低炭水化物食で2型糖尿病リスク低下。国立がん研究センター研究。
こんにちは。

精神科医師Aさんから、大変嬉しいコメントをいただきました。
ありがとうございます。

日本初の前向き研究で、

「日本人女性において低炭水化物食が2型糖尿病リスク低下と関連」

という結論が出たのです。

糖質制限食にとって、またまた大きな追い風ですね。

国立がん研究センターによる多目的コホート研究(JPHC研究)ですから、日本糖尿病学会に遠慮せずに、事実の発表ができるのでしょう。

ケアネットという医療関係者むけの会員サイトで、PLoS One誌2015年2月19日号に掲載された英文論文を解説してくれたものが、精神科医師Aさんのコメントにある記事です。

・低炭水化物・高総タンパク質/脂質スコアは、女性において2型糖尿病リスクの低下と
 有意に関連していた(傾向のp<0.001)。
・スコアが最も高い五分位における2型糖尿病の多変量調整オッズ比は、
 最も低い五分位 と比較して0.63(95%CI:0.46~0.84)であった。
・女性では、低炭水化物・高動物性タンパク質/脂質スコアが高いほど、
 2型糖尿病リス クは低かった。
 一方、低炭水化物・高植物性タンパク質/脂質スコアは男女とも関連が 認められなかった。


「低炭水化物・高動物性タンパク質/脂質スコアが高い群」が一番2型糖尿病リスクが少なかったのですから、糖質セイゲニストにとっては、言うことなしです。 ヾ(^▽^)


【5/02/27 精神科医師A

糖質制限食と糖尿病リスク:日本初の前向き研究
http://www.carenet.com/news/risk/carenet/39515

◇糖質制限食と糖尿病リスク:日本初の前向き研究

 低炭水化物食(糖質制限食)のスコアと2型糖尿病リスクとの関連のエビデンスは少なく、一貫していない。また、炭水化物を多量に摂取するアジア人において検討した前向き研究はない。今回、国立がん研究センターによる多目的コホート研究(JPHC研究)で、低炭水化物スコアと2型糖尿病発症リスクとの関連が前向き研究で検討された。その結果、日本人女性における低炭水化物食と2型糖尿病リスク低下との関連が認められ、著者らはこの関連が白米の多量摂取に一部起因する可能性を指摘した。PLoS One誌2015年2月19日号に掲載。

 登録されたのは、JPHC研究の2次調査参加者のうち、糖尿病の既往がない45~75歳の男性2万7,799人と女性3万6,875人。食物摂取量は食物摂取頻度調査票(FFQ)を用いて確認し、すべての炭水化物、タンパク質、脂質の摂取量から低炭水化物スコアを計算した(スコアが高いほどタンパク質と脂質の摂取量が多く、炭水化物の摂取量が少ないことを示す)。また、高動物性タンパク質/脂質、および高植物性タンパク質/脂質における低炭水化物スコアもそれぞれ計算した。5年間に申告し医師に診断された2型糖尿病のオッズ比を、ロジスティック回帰を用いて推定した。

 主な結果は以下のとおり。

・5年間で1,191人が新たに2型糖尿病を申告した。
・低炭水化物・高総タンパク質/脂質スコアは、女性において2型糖尿病リスクの低下と有意に関連していた(傾向のp<0.001)。
・スコアが最も高い五分位における2型糖尿病の多変量調整オッズ比は、最も低い五分位と比較して0.63(95%CI:0.46~0.84)であった。食事での血糖負荷による追加調整で、関連性は減衰した(オッズ比:0.75、95%CI:0.45~1.25)。
・女性では、低炭水化物・高動物性タンパク質/脂質スコアが高いほど、2型糖尿病リスクは低かった。一方、低炭水化物・高植物性タンパク質/脂質スコアは男女とも関連が認められなかった。


原著論文

Low-Carbohydrate Diet and Type 2 Diabetes Risk in Japanese Men and Women: The Japan Public Health Center-Based Prospective Study

http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0118377



江部康二

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
牛乳と糖質制限食
こんにちは、。

今回は復習を兼ねて、牛乳と糖質制限食について、考えてみます。

牛乳は100mlあたり約5gの乳糖を含んでいます。

厚生労働省の低糖質食品の基準は、100g中5g以下の糖質ですので牛乳は一応低糖質食品と言えます。

牛乳はガブガブ簡単に飲めて1回に500mlくらい飲む人もいるので、量的に多くなりがちかと思い、要注意食品食品(△)に分類しました。

しかし牛乳も料理に100ml使って、2~4人前をつくるとかは問題ないです。
紅茶に牛乳10ml入れるのも問題ないです。

さて

「日本人やアジア人の多くは、乳糖分解酵素をあまり持っていないので消化吸収があまりできない。」

というのが、定説です。

そうすると、逆に言えば、日本人は牛乳を飲んでも血糖値はほとんど上昇しない可能性もあることとなります。

しかし、乳糖分解酵素が本当にゼロレべルの人は、100mlの牛乳でも下痢しそうです。

私の場合は、200ml飲んでも、下痢はありません。

とにかく、まずは自分自身で人体実験してみたことがあります。

私の場合、食後血糖値のピークは1時間後ですので、牛乳200mlを飲んで、1時間後の血糖値を測定してみました。

午後5:30 空腹時血糖値:126mg
      明治牛乳、200ml、炭水化物:9.9g、食物繊維:0。
午後6:30血糖値:148mg・・・22mg上昇


私の場合、1gの乳糖が2.2mg血糖値を上昇させています。

しかし、炊いたご飯やパンのように、1gの糖質が3mg血糖値を上昇はさせていません。

つまり、私にはあるていど乳糖分解酵素が残っているので、牛乳を飲んでも下痢をすることはないし、かなり吸収されています。

「乳糖=ブドウ糖+ガラクトース」

です。

乳糖は、乳糖分解酵素(ラクターゼ)により、小腸で、ブドウ糖とガラクトースに分解されて体内に吸収されます。

このうちガラクトースは、小腸からの吸収は速やかですが、肝臓でのグリコーゲンへの変換がゆっくりで、しかも直接グルコースに変換されるものはごく一部とされています。

とすると、私の場合は乳糖分解酵素は、ほとんど普通に残っていて乳糖(ラクトース)を分解して、ブドウ糖とガラクトースとして吸収しているけれど、ガラクトース分はあまり血糖値を上げないので、1gの糖質が「3mg血糖を上昇 → 2.2mgの上昇」
程度でおさまっているものと考えられます。

乳糖が血糖値をどの程度上昇させるかは、乳糖分解酵素の残存量により、かなり個人差がありそうですね。

乳糖分解酵素がほとんど残っていない人は、血糖値上昇もほとんどないと思います。

ただ、乳糖が全部分解されたとしてもガラクトース分が血糖をほとんど上昇させないので、穀物の糖質に比べると、血糖の上昇は、2.2/3程度ですむようです。

なお明治牛乳にしたのは深い意味はありません。

森永でもグリコでも雪印でも何でも良かったのですが、たまたま立ち寄ったコンビニに明治牛乳が置いてあっただけです。


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
HOMA-β高値とHbA1c、平均血糖値の評価
【15/02/25 うらら

HOMA-βの高値について

江部先生、はじめまして。
境界型で先生の本を一気購入し、blogも拝読、勉強してせっせと発症を防ぐ為に糖質制限食を実施中です。

今回は私ではなく24歳の娘についてちょっと疑問が有り、もしよろしければご享受頂けないものかと思い書き込ませて頂きました。

◆血液検査でHbA1cが5.5(NGSP)だったので24歳にしてこれは高いのでは?とブドウ糖負荷検査を受けさせました。


     血糖値  インスリン  

空腹時   88    8.4      
30分    158    76.9  
60分    107     93.9
120分    81     55.0

身長165cm、体重48kg
HDL-80 LDL-99 中性脂肪 46 

計算してみると
HOMA-R 1.8
HOMA-β 120
インスリン分泌指数 0.9

…と、HOMA-Rも高め、HOMA-βにおいては「120%」と異常高値なのですが…

診察して貰ったのは糖尿病専門医の内科医師ですが、

「問題有りませんでした。今日の検査で飲んだモノの様な甘い飲み物とかあまり飲まないようにね」

と言われただけでした。

この場合はインスリン抵抗性アリで、境界型にはならないのでしょうか。

負荷検査を受ける前に、他の2軒の内科医でもHbA1cがこの年齢で高めですがと尋ねてみましたが「年齢関係なく6.2までは気にしなくていい」とあっさり帰されました。

何しろ若いので、このまま鵜呑みにして甘いものだけを避けていたらいいのか、軽い糖質制限を始めた方がいいのかとても困っています。

普段からサイダーの様な甘い飲料系は苦手なので飲んでいませんし痩せ型なのでこれ以上体重も落とせません。

大変お忙しい中お手を煩わせてしまう様で申し訳御座いませんが何かアドバイスを頂けたらとてもありがたいと思います。
よろしくお願いします。】


うららさん。
拙著のご購入ありがとうございます。

娘さん、24才でHbA1cが5.5%(NGSP)ということは、<HbA1c(NGSP)×28.7-46.7>で計算して、推定平均血糖値は111mgです。年齢的には確かに、やや高めですね。

2008年4月に始まった特定健診・特定保健指導(メタボ健診)のための基準において、HbA1c5.6%以上は特定保健指導の対象ですから、正常ギリギリのところです。

40才から70才がメタボ健診の対象ですので、24才の数値としては仰有るとおり少し心配です。

HOMA-R 1.8 ・・・1.6以下は正常。2.5以上はインスリン抵抗性あり。 
          なので、インスリン抵抗性傾向が少しありです。
HOMA-β 120 ・・・40~60%が基準値なので、かなり追加分泌インスリンが多いです。
インスリン分泌指数 0.9 ・・・0.4以上で正常です。

75g経口ブドウ糖負荷試験の結果はデータだけで見ると医師のいうとおり、正常型です。

しかし、120分値で81mgまで血糖が低下しているのに、インスリンはまだ55μU/mlと、結構分泌されているので、このあと機能性低血糖になりやすいパターンなので、そのことを知っておきましょう。

清涼飲料水や精製炭水化物の白米やパンやお菓子などは、機能性低血糖のリスクとなりやすいので注意が必要です。

うららさんが境界型なら、娘さんも将来境界型になりやすいと思います。
今から、つらくない範囲で糖質制限食を実践すれば、予防できます。
スーパー糖質制限食でなくて、緩やかな糖質制限食でも充分境界型発症予防になります。
またそれで、機能性低血糖のリスクも防げると思います。

スーパー糖質制限食なら、1回の食事の糖質量が10~20g以下が目安で、
緩やかな糖質制限食なら、1回の食事の糖質量が30~40gでOKです。


江部康二


インスリン分泌指標
HOMA-β
<HOMA-β=360×空腹時インスリン値(μU/mL)/(空腹時血糖値(mg/dL)-63)>
経口血糖負荷試験時の2時間値のインスリン分泌量と、よく相関する。
空腹時血糖値130mg以下なら信頼度高い。
正常値:40-60%
30%以下は軽度、15%以下は顕著なインスリン分泌低下。
HAOMA-βはインスリン使用中の患者には使えない。

インスリン分泌指数
インスリン追加分泌のうち初期追加分泌能はインスリン分泌指数で見る。
Insulinogenic index(⊿IRI/⊿BS)
=(負荷後30分IRI値-負荷後IRI値)/ (負荷後30分血糖値-負荷前血糖値)
0.4以上は初期追加分泌能維持。2型では0.3以下が多い。


インスリン抵抗性指標
HOMA-R
<HOMA-R=空腹時血糖値(mg/dL)×空腹時インスリン値(μU/mL)/405 >
1.6以下が正常、2.5以上は抵抗性あり。
空腹時血糖値140mg以下なら信頼度高い
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
朝日カルチャーセンター京都教室、糖質制限食講座のご案内。
こんにちは。

朝日カルチャーセンター京都教室講座
「糖質制限による糖尿病・肥満・生活習慣病の改善」
のご案内です。

2015年3月3日(火) 13:00~14:30
講演70分。
質疑応答20分。

糖質制限食の基礎理論や世界の最新の話題もわかりやすくお話します。

新著
『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません: 生活習慣病を予防&改善する糖質制限食31のポイント』 (東洋経済新報社)2014年8月




においては、エビデンスだけにこだわるのではなく、それらをベースに糖質制限食の持つポテンシャル・可能性についてわかりやすく広く大胆に考察してみました。

おかげさまで、アマゾンのKindleストアでは、全200万冊中で55位と好調です。

2/25(水)Kindleストア29位で、27日間100位以内になってました。

がん、心疾患、脳血管疾患、肺炎、これらは現代日本の4大死因です。
厚生労働省が2011年に日本人の5大疾病を発表しています。
以前から多かった、がん、脳卒中、心臓病、糖尿病に、新しく精神疾患を加えた5つの疾病を指します。
これらの病気の増加は、重大な社会問題であり早急な対策が必要です。
実はこれら全ての疾病の予防と治療に関して有効と考えられるのが糖質制限食です。
今回は、その有効性・可能性についてお話しします。

質疑応答も20分間と時間をとりました。

京都、大阪、滋賀、奈良、兵庫、福井・・・の皆さん、奮ってご参加下さいね。


江部康二


以下は朝日カルチャーセンター京都のサイトから抜粋です。

☆☆☆
講演要旨
美味しく楽しく満足するまで食べて、
血糖コントロールは良好!キーワードは「糖質制限」だけ。
あとは面倒なカロリー計算は不要で、ステーキも脂ののった魚もOKで、
お酒(蒸留酒、辛口ワイン、糖質ゼロ発泡酒)も飲めます。
糖尿病だけでなく、
肥満やメタボリックシンドロームや様々な生活習慣病もよくなります。
美味しいものを食べたいだけ食べてもOKなので、
「満腹ダイエット」「美食ダイエット」と呼ぶ人もいます。
農耕が開始されたのはわずか1万年前です。
糖質制限食は狩猟・採集時代700万年間の人類本来の食事であり、
人類の健康食ですので、
いろんな症状が良くなるのは当たり前といえば当たり前なのです。
興味がある方は是非ご参加を!

お問い合わせ・お申し込み:電話 075-231-9693 朝日カルチャー京都教室

参加費:会員 3,024円 一般 3,564円

講師紹介 江部 康二 (エベ コウジ)
1950年生まれ。 1974年京都大学医学部卒業。1974年から京都大学胸部疾患研究所第一内科(現在京大呼吸器内科) にて呼吸器科を学ぶ。1978年から高雄病院に医局長として勤務。1996年副院長就任。2000年理事長就任。2001年から糖質制限食に取り組む。2002年に自ら糖尿病であると気づいて以来、さらに糖尿病治療の研究に力を注ぎ、「糖質制限食」の体系を確立。これにより自身の糖尿病を克服。内科医/漢方医/一般財団法人高雄病院理事長/一般社団法人日本糖質制限医療推進協会理事長著書『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』(東洋経済新報社)作家宮本輝氏との対談、『我ら糖尿人、元気なのには理由がある』(東洋経済新報社)『主食をやめると健康になる』(ダイヤモンド社)『高雄病院の「糖質制限」給食』(講談社)『糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食』 (ナツメ社)『高雄病院 Dr.江部が食べている「糖質制限」ダイエット1ヵ月献立レシピ109』(講談社)『糖尿病治療のための! 糖質制限食パーフェクトガイド』 (東洋経済新報社)『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません: 生活習慣病を予防&改善する糖質制限食31のポイント』 (東洋経済新報社)など多数。ブログ『ドクター江部の糖尿病徒然日記(http://koujiebe.blog95.fc2.com/)は、日に10000件のアクセスがあり、糖尿病のかたやそのご家族から寄せられ↓↓た質問への回答や、糖尿病・糖質制限食に関する情報の発信に、日々尽力している。


テーマ:糖質制限食
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人類と甘味料・・・蜂蜜、砂糖、の歴史
こんばんは
本日のブログは「人類と甘味料・・・蜂蜜、砂糖の歴史」を考えてみます。

紀元前6000年頃に描かれた、スペインのアラーニャの洞窟の
壁画に、はちみつを採集する人の姿が描かれています。
このように、人類が初めて口にした甘味は、天然の蜂蜜といわれています。

ちなみに蜂蜜に含まれる糖質は、
果糖(約40%)とブドウ糖(約35%)とショ糖(数%)で構成されています。
果糖は血糖値をほとんど上げませんが、
中性脂肪に変わりやすいので太りやすい甘味です。
蜂蜜にはビタミンやミネラルも多く、その中には18種を越える有機酸が含まれ、
pH値は約3.7前後です。

蜂が集めてきた花蜜(主にショ糖)は、
働き蜂の唾液腺から分泌される転化酵素の働きによって
ショ糖からブドウ糖及び果糖へと変化し、水分20%まで濃縮されます。


蜂蜜以外の甘味料として、サトウキビの搾り汁を煮詰めて精製結晶「白砂糖」
を作り出すのに成功したのは、紀元前のインド人です。
インド砂糖は、アレクサンダー東征により西方へも伝わりましたが、
庶民には高嶺の花、かなりの貴重品だったと考えられます。
長らく西洋では、日常の甘味料としては、蜂蜜が唯一のものでした。

中国では玄奘(三蔵法師)のインド行きがきっかけで、
製糖法が伝わり、7世紀以降に砂糖生産が始まったとされています。

砂糖が日本に伝わったのは、奈良時代後期に鑑真和尚が唐から
渡来した折りと言われています。

ずっと貴重品だった砂糖はヨーロッパでは貴族だけが嗜むものでした。
産業革命を経て多量にかつ安価に生産できるようになり、
庶民にも解禁されて、イギリスでは紅茶とたっぷりの砂糖が一般的となりました。
現在では、その過剰摂取が、
世界中で肥満や糖尿病のもとであると問題になっています。
 

砂糖の主成分がショ糖(スクロース)です。
砂糖きび(甘蔗)と砂糖大根(甜菜)を原料として作ります。
ショ糖はブドウ糖と果糖が結合したものです。

ショ糖の純度の高いものがグラニュー糖(99.95%)や氷砂糖(99.98%)です。

家庭で最もポピュラーな上白糖は、独特のしっとりした感じを持たせるために、
ショ糖の結晶に濃厚な転化糖液(ビスコ)を少量ふりかけてあり、純度は97.8%です。
「転化糖」とは、ショ糖の分解(加水分解)によってできた
ブドウ糖と果糖の混合物で、ショ糖より甘みが強いです。

意外かもしれませんが、ショ糖は大豆、大根、白菜、ねぎ、
ほうれん草などの野菜やアーモン、ピーナッツドなどのナッツ類にも少量含まれています。


なお、砂糖の大量生産の歴史は、
欧米の西インド諸島植民地のサトウキビ栽培が始まりです。
イギリスやアメリカの白人が、
西インド諸島の原住民を奴隷として過酷な労働を強いて、
現地の人口が激減します。

そうなれば次はアフリカで黒人をさらって奴隷として西インド諸島で働かせて、
といったパターンが始まります。

要するにサトウキビ栽培の歴史は、奴隷制度の歴史そのものと
言っても過言ではないようです。
時が経ち、
徐々に人種差別反対、抵抗、反乱、革命・・・奴隷制度廃止へと歴史が動きます。


砂糖の話に興味がある方は、「砂糖の歴史」エリザベス・アボット著、
樋口幸子訳、河出書房新社、2011年5月がお奨めです。マニアックな
大著ですので読むのに骨がおれますが・・・。


江部康二
”高血糖の呪い”は解けないのか?MT Pro記事。DCCTとEDIC。
こんばんは。

『”高血糖の呪い”は解けないのか?』

という記事が、2015年2月18日の、MT Proサイトに掲載されました。

米国の1型糖尿病の研究である「DCCT(1983~93年」と「EDIC」の27年目の最新の報告がJAMA(2015; 313: 45-53)に報告されました。

その記事について、北里研究所病院糖尿病センターの山田悟氏が解説しています。

詳しくは、本ブログの最後の青字のMT Pro記事をご参照いただけば幸いです。

DCCTの2群
1)厳格管理群
  研究開始後6.5年間を厳格に管理して平均HbA1c7.0%であった群
2)従来管理群
  研究開始後6.5年間を従来血糖管理して平均HbA1c9.0%であった群

DCCTが1993年に終了した時点で、厳格管理群が、従来管理群に比べて細小血管障害を有意に抑制できることが示されました。

DCCTは1,441例の研究(厳格血糖管理群711例,従来血糖管理群730例)です。

その後、従来管理群も厳格に管理を開始して、継続的に研究を続けたのがEDICです。

今回のJAMAの報告は2012年12月31日までの平均27年のフォローアップデータです。

結論としては、当初の6.5年間の9.0%と7.0%のハンディが、27年目経過しても残存していました。

計107例が亡くなっており、うち43例が厳格血糖管理群、64例が従来血糖管理群だった患者であり、両群の死亡率には有意差がありました。

長い年月が経過しても、当初のハンディが残存していたことを山田氏は、”高血糖の呪い”と呼ぶのが妥当かもしれないとしています。

こうなると、

いかに早く糖尿病を見つけて血糖コントロール良好に持っていくか

に尽きますね。

一方、糖尿病の慢性合併症である心血管死、がん死、腎不全死については明確に厳格血糖管理群で少なかったのに対して、典型的な糖尿病の合併症とはされない低血糖死、事故死、自殺については、厳格血糖管理群の方が多かったということです。

これらを総合的に考察すると、DCCTにおいてもEDICにおいても、HbA1cが厳格に管理されたとき、いい側面があることは間違いないです。米国で1型糖尿病なので、カーボカウントはしていると思います。

しかし、糖質を普通に摂取してインスリン注射をしているわけですから、例えカーボカウントをしていても、カーボカウントしないよりは、大分ましだと思いますが「食後高血糖」や「低血糖」や「平均血糖変動幅増大」は、かなりの確率で生じています。
これらが、27年間、毎日のように起きていたわけです。

仮にスーパー糖質制限食であれば、1型であってもインスリンの量は、食前の超速効型は1/3以下に減らせるので、「食後高血糖」や「低血糖」や「平均血糖変動幅増大」は、かなり起きにくくなります。

これにより心血管死、がん死、腎不全死もかなり減らせた可能性があります。


スーパー糖質制限食で1型でも合併症なしの生き証人の一人は、バーンスタイン医師ですね。


江部康二



☆☆☆
MT Pro記事
2015年2月18日から一部転載

ドクターズアイ
“高血糖の呪い”は解けないのか?

DCCT/EDIC 27年のフォローアップ結果から
北里研究所病院糖尿病センター 山田 悟

研究の背景:腎障害,心血管イベントで示された “metabolic memory”,死亡でも存在?


 DCCT(Diabetes Control and Complications Trial)は,1型糖尿病患者に対する厳格血糖管理(平均6.5年の介入期間中の平均HbA1c 7.0%)が従来血糖管理(同9.0%)と比較して,細小血管障害を有意に抑制できることを示した臨床糖尿病学の金字塔ともいうべき研究である(N Engl J Med 1993; 329: 977-986)。この介入試験が1993年に終了した後,従来血糖管理群に割り付けられていた患者も厳格血糖管理を受けるよう勧められ,その後の合併症の発症状況を観察した前向き研究が継続された。これがEDIC(Epidemiology of Diabetes Control and Complications)である。

 これまでのEDICからの知見では,かつて厳格血糖管理群と従来血糖管理群に割り付けられていた人では,その後比較的速やかに血糖管理状況が同等になったにもかかわらず,その後も腎障害(N Engl J Med 2011; 365: 2366-2376)や心血管イベント(N Engl J Med 2005; 353: 2643-2653)において発症率に継続して差異が生じることが示されてきた。これらの結果は“metabolic memory”と呼ばれ,身体にはかつての高血糖の記憶が刷り込まれ,その後,血糖を厳格に管理してもなかなかその悪影響を払拭することができないのだとされてきた。

 このたび,死亡率に対するかつての血糖管理の差異の影響を見た結果がJAMA(2015; 313: 45-53)に報告されたのでご紹介したい。

研究のポイント1:かつての厳格血糖管理により10万例・年当たり132例のリスク減少

 前述のようにDCCTは臨床糖尿病学の金字塔のような研究であり,その後の観察研究であるEDICも含めて知らないという方はさほど多くはないであろう。米国およびカナダの27の専門施設で行われた介入試験(1983~93年)がDCCTであり,その後の実地医家の管理下でのフォローアップがEDICである。

 今回の報告は2012年12月31日までの平均27年のフォローアップデータである。元来のDCCTは1,441例の研究(厳格血糖管理群711例,従来血糖管理群730例)であり,2012年12月31日時点で1,429例(99.2%)の生死を確認することができた。計107例が亡くなっており,うち43例が厳格血糖管理群,64例が従来血糖管理群だった患者であり,両群の死亡率には有意差があった(ハザード比0.67,P=0.04; 図)。


 これを絶対リスク減少で示すと10万例・年当たり132例とのことであった〔治療必要人数(NNT)で見ると,758例に厳格血糖管理をして1年当たり1例の生命を救えるという計算になる〕。

研究のポイント2:死因は心血管死,がん死,急性合併症死の順

 これを死因で分類すると,心血管死(22例),がん死(21例),急性合併症死(19例)が上位3位であり,事故(11例)や自殺(7例)もある程度の数になっていた。

 ここで確認しておきたいことは,糖尿病の慢性合併症である心血管死,がん死,腎不全死(表の中ではその他に分類)については明確に厳格血糖管理群で少なかったのに対して,典型的な糖尿病の合併症とはされない低血糖死,事故死,自殺については(統計学的な解析はなされていないが)厳格血糖管理群の方が多かったということである。


私の考察:“厳格管理の負担”を患者に強いることなく“高血糖の呪い”を解く

 本研究の結果は,“早期の血糖管理が重要である”という,これまでDCCT/EDICやUKPDS(N Engl J Med 2008; 359: 1577-1589)が示してきた概念を再び示している。このmetabolic memoryあるいはlegacy effectと呼ばれる概念は,既に確立されたものである。しかし,それでも私にとって今回のデータはとても衝撃的であった。それは,初期の6.5年の治療成績の影響が,その後20年の厳格な血糖管理によっても消せなかったということである。

 従来血糖管理群は,その後の治療を放棄したわけではない。それどころか実地医家の下で厳格血糖管理を目指していたわけである。それでも,初期の6.5年の血糖管理の差異を埋めることができないとすると,初期に数年血糖管理を放棄した患者を診療する際に無力感を感じてしまう。診断後,数年間,治療を怠る患者は世の中に多数存在する。そうした患者を私たちは未来永劫救うことができないのであろうか。Metabolic memory,legacy effectは“代謝上の記憶”“遺産効果”というよりも“高血糖の呪い”と呼ぶ方が妥当なのかもしれない。

 しかも,従来管理群の患者に対してその後の20年の治療では呪いが解けなかっただけではない。厳格血糖管理群に対しても多くの負担を強いていたことが示唆される。つまり,低血糖,事故,自殺による死亡は厳格血糖管理群の方が多いということである。「“高血糖の呪い”を避けるために“厳格管理の負担”を強いる」。これがかつての(これまでの)1型糖尿病の治療だったといえるのかもしれない。

 ただ,幸いにして臨床糖尿病学はDCCTが実施された1980年代から急速に進歩を遂げている。超速攻型インスリンアナログ(リスプロ,アスパルト,グルリジン),持効型溶解インスリンアナログ(グラルギン,デテミル,デグルデク)が日常的に使用され,また,持続的インスリン皮下注入療法(Continuous Subcutaneous Insulin Infusion;CSII)を実施している患者も増えつつある。きっと,今であれば高血糖の呪いはそこまで大きなものではないと信じたい。

 そして,ついにパーソナル持続的血糖モニター(CGM)機能の付いたCSII(sensor augmented insulin pump;SAP)が日本においても本稿をアップした当日(2月18日)に発売された(関連リンク)。血糖の変動速度とともに示されるreal timeの皮下間質液中のグルコース濃度は,低血糖アラームの利用とともに,1型糖尿病患者の血糖管理を大いに改善してくれると期待されるし(N Engl J Med 2010; 363: 311-320,Diabetologia 2012; 55: 3155-3162),適切に利用すれば患者の負担感・不安感も軽減される可能性がある(Diabetes Technol Ther2012; 14: 143-151,Diabet Med 2013; 30: 464-467)。SAPを治療法として導入した患者の経済的な負担額はまだ不明であり,ことによると医療機関にも経済的負担が出る可能性もあるが,ぜひ,薄利多売の精神に合致する金額が設定されるよう祈りたい。

 “厳格管理の負担”を患者に強いることなく,“高血糖の呪い”を解くべく,これからもわれわれ糖尿病医は奮闘しなくてはなるまい。


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
スーパー糖質制限食でインスリン抵抗性・インスリン過剰分泌改善、
【15/02/18 きーぶー

インスリン抵抗性改善

こんにちは。

2014/12/28に「糖尿病が治った!? 糖質制限食でインスリン抵抗性改善。第二弾」
で記事にして頂いた者です。

記事とは直接関係の無い話で恐縮ですが、 1月に血液検査を行いましたので、その結果をご報告させて頂きます。

- 2015/1
- 体重:67kg(BMI:24.3)
- HbA1c:4.8
- 空腹時血糖値:79
- 空腹時インスリン:2.3 (2.2~12.4)

その結果、2014年1月から以下の様に改善しました。
      2014/1   2014/4    2015/1
-HOMA-β:132.6   → 97.2    → 51.7
-HOMA-R:5.75    → 1.86    → 0.45

空腹時インスリンが基準値下限(報告書に記載されていた基準値は2.2-12.4)に近いのは、インスリン抵抗性が改善された結果、インスリンの分泌が基準値下限近くでも血糖値を十分に下げられるようになったためで問題はないものと解釈して良いのでしょうか?】



こんばんは。

きーぶーさんから、素晴らしいデータ改善のコメントをいただきました。

データのご報告、第二弾で、大変参考になります。
ありがとうございます。

        2014/1   2014/4    2015/1
-HOMA-β:132.6   → 97.2    → 51.7 (40~60)
-HOMA-R:5.75    → 1.86    → 0.45
-体重  :106      → 88    → 67kg
-身長  :166cm
-BMI  :38       → 32    → 24.3
-HbA1c :8.0      → 5.7   → 4.8%
-空腹時血糖値:117  → 93   → 79mg/dl
-インスリン:19.9    → 8.1   → 2.3μU/ml(2.2~12.4)

1年間のスーパー糖質制限食実践で、驚異的な改善です。

2014年1月の段階で、肥満による強度のインスリン抵抗性とインスリンの過剰分泌が認められます。

1年後には、見事に肥満脱却、インスリン抵抗性正常に改善しています。

その結果空腹時のインスリンは、基準値下限くらいしか分泌されていないのに、空腹時血糖値は79mg/dlと極めて良好です。

インスリンは、人体に絶対に必要なホルモンですが、血糖コントロールができている限り、その分泌が少なければ少ないほど身体には優しいのです。

すなわち基礎分泌インスリンも追加分泌インスリンも、血糖値がコントロールされて折り合いがついているなら、少なければ少ないほど好ましいと言えます。

きーぶーさんの、インスリン2.3μUで血糖値79mgというのは、花丸の状態で素晴らしいです。

インスリン分泌が多いと、「肥満、高血圧、アルツハイマー病、ガン」のリスクとなることにはエビデンスがあります。

きーぶーさんは、糖尿病の改善だけではなく、「肥満、高血圧、アルツハイマー病、ガン」のリスクからも脱却できたわけです。
おめでとうございます。

これからも、美味しく楽しく末長く糖質制限食をお続け下さいね。


江部康二



☆☆☆

以下は2014年12月28日の本ブログ記事です。


糖尿病が治った!? 糖質制限食でインスリン抵抗性改善。第二弾。

【14/12/27 きーぶー

偶然にも・・・。

昨日、過去の検査結果を見返しながら、偶然にも柴宏くんさんと同じようなことを考えていました。

私は今年1月に糖尿病と診断されました。

身長は166cmで1月の時点では、
- 体重:106kg(BMI:38)
- HbA1c:8.0
- 空腹時血糖値:117
- 糖負荷30分後血糖値:212
- 糖負荷60分後血糖値:276
- 糖負荷120分後血糖値:206
- 空腹時インスリン:19.9
- 糖負荷30分後インスリン:74,3
でした。

そこからすぐにスーパー糖質制限食を開始し、4月時点で
- 体重:88kg(BMI:32)
- HbA1c:5.7
- 空腹時血糖値:93
- 空腹時インスリン:8.1
になり、この結果から計算してみたところ
HOMA−β:132.6 -> 97.2
HOMA-R:5.75 -> 1.86
でした。

4月時点ではまだHOMA-Rは高値ですが、11月には
- 体重:68kg(BMI:24.7)
- 空腹時血糖値:85
- HbA1c:4.9

となり、インスリンは測定していないのであくまでも推測でしかありませんが、インスリン分泌能が極端に悪化していなく、減量によりHOMA-Rが改善されていると仮定すればもしかしたら正常型に近くなっているのかな?と。

自分の場合は無理なくスーパー糖質制限食に移行できたので今更元の食生活に戻すつもりもありませんが、もし正常型近くにまで改善できているとすれば、たまにやむを得ず高糖質食を摂取する場合の罪悪感が多少は薄れるかなと。

ただ、これはあくまでも推測なので、次回、血液検査をするときにはインスリンの測定も主治医に相談してみようかと思います。

長文で失礼致しました。】



きーぶーさん
コメントをありがとうございます。
とても参考になります。

2014年1月、糖尿病診断
身長は166cm
- 体重:106kg(BMI:38)
- HbA1c:8.0%
- 空腹時血糖値:117 mg/dl
- 糖負荷30分後血糖値:212
- 糖負荷60分後血糖値:276
- 糖負荷120分後血糖値:206
- 空腹時インスリン:19.9 μU/ml
- 糖負荷30分後インスリン:74,3
-HOMA-β:132.6 (40~60)
-HOMA-R:5.75 (1.6以下が正常、2.5以上は抵抗性あり)


空腹時インスリン(基礎分泌インスリン)が19.9μU/mlと高値です。

基準値が検査会社により、「3~15μU/ml」とか「2~10μU/ml」ですから、肥満によるインスリン抵抗性に、身体が対抗して過剰のインスリン分泌を生じています。

それで、空腹時血糖値は117mg/dlと何とか境界型レベルを保っています。

HOMA-βも高値なので、インスリン追加分泌も過剰です。

「肥満→インスリン抵抗性増大→インスリン過剰分泌→肥満→・・・」の悪循環で、106kgに育ってしまった?と考えられます。


すぐにスーパー糖質制限食を開始
2014年4月
- 体重:88kg(BMI:32)
- HbA1c:5.7
- 空腹時血糖値:93
- 空腹時インスリン:8.1
になり、この結果から計算してみたところ
-HOMA-β:132.6  →  97.2
-HOMA-R:5.75 →  1.86


BMIが38から32に改善して、HbA1cと空腹時血糖値は素晴らしい改善で基準値内ですね。
HOMA-βとHOMA-Rも大分改善です。

2014年11月
- 体重:68kg(BMI:24.7)
- 空腹時血糖値:85mg/dl
- HbA1c:4.9 %


スーパー糖質制限食開始10ヶ月で、166cm、68kg。BMI24.7と肥満脱却。(^-^)v(^-^)v 
空腹時血糖値もHbA1cも基準値内です。

きーぶーさんの場合も柴宏くんと同様、「インスリン抵抗性」が主たる要因で糖尿病を発症したと考えられます。

糖尿病発症時には、インスリン分泌能力は充分保たれており、過剰に分泌されています。

従って、肥満脱却により、インスリン抵抗性が基準値内に改善しているなら、仰る通り、11月時点では、正常型に回復している可能生が高いと思います。

次回、血液検査をするときにはインスリンの測定もして、結果をまた教えて頂ければ、大いに参考になります。

なお、たまにやむを得ず高糖質食を摂取しても、食後高血糖にはならないと思いますが、柴宏くんと同様に、機能性低血糖になりやすい可能性がありますので要注意ですね。


江部康二
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食事性コレステロール摂取量、政府指針案から上限値撤廃 米国
【15/02/20 福助

食事性コレステロール摂取量、政府指針案から上限値撤廃 米国

江部先生

米農務省と米保健福祉省も、コレステロールを多く含む食品の摂取制限を、政府ガイドラインの草案から削除するとのことです。

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『食事性コレステロール摂取量、政府指針案から上限値撤廃 米国』

          AFP=時事 2月20日(金)10時40分配信

米農務省(US Department of Agriculture、USDA)と米保健福祉省(U.S. Department of Health and Human Services、HHS)は19日、コレステロールを多く含む食品の摂取制限に関する文言が、米国人の栄養に関する新たな政府ガイドラインの草案から削除されることを明らかにした。

現行のガイドライン「Dietary guidelines for Americans(米国人のための食生活指針)」では、1日あたりのコレスレテロール推奨摂取量上限は300ミリグラムとされている。これは棒状のバター1本、または小さい卵2個、ステーキ300グラムに含まれる量にあたる。

これまでは、コレステロールの過剰摂取によってプラークが動脈に蓄積し、心臓発作や脳卒中リスクが高まると考えられていた。ただ、2015年版ガイドラインでは、食事から摂取のコレステロールと血清コレステロールの間に明確な関連を示す証拠がないとして、コレステロール摂取の上限値が撤廃される可能性が出てきた。

「health.gov/dietaryguidelines」で閲覧できる草案には「コレステロールは過剰消費が問題となる栄養素ではない」とある。栄養、医療、公衆衛生の米専門家ら14人がこの新たな草案をまとめた。

新たなガイドラインをめぐっては、45日間の意見聴取期間が設けられた後、3月24日にメリーランド(Maryland)州ベセスダ(Bethesda)で開催される公開会合で討議にかけられる予定。

一方、コレステロールとセットで語られることの多い飽和脂肪については、より厳しい摂取量の制限が求められた。

2010年の指針では、飽和脂肪からのカロリーを一日当たりの全カロリー摂取量の10%とするとしていたが、草案では同8%とされた。

ニューヨーク(New York)にあるマウントサイナイ医科大学ベス・イスラエル病院(Mount Sinai Beth Israel hospital)のレベッカ・ソロモン(Rebecca Solomon)氏(臨床栄養学)は、「長い間、(体内の)コレステロールレベルについては、食事性のコレステロールではなく、遺伝や飽和脂肪の過剰摂取が主要な原因であることは分かっていた」と述べ、このような形で認識されて嬉しいと続けた。【翻訳編集】 AFPBB News 】

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こんばんは。

福助さんから、大変興味深いヤフーニュースの記事についてコメントをいただきました。
ありがとうございます。

ヤフーニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150220-00000007-jij_afp-int
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『食事性コレステロール摂取量、政府指針案から上限値撤廃 米国』

糖質制限食は、高コレステロール食ですから、追い風ですね。

おそらく、数年以上長期に経過すれば、高コレステロール食でも低コレステロール食でも肝臓が生産を調整するので、コレステロール値は均等化するということなのでしょう。

一方、スーパー糖質制限食開始前に

156cm。 68kg、BMI:27.9 
元々菜食+魚で・・・コレステロールは基準値内。

であった女性がスーパー糖質制限食実践、半年後に

55.7kg、BMI:22.9。
TC:502mg/dl  TG:66mg/dl  HDL-C:104mg/dl  LDL-C:384mg/dl

になりゼチーア投与で1ヶ月後に
TC:221mg/dl  TG:142mg/dl  HDL-C:90mg/dl  LDL-C:102mg/dl

となったケースを経験しましたので、短期的には、食材のコレステロールが血清コレステロールに影響を与える可能性はあると思います。


「飽和脂肪からのカロリーを一日当たりの全カロリー摂取量の10%とするとしていたが、草案では同8%とされた。」

とのことですが、脂肪悪玉説を否定する以下の信頼度の高い論文があります。

米国医師会雑誌、2006年2月8日号に掲載された3本の論文において

「<低脂肪+野菜豊富な食生活>は乳癌、大腸癌、心血管疾患リスクを下げないし、総コレステロール値も不変であった。」

という報告がなされています。

米国医師会雑誌は、インパクトファクターが高く、ニューイングランドジャーナルに次ぐ権威有る医学雑誌です。

RCT研究論文ですので、エビデンスレベルも信頼度が高いです。

5万人弱の閉経女性を対象に、対照群を置き、平均8年間にわたって追跡した結果です。

高額の費用をつぎ込んだ大規模臨床試験で、二度とできない高いレベルの研究です。

2万5千人ずつにグループ分けをして、一方は、脂肪熱量比率20%で強力に低脂肪食を指導しました。

残るグループは脂肪制限なしなので、米国女性平均なら30数%の脂肪摂取比率です。

当然、肉も多く食べているので総脂肪に対する飽和脂肪酸摂取比率も高いと考えられます。

平均的米国女性に対して、約半分近くまで、脂肪摂取比率を厳格に減らして臨床試験を実施したわけです。

研究をデザインした医師は、

「高脂肪食が大腸ガン、乳ガン、心血管疾患のリスクを増大させる=脂肪悪玉説」
「高脂肪食が、血清コレステロール値を増加させる」

という従来の定説を掲げて、それを証明するためにこのRCTを実施したと思います。

すなわち、

「低脂肪食実践により、大腸ガン、乳ガン、心血管疾患のリスクが減少する」
「低脂肪食実践により、血清コレステロール値は低下する」

と信じてこのRCTを開始したと考えられます。

ところが、豈図らんや、低脂肪食は、乳癌、大腸癌、心血管疾患リスクを全く下げなかったのです。

そして血清コレステロール値も優位差なしでした。

これは、即ち、脂肪悪玉説が根底から否定されたということです。

結論です。

『5万人を8年間追跡したJAMA掲載のRCT研究論文で、少なくとも乳ガン・大腸ガン・心血管疾患に関しては、脂肪悪玉説は否定された。』

『血清コレステロールに関しても、高脂肪食は無関係』

ということになります。

脂肪悪玉説を根底から覆す良質の信頼度の高いエビデンスです。


江部康二


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朝日カルチャーセンター京都教室「糖質制限食講座」のご案内
こんばんは。

朝日カルチャーセンター京都教室講座
「糖質制限による糖尿病・肥満・生活習慣病の改善」
のご案内です。

2015年3月3日(火) 13:00~14:30
講演70分。
質疑応答20分。

糖尿病を始め、日本の4大死因、5大疾病と糖質制限食のお話しをします。
質疑応答も20分間と時間をとりました。

京都、大阪、滋賀、奈良、兵庫、福井・・・の皆さん、奮ってご参加下さいね。


江部康二


以下は朝日カルチャーセンター京都のサイトから抜粋です。

☆☆☆
講演要旨
美味しく楽しく満足するまで食べて、
血糖コントロールは良好!キーワードは「糖質制限」だけ。
あとは面倒なカロリー計算は不要で、ステーキも脂ののった魚もOKで、
お酒(蒸留酒、辛口ワイン、糖質ゼロ発泡酒)も飲めます。
糖尿病だけでなく、
肥満やメタボリックシンドロームや様々な生活習慣病もよくなります。
美味しいものを食べたいだけ食べてもOKなので、
「満腹ダイエット」「美食ダイエット」と呼ぶ人もいます。
農耕が開始されたのはわずか1万年前です。
糖質制限食は狩猟・採集時代700万年間の人類本来の食事であり、
人類の健康食ですので、
いろんな症状が良くなるのは当たり前といえば当たり前なのです。
興味がある方は是非ご参加を!

お問い合わせ・お申し込み:電話 075-231-9693 朝日カルチャー京都教室

参加費:会員 3,024円 一般 3,564円

講師紹介 江部 康二 (エベ コウジ)
1950年生まれ。 1974年京都大学医学部卒業。1974年から京都大学胸部疾患研究所第一内科(現在京大呼吸器内科) にて呼吸器科を学ぶ。1978年から高雄病院に医局長として勤務。1996年副院長就任。2000年理事長就任。2001年から糖質制限食に取り組む。2002年に自ら糖尿病であると気づいて以来、さらに糖尿病治療の研究に力を注ぎ、「糖質制限食」の体系を確立。これにより自身の糖尿病を克服。内科医/漢方医/一般財団法人高雄病院理事長/一般社団法人日本糖質制限医療推進協会理事長著書『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』(東洋経済新報社)作家宮本輝氏との対談、『我ら糖尿人、元気なのには理由がある』(東洋経済新報社)『主食をやめると健康になる』(ダイヤモンド社)『高雄病院の「糖質制限」給食』(講談社)『糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食』 (ナツメ社)『高雄病院 Dr.江部が食べている「糖質制限」ダイエット1ヵ月献立レシピ109』(講談社)『糖尿病治療のための! 糖質制限食パーフェクトガイド』 (東洋経済新報社)『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません: 生活習慣病を予防&改善する糖質制限食31のポイント』 (東洋経済新報社)など多数。ブログ『ドクター江部の糖尿病徒然日記(http://koujiebe.blog95.fc2.com/)は、日に10000件のアクセスがあり、糖尿病のかたやそのご家族から寄せられ↓↓た質問への回答や、糖尿病・糖質制限食に関する情報の発信に、日々尽力している。
テーマ:糖質制限食
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糖質制限食医療従事者向けセミナー(東京)2015/3/8(日)満員御
こんにちは。

2015年3月8日(日)糖質制限食医療従事者向けセミナー(東京)ですが、おかげさまで満員御礼、キャンセル待ちとなりました。

ブログ読者の皆様には、ご協力ありがとうございました。


江部康二
テーマ:糖質制限食
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高タンパク食と腎機能と糖質制限食
こんにちは。

今回は、高タンパク食と腎機能と糖質制限食について考えてみます。

1)日本腎臓病学会編「CKD診療ガイド2013」

腎機能に関して、日本腎臓病学会編「CKD診療ガイド2013」において、
eGFR60ml/分以上あれば顕性たんぱく尿の段階でも、
たんぱく質は過剰な摂取をしないという表現となっていて、制限という記載はなし。


2)米国糖尿病学会の栄養療法に関する声明

米国糖尿病学会(ADA)は、Position Statement on Nutrition Therapy(栄養療法に関する声明)Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版において、糖尿病腎症患者に対する蛋白質制限の意義を明確に否定。
根拠はランク(A)で、信頼度の高いRCT研究論文に基づく見解。


糖質制限食は、高タンパク・高脂質食になりますが1)により、糖尿病腎症第3期でも、eGFR60ml/分以上なら、糖質制限食OKです。

そして2)により、今後は、糖尿病腎症第3期以降で、eGFRが60ml/分未満の場合も、患者さんとよく相談して、糖質制限食を実践するか否か、個別に対応することとなります。

3)「日本人の食事摂取基準」(2015年、厚生労働省)

「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書
II  各論
たんぱく質(PDF:1,149KB)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042630.pdf
<97ページ>

3─1.耐容上限量の設定
たんぱく質の耐容上限量は、たんぱく質の過剰摂取により生じる健康障害を根拠に設定されなければならない。しかし現時点では、たんぱく質の耐容上限量を設定し得る明確な根拠となる報告は十分には見当たらない。そこで、耐容上限量は設定しないこととした。

<98ページ>
4─1─1.たんぱく質と発症予防との関連
たんぱく質の摂取不足が脳卒中のリスクとなる可能性が指摘されており 70)、疫学的にもたんぱく質摂取量と脳卒中発症率との間に有意な負の関連を認めた研究が存在する 71─73)。しかし、有意な関連を認めなかった研究もあり 74)、結論はまだ出ていない。

たんぱく質の由来により、心血管危険因子に対するアウトカムや、死亡率に大きな差が見られる。しかし、一致した見解は得られていない 75,76)。高齢者の肥満では、内臓脂肪が増加しても筋肉量が減少するため、BMI では肥満の程度が過小評価されがちである 77─79)。減量する場合、生活機能を悪化させないように筋肉と骨量の喪失を最小限にする必要があり、食事療法だけでなく運動療法も考慮しなければならない 80,81)。

健康な人でも、たんぱく質を過剰に摂取すると、1 週間程度の短期では腎血行動態に変化をもたらして尿中アルブミンが増加するが 82)、中期的には腎機能へ与える影響はほとんどない 83─85)。たんぱく質が糖尿病腎症のない糖尿病において、腎症発症リスクになるとする明らかな根拠はない。

しかし、日本人を含む調査によれば、たんぱく質の過剰摂取が糖尿病や心血管疾患の発症リスク増加につながる可能性がある 86─90)。たんぱく質エネルギー比率が 20% エネルギーを超えた場合の健康障害として、糖尿病発症リスクの増加、心血管疾患の増加、がんの発症率の増加、骨量の減少、BMI の増加などが挙げられる。

たんぱく質と糖尿病発症リスクとの関係を認めた研究 91─94)並びに、最近の系統的レビュー 94)では、これらのどの事象についても明らかな関連を結論することはできないとしながら、たんぱく質エネルギー比率が 20% エネルギーを超えた場合の安全性は確認できないと述べ、注意を喚起している。


結局、現時点では、正常人がタンパク質をたくさん食べて危険という根拠もないけれど、たくさん食べても安全という根拠もないということですね。

まさに、自分で考えて選択して自己責任で食事療法を実践することとなります。

ちなみに、江部康二は、糖尿病発覚の2002年(52才)からスーパー糖質制限食を開始して2015年2月(65才)現在まで続けています。

タンパク質の摂取量は、一日あたり130~140gくらいと、普通人よりかなり大量のタンパク質を摂取してます。体重あたり2.4gのタンパク質ですね。それでも尿酸は低めですし、腎機能に何の問題もありません。

2014年9月の検査データは
BUN:23.3mg/dl(8~20)
クレアチニン:0.63mg/dl(0.6~1.1)  eGFR:97.1ml/min./1.73m2
シスタチンC:0.63mg/dl(0.53~0.95) eGFR:120.3ml/min./1.73m2
尿中アルブミン:6.3mg/g・c(30.0未満)
です。

BUNがやや高値ですが、高タンパク食において生理的な現象であり、クレアチニン、シスタチンC、eGFR、尿中微量アルブミンの検査が全て基準値内なので、腎機能に何の問題もありません。

私は糖尿病患者さんに対して、糖尿病腎症でeGFRが60mg/分未満でも、個別によく相談して糖質制限食を実践するかどうかを決めています。

A)血糖コントロール良好を保つことは、腎血管と腎機能にはとてもよいことです。

B)eGFRが60mg/分未満の場合、高タンパク食が腎機能に悪影響を与えるか否かは、現在明確ではありません。
  eGFRが60mg/分未満の場合、高タンパク食が腎機能を悪化させるという研究もありますが、エビデンスレベル  はかなり弱いのです。あとは、個人差がある可能性があります。


A)B)を考慮しながら、検査結果を経過観察して、糖質制限食を続けるか否かを検討していきます。



江部康二

テーマ:糖質制限食
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PHP文庫『糖質オフ!健康法』 10万部突破のご報告
こんばんは

PHP文庫『糖質オフ!健康法』



2012年12月から書店に並んでいます。

価格は600円と今までの私の本で一番安いです。

糖質制限食の全般を解説したとてもわかりやすい内容となっています。

おかげさまで順調に売れ続けて、この度、第21刷となり、10万部を突破しました。ヾ(^▽^)

コンビニのローソンが『糖質オフ!健康法』をおいてくれているので、助かります。

ローソンさん、ありがとうございます。m(_ _)m


以下は、PHP文庫『糖質オフ!健康法』の構成です。

序章:糖質オフは人間にとって一番自然な食事

1章:糖質オフの驚くべき効果

2章:糖質制限食十箇条の活用法

3章:糖質オフの効能を医学的に解説

4章:知っていると得をする小わざ

5章:使える!外食術

6章:生活習慣・体質別活用法

7章:糖質オフ Q&A

全部で8章の構成で、糖質制限食の最新知識が、満載です。

手軽に読めますので、是非ご一読くださいね。


江部康二



以下は、糖質オフ!健康法(PHP文庫)の

はじめにです。

本書で紹介する糖質制限食は、高雄病院で1999年から日本で初めて開始した食事療法です。

わかりやすく言うとご飯・パン・麺などの穀物製品や芋類などの糖質が多い食品を食べないで、肉・魚貝・豆腐・葉野菜・海藻などをしっかり摂取する食事療法です。糖質を制限したぶん、脂質とたんぱくは充分量食べます。

糖質制限食というと現代の普通の食事である高糖質食と比べると変わった食事という風に思います。

しかし、実は糖質制限食こそが、人類本来の自然な食事なのです。

人類がチンパンジーと分かれて誕生したのが約700万年前です。

農耕が始まるまでは人類の生業は狩猟・採集であり、全ての人類が糖質制限食でした。

約10000年前に農耕が始まり、主食が穀物へと変化し、現在まで続いています。

即ち人類が穀物を主食としたのは、長い歴史の中でわずか1/700の期間に過ぎません。

歴史的に進化の過程をみると「糖質制限食」と「穀物を主食とする高糖質食」、どちらが人類にとって自然な食事なのかはいうまでもありません。

農耕以前の人類にとって糖質は言わばラッキー食材でした。

すなわち時々手に入る果物やナッツ、そして山芋や百合根などの根茎類くらいが比較的糖質の多い食材でした。

運良く手に入った果物を食べて血糖値が上昇するとインスリンが分泌され筋肉に取り込まれますが、余った血糖は中性脂肪に変わり脂肪組織に蓄えられます。

このように、ラッキー食材から得た糖質は、消化吸収されたあとインスリンにより脂肪に変わり、来るべき飢餓に備える唯一のセーフティーネットとなっていたと考えられます。

インスリンは今でこそ肥満ホルモンというありがたくない別称をもっていますが、狩猟・採集時代はその脂肪を蓄える能力は、とても重要な意味をもっていたわけです。

本来、脂肪を蓄えるためのラッキー食材だったはずの糖質を、農耕開始後は日常的に毎日食べるようになりました。

さらにこの200~300年間は精製された炭水化物を食べるようになりました。

現在先進国では、精製された炭水化物であるご飯やパンや麺、そして砂糖水のような清涼飲料水を日常的に大量に摂取しています。

このことが肥満や糖尿病や様々な生活習慣病の元凶となっていると私は思います。

人類の身体の消化・吸収・栄養・代謝システムは、700万年間の糖質制限食の過程を経て、突然変異を繰り返して完成されたものであり、糖質制限食に適合しています。

イギリスの栄養学の教科書「ヒューマン・ニュートリション」に、

「人類は農業の発明依頼、穀物をベーストした食生活を送るようになったが、進化に要する時間の尺度は長く、人類の消化器官はまだ穀物ベースの食物に適応していない」

と明快に記載してあります。

すなわち総摂取カロリーの50~60%が糖質という現代の穀物ベースの食生活は、人体にとってはとんでもなくバランスの悪いものなのです。

糖質制限食は、人類本来の食事、いわば人類の健康食ですので、糖尿病や肥満をはじめとして様々な生活習慣病が改善していきます。

しかも糖質制限食は、糖質を抜くだけで脂質やタンパク質はOKなので「美味しく楽しく」続けられるのが特長です。

糖質制限食を足かけ11年続けている私にとっても、とても嬉しい食事療法なのです。

本書は糖質制限食の理論、活用法、外食術、小わざなどが幅広く解説してあり、読みやすく便利な構成となっていますので、是非ご一読いただけば幸いです。




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糖質制限食と花粉症とブドウ糖ミニスパイク
【15/02/15 はなこ

糖質制限と花粉症

江部先生

福岡在住の者です。
昨年12月から、とあるきっかけで糖質制限を始めて2ヶ月が経過致します。
私が主患ですが、我が家の中学三年の娘のことです。

娘は、生後間もなく乳児湿疹が悪化し、痒みが酷く掻きむしることにより肌が割れ浸出液が出て、身体もパンパンに腫れておりました。血液検査のアレルギー数値は、それは凄いものでした。

当時福岡、熊本と病院を何箇所も渡りましたが改善せず、北里の東洋医学会研究所の漢方医に藁を掴む思いで5ヶ月の娘を抱えて通院を開始しました。漢方を処方頂き、煎じて私が系母乳投与致しました。1月に初めて受診し、3月お雛様を初飾りした頃より、娘の痒みが治り始め、それから3歳近くまで漢方とお付き合い致しました。現在肌は白く、綺麗です。

ただし、中学に入って通学に片道二時間かかる学校に上がってから、時折熱を出したり、咳が止まらず次第に喘息のような症状があらわれ、喘息を止める吸引薬とシールを持ち歩くようになりました。

私が糖質制限を行うようになり、家族も従って糖質低めのタンパク質をしっかりとる食事をするようになってから、毎年かかっていたインフルエンザにもかからず(娘の隣の席の子が罹患した)、風邪すらひかず、そして今年は暖かい福岡は花粉が飛び始めているのにも関わらず、娘は咳も鼻水もないのです。血液検査では、アレルギー反応数値振り切れているのに驚きです。

15年前のお雛様の頃に感じた治るかも?と同じ予感しています。

その凄すぎる糖質制限をもっと勉強したく、大分前日入りし伺います。】



はなこさん。
コメント、そして大分講演会へのご参加、ありがとうございます。

赤ちゃんがアトピーでも、煎じ薬は到底飲めません。

そんなときお母さんに煎じ薬を飲んでいただいて、母乳からの漢方効果を期待するというやり方は、なかなかリーズナブルと思います。高雄病院でも、ときにそうすることがあります。

あるいは、アトピー性皮膚炎の赤ちゃんには漢方の浴剤を処方することもあります。
ともあれ、娘さんのアトピーが改善して良かったです。

糖質制限食実践で、花粉症や気管支喘息がでなくなったのも素晴らしいですね。

近年の糖尿病関係の話題として、『空腹時血糖値と食後高血糖値の差(ブドウ糖スパイク)が大きいほど、リアルタイムに大血管の内皮が傷害されて動脈硬化になりやすく、将来心筋梗塞の危険性が高まる』という説が有力となっています。

糖尿病の人は、当然、ブドウ糖スパイクが大きいわけです。

一方糖尿病がない人でも、糖質を食べれば、糖尿病の人に比べれば小さいとはいえ、食後の血糖値が上昇して大量のインスリンが分泌されます。

私は、この小さなブドウ糖スパイクを、『ブドウ糖ミニスパイク』と呼んでいます。

現代の普通の食生活では、毎日3~5回、食事や間食のたびに、糖質摂取によるブドウ糖ミニスパイクとインスリンの大量分泌が生じます。

とくに精製炭水化物を一人前摂取したら、追加分泌インスリンは基礎分泌の数倍~30倍と大量に出ます。

これは高血糖を防ぐために救急車が出動したようなもので、本来非常事態なのです。

このブドウ糖ミニスパイクとインスリンの過剰分泌が、生体の恒常性をかく乱してホメオスタシスを崩し、アレルギー疾患を悪化させたり、将来の生活習慣病のもととなります。

過去世界中にいろんな食事療法がありましたが、経験的に有効とされているものは、玄米菜食、ゲルソン療法、甲田療法など、基本的にブドウ糖ミニスパイクが比較的少ないという一点で一致しています。

特に生野菜と生玄米粉だけという甲田療法では、ブドウ糖ミニスパイクは極めて少ないです。

私は現在、世界に氾濫する生活習慣病の元凶は、精製炭水化物やジャンクフードによるグルコースミニスパイクとインスリン過剰分泌と考えています。

糖質制限食により、グルコースミニスパイクとインスリン過剰分泌がなくなり、生体はホメオスタシスを取り戻し、自然治癒力も回復し高まり、アレルギー症状を始めとして様々な生活習慣病の症状が改善します。

スーパー糖質制限食なら、お魚、お肉など美味しいものをたくさん食べても、「甲田療法」よりも、さらにブドウ糖ミニスパイクが少ないのです。

娘さんも、糖質を減らすことで、アレルギーなど生活習慣病の悪循環が断ち切れたのだと思います。

これからも、ご家族で美味しく楽しく糖質制限食をお続けくださいね。


江部康二


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
スーパー糖質制限食実践時の検査データの推移
こんばんは。

今回は、検査データのお話しです。

糖質制限食を実践により、血糖値や中性脂肪やコレステロール値など、さまざまな数値が改善します。

ただ、これらの検査データは、はっきり一定の傾向が出るものと、そうでないものがありますので、まずはその変化を示します。


<スーパー糖質制限食実践時の検査データの推移>

①血糖値は糖質制限食実践時にリアルタイムに改善します。
②スーパー糖質制限食なら、HbA1cは月に1~2%改善します。
③中性脂肪も速やかに改善します。
④HDLコレステロールは増加しますが、増加の程度と速度に個人差があります。
⑤LDLコレステロールは低下・不変・上昇と個人差があります。
 上昇した人も半年〜1年~2年、3年くらいで落ち着くことが多いですが、
 個人差があります。
⑥総コレステロールは、低下・不変・上昇と個人差があります。
 上昇した人も半年〜1年~2年、3年くらいで落ち着くことが多いですが、
個人差があります。
⑦尿酸も低下・不変・上昇と個人差があります。
 上昇した場合は、ほとんどが摂取エネルギー不足が原因です。
⑧尿素窒素はやや増加傾向になる人が多いですが、そのうち落ちつくことが多いです。
⑨クレアチニンは不変です。
⑩血清シスタチンCも不変です。
⑪血清カリウムも不変です。
⑫血中ケトン体は基準値より高値となりますが、生理的なもので心配ありません。
⑬尿中ケトン体は当初3カ月〜半年は陽性になりますが、その後陰性になることが多いです。
⑭脂肪肝に付随するGPTやγGTP値も改善します。



LDLコレステロール・総コレステロールに関して「低下・不変・上昇」と個人差があるのですが、糖質制限食開始前に菜食中心で食材のコレステロールが少ない場合、肝臓でコレステロールをつくる能力が高まっています。

そういう場合糖質制限食で肉や卵などコレステロールの多い食材を摂取すると、一過性にLDL-コレステロール値が高くなりますが、半年~1年~2年で落ち着くことが多いです。

私自身は、HDLコレステロールはかなり増加し、LDLコレステロールは少し低下しました。

尿酸値が上昇した場合、摂取エネルギー不足のことが多いので注意が必要です。

私は2002年発覚の糖尿人で、その数年前から、早朝の空腹時血糖値109~111~112mg/dlとか、ギリギリ境界型でした。

2002年に糖尿病が発覚していらい、スーパー糖質制限食を実践しています。

食事は朝食抜きで、1984年34才から昼と夕の2回です。

身長:167cm 体重:67kg からスーパー糖質制限食を開始して半年で56~57kgとなりました。

現在57~58kgくらいです。1月8日で65才となりました。


以下は2014年9月13日、朝9時、空腹時の検査結果です。

<江部康二の検査データ>
空腹時血糖値:99mg 
HbA1c:5.8%(6.2未満、NGSP)
グリコアルブミン:13.4%(11.8~16.0)
総ケトン体:265μM/L(26~122) 糖質制限食中は生理的で正常値
アセト酢酸:71μM/L(13~69)
βヒドロキシ酪酸:194μM/L(76以下)
尿酸:3.7mg/dl(3.4~7.0)
TC:240mg/dl(150~219)
TG:55mg/dl(50~149)
HDL-C:80mg/dl(40~98)
LDL-C:123mg/dl(140未満)
BUN:23.3mg/dl(8~20)
クレアチニン:0.63mg/dl(0.6~1.1)  eGFR:97.1ml/min./1.73m2
シスタチンC:0.63mg/dl   (0.53~0.95) eGFR:120.3ml/min./1.73m2

IRI:4.9(3~15μU/ml)
γGTP:30IU/L(48以下)
GOT:21IU/L(9~38)
GPT:21IU/L(5~39)
アルブミン:4.5g/dl(3.8~5.3)

尿中アルブミン:6.3mg/g・c(30.0未満)
尿蛋白:陰性
尿糖:陰性
尿中アセトン体:陰性

IRI:4.9(3~15μU/ml)
空腹時採血血糖値99mg
<HOMA-R=空腹時血糖値×空腹時インスリン値÷405>
<HOMA-β=360×空腹時インスリン値(μU/ml)÷(空腹時血糖値mg/ml-63)>
HOMA-R:1.19  1.6以下が正常で、2.5以上は抵抗性があり。
HOMA-β:49   正常値:40-60尿蛋白:陰性

空腹時血糖値99mgですが、108mgとか120mgのこともあります。
若干、暁現象もあります・

IRI4.9Uと、今回は正常値でした。

HOMA-βは、49と過去最高記録でした。

いままでHOMA-βはずっと、40未満でインスリン分泌能が減少でしたが、2014年4月初めて、40と基準値下限に達しました。

インスリン分泌能が少し改善したみたいです。

HOMA-βは、空腹時血糖値と空腹時インスリン値で計算するのですが、経口血糖負荷試験時の2時間値のインスリン分泌量と、よく相関することがわかっています。

HbA1cは5.6~5.9%(NGSP値)くらいを行ったり来たりしています。

グリコアルブミンを、試しに私費で、測定してみたらグリコアルブミン:13.4%(11.8~16.0)とかなり良好でした。

ケトン体は265μM と基準値よりはるかに高値ですが、心筋・骨格筋をはじめ全身の細胞がケトン体をしっかり効率よく利用していて、腎臓の再吸収も良好なので、尿中アセトン体は陰性です。

今回の血中ケトン体は、いつもよりはやや低めでした。

尿酸は3.7mgと低いくらいですが、これは体質と思います。

一日のタンパク質摂取量は130~140gくらいと、普通人よりかなり大量のタンパク質を摂取してます。

体重あたり2.4gのタンパク質ですね。それでも尿酸は低めですし、腎機能に何の問題もありません。
BUNがBUN:23.3mg/dl(8~20)と基準値を少し超えていますが、
クレアチニンとシスタチンCが正常なので、何の問題もありません。
高タンパク食を13年間続けてますが、eGFRはとても良いです。

脂質もかなりの量(110g/日)食べていますが中性脂肪は55mgです。

糖質は1日に40g足らずです。

TCは240mg、HDL-Cは85mg、LDL-Cは123mg
コレステロールに関しては、HDL-コレステロールが多いのが目立ちます。
糖質制限食でHDL-Cが増加しますが、程度には個人差があります。

総コレステロールは、2007年ガイドライン以降では、評価基準から外されています。

中性脂肪が少なくて、HDL-Cが多いので、真の悪玉の小粒子LDL-Cや酸化LDL-Cは少ないと考えられ安心です。

なお、お酒は、糖質ゼロ発泡酒、焼酎の水割りかお湯割り、赤ワイン、辛口白ワインを毎日、適宜、適量??飲んでいます。( ̄_ ̄|||)

肝機能は幸い正常です。 (^^)


江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
<糖質制限食に関するご注意・お知らせ・お願いなど> 2015年2月
【糖質制限食を実践される時のご注意】

本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。

このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。

一方、薬を使用してない糖尿人やメタボ人は、低血糖の心配はほとんどないので、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病やメタボ改善を目指していただけば幸いです。

内服薬やインスリン注射なしの糖尿人が糖質制限食を実践すると、食後高血糖は改善しますが、低血糖にはなりません。

血糖値が正常範囲であるていど下がると、肝臓でアミノ酸・乳酸・グリセロール(脂肪の分解物)などから、ブドウ糖をつくるからです。

これを糖新生といいます。

血液検査で、活動性の膵炎がある場合、肝硬変の場合、そして長鎖脂肪酸代謝異常症は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。

糖質制限食は相対的に高脂肪食になるので、活動性膵炎には適応とならないのです。

進行した肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。

長鎖脂肪酸代謝異常症では、脂肪酸が上手く利用できないので、適応となりません。

腎機能に関して、日本腎臓病学会編「CKD診療ガイド2013」において、eGFR60ml/分以上あれば顕性たんぱく尿の段階でも、たんぱく質制限の必要なしと明示されました。

従いまして、糖尿病腎症第3期でも、eGFR60ml/分以上なら、糖質制限食OKです。

また、米国糖尿病学会(ADA)は

Position Statement on Nutrition Therapy(栄養療法に関する声明)
Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版

において、糖尿病腎症患者に対する蛋白質制限の意義を明確に否定しました。

根拠はランク(A)ですので、信頼度の高いRCT研究論文に基づく見解です。

今後は、糖尿病腎症第3期以降で、eGFRが60ml/分未満の場合も、患者さんとよく相談して、糖質制限食を実践するか否か、個別に対応することとなります。


なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。

また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。

糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。


【糖質制限食とは】

米国糖尿病協会(ADA)の患者教育用のテキストブックLife With Diabetes(2004年版)によれば、

「摂取後直接、血糖に変わるのは糖質のみである。
糖質は速やかに吸収され、直接100%血糖に変わり、ほぼ120分以内に吸収は終了する。
蛋白質・脂質は、摂取後、直接血糖に影響を及ぼすことはない。
『炭水化物・タンパク質・脂肪はカロリーを含有している。炭水化物だけが、血糖値に直接影響を及ぼす。』」


これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。 

1997年版のLife With Diabetes(ADA刊行)では、

「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」

という記載がありましたが、2004年版以降は変更されています。

このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが直接、血糖値を上昇させます。

従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。

脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。

タンパク質はごく少量のインスリンを追加分泌させます。

現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。

食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。

また一日における、食前・食後・空腹時など血糖値の変動幅(平均血糖変動幅)が大きいほど、酸化ストレスが増強し動脈硬化のリスクとなることがわかってきました。

そして、食後高血糖と平均血糖変動幅増大を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。

1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。

炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には、55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。

一方、和牛サーロインステーキ(脂身つき)を200g(約1000キロカロリー)食べても、糖質含有量は1gもないので、食後血糖は3mg未満の上昇しかないのです。 

なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。

糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースに、できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。

簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。

抜く必要がある主食とは,

米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。

3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら、薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。

一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。

従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。

糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。

なお糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。

日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド2014-2015」の

男性1400~2000kcal
女性1200~1800kcal

ほど厳しいカロリー制限は必要ありませんが、

「日本人の食事摂取基準」(2015年、厚生労働省)
に示す推定エネルギー必要量の範囲、
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf
推定エネルギー必要量
              男性                  女性
15-17才        2500 2850 3150           2050 2300 2550kcal/日
18-29才        2300 2650  3050          1650  1950   2200
30-49才        2300 2650  3050            1750  2000  2300
50-69才        2100 2450  2800           1650  1900  2200 
70才          1850 2200  2500            1500  1750  2000

身体活動レベル    低い 普通 高い         低い  普通  高い


くらいが目安です。


なお、米国糖尿病学会は、2013年10月発表の『栄養療法に関する声明』において、全ての糖尿病患者に適した唯一無二の治療食は存在しないと明記しました。

これはそのまま、日本糖尿病学会への痛烈な批判となっています。

そして、地中海食、ベジタリアン食、DASH食、低脂質食などと共に「糖質制限食」も正式に受容しました。



<江部康二著 参考図書>


理論
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ」2005年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008年
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009年 宮本輝先生との対談本
「やせる食べ方」2010年
「うちの母は糖尿人」2010年 監修:江部康二 著:伊藤きのと
(東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010年(ナツメ社)
腹いっぱい食べて楽々痩せる『満腹ダイエット』 (ソフトバンク新書)2011年
「主食をやめると健康になる」(ダイヤモンド社)2011年
「血糖コントロールの新常識! 糖質制限 完全ガイド」 (別冊宝島)2012年
「食品別糖質量ハンドブック」2012年(洋泉社)、
「糖質オフ!健康法」(PHP文庫)2012年
「主食を抜けば糖尿病はよくなる!糖質制限食のすすめ」(文春文庫)2012年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」(文春文庫)2012年
「女性のための糖質制限ダイエットハンドブック」2012年(洋泉社)
「糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド」2013年(東洋経済新報社)
「医療の巨大転換を加速する」糖質制限食と湿潤療法のインパクト
 2013年(東洋経済新報社) 夏井睦先生との対談本
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ 新版」2014年(東洋経済新報社)
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!2 実践編 新版」2014年(東洋経済新報社)
「炭水化物の食べ過ぎで早死にしてはいけません」2014年(東洋経済新報社)
一生太らない「やせる! 食べ方」2014年 (PHP文庫)

レシピ
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006年(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん2009年(アスペクト)
dancyuプレジデントムック 「満腹ダイエット 」 2009年(プレジデント社)
「血糖値を上げない!健康おつまみ109」2010年(東洋経済新報社)
「やせる食べ方レシピ集」 2010年(東洋経済新報社)
「糖質オフダイエット 」2011年(レタスクラブ、角川マーケティング)
「誰もがストレスなくやせられる!糖質制限ダイエット」2011年(講談社)
「主食を抜けば糖尿病はよくなる」レシピ集2011年(東洋経済新報社)
高雄病院の「糖質制限」給食2012年(講談社)
糖尿病がどんどんよくなる「糖質制限食」おすすめレシピ集2012年(ナツメ社)
糖質制限の「主食もどき」レシピ2013年(東洋経済新報社)
高雄病院Dr江部が食べている「糖質制限」ダイエット2013年(講談社)
糖質オフのダイエット弁当2013年(家の光協会)
高雄病院「糖質制限給食」朝 昼 夕 14日間完全プログラム
糖尿病・肥満改善が自宅でできる! 2013年(講談社)
2週間チャレンジ! 糖質制限の太らない生活 2014年(洋泉社mook)

DVD「糖質制限食を語る」http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php 2011年



【本ブログのコメント・質問・記事に関するお願い】

ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。

糖質制限食に関する質問についてですが、実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、医師としての責任・債務がありますので、個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。

一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、ボランティアで回答させていただいています。

診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。

私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。

また、ブログ記事や本に関しても同様に、糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。

従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m

そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。

またネットで簡単に検索可能なことは、ご自分でお調べください。

質問が増えてきましたので、糖質制限食と関わりがないと判断した質問にはお答えできない場合もありますので、ご了承ください。m(_ _)m

普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)

掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、
ブログ本文記事にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。

質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。

一方、質問がかなり増えてきていますので、
なかなか即、お答えすることが困難となってきています。

糖質制限食に関わりのある全ての質問に、本文かコメントでお答えするようできるだけ努力はしていますが、
できないときはご容赦願います。m(_ _)m

それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、
コメント欄にお答えするか、
一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、
よろしくお願い申し上げます。



江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
一旦診断された糖尿病は治るか?治らないか?
【15/02/12 バッテラ

C-ペプチドの値

江部先生
いつも有益な情報を提供していただきありがとうございます。

私もカロリー制限から糖質制限に切り替えて4か月目
Hb1Acの値が11から5.8まで改善し尿と血液の検査結果がすべて正常値となりました。
体重も120kgからもう少しで90kgを切るところまで減らすことができました。
(無論運動もしています)

先日の通院時に現時点での私のインスリン分泌能力がどのくらいなのかを調べてもらうためC-ペプチドの値も追加したのですが

もしこの値が正常値1.2-2.0ng/mlだった場合、糖尿病は治ったと言えるのでしょうか?

当然ながら値がどうであろうと糖質制限を続けていく予定ですが
ある程度は緩和できるのかなと淡い期待をしています。
(お米も芋も麺もパンもこの4か月我慢してきたのでさすがに少し辛いです)

お忙しいところ恐縮ですが、お時間あるときにでも回答いただけると幸いです。】


こんにちは。

バッテラさんから、HbA1cが11%から5.8%に改善し、すべての血液・尿検査が正常値になったというとても嬉しいコメントを頂きました。

さらに、120kgが90kgまで減量成功ですから素晴らしいですね。

さて、バッテラさんから、頂いた質問なのですが、一旦診断された糖尿病は、治るのでしょうか?治らないのでしょうか?

一般には、「一旦糖尿病になったら決して治らない。」というのが定説ですが、本当のところはどうなのでしょう。

それではまず、どのようにして糖尿病が発症するのかを考えてみます。

日本人の糖尿病発症は、食後高血糖が数年間続いているのを見逃しているうちに、遂に空腹時血糖値が上昇してきて、健康診断で発見されたというパターンが多いです。

即ち、当初は食後高血糖にならないように、糖質を摂取したあと膵臓のβ細胞がインスリン追加分泌を頑張って大量に出し続けていきます。

インスリン(肥満ホルモン)の大量分泌が一定期間続くと肥満を生じることもあります。

肥満があるとインスリン抵抗性(効きが悪くなる)が出現します。

そして長年β細胞が頑張った結果、ある日とうとう疲弊して分泌が追いつかなくなってきて、食後高血糖の段階に至ります。

この段階では、インスリン追加分泌の軽度の不足があり、食後2時間血糖値値が140~199mgの境界型レベルになりますが、まだ基礎分泌は保たれていて早朝空腹時血糖値は、110mg/dl未満で正常範囲を保つことがほとんどです。
 
食後高血糖の段階になると、高血糖そのものが膵臓のβ細胞を障害します。

食後高血糖が180mgを超えてくると、β細胞への直接のダメージでインスリン分泌不足を悪化させ、また筋肉細胞のインスリン抵抗性も増してきて、糖毒と呼ばれる悪循環を生じます。

食後高血糖が数年間続くと、膵臓はさらに疲弊していき、インスリン追加分泌の不足に加えて、インスリン基礎分泌不足となり、とうとう早朝空腹時血糖値が高値となるのです。

空腹時血糖値が126mg/dl以上
随時血糖値が200mg/dl以上

で糖尿病型と診断されます。

糖毒状態が1日の中でも長時間続くようになれば、急速に糖尿病が悪化していきます。

糖尿病は、「インスリン分泌不足」と「インスリン抵抗性」が合わさって発症しますが、日本人は、インスリン分泌不足が主で、欧米人は、インスリン抵抗性が主とされています。

インスリン分泌不足とインスリン抵抗性を合わせて、「インスリン作用不足」と言います。

A)<インスリン分泌不足が主の糖尿病>

インスリン分泌不足が主の場合、糖尿病と診断された時点で、インスリンを作っている膵臓のランゲルハンス島のβ細胞の2~3割が壊れていて、2~3割が疲弊していて、健常なのは、残りの半分くらいと考えられます。

一般に、糖尿病が治らないと言われるのは、既に壊れてしまったβ細胞は、決して元に戻らないと言う意味です。

しかし、糖質制限食を実践して、膵臓が充分休養できれば、疲弊していたβ細胞が、正常に回復することが期待できます。

実際、入院時の空腹時血糖値が200mg近かった方が、糖質制限食実践数日~10日で、110mgを切ってくることもあります。特に罹病期間が短い場合は、回復が早いです。

食後高血糖の期間・年数が長いほど、β細胞がダメージを受けている割合が徐々に増えていき、ダメージが大きい細胞は、回復しにくくなっていくということになります。

次にインスリン抵抗性が主の糖尿病を考えてみます。

B)<インスリン抵抗性が主の糖尿病>

この場合、インスリン分泌能力はあるていど保たれていることが多いのです。

日本人でもこのタイプが少し増えてきています。

例えば、高度肥満や脂肪肝がありインスリン抵抗性が高まれば、インスリンは分泌されていても、糖尿病を発症することがあります。

このとき何らかの方法で肥満や脂肪肝が改善すれば、インスリン抵抗性が減少します。

そうすると、適量のインスリンで筋肉細胞や脂肪細胞内にブドウ糖を取り込むことが可能となり、元々インスリン分泌不足は、ほとんどないので血糖値は正常化し、糖尿病が治ることになります。

治るという言い方に語弊があるなら、インスリン作用不足が改善し健常のパターンに戻るということです。

実際、そういう患者さんを数名経験しました。

例えば、「空腹時血糖値218mg/dl、HbA1c11.7%、163cm、72kg」だった女性が、内服薬なしでスーパー糖質制限食を1年続けて、60kgと肥満が解消し、HbA1cは5.5%前後で保ち、糖質を普通に摂取しても食後2時間血糖値が140mg/dl未満となりました。勿論、空腹時血糖値も正常範囲です。

血液検査のデータでは、診断基準上は正常人としかいいようがありませんので、糖尿病のレッテルも消えました。

現段階なら、この患者さんが糖尿病専門医を受診して、いろいろ血液検査をされたとしても「糖尿病ではありません。診断基準からみて正常です。」という診断となるでしょう。

バッテラさんの場合、120kgが90kgまで減量成功ですから、インスリン抵抗性がおおいに改善していると考えられます。

一番上手くいけば、B)の女性ケースと同様に、治ったように見えるまで回復している可能性もあります。

一方、β細胞があるていど壊れていれば、現在HbA1c:5.8%で、空腹時血糖値もCペプチド値も正常でも、普通に糖質を食べたら、食後血糖値は180~200mg/dlを超えてきます。


江部康二の場合は、インスリン分泌不足が主でインスリン抵抗性が従の糖尿病でして、スーパー 糖質制限食を続けているかぎりは正常人ですが、糖質を摂取すれば残念ながら食後時間血糖値は200mgを超えて、立派な糖尿病です。

β細胞が既に2~3割壊れていて、決して治らないパターンですね。(×_×)

結論です。

「インスリン抵抗性が主の糖尿病なら、抵抗性が改善すれば、糖代謝が正常人のパターンに戻る人もまれにいる。」ということですね。



江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質セイゲニストin大分主催「糖質制限講演会」3/1(日)
こんばんは。

糖質セイゲニストin大分主催
「糖質制限講演会&パネルディスカッション」

が、2015/3/1(日)に開催されます。

一般社団法人日本糖質制限医療推進協会が協賛です。

大分での講演会は初めてですので楽しみです。

第一部は
『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません』
 -糖尿病・生活習慣病を予防&改善する糖質制限食-

と題して、私が講師をつとめます。

糖尿病を始め、日本の4大死因、5大疾病と糖質制限食のお話しを90分間します。
質疑応答も30分間とたっぷり時間をとりました。

最近の話題として

2014年6月の日経メディカルオンラインのアンケートで、日本全国の2263人の医師から有効回答があり、実に過半数の医師が「糖質制限」を支持ということでした。良い意味で衝撃的で、びっくりしました。

過半数(58.3%)の医師が「糖質制限」を支持していて、医師の3人に1人は自ら実行していました。医師の4人に1人が「患者に勧めることがある」との回答でした。

また、「今日の治療指針2015」にも、糖尿病治療食として初めて糖質制限食が取り上げられる時代となりました。


そして、講演会に加えて

パネラー
・江部康二
・立花秀俊先生 社団法人敬和会 大分東部病院 漢方・小児科部長
・井上健先生 医療法人社団上人会 上人病院 内科(循環器専門医)
・三島学氏 三島塾塾長 糖質セイゲニストin北九州世話人
・山﨑昌彦氏 九州食肉学問所学長 糖質セイゲニストin大分世話人

による、パネルディスカッションもあり、盛りだくさんな内容です。

大分を始め近隣の皆様、是非ご参加いただけば幸いです。


江部康二


☆☆☆
以下は、糖質セイゲニストin大分事務局からのご案内です。

糖質セイゲニストin大分主催

「糖質制限講演会&パネルディスカッション」

■日時:3月1日(日)10:00~13:00頃 ※入場受付は9:20~

■会場:ホルトホール大分 大会議室 ※JR大分駅より徒歩2分
    大分県大分市金池町1丁目5番1号
    http://www.horutohall-oita.jp/access/

■内容:

・第一部: 講演(講師:江部 康二)

・第二部: パネルディスカッション
 パネラー
 ・江部康二先生 一般財団法人高雄病院理事長
 ・立花秀俊先生 社団法人敬和会 大分東部病院 漢方・小児科部長
 ・井上健先生 医療法人社団上人会 上人病院 内科(循環器専門医)
 ・三島学氏 三島塾塾長 糖質セイゲニストin北九州世話人
 ・山﨑昌彦氏 九州食肉学問所学長 糖質セイゲニストin大分世話人

*主催: 糖質セイゲニストin大分
*協賛: 一般社団法人日本糖質制限医療推進協会

※詳細・お申し込み方法は、下記の糖質セイゲニストin大分HPをご覧ください。
http://sugarbuster.jp/seminar/
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
タレントの彦摩呂さんが糖質制限食で20キロ減量に成功。
15/02/10 福助

ここから本文です

彦摩呂 3カ月で20キロ減量に成功 低糖質ダイエット法で無理なく

江部先生

またタレントさんが実証してくれました。

全国区の知名度を誇る彦摩呂さんだけに、その貢献度は計り知れないですね!


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彦摩呂 3カ月で20キロ減量に成功 低糖質ダイエット法で無理なく
     デイリースポーツ 2月10日(火)10時57分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150210-00000029-dal-ent

グルメリポーターで人気のタレント・彦摩呂(48)が10日、日本テレビ系「PON!」にゲスト出演し、3カ月で21キロの減量に成功したことを公表した。


デビューした24歳の時は58キロのイケメンアイドルだったが、昨秋の計量では120・2キロと倍に。

周囲から「死ぬぞ」などと心配する声が寄せられ、彦摩呂もついにダイエットを決意した。そして大減量に成功した。

この日のスタジオでは、昨年10月の120キロあった際のパネルの横に並んで立ち、サイズの違いを実感させた。その彦摩呂が今回実践したダイエット法は「低糖質ダイエット」だったという。

「低糖質ダイエット」とは、糖質の摂取量を半分に抑えつつ、繊維質の食物を倍摂取するダイエット法。彦摩呂は料理研究家の浜内千波さん、管理栄養士の本田祥子さんの協力を得て、彦摩呂が食べた物をWEBにアップし、両先生からメールでアドバイスやお叱りを受けながら取り組んだ。

彦摩呂は「食べる量を減らすのではなく、質を変えるんです。だから無理なくできる。食べないダイエットは古いです」と、同じ悩みを持つ人たちにこのダイエット法を勧めた。

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こんばんは。

デイリースポーツ 2月10日(火)配信のニュースに、
『彦摩呂 3カ月で20キロ減量に成功 低糖質ダイエット法で無理なく』
という記事が載り、ヤフーニュースのサイトに、転載されました。

福助さんからの情報です。
ありがとうございます。

いろんなダイエットが提唱されている中で、彦摩呂さんが、低糖質ダイエット(糖質制限食)を選択してくれたのは嬉しいですね。

そして、3ヶ月で20kg減量に成功でしっかり結果をだしていただいたことも good job ですね。
彦摩呂さん、良かったですね。

さて彦摩呂さんという見事な実例が出たところで、糖質制限食による体重減少効果を整理整頓してみます。

スーパー糖質制限食実践により、体重減少に関して4つの利点が生じます。

◆<スーパー糖質制限食による体重減少効果>

①インスリン(肥満ホルモン)が基礎分泌はあるが、追加分泌が少量しか出ない。
②食事中も含めて常に体脂肪が燃えている。
③食事中も含めて常に肝臓で糖新生が行われ、それにかなりのエネルギーを消費する。
④高タンパク食により、食事誘発熱産生(DIT)が亢進する。


高蛋白食は、摂食時の食事誘発熱産生(DIT)が通常食に比べて増加します。

DITによる消費エネルギーは、実質吸収エネルギーの、糖質では6%、脂質では4%、タンパク質で30%です。

食事誘発熱産生(DIT)を、もっと簡単に説明すると、食事において、

100キロカロリーの糖質だけを摂取した時は、6キロカロリー
100キロカロリーの脂質だけを摂取した時は、4キロカロリー
100キロカロリーのタンパク質だけを摂取した時は、30キロカロリー

が、熱に変わり、消費エネルギーとしてカウントされるということです。


◆<糖質を摂取した場合>

A)血糖値が上昇してインスリン(肥満ホルモン)がたっぷり分泌される。
B)体脂肪は燃えなくなり、血糖値が中性脂肪に変わり蓄積される。
C)肝臓の糖新生はストップする。
D)高タンパク食よる亢進した食事誘発熱産生(DIT)はなくなる。



①②③④とA)B)C)D)両者を比べてみれば、高糖質食より糖質制限食の方が、体重減少効果が高いことが一目でわかると思います。

たとえ低脂質食でカロリー制限していても、糖質を摂れば体重減少への利点がすべて消えてしまうわけです。

これは食べ物に含まれるカロリーとは無関係の生理学的な特質であり、あくまで糖質を摂るかどうかがカギとなります。


<摂取エネルギーと消費エネルギー、基礎代謝量、身体活動量、食事誘発熱産生>

1)摂取エネルギー > 消費エネルギー   → 体重増加
  摂取エネルギー = 消費エネルギー   → 体重不変
  摂取エネルギー < 消費エネルギー   → 体重減少

2)通常のカロリー制限食(高糖質食)の場合
  「消費エネルギー=基礎代謝量+身体活動量(運動や家事)+食事誘発熱産生(DIT)」
だけである。

3)糖質制限食なら、高糖質食の時には無い
 「肝臓の糖新生でエネルギーを消費」→基礎代謝の増加
 「高蛋白食摂取」→食事誘発熱産生(DIT)の増加 」
 と、消費エネルギーの増加が認められる。


1)は生理学的事実です。
2)3)を比較すると糖質制限食の方が高糖質食に比し、
体重が減少しやすいことは明白です。


<推定エネルギー必要量と糖質制限食>
糖質制限食で減量を目指す時に、糖尿病学会推奨のように

男性:1400~2000kcal/日(糖尿病治療ガイド2014-2015から上限が200kcal増加)
女性:1200~1800kcal/日(糖尿病治療ガイド2014-2015から上限が200kcal増加)

といった、厳しいカロリー制限は必要ありません。

一方、「日本人の食事摂取基準」(2015年、厚生労働省)
に示す推定エネルギー必要量の範囲、
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf

推定エネルギー必要量
                 男性                  女性
15-17才        2500 2850 3150          2050 2300 2550kcal/日
18-29才        2300 2650  3050         1650  1950   2200
30-49才        2300 2650  3050          1750  2000  2300
50-69才        2100 2450  2800         1650  1900  2200 
70才          1850 2200  2500         1500  1750  2000
身体活動レベル   低い 普通 高い        低い  普通  高い


くらいが目安です。

つまり、厳しいカロリー制限は必要ありませんが、野放しにいくら食べてもいいということではありませんので、念のため。

スーパー糖質制限食実践と「日本人の食事摂取基準」の標準的な摂取エネルギーなら、適正体重になると思います。


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
マゴットセラピー(Maggot therapy)。糖尿病性足潰瘍・壊疽の治療。
こんにちは。

夏井睦先生が、ご著書で人類の将来的な蛋白源としては「ウジ虫」が最適と述べておられましたが、その「ウジ虫」、実は医療現場で、おおいに役に立っているのです。

その名は「マゴットセラピー(Maggot therapy)」 です。

とても可愛らしい名称ですが、Maggot というのは、なんとウジ虫のことなのです。

何故今急にマゴットセラピーの話なのかというと、縁があったのです。




『糖尿病とウジ虫治療――マゴットセラピーとは何か (岩波科学ライブラリー) 2013年』

という本を執筆された岡田 匡 先生が、2015年2月8日(日)の「医療従事者用糖質制限食セミナーin京都」に参加しておられて、その時、本をいただいたのです。

マゴットセラピーの実例、歴史・・・など、素晴らしい内容の本ですので、興味がある方は、是非ご一読を。

マゴットセラピーは、ウジ虫の食性を利用して壊死組織を除去する治療法で、糖尿病性足潰瘍・壊疽などに極めて有功な治療法です。

英国では保険診療が認められており、医療費削減に貢献しているそうです。

日本では、まだ保険では認められてないので、週に3回、ウジ虫を交換したとして、一週間で約10万円です。

確かに高額ですが「糖尿病性足潰瘍・壊疽で足を切断する」と言われていた患者さんが無事に治るのなら、おおいに価値があります。

しかし、適応を慎重に判断する必要がありますので、充分に説明してくれる医師を捜して、納得してからマゴットセラピーを開始していただけば幸いです。


☆☆☆

日本では、以下の二つの会社が、マゴットを販売しています

1)
http://www.japan-maggot.com/shourei.html
ジャパン・マゴット・カンパニー
086-953-4430

マゴットセラピーの症例の写真もあります。
ホームページに提携医療機関のリストがあります。

2)
http://www.btmcl.com/about.html
株式会社バイオセラピーメディカル
マゴットセラピーの症例の写真もあります。
お問合せ先: 〒526-0829 滋賀県長浜市田村町1281-8-10        .
長浜バイオインキュベーションセンター内
TEL: 0749-53-1485
FAX:0749-53-1484
E-mail: info@btmcl.com 



江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食医療従事者向けセミナーin京都のご報告
日本糖質制限医療推進協会主催 医療従事者向けセミナー(京都)

  「糖質制限食による糖尿病指導~理論と実践~」

■日時: 2015年2月8日(日)12:45~16:30
■場所: メルパルク京都 

■スケジュール:
第一部  12:45~13:35
「基礎理論」  講師:江部康二
休憩   13:35~13:45

第二部  13:45~14:35
「症例検討と薬剤の使い方など」 講師:江部康二
質疑応答 14:35~15:05
休憩   15:05~15:20  コーヒーブレイク

第三部  15:20~16:10
「高雄病院における糖質制限給食とその取り組み」 講師:橋本眞由美管理栄養士
質疑応答 16:10~16:30

■対象: 医療従事者(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、鍼灸師など)



糖質制限食医療従事者向けセミナーin京都
無事終了しました。
たくさんのご参加ありがとうございました。

定員いっぱいの47名が参加されて、熱気のあふれるセミナーとなりました。
医師が15名、歯科医師が2名、栄養士が10名、
看護師・保健師・助産師が13名、薬剤師が4名、検査技師が1名
その他2名といったメンバーでした。

医師の参加が増えているのは心強いです。
なんと、鹿児島、福岡、熊本、高知、香川、徳島といった遠方からも
はるばる来て頂き嬉しいかぎりです。
京都、大阪、奈良、滋賀、兵庫の近畿圏からも多数ご参加いただきました。

質疑応答も長めに設定していたのですが、
質問が相次いで、時間が足らなくなり申し訳ありませんでした。

すでに糖質制限食を実践している方々が多かったです。
一方、これから診療に糖質制限食を取り入れるつもりで
セミナーに参加された医師もおられました。
糖質制限食の輪は日本全国に確実に広がっていますね。 (^_^)


江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食医療従事者向けセミナー(東京)2015/3/8(日)のお知らせ
おはようございます。

2014年度、2015年度も、糖質制限食、医学界にも一般社会にも順調に普及が進んでいます。
嬉しい限りです。

第18回日本病態栄養学会年次学術集会において、2015年1月10日(土)宗田哲男先生がポスター発表されました。
私も共同発表者の一人です。

正常分娩時の胎盤のケトン体が、成人の基準値の20~30倍であることが、60例において確認されました

これで、ケトン体の安全性は確実に担保されたと言えます。

このような最新情報を踏まえて、2014年、東京、京都にて開催し、ご好評いただいた医療従事者向けセミナーを、2015年3月8日(日)、東京にて開催致します。

日本糖質制限医療推進協会主催 医療従事者向けセミナー(東京)
「糖質制限食による糖尿病指導~理論と実践~」
受付:13:30~
講演と質疑応答:13:45~17:30 

場所: ソラシティカンファレンスセンター2階テラスルーム
東京都千代田区神田駿河台4-6
http://solacity.jp/cc/visitor_ja/index.html


第一部、第二部では、糖尿病治療に関して、最新糖質制限食理論と共に

「すぐに良くなった症例」「苦労して良くなった症例」「1型の難しい症例」

など、実際に入院された患者さんのデータを見ながら検討します。

2014年に得られた最新の糖質制限食情報もお話しします。

第三部では、高雄病院の栄養指導の実際を橋本眞由美管理栄養士がお話しします。

参加頂いた皆さんには、前回と同様に、講演PPTスライドの、CD(PDFファイル)をお配りします。

残席が少なくなってきております。

関東、東京などの医療従事者の皆さん、お早めにお申し込みいただけば幸いです。


江部康二


☆☆☆
以下、事務局からのご案内です。

ブログ読者の皆様、講演会へいつも多数ご参加いただきまして
ありがとうございます。

3月8日(日)、東京にて医療従事者向けのセミナーを開催いたします。
今回、東京でも第3部は高雄病院の橋本眞由美管理栄養士による講義
を予定しております。

医療従事者の皆様の多数のご参加を心よりお待ちしております。

☆2月8日(日)の医療従事者向けセミナー(京都)も引き続き募集しております。
http://toushitsuseigen.or.jp/activity.html#schedule20150208


///////////////////ご案内/////////////////////

日本糖質制限医療推進協会主催 医療従事者向けセミナー(東京)

  「糖質制限食による糖尿病指導~理論と実践~」

■日時: 2015年3月8日(日) 13:45~17:30頃 ※受付13:30~

■場所: ソラシティカンファレンスセンター2階テラスルーム
東京都千代田区神田駿河台4-6
http://solacity.jp/cc/visitor_ja/index.html
     
■アクセス:
・JR中央・総武線「御茶ノ水」駅聖橋口から徒歩1分
・東京メトロ千代田線「新御茶ノ水」駅B2出口直結
・東京メトロ丸ノ内線「御茶ノ水」駅出口1から徒歩4分
 
◆スケジュール:

第一部  13:45~14:35 「基礎理論」 ※講師A

第二部  14:45~15:35 「症例検討と薬剤の使い方など」 ※講師A

質疑応答 15:35~16:05

第三部  17:20~17:10 「高雄病院における糖質制限給食とその取り組み」※講師B

質疑応答 17:10~17:30

◆講師:

A:江部 康二 医師
  (一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長

B:橋本 眞由美 管理栄養士
  (一財)高雄病院 栄養管理部 部長

◆対象: 医療従事者(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、鍼灸師など)

■受講費: 賛助会員 8,000円 / 一般(非会員) 10,000円
※参加頂いた皆様には、映写・配布資料のデータ(PDF)CDをお配りします。

■お支払い方法:クレジットカード/銀行振込/郵便振替
※事前決済のみとなります。
※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。

■お申し込み方法:
・賛助会員の方
 事務局までメールにて、医療機関でのご職種をご記入の上、お申し込み下さい。

・賛助会員入会をご希望の方
 1.入会案内および会員規約をお読み下さい。
   →http://toushitsuseigen.or.jp/member.html

 2.お申し込みはこちらのフォームからお願いします。
   → http://toushitsuseigen.or.jp/contact.php

  「お問い合せ内容」欄に以下をご記入ください。
   ①「3/8東京セミナー、受講希望」とご記入下さい。
   ②医療機関でのご職種をご記入下さい。
 
・一般(非会員)で、講演会の受講のみご希望の方
 こちらのフォームよりお申し込み下さい。
 → https://ssl.form-mailer.jp/fms/f2c8d3eb341116

■お申し込みの流れ:
1.会員の方はメールにて、会員以外の方は各種フォームにてご連絡下さい。
2.事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3.入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4.当日、直接会場までお越し下さい。

■その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは3月5日(木)までに事務局までご連絡願います。
 それ以降のご返金は原則、対応致しかねますので予めご了承ください。



テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
岩田健太郎先生著「食べ物のことは体に訊け!」について
【15/02/06 おかだ

岩田健太郎先生著「食べ物のことは体に訊け!」

江部先生

おかだ@小児科医です。

FBの私のタイムラインに書き込んだものをペーストします。

岩田健太郎先生は感染症に対しては鋭い舌鋒ですのに、 わかってもらえないのが、残念です。

http://www.amazon.co.jp/…/44800…/ref=cm_cr_ryp_prd_ttl_sol_0

本日到着しましたので第一章のみ読みました。

まず、糖質制限は「だれでもやせる」方法ではない(P24L7)

当たり前です。糖質過剰摂取によって太っている人は、だれでも痩せるのです。
その人の至適なBMIになるわけです。
痩せている人は、糖質制限食により体重がふえることは、よくあることです。
「ぼくの場合BMI20~21台」の人が糖質制限して体重が増えるのは、岩田先生の至適なBMIがもっと高いところにあるのではないかと考えます。

つぎに、私達糖質セイゲニストは決して炭水化物を食べるなと言っている訳ではありません。

本の題名は編集者がつけるのでセンセーショナルになるかも知れませんが。
炭水化物を食べなくてもいいという自由があると主張しています。
二元論を展開しているのは、従来の栄養学を信望されている方や糖尿病学会の方々ではないでしょうか。

「どういう食事法を選ぼうとその人の自由です」P38L11

当然です。私はご飯は食べませんと言っているだけです。
他人が何を食べようが自由です。

逆に「朝おにぎりだけでも食べて行きなさい。ご飯を食べないと体が持たない。食べなさい」とご飯を食べることを強要しないでください。

私達は炭水化物(糖質)を制限したことにより、炭水化物(糖質)が「依存性のある嗜好品」と感じるようになりました。
だからといって、炭水化物(糖質)を食べるなと言っていません。
メタボやその他、炭水化物(糖質)過剰摂取により、不調を訴えている人には、炭水化物(糖質)をやめてみるという手もあるのと言っているだけです。

次に糖尿病の治療食としての糖質制限食についてです。

「糖尿病にしろすぐに結論をつける必要はないのです。・・・・(完治しませんし)」(P37L3)

糖尿病の合併症で苦しんでいて、糖質制限食に出会い現在、全くHbA1cが正常化した方がこのフレーズを読めばとっても悲しむと思います。

医学会の至宝岩田健太郎先生は、糖尿病患者の「今そこにある危機」にたいしてなんと冷たいのかと。

糖尿性壊疽で下肢を切断と診断された方が、糖質制限食と湿潤療法で下肢切断を免れた例です。
この方に対して「すぐに結論をつける必要はない」と言われるのですか。
http://www.wound-treatment.jp/…/…/hikari/case/1084/index.htm

糖尿病のライターの方の本です。
http://www.amazon.co.jp/…/4022617977/ref=pd_lpo_sbs_dp_ss_2…
一般の内科医師が、糖質制限食という選択肢を全く示さず、糖質まみれのカロリー制限食を一方的におしつけることが、普通に行われています。

山田悟先生が
「私たちは“科学的根拠に基づかない(コンセンサスに基づく)食事療法”を“科学的根拠に基づく診療ガイドライン”に記載させたまま,10年を無為に過ごしてきてしまったのである。」
と述べているガイドラインに基づいているわけです。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/…/doctoreye/dr140101.html 】


食べ物のことはからだに訊け!: 健康情報にだまされるな (ちくま新書) 単行本 – 2015/2/4
岩田 健太郎 (著)


について、岡田先生からコメントをいただきました。

岡田先生。
コメント、ありがとうございます。

岩田健太郎先生著「食べ物のことは体に訊け!」
早速アマゾンで購入して読みます。

岡田先生のご意見に私も同感です。

個人がどのような食事療法を選択するかは、その人の自由です。

ただ米国糖尿病学会が

『糖尿病食事療法として唯一無二のものはない
患者ごとに個別に様々な食事パターン〔地中海食,ベジタリアン食,糖質制限食,低脂質食, DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食〕が受容可能。』

と選択肢を認めているのに対して、日本糖尿病学会は、唯一無二の『エネルギー制限食-高糖質食』を推奨して、選択の自由を奪っていることが大きな問題なのです。

合併症のことも、同感です。

「いまここにある危機-食後高血糖と平均血糖変動幅増大」

を毎日、3~5回繰り返して、チンタラ経過をみるようなことは、私は怖くてできません。

まして既に糖尿病合併症が生じている場合は、一刻の猶予もありません。

速やかに血糖コントロール良好を保つ以外に合併症の進行を防ぐことは不可能です。

私は、2002年に糖尿病が発覚していらい、足かけ14年スーパー糖質制限食を続けています。

お陰様で、合併症はなしで、血液検査も全て正常です。

スーパー糖質制限食なら、江部康二は正常人です。

完治しないもなにも、糖質さえ制限していれば、健康そのもので、病気ではありません。

糖質を食べたら、江部康二は糖尿人になるだけのことです。

岩田健太郎先生、感染症治療のスペシャリストで、私の尊敬する医師の一人です。

岩田先生のブログもニュートラルな見解で、私も納得できることがほとんどです。

今回は、日本全国の糖尿人を合併症から救うために、岩田先生、糖質制限食に関しては、是非再考してほしいです。
よろしくお願い申し上げます。

岩田先生も仰るように、糖質制限食に関しても、カロリー制限食に関しても、長期的なエビデンスはほとんどないのが現状です。

それなら、自分の頭で考えて、判断するしかありません。

現時点で判明していることは、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」が最大の酸化ストレスリスクであり、糖尿病合併症の元凶であることです。

そして、それらを引き起こすのは、3大栄養素の中で、糖質摂取時だけです。

すなわち、日本糖尿病学会推奨の糖尿病食(カロリー制限高糖質食)では「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」は絶対に防げません。

脂質・タンパク質を主として摂取する糖質制限食なら「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」は生じません。

糖尿病治療食としての『糖質制限食』と『カロリー制限高糖質食』

どちらが優れているかは、理論的には明々白々ですね。



江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
インスリンと妊娠糖尿病と糖質制限
【15/02/06 ふくまま

インスリンと糖質制限

初めまして。いつも勉強させていただいています。

妊娠前から食後高血糖が軽くあったので糖質制限をしていました。
妊娠をして今5ヶ月ですが妊娠糖尿病になり、インスリンを打ち始めました。
病院では炭水化物をしっかり取る食事管理を指導されています。

まだ2単位のインスリンなのですが指導通りの炭水化物を取ると2時間値が基準値を超えてしまうため、炭水化物少量と低糖質なチーズやお肉を食事指導の内容よりはるかに多く食べています。

ですがインスリンを打っていてチーズやナッツやお肉などを多く食べると脂肪などを蓄積しやすいので良くないと読みました。
でもお腹と精神面を満たすため、食べたいのです。

インスリンを打ちながら糖質制限食(プラス炭水化物)を続けても健康面そして胎児に悪影響はないでしょうか?
よろしくお願い致します。】



ふくまま さん

インスリンをたくさん打って、糖質をたくさん摂取すると肥満します。

スーパー糖質制限食なら、妊娠糖尿病でも、インスリンなしで血糖コントロール、体重コントロールは容易です。

ふくままさんは、少量でも炭水化物を食べたいのなら、少量のインスリンですむ今のやり方でOKです。

普通に糖質を大量に摂取して、大量のインスリンを打つという日本糖尿病学会のやり方は、「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」「空腹時低血糖」を生じやすく母子ともに、とても良くないのです。

また妊婦も多くのインスリン注射と多くの糖質摂取で肥満にもなりやすいです。


「インスリンを打ちながら糖質制限食(プラス炭水化物)を続けても健康面そして胎児に悪影響はないでしょうか? 」

わずか2単位と最小量のインスリンなので、OKです。

今後も、2~4単位くらいのインスリンですむ程度の、糖質量にとどめておけば、母子ともに健康で体重コントロールも大丈夫と思いますよ。


江部康二


宗田先生からアドバイスをいただきました。
宗田先生、ありがとうございます。

15/02/07 宗田 哲男
インスリンと糖質制限
ふくままさん、糖質制限食で妊娠糖尿病を管理している産科医です。5か月で妊娠糖尿病であるならこれから後半はもっと耐糖能が下がってきます。今はインスリンは2単位ですがだんだん増えていきます。妊娠糖尿病は、インスリンは出ているのに効かなくなる病態なのです。ですから糖質量を抑えてきたあなたのやり方は正しいと思いますが、ほとんどの産科医も内科医も糖質は取らなければならないと信じています。ですからどんどん糖質を取らせてインスリンが増えて肥満にもなります。またインスリンは効かなくなるのでコントロールが難しくなります。胎児を肥満にしたくないはずが逆になって行きます。今炭水化物を増やさなければこのインスリン単位数でも大丈夫ですし、やめることも可能でしょう。ただインスリン量が増えるようなら糖質制限は、低血糖を起こすこともあるので注意が必要です。チーズ、ナッツ、お肉ならいくら食べてもそれほど太りませんし、心配はいりません。具体的なことでお困りだったらメールでも相談してください。

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
朝日カルチャーセンター京都教室「糖質制限食講座」のご案内
こんにちは。

朝日カルチャーセンター京都教室講座
「糖質制限による糖尿病・肥満・生活習慣病の改善」
のご案内です。

2015年3月3日(火) 13:00~14:30
講演70分。
質疑応答20分。

糖尿病を始め、日本の4大死因、5大疾病と糖質制限食のお話しをします。
質疑応答も20分間と時間をとりました。

京都、大阪、滋賀、奈良、兵庫、福井・・・の皆さん、奮ってご参加下さいね。


江部康二


以下は朝日カルチャーセンター京都のサイトから抜粋です。

☆☆☆
講演要旨
美味しく楽しく満足するまで食べて、
血糖コントロールは良好!キーワードは「糖質制限」だけ。
あとは面倒なカロリー計算は不要で、ステーキも脂ののった魚もOKで、
お酒(蒸留酒、辛口ワイン、糖質ゼロ発泡酒)も飲めます。
糖尿病だけでなく、
肥満やメタボリックシンドロームや様々な生活習慣病もよくなります。
美味しいものを食べたいだけ食べてもOKなので、
「満腹ダイエット」「美食ダイエット」と呼ぶ人もいます。
農耕が開始されたのはわずか1万年前です。
糖質制限食は狩猟・採集時代700万年間の人類本来の食事であり、
人類の健康食ですので、
いろんな症状が良くなるのは当たり前といえば当たり前なのです。
興味がある方は是非ご参加を!

お問い合わせ・お申し込み:電話 075-231-9693 朝日カルチャー京都教室

参加費:会員 3,024円 一般 3,564円

講師紹介 江部 康二 (エベ コウジ)
1950年生まれ。 1974年京都大学医学部卒業。1974年から京都大学胸部疾患研究所第一内科(現在京大呼吸器内科) にて呼吸器科を学ぶ。1978年から高雄病院に医局長として勤務。1996年副院長就任。2000年理事長就任。2001年から糖質制限食に取り組む。2002年に自ら糖尿病であると気づいて以来、さらに糖尿病治療の研究に力を注ぎ、「糖質制限食」の体系を確立。これにより自身の糖尿病を克服。内科医/漢方医/一般財団法人高雄病院理事長/一般社団法人日本糖質制限医療推進協会理事長著書『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』(東洋経済新報社)作家宮本輝氏との対談、『我ら糖尿人、元気なのには理由がある』(東洋経済新報社)『主食をやめると健康になる』(ダイヤモンド社)『高雄病院の「糖質制限」給食』(講談社)『糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食』 (ナツメ社)『高雄病院 Dr.江部が食べている「糖質制限」ダイエット1ヵ月献立レシピ109』(講談社)『糖尿病治療のための! 糖質制限食パーフェクトガイド』 (東洋経済新報社)『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません: 生活習慣病を予防&改善する糖質制限食31のポイント』 (東洋経済新報社)など多数。ブログ『ドクター江部の糖尿病徒然日記(http://koujiebe.blog95.fc2.com/)は、日に10000件のアクセスがあり、糖尿病のかたやそのご家族から寄せられ↓↓た質問への回答や、糖尿病・糖質制限食に関する情報の発信に、日々尽力している。
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質セイゲニストin大分主催「糖質制限講演会」3/1(日)
こんばんは。

糖質セイゲニストin大分主催
「糖質制限講演会&パネルディスカッション」

が、2015/3/1(日)に開催されます。

一般社団法人日本糖質制限医療推進協会が協賛です。

大分での講演会は初めてですので楽しみです。

第一部は
『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません』
 -糖尿病・生活習慣病を予防&改善する糖質制限食-

と題して、私が講師をつとめます。

糖尿病を始め、日本の4大死因、5大疾病と糖質制限食のお話しを90分間します。
質疑応答も30分間とたっぷり時間をとりました。

最近の話題として

2014年6月の日経メディカルオンラインのアンケートで、日本全国の2263人の医師から有効回答があり、実に過半数の医師が「糖質制限」を支持ということでした。良い意味で衝撃的で、びっくりしました。

過半数(58.3%)の医師が「糖質制限」を支持していて、医師の3人に1人は自ら実行していました。医師の4人に1人が「患者に勧めることがある」との回答でした。

また、「今日の治療指針2015」にも、糖尿病治療食として初めて糖質制限食が取り上げられる時代となりました。


そして、講演会に加えて

パネラー
・江部康二
・立花秀俊先生 社団法人敬和会 大分東部病院 漢方・小児科部長
・井上健先生 医療法人社団上人会 上人病院 内科(循環器専門医)
・三島学氏 三島塾塾長 糖質セイゲニストin北九州世話人
・山﨑昌彦氏 九州食肉学問所学長 糖質セイゲニストin大分世話人

による、パネルディスカッションもあり、盛りだくさんな内容です。

大分を始め近隣の皆様、是非ご参加いただけば幸いです。


江部康二


☆☆☆
以下は、糖質セイゲニストin大分事務局からのご案内です。

糖質セイゲニストin大分主催

「糖質制限講演会&パネルディスカッション」

■日時:3月1日(日)10:00~13:00頃 ※入場受付は9:20~

■会場:ホルトホール大分 大会議室 ※JR大分駅より徒歩2分
    大分県大分市金池町1丁目5番1号
    http://www.horutohall-oita.jp/access/

■内容:

・第一部: 講演(講師:江部 康二)

・第二部: パネルディスカッション
 パネラー
 ・江部康二先生 一般財団法人高雄病院理事長
 ・立花秀俊先生 社団法人敬和会 大分東部病院 漢方・小児科部長
 ・井上健先生 医療法人社団上人会 上人病院 内科(循環器専門医)
 ・三島学氏 三島塾塾長 糖質セイゲニストin北九州世話人
 ・山﨑昌彦氏 九州食肉学問所学長 糖質セイゲニストin大分世話人

*主催: 糖質セイゲニストin大分
*協賛: 一般社団法人日本糖質制限医療推進協会

※詳細・お申し込み方法は、下記の糖質セイゲニストin大分HPをご覧ください。
http://sugarbuster.jp/seminar/
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食の聖地 Botanica からバレンタインチョコレート販売のお知らせ
おはようございます。

今日のブログは、「糖質制限食の聖地 Botanica からバレンタインチョコレート販売のお知らせ」です。


ボタニカは、超有名フレンチレストラン「ひらまつ」グループのイタリアンブランド、「ASO」グループのお店で、日本で最初に「糖質制限食」をフルコースで出されました。

ASOグループは、「ミシュランガイド東京2008」で、イタリア料理で唯一2ツ星を獲得された阿曽達治シェフが総料理長をなさっておられ、美しく繊細な料理で、多くの方を魅了されておられます。

その阿曽総料理長からのお招き頂きまして、2008年の10月に「阿曽シェフのイタリアンディナーと江部康二の糖質制限食講演会」が開催されました。

そのご縁で、Botanicaの料理長、新井田シェフともお知り合いになり、東京へ出向いた際には必ずBotanicaで素晴らしい糖質制限の料理を堪能させて頂いてます(^O^)

今回、Botanicaで販売されている糖質制限生チョコが、バレンタイン期間中、大阪のHiramatsuグループのお店、

ラ・フェットひらまつ
http://www.hiramatsu.jp/lafete/

ル・ミディひらまつ
http://www.hiramatsu.jp/lemidi/

ます。

これまで関西圏のお店でBotanicaの糖質制限生チョコレートを買える機会がなかったので、チョコレート好きとしては嬉しいかぎりです(^^)


こちらがそのBotanica特製糖質制限生チョコレート

Botanica.jpg

予約販売で、販売期間は、 2月11日(水)~14日(土)、ご希望日の2日前までにお電話にてご予約ください、とのことです。

ここで、Botanica新井田シェフからのメッセージをご紹介です。

『Botanicaも糖質制限をはじめて7年目を迎えます。

江部先生、あらてつさんのご活動が着実に世の中の理解を広めていると思います。

Botanicaもその中で常にお客様が絶えずご来店していただける様になりました。

また、弊社は、関西も初進出し今尚、全国展開をしております。

つきましては、今回は、パッケージも新たになりましたので、今年のバレンタインは、せっかく大阪にひらまつを代表するお店があるので是非、関西圏の皆様にもお買い求め頂きたく今回企画をいたしました。

糖質制限生チョコレートはBotanicaで製造したものです。

大阪での販売は、予約制になっております。

また、Botanicaで製造しておりますので数量限定です。

多くの皆様に知っていただけると幸いです。

東京では、丸の内 丸ビルの特設会場で販売しております。

期間は、2月11日〜14日まで とうじつ、毎日ではありませんが自分も店頭販売しております。

初日、11日は、一日販売しております。

あとの日も時間が出来る限り駆けつける予定です。』



新井田シェフも店頭に立たれる東京の会場はこちら。

丸ビル1階 MARUCUBE
http://www.walkerplus.com/spot/ar0313s06401/a02653.html

販売期間: 2月11日(水)~14日(土)

こちらは予約なしでお買い求め頂けます。


ひらまつからの案内用のパンフレットです。

大阪はこちら
大阪版チラシ

東京はこちら
tokyo.jpg

販売時期と予約先がそれぞれ違いますのでご注意ください。

糖尿人、メタボ人、ダイエッター、全ての糖質セイゲニストの皆さん、今年のバレンタインはBotanicaの糖質制限を是非お試しあれ(^O^)


江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食の安全性にエビデンス。能登論文に反論。
こんにちは。

第24回日本疫学会学術総会(2014年1月23日~25日、仙台)で報告されたNIPPON DATA 80の研究成果が論文として、英文雑誌に掲載されました。(☆)

NIPPON DATA 80の29年間の追跡結果データを検討したもので、論文の筆者の中村保幸先生は、私の京大医学部の同級生です。

NIPPON DATA(National Integrated Project for Prospective Observation of Non-communicable Disease And its Trends in the Aged)は、日本の前向きコホート試験です。

日本全国から選ばれた13771人の30歳以上の住民が対象で、登録に同意した10546人をその後、経過観察しました。

1980年に基礎調査が行われたコホートがNIPPON DATA80です。

今回の研究報告は、2009年の時点での死亡データを解析したものです。

登録時のデータがない者、登録時点で心血管イベントの既往のあった者、経過観察ができなかった者を除いて、9200人(女性5160人、男性4040人)での解析が行われました。

9200人を29年間追跡して、

第1分位:糖質を一番摂取している群:糖質摂取比率は総摂取エネルギーの72.7%
第2分位~第9分位
第10分位:糖質制限を一番している群:糖質摂取比率は総摂取エネルギーの51.5%

糖質を一番摂取している群から順番に一番摂取してない群まで10群に分けて検討です。

その結果、

第10分位(糖質摂取比率51.5%)のグループは、
第1分位(糖質摂取比率72.7%)のグループに比べて、

女性においては心血管死のリスクが59%、総死亡のリスクが79%しかないという素晴らしい結論

で、糖質制限食の圧勝です。

なんと緩やかな糖質制限食でも、女性では、糖質たっぷり食に比べたら4割以上、心血管死が減るということですね。

男女合わせた解析でも心血管死リスクが74%、総死亡リスクが84%と低下しました。
男性単独では、有意差がでませんでした。

ともあれ、糖質制限食にとって、画期的な信頼度の高いエビデンスが登場したと言えます。

あくまでも私の個人的な意見ですが、緩やかな糖質制限食でこれだけの有意差が出たのなら、スーパー糖質制限食ならもっともっとすごい差がでるでしょうね。

一方、中村保幸先生のご指摘通り、私が実践している糖質摂取比率12%のスーパー糖質制限食に関しては、この報告にはデータがありません。

従って、この報告がそのままスーパー糖質制限食の安全性を担保するエビデンスにはなりません。

しかし、「平均血糖変動幅増大と食後高血糖」という最大の酸化ストレスリスクを生じない唯一の食事療法がスーパー糖質制限食ですから、長期的安全性も悪かろうはずがないですね。

中村保幸先生、貴重な信頼度の高いデータ報告をありがとうございました。


なお2013年10月16日 (水)の本ブログ記事
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-2709.html
MTpro、「糖質摂取の多い集団で心血管疾患発症リスクが高い」

もご参照いただけば幸いです。

「糖質摂取量が多いほど心血管疾患の発症リスクが高い」というのが
上記の上海前向きコホート研究(☆☆)の結論です。
NIPPON DATA 80と同様の結論なのは心強いです。

信頼度の低い能登論文の結論は

「総摂取エネルギー比率、糖質が30~40%のグループ(=中糖質群)は、60~70%のそれ(=高糖質群)と比べて、
死亡率が1.31倍だった。」

「糖質制限ダイエットを5年以上続けると死亡率が高まる可能性がある」

です。

これに対して、信頼度の高いNIPPON DATA 80の研究報告では、糖質制限食群のほうが、心血管死、総死亡ともに少ないという結論です。

そしてやはり信頼度の高い上海前向きコホート研究では、糖質摂取量が多いほど心血管疾患の発症リスクが高いという結論です。


江部康二



(☆)
Br J Nutr. 2014 Sep 28;112(6):916-24. doi: 10.1017/S0007114514001627.
Low-carbohydrate diets and cardiovascular and total mortality in Japanese: a 29-year follow-up of NIPPON DATA80.
Nakamura Y1, Okuda N2, Okamura T3, Kadota A4, Miyagawa N4, Hayakawa T5, Kita Y6, Fujiyoshi A4, Nagai M4, Takashima N4, Ohkubo T7, Miura K4, Okayama A8, Ueshima H4; NIPPON DATA Research Group.


(☆☆)
Am J Epidemiol. 2013 Nov 15; 178(10): 1542–1549.
Published online 2013 Sep 5. doi: 10.1093/aje/kwt178
Dietary Carbohydrates, Refined Grains, Glycemic Load, and Risk of Coronary
Heart Disease in Chinese Adults
Danxia Yu, Xiao-Ou Shu, Honglan Li, Yong-Bing Xiang, Gong Yang, Yu-Tang Gao, Wei Zheng, and Xianglan Zhang
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
能登氏が2013年に発表した糖質制限食批判論文は信頼度が低い
こんにちは。

朝日カルチャー名古屋教室講座においても質問がありましたが、ネット上でちらほらと能登論文が登場しているようです。

私達、糖質制限食推進派としても、能登論文の信頼度が低いことを繰り返し発信する必要がありますね。


能登論文の結論は

「総摂取エネルギー比率、糖質が30~40%のグループ(=中糖質群)は、60~70%のそれ(=高糖質群)と比べて、死亡率が1.31倍だった。」

「糖質制限ダイエットを5年以上続けると死亡率が高まる可能性がある」

です。


以下、能登論文の信頼度が低いことを説明します。

能登氏は、492の論文(コホート研究)から、最終的に9論文に絞って、メタ解析をしておられます。(*)

そしてこの9論文、私が既に読んでいるものがあり、わかっている範囲で、玉石混交です。

引用文献は1~39まであり、文献番号7.8.9.1011.12と29.30.31が選択された9論文です。
→本記事の最後に記載。


文献9は、本ブログ記事で何回か取り上げた、信頼度ゼロの、「低糖質・高蛋白質食、心血管イベント上昇」というBMJの論文です。

・栄養分析が登録時の1992年1回、15年以上その食生活が継続という仮定。
・塩分摂取量での調節がなされていない。
・質問事項が食物の項目で、糖質量など各栄養素の算出方法が不明確。
・糖質摂取とタンパク質摂取の点数化が恣意的で歪曲されている。
・この論文の平均摂取カロリーは1561kcal。同時期のスエーデンの論文の平均摂取カロリー1999.5Kcalに比し過少申告。
・BMJ には、本記事に対する専門家のコメントが12件よせられ、その全てがこの論文に対して否定的見解。→希有なこと


上記からこの論文は、極めて信頼度の低い論文です。

そして、能登氏が所属していた、

国立国際医療研究センター研究所ホームページ
糖尿病情報センターEBM論文情報のサイト

http://ncgm-dm.jp/center/ebm/10000/10053.html

にさえ、文献9に対して

『・・・た​​だ​​し​​,​​参​​加​​依​​頼​​へ​​の​​回​​答​​率​​が​​低​​値​​で​​あ​​る​​こ​​と​​,​​肥​​満​​者​​の​​割​​合​​が​​小​​さ​​い​​こ​​と​​,​​食​​事​​内​​容​​情​​報​​収​​集​​が​​1​​度​​で​​あ​​っ​​た​​こ​​と​​,​​一​​国​​の​​女​​性​​が​​対​​象​​で​​あ​​る​​こ​​と​​を​​鑑​​み​​る​​と​​,​​バ​​イ​​ア​​ス​​や​​残​​存​​交​​絡​​因​​子​​が​​小​​さ​​く​​な​​い​​た​​め​​,​​結​​果​​の​​妥​​当​​性​​・​​信​​頼​​性​​・​​一​​般​​性​​は​​高​​く​​な​​い​​可​​能​​性​​に​​気​​を​​つ​​け​​て​​慎​​重​​に​​解​​釈​​す​​る​​必​​要​​が​​あ​​る』

との記載があります。

このような信頼度の低い論文を選択した時点で、能登論文の信頼度もまた地に落ちています。

文献11も同じ著者(Lagiou )の論文です。

一方、最も信頼度が高い文献は、30です。

症例数も追跡年数も申し分ありません。

文献30は、NHSがデータベースで、82802名を20年間の追跡です。

低炭水化物・高脂肪・高タンパク食に冠動脈疾患のリスクなし
ニューイングランドジャーナルのコホート研究  82802人 2006年 ハーバード大学

・1980年、米国の女性看護師82,802人に食事調査を行い、研究を開始 。
・質問票を使った食事調査を、1980年から1998年までのあいだに、2-6年間隔で6回実施。
・低炭水化物食「得点」が上位10%のグループの冠動脈疾患の発生率は下位10%のグループの0.94倍で有意差なし。
 2000年の時点で10グループを解析。炭水化物摂取比率36.8±6.1%グループと58.8±7.0%のグループの比較。
・即ち20年間の追跡で、脂肪と蛋白質が多く炭水化物が少ない食事をして
 いるグループでも、心臓病のリスクは上昇しなかった。
・一方総炭水化物摂取量は冠動脈疾患リスクの中等度増加に関連していた。
 高GLは冠動脈疾患リスク増加と強く関連していた。


最も信頼度が高い文献30の結論は、

「低炭水化物・高脂肪・高タンパク食に冠動脈疾患のリスクなし」

であり、

「総炭水化物摂取量は冠動脈疾患リスクの中等度増加に関連していた。 高GLは冠動脈疾患リスク増加と強く関連していた。」

です。

すなわち高炭水化物食の危険性を指摘しています。

結局、能登論文、折角信頼度の高い、文献30をもってきたのに、信頼度ゼロの文献9などを加えたために、メタ解析結果が全く信頼のおけないものになってしまっています。

つまり玉の論文の結論を、石の論文が足を引っぱって、違った結論にしてしまっています。

文献30と文献9では、アンケートの信頼度が月とスッポンであり、データを混ぜること自体が、文献30に対して失礼です。

意図的にこのような信頼度の低い論文を選ばれたのなら、アンフェアとしか言いようがありません。

能登論文のような信頼度の低いメタ解析など不必要で、82802名を20年間追跡した信頼度の高い文献30で必要充分と言えます。

さらに、文献31の論文は「高GL食・高GI食を食べている中年女性は、心血管リスクが上昇する。」という明確な結論であり、高炭水化物食の危険性を指摘しています。


江部康二


<能登論文で選択された9論文>
7. Fung TT, van Dam RM, Hankinson SE, Stampfer M, Willett WC, et al. (2010) Low-carbohydrate diets and all-cause and cause-specific mortality: two cohort studies. Ann Intern Med 153: 289-298. Find this article online

8. Sjogren P, Becker W, Warensjo E, Olsson E, Byberg L, et al. (2010) Mediterranean and carbohydrate-restricted diets and mortality among elderly men: a cohort study in Sweden. Am J Clin Nutr 92: 967-974. doi: 10.3945/ajcn.2010.29345. Find this article online

9. Lagiou P, Sandin S, Lof M, Trichopoulos D, Adami HO, et al. (2012) Low carbohydrate-high protein diet and incidence of cardiovascular diseases in Swedish women: prospective cohort study. BMJ 344: e4026. doi: 10.1136/bmj.e4026. Find this article online
2012/09/17 の本ブログ記事で取り上げた信頼度の低い論文。→石論文

10.Nilsson LM, Winkvist A, Eliasson M, Jansson JH, Hallmans G, et al. (2012) Low-carbohydrate, high-protein score and mortality in a northern Swedish population-based cohort. Eur J Clin Nutr 66: 694-700. doi: 10.1038/ejcn.2012.9. Find this article online

11.Lagiou P, Sandin S, Weiderpass E, Lagiou A, Mucci L, et al. (2007) Low carbohydrate-high protein diet and mortality in a cohort of Swedish women. J Intern Med 261: 366-374. doi: 10.1111/j.1365-2796.2007.01774.x. Find this article online
例のBMJの信頼度の低い論文と同じ著者の論文。

12.Trichopoulou A, Psaltopoulou T, Orfanos P, Hsieh CC, Trichopoulos D (2007) Low-carbohydrate-high-protein diet and long-term survival in a general population cohort. Eur J Clin Nutr 61: 575-581. doi: 10.1038/sj.ejcn.1602557. Find this article online

29. Oh K, Hu FB, Cho E, Rexrode KM, Stampfer MJ, et al. (2005) Carbohydrate intake, glycemic index, glycemic load, and dietary fiber in relation to risk of stroke in women. Am J Epidemiol 161: 161-169. doi: 10.1093/aje/kwi026. Find this article online

30. Halton TL, Willett WC, Liu SM, Manson JE, Albert CM, et al. (2006) Low-carbohydrate-diet score and the risk of coronary heart disease in women. N Engl J Med 355: 1991-2002. doi: 10.1056/NEJMoa055317. Find this article online
2012/09/17 の本ブログ記事で取り上げた論文。→玉論文。

31.Beulens JW, de Bruijne LM, Stolk RP, Peeters PH, Bots ML, et al. (2007) High dietary glycemic load and glycemic index increase risk of cardiovascular disease among middle-aged women: a population-based follow-up study. J Am Coll Cardiol 50: 14-21. Find this article online


(*)
能登論文

Low-Carbohydrate Diets and All-Cause Mortality: A Systematic Review and Meta-Analysis of Observational Studies
PLoS ONE, 8(1), e55030
25-Jan-2013
Hiroshi Noto

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
朝日カルチャーセンター名古屋教室のご報告と能登論文
こんにちは。

朝日カルチャーセンター名古屋教室にて

『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません』
 -生活習慣病を予防&改善する糖質制限食-

と題して、講座の講師をつとめてきました。
約50人が参加されました。

2014年1月31日(土)
講演:16:00~17:30
質疑応答:17:30~18:00

糖尿病を始め、日本の4大死因、5大疾病と糖質制限食のお話しをしました。
質疑応答も30分間とたっぷり時間をとりました。

質問もケトン体、AGEs、国際糖尿病連合(IDF)の基準・・・など、しっかり勉強しておられるなと感じるものが多く、密度の濃い充実した講演会となりました。

そうそう、朝日カルチャーセンター名古屋教室の室長さんも、スーパー糖質制限食で30kgの減量に成功され、体調極めて良好とのことでした。(^^)

最後の質問で、国立国際医療研究センター病院、糖尿病・代謝・内分泌科医長時代の、能登 洋氏の論文(*)について質問されました。

能登氏は、現在は聖路加国際病院内分泌代謝科医長です。

能登氏の論文は糖質制限食に批判的な内容であり、2013年に発表されて、マスコミが過熱ぎみに報道したこともあり、多くの糖質セイゲニストに不安を与えました。

本ブログでは、何度か能登論文を取り上げ、その信頼度の低さを根拠を上げて、論証してきました。

長くなるので、次の記事で、能登論文批判を展開します。


(*)
能登論文
Low-Carbohydrate Diets and All-Cause Mortality: A Systematic Review and Meta-Analysis of Observational Studies
PLoS ONE, 8(1), e55030
25-Jan-2013
Hiroshi Noto


江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
冠動脈狭窄がスーパー糖質制限食で改善。プラーク消失。
【1961年生まれの男性。

2011年9月、50才のとき、健康診断でHbA1c:11.1%で糖尿病と診断。
173cm。70kg。
甘いものが好きだった。
診断3週間後から、スーパー糖質制限食を開始。
薬物は一切なし。

2012年3月、江部診療所初診時、63kg。
スーパー糖質制限食開始6ヶ月目でHbA1c:5.8%に改善。
体重が急速にへったので、基準値だった尿酸が一旦上昇して高値に。

尿酸
2012年2月:6.5mg/dl、
2012年3月:7.8mg/dl、
2012年4月:6.1mg/dl

その後、摂取エネルギーを増やし、スーパー糖質制限食を継続して、体重は67~70kg、尿酸は速やかに基準値に戻った。

2012年3月、心臓カテーテル造影検査で冠動脈が1本、50~75%狭窄。
びまん性ソフトプラークによる高度狭窄。

その後、ずっと、HbA1c:5.4%~5.8%程度で経過。
血糖コントロール極めて良好。
体重は67~70kgで経過。

2014年12月の心臓カテーテル検査で、狭窄していた冠動脈が改善し、ソフトプラークが消失して狭窄なしとなっていた。

2年9ヶ月間のスーパー糖質制限食により、改善したと考えられる。

循環器科の主治医はびっくりしていた。】


こんばんは。

今日は、一例とはいえ大変貴重なケースを経験しましたので、患者さんの了解を得て、記事にしました。
ありがとうございます。

上記の青字の記載が経過です。

なんと2年9ヶ月のスーパー糖質制限食実践で、冠動脈狭窄が改善し、プラーク消失したのですから、びっくりです。

画像評価にて狭窄部におけるプラークの性状がソフトであるものは遊離しやすく、塞栓性の合併症を来しやすいと考えられています。

このケースではソフトプラークで50~75%の狭窄ですから、改善の意味は大変大きいです。

この間内服治療は一切ないので、シンプルにスーパー糖質制限食による血糖コントロール極めて良好な2年9ヶ月を経て、プラークが消失し狭窄がなくなった可能性が高いと考えられます。

今後、糖質制限食の普及により、同様のケースが出てくるかもしれませんね。

循環器の先生方、是非ご検討をよろしくお願い申し上げます。

なお、一時的に摂取エネルギー不足で尿酸が高値となりましたが、しっかり脂質・タンパク質を摂取したら、速やかに基準値となっています。


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット