FC2ブログ
ブドウ糖が中性脂肪合成に関わる過程。
【19/01/22 ヨウ

糖質が中性脂肪になるまで

こんばんわ。
いつも楽しく閲覧させて頂いております。
糖質制限、私も行っており、かなり体調がいいです!
さて、1点ご教示頂きたい点があり、コメントをさせて頂きました。

・質問
体内で余った糖質が中性脂肪になるまでの詳しい流れをご教示頂けますか?
本記事のインスリン部分にて、下記の記載がありました。
どうやって取り込んでいるのかが気になり、色々なサイトで調べましたが、
しっくりくるものがありませんでした。。

----
◇インスリンは筋肉細胞に血糖を取り込ませるが、
  余剰の血糖は脂肪細胞に取り込ませて中性脂肪として蓄える。
----

ただ、あるブログでは下記の記載がありましたが、本当かどうか知りたく・・・
----

インスリンは今度、余った血中のブドウ糖をグリセロールに変化させるよう促します。
そうすることで、血中に余っている脂肪酸とくっつき中性脂肪にします。
---
余談ではありますが、来月2月の青山教室に参加させて頂きます。
とても楽しみにしております!

以上となります。
お忙しいかと思いますが、何卒宜しくお願い致します。】


こんにちは。

ヨウさんから、
体内でブドウ糖が中性脂肪に合成される過程について
コメント・質問を頂きました。
糖質制限で体調良好、良かったです。
NHKカルチャー 青山教室講座へのご参加、ありがとうございます。

A)
『インスリンは今度、余った血中のブドウ糖をグリセロールに変化させるよう促します。
そうすることで、血中に余っている脂肪酸とくっつき中性脂肪にします。』

これは正確ではありません。
正確には、まずインスリンが血中のブドウ糖を脂肪細胞内に取り込ませませます。
脂肪細胞内で
ブドウ糖→ジヒドロキシアセトンリン酸→グリセロール3-リン酸
と変化します。
脂肪細胞内で、グリセロールと脂肪酸から中性脂肪が合成されます。

B)
ブドウ糖(血糖)は体内で、
細胞のエネルギー源になる、
肝臓や筋肉でグリコーゲンとして蓄積される、
脂肪細胞に中性脂肪として蓄積される、
アミノ酸に変換される、

のいずれかの経過をとります。

C)
ブドウ糖が、細胞膜を通過するためには、特別な膜輸送タンパク質が必要です。
それが糖輸送体(GLUT)であり、現在GLUT1~GLUT14まで確認されています。
GLUT1は赤血球・脳・網膜などの糖輸送体で常に細胞の表面にあり、
血流さえあれば即血糖を取り込めます。
これに対して筋肉細胞と脂肪細胞に特異的なのがGLUT4で、
基礎分泌のインスリンレベルだと、通常は細胞内部に沈んでいます。
GLUT1~GLUT14の中で、インスリンに依存しているのはGLUT4だけで特殊です。

筋肉細胞と脂肪細胞にあるGLUT-4は、
インスリン追加分泌がないと細胞内に沈んでいるのでブドウ糖を取り込めません。
インスリンが追加分泌されるとGLUT-4は細胞表面に移動して血糖を取り込むのです。
なお、筋肉収縮時にもGLUT-4は細胞表面に移動して血糖を取り込みます。

D)
 脂肪細胞にはグリセロールキナーゼが存在しないので、
分解で生じたグリセロールを中性脂肪合成のために再利用することはできません。
 このため脂肪組織においては、
取り込まれたブドウ糖から解糖経路で生じたジヒドロキシアセトンリン酸を、
グリセロール3-リン酸に変換して、中性脂肪合成に利用します。
 脂肪細胞では、『脂肪酸』と『血糖(ブドウ糖)由来のグリセロール』から、
中性脂肪が合成されます。
 血中のグリセロールは脂肪細胞に入ることができないため、
肝臓まで運ばれて「糖新生」でつくるブドウ糖の原料となります。

E)
①血糖上昇→インスリン分泌→筋肉細胞のGLUT-4が細胞表面に移動して取り込み
②血糖上昇→インスリン分泌→脂肪細胞のGLUT-4が細胞表面に移動して取り込み


血糖が上昇すれば、①②のプロセスが稼働して、血糖を取り込みます。
筋肉が取り込むほうが、割合はかなり多いですが、
結果として余った血糖は全て脂肪細胞に取り込まれ、
D)の過程を経て、中性脂肪に合成されます。


江部康二

母乳と乳糖。糖質、脂質、タンパク質。
こんばんは。
今回は、母乳について考えてみました。

日本食品標準成分表2015(七訂)によれば、

人乳は100gで、65kcal、炭水化物が7.2g、利用可能炭水化物(単糖当量)6.7g、
脂質が3.5g、タンパク質が1.1gくらいです。
糖質が総カロリーの44.9% 、
脂質が総カロリーの48.46%、
タンパク質は総カロリーの6.77%
です。

すなわち、糖質もそこそこ含まれていますが、かなりの高脂質食でもあります。
宗田先生のご研究により
新生児のケトン体値は、平均240.4μmol/L(312例、生後4日)であり、
成人基準値(85 μmol/L以下)の3倍~数倍レベルです。
新生児のケトン体はこのように高値であり、
エネルギー源として利用されています。
 
母乳が高脂質食なので、母乳育児中の乳児の血中ケトン体値は、
成人基準値よりはかなり高値となります。

一方、糖質も、日本糖尿病学会推奨の50~60%には及ばないものの、
そこそこの含有量です。
乳児の肝臓の糖新生機能はまだ未熟なので、
母乳から一日何回も糖質を補充して、
特に赤血球などのために血糖値を確保する必要があるのでしょう。

ヒトが吸収できる単糖には、ブドウ糖、果糖、ガラクトースがあります。
人乳あるいは哺乳類のお乳に、乳糖が含まれていることの意味は何か考えてみました。
乳糖は「ガラクトース+ブドウ糖」で構成されています。
エネルギー補給だけならブドウ糖だけでもいいようなものなのに、
ガラクトースが必要なのには、理由があるようです。

乳糖が母乳の糖質の 80% 以上で、全エネルギーの 約38%を占めます。
乳糖以外には微量のグルコース、ガラクトース、種々のオリゴ糖などを含有しています。
母乳は乳腺で血液からつくられます。
乳糖分のエネルギー量を全てブドウ糖で賄うとすれば、かなりの高血糖になり
母体にとって、危険なので、ガラクトースを加えて乳糖としたのだと思います。

以前、獣医さんのサイトでみたのですが、
乳糖(ガラクトース+ブドウ糖)の中のガラクトースが、
免疫物質を母乳から乳児に移行させるのに有用とされていますので、
その意味もあるかもしれません。

また、ガラクトースは、
急速に発達する乳児の中枢神経系の完成に重要な役割を果たすとされています。


江部康二

基礎代謝と個人差、消費エネルギー、摂取エネルギー。
【19/01/21 yanosono
質問です
江部先生
こんにちは

今回の記事を読んで、
過去の記事(大食漢タイプと倹約遺伝子タイプは痩せにくい)を見直してみました。
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3418.html

私も糖質制限後のリバウンドに悩んでいるのですが、
もしかしたら倹約遺伝子タイプかもしれないと思いました。
そこで疑問なのですが、
基礎代謝量の測定方法についてアドバイス頂けないでしょうか?

下記の記事(基礎代謝量の正確な計算・測定法&正しい使い方!)を読んでも、
個人の体質は考慮されていないので分かりませんでした。
https://diet.plez.jp/basal-metabolism-calculation



こんばんは。

yanosono さんから、基礎代謝の測定方法について、コメント・質問を頂きました。
基礎代謝の計算式はいろいろあります。
例えば、以下です。

☆☆
国立健康・栄養研究所の式(Ganpule et al., 2007)
((0.1238+(0.0481×体重kg)+(0.0234×身長cm)-(0.0138×年齢)-性別*1))×1000/4.186
男性=0.5473×1、女性=0.5473×2

☆☆
ハリス・ベネディクト(日本人改良版)
男性 66+(13.7×体重kg)+(5.0×身長cm)-(6.8×年齢)
女性 655.1+(9.6×体重kg)+(1.7×身長cm)-(7.0×年齢)



しかし、これらの測定法で出した数値は、所詮は目安に過ぎず、
実際には基礎代謝の個人差は結構あると思われます。

私は、69歳男性で、167cm、56kgですので
ハリス・ベネディクト(日本人改良版)で計算すると
基礎代謝量は1199kcalです。
しかしこの数値正しいかどうかはよくわかりません。

身体活動量は普通なので、
厚生労働省のいう推定エネルギー必要量/日は、2450kcal/日です。

朝は、コーヒー+生クリーム10cc
昼は、スーパー糖質制限食で、約500kcal
夕は、スーパー糖質制限食で、鍋が主で、約1200~1500kcal
アルコールが焼酎、水割りで3杯~4杯
間食はなしのことが多い。
夕食はお腹いっぱい摂取。


アルコールはカロリーはありますが、体重には影響しないので
無視するとして、摂取エネルギーは1700~2000kcal/日くらいです。
そうすると、推定エネルギー必要量に対して、
約400~600kcal/日くらい足らない計算となります。

しかし、52歳から、17年間、この食生活と身体活動量で過ごしてきて
167cm、56~57kg、と安定しています。
ということは、
私の<摂取エネルギー>と<消費エネルギー>は
ちょうどよいバランスが保たれていると言えますので、
1700~2000kcal/日の摂取で、江部康二個人としては大丈夫ということです。

yanosono さんは、糖質制限後のリバウンドに悩んでいるとのことですが、
DIRECTというRCT論文により、糖質制限食の場合は、
我慢することなく満腹するまで食べても、
自然に摂取エネルギーが適正化することがわかっています。
DIRECTでも、糖質制限が緩んであるていどのリバウンドを生じていますが、
スーパー糖質制限食ならリバウンドは生じにくいと思います。
2018年01月20日 (土)
DIRECT。低炭水化物食で体重減少。リバウンドは?
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4454.html



結論です。

基礎代謝は個人差が大きいのであまり気にしなくていいと思います。
適切な摂取エネルギーも、個人差が大きいと思います。
自分の摂取エネルギーを把握しておいて、体調良好で、体重が普遍で
BMIが20以上25未満で維持できているなら、
その摂取エネルギーでOKということとなります。



江部康二


<追加>
腸内細菌が食物繊維を餌に産生している短鎖脂肪酸が、
私の場合もあるていどエネルギー源となっている可能性もあります。
もちろん、森美智代さんのように、1日青汁1杯の食生活というわけではありません。



糖質制限食による体重減少効果について。
こんにちは。
糖質制限食による体重減少効果に関して、
よく質問がありますので考察してみます。

スーパー糖質制限食なら、
運動量不変で、体脂肪が減ります。
例えば、血中総ケトン体の基準値は、
26~122μM/Lですが、スーパー糖質制限食実践中は、
400~1000~2000μM/Lくらいに上昇します。
肝臓で脂肪酸の分解物のアセチルCoAからケトン体を作ります。
ケトン体の上昇は、まさに脂肪が燃えている証拠ですね。

かくいう私も、52歳のとき、167cm、67kgから、スーパー糖質制限食実践で、
運動量は不変で、半年で57kgに減量し、学生時代の体重に戻りました。
階段は駆け上がるし、週1テニスは普通にしてましたので、
筋肉量は維持できていて、脂肪が燃えて減量できたと考えられます。

69歳現在も56~57kgで維持していて、階段は駆け上がります。
但し、4階くらいまでですが・・・。(^^;)
現在も筋肉は年齢相応ていどはあると思いますし、
歩く速度もかなり速いほうです。
スポーツジムなどで鍛えているわけではありませんが、
69歳としてはかなり体力はあるほうだと思います。

しかし筋肉量を増やすには筋トレが必要と思われますので、
維持しているだけで、増えてはいないと思います。


<インスリン>
それではまず、インスリンについて考えて見ます。

◇インスリンは脂肪細胞内の中性脂肪分解を抑制。
◇インスリンは血中の中性脂肪を分解し脂肪細胞内に蓄える。
◇インスリンは筋肉細胞に血糖を取り込ませるが、
  余剰の血糖は脂肪細胞に取り込ませ て中性脂肪として蓄える。
◇肥満のメカニズムはインスリンによる脂肪蓄積。


このようにインスリンには脂肪を蓄える作用があるので、
別名肥満ホルモンと呼ばれています。
そしてインスリンを大量に分泌させるのは、糖質のみです。
たんぱく質もインスリンを少し分泌させますが、脂質は分泌させません。

『糖質摂取→血糖上昇→インスリン分泌→脂肪蓄積』
このシステムは、狩猟・採集時代には、飢餓に対するセーフティーネットとして
おおいに役立っていたのですが、皮肉なことに現代では肥満の元凶となっています。


<スーパー糖質制限食の4つの利点>


◆<糖質制限食による体重減少効果>
①インスリン(肥満ホルモン)が基礎分泌以外ほとんど出ない。
②食事中も含めて常に体脂肪が燃えている。
③食事中も含めて常に肝臓で糖新生が行われ、それにかなりのエネルギーを消費する。
④高タンパク食により、食事誘発熱産生(DIT)が亢進する。

高蛋白食は、摂食時の食事誘発熱産生(DIT)が通常食に比べて増加します。
DITによる消費エネルギーは、実質吸収エネルギーの、糖質では6%、脂質では4%、タンパク質で30%です。

食事誘発熱産生(DIT)を、もっと簡単に説明すると、食事において
100キロカロリーの糖質だけを摂取した時は、6キロカロリーが、
100キロカロリーの脂質だけを摂取した時は、4キロカロリーが、
100キロカロリーのタンパク質だけを摂取した時は、30キロカロリーが
熱に変わり、消費エネルギーとしてカウントされるということです。


◆<糖質を摂取した場合>
A)血糖値が上昇してインスリン(肥満ホルモン)がたっぷり分泌される。
B)体脂肪は燃えなくなり、血糖値が中性脂肪に変わり蓄積される。
C)肝臓の糖新生はストップする。
D)高タンパク食よる亢進した食事誘発熱産生(DIT)はなくなる。

①②③④とA)B)C)D)両者を比べてみれば、高糖質食より糖質制限食の方が、
体重減少効果が高いことが一目でわかると思います。

たとえ低脂質食でカロリー制限していても、糖質を摂れば体重減少への利点がすべて消えてしまうわけです。
これは食べ物に含まれるカロリーとは無関係の生理学的な特質であり、あくまで糖質を摂るかどうかがカギとなります。


<摂取エネルギーと消費エネルギー>

1)摂取エネルギー > 消費エネルギー   → 体重増加
  摂取エネルギー = 消費エネルギー   → 体重不変
  摂取エネルギー < 消費エネルギー   → 体重減少

2)通常のカロリー制限食(高糖質食)なら
  「消費エネルギー=基礎代謝量+身体活動量(運動や家事)+食事誘発熱産生(DIT)

3)糖質制限食なら、高糖質食の時には無い
 「肝臓の糖新生でエネルギーを消費」→基礎代謝の増加
 「高蛋白食摂取」→食事誘発熱産生(DIT)の増加
 が認められる。

1)は生理学的事実です。
2)3)を比較すると糖質制限食の方が高糖質食に比し、体重が減少しやすいことは明白です。


<推定エネルギー必要量と糖質制限食>

減量を目指す時に、日本糖尿病学会推奨のように

男性:1400~2000kcal/日
女性:1200~1800kcal/日

といった、厳しいカロリー制限は必要ありません。
「日本人の食事摂取基準」(2015年、厚生労働省)
に示す推定エネルギー必要量の範囲、
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf

推定エネルギー必要量/日
                  男性                  女性
15-17才         2500 2850 3150           2050 2300 2550kcal
18-29才         2300 2650  3050          1650  1950   2200
30-49才         2300 2650  3050            1750  2000  2300
50-69才         2100 2450  2800           1650  1900 2200 
70才           1850 2200  2500            1500  1750 2000

身体活動レベル    低い 普通 高い         低い  普通  高い

くらいが目安です。

このように、冷静に理論的に考えると、
糖質制限食以外で減量することは極めて困難であることがわかると思います。


上記の推奨通りに糖質制限食を実践しているのに、体重が減少しない場合は
以下のように、「基礎代謝が低い」とか「大食漢」とかがあります。


<基礎礎代謝が低い場合は?>
基礎代謝が低いタイプの人は
「糖質制限+カロリー制限」が必要です。
基礎代謝が低い人は、「推定エネルギー必要量」
が、通常より少なくなるということです。
女性に時にあり、数%くらいの比率です。



<大食漢タイプの場合は?>
大食いの方々が時におられます。やはり数%の比率です。自分は大食いなのに、それに気がついてないことがあります。例えば家族が皆大食いなのでそんなものと思っている場合です。他人と自分の食事摂取量を比較することも必要です。このタイプは「糖質制限食+人並みの摂取カロリー」が必要です。
人並みの摂取カロリーとは、すなわち「推定エネルギー必要量」です。



<減量できないときは?>

1)
いつのまにか、糖質制限が緩くなった可能性があります。

2)
何らかの理由で、基礎代謝が低下した可能性があります。

3)
大食いタイプ、或いは知らぬ間に、摂取カロリーが多くなった可能性があります。

4)
すでに、BMI20以上~25未満で適正体重になっていることがあります。



江部康二
NHKカルチャー青山教室・糖質制限食講座のご案内。2019/2/24(日)。
こんばんは。

NHKカルチャー青山教室講座
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1163502.html
電話:03-3475-1151
美味しく楽しく健康に!糖質制限食のすすめ
講師:高雄病院理事長 江部 康二
2019/2/24(日) 13:00~14:30 


のご案内です。
NHKカルチャー青山教室では、初めての講座です。
糖質制限食の最新の知識や情報をわかりやすく楽しくお話します。
70分間の講演と20分間の質疑応答となります。
東京、関東方面の方々、
是非ご参加いただけば幸いです。

お陰様で、糖質制限食は順調に普及してきています。
2005年に私が「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)
を日本初の糖質制限食の本として刊行したころとは、大きな違いがあります。
なんと言っても、2013年10月に米国糖尿病学会が5年ぶりに改訂した
「栄養療法に関する声明」のなかで、
地中海食、ベジタリアン食、高血圧食、脂肪制限食などともに
「糖質制限食」を正式に容認したことが、
大きな追い風となりました。

この1~3年、糖質制限食の展開において大きな発展があり
いい意味のサプライズもありました。
2016年7月のNHKクローズアップ現代の試算によれば、
糖質制限市場は、3184億円とのことです。
医学界より、企業のほうが糖質制限食をビジネスチャンスと捉えて
行動が迅速なようです。
くら寿司やガストなども糖質制限メニューを投入で、なかなかのものです。

一方、医学界においても、嬉しいサプライズです。
2017年2月7日(火)午後から、生まれて初めて東京大学医学部に行ってきました。
教授室で、渡邊昌先生、門脇孝先生、江部康二の3人で鼎談を行いました。
二人で話し合うのが対談で、三人で話し合うのが鼎談です。
渡邊昌先生は、医学雑誌「医と食」の編集長です。
門脇孝先生は、
一般社団法人 日本糖尿病学会 理事長
であり、
東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科教授
です。
日本糖尿病学会のトップとじっくり話し合うことができて、
とても有意義な90分間でした。

2017年8月には、
「炭水化物の摂取増加で死亡リスク上昇」
という結論のランセット(Lancet)論文が発表され、
糖質制限食にとって大きな追い風となりました。
Lancet誌オンライン版2017年8月29日号掲載
https://doi.org/10.1016/S0140-6736(17)32252-3

糖質制限食の発展、まさに、今昔の感ありですね。

江部康二


☆☆☆
以下はNHKカルチャー青山教室のサイトから一部抜粋です・

https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1163502.html
NHKカルチャー青山教室講座



日時
2018年2月24日(日) 13:00~14:30

講演テーマ
「美味しく楽しく健康に!糖質制限食のすすめ」

講師
高雄病院理事長 江部康二医師

内容紹介
近年注目されている糖質制限について、2002年からご自身も実践し、
肥満と糖尿病を克服された江部康二先生による講演会です。
数多くの臨床活動を通して、糖尿病、肥満、メタボリックシンドロームなどに対する
糖質制限食の画期的な治療効果が証明されています。
運動を勧められても長続きしなかった方や
色々なダイエットを試したけれど効果が表れなかった方、
またこれから糖質制限食を始めてみようと思われている方に向け、
その正しい知識と治療効果、カロリー制限食と糖質制限食の比較、注意点等を
お話しします。
糖質制限食で、明日からの食生活を美味しく・楽しく・健康に!

受講料
会員 3,369円
一般(入会不要) 4,050円

電話
03-3475-1151

糖質制限食とコレステロール値について
【19/01/17 えりちゃん
スーパー糖質制限食を始めて2年、
総コレステロールと悪玉コレステロール値が非常に高いことと、末梢動脈疾患について

こんにちは。これまで江部先生のお導きのもとスーパー糖質制限食を実践して2年になったえりちゃん59歳です。今日はご相談があってメールをさしあげました。
平成28年夏の人間ドックで心臓の血管に動脈硬化を指摘されました。
さらにHbA1cが5,9、肝機能も数値が高かったので、ブドウ糖負荷検査をしました。
すると食後1時間の血糖値が200を越えましたが2時間後には130になっていました。
それで「境界型」と診断されました。
そこから江部先生の本を購入、またブログを参考にスーパー糖質制限食を始めました。
それから1年後の平成29年の夏に、心臓のカテーテル検査を行いましたが、
治療するほどの狭窄ではない、ということで検査のみでした。
糖質制限食のせいか肝機能の数値は改善しました。

しかし総コレステロールが300前後あり、
糖質制限2年たった今でも同じくらいで落ち着いてきません。
悪玉コレステロールが200前後も2年続いています。
中性脂肪は40前後、善玉コレステロールが90~80でこちらは大丈夫です。
先生のブログでは糖質制限を始めた当初はこのような数値が出る時もある、
とありましたのでいつも出されるコレステロールを下げるお薬は飲んでいませんでした。

ところが、先週、足のだるさから血圧脈波という両手両足の血圧を比較する検査を受けたところ、右R-ABIが0.88という数値で、
末梢動脈疾患の疑いがでました。
同時に血液検査でまた300の総コレステロール値、200の悪玉コレステロール値が出まして、お医者さんから厳しく叱られました。
薬を飲んでいなかったのと「こんなコレステロール値が上がる生活をしているから動脈がつまるんだ!」と。
同時にHgA1cが5,7もあり、こちらは糖質制限を始めた頃とほとんど変化なく、
私のスーパー糖質制限食はどこかが間違っているのかな、と思ってしょんぼりしているところです。
最近は低糖質をうたったスイーツもたくさん出ているので、そういう物をおやつに食べたりしているので、
意外に糖質を取っているのかもしれません。
ご相談というのは

①HbA1cが糖質制限をする前と変わりがないの
 はなぜか  
②糖質制限を始めて2年たっても総コレステロール値や悪玉コレステロール値が落ち着か
 ないのはなぜか。
③処方された薬を飲んだ方がいいのか。
④もしかしたらタンパク質でも血糖値が上がる体質なのか。
⑤動脈硬化が進んでいるようだ。主治医は総コ レステロール値と悪玉コレステロール値が高いせいだと言う。今後糖質制限食でこれ以上 悪化するのを防ぐことができるか。


ということです。2年間、家族の協力のもと、
おいしく楽しく糖質制限食を実践してきました。
よろしかったらアドバイスをしていただけると幸いです。
よろしくお願いいたします。

江部先生

えりちゃん 】



こんばんは。
えりちゃんから、糖質制限食とコレステロール値について
コメント・質問を頂きました。

『ブドウ糖負荷検査で、
1時間後血糖値が200を越えたが2時間値が130mg/dl』


このデータなら、診断基準的には正常型です。
2時間値が、140~199mg/dlなら、境界型です。
しかしながら、1時間血糖値が、200以上で180mg/dlを越えているので
将来糖尿病になる確率が高いです。
従って、糖質制限食を開始されて正解と思います。


『総コレステロールが300前後、
糖質制限2年たった今でも同じくらい、
悪玉コレステロールが200前後も2年続いている。
中性脂肪は40前後、善玉コレステロールが90~80mg/dl』


総コレステロール値は、診断基準から外されていますので、とりあえず気にしなくて良いと思います。
次に、
HDLコレステロール値が80~90mg/dlと、60以上あり、
中性脂肪値が40mg/dl前後と、60以下ですので、
真の悪玉の「小粒子LDLコレステロール」「酸化LDLコレステロール」は
ほぼ皆無と思われます。
従って、えりちゃんの「LDLコレステロール」は、悪玉ではなくて
標準の大きさの善玉と考えられますので心配ないです。


『平成28年夏の人間ドックで心臓の血管に動脈硬化。
先週(平成31年)、足のだるさから血圧脈波という両手両足の血圧を比較する検査を受けたところ、右R-ABIが0.88という数値で、末梢動脈疾患の疑い』


糖質制限食開始前の平成28年の時点で、心臓の血管に動脈硬化ですので、
今回、平成31年の末梢動脈疾患の疑いも、
平成28年の時点で、既に存在した可能性があります。
ともあれ、本当に末梢動脈疾患があるか否か、
『下肢動脈エコー検査』を実施するのが良いと思います。
これは侵襲のない楽な検査です。


①HbA1cが糖質制限をする前と変わりがないのはなぜか
HbA1cが5.9%なら、平均血糖値は122.6mg/dlです。
HbA1cが5.7%なら、平均血糖値は116.9mg/dlです。
もともとが正常範囲の血糖値が、基準値内でも改善しています。
糖質制限前も基準値なので、改善もこんなものと思います。

②糖質制限を始めて2年たっても総コレステロール値や悪玉コレステロール値が落ち着か
 ないのはなぜか。

上述の如く、問題ないと思います。

③処方された薬を飲んだ方がいいのか。

内服の必要はないと思います。

④もしかしたらタンパク質でも血糖値が上がる体質なのか。
1型糖尿病でないなら、タンパク質の心配はまず必要ないです。

⑤動脈硬化が進んでいるようだ。主治医は総コレステロール値と悪玉コレステロール値が高いせいだと言う。今後糖質制限食でこれ以上悪化するのを防ぐことができるか。

上述のように、悪玉ではないので問題ないと思います。


コレステロールに関して、より詳しくは
2018年10月30日 (火)の本ブログ記事
『LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪。善玉。悪玉。』
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4722.html


をご参照頂けば幸いです。

現時点で、相変わらず、日本動脈硬化学会と日本脂質栄養学会が
バトル中であり、前者はコレステロール値は低いほど良いとし、
後者は、コレステロール値が高いほうが長生きという
全く異なる見解をだしています。
世界的にも、日本と同様、コレステロール低下派の医師と
コレステロールは高値でOKという立場の医師が対立している状況です。

私は、小粒子LDLコレステロールや酸化LDLコレステロールがないなら
LDLコレステロールが高値でもOKという立場です。

江部康二
たんぱく質の摂取量と腎機能。
【19/01/16 クワトロ

やはり未だに心配されているタンパク質の摂取量
今、Twitterで

『ジャンクハンター吉田@Yoshidamian
人柱として書いておいたほうがいいのかな。20歳から格闘技やっていた時にプロテイン飲料を常に摂取していたんですね。
で、ケガで25歳に格闘技をほぼリタイアしてもクセで最近までプロテイン飲料を常用してました。
それが過剰摂取となりタンパク質摂取過多が原因で腎不全に……。皆さんも注意しましょう』


というツイートがちょっとした話題になっています。
最近では、タンパク質の量の多さと腎臓の病気は相関関係が無いということは論文などで確認されていて、
有力なエビデンスがない状況ですよね。
でも、やはり心配する人には、医学的な観点で理論的に考えたら、
タンパク質を大量に分解した時に出る副産物の尿酸、尿素窒素、クレアチニンなどが腎臓に負担をかけ続けるから、
腎不全につながるという主張が見られます。
確かにこれらの値が上がっているとき、腎臓に負担をかけないとしたら、
どこに行ってしまうのか?腎臓を通過するなら影響は本当に少ないのか?
こういった不安が頭をよぎるのはよく理解出来ます。
是非腎臓病とタンパク質摂取量の相関関係についての江部先生のお考えや経験をお聞かせ願いたいです。】



クワトロさん。
情報をありがとうございます。

この吉田さん、結果として腎不全になっておられます。
しかし「高タンパク食を摂取したから腎不全になった。」
というふうに単純に決めつけることはできません。

腎炎、高血圧、糖尿病、膠原病、喫煙、お薬、ウィルス疾患など感染症、脱水・・・
様々な疾患や要因が腎不全発症に関与しています。

「日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要」
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf
の、8ページに、たんぱく質の食事摂取基準が載っています。
(推定平均必要量、推奨量、目安量:g/日、目標量(中央値):%エネルギー)


「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書
においては、たんぱく質の耐容上限量は設定しないと記載してあります。
II  各論
たんぱく質(PDF:1,149KB)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042630.pdf
<97ページ>
3.過剰摂取の回避
3─1.耐容上限量の設定
 たんぱく質の耐容上限量は、
たんぱく質の過剰摂取により生じる健康障害を根拠に設定されなければならない。
しかし現時点では、たんぱく質の耐容上限量を設定し得る明確な根拠となる報告は
十分には見当たらない。そこで、耐容上限量は設定しないこととした。



厚生労働省によれば、現時点では、
正常人がタンパク質をたくさん食べて危険という根拠もないけれど、
たくさん食べても安全という根拠もないということです。
まさに、自分で考えて選択して自己責任で食事療法を実践することとなります。

ちなみに、江部康二は、
糖尿病発覚の2002年(52才)からスーパー糖質制限食を開始して
2019年1月(69才)現在まで続けています。
タンパク質の摂取量は、一日あたり130~140gくらいと、
普通人よりかなり大量のタンパク質を摂取してます。
体重1kgあたり2.4gのタンパク質です。(2.4g/kg)

一般には、
運動あまりしない人では、0.8g/kg、
軽い運動実践者は、0.8~1.1g/kg、
アスリートや運動習慣のある人は、
体重1㎏あたり1.2~1.8gのタンパク質が必要とされています。

私の場合、早歩きを一日に60分くらいで、運動習慣はありませんが
何と、アスリートより、はるかに多いタンパク質摂取量ですね。
それでも尿酸は低めですし、腎機能に何の問題もありません。
一日に平均約8000歩、そのうち速歩が5000~6000歩で、距離は6~8kmくらいです。

<江部康二の2018年12月の検査結果>
クレアチニン:0.68mg/dl(0.6~1.1) eGFR:87.8
シスタチンC:0.75/Ldl(0.53~0.95)  eGFR:97.7
尿酸:4.0mg/dl(3.4~7.0)


江部康二
NHKカルチャー福岡教室講座・2019/2/3(日)のご案内。
こんにちは。

NHKカルチャー福岡教室講座
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1162582.html
電話:092-271-2100
糖質制限食のすすめ
~美味しく楽しく健康に~
講師:高雄病院理事長 江部 康二
2019/2/3(日) 14:00~15:30 


のご案内です。
NHKカルチャー福岡教室では、初めての講座です。
糖質制限食の最新の知識や情報をわかりやすく楽しくお話します。
70分間の講演と20分間の質疑応答となります。
福岡、北九州、佐賀、熊本、大分方面の方々、
是非ご参加いただけば幸いです。

お陰様で、糖質制限食は順調に普及してきています。
2005年に私が「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)
を日本初の糖質制限食の本として刊行したころとは、大きな違いがあります。
なんと言っても、2013年10月に米国糖尿病学会が5年ぶりに改訂した
「栄養療法に関する声明」のなかで、
地中海食、ベジタリアン食、高血圧食、脂肪制限食などともに
「糖質制限食」を正式に容認したことが、
大きな追い風となりました。

この1~3年、糖質制限食の展開において大きな発展があり
いい意味のサプライズもありました。
2016年7月のNHKクローズアップ現代の試算によれば、
糖質制限市場は、3184億円とのことです。
医学界より、企業のほうが糖質制限食をビジネスチャンスと捉えて
行動が迅速なようです。
くら寿司やガストなども糖質制限メニューを投入で、なかなかのものです。

一方、医学界においても、嬉しいサプライズです。
2017年2月7日(火)午後から、生まれて初めて東京大学医学部に行ってきました。
教授室で、渡邊昌先生、門脇孝先生、江部康二の3人で鼎談を行いました。
二人で話し合うのが対談で、三人で話し合うのが鼎談です。
渡邊昌先生は、医学雑誌「医と食」の編集長です。
門脇孝先生は、
一般社団法人 日本糖尿病学会 理事長
であり、
東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科教授
です。
日本糖尿病学会のトップとじっくり話し合うことができて、
とても有意義な90分間でした。

2017年8月には、
「炭水化物の摂取増加で死亡リスク上昇」
という結論のランセット(Lancet)論文が発表され、
糖質制限食にとって大きな追い風となりました。
Lancet誌オンライン版2017年8月29日号掲載
https://doi.org/10.1016/S0140-6736(17)32252-3

糖質制限食の発展、まさに、今昔の感ありですね。

江部康二


☆☆☆
以下はNHKカルチャー福岡教室のサイトから一部抜粋です・

https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1162582.html
NHKカルチャー福岡教室講座



日時
2018年2月3日(日)

講演テーマ
「糖質制限食のすすめ~美味しく楽しく健康に~」

講師
高雄病院理事長 江部康二医師

内容紹介
糖尿病・メタボ・生活習慣病でお悩みの方、
ダイエットが続かない方に向け、
糖質制限の正しい知識と効果を説明します。
多くの研究論文により、糖尿病、肥満などに対する
糖質制限食の画期的な治療効果が証明されています。
最近、糖質制限食に対する根拠のない批判記事が、
時にメディアへ掲載されることがありますが、
そのたびに私は自分のブログ『ドクター江部の糖尿病徒然日記』で
しっかり反論しています。
本講座では、糖質制限食の有効性と安全性、
カロリー制限食と糖質制限食の比較、注意点等をお話しします。

受講料
会員 3,369円
一般(入会不要) 3,931円

電話
092-271-2100
2019年、第22回 日本病態栄養学会年次学術集会の感想
こんにちは。

しらねのぞるばさんから
2019年1月11日(金)~13日(日)まで開催された
第22回 日本病態栄養学会年次学術集会の感想をコメントして頂きました。
ありがとうございます。

総じて、
『糖尿病患者の低カロリー食は適切か?』
『高齢者のタンパク質摂取量』
『カーボカウントと妊娠糖尿病など』
『病態をみて個別に決定』

の4つのポイントに分けることができそうです。

なお、2018年11月5日に行われた
日本糖尿病学会主催の『糖尿病食事療法に関するシンポジウム』に、
山田悟氏と門脇孝氏もシンポジストとして参加されました。
日本糖尿病学会理事長の門脇孝氏は
「次回のガイドラインでは食事療法を大きく変える」と発言されたとのことです。

しらねのぞるばさんご指摘のように、
「食品交換表」編集委員会委員長であった
糖質制限強硬反対派の石田均 杏林大学教授が、
順天堂大学の綿田裕孝教授に交代 となったことなどよい前兆もあります。

おそらく、糖尿病学会内部でも、糖質制限反対派と許容派のせめぎ合いがある段階だと
思われますが、2019年度の新ガイドライン、
糖質制限賛成派の私としては、
夜明けは近いと、ちょっぴり期待しています。 (^^)


A)
摂取エネルギーが、今まで低すぎたのではないかという議論


a)日本糖尿病学会の『糖尿病治療ガイド2018-2019』
エネルギー摂取量=標準体重×身体活動量(軽労作25~30、普通労作30~35、重労作35~):男性では1,600~2,000kcal/日、女性では1,400~1,800kcal/日

b)厚生労働省の食事摂取基準(2015年版)
エネルギー摂取量=現体重×身体活動レベル(軽労作30~37.5、普通労作35~43.75、重労作40~50)

このエネルギー摂取量は、
日本糖尿病学会の基準が厚生労働省の基準に比べてかなり低い設定です。

しかし、しらねのぞるばさんが、ご指摘のように
「糖尿病患者は健常人に比べて基礎代謝が低い」ということには
何の根拠もなかったのです。
それどころか日本人2型糖尿病患者のエネルギー消費量を
二重標識水法という精細な方法で検討したところ、
健常者と全く同等であることが判明したのです。(国立健康・栄養研究所からの報告。J Diabetes Invesitg 2018年8月30日オンライン版)。

ここにおいて、2型糖尿病において、従来の糖尿病食(カロリー制限食)には、
根拠がないことが明らかとなりました。

第22回 日本病態栄養学会年次学術集会での、
『従来の糖尿病食は低カロリー過ぎるのではないか』という議論は
ご指摘のごとく、遅きに失した感はありますが、
やっとそれに気がついてくれただけましですかね。


B)
高齢者のタンパク質摂取量の適正は?


「これまで各種のガイドラインでは,食事の脂質・蛋白質の摂りすぎを戒めてきたが,
高齢者はむしろ1g/kgよりももっと多くの蛋白質を摂取することが
サルコペニア防止に有効なのではないか」

これはその通りですね。
高齢者は充分量のタンパク質、特に動物性タンパク質を摂取するのが
望ましいです。
また、動物性脂肪もしっかり摂取して、カロリーも充分量を確保してほしいです。
ちなみに、私も69歳となり、高齢者ですが、
摂取タンパク量は、約2.5g/kgくらいでかなり多いですが、
腎機能は勿論正常です。。
筋力は、自覚的には60歳頃と変わりないですし、
階段も4~5階くらいまでは駆け上がります。


C)
カーボカウントと妊娠糖尿病など


「血糖値に直接影響を与えるのは糖質のみで、タンパク質・脂質は与えない」
という生理学的事実に基づく糖尿病治療食である『糖質制限食』対して、
どのように認識し、どのように評価かが重要です。
米国糖尿病学会が2013年10月『成人糖尿病患者の食事療法に関する声明』において
糖質制限食を正式に容認したことを前提にして、日本病態栄養学会でも
少しは議論されるのかと思いましたが、まだまだ夜明け前ですかね?

妊娠糖尿病はそもそもインスリン抵抗性が増大して発症する病態であり、
内因性インスリンは過剰分泌状態です。
そこにインスリンを注射して、おにぎりやパンを食べさせるとは
ビックリです。
妊娠糖尿病でも体重コントロールはとても大切ですが、
糖質を食べてインスリンを大量に打てばどんどん肥満しますし、
食後高血糖、血糖乱高下、低血糖のリスクも高まり、
肥満すれば難産となるし、母子ともに弊害があります。

妊娠糖尿病は、糖質制限食で、インスリン注射なしで治療するのが
母子ともに健康で安全で安産への道筋です。


D)
病態をみて個別に決定

[締めくくりの一言で新潟大学の曽根先生が「日本人は何事もこまかく規則で決めようとする. この感覚からすると『欧米の食事療法はいい加減だ,荒っぽい』と感じるのだろう.しかし,そもそも食事療法に何らかの共通規則を求めるのは不合理だと,欧米はとっくに気づいているのではないか.だからここそ『病態をみて個別に決定』を最高のガイドラインとしている」と言われました ]


これは曽根先生の仰る通りですね。
『病態を見て個別に決定』或いは『病態により自分で考えて自分で選択する』
というように、自己管理・自己責任という文化が欧米では定着しているのかもしれません。
日本糖尿病学会が1969年以来50年間、
「カロリー制限食」唯一推奨してきたのとは大きな違いです。
米国糖尿病学会ガイドラインにおいても、
「糖質制限食」「地中海食」「ベジタリアン食」「高血圧食」「脂肪制限食」
の5択の中から、自己管理・自己責任をベースに自分で選択するというスタンスです。


江部康二



【日付 名前
19/01/13 しらねのぞるば

第22回 日本病態栄養学会年次学術集会の感想 ~夜明けは遠いのか~

横浜で開催されている第22回 日本病態栄養学会年次学術集会に参加してきました.
今回の参加の目的はただ一つ,
5月に予定されている「糖尿病診療ガイドライン」改訂で食事療法変更の方向が示唆されるのではないか,これを見極めることです.
なぜなら,もしも1月のこの学会で
『従来の食品交換表による高糖質糖尿病食は最適である.何も変える必要はない』
としておいて,それを5月の糖尿病学会でひっくり返せるでしょうか?
そんなことをしたら,なによりも全国の管理栄養士が怒るでしょう.
したがって,5月に糖尿病の食事療法で方針変更が発表されるのであれば,
それは4か月前のこの病態栄養学会においても,
少なくとも示唆くらいはなされるのではないかと考えました.

振り返れば,前兆は既にいくつか見られます.

第1の前兆は,長らく「食品交換表」編集委員会委員長であった石田均 杏林大学教授が,順天堂大学の綿田裕孝教授に交代したことです.
石田先生は『和食に優る食事療法はない 食品交換表は糖尿病食事療法のバイブルだ』と公言されるほど糖質制限食に終始ネガティブでしたから,
ひょっとしたら今回の委員長交代で路線が変わるのでは,という予想です[※後述].

第2の前兆は,昨年11月に日本糖尿病学会が5年ぶりに開催した「食事療法に関するシンポジウム」 で,現行カロリー制限食の妥当性に疑問が出されたこと.

第3の前兆は,今回の病態栄養学会の抄録集から 講演抄録が一切消えたこと[★].
こんなことは初めてです.
単に手が回らなかっただけなのか,
それとも直前になっても議論が紛糾して講演内容が定まらなかったのか,
ひょっとしたら後者ではないのかと推測したからです.
[★]総会の席でも,
「どうして廃止したのか 納得できない」という意見が出ておりました.


以上の前兆をみたうえで,
今回の病態栄養学会で 関連しそうな講演・シンポジウムに参加してみました.

【1】会長講演 1/12 8:40-9:00 横浜市大 寺内康夫 教授
病態栄養学会は,糖尿病だけが専門ではないのですが,会長講演の時間の半分以上は,
糖尿病・食事療法にあてていました.
「糖尿病の治療は,この20年間に大きく進歩したが,反面 治療の効果のみを重視して,糖尿病患者の負担・ストレスを押し付けるものであってはならない. 厚労省のデータを見ても,現在の1600kcalという設定は過少ではないか.また昨年11月の食事療法シンポジウムでも,これまでは特に肥満の糖尿病患者には,あまりにも厳しい低カロリーを強要していたのではないかという問題提起もなされている.医師は栄養学に疎く,栄養士は病態の理解は不十分,よって両者が協力して病態栄養学確立が必要.まだまだ科学的に検証されたことは少ない」

【2】理事長講演 1/12 10:00-10:30 関電病院 清野裕 総長
がん病態専門の話がほとんどで,糖尿病への言及はほとんどなし.
懐石料理で米飯が最後に出るという点は食べ順療法と似ているなど.

【3】合同パネルディスカッション #1 ~疾患を踏まえた高齢者の栄養管理~
高齢者は複数の疾病を持つことが多いが,全身症状であるサルコペニアが近年問題になっている. これまで各種のガイドラインでは,食事の脂質・蛋白質の摂りすぎを戒めてきたが,高齢者はむしろ1g/kgよりももっと多くの蛋白質を摂取することがサルコペニア防止に有効なのではないか,関連学会でコンセンサスをとりつつある.

【4】シンポジウム #4 ~日本人2型糖尿病患者の食事の現状と大規模臨床エビデンス~
現在のカロリー制限食では,なによりも患者に許容するカロリーをどう算出するかがもっとも重要なポイントであるはずだが,その根拠がおかしいという,その点では深刻な問題であり,これを今回見直す方向.

適正エネルギー = [BMI22から算出した標準体重] ×[活動度係数(25~35)]

右辺で BMI=22を理想とすること,及び 活動係数では従来25kcal/kgを標準としていたが,そのどちらも過少ではないのか,と昨年11月のシンポジウムで提議された.

特に高齢者でもっとも総死亡率が低いのはBMI=25と言われており,
これをBMI=22に誘導することは
『死にやすくなる食事療法』を指導していることになる
また最近の精密測定結果では,通常の成人がデスクワーク主体の軽労作であっても,
活動度は30以上であり,実態と乖離しているのでこれも見直すべきか検討中.
実体重をベースにし,「普通の」活動度を30とすれば,
現状摂取カロリーと設定カロリーとで極端な乖離はなくなる.

もちろんそうするとそれはそれで不都合も出てきて反対もある. 例えばBMI20をはるかに下回る「痩せすぎ」の人には,実体重基準にするとますます痩せてしまうだろう.逆に高度肥満の人の場合は実体重基準では肥満解消は望めない.
今後議論を進めていきたい.


まあたしかに結構なことですが,しかし『それに今頃気づいたのですか?』というのが正直な感想です. 多くの糖尿病患者が病院で出された食事を見て「先生,これでは少なぎます. 腹が減ってたまりません」と何十年も言い続けてきたのに聞く耳を持たず,今になって『ちょっとおかしいかな』とは.
そもそも「糖尿病患者は健常人に比べて基礎代謝が低い」ということには何の根拠もなかったはず.「2型糖尿病患者はぐうたらの怠け者なのだから,基礎代謝だって低いだろう」という偏見だけで決めつけてきたととしか思えません.

私が 改訂委員長なら「実体重と活動度30に決定する. それで著しい不都合があるなら適宜Adjustせよ.それくらい自分で考えろ」とガイドラインに書くのですが.

なお,このシンポジウムでは『食後高血糖』という言葉は一切出ませんでした.


【5】シンポジウム #10 ~カーボカウントによる食事指導の有用性と課題~
カーボカウントを患者の栄養指導にどう活用しているか,というテーマですが,聞いていて感じたのは「いまだにこんなクラシックな世界があるのか」という印象です.
「カーボカウントと糖質制限は違う.一緒にするな」というベースがあるのでしょうが,もはや糖質制限反対派の人ですらあまり引用しなくなった BMJ論文やPNAS論文を根拠にして,患者に糖質制限を行わないように指導しているとか,血糖値の上昇を心配する妊婦が糖質を控えていると,間食におにぎりやパンを食べさせて,その分インスリンを増量するなど,呆れました.妊娠糖尿病では,生まれてくる赤ちゃんを人質に取られているようなものですから妊婦は反論できません.男性は絶対に立ち入れない世界ですが,いまだにこんなことが行われているのはどうにかならないものでしょうか.


今回の学会を私なりに総括すると,

[1]カロリー制限食の設定カロリー計算のベースとなるBMIと体重が,これまでは不合理であったことを認めて,今後BMI=22をかたくなに守ることはしない.
[2]従来GLで蛋白質摂取[量ではなく]率を年齢無視で一律にしていたのを,高齢者には望ましくないと認めたこと,1g/kg以上の蛋白質摂取[量]を認める方向にしたこと

この2つを事前アナウンスすることだけが目的であったと思われます.ただしいずれも「現在 検討中」とのことで,これですら確定ではないようです.
カロリー制限食の算定基準数値を見直し,また高齢者への適用を考慮して,多少柔軟性を持たせるという方向ですが,これは逆にいえば,カロリー制限食の枠組みは変えない,と宣言しているように聞こえます.

また 高齢者の例などあげて,「個別化医療にシフトすべき」を打ち出してはいますが,そうは言いつつ,その個別化医療をこまかく規定しようとしているのは矛盾しています.
2日目午後のシンポジウム#4の締めくくりの一言で新潟大学の曽根先生が「日本人は何事もこまかく規則で決めようとする. この感覚からすると『欧米の食事療法はいい加減だ,荒っぽい』と感じるのだろう.しかし,そもそも食事療法に何らかの共通規則を求めるのは不合理だと,欧米はとっくに気づいているのではないか.だからここそ『病態をみて個別に決定』を最高のガイドラインとしている」と言われましたが,本当にそう思います.個々の患者を見ずに統計で丸められた数値だけを見て,【個別化医療のやり方を一律に規定しようとする】のは本質的に矛盾している行為です.

[※]最終日のランチョンセミナーで綿田先生は,『食品交換表は,初版の前書きでは「手軽に使えること」とあったのだが,版を重ねるにつれて,完璧をめざすあまり複雑になりすぎた.今後は初心に立ち返りたい』とも述べておられました. 期待します.

以上 】
京都・菓子職人、糖質制限 ショコラ・ドゥ・ゼロのご紹介。



こんにちは。

私が監修をつとめる
「菓子職人糖質制限ショコラ・ドゥ・ゼロ」
のご紹介です。

s_ゼロCHOCO09

いろいろある糖質制限なスイーツの中で
私が最も愛するものの一つが、
菓子職人さんの、糖質制限 ショコラ・ドゥ・ゼロ
です。

1粒約14gにつき糖質量は0.49g(※エリスリトール除く)です。
カロリー約58㎉です。
極めて少ない糖質量であり、去年よりさらに改良されています。
勿論、私自身が人体実験をしていて、ほとんど血糖値上昇がないことを確認済みです。

糖質制限 ショコラ・ドゥ・ゼロ
は100gあたり糖質 3.5g(※エリストールを除く) 
カロリー 415kcalです。

甘味料は、純度100%の羅漢果エキスと、羅漢果抽出物を使用しています。
またチョコレートも、甘味料にエリスリトール・ステビアを使用した
糖質制限専用チョコレートを使用しています。

【11月~4月 期間限定】
肌寒い季節だけに味わえる、極上の一品です。
とろけるような滑らかな食感としっとりした甘みが見事な調和を遂げています。

ブログ読者の糖尿人の皆さん、
是非とも、至高の生チョコを安心して味わってみてください。

糖尿人以外の皆さんにもおおいにご満足頂けると思います。
是非、お試しあれ。


お問い合わせは以下です。

☆☆☆
彩韻菓子工房有限会社

〒615-0032 京都府京都市右京区西院西高田町19
TEL:075-311-4606
FAX:075-311-4123
営業時間:午前9:00から午後8:00(年中無休)

ホームページ: http://www.kashishokunin.co.jp/
お問い合わせ: info@kashishokunin.co.jp


江部康二
糖質制限食と耐糖能。
こんにちは。

今回は、『糖質制限食と耐糖能』について考えてみます。


A)正常人
耐糖能正常な人が
スーパー糖質制限食を続けていて、
いきなり糖質摂取すると
血糖値が爆上がりする人が、時々おられます。
勿論、どうもない人もいます。

75g経口ブドウ糖負荷試験を実施する前の3日間は
150g/日以上の糖質を摂取することが推奨されています。

つまり、しばらく糖質制限食を続けていると、
いきなりの大量の糖質摂取に対して、
β細胞の準備ができていないので今までよりも、
血糖が上昇する人がいることは間違いないです。

しかし、スーパー糖質制限中でも、インスリン基礎分泌は出ていますし
野菜分の1回に約10gの糖質摂取に対して、
追加分泌インスリンも少量は出ています。
また、たんぱく質の摂取でもインスリンとグルカゴンが分泌されます。
従ってスーパー糖質制限食実践中でも、β細胞はある程度活動しています。

また、過剰な糖質摂取に対してβ細胞が疲弊して分泌能力が極端に減ってしまって発症するペットボトル症候群(清涼飲料水ケトーシス)が知られていますが、
スーパー糖質制限食の場合は、
β細胞は一定の休息を得て、疲弊はなく、基本的に元気です。
つまり、本当に耐糖能が低下しているのではないのです。

従って、150g/日の糖質を3日間摂取して、準備期間をおけば
β細胞はしっかりインスリンを分泌するので、本来の耐糖能に戻ると思います。



「糖質制限食を行うと耐糖能が低下する」という説を最初に唱えたのは、
ヒムスワースです。
「健康人に糖質の少ない食事を1週間与えて糖負荷試験を行った。高糖質食を与えたときには耐糖能は正常であったのに、
低糖質食によって糖尿病と判定されるほどに耐糖能が悪化した。」
というのが、ヒムスワースが1935年に発表した論文の結論です。

Himsworth HP. The dietetic factor determining the glucose tolerance and sensitivity to insulin of healthy men. Clin Sci 2, 67-94, 1935.

☆☆
ウィルカーソンらは
「糖質制限食を行っても耐糖能は低下しない」という論文を発表しました。
1960年、ウィルカーソン(Wilkerson)らが、
複数の受刑者を被験者として低糖質食が耐糖能に与える影響を再検討して、
糖質の摂取量を1日50グラムに制限しても、
耐糖能には大きな影響を及ぼさないという報告を行いました。
この報告がNew England Journal of Medicineという
影響力の大きな医学誌に掲載されました。

Wilkerson HLC, Hyman C, Kaufman M, McCuistion AC, Francis JO. Diagnostic evaluation of oral glucose tolerance tests in nondiabetic subjects after various levels of carbohydrate intake. N Engl J Med 262, 1047-1053, 1960.



B)糖尿人
2型糖尿病の診断基準をしっかり満たした人が、
1年間のスーパー糖質制限食実践で血糖値もHbA1cも正常値となり、
試しに白ご飯を一人前(糖質量は55g)摂取しても、
血糖はピーク140mg/dlを超えなくなった例もあります。

これは、スーパー糖質制限食で膵臓が休養できて、
β細胞が回復して耐糖能も改善したためと考えられます。

2008/10/29のブログ「糖質制限食と耐糖能改善」
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-590.html


もご参照いただけば幸いです。


以下は江部康二のHOMA-βの推移です。正常値「40-60」です。
HOMA-βは経口血糖負荷試験時の2時間値のインスリン分泌量と、
よく相関するとされています。
ある程度の波はありましたが、14年間経過をみると
HOMA-βがあるていど改善しています。
もっともHOMA-βは、当初に比べると、
かなり改善しましたが、今も糖尿病です。
糖質を1人前摂取すれば、食後血糖値のピークは軽く200mg/dlを超えます。

      HOMA-β     HbA1c
2004年:12          5.5%(4.6~6.2)
2008年:21          5.7%
2009年:29          5.7%
2012年:40          5.9%
2014年:40          5.7%
2015年:25.0         5.9%
2016年:40.6          5.9%
2017年:22.97         5.8%
2018年:31.6          5.7%




C)境界人

新潟労災病院消化器内科部長前川智先生の論文
「耐糖能異常に対する低炭水化物食の効果に関する後ろ向き研究」
Diabetes, Metabolic syndrome, Obesity, Target and Therapy
(ニュージーランドの英文雑誌)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4063858/  → ここで全文が閲覧可能です。

Diabetes Metab Syndr Obes. 2014; 7: 195–201.
Retrospective study on the efficacy of a low-carbohydrate diet for impaired glucose tolerance
Satoshi Maekawa,1 Tetsuya Kawahara,2 Ryosuke Nomura,1 Takayuki Murase,1 Yasuyoshi Ann,1 Masayuki Oeholm,1 and Masaru Harada3

12ヶ月間の低炭水化物ダイエット(120g/日の糖質)により、
境界型糖尿病36名中25名(69.4%)が、OGTTで正常化。
11名(30%)は境界型(IGT)のまま。
糖尿病発症は0名(0%)。

対照群(普通食)36名中、3名(8%)が正常化。
28名(78%)は不変でIGTのまま。
5名(14%)が糖尿病発症です。

糖質制限食実践により、境界型糖尿病の耐糖能が69%も正常化していて、対照群に比べて素晴らしい成果です。


江部康二
男・50代からの糖質制限: ストーリーで学べる最強の食事法。江部康二著。刊行。
こんばんは。

今までにない新しい企画の本が上梓されました。
2018年10月19日から発売中です。

東洋経済新報社 江部康二著
男・50代からの糖質制限: ストーリーで学べる最強の食事法

https://www.amazon.co.jp/dp/4492046313/ref=cm_sw_r_em_apa_y-gLBbEYDJ2DC

です。

81TcS2gnZyL.jpg


本書は「3人のオヤジのストーリー」を通して
平易でわかりやすい内容となっています。

一方信頼度を確保するために文章中に根拠となる論文を紹介しています。
文章中にない場合は、根拠となる論文を巻末に通し番号をつけて記載してあります。

つまりとても読みやすくわかりやすい内容ですが、
全てエビデンスに基づいており信頼度が高いと自負しています。

私自身も糖尿病発覚の52歳からスーパー糖質制限食を開始し、
69歳の現在まで17年間継続しています。
歯は全て残り、虫歯はありません。
目は裸眼で広辞苑が読めます。
聴力低下もなく、夜間尿もなく、身長も縮んでいません。
内服薬もなしで、糖尿病合併症もなしです。
スーパー糖質制限食のおかげで、糖化に伴う老化が予防出来ているものと思われます。



東洋経済オンラインにも、
『男・50代からの糖質制限: ストーリーで学べる最強の食事法』の記事が配信になりました。
https://toyokeizai.net/articles/-/243363
https://toyokeizai.net/articles/-/244977
https://toyokeizai.net/articles/-/246562?display=b

是非、ご一読頂ければ幸いです。

以下は出版社の内容紹介です。

長い“これから”の健康度は、これで決まる!
中高年こそ「糖質制限」が必要だ!!


肥満、メタボを解消し、糖尿病はじめ生活習慣病、がん、脳梗塞、心筋梗塞、アルツハイマー病....などを予防して健康100歳に。

「3人のオヤジのストーリー」を通してスッキリわかる“究極の健康食”の知識と実践法。

一流医学誌の最新発表など科学的根拠(エビデンス)に基づいた新たな医学常識――。

○食後高血糖をもたらす栄養素は「糖質」だけ。
○脂肪を食べても不健康にはならない。
○「脳はブドウ糖しか使わない」はウソ。
○認知症の予防にも糖質制限は有効。
○糖質過剰はガンを増やす。
○老化の原因も「糖質」にあった。
……
諸悪の根源「糖質の過剰摂取」を防ぎながら、肉や魚・アルコール類も楽しめる“最高の食事法”のすすめ。

これであなたの人生が変わる!


江部康二


以下は、本書のプロローグからの抜粋です。

プロローグ 長い老後の健康度は
五〇代の糖質制限が決める


〇ランセット論文「糖質を摂るほど死ぬ。脂質を摂るほど死なない」

〇アメリカで合併症が激減

○酸化ストレスとAGEs

〇中高年こそ糖質制限が必要


〇三人の五〇代男性が糖質制限を始めるストーリー
 

私の経験上、糖質制限を始めるのに重要なのは五〇代です。

五〇代ならば、まだ、老化物質であるAGEsは
取り返しのつかないほどには溜まっていませんから、
糖質制限でこれ以上の蓄積を食い止められるからです。
 しかし、これよりも高齢になると、かなりの量のAGEsが溜まっており、
老化が身体を蝕んでしまっています。
そして、いったん溜まったAGEsはもう消えません。
 つまり、五〇代で老化物質の蓄積を止められるかどうかで、
その後の人生が決まると言っても過言ではないのです。
五〇代こそ糖質制限を始めるべき時期なのですが、
残念ながら、多くの中高年男性が糖質制限にあまり熱心でないのが現状です。
その理由はいくつかあるようです。
まず、仕事が忙しすぎるという人がいます。
確かに、五〇代というと社会的な責任の重い世代ですから、
健康をおろそかにしがちになるのも無理からぬところがあるでしょう。
また、糖質制限に懐疑的な人もいます。
これは健康情報に詳しいというタイプに多いようです。
情報過多の現代では、糖質制限に関する誤解が蔓延していて、
その有効性を正しく認識していない場合もあるのです。
そして、最も多いのは、もう健康になることをあきらめているという人です。
何度かダイエットに挑戦しては挫折を繰り返し、
中年太りは仕方がないと思いこんでいる人のことです。
そんな人は、年を取れば歯が抜けたり視力が落ちたりなどといった衰えが起こることも、
仕方がないとあきらめています。
高齢になれば老化するのは常識でしょうし、
これは五〇代のほぼ全員かもしれません。
しかし、あきらめているのは、
糖質制限のアンチエイジング効果を知らないからであり、
いかにももったいない話だと思われてなりません。
そこで、五〇代男性になんとかして糖質制限を始めてもらえないかと、
企画したのが本書です。
本書では、三人の五〇代男性のお話として構成されている部分と、
糖質制限の解説をまとめた部分とに分かれます。
三人の男性は、私が診療の現場で見てきた実際の患者さんたちの典型例であり、
いわば、糖質制限に踏み切れない五〇代男性のモデルです。
三人が糖質制限を知り、実践へと踏み切るストーリーを追いながら、
ご自分の未来を幸せにするのに糖質制限が必要かどうか、
考えてみていただきたいのです。
男・五〇代は、人生の後半を幸せなものに出来るかどうかの分岐点です。
どうか本書をきっかけにして、
糖質制限の道へと進むことを決断していただきたいと願っています。

なお本書は、ストーリー仕立てになっており平易でわかりやすいのが特徴です。
あわせて医学的な信頼度も確保するため、文中に通し番号を付け、
巻末に医学的根拠(エビデンス)となる論文を明記しています。
文中で直接出典を示した箇所もあります。
興味のある方はご参考になさってください。


食後高血糖と平均血糖変動幅増大が酸化ストレスリスク!
こんばんは。
今回は酸化ストレスのお話しです。
人体は、酸化反応と抗酸化反応のバランスがとれていると、正常に機能します。
酸化反応が抗酸化反応を上まわった状態を酸化ストレスといいます。

細胞内のミトコンドリア(*)の活動で日常的に活性酸素が発生しますが、
生体の抗酸化反応で処理しています。

スーパーーパーオキシドディスムターゼ (Superoxide dismutase, SOD) は、
細胞内に発生した活性酸素を分解する酵素です。
生体内のビタミンC、ビタミンE、グルタチオンなども抗酸化作用を有しています。

ヒトにおいて、最も一般的な酸化ストレスの発生源は高血糖と高インスリン血症です。

『高血糖→活性酸素発生→酸化ストレス』
『高血糖→糖化蛋白生成亢進→種々の酵素と反応して活性酸素発生→酸化ストレス』
『高インスリン血症→活性酸素発生→酸化ストレス』


高血糖は、糖化蛋白(**)の生成を亢進させます。
糖化蛋白は、様々な酵素と反応して、活性酸素を生成します。
活性酸素は生体の酸化反応の大本です。
結局、高血糖と高インスリン血症が活性酸素を発生させて、
酸化ストレスの元凶となっているわけです。

糖尿人が糖質を摂取すれば、高血糖を生じます。
正常人が糖質を摂取すれば、高インスリン血症を生じます。


酸化ストレスが、糖尿病合併症・動脈硬化・老化・癌・アルツハイマー・パーキンソン等、
様々な疾病の元凶とされています。

コントロールの悪い糖尿病は、『早老病』であり、平均寿命もかなり短いです。

血糖値に関しては食後高血糖と平均血糖変動幅増大が
最大の酸化ストレスリスクとされています。
これは世界中の医学界において、認められています。

糖質・脂質・蛋白質のうち、食後高血糖と平均血糖変動幅増大を引き起こすのは、
糖質だけです。
従って、日本糖尿病学会推奨のカロリー制限食(高糖質食)を、
つらいのに一生懸命我慢して頑張っても
食後高血糖と平均血糖変動幅増大を予防することは、理論的に不可能なのです。

糖尿病の食事療法において、
食後高血糖と平均血糖変動幅増大と酸化ストレスを予防できるのは糖質制限食だけです。

日本糖尿病学会は、「食事療法」と「食後高血糖と平均血糖変動幅増大の予防」について、
学会として指針を示すべきだと思います。
そして、そろそろガイドラインにおいて
『糖質制限食』をきっちり取り上げるべきだと思います。

米国糖尿病学会は2013年10月に発表した
『成人糖尿病患者の食事療法に関する声明』において
糖質制限食を、地中海食・ベジタリアン食・高血圧食・脂質制限食と共に
正式に容認しています。

すなわち、糖尿病の治療食として、
既に国際的に容認されている『糖質制限食』に対して
日本糖尿病学会は、きっちりと見解を示す必要があると思います。


江部康二



(*)ミトコンドリア
ミトコンドリアは細胞の中にあるエネルギー生産装置です。
酸素の存在下において、ミトコンドリアの中でTCA回路(クエン酸回路)が作動して、
エネルギーを作って、それにより身体は活動しています。
ミトコンドリアの活動の過程で出る「廃棄物」が活性酸素です。

(**)糖化蛋白
糖化反応(とうかはんのう)とは、グルコースなどの糖が、
直接タンパク質または脂質に結合する反応の事です。
糖尿病の検査指標のHbA1cは、糖化したヘモグロビンのことです。
糖化反応の初期段階のアマドリ化合物としては、
HbA1cやグリコアルブミンなどが代表的な物質です。
糖化反応系はアマドリ化合物生成までの反応を初期段階と呼び、
以降の後期段階反応と区別しています。
最近AGEs(advanced glycation endprpducts:終末糖化産物)が注目されています。
AGEsは血管内皮を障害して動脈硬化の元となり、活性酸素も発生させます。
糖質制限食に関するご注意・お知らせ・お願いなど
【本ブログのコメント・質問・記事に関するお願い】

ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。

糖質制限食に関する質問についてですが、実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、
医師としての責任・債務がありますので、個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。

一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、
ボランティアで回答させていただいています。

診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。

私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。

また、ブログ記事や本に関しても同様に、糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。

従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、
自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m

そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、
ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。

またネットで簡単に検索可能なことは、ご自分でお調べください。

質問が増えてきましたので、
糖質制限食と関わりがないと判断した質問にはお答えできない場合もありますので、ご了承ください。m(_ _)m

普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、
何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)

掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文記事にて、
できるだけ順番にお答えしたいと思います。

質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。

一方、質問がかなり増えてきていますので、なかなか即、お答えすることが困難となってきています。

糖質制限食に関わりのある全ての質問に、本文かコメントでお答えするようできるだけ努力はしていますが、
できないときはご容赦願います。m(_ _)m

それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、
一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。


【糖質制限食を実践される時のご注意】

糖質制限食実践によりリアルタイムに血糖値が改善します。

このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、
減薬しないと低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。


一方、薬を使用してない糖尿人やメタボ人は、低血糖の心配はほとんどないので、
自力で糖質制限食を実践して糖尿病やメタボ改善を目指していただけば幸いです。

内服薬やインスリン注射なしの糖尿人が糖質制限食を実践すると、食後高血糖は改善しますが、低血糖にはなりません。

血糖値が正常範囲である程度下がると、肝臓でアミノ酸・乳酸・グリセロール(脂肪の分解物)などから、
ブドウ糖を作るからです。

これを糖新生といいます。

塩分に関しては、スーパー糖質制限食の場合は、制限の必要はありません。
「スーパー糖質制限+塩分制限」だと、塩分不足で身体がだるかったり、集中力が低下することがあるので
注意が必要です。


診断基準を満たす膵炎がある場合、肝硬変の場合、
そして長鎖脂肪酸代謝異常症・尿素サイクル異常症は、
糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。

糖質制限食は相対的に高脂肪食になるので、診断基準を満たしている膵炎の患者さんには適応とならないのです。

進行した肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。

長鎖脂肪酸代謝異常症では、肉や魚などに含まれる長鎖脂肪酸が上手く利用できないので、適応となりません。

尿素サイクル異常症もまれな疾患ですが、タンパク質の代謝に問題があるので
高タンパク食である糖質制限食は向きません。


腎機能に関して、日本腎臓病学会編「CKD診療ガイド2013」において、eGFR60ml/分以上あれば顕性たんぱく尿の段階でも、
たんぱく質は過剰な摂取をしないという表現となっていて、制限という記載はなしです。

従いまして、糖尿病腎症第3期でも、eGFR60ml/分以上なら、糖質制限食OKです。

また、米国糖尿病学会(ADA)は

Position Statement on Nutrition Therapy(栄養療法に関する声明)
Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版

において、糖尿病腎症患者に対する蛋白質制限の意義を明確に否定しました。

根拠はランク(A)ですので、信頼度の高いRCT研究論文に基づく見解です。

今後は、糖尿病腎症第3期以降で、eGFRが60ml/分未満の場合も、患者さんとよく相談して、糖質制限食を実践するか否か、
個別に対応することとなります。


なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、
まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。

また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。

糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。


【糖質制限食とは】

米国糖尿病協会(ADA)の患者教育用のテキストブックLife With Diabetes(2004年版)には、以下の記載があります。

「摂取後直接血糖に影響を与えるのは糖質のみである。
糖質は速やかに吸収され、直接100%血糖に変わり、ほぼ120分以内に吸収は終了する。
蛋白質・脂質は、摂取後、直接血糖に影響を及ぼすことはない。
『炭水化物・タンパク質・脂肪はカロリーを含有している。
炭水化物だけが、血糖値に直接影響を及ぼす。』」


これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。 

1997年版のLife With Diabetes(ADA刊行)では、

「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」

という記載がありましたが、2004年版以降は変更されています。

このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが直接、血糖値を上昇させます。

従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。

脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。

タンパク質はごく少量のインスリンを追加分泌させます。

現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。

食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。

また一日における、食前・食後・空腹時など血糖値の変動幅(平均血糖変動幅)が大きいほど、
酸化ストレスが増強し動脈硬化のリスクとなることがわかってきました。

そして、食後高血糖と平均血糖変動幅増大を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。

1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。

炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には、55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。

一方、和牛サーロインステーキ(脂身つき)を200g(約1000キロカロリー)食べても、
糖質含有量は1gもないので、食後血糖は3mg未満の上昇しかないのです。 

なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。

糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースに、
できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。

簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。

抜く必要がある主食とは 、米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。

3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら、
薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。

一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、
カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。

従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、
一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。

糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。


なお糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。

日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド2014-2015」の

男性1400~2000kcal
女性1200~1800kcal

ほど厳しいカロリー制限は必要ありませんが、

「日本人の食事摂取基準」(2015年、厚生労働省)
に示す推定エネルギー必要量の範囲、
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf

推定エネルギー必要量(一日あたり)
              男性                  女性
15-17才        2500 2850 3150           2050 2300 2550kcal
18-29才        2300 2650  3050          1650  1950   2200
30-49才        2300 2650  3050            1750  2000  2300
50-69才        2100 2450  2800           1650  1900 2200 
70才        1850 2200  2500            1500  1750 2000

身体活動レベル    低い 普通 高い         低い  普通  高い

くらいが目安です。


そして2013年に糖尿病食事療法に関して画期的な変化がありました。

米国糖尿病学会が、
2013年10月発表の『栄養療法に関する声明』において、
全ての糖尿病患者に適した唯一無二の治療食は存在しないと明記したのです。

これはそのまま、1969年の食品交換表第2版以降一貫して、糖尿病治療食として、
唯一無二の「カロリー制限・高糖質食」を推奨し続けている日本糖尿病学会への痛烈な批判となっています。

さらに、米国糖尿病学会は『栄養療法に関する声明2013』において
地中海食、ベジタリアン食、DASH食、低脂質食などと共に
「糖質制限食」も正式に受容しました。
このことは糖質制限食を推進する私達にとって、大変大きな追い風となりました。

なお、門脇孝日本糖尿病学会理事長によれば
東大病院では、2015年4月から、糖質40%の糖質制限食を供給しているそうです。
また門脇孝東大糖尿病・代謝内科教授ご自身も、緩やかな糖質制限食を実践されているとのことです。
2016/7/1(金)
東洋経済オンライン 
http://toyokeizai.net/articles/-/125237



<江部康二著 参考図書>


理論
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ」2005年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008年
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009年 宮本輝先生との対談本
「やせる食べ方」2010年
「うちの母は糖尿人」2010年 監修:江部康二 著:伊藤きのと
(東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010年(ナツメ社)
腹いっぱい食べて楽々痩せる『満腹ダイエット』 (ソフトバンク新書)2011年
「主食をやめると健康になる」(ダイヤモンド社)2011年
「血糖コントロールの新常識! 糖質制限 完全ガイド」 (別冊宝島)2012年
「食品別糖質量ハンドブック」2012年(洋泉社)、
「糖質オフ!健康法」(PHP文庫)2012年
「主食を抜けば糖尿病はよくなる!糖質制限食のすすめ」(文春文庫)2012年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」(文春文庫)2012年
「女性のための糖質制限ダイエットハンドブック」2012年(洋泉社)
「糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド」2013年(東洋経済新報社)
「医療の巨大転換を加速する」糖質制限食と湿潤療法のインパクト
 2013年(東洋経済新報社) 夏井睦先生との対談本
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ 新版」2014年(東洋経済新報社)
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!2 実践編 新版」2014年(東洋経済新報社)
「炭水化物の食べ過ぎで早死にしてはいけません」2014年(東洋経済新報社)
一生太らない「やせる! 食べ方」2014年 (PHP文庫)
江部先生、「糖質制限は危ない」って本当ですか?2015年(洋泉社)
「なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか」2015年(ナツメ社)
「糖質制限の教科書」2015年(洋泉社)監修
「糖質オフ!健康法」2016年3月(PHP研究所 )
「人類最強の糖質制限論」2016年4月(SB新書)
「ハンディ版糖質制限の教科書」2016年4月(洋泉社)
「増補新版食品別糖質量ハンドブック」2016年6月(洋泉社)
「Dr.江部の健康食の新常識100 」(TJMOOK)2016年11月(宝島社)
マンガでわかる「糖質オフ! 」健康法2016年12月、(PHP研究所 )
外食でやせる! 「糖質オフ」で食べても飲んでも太らない体を手に入れる、2017年(毎日新聞出版)
「江部康二の糖質制限革命」2017年(東洋経済新報社)
「男・50代からの糖質制限」2018年(東洋経済新報社)
など多数。

レシピ
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006年(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん2009年(アスペクト)
dancyuプレジデントムック 「満腹ダイエット 」 2009年(プレジデント社)
「血糖値を上げない!健康おつまみ109」2010年(東洋経済新報社)
「やせる食べ方レシピ集」 2010年(東洋経済新報社)
「糖質オフダイエット 」2011年(レタスクラブ、角川マーケティング)
「誰もがストレスなくやせられる!糖質制限ダイエット」2011年(講談社)
「主食を抜けば糖尿病はよくなる」レシピ集2011年(東洋経済新報社)
高雄病院の「糖質制限」給食2012年(講談社)
糖尿病がどんどんよくなる「糖質制限食」おすすめレシピ集2012年(ナツメ社)
糖質制限の「主食もどき」レシピ2013年(東洋経済新報社)
高雄病院Dr江部が食べている「糖質制限」ダイエット2013年(講談社)
糖質オフのダイエット弁当2013年(家の光協会)
高雄病院「糖質制限給食」朝 昼 夕 14日間完全プログラム
糖尿病・肥満改善が自宅でできる! 2013年(講談社)
2週間チャレンジ! 糖質制限の太らない生活 2014年(洋泉社mook)
電子レンジで糖質オフの作りおき 2016年10月(宝島社)
「やせぐせがつく糖質オフの作りおき 」2017年3月(宝島社)
「高雄病院の糖質制限作りおき 」2017年5月(洋泉社)
「作りおきおかずで簡単! 朝・昼・晩 糖質オフのダイエット献立」2017年10月 (家の光協会)
「いくら食べても太らない! 旨い酒のつまみ 」2018年5月(宝島社)
「女性のためのラクやせ糖質制限ハンドブック」2018年9月(洋泉社)
「男性のための糖質制限最強ダイエットハンドブック」2018年10月(洋泉社)
「レンチン!糖質オフの作りおきおかず」2018年10月(宝島社)
「菓子職人糖質制限マンスリーケーキ」 チョコレートシフォンケーキ 
こんばんは。

私が監修をつとめる「菓子職人糖質制限マンスリーケーキ」のご案内です。

2019年、1・2月は、
風味豊かなしっとり生地 チョコレートシフォンケーキ
糖質 3.19g 
カロリー 339kcal
※100gあたり
※エリストールを除く糖質

2019年1月チョコレートシフォンケーキホール

表示糖質は100gあたり3.19gですが、
江部康二の人体実験で、
2019/1/76(月)午後5時45分、空腹時血糖値:99mg
菓子職人糖質制限マンスリーケーキ
チョコレートシフォンケーキ(1個100g)摂取

午後6時45分、
ピークの60分後で102mg、
なんと3mgしか上昇していませんでした。

私の場合は、糖質1gが血糖値を3mg上昇させるので
菓子職人チョコレートシフォンケーキ(1個100g)で、
1.0gの糖質という計算となります。

従って表示成分より低いぐらいで素晴らしいです。
勿論個人差はあると思いますが、
これなら糖質セイゲニストにも安心です。

甘味料はもっぱら、
血糖上昇ゼロのエリスリトールです。
糖質制限中の方にも、美味しいケーキで季節を感じていただけます。
菓子職人さんの『糖質制限マンスリーケーキ』
我々糖質セイゲニストの強い味方です。
菓子職人さん、ありがとうございます。

ブログ読者の皆さん、是非ご賞味あれ!!

お問い合わせは以下です。

☆☆☆
彩韻菓子工房有限会社

〒615-0032 京都府京都市右京区西院西高田町19
TEL:075-311-4606
FAX:075-311-4123
営業時間:午前9:00から午後8:00(年中無休)

ホームページ: http://www.kashishokunin.co.jp/
お問い合わせ: info@kashishokunin.co.jp



江部康二
NHKカルチャー青山教室・糖質制限食講座のご案内。2019/2/24(日)。
こんばんは。

NHKカルチャー青山教室講座
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1163502.html
電話:03-3475-1151
美味しく楽しく健康に!糖質制限食のすすめ
講師:高雄病院理事長 江部 康二
2019/2/24(日) 13:00~14:30 


のご案内です。
NHKカルチャー青山教室では、初めての講座です。
糖質制限食の最新の知識や情報をわかりやすく楽しくお話します。
70分間の講演と20分間の質疑応答となります。
東京、関東方面の方々、
是非ご参加いただけば幸いです。

お陰様で、糖質制限食は順調に普及してきています。
2005年に私が「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)
を日本初の糖質制限食の本として刊行したころとは、大きな違いがあります。
なんと言っても、2013年10月に米国糖尿病学会が5年ぶりに改訂した
「栄養療法に関する声明」のなかで、
地中海食、ベジタリアン食、高血圧食、脂肪制限食などともに
「糖質制限食」を正式に容認したことが、
大きな追い風となりました。

この1~3年、糖質制限食の展開において大きな発展があり
いい意味のサプライズもありました。
2016年7月のNHKクローズアップ現代の試算によれば、
糖質制限市場は、3184億円とのことです。
医学界より、企業のほうが糖質制限食をビジネスチャンスと捉えて
行動が迅速なようです。
くら寿司やガストなども糖質制限メニューを投入で、なかなかのものです。

一方、医学界においても、嬉しいサプライズです。
2017年2月7日(火)午後から、生まれて初めて東京大学医学部に行ってきました。
教授室で、渡邊昌先生、門脇孝先生、江部康二の3人で鼎談を行いました。
二人で話し合うのが対談で、三人で話し合うのが鼎談です。
渡邊昌先生は、医学雑誌「医と食」の編集長です。
門脇孝先生は、
一般社団法人 日本糖尿病学会 理事長
であり、
東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科教授
です。
日本糖尿病学会のトップとじっくり話し合うことができて、
とても有意義な90分間でした。

2017年8月には、
「炭水化物の摂取増加で死亡リスク上昇」
という結論のランセット(Lancet)論文が発表され、
糖質制限食にとって大きな追い風となりました。
Lancet誌オンライン版2017年8月29日号掲載
https://doi.org/10.1016/S0140-6736(17)32252-3

糖質制限食の発展、まさに、今昔の感ありですね。

江部康二


☆☆☆
以下はNHKカルチャー青山教室のサイトから一部抜粋です・

https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1163502.html
NHKカルチャー青山教室講座



日時
2018年2月24日(日) 13:00~14:30

講演テーマ
「美味しく楽しく健康に!糖質制限食のすすめ」

講師
高雄病院理事長 江部康二医師

内容紹介
近年注目されている糖質制限について、2002年からご自身も実践し、
肥満と糖尿病を克服された江部康二先生による講演会です。
数多くの臨床活動を通して、糖尿病、肥満、メタボリックシンドロームなどに対する
糖質制限食の画期的な治療効果が証明されています。
運動を勧められても長続きしなかった方や
色々なダイエットを試したけれど効果が表れなかった方、
またこれから糖質制限食を始めてみようと思われている方に向け、
その正しい知識と治療効果、カロリー制限食と糖質制限食の比較、注意点等を
お話しします。
糖質制限食で、明日からの食生活を美味しく・楽しく・健康に!

受講料
会員 3,369円
一般(入会不要) 4,050円

電話
03-3475-1151

果糖は ブドウ糖の約数十倍AGEsを生じやすい危険な物質です。果物もNG。
こんばんは。

糖質制限者さんから「果糖」について
コメント・質問を頂きました。

果物はヘルシーなイメージがありますが、はたしてそうでしょうか?
果物に含まれる糖質は、果糖・ブドウ糖・ショ糖などです。
果物と果糖について、その安全性を検討してみます。

果糖(フルクトース)とブドウ糖(グルコース)は単糖類です。
<ショ糖=ブドウ糖+果糖>です。
ショ糖(砂糖の主成分)も人体に吸収されるときは、
ブドウ糖と果糖に分解されて吸収されます。

なんとなく、果糖もブドウ糖も似たようなものと思いがちですが、
実は、化学的にも栄養学的にもフルクトースはグルコースと極めて異なる物質です。
ブドウ糖は体内に吸収されたあとの代謝は、ほぼ解明されています。
一方果糖は、生体内に入ってからの動態の詳細はほとんど判明していません。
唯一、果糖がAGEsを極めて生じやすいことだけは確定しています。。

帝京大学医学部の山内俊一教授は、
「血液中の糖は、エネルギーとして使われる一方、
体のたんぱく質と結びついてAGEs(終末糖化産物)を作り出し、
毛細血管を傷つけるなど“毒性”を持つ。
果糖は体内のたんぱく質と結びつく力が理論上、
ブドウ糖の約100倍であることが分かってきた」

と述べておられます。
日経ヘルス 2013年10月31日
https://wol.nikkeibp.co.jp/article/column/20131023/164861/


なお、食と医療.2017では、
「試験管内の実験では、果糖は体内のたんぱく質と結びつく力が、
ブドウ糖の数十倍に達する」
とされています。(☆)

果糖が脂肪合成を誘導しやすい糖質であることは、以前から知られています。
ヒトにおいて、高果糖食が肝臓での脂肪合成を促進し、
血中の中性脂肪濃度を上昇させ、
インスリン抵抗性を生じることが報告されています。

果物中の果糖は、GLUT5によって吸収されますが、
果糖のGIは20と低く、血糖値はほとんど上昇させません。
血糖にはほとんど変わらずに肝臓まで運ばれ、ブドウ糖代謝系に入ります。
このとき果糖は、ブドウ糖より急速に代謝されるという特徴があります。
果糖は、ブドウ糖よりも約100倍AGEsを生成しやすいので、
急速に代謝する必要があるのかと思われます。
つまり、毒消しのようなものですね。

果糖は、肝臓での脂肪合成酵素群の発現を促進させる作用も持っており、
急速に代謝されることと合わせて、とても中性脂肪に変わり易いのです。
このように、果糖は中性脂肪をためやすく肥満しやすい性質をもっているし、
AGEsを生じやすいので、現代では果物は、NG食材といえます。

特に品種改良により糖度が高くて、大きくなった果物は
ショ糖・ブドウ糖・果糖の全てが多く含まれています。
従ってく血糖値を大きく上昇させ、AGEsも多く生じるので危険な食材です。
なおアボカドだけは、100g中に糖質がわずか0.9gなので、糖質制限OK食材です。

また、フルクトースコーンシロップが砂糖よりもコストが安価なので
米国で大量に使用されるようになりました。
例えばコーラなど清涼飲料水の原材料の一つとして
「果糖ブドウ糖液糖」がよく使用されます。
果糖ブドウ糖液糖のフルクトースコーンシロップの含有率は50%~90%です。
当然、フルクトースコーンシロップも
ブドウ糖の100倍くらいAGEsを生成しやすく危険な食材です。


果糖のほうがが多いと「果糖ブドウ糖液糖」、
ぶどう糖のほうがが多いと「ブドウ糖果糖液糖」です。
「果糖ブドウ糖液糖」は果糖が多いので、血糖値はやや上昇させにくいですが、
AGEsを生じやすく、肥満しやすいという特徴があります。
「ブドウ糖果糖液糖」は、当然血糖値を急速に上昇させやすいです。
いずれにせよ、『こんなもの要らない』食材です。

結論です。
①現代の果物は、血糖値を大きく上昇させるので、糖質制限NG食材です。
②果糖は、血糖値はほとんど上げないのですが、ブドウ糖の数十倍AGEsを生じやすく、さらに肥満の元凶なので、そもそもNG物質です。現代の果物はその果糖を多く含んでいるので危険な食材です。
③果物で唯一、アボカドは糖質制限OK食材です。



(☆) 山内俊一:フルクトースの代謝と影響.食と医療.2017 SUMMER -FALL Vol.2


江部康二
NHKカルチャー福岡教室講座・2019/2/3(日)のご案内。
こんにちは。

NHKカルチャー福岡教室講座
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1162582.html
電話:092-271-2100
糖質制限食のすすめ
~美味しく楽しく健康に~
講師:高雄病院理事長 江部 康二
2019/2/3(日) 14:00~15:30 


のご案内です。
NHKカルチャー福岡教室では、初めての講座です。
糖質制限食の最新の知識や情報をわかりやすく楽しくお話します。
70分間の講演と20分間の質疑応答となります。
福岡、北九州、佐賀、熊本、大分方面の方々、
是非ご参加いただけば幸いです。

お陰様で、糖質制限食は順調に普及してきています。
2005年に私が「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)
を日本初の糖質制限食の本として刊行したころとは、大きな違いがあります。
なんと言っても、2013年10月に米国糖尿病学会が5年ぶりに改訂した
「栄養療法に関する声明」のなかで、
地中海食、ベジタリアン食、高血圧食、脂肪制限食などともに
「糖質制限食」を正式に容認したことが、
大きな追い風となりました。

この1~3年、糖質制限食の展開において大きな発展があり
いい意味のサプライズもありました。
2016年7月のNHKクローズアップ現代の試算によれば、
糖質制限市場は、3184億円とのことです。
医学界より、企業のほうが糖質制限食をビジネスチャンスと捉えて
行動が迅速なようです。
くら寿司やガストなども糖質制限メニューを投入で、なかなかのものです。

一方、医学界においても、嬉しいサプライズです。
2017年2月7日(火)午後から、生まれて初めて東京大学医学部に行ってきました。
教授室で、渡邊昌先生、門脇孝先生、江部康二の3人で鼎談を行いました。
二人で話し合うのが対談で、三人で話し合うのが鼎談です。
渡邊昌先生は、医学雑誌「医と食」の編集長です。
門脇孝先生は、
一般社団法人 日本糖尿病学会 理事長
であり、
東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科教授
です。
日本糖尿病学会のトップとじっくり話し合うことができて、
とても有意義な90分間でした。

2017年8月には、
「炭水化物の摂取増加で死亡リスク上昇」
という結論のランセット(Lancet)論文が発表され、
糖質制限食にとって大きな追い風となりました。
Lancet誌オンライン版2017年8月29日号掲載
https://doi.org/10.1016/S0140-6736(17)32252-3

糖質制限食の発展、まさに、今昔の感ありですね。

江部康二


☆☆☆
以下はNHKカルチャー福岡教室のサイトから一部抜粋です・

https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1162582.html
NHKカルチャー福岡教室講座



日時
2018年2月3日(日)

講演テーマ
「糖質制限食のすすめ~美味しく楽しく健康に~」

講師
高雄病院理事長 江部康二医師

内容紹介
糖尿病・メタボ・生活習慣病でお悩みの方、
ダイエットが続かない方に向け、
糖質制限の正しい知識と効果を説明します。
多くの研究論文により、糖尿病、肥満などに対する
糖質制限食の画期的な治療効果が証明されています。
最近、糖質制限食に対する根拠のない批判記事が、
時にメディアへ掲載されることがありますが、
そのたびに私は自分のブログ『ドクター江部の糖尿病徒然日記』で
しっかり反論しています。
本講座では、糖質制限食の有効性と安全性、
カロリー制限食と糖質制限食の比較、注意点等をお話しします。

受講料
会員 3,369円
一般(入会不要) 3,931円

電話
092-271-2100
狩猟・採集民は農耕民より健康長寿。
こんばんは。

これだけで、全てを語れるわけではありませんが、
『狩猟採集民は農耕民より長命だった』という古栄養学の研究を紹介します。

古代人の食生活を考察し、その食生活が当時の人間集団の存続に
どんな役割を果たしていたかを知ろうとする学問が
パレオ・ニュートリション(古栄養学)です。

骨で見分ける古代人の生活ぶり
http://www.wound-treatment.jp/dr/glucide_data/kagaku-asahi_1981.htm
科学朝日,41巻12号,1981年 記載の
カナダ・マックギル大教授/人類学 井川史子氏の論文


の要旨が以下です。
本文は結構、長文ですが、興味ある人は読んでみて下さい。

A)
ケンタッキー州,インディアン・ノール貝塚出土の285体の人骨
前者は紀元前3400年から同2000年ころ
狩猟,漁労,植物採取をしていた人々の残した貝塚で出土

B)
ケンタッキー州,ハーディン・ビレッジ遺構出土の人骨296体
西暦1500年から1675年ころの間
トウモロコシ,豆類,カボチャ類を栽培した人々が住んだ村落


比較研究の条件として、
①一定数以上の人骨資料があること
②人種的条件が同じであること
③環境的条件が同じであること
④ヨーロッパ伝来の疾病が新しい要因として入っていないこと

が、前提となっています。
すなわちハーディン・ビレッジの居住期間中、
ヨーロッパ人の侵入はこの地域に関する限りはなしという前提です。

米国、ケンタッキー州で出土した、
①②③④の条件をを満たす
A)とB)を比較した研究です。

狩猟・漁労・採集が生業の人骨285体と 、
トウモロコシ・豆類・カボチャ栽培が生業の人骨296体を比較したところ、
狩猟採集民のほうが、農耕民より長命であったことが判明しました。

男女ともにインディアン・ノールの狩猟採取民の方が長命でした。

死亡年齢で特に対照的なのは、4歳未満の小児死亡率の分布でした。

インディアン・ノールでは、70%が新生児と12ヶ月未満の乳児でしたが、
狩猟採集民は、新生児の間引きをする習慣があるので、
その影響があると考えられます。

一方ハーディン・ビレッジではその逆で、1~3歳の幼児が60%に達っしました。

すなわち、農耕民のほうは、離乳期に入ってからが危機であることが明らかです。

ハーディン・ビレッジの農耕民はトウモロコシ粉を水溶きしたようなものを離乳食に用いたと考えられます。

それが生涯を通じての栄養的欠陥の始まりになったと思われます。

現代でも、アフリカや中央アメリカの農耕社会では柔らかいでんぷん質の食事が離乳食として与えられると、
下痢が始まり、各種の細菌侵入による疾患が起こり、タンパク質欠乏症を示すことが多いとされています。

ハーディン・ビレッジの農耕民でも同様のパターンが生じて、
短命に繋がった可能性があります。

また、40歳以上はインディアン・ノールの狩猟採取民では12%くらいでしたが
ハーディン・ビレッジでは 5%しかなく、
さらに50歳以上になると前者は5%くらいあるのに対して、後者は1.25%くらいしかいませんでした。

即ち、トウモロコシが主食の農耕民は、1~3歳の幼児が大量に死亡するだけでなく
長生きの人も、狩猟・採集民に比し、極端に少なかったのです。


江部康二
たがしゅう先生の年末恒例コメント。糖質制限食と主体性。
こんばんは。
たがしゅう先生から、
年末恒例の長めの問題提起のコメントを頂きました。
ありがとうございます。

糖質制限食で糖尿病、肥満、メタボ、生活習慣病などが
改善する人が多いのは事実です。、
そして、病気でなくても健康度が高まる人が多いのも事実です。
しかし、一方で糖質制限食が上手くいかない人が、
少数ではありますが存在するというのもまた事実です。

高雄病院では、もっぱら糖尿病患者さんを主に糖質制限食を導入しています。
初期の段階で、HbA1cや血糖値は劇的に改善したけれど
力が出ない、階段が登りにくい、しんどい、だるい・・・などと
訴える糖尿病患者さんが、時々おられました。
それで、これらの患者さんに栄養指導をしたところ、
ほぼ全ての患者さんにおいて、
「糖質制限+脂質制限」が実施されていて、
結果として、カロリー不足を生じていたことが確認できました。
そこで、脂質とたんぱく質はしっかり充分量摂取するように指導したところ
速やかに症状は改善しました。

今回のたがしゅう先生のケースは高雄病院のよくあるケースとは
異なっています。
以下、たがしゅう先生のコメントを私なりに要約してみました。
<受動的なパターン>と<主体性>


<受動的なパターン>
『摂取エネルギーについては十分足りている。
やや女性に多く、やせ型体型の場合が多い、
筋肉量が少なく、消化吸収能力が低い。』

『何らかの理由でストレスがかかり続けている。
それにより消化吸収機能が低下している。
消化吸収機能が低下しているから太れないし、
十分な摂取エネルギー量を確保しても吸収できず筋肉が出来上がらない。
筋肉が出来上がらないから糖新生がうまく働かない。』

『糖質制限でうまくいかない人に多くみられるパターンとしては、
体調を崩しているにも関わらずそのまま継続。
そこには「○○先生の本には続けることによって良くなると書いてあるから」だとか、
「○○先生に聞いたらエネルギー不足だと書いていたからエネルギーを増やしていれば治るはず」
というような受動的思考パターンがある。』



<主体性>
『糖質制限を実践する際には
主体性が不可欠である。
主体性、即ち自分の頭で考えて自分の判断で行動する力が必要。』

『例えば、糖質制限を始めてみて万が一体調がおかしいと思ったら、
自分に合わないと思って元に戻せばいいし、
戻した上で何がおかしかったのかを後から考えたり、わからなければ誰かに聞いたり、
何かを調べたりということをすればいい。』


私もたがしゅう先生の仰る通り、
糖質制限食を実践する場合には、主体性が必要と思います。
糖質制限食に限らずどんなことでも「自分の頭で考え、判断し、選択する」ということは大切ですね。

といっても、アドラー的には、「人は全ての行動を、自分で選択している。」
ということなのですが、そのことを、本人が認識できているか否かですね。
それと、選択する前に「自分の頭で考え、判断する」ということも肝要です。

ただこれは、「孤立して一人で主体的に生きていく。」という意味ではありません。
他者を信頼したり、他者に貢献したり、対等な人間関係を構築したり、
孤立しないことも大切です。

主体性を持ちつつ、他者ともしっかり関わりをもち、
互いに支え合っていくということです。
医師、栄養士、看護師、患者仲間、家族、友人・・・それぞれの間で、
対等な人間関係を持ちつつ主体的に生きていくというイメージですね。

このような生き方であれば、かかっているストレスも軽減する可能性が高いです。


江部康二



【18/12/31 たがしゅう
糖質制限と主体性
江部先生

いつもお世話になっております。
誠に勝手ながら自分の中で毎年恒例となっている
年末の先生への御挨拶をさせて頂きます。

確かに今年は昨年に比べてインパクトのあるニュースは少なかった印象があります。
けれど裏を返せばそれは、糖質制限が一般に広く定着してきたことの証であって、

先生が長年続けてこられた御活動が確かに実を結んでいる事の現れではないかと
感じております。

さて、私の糖質制限に関する今年の出来事を振り返りますと、
実は糖質制限でうまくいかないという方々の話を聞く機会の多い年でした。
決して多数例ではないのですが、糖質制限を実践していて体調を崩し、
その後糖質制限を解除することで体調が回復したという人達の話です。

江部先生は糖質制限で失敗するよくあるパターンとして、
糖質制限とカロリー制限を同時に行ってしまい
摂取エネルギー不足になるというのを御指摘なさいますが、
私が交流したそうした人達のお話を聞く限りは、
少なくとも摂取エネルギーについては十分足りているような食事摂取内容でした。
またパターンとしてはやや女性に多く、やせ型体型の場合が多い、
筋肉量が少なく、消化吸収能力が低いという傾向がありました。

それらの話を総合して私なりに考えてみました所、
こうした糖質制限でうまくいかない方々には
ストレスの問題が深く関わっているのではないかという結論に達しました。

その辺りの考察は拙ブログでも書かせて頂きましたので、
もしよろしければ御都合のよろしい時にでも
お目通し頂ければ有難く思います(http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-category-33.html)。

つまりは何らかの理由でストレスがかかり続けている。
それにより消化吸収機能が低下している。
消化吸収機能が低下しているから太れないし、
十分な摂取エネルギー量を確保しても吸収できず筋肉が出来上がらない。
筋肉が出来上がらないから糖新生がうまく働かない。
さらには消化吸収機能が低下する故に糖質摂取時のインスリンの分泌遅延が起こり、
機能性低血糖症の病態が起こる。
低血糖になりそうな段階で本来なら働くべき血糖上昇のバックアップが
糖新生機能が弱いために不十分となり低血糖症状を引き起こす。

もっと言えば、そうした方は
ストレスの対処を糖質摂取による血糖上昇に依存していたりするものだから、
糖質への依存度が高まってしまっていると。
だから糖質再摂取にて改善するけれど、
それではただ振り出しに戻ってしまっているだけです。

こうした考察を加えていく中で、
私は糖質制限を実践する際には
主体性が不可欠であるということを強く思うようになってきました。
主体性、即ち自分の頭で考えて自分の判断で行動する力のことです。

例えば、糖質制限を始めてみて万が一体調がおかしいと思ったら、
自分に合わないと思って元に戻せばいいし、
戻した上で何がおかしかったのかを後から考えたり、
わからなければ誰かに聞いたり、
何かを調べたりということをすればいいわけです。

ところが糖質制限でうまくいかない人に多くみられるパターンとしては、
体調を崩しているにも関わらずそのまま継続していたりするのです。
そこには「○○先生の本には続けることによって良くなると書いてあるから」だとか、
「○○先生に聞いたらエネルギー不足だと書いていたからエネルギーを増やしていれば治るはず」
というような思考パターンが見え隠れします。

こうした思考は判断が主体的ではなく受動的、
すなわち自分の頭で考えて判断するのではなく、
誰かの判断に身を委ねているということになるのではないかと思います。

先生もよくおっしゃいますように、どの食事療法にも合う合わないがあるわけですが、
その合う合わないの判断ができるのは自分しかいないわけで、
他の誰かが判断できるはずもありません。
糖質制限の普及に伴って、周りに強く勧められるがままにとか、
テレビや雑誌で良いと書いていたからとかいう理由で勢いのままに、
自分の頭で考えて納得するというプロセスを省略して、
すぐさま実践してしまうパターンが増えてきているのかもしれません。
それでもうまくいく場合にはまだ問題は少ないかもしれませんが(それでも盲目的に糖質制限を続けるというのはよくありませんが)、

たまたま上述のようにストレスが関わり体調を崩してきてしまう場合には
困ったことになってしまいます。
もっと言えばストレスの原因が糖質制限でない場合などは、
糖質制限は無関係であるにも関わらず
糖質制限が体調不良の原因とみなされてしまう可能性さえあります。
そしてそのストレスに向き合えるのもまた自分だけです。
他人が自分にしかわからないストレスの存在に気づけるはずもありません。

ですから糖質制限に取り組む場合には、
これまでにも繰り返し語られていることかもしれませんが、
自分の頭で考えて、自分の判断で行動するという主体性が不可欠であるということを
改めて再認識しました。

今後、糖質制限の発展のためには、
こうした糖質制限でうまくいかない人達の話も真摯に受け止め、
その上でどうしていくべきなのかについて話し合っていくことが、
糖質制限の信頼性をさらに高めることにつながるのではないかと考える次第です。

いささか長文となってしまい誠に恐縮ではございますが、
糖質制限推進派医師の一人として
今年一番考えさせられたことを御報告させて頂きました。

来年も引き続き宜しくお願い申し上げます。】
明けましておめでとうございます。本年もよろしく御願い申し上げます。2019年1月1日。
新年明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしく御願い申し上げます。

私は、20年以上前から年賀状を出さなくなって、久しいです。
正確にいつ頃からかは、忘れましたが、
誠に不義理で申し訳ないことです。
ブログでのご挨拶にて失礼させて頂きます。  m(_ _)m

実は、モデルが一人おられまして、私の長年の友人で、
それなりに社会的地位もある人です。
その友人宅に、とある年末に訪れて、夫婦で夕食を御馳走になっていた時に
ふと「年賀状を出すのが結構大変やけど、どうしてる?」と聞いたら、
「俺、出してないよ。」と、一刀両断の一言が帰ってきました。

私としては、年賀状は手書きなのか印刷なのかといった意味合いの質問だったのですが
「出してないよ。」には、びっくりしました。
当時は、年賀状を出さない人は、かなりまれであり、希少価値があったと思います。
それで、目から鱗が落ちる思いで、その年から年賀状を出すのをやめたのです。

いつも、「自分の頭で考えて判断して選択する」ことが大切と言っていますが、
この時は、友人のライフスタイルを即効、真似したわけです。
もっとも、潜在意識的には、ずっと年賀状を止めたいと思っていたのでしょうが、
世間一般の常識に囚われて、なかなか踏み切れなかったのだと思います。
まあ、友人の一言がきっかけになって、そこからは、
「自分の頭で考えて判断して選択する」というパターンではありました。


さて、長々と年賀状を出さない言い訳めいたことを語ってきましたが
お正月と言えば、お屠蘇ですね。

屠蘇は正式には延寿屠蘇散といい、華陀という中国の三国時代の名漢方医が、
白朮、山椒、防風、桂皮、桔梗、細辛などの薬草を調合し、
酒に浸して飲んだのが始まりといわれています。

これらの生薬は、日常的に漢方診療で出す処方の構成薬なので、
高雄病院の薬局でも常備してあります。
一合の日本酒に、各生薬を1gくらいずつ浸しておけばよいです。

普通の漢方処方なら、3g~9gくらいは生薬を使用するので、
屠蘇散は香りを楽しむイメージで
本格的薬効を期待するものではありません。
しかし縁起物だしガブガブ呑むものではないので、
心身共に健康維持効果は期待できるでしょうか。

屠蘇という名ですが、
邪気を屠り、魂を蘇らせるという意味で屠蘇と名付けられたという解釈と、
「蘇」は「病をもたらす鬼」という意味で、すなわち鬼退治という解釈があります。
日本では平安時代、嵯峨天皇に唐からの使いが、
屠蘇散を霊薬として献上したのが始まりといわれています。

天皇は元旦から三が日、四方拝の儀式の後
お酒に屠蘇散を浸したものを召し上がられたということです。

この風習が徐々に一般の人たちの間にも広がっていき、
よい年を迎えるお正月の行事として定着していったようです。

家族や雇用人の別なく一同に集まり、
祝い膳に箸をつける前に若い者から順に杯をあげ無病息災を祈るのです。
この風習は、江戸時代におおいに流行り、
大正時代まではかなり広く行われていました。

江戸後期から明治のころには、
町医者がお歳暮として年末に患者に与えたと言われています。
近年は大晦日の夜、酒に屠蘇散を入れ一夜冷たく浸しておき、
元旦の朝、雑煮を食べる前に、
家族の一年の健康と幸せを願って飲むのが一般的でしょうか。


<漢字の読み方>
屠蘇(トソ)
延寿屠蘇散(エンジュトソサン)
華陀(カダ)
邪気を屠(ホフ)り、魂を蘇(ヨミガエ)らせる
白朮(ビャクジュツ)、山椒(サンショウ)、防風(ボウフウ)、桂皮(ケイヒ)、
桔梗(キキョウ)、細辛(サイシン)
四方拝(シホウハイ)


江部康二