おにぎりだけでお腹いっぱいとかも多かったです。
肉や脂の食材は、できるだけ控えて魚介中心にして、調理油は極力使わずカロリー制限も一定していました。運動は、30才から始めた週2回のテニスです。
運動量は、社会人に成り立ての頃より、テニスの分は少し多いくらいで、食事は肉・油脂を控えてカロリー制限でそれなりに気をつけていたのですが、40才過ぎから徐々にお腹が出てきて、体重も増え始めました。年齢とともに筋肉量が減少して、基礎代謝が低下してきたのでしょう。
『食事で蓄えられた中性脂肪』と『空腹時や睡眠時に消費される中性脂肪』のバランスが崩れ始めた時期だったと思います。
兎に角、米飯を中心に炭水化物の摂取は多かったです。毎日食事の度に、大量のインスリン追加分泌を繰り返し、だめ押しに毎晩毎晩、雨の日も風の日も雪の日も晴れの日も曇りの日も、律儀に純米酒と恵比寿ビールで飲酒後もインスリン追加分泌を生じていたのでしょう。
当時は、テニスの帰りにスポーツジムにもよって、自転車こぎや腹筋・背筋運動もやってました。
30代よりは運動量も増やして食事にも気を使っていたのに、なぜか体重はさらに増加し、腹回りも順調に育っていきました。
所詮この程度の運動では、日々の大量の炭水化物摂取に拮抗できるはずもなく、インスリン過剰分泌でますます肥満していったのだ思います。
肥満すればインスリン抵抗性が増して効きが悪くなるので、益々過剰のインスリンを分泌せざるを得ません。肥満ホルモンであるインスリン分泌の悪循環ですね。
52歳、糖尿病発覚時には、とうとう体重67kgになって、学生時代より約10kg増えてしまいました。
血圧は160/100、腹囲は86cmと、メタボリック・シンドロームの診断基準を見事に満たしていました。
ここに至り、一念発起して、2002年6月から糖質制限食を開始しました。肉・魚・野菜・豆腐などおかずは食べ放題で、主食(糖質)だけはなしです。
酒は日本酒、ビールなどの糖質を含んでいる醸造酒は中止し、もっぱら焼酎(蒸留酒)としました。
辛口赤ワインだけは、醸造酒の中でも血糖値をほとんど上昇させないので、適宜飲んでいました。
純米大吟醸・恵比寿ビール時代を知る友人達からは、非難囂々、ブーイング続出でしたが、糖尿病・メタボとおさらばするために、背に腹は代えられません。
この間、スポーツジムはやめてしまい、テニスも2回/週から、1回/週に減ったので、運動量は40代に比し確実に減りました。
また、肉や炒め物や揚げ物など脂質をたっぷり摂取したので、40代の油脂は極力控えていた時代に比し、総摂取カロリーは増えていたと思います。お酒の量は、全く不変でした。
運動量は減って、総摂取エネルギーは増加したにも関わらず、6ヶ月間の糖質制限食で、体重は約10kg減って57kgにおち、血圧も120/70、HbA1Cも4.9%(当時JDS⇒NGSP換算なら5.3%)と改善しました。メタボリック・シンドロームも解消しました。
このように、私の肥満(中年太り)には総摂取エネルギーよりも総糖質摂取量のほうが、色濃く関係していたことは間違いありません。
『糖質摂取で血糖値上昇→インスリン追加分泌→脂肪細胞表面にGLUT4発現→血糖を取り込んで中性脂肪に合成して脂肪細胞内に蓄積』
『糖質摂取で血糖値上昇→肝臓が取り込んで中性脂肪合成→中性脂肪はVLDLとして血中に放出→余剰の中性脂肪は脂肪細胞に取り込まれて蓄積』
という悪循環が、糖質制限食で断ち切れたのだと思います。
その後は、2019年現在に至るまで、身長、体重は167cm、56~57kgとほぼ一定で、血圧も120~130/70~80ていど、HbA1cは5.6~5.8%(NGSP)ていどです。
今は、主食(糖質)を食べなければ正常人、主食(糖質)を食べれば糖尿人です。
美味しく楽しく末長く糖質制限食で、HbA1cは、今ぐらいで維持したいと思っています。 (^^)
江部康二
多くの人が経験する中年太り、私もモロに経験しました。
今回は、私が米摂取で中年太りに至ったプロセスと、
糖質制限食で解決したプロセスのお話しです。
私の飲酒歴は学生時代からで、タバコは一切なしです。
京大医学部入学が、1968年です。
学生時代はお金がないですから、札幌ジャイアンツ(当時の巨大な瓶ビール)や一升瓶の料理用ワイン、安物の日本酒の三倍醸造酒の一升瓶などが中心でした。
学生時代は、身長167cm、55~56kgくらいで、いくら食べても飲んでも決して太りませんでした。
三倍醸造酒で二日酔いになると最悪で、三日酔いくらいになるので、日本酒は大嫌いになりました。( ̄_ ̄|||)
それで1974年、社会人になってからは、ブランデーやウィスキーをもっぱら飲んでいました。
その頃の私は、結構な大食いのほうで、割り勘負けはまずありませんでしたが、炭水化物も含めていくら食べても飲んでも決して太りませんでした。
医学生時代は野球部で6年間練習や試合をしていたので、その分の筋肉の貯金があって、社会人になってからもしばらくは基礎代謝が盛んだったのでしょう。
とある時、尾瀬あきら作の漫画「夏子の酒」を読んで感動し、40歳過ぎからからは、純米酒に目覚めました。
三倍醸造酒は最悪ですが、純米酒は最高に美味しかったです。(⌒o⌒)v
「酒をやるなら純米大吟醸、ビール飲むなら恵比寿ビール、愛読書並びに推薦書は夏子の酒・・・」
てなキャッチコピーで、それまでのウィスキーやブランデーから純米酒と恵比寿ビールに切り替えて、当時浴びるように飲んでいました。
主食は、病院では玄米で、家では胚芽米でした。当時は「粗食のすすめ」で有名な幕内秀夫先生の推進する
「学校給食と子供の健康を考える会」にも関係していて「学校給食を完全米飯に」という運動をしていたこともあり、外食、講演や旅行などの食事や、新幹線の駅弁では、おかずよりは兎に角米飯をしっかり食べるようにしていました。忙しい時は、おにぎりだけでお腹いっぱいとかも多かったです。
肉や脂の食材は、できるだけ控えて魚介中心にして、調理油は極力使わずカロリー制限も一定していました。運動は、30才から始めた週2回のテニスです。
運動量は、社会人に成り立ての頃より、テニスの分は少し多いくらいで、食事は肉・油脂を控えてカロリー制限でそれなりに気をつけていたのですが、40才過ぎから徐々にお腹が出てきて、体重も増え始めました。年齢とともに筋肉量が減少して、基礎代謝が低下してきたのでしょう。
『食事で蓄えられた中性脂肪』と『空腹時や睡眠時に消費される中性脂肪』のバランスが崩れ始めた時期だったと思います。
兎に角、米飯を中心に炭水化物の摂取は多かったです。毎日食事の度に、大量のインスリン追加分泌を繰り返し、だめ押しに毎晩毎晩、雨の日も風の日も雪の日も晴れの日も曇りの日も、律儀に純米酒と恵比寿ビールで飲酒後もインスリン追加分泌を生じていたのでしょう。
当時は、テニスの帰りにスポーツジムにもよって、自転車こぎや腹筋・背筋運動もやってました。
30代よりは運動量も増やして食事にも気を使っていたのに、なぜか体重はさらに増加し、腹回りも順調に育っていきました。
所詮この程度の運動では、日々の大量の炭水化物摂取に拮抗できるはずもなく、インスリン過剰分泌でますます肥満していったのだ思います。
肥満すればインスリン抵抗性が増して効きが悪くなるので、益々過剰のインスリンを分泌せざるを得ません。肥満ホルモンであるインスリン分泌の悪循環ですね。
52歳、糖尿病発覚時には、とうとう体重67kgになって、学生時代より約10kg増えてしまいました。
血圧は160/100、腹囲は86cmと、メタボリック・シンドロームの診断基準を見事に満たしていました。
ここに至り、一念発起して、2002年6月から糖質制限食を開始しました。肉・魚・野菜・豆腐などおかずは食べ放題で、主食(糖質)だけはなしです。
酒は日本酒、ビールなどの糖質を含んでいる醸造酒は中止し、もっぱら焼酎(蒸留酒)としました。
辛口赤ワインだけは、醸造酒の中でも血糖値をほとんど上昇させないので、適宜飲んでいました。
純米大吟醸・恵比寿ビール時代を知る友人達からは、非難囂々、ブーイング続出でしたが、糖尿病・メタボとおさらばするために、背に腹は代えられません。
この間、スポーツジムはやめてしまい、テニスも2回/週から、1回/週に減ったので、運動量は40代に比し確実に減りました。
また、肉や炒め物や揚げ物など脂質をたっぷり摂取したので、40代の油脂は極力控えていた時代に比し、総摂取カロリーは増えていたと思います。お酒の量は、全く不変でした。
運動量は減って、総摂取エネルギーは増加したにも関わらず、6ヶ月間の糖質制限食で、体重は約10kg減って57kgにおち、血圧も120/70、HbA1Cも4.9%(当時JDS⇒NGSP換算なら5.3%)と改善しました。メタボリック・シンドロームも解消しました。
このように、私の肥満(中年太り)には総摂取エネルギーよりも総糖質摂取量のほうが、色濃く関係していたことは間違いありません。
『糖質摂取で血糖値上昇→インスリン追加分泌→脂肪細胞表面にGLUT4発現→血糖を取り込んで中性脂肪に合成して脂肪細胞内に蓄積』
『糖質摂取で血糖値上昇→肝臓が取り込んで中性脂肪合成→中性脂肪はVLDLとして血中に放出→余剰の中性脂肪は脂肪細胞に取り込まれて蓄積』
という悪循環が、糖質制限食で断ち切れたのだと思います。
その後は、2019年現在に至るまで、身長、体重は167cm、56~57kgとほぼ一定で、血圧も120~130/70~80ていど、HbA1cは5.6~5.8%(NGSP)ていどです。
今は、主食(糖質)を食べなければ正常人、主食(糖質)を食べれば糖尿人です。
美味しく楽しく末長く糖質制限食で、HbA1cは、今ぐらいで維持したいと思っています。 (^^)
江部康二
2019年12月04日 (水)
こんにちは。
会社の健康診断では、糖尿病に対しては
<早朝空腹時血糖値とHbA1c>
が一般的です。
しかし、食後高血糖が数年間続いたあとに、
空腹時血糖値が上昇するという流れがほとんどですので、
<早朝空腹時血糖値とHbA1c>だけでは、
食後高血糖を見逃す可能性が極めて高いのです。
今回は、私、江部康二が糖尿病を発症した経緯と糖質制限食にたどり着くまでです。
すでに糖尿病を発症されている方も、糖尿病予備軍の方にも参考になる内容と思います。
<糖尿病発症と糖質制限食>
もともと父も母も糖尿病で、
父は77歳の時糖尿病による血流傷害のため右大腿切断手術をし、
その後心筋梗塞や肺炎にもなり、80歳で永眠しました。
家族歴は完璧なので、私もそこそこ警戒はしていたのですが、
2002年の病院の健康診断(52歳時)で遂にHbA1Cが6.7%と糖尿病の域に達していました。ヾ(゜▽゜)
翌日慌てて、給食(胚芽米)を食べて、
1時間後の血糖値を測定してみると250mg/dlもあり愕然としました。
さらに次の日は血糖値を上昇させにくい玄米で実験してみても
食後1時間血糖値は228mg/dlもあり、
軽く200アップで、ほとんど変わりませんでした。
ついでといっては何ですがメタボ、高血圧も発症していました。
通常健康診断で調べる朝一番の空腹時血糖値は
十数年間ずっと108mg以下で安心していました。
しかし1998年には115mgで
初めて糖尿病と正常の境界領域になっていたのに油断して放置していたのです。
もっとも34歳から、
基本玄米が主食で、魚中心で肉や脂は控えめで野菜はたっぷり摂り、
週に2回はテニスをし、週1回スポーツジムにも通っているし、
普通の中年サラリーマン諸氏よりは、
はるかに健康的なライフスタイルのはずでしたが・・・?
2000年に
「完全米飯給食が日本を救う」(東洋経済新報社)という本を
井上ひさしさんや、幕内秀夫さんと共著で刊行していたこともあり、
旅先では玄米は無理なので、とにかく、
おにぎりとかご飯をしっかり食べるように心がけていました。
パン(小麦)を食べることはまずなくて、
努力して、米(玄米、白米)をタップリ食べていました。
さらに40歳過ぎから
「酒をやるなら純米大吟醸、ビール飲むなら恵比寿ビール、愛読書並びに推薦書は夏子の酒・・・」
てなキャッチコピーでそれまでのウィスキーやブランデーから
純米酒と恵比寿ビールに切り替えて
当時浴びるように飲んでいたのが敗因の一つでした。
結局、私の場合、大量の<ご飯(玄米、白米)+恵比寿ビール+純米大吟醸>が
三位一体となって、糖尿病発症コースにまっしぐらに突っ走ったのだと思います。
今なら、血糖値を直接上昇させるのが糖質だけ、
醸造酒は血糖値を上昇させ、
蒸留酒は上げないという知識があるのですが・・・。 ( ̄_ ̄|||)
通常食後高血糖が数年間続いたあとに、
空腹時血糖値が上昇すると言われているので、
実は1990年代の初めごろからとっくに
食後高血糖が存在した可能性が高かったのです。
読者の皆さんも糖尿病の早期チェックには
空腹時血糖値ではなく主食摂取後1時間血糖値を調べてくださいね。
これが180mg/dlを超えていると将来糖尿病になりやすいのです。
江部康二
会社の健康診断では、糖尿病に対しては
<早朝空腹時血糖値とHbA1c>
が一般的です。
しかし、食後高血糖が数年間続いたあとに、
空腹時血糖値が上昇するという流れがほとんどですので、
<早朝空腹時血糖値とHbA1c>だけでは、
食後高血糖を見逃す可能性が極めて高いのです。
今回は、私、江部康二が糖尿病を発症した経緯と糖質制限食にたどり着くまでです。
すでに糖尿病を発症されている方も、糖尿病予備軍の方にも参考になる内容と思います。
<糖尿病発症と糖質制限食>
もともと父も母も糖尿病で、
父は77歳の時糖尿病による血流傷害のため右大腿切断手術をし、
その後心筋梗塞や肺炎にもなり、80歳で永眠しました。
家族歴は完璧なので、私もそこそこ警戒はしていたのですが、
2002年の病院の健康診断(52歳時)で遂にHbA1Cが6.7%と糖尿病の域に達していました。ヾ(゜▽゜)
翌日慌てて、給食(胚芽米)を食べて、
1時間後の血糖値を測定してみると250mg/dlもあり愕然としました。
さらに次の日は血糖値を上昇させにくい玄米で実験してみても
食後1時間血糖値は228mg/dlもあり、
軽く200アップで、ほとんど変わりませんでした。
ついでといっては何ですがメタボ、高血圧も発症していました。
通常健康診断で調べる朝一番の空腹時血糖値は
十数年間ずっと108mg以下で安心していました。
しかし1998年には115mgで
初めて糖尿病と正常の境界領域になっていたのに油断して放置していたのです。
もっとも34歳から、
基本玄米が主食で、魚中心で肉や脂は控えめで野菜はたっぷり摂り、
週に2回はテニスをし、週1回スポーツジムにも通っているし、
普通の中年サラリーマン諸氏よりは、
はるかに健康的なライフスタイルのはずでしたが・・・?
2000年に
「完全米飯給食が日本を救う」(東洋経済新報社)という本を
井上ひさしさんや、幕内秀夫さんと共著で刊行していたこともあり、
旅先では玄米は無理なので、とにかく、
おにぎりとかご飯をしっかり食べるように心がけていました。
パン(小麦)を食べることはまずなくて、
努力して、米(玄米、白米)をタップリ食べていました。
さらに40歳過ぎから
「酒をやるなら純米大吟醸、ビール飲むなら恵比寿ビール、愛読書並びに推薦書は夏子の酒・・・」
てなキャッチコピーでそれまでのウィスキーやブランデーから
純米酒と恵比寿ビールに切り替えて
当時浴びるように飲んでいたのが敗因の一つでした。
結局、私の場合、大量の<ご飯(玄米、白米)+恵比寿ビール+純米大吟醸>が
三位一体となって、糖尿病発症コースにまっしぐらに突っ走ったのだと思います。
今なら、血糖値を直接上昇させるのが糖質だけ、
醸造酒は血糖値を上昇させ、
蒸留酒は上げないという知識があるのですが・・・。 ( ̄_ ̄|||)
通常食後高血糖が数年間続いたあとに、
空腹時血糖値が上昇すると言われているので、
実は1990年代の初めごろからとっくに
食後高血糖が存在した可能性が高かったのです。
読者の皆さんも糖尿病の早期チェックには
空腹時血糖値ではなく主食摂取後1時間血糖値を調べてくださいね。
これが180mg/dlを超えていると将来糖尿病になりやすいのです。
江部康二
2019年12月03日 (火)
こんにちは。
高雄病院の糖質制限食入院治療ですが、
基本的には、まず外来診察を経て、担当医が入院の適応ありと判断して、
入院の手続きが始まります。
一方、高雄病院では、県外や遠方の患者さんで入院希望の方も多いので、
「診療情報提供書」があれば外来受診なしで、直接入院も可能としています。
具体的には、主治医の先生に前もって診療情報提供書を高雄病院に送付して頂いて、
高雄病院の担当医が入院可能か否かをまず、判断します。
入院OKとなれば、入院担当職員と電話で相談していただき、
入院日、入院期間などを決めていきます。
診療情報提供書があり、入院OKとなった時は、
外来診察を経ずに、直接入院も可能です。
通常、2週間くらいの入院が多いですが、
減量も兼ねてなら1ヶ月でも大丈夫です。
糖尿病や肥満が改善すれば、
高脂血症、喘息、痛風、睡眠時無呼吸症候群、高血圧、脂肪肝なども
良くなると思います。
糖尿病や脂質異常症や脂肪肝などの病名があれば、健康保険が効きます。
高雄病院には、月に平均10名の糖尿人が、
全国から糖質制限食治療を希望して入院されます。
遠方の方は、入院して糖質制限食で糖尿病自己管理の体験をし知識を会得してもらい、
退院されたら地元の医師にフォローしていただきます。
京都や近くの糖尿人でも、外来で、なかなか血糖値が下がりきらない時などは、
入院すると改善する人がほとんどですので、
『コントロール・教育入院』がお奨めです。
14日間あれば、コントロール・教育入院が可能です。
入院後まずはCGM(☆)を装着し、14日間継続します。
初回入院の場合は、最初の2日間は、
経口糖尿病薬やインスリン注射は、今まで通りとして、
従来の糖尿病食(高糖質食)を食べて頂き血糖の変動をみます。
投薬は今まで通りしていても、
糖質ありの食事の度に血糖値は200mg/dlを軽く超えてきます。
入院3日目からは、スーパー糖質制限食開始です。
内服薬中止しても、血糖コントロール良好となることがほとんどです。
その後は、希望があれば、
退院までに、グルコバイ(100)1錠を、食直前30秒に内服して、
あえて炊いたご飯2/3膳(約100g)など摂取して、
食後血糖値がどのくらい上昇するかを試してみます。
国際糖尿病連合(IDF)によれば、
食後1時間や2時間血糖値で160mg/dl未満ならOKです。
グルコバイだけで力が及ばない時は、
「グルコバイ+グルファスト」食直前30秒に内服で試します。
期間的に余裕があれば、パンやうどんなども試します。
これは、退院後やむを得ず糖質摂取せざるを得ないときのためのシミュレーションです。
インスリン注射をされている時は、
3~4週間あった方が確実に単位を減量できます。
インスリンの量は1/3以下になります。
内因性インスリンがあるていど残存している方は、
インスリン離脱もできることがあります。
2型だけでなく、1型の糖尿人でも、インスリンの量は1/3以下になります。
入院して、CGMを装着することで、
『一日中15分ごとに14日間』のブドウ測定が可能となります。
「従来の糖尿病食(カロリー制限高糖質食)」と「糖質制限食」の治療効果の差が
リアルタイムに確認できます。
血糖値を上げるのは糖質だけで、タンパク質・脂質はあげないということを、
身をもって体験することで、糖質制限食へのモチベーションが高まります。
入院して糖質制限食を摂取してのCGM検査を実施しているのは、
日本中で高雄病院以外はほとんどありません。
同一カロリーでも、糖質を摂取すれば、
インスリン注射や経口血糖降下剤を内服していても、
食後血糖値は200mg/dlを超えることが多いですが、
スーパー糖質制限食なら、薬・注射なしで食後血糖値は140mg/dlのことがほとんどです。
勿論、個人差はあります。
入院中はその他、頭部CTや頸動脈エコーなど、
糖尿病に関連するいろいろな検査もあります。
一日の尿をためて、
尿糖測定やインスリン分泌量測定(尿中Cペプチド測定)も行います。
一日尿のCペプチド測定で、トータルなインスリンの分泌量がチェックできます。
早朝空腹時の血中IRI(インスリン)を検査するか、
Cペプチド(インスリン注射をしている人はこちらを測定)を調べることで、
自分の基礎分泌のインスリンがどのくらいでているかわかります。
インスリン抵抗性の検査やインスリン追加分泌能の検査もあります。
管理栄養士による具体的な栄養指導もあります。
糖質制限食を体験し学ばれて、退院後は地元の病院で通院され、
6ヶ月に一回くらい京都観光を兼ねて高雄病院に来て頂いている方もおられます。
遠方の場合、年に一回、糖質制限食入院をされる方もおられます。
入院・外来治療の実績があれば、
高雄病院への電話で栄養相談やメールでの質問もOKです。
高雄病院では現実に、北海道から沖縄まで、
日本全国、様々な遠方地域の糖尿人の入院も多いです。
糖質制限食入院をご希望の方は、
まずは高雄病院(075-871-0245)に電話でご相談頂けば幸いです。
(☆)CGM:持続ブドウ糖測定
CGMは持続ブドウ糖測定(Continuous Glucose Monitoring)の略称。
15分間隔で継続的な、組織間液のブドウ糖測定が可能となる。
<24時間×14日間>の測定ができる
CGMを用いることで、これまで測定が難しかった血糖値の変動を把
握できるようになり、より適切な治療方針が期待できる。
江部康二
高雄病院の糖質制限食入院治療ですが、
基本的には、まず外来診察を経て、担当医が入院の適応ありと判断して、
入院の手続きが始まります。
一方、高雄病院では、県外や遠方の患者さんで入院希望の方も多いので、
「診療情報提供書」があれば外来受診なしで、直接入院も可能としています。
具体的には、主治医の先生に前もって診療情報提供書を高雄病院に送付して頂いて、
高雄病院の担当医が入院可能か否かをまず、判断します。
入院OKとなれば、入院担当職員と電話で相談していただき、
入院日、入院期間などを決めていきます。
診療情報提供書があり、入院OKとなった時は、
外来診察を経ずに、直接入院も可能です。
通常、2週間くらいの入院が多いですが、
減量も兼ねてなら1ヶ月でも大丈夫です。
糖尿病や肥満が改善すれば、
高脂血症、喘息、痛風、睡眠時無呼吸症候群、高血圧、脂肪肝なども
良くなると思います。
糖尿病や脂質異常症や脂肪肝などの病名があれば、健康保険が効きます。
高雄病院には、月に平均10名の糖尿人が、
全国から糖質制限食治療を希望して入院されます。
遠方の方は、入院して糖質制限食で糖尿病自己管理の体験をし知識を会得してもらい、
退院されたら地元の医師にフォローしていただきます。
京都や近くの糖尿人でも、外来で、なかなか血糖値が下がりきらない時などは、
入院すると改善する人がほとんどですので、
『コントロール・教育入院』がお奨めです。
14日間あれば、コントロール・教育入院が可能です。
入院後まずはCGM(☆)を装着し、14日間継続します。
初回入院の場合は、最初の2日間は、
経口糖尿病薬やインスリン注射は、今まで通りとして、
従来の糖尿病食(高糖質食)を食べて頂き血糖の変動をみます。
投薬は今まで通りしていても、
糖質ありの食事の度に血糖値は200mg/dlを軽く超えてきます。
入院3日目からは、スーパー糖質制限食開始です。
内服薬中止しても、血糖コントロール良好となることがほとんどです。
その後は、希望があれば、
退院までに、グルコバイ(100)1錠を、食直前30秒に内服して、
あえて炊いたご飯2/3膳(約100g)など摂取して、
食後血糖値がどのくらい上昇するかを試してみます。
国際糖尿病連合(IDF)によれば、
食後1時間や2時間血糖値で160mg/dl未満ならOKです。
グルコバイだけで力が及ばない時は、
「グルコバイ+グルファスト」食直前30秒に内服で試します。
期間的に余裕があれば、パンやうどんなども試します。
これは、退院後やむを得ず糖質摂取せざるを得ないときのためのシミュレーションです。
インスリン注射をされている時は、
3~4週間あった方が確実に単位を減量できます。
インスリンの量は1/3以下になります。
内因性インスリンがあるていど残存している方は、
インスリン離脱もできることがあります。
2型だけでなく、1型の糖尿人でも、インスリンの量は1/3以下になります。
入院して、CGMを装着することで、
『一日中15分ごとに14日間』のブドウ測定が可能となります。
「従来の糖尿病食(カロリー制限高糖質食)」と「糖質制限食」の治療効果の差が
リアルタイムに確認できます。
血糖値を上げるのは糖質だけで、タンパク質・脂質はあげないということを、
身をもって体験することで、糖質制限食へのモチベーションが高まります。
入院して糖質制限食を摂取してのCGM検査を実施しているのは、
日本中で高雄病院以外はほとんどありません。
同一カロリーでも、糖質を摂取すれば、
インスリン注射や経口血糖降下剤を内服していても、
食後血糖値は200mg/dlを超えることが多いですが、
スーパー糖質制限食なら、薬・注射なしで食後血糖値は140mg/dlのことがほとんどです。
勿論、個人差はあります。
入院中はその他、頭部CTや頸動脈エコーなど、
糖尿病に関連するいろいろな検査もあります。
一日の尿をためて、
尿糖測定やインスリン分泌量測定(尿中Cペプチド測定)も行います。
一日尿のCペプチド測定で、トータルなインスリンの分泌量がチェックできます。
早朝空腹時の血中IRI(インスリン)を検査するか、
Cペプチド(インスリン注射をしている人はこちらを測定)を調べることで、
自分の基礎分泌のインスリンがどのくらいでているかわかります。
インスリン抵抗性の検査やインスリン追加分泌能の検査もあります。
管理栄養士による具体的な栄養指導もあります。
糖質制限食を体験し学ばれて、退院後は地元の病院で通院され、
6ヶ月に一回くらい京都観光を兼ねて高雄病院に来て頂いている方もおられます。
遠方の場合、年に一回、糖質制限食入院をされる方もおられます。
入院・外来治療の実績があれば、
高雄病院への電話で栄養相談やメールでの質問もOKです。
高雄病院では現実に、北海道から沖縄まで、
日本全国、様々な遠方地域の糖尿人の入院も多いです。
糖質制限食入院をご希望の方は、
まずは高雄病院(075-871-0245)に電話でご相談頂けば幸いです。
(☆)CGM:持続ブドウ糖測定
CGMは持続ブドウ糖測定(Continuous Glucose Monitoring)の略称。
15分間隔で継続的な、組織間液のブドウ糖測定が可能となる。
<24時間×14日間>の測定ができる
CGMを用いることで、これまで測定が難しかった血糖値の変動を把
握できるようになり、より適切な治療方針が期待できる。
江部康二
2019年12月02日 (月)
こんにちは。
いよいよ2019年度も押し迫ってきましたね。
菓子職人さんでは、恒例の糖質制限クリスマスケーキの予約受付中です。
https://www.kashishokunin.co.jp/toushitsuseigen/
勿論、私の血糖測定実験をクリアした優れもののケーキ達です。
まずは、
糖質制限クリスマス・ドウ・ショコラ
4~5名様用、直径15cm、5000円
限定台数100台

「軽いシフォンケーキタイプのチョコレート生地に3種類(ダークチョコレート・ホワイトチョコレート・ミルクチョコレート)の口どけの良いチョコレートムースの層の構成です。チョコレート好きのための上品な香りと甘さを兼ねそなえたクリスマスイブにぜひ召し上がっていただきたい逸品です。表面はダークチョコレートとココアバターをスプレーガンで吹き付けてミルクチョコレートのガナッシュで表情をつけました。」
2019年10月8日(火)
午後4時 血糖値:101mg
菓子職人さんのクリスマスチョコレートケーキ1/6(100g)を摂取。
午後5時 血糖値:108mg
60分後の血糖値上昇は、7mgですので
100g中に、わずか2.3gの糖質です。
糖質制限ケーキとしては、花丸です。
続きまして
糖質制限 ホワイトフロマージュ(クリスマスチーズケーキ)
4~5名様用、直径15cm、5000円
限定台数100台

「オーストラリア産と北海道産クリームチーズをたっぷり使用した口どけの良いチーズケーキ、クレームブリュレ、イタリア産マスカルポーネ、フランス産フロマージュブラン、北海道産生クリームと卵黄をたっぷり使用した濃厚プリンのレアチーズムース。クリームチーズとフロマージュブランの2種類のチーズや、ヨーグルトやオレンジのお酒で香りづけた軽いムース。」
2019年9月30日(月)
午後9時14分 血糖値:108mg
菓子職人ホワイトフロマージュ(クリスマスチーズケーキ)1/6(100g)を摂取。
午後10時14分 血糖値:107mg
何と、血糖値が全く上昇しませんでした。
こちらも、糖質制限花丸ケーキです。
ブログ読者の皆さん、
糖質制限クリスマス・ドウ・ショコラ
と
糖質制限 ホワイトフロマージュ(クリスマスチーズケーキ)
どちらにされますか?
https://www.kashishokunin.co.jp/products/xmas2019/
あるいは、2つともというものおおいにありですね。 (^^)
江部康二
いよいよ2019年度も押し迫ってきましたね。
菓子職人さんでは、恒例の糖質制限クリスマスケーキの予約受付中です。
https://www.kashishokunin.co.jp/toushitsuseigen/
勿論、私の血糖測定実験をクリアした優れもののケーキ達です。
まずは、
糖質制限クリスマス・ドウ・ショコラ
4~5名様用、直径15cm、5000円
限定台数100台

「軽いシフォンケーキタイプのチョコレート生地に3種類(ダークチョコレート・ホワイトチョコレート・ミルクチョコレート)の口どけの良いチョコレートムースの層の構成です。チョコレート好きのための上品な香りと甘さを兼ねそなえたクリスマスイブにぜひ召し上がっていただきたい逸品です。表面はダークチョコレートとココアバターをスプレーガンで吹き付けてミルクチョコレートのガナッシュで表情をつけました。」
2019年10月8日(火)
午後4時 血糖値:101mg
菓子職人さんのクリスマスチョコレートケーキ1/6(100g)を摂取。
午後5時 血糖値:108mg
60分後の血糖値上昇は、7mgですので
100g中に、わずか2.3gの糖質です。
糖質制限ケーキとしては、花丸です。
続きまして
糖質制限 ホワイトフロマージュ(クリスマスチーズケーキ)
4~5名様用、直径15cm、5000円
限定台数100台

「オーストラリア産と北海道産クリームチーズをたっぷり使用した口どけの良いチーズケーキ、クレームブリュレ、イタリア産マスカルポーネ、フランス産フロマージュブラン、北海道産生クリームと卵黄をたっぷり使用した濃厚プリンのレアチーズムース。クリームチーズとフロマージュブランの2種類のチーズや、ヨーグルトやオレンジのお酒で香りづけた軽いムース。」
2019年9月30日(月)
午後9時14分 血糖値:108mg
菓子職人ホワイトフロマージュ(クリスマスチーズケーキ)1/6(100g)を摂取。
午後10時14分 血糖値:107mg
何と、血糖値が全く上昇しませんでした。
こちらも、糖質制限花丸ケーキです。
ブログ読者の皆さん、
糖質制限クリスマス・ドウ・ショコラ
と
糖質制限 ホワイトフロマージュ(クリスマスチーズケーキ)
どちらにされますか?
https://www.kashishokunin.co.jp/products/xmas2019/
あるいは、2つともというものおおいにありですね。 (^^)
江部康二
2019年12月01日 (日)
【19/11/30 中嶋一雄
糖尿病学会誌
学会誌「糖尿病」61巻11号787-788頁(2018)
「1型糖尿病患者における糖質制限について」
中嶋一雄
https://doi.org/10.11213/tonyobyo.61.787
発行して1年経過したので、誰でも閲覧できるようになりました。
糖質制限に批判的な人物がいたら、これを印刷して読ませてあげてください】
おはようございます。
中嶋一雄先生から、コメントを頂きました。
ありがとうございます。
1型糖尿病患者における糖質制限について、
日本の文献と欧米の文献を整理整頓して論じて頂きました。(☆)
とても参考になります。
日本糖尿病学会誌に
糖尿病Vol. 60 (2017) No. 6 p. 449-455
症例報告厳密な糖質制限と持効型溶解インスリン1回法を約15年継続している罹病歴33年の1型糖尿病の1例
https://doi.org/10.11213/tonyobyo.60.449
と題する症例報告が掲載されて、
主治医は
「日本糖尿病学会により推奨される食事療法(炭水化物 50-60 %)を摂取し
必要なインスリンを追加することが標準的な糖尿病の治療であり推奨する」
ことを説明したとあります。(☆☆)
この主治医の説明には、おおいに違和感を覚えます。
罹病歴33年の1型糖尿病患者さんが、自分の頭で考えて
厳密な糖質制限と持効型溶解インスリン1回法を約15年継続し
血糖コントロール良好を保ち、糖尿病合併症なしです。
これだけ素晴らしい結果を出している1型糖尿病患者さんに対して、
エビデンスはないと日本糖尿病学会も自ら認めている、
「糖尿病食(炭水化物50~60%)」を推奨するとは、あり得ません。
少なくとも、この個人においては、最高の状態を保っているわけですので、
無根拠な「糖尿病食」を推奨する理由は皆無です。
計算してみると、2002年から糖質制限食を開始しておられます。
高雄病院で糖質制限食を導入したのは1999年ですが、
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」江部康二著(東洋経済新報社)
を上梓したのが、2005年です。
ということは、日本で糖質制限食の概念が一般的になる前に、
自力で開始しておられるので、すごく勉強しておられるのだと思います。
なお、従来の糖尿病食は、カロリー制限・高糖質食ですので、
「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」という合併症リスクを、必ず生じます。
誠に遺憾ながら、従来の糖尿病食は、「合併症製造食」としか言いようがないのです
中嶋先生も指摘しておられるように「1型糖尿病と糖質制限」に関して
エビデンスはまだありません。
一方、症例報告は
「1 型糖尿病とてんかんの合併例に,超低炭水化物食であるケトン食療法を実施して,
血糖維持と痙攣発作がいずれも改善し安定した状態を得られたと,
すでに複数の症例が報告されている.」
「Flash glucose monitoring(FGM)とインスリンポンプを併用して,
1 型糖尿病患者にそれまでの 1 日量 100-150 g から,
30-50 g 迄に減量した低炭水化物食を実施した症例報告も行われている.
本例ではインスリンの 1 日量が 50 単位から30 単位に減量でき,
FGM により記録された毎日の平均血糖値は改善し,
脂質異常等の合併症も生じなかったとある.」
あります。
このように、
1型糖尿病において、糖質制限食を導入すれば、インスリンの単位が大幅に減量できます。
従って、低血糖リスクも大幅に減少します。
過剰のインスリンは酸化ストレスリスクであり、
<肥満、老化、動脈硬化、がん、アルツハイマー病・・・etc>
の元凶となりますので、インスリンの減量にはおおいに意味があります。
一方、減量したとはいえ、1型でインスリンは必ず注射していますので、
ケトアシドーシスのリスクは、ほぼ皆無と言えます。
つまり、1型糖尿病と糖質制限食は相性が良いということです。
(☆)
以下の緑の文字の記載が、中嶋先生の論文です。
学会誌「糖尿病」61巻11号787-788頁(2018)
「1型糖尿病患者における糖質制限について」
中嶋一雄
【近年糖尿病の食事療法に糖質制限食が注目され,米国のジョスリン糖尿病センターでは,2004 年より食事療法勧告において炭水化物を 40 %エネルギーと定めている1)
米国糖尿病学会は 2013 年 10 月より,
食事療法においてあらゆる栄養素比率を選択することが可能であるとの見解を出した2).
本誌 60 巻 6 号に
「厳密な糖質制限と持効型溶解インスリン 1 回法を約 15 年継続している罹病歴 33 年の 1型糖尿病の 1 例」
と題する症例報告3)が掲載された.
日本糖尿病学会により推奨される食事療法(炭水化物 50-60 %)を摂取し
必要なインスリンを追加することが
標準的な糖尿病の治療であり推奨することを説明したとある.
一方,1 型糖尿病における糖質制限については統一見解には至っていないと思われる.
1 型糖尿病とてんかんの合併例に,超低炭水化物食であるケトン食療法を実施して,
血糖維持と痙攣発作がいずれも改善し安定した状態を得られたと,
すでに複数の症例が報告されている4~6).
2018 年になり,
1 型糖尿病と低炭水化物食との研究について系統的レビューが発表された7).
炭水化物を45 %エネルギー以下とした論文のレビューを実施したが,
HbA1c の低下がみられた論文とみられなかった論文とが混在しており,
エビデンスとしては限界があるため全体として結論は下せず,
さらなる臨床研究をすすめる必要があると記載されている.
一方,近年に使用開始された
Flash glucose monitoring(FGM)とインスリンポンプを併用して,
1 型糖尿病患者にそれまでの 1 日量 100-150 g から,
30-50 g 迄に減量した低炭水化物食を実施した症例報告も行われている8).
本例ではインスリンの 1 日量が 50 単位から30 単位に減量でき,
FGM により記録された毎日の平均血糖値は改善し,
脂質異常等の合併症も生じなかったとある.
FGM による血糖変化の観察と適切なインスリン調節が
安全な血糖維持をもたらしたと考えられ,
頭痛は減少し睡眠も良好化し情動面が改善するなど,本人の QOL も向上した.
1 型糖尿病患者における糖質制限についてさらなる臨床研究が望まれる.
(☆☆)
糖尿病Vol. 60 (2017) No. 6 p. 449-455
症例報告厳密な糖質制限と持効型溶解インスリン1回法を約15年継続している罹病歴33年の1型糖尿病の1例
抄録
症例は46歳男性である.13歳時に1型糖尿病を発症し,インスリン治療を開始された.
10代より運動時の低血糖のためインスリンを減量し,
30代より糖質制限を行い持効型溶解インスリン1回法に変更,
HbA1c 7 %前後で経過した.
45歳,当科に入院時,我々は
1型糖尿病における糖質制限の有効性,安全性に関する報告は少なく
動脈硬化性疾患のリスクとなること,
インスリン減量がケトアシドーシス発症の危険となることを繰り返し説明し,
炭水化物比50~60 %の食事を勧めた.
しかし,現時点では動脈硬化性疾患やケトーシスの既往はなく,
患者の強い意向に沿った糖質制限食とインスリン1回法を容認せざるを得なかった.
その危険性を十分に患者に説明するとともに,
慢性合併症やケトーシスのモニタリング等,慎重に経過観察する必要がある.
厳密な糖質制限と持効型インスリン1回法を長期間継続した1型糖尿病の症例は
希少であるため,報告する.
江部康二
糖尿病学会誌
学会誌「糖尿病」61巻11号787-788頁(2018)
「1型糖尿病患者における糖質制限について」
中嶋一雄
https://doi.org/10.11213/tonyobyo.61.787
発行して1年経過したので、誰でも閲覧できるようになりました。
糖質制限に批判的な人物がいたら、これを印刷して読ませてあげてください】
おはようございます。
中嶋一雄先生から、コメントを頂きました。
ありがとうございます。
1型糖尿病患者における糖質制限について、
日本の文献と欧米の文献を整理整頓して論じて頂きました。(☆)
とても参考になります。
日本糖尿病学会誌に
糖尿病Vol. 60 (2017) No. 6 p. 449-455
症例報告厳密な糖質制限と持効型溶解インスリン1回法を約15年継続している罹病歴33年の1型糖尿病の1例
https://doi.org/10.11213/tonyobyo.60.449
と題する症例報告が掲載されて、
主治医は
「日本糖尿病学会により推奨される食事療法(炭水化物 50-60 %)を摂取し
必要なインスリンを追加することが標準的な糖尿病の治療であり推奨する」
ことを説明したとあります。(☆☆)
この主治医の説明には、おおいに違和感を覚えます。
罹病歴33年の1型糖尿病患者さんが、自分の頭で考えて
厳密な糖質制限と持効型溶解インスリン1回法を約15年継続し
血糖コントロール良好を保ち、糖尿病合併症なしです。
これだけ素晴らしい結果を出している1型糖尿病患者さんに対して、
エビデンスはないと日本糖尿病学会も自ら認めている、
「糖尿病食(炭水化物50~60%)」を推奨するとは、あり得ません。
少なくとも、この個人においては、最高の状態を保っているわけですので、
無根拠な「糖尿病食」を推奨する理由は皆無です。
計算してみると、2002年から糖質制限食を開始しておられます。
高雄病院で糖質制限食を導入したのは1999年ですが、
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」江部康二著(東洋経済新報社)
を上梓したのが、2005年です。
ということは、日本で糖質制限食の概念が一般的になる前に、
自力で開始しておられるので、すごく勉強しておられるのだと思います。
なお、従来の糖尿病食は、カロリー制限・高糖質食ですので、
「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」という合併症リスクを、必ず生じます。
誠に遺憾ながら、従来の糖尿病食は、「合併症製造食」としか言いようがないのです
中嶋先生も指摘しておられるように「1型糖尿病と糖質制限」に関して
エビデンスはまだありません。
一方、症例報告は
「1 型糖尿病とてんかんの合併例に,超低炭水化物食であるケトン食療法を実施して,
血糖維持と痙攣発作がいずれも改善し安定した状態を得られたと,
すでに複数の症例が報告されている.」
「Flash glucose monitoring(FGM)とインスリンポンプを併用して,
1 型糖尿病患者にそれまでの 1 日量 100-150 g から,
30-50 g 迄に減量した低炭水化物食を実施した症例報告も行われている.
本例ではインスリンの 1 日量が 50 単位から30 単位に減量でき,
FGM により記録された毎日の平均血糖値は改善し,
脂質異常等の合併症も生じなかったとある.」
あります。
このように、
1型糖尿病において、糖質制限食を導入すれば、インスリンの単位が大幅に減量できます。
従って、低血糖リスクも大幅に減少します。
過剰のインスリンは酸化ストレスリスクであり、
<肥満、老化、動脈硬化、がん、アルツハイマー病・・・etc>
の元凶となりますので、インスリンの減量にはおおいに意味があります。
一方、減量したとはいえ、1型でインスリンは必ず注射していますので、
ケトアシドーシスのリスクは、ほぼ皆無と言えます。
つまり、1型糖尿病と糖質制限食は相性が良いということです。
(☆)
以下の緑の文字の記載が、中嶋先生の論文です。
学会誌「糖尿病」61巻11号787-788頁(2018)
「1型糖尿病患者における糖質制限について」
中嶋一雄
【近年糖尿病の食事療法に糖質制限食が注目され,米国のジョスリン糖尿病センターでは,2004 年より食事療法勧告において炭水化物を 40 %エネルギーと定めている1)
米国糖尿病学会は 2013 年 10 月より,
食事療法においてあらゆる栄養素比率を選択することが可能であるとの見解を出した2).
本誌 60 巻 6 号に
「厳密な糖質制限と持効型溶解インスリン 1 回法を約 15 年継続している罹病歴 33 年の 1型糖尿病の 1 例」
と題する症例報告3)が掲載された.
日本糖尿病学会により推奨される食事療法(炭水化物 50-60 %)を摂取し
必要なインスリンを追加することが
標準的な糖尿病の治療であり推奨することを説明したとある.
一方,1 型糖尿病における糖質制限については統一見解には至っていないと思われる.
1 型糖尿病とてんかんの合併例に,超低炭水化物食であるケトン食療法を実施して,
血糖維持と痙攣発作がいずれも改善し安定した状態を得られたと,
すでに複数の症例が報告されている4~6).
2018 年になり,
1 型糖尿病と低炭水化物食との研究について系統的レビューが発表された7).
炭水化物を45 %エネルギー以下とした論文のレビューを実施したが,
HbA1c の低下がみられた論文とみられなかった論文とが混在しており,
エビデンスとしては限界があるため全体として結論は下せず,
さらなる臨床研究をすすめる必要があると記載されている.
一方,近年に使用開始された
Flash glucose monitoring(FGM)とインスリンポンプを併用して,
1 型糖尿病患者にそれまでの 1 日量 100-150 g から,
30-50 g 迄に減量した低炭水化物食を実施した症例報告も行われている8).
本例ではインスリンの 1 日量が 50 単位から30 単位に減量でき,
FGM により記録された毎日の平均血糖値は改善し,
脂質異常等の合併症も生じなかったとある.
FGM による血糖変化の観察と適切なインスリン調節が
安全な血糖維持をもたらしたと考えられ,
頭痛は減少し睡眠も良好化し情動面が改善するなど,本人の QOL も向上した.
1 型糖尿病患者における糖質制限についてさらなる臨床研究が望まれる.
(☆☆)
糖尿病Vol. 60 (2017) No. 6 p. 449-455
症例報告厳密な糖質制限と持効型溶解インスリン1回法を約15年継続している罹病歴33年の1型糖尿病の1例
抄録
症例は46歳男性である.13歳時に1型糖尿病を発症し,インスリン治療を開始された.
10代より運動時の低血糖のためインスリンを減量し,
30代より糖質制限を行い持効型溶解インスリン1回法に変更,
HbA1c 7 %前後で経過した.
45歳,当科に入院時,我々は
1型糖尿病における糖質制限の有効性,安全性に関する報告は少なく
動脈硬化性疾患のリスクとなること,
インスリン減量がケトアシドーシス発症の危険となることを繰り返し説明し,
炭水化物比50~60 %の食事を勧めた.
しかし,現時点では動脈硬化性疾患やケトーシスの既往はなく,
患者の強い意向に沿った糖質制限食とインスリン1回法を容認せざるを得なかった.
その危険性を十分に患者に説明するとともに,
慢性合併症やケトーシスのモニタリング等,慎重に経過観察する必要がある.
厳密な糖質制限と持効型インスリン1回法を長期間継続した1型糖尿病の症例は
希少であるため,報告する.
江部康二
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