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食後血糖値について。
こんにちは。
食後血糖値について、
内科医のとしのさんから、コメント・質問を頂きました。

食後血糖値の評価ですが、案外わかりにくくて
スッキリ理解するのに苦労します。
私も例に漏れませんので検討してみました。

食後高血糖が、血管、認知症、癌などのリスクになることは、
2007年と2011年の国際糖尿病連合「食後血糖値の管理に関するガイドライン」
において、多くのエビデンス(信頼度の高い英文研究論文)に則って、明示されています。


国際糖尿病連合(International Diabetes Federation:IDF)2007年
「食後血糖値の管理に関するガイドライン」


・ 食後および負荷後高血糖は大血管疾患の独立した危険因子である。
・ 糖負荷(GL*)の低い食事は食後血糖値のコントロールに有益である。
・ 食後血糖値をコントロールするためには、食事療法および薬物療法を考慮すべきである。
・ 食後高血糖は糖尿病網膜症と関係する。
・ 食後高血糖はIMT肥厚と関係する。
・ 食後高血糖は、酸化ストレスを生じ、血管内皮を障害する。
・ 食後高血糖は認知障害にも関係する。
・ 食後高血糖は癌発症リスク上昇と関連する。
・ 食後血糖と空腹時血糖を共にターゲットにすることは、
  血糖コントロール達成の最善の戦略である。
・ HbA1cは6.5%未満が目標。
・ 空腹時血糖値は100mg/dl未満をめざす。
・ 食後2時間血糖値は140mg/dLを超えないようにする。


*GL(glycemic lord)
GI値を100で割り、その食品1食分に含まれる糖質のグラム数をかけた数値。
GIよりGLのほうが、実際に食事をするときの参考になりやすい。
GL値10以下の食品が、低GL食品。 


国際糖尿病連合(International Diabetes Federation:IDF)2011年
「食後血糖値の管理に関するガイドライン」


2007年に比べて、それほど大きな変化はないように思います。
いずれも食後高血糖のリスクを、列挙して明示しています。
違いですが、私の発見したところでは、

*SMBG(血糖自己測定)を、食後高血糖チェックに一押しで推奨。
*食後血糖値は、食後1~2時間で測定されるべきで、
 160mg/dl未満が目標というのが追加。
*食後高血糖は心筋の血液量と血流を減らすと新たに言及。
*CGMが普及してきて、薬、食事、ストレス、運動など
 様々な要素が血糖に影響を与えるのをチェックできる。


これらが、2007年版に追加で、2011年版に加わりました。



ⅠとⅡとを、合わせて考慮すれば、
ピークで160mg/dlを超える食後血糖値は、

大血管疾患
糖尿病網膜症
IMT肥厚
酸化ストレス→血管内皮障害
認知症


のリスクとなります。
大血管疾患には「脳血管障害、冠動脈疾患、末梢動脈疾患」が含まれ、
IMT肥厚や血管内皮障害があると、動脈硬化を発症します。
さらに、心筋の血液量と血流が減れば、冠動脈疾患のリスクとなります。



熊本スタディー(Kumamoto Study)

<細小血管合併症予防>のための目標
HbA1c:6.9%未満
空腹時血糖値:110mg/dl未満
食後2時間血糖値:180mg/dl未満
改訂第7版 糖尿病専門医研修ガイドブック 19、20ページ


*熊本スタディー
Shichiri M, et al. Diabetes Care 2000; 23: B21-B29.
2型糖尿病患者を対象に、
強化インスリン療法による厳格な血糖コントロールによって
細小血管障害が抑制できるかを検討した前向き試験で、110名を8年間追跡。


熊本スタディーは、Diabetes Careという一流英文医学雑誌に掲載された
日本発の信頼度の高いエビデンスと言えます。
細小血管合併症には、糖尿病腎症・網膜症・神経障害があり、
糖尿病の三大合併症と呼ばれています。



日本糖尿病学会 熊本宣言2013

合併症予防のための目標
HbA1c7.0%未満
食後2時間血糖値180mg/dl未満
空腹時血糖値130mg/dl未満


食後2時間血糖値180mg/dl未満というのは、
国際糖尿病連合(IDF)の160mg/dl未満に比べて、やや緩いです。

江部康二
「糖質制限」が子供を救う、三島学著、江部康二監修、アマゾンOK。
おはようございます。

「糖質制限」が子供を救う
三島学/著 江部康二/監修
発行 一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会
発売 ㈱大垣書店
定価760円(税別) / 820円(税込)2016年11月


北九州市三島塾、三島学塾長のご著書です。

日本で初めての、いやいや世界で初めての、「子供の糖質制限」の本です。
世界で初めての本ですから、大変な価値があります。

やっとアマゾンでも継続的に販売されるようになりました。
https://www.amazon.co.jp/dp/4903954021/ref


楽天ブックスでもご購入頂けます。
https://books.rakuten.co.jp/rb/14600870/


出版にこぎつけるまで、とても苦労しています。
以下の私の前書きを、ご一読いただけば、大変嬉しいです。

興味が湧いた方は是非、ご購入いただけば幸いです。

本書は、大垣書店の店舗でもご購入頂けます。

■大垣書店: http://www.books-ogaki.co.jp/

最寄りの書店からのお取り寄せも可能です。

高雄病院売店
高雄病院京都駅前診療所
江部診療所
でも、購入可能です。



江部康二


糖質制限が子供を救う

前書き

「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)を日本初の糖質制限食の本として世に出したのが2005年です。

その後、糖質制限食はどんどん普及していき、2015年4月には東大病院でさえ緩やかな糖質制限食を提供する時代となりました。

そして今回の三島学さんの『「糖質制限」が子供を救う』は、日本で初めての子供の糖質制限の本です。

私が常々言っているように糖質制限食は人類本来の食事であり、人類の健康食ですので、大人は勿論のこと子供の健康にもおおいに役立つはずです。そのことを証明するため、子供の糖質制限に実績のある三島学さんに執筆をお願いしたのです。

実際、糖質制限食実践で、速やかに子供達の眠気がなくなり、多動がなくなり、集中力が増します。

結果、学力はどんどん向上して、偏差値も上昇、受験も成功です。そのような実例が本書には満載であり、読めば、まさに目から鱗が落ちると思います。

子供の糖質制限といえば、2013年8月31日(土)「日本糖質制限医療推進協会立ち上げ記念パーティーin大阪」での出来事を思い出します。

宴たけなわで、盛り上がっていた時に、私が、『「糖質制限」が子供を救うという本を、執筆中の、三島学塾長です。』と紹介したところ、大騒ぎになってしまったのです。50人の参加者で大盛況だったのですが、糖質制限賛成派の医師も、10名近くおられました。

その糖質セイゲニストの医師達のなかで、お二人ほど、「大人の糖質制限は大賛成だけど、子供の糖質制限はもっての外だ。」という立場の人がいて、大論争になってしまいました。

『「糖質制限」が子供を救う』という革命的なタイトルの本ですが、当時は自分で糖質制限をしている医師でさえも「子供にはNG」という立場の人もあり、子供の糖質制限には逆風だったのです。

その後、私自身が本を刊行している様々な出版社10社近くに声をかけたのですが、実に全滅でした。一社だけ、担当者は趣旨に賛成してくれたのですが、会社の全体会議で大反対されて、没となりました。ある程度、予測はしていたのですが、世間一般の常識からすると「子供の糖質制限」などとんでもないという認識だったのです。

ここに到って、私も覚悟を決めて、(一社)日本糖質制限医療推進協会から自費出版することにしました。幸い京都の大垣書店さんが、編集を引き受けて下さり、やっと日の目を見ることができました。

本書は、インターネット通販サイトや大垣書店の店舗でご購入頂けます。最寄りの書店からのお取り寄せも可能です。大変、価値のある画期的な内容の本ですので、私のブログでどんどん紹介したいと思います。

また夏井睦先生や宗田哲男先生などにもご協力頂き、ネットの情報網を総動員で世に広めようと思っています。

本書が眠気や集中力のなさや多動などのため、学力不足で困っている多くの子供達のお役に立てれば幸いです。

一般財団法人高雄病院 理事長
一般社団法人日本糖質制限医療推進協会 理事長
江部康二
朝日カルチャーセンター立川教室のご案内。2018年6月30日(土)。
こんにちは。

朝日カルチャーセンター立川教室講座のご案内です。
立川では、ここしばらく毎年一回の講座を続けていますが、
結構、新しい話題がありますので、スライドも毎回更新しています。
今回もわかりやすくお話しますので、乞うご期待です。
東京、関東方面の糖尿人やメタボ人の方々やそのご家族、
奮ってご参加いただけば幸いです。

https://www.asahiculture.jp/tachikawa/course/cd2c7685-412f-0981-917f-5a55c90884b1
042-527-6511


糖質制限食による糖尿病の治療と予防
人類本来の食事・人類の健康食
朝日カルチャーセンター立川教室。
2018年6月30日(土)。


糖質制限食は、1999年から京都・高雄病院において糖尿病治療食として開始され、合併症を予防できる唯一の食事療法として画期的な成果をあげてきました。米国糖尿病学会の患者用テキストブック(2004年)には「摂取後直接、血糖に影響を与えるのは糖質のみである。蛋白質・脂質は、摂取後、直接血糖に影響を及ぼすことはない。」と記載されています。食後高血糖と一日平均血糖変動幅増大が糖尿病合併症の最大のリスクとなりますが、従来の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)では、必ずそれらを生じるので、糖尿病合併症の予防は困難です。現実に日本では、毎年新たに、人工透析16000人以上、失明3000人以上、足切断3000人以上と糖尿病合併症は減っていません。米国糖尿病学会は、2013年10月、5年ぶりに「栄養療法に関する声明」を発表し、糖質制限食、地中海食、ベジタリアン食、低脂質食、DASH食を受容しました。このことは糖質制限食に大きな追い風となりました。


江部康二


☆☆☆
以下、朝日カルチャーセンター立川教室のサイトから抜粋。

日時・期間
土曜  15:30-17:00
日程 2018年 6/30
受講料(税込み)
6月(1回)
会員 3,024円
一般 3,672円


講師紹介 江部 康二 (エベ コウジ)
<プロフィール>
・1950年生まれ。
・1974年京都大学医学部卒業。
・1974年から京都大学胸部疾患研究所第一内科(現在京大呼吸器内科)
にて呼吸器科を学ぶ。
・1978年から高雄病院に医局長として勤務。1996年副院長就任。
・1999年高雄病院に糖質制限食導入。
・2000年理事長就任。
・2001年から糖質制限食に本格的に取り組む。
・ 2002年に自ら糖尿病であると気づいて以来、さらに糖尿病治療の研究に力を 注ぎ、「糖質制限食」の体系を確立。これにより自身の糖尿病を克服。
内科医/漢方医/一般財団法人高雄病院理事長/一般社団法人日本糖質制限医療推進協会理事長。

<著書>
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』2005年(東洋経済新報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編』2008年(東洋経済新報社)
『我ら糖尿人、元気なのにはわけがある』2009年(東洋経済新報社・作家宮本輝氏との対談本)
『糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食』2010年(ナツメ社)
『主食をやめると健康になる』2011年(ダイヤモンド社)
『食品別糖質量ハンドブック』2012年(洋泉社)監修
『糖質オフ!健康法』2012年(PHP文庫)
『糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド』2013年(東洋経済新報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!新版』2014年(東洋経済新報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!2 実践編 新版』2014年(東洋経済新報社)
『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません』2014年(東洋経済新報社)
『なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか』2015年(ナツメ社)
『糖質制限の教科書』2015年(洋泉社)監修
『よくわかる! すぐできる! 「 糖質オフ! 」健康法 』2016年(PHP研究所)
『人類最強の「糖質制限」論~ケトン体を味方に して痩せる、健康になる』2016年(SB新書)
『江部康二の糖質制限革命』2017年(東洋経済新報社)
など多数。
ブログ『ドクター江部の糖尿病徒然日記( http://koujiebe.blog95.fc2.com/ )は日に数千件のアクセスがあり、糖尿病のかたやそのご家族から寄せられた質問への回答や、糖尿病・糖質制限食に関する 情報の発信に、日々尽力している。

2018年8月5日(日) 糖質制限食一般向け大阪講演会のご案内。
こんにちは。

大阪北部地震、被災されたみなさまには謹んでお見舞い申し上げます。

8月5日(日)、大阪市内で、
「正しく学んで健康に!糖質制限食と脂質の知識」
と題して、一般の方向けの講演会を開催します。

今回は、大櫛陽一先生をお招きして
ケトン体・ケトン食・コレステロールについて
集中的にお話し頂きます。
久しぶりの大櫛先生とのコラボ講演会なのでとても楽しみです。
私は、糖質制限食の基礎理論、最新情報、症例などをお話します。

神戸、大阪、京都、関西方面の
糖尿人やメタボ人など生活習慣病の方々、またそのご家族の皆様など
是非、ご参加頂ければ幸です。

江部康二


以下、事務局からのお知らせです。

***********

ブログ読者の皆様、いつも弊会のイベントへ多数ご参加いただきまして、ありがとうございます。

8月5日(日)、大阪市内で、「正しく学んで健康に!糖質制限食と脂質の知識」と題して、一般の方向けの講演会を開催いたします。

講師は、東海大学名誉教授 大櫛陽一先生と当会理事長 江部康二医師です。

第1部は、理事長が糖質制限食の基礎理論、最新知識、症例などについて解説いたします。

第2部は、「100歳まで長生きできるコレステロール革命」(永岡書店)や「健康診断『本当の基準値』完全版ハンドブック」(宝島社)等の著者で、医療統計、脂質栄養学に造詣の深い大櫛先生に、コレステロールや中性脂肪、ケトン体などについてご解説いただきます。

糖質制限食、糖質制限食と関連の深い脂質について理解を深めていただける、絶好の機会です。

関西にお住まいの方をはじめ、たくさんのご参加をお待ちしております。

また、講演会終了後に交流会も催します。こちらも奮ってご参加くださいませ。

◇弊会イベント情報URL: http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity


///////////////////ご案内/////////////////////

(一社)日本糖質制限医療推進協会主催 講演会(大阪)

  「正しく学んで健康に!糖質制限食と脂質の知識」

◆日程:2018年8月5日(日)13:15~16:10頃 ※開場・受付は、12:45~

◆会場:ドーンセンター(大阪府立男女共同参画・青少年センター)1F 「パフォーマンススペース」

〒540-0008 大阪市中央区大手前1丁目3番49号
http://www.dawncenter.jp/shisetsu/map.html

*京阪「天満橋」駅、地下鉄谷町線「天満橋」駅1番出入口から東へ約350m。
JR東西線「大阪城北詰」駅下車。2番出口より土佐堀通り沿いに西へ約550m。

◆内容:

◇第1部 「糖尿病・生活習慣病を予防&改善する食事法~糖質制限食は、人類本来の食事、人類の健康食」

講師: 江部 康二 医師/(一財)高雄病院・(一社)日本糖質制限医療推進協会理事長

◇第2部 「ケトン体生成食(KetoGenic Diet)による脂質プロフィールの変化」

講師: 大櫛 陽一 東海大学名誉教授/大櫛医学情報研究所所長

*第1部、第2部とも、講演60分、質疑応答15分程度を予定しております。

◆受講費: 賛助会員 2,400円 / 一般(会員の方以外) 2,900円


◇◆◇ 大阪交流会 ◇◆◇

◆日時: 2018年8月5日(日) 17:00~19:00

◆場所: 肉バルDOMO天満橋店

〒540-0012 大阪府大阪市中央区谷町1-2-6
https://r.gnavi.co.jp/s971b2690000/map/
*地下鉄谷町線「天満橋」駅3番出口 徒歩1分、京阪「天満橋」駅 徒歩1分 。講演会場からは徒歩5分ほどです。

◆参加費: 賛助会員 5,000円 / 一般(会員以外の方) 5,500円

*ご参加の人数にもよりますが、立食か半立食を予定しております。


【以下大阪講演会・交流会共通】

■お申し込みの流れ:

1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込み下さい。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4. 当日、直接会場までお越しいただき、受付にてお名前をお伝え下さい。

■お申し込み方法:

★賛助会員の方:

事務局へ、メールにて参加ご希望のイベント名(8/5大阪講演会/交流会)、ご参加人数をご明記の上、お申し込み下さい。
※領収書の発行をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。
​​
★賛助会員入会をご希望の方:

1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。

http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up

2. お申し込みは下のフォームからお願いします。「入会ならびに講演会出席のお問い合わせ」を選択いただき、「通信」欄に参加ご希望のイベント名(8/5大阪講演会/交流会)をご記入下さい。

http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact

★一般(会員以外の方)で、講演会、交流会参加のみご希望の方:下のフォームからお申し込み下さい。

http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-gen

■その他:

・予約制です。当日参加はできません。
・講演会のキャンセルは8月3日(金)までに事務局へご連絡願います。それ以降のご返金は対応致しかねますので、予めご了承ください。
・交流会のキャンセルは8月1日(水)までに事務局へご連絡願います。それ以降のご返金は対応致しかねますので、予めご了承ください。
江部康二の2018年6月の検査データ
こんにちは。

今回の記事は、
2002年(52歳)糖尿病発覚以来
スーパー糖質制限食を16年間実践中の、
江部康二の2018年6月の検査データの報告と解説です。

2002年6月に糖尿病確定診断で、HbA1cは6.7%でした。
このとき、体重は67kg、身長は167cm。
内臓脂肪CTは126cm2 (100未満正常)。
血圧は140-150/90前後 → 外来終了時は180/100。

スーパー糖質制限食を実践して、1ヶ月後にはHbA1cは基準値内になり、
半年後には体重は10kg減少して57kgとなり、
血圧も正常化しました。
そのまま2018年まで、血圧と体重は維持です。

内臓脂肪CTは、2004年10月には、71 cm2となっています。


<江部康二の2018年6月(68歳)の検査データ>

HbA1c:5.8%(4.6~6.2)
GA(グリコアルブミン):14.3%(11.6~16.0)

空腹時血糖値:106mg(60~109)
空腹時インスリン:1.7μU/ml(3~15)

TSH:0.81(0.34~3.88)
F-T4:1.2(0.8~1.8)
F-T3:2.5(2.1~4.0)

中性脂肪:49mg(50~149)
総コレステロール:248mg(150~219)
HDL-コレステロール:94mg(40~85)
LDL-コレステロール:135mg(140mg未満)
尿酸:3.2mg(3.4~7.0)
BUN:20.1mg(8~20)
クレアチニン:0.70mg(0.6~1.1)→ eGFR:85.38ml/min./1.73m2
血清シスタチンC:0.66mg(0.61~1.00) → eGFR:112.94ml/min./1.73m2
GOT17(5~39)
γGTP:41(84以下)
総タンパク:6.8g(6.5~8.3)
アルブミン:4.5g(3.8~5.3)

血色素量:15.5(13~17)
白血球数:5700(3900~9800)
赤血球数:487(400~560)

総ケトン体:704μM/L(26~122μM/L) 糖質制限食中は生理的で正常値
アセト酢酸:129M/L(13~69)
3ヒドロキシ酪酸:575μM/L(76以下)

尿中アセトン体:陰性
尿アルブミン定量精密・クレアチニン補正値:5.5(30以下)


68歳現在
歯は全部残っていて虫歯はありません。
聴力低下もありません。
目は裸眼で広辞苑が読めます。
夜間の尿もゼロです。
身長も縮んでいません。
皮膚のAGEs検査は、52歳レベルです。
病気なしで定期的内服薬はゼロです。

HbA1cは正常範囲内ですがやや高めのほうです。
空腹時血糖値が、正常範囲内でやや高め(正常高値)であることを反映しています。
まあ、糖尿病歴、16年ですから仕方ありませんね。

GAは正常範囲内で、上限には大分余裕があります。
これは、スーパー糖質制限食により食後高血糖がほとんどないためと思われます。
即ち「糖化」は正常人並みあるいはそれ以上に予防できていると考えられます。

甲状腺機能は、16年間常に、正常です。

総コレステロール値は、心血管疾患との関連性は無く、
脂質異常症の2007年以降のガイドラインから外れているので特に問題はありません。
HDL-コレステロールはやや多めで、LDL-コレステロールは基準値内です。
中性脂肪値が低く、HDL-Cが多いので、
小粒子LDL-Cはほとんどない良好なパターンです。
中性脂肪値49mg/dlなら、論文的には小粒子LDL-Cは皆無です。

スーパー糖質制限食なので、高タンパク・高脂質食なのですが、
尿酸は基準値よりやや低いですね。
尿酸は抗酸化物質でもあるのですが、
スーパー糖質制限食実践で、私の身体には酸化ストレスが極めて少ないので
尿酸も少ないのだと思われます。
尿酸も食べ物由来は2割程度であとは個人の体質ですのでこんなものでしょう。

高タンパク食ですが、BUNもクレアチニンもシスタチンCも正常です。

焼酎などよく飲む割には肝機能も全く正常です。 (^_^)

インスリンは、基礎分泌がやや少なめですが、
空腹時血糖値が基準値なので問題ないです。
少ないインスリン分泌量で、血糖値は正常なので好ましいパターンと言えます。

血中βヒドロキシ酪酸:575μM/L(76以下)と、
一般的基準値に比べればかなり高値ですが、
尿中のアセトン体(ケトン体の一種)は陰性です。

これは、スーパー糖質制限食実践で、心筋・骨格筋などの体細胞が、
日常的に効率良くケトン体をエネルギー源として利用するようになったため、
尿中に排泄されないのだと考えられます。

即ち、私の血中ケトン体値は、あくまで生理的範囲のもので、
インスリン作用は一定確保されていて、血糖値も106mgと正常です。

見方を変えれば、農耕以前の人類皆糖質制限食だった頃は、
私のような血中ケトン体値のデータが当たり前で、
人類の標準だったと考えられます。

スーパー糖質制限食実践中の人の血中βヒドロキシ酪酸の標準値は、
200~800~1200μM/Lくらいと考えられますが、
3ヶ月くらい経過すると、上述のように尿中ケトン体は陰性になります。

ケトン食レベルの人達の、血中βヒドロキシ酪酸は、
3000~5000μM/Lレベルですが、尿中ケトン体は、常に陽性です。

なお、糖質制限食開始直後は、血中ケトン体の上昇に伴い、
尿中のケトン体も陽性となります。
徐々にケトン体の利用効率が良くなるに従い、
尿中ケトン体は減っていき、やがて陰性となります。


江部康二
日本の糖尿病食・糖質制限食の歴史。
<プロローグ>
こんにちは。

現在ではファミリーレストランのガストやリンガーハットでも、くら寿司でも
糖質オフメニューがあります。
ローソンやファミリーマートでも、糖質制限なパンが販売されています。

2016/7/20(水)、NHKクローズアップ現代で糖質制限食が特集されました。
NHKによれば、糖質制限食が空前のブームだそうで、
関連の市場は当時で¥3184億円とのことでした。

今や2018年で、糖質制限市場はさらに加速して拡大しています。
とうとう中国からも原稿の依頼が来ました。

私は、糖質制限食はブームではなく、科学的な真理そのものと考えています。
従ってブームのように消え去ることはなく、今後もどんどん繁栄していくと思います。

今回は、その糖質制限食と糖尿病食の歴史を考察してみました。

<夏目漱石と糖尿病と厳重食>
文豪夏目漱石(1867~1916年)は、糖尿病でした。
大正5年(1916)正月、右の上膊(上腕)神経に強い痛みと右上膊(上腕)の不全麻痺。
薬、マッサージは無効。4月、糖尿病と診断。
教え子の医師真鍋嘉一郎により、5月から、当時の最先端治療の「厳重食」を開始。尿糖は消失。
7月終わりには、右の上膊神経に強い痛みと右上膊の不全麻痺が改善。
神経衰弱の症状も減退。糖尿病も改善。11月、胃潰瘍が再発。
12月9日、胃潰瘍による出血で死亡。
厳重食で、糖尿病と糖尿病神経障害は著明改善ですが、残念ながら胃潰瘍のために死去しています。

<厳重食=スーパー糖質制限食>
昭和13年、18年の女子栄養大学の以下の「厳重食」の解説をみると、まさに、「厳重食=スーパー糖質制限食」です。

『肉類(牛、豚、鶏、魚肉、内臓、心臓、肝臓、舌、膈、腎臓、骨髄)、貝類、卵類(鶏卵、鳥卵、魚卵)、脂肪類(バター類、豚脂、ヘッド、肝油、オリーブ油、ごま油、)、豆類(豆腐、油揚げなど)、
味噌は少量、野菜(含水炭素5%以下)小松菜、京菜、白菜、筍、レタス、蕗、大根、アスパラ、果実(含水炭素の少ないもの)びわ、すもも、苺、いちじく、メロン、パイナップル、パパイヤ、りんご、蜜柑、夏みかん・・・
*梨、ブドウ、柿、バナナはやや糖質が多いので警戒を要する。』


夏目漱石と厳重食1)2)については、
精神科医師Aこと中嶋一雄医師に資料を提供して頂きました。ありがとうございました。

<日本における糖尿病食事療法の変遷>
日本でも、昭和18年(1943年) 頃は、まだ厳重食のほうが、幅を利かせていたようです。

そして日本糖尿病学会のバイブルのような食品交換表初版が1965年に発行されました。
この時、適正なカロリーということが強調されました、。
解説には、食事療法の原則として
「①適正なカロリー②糖質量の制限③糖質、たんぱく質、脂質のバランス④ビタミンおよびミネラルの適正な補給」
と記載されています。
なんと、2番目には驚くべきことに「糖質量の制限」と明記してあります。
これが、1969年の第2版になると
「①適正なカロリー(カロリーの制限)②糖質、たんぱく質、脂質のバランス③ビタミンおよびミネラルの適正な補給」
と変更されて、
「糖質量の制限」という文言が削除されています。
糖尿病食事療法の原則から、「糖質制限」が消えて、「カロリーの制限」が登場したのが2版です。

これ以降の食品交換表は、2013年、11年ぶりに改訂された第7版にいたるまで、「カロリー制限」一辺倒でした。

2013年10月の米国糖尿病学会の「栄養療法に関する声明」では、全ての糖尿病患者に適した“one-size-fits-all(唯一無二の)”食事パターンは存在しないとの見解を表明しました。
これに対して、日本糖尿病学会は、唯一無二の糖尿病食事療法として「カロリー制限・高糖質食」を、
1969年以来、現在まで推奨し続けています。

<日本における糖質制限食の歴史>
 戦前までは、厳重食があったのですが、1969年以降はすっかり消えてしまいました。
その後の糖質制限食の臨床実践は、1999年から釜池医師が宇和島で開始し、
同時に高雄病院でも筆者の兄江部洋一郎医師が開始し有効例を重ねました。

その経験を踏まえ医学文献では、2004年に筆者が本邦初の糖質制限食有効例の報告を行いました3)。
2005年には筆者が本邦初の一般向けの本を出版しました4)。

2006年荒木医師が「断糖宣言」、2007年釜池医師が「糖質ゼロの食事術」を刊行しました。
坂東医師、中村医師は約1000人を肥満外来で治療し糖質制限食の有効性を2008年に報告しました5)。
2009年、2010年、医学雑誌に筆者が小論文を発表しました6)7)。

その後、2012年に山田悟医師、白澤医師、2013年に夏井医師、2014年に渡辺信幸医師、
2015年に宗田医師が一般向け糖質制限食の本を出版しました8)9)10)11)12)。
糖質制限食の広がり、いよいよ加速がついてきました13)14)15)。


1)香川綾: 女子栄養大学「栄養と料理」 第4巻第4号 p46
  糖尿病の手当と食餌療法、昭和13年(1938年)
2)香川昇三:女子栄養大学「栄養と料理」 第9巻第5号 p27 
  糖尿病患者の厳重食、 昭和18年(1943年)
3)江部康二他:糖尿病食事療法として糖質制限食を実施した3症例,
      京都医学会雑誌51(1):125-130、2004
4)江部康二:主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ、
  2005年(東洋経済新報社)
5)坂東浩,中村巧:カーボカウントと糖質制限食, 治療,90(12):3105-3111,2008
6)江部康二:主食を抜けば(糖質を制限すれば)糖尿病は良くなる!,
  治療,91(4):682-683,2009
7)江部康二:低糖質食(糖質制限食carbohydrate restriction)の意義,
  内科,105(1):100-103,2010
8)山田悟:糖質制限食のススメ、2012年(東洋経済新報社)
9)白澤卓二:<白澤式>ケトン食事法、2012年(かんき出版)
10)夏井睦:「炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学」、光文社新書、2013年
11)渡辺信幸:日本人だからこそ「ご飯」を食べるな 肉・卵・チーズが健康長寿をつくる 、2014年(講談社)
12)宗田哲男:「ケトン体が人類を救う 糖質制限でなぜ健康になるのか」、光文社新書、2015年
13)江部康二:「人類最強の『糖質制限』論 ケトン体を味方にして痩せる、健康になる」、SB新書、2016年
14)江部康二:外食でやせる! 「糖質オフ」で食べても飲んでも太らない体を手に入れる、2017年(毎日新聞出版)
15)江部康二:江部康二の糖質制限革命」2017年(東洋経済新報社)
糖質制限食で、不安発作、いびき、逆食、乱視改善。生活習慣病も。
【18/06/20 名無しの整体師
タイトルなし
初めまして。不安発作を患っていた時、
ケトン食が小児てんかんに著効が有るという情報を聞き
直感的に不安発作にも効くのではないか?と思い
糖質制限を朝から始めたところ
毎日、夕方頃に表れていた症状が初日から消えました。
メンタルクリニックから処方された抗不安薬に効果を感じなかった私にとって
驚きのことで、
しかも不安発作を何とかしたいと思ってはじめた糖質制限で
いびき、逆流性食道炎、乱視等の症状がいつの間にか消えていました。

最近、パーキンソンを患っている母を説得して糖質制限を試してもらったところ、
一日で手の震え、身体が軽くなったとのことなので
今後糖質制限を始める際の注意事項に留意しながら続けるようにしてもらうところです。
また、経過、質問、気付いたことなどがありましたら書き込ませていただきます。】


こんにちは。

名無しの整体師 さんから
糖質制限食で、不安発作、いびき、逆食、乱視改善という
とても嬉しいコメントを頂きました。
ありがとうございます。
素晴らしい経験ですね。

逆流性食道炎には即効性があることが多いですが、
不安発作にも速効性があったとはすごいです。

糖質制限食実践で、
ざっとあげてみても以下の様々な生活習慣病が改善します。

糖尿病
メタボリックシンドローム
肥満
肥満に伴う高血圧
アトピー性皮膚炎
花粉症
尋常性乾癬
逆流性食道炎
尋常性痤瘡
片頭痛
機能性低血糖
歯周症
潰瘍性大腸炎


こうなると、生活習慣病発症の本質は、
『糖質の頻回過剰摂取』
それに伴う
『食後血糖値の上昇』
『血糖変動幅の増大』
『インスリンの頻回過剰分泌』


であると私は最近は考えています。
『食後血糖値の上昇』『血糖変動幅の増大』『インスリンの頻回過剰分泌』
の三者は、いずれも『酸化ストレスリスク』となります。
これらはいずれも糖質制限食で予防可能です。

近年の研究で、
酸化ストレスが、
「糖尿病合併症・動脈硬化・老化・癌・アルツハイマー病・パーキンソン病等の元凶」
とされています。

確かに、御母上のパーキンソン病の症状改善にも貢献しているかもしれません。

そして、酸化ストレスリスクが、糖質制限食で予防できるのであれば
「糖尿病合併症・動脈硬化・老化・癌・アルツハイマー病・パーキンソン病など」
の予防にも有効な可能性が高いのです。

糖質制限食は人類本来の食事であり、人類の健康食であり、
様々な生活習慣病の治療・予防食です。


ブログ読者の皆さん、是非スーパー糖質制限食を実践されて
健康ライフをおくって頂けば幸いです。


江部康二
糖質制限食とマラソン。
【18/06/21 登山好きのランナー
いつもお世話になっております。
こんにちは。
いつも楽しく拝見しております。
過去に何度か糖質制限をしたことがありいつもある程度の成果を得ております。
今回も昨年、怪我とストレスで体重が増加してしまったので糖質制限を実施して4週間が経過しました。
46才男性事務職です。
毎朝5-10kmのランニングをしております。
今回は朝食抜き(もともとあまり食べることはない食生活)、昼はサラダ(海藻、きのこ類入)と鶏胸肉もしくは豚肉、夜は茶碗少なめ1杯の雑穀米や麺類少々を食べる時もある程度で主にストレスのない程度に家族とおかず中心の食事に低糖質の発泡酒等を350ml缶4-5本という感じで2食は主食抜きで間食やジュース類なし(もともとほとんど口にしない)の生活です。
3年ほど心拍計付の活動量計を腕に装着して記録しています。
今回、体重は平均して2.5kgマイナス、体脂肪率もマイナス2%とBMIは23台から22台へと順調に減量できているのですがひとつ問題が。
お酒に極端に弱くなりました。いつもの量を飲んでいるのにそのまま居間で眠ってしまうことが増え翌日も軽い二日酔い状態ということが増えました。
他サイトで水分量が減るので水分摂取を心がけるようにとあったので飲んでいる最中に炭酸水や烏龍茶を飲むようにしてこれは改善しました。
もうひとつは2週間経過したころから時折頭痛が出るようになりました。
思い当たるのはもともと軽度高血圧症なので測ってみると下が100前後で上が150近い数値でした。もともと似たような感じですが1年前に毎日計測していた時人比較すると若干高くなっています。
前述の活動量計の記録を確認すると安静時心拍数は糖質制限をはじめる前は52-54程度だったのが57-60と明確に上昇しております。糖質制限を開始した翌日から数値が上昇しています。
安静時心拍数の上昇、血圧の上昇(元々軽度高血圧症ではあるにしろ)は糖質制限となにか関係はありますでしょうか?またずばり間接的にでも頭痛を誘発することは考えられますでしょうか?よろしくお願いします。

PS 運動時の心拍数は糖質制限前後で特に上がりやすくなったとは感じていません。】




18/06/22 ドクター江部
Re: いつもお世話になっております。
登山好きのランナー さん

「安静時心拍数の上昇、血圧の上昇」

は糖質制限とは無関係と思います。
糖質制限をすると、血圧は下がることが多いです。
糖質制限と心拍数の変動は聞いたことがありません。

原因としては、運動量のわりに、摂取エネルギーが少ない可能性があります。


【18/06/22 登山好きのランナー
お返事ありがとうございます。
糖質制限による影響がないということがわかって安心しました。
が、心拍数に関しては聞いたことがないということですが糖質制限を開始したのとタイミングが同じでどこかに因果関係があるのでは?と素人ながら考えてしまいますね。
ありがとうございます。
目標体重まで減量できたら徐々にゆるやかな糖質制限食に戻そうと考えておりますのでその時に安静時心拍数がどう変化するのか確認してまたご報告させていただきます。
もうひとつ、以前の記事で登山でのシャリバテのことを書かれており実際自分もほとんど食べることなく登山をするのですがフルマラソン大会ではどうしても心配で栄養ゼリー等を補給します。糖質制限をしている時も糖質の補給は不要という記事も読みましたが市販の携行食やゼリーは糖質を多く含んだものばかりですがそういうものは逆に摂取すると悪影響でしょうか?携行するならこういうものが良いというものがあれば教えていただけますでしょうか?それとも結論的には水分補給のみで何も摂る必要はないと考えて良いのでしょうか?】



登山好きのランナーさん

マラソンのエネルギー源ですが、グリコーゲンは肝臓に約100g、
筋肉中に約300gしか蓄えがありません。
従って、<ブドウ糖-グリコーゲン>エネルギーシステムでは
400g×4= 1600kcalしか賄えませんので、
フルマラソンに必要なエネルギー量(体重60kgの男性で約2600kcal)には到底足りません。

その点、脂肪は、体重60kgで体脂肪率15%なら、9kg、81000kcalであり
必要充分な備蓄量と言えます。
つまり、理論的には42.195kmの走行課程のほとんどを、
有酸素運動の<脂肪酸-ケトン体>エネルギーシステムで走り、
ラストスパートだけ、
無酸素運動の<ブドウ糖-グリコーゲン>エネルギーシステムで
全力疾走というのが、理想的な配分と言えます。


結論からいうと、マラソン前も最中もスーパー糖質制限食でOKです。
水分も水で大丈夫で、塩は必要量を適宜補充です。

米国の医学雑誌・代謝(Metabolism)に、2016年3月、興味深い論文が掲載されました。
『糖質制限食は、ウルトラマラソンやトライアスロンにおいて普通の高糖質食と比べて、遜色なし』
という内容です。

普段から
(A)<炭水化物:たんぱく質:脂質 = 10:19:70>の糖質制限食を食べている10人
(B)<炭水化物:たんぱく質:脂質 = 59:14:25>の高炭水化物食を食べている10人
いずれの群もエリートランナーです。

研究施設に2泊3日で滞在、最大酸素摂取量、体組成、筋生検など実施、
その後トレッドミルで走った後、直後と2時間後に筋生検を実施です。

(A)(B)群を比較したところ、糖質制限群(A)は、(B)群と比較して、
運動中のエネルギー源として脂肪酸化の利用が極めて高率でした。

一方、筋肉のグリコーゲン利用と充満のパターンは、運動中も3時間のランニング後も、(A)(B)群で同様でした。

つまり、普通に糖質制限食をしているランナーがそのまま、
ウルトラマラソンやトライアスロンをしても、
筋肉中のグリコーゲンの量及び増減と回復パターンは、
糖質摂取群と比べて、全く遜色ないという研究報告です。


江部康二


ケトン適合したウルトラ持久力ランナーの代謝特性について

要約
背景


多くの成功したウルトラ持久力アスリートが、高炭水化物から低炭水化物食に切り替えた、しかし彼らは代謝適合の度合いを決定するために前もって研究はされてはいない。

方法

20人のエリートウルトラマラソンランナーとアイアンマン距離のトライアスリートが、代謝反応を決定するために最大強度の運動テストと180分間の64% VO2maxのサブ最大強度のトレッドミル運動を実行した。
1グループは従来の常に高炭水化物食(HC: n = 10, %炭水化物:たんぱく質:脂質 = 59:14:25),
もう1つのグループは、低炭水化物食(LC: n = 10, %炭水化物:たんぱく質:脂質 = 10:19:70),
で、平均20ヶ月(9~36ヶ月の範囲)実践した。

結果

ピークの脂肪酸化はLCグループ((1.54 ± 0.18 vs 0.67 ±0.14 g/min; P = 0.000))が2~3倍高く、VO2max (70.3 ± 6.3 vs 54.9 ±7.8%; P = 0.000)もより高かった。
サブ最高強度の運動中で平均脂肪酸化は、LCグループ(1.21 ± 0.02 vs 0.76 ± 0.11 g/min; P = 0.000)で、脂肪のが大きな貢献(88 ± 2 vs 56 ± 8%; P = 0.000)に対応して59%高かった。
燃料使用量における、LCとHCの著明な相違にも関わらず、休息中の筋肉中のグリコーゲンと180分間ランニング (−64% from pre-exercise) 後のグリコーゲンレベルの低下と120分の回復(−36% from pre-exercise)において有意差はなかった。.

結論
HC(高糖質)食を実践している高度に訓練されたウルトラ持久力アスリートと比較して、長期のケトン適合食は著明に脂肪酸化の比率が高かった。
一方、筋肉のグリコーゲン利用と充満パターンは運動中も3時間のランニング後も同様であった。



METABOLISM CLINICAL AND EXPERIMENTAL 65 (2016) 100 – 110
Metabolic characteristics of keto-adapted ultra-endurance runners


ABSTRACT
Background.

Many successful ultra-endurance athletes have switched from a highcarbohydrate
to a low-carbohydrate diet, but they have not previously been studied to
determine the extent of metabolic adaptations.

Methods.
Twenty elite ultra-marathoners and ironman distance triathletes performed a
maximal graded exercise test and a 180 min submaximal run at 64% VO2max on a treadmill
to determine metabolic responses.
One group habitually consumed a traditional highcarbohydrate
(HC: n = 10, %carbohydrate:protein:fat = 59:14:25) diet, and the other a lowcarbohydrate
(LC; n = 10, 10:19:70) diet for an average of 20 months (range 9 to 36 months).

Results.
Peak fat oxidation was 2.3-fold higher in the LC group (1.54 ± 0.18 vs 0.67 ±0.14 g/min; P = 0.000) and it occurred at a higher percentage of VO2max (70.3 ± 6.3 vs 54.9 ±7.8%; P = 0.000).
Mean fat oxidation during submaximal exercise was 59% higher in the LC
group (1.21 ± 0.02 vs 0.76 ± 0.11 g/min; P = 0.000) corresponding to a greater relative
contribution of fat (88 ± 2 vs 56 ± 8%; P = 0.000). Despite these marked differences in fuel
use between LC and HC athletes, there were no significant differences in resting muscle
glycogen and the level of depletion after 180 min of running (−64% from pre-exercise) and
120 min of recovery (−36% from pre-exercise).

Conclusion.

Compared to highly trained ultra-endurance athletes consuming an HC diet,
long-term keto-adaptation results in extraordinarily high rates of fat oxidation, whereas
muscle glycogen utilization and repletion patterns during and after a 3 hour run are similar


芋焼酎と日本酒、ビール、食後の血糖値上昇が低いのはどれか?
【18/06/20 yanosono
ご参考です
http://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100015/051500045/
芋焼酎と日本酒、ビール、食後の血糖値上昇が低いのはどれか?】


こんばんは。
yanosonoさんから、とても興味深い情報をコメント頂きました。
ありがとうございます。

早速、日経グッデイの当該の記事を読んでみました。
以下は、記事の要約、抜粋と感想です。


芋焼酎と日本酒、ビール、食後の血糖値上昇が低いのはどれか?
http://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100015/051500045/


まずは、ちょっとビックリなのですが、

「鹿児島大学は全国唯一の“焼酎学講座”が開設された大学で、焼酎についての研究も盛んに行われています。そして、私が糖尿病、肥満などを専門としていたことから、芋焼酎の健康面での機能性に注目しました。特に糖代謝にいい影響があるのではないかと考えたわけです。鹿児島は何を食べてもおいしいので、つい食べ過ぎてしまいます。さらに、車社会で慢性的に運動不足になりがちなので、実は肥満の方が多いのです」

という、鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 特任教授の乾明夫さんのコメントです。
さすが鹿児島というか、焼酎に特化して学術的に研究というのは、
衝撃的ですし、そりゃー日本全国で唯一というのも納得ですね。

今回の実験の被験者は30~50代の男女6人で、「郷土の宝」である芋焼酎のため、
鹿児島大学のスタッフが被験者となったそうです。
その心意気やよしであり、good job です。

芋焼酎との比較対象は、水、ビール、日本酒の3種です。
飲酒量は、芋焼酎(アルコール度数15%)は333mL、
ビール(同5%)は1000 mL、日本酒(同15%)は333mLで、
純アルコール量はいずれも約40gと同等になるように調整です。

水も比較対象になっているのが興味深いです。
おそらく約710kcalの同一の食事での実験です。

研究結果ですが、
http://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100015/051500045/?P=3
このアドレスで、グラフが見れます。

食事摂取後の血糖値の上昇は、
ビールが最も高く、次に水、日本酒で、
芋焼酎が最も低値でした。

芋焼酎は、糖質・カロリーともにゼロの“水”より、
血糖値の上昇が抑えられていました。
つまり、芋焼酎には積極的に血糖値を下げる
何らかの成分が存在することとなります。

もっとも、ビールには結構大量の糖質が含まれています。
100g中に3gくらいの糖質ですから、1000mlなら約30gの糖質でこれは多いですね。
第2位の水は糖質ゼロ・カロリーゼロですから、
このときの血糖値の上昇は、710kcalの食事に含まれる糖質によるものです。

第3位の日本酒ですが、333ml中の糖質含有量は、約13gですが、
それでも水より少し食後血糖値の上昇が低いので
日本酒にも、何らかの血糖値を下げる物質が含まれていることとなります。

そして最後に焼酎は、水よりかなり明確に食後血糖値の上昇が少ないでが、
これには焼酎の糖質含有量がゼロということも関係していると思います。

結局、日本酒と芋焼酎が、水より食後血糖値の上昇を抑制しましたが
効果としては芋焼酎の圧勝です。

結論です。
①日本酒と芋焼酎と水の結果を考慮すれば、
 アルコールそのものに血糖上昇抑制作用がある可能性が高い。
②芋焼酎には血糖上昇抑制作用があるが、それが、アルコール以外の成分も関与しているかは 現時点ではわからない。


ということとなります。
エチルアルコール単独で40g摂取して、芋焼酎(アルコール40g)摂取と比較して頂けば
芋焼酎にアルコール以外の血糖上昇抑制成分があるかどうかがわかると思います。
乾明夫先生、是非よろしくお願い申し上げます。


江部康二

朝日カルチャーセンター立川教室のご案内。2018年6月30日(土)。
こんばんは。

朝日カルチャーセンター立川教室講座のご案内です。
立川では、ここしばらく毎年一回の講座を続けていますが、
結構、新しい話題がありますので、スライドも毎回更新しています。
今回もわかりやすくお話しますので、乞うご期待です。
東京、関東方面の糖尿人やメタボ人の方々やそのご家族、
奮ってご参加いただけば幸いです。

https://www.asahiculture.jp/tachikawa/course/cd2c7685-412f-0981-917f-5a55c90884b1
042-527-6511


糖質制限食による糖尿病の治療と予防
人類本来の食事・人類の健康食
朝日カルチャーセンター立川教室。
2018年6月30日(土)。


糖質制限食は、1999年から京都・高雄病院において糖尿病治療食として開始され、合併症を予防できる唯一の食事療法として画期的な成果をあげてきました。米国糖尿病学会の患者用テキストブック(2004年)には「摂取後直接、血糖に影響を与えるのは糖質のみである。蛋白質・脂質は、摂取後、直接血糖に影響を及ぼすことはない。」と記載されています。食後高血糖と一日平均血糖変動幅増大が糖尿病合併症の最大のリスクとなりますが、従来の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)では、必ずそれらを生じるので、糖尿病合併症の予防は困難です。現実に日本では、毎年新たに、人工透析16000人、失明3000人、足切断3000人と糖尿病合併症は減っていません。米国糖尿病学会は、2013年10月、5年ぶりに「栄養療法に関する声明」を発表し、糖質制限食、地中海食、ベジタリアン食、低脂質食、DASH 食を受容しました。このことは糖質制限食に大きな追い風となりました。


江部康二


☆☆☆
以下、朝日カルチャーセンター立川教室のサイトから抜粋。

日時・期間
土曜  15:30-17:00
日程 2018年 6/30
受講料(税込み)
6月(1回)
会員 3,024円
一般 3,672円


講師紹介 江部 康二 (エベ コウジ)
<プロフィール>
・1950年生まれ。
・1974年京都大学医学部卒業。
・1974年から京都大学胸部疾患研究所第一内科(現在京大呼吸器内科)
にて呼吸器科を学ぶ。
・1978年から高雄病院に医局長として勤務。1996年副院長就任。
・1999年高雄病院に糖質制限食導入。
・2000年理事長就任。
・2001年から糖質制限食に本格的に取り組む。
・ 2002年に自ら糖尿病であると気づいて以来、さらに糖尿病治療の研究に力を 注ぎ、「糖質制限食」の体系を確立。これにより自身の糖尿病を克服。
内科医/漢方医/一般財団法人高雄病院理事長/一般社団法人日本糖質制限医療推進協会理事長。

<著書>
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』2005年(東洋経済新報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編』2008年(東洋経済新報社)
『我ら糖尿人、元気なのにはわけがある』2009年(東洋経済新報社・作家宮本輝氏との対談本)
『糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食』2010年(ナツメ社)
『主食をやめると健康になる』2011年(ダイヤモンド社)
『食品別糖質量ハンドブック』2012年(洋泉社)監修
『糖質オフ!健康法』2012年(PHP文庫)
『糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド』2013年(東洋経済新報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!新版』2014年(東洋経済新報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!2 実践編 新版』2014年(東洋経済新報社)
『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません』2014年(東洋経済新報社)
『なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか』2015年(ナツメ社)
『糖質制限の教科書』2015年(洋泉社)監修
『よくわかる! すぐできる! 「 糖質オフ! 」健康法 』2016年(PHP研究所)
『人類最強の「糖質制限」論~ケトン体を味方に して痩せる、健康になる』2016年(SB新書)
『江部康二の糖質制限革命』2017年(東洋経済新報社)
など多数。
ブログ『ドクター江部の糖尿病徒然日記( http://koujiebe.blog95.fc2.com/ )は日に数千件のアクセスがあり、糖尿病のかたやそのご家族から寄せられた質問への回答や、糖尿病・糖質制限食に関する 情報の発信に、日々尽力している。

糖質制限食による体重減少効果について。
こんにちは。
糖質制限食による体重減少効果に関して、
よく質問がありますので考察してみます。

スーパー糖質制限食なら、
運動量不変で、体脂肪が減ります。
例えば、血中総ケトン体の基準値は、
26~122μM/Lですが、スーパー糖質制限食実践中は、
400~1000~2000μM/Lくらいに上昇します。
肝臓で脂肪酸の分解物のアセチルCoAからケトン体を作ります。
ケトン体の上昇は、まさに脂肪が燃えている証拠ですね。

かくいう私も、52歳のとき、167cm、67kgから、スーパー糖質制限食実践で、
運動量は不変で、半年で57kgに減量し、学生時代の体重に戻りました。
階段は駆け上がるし、週1テニスは普通にしてましたので、
筋肉量は維持できていて、脂肪が燃えて減量できたと考えられます。
68歳現在も57kgで維持していて、階段は駆け上がります。
但し、4階くらいまでですが・・・。(^^;)
現在も筋肉は年齢相応ていどはあると思いますし、
歩く速度もかなり速いほうです。。
しかし筋肉量を増やすには筋トレが必要ですので、
増えてはいないと思います。


<インスリン>
それではまず、インスリンについて考えて見ます。

◇インスリンは脂肪細胞内の中性脂肪分解を抑制。
◇インスリンは血中の中性脂肪を分解し脂肪細胞内に蓄える。
◇インスリンは筋肉細胞に血糖を取り込ませるが、
  余剰の血糖は脂肪細胞に取り込ませ て中性脂肪として蓄える。
◇肥満のメカニズムはインスリンによる脂肪蓄積。


このようにインスリンには脂肪を蓄える作用があるので、
別名肥満ホルモンと呼ばれています。
そしてインスリンを大量に分泌させるのは、糖質のみです。
たんぱく質もインスリンを少し分泌させますが、脂質は分泌させません。

『糖質摂取→血糖上昇→インスリン分泌→脂肪蓄積』
このシステムは、狩猟・採集時代には、飢餓に対するセーフティーネットとして
おおいに役立っていたのですが、皮肉なことに現代では肥満の元凶となっています。


<スーパー糖質制限食の4つの利点>


◆<糖質制限食による体重減少効果>
①インスリン(肥満ホルモン)が基礎分泌以外ほとんど出ない。
②食事中も含めて常に体脂肪が燃えている。
③食事中も含めて常に肝臓で糖新生が行われ、それにかなりのエネルギーを消費する。
④高タンパク食により、食事誘発熱産生(DIT)が亢進する。

高蛋白食は、摂食時の食事誘発熱産生(DIT)が通常食に比べて増加します。
DITによる消費エネルギーは、実質吸収エネルギーの、糖質では6%、脂質では4%、タンパク質で30%です。

食事誘発熱産生(DIT)を、もっと簡単に説明すると、食事において
100キロカロリーの糖質だけを摂取した時は、6キロカロリーが、
100キロカロリーの脂質だけを摂取した時は、4キロカロリーが、
100キロカロリーのタンパク質だけを摂取した時は、30キロカロリーが
熱に変わり、消費エネルギーとしてカウントされるということです。


◆<糖質を摂取した場合>
A)血糖値が上昇してインスリン(肥満ホルモン)がたっぷり分泌される。
B)体脂肪は燃えなくなり、血糖値が中性脂肪に変わり蓄積される。
C)肝臓の糖新生はストップする。
D)高タンパク食よる亢進した食事誘発熱産生(DIT)はなくなる。

①②③④とA)B)C)D)両者を比べてみれば、高糖質食より糖質制限食の方が、
体重減少効果が高いことが一目でわかると思います。

たとえ低脂質食でカロリー制限していても、糖質を摂れば体重減少への利点がすべて消えてしまうわけです。
これは食べ物に含まれるカロリーとは無関係の生理学的な特質であり、あくまで糖質を摂るかどうかがカギとなります。


<摂取エネルギーと消費エネルギー>

1)摂取エネルギー > 消費エネルギー   → 体重増加
  摂取エネルギー = 消費エネルギー   → 体重不変
  摂取エネルギー < 消費エネルギー   → 体重減少

2)通常のカロリー制限食(高糖質食)なら
  「消費エネルギー=基礎代謝量+身体活動量(運動や家事)+食事誘発熱産生(DIT)

3)糖質制限食なら、高糖質食の時には無い
 「肝臓の糖新生でエネルギーを消費」→基礎代謝の増加
 「高蛋白食摂取」→食事誘発熱産生(DIT)の増加
 が認められる。

1)は生理学的事実です。
2)3)を比較すると糖質制限食の方が高糖質食に比し、体重が減少しやすいことは明白です。


<推定エネルギー必要量と糖質制限食>

減量を目指す時に、日本糖尿病学会推奨のように

男性:1400~2000kcal/日
女性:1200~1800kcal/日

といった、厳しいカロリー制限は必要ありません。
「日本人の食事摂取基準」(2015年、厚生労働省)
に示す推定エネルギー必要量の範囲、
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf

推定エネルギー必要量/日
                  男性                  女性
15-17才         2500 2850 3150           2050 2300 2550kcal
18-29才         2300 2650  3050          1650  1950   2200
30-49才         2300 2650  3050            1750  2000  2300
50-69才         2100 2450  2800           1650  1900 2200 
70才           1850 2200  2500            1500  1750 2000

身体活動レベル    低い 普通 高い         低い  普通  高い

くらいが目安です。

このように、冷静に理論的に考えると、糖質制限食以外で減量することは極めて困難であることがわかると思います。



<基礎礎代謝が低い場合は?>
基礎代謝が低いタイプの人は
「糖質制限+カロリー制限」が必要です。
女性に時にあり、数%くらいの比率です。



<大食漢タイプの場合は?>
大食いの方々がおられます。やはり数%の比率です。
このタイプは
「糖質制限食+人並みの摂取カロリー」が必要です。



<減量できないときは?>

1)
いつのまにか、糖質制限が緩くなった可能性があります。

2)
何らかの理由で、基礎代謝が低下した可能性があります。

3)
知らぬ間に、摂取カロリーが多くなった可能性があります。

4)
すでに、BMI20以上~25未満で適正体重になっていることがあります。



江部康二
auスマートパスで、初の糖質制限アプリのご紹介です。
こんにちは。

今朝は、7:58、コンビニで漫画を購入している最中に、
結構きつい地震が発生で、パラパラと陳列台から商品が落下しました。
やや長かったので、若干ビビりました。
京都は被害は少なかったのですが、
夕刊を見たら、大阪北部で3人、亡くなられたかたもおられました。
ご冥福をお祈りいたします。

電車のほとんどが運休になり、
高雄病院駅前診療所の外来患者さんは、
7割以上キャンセルで、ほとんど開店休業状態でした。
来週月曜日の外来は通常よりかなり多くなりそうなので、頑張ります。

さて
auスマートパスで、初の糖質制限アプリのご紹介です。
私が監修したアプリです。
是非、お試し頂ければ幸いです。

プレスリリース 
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000064.000001288.html   

スマホ (auスマートパスユーザー用 )  
http://ausp.dr-ebe-toushitsuseigen.jp     

“糖質制限の第一人者”江部康二医師の完全監修サービス
「ドクター江部の糖質制限」提供開始!
~生活習慣病予防・ダイエットを成功に導く、必読の最新情報を毎日更新~


お問い合わせについては、
support@dr-ebe-toushitsuseigen.jp
こちらのアドレスへお願い申し上げます。

どのようなお問い合わせでも、対応して頂けるそうです。


以下は
auスマートパスの糖質制限アプリ『ドクター江部コラム』の原稿です。


☆☆☆
<コラム1>2018年3月
auスマートパスユーザーの皆さん、はじめまして。
auスマートパスで、初の糖質制限アプリのご紹介です。
この 糖質制限アプリ 、日本全国の糖質制限食実践者の皆さんに、
少しでもお役に立てば嬉しいです。

糖質制限食という言葉はすっかり日本社会に定着してきましたが、
日本では、1999年から京都の高雄病院で糖尿病治療食として開始したのが最初です。

「血糖値に直接影響を与えるのは糖質だけで、タンパク質・脂質は与えない」
という生理学的事実を臨床に応用した食事療法です。

2018年4月現在まで、高雄病院では糖尿病患者さんを中心に約1300人以上
に糖質制限食による入院治療を行い、画期的な成果をあげてきました。

入院して「従来の糖尿病食(高糖質食)」と「糖質制限食」を食べて頂き、
血糖の日内変動変化、或いはCGMを比較することで、
患者さんに、「糖質だけが血糖を上げる」ということを、実際に体験して貰うと、
糖質制限食に対するモチベーションが上がります。

これらの経験を踏まえ2005年には私が本邦初の一般向けの本
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」を出版し、
日本社会に糖質制限食が認識され始めるきっかけとなりました。

最近では、ダイエットの主流としても確固たる地位を築いています。
糖質制限食の社会への浸透による市場規模は拡大の一途を辿っています。
調査会社の富士経済の調べでは、
2016年の同市場の規模は前年比7.7%増の3431億円の見込みとのことでした。

コンビニやファミレスにも、普通に糖質制限OKな食材やメニューがある、
糖質制限食実践者にとって、とても幸せな時代となりました。



<コラム2>2018年4月
2016/7/20(水)、NHKクローズアップ現代で糖質制限食が特集されました。
まずは、糖質制限食が空前のブームとのことでした。
番組出演の群馬大学名誉教授の栄養学者の高橋久仁子さんが 、
「ダイエットブームは、たいていせいぜい1~2ヶ月、長くても半年で終わりますが、
糖質制限食だけは年単位で続いているのが不気味です。」
と述べておられたのがとても印象的でした。
この意見に対する私の回答は、不気味でも何でもなく、糖質制限食はブームではなく真実そのものであり、
実践すればすぐに効果がわかります。
そして、糖質制限食は生理学的事実に基づく基礎理論と、
ランダム化比較試験(RCT)やコホート研究など
信頼度の高い複数のエビデンスにより裏付けられた科学的な食事療法なのです。
糖質制限食の効果については、例えば2015年12月のランセットに掲載された論文で
『低脂肪食よりも糖質制限食の方が減量効果は高い。』と報告され、
2008年7月のニューイングランドジャーナルに掲載された、
「ダイレクト試験」では、脂肪制限食に比較して、
減量効果とHbA1c改善効果が証明されています。
これらはいずれもエビデンスレベル1であり、4段階の最高レベルです。
さらに、糖質制限食で糖尿病が改善した方々は、
2018年4月現在、高雄病院入院患者さんだけでも約1300名以上おられます。
このように糖質制限食の有効性については、確固たるエビデンスが存在しています。
ときに、動物実験の結果や一個人の体験談などをもとに糖質制限批判をする人がいますが、
これらはいずれもヒトのエビデンスとはなりません。



江部康二
炭水化物の摂取が多いほどがんのリスク増加の可能性あり。
A)
米国糖尿病学会は
「炭水化物・タンパク質・脂肪はカロリーを含有し、
炭水化物のみが、血糖値に直接影響を及ぼす。」

としています。

炭水化物に関して未精製のもの(茶色)と精製されたもの(白)を区別していません。
<炭水化物=糖質+食物繊維>であり、血糖値を上昇させるのは糖質です。
つまりADAによれば、茶色だろうと白だろうと、血糖値を直接上昇させるのは、
炭水化物のみであり、
タンパク質と脂肪は血糖値に直接影響を及ぼすことはないのです。
これらは、エビデンス以前の生理学的事実です。

American Diabetes Association
Life With Diabetes:A Siries of Teaching Outlines 
by the Michigan Diabetes Research and Training Center ,
-4th Edition-,2009
57ページ



B)

国立がん研究センターがん予防・健診研究センター・予防研究グループの多目的コホート研究(JPHC研究)
によれば、
肝がんを除外すると、HbA1c値は直線的に全がんリスク上昇と関連していました 。
すなわち
B型ウィルス、C型ウィルスというウィルス感染による特殊な発がんリスクを除外すると
『血糖値が高いほど、直線的に全がんになりやすい』
という、とても簡明な結論です。
以下、英文論文として掲載されいますので、すでにエビデンスとなっています。

ヘモグロビンA1c(HbA1c)とがん罹患との関連について。
多目的コホート研究(JPHC研究)。
(International Journal of Cancer 2015年11月WEB先行公開)
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3753.html



C)
A)により明らかですが、
白(精製炭水化物)だろうと茶(未精製炭水化物)だろうと
炭水化物摂取により血糖値が上昇します。

確かに、茶(未精製炭水化物)のほうが、白(精製炭水化物)より少しだけ
血糖値は上がりにくいです。

しかし例えば糖尿人である江部康二が、
1人前の玄米を食べると食後血糖値のピークは220mg/dlくらいで、
1人前の白米を食べると食後血糖値のピークは240mg/dlくらいであり、
臨床的にはこの差は無意味です。

一方、たんぱく質や脂質を摂取しても、血糖値はほとんど上昇しません。
例えばビーフステーキを200g食べてもそれに含まれる糖質は0.6gくらいであり、
<0.6mg × 3mg = 1.8mg>と
1.8mgしか血糖値は上昇しません。


D)
A)B)C)を合わせて考察すると
炭水化物(白でも茶でも)の摂取が多いほど、血糖値が上昇するので
必然的に全がんリスクが増加することとなります。

スーパー糖質制限食なら、明白ながんリスクである食後血糖値の上昇を
最少限に抑えることができます。
すなわち、スーパー糖質制限食実践により、がん予防効果が期待できることとなります。




江部康二
がんを予防する食事療法が、糖質制限食。
こんにちは。
血糖値とがんの関連について、
国立がん研究センターからの報告が、論文化されています。
すなわち、血糖値とがんの関連についてのエビデンスです。

肝がんを除外すると、HbA1c値は直線的に全がんリスク上昇と関連していました 。
すなわちB型ウィルス、C型ウィルスというウィルス感染による特殊な発がんリスクを除外すると
『血糖値が高いほど、直線的に全がんになりやすい』
という、とても簡明な結論です。
血糖値が正常の段階でも、HbA1c(平均血糖値)が高いほどがんになりやすいということです。

つまり、発がん予防のためには、
糖尿人も正常人も、糖質制限食実践で血糖値を下げるのが正解ということです。


ヘモグロビンA1c(HbA1c)とがん罹患との関連について。
多目的コホート研究(JPHC研究)。
(International Journal of Cancer 2015年11月WEB先行公開)
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3753.html

国立がん研究センターがん予防・健診研究センター・予防研究グループの多目的コホート研究(JPHC研究)から、
興味深い報告がなされ、論文化されました。

これまでのコホート研究により糖尿病患者では大腸がん、膵がん、肝がん、子宮内膜がんなどのがん罹患リスクが1.5~4倍高く、全がんも約1.2倍高いと報告されています。

今回の報告では、非糖尿病域でもHbA1c値が高いほど全がんリスクが高まることが判明しました。

こうなると軽度の高血糖でもがんリスクが高まるので、注意が必要ですが、
スーパー糖質制限食なら、糖尿病は勿論のこと、
非糖尿病領域の軽度の高血糖もたちどころに改善させますので、
全がんリスクは低下すると考えられます。


HbA1c:5.0%未満  推定平均血糖値:96.8mg/dl未満
HbA1c:5.0~5.4% 推定平均血糖値:96.8~108.28mg/dl
HbA1c:5.5~5.9% 推定平均血糖値:111.15~122.63mg/dl
HbA1c:6.0~6.4% 推定平均血糖値:125.5~136.98mg/dl
HbA1c:6.5%以上  推定平均血糖値:139.85mg/dl以上

HbA1c 5.0~5.4%を基準とすると、
5%未満、5.5~5.9%、6.0~6.4%、6.5%以上、
および既知の糖尿病の5群のがんリスクは、
それぞれ1.27 (1.06-1.52) 、1.01 (0.90-1.14)、1.28 (1.09-1.49)、1.43 (1.14-1.80)、
1.23 (1.02-1.47)であり、
非糖尿病域および糖尿病域の高HbA1c値の群で全がんリスクが上昇していました。

HbA1c は1-2か月間の血糖値を反映する血液検査値であり、
本研究結果は、慢性的な高血糖が全がんリスクと関連することを示唆しています。

高血糖はミトコンドリア代謝などを介して酸化ストレスを亢進させることで
DNAを損傷し、発がんにつながる可能性が想定されています。

また、がん細胞の増殖には、大量の糖を必要とするため、
慢性的な高血糖状態はがん細胞の増殖を助長する可能性も考えられます。

5%未満でも、がんのリスクが上昇していますが、
肝硬変などがあると見かけ上HbA1cが低下することが多いことが
関係している可能性があります。

すなわち低HbA1c値群には、
臨床的には診断されていない肝がんや膵がんを有する人が含まれていて、
追跡期間中にがんと診断された可能性があります。

肝がんを除外すると、HbA1c値は直線的に全がんリスク上昇と関連していました。

糖尿病は勿論のことですが、
がん予防に関しては、正常範囲内の軽度の高血糖でも油断は禁物ということで
ますます「スーパー糖質制限食」の役割は大きくなりました。


江部康二



☆☆☆
以下、国立がん研究センターのサイトから一部抜粋です。

http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3753.html

ヘモグロビンA1c(HbA1c)とがん罹患との関連について

-多目的コホート研究(JPHC研究)からの成果報告-

私たちは、いろいろな生活習慣と、がん・脳卒中・虚血性心疾患・糖尿病などとの関係を明らかにし、日本人の生活習慣病予防や健康寿命の延伸に役立てるための研究を行っています。平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の9保健所(呼称は2015年現在)管内にお住まいで、1998~2000年度および2003~2005年度に実施された糖尿病調査にご協力いただいた方々のうち、ヘモグロビンA1c(HbA1c)のデータがあり、初回の調査時までにがんに罹患していなかった29,629人(男性11,336人、女性18,293人)を対象としてHbA1cとがん罹患リスクとの関係を調べました。その結果を専門誌で論文発表しましたので紹介します(International Journal of Cancer 2015年11月WEB先行公開)。

これまでのコホート研究により糖尿病患者では大腸がん、膵がん、肝がん、子宮内膜がんなどのがん罹患リスクが1.5~4倍高く、全がんも約1.2倍高いと報告されています。糖尿病は慢性的な高血糖を特徴とする病気で、HbA1c は1-2か月間の血糖値を反映する血液検査値として知られています。そのため、HbA1c(6.5%以上)は、糖尿病の診断基準の一つとしても採用されています。

糖尿病ががんのリスク因子だとすると、HbA1cはがんリスクと関連することが予想されますが、HbA1c値とがんリスクとの関連は十分に明らかにされていません。そこで、本研究では、この関係を、「多目的コホート」の糖尿病調査のデータを用いて調べることを目的としました。

非糖尿病域の高HbA1c値でも全がんリスクが高い

糖尿病調査で測定したHbA1cの値を用いて、5.0%未満、5.0~5.4%、5.5~5.9%、6.0~6.4%、6.5%以上、および既知の糖尿病の6つの群に分けて、その後の全がんリスク、臓器別リスクを分析しました。なお、2回の糖尿病調査に参加していた場合(研究対象者の35%)、2つのHbA1cの平均値を用いました。本研究の追跡期間中に、1955件のがんが発生していました。

年齢,性別、居住地域,BMI,喫煙歴,飲酒歴,身体活動、野菜摂取、総エネルギー摂取、コーヒー摂取、および心血管疾患の既往を統計学的に調整したうえで、がんリスク(95%信頼区間)を計算しました。HbA1c 5.0~5.4%を基準とすると、5%未満、5.5~5.9%、6.0~6.4%、6.5%以上、および既知の糖尿病の5群のがんリスクは、それぞれ1.27 (1.06-1.52) 、1.01 (0.90-1.14)、1.28 (1.09-1.49)、1.43 (1.14-1.80)、1.23 (1.02-1.47)であり、非糖尿病域および糖尿病域の高HbA1c値の群で全がんリスクが上昇していました(図1)。また、低HbA1c値の群でも全がんリスクの上昇がみられました。

がん種別に分析したところ、非糖尿病域および糖尿病域の高HbA1c値の群で大腸がん(特に結腸がん)リスクが上昇しており、肝がんや膵がんでは、低HbA1c値群(5%未満)でもリスク上昇がみられました(図2)。また、肝がんを除外すると、HbA1c値は直線的に全がんリスク上昇と関連していました(図3)。

高HbA1c値群におけるがんリスクのメカニズム

HbA1c は1-2か月間の血糖値を反映する血液検査値であり、本研究結果は、慢性的な高血糖が全がんリスクと関連することを裏付けるものと考えられます。高血糖はミトコンドリア代謝などを介して酸化ストレスを亢進させることでDNAを損傷し、発がんにつながる可能性が想定されています。また,がん細胞の増殖には、大量の糖を必要とするため,慢性的な高血糖状態はがん細胞の増殖を助長する可能性も考えられます。

一部のがん種(肝がんや膵がん)のリスクが低HbA1c値群で上昇していた理由

肝硬変などでは、実際の血糖値に比べてHbA1cが低値を示すことが多く、肝硬変は肝がんになりやすい状態です。その結果として、低HbA1群で、肝がんリスクが上昇していた可能性が考えられます。また、低HbA1c値は不健康の指標とも考えられています。低HbA1c値群には、臨床的には診断されていない肝がんや膵がんを有する方が含まれていて、追跡期間中にがんと診断されたのかもしれません。そのほか、解析結果のぶれ(誤差)をあらわす95%信頼区間の幅が大きいことから、偶然リスク上昇がみられた可能性も考えられます。

この研究について

本研究では、非糖尿病域の高HbA1c値も全がんリスクと関連していることを報告した最初の論文です。多目的コホート研究を含む多くの疫学研究から糖尿病と全がんリスクとの関連が報告されており、がん予防のためにも糖尿病を予防することが重要であると考えられています。非糖尿病域の高HbA1c値群における全がんリスク上昇を示した本研究により、糖尿病予防対策の重要性が一層示唆されました。
GACKTさんと糖質制限。
【18/06/14 きんちゃん

タイトルなし
江部先生おはようございます。以前からGACKTさんの糖質制限の噂は聞いていましたが、今朝の目覚ましテレビで、GACKTさんが4年振りにパンを食べた、米は20年間食べていない、1日1食で炭水化物抜きの生活だと言っていました。まさにスーパー糖質制限ですね!あの若々しさは糖質制限のお陰なのかもしれませんね!】

【18/06/15 かんたん
GACKTさん
こんばんは。深夜遅く、すみません。GACKTさんの記事を見つけました。
Instagramでは、パンを召し上がっている動画がみられますが、
他の芸能ニュースを見ましたところ、このような記事が見つかりました。
URLを載せるのが下手ですみません。
https://search.yahoo.co.jp/amp/s/www.daily.co.jp/gossip/2018/06/13/0011349442.shtml%3Fpg%3Damp%26usqp%3Dmq331AQECAEoAQ%253D%253D

こちらで、パンを食べたあとどうなったか書かれています。】


こんにちは。
きんちゃん、かんたんさん から
GACKTさんと糖質制限についてコメントを頂きました。
とても嬉しい情報をありがとうございます。

以下は、めざましテレビのサイトからの抜粋です。
http://jcc.jp/news/13587587/
2018年
06/14 06:40 フジテレビ 【めざましテレビ】
<エンタ!みたもん勝ち>GACKT“ストイック”食生活・4年ぶりのパンに笑顔
GACKTがインスタグラムで、ある動画と共に衝撃の告白。
GACKTは1日1食、炭水化物を取らないストイックな生活を長く続けていて、
今回フランスに来たご褒美として4年ぶりにパンを食べたという。
米は20年間食べていない。〕

GACKTさんは、ABC・テレビ朝日系の正月恒例特番
『芸能人格付けチェック!これぞ真の一流品だ!2018正月スペシャル』
に出演して、"一流芸能人"としての個人連勝記録を55に伸ばしています。

この番組、私は大好きで必ず視ています。
大物芸能人などが、
『安物のワインと超高級ワインの区別がつかない』
『安物のステーキと超高級ステーキの区別がつかない』
ことのほうが多いというのは衝撃ですが、
何となく安心しますね。

まあ、GACKTさん以外の芸能人は基本、全滅ですから
もはや恥には当たりませんが・・・。

ともあれ、GACKTさんが、あの体型と若さを保っていることの理由の一つは
糖質制限食と思われます。
今まで、漠然とGACKTさんが糖質制限というイメージは持っていましたが
【めざましテレビ】出演でご本人が語ったということで、はっきりして
私もスッキリしました。

〔デイリースポーツオンライン
https://www.daily.co.jp/gossip/2018/06/13/0011349442.shtml
GACKT「米は20年食べてない」 ソロ転向後に炭水化物断ち
 ミュージシャンのGACKTがインスタグラムに
「4年ぶり」にパンを食べた動画をアップし、「米は20年食べてない」と告白した。
 11日のツイッターでロンドンにいたことを明かしていたGACKT。
12日夜には「#リヨン #四年ぶりのパン」などとテロップを入れ、
パンを食べる動画をアップ。
「ソロになった時、一日一食にし炭水化物をやめた。パンはフランスに来た時のご褒美と決めた。
4年ぶりのパン。なんてことない事かもしれないが幸せだ」と書き込み、
「米は20年食べてない」と明かした。
動画ではパンを口にし、至福の表情を浮かべている。

 4年ぶりにパンを食べた後は、睡魔に襲われたそうで、
「パンを食べた後のあの睡魔は何だったんだろ。。。怖っ。」
「#4年ぶりのパン #からの異常な睡魔 #気を失うように落ちてしまった 
#怖すぎる」などと、体に表れた“変化”にも触れていた。〕


なるほど、久しぶりの糖質摂取による血糖値の急上昇により
以下のメカニズムなどで睡魔に襲われたのでしょう。
げに、糖質恐るべしです。

<糖質摂取により眠気が生じるメカニズム(仮説)>
『糖質摂取→インスリン多量分泌→
トリプトファン以外のアミノ酸の骨格筋への取り込みと蛋白質合成促進→
トリプトファン以外の血中アミノ酸濃度低下→相対的に血中トリプトファン濃度上昇→
血液脳関門を通過するトリプトファン増加→脳内トリプトファン量増加→
セロトニン増加→メラトニン増加→眠気出現』





江部康二



大腸憩室炎と糖質制限食。
【18/06/13 くっしー
大腸憩室炎の食事指導
江部先生

いつも、ブログや著書を読ませていただいて勉強させていただいております。
昨年の横浜ランドマークタワーでの講演会にも参加させていただきました。

さて本題ですが、
妻が大腸憩室炎になり一週間の入院から昨日退院してきたのですが、
入院中の食事内容とこの先1ヶ月の食事指導に疑問を感じる部分がありました。

まず入院中の食事内容ですが、
入院初期の三日間を絶食するのはなんとなく理解できたのですが、
入院末期の通常食に戻ったときの内容が、白米中心で一日の中で動物性蛋白質を摂取するのが昼食に白身魚一切れのみだったとのことです。

退院時に管理栄養士から食事指導があったのですが、
極力油脂での調理は避けて、蛋白質をとるならできるだけ脂身の少ないもので精製米やうどんなど消化に良いものを中心に、野菜も繊維質の少ない物を選んで柔らかくなるまで煮るように指導されました。

恐らく医師からの指示の元での指導だとは思いますが、江部先生はどう判断されますか?
また、大腸憩室炎にも糖質制限は効果があるのかも知りたいです。

宜しくお願い致します。】



18/06/13 ドクター江部
Re: 大腸憩室炎の食事指導
くっしー さん

横浜ランドマークタワーでの講演会への参加、ありがとうございました。
大腸憩室炎と糖質制限食に関しては、症例がないので、正直よくわかりません。

しかしながら、糖質ありの普通の食事で、大腸憩室炎を発症しておられるので、
同じような食事では、再発する可能性があると思います。

糖質制限食で全身の血流代謝が良くなることや
潰瘍性大腸炎が糖質制限食で良くなることを含めて
憩室炎予防にも糖質制限食を試す価値はあると思います。

6/14
以下、プーさんから、
大腸憩室炎と糖質制限食に関しても
体験を踏まえて、コメントを頂きました。
ありがとうございます。
私も、スーパー糖質制限食実践において、油脂はしっかり摂取してOKと思います。

管理栄養士の指導
『極力油脂での調理は避けて、蛋白質をとるならできるだけ脂身の少ないもので精製米やうどんなど消化に良いものを中心に、野菜も繊維質の少ない物』


これはどこの病院でも、こんなものと思いますが、
このような「糖質タップリの脂肪制限食」で
大腸憩室炎が予防できるとはとても思えません。
上記栄養指導のような食事をしていて、
結構、大腸憩室炎が再発を繰り返す患者さんも多いようです。

大腸憩室炎も、『糖質頻回過剰摂取病』の一つと思われます。
糖質摂取により、正常範囲内でも血糖値が乱高下しますし、
インスリンも大量に分泌されますので、血流・代謝が悪くなり
憩室炎も生じやすくなります。
糖質制限食なら、これらのリスクは生じませんのでお奨めです。

江部康二


【18/06/13 プーさん
大腸憩室炎について
江部先生

いつも著書等で勉強させていただいております。
以前、柏での講演会にも参加させていただきました。
さて、くっしーさんのコメントを拝見し、以下の経験者として投稿いたします。
・数年前、大腸憩室炎により1週間の絶食入院
・3年前、同部位の炎症が再発し、穿孔が起こり開腹・同部位の切除手術
・退院後くっしーさんと同じ思いの中、江部先生の著書を拝読し、糖質制限等を開始
・4か月程で12キロ減量、逆流性食道炎等の消化器疾患も消失

大腸憩室炎ですが、一度できた憩室が自然消失することはないため
最初の1~2年位は気をつけていても以前の食事内容に戻ると、私のように再発する率が高いです。
(しかも再発時はさらに悪化)
憩室炎は、高齢、肥満、男性、便秘などと関係があるようであり
私の感覚では、糖質及び食物繊維の過剰摂取がある方(加えて便秘)が多いように思います。
(もっというと、私はカレーや辛いラーメン等が好物であったこともあり
香辛料好きとも関係があるかもしれません)

江部先生がおっしゃいましたような理由から、私は、今後は糖質制限の一択だと考えております。
(胃(ピロリ)以外の消化器疾患には糖質制限が有効なようです。)

経験上、くっしーさんには以下を失礼ながらアドバイスさせていただきます。
・糖質制限
・食物繊維控えめ(特に手術後すぐは)
・ゴマや唐辛子フレーク、種があるものなど、これまで大便に直接排出されたものの完全排除
(憩室に留まることで炎症が起こるため)
・可能な限りの便秘下痢対策(ここは一人一人原因が異なるため、難しいですが)
・香辛料の制限(ここは不明ですが)

なお、脂質は小腸から吸収されるはずなので、糖質制限をしている限り
脂質を制限する理由など見つけられません。

糖質制限は不思議なことに糖質を食べたくなくなり、以前好きだった香辛料も
多くは受け付けなくなりました。
以上、一つの症例としてご参考になりましたら幸いです。】
三大栄養素と血糖値。直接影響を与えるのは糖質のみ。タンパク質は?
こんにちは。

三大栄養素と血糖値について、生理学的事実を整理しておきます。

これらの生理学的事実はEBM以前の基本的な事柄です。

手元に、以下の米国糖尿病学会の本(英文の原書)があります。
糖尿病患者さん教育用のテキストブックです。

American Diabetes Association
Life With Diabetes:A Siries of Teaching Outlines 
by the Michigan Diabetes Research and Training Center ,
-4th Edition-,2009


57ページに

「Carbohydrate,protein,and fat contain calories.
Only Carbohydrates directly affect blood glucose levels. 」


という文章が記載してあります。

-3th Edition-2004年版から、継続してこの記載があります。

直訳すると

「炭水化物・タンパク質・脂肪はカロリーを含有して
いる。
炭水化物のみが、血糖値に直接影響を及ぼす。」


炭水化物に関して未精製のもの(茶色)と精製されたもの(白)を区別していません。
<炭水化物=糖質+食物繊維>であり、血糖値を上昇させるのは糖質です。
つまりADAによれば、茶色だろうと白だろうと、血糖値を直接上昇させるのは、
炭水化物のみであり、
タンパク質と脂肪は血糖値に直接影響を及ぼすことはないのです。
これらは、エビデンス以前の生理学的事実です。


直接という言葉が意味深で、
下記2)のようなケースがあっても矛盾しない表現にしたのでしょうね。

ADA(米国糖尿病学会)、流石です。

<三大栄養素と血糖値上昇に関する考察>

さて「血糖に直接影響を与えるのは糖質のみ。」

というADA(米国糖尿病学会)の記載に関連する事柄を、1)~8)まで整理してまとめてみました。

1)「血糖値に直接影響を与えるのは糖質のみである」

2)「1型糖尿病で内因性インスリンが枯渇している場合や2型糖尿病でも内因性インスリンが枯渇に近いときは、グルカゴン分泌を介してタンパク質が間接的に血糖値を上昇させる」「タンパク質に含まれるアミノ酸がグルカゴンを分泌させるが、インスリンは分泌できない病態だからである」

3)「上記の2)を除く大多数の内因性インスリンが残っている糖尿病患者においては、摂取後血糖値を上昇させるのは糖質のみである。」「摂取したタンパク質によりグルカゴンが分泌されるが、同時にインスリンも分泌され効果が相殺されるからである」

4)「1)2)3)より、大多数の内因性インスリンが残っている糖尿病患者においては、糖質制限食が極めて有効である」

5)「脂質は直接的にも間接的にも血糖値を上昇させない」
  「脂質はインスリンもグルカゴンも分泌させない。」

6)「タンパク質はインスリンとグルカゴンを両方分泌させるので2)のケースを除いては効果は相殺されて、血糖値にほとんど影響を与えない。」

7)「2)のようなケースでも、糖質制限食を導入することで、インスリンの量を大幅に減らすことができる。」

8)「2)のようなケースでは糖質制限に加えてタンパク質のカウントもするとコントロールはさらに良くなる。」


<タンパク質と血糖値上昇に関する考察>

①健常人では、タンパク質摂取で臨床上意味のある血糖値上昇はない。
②ほとんどの2型糖尿人においても、タンパク質摂取で臨床上意味のある血糖値上昇はない。
③1型糖尿人で、内因性インスリンがゼロレベルの場合、臨床上意味のある血糖値上昇がみられる。個人差が大きく、1gのタンパク質がグルカゴンを介して間接的に1~4mg/dlくらい血糖値を上昇させる。
④2型糖尿人でも、罹病期間が長くて、一定レベル以上β細胞が傷害されて、インスリン分泌能力が低下していれば、臨床上意味のある血糖値上昇が見られる。勿論こちらもグルカゴンを介しての間接的な血糖値上昇である。個人差があるので、血糖自己測定器で確かめるのがよい。

*③④の場合の血糖上昇は、インスリン分泌能力が非常に低下しているので、グルカゴンの糖新生による間接的血糖値上昇を、内因性インスリンで相殺できないからである。

*タンパク質と血糖値に関して実験する場合は鳥のササミだけを摂取して、含有タンパク量を計算して、
 食前血糖値、30分後血糖値、1時間後血糖値、2時間後血糖値、3時間後血糖値・・・
 と測定すれば、それぞれの個人のデータがわかる。



江部康二
朝日カルチャーセンター立川教室のご案内。2018年6月30日(土)。
こんにちは。

朝日カルチャーセンター立川教室講座のご案内です。
立川では、ここしばらく毎年一回の講座を続けていますが、
結構、新しい話題がありますので、スライドも毎回更新しています。
今回もわかりやすくお話しますので、乞うご期待です。
東京、関東方面の糖尿人やメタボ人の方々やそのご家族、
奮ってご参加いただけば幸いです。

https://www.asahiculture.jp/tachikawa/course/cd2c7685-412f-0981-917f-5a55c90884b1
042-527-6511


糖質制限食による糖尿病の治療と予防
人類本来の食事・人類の健康食
朝日カルチャーセンター立川教室。
2018年6月30日(土)。


糖質制限食は、1999年から京都・高雄病院において糖尿病治療食として開始され、合併症を予防できる唯一の食事療法として画期的な成果をあげてきました。米国糖尿病学会の患者用テキストブック(2004年)には「摂取後直接、血糖に影響を与えるのは糖質のみである。蛋白質・脂質は、摂取後、直接血糖に影響を及ぼすことはない。」と記載されています。食後高血糖と一日平均血糖変動幅増大が糖尿病合併症の最大のリスクとなりますが、従来の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)では、必ずそれらを生じるので、糖尿病合併症の予防は困難です。現実に日本では、毎年新たに、人工透析16000人、失明3000人、足切断3000人と糖尿病合併症は減っていません。米国糖尿病学会は、2013年10月、5年ぶりに「栄養療法に関する声明」を発表し、糖質制限食、地中海食、ベジタリアン食、低脂質食、DASH 食を受容しました。このことは糖質制限食に大きな追い風となりました。


江部康二


☆☆☆
以下、朝日カルチャーセンター立川教室のサイトから抜粋。

日時・期間
土曜  15:30-17:00
日程 2018年 6/30
受講料(税込み)
6月(1回)
会員 3,024円
一般 3,672円


講師紹介 江部 康二 (エベ コウジ)
<プロフィール>
・1950年生まれ。
・1974年京都大学医学部卒業。
・1974年から京都大学胸部疾患研究所第一内科(現在京大呼吸器内科)
にて呼吸器科を学ぶ。
・1978年から高雄病院に医局長として勤務。1996年副院長就任。
・1999年高雄病院に糖質制限食導入。
・2000年理事長就任。
・2001年から糖質制限食に本格的に取り組む。
・ 2002年に自ら糖尿病であると気づいて以来、さらに糖尿病治療の研究に力を 注ぎ、「糖質制限食」の体系を確立。これにより自身の糖尿病を克服。
内科医/漢方医/一般財団法人高雄病院理事長/一般社団法人日本糖質制限医療推進協会理事長。

<著書>
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』2005年(東洋経済新報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編』2008年(東洋経済新報社)
『我ら糖尿人、元気なのにはわけがある』2009年(東洋経済新報社・作家宮本輝氏との対談本)
『糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食』2010年(ナツメ社)
『主食をやめると健康になる』2011年(ダイヤモンド社)
『食品別糖質量ハンドブック』2012年(洋泉社)監修
『糖質オフ!健康法』2012年(PHP文庫)
『糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド』2013年(東洋経済新報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!新版』2014年(東洋経済新報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!2 実践編 新版』2014年(東洋経済新報社)
『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません』2014年(東洋経済新報社)
『なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか』2015年(ナツメ社)
『糖質制限の教科書』2015年(洋泉社)監修
『よくわかる! すぐできる! 「 糖質オフ! 」健康法 』2016年(PHP研究所)
『人類最強の「糖質制限」論~ケトン体を味方に して痩せる、健康になる』2016年(SB新書)
『江部康二の糖質制限革命』2017年(東洋経済新報社)
など多数。
ブログ『ドクター江部の糖尿病徒然日記( http://koujiebe.blog95.fc2.com/ )は日に数千件のアクセスがあり、糖尿病のかたやそのご家族から寄せられた質問への回答や、糖尿病・糖質制限食に関する 情報の発信に、日々尽力している。

昆布の糖質量。乾燥昆布とだしを取った後の昆布。甲状腺機能低下症?
【18/06/10 オスティナート
昆布の糖質
だし用の素干し昆布100gでだしを取った後の昆布の重量は約5倍になります。
(柔らかくなるまで煮ると6倍)
よって、糖質は約25.1g/500g、100gあたり約5gとなります。

家庭(4~6人分)で素干し昆布20gを使って、
だしを取った後の昆布の重量は約100gとなります。
(是非お試しください)

●利尻昆布/素干し(可食部100g当たり)
・エネルギー:138kcal
・水分:13.2g
・タンパク質:8.0g
・脂質:2.0
・糖質:25.1g
・食物繊維:31.4g
・灰分:20.3g
日本食品標準成分表2015年版(七訂)

私はだしを取った後の昆布を、刻んだり煮物にして、
いつもおいしく食べています。
なお、一度に食べる量が25~50g(糖質1.25~2.5g)ですので、
血糖値の上昇はほとんどありません。】


こんにちは。
オスティナートさんから、昆布の糖質量について
耳寄りな情報をコメント頂きました。
ありがとうございます。

今まで、昆布に関して
「だしはとってもいいけれど、糖質が多いので食べてはだめ」
と、本ブログでも記載してきました。

しかし、だしを取って膨らんだ昆布は、
オスティナートさんがご指摘のように
100g中に約5gの糖質であり、
ほぼ糖質制限OK食材と言えます。

私は、乾燥重量で、100g中に25.1gも糖質があるので
単純に糖質が多いのでNG食材と思っていましたが
「だしを取って膨らんだ昆布は、
適量なら、糖質制限的に食べても大丈夫」
と考え直しました。
ここに訂正させて頂きます。


一方、甲状腺機能低下症の問題があります。
過去、健康に良いということで昆布を積極的に食べてていた方々において、
私の経験だけでも20名以上の甲状腺機能低下症を認めました。
多くの場合昆布に含まれるヨードの過剰摂取によるものと考えられました。

正確には、定期的に年に2回くらい、血液尿検査をすることが多いのですが、
TSHが高値でFT4が軽度低値の人が時々発見されるということです。
これらの方々の多くが、聞いてみると昆布を積極的に食べておられました。
そして、昆布を止めたら、速やかに正常値に戻ります。

勿論、TSHが高値でFT4が軽度低値の人の中には
橋本病などで、甲状腺ホルモンの補充が必要な人もまれにはおられます。

ともあれ、やはり、昆布の食べ過ぎには要注意ということになります。


江部康二

『糖質制限食十箇条』 2018年6月版
こんにちは。

糖尿病の人や肥満・メタボリックシンドロームや生活習慣病の人の
治療と予防には 糖質制限食がベストの食事療法です。
そして 『糖質制限食』実践により、
糖尿病の人では
「食後高血糖(グルコーススパイク)」と「平均血糖変動幅増大」
が予防でき、血糖コントロール良好となります。
耐糖能正常型の人においても、「グルコースミニスパイク」が予防できるので、
生活習慣病の予防・治療ができます。
このことが食事療法において根源的に大切です。

今回は
『糖質制限食十箇条』2018年6月版
の紹介です。

『糖質制限食十箇条』
-糖尿病や肥満が気になる人に-

一、 糖質の摂取を減らす。可能なら一回の食事の糖質量は20g以下とする。
二、 糖質制限した分、タンパク質や脂質が主成分の食品は充分量食べる。
三、やむを得ず主食(ご飯、パン、麺類など)を摂るときは少量とする。
四、水、番茶、麦茶、ほうじ茶などゼロカロリー飲料はOK。果汁・清涼飲料水はNG。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類はOK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)、糖質ゼロ発泡酒はOK。辛口ワインも適量OK。
醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツはNG。
十、可能なら化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。

*糖尿病の人がやむを得ず糖質を摂取するときは、食直前に、「αGI剤」か「グリニド系薬剤」を内服すると、
食後高血糖がある程度防げる。
*牛乳は100mlくらいならOK。成分未調整豆乳は200mlくらいOK。
*昆布は出汁をとるのは良いが、食べるのは糖質含有量が多いのでNG。
*肉と魚貝の摂取量は<1:1>が目安。
*経口糖尿病薬やインスリン注射をしている糖尿人は、必ず医師と相談してください。

『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。1回の食事の糖質量は20g以下。
二、スタンダード糖質制限食は、一日一回(朝か昼)少量の主食あり。夕食は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。朝と昼は少量の主食あり。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。


抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。

魚貝・肉・卵・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べる。

糖質制限食実践後に好ましくない症状(力が入らない、しんどい、髪が抜ける、生理がとまる・・・など)が出現した人のほとんどにおいて、実際にはカロリー不足が認められます。

糖質制限食はカロリー制限食ではありません。
摂取カロリーの目安は厚生労働省のいう「推定エネルギー必要量」です。
摂取エネルギーが足りていれば、好ましくない症状が出現することはほとんどありません。

糖質制限食の理論的根拠
1、血糖値を直接上昇させるのは糖質だけで、たんぱく質・脂質は上昇させない。
2、糖質を摂取しなければ血糖値は上昇しない。
3、糖質制限食を実践すれば食後血糖値はほとんど上昇せず糖尿病は改善する。
4、食前・食後の血糖値血糖変動幅が少ないので生活習慣病の予防ができる。
5、食後血糖値の上昇が極めて少ないので、追加分泌インスリンも少量ですむ。
6、過剰なインスリンは肥満・がん・アルツハイマー病などのリスクとなるので、
 血糖コントロールができる限りで少量であるほど身体にはいい。
 

ということで、とてもシンプルです。
上記6つは、生理学的な事実やエビデンスがあることですので信頼度は高いです。

☆☆
なお本にも書きましたが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため、既に経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は
低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、
以下の本などを参考にされて、
自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。

推奨著書
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ 新版」2014年(東洋経済新報社)
「なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか」2015年(ナツメ社)
「糖質オフ!健康法」2016年3月(PHP研究所 )
「人類最強の糖質制限論」2016年4月(SB新書)
「増補新版食品別糖質量ハンドブック」2016年6月(洋泉社)
マンガでわかる「糖質オフ! 」健康法2016年12月、(PHP研究所 )
外食でやせる! 「糖質オフ」で食べても飲んでも太らない体を手に入れる、2017年(毎日新聞出版)
「江部康二の糖質制限革命」2017年(東洋経済新報社)

レシピ
「電子レンジで糖質オフの作りおき」 2016年10月(宝島社)
「やせぐせがつく糖質オフの作りおき 」2017年3月(宝島社)
「高雄病院の糖質制限作りおき 」2017年5月(洋泉社)
「作りおきおかずで簡単! 朝・昼・晩 糖質オフのダイエット献立」(家の光協会)2017年10月


江部康二
「妊娠糖尿病」「妊娠中の明らかな糖尿病」「糖尿病合併妊娠」と糖質制限食
こんばんは。
「妊娠糖尿病」に関して、よく質問があります。

今回は
「妊娠糖尿病」「妊娠中の明らかな糖尿病」「糖尿病合併妊娠」

『糖質制限食』『従来の糖尿病食』について、考えてみました。

日本糖尿病・妊娠学会
http://www.dm-net.co.jp/jsdp/information/024273.php

糖尿病診療ガイドライン2016 妊婦の糖代謝異常
http://www.fa.kyorin.co.jp/jds/uploads/GL2016-17.pdf


のサイトを参考にしました。

<診断基準>
1)妊娠糖尿病
糖尿病ではなかった人が、
妊娠後初めて妊娠糖尿病の基準をみたした場合は「妊娠糖尿病」です。
妊娠糖尿病は、糖尿病にいたっていない糖代謝異常であり、
妊娠時に診断された明らかな糖尿病は含まれません。
妊娠糖尿病は75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)によって診断されます。

負荷前値が92mg/dl以上、
1時間値180mg/dl以上、
2時間値153mg/dl以上、

のいずれかがあれば、
妊娠糖尿病(GDM)と診断されます。

妊婦さんの7〜9%は妊娠糖尿病と診断されます。
特に肥満がある人、糖尿病の家族歴のある人、
高齢妊娠、巨大児出産既往のある人などは
ハイリスクですので必ず検査をうけましょう。


2)妊娠中の明らかな糖尿病 (註1)
以下のいずれかを満たした場合に診断する。

空腹時血糖値 ≧126 mg/dl
HbA1c値 ≧6.5%


*随時血糖値≧200 mg/dlあるいは75gOGTTで2時間値≧200 mg/dlの場合は、
妊娠中の明らかな糖尿病の存在を念頭に置き、
1)または2)の基準を満たすかどうか確認します。(註2)


3)糖尿病合併妊娠

妊娠前にすでに診断されている糖尿病患者の妊娠。
確実な糖尿病網膜症があるものの妊娠。
妊娠前のHbA1c:7.0未満が目標です。

(註1).妊娠中の明らかな糖尿病には、妊娠前に見逃されていた糖尿病と、
妊娠中の糖代謝の変化の影響を受けた糖代謝異常、
および妊娠中に発症した1型糖尿病が含まれる。
いずれも分娩後は診断の再確認が必要である。

(註2).妊娠中、特に妊娠後期は妊娠による生理的なインスリン抵抗性の増大を反映して
糖負荷後血糖値は非妊時よりも高値を示す。
そのため、随時血糖値や75gOGTT負荷後血糖値は
非妊時の糖尿病診断基準をそのまま当てはめることはできない。


<妊娠中の血糖値コントロール目標>


朝食前血糖値:70~100mg/dl未満
食後2時間血糖値:120mg/dl未満
GA(グリコアルブミン)15.8%未満


妊娠中の血糖値コントロール目標は
「妊娠糖尿病」「妊娠中の明らかな糖尿病」「糖尿病合併妊娠」
の3つとも上記となります。
できれば、食後1時間血糖値:140mg/dl未満もクリアすることが望ましいです。

HbA1c6.2%未満も目標なのですが、
妊婦で鉄欠乏状態があると、HbA1cは正確な数値を示さないので、
GA(グリコアルブミン)の方が頼りになるのです。


<妊婦の高血糖によるリスクと弊害>

高血糖による母体、胎児への合併症として

【胎児への影響】
・流産、奇形、巨大児、未熟児、低血糖児、心臓病、胎児死亡 など

【母体への影響】
・糖尿病腎症の悪化、糖尿病網膜症の悪化
・早産、
・尿路感染症
・妊娠高血圧症候群、羊水過多
・赤ちゃんが巨大児になることにより、難産になったり、帝王切開になるリスクの増加などがあります。

高血糖により、これだけのリスクが母体と胎児に生じます。


<従来の糖尿病食(高糖質食)の欠陥>

そして、直接高血糖を生じるのは、糖質摂取時だけであり、
タンパク質・脂質摂取時は、血糖値が直接上昇することはありません。
従って日本糖尿病学会推奨の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)で
食後高血糖を防ぐことは、インスリン注射をしていても至難の業です。

さらに、食後高血糖を防ごうとして、インスリンの量を増やせば、
今度は母体は低血糖のリスクが大きく増加します。

そして、普通に糖質を摂取して、インスリン注射で厳格にコントロールしようとすると、一日の血糖値の変動幅が、増大します。

食後高血糖と平均血糖変動幅の増大が一番大きな酸化ストレスリスクとなります。(*)

酸化ストレスは、母体にも胎児にも当然、悪影響を及ぼします。

「妊娠糖尿病」「妊娠中の明らかな糖尿病」「糖尿病合併妊娠」で、
糖質を普通に食べてインスリン注射を打っている場合は、
上記のリスクは常にあるわけです。

糖尿病妊娠で糖質を普通に食べてインスリンを注射して、
無事出産されている方も多いと思いますが、このように見てくると、
それはある意味運が良い人と言えるのかもしれません。

(*)
酸化ストレスに関しては、
2014年07月14日 (月)の本ブログ記事
酸化ストレス・・・て何?食後高血糖と平均血糖変動幅増大がリスク!
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3030.html
をご参照いただけば幸いです。


<スーパー糖質制限食の利点>

スーパー糖質制限食に切り替えると、
「妊娠糖尿病」ならインスリンフリーになり、
血糖コントロールが一日を通して、とても良好となります。
そして、食後高血糖、低血糖、
平均血糖変動幅増大、酸化ストレス増大といった母体と胎児に悪影響を及ぼす要因が、
全てなくなります。

「妊娠中の明らかな糖尿病」「糖尿病合併妊娠」の場合も、
食前インスリンの単位は1/3以下になりますし、
フリーになることもあります。
インスリンフリーが一番良いのですが、インスリンの量が減ったなら
低血糖のリスクは確実に減るので好ましいのです。

また妊婦体重コントロールも、糖質制限食なら、ほとんど苦労はいりません。
その結果、安産で、元気な赤ちゃん誕生の可能性がとても高いということとなります。


<βヒドロキシ酪酸(ケトン体)の安全性>

2014年1月12日(日)第17回日本病態栄養学会年次学術集会(大阪国際会議場)で、宗田哲男先生が、画期的な研究成果を発表されました。
人工流産胎児(58検体)の絨毛の組織間液のβヒドロキシ酪酸値の測定です。
何と平均1730μmol/Lとかなりの高値です。
成人の基準値は76~85μmol/L以下くらいなのですが、胎児の絨毛間液においては、
1730μmol/L程度が基準値ということになります。
糖質を普通に摂取している成人の基準値の、約20~30倍です。

その後、宗田先生はさらに研究を積み重ねられて、2016年
胎盤・臍帯・新生児のケトン体値に関する研究を英文で発表されました。(☆)
胎児、新生児は、ケトン体を主たるエネルギー源として利用している可能性が高いことを示唆する、画期的な研究です。
胎盤・臍帯のケトン体値論文は、世界初と思われますが、私もも共著者の一人です。
胎盤のケトン体値は基準値の20~30倍、 平均2235.0μmol/L(60検体)
臍帯のケトン体値は基準値の数倍~10倍、平均779.2μmol/L(60検体)
新生児のケトン体値は、基準値の3倍~数倍、
平均240.4μmol/L(312例、生後4日)  基準値は85 μmol/L以下。
胎盤と臍帯と新生児では、ケトン体は高値が当たり前であることが
確認できて、ケトン体の安全性の担保となりました。
このように、胎盤、新生児のケトン体の基準値は、
現行の基準値よりはるかに高値であることが確認されたわけですから、
妊婦のケトン体が少々高値でも胎児へ悪影響などあるはずもないのです。
スーパー糖質制限食で、妊婦のケトン体が、一般的基準値より高値になりますが、
妊婦においても、胎児においても、
ケトン体の安全性(基準値より高値でも)が確認されたと言えます。

(☆)Ketone body elevation in placenta, umbilical cord,newborn and mother in normal delivery  Glycative Stress Research 2016; 3 (3): 133-140
Tetsuo Muneta 1), Eri Kawaguchi 1), Yasushi Nagai 2), Momoyo Matsumoto 2), Koji Ebe 3),Hiroko Watanabe 4), Hiroshi Bando 5)


江部康二
家庭や飲食店で使われている油の食品成分。良い油は?
こんばんは。

オスティナートさんが
油の成分について、

日本食品標準成分表2015年版(七訂) を調べて
可食部100g当たりに含まれる成分・単位g を、一覧にして
コメント頂きました。
ありがとうございます。
とても参考になります。

オリーブオイルの一価不飽和脂肪酸は74.04gですが、ほとんどがオレイン酸で、73.30gです。
牛脂 の一価不飽和脂肪酸は45.01gですが、そのうちオレイン酸は41.0gです。
ラードの一価不飽和脂肪酸は43.56 gですが、 そのうちオレイン酸は40.0gです。

一般に、オリーブオイルはヘルシーで健康的であり、
動物性脂肪の牛脂やラードは、体に悪そうというイメージがあります。

しかしながら、
牛脂やラードの主成分は、オリーブオイルと同じく
一価不飽和脂肪酸で、オレイン酸なのです。

日本脂質栄養学会は、動物性脂肪のほうが、植物性脂肪より安全という立場です。
私も、動物性脂肪は安全と考えています。

一方、リノール酸は必須脂肪酸ではありますが、摂りすぎが問題となっています。
ごま油、米ぬか油、大豆油など多くの植物油の主成分は
リノール酸なので、少量に止めるのが安全です。

あまに油とえごま油はα-リノレン酸が多くて、とても好ましく
積極的に摂りたいものです。

江部康二



【18/06/05 オスティナート
油の成分
家庭や飲食店で使われている油の食品成分です。
文部科学省 食品成分データベースから抜粋しました。

日本食品標準成分表2015年版(七訂)
可食部100g当たりに含まれる成分・単位g

●オリーブ油
・脂肪酸総量:94.58
・飽和脂肪酸:13.29
・一価不飽和脂肪酸:74.04
・多価不飽和脂肪酸:7.24
・n-3系多価不飽和脂肪酸:0.60(α-リノレン酸600mg)
・n-6系多価不飽和脂肪酸:6.64(リノール酸:6,600mg)

●ごま油
・脂肪酸総量:98.83
・飽和脂肪酸:15.04
・一価不飽和脂肪酸:37.59
・多価不飽和脂肪酸:41.19
・n-3系多価不飽和脂肪酸:0.31(α-リノレン酸310mg)
・n-6系多価不飽和脂肪酸:40.88(リノール酸:41,000mg)

●米ぬか油
・脂肪酸総量:91.86
・飽和脂肪酸:18.80
・一価不飽和脂肪酸:39.80
・多価不飽和脂肪酸:33.26
・n-3系多価不飽和脂肪酸:1.15(α-リノレン酸1,200mg)
・n-6系多価不飽和脂肪酸:32.11(リノール酸:32,000mg)

●大豆油
・脂肪酸総量:92.76
・飽和脂肪酸:14.87
・一価不飽和脂肪酸:22.12
・多価不飽和脂肪酸:55.78
・n-3系多価不飽和脂肪酸:6.10(α-リノレン酸6,100mg)
・n-6系多価不飽和脂肪酸:49.67(リノール酸:50,000mg)

●なたね油
・脂肪酸総量:93.26
・飽和脂肪酸:7.06
・一価不飽和脂肪酸:60.09
・多価不飽和脂肪酸:26.10
・n-3系多価不飽和脂肪酸:7.52(α-リノレン酸7,500mg)
・n-6系多価不飽和脂肪酸:18.89(リノール酸:19,000mg)

●牛脂
・脂肪酸総量:89.67
・飽和脂肪酸:41.05
・一価不飽和脂肪酸:45.01
・多価不飽和脂肪酸:3.61
・n-3系多価不飽和脂肪酸:0.17(α-リノレン酸170mg)
・n-6系多価不飽和脂肪酸:3.44(リノール酸:3,300mg)

●ラード
・脂肪酸総量:92.66
・飽和脂肪酸:39.29
・一価不飽和脂肪酸:43.56
・多価不飽和脂肪酸:9.81
・n-3系多価不飽和脂肪酸:0.46(α-リノレン酸460mg)
・n-6系多価不飽和脂肪酸:9.35(リノール酸:8,900mg)

●食塩不使用バター
・脂肪酸総量:73.00
・飽和脂肪酸:52.43
・一価不飽和脂肪酸:18.52
・多価不飽和脂肪酸:2.05
・n-3系多価不飽和脂肪酸:0.33(α-リノレン酸330mg)
・n-6系多価不飽和脂肪酸:1.72(リノール酸:1,500mg)

●あまに油
・脂肪酸総量:95.13
・飽和脂肪酸:8.09
・一価不飽和脂肪酸:15.91(オレイン酸:15,000mg)
・多価不飽和脂肪酸:71.13
・n-3系多価不飽和脂肪酸:56.63(α-リノレン酸57,000mg)
・n-6系多価不飽和脂肪酸:14.50(リノール酸:14,000mg)

●えごま油
・脂肪酸総量:95.17
・飽和脂肪酸:7.64
・一価不飽和脂肪酸:16.94(オレイン酸:16,000mg)
・多価不飽和脂肪酸:70.60
・n-3系多価不飽和脂肪酸:58.31(α-リノレン酸58,000mg)
・n-6系多価不飽和脂肪酸:12.29(リノール酸:12,000mg) 】

8月5日(日)糖質制限食。一般向け大阪講演会のご案内。
こんばんは。

8月5日(日)、大阪市内で、
「正しく学んで健康に!糖質制限食と脂質の知識」
と題して、一般の方向けの講演会を開催します。

今回は、大櫛陽一先生をお招きして
ケトン体・ケトン食・コレステロールについて
集中的にお話し頂きます。
久しぶりの大櫛先生とのコラボ講演会なのでとても楽しみです。
私は、糖質制限食の基礎理論、最新情報、症例などをお話します。

神戸、大阪、京都、関西方面の
糖尿人やメタボ人など生活習慣病の方々、またそのご家族の皆様など
是非、ご参加頂ければ幸です。

江部康二


以下、事務局からのお知らせです。

***********

ブログ読者の皆様、いつも弊会のイベントへ多数ご参加いただきまして、ありがとうございます。

8月5日(日)、大阪市内で、「正しく学んで健康に!糖質制限食と脂質の知識」と題して、一般の方向けの講演会を開催いたします。

講師は、東海大学名誉教授 大櫛陽一先生と当会理事長 江部康二医師です。

第1部は、理事長が糖質制限食の基礎理論、最新知識、症例などについて解説いたします。

第2部は、「100歳まで長生きできるコレステロール革命」(永岡書店)や「健康診断『本当の基準値』完全版ハンドブック」(宝島社)等の著者で、医療統計、脂質栄養学に造詣の深い大櫛先生に、コレステロールや中性脂肪、ケトン体などについてご解説いただきます。

糖質制限食、糖質制限食と関連の深い脂質について理解を深めていただける、絶好の機会です。

関西にお住まいの方をはじめ、たくさんのご参加をお待ちしております。

また、講演会終了後に交流会も催します。こちらも奮ってご参加くださいませ。

◇弊会イベント情報URL: http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity


///////////////////ご案内/////////////////////

(一社)日本糖質制限医療推進協会主催 講演会(大阪)

  「正しく学んで健康に!糖質制限食と脂質の知識」

◆日程:2018年8月5日(日)13:15~16:10頃 ※開場・受付は、12:45~

◆会場:ドーンセンター(大阪府立男女共同参画・青少年センター)1F 「パフォーマンススペース」

〒540-0008 大阪市中央区大手前1丁目3番49号
http://www.dawncenter.jp/shisetsu/map.html

*京阪「天満橋」駅、地下鉄谷町線「天満橋」駅1番出入口から東へ約350m。
JR東西線「大阪城北詰」駅下車。2番出口より土佐堀通り沿いに西へ約550m。

◆内容:

◇第1部 「糖尿病・生活習慣病を予防&改善する食事法~糖質制限食は、人類本来の食事、人類の健康食」

講師: 江部 康二 医師/(一財)高雄病院・(一社)日本糖質制限医療推進協会理事長

◇第2部 「ケトン体生成食(KetoGenic Diet)による脂質プロフィールの変化」

講師: 大櫛 陽一 東海大学名誉教授/大櫛医学情報研究所所長

*第1部、第2部とも、講演60分、質疑応答15分程度を予定しております。

◆受講費: 賛助会員 2,400円 / 一般(会員の方以外) 2,900円


◇◆◇ 大阪交流会 ◇◆◇

◆日時: 2018年8月5日(日) 17:00~19:00

◆場所: 肉バルDOMO天満橋店

〒540-0012 大阪府大阪市中央区谷町1-2-6
https://r.gnavi.co.jp/s971b2690000/map/
*地下鉄谷町線「天満橋」駅3番出口 徒歩1分、京阪「天満橋」駅 徒歩1分 。講演会場からは徒歩5分ほどです。

◆参加費: 賛助会員 5,000円 / 一般(会員以外の方) 5,500円

*ご参加の人数にもよりますが、立食か半立食を予定しております。


【以下大阪講演会・交流会共通】

■お申し込みの流れ:

1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込み下さい。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4. 当日、直接会場までお越しいただき、受付にてお名前をお伝え下さい。

■お申し込み方法:

★賛助会員の方:

事務局へ、メールにて参加ご希望のイベント名(8/5大阪講演会/交流会)、ご参加人数をご明記の上、お申し込み下さい。
※領収書の発行をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。
​​
★賛助会員入会をご希望の方:

1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。

http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up

2. お申し込みは下のフォームからお願いします。「入会ならびに講演会出席のお問い合わせ」を選択いただき、「通信」欄に参加ご希望のイベント名(8/5大阪講演会/交流会)をご記入下さい。

http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact

★一般(会員以外の方)で、講演会、交流会参加のみご希望の方:下のフォームからお申し込み下さい。

http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-gen

■その他:

・予約制です。当日参加はできません。
・講演会のキャンセルは8月3日(金)までに事務局へご連絡願います。それ以降のご返金は対応致しかねますので、予めご了承ください。
・交流会のキャンセルは8月1日(水)までに事務局へご連絡願います。それ以降のご返金は対応致しかねますので、予めご了承ください。
「生協飯」再チャレンジ。
こんばんは。
月曜日の夜は、連れ合いが江部診療所で仕事をしていますので、
私の夕食は一人飯が多いです。

すき家に行って、
<タレなしの牛丼ライト、温泉卵2個、豚汁、鮭塩焼き>を食べたり
和食さとに行って
<さとシャブ食べ放題、豚シャブプレミアムコース>を食べたりします。
さとシャブは65歳以上なので、かなりの高齢者割引きですし、
注文が全て「タブレット」からできますので、一人でも入りやすい店ですね。

それから、生協にも時々行って買い物をして帰ります。
高雄病院勤務を終えてあとなので、午後7時半くらいになり、
刺身半額とか結構お得感がある時間帯です。
「生協飯」もそれなりにあるので、メニューは、私なりに工夫しています。
しばらく前に、「生協飯」の記事を書いたのですが、
肝腎の食後1時間血糖値というピークを測定し損ねたので、
6/4(月)は、再チャレンジしてみました。

夕食前19:45 血糖値:100mg

イサキの刺身半額、1人前
タコの刺身1人前
レタスとパプリカのサラダ1パック2人前+糖質ゼロハム
出汁巻き1人前
イカリング1人前
糖質ゼロ発泡酒350ml一缶

刺身とか、出汁巻きとかイカリングとか、動物性蛋白質が豊富です。
レタスとパプリカのサラダには、エゴマ油を垂らして、
糖質ゼロハムにはマヨネーズもかけてといった具合で脂質も豊富です。
それで、満腹感と満足感があって、結構、美味しいのです。
イカリングの衣が気になりますが、薄いのでそのまま食べました。

20:45 食事開始後60分血糖値:123mg
21:15 食事開始後90分血糖値:112mg
21:45 食事開始後120分血糖値:105mg


食後血糖値がピークになる1時間値で「100mg → 123mg」と
23mgの上昇でした。
私の場合は、1gの糖質が3mg血糖値を上昇させるので、
摂取した糖質は、7.7gとなります。
スーパー糖質制限食、堂々の合格メニューですね。

食事のあとは、
ミックスナッツ30粒くらいと焼き海苔10~15枚とをお摘まみに、
焼酎ハーボール2杯をたしなんで、最後は焼酎ロックをチビチビで
トイレにいったあと深夜0時前に就寝です。
これなら、翌朝6時半頃起床するまで、夜間尿はゼロですみます。

結局、摘まみでナッツや焼き海苔も食べているので、
食物繊維やビタミンCなどビタミンやミネラルもしっかり摂取してますし、
必須脂肪酸(αリノレン酸、EPA、DHA)、必須アミノ酸も充分ですし
なかなかの食事と自画自讃しています。


江部康二


バターコーヒーは、糖質制限OK食品です。
【18/06/03 ちゃっちゃん

とても分かりやすい解説書でした。

バターコーヒーについては江部先生はどのようにお考えなのでしょうか?

お時間があるときに、ご回答頂けると嬉しいです。】


こんにちは。
ちゃっちゃん から、バターコーヒーについて、コメント・質問を頂きました。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)助教授の
津川 友介氏の著書
「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」
の31ページに、
『オリーブオイルは体に良い油であるが、バターは体に悪い油』
なので、
バターコーヒーも良くないと記載されています。

しかし、これも短絡的で一方的な意見です。

例えば、日本脂質栄養学会は、
「動物性油脂のほうが植物性油脂より安全」
ということを、根拠をあげて示しています。

私も、バターやラードや牛脂などの動物性脂肪は
はヒトにとって安全な油脂と思います。
そして、バターコーヒーは糖質制限的にも優秀な食品です。

コーヒーは、津川氏も
グループ2の、ひょっとしたら健康に良いかもしれない食品としておられます。


さて、バターや肉の脂とオリーブオイル、どちらが身体によいのでしょうか?

肉の脂など、食物中の脂質(ほとんどが中性脂肪)は、
グリセロールと脂肪酸に分解されて小腸上皮から吸収されますが、
そのなかで中性脂肪に再合成され集合します。

この集合体は、キロミクロンと呼ばれ、リンパ液に瞬時に入り、リンパ管に拡散します。
キロミクロン(中性脂肪が積み荷)は、胸管を上行し鎖骨下静脈内に移行します。

鎖骨下静脈に入ったキロミクロンのほとんどは、
肝臓、あるいは脂肪組織・筋肉組織などの毛細血管を通る間に、
毛細血管壁にあるリポ蛋白リパーゼにより、
その積み荷の中性脂肪は、脂肪酸とグリセロールに分解されます。
その分、中性脂肪は血液中から取り除かれます。

脂肪酸は、筋肉細胞などでエネルギー源として利用されます。
血中に残った脂肪酸は、肝臓と脂肪組織の中に拡散します。
そして、筋肉でエネルギー源として利用されずに肝臓や脂肪組織に取り込まれた脂肪酸は、
再び中性脂肪に合成され脂肪細胞内に蓄えられます。
中性脂肪は、
1つのグリセロール(グリセリン)に3分子の脂肪酸が結合して構成されています。


オリーブオイルの脂質も中性脂肪として蓄えられています。
従って、消化・吸収は肉の脂と一緒です。
植物油や一般の食品に含まれる「脂質」はおもに中性脂肪です。

(TOAD さんにご教示頂きました。ありがとうございます。)

エネルギー源として使われずに余った脂肪酸は
中性脂肪に合成されて蓄えられるという意味では、
肉の脂もオリーブオイルも同じようなものです。


一般的にはオリーブオイルが心筋梗塞予防によいとされています。
また、動物性脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸は、
悪玉なので取りすぎない方がよいとされていますが、
日本脂質栄養学会は、動物性脂肪の方を植物性脂肪より推奨しています。

私も動物性脂肪は悪玉ではないと思います。
例えば、何かと評判の良いオリーブオイルの主成分は、
オレイン酸という一価不飽和脂肪酸です。

そして何かと評判の悪い牛脂の主成分も、
実はオレイン酸なのですから、なにをか言わんやです。

なおバターにもオレイン酸は豊富に含まれています。


江部康二
「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」の読後感。
こんばんは。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)助教授の
津川 友介氏の著書
「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」
を読みました。

以下の緑文字の文章は、出版社の内容紹介です。

内容紹介
ハーバード大学を経てUCLA助教授として活動する医師が、
あなたに教える不動のルール

健康になるための「体に良い食品」はこれだけ!
あらゆる食品をエビデンスベースで5グループに分類

●バターコーヒーは×
●グルテンフリーは×
●100%果汁でもジュースは×
●βカロテンは×
●白米は×

今あなたが信じている健康情報は本当に正しい情報でしょうか。
お医者さんや栄養士さんが言っていたから正しいと思っていないでしょうか。
専門の資格を持っていると正しいことを発信しているように見えますが、
そうとは限りません。

せっかく健康意識の高い人が、テレビや本の誤った情報を信じてしまうことで、
その努力が無駄になったり、不健康になってしまうのはとても残念なことです。
実は、巷に溢れる「体に良い食事」には、個人の経験談だったり、
健康に良いという研究結果がごく少数のものも含まれています。

本書では、最新の膨大な研究論文をもとに複数の質の高い研究で
体に良いことが科学的に証明されている食事を紹介しています。
まずは2週間ほど本書で説明している食事法を続けてみてください。
自分の体が変わってきたことを実感できるようになるはずです。


おおむね、良い内容と思ったのですが、
糖質制限食を否定しておられるので反論します。


A)

8ページに、「科学的根拠のない健康情報」として
①炭水化物は健康に悪く、食べると太る。
が取り上げられています。

しかし、
「炭水化物は健康に悪く、食べると太る。」
には、信頼度の高いエビデンスがあります。
エビデンスのグレードの最上位に
ランダム化比較試験(Randomised Controlled Trial, RCT)があります。
以下、「糖質制限食が脂肪制限食より減量に有効」というRCTを列挙します。


低糖質食 vs. 低脂質食、減量や脂質データなどCVD(心血管疾患)リスク低減で、
低糖質食の圧勝。148人の肥満者を、1年間研究。
低糖質食は40g/日未満。
Effects of low-carbohydrate and low-fat diets: a randomized trial.
Bazzano LA et all
Ann Intern Med. 2014 Sep 2;161(5):309-18


低炭水化物食で一番体重減少・ HDL-C増加 
脂肪制限食(カロリー制限)、                          地中海食(カロリー制限)、                           低炭水化物食(カロリー無制限)の3群
低炭水化物群のみカロリー無制限のハンディがあったが、
結局3群全て同じだけのカロリーが減少。満足度と満腹度。
当初糖質20g/日以下。3ヶ月後から120g/日以下を目指すも、
結局女性150g/日、男性180g/日で40%の糖質。
糖質約50%の低脂肪食群、地中海食群(高糖質群)
DIRECT(Dietary Intervention Randomized Controlled Trial)         
322人を3群に分けて、2年間の研究。
Iris Shai,et all:Weight Loss with a Low-Carbohydrate,Mediterranean,or Low-Fat Diet. NENGLJ MED JULY17,2008、VOL359.NO.3  229-241


体重減少、中性脂肪減少、HDL-C増加は低炭水化物食が低脂質・低カロリー食に比し有効。13の電子データベースの2000年1月~2007年3月の低炭水化物食と低脂質食比較RCTをメタ解析。
Systematic review of randomized controlled trials of low-carbohydrate vs. low-fat/low-calorie diets in the management of obesity and its comorbidities M. Hession,et all
Obesity Reviews(国際肥満研究連合の公式ジャーナル)
Volume 10, Issue 1, pages 36–50, January 2009


23レポートのメタ解析によって
研究期間にかかわらず糖質制限食が体重,脂質,血糖,血圧を改善させる。
Obes Rev 2012; 13: 1048-1066Systematic review and meta-analysis of clinical trialsof the effects of low carbohydrate diets oncardiovascular risk factorsobr_1021


アトキンス、ゾーン、ラーン、オーニッシュダイエットのそれぞれの1年間の体重減少効果などをみた。311人の女性を上記4グループに分けて追跡。これら4種のダイエット法は、いずれも米国でポピュラーなものである。
アトキンスは低炭水化物食(スーパー糖質制限食)、ラーンとオーニッシュは高炭水化物、低脂肪食、ゾーンは炭水化物40%
低炭水化物食が体重を最も減少させて、HDL-CとTGを改善。
Comparison of the Atkins, Zone, Ornish, and LEARN Diets for Change in Weight and Related Risk Factors Among Overweight Premenopausal Women
The A TO Z Weight Loss Study: A Randomized Trial ,JAMA297:969-977


B)
結局、
津川 友介氏は、GIに着目されていて、
「精製された穀物は体に悪いが未精製の穀物は体に良い」
という立場です。
つまり白米は体に悪いが、玄米は体に良いということです。

それで、11ページに、厚生労働省と農林水産省が共同で発表した
「食事バランスガイド」に、ご飯を1日3~5杯食べることが
推奨されているのに対して
「白米を1日2~3杯ですでに糖尿病発症リスクが上がりはじめる可能性がある」
というエビデンスがあるのに、ガイドラインが歪められていると
批判しておられます。

しかし、本書において根本的に欠落しているのが
「高インスリン血症」と「食後高血糖」の概念です。
「高インスリン血症」と「食後高血糖」が、
発ガンリスクや肥満・メタボなど様々な生活習慣病リスクとなることには
国際糖尿病連合・2011年「食後血糖値の管理に関するガイドライン」 など
多くのエビデンスがあります。

そして、食後高インスリン血症と食後高血糖を生じるのは
糖質摂取時だけであり、脂質・蛋白質では生じません。
これは、エビデンス以前の生理学的事実です。

白米摂取で生じる「食後高インスリン血症と食後高血糖」は
玄米でも生じます。
例えば2型糖尿病である私の実験で
白米を茶碗1杯食べると食後血糖値のピークが240mgくらいですが
玄米を茶碗1杯だと、220mgくらいになります。
この程度の差は臨床的には全く無意味です。

まず、糖尿人においては、玄米も「食後高血糖」を起こす
危険な食材ということです。


また未精製穀物といえども、インスリンが大量に分泌されるので
発ガンリスクや肥満・メタボなど様々な生活習慣病リスクとなるということです。



C)
43ページに果糖が血糖をすごく上げると記載してありますが
果糖のGIは20と低く、血糖値はブドウ糖ほどは上げません。
しかし肝臓でブドウ糖より早く中性脂肪に変わります。
それで、果糖は太りやすいのです。
果糖が速やかに中性脂肪に変わるという性質は
狩猟・採集時代の700万年間においては、
飢餓へのセーフティーネットという意味では大きな役割を果たしていたと思います。
一方、果糖はブドウ糖よりはるかにAGEsという身体に悪い物質に変換されやすく
それを防ぐために肝臓でさっさと中性脂肪に変えていたという意味もあります。

さらに、近年の果物は、狩猟・採集時代の物と異なり、
糖度が高くなり、大きさも大きくなっていますので、
ブドウ糖も果糖もショ糖も過剰に増えています。
従って、現在の果物は、極めて太りやすいし、AGEsも生じやすいし
かなり危険な食物といえ、要注意です。

津川 友介氏は、果物は健康に良いとしていますが、
少なくとも現代の果物は、多く摂取すれば危険食材と言えます。


D)
155ページ
「透析患者さんの場合、たんぱく質をたくさんとると、
たんぱく質を分解することで出てくるリンというミネラルも体に蓄積されてしまう」

という記載がありますが、これは誤解です。
透析になる前の段階の腎不全では「低たんぱく食」が推奨されていますが、
一旦透析になればある程度の「高たんぱく食」が推奨されています。
例えば腎不全期(第4期)は、0.6~0.8g/kgの低たんぱく食ですが、
透析療法期(第5期)は、0.9~1.2g/kgのあるていどの高たんぱく食です。



以上、
「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」
の読後感でした。

江部康二
糖質制限、ベーチェット・クローンの症状消失。少食の人の脂質の摂り方。
【18/05/30 りんご
少食です。
以前、ベーチェットやクローンの症状が無くなったと報告させて頂いた者です。
さゆみさんの投稿を読んで、同様に感じています。
少し経過報告させて下さい。
その後、先週末の受診時に正直に投薬を辞めて症状が無くなっていることを伝えましたが、今回は流石に怒られました。しかし、スッキリ清々しかったです。
おそらく、次回の受診で免役内科は卒業になりそうなので、もう後戻り出来ない!更にきちんとスーパー糖質制限を行わなければ!と決意しています。
結節性紅斑も、もう出ませんし、ケトンも+1まで戻りました。BUNも増えてます。
心配しすぎず継続させる事が大切だなと感じています。
そして、わたしの奇跡のような回復を知った親族友人が、把握してるだけで8人糖質制限を始めました。一人一人に説明する時間もないので江部先生の本を何冊も買って配りました。嬉しいことです、ありがたいです。
その結果が面白いのですが、効き目が大きい人は糖質をしっかりと抜いた人ですね。中途半端や、不安に思いながらの人は結果も中途半端です。結果が出るまで時間がかかるのでしょうか?中途半端な効果止まりでしょうか?
きちんとした人の効果としては、過敏性腸炎の若い子は速攻で症状がなくなってますし、鬱傾向の友人は靄が取れたようで、もう戻りたくないと言ってます。癇癪持ち気味の人は人格が変わりました。NASHの前段階にあった夫はスーパー糖質制限で4ヶ月過ごしとても調子が良いようです。他にも頭痛が消えて薬がいらなくなった、頭が冴える、痩せた、体が楽、なんか分からんけど良い、などなど…
本当に何かの宣伝のような信じられない結果です。
だからこそ、わたしはこのまま元気で居続ける責任のようなものも感じているのですが、未だに少食で意識せずにはカロリーが摂れません。手っ取り早く推奨されるカロリーが摂取出来る方法があれば嬉しいです。
体重の減りが止まったので、今のままでも良いのでは?と糖質制限に詳しくなって来た主人には言われてます。(最終的には20キロ減りました)
ガンの再発予防にもなると考えてますので、糖質量は30g以下で安定しています。
何かアドバイスがあれば教えて頂けないでしょうか。】



【18/05/30 通りすがりK
小食の人の脂質の摂り方
さゆみ さん、
りんご さん へ

ケトン食の脂質の摂りかたを参考にされると良いです。

いくつか例を上げます。

(その1)オリーブオイルや「オレインリッチ」などのオレイン酸の多い植物性油をコップに100~150cc注いで、(お好きなら)塩や胡椒やお酢などの香辛料を入れてかき回しゴクゴク飲んでしまう。ただし、あまり大量に飲むとお腹を壊すかもしれませんので調整して下さい。例えば100gの油なら900kcalありますので簡単にカロリーが補えます。ω3のエゴマ油を加えても良いです。

(その2)タカナシの「純生クリーム47」100~200ccと純ココア3~6gと「ラカントS液状」小さじ1~2をボウルに入れてハンドミキサーでかき混ぜてチョコレートクリームを作り、スプーンですくって食べます。美味しいです。面倒なら純生クリームをそのまま100~200ccゴクゴク飲んでもOKです。この生クリームは高価ですが品質が良いです。ココナッツオイルやMCTオイルを加えても良いです。

(その3)食塩無添加のバターとMCTオイルを入れたコーヒーを千円前後で購入できるクリーマーで攪拌して「完全無欠」コーヒーを作って一日に数回飲む。バターはグラスフェッドが良いですがそれ程こだわらなくてもOKです。1杯に20gバターを入れるとして、3杯飲めば60gで60x9=540kcalになります。カフェインに敏感ならデカフェのコーヒーやココアでも良いです。甘味料はラカントSやステビアをグリセリンで溶いたもの(iHerb.comで買えます)がお勧めです。(MCTオイルはお腹を壊さないように少量から試してください。)

がんサバイバーの「こたろうのブログ」にケトン食のレシピが多数紹介されているので参考にされると良いと思います。】



【18/05/30 オスティナート
低糖質・高カロリー、冷製野菜スープ
糖質制限食によるカロリ不足を補う「低糖質・高カロリー、冷製野菜スープ」 《糖質6.4g・401kcol》の作り方をご紹介します。

〇用意するもの

食材:
カゴメ野菜ジュース糖質オフ 200cc・21kcol、糖質3.3g
トマトホール缶詰(ミキサーでジュースにしておきます)100g・20kcol、 糖質3.1g日本食品標準成分表2015年版(七訂)
オリーブオイル 40g・360kcol
塩 1g
ラカントs液状 2g

調理器具:
計量カップ・ハンドミキサー

作り方:
食材を計量カップに全部入れ、ハンドミキサーで乳化させれば完成です。

参考にしていただけたら幸です。
http://wp-ostinato.eek.jp/wp/koukarori-yasaisu-pu/



18/05/31 + 18/06/02
ドクター江部

Re: 少食です。
りんご さん

糖質制限で、薬を中止して、
ベーチェットやクローンの症状が消失、
そして結節性紅斑もでないとは素晴らしいです。
これなら医師に怒られても本望ですね。(^^)
当たり前のことですが、薬を止めても症状が再発しないなら
薬を飲む必要は全くありません。
薬は少なければ少ないほど良いわけで、なしなら一番いいです。
主治医も
「薬が止められて良かったね。」
というくらいの度量があれば理想的ですが・・・。


「わたしの奇跡のような回復を知った親族友人が、
把握してるだけで8人糖質制限を始めました。」

「過敏性腸炎の若い子は速攻で症状がなくなってますし、鬱傾向の友人は靄が取れたようで、もう戻りたくないと言ってます。癇癪持ち気味の人は人格が変わりました。NASHの前段階にあった夫はスーパー糖質制限で4ヶ月過ごし、とても調子が良いようです。」


やはり、目の前に奇跡的改善のモデルが存在すると、
モチベーションが違いますから効果もでやすいと思います。
ベーチェットやクローンは基本、治りがたい病気ですから、
家族・友人・知人が驚くのも無理はありません。
主治医殿も、実は、おおいにビックリしたのだと思います。

少食の人の脂質の摂り方、高カロリーレシピ、
通りすがりKさん、オスティナートさん、ありがとうございます。
摂取エネルギーを増やす工夫は、2018/5/31のブログ、
高雄病院の橋本管理栄養士のアドバイスを参考にして頂けば幸いです。
りんごさんは、最終的に20kgの減量で今はそこで減り止まったということですね。
そうすると現在の身長、体重、BMIはどのくらいでしょう。
体重ですが、基本的には、BMI20以上25未満で、
その人の体調が良ければそれで良いと思います。




【18/05/31 りんご
ありがとうごさいます。
江部先生、アドバイスをくださった方々、本当に感謝です。
新たな発見がいっぱいです。
工夫して楽しくエネルギーを確保して行けそうです。

ありがとうございました!】
朝日カルチャーセンター立川教室のご案内。2018年6月30日(土)。
こんにちは。

朝日カルチャーセンター立川教室のご案内です。
https://www.asahiculture.jp/tachikawa/course/cd2c7685-412f-0981-917f-5a55c90884b1
042-527-6511


糖質制限食による糖尿病の治療と予防
人類本来の食事・人類の健康食
朝日カルチャーセンター立川教室。
2018年6月30日(土)。


糖質制限食は、1999年から京都・高雄病院において糖尿病治療食として開始され、合併症を予防できる唯一の食事療法として画期的な成果をあげてきました。米国糖尿病学会の患者用テキストブック(2004年)には「摂取後直接、血糖に影響を与えるのは糖質のみである。蛋白質・脂質は、摂取後、直接血糖に影響を及ぼすことはない。」と記載されています。食後高血糖と一日平均血糖変動幅増大が糖尿病合併症の最大のリスクとなりますが、従来の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)では、必ずそれらを生じるので、糖尿病合併症の予防は困難です。現実に日本では、毎年新たに、人工透析16000人、失明3000人、足切断3000人と糖尿病合併症は減っていません。米国糖尿病学会は、2013年10月、5年ぶりに「栄養療法に関する声明」を発表し、糖質制限食、地中海食、ベジタリアン食、低脂質食、DASH 食を受容しました。このことは糖質制限食に大きな追い風となりました。


江部康二


☆☆☆
以下、朝日カルチャーセンター立川教室のサイトから抜粋。

日時・期間
土曜  15:30-17:00
日程 2018年 6/30
受講料(税込み)
6月(1回)
会員 3,024円
一般 3,672円


講師紹介 江部 康二 (エベ コウジ)
<プロフィール>
・1950年生まれ。
・1974年京都大学医学部卒業。
・1974年から京都大学胸部疾患研究所第一内科(現在京大呼吸器内科)
にて呼吸器科を学ぶ。
・1978年から高雄病院に医局長として勤務。1996年副院長就任。
・1999年高雄病院に糖質制限食導入。
・2000年理事長就任。
・2001年から糖質制限食に本格的に取り組む。
・ 2002年に自ら糖尿病であると気づいて以来、さらに糖尿病治療の研究に力を 注ぎ、「糖質制限食」の体系を確立。これにより自身の糖尿病を克服。
内科医/漢方医/一般財団法人高雄病院理事長/一般社団法人日本糖質制限医療推進協会理事長。

<著書>
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』2005年(東洋経済新報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編』2008年(東洋経済新報社)
『我ら糖尿人、元気なのにはわけがある』2009年(東洋経済新報社・作家宮本輝氏との対談本)
『糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食』2010年(ナツメ社)
『主食をやめると健康になる』2011年(ダイヤモンド社)
『食品別糖質量ハンドブック』2012年(洋泉社)監修
『糖質オフ!健康法』2012年(PHP文庫)
『糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド』2013年(東洋経済新報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!新版』2014年(東洋経済新報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!2 実践編 新版』2014年(東洋経済新報社)
『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません』2014年(東洋経済新報社)
『なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか』2015年(ナツメ社)
『糖質制限の教科書』2015年(洋泉社)監修
『よくわかる! すぐできる! 「 糖質オフ! 」健康法 』2016年(PHP研究所)
『人類最強の「糖質制限」論~ケトン体を味方に して痩せる、健康になる』2016年(SB新書)
『江部康二の糖質制限革命』2017年(東洋経済新報社)
など多数。
ブログ『ドクター江部の糖尿病徒然日記( http://koujiebe.blog95.fc2.com/ )は日に数千件のアクセスがあり、糖尿病のかたやそのご家族から寄せられた質問への回答や、糖尿病・糖質制限食に関する 情報の発信に、日々尽力している。