2015年12月31日 (木)
こんにちは。
2015年度もブログ読者の皆さんには、たくさんの応援をいただきありがとうございました。
来年もよろしくお願い申し上げます。
今回は、2015年度も恒例となった糖質制限食10大ニュースを、本ブログ記事のなかから、選んでみました。
それでは、良いお年をお迎えください。
1)
宗田先生ポスター発表。ケトン体は安全。日本病態栄養学会。
2015年01月13日 (火)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3248.html
ケトン体が人類を救う (光文社新書) 宗田哲男著 上梓。
2015年11月06日 (金)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3581.html
胎児絨毛のケトン体値、臍帯血のケトン体値、新生児のケトン体値など、極めて貴重な科学的成果が、この本にまとめられています。
特に、「胎盤絨毛のケトン体値」「臍帯血のケトン体値」に関しては、世界で初の報告の可能性があります。
そして、胎児の主たるエネルギー源はケトン体であるという重要な事実も、しっかり根拠を示してこの本で取り上げられています。
ケトン体のうち、β-ヒドロキシ酪酸を測定した研究です。
β-ヒドロキシ酪酸の基準値は、成人では85μmol/L以下です。
それが
胎盤絨毛のケトン体値:600~4500 平均1930 98症例
臍帯血のケトン体値:16~1980 平均254.4 416症例
新生児のケトン体値(生後4日目):100~800 平均240.4 312症例
です。
ケトン体の安全性は、ここにおいて、確立されたと言えます。
2)
脂肪抑えた食事は効果薄い? 長期結果で糖質制限食と差。
2015年12月06日 (日) RCTのメタ解析
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3616.html
53RCT研究論文のメタアナリシスであり、システマティックレビューですので、エビデンスレベルは、最高ランクです。
英医学誌「ランセット 糖尿病と内分泌学」12月号の論文(**)の結論は
1)低脂肪食よりも糖質制限食の方が減量効果が高い。
2)低脂肪食は他の高脂肪食との比較で減量効果に有意差なし。
3)低脂肪食は普通食との比較でのみ、体重減少効果があった。
4)低脂肪食は、長期的な減量効果についての科学的裏付けがない。
です。
3)
米国、糖尿病合併症20年間で大幅減少、心筋梗塞は60%以上減
2015年03月12日 (木)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3309.html
医学誌「ニューイングランド ジャーナル オブ メディスン」に2014年4月17日付けで発表されました。
米国では、
(1)急性心筋梗塞 マイナス67.8%
(2)高血糖症による死亡 マイナス64.4%
(3)脳卒中 マイナス52.7%
(4)下肢切断 マイナス51.4%
(5)末期腎不全 マイナス28.3%
です。
日本でも糖尿病合併症は減っているという説もあるようですが、日本の研究報告がないので何とも言えません。
ただ、日本糖尿病学会の「熊本宣言2013」に記載してあるように、
年間16000人が糖尿病腎症から透析、
3000人が糖尿病網膜症から失明、
3000人が糖尿病足病変から、足切断
という現状において、米国のように糖尿病合併症が大幅に減少しているとは考えにくいです。
糖尿病食に関して、米国では1994年に炭水化物と脂質の割合を固定しなくなりました。
2005年、ボストンのジョスリン糖尿病センターは、炭水化物の推奨量を40%に下げました。
日本では、一貫して炭水化物摂取比率が、55~60%で、2014年から50~60%となっています。
4)
低炭水化物食で2型糖尿病リスク低下。国立がん研究センター研究。
2015年02月27日 (金)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-date-201502.html
『国立がん研究センターによる多目的コホート研究(JPHC研究)』
日本初の前向き研究で、
「日本人女性において低炭水化物食が2型糖尿病リスク低下と関連」
という結論です。
糖質制限食にとって、またまた大きな追い風ですね。
5)
食事性コレステロール摂取量、政府指針案から上限値撤廃 米国
2015年02月20日 (金)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3291.html
コレステロール摂取基準撤廃。日本
動脈硬化学会が声明
2015年05月09日 (土)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3374.html
A)
2015年5月1日
日本動脈硬化学会が、
「食事で体内のコレステロール値は大きく変わらない」との声明を発表しました。
B)
厚生労働省は、5年おきに改定する「食事摂取基準」の2015年版で、科学的根拠が得られなかったとしてコレステロールの摂取基準を撤廃しました。
C)
米農務省は「コレステロールは過剰摂取を懸念すべき栄養素ではない」として、摂取量を1日300ミリグラム未満に抑えていた食事指針を2015年見直す方向です。
A)B)C)のいずれもコレステロール摂取基準撤廃です。
これらを考慮すると今まで、日米共に長い間、コレステロールの摂取基準を設定して、摂取制限を推奨してきたことが、無意味だったと認めたわけですね。
まあ、『過ちては改むるに憚ること勿れ』ですから、とても良いこととは思いますが、かなり遅きに失したと思うのは私だけでしょうか?
6)
ヘモグロビンA1c(HbA1c)とがん罹患との関連について。
多目的コホート研究(JPHC研究)。
2015年12月24日 (木)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3634.html
非糖尿病域および糖尿病域の高HbA1c値の群で全がんリスクが上昇していました。
HbA1c は1-2か月間の血糖値を反映する血液検査値であり、本研究結果は、慢性的な高血糖が全がんリスクと関連することを示唆しています。
スーパー糖質制限食なら、慢性的な高血糖を予防することが、可能です。
7)
ケトン体は炎症を抑制する(ネイチャー・メディスンの論文)
2015年12月16日 (水)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3626.html
「絶食や低炭水化物食、激しい運動で炎症が抑制されるのはBHBのお陰」
という論文が、Nature Medicineという国際医学雑誌に掲載されました。
ネイチャー・メディスンはインパクトファクターが27と高くて大変権威ある医学雑誌です。
論文によれば、『ケトン体の一種であるβ-ヒドロキシ酪酸(BHB)が炎症の要となるインフラマソームを直接阻害することで炎症を抑制する』ということです。
炎症を抑制することにより、感染症・糖尿病・動脈硬化・自己免疫疾患・虚血傷害など、様々な疾患の改善に、BHBが役に立つ可能性があることとなります。
ケトン体て本来とてもいい奴なのですが、学術論文的にも、未来は前途洋々です。
8)
肺癌患者におけるケトン食の有用性と安全性についての検討
2015年11月04日 (水)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3579.html
2015年10月29日から31日に京都(国立京都国際会館)で行われた
第53回日本癌治療学会学術州会において、29日木曜日に、
「肺癌患者におけるケトン食の有用性と安全性についての検討」
と題して、大阪大学大学院医学系研究科漢方医学寄附講座、萩原 圭祐教授らの発表がありました。
肺がんⅣ期の5症例で、ケトン食を導入して症例1と症例4は、1年後に寛解して、その後も経過良好で、それぞれ974日間生存中、617日間生存中で、ケトン食を継続中です。
症例3は、がん胸膜播種がありますが、792日後も生存で、ケトン食継続中です。
症例2と症例5はケトン食を継続せずにいずれも死亡されています。
症例が少ないので、断定的なことは言えませんが、2例は寛解(がんが消えること)して、Ⅳ期と診断後974日間、617日間の比較的長期の生存ですから、ケトン食には肺癌Ⅳ期の患者さんに対して、一定の延命効果がある可能性が示されたと思います。
Ⅳ期肺癌の生存中央値が、8~10ヶ月ですので、ケトン食継続中の3名の、32ヶ月、26ヶ月、20ヶ月というのは、なかなかの数字と思います。
9)
1日の糖類は小さじ6杯分まで WHOが新指針
2015年03月06日 (金)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3304.html
WHOが、2015年3月5日、
「1日の糖類は小さじ6杯分まで」という新指針を発表しました。
『糖類』に関する指針で、『糖質』に関する指針ではありませんので、誤解のないように注意が必要です。
新指針では、糖類のうち単糖類と2糖類のショ糖(砂糖)の摂取を総摂取カロリーの5%未満に抑えれば、健康増進効果が得られるとしています。
一日の摂取エネルギーが2000kcalとして、5%なら、25g(ティースプーン6杯分)となります。
従来は10%でしたので、半分になりました。
糖質制限食的には、好ましい変化と言えますね。
10)
今日の治療指針2015年版、糖尿病の食事指導に糖質制限食
2015年01月21日 (水)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3257.html
「今日の治療指針」2015年版が、2015年1月13日に刊行されました。
「今日の治療指針」は1959年の発行以降57年にわたって毎年発行されてきました。
その中で、692ページに「糖尿病の食事指導」と題して、山田悟医師(北里研究所病院糖尿病センター・センター長)が執筆しておられ、糖質制限食の具体的な解説に大きくスペースがさいてあります。
日本の臨床医学書で最もポピュラーなものの一つが「今日の治療指針」です。
おそらく、医療機関の9割以上が「今日の治療指針」を所持していると思います。
その定番医学書の執筆者に、発行以来初めて、糖質制限食賛成派の医師が抜擢されたのですから、今昔(こんじゃく)の感(かん)があります。
素直に大変喜ばしい出来事です。
江部康二
2015年度もブログ読者の皆さんには、たくさんの応援をいただきありがとうございました。
来年もよろしくお願い申し上げます。
今回は、2015年度も恒例となった糖質制限食10大ニュースを、本ブログ記事のなかから、選んでみました。
それでは、良いお年をお迎えください。
1)
宗田先生ポスター発表。ケトン体は安全。日本病態栄養学会。
2015年01月13日 (火)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3248.html
ケトン体が人類を救う (光文社新書) 宗田哲男著 上梓。
2015年11月06日 (金)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3581.html
胎児絨毛のケトン体値、臍帯血のケトン体値、新生児のケトン体値など、極めて貴重な科学的成果が、この本にまとめられています。
特に、「胎盤絨毛のケトン体値」「臍帯血のケトン体値」に関しては、世界で初の報告の可能性があります。
そして、胎児の主たるエネルギー源はケトン体であるという重要な事実も、しっかり根拠を示してこの本で取り上げられています。
ケトン体のうち、β-ヒドロキシ酪酸を測定した研究です。
β-ヒドロキシ酪酸の基準値は、成人では85μmol/L以下です。
それが
胎盤絨毛のケトン体値:600~4500 平均1930 98症例
臍帯血のケトン体値:16~1980 平均254.4 416症例
新生児のケトン体値(生後4日目):100~800 平均240.4 312症例
です。
ケトン体の安全性は、ここにおいて、確立されたと言えます。
2)
脂肪抑えた食事は効果薄い? 長期結果で糖質制限食と差。
2015年12月06日 (日) RCTのメタ解析
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3616.html
53RCT研究論文のメタアナリシスであり、システマティックレビューですので、エビデンスレベルは、最高ランクです。
英医学誌「ランセット 糖尿病と内分泌学」12月号の論文(**)の結論は
1)低脂肪食よりも糖質制限食の方が減量効果が高い。
2)低脂肪食は他の高脂肪食との比較で減量効果に有意差なし。
3)低脂肪食は普通食との比較でのみ、体重減少効果があった。
4)低脂肪食は、長期的な減量効果についての科学的裏付けがない。
です。
3)
米国、糖尿病合併症20年間で大幅減少、心筋梗塞は60%以上減
2015年03月12日 (木)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3309.html
医学誌「ニューイングランド ジャーナル オブ メディスン」に2014年4月17日付けで発表されました。
米国では、
(1)急性心筋梗塞 マイナス67.8%
(2)高血糖症による死亡 マイナス64.4%
(3)脳卒中 マイナス52.7%
(4)下肢切断 マイナス51.4%
(5)末期腎不全 マイナス28.3%
です。
日本でも糖尿病合併症は減っているという説もあるようですが、日本の研究報告がないので何とも言えません。
ただ、日本糖尿病学会の「熊本宣言2013」に記載してあるように、
年間16000人が糖尿病腎症から透析、
3000人が糖尿病網膜症から失明、
3000人が糖尿病足病変から、足切断
という現状において、米国のように糖尿病合併症が大幅に減少しているとは考えにくいです。
糖尿病食に関して、米国では1994年に炭水化物と脂質の割合を固定しなくなりました。
2005年、ボストンのジョスリン糖尿病センターは、炭水化物の推奨量を40%に下げました。
日本では、一貫して炭水化物摂取比率が、55~60%で、2014年から50~60%となっています。
4)
低炭水化物食で2型糖尿病リスク低下。国立がん研究センター研究。
2015年02月27日 (金)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-date-201502.html
『国立がん研究センターによる多目的コホート研究(JPHC研究)』
日本初の前向き研究で、
「日本人女性において低炭水化物食が2型糖尿病リスク低下と関連」
という結論です。
糖質制限食にとって、またまた大きな追い風ですね。
5)
食事性コレステロール摂取量、政府指針案から上限値撤廃 米国
2015年02月20日 (金)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3291.html
コレステロール摂取基準撤廃。日本
動脈硬化学会が声明
2015年05月09日 (土)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3374.html
A)
2015年5月1日
日本動脈硬化学会が、
「食事で体内のコレステロール値は大きく変わらない」との声明を発表しました。
B)
厚生労働省は、5年おきに改定する「食事摂取基準」の2015年版で、科学的根拠が得られなかったとしてコレステロールの摂取基準を撤廃しました。
C)
米農務省は「コレステロールは過剰摂取を懸念すべき栄養素ではない」として、摂取量を1日300ミリグラム未満に抑えていた食事指針を2015年見直す方向です。
A)B)C)のいずれもコレステロール摂取基準撤廃です。
これらを考慮すると今まで、日米共に長い間、コレステロールの摂取基準を設定して、摂取制限を推奨してきたことが、無意味だったと認めたわけですね。
まあ、『過ちては改むるに憚ること勿れ』ですから、とても良いこととは思いますが、かなり遅きに失したと思うのは私だけでしょうか?
6)
ヘモグロビンA1c(HbA1c)とがん罹患との関連について。
多目的コホート研究(JPHC研究)。
2015年12月24日 (木)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3634.html
非糖尿病域および糖尿病域の高HbA1c値の群で全がんリスクが上昇していました。
HbA1c は1-2か月間の血糖値を反映する血液検査値であり、本研究結果は、慢性的な高血糖が全がんリスクと関連することを示唆しています。
スーパー糖質制限食なら、慢性的な高血糖を予防することが、可能です。
7)
ケトン体は炎症を抑制する(ネイチャー・メディスンの論文)
2015年12月16日 (水)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3626.html
「絶食や低炭水化物食、激しい運動で炎症が抑制されるのはBHBのお陰」
という論文が、Nature Medicineという国際医学雑誌に掲載されました。
ネイチャー・メディスンはインパクトファクターが27と高くて大変権威ある医学雑誌です。
論文によれば、『ケトン体の一種であるβ-ヒドロキシ酪酸(BHB)が炎症の要となるインフラマソームを直接阻害することで炎症を抑制する』ということです。
炎症を抑制することにより、感染症・糖尿病・動脈硬化・自己免疫疾患・虚血傷害など、様々な疾患の改善に、BHBが役に立つ可能性があることとなります。
ケトン体て本来とてもいい奴なのですが、学術論文的にも、未来は前途洋々です。
8)
肺癌患者におけるケトン食の有用性と安全性についての検討
2015年11月04日 (水)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3579.html
2015年10月29日から31日に京都(国立京都国際会館)で行われた
第53回日本癌治療学会学術州会において、29日木曜日に、
「肺癌患者におけるケトン食の有用性と安全性についての検討」
と題して、大阪大学大学院医学系研究科漢方医学寄附講座、萩原 圭祐教授らの発表がありました。
肺がんⅣ期の5症例で、ケトン食を導入して症例1と症例4は、1年後に寛解して、その後も経過良好で、それぞれ974日間生存中、617日間生存中で、ケトン食を継続中です。
症例3は、がん胸膜播種がありますが、792日後も生存で、ケトン食継続中です。
症例2と症例5はケトン食を継続せずにいずれも死亡されています。
症例が少ないので、断定的なことは言えませんが、2例は寛解(がんが消えること)して、Ⅳ期と診断後974日間、617日間の比較的長期の生存ですから、ケトン食には肺癌Ⅳ期の患者さんに対して、一定の延命効果がある可能性が示されたと思います。
Ⅳ期肺癌の生存中央値が、8~10ヶ月ですので、ケトン食継続中の3名の、32ヶ月、26ヶ月、20ヶ月というのは、なかなかの数字と思います。
9)
1日の糖類は小さじ6杯分まで WHOが新指針
2015年03月06日 (金)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3304.html
WHOが、2015年3月5日、
「1日の糖類は小さじ6杯分まで」という新指針を発表しました。
『糖類』に関する指針で、『糖質』に関する指針ではありませんので、誤解のないように注意が必要です。
新指針では、糖類のうち単糖類と2糖類のショ糖(砂糖)の摂取を総摂取カロリーの5%未満に抑えれば、健康増進効果が得られるとしています。
一日の摂取エネルギーが2000kcalとして、5%なら、25g(ティースプーン6杯分)となります。
従来は10%でしたので、半分になりました。
糖質制限食的には、好ましい変化と言えますね。
10)
今日の治療指針2015年版、糖尿病の食事指導に糖質制限食
2015年01月21日 (水)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3257.html
「今日の治療指針」2015年版が、2015年1月13日に刊行されました。
「今日の治療指針」は1959年の発行以降57年にわたって毎年発行されてきました。
その中で、692ページに「糖尿病の食事指導」と題して、山田悟医師(北里研究所病院糖尿病センター・センター長)が執筆しておられ、糖質制限食の具体的な解説に大きくスペースがさいてあります。
日本の臨床医学書で最もポピュラーなものの一つが「今日の治療指針」です。
おそらく、医療機関の9割以上が「今日の治療指針」を所持していると思います。
その定番医学書の執筆者に、発行以来初めて、糖質制限食賛成派の医師が抜擢されたのですから、今昔(こんじゃく)の感(かん)があります。
素直に大変喜ばしい出来事です。
江部康二
2015年12月31日 (木)
【15/12/30 岸和田のセイゲニスト
お砂糖新時代協議会CMリニューアル!(困)
こんにちは。
今日から年末年始の休みで三重県に遊びに来ております!
旅先で何気にテレビを観ておりますと、また「お砂糖真時代協議会CM」が流れてましたので報告致します。
しかもリニューアルされてます…(呆)
今度は「砂糖の日」をかけた作りとなっております(呆)
流石に今回のCMはハイビジョン対応になってます!
以前の様な暗闇で脳が光ってる気味悪さもありません!(笑)
よろしければ下記YouTubeよりご覧下さい。
https://m.youtube.com/watch?v=rXX0oHTrK84
今回の新CMは、夫が妻(妊婦と思われる)女性に紅茶と思われる飲み物に砂糖を入れるシーンがあり、背景の字幕スーパーには「砂糖の成分であるブドウ糖は、インスリンというホルモンを刺激して質のよい筋肉づくりを助けます」とあります。(呆)
以前の「脳はブドウ糖しか使えません」というのは抗議殺到だったからですかね?(笑)
まあ糖質制限が普及して、砂糖の売上に影響するのは分からない訳ではないのですが何とかならないものですかね?(困)
また3月10日と11月30日は砂糖の日らしいです。→なのに以前の旧作も含め年末年始に真砂糖協会はCMを流すのは何故なんですかね?(苦笑)
直接胎児へのブドウ糖の効果は謳っていませんが、胎児はブドウ糖よりケトン体好きの大発見をされた宗田先生は、この新CMはご覧になられたのでしょうか?
いずれにしてもまだまだ先生方の啓蒙活動は必要の様です。
超多忙な江部先生は年末年始位はゆっくりお休みしていただきたいものです。
よいお年をお過ごし下さい。来年もよろしくお願い致します。m(_ _)m
特に4月23日(土)豚皮in京都へのご来訪よろしくお願い致します(笑) 】
岸和田のセイゲニストさん。
情報をありがとうございます。
豚皮in京都、了解です。
CM お砂糖 真 時代協議会 「砂糖の日」
今回のものは、「脳はブドウ糖しか使えません」という文言はなしで、まあ、大分マイルドではありますが、基本的には懲りてないですね。
「砂糖の成分であるブドウ糖は、インスリンというホルモンを刺激して質のよい筋肉づくりを助けます」
↓
『砂糖の成分であるブドウ糖は、インスリンというホルモンを刺激して、血中から脂肪細胞に取り込まれて中性脂肪に変換され体脂肪として蓄えられます。』
インスリンは肥満ホルモンであり、がんやアルツハイマー病のリスクであることにはエビデンスがあります。
お砂糖 真 時代協議会、いやはや困ったもんです。
WHOが、2015年3月5日、「1日の糖類は小さじ6杯分まで」という新指針を発表しました。
ただ『糖類』に関する指針で、『糖質』に関する指針ではありませんので、誤解のないように注意が必要です。
新指針では、糖類のうち単糖類と2糖類のショ糖(砂糖)の摂取を総摂取カロリーの5%未満に抑えれば、健康増進効果が得られるとしています。
一日の摂取エネルギーが2000kcalとして、5%なら、25g(ティースプーン6杯分)となります。
従来は10%でしたので、半分になりました。
糖質制限食的には、好ましい変化と言えますが、売り上げが半分になっちゃったら、「お砂糖 真 時代協議会」の運命や如何に?。
江部康二
お砂糖新時代協議会CMリニューアル!(困)
こんにちは。
今日から年末年始の休みで三重県に遊びに来ております!
旅先で何気にテレビを観ておりますと、また「お砂糖真時代協議会CM」が流れてましたので報告致します。
しかもリニューアルされてます…(呆)
今度は「砂糖の日」をかけた作りとなっております(呆)
流石に今回のCMはハイビジョン対応になってます!
以前の様な暗闇で脳が光ってる気味悪さもありません!(笑)
よろしければ下記YouTubeよりご覧下さい。
https://m.youtube.com/watch?v=rXX0oHTrK84
今回の新CMは、夫が妻(妊婦と思われる)女性に紅茶と思われる飲み物に砂糖を入れるシーンがあり、背景の字幕スーパーには「砂糖の成分であるブドウ糖は、インスリンというホルモンを刺激して質のよい筋肉づくりを助けます」とあります。(呆)
以前の「脳はブドウ糖しか使えません」というのは抗議殺到だったからですかね?(笑)
まあ糖質制限が普及して、砂糖の売上に影響するのは分からない訳ではないのですが何とかならないものですかね?(困)
また3月10日と11月30日は砂糖の日らしいです。→なのに以前の旧作も含め年末年始に真砂糖協会はCMを流すのは何故なんですかね?(苦笑)
直接胎児へのブドウ糖の効果は謳っていませんが、胎児はブドウ糖よりケトン体好きの大発見をされた宗田先生は、この新CMはご覧になられたのでしょうか?
いずれにしてもまだまだ先生方の啓蒙活動は必要の様です。
超多忙な江部先生は年末年始位はゆっくりお休みしていただきたいものです。
よいお年をお過ごし下さい。来年もよろしくお願い致します。m(_ _)m
特に4月23日(土)豚皮in京都へのご来訪よろしくお願い致します(笑) 】
岸和田のセイゲニストさん。
情報をありがとうございます。
豚皮in京都、了解です。
CM お砂糖 真 時代協議会 「砂糖の日」
今回のものは、「脳はブドウ糖しか使えません」という文言はなしで、まあ、大分マイルドではありますが、基本的には懲りてないですね。
「砂糖の成分であるブドウ糖は、インスリンというホルモンを刺激して質のよい筋肉づくりを助けます」
↓
『砂糖の成分であるブドウ糖は、インスリンというホルモンを刺激して、血中から脂肪細胞に取り込まれて中性脂肪に変換され体脂肪として蓄えられます。』
インスリンは肥満ホルモンであり、がんやアルツハイマー病のリスクであることにはエビデンスがあります。
お砂糖 真 時代協議会、いやはや困ったもんです。
WHOが、2015年3月5日、「1日の糖類は小さじ6杯分まで」という新指針を発表しました。
ただ『糖類』に関する指針で、『糖質』に関する指針ではありませんので、誤解のないように注意が必要です。
新指針では、糖類のうち単糖類と2糖類のショ糖(砂糖)の摂取を総摂取カロリーの5%未満に抑えれば、健康増進効果が得られるとしています。
一日の摂取エネルギーが2000kcalとして、5%なら、25g(ティースプーン6杯分)となります。
従来は10%でしたので、半分になりました。
糖質制限食的には、好ましい変化と言えますが、売り上げが半分になっちゃったら、「お砂糖 真 時代協議会」の運命や如何に?。
江部康二
2015年12月30日 (水)
こんにちは。
2016年1月30日(土) 15:00~17:00
NHK文化センター京都にて
『美味しく楽しく健康 に!糖質制限食のすすめ』
~糖質制限食で治す糖尿病・メタボ・生活習慣病~
と題して、お話します。
わかりやすく楽しい講座にしたいと思いますので、京都、滋賀、大阪、近畿地方の糖尿人やメタボ人の方々、是非奮ってご参加くださいね。
江部康二
☆
以下、NHK文化センター京都のサイトから抜粋
「近年注目されている糖質制限について、ご自身も実践し、肥満と糖尿病を克服された江部康二先生による講演会です。
数多くの臨床活動を通して、糖尿病、肥満、メタボリックシンドロームなどに対する糖質制限食の画期的な治療効果が証明されています。 」
☆☆
以下は当日の<講演要旨>です。
「脂肪悪玉説」、「カロリー至 上主義」、「脳のエネルギー源 はブドウ糖だけ」といった従来 の常識は現在根底から覆っています。
例えば全米健康調査、1971年と2000年の統計で、脂肪摂取比率は低下しているのに、肥満は倍増しています。
すなわち脂肪悪玉説には根拠がな かったのです。
さらに信頼度の高い論文 で、カロリー制限ありの「脂肪制 限食」と「地中海食」、カロリー制限 なしの「糖質制限食」の3者の効果 を比較検討した結果、糖質制限 食が最も体重を減少させ、 HDLコレステロールを増加さ せたことが明らかとなりました。
糖質制限食実践により、食事中にも常に脂肪が燃 え、肥満ホルモン・インスリン の追加分泌はごく少量で済むので、肥満が改善します。
米国糖尿病学会に よれば、食べ物が消化・吸収さ れたあと、糖質は直接血糖値に影響を与えますが、タンパク質・脂質は与えません。
糖尿病患者さんにおいて食後高血糖が糖尿病合併症の元凶です。
糖質制限食なら 食後高血糖はリアルタイムに改善します。
一方、カロリー制限食をしても糖質を 摂取すれば必ず食後高血糖を必ず生じます。
2型糖尿病高雄病院入院患者さんに おいて、同一カロリーにそろえ た従来の糖尿病食(高糖質食) と糖質制限食における血糖の日 内変動を比較検討してみました。
その結果、糖質制限食では従来の 糖尿病食(高糖質食)に比べて 顕著な食後血糖降下効果が認められました。
脳はブドウ糖だけでなくケトン 体という脂肪酸の分解物をエネルギー源としていくらでも利用します。
人体で唯一赤血球だけは、ミトコンドリア(細胞内にあるエネルギー生産装置)がないので、ブドウ糖だけが唯一のエ ネルギー源です。
人類700万年の進化と食生活 について考察してみました。
さらに食前 と食後の血糖変動の観点から人 類の食生活を3段階にわけて検 討してみました。
糖尿病・メタボ以外の生活習慣病とがんに関しても若干の考察を加えました。
日本人の5大疾病、4大死因と糖質制限食についても検討しました。
2016年1月30日(土) 15:00~17:00
NHK文化センター京都にて
『美味しく楽しく健康 に!糖質制限食のすすめ』
~糖質制限食で治す糖尿病・メタボ・生活習慣病~
と題して、お話します。
わかりやすく楽しい講座にしたいと思いますので、京都、滋賀、大阪、近畿地方の糖尿人やメタボ人の方々、是非奮ってご参加くださいね。
江部康二
☆
以下、NHK文化センター京都のサイトから抜粋
「近年注目されている糖質制限について、ご自身も実践し、肥満と糖尿病を克服された江部康二先生による講演会です。
数多くの臨床活動を通して、糖尿病、肥満、メタボリックシンドロームなどに対する糖質制限食の画期的な治療効果が証明されています。 」
☆☆
以下は当日の<講演要旨>です。
「脂肪悪玉説」、「カロリー至 上主義」、「脳のエネルギー源 はブドウ糖だけ」といった従来 の常識は現在根底から覆っています。
例えば全米健康調査、1971年と2000年の統計で、脂肪摂取比率は低下しているのに、肥満は倍増しています。
すなわち脂肪悪玉説には根拠がな かったのです。
さらに信頼度の高い論文 で、カロリー制限ありの「脂肪制 限食」と「地中海食」、カロリー制限 なしの「糖質制限食」の3者の効果 を比較検討した結果、糖質制限 食が最も体重を減少させ、 HDLコレステロールを増加さ せたことが明らかとなりました。
糖質制限食実践により、食事中にも常に脂肪が燃 え、肥満ホルモン・インスリン の追加分泌はごく少量で済むので、肥満が改善します。
米国糖尿病学会に よれば、食べ物が消化・吸収さ れたあと、糖質は直接血糖値に影響を与えますが、タンパク質・脂質は与えません。
糖尿病患者さんにおいて食後高血糖が糖尿病合併症の元凶です。
糖質制限食なら 食後高血糖はリアルタイムに改善します。
一方、カロリー制限食をしても糖質を 摂取すれば必ず食後高血糖を必ず生じます。
2型糖尿病高雄病院入院患者さんに おいて、同一カロリーにそろえ た従来の糖尿病食(高糖質食) と糖質制限食における血糖の日 内変動を比較検討してみました。
その結果、糖質制限食では従来の 糖尿病食(高糖質食)に比べて 顕著な食後血糖降下効果が認められました。
脳はブドウ糖だけでなくケトン 体という脂肪酸の分解物をエネルギー源としていくらでも利用します。
人体で唯一赤血球だけは、ミトコンドリア(細胞内にあるエネルギー生産装置)がないので、ブドウ糖だけが唯一のエ ネルギー源です。
人類700万年の進化と食生活 について考察してみました。
さらに食前 と食後の血糖変動の観点から人 類の食生活を3段階にわけて検 討してみました。
糖尿病・メタボ以外の生活習慣病とがんに関しても若干の考察を加えました。
日本人の5大疾病、4大死因と糖質制限食についても検討しました。
2015年12月29日 (火)
【15/12/28 ゆみ
いつもブログ拝読したおります。
看護師をしており、患者様の血糖値を測る時についでに自分の血糖値を測ってみましたら食後1時間で200を超えており、それから先生の著書を購入し糖質制限食を行っております。緩い制限で約半年経ちましたが数値が改善せず、初めて質問させて頂きます。
食前血糖値86
HbA1c 6.0→5.7
インスリン 2.8→1.4
グリコアルブミン15.6→17.1
HOMAβを計算すると21.9
HOMA-Rが0.3とかなり低値になります。
内服を開始した方がよいでしょうか?
現在48歳、瘦せ型です。
お忙しい中恐縮ですが、お時間ある時にアドバイス頂けると嬉しいです。】
ゆみさん。
拙著のご購入、ありがとうございます。
食後1時間の血糖値が200mg/dlを超えていたのなら、将来糖尿病になりやすいので、糖質制限食を開始されたのは正解と思います。
<緩い糖質制限食開始後、半年目のデータ>
食前血糖値86mg/dl (基準値60~110mg/dl未満
HbA1c 6.0→5.7 % (基準値:6.2未満)
インスリン 2.8→1.4 μU/ml
グリコアルブミン(GA)15.6→17.1% (基準値:11.8~16.0)
HbA1cは改善していますが、GAが少し悪化しています。
もっとも、GAのコントロール良好目標値は、20.0未満なのでコントロール良好ではあります。
インスリン基礎分泌の基準値は、検査機関により差がありますが、3~15μU/mlとか、5〜10μU/mL とかですので、ゆみさんは、やや低めでしょうか。
ただ、空腹時インスリン値が1.4 μU/ml と低値なのに空腹時血糖値は86mg/dlととてもよいデータです。
ということは、少ないインスリンの量で空腹時血糖値は正常に保たれているので、とても好ましい状態と言えます。
インスリンは人体に絶対に必要ですが、少量で済めば済むほど、人体には優しいのです。
実は、高インスリン血症には、発がんやアルツハイマー病のリスクがあるのです。
HbA1cが基準値内に入っているのに対して、GAが基準値を超えているのは、食後高血糖を反映していると考えられます。
緩い糖質制限食なら、1回の糖質量が、40gくらいあるので、食後1時間血糖値は、180~200mgを超えている可能性があります。
その後、食後2時間値が140mg/dl未満なら正常型です。
食後1~2時間だけの高血糖(180mg/dl以上)を、GAは鋭敏に反映しますが、HbA1cはほとんんど反映しません。
ゆみさんの場合、その差がでたものと考えられます。
私の最近のHbA1cは5.7%で、GAは13.2%です。
私は、スーパー糖質制限食なので、1回の食事の糖質量は、10~20g以下です。
それで食後高血糖が全くないので、GA値が、非常に良いのだと考えられます。
ゆみさんも、スーパー糖質制限食なら、内服薬なしでGAも基準値になると思いますよ。
HOMAβが21.9(40~60)と低値なので、インスリン分泌能はやや低下しています。
HOMAβは、負荷後2時間のインスリン分泌能と相関するとされています。
HOMA-Rは0.3(1.6以下が正常で、2.5以上は抵抗性があり。)ですので、インスリン抵抗性は全く無くて正常です。
インスリン分泌指標
HOMA-β
<HOMA-β=360×空腹時インスリン値(μU/mL)/(空腹時血糖値(mg/dL)-63)>
空腹時の検査であるが経口血糖負荷試験時の2時間値のインスリン分泌量と、よく相関する。
空腹時血糖値130mg以下なら信頼度高い。
正常値:40-60
30%以下は軽度、15%以下は顕著なインスリン分泌低下。
インスリン使用中の患者には使えない。
インスリン抵抗性指標
<HOMA-R=空腹時血糖値(mg/dL)×空腹時インスリン値(μU/mL)/405 >
1.6以下が正常、2.5以上は抵抗性あり。
空腹時血糖値140mg以下なら信頼度高い。
江部康二
いつもブログ拝読したおります。
看護師をしており、患者様の血糖値を測る時についでに自分の血糖値を測ってみましたら食後1時間で200を超えており、それから先生の著書を購入し糖質制限食を行っております。緩い制限で約半年経ちましたが数値が改善せず、初めて質問させて頂きます。
食前血糖値86
HbA1c 6.0→5.7
インスリン 2.8→1.4
グリコアルブミン15.6→17.1
HOMAβを計算すると21.9
HOMA-Rが0.3とかなり低値になります。
内服を開始した方がよいでしょうか?
現在48歳、瘦せ型です。
お忙しい中恐縮ですが、お時間ある時にアドバイス頂けると嬉しいです。】
ゆみさん。
拙著のご購入、ありがとうございます。
食後1時間の血糖値が200mg/dlを超えていたのなら、将来糖尿病になりやすいので、糖質制限食を開始されたのは正解と思います。
<緩い糖質制限食開始後、半年目のデータ>
食前血糖値86mg/dl (基準値60~110mg/dl未満
HbA1c 6.0→5.7 % (基準値:6.2未満)
インスリン 2.8→1.4 μU/ml
グリコアルブミン(GA)15.6→17.1% (基準値:11.8~16.0)
HbA1cは改善していますが、GAが少し悪化しています。
もっとも、GAのコントロール良好目標値は、20.0未満なのでコントロール良好ではあります。
インスリン基礎分泌の基準値は、検査機関により差がありますが、3~15μU/mlとか、5〜10μU/mL とかですので、ゆみさんは、やや低めでしょうか。
ただ、空腹時インスリン値が1.4 μU/ml と低値なのに空腹時血糖値は86mg/dlととてもよいデータです。
ということは、少ないインスリンの量で空腹時血糖値は正常に保たれているので、とても好ましい状態と言えます。
インスリンは人体に絶対に必要ですが、少量で済めば済むほど、人体には優しいのです。
実は、高インスリン血症には、発がんやアルツハイマー病のリスクがあるのです。
HbA1cが基準値内に入っているのに対して、GAが基準値を超えているのは、食後高血糖を反映していると考えられます。
緩い糖質制限食なら、1回の糖質量が、40gくらいあるので、食後1時間血糖値は、180~200mgを超えている可能性があります。
その後、食後2時間値が140mg/dl未満なら正常型です。
食後1~2時間だけの高血糖(180mg/dl以上)を、GAは鋭敏に反映しますが、HbA1cはほとんんど反映しません。
ゆみさんの場合、その差がでたものと考えられます。
私の最近のHbA1cは5.7%で、GAは13.2%です。
私は、スーパー糖質制限食なので、1回の食事の糖質量は、10~20g以下です。
それで食後高血糖が全くないので、GA値が、非常に良いのだと考えられます。
ゆみさんも、スーパー糖質制限食なら、内服薬なしでGAも基準値になると思いますよ。
HOMAβが21.9(40~60)と低値なので、インスリン分泌能はやや低下しています。
HOMAβは、負荷後2時間のインスリン分泌能と相関するとされています。
HOMA-Rは0.3(1.6以下が正常で、2.5以上は抵抗性があり。)ですので、インスリン抵抗性は全く無くて正常です。
インスリン分泌指標
HOMA-β
<HOMA-β=360×空腹時インスリン値(μU/mL)/(空腹時血糖値(mg/dL)-63)>
空腹時の検査であるが経口血糖負荷試験時の2時間値のインスリン分泌量と、よく相関する。
空腹時血糖値130mg以下なら信頼度高い。
正常値:40-60
30%以下は軽度、15%以下は顕著なインスリン分泌低下。
インスリン使用中の患者には使えない。
インスリン抵抗性指標
<HOMA-R=空腹時血糖値(mg/dL)×空腹時インスリン値(μU/mL)/405 >
1.6以下が正常、2.5以上は抵抗性あり。
空腹時血糖値140mg以下なら信頼度高い。
江部康二
2015年12月28日 (月)
『緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)の診断基準(2012) 日本糖尿病学会
http://www.jds.or.jp/modules/study/index.php?content_id=17
【必須項目】
1.経過のどこかの時点でグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)抗体もしくは膵島細胞抗体(ICA)が陽性である。a)
2.糖尿病の発症(もしくは診断)時、ケトーシスもしくはケトアシドーシスはなく、ただちには高血糖是正のためインスリン療法が必要とならない。b)
判定:上記1、2を満たす場合、「緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)」と診断する。
a)Insulinoma-associated antigen-2(IA-2)抗体,インスリン自己抗体(IAA)もしくは亜鉛輸送担体8(ZnT8)抗体に関するエビデンスは不十分であるため現段階では診断基準に含まない。
b)ソフトドリンクケトーシス(ケトアシドーシス)で発症した場合はこの限りではない。
【参考項目】
1)経過とともにインスリン分泌能が緩徐に低下し、糖尿病の発症(もしくは診断)後3ヶ月を過ぎてからインスリン療法が必要になり、高頻度にインスリン依存状態となる。
なお小児科領域では、糖尿病と診断された時点で、ただちに少量(0.5単位/kg体重以下)のインスリン投与を開始することがある。
内科領域でもGAD抗体陽性が判明すると、インスリン分泌低下阻止を考慮してインスリン治療がただちに開始されることがある。
2)GAD抗体やICAは多くの例で経過とともに陰性化する。
3)GAD抗体やICAの抗体価にかかわらず、インスリン分泌能の低下がごく緩徐であるため、あるいは変化しないため、
発症(診断)後10年以上たってもインスリン依存状態まで進行しない例がある。
詳細は、糖尿病 2013;56(8):590-597 を参照して下さい。』
こんばんは。
上記は、日本糖尿病学会の「緩徐進行型1型糖尿病」の診断基準です。
「1)経過とともにインスリン分泌能が緩徐に低下し、糖尿病の発症(もしくは診断)後3ヶ月を過ぎてからインスリン療法が必要になり、高頻度にインスリン依存状態となる。」
ということですので、ひろさんやオハナさんの娘さんが、インスリンフリーであることは、なかなか素晴らしいです。
「2)GAD抗体やICAの抗体価にかかわらず、インスリン分泌能の低下がごく緩徐であるため、あるいは変化しないため、
発症(診断)後10年以上たってもインスリン依存状態まで進行しない例がある。」
食後高血糖を必ず生じる従来の糖尿病食でも、まれに10年以上インスリンフリーな緩徐進行1型糖尿人がおられるということですので、食後高血糖を生じないスーパー糖質制限食なら、もっと長期にわたり、インスリンフリーを達成できる可能性があります。
ひろさんもオハナさんの娘さんも、長期インスリンフリーを目指してくださいね。
【米国糖尿病学会「1型DMの新分類」2015年10月
ステージ1:複数の膵島関連自己抗体が陽性の状態
ステージ2:ブドウ糖不耐症や高血糖状態
ステージ3:症候性1型糖尿病、インスリン補充が必須】
米国の新分類と照らし合わせると、日本の緩徐進行型1型糖尿病は、米国の新分類ではステージ2に相当すると思います。
江部康二
2015年12月27日 (日)
【15/12/26 ひろ
ステージ2で発覚
江部先生、初めまして。
今から1年8ヶ月前に糖尿病が発覚しました。
バンコク出張から帰国直後より体調不良が2週間続き、病院にかかったところ血糖値が300を越えていていました。
GAD抗体は3.8でしたので1型の陽性でした。
それから藁にもすがる気持ちでネットで色々調べ先生のブログにたどり着きました。
もちろん先生の著書も購入しました。
これだ!と思い、スーパー糖質制限を1年8ヶ月続けています。
現在はGAD抗体は8まで上がりましたが、薬も飲んでいませんし、インシュリンフリーです。
HbA1cは5.5、空腹時の血糖値は116で移行しています。
どこまでインシュリンが温存出来るかわかりませんが、このままスーパー糖質制限を続けていこうと思っています。】
ひろさん。
拙著のご購入ありがとうございます。
米国糖尿病学会提唱のステージ2の1型糖尿病は、日本でいう緩徐進行型1型糖尿病に相当する場合もあると思います。
「HbA1c:5.5%、空腹時血糖値:116mg/dl」なら、日本糖尿病学会の「合併症予防のための目標」は充分クリアしていますので、1年8ヶ月インスリンフリーなら素晴らしいです。
早朝空腹時のインスリン値を時々測定しておくといいですね。
スーパー糖質制限食は、藁(わら)ではなくて救命ボート?
・・・いやいやクルーザーくらいのパワーと値打ちがあると思いますよ。
このまま、美味しく楽しく糖質制限食をお続けくださいね。
江部康二
【15/12/26 オハナ
娘は1型糖尿病です
先生こんばんは。
いつも興味深くブログを読んでます。
さて、娘は中学校の尿検査で1型糖尿病が判明しました。
そして、先生のブログと偶然に出会い、現在は糖質セイゲニストとして6ヶ月目を迎えました。
暖かい頃は朝の空腹時血糖値が平均的に110を下回っていましたが、寒くなった現在では110〜140の間を推移していて、暁現象がみられます。
食後1時間は140を超えることはありません。
食後2時間は110を超えることはありません。
もちろんインスリンフリーの生活をしています。
心配なのは暁現象のみです。
先生の過去のブログには、軽い運動をすると良いと書いてあったのですが、中々実践出来ていません。
ところで、この暁現象は、日中の血糖値コントロールが良でも朝の空腹時血糖値が110以上だと合併症の心配があるのでしょうか。
今、娘は受験生で学校の部活も引退し、運動をする機会は学校の体育の授業程度です。
高校進学すれば、また運動部に入部する予定のようですが、それまで何も運動しないで暁現象が起こる毎日を送ることはリスクが高いのでしょうか。
どうぞ、ご教授ください。】
オハナさん。
日本糖尿病学会の「合併症予防のための目標」は
HbA1c:7.0%未満
空腹時血糖値:130mg/dl未満
食後2時間血糖値:180mg/dl未満
です。
娘さんは、HbA1cと食後2時間血糖値は、クリアできていると思います。
早朝空腹時血糖値だけが、時に130mg/dlを超えているのですが、130mg/dl未満を目指したいところです。
暁現象の改善には、1型糖尿病には保険外となりますが、メトグルコの夕食後と眠前の内服も選択肢の一つと思います。
メトグルコ錠250mgが、10.20円
メトグルコ錠500mgが、19円
ですので、安価な藥です。
なかなか早朝空腹時血糖値が130mg/dl未満にならないときは、主治医と相談していただけば幸いです。
江部康二
ステージ2で発覚
江部先生、初めまして。
今から1年8ヶ月前に糖尿病が発覚しました。
バンコク出張から帰国直後より体調不良が2週間続き、病院にかかったところ血糖値が300を越えていていました。
GAD抗体は3.8でしたので1型の陽性でした。
それから藁にもすがる気持ちでネットで色々調べ先生のブログにたどり着きました。
もちろん先生の著書も購入しました。
これだ!と思い、スーパー糖質制限を1年8ヶ月続けています。
現在はGAD抗体は8まで上がりましたが、薬も飲んでいませんし、インシュリンフリーです。
HbA1cは5.5、空腹時の血糖値は116で移行しています。
どこまでインシュリンが温存出来るかわかりませんが、このままスーパー糖質制限を続けていこうと思っています。】
ひろさん。
拙著のご購入ありがとうございます。
米国糖尿病学会提唱のステージ2の1型糖尿病は、日本でいう緩徐進行型1型糖尿病に相当する場合もあると思います。
「HbA1c:5.5%、空腹時血糖値:116mg/dl」なら、日本糖尿病学会の「合併症予防のための目標」は充分クリアしていますので、1年8ヶ月インスリンフリーなら素晴らしいです。
早朝空腹時のインスリン値を時々測定しておくといいですね。
スーパー糖質制限食は、藁(わら)ではなくて救命ボート?
・・・いやいやクルーザーくらいのパワーと値打ちがあると思いますよ。
このまま、美味しく楽しく糖質制限食をお続けくださいね。
江部康二
【15/12/26 オハナ
娘は1型糖尿病です
先生こんばんは。
いつも興味深くブログを読んでます。
さて、娘は中学校の尿検査で1型糖尿病が判明しました。
そして、先生のブログと偶然に出会い、現在は糖質セイゲニストとして6ヶ月目を迎えました。
暖かい頃は朝の空腹時血糖値が平均的に110を下回っていましたが、寒くなった現在では110〜140の間を推移していて、暁現象がみられます。
食後1時間は140を超えることはありません。
食後2時間は110を超えることはありません。
もちろんインスリンフリーの生活をしています。
心配なのは暁現象のみです。
先生の過去のブログには、軽い運動をすると良いと書いてあったのですが、中々実践出来ていません。
ところで、この暁現象は、日中の血糖値コントロールが良でも朝の空腹時血糖値が110以上だと合併症の心配があるのでしょうか。
今、娘は受験生で学校の部活も引退し、運動をする機会は学校の体育の授業程度です。
高校進学すれば、また運動部に入部する予定のようですが、それまで何も運動しないで暁現象が起こる毎日を送ることはリスクが高いのでしょうか。
どうぞ、ご教授ください。】
オハナさん。
日本糖尿病学会の「合併症予防のための目標」は
HbA1c:7.0%未満
空腹時血糖値:130mg/dl未満
食後2時間血糖値:180mg/dl未満
です。
娘さんは、HbA1cと食後2時間血糖値は、クリアできていると思います。
早朝空腹時血糖値だけが、時に130mg/dlを超えているのですが、130mg/dl未満を目指したいところです。
暁現象の改善には、1型糖尿病には保険外となりますが、メトグルコの夕食後と眠前の内服も選択肢の一つと思います。
メトグルコ錠250mgが、10.20円
メトグルコ錠500mgが、19円
ですので、安価な藥です。
なかなか早朝空腹時血糖値が130mg/dl未満にならないときは、主治医と相談していただけば幸いです。
江部康二
2015年12月26日 (土)
こんにちは。
米国糖尿病学会が、2015年10月8日 (木)、1型糖尿病の新分類を公表しました。
1型糖尿病をステージ1、ステージ2、ステージ3に分けるという画期的な分類です。
ステージ1:複数の膵島関連自己抗体が陽性の状態
ステージ2:ブドウ糖不耐症や高血糖状態
ステージ3:を症候性1型糖尿病
と規定するものです。
最近の研究において、ステージ1、2のほとんどがステージ3に進行することが明らかになっているそうです。
ステージ1は、自己抗体は陽性であるけれど、インスリン分泌は残存していて症状はない段階です。
ステージ2は、ブドウ糖不耐症や高血糖が出現する段階です。この時点でインスリン分泌能力は低下してきています。
ステージ3が、多飲多尿や体重減少などの症状が出る症候性の段階で、インスリン分泌能力はほとんどなくなっています。インスリン補充が必須の段階です。
ステージ1や2の段階で発見できれば、内因性インスリンがまだ残存しているので、治療的には意味が大きいのです。
しかし、米国では、1型糖尿病のほとんどが、ステージ3の段階で発見されています。
患者の3分の1は急性糖尿病性ケトアシドーシスで救急を受診した際に初めて、1型糖尿病と診断されるそうです。
日本の1型糖尿病の現状でも、小児の場合ほとんどがステージ3で初めて診断されるので、ほぼインスリン依存状態です。
ところが、日本では健康診断が浸透しているので、ステージ2の1型糖尿病がそこそこ発見されているのが現状です。
正確には、健診で糖尿病を指摘されて医療機関を受診して、念のために抗GAD抗体を調べたら陽性で、1型糖尿病ということが判明というケースです。
この場合、耐糖能は少し低下していますが、自分自身の内因性インスリンはまだ残存しています。
そしてステージ2の段階なら、血糖コントロール良好を保つことで、β細胞を休養・保護することができて、内因性インスリン分泌が長期間にわたり維持できる可能性があるのです。
実際、私が今までみてきた抗GAD抗体が陽性の1型の患者さんで、インスリンフリーの人が数名はおられます。
ステージ2の段階で、血糖コントロール良好が保たれないならば、高血糖によりβ細胞は障害されて、短期間でステージ3に陥ってしまいます。
ステージ2の段階で、血糖コントロール良好を保ちβ細胞を保護するには、スーパー糖質制限食が最適です。
スーパー糖質制限食なら薬なしで、血糖コントロール良好を保ち、無症候の状態を維持することも可能です。
内因性インスリン分泌が長期間にわたり保たれることが期待できます。
一方、糖質が多い従来の糖尿病食では、食後高血糖は必発であり、高血糖によりβ細胞は障害されていき早晩インスリン注射は不可欠となります。
インスリン注射で、血糖コントロール良好を厳格に保てなければ、その内ステージ3になっていきます。
江部康二
☆☆☆
以下、m3.com 臨床ダイジェストから、引用。
『m3.com 臨床ダイジェスト
https://www.m3.com/clinical/news/364670?portalId=mailmag&mmp=EX151223&mc.l=136342308&eml=66a125ab88e373cf62f07e138cff140d
臨床ニュース
「1型DMの新分類」学会が公表【米国糖尿病学会】
発症前段階をステージに加え、治験を容易に
米国学会短信2015年10月8日 (木)配信 一般内科疾患内分泌・代謝疾患
米国糖尿病学会(ADA)は9月24日、1型糖尿病(T1D)のステージングに発症前ステージを導入した新たな分類を若年性糖尿病研究財団(JDRF)と共同で発表した。米国臨床内分泌学会など3団体の支持を得て、Diabetes Care誌オンライン版に掲載されている。
新しい分類は、T1Dが症状出現前から始まり、インスリン補充が必須になる状態に進行するとの概念を取り入れ、ステージ1を複数の膵島関連自己抗体が陽性の状態、ステージ2をブドウ糖不耐症や高血糖状態、ステージ3を症候性T1Dと分類。最近の研究において、ステージ1、2のほとんどがステージ3に進行することが明らかになっている。患者によって各ステージ間の進行度は異なるが、進行リスクをそれぞれ定めることができるため、β細胞機能維持を目的とする治験が容易になる可能性があるという。
また、現状ではT1Dは多飲多尿や体重減少などの症状が出るまで診断されることが少なく、患者の3分の1は急性糖尿病性ケトアシドーシスで救急を受診した際に初めてT1Dと診断される。今回のステージングは、こうした進行してからの診断を防ぐと期待されている。
関連リンク
JDRF and the American Diabetes Association, in Collaboration with Multiple Diabetes Organizations Publish New Classification and Staging Approach for Presymptomatic Type 1 』
米国糖尿病学会が、2015年10月8日 (木)、1型糖尿病の新分類を公表しました。
1型糖尿病をステージ1、ステージ2、ステージ3に分けるという画期的な分類です。
ステージ1:複数の膵島関連自己抗体が陽性の状態
ステージ2:ブドウ糖不耐症や高血糖状態
ステージ3:を症候性1型糖尿病
と規定するものです。
最近の研究において、ステージ1、2のほとんどがステージ3に進行することが明らかになっているそうです。
ステージ1は、自己抗体は陽性であるけれど、インスリン分泌は残存していて症状はない段階です。
ステージ2は、ブドウ糖不耐症や高血糖が出現する段階です。この時点でインスリン分泌能力は低下してきています。
ステージ3が、多飲多尿や体重減少などの症状が出る症候性の段階で、インスリン分泌能力はほとんどなくなっています。インスリン補充が必須の段階です。
ステージ1や2の段階で発見できれば、内因性インスリンがまだ残存しているので、治療的には意味が大きいのです。
しかし、米国では、1型糖尿病のほとんどが、ステージ3の段階で発見されています。
患者の3分の1は急性糖尿病性ケトアシドーシスで救急を受診した際に初めて、1型糖尿病と診断されるそうです。
日本の1型糖尿病の現状でも、小児の場合ほとんどがステージ3で初めて診断されるので、ほぼインスリン依存状態です。
ところが、日本では健康診断が浸透しているので、ステージ2の1型糖尿病がそこそこ発見されているのが現状です。
正確には、健診で糖尿病を指摘されて医療機関を受診して、念のために抗GAD抗体を調べたら陽性で、1型糖尿病ということが判明というケースです。
この場合、耐糖能は少し低下していますが、自分自身の内因性インスリンはまだ残存しています。
そしてステージ2の段階なら、血糖コントロール良好を保つことで、β細胞を休養・保護することができて、内因性インスリン分泌が長期間にわたり維持できる可能性があるのです。
実際、私が今までみてきた抗GAD抗体が陽性の1型の患者さんで、インスリンフリーの人が数名はおられます。
ステージ2の段階で、血糖コントロール良好が保たれないならば、高血糖によりβ細胞は障害されて、短期間でステージ3に陥ってしまいます。
ステージ2の段階で、血糖コントロール良好を保ちβ細胞を保護するには、スーパー糖質制限食が最適です。
スーパー糖質制限食なら薬なしで、血糖コントロール良好を保ち、無症候の状態を維持することも可能です。
内因性インスリン分泌が長期間にわたり保たれることが期待できます。
一方、糖質が多い従来の糖尿病食では、食後高血糖は必発であり、高血糖によりβ細胞は障害されていき早晩インスリン注射は不可欠となります。
インスリン注射で、血糖コントロール良好を厳格に保てなければ、その内ステージ3になっていきます。
江部康二
☆☆☆
以下、m3.com 臨床ダイジェストから、引用。
『m3.com 臨床ダイジェスト
https://www.m3.com/clinical/news/364670?portalId=mailmag&mmp=EX151223&mc.l=136342308&eml=66a125ab88e373cf62f07e138cff140d
臨床ニュース
「1型DMの新分類」学会が公表【米国糖尿病学会】
発症前段階をステージに加え、治験を容易に
米国学会短信2015年10月8日 (木)配信 一般内科疾患内分泌・代謝疾患
米国糖尿病学会(ADA)は9月24日、1型糖尿病(T1D)のステージングに発症前ステージを導入した新たな分類を若年性糖尿病研究財団(JDRF)と共同で発表した。米国臨床内分泌学会など3団体の支持を得て、Diabetes Care誌オンライン版に掲載されている。
新しい分類は、T1Dが症状出現前から始まり、インスリン補充が必須になる状態に進行するとの概念を取り入れ、ステージ1を複数の膵島関連自己抗体が陽性の状態、ステージ2をブドウ糖不耐症や高血糖状態、ステージ3を症候性T1Dと分類。最近の研究において、ステージ1、2のほとんどがステージ3に進行することが明らかになっている。患者によって各ステージ間の進行度は異なるが、進行リスクをそれぞれ定めることができるため、β細胞機能維持を目的とする治験が容易になる可能性があるという。
また、現状ではT1Dは多飲多尿や体重減少などの症状が出るまで診断されることが少なく、患者の3分の1は急性糖尿病性ケトアシドーシスで救急を受診した際に初めてT1Dと診断される。今回のステージングは、こうした進行してからの診断を防ぐと期待されている。
関連リンク
JDRF and the American Diabetes Association, in Collaboration with Multiple Diabetes Organizations Publish New Classification and Staging Approach for Presymptomatic Type 1 』
2015年12月25日 (金)
こんばんは。
嬉しいお知らせです。
新潟労災病院消化器内科部長、前川智先生がテレビ出演されます。
NHK Eテレの「チョイス @病気になったとき」という番組です。
テーマが「糖尿病 ~境界型から抜け出そう~」で、糖質制限の重要性を強調されたそうです。
前川先生は、
『糖質制限食が境界型糖尿病において、血糖コントロール及び2型糖尿病への進行を予防するのに有効である。』
という内容の英文論文を書いておられます。
放送予定日が来年の1月9日(土)夜8時00分~8時44分(NHK Eテレ)です。
全国の糖質セイゲニストの皆さん、是非視聴していただけば幸いです。
江部康二
以下は、2014年07月01日 (火)の本ブログ記事です。
◇◇◇
糖質制限食に関する英文論文、PubMed掲載。新潟労災、前川智先生。
2014年07月01日 (火)
こんばんは。
新潟労災病院消化器内科部長前川智先生が書かれた
「耐糖能異常に対する低炭水化物食の効果に関する後ろ向き研究」
と題した英文論文がPubMedに掲載されました。
Diabetes, Metabolic syndrome, Obesity, Target and Therapy
というニュージーランドの英文雑誌です。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4063858/ → ここで全文が閲覧可能です。
『糖質制限食が境界型糖尿病において、血糖コントロール及び2型糖尿病への進行を予防するのに有効である。』
という糖質セイゲニストにとって大変喜ばしい研究結果です。
『糖質制限症群の69.4%において、血糖値は12ヶ月で正常化し、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)において2時間の血漿グルコースレベルは、33mg/dl減少した。』
糖質制限食実践により、境界型糖尿病の耐糖能が改善していて、素晴らしい成果です。
前川先生は、新潟労災病院において糖質制限食をダイエットなどに導入しておられ、今回の研究は、2007年4月から2012年3月までの期間で行われました。
日本の研究者による糖質制限食の英文論文が、どんどん発表されていくといいですね。
前川智先生、貴重な研究報告をありがとうございます。
江部康二
☆☆☆
Diabetes Metab Syndr Obes. 2014; 7: 195–201.
Retrospective study on the efficacy of a low-carbohydrate diet for impaired glucose tolerance
Satoshi Maekawa,1 Tetsuya Kawahara,2 Ryosuke Nomura,1 Takayuki Murase,1 Yasuyoshi Ann,1 Masayuki Oeholm,1 and Masaru Harada3
「耐糖能異常に対する低炭水化物食の効果に関する後ろ向き研究」
要約
背景
近年では、耐糖能障害(IGT)を有する人の数は世界中で着実に増加している。糖尿病の予防は、公衆衛生、医療、経済学の観点から重要であることは明らかである。近年、低炭水化物食(LCD)は、体重減少及び血糖コントロールに有用であることが報告されたが、LCDのIGTへの効果についての情報は存在しない。私たちは、IGTに対するLCDに焦点を当てた7日間の院内教育プログラムを計画した。
方法
被験者は2007年4月から2012年3月までに登録され、12カ月間追跡したIGTの72人の患者(LCD群が36、対照群が36)であった。我々は、LCD群と対照群を後ろ向き調査により比較した。
結果
LCD群の69.4%において、血糖値は12ヶ月で正常化し、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)において2時間の血漿グルコースレベルは、33mg/dl減少した。また、糖尿病の発生率は、12ヶ月目に対照群よりLCD群において有意に低かった(0%対13.9%、P = 0.02)。LCD群は12ヶ月後に、HbA1c、空腹時血糖値、HOMA-R、体重、血清トリグリセリド(TG)の有意な減少を示した。一方HDLコレステロール値は有意な増加を示した。
結論
LCDは、IGTを有する患者において、血糖値を正常化し、2型糖尿病への進行を予防するのに有効である。
嬉しいお知らせです。
新潟労災病院消化器内科部長、前川智先生がテレビ出演されます。
NHK Eテレの「チョイス @病気になったとき」という番組です。
テーマが「糖尿病 ~境界型から抜け出そう~」で、糖質制限の重要性を強調されたそうです。
前川先生は、
『糖質制限食が境界型糖尿病において、血糖コントロール及び2型糖尿病への進行を予防するのに有効である。』
という内容の英文論文を書いておられます。
放送予定日が来年の1月9日(土)夜8時00分~8時44分(NHK Eテレ)です。
全国の糖質セイゲニストの皆さん、是非視聴していただけば幸いです。
江部康二
以下は、2014年07月01日 (火)の本ブログ記事です。
◇◇◇
糖質制限食に関する英文論文、PubMed掲載。新潟労災、前川智先生。
2014年07月01日 (火)
こんばんは。
新潟労災病院消化器内科部長前川智先生が書かれた
「耐糖能異常に対する低炭水化物食の効果に関する後ろ向き研究」
と題した英文論文がPubMedに掲載されました。
Diabetes, Metabolic syndrome, Obesity, Target and Therapy
というニュージーランドの英文雑誌です。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4063858/ → ここで全文が閲覧可能です。
『糖質制限食が境界型糖尿病において、血糖コントロール及び2型糖尿病への進行を予防するのに有効である。』
という糖質セイゲニストにとって大変喜ばしい研究結果です。
『糖質制限症群の69.4%において、血糖値は12ヶ月で正常化し、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)において2時間の血漿グルコースレベルは、33mg/dl減少した。』
糖質制限食実践により、境界型糖尿病の耐糖能が改善していて、素晴らしい成果です。
前川先生は、新潟労災病院において糖質制限食をダイエットなどに導入しておられ、今回の研究は、2007年4月から2012年3月までの期間で行われました。
日本の研究者による糖質制限食の英文論文が、どんどん発表されていくといいですね。
前川智先生、貴重な研究報告をありがとうございます。
江部康二
☆☆☆
Diabetes Metab Syndr Obes. 2014; 7: 195–201.
Retrospective study on the efficacy of a low-carbohydrate diet for impaired glucose tolerance
Satoshi Maekawa,1 Tetsuya Kawahara,2 Ryosuke Nomura,1 Takayuki Murase,1 Yasuyoshi Ann,1 Masayuki Oeholm,1 and Masaru Harada3
「耐糖能異常に対する低炭水化物食の効果に関する後ろ向き研究」
要約
背景
近年では、耐糖能障害(IGT)を有する人の数は世界中で着実に増加している。糖尿病の予防は、公衆衛生、医療、経済学の観点から重要であることは明らかである。近年、低炭水化物食(LCD)は、体重減少及び血糖コントロールに有用であることが報告されたが、LCDのIGTへの効果についての情報は存在しない。私たちは、IGTに対するLCDに焦点を当てた7日間の院内教育プログラムを計画した。
方法
被験者は2007年4月から2012年3月までに登録され、12カ月間追跡したIGTの72人の患者(LCD群が36、対照群が36)であった。我々は、LCD群と対照群を後ろ向き調査により比較した。
結果
LCD群の69.4%において、血糖値は12ヶ月で正常化し、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)において2時間の血漿グルコースレベルは、33mg/dl減少した。また、糖尿病の発生率は、12ヶ月目に対照群よりLCD群において有意に低かった(0%対13.9%、P = 0.02)。LCD群は12ヶ月後に、HbA1c、空腹時血糖値、HOMA-R、体重、血清トリグリセリド(TG)の有意な減少を示した。一方HDLコレステロール値は有意な増加を示した。
結論
LCDは、IGTを有する患者において、血糖値を正常化し、2型糖尿病への進行を予防するのに有効である。
2015年12月24日 (木)
こんばんは。
国立がん研究センターがん予防・健診研究センター・予防研究グループの多目的コホート研究(JPHC研究)から、興味深い報告がなされ、論文化されました。
これまでのコホート研究により糖尿病患者では大腸がん、膵がん、肝がん、子宮内膜がんなどのがん罹患リスクが1.5~4倍高く、全がんも約1.2倍高いと報告されています。
今回の報告では、非糖尿病域の高HbA1c値でも全がんリスクが高いことが判明しました。
こうなると軽度の高血糖でもがんリスクが高まるので、注意が必要ですが、スーパー糖質制限食なら、糖尿病は勿論のこと、非糖尿病領域の軽度の高血糖もたちどころに改善させますので、全がんリスクは低下すると考えられます。
HbA1c:5.0%未満 推定平均血糖値:96.8mg/dl未満
HbA1c:5.0~5.4% 推定平均血糖値:96.8~108.28mg/dl
HbA1c:5.5~5.9% 推定平均血糖値:111.15~122.63mg/dl
HbA1c:6.0~6.4% 推定平均血糖値:125.5~136.98mg/dl
HbA1c:6.5%以上 推定平均血糖値:139.85mg/dl以上
HbA1c 5.0~5.4%を基準とすると、5%未満、5.5~5.9%、6.0~6.4%、6.5%以上、および既知の糖尿病の5群のがんリスクは、それぞれ1.27 (1.06-1.52) 、1.01 (0.90-1.14)、1.28 (1.09-1.49)、1.43 (1.14-1.80)、1.23 (1.02-1.47)であり、非糖尿病域および糖尿病域の高HbA1c値の群で全がんリスクが上昇していました。
HbA1c は1-2か月間の血糖値を反映する血液検査値であり、本研究結果は、慢性的な高血糖が全がんリスクと関連することを示唆しています。
高血糖はミトコンドリア代謝などを介して酸化ストレスを亢進させることでDNAを損傷し、発がんにつながる可能性が想定されています。
また、がん細胞の増殖には、大量の糖を必要とするため、慢性的な高血糖状態はがん細胞の増殖を助長する可能性も考えられます。
5%未満でも、がんのリスクが上昇していますが、肝硬変などがあると見かけ上HbA1cが低下することが多いことが関係している可能性があります。
低HbA1c値群には、臨床的には診断されていない肝がんや膵がんを有する人が含まれていて、追跡期間中にがんと診断された可能性があります。
肝がんを除外すると、HbA1c値は直線的に全がんリスク上昇と関連していました。
糖尿病は勿論のことですが、正常範囲内の軽度の高血糖でも油断は禁物ということでますます、「スーパー糖質制限食」の役割は大きくなりました。
江部康二
☆☆☆
以下、国立がん研究センターのサイトから一部抜粋です。
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3753.html
ヘモグロビンA1c(HbA1c)とがん罹患との関連について
-多目的コホート研究(JPHC研究)からの成果報告-
私たちは、いろいろな生活習慣と、がん・脳卒中・虚血性心疾患・糖尿病などとの関係を明らかにし、日本人の生活習慣病予防や健康寿命の延伸に役立てるための研究を行っています。平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の9保健所(呼称は2015年現在)管内にお住まいで、1998~2000年度および2003~2005年度に実施された糖尿病調査にご協力いただいた方々のうち、ヘモグロビンA1c(HbA1c)のデータがあり、初回の調査時までにがんに罹患していなかった29,629人(男性11,336人、女性18,293人)を対象としてHbA1cとがん罹患リスクとの関係を調べました。その結果を専門誌で論文発表しましたので紹介します(International Journal of Cancer 2015年11月WEB先行公開)。
これまでのコホート研究により糖尿病患者では大腸がん、膵がん、肝がん、子宮内膜がんなどのがん罹患リスクが1.5~4倍高く、全がんも約1.2倍高いと報告されています。糖尿病は慢性的な高血糖を特徴とする病気で、HbA1c は1-2か月間の血糖値を反映する血液検査値として知られています。そのため、HbA1c(6.5%以上)は、糖尿病の診断基準の一つとしても採用されています。
糖尿病ががんのリスク因子だとすると、HbA1cはがんリスクと関連することが予想されますが、HbA1c値とがんリスクとの関連は十分に明らかにされていません。そこで、本研究では、この関係を、「多目的コホート」の糖尿病調査のデータを用いて調べることを目的としました。
非糖尿病域の高HbA1c値でも全がんリスクが高い
糖尿病調査で測定したHbA1cの値を用いて、5.0%未満、5.0~5.4%、5.5~5.9%、6.0~6.4%、6.5%以上、および既知の糖尿病の6つの群に分けて、その後の全がんリスク、臓器別リスクを分析しました。なお、2回の糖尿病調査に参加していた場合(研究対象者の35%)、2つのHbA1cの平均値を用いました。本研究の追跡期間中に、1955件のがんが発生していました。
年齢,性別、居住地域,BMI,喫煙歴,飲酒歴,身体活動、野菜摂取、総エネルギー摂取、コーヒー摂取、および心血管疾患の既往を統計学的に調整したうえで、がんリスク(95%信頼区間)を計算しました。HbA1c 5.0~5.4%を基準とすると、5%未満、5.5~5.9%、6.0~6.4%、6.5%以上、および既知の糖尿病の5群のがんリスクは、それぞれ1.27 (1.06-1.52) 、1.01 (0.90-1.14)、1.28 (1.09-1.49)、1.43 (1.14-1.80)、1.23 (1.02-1.47)であり、非糖尿病域および糖尿病域の高HbA1c値の群で全がんリスクが上昇していました(図1)。また、低HbA1c値の群でも全がんリスクの上昇がみられました。
がん種別に分析したところ、非糖尿病域および糖尿病域の高HbA1c値の群で大腸がん(特に結腸がん)リスクが上昇しており、肝がんや膵がんでは、低HbA1c値群(5%未満)でもリスク上昇がみられました(図2)。また、肝がんを除外すると、HbA1c値は直線的に全がんリスク上昇と関連していました(図3)。
高HbA1c値群におけるがんリスクのメカニズム
HbA1c は1-2か月間の血糖値を反映する血液検査値であり、本研究結果は、慢性的な高血糖が全がんリスクと関連することを裏付けるものと考えられます。高血糖はミトコンドリア代謝などを介して酸化ストレスを亢進させることでDNAを損傷し、発がんにつながる可能性が想定されています。また,がん細胞の増殖には、大量の糖を必要とするため,慢性的な高血糖状態はがん細胞の増殖を助長する可能性も考えられます。
一部のがん種(肝がんや膵がん)のリスクが低HbA1c値群で上昇していた理由
肝硬変などでは、実際の血糖値に比べてHbA1cが低値を示すことが多く、肝硬変は肝がんになりやすい状態です。その結果として、低HbA1群で、肝がんリスクが上昇していた可能性が考えられます。また、低HbA1c値は不健康の指標とも考えられています。低HbA1c値群には、臨床的には診断されていない肝がんや膵がんを有する方が含まれていて、追跡期間中にがんと診断されたのかもしれません。そのほか、解析結果のぶれ(誤差)をあらわす95%信頼区間の幅が大きいことから、偶然リスク上昇がみられた可能性も考えられます。
この研究について
本研究では、非糖尿病域の高HbA1c値も全がんリスクと関連していることを報告した最初の論文です。多目的コホート研究を含む多くの疫学研究から糖尿病と全がんリスクとの関連が報告されており、がん予防のためにも糖尿病を予防することが重要であると考えられています。非糖尿病域の高HbA1c値群における全がんリスク上昇を示した本研究により、糖尿病予防対策の重要性が一層示唆されました。
国立がん研究センターがん予防・健診研究センター・予防研究グループの多目的コホート研究(JPHC研究)から、興味深い報告がなされ、論文化されました。
これまでのコホート研究により糖尿病患者では大腸がん、膵がん、肝がん、子宮内膜がんなどのがん罹患リスクが1.5~4倍高く、全がんも約1.2倍高いと報告されています。
今回の報告では、非糖尿病域の高HbA1c値でも全がんリスクが高いことが判明しました。
こうなると軽度の高血糖でもがんリスクが高まるので、注意が必要ですが、スーパー糖質制限食なら、糖尿病は勿論のこと、非糖尿病領域の軽度の高血糖もたちどころに改善させますので、全がんリスクは低下すると考えられます。
HbA1c:5.0%未満 推定平均血糖値:96.8mg/dl未満
HbA1c:5.0~5.4% 推定平均血糖値:96.8~108.28mg/dl
HbA1c:5.5~5.9% 推定平均血糖値:111.15~122.63mg/dl
HbA1c:6.0~6.4% 推定平均血糖値:125.5~136.98mg/dl
HbA1c:6.5%以上 推定平均血糖値:139.85mg/dl以上
HbA1c 5.0~5.4%を基準とすると、5%未満、5.5~5.9%、6.0~6.4%、6.5%以上、および既知の糖尿病の5群のがんリスクは、それぞれ1.27 (1.06-1.52) 、1.01 (0.90-1.14)、1.28 (1.09-1.49)、1.43 (1.14-1.80)、1.23 (1.02-1.47)であり、非糖尿病域および糖尿病域の高HbA1c値の群で全がんリスクが上昇していました。
HbA1c は1-2か月間の血糖値を反映する血液検査値であり、本研究結果は、慢性的な高血糖が全がんリスクと関連することを示唆しています。
高血糖はミトコンドリア代謝などを介して酸化ストレスを亢進させることでDNAを損傷し、発がんにつながる可能性が想定されています。
また、がん細胞の増殖には、大量の糖を必要とするため、慢性的な高血糖状態はがん細胞の増殖を助長する可能性も考えられます。
5%未満でも、がんのリスクが上昇していますが、肝硬変などがあると見かけ上HbA1cが低下することが多いことが関係している可能性があります。
低HbA1c値群には、臨床的には診断されていない肝がんや膵がんを有する人が含まれていて、追跡期間中にがんと診断された可能性があります。
肝がんを除外すると、HbA1c値は直線的に全がんリスク上昇と関連していました。
糖尿病は勿論のことですが、正常範囲内の軽度の高血糖でも油断は禁物ということでますます、「スーパー糖質制限食」の役割は大きくなりました。
江部康二
☆☆☆
以下、国立がん研究センターのサイトから一部抜粋です。
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3753.html
ヘモグロビンA1c(HbA1c)とがん罹患との関連について
-多目的コホート研究(JPHC研究)からの成果報告-
私たちは、いろいろな生活習慣と、がん・脳卒中・虚血性心疾患・糖尿病などとの関係を明らかにし、日本人の生活習慣病予防や健康寿命の延伸に役立てるための研究を行っています。平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の9保健所(呼称は2015年現在)管内にお住まいで、1998~2000年度および2003~2005年度に実施された糖尿病調査にご協力いただいた方々のうち、ヘモグロビンA1c(HbA1c)のデータがあり、初回の調査時までにがんに罹患していなかった29,629人(男性11,336人、女性18,293人)を対象としてHbA1cとがん罹患リスクとの関係を調べました。その結果を専門誌で論文発表しましたので紹介します(International Journal of Cancer 2015年11月WEB先行公開)。
これまでのコホート研究により糖尿病患者では大腸がん、膵がん、肝がん、子宮内膜がんなどのがん罹患リスクが1.5~4倍高く、全がんも約1.2倍高いと報告されています。糖尿病は慢性的な高血糖を特徴とする病気で、HbA1c は1-2か月間の血糖値を反映する血液検査値として知られています。そのため、HbA1c(6.5%以上)は、糖尿病の診断基準の一つとしても採用されています。
糖尿病ががんのリスク因子だとすると、HbA1cはがんリスクと関連することが予想されますが、HbA1c値とがんリスクとの関連は十分に明らかにされていません。そこで、本研究では、この関係を、「多目的コホート」の糖尿病調査のデータを用いて調べることを目的としました。
非糖尿病域の高HbA1c値でも全がんリスクが高い
糖尿病調査で測定したHbA1cの値を用いて、5.0%未満、5.0~5.4%、5.5~5.9%、6.0~6.4%、6.5%以上、および既知の糖尿病の6つの群に分けて、その後の全がんリスク、臓器別リスクを分析しました。なお、2回の糖尿病調査に参加していた場合(研究対象者の35%)、2つのHbA1cの平均値を用いました。本研究の追跡期間中に、1955件のがんが発生していました。
年齢,性別、居住地域,BMI,喫煙歴,飲酒歴,身体活動、野菜摂取、総エネルギー摂取、コーヒー摂取、および心血管疾患の既往を統計学的に調整したうえで、がんリスク(95%信頼区間)を計算しました。HbA1c 5.0~5.4%を基準とすると、5%未満、5.5~5.9%、6.0~6.4%、6.5%以上、および既知の糖尿病の5群のがんリスクは、それぞれ1.27 (1.06-1.52) 、1.01 (0.90-1.14)、1.28 (1.09-1.49)、1.43 (1.14-1.80)、1.23 (1.02-1.47)であり、非糖尿病域および糖尿病域の高HbA1c値の群で全がんリスクが上昇していました(図1)。また、低HbA1c値の群でも全がんリスクの上昇がみられました。
がん種別に分析したところ、非糖尿病域および糖尿病域の高HbA1c値の群で大腸がん(特に結腸がん)リスクが上昇しており、肝がんや膵がんでは、低HbA1c値群(5%未満)でもリスク上昇がみられました(図2)。また、肝がんを除外すると、HbA1c値は直線的に全がんリスク上昇と関連していました(図3)。
高HbA1c値群におけるがんリスクのメカニズム
HbA1c は1-2か月間の血糖値を反映する血液検査値であり、本研究結果は、慢性的な高血糖が全がんリスクと関連することを裏付けるものと考えられます。高血糖はミトコンドリア代謝などを介して酸化ストレスを亢進させることでDNAを損傷し、発がんにつながる可能性が想定されています。また,がん細胞の増殖には、大量の糖を必要とするため,慢性的な高血糖状態はがん細胞の増殖を助長する可能性も考えられます。
一部のがん種(肝がんや膵がん)のリスクが低HbA1c値群で上昇していた理由
肝硬変などでは、実際の血糖値に比べてHbA1cが低値を示すことが多く、肝硬変は肝がんになりやすい状態です。その結果として、低HbA1群で、肝がんリスクが上昇していた可能性が考えられます。また、低HbA1c値は不健康の指標とも考えられています。低HbA1c値群には、臨床的には診断されていない肝がんや膵がんを有する方が含まれていて、追跡期間中にがんと診断されたのかもしれません。そのほか、解析結果のぶれ(誤差)をあらわす95%信頼区間の幅が大きいことから、偶然リスク上昇がみられた可能性も考えられます。
この研究について
本研究では、非糖尿病域の高HbA1c値も全がんリスクと関連していることを報告した最初の論文です。多目的コホート研究を含む多くの疫学研究から糖尿病と全がんリスクとの関連が報告されており、がん予防のためにも糖尿病を予防することが重要であると考えられています。非糖尿病域の高HbA1c値群における全がんリスク上昇を示した本研究により、糖尿病予防対策の重要性が一層示唆されました。
2015年12月23日 (水)
こんにちは
2015年度も、糖質制限食、医学界にも一般社会にもますます順調に普及が進んでいます。
嬉しい限りです。
2015年、東京、京都にて開催し、ご好評いただいた医療従事者向けセミナーを
2016年2月28日(日)、京都にて開催致します。
日本糖質制限医療推進協会主催 医療従事者向けセミナー(京都)
「糖質制限食による糖尿病指導~理論と実践~」
受付:12:20~
講演と質疑応答:12:40~16:30
場所: 京都テルサ 東館3F D会議室
第1部は理論編です。
糖尿病治療に関して、最新糖質制限食理論と共にエビデンスのお話を40分間で簡単に説明します。
2015年に得られた最新の糖質制限食情報もお話しします。
第2部は栄養指導編です。
高雄病院の栄養指導の実際を橋本眞由美管理栄養士が、50分間お話しします。
第3部は臨床実践編です。
糖尿病合併症の現状や久山町の悲劇など、そして薬剤の使い方のコツをお話します。
また、「すぐに良くなった症例」「治療に難渋した症例」「1型のインスリン分泌ゼロの症例」などを、実際に入院された患者さんのデータを見ながら検討します。
110分間ありますので、参加者の皆さんと共にディスカッション形式の検討も導入したいと思っています。
ご参加頂いた皆さんには、前回と同様に講演PPTスライドの、CD(PDFファイル)をお配りします。
関西、中国、九州、北陸の医療従事者の皆さん、奮ってご参加くださいね。
江部康二
*****
以下、事務局からのご案内です。
ブログ読者の皆様、
講演会へいつも多数ご参加いただきましてありがとうございます。
2016年2月28日(日)、京都にて医療従事者対象のセミナーを開催致します。
今回は、糖質制限食指導に必要な理論をさらいつつ、糖尿病治療におけるより実践的な内容にウェイトをおき、難渋症例についての討議も予定しております。
医療従事者の皆様の多数のご参加を心よりお待ちしております。
*2016年3月13日(日)に東京でも医療従事者向けセミナーを開催致します。
(詳細のご案内やお申し込みの受付は、1月中旬からを予定しております。)
//////////////ご案内/////////////////
一般社団法人日本糖質制限医療推進協会主催
医療従事者向け糖質制限食セミナー in 京都
「糖質制限食による糖尿病指導~理論と実践~」
■日時:2月28日(日)12:40~16:30頃 ※開場・受付は12:20~
■会場: 京都テルサ 東館3F D会議室
京都市南区東九条下殿田町70番地
(新町通九条下ル 京都府民総合交流プラザ内)
http://www.kyoto-terrsa.or.jp/access.html
☆アクセス
・地下鉄九条駅4番出口より西へ徒歩約5分
・JR京都駅(八条口西口)より南へ徒歩約15分
■講師:
A:江部 康二 医師
(一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長
B:橋本 眞由美 管理栄養士 (一財)高雄病院 栄養管理部 部長
■内容:
第1部:理論編(40分) ※講師A
糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論を説明。
三大栄養素と血糖、ケトン体の安全性、米国糖尿病学会の見解、CKDガイド2013の記載などについて言及。糖質制限食の有効性と安全性について、EBMの観点からRCT研究論文、長期のコホート研究により根拠を示します。
第2部:栄養指導編(50分) ※講師B
高雄病院では、3食とも主食なしのスーパー糖質制限食を実施しており、その具体的な食事内容を紹介致します。また、外来時と入院時における管理栄養士の栄養指導の方法及びポイント、実際の指導事例なども含めて糖質制限食を継続していただくための栄養士の関わり方をお話する予定です。
第3部:臨床実践編(110分) ※講師A
糖尿病合併症の現状、久山町の悲劇について説明。
高雄病院の豊富な臨床例を取り上げて検討。
治療に難渋した症例を提示して参加者と共にディスカッション。
メトホルミン・DPP-4阻害薬・α-GI薬・速効型インスリン分泌促進剤は比較的使用頻度が高いのでコツを伝授。
SGLT阻害薬の上手な使い方、SU剤とチアゾリジン誘導体の位置づけを示します。
糖質制限食実践中に生じうる好ましくない症状・変化について検討します。
*各所要時間は、質疑応答、ディスカッションの時間を含みます。
■対象: 医療従事者(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、鍼灸師など)
■受講費:
・医師・歯科医師:
賛助会員 7,200円 / 一般(非会員) 9,000円
・上記以外の医療従事者:
賛助会員 6,000円 / 一般(非会員) 7,500円
*参加頂いた皆様には、映写・配布資料のデータ(PDF)CDをお配りします。
■お支払い方法: クレジットカード/銀行振込/郵便振替
※事前決済のみとなります。
※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。
■お申し込みの流れ:
1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込み下さい。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4. 当日、直接会場までお越し下さい。
■お申し込み方法:
★賛助会員の方
事務局までメールにて、医療機関でのご職種をご記入の上、お申し込み下さい。
★賛助会員入会をご希望の方:
1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/#!membership/cdt9
2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
「通信」欄に以下をご記入下さい。
① 「2/28京都セミナー、参加希望」 とご記入下さい。
② 医療機関でのご職種をご記入下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact
★一般(非会員)で、セミナーの受講のみご希望の方:
下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-med
■その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは2月26日(金)までに事務局までご連絡願います。
それ以降のご返金は原則、対応致しかねますので予めご了承下さい。
◇掲載ページ:http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity
2015年度も、糖質制限食、医学界にも一般社会にもますます順調に普及が進んでいます。
嬉しい限りです。
2015年、東京、京都にて開催し、ご好評いただいた医療従事者向けセミナーを
2016年2月28日(日)、京都にて開催致します。
日本糖質制限医療推進協会主催 医療従事者向けセミナー(京都)
「糖質制限食による糖尿病指導~理論と実践~」
受付:12:20~
講演と質疑応答:12:40~16:30
場所: 京都テルサ 東館3F D会議室
第1部は理論編です。
糖尿病治療に関して、最新糖質制限食理論と共にエビデンスのお話を40分間で簡単に説明します。
2015年に得られた最新の糖質制限食情報もお話しします。
第2部は栄養指導編です。
高雄病院の栄養指導の実際を橋本眞由美管理栄養士が、50分間お話しします。
第3部は臨床実践編です。
糖尿病合併症の現状や久山町の悲劇など、そして薬剤の使い方のコツをお話します。
また、「すぐに良くなった症例」「治療に難渋した症例」「1型のインスリン分泌ゼロの症例」などを、実際に入院された患者さんのデータを見ながら検討します。
110分間ありますので、参加者の皆さんと共にディスカッション形式の検討も導入したいと思っています。
ご参加頂いた皆さんには、前回と同様に講演PPTスライドの、CD(PDFファイル)をお配りします。
関西、中国、九州、北陸の医療従事者の皆さん、奮ってご参加くださいね。
江部康二
*****
以下、事務局からのご案内です。
ブログ読者の皆様、
講演会へいつも多数ご参加いただきましてありがとうございます。
2016年2月28日(日)、京都にて医療従事者対象のセミナーを開催致します。
今回は、糖質制限食指導に必要な理論をさらいつつ、糖尿病治療におけるより実践的な内容にウェイトをおき、難渋症例についての討議も予定しております。
医療従事者の皆様の多数のご参加を心よりお待ちしております。
*2016年3月13日(日)に東京でも医療従事者向けセミナーを開催致します。
(詳細のご案内やお申し込みの受付は、1月中旬からを予定しております。)
//////////////ご案内/////////////////
一般社団法人日本糖質制限医療推進協会主催
医療従事者向け糖質制限食セミナー in 京都
「糖質制限食による糖尿病指導~理論と実践~」
■日時:2月28日(日)12:40~16:30頃 ※開場・受付は12:20~
■会場: 京都テルサ 東館3F D会議室
京都市南区東九条下殿田町70番地
(新町通九条下ル 京都府民総合交流プラザ内)
http://www.kyoto-terrsa.or.jp/access.html
☆アクセス
・地下鉄九条駅4番出口より西へ徒歩約5分
・JR京都駅(八条口西口)より南へ徒歩約15分
■講師:
A:江部 康二 医師
(一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長
B:橋本 眞由美 管理栄養士 (一財)高雄病院 栄養管理部 部長
■内容:
第1部:理論編(40分) ※講師A
糖質制限食指導に必要な生理学的基礎理論を説明。
三大栄養素と血糖、ケトン体の安全性、米国糖尿病学会の見解、CKDガイド2013の記載などについて言及。糖質制限食の有効性と安全性について、EBMの観点からRCT研究論文、長期のコホート研究により根拠を示します。
第2部:栄養指導編(50分) ※講師B
高雄病院では、3食とも主食なしのスーパー糖質制限食を実施しており、その具体的な食事内容を紹介致します。また、外来時と入院時における管理栄養士の栄養指導の方法及びポイント、実際の指導事例なども含めて糖質制限食を継続していただくための栄養士の関わり方をお話する予定です。
第3部:臨床実践編(110分) ※講師A
糖尿病合併症の現状、久山町の悲劇について説明。
高雄病院の豊富な臨床例を取り上げて検討。
治療に難渋した症例を提示して参加者と共にディスカッション。
メトホルミン・DPP-4阻害薬・α-GI薬・速効型インスリン分泌促進剤は比較的使用頻度が高いのでコツを伝授。
SGLT阻害薬の上手な使い方、SU剤とチアゾリジン誘導体の位置づけを示します。
糖質制限食実践中に生じうる好ましくない症状・変化について検討します。
*各所要時間は、質疑応答、ディスカッションの時間を含みます。
■対象: 医療従事者(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、鍼灸師など)
■受講費:
・医師・歯科医師:
賛助会員 7,200円 / 一般(非会員) 9,000円
・上記以外の医療従事者:
賛助会員 6,000円 / 一般(非会員) 7,500円
*参加頂いた皆様には、映写・配布資料のデータ(PDF)CDをお配りします。
■お支払い方法: クレジットカード/銀行振込/郵便振替
※事前決済のみとなります。
※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。
■お申し込みの流れ:
1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込み下さい。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4. 当日、直接会場までお越し下さい。
■お申し込み方法:
★賛助会員の方
事務局までメールにて、医療機関でのご職種をご記入の上、お申し込み下さい。
★賛助会員入会をご希望の方:
1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/#!membership/cdt9
2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
「通信」欄に以下をご記入下さい。
① 「2/28京都セミナー、参加希望」 とご記入下さい。
② 医療機関でのご職種をご記入下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact
★一般(非会員)で、セミナーの受講のみご希望の方:
下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-med
■その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは2月26日(金)までに事務局までご連絡願います。
それ以降のご返金は原則、対応致しかねますので予めご了承下さい。
◇掲載ページ:http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity
2015年12月22日 (火)
【15/12/21 あお
糖質制限に感謝
はじめまして、初めてコメントさせていただきます。江部先生のブログに出会い、
スーパー糖質制限を始めて1ヶ月程になります。
私は去年の冬頃から体調が崩れる事が多く、肉を減らしてダイエットをしつつも、30代でも若い訳ではないし、自分の体は大丈夫なのかと過剰に心配したり、半年前には初めて逆流性食道炎の診断も受けてしまいました。(ストレスが原因と言われました。)
症状を良くするには何を食べれば良いか普段から調べ、肉を減らし、山芋やれんこんもほぼ毎日食べたりもしましたが悪化…。(山芋とうどんなど、今考えれば恐ろしいです)
どうしたらいいのかわからず、それでもいつかはよくなるのかと思っていたりもしましたが「薬とはずっとお付き合いですね」と言われ、これからずっと毎月出される薬や薬代とずっと付き合って行かなければならないのかと悲観していましたが、糖質制限という食事法、江部先生のブログに出会い、糖質制限を始めて翌日には逆流性食道炎の症状が出なくなり本当に驚きました。
それだけでなく11月頃に出始めた右足の痛みが消えたり、たまにあった偏頭痛もなくなり、精神状態や頭の中までもすっきりしたような落ち着いた日々を送れています。
面倒がりだった家事が苦ではなくなり自炊を積極的に出来るようになりました。
体重も標準体重になりました。幼い頃頃からかなり太っていたのですが、おそらく人生で初めてです。
今人生で1番、何を食べるかは大切で、食べ物が自分の体と体調を作っている事を実感しています。
そんな風に思わせて下さり、本当にありがとうございます。
先生の御本も購入致しました。糖質制限.comのパンもおいしくいただきました。
機会があればまた利用させていただきます!
今度、健康診断を受けて自分の体がどうなっているかを知り、これからも糖質制限を続けて行きたいです。】
こんにちは。
あおさんから、 糖質制限食で、逆流性食道炎、右足の痛み、偏頭痛が改善し、頭の中もすっきりしたという嬉しいコメントをいただきました。
あおさん、拙著の御購入、ありがとうございます。
症状の改善も良かったです。
家事が苦でなくなり、体重も標準に改善とは素晴らしいです。
偏頭痛も、糖質制限食でリアルタイムに改善することが多いです。
偏頭痛がなぜ糖質制限食で改善するのか機序は明確ではありません。
しかし、私は偏頭痛も身体からのサインではないかと考えています。
すなわち、過剰の糖質を摂取したときに、身体が「そんなもの要らない」と悲鳴を上げているように思えてならないのです。
このパターンは、逆流性食道炎と、同様のように思います。
偏頭痛を起こさない、糖質量に関しては、個人差があります。
「精神状態や頭の中までもすっきりしたような落ち着いた日々を送れています。
面倒がりだった家事が苦ではなくなり自炊を積極的に出来るようになりました。」
糖尿人でなくても、糖質を摂取すれば、血糖値の変動幅があるていど増大します。
血糖値の上昇と下降が大きいと、正常範囲内でも、気分の変動を生じやすくなり、イライラしたり、不安になったり、ボーッとしたり、眠くなったり・・・様々な心理的症状が、発症します。
糖質制限食を実践すると、血糖値の変動幅がほとんどなくなるので、心理的にとても安定して、上記のような症状が起こらなくなります。
糖質制限食は、人類本来の食事であり、人類の健康食ですので、心身共に健康増進していくのだと思います。
江部康二
糖質制限に感謝
はじめまして、初めてコメントさせていただきます。江部先生のブログに出会い、
スーパー糖質制限を始めて1ヶ月程になります。
私は去年の冬頃から体調が崩れる事が多く、肉を減らしてダイエットをしつつも、30代でも若い訳ではないし、自分の体は大丈夫なのかと過剰に心配したり、半年前には初めて逆流性食道炎の診断も受けてしまいました。(ストレスが原因と言われました。)
症状を良くするには何を食べれば良いか普段から調べ、肉を減らし、山芋やれんこんもほぼ毎日食べたりもしましたが悪化…。(山芋とうどんなど、今考えれば恐ろしいです)
どうしたらいいのかわからず、それでもいつかはよくなるのかと思っていたりもしましたが「薬とはずっとお付き合いですね」と言われ、これからずっと毎月出される薬や薬代とずっと付き合って行かなければならないのかと悲観していましたが、糖質制限という食事法、江部先生のブログに出会い、糖質制限を始めて翌日には逆流性食道炎の症状が出なくなり本当に驚きました。
それだけでなく11月頃に出始めた右足の痛みが消えたり、たまにあった偏頭痛もなくなり、精神状態や頭の中までもすっきりしたような落ち着いた日々を送れています。
面倒がりだった家事が苦ではなくなり自炊を積極的に出来るようになりました。
体重も標準体重になりました。幼い頃頃からかなり太っていたのですが、おそらく人生で初めてです。
今人生で1番、何を食べるかは大切で、食べ物が自分の体と体調を作っている事を実感しています。
そんな風に思わせて下さり、本当にありがとうございます。
先生の御本も購入致しました。糖質制限.comのパンもおいしくいただきました。
機会があればまた利用させていただきます!
今度、健康診断を受けて自分の体がどうなっているかを知り、これからも糖質制限を続けて行きたいです。】
こんにちは。
あおさんから、 糖質制限食で、逆流性食道炎、右足の痛み、偏頭痛が改善し、頭の中もすっきりしたという嬉しいコメントをいただきました。
あおさん、拙著の御購入、ありがとうございます。
症状の改善も良かったです。
家事が苦でなくなり、体重も標準に改善とは素晴らしいです。
偏頭痛も、糖質制限食でリアルタイムに改善することが多いです。
偏頭痛がなぜ糖質制限食で改善するのか機序は明確ではありません。
しかし、私は偏頭痛も身体からのサインではないかと考えています。
すなわち、過剰の糖質を摂取したときに、身体が「そんなもの要らない」と悲鳴を上げているように思えてならないのです。
このパターンは、逆流性食道炎と、同様のように思います。
偏頭痛を起こさない、糖質量に関しては、個人差があります。
「精神状態や頭の中までもすっきりしたような落ち着いた日々を送れています。
面倒がりだった家事が苦ではなくなり自炊を積極的に出来るようになりました。」
糖尿人でなくても、糖質を摂取すれば、血糖値の変動幅があるていど増大します。
血糖値の上昇と下降が大きいと、正常範囲内でも、気分の変動を生じやすくなり、イライラしたり、不安になったり、ボーッとしたり、眠くなったり・・・様々な心理的症状が、発症します。
糖質制限食を実践すると、血糖値の変動幅がほとんどなくなるので、心理的にとても安定して、上記のような症状が起こらなくなります。
糖質制限食は、人類本来の食事であり、人類の健康食ですので、心身共に健康増進していくのだと思います。
江部康二
2015年12月21日 (月)
【15/12/21 りーふ24
逆流性食道炎の原因は脂質とアルコール?
本日(21日)付朝日新聞夕刊に逆流性食道炎を取り上げていました。
原因は脂っこいものとアルコールだそうです。
糖質のとの字もありません。
世の中、大新聞も不勉強で時代に取り残される時代になってしまいましたね。
私も糖質制限を始めてから逆流性食道炎の特効薬とやらが不要になりました。
ただ付き合いや接待で糖質をやむをえず摂取した翌日には必ず、1度だけぶり返します。
糖質と逆流性食道炎の因果関係を自分の体が証明しています。】
こんにちは。
りーふ24 さんから、逆流性食道炎と糖質制限食について、コメントをいただきました。
ありがとうございます。
りーふ24 さん、逆流性食道炎の特効薬が要らなくなって良かったです。
糖質摂取と逆流性食道炎の関係は明白ですね。
朝日新聞さん、まだまだですね。
朝日新聞の記者さんも、もし社内の誰かが「逆流性食道炎」なら試してみたら一目瞭然なのですが・・・・。
逆流性食道炎は、酸性の胃液やそれと混ざった食物が、食道に逆流して食道が炎症を起こし、胸やけや胸の痛みなどを生じる病気です。
逆流性食道炎の症状を訴える患者さんのほとんどが、糖質制限食開始の瞬間から改善します。 (⌒o⌒)v
当初、私自身が信じられなかったのですが、もう100人以上に試してみて、脂っこいものより炭水化物が胸やけを起こす真犯人と確信しました。
ここまでくると、逆流性食道炎は、精製炭水化物の過剰摂取が根本要因である可能性が極めて高いと思います。
700万年の人類の歴史のなかで、精製炭水化物を大量に常食し始めた、ここ200~300年の特殊な病気の一つが逆流性食道炎です。
一番印象的だったのは、中学校の頃から、毎日昼食後1時間と夕食後1時間に、必ず胸やけがあった30代の男性患者さんです。
糖尿人ではありません。
カレーライスの日は特に最悪で、夕食後1時間に加えて、夜中の1時にも胸やけがあって苦しんだそうです。
ブログ読者の皆さんのでの成功経験があったので、
「騙されたと思って兎に角スーパー糖質制限食を試してごらん?」
と奨めてみました。
2週間後の外来診察で、糖質制限食開始当日から、20年来の胸やけが一切消失したという驚きの報告をしていただきました。ヾ(゜▽゜)
カレーライスというのは、<ご飯+カレールーの小麦粉>で二重の糖質なので、寿司飯と共に最も血糖値を上げやすい食材です。σ(=_=;)ヾ
食後1時間ですから、正常人でも、グルコースミニスパイクを生じた時に代謝の乱れがあり、何らかの機転で逆流性食道炎の症状を引き起こすのでしょうが、その機序はまだよくわかりません。
一方、「饅頭1個だと胸やけなしだけど、2個だと胸やけ必発」という人もあり、個人の糖質摂取許容量の限界を超えると、胃酸が出過ぎて胸やけを生じるような気もします。
逆流性食道炎を生じる限界の糖質摂取許容量には個人差があります。
結論です。
逆流性食道炎の症状は、糖質制限食でリアルタイムに改善する例がほとんどです。
言い換えれば、糖質の過剰摂取が逆流性食道炎の原因の可能性が高いです。
何故、糖質摂取で胸やけが生じるかは、まだよくわかりません。
「過剰糖質に対する拒否反応」が逆流性食道炎であり、「こんなもの要らない」という身体の悲鳴のように思えます。
江部康二
逆流性食道炎の原因は脂質とアルコール?
本日(21日)付朝日新聞夕刊に逆流性食道炎を取り上げていました。
原因は脂っこいものとアルコールだそうです。
糖質のとの字もありません。
世の中、大新聞も不勉強で時代に取り残される時代になってしまいましたね。
私も糖質制限を始めてから逆流性食道炎の特効薬とやらが不要になりました。
ただ付き合いや接待で糖質をやむをえず摂取した翌日には必ず、1度だけぶり返します。
糖質と逆流性食道炎の因果関係を自分の体が証明しています。】
こんにちは。
りーふ24 さんから、逆流性食道炎と糖質制限食について、コメントをいただきました。
ありがとうございます。
りーふ24 さん、逆流性食道炎の特効薬が要らなくなって良かったです。
糖質摂取と逆流性食道炎の関係は明白ですね。
朝日新聞さん、まだまだですね。
朝日新聞の記者さんも、もし社内の誰かが「逆流性食道炎」なら試してみたら一目瞭然なのですが・・・・。
逆流性食道炎は、酸性の胃液やそれと混ざった食物が、食道に逆流して食道が炎症を起こし、胸やけや胸の痛みなどを生じる病気です。
逆流性食道炎の症状を訴える患者さんのほとんどが、糖質制限食開始の瞬間から改善します。 (⌒o⌒)v
当初、私自身が信じられなかったのですが、もう100人以上に試してみて、脂っこいものより炭水化物が胸やけを起こす真犯人と確信しました。
ここまでくると、逆流性食道炎は、精製炭水化物の過剰摂取が根本要因である可能性が極めて高いと思います。
700万年の人類の歴史のなかで、精製炭水化物を大量に常食し始めた、ここ200~300年の特殊な病気の一つが逆流性食道炎です。
一番印象的だったのは、中学校の頃から、毎日昼食後1時間と夕食後1時間に、必ず胸やけがあった30代の男性患者さんです。
糖尿人ではありません。
カレーライスの日は特に最悪で、夕食後1時間に加えて、夜中の1時にも胸やけがあって苦しんだそうです。
ブログ読者の皆さんのでの成功経験があったので、
「騙されたと思って兎に角スーパー糖質制限食を試してごらん?」
と奨めてみました。
2週間後の外来診察で、糖質制限食開始当日から、20年来の胸やけが一切消失したという驚きの報告をしていただきました。ヾ(゜▽゜)
カレーライスというのは、<ご飯+カレールーの小麦粉>で二重の糖質なので、寿司飯と共に最も血糖値を上げやすい食材です。σ(=_=;)ヾ
食後1時間ですから、正常人でも、グルコースミニスパイクを生じた時に代謝の乱れがあり、何らかの機転で逆流性食道炎の症状を引き起こすのでしょうが、その機序はまだよくわかりません。
一方、「饅頭1個だと胸やけなしだけど、2個だと胸やけ必発」という人もあり、個人の糖質摂取許容量の限界を超えると、胃酸が出過ぎて胸やけを生じるような気もします。
逆流性食道炎を生じる限界の糖質摂取許容量には個人差があります。
結論です。
逆流性食道炎の症状は、糖質制限食でリアルタイムに改善する例がほとんどです。
言い換えれば、糖質の過剰摂取が逆流性食道炎の原因の可能性が高いです。
何故、糖質摂取で胸やけが生じるかは、まだよくわかりません。
「過剰糖質に対する拒否反応」が逆流性食道炎であり、「こんなもの要らない」という身体の悲鳴のように思えます。
江部康二
2015年12月20日 (日)
こんばんは。
近年、糖尿病と癌罹患リスクとの関連が明らかになってきており、糖尿病と癌との関連について、日本糖尿病学会と日本癌学会の専門家による合同委員会が設立されました。
2013年に糖尿病と癌に関する委員会報告が、医学雑誌〔糖尿病 56(6):374~390,2013〕に掲載されました。
A)以下は委員会報告の要約です。
●近年,糖尿病と癌罹患リスクとの関連が明らかになってきており,糖尿病と癌との関連について,
日本糖尿病学会と日本癌学会の専門家による合同委員会を設立することとなった.
●わが国の疫学データでは,糖尿病は全癌,大腸癌,肝臓癌,膵臓癌のリスク増加と関連していた.
●糖尿病による癌発生促進のメカニズムとしてはインスリン抵抗性とそれに伴う高インスリン血症,高血糖,炎症などが
想定されている.
●2 型糖尿病と癌に共通の危険因子としては加齢,男性,肥満,低身体活動量,不適切な食事
(赤肉・加工肉の摂取過剰,野菜・果物・食物繊維の摂取不足など),過剰飲酒や喫煙が挙げられる.
●不適切な食事,運動不足,喫煙,過剰飲酒は糖尿病と癌罹患の共通の危険因子であるので,糖尿病
患者における食事療法,運動療法,禁煙,節酒は癌リスク減少につながる可能性がある.
●特定の糖尿病治療薬が癌罹患リスクに影響を及ぼすか否かについてのエビデンスは現時点では限定的である
B)以下は委員会報告からの引用で、米国糖尿病学会と米国癌学会の見解です。
.2010 年,ADA(AmericanDiabetes Association:米 国 糖 尿 病 学 会)・ACS(American Cancer Society:米国癌学会)は合同で糖尿病と癌との関連についての consensus report を発表し,糖尿病と癌罹患もしくは癌予後との間の関係,糖尿病と癌に共通する危険因子,糖尿病と癌とを結ぶ分子機構,糖尿病治療が癌リスクや癌予後に及ぼす影響について多面的に論じている.ADA と ACS はこの報告書で 9 つの要約と推奨事項をまとめた.
この中で,
a)糖尿病(主に 2 型糖尿病)は肝臓癌,膵臓癌,子宮内膜癌,大腸癌,乳癌,膀胱癌などのリスク増加と関連がある一方で,前立腺癌リスク減少に関連していること,
b)健康的な食事,運動,体重コントロールは 2 型糖尿病およびいくつかの癌の罹患リスクを減少し予後を改善するため推奨すべきであること,
c)医療者は糖尿病患者に対し性別・年齢に応じて適切に癌のスクリーニングを受診するように推奨すべきであること,
d)いくつかの糖尿病治療薬と癌罹患リスクとの関連が報告されているが,現時点では糖尿病治療薬を選択する際に癌のリスクを主要な検討事項とするべきではないことなどが挙げられた.
このように糖尿病は、日本でも米国でも、確実に癌発生のリスクとなることがあきらかとなってきています。
その機序を大別すると以下の3つに集約されます。
① 高血糖のリスク
②インスリン抵抗性とそれに伴う 高インスリン血症のリスク
③肥満のリスク
食後高血糖ガイドライン2007国際糖尿病連合によれば、食後高血糖は癌発症リスク上昇と関連するとのことです。
食後高血糖は膵癌の発症に関与している可能性があります。
成人男女35,658例を対象とした前向き大規模コホート研究において、膵癌の死亡率と負荷後血糖値との間に強い相関が認められました。(*1)
負荷後血糖値121mg/dL未満に保たれた者と比較し、負荷後血糖値が200mg/dLを上回った者の膵癌発症の相対リスクは2.15でした。
この関連は女性よりも男性で強く認められました。
食後高血糖に伴うる膵癌発症のリスク上昇は他の研究でも認められています。(*2)(*3)。
「男性では、C-ペプタイド値が高いと大腸がんリスクが高くなる」という日本の「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果も報告されています。(*4)
男性では、C‐ペプタイドの値の最も高いグループの大腸がんリスクは、最も低いグループの3.2倍で、値の高いグループほどリスクがだんだん高くなる関連がみられました。女性では、関連がみられませんでした。C‐ペプタイドはインスリンの分泌と相関します。
高インスリン血症があると、細胞増殖、成長促進など、さまざまな働きをするIGF-Iの働きが活発になります。IGF-Iの働きが過剰になると、大腸がんの発生リスクが高くなるとされています。高インスリン血症があると、IGF-Iに結合してその働きを抑えるIGFBP-1の産生が抑制されてしまい、IGF-Iが過剰に働くようになるとされています。
スーーパー糖質制限食なら
① 高血糖のリスク
②インスリン抵抗性とそれに伴う 高インスリン血症のリスク
③肥満のリスク
①②③が全て、改善します。
従って、スーパー糖質制限食により、
糖尿病に伴う発がんのリスクを大幅に減らせる可能性が高いのです。
インスリン注射は糖尿病治療に必要不可欠のものですが、それだけに頼っていては②と③はクリアできません。
リスク軽減のためにも、現在インスリン注射で治療しておられる糖尿人の皆さん、主治医ともよく相談されて、糖質制限食でインスリンの単位数を減らして、発がんリスクを減らしましょう。
<スーパー糖質制限食とヒト発癌に関する考察>
A)「スーパー糖質制限食で発癌のリスク上昇というエビデンスはない。」
B)「スーパー糖質制限食で発癌のリスク減少というエビデンスもない。」
C)「糖質摂取比率12%の集団と通常食の集団における癌の発生を、長期間経過観察した臨床研究は、存在しない。」
1)スーパー糖質制限食で、明確な発癌リスクである高血糖と高インスリン血症は、
一日を通して確実に改善する。
2)スーパー糖質制限食で、発癌リスクを減らすHDL-Cが増加する。
3)スーパー糖質制限食を長期間続けて将来発癌リスクが上昇するとしたら
1)2)の利点を帳消しにしてさらにそれを上回る何らかの発癌リスクがあると仮定するしかない。
◇ →そのようなリスクは知られてない。
4)
1)2)3)を考慮すれば、あくまでも仮説であるが、
スーパー糖質制限食により、西欧型癌の予防効果が期待できる。
(*1) Gapstur SM, Gann PH, Lowe W, Liu K,
Colangelo L, Dyer A. Abnormal glucose metabolism
and pancreatic cancer mortality. JAMA 2000;
283(19):2552-2558.
(*2) Larsson SC, Bergkvist L, Wolk A.
Consumption of sugar and sugar-sweetened foods
and the risk of pancreatic cancer in a prospective
study. Am J Clin Nutr 2006; 84(5):1171-1176.
(*3) Michaud DS, Liu S, Giovannucci E, Willett
WC, Colditz GA, Fuchs CS. Dietary sugar, glycemic
load, and pancreatic cancer risk in a prospective
study. J Natl Cancer Inst 2002; 94(17):1293-1300.
(*4)Int J Cancer. 2007年120巻2007-2012ページ)
江部康二
近年、糖尿病と癌罹患リスクとの関連が明らかになってきており、糖尿病と癌との関連について、日本糖尿病学会と日本癌学会の専門家による合同委員会が設立されました。
2013年に糖尿病と癌に関する委員会報告が、医学雑誌〔糖尿病 56(6):374~390,2013〕に掲載されました。
A)以下は委員会報告の要約です。
●近年,糖尿病と癌罹患リスクとの関連が明らかになってきており,糖尿病と癌との関連について,
日本糖尿病学会と日本癌学会の専門家による合同委員会を設立することとなった.
●わが国の疫学データでは,糖尿病は全癌,大腸癌,肝臓癌,膵臓癌のリスク増加と関連していた.
●糖尿病による癌発生促進のメカニズムとしてはインスリン抵抗性とそれに伴う高インスリン血症,高血糖,炎症などが
想定されている.
●2 型糖尿病と癌に共通の危険因子としては加齢,男性,肥満,低身体活動量,不適切な食事
(赤肉・加工肉の摂取過剰,野菜・果物・食物繊維の摂取不足など),過剰飲酒や喫煙が挙げられる.
●不適切な食事,運動不足,喫煙,過剰飲酒は糖尿病と癌罹患の共通の危険因子であるので,糖尿病
患者における食事療法,運動療法,禁煙,節酒は癌リスク減少につながる可能性がある.
●特定の糖尿病治療薬が癌罹患リスクに影響を及ぼすか否かについてのエビデンスは現時点では限定的である
B)以下は委員会報告からの引用で、米国糖尿病学会と米国癌学会の見解です。
.2010 年,ADA(AmericanDiabetes Association:米 国 糖 尿 病 学 会)・ACS(American Cancer Society:米国癌学会)は合同で糖尿病と癌との関連についての consensus report を発表し,糖尿病と癌罹患もしくは癌予後との間の関係,糖尿病と癌に共通する危険因子,糖尿病と癌とを結ぶ分子機構,糖尿病治療が癌リスクや癌予後に及ぼす影響について多面的に論じている.ADA と ACS はこの報告書で 9 つの要約と推奨事項をまとめた.
この中で,
a)糖尿病(主に 2 型糖尿病)は肝臓癌,膵臓癌,子宮内膜癌,大腸癌,乳癌,膀胱癌などのリスク増加と関連がある一方で,前立腺癌リスク減少に関連していること,
b)健康的な食事,運動,体重コントロールは 2 型糖尿病およびいくつかの癌の罹患リスクを減少し予後を改善するため推奨すべきであること,
c)医療者は糖尿病患者に対し性別・年齢に応じて適切に癌のスクリーニングを受診するように推奨すべきであること,
d)いくつかの糖尿病治療薬と癌罹患リスクとの関連が報告されているが,現時点では糖尿病治療薬を選択する際に癌のリスクを主要な検討事項とするべきではないことなどが挙げられた.
このように糖尿病は、日本でも米国でも、確実に癌発生のリスクとなることがあきらかとなってきています。
その機序を大別すると以下の3つに集約されます。
① 高血糖のリスク
②インスリン抵抗性とそれに伴う 高インスリン血症のリスク
③肥満のリスク
食後高血糖ガイドライン2007国際糖尿病連合によれば、食後高血糖は癌発症リスク上昇と関連するとのことです。
食後高血糖は膵癌の発症に関与している可能性があります。
成人男女35,658例を対象とした前向き大規模コホート研究において、膵癌の死亡率と負荷後血糖値との間に強い相関が認められました。(*1)
負荷後血糖値121mg/dL未満に保たれた者と比較し、負荷後血糖値が200mg/dLを上回った者の膵癌発症の相対リスクは2.15でした。
この関連は女性よりも男性で強く認められました。
食後高血糖に伴うる膵癌発症のリスク上昇は他の研究でも認められています。(*2)(*3)。
「男性では、C-ペプタイド値が高いと大腸がんリスクが高くなる」という日本の「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果も報告されています。(*4)
男性では、C‐ペプタイドの値の最も高いグループの大腸がんリスクは、最も低いグループの3.2倍で、値の高いグループほどリスクがだんだん高くなる関連がみられました。女性では、関連がみられませんでした。C‐ペプタイドはインスリンの分泌と相関します。
高インスリン血症があると、細胞増殖、成長促進など、さまざまな働きをするIGF-Iの働きが活発になります。IGF-Iの働きが過剰になると、大腸がんの発生リスクが高くなるとされています。高インスリン血症があると、IGF-Iに結合してその働きを抑えるIGFBP-1の産生が抑制されてしまい、IGF-Iが過剰に働くようになるとされています。
スーーパー糖質制限食なら
① 高血糖のリスク
②インスリン抵抗性とそれに伴う 高インスリン血症のリスク
③肥満のリスク
①②③が全て、改善します。
従って、スーパー糖質制限食により、
糖尿病に伴う発がんのリスクを大幅に減らせる可能性が高いのです。
インスリン注射は糖尿病治療に必要不可欠のものですが、それだけに頼っていては②と③はクリアできません。
リスク軽減のためにも、現在インスリン注射で治療しておられる糖尿人の皆さん、主治医ともよく相談されて、糖質制限食でインスリンの単位数を減らして、発がんリスクを減らしましょう。
<スーパー糖質制限食とヒト発癌に関する考察>
A)「スーパー糖質制限食で発癌のリスク上昇というエビデンスはない。」
B)「スーパー糖質制限食で発癌のリスク減少というエビデンスもない。」
C)「糖質摂取比率12%の集団と通常食の集団における癌の発生を、長期間経過観察した臨床研究は、存在しない。」
1)スーパー糖質制限食で、明確な発癌リスクである高血糖と高インスリン血症は、
一日を通して確実に改善する。
2)スーパー糖質制限食で、発癌リスクを減らすHDL-Cが増加する。
3)スーパー糖質制限食を長期間続けて将来発癌リスクが上昇するとしたら
1)2)の利点を帳消しにしてさらにそれを上回る何らかの発癌リスクがあると仮定するしかない。
◇ →そのようなリスクは知られてない。
4)
1)2)3)を考慮すれば、あくまでも仮説であるが、
スーパー糖質制限食により、西欧型癌の予防効果が期待できる。
(*1) Gapstur SM, Gann PH, Lowe W, Liu K,
Colangelo L, Dyer A. Abnormal glucose metabolism
and pancreatic cancer mortality. JAMA 2000;
283(19):2552-2558.
(*2) Larsson SC, Bergkvist L, Wolk A.
Consumption of sugar and sugar-sweetened foods
and the risk of pancreatic cancer in a prospective
study. Am J Clin Nutr 2006; 84(5):1171-1176.
(*3) Michaud DS, Liu S, Giovannucci E, Willett
WC, Colditz GA, Fuchs CS. Dietary sugar, glycemic
load, and pancreatic cancer risk in a prospective
study. J Natl Cancer Inst 2002; 94(17):1293-1300.
(*4)Int J Cancer. 2007年120巻2007-2012ページ)
江部康二
2015年12月19日 (土)
【糖質制限食を実践される時のご注意】
糖質制限食実践によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、減薬しないと低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人やメタボ人は、低血糖の心配はほとんどないので、自力で糖質制限食を実践して糖尿病やメタボ改善を目指していただけば幸いです。
内服薬やインスリン注射なしの糖尿人が糖質制限食を実践すると、食後高血糖は改善しますが、低血糖にはなりません。
血糖値が正常範囲である程度下がると、肝臓でアミノ酸・乳酸・グリセロール(脂肪の分解物)などから、ブドウ糖を作るからです。
これを糖新生といいます。
診断基準を満たす膵炎がある場合、肝硬変の場合、そして長鎖脂肪酸代謝異常症は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は相対的に高脂肪食になるので、診断基準を満たしている膵炎の患者さんには適応とならないのです。
進行した肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。
長鎖脂肪酸代謝異常症では、肉や魚などに含まれる長鎖脂肪酸が上手く利用できないので、適応となりません。
腎機能に関して、日本腎臓病学会編「CKD診療ガイド2013」において、eGFR60ml/分以上あれば顕性たんぱく尿の段階でも、たんぱく質は過剰な摂取をしないという表現となっていて、制限という記載はなしです。
従いまして、糖尿病腎症第3期でも、eGFR60ml/分以上なら、糖質制限食OKです。
また、米国糖尿病学会(ADA)は
Position Statement on Nutrition Therapy(栄養療法に関する声明)
Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版
において、糖尿病腎症患者に対する蛋白質制限の意義を明確に否定しました。
根拠はランク(A)ですので、信頼度の高いRCT研究論文に基づく見解です。
今後は、糖尿病腎症第3期以降で、eGFRが60ml/分未満の場合も、患者さんとよく相談して、糖質制限食を実践するか否か、個別に対応することとなります。
なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。
また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。
糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。
【糖質制限食とは】
米国糖尿病協会(ADA)の患者教育用のテキストブックLife With Diabetes(2004年版)には、以下の記載があります。
「摂取後直接血糖に影響を与えるのは糖質のみである。
糖質は速やかに吸収され、直接100%血糖に変わり、ほぼ120分以内に吸収は終了する。
蛋白質・脂質は、摂取後、直接血糖に影響を及ぼすことはない。
『炭水化物・タンパク質・脂肪はカロリーを含有している。
炭水化物だけが、血糖値に直接影響を及ぼす。』」
これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
1997年版のLife With Diabetes(ADA刊行)では、
「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載がありましたが、2004年版以降は変更されています。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが直接、血糖値を上昇させます。
従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。
脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。
タンパク質はごく少量のインスリンを追加分泌させます。
現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。
食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。
また一日における、食前・食後・空腹時など血糖値の変動幅(平均血糖変動幅)が大きいほど、酸化ストレスが増強し動脈硬化のリスクとなることがわかってきました。
そして、食後高血糖と平均血糖変動幅増大を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。
炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には、55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。
一方、和牛サーロインステーキ(脂身つき)を200g(約1000キロカロリー)食べても、糖質含有量は1gもないので、食後血糖は3mg未満の上昇しかないのです。
なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースに、できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。
抜く必要がある主食とは 、米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら、薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。
なお糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。
日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド2014-2015」の
男性1400~2000kcal
女性1200~1800kcal
ほど厳しいカロリー制限は必要ありませんが、
「日本人の食事摂取基準」(2015年、厚生労働省)
に示す推定エネルギー必要量の範囲、
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf
推定エネルギー必要量(一日あたり)
男性 女性
15-17才 2500 2850 3150 2050 2300 2550kcal
18-29才 2300 2650 3050 1650 1950 2200
30-49才 2300 2650 3050 1750 2000 2300
50-69才 2100 2450 2800 1650 1900 2200
70才 1850 2200 2500 1500 1750 2000
身体活動レベル 低い 普通 高い 低い 普通 高い
くらいが目安です。
そして2013年に糖尿病食事療法に関して画期的な変化がありました。
米国糖尿病学会が、
2013年10月発表の『栄養療法に関する声明』において、全ての糖尿病患者に適した唯一無二の治療食は存在しないと明記したのです。
これはそのまま、1969年の食品交換表第2版以降一貫して、糖尿病治療食として、唯一無二の「カロリー制限・高糖質食」を推奨し続けている日本糖尿病学会への痛烈な批判となっています。
さらに、米国糖尿病学会は『栄養療法に関する声明2013』において地中海食、ベジタリアン食、DASH食、低脂質食などと共に
「糖質制限食」も正式に受容しました。
このことは糖質制限食を推進する私達にとって、大変大きな追い風となりました。
【本ブログのコメント・質問・記事に関するお願い】
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
糖質制限食に関する質問についてですが、実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、医師としての責任・債務がありますので、個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。
一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、ボランティアで回答させていただいています。
診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。
私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。
また、ブログ記事や本に関しても同様に、糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。
従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m
そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。
またネットで簡単に検索可能なことは、ご自分でお調べください。
質問が増えてきましたので、糖質制限食と関わりがないと判断した質問にはお答えできない場合もありますので、ご了承ください。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文記事にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。
質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、質問がかなり増えてきていますので、なかなか即、お答えすることが困難となってきています。
糖質制限食に関わりのある全ての質問に、本文かコメントでお答えするようできるだけ努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
<江部康二著 参考図書>
理論
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ」2005年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008年
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009年 宮本輝先生との対談本
「やせる食べ方」2010年
「うちの母は糖尿人」2010年 監修:江部康二 著:伊藤きのと
(東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010年(ナツメ社)
腹いっぱい食べて楽々痩せる『満腹ダイエット』 (ソフトバンク新書)2011年
「主食をやめると健康になる」(ダイヤモンド社)2011年
「血糖コントロールの新常識! 糖質制限 完全ガイド」 (別冊宝島)2012年
「食品別糖質量ハンドブック」2012年(洋泉社)、
「糖質オフ!健康法」(PHP文庫)2012年
「主食を抜けば糖尿病はよくなる!糖質制限食のすすめ」(文春文庫)2012年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」(文春文庫)2012年
「女性のための糖質制限ダイエットハンドブック」2012年(洋泉社)
「糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド」2013年(東洋経済新報社)
「医療の巨大転換を加速する」糖質制限食と湿潤療法のインパクト
2013年(東洋経済新報社) 夏井睦先生との対談本
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ 新版」2014年(東洋経済新報社)
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!2 実践編 新版」2014年(東洋経済新報社)
「炭水化物の食べ過ぎで早死にしてはいけません」2014年(東洋経済新報社)
一生太らない「やせる! 食べ方」2014年 (PHP文庫)
江部先生、「糖質制限は危ない」って本当ですか?2015年(洋泉社)
「なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか」2015年(ナツメ社)
「糖質制限の教科書」2015年(洋泉社)監修
レシピ
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006年(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん2009年(アスペクト)
dancyuプレジデントムック 「満腹ダイエット 」 2009年(プレジデント社)
「血糖値を上げない!健康おつまみ109」2010年(東洋経済新報社)
「やせる食べ方レシピ集」 2010年(東洋経済新報社)
「糖質オフダイエット 」2011年(レタスクラブ、角川マーケティング)
「誰もがストレスなくやせられる!糖質制限ダイエット」2011年(講談社)
「主食を抜けば糖尿病はよくなる」レシピ集2011年(東洋経済新報社)
高雄病院の「糖質制限」給食2012年(講談社)
糖尿病がどんどんよくなる「糖質制限食」おすすめレシピ集2012年(ナツメ社)
糖質制限の「主食もどき」レシピ2013年(東洋経済新報社)
高雄病院Dr江部が食べている「糖質制限」ダイエット2013年(講談社)
糖質オフのダイエット弁当2013年(家の光協会)
高雄病院「糖質制限給食」朝 昼 夕 14日間完全プログラム
糖尿病・肥満改善が自宅でできる! 2013年(講談社)
2週間チャレンジ! 糖質制限の太らない生活 2014年(洋泉社mook)
DVD「糖質制限食を語る」http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php 2011年
江部康二
糖質制限食実践によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、減薬しないと低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人やメタボ人は、低血糖の心配はほとんどないので、自力で糖質制限食を実践して糖尿病やメタボ改善を目指していただけば幸いです。
内服薬やインスリン注射なしの糖尿人が糖質制限食を実践すると、食後高血糖は改善しますが、低血糖にはなりません。
血糖値が正常範囲である程度下がると、肝臓でアミノ酸・乳酸・グリセロール(脂肪の分解物)などから、ブドウ糖を作るからです。
これを糖新生といいます。
診断基準を満たす膵炎がある場合、肝硬変の場合、そして長鎖脂肪酸代謝異常症は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は相対的に高脂肪食になるので、診断基準を満たしている膵炎の患者さんには適応とならないのです。
進行した肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。
長鎖脂肪酸代謝異常症では、肉や魚などに含まれる長鎖脂肪酸が上手く利用できないので、適応となりません。
腎機能に関して、日本腎臓病学会編「CKD診療ガイド2013」において、eGFR60ml/分以上あれば顕性たんぱく尿の段階でも、たんぱく質は過剰な摂取をしないという表現となっていて、制限という記載はなしです。
従いまして、糖尿病腎症第3期でも、eGFR60ml/分以上なら、糖質制限食OKです。
また、米国糖尿病学会(ADA)は
Position Statement on Nutrition Therapy(栄養療法に関する声明)
Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版
において、糖尿病腎症患者に対する蛋白質制限の意義を明確に否定しました。
根拠はランク(A)ですので、信頼度の高いRCT研究論文に基づく見解です。
今後は、糖尿病腎症第3期以降で、eGFRが60ml/分未満の場合も、患者さんとよく相談して、糖質制限食を実践するか否か、個別に対応することとなります。
なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。
また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。
糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。
【糖質制限食とは】
米国糖尿病協会(ADA)の患者教育用のテキストブックLife With Diabetes(2004年版)には、以下の記載があります。
「摂取後直接血糖に影響を与えるのは糖質のみである。
糖質は速やかに吸収され、直接100%血糖に変わり、ほぼ120分以内に吸収は終了する。
蛋白質・脂質は、摂取後、直接血糖に影響を及ぼすことはない。
『炭水化物・タンパク質・脂肪はカロリーを含有している。
炭水化物だけが、血糖値に直接影響を及ぼす。』」
これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
1997年版のLife With Diabetes(ADA刊行)では、
「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載がありましたが、2004年版以降は変更されています。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが直接、血糖値を上昇させます。
従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。
脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。
タンパク質はごく少量のインスリンを追加分泌させます。
現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。
食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。
また一日における、食前・食後・空腹時など血糖値の変動幅(平均血糖変動幅)が大きいほど、酸化ストレスが増強し動脈硬化のリスクとなることがわかってきました。
そして、食後高血糖と平均血糖変動幅増大を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。
炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には、55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。
一方、和牛サーロインステーキ(脂身つき)を200g(約1000キロカロリー)食べても、糖質含有量は1gもないので、食後血糖は3mg未満の上昇しかないのです。
なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースに、できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。
抜く必要がある主食とは 、米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら、薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。
なお糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。
日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド2014-2015」の
男性1400~2000kcal
女性1200~1800kcal
ほど厳しいカロリー制限は必要ありませんが、
「日本人の食事摂取基準」(2015年、厚生労働省)
に示す推定エネルギー必要量の範囲、
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf
推定エネルギー必要量(一日あたり)
男性 女性
15-17才 2500 2850 3150 2050 2300 2550kcal
18-29才 2300 2650 3050 1650 1950 2200
30-49才 2300 2650 3050 1750 2000 2300
50-69才 2100 2450 2800 1650 1900 2200
70才 1850 2200 2500 1500 1750 2000
身体活動レベル 低い 普通 高い 低い 普通 高い
くらいが目安です。
そして2013年に糖尿病食事療法に関して画期的な変化がありました。
米国糖尿病学会が、
2013年10月発表の『栄養療法に関する声明』において、全ての糖尿病患者に適した唯一無二の治療食は存在しないと明記したのです。
これはそのまま、1969年の食品交換表第2版以降一貫して、糖尿病治療食として、唯一無二の「カロリー制限・高糖質食」を推奨し続けている日本糖尿病学会への痛烈な批判となっています。
さらに、米国糖尿病学会は『栄養療法に関する声明2013』において地中海食、ベジタリアン食、DASH食、低脂質食などと共に
「糖質制限食」も正式に受容しました。
このことは糖質制限食を推進する私達にとって、大変大きな追い風となりました。
【本ブログのコメント・質問・記事に関するお願い】
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
糖質制限食に関する質問についてですが、実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、医師としての責任・債務がありますので、個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。
一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、ボランティアで回答させていただいています。
診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。
私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。
また、ブログ記事や本に関しても同様に、糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。
従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m
そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。
またネットで簡単に検索可能なことは、ご自分でお調べください。
質問が増えてきましたので、糖質制限食と関わりがないと判断した質問にはお答えできない場合もありますので、ご了承ください。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文記事にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。
質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、質問がかなり増えてきていますので、なかなか即、お答えすることが困難となってきています。
糖質制限食に関わりのある全ての質問に、本文かコメントでお答えするようできるだけ努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
<江部康二著 参考図書>
理論
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ」2005年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008年
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009年 宮本輝先生との対談本
「やせる食べ方」2010年
「うちの母は糖尿人」2010年 監修:江部康二 著:伊藤きのと
(東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010年(ナツメ社)
腹いっぱい食べて楽々痩せる『満腹ダイエット』 (ソフトバンク新書)2011年
「主食をやめると健康になる」(ダイヤモンド社)2011年
「血糖コントロールの新常識! 糖質制限 完全ガイド」 (別冊宝島)2012年
「食品別糖質量ハンドブック」2012年(洋泉社)、
「糖質オフ!健康法」(PHP文庫)2012年
「主食を抜けば糖尿病はよくなる!糖質制限食のすすめ」(文春文庫)2012年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」(文春文庫)2012年
「女性のための糖質制限ダイエットハンドブック」2012年(洋泉社)
「糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド」2013年(東洋経済新報社)
「医療の巨大転換を加速する」糖質制限食と湿潤療法のインパクト
2013年(東洋経済新報社) 夏井睦先生との対談本
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ 新版」2014年(東洋経済新報社)
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!2 実践編 新版」2014年(東洋経済新報社)
「炭水化物の食べ過ぎで早死にしてはいけません」2014年(東洋経済新報社)
一生太らない「やせる! 食べ方」2014年 (PHP文庫)
江部先生、「糖質制限は危ない」って本当ですか?2015年(洋泉社)
「なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか」2015年(ナツメ社)
「糖質制限の教科書」2015年(洋泉社)監修
レシピ
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006年(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん2009年(アスペクト)
dancyuプレジデントムック 「満腹ダイエット 」 2009年(プレジデント社)
「血糖値を上げない!健康おつまみ109」2010年(東洋経済新報社)
「やせる食べ方レシピ集」 2010年(東洋経済新報社)
「糖質オフダイエット 」2011年(レタスクラブ、角川マーケティング)
「誰もがストレスなくやせられる!糖質制限ダイエット」2011年(講談社)
「主食を抜けば糖尿病はよくなる」レシピ集2011年(東洋経済新報社)
高雄病院の「糖質制限」給食2012年(講談社)
糖尿病がどんどんよくなる「糖質制限食」おすすめレシピ集2012年(ナツメ社)
糖質制限の「主食もどき」レシピ2013年(東洋経済新報社)
高雄病院Dr江部が食べている「糖質制限」ダイエット2013年(講談社)
糖質オフのダイエット弁当2013年(家の光協会)
高雄病院「糖質制限給食」朝 昼 夕 14日間完全プログラム
糖尿病・肥満改善が自宅でできる! 2013年(講談社)
2週間チャレンジ! 糖質制限の太らない生活 2014年(洋泉社mook)
DVD「糖質制限食を語る」http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php 2011年
江部康二
2015年12月18日 (金)
【15/12/17 マエダ
アドバイスよろしくお願いします。
こんばんは、いつもブログ拝見させていただいています。先月健康診断で、ヘモグロビンA1cが5.8で空腹時血糖93でした。不安になって、ブドウ糖負荷試験(75g)を専門のクリニックで受けたところ、境界型糖尿病予備軍といわれてしまいました。
数値は、空腹時血糖104、インスリン3.2、30分後血糖150、インスリン15.5、60分後血糖187、インスリン26.2、120分後血糖162、インスリン22.9でした。父親が糖尿なので、多分遺伝だろうといわれました。検査前一ヶ月前から飼っている猫が騒いで良く眠れず、検査前日はほとんど一睡も出来ませんでした。なので、少し高めに出た可能性があると言われました。
今後食生活はどうすればよいのでしょうか? 特に夕食をどうしたらよいかが難しく、医者からは120グラムくらいはご飯は食べても良いと言われました。 一食あたりの糖質はどのくらいで、間食もどのくらいの回数と量を食べてよいのかまったく分かりません。担当医からは、先に野菜を食べて、ゆっくり噛んで食べ、運動でとりあえずOKですというアドバイスでした。
42歳男性、身長171センチ、体重54キロ、痩せ型です。よろしくお願いいたします。】
【15/12/17 マエダ
早々と返信ありがとうございます。
先生、夕食のご飯が120グラム食べろと言われましたが、(75gのご飯にしたら1.5キロやせて今52キロです) ごはんだけで糖質44グラムですよね。これで大丈夫でしょうか? 主治医は繊維質を先に食べてゆっくり食べれば、ブドウ糖負荷試験よりも上がりにくい糖質だから大丈夫みたいなことをおっしゃいます。夜が心配なのと、あと、間食の回数は一日何回でしょうか? 食べる時間などは自由でしょうか? 再びよろしくお願いいたします。】
【15/12/17 マエダ
追加の質問すみません。
追加の質問なのですが、間食を糖質5グラムにして主食の糖質を50グラムみたいなことは可能ですか? (特に夜です。夕食後の間食はしないほうが良いと主治医がおっしゃるので)】
こんにちは。
マエダさんから75g経口ブドウ糖負荷試験と糖尿病発症リスクと糖質制限食についてコメント・質問を頂きました。
75gOGTT
空腹時血糖104、インスリン3.2、
30分後血糖150、インスリン15.5、
60分後血糖187、インスリン26.2、
120分後血糖162、インスリン22.9
結果は、120分後血糖値が140mg/dl以上で199mg/dlまでなので境界型です。
しかし60分値が、180mg/dlを超えているので、将来糖尿病になりやすいパターンです。
御父上が糖尿病なら、将来かなりの糖尿病発症リスクがあると思います。
60分後の血糖がピークに上昇したときは、83mg上昇しています。
75gのブドウ糖摂取ですから、1gの糖質が1.1mg、血糖値を上昇させています。
このデータなら、緩やかな糖質制限でもOKと思います。
1回の糖質摂取量が、30~40gくらいなら、食後血糖値のピークが、140mg/dl前後くらいまでに収まり、食後2時間血糖値は、確実に140mg/dl未満となるので、将来の糖尿病発症を予防できると思います。
間食も、1回の糖質量が、10~20gくらいなら、大丈夫と思います。
間食も2回/日、適宜でOKです。
身長171センチ、体重52キロ、BMI:17.78
痩せ過ぎですので、脂質と蛋白質は、しっかり摂取して
厚生労働省のいう「推定エネルギー必要量」は確保しましょう。
BMI:20くらいあったほうがよいと思います。
「日本人の食事摂取基準」(2015年、厚生労働省)
に示す推定エネルギー必要量の範囲、
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf
推定エネルギー必要量/日
男性 女性
15-17才 2500 2850 3150 2050 2300 2550kcal
18-29才 2300 2650 3050 1650 1950 2200
30-49才 2300 2650 3050 1750 2000 2300
50-69才 2100 2450 2800 1650 1900 2200
70才 1850 2200 2500 1500 1750 2000
身体活動レベル 低い 普通 高い 低い 普通 高い
「繊維質を先に食べてゆっくり食べれば、ブドウ糖負荷試験よりも上がりにくい糖質だから大丈夫」
少しはそうなのですが、やはり糖質摂取の絶対量のほうが、優先順位が上です。
しかし、時に、1回の糖質摂取量が50gとなっても、問題ないと思います。
要は、
1)食後1時間血糖値が180mg/dl未満、
2)食後2時間血糖値が140mg/dl未満、
3)空腹時血糖値が110mg/dl未満、
を達成していれば、将来の糖尿病発症を予防できる可能性が高いと思います。
なお、つらくなければ、スーパー糖質制限食を実践されても、健康増進という意味では勿論OKです。
江部康二
アドバイスよろしくお願いします。
こんばんは、いつもブログ拝見させていただいています。先月健康診断で、ヘモグロビンA1cが5.8で空腹時血糖93でした。不安になって、ブドウ糖負荷試験(75g)を専門のクリニックで受けたところ、境界型糖尿病予備軍といわれてしまいました。
数値は、空腹時血糖104、インスリン3.2、30分後血糖150、インスリン15.5、60分後血糖187、インスリン26.2、120分後血糖162、インスリン22.9でした。父親が糖尿なので、多分遺伝だろうといわれました。検査前一ヶ月前から飼っている猫が騒いで良く眠れず、検査前日はほとんど一睡も出来ませんでした。なので、少し高めに出た可能性があると言われました。
今後食生活はどうすればよいのでしょうか? 特に夕食をどうしたらよいかが難しく、医者からは120グラムくらいはご飯は食べても良いと言われました。 一食あたりの糖質はどのくらいで、間食もどのくらいの回数と量を食べてよいのかまったく分かりません。担当医からは、先に野菜を食べて、ゆっくり噛んで食べ、運動でとりあえずOKですというアドバイスでした。
42歳男性、身長171センチ、体重54キロ、痩せ型です。よろしくお願いいたします。】
【15/12/17 マエダ
早々と返信ありがとうございます。
先生、夕食のご飯が120グラム食べろと言われましたが、(75gのご飯にしたら1.5キロやせて今52キロです) ごはんだけで糖質44グラムですよね。これで大丈夫でしょうか? 主治医は繊維質を先に食べてゆっくり食べれば、ブドウ糖負荷試験よりも上がりにくい糖質だから大丈夫みたいなことをおっしゃいます。夜が心配なのと、あと、間食の回数は一日何回でしょうか? 食べる時間などは自由でしょうか? 再びよろしくお願いいたします。】
【15/12/17 マエダ
追加の質問すみません。
追加の質問なのですが、間食を糖質5グラムにして主食の糖質を50グラムみたいなことは可能ですか? (特に夜です。夕食後の間食はしないほうが良いと主治医がおっしゃるので)】
こんにちは。
マエダさんから75g経口ブドウ糖負荷試験と糖尿病発症リスクと糖質制限食についてコメント・質問を頂きました。
75gOGTT
空腹時血糖104、インスリン3.2、
30分後血糖150、インスリン15.5、
60分後血糖187、インスリン26.2、
120分後血糖162、インスリン22.9
結果は、120分後血糖値が140mg/dl以上で199mg/dlまでなので境界型です。
しかし60分値が、180mg/dlを超えているので、将来糖尿病になりやすいパターンです。
御父上が糖尿病なら、将来かなりの糖尿病発症リスクがあると思います。
60分後の血糖がピークに上昇したときは、83mg上昇しています。
75gのブドウ糖摂取ですから、1gの糖質が1.1mg、血糖値を上昇させています。
このデータなら、緩やかな糖質制限でもOKと思います。
1回の糖質摂取量が、30~40gくらいなら、食後血糖値のピークが、140mg/dl前後くらいまでに収まり、食後2時間血糖値は、確実に140mg/dl未満となるので、将来の糖尿病発症を予防できると思います。
間食も、1回の糖質量が、10~20gくらいなら、大丈夫と思います。
間食も2回/日、適宜でOKです。
身長171センチ、体重52キロ、BMI:17.78
痩せ過ぎですので、脂質と蛋白質は、しっかり摂取して
厚生労働省のいう「推定エネルギー必要量」は確保しましょう。
BMI:20くらいあったほうがよいと思います。
「日本人の食事摂取基準」(2015年、厚生労働省)
に示す推定エネルギー必要量の範囲、
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf
推定エネルギー必要量/日
男性 女性
15-17才 2500 2850 3150 2050 2300 2550kcal
18-29才 2300 2650 3050 1650 1950 2200
30-49才 2300 2650 3050 1750 2000 2300
50-69才 2100 2450 2800 1650 1900 2200
70才 1850 2200 2500 1500 1750 2000
身体活動レベル 低い 普通 高い 低い 普通 高い
「繊維質を先に食べてゆっくり食べれば、ブドウ糖負荷試験よりも上がりにくい糖質だから大丈夫」
少しはそうなのですが、やはり糖質摂取の絶対量のほうが、優先順位が上です。
しかし、時に、1回の糖質摂取量が50gとなっても、問題ないと思います。
要は、
1)食後1時間血糖値が180mg/dl未満、
2)食後2時間血糖値が140mg/dl未満、
3)空腹時血糖値が110mg/dl未満、
を達成していれば、将来の糖尿病発症を予防できる可能性が高いと思います。
なお、つらくなければ、スーパー糖質制限食を実践されても、健康増進という意味では勿論OKです。
江部康二
2015年12月17日 (木)
【15/12/15 感謝
昨年10月の健康診断で、HbAc1が8・0と診断され、糖尿の可能性が高いと診断され、絶望に陥った40代前半の男です。
当時の体重は93キロ(ちなみに身長は175センチです)。
先生の本に従い、糖質制限を敢行しました。
といっても、人とランチに行くときに米だけ食べないのも変な奴扱いされるので、少しは食べて「ダイエットだから」とごまかしてきました。
一年後です。HbAc1は4・7に改善。異常なしとの判定。
体重も10キロ減り(まだまだ頑張りますよ)、焼酎生活をしながらも肝機能も、γGTPが120から50に改善。
中性脂肪も異常なしになりました。
いやあ、素晴らしすぎます。この糖質制限がなぜ、主流治療とならないのか?
日本の医学界にきちんと考えてほしいものです。
スレ違いの意見で申し訳ありません。これからも頑張ります。】
【感謝
先生。お返事ありがとうございます。医師からも驚かれました。
国内でも、先生のご尽力でかなり糖質制限の概念は広がってます。知り合いにも勧めてるのですが、従来のバランス食事による医療から抜けられないんですよね。残念です。】
こんばんは。
感謝さんから、糖質制限食で「HbA1c、肥満、中性脂肪、γgGTPが改善」という嬉しいコメントをいただきました。
感謝さん、拙著のご購入ありがとうございました。
2014年10月 2015年、1年後
HbA1c 8.0% 4.7%
体重 93kg 83kg
BMI 30.36 27.1
γGTP 120 50
中性脂肪 高値 正常値
感謝さん、医師も驚く素晴らしい改善ですね。
γGTPは、一般にアルコールによる肝障害で高値となるとされていますが、脂肪肝でも高値となります。
感謝さんの場合も、焼酎を飲みながらγGTPが改善していますので、脂肪肝が良くなったと考えられます。
「いやあ、素晴らしすぎます。この糖質制限がなぜ、主流治療とならないのか?
日本の医学界にきちんと考えてほしいものです。」
糖質制限食実践により、リアルタイムに血糖値が改善します。
そして、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」 という合併症リスクを起こさない唯一の食事療法が糖質制限食です。
従来の糖尿病食(脂肪制限・高糖質食)では、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を必ず引き起こすので、合併症を防ぐことは理論的に無理です。
これらは生理学的事実に基づく、極めてシンプルな理論です。
旧来の常識に囚われずに自分の頭で考えれば、医師でなくても誰でも理解できると思います。
糖質制限食賛成派の医師は、自分の頭で考えて、糖質制限食を実践していて、そのメリットを実感して患者さんにも奨めています。
一方、糖質制限食反対派の医師は、自分の頭で考えることを放棄して、ガイドラインという常識に囚われています。
勿論自分で糖質制限食を実践している人は皆無です。
常識の壁に囚われずに新しいことに挑戦しようという気概が全く感じられないのは、残念なことです。
江部康二
昨年10月の健康診断で、HbAc1が8・0と診断され、糖尿の可能性が高いと診断され、絶望に陥った40代前半の男です。
当時の体重は93キロ(ちなみに身長は175センチです)。
先生の本に従い、糖質制限を敢行しました。
といっても、人とランチに行くときに米だけ食べないのも変な奴扱いされるので、少しは食べて「ダイエットだから」とごまかしてきました。
一年後です。HbAc1は4・7に改善。異常なしとの判定。
体重も10キロ減り(まだまだ頑張りますよ)、焼酎生活をしながらも肝機能も、γGTPが120から50に改善。
中性脂肪も異常なしになりました。
いやあ、素晴らしすぎます。この糖質制限がなぜ、主流治療とならないのか?
日本の医学界にきちんと考えてほしいものです。
スレ違いの意見で申し訳ありません。これからも頑張ります。】
【感謝
先生。お返事ありがとうございます。医師からも驚かれました。
国内でも、先生のご尽力でかなり糖質制限の概念は広がってます。知り合いにも勧めてるのですが、従来のバランス食事による医療から抜けられないんですよね。残念です。】
こんばんは。
感謝さんから、糖質制限食で「HbA1c、肥満、中性脂肪、γgGTPが改善」という嬉しいコメントをいただきました。
感謝さん、拙著のご購入ありがとうございました。
2014年10月 2015年、1年後
HbA1c 8.0% 4.7%
体重 93kg 83kg
BMI 30.36 27.1
γGTP 120 50
中性脂肪 高値 正常値
感謝さん、医師も驚く素晴らしい改善ですね。
γGTPは、一般にアルコールによる肝障害で高値となるとされていますが、脂肪肝でも高値となります。
感謝さんの場合も、焼酎を飲みながらγGTPが改善していますので、脂肪肝が良くなったと考えられます。
「いやあ、素晴らしすぎます。この糖質制限がなぜ、主流治療とならないのか?
日本の医学界にきちんと考えてほしいものです。」
糖質制限食実践により、リアルタイムに血糖値が改善します。
そして、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」 という合併症リスクを起こさない唯一の食事療法が糖質制限食です。
従来の糖尿病食(脂肪制限・高糖質食)では、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を必ず引き起こすので、合併症を防ぐことは理論的に無理です。
これらは生理学的事実に基づく、極めてシンプルな理論です。
旧来の常識に囚われずに自分の頭で考えれば、医師でなくても誰でも理解できると思います。
糖質制限食賛成派の医師は、自分の頭で考えて、糖質制限食を実践していて、そのメリットを実感して患者さんにも奨めています。
一方、糖質制限食反対派の医師は、自分の頭で考えることを放棄して、ガイドラインという常識に囚われています。
勿論自分で糖質制限食を実践している人は皆無です。
常識の壁に囚われずに新しいことに挑戦しようという気概が全く感じられないのは、残念なことです。
江部康二
2015年12月16日 (水)
【15/12/15 福助
Re: 山田悟先生の新書を読みました。
ヘルミ さん
「血管内皮細胞を傷つける」=炎症性サイトカインによるものと思われますが、 ケトン体が抗炎症作用があることは聞いても、その逆は聞いたことがありませんね。
こちらも参考になると思います。
---------------------------------------------------------------
「絶食や低炭水化物食、激しい運動で炎症が抑制されるのはBHBのお陰」
http://kenkounews.rotala-wallichii.com/fasting_inflammation_bhb/
----------------------------------------------------------------】
こんにちは。
福助さんから、ケトン体についてとても興味深い情報をコメント頂きました。
ありがとうございます。
「絶食や低炭水化物食、激しい運動で炎症が抑制されるのはBHBのお陰」
という「最新健康ニュース」の記事の出典論文ですが、Nature Medicineという国際医学雑誌に掲載されたものです。(*)
ネイチャー・メディスンはインパクトファクターが27と高くて大変権威ある医学雑誌です。
論文によれば、β-ヒドロキシ酪酸(BHB)が、インフラマソームと呼ばれる炎症関連の分子複合体の一部であるNLRP3を直接的に阻害していたということです。
β-ヒドロキシ酪酸(BHB)は、ケトン基は持っていないのですが、慣例上ケトン体の一種に分類されています。
インフラマソームは、炎症の要となる細胞質内タンパク質複合体で、炎症シグナルの指揮者のようなものです。
インフラマソームは、病原成分などの外来性因子やコレステロール結晶などの内在性因子により活性化され、感染症・糖尿病・動脈硬化・自己免疫疾患・虚血傷害など、様々な疾患の発症と進行に中心的役割を果たしています。
結論としては、
『ケトン体の一種であるβ-ヒドロキシ酪酸(BHB)が炎症の要となるインフラマソームを直接阻害することで炎症を抑制する』
ということです。
炎症を抑制することにより、感染症・糖尿病・動脈硬化・自己免疫疾患・虚血傷害など、様々な疾患の改善に、BHBが役に立つ可能性があることとなります。
ケトン体て本来、とてもいい奴なのですが、学術論文的にも、未来は前途洋々ですね。
☆☆☆
以下最新健康ニュースのサイトから、引用です。
http://kenkounews.rotala-wallichii.com/fasting_inflammation_bhb/
最新健康ニュース
海外の健康関連ニュース
絶食や低炭水化物食、激しい運動で炎症が抑制されるのはBHBのお陰
(2015年2月) "Nature Medicine" 誌オンライン版に掲載されたイェール大学の研究で、カロリー制限や激しい運動などによって炎症が抑制されるメカニズムの解明が進みました。 β-ヒドロキシ酪酸(BHB)という化合物が、インフラマソームと呼ばれる炎症関連の分子複合体の一部であるNLRP3を直接的に阻害していたのです。
β-ヒドロキシ酪酸(BHB)
BHBは絶食や、カロリー制限、ケトン食(炭水化物が少ないのが特徴)、高強度の運動に反応して体内で生産される代謝物です。
インフラマソームは、2型糖尿病・アテローム性動脈硬化・アルツハイマー病・自己炎症性障害などにおいて炎症応答を促進します。
研究の内容
この研究では、ヒトの細胞やマウスを用いた実験を行い、
マクロファージ(大食細胞)がケトン体に暴露されたときの反応と、その反応がインフラマソームに影響を及ぼすかどうかを調べました。
研究者は次のように述べています:
「今回の結果から、低炭水化物食を食べたり、絶食をしたり、高強度の運動をしたときに体内で生産されるBHBのような代謝物によってNLRP3を低減できる可能性が示唆されます」
(*)
http://www.nature.com/nm/journal/v21/n3/full/nm.3804.html
ARTICLE PREVIEW
NATURE MEDICINE | LETTER
The ketone metabolite β-hydroxybutyrate blocks NLRP3 inflammasome–mediated inflammatory disease
Yun-Hee Youm, Kim Y Nguyen, Ryan W Grant, Emily L Goldberg, Monica Bodogai, Dongin Kim, Dominic D'Agostino, Noah Planavsky, Christopher Lupfer, Thirumala D Kanneganti,Seokwon Kang, Tamas L Horvath, Tarek M Fahmy, Peter A Crawford, Arya Biragyn, Emad Alnemri & Vishwa Deep Dixit
AffiliationsContributionsCorresponding author
Nature Medicine 21, 263–269 (2015) doi:10.1038/nm.3804
Received 27 October 2014 Accepted 16 January 2015 Published online 16 February 2015
Re: 山田悟先生の新書を読みました。
ヘルミ さん
「血管内皮細胞を傷つける」=炎症性サイトカインによるものと思われますが、 ケトン体が抗炎症作用があることは聞いても、その逆は聞いたことがありませんね。
こちらも参考になると思います。
---------------------------------------------------------------
「絶食や低炭水化物食、激しい運動で炎症が抑制されるのはBHBのお陰」
http://kenkounews.rotala-wallichii.com/fasting_inflammation_bhb/
----------------------------------------------------------------】
こんにちは。
福助さんから、ケトン体についてとても興味深い情報をコメント頂きました。
ありがとうございます。
「絶食や低炭水化物食、激しい運動で炎症が抑制されるのはBHBのお陰」
という「最新健康ニュース」の記事の出典論文ですが、Nature Medicineという国際医学雑誌に掲載されたものです。(*)
ネイチャー・メディスンはインパクトファクターが27と高くて大変権威ある医学雑誌です。
論文によれば、β-ヒドロキシ酪酸(BHB)が、インフラマソームと呼ばれる炎症関連の分子複合体の一部であるNLRP3を直接的に阻害していたということです。
β-ヒドロキシ酪酸(BHB)は、ケトン基は持っていないのですが、慣例上ケトン体の一種に分類されています。
インフラマソームは、炎症の要となる細胞質内タンパク質複合体で、炎症シグナルの指揮者のようなものです。
インフラマソームは、病原成分などの外来性因子やコレステロール結晶などの内在性因子により活性化され、感染症・糖尿病・動脈硬化・自己免疫疾患・虚血傷害など、様々な疾患の発症と進行に中心的役割を果たしています。
結論としては、
『ケトン体の一種であるβ-ヒドロキシ酪酸(BHB)が炎症の要となるインフラマソームを直接阻害することで炎症を抑制する』
ということです。
炎症を抑制することにより、感染症・糖尿病・動脈硬化・自己免疫疾患・虚血傷害など、様々な疾患の改善に、BHBが役に立つ可能性があることとなります。
ケトン体て本来、とてもいい奴なのですが、学術論文的にも、未来は前途洋々ですね。
☆☆☆
以下最新健康ニュースのサイトから、引用です。
http://kenkounews.rotala-wallichii.com/fasting_inflammation_bhb/
最新健康ニュース
海外の健康関連ニュース
絶食や低炭水化物食、激しい運動で炎症が抑制されるのはBHBのお陰
(2015年2月) "Nature Medicine" 誌オンライン版に掲載されたイェール大学の研究で、カロリー制限や激しい運動などによって炎症が抑制されるメカニズムの解明が進みました。 β-ヒドロキシ酪酸(BHB)という化合物が、インフラマソームと呼ばれる炎症関連の分子複合体の一部であるNLRP3を直接的に阻害していたのです。
β-ヒドロキシ酪酸(BHB)
BHBは絶食や、カロリー制限、ケトン食(炭水化物が少ないのが特徴)、高強度の運動に反応して体内で生産される代謝物です。
インフラマソームは、2型糖尿病・アテローム性動脈硬化・アルツハイマー病・自己炎症性障害などにおいて炎症応答を促進します。
研究の内容
この研究では、ヒトの細胞やマウスを用いた実験を行い、
マクロファージ(大食細胞)がケトン体に暴露されたときの反応と、その反応がインフラマソームに影響を及ぼすかどうかを調べました。
研究者は次のように述べています:
「今回の結果から、低炭水化物食を食べたり、絶食をしたり、高強度の運動をしたときに体内で生産されるBHBのような代謝物によってNLRP3を低減できる可能性が示唆されます」
(*)
http://www.nature.com/nm/journal/v21/n3/full/nm.3804.html
ARTICLE PREVIEW
NATURE MEDICINE | LETTER
The ketone metabolite β-hydroxybutyrate blocks NLRP3 inflammasome–mediated inflammatory disease
Yun-Hee Youm, Kim Y Nguyen, Ryan W Grant, Emily L Goldberg, Monica Bodogai, Dongin Kim, Dominic D'Agostino, Noah Planavsky, Christopher Lupfer, Thirumala D Kanneganti,Seokwon Kang, Tamas L Horvath, Tarek M Fahmy, Peter A Crawford, Arya Biragyn, Emad Alnemri & Vishwa Deep Dixit
AffiliationsContributionsCorresponding author
Nature Medicine 21, 263–269 (2015) doi:10.1038/nm.3804
Received 27 October 2014 Accepted 16 January 2015 Published online 16 February 2015
2015年12月15日 (火)
「なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか」
江部 康二 (著)
ナツメ社
2015年5月刊行
こんばんは。
「なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか」が重版となりました。
糖質制限のしくみ、食品の選び方・食べ方がこの本1冊でわかります。
糖質制限食がなぜ糖尿病によいのか、何を避けて何を食べればよいのか、また注意すべきことは何か。
この1冊で詳しく解説します。
この本は2010年に出版した
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」の内容を刷新した新版です。
旧版は、2014年9月現在で20刷を記録し、豊富なイラストと図解が読者から好評をいただき、発売から4年が経っても増刷を続けています。
旧版以降に糖尿病の研究が大幅に進み、日本の内外で糖尿病治療に大きな変化がありました。
新版を出すに当たり、そうした変化に応じて内容を一部改めました。
江部康二
以下は、「なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか」のはじめにです。
はじめに
2013年以降、糖質制限食に関連して5つのうれしい変化がありました。
1つ目はアメリカで、糖尿病の食事療法の1つとして正式に認められたことです。これは、米国糖尿病学会が2013年10月に出した栄養療法に関する声明で発表されました。さらに同声明では「唯一無二の糖尿病食事療法はない」と明言しています。日本糖尿病学会の2013年3月の提言においては、「腎障害や脂質異常の有無に留意して・・・炭水化物の摂取比率が50%エネルギーを下回ることもありうる。」という記載もあります。しかし基本は相変わらず唯一無二のカロリー制限食(糖質50~60%)を推奨していますので、米国糖尿病学会の声明は日本糖尿病学会への痛烈な批判となっています。
また、日本腎臓病学会は「CKD治療ガイド2013」で、eGFRが60ml/分以上あれば、顕性タンパク尿の段階でも、タンパク質制限の必要なしとしました。即ち糖尿病腎症第3期でも eGFRが60ml/分以上あればタンパク質制限の必要なしなので糖質制限食も実践しやすくなりました。eGFRが60ml/分未満の場合は個別に相談して糖質制限食を導入するか否かを相談することとなります。
さらに2012年度の厚生労働省の調査で、糖尿病の患者数の増加率が激減し、予備群は調査を開始して以来、初めて減少したことが、2013年に発表されました。その背景には、2008年から2010年の調査で97年以来13年ぶりに炭水化物摂取比率が減少(60.4%→59.4%)し、97年以来13年ぶりに脂質摂取比率が上昇(24.9%→25.9%)したことがあります。ここ数年糖質制限食が急速に広まってきたことが大きな要因であることは間違いないでしょう。
4つめとして、血中ケトン体高値の安全性が確立されました。日本病態栄養学会年次学術集会(2014)において宗田哲男先生が、胎盤絨毛のケトン体値は成人基準値の20~30倍であることを報告され、ケトン体への懸念は払拭されました。
5つめとして、2014年7月の日経メディカルアンケートにおいて、回答した2263名の医師の過半数が「糖質制限」支持であることがわかりました。
こうした、糖質制限食への追い風ともいえる情報が、ここ数年続々と現れています。
この本は2010年に出版した「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」の内容を刷新した新版です。旧版は、2014年9月現在で20刷を記録し、豊富なイラストと図解が読者から好評をいただき、発売から4年が経っても増刷を続けています。
旧版を出版した当時は、「糖質」という言葉も一般的ではありませんでしたが、近年「糖質制限食」は雑誌やテレビで糖尿病の治療としてよく取り上げられ、広く認知されています。ダイエット法や健康法としてもよく聞かれるようになりました。
また、糖質オフのビールやスイーツ、パンも開発が進み、コンビニやスーパーで手軽に手に入るようになりました。糖尿人にとっては、かなり過ごしやすい環境になったのではないでしょうか。
糖質制限食の方法としては、やはりスーパーが一番のお奨めです。特に糖尿人においては、食後高血糖を生じない唯一の食事療法が「スーパー糖質制限食」です。旧版以降に糖尿病の研究が大幅に進み、日本の内外で糖尿病治療に大きな変化がありました。新版を出すに当たり、そうした変化に応じて内容を一部改めました。
基本的に糖質制限食は安全な治療法ですが、進めていく上でトラブルが起きたり、まれに不快な症状が現れたりする人もいます。それに対する解決法も示しています。糖質制限食が広まったことで出てきた批判にも返答していますから、不安や心配を払しょくし、安心して糖質制限食に取り組んでいただけます。2015年2月現在の糖質制限食の最新情報を網羅していますから、旧版や既刊を購入いただいた方にも、今回の新版はお役に立つでしょう。
本書が、糖尿人ならびに糖質セイゲニストの豊かな生活と食事の一助となりますことを、心よりお祈りします。
2015年4月
高雄病院理事長 江部康二
江部 康二 (著)
ナツメ社
2015年5月刊行
こんばんは。
「なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか」が重版となりました。
糖質制限のしくみ、食品の選び方・食べ方がこの本1冊でわかります。
糖質制限食がなぜ糖尿病によいのか、何を避けて何を食べればよいのか、また注意すべきことは何か。
この1冊で詳しく解説します。
この本は2010年に出版した
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」の内容を刷新した新版です。
旧版は、2014年9月現在で20刷を記録し、豊富なイラストと図解が読者から好評をいただき、発売から4年が経っても増刷を続けています。
旧版以降に糖尿病の研究が大幅に進み、日本の内外で糖尿病治療に大きな変化がありました。
新版を出すに当たり、そうした変化に応じて内容を一部改めました。
江部康二
以下は、「なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか」のはじめにです。
はじめに
2013年以降、糖質制限食に関連して5つのうれしい変化がありました。
1つ目はアメリカで、糖尿病の食事療法の1つとして正式に認められたことです。これは、米国糖尿病学会が2013年10月に出した栄養療法に関する声明で発表されました。さらに同声明では「唯一無二の糖尿病食事療法はない」と明言しています。日本糖尿病学会の2013年3月の提言においては、「腎障害や脂質異常の有無に留意して・・・炭水化物の摂取比率が50%エネルギーを下回ることもありうる。」という記載もあります。しかし基本は相変わらず唯一無二のカロリー制限食(糖質50~60%)を推奨していますので、米国糖尿病学会の声明は日本糖尿病学会への痛烈な批判となっています。
また、日本腎臓病学会は「CKD治療ガイド2013」で、eGFRが60ml/分以上あれば、顕性タンパク尿の段階でも、タンパク質制限の必要なしとしました。即ち糖尿病腎症第3期でも eGFRが60ml/分以上あればタンパク質制限の必要なしなので糖質制限食も実践しやすくなりました。eGFRが60ml/分未満の場合は個別に相談して糖質制限食を導入するか否かを相談することとなります。
さらに2012年度の厚生労働省の調査で、糖尿病の患者数の増加率が激減し、予備群は調査を開始して以来、初めて減少したことが、2013年に発表されました。その背景には、2008年から2010年の調査で97年以来13年ぶりに炭水化物摂取比率が減少(60.4%→59.4%)し、97年以来13年ぶりに脂質摂取比率が上昇(24.9%→25.9%)したことがあります。ここ数年糖質制限食が急速に広まってきたことが大きな要因であることは間違いないでしょう。
4つめとして、血中ケトン体高値の安全性が確立されました。日本病態栄養学会年次学術集会(2014)において宗田哲男先生が、胎盤絨毛のケトン体値は成人基準値の20~30倍であることを報告され、ケトン体への懸念は払拭されました。
5つめとして、2014年7月の日経メディカルアンケートにおいて、回答した2263名の医師の過半数が「糖質制限」支持であることがわかりました。
こうした、糖質制限食への追い風ともいえる情報が、ここ数年続々と現れています。
この本は2010年に出版した「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」の内容を刷新した新版です。旧版は、2014年9月現在で20刷を記録し、豊富なイラストと図解が読者から好評をいただき、発売から4年が経っても増刷を続けています。
旧版を出版した当時は、「糖質」という言葉も一般的ではありませんでしたが、近年「糖質制限食」は雑誌やテレビで糖尿病の治療としてよく取り上げられ、広く認知されています。ダイエット法や健康法としてもよく聞かれるようになりました。
また、糖質オフのビールやスイーツ、パンも開発が進み、コンビニやスーパーで手軽に手に入るようになりました。糖尿人にとっては、かなり過ごしやすい環境になったのではないでしょうか。
糖質制限食の方法としては、やはりスーパーが一番のお奨めです。特に糖尿人においては、食後高血糖を生じない唯一の食事療法が「スーパー糖質制限食」です。旧版以降に糖尿病の研究が大幅に進み、日本の内外で糖尿病治療に大きな変化がありました。新版を出すに当たり、そうした変化に応じて内容を一部改めました。
基本的に糖質制限食は安全な治療法ですが、進めていく上でトラブルが起きたり、まれに不快な症状が現れたりする人もいます。それに対する解決法も示しています。糖質制限食が広まったことで出てきた批判にも返答していますから、不安や心配を払しょくし、安心して糖質制限食に取り組んでいただけます。2015年2月現在の糖質制限食の最新情報を網羅していますから、旧版や既刊を購入いただいた方にも、今回の新版はお役に立つでしょう。
本書が、糖尿人ならびに糖質セイゲニストの豊かな生活と食事の一助となりますことを、心よりお祈りします。
2015年4月
高雄病院理事長 江部康二
2015年12月14日 (月)
【15/12/13 精神科医師A
栄養と料理
<文献1>
栄養と料理 2015年12月号
「血糖値をめぐる栄養学」 女子栄養大学教授 本田佳子
P82
…なぜなら、体内で脳と赤血球は 糖質を分解したブドウ糖でないと エネルギーとして利用できないからです。
それを補うためには、最低でも1日に糖質100〜130gが必要です。
<文献2>
日本人の食事摂取基準(2015)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000041824.html
◇炭水化物(P144)
ぶどう糖の必要量は少なくとも100g/日と推定され、すなわち、消化性炭水化物の最低必要量はおよそ100g/日と推定される。しかし、これは真に必要な最低量を意味するも のではない。肝臓は必要に応じて、筋肉から放出された乳酸やアミノ酸、脂肪組織から放出された グリセロールを利用して糖新生を行い、血中にぶどう糖を供給するからである。
□ □
本田佳子氏は病態栄養学会(2016年1月)の会長だが、参加する意欲は消え失せた。
食事摂取基準の内容すら理解できていないのでは、と耳を疑う。
戦前の「栄養と料理」を読んだほうがよっぽど勉強になる
http://eiyotoryoris.jp/eiyotoryori/keyword/searchArticle.do?keyword=\u7cd6\u5c3f\u75c5】
こんばんは。
精神科医師Aさんから
栄養と料理 2015年12月号における
「血糖値をめぐる栄養学」
という、女子栄養大学教授 本田佳子氏の記事について
コメントをいただきました。
ありがとうございます。
ご指摘通り、日本人の食事摂取基準(2015)では、糖新生の意味をきっちり記載しています。
国際食事エネルギーコンサルテーショングループの報告
「炭水化物(この場合は糖質とほぼ同義)の理論的な最小必要量はゼロである」(☆)
を、日本人の食事摂取基準(2015)の著者が認識しておられるのだと思います。
これに対して、本田佳子教授は、糖新生のプロセスや意味を誤解しておられるようです。
以下の茶色文字の記載をみても誤解は明らかです。
栄養と料理 2015年12月号、P82~P83 本田佳子氏の記事から引用
『――けれど、糖質をほとんど摂取しない人もいますよね。
減量にも成功しているようですが。
非常に極端な糖質制限をすると、肝臓でたんぱく質から糖質を生成します。
これを糖新生といいます。
また、体内の脂肪が分解され、エネルギーとして利用されます。
これにより体重は減少しますが、体には大きな負担がかかります。
さらに、筋肉に蓄えられているグリコーゲン(糖の一種)も減少してしまうため、強度の高い運動ができなくなってしまうのです。
また、脂肪分解のさいに肝臓からケトン体という副産物が生まれます。
脳は通常、ブドウ糖をエネルギー源としていますが、ブドウ糖が枯渇した状態では、ケトン体をエネルギーとして利用します。
しかし、ケトン体が蓄積すると血液が酸性に傾き、「ケトアシドーシス」という危険な病態に陥るのです。
ケトアシドーシスは昏睡や失神などの意識障害を引き起こし、処置が遅れると生命に危険が及びます。
さらには、極端な糖質制限を行なった場合の長期的な安全性についても確認できていません。』
普通に糖質を摂取している人でも、 睡眠時などの長時間の空腹時は、誰でも糖新生しています。
すなわち、全ての人類は、赤ちゃんも小児も大人も、誰でも毎日普通に糖新生しているのです。
糖質制限食実践中の人は、糖新生が、さらに活発になるというだけのことです。
本田教授は、糖新生が極端な糖質制限食を実践したときに生じる「特殊な現象」と考えておられるようですが、糖新生はごく「日常的な生理的活動」の一つなのです。
また、海外の論文によれば糖質制限食(ケトン食)実践により、自転車競技、テコンドー、体操などの競技において、最高強度の運動以外では、全てパフォーマンスが向上することが明らかにされています。
つまり最高強度の運動(100m競争など)だけは普通の食事のほうがいいですが、それ以外の一般的なスポーツ(低度~中等度~強度)では、スーパー糖質制限食が優位と考えられます。
ケトン体についても、本田教授は誤解しておられます。
そもそもケトン体は副産物ではなく主産物です。
そしてケトン体は、人類の日常的な主要なエネルギー源であることを強調したいと思います。
糖質を普通に食べている人においても、空腹時は「脂肪酸-ケトン体」が人体の主たるエネルギー源なのです。
インスリン作用が保たれている時の生理的ケトン体上昇は、安全です。
糖質を普通に食べている人の、血中総ケトン体の基準値は、「26~122μM/L 」くらいです。
つまり、糖質を食べている人でも、日常的に24時間血中ケトン体は存在しているわけです。
糖質摂取開始後数時間くらいまでは心筋・骨格筋の主たるエネルギー源はブドウ糖です。
食事開始後から2時間くらいまでは、身体は食事由来のブドウ糖を利用します。
2時間経過すると肝臓のグリコーゲン分解で血糖値を保ちます。
糖質摂取開始後数時間くらい経過すると、肝臓の糖新生で血糖値を保つようになりますが、その頃には心筋・骨格筋など体細胞の主たるエネルギー源は<脂肪酸-ケトン体>に切り替わっていきます。
従って糖質を摂取している人においても、夜間睡眠時とか、日中でも空腹時は、心筋・骨格筋などの主たるエネルギー源は、実はブドウ糖ではなく<脂肪酸-ケトン体>なのです。
「ケトン体の安全性」、「生理的ケトーシス」と「糖尿病ケトアシドーシス」の違いについては、2015/12/13(日)のブログ記事で詳しく説明しました。
なお、糖尿病学会推奨の「エネルギー制限食(高糖質食)」に関しても、長期的安全性や有効性を示すエビデンスは皆無ですが、本田教授はご存じないのでしょうか?
(☆)
Eur J Clin Nutr. 1999 Apr;53 Suppl 1:S177-8.
Report of the IDECG Working Group on lower and upper limits of carbohydrate and fat intake. International Dietary Energy Consultative Group.
Bier DM, Brosnan JT, Flatt JP, Hanson RW, Heird W, Hellerstein MK, Jéquier E, Kalhan S, Koletzko B, Macdonald I, Owen O, Uauy R.
江部康二
栄養と料理
<文献1>
栄養と料理 2015年12月号
「血糖値をめぐる栄養学」 女子栄養大学教授 本田佳子
P82
…なぜなら、体内で脳と赤血球は 糖質を分解したブドウ糖でないと エネルギーとして利用できないからです。
それを補うためには、最低でも1日に糖質100〜130gが必要です。
<文献2>
日本人の食事摂取基準(2015)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000041824.html
◇炭水化物(P144)
ぶどう糖の必要量は少なくとも100g/日と推定され、すなわち、消化性炭水化物の最低必要量はおよそ100g/日と推定される。しかし、これは真に必要な最低量を意味するも のではない。肝臓は必要に応じて、筋肉から放出された乳酸やアミノ酸、脂肪組織から放出された グリセロールを利用して糖新生を行い、血中にぶどう糖を供給するからである。
□ □
本田佳子氏は病態栄養学会(2016年1月)の会長だが、参加する意欲は消え失せた。
食事摂取基準の内容すら理解できていないのでは、と耳を疑う。
戦前の「栄養と料理」を読んだほうがよっぽど勉強になる
http://eiyotoryoris.jp/eiyotoryori/keyword/searchArticle.do?keyword=\u7cd6\u5c3f\u75c5】
こんばんは。
精神科医師Aさんから
栄養と料理 2015年12月号における
「血糖値をめぐる栄養学」
という、女子栄養大学教授 本田佳子氏の記事について
コメントをいただきました。
ありがとうございます。
ご指摘通り、日本人の食事摂取基準(2015)では、糖新生の意味をきっちり記載しています。
国際食事エネルギーコンサルテーショングループの報告
「炭水化物(この場合は糖質とほぼ同義)の理論的な最小必要量はゼロである」(☆)
を、日本人の食事摂取基準(2015)の著者が認識しておられるのだと思います。
これに対して、本田佳子教授は、糖新生のプロセスや意味を誤解しておられるようです。
以下の茶色文字の記載をみても誤解は明らかです。
栄養と料理 2015年12月号、P82~P83 本田佳子氏の記事から引用
『――けれど、糖質をほとんど摂取しない人もいますよね。
減量にも成功しているようですが。
非常に極端な糖質制限をすると、肝臓でたんぱく質から糖質を生成します。
これを糖新生といいます。
また、体内の脂肪が分解され、エネルギーとして利用されます。
これにより体重は減少しますが、体には大きな負担がかかります。
さらに、筋肉に蓄えられているグリコーゲン(糖の一種)も減少してしまうため、強度の高い運動ができなくなってしまうのです。
また、脂肪分解のさいに肝臓からケトン体という副産物が生まれます。
脳は通常、ブドウ糖をエネルギー源としていますが、ブドウ糖が枯渇した状態では、ケトン体をエネルギーとして利用します。
しかし、ケトン体が蓄積すると血液が酸性に傾き、「ケトアシドーシス」という危険な病態に陥るのです。
ケトアシドーシスは昏睡や失神などの意識障害を引き起こし、処置が遅れると生命に危険が及びます。
さらには、極端な糖質制限を行なった場合の長期的な安全性についても確認できていません。』
普通に糖質を摂取している人でも、 睡眠時などの長時間の空腹時は、誰でも糖新生しています。
すなわち、全ての人類は、赤ちゃんも小児も大人も、誰でも毎日普通に糖新生しているのです。
糖質制限食実践中の人は、糖新生が、さらに活発になるというだけのことです。
本田教授は、糖新生が極端な糖質制限食を実践したときに生じる「特殊な現象」と考えておられるようですが、糖新生はごく「日常的な生理的活動」の一つなのです。
また、海外の論文によれば糖質制限食(ケトン食)実践により、自転車競技、テコンドー、体操などの競技において、最高強度の運動以外では、全てパフォーマンスが向上することが明らかにされています。
つまり最高強度の運動(100m競争など)だけは普通の食事のほうがいいですが、それ以外の一般的なスポーツ(低度~中等度~強度)では、スーパー糖質制限食が優位と考えられます。
ケトン体についても、本田教授は誤解しておられます。
そもそもケトン体は副産物ではなく主産物です。
そしてケトン体は、人類の日常的な主要なエネルギー源であることを強調したいと思います。
糖質を普通に食べている人においても、空腹時は「脂肪酸-ケトン体」が人体の主たるエネルギー源なのです。
インスリン作用が保たれている時の生理的ケトン体上昇は、安全です。
糖質を普通に食べている人の、血中総ケトン体の基準値は、「26~122μM/L 」くらいです。
つまり、糖質を食べている人でも、日常的に24時間血中ケトン体は存在しているわけです。
糖質摂取開始後数時間くらいまでは心筋・骨格筋の主たるエネルギー源はブドウ糖です。
食事開始後から2時間くらいまでは、身体は食事由来のブドウ糖を利用します。
2時間経過すると肝臓のグリコーゲン分解で血糖値を保ちます。
糖質摂取開始後数時間くらい経過すると、肝臓の糖新生で血糖値を保つようになりますが、その頃には心筋・骨格筋など体細胞の主たるエネルギー源は<脂肪酸-ケトン体>に切り替わっていきます。
従って糖質を摂取している人においても、夜間睡眠時とか、日中でも空腹時は、心筋・骨格筋などの主たるエネルギー源は、実はブドウ糖ではなく<脂肪酸-ケトン体>なのです。
「ケトン体の安全性」、「生理的ケトーシス」と「糖尿病ケトアシドーシス」の違いについては、2015/12/13(日)のブログ記事で詳しく説明しました。
なお、糖尿病学会推奨の「エネルギー制限食(高糖質食)」に関しても、長期的安全性や有効性を示すエビデンスは皆無ですが、本田教授はご存じないのでしょうか?
(☆)
Eur J Clin Nutr. 1999 Apr;53 Suppl 1:S177-8.
Report of the IDECG Working Group on lower and upper limits of carbohydrate and fat intake. International Dietary Energy Consultative Group.
Bier DM, Brosnan JT, Flatt JP, Hanson RW, Heird W, Hellerstein MK, Jéquier E, Kalhan S, Koletzko B, Macdonald I, Owen O, Uauy R.
江部康二
2015年12月13日 (日)
【15/12/12 MAKI
こんばんわ
こんばんわ!!
ケトン体が人類を救う 読ませていただきました!!
江部先生のお名前が沢山出てきて改めて先生のおかげで沢山の方が救われていること感謝しています。
私はカウンセラーをしていますが、先生の糖質制限を参考にさせて頂きながら糖質制限の素晴らしさを日々感じながら仕事をさせて頂いています。
多くの方が糖質制限で心身の健康を取り戻されているんですよ。
先生の沢山の書籍のおかげですね!!
そこで先生は、子供の糖質制限についてはどう思われますか?
私の経験ですと、低血糖がある場合でも、大人は糖質制限で改善されますが、子供はある程度糖質を取らないと心か安定しない子が多いように思います。
先生どう思われますか? 】
MAKIさん
宗田哲男先生のご著書
「ケトン体が人類を救う 糖質制限でなぜ健康になるのか」
(光文社新書) 新書
が、 2015年11月17日に刊行されました。
この本を読めば、長年のケトン体に対する誤解は速やかに解消します。
ケトン体は胎児や新生児の重要なエネルギー源であることが宗田先生のご研究により明らかとなりました。
インスリン作用さえあるていど保たれていれば、ケトン体が一般的な基準値より高値でも生理的な現象であり、極めて安全です。
<ケトン体の中で、βヒドロキシ酪酸の値。>
2014年、2015年日本病態栄養学会における宗田医師らの発表。
*胎児の胎盤(絨毛間液)の平均βヒドロキシ酪酸値、平均1730μmol/L(58検体)
*新生児の血中平均βヒドロキシ酪酸値は、 平均240.4μmol/L(312例、生後4日)
*胎盤組織液の平均βヒドロキシ酪酸値は2235.0μmol/L、臍帯血は平均779.2μmol/L (分娩時60検体)
☆成人の現行の基準値は、 βヒドロキシ酪酸値は85 μmol/L以下。
このように胎児胎盤のβヒドロキシ酪酸値は、成人の基準値の20~50倍が通常の数値ということが、研究により明らかになりました。
生後4日目の新生児においても、βヒドロキシ酪酸値は成人の基準値の3倍~10倍です。
胎児や新生児においては、生理的に高値が当たり前のケトン体です。
そのケトン体高値が成人に危険ということはあり得ないと言えます。
危険という意味では、唯一「糖尿病ケトアシドーシス」だけは重篤な病状ですが、これは『インスリン作用欠落』という特殊な病態があるとき以外は発症しません。
「生理的ケトーシス」と「病理的糖尿病ケトアシドーシス」は、全く異なるということを認識しなくてはなりません。
さて子供の糖質制限食ですが、健康度を高める最も有力な方法と思います。
北九州市の三島塾の塾長である三島学氏は、希望する生徒さん達に「糖質制限食」を提供して、大きな成果をあげておられます。
*食後の眠気がなくなり、学習効果が高まる。
*偏差値が上昇。
*集中力が高まる。
*ADHD的症状が改善。
*多動が改善。
*アレルギー症状が改善
など、様々な効果が、確実に得られています。
逆に言えば、子供の様々な好ましくない症状の多くが「糖質の頻回・過剰摂取による血糖変動幅の増大」に伴う心理的不安定が元凶の可能性が高いのです。
一方、学校給食(糖質たっぷり)もありますが、教員や学校とバトルをして、給食を中止する必要まではないと思います。
しかし、子供達においても、糖質を意識して、家ではおかず中心にして先に食べて、主食を減らすとかの工夫で健康度は高まると思います。
勿論、子供達が糖質制限食をして血中ケトン体が高値となっても、上述のように「生理的ケトーシス」なので何の問題もありません。
江部康二
こんばんわ
こんばんわ!!
ケトン体が人類を救う 読ませていただきました!!
江部先生のお名前が沢山出てきて改めて先生のおかげで沢山の方が救われていること感謝しています。
私はカウンセラーをしていますが、先生の糖質制限を参考にさせて頂きながら糖質制限の素晴らしさを日々感じながら仕事をさせて頂いています。
多くの方が糖質制限で心身の健康を取り戻されているんですよ。
先生の沢山の書籍のおかげですね!!
そこで先生は、子供の糖質制限についてはどう思われますか?
私の経験ですと、低血糖がある場合でも、大人は糖質制限で改善されますが、子供はある程度糖質を取らないと心か安定しない子が多いように思います。
先生どう思われますか? 】
MAKIさん
宗田哲男先生のご著書
「ケトン体が人類を救う 糖質制限でなぜ健康になるのか」
(光文社新書) 新書
が、 2015年11月17日に刊行されました。
この本を読めば、長年のケトン体に対する誤解は速やかに解消します。
ケトン体は胎児や新生児の重要なエネルギー源であることが宗田先生のご研究により明らかとなりました。
インスリン作用さえあるていど保たれていれば、ケトン体が一般的な基準値より高値でも生理的な現象であり、極めて安全です。
<ケトン体の中で、βヒドロキシ酪酸の値。>
2014年、2015年日本病態栄養学会における宗田医師らの発表。
*胎児の胎盤(絨毛間液)の平均βヒドロキシ酪酸値、平均1730μmol/L(58検体)
*新生児の血中平均βヒドロキシ酪酸値は、 平均240.4μmol/L(312例、生後4日)
*胎盤組織液の平均βヒドロキシ酪酸値は2235.0μmol/L、臍帯血は平均779.2μmol/L (分娩時60検体)
☆成人の現行の基準値は、 βヒドロキシ酪酸値は85 μmol/L以下。
このように胎児胎盤のβヒドロキシ酪酸値は、成人の基準値の20~50倍が通常の数値ということが、研究により明らかになりました。
生後4日目の新生児においても、βヒドロキシ酪酸値は成人の基準値の3倍~10倍です。
胎児や新生児においては、生理的に高値が当たり前のケトン体です。
そのケトン体高値が成人に危険ということはあり得ないと言えます。
危険という意味では、唯一「糖尿病ケトアシドーシス」だけは重篤な病状ですが、これは『インスリン作用欠落』という特殊な病態があるとき以外は発症しません。
「生理的ケトーシス」と「病理的糖尿病ケトアシドーシス」は、全く異なるということを認識しなくてはなりません。
さて子供の糖質制限食ですが、健康度を高める最も有力な方法と思います。
北九州市の三島塾の塾長である三島学氏は、希望する生徒さん達に「糖質制限食」を提供して、大きな成果をあげておられます。
*食後の眠気がなくなり、学習効果が高まる。
*偏差値が上昇。
*集中力が高まる。
*ADHD的症状が改善。
*多動が改善。
*アレルギー症状が改善
など、様々な効果が、確実に得られています。
逆に言えば、子供の様々な好ましくない症状の多くが「糖質の頻回・過剰摂取による血糖変動幅の増大」に伴う心理的不安定が元凶の可能性が高いのです。
一方、学校給食(糖質たっぷり)もありますが、教員や学校とバトルをして、給食を中止する必要まではないと思います。
しかし、子供達においても、糖質を意識して、家ではおかず中心にして先に食べて、主食を減らすとかの工夫で健康度は高まると思います。
勿論、子供達が糖質制限食をして血中ケトン体が高値となっても、上述のように「生理的ケトーシス」なので何の問題もありません。
江部康二
2015年12月12日 (土)
こんばんは。
2015年12月3日のMEDLEYニュースに「糖質制限で糖尿病が増える?」という記事が掲載されました。
ナースズヘルススタディー(NHS)がデータベースの研究です。
the Nurses' Health Study II cohort
結論としては、
「妊娠糖尿病の病歴がある女性のうちでは、低炭水化物の食事パターンは、特に動物由来の食品からのタンパク質と脂肪の摂取量が多いときは、2型糖尿病のリスクがより高いことと関連する」
です。
5群に分けての研究です。
炭水化物摂取比率が、57.3%、52.3%、 49.6%、46.0%、42.0% の5群です。
最も炭水化物が少ない群でも42.0%の糖質を摂取していますので
1600kcal/日としても、168g/日の糖質摂取で、
1800kcal/日なら、189g/日の糖質摂取です。
従ってこの研究は130g/日以下の糖質摂取という糖質制限食の基準からは、はずれているので、表題の「糖質制限で糖尿病が増える?」ということではないですね。
つまり、低炭水化物スコアが高いといっても、糖質制限食とは無関係の研究ということになります。
本文を読んでみると、
「低炭水化物の食事パターンでも、植物由来の蛋白質と脂肪の摂取量が多いときは、2型糖尿病のリスクと関連がなかった。」
という記載もありました。
ともあれ、2015年12月11日 (金)の本ブログ記事
低炭水化物スコアと糖尿病との関連について
-「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果-
日本女性では
「低炭水化物/高動物性たんぱく質・脂質スコアが高いほど糖尿病リスクが低下」という結論とは、真逆ですね。
民族差もあるのかもしれませんが、同じコホート研究でも、日本と米国と真逆の結論となりました。
まあ、研究とはそういうものかもしれません。
江部康二
☆☆☆
以下、MEDLEYニュースのサイトから一部抜粋
MEDLEYニュース 医療ジャーナルの最新動向をわかりやすくお届け
http://medley.life/news/item/56583782e10ef3050230980a
2015年12月3日
糖質制限で糖尿病が増える?
女性4,502人のデータを解析
from Diabetes care
食べるものに糖質を少なくする低炭水化物食は、血糖値を下げるかもしれないと言われています。しかし、その作用は結果として、糖尿病の発生を減らすことに結び付くのでしょうか。食習慣の聞き取り調査をもとにした研究が行われました。
◆妊娠糖尿病を経験した女性が対象
この研究は、1991年から2011年にかけて行われた追跡調査のデータのうちで、妊娠糖尿病と診断された女性を対象として、その後2型糖尿病が発生したかどうかを調べました。
2型糖尿病は生活習慣を主な原因とするタイプの糖尿病です。妊娠糖尿病は、妊娠によって血糖値が高くなった状態で、2型糖尿病の基準を満たさない場合もあり、出産後には正常に戻ることが多いとされます。
妊娠糖尿病の経験がある女性4,502人が対象となり、質問票で聞き取られた食事の内容と、その後の2型糖尿病発症の関連について、統計解析が行われました。
◆肉が多い低炭水化物食で糖尿病が増える?
次の結果が得られました。
2型糖尿病の多変量調整ハザード比は、スコアが最も低い五分位群と最も高い五分位群の比較で、LCDの総スコアについて1.36(1.04-1.78、Ptrend=0.003)、動物LCDスコアについて1.40(1.06-1.84、Ptrend=0.004)、植物LCDスコアについて1.19(0.91-1.55、Ptrend=0.50)だった。
食事内容が低炭水化物食のパターンに当てはまる度合いが高かった人は、2型糖尿病の発症が多くなっていました。
研究班は「妊娠糖尿病の病歴がある女性のうちでは、低炭水化物の食事パターンは、特に動物由来の食品からのタンパク質と脂肪の摂取量が多いときは、2型糖尿病のリスクがより高いことと関連する」と述べています。
低炭水化物食が健康のために勧められるかどうかは、まだ検証の過程にあります。この研究のほかに、良い影響を報告した研究もありますが、安易に受け取るのではなく、さまざまな角度の情報をあわせて読み解く必要があるのかもしれません。
◆参照文献
Low-Carbohydrate-Diet Scores and Long-term Risk of Type 2 Diabetes Among Women With a History of Gestational Diabetes: A Prospective Cohort Study.
Diabetes Care. 2015 Nov 17
2015年12月3日のMEDLEYニュースに「糖質制限で糖尿病が増える?」という記事が掲載されました。
ナースズヘルススタディー(NHS)がデータベースの研究です。
the Nurses' Health Study II cohort
結論としては、
「妊娠糖尿病の病歴がある女性のうちでは、低炭水化物の食事パターンは、特に動物由来の食品からのタンパク質と脂肪の摂取量が多いときは、2型糖尿病のリスクがより高いことと関連する」
です。
5群に分けての研究です。
炭水化物摂取比率が、57.3%、52.3%、 49.6%、46.0%、42.0% の5群です。
最も炭水化物が少ない群でも42.0%の糖質を摂取していますので
1600kcal/日としても、168g/日の糖質摂取で、
1800kcal/日なら、189g/日の糖質摂取です。
従ってこの研究は130g/日以下の糖質摂取という糖質制限食の基準からは、はずれているので、表題の「糖質制限で糖尿病が増える?」ということではないですね。
つまり、低炭水化物スコアが高いといっても、糖質制限食とは無関係の研究ということになります。
本文を読んでみると、
「低炭水化物の食事パターンでも、植物由来の蛋白質と脂肪の摂取量が多いときは、2型糖尿病のリスクと関連がなかった。」
という記載もありました。
ともあれ、2015年12月11日 (金)の本ブログ記事
低炭水化物スコアと糖尿病との関連について
-「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果-
日本女性では
「低炭水化物/高動物性たんぱく質・脂質スコアが高いほど糖尿病リスクが低下」という結論とは、真逆ですね。
民族差もあるのかもしれませんが、同じコホート研究でも、日本と米国と真逆の結論となりました。
まあ、研究とはそういうものかもしれません。
江部康二
☆☆☆
以下、MEDLEYニュースのサイトから一部抜粋
MEDLEYニュース 医療ジャーナルの最新動向をわかりやすくお届け
http://medley.life/news/item/56583782e10ef3050230980a
2015年12月3日
糖質制限で糖尿病が増える?
女性4,502人のデータを解析
from Diabetes care
食べるものに糖質を少なくする低炭水化物食は、血糖値を下げるかもしれないと言われています。しかし、その作用は結果として、糖尿病の発生を減らすことに結び付くのでしょうか。食習慣の聞き取り調査をもとにした研究が行われました。
◆妊娠糖尿病を経験した女性が対象
この研究は、1991年から2011年にかけて行われた追跡調査のデータのうちで、妊娠糖尿病と診断された女性を対象として、その後2型糖尿病が発生したかどうかを調べました。
2型糖尿病は生活習慣を主な原因とするタイプの糖尿病です。妊娠糖尿病は、妊娠によって血糖値が高くなった状態で、2型糖尿病の基準を満たさない場合もあり、出産後には正常に戻ることが多いとされます。
妊娠糖尿病の経験がある女性4,502人が対象となり、質問票で聞き取られた食事の内容と、その後の2型糖尿病発症の関連について、統計解析が行われました。
◆肉が多い低炭水化物食で糖尿病が増える?
次の結果が得られました。
2型糖尿病の多変量調整ハザード比は、スコアが最も低い五分位群と最も高い五分位群の比較で、LCDの総スコアについて1.36(1.04-1.78、Ptrend=0.003)、動物LCDスコアについて1.40(1.06-1.84、Ptrend=0.004)、植物LCDスコアについて1.19(0.91-1.55、Ptrend=0.50)だった。
食事内容が低炭水化物食のパターンに当てはまる度合いが高かった人は、2型糖尿病の発症が多くなっていました。
研究班は「妊娠糖尿病の病歴がある女性のうちでは、低炭水化物の食事パターンは、特に動物由来の食品からのタンパク質と脂肪の摂取量が多いときは、2型糖尿病のリスクがより高いことと関連する」と述べています。
低炭水化物食が健康のために勧められるかどうかは、まだ検証の過程にあります。この研究のほかに、良い影響を報告した研究もありますが、安易に受け取るのではなく、さまざまな角度の情報をあわせて読み解く必要があるのかもしれません。
◆参照文献
Low-Carbohydrate-Diet Scores and Long-term Risk of Type 2 Diabetes Among Women With a History of Gestational Diabetes: A Prospective Cohort Study.
Diabetes Care. 2015 Nov 17
2015年12月11日 (金)
こんにちは。
国立がん研究センターがん予防・検診研究センターの多目的コホート研究(JPHC Study)
低炭水化物スコアと糖尿病との関連について
-「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果-
が、PLoS One 2015年2月号に掲載されました。(*)
その結論は、
「女性で低炭水化物スコアが高いほど糖尿病発症のリスクが低下」
です。
少なくとも日本においては、低炭水化物食であるほど糖尿病発症リスクが低いということです。
高炭水化物群に比し、もっとも低炭水化物群では、糖尿病発症リスクが、4割低下していました。
さらに
「低炭水化物/高動物性たんぱく質・脂質スコアが高いほど糖尿病リスクが低下」
です。
動物性たんぱく質・脂質スコアが高いほど糖尿病リスクが低下ですから、肉や魚や卵をしっかり摂取する糖質制限食には、大きな追い風となる研究結果でした。
(*)PLoS One 2015年2月19;10(2):e0118377
Low-Carbohydrate Diet and Type 2 Diabetes Risk in Japanese Men and Women:
The Japan Public Health Center-Based Prospective Study
Akiko Nanri ,Tetsuya Mizoue,Kayo Kurotani,Atsushi Goto,Shino Oba,Mitsuhiko Noda,Norie Sawada,Shoichiro Tsugane,for the Japan Public Health Center-Based Prospective Study Group
江部康二
☆☆☆以下国立がん研究センターがん予防・検診研究センターのサイトから一部抜粋
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3540.html
多目的コホート研究(JPHC Study)
低炭水化物スコアと糖尿病との関連について
-「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果-
私たちは、いろいろな生活習慣と、がん・脳卒中・心筋梗塞などの病気との関係を明らかにし、日本人の生活習慣病予防や健康寿命の延伸に役立てるための研究を行っています。平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、東京都葛飾区、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古、大阪府吹田の11保健所(呼称は2015年現在)管内にお住まいだった40~69歳の方々のうち、ベースラインおよび研究開始から5年後に行った調査時に糖尿病やがん、循環器疾患になっていなかった男女約6万名を、5年間追跡した調査結果にもとづいて、低炭水化物スコアと糖尿病発症との関連を調べた結果を、専門誌で論文発表しましたので紹介します(PLoS One 2015年2月19;10(2):e0118377)。
炭水化物、たんぱく質、脂質の三大栄養素は、例えば、炭水化物の摂取が多ければ、たんぱく質や脂質の摂取が少ないため、それぞれの栄養素について検討するよりも、3つの栄養素のバランスや食事全体として考える必要があります。そこで、アメリカのHaltonらが開発した炭水化物、たんぱく質、脂質の摂取量に基づき算出した『低炭水化物スコア』を用いて、糖尿病発症との関連を検討しました。
女性で低炭水化物スコアが高いほど糖尿病発症のリスクが低下
研究開始から5年後に行ったアンケート調査の結果を用いて、三大栄養素(炭水化物、たんぱく質、脂質)の摂取量により、低炭水化物スコアを算出しました。このスコアを5つのグループに分類し、その後5年間の糖尿病発症(男性691人、女性500人)との関連を調べました。糖尿病の発症は、研究開始10年後に行った自記式調査で、上記追跡期間内に糖尿病と診断されたことがある場合としました。
その結果、女性では低炭水化物スコアが高い(炭水化物の摂取が少なく、たんぱく質および脂質の摂取が多い)ほど糖尿病発症のリスクが低下する傾向が認められ、スコアが最も低い群に比べ最も高い群では糖尿病のリスクが約4割低下していました(図1)。一方、男性では低炭水化物スコアと糖尿病発症との関連はみられませんでした。
低炭水化物/高動物性たんぱく質・脂質スコアが高いほど糖尿病リスクが低下
次に、たんぱく質および脂質を動物性由来または植物性由来に分けて低炭水化物スコアを算出し分析したところ、女性において、低炭水化物/高動物性たんぱく質・脂質スコアが高いほど糖尿病のリスクが低下していました(図2)。低炭水化物/高植物性たんぱく質・脂質スコアは、統計学的に有意ではありませんが、男女ともこのスコアが高くなるほど糖尿病のリスクが低くなる傾向がみられました。
今回の研究では、女性において、低炭水化物スコアが高いほど糖尿病発症のリスクが低下するという結果が得られました。この関連は、食事のGL(グリセミック負荷:食事の中で摂取される炭水化物の質と量を示す指標)を調整することで弱まったことから、炭水化物の質や量が重要であると考えられます。
これまでに、低炭水化物スコアと糖尿病発症との関連を検討した前向き研究は欧米の2研究のみですが、一致した結果は得られていません。その理由としては、炭水化物の摂取量や供給源が日本人と欧米人で異なることが考えられます。
日本人は、GI(グリセミック指数:炭水化物の食後血糖値の上昇能を示す指標)が高い白米の摂取が多いため、食事のGLが高い傾向にあります。米飯や食事のGLは糖尿病発症との関連が報告されていることから、本研究では低炭水化物スコアが高い(炭水化物、あるいは白米の摂取が少ない)群ほど糖尿病リスクが低下したと考えられます。
本研究では、女性で、低炭水化物/高動物性たんぱく質・脂質スコアが高いほど糖尿病のリスクが低下していましたが、これは魚の摂取によるものかもしれません。魚や魚に豊富に含まれるn-3系多価不飽和脂肪酸やビタミンDは糖尿病のリスク低下との関連が報告されています。
また、男女ともに統計学的に有意な結果ではありませんが、低炭水化物/高植物性たんぱく質・脂質スコアで糖尿病のリスクが低くなる傾向がみられたことは、植物性食品に豊富なαリノレン酸やリノール酸摂取による糖代謝への好ましい効果が考えられます。
しかしながら、前者のスコアは欧米の研究とは異なる結果、低炭水化物スコアと糖尿病との関連については研究が少ないことから、さらなる検討が必要です。
国立がん研究センターがん予防・検診研究センターの多目的コホート研究(JPHC Study)
低炭水化物スコアと糖尿病との関連について
-「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果-
が、PLoS One 2015年2月号に掲載されました。(*)
その結論は、
「女性で低炭水化物スコアが高いほど糖尿病発症のリスクが低下」
です。
少なくとも日本においては、低炭水化物食であるほど糖尿病発症リスクが低いということです。
高炭水化物群に比し、もっとも低炭水化物群では、糖尿病発症リスクが、4割低下していました。
さらに
「低炭水化物/高動物性たんぱく質・脂質スコアが高いほど糖尿病リスクが低下」
です。
動物性たんぱく質・脂質スコアが高いほど糖尿病リスクが低下ですから、肉や魚や卵をしっかり摂取する糖質制限食には、大きな追い風となる研究結果でした。
(*)PLoS One 2015年2月19;10(2):e0118377
Low-Carbohydrate Diet and Type 2 Diabetes Risk in Japanese Men and Women:
The Japan Public Health Center-Based Prospective Study
Akiko Nanri ,Tetsuya Mizoue,Kayo Kurotani,Atsushi Goto,Shino Oba,Mitsuhiko Noda,Norie Sawada,Shoichiro Tsugane,for the Japan Public Health Center-Based Prospective Study Group
江部康二
☆☆☆以下国立がん研究センターがん予防・検診研究センターのサイトから一部抜粋
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3540.html
多目的コホート研究(JPHC Study)
低炭水化物スコアと糖尿病との関連について
-「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果-
私たちは、いろいろな生活習慣と、がん・脳卒中・心筋梗塞などの病気との関係を明らかにし、日本人の生活習慣病予防や健康寿命の延伸に役立てるための研究を行っています。平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、東京都葛飾区、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古、大阪府吹田の11保健所(呼称は2015年現在)管内にお住まいだった40~69歳の方々のうち、ベースラインおよび研究開始から5年後に行った調査時に糖尿病やがん、循環器疾患になっていなかった男女約6万名を、5年間追跡した調査結果にもとづいて、低炭水化物スコアと糖尿病発症との関連を調べた結果を、専門誌で論文発表しましたので紹介します(PLoS One 2015年2月19;10(2):e0118377)。
炭水化物、たんぱく質、脂質の三大栄養素は、例えば、炭水化物の摂取が多ければ、たんぱく質や脂質の摂取が少ないため、それぞれの栄養素について検討するよりも、3つの栄養素のバランスや食事全体として考える必要があります。そこで、アメリカのHaltonらが開発した炭水化物、たんぱく質、脂質の摂取量に基づき算出した『低炭水化物スコア』を用いて、糖尿病発症との関連を検討しました。
女性で低炭水化物スコアが高いほど糖尿病発症のリスクが低下
研究開始から5年後に行ったアンケート調査の結果を用いて、三大栄養素(炭水化物、たんぱく質、脂質)の摂取量により、低炭水化物スコアを算出しました。このスコアを5つのグループに分類し、その後5年間の糖尿病発症(男性691人、女性500人)との関連を調べました。糖尿病の発症は、研究開始10年後に行った自記式調査で、上記追跡期間内に糖尿病と診断されたことがある場合としました。
その結果、女性では低炭水化物スコアが高い(炭水化物の摂取が少なく、たんぱく質および脂質の摂取が多い)ほど糖尿病発症のリスクが低下する傾向が認められ、スコアが最も低い群に比べ最も高い群では糖尿病のリスクが約4割低下していました(図1)。一方、男性では低炭水化物スコアと糖尿病発症との関連はみられませんでした。
低炭水化物/高動物性たんぱく質・脂質スコアが高いほど糖尿病リスクが低下
次に、たんぱく質および脂質を動物性由来または植物性由来に分けて低炭水化物スコアを算出し分析したところ、女性において、低炭水化物/高動物性たんぱく質・脂質スコアが高いほど糖尿病のリスクが低下していました(図2)。低炭水化物/高植物性たんぱく質・脂質スコアは、統計学的に有意ではありませんが、男女ともこのスコアが高くなるほど糖尿病のリスクが低くなる傾向がみられました。
今回の研究では、女性において、低炭水化物スコアが高いほど糖尿病発症のリスクが低下するという結果が得られました。この関連は、食事のGL(グリセミック負荷:食事の中で摂取される炭水化物の質と量を示す指標)を調整することで弱まったことから、炭水化物の質や量が重要であると考えられます。
これまでに、低炭水化物スコアと糖尿病発症との関連を検討した前向き研究は欧米の2研究のみですが、一致した結果は得られていません。その理由としては、炭水化物の摂取量や供給源が日本人と欧米人で異なることが考えられます。
日本人は、GI(グリセミック指数:炭水化物の食後血糖値の上昇能を示す指標)が高い白米の摂取が多いため、食事のGLが高い傾向にあります。米飯や食事のGLは糖尿病発症との関連が報告されていることから、本研究では低炭水化物スコアが高い(炭水化物、あるいは白米の摂取が少ない)群ほど糖尿病リスクが低下したと考えられます。
本研究では、女性で、低炭水化物/高動物性たんぱく質・脂質スコアが高いほど糖尿病のリスクが低下していましたが、これは魚の摂取によるものかもしれません。魚や魚に豊富に含まれるn-3系多価不飽和脂肪酸やビタミンDは糖尿病のリスク低下との関連が報告されています。
また、男女ともに統計学的に有意な結果ではありませんが、低炭水化物/高植物性たんぱく質・脂質スコアで糖尿病のリスクが低くなる傾向がみられたことは、植物性食品に豊富なαリノレン酸やリノール酸摂取による糖代謝への好ましい効果が考えられます。
しかしながら、前者のスコアは欧米の研究とは異なる結果、低炭水化物スコアと糖尿病との関連については研究が少ないことから、さらなる検討が必要です。
2015年12月10日 (木)
こんにちは。
以前、糖質制限ドットコムより、糖質制限エクストラバージンオリーブオイルドレッシングが新発売とご紹介しました。
EXVオリーブオイルドレッシング

その後、販売好調で大人気とのことなので、紹介した私としても嬉しい限りです(^^)
お買い上げ頂いたブログ読者の皆さん、ありがとうございますm(__)m
さて、糖質制限ドットコムのドレッシングと言いますと、以前に紹介した糖質制限サウザンアイランドドレッシングと糖質制限万能ごまドレッシングが販売されていますが、今回はオリーブオイルを使ったサッパリとしたドレッシングです。
糖質制限でドレッシングと云えば、ある意味鬼門でもありました(^_^;)
例えば、サラダバーのあるファミリーレストランでしたら、自分でドレッシングを選べるのでまだいいのですが、普通のお店ですとサラダを頼むと否応なしにドレッシングが掛って出てきます(T_T)
特に業務用のドレッシングを使っているレストランなどは、砂糖たっぷりのドレッシングを使ってる場合が多いです。
なので私は、サラダを注文したときなど、砂糖たっぷりの甘いドレッシングは断って、マヨネーズを持ってきてもらいます。
ですが、正直なところ、マヨネーズばかりでは流石に飽きてきます(^_^;)
そこで、私が行きつけにしているスペイン料理屋のカフェ・ハルディンのドレッシングを糖質制限で、しかも持ち運びできるサイズで作って欲しいとあらてつさんに依頼したところ、宮本マスターがレシピを提供してくださいました。
宮本マスターのレシピに市販の為の改良を加えて完成したのがこの EXVオリーブオイルドレッシング です。
ベースになったオイルは、モリドル社のエクストラヴァージンオリーブオイルです。
モリドル社のエクストラヴァージンオリーブオイルは、これまで何度もブログでご紹介している、混ざりっけ無しの100%エクストラバージンオリーブオイルです。
スペイン産エクストラバージンオリーブオイル モリドルオリーブオイル
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3378.html
このモリドルオリーブオイルの風味を活かしつつ、100mlあたりの糖質が2.8gとドレッシングとしては驚異的な数値に抑えてくれていますので、糖質セイゲニストとしては嬉しい限りです(^o^)
しかも、これまでの糖質制限サウザンアイランドドレッシングと糖質制限万能ごまドレッシングは500mlでしたが、この糖質制限EXVオリーブオイルドレッシングは200mlなので、持ち運びにも便利。
外食するときに持って行けるので、もうマヨネーズで我慢する必要はないですね(^^)
年末年始、忘年会新年会など外で食べる機会が多くなります。
私、江部康二行きつけの糖質制限スペインレストラン、カフェ・ハルディンの宮本マスター考案、モリドルオリーブオイルを贅沢に使った糖質制限EXVオリーブオイルドレッシング、糖質制限セイゲニスト皆さん、ぜひ一度お試しあれ。
江部康二
詳細&お求めはこちらから。
糖質制限EXVオリーブオイルドレッシング
http://www.toushitsuseigen.com/products/detail119.html

カフェ・ハルディン
京都市右京区鳴滝本町77
TEL:075(464)8850
http://www008.upp.so-net.ne.jp/cafejardin/
定休日 火曜・第三月曜日
以前、糖質制限ドットコムより、糖質制限エクストラバージンオリーブオイルドレッシングが新発売とご紹介しました。
EXVオリーブオイルドレッシング

その後、販売好調で大人気とのことなので、紹介した私としても嬉しい限りです(^^)
お買い上げ頂いたブログ読者の皆さん、ありがとうございますm(__)m
さて、糖質制限ドットコムのドレッシングと言いますと、以前に紹介した糖質制限サウザンアイランドドレッシングと糖質制限万能ごまドレッシングが販売されていますが、今回はオリーブオイルを使ったサッパリとしたドレッシングです。
糖質制限でドレッシングと云えば、ある意味鬼門でもありました(^_^;)
例えば、サラダバーのあるファミリーレストランでしたら、自分でドレッシングを選べるのでまだいいのですが、普通のお店ですとサラダを頼むと否応なしにドレッシングが掛って出てきます(T_T)
特に業務用のドレッシングを使っているレストランなどは、砂糖たっぷりのドレッシングを使ってる場合が多いです。
なので私は、サラダを注文したときなど、砂糖たっぷりの甘いドレッシングは断って、マヨネーズを持ってきてもらいます。
ですが、正直なところ、マヨネーズばかりでは流石に飽きてきます(^_^;)
そこで、私が行きつけにしているスペイン料理屋のカフェ・ハルディンのドレッシングを糖質制限で、しかも持ち運びできるサイズで作って欲しいとあらてつさんに依頼したところ、宮本マスターがレシピを提供してくださいました。
宮本マスターのレシピに市販の為の改良を加えて完成したのがこの EXVオリーブオイルドレッシング です。
ベースになったオイルは、モリドル社のエクストラヴァージンオリーブオイルです。
モリドル社のエクストラヴァージンオリーブオイルは、これまで何度もブログでご紹介している、混ざりっけ無しの100%エクストラバージンオリーブオイルです。
スペイン産エクストラバージンオリーブオイル モリドルオリーブオイル
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3378.html
このモリドルオリーブオイルの風味を活かしつつ、100mlあたりの糖質が2.8gとドレッシングとしては驚異的な数値に抑えてくれていますので、糖質セイゲニストとしては嬉しい限りです(^o^)
しかも、これまでの糖質制限サウザンアイランドドレッシングと糖質制限万能ごまドレッシングは500mlでしたが、この糖質制限EXVオリーブオイルドレッシングは200mlなので、持ち運びにも便利。
外食するときに持って行けるので、もうマヨネーズで我慢する必要はないですね(^^)
年末年始、忘年会新年会など外で食べる機会が多くなります。
私、江部康二行きつけの糖質制限スペインレストラン、カフェ・ハルディンの宮本マスター考案、モリドルオリーブオイルを贅沢に使った糖質制限EXVオリーブオイルドレッシング、糖質制限セイゲニスト皆さん、ぜひ一度お試しあれ。
江部康二
詳細&お求めはこちらから。
糖質制限EXVオリーブオイルドレッシング
http://www.toushitsuseigen.com/products/detail119.html

カフェ・ハルディン
京都市右京区鳴滝本町77
TEL:075(464)8850
http://www008.upp.so-net.ne.jp/cafejardin/
定休日 火曜・第三月曜日
糖質制限食・ダイエット食の通信販売|糖質制限ドットコム
糖質制限ドットコムは、糖質制限食の第一人者、高雄病院、江部康二先生監修による糖質オフな食材を販売、糖質制限食に取り組む皆様をサポートします。
2015年12月09日 (水)
おはようございます。
「糖尿病・肥満を克服する高雄病院の糖質制限給食」
江部康二著、講談社
2012年4月刊行
が、第16刷となりました。
これで累計6万部になります。
順調な増刷で嬉しい限りです。
これも、ブログ読者の皆さんのおかげです。
ありがとうございます。
過去約600人の入院糖尿病患者さんに供給して、血糖コントロールに画期的な実績を上げてきた、高雄病院の「糖質制限」給食。
余すことなく、1ヶ月間、31日分の日替わりメニューのレシピをを写真付きで紹介しました。
講談社・編集の谷山涼葉さんによれば、
『高雄病院の「糖質制限」給食こそは、日本の糖質制限食の王道です。』
この発言にすっかり乗せられてその気になって、本書が企画されました。
高雄病院栄養課には、部長の橋本眞由美さんをはじめ、全面的にお世話になり感謝です。
現在、入院糖尿病患者さんだけでなく、外来通院糖尿病患者さんにも、昼食に高雄病院の「糖質制限」給食(予約が必要です)を提供しています。
本書の特徴は、各項目を読みやすい文字数に簡略にまとめて、糖質制限食の理論や疫学研究を紹介してあることです。
最新の糖質制限食基礎知識が、さくさくと手に入ると思います。
もう一つ、私、江部康二の一週間の糖質制限食ライフ(朝食、昼食、夕食)が取り上げられているのも特徴です。
外食、自宅での食事、アルコールなど密着取材して記載しています。
取材は自分自身で、講演旅行のときも、手帳にメモをとって記録しました。
患者さんの体験談も男女それぞれ、載せさせていただきました。
K・Kさん、井上和子さん、ありがとうございました。
糖質制限食最新の基礎知識と高雄病院のレシピを、本書1冊で得ることができます。
是非、ご一読いただけば幸いです。
江部康二
☆☆☆
『高雄病院の「糖質制限」給食』の表紙裏から以下転載
従来の糖尿病食(糖質60%)を実践する限りは、食後高血糖が必ず生じます。
そのため、食事療法・運動・服薬・インスリン注射などを行っているにもかかわらず、糖尿病腎症による腎不全で人工透析になる方が、年間16271人もおられます。
本書の「スーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)」を実行すれば、薬に頼ることなく、速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
高雄病院理事長 江部康二
☆☆☆
『高雄病院の「糖質制限」給食』のイントロから以下転載
<糖質制限食は人類の健康食>
糖質制限食は、高雄病院で1999年から日本で初めて開始した食事療法です。
わかりやすく言うと米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの糖質が多い食品を食べないで、肉や魚貝や豆腐や葉野菜などをしっかり摂取する食事療法です。
糖質制限食というと変わった食事というイメージなのですが、実は人類本来の自然な食事なのです。
人類が誕生したのが約700万年前で、農耕が始まるまでは、生業は狩猟・採集であり、全ての人類が糖質制限食でした。
約10000年前に農耕が始まり、主食が穀物へと変化し、現在まで続いています。
即ち穀物を主食としたのは、人類の歴史の中でわずか1/700の期間に過ぎません。
このように歴史的に進化の過程をみると「糖質制限食」と「穀物を主食とする高糖質食」、どちらが人類にとって自然な食事なのかはいうまでもありません。
糖質制限食は、人類本来の食事、いわば人類の健康食ですので、糖尿病や肥満をはじめとして様々な生活習慣病が改善していきます。
しかも糖質制限食は、糖質を抜くだけで脂質やタンパク質はOKなので「美味しく楽しく」続けられるのが特長です。
またお酒も蒸留酒や辛口のワインや糖質ゼロ発泡酒ならOKなので、糖質制限食を足かけ10年続けている私にとっても、とても嬉しい食事療法なのです。
本書ではその効果を高雄病院の12年以上の経験、1500人以上の治療実績をもとに、糖尿病・肥満・生活習慣病について解説し、レシピを紹介しました。
さらに最近は糖質制限食OKのスイーツ、お好み焼きなども開発され、下戸のかたにも手厚くフォローできるようになりました。
「糖尿病・肥満を克服する高雄病院の糖質制限給食」
江部康二著、講談社
2012年4月刊行
が、第16刷となりました。
これで累計6万部になります。
順調な増刷で嬉しい限りです。
これも、ブログ読者の皆さんのおかげです。
ありがとうございます。
過去約600人の入院糖尿病患者さんに供給して、血糖コントロールに画期的な実績を上げてきた、高雄病院の「糖質制限」給食。
余すことなく、1ヶ月間、31日分の日替わりメニューのレシピをを写真付きで紹介しました。
講談社・編集の谷山涼葉さんによれば、
『高雄病院の「糖質制限」給食こそは、日本の糖質制限食の王道です。』
この発言にすっかり乗せられてその気になって、本書が企画されました。
高雄病院栄養課には、部長の橋本眞由美さんをはじめ、全面的にお世話になり感謝です。
現在、入院糖尿病患者さんだけでなく、外来通院糖尿病患者さんにも、昼食に高雄病院の「糖質制限」給食(予約が必要です)を提供しています。
本書の特徴は、各項目を読みやすい文字数に簡略にまとめて、糖質制限食の理論や疫学研究を紹介してあることです。
最新の糖質制限食基礎知識が、さくさくと手に入ると思います。
もう一つ、私、江部康二の一週間の糖質制限食ライフ(朝食、昼食、夕食)が取り上げられているのも特徴です。
外食、自宅での食事、アルコールなど密着取材して記載しています。
取材は自分自身で、講演旅行のときも、手帳にメモをとって記録しました。
患者さんの体験談も男女それぞれ、載せさせていただきました。
K・Kさん、井上和子さん、ありがとうございました。
糖質制限食最新の基礎知識と高雄病院のレシピを、本書1冊で得ることができます。
是非、ご一読いただけば幸いです。
江部康二
☆☆☆
『高雄病院の「糖質制限」給食』の表紙裏から以下転載
従来の糖尿病食(糖質60%)を実践する限りは、食後高血糖が必ず生じます。
そのため、食事療法・運動・服薬・インスリン注射などを行っているにもかかわらず、糖尿病腎症による腎不全で人工透析になる方が、年間16271人もおられます。
本書の「スーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)」を実行すれば、薬に頼ることなく、速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
高雄病院理事長 江部康二
☆☆☆
『高雄病院の「糖質制限」給食』のイントロから以下転載
<糖質制限食は人類の健康食>
糖質制限食は、高雄病院で1999年から日本で初めて開始した食事療法です。
わかりやすく言うと米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの糖質が多い食品を食べないで、肉や魚貝や豆腐や葉野菜などをしっかり摂取する食事療法です。
糖質制限食というと変わった食事というイメージなのですが、実は人類本来の自然な食事なのです。
人類が誕生したのが約700万年前で、農耕が始まるまでは、生業は狩猟・採集であり、全ての人類が糖質制限食でした。
約10000年前に農耕が始まり、主食が穀物へと変化し、現在まで続いています。
即ち穀物を主食としたのは、人類の歴史の中でわずか1/700の期間に過ぎません。
このように歴史的に進化の過程をみると「糖質制限食」と「穀物を主食とする高糖質食」、どちらが人類にとって自然な食事なのかはいうまでもありません。
糖質制限食は、人類本来の食事、いわば人類の健康食ですので、糖尿病や肥満をはじめとして様々な生活習慣病が改善していきます。
しかも糖質制限食は、糖質を抜くだけで脂質やタンパク質はOKなので「美味しく楽しく」続けられるのが特長です。
またお酒も蒸留酒や辛口のワインや糖質ゼロ発泡酒ならOKなので、糖質制限食を足かけ10年続けている私にとっても、とても嬉しい食事療法なのです。
本書ではその効果を高雄病院の12年以上の経験、1500人以上の治療実績をもとに、糖尿病・肥満・生活習慣病について解説し、レシピを紹介しました。
さらに最近は糖質制限食OKのスイーツ、お好み焼きなども開発され、下戸のかたにも手厚くフォローできるようになりました。
2015年12月08日 (火)
こんにちは。
麻疹ワクチンはインフルエンザワクチンと違って、明確に感染防御にも流行予防にも有効です。
今回は、麻疹とインフルエンザの違いと、ワクチンの有効性の違いを検討してみます。
まず、厚生労働症のサイト(*)を読んでみました。
それによると、平成19・20年に10~20代を中心に大きな流行がみられましたが、平成20年より5年間、中学1年相当、高校3年相当の年代に2回目の麻しんワクチン接種を受ける機会を設けたことなどで、平成21年以降10~20代の患者数は激減しました。
またウイルス分離・検出状況からは、平成22年11月以降は海外由来型のみであり、平成19・20年に国内で大流行の原因となった遺伝子型D5は見られません。
平成27年3月27日、世界保健機関西太平洋地域事務局により、日本が麻しんの排除状態にあることが認定されました。
つまり、麻疹ワクチンを2回摂取することを徹底した結果、平成22年11月以降は、日本発の麻疹は消滅したわけで、劇的な効果を示しています。
そして、平成27年3月27日、WHOにより「日本が麻疹の排除状態」にあることが認定されたわけです。
毎年、流行を繰り返しているインフルエンザに対して、毎年インフルエンザワクチンを多くの日本人が接種していますが、流行は防げていません。
麻疹ワクチンとインフルエンザワクチンは、何が違うのでしょう?
麻疹ワクチンもインフルエンザワクチンも、IgG抗体は作るけれど、粘膜面のIgA抗体は作れませんので、粘膜表面での感染防御は困難なのは同一なのに、何故効果にこれほどの差があるのでしょう?
検討してみます。
インフルエンザワクチンを注射することにより、IgG抗体が血液・体液中に産生されますが、粘膜面を防御しているIgA抗体は全くできません。
従って、インフルエンザウィルスが、咽や鼻の粘膜を突破して細胞内に侵入した後(感染が成立した後)、はじめてIgG抗体がかけつけて戦うことになります。
普通のインフルエンザウィルス(弱毒型)は、呼吸器と消化器でだけ生存できて、血中には入れません。
鳥インフルエンザの変異した強毒型(今のところなし)が危険なのは、血中に侵入できて、全身にウィルスがばらまかれるからです。
つまり血中に侵入した強毒型インフルエンザウィルスは、脳にも侵入してインフルエンザ脳炎を生じ得るので危険なのです。
従って強毒型インフルエンザウィルスに対しては、IgG抗体をつくる今のインフルエンザワクチンが一定有効な可能性がありますが、
普通の弱毒型インフルエンザウィルスには、現行のインフルエンザワクチンは、感染防御に関しては、効果は期待できませんし、流行予防も困難なのです。
麻疹は、麻疹ウイルスへの曝露から、発症まで7~14日間程度かかります。
その後カタル期(口腔粘膜症状と37~38度前後の風邪症状)が3~4日間続き、いったん解熱したあと半日で39~40度の発熱と全身の発疹がでます。
麻疹ウィルスが口腔粘膜から血中に入って全身にばらまかれるので、カタル期のあと「39~40度の発熱と全身の発疹」が出現すると考えられます。
麻疹ワクチンを接種している場合、麻疹ウィルスが口腔粘膜内に侵入したら、粘膜内の体液中のIgG抗体が、麻疹ウィルスと戦いを開始します。
従って、カタル期には、すでに麻疹ウィルスを駆逐すべく、IgG抗体が活躍しているので、血中に入るのを予防できる可能性が高いのです。
インフルエンザウィルスと違って発病までが長いし、血中に入るまでに一定の期間があるので、粘膜細胞内のIgG抗体が間に合うのです。
この時点で、ほぼ防衛成功と考えられます。
麻疹ウィルスが血中に入るのを防ぐことができれば、「39~40度の発熱と全身の発疹」が防げるので、感染源となることが激減して、流行もしないと考えられます。
結論です。
1)麻疹ウィルスは血中に侵入して全身に播種されるが、麻疹ワクチン接種によるIgG抗体がそれを防ぐ。従って高熱や発疹が予防できる。
2)インフルエンザワクチン接種によるIgG抗体では、感染防御は困難である。
インフルエンザウィルスは血中に侵入できないので、麻疹ワクチンほどのIgG抗体による顕著な効果は期待できない。
江部康二
(*)厚生労働症のサイト
http://www.mhlw.go.jp/qa/kenkou/hashika/
I 麻しんに関する基礎知識
I-1 麻しんとはどんな病気ですか?
「麻しんは麻しんウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症として知られています。
麻しんウイルスの感染経路は、空気感染、飛沫感染、接触感染で、その感染力は非常に強いと言われています。免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%発症し、一度感染して発症すると一生免疫が持続すると言われています。また、麻しんウイルスは、ヒトからヒトへ感染すると言われています。
感染すると約10日後に発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状が現れます。2~3日熱が続いた後、39℃以上の高熱と発疹が出現します。肺炎、中耳炎を合併しやすく、患者1000人に1人の割合で脳炎が発症すると言われています。死亡する割合も、先進国であっても1000人に1人と言われています。
近年はワクチンの2回接種が行われ、麻しんに感染する方の人数は減っています。」
Ⅰ-2 麻しんはどうやって予防するのですか?
「麻しんは感染力が強く、空気感染もするので、手洗い、マスクのみで予防はできません。麻しんワクチンが有効な予防法といえるでしょう。また、麻しんの患者さんに接触した場合、72時間以内に麻しんワクチンの予防接種をすることも効果的であると考えられています。」http://www.mhlw.go.jp/qa/kenkou/hashika/
I-3 近年の麻しんの流行はどのような状況ですか?
「麻しんは毎年春から初夏にかけて流行が見られます。過去5年の推移を見ると、平成19・20年に10~20代を中心に大きな流行がみられましたが、平成20年より5年間、中学1年相当、高校3年相当の年代に2回目の麻しんワクチン接種を受ける機会を設けたことなどで、平成21年以降10~20代の患者数は激減しました。患者発生の中心は0~1歳となった一方で、20歳以上の成人例の割合も増加しています。
またウイルス分離・検出状況からは平成22年11月以降は海外由来型のみであり、平成19・20年に国内で大流行の原因となった遺伝子型D5は見られません。
平成27年3月27日、世界保健機関西太平洋地域事務局により、日本が麻しんの排除状態にあることが認定されました。
麻しんの流行状況等に関する情報は、国立感染症研究所感染症情報センターのホームページで確認することができます。国立感染症研究所感染症情報センターのホームページアドレスは、( http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/ma/measles.html)です。」
I-4 なぜ、平成19・20年に10代から20代の人を中心に流行したのですか?
「かつては小児のうちに麻しんに感染し、自然に免疫を獲得するのが通常でした。しかし、麻しんワクチンの接種率の上昇で自然に感染する人は少なくなってきています。
10代から20代の人たちの中には、今まで一度も麻しんの予防接種を受けていない人がいます。そのうえ、そもそも予防接種は、一度で十分な免疫が獲得できるとは限らず、麻しんワクチンを一回接種しても、数%程度の人には十分な免疫がつかないことが知られています。そのような人達が蓄積していたものと考えられています。
さらに、麻しんワクチンの接種率の上昇に伴って、麻しんの患者数が減り、麻しんウイルスにさらされる機会が減少しました。そのため、幼少時にワクチンを1回のみ接種していた当時の10代から20代の人は免疫が強化されておらず、時間の経過とともに免疫が徐々に弱まって来ている人がいたことも原因の一つと考えられています。
Ⅰ-3で述べられているように、平成21年以降の10~20代の麻しんは激減し、患者発生の動向は変化しています。」
麻疹ワクチンはインフルエンザワクチンと違って、明確に感染防御にも流行予防にも有効です。
今回は、麻疹とインフルエンザの違いと、ワクチンの有効性の違いを検討してみます。
まず、厚生労働症のサイト(*)を読んでみました。
それによると、平成19・20年に10~20代を中心に大きな流行がみられましたが、平成20年より5年間、中学1年相当、高校3年相当の年代に2回目の麻しんワクチン接種を受ける機会を設けたことなどで、平成21年以降10~20代の患者数は激減しました。
またウイルス分離・検出状況からは、平成22年11月以降は海外由来型のみであり、平成19・20年に国内で大流行の原因となった遺伝子型D5は見られません。
平成27年3月27日、世界保健機関西太平洋地域事務局により、日本が麻しんの排除状態にあることが認定されました。
つまり、麻疹ワクチンを2回摂取することを徹底した結果、平成22年11月以降は、日本発の麻疹は消滅したわけで、劇的な効果を示しています。
そして、平成27年3月27日、WHOにより「日本が麻疹の排除状態」にあることが認定されたわけです。
毎年、流行を繰り返しているインフルエンザに対して、毎年インフルエンザワクチンを多くの日本人が接種していますが、流行は防げていません。
麻疹ワクチンとインフルエンザワクチンは、何が違うのでしょう?
麻疹ワクチンもインフルエンザワクチンも、IgG抗体は作るけれど、粘膜面のIgA抗体は作れませんので、粘膜表面での感染防御は困難なのは同一なのに、何故効果にこれほどの差があるのでしょう?
検討してみます。
インフルエンザワクチンを注射することにより、IgG抗体が血液・体液中に産生されますが、粘膜面を防御しているIgA抗体は全くできません。
従って、インフルエンザウィルスが、咽や鼻の粘膜を突破して細胞内に侵入した後(感染が成立した後)、はじめてIgG抗体がかけつけて戦うことになります。
普通のインフルエンザウィルス(弱毒型)は、呼吸器と消化器でだけ生存できて、血中には入れません。
鳥インフルエンザの変異した強毒型(今のところなし)が危険なのは、血中に侵入できて、全身にウィルスがばらまかれるからです。
つまり血中に侵入した強毒型インフルエンザウィルスは、脳にも侵入してインフルエンザ脳炎を生じ得るので危険なのです。
従って強毒型インフルエンザウィルスに対しては、IgG抗体をつくる今のインフルエンザワクチンが一定有効な可能性がありますが、
普通の弱毒型インフルエンザウィルスには、現行のインフルエンザワクチンは、感染防御に関しては、効果は期待できませんし、流行予防も困難なのです。
麻疹は、麻疹ウイルスへの曝露から、発症まで7~14日間程度かかります。
その後カタル期(口腔粘膜症状と37~38度前後の風邪症状)が3~4日間続き、いったん解熱したあと半日で39~40度の発熱と全身の発疹がでます。
麻疹ウィルスが口腔粘膜から血中に入って全身にばらまかれるので、カタル期のあと「39~40度の発熱と全身の発疹」が出現すると考えられます。
麻疹ワクチンを接種している場合、麻疹ウィルスが口腔粘膜内に侵入したら、粘膜内の体液中のIgG抗体が、麻疹ウィルスと戦いを開始します。
従って、カタル期には、すでに麻疹ウィルスを駆逐すべく、IgG抗体が活躍しているので、血中に入るのを予防できる可能性が高いのです。
インフルエンザウィルスと違って発病までが長いし、血中に入るまでに一定の期間があるので、粘膜細胞内のIgG抗体が間に合うのです。
この時点で、ほぼ防衛成功と考えられます。
麻疹ウィルスが血中に入るのを防ぐことができれば、「39~40度の発熱と全身の発疹」が防げるので、感染源となることが激減して、流行もしないと考えられます。
結論です。
1)麻疹ウィルスは血中に侵入して全身に播種されるが、麻疹ワクチン接種によるIgG抗体がそれを防ぐ。従って高熱や発疹が予防できる。
2)インフルエンザワクチン接種によるIgG抗体では、感染防御は困難である。
インフルエンザウィルスは血中に侵入できないので、麻疹ワクチンほどのIgG抗体による顕著な効果は期待できない。
江部康二
(*)厚生労働症のサイト
http://www.mhlw.go.jp/qa/kenkou/hashika/
I 麻しんに関する基礎知識
I-1 麻しんとはどんな病気ですか?
「麻しんは麻しんウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症として知られています。
麻しんウイルスの感染経路は、空気感染、飛沫感染、接触感染で、その感染力は非常に強いと言われています。免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%発症し、一度感染して発症すると一生免疫が持続すると言われています。また、麻しんウイルスは、ヒトからヒトへ感染すると言われています。
感染すると約10日後に発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状が現れます。2~3日熱が続いた後、39℃以上の高熱と発疹が出現します。肺炎、中耳炎を合併しやすく、患者1000人に1人の割合で脳炎が発症すると言われています。死亡する割合も、先進国であっても1000人に1人と言われています。
近年はワクチンの2回接種が行われ、麻しんに感染する方の人数は減っています。」
Ⅰ-2 麻しんはどうやって予防するのですか?
「麻しんは感染力が強く、空気感染もするので、手洗い、マスクのみで予防はできません。麻しんワクチンが有効な予防法といえるでしょう。また、麻しんの患者さんに接触した場合、72時間以内に麻しんワクチンの予防接種をすることも効果的であると考えられています。」http://www.mhlw.go.jp/qa/kenkou/hashika/
I-3 近年の麻しんの流行はどのような状況ですか?
「麻しんは毎年春から初夏にかけて流行が見られます。過去5年の推移を見ると、平成19・20年に10~20代を中心に大きな流行がみられましたが、平成20年より5年間、中学1年相当、高校3年相当の年代に2回目の麻しんワクチン接種を受ける機会を設けたことなどで、平成21年以降10~20代の患者数は激減しました。患者発生の中心は0~1歳となった一方で、20歳以上の成人例の割合も増加しています。
またウイルス分離・検出状況からは平成22年11月以降は海外由来型のみであり、平成19・20年に国内で大流行の原因となった遺伝子型D5は見られません。
平成27年3月27日、世界保健機関西太平洋地域事務局により、日本が麻しんの排除状態にあることが認定されました。
麻しんの流行状況等に関する情報は、国立感染症研究所感染症情報センターのホームページで確認することができます。国立感染症研究所感染症情報センターのホームページアドレスは、( http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/ma/measles.html)です。」
I-4 なぜ、平成19・20年に10代から20代の人を中心に流行したのですか?
「かつては小児のうちに麻しんに感染し、自然に免疫を獲得するのが通常でした。しかし、麻しんワクチンの接種率の上昇で自然に感染する人は少なくなってきています。
10代から20代の人たちの中には、今まで一度も麻しんの予防接種を受けていない人がいます。そのうえ、そもそも予防接種は、一度で十分な免疫が獲得できるとは限らず、麻しんワクチンを一回接種しても、数%程度の人には十分な免疫がつかないことが知られています。そのような人達が蓄積していたものと考えられています。
さらに、麻しんワクチンの接種率の上昇に伴って、麻しんの患者数が減り、麻しんウイルスにさらされる機会が減少しました。そのため、幼少時にワクチンを1回のみ接種していた当時の10代から20代の人は免疫が強化されておらず、時間の経過とともに免疫が徐々に弱まって来ている人がいたことも原因の一つと考えられています。
Ⅰ-3で述べられているように、平成21年以降の10~20代の麻しんは激減し、患者発生の動向は変化しています。」
2015年12月07日 (月)
こんばんは。
そろそろインフルエンザが流行する季節となってきました。
京都は、今のところまだ大丈夫です。
国立感染症研究所のインフルエンザ流行レベルマップによれば、幸い、日本全国、2015/12/2の時点では、警報も注意報もでていません。
http://www.nih.go.jp/niid/ja/flu-map.html
さて、インフルエンザワクチンを接種した人も接種してない人もいると思います。
是非、知っておいて欲しいことは、インフルエンザワクチンは万能ではないということです。
感染防御力は基本的になくて、重症化を防ぐことが期待されるていどの効能です。
ワクチンを打っている人も打っていない人も、手洗い、うがい、マスクがインフルエンザ予防の基本ですね。
特に、手洗いが思った以上に有効です。
ドアノブや電車のつり革など様々なものに触れることにより、 自分の手にもウイルスが付着している可能性があります。
外出先から帰宅時や調理の前後、食事前などこまめに手を洗いましょう。
咳やくしゃみで飛んだ飛沫が服についても、数時間で感染力を失うとされています。
外出から帰宅したら着替えすることも予防に役立ちます。
以下の青字は、厚生労働省サイトの記載です。
インフルエンザの予防にはみんなの「かからない」、「うつさない」という気持ちが大切です。
手洗いでインフルエンザを予防して、かかったら、マスク等せきエチケットも忘れないでください。
インフルエンザにかかった人は、必ずマスクをして他人にうつさないように配慮が必要です。
<インフルエンザワクチンの有効性>
インフルエンザワクチンは、季節性にも新型にも対応しています。
しかし、実は現行のインフルエンザワクチンには、水際で感染をシャットアウトするような効果はありません。
感染した後、重症化を防ぐ効果が期待されるという程度なので、過信するのは禁物です。
理論的に考えても、ワクチンを接種することによりIgG抗体が血液・体液中に産生されますが、粘膜面を防御しているIgA抗体は全くできません。
従って、インフルエンザウィルスが、咽や鼻の粘膜を突破して細胞内に侵入した後(感染が成立した後)、はじめてIgG抗体がかけつけて戦うことになります。
下記は国立感染研究所のホームページからの抜粋です。
【7.インフルエンザワクチンの問題点
(2)「現行ワクチンの感染防御効果や発症阻止効果は完全ではありませんので、ワクチン接種を受けてもインフルエンザに罹患する場合があり、この場合には患者はウイルスを外部に排泄し、感染源となります。従って、集団接種を行っても社会全体のインフルエンザ流行を完全に阻止することは難しいと考えられます。」
(6)「現行のインフルエンザワクチンは皮下接種されています。しかし、不活化ワクチンの皮下接種では、インフルエンザウイルスの感染防御に中心的役割を果たすと考えられる気道の粘膜免疫や、回復過程に重要であると考えられる細胞性免疫がほとんど誘導されません。これは、インフルエンザウイルスの感染そのものを防御すると言う面では大きな短所であると考えられています。
しかし、この様な欠点を持ちながらも、先に述べたように、ハイリスク群に対する現行インフルエンザワクチンの効果は明らかに認められています。また、ワクチンの皮下接種でも血中の抗体産生は十分に刺激できるので、インフルエンザに続発する肺炎などの合併症や最近問題となっているインフルエンザ脳炎・脳症の発生を抑えることには期待出来ると考えられています。」】
<院内感染>
例年と同様に2014年、2015年も全国各地の病院や施設で、職員や患者さんにインフルエンザの集団感染が起こっています。
高齢の患者さんの死亡者も出ています。
これらの集団感染において、ほとんどの人はインフルエンザワクチンを接種していました。
このように、感染防御にはワクチンは、実際にまったく無力だったことが明らかとなりました。
そもそもインフルエンザワクチンは「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」ということが効能です。
感染を防ぐためには、「手洗い、うがい、マスク」が必須です。
<誤解>
ところが、相変わらず多くの患者さんや医師が、ワクチンを接種していれば、水際で感染防御できると誤解しておられるのです。
私は、過去10年間以上、友人の医師などに、感染防御はできないと口を酸っぱくして言い続けてきたのですが、皆なかなか信じてもらえませんでした。どこかで誤った情報が流され続けていたのでしょうね。
ここ数年、新聞などでもやっと、「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」という真実が報道されるようになりました。
逆に言えば、過去10年以上、あたかも感染防御できるような内容の報道に終始していたわけで、そのことに関して自己批判も反省もないのは如何なものでしょう。
インフルエンザワクチン注射を希望する患者さんがこられたら、私はこのことを説明して、
「手洗いやうがい、人混みを避けるなど、基本的なことが感染防御には大事なので、ワクチンを接種したからといって油断しないでくださいね。」
と付け加えます。
<必要性>
別に私は、ワクチンが無意味といっているのではありません。
65歳以上の高齢者、呼吸器系や循環器系に慢性疾患を持つ患者、糖尿病、腎臓病などの慢性疾患の患者、免疫低下状態の患者などでは、インフルエンザに罹患し重症化すれば、肺炎などの重篤な合併症になり、生命に危険が及ぶこともありますから必要だと思います。若い人でも、受験生などは重症化したら困りますから、接種する意味はありますね。
<感染防御>
①医療関係者は、インフルエンザ患者を診察するときはマスクをする。
診察が終わったら必ず手洗いをし、使い捨て紙タオルでふく。
マスクをはずしたときはうがいをする。
②急性の咳や熱がでている当事者はエチケットとして、マスクをする。
③満員電車の中など避けようがない密閉された場所にいくときはマスクを
して乗る。
④人混みにでたあとは、手洗い・うがいを励行する。
⑤家族が一人インフルエンザに罹患したら、家の中でも当事者はマスクを
する。その一人は、違う部屋で寝る。
⑥咳で飛沫が飛ぶのは約1mであるので当事者から距離を取る。
⑦鼻水や痰を封じ込めるためにティッシュを使用し、使用後のティッシュは、
できればノンタッチごみ箱に廃棄すること
ブログ読者の皆さん、インフルエンザワクチンを接種している人も、感染防御効果はないことをしっかり認識して、上記①~⑦を励行してくださいね。
これが実行されていれば、上述のような院内感染が猛威をふるうことはなかったでしょう。
<終わりに>
インフルエンザワクチン接種に、賛成の人も反対の人もあると思います。
ブログ読者の皆さんには、インフルエンザワクチンの真実を知ってもらいたくて今回記事にしました。
江部康二
そろそろインフルエンザが流行する季節となってきました。
京都は、今のところまだ大丈夫です。
国立感染症研究所のインフルエンザ流行レベルマップによれば、幸い、日本全国、2015/12/2の時点では、警報も注意報もでていません。
http://www.nih.go.jp/niid/ja/flu-map.html
さて、インフルエンザワクチンを接種した人も接種してない人もいると思います。
是非、知っておいて欲しいことは、インフルエンザワクチンは万能ではないということです。
感染防御力は基本的になくて、重症化を防ぐことが期待されるていどの効能です。
ワクチンを打っている人も打っていない人も、手洗い、うがい、マスクがインフルエンザ予防の基本ですね。
特に、手洗いが思った以上に有効です。
ドアノブや電車のつり革など様々なものに触れることにより、 自分の手にもウイルスが付着している可能性があります。
外出先から帰宅時や調理の前後、食事前などこまめに手を洗いましょう。
咳やくしゃみで飛んだ飛沫が服についても、数時間で感染力を失うとされています。
外出から帰宅したら着替えすることも予防に役立ちます。
以下の青字は、厚生労働省サイトの記載です。
インフルエンザの予防にはみんなの「かからない」、「うつさない」という気持ちが大切です。
手洗いでインフルエンザを予防して、かかったら、マスク等せきエチケットも忘れないでください。
インフルエンザにかかった人は、必ずマスクをして他人にうつさないように配慮が必要です。
<インフルエンザワクチンの有効性>
インフルエンザワクチンは、季節性にも新型にも対応しています。
しかし、実は現行のインフルエンザワクチンには、水際で感染をシャットアウトするような効果はありません。
感染した後、重症化を防ぐ効果が期待されるという程度なので、過信するのは禁物です。
理論的に考えても、ワクチンを接種することによりIgG抗体が血液・体液中に産生されますが、粘膜面を防御しているIgA抗体は全くできません。
従って、インフルエンザウィルスが、咽や鼻の粘膜を突破して細胞内に侵入した後(感染が成立した後)、はじめてIgG抗体がかけつけて戦うことになります。
下記は国立感染研究所のホームページからの抜粋です。
【7.インフルエンザワクチンの問題点
(2)「現行ワクチンの感染防御効果や発症阻止効果は完全ではありませんので、ワクチン接種を受けてもインフルエンザに罹患する場合があり、この場合には患者はウイルスを外部に排泄し、感染源となります。従って、集団接種を行っても社会全体のインフルエンザ流行を完全に阻止することは難しいと考えられます。」
(6)「現行のインフルエンザワクチンは皮下接種されています。しかし、不活化ワクチンの皮下接種では、インフルエンザウイルスの感染防御に中心的役割を果たすと考えられる気道の粘膜免疫や、回復過程に重要であると考えられる細胞性免疫がほとんど誘導されません。これは、インフルエンザウイルスの感染そのものを防御すると言う面では大きな短所であると考えられています。
しかし、この様な欠点を持ちながらも、先に述べたように、ハイリスク群に対する現行インフルエンザワクチンの効果は明らかに認められています。また、ワクチンの皮下接種でも血中の抗体産生は十分に刺激できるので、インフルエンザに続発する肺炎などの合併症や最近問題となっているインフルエンザ脳炎・脳症の発生を抑えることには期待出来ると考えられています。」】
<院内感染>
例年と同様に2014年、2015年も全国各地の病院や施設で、職員や患者さんにインフルエンザの集団感染が起こっています。
高齢の患者さんの死亡者も出ています。
これらの集団感染において、ほとんどの人はインフルエンザワクチンを接種していました。
このように、感染防御にはワクチンは、実際にまったく無力だったことが明らかとなりました。
そもそもインフルエンザワクチンは「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」ということが効能です。
感染を防ぐためには、「手洗い、うがい、マスク」が必須です。
<誤解>
ところが、相変わらず多くの患者さんや医師が、ワクチンを接種していれば、水際で感染防御できると誤解しておられるのです。
私は、過去10年間以上、友人の医師などに、感染防御はできないと口を酸っぱくして言い続けてきたのですが、皆なかなか信じてもらえませんでした。どこかで誤った情報が流され続けていたのでしょうね。
ここ数年、新聞などでもやっと、「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」という真実が報道されるようになりました。
逆に言えば、過去10年以上、あたかも感染防御できるような内容の報道に終始していたわけで、そのことに関して自己批判も反省もないのは如何なものでしょう。
インフルエンザワクチン注射を希望する患者さんがこられたら、私はこのことを説明して、
「手洗いやうがい、人混みを避けるなど、基本的なことが感染防御には大事なので、ワクチンを接種したからといって油断しないでくださいね。」
と付け加えます。
<必要性>
別に私は、ワクチンが無意味といっているのではありません。
65歳以上の高齢者、呼吸器系や循環器系に慢性疾患を持つ患者、糖尿病、腎臓病などの慢性疾患の患者、免疫低下状態の患者などでは、インフルエンザに罹患し重症化すれば、肺炎などの重篤な合併症になり、生命に危険が及ぶこともありますから必要だと思います。若い人でも、受験生などは重症化したら困りますから、接種する意味はありますね。
<感染防御>
①医療関係者は、インフルエンザ患者を診察するときはマスクをする。
診察が終わったら必ず手洗いをし、使い捨て紙タオルでふく。
マスクをはずしたときはうがいをする。
②急性の咳や熱がでている当事者はエチケットとして、マスクをする。
③満員電車の中など避けようがない密閉された場所にいくときはマスクを
して乗る。
④人混みにでたあとは、手洗い・うがいを励行する。
⑤家族が一人インフルエンザに罹患したら、家の中でも当事者はマスクを
する。その一人は、違う部屋で寝る。
⑥咳で飛沫が飛ぶのは約1mであるので当事者から距離を取る。
⑦鼻水や痰を封じ込めるためにティッシュを使用し、使用後のティッシュは、
できればノンタッチごみ箱に廃棄すること
ブログ読者の皆さん、インフルエンザワクチンを接種している人も、感染防御効果はないことをしっかり認識して、上記①~⑦を励行してくださいね。
これが実行されていれば、上述のような院内感染が猛威をふるうことはなかったでしょう。
<終わりに>
インフルエンザワクチン接種に、賛成の人も反対の人もあると思います。
ブログ読者の皆さんには、インフルエンザワクチンの真実を知ってもらいたくて今回記事にしました。
江部康二
2015年12月06日 (日)
【メディカルトリビューン
あなたの
健康百科
http://kenko100.jp/articles/151204003701/#gsc.tab=0
脂肪抑えた食事は効果薄い? 長期結果で糖質制限食と差
米研究
炭水化物(糖質)の量を抑えた低炭水化物食(糖質制限食)のダイエット効果が注目される中、その存在感を失いつつある低脂肪食。心臓病や脳卒中、動脈硬化を予防するとして、現在も専門家に推奨されている一方、推奨する根拠(エビデンス)がないという専門家からの指摘も相次いでいる。
米ハーバード大学医学大学院と同大付属のブリガム・アンド・ウイメンズ病院のディアドラ・トビアス氏らは、過去の研究結果を分析した結果、低脂肪食のダイエット効果は、長期的には糖質制限食と比べて低かったと、英医学誌「Lancet Diabetes & Endocrinology」12月号(2015; 3: 968-979)に報告した。
普通の食事よりは効果あり
トビアス氏らは、2014年7月までに行われた低脂肪食と他の食事法を比較した53研究、6万8,128人分のデータを分析し、1年以上の減量効果を調べた。なお、サプリメントや食事以外のダイエットを行った人、妊婦は除外した。
その結果、糖質制限食との比較では、低脂肪食よりも糖質制限食の方が減量効果が高く、人数で調整した平均(加重平均)で1.15キロの差があった。また、脂肪を制限しないほかの食事との比較では差が認められず、普通の食事との比較でのみ効果があった(加重平均で5.41キロ)。さらに、脂肪が多い食事の方が減量効果が高い場合もあったという。
トビアス氏らは「低脂肪食は、長期的な減量効果についての科学的裏付けがない。どのような食事法でも、成功させるには長期的に続けることが重要であり、食事内容が健康面に与える長期的な影響も考慮すべき」と述べている。
低脂肪食を推奨する根拠となる優れた研究結果(エビデンス)がないにもかかわらず、低脂肪食を推奨するのはなぜなのか。その理由の一つに、脂肪は食べ物の重さに対するカロリーが炭水化物やタンパク質の2倍以上のため、脂肪摂取を減らせば自然と減量につながるだろうという考え方があるという。しかし、この点についてトビアス氏らは「今回の堅牢なエビデンスは、明白に逆の結果を示している」としている。
(あなたの健康百科編集部)】
こんにちは。
精神科医師Aさんから、
「脂肪抑えた食事は効果薄い? 長期結果で糖質制限食と差」
という結論のランセットの論文についてコメント頂きました。
ありがとうございます。
メディカルトリビューンの「あなたの健康百科」に上記の要約が掲載されました。
『2014年7月までに行われた低脂肪食と他の食事法を比較した53研究、6万8,128人分のデータを分析』
ですから、研究責任者のトビアス氏が述べる如く、この論文「堅牢なエビデンス」と言えます。
53RCT研究論文のメタアナリシスであり、システマティックレビューですので、エビデンスレベルは、最高ランクです。(*)
エビデンスレベルⅠの英医学誌「ランセット 糖尿病と内分泌学」12月号の論文(**)の結論は
1)糖質制限食との比較では、
低脂肪食よりも糖質制限食の方が減量効果が高い。
2)低脂肪食は他の高脂肪食との比較で減量効果に有意差なし。
3)低脂肪食は普通食との比較でのみ、体重減少効果があった。
4)低脂肪食は、長期的な減量効果についての科学的裏付けがない。
です。
(*)エビデンスレベルのランク「診療ガイドライン作成の手引き2007」より
I システマティック・レビュー/RCTのメタアナリシス
II 1つ以上のランダム化比較試験による
III 非ランダム化比較試験による
IVa 分析疫学的研究(コホート研究)
IVb 分析疫学的研究(症例対照研究、横断研究)
V 記述研究(症例報告やケース・シリーズ)
VI 患者データに基づかない、専門委員会や専門家個人の意見
(**)
Effect of Low-Fat Diet Interventions Versus Other Diet Interventions on Long-Term Weight Change in Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis
Lancet Diabetes Endocrinol 2015 Dec 01;3(12)968–979, DK Tobias, M Chen, JE Manson, DS Ludwig, W Willett, FB Hu
江部康二
あなたの
健康百科
http://kenko100.jp/articles/151204003701/#gsc.tab=0
脂肪抑えた食事は効果薄い? 長期結果で糖質制限食と差
米研究
炭水化物(糖質)の量を抑えた低炭水化物食(糖質制限食)のダイエット効果が注目される中、その存在感を失いつつある低脂肪食。心臓病や脳卒中、動脈硬化を予防するとして、現在も専門家に推奨されている一方、推奨する根拠(エビデンス)がないという専門家からの指摘も相次いでいる。
米ハーバード大学医学大学院と同大付属のブリガム・アンド・ウイメンズ病院のディアドラ・トビアス氏らは、過去の研究結果を分析した結果、低脂肪食のダイエット効果は、長期的には糖質制限食と比べて低かったと、英医学誌「Lancet Diabetes & Endocrinology」12月号(2015; 3: 968-979)に報告した。
普通の食事よりは効果あり
トビアス氏らは、2014年7月までに行われた低脂肪食と他の食事法を比較した53研究、6万8,128人分のデータを分析し、1年以上の減量効果を調べた。なお、サプリメントや食事以外のダイエットを行った人、妊婦は除外した。
その結果、糖質制限食との比較では、低脂肪食よりも糖質制限食の方が減量効果が高く、人数で調整した平均(加重平均)で1.15キロの差があった。また、脂肪を制限しないほかの食事との比較では差が認められず、普通の食事との比較でのみ効果があった(加重平均で5.41キロ)。さらに、脂肪が多い食事の方が減量効果が高い場合もあったという。
トビアス氏らは「低脂肪食は、長期的な減量効果についての科学的裏付けがない。どのような食事法でも、成功させるには長期的に続けることが重要であり、食事内容が健康面に与える長期的な影響も考慮すべき」と述べている。
低脂肪食を推奨する根拠となる優れた研究結果(エビデンス)がないにもかかわらず、低脂肪食を推奨するのはなぜなのか。その理由の一つに、脂肪は食べ物の重さに対するカロリーが炭水化物やタンパク質の2倍以上のため、脂肪摂取を減らせば自然と減量につながるだろうという考え方があるという。しかし、この点についてトビアス氏らは「今回の堅牢なエビデンスは、明白に逆の結果を示している」としている。
(あなたの健康百科編集部)】
こんにちは。
精神科医師Aさんから、
「脂肪抑えた食事は効果薄い? 長期結果で糖質制限食と差」
という結論のランセットの論文についてコメント頂きました。
ありがとうございます。
メディカルトリビューンの「あなたの健康百科」に上記の要約が掲載されました。
『2014年7月までに行われた低脂肪食と他の食事法を比較した53研究、6万8,128人分のデータを分析』
ですから、研究責任者のトビアス氏が述べる如く、この論文「堅牢なエビデンス」と言えます。
53RCT研究論文のメタアナリシスであり、システマティックレビューですので、エビデンスレベルは、最高ランクです。(*)
エビデンスレベルⅠの英医学誌「ランセット 糖尿病と内分泌学」12月号の論文(**)の結論は
1)糖質制限食との比較では、
低脂肪食よりも糖質制限食の方が減量効果が高い。
2)低脂肪食は他の高脂肪食との比較で減量効果に有意差なし。
3)低脂肪食は普通食との比較でのみ、体重減少効果があった。
4)低脂肪食は、長期的な減量効果についての科学的裏付けがない。
です。
(*)エビデンスレベルのランク「診療ガイドライン作成の手引き2007」より
I システマティック・レビュー/RCTのメタアナリシス
II 1つ以上のランダム化比較試験による
III 非ランダム化比較試験による
IVa 分析疫学的研究(コホート研究)
IVb 分析疫学的研究(症例対照研究、横断研究)
V 記述研究(症例報告やケース・シリーズ)
VI 患者データに基づかない、専門委員会や専門家個人の意見
(**)
Effect of Low-Fat Diet Interventions Versus Other Diet Interventions on Long-Term Weight Change in Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis
Lancet Diabetes Endocrinol 2015 Dec 01;3(12)968–979, DK Tobias, M Chen, JE Manson, DS Ludwig, W Willett, FB Hu
江部康二
2015年12月06日 (日)
【流通ニュース
http://ryutsuu.biz/topix/h120222.html
いきなり!ステーキ/ライス抜き100円引き
トピックス、店舗/2015年12月02日
ペッパーフードサービスは、立ち食いステーキ専門店「いきなり!ステーキ」全店でライス抜き100円引きを導入した。
ダイエットなどの理由で食事で糖質制限をしているお客の要望に対応した。ランチメニューのワイルドステーキ税別1200円、
ワイルドハンバーグ1000円は、ライス付きで提供しているが、ライス抜きの場合は100円引きとなる。
ステーキの付け合わせはコーンとオニオンとしているが、糖質の高いコーンから、ブロッコリーやインゲンへの変更も実施する。
付け合わせの変更は、直営店56店から先行導入し、順次、FC店舗にも拡大する。
いきなり!ステーキは2013年12月に1号店を銀座4丁目にオープンし、現在、全国に68店を展開している。】
おはようございます。
精神科医師Aさんから耳寄りな情報をコメントいただきました。
ありがとうございます。
「いきなり!ステーキ」という、お肉のチェーン店で、糖質セイゲニストに対応して、ライス抜き100円引きメニューが、導入されたそうです。
付き合わせも、コーンからブロッコリーにしてくれるとはきめ細かいサービスで、嬉しいです。
ただし、茹でたインゲン豆は100g中に11.5gの糖質が含まれているので、ブロッコリがいいです。
そこんとこよろしくです。 (^^)
東京中心のチェーン店で、京都にはまだないと思いますが、このような動きがレストラン業界にでてきたのは、糖質セイゲニストには追い風ですね。
江部康二
2015年12月05日 (土)
こんにちは。
8月31日に拙著
『作りおきおかずで簡単! 糖質オフのダイエット弁当』家の光協会
江部康二 大庭英子 著
が、第7版、2,500部の増刷が決定、2万部突破、累計で21000部達成ですと記事にしたところ、なんと出版社から第8版、3,000部の増刷の連絡が入りました(^O^)
これで累計24,000部となりました\(^o^)/
ブログ読者の皆様には、多くの応援をいただきありがとうございますm(__)m
家の光協会は、JAの出版部門になります。
あまり大々的な宣伝はしていないのですが、今年に入って、増刷のペースがかなり早まっています。
著名な料理研究家の大庭英子先生にメニューを考えて頂いてますので、レストランのメニューのようなレシピではなく、実際に簡単に作れてしかも美味しいといったところが好評のようです(^^)
糖質制限食でどんなお弁当を作ればよいか悩まれてる方はもちろん、日々のおかずの参考にもなりますので、是非ご一読いただければ幸いです。
江部康二
8月31日に拙著
『作りおきおかずで簡単! 糖質オフのダイエット弁当』家の光協会
江部康二 大庭英子 著
が、第7版、2,500部の増刷が決定、2万部突破、累計で21000部達成ですと記事にしたところ、なんと出版社から第8版、3,000部の増刷の連絡が入りました(^O^)
これで累計24,000部となりました\(^o^)/
ブログ読者の皆様には、多くの応援をいただきありがとうございますm(__)m
家の光協会は、JAの出版部門になります。
あまり大々的な宣伝はしていないのですが、今年に入って、増刷のペースがかなり早まっています。
著名な料理研究家の大庭英子先生にメニューを考えて頂いてますので、レストランのメニューのようなレシピではなく、実際に簡単に作れてしかも美味しいといったところが好評のようです(^^)
糖質制限食でどんなお弁当を作ればよいか悩まれてる方はもちろん、日々のおかずの参考にもなりますので、是非ご一読いただければ幸いです。
江部康二
2015年12月04日 (金)
こんにちは
そろそろ、インフルエンザが気になる季節ですが、インフルエンザのとき、使ってもいい解熱剤はアセトアミノフェンだけです。
商品名はカロナール、コカール、アンヒバなどです。
それ以外の、ロキソニン、ボルタレン、ポンタール、インダシン、アスピリン・・・これらの一般的なNSAIDSは、脳症のリスクがあるので全て使用してはいけません。
<脳炎と脳症の違い>
病理学的には、脳炎( encepahlitis)と は、ウィルスが直接脳に侵入、脳細胞に感染して増殖し炎症を起こすもので、脳神経細胞がウィルスによって直接破壊されます。
脳症( encephalopathy) は、脳の中にウィルスが存在しないのに脳が腫脹します。
インフルエンザウィルス感染により、まれに脳症が生じますが、原因は不明とされています。
インフルエンザウィルス自体による脳細胞の直接障害ではなく、何らかの原因により高サイトカイン血症などが引き起こされて、脳に浮腫などの障害をひき起こします。
すなわち、病理学的にはインフルエンザ脳炎は存在せず、インフルエンザ脳症が存在するということになります。
<インフルエンザウィルスは血中に入れない>
現時点でインフルエンザウィルスはA型もB型も新型も血中に入れません。
従って、インフルエンザウィルスが脳に直接感染することはないのです。
インフルエンザウィルスは、上気道・下気道・肺と消化管以外には感染できません。
マスコミでインフルエンザ脳炎とかインフルエンザ脳症と言っているのは、正確には「インフルエンザ関連脳症」という病名が一番適切です。
<麻疹ウィルスやヘルペスウィルスは血中に入れる>
麻疹ウィルスは血中に入れるので、脳にも感染して、まれではありますが、麻疹脳炎を生じ得ます。
ウイルス感染性脳炎としては単純ヘルペス脳炎が最も多いです。
日本脳炎ウィルスや狂犬病ウィルスも、脳炎を起こします。
<インフルエンザ脳症とサイトカインストーム>
インフルエンザ脳症の鍵となる現象は、サイトカイン・ストームと呼ばれる免疫系の異常反応です。
免疫細胞の活性化や機能抑制には、サイトカインと総称される生理活性蛋白質が重要な役割を担っています。
サイトカインは免疫系のバランスの乱れなどによってその制御がうまくいかなくなると、サイトカインストームと呼ばれるサイトカインの過剰な産生状態を引き起こし、ひどい場合には致死的な状態に陥ります。
全身の細胞から通常量をはるかに超えるサイトカインが放出され、体内を嵐のように駆け巡ります。
この過剰なサイトカインストームにより、インフルエンザ関連脳症が生じると考えられています。
サイトカインストームが起こる原因は、今のところ不明です。
しかし解熱剤がサイトカインストームに悪影響を与えている可能性が示唆されています。
<解熱剤>
平成21年の厚生労働省のインフルエンザ脳症ガイドラインには、ジクロフェナクナトリウム(商品名ボルタレン)、メフェナム酸(商品名ポンタール)の内服は、インフルエンザ脳症の予後不良因子の一つに挙げられています。
これらの解熱剤が、インフルエンザ脳症の死亡率を上昇させている可能性が示唆されています。
また、これらの解熱剤が、サイトカインストームを生じたきっかけになっている可能性も否定できません。
結局、安全性が確立している、解熱剤は、アセトアミノフェンだけです。
アセトアミノフェンの商品名は、カロナール、コカール、アンヒバ座薬などです。
インフルエンザにかかったときは、アセトアミノフェン以外の他の解熱剤(ロキソニン、インダシン、ブレシン、アスピリン・・・)も使用してはいけません。
要するにアセトアミノフェンだけです。
なお、風邪などのウィルス感染でも同様の危険性は有り得ますので、私は、子どもは勿論のこと、大人にも解熱剤は、基本的的にアセトアミノフェンしか処方しません。
☆☆☆
http://www.jst.go.jp/crest/immunesystem/result/05.html
独立行政法人 科学技術振興機構のサイトから抜粋
免疫系におけるサイトカインの役割
病原体に対する免疫系の攻撃としては、主に好中球やマクロファージなどの自然免疫系の貪食細胞による貪食作用、キラーT細胞による細胞傷害性物質の放出による宿主細胞の破壊、B細胞が産生する抗体による病原体の不活化などがあります。このような免疫細胞の活性化や機能抑制には、サイトカインと総称される生理活性蛋白質が重要な役割を担っています。サイトカインには白血球が分泌し、免疫系の調節に機能するインターロイキン類、白血球の遊走を誘導するケモカイン類、ウイルスや細胞の増殖を抑制するインターフェロン類など、様々な種類があり、今も発見が続いています。サイトカインは免疫系のバランスの乱れなどによってその制御がうまくいかなくなると、サイトカインストームと呼ばれるサイトカインの過剰な産生状態を引き起こし、ひどい場合には致死的な状態に陥ります。サイトカインは本来の病原体から身を守る役割のほかに、様々な疾患に関与していることが明らかになってきています。
平野チームは、自ら発見したサイトカインの一種であるIL-6が自己免疫疾患の発症制御において、中心的な役割を担っていることを独自に開発した疾患モデルマウスを用いて明らかにしています。また、免疫細胞の中枢神経系への侵入口を発見したことから、神経系自己免疫疾患の発症仮説を提唱しています。岩倉チームは、炎症性サイトカインであるIL-17ファミリー分子の機能的役割を解析する中で、これらファミリー分子が感染防御と炎症抑制において、役割分担されていることを見出しています。
江部康二
そろそろ、インフルエンザが気になる季節ですが、インフルエンザのとき、使ってもいい解熱剤はアセトアミノフェンだけです。
商品名はカロナール、コカール、アンヒバなどです。
それ以外の、ロキソニン、ボルタレン、ポンタール、インダシン、アスピリン・・・これらの一般的なNSAIDSは、脳症のリスクがあるので全て使用してはいけません。
<脳炎と脳症の違い>
病理学的には、脳炎( encepahlitis)と は、ウィルスが直接脳に侵入、脳細胞に感染して増殖し炎症を起こすもので、脳神経細胞がウィルスによって直接破壊されます。
脳症( encephalopathy) は、脳の中にウィルスが存在しないのに脳が腫脹します。
インフルエンザウィルス感染により、まれに脳症が生じますが、原因は不明とされています。
インフルエンザウィルス自体による脳細胞の直接障害ではなく、何らかの原因により高サイトカイン血症などが引き起こされて、脳に浮腫などの障害をひき起こします。
すなわち、病理学的にはインフルエンザ脳炎は存在せず、インフルエンザ脳症が存在するということになります。
<インフルエンザウィルスは血中に入れない>
現時点でインフルエンザウィルスはA型もB型も新型も血中に入れません。
従って、インフルエンザウィルスが脳に直接感染することはないのです。
インフルエンザウィルスは、上気道・下気道・肺と消化管以外には感染できません。
マスコミでインフルエンザ脳炎とかインフルエンザ脳症と言っているのは、正確には「インフルエンザ関連脳症」という病名が一番適切です。
<麻疹ウィルスやヘルペスウィルスは血中に入れる>
麻疹ウィルスは血中に入れるので、脳にも感染して、まれではありますが、麻疹脳炎を生じ得ます。
ウイルス感染性脳炎としては単純ヘルペス脳炎が最も多いです。
日本脳炎ウィルスや狂犬病ウィルスも、脳炎を起こします。
<インフルエンザ脳症とサイトカインストーム>
インフルエンザ脳症の鍵となる現象は、サイトカイン・ストームと呼ばれる免疫系の異常反応です。
免疫細胞の活性化や機能抑制には、サイトカインと総称される生理活性蛋白質が重要な役割を担っています。
サイトカインは免疫系のバランスの乱れなどによってその制御がうまくいかなくなると、サイトカインストームと呼ばれるサイトカインの過剰な産生状態を引き起こし、ひどい場合には致死的な状態に陥ります。
全身の細胞から通常量をはるかに超えるサイトカインが放出され、体内を嵐のように駆け巡ります。
この過剰なサイトカインストームにより、インフルエンザ関連脳症が生じると考えられています。
サイトカインストームが起こる原因は、今のところ不明です。
しかし解熱剤がサイトカインストームに悪影響を与えている可能性が示唆されています。
<解熱剤>
平成21年の厚生労働省のインフルエンザ脳症ガイドラインには、ジクロフェナクナトリウム(商品名ボルタレン)、メフェナム酸(商品名ポンタール)の内服は、インフルエンザ脳症の予後不良因子の一つに挙げられています。
これらの解熱剤が、インフルエンザ脳症の死亡率を上昇させている可能性が示唆されています。
また、これらの解熱剤が、サイトカインストームを生じたきっかけになっている可能性も否定できません。
結局、安全性が確立している、解熱剤は、アセトアミノフェンだけです。
アセトアミノフェンの商品名は、カロナール、コカール、アンヒバ座薬などです。
インフルエンザにかかったときは、アセトアミノフェン以外の他の解熱剤(ロキソニン、インダシン、ブレシン、アスピリン・・・)も使用してはいけません。
要するにアセトアミノフェンだけです。
なお、風邪などのウィルス感染でも同様の危険性は有り得ますので、私は、子どもは勿論のこと、大人にも解熱剤は、基本的的にアセトアミノフェンしか処方しません。
☆☆☆
http://www.jst.go.jp/crest/immunesystem/result/05.html
独立行政法人 科学技術振興機構のサイトから抜粋
免疫系におけるサイトカインの役割
病原体に対する免疫系の攻撃としては、主に好中球やマクロファージなどの自然免疫系の貪食細胞による貪食作用、キラーT細胞による細胞傷害性物質の放出による宿主細胞の破壊、B細胞が産生する抗体による病原体の不活化などがあります。このような免疫細胞の活性化や機能抑制には、サイトカインと総称される生理活性蛋白質が重要な役割を担っています。サイトカインには白血球が分泌し、免疫系の調節に機能するインターロイキン類、白血球の遊走を誘導するケモカイン類、ウイルスや細胞の増殖を抑制するインターフェロン類など、様々な種類があり、今も発見が続いています。サイトカインは免疫系のバランスの乱れなどによってその制御がうまくいかなくなると、サイトカインストームと呼ばれるサイトカインの過剰な産生状態を引き起こし、ひどい場合には致死的な状態に陥ります。サイトカインは本来の病原体から身を守る役割のほかに、様々な疾患に関与していることが明らかになってきています。
平野チームは、自ら発見したサイトカインの一種であるIL-6が自己免疫疾患の発症制御において、中心的な役割を担っていることを独自に開発した疾患モデルマウスを用いて明らかにしています。また、免疫細胞の中枢神経系への侵入口を発見したことから、神経系自己免疫疾患の発症仮説を提唱しています。岩倉チームは、炎症性サイトカインであるIL-17ファミリー分子の機能的役割を解析する中で、これらファミリー分子が感染防御と炎症抑制において、役割分担されていることを見出しています。
江部康二