『…1回の食事において「大豆製品と豆腐」「緑黄色野菜」「淡色野菜」「藻類」「牛乳・乳製品」の摂取量が多く,「米」の摂取量が少ない食事パターンは,認知症発症のリスクを有意に低下させることが示された。・・・』(☆☆)
こんにちは。
10時間以上の絶食で、
早朝空腹時のインスリン値、
検査することで、インスリン分泌指標、
計算式で出すことができるので
今回は、それらを整理してみました。
【SUIT指数】と【C-ペプチドインデックス(CPI)】
は、あまりなじみがないかもしれませんが、
役に立つと思います。
インスリン分泌指標
【HOMA-β】
HOMA-βは内因性インスリン分泌機能を推定する指数です。
HOMA-βは、空腹時血糖値と空腹時インスリン値で計算するの
経口血糖負荷試験(OGTT)時の2時間値のインスリン分泌量と
よく相関することがわかっています。
homeostatic model assessment beta cell function
→略してHOMA-β
<HOMA-β=360×空腹時インスリン値(μU/ml)÷(
という式で計算します。
空腹時血糖値130mg/dl以下なら信頼度が高いです。
正常値:40-60
【C-ペプチド】
通常は、血液中のインスリン(IRI)そのものを測定しますが、
インスリン注射中の糖尿人は、C-ペプチド(CPR)というも
IRIの測定は、注射したインスリンの影響を受けますので不正確
CPRの方は、外から注射したインスリンとは無関係の、
内因性インスリンの分泌状態を示しています。
早朝空腹時血中CPRを測定することで、
インスリンの基礎分泌能力がわかります。
蓄尿して一日尿中のCPRを測定することは、
一日の内因性インスリン分泌総量(基礎分泌+追加分泌)の指標と
【SUIT指数】
空腹時CPR(ng/ml)×1485/<空腹時血糖値(mg/
50%以下は軽度、20%以下は顕著なインスリン分泌低下。
30%以下だとインスリン治療が必要。
【C-ペプチドインデックス(CPI)】
空腹時CPR(ng/ml)×100/空腹時血糖値(mg/dl
1.2以上は正常。0.8以下でインスリン分泌低下。
1.2以上の場合は食事や経口薬治療、0.8未満の場合はインス
空腹時血糖値140mg/dl以上なら、
CPIのほうが、HOM
**C-ペプチド(CPR)
C-ペプチド(CPR)は、
インスリン生合成の過程におけるプロインスリンの分解によって生
インスリンとCPRの分泌動態には平行関係が存在します。
血中・尿中のCPR濃度を測定することにより、
膵ランゲルハンス島β細胞機能、
内因性インスリン分泌能を推測することができます。
インスリン抵抗性指標
【HOMA-R】
HOMA-Rとはインスリン抵抗指数のことです。
<HOMA-R=空腹時血糖値×空腹時インスリン値÷405>
という式で計算します。
homeostasis model assessment insulin resistance
→略して HOMA-R
HOMA-Rが大きいほど、インスリン抵抗性が強いと考えられま
1.6以下が正常で、2.5以上は抵抗性があると考えられます。
空腹時血糖値140mg/dl以下なら信頼度が高いです。
江部康二
今日は、糖質制限食と野菜と果物について考えてみます。
高雄病院の糖質制限食は、狩猟・採集時代の人類700万年の進化の過程で摂取してきたものを基本としています。
従って適切な野菜、適量のナッツ類は必要と考えていますし、少量の果物も許容できると思います。
人類は、700万年の進化の過程で狩猟・採集を生業として突然変異を繰り返しながら、消化管・生理・栄養・代謝などのシステムを完
成させてきました。
この間、考えられる主食の候補としては、肉、魚介類、骨髄、根茎・・・などだったと思うのですが、年間通して野菜(野草)も食べてきたはずですし、四季折々の果物やナッツも食べていたと考えられます。
また、ビタミンCを人類は体内で合成できないので食物から摂取する必要があります。
従って、野草や野生の果物を食べてビタミンCを確保していたと考えられます。
そして食物繊維は大腸の腸内細菌の餌としても必要です。実は腸内細菌が、食物繊維を分解して、大腸の唯一のエネルギー源となる短鎖脂肪酸を生産しているのです。
そう考えると、適量の野菜・果物・ナッツを摂取することは、人体にとって自然なことと思います。
例えば、葉野菜の白菜の糖質含有量が1.9g/100gですから、低糖質食材です。
しかし白菜半玉なら1kgくらいありますので、大食の人が鍋で煮て半玉も食べれば、摂取糖質量は19gになります。野菜でも大食には要注意です。
糖質が少ない野菜は、ブロッコリー、りょくとうもやし、小松菜、春菊、ズッキーニ、チンゲンサイ、ゴーヤ、ほうれん草、レタス、・・などです。
サラダ菜、大豆もやし、マッシュルーム、マイタケは、なんと糖質ゼロです。
なお、ご先祖が食べていた野生の果物は、野いちごや小さな林檎などで、あまおうやふじのような糖度の高い巨大な人工の果物とは全く異なるものなのでこちらも注意が必要ですね。
従って、現代の糖質セイゲニストにおける適量の果物とはアボカド以外は、ごく少量となります。
江部康二
2017年3月21日にアストラゼネカ社から、糖尿病治療薬SGLT2阻害剤の大規模リアルワールドエビデンス試験 「CVD-REAL試験」について、結果が発表されました。
2017年3月19日、第66回米国心臓病学会年次学術集会で発表された研究のプレスリリースです。
『SGLT2阻害剤での治療は総死亡を51%、入院のリスクを39%減少することを示す』
という衝撃的な内容でした。
30万例超の2型糖尿病患者さんを対象とした国際試験ですので、信頼度は高いです。
SGLT2阻害剤での治療は他の糖尿病治療薬(6種類あり)と比較して、心不全による入院率および死亡率を有意に減少させたのですから、素晴らしい効果と言えます。
EPMA-REG OUTCOM試験に続き、SGLT2阻害薬の大規模試験で2回目の衝撃的な成果です。
EPMA-REG OUTCOM試験は、ニューイングランドジャーナルに2015年に研究報告が掲載されました。1)
信頼度の高い研究で、2回とても良い結果がでたので、SGLT2阻害薬は本当に良い薬の可能性が高くなりました。
私も、スーパー糖質制限食でも、早朝空腹時血糖値が正常化しない、年期の入った糖尿人に、最近は積極的に投与して、顕著な効果を得ています。
罹病期間が短い糖尿人なら、薬なしで、スーパー糖質制限食のみでコントロール良好となる場合がほとんどなのですが、罹病期間が長い糖尿人は、一筋縄ではいきません。
現在、SU剤、ビグアナイド剤、αGI剤、グリニド系剤、インスリン抵抗正改善剤、DPP-4阻害剤と、6種類の薬がありますが、いずれも、SGLT2阻害剤のような入院率および死亡率の減少効果はありません。
血糖値を下げるという効果は、7種類の薬全てにあります。
従って、血糖値の改善以外の、SGLT2独自の作用がないとこのような劇的な差は出ません。
EPMA-REG OUTCOM試験の時に、「入院率および死亡率を有意に減少」の作用機序に関して、いろんな仮説が提唱されました。
その中で、イタリア・ピサ大学のFerranniniらと米・カリフォルニア大学サンディエゴ校のMudaliarらは、SGLT2阻害薬投与による臓器保護効果の機序はケトン体であるとしました。2)3)
SGLT2阻害剤内服により、血中ケトン体が一般的な基準値よりはるかに高値となりますが、このケトン体高値そのものが、臓器保護効果を発揮し、短期間で総死亡率や入院率を減少させたという大胆な仮説です。
ケトン体高値という現象に関しては、SGLT2阻害薬以外の他の6種類の薬剤にはありませんので、決定的な違いと言えます。
勿論、私は、この「ケトン体の臓器保護仮説」に大賛成です。
今回の「CVD-REAL試験」の大成功も、「ケトン体高値による臓器保護作用」が効果を発揮した可能性が高いと思われます。
以前も記事にしましたように、SGLT2阻害剤は、「薬物による糖質制限」とみなすことが可能です。
そして、ケトン体高値に、臓器保護作用があるなら、スーパー糖質制限食実践により薬物なしで食事療法だけで、それが可能なわけであり、とても大きなアドバンテージと言えます。
EPMA-REG OUTCOM試験1)
日本を含む世界42か国のハイリスク2型糖尿病患者7,020例が対象。
EMPA-REG OUTCOMEは、米FDAが新規糖尿病治療薬に課している長期投与時の心血管安全性を評価する目的で行われたもの。
対象は、心筋梗塞や脳卒中の既往があり、標準治療を受けている、日本を含む世界42か国のハイリスク2型糖尿病患者7,020例。
降圧薬、抗血小板薬、脂質異常症治療薬などといった標準治療を受けているこれらの症例に、無作為に
①エンパグリフロジン10mg/日投与(n=2345)、
②T同25mg/日投与(n=2,342)、
③プラセボ投与群(n=2,333)
を上乗せで割り付けした3群で評価を行った。
追跡期間中央値は3.1年。
SGLT2投与の2群ではプラセボに比べて、全死亡率が32%減少し、入院率は35%減少した。
1)Zinman B, et al.N Eng J Med 2015;373:2117-2128
2)Diabetes Care 2016;39:1108-1114
3)Diabetes Care 2016;39:1115-1122
江部康二
☆☆☆
以下は、アストラゼネカ社が発表したプレスリリースの日本語訳です。
【https://www.astrazeneca.co.jp/media/press-releases1/2017/20170321.html
アストラゼネカ 糖尿病治療薬SGLT2阻害剤の大規模リアルワールドエビデンス試験 「CVD-REAL試験」の結果を発表
公開日
2017年 3月 21日
本資料はアストラゼネカ英国本社が2017年3月19日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。
SGLT2阻害剤での治療は他の糖尿病治療薬と比較し
心不全による入院率および死亡率を有意に減少
30万例超の2型糖尿病患者さんを対象とした国際試験で
SGLT2阻害剤での治療は総死亡を51%、入院のリスクを39%減少することを示す
アストラゼネカ(本社:英国ロンドン、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)は、糖尿病治療薬SGLT2阻害剤 の治療を受けた2型糖尿病患者さんの、心不全による入院ならびに総死亡のリスクを評価した、最初の大規模リアルワールドエビデンス(RWE)試験「CVD-REAL試験」の結果を、2017年3月19日、第66回米国心臓病学会年次学術集会で発表しました。1
CVD-REAL試験は、世界6カ国30万例超の2型糖尿病患者さんを対象としており、うち87%の患者さんは心血管系疾患の既往歴がありませんでした。同試験では、広範な2型糖尿病患者集団全体において、SGLT-2阻害剤 であるフォシーガ(一般名:ダパグリフロジン、米国での製品名:Farxiga)、カナグリフロジン、エンパグリフロジンによる治療は、他の糖尿病治療薬による治療と比較して、心不全による入院率を39%(p<0.001)、総死亡率を51%(p<0.001)減少したことが示されました。また、心不全による入院と総死亡の複合評価項目の減少率は46%(p<0.001)でした。1
糖尿病に罹患している成人患者さんは、世界中で4億1,500万人にのぼり、2040年までには6億4,200万人(成人の10人に1人)2 に増加すると推定されています。2型糖尿病患者さんの心不全のリスクは通常の人より2~3倍高く、また、心臓発作および脳卒中の高いリスクに晒されています。2型糖尿病患者さんの死因の約50%が心血管疾患です。3,4,5
アストラゼネカのバイスプレジデント兼グローバルメディカルアフェアーズ本部長であるBruce Cooper医学博士は、「糖尿病患者さんが世界的に増えていますが、糖尿病は、高い入院費用を負担するリスクや死亡の危険性を伴う合併症を起こします。6,7今回この試験によって得られたリアルワールドデータが、比較的新しいSGLT2阻害剤クラスの薬による治療で、心不全による入院率や死亡率を約半分に減少するという、興味深いエビデンスを示しました。CVD-REALは、これまで臨床試験で対象とした2型糖尿病の患者さん群よりも、より広範でリスクが低い患者さん群における、SGLT2阻害剤治療の影響を評価した、最初の試験です」と述べました。
心不全による入院率の解析は、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、スウェーデン、英国および米国の患者さんの匿名データを用いたもので、使用されたデータの内訳は、フォシーガ(ダパグリフロジン)投与が全患者さんのうちの41.8%、カナグリフロジン投与は52.7%、エンパグリフロジン投与は5.5%でした。一方、総死亡率の解析は、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、英国および米国の患者さんの匿名データを用い、使用されたデータの内訳は、フォシーガ(ダパグリフロジン)投与が全患者さんのうち51.0%、カナグリフロジン投与が42.3%、エンパグリフロジン投与が6.7%でした。
今回の解析結果は、CVD-REAL試験の最初の比較解析結果です。RWEデータの収集は継続しており、今後今回と同じ対象国の解析データセットを採用するだけでなく、他の国々のデータを加えるなどして、複数の解析が実施される予定です。本試験に用いられる解析データは、診療記録、苦情データベースおよび国内登録など、実臨床の情報源から入手された非特定化データです。本解析は、St. Luke’s Mid America Heart Institute(米国、カンザスシティ)の独立研究機関の統計グループにより検証されました。
以上
*****
References
1. The CVD-REAL Study: Lower Rates of Hospitalization for Heart Failure in New Users of SGLT-2 Inhibitors Versus Other Glucose Lowering Drugs — Real-World Data From Four Countries and More Than 360,000 Patients; presented 19 March at ACC 2017
2. International Diabetes Federation. Facts and Figures. Accessed 15 March 2017 http://www.idf.org/WDD15-guide/facts-and-figures.html
3. C, Cooper H, Bowen-Jones D. Mortality in type 2 diabetes mellitus: magnitude of the evidence from a systematic review and meta-analysis. The British Journal of Diabetes & Vascular Disease. 2013;13(4):192-207
4. Morrish NJ, et al. Mortality and causes of death in the WHO Multinational Study of Vascular Disease in Diabetes. Diabetologia. 2001;44 Suppl 2:S14-21.
5. World Heart Federation. Diabetes as a risk factor for cardiovascular disease. Available from: http://www.world-heart-federation.org/cardiovascular-health/cardiovascular-disease-risk-factors/diabetes/
6. World Health Organization. Media Centre: Diabetes Fact Sheet. Reviewed November 2016. Accessed 9 March 2017. http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs312/en/
7. American Diabetes Association. The Cost of Diabetes. Accessed 9 March 2017 http://www.diabetes.org/advocacy/news-events/cost-of-diabetes.html?referrer=https://www.google.com/ 】
このたび『江部康二の糖質制限革命』を、東洋経済新報社より上梓します。
江部康二の糖質制限革命: 医療、健康、食、そして社会のパラダイムシフト
単行本 – 2017/4/7 江部康二著 東洋経済新報社
1999年、糖質制限食は日本で最初に、私の兄の江部洋一郎医師(高雄病院院長・当時)が開始しました。
2001年、高雄病院で私も糖質制限食に取り組み始めました。
2005年に、高雄病院の臨床経験をもとに『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』(東洋経済新報社)を出版しましたが、糖質制限食の本としては日本初でした。
これをきっかけに日本に糖質制限食が普及していき、近年、外食産業やコンビニでも糖質制限食OK食材が販売されるようになりました。
NHKクローズアップ現代によれば2016年7月時点で、糖質制限食の社会への浸透による市場規模は既に3000億円を超えているそうです。
このような現状において、本書では、糖質制限食が様々な生活習慣病の予防と治療に顕著な効果を発揮し、医療費削減の切り札となることを提言しています。
さらに糖質制限食により社会が大きく変わり、様々な経済効果をもたらし、健康寿命をのばす可能性を展望します。
糖質制限食に内在する大きなポテンシャルにより、日本において、栄養学や医学における意識革命、産業界における経済革命が起こる可能性が高いと考えています。
糖質制限食の日本社会への順調な普及を踏まえて、機は熟したと思い本書を執筆しました。
本書が読者の皆さんの、知的好奇心を幾ばくかでも満足させることができれば嬉しく思います。
江部康二
スコッチウィスキーのカラメル添加について
江部先生初めまして。いつも勉強させて頂いております。
さて、スコッチウィスキーのカラメル添加についてですが、スコッチにおいて認められている唯一の添加物がE150aというカラメルです。これは、味付けの為ではなくスコッチの見た目を均一にする目的で添加されるものです。
スコッチファンの間でもカラメル添加は問題視されることが多いのですが、それは味が変化する為ではなく、カラメルを添加すると色が濃くなり熟成感を悪く言えば偽ることが出来る事が主な理由です。(味の変化もあると言われていますが)
実際に添加される量は全体の0.1~0.5%程度です。
1ℓウィスキーを飲んで1~5g程度です。ソースが私のメモしかないのですが、前に調べたところE150aの中の糖質は100g中12g程度です。
カラメル添加はスコッチ法で認められているので蒸留所によって添加するしないは異なりますが、カラメル添加をしていない事をポリシーとしている蒸留所も沢山あります。
ちなみにバーボンウィスキーはアメリカの法律でカラメル添加を認められていません。(何らかの味付けや添加物があるものはバーボンと呼称できません)】
こんにちは。
スコッチウィスキーとカラメルについてTomatin さんから、詳細なコメントを頂きました。
よくわかりました。
とても助かります。
ありがとうございます。
『実際に添加される量は全体の0.1~0.5%程度です。
1ℓウィスキーを飲んで1~5g程度です。ソースが私のメモしかないのですが、前に調べたところE150aの中の糖質は100g中12g程度です。』
これなら、スコッチウィスキーの糖質量はまず大丈夫ですね。
時々、焼酎に変えて、スコッチの水割りも飲もうと思います。
バーボンは、カラメルなしなら、安心して糖質制限OK食材ですので、こちらもたまに呑もうと思います。
江部康二
山田悟先生の講演
2017/2/24 滋賀県高島市医師会にて
東京の日の丸交通タクシーでの運転手へのロカボ指導の成果について講演した。タクシー運転手に食後の運動をせよといっても、できるわけがない。それでロカボの指導を行い、勤務ごとの同じ時間に、会社で血糖や血圧/体重を測定し記録してみた。それなりのメタボ改善の成果が得られたとおっしゃってた。実行しやすい「ゆる糖」は意味があると思います。
さらに最後の方になって、カロリー制限は意味がなく、糖質制限のみが価値があると主張し始めた、糖尿病学会のガイドラインは、山田DrのRCT論文を、意図的に無視していると怒っていた。
今年の糖尿病学会のデベートの、「食事療法について再考する~エネルギー制限か糖質制限か?~」で山田先生が出るとのこと。
聴衆から思いがけない質問が出た。ブランデーにはカラメルが入っており、糖質制限のマイナスとなること。山田Drもくわしくはご存じなかったようだ。
◇ ◇
調べてみると、コニャック・アルマニャックにおいては4つの添加物が認められています。「蒸留水」「オークチップス」「糖」「カラメル」です
http://brandydaddy.com/chishiki_06_jukusei.html
また、スコッチウイスキーでカラメルは認められています
http://www.nikka.com/web-service/nikka/bbs/view.psp.html?I=20041003113748201&T=000737 】
こんにちは。
精神科医師Aさんから、山田悟医師の講演の報告、ブランデーとカラメルについてコメント頂きました。
ありがとうございます。
タクシー運転手にロカボの指導をしてそれなりにメタボ改善ということで、よいお話と思います。
緩やかな糖質制限でも一定の効果は期待できるということですね。
一方、タクシー運転手にとって一番肝腎なのは、食後の眠気が生じないような食事だと思います。
食後の眠気が一番事故の元になりやすいです。
一回の食事の糖質量30~40gの「緩やかな糖質制限食」では、血糖変動幅がかなり生じるので、食後の眠気が生じる可能性が高いです。
一回の食事の糖質量10~20g以下の「スーパー糖質制限食」なら、血糖変動幅がほとんど生じず、食後の眠気も起こりません。
タクシー運転手だけではなく、トラックやバスなどの職業ドライバーにも食後の眠気を生じない「スーパー糖質制限食」が推奨されます。
また一般のドライバーにおいても、高速道路とか長距離ドライブのときには眠気の生じない「スーパー糖質制限食」で安全運転を目指して欲しいものです。
「さらに最後の方になって、カロリー制限は意味がなく、糖質制限のみが価値があると主張し始めた。」
これは、私もびっくりですね。
少し前までは、山田悟医師は、
「カロリー制限が上手くいかない糖尿人においては糖質制限食も選択肢の一つ」
といったかなり抑えたトーンでしたが激変しましたね。
とても好ましい変化ですので、熱烈歓迎です。
私はもちろん、糖質制限食を開始した当初(2001年)から、
「カロリー制限は意味がなく、糖質制限のみが価値がある」
と一貫して主張してきました。
ともあれ、2017年度の日本糖尿病学会のディベートは楽しみです。
それから、ブランデーとカラメルについては、私も全く知りませんでした。
「調べてみると、コニャック・アルマニャックにおいては4つの添加物が認められています。」
「スコッチウイスキーでカラメルは認められています」
貴重な情報をありがとうございます。
とても参考になりました。
蒸留酒には糖質ゼロでも、糖やカラメルは糖質そのものですからスコッチウィスキーやコニャック・アルマニャックはNG食品や要注意食品に格下げの可能性もありますね。
江部康二
一般社団法人日本糖質制限医療推進協会
http://www.toushitsuseigen.or.jp/
代表理事 江部康二
賛助会員募集中です。
一般社団法人日本糖質制限医療推進協会は、2013年に設立されました。
その名の通り、糖質制限食が日本全国に広まるように積極的に活動しています。
私が、代表理事をつとめています。
糖質制限食は、糖尿病、メタボリック症候群、逆流性衝動炎、偏頭痛、花粉症、アトピー性皮膚炎など
生活習慣病の治療に顕著な効果を発揮する、タンパク質・脂質を中心にエネルギーを摂取する食事療法です。
現在『生活習慣病』と称されている疾患のほとんどが、実は『糖質過剰病』であると私は考えています。
これまで常識とされてきた「炭水化物(糖質)中心の食事」は、医学・生理学・栄養学的根拠が乏しく、
むしろ多くの疾患の要因となっている可能性があることが示唆されています。
私達は、歴史的、科学的証拠および臨床データを重視し、
「人類にとって本当に健康的な食生活」の実践・普及・啓発に努めます。
会の趣旨に賛同していただける、
日本全国の糖質セイゲニストの皆さん是非、賛助会員となっていただけば嬉しい限りです。
入会案内
http://www.toushitsuseigen.or.jp/membership
おかげさまで、会員数は現在300名を超えており、とてもありがたいことと思っております。
以下の通り、会員特典は盛りだくさんです。
江部康二
☆☆☆
(1) 賛助会員特典
主な特典:
・各種イベント(講演会、料理教室、交流会等)の参加費割引
・イベント開催の会員優先告知
・有料メールマガジン(週二回発行。非会員630円/月)が無料
・会誌「糖質制限通信」年二回発行
・「賛助団体会員」はホームページで紹介
その他:http://www.toushitsuseigen.or.jp/membership
(2) 提携医療機関 66機関
http://www.toushitsuseigen.or.jp/med-institution
☆☆☆
一般社団法人日本糖質制限医療推進協会について
一般社団法人日本糖質制限医療推進協会は、
医療関係者、糖尿病罹患者、糖尿病予備軍ならびにその家族を対象に、
講演会、交流促進事業、出版等の普及啓発活動を通し、
広く糖尿病治療ならびに食生活に関する正しい知識を流布することを目的として設立された非営利団体です。
◆当会のミッション
当会は、下記の四つの目的を達成すべく、「糖質制限食」の啓蒙活動を行っています。
一、糖尿病による合併症患者および死亡者の減少
一、糖尿病予防ならびに境界型糖尿病(糖尿病予備軍)の早期発見
一、医学的根拠に乏しいダイエットの蔓延に伴う健康被害の根絶
一、医療費の大幅削減
残念なことに、日本では、食後高血糖を招く唯一の栄養素である「糖質」を大量に摂取させ、医薬品で高血糖を抑えるというマッチポンプ的な糖尿病治療が主流となっています。
患者の健康よりも、医薬品業界や穀物産業を重視するその姿勢は看過しかねるものがあります。
「医師の指導に従えば、病状が悪化する」
これが日本で繰り返されている糖尿病治療の実態です。
私どもは、肥満者または糖尿病予備軍の方においては、糖尿病の発症そのものを、糖尿病発症者においては、深刻な合併症を予防する効果が極めて高い「糖質制限食」が、世界中で年々爆発的に増加している糖尿病罹患者を救う有力な手段であると確信しています。
そもそもヒトにとって必須栄養素ではない「糖質」を主成分とし、また近代になって商業的、農業政策的都合によって大量生産され、大量摂取を促されるようになったに過ぎないコメ、ムギなどの穀物を、血糖コントロールが不能となった糖尿病罹患者に主食として毎日摂取するよう指導している現代日本の糖尿病治療は、非科学的であるだけでなく、害悪であるとさえ言えます。
また、糖質は肥満ホルモン・インスリンの分泌を促す物質であるため、糖質の頻回過剰摂取が当たり前となった近年の日本においては、「自分は太っている」と感じる人が増えるのも当然のことと言えます。
このことが、多くの人々を、医学的に誤った、時には危険でさえある「ダイエット」に走らせており、その結果、栄養失調、摂食障害、自律神経失調、精神障害など、様々な健康被害を生み出していることは周知の事実です。
弊会は、医学的根拠に基づいた、自然かつ安全な食事法としての「糖質制限食」を広めることで、誤ったダイエットによる健康被害者を一人でも減らすべく、積極的に働きかける所存です。
現在の糖尿病治療は、医療機関や製薬会社にとって、極めて効率的な集金システムとなっています。
このシステムにおいて典型的な糖尿病患者が通過するコースは、
糖質大量摂取→投薬→悪化→さらなる投薬→悪化→各種手術、投薬→(人工透析)→死亡
医師の指導に従っている多くの糖尿病患者はこの道を辿っております。
また、このコースに患者を乗せることで、医療機関は20-30年の間、継続的に患者および健康保険から大金を引き出すことが可能です。
糖質制限食を正しく実行すれば、医薬品の必要性が殆どなくなり、合併症を併発する確立が大きく減少します。
私どもは、糖質制限食を採用する良識ある医療者が一人でも多く増えることで、現在浪費されているに等しい、年間数兆円とも言われている糖尿病関連の莫大な医療費が大幅に削減され、より重要な医療のために効率よく使われることを願ってやみません。
◆主な活動内容
医師、管理栄養士による講演会、講習会
各種メディアを通じた普及啓発活動
会員間の交流促進、勉強会、料理教室など
糖尿病患者への支援活動
◆協会概要
名称: 一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会
代表理事: 江部康二
所在地: 〒616-8265 京都右京区梅ヶ畑畑町3番地
精神科医師Aさんから。
m3.comの臨床ニュース
「糖質の推奨量」定義はこう考えよ【時流◆糖質制限】
山田悟・北里大学北里研究所病院糖尿病センター長に聞く◆Vol.1
2017年3月2日 (木)
https://www.m3.com/clinical/news/506968
に関してコメント・情報をを頂きました。
ありがとうございます。
山田悟氏の推奨する糖質量は
「1食につき20-40gを1日3食、これとは別に嗜好品で1日10gほど摂取すると考えれば、70-130g/日になるような食べ方が良いと思います。ただし、決して70-130g/日さえ守っていれば良い訳ではなく、1食20-40gを優先した考えから算出している数値です。食事のたびに食後高血糖が起きているので、当然のことながら毎回、食後高血糖が起きないように糖質量をコントロールする考えです。」・・・ m3.comの臨床ニュースから一部抜粋。
ということです。
山田悟氏は、「1食20-40gを優先する」と述べています。
日本糖尿病学会推奨の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)なら、
糖質摂取比率60%として、
女性は1200~1800kcal/日
1日の食事の糖質摂取量は180g~270g
1回の食事の糖質摂取量は、60g~90g
男性なら1400~2000kcal/日なので
1日の食事の糖質摂取量は210g~300g
1回の食事の糖質摂取量は、70g~100g
この従来の糖尿病食の糖質摂取量に比べたら山田流の緩い糖質制限でも、かなり糖質量は減少するので、従来の糖尿病食に比し、HbA1cもあるていど改善すると思います。
しかし、20gならともかくとして、40gの糖質摂取なら、血糖値の上昇は120mgあるので、糖尿人なら、食後血糖値が180mg~200mg/dlを超える可能性が高いです。これでは、合併症予防には黄色~赤信号になりますね。
1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿人の血糖値を約3mg上昇させます。
そうすると、従来の糖尿病食で、
1回の食事の糖質摂取量が、60g~90gなら、
血糖値は180mg~270mg/dlの上昇ですから、
空腹時血糖値が100mg/dlと好調でも、60~120分後のピークでは、
280mg~370mg/dlというとんでもない食後高血糖を引き起こします。
このような食後高血糖を、1日3回生じているのですから、合併症を予防することは不可能ということがわかります。
即ち、従来の糖尿病食(糖質摂取比率60%)は、誠に遺憾ながら「合併症製造食」としか言いようがありません。
山田流の緩い糖質制限でも、1回の食事の糖質量が40gあると、
血糖値は120mg/dlの上昇ですから、
空腹時血糖値が100mg/dlと好調でも、60~120分後のピークでは、
220mg/dlという食後高血糖を引き起こします。
従来の糖尿病食よりは、ましでも食後高血糖を、1日3回生じているのですから、合併症予防には黄色~赤信号になるということです。
従って、緩やかな糖質制限食は、原則として、糖尿予備軍かごく軽症の糖尿病には適応となりますが、中等度以上の糖尿病には適応となりません。
高雄病院のスーパー糖質制限なら、1回の食事の糖質量が10g~20gであり、
血糖値は30~60mg/dlの上昇に過ぎないので、
空腹時血糖値が100mg/dlなら、60~120分後のピークでも、
130~160mg/dlですみます。
180mg/dlを超える食後高血糖がないので、合併症予防が可能です。
国際糖尿病連合・2011年「食後血糖値の管理に関するガイドライン」では
「食後血糖値は、食後1~2時間で測定されるべきで、160mg/dl未満が目標」
とされていますが、スーパー糖質制限食ならこちらもクリアです。
江部康二
今回は「人類の歴史と運動」、「糖質セイゲニストと運動」について考察してみます。
人類は700万年の歴史のほとんどを狩猟採集生活で過ごしてきました。
狩猟採集時代は穀物はないので、基本は糖質制限食です。
そのころは「糖質制限食」をベースにかなりの運動量があったと考えられます。
従いまして、現代の糖質セイゲニストにおいても、一定の運動はした方がいいと思います。
農耕開始前の人類の食生活とライフスタイルならば、結果として
「糖質制限食」+「一定量の運動」+「一定量の筋肉量」
が確保されていたと思われます。
運動は、基本的には歩行が主体だったと考えられます。
激しい運動(全力疾走)は、肉食動物に追いかけられた時などに限られたと思います。
初期の段階の人類は、石器などの道具も、まだあまり発達していないので、狩猟といっても、肉食動物の獲物の残り物にありついていたレベルでしょう。
ヨーロッパのオーリニャック文化以降は、道具も洗練されて、人類の狩猟も飛躍的に上手になり、狩りで追いかけて走ったりも始まったと思います。
女性は狩りには参加しなかったので、狩りで走ることはなかったでしょうが、採集で森の中などを結構歩いていたと思います。
筋肉量に関しては、野生動物の体型が参考になります。
ライオン、チータ、虎などの肉食動物の筋肉はしなやかな筋肉で、ボディビルダーのようなムキムキではありません。
鹿や馬などの多くの草食動物も同様です。
狩猟・採集が生業だったころの人類の筋肉も、しなやかな筋肉と思われます。
従いまして、現代人においても、基本的に「よく歩く、時々走る」ことでOKかなと思います。
運動量に関しては、明治のころの日本人は、お米たっぷりで糖質70~80%も摂取していましたが、糖尿病や肥満は、ほとんどありませんでした。
日々の肉体労働、歩く、掃除する、井戸に水くみなど、日常生活における中等度以上の運動量が現代人の約10倍と言われていますが、一般人は、日常的に走ったり鍛えたりはしていないと思います。
運動量に関しては、明治の日本人が参考になると思います。
東京都健康長寿医療センター研究所の青柳幸利氏によると、
男性で8000歩/日、そのうち20分間の速歩(中等度の活動)。
女性で7000歩/日、そのうち15分間の速歩。
くらいの、ぼちぼちの運動で、筋力を保ち、体力低下を抑えることができるそうです。
そして、うつ病、認知症、心疾患、脳卒中、がん、動脈硬化、骨粗鬆症、高血圧、糖尿病、メタボリックシンドロームの予防効果が期待できるとのことです。(*)
年齢不相応の激しい運動は、活性酸素も多く発生するので、逆効果ということです。
私は、1回/1~2週、テニスをしていますが、日常的に運動するのは時間的に無理なので、病院内でよく歩いています。
電話は自分からかけることはありません。
用事があれば、理事長室から本院の給食(地下)、外来(1階)、病棟(2階、3階)までいったりきたり歩きます。
高雄病院の理事長室は、ちょっとした丘の上にあります。
取材にこられた記者さんなど、正面玄関から理事長室までたどり着いた時には、ほとんどの方が息切れしてます。( ̄_ ̄|||)
私は理事長室と本院を、一日に数往復はしています。
高雄病院京都駅前診療所はビルの4階ですが、階段を早足で歩いて上がるようにしています。
まあ、ほとんど軽く走っている感じですね。
講演などの時も駅の階段を歩きます。
ビルも7階くらいまでは階段を歩きます。
それやこれやで、仕事と日常生活で、だいたい5000~6000~7000歩/日くらいは歩いていて、速歩は軽く20分は超えています。
帰宅後、コンビニへの往復を歩けば、8000歩/日くらいになります。
雨の日などは、家で足踏みして、2000歩くらいを稼ぎます。
それで目標をクリアです。
腹筋運動は、一番楽な、倒れるだけでOKという、剛力彩芽さんが宣伝している器具で、150~300回/日しています。
講演や外食などで、腹筋運動ができない日も、ぼちぼちあります。
ブログ読者の皆さんも、ちょっとした日常生活の工夫で8000歩/日と20分間の速歩が、クリアできると思いますので、是非、試してみましょう。
なお、拙著の中で、
「3食主食なしのスーパー糖質制限なら運動は必要ない」
との記載があるのは、「血糖コントロール」「減量」ということに関しては、ほとんどの人においてスーパー糖質制限食なら運動しなくても上手くいくという意味です。
骨粗鬆症予防など含めた長期にわたる健康度の確保には、軽度の運動が有用なことはいうまでもありません。
一方、何らかの障害があり運動が困難な方でも、スーパー糖質制限食なら減量可能というメッセージであり、同様に、糖尿病があるけれど何らかの障害があって運動できない場合でも、スーパー糖質制限食なら血糖コントロールが可能ということでもあります。
(*)なぜ、健康な人は「運動」をしないのか?青柳幸利著、あさ出版、2014年
江部康二
糖負荷検査について
初めて投稿させて頂きます。よろしくお願いします。身長162体重47 38歳です。
妊娠時に1時間値185でひっかかり分食で出産しました。2月に産後の負荷検査でHbAlc5.5
前71インスリン2.7 30分167インスリン20.5 60分145 120分77で今のところ正常型と判断され1年後の検査になりました。主治医はインスリンは充分分泌されているとおっしゃっていて、授乳中だし3食はしっかりとって間食を減らし特にケーキなどと言われました。妊娠糖尿になった人でも体重も今を維持すれば将来糖尿にならない人も多いと言われました。ただ自分で計算したところ、インスリン分泌値が0.18くらいで低下型にはいっているのではないかと思いました。将来糖尿に移行する確率は高いですか?1時間のBSチェックをすると食事により時々170とかに上がる時があり通常の食事で大丈夫かと心配になり、今は緩い糖質制限をしています。(1日30〜40)主食は麦ご飯にしたりしています。その後授乳中のためか糖質制限を緩くしているからか体重が落ちてしまいました。体力もなくなってきています。糖質量を少し増やしても大丈夫だと思いますか?このまま緩い糖質制限を続けてもいいでしょうか?】
【17/03/20 みい 糖負荷検査について
初めて投稿させて頂きます。よろしくお願いします。身長161体重47年齢38です。
妊娠時に1時間値185でひっかかり分食のみで出産しました。2月に産後の負荷検査をして、HbAlc5.5前71インスリン2.730分167インスリン20.560分145120分77で今のところ大丈夫でインスリンもでていると言われました。3食はしっかりとり間食はひかえながらとのこでアドバイスをもらったのですが、自分で計算式であてたところ0.18で分泌の低下があるようです。 食事により1時間値をはかると170以上のこともあり、今は3食の糖質を20〜40と軽い糖質制限をして主食は麦ご飯などにしています。間食はナッツ類や甘いものが食べたい時は半分にするなどしていますが、授乳中のためか45キロきることもあり、痩せすぎてしまいました。将来糖尿にはなりたくないので、このまま続けていきたいのですが、痩せすぎるのもと思っていて、糖質量はどのくらいまでなら授乳中だと摂取して可能だと思われますか?】
おはようございます。
妊娠糖尿病だったみい さんから、75g経口ブドウ糖負荷試験の結果などについて
コメント・質問を頂きました。
現在、授乳中です。
身長161cm
体重47kg
BMI:18.1・・・・・45kgなら、BMI:17.4
年齢38歳
HbAlc:5.5%
前:71 インスリン:2.7 µU/ml
30分:167 インスリン:20.5
60分:145
120分:77mg/dl
1gの糖質が、ピーク1.28mg血糖値を上昇です。
インスリン分泌指数
血中インスリン値(30分値 - 0分値) / 血糖値(30分値 - 0分値)
17.8/96 = 0.185
インスリン分泌指数が、0.4以下のものは将来、糖尿病になりやすいのでみい さんは、たしかに要注意ですね。
1回の食事の糖質量を<20~40g>とする緩やかな糖質制限食とのことですが、75g経口ブドウ糖負荷試験のデータは正常型ですのでそれでOKと思います。
正常型ですので、1回の食事の糖質量を40gでもOKです。
体重が減少するのは、「糖質制限」のためではなく「カロリー制限」のためです。
体重が減るということは
「消費エネルギー > 摂取エネルギー」
ということで、摂取カロリー不足です。
まずは、脂質やたんぱく質(もちろん、動物性脂肪や動物性たんぱく質も充分量)を
しっかり摂取して、摂取エネルギーを増やして、体重を増加させましょう。
魚貝、肉、卵をしっかり食べましょう。
そのあと、野菜や海藻や大豆製品などを食べましょう。
1gの糖質が、ピーク1.28mg血糖値を上昇なので、間食で果物も、普通に1人前食べて大丈夫です。
果物の果糖は体重が増加しやすいので、今のみい さんには、いいですね。
<妊娠糖尿病の診断基準>
妊娠糖尿病 gestational diabetes mellitus (GDM)
75gOGTTにおいて次の基準の1点以上を満たした場合に診断する。
①空腹時血糖値 ≧92mg/dl (5.1mmol/l)
②1時間値 ≧180mg/dl (10.0mmol/l)
③2時間値 ≧153mg/dl (8.5mmol/l)
江部康二
外食でやせる! 「糖質オフ」で食べても飲んでも太らない体を手に入れる
単行本 – 2017/3/27
毎日新聞出版
江部 康二 (著)
が出版されました。
糖質制限な外食に特化して、本を一冊作ってみました。
サラリーマンのほとんどが、一日に1~2回は外食になると思います。
私の糖尿病患者さんにおいても、
「外食が多いので、糖質制限はなかなか難しいです。」
と仰る方が結構おられます。
最近は、ファミレスやコンビニでも糖質制限なメニューや食材がどんどん増えていて、糖質セイゲニストにとって、とても暮らしやすい日本となっています。
本書が、
『全国の糖質セイゲニストの外食のバイブル』
になってくれれば、嬉しい限りです。
江部康二
以下は、
外食でやせる! 「糖質オフ」で食べても飲んでも太らない体を手に入れる
単行本 – 2017/3/27
毎日新聞出版
江部 康二 (著)
の「はじめに」です。
はじめに
ダイエットは現代人にとって永遠のテーマです。
それを実践するために、これまでさまざまな方法が紹介されてきました。
そのなかでも長年主流になってきたのが「カロリー制限」です。
しかし、カロリー制限で成果を上げるにはかなりの努力が必要です。
頑張っても思うように効果が出なかったり、リバウンドしてしまったり、ついには、「もうダイエットなんかやめてやるー!」と投げ出してしまった人もいるかもしれません。
そうした“挫折経験”を持つ人たちに伝えたいのが、私が提唱する「糖質制限ダイエット」です。
やり方はいたって簡単。
ご飯、パン、麺類、砂糖などの「糖質」を可能な限りカットし、肉、魚、豆腐などから「タンパク質」と「脂質」をしっかりとるだけ。
糖質さえ控えれば、あとは何を食べても大丈夫。
お酒を飲んでも問題ありません。
それなのに、すとんと体重が落ちますし、血糖値コントロールができることから健康増進効果も期待できます。
この糖質制限を取り入れた食事は、もともとは糖尿病の治療目的のために開発されました。
私が理事長を務める京都・高雄病院が血糖値をコントロールし、糖尿病とその合併症を防ぐため、1999年、日本で初めて取り入れたのが糖質制限食でした。
糖質を制限するだけという手軽さと、確かな効果が話題を呼び、糖尿病の患者さん以外にも実践する人が増えました。
今や“糖質制限ブーム”と呼べるほどのムーブメントが起きているともいえるでしょう。
その一方で、「外食が多いから糖質制限なんて無理」という声も聞こえてきます。
どうも働き盛りの40代、50代の男性会社員に多いようで、実際、高雄病院でも、外食を理由に糖質制限に踏み切れない、挫折してしまうという方がいらっしゃいます。
接待や宴会が多く、その席で自分だけ特別なメニューを食べるわけにいかないとか、昼は定食や丼モノなどしか選択肢がないとか言いわけする男性もいます。
しかし、本当に外食だけが理由でしょうか。
私はそうは思いません。
実際、私も外食派のひとりですが、身長167cm、体重57kg前後をもう14年以上キープしています。
2002年に52歳で糖尿病、メタボ、高血圧を発症した時は67kgありましたが、糖質制限食開始から半年で10kgの減量に成功し、全てのデータが正常となり現在に至っています。
どうも「糖質制限」と聞くと、糖質の少ない食材を選び、自分であれこれ工夫して調理しないとできない、ちょっと面倒なものと思い込んでしまう人が多いようですが、決してそうではありません。
外食でも、メニュー選びさえ間違えなければ、糖質制限は実践できるのです。
確かに忙しく働いている会社員のみなさんは、外食のメニュー選びに時間をかけている暇はないかもしれません。
ファーストフードや牛丼チェーンなどでパッと済ませたいときもあるでしょう。
しつこいようですが、それでも糖質制限は可能なのです。
今回は、そんな働く大人たちのために、「外食でできる糖質制限」をテーマにまとめてみました。
仕事の合間にパパッと済ませたい“早メシ”から、働く大人に欠かせない会食や接待、ストレス解消の宴会、さらに仕事の合間のおやつタイムまで、あらゆる場面での糖質制限食を提案しています。
ちょっとアプローチを変えるだけで、これまで口にしていた糖質たっぷりの食事を糖質制限食に切り替えることができるのです。
これを読んだらもう、「外食だから糖質制限ができない」とは言えなくなると思いますよ。
尿素窒素が高い
こんにちは!
はじめて投稿させていただきます。
よろしくお願い致します。
妊娠糖尿病が治らずそのまま糖尿病になってしまった30代の主婦です。
糖質制限をはじめるまえの尿素窒素→cres→eGFR
19.6→0.62→87.9
糖質制限をはじめて間もないころの尿素窒素→crea→eGFR
24.6→0.57→96.4
糖質制限をはじめて1ヶ月半の尿素窒素→crea→eGFR
26.1→0.59→92.8
尿素窒素が高すぎですよね。
これは高蛋白摂取が原因ですか?
一時的なもので落ち着いてくるものでしょうか?
定期的に腎臓内科を受診するべきですか?
また、私は軽度の糖尿病らしいのですがスーパー糖質制限をしていれば糖尿病は悪化することはないのですか?
維持できますか?
改善しますか?
スーパー糖質制限をしているにもかかわらず血糖値が上がってくるということはどんな場合がありますか?
現在、スーパー糖質制限をしていて数値ですが上がっても110は超えない程度で抑えております。
まだ30代で子供もいますのでたまに不安に陥るときがあります。
どうか励ましのお返事をいただけると心強いです。
お忙しいとは存じますかよろしくお願い致します。】
こんばんは。
りんごさんから、糖質制限食と腎機能について
コメント・質問を頂きました。
糖質制限実践前
尿素窒素→クレアチニン→eGFR
19.6→0.62→87.9
糖質制限開始すぐ
尿素窒素→クレアチニン→eGFR
24.6→0.57→96.4
糖質制限開始1ヶ月半
尿素窒素→クレアチニン→eGFR
26.1→0.59→92.8
eGFR は
87.9 → 96.4 → 92.8
ですので、ほとんど変化なしと考えられます。
日本腎臓病学会編「CKD診療ガイド2013」
日本腎臓病学会編「CKD診療ガイド2013」
によれば、腎機能に関して、eGFR60ml/分以上あれば顕性たんぱく尿の段階でも、たんぱく質は過剰な摂取をしないという表現となっていて、たんぱく制限という記載はありません。
りんごさんの、eGFRは90を超えており、全くの正常です。
基本的にeGFRが60を超えていれば、問題ないです。
BUNは、高たんぱく食の影響ですが、クレアチニンとeGFR が正常であり、生理的なもので心配ありません。
勿論、腎臓内科受診など必要ありません。
糖質制限食実践で高たんぱく食になるので、腎機能が悪化するのではないかと懸念する医師もいます。
しかし、厚生労働省によれば、腎機能正常の人が高たんぱく食を食べて腎機能が悪化したというエビデンスはないとしています。
「日本人の食事摂取基準」(2015年、厚生労働省)
「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書
II 各論
たんぱく質(PDF:1,149KB)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042630.pdf
<97ページ>
3─1.耐容上限量の設定
たんぱく質の耐容上限量は、たんぱく質の過剰摂取により生じる健康障害を根拠に設定されなければならない。
しかし現時点では、たんぱく質の耐容上限量を設定し得る明確な根拠となる報告は十分には見当たらない。
そこで、耐容上限量は設定しないこととした。
結局、現時点では、正常人がタンパク質をたくさん食べて危険という根拠はないということです。
一方、タンパク質を、たくさん食べても安全という根拠もないということですね。
まさに、自分で考えて選択して自己責任で食事療法を実践することとなります。
ちなみに、江部康二は、糖尿病発覚の2002年(52才)からスーパー糖質制限食を開始して
2017年3月(67才)現在まで続けています。
タンパク質の摂取量は、一日あたり130~140gくらいと、普通人よりかなり大量のタンパク質を摂取してます。
体重あたり2.4gのタンパク質ですね。
それでも尿酸は低めですし、腎機能に何の問題もありません。
2016年12月の検査データは
BUN:21.6mg/dl(8~20)
クレアチニン:0.66mg/dl(0.6~1.1) eGFR:91.4ml/min./1.73m2
シスタチンC:0.59mg/dl(0.53~0.95) eGFR:128.1ml/min./1.73m2
尿中アルブミン:7.2mg/g・c(30.0未満)
です。
BUNがやや高値ですが、高タンパク食において生理的な現象であり、クレアチニン、シスタチンC、eGFR、尿中微量アルブミンの検査が全て基準値内なので、腎機能に何の問題もありません。
私は糖尿病患者さんに対して、糖尿病腎症でeGFRが60mg/分未満でも、個別によく相談して糖質制限食を実践するかどうかを決めています。
A)血糖コントロール良好を保つことは、腎血管と腎機能にはとてもよいことです。
B)eGFRが60mg/分未満の場合、高タンパク食が腎機能に悪影響を与えるか否かは、現在明確ではありません。
eGFRが60mg/分未満の場合、高タンパク食が腎機能を悪化させるという研究もありますが、
エビデンスレベルはかなり弱いのです。あとは、個人差がある可能性があります。
A)B)を考慮しながら、検査結果を経過観察して、糖質制限食を続けるか否かを検討していきます。
なお、りんごさん、スーパー糖質制限食実践なら、糖尿病の心配は皆無です。
スーパー糖質制限食で、開始前より血糖値が上昇することはありませんが、万一あるとしたら、1型で、内因性インスリンがゼロなどの場合だけです。
江部康二
HOMA-βについて
いつもブログ拝見しています。
糖質制限で血液検査良好で嬉しい限りです。ありがとうございます。
今日はHOMA-βについて教えていただきたいのですが、3ヶ月前の検査にて空腹時インスリン2.0空腹時血糖値74でした。空腹時インスリン2.0は基準値を下回る数値で、HOMA-βも65となり基準値オーバーです。
今回の検査結果では空腹時インスリン5.1空腹時血糖値74で、空腹時インスリンは正常値内、HOMA-βは166でかなりのオーバーです。
空腹時血糖値が74だとして、HOMA-βが基準値内となる為には、空腹時インスリンが1.3〜1.8で基準値2.2〜を下回らなければならないと思います。空腹時インスリンが基準値となると、HOMA-βは基準値オーバーです。
結局空腹時インスリンは高い方がいいのか低い方がいいのかよくわかりません。その辺りを教えていただけたらと思います。よろしくお願いします。 】
こんにちは。
ケトン体質さんから、
HOMA-β、空腹時インスリン、空腹時血糖値について
コメント・質問を頂きました。
3ヶ月前の検査
空腹時インスリン:2.0μU/ml(基準値未満)
空腹時血糖値:74mg/dl
HOMA-β:65
HOMA-R:0.37
今回の検査
空腹時インスリン:5.1μU/ml(基準値内)
空腹時血糖値:74mg/dl
HOMA-β:166
HOMA-R:0.93
まず、インスリンの基準値ですが、検査機関によりいろいろあります。
ケトン体質さんの検査機関では、基準値は<3~15 μU/mL>でしょうか。
これは、糖質を普通に食べている人のインスリンの基準値です。
スーパー糖質制限食実践中の人の基準値は、もう少し低い可能性があります。
すなわち、狩猟・採集時代で穀物摂取がなく糖質制限食だった頃の人類のインスリンの基準値は、現代の基準値より低かった可能性が高いのです。
3ヶ月前のデータですが、インスリン基礎分泌がやや低めですが、早朝空腹時血糖は正常なのでうまく折り合いがついていて、好ましいです。
基礎分泌インスリンが低くて、早朝空腹時血糖が正常なのは、インスリンの効きが良いということであり、とても好ましいことです。
さてインスリンには、24時間少量持続的に出ている基礎分泌と、糖質を摂取したときに大量にでる追加分泌があります。
一般に、空腹時のIRI(インスリン)は、基礎分泌とインスリン抵抗性の評価に用います。
追加分泌のインスリンには、即分泌される第1相と少し遅れて出る第2相があります。
正常人は、血糖値が上昇し始めたら即インスリンが追加分泌されます。
この第1相反応は、もともとプールされていたインスリンが5~10分間分泌されて、糖質摂取時の急激な食後高血糖を防いでいます。
その後、膵臓のベータ細胞は、摂取された糖質に対して第2相反応と呼ばれる持続するインスリン分泌を行います。
糖尿人の場合は、第1相が欠落・不足していたり、第2相も、不足・遷延したりすることが結構あるようです。
HOMA-βは、空腹時血糖値と空腹時インスリン値で計算するのですが、75g経口ブドウ糖負荷試験時の2時間値のインスリン分泌量と、よく相関することがわかっています。
HOMA-βが正常ということは、インスリン追加分泌の第2相は正常にでていることになります。
罹病期間の長い糖尿人では、HOMA-βが基準値を下回ることが多いです。
インスリン抵抗性があって、HOMA-βが基準値を超えるのは問題ですが、インスリン抵抗性がないなら問題はないと思います。
すなわちケトン体質さんのパターンなら大丈夫です。
通常は、インスリン抵抗性があるとき、インスリンが多く出るようになります。
インスリン抵抗性はHOMA-Rで計算しますが、空腹時のIRI(インスリン)が上限近い、あるいはそれ以上あればそれだけでもインスリン抵抗性がある可能性が高いです。
私は、最近は、農耕以前(穀物摂取なし)の人類の早朝空腹時のインスリン値は、1.5~6.0μU/mlくらいが基準値ではなかったかと考えています。
つまり、空腹時IRI:10μU/mlなどは、現代の基準値(3~15μU/ml)内ですが、すでに肥満などによるインスリン抵抗性があるのではないかと思うのです。
ケトン体質さんの場合は、3ヶ月前も今回も比較的、少量のインスリンで空腹時血糖値は74mg/dlと極めて良好なので大変好ましいと思います。
ただ、インンスリンがないと、人は死亡します。
基礎分泌のインスリンは生命維持に絶対に必要なのです。
実際、1921年にインスリンが合成されるまでは、1型糖尿病で内因性インスリンゼロの場合は平均余命は半年程度でした。
一方、インスリンは肥満ホルモンであり、過剰分泌では発癌性があり、アルツハイマー病のリスクともなり、老化のリスクでもあります。
つまり、インスリンというホルモンは人体に絶対に必要なのですが、血糖コントロールができている限りにおいて、その分泌が少なければ少ないほど身体には優しいのです。
言い換えれば、インスリン分泌が少なくてすむ食生活を心がけていれば、肥満、癌、アルツハイマー病、老化、動脈硬化などのリスクは減少するのです。
インスリン分泌が必要最低限で少なくてすむ食生活が『スーパー糖質制限食』なのです。
江部康二
☆インスリン分泌指標
HOMA-β
<HOMA-β=360×空腹時インスリン値(μU/mL)/(空腹時血糖値(mg/dL)-63)>
空腹時の検査であるが経口血糖負荷試験時の2時間値のインスリン分泌量と、
よく相関する。
空腹時血糖値130mg以下なら信頼度高い。
正常値:40-60
30%以下は軽度、15%以下は顕著なインスリン分泌低下。
インスリン使用中の患者には使えない。
☆☆
インスリン抵抗性指標
<HOMA-R=空腹時血糖値(mg/dL)×空腹時インスリン値(μU/mL)/405 >
1.6以下が正常、2.5以上は抵抗性あり。
空腹時血糖値140mg以下なら信頼度高い。
2016年、東京、京都にて開催し、ご好評いただいた医療従事者対象セミナーを
2017年2月12日(日)大阪に続いて
2017年4月9日(日)東京にて開催致します。
日本糖質制限医療推進協会主催 医療従事者対象セミナー(東京)
「糖質制限食による糖尿病指導~理論と実践~」
第1部 理論編
糖尿病治療に関して、最新糖質制限食理論と共にエビデンスのお話を簡単に説明します。
2016年に得られた最新の糖質制限食情報もお話しします。
第1部は講義と質疑応答含めて45分間です。
第2部 栄養指導編
高雄病院の栄養指導の実際を、橋本眞由美管理栄養士がお話します。
第2部は講義と質疑応答を含めて60分間です。
第3部 臨床実践編
糖尿病合併症の現状や久山町の悲劇など、そして薬剤の使い方のコツをお話します。
また、糖質制限食を実践していて、「すぐに良くなった症例」「治療に難渋した症例」
「1型のインスリン分泌ゼロの症例」「SGLT2阻害薬が著効した症例」などを、
実際に入院された患者さんのデータを見ながら検討します。
第3部は100分間ありますので、参加者の皆さんと共にディスカッション形式の症例検討を導入したいと思っています。
ご参加頂いた皆さんには、前回と同様に講演PPTスライドの、CD(PDFファイル)をお配りします。
東京、関東、東北、北信越、東海などの医療従事者の皆さん、奮ってご参加くださいね。
江部康二
以下事務局からのお知らせです。
***********
ブログ読者の皆様、いつも弊会のイベントへ多数ご参加
いただきましてありがとうございます。
2017年4月9日(日)、東京にて医療従事者対象の糖質制限食
セミナーを開催致します。
内容につきましては、2月12日(日)に大阪で開催しましたセミナーと
同様を予定しております。
糖質制限食指導に必要な理論をさらいつつ、糖尿病治療における
より実践的な内容にウェイトをおきます。
新たな症例も盛り込んで、難渋症例についての討議も予定しております。
医療従事者の皆様の多数のご参加を心よりお待ちしております。
◆掲載サイト: http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity
★当日、セミナー終了後に懇親会を催します。
詳細は、セミナーへの参加お申し込み時にご案内申し上げます。
//////////////ご案内/////////////////
(一社)日本糖質制限医療推進協会主催
医療従事者向け糖質制限食セミナー in 東京
「糖質制限食による糖尿病指導 ~理論と実践 」
■日時:4月9日(日)12:50~16:40頃 ※開場・受付は12:30~
■会場: WATERRAS COMMON 3F「ワテラスコモンホール」
東京都千代田区神田淡路町2丁目101番地
http://www.waterrascommon.com/access.html
■講師:
A:江部 康二 医師
(一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長
B:橋本 眞由美 管理栄養士 (一財)高雄病院 栄養管理部 部長
■内容:
第1部:理論編(45分) ※講師A
糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論を説明。三大栄養素と血糖、ケトン体の安全性、米国糖尿病学会の見解、CKDガイド2013の記載などについて言及。糖質制限食の有効性と安全性について、EBMの観点からRCT研究論文、長期のコホート研究により根拠を示し、最新の話題についてもお話します。
第2部:栄養指導編(60分) ※講師B
高雄病院では、3食とも主食なしのスーパー糖質制限食を実施しており、その具体的な食事内容を紹介します。また、外来時と入院時における栄養指導の方法及びポイント、よくある問題点と改善のプロセスなど、指導事例も交えつつ、糖質制限食を継続していただくための栄養士の関わり方についてお話しします。糖質制限食導入を検討されている院所にとりまして、少しでもヒントになるよう管理栄養士の立場からお話を進めていきたいと思います。
第3部:臨床実践編(100分) ※講師A
高雄病院の豊富な 臨床例を取り上げて検討。治療に難渋した症例を提示して参加者と共に ディスカッション。メトホルミン・DPP-4阻害薬・α-GI薬・速効型インスリン 分泌促進剤は比較的使用頻度が高いのでコツを伝授。SGLT阻害薬は糖毒解除などに有用、外部由来のブドウ糖を減らすのが糖質制限食、体内の糖新生由来のブドウ糖も排泄するのがSGLT阻害薬。SU剤とチアゾリジン誘導体の位置づけを示します。
糖質制限食実践中に生じうる好ましくない症状・ 変化について検討します。
*各所要時間は、質疑応答、ディスカッションの時間を含みます。
■対象: 医療従事者(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、鍼灸師など)
■受講費:
・医師・歯科医師:
賛助会員 7,200円 / 一般(非会員) 9,000円
・上記以外の医療従事者:
賛助会員 5,200円 / 一般(非会員) 6,500円
*参加頂いた皆様には、映写・配布資料のデータ(PDF)CDをお配りします。
■お支払い方法: クレジットカード/銀行振込/郵便振替
※事前決済のみとなります。
※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。
■お申し込みの流れ:
1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込み下さい。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4. 当日、直接会場までお越し下さい。
■お申し込み方法:
★賛助会員の方
事務局までメールにて、医療機関でのご職種をご記入の上、お申し込み下さい。
領収書をご希望の場合は、発行ご希望の旨と宛名もお知らせ願います。
★賛助会員入会をご希望の方:
1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up
2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
「入会ならびに講演会出席のお問い合わせ」を選択いただき、
「通信」欄に以下をご記入下さい。
① 「4/9東京セミナー、参加希望」 とご記入下さい。
② 医療機関でのご職種をご記入下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact
★一般(非会員)で、セミナーの受講のみご希望の方:
下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-med
■その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは4月7日(金)までに事務局までご連絡願います。
それ以降のご返金は原則、対応致しかねますので予めご了承下さい。
妊娠糖尿病と糖質摂取
妊娠糖尿病と診断されたのをきっかけに、最近から、糖質制限食(といっても主食をとりすぎないようにしているユルい制限)を実践し始めた内科医の妊婦です。
私の場合、ご飯を食べると血糖値がガンと上がるのがわかったので、内科主治医・栄養士に「私の場合、必要カロリーの50%も糖質からとる必要ないんじゃないですか?糖質からとる分を減らしてその分脂肪・タンパク質からのカロリーで補ったらいいんじゃないですか」と言いましたが、「糖尿病学会のガイドラインでは50-60%を糖質からとるようにとなってます」「脂肪をとりすぎたら体重が増えます」とのお返事でした。
いやいや、糖質制限して、体重はうまくコントロールできているのですが、、。糖質からのカロリーを脂肪・タンパク質でとったら体重が増えるって根拠あるんでしょうか?
糖質50%食で、妊婦の血糖値がガンガン上がっても、インスリン注射を打とうが打つまいが他人事、なんでしょうね。医療従事者にももうちょっと柔軟に考えようという態度が必要じゃないかと思いました(今までの私もそうでしたが、、)。今のところ、高血圧や腎障害などなんのほかの併存症もありませんので、このまま糖質制限食をしていこうと思います。引き続きブログを読ませていただきます。】
こんにちは。
内科医で妊婦のタマゴさんから、興味深いコメントを頂きました。
妊娠糖尿病と診断されて、緩やかな糖質制限食を実践中とのことです。
『糖質からのカロリーを脂肪・タンパク質でとったら体重が増えるって根拠あるんでしょうか?』
根拠はありません。
それどころか複数の信頼度の高い研究論文(RCT)により、<糖質制限食 VS 脂肪制限食>の比較検討において、体重減少効果は糖質制限食の圧勝でした。(*1)(*2)(*3)(*4)
従って、エビデンスに基づき、体重コントロールには、このまま糖質制限食が好ましいです。
妊娠糖尿病の妊婦が糖質を50~60%も摂取したら必ず、食後高血糖になります。
インスリンを打ってガイドライン通り糖質を50~60%摂取すればいいというのは、本末転倒です。
糖質を制限すれば、食後血糖値の上昇はないので、もちろんインスリン注射は必要ありません。
インスリンを打って糖質を食べる場合、よほどマッチングが上手くいかないと、高血糖と低血糖の乱高下になり、血糖変動幅は増大します。
血糖値の乱高下や血糖変動幅の増大は、酸化ストレスとなり母子ともに健康障害のリスクとなります。
インスリンを打つことにより、肥満しやすくなるので体重コントロールにも難渋します。
人類は、700万年間は狩猟・採集が生業であり、穀物はないので、当然糖質制限食でした。
そして、糖質制限食を実践しながら、妊娠・出産・子育て・日常生活を送ってきたのです。
すなわち糖質制限食は人類本来の食事であり人類の健康食です。
人類の身体は、糖質制限食に特化して適合していると言えます。
農耕が開始されたのは、わずか1万年前であり、穀物を主に、糖質摂取比率50~60%という食生活は、人体にとって、とんでもない不自然なバランスと言えます。
「糖質60%、脂質20%、たんぱく質20%」というガイドラインの摂取比率には、根拠となる論文、エビデンスは皆無です。
無根拠なガイドラインに惑わされることなくタマゴさんは、ご自分の頭で考えて、決断し選択されて、このまま、美味しく楽しく糖質制限食で、母子ともに健康で快適な妊婦生活を送って頂きたいと思います。、
元気な赤ちゃんが、誕生したら、またコメントいただけば、幸いです。
(*1)Ann Intern Med. 2014 Sep 2;161(5):309-18
(*2)Obesity Reviews Volume 10, Issue 1, pages 36–50, January 2009
(*3)Obes Rev 2012; 13: 1048-1066)
(*4)NENGLJ MED JULY17,2008、VOL359.NO.3 229-241
江部康二、
1日糖質20g以下にて5ヶ月経過
主食抜き→スーパー糖質制限→40g以下→20g以下にて人体実験中の者です。
1日糖質20g以下(飲み会や食べ放題で月1、2回程度は糖質摂取)にて5ヶ月以上経過しました。
ケトン体が糖尿病医の言うように危険なものならばそろそろ死んでる頃だと思うのですが、ぴんぴんしております。
それどころか逆に健康過ぎてヤバイぐらいです。
本日糖質2g以下のスポーツドリンクのみでロードバイク3時間走ってきましたが、今でも軽い筋肉痛がある程度で疲れも眠くもありません。
しかもそのあとジムに行って45分有酸素運動してさらにまだ余力があります。
あとこれから仕事しようと思います。
中毒を抜け出せず実践出来ない人には分からないと思うのですが、糖質に弱い人間ほど糖質減は効果が大きいです。
糖質過多で自分が中毒で苦しんでいることにすら気づけなかった頃を思うと、つくづく肥満、鬱、慢性疾患の元は糖質だったのだと感じます。】
こんばんは。
プロテインさんから
スーパー糖質制限食からさらに進めて
20g/日以下の糖質制限にして、5ヶ月間経過して
「ロードバイク3時間+ジムで有酸素運動45分」で
さらに余力があり、これから仕事をしようという
元気いっぱいの嬉しいコメントを頂きました。
ありがとうございます。
1日に20g以下の糖質摂取なら、まさしく『ケトジェニックダイエット』 であり、糖質摂取比率は4%以下と思います。
血中ケトン体は、2000~4000μM/L(26~122μM/L)レベルで、さぞかし「ケトン体質」になっておられることと思います。
サッカーの長友佑都選手以上のケトン体質ですから、スタミナは抜群と思います。
参考になる文献として
「オフロードサイクリストにおける運動代謝と身体能力へのケトン食の影響」
という題のポーランドの研究があります。(*)
以下、この研究の要約と結果を、かなりアバウトに意訳してみました。
面倒なところは一部省いていますが、大意は合っていると思います。
<要約>
本研究の主な目的は、オフロードサイクリストの好気的パフォーマンスと運動代謝においての、
長期的ケトン食の効果を決定することであった。
被験者はトレーニング経験が5年間以上のオフロードサイクリングのアスリート。
8人の男性被験者、年齢は28.3±3.9歳
クロスオーバーで、ケトン食と混合食を一ヶ月ずつ。
それぞれ同じトレーニング負荷。
ケトン食:P:C:F=15:15:70
混合食:P:C:F=20:50:30
様々な強度でサイクロエルゴメーターで連続的な運動手順で検査を行った。
ケトン食は、体重、体組成、脂質及びリポタンパク質プロファイルにいおいて
好ましい変化があった。
最大酸素摂取量と乳酸閾値と呼吸交換率(RER)は、
安静時および運動の最初の3つの段階(10分、45分、90分・・・低~中程度の強度)においては、
ケトン食が優位であった。
最後のマックス強度の運動の時は、ケトン食の優位は逆転した。
<結果>
有酸素持続的なアスリートにおいては、ケトン食は好ましい可能性がある。
高容量で、低から中等度の強度のトレーニング負荷のトレーニング過程においては、
ケトン食は優位である可能性がある。
筋肉のダメージも少ない。
しかし最高強度の運動においては、
ケトン食は筋肉中のグリコーゲン貯蔵が少なく解糖酵素の能力が低下するので運動能力を低下させる。
*ケトン食は脂肪酸代謝を活性化させ、インスリンレベルとブドウ糖利用を減少させる。
自転車のアスリート8名の研究で、ケトン食を摂取した1ヶ月と混合食を摂取した1ヶ月で、それぞれデータをとって、比較した研究です。
結論は、有酸素運動(この研究では自転車競技)において、低強度~中等度の強度トレーニングなら、ケトン食は混合食(普通食)より優位であるけれど、最高強度のトレーニングでは、優位は逆転するということです。
これは、中程度の強度のトレーニングなら、ケトン食で脂肪酸代謝が活性化しているので、それをエネルギー源として筋肉は混合食(普通食)の時より効率的に活動できるということです。
この結論は、私の印象とも一致しています。
このことを考慮すると、有酸素運動が主のマラソンやトレイルランなどでは、ケトン食を実践していると、筋肉はしっかり「脂肪酸-ケトン体」を主たるエネルギー源として使って、中等度の強度の運動で走り続けて、ラストスパートだけは、「グリコーゲン-ブドウ糖」をエネルギーに使って無酸素運動で最高強度の運動で終了というパターンが可能です。
この研究のケトン食は、糖質15%ですから、高雄病院のスーパー糖質制限食の12%と似たようなものです。
そうすると、長距離ランナーなどでいつも通りのトレーニングでスーパー糖質制限食を実践していると、筋肉は「脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム」を使いやすくなります。
そして中程度の強度の走行では、脂肪酸-ケトン体を利用してブドウ糖-グリコーゲンエネルギーシステムを節約しておいて、ラストスパートで最後に効率的にそれを使うということが可能となります。
(*)
http://www.mdpi.com/2072-6643/6/7/2493#tabs-5
Nutrients 2014, 6, 2493-2508; doi:10.3390/nu6072493
The Effects of a Ketogenic Diet on Exercise Metabolism and
Physical Performance in Off-Road Cyclists
Adam Zajac 1
Stanisław Poprzecki 2
Adam Maszczyk 1,*, Miłosz Czuba 1
Małgorzata Michalczyk 3
and Grzegorz Zydek 3
ケトン体は、「糖尿病ケトアシドーシス」のイメージのため、長い間悪者にされてきました。
しかし、近年、悪者どころか、効率のよいエネルギー源となるだけでなくシグナル伝達因子の役割を果たしていることが明らかとなりました。(*)
またケトン体の一種である「βヒドロキシ酪酸」は、抗酸化ストレス作用を有すという知見も示されました。
そして、マウスを用いた研究では、ケトン体に抗老化作用があることが認められています。(*)
さらに、
イタリア・ピサ大学のFerranniniらと
米・カリフォルニア大学サンディエゴ校のMudaliarらは、
「Diabetes Care 2016;39:1108-1114、Diabetes Care 2016;39:1115-1122」)において
ケトン体に、臓器保護作用があるという説を提唱しました。
今回は、ケトン体の有用性と安全性について考察してみます。
A)
胎盤・臍帯のケトン体値英文論文
宗田らは、胎盤・臍帯・新生児のケトン体値に関する研究を英文で発表。
胎盤・臍帯のケトン体値論文は、世界初と思われる。江部も共著者の一人。
胎盤のケトン体値は基準値の20~30倍、 平均2235.0μmol/L(60検体)
臍帯のケトン体値は基準値の数倍~10倍、平均779.2μmol/L(60検体)
新生児のケトン体値は、基準値の3倍~数倍、
平均240.4μmol/L(312例、生後4日) 基準値は85 μmol/L以下。
胎盤と臍帯と新生児では、ケトン体は高値が当たり前である→安全性の担保
*Ketone body elevation in placenta, umbilical cord,newborn and mother in normal delivery Glycative Stress Research 2016; 3 (3): 133-140
Tetsuo Muneta 1), Eri Kawaguchi 1), Yasushi Nagai 2), Momoyo Matsumoto 2), Koji Ebe 3),Hiroko Watanabe 4), Hiroshi Bando 5)
この世界初の胎盤・臍帯のケトン体値論文は、ケトン体の安全性に関するエビデンスと言えます。
B)
ヒューマン・ニュートリション第10版(医歯薬出版)2004年、P748
脳の代謝の項目に
「・・・母乳は脂肪含有量が高くケトン体生成に必要な基質を供給することができる。発達中の脳では血中からケトン体を取り込み利用できるという特殊な能力があり、新生児においてはケトン体は脳における重要なエネルギー源となっている。・・・」
との記載がある。
ヒューマン・ニュートリションは、英国で最も権威のある人間栄養学の教科書です。
新生児においては、ケトン体は脳の重要なエネルギー源ということを明記してあるのはさすがです。
新生児において重要なエネルギー源ということは、胎児においてもケトン体が重要なエネルギー源である可能性が高いです。
☆
ただ特殊な能力という記載ですが、小児ケトン食や絶食療法やスーパー糖質制限食実践者においては、ごく日常的に脳はケトン体を利用しています。
新生児だけでなく、小児も成人も、ごく普通に脳はケトン体を利用できると思います。
☆
2015年2月に高雄病院に入院されて超少食療法を実践された男性は、断食(超少食期)あけの朝で
空腹時血糖値:41mg/dl
βヒドロキシ酪酸:5562μM/
というデータでしたが、全く普通に喋って歩いて問題なく元気でした。
脳は、ケトン体を主なエネルギー源としていたと考えられます。
βヒドロキシ酪酸が5562μM/Lあったことにより、血糖値が41mg/dlでも、元気に過ごせたと考えられます。
☆
1984年に、私は本断食を行いました。水だけ摂取で、カロリーゼロで、塩ゼロです。
断食あけの朝で空腹時血糖値:35mg/dlでした。
やはり脳はケトン体を主なエネルギー源としいたと考えられます。
C)
EMPA-REG outcome trial
対象患者 心血管疾患のある2型糖尿病患者7,028例。
結論 心血管イベントのリスクが高い2型糖尿病患者において,
標準治療へのempagliflozinの追加は心血管疾患による死亡,心血管イベント,
および全死亡の発症率を低下させた。
糖尿病治療薬ではじめての効果。
Empagliflozin, Cardiovascular Outcomes, and Mortality in Type 2 Diabetes.
N Engl J Med. 2015 Nov 26;373(22):2117-28.
ケトン体値上昇による心保護作用が
EMPA-REG outcome trialにおける好結果を生んだという仮説は、
魅力的であり、上述のようにDiabetes Careに掲載されました。
<考察>
A)B)C)を合わせて考察すると、ケトン体の安全性は、確立されたと言えます。
また
A)B)C)に加えて
『糖尿病 医師・医療スタッフの プラクティス』(*)
の記事や参考文献を考慮するとどんどん新しい知見が示され、ケトン体の有用性もほぼ確立されたと思われます。
(*)
参考
糖尿病 医師・医療スタッフの プラクティス
2017年Vol.34 No.1 医歯薬出版株式会社
江部康二
【17/03/10 ぶーすか
下がらない血糖値
江部先生こんばんは。いつもブログを拝読しております。
糖尿病が発覚し10年近くが経ちます。当初メデットを服用しながら糖質制限をしたところ、数ヶ月でHbA1cは9.6から6.2まで下がり、これですっかり安心した私は、勝手に通院を止め段々と元の食生活に戻ってしまいました。いつでもまた糖質制限をすれば、簡単に血糖値を下げられると変な自信を持ったのだと思います。
しかし最近物凄い睡魔に襲われたり、夜中に何度もトイレに起きる、朝起きると手に痺れがあったりと自分でもこれはマズイなという症状が現れ、久しぶりに血糖測定値で計ってみたところ326という驚愕の数値が出ました。会社の健康診断でも、空腹時血糖230、HbA1c12.8という最悪の数値を叩き出しました。
また糖質制限をすれば下がるだろうと、ひと月前から1日60グラム前後になるような食事をしています。
ところがです。全く血糖値が下がらないのです。朝起きて計れば200台前半。食後2時間も250くらいと、ずっと200台をキープしています。先日初めて198が出ましたが、ほとんど200台です。(さすがに300台にはなりませんが)
ひと月も糖質制限をして血糖値が下がらないのは、もう私の膵臓の細胞は働いていないのでしょうか。
病院にも行かなきゃと思うのですが、糖質制限で下げられるならできれば行きたくありません。
江部先生の見解をお聞かせ願えませんか。糖質制限.comでもミックス粉やパン等を購入させていただいておりますが、私の身体にはもう糖質制限は意味のないものなのかと不安です。】
ぶーすか さん
1ヶ月間のスーパー糖質制限食実践でも血糖値が下がらないなら、糖毒状態に陥っている可能性があります。
① 高血糖の持続→膵臓のランゲルハンス島のβ細胞にダメージ→インスリン分泌低下
② 高血糖の持続→筋肉細胞レベルでのインスリン抵抗性増大
高血糖があると①と②が体内で生じます。
インスリン分泌低下と抵抗性増大が生じれば、ますます高血糖となります。
≪高血糖の持続→インスリン分泌低下とインスリン抵抗性増大→高血糖の持続→≫
この悪循環パターンを、臨床的には「糖毒」 と呼びます。
一日の血糖値の日内変動が、常に180~200mg/dlを超えていると糖毒状態となります。
なぜ、高血糖自体がインスリン分泌を低下させるのか、インスリン抵抗性を増大させるのか、最先端の研究で調べられてはいるのですが、はっきり言ってまだよくわからないのが現状です。
糖尿病の罹病歴が4~5年くらいなら、「スーパー糖質制限食」で食後高血糖がリアルタイムに改善し、さらに早朝空腹時血糖値も改善し糖毒状態が解除されることがほとんどです。
しかし、10年近い糖尿病歴があると、「スーパー糖質制限食」で食後高血糖はリアルタイムに改善したとしても、一日を通して、180~200mg/dlを切ってこない状況になります。
こうなるとなかなか糖毒も解除されないし、早朝空腹時血糖値も、180~200mg/dlを切れない状態が持続します。
1回の食事の糖質量が、10~20g以下の糖質制限食でも、早朝空腹時血糖値が198~200mg以上あるのは、夜中の糖新生が過剰になっていると考えられます。
糖尿病がない人は、夜中に肝臓が糖新生を開始してもインスリンがリアルタイムに反応して、糖新生を制御します。
しかし糖尿人においては、インスリン作用が不足しているため糖新生を制御できません。
2型糖尿人において、眠前11時頃の血糖値が100mg/dlくらいでも朝起きて測定すると、夜中に何にも食べていないのに、120~130mg/dlになることがあり、これを暁現象と呼びます。
ぶーすかさんの場合は、糖尿病歴10年近くであり、「暁現象+糖毒」のために、早朝空腹時血糖値が、180~200mg/dlを切れない状態が持続しているのだと思います。
スーパー糖質制限食を1ヶ月実践でも改善があまりみられないので、基本的に病院に行くことが必要です。
「暁現象+糖毒」の悪循環を断ち切るには、はっきり言って入院加療が必要な状態です。
入院しての適切な食事と内服薬でインスリン注射を打たなくても、改善すると思います。
「暁現象+糖毒」の状態を解除するためにはスーパー糖質制限食を実践しつつ、
①SGLT2阻害薬
②メトグルコ
③DPP-4阻害薬
①②③を適宜併用することが必要と思います。
江部康二
いつも江部先生のブログや本を読んで日々糖質制限に励んでいる40歳主婦です。
糖質制限.comさんにもいつもお世話になっております。
今までも沢山コレステロールについて取り上げていらっしゃいますが過去記事を読んでも自分はどれにも当てはまらない気がして不安でいっぱいで質問させて下さい。
昨年9月に別の案件で病院へ行った血液検査で立派なⅡ型糖尿病ですと診断されました。皆糖尿病の一家なのでいつかはと思ってたのですが流石にショックでした。HbA1c9.5でメトグルコを処方されたのですが、翌日には具合が悪くなって調べた結果低血糖ではなかったのでメトグルコに対してアレルギー症状を起こしたとかなと言われ薬なしで食事療法で頑張りましょうとなりました。もちろんカロリー制限食の指導を受けて帰宅しましたが、色々調べてるうちに先生のブログにたどり着いて記事を読み漁りネットで本を注文して早速スーパー糖質制限ダイエットを始めました。
2ヵ月ごとに通院して血液尿検査をしてます。
約半年でここまで改善出来ました。
2016/9/2 → 2017/2/20
158㎝/80㎏ → 59㎏
HbA1c 9.5 → 5.5
血糖値 175 → 98
ケトン体 → +3
T-CHO 223 → 302
中性脂肪 126 → 179 → 153 → 164
HDL 52 → 43 → 44 → 50
LDL 215 → 151 → 169 → 216
AST 81 → 16
ALT 90 → 11
LD 429 → 158
γGT 105 → 12
軒並み数値が改善して主治医も驚いていたのですが、中性脂肪とコレステロールが高い事に言及されて女性だし生理もあるから多少高いのは仕方ないんだけど。閉経後にこの数値だったらすぐ薬を処方するレベルだよと言われ、どっちにしてもこのままじゃ動脈硬化心筋梗塞のリスクが高いから次回薬を処方するかもと言われてしまいました。
江部先生のブログを読んでも、皆さん中性脂肪が改善されて低い方ばかりなのに、私は一向に中性脂肪が改善されなくてLDLも高くなってとても悩んでいます。自分のやり方が間違っているのかと毎日悶々としています。目標体重は55㎏なのでもう少しなのですが。
お忙しい中大変申し訳ないのですが、ご教示いただければ幸いです。】
こんばんは。
きたのむらさんから、糖質制限食でHbA1cと血糖値は劇的に改善したけれど、LDLコレステロール値と中性脂肪値が心配というコメントを頂きました。
きたのむらさん、拙著のご購入、ありがとうございます。
約半年の経過
2016/9/2 → 2017/2/20
158㎝/80㎏ → 59㎏
BMI 32 → 23.6
HbA1c 9.5 → 5.5
血糖値 175 → 98
ケトン体 → +3
T-CHO 223 → 302
中性脂肪 126 → 179 → 153 → 164
HDL 52 → 43 → 44 → 50
LDL 215 → 151 → 169 → 216
AST 81 → 16
ALT 90 → 11
LD 429 → 158
γGT 105 → 12
約半年の糖質制限食で、体重、HbA1c、血糖値、脂肪肝が劇的に改善しています。
素晴らしいです。
半年後も尿中ケトン体が陽性(+3)ですので、結構きっちり、糖質制限食が実践できていて、血中ケトン体がかなり高値と考えられ、とてもいいと思います。
中性脂肪値が164mg/dlと軽度高値ですが、10時間以上絶食後の、早朝空腹時のデータでしょうか?
糖質制限食の場合、食後であれば、数時間は食材由来の中性脂肪が血中に存在するので、中性脂肪値を正確に評価するときは、上記の条件で検査することが必要です。
10時間以上絶食後の、早朝空腹時のデータであれば、中性脂肪値は基準値内になると思います。
スーパー糖質制限食実践で、HDLコレステロールが増加し、中性脂肪は減少します。
LDLコレステロール値は
215 → 151 → 169 → 216mg/dl
ですが、このまま、糖質制限食を続けていれば、
徐々に基準値になっていくと思います。
糖質制限食開始当初は、
①<肝臓で産生するコレステロール>
②<食材からのコレステロールの増加>
③<小粒子LDLコレステロールが減って、大きいLDLコレステロールが増加>
①がベースにあり、②と③が加わるので、
血清LDLコレステロール値は一旦、上昇することが多いです。
③は一見、LDLコレステロールが増加するのですが、標準の大きさの善玉のLDLコレステロールが増えるのでよいことです。
そのうち①が徐々に減少して調整するので、
徐々に基準値になっていきます。
個人差が大きくて、基準値になるのに半年~1年~2年~数年かかることがあります。
なお、脂肪を厳しく制限しても、5万人、8年間のRCT研究で、コレステロール値は不変でした。
つまり、食材からのコレステロールが多くても少なくても肝臓が調整するので、長期的には血中コレステロールには影響はないという極めて信頼度の高いエビデンスがあることとなります。(☆)
ともあれ、HDLコレステロールが正常で、中性性脂肪値が基準値なら、LDLコレステロールもよい仕事をしている善玉です。
このまま、糖質制限食を続けられて
1)HDLコレステロール値の増加
2)中性脂肪値の低下
1)2)の達成を目指しましょう。
(☆)
「低脂肪+野菜豊富な食生活」は心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクを下げない。
TC(総コレステロール)も不変。
米国の大規模介入試験:5万人弱の閉経女性を対象に、対照群を置き、
平均8年間にわたって追跡した結果が判明。
(脂肪熱量比率20%で強力に指導)
*Journal of American Medical Association(JAMA)誌2006年2月8日号の疾患ごとにまとめられた3本の論文で報告。*Low-Fat Dietary Pattern and Risk of Invasive Breast Cancer Low-Fat Dietary Pattern and Risk of Colorectal Cancer Low-Fat Dietary Pattern and Risk of Cardiovascular Disease : The Women's Health Initiative Randomized Controlled Dietary Modification TrialJAMA ,295(6):629-642. 643-654. 655-666.
江部康二
はじめまして。
書き込むのは初めてですが、先生には本当に感謝しています。
というのも、妊娠糖尿病になりましが、先生のブログなどで糖質制限食について勉強し、インスリンなく無事に先月出産することができました。
妊娠糖尿病と言われたときは不安でいっぱいでしたが、先生のお陰で糖質制限食を楽しみながら続けることができ、妊婦生活をストレスなく過ごせて本当に感謝でいっぱいです。
そして、先日産後1カ月の検診に行き、75g負荷試験では、
検査前75
1時間値135
2時間値123と正常になってました!
本当に先生のお陰です。
本当に本当にありがとうございます!
そこで質問があるんですが…
実家の両親と夫がご褒美に私が大好きなバイキングをご馳走すると言ってくれてます。
それは嬉しいんですが、両親と夫それぞれに言ってくれてて、しかも偶然に2日連続になってしまってます。
せっかく言ってくれてるので、行きたいんですが…不安もあります。
自分で色々調べた結果、
糖質が少ないものを食べる
ご飯、パン、麺類は食べない
なるべく短時間(1時間程度)で食べ終わる
食べたあと散歩する
など気を付ければ大丈夫かなぁと思っているんですが…
やっぱり食べ放題はやめるべきでしょうか?
本来なら自分で考えないといけないんでしょうが…
先生にお聞きするような内容ではないとは思ったんですが…
上記のことに注意したとしても、やはり食べ放題(しかも2日連続)は、食後高血糖を防ぐことは不可能ですか? 】
こんばんは。
いわさきさんから、妊娠糖尿病になったけれど、糖質制限食で無事出産という嬉しいコメントを頂きました。
いわさきさん、赤ちゃん誕生おめでとうございます。
妊娠糖尿病は、妊娠によりインスリン抵抗性が増して、耐糖能が低下して発症します。
従って、インスリン分泌能力は充分あって、インスリンは沢山でているのにインスリン抵抗性のために、高血糖となった状態です。
従来の妊娠糖尿病の治療では、糖質を食べてインスリンを注射します。
しかし、内因性のインスリンは充分でているのに、さらに外部からインスリン注射を打つわけですから、とても肥満しやすくなります。
インスリンは肥満ホルモンなので、インスリンを打てば、当然、妊娠中の体重コントロールも困難です。
糖質制限食なら、追加分泌インスリンはごく少量ですむので、勿論、インスリン注射は必要ありませんし、体重コントロールも容易です。
このように理論的には、妊娠糖尿病には糖質制限食が最適の治療法です。
一ヶ月後の、75g経口ブドウ糖負荷試験も正常型で良かったです。
今後は、緩やかな糖質制限食でも、充分将来の糖尿病発症の予防ができると思います。
勿論、つらくなければスーパー糖質制限食でも大丈夫です。
バイキングですが、2型糖尿人の私もよくいきます。
糖質制限なメニューを、結構お腹一杯食べます。
それで、調度、厚生労働省の言う「推定エネルギー必要量」くらいになります。
糖質制限なメニューなら満腹するまで食べても食後高血糖にはなりません。
普通の食欲の人で、糖質制限食なら、自然に、ほどよい摂取量になり食べ過ぎることはありません。
このことは、ニューイングランド・ジャーナルに掲載された論文「DIRECT」で証明されています。
いわさき さんも、大食漢でない限りは、毎日バイキングでも糖質制限食なら大丈夫です。
江部康二
質の悪いHbA1cを見つけるには、どうしたらいいでしょう?
SU剤内服や、インスリン注射中で、糖質を食べていて、一見HbA1cはコントロール良好でも食後高血糖と空腹時低血糖が隠れている場合があります。
①食後1時間血糖値を測定する。
②グリコアルブミン(GA)を測定する。
食後高血糖の有無を見るには、①と②の二つの手段があります。
①は、食事開始後1時間の血糖値を測定することで、食後高血糖があれば、発見できます。
もちろん、食後高血糖発見のためには、糖質摂取が必要です。
朝8時に食事を開始したら、朝9時に測定すると食後1時間血糖値となります。
食後1時間血糖値が180mg/dlを超えていたら、要注意です。
グリコアルブミン(GA)は、180mg/dlを超える食後高血糖が1~2時間と短時間でもあれば、それを反映します。
GAの基準値は、11~16%です。
GAは過去2週間の平均血糖値を反映します。
GAは、20%未満でコントロール良好ですが、16%を超えていれば一定の食後高血糖があることになります。
14日間の入院でも、短期間で劇的に改善するので、高雄病院ではほとんどの糖尿病患者さんで、HbA1cとGAの両方を検査します。
HbA1cは、過去2ヶ月の平均血糖値を反映していますので、14日間の入院では、ほとんど改善がわかりません。
また食後1~2時間の高血糖が、1日3回あってもそれを拾い上げることができないので欠陥がある検査と言えます。
2型糖尿病だと、GAとHbA1cのどちらかを月に1回検査ということが、健康保険上のしばりです。
そうすると
A)<GA+早朝空腹時血糖値>
B)<HbA1c+早朝空腹時血糖値>
食後高血糖を見逃さないためには、
月に一回A)
のほうが
月に一回B)
よりも好ましいと言えます。
江部康二
今日は、『上質のHbA1c』と『質の悪いHbA1c』について考えてみます。
糖尿病合併症を予防するには、「平均血糖値」と「平均血糖変動幅」の2つの改善が大切です。
つまり、見かけ上の平均血糖値の改善(HbA1cの改善)だけでは、糖尿病合併症のリスクは防げないということです。
現実に毎年、
糖尿病腎症から16000人が透析導入、
糖尿病網膜症から3000人が失明、
糖尿病足病変から3000人が足の切断、
といった合併症の悲劇が生じています。
なぜ、合併症が減少しないのか考えてみます。
現在、ほとんどの病院で、糖尿病コントロールに関して
①HbA1c
②空腹時血糖値
①と②の検査データで評価しています。
日本糖尿病学会の「熊本宣言2013」においてHbA1cが7.0%未満ならコントロール良好となります。
そうすると、例えばHbA1cが6.4%なら、評価基準ではコントロール良好となります。
HbA1cは過去1~2ヶ月の平均血糖値を示しています。
弱点としては、同じHbA1c:6.4%で一見コントロール良好の人でも『上質のHbA1c』の場合と『質の悪いHbA1c』の場合の区別がつかないことです。
例えばHbA1c6.4%で一見コントロール良好のAさんとBさんがいたとします。
HbA1c:6.4%ということは、平均血糖値は137mgです。
<HbA1c✕28.7 - 46.7 = 平均血糖値>
Aさんは、薬なしでやや緩い糖質制限食を実践中で、食前血糖値が108mgくらい、食後血糖値のピークが166mgくらいだったとしたら、アバウトには平均血糖値は137mgくらいですからHbA1cは6.4%です。
Bさんは、糖質を摂取してインスリン注射をしていて、HbA1c6.4%というコントロール良好を見かけ上は保っています。
しかしその実態は、過剰のインスリンにより空腹時血糖値が52mgくらいになり、少し糖質が多いと食後血糖値は222mgくらいに上昇しますが、それでも平均血糖値は137mgです。
AさんとBさんは、HbA1cという「平均血糖値」の指標は同じですが、「平均血糖変動幅」に関しては、AさんはBさんに比し圧倒的に良好な結果となります。
近年、平均血糖変動幅増大が、もっとも酸化ストレスと相関していて、次が食後高血糖で、それぞれ心血管疾患のリスクとなるとされています。
また、低血糖も急性冠症候群(心筋梗塞や狭心症など)の大きなリスクとなることがわかっています。
従って、同じHbA1c6.4%でも、Bさんの場合は、<平均血糖変動幅の増大・食後高血糖・空腹時低血糖>というの3つのリスクが、日常的な糖尿病治療の中に隠れ潜んでいるわけで、心筋梗塞や糖尿病合併症のリスクも、常に存在していることとなります。
このように分析してみると、糖質制限食でHbA1c:6.4%を保っているAさんは、『良質のHbA1c』であり、糖質を摂取して、インスリンでHbA1c:6.4%を見かけ上保っているBさんは、実際には『質の悪いのHbA1c』ということがよくわかると思います。
この質の悪いHbA1cの存在が、合併症が減らない元凶と言えます。
『糖質を普通に摂取しながら、強化インスリン療法や経口剤でHbA1c:6.0%を目指した群が、7.5%程度のゆるい目標の群より総死亡率が増加した。』
という衝撃的な結果となったACCORD試験が、まさに『質の悪いHbA1c』の存在の証明と言えるでしょう。
スーパー糖質制限食なら、薬物に頼ることなく「平均血糖値」と「平均血糖変動幅」の両者をコントロール良好に保つことが、多くの糖尿人において可能です。
従って合併症も予防できることとなります。
江部康二
本日の記事も、日本人のデータです。
第24回日本疫学会学術総会(2014年1月23日~25日、仙台)で報告されたNIPPON DATA 80の研究成果が論文として、英文雑誌に掲載されました。(☆)
『糖質摂取比率が一番少ないグループは、一番多いグループに比べて、女性においては心血管死のリスクが59%、総死亡のリスクが79%しかない』
という結論です。
NIPPON DATA 80の29年間の追跡結果データを検討したもので、論文の筆頭者の中村保幸先生は、私の京大医学部の同級生です。
この研究は糖質の摂取比率が欧米と比べて多い日本人を対象として、比較的軽度の低糖質食の総死亡率と心臓病などの心血管死のリスクへの影響を検討するのが目的です。
NIPPON DATA(National Integrated Project for Prospective Observation of Non-communicable Disease And its Trends in the Aged)とは、日本で行われた「前向きコホート研究」。
前向きコホート研究とは、ある集団の現在の生活習慣を調査してそこから前向き、つまり未来に向かって追跡調査して疾病などの発症を確認する手法です。
エビデンスレベルは「無作為化比較試験」(RCT=データの偏りを抑えるために被験者をランダムに処置群と比較対照群に割り付けて実施して評価する方法)に次いで高く、非常に信頼性の高い研究手法といえます。
NIPPON DATA 80では、日本全国から選ばれた13771人の30歳以上の住民を対象として、そのうち登録に同意した10546人をその後経過観察しました。
1980年に基礎調査が行われたことからNIPPON DATA 80と呼ばれています。
今回の研究報告は、2009年の時点での死亡データを解析したものです。
登録時のデータがない者、登録時点で心血管イベントの既往のあった者、経過観察ができなかった者を除いて、9200人(女性5160人、男性4040人)での解析が行われました。
9200人を29年間追跡して、
第1分位:糖質を一番摂取している群:糖質摂取比率は総摂取エネルギーの72.7%
第2分位~第9分位
第10分位:糖質制限を一番している群:糖質摂取比率は総摂取エネルギーの51.5%
糖質を一番摂取している群から順番に一番摂取してない群まで10群に分けて検討です。
その結果、
第10分位(糖質摂取比率51.5%)の糖質摂取比率が一番少ないグループは、
第1分位(糖質摂取比率72.7%)の糖質摂取比率が一番多いグループに比べて、
女性においては心血管死のリスクが59%、総死亡のリスクが79%しかないという結論
で、糖質制限食にとって、大きな追い風と言えます。
緩やかな糖質制限食でも、女性では、糖質たっぷり食に比べたら4割以上、心血管死が減るということですね。
男女合わせた解析でも心血管死リスクが74%、総死亡リスクが84%と低下しました。
男性単独では、有意差がでませんでした。
ともあれ、糖質制限食にとって、画期的な信頼度の高いエビデンスが登場したと言えます。
あくまでも私の個人的な意見ですが、緩やかな糖質制限食でこれだけの有意差が出たのなら、スーパー糖質制限食ならもっともっとすごい差がでるでしょうね。
一方、私が実践している糖質摂取比率12%のスーパー糖質制限食に関しては、この報告にはデータがありません。
従って、この報告をそのままスーパー糖質制限食に当てはめることはできません。
しかし、糖尿病でない人においても「食後血糖値上昇」「高インスリン血症」「平均血糖変動幅増大」という酸化ストレスリスクを生じない唯一の食事療法がスーパー糖質制限食ですから、長期的安全性も悪かろうはずがないですね。
信頼度の高いNIPPON DATA 80の研究報告では、糖質制限食群のほうが、糖質たっぷり群に比べて、心血管死、総死亡ともに少ないという結論です。
江部康二
(☆)
Br J Nutr. 2014 Sep 28;112(6):916-24. doi: 10.1017/S0007114514001627.
Low-carbohydrate diets and cardiovascular and total mortality in Japanese: a 29-year follow-up of NIPPON DATA80.
Nakamura Y1, Okuda N2, Okamura T3, Kadota A4, Miyagawa N4, Hayakawa T5, Kita Y6, Fujiyoshi A4, Nagai M4, Takashima N4, Ohkubo T7, Miura K4, Okayama A8, Ueshima H4; NIPPON DATA Research Group.
2017/3/2(木)
日本人が知らない“日本人の体質” 朝日放送 ビーバップ!ハイヒール
のゲストブレーンで、奥田昌子医師が登場して、無根拠な糖質制限食批判をされましたので、反論します。
以下、番組のサイトから抜粋
http://www.asahi.co.jp/be-bop/backnumber.html#sheetTeacher
【・・・予防医学に従事する医師の奥田昌子先生。
今回は、奥田先生が日本人の体質に合う、日本人のための正しい健康法を紹介する。
日本人は健康意識が高く、新たな健康法が登場すると、すぐに受け入れてしまいがち。ハリウッドセレブなどが取り入れる健康法は日本の若い女性の間でも人気だが、本当は日本人の体質に合っていないものが多い。中でも、今流行中の糖質抜きダイエット。なんと、日本人は炭水化物を取らないと、糖尿病のリスクを高めてしまうという。なぜ、糖質を抜くのに糖尿病になるのか? そこには肉食中心の欧米人と米食中心の日本人の体質の違いがあった!・・・】
欧米人と日本人は、人種が違うというのは、当たり前ですが、人類という範疇では同一です。
そもそも、日本人も含めて、人類には過剰の糖質摂取は適さないのです。
ともあれ、日本人と糖質摂取と糖尿病に関する信頼度の高いエビデンスを、まず一つ上げてみましょう。
『日本人は炭水化物を取らないと、糖尿病のリスクを高めてしまうという。』
これは、奥田昌子医師が明確に間違っています。
ご著書に「多目的コホート研究(JPHC研究)」のことも書いておられるのに以下の論文をご存じないのか、あえて無視されたのか、不可思議です。
実は、国立がん研究センター「多目的コホート研究(JPHC研究)」において
『米飯をたくさん摂取すると糖尿病発症が多くなる』
という結果が、2010年にすでに報告されています。
米飯摂取と糖尿病との関連について、国立がん研究センター、がん予防・検診研究センター研究部による「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果で、
がん予防・検診研究センター研究部のサイト
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/2418.html
で正式に、発表されています。(☆)
AJCNという一流雑誌に論文として掲載されました。
(American Journal of Clinical Nutrition 2010年12巻1468-77)
お茶碗1杯が約140gとして、1日に420g以上の米飯を食べる女性は、有意に糖尿病発症が多いです。
さらに1日に560g以上の米飯を摂取する女性は、もっと糖尿病発症が多いです。
この差は、男性の全体データでは、はっきりしません。
しかし、1日1時間未満の筋肉労働の男性では、米飯摂取が多いと糖尿病発症が有意に増加していました。
一方、1日1時間以上筋肉労働をする男性では、米飯摂取量増加による糖尿病発症の増加はありませんでした。
また、1日1時間未満の筋肉労働の女性では、米飯摂取が多いと糖尿病発症が増加傾向でした。
一方、1日1時間以上筋肉労働をする女性では、米飯摂取量増加による糖尿病発症の増加はありませんでした。
男女とも1日1時間以上の筋肉労働をすれば、ご飯をしっかり食べても糖尿病発症のリスクにならないようです。
一方、1日1時間未満の筋肉労働の人は、男女ともにご飯を多く食べると糖尿病発症のリスクになるということですね。
ご飯好きの人は、しっかり勉強しておきたい情報でした。
なお、
『炭水化物の高摂取は糖尿病のリスクを高めることが諸外国の研究でも報告』
されていますので、
『日本人も含めて、人類には過剰の糖質摂取は適さない。』
というエビデンスがあるということですね。
(☆)
以下、がん予防・検診研究センター研究部のサイトから転載
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/2418.html →図表もみることができます。
米飯摂取と糖尿病との関連について
-「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果-
私たちは、いろいろな生活習慣と、がん・脳卒中・心筋梗塞などの病気との関係を明らかにし、日本人の生活習慣病予防に役立てるための研究を行っています。平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の9保健所(呼称は2010年現在)管内にお住まいだった方々のうち、研究開始から5年後に行った調査時に糖尿病やがん、循環器疾患になっていなかった45~74歳の男女約6万人を、5年間追跡した調査結果にもとづいて、米飯摂取と糖尿病発症との関連を調べた結果を、専門誌で論文発表しましたので紹介します(American Journal of Clinical Nutrition 2010年12巻1468-77ページ)。
炭水化物の高摂取は糖尿病のリスクを高めることが諸外国の研究で報告されていますが、米を主食とする日本人において米飯摂取により糖尿病のリスクが高まるかどうかは明らかではありません。そこで、米飯摂取と糖尿病発症との関連について検討しました。
女性で糖尿病発症のリスクが上昇
研究開始から5年後に行なったアンケート調査の結果を用いて、米飯の摂取量により4つのグループに分類し、その後5年間の糖尿病発症(男性625人、女性478人)との関連を調べました。糖尿病の発症は、研究開始10年後に行った自記式調査で、上記追跡期間内に糖尿病と診断されたことがある場合としました。
その結果、女性では米飯摂取が多くなるほど糖尿病発症のリスクが上昇する傾向が認められました。摂取量が最も少ないグループに比べ1日3杯および1日4杯以上のグループでは糖尿病のリスクがそれぞれ1.48倍、1.65倍に上昇していました(図1)。さらに、米飯にあわ・ひえ・麦を混ぜない人に限って調べたところ、より強い関連がみられました。男性でも同様の傾向がみられましたが、統計学的に有意なリスク上昇ではありませんでした。パンやめん類では糖尿病リスクとの関連は認めませんでした。
筋肉労働や激しいスポーツをしない人で、米飯摂取による糖尿病リスクが上昇
筋肉労働や激しいスポーツを1日1時間以上する人としない人に分けて調べたところ、米飯摂取により糖尿病のリスクが上昇する傾向は男女ともにそのような活動をしない人において認められましたが、1日1時間以上する人ではみられませんでした(図2)。
今回の研究では、女性及び筋肉労働をしていない男性において、米飯摂取により糖尿病発症のリスクが上昇するという結果が得られました。その理由として、白米は精白の過程で糖尿病に予防的に働く食物繊維やマグネシウムが失われることや、食後の血糖上昇の指標であるグリセミックインデックスが高いことが挙げられます。筋肉労働や激しいスポーツを1日1時間以上しない人でのみ米飯摂取により糖尿病のリスクが上昇していたことから、身体活動量が高い人では米飯摂取が多くてもエネルギーの消費と摂取のバランスが保たれていることが考えられます。また、女性においては、米飯に雑穀を混ぜない人で糖尿病のリスクがさらに上昇していたことから、糖尿病予防には、日常の身体活動量を増やすとともに、雑穀を取り入れるなどの米飯摂取後の血糖上昇を抑えるような工夫も大切であると考えられます。
今回の研究では、全対象者に実施された食物摂取頻度アンケート調査から、各グループの米飯摂取量(中央値)を算出すると、最も少ないグループは、男性では280g、女性では165g、最も多いグループは、男性では700g、女性では560gでした。これらの値は、対象者の一部に実施されたより直接的な食事記録調査から算出された値と対比すると、男性では9%多く、女性では4%少なく見積もっています。
多目的コホート研究などで用いられる食物摂取頻度アンケート調査は、摂取量による相対的なグループ分けには適していますが、それだけで実際の摂取量を正確に推定するのは難しく、また年齢や時代・居住地域などが限定された対象集団の値を一般化することは適当とは言えませんので、ここに示した摂取量はあくまで参考値にすぎません。
江部康二
2016年、東京、京都にて開催し、ご好評いただいた医療従事者対象セミナーを
2017年2月12日(日)大阪に続いて
2017年4月9日(日)東京にて開催致します。
日本糖質制限医療推進協会主催 医療従事者対象セミナー(東京)
「糖質制限食による糖尿病指導~理論と実践~」
第1部 理論編
糖尿病治療に関して、最新糖質制限食理論と共にエビデンスのお話を簡単に説明します。
2016年に得られた最新の糖質制限食情報もお話しします。
第1部は講義と質疑応答含めて45分間です。
第2部 栄養指導編
高雄病院の栄養指導の実際を、橋本眞由美管理栄養士がお話します。
第2部は講義と質疑応答を含めて60分間です。
第3部 臨床実践編
糖尿病合併症の現状や久山町の悲劇など、そして薬剤の使い方のコツをお話します。
また、糖質制限食を実践していて、「すぐに良くなった症例」「治療に難渋した症例」
「1型のインスリン分泌ゼロの症例」「SGLT2阻害薬が著効した症例」などを、
実際に入院された患者さんのデータを見ながら検討します。
第3部は100分間ありますので、参加者の皆さんと共にディスカッション形式の症例検討を導入したいと思っています。
ご参加頂いた皆さんには、前回と同様に講演PPTスライドの、CD(PDFファイル)をお配りします。
東京、関東、東北、北信越、東海などの医療従事者の皆さん、奮ってご参加くださいね。
江部康二
以下事務局からのお知らせです。
***********
ブログ読者の皆様、いつも弊会のイベントへ多数ご参加
いただきましてありがとうございます。
2017年4月9日(日)、東京にて医療従事者対象の糖質制限食
セミナーを開催致します。
内容につきましては、2月12日(日)に大阪で開催しましたセミナーと
同様を予定しております。
糖質制限食指導に必要な理論をさらいつつ、糖尿病治療における
より実践的な内容にウェイトをおきます。
新たな症例も盛り込んで、難渋症例についての討議も予定しております。
医療従事者の皆様の多数のご参加を心よりお待ちしております。
◆掲載サイト: http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity
★当日、セミナー終了後に懇親会を催します。
詳細は、セミナーへの参加お申し込み時にご案内申し上げます。
//////////////ご案内/////////////////
(一社)日本糖質制限医療推進協会主催
医療従事者向け糖質制限食セミナー in 東京
「糖質制限食による糖尿病指導 ~理論と実践 」
■日時:4月9日(日)12:50~16:40頃 ※開場・受付は12:30~
■会場: WATERRAS COMMON 3F「ワテラスコモンホール」
東京都千代田区神田淡路町2丁目101番地
http://www.waterrascommon.com/access.html
■講師:
A:江部 康二 医師
(一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長
B:橋本 眞由美 管理栄養士 (一財)高雄病院 栄養管理部 部長
■内容:
第1部:理論編(45分) ※講師A
糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論を説明。三大栄養素と血糖、ケトン体の安全性、米国糖尿病学会の見解、CKDガイド2013の記載などについて言及。糖質制限食の有効性と安全性について、EBMの観点からRCT研究論文、長期のコホート研究により根拠を示し、最新の話題についてもお話します。
第2部:栄養指導編(60分) ※講師B
高雄病院では、3食とも主食なしのスーパー糖質制限食を実施しており、その具体的な食事内容を紹介します。また、外来時と入院時における栄養指導の方法及びポイント、よくある問題点と改善のプロセスなど、指導事例も交えつつ、糖質制限食を継続していただくための栄養士の関わり方についてお話しします。糖質制限食導入を検討されている院所にとりまして、少しでもヒントになるよう管理栄養士の立場からお話を進めていきたいと思います。
第3部:臨床実践編(100分) ※講師A
高雄病院の豊富な 臨床例を取り上げて検討。治療に難渋した症例を提示して参加者と共に ディスカッション。メトホルミン・DPP-4阻害薬・α-GI薬・速効型インスリン 分泌促進剤は比較的使用頻度が高いのでコツを伝授。SGLT阻害薬は糖毒解除などに有用、外部由来のブドウ糖を減らすのが糖質制限食、体内の糖新生由来のブドウ糖も排泄するのがSGLT阻害薬。SU剤とチアゾリジン誘導体の位置づけを示します。
糖質制限食実践中に生じうる好ましくない症状・ 変化について検討します。
*各所要時間は、質疑応答、ディスカッションの時間を含みます。
■対象: 医療従事者(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、鍼灸師など)
■受講費:
・医師・歯科医師:
賛助会員 7,200円 / 一般(非会員) 9,000円
・上記以外の医療従事者:
賛助会員 5,200円 / 一般(非会員) 6,500円
*参加頂いた皆様には、映写・配布資料のデータ(PDF)CDをお配りします。
■お支払い方法: クレジットカード/銀行振込/郵便振替
※事前決済のみとなります。
※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。
■お申し込みの流れ:
1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込み下さい。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4. 当日、直接会場までお越し下さい。
■お申し込み方法:
★賛助会員の方
事務局までメールにて、医療機関でのご職種をご記入の上、お申し込み下さい。
領収書をご希望の場合は、発行ご希望の旨と宛名もお知らせ願います。
★賛助会員入会をご希望の方:
1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up
2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
「入会ならびに講演会出席のお問い合わせ」を選択いただき、
「通信」欄に以下をご記入下さい。
① 「4/9東京セミナー、参加希望」 とご記入下さい。
② 医療機関でのご職種をご記入下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact
★一般(非会員)で、セミナーの受講のみご希望の方:
下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-med
■その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは4月7日(金)までに事務局までご連絡願います。
それ以降のご返金は原則、対応致しかねますので予めご了承下さい。
Ⅰ型糖尿病 インスリン注射最小限にしたい
江部先生 はじめまして、こんにちわ!
48歳女性のちーまると申します。
今年の1月から喉が乾きこむら返りなど生じ、近くの病院に行ったところ2/15から昨日までの二週間入院しました。
その時の数値は、
血糖 520
HbA1c 14.4
抗GAD抗体 1130
Cペプチド 1.01
ケトン体1+
Ⅰ型と診断されました。・・・】
【17/03/02 ちーまる
江部先生、お忙しい中、コメント感謝いたします。
病院からいただいたデータをみる限り、Cペプチドの正常値は、0.61~2.09と記入されており
私の数値は、1.01
自分のインスリンが出ているとの江部先生の言葉に希望が湧きました!
抗GAD抗体は正常値5.0未満のところ、私は1130なのですが、しかし、自分のインスリンがでているとすると私は2型なのでしょうか。
退院してから低血糖があり、主治医と連絡して単位が少し減りました。
ランタス22
ヒューマログ14-0-6
このままの単位を打ち続けてしまうと次第に自分のインスリンがでなくなってしまうのでしょうか。
初心のため自分でインスリンの単位を自己判断で下げる操作に自信がなく、ご指導受けながら、インスリンを下げていきたいと思っています。
先生の病院にお伺いさせていただくかもしれません。
その際は何卒ご指導宜しくお願いいたします。
ちーまる】
おはようございます。
1型糖尿病のちーまるさんから1型糖尿病と内因性インスリン(Cペプチド)についてコメント・質問を頂きました。
1型糖尿病でも、自分自身のインスリン分泌能力(内因性インスリン)が、残っている場合があります。
そして、スーパー糖質制限食で血糖コントロール良好を保てば、長期にわたり、内因性インスリン分泌能が維持されることがあります。
今まで、1型糖尿病だと、すぐに内因性インスリン分泌能が無くなるとされてきましたが、これは、血糖コントロールが悪い場合に高血糖そのものが膵臓のβ細胞を障害して壊してしまうことが大きな要因であったと、私は考えています。
ちーまるさんは、1型糖尿病発症時は
血糖 520 mg/dl
HbA1c 14.4 %
抗GAD抗体 1130U/ml
Cペプチド 1.01 ng/ml
ケトン体1+
このデータでみると、かなりの重症で、糖尿病ケトアシドーシスになりかけだったと思います。
治療がぎりぎり間に合って良かったです。
抗GAD抗体 1130U/ml なので、診断基準的には1型となります。
Cペプチドの正常値は、「0.61~2.09」で、1.01 ng/mlと分泌されていて基準値内に入っています。
Cペプチドが基準値で、内因性インスリンが確保されているのでとても好ましい状態と思います。
血糖コントロール良好を保てば、長期間、内因性インスリン分泌が維持できる可能性があります。
ランタス22
ヒューマログ14-0-6
もし、スーパー糖質制限食実践なら、入院中の糖尿病食(低脂肪で高糖質食)を食べている時に比べるとヒューマログは、1/3以下に減ります。低血糖に注意しましょう。
ランタスも3/4とか2/3とかに減らせる可能性があります。
高雄病院に入院ご希望なら主治医あるいは近医に「診療情報提供書」を書いて頂き、高雄病院に送付してください。
それにより、入院担当事務職員とちーまるさんで、やりとりして頂き高雄病院に直接入院が可能となります。
江部康二
江部先生、初めまして。
母と一緒に糖質制限を楽しみながら頑張ってます!
スマホのニュースアプリを見ていて気になる記事があったので、江部先生に報告にきました。
【認知症】糖質制限してる人はなりやすい!? 納豆&卵は最強の予防対策
http://kaigo.news-postseven.com/4130
江部先生はこの記事に対してどのようにお考えですか? 』
こんにちは。
きゅう さん から
【認知症】糖質制限してる人はなりやすい!? 納豆&卵は最強の予防対策
http://kaigo.news-postseven.com/4130
というサイトの記載について、コメント・質問を頂きました。
きゅうさん、情報をありがとうございます。
http://kaigo.news-postseven.com/4130 のサイトを見ました。
森由香子管理栄養士さんに認知症にならない食べ方について聞いたということです。
内容は旧態依然たる栄養学で、東大病院でさえ、2015年4月から、摂取比率40%の糖質制限食を提供しているという時代なのに、 全く進歩していないですね。
森由香子管理栄養士さん、
「糖質制限をしている人は認知症になりやすい」
として、
「脂質はとり過ぎず、炭水化物も適量とることが大事で、炭水化物は全摂取エネルギーの50~65%、脂質は20~30%を目安にしっかりとる。これが正しい“糖質制限”だと私は思います。」
と書いておられますが無根拠です。
それに、これは糖質制限ではなく、単なる高糖質食です。
高糖質食が、認知症の元凶であることは、信頼度の高い「久山町研究」において明白に証明されています。
久山町研究では、森由香子管理栄養士さんの推奨する「炭水化物60%」の食事により、糖尿病発症が激増し、アルツハイマー病の発症も激増しています。
<久山町研究>
A)
久山町研究において、1988年から2002年まで、14年間も運動療法と食事療法(従来の糖尿病食)をしっかり指導したにも関わらず、糖尿病発症予防に失敗して、かえって激増させてしまったことは、過去本ブログ記事で再三、述べてきました。
端的に言って、従来の糖尿病食(高糖質食)が、糖尿発症を激増させたという信頼度の高い結論がでたということです。
男性
1988 2002
糖尿病 15.0 23.6%
IGT 19.2 21.6%
IFG 8.0 14.7%
合計 42.2 59.9%
女性
1988 2002
糖尿病 9.9 13.4%
IGT 18.8 21.3%
IFG 4.9 6.6%
合計 33.6 41.3%
B)
「久山町では1985年から2012年まで5回にわたり65歳以上の全住民を対象にした認知症に関する調査を実施。
過去5回で高齢者認知症の有病率が6.7%から17.9%まで急増。
認知症患者の6割を占めるアルツハイマー型に限れば、約9倍に増えていた。」
2012年の調査で、認知症が増加して、アルツハイマー病は、実に27年間で9倍に増加です。
1985年から2012年までの調査結果ですが、A)の1988~2002年の、従来の糖尿病食での食事療法介入期間もしっかり含まれています。
糖尿病患者のアルツハイマー型発症リスクはそうでない人の2.1倍ですから、従来の糖尿病食で、久山町の糖尿病を激増させたことが、久山町のアルツハイマー病激増に、おおいに関わっていると考えられます。
「従来の糖尿病食は、糖質摂取比率60%で、しっかりご飯を摂取する」というものです。
C)
「米の摂取量を減らして、大豆、緑黄色野菜、淡色野菜、海藻類、牛乳・乳製品を多く摂るというパターンで認知症のリスクが下がる」
この久山町研究の結論は、私もその通りだと思います。
この食事パターンに、魚と肉と卵を加えたら、何とそのまま『糖質制限食』です。
A)B)C)の久山町研究で、米を多く摂取する「高炭水化物食」により、糖尿病発症が激増し、アルツハイマー病の発症も激増したことが報告されました。
<考察>
スーパー糖質制限食なら、そもそも糖尿病発症予防ができますし、すでに糖尿病を発症した人も、コントロール良好が維持できます。
糖尿病発症予防ができれば、そのままアルツハイマー病発症予防につながります。
糖尿病患者において『食後高血糖』と『平均血糖変動幅増大』という酸化ストレスリスクを予防できるのは、糖質制限食だけです。
糖尿病患者における酸化ストレスが、糖尿病合併症だけでなく、アルツハイマー病、がん、動脈硬化、老化・・・様々な生活習慣病の元凶です。
血糖コントロール良好なら、酸化ストレスリスクは生じず、合併症は発生せず、アルツハイマー病などのリスクもありません。
ブログ読者の皆さんも、久山町のように、アルツハイマー病が激増しないように美味しく楽しく末長く糖質制限食に取り組みましょう。
江部康二