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高インスリン血症は発ガンのリスク。
こんばんは。
今回は、高インスリン血症と発ガンリスクのお話しです。

インスリンは、分泌されていないと、生命の危険があります。
1921年にカナダの整形外科医フレデリック・バンティングと
医学生チャールズ・ベストがインスリンの抽出に初めて成功しました。
1922年に当時14才の1型糖尿病患者、
レナード・トンプソン少年に初めて注射し、血糖コントロールに成功しました。
1型糖尿病はインスリンの登場までは、診断後平均余命6ヶ月の致命的な病気でしたが、
インスリンにより生命を保つことが可能となりました。

その後、インスリンを注射しておけば糖質を摂取しても血糖値が上昇しないことが、
徐々に周知されるようになりました。

その結果、正常人なみに糖質を食べても、
インスリンさえ打っておけばいいという流れとなっていき、
米国糖尿人の糖質摂取量は徐々に増えていきました。

しかし、近年、インスリンの弊害がいろいろ周知されるようになりました。
例えば、高インスリン血症が発ガンのリスクになることも明らかとなりました。
日本の論文と米国の論文を紹介します。

1)
「Cペプタイド値が高い男性(高インスリン血症の男性)は、
低い男性に比べ最大で3倍程度、大腸癌になりやすい」という疫学調査が、
厚生労働省研究班により2007年発表され論文として掲載されました。
( Int J Cancer. 2007 May 1;120(9):2007-12.)


こちらは、日本の論文ですが、男性では高インスリン血症の発ガンリスクが
明白となりました。
男性では、C‐ペプタイドの値の最も高いグループの大腸がんリスクは、
最も低いグループの3.2倍で、
値の高いグループほどリスクがだんだん高くなる関連がみられました。
女性では、関連がみられませんでした

2)
2009年にInt J Cancerに掲載された米国の論文があります。(☆)
Women's Health Initiative clinical trialsから5450人を平均8年
間経過をみて、190人が乳ガンを発症しました。
(International Journal of Cancer
Volume 125, Issue 11, pages 2704-2710, 1 December 2009)
閉経後の女性において、空腹時高インスリン血症は乳がんのリスクとなりましたが、
高血糖は関連がなかったという結論です。


空腹時高インスリン血症ということは、米国の女性ですから、
肥満によるインスリン抵抗性がおおいに関連していると思います。
インスリン抵抗性による高インスリン血症の米国女性に、
乳ガンリスクがあるということです。


空腹時高インスリン血症の日本女性は、そんなにいないと思います。
しかし日本女性でも
「肥満・インスリン抵抗性・高インスリン血症」のある人は、乳ガン要注意ですね。

高インスリン血症による発癌の機序は、
インスリンが各種組織の成長因子であることが関わるとされています。

動物実験では、高インスリン血症が、
各種癌細胞の形成や増殖に関与するとの報告があります。

ともあれ、高インスリン血症は
男性の大腸ガン、女性の乳ガンのリスクとなることは間違いないようです。

糖質を摂取すれば、食後血糖値は上昇し、高インスリン血症となります。
糖質制限食なら、高インスリン血症を防ぐことができます。



(☆)
International Journal of Cancer
Volume 125, Issue 11, pages 2704-2710, 1 December 2009

要約

実験や疫学的なエビデンスによれば、血液中の血糖やインスリンは、
乳がんの発がんを促す可能性がある。

しかしながら乳がん発がんリスクと血中グルコースやインスリンと
の関連を検討したコホート研究はほとんどない。そして、過去の研
究の測定はベースライン1回だけである。

我々は、「women in the Women's Health Initiative clinical tr
ials 」の6%のランダムなサンプルを使用してベースラインと1、3、
6年後の空腹時血液サンプルの血糖値とインスリン値を解析して閉
経後の乳がんリスクの縦断的な研究を実施した。

さらに観察研究として1%の女性の、ベースライン時と3年目の空腹
時血液サンプルで測定されたグルコース値とインスリン値を分析に
含めた。

我々はコックス比例ハザードモデルを使って、乳癌リスクとベース
ライン及び経過時の血清グルコース値およびインスリン値の関連を
ハザード比の95%信頼区間を評価した。

全ての統計的テストは2面的にした。ベースラインの血糖値とイン
スリン値を測定した5450人の女性の中で平均8年間の観察期間中に1
90人の乳がんが確認された。

全母集団において最高の三分位のベースラインインスリングループ
は最も低いグループに比べて倍の乳がん増加リスクがあった。(多
変量ハザード比2.22、95%信頼区間1.39?3.53)

そして介入試験に登録されていない女性に比べると3倍のリスクが
あった。
(多変量ハザード比3.15、95%信頼区間1.61?6.17)

血糖レベルはリスクと無関係であった。繰り返し測定の分析は、
ベースライン分析の結果を支持した。これらのデータは、血清イン
スリンレベル上昇は、閉経後乳がんの危険因子である可能性を示唆
している。

閉経後乳がんのリスクは、肥満と糖尿病で増加し、この両者はイン
スリン抵抗性の増加で特徴付けられ、結果として循環血中のインス
リンとブドウ糖が増加する。

インスリンは、細胞増殖を促進し、動物モデルにおける乳がん成長
を強める。

一方、ブドウ糖はインスリン抵抗性を悪化させ、悪性クローンに恩
恵を与えがん細胞に発育の利点を供給する。それ故に比較的高レベ
ルのブドウ糖やインスリンは乳がんの病因となるというのはうなづ
ける。

過去の少数の研究では空腹時血糖値・インスリン値と閉経後乳がん
発症リスクの関連を直接調査しているが、相反する結果が得られた。

しかしながら、これらの研究は1回のベースラインの測定のみに基
づいている。繰り返した計測の解析により経過観察期間中、これら
の要素の乳がんの発達における役割および関連の評価の精度を上げ
ることができる。

それゆえに我々は乳がんリスクの縦断的研究を実施し、「Women's
Health Initiative clinical trial」の参加者の6%の空腹時血糖
値・インスリン値を、ベースライン、1、3、6年後に測定した(WHI-
CT)。

そして観察研究として1%の女性のベースラインと3年目の測定を実
施した(WHI-OS)。


江部康二
脂肪肝が主食をやめて、劇的改善。糖質制限食と脂肪肝。
【脂肪肝が無くなりました。
糖尿病ではありませんが、健康診断で脂肪肝が有ると言われて
超音波画像を見せてもらったら、肝臓が白く写っていました。
1年間、米とパン・麺類・パスタ類だけを厳しく制限した所、
今日の検査で「脂肪肝が無くなっている。」と言われました。
びっくりしました!! 
糖質制限初心者でこれから勉強しようと思いますが
江部先生のブログを拝見して漠然と糖尿病でなくても
「糖質制限は体に良さそうだ。」と思って始めてみて、
1年で驚きの結果が得られたので感謝の気持ちで報告させて頂きました。
ありがとうございました。】


Re: 脂肪肝が無くなりました。
糖質制限初心者 さん

穀物を徹底的に制限して
脂肪肝改善、良かったですね。
体重も減りましたか?

江部康二

【18/04/28 糖質制限初心者
お返事ありがとうございます。
1年間、米とパン・麺類・パスタ類だけを厳しく制限した所、
脂肪肝がきれいになくなった上に、体重が8kgも減って
(163cm 65kg → 57kg)膝の痛みもなくなりました。
先生のおかげ様です!!ありがとうございました。これからも続けます。】





こんにちは。
今回は、糖質制限食と脂肪肝のお話しです。

糖質制限初心者さん、
1年間、主食をやめて、脂肪肝改善、体重改善で
膝の痛みもなくなったとは素晴らしいです。

脂肪肝といっても、結構こわいタイプもあるので、治って良かったです。


脂肪肝(しぼうかん)とは、文字通り肝臓に脂肪が蓄積した状態です。
近年、30代~40代を中心に増加傾向にあります。

脂肪肝は

1)非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD:nonalcoholic fatty liver disease)
  a)単純脂肪肝 肥満などによるもの
  b)非アルコール性脂肪性肝炎(NASH:Non-Alcoholic SteatoHepatitis)
2)アルコール性脂肪肝 飲酒によるもの

3)妊娠に伴うもの  急性妊娠性脂肪肝(AFLP)
  AFLP:Acute Fatty Liver of Pregnancy


などにわけられます。

NAFLD(nonalcoholic fatty liver disease、非アルコール性脂肪肝疾患)は、
アルコールを原因としない脂肪肝です。

NAFLDの8割から9割は炎症や線維化を伴わない「単純性脂肪肝」です。
多くは肥満が関係します。単純脂肪肝の予後は良好です。

非アルコール性の脂肪肝はかつては、放置してもさしたることはないと言われていましたが、
近年、上述の「NASH」が認識されるようになり、様相が一変しました。
非アルコール性脂肪性肝炎(Non-alcoholic steatohepatitis)を略してNASHです。
単純脂肪肝とは異なり、炎症があるのでこわいのです。

NASHは、肝炎から肝硬変や肝臓癌に進展することもあり、結構こわいのです。
NAFLDの1割くらいが、NASHです。
単純性脂肪肝からNASHへ進行することもあります。

肝臓に脂肪が蓄積→脂肪肝→非アルコール性脂肪性肝炎→肝硬変→肝癌

B型ウィルスやC型ウィルスや飲酒以外に、NASHからも肝癌になり得るので、ゆめゆめ油断は禁物なのです。

脂肪肝の根本要因は、脂質ではなく糖質です。

①糖質を摂取すると血糖値が上昇します。
②血糖値が上昇すると追加分泌のインスリンが大量に分泌されます。
③追加分泌インスリンにより、筋肉細胞の糖輸送体が内部から細胞表面に移動します。
④筋肉細胞の糖輸送体(Glut4)により血液中のブドウ糖は細胞内に取り込まれます。
⑤まずエネルギー源として利用し、次いでグリコーゲンとして筋肉中に蓄えます。
⑥筋肉細胞に取り込まれずに、血液中で余ったブドウ糖は全て中性脂肪に変わり、
 脂肪細胞や肝臓に蓄えられます。


このように、追加分泌のインスリンが大量・頻回に出ることが、脂肪肝や肥満の根本要因であり、
インスリンが肥満ホルモンと言われる所以です。

3大栄養素「糖質・脂質・タンパク質」のうち、血糖値に直接影響を与えるのは、糖質だけです。
脂質・タンパク質は血糖値に直接影響を与えることはありません。
追加分泌インスリンが大量に必要となるのは、糖質摂取時だけです。
タンパク質は、ごく少量の追加分泌インスリンを分泌させます。
脂質は、追加分泌インスリンを分泌させません。

脂肪肝も内臓脂肪肥満もメタボリック・シンドロームも、
糖質の頻回・過剰摂取によるインスリンの頻回・過剰分泌が根本要因と思います。
内臓脂肪肥満やメタボになれば、インスリン抵抗性も出現してきて、
血糖値を正常に保つために基礎分泌インスリンの量も増加します。
このようにして、インスリン追加分泌も基礎分泌も過剰になり、ますます、
脂肪肝や内臓脂肪肥満やメタボリック・シンドロームは進行して悪循環に陥ります。

上述の如く人体の生理・栄養・代謝面から理論的に考えてみると、

<糖質→食後血糖値上昇→追加分泌インスリン大量分泌→中性脂肪合成→脂肪肝・肥満>


ということが明確に理解できます。

つまり、糖質を普通に食べていたら、少々のカロリー制限をしても、脂肪肝が改善することは極めて困難なのです。

一方、糖質制限食実践で、例えば肉・魚・豆腐などを摂取すれば、当然高脂質・高タンパク食となりますが、
この間常に脂肪が分解されエネルギー源として使われています。
つまり、糖質制限食を食べている最中にも同時に中性脂肪が分解されて脂肪酸やケトン体になり、
骨格筋・心筋・内臓でエネルギー源として利用されているのです。
ケトン体は脳でも利用されます。

この「脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム」が日常的に利用されているのが、人類本来の姿であり、
農耕前の700万年間はずっとそうでした。

糖質制限食で脂肪が分解されていた人が、糖質を摂取して血糖値が上昇すると、

「糖質制限食→中性脂肪分解→脂肪酸・ケトン体→骨格筋・心筋・内臓のエネルギー源」


というパターンが

「糖質摂取→血糖値上昇→追加分泌インスリン大量分泌→中性脂肪合成」

というパターンに変化し、脂肪肝・肥満につながるわけです。

私自身、2002年の糖尿病発覚の時点で、メタボリックシンドロームの基準を満たしていました。

<身長167cm 体重67kg 高血圧140~180/90~110 腹囲86cm>

スーパー糖質制限食実践半年で10kg減量して57kg。
血圧は140~180/90~110 → 120~130/70~80。
メタボリックシンドロームの基準が全て正常になりました。

内臓脂肪CT126cm2 → 70cm2 (正常は100未満)
となりました。

私だけでなく多くの脂肪肝の患者さんがスーパー糖質制限食で速やかに改善しています。

ブログ読者の脂肪肝の皆さん、安心して魚も肉も卵も野菜もしっかり食べて、
美味しく楽しくスーパー糖質制限食で、脂肪肝改善を目指して下さいね。

なお、急性妊娠性脂肪肝(AFLP)はまれな疾患(6000~7000妊娠に1例ていど)ですが、
重篤となることもあり注意が必要です。

AFLPは理論的には糖質制限食で予防できると思います。


江部康二
読売テレビのおはようドクター。出演。2018/4/28(土)。
生活習慣病を防げ!
~正しい「糖質制限」の知識~
読売テレビ おはようドクター
http://www.ytv.co.jp/ohayou_doctor/



こんにちは。
早起きの方、比較的まめな方への
耳寄りな情報です。

読売テレビのおはようドクター
http://www.ytv.co.jp/ohayou_doctor/
2018/4/28土曜日午前5時20分から5時30分まで放送


に私が出演します。
おはようドクターでは、かなりしっかり10分間
ほぼ出ずっぱりです。

アナウンサーのインタビューに答えて、ほぼ喋りっぱなしです。
糖質制限食関連のお話が、ほぼ網羅されています。
5月に第二弾の放送がありますが、
こちらは、『糖質制限』の実践編です。

早起きの方、是非御覧ください。
すいません。
私は寝ています。 m(_ _)m

まめな方、是非録音して、あとで御覧ください。

読売テレビのユーチューブ公式チャンネルでも後日
御覧いただけます。


以下は
おはようドクターのサイトから抜粋です。

☆☆☆
最近、よく目にする「糖質制限」。
「糖尿病が改善する」
「生活習慣病が予防できる」などと言われていますが、
そもそも「糖質制限」とは何なのでしょうか?

きょうのドクターは、京都市右京区にある高雄病院の
理事長 江部 康二(えべ こうじ)先生。
「糖質制限」を確立し、自身の糖尿病を糖質制限で
克服したドクターです。

きょうのおはよう!ドクターは、
「正しい糖質制限の知識」についてお送りします。


「糖質制限」とは

糖質制限な食材は?

お酒

糖質制限で症状の予防・改善
糖尿病 高血圧 がん 肥満

糖質制限で改善が期待できる病気
アトピー性皮膚炎  にきび  片頭痛 
尋常性乾癬  逆流性食道炎  歯周病 
花粉症  潰瘍性大腸炎
『糖質制限食十箇条』 2018年版
こんばんは。

糖尿病の人や肥満・メタボリックシンドロームや生活習慣病の人の
治療と予防には 糖質制限食がベストの食事療法です。
そして 『糖質制限食』実践により、
糖尿病の人では「食後高血糖(グルコーススパイク)」が予防でき、
血糖コントロール良好となります。
耐糖能正常型の人においても、「グルコースミニスパイク」が予防できるので、
生活習慣病の予防・治療ができます。
このことが食事療法において根源的に大切です。

今回は
『糖質制限食十箇条』2018年版
の紹介です。

『糖質制限食十箇条』
-糖尿病や肥満が気になる人に-

一、 糖質の摂取を減らす。可能なら一回の食事の糖質量は20g以下とする。
二、 糖質制限した分、タンパク質や脂質が主成分の食品は充分量食べる。
三、やむを得ず主食(ご飯、パン、麺類など)を摂るときは少量とする。
四、水、番茶、麦茶、ほうじ茶などゼロカロリー飲料はOK。果汁・清涼飲料水はNG。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類はOK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)、糖質ゼロ発泡酒はOK。辛口ワインも適量OK。
醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツはNG。
十、可能なら化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。

*糖尿病の人がやむを得ず糖質を摂取するときは、食直前に、「αGI剤」か「グリニド系薬剤」を内服すると、
食後高血糖がある程度防げる。
*牛乳は100mlくらいならOK。成分未調整豆乳は200mlくらいOK。
*昆布は出汁をとるのは良いが、食べるのは糖質含有量が多いのでNG。
*肉と魚貝の摂取量は<1:1>が目安。

『糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。1回の食事の糖質量は20g以下。
二、スタンダード糖質制限食は、一日一回(朝か昼)少量の主食あり。夕食は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。朝と昼は少量の主食あり。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。


抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。

魚貝・肉・卵・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べる。

糖質制限食の理論的根拠
1、血糖値を直接上昇させるのは糖質だけで、たんぱく質・脂質は上昇させない。
2、糖質を摂取しなければ血糖値は上昇しない。
3、糖質制限食を実践すれば食後血糖値はほとんど上昇せず糖尿病は改善する。
4、食前・食後の血糖値血糖変動幅が少ないので生活習慣病の予防ができる。
5、食後血糖値の上昇が極めて少ないので、追加分泌インスリンも少量ですむ。
6、過剰なインスリンは肥満・がん・アルツハイマー病などのリスクとなるので、
 血糖コントロールができる限りで少量であるほど身体にはいい。
 

ということで、とてもシンプルです。
上記6つは、生理学的な事実やエビデンスがあることですので信頼度は高いです。

☆☆
なお本にも書きましたが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため、既に経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は
低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はないので、
以下の本などを参考にされて、
自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。

推奨著書
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ 新版」2014年(東洋経済新報社)
「なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか」2015年(ナツメ社)
「糖質オフ!健康法」2016年3月(PHP研究所 )
「人類最強の糖質制限論」2016年4月(SB新書)
「増補新版食品別糖質量ハンドブック」2016年6月(洋泉社)
マンガでわかる「糖質オフ! 」健康法2016年12月、(PHP研究所 )
外食でやせる! 「糖質オフ」で食べても飲んでも太らない体を手に入れる、2017年(毎日新聞出版)
「江部康二の糖質制限革命」2017年(東洋経済新報社)

レシピ
「電子レンジで糖質オフの作りおき」 2016年10月(宝島社)
「やせぐせがつく糖質オフの作りおき 」2017年3月(宝島社)
「高雄病院の糖質制限作りおき 」2017年5月(洋泉社)
「作りおきおかずで簡単! 朝・昼・晩 糖質オフのダイエット献立」(家の光協会)2017年10月


江部康二
食後高血糖、HbA1c、HDL-C、LDL-C、TG_HDL-C、TG/HDL-C比。
【18/04/24 れ
HDL高すぎもよくないのか
江部先生こんにちは。
いつも記事楽しく拝見しております。

空腹時の健診では食後高血糖がマスクされてしまう件について、強く実感します。
わたし自身まさに隠れ高血糖でした。元来HbA1c 5.3-5.4% FPG80台 BMI16台で推移し健診で指摘を受けたことはありませんでしたが、機会あってフリースタイルリブレをためしたところBS=60-250と乱高下のあることが分かり、昨年6月よりセイゲニストとなりました29歳 女です。
以降、HbA1c5.0-5.1とデータ上は著明な低下ないもののこれまで強くあった(今考えれば)機能性低血糖に伴う症状がなくなり、血糖変動幅は小さくてすんでいるはずと満足しております。

今回是非お尋ねしたいのはHDL-Cも高すぎはよくないのか?ということです。
というのも、先日以下のような記事を見つけたのと、直近採血の結果、案の定ですが脂質摂りすぎだと言われたためです。

週刊朝日「高すぎる善玉コレステロールも危険?!」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180330-00000010-sasahi-hlth

制限前       18/3/19(制限後)
HDL 80       111
LDL 180       169
TG 50        40
Glu 80        92
HbA1c 5.3       5.1
148cm 37kg BMI16.8(不変)

直近データというのは上記のようなもので、確かに、糖質以外は制限していないですし、また、産業保健に携わっておりますがなかなか100超えはお目にかかりません。
糖質制限下におけるHDL高値にもほどがあるのかどうか、また、もし注意すべきことがあれば、ご教授いただけますと幸いです。】



【18/04/24 通りすがりK
中性脂肪TG/HDL-C比について
としの さん、れ さんへ

清水先生のブログ「ドクターシミズのひとりごと」にTG/HDL-C比に関する詳しい解説があります。(れ さんは中性脂肪が低いので心配ないようです。)

「中性脂肪が低くHDLコレステロール値が高いと虚血性心疾患のリスクは低い」
http://promea2014.com/blog/?p=4044




れさんと、通りすがりkさんから
食後高血糖、HbA1c、HDL-C、LDL-C、TG/HDL-C比について
コメント・質問を頂きました。

「ドクターシミズのひとりごと」http://promea2014.com/blog/
の清水泰行先生は、
私の知り合いです。
糖質制限食のことで、高雄病院にも見学に来られたことがあります。
清水先生のブログは、いろんな知識がいっぱい詰まっていて
とても造詣が深く信頼できて、おおいに参考になります。
清水先生、ありがとうございます。


さて、れさんですが、
HbA1cだけでなく、フリースタイルリブレでCGMを実施されたのは
とても良いことだったと思います。

普通の血液検査の
「HbA1c 5.3-5.4% 、空腹時血糖値80mg台」
で、安心していたら、食後高血糖を確実に見逃していたと思います。

CGMで「BS=60-250と乱高下」 ということで
高血糖と低血糖の繰り返しで、結果としてのHbA1cは
見かけ上は良好でも、血糖変動幅の大きい極めて質の悪いHbA1cだったと思われます。
これでは、動脈硬化のリスクが大きかったでしょう。

2017年6月から、スーパー糖質制限食で、 「HbA1c5.0-5.1 」
で、軽度数値低下ですが、実際には
「低血糖」「食後高血糖」「血糖変動幅増大」のない質の良いHbA1cに
劇的改善と思います。

制限前       18/3/19(制限後)
HDL 80       111
LDL 180       169
TG 50        40
Glu 80        92
HbA1c 5.3       5.1


HDLコレステロールが増加して、中性脂肪が低下して
とても好ましい変化です。
これなら、小粒子LDLコレステロールはほとんどなくて、
LDLコレステロールも標準の大きさの善玉です。
HDLコレステロール高値に関して、このように
中性脂肪、LDLコレステロールも良いなら
全く問題ないと思います。

清水先生の引用された文献によれば、
中性脂肪が60mg/dl以下であれば75%はPhenotype A という良いLDLです。
中性脂肪が100mg/dlを超えるとPhenotype A とPhenotype Bは逆転し、
中性脂肪の正常値の150mg/dl付近では
ほとんど大きな良いLDLは存在しないことになり、悪いLDLが増えます。
http://promea2014.com/blog/?p=4044

そして
TG/HDL-C比も、0.36と素晴らしいです。
冠動脈ハイリスクプラークのリスクは
TG/HDL-C比は、3.03以上ですから、全くの安全圏ですね。

ちなみに私のデータは
TG:46mg/dl(50~149)
HDL-C:109mg/dl(40~98)

であり
TG/HDL-C比は0.42です

また、TG/HDL-C比はインスリン抵抗性を反映しており,
鋭敏な糖尿病発症の予測因子となります。
研究によれば、TG/HDL-C比が高値の場合、10年間の追跡で男女ともに
2倍以上、糖尿病を発症したとのことです。
file:///C:/Users/ekoji/Downloads/TG%E3%81%A8HDL-C%E6%AF%94%E3%81%A8%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%B3%E6%8A%B5%E6%8A%97%E6%80%A7.pdf


江部康二
ろかぼしぞ~か「第4回 糖質制限医療講座in静岡」のご案内
こんにちは。

静岡の糖質制限グループ「ろかぼしぞ~か」主催の講演会が
2018年5月13日(日)に開催されます。
講師は、田頭修悟先生と私の二人です。

私は、鹿児島講演会と講演内容は基本的に同じとなります。
田頭先生は、少しバージョンアップされるそうです。

また、前日の12日(土)には交流イベントも開催されます。
東海地方にお住まいの方をはじめ、関東方面の方も
奮ってご参加頂けば幸いです。

私は、12日(土)の交流会は、京都で所用があって、参加できませんが、
田頭修悟先生は参加されます。


江部康二



講演会: 「第4回 糖質制限医療講座in静岡」

<日時> 2018年5月13日(日) 13:30 - 16:50
<会場> レイアップ御幸町ビル CSA貸会議室 5-C
    JR静岡駅北口より徒3分

講師には 糖質制限医療の生みの親であり、高雄病院理事長・日本
糖質制限医療推進協会理事長の江部康二先生、前回の講演会のアン
ケートで一番人気のたがしゅうブログでおなじみの神経内科医、た
がしゅう先生こと田頭秀悟先生をおむかえして、糖質制限の基本か
ら食のあり方、医療のあり方についてご講演いただきます。

「糖質制限から学ぶ自然重視型医療」
田頭秀悟先生

「糖尿病・生活習慣病を予防&改善する食事法~糖質制限食は、
人類本来の食事、人類の健康食」

江部康二先生

<受講料> 3,000円 (中学生以下無料)

◆交流イベント:「第2回 糖質セイゲニストのための持込み大パーリィ」

日時 2018年5月12日(土) 18:30 - 21:30
会場 フレックスミュンヘン
    静岡市葵区伝馬町8-6
    静岡駅北口より徒歩6分

「豚皮を揚げて食べる会」と同様に、参加者がそれぞれ糖質オフの
料理や食材を持ち込み、楽しく、美味しく、糖質オフライフを語り
合い、高め合いましょう。

まだ糖質制限をやったことのない方も、やってみてうまくいかなか
った方も大歓迎!

なかなか痩せられない方、どこか体に不調のある方、生活習慣病で
悩んでおられる方もぜひおいでください!改善の糸口がきっと見つ
かります。

鹿児島からおいでになるたがしゅう先生も参加されます!

<会費> 3,500円 (中学生以下無料)

<申込方法(講演会、交流イベント共通)>
toushitsuseigeniryou@gmail.comへ、参加イベント名・氏名・参加
人数を明記して、お申し込みください。折り返し、詳細のご連絡を
いたします。

<主催>ろかぼしぞ~か
https://business.facebook.com/events/168703230597154/
『水野真紀の魔法のレストラン』に出演。放映は4/25、水曜日よる7時。
こんばんは。

水野真紀の魔法のレストラン(MBS毎日放送)
毎週水曜日 よる7時

2018年4月25日、水曜よる7時放映の
『水野真紀の魔法のレストラン』
痩せようと思って太っている人
結構いるかもしれませんね。

に私が出演します。

レギュラー陣は、
水野真紀さん
V6の長野さん
ロザンの宇治原さん
ロザンの管さん

ゲストがアンミカさん

で、アナウンサーが河田直也さんです。
魔法のレストランは、18年も続いているそうで、びっくりです。

メンバーにクイズ形式で料理を選んでもらい、
どれが糖質制限OKで、どれがNGかを私が判定するという趣向です。
場所は、大阪市道頓堀の「塚田農場 なんば道頓堀店」でした。

3月下旬に、19時20分から収録でしたが、
18時頃にお店で待ち合わせて
ディレクターと打ち合わせというスケジュールでした。

前菜とメインディッシュで判定です。

前菜は
トマトスライス、生ハムとアボカド、ポテトサラダ、
もずく酢、オニオンスライスの5種類、

メインディッシュは、
牛サーロインステーキ、タレ焼きの鶏ねぎまと鶏つくね、チキン南蛮、餃子、
の4種類です。

この間、私は食事はなしで、皆さんが美味しそうに食べているのを
ひたすら眺めながらおあずけ状態でした。( ̄_ ̄|||)

収録の合間に出演の皆さんといろいろお話しましたが、
皆さん、よく勉強しておられて、感心しました。
特に、長野さんは、糖質制限食のことをかなりご存じのようでした。

『糖質制限食で、糖化や老化が防げて、アンチエイジング効果がある』
というお話を私がすると、
女性陣がしっかり食いついてこられました

さらに長野さんから、AGEsの話題と質問がでて、私がその深い知識に驚きつつ
返事をしていたら、ロザンの宇治原さんから
「そんな難しい話は二人でメールででもやり取りしてくれ」
との突っ込みが入ったりで、
いやはや、なかなか楽しい時間を過ごすことができました。(^^)   

結局、収録が終わって京都の自宅についたら、21時半くらいになりました。
結構、気持ちよくお腹がすいていたので、焼酎のお湯割りを吞みながら
美味しく楽しく糖質制限の夕餉を満喫しました。 (⌒o⌒)v


☆☆☆
水野真紀の魔法のレストラン
https://www.mbs.jp/mahou/

2018年4月25日放送
得する食べ方損するマナー in 韓国料理・イタリアン・太りにくい食事術
料理を味わい尽くし美味しく食べる方法「知っておくと得する食べ方」や、知っておかないと恥ずかしい食べ方のルール「知らないと損するマナー」を、食の賢者がクイズ形式でお教えします!
新町の本格イタリア料理が楽しめる人気店「トラットリアパッパ」では、イタリアに修行経験のある松本シェフが「パスタの美しい食べ方」「ピッツァのお得な食べ方」を伝授!
韓国料理では、関西で22店舗のチェーン展開をしてる超人気店へ。韓国料理マスターとしてモデルのアンミカが美味しい食べ方を伝授!「チーズタッカルビの〆に良いのは麺?それともごはん?」

さらに今回は、超人気居酒屋チェーン店で、お医者さんが教える「太りにくい食べ方」をチェック!ご家庭でも実践できる食事術をご紹介。マヨネーズ、胡麻ドレッシング、フレンチドレッシング、一番糖質量が少なく、太りにくいのはどれ?

美味しい上に賢く栄養が摂れる「得するかけ算レシピ」のコーナーは、ミシュランガイド三つ星「菊乃井」村田吉弘の「ビタミンたっぷり和風あんかけ焼きそば」。必見!キャベツの栄養を最大限摂る調理法とは?



江部康二
HbA1c5.6%以上なら、食後高血糖の可能性あり。
【18/04/22 としの

私は医師で、健診も担当しております。

Hba1cが5.6%以上なら食後血糖が高い可能性があると考え指導しております。

これでは問題があるでしょうか。

御教示お願いたします。】


こんばんは。

医師のとしのさんから、

『Hba1cが5.6%以上なら食後血糖が高い可能性がある』
ので、指導するとのコメント・質問をいただきました。
私も、としのさんのお考えに、賛成です。

いわゆるメタボ検診では、
HbA1c5.6%以上を対象に「75g経口ブドウ糖負荷試験」を推奨しています。
これだと、境界型の食後高血糖や軽症の糖尿病の段階で
診断できるという意図です。

意図はわかるのですが、HbA1c5.6%以上の人全てに、
75g経口ブドウ糖負荷試験を実施するというのは、
大変な手間と費用が必要であり、現実的ではありません。

そんな莫大な医療費をかけるよりは、
普通に糖質摂取後1~2時間の尿糖を調べれば、
かなりの確率で食後高血糖を拾い上げることができますし、
金も手間も随分楽だと思います。
すなわち、血糖値が170~180mg/dlを超えていると、尿糖が陽性になるのです。
これでひっかかった人だけが、75gOGTTを受ければいいと思います。

さらにメタボ健診で日本糖尿病学会は、
今までの空腹時血糖値の基準に、「正常高値」を追加しました。

正常型:100mg/dL未満
正常高値:100mg/dL~110mg/dL未満
境界型糖尿病:110mg/dL~126mg/dL未満
糖尿病型:126mg/dL以上


この正常高値という新しい概念の100mg/dL~110mg/dL未満が追加になった理由として、
日本糖尿病学会は次のように説明しています。

「正常高値である100mg/dL~110mg/dL未満の人を対象に経口ブドウ糖負荷試験を行ったところ、
25%~45%の人が境界型か糖尿病に属していた。」

「空腹時血糖値の正常高値の追加によって、上記の25%~45%の境界型か糖尿病型の方を、
健康診断などで早期発見出来る。」

こちらも、全員に75gOGTTをするのでは無くて、
上記と同様に、普通に糖質摂取後1~2時間の尿糖を調べれば、
スクリーニングできます。

「空腹時血糖値」「空腹時インスリン値」「食後1時間血糖値」「食後2時間血糖値」
「HbA1c」
「糖質摂取後1~2時間の尿糖」

の中で、いわゆる食後高血糖(境界型、IGT)を早期診断するのに
一番いいのは、上記の尿糖検査か
「食後1時間血糖値」「食後2時間血糖値」です。
食後1時間血糖値が180mg/dlを超えていると将来糖尿病になりやすいです。
食後2時間血糖値が140mg/dlを超えていれば、境界型です。

HbA1cは、過去1~2ヶ月の平均血糖値を反映していますが、
食後高血糖を見逃す可能性があるので、欠陥のある検査です。


江部康二



☆☆☆75g経口ブドウ糖負荷試験の意義

メタボ検診で推奨の75g経口ブドウ糖負荷試験は、
今まで糖尿病と診断されたことがない人に行う検査です。
既に、糖尿病と診断がついている場合は、この検査を実施すれば、
必ず高血糖(ブドウ糖スパイク)を生じるので倫理的にみても、適応となりません。
HbA1cの値などが、正常範囲内でやや高めで
軽症の糖尿病が隠れていないかというときになどに行う検査です。
HbA1cの基準値は、6.2%未満です。

 なお75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)実施前の3日間は
150g/日以上の糖質を摂取することが推奨されています。
糖質制限をしたまま、75g経口ブドウ糖負荷試験を受けると
糖質に対する人体の準備ができていないので、
一見耐糖能が低下しているようなデータになることがあるからです。
食後高血糖(IGT)は、 総死亡と心血管死のリスク。
こんにちは。

糖質を食べると食後血糖値は必ず上昇します。
しかし、インスリン作用が正常なら、血糖値の上昇はコントロールされるので
食後高血糖にはなりません。

この食後高血糖という言葉は、結構よく使用します。
では、正式な「食後高血糖」の定義はご存知でしょうか?

シンプルに、食後2時間血糖値が140mg/dl以上あれば、食後高血糖です。
国際糖尿病連合によれば、
食後1~2時間の血糖値が160mg/dl未満が目標です。

食後2時間血糖値が、200mg/dlを超えたら、「糖尿病型」ですので、
具体的には「食後高血糖」とは、
食後2時間血糖値が、140~199mg/dlの間の数値をさすこととなります。

正常人では、食後血糖値が140mg/dLを超えることはほとんどありません。
そして、食後2~3時間以内に食事の前の値に戻ります。

食後1時間血糖値が180mg/dlを超えていると、食後2時間血糖値が140mg/dl未満で正常でも、
将来糖尿病になりやすいことがわかっています。

糖尿病前段階の食後高血糖が何故問題になるかというと、
心筋梗塞などの合併症リスクが結構あるからです。


 日本人を対象に実施された大規模研究「舟形町コホート」でも、
食後血糖値が高めの耐糖能異常(IGT)は
心血管死および総死亡のの危険因子であることが示されました。

すなわち「食後高血糖(糖尿病予備群・IGT)」は糖尿病前段階ですが、
死亡リスクが上昇することが日本人の研究で確認されたということです。

一方、空腹時血糖値が110~125mg/dlで食後高血糖がないタイプ(IFG)は
総死亡と心血管死について、
正常型群と優位差がありませんでした。

*IFG:空腹時血糖値やや高値、110~125mg/dl
*IGT:食後高血糖、食後2時間血糖値が140~199mg/dl



このように同じ、境界型の糖尿病予備群でも
「食後高血糖(IGT)」と「空腹時血糖障害(IFG)」
では、死亡リスクが全く異なることが、舟形町研究で明らかとなりました。

げに「食後高血糖(IGT)」、恐るべしです。


なお、通常の健康診断では、糖尿病に関しては、
空腹時血糖値とHbA1cしか検査しません。

①空腹時血糖値正常、HbA1c正常、食後高血糖なし。→質のいいHbA1c
②空腹時血糖値正常、HbA1c正常、食後高血糖あり。→質の悪いHbA1c

現実には、①と②のパターンがあります。

②の質の悪いHbA1cパターンの場合は、「食後高血糖」と「空腹時低血糖」の平均値が
示されており、「平均血糖変動幅増大」もあるので合併症リスクが大きいです。
従来の糖尿病食を食べて、インスリンやSU剤で血糖を下げようとした場合、
②のパターンが多いです。
実際、糖尿病合併症(透析・切断・失明)は減少していません。

一方、①のパターンは、スーパー糖質制限食で、薬なしで、血糖コントロールを
目指した場合です。
こちらは合併症リスクがありません。

②のパターンの場合は、食後高血糖はほぼ確実に見逃すこととなりますので
合併症を防ぐことは困難です。
ご用心、ご用心。


☆☆☆参照
糖尿病ネットワーク
Funagata Study(2)
http://www.dm-net.co.jp/daikibo/2016/09/funagata_study_2.php

舟形町研究
 舟形町は山形県の東北部に位置し(参考図1)、農業を主な産業としています。人口移動が少なくコホート研究を実施するのに適していました。1990年から1992年にかけて、脳血管疾患などで障害のある人たち344人を除く40歳以上の舟形町の全住民を75g経口ブドウ糖負荷試験(75g-OGTT)の対象としました。2,534名(対象者の74.5%)がOGTT検査を受け、これらの人々をコホートの対象者としました。既に糖尿病と判明していた117名はOGTTの対象とはしませんでしたが、コホートには組み入れました。



江部康二
糖尿病網膜症が糖質制限食で改善。
【18/04/19 ゆってぃ
ご安心を
にゃんこさん、素人考えですが、
眼については糖質制限をしている間は良くなる一方だとおもいます。

自分は1年10か月程前に糖尿病と診断され、眼科ではその5年ほど前から眼底出血が発症していたはずだと診断されましたが、その後、糖尿病の教育入院中にこのブログに出会い退院後、スーパー糖質制限食を手本にした食事をしてきました。
おかげさまで、糖尿病の方は主治医からも何の心配もいらないといわれています。

眼に関しましては、当初は手術の一歩手前でありました。目のいたるところに大小白斑が目立ち、出血も見られましたが、糖質制限のおかげで、今年の2月には出血も白斑もほぼ収まり、奇麗になったということで、カルナクリンの使用も中止し、夏ごろ経過観察で来てくださいと眼科の主治医には言われるまでに回復しました。

最近は、摂取する油も見直し、MCTオイルやココナッツオイルなど中鎖脂肪酸を摂るようにし、極力油を熱しないで使うようにしています。そのようなことを食事に取り入れてから、味覚が鋭くなった感じがし、今までわからなかった野菜のおいしさが分かるようになりました。サラダなんかもドレッシングは本当に少量で美味しくいただけます(故に非常にたくさんの野菜を食べるようになりました(笑))。

また、砂糖を体が受け付けなくなったようで、(自分の体で実験中ですが)果物は大丈夫なのですが、糖質15gほどのチーズケーキでも体調が悪いというかパフォーマンスが落ちることを実感でき、ご飯200gほどのお弁当を食べた時には食後1時間ほどから数時間にわたって頭痛と吐き気に悩まされます。

体質が変わったというか、それが日常的に糖質過剰摂取していた時には気付かなかった実態なのでしょうか?個人的には悪い方向に変わったとはとらえておらず、むしろ、1日のスタートから全開で動ける体へと変わり、体調が高レベルてとても安定し、風邪知らず、病気知らずなのでプラスにとらえているのですが。】



こんにちは。

『糖尿病網膜症が糖質制限食で改善』

というとても嬉しいコメント、ゆっていさんから頂きました。
ありがとうございます。


「1年10か月程前(2016年6月頃)に糖尿病と診断され、
眼科ではその5年ほど前から眼底出血が発症していたはずだと診断」


眼に関して、「当初は手術の一歩手前で、
眼底のいたるところに大小白斑が目立ち、出血もあり」なら、
眼科医師が、その時点で
糖尿病歴が6年10ヶ月以上と判断したのもリーズナブルと思います。

糖質制限食実践後、1年8ヶ月の2018年2月、
眼底検査で、
出血も白斑もほぼ収まり、奇麗になり、カルナクリン内服も中止、
次回の眼科受診も半年後でOKとは、素晴らしいです。

従来の糖尿病食(高糖質食)だと、
一旦発症した糖尿病網膜症が改善することは皆無で、
徐々に進行するのが当たり前だと思います。
従って、ゆっていさんの網膜症改善は快挙です。

スーパー糖質制限食実践だと、ゆっていさんと同様に
糖尿病網膜症が改善する症例はそこそこあります。
眼科主治医は、びっくりするやら嬉しいやらだそうです。


ゆっていさんは、
糖尿病も絶好調で、
主治医からも何の心配もいらないとのことで、見事な改善です。


ゆっていさんと同様、スーパー糖質制限食なら
食後の眠気がなくなり、
睡眠が良質となり、
寝起きが良くなり、
疲れにくくなり、
風邪もひきにくくなり、
生活の質が向上します。

仰る通り、たまに、糖質を摂取したときは、パフォーマンスが落ちます。
人類にとって必須糖質はありません。
不必要な糖質を一定以上多く摂取すると
眠気、ボーっとする、頭痛、頭重、動悸、イライラ・・・など
不快な症状が出現します。
これは、身体が『こんなもの要らない』と訴え、
教えてくれているのだと私は理解しています。


ゆっていさん、
これからも美味しく、楽しく、末長く
糖質制限食を続けられて、健康ライフをおくって頂けば幸いです。


江部康二
ケトン体。スーパー糖質制限食。ケトン食。
【18/04/18 ギー
ケトン体数値について
江部先生大変お世話になっております。 タイトルと違うのですが、誠に申し訳ありません。本日、知人の病院にケトン体の血液検査の結果をききにいったのですが、江部先生位の数値になっているとてっきり思っていたのですが、数値は100でした。完全、糖質制限食にして 約半年なるのですが、前回12月は220ぐらいでした。100に落ちてしまって残念です。自分でも思い浮かばないのですが、なぜだと思われますか?糖質も主食はもちろんのこと、ほかの糖質もきをつけてました。脂質も結構とっていましたし、まさか仕事のストレスや筋トレで、ケトン数値が下がるほど血糖値が上がることもあるのでしょうか?また、自分でも結構脂質はとっていたのですが、足りなかったのでしょうか?】


ギー さん

ケトン体の上昇には、かなり個人差があります。

<スーパー糖質制限食>
通常スーパー糖質制限食(糖質12%、脂質56%、タンパク質)でも、
400~800~1200 μM/Lくらいになる人が多いですが。
200 μM/Lくらいの人もいます。
私自身も同じような食事(スーパー糖質制限食)をしているつもりなのですが、
総ケトン体値は、
200~400~800~1200と結構ばらつきます。
理由は、ギーさんと同じくよくわかりません。

ココナッツオイルやMCTオイルなど中鎖脂肪酸を摂取すると
ケトン体は上昇しやすいです。

またケトン体の日内変動もあるようですが、
私もしっかり把握はしていません。

一方、ケトン食レベルの食事だと
ケトン体は確実に上昇します。


<Ketogenic Diet(ケトン食)>
<脂肪>:<非脂肪(炭水化物+たんぱく質)>の重量比がケトン比です。
基本のケトン食はケトン比が3:1です。
例えばわかりやすく
<脂質90g:非脂肪(炭水化物+たんぱく質)30g>
で、ケトン比が3:1です。
脂肪が810kcal、非脂肪(炭水化物+たんぱく質)が120kcalなので
脂質摂取比率は約87%と高値です。

ケトン食は小児難治性てんかんの治療食として、確立しています。
ケトン食実践だと、
血中総ケトン体値は
4000~5000 μM/L(基準値26~122)レベルとなります。
ケトン体はこのように高値となりますが、
インスリン作用があるていど保たれていれば、安全なものです。

ついでに
ケトン食とスーパー糖質制限食の違いについて考えてみます。

<ケトン食とスーパー糖質制限食の違い>
ケトン食だど、脂質摂取比率87%で、
血中総ケトン体は、4000~5000μM/Lレベルとなります。
これくらいケトン体が高値だと、尿中ケトン体も常に陽性です。
つまり、体内で利用しきれない血中ケトン体が尿中に出続けるということであり、
難治性てんかんの治療には、それほど高濃度のケトン体が必要となります。
このレベルの高濃度のケトン体値は、人類のご先祖もあまり経験していないと思われます。
従ってケトン食はあくまでも治療食であり、人類本来の食事ということではありません。

一方、スーパー糖質制限食は脂質摂取比率が56%くらいです。
たんぱく質は32%くらい、糖質は12%くらいです。
これらは、高雄病院給食一週間のメニューの平均値ですから、
個々の食事ではそこそこのバラツキはあります。
スーパー糖質制限食の場合は、
当初は尿中ケトン体が陽性となりますが1~3ヶ月くらいで陰性となります。
血中総ケトン体は、400~800~1200μM/Lレベルですが、
心筋や骨格筋や体細胞がしっかりケトン体を利用して、
腎臓の再吸収の効率も良くなるので、尿中には排泄されなくなります。
つまり血中ケトン体は全て体内で利用されています。
スーパー糖質制限食は、狩猟・採集時代700万年間の人類の食生活が目安であり、
糖尿病の治療食ではありますが、
その本質は人類本来の食事、人類の健康食と言えます。

<結論>
1、ケトン食は「治療食」である。
2、スーパー糖質制限食は、「人類の健康食」である。


江部康二
糖質制限でHbA1cが急速に改善。眼科検診は?
【18/04/17 にゃんこ
初めまして
いつも江部先生のブログを拝見させて頂き勉強させていただいてます。

コレステロールの話ではなく、
お話を聞いていただきたく勝手ながらコメントさせて頂きました。

私は30歳の肥満女です。去年の5月に身長167cm体重85キロ。
その後10月には78キロと自然に体重減少があり、
その頃喉の乾き、多尿などの症状がありました。
今年の2月末に献血をしてグリコアルブミンが24.9と高値を出し、
2018年3月中旬に内科を受診し血液検査の結果

空腹時血糖 108
HbA1c 9.4
AST 17
ALT 29
ガンマGT 25
ALP 168
ChE 345
TSH/ECLIA 0.168
FT4/ECLIA 1.59

という結果で糖尿病と診断されテネリア20mg(1T1X朝)が処方されました。
献血の血液検査結果が届いてからはショックのせいか食事を摂るのも嫌になり途方に暮れていた時に江部先生の糖質制限をネットで拝見しすぐにスーパー糖質制限を実践させて頂きました。
主食をカットしローソンのブランパンや糖質ゼロ麺に置き換え、野菜・肉を中心に食事をとり、からだすこやか茶wなどのトクホお茶を飲み、夜に軽い筋トレと30分のウォーキングを1ヵ月間実践した結果、体重も71キロまで減らしました。

病院での採血から1ヵ月たった先日、再度血液検査をした所

空腹時血糖107
HbA1c7.0

と1ヵ月でHbA1cを2.4%も下げてしまい担当医も驚いて「頑張りましたね、なにをしたの?」と言われたので糖質制限とは言わず、炭水化物を控えて運動をしたと伝えました。内服薬もグラクティブ50mgに変更となりました。
HbA1cを急激に下げると糖尿性網膜症などの進行が早まると言われ眼科受診を勧められたので来週受診予定です。

そこでなのですが、私はもともと視力が悪くコンタクトレンズを使用していたのですが、あまり適切な使用をしていなかった為、鏡で見ていても白目部分が全体的に新生血管が目立ちます。また1年くらい前から右目に小さな飛蚊症の様な症状があります。
これは既に糖尿性網膜症を発症してしまっているのでしょうか?
糖尿病の診断を受けてからはコンタクトレンズをやめてメガネで生活をしています。
まだ30歳でこの先失明や四肢切断、
人工透析になってしまうのではと不安で動悸がするほどです。
このまま糖質制限を続ければ来月の血液検査では6%を切ると思うのですが
2ヵ月でHbA1cを4%近くも下げてしまって大丈夫なのでしょうか?

今のところ血糖値とHbA1c以外は血液検査も正常値なので
担当医も特になにも言わず合併症の話や説明もありません。
むしろ、初診の時も食事療法や運動療法の話も無く内服薬を処方されました。

拙い長文で大変失礼しました。内容も相談になってしまいましたが
ご多忙とは思いつつもご意見をお伺いしたくコメントさせて頂きました。】



こんにちは。
にゃんこ さんから、
糖質制限食で、体重減少、HbA1c改善という
とても嬉しいコメントと質問を頂きました。


2018年3月中旬
空腹時血糖 108
HbA1c 9.4
AST 17
ALT 29
ガンマGT 25
ALP 168
ChE 345
TSH/ECLIA 0.168
FT4/ECLIA 1.59
体重78kg

4月中旬
空腹時血糖107
HbA1c7.0
体重71kg



にゃんこさん、素晴らしい改善で良かったです。

担当医が、眼科受診を薦められたのは、
一般的に従来の治療<カロリー制限・高糖質食+SU剤やインスリン注射>により
急速にHbA1cが改善した場合に、糖尿病網膜症が悪化する事例が
かんり報告されているためと思います。

高糖質食を摂取して、SU剤やインスリン注射でHbA1cの改善を目指すと、
食後高血糖と空腹時低血糖が必ず生じています。
例えば<食後血糖値250mg/dl、空腹時血糖値50mg/dl>といった具合で
平均血糖値を反映するHbA1cは6.8%くらいでコントロール良好になっても、
極めて質の悪いHbA1cです。
食後高血糖と空腹時低血糖により、「平均血糖変動幅増大」を生じ
酸化ストレスリスクが高まり、眼底出血など糖尿病網膜症の悪化の可能性も高まります。

テネリアやグラクティブは、DPP-4阻害剤ですので低血糖は起こしにくい薬です
SU剤やインスリンなしで、<糖質制限食+DPP-4阻害剤>でHbA1cが改善した場合は、
「食後高血糖」「空腹時低血糖」「平均血糖変動幅増大」が生じず、
糖尿病網膜症の悪化はありませんので、安心です。

また糖尿病を発症後、1~2年では、糖尿病網膜症を起こす可能性は低いと思いますので
こちらも心配は少ないと思います。。
このまま、美味しく楽しくスーパー糖質制限食を末長く続けられて
血糖コントロール良好を保てば、今後合併症が出現することもありません。

しかし、今までの、
血糖コントロールの悪い時期の『高血糖の記憶』が少しはあるかもしれませんので、
速やかに眼科検診には行きましょう。


江部康二
スタチンは糖尿病発症リスク。コレステロールは大切な物質。
【18/04/15 中嶋一雄
スタチンは危険

高齢者脂質異常症 診療ガイドライン2017
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/tool/pdf/guideline2017_03.pdf
P11
 高齢者においてスタチン治療は
糖尿病の新規発症を有意に増加させるので注意を要する(推奨グレード B)
 Sattarらによる13RCTのメタ解析の結果,
スタチンにより糖尿病の新規発症が9%増加することが示され(95% CI=1.02~1.17),
加齢とともに糖尿病の新規発症が増える傾向が示されている1)(エビデンスレベル1+)

‌1)‌Sattar ‌N,‌ Preiss ‌D,‌ Murray HM,‌ Welsh‌P,‌ Buckley‌ BM,‌ de‌Craen‌ AJ,‌ et‌al:‌ Statins‌ and‌ risk‌ of‌ incident‌ diabetes:‌ a‌ collaborative ‌meta-analysis‌ of‌ randomised‌ statin‌ trials.‌ Lancet‌ 2010;‌375:‌735-742.
www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(09)61965-6/fulltext



スタチンによる糖尿病発症の危険因子~日本のPMSデータ
http://www.carenet.com/news/general/carenet/45572


低用量スタチンでの糖尿病リスク~日本のコホート研究
http://www.carenet.com/news/general/carenet/45627




こんばんは。

コレステロール値を下げるために、よく使用されるスタチン製剤には、
糖尿病発症リスクがあります。

いままでも、それなりのエビデンスがありましたが、
今回さらに、中嶋一雄先生から、新しい情報をコメント頂きました。
ありがとうございます。

結局、スタチンが糖尿病発症リスクとなることは、確実のようです。
『コレステロール値は高い方が長生き』
という主張の日本脂質栄養学会と
『コレステロール値は低いほど良い』
という主張の日本動脈硬化学会のバトルは
記憶に新しいです。
バトルに決着がついたわけではなく、世界でもバトルが続いています。
私は、糖質セイゲニストのコレステロール値は下げる必要はないという立場です。

 さて、脳は脂質に富み、ヒト脳の乾燥重量の65%が脂質です。
脳脂質の半分がリン脂質、コレステロールが1/4、糖脂質が1/4です。

 コレステロールは、生体のあらゆる細胞膜の構築に必須の物質であり、
肝臓で合成し腸肝循環によって制御・調節されています。
コレステロールは、細胞膜や男性ホルモン、女性ホルモンなどの原料であり、
人体に必要不可欠な大切な物質です。

 ヒトだけではなく、約2億2500万年前に哺乳類が誕生して以来、
生命現象の根幹をなす細胞膜などの原料として一貫して利用されてきたのです。
 そのため血清コレステロール値は、
摂取された食物のコレステロールが少ない場合は肝臓での合成が高まり、
一方、摂取コレステロールが多い場合は、肝臓での合成が徐々に減少して、
一定量を必ず確保するよう調整しています。

このように、人体にとって大切なコレステロールが、少々高値だからといって
害をなすとはとても思えません。

 あくまでも、『小粒子LDLコレステロール』と『酸化LDLコレステロール』だけが
悪玉であって、肝臓から末梢組織に細胞膜の原料であるコレステロールを運んでくれる
標準の大きさのLDLコレステロールは、当然どうみても善玉なのです。

糖質セイゲニストは、HDLコレステロールが多くて、中性脂肪値が低めなので、
『小粒子LDLコレステロール』と『酸化LDLコレステロール』はほとんどなくて
善玉の標準の大きさのLDLコレステロールばかりです。
従って、糖質セイゲニストのコレステロール値が高くても問題はなく
スタチン内服も必要ないのです。



一般社団法人 日本老年医学会
「高齢者脂質異常症診療ガイドライン 2017」11ページ

CQ3 スタチンは高齢者において,有害事象を増加させるか?
【要約】
●高齢者においてスタチン治療は糖尿病の新規発症を
有意に増加させるので注意を要する(推奨グレードB).
13RCTのメタ解析の結果、スタチンにより糖尿病の新規発症が9%増加とのことです。


スタチンによる糖尿病発症の危険因子~日本のPMSデータ
http://www.carenet.com/news/general/carenet/45572

ケアネット、2018/03/05の記事です。
以下、抜粋、要約です。
 慶應義塾大学薬学部の橋口 正行氏らが、
日本の市販後調査(PMS)データベースを使用したコホート内ケースコントロール研究で検討した結果、
スタチン使用により、糖尿病や高血糖症の発症が増加する可能性が示唆されたそうです。


低用量スタチンでの糖尿病リスク~日本のコホート研究
http://www.carenet.com/news/general/carenet/45627

こちらもケアネット、2018/03/08の記事です。
以下、抜粋、要約です。
 秋田大学医学部附属病院薬剤部の加藤 正太郎氏らが、低用量スタチン服用患者を、
高力価スタチン群と低力価スタチン群に分けて糖尿病新規発症リスクを評価しました。
 その結果、高力価スタチン群では低力価スタチン群と比べ有意に発症リスクが高かったとのことです。



江部康二
糖質制限食に肯定的なエビデンス。長期の研究。
こんにちは。

今日は糖質制限食に肯定的な、長期のエビデンスを紹介したいと思います。

長期にわたる食事療法のRCTは、極めて少数です。
長期の食事療法のエビデンスはもっぱら「コホート研究」よるものが多いです。

以下、検討してみると、RCTもコホートも長期の研究において、
糖質制限食が有利というエビデンスがあると言えます。


RCTでは、下記のディアベテス・ケアの8年間の研究論文が
私が探した限りでは、最長と思いますが、低糖質地中海食群は、低脂肪群に比し、
HbA1cレベルが大きく低下し、糖尿病の寛解率が高く、
糖尿病治療薬の導入を遅らせました。

コホート研究1)
ニューイングランドジャーナル2006年掲載の有名な論文です。
82802人 、20年間のコホート研究です。
「低炭水化物食に冠動脈疾患のリスクなし」
「炭水化物摂取量が多いと冠動脈疾患リスク増加」という結論です。
糖質制限食のほうが、高炭水化物食より安全というエビデンスです。

コホート研究2)
21論文、約35万人(5~23年追跡)をメタアナリシスして、
飽和脂肪酸摂取量と脳心血管イベント発生は、関係がないことを明白にしました。
糖質制限食では飽和脂肪酸摂取量が増えますが、心配ないというエビデンスです。

コホート研究3)
日本の研究で、9200人を20年間観察したコホートです。
「炭水化物摂取比率が少ないほど、心血管死と総死亡リスクが少ない」
という糖質制限に有利な結論です。

コホート研究4)
上海コホート研究で、
「糖質摂取量が多いほど心血管疾患の発症リスクが高い」
という結論で、やはり糖質制限食に有利なエビデンスです。

コホート研究5)
2017年8月、ランセットの掲載された論文です。
5大陸18ヵ国の13万5千例以上を約7年半追跡
「炭水化物の摂取比率が高いほど総死亡率上昇」
という結論で、糖質制限食に有利なエビデンスです。


RCT

1)低糖質地中海食(LCMD)。8年間RCT研究論文。
糖質50%未満のLCMD群(108人)と低脂肪群(107人)の比較。女性は1500kcal/日。男性は1800kcal/日。
新たに診断された2型糖尿病患者では、LCMDは低脂肪食と比較して、HbA1cレベルの大きな減少、糖尿病の寛解率が高く、糖尿病治療薬の導入を遅らせた。

Diabetes Care. 2014 Jul;37(7):1824-30.
 The effects of a Mediterranean diet on the need for diabetes drugs and remission of newly diagnosed type 2 diabetes: follow-up of a randomized trial.


コホート研究

1)低炭水化物・高脂肪・高タンパク食に冠動脈疾患のリスクなし。 
ニューイングランドジャーナルのコホート研究           
82802人 20年間 2006年掲載 ハーバード大学
炭水化物摂取比率36.8±6.1%グループと58.8±7.0%のグループの比較。
10分位に分けて比較。
一方総炭水化物摂取量は冠動脈疾患リスクの中等度増加に関連していた。
高GLは冠動脈疾患リスク増加と強く関連していた。

Halton TL, et al. Low-carbohydrate-diet score and the risk of coronary heart disease in women. New England Journal of Medicine 2006;355:1991-2002. 

2)飽和脂肪酸摂取量と脳心血管イベント発生は、関係がない
21論文、約35万人をメタアナリシスして、
5~23年追跡して1.1万人の脳心血管イベントが発生。
飽和脂肪摂取量と脳心血管イベントハザード比を検証してみると、
飽和脂肪酸摂取量と脳心血管イベント発生は、関係がないことが判明。
Siri-Tarino, P.W., et al., Meta-analysis of prospective cohort studies evaluating the association of saturated fat with cardiovascular disease.  Am J Clin Nutr, 2010. 91(3): p. 535-46.

3)糖質制限食の長期安全性にエビデンス
前向きコホート試験NIPPON DATA80 9200人 29年間  中村保幸ら。
第10分位(糖質摂取比率51.5%)のグループは、第1分位(糖質摂取比率72.7%)のグループに比べて女性においては心血管死のリスクが、59%、総死亡リスクが79%、男女合わせると、それぞれ、74%、84%しかないという結論で、
糖質制限群がリスク低下に有利。
Br J Nutr 2014; 112: 916-924

4)上海コホート研究
 「糖質摂取量により4群に分けて、
糖質摂取量が多いほど心血管疾患の発症リスクが高い」
女性:糖質264g/日未満、264~282g未満、282~299g未満、299g以上
男性:糖質296g/日未満、296~319g未満、319~339g未満、339g以上
11万7,366人を対象に、調べた研究。
女性が6万4,854人で、平均追跡期間が9.8年。
男性が5万2,512人で、平均追跡期間が5.4年。
Am J Epidemiol. 2013 Nov 15;178(10):1542-9.
Dietary carbohydrates, refined grains, glycemic load, and risk of coronary heart disease in Chinese adults.

5)炭水化物の摂取比率が高いほど総死亡率上昇  ランセット
5大陸18ヵ国の13万5千例以上を約7年半追跡
大規模疫学前向きコホート研究
炭水化物摂取比率 総死亡率
1群 46.4% 4.1%
2群 54.6% 4.2%
3群 60.8% 4.5%
4群 67.7% 4.9%
5群 77.2% 7.2%
ランセット・オンライン 2017/8/29号
https://doi.org/10.1016/S0140-6736(17)32252-3



エビデンスレベル 「糖尿病診療ガイドライン2016」

レベル1 + 質の高いランダム化比較試験(RCT)および
     それらのメタアナリシス(MA)/システマティック・ レビュー(SR)
レベル1  それ以外のRCTおよびそれらのMA/SR
レベル2   前向きコホート研究およびそれらのMA/SR
         (事前に定めた)RCTサブ解析
レベル3  非ランダム化比較試験 前後比較試験
         後ろ向きコホート研究
         ケースコントロール研究およびそれらのMA/SR
         RCT後付けサブ解析
レベル4  横断研究 
      症例集積

*質の高いRCTとは①多数例②二重盲検、独立判定③高追跡率④ランダム割り付け法が明確などをさす。




江部康二
糖質制限食に肯定的なエビデンス。レベル1+、レベル1。
こんにちは。

相変わらず、根拠のない(エビデンスのない)糖質制限食批判が、インターネット上で散見されます。

今回は、糖質制限食においてエビデンスとなる信頼度の高い論文を
取り上げてみました。
まずは、「エビデンスレベル1+」と「エビデンスレベル1」
の論文で、糖質制限食の有効性を示すものを列挙してみました。

集めてみると、こんなにたくさんあるのですね。

糖質制限食批判には、「エビデンスレベル1+」と「エビデンスレベル1」の論文は皆無です。
今回の一連の週刊新潮の糖質制限批判記事は、エビデンスレベル全て皆無であり、
無根拠な憶測に過ぎません。


RCT(ランダム化比較試験)レベル1+

①Obesity Reviews(国際肥満研究連合の公式ジャーナル)2009年
体重減少、中性脂肪減少、HDL-C増加は低炭水化物食が低脂質・低カロリー食に比し有効。13の電子データベースの2000年1月~2007年3月の低炭水化物食と低脂質食比較RCTをメタ解析。
Systematic review of randomized controlled trials of low-carbohydrate vs. low-fat/low-calorie diets in the management of obesity and its comorbidities M. Hession,et all
 Obesity Reviews(国際肥満研究連合の公式ジャーナル)
 Volume 10, Issue 1, pages 36–50, January 2009

②Obesity Reviews(国際肥満研究連合の公式ジャーナル)2012年
23レポートのメタ解析によって
研究期間にかかわらず糖質制限食が体重,脂質,血糖,血圧を改善させる。
Obes Rev 2012; 13: 1048-1066Systematic review and meta-analysis of clinical trialsof the effects of low carbohydrate diets oncardiovascular risk factorsobr_1021

③システマティック・レビュー/53RCTのメタアナリシス。ランセット。
1)低脂肪食よりも糖質制限食の方が減量効果が高い。
2)低脂肪食は他の高脂肪食との比較で減量効果に有意差なし。
3)低脂肪食は普通食との比較でのみ、体重減少効果があった。
4)低脂肪食は、長期的な減量効果についての科学的裏付けがない。
Effect of Low-Fat Diet Interventions Versus Other Diet Interventions on Long-Term Weight Change in Adults:
  A Systematic Review and Meta-Analysis Lancet Diabetes Endocrinol 2015 Dec 01;3(12)968-979,
 DK Tobias, M Chen, JE Manson, DS Ludwig, W Willett, FB Hu



RCT(ランダム化比較試験)レベル1

①低糖質食 vs. 低脂質食。低糖質食の圧勝
低糖質食 vs. 低脂質食、減量や脂質データなどCVD(心血管疾患)リスク低減で、
低糖質食の圧勝。148人の肥満者を、1年間研究。
低糖質食は40g/日未満。
Effects of low-carbohydrate and low-fat diets: a randomized trial.
Bazzano LA et all
Ann Intern Med. 2014 Sep 2;161(5):309-18

②DIRECT低炭水化物食で一番体重減少・ HDL-C増加 
脂肪制限食(カロリー制限)、                           
地中海食(カロリー制限)、                            
低炭水化物食(カロリー無制限)の3群
低炭水化物群のみカロリー無制限のハンディがあったが、結局3群全て同じだけのカロリーが減少。満足度と満腹度。
当初糖質20g/日以下。3ヶ月後から120g/日以下を目指すも、結局女性150g/日、男性180g/日で40%の糖質。
糖質約50%の低脂肪食群、地中海食群(高糖質群)
DIRECT(Dietary Intervention Randomized Controlled Trial)         
322人を3群に分けて、2年間の研究。
Iris Shai,et all:Weight Loss with a Low-Carbohydrate,Mediterranean,or Low-Fat Diet. NENGLJ MED JULY17,2008、VOL359.NO.3  229-241

③DIRECTのフォローアップ研究。合計6年間。
地中海食、低炭水化物食の2群は、6年後も 体重減少に有意差あり。
Four-Year Follow-up after Two-Year Dietary Interventions
 N Engl J Med 2012; 367:1373-1374October 4, 2012

④低糖質地中海食(LCMD)。HbA1cレベルの大きな減少。
低糖質地中海食(LCMD)。8年間RCT研究論文。
糖質50%未満のLCMD群(108人)と低脂肪群(107人)の比較。女性は1500kcal/日。男性は1800kcal/日。
新たに診断された2型糖尿病患者では、LCMDは低脂肪食と比較して、HbA1cレベルの大きな減少、糖尿病の寛解率が高く、糖尿病治療薬の導入を遅らせた。
Diabetes Care. 2014 Jul;37(7):1824-30.
The effects of a Mediterranean diet on the need for diabetes drugs and remission of newly diagnosed type 2 diabetes: follow-up of a randomized trial.

⑤低炭水化物食が、肥満・HDL-C・TGを改善。   
       
JAMA  2007年3月  A TO Z 体重減少研究
アトキンス、ゾーン、ラーン、オーニッシュダイエットのそれぞれの1年間の体重減少効果などをみた。311人の女性を上記4グループに分けて追跡。これら4種のダイエット法は、いずれも米国でポピュラーなものである。
アトキンスは低炭水化物食(スーパー糖質制限食)、ラーンとオーニッシュは高炭水化物、低脂肪食、ゾーンは炭水化物40%
低炭水化物食が体重を最も減少させて、HDL-CとTGを改善。
Comparison of the Atkins, Zone, Ornish, and LEARN Diets for Change in Weight and Related Risk Factors Among Overweight Premenopausal Women
 The A TO Z Weight Loss Study: A Randomized Trial ,JAMA297:969-977



エビデンスレベル 「糖尿病診療ガイドライン2016」

レベル1 + 質の高いランダム化比較試験(RCT)および
     それらのメタアナリシス(MA)/システマティック・ レビュー(SR)
レベル1  それ以外のRCTおよびそれらのMA/SR
レベル2   前向きコホート研究およびそれらのMA/SR
         (事前に定めた)RCTサブ解析
レベル3  非ランダム化比較試験 前後比較試験
         後ろ向きコホート研究
         ケースコントロール研究およびそれらのMA/SR
         RCT後付けサブ解析
レベル4  横断研究 
      症例集積

*質の高いRCTとは①多数例②二重盲検、独立判定③高追跡率④ランダム割り付け法が明確などをさす。



江部康二
エンゼルス、大谷翔平選手の減量期は、スーパー糖質制限食。
18/04/11 山崎 勝巳
大リーガー大谷翔平選手も糖質制限実践者
江部先生お忙しい中レス
ありがとうございます
一般人の投稿を読んで頂いて
本当にありがとうございます

古い話しだと思いますが投稿
させて頂きます。以下

大リーガー大谷翔平の
食事シーズン中は糖代謝
シーズンオフは脂質代謝
これは2016 /03/30の記事で
現在は糖質制限実践中の
ダルビッシュのアドバイス
を受けてる様です

ダルビッシュのお弁当
https://i.imgur.com/FCQQBc1.jpg

以下記事より
代謝を上げて脂肪燃焼を
促進する「MCTオイル」
のカプセルを毎日、摂取する。
ココナツオイルなどに多く含
まれる「中鎖脂肪酸」の助け
を受け、仕上げに入る。

 外食時も「減量期」はストイック。
焼き肉は牛肉を中心にし、炭水化物は
排除する。
すしは好物だが、店では米の摂取
を避けて刺し身を中心にする。
「炭水化物を食べて(トレーニング
が)ムダになるくらいなら食べたく
ない」。
尿試験紙の反応で、その時の体質を
確認するのが日課。
食事内容の改善、微調整の指針にし
ている。

大谷談  
食べ物に関しての欲は持っていない
です。やりたいことを崩してでも
おいしい物を食べたいという感覚は
ない。
食事も含め、ムダな時間が嫌いです。

https://athleterecipe.com/column/1/articles/1614083




【驚愕】28年間砂糖を摂らない70歳
お婆ちゃんが美しすぎる!見た目年齢
20歳、生活スタイルは?
http://tocana.jp/i/2018/01/post_15760_entry.html

糖質制限96歳今の栄養学ピラミッド
間違ってると言ってます
https://i.imgur.com/Ozu85RW.jpg

半世紀以上も前にゆがめられてしまった栄養学本当は脂質は良く糖質が悪でした

60年後にばれた米「砂糖業界」の大陰謀(上)「低脂肪ダイエット」のウソ--大西睦子
https://m.huffingtonpost.jp/foresight/sugar_b_14275570.html

以上 】




こんばんは。
エンゼルスの大谷翔平選手、2018/4/12のカンザスシティーでの
ロイヤルズとの試合で、走者一掃の三塁打を放ちました。
いやはや、感嘆あるのみです。
素晴らしいです。 (⌒o⌒)v
応援のしがいがあります。

さて、その大谷選手の食事について、
山崎 勝巳 さんから、とても興味深い情報をコメント頂きました。
ありがとうございます。

2016年2月16日付日刊スポーツに掲載された
コラム アスリートめし
「増量期」と「減量期」、日本ハム大谷は食も二刀流/俺の食卓(1)
https://athleterecipe.com/column/1/articles/1614083

の情報です。

2016年ですから、まだ日本ハムに在籍のころに、
肉体強化のための食事療法を開始したとのことです。

とてもユニークでリーゾナブルなのは
「増量期」と「減量期」で、摂取する栄養素を明確に区分したことです。

「増量期:糖質の摂取」→「減量期:糖質制限」
とメリハリをつけ、肉体改造・筋力強化に成功しています。

我々、一般人の場合は、草テニスや草サッカーていどなら、
糖質制限食だけで、充分、しなやかな筋肉と持久力が得られ
パフォーマンスは向上します。

しかし、一流アスリートだと、より大きな筋力増強が必要なのだと思われます。
それで、増量期には、糖質も摂取しつつ充分量のタンパク質も摂取して、
一旦、体重と筋肉を増やします。
筋力の増強という意味では、<タンパク質+糖質>の方が有利です。

増量期には、一緒に脂肪もつきますから、
減量期には、ストイックに糖質制限をして、筋力は残しつつ
脂肪をしっかり燃やして、体脂肪率を下げ、動きやすい肉体に持って行きます。

このとき、 「MCTオイル」のカプセルを毎日、摂取するとは
またまた、素晴らしいです。
MCTオイルは成分は中鎖脂肪酸であり、
ケトン体を産生させる強力なツールです。
ケトン体が増えるということは、脂肪が燃えている証拠ですから、
体脂肪率はどんどん減って、理想の肉体を手に入れることができますね。

尿試験紙で、ケトン体陽性か否かをチェックしているとは、
食事療法への勉強量も半端ないです。

最終的に、糖質摂取量は、1日50グラム以下へ制御するので
まさに、減量期は<スーパー糖質制限食>です。

このように文武両道に秀でた
大谷翔平選手の活躍、これからも、とても楽しみです。


江部康二
東洋経済オンラインに、週刊新潮の糖質制限批判記事への反論を掲載。
こんばんは。

東洋経済オンラインに、
私の、週刊新潮の糖質制限批判記事への反論が
2018年4月12日、掲載されました。

ブログ読者の皆さんも、是非ご一読頂けば幸いです。


江部康二


☆☆☆
以下東洋経済オンラインから、抜粋。

https://toyokeizai.net/articles/-/215987
エビデンスなき「糖質制限」論争は意味がない
「科学的」かつ「医学的」な正しさが求められる

江部 康二 : 高雄病院理事長2018年04月12日
糖質制限などの「論争」を見るときには「エビデンス」の有無に注意すべきだという


『週刊新潮』4月5日号で「糖質制限で『老化する』『寿命が縮まる』」という特集が組まれた。
これに対し、
『江部康二の糖質制限革命』の著者であり糖質制限食の第一人者である江部康二氏が、
東洋経済オンラインで反論した(糖質制限「老化説」が抱える根本的な大問題)。

同誌は、4月12日号「『糖質制限』の『がん』『認知症』リスク」で、再反論している。

では、どちらの主張が正しいのだろうか。
医学の専門家ではない私たち一般人には、ちょっとわからないのが正直なところ。
でも、「医学的な主張が正しいかどうかは、エビデンスの有無で決まるのです」と江部氏は語る。
どうやら、素人目には同じように正しそうに見えても、
まったく根拠のない話が、世の中に出回っている主張には混じっているようなのだ。
では、エビデンスとは何か。
非科学的なおかしな話に惑わされて健康被害を受ける人が出ないようにと、
江部氏が再び語る。



医学的に正しいとはどういうことか
まず、間違ってはいけないのは、医学は科学だということです。
科学的な根拠のない主張や治療法は当然、「正しくない」わけですね。

でも、科学的ならば何でも医学的に正しいかと言うと、そうではありません。
たとえば、『週刊新潮』さんが記事の根拠にしている「マウスに糖質制限食を与えると老化した」という結果は、
マウスという動物に関する科学としては「正しい」かもしれませんし、
価値も認められる可能性がありますが、ヒトにおいては決してエビデンスにはならないわけです。

医学においてヒトのエビデンスとして認められるのはヒトの研究だけということが、基本ルールなのです。

ここに誤解のタネがあります。

「医学研究としてマウスを使った動物実験が普通に行われているじゃないか。
あれを正しくないと言うのか」

そう反論する人がいるからです。
しかし、動物実験は、医学的にはあくまでも参考としての意味で行われていて、
その結論をヒトについてそのまま当てはめることはしません。

では、なぜ、人間の病気や健康についての結論を得られないのに、
動物実験をするのでしょうか。



→ 以下、続きます。

2、マウス論文が医学誌に載る理由
  https://toyokeizai.net/articles/-/215987?page=2
  動物実験や医師の体験談はエビデンスではない

3、そのほかの糖質制限批判もエビデンスがない
  https://toyokeizai.net/articles/-/215987?page=3
  危険説にエビデンスなし、有効説にエビデンスあり
  
4、糖質制限肯定派には数々のエビデンスがある
  https://toyokeizai.net/articles/-/215987?page=4
  糖質制限の有効性を示すエビデンス
  
5、怪しい「糖質制限批判」と戦ってはや10年
  https://toyokeizai.net/articles/-/215987?page=5
  10年以上ブログで関連情報を公開
auスマートパスで、初の糖質制限アプリのご紹介です。
こんにちは。

auスマートパスで、初の糖質制限アプリのご紹介です。
私が監修したアプリです。
是非、お試し頂けば幸いです。

プレスリリース 
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000064.000001288.html   

スマホ (auスマートパスユーザー用 )  
http://ausp.dr-ebe-toushitsuseigen.jp     

“糖質制限の第一人者”江部康二医師の完全監修サービス
「ドクター江部の糖質制限」提供開始!~生活習慣病予防・ダイエットを成功に導く、必読の最新情報を毎日更新~


以下は『ドクター江部コラム』の原稿です。

☆☆☆
auスマートパスユーザーの皆さん、はじめまして。
auスマートパスで、初の糖質制限アプリのご紹介です。
この 糖質制限アプリ 、日本全国の糖質制限食実践者の皆さんに、
少しでもお役に立てば嬉しいです。

糖質制限食という言葉はすっかり日本社会に定着してきましたが、
日本では、1999年から京都の高雄病院で糖尿病治療食として開始したのが最初です。

「血糖値に直接影響を与えるのは糖質だけで、タンパク質・脂質は与えない」
という生理学的事実を臨床に応用した食事療法です。

2018年4月現在まで、高雄病院では糖尿病患者さんを中心に約1300人以上
に糖質制限食による入院治療を行い、画期的な成果をあげてきました。

入院して「従来の糖尿病食(高糖質食)」と「糖質制限食」を食べて頂き、
血糖の日内変動変化、或いはCGMを比較することで、
患者さんに、「糖質だけが血糖を上げる」ということを、実際に体験して貰うと、
糖質制限食に対するモチベーションが上がります。

これらの経験を踏まえ2005年には私が本邦初の一般向けの本
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」を出版し、
日本社会に糖質制限食が認識され始めるきっかけとなりました。

最近では、ダイエットの主流としても確固たる地位を築いています。
糖質制限食の社会への浸透による市場規模は拡大の一途を辿っています。
調査会社の富士経済の調べでは、
2016年の同市場の規模は前年比7.7%増の3431億円の見込みとのことでした。

コンビニやファミレスにも、普通に糖質制限OKな食材やメニューがある、
糖質制限食実践者にとって、とても幸せな時代となりました。



江部康二
ろかぼしぞ~か「第4回 糖質制限医療講座in静岡」のご案内
こんにちは。

静岡の糖質制限グループ「ろかぼしぞ~か」主催の講演会が
5月13日(日)に開催されます。
講師は、田頭修悟先生と私の二人です。

私は、鹿児島講演会と講演内容は基本的に同じとなります。
田頭先生は、少しバージョンアップされるそうです。

また、前日の12日(土)には交流イベントも開催されます。
東海地方にお住まいの方をはじめ、関東方面の方も
奮ってご参加頂けば幸いです。

私は、12日(土)の交流会は、京都で所用があって、参加できませんが、
田頭修悟先生は参加されます。


江部康二



講演会: 「第4回 糖質制限医療講座in静岡」

<日時> 2018年5月13日(日) 13:30 - 16:50
<会場> レイアップ御幸町ビル CSA貸会議室 5-C
    JR静岡駅北口より徒3分

講師には 糖質制限医療の生みの親であり、高雄病院理事長・日本
糖質制限医療推進協会理事長の江部康二先生、前回の講演会のアン
ケートで一番人気のたがしゅうブログでおなじみの神経内科医、た
がしゅう先生こと田頭秀悟先生をおむかえして、糖質制限の基本か
ら食のあり方、医療のあり方についてご講演いただきます。

「糖質制限から学ぶ自然重視型医療」
田頭秀悟先生

「糖尿病・生活習慣病を予防&改善する食事法~糖質制限食は、
人類本来の食事、人類の健康食」

江部康二先生

<受講料> 3,000円 (中学生以下無料)

◆交流イベント:「第2回 糖質セイゲニストのための持込み大パーリィ」

日時 2018年5月12日(土) 18:30 - 21:30
会場 フレックスミュンヘン
    静岡市葵区伝馬町8-6
    静岡駅北口より徒歩6分

「豚皮を揚げて食べる会」と同様に、参加者がそれぞれ糖質オフの
料理や食材を持ち込み、楽しく、美味しく、糖質オフライフを語り
合い、高め合いましょう。

まだ糖質制限をやったことのない方も、やってみてうまくいかなか
った方も大歓迎!

なかなか痩せられない方、どこか体に不調のある方、生活習慣病で
悩んでおられる方もぜひおいでください!改善の糸口がきっと見つ
かります。

鹿児島からおいでになるたがしゅう先生も参加されます!

<会費> 3,500円 (中学生以下無料)

<申込方法(講演会、交流イベント共通)>
toushitsuseigeniryou@gmail.comへ、参加イベント名・氏名・参加
人数を明記して、お申し込みください。折り返し、詳細のご連絡を
いたします。

<主催>ろかぼしぞ~か
https://business.facebook.com/events/168703230597154/
鹿児島講演会のご報告
こんばんは。

はるばる行ってきました、鹿児島へ。
4/7(土)は鹿児島も結構寒くて、コートを着ていって良かったです。

伊丹空港発JALのキャビンアテンダントさんが、『鹿児島のほうが
大阪よりも5度低いので、風邪など召しませぬようご注意ください』との放送でした。
鹿児島のほうが大阪より気温が低いこともあるのですね。
出発が50分くらい遅れたので、鹿児島空港からタクシーで直接「吾愛人」に
向かいました。ホテルチェックインの暇はなくてそのままお店に駆け込みました。

前夜祭は、天文館吾愛人(わかな)で、午後7時から開催で、20数名の参加でした。
郷土料理ご前を頂きつつ、寒かったので焼酎のお湯割りで開始しました。

その後は、焼酎の水割りをチビチビのんで、
たがしゅう先生待望のカラオケ大会に備えて
酔っ払わないように注意してました。

吾愛人とかいて「わかな」と読むとは知りませんでした。
西郷さんが奥さんが3人くらいいたというので、
てっきり、薩摩では、愛人って普通なのかなと思ったら全然誤解でしたね。(=_=;) 

カラオケ大会ですが、たがしゅう先生、サザンの桑田さんみたいな
歌い方で、歌も勿論サザンで、なかなかどうして、お上手でしたよ。 (⌒o⌒)v

ここではハイボールをチビチビ吞んで、シンデレラタイムで
午後11:58分くらいに無事ホテルに辿り着きました。

おかげで翌朝のバイキングは、幸いに二日酔いはなかったのですが、
おばんざいの和食系が砂糖たっぷりで、全てNGでした。( ̄_ ̄|||)
OK食品は、スクランブルエッグ、温泉卵、ウィンナー、納豆、冷や奴、味噌汁、
サラダ、ブラックコーヒー・・・

仕方ないので
「スクランブルエッグ、温泉卵、ウィンナー、納豆、冷や奴、味噌汁、
サラダ、ブラックコーヒー」 ×  2
として、お腹を満たしました。 (*- -)(*_ _)

鹿児島、気をつけないと、味付けが総じて甘いので
糖質セイゲニストとしては、要注意県でした。

講演会は、地元鹿児島から、約60名、県外から約30名で、大盛況でした。
たがしゅう先生の講演は、【人生を変える糖質制限】と題して、
まず最初に
130kg時代の写真と現在の90kgの写真をしっかりスライドで供覧しながら開始です。
講演会みたいなのは初めてということでしたが
ご自分の体験談ですから、話しやすそうで堂々たるものでした。

体重減少だけでなく、うつ気分が改善し、食後の眠気がなくなり、
睡眠が良質となり、睡眠j無呼吸症候群から脱却し、
皮膚や歯の表面がつるつるになり、脂漏性皮膚炎が治り、
頭が冴えてきたということでした。

まさに糖質制限食の効果が集約されてますね。

ついで、糖質制限による様々な疾患(頭痛、浮腫み、うつ、アレルギー疾患、自己免疫疾患、認知症、神経変性疾患・・・)への幅広い改善・予防効果を解説されました。

そして、主体的治療と受動的治療というとても大切な概念を説明されました。
現代医療は、ほぼ「受動的医療」であり、受け身であり、
医師から処方された薬を内服し、「先生にお任せします」といったパターンです。

これに対して糖質制限は「主体的治療」となる可能性があるということです。
しかしながら「医師がしなさいというから仕方なく糖質制限している」といったスタンスでは、まだまだ受動的(他者依存)なのです。
自分自身が自分の頭で考えて良いと判断して糖質制限食を選択して実践するならば、
はじめて「主体的治療(自己責任)と」なるのです。

【医師主体の医療から患者主体の医療へ・・・糖質制限がその橋渡しとなる】

全く同感です。
たがしゅう先生の提案に大賛成です。

最後に、自然物と人工物

糖質制限は
魚貝類、肉類、卵類、野草、海藻、茸・・・など、
自然界にある食物が基本です。

一方、現在の普通の食事である糖質たっぷり食は、加工品がほとんどです。
パン、菓子パン、クッキー、お菓子、清涼飲料水、練り製品、缶詰、レトルト食品
インスタント食品、冷凍食品・・・

こちらもたがしゅう先生のご提案ですが、
糖質制限は食生活において「自然」を取り戻すきっかけになるということです。
勿論私も同感です。

たがしゅう先生、good jobです。(^-^)v(^-^)v 
ご苦労様でした。お疲れ様でした。 m(_ _)mV


江部康二


追記
講演会と質疑応答が一旦終了のあと
さらに質問や写真撮影が相次いで、
帰りもリムジンバスの時刻に間に合わず、タクシーとなりました。

第一部で、田頭先生にご講演頂いたあと
第二部では、
「糖尿病・生活習慣病を予防&改善する食事法?糖質制限食は、人類本来の食事、人類の健康食」
と題して、私が講演しました。

1999年から高雄病院で糖質制限食開始。
2001年から私も糖質制限食治療開始。
2002年には私自身が糖尿病であると発覚し、糖質制限食開始。
2018年まで私自身がスーパー糖質制限食を16年間実践中です。
これらの経験も踏まえて
糖質制限食の基礎や最新の話題、実際の症例など
盛りだくさんにわかりやすくお話ししました。
糖質制限食実践で、「糖化~老化」が予防できるというお話もしました。

参加者の皆さんにはアンケートを摂らせて頂きました。
87.5%の高い回収率で、ご協力、ありがとうございました。
7割以上の方がすでに糖質制限食を実践しておられ、
3年以上のかたも22名もおられ、嬉しい限りでした。
7割以上の人が、わかりやすくて参考になったとのことで
お役に立って良かったです。
講演会に参加して良かったというご回答は、実に95%で、
講師冥利に尽きます。
症例報告は、田頭先生も私もスライドに少し入れたのですが、
さらに増やして欲しいという声もあったので、今後の講演の参考にさせて頂きます。

講演会参加者の皆さん、ありがとうございました。
本ブログのコメント・質問・記事に関するお願い・お知らせなど。2018年4月。
【本ブログのコメント・質問・記事に関するお願い】

ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。

糖質制限食に関する質問についてですが、実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、
医師としての責任・債務がありますので、個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。

一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、
ボランティアで回答させていただいています。

診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。

私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。

また、ブログ記事や本に関しても同様に、糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。

従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、
自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m

そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、
ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。

またネットで簡単に検索可能なことは、ご自分でお調べください。

質問が増えてきましたので、
糖質制限食と関わりがないと判断した質問にはお答えできない場合もありますので、ご了承ください。m(_ _)m

普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、
何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)

掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文記事にて、
できるだけ順番にお答えしたいと思います。

質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。

一方、質問がかなり増えてきていますので、なかなか即、お答えすることが困難となってきています。

糖質制限食に関わりのある全ての質問に、本文かコメントでお答えするようできるだけ努力はしていますが、
できないときはご容赦願います。m(_ _)m

それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、
一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。


【糖質制限食を実践される時のご注意】

糖質制限食実践によりリアルタイムに血糖値が改善します。

このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、
減薬しないと低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。


一方、薬を使用してない糖尿人やメタボ人は、低血糖の心配はほとんどないので、
自力で糖質制限食を実践して糖尿病やメタボ改善を目指していただけば幸いです。

内服薬やインスリン注射なしの糖尿人が糖質制限食を実践すると、食後高血糖は改善しますが、低血糖にはなりません。

血糖値が正常範囲である程度下がると、肝臓でアミノ酸・乳酸・グリセロール(脂肪の分解物)などから、
ブドウ糖を作るからです。

これを糖新生といいます。

診断基準を満たす膵炎がある場合、肝硬変の場合、そして長鎖脂肪酸代謝異常症は、
糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。

糖質制限食は相対的に高脂肪食になるので、診断基準を満たしている膵炎の患者さんには適応とならないのです。

進行した肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。

長鎖脂肪酸代謝異常症では、肉や魚などに含まれる長鎖脂肪酸が上手く利用できないので、適応となりません。

腎機能に関して、日本腎臓病学会編「CKD診療ガイド2013」において、eGFR60ml/分以上あれば顕性たんぱく尿の段階でも、
たんぱく質は過剰な摂取をしないという表現となっていて、制限という記載はなしです。

従いまして、糖尿病腎症第3期でも、eGFR60ml/分以上なら、糖質制限食OKです。

また、米国糖尿病学会(ADA)は

Position Statement on Nutrition Therapy(栄養療法に関する声明)
Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版

において、糖尿病腎症患者に対する蛋白質制限の意義を明確に否定しました。

根拠はランク(A)ですので、信頼度の高いRCT研究論文に基づく見解です。

今後は、糖尿病腎症第3期以降で、eGFRが60ml/分未満の場合も、患者さんとよく相談して、糖質制限食を実践するか否か、
個別に対応することとなります。


なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、
まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。

また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。

糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。


【糖質制限食とは】

米国糖尿病協会(ADA)の患者教育用のテキストブックLife With Diabetes(2004年版)には、以下の記載があります。

「摂取後直接血糖に影響を与えるのは糖質のみである。
糖質は速やかに吸収され、直接100%血糖に変わり、ほぼ120分以内に吸収は終了する。
蛋白質・脂質は、摂取後、直接血糖に影響を及ぼすことはない。
『炭水化物・タンパク質・脂肪はカロリーを含有している。
炭水化物だけが、血糖値に直接影響を及ぼす。』」


これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。 

1997年版のLife With Diabetes(ADA刊行)では、

「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」

という記載がありましたが、2004年版以降は変更されています。

このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが直接、血糖値を上昇させます。

従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。

脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。

タンパク質はごく少量のインスリンを追加分泌させます。

現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。

食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。

また一日における、食前・食後・空腹時など血糖値の変動幅(平均血糖変動幅)が大きいほど、
酸化ストレスが増強し動脈硬化のリスクとなることがわかってきました。

そして、食後高血糖と平均血糖変動幅増大を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。

1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。

炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には、55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。

一方、和牛サーロインステーキ(脂身つき)を200g(約1000キロカロリー)食べても、
糖質含有量は1gもないので、食後血糖は3mg未満の上昇しかないのです。 

なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。

糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースに、
できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。

簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。

抜く必要がある主食とは 、米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。

3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら、
薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。

一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、
カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。

従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、
一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。

糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。


なお糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。

日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド2014-2015」の

男性1400~2000kcal
女性1200~1800kcal

ほど厳しいカロリー制限は必要ありませんが、

「日本人の食事摂取基準」(2015年、厚生労働省)
に示す推定エネルギー必要量の範囲、
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf

推定エネルギー必要量(一日あたり)
              男性                  女性
15-17才        2500 2850 3150           2050 2300 2550kcal
18-29才        2300 2650  3050          1650  1950   2200
30-49才        2300 2650  3050            1750  2000  2300
50-69才        2100 2450  2800           1650  1900 2200 
70才        1850 2200  2500            1500  1750 2000

身体活動レベル    低い 普通 高い         低い  普通  高い

くらいが目安です。


そして2013年に糖尿病食事療法に関して画期的な変化がありました。

米国糖尿病学会が、
2013年10月発表の『栄養療法に関する声明』において、
全ての糖尿病患者に適した唯一無二の治療食は存在しないと明記したのです。

これはそのまま、1969年の食品交換表第2版以降一貫して、糖尿病治療食として、
唯一無二の「カロリー制限・高糖質食」を推奨し続けている日本糖尿病学会への痛烈な批判となっています。

さらに、米国糖尿病学会は『栄養療法に関する声明2013』において
地中海食、ベジタリアン食、DASH食、低脂質食などと共に
「糖質制限食」も正式に受容しました。
このことは糖質制限食を推進する私達にとって、大変大きな追い風となりました。

なお、門脇孝日本糖尿病学会理事長によれば
東大病院では、2015年4月から、糖質40%の糖質制限食を供給しているそうです。
また門脇孝東大糖尿病・代謝内科教授ご自身も、緩やかな糖質制限食を実践されているとのことです。
2016/7/1(金)
東洋経済オンライン 
http://toyokeizai.net/articles/-/125237



<江部康二著 参考図書>


理論
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ」2005年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008年
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009年 宮本輝先生との対談本
「やせる食べ方」2010年
「うちの母は糖尿人」2010年 監修:江部康二 著:伊藤きのと
(東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010年(ナツメ社)
腹いっぱい食べて楽々痩せる『満腹ダイエット』 (ソフトバンク新書)2011年
「主食をやめると健康になる」(ダイヤモンド社)2011年
「血糖コントロールの新常識! 糖質制限 完全ガイド」 (別冊宝島)2012年
「食品別糖質量ハンドブック」2012年(洋泉社)、
「糖質オフ!健康法」(PHP文庫)2012年
「主食を抜けば糖尿病はよくなる!糖質制限食のすすめ」(文春文庫)2012年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」(文春文庫)2012年
「女性のための糖質制限ダイエットハンドブック」2012年(洋泉社)
「糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド」2013年(東洋経済新報社)
「医療の巨大転換を加速する」糖質制限食と湿潤療法のインパクト
 2013年(東洋経済新報社) 夏井睦先生との対談本
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ 新版」2014年(東洋経済新報社)
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!2 実践編 新版」2014年(東洋経済新報社)
「炭水化物の食べ過ぎで早死にしてはいけません」2014年(東洋経済新報社)
一生太らない「やせる! 食べ方」2014年 (PHP文庫)
江部先生、「糖質制限は危ない」って本当ですか?2015年(洋泉社)
「なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか」2015年(ナツメ社)
「糖質制限の教科書」2015年(洋泉社)監修
「糖質オフ!健康法」2016年3月(PHP研究所 )
「人類最強の糖質制限論」2016年4月(SB新書)
「ハンディ版糖質制限の教科書」2016年4月(洋泉社)
「増補新版食品別糖質量ハンドブック」2016年6月(洋泉社)
「Dr.江部の健康食の新常識100 」(TJMOOK)2016年11月(宝島社)
マンガでわかる「糖質オフ! 」健康法2016年12月、(PHP研究所 )
外食でやせる! 「糖質オフ」で食べても飲んでも太らない体を手に入れる、2017年(毎日新聞出版)
「江部康二の糖質制限革命」2017年(東洋経済新報社)
など多数。

レシピ
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006年(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん2009年(アスペクト)
dancyuプレジデントムック 「満腹ダイエット 」 2009年(プレジデント社)
「血糖値を上げない!健康おつまみ109」2010年(東洋経済新報社)
「やせる食べ方レシピ集」 2010年(東洋経済新報社)
「糖質オフダイエット 」2011年(レタスクラブ、角川マーケティング)
「誰もがストレスなくやせられる!糖質制限ダイエット」2011年(講談社)
「主食を抜けば糖尿病はよくなる」レシピ集2011年(東洋経済新報社)
高雄病院の「糖質制限」給食2012年(講談社)
糖尿病がどんどんよくなる「糖質制限食」おすすめレシピ集2012年(ナツメ社)
糖質制限の「主食もどき」レシピ2013年(東洋経済新報社)
高雄病院Dr江部が食べている「糖質制限」ダイエット2013年(講談社)
糖質オフのダイエット弁当2013年(家の光協会)
高雄病院「糖質制限給食」朝 昼 夕 14日間完全プログラム
糖尿病・肥満改善が自宅でできる! 2013年(講談社)
2週間チャレンジ! 糖質制限の太らない生活 2014年(洋泉社mook)
電子レンジで糖質オフの作りおき 2016年10月(宝島社)
「やせぐせがつく糖質オフの作りおき 」2017年3月(宝島社)
「高雄病院の糖質制限作りおき 」2017年5月(洋泉社)
作りおきおかずで簡単! 朝・昼・晩 糖質オフのダイエット献立(家の光協会)2017年10月
週刊新潮、4月12日号の糖質制限批判への反論。
おはようございます。

週刊新潮、4月12日号の糖質制限批判の記事をみて、唖然としました。
衝撃の新証拠とか言いながら、実にエビデンスレベルはゼロなのです。

<糖質制限批判にエビデンスなし>

まず、相変わらず、
東北大学大学院・農学研究科、都筑毅准教授のグループ のマウスの実験研究です。
マウスの肝臓の代謝はヒトとは大きく異なりますし、
そもそも動物実験は、ヒトのエビデンスレベルとしてはゼロです。

例えば、厚生労働省の食事摂取基準に引用された文献は、
すべてヒトの研究論文であり、動物実験の論文は一切引用されていません。

都筑毅准教授 は、農学研究科なので、医学の基本的なルールをご存じないようです。
「愛し野内科クリニック」の岡本卓院長も、医師でありながら
この医学の基本ルールをご存じないとは、勉強不足としかいいようがありません。

表1は、「糖尿病診療ガイドライン」のエビデンスレベルを示していますが、
当然ながら、動物実験は皆無であり、全てヒトの研究です。

表1 エビデンスレベル 「糖尿病診療ガイドライン2016」

レベル1 + 質の高いランダム化比較試験(RCT)および
     それらのメタアナリシス(MA)/システマティック・ レビュー(SR)
レベル1  それ以外のRCTおよびそれらのMA/SR
レベル2   前向きコホート研究およびそれらのMA/SR
         (事前に定めた)RCTサブ解析
レベル3  非ランダム化比較試験 前後比較試験
         後ろ向きコホート研究
         ケースコントロール研究およびそれらのMA/SR
         RCT後付けサブ解析
レベル4  横断研究 
      症例集積

*質の高いRCTとは①多数例②二重盲検、独立判定③高追跡率④ランダム割り付け法が明確などをさす。


欧米での調査で「糖質制限を続けた方が短命」という話も
根拠となる論文は示されておらす、やはりエビデンスレベルはゼロです。

アトキンス博士が、死亡時に180cm,117kgあったという話も、
根拠は在米ジャーナリストの話であり、信頼性はありません。

Y,sサイエンスクリニック広尾の日比野佐和子統括院長の
「糖質制限食を続けた結果、・・・脳梗塞になりかけた。」という話も
一個人の体験談に過ぎず、やはりエビデンスレベルはゼロです。

これに対して
糖質制限食で、糖尿病が改善した方々は、高雄病院入院患者さんだけでも、
約1300名おられます。
一個人の体験とは信頼度が全く違います。

 さらに、従来の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)により、
毎年、新たに
糖尿病腎症からの人工透析が約16000人以上、
糖尿病網膜症からの失明が約3000人以上、
糖尿病足病変からの下肢切断が約3000人以上
です。
 糖質制限食なら、これらの糖尿病合併症は防げる可能性が極めて高いのです。

新潟大学名誉教授の岡田正彦氏のがんの話も、一医師の仮説であり
当然エビデンスレベルはゼロです。

「真島消化器クリニック」の真島康雄院長の話も
一医師の体験談に過ぎず、エビデンスレベルはやはりゼロです。



<糖質制限にエビデンスあり>

23レポート(RCT)のメタ解析によって
研究期間にかかわらず糖質制限食が体重,脂質,血糖,血圧を改善させるということが
確認されています(Obes Rev 2012; 13: 1048-1066)。
RCTメタ解析ですのでエビデンスレベルは高いです。


2015年12月、ランセットの論文で
「低脂肪食よりも糖質制限食の方が減量効果が高い。」
との結論でした(Lancet Diabetes Endocrinol 2015 Dec 01;3(12)968-979)。
システマティック・レビュー/53RCTのメタアナリシスなので、
エビデンスレベルは最も上位です。


PLoS One誌2015年2月19日号に掲載
『国立がん研究センターによる多目的コホート研究(JPHC研究)』
日本初の前向き研究で、「日本人女性において『低炭水化物、高たんぱく・高脂質食』が、
2型糖尿病リスク低下と関連」という結論です。
45~75歳の男性2万7,799人と女性3万6,875人を、¥5年間で集計です。
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0118377


NIPPON DATA80
前向きコホート試験、9200人、29年間 
第10分位(糖質摂取比率51.5%)のグループは、第1分位(糖質摂取比率72.7%)のグループに比べて女性においては心血管死のリスクが、59%、総死亡リスクが79%、
男女合わせると、それぞれ、74%、84%しかないという結論で、
糖質制限群がリスク低下に有利(Br J Nutr 2014; 112: 916-924)



Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版
米国糖尿病学会が、
2013年10月、2008年以来5年ぶりに声明を改訂し、糖質制限食を正式に容認。
『成人糖尿病患者の食事療法に関する声明』
全ての糖尿病患者に適した“one-size-fits-all(唯一無二の)”食事パターンは存在しないと明言。 → patient-centered approach を強調。
患者ごとに個別に様々な食事パターン〔地中海食,ベジタリアン食,糖質制限食,低脂質食,DASH食〕が受容可能。

このように、糖質制限食が、肥満、メタボ、糖尿病、血圧、脂質を改善させることには
多くのエビデンスがあります。

江部康二
『人気店のパティシエに学ぶ、低糖質スイーツ教室』 のご案内。
こんばんは。

2018年4月20日(金)、京都にて、日本糖質制限医療推進協会主催の
『人気店のパティシエに学ぶ、低糖質スイーツ教室』 を開催します。

メイン講師は、「パティスリー ロア・レギューム」 (埼玉県朝霞市)の
小寺幹成オーナーパティシエです。

小寺パティシエは、2016年11月に文化出版局から、
著書「おいしく作れる低糖質スイーツ」
http://books.bunka.ac.jp/np/isbn/9784579212866/
を出版され、ご自身がこれまでに開発された低糖質スイーツのレシピを
惜しみなく披露しておられます。 私は帯の推薦文を書きました(*^^)v

今回のテーマは、3月31日(土)の東京教室と同じで、
「しっとりパウンドケーキ & なめらかプリン」だそうです。

定員は24名様、先着順です。
現在、若干名の空きがあるそうですので、低糖質スイーツ作りに
興味のある方は、この機会に参加してみてくださいね^^v

江部康二


以下、事務局からのお知らせです。

*********

ブログ読者の皆様、いつも弊会の講演会やスイーツ・料理教室へ 多数ご参加いただきまして、ありがとうございます。

本日は、4/20(金)低糖質スイーツ教室(京都)の開催をご案内申し上げます。

今回のテーマは3/31(土)の東京教室と同じ「しっとりパウンドケーキ & なめらかプリン」です。

焼き菓子の中でも基本となるパウンドケーキを実習いただきます。

糖質の低い粉と油脂、卵を絶妙な配合で組み合わせて、しっとりとした食感の生地に仕上げます。

プレーンのバニラパウンドケーキから、様々な味のバリエーションが楽しめるアレンジ法もレクチャーいただきます。

そしてもう一品、プリンを小寺パティシエによるデモ・解説の上、ご試食いただきます。

低糖質スイーツの中で比較的作りやすいプリンではありますが、滑らかな舌触りの食感とまろやかな甘味・・・完成度の高いプリン作りをご紹介します。

関西圏の方をはじめ、皆様のご参加をお待ちしております。

◇スイーツ教室情報URL: http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity

●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●―○

    (一社)日本糖質制限医療推進協会主催

『人気店のパティシエに学ぶ、低糖質スイーツ教室(京都)』

  第5回 「「しっとりパウンドケーキ & なめらかプリン」

◆日時: 2018年4月20日(金) 13:00~16:00頃
     ※開場・受付は12:45~

◆会場: あじわい館(京の食文化ミュージアム)調理実習室

〒600-8813
京都市下京区中堂寺南町130番地 京都青果センタービル3階
http://www.kyo-ajiwaikan.com/access

♪講師:

・小寺幹成 「パティスリー ロア・レギューム」オーナーパティシエ

・佐々木栄子 管理栄養士/健康運動実践指導者

◆参加費: 賛助会員料金 3,400円/一般料金 4,000円

◆定員・対象: 24名様 ・一般(18歳以上)

◆当日の流れ: レシピ説明 → 実習 → 試食(復習・歓談) → 片付け後、解散

◆ご持参いただくもの: エプロン、三角巾、ふきん(タオル)2枚(台ふき用・食器ふき用)、筆記用具

■お支払い方法: クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。

■お申し込みの流れ:

1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込みください。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4. 当日、直接会場までお越しいただき、受付にてお名前をお伝えください。

■お申し込み方法:

※当教室は、一般の方にご自宅で作っていただくことを趣旨とした教室です。
製菓や料理のお仕事をしておられる方、食品会社で企画・開発をしておられる方など、
業界の方の場合は、その旨をお書き添えの上、お申し込みください。

★賛助会員の方: 事務局までメールにてお申し込みください。
  
★賛助会員入会をご希望の方:
1. 入会案内および会員規約をお読みください。
  http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up

2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
 「入会ならびに講演会出席のお問い合わせ」を選択いただき、  
 「通信」欄に「4/20京都スイーツ教室、参加希望」とご記入ください。
  http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact
  
★一般(会員以外の方)で、教室参加のみご希望の方:
 下のフォームからお申し込みください。
 http://www.toushitsuseigen.or.jp/lesson-a

■その他:

・予約制です。当日参加はできません。開場・受付は、レッスン開始時間の15分前からです。

・お申し込み後、キャンセルされる場合は、4月16日(月)までに ご連絡ください。
4月17日(火)以降のキャンセルは、参加費の半額をキャンセル料金としていただきますので、予めご了承ください。

・実習室で作ったもの以外の飲食はできません。ご自宅で作ったお料理やお菓子などの持ち込みはできませんのでご注意ください。

・皆さまで実習と試食を行っていただきますので、香水などのフレグランスはお控えください。

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週間新潮 2018年4月5日号の糖質制限批判記事への反論。
こんばんは。

週刊新潮 2018年4月5日号に糖質制限食批判の記事が掲載されました。
いずれもエビデンスゼロか、低エビデンスの、お粗末な記事です。

http://www.shinchosha.co.jp/shukanshincho/
週刊新潮 2018年4月5日号
◇衝撃の新証拠! 糖質制限で「老ける」「寿命が縮まる」 
▼マウス研究で特定された「危険物質」
▼血液が酸性になる「老化促進メカニズム」
▼「脳梗塞」一歩手前だった「女医」の告白
▼世界一健康な心臓を持つ「アマゾン部族」 総カロリー中の「炭水化物摂取比率」は72%!
▼糖質制限で「死亡率1.3倍」の驚愕データ
▼「米名門大」教授が定説を覆した! 低糖質こそ「がん」を生む】


以下反論します。

①糖質制限で「老ける」「寿命が縮まる」 マウス研究で特定された「危険物質」
 この研究は、東北大学大学院・農学研究科のグループ ですが、
彼らは、根本的な間違いを犯しています。
「そもそもマウスの食事実験の結果はヒトには当てはまらない。」
という基本的なことをご存じないようです。
 マウスの主食は、穀物であり、高糖質食ですす。
マウスの肝臓の代謝はヒトとは大きく異なっています。
そのマウスに高タンパク・高脂質の糖質制限食を食べさせたら
代謝が破綻するのは当たり前です。
 わかりやすく例えて言うと
「蔓や葉が主食のゴリラに、ステーキを食べさせる」ような実験です。
この研究、ヒトに関してのエビデンスはゼロです。
詳しくは、
2018年03月18日 (日)の私のブログ記事
『そもそもマウスの食事実験の結果はヒトには当てはまらない。』
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4508.html

をご参照頂けば幸いです。

以下の如く、動物実験の研究はヒトのエビデンスとなりません。
ヒトのエビデンスとなるのは全てヒトにおける研究です。

エビデンスレベル 「糖尿病診療ガイドライン2016」

レベル1 + 質の高いランダム化比較試験(RCT)およびそれらのメタアナリシス(MA)/システマティック・ レビュー(SR)
レベル1  それ以外のRCTおよびそれらのMA/SR
レベル2   前向きコホート研究およびそれらのMA/SR
         (事前に定めた)RCTサブ解析
レベル3  非ランダム化比較試験 前後比較試験
         後ろ向きコホート研究
         ケースコントロール研究およびそれらのMA/SR
         RCT後付けサブ解析
レベル4  横断研究 
         症例集積

*質の高いRCTとは①多数例②二重盲検、独立判定③高追跡率④ランダム割り付け法が明確などをさす。 



②血液が酸性になる「老化促進メカニズム」
 これは、愛知みずほ大学学長、佐藤祐造氏という一個人の仮説ですので、
エビデンスレベルはゼロです。糖質制限食により血中ケトン体は高値となりますが、
インスリン作用が保たれている限り、血糖値は正常であり、人体の緩衝作用により
一旦酸性になっても速やかに正常のpHに戻りますので何の問題もありません。
すなわち、血液は酸性にはなりません。
 また、SGLT2阻害薬の登場により、「ケトン体の臓器保護作用」が
注目されています。EMPA-REG outcome trial 2015、CANVAS Program試験 2017
といったRCTにおいて、心・腎・脳保護作用が示されました。
ケトン体の臓器保護作用に関して、信頼度の高いエビデンスと言えます。

③「脳梗塞」一歩手前だった「女医」の告白

 これも一個人の体験談ですので、エビデンスレベルはゼロです。
糖質制限食で、糖尿病が改善した方々は、高雄病院入院患者さんだけでも、
約1300名おられます。
一個人の体験とは信頼度が全く違います。
 さらに、従来の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)により、
毎年、新たに
糖尿病腎症からの人工透析が約16000人以上、
糖尿病網膜症からの失明が約3000人以上、
糖尿病足病変からの下肢切断が約3000人以上
です。

 糖質制限食なら、これらの糖尿病合併症は防げる可能性が極めて高いのです。

④世界一健康な心臓を持つ「アマゾン部族」総カロリー中の「炭水化物摂取比率」は72%!
 これに対しては、 「炭水化物の摂取比率が高いほど総死亡率が上昇する」という
信頼度の高いランセットの論文(エビデンス)があります。
 5大陸18ヵ国の13万5千例以上を約7年半追跡した
大規模疫学前向きコホート研究です。
炭水化物摂取比率で、1群は一番少なくて46.4%であり、全死亡率は4.1%です。
これに対して一番多い5群は77.2%で、全死亡率は7.2%で、1.76倍もあります。
炭水化物摂取比率が多いほど直線的に全死亡率が上昇しています。
Mahshid Dehghan et al. (2017) Associations of fats and carbohydrate intake with cardiovascular disease and mortality in 18 countries from five continents (PURE): a prospective cohort study. THE LANCET Volume 390, No. 10107, p2050-2062

⑤糖質制限で「死亡率1.3倍」の驚愕データ
 これは国立国際医療研究センター病院糖尿病内分泌代謝内科の能登洋医長(当時)が
執筆して、プロスワンに掲載された論文です。
 この論文に関しては、
2015年02月03日 (火)の本ブログ記事
『能登氏が2013年に発表した糖質制限食批判論文は信頼度が低い』
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3271.html
をご参照頂けば幸いです。
 能登論文そのものが、エビデンスレベル3と低レベルです。
さらに能登氏自身が
「ただし、今回の解析はさまざまな理由で炭水化物摂取量が低かった人達の観察研究の結果であり、管理された低炭水化物食による介入研究の結果ではないため、確固たる結論を出すことはできない」
と述べています。
 そのわりに複数のマスコミに対して断定的に
「糖質制限ダイエットで死亡率が高まる可能性がある」
と、エビデンスレベル1の如く述べているのも、アンフェアな行為です。

⑥「米名門大」教授が定説を覆した! 低糖質こそ「がん」を生む
 ジョンズ・ホプキンス大学のボーゲルシュタイン教授らが、
サイエンスに掲載された論文で、
「低血糖が、がんを発生させる」という結論を導き出したとのことです。

A)糖尿病患者が高糖質食を摂取して、SU剤やインスリンで血糖コントロールを目指したとき低血糖を生じる場合。
B)機能性低血糖の素因のある人が、高糖質食を摂取したときインスリンが過剰にかつ遷延して分泌されるので、
食後2.3時間~5.6時間で低血糖を起こす場合。


実際の臨床で低血糖を生じるのは、A)かB)のパターンですが、
いずれも糖質制限食で予防することができます。
高糖質食を摂取するから、低血糖を生じるわけであり、
糖質制限食なら、低血糖は生じないのです。


江部康二

スーパードクターズ!糖質制限ケトン体生活のススメ! 刊行。
こんばんは。

2018年3月28日、水曜日に
スーパードクターズ!糖質制限ケトン体生活のススメ!
の「ぴあムック本」がセブンイレブンのプライベートブランドとして、発売になりました。

私も、特別寄稿を書いています。
巻頭提言 糖質制限の進化 ―糖質制限からケトン体へ― 文・宗田哲男
特別寄稿 糖質制限食とは何か ―その役割と歴史― 文・江部康二

あとは
宗田医師、藤澤医師、新井医師、今西医師、溝口医師、
水野医師、門脇医師、小幡医師、長尾医師、三島塾長と
10分野の糖質制限のプロが、執筆しておられます。

ブログ読者の皆さん、是非、ご一読あれ。


江部康二
薬を飲んでいる場合の糖質制限について
【18/04/03 たま
薬を飲んでいる場合の糖質制限について
はじめまして。
よろしくお願いいたします。
糖尿病と診断され通院を始めて半年です。
現在はメトグルコとフォシーガを朝だけ各1錠処方されのんでいます。
半年でHbA1cが12から8までさがり、BMIが35から33までさがりましたが、
お医者さんからは摂取カロリーさげて、食事は腹七分目を意識して、
あと運動して痩せてとしか言われません。

ジムに入会し週3通い、朝ウォーキングも始めましたし、
食事量も気にする様にはなりましたが、正直このままの治療でいいのか不安です。

食生活の改善を模索していて、こちらのサイトにたどり着きました。
今本も数冊取り寄せ中で、届き次第糖質制限を始めたいと思っています。
私の様な肥満者の糖尿病投薬治療中の場合、
どの程度まで糖質制限をしてもいいでしょうか。

また始めるにあたっての注意点等も教えて頂けると助かります。
お忙しいところ大変恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。】


こんにちは。

たまさんから、薬を飲んでいる場合の糖質制限について
コメント・質問を頂きました。

メトグルコとフォシーガ内服で、
腹八分目で、HbA1cが12%から8%、
BMIが35から33なら
なかなかの改善であり、良かったです。

ただ、カロリー制限食と運動で、このまま糖尿病がどんどん良くなるかというと
かなり厳しいものがあります。
有名な久山町の研究において、
糖尿病発症を予防すべく14年間にわたり
<カロリー制限食+運動療法>を指導しましたが、
糖尿病は逆は激増したという事実があるからです。

従って、たまさん、糖質制限食にたどり着かれて正解です。
そして拙著のご購入、ありがとうございます。

①メトグルコ(メトホルミン)は欧米では第一選択剤です。
 肝臓での糖新生の抑制、消化管からの糖吸収の抑制、末梢組織でのインスリン抵抗性の 改善などの作用があります。

②フォシーガはSGLT2阻害薬で、
 尿中にブドウ糖を約60g/日排泄して血糖値を下げます。
 心臓・腎臓・脳などの臓器保護作用を有す可能性があります。

①②ともに、低血糖は、ほとんど起こさない薬なので、
安心して、スーパー糖質制限食を導入することができます。

運動もいいので継続しましょう。
有酸素運動はインスリン抵抗性を改善させます。
筋トレで筋肉量が増えれば、血糖取り込み装置大きくなるので、好ましいです。

しっかりスーパー糖質制限食を実践されて、
厚生労働省のいう『推定エネルギー必要量』は摂取してOKです。
つまり日本糖尿病学会のいう『カロリー制限食』ほど、
ひもじい思いをする必要はないということです。

それで、体重は標準まで、減少して
HbA1cも、6.2%未満となるでしょう。
念のため、早朝空腹時の血糖値とインスリン値も測定しておきましょう。


<その他の経口糖尿病薬>
③ 経口血糖降下剤(SU剤)
  疲れた膵臓をさらに鞭打つ矛盾した治療法。
  食後高血糖・平均血糖変動幅増大を予防せず、空腹時低血糖を生じやすい。
  特殊例を除いて使用しない。まれにグリメピリドが有効な例がある。

④ α-グルコシダーゼ阻害薬(グルコバイ、ベイスン、セイブル)
  比較的副作用は少ないが効果も軽度である。腹滿、ガス。
  「STOP-NIDDM」試験・・・2型糖尿病の発症を36%、
  心血管疾患の発症を49%抑制した。
  近年のCGMにより平均血糖変動幅改善効果が実証されて、再評価されつつある。

⑤ インスリン抵抗性改善薬(チアゾリジン誘導体・アクトス)
  肥満・浮腫・心不全・男性の膀胱癌など、理論的に副作用が心配である。

⑥ 速効型インスリン分泌促進剤(グルファスト、スターシス、シュアポスト→グリニド系剤)は
  効果が軽度である。

⑦ DPP-4阻害剤(ジャヌビア、ネシーナなど)。
効果は軽度。長期安全性はまだわからない。


SU剤が最も、低血糖を生じやすいので、近年使用量が激減しています。
グリニド系剤も、インスリンを分泌させるので、低血糖を起こす可能性は少しあります。
④⑤⑦は低血糖ほ生じにくいです。


江部康二
無根拠です!  →  認知症リスクを上げる過度な糖質制限
こんにちは。

2018年3月30日の
毎日新聞 医療プレミア 脳と心の再生カンファレンス

認知症リスクを上げる過度な糖質制限
という記事が載りました。
https://mainichi.jp/premier/health/articles/20180328/med/00m/010/015000c

くどうちあき脳神経外科クリニック院長のお話です。
私も
毎日新聞 医療プレミア 

人類史からひもとく糖質制限食
と題して、連載していますので、ご同輩にあたるのですが、
今回の記事はあまりにひどいので、反論せざるを得ません。


以下の青字は、
2018年3月30日の
毎日新聞 医療プレミア 脳と心の再生カンファレンス
https://mainichi.jp/premier/health/articles/20180328/med/00m/010/015000c
からの、抜粋と要約です。


【①認知症リスクを上げる過度な糖質制限
2018年3月30日
工藤千秋 / くどうちあき脳神経外科クリニック院長

前略・・・・・
  最近、ご飯やパンなどの炭水化物の摂取量を制限する「糖質制限食」をダイエット目的で実践する人が増えているようです。これもそうした現象の一つだと感じています。しかし、糖質(炭水化物)が分解されてできるブドウ糖は脳にとって唯一のエネルギー源です。むやみに減らせば当然、脳に悪影響があります。

 そこで今回は、糖質制限食の是非を脳神経外科の観点からお話ししたいと思います。


②糖質制限が必要な2型糖尿病
 一定の糖質制限が必要な人たちがいます。代表的な例が、血中のブドウ糖濃度(血糖値)が高くなる糖尿病患者です。中でも、食事を含む生活習慣が発症に大きく関わっている2型糖尿病患者は、糖質摂取量を抑える対応が必要です。
中略・・・・・

③低血糖とアルツハイマー病の関係
 ただし、いくら糖尿病であっても、糖質制限が行き過ぎると逆に問題が起こります。

 糖尿病患者は血糖値を下げる血糖降下薬を服用している場合が少なくありません。
近年、血糖降下薬の服用時には、
血糖値が下がりすぎる低血糖発作を起こさないようにすることが重要視されています。

 低血糖を起こしている高齢者の糖尿病患者は、糖尿病にかかっていない人と比べて、アルツハイマー型認知症発症の危険性が約1.6~2.4倍になることも分かってきたのです。脳細胞は加齢とともに減少します。糖質が脳のエネルギー源であることから考えれば、脳細胞が減少している高齢者の場合は、若者よりも低血糖が脳にダメージを与え、それが認知症につながるという理論は極めて妥当です。

④「糖新生」は非常措置
前略・・・・・・

しかし、糖新生はあくまでも非常措置です。
停電時に自家発電機を稼働させるのと同じです。自家発電機を動かすには燃料が必要です。

 緊急事態を乗り切るために脂肪や筋肉を燃料に変えているわけですから、
長期間続ければ当然体に異常が生じます。

 脳の働きは鈍り、めまいや冷や汗が止まらなくなり、
最悪の場合は低血糖発作で意識を失ってしまいます。
実際、糖質制限による低血糖発作で病院に救急搬送されたという事例も時折耳にします。

⑤高齢者は「フレイル」の危険性が高まる
 高齢者が極端な糖質制限食を行うと、若者と比べて一層危険が増大します。

 高齢者の多くは筋肉量が低下しています。
極端な糖質制限による糖新生が起きた場合、筋肉量はさらに低下し、
著しく心身機能が低下した状態の「フレイル」に陥りやすくなります。

 「フレイル」になると、そうでない人と比べて死亡率が上昇したり、風邪をこじらせて命の危険を伴う重度の肺炎にかかりやすくなったり、日常動作で転倒・骨折の危険性が増大したりするなどさまざまな悪影響が起こります。

⑥総摂取カロリーの6割は糖質で
 1日に必要なカロリー摂取量は、年齢や活動性、病気の有無などによって異なります。しかし、カロリー摂取量の約6割は糖質から摂取することが望ましいとされています。
これは糖尿病の患者も同様です。
中略・・・・・


 いずれにせよ、昨今の糖質制限食ブームに対しては、
「過ぎたるは及ばざるがごとし」ということを強調しておきたいと思います。】



①認知症リスクを上げる過度な糖質制限 →  間違い
『ブドウ糖は脳にとって唯一のエネルギー源です。』
と工藤千秋医師は言い切っておられますが、
今どき、
『脳はケトン体をエネルギー源にする』
ということは、医師でなくとも一般の人でも知識として
ご存知の方も増えています。
医師、とくに脳外科医として、ケトン体のことを知らないのは
さすがに如何なものかと思います。
もっと勉強して欲しいですね。


②糖質制限が必要な2型糖尿病
こちらに関しては異議なしです。


③低血糖とアルツハイマー病の関係

 低血糖は極めて危険な合併症です。
死亡率は上昇するし、工藤医師もご指摘の如くアルツハイマー病も増えます。
糖尿人において、年間約2万人が、重症低血糖で救急搬送されます。
その、ほとんどが、薬物の誤治療です。
例えばインスリン注射の過剰やSU剤の過剰投与が原因です。
糖質制限食なら、そもそも薬物が必要ないか、最低限度の使用にとどまるので
当然の帰結として『重症低血糖』もほとんど起こらなくなります。
すなわち、糖尿病治療に糖質制限食を導入することで
重症低血糖は激減する可能性が高いのです。


④「糖新生」は非常措置 →  間違い
 『糖新生』は非常措置ではありません。
700万年前、人類がチンパンジーと分かれて以降、幾多の人類が生まれては消えていきました。
現存するのは、われわれ、『ホモサピエンス』だけですが、
これら全ての人類において、睡眠中や空腹時や飢餓のときには、日常的に『糖新生』が行われてきました。
脳はケトン体もエネルギー源として利用できますが、赤血球はミトコンドリアを持っていないので、
唯一ブドウ糖しかエネルギ-源にできません。
この赤血球のために、人類は700万年の進化の歴史も含めて常に日常的に糖新生をしてきたのです。
糖質制限食であろうと糖尿病食であろうと普通食であろうと関係なく、
少なくとも睡眠中や空腹時には日常的に糖新生が行われてきており、これからも行われるわけです。
だからこそ、睡眠時や空腹時や飢餓時にも、低血糖にはならずに人類は生き延びてきたのです。


⑤高齢者は「フレイル」の危険性が高まる  →  間違い
 人体内の筋肉は常に分解と合成とを繰り返しています。
筋肉のたんぱく質はは分解されてアミノ酸となり血中に入り、
食物タンパクからのアミノ酸も消化・吸収されて血中に入り、
アミノ酸プールを形成します。
これらアミノ酸プールのアミノ酸や分解された筋肉のアミノ酸などを原料として、
筋肉細胞は合成されます。
こちらも、糖質制限食や普通食に関係なく、常に分解と合成を繰り返しているのです。
一日に体タンパクのうち約300gが入れ替わっています。
糖質制限食の場合は、食事からのたんぱく質が相対的に多いので、
プールのアミノ酸が不足することはないので
フレイルにもなりにくいです。
カロリー制限食の場合は、相対的にたんぱく質不足になりやすいので
当然フレイルにもなりやすいのです。
なお糖新生は、乳酸、アミノ酸、グリセロール(脂肪の分解物)などからブドウ糖をつくる反応のことをいいます。


⑥総摂取カロリーの6割は糖質で  →  間違い
 糖尿病と診断された人が、糖質を6割摂取すれば、
必ず、食後高血糖と平均血糖変動幅を生じます。
従って合併症予防は、理論的に困難です。
糖尿病合併症予防には糖質制限食以外に選択肢はありあません。


最後になりますが、
糖質制限食はブームではなく生理学的事実に基づく真実ですので
今後も、どんどん広まっていくことでしょう。

また、700万年間の人類の歴史で、穀物食は、わずか1万年に過ぎないことも
常識として知っておきたいですね。


江部康二
糖質摂取で、16000人以上、3000人以上、3000人以上・・・。
こんにちは。

昨日は、
週刊新潮の糖質制限批判記事に対して、
「米国糖尿病学会は、2013年10月に糖質制限食を正式に容認している。」
というブログ記事を書きました。

今日は、従来の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)を摂取して、
現実に毎年起きている合併症の悲劇について、言及したいと思います。

16000人以上・・・毎年新たに糖尿病腎症から人工透析になる人数。
3000人以上・・・毎年新たに糖尿病網膜症から失明する人数。
3000人以上・・・毎年新たに糖尿病足病変から下肢切断する人数。

本日の記事の表題の数字の実態が上記です。
このように、糖尿人が糖質を普通に食べたら、決して合併症は防げないのです。

以下の青字は日本糖尿病学会の熊本宣言にある文言です。
日本糖尿病学会『第56回日本糖尿病学会年次学術集会』熊本宣言2013の記載
糖尿病網膜症による失明者は年間 3,000人以上(新規失明者の約18%)、
糖尿病腎症による新規透析導入者は年間 16,000人以上(新規透析導入の約44%)、
糖尿病足病変による下肢切断者が年間 3,000人以上(全切断患者の40~45%)であると報告されており、
糖尿病合併症で苦し む患者さんの数は今なお減少していません。


日本糖尿病学会も自ら認めているように、
糖尿病合併症はまったく減少していません。

このことは、現行の日本の糖尿病治療「カロリー制限・高糖質食+薬物療法」が
決して上手くいっていない動かぬ証拠と言えます。

現行の糖尿病食では「食後高血糖」が食事のたびに必ず起こります。
そして、一日を通して「平均血糖変動幅増大」が必ず生じます。
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」が最大の酸化ストレスリスクであり
糖尿病合併症の元凶であることには、エビデンスがあります。


結局、誠に遺憾ながら、
「現行のカロリー制限・高糖質食は『合併症製造食』である。」
としか言いようがないのです。

そして、現実に16000人以上、3000人以上、3000人以上という悲劇が
毎年、起きているのです。


「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」が最大の酸化ストレスリスクであり
糖尿病合併症の元凶であることは、糖尿病専門医の方々もよくご存知と思います。
そして、それを生じるのは糖質を摂取したときのみであり、
蛋白質や脂質を食べても、生じないという生理学的事実もご存知と思います。

ここまで、論争の余地は全くない真実ですから、
糖質制限食以外では、糖尿病合併症を防ぐことは不可能であることが
論理的に明白です。


ブログ読者の糖尿人の皆さんは、糖質制限食で是非身を守って頂けば幸いです。
糖尿病専門医の方々は、是非「糖質制限食」を勉強して頂きたいと思います。
一般の医師の皆さんは、是非糖質制限食で、糖尿人の患者さんを救済して頂けば幸いです。


江部康二