認知症患者の割合(有病率)、OECD加盟国で日本が最多
【YOMIURI ONLINE
ヨミドクター
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20171113-OYTET50013/

2017年11月13日
ニュース・解説
認知症患者の割合、OECD加盟国で日本が最多


 日本の認知症患者の割合(有病率)は、経済協力開発機構(OECD)加盟35か国の中で最も高いことが10日、
OECDが公表した2017年版の医療に関する報告書でわかった。

 年齢が上がるほど認知症有病率は高まる傾向にあり、
日本は世界で最も高齢化が進んでいるためとみられる。

 報告書によると、日本の人口に対する認知症有病率は2・33%で、
OECD平均(1・48%)を大きく上回り、最も高かった。
2位はイタリアの2・25%、3位はドイツの2・02%だった。
日本の有病率は20年後の37年にはさらに上昇し、3・8%に達すると推定されている。

 OECDの担当者は「日本は高齢化がほかの国より早く進んでいる。
認知症を含め、加齢に関連した病気への対策が喫緊の課題だ」と指摘している。】



YOMIURI ONLINE ヨミドクター 2017/11/13
に、
認知症患者の割合(有病率)、OECD加盟国で日本が最多(第一位)
という記事が掲載されました。

確かに、高齢になるほど、認知症の割合は増加します。
従って、日本の高齢化が他の国より早く進んでいることも、
認知症有病率が世界一である理由の一つでしょう。

一方、日本には、世界に誇る「久山町研究」があります。
久山町研究のデータをみると、高齢化だけでは語れない
もう一つの真実が見えてきます。


<久山町研究>
A)
久山町研究において、1988年から2002年まで、14年間も運動療法と食事療法(従来の糖尿病食)をしっかり指導したにも関わらず、
糖尿病発症予防に失敗して、かえって激増させてしまった
ことは、過去本ブログ記事で再三、述べてきました。
端的に言って、従来の糖尿病食(高糖質食)が、
糖尿発症を激増させたという信頼度の高い結論がでたということです。


男性
        1988         2002
糖尿病     15.0        23.6%
IGT     19.2        21.6%
IFG     8.0         14.7%
合計      42.2        59.9%


女性 
        1988         2002
糖尿病     9.9          13.4%
IGT      18.8         21.3%
IFG      4.9          6.6%
合計      33.6         41.3%


B)
「久山町では1985年から2012年まで5回にわたり65歳以上の全住民を対象にした認知症に関する調査を実施。
過去5回で高齢者認知症の有病率が6.7%から17.9%まで急増。
認知症患者の6割を占めるアルツハイマー型に限れば、約9倍に増えていた。」


2012年の調査で、認知症が増加して、アルツハイマー病は、
実に27年間で9倍に増加です。
1985年から2012年までの調査結果ですが、A)の1988~2002年の、
従来の糖尿病食での食事療法介入期間もしっかり含まれています。
糖尿病患者のアルツハイマー型発症リスクはそうでない人の2.1倍ですから、
従来の糖尿病食で、久山町の糖尿病を激増させたことが、
久山町のアルツハイマー病激増に、おおいに関わっていると考えられます。
「従来の糖尿病食は、糖質摂取比率60%で、しっかりご飯を摂取する」というものです。


C)
「米の摂取量を減らして、
大豆、緑黄色野菜、淡色野菜、海藻類、牛乳・乳製品を多く摂るというパターンで認知症のリスクが下がる」
(☆)

この久山町研究の結論は、私もその通りだと思います。
この食事パターンに、魚と肉と卵を加えたら、何とそのまま『糖質制限食』です。


A)B)C)の久山町研究で、米を多く摂取する「高炭水化物食」により、
糖尿病発症が激増し、アルツハイマー病の発症も激増したことが報告されました。


<考察>
久山町研究により、同じ高齢者でも米をしっかり食べる食生活(高糖質食)だと
糖尿病と認知症になりやすいということが判明しました。


スーパー糖質制限食なら、そもそも糖尿病発症予防ができますし、
すでに糖尿病を発症した人も、コントロール良好が維持できます。

糖尿病発症予防ができれば、そのままアルツハイマー病発症予防につながります。

糖尿病患者において『食後高血糖』と『平均血糖変動幅増大』という酸化ストレスリスクを予防できるのは、
糖質制限食だけです。

糖尿病患者における酸化ストレスが、糖尿病合併症だけでなく、
アルツハイマー病、がん、動脈硬化、老化・・・様々な生活習慣病の元凶です。

血糖コントロール良好なら、酸化ストレスリスクは生じず、合併症は発生せず、
アルツハイマー病などのリスクもありません。

ブログ読者の皆さんも、久山町のように、
アルツハイマー病が激増しないように
美味しく楽しく末長く糖質制限食に取り組みましょう。


江部康二



(☆)
http://www.epi-c.jp/entry/e800_0_jea2012.html
日本疫学会2012年1月27日(金)
[久山町研究] 認知症リスクの低い食事パターン
発表者: 九州大学・小澤 未央 氏
目的:食事パターンと認知症発症リスクとの関連を検討。
コホート:久山町研究の1988年健診に参加した60歳以上の1006人を17年間追跡。

小澤未央氏のコメント
今回の検討では,1回の食事において「大豆製品と豆腐」「緑黄色野菜」「淡色野菜」「藻類」「牛乳・乳製品」の摂取量が多く,
「米」の摂取量が少ない食事パターンは,認知症発症のリスクを有意に低下させることが示されました。
本研究結果から,1回の食事において米の摂取量を減らした分,大豆,野菜,および乳製品で作られた食品を多く摂取する食事,
つまり野菜類の摂取を心がけた食生活は,認知症の発症を予防する可能性があると考えられます。

ウオーキングで高齢者の死亡を予防。米国コホート研究。
こんばんは。
メディカル・トリビューン 2017/11/16 Vol.50 No.32
「ウオーキングで高齢者の死亡を予防」という記事が載りました。

米国で、高齢者14万人を対象とした大規模前向きコホート研究で
運動を死亡の関係について検討したものです。
その結果、推奨度以下のわずかなウオーキングでも
死亡リスクが低下することがわかりました。
Amj Prev Med(2017/10/19 online)で報告されました。

米国スポーツ医学界/米国心臓協会の身体活動ガイドラインでは、
心血管疾患などを予防するため、週に中等度の運動で150分以上、
或いは激しい運動で75分以上を行うことを推奨です。
しかしこれを満たす高齢者は
65~74歳で42%、75歳以上では28%に過ぎません。
男性の5.8%、女性の6.6%は中等度または激しい運動はなしです(不活発群)。

それ以外の参加者(活発群)のうち男性では96.2%、女性では95.4%が何らかのかたちでウオーキングを行っていて、
男性の46.9%、女性の49.3%はウオーキングのみを行っていました。
ウオーキングのみのグループも活発群ですから、中等度の運動(速歩)に相当するウオーキングも実施していたと思われます。

今回の大規模コホート研究(Cancer Prevention Study Ⅱ の栄養コホート)
は、2時間/週未満のウオーキングを対照群として、
全死亡のハザード比(HR)を他の各運動群と比較したものです。

その結果、
①不活発群のハザード比は1.26と上昇していました。
②これに対して、ウオーキングのみを2~6時間/週実施していた群のHRは0.8でした。
③そしていずれかの運動で推奨レベルの1~2倍の身体活動群のHRは0.77でした。


従って、激しい運動はなしのウオーキングのみ(中等度運動はあり)でも
前者と同様の全死亡リスクの低下が得られることが判明しました。

これは、かなりの朗報ですね。


日本においても東京都健康長寿医療センター研究所の青柳幸利氏によると、

男性で8000歩/日、そのうち20分間の速歩(中等度の活動)。
女性で7000歩/日、そのうち15分間の速歩(中等度の活動)。


くらいの、ぼちぼちの運動と短時間の速歩で、筋力を保ち、体力低下を抑えることができるそうです。

そして、うつ病、認知症、心疾患、脳卒中、がん、動脈硬化、骨粗鬆症、
高血圧、糖尿病、メタボリックシンドロームの予防効果が期待できるとのことです。
年齢不相応の激しい運動は、活性酸素も多く発生するので、逆効果ということです。

この結論は、群馬県中之条町で65歳以上の住民5000人を対象に行った「中之条研究」に
基づいています。

私は、1回/1~2週、テニスをしていますが、
日常的に運動するのは時間的に無理なので、病院内でよく歩いています。

電話は自分から院内でかけることはなくて、用事があれば理事長室から
給食(地下)や病棟(2階、3階)までいったりきたり歩きます。

高雄病院の理事長室は、ちょっとした丘の上にあります。

取材にこられた記者さんなど、正面玄関から理事長室までたどり着いた時には、
ほとんどの方が息切れしてます。( ̄_ ̄|||)

高雄病院京都駅前診療所はビルの4階ですが、
階段を駆け上がるようにしています。
講演などの時も駅の階段を歩きます。
ビルも7階くらいまでは階段を歩きます。

コンビニも自宅から歩いて往復です。
なんやかんやで「8000歩/日、20分間の速歩」はクリアする日が多いです。

ブログ読者の皆さんも、ちょっとした日常生活の工夫で
「男性で8000歩/日、20分間の速歩」
「女性で7000歩/日、15分間の速歩」

という目標はクリアできると思いますので、
是非、試してみましょう。


(*)なぜ、健康な人は「運動」をしないのか?青柳幸利著、あさ出版、2014年


江部康二
糖質制限している人の本当のLDLは?
【17/11/19 SHUKAN
糖質制限している人の本当のLDLは?
いつも勉強させていただきありがとうございます。

多くの場合、LDLの検査値はFriedewardの式

LDL=総コレステロール-(HDL+TG/5)

から推定していると思います。

糖質を普通に摂っている人ではこの方法でいいと思いますが、
糖質制限を続けていると中性脂肪(TG)が低下するため、
LDLの値の精度に不安がわきました。

Friedewardの式はTG<400mg/dlが適用条件とされていますが、
TGが100mg/dl未満の場合にも問題となり、
LDLを大きめに推定してしまうという報告があります。

http://www.ams.ac.ir/AIM/NEWPUB/08/11/3/0014.pdf

TGが100mg/dl未満の場合のLDLの推定式として

LDL (mg/dL) = TC/1.19 + TG/1.9 – HDL/1.1– 38

が提案されていますのでLDLを計算し直してみたらよいと思います。

私も、175mg/dlだったLDLが128mg/dlになりました。
もっとも、TGが100mg/dl未満の場合のLDLは
問題のない良質のものがほとんどですので心配はいらないわけですが。】



こんばんは。
SHUKAN さんから、耳よりな情報をコメント頂きました。
ありがとうございます。

確かに、通常使用されているFriedewardの式で
LDLコレステロールを計算すると、
中性脂肪が低い場合は、高めにでてしまいます。

http://www.ams.ac.ir/AIM/NEWPUB/08/11/3/0014.pdf
の論文の著者、嬉しい提案ですね。

我々、糖質セイゲニストは、中性脂肪がかなり低値となりますので
Friedewardの式では、難があることとなります。

江部康二も最近の検査で
TC:250mg/dl(150~219)
TG:62mg/dl(50~149)
HDL-C:95mg/dl(40~98)
LDL-C:142mg/dl(140未満)


LDL (mg/dL) = TC/1.19 + TG/1.9 – HDL/1.1– 38
で、計算すると、LDL-C:118mg/dlでした。

SHUKAN さんがご指摘のように、
TGが100mg/dl未満の場合のLDLは
問題のない良質のものがほとんどですので心配はいらないわけですが
主治医が普通の医師だと、LDL-C高値だとすぐに、スタチン系薬を処方したがるので
面倒くさいです。

この式で、スタチン医者に対抗できそうです。


江部康二
LDLコレステロールの低下。青魚。小粒子LDL。大粒子LDL。
【17/11/18 たっちぃ
タイトルなし
コレステロール削減に悩む方へ

私も以前は菜食中心でしたが、糖質制限を開始し、脂質やたんぱく質摂取が増えたところ、
高コレステロールが続き、3 年経っても回復しないため、悩み、
いろいろ試してきた結果、効果的な方法を見つけましたので、紹介します。

■2011 ~ 2013年
総Chol=204; HDL = 70; LDL = 129; 中性脂肪 = 51 (LH比 = 1.84)

◆2014年 4 月: グリーンスムージー摂取試行 (LDL減)
総Chol=189; HDL = 71; LDL = 111; 中性脂肪 = 57 (LH比 = 1.56)

★2014年 10 月: 糖質制限開始 (LDL減)
総Chol=185; HDL = 71; LDL = 103; 中性脂肪 = 106 (LH比 = 1.45)

★2015年 4 月: 速歩試行 (HDL増)
総Chol=238; HDL = 105; LDL = 142; 中性脂肪 = 30 (LH比 = 1.35)

■2015年 10 月 ~ 2016 月 12 月: 健診で毎回高脂判定
総Chol=252; HDL = 81; LDL = 175; 中性脂肪 = 30 (LH比 = 2.16)
総Chol=240; HDL = 67; LDL = 164; 中性脂肪 = 45 (LH比 = 2.45)

■2017年 4 月 ~ 2017 月 10 月 9 日: 筋力トレーニング開始 (HDL増)
総Chol=283; HDL = 93; LDL = 189; 中性脂肪 = 37 (LH比 = 2.03)

★2017年 11 月 8 日: 青魚と豆腐の摂取開始後 (LDL減)
総Chol=243; HDL = 83; LDL = 144; 中性脂肪 = 29 (LH比 = 1.73)

即効性のあった、青魚と豆腐は10月24日に放送された「たけしの家庭の医学」で
善玉コレステロールの量を増やさなくても、EPA が悪玉回収力をパワーアップさせ、
1 週間程度で速やかに LDL を減らす、とのことで、
10日間ほど毎日青魚 2 切れと豆腐を摂取しました。

参考URL
善玉コレステロールパワーアップのまとめ
http://kininaruthing.com/2377.html

豆腐の栄養素の働き
http://mamiy.jp/life/%E3%81%9F%E3%81%91%E3%81%97%E3%81%AE%E5%AE%B6%E5%BA%AD%E3%81%AE%E5%8C%BB%E5%AD%A62017-10-24/

レシピ
https://www.chimchan.com/katei/20171024-1/

ご参考まで。】



こんにちは.
たっちぃ さんから、
LDL-コレステロールの低下に関して、コメントを頂きました。
ありがとうございます。

糖質制限食を開始して、LDL-コレステロールが増加し、
3年経過しても、もとに戻らないため、
いろいろな試して、遂に効果的な方法を見つけたとのことです。

★2014年 10 月: 糖質制限開始
総Chol=185; HDL = 71; LDL = 103; 中性脂肪 = 106 (LH比 = 1.45)

■2015年 10 月
総Chol=252; HDL = 81; LDL = 175; 中性脂肪 = 30 (LH比 = 2.16)
■ 2016 月 12 月
総Chol=240; HDL = 67; LDL = 164; 中性脂肪 = 45 (LH比 = 2.45)

■ 2017 月 10 月 9 日
総Chol=283; HDL = 93; LDL = 189;

確かに、糖質制限食を開始後、 103mg/dlだったLDL-コレステロールが
3年間経過しても上昇し続けて、189mg/dlになっていますね。


★2017年 11 月 8 日: 青魚と豆腐の摂取開始10日間後
総Chol=243; HDL = 83; LDL = 144; 中性脂肪 = 29 (LH比 = 1.73)

10日間ほど毎日青魚 2 切れと豆腐を摂取したところ
LDLコレステロールが、189mg/dl → 144mg/dl と見事に減少です。

たっちいさんご自身の一例報告ですが、
なかなかの説得力です。
皆が皆こうなるというエビデンスレベルの保証は勿論ありませんが、
気になる人は試みてもいいですね。


一方、たっちいさんのLDLコレステロールは、基準値より高値ですが
私は、善玉の大粒子LDLコレステロールと思います。
大粒子LDLコレステロールは、多いほうが心疾患リスクが低下傾向となるという研究論文もあります。(☆)
従って、このままでも問題はないと思います。
例えば2015年 10 月(糖質制限開始1年後)のデータは下記です。
総Chol=252; HDL = 81; LDL = 175; 中性脂肪 = 30

HDLコレステロールが81と極めて多く、
中性脂肪は30と極めて低いですので、
小粒子LDLコレステロールはほとんどないと思います。

(☆☆)の日本動脈硬化学会のサイトでも、
『small dense LDL(小粒子LDL)を減ずるためにはその原因である耐糖能異常、高トリグリセライド血症を是正することで目的が達成される』と記載されています。
スーパー糖質制限食なら、
耐糖能異常が改善し、中性脂肪値は低値となるので、
目標達成であり、小粒子LDLコレステロールは極めて少なくなります。


(☆)
①小粒子LDL-コレステロール(<255A)が多いと、虚血性心疾患リスクが上昇する。
②大粒子LDL-コレステロール(≧260A)が多いと、
虚血性性心疾患リスクは低下傾向になる。

という研究報告があります。
2072人の男性を13年間フォローした研究です。

Low-Density Lipoprotein Subfractions and the Long-Term Risk of Ischemic Heart Disease in Men
13-Year Follow-Up Data From the Québec Cardiovascular Study
https://doi.org/10.1161/01.ATV.0000154144.73236.f4
Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology. 2005;25:553-559
Originally published February 24, 2005


この論文は、きよすクリニックの伊藤喜亮先生にご教示頂きました。
ありがとうございました。m(_ _)m


(☆☆)
日本動脈硬化学会
http://www.j-athero.org/qanda/q_and_A.html

Q10
small dense LDLには日常臨床でどの様に対応したらよいのでしょうか?

LDLは比重1.019~1.063g/mLに分布し、粒子の直径は20~26nm(200 ~260Å)といわれていますが、small dense LDLとは直径25.5nm以下のLDL 粒子で、比重1.044~1.063g/mLに分布しています。臨床的には2~16%ポ リアクリルアミド・グラジェントゲルを用いた電気泳動(PAGE)によりLDL粒 子の移動度からsmall dense LDLの出現を判定します。VLDLのピークから HDLのピークまでの距離=a、LDLまでの距離=bとし、b/a≦0.4が正常です。 「リポフォー®」を用いた測定法はリポ蛋白精密測定法として保険診療上認められ た方法です。沈殿法による定量も試みられていますが、国際的には電気泳動によ る方法が認知されています。small dense LDLの出現は耐糖能異常に伴う高ト リグリセライド血症で高頻度に認められます。血清脂質値が異常を示さない例 (正脂血症例)でも耐糖能異常ではsmall dense LDLを認めることがよくありま す。したがって、small dense LDLを減ずるためにはその原因である耐糖能異常、高トリグリセライド血症を是正することで目的が達成されると考えられます。



江部康二
「コレステロールのこと」と「たんぱく質と血糖値のこと」
【17/11/16 向芝 初めましてと質問と。
江部康二先生侍史

 この度はこのような突然の書き込みをします非礼をお許しください。私は栃木県の調剤薬局で勤める薬剤師の向芝貴裕と申します。門前クリニックが内分泌代謝専門クリニックでございまして、糖尿病患者様に触れる機会がとても多いです。
 そんな折、先日の日本くすりと糖尿病学会に参加しまして、山田悟先生のランチョンを(たまたま)聴講致しまして、不勉強ながら初めて糖質制限というものを知りました。それ以降、私は糖質制限の傾倒しておりまして、その流れで江部先生を知った次第でございます(第一人者を後から知ったというのは甚だおかしなことではございます)。私も糖質制限とは言えるかどうか微妙なところではございますが、米の量を制限したりと「非常に」緩い制限を始めています。
 さて、今回このような書き込みを致すのには理由がござまして、何点か疑問が浮かんだからです。
 まず、(いきなり糖質の話でなくて申し訳ないのですが)食事由来の脂質で血中コレステロールは上昇しないという点ですが、ではコレステロール値が高い人はどうすれば下がるのでしょうか?健診レベルではLDLがsdLDLなのかどうかまでは分かりかねるので、とりあえずLDLを下げたいとなれば、今までなら食事指導だったかと思います。今後はどう指導していけば良いのか迷っております。スタチンの是非はともかくとして。
 次に、「医と食」に掲載された門脇先生と渡邉先生との鼎談を拝読させていただきました。その中で、たんぱく質は間接的に血糖値を上げることがある、との言及がございましたが、これは誤差と考えていいレベルなのでしょうか?糖質制限を推進している先生方は血糖値を上げるのは糖質だけ、とおっしゃっているので引っかかった次第です。私ども薬剤師が学生時代習ったグラフ、糖質がまず血糖値を上げて、その後にたんぱく質、脂質が血糖値を上げるというグラフは現在、否定されていると言っても過言ではないのでしょうか?宗田先生の著書で、脂質負荷をしても血糖値は全く変動しなかったとも書いておりました。

 お手隙の際に、ご回答頂けましたら幸いでございます。誤解のないよう書いておきますが、私は江部先生のお考えにひどく共感いたしております。最後になりましたが、横浜での講演に参加致します。日々の薬剤師業務に活かせるかと、とても楽しみにしております。では。】



こんばんは。
薬剤師の向芝貴裕さんから、コメント・質問を頂きました。
「コレステロールのこと」と「たんぱく質と血糖値のこと」に関する質問です。
向芝さん、
NHKカルチャー横浜ランドマーク教室講座。糖質制限食のすすめ。12/10(日)。
へのご参加、ありがとうございます。

以下、質問にお答えします。


<食事由来の脂質で血中コレステロールは上昇しない?>

A)
2015年5月1日
日本動脈硬化学会が、
「食事で体内のコレステロール値は大きく変わらない」
との声明を発表しました。

B)
厚生労働省は、5年おきに改定する「食事摂取基準」の2015年版で、
科学的根拠が得られなかったとしてコレステロールの摂取基準を撤廃しました。

C)
米農務省は「コレステロールは過剰摂取を懸念すべき栄養素ではない」として、
摂取量を1日300ミリグラム未満に抑えていた食事指針を2015年見直す方向です。


このように、日本でも米国でも、食事中のコレステロールが体内のコレステロールに影響を与えることはないということで、コレステロールの摂取基準を撤廃しました。
しかし、「食事のコレステロール量は、肝臓が調整するので、血中ののコレステロールに影響を与えない」というのは、1年~数年以上という長期の話です。

例えば、玄米菜食とかで、食事中のコレステロール量が少なかった場合は、
肝臓で生産するコレステロールの量は多くなっています。
この玄米菜食の人が糖尿病を発症して、糖質制限食に切り替えると
『食事のコレステロール量の増加+肝臓の多い生産量』 となるので
当初の、1ヶ月から1年~数年くらいは、LDLコレステロールが急上昇します。
個人差がありますが、LDL-コレステロール値が120mg/dlくらいだったのが300mg/dlとなることもあります。
ただ、スーパー糖質制限食実践なら、中性脂肪が正常低値となり、HDL-コレステロールが増加するので、LDL-コレステロールも標準の大きさの善玉のもので、
肝臓から末梢組織に細胞膜などの原料であるコレステロールを運んで行くという
大事な役割を果たしています。
中性脂肪が正常低値となり、HDL-コレステロールが増加するので、
悪玉の小粒子LDL-コレステロールはほとんどありませんので安心です。
数年間以上経過してくると肝臓が生産量を低下させて調整するので
元の値に戻ります。


<三大栄養素と血糖値上昇に関する考察>

米国糖尿病学会(ADA)の患者教育用のテキストブックである
Life With Diabetes(2004年版)には、

「摂取後直接、血糖に影響を与えるのは糖質のみである。
炭水化物・タンパク質・脂肪はカロリーを含有しているが、
炭水化物だけが、血糖値に直接影響を及ぼす。」


と明記されています。
これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
1997年版では、
「炭水化物は100%血糖に変わり、たんぱく質が50%血糖に変わり、脂質は10%以下血糖値に変わる」との記載がありましたが、
間違っていたので、2004年から切り替わったわけです。
つまり向芝さんが学んだのは、1997年版の記述であり、
現在では間違っていると言えます。


さて「血糖に直接影響を与えるのは糖質のみ。」

というADA(米国糖尿病学会)の記載に関連する事柄を、
1)~8)まで整理してまとめてみました。

1)「血糖値に直接影響を与えるのは糖質のみである」

2)「1型糖尿病で内因性インスリンが枯渇している場合や2型糖尿病でも内因性インスリンが枯渇に近いときは、グルカゴン分泌を介してタンパク質が間接的に血糖値を上昇させる」「タンパク質に含まれるアミノ酸がグルカゴンを分泌させるが、インスリンは分泌できない病態だからである」

3)「上記の2)を除く大多数の内因性インスリンが残っている糖尿病患者においては、摂取後血糖値を上昇させるのは糖質のみである。」「摂取したタンパク質によりグルカゴンが分泌されるが、同時にインスリンも分泌され効果が相殺されるからである」

4)「1)2)3)より、大多数の内因性インスリンが残っている糖尿病患者においては、糖質制限食が極めて有効である」

5)「脂質は直接的にも間接的にも血糖値を上昇させない」
  「脂質はインスリンもグルカゴンも分泌させない。」

6)「タンパク質はインスリンとグルカゴンを両方分泌させるので2)のケースを除いては効果は相殺されて、血糖値にほとんど影響を与えない。」

7)「2)のようなケースでも、糖質制限食を導入することで、インスリンの量を大幅に減らすことができる。」

8)「2)のようなケースでは糖質制限に加えてタンパク質のカウントもするとコントロールはさらに良くなる。」


<タンパク質と血糖値上昇に関する考察>


①健常人では、タンパク質摂取で臨床上意味のある血糖値上昇はない。
②ほとんどの2型糖尿人においても、タンパク質摂取で臨床上意味のある血糖値上昇はない。
③1型糖尿人で、内因性インスリンがゼロレベルの場合、臨床上意味のある血糖値上昇がみられる。個人差が大きく、1gのタンパク質がグルカゴンを介して間接的に1~4mg/dlくらい血糖値を上昇させる。
④2型糖尿人でも、罹病期間が長くて、一定レベル以上β細胞が傷害されて、インスリン分泌能力が低下していれば、臨床上意味のある血糖値上昇が見られる。勿論こちらもグルカゴンを介しての間接的な血糖値上昇である。個人差があるので、血糖自己測定器で確かめるのがよい。

*③④の場合の血糖上昇は、インスリン分泌能力が非常に低下しているので、グルカゴンの糖新生による間接的血糖値上昇を、内因性インスリンで相殺できないからである。

*タンパク質と血糖値に関して実験する場合は鳥のササミだけを摂取して、含有タンパク量を計算して、
 食前血糖値、30分後血糖値、1時間後血糖値、2時間後血糖値、3時間後血糖値・・・ と測定すれば、それぞれの個人のデータがわかる。
体重減少が止まるわけ。脂肪細胞の大きさと数。
こんばんは。

スーパー糖質制限食で、体重がすみやかに減少して、
標準体重になる人も数多くおられます。

一方、体重が30kg減少したけれど、90kgくらいでぴったり減り止まり、
スーパー糖質制限食をきっちり継続しているのに
BMIは30以上のままという人も時々おられます。

この体重が減り止まるという現象に関して、
以前福助さんから、興味深い仮説をコメント頂きました。
以下の①②③です。

①大きくなった脂肪細胞は、
スーパー糖質制限食ですみやかに標準の大きさまで小さくなる。
②標準の大きさの脂肪細胞になれば、それ以上は小さくならない。
③脂肪細胞の数は、減少しない。
④成人でも、脂肪細胞が一定以上大きくなって限界に達すると分裂して
脂肪細胞の数が増える。分裂して増えた脂肪細胞がまた大きくなり体重が増える。


①の分までは体重は、すみやかに減少します。
しかし、②③により、そこで体重は減り止まります。
④に関しては、田頭秀悟先生から、論文をご教示頂きました。

今まで、子供のころは脂肪細胞の数が増えるけれど、
成人になると脂肪細胞の数は増えないというのが定説でしたが、
そうではなかったということです。


結論です。

A)脂肪細胞の数が、標準の数で、脂肪細胞の大きさが大きくなって体重が増えたタイプは
スーパー糖質制限食で、すみやかに、元の体重まで減少します。

B)一方、脂肪細胞の大きさと共に数まで増えたタイプは、スーパー糖質制限食で
大きさは小さくなってすみやかに体重も減少しますが、標準の大きさになった時点で
脂肪細胞の数は減少しないので、そこで減り止まります。


福助さん、田頭先生、ありがとうございました。  m(_ _)m


江部康二

NHKカルチャー横浜ランドマーク教室講座。糖質制限食のすすめ。12/10(日)。
おはようございます。

NHKカルチャー
横浜ランドマーク教室
横浜市西区みなとみらい2-2-1
ランドマークプラザ5F
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1133128.html

講座 美味しく楽しく健康に!糖質制限食のすすめ
2017/12/10(日)13:30~15:00


のご案内です。

2017/10/21(土) のNHKカルチャー岐阜教室、糖質制限食講座
は、盛況のうちに無事終了でした。
質疑応答もみっちりあって、充実した内容でした。
ブログ読者の皆さん、ご参加ありがとうございました。

今回は横浜ランドマーク教室・講座のご案内です。
糖質制限食の最新の知識や情報をわかりやすく楽しくお話します。
70分間の講演と20分間の質疑応答となります。
横浜、東京、関東方面の方々、是非ご参加いただけば幸いです。

お陰様で、糖質制限食は順調に普及してきています。

2005年に私が「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)
を日本初の糖質制限食の本として刊行したころとは、大きな違いがあります。

なんと言っても、2013年10月に米国糖尿病学会が5年ぶりに改訂した
「栄養療法に関する声明」のなかで、
地中海食やベジタリアン食などどともに「糖質制限食」を正式に容認したことが、
大きな追い風となりました。

この1~2年、糖質制限食の展開において大きな発展があり
いい意味のサプライズもありました。

2016年7月のNHKクローズアップ現代の試算によれば、
糖質制限市場は、3184億円とのことです。
医学界より、企業のほうが糖質制限食をビジネスチャンスと捉えて
行動が迅速なようです。
くら寿司やガストなども糖質制限メニューを投入で、なかなかのものです。

一方、医学界においても、嬉しいサプライズです。
2017年2月7日(火)午後から、生まれて初めて東京大学医学部に行ってきました。
教授室で、渡邊昌先生、門脇孝先生、江部康二の3人で鼎談を行いました。
二人で話し合うのが対談で、三人で話し合うのが鼎談です。
渡邊昌先生は、医学雑誌「医と食」の編集長です。
門脇孝先生は、
一般社団法人 日本糖尿病学会 理事長
であり、
東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科教授
です。

日本糖尿病学会のトップとじっくり話し合うことができて、
とても有意義な90分間でした。

糖質制限食の発展、まさに、今昔の感ありですね。


江部康二


☆☆☆
以下、NHKカルチャー横浜ランドマーク教室のサイトから抜粋です。

美味しく楽しく健康に!糖質制限食のすすめ
講師 高雄病院理事長 江部 康二

近年注目されている糖質制限について、
ご自身も実践し、肥満と糖尿病を克服された江部康二先生による講演会です。
数多くの臨床活動を通して、糖尿病、肥満、メタボリックシンドロームなどに対する
糖質制限食の画期的な治療効果が証明されています。
運動を勧められても長続きしなかった方や色々なダイエットを試したけれど効果が表れなかった方、
またこれから糖質制限食を始めてみようと思われている方に向け、
その正しい知識と治療効果、カロリー制限食と糖質制限食の比較、注意点等をお話しします。
糖質制限食で、明日からの食生活を美味しく・楽しく・健康に!

日時:2017/12/10(日)13:30~15:00
会場:NHKカルチャー横浜ランドマーク教室
受講料:会員3369円  一般3931円
受講お申し込み:https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1133128.html
お問い合わせ:045-224-1110
11/14は世界糖尿病デー。東洋経済オンラインに私の記事が掲載されました。
おはようございます。

2017/11/14は世界糖尿病デーです。

東洋経済オンラインhttp://toyokeizai.net/articles/-/197075


糖尿病1000万人時代!「糖質制限」を徹底せよ
「カロリー制限だけ」は時代遅れすぎる


という私のインタビュー記事が掲載されました。
糖尿病を克服するために、是非読者の皆さんもご一読頂ければ幸いです。


江部康二


☆☆☆
以下、東洋経済オンラインから一部、抜粋

糖尿病1000万人時代!「糖質制限」を徹底せよ
「カロリー制限だけ」は時代遅れすぎる
http://toyokeizai.net/articles/-/197075
江部 康二 : 高雄病院理事長 2017年11月14日(火)

今日11月14日は「世界糖尿病デー」である。9月に発表された厚生労働省の2016年の調査によれば、日本の糖尿病の有病者1000万人、予備群1000万人。合わせて2000万人の「国民病」ともいうべき状況になっている。糖尿病は静かに進行するものの、さまざまな「死の合併症」を招き、人工透析にもつながりかねない恐ろしい病気である。早急な治療、特に適切な食事療法が必要とされる。
この糖尿病の治療食としては、近年「糖質制限食」が急速に広まってきた。その一方で、いまだ「カロリー制限食」を指導する糖尿病専門医も多い。
糖質制限食の第一人者である江部康二氏は、カロリー制限はもはや時代遅れで、糖尿病患者には必ず糖質制限を指導すべきだと主張する。『江部康二の糖質制限革命』の著者でもある江部氏にその論拠を語っていただいた。


糖質制限食で血糖コントロールがよくなる

最初に、糖質制限食の糖尿病への効果について、現在までわかっている事実を整理します。糖質制限食はもともと糖尿病の治療食ですので効果があるのは当然ですが、その効果について、正しい知識を確認しましょう。

まず確かめておきたいのは、糖質制限食を始めると速やかに血糖コントロールが非常によくなることです。これは、血糖値を直接上昇させるのは糖質だけだという生理学的事実によります。血糖値を上昇させる糖質を摂取制限するのですから、食後高血糖を抑えられるのは当然です。

2型糖尿病の患者さんが糖質制限食を始めると、ほぼ全員が食後、空腹時共に血糖値が下がり始めます。食後血糖値は開始直後から下がり、1週間ほどで正常値になります。空腹時血糖値についても徐々に下がり、数週間で正常値になります。

ちなみに糖尿病には、主なものとして1型と2型とがあり、生活習慣病であるのは2型のほうです。ほとんどの糖尿病の方が2型です。

→次ページインスリン注射から離脱できたケースも
2 http://toyokeizai.net/articles/-/197075?page=2
3 http://toyokeizai.net/articles/-/197075?page=3
4 http://toyokeizai.net/articles/-/197075?page=4

糖質制限食実践で、全身倦怠感、鼻炎、食後の眠気が改善。
【17/11/12 さく
倦怠感と鼻炎の軽減
こんにちは、

現在、50歳の男です。
年に1回の健康診断では、肥満気味であること以外、検査データ上は特に問題はありませんでした。
今年の4月5日に、たまたま見かけた「我ら糖尿人、元気なのには理由(ワケ)がある。」を購入し、
半信半疑ながら、翌日から早速糖質制限を始めました。

スーパー糖質制限ではないので、体型の劇的な変化はありませんが、以下の状況です。
(計測時刻が起床直後ですので、体脂肪率は高めに出ています)

3月22日(糖質制限開始前. 体脂肪率最高時)
 体重: 68.8Kg
 体脂肪率: 35%

4月5日(糖質制限開始前日)
 体重: 70Kg
 体脂肪率: 32%

11月12日(本日. 糖質制限開始から221日(約8ヶ月)経過)
 体重: 65.2Kg
 体脂肪率: 26%
 (日中に体脂肪を計測すると22%程度)


自覚症状の鼻炎、昼食後の眠気、全身倦怠感には劇滝な改善がありました。

■鼻炎
起床時に黄色い膿のような鼻水や痰が出ることが多く、冬場にはそれが乾燥してカサブタ状に
なることが多くありました
耳鼻科に行っても副鼻腔炎の診断はなく、アレルギー性鼻炎や鼻の乾燥という診断がありましたが、
処方された薬を服用しても全く改善しませんでした。糖質制限後、この症状が全く出なくなりました。
以前は、寿司や丼物などの炭水化物を大量に摂取した直後に症状が出ることが多く、当時は魚や
肉の脂が原因ではないかと疑っていました。
現在でも、たまの外食で炭水化物を大量に摂取すると、やはり、起床時に鼻が粘液でドロドロ、口の
中もネバネバという症状が出ます。

■昼食後の眠気
糖質制限食では、眠気はまったくありません。
仕事の関係で、どうしても炭水化物を取らざるを得ないケースがあり、その後は、やはり、強烈な
眠気があります。

■全身倦怠感と疲れ
子供の頃から特に休日に全身倦怠感がひどく、疲れやすく、親からは「子供なのに、なんで疲れるの」
と言われ続けていました。
大人になってからは、休日になると妻から、「今日もぐうたらして、一日を無駄にした」と言われ続けて
いました。たまに外出しても、すぐに疲れが出て、頭がぼーっとして、全く楽しむことができませんでした。
糖質制限を始めて以来、休日に倦怠感や疲れ感じることが全くなく、外出を楽しめるようになり、今では、
妻の方が先に「疲れた」と音を上げるようになりました。

後悔先に立たずですが、糖質制限をもっと早く始めていれば、どれだけ有意義に、また、健康に人生を
謳歌できたかと思うばかりです。
過去は変えられませんが、これからの人生を後悔しないよう、糖質制限を続けていきたいと思います。】



こんばんは。
さくさんから
糖質制限食実践で、全身倦怠感、鼻炎、食後の眠気が改善という
とても嬉しいコメントを頂きました。
よかったです。

体重と体脂肪率も素晴らしい改善ですね。
2017年4月5日(糖質制限開始前日)
 体重: 70Kg
 体脂肪率: 32%
2017年11月12日(本日. 糖質制限開始から221日(約8ヶ月)経過)
 体重: 65.2Kg
 体脂肪率: 26%



アレルギー性鼻炎も、糖質制限食実践で改善することが多いです。
しかし、改善のていどには個人差があります。
さくさんの場合は、仰る通り、劇的改善ですね。
たまの外食で炭水化物を大量に摂取すると、再び鼻炎の症状が出現するということは、
実験して確かめることができたということになります。
今から思えば、今までのしつこいアレルギー性鼻炎の症状は、
やはり炭水化物摂取にようるものだったのでしょう。


昼食後の眠気も、炭水化物摂取によることがほとんどです。
さくさんと同様、多くの方が糖質制限食実践で食後の眠気がなくなっています。
今まで、食後は眠くなって当たり前と思っていた人には朗報と思います。


全身倦怠と疲れは、血糖値が乱高下していたからだと思います。
糖尿病ではないので、血液検査ではHbA1cとかは正常と思います。
しかし正常型の耐糖能の人でも、血糖変動しやすいタイプがあります。
普通に糖質を摂取すると、
例えば
食前が100mg → 食後1時間が160mg
その後食後1時間が160mg → 食後2時間が100mg


このように、データ的には正常範囲内でも、
食前と食後の血糖変動幅が1時間で50mg以上上昇となると
ボーとしたり、だるくなったり、眠くなったり、易疲労感がでたり、
イライラしたりします。
同様に、血糖の下降幅が1時間で50mg以上となると
ボーとしたり、だるくなったり、眠くなったり、易疲労感がでたり、
イライラしたりします。。
人体には血糖変動がよろしくないのです。
糖質制限食で血糖変動がほとんどなくなるので、これらの症状が改善したものと
思われます。

これからも、美味しく楽しく末長く糖質制限食をお続け下さいね。


江部康二
世界がん研究基金「食べもの、栄養、運動とがん予防」報告。赤肉は?
こんばんは。
今や日本人の死因の一位はがんです。
誰しも「がん予防」は気になるところです。
そこで、世界がん研究基金の報告を
糖質制限食の観点から見直してみました。

世界がん研究基金「食べもの、栄養、運動とがん予防」2007年報告に関して、
いろんな日本語のサイトで要約は載っているのですが、
肥満とがんに関して、内容が微妙に食い違っていて、
どう解釈したものか悩んでましたが
やっと英文の本家のサイトにたどり着きました。

World cancer reserch fund
http://www.wcrf-uk.org/preventing_cancer/recommendations.php


この本家のサイトで、内容を検討してみました。
全部読むのは大変なので必要な確認だけしてみました。
その結果、ウィキペディアの解説が、
よくまとまっているので、以下に引用しました。

【食生活指針
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A3%9F%E7%94%9F%E6%B4%BB%E6%8C%87%E9%87%9D

世界がん研究基金によるがん予防の勧告
1997年に4500以上の研究を研究を元に、「食べもの、栄養とがん予防」 (Food, Nutrition, and the Prevention of Cancer: A Global Perspective) が報告された。
日本では、がん予防14か条、タバコの制限を加えてがん予防15か条として紹介された。

2007年11月1日、世界がん研究基金とアメリカがん研究協会によって7000以上の研究を根拠に「食べもの、栄養、運動とがん予防」が報告されている。

①肥満 ゴール:BMIは21-23の範囲に。 推薦:標準体重の維持、BMI25未満。

②運動 推薦:毎日少なくとも30分の運動。

③体重を増やす飲食物 推薦:高エネルギーの食べものや砂糖入り飲料やフルーツジュース、ファーストフードの摂取を制限する。飲料として水や茶や無糖コーヒーが推奨される。
④植物性食品 ゴール:毎日少なくとも600gの野菜や果物と、少なくとも25グラムの食物繊維を摂取するための精白されていない穀物である全粒穀物と豆を食べる。 推奨:毎日400g以上の野菜や果物と、全粒穀物と豆を食べる。精白された穀物などを制限する。
トランス脂肪酸は心臓病のリスクとなるが、がんへの関与は知られていない。

⑤動物性食品 赤肉(牛・豚・羊)を制限し、加工肉(ハム、ベーコン、サラミ、燻製肉、熟成肉、塩蔵肉)は避ける。赤肉より、鶏肉や魚が推奨される。 ゴール:赤肉は週300g以下に。 推奨:赤肉は週500g以下に。乳製品は議論があるため推奨していない。

⑥アルコール 男性は1日2杯、女性は1日1杯まで。

⑦保存、調理 ゴール:塩分摂取量を1日に5g以下に。 推奨:塩辛い食べものを避ける。
塩分摂取量を1日に6g以下に。カビのある穀物や豆を避ける。

⑧サプリメント ゴール:サプリメントなしで栄養が満たせる。 推奨:がん予防のためにサプリメントに頼らない。

⑨母乳哺育 6か月、母乳哺育をする。これは母親を主に乳がんから、子供を肥満や病気から守る。

⑩がん治療後 がん治療を行ったなら、栄養、体重、運動について専門家の指導を受ける。

***
タバコの煙もがんの主因であると強調している。また、タバコとアルコールは相乗作用で発癌物質となる。】



<世界がん研究基金「食べもの、栄養、運動とがん予防」2007年報告に関する私の個人的な意見、主として糖質制限食の観点から>

①肥満
肥満に関しては、大腸・食道・膵臓・腎臓・子宮内膜(子宮)・乳房のガンになるリスクが高まるとしています。
これら6つのガンに関しては、はっきり肥満がリスクになるということです。
また、胆嚢に関しては、肥満がおそらく発ガンのリスクを高めるとしています。
そして、糖質制限食が肥満にはもっとも有効な治療法です。 (^_^)

②運動
は①とも関連してますね。運動はよいことですので私も賛成です。

③体重を増やす飲食物
体重を増やす飲食物は、炭水化物です。
摂取エネルギーは厚生労働省のいう「推定必要エネルギー」として、
糖質制限食実践が、体重を標準より増やさないためには一番いいです。

④植物性食品
植物性食品では、野菜から食物繊維の摂取を推奨で、賛成です。
しかし、穀物や果物は、血糖値を上昇させ、インスリンを過剰に分泌させるので
発がんリスクとなります。
やはり、糖質制限食のほうが、がん予防には良いです。

⑤動物性食品
欧米では、四つ足動物の肉を、一般に赤肉と呼ぶようです。
赤肉(牛・豚・羊)は週500g以下にという目標は、
日本人にはそんなに難しくはないように思いますが、
米国人にはとんでもなく厳しい数値目標ですね。
まあこれは、糖質を普通に食べている人における目標です。

加工肉は、少なめがいいと思いますが、日本人はもともとそんなに食べないですね。

最近は、動物性脂肪の害はないという文献も出てきているので個人的には、
もう少し赤肉を食べてもいいように思います。
また、スーパー糖質制限食実践者なら、「血糖値上昇」「過剰インスリン分泌」という
発がんリスクがほとんどないので、
この面からも赤肉をしっかり食べても大丈夫のように思います。
私自身は、豚肉、牛肉をよく食べます。鶏肉も魚もよく食べます。
「赤肉」:「魚・鶏肉」が1:1くらいです。

⑥アルコール
「男性は1日2杯まで」
これは仰有る通りかもしれませんが、残念ながら私には守れそうもありませんし、
守っていませんね。(-_-;)

⑦保存、調理
塩分6g以下ですか。結構厳しいですね。σ(=_=;)ヾ

⑧サプリメント
「がん予防のためにサプリメントには頼らない」と言い切ってあるのは嬉しいですね。
大賛成です。

⑨母乳哺育 6か月
こちらも賛成です。

⑩がん治療後
ガン治療後は、やはり「血糖値上昇」「過剰インスリン分泌」という発がんリスクをなくするために、スーパー糖質制限食が望ましいです。

***タバコ
タバコの害は言うまでもないですね。
タバコは確かにがんの主因の一つです。



江部康二
糖尿人透析有病率も発症率も日本では増加。
こんばんは。

日本透析医学会のデータを調べて見た結果、
糖尿人新規透析発症率も日本では増加していました。
1990年から2012年の22年間の経過をみると、
糖尿病腎症からの透析新規発症率は、0.21%から0.42%に増加していました。
やはり、発症率も米国と異なり、有病率と同様に増加していました。


江部康二



☆☆☆
以下は2017/11/1(水)の記事です。



touseki.jpg

 日本糖尿病患者数 年末患者糖尿病腎症透析数  糖尿人透析有病率

1990   560万人      DMからの透析は15391人   糖尿人の0.27%

1997    690          DM、39949人            0.58% 

2002   740           DM、64500人            0.87%  

2007   890           DM、91930人             1.03% 

2012   950万人         DM、115012人         糖尿人の1.2% 



日本糖尿病学会『第56回日本糖尿病学会年次学術集会』熊本宣言2013
『糖尿病合併症で苦しむ患者さんの数は今なお減少していません。
糖尿病腎症で透析になる人が年間16000人以上。
糖尿病網膜症で失明する人が年間3000人以上。
糖尿病足病変で切断する人が年間3000人以上。』



米国では、1990~2010年にかけての20年間で、
(1)急性心筋梗塞 マイナス67.8% 
(2)高血糖症による死亡 マイナス64.4% 
(3)脳卒中 マイナス52.7%
(4)下肢切断 マイナス51.4%
(5)末期腎不全 マイナス28.3%



こんにちは。

「失明」や「足切断」 に関しては、日本の統計がないので
合併症発症率を米国と比較することはできません。
一方人工透析患者数、糖尿病患者数、糖尿病からの透析数の統計があったので
併せて糖尿人の透析有病率を検討してみました。

その結果、日本の糖尿人の透析有病率が右肩上がりで上昇していることが、
判明しました。
1990~2010年にかけての20年間で、0.27%から1.2%ですから
4倍以上に増加です。

一方、新規透析発症率は低下していると思われるので
現在検証中です。


江部康二
人工甘味料の許容量は?
【17/11/09 たーぼう
詳しくありがとうございます!
安心して糖質制限を続けようと思います!
あとちなみに豚肉の食べすぎ、
ゼロカロリー飲料水も良くないと言われましたがその理由は何故でしょうか?
コーラゼロや豚肉はよく口にしているので気になります。】



こんばんは。
たーぼうさんから、豚肉の食べ過ぎ、ゼロカロリー飲料水(人工甘味料)について
コメント・質問を頂きました。

豚肉など赤肉については、後日記事にします。


ゼロカロリー飲料水に使用されている人工甘味料の許容量に関して、
考察してみます。

確かに人工甘味料に関してネガティブなことを書いているサイトが多くて
気になりますよね。

結論から言えば、私はそれほど気にしていません。

まず、果糖ブドウ糖液化糖は、血糖値を上昇させますが、
アスパルテームなどの人工甘味料は血糖値を上昇させません。
この点などに関して、果糖ブドウ糖液化糖は人工甘味料より
現実の飲料においてはるかに危険がいっぱいです。


基本的に厚生労働省やFAO/WHOの指針を守っていれば、
人工甘味料は、適量以内なら大丈夫と思います。

私自身も、サントリーオールフリーをよく飲んでいます。

オールフリーの栄養成分
麦芽、ホップ、香料、酸味料、カラメル色素、酸化防止剤(ビタミンC)、苦味料、
甘味料(アセスルファムK)

人工甘味料のアセスルファムKが含まれていますが、
オールフリー350ml缶を3本/日くらいならなんの問題もないと思います。

さて、まず人工の添加物に対する無毒性量という基準があります。

無毒性量というのは「これ以上食べると毒になる」という量の2分の1の量のことです。

無毒性量を、さらに安全係数100で割ったものが1日許容摂取量(ADI)です。

例えばスクラロースは、

厚生労働省のホームページ
http://www.ffcr.or.jp/Zaidan/mhwinfo.nsf/0/06717d18e8757f2b4925672e0026538a?OpenDocument


に、動物実験の結果などが詳しく載っています。

これによるとスクラロースは、無毒性量が1500mg/kg体重/日です。

そうすると1日許容摂取量(ADI)は15mg/kg体重/日

日本人のショ糖の平均摂取量(35.0g)を、全てスクラロース(ショ糖の600倍の甘さ)に置き換えたとして
計算される1日推定摂取量は、58.3mgとなります。

日本人の平均体重50kgで除すると、1日あたり1.17mg/kg体重を摂取することとなります。

これは、ADI:15mgの、12分の1ですね。

このページにケーキや飲料水などにおける使用基準も記載してあります。

例えば清涼飲料水は1kgにつき0.40g以下が使用基準です。

体重が50kgの人の1日許容摂取量(ADI)は750mgです。

ダイエット飲料に1kgにつき0.4gの上限のスクラロースが含まれているとしたら
1875ccを飲むと、調度750mgですね。

他の人工甘味料は調べていませんが、350ml缶で3本(1050ml)くらいまでなら、
まず1日許容摂取量(ADI)を超えることはないと思います。

より詳しくは、厚生労働省のサイトや、
下記のJECFAのサイトで自分でお調べいただければ幸いです。

各添加物の安全性に関しては、

JECFA安全性評価-指定添加物のサイト
http://www.ffcr.or.jp/zaidan/FFCRHOME.nsf/pages/JECFA-ADI-D07


を見ると、あいうえお順で、
人工甘味料を始めとしてほとんどの添加物が記載されています。

なお、ラカントSの主成分である
糖アルコールのエリスリトールはJECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門委員会)により『安全性が十分に高いので、1日摂取許容量は定める必要がない(ADI not specified)』との評価を受けており、その安全性は世界的にも認証されています。(1999年6月)


江部康二
忘年会シーズンを前にして、アルコール摂取の問題点、適量は。
こんばんは。
そろそろ忘年会のシーズンが近づいてきて
読者の糖質セイゲニストの皆さんも、アルコールの適量とか
気になると思いますので、少し考察してみます。

アルコール1gは約7kcalの燃焼エネルギーを有し、
摂取時の利用効率は70%ていどと推定されています。

一方、糖尿病専門医研修ガイドブック 改定第4版 81ページの記載によれば、
アルコールは体重増加作用がないので、
お酒のカロリーは計算しなくてもよいと思います。

世界がん研究基金2007年の勧告では、アルコールの推奨量は、
男性は1日2杯、女性は1日1杯までとしています。
1杯はアルコール10~15グラムに相当します。

米国糖尿病学会は、
アルコール24g(30ml)/日を食事と共に摂る程度なら適量としていますが、
ビール(5%)600ml、
ワイン(15%)200ml、
ウイスキー(43%)70mlに相当します。

国際がん研究機構(IARC)における評価では、
アルコール飲料はヒトに対し発がん性があると結論づけられており、
部位別には口腔、咽頭、喉頭、食道、肝臓、大腸、乳がんのリスク要因とされています。

それから、過度のアルコール摂取は、
肝細胞内での脂肪酸からの中性脂肪の過剰合成を引き起こします。

その一部は肝臓外へ分泌されて高中性脂肪血症の原因となり、
一部は肝細胞内に蓄積されて脂肪肝の原因となります。
こちらも要注意ですね。

糖質制限食OKの、焼酎やウィスキーなど蒸留酒や、糖質ゼロ発泡酒は
確かに血糖値は上げませんが、過量であれば肝臓や膵臓の負担になります。
急性膵炎の元凶は過度の飲酒ですし、
アルコール性肝障害も、肝硬変や肝がんのもととなります。

私自身のお酒の摂取量ですが、平均的には、糖質ゼロ発泡酒350mlを1缶、
その後、焼酎の水割りを3~5杯です。
焼酎は25%の濃さで、720mlが3日間で空くくらいのペースです。

あるいは、糖質ゼロ発泡酒350mlを1缶と赤ワインを1/2本とかです。

外で飲食のときは、焼酎の水割りを5~6杯のこともあります。

25度の焼酎が720mlなら、アルコールそのものは180ml含まれています。

従って、私は毎日60~75ml以上のアルコールを摂取していますので、
世界がん研究基金や米国糖尿病協会の「適量」は、
確実にオーバーしています。( ̄_ ̄|||)

言い訳としては、私は必ず定期的に採血して、
肝機能検査をしています。
今までのところ、幸い、人生で1回も肝機能異常がでたことはありません。
もし、肝機能異常が万一出現すれば、即量を大幅に減らそうと思っています。

上述のようにアルコールには発ガン性や脂肪肝、
はたまた、急性膵炎やアルコール性肝障害のリスクも指摘されていますので、
各自が自己責任で自己管理で、
適量!?の飲酒ということになるでしょうか? (^^)



江部康二
各糖質制限食のスタンス。釜池式、高雄病院式、山田式。荒木式、MEC食。
【17/11/07 すもも
解禁日?
いつも、貴重な情報をありがとうございます。
今年の2月よりスーパー糖質制限を行い、
Hba1cが11から5.2へと、生還いたしました。
本当に江部先生のブログに出会えたことを感謝しています。

で、最近心が緩んでおります。
様々な(いちよ)糖質制限推進派の意見として、
週に一回の糖質解禁日…などと言う甘言に流されそうな自分自身が。
もちろん、江部先生のブログは欠かさず拝見しておりますし、
食後高血糖や高低のスパイラルも理解しております。
それでも、週に一回もしくは、
月に一回くらいなら…と自分を甘やかしそうな気持ちが、時折わいてしまいます。
糖尿人か、自己責任のなどの考えによるとは思いますが、
江部先生の解禁日に対する考えをお聞きしたく、コメントさせていただきました。
スーパー糖質制限を推奨されている、江部先生には、
大変失礼な質問かとは思いますが、よろしければご回答よろしくお願いいたします。】



すもも さん

HbA1cが11%から5.2%とは、素晴らしい改善です。
糖質制限食を上手に実践されているのでしょう。

糖質制限食は、美味しく楽しく末長く続けることが大切です。
毎日糖質三昧に比べれば、1/週とか1/月とか糖質摂取なら、おおいにましです。
そういうとき、可能なら、グリニド系薬かα-GI薬、
或いはその両者を食直前30秒に内服して
食後高血糖をできるだけ抑えるようにすればいいですね。

私は多数の糖尿人を診察していますが、きっちりスーパー糖質制限食を実践されて、
血液検査データ全て正常で、合併症なしの方も、おられます。

私自身も2002年以来、焼酎飲んで、肉や魚貝を食べて、
卵にチーズに豆腐に野菜・海藻・茸を食べて、モリドルチョコ、
糖質制限ピザ、糖質制限ケーキ・・・を食べて、美味しく楽しく、
そしてきっちり長くスーパー糖質制限食を続けています。
勿論、内服薬なしで合併症もなしです。

私はつらくないから、末長く糖質制限食を続けることができると思います。
しかしながら、人はなかなか弱いものです。
「わかっちゃいるけど、やめられない」人もまた結構おられます。

私の患者さんでも、どうしても糖質がやめられない人もおられます。
私は糖質制限食の先達の医師として、糖尿病患者さんに、
最良の糖尿病食事療法である糖質制限食を説明して、
糖尿病のコントロールの仕方を指導するのがお仕事です。

糖尿病合併症の話もして、
それを防ぐことができるのは糖質制限食だけであることも説明します。

それを患者さんが受け止めて理解してどう実践するかは、患者さん自身の仕事であり、
私の仕事ではありません。
ですから、私は決して押しつけることはありません。


もちろん
1)スーパー糖質制限食
2)スタンダード糖質制限食
3)プチ糖質制限食
のなかで、
1)が一番効果があることは明らかですのでそれを薦めます。
しかし患者さんによっては、1)ができない人もいます。
そのようなときは、2)でも3)でもいいです。

糖質制限食は、やらないよりやった方が、例えどのタイプであれ、
糖尿病学会推奨のカロリー制限食(高糖質食)よりは、はるかにましなのです。

私は、ぬるいかもしれませんが、そういうスタンスの医師です。
皆さんが、糖質セイゲニストで優秀な患者さんだったら
糖質制限な医師はとても楽なのですが、現実はそうはいきません。

また、話のしやすい対等感覚の医師もいれば、
残念ながら上から目線の相談しにくい医師もいるのが現実です。

私に関しては、対等感覚の医師を目指しているので、
このブログへのコメント・質問も糖質制限食に関することなら、
初歩的なことも含めて大丈夫、OKです。
反復して似たような質問があっても、
またそれがブログ読者の皆さんの復習になるし新たな勉強にもなります。
糖質制限食に関する知識をインターネットで世界中で共有できて・・・。
それが、私自身の貢献感にもなりますので・・・

さて、日本で実践されている糖質制限食には

A)高雄病院のスーパー糖質制限食(1回の食事の糖質量20g以下)
B)山田悟先生の緩い糖質制限食(1回の食事の糖質量30~40g)
 最近は(1回の食事の糖質量20~40gで3食食べ、それとは別に間食を1日あたり10g)
C)釜池豊秋先生の糖質ゼロ食(1日1食で、夕食、糖質は5g以下)

α)荒木裕先生の断糖食
β)渡辺信幸先生のMEC食

などがあり、1回の糖質摂取量設定に違いがあります。

それでは、各糖質制限食のスタンスはどう違うのでしょうか?

まず、A)B)C)について検討してみます。


1)継続し易さと普及に関する配慮

継続し易さ、普及という面からは、普通に考えてB)が一番楽です。

A)はそれに、次いで楽ですし、当初から「スーパー」「スタンダード」「プチ」といったラインナップが設定されていて、最近は「緩やかな」という選択肢もあるので、継続し易さと普及ということを重視しているわけです。

C)は、ベストと思う食事療法をストイックに実践するという求道者のスタンスであり、継続し易さや普及ということは、優先順位としては全く考慮されていません。

つまりC)はやりたい人やれる人が実践すればよいのであって、やりやすくするというスタンスは皆無です。

従って、A)B)の立場の糖質セイゲニストとC)の立場の求道者とは、いくら話し合っても折り合いがつくことは不可能ですので、私も無駄な努力をするつもりはありません。

2)食後高血糖改善効果

食後高血糖改善効果はC)が一番高いです。

A)がその次でB)はかなり劣ります。

C)なら、食後高血糖はほとんどありません。

A)は、臨床的に合併症予防ができるレベル、食後1時間血糖値180mg/dl未満、食後2時間血糖値140mg/dl未満達成を目指していて、ほとんどの場合それが可能です。

B)は食後1時間血糖値180mg/dl未満、食後2時間血糖値140mg/dl未満を達成することは、困難な糖尿人が多いと思いますが、従来の糖尿病食(高糖質食)よりはましです。

3)追加分泌インスリン

C)は耐糖能正常型の人でも、インスリン追加分泌はごくごく少量です。
A)は耐糖能正常型の人の場合でもインスリン追加分泌は2~3倍レベルですみます。
B)は耐糖能正常型なら、追加分泌インスリンは10倍~20倍レベルでます。

インスリンは人体に絶対必要であり、基礎分泌インスリンがなければヒトは死にます。

しかし、インスリンには発ガンリスクやアルツハイマー病のリスクがあるので、少量ですむにこしたことはないのです。

従って、B)の場合は、野放しの高糖質食に比べればましですが、インスリン過剰のリスクがあるていどあることになります。

A)の場合は、人類700万年間の狩猟・採集時代に、野生の果物、ナッツ類、根茎類を食べたレベルと同程度の追加分泌インスリンなので許容範囲と思います。

4)問題点

B)は、インスリン分泌が多いこと以外にも、食後高血糖と平均血糖変動幅増大という酸化ストレスリスクに関しては、効果が弱いので問題と言えます。

C)は、始めにくいこと、継続しにくいこと、普及しにくいことが問題点です。

5)考察

A)の場合、C)よりは治療効果は若干劣りますが、殆どの糖尿人において、合併症予防という観点からは、問題ないと思われます。

体重減少効果も同様であり、「継続し易さ」「普及」「治療効果」においてバランスのとれた食事療法と言えます。

B)は、「継続し易さ」「普及」は優れていますが、肝腎の治療効果が劣ることと、食後高血糖と平均血糖変動幅増大という問題点を抱えています。

C)は、始めにくいこと・継続しにくいこと・普及しにくいことという弱点がありますが、治療効果は抜群ですので、ビタミンCの摂取に留意して、個人的にやれる人はやればいいと思います。

結論として、自画自賛になりますが、高雄病院のスーパー糖質制限食が一番バランスがいいのかなと思います。(^^) 

一方、山田悟先生の緩い糖質制限食や釜池豊秋先生の糖質ゼロ食も、役割分担という視点に立てば、対立するというよりも、一人一人の嗜好やニーズに応じて、相補的なものと思います。

A)B)C)の3者ともに、日本糖尿病学会推奨の従来の糖尿病食(高糖質食)に比べれば治療効果ははるかに高いのですから。

6) α)とβ)について
α)の荒木式は、ほぼスーパー糖質制限食に近いと思います。

ただ、ビールに関して、麦芽とホップだけの本物のビールは呑んでもよいとされていますが、糖質含有量は、米・コーン・スターチが含まれている普通のビールと同じだけあるので、勿論NG食品です。

β)のMEC食も、基本的にはスーパー糖質制限食に近いと思います。

一日に摂るべき食品はM(お肉)・E(卵)・C(チーズ)の三点で、これらをしっかり食べて、その上でさらに食べたいと思ったら他の食品(糖質を含む)も適度にOKということです。

あとは、一口、30回は噛んで食べようということです。

ビタミンCと食物繊維の摂取に注意すれば、MEC食もOKと思います。

ただ糖質を多く摂取すれば当然食後高血糖となるので、注意が必要です。


江部康二
糖質制限食の長期的予後は?
【17/11/06 たーぼう
いつも参考にさせてもらってます
ブドウ糖負荷試験で200超えがあり、糖尿病に近い予備軍と言われ、
主治医は食べ順のみの指導なので先生の本などを参考に独断で糖質制限をしています。
先日病院で検査してヘモグロビンa1c5.3でした。
主治医は糖質制限は長く続けると良くないと言いますが何故でしょうか?
私は内緒で糖質制限をしています。】


たーぼう さん

糖質制限で、HbA1cが5.3%とは、素晴らしいです。
結論から言えば、糖質制限は長く続けても大丈夫です。
例えば、江部康二は2002年から、15年間スーパー糖質制限食を続けています。
薬は一切なしで、67歳現在、合併症もなく元気です。

糖質制限食を長く続けると総死亡率が上昇するというような結論の
論文もありましたが、いずれも信頼度の低いものでした。
例えば、2013年1月の能登論文がそうです。

『糖質制限食の長期的予後はいいのか良くないのか』

という疑問に関しては、米国糖尿病学会の見解を
経年的に追っていけば、自ずから明らかとなります。

<米国糖尿病学会の糖質制限食に関する見解>
1) 2007年までは、全面否定
2)2008年からは、肥満のある2型糖尿病患者に1年間の限定つきで許可。
3)2011年からは、肥満のある2型糖尿病患者に2年間の限定つきで許可。
4)2013年10月、正式に容認。


このような、経過をみていると、糖質制限食に有利な研究論文が、
経年的に蓄積されていき、徐々に容認されていき、
全面否定から6年後には正式容認となったプロセスが理解できます。

特に2013年10月の
「成人糖尿病患者の食事療法に関する声明(Nutrition Therapy Recommendations for the Management of Adults With Diabetes)」では、全ての糖尿病患者に適した唯一無二の食事パターンは存在しないとの見解となりました。
そして、患者ごとにさまざまな食事パターン(地中海食,ベジタリアン食,糖質制限食,低脂質食,DASH食=Dietary Approaches to Stop Hypertension〈高血圧を防ぐための食事方法〉)が認められるとしています。
ここで、糖質制限食がとうとう、肥満とか有効期限とかに関係なく、
正式に認められたわけです。

勿論、糖質制限食に否定的な能登論文なども含めて、
数多くの論文を検証しての正式容認なので、
長期的予後も含めて、有効性と安全性が米国糖尿病学会により担保されたと言えます。

「成人糖尿病患者の食事療法に関する声明」は重みのあるものであり、
数年間かけて選ばれた改訂委員数人が相談して決定していきます。
この改訂委員の一人に、デューク大学のヤンシー先生が選ばれていました 。

デューク大学では、2008年から、
炭水化物を20g/日未満に制限する「糖質制限-ケトジェニック食」(ケトン食)
を臨床に用いています。

従って、130g/日以下の糖質摂取量であれば、定義的に糖質制限食と言えますが、
20g/日未満の糖質摂取量のデューク大学方式も容認なので
高雄病院のスーパー糖質制限食(20~60g/日)もOKということですね。


江部康二
境界型糖尿病は治る?
【17/11/06 ゆい
タイトルなし
はじめましてこんにちは。
私は今年の7月に境界型糖尿病と診断された高校3年生です。
いつも先生のブログで気になった記事を拝見させていただいています。
母親が糖尿病で脳梗塞になっていることもあり
糖尿病というものが怖くて怖くて仕方ない状態です。
でも医者の指示も割と適当で、運動すれば大丈夫の一点張りです。
(自分で調べて糖質管理は始めたのですが)
そこで質問です。
医師に境界型は療法さえちゃんとできれば完治するといわれました。
ネットで見てみると完治すると言う人と完治しないと言う人両方がいます。
完治すると言われたところで完治したとしても気を抜く気はサラサラないのですが、
本当のところはどうなのか知りたいです。
完治すると言われれば目標として頑張っていけるので
もしよろしければご解説お願いします。】



こんにちは。

ゆいさんから
境界型糖尿病について、コメント・質問を頂きました。

まず境界型糖尿病が治るか否かについて、検討してみます。

境界型糖尿病(IGT:食後高血糖タイプ)と糖質制限食の効果に関しては、
新潟労災病院(当時)の前川智先生の以下の論文があります。

<糖質制限食と耐糖能に関する研究論文>
1)
新潟労災病院消化器内科部長前川智先生の論文
「耐糖能異常に対する低炭水化物食の効果に関する後ろ向き研究」
Diabetes, Metabolic syndrome, Obesity, Target and Therapy
(ニュージーランドの英文雑誌)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4063858/ → ここで全文が閲覧可能です。

Diabetes Metab Syndr Obes. 2014; 7: 195–201.
Retrospective study on the efficacy of a low-carbohydrate diet for impaired glucose tolerance
Satoshi Maekawa,1 Tetsuya Kawahara,2 Ryosuke Nomura,1 Takayuki Murase,1 Yasuyoshi Ann,1 Masayuki Oeholm,1 and Masaru Harada3

12ヶ月間の低炭水化物ダイエット(120g/日の糖質)により、
境界型糖尿病36名中25名(69.4%)が、OGTTで正常化。
11名(30%)は境界型(IGT)のまま。
糖尿病発症は0名(0%)。

対照群(普通食)36名中、3名(8%)が正常化。
28名(78%)は不変でIGTのまま。
5名(14%)が糖尿病発症。


糖質制限食実践により、1年後、境界型糖尿病の耐糖能が69%も正常化していて、
対照群に比べて素晴らしい成果です。

1日の糖質摂取量を120gに設定したのが糖質制限食グループです。
1回の食事の糖質量が40gですから、緩やかな糖質制限食ですね。
それでも、見事に改善しています。
普通食のグループは、200~240g/日くらい糖質を摂取しています。

境界型糖尿病(IGT:食後高血糖タイプ)と糖質制限食に関する論文は、
世界的にもほとんど見られず、極めて貴重な論文と思います。

緩やかな糖質制限食で耐糖能が境界型から正常型に改善した人達は
そのまま続ければ、正常型をずっと維持できると思います。

つらくなければ、勿論スーパー糖質制限食でも、大丈夫です。

また、主治医の仰る通り、運動も良いと思います。
女性でしたら、『7000歩/日、そのうち速歩が15分間』で、
健康度が高まると思います。


江部康二
脳と脂肪酸、ケトン体、血液脳関門。脂肪酸も通過できる。
こんばんは。
ケトン体は血液脳関門を通過できるけれど
脂肪酸は通過できないというのがこれまでの定説でした。

私もこれを信じていましたが、きっちり検証した結果
脂肪酸も血液脳関門を通過できると確信しました。

DHAやEPAは有名なオメガ3脂肪酸です。
特にDHAは脳内にもっとも豊富に存在する長鎖不飽和脂肪酸です。
そもそもDHAは血液脳関門を通過できるのです。
DHAを脳内に運び込む輸送体が血液脳関門の内皮に存在することがわかっています。
DHAは脳を元気にする作用があり、とても重要な脳内の物質です。


脳と脂肪酸とケトン体、血液脳関門
①ブドウ糖、脂肪酸、ケトン体は血液脳関門を通過する。
②脂肪酸はアストロサイトではミトコンドリア内でβ酸化されてエネルギー源となる。
③アストロサイトで脂肪酸を原料にしてケトン体をつくりそれが神経細胞のエネルギー源となる。
④神経細胞では、脂肪酸は細胞膜の原料となりエネルギー源としては使われない。
⑤脳はブドウ糖とケトン体をエネルギー源として利用する。



福田一典先生のサイト 
http://blog.goo.ne.jp/kfukuda_ginzaclinic/e/5f3a62cb8fc7657952f9ae49bdc00e96

に脂肪酸、ケトン体、血液脳関門のことが記載してあるので
ご参照いただけば幸いです。
福田一典先生、ありがとうございます。


脳循環代謝 26:67~75,2015 
高橋慎一 慶應義塾大学神経内科
70-72ページ 2.脂肪酸代謝におけるアストロサイトのケトン体合成と神経保護作用
file:///C:/Users/%E6%B1%9F%E9%83%A8%E5%BA%B7%E4%BA%8C/Downloads/%E3%82%A2%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%88%E3%80%82%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%80%82%E3%82%B1%E3%83%88%E3%83%B3%E4%BD%93%E3%80%82%20(3).pdf


また上記の高橋慎一先生の論文でも、
脂肪酸代謝におけるアストロサイトのケトン体合成と神経保護作用
という項のなかで
「・・・ケトン体に関して、脂肪酸をもとに脳内では
アストロサイトで合成され、『内因性ケトン体』として
ニューロンで利用される可能性あり。
ケトン体に神経保護作用があることは古くから知られており、
アストログリア(アストロサイト)由来のケトン体合成は
虚血性神経障害の病態修飾に重要な働きを持つと考えられた。・・・」
といった記載があります。
アストロサイトは、脳の血管基底膜に突起を接して血液脳関門を血管内皮とともに構成しています。
アストロサイトは血液脳関門を構成していますが、脳の中の細胞です。
すなわち、脂肪酸は血液脳関門をごく日常的に通過するということです。


江部康二
日野原重明先生の食生活。100歳の時の随筆から。糖質制限は?
こんばんは。

日野原重明先生の食生活を、
100歳の時の随筆から考察させて頂きました。

胃を切った人・胃腸のリハビリ情報誌 1月号 第355号
平成24年(2012年)1月15日発行
ALPHA CLUB 掲載の
聖路加国際病院理事長時代の日野原重明先生100歳時の随筆「健康で輝いて生きるコツ」


上記から、一部を抜粋して記事にさせて頂きました。

100歳の時に日野原重明先生は、
毎週、聖路加国際病院で、研修医などの教育回診を行い、
また、500名以上の聴衆が集まる講演会を全国で1年に130回以上行っておられました。
そして、小学生に「いのちの授業」を10日に1回、実施しておられました。
そして、それらができる秘訣は、
食事、睡眠、運動、脳の活性化であると述べておられます。



食事としては、毎日1300lkcalに制限する。内容は、たん白質は60歳代の人並みにとる。
朝はオリーブオイル15ccをアップルジュースに混ぜて飲む。
牛乳カップ1杯に大豆から採ったレシチンを茶さじ3杯混ぜて飲む。
それにバナナ1本。
あとは砂糖なしのコーヒーを1杯。
昼食は牛乳1杯、クッキーを3枚のみ。
クッキーは甘くないクッキーだそうです。
夕食は800kcalとする。脂肪のない牛肉ステーキ90gを週2回、魚を週5回、
緑黄色野菜を大皿1杯、特に長寿のビタミンBといわれるブロッコリーを3個とる。
これにオリーブオイルのドレッシングをかける。
ご飯、または糖質は制限し、ご飯は3分の1杯に止める。
食後の果物は、カロリーの低い物をとる。

朝食:バナナ1本は約20gの糖質。牛乳は約5g。アップルジュースは約糖質12g。
昼食:牛乳の糖質が5g。クッキー3枚が糖質約17g。
夕食:ご飯1/3杯は、約18gの糖質。カロリーの低い果物で、5gくらいの糖質。
   緑黄色野菜サラダの糖質約5g。


1日合計87g(348kcal)の糖質摂取となります。
1日に合計1300kcalですので、糖質の摂取比率は約26.8%です。
クッキーは甘くないものなので砂糖使用が少ないものと考えられ、
もう少し糖質は少ない可能性があります。
ともあれ、1日130g以下の糖質摂取量であり、摂取エネルギー比率も26.8%なので
定義的にも、ご本人の仰っておられた通りで、糖質制限食と言えますね。


睡眠は、午前0時半までに床に就き、午前6時半起床。腹臥位で眠る。


運動は、ジムなどに行く時間がないので、2回へのエスカレーターには乗らず、
階段を上る。
万歩計を付け、1日の歩数を2000歩以上、できれば5000歩以上にする。
体重は毎日測定し、30歳のときの体重を保ち、腹囲は85cmにとどめる。


脳の活性化については、
世界的な哲学者マルチン・ブーバーは
「老いることも、また楽しからずや、創(はじ)めることを忘れなければ」
という言葉を残している。
ということで、常に新しい何かを始めようという姿勢を持ち続けることを
モットーとしておられました。



日野原重明先生は、2017年7月18日、105歳で逝去されました。
心からご冥福をお祈り致します。


江部康二
糖質制限食実践時の血糖値の上昇。色素性痒疹は改善。
【ケト子
低糖質食で血糖値上昇
先日色素性痒疹についてアドバイスをいただきありがとうございました。
摂取カロリーを増やして体重1kg増。色素性痒疹も随分良くなりました。

どうしても自分の食後血糖値が気になり血糖値測定器を購入して調べてみたところ、食前 74 mg/dl、食後1時間 104 mg/dl、食後2時間 86 mg/dlという結果でした。この時に食べたものは豚肉約100g、鶏肉約140g、ブロッコリー約200gで塩コショウのみの味付けです。食後1時間で140 mg/dlを超えていないので江部先生が定義されるグルコーススパイクではないと思います。糖質をかなりおさえた食事で30 mg/dlの上昇をどのように解釈すれば良いでしょうか。 】



こんにちは。

ケト子さんから、
糖質制限食実践時の血糖値の上昇について、コメント・質問を頂きました。
また、色素性痒疹が摂取カロリーを増やして体重が1kg増加して、随分良くなったとご報告頂きました。
色素性痒疹に関しては、(☆)をご参照頂けば幸いです。

さて、「バーンスタイン医師の糖尿病の解決」によれば
体重64kgの2型糖尿病患者で、1gの糖質が約3mg血糖値を上昇させます。
バーンスタイン医師のような1型糖尿病患者だと、1gの糖質が約5mg血糖値を上昇させます。
勿論、個人差はあります。

体重が40kgの人だと、<3mg × (64kg/40kg)> = 4.8mg
1gの糖質が、約4.8mg血糖値を上昇させる計算になります。

豚肉100g:糖質は0.1g
鶏肉140g:糖質は0g
ブロッコリー200g:糖質は1.6g
合計で、1.7gの糖質量です。

体重が少なめで、1gの糖質が5mg血糖値を上げると計算しても8.5mgですから
30mg上昇にはなりません。
個人差で、ケト子さんの場合は1gの糖質がもっと血糖値を上昇させる可能性があります。

あとは、タンパク質摂取で「グルカゴン分泌 > インスリン分泌」のタイプは
あるていど、タンパク質摂取で血糖値が上昇します。

体重57kgの、
2型糖尿病の人にささみ200g(タンパク質が46g、糖質はゼロ)だけを食べて、
実験して頂いたところ
60分後のピークで12mg血糖値が上昇しました。
「グルカゴン分泌 > インスリン分泌」のタイプだと考えられます。

ケト子さんも
「グルカゴン分泌 > インスリン分泌」のタイプで、
タンパク質摂取もあるていど、血糖値を上昇させるのだと思います。


(☆)<色素性痒疹>
①色素性痒疹は、糖質制限食で生じるのではない。
②色素性痒疹は、低カロリー過ぎる食事に対する身体の反応である。
③低カロリー過ぎる食事で、色素性痒疹が生じるか否かは、個人差である。
2017年10月23日 (月)の本ブログ記事
「色素性痒疹と極端な低カロリー食ダイエット。糖質制限食は無関係。」
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4366.html
をご参照頂けば幸いです。


江部康二
人体の臓器や細胞のエネルギー源は何?2017年11月、整理版。
こんばんは。

人体のエネルギー源として

A)脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム
B)ブドウ糖-グリコーゲンエネルギーシステム


があります。

ほとんどの細胞が、A)B)をエネルギー源として使用しています。

ケトン体は肝細胞内で、
「脂肪酸→β酸化→アセチルCoA→ケトン体」
という順番で誰においても日常的に生成されていて肝臓では使用されずに、
他の臓器、脳や筋肉のエネルギー源として供給されます。


A)B)以外の例外のエネルギー源として、グルタミンと短鎖脂肪酸があります。

C)グルタミン
D)短鎖脂肪酸

小腸はグルタミンが主たるエネルギー源です。
グルタミンが50~60%、ケトン体が15~20%、ブドウ糖は5~7%とごく少ないです。
グルタミンは血中に最も多く含まれている遊離アミノ酸です。

大腸は、短鎖脂肪酸しか、エネルギー源として使いません。
大腸は腸内細菌が、食物繊維を分解して作った短鎖脂肪酸をエネルギー源として利用しています。
また体内で産生された短鎖脂肪酸もエネルギー源とします。



さて、A)B)がエネルギー源となっているほとんどの細胞について整理してみます。

キーワードは、ミトコンドリアです。

ミトコンドリアは細胞内にあるエネルギー生産装置です。
赤血球以外の全ての臓器や組織は細胞内にミトコンドリアを持っています。

ミトコンドリアがあると、TCAサイクルを回して、脂肪酸やケトン体をエネルギー源として利用することができるのです。
血液脳関門は、脳細胞の毛細血管にあり、脳細胞を物理的かつ化学的に守っています。

1)赤血球
 ミトコンドリアを持っていないので、「ブドウ糖」しかエネルギー源として利用できません。
 人体でミトコンドリアを持っていないのは、赤血球だけです。

2)脳
①ブドウ糖、脂肪酸、ケトン体は血液脳関門を通過する。
②脂肪酸はアストロサイトではミトコンドリア内でβ酸化されてエネルギー源となる。
③神経細胞では細胞膜の原料となりエネルギー源としては使われない。

 従って、脳は「ブドウ糖+ケトン体」をエネルギー源として、利用します。

3)筋肉・内臓・脂肪など、ほとんどの体組織

 ミトコンドリアを細胞内に有しているので、
「ブドウ糖+ケトン体+脂肪酸」をエネルギー源として 利用します。
興味深いのは、主たるエネルギー源はケトン体と脂肪酸であることです。

「ハーパー・生化学」(原著27版)の訳本、155ぺージ・図16-9の説明に、
「心臓のような肝外組織では代謝エネルギー源は次の順に好まれて酸化される。
(1)ケトン体.(2)脂肪酸.(3)グルコース」

との記載があります。


4)肝臓
 肝細胞のなかで、ケトン体が生成されますが、肝細胞自らはケトン体を利用せず、
血中に送り込んで他の 組織に供給します。
 従って肝細胞は 「ブドウ糖+脂肪酸」をエネルギー源として利用します。

小腸がグルタミンを主たるエネルギー源にしているのは、食べものを消化吸収したとき、
ブドウ糖や脂肪酸などは他の臓器に供給するためと思われます。

これは、最も効率のよいエネルギー源であるケトン体を、
自らは使用せずに他の臓器に供給する肝臓と同じ趣旨と思います。

人体の臓器や細胞のエネルギー源、
脳に関してもかなり整理整頓できたと思います。 (^_^)


江部康二
日本糖尿人の透析有病率経年的推移、右肩上がりで増加!発症率は減少か。
touseki.jpg

 日本糖尿病患者数 年末患者糖尿病腎症透析数  糖尿人透析有病率

1990   560万人      DMからの透析は15391人   糖尿人の0.27%

1997    690          DM、39949人            0.58% 

2002   740           DM、64500人            0.87%  

2007   890           DM、91930人             1.03% 

2012   950万人         DM、115012人         糖尿人の1.2% 



日本糖尿病学会『第56回日本糖尿病学会年次学術集会』熊本宣言2013
『糖尿病合併症で苦しむ患者さんの数は今なお減少していません。
糖尿病腎症で透析になる人が年間16000人以上。
糖尿病網膜症で失明する人が年間3000人以上。
糖尿病足病変で切断する人が年間3000人以上。』



米国では、1990~2010年にかけての20年間で、
(1)急性心筋梗塞 マイナス67.8% 
(2)高血糖症による死亡 マイナス64.4% 
(3)脳卒中 マイナス52.7%
(4)下肢切断 マイナス51.4%
(5)末期腎不全 マイナス28.3%



こんにちは。

「失明」や「足切断」 に関しては、日本の統計がないので
合併症発症率を米国と比較することはできません。
一方人工透析患者数、糖尿病患者数、糖尿病からの透析数の統計があったので
併せて糖尿人の透析有病率を検討してみました。

その結果、日本の糖尿人の透析有病率が右肩上がりで上昇していることが、
判明しました。
1990~2010年にかけての20年間で、0.27%から1.2%ですから
4倍以上に増加です。

一方、新規透析発症率は低下していると思われるので
現在検証中です。





江部康二