2016年02月29日 (月)
皆様から、直接、様々な内容(ご質問、ご相談、近況
報告など)のお手紙やFAXを頂くことが多々あるのですが、返事を出すことは困難であることをご理解頂きたいと思います。
糖質制限食や病状に関するご質問についてですが、
高雄病院や江部診療所に受診された患者さんに対しては、診察室で、個別に説明し対応させて頂いております。
お手紙やFAXでの個人的なご相談は、どうかご遠慮頂きますよう重ねてお願い申し上げます。
ブログ読者の皆さんの質問に関しては、本ブログ内にて、糖質制限食に詳しい医師として、ボランティアで回答させていただいています。
ブログでの回答に関しては、診察をしておりませんので、責任も取れません。
私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。
また、ブログ記事や本に関しても同様に、糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。
従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m
そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。
またネットで簡単に検索可能なことは、ご自分でお調べください。
糖質制限食と関わりがないと判断した質問にはお答えできない場合もありますので、ご了承ください。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文記事にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。
質問によっては、コメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
質問が増えてきております。
糖質制限食に関わりのある全ての質問に、本文かコメントでお答えするようできるだけ努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
江部康二
報告など)のお手紙やFAXを頂くことが多々あるのですが、返事を出すことは困難であることをご理解頂きたいと思います。
糖質制限食や病状に関するご質問についてですが、
高雄病院や江部診療所に受診された患者さんに対しては、診察室で、個別に説明し対応させて頂いております。
お手紙やFAXでの個人的なご相談は、どうかご遠慮頂きますよう重ねてお願い申し上げます。
ブログ読者の皆さんの質問に関しては、本ブログ内にて、糖質制限食に詳しい医師として、ボランティアで回答させていただいています。
ブログでの回答に関しては、診察をしておりませんので、責任も取れません。
私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。
また、ブログ記事や本に関しても同様に、糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。
従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m
そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。
またネットで簡単に検索可能なことは、ご自分でお調べください。
糖質制限食と関わりがないと判断した質問にはお答えできない場合もありますので、ご了承ください。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文記事にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。
質問によっては、コメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
質問が増えてきております。
糖質制限食に関わりのある全ての質問に、本文かコメントでお答えするようできるだけ努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
江部康二
2016年02月28日 (日)
おはようございます。
新刊のご案内です。
よくわかる! すぐできる! 「 糖質オフ! 」健康法
単行本(ソフトカバー) – 2016/2/23 PHP研究所
¥594-
江部 康二 (著)
2016年2月23日発売です。
コンビニエンスストアでは、2月26日頃から店頭に並びます。
コンビニで販売というのも、興味深い試みなので、楽しみです。
本書は糖質制限食の理論、活用法、外食術、小わざなどが幅広く解説してあり、読みやすく便利な構成となっていて、価格もお安いのでなかなかリーズナブルでお奨めです。
江部康二
☆☆☆
以下は
よくわかる! すぐできる! 「 糖質オフ! 」健康法
のはじめにです。
はじめに。
本書で紹介する糖質制限食は、高雄病院で1999年から日本で初めて開始した食事療法です。
わかりやすく言うとご飯・パン・麺などの穀物製品や芋類などの糖質が多い食品を食べないで、肉・魚貝・卵・豆腐・葉野菜・海藻・茸などをしっかり摂取する食事療法です。
糖質を制限したぶん、脂質とたんぱくや食物繊維は充分量食べます。
糖質制限食というと現代の普通の食事である高糖質食と比べると変わった食事という風に思えます。
しかし、実は糖質制限食こそが、人類本来の自然な食事であり、人類の健康食なのです。
海外の動向をみても、例えば米国糖尿病学会は、2013年の栄養勧告において、地中海食やベジタリアン食などどともに「糖質制限食」も正式に認めました。
歴史的に考えて見ると、人類がチンパンジーと分かれて誕生したのが約700万年前です。
農耕が始まるまでは人類の生業は狩猟・採集であり、全ての人類が糖質制限食でした。
約10000年前に農耕が始まり、主食が穀物へと変化し、現在まで続いています。
即ち人類が穀物を主食としたのは、長い歴史の中でわずか1/700の期間に過ぎません。
歴史的に進化の過程をみると「糖質制限食」と「穀物を主食とする高糖質食」、どちらが人類にとって自然な食事なのかはいうまでもありません。
農耕以前の人類にとって糖質は言わばラッキー食材でした。
すなわち時々手に入る果物やナッツ、そして山芋や百合根などの根茎類くらいが比較的糖質の多い食材でした。
運良く手に入った果物を食べて血糖値が上昇するとインスリンが分泌され筋肉に取り込まれますが、余った血糖は中性脂肪に変わり脂肪組織に蓄えられます。
このように、ラッキー食材から得た糖質は、消化吸収されたあとインスリンにより脂肪に変わり、来るべき飢餓に備える唯一のセーフティーネットとなっていたと考えられます。
インスリンは今でこそ肥満ホルモンというありがたくない別称をもっていますが、狩猟・採集時代はその脂肪を蓄える能力は、とても重要な意味をもっていたわけです。
本来、脂肪を蓄えるためのラッキー食材だったはずの糖質を、農耕開始後は日常的に毎日食べるようになりました。さらにこの200~300年間は精製された炭水化物を食べるようになりました。
現在先進国では、精製された炭水化物であるご飯やパンや麺、そして砂糖水のような清涼飲料水を日常的に大量に摂取しています。このことが肥満や糖尿病や様々な生活習慣病の元凶となっていると私は思います。
人類の身体の消化・吸収・栄養・代謝システムは、700万年間の糖質制限食の過程を経て、突然変異を繰り返して完成されたものであり、糖質制限食に適合しています。
すなわち総摂取カロリーの50~60%が糖質という現代の穀物ベースの食生活は、人体にとってはとんでもなくバランスの悪いものなのです。
糖質制限食は、人類本来の食事、人類の健康食ですので、糖尿病や肥満をはじめとして様々な生活習慣病が改善していきます。
しかも糖質制限食は、糖質を抜くだけで脂質やタンパク質はOKなので「美味しく楽しく」続けられるのが特長です。
2002年以来、糖尿病克服のため糖質制限食を足かけ15年続けている私にとっても、とても嬉しい食事療法なのです。
おかげさまで、66歳現在、糖尿病合併症は皆無で、歯は全部残っていて虫歯もなく、聴力低下もなく、身長も縮んでおらず、夜間尿もなく、目も眼鏡なしで、「広辞苑」も読めますし日常生活には全く不自由なしであり、まさに人類の健康食と思えます。
本書は糖質制限食の理論、活用法、外食術、小わざなどが幅広く解説してあり、読みやすく便利な構成となっていますので、是非ご一読いただけば幸いです。
2016年2月 江部康二
新刊のご案内です。
よくわかる! すぐできる! 「 糖質オフ! 」健康法
単行本(ソフトカバー) – 2016/2/23 PHP研究所
¥594-
江部 康二 (著)
2016年2月23日発売です。
コンビニエンスストアでは、2月26日頃から店頭に並びます。
コンビニで販売というのも、興味深い試みなので、楽しみです。
本書は糖質制限食の理論、活用法、外食術、小わざなどが幅広く解説してあり、読みやすく便利な構成となっていて、価格もお安いのでなかなかリーズナブルでお奨めです。
江部康二
☆☆☆
以下は
よくわかる! すぐできる! 「 糖質オフ! 」健康法
のはじめにです。
はじめに。
本書で紹介する糖質制限食は、高雄病院で1999年から日本で初めて開始した食事療法です。
わかりやすく言うとご飯・パン・麺などの穀物製品や芋類などの糖質が多い食品を食べないで、肉・魚貝・卵・豆腐・葉野菜・海藻・茸などをしっかり摂取する食事療法です。
糖質を制限したぶん、脂質とたんぱくや食物繊維は充分量食べます。
糖質制限食というと現代の普通の食事である高糖質食と比べると変わった食事という風に思えます。
しかし、実は糖質制限食こそが、人類本来の自然な食事であり、人類の健康食なのです。
海外の動向をみても、例えば米国糖尿病学会は、2013年の栄養勧告において、地中海食やベジタリアン食などどともに「糖質制限食」も正式に認めました。
歴史的に考えて見ると、人類がチンパンジーと分かれて誕生したのが約700万年前です。
農耕が始まるまでは人類の生業は狩猟・採集であり、全ての人類が糖質制限食でした。
約10000年前に農耕が始まり、主食が穀物へと変化し、現在まで続いています。
即ち人類が穀物を主食としたのは、長い歴史の中でわずか1/700の期間に過ぎません。
歴史的に進化の過程をみると「糖質制限食」と「穀物を主食とする高糖質食」、どちらが人類にとって自然な食事なのかはいうまでもありません。
農耕以前の人類にとって糖質は言わばラッキー食材でした。
すなわち時々手に入る果物やナッツ、そして山芋や百合根などの根茎類くらいが比較的糖質の多い食材でした。
運良く手に入った果物を食べて血糖値が上昇するとインスリンが分泌され筋肉に取り込まれますが、余った血糖は中性脂肪に変わり脂肪組織に蓄えられます。
このように、ラッキー食材から得た糖質は、消化吸収されたあとインスリンにより脂肪に変わり、来るべき飢餓に備える唯一のセーフティーネットとなっていたと考えられます。
インスリンは今でこそ肥満ホルモンというありがたくない別称をもっていますが、狩猟・採集時代はその脂肪を蓄える能力は、とても重要な意味をもっていたわけです。
本来、脂肪を蓄えるためのラッキー食材だったはずの糖質を、農耕開始後は日常的に毎日食べるようになりました。さらにこの200~300年間は精製された炭水化物を食べるようになりました。
現在先進国では、精製された炭水化物であるご飯やパンや麺、そして砂糖水のような清涼飲料水を日常的に大量に摂取しています。このことが肥満や糖尿病や様々な生活習慣病の元凶となっていると私は思います。
人類の身体の消化・吸収・栄養・代謝システムは、700万年間の糖質制限食の過程を経て、突然変異を繰り返して完成されたものであり、糖質制限食に適合しています。
すなわち総摂取カロリーの50~60%が糖質という現代の穀物ベースの食生活は、人体にとってはとんでもなくバランスの悪いものなのです。
糖質制限食は、人類本来の食事、人類の健康食ですので、糖尿病や肥満をはじめとして様々な生活習慣病が改善していきます。
しかも糖質制限食は、糖質を抜くだけで脂質やタンパク質はOKなので「美味しく楽しく」続けられるのが特長です。
2002年以来、糖尿病克服のため糖質制限食を足かけ15年続けている私にとっても、とても嬉しい食事療法なのです。
おかげさまで、66歳現在、糖尿病合併症は皆無で、歯は全部残っていて虫歯もなく、聴力低下もなく、身長も縮んでおらず、夜間尿もなく、目も眼鏡なしで、「広辞苑」も読めますし日常生活には全く不自由なしであり、まさに人類の健康食と思えます。
本書は糖質制限食の理論、活用法、外食術、小わざなどが幅広く解説してあり、読みやすく便利な構成となっていますので、是非ご一読いただけば幸いです。
2016年2月 江部康二
2016年02月27日 (土)
こんにちは。
糖尿人といろんな食事療法と食後血糖値について、検討してみました。
1)普通に野放しで糖質を食べている糖尿人
2)従来の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)で清く正しく頑張っている糖尿人
3)山田悟先生流の緩やかな糖質制限食を実践している糖尿人
4)高雄病院のスーパー糖質制限食を実践している糖尿人
1)>2)>3) と、 糖尿病合併症のリスクは増えていきます。
普通に野放しで、カロリー制限もなしで糖質を食べている糖尿人は、厚生労働省のいう推定エネルギー必要量2100kcal/日摂取として糖質50%なら、262.5g/日の糖質です。
1回の食事で87.5gですから、1日に3回、262mgくらいの食後血糖上昇を起こします。
従来の日本糖尿病学会推奨の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)なら、1600kcal/日として、糖質50%なら200g/日の糖質摂取です。
1回の食事で66.7gですから、1日に3回、200mgくらいの食後血糖上昇を起こします。
山田悟先生の緩やかな糖質制限食なら1回の食事の糖質が40gですから、1日に3回、120mgの食後血糖上昇を起こします。
高雄病院のスーパー糖質制限食なら、1回の食事の糖質が10~20gですから、1日に3回30~60mgの食後血糖上昇を起こします。
ちなみに、1gの糖質が体重64kgの2型糖尿人において、約3mg血糖値を上昇させます。
180mg/dlを超える血糖値は、リアルタイムに血管内皮に障害を与える可能性があります。
即ち、糖尿病合併症のリスクとなります。
1)2)とも180mg/dlどころか、軽く200mg/dlをを超える食後血糖値に確実になりますので、理論的に考えて糖尿病合併症は防げません。
3)も残念ながら、境界型や軽症ならともかく中等症以上の糖尿人では、180mg/dlを超える食後高血糖になる可能性があります。
例えば、空腹時血糖値が100mg/dlの人ですと、220mgになります。
しかし3)は、1)2)に比べれば、かなりましなのは明らかです。
4)なら、食後血糖値が180mg/dlを超えない可能性が高いです。
スーパー糖質制限食で血糖コントロール良好なら、正常人と変わりないので、糖尿病合併症のリスクはほとんどないです。
1)2)3)4)どの食事療法を選ぶかは、その個人の自由ですが、糖質を意識するだけでも、だいぶ違います。
糖質摂取が少なければ少ないほど、身体には優しいと思います。
江部康二
糖尿人といろんな食事療法と食後血糖値について、検討してみました。
1)普通に野放しで糖質を食べている糖尿人
2)従来の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)で清く正しく頑張っている糖尿人
3)山田悟先生流の緩やかな糖質制限食を実践している糖尿人
4)高雄病院のスーパー糖質制限食を実践している糖尿人
1)>2)>3) と、 糖尿病合併症のリスクは増えていきます。
普通に野放しで、カロリー制限もなしで糖質を食べている糖尿人は、厚生労働省のいう推定エネルギー必要量2100kcal/日摂取として糖質50%なら、262.5g/日の糖質です。
1回の食事で87.5gですから、1日に3回、262mgくらいの食後血糖上昇を起こします。
従来の日本糖尿病学会推奨の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)なら、1600kcal/日として、糖質50%なら200g/日の糖質摂取です。
1回の食事で66.7gですから、1日に3回、200mgくらいの食後血糖上昇を起こします。
山田悟先生の緩やかな糖質制限食なら1回の食事の糖質が40gですから、1日に3回、120mgの食後血糖上昇を起こします。
高雄病院のスーパー糖質制限食なら、1回の食事の糖質が10~20gですから、1日に3回30~60mgの食後血糖上昇を起こします。
ちなみに、1gの糖質が体重64kgの2型糖尿人において、約3mg血糖値を上昇させます。
180mg/dlを超える血糖値は、リアルタイムに血管内皮に障害を与える可能性があります。
即ち、糖尿病合併症のリスクとなります。
1)2)とも180mg/dlどころか、軽く200mg/dlをを超える食後血糖値に確実になりますので、理論的に考えて糖尿病合併症は防げません。
3)も残念ながら、境界型や軽症ならともかく中等症以上の糖尿人では、180mg/dlを超える食後高血糖になる可能性があります。
例えば、空腹時血糖値が100mg/dlの人ですと、220mgになります。
しかし3)は、1)2)に比べれば、かなりましなのは明らかです。
4)なら、食後血糖値が180mg/dlを超えない可能性が高いです。
スーパー糖質制限食で血糖コントロール良好なら、正常人と変わりないので、糖尿病合併症のリスクはほとんどないです。
1)2)3)4)どの食事療法を選ぶかは、その個人の自由ですが、糖質を意識するだけでも、だいぶ違います。
糖質摂取が少なければ少ないほど、身体には優しいと思います。
江部康二
2016年02月26日 (金)
こんにちは。
2月25日(木)発売の週刊文春に、桐山秀樹さんと長年パートナーで過ごした、文芸評論家の吉村祐美さんのインタビュー記事が掲載されました。
冒頭、吉村さんは、桐山さんの急死と糖質制限食の関係をきっぱり否定しておられます。
桐山さんは、2010年に気分不良で近医を受診、HbA1c:9.4%、高血圧、肥満、脂質異常症を指摘され、医師に「何でこんなになるまで放っておいたのですか!?」と怒られたそうです。
その少し前に、眼科の取材のときに眼底検査をして貰い、糖尿病網膜症があったとのことですので、すでにその時点で数年間以上高血糖の期間があり、一定の動脈硬化があったと思われます。すなわち高血糖の記憶(消えない動脈硬化の借金)です。
その後、高雄病院方式のスーパー糖質制限食で減量成功され、半年後には、血糖値もHbA1cもコントロール良好となられました。
桐山さんは、糖質制限食半年で、肥満が改善し、血糖値も改善した時点あたりから、ご自分で判断されて、糖質を摂取される食事となったと、考えられます。
つまり、ここ、4~5年間は、過去のように野放しに糖質摂取することははないけれど、あるていどの糖質を摂取されていたのです。
すなわち、「少なくとも最近の4~5年間は糖質制限食ではない」ということです。
吉村さんによれば、朝は果物、野菜ジュース。
昼は、サラダや卵、たまにパスタ、うどん。
夜は毎日玄米を摂取して普通のおかず。
編集者との会食、地方の取材では相手と同じもの摂取。
ということです。
取材や旅行や編集者との会食もかなり多かったので、糖質制限食の範疇(糖質摂取が130g/日以下)からは、外れています。
主治医には定期的に血液検査を受けて血糖コントロール良好を保っておられ、とてもお元気でしたので、今回のことは残念でなりません。
血糖値もHbA1cもコントロール良好を保っておられたので、桐山さんが選択された食生活が悪くて動脈硬化が進行したということではないと思いますが、グリコアルブミンや食後血糖値の測定もあればとも思います。
今回のことは、高血糖の記憶による冠動脈硬化がベースにあり、そこにストレスや多忙や旅の移動の疲れなどが積み重なって、心筋梗塞の引き金になったと考えられます。
あらためて、桐山秀樹さんのご冥福をお祈りしたいと思います。
江部康二
2月25日(木)発売の週刊文春に、桐山秀樹さんと長年パートナーで過ごした、文芸評論家の吉村祐美さんのインタビュー記事が掲載されました。
冒頭、吉村さんは、桐山さんの急死と糖質制限食の関係をきっぱり否定しておられます。
桐山さんは、2010年に気分不良で近医を受診、HbA1c:9.4%、高血圧、肥満、脂質異常症を指摘され、医師に「何でこんなになるまで放っておいたのですか!?」と怒られたそうです。
その少し前に、眼科の取材のときに眼底検査をして貰い、糖尿病網膜症があったとのことですので、すでにその時点で数年間以上高血糖の期間があり、一定の動脈硬化があったと思われます。すなわち高血糖の記憶(消えない動脈硬化の借金)です。
その後、高雄病院方式のスーパー糖質制限食で減量成功され、半年後には、血糖値もHbA1cもコントロール良好となられました。
桐山さんは、糖質制限食半年で、肥満が改善し、血糖値も改善した時点あたりから、ご自分で判断されて、糖質を摂取される食事となったと、考えられます。
つまり、ここ、4~5年間は、過去のように野放しに糖質摂取することははないけれど、あるていどの糖質を摂取されていたのです。
すなわち、「少なくとも最近の4~5年間は糖質制限食ではない」ということです。
吉村さんによれば、朝は果物、野菜ジュース。
昼は、サラダや卵、たまにパスタ、うどん。
夜は毎日玄米を摂取して普通のおかず。
編集者との会食、地方の取材では相手と同じもの摂取。
ということです。
取材や旅行や編集者との会食もかなり多かったので、糖質制限食の範疇(糖質摂取が130g/日以下)からは、外れています。
主治医には定期的に血液検査を受けて血糖コントロール良好を保っておられ、とてもお元気でしたので、今回のことは残念でなりません。
血糖値もHbA1cもコントロール良好を保っておられたので、桐山さんが選択された食生活が悪くて動脈硬化が進行したということではないと思いますが、グリコアルブミンや食後血糖値の測定もあればとも思います。
今回のことは、高血糖の記憶による冠動脈硬化がベースにあり、そこにストレスや多忙や旅の移動の疲れなどが積み重なって、心筋梗塞の引き金になったと考えられます。
あらためて、桐山秀樹さんのご冥福をお祈りしたいと思います。
江部康二
2016年02月26日 (金)
おはようございます。
新刊のご案内です。
よくわかる! すぐできる! 「 糖質オフ! 」健康法
単行本(ソフトカバー) – 2016/2/23 PHP研究所
¥594-
江部 康二 (著)
2016年2月23日発売です。
コンビニエンスストアでは、2月26日頃から店頭に並びます。
コンビニで販売というのも、興味深い試みなので、楽しみです。
本書は糖質制限食の理論、活用法、外食術、小わざなどが幅広く解説してあり、読みやすく便利な構成となっていて、価格もお安いのでなかなかリーズナブルでお奨めです。
江部康二
☆☆☆
以下は
よくわかる! すぐできる! 「 糖質オフ! 」健康法
のはじめにです。
はじめに。
本書で紹介する糖質制限食は、高雄病院で1999年から日本で初めて開始した食事療法です。
わかりやすく言うとご飯・パン・麺などの穀物製品や芋類などの糖質が多い食品を食べないで、肉・魚貝・卵・豆腐・葉野菜・海藻・茸などをしっかり摂取する食事療法です。
糖質を制限したぶん、脂質とたんぱくや食物繊維は充分量食べます。
糖質制限食というと現代の普通の食事である高糖質食と比べると変わった食事という風に思えます。
しかし、実は糖質制限食こそが、人類本来の自然な食事であり、人類の健康食なのです。
海外の動向をみても、例えば米国糖尿病学会は、2013年の栄養勧告において、地中海食やベジタリアン食などどともに「糖質制限食」も正式に認めました。
歴史的に考えて見ると、人類がチンパンジーと分かれて誕生したのが約700万年前です。
農耕が始まるまでは人類の生業は狩猟・採集であり、全ての人類が糖質制限食でした。
約10000年前に農耕が始まり、主食が穀物へと変化し、現在まで続いています。
即ち人類が穀物を主食としたのは、長い歴史の中でわずか1/700の期間に過ぎません。
歴史的に進化の過程をみると「糖質制限食」と「穀物を主食とする高糖質食」、どちらが人類にとって自然な食事なのかはいうまでもありません。
農耕以前の人類にとって糖質は言わばラッキー食材でした。
すなわち時々手に入る果物やナッツ、そして山芋や百合根などの根茎類くらいが比較的糖質の多い食材でした。
運良く手に入った果物を食べて血糖値が上昇するとインスリンが分泌され筋肉に取り込まれますが、余った血糖は中性脂肪に変わり脂肪組織に蓄えられます。
このように、ラッキー食材から得た糖質は、消化吸収されたあとインスリンにより脂肪に変わり、来るべき飢餓に備える唯一のセーフティーネットとなっていたと考えられます。
インスリンは今でこそ肥満ホルモンというありがたくない別称をもっていますが、狩猟・採集時代はその脂肪を蓄える能力は、とても重要な意味をもっていたわけです。
本来、脂肪を蓄えるためのラッキー食材だったはずの糖質を、農耕開始後は日常的に毎日食べるようになりました。さらにこの200~300年間は精製された炭水化物を食べるようになりました。
現在先進国では、精製された炭水化物であるご飯やパンや麺、そして砂糖水のような清涼飲料水を日常的に大量に摂取しています。このことが肥満や糖尿病や様々な生活習慣病の元凶となっていると私は思います。
人類の身体の消化・吸収・栄養・代謝システムは、700万年間の糖質制限食の過程を経て、突然変異を繰り返して完成されたものであり、糖質制限食に適合しています。
すなわち総摂取カロリーの50~60%が糖質という現代の穀物ベースの食生活は、人体にとってはとんでもなくバランスの悪いものなのです。
糖質制限食は、人類本来の食事、人類の健康食ですので、糖尿病や肥満をはじめとして様々な生活習慣病が改善していきます。
しかも糖質制限食は、糖質を抜くだけで脂質やタンパク質はOKなので「美味しく楽しく」続けられるのが特長です。
2002年以来、糖尿病克服のため糖質制限食を足かけ15年続けている私にとっても、とても嬉しい食事療法なのです。
おかげさまで、66歳現在、糖尿病合併症は皆無で、歯は全部残っていて虫歯もなく、聴力低下もなく、身長も縮んでおらず、夜間尿もなく、目も眼鏡なしで、「広辞苑」も読めますし日常生活には全く不自由なしであり、まさに人類の健康食と思えます。
本書は糖質制限食の理論、活用法、外食術、小わざなどが幅広く解説してあり、読みやすく便利な構成となっていますので、是非ご一読いただけば幸いです。
2016年2月 江部康二
新刊のご案内です。
よくわかる! すぐできる! 「 糖質オフ! 」健康法
単行本(ソフトカバー) – 2016/2/23 PHP研究所
¥594-
江部 康二 (著)
2016年2月23日発売です。
コンビニエンスストアでは、2月26日頃から店頭に並びます。
コンビニで販売というのも、興味深い試みなので、楽しみです。
本書は糖質制限食の理論、活用法、外食術、小わざなどが幅広く解説してあり、読みやすく便利な構成となっていて、価格もお安いのでなかなかリーズナブルでお奨めです。
江部康二
☆☆☆
以下は
よくわかる! すぐできる! 「 糖質オフ! 」健康法
のはじめにです。
はじめに。
本書で紹介する糖質制限食は、高雄病院で1999年から日本で初めて開始した食事療法です。
わかりやすく言うとご飯・パン・麺などの穀物製品や芋類などの糖質が多い食品を食べないで、肉・魚貝・卵・豆腐・葉野菜・海藻・茸などをしっかり摂取する食事療法です。
糖質を制限したぶん、脂質とたんぱくや食物繊維は充分量食べます。
糖質制限食というと現代の普通の食事である高糖質食と比べると変わった食事という風に思えます。
しかし、実は糖質制限食こそが、人類本来の自然な食事であり、人類の健康食なのです。
海外の動向をみても、例えば米国糖尿病学会は、2013年の栄養勧告において、地中海食やベジタリアン食などどともに「糖質制限食」も正式に認めました。
歴史的に考えて見ると、人類がチンパンジーと分かれて誕生したのが約700万年前です。
農耕が始まるまでは人類の生業は狩猟・採集であり、全ての人類が糖質制限食でした。
約10000年前に農耕が始まり、主食が穀物へと変化し、現在まで続いています。
即ち人類が穀物を主食としたのは、長い歴史の中でわずか1/700の期間に過ぎません。
歴史的に進化の過程をみると「糖質制限食」と「穀物を主食とする高糖質食」、どちらが人類にとって自然な食事なのかはいうまでもありません。
農耕以前の人類にとって糖質は言わばラッキー食材でした。
すなわち時々手に入る果物やナッツ、そして山芋や百合根などの根茎類くらいが比較的糖質の多い食材でした。
運良く手に入った果物を食べて血糖値が上昇するとインスリンが分泌され筋肉に取り込まれますが、余った血糖は中性脂肪に変わり脂肪組織に蓄えられます。
このように、ラッキー食材から得た糖質は、消化吸収されたあとインスリンにより脂肪に変わり、来るべき飢餓に備える唯一のセーフティーネットとなっていたと考えられます。
インスリンは今でこそ肥満ホルモンというありがたくない別称をもっていますが、狩猟・採集時代はその脂肪を蓄える能力は、とても重要な意味をもっていたわけです。
本来、脂肪を蓄えるためのラッキー食材だったはずの糖質を、農耕開始後は日常的に毎日食べるようになりました。さらにこの200~300年間は精製された炭水化物を食べるようになりました。
現在先進国では、精製された炭水化物であるご飯やパンや麺、そして砂糖水のような清涼飲料水を日常的に大量に摂取しています。このことが肥満や糖尿病や様々な生活習慣病の元凶となっていると私は思います。
人類の身体の消化・吸収・栄養・代謝システムは、700万年間の糖質制限食の過程を経て、突然変異を繰り返して完成されたものであり、糖質制限食に適合しています。
すなわち総摂取カロリーの50~60%が糖質という現代の穀物ベースの食生活は、人体にとってはとんでもなくバランスの悪いものなのです。
糖質制限食は、人類本来の食事、人類の健康食ですので、糖尿病や肥満をはじめとして様々な生活習慣病が改善していきます。
しかも糖質制限食は、糖質を抜くだけで脂質やタンパク質はOKなので「美味しく楽しく」続けられるのが特長です。
2002年以来、糖尿病克服のため糖質制限食を足かけ15年続けている私にとっても、とても嬉しい食事療法なのです。
おかげさまで、66歳現在、糖尿病合併症は皆無で、歯は全部残っていて虫歯もなく、聴力低下もなく、身長も縮んでおらず、夜間尿もなく、目も眼鏡なしで、「広辞苑」も読めますし日常生活には全く不自由なしであり、まさに人類の健康食と思えます。
本書は糖質制限食の理論、活用法、外食術、小わざなどが幅広く解説してあり、読みやすく便利な構成となっていますので、是非ご一読いただけば幸いです。
2016年2月 江部康二
2016年02月25日 (木)
こんばんは。
朝日カルチャー京都教室講座のご案内です。
今回は「糖質制限食の基本のキホン」と題して、ひたすらわかりやすく糖質制限食のエッセンスをお話したいと思います。
京都、大阪、滋賀、奈良をはじめ、関西や北陸の糖尿人・メタボ人の皆さんのご参加をお待ちしてます。
江部康二
☆☆☆
以下朝日カルチャ-センター京都教室のサイトから転載です。
<公開講座>
糖質制限食の基本のキホン
人類本来の食事、人類の健康食
講師 高雄病院理事長 江部 康二
<講座内容>
人類700万年の進化の歴史と食生活 について考えてみました。
さらに食前と食後の血糖値の変動幅から人類の食生活を3段階にわけて検討してみました。
農耕が始まる前の700万年間は、狩猟・採集・漁労が生業であり、人類皆糖質制限食でした。
農耕が始まり穀物を食べ始めたのはわずか1万年前からです。
すなわち糖質制限食は人類本来の食事であり、人類の健康食です。
糖尿病・メタボなど生活習慣病、日本人の5大疾病、4大死因の予防と治療に糖質制限食が有効なのも、
人類の健康食という意味ではおおいに納得できます。
今回は、糖質制限の基本のキホンをお話しします。
講師のブログ http://koujiebe.blog95.fc2.com/"
<日時・期間> 火曜 13:00-14:30 3/15
<受講料(税込み)> 会員 3,024円 一般 3,564円
<お申し込み> 朝日カルチャーセンター京都教室
電話番号 075-231-9693
https://www.asahiculture.jp/kyoto/course/d7fe558d-ce04-679e-f973-564479eec108
<講師紹介>
江部 康二 (エベ コウジ)
1950年生まれ。 1974年京都大学医学部卒業。
1974年から京都大学胸部疾患研究所第一内科(現在京大呼吸器内科) にて呼吸器科を学ぶ。
1978年から高雄病院に医局長として勤務。
1996年副院長就任。
2000年理事長就任。
2001年から糖質制限食に取り組む。
2002年に自ら糖尿病であると気づいて以来、さらに糖尿病治療の研究に力を注ぎ、「糖質制限食」の体系を確立。
これにより自身の糖尿病を克服。
内科医/漢方医/一般財団法人高雄病院理事長/一般社団法人日本糖質制限医療推進協会理事長
著書『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』(東洋経済新報社)
作家宮本輝氏との対談、『我ら糖尿人、元気なのには理由がある』(東洋経済新報社)
『主食をやめると健康になる』(ダイヤモンド社)
『高雄病院の「糖質制限」給食』(講談社)
『糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食』 (ナツメ社)
『高雄病院 Dr.江部が食べている「糖質制限」ダイエット1ヵ月献立レシピ109』(講談社)
『糖尿病治療のための! 糖質制限食パーフェクトガイド』 (東洋経済新報社)
『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません: 生活習慣病を予防&改善する糖質制限食31のポイント』 (東洋経済新報社)
など多数。
ブログ『ドクター江部の糖尿病徒然日記(http://koujiebe.blog95.fc2.com/)は、
日に10000件のアクセスがあり、糖尿病のかたやそのご家族から寄せられた質問への回答や、
糖尿病・糖質制限食に関する情報の発信に、日々尽力している。
朝日カルチャー京都教室講座のご案内です。
今回は「糖質制限食の基本のキホン」と題して、ひたすらわかりやすく糖質制限食のエッセンスをお話したいと思います。
京都、大阪、滋賀、奈良をはじめ、関西や北陸の糖尿人・メタボ人の皆さんのご参加をお待ちしてます。
江部康二
☆☆☆
以下朝日カルチャ-センター京都教室のサイトから転載です。
<公開講座>
糖質制限食の基本のキホン
人類本来の食事、人類の健康食
講師 高雄病院理事長 江部 康二
<講座内容>
人類700万年の進化の歴史と食生活 について考えてみました。
さらに食前と食後の血糖値の変動幅から人類の食生活を3段階にわけて検討してみました。
農耕が始まる前の700万年間は、狩猟・採集・漁労が生業であり、人類皆糖質制限食でした。
農耕が始まり穀物を食べ始めたのはわずか1万年前からです。
すなわち糖質制限食は人類本来の食事であり、人類の健康食です。
糖尿病・メタボなど生活習慣病、日本人の5大疾病、4大死因の予防と治療に糖質制限食が有効なのも、
人類の健康食という意味ではおおいに納得できます。
今回は、糖質制限の基本のキホンをお話しします。
講師のブログ http://koujiebe.blog95.fc2.com/"
<日時・期間> 火曜 13:00-14:30 3/15
<受講料(税込み)> 会員 3,024円 一般 3,564円
<お申し込み> 朝日カルチャーセンター京都教室
電話番号 075-231-9693
https://www.asahiculture.jp/kyoto/course/d7fe558d-ce04-679e-f973-564479eec108
<講師紹介>
江部 康二 (エベ コウジ)
1950年生まれ。 1974年京都大学医学部卒業。
1974年から京都大学胸部疾患研究所第一内科(現在京大呼吸器内科) にて呼吸器科を学ぶ。
1978年から高雄病院に医局長として勤務。
1996年副院長就任。
2000年理事長就任。
2001年から糖質制限食に取り組む。
2002年に自ら糖尿病であると気づいて以来、さらに糖尿病治療の研究に力を注ぎ、「糖質制限食」の体系を確立。
これにより自身の糖尿病を克服。
内科医/漢方医/一般財団法人高雄病院理事長/一般社団法人日本糖質制限医療推進協会理事長
著書『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』(東洋経済新報社)
作家宮本輝氏との対談、『我ら糖尿人、元気なのには理由がある』(東洋経済新報社)
『主食をやめると健康になる』(ダイヤモンド社)
『高雄病院の「糖質制限」給食』(講談社)
『糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食』 (ナツメ社)
『高雄病院 Dr.江部が食べている「糖質制限」ダイエット1ヵ月献立レシピ109』(講談社)
『糖尿病治療のための! 糖質制限食パーフェクトガイド』 (東洋経済新報社)
『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません: 生活習慣病を予防&改善する糖質制限食31のポイント』 (東洋経済新報社)
など多数。
ブログ『ドクター江部の糖尿病徒然日記(http://koujiebe.blog95.fc2.com/)は、
日に10000件のアクセスがあり、糖尿病のかたやそのご家族から寄せられた質問への回答や、
糖尿病・糖質制限食に関する情報の発信に、日々尽力している。
2016年02月25日 (木)
おはようございます。
朝日新聞デジタルに、桐山さん関連の無根拠な記事が掲載されたので反論します。
以下、
朝日新聞デジタル
炭水化物を食べない「糖質制限ダイエット」のリスク
から、 【】 部分を引用
【http://www.asahi.com/and_M/interest/SDI2016022397141.html?iref=andM_kiji_backnum
炭水化物を食べない「糖質制限ダイエット」のリスク
「糖質制限ダイエット」を実践し、著書などで成果を紹介していたノンフィクションライターの桐山秀樹氏(62)が、今月初めに急逝し、ダイエット法との関連を各週刊誌が取り上げている。6年前の桐山氏は身長167.8センチ、体重92キロ、ウエストも100センチ以上あり、かなりの肥満であった。糖尿病も患っていて、医者から「このままでは生命にかかわる」と警告されて始めたのが糖質制限ダイエットだった。
「ご飯や蕎麦(そば)、パスタなどの炭水化物を一切食べないようにした。代わりに主食として食べるのは、豆腐やチーズ、肉、魚。酒は焼酎、ウイスキーはOKで、赤ワインも少量なら問題ない」(『週刊現代』2月27日号)という過激なもので、1カ月で15キロ、3カ月目には20キロの減量に成功、血糖値もほぼ正常に戻ったという。桐山氏はその後も炭水化物をいっさい摂らない食事を続けていたが、やはり身体への負担は大きかったのか。『女性セブン』(3月3日号)で順天堂大学糖尿病内分泌内科の綿田裕孝教授はこう解説している。
「過度に糖質制限をし、結果的にたんぱく質を摂りすぎると腎機能の悪化を招きます。また、脂肪の中で飽和脂肪酸が過剰になれば、悪玉コレステロールが増えて動脈硬化を招きやすくなり、心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞の原因にもなります」
桐山氏の死因は心不全だった。ご飯やパンなどを食べないで満腹感を得ようとすれば、その分を肉などで満たすことになる。結果として、脂肪の摂りすぎで悪玉コレステロールが増え、血管の壁を厚くするという。
痩せたのも「脂肪が落ちたからではなく、体内の水分がなくなっただけなんです。糖エネルギーが不足すると、それを補うために、筋肉を分解してアミノ酸に変えて脳に送ります。その時に水分を使用するので、体重が落ちるんです。でも脂肪は減っていない」(『週刊現代』京都大学大学院・森谷敏夫教授)
しかし、桐山氏は減量しなければやはり命を縮めていたかもしれない。心筋梗塞、脳梗塞の予防に詳しい真島康雄医師はこんなアドバイスをしている。「ダイエットで体重が減っただけで健康と判断することが間違っているのです。血圧が下がったら、コレステロールが下がったらというのも同じ」「身体全体の健康のバランスが保たれていることが重要なのです」(『週刊新潮』2月25日号)
やはり、バランスのいい食事、適度な運動、規則正しい生活ということになるのだろうが、これがなかなか難しい。】
上記の記事において、順天堂大学糖尿病内分泌内科の綿田裕孝教授は、根拠がない自説(仮説)を断定的に述べておられますが、
「高たんぱく食が腎機能の悪化を招く」
というエビデンスはありません。
以下【】部分は、「日本人の食事摂取基準」(2015年、厚生労働省)からの引用です。
【3)「日本人の食事摂取基準」(2015年、厚生労働省)
「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書
II 各論
たんぱく質(PDF:1,149KB)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042630.pdf
<97ページ>
3─1.耐容上限量の設定
たんぱく質の耐容上限量は、たんぱく質の過剰摂取により生じる健康障害を根拠に設定されなければならない。しかし現時点では、たんぱく質の耐容上限量を設定し得る明確な根拠となる報告は十分には見当たらない。そこで、耐容上限量は設定しないこととした。】
結局、現時点では、正常人がタンパク質をたくさん食べて危険という根拠もないけれど、たくさん食べても安全という根拠もないということです。
まさに、自分で考えて選択して自己責任で食事療法を実践することとなります。
ちなみに、江部康二は、糖尿病発覚の2002年(52歳)からスーパー糖質制限食を開始して2016年2月(66才)現在まで続けています。
タンパク質の摂取量は、一日あたり130~140gくらいと、普通人よりかなり大量のタンパク質を摂取してます。
体重あたり2.4gのタンパク質ですね。
それでも尿酸は低めですし、腎機能に何の問題もありません。
2015年9月(65歳)の検査データは
尿酸:3.7mg/dl(3.4~7.0)
BUN:13.8mg/dl(8~20)
クレアチニン:0.67mg/dl(0.6~1.1) eGFR:90.7ml/min./1.73m2
シスタチンC:0.63mg/dl(0.53~0.95) eGFR:120.3ml/min./1.73m2
尿中アルブミン:6.3mg/g・c(30.0未満)
です。
クレアチニン、シスタチンC、eGFR、尿中微量アルブミンの検査が全て基準値内なので、腎機能に何の問題もありません。
「脂肪の中で飽和脂肪酸が過剰になれば、悪玉コレステロールが増えて動脈硬化を招きやすくなり、心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞の原因にもなります。」
こちらもそのようなエビデンスはありません。
「飽和脂肪酸をたくさん摂取しても脳心血管疾患のリスクにならない」という以下の信頼度の高いエビデンスがあります。
飽和脂肪酸摂取量と脳心血管イベント発生は関係がない
2010年のAm J Clin Nutrの総説
飽和脂肪酸摂取量と脳心血管イベント発生は関係がない
2010年のAm J Clin Nutrの総説
21論文、約35万人をメタアナリシスして、5~23年追跡して1.1万人の脳心血管イベントが発生。
飽和脂肪摂取量と脳心血管イベントハザード比を検証してみると、飽和脂肪酸摂取量と脳心血管イベント発生は、関係がないことが判明。
Siri-Tarino, P.W., et al., Meta-analysis of prospective cohort studies evaluating the association of saturated fat with cardiovascular disease. Am J Clin Nutr, 2010. 91(3): p. 535-46.
従来、医学界の定説で『動物性脂肪を主とした飽和脂肪酸摂取が脳心血管イベント発生のリスクとなる』とされてきたのが、この論文で明確に否定されました。21論文、35万人のメタ解析ですから信頼度は高いです。
京都大学大学院・森谷敏夫教授には
せめて
「脳は、ブドウ糖だけでなくケトン体をエネルギー源にする」
「必須アミノ酸、必須脂肪酸はあるが、必須糖質はない」
「肝臓でアミノ酸、乳酸、グリセロールなどからブドウ糖を作る(糖新生)」
ことぐらいは、理解してほしいですね。
京都大OBとして、何とかしてほしいと思います。
どなたか、京大の関係者の方、桐山秀樹さん関係の一連の本ブログ記事を森谷敏夫教授にご教示いただけば、幸いです。
江部康二
朝日新聞デジタルに、桐山さん関連の無根拠な記事が掲載されたので反論します。
以下、
朝日新聞デジタル
炭水化物を食べない「糖質制限ダイエット」のリスク
から、 【】 部分を引用
【http://www.asahi.com/and_M/interest/SDI2016022397141.html?iref=andM_kiji_backnum
炭水化物を食べない「糖質制限ダイエット」のリスク
「糖質制限ダイエット」を実践し、著書などで成果を紹介していたノンフィクションライターの桐山秀樹氏(62)が、今月初めに急逝し、ダイエット法との関連を各週刊誌が取り上げている。6年前の桐山氏は身長167.8センチ、体重92キロ、ウエストも100センチ以上あり、かなりの肥満であった。糖尿病も患っていて、医者から「このままでは生命にかかわる」と警告されて始めたのが糖質制限ダイエットだった。
「ご飯や蕎麦(そば)、パスタなどの炭水化物を一切食べないようにした。代わりに主食として食べるのは、豆腐やチーズ、肉、魚。酒は焼酎、ウイスキーはOKで、赤ワインも少量なら問題ない」(『週刊現代』2月27日号)という過激なもので、1カ月で15キロ、3カ月目には20キロの減量に成功、血糖値もほぼ正常に戻ったという。桐山氏はその後も炭水化物をいっさい摂らない食事を続けていたが、やはり身体への負担は大きかったのか。『女性セブン』(3月3日号)で順天堂大学糖尿病内分泌内科の綿田裕孝教授はこう解説している。
「過度に糖質制限をし、結果的にたんぱく質を摂りすぎると腎機能の悪化を招きます。また、脂肪の中で飽和脂肪酸が過剰になれば、悪玉コレステロールが増えて動脈硬化を招きやすくなり、心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞の原因にもなります」
桐山氏の死因は心不全だった。ご飯やパンなどを食べないで満腹感を得ようとすれば、その分を肉などで満たすことになる。結果として、脂肪の摂りすぎで悪玉コレステロールが増え、血管の壁を厚くするという。
痩せたのも「脂肪が落ちたからではなく、体内の水分がなくなっただけなんです。糖エネルギーが不足すると、それを補うために、筋肉を分解してアミノ酸に変えて脳に送ります。その時に水分を使用するので、体重が落ちるんです。でも脂肪は減っていない」(『週刊現代』京都大学大学院・森谷敏夫教授)
しかし、桐山氏は減量しなければやはり命を縮めていたかもしれない。心筋梗塞、脳梗塞の予防に詳しい真島康雄医師はこんなアドバイスをしている。「ダイエットで体重が減っただけで健康と判断することが間違っているのです。血圧が下がったら、コレステロールが下がったらというのも同じ」「身体全体の健康のバランスが保たれていることが重要なのです」(『週刊新潮』2月25日号)
やはり、バランスのいい食事、適度な運動、規則正しい生活ということになるのだろうが、これがなかなか難しい。】
上記の記事において、順天堂大学糖尿病内分泌内科の綿田裕孝教授は、根拠がない自説(仮説)を断定的に述べておられますが、
「高たんぱく食が腎機能の悪化を招く」
というエビデンスはありません。
以下【】部分は、「日本人の食事摂取基準」(2015年、厚生労働省)からの引用です。
【3)「日本人の食事摂取基準」(2015年、厚生労働省)
「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書
II 各論
たんぱく質(PDF:1,149KB)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042630.pdf
<97ページ>
3─1.耐容上限量の設定
たんぱく質の耐容上限量は、たんぱく質の過剰摂取により生じる健康障害を根拠に設定されなければならない。しかし現時点では、たんぱく質の耐容上限量を設定し得る明確な根拠となる報告は十分には見当たらない。そこで、耐容上限量は設定しないこととした。】
結局、現時点では、正常人がタンパク質をたくさん食べて危険という根拠もないけれど、たくさん食べても安全という根拠もないということです。
まさに、自分で考えて選択して自己責任で食事療法を実践することとなります。
ちなみに、江部康二は、糖尿病発覚の2002年(52歳)からスーパー糖質制限食を開始して2016年2月(66才)現在まで続けています。
タンパク質の摂取量は、一日あたり130~140gくらいと、普通人よりかなり大量のタンパク質を摂取してます。
体重あたり2.4gのタンパク質ですね。
それでも尿酸は低めですし、腎機能に何の問題もありません。
2015年9月(65歳)の検査データは
尿酸:3.7mg/dl(3.4~7.0)
BUN:13.8mg/dl(8~20)
クレアチニン:0.67mg/dl(0.6~1.1) eGFR:90.7ml/min./1.73m2
シスタチンC:0.63mg/dl(0.53~0.95) eGFR:120.3ml/min./1.73m2
尿中アルブミン:6.3mg/g・c(30.0未満)
です。
クレアチニン、シスタチンC、eGFR、尿中微量アルブミンの検査が全て基準値内なので、腎機能に何の問題もありません。
「脂肪の中で飽和脂肪酸が過剰になれば、悪玉コレステロールが増えて動脈硬化を招きやすくなり、心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞の原因にもなります。」
こちらもそのようなエビデンスはありません。
「飽和脂肪酸をたくさん摂取しても脳心血管疾患のリスクにならない」という以下の信頼度の高いエビデンスがあります。
飽和脂肪酸摂取量と脳心血管イベント発生は関係がない
2010年のAm J Clin Nutrの総説
飽和脂肪酸摂取量と脳心血管イベント発生は関係がない
2010年のAm J Clin Nutrの総説
21論文、約35万人をメタアナリシスして、5~23年追跡して1.1万人の脳心血管イベントが発生。
飽和脂肪摂取量と脳心血管イベントハザード比を検証してみると、飽和脂肪酸摂取量と脳心血管イベント発生は、関係がないことが判明。
Siri-Tarino, P.W., et al., Meta-analysis of prospective cohort studies evaluating the association of saturated fat with cardiovascular disease. Am J Clin Nutr, 2010. 91(3): p. 535-46.
従来、医学界の定説で『動物性脂肪を主とした飽和脂肪酸摂取が脳心血管イベント発生のリスクとなる』とされてきたのが、この論文で明確に否定されました。21論文、35万人のメタ解析ですから信頼度は高いです。
京都大学大学院・森谷敏夫教授には
せめて
「脳は、ブドウ糖だけでなくケトン体をエネルギー源にする」
「必須アミノ酸、必須脂肪酸はあるが、必須糖質はない」
「肝臓でアミノ酸、乳酸、グリセロールなどからブドウ糖を作る(糖新生)」
ことぐらいは、理解してほしいですね。
京都大OBとして、何とかしてほしいと思います。
どなたか、京大の関係者の方、桐山秀樹さん関係の一連の本ブログ記事を森谷敏夫教授にご教示いただけば、幸いです。
江部康二
2016年02月24日 (水)
おはようございます。
週刊現代記事(2016/2/27号)への反論②です。
週刊現代記事(2016/2/27号)
やっぱり危ない!?
「糖質制限ダイエット」第一人者が急死した
真っ二つに分かれる評価
から、以下 【】 部分、引用。
【真っ二つに分かれる評価
現在、糖質制限ダイエットについては、専門家の間でも肯定派と否定派、真っ二つに意見が分かれている。
京都大学大学院の森谷敏夫人間・環境学研究科教授はこう警鐘を鳴らす。
「糖質は摂らないほうが良いと言う医者がいますが、これは大きな間違い。そもそも医学部には栄養学を学ぶ機会がないので、食生活に関する知識が不足している医者が多いんです。ラットの実験では糖質を摂らなくても問題ない事が証明されているので、多くの医者は人間の体にも当てはまると言うのですが、それは無理がある。ラットと人間では脳の大きさが全然違うんですから。
言っておきたいのは、脳を動かすエネルギーは100%、『糖』だということです。炭水化物を食べずに、脳を正常に保つためには、一日に大量のたんぱく質や脂質を摂らなければなりません。数kgもの肉を食べ続けることは現実的じゃない」
とはいえ、痩せれば血糖値も下がり、健康になるのではないか。
「痩せたのは脂肪が落ちたからではなく、体内の水分が無くなっただけなんです。糖エネルギーが不足すると、それを補うために、筋肉を分解してアミノ酸に変えて脳に送ります。その時に水分を使用するので、体重が落ちるんです。でも脂肪は減っていない。
糖質制限ダイエットをしている人は、慢性的な眠気を抱えており、すぐ眠ってしまうのが特徴です。これは脳が極力エネルギーを使わないように指示を出すためなんです。動かないのが一番エネルギーを使いませんからね。
一方で筋肉量はどんどん落ちるので、骨がスカスカになり骨粗しょう症になる危険性もある」(森谷氏) 】
森谷教授のコメントは、ほとんどが誤解なので、反論しておきます。
1)
まず脳はエネルギー源としてケトン体をいくらでも利用できます。
脳がケトン体を利用することは米国の有名な医学の教科書である
『イラストレイテッド ハーパー・生化学 原書27版』154ページ、
『ガイトン臨床生理学』監訳・早川弘一、医学書院、1999年、870ページに記載されています。
ケトン体は脂肪酸の分解物であるアセチルCoAから肝臓で生成されます。
2)
糖質を一切摂取しなくても、肝臓で乳酸、グリセロール、アミノ酸から、ブドウ糖をつくります。
これを糖新生といいます。
人類のご先祖が、食料がなくて、水だけで1~2週間も過ごさなければいけないときも肝臓がブドウ糖を作って血糖値を正常に保ちしのいでいたのです。
この糖新生はもっぱら、ブドウ糖しかエネルギー源にできない赤血球のためです。
赤血球はミトコンドリアを持っていないのでブドウ糖しかエネルギー源にできません。
脳はケトン体だけでもをエネルギー源として充分生きていけます。
必須アミノ酸、必須脂肪酸は、厳然と存在します。
ビタミンやミネラルや微量元素も同様に必須です。
これに対して、必須糖質は存在しません。
体内で必要なブドウ糖は、肝臓で糖新生してまかなうので、食物から摂取する必要はないのです。
国際食事エネルギーコンサルテーショングループの報告では、
「炭水化物(この場合は糖質とほぼ同義)の理論的な最小必要量はゼロである」(☆)
としています。
(☆)
Eur J Clin Nutr. 1999 Apr;53 Suppl 1:S177-8.
Report of the IDECG Working Group on lower and upper limits of carbohydrate and fat intake. International Dietary Energy Consultative Group.
Bier DM, Brosnan JT, Flatt JP, Hanson RW, Heird W, Hellerstein MK, Jéquier E, Kalhan S, Koletzko B, Macdonald I, Owen O, Uauy R.
3)
糖質制限食開始初期の1~3日間は、確かに水分の排泄で体重が減りますが、そこから先は体脂肪が燃えて、「脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム」が活性化されます。
脂肪が燃えている証拠に、血中ケトン体が高値となります。
こうして減っていく体重は脂肪の減少ということです。
あとは、2016/2/23(火)のブログ記事をご参照いただけば幸いです。
4)
糖質制限食実践で食後の眠気がなくなります。
逆に言えば、糖質を普通に食べると食後の眠気を生じます。
小学校の給食のあとの午後の授業は、居眠り続出で、教師はとてもやりにくいそうです。
食後の車の運転で眠くなった経験は多くの人があると思います。
私も糖質制限食開始後食後の眠気がなくなりました。
ドライバーの皆さんも、長距離ドライブのときだけでも、糖質制限食を実践していただけば、居眠り運転が激減すると思います。
5)
糖質制限食で、脂肪が燃えて筋肉は燃えないので、筋肉量が落ちることはありません。
またたんぱく質摂取量が豊富なので、骨粗鬆症のリスクもへります。
週刊現代記事(2016/2/27号)への反論②です。
週刊現代記事(2016/2/27号)
やっぱり危ない!?
「糖質制限ダイエット」第一人者が急死した
真っ二つに分かれる評価
から、以下 【】 部分、引用。
【真っ二つに分かれる評価
現在、糖質制限ダイエットについては、専門家の間でも肯定派と否定派、真っ二つに意見が分かれている。
京都大学大学院の森谷敏夫人間・環境学研究科教授はこう警鐘を鳴らす。
「糖質は摂らないほうが良いと言う医者がいますが、これは大きな間違い。そもそも医学部には栄養学を学ぶ機会がないので、食生活に関する知識が不足している医者が多いんです。ラットの実験では糖質を摂らなくても問題ない事が証明されているので、多くの医者は人間の体にも当てはまると言うのですが、それは無理がある。ラットと人間では脳の大きさが全然違うんですから。
言っておきたいのは、脳を動かすエネルギーは100%、『糖』だということです。炭水化物を食べずに、脳を正常に保つためには、一日に大量のたんぱく質や脂質を摂らなければなりません。数kgもの肉を食べ続けることは現実的じゃない」
とはいえ、痩せれば血糖値も下がり、健康になるのではないか。
「痩せたのは脂肪が落ちたからではなく、体内の水分が無くなっただけなんです。糖エネルギーが不足すると、それを補うために、筋肉を分解してアミノ酸に変えて脳に送ります。その時に水分を使用するので、体重が落ちるんです。でも脂肪は減っていない。
糖質制限ダイエットをしている人は、慢性的な眠気を抱えており、すぐ眠ってしまうのが特徴です。これは脳が極力エネルギーを使わないように指示を出すためなんです。動かないのが一番エネルギーを使いませんからね。
一方で筋肉量はどんどん落ちるので、骨がスカスカになり骨粗しょう症になる危険性もある」(森谷氏) 】
森谷教授のコメントは、ほとんどが誤解なので、反論しておきます。
1)
まず脳はエネルギー源としてケトン体をいくらでも利用できます。
脳がケトン体を利用することは米国の有名な医学の教科書である
『イラストレイテッド ハーパー・生化学 原書27版』154ページ、
『ガイトン臨床生理学』監訳・早川弘一、医学書院、1999年、870ページに記載されています。
ケトン体は脂肪酸の分解物であるアセチルCoAから肝臓で生成されます。
2)
糖質を一切摂取しなくても、肝臓で乳酸、グリセロール、アミノ酸から、ブドウ糖をつくります。
これを糖新生といいます。
人類のご先祖が、食料がなくて、水だけで1~2週間も過ごさなければいけないときも肝臓がブドウ糖を作って血糖値を正常に保ちしのいでいたのです。
この糖新生はもっぱら、ブドウ糖しかエネルギー源にできない赤血球のためです。
赤血球はミトコンドリアを持っていないのでブドウ糖しかエネルギー源にできません。
脳はケトン体だけでもをエネルギー源として充分生きていけます。
必須アミノ酸、必須脂肪酸は、厳然と存在します。
ビタミンやミネラルや微量元素も同様に必須です。
これに対して、必須糖質は存在しません。
体内で必要なブドウ糖は、肝臓で糖新生してまかなうので、食物から摂取する必要はないのです。
国際食事エネルギーコンサルテーショングループの報告では、
「炭水化物(この場合は糖質とほぼ同義)の理論的な最小必要量はゼロである」(☆)
としています。
(☆)
Eur J Clin Nutr. 1999 Apr;53 Suppl 1:S177-8.
Report of the IDECG Working Group on lower and upper limits of carbohydrate and fat intake. International Dietary Energy Consultative Group.
Bier DM, Brosnan JT, Flatt JP, Hanson RW, Heird W, Hellerstein MK, Jéquier E, Kalhan S, Koletzko B, Macdonald I, Owen O, Uauy R.
3)
糖質制限食開始初期の1~3日間は、確かに水分の排泄で体重が減りますが、そこから先は体脂肪が燃えて、「脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム」が活性化されます。
脂肪が燃えている証拠に、血中ケトン体が高値となります。
こうして減っていく体重は脂肪の減少ということです。
あとは、2016/2/23(火)のブログ記事をご参照いただけば幸いです。
4)
糖質制限食実践で食後の眠気がなくなります。
逆に言えば、糖質を普通に食べると食後の眠気を生じます。
小学校の給食のあとの午後の授業は、居眠り続出で、教師はとてもやりにくいそうです。
食後の車の運転で眠くなった経験は多くの人があると思います。
私も糖質制限食開始後食後の眠気がなくなりました。
ドライバーの皆さんも、長距離ドライブのときだけでも、糖質制限食を実践していただけば、居眠り運転が激減すると思います。
5)
糖質制限食で、脂肪が燃えて筋肉は燃えないので、筋肉量が落ちることはありません。
またたんぱく質摂取量が豊富なので、骨粗鬆症のリスクもへります。
2016年02月23日 (火)
【16/02/22 横浜糖尿人
Re:週刊現代の全文
現代ビジネスやらの記事見ました。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47984
>「糖質制限で痩せたのは脂肪が落ちたからではなく、体内の水分が無くなっただけなんです。糖エネルギーが不足すると、
>それを補うために、筋肉を分解してアミノ酸に変えて脳に送ります。その時に水分を使用するので、体重が落ちるんです。
>でも脂肪は減っていない。
>筋肉量はどんどん落ちるので、骨がスカスカになり骨粗しょう症になる危険性もある
って言うけど小生は全く逆の経験をしてます。
組成検査を受けたら1年半の間で
体重は57.5kg→58.6kg
体脂肪率16.5%→9.9%
体脂肪量9.5Kg→5.8kg
筋肉量44.8kg→49.3kg
体水分量34.7→38.0
内臓脂肪レベル10→6
になりました。
糖質制限食と自宅での有酸素運動、筋トレ実施だけの63歳の結果です。
先月の血糖値はHbA1cは5.80だけどグリコアルプミンは15.3でした。
このブログとご縁ができてからの実体験です。江部先生ありがとうございます。】
おはようございます。
横浜の糖尿人さんから、
週刊現代記事(2016/2/27号)
やっぱり危ない!?
「糖質制限ダイエット」第一人者が急死した
真っ二つに分かれる評価
への反論コメントを頂きました。
ありがとうございます。
「1年半の間で
体重は57.5kg→58.6kg
体脂肪率16.5%→9.9%
体脂肪量9.5Kg→5.8kg
筋肉量44.8kg→49.3kg
体水分量34.7→38.0
内臓脂肪レベル10→6 になりました。」
素晴らしい成果ですね。筋肉量の増加、脂肪量の減少も凄いです。
糖質制限食で筋肉が落ちることはあり得ませんが、横浜の糖尿人さんほど、増える人はさすがに少ないと思います。
見事です。
糖質制限食で良質の動物たんぱく質を摂り、筋トレも行うことでこれだけの成果が出たのでしょう。
HbA1c:5.8% グリコアルブミン(GA):15.3%(11.8~16.0)は、いずれも基準値内で、こちらも素晴らしいです。
>「糖質制限で痩せたのは脂肪が落ちたからではなく、体内の水分が無くなっただけなんです。糖エネルギーが不足すると、
>それを補うために、筋肉を分解してアミノ酸に変えて脳に送ります。その時に水分を使用するので、体重が落ちるんです。
>でも脂肪は減っていない。
>筋肉量はどんどん落ちるので、骨がスカスカになり骨粗しょう症になる危険性もある
この京大人間・環境学研究科教授のコメントは、無根拠です。
スーパー糖質制限食実践者において、エネルギー源としてタンパク質を利用することはありません。
スーパー糖質制限食実践者では、「脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム」が主たるエネルギー源となります。
血中ケトン体は基準値より高値となります。
脂肪酸-ケトン体をしっかり利用し、たんぱく質やエネルギーもしっかり食事から摂取するので、筋肉が落ちるようなことはあり得ないのです。
カロリー制限食だと、たんぱく質や摂取エネルギー不足となりやすいので筋肉が落ちるリスクがあるので注意が必要なのです。
さて、ケトン体というと耳慣れない単語なのですが、糖質を普通に食べている人の血中総ケトン体の基準値は、「26~122μM/L 」くらいです。
つまり、糖質を食べている人でも、日常的に24時間血中ケトン体は存在しているわけです。
糖質摂取開始後2時間までは、心筋・骨格筋の主たるエネルギー源は食事由来のブドウ糖ですが、糖質摂取開始後4~5時間くらい経過した空腹時には、心筋・骨格筋の主たるエネルギー源は<脂肪酸-ケトン体>に切り替わっていきます。
従って糖質を摂取している人においても、夜間睡眠時とか、日中でも空腹時は、心筋・骨格筋の主たるエネルギー源は、実はブドウ糖ではなく<脂肪酸-ケトン体>なのです。
このことを多くの医師・栄養士がご存じないのは大変困ったもので、医療現場で混乱のもととなっています。
夜間睡眠時や空腹時などにもブドウ糖をエネルギー源としているのは、赤血球、脳、網膜など特殊な細胞だけです。
つまり糖質を普通に摂取している人においても、「脂肪酸-ケトン体」はごく日常的なエネルギー源として、心筋・骨格筋など体細胞で全ての人類において利用されているというのが生理学的事実です。
ケトン体は極めて効率のよいエネルギー源なのです。
糖質制限食実践時の血中ケトン体上昇は、体脂肪が燃焼している証拠です。
糖質制限食実践で、どんどん体脂肪が燃えるので肥満が改善します。
スーパー糖質制限食を実践していると、ステーキを食べている最中にも体脂肪が燃えていて、心筋・骨格筋など身体は「脂肪酸-ケトン体」をエネルギー源としているのです。
江部康二
Re:週刊現代の全文
現代ビジネスやらの記事見ました。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47984
>「糖質制限で痩せたのは脂肪が落ちたからではなく、体内の水分が無くなっただけなんです。糖エネルギーが不足すると、
>それを補うために、筋肉を分解してアミノ酸に変えて脳に送ります。その時に水分を使用するので、体重が落ちるんです。
>でも脂肪は減っていない。
>筋肉量はどんどん落ちるので、骨がスカスカになり骨粗しょう症になる危険性もある
って言うけど小生は全く逆の経験をしてます。
組成検査を受けたら1年半の間で
体重は57.5kg→58.6kg
体脂肪率16.5%→9.9%
体脂肪量9.5Kg→5.8kg
筋肉量44.8kg→49.3kg
体水分量34.7→38.0
内臓脂肪レベル10→6
になりました。
糖質制限食と自宅での有酸素運動、筋トレ実施だけの63歳の結果です。
先月の血糖値はHbA1cは5.80だけどグリコアルプミンは15.3でした。
このブログとご縁ができてからの実体験です。江部先生ありがとうございます。】
おはようございます。
横浜の糖尿人さんから、
週刊現代記事(2016/2/27号)
やっぱり危ない!?
「糖質制限ダイエット」第一人者が急死した
真っ二つに分かれる評価
への反論コメントを頂きました。
ありがとうございます。
「1年半の間で
体重は57.5kg→58.6kg
体脂肪率16.5%→9.9%
体脂肪量9.5Kg→5.8kg
筋肉量44.8kg→49.3kg
体水分量34.7→38.0
内臓脂肪レベル10→6 になりました。」
素晴らしい成果ですね。筋肉量の増加、脂肪量の減少も凄いです。
糖質制限食で筋肉が落ちることはあり得ませんが、横浜の糖尿人さんほど、増える人はさすがに少ないと思います。
見事です。
糖質制限食で良質の動物たんぱく質を摂り、筋トレも行うことでこれだけの成果が出たのでしょう。
HbA1c:5.8% グリコアルブミン(GA):15.3%(11.8~16.0)は、いずれも基準値内で、こちらも素晴らしいです。
>「糖質制限で痩せたのは脂肪が落ちたからではなく、体内の水分が無くなっただけなんです。糖エネルギーが不足すると、
>それを補うために、筋肉を分解してアミノ酸に変えて脳に送ります。その時に水分を使用するので、体重が落ちるんです。
>でも脂肪は減っていない。
>筋肉量はどんどん落ちるので、骨がスカスカになり骨粗しょう症になる危険性もある
この京大人間・環境学研究科教授のコメントは、無根拠です。
スーパー糖質制限食実践者において、エネルギー源としてタンパク質を利用することはありません。
スーパー糖質制限食実践者では、「脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム」が主たるエネルギー源となります。
血中ケトン体は基準値より高値となります。
脂肪酸-ケトン体をしっかり利用し、たんぱく質やエネルギーもしっかり食事から摂取するので、筋肉が落ちるようなことはあり得ないのです。
カロリー制限食だと、たんぱく質や摂取エネルギー不足となりやすいので筋肉が落ちるリスクがあるので注意が必要なのです。
さて、ケトン体というと耳慣れない単語なのですが、糖質を普通に食べている人の血中総ケトン体の基準値は、「26~122μM/L 」くらいです。
つまり、糖質を食べている人でも、日常的に24時間血中ケトン体は存在しているわけです。
糖質摂取開始後2時間までは、心筋・骨格筋の主たるエネルギー源は食事由来のブドウ糖ですが、糖質摂取開始後4~5時間くらい経過した空腹時には、心筋・骨格筋の主たるエネルギー源は<脂肪酸-ケトン体>に切り替わっていきます。
従って糖質を摂取している人においても、夜間睡眠時とか、日中でも空腹時は、心筋・骨格筋の主たるエネルギー源は、実はブドウ糖ではなく<脂肪酸-ケトン体>なのです。
このことを多くの医師・栄養士がご存じないのは大変困ったもので、医療現場で混乱のもととなっています。
夜間睡眠時や空腹時などにもブドウ糖をエネルギー源としているのは、赤血球、脳、網膜など特殊な細胞だけです。
つまり糖質を普通に摂取している人においても、「脂肪酸-ケトン体」はごく日常的なエネルギー源として、心筋・骨格筋など体細胞で全ての人類において利用されているというのが生理学的事実です。
ケトン体は極めて効率のよいエネルギー源なのです。
糖質制限食実践時の血中ケトン体上昇は、体脂肪が燃焼している証拠です。
糖質制限食実践で、どんどん体脂肪が燃えるので肥満が改善します。
スーパー糖質制限食を実践していると、ステーキを食べている最中にも体脂肪が燃えていて、心筋・骨格筋など身体は「脂肪酸-ケトン体」をエネルギー源としているのです。
江部康二
2016年02月22日 (月)
おはようございます。
「2型糖尿病の厳格な薬物血糖管理の利益はわずか」と言う結論のRCT研究論文のメタ解析報告が、
ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル誌(BMJ誌)
2011年7月30日号に掲載されました。
フランスLyon第一大学のRemy Boussageon氏らの報告です。
Medline、Embase、コクランレビューに1950年から2010年7月までに登録された無作為化試験(RCT)の中から、厳しい条件を満たした研究を選出しました。
その結果以下の13件の研究が残りました。
UGDP(phenoformin、tolbutamide、insulinの3件)、
Kumamoto、Veteran Affairs Feasibility study、
UKPDS(33と34の2件)、PROactive、Dargieらの2007年の研究、
ACCORD、ADVANCE、VADT、HOME。
これら13件の研究をメタ解析したのがこの論文です。(☆)
日本の熊本スタディ-も含まれています。
この論文の結論は
「2型糖尿病の薬物による厳格な血糖管理の利益はわずか、低血糖リスクに相殺される程度」
ということです。
2型糖尿病患者に対して薬物で厳格な血糖管理を行っても、全死因死亡、心血管死亡リスクの低減効果はあったとしてもわずかで、重症低血糖リスクは2倍以上になることが、明らかとなっています。
13の厳選された信頼度の高いRCT論文のメタ解析ですので、エビデンスレベルは最高ランクであり、客観的・科学的・数量的・総括的な評価を目指した論文と言えます。
今回のメタ解析の結果、厳格な薬物血糖管理の利益はあったとしてもわずかで、重症低血糖がもたらす害により相殺される程度であることが示唆されました。
死亡に対する影響も、
「全死因死亡リスクは9%低下または19%上昇」
「心血管死亡リスクは14%低下または43%上昇」
という可能性が残るということでした。
つまり、厳格薬物血糖管理群で、かえって死亡リスクが高まる可能性も充分あり得るという、極めて厳しい結論です。(=_=;)
2008年報告のACCORD試験(今回のBMJ誌のメタ解析にも選ばれています)では、厳格管理群の総死亡率が標準治療群より有意に上昇し、物議をかもしたのは記憶に新しいところです。
ACCORD試験の結果は、
「糖質を摂取しながら、厳格に糖尿病薬物治療を行えばかえって死亡リスクが高まった」
という恐るべき結論です。
そして、今回のBMJ誌の論文でも、糖質を摂取しながらの厳格薬物治療の利益はほとんどないに等しいし、場合により死亡リスクを高める可能性さえあるということです。
<結論>
2型糖尿病患者が糖質を普通に摂取していると、強化薬物療法(経口薬、インスリン注射)を行って、厳格な血糖管理を実施しても、利益はわずかで、低血糖リスクに相殺される程度である。
<おわりに>
『食後高血糖』と『平均血糖変動幅増大』を防ぎ、合併症予防や総死亡率減少が期待できるのは、糖質制限食だけです。
従来の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)では、『食後高血糖』と『平均血糖変動幅増大』を防ぐことは困難です。
糖尿人のご同輩、くれぐれも、美味しく楽しく末長く、糖質制限食ですね。
自分の頭で考えて、判断し、選択して、身を守って頂けば幸いです。
(☆)Effect of intensive glucose lowering treatment on all cause mortality, cardiovascular death,
and microvascular events in type 2 diabetes: meta-analysis of randomised controlled trials
BMJ 2011; 343 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.d4169 (Published 26 July 2011)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21791495
江部康二
「2型糖尿病の厳格な薬物血糖管理の利益はわずか」と言う結論のRCT研究論文のメタ解析報告が、
ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル誌(BMJ誌)
2011年7月30日号に掲載されました。
フランスLyon第一大学のRemy Boussageon氏らの報告です。
Medline、Embase、コクランレビューに1950年から2010年7月までに登録された無作為化試験(RCT)の中から、厳しい条件を満たした研究を選出しました。
その結果以下の13件の研究が残りました。
UGDP(phenoformin、tolbutamide、insulinの3件)、
Kumamoto、Veteran Affairs Feasibility study、
UKPDS(33と34の2件)、PROactive、Dargieらの2007年の研究、
ACCORD、ADVANCE、VADT、HOME。
これら13件の研究をメタ解析したのがこの論文です。(☆)
日本の熊本スタディ-も含まれています。
この論文の結論は
「2型糖尿病の薬物による厳格な血糖管理の利益はわずか、低血糖リスクに相殺される程度」
ということです。
2型糖尿病患者に対して薬物で厳格な血糖管理を行っても、全死因死亡、心血管死亡リスクの低減効果はあったとしてもわずかで、重症低血糖リスクは2倍以上になることが、明らかとなっています。
13の厳選された信頼度の高いRCT論文のメタ解析ですので、エビデンスレベルは最高ランクであり、客観的・科学的・数量的・総括的な評価を目指した論文と言えます。
今回のメタ解析の結果、厳格な薬物血糖管理の利益はあったとしてもわずかで、重症低血糖がもたらす害により相殺される程度であることが示唆されました。
死亡に対する影響も、
「全死因死亡リスクは9%低下または19%上昇」
「心血管死亡リスクは14%低下または43%上昇」
という可能性が残るということでした。
つまり、厳格薬物血糖管理群で、かえって死亡リスクが高まる可能性も充分あり得るという、極めて厳しい結論です。(=_=;)
2008年報告のACCORD試験(今回のBMJ誌のメタ解析にも選ばれています)では、厳格管理群の総死亡率が標準治療群より有意に上昇し、物議をかもしたのは記憶に新しいところです。
ACCORD試験の結果は、
「糖質を摂取しながら、厳格に糖尿病薬物治療を行えばかえって死亡リスクが高まった」
という恐るべき結論です。
そして、今回のBMJ誌の論文でも、糖質を摂取しながらの厳格薬物治療の利益はほとんどないに等しいし、場合により死亡リスクを高める可能性さえあるということです。
<結論>
2型糖尿病患者が糖質を普通に摂取していると、強化薬物療法(経口薬、インスリン注射)を行って、厳格な血糖管理を実施しても、利益はわずかで、低血糖リスクに相殺される程度である。
<おわりに>
『食後高血糖』と『平均血糖変動幅増大』を防ぎ、合併症予防や総死亡率減少が期待できるのは、糖質制限食だけです。
従来の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)では、『食後高血糖』と『平均血糖変動幅増大』を防ぐことは困難です。
糖尿人のご同輩、くれぐれも、美味しく楽しく末長く、糖質制限食ですね。
自分の頭で考えて、判断し、選択して、身を守って頂けば幸いです。
(☆)Effect of intensive glucose lowering treatment on all cause mortality, cardiovascular death,
and microvascular events in type 2 diabetes: meta-analysis of randomised controlled trials
BMJ 2011; 343 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.d4169 (Published 26 July 2011)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21791495
江部康二
2016年02月21日 (日)
【16/02/21 たちば
狭心症について
初めましてたちばと申します。
かねてより糖質制限に興味があり、桐山様の本も買い、何度か糖質制限に挑戦しては途中で続かなくなって辞めてまた始めるということを繰り返しておりましたところ、昨年発作が起き、軽度の動脈硬化とカテーテル検査で冠動脈に2か所細い血管があると診断され、投薬治療中の身です。
私の経験から、きっちり糖質制限できなくて、中途半端だと、一番悪い結果を招くのではないか?と思ってます。
糖質制限をしておきながらつい、ご飯食べたり、麺食べたり、そして反省しまた始める。。その繰り返しが心臓の血管に負担をかける結果なのではないかと考えてます。
すでに狭心症と診断されている私のようなものにも糖質制限が有効とお考えでしょうか。ご教示お願いいたします。】
【16/02/21 コバタケ
糖尿病と突然死
心筋梗塞でからくも九死に一生を得たコバタケです。助けてくださった多くの方に感謝している毎日です。
糖尿病は大きい血管も微細な血管も侵し、動脈硬化、心筋梗塞のほか失明、腎不全、足の壊疽など全身に害が及ぶことを、江部先生のこのHPや書物などから知っていました。しかし、それが起きる順番が決まってないものの、いかにも微細な血管のほうが弱そうだから、毛細血管で構成されている部位から先に侵されるだろうと思い込んでました。検査した訳ではありませんが、そういう部位は正常だから、まさか突然心筋梗塞で倒れるなどとは思ってもいませんでした。
ところが、そうなったという厳しい現実。しかも、倒れたのは、糖質制限を始め、血糖値が正常値のほんのわずか上回る程度にまで下がって4年も経ってのことでした。おそらく桐山さんという方も、仮に意識があれば、予想違いにびっくりされたことと想像します。改めて、糖尿病は恐ろしいと思っております。】
おはようございます。
たちばさん、こばたけさんから狭心症、心筋梗塞の体験をコメント頂きました。
貴重な体験報告をありがとうございます。
糖尿病合併症には、細小血管によるものと大血管によるものがあります。
三大合併症といわれる、網膜症、腎症、神経障害は、細小血管の病変です。
狭心症や心筋梗塞は、大血管の合併症です。
大血管の合併症には、脳血管障害や糖尿病壊疽もあります。
たちばさん、こばたけさんに起こった、虚血性心疾患ですが、実は、糖尿病予備群といわれる境界型(食後高血糖タイプ・IGT)において、すでに、糖尿病とそれほど変わらないレベルで発症することがわかっています。
山形県舟形町研究では、1990年から1999年まで、計2651人で調査が行われました。正常2016人、境界型糖尿病382人、糖尿病136人で分類すると生存率は正常、境界型、糖尿病の順に低下しました。特に脳心血管疾患で大きな差が認められました。糖尿病は、虚血性心疾患や脳血管疾患のリスクを約3倍高めることが報告されました。
舟形町研究で注目されたのは、食後の血糖が上昇する境界型糖尿病(糖尿病予備群・IGT)の段階でも、脳心血管疾患のリスクが高い事が判明した事です。
これに対して空腹時血糖値が高いだけの糖尿病予備群(IFG)では、脳心血管疾患のリスクは正常人とほとんど差がありませんでした。
この研究により、食後高血糖が、脳心血管疾患のリスクとして極めて危険であることが明らかになりました。さらに近年、平均血糖変動幅増大(血糖値の乱高下)も合併症の大きなリスクであることが複数の研究により判明しました。
「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」は最大の酸化ストレスリスクとされ、糖尿病合併症の元凶です。
そして、これらを生じるのは糖質摂取のみで、たんぱく質・脂質摂取では生じません。
たちばさん、こばたけさんのように、すでに狭心症、心筋梗塞を発症された方において、再発を防ぐことができるのは、「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」を生じない糖質制限食だけです。
従来の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)では、「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」を必ず生じるので、再発を防ぐことは理論的に困難です。
現実に、再発を繰り返して、1~2年ごとに冠動脈にステント(金属の管)を入れざるをえず、3本、4本の人もまれではありません。
たちばさん、こばたけさん、糖質制限食か従来の糖尿病食(高糖質食)か、是非、ご自分の頭で考えて、判断して、選択して身を守ってくださいね。
江部康二
狭心症について
初めましてたちばと申します。
かねてより糖質制限に興味があり、桐山様の本も買い、何度か糖質制限に挑戦しては途中で続かなくなって辞めてまた始めるということを繰り返しておりましたところ、昨年発作が起き、軽度の動脈硬化とカテーテル検査で冠動脈に2か所細い血管があると診断され、投薬治療中の身です。
私の経験から、きっちり糖質制限できなくて、中途半端だと、一番悪い結果を招くのではないか?と思ってます。
糖質制限をしておきながらつい、ご飯食べたり、麺食べたり、そして反省しまた始める。。その繰り返しが心臓の血管に負担をかける結果なのではないかと考えてます。
すでに狭心症と診断されている私のようなものにも糖質制限が有効とお考えでしょうか。ご教示お願いいたします。】
【16/02/21 コバタケ
糖尿病と突然死
心筋梗塞でからくも九死に一生を得たコバタケです。助けてくださった多くの方に感謝している毎日です。
糖尿病は大きい血管も微細な血管も侵し、動脈硬化、心筋梗塞のほか失明、腎不全、足の壊疽など全身に害が及ぶことを、江部先生のこのHPや書物などから知っていました。しかし、それが起きる順番が決まってないものの、いかにも微細な血管のほうが弱そうだから、毛細血管で構成されている部位から先に侵されるだろうと思い込んでました。検査した訳ではありませんが、そういう部位は正常だから、まさか突然心筋梗塞で倒れるなどとは思ってもいませんでした。
ところが、そうなったという厳しい現実。しかも、倒れたのは、糖質制限を始め、血糖値が正常値のほんのわずか上回る程度にまで下がって4年も経ってのことでした。おそらく桐山さんという方も、仮に意識があれば、予想違いにびっくりされたことと想像します。改めて、糖尿病は恐ろしいと思っております。】
おはようございます。
たちばさん、こばたけさんから狭心症、心筋梗塞の体験をコメント頂きました。
貴重な体験報告をありがとうございます。
糖尿病合併症には、細小血管によるものと大血管によるものがあります。
三大合併症といわれる、網膜症、腎症、神経障害は、細小血管の病変です。
狭心症や心筋梗塞は、大血管の合併症です。
大血管の合併症には、脳血管障害や糖尿病壊疽もあります。
たちばさん、こばたけさんに起こった、虚血性心疾患ですが、実は、糖尿病予備群といわれる境界型(食後高血糖タイプ・IGT)において、すでに、糖尿病とそれほど変わらないレベルで発症することがわかっています。
山形県舟形町研究では、1990年から1999年まで、計2651人で調査が行われました。正常2016人、境界型糖尿病382人、糖尿病136人で分類すると生存率は正常、境界型、糖尿病の順に低下しました。特に脳心血管疾患で大きな差が認められました。糖尿病は、虚血性心疾患や脳血管疾患のリスクを約3倍高めることが報告されました。
舟形町研究で注目されたのは、食後の血糖が上昇する境界型糖尿病(糖尿病予備群・IGT)の段階でも、脳心血管疾患のリスクが高い事が判明した事です。
これに対して空腹時血糖値が高いだけの糖尿病予備群(IFG)では、脳心血管疾患のリスクは正常人とほとんど差がありませんでした。
この研究により、食後高血糖が、脳心血管疾患のリスクとして極めて危険であることが明らかになりました。さらに近年、平均血糖変動幅増大(血糖値の乱高下)も合併症の大きなリスクであることが複数の研究により判明しました。
「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」は最大の酸化ストレスリスクとされ、糖尿病合併症の元凶です。
そして、これらを生じるのは糖質摂取のみで、たんぱく質・脂質摂取では生じません。
たちばさん、こばたけさんのように、すでに狭心症、心筋梗塞を発症された方において、再発を防ぐことができるのは、「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」を生じない糖質制限食だけです。
従来の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)では、「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」を必ず生じるので、再発を防ぐことは理論的に困難です。
現実に、再発を繰り返して、1~2年ごとに冠動脈にステント(金属の管)を入れざるをえず、3本、4本の人もまれではありません。
たちばさん、こばたけさん、糖質制限食か従来の糖尿病食(高糖質食)か、是非、ご自分の頭で考えて、判断して、選択して身を守ってくださいね。
江部康二
2016年02月20日 (土)
【本ブログのコメント・質問・記事に関するお願い】
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
糖質制限食に関する質問についてですが、
実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、
医師としての責任・債務がありますので、
個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。
一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、
ボランティアで回答させていただいています。
診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。
私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。
また、ブログ記事や本に関しても同様に、
糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。
従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、
どのように利用されるかは、
自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m
そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、
普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、
ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。
またネットで簡単に検索可能なことは、ご自分でお調べください。
質問が増えてきましたので、
糖質制限食と関わりがないと判断した質問にはお答えできない場合もありますので、
ご了承ください。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、
何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、
ブログ本文記事にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。
質問によっては、コメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、質問がかなり増えてきていますので、
なかなか即、お答えすることが困難となってきています。
糖質制限食に関わりのある全ての質問に、
本文かコメントでお答えするようできるだけ努力はしていますが、
できないときはご容赦願います。m(_ _)m
【糖質制限食を実践される時のご注意】
糖質制限食実践によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、減薬しないと低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人やメタボ人は、低血糖の心配はほとんどないので、自力で糖質制限食を実践して糖尿病やメタボ改善を目指していただけば幸いです。
内服薬やインスリン注射なしの糖尿人が糖質制限食を実践すると、食後高血糖は改善しますが、低血糖にはなりません。
血糖値が正常範囲である程度下がると、肝臓でアミノ酸・乳酸・グリセロール(脂肪の分解物)などから、ブドウ糖を作るからです。
これを糖新生といいます。
診断基準を満たす膵炎がある場合、肝硬変の場合、そして長鎖脂肪酸代謝異常症は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は相対的に高脂肪食になるので、診断基準を満たしている膵炎の患者さんには適応とならないのです。
進行した肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。
長鎖脂肪酸代謝異常症では、肉や魚などに含まれる長鎖脂肪酸が上手く利用できないので、適応となりません。
腎機能に関して、日本腎臓病学会編「CKD診療ガイド2013」において、eGFR60ml/分以上あれば顕性たんぱく尿の段階でも、たんぱく質は過剰な摂取をしないという表現となっていて、制限という記載はなしです。
従いまして、糖尿病腎症第3期でも、eGFR60ml/分以上なら、糖質制限食OKです。
また、米国糖尿病学会(ADA)は
Position Statement on Nutrition Therapy(栄養療法に関する声明)
Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版
において、糖尿病腎症患者に対する蛋白質制限の意義を明確に否定しました。
根拠はランク(A)ですので、信頼度の高いRCT研究論文に基づく見解です。
今後は、糖尿病腎症第3期以降で、eGFRが60ml/分未満の場合も、患者さんとよく相談して、糖質制限食を実践するか否か、個別に対応することとなります。
なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。
また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。
糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。
【糖質制限食とは】
米国糖尿病協会(ADA)の患者教育用のテキストブックLife With Diabetes(2004年版)には、以下の記載があります。
「摂取後直接血糖に影響を与えるのは糖質のみである。
糖質は速やかに吸収され、直接100%血糖に変わり、ほぼ120分以内に吸収は終了する。
蛋白質・脂質は、摂取後、直接血糖に影響を及ぼすことはない。
『炭水化物・タンパク質・脂肪はカロリーを含有している。
炭水化物だけが、血糖値に直接影響を及ぼす。』」
これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
1997年版のLife With Diabetes(ADA刊行)では、
「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載がありましたが、2004年版以降は変更されています。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが直接、血糖値を上昇させます。
従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。
脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。
タンパク質はごく少量のインスリンを追加分泌させます。
現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。
食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。
また一日における、食前・食後・空腹時など血糖値の変動幅(平均血糖変動幅)が大きいほど、酸化ストレスが増強し動脈硬化のリスクとなることがわかってきました。
そして、食後高血糖と平均血糖変動幅増大を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。
炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には、55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。
一方、和牛サーロインステーキ(脂身つき)を200g(約1000キロカロリー)食べても、糖質含有量は1gもないので、食後血糖は3mg未満の上昇しかないのです。
なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースに、できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。
抜く必要がある主食とは 、米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら、薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。
なお糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。
日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド2014-2015」の
男性1400~2000kcal
女性1200~1800kcal
ほど厳しいカロリー制限は必要ありませんが、
「日本人の食事摂取基準」(2015年、厚生労働省)
に示す推定エネルギー必要量の範囲、
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf
推定エネルギー必要量(一日あたり)
男性 女性
15-17才 2500 2850 3150 2050 2300 2550kcal
18-29才 2300 2650 3050 1650 1950 2200
30-49才 2300 2650 3050 1750 2000 2300
50-69才 2100 2450 2800 1650 1900 2200
70才 1850 2200 2500 1500 1750 2000
身体活動レベル 低い 普通 高い 低い 普通 高い
くらいが目安です。
そして2013年に糖尿病食事療法に関して画期的な変化がありました。
米国糖尿病学会が、
2013年10月発表の『栄養療法に関する声明』において、全ての糖尿病患者に適した唯一無二の治療食は存在しないと明記したのです。
これはそのまま、1969年の食品交換表第2版以降一貫して、糖尿病治療食として、唯一無二の「カロリー制限・高糖質食」を推奨し続けている日本糖尿病学会への痛烈な批判となっています。
さらに、米国糖尿病学会は『栄養療法に関する声明2013』において地中海食、ベジタリアン食、DASH食、低脂質食などと共に
「糖質制限食」も正式に受容しました。
このことは糖質制限食を推進する私達にとって、大変大きな追い風となりました。
江部康二
2016年02月19日 (金)
おはようございます。
ノンフィクション作家桐山秀樹さんのご冥福を祈りつつ、糖尿病と心筋梗塞について考察してみました。
その結果、当たり前と言えば当たり前なのですが、糖質制限食と心筋梗塞は無関係という単純な事実を見いだしました。
糖尿病ネットワーク
ttp://www.dm-net.co.jp/seminar/16/index.php#chap1
2014年11月 改訂
監修 東北大学名誉教授 後藤由夫先生
糖尿病ネットワークのサイトに後藤由夫先生監修の糖尿病と脳梗塞・心筋梗塞に関する解説があります。
以下の【】内は、糖尿病ネットワークのサイトから引用です。
【脳梗塞・心筋梗塞が起こりやすい
脳梗塞や心筋梗塞は突然起こり、命を奪うこともある恐ろしい病気です。たとえ命は助かっても、しばしば麻痺などのために、不自由な生活を強いられてしまいます。
アメリカでは糖尿病患者さんの7割近くが、これらの病気で亡くなります。従来は欧米人に比べて低かった日本人の脳梗塞・心筋梗塞発病率も、近年、生活環境の変化とともに増加しています。そして糖尿病の人は、糖尿病でない人の2~3倍これらの病気になりやすく、実際、脳梗塞になった人の約半数、心筋梗塞になった人の約3分の1に糖尿病がみられます。】
糖尿病になると高血糖のために、動脈硬化になりやすいのです。
動脈硬化が進むと血管の内腔が狭くなり、血栓ができやすくなります。
血栓によって血流がせき止められると、その先の細胞は死んでしまい梗塞を引き起こします。
日本では、心筋梗塞になった人の約1/3が、糖尿病ということです。
厚生労働省によると、平成17年1年間で、急性心筋梗塞による死亡が47189人でした。
糖尿病・耐糖能異常、脂質異常症、高血圧 慢性腎臓病(CKD) 喫煙などが心筋梗塞のリスクとなります。
さて、およその数字ですが、47189人の心筋梗塞死亡者のうち、約1/3が糖尿病由来なら、15729人となります。
平成17年において、約15000~16000人が糖尿病が原因で急性心筋梗塞を起こして亡くなったわけです。
ここから本題です。
平成17年(2005年)は、まだ日本に糖質制限食は全く普及していません。
というのが、私がはじめて「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)を世に出したのが、2005年だからです。
そうすると、この約15000~16000人の糖尿病による心筋梗塞死亡者のうち、ほぼ全ての人が高糖質食を摂取していたと考えられます。
医師・栄養士の指示を忠実に守って、従来の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)を真面目に実践していたか、あるいは、自己流で糖質を50~60%摂取してカロリー制限はあまりしていなかったか、いずれせよ、平成17年(2005年)時点で日本全国で糖質制限食を実践していた糖尿人は、江部康二と高雄病院の患者さん以外は、ほぼ皆無と言えます。
結論です。
糖質制限食とは全く無関係に、「高糖質食(従来の糖尿病食)+薬物療法」を中心に治療しておられた糖尿人が平成17年(2005年)時点で、約15000~16000人、急性心筋梗塞が原因で亡くなられたということが事実です。
江部康二
ノンフィクション作家桐山秀樹さんのご冥福を祈りつつ、糖尿病と心筋梗塞について考察してみました。
その結果、当たり前と言えば当たり前なのですが、糖質制限食と心筋梗塞は無関係という単純な事実を見いだしました。
糖尿病ネットワーク
ttp://www.dm-net.co.jp/seminar/16/index.php#chap1
2014年11月 改訂
監修 東北大学名誉教授 後藤由夫先生
糖尿病ネットワークのサイトに後藤由夫先生監修の糖尿病と脳梗塞・心筋梗塞に関する解説があります。
以下の【】内は、糖尿病ネットワークのサイトから引用です。
【脳梗塞・心筋梗塞が起こりやすい
脳梗塞や心筋梗塞は突然起こり、命を奪うこともある恐ろしい病気です。たとえ命は助かっても、しばしば麻痺などのために、不自由な生活を強いられてしまいます。
アメリカでは糖尿病患者さんの7割近くが、これらの病気で亡くなります。従来は欧米人に比べて低かった日本人の脳梗塞・心筋梗塞発病率も、近年、生活環境の変化とともに増加しています。そして糖尿病の人は、糖尿病でない人の2~3倍これらの病気になりやすく、実際、脳梗塞になった人の約半数、心筋梗塞になった人の約3分の1に糖尿病がみられます。】
糖尿病になると高血糖のために、動脈硬化になりやすいのです。
動脈硬化が進むと血管の内腔が狭くなり、血栓ができやすくなります。
血栓によって血流がせき止められると、その先の細胞は死んでしまい梗塞を引き起こします。
日本では、心筋梗塞になった人の約1/3が、糖尿病ということです。
厚生労働省によると、平成17年1年間で、急性心筋梗塞による死亡が47189人でした。
糖尿病・耐糖能異常、脂質異常症、高血圧 慢性腎臓病(CKD) 喫煙などが心筋梗塞のリスクとなります。
さて、およその数字ですが、47189人の心筋梗塞死亡者のうち、約1/3が糖尿病由来なら、15729人となります。
平成17年において、約15000~16000人が糖尿病が原因で急性心筋梗塞を起こして亡くなったわけです。
ここから本題です。
平成17年(2005年)は、まだ日本に糖質制限食は全く普及していません。
というのが、私がはじめて「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)を世に出したのが、2005年だからです。
そうすると、この約15000~16000人の糖尿病による心筋梗塞死亡者のうち、ほぼ全ての人が高糖質食を摂取していたと考えられます。
医師・栄養士の指示を忠実に守って、従来の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)を真面目に実践していたか、あるいは、自己流で糖質を50~60%摂取してカロリー制限はあまりしていなかったか、いずれせよ、平成17年(2005年)時点で日本全国で糖質制限食を実践していた糖尿人は、江部康二と高雄病院の患者さん以外は、ほぼ皆無と言えます。
結論です。
糖質制限食とは全く無関係に、「高糖質食(従来の糖尿病食)+薬物療法」を中心に治療しておられた糖尿人が平成17年(2005年)時点で、約15000~16000人、急性心筋梗塞が原因で亡くなられたということが事実です。
江部康二
2016年02月18日 (木)
おはようございます。
新刊のご案内です。
よくわかる! すぐできる! 「 糖質オフ! 」健康法
単行本(ソフトカバー) – 2016/2/23 PHP研究所
¥594-
江部 康二 (著)
2016年2月23日発売です。
コンビニエンスストアでは、2月26日頃から店頭に並びます。
コンビニで販売というのも、興味深い試みなので、楽しみです。
本書は糖質制限食の理論、活用法、外食術、小わざなどが幅広く解説してあり、読みやすく便利な構成となっていて、価格もお安いのでなかなかリーズナブルでお奨めです。
江部康二
☆☆☆
以下は
よくわかる! すぐできる! 「 糖質オフ! 」健康法
のはじめにです。
はじめに。
本書で紹介する糖質制限食は、高雄病院で1999年から日本で初めて開始した食事療法です。
わかりやすく言うとご飯・パン・麺などの穀物製品や芋類などの糖質が多い食品を食べないで、肉・魚貝・卵・豆腐・葉野菜・海藻・茸などをしっかり摂取する食事療法です。
糖質を制限したぶん、脂質とたんぱくや食物繊維は充分量食べます。
糖質制限食というと現代の普通の食事である高糖質食と比べると変わった食事という風に思えます。
しかし、実は糖質制限食こそが、人類本来の自然な食事であり、人類の健康食なのです。
海外の動向をみても、例えば米国糖尿病学会は、2013年の栄養勧告において、地中海食やベジタリアン食などどともに「糖質制限食」も正式に認めました。
歴史的に考えて見ると、人類がチンパンジーと分かれて誕生したのが約700万年前です。
農耕が始まるまでは人類の生業は狩猟・採集であり、全ての人類が糖質制限食でした。
約10000年前に農耕が始まり、主食が穀物へと変化し、現在まで続いています。
即ち人類が穀物を主食としたのは、長い歴史の中でわずか1/700の期間に過ぎません。
歴史的に進化の過程をみると「糖質制限食」と「穀物を主食とする高糖質食」、どちらが人類にとって自然な食事なのかはいうまでもありません。
農耕以前の人類にとって糖質は言わばラッキー食材でした。
すなわち時々手に入る果物やナッツ、そして山芋や百合根などの根茎類くらいが比較的糖質の多い食材でした。
運良く手に入った果物を食べて血糖値が上昇するとインスリンが分泌され筋肉に取り込まれますが、余った血糖は中性脂肪に変わり脂肪組織に蓄えられます。
このように、ラッキー食材から得た糖質は、消化吸収されたあとインスリンにより脂肪に変わり、来るべき飢餓に備える唯一のセーフティーネットとなっていたと考えられます。
インスリンは今でこそ肥満ホルモンというありがたくない別称をもっていますが、狩猟・採集時代はその脂肪を蓄える能力は、とても重要な意味をもっていたわけです。
本来、脂肪を蓄えるためのラッキー食材だったはずの糖質を、農耕開始後は日常的に毎日食べるようになりました。さらにこの200~300年間は精製された炭水化物を食べるようになりました。
現在先進国では、精製された炭水化物であるご飯やパンや麺、そして砂糖水のような清涼飲料水を日常的に大量に摂取しています。このことが肥満や糖尿病や様々な生活習慣病の元凶となっていると私は思います。
人類の身体の消化・吸収・栄養・代謝システムは、700万年間の糖質制限食の過程を経て、突然変異を繰り返して完成されたものであり、糖質制限食に適合しています。
すなわち総摂取カロリーの50~60%が糖質という現代の穀物ベースの食生活は、人体にとってはとんでもなくバランスの悪いものなのです。
糖質制限食は、人類本来の食事、人類の健康食ですので、糖尿病や肥満をはじめとして様々な生活習慣病が改善していきます。
しかも糖質制限食は、糖質を抜くだけで脂質やタンパク質はOKなので「美味しく楽しく」続けられるのが特長です。
2002年以来、糖尿病克服のため糖質制限食を足かけ15年続けている私にとっても、とても嬉しい食事療法なのです。
おかげさまで、66歳現在、糖尿病合併症は皆無で、歯は全部残っていて虫歯もなく、聴力低下もなく、身長も縮んでおらず、夜間尿もなく、目も眼鏡なしで、「広辞苑」も読めますし日常生活には全く不自由なしであり、まさに人類の健康食と思えます。
本書は糖質制限食の理論、活用法、外食術、小わざなどが幅広く解説してあり、読みやすく便利な構成となっていますので、是非ご一読いただけば幸いです。
2016年2月 江部康二
新刊のご案内です。
よくわかる! すぐできる! 「 糖質オフ! 」健康法
単行本(ソフトカバー) – 2016/2/23 PHP研究所
¥594-
江部 康二 (著)
2016年2月23日発売です。
コンビニエンスストアでは、2月26日頃から店頭に並びます。
コンビニで販売というのも、興味深い試みなので、楽しみです。
本書は糖質制限食の理論、活用法、外食術、小わざなどが幅広く解説してあり、読みやすく便利な構成となっていて、価格もお安いのでなかなかリーズナブルでお奨めです。
江部康二
☆☆☆
以下は
よくわかる! すぐできる! 「 糖質オフ! 」健康法
のはじめにです。
はじめに。
本書で紹介する糖質制限食は、高雄病院で1999年から日本で初めて開始した食事療法です。
わかりやすく言うとご飯・パン・麺などの穀物製品や芋類などの糖質が多い食品を食べないで、肉・魚貝・卵・豆腐・葉野菜・海藻・茸などをしっかり摂取する食事療法です。
糖質を制限したぶん、脂質とたんぱくや食物繊維は充分量食べます。
糖質制限食というと現代の普通の食事である高糖質食と比べると変わった食事という風に思えます。
しかし、実は糖質制限食こそが、人類本来の自然な食事であり、人類の健康食なのです。
海外の動向をみても、例えば米国糖尿病学会は、2013年の栄養勧告において、地中海食やベジタリアン食などどともに「糖質制限食」も正式に認めました。
歴史的に考えて見ると、人類がチンパンジーと分かれて誕生したのが約700万年前です。
農耕が始まるまでは人類の生業は狩猟・採集であり、全ての人類が糖質制限食でした。
約10000年前に農耕が始まり、主食が穀物へと変化し、現在まで続いています。
即ち人類が穀物を主食としたのは、長い歴史の中でわずか1/700の期間に過ぎません。
歴史的に進化の過程をみると「糖質制限食」と「穀物を主食とする高糖質食」、どちらが人類にとって自然な食事なのかはいうまでもありません。
農耕以前の人類にとって糖質は言わばラッキー食材でした。
すなわち時々手に入る果物やナッツ、そして山芋や百合根などの根茎類くらいが比較的糖質の多い食材でした。
運良く手に入った果物を食べて血糖値が上昇するとインスリンが分泌され筋肉に取り込まれますが、余った血糖は中性脂肪に変わり脂肪組織に蓄えられます。
このように、ラッキー食材から得た糖質は、消化吸収されたあとインスリンにより脂肪に変わり、来るべき飢餓に備える唯一のセーフティーネットとなっていたと考えられます。
インスリンは今でこそ肥満ホルモンというありがたくない別称をもっていますが、狩猟・採集時代はその脂肪を蓄える能力は、とても重要な意味をもっていたわけです。
本来、脂肪を蓄えるためのラッキー食材だったはずの糖質を、農耕開始後は日常的に毎日食べるようになりました。さらにこの200~300年間は精製された炭水化物を食べるようになりました。
現在先進国では、精製された炭水化物であるご飯やパンや麺、そして砂糖水のような清涼飲料水を日常的に大量に摂取しています。このことが肥満や糖尿病や様々な生活習慣病の元凶となっていると私は思います。
人類の身体の消化・吸収・栄養・代謝システムは、700万年間の糖質制限食の過程を経て、突然変異を繰り返して完成されたものであり、糖質制限食に適合しています。
すなわち総摂取カロリーの50~60%が糖質という現代の穀物ベースの食生活は、人体にとってはとんでもなくバランスの悪いものなのです。
糖質制限食は、人類本来の食事、人類の健康食ですので、糖尿病や肥満をはじめとして様々な生活習慣病が改善していきます。
しかも糖質制限食は、糖質を抜くだけで脂質やタンパク質はOKなので「美味しく楽しく」続けられるのが特長です。
2002年以来、糖尿病克服のため糖質制限食を足かけ15年続けている私にとっても、とても嬉しい食事療法なのです。
おかげさまで、66歳現在、糖尿病合併症は皆無で、歯は全部残っていて虫歯もなく、聴力低下もなく、身長も縮んでおらず、夜間尿もなく、目も眼鏡なしで、「広辞苑」も読めますし日常生活には全く不自由なしであり、まさに人類の健康食と思えます。
本書は糖質制限食の理論、活用法、外食術、小わざなどが幅広く解説してあり、読みやすく便利な構成となっていますので、是非ご一読いただけば幸いです。
2016年2月 江部康二
2016年02月17日 (水)
おはようございます。
2016/4/17(日)名古屋市にて
一般向けの講演会を開催します。
◇講演1
『糖尿病および慢性腎不全の食事療法について』
講師: 伊藤 喜亮 医師/きよすクリニック 院長
◇講演2
『糖質制限食で治す糖尿病・メタボ・生活習慣病』
-人類本来の食事、人類の健康食-
講師: 江部 康二
伊藤喜亮先生は、私の朋友であり、ブレーンでもあります。
糖質制限食および腎不全の食事療法に精通しておられ、内分泌学のプロでもあります。
ブログ関連で難しい質問とかがあった時は、よく助けて貰っていて感謝です。
今回は、伊藤喜亮先生とのコラボ講演会なのでとても楽しみです。
江部康二
☆☆☆
以下、事務局からのご案内です。
ブログ読者の皆様、講演会へいつも多数ご参加いただきましてありがとうございます。
4月17日(日)名古屋市で一般の方向けの講演会を開催いたします。
理事長の講演に加えて、きよすクリニック(愛知県清須市)院長の伊藤喜亮先生による講演を予定しております。
伊藤先生は「糖尿病および慢性腎不全の食事療法について」と題して糖質制限食や低たんぱく食について、豊富な臨床経験に基づき、お話しいただける予定です。
中部・東海地域の皆様をはじめ、たくさんのご参加を心よりお待ちしております。
*当日講演会終了後に、賛助会員交流会を開催致します。
◆講演会・賛助会員交流会情報URL: http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity
///////////////////ご案内/////////////////////
一般社団法人日本糖質制限医療推進協会主催
糖質制限食講演会 in 名古屋
■日時:2016年4月17日(日)14:00~16:30頃 ※開場・受付は13:40~
■会場: 愛知県産業労働センター「ウインクあいち」 12階 1203会議室
〒450-0002 愛知県名古屋市中村区名駅4丁目4-38
http://www.winc-aichi.jp/access/
■内容:
◇講演1 『糖尿病および慢性腎不全の食事療法について』
講師: 伊藤 喜亮 医師/きよすクリニック 院長
◇講演2 『糖質制限食で治す糖尿病・メタボ・生活習慣病
-人類本来の食事、人類の健康食-』
講師: 江部 康二 医師 (一財)高雄病院・(一社)日本糖質制限医療推進協 会理事長
※講演1は30分、講演2は70分、両講演後に質疑応答30分を予定しております。
■受講費: 賛助会員 2,000円 / 一般(非会員) 2,500円
■お支払い方法:クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。
■お申し込みの流れ:
1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込み下さい。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4. 当日、直接会場までお越し下さい。
■お申し込み方法:
★賛助会員の方
事務局までメールにて、お申し込み下さい。
※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。
★賛助会員入会をご希望の方:
1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/#!membership/cdt9
2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
「通信」欄に「4/17名古屋講演会(・交流会)、参加希望」 とご記入下さい。
※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact
★一般(非会員)で、講演会の受講のみご希望の方:
下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-gen
■その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは4月15日(金)までに事務局までご連絡願います。
それ以降のご返金は原則、対応致しかねますので予めご了承ください。
2016/4/17(日)名古屋市にて
一般向けの講演会を開催します。
◇講演1
『糖尿病および慢性腎不全の食事療法について』
講師: 伊藤 喜亮 医師/きよすクリニック 院長
◇講演2
『糖質制限食で治す糖尿病・メタボ・生活習慣病』
-人類本来の食事、人類の健康食-
講師: 江部 康二
伊藤喜亮先生は、私の朋友であり、ブレーンでもあります。
糖質制限食および腎不全の食事療法に精通しておられ、内分泌学のプロでもあります。
ブログ関連で難しい質問とかがあった時は、よく助けて貰っていて感謝です。
今回は、伊藤喜亮先生とのコラボ講演会なのでとても楽しみです。
江部康二
☆☆☆
以下、事務局からのご案内です。
ブログ読者の皆様、講演会へいつも多数ご参加いただきましてありがとうございます。
4月17日(日)名古屋市で一般の方向けの講演会を開催いたします。
理事長の講演に加えて、きよすクリニック(愛知県清須市)院長の伊藤喜亮先生による講演を予定しております。
伊藤先生は「糖尿病および慢性腎不全の食事療法について」と題して糖質制限食や低たんぱく食について、豊富な臨床経験に基づき、お話しいただける予定です。
中部・東海地域の皆様をはじめ、たくさんのご参加を心よりお待ちしております。
*当日講演会終了後に、賛助会員交流会を開催致します。
◆講演会・賛助会員交流会情報URL: http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity
///////////////////ご案内/////////////////////
一般社団法人日本糖質制限医療推進協会主催
糖質制限食講演会 in 名古屋
■日時:2016年4月17日(日)14:00~16:30頃 ※開場・受付は13:40~
■会場: 愛知県産業労働センター「ウインクあいち」 12階 1203会議室
〒450-0002 愛知県名古屋市中村区名駅4丁目4-38
http://www.winc-aichi.jp/access/
■内容:
◇講演1 『糖尿病および慢性腎不全の食事療法について』
講師: 伊藤 喜亮 医師/きよすクリニック 院長
◇講演2 『糖質制限食で治す糖尿病・メタボ・生活習慣病
-人類本来の食事、人類の健康食-』
講師: 江部 康二 医師 (一財)高雄病院・(一社)日本糖質制限医療推進協 会理事長
※講演1は30分、講演2は70分、両講演後に質疑応答30分を予定しております。
■受講費: 賛助会員 2,000円 / 一般(非会員) 2,500円
■お支払い方法:クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。
■お申し込みの流れ:
1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込み下さい。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4. 当日、直接会場までお越し下さい。
■お申し込み方法:
★賛助会員の方
事務局までメールにて、お申し込み下さい。
※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。
★賛助会員入会をご希望の方:
1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/#!membership/cdt9
2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
「通信」欄に「4/17名古屋講演会(・交流会)、参加希望」 とご記入下さい。
※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact
★一般(非会員)で、講演会の受講のみご希望の方:
下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-gen
■その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは4月15日(金)までに事務局までご連絡願います。
それ以降のご返金は原則、対応致しかねますので予めご了承ください。
2016年02月16日 (火)
【16/02/13 キース
過敏性腸症候群に対する糖質制限食の効果
こんばんは
いつも有難うございます。
今日は、1年前に私が実体験から得た私見をご報告致します。
以前から「お好み焼き」を食べると下痢を起こすことが多かったのですが、フランス菓子を勉強した2007年からの6年間は特に症状が強くて、午前の仕事中に下痢で3回排便する日が、週に3日を超えることも多々ありました。
そんな中、2011年1月に消化器内科にて上、下部内視鏡検査を受けましたが異常なく、ストレスによる「過敏性腸症候群」であると診断され、投薬を提案されたのですが、当時一番楽しい休日の菓子作りの時にも症状が同様に出ることなどから、原因は他にあると確信し、薬剤は服用しませんでした。
そして2014年9月頃から糖質制限食を始めました。
すると症状が全く消えたのです。
「お好み焼き」「フランス菓子」「糖質制限食」、この3つを並べるとKey wordはすぐに「小麦」とわかりました。
フランス菓子は小麦を大量に使うことが多く、勉強の為週に数多く試食しますから、当然症状が強く出たのです。
よって私は、過敏性腸症候群は小麦に対する過敏症であると考えております。
ただ他の原因の有無については専門外なので言及しません。
その後娘から医学博士デイビッド・パールマターという方の書籍を勧められ、読んでみましたら、グルテン過敏症が引き起こす疾患のリストに過敏性腸症候群が入っておりました。
「やはり」と思いました。
また炭水化物が脳にダメージを与え、認知症を引き起こすという説は興味深いと思います。
江部先生の著書に巡り会えたことはとても幸運でした。
先生の糖質制限食は、人間の尊厳という意味では癌よりも怖い認知症にとっても、糖尿病以上に重要なものだと確信しております。
多忙な中、貴重な時間を割いて返答されておられるのには、心から感謝、感服致しております。最後に、先生の糖質制限食のおかげで、2016年2月現在も過敏性腸症候群は全く消えております。】
こんばんは。
キースさんから、糖質制限食で過敏性腸症候群が改善したという嬉しいコメントを頂きました。
キースさん、拙著のご購入、ありがとうございます。
過敏性腸症候群の改善、良かったですね。
過敏性腸症候群が全てグルテン過敏症が原因というわけではありませんが、キースさんの場合は、小麦をやめて症状が改善しているので、グルテン過敏症が下痢などの症状を起こしていたことは間違いないと思います。
現在テニスのナンバー・ワンの、ジョコビッチ選手は、小麦の摂取を止めてから、急にパフォーマンスが向上して、あっというまに、No.1になりました。
ジョコビッチの場合は、「グルテン過敏症」が明確となり、グルテンフリーの食事にして本来の運動能力が5セット持続するようになったことが、No.1になれた大きな要因とと思われます。
グルテンは小麦、大麦、ライ麦などに含まれるタンパク質ですが、市販の小麦グルテンには、あるていど糖質も含まれています。
ですから、糖質制限食では、小麦グルテンは少量にとどめる必要があります。
糖質制限食OKのパンも、インターネットなどで販売されていますが、グルテンを使わないとパンになりませんので、少量の小麦グルテンを使用しています。
欧米人に結構多い、「グルテン過敏症」の人達には、グルテンフリーが必要です。
糖質制限0Kパンもグルテン過敏症の人には、NGとなります。
日本人には、グルテン過敏症は少ないですが、キースさんはグルテン過敏症なら、程度にもよりますが糖質制限パンも要注意です。
一方グルテン過敏症のない人は、普通に糖質制限食実践でグルテンフリーは必要ありません。
それから、ジョコビッチ選手は、小麦以外にも一定、糖質制限的ではあります。
2016年1月1日の京都新聞によると、3階級制覇のボクシング世界チャンピオン井岡一翔選手は、テニスのジョコビッチ選手の食事を参考にして、2015年12月31日の世界戦に向けて新たな食事法(ほぼ糖質制限食)を取り入れたとありました。
パンやパスタ、うどんなどの小麦粉製品を口せず、炭水化物はほとんど摂らない食生活をして試合に備えたということです。
2015年12月24日のスポーツ報知の記事を見ると11月初旬から新しい食事法を開始で、野菜や肉、魚が中心で、炭水化物は酵素玄米を少量食べる程度であり、結果、体のキレが増して、減量もスムースにできたそうです。
2015年12月31日の世界戦では、11ラウンドに左ボディーアッパーでダウンを奪い、挑戦者のフアンカルロス・レベコ選手にTKOで、鮮やかに勝利しました。
なお、久山町研究において、1回の食事において「大豆製品と豆腐」「緑黄色野菜」「淡色野菜」「藻類」「牛乳・乳製品」の摂取量が多く、「米」の摂取量が少ない食事パターンは、認知症発症のリスクを有意に低下させることが示されました。
炭水化物恐るべしですね。
江部康二
過敏性腸症候群に対する糖質制限食の効果
こんばんは
いつも有難うございます。
今日は、1年前に私が実体験から得た私見をご報告致します。
以前から「お好み焼き」を食べると下痢を起こすことが多かったのですが、フランス菓子を勉強した2007年からの6年間は特に症状が強くて、午前の仕事中に下痢で3回排便する日が、週に3日を超えることも多々ありました。
そんな中、2011年1月に消化器内科にて上、下部内視鏡検査を受けましたが異常なく、ストレスによる「過敏性腸症候群」であると診断され、投薬を提案されたのですが、当時一番楽しい休日の菓子作りの時にも症状が同様に出ることなどから、原因は他にあると確信し、薬剤は服用しませんでした。
そして2014年9月頃から糖質制限食を始めました。
すると症状が全く消えたのです。
「お好み焼き」「フランス菓子」「糖質制限食」、この3つを並べるとKey wordはすぐに「小麦」とわかりました。
フランス菓子は小麦を大量に使うことが多く、勉強の為週に数多く試食しますから、当然症状が強く出たのです。
よって私は、過敏性腸症候群は小麦に対する過敏症であると考えております。
ただ他の原因の有無については専門外なので言及しません。
その後娘から医学博士デイビッド・パールマターという方の書籍を勧められ、読んでみましたら、グルテン過敏症が引き起こす疾患のリストに過敏性腸症候群が入っておりました。
「やはり」と思いました。
また炭水化物が脳にダメージを与え、認知症を引き起こすという説は興味深いと思います。
江部先生の著書に巡り会えたことはとても幸運でした。
先生の糖質制限食は、人間の尊厳という意味では癌よりも怖い認知症にとっても、糖尿病以上に重要なものだと確信しております。
多忙な中、貴重な時間を割いて返答されておられるのには、心から感謝、感服致しております。最後に、先生の糖質制限食のおかげで、2016年2月現在も過敏性腸症候群は全く消えております。】
こんばんは。
キースさんから、糖質制限食で過敏性腸症候群が改善したという嬉しいコメントを頂きました。
キースさん、拙著のご購入、ありがとうございます。
過敏性腸症候群の改善、良かったですね。
過敏性腸症候群が全てグルテン過敏症が原因というわけではありませんが、キースさんの場合は、小麦をやめて症状が改善しているので、グルテン過敏症が下痢などの症状を起こしていたことは間違いないと思います。
現在テニスのナンバー・ワンの、ジョコビッチ選手は、小麦の摂取を止めてから、急にパフォーマンスが向上して、あっというまに、No.1になりました。
ジョコビッチの場合は、「グルテン過敏症」が明確となり、グルテンフリーの食事にして本来の運動能力が5セット持続するようになったことが、No.1になれた大きな要因とと思われます。
グルテンは小麦、大麦、ライ麦などに含まれるタンパク質ですが、市販の小麦グルテンには、あるていど糖質も含まれています。
ですから、糖質制限食では、小麦グルテンは少量にとどめる必要があります。
糖質制限食OKのパンも、インターネットなどで販売されていますが、グルテンを使わないとパンになりませんので、少量の小麦グルテンを使用しています。
欧米人に結構多い、「グルテン過敏症」の人達には、グルテンフリーが必要です。
糖質制限0Kパンもグルテン過敏症の人には、NGとなります。
日本人には、グルテン過敏症は少ないですが、キースさんはグルテン過敏症なら、程度にもよりますが糖質制限パンも要注意です。
一方グルテン過敏症のない人は、普通に糖質制限食実践でグルテンフリーは必要ありません。
それから、ジョコビッチ選手は、小麦以外にも一定、糖質制限的ではあります。
2016年1月1日の京都新聞によると、3階級制覇のボクシング世界チャンピオン井岡一翔選手は、テニスのジョコビッチ選手の食事を参考にして、2015年12月31日の世界戦に向けて新たな食事法(ほぼ糖質制限食)を取り入れたとありました。
パンやパスタ、うどんなどの小麦粉製品を口せず、炭水化物はほとんど摂らない食生活をして試合に備えたということです。
2015年12月24日のスポーツ報知の記事を見ると11月初旬から新しい食事法を開始で、野菜や肉、魚が中心で、炭水化物は酵素玄米を少量食べる程度であり、結果、体のキレが増して、減量もスムースにできたそうです。
2015年12月31日の世界戦では、11ラウンドに左ボディーアッパーでダウンを奪い、挑戦者のフアンカルロス・レベコ選手にTKOで、鮮やかに勝利しました。
なお、久山町研究において、1回の食事において「大豆製品と豆腐」「緑黄色野菜」「淡色野菜」「藻類」「牛乳・乳製品」の摂取量が多く、「米」の摂取量が少ない食事パターンは、認知症発症のリスクを有意に低下させることが示されました。
炭水化物恐るべしですね。
江部康二
2016年02月15日 (月)
こんばんは。
ベストセラー『おやじダイエット部の奇跡』 (マガジンハウス)
の著者で、ノンフィクション作家の桐山秀樹さんが2016年2月6日土曜日、滞在先の東京都内のホテルにて急逝されました。
急性心筋梗塞でした。
ご著書によると、桐山さんは、2010年に気分不良で近医を受診、HbA1c:9.4%、高血圧、肥満、脂質異常症を指摘され、医師に「何でこんなになるまで放っておいたのですか!?」と怒られたそうです。
その少し前に、眼科の取材のときに眼底検査をして貰い、糖尿病網膜症があったとのことですので、すでに数年間以上高血糖の期間(高血糖の記憶)があったと思われます。
その後は糖質制限食で減量成功され、血糖値もHbA1cもコントロール良好を保たれとてもお元気でしたので、今回のことは残念でなりません。
桐山さんのご活躍により、日本における糖質制限食の普及が大きく加速したことは間違いなく、誠に惜しい人を失ってしまい、残念でなりません。
桐山さんは、多くの糖尿人・メタボ人の改善におおいに貢献され、大変良い仕事をされました。
糖質セイゲニスト仲間として、桐山さんのご功績を讃えるとと共に、心からご冥福を御祈り致します。
江部康二
ベストセラー『おやじダイエット部の奇跡』 (マガジンハウス)
の著者で、ノンフィクション作家の桐山秀樹さんが2016年2月6日土曜日、滞在先の東京都内のホテルにて急逝されました。
急性心筋梗塞でした。
ご著書によると、桐山さんは、2010年に気分不良で近医を受診、HbA1c:9.4%、高血圧、肥満、脂質異常症を指摘され、医師に「何でこんなになるまで放っておいたのですか!?」と怒られたそうです。
その少し前に、眼科の取材のときに眼底検査をして貰い、糖尿病網膜症があったとのことですので、すでに数年間以上高血糖の期間(高血糖の記憶)があったと思われます。
その後は糖質制限食で減量成功され、血糖値もHbA1cもコントロール良好を保たれとてもお元気でしたので、今回のことは残念でなりません。
桐山さんのご活躍により、日本における糖質制限食の普及が大きく加速したことは間違いなく、誠に惜しい人を失ってしまい、残念でなりません。
桐山さんは、多くの糖尿人・メタボ人の改善におおいに貢献され、大変良い仕事をされました。
糖質セイゲニスト仲間として、桐山さんのご功績を讃えるとと共に、心からご冥福を御祈り致します。
江部康二
2016年02月14日 (日)
こんにちは。
今日は「高血糖の記憶」のお話です。
すなわち、糖尿人において数年間以上血糖コントロールが不良であれば、血管の内皮に悪影響が出て、動脈硬化が生じます。
例えば、心臓の血管(冠動脈)が動脈硬化により狭くなって、つまりやすい状態になり、心筋梗塞や狭心症の危険があります。
これを「高血糖の記憶」といい、「消えない借金」のように生体内の動脈硬化が、ずっと残存して続きます。
つまり、数年間の高血糖期間のあと、継続して良好な血糖コントロールが得られても、血管合併症リスクは、その動脈硬化の部分では、消えないということです。
過去のコントロール不良の頃の消えない動脈硬化の借金が、「高血糖の記憶」です。
例えば、数年間HbA1c:8~9%台だったのが、スーパー糖質制限食開始で、速やかに血糖コントロール良好になり、その後はずっとHbA1c:6%台をキープしていても、当初の「高血糖の記憶」は、消えずに残っているということです。
私が担当する糖尿病患者さんで、上記のケースを経験しました。
『2007年8月13日初診時、64才男性。
高雄病院初診時、糖尿病診断後5年経過。
アマリール(1)2錠×1朝後 内服。
HbA1cは9.5%(NGSP)、随時血糖値371mg/dl。
高雄病院初診後、アマリールは中止して、スタンダード糖質制限食開始、
〔昼はグルコバイ(50)2錠とグルファスト(10)1錠〕を食直前内服
にて血糖値速やかに改善、11月15日にはHbA1c6.8%に改善。
そのままずっとHbA1c6.1~6.7%、コントロール良好を維持。
2009年4月16日、頸動脈エコーにて、左右にプラークあり。
2007年11月、コントロール良好となってから2年後、
2009年10月1日、「早足で歩くと胸痛(+)~(±)」という訴えがあり、
即、循環器内科に紹介。
翌日、循環器内科受診で負荷心電図陽性所見。
10月28日入院し冠動脈造影。
右冠動脈50-75%、左前下行枝99%、左回旋枝75%狭窄。
高血糖の記憶による冠動脈硬化のための労作性狭心症で左前下行枝にステントを挿入。
その後は、2016年1月まで6年間以上、狭心症再発なくHbA1cも6.0~6.5%ていど。』
私の患者さんのケースでは、スーパー糖質制限食を開始して2ヶ月後には血糖コントロール良好になっています。
しかし、その2年後に労作時狭心症を発症し、左前下行枝が99%狭窄しておりステントを挿入されました。
幸い、その後も糖質制限食でコントロール良好を保たれて、6年間以上発作もなく、年一回の循環器科の検査も良好です。
ステントは最初の1本だけです。
糖尿人が冠動脈狭窄で、狭心症や心筋梗塞を起こしてステントが挿入された場合、同じようにカロリー制限高糖質食を食べていると、食後高血糖や平均血糖変動幅増大を毎日生じて、1年後や2年後に、冠動脈の別の枝に再狭窄を起こしてまたステントが入ります。
これを繰り返して、ステントが4本、5本というケースがかなり多いのです。
この点、糖質制限食だと血糖コントロール良好で、食後高血糖や平均血糖変動幅増大もないので、再狭窄のリスクがなく、ステントが新たに挿入されることはないのです。
一方、現在、糖質制限食で血糖コントロール良好の糖尿人も血液・尿検査だけでなく、心臓や脳や眼底の検査(画像診断など)が必要ということです。
従って循環器内科、脳外科、眼科などで合併症のチェックが肝要です。
また、糖質制限食開始時に、まず眼科や循環器内科や脳外科で合併症のチェックをしておくと安心です。
江部康二
今日は「高血糖の記憶」のお話です。
すなわち、糖尿人において数年間以上血糖コントロールが不良であれば、血管の内皮に悪影響が出て、動脈硬化が生じます。
例えば、心臓の血管(冠動脈)が動脈硬化により狭くなって、つまりやすい状態になり、心筋梗塞や狭心症の危険があります。
これを「高血糖の記憶」といい、「消えない借金」のように生体内の動脈硬化が、ずっと残存して続きます。
つまり、数年間の高血糖期間のあと、継続して良好な血糖コントロールが得られても、血管合併症リスクは、その動脈硬化の部分では、消えないということです。
過去のコントロール不良の頃の消えない動脈硬化の借金が、「高血糖の記憶」です。
例えば、数年間HbA1c:8~9%台だったのが、スーパー糖質制限食開始で、速やかに血糖コントロール良好になり、その後はずっとHbA1c:6%台をキープしていても、当初の「高血糖の記憶」は、消えずに残っているということです。
私が担当する糖尿病患者さんで、上記のケースを経験しました。
『2007年8月13日初診時、64才男性。
高雄病院初診時、糖尿病診断後5年経過。
アマリール(1)2錠×1朝後 内服。
HbA1cは9.5%(NGSP)、随時血糖値371mg/dl。
高雄病院初診後、アマリールは中止して、スタンダード糖質制限食開始、
〔昼はグルコバイ(50)2錠とグルファスト(10)1錠〕を食直前内服
にて血糖値速やかに改善、11月15日にはHbA1c6.8%に改善。
そのままずっとHbA1c6.1~6.7%、コントロール良好を維持。
2009年4月16日、頸動脈エコーにて、左右にプラークあり。
2007年11月、コントロール良好となってから2年後、
2009年10月1日、「早足で歩くと胸痛(+)~(±)」という訴えがあり、
即、循環器内科に紹介。
翌日、循環器内科受診で負荷心電図陽性所見。
10月28日入院し冠動脈造影。
右冠動脈50-75%、左前下行枝99%、左回旋枝75%狭窄。
高血糖の記憶による冠動脈硬化のための労作性狭心症で左前下行枝にステントを挿入。
その後は、2016年1月まで6年間以上、狭心症再発なくHbA1cも6.0~6.5%ていど。』
私の患者さんのケースでは、スーパー糖質制限食を開始して2ヶ月後には血糖コントロール良好になっています。
しかし、その2年後に労作時狭心症を発症し、左前下行枝が99%狭窄しておりステントを挿入されました。
幸い、その後も糖質制限食でコントロール良好を保たれて、6年間以上発作もなく、年一回の循環器科の検査も良好です。
ステントは最初の1本だけです。
糖尿人が冠動脈狭窄で、狭心症や心筋梗塞を起こしてステントが挿入された場合、同じようにカロリー制限高糖質食を食べていると、食後高血糖や平均血糖変動幅増大を毎日生じて、1年後や2年後に、冠動脈の別の枝に再狭窄を起こしてまたステントが入ります。
これを繰り返して、ステントが4本、5本というケースがかなり多いのです。
この点、糖質制限食だと血糖コントロール良好で、食後高血糖や平均血糖変動幅増大もないので、再狭窄のリスクがなく、ステントが新たに挿入されることはないのです。
一方、現在、糖質制限食で血糖コントロール良好の糖尿人も血液・尿検査だけでなく、心臓や脳や眼底の検査(画像診断など)が必要ということです。
従って循環器内科、脳外科、眼科などで合併症のチェックが肝要です。
また、糖質制限食開始時に、まず眼科や循環器内科や脳外科で合併症のチェックをしておくと安心です。
江部康二
2016年02月13日 (土)
おはようございます。
拙著を買ってくださった方やブログ読者の皆さんから、時折、糖質制限食で使っていい油は何がありますかとご質問頂きます。
このような時、私は、オレイン酸が主成分のオリーブオイルの使用を勧めています。
かつて、「植物油に含まれるリノール酸が身体に良いので積極的に摂りましょう」と言われた時期がありました。
ところが日本の現状では、リノール酸の過剰摂取が問題となっています。
リノール酸摂りすぎの弊害(心臓・脳血管系疾患、欧米型癌、アレルギー性疾患、その他炎症性疾患)が、動物実験のみならず臨床的にも明らかにされてきたのです。
そして、リノール酸は多くの植物油の主成分で、安価な大豆油やコーン油には特に多く含まれています。
オリーブオイルの主成分は、一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸です。そして大多数の栄養学者がオリーブオイルの摂取を奨めています。
オリーブオイル摂取とヒトに関しては、現在までの疫学的報告では、心血管系ににも癌予防にもよい結果がでています。私自身も、もっぱらオリーブオイルを使っています。
このオリーブオイルをたっぷり摂取することで有名なのが地中海食です。
2004年の米国医師会雑誌の論文で「地中海食摂取、喫煙なし、適度なアルコール摂取、身体活動」を実践しているヨーロッパの人々において、心血管疾患と癌の発症が統計的に有意に少ないことが報告されました。(*)
またヒトにおける、信頼度の高い疫学研究に関する論文が、Nature Reviews Cardiology という世界心臓連合(WHF)の公式誌にハーバード大学の研究者により2007年に報告されました。
この論文に「地中海食は、心血管系への利点と、種々の美味しい物を食べられるので持続しやすいこともあり、ますます人気が上昇している。」との記載があります。(**)
その地中海食の本場、スペインはカタルーニャから届いたオリーブオイルが、これまで何度かご紹介した、あらてつさんの糖質制限ドットコムで販売している、モリドルオリーブオイルです。
我々日本人は、オリーブオイルと言えば真っ先にイタリアが思い浮かびますが、実はスペインの方が生産量が遥かに多く、スペインのオリーブオイル生産量は、世界のおよそ40%を締めていて、しかも、イタリア製オリーブオイルの70%以上がなんとスペイン産とのこと(-_-;)
これまでイタリア産と思って買っていたものが、実はスペイン産だったのですね(^_^;)
さらに、オリーブオイル業界、聞くところによるといろいろと複雑で、「エクストラヴァージンオリーブオイル」といいながら、そうでないものがかなりの割合で流通しているそうです(-_-;)
ですがこのモリドルオリーブオイルは、あらてつさんが直接工場まで行って「冷温圧搾・無濾過・無添加・混ざりっけ無しのエクストラヴァージンオリーブオイル」であることを確認してきました。
あらてつさん、知っている人は知っている、知らない人も知っている「かなりうるさい男」ですので、工場を隅から隅まで調べて現地の人たちに嫌がられてきたことは、想像に難くありません。
スペインでも「うるさいぶり」を遺憾なく発揮してきたあらてつさん太鼓判のモリドルオリーブオイル、私もこのブログをご覧の糖尿人、メタボ人、ダイエッターの皆さんにお勧め致します(^O^)
以下、あらてつさんからの案内です。
江部康二
(*)
Knoops KTB, de Groot LCPGM, Kromhout D, et al. 2004. Mediterranean diet, lifestyle factors, and 10-year mortality in elderly European men and women: the HALE Project. JAMA 292: 1433-39.
(**)Popular weight-loss diets: from evidence to practice
Vasanti S Malik & Frank B Hu
Nature Reviews Cardiology 4, 34–41 (1 January 2007)
ドクター江部ブログの皆様、おはようございます。
糖質制限ドットコムのあらてつです。
本日は、江部康二先生のブログをお借りしまして、大人気モリドル・エクストラヴァージンオリーブオイル、謝恩セールのご案内です。
もうすっかりお馴染みになりましたモリドル・エクストラヴァージンオリーブオイル、なんと現地スペインでも珍しい、アルベキーナオリーブ100%のエクストラヴァージンオリーブオイルです。
丁寧に収穫されたアルベキーナオリーブオイルを冷温圧搾し、丁寧に瓶詰め。
その酸度はEU基準の0.8%を遥かに下回る0.19%!
“オリーブのフレッシュジュース”と呼んでも大げさではないオリーブオイルです。
そのモリドル・エクストラヴァージンオリーブオイルを、日頃のご愛顧に感謝いたしまして、
1本通常¥2800円 → 特価¥2280円
5本セットはさらにお得な
5本お買得セット通常¥12600円 → 特価¥10800円
の大謝恩価格でご奉仕!
「江部康二先生はオリーブオイルを推奨されてるけど、正直どれを選んでいいのかわからない」
や
「よく店でエクストラヴァージンオリーブオイルって書いてあるけど、ほんまなんか?」
とお悩みや疑問のお声を頂戴します。
そんなお悩みの皆様に、本場スペインから直輸入、少量生産のモリドルエクストラヴァージンオリーブオイル、私、あらてつが全身全霊をもってお勧め致します。
この機会に是非ともご利用くださいませ。
詳細&ご注文はコチラからどうぞ!
↓ ↓ ↓
モリドル・エクストラヴァージンオリーブオイル
https://www.toushitsuseigen.com/products/detail48.html
皆様のご注文、心よりお待ちしておりま〜す♪

拙著を買ってくださった方やブログ読者の皆さんから、時折、糖質制限食で使っていい油は何がありますかとご質問頂きます。
このような時、私は、オレイン酸が主成分のオリーブオイルの使用を勧めています。
かつて、「植物油に含まれるリノール酸が身体に良いので積極的に摂りましょう」と言われた時期がありました。
ところが日本の現状では、リノール酸の過剰摂取が問題となっています。
リノール酸摂りすぎの弊害(心臓・脳血管系疾患、欧米型癌、アレルギー性疾患、その他炎症性疾患)が、動物実験のみならず臨床的にも明らかにされてきたのです。
そして、リノール酸は多くの植物油の主成分で、安価な大豆油やコーン油には特に多く含まれています。
オリーブオイルの主成分は、一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸です。そして大多数の栄養学者がオリーブオイルの摂取を奨めています。
オリーブオイル摂取とヒトに関しては、現在までの疫学的報告では、心血管系ににも癌予防にもよい結果がでています。私自身も、もっぱらオリーブオイルを使っています。
このオリーブオイルをたっぷり摂取することで有名なのが地中海食です。
2004年の米国医師会雑誌の論文で「地中海食摂取、喫煙なし、適度なアルコール摂取、身体活動」を実践しているヨーロッパの人々において、心血管疾患と癌の発症が統計的に有意に少ないことが報告されました。(*)
またヒトにおける、信頼度の高い疫学研究に関する論文が、Nature Reviews Cardiology という世界心臓連合(WHF)の公式誌にハーバード大学の研究者により2007年に報告されました。
この論文に「地中海食は、心血管系への利点と、種々の美味しい物を食べられるので持続しやすいこともあり、ますます人気が上昇している。」との記載があります。(**)
その地中海食の本場、スペインはカタルーニャから届いたオリーブオイルが、これまで何度かご紹介した、あらてつさんの糖質制限ドットコムで販売している、モリドルオリーブオイルです。
我々日本人は、オリーブオイルと言えば真っ先にイタリアが思い浮かびますが、実はスペインの方が生産量が遥かに多く、スペインのオリーブオイル生産量は、世界のおよそ40%を締めていて、しかも、イタリア製オリーブオイルの70%以上がなんとスペイン産とのこと(-_-;)
これまでイタリア産と思って買っていたものが、実はスペイン産だったのですね(^_^;)
さらに、オリーブオイル業界、聞くところによるといろいろと複雑で、「エクストラヴァージンオリーブオイル」といいながら、そうでないものがかなりの割合で流通しているそうです(-_-;)
ですがこのモリドルオリーブオイルは、あらてつさんが直接工場まで行って「冷温圧搾・無濾過・無添加・混ざりっけ無しのエクストラヴァージンオリーブオイル」であることを確認してきました。
あらてつさん、知っている人は知っている、知らない人も知っている「かなりうるさい男」ですので、工場を隅から隅まで調べて現地の人たちに嫌がられてきたことは、想像に難くありません。
スペインでも「うるさいぶり」を遺憾なく発揮してきたあらてつさん太鼓判のモリドルオリーブオイル、私もこのブログをご覧の糖尿人、メタボ人、ダイエッターの皆さんにお勧め致します(^O^)
以下、あらてつさんからの案内です。
江部康二
(*)
Knoops KTB, de Groot LCPGM, Kromhout D, et al. 2004. Mediterranean diet, lifestyle factors, and 10-year mortality in elderly European men and women: the HALE Project. JAMA 292: 1433-39.
(**)Popular weight-loss diets: from evidence to practice
Vasanti S Malik & Frank B Hu
Nature Reviews Cardiology 4, 34–41 (1 January 2007)
ドクター江部ブログの皆様、おはようございます。
糖質制限ドットコムのあらてつです。
本日は、江部康二先生のブログをお借りしまして、大人気モリドル・エクストラヴァージンオリーブオイル、謝恩セールのご案内です。
もうすっかりお馴染みになりましたモリドル・エクストラヴァージンオリーブオイル、なんと現地スペインでも珍しい、アルベキーナオリーブ100%のエクストラヴァージンオリーブオイルです。
丁寧に収穫されたアルベキーナオリーブオイルを冷温圧搾し、丁寧に瓶詰め。
その酸度はEU基準の0.8%を遥かに下回る0.19%!
“オリーブのフレッシュジュース”と呼んでも大げさではないオリーブオイルです。
そのモリドル・エクストラヴァージンオリーブオイルを、日頃のご愛顧に感謝いたしまして、
1本通常¥2800円 → 特価¥2280円
5本セットはさらにお得な
5本お買得セット通常¥12600円 → 特価¥10800円
の大謝恩価格でご奉仕!
「江部康二先生はオリーブオイルを推奨されてるけど、正直どれを選んでいいのかわからない」
や
「よく店でエクストラヴァージンオリーブオイルって書いてあるけど、ほんまなんか?」
とお悩みや疑問のお声を頂戴します。
そんなお悩みの皆様に、本場スペインから直輸入、少量生産のモリドルエクストラヴァージンオリーブオイル、私、あらてつが全身全霊をもってお勧め致します。
この機会に是非ともご利用くださいませ。
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モリドル・エクストラヴァージンオリーブオイル
https://www.toushitsuseigen.com/products/detail48.html
皆様のご注文、心よりお待ちしておりま〜す♪

糖質制限食・ダイエット食の通信販売|糖質制限ドットコム
糖質制限ドットコムは、糖質制限食の第一人者、高雄病院、江部康二先生監修による糖質オフな食材を販売、糖質制限食に取り組む皆様をサポートします。
2016年02月12日 (金)
【16/02/06 たがしゅう
さらなる糖質制限の発展へ
江部先生
記事にまでして頂き有難うございます。
糖質制限と出会ったおかげで、私は糖質制限と断食(絶食療法)がケトン体の有効利用という点で一本の線でつながるという事を理解する事ができました。
今回紹介した論文のように、たとえ糖質制限に関して直接の言及がなくとも、 絶食療法に関する論文をみても糖質制限への理解を深める事ができます。
また糖質制限の臨床効果を実感を持って知っているからこそ、こうした論文の考察を興味深く読む事ができます。
あるいは、糖質の中毒性について学ぼうと思えば、禁煙関係の論文を読むと理解が深まります。
なぜならば糖質もタバコに含まれるニコチンも、脳の側坐核を中心とした報酬経路をドーパミンという神経伝達物質を介して刺激するという共通点があるからです。
たとえば、禁煙継続の鍵は1年以上継続できるかどうかであるという事を疫学的に実証した研究がありますが(Garcia-Rodriguez O, et al. Probability and predictors of relapse to smoking: results of the National Epidemiologic Survey on Alcohol and Related Conditions (NESARC). Drug Alcohol Depend. 2013 Oct 1;132(3):479-85. PMID: 23570817)、
この事は理論的な理解なくして高糖質食から糖質制限食へ移行する事の難しさを示唆していると思います。
糖質の中毒性に関して研究された論文は見かけませんが、喫煙の中毒性に関して研究された論文は他にも数多くあります。
そこから学べることは多いです。
そういう意味では、糖質制限がいろいろな分野の話との架け橋となり、既存の医学的事実を見直す大きなきっかけを与えてくれていると思います。
私も糖質制限を知らなければ、おそらく絶食療法の論文や禁煙関係の論文など読もうとすら思わなかったことでしょう。
糖質制限がよいという結論は、多くの実践者が知るところでしょうけれど、 その理論的な裏付けが高まれば高まるほど、実践者にとってさらなる安心を与え、 また一人の人間ができる事には限りがありますが、各分野の専門家がそれぞれの分野の視点からの考察を加えれば、 今までには全くなかった別の視点が見えてくるようになり、さらなる糖質制限の発展へとつながるに違いありません。
そのためにも理論的な裏付けが増える事は大事ですね。
今後も先生のブログで勉強させて頂きながら、 私自身の視点からも引き続き考察を続けていきたいと思います。
今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。】
こんばんは。
神経内科医のたがしゅう先生から
「さらなる糖質制限の発展へ」というコメントを頂きました。
ありがとうございます。
「糖質制限と出会ったおかげで、私は糖質制限と断食(絶食療法)がケトン体の有効利用という点で
一本の線でつながるという事を理解する事ができました。」
同感です。
私は34歳のときに、初めて「本断食」を行いました。
その縁で絶食研究会にも入会したので、脳がブドウ糖だけでなくケトン体を利用できることは、そのとき知識として入りました。
その後1999年に、私の兄江部洋一郎院長(当時)が、高雄病院に糖質制限食を導入しました。
私自身は、2001年から糖質制限食に取り組みました。
スーパー糖質制限食は、脂肪56%、たんぱく質32%、糖質12%です。
糖質制限食がきっかけで、ケトン食にも出会い、興味を持ちました。
ケトン食は、脂肪摂取比率が約90%近い究極の糖質制限食です。
ケトン食は小児難治性てんかんの治療食であり、近年では、がんの治療食としても注目されています。
いずれにせよ、たがしゅう先生がご指摘のごとく、ケトン体がキーワードです。
さらに、宗田先生のご研究により、胎児・胎盤のケトン体は成人の血中濃度の20~30倍もあることが確認されました。
つまり胎児のもっとも重要なエネルギー源はブドウ糖ではなく、ケトン体である可能性が強く示唆されました。
さらに、欧米の論文で、
①
『ケトン体の一種であるβ-ヒドロキシ酪酸(BHB)が炎症の要となるインフラマソームを直接阻害することで炎症を抑制する可能性が示唆された』
②
『絶食で過剰な炎症産生源となったインフラマソームの働きを抑制するのは、 ケトン体がサーチュインを介してミトコンドリア機能を改善させる事によって起こるのではないか』
というようなことも判明してきました。
ケトン体は、随分長い間、医学界では悪者にされてきましたが、悪者どころか、とても優れものだということで、おおいに名誉回復です。
「糖質の中毒性について学ぼうと思えば、禁煙関係の論文を読むと理解が深まります。
なぜならば糖質もタバコに含まれるニコチンも、脳の側坐核を中心とした報酬経路をドーパミンという神経伝達物質を介して刺激するという共通点があるからです。」
「たとえば、禁煙継続の鍵は1年以上継続できるかどうかであるという事を疫学的に実証した研究があります。この事は理論的な理解なくして高糖質食から糖質制限食へ移行する事の難しさを示唆していると思います。」
ニコチン依存症やアルコール依存症は有名ですが、糖質依存症の認知度は、まだまだ低いです。
糖尿病専門医や栄養士の指導を鵜呑みにせずに、自分の頭で考えて、判断し、選択するということがとても大切だと思います。
そのためにも、糖質制限食の理論を理解することは大切と思います。
理論を理解して、初めて自分で判断することができます。
糖質制限基礎理論の多くは、シンプルで難しくはありませんので、本を1冊通して読んで頂ければ、医学的知識がなくても速やかに理解できて、実践できると思います。
「糖質制限がよいという結論は、多くの実践者が知るところでしょうけれど、 その理論的な裏付けが高まれば高まるほど、実践者にとってさらなる安心を与え、 また一人の人間ができる事には限りがありますが、各分野の専門家がそれぞれの分野の視点からの考察を加えれば、 今までには全くなかった別の視点が見えてくるようになり、さらなる糖質制限の発展へとつながるに違いありません。 そのためにも理論的な裏付けが増える事は大事ですね。」
賛成です。
患者さんが実践するうえでの基本的糖質制限的知識に加えて我々いろんな分野の医師が、まだわかっていない部分などを
話しあい、協力して、精度を高めていけば、さらなる糖質制限理論の発展や何らかの「ブレーク スルー」が起こる可能性もありますね。
「今後も先生のブログで勉強させて頂きながら、 私自身の視点からも引き続き考察を続けていきたいと思います。
今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。」
こちらこそ、よろしくお願い申し上げます。
江部康二
さらなる糖質制限の発展へ
江部先生
記事にまでして頂き有難うございます。
糖質制限と出会ったおかげで、私は糖質制限と断食(絶食療法)がケトン体の有効利用という点で一本の線でつながるという事を理解する事ができました。
今回紹介した論文のように、たとえ糖質制限に関して直接の言及がなくとも、 絶食療法に関する論文をみても糖質制限への理解を深める事ができます。
また糖質制限の臨床効果を実感を持って知っているからこそ、こうした論文の考察を興味深く読む事ができます。
あるいは、糖質の中毒性について学ぼうと思えば、禁煙関係の論文を読むと理解が深まります。
なぜならば糖質もタバコに含まれるニコチンも、脳の側坐核を中心とした報酬経路をドーパミンという神経伝達物質を介して刺激するという共通点があるからです。
たとえば、禁煙継続の鍵は1年以上継続できるかどうかであるという事を疫学的に実証した研究がありますが(Garcia-Rodriguez O, et al. Probability and predictors of relapse to smoking: results of the National Epidemiologic Survey on Alcohol and Related Conditions (NESARC). Drug Alcohol Depend. 2013 Oct 1;132(3):479-85. PMID: 23570817)、
この事は理論的な理解なくして高糖質食から糖質制限食へ移行する事の難しさを示唆していると思います。
糖質の中毒性に関して研究された論文は見かけませんが、喫煙の中毒性に関して研究された論文は他にも数多くあります。
そこから学べることは多いです。
そういう意味では、糖質制限がいろいろな分野の話との架け橋となり、既存の医学的事実を見直す大きなきっかけを与えてくれていると思います。
私も糖質制限を知らなければ、おそらく絶食療法の論文や禁煙関係の論文など読もうとすら思わなかったことでしょう。
糖質制限がよいという結論は、多くの実践者が知るところでしょうけれど、 その理論的な裏付けが高まれば高まるほど、実践者にとってさらなる安心を与え、 また一人の人間ができる事には限りがありますが、各分野の専門家がそれぞれの分野の視点からの考察を加えれば、 今までには全くなかった別の視点が見えてくるようになり、さらなる糖質制限の発展へとつながるに違いありません。
そのためにも理論的な裏付けが増える事は大事ですね。
今後も先生のブログで勉強させて頂きながら、 私自身の視点からも引き続き考察を続けていきたいと思います。
今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。】
こんばんは。
神経内科医のたがしゅう先生から
「さらなる糖質制限の発展へ」というコメントを頂きました。
ありがとうございます。
「糖質制限と出会ったおかげで、私は糖質制限と断食(絶食療法)がケトン体の有効利用という点で
一本の線でつながるという事を理解する事ができました。」
同感です。
私は34歳のときに、初めて「本断食」を行いました。
その縁で絶食研究会にも入会したので、脳がブドウ糖だけでなくケトン体を利用できることは、そのとき知識として入りました。
その後1999年に、私の兄江部洋一郎院長(当時)が、高雄病院に糖質制限食を導入しました。
私自身は、2001年から糖質制限食に取り組みました。
スーパー糖質制限食は、脂肪56%、たんぱく質32%、糖質12%です。
糖質制限食がきっかけで、ケトン食にも出会い、興味を持ちました。
ケトン食は、脂肪摂取比率が約90%近い究極の糖質制限食です。
ケトン食は小児難治性てんかんの治療食であり、近年では、がんの治療食としても注目されています。
いずれにせよ、たがしゅう先生がご指摘のごとく、ケトン体がキーワードです。
さらに、宗田先生のご研究により、胎児・胎盤のケトン体は成人の血中濃度の20~30倍もあることが確認されました。
つまり胎児のもっとも重要なエネルギー源はブドウ糖ではなく、ケトン体である可能性が強く示唆されました。
さらに、欧米の論文で、
①
『ケトン体の一種であるβ-ヒドロキシ酪酸(BHB)が炎症の要となるインフラマソームを直接阻害することで炎症を抑制する可能性が示唆された』
②
『絶食で過剰な炎症産生源となったインフラマソームの働きを抑制するのは、 ケトン体がサーチュインを介してミトコンドリア機能を改善させる事によって起こるのではないか』
というようなことも判明してきました。
ケトン体は、随分長い間、医学界では悪者にされてきましたが、悪者どころか、とても優れものだということで、おおいに名誉回復です。
「糖質の中毒性について学ぼうと思えば、禁煙関係の論文を読むと理解が深まります。
なぜならば糖質もタバコに含まれるニコチンも、脳の側坐核を中心とした報酬経路をドーパミンという神経伝達物質を介して刺激するという共通点があるからです。」
「たとえば、禁煙継続の鍵は1年以上継続できるかどうかであるという事を疫学的に実証した研究があります。この事は理論的な理解なくして高糖質食から糖質制限食へ移行する事の難しさを示唆していると思います。」
ニコチン依存症やアルコール依存症は有名ですが、糖質依存症の認知度は、まだまだ低いです。
糖尿病専門医や栄養士の指導を鵜呑みにせずに、自分の頭で考えて、判断し、選択するということがとても大切だと思います。
そのためにも、糖質制限食の理論を理解することは大切と思います。
理論を理解して、初めて自分で判断することができます。
糖質制限基礎理論の多くは、シンプルで難しくはありませんので、本を1冊通して読んで頂ければ、医学的知識がなくても速やかに理解できて、実践できると思います。
「糖質制限がよいという結論は、多くの実践者が知るところでしょうけれど、 その理論的な裏付けが高まれば高まるほど、実践者にとってさらなる安心を与え、 また一人の人間ができる事には限りがありますが、各分野の専門家がそれぞれの分野の視点からの考察を加えれば、 今までには全くなかった別の視点が見えてくるようになり、さらなる糖質制限の発展へとつながるに違いありません。 そのためにも理論的な裏付けが増える事は大事ですね。」
賛成です。
患者さんが実践するうえでの基本的糖質制限的知識に加えて我々いろんな分野の医師が、まだわかっていない部分などを
話しあい、協力して、精度を高めていけば、さらなる糖質制限理論の発展や何らかの「ブレーク スルー」が起こる可能性もありますね。
「今後も先生のブログで勉強させて頂きながら、 私自身の視点からも引き続き考察を続けていきたいと思います。
今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。」
こちらこそ、よろしくお願い申し上げます。
江部康二
2016年02月11日 (木)
こんばんは。
朝日カルチャー京都教室講座のご案内です。
今回は「糖質制限食の基本のキホン」と題して、ひたすらわかりやすく糖質制限食のエッセンスをお話したいと思います。
京都、大阪、滋賀、奈良をはじめ、関西や北陸の糖尿人・メタボ人の皆さんのご参加をお待ちしてます。
江部康二
☆☆☆
以下朝日カルチャ-センター京都教室のサイトから転載です。
<公開講座>
糖質制限食の基本のキホン
人類本来の食事、人類の健康食
講師 高雄病院理事長 江部 康二
<講座内容>
人類700万年の進化の歴史と食生活 について考えてみました。
さらに食前と食後の血糖値の変動幅から人類の食生活を3段階にわけて検討してみました。
農耕が始まる前の700万年間は、狩猟・採集・漁労が生業であり、人類皆糖質制限食でした。
農耕が始まり穀物を食べ始めたのはわずか1万年前からです。
すなわち糖質制限食は人類本来の食事であり、人類の健康食です。
糖尿病・メタボなど生活習慣病、日本人の5大疾病、4大死因の予防と治療に糖質制限食が有効なのも、
人類の健康食という意味ではおおいに納得できます。
今回は、糖質制限の基本のキホンをお話しします。
講師のブログ http://koujiebe.blog95.fc2.com/"
<日時・期間> 火曜 13:00-14:30 3/15
<受講料(税込み)> 会員 3,024円 一般 3,564円
<お申し込み> 朝日カルチャーセンター京都教室
電話番号 075-231-9693
https://www.asahiculture.jp/kyoto/course/d7fe558d-ce04-679e-f973-564479eec108
<講師紹介>
江部 康二 (エベ コウジ)
1950年生まれ。 1974年京都大学医学部卒業。
1974年から京都大学胸部疾患研究所第一内科(現在京大呼吸器内科) にて呼吸器科を学ぶ。
1978年から高雄病院に医局長として勤務。
1996年副院長就任。
2000年理事長就任。
2001年から糖質制限食に取り組む。
2002年に自ら糖尿病であると気づいて以来、さらに糖尿病治療の研究に力を注ぎ、「糖質制限食」の体系を確立。
これにより自身の糖尿病を克服。
内科医/漢方医/一般財団法人高雄病院理事長/一般社団法人日本糖質制限医療推進協会理事長
著書『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』(東洋経済新報社)
作家宮本輝氏との対談、『我ら糖尿人、元気なのには理由がある』(東洋経済新報社)
『主食をやめると健康になる』(ダイヤモンド社)
『高雄病院の「糖質制限」給食』(講談社)
『糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食』 (ナツメ社)
『高雄病院 Dr.江部が食べている「糖質制限」ダイエット1ヵ月献立レシピ109』(講談社)
『糖尿病治療のための! 糖質制限食パーフェクトガイド』 (東洋経済新報社)
『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません: 生活習慣病を予防&改善する糖質制限食31のポイント』 (東洋経済新報社)
など多数。
ブログ『ドクター江部の糖尿病徒然日記(http://koujiebe.blog95.fc2.com/)は、
日に10000件のアクセスがあり、糖尿病のかたやそのご家族から寄せられた質問への回答や、
糖尿病・糖質制限食に関する情報の発信に、日々尽力している。
朝日カルチャー京都教室講座のご案内です。
今回は「糖質制限食の基本のキホン」と題して、ひたすらわかりやすく糖質制限食のエッセンスをお話したいと思います。
京都、大阪、滋賀、奈良をはじめ、関西や北陸の糖尿人・メタボ人の皆さんのご参加をお待ちしてます。
江部康二
☆☆☆
以下朝日カルチャ-センター京都教室のサイトから転載です。
<公開講座>
糖質制限食の基本のキホン
人類本来の食事、人類の健康食
講師 高雄病院理事長 江部 康二
<講座内容>
人類700万年の進化の歴史と食生活 について考えてみました。
さらに食前と食後の血糖値の変動幅から人類の食生活を3段階にわけて検討してみました。
農耕が始まる前の700万年間は、狩猟・採集・漁労が生業であり、人類皆糖質制限食でした。
農耕が始まり穀物を食べ始めたのはわずか1万年前からです。
すなわち糖質制限食は人類本来の食事であり、人類の健康食です。
糖尿病・メタボなど生活習慣病、日本人の5大疾病、4大死因の予防と治療に糖質制限食が有効なのも、
人類の健康食という意味ではおおいに納得できます。
今回は、糖質制限の基本のキホンをお話しします。
講師のブログ http://koujiebe.blog95.fc2.com/"
<日時・期間> 火曜 13:00-14:30 3/15
<受講料(税込み)> 会員 3,024円 一般 3,564円
<お申し込み> 朝日カルチャーセンター京都教室
電話番号 075-231-9693
https://www.asahiculture.jp/kyoto/course/d7fe558d-ce04-679e-f973-564479eec108
<講師紹介>
江部 康二 (エベ コウジ)
1950年生まれ。 1974年京都大学医学部卒業。
1974年から京都大学胸部疾患研究所第一内科(現在京大呼吸器内科) にて呼吸器科を学ぶ。
1978年から高雄病院に医局長として勤務。
1996年副院長就任。
2000年理事長就任。
2001年から糖質制限食に取り組む。
2002年に自ら糖尿病であると気づいて以来、さらに糖尿病治療の研究に力を注ぎ、「糖質制限食」の体系を確立。
これにより自身の糖尿病を克服。
内科医/漢方医/一般財団法人高雄病院理事長/一般社団法人日本糖質制限医療推進協会理事長
著書『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』(東洋経済新報社)
作家宮本輝氏との対談、『我ら糖尿人、元気なのには理由がある』(東洋経済新報社)
『主食をやめると健康になる』(ダイヤモンド社)
『高雄病院の「糖質制限」給食』(講談社)
『糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食』 (ナツメ社)
『高雄病院 Dr.江部が食べている「糖質制限」ダイエット1ヵ月献立レシピ109』(講談社)
『糖尿病治療のための! 糖質制限食パーフェクトガイド』 (東洋経済新報社)
『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません: 生活習慣病を予防&改善する糖質制限食31のポイント』 (東洋経済新報社)
など多数。
ブログ『ドクター江部の糖尿病徒然日記(http://koujiebe.blog95.fc2.com/)は、
日に10000件のアクセスがあり、糖尿病のかたやそのご家族から寄せられた質問への回答や、
糖尿病・糖質制限食に関する情報の発信に、日々尽力している。
2016年02月10日 (水)
こんばんは。
体重減少に関しての質問がよくあります。
今回は糖質制限食による体重減少効果を整理整頓してみます。
今まで利点に入れていた
「ケトン体の尿中排泄によるエネルギー放出」はごく微量なので省くこととし、
5つの利点を4つにしました。
<スーパー糖質制限食の4つの利点>
◆<糖質制限食による体重減少効果>
①インスリン(肥満ホルモン)が基礎分泌以外ほとんど出ない。
②食事中も含めて常に体脂肪が燃えている。
③食事中も含めて常に肝臓で糖新生が行われ、それにかなりのエネルギーを消費する。
④高タンパク食により、食事誘発熱産生(DIT)が亢進する。
高蛋白食は、摂食時の食事誘発熱産生(DIT)が通常食に比べて増加します。
DITによる消費エネルギーは、実質吸収エネルギーの、糖質では6%、脂質では4%、タンパク質で30%です。
食事誘発熱産生(DIT)を、もっと簡単に説明すると、食事において
100キロカロリーの糖質だけを摂取した時は、6キロカロリーが、
100キロカロリーの脂質だけを摂取した時は、4キロカロリーが、
100キロカロリーのタンパク質だけを摂取した時は、30キロカロリーが
熱に変わり、消費エネルギーとしてカウントされるということです。
◆<糖質を摂取した場合>
A)血糖値が上昇してインスリン(肥満ホルモン)がたっぷり分泌される。
B)体脂肪は燃えなくなり、血糖値が中性脂肪に変わり蓄積される。
C)肝臓の糖新生はストップする。
D)高タンパク食よる亢進した食事誘発熱産生(DIT)はなくなる。
①②③④とA)B)C)D)両者を比べてみれば、高糖質食より糖質制限食の方が、
体重減少効果が高いことが一目でわかると思います。
たとえ低脂質食でカロリー制限していても、糖質を摂れば体重減少への利点がすべて消えてしまうわけです。
これは食べ物に含まれるカロリーとは無関係の生理学的な特質であり、あくまで糖質を摂るかどうかがカギとなります。
<摂取エネルギーと消費エネルギー、基礎代謝量、身体活動量、食事誘発熱産生>
1)摂取エネルギー > 消費エネルギー → 体重増加
摂取エネルギー = 消費エネルギー → 体重不変
摂取エネルギー < 消費エネルギー → 体重減少
2)通常のカロリー制限食(高糖質食)なら
「消費エネルギー=基礎代謝量+身体活動量(運動や家事)+食事誘発熱産生(DIT)」
3)糖質制限食なら、高糖質食の時には無い
「肝臓の糖新生でエネルギーを消費」→基礎代謝の増加
「高蛋白食摂取」→食事誘発熱産生(DIT)の増加 」
が認められる。
1)は生理学的事実です。
2)3)を比較すると糖質制限食の方が高糖質食に比し、体重が減少しやすいことは明白です。
<推定エネルギー必要量と糖質制限食>
減量を目指す時に、日本糖尿病学会推奨のように
男性:1400~2000kcal/日
女性:1200~1800kcal/日
といった、厳しいカロリー制限は必要ありません。
「日本人の食事摂取基準」(2015年、厚生労働省)
に示す推定エネルギー必要量の範囲、
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf
推定エネルギー必要量/日
男性 女性
15-17才 2500 2850 3150 2050 2300 2550kcal
18-29才 2300 2650 3050 1650 1950 2200
30-49才 2300 2650 3050 1750 2000 2300
50-69才 2100 2450 2800 1650 1900 2200
70才 1850 2200 2500 1500 1750 2000
身体活動レベル 低い 普通 高い 低い 普通 高い
くらいが目安です。
スーパー糖質制限食実践と「日本人の食事摂取基準」の標準的な摂取エネルギーなら、適正体重になると思います。
<倹約遺伝子タイプ>
なお、倹約遺伝子をもつ基礎代謝が体質的に低い方々は痩せにくいです。
この場合は「スーパー糖質制限食+カロリー制限食」が必要です。
身長にもよりますがおよそ
男性1600~1800kcal/日
女性1200~1400kcal/日
くらいが目安でしょうか?
倹約遺伝子タイプは、女性が多いと思います。
江部康二
体重減少に関しての質問がよくあります。
今回は糖質制限食による体重減少効果を整理整頓してみます。
今まで利点に入れていた
「ケトン体の尿中排泄によるエネルギー放出」はごく微量なので省くこととし、
5つの利点を4つにしました。
<スーパー糖質制限食の4つの利点>
◆<糖質制限食による体重減少効果>
①インスリン(肥満ホルモン)が基礎分泌以外ほとんど出ない。
②食事中も含めて常に体脂肪が燃えている。
③食事中も含めて常に肝臓で糖新生が行われ、それにかなりのエネルギーを消費する。
④高タンパク食により、食事誘発熱産生(DIT)が亢進する。
高蛋白食は、摂食時の食事誘発熱産生(DIT)が通常食に比べて増加します。
DITによる消費エネルギーは、実質吸収エネルギーの、糖質では6%、脂質では4%、タンパク質で30%です。
食事誘発熱産生(DIT)を、もっと簡単に説明すると、食事において
100キロカロリーの糖質だけを摂取した時は、6キロカロリーが、
100キロカロリーの脂質だけを摂取した時は、4キロカロリーが、
100キロカロリーのタンパク質だけを摂取した時は、30キロカロリーが
熱に変わり、消費エネルギーとしてカウントされるということです。
◆<糖質を摂取した場合>
A)血糖値が上昇してインスリン(肥満ホルモン)がたっぷり分泌される。
B)体脂肪は燃えなくなり、血糖値が中性脂肪に変わり蓄積される。
C)肝臓の糖新生はストップする。
D)高タンパク食よる亢進した食事誘発熱産生(DIT)はなくなる。
①②③④とA)B)C)D)両者を比べてみれば、高糖質食より糖質制限食の方が、
体重減少効果が高いことが一目でわかると思います。
たとえ低脂質食でカロリー制限していても、糖質を摂れば体重減少への利点がすべて消えてしまうわけです。
これは食べ物に含まれるカロリーとは無関係の生理学的な特質であり、あくまで糖質を摂るかどうかがカギとなります。
<摂取エネルギーと消費エネルギー、基礎代謝量、身体活動量、食事誘発熱産生>
1)摂取エネルギー > 消費エネルギー → 体重増加
摂取エネルギー = 消費エネルギー → 体重不変
摂取エネルギー < 消費エネルギー → 体重減少
2)通常のカロリー制限食(高糖質食)なら
「消費エネルギー=基礎代謝量+身体活動量(運動や家事)+食事誘発熱産生(DIT)」
3)糖質制限食なら、高糖質食の時には無い
「肝臓の糖新生でエネルギーを消費」→基礎代謝の増加
「高蛋白食摂取」→食事誘発熱産生(DIT)の増加 」
が認められる。
1)は生理学的事実です。
2)3)を比較すると糖質制限食の方が高糖質食に比し、体重が減少しやすいことは明白です。
<推定エネルギー必要量と糖質制限食>
減量を目指す時に、日本糖尿病学会推奨のように
男性:1400~2000kcal/日
女性:1200~1800kcal/日
といった、厳しいカロリー制限は必要ありません。
「日本人の食事摂取基準」(2015年、厚生労働省)
に示す推定エネルギー必要量の範囲、
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf
推定エネルギー必要量/日
男性 女性
15-17才 2500 2850 3150 2050 2300 2550kcal
18-29才 2300 2650 3050 1650 1950 2200
30-49才 2300 2650 3050 1750 2000 2300
50-69才 2100 2450 2800 1650 1900 2200
70才 1850 2200 2500 1500 1750 2000
身体活動レベル 低い 普通 高い 低い 普通 高い
くらいが目安です。
スーパー糖質制限食実践と「日本人の食事摂取基準」の標準的な摂取エネルギーなら、適正体重になると思います。
<倹約遺伝子タイプ>
なお、倹約遺伝子をもつ基礎代謝が体質的に低い方々は痩せにくいです。
この場合は「スーパー糖質制限食+カロリー制限食」が必要です。
身長にもよりますがおよそ
男性1600~1800kcal/日
女性1200~1400kcal/日
くらいが目安でしょうか?
倹約遺伝子タイプは、女性が多いと思います。
江部康二
2016年02月09日 (火)
こんにちは。
まさえさんから、1年前の健康診断で糖尿病の診断を受けたあと、糖質制限食を実践されて、1年後の検査でコントロール良好になったというコメントを頂きました。
【16/02/08 まさえ
ありがとうございます!
江部先生、こんにちは。
糖質制限のすごさを実感し、感謝をお伝えしたく、全く無関係なこちらにコメント、という形をお許しください。
私は38歳、女性です。
父母兄、と家族全員が糖尿です。
母は透析の末、多臓器不全で他界
父は数年前に腎不全、脳出血で現在透析中
兄(44歳)は一型糖尿病で昨年脳梗塞(幸い軽かったため仕事復帰)
という、糖尿オンパレードの家系ながら、奇跡的に免れていたのですが、昨年ついに健康診断後に病院から直接「受診したほうがいい」と連絡が来てしまい、絶望的な気持ちになっていました。
しかし、食事や水分をかなり制限し、薬を飲み、インシュリンを打ち続けていたにも関わらず、3人ともどんどん悪くなっていくのを目の当たりにしていたため、なんとなく病院には足を運べずにいました。
なんとかならないか必死にいろいろと調べていくうちに、江部先生のブログや監修のショップへたどり着き、ブログなどを拝見しながら病院へは行かずに、糖質制限を始めました。
血糖値は測れないものの、体重がスルスルと落ちていきました。
痩せればいいわけではないと戒めながら、たまに甘えながらも1年が経ち、先月、ドキドキしながら1年ぶりに健康診断を受けました。
送られてきた診断結果を恐る恐る開けました。
体重 61.6㎏ → 53.1㎏
空腹時血糖値 199 → 125
HbA1c 9.4% → 5.8%
となっていました。
糖尿オンパレードの家系で糖質制限だけで下がるのかドキドキしましたが、びっくりしました。
ストイックさが足りず、空腹時血糖値はまだ少し高いですが、諦めずに慌てずに一生続けようと思います!!
来年の健康診断は、空腹時血糖値も正常範囲にまで下げるのが目標です。
糖尿オンパレードの家族ですが、諦めずにがんばります!
江部先生、本当に本当にありがとうございます。】
まさえさん。
糖質制限食1年間で、HbA1cが9.4%から5.8%とは、見事な改善です。
早朝空腹時血糖値も125mg/dlですから、境界型くらいなので、もうすぐ正常値になりそうですね。
良かったです。
ご両親とも透析ですから、まさえさんも血糖コントロールを良好に保つことが大変重要です。
御母上は残念でした。
「食事や水分をかなり制限し、薬を飲み、インシュリンを打ち続けていたにも関わらず、3人ともどんどん悪くなっていく」
ここで疑問が出てきます。
現在、毎年新たに、糖尿病が元で、人工透析16000人、失明3000人、足切断3000人の合併症が発症しています。
これらの方々は、全て医師や栄養士の言うことを聞かずに、薬もまともに内服せずに暴飲・暴食をしたのでしょうか?
いえいえそんなことはありません。
ほとんどの方は、まさえさんのご両親と同様、医師や栄養士の言うとおりに、つらくとも我慢してカロリー制限食を実践し、酒も飲まず、運動もし、血糖コントロールが徐々に悪くなれば、経口糖尿病薬が増えていき、それでも効果が良くなければ、インスリン注射を導入して、清く正しく頑張ってきたにもかかわらず、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病壊疽・・・を合併してきてしまったのです。
即ち、糖尿病患者さんに罪はないのです。
罪は一重に高糖質食にあるのです。
カロリー制限食(高糖質・低脂質食)を実践する限りは、かなり運が良くない限り糖尿病合併症から免れることは至難の技です。
何故なら、糖質を摂取する限り、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」という酸化ストレスリスク(☆)、動脈硬化リスクを必ず生じるからです。
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」は糖尿病合併症の最も大きな要因です。
これらをを防ぐことこそが合併症予防の優先順位の一番なのです。
そして糖質制限食が唯一、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を防ぐことができる治療食なのです。
ACCORDの結果(RCT研究論文)とランセットの報告(コホート研究論文)によれば、
「高糖質食を摂取しながら、強力な糖尿病の薬物治療を行えばかえって総死亡率が上昇する」
という、明確なエビデンスが存在します。(*)
私は一人の医師であり、一人の糖尿人です。
医師として糖尿人として、日本糖尿病学会に、一言申しあげたいのです。
上記の明白なエビデンスを無視せずに、現実を認めて、ワンパターンの食事療法(カロリー制限・高糖質・低脂肪食)の見直しに着手するのが糖尿病専門医として科学的な態度と言えるのではないでしょうか?
(☆)酸化ストレス
人体は、酸化反応と抗酸化反応のバランスがとれていると、正常に機能します。
酸化反応が抗酸化反応を上まわった状態を酸化ストレスといいます。
細胞内のミトコンドリアの活動で日常的に活性酸素が発生しますが、生体の抗酸化反応で処理しています。
スーパーーパーオキシドディスムターゼ (Superoxide dismutase, SOD) は、細胞内に発生した活性酸素を分解する酵素です。
生体内のビタミンC、ビタミンE、グルタチオンなどが抗酸化作用を有しています。
ヒトにおいて、最も一般的な酸化ストレスの発生源は喫煙と高血糖です。
『高血糖→糖化蛋白生成亢進→糖化蛋白が種々の酵素と反応して活性酸素生成。』
高血糖は、糖化蛋白の生成を亢進させます。
糖化蛋白は、様々な酵素と反応して、活性酸素を生成します。
活性酸素は生体の酸化反応の大本です。
酸化ストレスが、動脈硬化・老化・癌・アルツハイマー・パーキンソン等、様々な疾病の元凶とされています。
血糖値に関しては食後高血糖と平均血糖変動幅増大が最大の酸化ストレスリスクとされています。
(*)
2011年07月21日 (木) の本ブログ記事
「ACCORDとLancet誌2010年2月6日号の報告、HbA1cの目標値は?」
をご参照頂けば幸いです。
江部康二
まさえさんから、1年前の健康診断で糖尿病の診断を受けたあと、糖質制限食を実践されて、1年後の検査でコントロール良好になったというコメントを頂きました。
【16/02/08 まさえ
ありがとうございます!
江部先生、こんにちは。
糖質制限のすごさを実感し、感謝をお伝えしたく、全く無関係なこちらにコメント、という形をお許しください。
私は38歳、女性です。
父母兄、と家族全員が糖尿です。
母は透析の末、多臓器不全で他界
父は数年前に腎不全、脳出血で現在透析中
兄(44歳)は一型糖尿病で昨年脳梗塞(幸い軽かったため仕事復帰)
という、糖尿オンパレードの家系ながら、奇跡的に免れていたのですが、昨年ついに健康診断後に病院から直接「受診したほうがいい」と連絡が来てしまい、絶望的な気持ちになっていました。
しかし、食事や水分をかなり制限し、薬を飲み、インシュリンを打ち続けていたにも関わらず、3人ともどんどん悪くなっていくのを目の当たりにしていたため、なんとなく病院には足を運べずにいました。
なんとかならないか必死にいろいろと調べていくうちに、江部先生のブログや監修のショップへたどり着き、ブログなどを拝見しながら病院へは行かずに、糖質制限を始めました。
血糖値は測れないものの、体重がスルスルと落ちていきました。
痩せればいいわけではないと戒めながら、たまに甘えながらも1年が経ち、先月、ドキドキしながら1年ぶりに健康診断を受けました。
送られてきた診断結果を恐る恐る開けました。
体重 61.6㎏ → 53.1㎏
空腹時血糖値 199 → 125
HbA1c 9.4% → 5.8%
となっていました。
糖尿オンパレードの家系で糖質制限だけで下がるのかドキドキしましたが、びっくりしました。
ストイックさが足りず、空腹時血糖値はまだ少し高いですが、諦めずに慌てずに一生続けようと思います!!
来年の健康診断は、空腹時血糖値も正常範囲にまで下げるのが目標です。
糖尿オンパレードの家族ですが、諦めずにがんばります!
江部先生、本当に本当にありがとうございます。】
まさえさん。
糖質制限食1年間で、HbA1cが9.4%から5.8%とは、見事な改善です。
早朝空腹時血糖値も125mg/dlですから、境界型くらいなので、もうすぐ正常値になりそうですね。
良かったです。
ご両親とも透析ですから、まさえさんも血糖コントロールを良好に保つことが大変重要です。
御母上は残念でした。
「食事や水分をかなり制限し、薬を飲み、インシュリンを打ち続けていたにも関わらず、3人ともどんどん悪くなっていく」
ここで疑問が出てきます。
現在、毎年新たに、糖尿病が元で、人工透析16000人、失明3000人、足切断3000人の合併症が発症しています。
これらの方々は、全て医師や栄養士の言うことを聞かずに、薬もまともに内服せずに暴飲・暴食をしたのでしょうか?
いえいえそんなことはありません。
ほとんどの方は、まさえさんのご両親と同様、医師や栄養士の言うとおりに、つらくとも我慢してカロリー制限食を実践し、酒も飲まず、運動もし、血糖コントロールが徐々に悪くなれば、経口糖尿病薬が増えていき、それでも効果が良くなければ、インスリン注射を導入して、清く正しく頑張ってきたにもかかわらず、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病壊疽・・・を合併してきてしまったのです。
即ち、糖尿病患者さんに罪はないのです。
罪は一重に高糖質食にあるのです。
カロリー制限食(高糖質・低脂質食)を実践する限りは、かなり運が良くない限り糖尿病合併症から免れることは至難の技です。
何故なら、糖質を摂取する限り、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」という酸化ストレスリスク(☆)、動脈硬化リスクを必ず生じるからです。
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」は糖尿病合併症の最も大きな要因です。
これらをを防ぐことこそが合併症予防の優先順位の一番なのです。
そして糖質制限食が唯一、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を防ぐことができる治療食なのです。
ACCORDの結果(RCT研究論文)とランセットの報告(コホート研究論文)によれば、
「高糖質食を摂取しながら、強力な糖尿病の薬物治療を行えばかえって総死亡率が上昇する」
という、明確なエビデンスが存在します。(*)
私は一人の医師であり、一人の糖尿人です。
医師として糖尿人として、日本糖尿病学会に、一言申しあげたいのです。
上記の明白なエビデンスを無視せずに、現実を認めて、ワンパターンの食事療法(カロリー制限・高糖質・低脂肪食)の見直しに着手するのが糖尿病専門医として科学的な態度と言えるのではないでしょうか?
(☆)酸化ストレス
人体は、酸化反応と抗酸化反応のバランスがとれていると、正常に機能します。
酸化反応が抗酸化反応を上まわった状態を酸化ストレスといいます。
細胞内のミトコンドリアの活動で日常的に活性酸素が発生しますが、生体の抗酸化反応で処理しています。
スーパーーパーオキシドディスムターゼ (Superoxide dismutase, SOD) は、細胞内に発生した活性酸素を分解する酵素です。
生体内のビタミンC、ビタミンE、グルタチオンなどが抗酸化作用を有しています。
ヒトにおいて、最も一般的な酸化ストレスの発生源は喫煙と高血糖です。
『高血糖→糖化蛋白生成亢進→糖化蛋白が種々の酵素と反応して活性酸素生成。』
高血糖は、糖化蛋白の生成を亢進させます。
糖化蛋白は、様々な酵素と反応して、活性酸素を生成します。
活性酸素は生体の酸化反応の大本です。
酸化ストレスが、動脈硬化・老化・癌・アルツハイマー・パーキンソン等、様々な疾病の元凶とされています。
血糖値に関しては食後高血糖と平均血糖変動幅増大が最大の酸化ストレスリスクとされています。
(*)
2011年07月21日 (木) の本ブログ記事
「ACCORDとLancet誌2010年2月6日号の報告、HbA1cの目標値は?」
をご参照頂けば幸いです。
江部康二
2016年02月08日 (月)
【16/02/07 冬美
食事と性格
江部先生、こんばんは。
いつも興味深く記事を読んでおります。
私は、18歳です。
食後の眠気に悩まされ、 2015年10月16日から糖質制限をはじめました。
以降、食後の猛烈な眠気に襲われることがなくなりました。
更に、精神が安定し、不眠もなくなり、疲れを感じにくくなりました。
何故か記憶力が良くなりました。
気のせいかもしれませんが、 糖質制限を初めてから 性格が変わったような気がします。
以前は、チョコレートなど甘いものが大好きで、 おおらかで、のんびり屋でした。
ですが、今では、自分とは思えないくらいハキハキとして 時間にも厳しくなりました。
食事とは、性格までも変えてしまうのでしょうか。】
冬美さんから、糖質制限食で、眠気改善、精神安定、性格も変化という興味深いコメントを頂きました。
糖質を普通に食べている方々の場合は、食後の眠気は当たり前で仕方ないと思っている人が多いと思います。
しかし、食後の眠気は、糖質制限食ならまずなくなります。
糖質制限食でも改善しない眠気は「睡眠時無呼吸症候群」などを考慮する必要があります。
食前・食後の血糖変動幅が極めて小さくなるので、心理的に安定します。
逆に言えば、糖質を摂取して、食前・食後の血糖変動幅が、例え正常範囲内でも増大すると、心理的に不安定になりやすいです。
空腹時血糖値が80mg/dlくらいの糖尿病ではない人が、糖質を摂取して約1時間程で140~150mg/dlに上昇すると、60~70mgの変動幅があります。
そうするとぼーっとしたり眠たくなったりします。
また、140~150mg/dlくらいから、1時間で急速に80~90mg/dlくらいに下がると、血糖変動幅は60~70mgあるのでやはりぼーっとしたり眠たくなったりします。
糖質制限食で全身の血流・代謝がよくなり、血糖変動幅も小さくなり心理的にも安定しますので、睡眠もよくなり、疲れにくくなります。
眠気が少なくて、しゃきっとしてますので記憶力も良くなると思います。
例えば、中学生や高校生など子供達が糖質制限食を実践すると、学力がてきめんに向上します。
性格のことですが、糖質摂取しておられたころは、おおらかでのんびりというか、眠気半分で何となくぼーっとしてた(失礼! m(_ _)m )のだと思います。
それが、本来の性格が復活してハキハキ、テキパキとなり、時間にも正確になったのだと思います。
性格が変わったというより、本来の性格がしっかり現れてきたのだと思います。
これからも美味しく楽しく末長く糖質制限食をお続けくださいね。
江部康二
食事と性格
江部先生、こんばんは。
いつも興味深く記事を読んでおります。
私は、18歳です。
食後の眠気に悩まされ、 2015年10月16日から糖質制限をはじめました。
以降、食後の猛烈な眠気に襲われることがなくなりました。
更に、精神が安定し、不眠もなくなり、疲れを感じにくくなりました。
何故か記憶力が良くなりました。
気のせいかもしれませんが、 糖質制限を初めてから 性格が変わったような気がします。
以前は、チョコレートなど甘いものが大好きで、 おおらかで、のんびり屋でした。
ですが、今では、自分とは思えないくらいハキハキとして 時間にも厳しくなりました。
食事とは、性格までも変えてしまうのでしょうか。】
冬美さんから、糖質制限食で、眠気改善、精神安定、性格も変化という興味深いコメントを頂きました。
糖質を普通に食べている方々の場合は、食後の眠気は当たり前で仕方ないと思っている人が多いと思います。
しかし、食後の眠気は、糖質制限食ならまずなくなります。
糖質制限食でも改善しない眠気は「睡眠時無呼吸症候群」などを考慮する必要があります。
食前・食後の血糖変動幅が極めて小さくなるので、心理的に安定します。
逆に言えば、糖質を摂取して、食前・食後の血糖変動幅が、例え正常範囲内でも増大すると、心理的に不安定になりやすいです。
空腹時血糖値が80mg/dlくらいの糖尿病ではない人が、糖質を摂取して約1時間程で140~150mg/dlに上昇すると、60~70mgの変動幅があります。
そうするとぼーっとしたり眠たくなったりします。
また、140~150mg/dlくらいから、1時間で急速に80~90mg/dlくらいに下がると、血糖変動幅は60~70mgあるのでやはりぼーっとしたり眠たくなったりします。
糖質制限食で全身の血流・代謝がよくなり、血糖変動幅も小さくなり心理的にも安定しますので、睡眠もよくなり、疲れにくくなります。
眠気が少なくて、しゃきっとしてますので記憶力も良くなると思います。
例えば、中学生や高校生など子供達が糖質制限食を実践すると、学力がてきめんに向上します。
性格のことですが、糖質摂取しておられたころは、おおらかでのんびりというか、眠気半分で何となくぼーっとしてた(失礼! m(_ _)m )のだと思います。
それが、本来の性格が復活してハキハキ、テキパキとなり、時間にも正確になったのだと思います。
性格が変わったというより、本来の性格がしっかり現れてきたのだと思います。
これからも美味しく楽しく末長く糖質制限食をお続けくださいね。
江部康二
2016年02月07日 (日)

おはようございます。
私が監修している糖質制限食材の販売サイト、
糖質制限ドットコム
https://www.toushitsuseigen.com/
にて、毎年11月から4月まで販売している糖質制限生チョコレート、ショコラ・ドゥ・ゼロ
今シーズンは、待てど暮らせど販売する様子がなく、
もしかして生産中止になったのか?と
心配された方も多かったのではないでしょうか(^_^;)
先週から、ようやく販売再開となりました\(^o^)/
今回の発売遅延にはわけが有りまして、これまでショコラ・ドゥ・ゼロで使用していた羅漢果顆粒が入手できなくなったのです。
羅漢果は、中国政府が生の果実の国外持ち出しを禁止しているほど貴重な果実なのですが、最近になって需要が急増、供給が追いつかなくなって羅漢果自体が品薄状態で価格が高騰しています。
羅漢果顆粒のメーカーさんが、原材料の羅漢果エキスが入手できなくなり、顆粒を作れなくなってしまいました。
さらに悪いことに、この品薄と価格高騰に付け込んで不正をする中国メーカーが後を絶たないそうです。
羅漢果顆粒、この数年、日本でもいろんなメーカーさんが販売していますが、殆どが原材料表記と中身がかけ離れてると思ってもらっていいです。
とある羅漢果顆粒を成分分析に出したところ、羅漢果に含まれる成分は一切検出されず、100%砂糖という驚くべき数値が出ました。
そんなこんなで、ようやく信頼できるメーカーさんを見つけ、サンプルを頂き試作、なんとか完成したのが今回の“ショコラ・ドゥ・ゼロ”です。
これまでの純度の高い羅漢果顆粒が手に入らなくなりましたが、比較的血糖値への影響が少ない果糖を使用した羅漢果顆粒に、エリスリトールを加え、菓子職人の稲井パティシエの努力で、これまでと同等の口どけを実現することに成功致しました。
今回新しくなったショコラ・ド・ゼロ、果糖が加わるので数値上は糖質量が増えてしまいましたが、完成に至るまで徹底して試作と試食、血糖測定を繰り返しました。
私、江部康二、自他ともに認めるチョコレート好きですが、これだけのチョコレートを食べたのは生涯で初めてです(-_-)
この大量の試作の中から合格し、今回晴れて発売再開となったショコラ・ドゥ・ゼロの測定値です。
2015年12月11日(金)
午後5:17 空腹時血糖値:111mg
ショコラドゼロC6個(81g)摂取
午後6:17 1時間後血糖値:118mg
この復活劇には、菓子職人、稲井パティシエの並々ならぬ努力と苦労が凝縮されています。
羅漢果顆粒が入手できなくなったトラブルを乗り越え、今シーズンも美味しくて血糖値の上がらないショコラ・ド・ゼロを完成させてくださった稲井パティシエに、大きな拍手を贈りたいと思います\(^o^)/
詳細と販売はこちらです。
ショコラ・ドゥ・ゼロ
https://www.toushitsuseigen.com/products/detail74.html
糖尿人、メタボ人、ダイエッター、全ての糖質セイゲニストの皆さん、是非ともお試しあれ。
江部康二
2016年02月06日 (土)
こんにちは。
たがしゅう さんとYamamoto_ma さんから
インフラマソームに関するコメントをいただきました。
ありがとうございます。
東京銀座クリニックの福田先生のサイト、大変参考になります。
たがしゅう先生は、神経内科医なので、
私よりはミトコンドリアやサーチュインに関して詳しいと思います。
2016/2/4(木)の本ブログ記事
「炎症シグナルの指揮者インフラマソームとケトン体。」で紹介した論文
および、たがしゅう先生のコメントにある今回の論文
の結果をを合わせて考えてみると
①
『ケトン体の一種であるβ-ヒドロキシ酪酸(BHB)が炎症の要となるインフラマソームを直接阻害することで炎症を抑制する可能性が示唆された』
②
『絶食で過剰な炎症産生源となったインフラマソームの働きを抑制するのは、
ケトン体がサーチュインを介してミトコンドリア機能を改善させる事によって起こるのではないか』
となります。
①②に関して、
たがしゅう先生のご考察に私も賛成です。
私自身は、34歳のときに本断食を行い、
その後12~13回、甲田光雄先生のすまし汁断食を行いました。
古来から断食(絶食)はなぜかわからないけど、
様々な病気や症状に治療効果があるという事が知られていました。
だからこそ私も十数回も断食したわけです。
絶食療法(断食)の効果の謎だった部分が、
ケトン体の存在により、一定解明されてきたことは極めて興味深いです。
たがしゅう先生、ご指摘ありがとうございます。
そしてスーパー糖質制限食やケトン食なら
絶食療法(断食)をしなくても
血中ケトン体は高値となるので、
①と②の効果が期待できます。
ケトン体高値が、
インフラマソームの関与する慢性炎症を抑制することにより、
感染症・糖尿病・動脈硬化・自己免疫疾患・虚血傷害など、様々な疾患の改善に、
役に立つ可能性があります。
スーパー糖質制限食で、糖尿病や肥満だけではなく、アレルギー疾患など含めて様々な生活習慣病が改善する理由の一つと言えると思います。
江部康二
【16/02/04 たがしゅう
謎が解き明かされてゆく
江部先生
いつもお世話になります。
興味深い情報を有難うございます。
インフラマソームと言えば、私も最近次のような論文を読みました。
Traba J, et al. Fasting and refeeding differentially regulate NLRP3 inflammasome activation in human subjects. J Clin Invest. 2015 Nov 3;2015. pii: 83260. doi: 10.1172/JCI83260.
背景:
NLRP3インフラマソームの活性化は代謝機能障害と関連があり、
間欠的絶食はNLRP3インフラマソーム関連疾患の臨床症状発現を改善させる事が示されてきている。
傷害関連分子パターンとしての機能があるミトコンドリアの混乱がNLRP3インフラマソームの活性化を悪化させるので、
我々は絶食がサーチュインに介在されるミトコンドリア完全性の増大を介してインフラマソームの活性化を鈍化させるかどうかを調査した。
方法:
我々は19名の健常ボランティアに対し臨床研究を行った。
それぞれのボランティアに24時間の絶食を行い、その後カロリーが固定された食事を与えた。
血液検査を絶食中と絶食後の食事を与えた状態とで行い、NLRP3インフラマソームについて解析を行った。
さらにサーチュインアクチベーター、ニコチンアミドリボシドのNLRP3インフラマソームに対する影響を評価するために追加で8名の健常ボランティアを登録した。
結果:
絶食/再摂食研究では、個々人は絶食期には再摂食期に比べてNLRP3インフラマソームの活性化が少なくなる事が判明した。
ヒトマクロファージの系列では、ミトコンドリアに富むサーチュイン脱アセチル化酵素、SIRT3の欠失がミトコンドリアでの活性酸素種の過剰産生を介してNLRP3インフラマソームの活性化を増加させた。
さらに遺伝的および薬理学的にSIRT3の活性化は健康ボランティアや対象者の絶食中ではなく
再摂食時に集められた検体から抽出された培養細胞や白血球でのミトコンドリア機能の向上と並行してNLRP3活性を鈍化させた。
結論:
まとめると我々のデータは、栄養水準がNLRP3インフラマソームを制御し、それは部分的にSIRT3を介したミトコンドリアの恒常性制御を通じて行われている事を示している。
さらにこれらの結果は脱アセチル化酵素に依存するインフラマソームの減衰がヒトの疾患を標的にする事に従うかもしれない。
ケトン体にはミトコンドリア機能改善作用がある事も示されていますので
(Stafstrom CE, Rho JM. The ketogenic diet as a treatment paradigm for diverse neurological disorders. Front Pharmacol. 2012;3:59. Epub 2012 Apr 9. )
これらの話を総合しますと、
「絶食で過剰な炎症産生源となったインフラマソームの働きを抑制するのは、
ケトン体がサーチュインを介してミトコンドリア機能を改善させる事によって起こるのではないか」
と理解を深める事ができます。
そうであるならば、同じくケトン体を産生できるスーパー糖質制限食にも同様の効果が期待できる事は容易に理解できます。
古来から断食(絶食)はなぜかわからないけど効果があるという事は人から人へと伝わり、
時代の流れの中で脈々と受け継がれてきました。
その謎だった部分が、糖質制限の理論を通じて解き明かされていく様子には非常に興味深いものがありますね。】
【16/02/05 Yamamoto_ma
参考まで・・
江部先生
インフラマソーム関連で、
東京銀座クリニックの福田先生が丁寧に記事にされておりましたので紹介いたします。
「471)糖尿病とインフラマソームとケトン食」
http://blog.goo.ne.jp/kfukuda_ginzaclinic/e/75825570b06b5aa215c208932221cc 】
たがしゅう さんとYamamoto_ma さんから
インフラマソームに関するコメントをいただきました。
ありがとうございます。
東京銀座クリニックの福田先生のサイト、大変参考になります。
たがしゅう先生は、神経内科医なので、
私よりはミトコンドリアやサーチュインに関して詳しいと思います。
2016/2/4(木)の本ブログ記事
「炎症シグナルの指揮者インフラマソームとケトン体。」で紹介した論文
および、たがしゅう先生のコメントにある今回の論文
の結果をを合わせて考えてみると
①
『ケトン体の一種であるβ-ヒドロキシ酪酸(BHB)が炎症の要となるインフラマソームを直接阻害することで炎症を抑制する可能性が示唆された』
②
『絶食で過剰な炎症産生源となったインフラマソームの働きを抑制するのは、
ケトン体がサーチュインを介してミトコンドリア機能を改善させる事によって起こるのではないか』
となります。
①②に関して、
たがしゅう先生のご考察に私も賛成です。
私自身は、34歳のときに本断食を行い、
その後12~13回、甲田光雄先生のすまし汁断食を行いました。
古来から断食(絶食)はなぜかわからないけど、
様々な病気や症状に治療効果があるという事が知られていました。
だからこそ私も十数回も断食したわけです。
絶食療法(断食)の効果の謎だった部分が、
ケトン体の存在により、一定解明されてきたことは極めて興味深いです。
たがしゅう先生、ご指摘ありがとうございます。
そしてスーパー糖質制限食やケトン食なら
絶食療法(断食)をしなくても
血中ケトン体は高値となるので、
①と②の効果が期待できます。
ケトン体高値が、
インフラマソームの関与する慢性炎症を抑制することにより、
感染症・糖尿病・動脈硬化・自己免疫疾患・虚血傷害など、様々な疾患の改善に、
役に立つ可能性があります。
スーパー糖質制限食で、糖尿病や肥満だけではなく、アレルギー疾患など含めて様々な生活習慣病が改善する理由の一つと言えると思います。
江部康二
【16/02/04 たがしゅう
謎が解き明かされてゆく
江部先生
いつもお世話になります。
興味深い情報を有難うございます。
インフラマソームと言えば、私も最近次のような論文を読みました。
Traba J, et al. Fasting and refeeding differentially regulate NLRP3 inflammasome activation in human subjects. J Clin Invest. 2015 Nov 3;2015. pii: 83260. doi: 10.1172/JCI83260.
背景:
NLRP3インフラマソームの活性化は代謝機能障害と関連があり、
間欠的絶食はNLRP3インフラマソーム関連疾患の臨床症状発現を改善させる事が示されてきている。
傷害関連分子パターンとしての機能があるミトコンドリアの混乱がNLRP3インフラマソームの活性化を悪化させるので、
我々は絶食がサーチュインに介在されるミトコンドリア完全性の増大を介してインフラマソームの活性化を鈍化させるかどうかを調査した。
方法:
我々は19名の健常ボランティアに対し臨床研究を行った。
それぞれのボランティアに24時間の絶食を行い、その後カロリーが固定された食事を与えた。
血液検査を絶食中と絶食後の食事を与えた状態とで行い、NLRP3インフラマソームについて解析を行った。
さらにサーチュインアクチベーター、ニコチンアミドリボシドのNLRP3インフラマソームに対する影響を評価するために追加で8名の健常ボランティアを登録した。
結果:
絶食/再摂食研究では、個々人は絶食期には再摂食期に比べてNLRP3インフラマソームの活性化が少なくなる事が判明した。
ヒトマクロファージの系列では、ミトコンドリアに富むサーチュイン脱アセチル化酵素、SIRT3の欠失がミトコンドリアでの活性酸素種の過剰産生を介してNLRP3インフラマソームの活性化を増加させた。
さらに遺伝的および薬理学的にSIRT3の活性化は健康ボランティアや対象者の絶食中ではなく
再摂食時に集められた検体から抽出された培養細胞や白血球でのミトコンドリア機能の向上と並行してNLRP3活性を鈍化させた。
結論:
まとめると我々のデータは、栄養水準がNLRP3インフラマソームを制御し、それは部分的にSIRT3を介したミトコンドリアの恒常性制御を通じて行われている事を示している。
さらにこれらの結果は脱アセチル化酵素に依存するインフラマソームの減衰がヒトの疾患を標的にする事に従うかもしれない。
ケトン体にはミトコンドリア機能改善作用がある事も示されていますので
(Stafstrom CE, Rho JM. The ketogenic diet as a treatment paradigm for diverse neurological disorders. Front Pharmacol. 2012;3:59. Epub 2012 Apr 9. )
これらの話を総合しますと、
「絶食で過剰な炎症産生源となったインフラマソームの働きを抑制するのは、
ケトン体がサーチュインを介してミトコンドリア機能を改善させる事によって起こるのではないか」
と理解を深める事ができます。
そうであるならば、同じくケトン体を産生できるスーパー糖質制限食にも同様の効果が期待できる事は容易に理解できます。
古来から断食(絶食)はなぜかわからないけど効果があるという事は人から人へと伝わり、
時代の流れの中で脈々と受け継がれてきました。
その謎だった部分が、糖質制限の理論を通じて解き明かされていく様子には非常に興味深いものがありますね。】
【16/02/05 Yamamoto_ma
参考まで・・
江部先生
インフラマソーム関連で、
東京銀座クリニックの福田先生が丁寧に記事にされておりましたので紹介いたします。
「471)糖尿病とインフラマソームとケトン食」
http://blog.goo.ne.jp/kfukuda_ginzaclinic/e/75825570b06b5aa215c208932221cc 】
2016年02月05日 (金)
【16/02/04 魚田フラント
「ただただ感謝感謝です」。
「雰囲気が柔らかくてとても感じのいい病院で、よかったね。2週間がんばれ!」
と、同行してきてくれた入院初日の妻の帰り際の一言。
「こちらに来られて如何でしたか?」
「本当に良かったです。色々調べていただき、自分の体についての不安が解消し、今までの疑問に納得がいきました。」
「(笑顔で)私もそれを伺って嬉しいです。」
と、2週間の検査・教育入院を終える最後の日の看護師さんとのやりとりです。
2週間、色々な角度から色々な検査をしていただき、所謂一般の人間ドックでは知り得ない現在の自分の体の状態を知ることが出来ました。
入院中全40食の糖質制限食(始めの5食は糖尿病食)をおいしくいただき、帰宅後の栄養指導を賜り、プリントしていただいたレシピを見ながら、帰宅後も楽しんでスーパー糖質制限食を続けています。
お陰で、今のところ帰宅後の毎日のSMBG空腹時血糖値がずっと90台をキープしています。
これまでの自分の体に染みついた20年近くの糖尿病の記憶が、少しずつ体から消えていくことへの希望を捨てずに、日々の食事を楽しんで生活していきたいと思っています。
毎日お世話をして下さった高雄病院の全てのスタッフさん達、とても明るく素敵な方々ばかりでした。
一人ひとりの患者のことを本当に考えて下さっている「医師 江部康二イズム」が高雄病院の隅々まで行き渡っているなあ(失礼)と感じていました。
病室の窓から見る外の世界…快晴の日がありました。雪化粧した日もありました。
寒風の中、屋上で洗濯物を干した日もありました。全ての日々にありがとうございました。
さらに、お忙しい江部先生のご聡明洒脱なご講義にも少人数で拝聴できる(ご著書に書かれていることも直接伺え、すぐに答えていただけることはまた新たな理解に繋がりました。)という貴重な時間が満載の、最高に充実した日々を過ごすことができました。
迎えに来た妻と病院からの帰り道に、近くのお店でうわさの「江部粉」を購入しました。
家に帰り、おいしいパンに焼けました。
高雄病院のみなさま、 入院中大変お世話になりました。
ありがとう存じました。
ホスピタリティあふれる日々を享受した「魚田フラント」より】
こんばんは。
魚田フラントさんから、とても嬉しいコメントを頂きました。
高雄病院の病棟ナース達に印刷して見せたら大変喜んでおりました。
ありがとうございます。
「帰宅後の毎日のSMBG空腹時血糖値がずっと90台をキープ」
素晴らしい成果ですね。
良かったです。
カフェハルディンにて販売してます「京都江部粉」
おかげざまで、とても好評です。
興味がある方は、
カフェハルディン
TEL:075-464-8850
http://www008.upp.so-net.ne.jp/cafejardin/
にお問い合わせいただけば、幸いです。
さて、魚田フラントさんにご満喫頂いた高雄病院の「糖尿病・糖質制限食入院治療」ですが、基本的には、まず外来診察を経て、担当医が入院の適応ありと判断して、入院の手続きが始まります。
一方、高雄病院では、県外や遠方の患者さんで入院希望の方も多いので、「診療情報提供書」があれば、場合により、外来受診なしで、直接入院も可能としています。
具体的には、主治医の先生に前もって診療情報提供書を高雄病院に送付して頂いて、高雄病院の担当医が入院可能か否かをまず、判断します。
入院OKとなれば、入院担当職員と電話で相談していただき、入院日、入院期間などを決めていきます。
診療情報提供書があり、入院OKとなった時は、外来診察を経ずに、直接入院も可能です。
通常、2週間くらいの入院が多いですが、インスリン注射中の糖尿人は3~4週間もあります。
高雄病院には、2016年現在月に平均13~14名の糖尿人が、全国から糖質制限食治療を希望して入院されます。
遠方の方は、入院して糖質制限食で糖尿病自己管理の体験をし知識を会得してもらい、退院されたら地元の医師にフォローしていただきます。
京都や近くの糖尿人でも、外来で、なかなか血糖値が下がりきらない時などは、入院すると改善する人がほとんどですので、『コントロール・教育入院』がお奨めです。
14日間あれば、コントロール・教育入院が可能です。
勿論健康保険が効きます。
初めての入院の場合、1日目と2日目は、通常の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)を食べて貰い、3日目からスーパー糖質制限食に切り替えます。
入院2日目に「カロリー制限・高糖質食」、4日目に「スーパー糖質制限食」で同一カロリーにして日内変動を行います。
入院して一日7~8回、毎食前・食後の血糖値を測定することで、「通常のカロリー制限の糖尿病食」と「糖質制限食」の効果の大きな差がリアルタイムに確認できます。この検査を血糖値の日内変動といいます。
血糖値を上げるのは糖質だけで、タンパク質・脂質は上げないということを、身をもって体験することで、糖質制限食へのモチベーションが高まります。
入院して糖質制限食を摂取しての血糖値日内変動検査を実施しているのは、日本中で高雄病院以外はほとんどありません。
同一カロリーでも、糖質を摂取すれば、インスリン注射や経口血糖降下剤を内服していても、食後血糖値は200mg/dlを超えることが多いですが、スーパー糖質制限食なら、薬・注射なしで食後血糖値は140mg/dlのことがほとんどです。
最初の数日間のスーパー糖質制限食で内服薬中止しても、コントロール良好となることがほとんどなので、次の7日間のときに、グルコバイ(100)1錠を、食直前30秒に内服して、あえて炊いたご飯2/3膳(約100g)など摂取して、まずは1回、食後血糖値がどのくらい上昇するかを試してみます。
食後2時間で180mg/dl未満ならまあまあで、140mg/dl未満なら合格です。
グルコバイだけで力が及ばない時は、「グルコバイ+グルファスト」食直前30秒に内服で試します。
期間的に余裕があれば、パンやうどんなども試します。
これは、退院後どうしても、或いはやむを得ず糖質摂取せざるを得ないときのためのシミュレーションです。(^^)
インスリン注射をされている時は、3~4週間あった方が確実に減量できます。
インスリンの量は1/3以下になります。
内因性インスリンがあるていど残存している方は、インスリン離脱もできます。
2型だけでなく、1型の糖尿人でも、インスリンの量は1/3以下になります。
勿論、個人差はあります。
入院中はその他、内臓脂肪CTや頸動脈エコーなど、糖尿病に関連するいろいろな検査もあります。
一日の尿をためて、尿糖測定やインスリン分泌量測定(尿中Cペプチド測定)も行います。
一日尿のCペプチド測定で、トータルなインスリンの分泌量がチェックできます。
早朝空腹時の血中IRI(インスリン)かCペプチド(インスリン注射をしている人はこちらを測定)を調べることで、基礎分泌のインスリンがどのくらいでているかわかります。
インスリン抵抗性の検査やインスリン追加分泌能の検査もあります。
管理栄養士による具体的な栄養指導もあります。
糖質制限食を体験し学ばれて、退院後は地元の病院で通院され、6ヶ月に一回くらい京都観光を兼ねて、高雄病院あるいは高雄病院京都駅前診療所に来て頂いている方もおられます。
遠方の場合、年に一回、糖質制限食入院をされる方もおられます。
入院・外来治療の実績があれば、高雄病院への電話で栄養相談やメールでの質問もOKです。
高雄病院では現実に、関東、北海道、九州、東海、中部、中国地方など、様々な遠方地域の糖尿人の入院も多いです。北海道から九州、沖縄まで万遍なくこられます。
全国の糖尿人の方々も、糖質制限食入院治療ご希望の場合は、
高雄病院 075-871-0245
まで、電話され、入院担当職員とご相談いただけば幸いです。 (^_^)
江部康二
「ただただ感謝感謝です」。
「雰囲気が柔らかくてとても感じのいい病院で、よかったね。2週間がんばれ!」
と、同行してきてくれた入院初日の妻の帰り際の一言。
「こちらに来られて如何でしたか?」
「本当に良かったです。色々調べていただき、自分の体についての不安が解消し、今までの疑問に納得がいきました。」
「(笑顔で)私もそれを伺って嬉しいです。」
と、2週間の検査・教育入院を終える最後の日の看護師さんとのやりとりです。
2週間、色々な角度から色々な検査をしていただき、所謂一般の人間ドックでは知り得ない現在の自分の体の状態を知ることが出来ました。
入院中全40食の糖質制限食(始めの5食は糖尿病食)をおいしくいただき、帰宅後の栄養指導を賜り、プリントしていただいたレシピを見ながら、帰宅後も楽しんでスーパー糖質制限食を続けています。
お陰で、今のところ帰宅後の毎日のSMBG空腹時血糖値がずっと90台をキープしています。
これまでの自分の体に染みついた20年近くの糖尿病の記憶が、少しずつ体から消えていくことへの希望を捨てずに、日々の食事を楽しんで生活していきたいと思っています。
毎日お世話をして下さった高雄病院の全てのスタッフさん達、とても明るく素敵な方々ばかりでした。
一人ひとりの患者のことを本当に考えて下さっている「医師 江部康二イズム」が高雄病院の隅々まで行き渡っているなあ(失礼)と感じていました。
病室の窓から見る外の世界…快晴の日がありました。雪化粧した日もありました。
寒風の中、屋上で洗濯物を干した日もありました。全ての日々にありがとうございました。
さらに、お忙しい江部先生のご聡明洒脱なご講義にも少人数で拝聴できる(ご著書に書かれていることも直接伺え、すぐに答えていただけることはまた新たな理解に繋がりました。)という貴重な時間が満載の、最高に充実した日々を過ごすことができました。
迎えに来た妻と病院からの帰り道に、近くのお店でうわさの「江部粉」を購入しました。
家に帰り、おいしいパンに焼けました。
高雄病院のみなさま、 入院中大変お世話になりました。
ありがとう存じました。
ホスピタリティあふれる日々を享受した「魚田フラント」より】
こんばんは。
魚田フラントさんから、とても嬉しいコメントを頂きました。
高雄病院の病棟ナース達に印刷して見せたら大変喜んでおりました。
ありがとうございます。
「帰宅後の毎日のSMBG空腹時血糖値がずっと90台をキープ」
素晴らしい成果ですね。
良かったです。
カフェハルディンにて販売してます「京都江部粉」
おかげざまで、とても好評です。
興味がある方は、
カフェハルディン
TEL:075-464-8850
http://www008.upp.so-net.ne.jp/cafejardin/
にお問い合わせいただけば、幸いです。
さて、魚田フラントさんにご満喫頂いた高雄病院の「糖尿病・糖質制限食入院治療」ですが、基本的には、まず外来診察を経て、担当医が入院の適応ありと判断して、入院の手続きが始まります。
一方、高雄病院では、県外や遠方の患者さんで入院希望の方も多いので、「診療情報提供書」があれば、場合により、外来受診なしで、直接入院も可能としています。
具体的には、主治医の先生に前もって診療情報提供書を高雄病院に送付して頂いて、高雄病院の担当医が入院可能か否かをまず、判断します。
入院OKとなれば、入院担当職員と電話で相談していただき、入院日、入院期間などを決めていきます。
診療情報提供書があり、入院OKとなった時は、外来診察を経ずに、直接入院も可能です。
通常、2週間くらいの入院が多いですが、インスリン注射中の糖尿人は3~4週間もあります。
高雄病院には、2016年現在月に平均13~14名の糖尿人が、全国から糖質制限食治療を希望して入院されます。
遠方の方は、入院して糖質制限食で糖尿病自己管理の体験をし知識を会得してもらい、退院されたら地元の医師にフォローしていただきます。
京都や近くの糖尿人でも、外来で、なかなか血糖値が下がりきらない時などは、入院すると改善する人がほとんどですので、『コントロール・教育入院』がお奨めです。
14日間あれば、コントロール・教育入院が可能です。
勿論健康保険が効きます。
初めての入院の場合、1日目と2日目は、通常の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)を食べて貰い、3日目からスーパー糖質制限食に切り替えます。
入院2日目に「カロリー制限・高糖質食」、4日目に「スーパー糖質制限食」で同一カロリーにして日内変動を行います。
入院して一日7~8回、毎食前・食後の血糖値を測定することで、「通常のカロリー制限の糖尿病食」と「糖質制限食」の効果の大きな差がリアルタイムに確認できます。この検査を血糖値の日内変動といいます。
血糖値を上げるのは糖質だけで、タンパク質・脂質は上げないということを、身をもって体験することで、糖質制限食へのモチベーションが高まります。
入院して糖質制限食を摂取しての血糖値日内変動検査を実施しているのは、日本中で高雄病院以外はほとんどありません。
同一カロリーでも、糖質を摂取すれば、インスリン注射や経口血糖降下剤を内服していても、食後血糖値は200mg/dlを超えることが多いですが、スーパー糖質制限食なら、薬・注射なしで食後血糖値は140mg/dlのことがほとんどです。
最初の数日間のスーパー糖質制限食で内服薬中止しても、コントロール良好となることがほとんどなので、次の7日間のときに、グルコバイ(100)1錠を、食直前30秒に内服して、あえて炊いたご飯2/3膳(約100g)など摂取して、まずは1回、食後血糖値がどのくらい上昇するかを試してみます。
食後2時間で180mg/dl未満ならまあまあで、140mg/dl未満なら合格です。
グルコバイだけで力が及ばない時は、「グルコバイ+グルファスト」食直前30秒に内服で試します。
期間的に余裕があれば、パンやうどんなども試します。
これは、退院後どうしても、或いはやむを得ず糖質摂取せざるを得ないときのためのシミュレーションです。(^^)
インスリン注射をされている時は、3~4週間あった方が確実に減量できます。
インスリンの量は1/3以下になります。
内因性インスリンがあるていど残存している方は、インスリン離脱もできます。
2型だけでなく、1型の糖尿人でも、インスリンの量は1/3以下になります。
勿論、個人差はあります。
入院中はその他、内臓脂肪CTや頸動脈エコーなど、糖尿病に関連するいろいろな検査もあります。
一日の尿をためて、尿糖測定やインスリン分泌量測定(尿中Cペプチド測定)も行います。
一日尿のCペプチド測定で、トータルなインスリンの分泌量がチェックできます。
早朝空腹時の血中IRI(インスリン)かCペプチド(インスリン注射をしている人はこちらを測定)を調べることで、基礎分泌のインスリンがどのくらいでているかわかります。
インスリン抵抗性の検査やインスリン追加分泌能の検査もあります。
管理栄養士による具体的な栄養指導もあります。
糖質制限食を体験し学ばれて、退院後は地元の病院で通院され、6ヶ月に一回くらい京都観光を兼ねて、高雄病院あるいは高雄病院京都駅前診療所に来て頂いている方もおられます。
遠方の場合、年に一回、糖質制限食入院をされる方もおられます。
入院・外来治療の実績があれば、高雄病院への電話で栄養相談やメールでの質問もOKです。
高雄病院では現実に、関東、北海道、九州、東海、中部、中国地方など、様々な遠方地域の糖尿人の入院も多いです。北海道から九州、沖縄まで万遍なくこられます。
全国の糖尿人の方々も、糖質制限食入院治療ご希望の場合は、
高雄病院 075-871-0245
まで、電話され、入院担当職員とご相談いただけば幸いです。 (^_^)
江部康二
2016年02月04日 (木)
こんにちは。
「インフラマソーム」という概念が注目されています。
私も浅学にして、全く知らなかったのですが、最新の注目される研究分野のようです。
とても難しいのですが、学術用語をできるだけなしにして、私にもわかる範囲で概略を説明したいと思います。
細胞内の“異物”により活性化し、炎症反応を誘導するタンパク質複合体が「インフラマソーム」です。
以下、京都大学のサイトから引用
http://www.kyoto-u.ac.jp/static/ja/news_data/h/h1/news6/2013_1/131104_1.htm
「インフラマソームの形成は病原微生物の感染によって誘導され、それに基づく炎症応答は多くの場合、感染防御に有効であり、インフラマソームは腸内細菌叢の制御および腸管上皮バリアの保護に働き、腸管の恒常性維持に寄与するとも考えられています。
一方、インフラマソームが示す負の側面も知られており、刺激因子の種類によっては、過剰なインフラマソーム形成が不適切かつ持続した炎症を惹起し、動脈硬化、痛風、2型糖尿病、アルツハイマー病などの各種疾患の発症に関わります。
また、ある種の自己炎症疾患の発症はインフラマソーム構成タンパクの突然変異が関与することも示唆されています。そのため、インフラマソームの形成または活性の制御機構を解明することは、病態機構の理解を深め、診断や治療へ貢献するものと期待されます。」
このようにインフラマソームは、感染防御に役立つ側面もあるのですが、近年研究されて問題となっているのは、負の側面の方です。
インフラマソームは、病原成分、アスベストなどの外来性因子、尿酸結晶などの内在性因子により活性化され、感染症、糖尿病、動脈硬化、自己免疫疾患、虚血傷害など、様々な疾患の発症と進行に中心的役割を果たしています。
さて、ここからが本題です。
「絶食や低炭水化物食、激しい運動で炎症が抑制されるのは、ケトン体(BHB)による効果の可能性が示唆された」
という論文が、Nature Medicineという国際医学雑誌に掲載されたのです。(*)
ネイチャー・メディスンはインパクトファクターが27と高くて大変権威ある医学雑誌です。
論文によれば、β-ヒドロキシ酪酸(BHB)が、インフラマソームと呼ばれる炎症関連の分子複合体の一部であるNLRP3を直接的に阻害していたということです。
β-ヒドロキシ酪酸(BHB)は、ケトン基は持っていないのですが、慣例上ケトン体の一種に分類されています。
結論としては、
『ケトン体の一種であるβ-ヒドロキシ酪酸(BHB)が炎症の要となるインフラマソームを直接阻害することで炎症を抑制する可能性が示唆された』
ということです。
炎症を抑制することにより、感染症・糖尿病・動脈硬化・自己免疫疾患・虚血傷害など、様々な疾患の改善に、ケトン体(BHB)が役に立つ可能性があることとなります。
スーパー糖質制限食で、糖尿病や肥満だけではなく、アレルギー疾患など含めて様々な生活習慣病が改善する要因として、血中ケトン体が上昇してインフラマソームを阻害することが関与している可能性が示唆されます。
(*)
http://www.nature.com/nm/journal/v21/n3/full/nm.3804.html
The ketone metabolite β-hydroxybutyrate blocks NLRP3 inflammasome–mediated inflammatory disease
Nature Medicine 21, 263–269 (2015) doi:10.1038/nm.3804
江部康二
「インフラマソーム」という概念が注目されています。
私も浅学にして、全く知らなかったのですが、最新の注目される研究分野のようです。
とても難しいのですが、学術用語をできるだけなしにして、私にもわかる範囲で概略を説明したいと思います。
細胞内の“異物”により活性化し、炎症反応を誘導するタンパク質複合体が「インフラマソーム」です。
以下、京都大学のサイトから引用
http://www.kyoto-u.ac.jp/static/ja/news_data/h/h1/news6/2013_1/131104_1.htm
「インフラマソームの形成は病原微生物の感染によって誘導され、それに基づく炎症応答は多くの場合、感染防御に有効であり、インフラマソームは腸内細菌叢の制御および腸管上皮バリアの保護に働き、腸管の恒常性維持に寄与するとも考えられています。
一方、インフラマソームが示す負の側面も知られており、刺激因子の種類によっては、過剰なインフラマソーム形成が不適切かつ持続した炎症を惹起し、動脈硬化、痛風、2型糖尿病、アルツハイマー病などの各種疾患の発症に関わります。
また、ある種の自己炎症疾患の発症はインフラマソーム構成タンパクの突然変異が関与することも示唆されています。そのため、インフラマソームの形成または活性の制御機構を解明することは、病態機構の理解を深め、診断や治療へ貢献するものと期待されます。」
このようにインフラマソームは、感染防御に役立つ側面もあるのですが、近年研究されて問題となっているのは、負の側面の方です。
インフラマソームは、病原成分、アスベストなどの外来性因子、尿酸結晶などの内在性因子により活性化され、感染症、糖尿病、動脈硬化、自己免疫疾患、虚血傷害など、様々な疾患の発症と進行に中心的役割を果たしています。
さて、ここからが本題です。
「絶食や低炭水化物食、激しい運動で炎症が抑制されるのは、ケトン体(BHB)による効果の可能性が示唆された」
という論文が、Nature Medicineという国際医学雑誌に掲載されたのです。(*)
ネイチャー・メディスンはインパクトファクターが27と高くて大変権威ある医学雑誌です。
論文によれば、β-ヒドロキシ酪酸(BHB)が、インフラマソームと呼ばれる炎症関連の分子複合体の一部であるNLRP3を直接的に阻害していたということです。
β-ヒドロキシ酪酸(BHB)は、ケトン基は持っていないのですが、慣例上ケトン体の一種に分類されています。
結論としては、
『ケトン体の一種であるβ-ヒドロキシ酪酸(BHB)が炎症の要となるインフラマソームを直接阻害することで炎症を抑制する可能性が示唆された』
ということです。
炎症を抑制することにより、感染症・糖尿病・動脈硬化・自己免疫疾患・虚血傷害など、様々な疾患の改善に、ケトン体(BHB)が役に立つ可能性があることとなります。
スーパー糖質制限食で、糖尿病や肥満だけではなく、アレルギー疾患など含めて様々な生活習慣病が改善する要因として、血中ケトン体が上昇してインフラマソームを阻害することが関与している可能性が示唆されます。
(*)
http://www.nature.com/nm/journal/v21/n3/full/nm.3804.html
The ketone metabolite β-hydroxybutyrate blocks NLRP3 inflammasome–mediated inflammatory disease
Nature Medicine 21, 263–269 (2015) doi:10.1038/nm.3804
江部康二
2016年02月03日 (水)
こんにちは。
2016/2/28(日)の医療従事者向けセミナー(京都) は、おかげさまで残席わずかとなっております。
参加ご希望の方はお早めにお申し込みいただけますと幸いです。
2015年度、糖質制限食は医学界にも一般社会にもますます順調に普及が進んでいきました。
嬉しい限りです。
2015年、東京、京都にて開催し、ご好評いただいた医療従事者向けセミナーを
2016年2月28日(日)京都
2016年3月13日(東京)
にて開催致します。
日本糖質制限医療推進協会主催 医療従事者向けセミナー(東京)
「糖質制限食による糖尿病指導~理論と実践~」
受付:12:20~
講演と質疑応答:12:50~16:40
場所:ソラシティカンファレンスセンター 2Fテラスルーム
第1部 理論編
糖尿病治療に関して、最新糖質制限食理論と共にエビデンスのお話を簡単に説明します。
2015年に得られた最新の糖質制限食情報もお話しします。
第1部は講義と質疑応答含めて40分間です。
第2部 症例報告と食事療法継続の工夫
6年に渡り糖質制限食の指導を行っておられる
医療法人鴻生会 小室クリニック(埼玉県)の小室富美子先生に
1型、2型糖尿病の症例や指導の工夫などについてお話しいただきます。
第3部 臨床実践編
糖尿病合併症の現状や久山町の悲劇など、そして薬剤の使い方のコツをお話します。
また、「すぐに良くなった症例」「治療に難渋した症例」「1型のインスリン分泌ゼロの症例」などを、実際に入院された患者さんのデータを見ながら検討します。
第3部は110分間ありますので、参加者の皆さんと共にディスカッション形式の症例検討を導入したいと思っています。
ご参加頂いた皆さんには、前回と同様に講演PPTスライドの、CD(PDFファイル)をお配りします。
東京をはじめ、関東、甲信越、東海、東北地方などの医療従事者の皆さん、奮ってご参加くださいね。
江部康二
**********
以下、事務局からのご案内です。
ブログ読者の皆様、講演会へいつも多数ご参加いただきまして ありがとうございます。
2/28(日)の京都開催に続きまして、3/13(日)に東京にて 医療従事者向けセミナーを開催致します。
東京でも第1部・第3部は、理事長 江部康二が講師をつとめます。
また、第2部は、6年に渡り糖質制限食の指導を行っておられる 医療法人鴻生会 小室クリニック(埼玉県)の小室富美子先生に 「症例報告と食事療法継続の工夫」と題して、1型、2型糖尿病 の症例や指導の工夫などについてお話しいただきます。
医療従事者の皆様の多数のご参加を心よりお待ちしております。
*2/28(日)の医療従事者向けセミナー(京都) は、おかげさまで残席わずかとなっております。
参加ご希望の方はお早めにお申し込みいただけますと幸いです。
//////////////ご案内/////////////////
一般社団法人日本糖質制限医療推進協会主催
医療従事者向け糖質制限食セミナー in 東京
「糖質制限食による糖尿病指導 ~理論と実践~」
■日時:3月13日(日)12:50~16:40頃
■会場:ソラシティカンファレンスセンター 2Fテラスルーム
東京都千代田区神田駿河台4-6
http://solacity.jp/cc/access/index.html
☆アクセス
・JR 中央・総武線「御茶ノ水」駅 聖橋口から徒歩1分
・東京メトロ 千代田線「新御茶ノ水駅」B2出口直結
■講師:
A:江部 康二 医師
(一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長
B:小室 富美子 医師 医療法人鴻生会 小室クリニック
■内容:
第1部:理論編(講義30分・質疑応答10分) ※講師A
糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論を説明。三大栄養素と 血糖、ケトン体の安全性、米国糖尿病学会の見解、CKDガイド2013 の記載などについて言及。
糖質制限食の有効性と安全性について、 EBMの観点からRCT研究論文、長期のコホート研究により根拠を示します。
第2部:症例報告と食事療法継続の工夫(講義40分・質疑応答10分) ※講師B
小室クリニックは外来診療のみの無床診療所です。
当院では6年前から糖尿病の患者様に基本的には糖質制限食を指導しております。
これまでに経験した1型、2型糖尿病等の症例や、患者様に糖質制限を継続して いただくための工夫や試行錯誤をご紹介したいと思います。
第3部:臨床実践編(110分) ※講師A
糖尿病合併症の現状、久山町の悲劇について説明。高雄病院の豊富な 臨床例を取り上げて検討。治療に難渋した症例を提示して参加者と共に ディスカッション。メトホルミン・DPP-4阻害薬・α-GI薬・速効型インスリン 分泌促進剤は比較的使用頻度が高いのでコツを伝授。SGLT阻害薬の 上手な使い方、SU剤とチアゾリジン誘導体の位置づけを示します。糖質制限食実践中に生じうる好ましくない症状・変化について検討します。
*第3部の所要時間は、質疑応答、ディスカッションの時間を含みます。
■対象: 医療従事者(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、鍼灸師など)
■受講費:
・医師・歯科医師:
賛助会員 7,200円 / 一般(非会員) 9,000円
・上記以外の医療従事者:
賛助会員 6,000円 / 一般(非会員) 7,500円
*参加頂いた皆様には、映写・配布資料のデータ(PDF)CDをお配りします。
■お支払い方法: クレジットカード/銀行振込/郵便振替
※事前決済のみとなります。
※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。
■お申し込みの流れ:
1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込み下さい。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4. 当日、直接会場までお越し下さい。
■お申し込み方法:
★賛助会員の方
事務局までメールにて、医療機関でのご職種をご記入の上、お申し込み下さい。
★賛助会員入会をご希望の方:
1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/#!membership/cdt9
<http://www.toushitsuseigen.or.jp/#%21membership/cdt9>
2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
「通信」欄に以下をご記入下さい。
① 「3/13東京セミナー、参加希望」 とご記入下さい。
② 医療機関でのご職種をご記入下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact
★一般(非会員)で、セミナーの受講のみご希望の方:
下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-med
■その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは3月11日(金)までに事務局までご連絡願います。
それ以降のご返金は原則、対応致しかねますので予めご了承下さい。
◇掲載ページ:http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity
2016/2/28(日)の医療従事者向けセミナー(京都) は、おかげさまで残席わずかとなっております。
参加ご希望の方はお早めにお申し込みいただけますと幸いです。
2015年度、糖質制限食は医学界にも一般社会にもますます順調に普及が進んでいきました。
嬉しい限りです。
2015年、東京、京都にて開催し、ご好評いただいた医療従事者向けセミナーを
2016年2月28日(日)京都
2016年3月13日(東京)
にて開催致します。
日本糖質制限医療推進協会主催 医療従事者向けセミナー(東京)
「糖質制限食による糖尿病指導~理論と実践~」
受付:12:20~
講演と質疑応答:12:50~16:40
場所:ソラシティカンファレンスセンター 2Fテラスルーム
第1部 理論編
糖尿病治療に関して、最新糖質制限食理論と共にエビデンスのお話を簡単に説明します。
2015年に得られた最新の糖質制限食情報もお話しします。
第1部は講義と質疑応答含めて40分間です。
第2部 症例報告と食事療法継続の工夫
6年に渡り糖質制限食の指導を行っておられる
医療法人鴻生会 小室クリニック(埼玉県)の小室富美子先生に
1型、2型糖尿病の症例や指導の工夫などについてお話しいただきます。
第3部 臨床実践編
糖尿病合併症の現状や久山町の悲劇など、そして薬剤の使い方のコツをお話します。
また、「すぐに良くなった症例」「治療に難渋した症例」「1型のインスリン分泌ゼロの症例」などを、実際に入院された患者さんのデータを見ながら検討します。
第3部は110分間ありますので、参加者の皆さんと共にディスカッション形式の症例検討を導入したいと思っています。
ご参加頂いた皆さんには、前回と同様に講演PPTスライドの、CD(PDFファイル)をお配りします。
東京をはじめ、関東、甲信越、東海、東北地方などの医療従事者の皆さん、奮ってご参加くださいね。
江部康二
**********
以下、事務局からのご案内です。
ブログ読者の皆様、講演会へいつも多数ご参加いただきまして ありがとうございます。
2/28(日)の京都開催に続きまして、3/13(日)に東京にて 医療従事者向けセミナーを開催致します。
東京でも第1部・第3部は、理事長 江部康二が講師をつとめます。
また、第2部は、6年に渡り糖質制限食の指導を行っておられる 医療法人鴻生会 小室クリニック(埼玉県)の小室富美子先生に 「症例報告と食事療法継続の工夫」と題して、1型、2型糖尿病 の症例や指導の工夫などについてお話しいただきます。
医療従事者の皆様の多数のご参加を心よりお待ちしております。
*2/28(日)の医療従事者向けセミナー(京都) は、おかげさまで残席わずかとなっております。
参加ご希望の方はお早めにお申し込みいただけますと幸いです。
//////////////ご案内/////////////////
一般社団法人日本糖質制限医療推進協会主催
医療従事者向け糖質制限食セミナー in 東京
「糖質制限食による糖尿病指導 ~理論と実践~」
■日時:3月13日(日)12:50~16:40頃
■会場:ソラシティカンファレンスセンター 2Fテラスルーム
東京都千代田区神田駿河台4-6
http://solacity.jp/cc/access/index.html
☆アクセス
・JR 中央・総武線「御茶ノ水」駅 聖橋口から徒歩1分
・東京メトロ 千代田線「新御茶ノ水駅」B2出口直結
■講師:
A:江部 康二 医師
(一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長
B:小室 富美子 医師 医療法人鴻生会 小室クリニック
■内容:
第1部:理論編(講義30分・質疑応答10分) ※講師A
糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論を説明。三大栄養素と 血糖、ケトン体の安全性、米国糖尿病学会の見解、CKDガイド2013 の記載などについて言及。
糖質制限食の有効性と安全性について、 EBMの観点からRCT研究論文、長期のコホート研究により根拠を示します。
第2部:症例報告と食事療法継続の工夫(講義40分・質疑応答10分) ※講師B
小室クリニックは外来診療のみの無床診療所です。
当院では6年前から糖尿病の患者様に基本的には糖質制限食を指導しております。
これまでに経験した1型、2型糖尿病等の症例や、患者様に糖質制限を継続して いただくための工夫や試行錯誤をご紹介したいと思います。
第3部:臨床実践編(110分) ※講師A
糖尿病合併症の現状、久山町の悲劇について説明。高雄病院の豊富な 臨床例を取り上げて検討。治療に難渋した症例を提示して参加者と共に ディスカッション。メトホルミン・DPP-4阻害薬・α-GI薬・速効型インスリン 分泌促進剤は比較的使用頻度が高いのでコツを伝授。SGLT阻害薬の 上手な使い方、SU剤とチアゾリジン誘導体の位置づけを示します。糖質制限食実践中に生じうる好ましくない症状・変化について検討します。
*第3部の所要時間は、質疑応答、ディスカッションの時間を含みます。
■対象: 医療従事者(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、鍼灸師など)
■受講費:
・医師・歯科医師:
賛助会員 7,200円 / 一般(非会員) 9,000円
・上記以外の医療従事者:
賛助会員 6,000円 / 一般(非会員) 7,500円
*参加頂いた皆様には、映写・配布資料のデータ(PDF)CDをお配りします。
■お支払い方法: クレジットカード/銀行振込/郵便振替
※事前決済のみとなります。
※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。
■お申し込みの流れ:
1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込み下さい。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4. 当日、直接会場までお越し下さい。
■お申し込み方法:
★賛助会員の方
事務局までメールにて、医療機関でのご職種をご記入の上、お申し込み下さい。
★賛助会員入会をご希望の方:
1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/#!membership/cdt9
<http://www.toushitsuseigen.or.jp/#%21membership/cdt9>
2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
「通信」欄に以下をご記入下さい。
① 「3/13東京セミナー、参加希望」 とご記入下さい。
② 医療機関でのご職種をご記入下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact
★一般(非会員)で、セミナーの受講のみご希望の方:
下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-med
■その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは3月11日(金)までに事務局までご連絡願います。
それ以降のご返金は原則、対応致しかねますので予めご了承下さい。
◇掲載ページ:http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity
2016年02月03日 (水)
「なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか」
江部 康二 (著)
ナツメ社
2015年5月刊行
おはようございます。
「なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか」が重版となりました。
糖質制限のしくみ、食品の選び方・食べ方がこの本1冊でわかります。
糖質制限食がなぜ糖尿病によいのか、何を避けて何を食べればよいのか、また注意すべきことは何か。
この1冊で詳しく解説します。
この本は2010年に出版した
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」の内容を刷新した新版です。
旧版は、2014年9月現在で20刷を記録し、豊富なイラストと図解が読者から好評をいただき、発売から4年が経っても増刷を続けています。
旧版以降に糖尿病の研究が大幅に進み、日本の内外で糖尿病治療に大きな変化がありました。
新版を出すに当たり、そうした変化に応じて内容を一部改めました。
江部康二
以下は、「なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか」のはじめにです。
はじめに
2013年以降、糖質制限食に関連して5つのうれしい変化がありました。
1つ目はアメリカで、糖尿病の食事療法の1つとして正式に認められたことです。これは、米国糖尿病学会が2013年10月に出した栄養療法に関する声明で発表されました。さらに同声明では「唯一無二の糖尿病食事療法はない」と明言しています。日本糖尿病学会の2013年3月の提言においては、「腎障害や脂質異常の有無に留意して・・・炭水化物の摂取比率が50%エネルギーを下回ることもありうる。」という記載もあります。しかし基本は相変わらず唯一無二のカロリー制限食(糖質50~60%)を推奨していますので、米国糖尿病学会の声明は日本糖尿病学会への痛烈な批判となっています。
また、日本腎臓病学会は「CKD治療ガイド2013」で、eGFRが60ml/分以上あれば、顕性タンパク尿の段階でも、タンパク質制限の必要なしとしました。即ち糖尿病腎症第3期でも eGFRが60ml/分以上あればタンパク質制限の必要なしなので糖質制限食も実践しやすくなりました。eGFRが60ml/分未満の場合は個別に相談して糖質制限食を導入するか否かを相談することとなります。
さらに2012年度の厚生労働省の調査で、糖尿病の患者数の増加率が激減し、予備群は調査を開始して以来、初めて減少したことが、2013年に発表されました。その背景には、2008年から2010年の調査で97年以来13年ぶりに炭水化物摂取比率が減少(60.4%→59.4%)し、97年以来13年ぶりに脂質摂取比率が上昇(24.9%→25.9%)したことがあります。ここ数年糖質制限食が急速に広まってきたことが大きな要因であることは間違いないでしょう。
4つめとして、血中ケトン体高値の安全性が確立されました。日本病態栄養学会年次学術集会(2014)において宗田哲男先生が、胎盤絨毛のケトン体値は成人基準値の20~30倍であることを報告され、ケトン体への懸念は払拭されました。
5つめとして、2014年7月の日経メディカルアンケートにおいて、回答した2263名の医師の過半数が「糖質制限」支持であることがわかりました。
こうした、糖質制限食への追い風ともいえる情報が、ここ数年続々と現れています。
この本は2010年に出版した「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」の内容を刷新した新版です。旧版は、2014年9月現在で20刷を記録し、豊富なイラストと図解が読者から好評をいただき、発売から4年が経っても増刷を続けています。
旧版を出版した当時は、「糖質」という言葉も一般的ではありませんでしたが、近年「糖質制限食」は雑誌やテレビで糖尿病の治療としてよく取り上げられ、広く認知されています。ダイエット法や健康法としてもよく聞かれるようになりました。
また、糖質オフのビールやスイーツ、パンも開発が進み、コンビニやスーパーで手軽に手に入るようになりました。糖尿人にとっては、かなり過ごしやすい環境になったのではないでしょうか。
糖質制限食の方法としては、やはりスーパーが一番のお奨めです。特に糖尿人においては、食後高血糖を生じない唯一の食事療法が「スーパー糖質制限食」です。旧版以降に糖尿病の研究が大幅に進み、日本の内外で糖尿病治療に大きな変化がありました。新版を出すに当たり、そうした変化に応じて内容を一部改めました。
基本的に糖質制限食は安全な治療法ですが、進めていく上でトラブルが起きたり、まれに不快な症状が現れたりする人もいます。それに対する解決法も示しています。糖質制限食が広まったことで出てきた批判にも返答していますから、不安や心配を払しょくし、安心して糖質制限食に取り組んでいただけます。2015年2月現在の糖質制限食の最新情報を網羅していますから、旧版や既刊を購入いただいた方にも、今回の新版はお役に立つでしょう。
本書が、糖尿人ならびに糖質セイゲニストの豊かな生活と食事の一助となりますことを、心よりお祈りします。
2015年4月
高雄病院理事長 江部康二
江部 康二 (著)
ナツメ社
2015年5月刊行
おはようございます。
「なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか」が重版となりました。
糖質制限のしくみ、食品の選び方・食べ方がこの本1冊でわかります。
糖質制限食がなぜ糖尿病によいのか、何を避けて何を食べればよいのか、また注意すべきことは何か。
この1冊で詳しく解説します。
この本は2010年に出版した
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」の内容を刷新した新版です。
旧版は、2014年9月現在で20刷を記録し、豊富なイラストと図解が読者から好評をいただき、発売から4年が経っても増刷を続けています。
旧版以降に糖尿病の研究が大幅に進み、日本の内外で糖尿病治療に大きな変化がありました。
新版を出すに当たり、そうした変化に応じて内容を一部改めました。
江部康二
以下は、「なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか」のはじめにです。
はじめに
2013年以降、糖質制限食に関連して5つのうれしい変化がありました。
1つ目はアメリカで、糖尿病の食事療法の1つとして正式に認められたことです。これは、米国糖尿病学会が2013年10月に出した栄養療法に関する声明で発表されました。さらに同声明では「唯一無二の糖尿病食事療法はない」と明言しています。日本糖尿病学会の2013年3月の提言においては、「腎障害や脂質異常の有無に留意して・・・炭水化物の摂取比率が50%エネルギーを下回ることもありうる。」という記載もあります。しかし基本は相変わらず唯一無二のカロリー制限食(糖質50~60%)を推奨していますので、米国糖尿病学会の声明は日本糖尿病学会への痛烈な批判となっています。
また、日本腎臓病学会は「CKD治療ガイド2013」で、eGFRが60ml/分以上あれば、顕性タンパク尿の段階でも、タンパク質制限の必要なしとしました。即ち糖尿病腎症第3期でも eGFRが60ml/分以上あればタンパク質制限の必要なしなので糖質制限食も実践しやすくなりました。eGFRが60ml/分未満の場合は個別に相談して糖質制限食を導入するか否かを相談することとなります。
さらに2012年度の厚生労働省の調査で、糖尿病の患者数の増加率が激減し、予備群は調査を開始して以来、初めて減少したことが、2013年に発表されました。その背景には、2008年から2010年の調査で97年以来13年ぶりに炭水化物摂取比率が減少(60.4%→59.4%)し、97年以来13年ぶりに脂質摂取比率が上昇(24.9%→25.9%)したことがあります。ここ数年糖質制限食が急速に広まってきたことが大きな要因であることは間違いないでしょう。
4つめとして、血中ケトン体高値の安全性が確立されました。日本病態栄養学会年次学術集会(2014)において宗田哲男先生が、胎盤絨毛のケトン体値は成人基準値の20~30倍であることを報告され、ケトン体への懸念は払拭されました。
5つめとして、2014年7月の日経メディカルアンケートにおいて、回答した2263名の医師の過半数が「糖質制限」支持であることがわかりました。
こうした、糖質制限食への追い風ともいえる情報が、ここ数年続々と現れています。
この本は2010年に出版した「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」の内容を刷新した新版です。旧版は、2014年9月現在で20刷を記録し、豊富なイラストと図解が読者から好評をいただき、発売から4年が経っても増刷を続けています。
旧版を出版した当時は、「糖質」という言葉も一般的ではありませんでしたが、近年「糖質制限食」は雑誌やテレビで糖尿病の治療としてよく取り上げられ、広く認知されています。ダイエット法や健康法としてもよく聞かれるようになりました。
また、糖質オフのビールやスイーツ、パンも開発が進み、コンビニやスーパーで手軽に手に入るようになりました。糖尿人にとっては、かなり過ごしやすい環境になったのではないでしょうか。
糖質制限食の方法としては、やはりスーパーが一番のお奨めです。特に糖尿人においては、食後高血糖を生じない唯一の食事療法が「スーパー糖質制限食」です。旧版以降に糖尿病の研究が大幅に進み、日本の内外で糖尿病治療に大きな変化がありました。新版を出すに当たり、そうした変化に応じて内容を一部改めました。
基本的に糖質制限食は安全な治療法ですが、進めていく上でトラブルが起きたり、まれに不快な症状が現れたりする人もいます。それに対する解決法も示しています。糖質制限食が広まったことで出てきた批判にも返答していますから、不安や心配を払しょくし、安心して糖質制限食に取り組んでいただけます。2015年2月現在の糖質制限食の最新情報を網羅していますから、旧版や既刊を購入いただいた方にも、今回の新版はお役に立つでしょう。
本書が、糖尿人ならびに糖質セイゲニストの豊かな生活と食事の一助となりますことを、心よりお祈りします。
2015年4月
高雄病院理事長 江部康二