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2018年糖質制限食十大ニュース。
こんにちは .

2018年もブログ読者の皆さんには、
コメントや質問など、たくさんの応援をいただきありがとうございました。
引き続き来年もよろしくお願い申し上げます。

2018年は、2017年ほどインパクトの大きいニュースはありませんでしたが、
それなりにいろいろありました。

2018年も恒例となった糖質制限食10大ニュースを、
本ブログ記事のなかから、選んでみました。

それでは、良いお年をお迎えください。  m(_ _)m


①大坂なおみ選手と糖質制限食。
2018年09月12日 (水)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4676.html
①「ティーン・ヴォーグ」が特集。新女王の食生活は「炭水化物はとらない」
2018年09月13日 (木)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4678.html

何と言っても、大坂なおみ選手の全米オープン優勝はとても嬉しい話題でしたね。
バインコーチの言によれば、少なくとも夕食は、
「チーム・ナオミ」全員が糖質制限食ですね。
まあ、朝はベーグルですから糖質ありです。
ジョコビッチ選手と同様に、朝昼は糖質ありで、
夕食は糖質制限食を実践して体型・体力を維持ということと思われます。
ともあれ、大坂選手、ジョコビッチ選手
男女の2018年全米オープン優勝者が、共に夕食は糖質制限食とは嬉しい限りです。


②エンゼルス、大谷翔平選手の減量期は、スーパー糖質制限食。
2018年04月13日 (金)

とてもユニークでリーゾナブルなのは
「増量期」と「減量期」で、摂取する栄養素を明確に区分したことです。
「増量期:糖質の摂取」→「減量期:糖質制限」
とメリハリをつけ、肉体改造・筋力強化に成功しています。
増量期には、糖質も摂取しつつ充分量のタンパク質も摂取して、
一旦、体重と筋肉を増やします。
筋力の増強という意味では、<タンパク質+糖質>の方が有利です。
増量期には、一緒に脂肪もつきますから、
減量期には、ストイックに糖質制限をして、筋力は残しつつ
脂肪をしっかり燃やして、体脂肪率を下げ、動きやすい肉体に持って行きます。


③果糖は ブドウ糖の約100倍、AGEsを生じやすい。
2018年08月16日 (木)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4649.html

果物はヘルシーなイメージがありますが、
果物に含まれる糖質は、果糖・ブドウ糖・ショ糖などです。
その中で果糖は、ブドウ糖の約100倍、AGEsを生じやすく
極めて危険な物質です。
私も、果糖とAGEsに関して、しっかり調べるまでは
このことに気がついていませんでした。
なお帝京大学医学部の山内俊一教授の他の論文では
ブドウ糖の数十倍AGEsを生じやすいとされています。
AGEsは糖尿病合併症の元凶であり、<糖化⇒老化>の元凶でもあります。


④糖質制限食と糖尿人とAGEs。合併症予防。自己責任。

2018年03月12日 (月)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4502.html
糖尿人は耐糖能が低下していますので、
糖質を摂取すると必ず
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じます。
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」は最大の酸化ストレスリスクであり、
AGEsを生じ、糖尿病合併症の元凶とされています。
従って、普通の糖質摂取比率が50~60%の食事というのは
糖尿人にとっては、明確に害悪であり毒と言っても過言ではないと思います。
現行の糖尿病食は、誠に遺憾ながら「合併症製造食」としか言いようがありません。
体内で作られるAGEsが糖尿病合併症を引き起こすと考えられます。


⑤百寿者は、しっかり食べている。タンパク質摂取が大事。
2018年02月24日 (土)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4488.html

百寿者は少食や粗食ではなくて、しっかり食べているそうです。
とくに高齢になると。タンパク質摂取が大事で、
痩せないように充分量のエネルギーを摂取することも肝要です。。


⑥縄文の犬は人間と一心同体で肉食性が高い。
2018年05月21日 (月)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4566.html

骨が含む窒素や炭素の分析で、縄文の犬の食性を分析したところ、
近くで出土した人骨同様に肉食性が高いことが判明しました。
少なくとも、
愛媛県久万高原町(くまこうげんちょう)の
「上黒岩岩陰(かみくろいわいわかげ)遺跡」
では、人も犬も肉食性が高いことがわかったのは、
私としては、大変喜ばしいことです。
久万高原町は愛媛県の中央部ですから、内陸で海には面していません。

他の日本列島の一般的な縄文遺跡では、
木の実などが主食のことが多かったと思いますが、
上黒岩岩陰(かみくろいわいわかげ)遺跡では、
野生動物が豊富に獲れたのでしょう。
勿論、木の実も食べているでしょうが、
肉があればそれを優先的に食べたのでしょう。


⑦体重減少が減り止まる理由。脂肪細胞の数が関係か?
2018年03月03日 (土)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4494.html

私の友人で、スーパー糖質制限食1年間実践で、
体重が120kgくらいから90kgくらいまで、
約30kgくらい順調に減量成功された方が、2人おられます。
何故か、そこが壁となって、その後もスーパー糖質制限食を続けておられますが
ぴったり減り止まって、3~4年間が経過しました。
結果、BMIは軽く30を超えていて、米国基準でも肥満のままです。
1個1個の脂肪細胞が、大きくなって肥満となった場合、
スーパー糖質制限食なら、速やかに、正常の大きさの脂肪細胞に戻ります。
これが、上記お二人の30kg減量成功に相当すると考えられます。
しかし、脂肪細胞の数が、増加していた場合は、
数は減少しないので、そこで減り止まると考えられます。


⑧『糖質制限食十箇条』 2018年6月版
2018年06月10日 (日)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4586.html

糖尿病の人や肥満・メタボリックシンドロームや生活習慣病の人の
治療と予防には 糖質制限食がベストの食事療法です。
そして 『糖質制限食』実践により、
糖尿病の人では
「食後高血糖(グルコーススパイク)」と「平均血糖変動幅増大」
が予防でき、血糖コントロール良好となります。
耐糖能正常型の人においても、「グルコースミニスパイク」が予防できるので、
生活習慣病の予防・治療ができます。
このことが食事療法において根源的に大切です。
糖質制限食十箇条、日々進化しておりますので、お見逃しなく。


⑨コーヒーと血糖値。家族性高コレステロール血症と糖質制限食。
2018年10月11日 (木)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4704.html
コーヒーと糖尿病に関しては、メリットとデメリットがあります。
自分の場合はどうなのかをしっかり把握して、
自己責任でコーヒーを飲むと言うことですね。
ともあれ、カフェインが結構直接血糖値を上げるという事実は知っておく必要があります。
コーヒー1杯150mlに、「糖質が1.05g 、カフェインが90mg」 です。
個人差が大きいようですが、
コーヒー1杯で数10mg血糖値を上昇させる場合さえもあるようです。
私の場合は、数mg~10mgくらい上昇です。
カフェインの含まれている紅茶やウーロン茶でも、同じ事ですね。

⑩糖質制限流行で「冷や飯」のコメ、農水省が支援サイト。逆行は残念!!
2018年10月29日 (月)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4721.html

毎年、米が8万トン、砂糖は2万トンのペースで消費が減っているとは
健康には良いことです。
日本国民の多くが、健康のために身を守っている成果と言えるかもしれません。
しかし、農林水産省は、それなりに焦っているようですね。

⑩’
米国糖尿病学会と欧州糖尿病学会の共同ガイドライン案(2018年8月)

において
『血糖低下薬の第一選択は、今回の推奨においても原則としてメトホルミン単剤である』
としています。
「メトホルミン単独で効果がないときは、SGLT2阻害薬あるいはGLP-1アナログ製剤を追加」
ということであり、SGLT2阻害薬の評価が、以前に比し高くなっています。


江部康二

以下は、番外でそれなりに面白いと思われる記事や本です。


*食品別糖質量ハンドブック、新版も併せて累計22万部突破!
2018年10月13日 (土)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4706.html

*ベーチェット、クローン病が糖質制限食で改善。
2018年02月15日 (木)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4479.html

*糖尿病網膜症が糖質制限食で改善。
2018年04月20日 (金)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4537.html

*auスマートパスで、初の糖質制限アプリのご紹介です。
2018年04月11日 (水)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4529.html

*糖質制限食16年間実践中の江部康二の2018年10月の検査データ
2018年10月21日 (日)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4713.html

*京都市で私がよく行く糖質制限OKレストランのご案内。2018年11月。
2018年11月15日 (木)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4737.html

*『水野真紀の魔法のレストラン』に出演。放映は4/25、水曜日よる7時。
2018年04月23日 (月)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4540.html

*読売テレビのおはようドクター。出演。2018/4/28(土)。
2018年04月27日 (金)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4544.html




☆☆☆江部康二2017年度の本

いくら食べても太らない! 旨い酒のつまみ 宝島社 (2018/5/16) 刊行
2018年05月12日 (土)


医者が教える やせる冷凍つくりおき。宝島社(2018/6/23)。
2018年07月03日 (火)

決定版! スグやせ! 糖質オフのラクうまレシピ150 。ナツメ社 (6/14)。刊行。
2018年07月11日 (水)


男・50代からの糖質制限: ストーリーで学べる最強の食事法
2018年09月10日 (月)


女性のためのラクやせ糖質制限ハンドブック(洋泉社)刊行。
2018年09月27日 (木)


男性のための糖質制限最強ダイエットハンドブック 江部 康二 (著) 刊行
2018年10月27日 (土)




ビタミンB6・B12サプリは男性の肺がんリスクを上昇させる
2018年02月09日 (金)


災害時の糖質制限食。
2018年02月17日 (土)

日本、赤ちゃんに最も安全、 新生児死亡率1000人当たり0.9人。江戸時代は?
2018年02月20日 (火)


日本は糖質制限の理想郷か。スウェーデンにも糖質制限あり。
2018年03月06日 (火)


年収少ない女性ほど肥満リスク大。米国でも貧困層の肥満あり。
2018年03月08日 (木)



ターザン。2018/4/12号。先駆者二人が「過去・現在・未来」を語る。
2018年03月25日 (日)


CGMとFGM、SMBG。
2018年07月16日 (月)


第61回 日本糖尿病学会 年次学術集会、シンポジウム31 食事療法の展望
2018年05月29日 (火)


昔は短命の理由。糖質制限食と平均寿命。
こんばんは。

糖質制限食は、アバウトに言えば、
700万年間の狩猟・採集時代のご先祖の食生活が一つのモデルです。
しかし狩猟・採集時代のご先祖の平均寿命は、
農耕開始以降の寿命より短いのではないかという問題があります。
つまり、糖質制限食時代のほうが、
農耕時代(糖質時代)より平均寿命が短いということですね。

あと、簡単に言えば、農耕時代に限っても
「昔は短命」という事実があります。

平均寿命に関しては、
『食糧事情』『周産期死亡』『飲料水と感染症』『環境』などが大きく関与していますので、
以下考察してみます。

昔にもいろいろありますが、
この「昔は短命」には食生活もかなり関係していると思います。
飢餓で亡くなった時代もありますから、
食糧事情の安定化が平均寿命に大きく関与しています。
例えば日本の戦後の平均寿命の増加には、食料事情の安定化の寄与が大きいです。

ついで、医療の発達も平均寿命増加の大きな要因です。
0才児の平均余命が「平均寿命」です。
平均寿命でポイントとなるのが乳幼児死亡率です。
例えば江戸時代の平均寿命は30~40歳と短いのですが、
生まれた子どもの半分以上が5歳までに死亡していたようです。
出産時の死亡や周産期の死亡、その後は感染症での死亡もあります。
麻疹や天然痘、コレラやインフルエンザ、
そして脚気でも多くの人が亡くなっています。
飢饉や火事、台風、水害など災害でも多くの人が亡くなっています。
江戸時代は出産で死亡する女性もかなり多かったとされています。

江戸時代も含め、昔は
赤ちゃんや乳幼児の死亡率、そして出産時の死亡率が高いので、
必然的に、平均寿命は短くなります。
実は、明治時代までは、
乳幼児死亡率と出産時の赤ちゃんの死亡率はかなり高かったのです。

赤ちゃんや乳幼児死亡、出産で死亡する女性は
医療の発展で激減しました。
江戸、明治までは、医療が未発達だったので、
赤ちゃんの死亡や出産時に死亡する女性は、かなり多かったのです。

平成の時代に、赤ちゃんが亡くなるとか、出産時に母親が亡くなることは
極めてまれなできごとなので、大変な事態なのですが、
江戸、明治では日常的な出来事だったのです。

三つ目は、上下水道の発達です。
これにより、伝染性の感染症などによる死亡が大幅に減少しました。
しかし現在でも世界で6億人以上の人々が、安心して飲める水がなく、
川、湖、沼、整備されていない井戸などを飲料水をせざるを得ない状況にあります。
その半数近くが、サハラ以南のアフリカ諸国に集中していますが、
これらの地域では、飲料水からの感染症が多発しています 。

四つ目に環境がありました。
クレバスや滝に落ちる、氷期で寒さで凍える、肉食獣に食べられる、火山の爆発で地域全体が低温に・・・

6600万年前に巨大隕石が今のメキシコ・ユカタン半島付近に衝突し、
恐竜を始めとして地球上の動物のほとんどが滅亡したことが
ありますが、これは人類誕生以前ですね。

このように考察してくると、
現代のように食糧事情、上下水道、医療水準、環境が安定している中での糖質制限食なら
動脈硬化や西洋型がんの予防が期待でき、
血流・代謝が良くなり免疫力も増強で肺炎予防効果もあり、
平均寿命が延びる可能性が高いのです。




江部康二
糖質制限食と尿酸値について
【18/12/27 nathan
糖質制限と尿酸値について
江部先生

毎年会社の健康診断を受け、年々空腹時血糖値が上昇し続けていたのですが、
再検査にも行かずに無視しておりました。
その後、疲れを酷く感じるようになったのがきっかけで、再検査に行き、
糖尿病であることを初めて認識しました。
先ずは減量をという事で、調べるうちに江部先生のブログにたどり着き、
以来、糖質制限を継続しております。

2014/2       2018/12
体重 79        61
血糖値 204      91
HbA1c 9.9       5.2
尿酸値 7.1       9.5

尿酸値は、糖質制限前から高い為、痛風発作を恐れていたのですが、
日ごろのストレスと年末の大酒飲みを続けた結果、
先週、痛風の発作で病院に行きました。
今後、寛解したら、薬(ベンズブロマロン)で尿酸値を調整する予定です。
せっかく糖尿病の薬やインシュリン注射をせずに過ごせたので、残念なのですが、
やはり尿酸値は薬で調整すべきでしょうか?】




こんにちは。

nathan さんから、糖質制限食と尿酸値について、コメント・質問を頂きました。

nathan さん、減量成功、血糖値改善、良かったですね。
肥満が改善しているので、お酒を減らせば、尿酸を下げる薬なしでも
尿酸値のコントロールが可能となる可能性はあります。
あと、低カロリーになり過ぎないように注意しましょう。

今回の記事は、糖質制限食と血清尿酸値についての考察です。
尿酸値に関しては、糖質制限食実践で、
減少する人、不変の人、増加する人と個人差が大きいです。

もともと尿酸が高値だったのが糖質制限食で基準値になる人がいますが、
これは問題ないですね。
肥満がある人が糖質制限食で減量に成功したら、
尿酸値が基準値になることは考えられます。

もともと尿酸値は正常だったのに、糖質制限食実践後にで高値となる人が時々おられます。
尿酸高値の一番多い原因は、糖質を制限したことではなく、
結果として低カロリー過ぎた場合です。

糖質制限食開始後、急に尿酸値が上昇したときは、栄養指導で確認したところ、
ほとんどの人において、摂取エネルギー不足でした。

尿酸は尿から排泄されるだけでなく、消化液や汗からも排泄されます。
腎臓からの排泄は約3/4を占め一番多いですが、 消化液や汗からの排泄機能も、
血清尿酸値の個人差にある程度関係しているのでしょう。

体内で尿酸をつくり過ぎるか尿からの排泄が悪いため、
高尿酸血症になると考えられてきましたが、
これらに腸からの排泄障害や皮膚の汗からの排泄障害も加わることとなりました。

あくまでも私見ですが、この腸や皮膚からの尿酸排泄は、
生活習慣やストレスの影響を一番受けやすいような気がします。
ただ、低カロリーすぎると、どんな内容の食事でも、
尿酸値が上昇するので注意が必要です。
例えば断食(絶食)をすると、尿酸値は急激に上昇します。
断食前6mg/dlが、断食中は9~10mg/dlに急上昇したりします。


さて糖質制限食を実践すれば、相対的に高タンパク・高脂質食となります。
一般に高タンパク食だと尿酸値が上昇するとされていますが、
ことはそれほど単純ではありません。

例えば、江部康二は、2002年以来16年間、
スーパー糖質制限食実践で130g~150g/日のタンパク質を摂取していて、
かなりの高タンパク食です。
しかしながら、尿酸値はこの10年間、
一貫して2.4~3.5mg/dl(基準値は3.4~7.0)程度と低い方です。

尿酸は体内の酸化ストレスに対抗する物質という説があります。
私はスーパー糖質制限食で体内の酸化ストレスが少ないので、
尿酸も少なくてすんでいるというポジティブな仮説もありかと考えています。

通常、糖質制限食開始後に、一旦、尿酸値が上昇した人も、
摂取エネルギー不足を解消すれば
速やかに元の値に戻ることが多いので経過をみて良いと思います。
ただ、過去痛風発作を起こしたことがある人は、内服薬も考慮する必要があります。

過去痛風発作を起こしたことがない場合は、
尿酸8~9mg/dlとかでも、経過をみてよいと思います。

過去尿路結石のあった人や家系的に腎臓結石持の方々は、
尿酸が高値となったときは、梅干しを食べるとか、
わかめ・ほうれん草・大根・キャベツ・茄子・しいたけなど摂取で、
尿をアルカリに保って尿酸が結晶化しにくいようして、
尿酸値が基準値にもどるのを待つのが安全と思います。
尿路結石の予防になります。

尿酸値は、従来、肉の摂りすぎや、
ビールの飲み過ぎで高値となるということが常識だったのですが、
食事由来のプリン体は総量の約20%に過ぎず、
体内で生合成するプリン体80%に比し、かなり少ないということが判明しました。

自らが痛風患者であり、痛風専門医でもある、
元鹿児島大学病院内科教授、納(おさめ)光弘先生によれば、
食事よりストレスや肥満の方が、尿酸値への影響が多いことがわかってきました。

<尿酸を上昇させる要因>
尿酸を確実に上昇させるのは、重要なものから順番に

1、ストレス
2、肥満
3、大量の飲酒
4、激しい運動
5、プリン体の摂りすぎ


だそうです。

尿酸値に影響を与える5つの要素について、詳しく見ていきましょう。

1 ストレス
実はストレスが一番尿酸値を上昇させます。
鹿児島大学の納光弘先生もご自身が痛風でして、
徹底的に自分で人体実験をされて、
ビールより何よりストレスが高尿酸血症の原因と断定しておられます。
納先生ご自身は、学会の会頭を引き受けて忙しくてプレッシャーが高かった時期が
最も尿酸値が上昇したそうです。
学会が終了したら、ビールを飲んでも下がったそうです。
これは、もっぱら心理的ストレスですね。
一方、断食は究極の肉体的ストレスという見方もできます。

2 肥満
体重増加も尿酸を増加させる要因なので、糖質制限食で減量すると、
尿酸値も低下すると思います。
肥満が改善すれば、尿酸値も改善する可能性があります。

3 飲酒
アルコールを大量に(日本酒1日3合程度以上)飲めば尿酸値は上昇し、
断酒すれば下降します。
アルコールが尿酸値に影響を与える要因は二つあります。
一つは、アルコールが代謝の途中で乳酸になり、
乳酸が腎臓からの尿酸排泄を抑制すること。
もう一つは、継続的に多量にアルコールを摂取したときに(日本酒1日4合以上を毎日)、
アルコールが尿酸の代謝を促進させて尿酸値が上がることです。

なお、お酒に含まれているプリン体自身の量は、
体内の尿酸プールの量に比べて少ないのでほとんど影響はありません。
例えばビール大瓶633㏄中のプリン体はたったの32.4㎎に過ぎません。
適量のアルコールならストレスが解消され尿酸値を下げます。
適量の目安は、日本酒1.5合、ビール約750㏄、
ワイングラス2杯、焼酎のお湯割りコップ2杯程度です。

4 激しい運動
激しい運動は尿酸を上昇させますが、軽い有酸素運動は大丈夫です。

5 プリン体の摂りすぎ
プリン体が非常に多い食品はさすがに大量にはとらない方がいいでしょう。
しかし、日常的な食生活の中では、プリン体を気にするほどのことはなさそうです。
何故ならプリン体は約80%が体内で生合成され、
食事由来のプリン体は約20%に過ぎないからです。

☆プリン体の多い食品

(1)きわめて多い(100g中300㎎以上):鶏レバー、白子など

(2)多い(100g中200-300㎎):豚レバー、牛レバー、かつお、
まいわし、大正えびなど


<尿酸の生成と排泄、尿酸プール>


☆尿酸の生成
プリン体の代謝産物として、尿酸が作られます。
一日で産生される尿酸の総量:約700㎎

☆尿酸の排泄
一日で排出される尿酸の量:約700㎎
・ 尿から排泄:約525㎎(3/4)
・ 汗や消化液から排泄:約175㎎(1/4)

☆尿酸の体内プール
・ 健康な人の体内には常に1200㎎程度の尿酸がプールされています。

尿酸は、このように毎日生産と排泄を繰り返しながら一定量を保っています。

しかし、尿酸の排泄がうまくいかなくなったり、尿酸が体内で作られすぎると、尿酸値が上がります。


**参考
「痛風はビールを飲みながらでも治る」(小学館文庫)2004年
鹿児島大学病院内科教授、納(おさめ)光弘先生 著

**プリン体
プリン体は核酸(DNAおよびRNA)の構成要素として体内で遺伝情報を保存しています。
また生物が生命活動を行う際に必要とするエネルギーは、
プリン体の一種であるアデノシン三リン酸(ATP)から供給されます。

**今回の記事は
帝人ファーマ株式会社
尿酸を下げるためのプロジェクト.com
医療関係者のための高尿酸血症総合情報サイト
https://243sageru.com/toranomaki/purine/1_1/index.html
を参考にし、一部引用させて頂きました。
ありがとうございました。


江部康二
非ステロイド系抗炎症薬と腎障害、胃潰瘍。アセトアミノフェンはOK。
こんばんは。

冬場は感冒やインフルエンザなどに罹る機会が多く、
医療機関に受診すると、結構安易に、解熱剤が処方されるので注意が必要です。
処方される解熱剤のほとんどが、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)です。

2018年12月26日 (水)の記事で
非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)に関して、脳症になるリスクがあるので、
インフルエンザに使用してはいけない
ということを、記事にしました。
より正確には、ウィルス、細菌、原虫などの感染症が存在しての発熱には、
NSAIDsは使用してはいけないということです。

また、この薬は、プロスタグランジンという物質の産生を抑えるために
腎臓への血液の流れが悪くなり、急性腎不全を起こすことがあります。
結構頻度が高く、薬を飲んだ後に尿量が減るようでしたら、要注意です。

実際に、私の糖尿病のご高齢の患者さんで、帯状疱疹になり、
受診した医療機関で、抗ウィルス薬と共に、ロキソニン3錠/日、
一日3回食後に内服となった方がおられました。
7日分の薬を処方されて、
すでに5日間内服した時点で、高雄病院を受診されました。
血液検査したところ、すでにクレアチニン値が悪化していて、
腎不全の状態でした。
軽症でしたので、すぐにロキソニンを中止して、幸いクレアチニン値は改善しました。

プロスタグランジンは全身の様々な組織や器官の細胞に存在します。
結局、NSAIDsは単純に熱を下げるだけではなく、全身の細胞において、
プロスタグランジンという物質の生合成を抑制するのです。

プロスタグランジンは、血圧低下作用や筋肉の収縮作用、黄体退行作用、
血管拡張作用など色々な役割をもつホルモンです。
NSAIDsは、プロスタグランジンの生合成を抑制するのですから、
様々な副作用が出て当たり前なのです。

さらに、痛みや炎症や、解熱の目的で長期に飲み続けると、
胃炎や胃潰瘍の副作用が起こることがあります。
NSAIDsは痛みの元となる物質を作り出す酵素(シクロオキシゲナーゼ:COX:コックス)の働きを妨げて、
解熱や鎮痛、抗炎症作用を発揮する薬です。

COXには2つの種類があり、COX-1は胃粘膜や血管にあって生体の恒常性の維持に、
COX-2は主に刺激があった時に作られ、痛みや炎症に関係しています。

NSAIDsは、COX-2の働きを抑えて、解熱、鎮痛、抗炎症作用を示しますが、
ほとんどのNSAIDsは、COX-2だけでなく、COX-1の働きも抑えるため、
胃酸の分泌が増えたり、胃粘膜の血流が悪くなったりして、
胃炎や胃潰瘍を起こす原因になるのです。

胃炎や胃潰瘍が起こると胃の痛み、吐き気などの症状が起こりますが、
ピロリ菌が元凶の一般的な胃潰瘍に比べ、
NSAIDsによる潰瘍は症状が出にくいのです。
そのため何も症状を感じないうちに、
突然、胃から出血して吐血や下血することがあります。
調査によれば、リウマチなどでNSAIDsを4週間以上内服している場合、
胃粘膜保護剤を内服していても、6割以上の人で、
胃粘膜障害が認められたということです。

このように考察してくると、
ロキソニン、ボルタレン、ポンタール、インダシン、アスピリン・・・
これらのごく一般的なNSAIDsは、有害事象が非常に多いので、
使用は極めて慎重にということです。

長期投与は勿論、基本的には不可です。
例えば、ロキソニン3錠/日とかは、長期投与だと
非常に副作用リスクが高いです。

ロキソニン1~2錠/日は、リウマチなど、症例により、
やむをえず投与することもあると思います。
私は、生理痛とか、頭痛に頓用でなら、許容範囲と思って、
処方することもあります。

結局、
安全に使用できる、解熱剤、鎮痛剤は、アセトアミノフェンだけということです。
アセトアミノフェンは鎮痛・解熱作用を有しており、
NSAIDsと同様にCOXを阻害しますが、
その作用は弱く抗炎症作用はほとんどありません。
そのためアセトアミノフェンはNSAIDsには分類されていません。
アセトアミノフェンの作用機序は、中枢神経におけるCOX阻害と考えられていますが、
詳細な機序は未だに解明されていません。
商品名はカロナール、コカール、アンヒバなどです。

発熱には、アセトアミノフェンを、
成人なら、1回に300~500~600mg、1日2回なら安全です。
年齢、症状により適宜増減で、原則として1日最大1,500mgです。

腰痛や生理痛なら、 成人はアセトアミノフェンとして、
1回300~1000mgを経口服用し、服用間隔は4~6時間以上とし、
年齢、症状により適宜増減しますが、1日総量として4000mgが限度です。

あと、痛みが強いときは、
トラムセット(トラマドール+アセトアミノフェン)が有効です。
トラマドールは非麻薬性オピオイド受容体刺激薬です。
トラムセットには、NSAIDsのような副作用はありませんが、
吐き気がすることがあります。
それで、初期の1~2週間は、吐き気止めと一緒に内服します。


江部康二
インフルエンザと解熱剤。使ってもいいのはアセトアミノフェンだけ。
こんにちは。

インフルエンザと解熱剤に関して、ブログ読者の皆さんを始め、日本中の人に知っておいて欲しいことがあります。

それはインフルエンザ罹患のとき、使ってもいい解熱剤はアセトアミノフェンだけということです。

商品名はカロナール、コカール、アンヒバなどです。

それ以外の、ロキソニン、ボルタレン、ポンタール、インダシン、アスピリン・・・これらの一般的なNSAIDSは、脳症のリスクがあるので全て使用してはいけません。


<脳炎と脳症の違い>

病理学的には、脳炎( encepahlitis)と は、ウィルスが直接脳に侵入、脳細胞に感染して増殖し炎症を起こすもので、脳神経細胞がウィルスによって直接破壊されます。

脳症( encephalopathy) は、脳の中にウィルスが存在しないのに脳が腫脹します。

インフルエンザウィルス感染により、まれに脳症が生じますが、原因は不明とされています。

インフルエンザウィルス自体による脳細胞の直接障害ではなく、何らかの原因により高サイトカイン血症などが引き起こされて、脳に浮腫などの障害をひき起こします。

すなわち、病理学的にはインフルエンザ脳炎は存在せず、インフルエンザ脳症が存在するということになります。

<インフルエンザウィルスは血中に入れない>


現時点でインフルエンザウィルスはA型もB型も新型も血中に入れません。

従って、インフルエンザウィルスが脳に直接感染することはないのです。

インフルエンザウィルスは、上気道・下気道・肺と消化管以外には感染できません。

マスコミでインフルエンザ脳炎とかインフルエンザ脳症と言っているのは、正確には「インフルエンザ関連脳症」という病名が一番適切です。

<麻疹ウィルスやヘルペスウィルスは血中に入れる>


麻疹ウィルスは血中に入れるので、脳にも感染して、まれではありますが、麻疹脳炎を生じ得ます。

ウイルス感染性脳炎としては単純ヘルペス脳炎が最も多いです。

日本脳炎ウィルスや狂犬病ウィルスも、脳炎を起こします。

<インフルエンザ脳症とサイトカインストーム>

インフルエンザ脳症の鍵となる現象は、サイトカイン・ストームと呼ばれる免疫系の異常反応です。

免疫細胞の活性化や機能抑制には、サイトカインと総称される生理活性蛋白質が重要な役割を担っています。

サイトカインは免疫系のバランスの乱れなどによってその制御がうまくいかなくなると、サイトカインストームと呼ばれるサイトカインの過剰な産生状態を引き起こし、ひどい場合には致死的な状態に陥ります。

全身の細胞から通常量をはるかに超えるサイトカインが放出され、体内を嵐のように駆け巡ります。

この過剰なサイトカインストームにより、インフルエンザ関連脳症が生じると考えられています。

サイトカインストームが起こる原因は、今のところ不明です。

しかし解熱剤がサイトカインストームに悪影響を与えている可能性が示唆されています。


<解熱剤>

平成21年の厚生労働省のインフルエンザ脳症ガイドラインには、ジクロフェナクナトリウム(商品名ボルタレン)、メフェナム酸(商品名ポンタール)の内服は、インフルエンザ脳症の予後不良因子の一つに挙げられています。

これらの解熱剤が、インフルエンザ脳症の死亡率を上昇させている可能性が示唆されています。

また、これらの解熱剤が、サイトカインストームを生じたきっかけになっている可能性も否定できません。

結局、安全性が確立している、解熱剤は、アセトアミノフェンだけです。

アセトアミノフェンの商品名は、カロナール、コカール、アンヒバ座薬などです。

インフルエンザにかかったときは、アセトアミノフェン以外の他の解熱剤(ロキソニン、ボルタレン、ポンタール、インダシン、ブレシン、アスピリン・・・)は使用してはいけません。

要するにアセトアミノフェンだけです。

なお、風邪などのウィルス感染でも同様の危険性は有り得ますので、私は、子どもは勿論のこと、
大人にも解熱剤は、基本的的にアセトアミノフェンしか処方しません。



☆☆☆

http://www.jst.go.jp/crest/immunesystem/result/05.html
独立行政法人 科学技術振興機構のサイトから抜粋


免疫系におけるサイトカインの役割

 病原体に対する免疫系の攻撃としては、主に好中球やマクロファージなどの自然免疫系の貪食細胞による貪食作用、キラーT細胞による細胞傷害性物質の放出による宿主細胞の破壊、B細胞が産生する抗体による病原体の不活化などがあります。このような免疫細胞の活性化や機能抑制には、サイトカインと総称される生理活性蛋白質が重要な役割を担っています。サイトカインには白血球が分泌し、免疫系の調節に機能するインターロイキン類、白血球の遊走を誘導するケモカイン類、ウイルスや細胞の増殖を抑制するインターフェロン類など、様々な種類があり、今も発見が続いています。サイトカインは免疫系のバランスの乱れなどによってその制御がうまくいかなくなると、サイトカインストームと呼ばれるサイトカインの過剰な産生状態を引き起こし、ひどい場合には致死的な状態に陥ります。サイトカインは本来の病原体から身を守る役割のほかに、様々な疾患に関与していることが明らかになってきています。

 平野チームは、自ら発見したサイトカインの一種であるIL-6が自己免疫疾患の発症制御において、中心的な役割を担っていることを独自に開発した疾患モデルマウスを用いて明らかにしています。また、免疫細胞の中枢神経系への侵入口を発見したことから、神経系自己免疫疾患の発症仮説を提唱しています。岩倉チームは、炎症性サイトカインであるIL-17ファミリー分子の機能的役割を解析する中で、これらファミリー分子が感染防御と炎症抑制において、役割分担されていることを見出しています。



江部康二
インフルエンザ流行。予防接種の効果は?
こんにちは。

2018/12/21日(金)厚生労働省から発表された
12月10日〜12月16日までのインフルエンザ発生状況によると、
全国の推計患者者数が約11.8万人で、
前週の12月上旬の推計値約 6.3 万人からほぼ倍増しているそうです。
今年もインフルエンザが流行シーズンに入ったと言えます。
12/27(木)からは、日本列島全体に、強い寒気が襲来するので、
ますます要注意ですね。

さて、インフルエンザワクチンを接種した人も接種してない人もいると思います。
今年のワクチンは、4種類のインフルエンザウイルス株が含まれています。
是非、知っておいて欲しいことは、
インフルエンザワクチンは万能ではないということです。

すなわち感染防御力は基本的になくて、
重症化を防ぐことが期待されるていどの効能です。
ワクチンを打っている人も打っていない人も、
手洗い、うがい、マスクがインフルエンザ予防の基本ですね。
特に、手洗いが思った以上に有効です。
ドアノブや電車のつり革など様々なものに触れることにより、 
自分の手にもウイルスが付着している可能性があります。
外出先から帰宅時や調理の前後、食事前などこまめに手を洗いましょう。
咳やくしゃみで飛んだ飛沫が服についても、数時間で感染力を失うとされています。
外出から帰宅したら着替えすることも予防に役立ちます。

以下の青字は、厚生労働省サイトの記載です。
インフルエンザの予防にはみんなの「かからない」、「うつさない」という気持ちが大切です。
手洗いでインフルエンザを予防して、かかったら、マスク等せきエチケットも忘れないでください。


インフルエンザにかかった人は、必ずマスクをして他人にうつさないように配慮が必要です。


<インフルエンザワクチンの有効性>
インフルエンザワクチンは、A型にもB型にも対応しています。
しかし、実は現行のインフルエンザワクチンには、
水際で感染をシャットアウトするような効果はありません。
感染した後、重症化を防ぐ効果が期待されるという程度なので、過信するのは禁物です。

理論的に考えても、ワクチンを接種することにより
IgG抗体が血液・体液中に産生されますが、
粘膜面を防御しているIgA抗体は全くできません。
従って、インフルエンザウィルスが、
咽や鼻の粘膜を突破して細胞内に侵入した後(感染が成立した後)、
はじめてIgG抗体がかけつけて戦うことになります。
欧米では、鼻への噴霧ワクチンで、粘膜面のIgA抗体をつくる試みもされていますが
あまり上手くいっていません。
IgA抗体を充分量増やす技術が難しいようです。

下記の青字は国立感染研究所のホームページからの抜粋です。
http://www0.nih.go.jp/niid/topics/influenza01.html

【7.インフルエンザワクチンの問題点
(2)「現行ワクチンの感染防御効果や発症阻止効果は完全ではありませんので、
ワクチン接種を受けてもインフルエンザに罹患する場合があり、
この場合には患者はウイルスを外部に排泄し、感染源となります。
従って、集団接種を行っても社会全体のインフルエンザ流行を
完全に阻止することは難しいと考えられます。」

(6)「現行のインフルエンザワクチンは皮下接種されています。
しかし、不活化ワクチンの皮下接種では、
インフルエンザウイルスの感染防御に中心的役割を果たすと考えられる
気道の粘膜免疫や、
回復過程に重要であると考えられる細胞性免疫がほとんど誘導されません。
これは、インフルエンザウイルスの感染そのものを防御すると言う面では
大きな短所であると考えられています。
しかし、この様な欠点を持ちながらも、先に述べたように、
ハイリスク群に対する現行インフルエンザワクチンの効果は明らかに認められています。
また、ワクチンの皮下接種でも血中の抗体産生は十分に刺激できるので、
インフルエンザに続発する肺炎などの合併症や
最近問題となっているインフルエンザ脳炎・脳症の発生を抑えることには
期待出来ると考えられています。」



<集団感染>

 東京・練馬区の特別養護老人ホームで、
入所者49人が年末から年始(2017/2018)にかけて相次いでインフルエンザに感染していることがわかりました。
このうち、症状が重かった6人が医療機関に入院したということですが、
現在は回復しているということです。
 前橋市は2017年12月28日、
同市内の病院の入院棟にいた入院患者26人と職員4人の計30人がインフルエンザに集団感染し、
このうち80代の女性が死亡したと発表しました。
これらの集団感染において、ほとんどの人はインフルエンザワクチンを接種していました。
このように、感染防御にはワクチンは、
実際にまったく無力だったことが明らかとなりました。

そもそもインフルエンザワクチンは
「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」ということが効能です。
感染を防ぐためには、「手洗い、うがい、マスク」が必須です。


<誤解>

ところが、相変わらず多くの患者さんや医師が、ワクチンを接種していれば、
水際で感染防御できると誤解しておられるのです。
私は、過去10年間以上、友人の医師などに、
感染防御はできないと口を酸っぱくして言い続けてきたのですが、
皆なかなか信じてもらえませんでした。
どこかで誤った情報が流され続けていたのでしょうね。
ここ数年、新聞などでもやっと、
「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」という真実が報道されるようになりました。
逆に言えば、過去10年以上、
あたかも感染防御できるような内容の報道に終始していたわけで、
そのことに関して自己批判も反省もないのは如何なものでしょう。

インフルエンザワクチン注射を希望する患者さんがこられたら、
私はこのことを説明して、
「手洗いやうがい、人混みを避けるなど、基本的なことが感染防御には大事なので、
ワクチンを接種したからといって油断しないでくださいね。」
と付け加えます。

<必要性>

別に私は、ワクチンが無意味といっているのではありません。
65歳以上の高齢者、呼吸器系や循環器系に慢性疾患を持つ患者、
糖尿病、腎臓病などの慢性疾患の患者、免疫低下状態の患者などでは、
インフルエンザに罹患し重症化すれば、肺炎などの重篤な合併症になり、
生命に危険が及ぶこともありますから必要だと思います。
若い人でも、受験生などは重症化したら困りますから、
接種する意味はありますね。

<感染防御>
①医療関係者は、インフルエンザ患者を診察するときはマスクをする。
 診察が終わったら必ず手洗いをし、使い捨て紙タオルでふく。
 マスクをはずしたときはうがいをする。
②急性の咳や熱がでている当事者はエチケットとして、マスクをする。
③満員電車の中など避けようがない密閉された場所にいくときはマスクをして乗る。
④人混みにでたあとは、手洗い・うがいを励行する。
⑤家族が一人インフルエンザに罹患したら、家の中でも当事者はマスクをする。
  その一人は、違う部屋で寝る。
⑥咳で飛沫が飛ぶのは約1mであるので当事者から距離を取る。
⑦鼻水や痰を封じ込めるためにティッシュを使用し、使用後のティッシュは、
 できればノンタッチごみ箱に廃棄すること

ブログ読者の皆さん、インフルエンザワクチンを接種している人も、
感染防御効果はないことをしっかり認識して、
上記①~⑦を励行してくださいね。

これが実行されていれば、上述のような院内感染が猛威をふるうことはなかったでしょう。

<終わりに>
インフルエンザワクチン接種に、賛成の人も反対の人もあると思います。
ブログ読者の皆さんには、
インフルエンザワクチンの真実を知ってもらいたくて今回記事にしました。

江部康二
NHKカルチャー青山教室・糖質制限食講座のご案内。2019/2/24(日)。
こんにちは。

NHKカルチャー青山教室講座
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1163502.html
電話:03-3475-1151
美味しく楽しく健康に!糖質制限食のすすめ
講師:高雄病院理事長 江部 康二
2019/2/24(日) 13:00~14:30 


のご案内です。
NHKカルチャー青山教室では、初めての講座です。
糖質制限食の最新の知識や情報をわかりやすく楽しくお話します。
70分間の講演と20分間の質疑応答となります。
東京、関東方面の方々、
是非ご参加いただけば幸いです。

お陰様で、糖質制限食は順調に普及してきています。
2005年に私が「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)
を日本初の糖質制限食の本として刊行したころとは、大きな違いがあります。
なんと言っても、2013年10月に米国糖尿病学会が5年ぶりに改訂した
「栄養療法に関する声明」のなかで、
地中海食、ベジタリアン食、高血圧食、脂肪制限食などともに
「糖質制限食」を正式に容認したことが、
大きな追い風となりました。

この1~3年、糖質制限食の展開において大きな発展があり
いい意味のサプライズもありました。
2016年7月のNHKクローズアップ現代の試算によれば、
糖質制限市場は、3184億円とのことです。
医学界より、企業のほうが糖質制限食をビジネスチャンスと捉えて
行動が迅速なようです。
くら寿司やガストなども糖質制限メニューを投入で、なかなかのものです。

一方、医学界においても、嬉しいサプライズです。
2017年2月7日(火)午後から、生まれて初めて東京大学医学部に行ってきました。
教授室で、渡邊昌先生、門脇孝先生、江部康二の3人で鼎談を行いました。
二人で話し合うのが対談で、三人で話し合うのが鼎談です。
渡邊昌先生は、医学雑誌「医と食」の編集長です。
門脇孝先生は、
一般社団法人 日本糖尿病学会 理事長
であり、
東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科教授
です。
日本糖尿病学会のトップとじっくり話し合うことができて、
とても有意義な90分間でした。

2017年8月には、
「炭水化物の摂取増加で死亡リスク上昇」
という結論のランセット(Lancet)論文が発表され、
糖質制限食にとって大きな追い風となりました。
Lancet誌オンライン版2017年8月29日号掲載
https://doi.org/10.1016/S0140-6736(17)32252-3

糖質制限食の発展、まさに、今昔の感ありですね。

江部康二


☆☆☆
以下はNHKカルチャー青山教室のサイトから一部抜粋です・

https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1163502.html
NHKカルチャー青山教室講座



日時
2018年2月24日(日) 13:00~14:30

講演テーマ
「美味しく楽しく健康に!糖質制限食のすすめ」

講師
高雄病院理事長 江部康二医師

内容紹介
近年注目されている糖質制限について、2002年からご自身も実践し、
肥満と糖尿病を克服された江部康二先生による講演会です。
数多くの臨床活動を通して、糖尿病、肥満、メタボリックシンドロームなどに対する
糖質制限食の画期的な治療効果が証明されています。
運動を勧められても長続きしなかった方や
色々なダイエットを試したけれど効果が表れなかった方、
またこれから糖質制限食を始めてみようと思われている方に向け、
その正しい知識と治療効果、カロリー制限食と糖質制限食の比較、注意点等を
お話しします。
糖質制限食で、明日からの食生活を美味しく・楽しく・健康に!

受講料
会員 3,369円
一般(入会不要) 4,050円

電話
03-3475-1151


減量後の低炭水化物食は高炭水化物食に比しエネルギー消費量を増大させる。
【一旦、減量させたあと、
炭水化物含有量が違う3つの試験ダイエット
①60%の高量群、
②40%の中量群、
③20%の低量群 、
を実施したところ、
20%の低量炭水化物群において、最も エネルギー消費量が増大 した。】

Ebbeling CB, et al. BMJ. 2018;363:k4583.



という結論の論文が、
ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル2018年11月14日号に報告されました。
以下、難しい用語を省いて、ごくわかりやすく要約してみました。


【この研究はRCT(無作為化比較試験)であり、
米国2施設で2014年8月~2017年5月に行われました。
被験者は、18~65歳でBMI値25以上の164例です。

被験者は、まず導入ダイエット期間(9~10週間)に体重を12%減少させた後、
炭水化物含有量が違う
3つの試験ダイエット(60%の高量群、40%の中量群、20%の低量群)
のうち1つを、
20週間続けるよう、無作為に割り付けられました。
2kg以内の範囲で体重減を維持するために、
各試験ダイエット群は、たんぱく質でエネルギーを調整されました。

総エネルギー消費量は、各ダイエットによって異なり、
炭水化物含有量10%減少につき、
総エネルギー消費量は52kcal/日増大する線形の傾向が認められました。

体重減前のインスリン分泌能が高いほど、
低炭水化物ダイエットの効果が大きくなりました。】


一般にカロリー制限食で減量した場合、
基礎代謝量も低下するので、半年くらいで、減量効果はなくなり、
通常のカロリーに戻したら、リバウンドするというパターンとなります。

糖質制限食以外の『従来の様々な減量のための食事療法』は、
そのほぼ全てが、基本原理はカロリー制限食です。
そのため、従来のダイエット療法は結局は継続困難であり、
皆、3ヶ月から半年で廃れて消えていきました。

糖質制限食だけは、唯一、
2005年に「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)
上梓して以来、10年以上継続していて、勢いはどんどん盛んになっています。

今回の研究で、
炭水化物摂取比率20%の群が、40%群や60%群に比し、
エネルギー消費量が最も増大することが明らかとなりました。
又、炭水化物含有量10%減少につき、
総エネルギー消費量は52kcal/日増大することもわかりました。

つまり、通常のカロリー制限ダイエットと異なり
糖質制限ダイエットは、消費エネルギーが減るどころが増大するということであり、
非常に大きな利点と言えます。

高雄病院の「スーパー糖質制限食」は、糖質摂取比率が、12%くらいなので
本研究の糖質摂取比率20%群よりさらに、消費エネルギーが増大する計算です。


結論です。
糖質制限食はダイエットの王道であり、
消費エネルギーが増大する唯一の食事療法です。



江部康二


NHKカルチャー福岡教室講座・2019/2/3(日)のご案内。
こんにちは。

NHKカルチャー福岡教室講座
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1162582.html
電話:092-271-2100
糖質制限食のすすめ
~美味しく楽しく健康に~
講師:高雄病院理事長 江部 康二
2019/2/3(日) 14:00~15:30 


のご案内です。
NHKカルチャー福岡教室では、初めての講座です。
糖質制限食の最新の知識や情報をわかりやすく楽しくお話します。
70分間の講演と20分間の質疑応答となります。
福岡、北九州、佐賀、熊本、大分方面の方々、
是非ご参加いただけば幸いです。

お陰様で、糖質制限食は順調に普及してきています。
2005年に私が「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)
を日本初の糖質制限食の本として刊行したころとは、大きな違いがあります。
なんと言っても、2013年10月に米国糖尿病学会が5年ぶりに改訂した
「栄養療法に関する声明」のなかで、
地中海食、ベジタリアン食、高血圧食、脂肪制限食などともに
「糖質制限食」を正式に容認したことが、
大きな追い風となりました。

この1~3年、糖質制限食の展開において大きな発展があり
いい意味のサプライズもありました。
2016年7月のNHKクローズアップ現代の試算によれば、
糖質制限市場は、3184億円とのことです。
医学界より、企業のほうが糖質制限食をビジネスチャンスと捉えて
行動が迅速なようです。
くら寿司やガストなども糖質制限メニューを投入で、なかなかのものです。

一方、医学界においても、嬉しいサプライズです。
2017年2月7日(火)午後から、生まれて初めて東京大学医学部に行ってきました。
教授室で、渡邊昌先生、門脇孝先生、江部康二の3人で鼎談を行いました。
二人で話し合うのが対談で、三人で話し合うのが鼎談です。
渡邊昌先生は、医学雑誌「医と食」の編集長です。
門脇孝先生は、
一般社団法人 日本糖尿病学会 理事長
であり、
東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科教授
です。
日本糖尿病学会のトップとじっくり話し合うことができて、
とても有意義な90分間でした。

2017年8月には、
「炭水化物の摂取増加で死亡リスク上昇」
という結論のランセット(Lancet)論文が発表され、
糖質制限食にとって大きな追い風となりました。
Lancet誌オンライン版2017年8月29日号掲載
https://doi.org/10.1016/S0140-6736(17)32252-3

糖質制限食の発展、まさに、今昔の感ありですね。

江部康二


☆☆☆
以下はNHKカルチャー福岡教室のサイトから一部抜粋です・

https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1162582.html
NHKカルチャー福岡教室講座



日時
2018年2月3日(日)

講演テーマ
「糖質制限食のすすめ~美味しく楽しく健康に~」

講師
高雄病院理事長 江部康二医師

内容紹介
糖尿病・メタボ・生活習慣病でお悩みの方、
ダイエットが続かない方に向け、
糖質制限の正しい知識と効果を説明します。
多くの研究論文により、糖尿病、肥満などに対する
糖質制限食の画期的な治療効果が証明されています。
最近、糖質制限食に対する根拠のない批判記事が、
時にメディアへ掲載されることがありますが、
そのたびに私は自分のブログ『ドクター江部の糖尿病徒然日記』で
しっかり反論しています。
本講座では、糖質制限食の有効性と安全性、
カロリー制限食と糖質制限食の比較、注意点等をお話しします。

受講料
会員 3,369円
一般(入会不要) 3,931円

電話
092-271-2100


スーパー糖質制限食とスポーツとスタミナ。
こんにちは。

高雄病院給食で提供しているスーパー糖質制限食だと、
1日に30g~60g以下の糖質摂取です。
『ケトジェニックダイエット』 であり、糖質摂取比率は12%くらいです。

私の場合は、朝は<コーヒー+生クリーム>で
昼夕の1日2食ですので、20g/日くらいの糖質摂取量で、
糖質摂取比率は、4~5%くらいです。

私の血中ケトン体は、660~1590μM/L(26~122μM/L)レベルであり
「ケトン体質」になっています。
私は、テニスの試合中でも、速歩中でも、まったく息切れはしませんし、
スタミナも充分です。
同年配のテニス仲間は、たいてい、試合中に息切れしていますし、
3~4試合すると動きがやや重くなります。

私の場合、筋肉のほとんどのエネルギー源は<ケトン体-脂肪酸>システムであり、
<ブドウ糖-グリコーゲン>システムはほとんど利用していないと思います。
それで、スタミナが充分なのだと考えられます。

ともあれ、スポーツをしている人にとって、
スーパー糖質制限食で、運動時のスタミナは大丈夫か?
といった疑問が湧いてくると思いますが、
結論は、『大丈夫』なのです。 (^^)    



参考になる文献として

「オフロードサイクリストにおける運動代謝と身体能力へのケトン食の影響」

という題のポーランドの研究があります。(*)

以下、この研究の要約と結果を、かなりアバウトに意訳してみました。

面倒なところは一部省いていますが、大意は合っていると思います。

<要約>
本研究の主な目的は、オフロードサイクリストの好気的パフォーマンスと運動代謝においての、
長期的ケトン食の効果を決定することであった。

被験者はトレーニング経験が5年間以上のオフロードサイクリングのアスリート。

8人の男性被験者、年齢は28.3±3.9歳

クロスオーバーで、ケトン食と混合食を一ヶ月ずつ。

それぞれ同じトレーニング負荷。

ケトン食:P:C:F=15:15:70
混合食:P:C:F=20:50:30

様々な強度でサイクロエルゴメーターで連続的な運動手順で検査を行った。

ケトン食は、体重、体組成、脂質及びリポタンパク質プロファイルにいおいて
好ましい変化があった。

最大酸素摂取量と乳酸閾値と呼吸交換率(RER)は、
安静時および運動の最初の3つの段階(10分、45分、90分・・・低~中程度の強度)においては、
ケトン食が優位であった。

最後のマックス強度の運動の時は、ケトン食の優位は逆転した。

<結果>
有酸素持続的なアスリートにおいては、ケトン食は好ましい可能性がある。

高容量で、低から中等度の強度のトレーニング負荷のトレーニング過程においては、
ケトン食は優位である可能性がある。
筋肉のダメージも少ない。

しかし最高強度の運動においては、
ケトン食は筋肉中のグリコーゲン貯蔵が少なく解糖酵素の能力が低下するので運動能力を低下させる。

*ケトン食は脂肪酸代謝を活性化させ、インスリンレベルとブドウ糖利用を減少させる。
 


自転車のアスリート8名の研究で、ケトン食を摂取した1ヶ月と混合食を摂取した1ヶ月で、
それぞれデータをとって、比較した研究です。

結論は、有酸素運動(この研究では自転車競技)において、
低強度~中等度の強度トレーニングなら、ケトン食は混合食(普通食)より優位であるけれど、
最高強度のトレーニングでは、優位は逆転するということです。

これは、中程度の強度のトレーニングなら、ケトン食で脂肪酸代謝が活性化しているので、
それをエネルギー源として筋肉は混合食(普通食)の時より効率的に活動できるということです。

この結論は、私の印象とも一致しています。


このことを考慮すると、有酸素運動が主のマラソンやトレイルランなどでは、
ケトン食を実践していると、筋肉はしっかり「脂肪酸-ケトン体」を主たるエネルギー源として使って、
中等度の強度の運動で走り続けて、
ラストスパートだけは、「グリコーゲン-ブドウ糖」をエネルギーに使って
無酸素運動で最高強度の運動で終了というパターンが可能です。

この研究のケトン食は、糖質15%ですから、高雄病院のスーパー糖質制限食の12%と似たようなものです。

そうすると、長距離ランナーなどでいつも通りのトレーニングでスーパー糖質制限食を実践していると、
筋肉は「脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム」を使いやすくなります。

そして中程度の強度の走行では、脂肪酸-ケトン体を利用して
ブドウ糖-グリコーゲンエネルギーシステムを節約しておいて、
ラストスパートで最後に効率的にそれを使うということが可能となります。


(*)
http://www.mdpi.com/2072-6643/6/7/2493#tabs-5
Nutrients 2014, 6, 2493-2508; doi:10.3390/nu6072493
The Effects of a Ketogenic Diet on Exercise Metabolism and
Physical Performance in Off-Road Cyclists
Adam Zajac 1
Stanisław Poprzecki 2
Adam Maszczyk 1,*, Miłosz Czuba 1
Małgorzata Michalczyk 3
and Grzegorz Zydek 3

女性のためのラクやせ糖質制限ハンドブック(洋泉社) 刊行
こんにちは。

女性のためのラクやせ糖質制限ハンドブック(洋泉社)– 2018/9/4
https://www.amazon.co.jp/dp/4800315409/


刊行です。

とてもわかりやすく、読みやすくまとまっています。
糖質制限食の基礎知識がこの一冊で理解できます。

簡単な糖質制限作りおきレシピも、そこそこ載っています。
是非、ご一読頂ければ幸いです。


以下は出版社の内容紹介と『おわりに』です。

内容紹介
たっぷり食べてラクにやせる、健康になる!
美肌&美髪や妊娠糖尿病にも効果大

今日から始めるラクやせガイド、
ひと目でわかるOK・NG食材、時短・かんたん!作りおきレシピほか、
女性のための糖質制限がぜんぶわかる。

食品別糖質含有量一覧付き

もくじ
第1章 やせる!女性の悩みにも効く! 糖質制限食のすごい効果
第2章 今日からはじめる!ラクやせ糖質制限実践ガイド
第3章 時短・かんたん! 糖質制限の作りおきレシピ
第4章 やせた!健康になった! 女性の糖質制限体験談
第5章 もっと知りたい! 糖質制限食Q&A

内容(「BOOK」データベースより)
たっぷり食べてラクにやせる、健康になる!美肌&美髪や妊娠糖尿病にも効果大。
女性のための糖質制限がぜんぶわかる。




おわりに

最近はダイエットと一口にいっても実に多様なやり方があるようです。
VR(バーチャルリアリティ)というデジタル映像がつくる仮想世界を体験しながら行なうフィットネスや、暗闇のなか、
激しいBGMを流しながら行なうトランポリンフィットネス、
小麦や白砂糖を使わないスイーツで食べても罪悪感がない「ギルトフリー」なるものも登場しています。
女性でもきれいな筋肉をつけることを目指して、トレーニングを行なう人も増えているようです。
こういった流れからもわかるように、世間の健康志向はどんどん高まっているように思います。
ダイエットひとつとっても、過度な節制で極端にスリムになるのではなく、
食事を楽しみながら健康的にやせようという風潮が広まってきているようで、
糖尿病の方はもちろん、健康のために糖質制限を推奨している私としてはうれしい限りです。
日本における糖質制限食は、1999年から高雄病院で開始したのがはじまりです。
依然として批判的な意見もありますが、
米国糖尿病学会や英国糖尿病学会、スウェーデン社会庁では糖尿病の治療食のひとつとして公的に認められています。
日本での糖質制限の歴史はまだ浅いため、長期的安全性とエビデンスの確立はこれからの課題です。
ですが、まず、私が足かけ17年の生き証人です。
2002年に、糖尿病・メタボリックシンドローム(メタボ)・高血圧が発覚して以来、スーパー糖質制限食を開始しました。
身長167㎝、体重67㎏、腹囲86㎝、内臓脂肪CT127㎠、高血圧と、メタボの診断基準をすべて満たしていましたが、
半年のスーパー糖質制限食実践で10㎏の減量に成功し、血圧も160/100㎜Hgから120/70㎜Hgへと大幅に下がりました。
これ以降、体重はキープしていますし、風邪をひきにくくなり、アレルギー性鼻炎も改善されました。
そして、高雄病院に受診される患者さんたちも、糖質制限食を実践され、
多くの方が糖尿病や肥満などの症状を改善することに成功されています。
 私は、糖質制限食は女性にこそ実践してほしいダイエット法だと考えています。
なぜなら、糖質制限食は、筋肉量を落とすことなく体脂肪を落とすこと、
そして「太りにくくやせやすい」体をつくることができる理にかなった食事法だからです。
 女性は男性に比べて基礎代謝が低く皮下脂肪をため込みやすい体質ですので、
そもそも男性と比較するとやせにくいといえます。
加えて、これまでカロリー制限によるダイエットをくり返してきたり、
普段からあまり体を動かす習慣がない人などは、なかなかやせられなかったり、
やせてもすぐにリバウンドしたりしているのではないでしょうか。
ひどい場合には生理が止まったり、栄養失調や摂食障害に陥るケースも少なくありません。
 糖質制限食は、人間の代謝機能やこれまでの食生活の歴史に基づいた人間本来のもっとも自然な健康食です。
妊娠、出産、育児、加齢など、女性の人生におけるさまざまな状況に合わせて、
自分らしいスタイルで実践することができます。
また、その知識を得ることで、家族を健康にすることもできるのです。
 本書がみなさまの健康と美の一助になれば幸いです。



高雄病院理事長 江部康二
インターバル速歩と体力。
こんばんは。

http://www.jtrc.or.jp/interval/interview.php
科学的エビデンスが支えるインターバル速歩
信州大学大学院特任教授
NPO法人熟年体育大学リサーチセンター副理事
医学博士能勢博


このサイトを覗いてみました。
能勢博士によれば、

ヒトの体力は20歳代をピークとし、30歳を過ぎると、誰しも10歳加齢するごとに5~10%ずつ低下しくそうです。

これを防ぐために
アメリカ・スポーツ医学会(ACSM)は、個人の最大体力の 60~80%に相当する強度の運動を、
1日20分以上、週に3日以上実施する個別運動処方を推奨しています。
そうすれば6カ月で体力が10%向上し、それに比例して生活習慣病の症状が改善するそうです。
しかし、通常のウォーキングでは運動強度が低すぎて、
効果が上がらない、とのことです。

そこで、能勢博士が推奨するのが「インターバル速歩」です。
いつでも、どこでも、誰でも、そして安価に、体力向上のための運動トレーニングができます。
インターバル速歩ですが、
これは、「速歩」と、「緩歩」を3分間ずつ交互に行うものです。
これを速歩が1日トータルで15分以上になるように、
週に4日以上実践すればOKです。
速歩ばかり、行えばよいようなものですが、
なかなか速歩を5分、10分連続的に
続けるのは体力的に難しい人が多いようです。
それで、3分交代なのですね。
ウィークデ―が忙しい人は、週末にまとめてトータルの速歩時間が週60分になるように実施してもいいそうです。

能勢博士の研究によれば
インターバル速歩を5ヶ月間行えば、

1)体力が最大20%増加。
2)生活習慣病指標が20%改善。
3)医療費が20%抑制。


とのことで、これを「20%の法則」と呼ぶそうです。

私は、68歳ですが、階段を4回くらいまでは駆けあがります。
速歩を続けても、まったくしんどくありません。
運動は、1/2週間くらい、おじさんのテニス(ダブルス)を
4セットくらい行うくらいで、スポーツジムなどは一切通っていません。
(正確には、40代前半に、1年くらい、1/週、スポーツジムに通ったことがあります。)
そのわりに体力が全然おちないので、少し不思議に思っていたのですが
能勢博士の研究や説明で、腑に落ちました。

「速歩が1日トータルで15分以上になるように、週に4日以上」

これが目標なら、江部康二は、1979年29歳で高雄病院就職以来、
毎日速歩で院内を、60分以上は、歩いていましたので
軽くクリアです。
基本、私の歩行は、ほとんどが速歩で、ゆっくり歩きは
あまりありません。
幸い、速歩で、60分間以上歩き続けても
全く息切れもありません。
手持ちの、ヤマサの活動量計で測定すると、歩数の60~70%が速歩(パワー ウオーク)でした。

生来のせっかちな性格と早歩きパターンが、
68年間、結果として、私の体力を保ってくれたようで、
ありがたいことでした。

江部康二
スポーツと血糖値。<ブドウ糖-グリコ-ゲン>システムと<脂肪酸-ケトン体>システム。
【18/12/16 はな
スポーツと糖質制限について
いつもブログ拝読して勉強させていただきありがとうございます。
さて、低血糖の話題がでましたが、私は、50代男性で糖尿病ではありませんが、
研究のため血糖値測定器を購入し自身の糖質制限の状態を研究しております。
質問ですが、2年間糖質制限を実施した状態で、
先日半日と少し自転車トレーニングを実施し帰宅、かなり疲れましたが、
ふらふらというわけではありません。
その時の血糖値が58でした。
体調も普通でした。

さて後日、自転車レースで30分間かなりの高強度負荷をかけました。
レース後付き合いで、生クリームたっぷりのクレープを食べました。
その1時間半後の血糖値は77。
またまたそのまま寿司を普通程度食べました。
そのまた1時間半後の血糖値が80。
さぞかし上がってると思いきや…。

これは予想以上にレースでの消耗が激しかったということでしょうか?
自分としてはケトン体エンジンを利用すれば、
血糖値に影響を与えずに運動が出来るものと考えていたのですが。】


こんにちは。
はなさん(50歳、男性)から、
スポーツと血糖値について、コメント・質問を頂きました。

『先日半日と少し自転車トレーニングを実施し帰宅、かなり疲れましたが、
ふらふらというわけではありません。
その時の血糖値が58でした。
体調も普通でした。』


2年間糖質制限食を実践しておられるので、
少々心拍数が上昇するレベルの運動負荷でも、
筋肉は<脂肪酸-ケトン体>システムを
主たるエネルギー源として利用していると思われます。
脳もおそらくかなりのエネルギーを
<脂肪酸-ケトン体>システムで賄っていたと思います。
それで、血糖値が58mg/dlでも、体調が普通だったものと考えられます。


『自転車レースで30分間かなりの高強度負荷をかけました。』

自転車レースで高強度負荷で30分間なら、
<ブドウ糖-グリコーゲン>が主たるエネルギー源として利用されたと思います。

こちらの場合は<脂肪酸-ケトン体>はエネルギー源としてほとんど使われないので、
筋肉中のグリコーゲンは、ほぼ使い切って枯渇状態であり、
筋肉細胞は、どんどん血糖を取り込み、グリコーゲンを蓄積しますので、
少々糖質を摂取しても、血糖値が上昇しないのだと思います。


筋収縮によりGlut4が筋肉細胞表面に出ているのは、
新潟医療福祉大学の川中健太郎先生によれば、
運動終了後2~3時間持続とのことです。(☆)

先生の論文に引用してある文献によれば
「ラットに2時間の水泳運動を負荷したあと、運動終了3時間後でも、
一定量のインスリン刺激に対してよりたくさんのGlut4が細胞膜表面にトランスロケーションできる」
そうです。

つまり一旦、2~3時間で細胞内に戻ったGlut4ですが、
その後もしばらくはトランスロケーションしやすくなっているのですね。


『レース後付き合いで、生クリームたっぷりのクレープを食べました。
その1時間半後の血糖値は77mg。
またまたそのまま寿司を普通程度食べました。
そのまた1時間半後の血糖値が80mg。』


上述のように
普段は細胞内に沈んでいるGlut4が、運動による筋収縮により
インスリンの分泌なしで、細胞表面に上がってきます。
運動終了後3時間くらいまでは、少量のインスリンでも
多くのGlut4が細胞表面にトランスロケーションできるので
クレープや寿司を食べても、血糖値上昇がほとんどなかったものと思われます。


『これは予想以上にレースでの消耗が激しかったということでしょうか?
自分としてはケトン体エンジンを利用すれば、
血糖値に影響を与えずに運動が出来るものと考えていたのですが。』


消耗が激しかったというよりも
運動の効果が普通に出現したと考えられます。

なお、ほとんどのスポーツ(テニス、サッカー、中距離・長距離走など)においては
主たるエネルギー源は<脂肪酸-ケトン体です。
しかし、最高強度の運動(100m競争など)だけは
<ブドウ糖-グリコーゲン>システムが主たるエネルギー源として利用されます。


(☆)
運動と骨格筋GLUT4
川中健太郎
特集◆ス ポ ー ツの 科 学
学術 の動向 2006.10 42-46


江部康二
低血糖について。
【18/12/15 チーズ大好き
低血糖が危険?(先日のガッテンより)
先日のガッテンでは、最新研究で低血糖(血糖値70以下)により血管がダメージを受けて狭心症などの心臓病につながるかもしれないことが明らかになったという内容を放送していました。
また、前にDaiGoさんも取り上げていたように睡眠の質が低血糖状態になると低下したり、夜中に糖新生が起こって、交感神経が活発になるので目が醒めるとのことでした。
ケトジェニック状態なら血糖値は70以下で安定している人もいると思います。
しかし、それではケトジェニックは低血糖状態になり、
心臓病を招く危険があるということになりますよね。

最終的にはガッテンのまとめは寝る前のドカ食いによるインスリンの過分泌によって、寝てる間に低血糖になる。
そのため間食をして、ドカ食いは避けようという結論でした。

ここで疑問があります。低血糖が直接血管にダメージを与えてる?
そうではなくて、寝る前の血糖値スパイクが血管内皮にダメージを与えてるだけでは?
と思いました。

江部先生は低血糖状態が血管にダメージを与えるなどの研究についての話を見聞きしたことはありますか?
確かにインスリン注射などで低血糖状態になってるのはかなり危険だと思いますが、
健常者の糖質制限によって低血糖状態を維持しながら安定させることで健康を害するとは思えませんでした。
低血糖状態で血管が傷つくという理論が全く思い当たらないのです。
一回でもそのような話を聞いたら覚えているはずですが。
江部先生のご意見をお聞きしたいです。】


こんばんは。

チーズ大好きさんから
低血糖について、コメント・質問を頂きました。

低血糖発作のほとんどは、インスリン注射をしているか、
SU剤内服の場合です。

薬なしで、低血糖になることは、
「機能性低血糖」という病気を除けば、極めてまれです。

糖尿病専門医研修ガイドブック(改訂第4版、2009年)293ページには、
低血糖症の定義として、

「低血糖症状があり血糖値60mg/dl以下」

と記載されています。

薬なしで、スーパー糖質制限食やケトジェニックダイエットをしても、
低血糖になることはまれです。
肝臓で糖新生しますので、糖質摂取ゼロでも、
血糖値は一定レベルに保たれるのです。
ご先祖が狩猟・採集時代などには、
「食事あり」と「飢餓」や「絶食状態」の繰り返しだったことを
考慮すればわかりやすいですね。

血糖値が60mg~70mg/dlあって、
症状もなければ、それは「低血糖」ではありませんし、ごく正常です。
スーパー糖質制限食やケトジェニックダイエット実践で、
薬なしで血糖値が60mg~70mg/dlのことは時にあると思います。
これは、低血糖とは言いませんので、
チーズ大好きさん、ご心配要りません。

また、糖尿病は全くない、20代のアトピー性皮膚炎や気管支喘息の患者さんで
勿論内服薬なしで、空腹時血糖医値が、50mg~60mg/dlの場合が時々ありました。
最初はビックリして、待合室に飛んでいって「大丈夫ですか?」と、
事件扱いしたこともありましたが、皆さん、ケロっとしてました。


「ガッテンのまとめは寝る前のドカ食いによるインスリンの過分泌によって、
寝てる間に低血糖になる」

これは機能性低血糖のことです。
機能性低血糖症に関しては以下の、太字のブログ記事をご参照頂けば幸いです。


2018年01月15日 (月)
機能性低血糖症が糖質制限食で改善。低体重と推定エネルギー必要量。
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4448.html


 『血糖コントロール良好を目指してHbA1cを下げるべく厳格に薬物療法を行うとかえって総死亡率が上昇する』
という信頼度の高いACCORD試験のエビデンスがあります。(☆)

これはチーズ大好きさんのご指摘のように、
インスリン注射やSU剤を使用した厳格治療です。

すなわち<糖質摂取+薬物療法>による血糖値の乱高下と頻回の低血糖
活性酸素を発生させ、酸化ストレスリスクとなり血管内皮を傷害し動脈硬化を生じ、
死亡率上昇の大きな要因となったと考えられます。


(☆)ACCORD
Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes Study Group, , Miller ME, Byington RP, Goff DC, Bigger JT, Buse JB, Cushman WC, Genuth S, Ismail-Beigi F, et al.: Effects of intensive glucose lowering in type 2 diabetes. N Engl J Med 2008; 358: 2545-2559.

江部康二
決定版! スグやせ! 糖質オフのラクうまレシピ150 (ナツメ社)。第4刷。
こんにちは

レシピ集のご紹介です。
おかげさまで、第4刷となりました。

https://www.amazon.co.jp/dp/4816364803/ref
決定版! スグやせ! 糖質オフのラクうまレシピ150 。
大型本 。ナツメ社 (2018/6/14)。


「糖質制限食」が日本中を席巻しています。
過去に流行してきた多くのダイエットとは明らかに違います。
ダイエットブームは、たいていは1~2ヶ月、長くても半年で終わるのですが、
糖質制限食の実践者は若年層から企業のエグゼクティブ層まで広く及び、
関連市場は3000億円を軽く突破しています。
2005年に私が初めて「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」を刊行してから、
どんどん普及していき、今では飲食・食品業界の垣根を越えて、
様々な産業のビジネスモデルまで揺るがし始めています。
本書は糖質制限食レシピの決定版です。
簡単レシピ、つくり置きレシピ、電子レンジレシピなど、さまざまな糖質制限レシピが満載です。
おすすめの献立例など、「知りたい情報」も載せてあります。
これから糖質制限を始めたい人だけでなく、挫折したけれど再開したい人にもおおいに役立つと思います。
「糖質オフ」でやせる理由や、実践のポイントを説明し、ボリューム満点で満足度の高いレシピを採用しました。
2つの材料で作れるスグできレシピ、市販品を活用したレシピ、
野菜もたっぷりとれる鍋・煮込み・スープレシピも盛り込みました。
様々な食材、外食メニュー、市販食品の糖質量を掲載し、
QR コードをつけ、外出先でもスマホで簡単に確認できるようにしてあります。
このようにとても使いやすくて内容豊富なレシピ集ですので、
皆様の美味しく楽しい糖質制限ライフのお役に立てれば幸いと思っています。


江部康二


商品の説明
内容紹介

もはや定番となった「糖質制限ダイエット」。
本書はその決定版です。
糖質オフでやせる仕組みから、目標やライフスタイルごとの食事法・献立例、
そして簡単でおいしいレシピまで、糖質オフダイエットを成功させるための情報が満載!

これから糖質オフをはじめたい人だけでなく、
挫折してしまったけれど再開したい人にも役立つ1冊です。



●自分にピッタリな食事法が見つかる!
糖質オフ生活を成功させるコツ、続けるコツは、自分にあった方法を見つけること。
本書では、しっかりやせたい人、ゆるやかにやせたい人、現状をキープしたい人、
それぞれにピッタリの食事法や献立例を、様々なライフスタイルごとにアドバイス。
・共働きで忙しく時間が限られている場合
・夫婦で3食作って食べる場合
・子育てに追われて作る時間がない場合
・一人暮らしでキッチンが狭い場合
など、様々なケースを紹介していますので、参考にしてください。

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たっぷり食べてOKなメインおかずとサブおかず、
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1品で栄養バランス満点な鍋料理・煮込み・スープ、
お酒にピッタリな超ラクおつまみレシピまで、
あなたの糖質オフダイエットを成功させるおいしいレシピが満載。
おいしく作るコツもていねいに解説しているので、誰でも失敗なく作れます。
また、ちょっと目先を変えたいときにピッタリなバリエレシピも掲載。飽きずに続けられます。

●ひと目でわかる、糖質量、たんぱく質量、エネルギー量

糖質量やたんぱく質量、エネルギー量、調理時間や冷凍・冷蔵保存などの情報は、
ひと目でわかるようアイコンで表示しています。

●外出先でもチェックできる!主な食材の糖質量
QRコードからアクセスすることで、
本書に掲載している食材糖質量を、外出先でもスマホで確認できます。
糖質オフ向きの食材をメインに掲載していますので、お買物の際などに活用してください。
※スマートフォンのみで動作を確認しております。
携帯電話ではご覧になれない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

【目次】
Part1 糖質オフはなぜやせる?基本をおさらいしましょう
Part2 おいしい!ボリューム満点!毎日の糖質オフおかず
Part3 スグでき!糖質オフの作りおきレシピ&時短レシピ
Part4 1品で栄養バランス満点!糖質オフの鍋料理・煮込み・スープ
Part5 お酒もガマンしない!糖質オフの超ラクおつまみレシピ

【著者紹介】(フリ仮名) 江部康二(エベ コウジ)
内科医/漢方医/一般財団法人高雄病院理事長/一般社団法人日本糖質制限医療推進協会理事長。
1950年京都府生まれ。1974年京都大学医学部卒業、京都大学胸部疾患研究所で研修。
1978年より高雄病院に医局長として勤務。1999年に高尾病院に糖質制限食を導入し、
2000年理事長就任、2001年から糖質制限食に本格的に取り組む。
2002年に自ら糖尿病であると気づいて以来、さらに糖尿病治療の研究に力を注ぎ
「糖質制限食」の体系を確立。これにより自身の糖尿病を克服。
主な著書・監修書に『糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食』『なぜ糖質制限をすると
糖尿病がよくなるのか』(ナツメ社)、『江部康二の糖質制限革命』(東洋経済新報社)などがある。

金丸絵里加(カナマル エリカ)

料理家、管理栄養士、フードコーディネーター。
玉川大学卒業後、女子栄養大学で講師を務める。
おいしく食べていたら「ついでに健康になっていた」そんな健康的で手軽に作れる料理を提案している。
栄養指導やダイエットアドバイスを得意とし、雑誌やTVなどのメディアをはじめ、
レストランや旅館、ホテルなどでのメニュー開発、症状に合わせたレシピ作成なども行なっている。
著書に『「糖質オフ」パンでおいしく満足!クラウドブレッドレシピ』(河出書房新社)、
『ここまでできる!まな板いらずの絶品レシピ』(家の光協会)などがある。

内容(「BOOK」データベースより)
おいしい糖質オフレシピが満載!献立例も豊富だから、メニューの組み合わせもラクラク♪もう挫折しない!自分にあった、
糖質オフの正しい食事法が見つかる!








「炭水化物」中心の食生活は認知症リスクを高める可能性あり。
こんばんは。
少し前になりますが、
医療関係者用のサイトCarenetで
「『炭水化物』中心の食生活は認知症リスクを高める可能性あり」
という論文が紹介されています。
www.carenet.com/news/risk/carenet/30280

以下、一部を抜粋引用します。

////////////////引用ここから//////////////////

食生活は生活習慣病の発症に関与するだけでなく、
認知症の発症にも影響を及ぼすといわれている。
では、どのような食生活が認知症リスクを高めるのか。
Roberts氏らはカロリー摂取と認知症との関係を検討した。
J Alzheimers Dis誌オンライン版2012年7月17日号の報告。
Roberts RO, et al. J Alzheimers Dis. 2012 Jul 17.

高齢者(年齢中央値:79.5歳)を対象とした集団ベースの前向きコホート研究により、
毎日の総カロリーにおける主要な栄養素の割合と
軽度認知障害(MCI)または認知症の発症との関係を調査した。
追跡期間の中央値は3.7年。

(中略)

主な結果は以下のとおり。

・試験開始前に認知機能が正常であった937名のうち、
200名はMCIまたは認知症であると診断された。

・MCIまたは認知症のリスクは、炭水化物の摂取比率が高い方で上昇し、
脂質の摂取比率が高い方やタンパク質の摂取比率が高い方では減少した。

・炭水化物からのカロリー摂取比率が高く、
脂質およびタンパク質からの摂取率が低い高齢者では、
MCIまたは認知症の発症リスクが増加する可能性が示唆された。

////////////////引用ここまで//////////////////


試験開始前に認知機能が正常であった937名のうち、
200名が、軽度認知障害または認知症であると診断されました。
軽度認知障害または認知症のリスクは、炭水化物の摂取比率が高いと上昇し、
脂質の摂取比率、タンパク質の摂取比率が高いと減少しました。
「炭水化物」中心の食生活は認知症リスクを高める可能性があるということですね。

「肉・卵・牛乳・油脂類をよく食べるグループ」は、
『ご飯・味噌汁・漬け物をよく食べるグループ』
『植物性食品をよく食べるグループ』に比べて、
「知的能動性」が低下せずに保たれる
という日本の報告もあります。(*)

知的能動性とは「探索」「創作」「余暇活動」などの知的活動能力です。
知的能動性が低下していけば認知症コースまっしぐらです。

すなわち、ご飯・味噌汁・漬け物の炭水化物たっぷりパターンだと
認知症になりやすいけれど、
動物蛋白や油脂をしっかり食べるパターンは認知症になりにくいということで、
J Alzheimers Dis誌の報告と同じ結論です。


また、有名な久山町研究でも、
第22回日本疫学会学術総会2012年1月26〜28日 で、
認知症リスクの低い食事パターンとして、
『・・・1回の食事において「大豆製品と豆腐」「緑黄色野菜」「淡色野菜」「藻類」「牛乳・乳製品」の摂取量が多く,
「米」の摂取量が少ない食事パターンは,認知症発症のリスクを有意に低下させることが示された。・・・』

と報告されました。
www.epi-c.jp/entry/e800_0_jea2012.html#5th


ご飯など、炭水化物摂取の認知症リスク、恐るべしですね。


(*)熊谷修ほか 「老年社会科学」1995;16:146-155.


江部康二


糖質制限食とこむら返りについての考察。
【18/12/12 プーさん
こむら返り
大変お世話になっております。
糖質制限開始時における就寝中のこむら返りについて、
自身も開始時に経験があるため考えてみました。
栄養的に問題があるとすれば、
水分や一部のミネラル・ビタミン不足が原因となるのでしょうが、
糖質制限開始時にいきなり栄養的な問題がおこったりするのだろうかと疑問に思います。

こむら返りは、就寝中以外にも激しい運動時に発生し、
激しい運動時はふくらはぎへの過度の負荷がかかっているために
発生しているものと理解しております。
(よくサッカー選手が試合中に足をつっているのを見かけます。)
就寝中のこむら返りが糖質制限の開始時に集中しているということであれば、
ひょっとするとですが、糖質制限というよりも、
ダイエットの効果を高めたいがために
同時に開始(又は負荷を増やした)した運動(特にランニング等はふくらはぎに過度の負担となる)が
引き起こしているのかもしれません。
一部のパーソナルジムでは、ダイエット目的での運動と糖質制限(もどき)をやっていて、
これが世の中的にかなり浸透してきていることも背景にあるようです。

就寝中も同様にふくらはぎに負荷がかかっているとすると、
単純に布団の重みなどで足先が伸びており、就寝前の運動に加えて、
ふくらはぎが夜間でも長時間緊張状態にあるのが直接的に引き起こしているのでは、
と考えます。
その他の物理的要因としては、就寝中の足先の冷えもあるかもしれません。
いずれにしても、就寝中の物理的要因は糖質制限前後で基本的に変化がないはずですので、
案外、運動が原因ではないか、という考察でした。】



こんばんは。
プーさんから、こむら返りに関するコメントを頂きました。
参考になります。ありがとうございます。

私も糖質制限食とこむら返りについて考えて見ようと思います。
腓(こむら)というのは「ふくらはぎ」のことです。
こむら返りというのはふくらはぎに生じる筋肉の痙攣(けいれん)のことで、
かなりの痛みを伴います。
頻度が多いのがふくらはぎの筋肉の痙攣なのですが、
基本的にはどこの筋肉にも起こりえます。

こむら返りの発生メカニズムについては、いろんな仮説がありますが、
明確にはわかっていないようです。
判っていることとしては、大ざっぱに言えば、
筋肉の収縮においてはカルシウムが重要な役割を果たしていて、
マグネシウムは筋肉を弛緩させる役割であるということです。

カルシウムやマグネシウム、ナトリウムやカリウムなどが、
ほどよく協力して、筋肉の収縮の調整をしてくれているのだと思います。
そして、冷えや運動や脱水があって、
相対的に血流が不足するとこむら返りを起こしやすいことも判っています。

私自身は糖質制限食開始後、全くこむら返りを起こしませんでした。
また当初、糖質制限食実践中の患者さんにおいても、
こむら返りの訴えはあまりなかったので気にしていませんでした。
しかし、その後、糖質制限食実践中に、こむら返りが生じる人がたまにおられることが、
ブログのコメントなどで判明しました。
また、高雄病院や江部診療所の糖質制限食実践中の患者さんでも、
その後まれではありますが、糖質制限後こむら返りを生じる方がおられました。

確かに野菜・海藻も摂らない極端な糖質制限食だと、カルシウムなどミネラル不足などで、
こむらがえりを起こすことがあるようですね。
一般にカルシウムやマグネシウムが不足すると、
こむら返りを起こしやすいとされています。

これらミネラルの補給ですが、カルシウムは、乳製品・小魚・大豆製品・海藻・緑黄色野菜などに多く含まれています。
マグネシウムは、大豆製品・魚介類・海藻・ナッツ類に多く含まれています。
従って、通常は糖質制限食OK食品に多く含まれているので、
こむら返りも起こらないのだと思います。

一方、糖質制限食に関係なく、
スポーツの最中や後にこむら返りを起こすことはよくありますよね。
実際、私の所属するテニスクラブのメンバーでも、
よくこむら返りを起こすタイプがおられます。

幸い私は、スポーツ中やその後も起こしたことがありません。
激しいスポーツをして汗をかくと、
汗とともに多量のミネラルが体の外に排出されてしまいます。
ですから、カルシウム・マグネシウムなどミネラルをちゃんと補給してやらないと、
筋肉が痙攣したり足が攣ったりします。

糖質制限食の場合、相対的に高脂質・タンパク食となります。
また、葉野菜や海藻や茸を摂取するので食物繊維も豊富です。
自ら1型糖尿人でスーパー糖質制限食実践中のバーンスタイン医師によれば、
野菜に多い食物繊維は、食事中のカルシウムと結合してカルシウム吸収をさまたげ、
タンパク質中のリン化合物もカルシウムとわずかに結合するそうです。

バーンスタイン医師は、
「糖質制限食実践中で、チーズ・ヨーグルト・クリームを摂らない人たち、特に閉経後の女性」
には、カルシウム補充を奨めています。

つまり、糖質制限食実践中のほとんどの人でサプリは必要ないと思いますが、
上記のバーンスタイン医師の条件に当てはまる人やこむら返りをよく起こす人、
また結構スポーツをする人は、安価なカルシウム・マグネシウム剤、
或いは安価なマルチビタミン剤を補充して、こむら返りを予防するのもよいと思います。

スポーツを全くしない人でも糖質制限食実践中にこむら返りを起こすことがあります。
この場合もカルシウム・マグネシウム剤、マルチビタミン剤でほとんど良くなります。
なお、漢方薬の芍薬甘草湯(68番)もこむら返りに有効です。
2週間以上、芍薬甘草湯を内服すると、時に血中カリウムが低下することがあるので、
連用している人は注意してくださいね。

今回の記事は、
http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-348.html
たがしゅうブログ こむら返り熟考を参考にしました。
たがしゅう先生ありがとうございます。


江部康二


追加

カルニチンが不足するとこむら返りが生じることがあります。
食材におけるL-カルニチンは肉類と乳製品に多いです。
エルカルチンFFという内服薬もあり保健収載ですが、高価です。
男・50代からの糖質制限: ストーリーで学べる最強の食事法。江部康二著。刊行。
こんにちは。

今までにない新しい企画の本が上梓されました。
2018年10月19日から発売中です。

東洋経済新報社 江部康二著
男・50代からの糖質制限: ストーリーで学べる最強の食事法

https://www.amazon.co.jp/dp/4492046313/ref=cm_sw_r_em_apa_y-gLBbEYDJ2DC
です。

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本書は「3人のオヤジのストーリー」を通して
平易でわかりやすい内容となっています。

一方信頼度を確保するために文章中に根拠となる論文を紹介しています。
文章中にない場合は、根拠となる論文を巻末に通し番号をつけて記載してあります。

つまりとても読みやすくわかりやすい内容ですが、
全てエビデンスに基づいており信頼度が高いと自負しています。

私自身も糖尿病発覚の52歳からスーパー糖質制限食を開始し、
68歳の現在まで16年間継続しています。
歯は全て残り、虫歯はありません。
目は裸眼で広辞苑が読めます。
聴力低下もなく、夜間尿もなく、身長も縮んでいません。
内服薬もなしで、糖尿病合併症もなしです。
スーパー糖質制限食のおかげで、糖化に伴う老化が予防出来ているものと思われます。



東洋経済オンラインにも、
『男・50代からの糖質制限: ストーリーで学べる最強の食事法』の記事が配信になりました。
https://toyokeizai.net/articles/-/243363
https://toyokeizai.net/articles/-/244977
https://toyokeizai.net/articles/-/246562?display=b

ヤフーニュースにも載りました。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181019-00243363-toyo-soci

「50代こそ糖質制限を!江部康二インタビュー」
YouTubuで公開中です。
https://www.youtube.com/watch?v=QGDyYdsxNqg

以下の1~5は、11/11現在、視聴できません。
イントロダクション
https://youtu.be/oAe7nKrKI7I
その1
https://youtu.be/AR7kmOdyr7E
その2
https://youtu.be/U3YqaQw-An8
その3
https://youtu.be/Z0d1jOlZuQc
その4
https://youtu.be/2ioaIHBdq08
その5
https://youtu.be/HHdTRGgCnZc


是非、ご一読頂ければ幸いです。

以下は出版社の内容紹介です。

長い“これから”の健康度は、これで決まる!
中高年こそ「糖質制限」が必要だ!!


肥満、メタボを解消し、糖尿病はじめ生活習慣病、がん、脳梗塞、心筋梗塞、アルツハイマー病....などを予防して健康100歳に。

「3人のオヤジのストーリー」を通してスッキリわかる“究極の健康食”の知識と実践法。

一流医学誌の最新発表など科学的根拠(エビデンス)に基づいた新たな医学常識――。

○食後高血糖をもたらす栄養素は「糖質」だけ。
○脂肪を食べても不健康にはならない。
○「脳はブドウ糖しか使わない」はウソ。
○認知症の予防にも糖質制限は有効。
○糖質過剰はガンを増やす。
○老化の原因も「糖質」にあった。
……
諸悪の根源「糖質の過剰摂取」を防ぎながら、肉や魚・アルコール類も楽しめる“最高の食事法”のすすめ。

これであなたの人生が変わる!


江部康二


以下は、本書のプロローグからの抜粋です。

プロローグ 長い老後の健康度は
五〇代の糖質制限が決める


〇ランセット論文「糖質を摂るほど死ぬ。脂質を摂るほど死なない」

〇アメリカで合併症が激減

○酸化ストレスとAGEs

〇中高年こそ糖質制限が必要


〇三人の五〇代男性が糖質制限を始めるストーリー
 

私の経験上、糖質制限を始めるのに重要なのは五〇代です。

五〇代ならば、まだ、老化物質であるAGEsは
取り返しのつかないほどには溜まっていませんから、
糖質制限でこれ以上の蓄積を食い止められるからです。
 しかし、これよりも高齢になると、かなりの量のAGEsが溜まっており、
老化が身体を蝕んでしまっています。
そして、いったん溜まったAGEsはもう消えません。
 つまり、五〇代で老化物質の蓄積を止められるかどうかで、
その後の人生が決まると言っても過言ではないのです。
五〇代こそ糖質制限を始めるべき時期なのですが、
残念ながら、多くの中高年男性が糖質制限にあまり熱心でないのが現状です。
その理由はいくつかあるようです。
まず、仕事が忙しすぎるという人がいます。
確かに、五〇代というと社会的な責任の重い世代ですから、
健康をおろそかにしがちになるのも無理からぬところがあるでしょう。
また、糖質制限に懐疑的な人もいます。
これは健康情報に詳しいというタイプに多いようです。
情報過多の現代では、糖質制限に関する誤解が蔓延していて、
その有効性を正しく認識していない場合もあるのです。
そして、最も多いのは、もう健康になることをあきらめているという人です。
何度かダイエットに挑戦しては挫折を繰り返し、
中年太りは仕方がないと思いこんでいる人のことです。
そんな人は、年を取れば歯が抜けたり視力が落ちたりなどといった衰えが起こることも、
仕方がないとあきらめています。
高齢になれば老化するのは常識でしょうし、
これは五〇代のほぼ全員かもしれません。
しかし、あきらめているのは、
糖質制限のアンチエイジング効果を知らないからであり、
いかにももったいない話だと思われてなりません。
そこで、五〇代男性になんとかして糖質制限を始めてもらえないかと、
企画したのが本書です。
本書では、三人の五〇代男性のお話として構成されている部分と、
糖質制限の解説をまとめた部分とに分かれます。
三人の男性は、私が診療の現場で見てきた実際の患者さんたちの典型例であり、
いわば、糖質制限に踏み切れない五〇代男性のモデルです。
三人が糖質制限を知り、実践へと踏み切るストーリーを追いながら、
ご自分の未来を幸せにするのに糖質制限が必要かどうか、
考えてみていただきたいのです。
男・五〇代は、人生の後半を幸せなものに出来るかどうかの分岐点です。
どうか本書をきっかけにして、
糖質制限の道へと進むことを決断していただきたいと願っています。

なお本書は、ストーリー仕立てになっており平易でわかりやすいのが特徴です。
あわせて医学的な信頼度も確保するため、文中に通し番号を付け、
巻末に医学的根拠(エビデンス)となる論文を明記しています。
文中で直接出典を示した箇所もあります。
興味のある方はご参考になさってください。


糖質制限食で気をつけることは?
【18/12/10 肉好き
糖質制限しています
江部先生。
尿糖が出てる、と健康診断でいわれました。
後日、ブドウ糖負荷試験の結果、2時間血糖値が208でした。

で、一ヶ月後の再検査でhba1c5.2、空腹時血糖値も90で問題なしと言うことで
貴方は糖尿病では無い、と、医師にいわれました。

江部先生、糖質制限食、続いて行きたいと思います。
何か気をつける事はありますか? 】



こんにちは。

肉好きさんから、
『糖質制限食実践において何か気をつける事はありますか?』
との、コメント・質問を頂きました。

まず、肉好きさんは、75g経口ブドウ糖負荷試験で、2時間値が208mg/dl
ですので、診断基準としては、糖尿病型です。

初回の検査では、糖尿病型ですが、
再検査では、HbA1c:5.2%、空腹時血糖値:90mg/dl
で、正常型です。

従って、現時点では、「糖尿病」と断定ではなく、
「糖尿病疑い」という診断となります。
再検査でも糖尿病型となれば、その時点で「糖尿病」の診断が確定します。

「再度、75g経口ブドウ糖負荷試験を実施する」とか
「普通に糖質ありの食事をして、食後2時間血糖値を測定する」とか
で、食後2時間値が200mg/dlを超えていれば
糖尿病の診断が確定します。

しかし、別に糖尿病の確定診断をつける必要はありません。
このまま、糖質制限食を続けていけば、
『空腹時血糖値』、『食後血糖値』もコントロール良好であり、
『平均血糖変動幅』も極めて小さく良好を維持できますので
合併症の心配も皆無であり、問題はありません。

糖質制限食で気をつけることについては、『糖質制限食十箇条』など
以下の記載を参考にして頂けば幸いです。


『糖質制限食十箇条』
-糖尿病や肥満が気になる人に-

一、 糖質の摂取を減らす。可能なら一回の食事の糖質量は20g以下とする。
二、 糖質制限した分、タンパク質や脂質が主成分の食品は充分量食べる。
三、やむを得ず主食(ご飯、パン、麺類など)を摂るときは少量とする。
四、水、番茶、麦茶、ほうじ茶などゼロカロリー飲料はOK。果汁・清涼飲料水はNG。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類はOK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)、糖質ゼロ発泡酒はOK。辛口ワインも適量OK。
醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツはNG。
十、可能なら化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。

*糖尿病の人がやむを得ず糖質を摂取するときは、食直前に、「αGI剤」か「グリニド系薬剤」を内服すると、
食後高血糖がある程度防げる。
*牛乳は100mlくらいならOK。成分未調整豆乳は200mlくらいOK。
*肉と魚貝の摂取量は<1:1>が目安。
*経口糖尿病薬やインスリン注射をしている糖尿人は、必ず医師と相談してください。

『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
  1回の食事の糖質量は20g以下。
二、スタンダード糖質制限食は、一日一回(朝か昼)少量の主食あり。夕食は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。朝と昼は少量の主食あり。
  嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。


抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。

魚貝・肉・卵・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べる。


糖質制限食実践後に好ましくない症状(力が入らない、しんどい、髪が抜ける、生理がとまる・・・など)が
出現した人のほとんどにおいて、実際にはカロリー不足が認められます。

☆糖質制限食はカロリー制限食ではありません。
摂取カロリーの目安は厚生労働省のいう「推定エネルギー必要量」です。
摂取エネルギーが足りていれば、好ましくない症状が出現することはほとんどありません。

☆糖質制限食実践者は、過度の塩分制限は必要ありません。
今まで通りの塩分摂取でOKです。過度の塩分制限でボーとしたり怠くなることがあります。

糖質制限食の理論的根拠
1、血糖値を直接上昇させるのは糖質だけで、たんぱく質・脂質は上昇させない。
2、糖質を摂取しなければ血糖値は上昇しない。
3、糖質制限食を実践すれば食後血糖値はほとんど上昇せず糖尿病は改善する。
4、食前・食後の血糖値血糖変動幅が少ないので生活習慣病の予防ができる。
5、食後血糖値の上昇が極めて少ないので、追加分泌インスリンも少量ですむ。
6、過剰なインスリンは肥満・がん・アルツハイマー病などのリスクとなるので、
 血糖コントロールができる限りで少量であるほど身体にはいい。
 

ということで、とてもシンプルです。
上記6つは、生理学的な事実やエビデンスがあることですので信頼度は高いです。

☆☆
なお本にも書きましたが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため、既に経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服や
インスリン注射をしておられる糖尿人は
低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、
以下の本などを参考にされて、
自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。

推奨著書
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ 新版」2014年(東洋経済新報社)
「なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか」2015年(ナツメ社)
「糖質オフ!健康法」2016年3月(PHP研究所 )
「人類最強の糖質制限論」2016年4月(SB新書)
「増補新版食品別糖質量ハンドブック」2016年6月(洋泉社)
マンガでわかる「糖質オフ! 」健康法2016年12月、(PHP研究所 )
外食でやせる! 「糖質オフ」で食べても飲んでも太らない体を手に入れる、2017年(毎日新聞出版)
「江部康二の糖質制限革命」2017年(東洋経済新報社)
「男・50代からの糖質制限食」2018年10月(東洋経済新報社)


レシピ
「電子レンジで糖質オフの作りおき」 2016年10月(宝島社)
「やせぐせがつく糖質オフの作りおき 」2017年3月(宝島社)
「高雄病院の糖質制限作りおき 」2017年5月(洋泉社)
「作りおきおかずで簡単! 朝・昼・晩 糖質オフのダイエット献立」(家の光協会)2017年10月
「いくら食べても太らない! 旨い酒のつまみ」 (宝島社)2018年5月
「糖質オフのラクうまレシピ150」2018年7月(ナツメ社)
「女性のためのラクやせ糖質制限ハンドブック」2018年9月(洋泉社)
「男性のための糖質制限最強ダイエットハンドブック」2018年10月(洋泉社)


江部康二


糖質制限食で、「血糖・中性脂肪・膿瘍・肥満・高血圧」改善。
【18/10/21 ひのえうま

ありがとうございます
はじめまして。

先生のおかげで、主人が助かりましたので御礼申し上げます。
元々は掌に膿瘍ができて、週間も治らないため、
精密検査のために大きな病院に紹介されました。
そこで、糖尿病を指摘されました。
入院して掌の治療とともに、血糖コントロールをすることになりました。
既に、夜には40度の熱発を毎日起こすようになり、入院は決定的でしたが。
入院前の術前検査時6月27日時点での血液検査結果は

A1c 10.5
TG 603
γGTP 154
GLU 334

入院して、お決まりのカロリー制限食とインシュリン、そして手掌のための抗生物質投与。
それでも、少しは良くなったのですが、下がりきらないまま、
仕事のこともあり退院となりました。
2週間の入院期間中に、なぜか家にあった先生の本を読み、
退院後は実践あるのみ!でした。

9月18日に調べた結果
A1c 5.8
TG 310
γGTP 24
GLU117

と、見事に低下しています。
間、もちろん何度も調べていますが、右肩下がりで、全部を書くのは大変なので、
一番最近のものだけ比較のため書き込ませていただきました。
体重も10キロ落ち、(最高に太っていた時となら15キロ)血圧の薬、
アムロジピンも今は一錠、糖尿病はカナグルだけ1錠飲んでいますが、
そのうち要らなくなりそうと主治医から嬉しいお言葉がありました。
血糖値が高すぎて手掌膿瘍もよくならなかったのですが、血糖が落ち着いてからは、
抗生物質も効き、疼痛は残っているものの腫れは引き、
あとはゆっくりお付き合い中です。
まだCRPが、既定値より0.3ほど高いため、
糖尿病は元からついていた開業医に戻してもらえましたが、
整形的にはしばらく総合病院でお世話になりそうです。
開業医の主治医も、糖質制限に関しては、
糖尿病の治療の一つだからとおっしゃって下さって、
決して否定的ではなく協力的であるため、これからも続けていけそうです。
こんな短期間でこんなに効果が出るとは、本当に驚きです。
まだ糖尿病など何も言われていない時に、なぜ私が先生の本を買っていたのかは、
今もって全く謎ではありますが、あの本のおかげで、すごく勇気を頂きました。
その後、ハンドブックや、今回出た50代からの、も含めて数冊買い足し、
楽しく続けています。
新しく分かったことなどもあって、
常に進歩しているのだなあと勉強させて頂いています。
私も主人も50代で、ドンピシャなもので、余計一生懸命になりました。
一病息災とはよく言ったもので、
今回の入院で、健康を見直す良いきっかけになりました。
取り急ぎ、まとまっていませんがご報告と御礼まで。】


18/10/21 ドクター江部
Re: ありがとうございます
ひのえうま さん

拙著のご購入、ありがとうございます。
9月18日に調べた結果
A1c 5.8
TG 310
γGTP 24
GLU117

見事な改善です。
良かったです。
主治医が糖質制限食に協力的なのも、素晴らしいです。
中性脂肪値は、10時間以上絶食して、早朝空腹時で一度調べて見ましょう。


【18/10/22 ひのえうま

お返事ありがとうございます!
こんばんは!
お返事いただけるとは思っていませんでした!
お忙しい中、ありがとうございます(*≧∀≦*)
中性脂肪のこと、ちょうど、先生のブログを読んで勉強中でした。
とてもわかりやすく書いてくださっているので、夫にも説明しやすいです。
血液検査もここまで下がったら、3ヶ月ごとと言われたとのことなので、
次回は朝ごはんを抜いて、10時間絶食してから検査に挑んでもらいます!
そしてまた、ご報告させていただきます。
糖質制限に出会っていなかったら、と思うと今もまだ、
下がりきらない血糖値と格闘していたのだろうとゾッとします。
主婦の立場からですが、糖質制限のお料理は、やってみるとそんなに難しくないので、
実は以前よりものすごく楽です。(参考のためレシピ本も購入いたしました)
いいお肉、いいお野菜、いいお魚、と、素材の確かなものさえ選んでいれば、
調理方法はシンプルでも美味しいです。
しかも、糖質を足し算するだけなので、全然面倒くさくありません。
肉や魚は基本限りなくゼロに近いですしね。主婦には有難い方法です。
一緒に生活している私も、3キロは痩せました。しかも健康なんて嬉しい限りです。
これからも、沢山の発信を楽しみにしております。】


18/10/23 ドクター江部
Re: お返事ありがとうございます!
ひのえうま さん

糖質制限食で、ご夫婦共に、健康ライフを送って頂けば幸いです。


【18/12/09 ひのえうま
ご報告

こんにちは、江部先生。
またご報告に来させて頂きました。

6月27日
A1c 10.5
TG 603
γGTP 154
GLU 334

9月18日に調べた結果
A1c 5.8
TG 310
γGTP 24
GLU117

そして、12月3日に、健康診断で出た結果です。
A1c 5.9
TG 65
γGTP 20
GLU 107
TーCHO 172
HDL 69
TーH/H 1.5
HDL 69
LDL-CHO 93

他も全て、正常値内でした!しかも、ギリギリではなく、
若干余裕のある数値にビックリです。
健康診断ですので、江部先生が仰ったように、10時間以上空けましたら、
中性脂肪も上記の通りでした。
この結果を持って、主治医のところに参りましたところ、
カナグルを一度やめてみて様子を見ましょうということになりました。
あんなにたくさん飲んでいたお薬が、朝アムロジピン1粒だけになりました。
体重も順調に減り、165cm 65kgを切りましたので、血圧のお薬も、様子を見つつ、
やめる方で行きましょうと言われています。
最高に太っていたときは、83kgくらいあったので、その時からですと、18kg減ですね。
目で見える結果には、こちらもやる気が出ます。
ご飯もお弁当も、しっかり作って、維持していこうと思います。
重ね重ね、本当にありがとうございました。
今後の発信も楽しみにしております。】


ひのえうまさん
ご主人、見事な改善ですね。
ひのえうまさんも、3kg減量、
良かったです。

2018年6月の2週間の入院で、
手掌の膿瘍の熱が下がりきらなかったのは
当時は糖尿病のコントロールが悪かったのが原因と思います。
このとき、私の本が家にあったということですが
とてもラッキーだったと思います。
ひのえうまさんが、何故私の本を購入されていたのか、確かに謎ですが、
これも縁であり、直感ですかね。
そして即、糖質制限食を実践されたのも
勇気ある選択であり、素晴らしいです。
従来の糖尿病食とは、全く異なる『糖質制限食』ですから
ご夫婦で相談され、考慮され、決断されて、実践されたのだと思います。

「開業医の主治医も、糖質制限に関しては、
糖尿病の治療の一つだからとおっしゃって下さって、
決して否定的ではなく協力的」

これも、縁だと思いますが、ラッキーでした。
主治医が糖質制限賛成派か反対派かで、
患者さんのプレッシャーは全然違いますから、とても良かったです。
12月3日の健康診断では、
全てのデータが、余裕で基準値内なので、おおいに安心です。
18kgの減量成功および
カナグルも中止できて、たくさん飲んでいたお薬が、
朝アムロジピン1錠に減ったのも
素晴らしいです。
165cm、65kgなら、BMIは23.9と肥満脱却です。
このままスーパー糖質制限食で順調に経過すれば
主治医の仰るように、薬なしになりそうですね。

絶食10時間以上で、
空腹時の中性脂肪値が65mg/dlと80mg/dl以下、
HDLコレステロールが69mg/dlと60mg/dl以上、
なので、悪玉の『小粒子LDLコレステロール』もほぼ皆無で、OKです。

「主婦の立場からですが、糖質制限のお料理は、やってみるとそんなに難しくないので、
実は以前よりものすごく楽です。(参考のためレシピ本も購入いたしました)
いいお肉、いいお野菜、いいお魚、と、素材の確かなものさえ選んでいれば、
調理方法はシンプルでも美味しいです。
しかも、糖質を足し算するだけなので、全然面倒くさくありません。
肉や魚は基本限りなくゼロに近いですしね。主婦には有難い方法です。」


なるほど、そう言っていただくととても嬉しいです。

「糖質制限で、穀物も芋も駄目なら、食べるものがないので無理」
とか言って、尻込みして実践しないタイプもおられますので、
ひのえうまさんの行動力は、good job を達成です。
実際に糖質制限食を実践して、料理を作ってみれば
思ったより簡単で継続もしやすいようです。
要はやるかやらないかだけですね。

ひのえうまさん、
これからもご夫婦で、美味しく楽しく末長く糖質制限食で
健康ライフを送って下さいね。


江部康二
2型糖尿病の薬物による厳格な血糖管理の利益はわずか、 低血糖リスクに相殺される程度 。
おはようございます。

 少し前になりますが、
「2型糖尿病の薬物による厳格な血糖管理の利益はわずか、低血糖リスクに相殺される程度」
という驚くべき結論の論文が発表されました(*1)
ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル誌(BMJ誌)2011年7月30日号の報告です。
1950年から2010年までに登録された多数の臨床試験の中から、
厳しい条件を満たした信頼度の極めて高い研究を13件ほど選出して、メタ解析したのが上記論文報告です。
メタ解析とは多数の研究の結果を統合して症例数を増やし、より俯瞰的な見地から分析することで信頼度を高める手法です。
 大変びっくりするような内容ですが、エビデンスレベルは最高ランクの論文です。
信頼度の極めて高い論文によって、2型糖尿病患者に対して厳格な血糖管理を行っても、
総死亡・心血管死亡リスクの改善効果はごくわずかで、重症低血糖リスクは2倍以上になることが、明らかとなりました。
さらに、厳格血糖管理群で、かえって死亡リスクが高まることも充分あり得るという、恐るべき結論です。

 そして、2008年の米国糖尿病学会で報告されたACCORD試験では、厳格管理群の総死亡率が標準治療群より有意に上昇し、物議をかもしたのは記憶に新しいところです。
コントロール良好になるほど総死亡率は減少すると考えられていたのに真逆だったわけで、これも衝撃の報告でした。
ACCORDは、米国とカナダの77施設の10251例による大規模臨床試験です。
2008年2月、厳格血糖管理群における総死亡率および心血管死亡率が、通常血糖管理群を有意に上回ることが確認され、
同試験は5年間の期間満了を待たずに平均追跡期間3.4年で緊急中止となりました。
 総死亡率が高まることが明確になった治療法群(厳格治療群)を、このまま予定の5年間まであと1.6年も続けることは、
倫理的に許されないということでの決断でした。
中止時の平均HbA1cは、厳格血糖管理群6.4%、通常血糖管理群7.5%でした。
今までの医学界の常識なら6.4%群のほうが7.5%群より当然、総死亡率は減少するはずなのに、
かえって増えてしまったわけで、研究者の戸惑いは想像に難くありません。
国際糖尿病連合によれば、HbA1cは6.5%未満が目標です。
ACCORD試験の結果はその後、ニューイングランドジャーナルに掲載されましたが、
やはりエビデンスレベルは極めて高い論文です(*2)

 さらに「2型糖尿病患者の死亡率はHbA1c7.5%前後が最も低い」という衝撃的な結論の研究報告が、
英国の医学雑誌ランセット誌2010年2月6日号に、発表されました(*3)
HbA1cが9%、10%のグループの死亡率が、7.5%のグループより高いことは容易に頷けますが、
6.5%のグループの死亡率も7.5%のグループより高かったことは、従来の常識では考えられないことであり、
ここでも世界の医学界は衝撃を受けました。
「今後の研究で確認されれば、ガイドラインのHbA1cを特定の値より下げすぎないよう指示する必要が出てくるだろう。」
との見解を著者らは述べています。この研究論文もエビデンスレベルは高いです。

 結局、北米と英国の大規模臨床試験において、HbA1c6.4%や6.5%と厳格に薬物治療すると、
HbA1c7.5%ていどのグループに比較して、かえって総死亡率および心血管死亡率が上昇するという、
同一のパラドックスが報告されたわけです。
 『血糖コントロール良好を目指してHbA1cを下げるべく厳格に薬物療法を行うとかえって総死亡率が上昇する』
という信頼度の高い研究報告が2つなされたわけですが、勿論これには理由があるはずです。

すなわち<糖質摂取+薬物療法>による血糖値の乱高下と頻回の低血糖が、死亡率上昇の大きな要因と考えられます。
普通に糖質を摂取して、厳格な血糖コントロールのために薬物を増量すれば、低血糖の頻度は必然的に増加します。
BMJ誌の「2型糖尿病の薬物による厳格な血糖管理の利益はわずか、低血糖リスクに相殺される程度」という結論も
また宜なるかなです。

こうなると、従来の糖尿病食(糖質たっぷり)を摂取しながら、インスリン注射や経口血糖降下薬などを内服している糖尿人は、
ある程度の合併症はやむをえず受け入れても総死亡率を減らすためには、
コントロール目標はHbA1c7.5%くらいを目指すのが最も安全ということができます。
厳格な薬物療法をやめれば、少なくとも低血糖リスクは減ります。

 日本の糖尿病患者のほとんどが、糖質を普通に食べているわけなので、
従来の日本糖尿病学会のHbA1cの目標値(7.0%未満)も考えなおして、
7.5%程度とするほうが、安全である可能性があります。

 勿論、糖質制限食実践中の糖尿病患者は、HbA1c6.2%未満をめざすのがよいと思います。
糖質制限食なら、薬物療法はないか、あっても必要最低限しか使用しません。
そうすると低血糖リスクはほとんどなくなり、血糖値の乱高下は生じず、合併症の心配もなく、
安全に血糖コントロールが可能です。
糖尿人のご同輩、くれぐれも、美味しく楽しく末長く、糖質制限食ですね。

(*1)
Effect of intensive glucose lowering treatment on all cause mortality, cardiovascular death,
and microvascular events in type 2 diabetes: meta-analysis of randomised controlled trials
BMJ. 2011 Jul 26;343:d4169. doi: 10.1136/bmj.d4169.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21791495

(*2)
ACCORD
Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes Study Group, , Miller ME, Byington RP, Goff DC, Bigger JT, Buse JB, Cushman WC, Genuth S, Ismail-Beigi F, et al.: Effects of intensive glucose lowering in type 2 diabetes. N Engl J Med 2008; 358: 2545-2559.

(*3)
The Lancet
VOLUME 375, ISSUE 9713, P481-489, FEBRUARY 06, 2010
Survival as a function of HbA1c in people with type 2 diabetes: a retrospective cohort study



江部康二
「糖質制限」が子供を救う、三島学著、江部康二監修、アマゾンOK。
こんばんは。

「糖質制限」が子供を救う
三島学/著 江部康二/監修
発行 一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会
発売 ㈱大垣書店
定価760円(税別) / 820円(税込)2016年11月


北九州市三島塾、三島学塾長のご著書です。

2016年11月の発売で、新刊ではありませんが、
日本で初めての、いやいや世界で初めての、「子供の糖質制限」の本です。
世界で初めての本ですから、大変な価値があります。

やっとアマゾンでも継続的に販売されるようになりました。
https://www.amazon.co.jp/dp/4903954021/ref


楽天ブックスでもご購入頂けます。
https://books.rakuten.co.jp/rb/14600870/


出版にこぎつけるまで、とても苦労しています。
並大抵の苦労ではなくて、本当に大変でした。
苦労話に関しては、
以下の、青字部分の文章、私の前書きを、ご一読いただけば、大変嬉しいです。

興味が湧いた方は是非、ご購入いただけば幸いです。

本書は、大垣書店の店舗でもご購入頂けます。

■大垣書店: http://www.books-ogaki.co.jp/

最寄りの書店からのお取り寄せも可能です。

高雄病院売店
高雄病院京都駅前診療所
江部診療所
でも、購入可能です。



江部康二


糖質制限が子供を救う

前書き

「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)を日本初の糖質制限食の本として世に出したのが2005年です。

その後、糖質制限食はどんどん普及していき、2015年4月には東大病院でさえ緩やかな糖質制限食を提供する時代となりました。

そして今回の三島学さんの『「糖質制限」が子供を救う』は、日本で初めての子供の糖質制限の本です。

私が常々言っているように糖質制限食は人類本来の食事であり、人類の健康食ですので、大人は勿論のこと子供の健康にもおおいに役立つはずです。そのことを証明するため、子供の糖質制限に実績のある三島学さんに執筆をお願いしたのです。

実際、糖質制限食実践で、速やかに子供達の眠気がなくなり、多動がなくなり、集中力が増します。

結果、学力はどんどん向上して、偏差値も上昇、受験も成功です。そのような実例が本書には満載であり、読めば、まさに目から鱗が落ちると思います。

子供の糖質制限といえば、2013年8月31日(土)「日本糖質制限医療推進協会立ち上げ記念パーティーin大阪」での出来事を思い出します。

宴たけなわで、盛り上がっていた時に、私が、『「糖質制限」が子供を救うという本を、執筆中の、三島学塾長です。』と紹介したところ、大騒ぎになってしまったのです。50人の参加者で大盛況だったのですが、糖質制限賛成派の医師も、10名近くおられました。

その糖質セイゲニストの医師達のなかで、お二人ほど、「大人の糖質制限は大賛成だけど、子供の糖質制限はもっての外だ。」という立場の人がいて、大論争になってしまいました。

『「糖質制限」が子供を救う』という革命的なタイトルの本ですが、当時は自分で糖質制限をしている医師でさえも「子供にはNG」という立場の人もあり、子供の糖質制限には逆風だったのです。

その後、私自身が本を刊行している様々な出版社10社近くに声をかけたのですが、実に全滅でした。一社だけ、担当者は趣旨に賛成してくれたのですが、会社の全体会議で大反対されて、没となりました。ある程度、予測はしていたのですが、世間一般の常識からすると「子供の糖質制限」などとんでもないという認識だったのです。

ここに到って、私も覚悟を決めて、(一社)日本糖質制限医療推進協会から自費出版することにしました。幸い京都の大垣書店さんが、編集を引き受けて下さり、やっと日の目を見ることができました。

本書は、インターネット通販サイトや大垣書店の店舗でご購入頂けます。最寄りの書店からのお取り寄せも可能です。大変、価値のある画期的な内容の本ですので、私のブログでどんどん紹介したいと思います。

また夏井睦先生や宗田哲男先生などにもご協力頂き、ネットの情報網を総動員で世に広めようと思っています。

本書が眠気や集中力のなさや多動などのため、学力不足で困っている多くの子供達のお役に立てれば幸いです。

一般財団法人高雄病院 理事長
一般社団法人日本糖質制限医療推進協会 理事長
江部康二
肥満改善に対する糖質制限食の有効性・安全性は確立している。
こんばんは。

今日の記事は
肥満改善に対する糖質制限食の有効性・安全性に関するお話しです。
カロリー制限食によるダイエット法の限界についても言及します。

炭水化物を摂取して減量を目指すダイエット法は
現実には『カロリー制限食』になります。
カロリー制限食を開始して6ヶ月くらいまでは、体重は減少します。
しかしそこで、必ず減り止まります。
何故なら、カロリー制限食で半年経過すると
人体は、基礎代謝量を減らして、低エネルギー状態に適応していきます。
そして、カロリー制限食から元の摂取エネルギーに戻せば
リバウンドして、かえって体重は元より増加してしまいます。
つまり基礎代謝が減った分、太りやすい身体になってしまったわけです。
このように、理論的には、
「カロリー制限食で一旦減量できても必ずリバウンドする」
ことは明らかです。
無理に我慢してカロリー制限食を長期間続ければ、
筋力低下や骨粗鬆症のリスクとなります。

一方、糖質制限食は人類本来の食事であり、人類の健康食です。
厚生労働省のいう「推定エネルギー必要量」はしっかり確保して
糖質制限食を実践すれば、

A)太りすぎの人は、適正体重まで減量。
B)痩せすぎの人は、適正体重まで増加。

が、達成できます。
適正体重とは、BMIが20以上25未満で、
その人の体調が良い体重です。

減量を目指す場合も、ひもじい感や飢餓感は全くなしで、
筋力低下や骨粗鬆症リスクもなしで、
美味しく楽しく楽々と達成可能です。
もしも、カロリー制限で体重がやせ続けるなら、人体が消失してしまいます。
従って、人体は基礎代謝を減らして、低エネルギー状態に適応します。
その時点で体重減少が止まり、リバウンドが始まります。
体重減少が約半年で止まるのは、この理論以外には考えにくいです。

従って、カロリー制限食に全く意味が無いのではなく、
理論的に考えて、半年以上続けることの意味が極めて少ないということです。

上記理論の実例として信頼度の高いエビデンスであるDIRECTのお話しをしましょう。

DIRECT.jpg

よく引用されるイスラエルのShai先生の有名な論文、DIRECT
「低炭水化物食で体重減少・ HDL-C増加・HbA1c改善  RCT研究論文」

イスラエルの322人(男性86%)
(1)低脂肪食(カロリー制限あり)女性1500kcal、男性1800kcal
(2)オリーブ油の地中海食(カロリー制限あり)女性1500kcal、男性1800kcal
(3)低炭水化物食(カロリー制限なし)
3グループの食事法を2年間
低炭水化物食が、最も体重減少。HDL-Cも増加。
36名の糖尿病患者においてHbA1cが有意差をもって改善


Iris Shai,et all:Weight Loss with a Low-Carbohydrate,Mediterranean,or Low-Fat Diet. NENGLJ MED JULY17,2008、VOL359. NO.3 229-241


糖質制限群は、最初の2ヶ月は20g/日に糖質を制限、
その後3ヶ月目からは徐々に緩めて120g/日までOKと設定しています。

しかしながら、6ヶ月後、12ヶ月後、24ヶ月後、
40~41%の糖質を摂取しています。

つまり、このDIRECT論文も、
糖質40%の糖質制限食群(中糖質群)と
糖質約50%の低脂肪食群、地中海食群(高糖質群)を比べた研究ということになります。

3群とも、出発点のベースラインからは、日々の摂取カロリーが、
6ヶ月後、12ヶ月後、24ヶ月後と全て、有意に減少しています。

ベースラインからのカロリー減少幅に3群で有意差はありませんでした。

糖質制限食群はカロリー制限なしの設定ですが、
低脂肪食群、地中海食群と有意差無く摂取エネルギーが減少しています。
つまり、DIRECTは
「同一カロリーの3群の体重減少効果を比較検討した研究」
ということになります。

糖質制限食群はカロリー制限なしの設定でしたが、
脂質・蛋白質が多く
満足度・満腹度が高いので
自然に我慢すること無く他の2群と同じだけのカロリーが減りました。
これは、かなり大きなメリットと言えます。


それで女性1500kcal、男性1800calのカロリー制限ありの他の2群に摂取カロリーを合わせてみると糖質制限食群でも、
女性で150g/日、男性で180g/日の炭水化物を摂取していることになります。

設定の120g/日をかなりオーバーしています。

これでは折角減少した体重もリバウンドを起こすでしょうね。

現実に2年後には、3群ともリバウンドを起こしています。

脂肪制限食が一番リバウンドが大きいです。
糖質制限食群も一番体重が減少していますが、
当初の5ヶ月間で達成した体重減少からは少しリバウンドしています。

この経過は、グラフをご参照ください。

私のようにスーパー糖質制限食実践中の場合、
一旦減少して適正になった体重はリバウンドを起こすことなく維持できます。

スーパー糖質制限食の場合は、
40~60g/日の糖質摂取量で、糖質の摂取比率は12%くらいです。

私の場合は、2002年にスーパー糖質制限食半年で10kg減量して、
167cm、57kgとなり、2018年12月現在も維持しています。

DIRECTの糖質摂取120g/日、糖質摂取比率40%は、
高雄病院のスーパー糖質制限食と比べると大きな差があります。

DIRECTによれば、40%の緩い糖質制限食でも、
「最も体重減少。HDL-Cも増加。HbA1cが有意差をもって改善。」
ということができます。(RCT研究論文2年間のエビデンスあり)

一方、スーパー糖質制限食に比べると、体重減少にリバウンドを生じています。

私は、やはり今後もずっと継続してスーパー糖質制限食を続けていきます。


DIRECT

Table2 炭水化物摂取比率
糖質制限群
ベースラインン:50.8%
6ヶ月後:41.4
12ヶ月後:41.6
24ヶ月後:40.4


地中海食群
ベースラインン:51.5%
6ヶ月後:49.8
12ヶ月後:50.0
24ヶ月後:50.2


低脂肪食群
ベースラインン:51.8%
6ヶ月後:50.4
12ヶ月後:50.5
24ヶ月後:50.7



江部康二
糖質制限食に肯定的な信頼度の高いエビデンス。レベル1+、レベル1。
こんにちは。

相変わらず、根拠のない(エビデンスのない)糖質制限食批判が、
インターネットやユーチューブ(YouTube)で散見されます。

今回は、糖質制限食に肯定的なエビデンスとなる信頼度の高い論文を
取り上げてみました。
まずは、エビデンスレベルのもっとも高い
「エビデンスレベル1+」と「エビデンスレベル1」
の論文で、糖質制限食の有効性を示すものを列挙してみました。

集めてみると、こんなにたくさんあるのですね。

一方、糖質制限食に否定的な、
「エビデンスレベル1+」と「エビデンスレベル1」の論文は皆無です。

この時点で、「糖質制限食是非論争」に
エビデンスレベルで、明白な決着がついたと言えます。


ましてDaiGoさんの個人的見解などは、エビデンスレベルなしであり、問題外です。


RCT(ランダム化比較試験)レベル1+

①Obesity Reviews(国際肥満研究連合の公式ジャーナル)2009年
体重減少、中性脂肪減少、HDL-C増加は低炭水化物食が低脂質・低カロリー食に比し有効。13の電子データベースの2000年1月~2007年3月の低炭水化物食と低脂質食比較RCTをメタ解析。
Systematic review of randomized controlled trials of low-carbohydrate vs. low-fat/low-calorie diets in the management of obesity and its comorbidities M. Hession,et all
 Obesity Reviews(国際肥満研究連合の公式ジャーナル)
 Volume 10, Issue 1, pages 36–50, January 2009

②Obesity Reviews(国際肥満研究連合の公式ジャーナル)2012年
23レポートのメタ解析によって
研究期間にかかわらず糖質制限食が体重,脂質,血糖,血圧を改善させる。
Obes Rev 2012; 13: 1048-1066Systematic review and meta-analysis of clinical trialsof the effects of low carbohydrate diets oncardiovascular risk factorsobr_1021

③システマティック・レビュー/53RCTのメタアナリシス。ランセット。
1)低脂肪食よりも糖質制限食の方が減量効果が高い。
2)低脂肪食は他の高脂肪食との比較で減量効果に有意差なし。
3)低脂肪食は普通食との比較でのみ、体重減少効果があった。
4)低脂肪食は、長期的な減量効果についての科学的裏付けがない。
Effect of Low-Fat Diet Interventions Versus Other Diet Interventions on Long-Term Weight Change in Adults:
  A Systematic Review and Meta-Analysis Lancet Diabetes Endocrinol 2015 Dec 01;3(12)968-979,
 DK Tobias, M Chen, JE Manson, DS Ludwig, W Willett, FB Hu



RCT(ランダム化比較試験)レベル1

①低糖質食 vs. 低脂質食。低糖質食の圧勝
低糖質食 vs. 低脂質食、減量や脂質データなどCVD(心血管疾患)リスク低減で、
低糖質食の圧勝。148人の肥満者を、1年間研究。
低糖質食は40g/日未満。
Effects of low-carbohydrate and low-fat diets: a randomized trial.
Bazzano LA et all
Ann Intern Med. 2014 Sep 2;161(5):309-18

②DIRECT低炭水化物食で一番体重減少・ HDL-C増加 
脂肪制限食(カロリー制限)、                           
地中海食(カロリー制限)、                            
低炭水化物食(カロリー無制限)の3群
低炭水化物群のみカロリー無制限のハンディがあったが、結局3群全て同じだけのカロリーが減少。満足度と満腹度。
当初糖質20g/日以下。3ヶ月後から120g/日以下を目指すも、結局女性150g/日、男性180g/日で40%の糖質。
糖質約50%の低脂肪食群、地中海食群(高糖質群)
DIRECT(Dietary Intervention Randomized Controlled Trial)         
322人を3群に分けて、2年間の研究。
Iris Shai,et all:Weight Loss with a Low-Carbohydrate,Mediterranean,or Low-Fat Diet. NENGLJ MED JULY17,2008、VOL359.NO.3 229-241

③DIRECTのフォローアップ研究。合計6年間。
地中海食、低炭水化物食の2群は、6年後も 体重減少に有意差あり。
Four-Year Follow-up after Two-Year Dietary Interventions
 N Engl J Med 2012; 367:1373-1374October 4, 2012

④低糖質地中海食(LCMD)。HbA1cレベルの大きな減少。
低糖質地中海食(LCMD)。8年間RCT研究論文。
糖質50%未満のLCMD群(108人)と低脂肪群(107人)の比較。女性は1500kcal/日。男性は1800kcal/日。
新たに診断された2型糖尿病患者では、LCMDは低脂肪食と比較して、HbA1cレベルの大きな減少、糖尿病の寛解率が高く、糖尿病治療薬の導入を遅らせた。
Diabetes Care. 2014 Jul;37(7):1824-30.
The effects of a Mediterranean diet on the need for diabetes drugs and remission of newly diagnosed type 2 diabetes: follow-up of a randomized trial.

⑤低炭水化物食が、肥満・HDL-C・TGを改善。   
       
JAMA  2007年3月  A TO Z 体重減少研究
アトキンス、ゾーン、ラーン、オーニッシュダイエットのそれぞれの1年間の体重減少効果などをみた。311人の女性を上記4グループに分けて追跡。これら4種のダイエット法は、いずれも米国でポピュラーなものである。
アトキンスは低炭水化物食(スーパー糖質制限食)、ラーンとオーニッシュは高炭水化物、低脂肪食、ゾーンは炭水化物40%
低炭水化物食が体重を最も減少させて、HDL-CとTGを改善。
Comparison of the Atkins, Zone, Ornish, and LEARN Diets for Change in Weight and Related Risk Factors Among Overweight Premenopausal Women
 The A TO Z Weight Loss Study: A Randomized Trial ,JAMA297:969-977



エビデンスレベル 「糖尿病診療ガイドライン2016」

レベル1 + 質の高いランダム化比較試験(RCT)および
     それらのメタアナリシス(MA)/システマティック・ レビュー(SR)
レベル1  それ以外のRCTおよびそれらのMA/SR
レベル2   前向きコホート研究およびそれらのMA/SR
         (事前に定めた)RCTサブ解析
レベル3  非ランダム化比較試験 前後比較試験
         後ろ向きコホート研究
         ケースコントロール研究およびそれらのMA/SR
         RCT後付けサブ解析
レベル4  横断研究 
      症例集積

*質の高いRCTとは①多数例②二重盲検、独立判定③高追跡率④ランダム割り付け法が明確などをさす。




江部康二









2型糖尿病患者に対する糖質制限食の有効性・安全性は確立している。
【18/12/04 こつめ
YouTubeで。。。
メンタリストDaiGoさんがYouTubeで糖質制限は老化するからヤバイという
動画をアップしていて、すでに10万回以上再生されてます。

糖質制限の闇!痩せない上に寿命が4年減ることが判明
https://youtu.be/edYQfK6CYFE

「糖質制限を勧めている医者はA級戦犯だ」とまで言ってます。
DaiGoさんはDaiGoさんでエビデンスを確認して話してるようにも見えるので、
正直混乱してしまいます。。。】


こんにちは。
こつめさんから、
メンタリストDaiGoさんがYouTubeで糖質制限批判をしているとのコメントを頂きました。

立場上見ましたが、
DaiGoさんのお話には医学的な『エビデンス』は、ほとんどありません。
単なる個人的見解に過ぎません。

通常の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)を摂取している日本の糖尿病患者さんが
毎年新たに、
糖尿病腎症から16000人以上人工透析、
糖尿病網膜症から3000人以上失明、
糖尿病足病変から3000人以上足切断、

といった合併症に苦しんでいる現実を、
DaiGoさんは、ご存じないのでしょうか?

日本糖尿病学会『第56回日本糖尿病学会年次学術集会』熊本宣言2013においても、
「糖尿病合併症で苦しむ患者さんの数は今なお減少していません。」
と記載されています。


A)
3大栄養素の中で、摂取後、直接血糖に変わるのは糖質だけで、
たんぱく質と脂質は血糖に影響なしです。
これは生理学的事実です。

B)
「食後高血糖」と「血糖変動幅増大」が最大の酸化ストレスリスクであり、
糖尿病合併症の元凶となります。
これにはエビデンスがあります。

C)
「食後高血糖」と「血糖変動幅増大」を生じるのは糖質を摂取したときだけです。
これは、生理学的事実です。

D)
従って、A)B)C)より、糖尿人が糖質を摂取すれば、合併症を予防することは困難であり、
<高糖質食=合併症製造食>としか言いようがありません。
合併症を予防できるのは、理論的に考えて、糖質制限食だけです。



DaiGoさんに限らず、日本で糖質制限食批判をする人は他にもいますが、
皆、個人的見解であり、エビデンスに基づくものではありません。

このような個人の見解にたいして、
米国糖尿病学会の見解は、多くのエビデンスに基づくもので、
信頼度が全く異なります。

医学において『エビデンス』となるのは、
ニューイングランド・ジャーナル、ランセット、JAMA、ディアベテス・ケアなどの
一流医学雑誌に掲載された論文です。

2013年10月、
米国糖尿病学会は「成人糖尿病患者の食事療法に関する声明」において
糖質制限食を正式に容認しました。

ここにおいて、「成人糖尿病患者に対する糖質制限食の有効性と安全性」は
担保され、国際的に認知されたと言えます。

ちなみに、米国ではこの20年(1990~2010年)で、日本とは異なり、
糖尿病合併症は、以下のように激減しています。
(1)急性心筋梗塞 マイナス67.8% (2)高血糖症による死亡 マイナス64.4% 
(3)脳卒中 マイナス52.7%(4)下肢切断 マイナス51.4%
(5)末期腎不全 マイナス28.3%



上述のように、米国糖尿病学会は2013年10月、
「成人糖尿病患者の食事療法に関する声明」で
糖質制限食を正式に容認しました。
すなわち、少なくとも成人糖尿病患者に関しては
長年の『糖質制限食の是非論争』に関して
国際的には是として決着がついたと言えます。

糖質制限食の安全性と有効性に関しては、
米国糖尿病学会(ADA)によって、
下記のような経過を経て保証されています。

米国糖尿病学会の糖質制限食に対する見解の経年的変化を見れば、
わかりやすいです。

1)2007年までは、糖質制限食を否定です。
2)2008年に、肥満を伴う糖尿病患者に1年間の期限つきで有効性を認めました。
3)2011年に、肥満を伴う糖尿病患者に2年間の期限つきで有効性を認めました。
4)2013年10月、「成人糖尿病患者の食事療法に関する声明」を
  2008年以来5年ぶりに改訂し、
  適切な三大栄養素比率は確立されていないことを明言しました。
  そして「糖質130g/日が平均的な最小必要量」という文言を削除し、
  肥満の有無は関係なく、期限なしで、正式に糖質制限食を容認しました。
  そして患者ごとに個別に様々な食事パターン〔地中海食,ベジタリアン食,糖質制限  食,低脂質食,
  DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食〕が受容可能としました。


つまり、米国糖尿病学会は2008年以降、
数々のエビデンスに基づいて糖質制限を容認の方向に踏み出しました。

その後、5年間のエビデンスの蓄積(糖質制限食肯定も否定も含めて)を経て
2013年に糖質制限食を正式容認です。

米国糖尿病学会の見解は、個人の医師の見解や動物実験とは異なり、
多くのエビデンスに基づくものですから、信頼度は高く意義は大変大きいです。

2型糖尿病に対する食事療法として、
米国では今や糖質制限食は重要な位置を占めるようなってきています。

例えば、米国のデューク大学(米ノースカロライナ州ダーラム)は、
糖質制限食に関する臨床研究を積極的に行っています。

デューク大学のWilliam S. Yancy Jr.准教授は
2013年10月のADA声明改訂委員の1人でもあります。

一般内科のEric C. Westman准教授は同大学生活習慣医学クリニック所長です。
Westman准教授は、炭水化物20g/日未満をクリニックで実践しています。

このようにデューク大学では、
高雄病院のスーパー糖質制限食よりさらに厳格なケトジェニックダイエットを
糖尿病治療食の標準として実践しています。


2013年10月に、
米国糖尿病学会(ADA)が糖質制限食を正式に容認したという事実は
日本の糖質制限食推進派医師にとっても、大きな追い風となりました。
例えば、東大病院で2015年4月から
摂取比率40%の『緩やかな糖質制限食』が導入されたのも
米国糖尿病学会の見解の影響と思われます。

医学界においても、嬉しいサプライズです。
2017年2月7日(火)午後から、生まれて初めて東京大学医学部に行ってきました。
教授室で、渡邊昌先生、門脇孝先生、江部康二の3人で鼎談を行いました。
二人で話し合うのが対談で、三人で話し合うのが鼎談です。
渡邊昌先生は、医学雑誌「医と食」の編集長です。
門脇孝先生は、
一般社団法人 日本糖尿病学会 理事長
であり、
東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科教授
です。

日本糖尿病学会のトップとじっくり話し合うことができて、
とても有意義な90分間でした。
私もおおいに元気づけられました。


江部康二

男・50代からの糖質制限: ストーリーで学べる最強の食事法。江部康二著。刊行。
こんにちは。

今までにない新しい企画の本が上梓されました。
2018年10月19日から発売中です。

東洋経済新報社 江部康二著
男・50代からの糖質制限: ストーリーで学べる最強の食事法

https://www.amazon.co.jp/dp/4492046313/ref=cm_sw_r_em_apa_y-gLBbEYDJ2DC
です。

81TcS2gnZyL.jpg


本書は「3人のオヤジのストーリー」を通して
平易でわかりやすい内容となっています。

一方信頼度を確保するために文章中に根拠となる論文を紹介しています。
文章中にない場合は、根拠となる論文を巻末に通し番号をつけて記載してあります。

つまりとても読みやすくわかりやすい内容ですが、
全てエビデンスに基づいており信頼度が高いと自負しています。

私自身も糖尿病発覚の52歳からスーパー糖質制限食を開始し、
68歳の現在まで16年間継続しています。
歯は全て残り、虫歯はありません。
目は裸眼で広辞苑が読めます。
聴力低下もなく、夜間尿もなく、身長も縮んでいません。
内服薬もなしで、糖尿病合併症もなしです。
スーパー糖質制限食のおかげで、糖化に伴う老化が予防出来ているものと思われます。



東洋経済オンラインにも、
『男・50代からの糖質制限: ストーリーで学べる最強の食事法』の記事が配信になりました。
https://toyokeizai.net/articles/-/243363
https://toyokeizai.net/articles/-/244977
https://toyokeizai.net/articles/-/246562?display=b

ヤフーニュースにも載りました。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181019-00243363-toyo-soci

「50代こそ糖質制限を!江部康二インタビュー」
YouTubuで公開中です。
https://www.youtube.com/watch?v=QGDyYdsxNqg

以下の1~5は、11/11現在、視聴できません。
イントロダクション
https://youtu.be/oAe7nKrKI7I
その1
https://youtu.be/AR7kmOdyr7E
その2
https://youtu.be/U3YqaQw-An8
その3
https://youtu.be/Z0d1jOlZuQc
その4
https://youtu.be/2ioaIHBdq08
その5
https://youtu.be/HHdTRGgCnZc


是非、ご一読頂ければ幸いです。

以下は出版社の内容紹介です。

長い“これから”の健康度は、これで決まる!
中高年こそ「糖質制限」が必要だ!!


肥満、メタボを解消し、糖尿病はじめ生活習慣病、がん、脳梗塞、心筋梗塞、アルツハイマー病....などを予防して健康100歳に。

「3人のオヤジのストーリー」を通してスッキリわかる“究極の健康食”の知識と実践法。

一流医学誌の最新発表など科学的根拠(エビデンス)に基づいた新たな医学常識――。

○食後高血糖をもたらす栄養素は「糖質」だけ。
○脂肪を食べても不健康にはならない。
○「脳はブドウ糖しか使わない」はウソ。
○認知症の予防にも糖質制限は有効。
○糖質過剰はガンを増やす。
○老化の原因も「糖質」にあった。
……
諸悪の根源「糖質の過剰摂取」を防ぎながら、肉や魚・アルコール類も楽しめる“最高の食事法”のすすめ。

これであなたの人生が変わる!


江部康二


以下は、本書のプロローグからの抜粋です。

プロローグ 長い老後の健康度は
五〇代の糖質制限が決める


〇ランセット論文「糖質を摂るほど死ぬ。脂質を摂るほど死なない」

〇アメリカで合併症が激減

○酸化ストレスとAGEs

〇中高年こそ糖質制限が必要


〇三人の五〇代男性が糖質制限を始めるストーリー
 

私の経験上、糖質制限を始めるのに重要なのは五〇代です。

五〇代ならば、まだ、老化物質であるAGEsは
取り返しのつかないほどには溜まっていませんから、
糖質制限でこれ以上の蓄積を食い止められるからです。
 しかし、これよりも高齢になると、かなりの量のAGEsが溜まっており、
老化が身体を蝕んでしまっています。
そして、いったん溜まったAGEsはもう消えません。
 つまり、五〇代で老化物質の蓄積を止められるかどうかで、
その後の人生が決まると言っても過言ではないのです。
五〇代こそ糖質制限を始めるべき時期なのですが、
残念ながら、多くの中高年男性が糖質制限にあまり熱心でないのが現状です。
その理由はいくつかあるようです。
まず、仕事が忙しすぎるという人がいます。
確かに、五〇代というと社会的な責任の重い世代ですから、
健康をおろそかにしがちになるのも無理からぬところがあるでしょう。
また、糖質制限に懐疑的な人もいます。
これは健康情報に詳しいというタイプに多いようです。
情報過多の現代では、糖質制限に関する誤解が蔓延していて、
その有効性を正しく認識していない場合もあるのです。
そして、最も多いのは、もう健康になることをあきらめているという人です。
何度かダイエットに挑戦しては挫折を繰り返し、
中年太りは仕方がないと思いこんでいる人のことです。
そんな人は、年を取れば歯が抜けたり視力が落ちたりなどといった衰えが起こることも、
仕方がないとあきらめています。
高齢になれば老化するのは常識でしょうし、
これは五〇代のほぼ全員かもしれません。
しかし、あきらめているのは、
糖質制限のアンチエイジング効果を知らないからであり、
いかにももったいない話だと思われてなりません。
そこで、五〇代男性になんとかして糖質制限を始めてもらえないかと、
企画したのが本書です。
本書では、三人の五〇代男性のお話として構成されている部分と、
糖質制限の解説をまとめた部分とに分かれます。
三人の男性は、私が診療の現場で見てきた実際の患者さんたちの典型例であり、
いわば、糖質制限に踏み切れない五〇代男性のモデルです。
三人が糖質制限を知り、実践へと踏み切るストーリーを追いながら、
ご自分の未来を幸せにするのに糖質制限が必要かどうか、
考えてみていただきたいのです。
男・五〇代は、人生の後半を幸せなものに出来るかどうかの分岐点です。
どうか本書をきっかけにして、
糖質制限の道へと進むことを決断していただきたいと願っています。

なお本書は、ストーリー仕立てになっており平易でわかりやすいのが特徴です。
あわせて医学的な信頼度も確保するため、文中に通し番号を付け、
巻末に医学的根拠(エビデンス)となる論文を明記しています。
文中で直接出典を示した箇所もあります。
興味のある方はご参考になさってください。


現行の糖尿病食は合併症製造食。合併症とAGEs。
こんばんは。

2018/12/2(日)
朝日カルチャー新宿教室で、
糖質制限食と糖尿病・生活習慣病
 ~認知症予防のために~

と題して、講演をしてきました。
満員御礼で、ご参加頂いた皆さん、ありがとうございました。

糖質制限食に関する最新の話題なども盛り込んで
75分間講演しました。
15分くらいの質疑応答時間の設定でしたが
質問がとても多くて、
15分くらい延長して、合計30分間となりました。
それでも、まだ数人の方が、手を上げておられたのですが、
帰りの新幹線の時間があるので、打ち切りとなり
申し訳ありませんでした。  m(_ _)m

参加して頂いた中で、質問がまだおありの方は、
本ブログでコメントして頂けば、幸いです。

講演では、特に重要なポイントとして
「現行の糖尿病食は合併症製造食」であることを強調して
警鐘を鳴らしました。

そして、糖尿病合併症とAGEsの関係について、
少しだけ言及しましたが、言い足りなかったので、
本日のブログ記事に掲載しました。



<現行の糖尿病食は合併症製造食>

我々糖尿人は耐糖能が低下していますので、
糖質を摂取すると必ず
「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」を生じます。
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」は最大の酸化ストレスリスクであり
糖尿病合併症の元凶とされています。
従って、普通の糖質摂取比率が50~60%の食事というのは
糖尿人にとっては、明確に害悪であり毒と言っても過言ではないと思います。
現行の糖尿病食は、誠に遺憾ながら「合併症製造食」としか言いようがありません。

現実に今の日本では、糖尿病学会も認めるように
糖尿病合併症は全く減少していません。
人工透析が毎年16000人以上、
失明が毎年3000人以上、
足の切断が毎年3000人以上
です。
この事実は、現行の糖尿病治療(カロリー制限・高糖質食+薬物療法)が
決して上手くいっていない動かぬ証拠と言えます
現行の糖尿病治療が上手くいっているなら、
合併症は減り続けているはずです。

<体内で作られるAGEsが糖尿病合併症を引き起こす>
  最近、AGEsが注目されています。
その理由はさまざまな糖尿病合併症の元凶の一つと考えられるようになったからです。
まず、AGEsは酸化ストレスのリスクとなります。
そのプロセスは多様ですが、最も分かりやすいのは、
AGEsが血管の内壁にたまり、動脈硬化を引き起こす例でしょう。
動脈硬化によって障害を受ける血管の部位によって、生じる糖尿病合併症は異なりますが、
いずれも血管病と言って過言ではありません。
血管壁のAGEsは消えない借金であり「高血糖の記憶 」と呼ばれています。
  体内で高血糖により産生されたAGEsが、細小血管合併症に関わることは、以前から指摘されていました。
細小血管合併症とは、糖尿病網膜症や糖尿病腎症です。
さらに近年「高血糖の記憶」という概念で、
米国の大規模臨床研究・DCCTのフォローアップ試験であるEDIC-DCCTの報告、
UKPDSの20年後の解析で、大血管合併症にもAGEsが関わっているという説が有力となっています。
大血管合併症とは、心筋梗塞や脳梗塞などです。
 AGEsによる合併症発症のリスクは、「血糖値×持続期間」で決まります。
高血糖であればあるほど、そして高血糖である期間が長ければ長いほど、
AGEsの生成、蓄積量は多くなるからです。
従って、長年糖尿病を患っている患者は糖化が生じやすく、
AGEsの蓄積も、糖尿病でない人に比べて必然的に多くなります。
その結果、心筋梗塞や脳梗塞にもなりやすくなるので、
糖尿病は「老化」が早く進む病気とも言われてきました。

<AGEs>
 糖化とは、ブドウ糖(グルコース)などの糖が、直接たんぱく質などに結合する反応のことです。
糖尿病の検査指標として一般的に使われているヘモグロビンA1c(HbA1c)は糖化したヘモグロビンのことです。
HbA1cは、たんぱく質と糖が結合する「糖化反応系」の初期段階で作られる「アマドリ化合物」の一種で、
アマドリ化合物からさらに糖化反応が進むと、
最終的に「終末糖化産物(AGEs=advanced glycation endproducts)」ができあがります。
AGEsは糖尿病合併症の元凶であるとともに、老化の元凶とも言われています。
上述のように、体内で産生されたAGEsは、糖尿病合併症や老化の元凶です。
一方、食物由来のAGEsが同様の悪者となるのか否かは、まだ論争中です。
食物由来AGEsの約7%くらいが体内に吸収されます。

人類が火を使い始めてから、食物由来のAGEs摂取量は数十倍レベルに増加しています。
しかし人類が火を使用して以後、寿命が短くなったとか、何らかの病気が増えという事実はないので
私は、食物由来のAGEsはあまり気にしなくていいかと思っています。

私自身、52歳でスーパー糖質制限食開始以来16年間、
焼き肉・焼き魚・すき焼き・鉄板焼きなど火の通った料理を良く食べていますが、
皮膚のAGEs測定値は、開始時の52歳相当でくいとまっています。

<糖質制限食と糖尿人>
糖尿人においては「スーパー糖質制限食」だけが
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅」と「AGEsの蓄積」が生じない食事療法であり、
合併症予防を考えると理論的には他に選択の余地はありません。

一方、糖質制限食は、強制するようなものではありません。
自分で考えて自分で判断し選択して自己責任で実践するものですのでよろしくお願い申し上げます。



江部康二
糖質制限食で、HbA1cや他の検査データも良好。カリウム高値は?
【18/11/30 ぱぴこ

先生、ブログでいつも貴重な情報をありがとうございます。
図々しくもこちらで2度程ご相談させて頂いております。ありがとうございます。
OGTTで1時間値300近くまでとなりIGTの指摘を受けて以降糖質制限を始め3年程。
157㎝41~増えても43㎏痩せ型にて、
主食を一切取らずとも肉魚多めでしっかりカロリーを取り体重を保ちA1c5台。
肉ばかりではコレステロール値が心配で魚、刺身も良く食べます。
野菜は、根菜は除きキャベツや緑黄色野菜をしっかり取り
肌の調子良く便秘なくコレステロール値も安定し体調良く、
まだ糖質制限がここまで広まっていなかった頃から
先生がこのブログで情報を下さったお陰と感謝しています。
私は現在、3ヶ月1回採血しています。

質問です。
今日の採血で他は全て基準値もカリウムのみが5,5と高値になり、心配しています。
確かに生野菜はキャベツ昼夜各100g必ず以外にもサラダや煮物炒め物で
ブロッコリー、ほうれん草、小松菜、大根菜なども驚く程食べますし、
肉魚、納豆等豆類、キノコ類もカロリーや食物繊維を意識して良く食べますが、
器質的異常がないのに、食事の影響だけでカリウムが上がる事は、あるのでしょうか?? 

採血時の溶血はないかと思います。
来週診察はありますが…最近代わった今の主治医は
主食一切取らずの糖質制限をしてる事はあまり理解ない感じにて
詳しくは話しておらず、
先生のご意見も頂ければと思い、メールさせて頂きました。】



こんにちは。
ぱぴこさんから、糖質制限食で、HbA1cや他の検査データも全て良好となったが
カリウムが5.5mEq/ml(3.5〜5.0mEq/L)と高値なのは何故?という、
コメント・質問を頂きました。

OGTTで1時間値300近くなら、
1時間値が180mg/dlを超えており、
将来糖尿病を発症しやすいので
糖質制限食を開始されたのは正解です。
これで、将来の糖尿病発症を予防できます。

「糖質制限食で肌の調子良く便秘なくコレステロール値も安定し体調良く」
とは、素晴らしいです。

当然、血清クレアチニン値など腎機能も正常と思います。
腎機能が正常なら、アボカド、ホウレンソウ、納豆、モロヘイヤなど
カリウムを多く含む食材を食べても
血清カリウムが上昇することはありません。

腎機能が正常なのに、血清カリウムが高値という人は
結構おられます。
高雄病院でも数%おられます。

また、他の病院で検査して、血清カリウムが5.8mEq/mlとかあって、
高雄病院で再検査したら、4.5mEq/mlで基準値内ということも時々ありますが、
この場合も血液検査で腎機能正常です。


採血時の溶血はないとの事ですが、
腎機能が正常で、高カリウム血症を呈する場合、
実際には、ほぼ全てが、溶血が原因です。

実際のカリウム値は正常値であるのに、
採血時や採血から検査までの過程に問題があると、
カリウム値が上昇することがあり、偽性高カリウム血症と呼びます。

採血時に手を握ったり離したりとか、
採血部の皮膚をたたいたり擦ったりとか、
強く締めすぎたりとか、
長いこと締めすぎたりとか、
細すぎる針で採血したりとか、
高齢者で赤血球が脆いとか、
ほんのちょっとしたことで、溶血します。

赤血球の中には大量のカリウムが入っているので、
ほんの少しの溶血でも高カリウム血症になります。

採決後、長いこと放置すると、カリウムが赤血球から露出して高値となります。
また、室温が低いと、カリウムが露出しやすくなるので、注意が必要です。

白血球や血小板が異常高値である場合、
凝固する過程で流出するためカリウム値が上昇 します。


☆☆☆
詳しくは、以下のCRCグループのサイトが参考になります。
http://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/14.html


江部康二