2015年01月31日 (土)
こんにちは。
インフルエンザが流行っています。
インフルエンザワクチンを接種した人も接種してない人もいると思います。
知っておいて欲しいことは、インフルエンザワクチンは万能ではないということです。
感染防御力は基本的になくて、重症化を防ぐことが期待されるていどの効能です。
ワクチンを打っている人も打っていない人も、手洗い、うがい、マスクがインフルエンザ予防の基本ですね。
特に、手洗いが思った以上に有効です。
ドアノブや電車のつり革など様々なものに触れることにより、 自分の手にもウイルスが付着している可能性があります。外出先から帰宅時や調理の前後、食事前などこまめに手を洗いましょう。
咳やくしゃみで飛んだ飛沫が服についても、数時間で感染力を失うとされています。外出から帰宅したら着替えすることも予防に役立ちます。
以下の青字は厚生労働省サイトの記載です。
インフルエンザの予防にはみんなの「かからない」、「うつさない」という気持ちが大切です。
手洗いでインフルエンザを予防して、かかったら、マスク等せきエチケットも忘れないでください。
インフルエンザにかかった人は、必ずマスクをして他人にうつさないように配慮が必要です。
<インフルエンザワクチンの有効性>
インフルエンザワクチンは、季節性にも新型にも対応しています。
しかし、実は現行のインフルエンザワクチンには、水際で感染をシャットアウトするような効果はありません。
感染した後、重症化を防ぐ効果が期待されるという程度なので過信するのは禁物です。
理論的に考えても、ワクチンを接種することによりIgG抗体が血液・体液中に産生されますが、粘膜面を防御しているIgA抗体は全くできません。
従って、インフルエンザウィルスが、咽や鼻の粘膜を突破して細胞内に侵入した後(感染が成立した後)、はじめてIgG抗体がかけつけて戦うことになります。
下記は国立感染研究所のホームページからの抜粋です。
【7.インフルエンザワクチンの問題点
(2)「現行ワクチンの感染防御効果や発症阻止効果は完全ではありませんので、ワクチン接種を受けてもインフルエンザに罹患する場合があり、この場合には患者はウイルスを外部に排泄し、感染源となります。従って、集団接種を行っても社会全体のインフルエンザ流行を完全に阻止することは難しいと考えられます。」
(6)「現行のインフルエンザワクチンは皮下接種されています。しかし、不活化ワクチンの皮下接種では、インフルエンザウイルスの感染防御に中心的役割を果たすと考えられる気道の粘膜免疫や、回復過程に重要であると考えられる細胞性免疫がほとんど誘導されません。これは、インフルエンザウイルスの感染そのものを防御すると言う面では大きな短所であると考えられています。
しかし、この様な欠点を持ちながらも、先に述べたように、ハイリスク群に対する現行インフルエンザワクチンの効果は明らかに認められています。また、ワクチンの皮下接種でも血中の抗体産生は十分に刺激できるので、インフルエンザに続発する肺炎などの合併症や最近問題となっているインフルエンザ脳炎・脳症の発生を抑えることには期待出来ると考えられています。」】
<院内感染>
例年と同様に2014年、2015年も全国各地の病院や施設で、職員や患者さんにインフルエンザの集団感染が起こっています。高齢の患者さんの死亡者も出ています。
これらの集団感染において、ほとんどの人はインフルエンザワクチンを接種していました。
このように、感染防御にはワクチンは、実際にまったく無力だったことが明らかとなりました。
そもそもインフルエンザワクチンは「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」ということが効能です。
感染を防ぐためには、「手洗い、うがい、マスク」が必須です。
<誤解>
ところが、相変わらず多くの患者さんや医師が、ワクチンを接種していれば、水際で感染防御できると誤解しておられるのです。
私は、過去10年間以上、友人の医師などに、感染防御はできないと口を酸っぱくして言い続けてきたのですが、皆なかなか信じてもらえませんでした。どこかで誤った情報が流され続けていたのでしょうね。
ここ数年、新聞などでもやっと、「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」という真実が報道されるようになりました。
逆に言えば、過去10年以上、あたかも感染防御できるような内容の報道に終始していたわけで、そのことに関して自己批判も反省もないのは如何なものでしょう。
インフルエンザワクチン注射を希望する患者さんがこられたら、私はこのことを説明して、
「手洗いやうがい、人混みを避けるなど、基本的なことが感染防御には大事なので、ワクチンを接種したからといって油断しないでくださいね。」
と付け加えます。
<必要性>
別に私は、ワクチンが無意味といっているのではありません。
65歳以上の高齢者、呼吸器系や循環器系に慢性疾患を持つ患者、糖尿病、腎臓病などの慢性疾患の患者、免疫低下状態の患者などでは、インフルエンザに罹患し重症化すれば、肺炎などの重篤な合併症になり、生命に危険が及ぶこともありますから必要だと思います。若い人でも、受験生などは重症化したら困りますから、接種する意味はありますね。
<感染防御>
①医療関係者は、インフルエンザ患者を診察するときはマスクをする。
診察が終わったら必ず手洗いをし、使い捨て紙タオルでふく。
マスクをはずしたときはうがいをする。
②急性の咳や熱がでている当事者はエチケットとして、マスクをする。
③満員電車の中など避けようがない密閉された場所にいくときはマスクを
して乗る。
④人混みにでたあとは、手洗い・うがいを励行する。
⑤家族が一人インフルエンザに罹患したら、家の中でも当事者はマスクを
する。その一人は、違う部屋で寝る。
⑥咳で飛沫が飛ぶのは約1mであるので当事者から距離を取る。
⑦鼻水や痰を封じ込めるためにティッシュを使用し、使用後のティッシュは、
できればノンタッチごみ箱に廃棄すること
ブログ読者の皆さん、インフルエンザワクチンを接種している人も、感染防御効果はないことをしっかり認識して、上記①~⑦を励行してくださいね。
これが実行されていれば、上述のような院内感染が猛威をふるうことはなかったでしょう。
<終わりに>
インフルエンザワクチン接種に、賛成の人も反対の人もあると思います。
ブログ読者の皆さんには、インフルエンザワクチンの真実を知ってもらいたくて今回記事にしました。
江部康二
インフルエンザが流行っています。
インフルエンザワクチンを接種した人も接種してない人もいると思います。
知っておいて欲しいことは、インフルエンザワクチンは万能ではないということです。
感染防御力は基本的になくて、重症化を防ぐことが期待されるていどの効能です。
ワクチンを打っている人も打っていない人も、手洗い、うがい、マスクがインフルエンザ予防の基本ですね。
特に、手洗いが思った以上に有効です。
ドアノブや電車のつり革など様々なものに触れることにより、 自分の手にもウイルスが付着している可能性があります。外出先から帰宅時や調理の前後、食事前などこまめに手を洗いましょう。
咳やくしゃみで飛んだ飛沫が服についても、数時間で感染力を失うとされています。外出から帰宅したら着替えすることも予防に役立ちます。
以下の青字は厚生労働省サイトの記載です。
インフルエンザの予防にはみんなの「かからない」、「うつさない」という気持ちが大切です。
手洗いでインフルエンザを予防して、かかったら、マスク等せきエチケットも忘れないでください。
インフルエンザにかかった人は、必ずマスクをして他人にうつさないように配慮が必要です。
<インフルエンザワクチンの有効性>
インフルエンザワクチンは、季節性にも新型にも対応しています。
しかし、実は現行のインフルエンザワクチンには、水際で感染をシャットアウトするような効果はありません。
感染した後、重症化を防ぐ効果が期待されるという程度なので過信するのは禁物です。
理論的に考えても、ワクチンを接種することによりIgG抗体が血液・体液中に産生されますが、粘膜面を防御しているIgA抗体は全くできません。
従って、インフルエンザウィルスが、咽や鼻の粘膜を突破して細胞内に侵入した後(感染が成立した後)、はじめてIgG抗体がかけつけて戦うことになります。
下記は国立感染研究所のホームページからの抜粋です。
【7.インフルエンザワクチンの問題点
(2)「現行ワクチンの感染防御効果や発症阻止効果は完全ではありませんので、ワクチン接種を受けてもインフルエンザに罹患する場合があり、この場合には患者はウイルスを外部に排泄し、感染源となります。従って、集団接種を行っても社会全体のインフルエンザ流行を完全に阻止することは難しいと考えられます。」
(6)「現行のインフルエンザワクチンは皮下接種されています。しかし、不活化ワクチンの皮下接種では、インフルエンザウイルスの感染防御に中心的役割を果たすと考えられる気道の粘膜免疫や、回復過程に重要であると考えられる細胞性免疫がほとんど誘導されません。これは、インフルエンザウイルスの感染そのものを防御すると言う面では大きな短所であると考えられています。
しかし、この様な欠点を持ちながらも、先に述べたように、ハイリスク群に対する現行インフルエンザワクチンの効果は明らかに認められています。また、ワクチンの皮下接種でも血中の抗体産生は十分に刺激できるので、インフルエンザに続発する肺炎などの合併症や最近問題となっているインフルエンザ脳炎・脳症の発生を抑えることには期待出来ると考えられています。」】
<院内感染>
例年と同様に2014年、2015年も全国各地の病院や施設で、職員や患者さんにインフルエンザの集団感染が起こっています。高齢の患者さんの死亡者も出ています。
これらの集団感染において、ほとんどの人はインフルエンザワクチンを接種していました。
このように、感染防御にはワクチンは、実際にまったく無力だったことが明らかとなりました。
そもそもインフルエンザワクチンは「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」ということが効能です。
感染を防ぐためには、「手洗い、うがい、マスク」が必須です。
<誤解>
ところが、相変わらず多くの患者さんや医師が、ワクチンを接種していれば、水際で感染防御できると誤解しておられるのです。
私は、過去10年間以上、友人の医師などに、感染防御はできないと口を酸っぱくして言い続けてきたのですが、皆なかなか信じてもらえませんでした。どこかで誤った情報が流され続けていたのでしょうね。
ここ数年、新聞などでもやっと、「感染防御はできないが、重症化を防ぐ」という真実が報道されるようになりました。
逆に言えば、過去10年以上、あたかも感染防御できるような内容の報道に終始していたわけで、そのことに関して自己批判も反省もないのは如何なものでしょう。
インフルエンザワクチン注射を希望する患者さんがこられたら、私はこのことを説明して、
「手洗いやうがい、人混みを避けるなど、基本的なことが感染防御には大事なので、ワクチンを接種したからといって油断しないでくださいね。」
と付け加えます。
<必要性>
別に私は、ワクチンが無意味といっているのではありません。
65歳以上の高齢者、呼吸器系や循環器系に慢性疾患を持つ患者、糖尿病、腎臓病などの慢性疾患の患者、免疫低下状態の患者などでは、インフルエンザに罹患し重症化すれば、肺炎などの重篤な合併症になり、生命に危険が及ぶこともありますから必要だと思います。若い人でも、受験生などは重症化したら困りますから、接種する意味はありますね。
<感染防御>
①医療関係者は、インフルエンザ患者を診察するときはマスクをする。
診察が終わったら必ず手洗いをし、使い捨て紙タオルでふく。
マスクをはずしたときはうがいをする。
②急性の咳や熱がでている当事者はエチケットとして、マスクをする。
③満員電車の中など避けようがない密閉された場所にいくときはマスクを
して乗る。
④人混みにでたあとは、手洗い・うがいを励行する。
⑤家族が一人インフルエンザに罹患したら、家の中でも当事者はマスクを
する。その一人は、違う部屋で寝る。
⑥咳で飛沫が飛ぶのは約1mであるので当事者から距離を取る。
⑦鼻水や痰を封じ込めるためにティッシュを使用し、使用後のティッシュは、
できればノンタッチごみ箱に廃棄すること
ブログ読者の皆さん、インフルエンザワクチンを接種している人も、感染防御効果はないことをしっかり認識して、上記①~⑦を励行してくださいね。
これが実行されていれば、上述のような院内感染が猛威をふるうことはなかったでしょう。
<終わりに>
インフルエンザワクチン接種に、賛成の人も反対の人もあると思います。
ブログ読者の皆さんには、インフルエンザワクチンの真実を知ってもらいたくて今回記事にしました。
江部康二
2015年01月30日 (金)
こんにちは
2014年度も2015年度も、糖質制限食、医学界にも一般社会にも順調に普及が進んでいます。
嬉しい限りです。
第18回日本病態栄養学会年次学術集会において、2015年1月10日(土)宗田先生がポスター発表されました。
私も共同発表者の一人でした。
正常分娩時の胎盤のケトン体が、成人の基準値の20~30倍であることが、60例において確認されました。
これで、ケトン体の安全性は確実に照明されたと言えます。
このような最新情報を踏まえて、2014年、東京、京都にて開催し、ご好評いただいた医療従事者向けセミナーを
2015年2月8日(日)、京都にて開催致します。
日本糖質制限医療推進協会主催 医療従事者向けセミナー(京都)
「糖質制限食による糖尿病指導~理論と実践~」
受付:12:30~
講演と質疑応答:12:45~16:30
場所: メルパルク京都 4F 研修室5
第一部では、最新糖質制限食理論と共に、信頼度の高い長期的コホート研究を複数紹介し、ついで信頼度の高いRCT研究論文を複数紹介します。糖質制限食の長期的安全性や有効性に関してエビデンスを示すものです。
第二部では、疫学や統計を紹介すると共に糖尿病治療に関して、
「すぐに良くなった症例」「苦労して良くなった症例」「1型の難しい症例」など、実際に入院された患者さんのデータを見ながら検討します。
糖質制限食実践時の薬剤の使い方も説明します。
第三部では、高雄病院の栄養指導の実際を橋本眞由美管理栄養士がお話しします。
参加頂いた皆さんには、前回と同様に、講演PPTスライドの、CD(PDFファイル)をお配りします。
残席がわずかとなりました。
関西、中国、九州の医療従事者の皆さん、奮ってご参加くださいね。
江部康二
****************
以下、事務局からのご案内です。
ブログ読者の皆様、講演会へいつも多数ご参加いただきまして
ありがとうございます。
2014年東京、京都にて開催し、ご好評いただいた医療従事者向けセミナーを
2015年2月8日(日)、京都にて開催致します。
第一部は基礎理論編、第二部は、症例の検討や薬剤の使い方など実践・応用編です。
第三部は高雄病院での糖質制限給食や栄養指導、健康講座などの取り組みについ ての講義です。
昨年度の講義をベースに難しい症例への対応や栄養士以外の取り組み事例なども 盛り込む予定です。
医療従事者の皆様の多数のご参加を心よりお待ちしております。
*2015年3月8日(日)に東京でも医療従事者向けセミナーを開催致します。
(詳細のご案内やお申し込みの受付は、1月中旬からとなります。)
///////////////////ご案内/////////////////////
日本糖質制限医療推進協会主催 医療従事者向けセミナー(京都)
「糖質制限食による糖尿病指導~理論と実践~」
■日時: 2015年2月8日(日)12:45~16:30頃 ※受付・会場:12:30~
■場所: メルパルク京都 4F 研修室5【萩】
京都市下京区東洞院通七条下ル東塩小路町676番13
http://www.mielparque.jp/kyoto/access/
☆アクセス:JR京都駅(烏丸中央口)から徒歩1分
■スケジュール:
第一部 12:45~13:35 「基礎理論」 ※講師A
休憩 13:35~13:45
第二部 13:45~14:35 「症例検討と薬剤の使い方など」 ※講師A
質疑応答 14:35~15:05
休憩 15:05~15:20
第三部 15:20~16:10
「高雄病院における糖質制限給食とその取り組み」※講師B
質疑応答 16:10~16:30
■講師:
A:江部 康二 医師
(一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長
B:橋本 眞由美 管理栄養士
(一財)高雄病院 栄養管理部 部長
■対象: 医療従事者(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、鍼灸師など)
■受講費: 賛助会員 8,000円 / 一般(非会員) 10,000円
※参加頂いた皆様には、映写・配布資料のデータ(PDF)CDをお配りします。
■お支払い方法:クレジットカード/銀行振込/郵便振替
※事前決済のみとなります。
※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。
■お申し込み方法:
・賛助会員の方
事務局までメールにて、医療機関でのご職種をご記入の上、お申し込み下さい。
・賛助会員入会をご希望の方
1.入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://toushitsuseigen.or.jp/member.html
2.お申し込みはこちらのフォームからお願いします。
http://toushitsuseigen.or.jp/contact.php
「お問い合せ内容」欄に以下をご記入ください。
①「2/8京都セミナー、受講希望」とご記入下さい。
②医療機関でのご職種をご記入下さい。
・一般(非会員)で、講演会の受講のみご希望の方
こちらのフォームよりお申し込み下さい。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/0625a3b0281969
■お申し込みの流れ:
1.会員の方はメールにて、会員以外の方は各種フォームにてご連絡下さい。
2.事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3.入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4.当日、直接会場までお越し下さい。
■その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは2月5日(木)までに事務局までご連絡願います。
それ以降のご返金は原則、対応致しかねますので予めご了承ください。
2014年度も2015年度も、糖質制限食、医学界にも一般社会にも順調に普及が進んでいます。
嬉しい限りです。
第18回日本病態栄養学会年次学術集会において、2015年1月10日(土)宗田先生がポスター発表されました。
私も共同発表者の一人でした。
正常分娩時の胎盤のケトン体が、成人の基準値の20~30倍であることが、60例において確認されました。
これで、ケトン体の安全性は確実に照明されたと言えます。
このような最新情報を踏まえて、2014年、東京、京都にて開催し、ご好評いただいた医療従事者向けセミナーを
2015年2月8日(日)、京都にて開催致します。
日本糖質制限医療推進協会主催 医療従事者向けセミナー(京都)
「糖質制限食による糖尿病指導~理論と実践~」
受付:12:30~
講演と質疑応答:12:45~16:30
場所: メルパルク京都 4F 研修室5
第一部では、最新糖質制限食理論と共に、信頼度の高い長期的コホート研究を複数紹介し、ついで信頼度の高いRCT研究論文を複数紹介します。糖質制限食の長期的安全性や有効性に関してエビデンスを示すものです。
第二部では、疫学や統計を紹介すると共に糖尿病治療に関して、
「すぐに良くなった症例」「苦労して良くなった症例」「1型の難しい症例」など、実際に入院された患者さんのデータを見ながら検討します。
糖質制限食実践時の薬剤の使い方も説明します。
第三部では、高雄病院の栄養指導の実際を橋本眞由美管理栄養士がお話しします。
参加頂いた皆さんには、前回と同様に、講演PPTスライドの、CD(PDFファイル)をお配りします。
残席がわずかとなりました。
関西、中国、九州の医療従事者の皆さん、奮ってご参加くださいね。
江部康二
****************
以下、事務局からのご案内です。
ブログ読者の皆様、講演会へいつも多数ご参加いただきまして
ありがとうございます。
2014年東京、京都にて開催し、ご好評いただいた医療従事者向けセミナーを
2015年2月8日(日)、京都にて開催致します。
第一部は基礎理論編、第二部は、症例の検討や薬剤の使い方など実践・応用編です。
第三部は高雄病院での糖質制限給食や栄養指導、健康講座などの取り組みについ ての講義です。
昨年度の講義をベースに難しい症例への対応や栄養士以外の取り組み事例なども 盛り込む予定です。
医療従事者の皆様の多数のご参加を心よりお待ちしております。
*2015年3月8日(日)に東京でも医療従事者向けセミナーを開催致します。
(詳細のご案内やお申し込みの受付は、1月中旬からとなります。)
///////////////////ご案内/////////////////////
日本糖質制限医療推進協会主催 医療従事者向けセミナー(京都)
「糖質制限食による糖尿病指導~理論と実践~」
■日時: 2015年2月8日(日)12:45~16:30頃 ※受付・会場:12:30~
■場所: メルパルク京都 4F 研修室5【萩】
京都市下京区東洞院通七条下ル東塩小路町676番13
http://www.mielparque.jp/kyoto/access/
☆アクセス:JR京都駅(烏丸中央口)から徒歩1分
■スケジュール:
第一部 12:45~13:35 「基礎理論」 ※講師A
休憩 13:35~13:45
第二部 13:45~14:35 「症例検討と薬剤の使い方など」 ※講師A
質疑応答 14:35~15:05
休憩 15:05~15:20
第三部 15:20~16:10
「高雄病院における糖質制限給食とその取り組み」※講師B
質疑応答 16:10~16:30
■講師:
A:江部 康二 医師
(一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長
B:橋本 眞由美 管理栄養士
(一財)高雄病院 栄養管理部 部長
■対象: 医療従事者(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、鍼灸師など)
■受講費: 賛助会員 8,000円 / 一般(非会員) 10,000円
※参加頂いた皆様には、映写・配布資料のデータ(PDF)CDをお配りします。
■お支払い方法:クレジットカード/銀行振込/郵便振替
※事前決済のみとなります。
※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。
■お申し込み方法:
・賛助会員の方
事務局までメールにて、医療機関でのご職種をご記入の上、お申し込み下さい。
・賛助会員入会をご希望の方
1.入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://toushitsuseigen.or.jp/member.html
2.お申し込みはこちらのフォームからお願いします。
http://toushitsuseigen.or.jp/contact.php
「お問い合せ内容」欄に以下をご記入ください。
①「2/8京都セミナー、受講希望」とご記入下さい。
②医療機関でのご職種をご記入下さい。
・一般(非会員)で、講演会の受講のみご希望の方
こちらのフォームよりお申し込み下さい。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/0625a3b0281969
■お申し込みの流れ:
1.会員の方はメールにて、会員以外の方は各種フォームにてご連絡下さい。
2.事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3.入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4.当日、直接会場までお越し下さい。
■その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは2月5日(木)までに事務局までご連絡願います。
それ以降のご返金は原則、対応致しかねますので予めご了承ください。
2015年01月29日 (木)
こんばんは。
糖尿病でコントロールの悪い人は、細菌感染のリスクがあります。
今回は肺炎球菌ワクチンについて考察してみましょう。
成人市中肺炎の約3割は、肺炎球菌が原因です。肺炎球菌によって、多くの高齢者が死亡しています。
この肺炎球菌による感染症を予防するためのワクチンが、肺炎球菌ワクチンです。
はっきりいって、インフルエンザワクチンより、はるかに有用です。
65才、70才、75才、80才、85才、90才、95才のきりのいい年齢の人には、半額公的援助が支給されます。
市中肺炎とは、普段の生活(病院外)でかかる肺炎のことです。
肺炎球菌には80種類以上の型がありますが、そのうち23種類が、全ての肺炎球菌による感染症の8割ぐらいを占めています。
肺炎球菌ワクチンを接種しておけば、これらの型に対して免疫をつけることができます。
1回の接種で23の型ほとんどに対し、有効レベル以上の免疫ができます。
この免疫はよく持続するもので、5年以上続きます。
肺炎球菌ワクチン接種により、60-80%の人に予防効果が期待できます。
近年、生涯に2回(以上?)接種できるようになったので、年齢的に若くても打ちやすくなりました。
理論的には、3回目もOKと思われるのですが、確認中です。
接種後の副作用には、注射部位の腫れや痛み、微熱などがありますが、たいてい3日くらいで治ります。
副作用もインフルエンザワクチンより、かなり少ないと思います。
米国と同様に、日本のガイドラインでも糖尿病は肺炎ワクチン接種対象に含まれていますが(下記参照)、現実的な対応としてはコントロールがよい場合、64才以下なら打たなくても良いと思います。
しかし、統計によりますと、きっちり病院に通院して治療していても、HbA1cが6.9%以下のコントロール良好な糖尿人は約30%。残り70%はコントロール不良で肺炎球菌感染のリスクがあることになりますね。
そうすると、コントロールが良くない糖尿人は、64才以下でも肺炎球菌ワクチンを接種したほうがいいと思います。
上述のように生涯に2回(以上?)摂取できるようになったので、若いからといって、打ち惜しみしなくていいようになりました。
65才以上の糖尿人は、肺炎球菌ワクチンを接種したほうがよいでしょう。
しかし糖質制限食でHbA1cが6.0%未満(正常)に保たれている糖尿人なら、リスクは一般人と同程度と考えられます。
☆☆☆
(参考)肺炎球菌ワクチンの対象
日本呼吸器学会「呼吸器感染症に関するガイドライン」より
1. 65歳以上の高齢者で肺炎球菌ワクチン摂取を受けたかどうかはっきりしない人
2. 2-64歳で下記の慢性疾患やリスクのある人
(1)慢性心不全
(2)慢性呼吸器疾患
(3)糖尿病
(4)アルコール中毒
(5)慢性肝疾患
(6)髄液漏
3. 摘脾を受けた人、脾機能不全の人
4. 老人施設や長期療養施設などの入居者
5 易感染症患者:
HIV感染者、白血病、ホジキン病、多発性骨髄腫、全身性の悪性腫瘍、慢性腎不全、ネフローゼ症候群、移植患者のように免疫抑制療法を受けている人、副腎皮質ステロイドの長期全身投与を受けている人
江部康二
糖尿病でコントロールの悪い人は、細菌感染のリスクがあります。
今回は肺炎球菌ワクチンについて考察してみましょう。
成人市中肺炎の約3割は、肺炎球菌が原因です。肺炎球菌によって、多くの高齢者が死亡しています。
この肺炎球菌による感染症を予防するためのワクチンが、肺炎球菌ワクチンです。
はっきりいって、インフルエンザワクチンより、はるかに有用です。
65才、70才、75才、80才、85才、90才、95才のきりのいい年齢の人には、半額公的援助が支給されます。
市中肺炎とは、普段の生活(病院外)でかかる肺炎のことです。
肺炎球菌には80種類以上の型がありますが、そのうち23種類が、全ての肺炎球菌による感染症の8割ぐらいを占めています。
肺炎球菌ワクチンを接種しておけば、これらの型に対して免疫をつけることができます。
1回の接種で23の型ほとんどに対し、有効レベル以上の免疫ができます。
この免疫はよく持続するもので、5年以上続きます。
肺炎球菌ワクチン接種により、60-80%の人に予防効果が期待できます。
近年、生涯に2回(以上?)接種できるようになったので、年齢的に若くても打ちやすくなりました。
理論的には、3回目もOKと思われるのですが、確認中です。
接種後の副作用には、注射部位の腫れや痛み、微熱などがありますが、たいてい3日くらいで治ります。
副作用もインフルエンザワクチンより、かなり少ないと思います。
米国と同様に、日本のガイドラインでも糖尿病は肺炎ワクチン接種対象に含まれていますが(下記参照)、現実的な対応としてはコントロールがよい場合、64才以下なら打たなくても良いと思います。
しかし、統計によりますと、きっちり病院に通院して治療していても、HbA1cが6.9%以下のコントロール良好な糖尿人は約30%。残り70%はコントロール不良で肺炎球菌感染のリスクがあることになりますね。
そうすると、コントロールが良くない糖尿人は、64才以下でも肺炎球菌ワクチンを接種したほうがいいと思います。
上述のように生涯に2回(以上?)摂取できるようになったので、若いからといって、打ち惜しみしなくていいようになりました。
65才以上の糖尿人は、肺炎球菌ワクチンを接種したほうがよいでしょう。
しかし糖質制限食でHbA1cが6.0%未満(正常)に保たれている糖尿人なら、リスクは一般人と同程度と考えられます。
☆☆☆
(参考)肺炎球菌ワクチンの対象
日本呼吸器学会「呼吸器感染症に関するガイドライン」より
1. 65歳以上の高齢者で肺炎球菌ワクチン摂取を受けたかどうかはっきりしない人
2. 2-64歳で下記の慢性疾患やリスクのある人
(1)慢性心不全
(2)慢性呼吸器疾患
(3)糖尿病
(4)アルコール中毒
(5)慢性肝疾患
(6)髄液漏
3. 摘脾を受けた人、脾機能不全の人
4. 老人施設や長期療養施設などの入居者
5 易感染症患者:
HIV感染者、白血病、ホジキン病、多発性骨髄腫、全身性の悪性腫瘍、慢性腎不全、ネフローゼ症候群、移植患者のように免疫抑制療法を受けている人、副腎皮質ステロイドの長期全身投与を受けている人
江部康二
2015年01月28日 (水)
【15/01/25 精神科医師A
テコンドー選手の研究
12/31に公表された、
テコンドー選手のketone食研究の続編です。炭水化物4.3%と40%の群の比較です。
The effects of ketogenic diet on oxidative stress and antioxidative capacity markers of Taekwondo athletes
http://www.e-jer.org/journal/view.php?year=2014&vol=10&page=362
先に、10/31に公表された第1報は以下の論文です
The effect of weight loss by ketogenic diet on the body composition, performance-related physical fitness factors and cytokines of Taekwondo athletes
http://www.e-jer.org/journal/view.php?year=2014&vol=10&page=326】
こんにちは。
精神科医師Aさんから、興味深いコメントをいただきました。
ありがとうございます。
格闘技のテコンドー選手の研究で、炭水化物4.3%(ケトン食)と40%の群の比較です。
韓国の研究です。
まず、第一報の検討をしてみます。
減量をする必要があるテコンドー選手において、ケトン食と普通食で減量して、どちらが良かったかをみる研究です。
両群とも、3日間の平均摂取カロリーを計算して、研究開始後は、その平均摂取カロリーの75%を摂取する設定です。
ケトン食群は、脂質:55.0%、タンパク質:40.7%、炭水化物:4.3%
一日の、炭水化物限度量は、22gです。
非ケトン食群は、脂質:30.0%、タンパク質:30.0%、炭水化物:40.0%
両群で減量効果は同一でした。
100m走では、両群に差はなく、2000m走ではケトン食群が有意にタイムが短縮しているので、有酸素運動の走力に関しては、ケトン食がやはりとてもいいですね。
しかし、100m走では、両群とも減量後は、ややタイムが遅くなる傾向でしたが両群に有意差はなしです。
100m走という高強度の運動では、ケトン食の効果はないようです。
ウィンゲートテストでも、ケトン食群が、無酸素疲労が少なくて良かったです。
Wingate Testとは、自転車エルゴメーターを全力で30秒間こいで、そのときの最大パワーや平均パワーなどを評価するテストです。
無酸素運動能力を的確に評価できる方法として一般的に行われています。
両群とも、減量に伴い、Wingate Testで、最大パワーと平均パワーはやや低下傾向でしたが、両群に有意差はなしです。
TNF-αという炎症反応の指標に関しては、ケトン食群が良い影響を与えました。
テコンドーなどの格闘技で、体重別の競技には、減量が必須であり、他に柔道や空手やレスリングなどもあります。
これらの競技においては、ケトン食による減量が、有酸素的運動パフォーマンスと筋肉疲労、そして炎症の改善に有効である可能性が示されました。
ただ、ケトン食も非ケトン食も減量そのものにより、一定のパワーダウン傾向と100mのタイムが遅くなる傾向がみられました。
江部康二
☆☆☆
<テコンドー選手における、体組成、体力関連要素パフォーマンス、サイトカインへのケトン食による減量効果>
<要約>
この研究の目的はテコンドー選手における体力関連パフォーマンス、炎症性サイトカインへの3週間のケトン食による減量効果を調べることである。
この研究の対象者はサマーキャンプトレーニングプログラムに参加した20名の高校生テコンドー選手から選ばれた。
対象者はランダムに、ケトン食群10名と非ケトン食群10名に配属された。
体組成、体力関連要素パフォーマンス(2000m走、ウィンゲートテスト、握力、背筋力、腹筋運動、100m走、立ち幅跳び、片足起立)、サイトカイン(インターロイキン-6、インターフェロン-γ、TNF-α)が、3週間のダイエットのあと、分析された。
体重、体脂肪率、BMI、徐脂肪量はケトン食群と非ケトン食群で差はなかった。
しかしながら、ケトン食群では、減量後、2000m走でタイム短縮し、ウィンゲートテストで疲労が少なく、TNF-αの増加も少なかった。
この結果は、ケトン食が、テコンドー選手のような体重区分のある競技者に対して、有酸素限度容量、疲労抵抗限度容量の改善と炎症反応へのよい影響により、助けになることを示唆する。
The effect of weight loss by ketogenic diet on the body composition, performance-related physical fitness factors and cytokines of Taekwondo athletes
Hyun-seung Rhyu, Su-Youn Cho
J Exerc Rehabil. 2014;10(5): 326-331.
Abstract
The purpose of this study was to investigate the effects of the weight loss through 3 weeks of ketogenic diet on performance-related physical fitness and inflammatory cytokines in Taekwondo athletes. The subjects selected for this research were 20 Taekwondo athletes of the high schools who participated in a summer camp training program.
The subjects were randomly assigned to 2 groups, 10 subjects to each group: the ketogenic diet (KD) group and the non-ketogenic diet (NKD) group.
Body composition, performance-related physical fitness factors (2,000 m sprint, Wingate test, grip force, back muscle strength, sit-up, 100 m sprint, standing broad jump, single leg standing) and cytokines (Iinterleukin-6, Interferon-γ, tumor necrosis factor-α) were analyzed before and after 3weeks of ketogenic diet.
No difference between the KD and NKD groups in weight, %body fat, BMI and fat free mass.
However, the KD group, compared to the NKD group, finished 2,000 m sprint in less time after weight loss, and also felt less fatigue as measured by the Wingate test and showed less increase in tumor necrosis factor-α.
This result suggests that KD diet can be helpful for weight category athletes, such as Taekwondo athletes, by improving aerobic capacity and fatigue resistance capacity, and also by exerting positive effect on inflammatory response.
テコンドー選手の研究
12/31に公表された、
テコンドー選手のketone食研究の続編です。炭水化物4.3%と40%の群の比較です。
The effects of ketogenic diet on oxidative stress and antioxidative capacity markers of Taekwondo athletes
http://www.e-jer.org/journal/view.php?year=2014&vol=10&page=362
先に、10/31に公表された第1報は以下の論文です
The effect of weight loss by ketogenic diet on the body composition, performance-related physical fitness factors and cytokines of Taekwondo athletes
http://www.e-jer.org/journal/view.php?year=2014&vol=10&page=326】
こんにちは。
精神科医師Aさんから、興味深いコメントをいただきました。
ありがとうございます。
格闘技のテコンドー選手の研究で、炭水化物4.3%(ケトン食)と40%の群の比較です。
韓国の研究です。
まず、第一報の検討をしてみます。
減量をする必要があるテコンドー選手において、ケトン食と普通食で減量して、どちらが良かったかをみる研究です。
両群とも、3日間の平均摂取カロリーを計算して、研究開始後は、その平均摂取カロリーの75%を摂取する設定です。
ケトン食群は、脂質:55.0%、タンパク質:40.7%、炭水化物:4.3%
一日の、炭水化物限度量は、22gです。
非ケトン食群は、脂質:30.0%、タンパク質:30.0%、炭水化物:40.0%
両群で減量効果は同一でした。
100m走では、両群に差はなく、2000m走ではケトン食群が有意にタイムが短縮しているので、有酸素運動の走力に関しては、ケトン食がやはりとてもいいですね。
しかし、100m走では、両群とも減量後は、ややタイムが遅くなる傾向でしたが両群に有意差はなしです。
100m走という高強度の運動では、ケトン食の効果はないようです。
ウィンゲートテストでも、ケトン食群が、無酸素疲労が少なくて良かったです。
Wingate Testとは、自転車エルゴメーターを全力で30秒間こいで、そのときの最大パワーや平均パワーなどを評価するテストです。
無酸素運動能力を的確に評価できる方法として一般的に行われています。
両群とも、減量に伴い、Wingate Testで、最大パワーと平均パワーはやや低下傾向でしたが、両群に有意差はなしです。
TNF-αという炎症反応の指標に関しては、ケトン食群が良い影響を与えました。
テコンドーなどの格闘技で、体重別の競技には、減量が必須であり、他に柔道や空手やレスリングなどもあります。
これらの競技においては、ケトン食による減量が、有酸素的運動パフォーマンスと筋肉疲労、そして炎症の改善に有効である可能性が示されました。
ただ、ケトン食も非ケトン食も減量そのものにより、一定のパワーダウン傾向と100mのタイムが遅くなる傾向がみられました。
江部康二
☆☆☆
<テコンドー選手における、体組成、体力関連要素パフォーマンス、サイトカインへのケトン食による減量効果>
<要約>
この研究の目的はテコンドー選手における体力関連パフォーマンス、炎症性サイトカインへの3週間のケトン食による減量効果を調べることである。
この研究の対象者はサマーキャンプトレーニングプログラムに参加した20名の高校生テコンドー選手から選ばれた。
対象者はランダムに、ケトン食群10名と非ケトン食群10名に配属された。
体組成、体力関連要素パフォーマンス(2000m走、ウィンゲートテスト、握力、背筋力、腹筋運動、100m走、立ち幅跳び、片足起立)、サイトカイン(インターロイキン-6、インターフェロン-γ、TNF-α)が、3週間のダイエットのあと、分析された。
体重、体脂肪率、BMI、徐脂肪量はケトン食群と非ケトン食群で差はなかった。
しかしながら、ケトン食群では、減量後、2000m走でタイム短縮し、ウィンゲートテストで疲労が少なく、TNF-αの増加も少なかった。
この結果は、ケトン食が、テコンドー選手のような体重区分のある競技者に対して、有酸素限度容量、疲労抵抗限度容量の改善と炎症反応へのよい影響により、助けになることを示唆する。
The effect of weight loss by ketogenic diet on the body composition, performance-related physical fitness factors and cytokines of Taekwondo athletes
Hyun-seung Rhyu, Su-Youn Cho
J Exerc Rehabil. 2014;10(5): 326-331.
Abstract
The purpose of this study was to investigate the effects of the weight loss through 3 weeks of ketogenic diet on performance-related physical fitness and inflammatory cytokines in Taekwondo athletes. The subjects selected for this research were 20 Taekwondo athletes of the high schools who participated in a summer camp training program.
The subjects were randomly assigned to 2 groups, 10 subjects to each group: the ketogenic diet (KD) group and the non-ketogenic diet (NKD) group.
Body composition, performance-related physical fitness factors (2,000 m sprint, Wingate test, grip force, back muscle strength, sit-up, 100 m sprint, standing broad jump, single leg standing) and cytokines (Iinterleukin-6, Interferon-γ, tumor necrosis factor-α) were analyzed before and after 3weeks of ketogenic diet.
No difference between the KD and NKD groups in weight, %body fat, BMI and fat free mass.
However, the KD group, compared to the NKD group, finished 2,000 m sprint in less time after weight loss, and also felt less fatigue as measured by the Wingate test and showed less increase in tumor necrosis factor-α.
This result suggests that KD diet can be helpful for weight category athletes, such as Taekwondo athletes, by improving aerobic capacity and fatigue resistance capacity, and also by exerting positive effect on inflammatory response.
2015年01月27日 (火)
こんにちは。
朝日カルチャーセンター名古屋教室にて
『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません』
-生活習慣病を予防&改善する糖質制限食-
と題して、講座の講師をつとめます。
2015年1月31日(土)
講演:16:00~17:30
質疑応答:17:30~18:00
糖尿病を始め、日本の4大死因、5大疾病と糖質制限食のお話しをします。
質疑応答も30分間とたっぷり時間をとりました。
2014年6月の日経メディカルオンラインのアンケートで
日本全国の2263人の医師から有効回答があり、
実に過半数の医師が「糖質制限」を支持ということでした。
良い意味で衝撃的で、びっくりしました。
過半数(58.3%)の医師が「糖質制限」を支持していて、
医師の3人に1人は自ら実行していました。
医師の4人に1人が「患者に勧めることがある」との回答でした。
また
「今日の治療指針2015」にも、糖尿病治療食として
初めて糖質制限食が取り上げられる時代となりました。
名古屋、岐阜、東海地方の方々、奮ってご参加下さいね。
江部康二
☆☆☆
以下はアサヒカルチャー名古屋教室のサイトからの抜粋です
朝日カルチャーセンター名古屋教室
講座
『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません』
-生活習慣病を予防&改善する糖質制限食-
講師名 高雄病院理事長 江部 康二
講座内容
がん、心疾患、脳血管疾患、肺炎、これらは現代日本の4大死因です。厚生労働省が2011年に日本人の5大疾病を発表していますが、以前から多 かった、がん、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病に、新しく精神疾患を加えた5つの疾病を指します。
これらの病気の増加は、重大な社会問題であり早急な対 策が必要です。実はこれら全ての疾病の予防と治療に関して有効と考えられるのが糖質制限食です。米国糖尿病学会によれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
この生理学的事実をもとに糖尿病の治療に画期的な効果をあげて来た糖質制限食ですが、今回は他の様々な生活習慣病にも有効であることも、お話ししたいと思います。
■日時:1/31(土)16:00-17:30
■受講料:会員・一般ともに3,450円
■問い合わせ先:052-249-5553
朝日カルチャーセンター名古屋教室にて
『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません』
-生活習慣病を予防&改善する糖質制限食-
と題して、講座の講師をつとめます。
2015年1月31日(土)
講演:16:00~17:30
質疑応答:17:30~18:00
糖尿病を始め、日本の4大死因、5大疾病と糖質制限食のお話しをします。
質疑応答も30分間とたっぷり時間をとりました。
2014年6月の日経メディカルオンラインのアンケートで
日本全国の2263人の医師から有効回答があり、
実に過半数の医師が「糖質制限」を支持ということでした。
良い意味で衝撃的で、びっくりしました。
過半数(58.3%)の医師が「糖質制限」を支持していて、
医師の3人に1人は自ら実行していました。
医師の4人に1人が「患者に勧めることがある」との回答でした。
また
「今日の治療指針2015」にも、糖尿病治療食として
初めて糖質制限食が取り上げられる時代となりました。
名古屋、岐阜、東海地方の方々、奮ってご参加下さいね。
江部康二
☆☆☆
以下はアサヒカルチャー名古屋教室のサイトからの抜粋です
朝日カルチャーセンター名古屋教室
講座
『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません』
-生活習慣病を予防&改善する糖質制限食-
講師名 高雄病院理事長 江部 康二
講座内容
がん、心疾患、脳血管疾患、肺炎、これらは現代日本の4大死因です。厚生労働省が2011年に日本人の5大疾病を発表していますが、以前から多 かった、がん、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病に、新しく精神疾患を加えた5つの疾病を指します。
これらの病気の増加は、重大な社会問題であり早急な対 策が必要です。実はこれら全ての疾病の予防と治療に関して有効と考えられるのが糖質制限食です。米国糖尿病学会によれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
この生理学的事実をもとに糖尿病の治療に画期的な効果をあげて来た糖質制限食ですが、今回は他の様々な生活習慣病にも有効であることも、お話ししたいと思います。
■日時:1/31(土)16:00-17:30
■受講料:会員・一般ともに3,450円
■問い合わせ先:052-249-5553
2015年01月26日 (月)
こんばんは。
職場の健康診断では、糖尿病チェックのため、早朝空腹時の血糖値とHbA1cを検査します。
これは普通の企業は勿論のこと、医療機関でも同様です。
空腹時血糖値は、
・110mg/dl未満=正常型
・110~125=境界型
・126以上=糖尿病型
75g経口ブドウ糖負荷試験で食後2時間血糖値は、
・140未満=正常型
・140~199=境界型
・200以上=糖尿病型
と定義されています。
しかし、食後の高血糖が数年間続いてから、はじめて空腹時血糖値が境界領域に悪化してくることがほとんどです。
従って、今の健康診断のシステムでは、初期の糖尿病を見逃してしまう可能性が極めて高いのです。
食後の血糖値を測定すれば、境界型や初期の糖尿病をチェックできるのですが、現実には行われていません。
私、江部康二も、高雄病院という医療機関に1978年から勤務しているのですが、年一回の職場健診は早朝空腹時の採血でした。1997年には107、1998年には115、1999年には112mg/dlでした。
両親ともに糖尿病なので「境界領域か。そろそろ糖尿病やばいかな?」くらい軽くとらえていたのです。
今から思えば、この時点で充分食後高血糖だったのです。
そして2002年、たまたま主食(糖質)摂取後2時間の血糖値を測定したら260mg/dlもあり、糖尿人確定となったのです。
現在、糖尿病でない患者さんにも、主食(糖質)摂取後、1時間あるいは2時間の血糖値測定を勧めて、糖尿病の早期発見を目指しています。
食後1時間値が、180mg/dlを超えていれば、食後2時間値が140mg/dlの正常型でも、将来糖尿病になりやすいので注意が必要です。
正確なデータが必要なときは、75g経口ブドウ糖負荷試験を実施します。
しかしそれは、検査代もいるし、2時間以上時間がかかるし面倒くさいです。
普通に糖質のある食事(ご飯とかパンなどとおかず)をしたら、ほとんどの場合1回の食事の糖質量は70~80gあるので、それで充分代わりになります。
午前8時に食べ始めたら、
午前9時が食後1時間で、
午前10時が食後2時間です。
さらに簡便には、ドラッグストアで尿糖試験紙を購入して食後1時間~2時間の尿糖を測定したらいいです。
これなら医療機関に行く必要もないので安価ですね。
尿糖が陽性なら、食後血糖値が180mg/dlを超えている可能性が高いので、医療機関で精査が必要です。
江部康二
職場の健康診断では、糖尿病チェックのため、早朝空腹時の血糖値とHbA1cを検査します。
これは普通の企業は勿論のこと、医療機関でも同様です。
空腹時血糖値は、
・110mg/dl未満=正常型
・110~125=境界型
・126以上=糖尿病型
75g経口ブドウ糖負荷試験で食後2時間血糖値は、
・140未満=正常型
・140~199=境界型
・200以上=糖尿病型
と定義されています。
しかし、食後の高血糖が数年間続いてから、はじめて空腹時血糖値が境界領域に悪化してくることがほとんどです。
従って、今の健康診断のシステムでは、初期の糖尿病を見逃してしまう可能性が極めて高いのです。
食後の血糖値を測定すれば、境界型や初期の糖尿病をチェックできるのですが、現実には行われていません。
私、江部康二も、高雄病院という医療機関に1978年から勤務しているのですが、年一回の職場健診は早朝空腹時の採血でした。1997年には107、1998年には115、1999年には112mg/dlでした。
両親ともに糖尿病なので「境界領域か。そろそろ糖尿病やばいかな?」くらい軽くとらえていたのです。
今から思えば、この時点で充分食後高血糖だったのです。
そして2002年、たまたま主食(糖質)摂取後2時間の血糖値を測定したら260mg/dlもあり、糖尿人確定となったのです。
現在、糖尿病でない患者さんにも、主食(糖質)摂取後、1時間あるいは2時間の血糖値測定を勧めて、糖尿病の早期発見を目指しています。
食後1時間値が、180mg/dlを超えていれば、食後2時間値が140mg/dlの正常型でも、将来糖尿病になりやすいので注意が必要です。
正確なデータが必要なときは、75g経口ブドウ糖負荷試験を実施します。
しかしそれは、検査代もいるし、2時間以上時間がかかるし面倒くさいです。
普通に糖質のある食事(ご飯とかパンなどとおかず)をしたら、ほとんどの場合1回の食事の糖質量は70~80gあるので、それで充分代わりになります。
午前8時に食べ始めたら、
午前9時が食後1時間で、
午前10時が食後2時間です。
さらに簡便には、ドラッグストアで尿糖試験紙を購入して食後1時間~2時間の尿糖を測定したらいいです。
これなら医療機関に行く必要もないので安価ですね。
尿糖が陽性なら、食後血糖値が180mg/dlを超えている可能性が高いので、医療機関で精査が必要です。
江部康二
2015年01月25日 (日)
【15/01/24 岡部
江部 先生
貴重なブログ拝見させていただき、
勉強になっています。
ひとつ、お聞きしたいことがありましてコメントさせていただきました。
糖質制限を行うにあたって、アスリートの糖質制限は体に負担はかからないでしょうか?
運動をする際にエネルギー源である炭水化物を摂取しなくても可能ですか?
ちなみに私は
定時制高校勤務で
毎日通勤は往復10キロランニング、
部活は平日バスケ部(生徒とともにプレー)に約2時間参加。
土日は社会人バスケ(約2時間)や3日に1回はジム(約2時間・行き帰りはランニング)でトレーニングしてます。
いきなりの質問で申し訳ございませんが、
ご返答のほど、宜しくお願い致します。】
こんにちは。
アスリートと糖質制限食について、岡部さんからコメント・質問をいただきました。
よくある質問なので、復習も兼ねて考えてみます。
まず長距離走ですが、普通の市民ランナーやトレイルランナーレベルなら、間違いなくスーパー糖質制限食が適しています。
ブログにも複数のランナーから、糖質制限食で記録がのびたというコメントをいただいています。
よりハードないわゆる選手レベルの場合はどうなのでしょうか?
これに関して調度いい論文がありました。
「オフロードサイクリストにおける運動代謝と身体能力へのケトン食の影響」
という題のポーランドの研究です。(*)
以下、この研究の要約と結果を、かなりアバウトに意訳してみました。
面倒なところは一部省いていますが、大意は合っていると思います。
<要約>
本研究の主な目的は、オフロードサイクリストの好気的パフォーマンスと運動代謝においての、長期的ケトン食の効果を決定することであった
被験者はトレーニング経験が5年間以上のオフロードサイクリングのアスリート。
8人の男性被験者、年齢は28.3±3.9歳
クロスオーバーで、ケトン食と混合食を一ヶ月ずつ。
それぞれ同じトレーニング負荷。
ケトン食:P:C:F=15:15:70
混合食:P:C:F=20:50:30
様々な強度でサイクロエルゴメーターで連続的な運動手順で検査を行った。
ケトン食は、体重、体組成、脂質及びリポタンパク質プロファイルにいおいて好ましい変化があった。
最大酸素摂取量と乳酸閾値と呼吸交換率(RER)は、安静時および運動の最初の3つの段階(10分、45分、90分・・・低~中程度の強度)においては、ケトン食が優位であった。
最後のマックス強度の運動の時は、ケトン食の優位は逆転した。
<結果>
有酸素持続的なアスリートにおいては、ケトン食は好ましい可能性がある。
高容量で、低から中等度の強度のトレーニング負荷のトレーニング過程においては、ケトン食は優位である可能性がある。
筋肉のダメージも少ない。
しかし高強度の運動においては、ケトン食は筋肉中のグリコーゲン貯蔵が少なく解糖酵素の能力が低下するので運動能力を低下させる。
*ケトン食は脂肪酸代謝を活性化させ、インスリンレベルとブドウ糖利用を減少させる。
自転車のアスリート8名の研究で、ケトン食を摂取した1ヶ月と混合食を摂取した1ヶ月で、それぞれデータをとって、比較した研究です。
結論は、有酸素運動(この研究では自転車競技)において、低強度~中等度の強度トレーニングなら、ケトン食は混合食(普通食)より優位であるけれど、高強度のトレーニングだけは、優位は逆転するということです。
これは、中程度の強度のトレーニングなら、ケトン食で脂肪酸代謝が活性化しているので、それをエネルギー源として筋肉は混合食(普通食)の時より効率的に活動できるということです。
しかも筋肉のダメージも、混合食(普通食)より少ないのですから、良いことずくめです。
この結論は、今までの私の印象とも一致しています。
このことを考慮すると、有酸素運動が主のマラソンやトレイルランなどでは、ケトン食やスーパー糖質制限食を実践していると、筋肉はしっかり「脂肪酸-ケトン体」を主たるエネルギー源として使って、中等度の強度の運動くらいまでは有利に走り続けていくことが可能です。
これにより、筋肉中のグリコーゲンを節約することができるので、最後までグリコーゲンは残っています。
ラストスパートだけは、このとっておきの「グリコーゲン-ブドウ糖エネルギーシステム」をエネルギー源に使って無酸素運動で高強度の運動で終了というパターンが可能です。
この研究のケトン食は、糖質15%ですから、高雄病院のスーパー糖質制限食の12%と似たようなものです。
Ketogenic Diet(ケトン食)という言葉は、ケトン体を産生するレベルの糖質制限食という意味を兼ねています。
1回の食事の糖質量が、20g以下で、1日の糖質量が60g以下だとケトン体が産生されます。
長距離・中距離走や一般的なスポーツ(サッカー、野球、バスケットボール、テニス・・・など)では、いつも通りのトレーニングでスーパー糖質制限食を実践していると、筋肉は「脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム」を上手に使えるようになります。
そして筋肉のダメージも少ないのですから、とてもよいパフォーマンスが可能と思います。
100m走など高強度の運動には、スーパー糖質制限食は向かないと思います。
またボクシングも減量はいいのですが、トレーニングは高強度の運動の繰り返しなので向いていません。
(*)
http://www.mdpi.com/2072-6643/6/7/2493#tabs-5
Nutrients 2014, 6, 2493-2508; doi:10.3390/nu6072493
The Effects of a Ketogenic Diet on Exercise Metabolism and
Physical Performance in Off-Road Cyclists
Adam Zajac 1
Stanisław Poprzecki 2
Adam Maszczyk 1,*, Miłosz Czuba 1
Małgorzata Michalczyk 3
and Grzegorz Zydek 3
江部 先生
貴重なブログ拝見させていただき、
勉強になっています。
ひとつ、お聞きしたいことがありましてコメントさせていただきました。
糖質制限を行うにあたって、アスリートの糖質制限は体に負担はかからないでしょうか?
運動をする際にエネルギー源である炭水化物を摂取しなくても可能ですか?
ちなみに私は
定時制高校勤務で
毎日通勤は往復10キロランニング、
部活は平日バスケ部(生徒とともにプレー)に約2時間参加。
土日は社会人バスケ(約2時間)や3日に1回はジム(約2時間・行き帰りはランニング)でトレーニングしてます。
いきなりの質問で申し訳ございませんが、
ご返答のほど、宜しくお願い致します。】
こんにちは。
アスリートと糖質制限食について、岡部さんからコメント・質問をいただきました。
よくある質問なので、復習も兼ねて考えてみます。
まず長距離走ですが、普通の市民ランナーやトレイルランナーレベルなら、間違いなくスーパー糖質制限食が適しています。
ブログにも複数のランナーから、糖質制限食で記録がのびたというコメントをいただいています。
よりハードないわゆる選手レベルの場合はどうなのでしょうか?
これに関して調度いい論文がありました。
「オフロードサイクリストにおける運動代謝と身体能力へのケトン食の影響」
という題のポーランドの研究です。(*)
以下、この研究の要約と結果を、かなりアバウトに意訳してみました。
面倒なところは一部省いていますが、大意は合っていると思います。
<要約>
本研究の主な目的は、オフロードサイクリストの好気的パフォーマンスと運動代謝においての、長期的ケトン食の効果を決定することであった
被験者はトレーニング経験が5年間以上のオフロードサイクリングのアスリート。
8人の男性被験者、年齢は28.3±3.9歳
クロスオーバーで、ケトン食と混合食を一ヶ月ずつ。
それぞれ同じトレーニング負荷。
ケトン食:P:C:F=15:15:70
混合食:P:C:F=20:50:30
様々な強度でサイクロエルゴメーターで連続的な運動手順で検査を行った。
ケトン食は、体重、体組成、脂質及びリポタンパク質プロファイルにいおいて好ましい変化があった。
最大酸素摂取量と乳酸閾値と呼吸交換率(RER)は、安静時および運動の最初の3つの段階(10分、45分、90分・・・低~中程度の強度)においては、ケトン食が優位であった。
最後のマックス強度の運動の時は、ケトン食の優位は逆転した。
<結果>
有酸素持続的なアスリートにおいては、ケトン食は好ましい可能性がある。
高容量で、低から中等度の強度のトレーニング負荷のトレーニング過程においては、ケトン食は優位である可能性がある。
筋肉のダメージも少ない。
しかし高強度の運動においては、ケトン食は筋肉中のグリコーゲン貯蔵が少なく解糖酵素の能力が低下するので運動能力を低下させる。
*ケトン食は脂肪酸代謝を活性化させ、インスリンレベルとブドウ糖利用を減少させる。
自転車のアスリート8名の研究で、ケトン食を摂取した1ヶ月と混合食を摂取した1ヶ月で、それぞれデータをとって、比較した研究です。
結論は、有酸素運動(この研究では自転車競技)において、低強度~中等度の強度トレーニングなら、ケトン食は混合食(普通食)より優位であるけれど、高強度のトレーニングだけは、優位は逆転するということです。
これは、中程度の強度のトレーニングなら、ケトン食で脂肪酸代謝が活性化しているので、それをエネルギー源として筋肉は混合食(普通食)の時より効率的に活動できるということです。
しかも筋肉のダメージも、混合食(普通食)より少ないのですから、良いことずくめです。
この結論は、今までの私の印象とも一致しています。
このことを考慮すると、有酸素運動が主のマラソンやトレイルランなどでは、ケトン食やスーパー糖質制限食を実践していると、筋肉はしっかり「脂肪酸-ケトン体」を主たるエネルギー源として使って、中等度の強度の運動くらいまでは有利に走り続けていくことが可能です。
これにより、筋肉中のグリコーゲンを節約することができるので、最後までグリコーゲンは残っています。
ラストスパートだけは、このとっておきの「グリコーゲン-ブドウ糖エネルギーシステム」をエネルギー源に使って無酸素運動で高強度の運動で終了というパターンが可能です。
この研究のケトン食は、糖質15%ですから、高雄病院のスーパー糖質制限食の12%と似たようなものです。
Ketogenic Diet(ケトン食)という言葉は、ケトン体を産生するレベルの糖質制限食という意味を兼ねています。
1回の食事の糖質量が、20g以下で、1日の糖質量が60g以下だとケトン体が産生されます。
長距離・中距離走や一般的なスポーツ(サッカー、野球、バスケットボール、テニス・・・など)では、いつも通りのトレーニングでスーパー糖質制限食を実践していると、筋肉は「脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム」を上手に使えるようになります。
そして筋肉のダメージも少ないのですから、とてもよいパフォーマンスが可能と思います。
100m走など高強度の運動には、スーパー糖質制限食は向かないと思います。
またボクシングも減量はいいのですが、トレーニングは高強度の運動の繰り返しなので向いていません。
(*)
http://www.mdpi.com/2072-6643/6/7/2493#tabs-5
Nutrients 2014, 6, 2493-2508; doi:10.3390/nu6072493
The Effects of a Ketogenic Diet on Exercise Metabolism and
Physical Performance in Off-Road Cyclists
Adam Zajac 1
Stanisław Poprzecki 2
Adam Maszczyk 1,*, Miłosz Czuba 1
Małgorzata Michalczyk 3
and Grzegorz Zydek 3
2015年01月24日 (土)
こんにちは
2014年度も2015年度も、糖質制限食、医学界にも一般社会にも順調に普及が進んでいます。
嬉しい限りです。
第18回日本病態栄養学会年次学術集会において、2015年1月10日(土)宗田先生がポスター発表されました。
私も共同発表者の一人です。
正常分娩時の胎盤のケトン体が、成人の基準値の20~30倍であることが、60例において確認されました。
これで、ケトン体の安全性は確実に照明されたと言えます。
このような最新情報を踏まえて、2014年、東京、京都にて開催し、ご好評いただいた医療従事者向けセミナーを
2015年2月8日(日)、京都にて開催致します。
日本糖質制限医療推進協会主催 医療従事者向けセミナー(京都)
「糖質制限食による糖尿病指導~理論と実践~」
受付:12:30~
講演と質疑応答:12:45~16:30
場所: メルパルク京都 4F 研修室5
第一部では、最新糖質制限食理論と共に、信頼度の高い長期的コホート研究を複数紹介し、ついで信頼度の高いRCT研究論文を複数紹介します。糖質制限食の長期的安全性や有効性に関してエビデンスを示すものです。
第二部では、疫学や統計を紹介すると共に糖尿病治療に関して、
「すぐに良くなった症例」「苦労して良くなった症例」「1型の難しい症例」など、実際に入院された患者さんのデータを見ながら検討します。
糖質制限食実践時の薬剤の使い方も説明します。
第三部では、高雄病院の栄養指導の実際を橋本眞由美管理栄養士がお話しします。
参加頂いた皆さんには、前回と同様に、講演PPTスライドの、CD(PDFファイル)をお配りします。
関西、中国、九州の医療従事者の皆さん、奮ってご参加くださいね。
江部康二
****************
以下、事務局からのご案内です。
ブログ読者の皆様、講演会へいつも多数ご参加いただきまして
ありがとうございます。
2014年東京、京都にて開催し、ご好評いただいた医療従事者向けセミナーを
2015年2月8日(日)、京都にて開催致します。
第一部は基礎理論編、第二部は、症例の検討や薬剤の使い方など実践・応用編です。
第三部は高雄病院での糖質制限給食や栄養指導、健康講座などの取り組みについ ての講義です。
昨年度の講義をベースに難しい症例への対応や栄養士以外の取り組み事例なども 盛り込む予定です。
医療従事者の皆様の多数のご参加を心よりお待ちしております。
*2015年3月8日(日)に東京でも医療従事者向けセミナーを開催致します。
(詳細のご案内やお申し込みの受付は、1月中旬からとなります。)
///////////////////ご案内/////////////////////
日本糖質制限医療推進協会主催 医療従事者向けセミナー(京都)
「糖質制限食による糖尿病指導~理論と実践~」
■日時: 2015年2月8日(日)12:45~16:30頃 ※受付・会場:12:30~
■場所: メルパルク京都 4F 研修室5【萩】
京都市下京区東洞院通七条下ル東塩小路町676番13
http://www.mielparque.jp/kyoto/access/
☆アクセス:JR京都駅(烏丸中央口)から徒歩1分
■スケジュール:
第一部 12:45~13:35 「基礎理論」 ※講師A
休憩 13:35~13:45
第二部 13:45~14:35 「症例検討と薬剤の使い方など」 ※講師A
質疑応答 14:35~15:05
休憩 15:05~15:20
第三部 15:20~16:10
「高雄病院における糖質制限給食とその取り組み」※講師B
質疑応答 16:10~16:30
■講師:
A:江部 康二 医師
(一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長
B:橋本 眞由美 管理栄養士
(一財)高雄病院 栄養管理部 部長
■対象: 医療従事者(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、鍼灸師など)
■受講費: 賛助会員 8,000円 / 一般(非会員) 10,000円
※参加頂いた皆様には、映写・配布資料のデータ(PDF)CDをお配りします。
■お支払い方法:クレジットカード/銀行振込/郵便振替
※事前決済のみとなります。
※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。
■お申し込み方法:
・賛助会員の方
事務局までメールにて、医療機関でのご職種をご記入の上、お申し込み下さい。
・賛助会員入会をご希望の方
1.入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://toushitsuseigen.or.jp/member.html
2.お申し込みはこちらのフォームからお願いします。
http://toushitsuseigen.or.jp/contact.php
「お問い合せ内容」欄に以下をご記入ください。
①「2/8京都セミナー、受講希望」とご記入下さい。
②医療機関でのご職種をご記入下さい。
・一般(非会員)で、講演会の受講のみご希望の方
こちらのフォームよりお申し込み下さい。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/0625a3b0281969
■お申し込みの流れ:
1.会員の方はメールにて、会員以外の方は各種フォームにてご連絡下さい。
2.事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3.入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4.当日、直接会場までお越し下さい。
■その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは2月5日(木)までに事務局までご連絡願います。
それ以降のご返金は原則、対応致しかねますので予めご了承ください。
2014年度も2015年度も、糖質制限食、医学界にも一般社会にも順調に普及が進んでいます。
嬉しい限りです。
第18回日本病態栄養学会年次学術集会において、2015年1月10日(土)宗田先生がポスター発表されました。
私も共同発表者の一人です。
正常分娩時の胎盤のケトン体が、成人の基準値の20~30倍であることが、60例において確認されました。
これで、ケトン体の安全性は確実に照明されたと言えます。
このような最新情報を踏まえて、2014年、東京、京都にて開催し、ご好評いただいた医療従事者向けセミナーを
2015年2月8日(日)、京都にて開催致します。
日本糖質制限医療推進協会主催 医療従事者向けセミナー(京都)
「糖質制限食による糖尿病指導~理論と実践~」
受付:12:30~
講演と質疑応答:12:45~16:30
場所: メルパルク京都 4F 研修室5
第一部では、最新糖質制限食理論と共に、信頼度の高い長期的コホート研究を複数紹介し、ついで信頼度の高いRCT研究論文を複数紹介します。糖質制限食の長期的安全性や有効性に関してエビデンスを示すものです。
第二部では、疫学や統計を紹介すると共に糖尿病治療に関して、
「すぐに良くなった症例」「苦労して良くなった症例」「1型の難しい症例」など、実際に入院された患者さんのデータを見ながら検討します。
糖質制限食実践時の薬剤の使い方も説明します。
第三部では、高雄病院の栄養指導の実際を橋本眞由美管理栄養士がお話しします。
参加頂いた皆さんには、前回と同様に、講演PPTスライドの、CD(PDFファイル)をお配りします。
関西、中国、九州の医療従事者の皆さん、奮ってご参加くださいね。
江部康二
****************
以下、事務局からのご案内です。
ブログ読者の皆様、講演会へいつも多数ご参加いただきまして
ありがとうございます。
2014年東京、京都にて開催し、ご好評いただいた医療従事者向けセミナーを
2015年2月8日(日)、京都にて開催致します。
第一部は基礎理論編、第二部は、症例の検討や薬剤の使い方など実践・応用編です。
第三部は高雄病院での糖質制限給食や栄養指導、健康講座などの取り組みについ ての講義です。
昨年度の講義をベースに難しい症例への対応や栄養士以外の取り組み事例なども 盛り込む予定です。
医療従事者の皆様の多数のご参加を心よりお待ちしております。
*2015年3月8日(日)に東京でも医療従事者向けセミナーを開催致します。
(詳細のご案内やお申し込みの受付は、1月中旬からとなります。)
///////////////////ご案内/////////////////////
日本糖質制限医療推進協会主催 医療従事者向けセミナー(京都)
「糖質制限食による糖尿病指導~理論と実践~」
■日時: 2015年2月8日(日)12:45~16:30頃 ※受付・会場:12:30~
■場所: メルパルク京都 4F 研修室5【萩】
京都市下京区東洞院通七条下ル東塩小路町676番13
http://www.mielparque.jp/kyoto/access/
☆アクセス:JR京都駅(烏丸中央口)から徒歩1分
■スケジュール:
第一部 12:45~13:35 「基礎理論」 ※講師A
休憩 13:35~13:45
第二部 13:45~14:35 「症例検討と薬剤の使い方など」 ※講師A
質疑応答 14:35~15:05
休憩 15:05~15:20
第三部 15:20~16:10
「高雄病院における糖質制限給食とその取り組み」※講師B
質疑応答 16:10~16:30
■講師:
A:江部 康二 医師
(一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長
B:橋本 眞由美 管理栄養士
(一財)高雄病院 栄養管理部 部長
■対象: 医療従事者(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、鍼灸師など)
■受講費: 賛助会員 8,000円 / 一般(非会員) 10,000円
※参加頂いた皆様には、映写・配布資料のデータ(PDF)CDをお配りします。
■お支払い方法:クレジットカード/銀行振込/郵便振替
※事前決済のみとなります。
※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。
■お申し込み方法:
・賛助会員の方
事務局までメールにて、医療機関でのご職種をご記入の上、お申し込み下さい。
・賛助会員入会をご希望の方
1.入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://toushitsuseigen.or.jp/member.html
2.お申し込みはこちらのフォームからお願いします。
http://toushitsuseigen.or.jp/contact.php
「お問い合せ内容」欄に以下をご記入ください。
①「2/8京都セミナー、受講希望」とご記入下さい。
②医療機関でのご職種をご記入下さい。
・一般(非会員)で、講演会の受講のみご希望の方
こちらのフォームよりお申し込み下さい。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/0625a3b0281969
■お申し込みの流れ:
1.会員の方はメールにて、会員以外の方は各種フォームにてご連絡下さい。
2.事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3.入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4.当日、直接会場までお越し下さい。
■その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは2月5日(木)までに事務局までご連絡願います。
それ以降のご返金は原則、対応致しかねますので予めご了承ください。
2015年01月23日 (金)
【15/01/22 ろんご
ケトン臭について
毎日さまざまな質問にボランティアでお答えくださる江部先生のお仕事の邪魔になるのでは、と思いつつもどうしてもお聞きしたく、メールしました。
糖質制限食を行って3か月ですが、ケトン臭がひどいようです。家族には「糖尿病がひどくなっているのでは?」と言われたり、電車にのったときや会社の会議などでは露骨に嫌な顔をして鼻を押さえる人、同僚には「最近体の調子が悪いのでは?」とまで聞かれました。
ケトン臭がでる人と、でない人の違いは何なのでしょうか?体質でしょうか?医学的に解明はできないのでしょうか。
江部先生はケトン臭は半年くらいで消えるとおっしゃっておりますが、このままどんどん臭いがひどくなるのではないかという恐怖で、糖質制限をやめたほうがいいのではないかと迷いがでてきています。
ケトン臭以外は、まったく良好でとても体調が良いため、できたら続けたいのですが、人とのコミュニケーションが困難であるストレスは耐え難く、生活に支障がでてきているため、悩んでいます。
なぜケトン臭が出る人と出ない人がいるのか、自分なりに考えました。
○脂肪の代謝に必要な栄養素(ビタミンB、C、鉄など?)が足りていない
○運動不足
○脂肪をとりすぎている
○インスリンの基礎分泌量が少ないことが関係している?
江部先生はケトン臭はでられなかったとのこと、本当にうらやましいです。
お答えいただければ、幸いです。】
こんばんは。
ろんごさんから、糖質制限食とケトン臭(アセトン臭)についてコメント・質問をいただきました。
ろんごさん、まずは、ケトン臭は必ず改善していくので心配いりませんよ。
糖質制限食実践の初期の段階では、血中ケトン体濃度が高まるにつれて、尿中や呼気中にアセトンが排泄されます。
アセトンには特有の臭気があります。
これにより、呼気が甘酸っぱい臭いになることがあります。
個人差が何故あるのかは、よくわかりませんが、ケトン体の利用効率の差かもしれません。
ともあれ水をどんどん飲んで、尿からどんどん、アセトンを排泄してしまえば、呼気から出るアセトン臭は減りますし、体臭も減ると思います。
3ケ月から半年たつと、血中のケトン体が基準値より高値でも尿中や呼気中に排泄されなくなります。
心筋や骨格筋など体細胞のケトン体利用効率がよくなり、腎臓のケトン体再吸収も向上するからです。
農耕以前のご先祖様と同じ状態になるといえます。
この頃になると甘酸っぱい臭い(アセトン臭)もなくなります。
ところでケトン体、アセトン・・・耳慣れない用語ですよね。(∵)?
アセトン、アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸のことをまとめてケトン体といいます。
アセト酢酸は容易にアセトンに変わります。ケトン体は、脂肪酸の分解により肝臓で作られ、血液中に出されます。
このうちβ-ヒドロキシ酪酸は、ケトン基をもっていないので、厳密にいえばケトン体ではないのですが、医学界でも生理学界でも長年習慣的にケトン体に含めています。
ケトン体は心筋、骨格筋、腎臓などさまざまな臓器で日常的にエネルギー源として利用されています。
人体に日常的に存在しているものなので、毒性はありません。 (^_^)
実際、意外かもしれませんが、基礎代謝の多くを占める骨格筋や心筋は、空腹時には、エネルギー源のほとんどが脂肪酸-ケトン体です。
つまり、私達は、ごく日常的に毎日24時間、「脂肪酸-ケトン体」エネルギーシステムを利用して生きているのです。
総ケトン体の基準値は26~122μM/Lですが、これはあくまでも、現代人が日常的に三食以上糖質を摂取している条件下の基準値です。
断食中や スーパ^ー糖質制限食の初期の段階だと、「脂肪酸-ケトン体」エネルギーシステムが活性化するので、血中ケトン体は2000~4000μM/Lていどに上昇するのが普通です。
江部康二のように13年間、スーパー糖質制限食を続けている場合、総ケトン体は、300~1400μM/Lていどで、当然とっくに尿中ケトン体は陰性化しています。
これは、スーパー糖質制限食を実践している場合の正常値、そして農耕以前の人類の正常値と考えられます。
要するに「脂肪酸-ケトン体」システムが活発化すれば、単純に血中のケトン体値は高値となりますが、インスリン作用が確保されていて、血糖値が正常なら全く何の問題もありませんし、これは生理的な正常な現象なのです。
インスリン作用が欠落して全身の高度な代謝失調を生じて、血糖値300~1000mg/dlとかになり、結果としてケトン体も高値となる重病の「糖尿病ケトアシドーシス」とは、はっきり区別する必要があります。
医学の教科書
「ハーパー・生化学」(原著27版)の訳本、155ぺージ・図16-9の説明に、
「心臓のような肝外組織では代謝エネルギー源は次の順に好まれて酸化される。
(1)ケトン体.(2)脂肪酸.(3)グルコース」
との記載があります。
また157ページ左側27行には、
「遊離脂肪酸は肝臓、心臓、骨格筋において好まれて利用される代謝エネルギー源であり、グルコースの消費を節約することができる。」
とあり、
157ページ、左側38行には、
「ケトン体は、骨格筋と心筋の主要な代謝エネルギー源であり、脳のエネルギーの必要性を部分的に満たす。」
とあります。
江部康二
ケトン臭について
毎日さまざまな質問にボランティアでお答えくださる江部先生のお仕事の邪魔になるのでは、と思いつつもどうしてもお聞きしたく、メールしました。
糖質制限食を行って3か月ですが、ケトン臭がひどいようです。家族には「糖尿病がひどくなっているのでは?」と言われたり、電車にのったときや会社の会議などでは露骨に嫌な顔をして鼻を押さえる人、同僚には「最近体の調子が悪いのでは?」とまで聞かれました。
ケトン臭がでる人と、でない人の違いは何なのでしょうか?体質でしょうか?医学的に解明はできないのでしょうか。
江部先生はケトン臭は半年くらいで消えるとおっしゃっておりますが、このままどんどん臭いがひどくなるのではないかという恐怖で、糖質制限をやめたほうがいいのではないかと迷いがでてきています。
ケトン臭以外は、まったく良好でとても体調が良いため、できたら続けたいのですが、人とのコミュニケーションが困難であるストレスは耐え難く、生活に支障がでてきているため、悩んでいます。
なぜケトン臭が出る人と出ない人がいるのか、自分なりに考えました。
○脂肪の代謝に必要な栄養素(ビタミンB、C、鉄など?)が足りていない
○運動不足
○脂肪をとりすぎている
○インスリンの基礎分泌量が少ないことが関係している?
江部先生はケトン臭はでられなかったとのこと、本当にうらやましいです。
お答えいただければ、幸いです。】
こんばんは。
ろんごさんから、糖質制限食とケトン臭(アセトン臭)についてコメント・質問をいただきました。
ろんごさん、まずは、ケトン臭は必ず改善していくので心配いりませんよ。
糖質制限食実践の初期の段階では、血中ケトン体濃度が高まるにつれて、尿中や呼気中にアセトンが排泄されます。
アセトンには特有の臭気があります。
これにより、呼気が甘酸っぱい臭いになることがあります。
個人差が何故あるのかは、よくわかりませんが、ケトン体の利用効率の差かもしれません。
ともあれ水をどんどん飲んで、尿からどんどん、アセトンを排泄してしまえば、呼気から出るアセトン臭は減りますし、体臭も減ると思います。
3ケ月から半年たつと、血中のケトン体が基準値より高値でも尿中や呼気中に排泄されなくなります。
心筋や骨格筋など体細胞のケトン体利用効率がよくなり、腎臓のケトン体再吸収も向上するからです。
農耕以前のご先祖様と同じ状態になるといえます。
この頃になると甘酸っぱい臭い(アセトン臭)もなくなります。
ところでケトン体、アセトン・・・耳慣れない用語ですよね。(∵)?
アセトン、アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸のことをまとめてケトン体といいます。
アセト酢酸は容易にアセトンに変わります。ケトン体は、脂肪酸の分解により肝臓で作られ、血液中に出されます。
このうちβ-ヒドロキシ酪酸は、ケトン基をもっていないので、厳密にいえばケトン体ではないのですが、医学界でも生理学界でも長年習慣的にケトン体に含めています。
ケトン体は心筋、骨格筋、腎臓などさまざまな臓器で日常的にエネルギー源として利用されています。
人体に日常的に存在しているものなので、毒性はありません。 (^_^)
実際、意外かもしれませんが、基礎代謝の多くを占める骨格筋や心筋は、空腹時には、エネルギー源のほとんどが脂肪酸-ケトン体です。
つまり、私達は、ごく日常的に毎日24時間、「脂肪酸-ケトン体」エネルギーシステムを利用して生きているのです。
総ケトン体の基準値は26~122μM/Lですが、これはあくまでも、現代人が日常的に三食以上糖質を摂取している条件下の基準値です。
断食中や スーパ^ー糖質制限食の初期の段階だと、「脂肪酸-ケトン体」エネルギーシステムが活性化するので、血中ケトン体は2000~4000μM/Lていどに上昇するのが普通です。
江部康二のように13年間、スーパー糖質制限食を続けている場合、総ケトン体は、300~1400μM/Lていどで、当然とっくに尿中ケトン体は陰性化しています。
これは、スーパー糖質制限食を実践している場合の正常値、そして農耕以前の人類の正常値と考えられます。
要するに「脂肪酸-ケトン体」システムが活発化すれば、単純に血中のケトン体値は高値となりますが、インスリン作用が確保されていて、血糖値が正常なら全く何の問題もありませんし、これは生理的な正常な現象なのです。
インスリン作用が欠落して全身の高度な代謝失調を生じて、血糖値300~1000mg/dlとかになり、結果としてケトン体も高値となる重病の「糖尿病ケトアシドーシス」とは、はっきり区別する必要があります。
医学の教科書
「ハーパー・生化学」(原著27版)の訳本、155ぺージ・図16-9の説明に、
「心臓のような肝外組織では代謝エネルギー源は次の順に好まれて酸化される。
(1)ケトン体.(2)脂肪酸.(3)グルコース」
との記載があります。
また157ページ左側27行には、
「遊離脂肪酸は肝臓、心臓、骨格筋において好まれて利用される代謝エネルギー源であり、グルコースの消費を節約することができる。」
とあり、
157ページ、左側38行には、
「ケトン体は、骨格筋と心筋の主要な代謝エネルギー源であり、脳のエネルギーの必要性を部分的に満たす。」
とあります。
江部康二
2015年01月22日 (木)
こんにちは。
朝日カルチャーセンター名古屋教室にて
『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません』
-生活習慣病を予防&改善する糖質制限食-
と題して、講座の講師をつとめます。
2014年1月31日(土)
講演:16:00~17:30
質疑応答:17:30~18:00
糖尿病を始め、日本の4大死因、5大疾病と糖質制限食のお話しをします。
質疑応答も30分間とたっぷり時間をとりました。
「今日の治療指針」にも糖質制限食が取り上げられる時代となりました。
名古屋、岐阜、東海地方の方々、奮ってご参加下さいね。
江部康二
☆☆☆
以下はアサヒカルチャー名古屋教室のサイトからの抜粋です
朝日カルチャーセンター名古屋教室
講座
『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません』
-生活習慣病を予防&改善する糖質制限食-
講師名 高雄病院理事長 江部 康二
講座内容
がん、心疾患、脳血管疾患、肺炎、これらは現代日本の4大死因です。厚生労働省が2011年に日本人の5大疾病を発表していますが、以前から多 かった、がん、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病に、新しく精神疾患を加えた5つの疾病を指します。
これらの病気の増加は、重大な社会問題であり早急な対 策が必要です。実はこれら全ての疾病の予防と治療に関して有効と考えられるのが糖質制限食です。米国糖尿病学会によれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
この生理学的事実をもとに糖尿病の治療に画期的な効果をあげて来た糖質制限食ですが、今回は他の様々な生活習慣病にも有効であることも、お話ししたいと思います。
■日時:1/31(土)16:00-17:30
■受講料:会員・一般ともに3,450円
■問い合わせ先:052-249-5553
朝日カルチャーセンター名古屋教室にて
『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません』
-生活習慣病を予防&改善する糖質制限食-
と題して、講座の講師をつとめます。
2014年1月31日(土)
講演:16:00~17:30
質疑応答:17:30~18:00
糖尿病を始め、日本の4大死因、5大疾病と糖質制限食のお話しをします。
質疑応答も30分間とたっぷり時間をとりました。
「今日の治療指針」にも糖質制限食が取り上げられる時代となりました。
名古屋、岐阜、東海地方の方々、奮ってご参加下さいね。
江部康二
☆☆☆
以下はアサヒカルチャー名古屋教室のサイトからの抜粋です
朝日カルチャーセンター名古屋教室
講座
『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません』
-生活習慣病を予防&改善する糖質制限食-
講師名 高雄病院理事長 江部 康二
講座内容
がん、心疾患、脳血管疾患、肺炎、これらは現代日本の4大死因です。厚生労働省が2011年に日本人の5大疾病を発表していますが、以前から多 かった、がん、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病に、新しく精神疾患を加えた5つの疾病を指します。
これらの病気の増加は、重大な社会問題であり早急な対 策が必要です。実はこれら全ての疾病の予防と治療に関して有効と考えられるのが糖質制限食です。米国糖尿病学会によれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
この生理学的事実をもとに糖尿病の治療に画期的な効果をあげて来た糖質制限食ですが、今回は他の様々な生活習慣病にも有効であることも、お話ししたいと思います。
■日時:1/31(土)16:00-17:30
■受講料:会員・一般ともに3,450円
■問い合わせ先:052-249-5553
2015年01月21日 (水)
こんにちは。
今日の治療指針2015年版が、2015年1月13日に刊行されました。
その中で、692ページに「糖尿病の食事指導」と題して、山田悟医師(北里研究所病院糖尿病センター・センター長)が執筆しておられます。
山田悟氏は、自他共に許す糖質制限食賛成派ですが、ご自身は「緩やかな糖質制限食」を推奨しておられ、高雄病院の「スーパー糖質制限食」とは距離をおく立場です。
私は、日本糖尿病学会内部で、糖質制限食を推奨する山田悟氏の立場はよく理解できますし、その役割は大きいと思い応援しています。
ともあれ、日本の医学書で最もポピュラーなものの一つが「今日の治療指針」です。
おそらく、医療機関の9割以上が「今日の治療指針を」所持していると思います。
その定番医学書の執筆者に、糖質制限食賛成派の医師が抜擢されたのですから、今昔(こんじゃく)の感(かん)があります。
素直に大変喜ばしい出来事です。
2014年6月、日経メディカルの「糖質制限食」に関する医師へのアンケート調査が実施されました。
2263名の有効回答のうち、58.3%が糖質制限食肯定という立場であることが、日経メディカルオンライン2014/7/9の記事として掲載されました。
2014年、2015年と糖質制限食に、大きな追い風がまたまた吹いているようです。
さて、今日の治療指針2015年版、「糖尿病の食事指導」の項目では
『・・・食事療法に唯一無二の方法は存在しない。・・・
・・・選択可能な食事療法として、カロリー制限食、糖質制限食、順番ダイエット、
低GI食、地中海食などがある・・・』
と記載してあり、明らかに、米国糖尿病学会の2013年10月の栄養療法に関する声明を意識した内容です。
<米国糖尿病学会の2013年10月の栄養療法に関する声明>
全ての糖尿病患者に適した“one-size-fits-all(唯一無二の)”食事パターンは存在しないと明言。
→ patient-centered approach を強調。
患者ごとに個別に様々な食事パターン
〔地中海食,ベジタリアン食,糖質制限食,低脂質食,DASH食〕が受容可能。
山田氏は次に、カロリー制限食と糖質制限食の解説を述べています。
糖質制限食の具体的な解説に大きくスペースがさいてあり、山田氏の糖質制限食に対する熱意を感じました。
糖質制限食、ホップ、ステップ、ジャンプの予感ですね。
江部康二
今日の治療指針2015年版が、2015年1月13日に刊行されました。
その中で、692ページに「糖尿病の食事指導」と題して、山田悟医師(北里研究所病院糖尿病センター・センター長)が執筆しておられます。
山田悟氏は、自他共に許す糖質制限食賛成派ですが、ご自身は「緩やかな糖質制限食」を推奨しておられ、高雄病院の「スーパー糖質制限食」とは距離をおく立場です。
私は、日本糖尿病学会内部で、糖質制限食を推奨する山田悟氏の立場はよく理解できますし、その役割は大きいと思い応援しています。
ともあれ、日本の医学書で最もポピュラーなものの一つが「今日の治療指針」です。
おそらく、医療機関の9割以上が「今日の治療指針を」所持していると思います。
その定番医学書の執筆者に、糖質制限食賛成派の医師が抜擢されたのですから、今昔(こんじゃく)の感(かん)があります。
素直に大変喜ばしい出来事です。
2014年6月、日経メディカルの「糖質制限食」に関する医師へのアンケート調査が実施されました。
2263名の有効回答のうち、58.3%が糖質制限食肯定という立場であることが、日経メディカルオンライン2014/7/9の記事として掲載されました。
2014年、2015年と糖質制限食に、大きな追い風がまたまた吹いているようです。
さて、今日の治療指針2015年版、「糖尿病の食事指導」の項目では
『・・・食事療法に唯一無二の方法は存在しない。・・・
・・・選択可能な食事療法として、カロリー制限食、糖質制限食、順番ダイエット、
低GI食、地中海食などがある・・・』
と記載してあり、明らかに、米国糖尿病学会の2013年10月の栄養療法に関する声明を意識した内容です。
<米国糖尿病学会の2013年10月の栄養療法に関する声明>
全ての糖尿病患者に適した“one-size-fits-all(唯一無二の)”食事パターンは存在しないと明言。
→ patient-centered approach を強調。
患者ごとに個別に様々な食事パターン
〔地中海食,ベジタリアン食,糖質制限食,低脂質食,DASH食〕が受容可能。
山田氏は次に、カロリー制限食と糖質制限食の解説を述べています。
糖質制限食の具体的な解説に大きくスペースがさいてあり、山田氏の糖質制限食に対する熱意を感じました。
糖質制限食、ホップ、ステップ、ジャンプの予感ですね。
江部康二
2015年01月20日 (火)
【15/01/19 岸和田のセイゲニスト
お疲れ様でした。
先日は「豚皮を揚げて食べる会in京都」参加の皆様お疲れ様でした。
幹事様、夏井先生、江部先生、いつもはるばる遠路山梨からポークおじさん林さんお疲れ様でした。
私は、三回目の出席でしたが、相変わらずの出席者全員が四時間余り立ちっ放し。
糖質セイゲニストは皆様元気一杯です。
夏井先生にいたっては、二次会居酒屋でも立ちっ放しでした!(汗)
特に二次会でのかけあい(?)江部先生、夏井先生の大阪人からみても面白かったです!(笑)
私も、昨年6月からこの「糖質制限」を始めました。
最初は従来の「カロリー制限」とは真逆と言っても過言ではないダイエット方法だったので、始める1ヶ月前に、効果を自身で二週間ずつ(味付けなし食パンvsフライドチキンマヨネーズ掛け)確かめた(というより、信用出来なかったというのが本音です。すいません)のが、今となってはいい思い出です。(笑)
今思うと、先生のおっしゃる通り「カロリー制限」や「単品食品ダイエット」は続きませんし、半年前後からリバウンドします。→意志の弱さも手伝い挫折の繰り返し(泣)
そのあげくBMI37の病的肥満に。私の中では、ダイエット=つらく体調不良が起こるもの。と思っていたのですが…
しかし、この糖質制限は、始めて約8ヶ月経ちますが、リバウンドせず維持できております。そして、何より体調不良が治るので止める気が起こりません。
冬も折り返し時期ですが、肥満の割には毎年2~3回は風邪をひいてたのですが、今季は未だひいてません!(嬉)
しかも去年より約20キロも減量してるのに!(驚)
これは、糖質制限により日中食後の睡魔がなくなり、夜に熟睡出来るので、翌日寝不足などがなく身体の抵抗力が向上している要因などが大きいと思います。血流も改善したのか、使い捨てカイロ今季は使ってないです。
江部先生がご持参された「モリドルノンシュガーチョコレート ビター」がとても美味しかったので注文させて頂きました!
お陰様で糖質依存症から脱却はしたものの、時々ブラックコーヒーとチョコレートは食べたくなる時は、市販のカカオ95%チョコレートなどを食していましたが、さすがに苦味が多く苦慮していました。(お値段も良心的で、g単価もさほど変わりなく、このお値段であの味ならば即買いです!)
何事も事前の情報収集や口コミも大事ですが、やっぱり最後は自身で確かめるのが大事ということを改めて実感しました。】
岸和田のセイゲニストさん
コメントありがとうございます。
「豚皮を揚げて食べる会in京都」お疲れ様でした。
とても楽しい会でしたね。
20kgの減量、体調良好も良かったです。
『最初は従来の「カロリー制限」とは真逆と言っても過言ではないダイエット方法だったので、始める1ヶ月前に、効果を自身で二週間ずつ(味付けなし食パンvsフライドチキンマヨネーズ掛け)確かめた(というより、信用出来なかったというのが本音です。すいません)』
まさに自分の頭で考え、自分の身体で実験されたわけで、素晴らしいの一言です。
「豚皮を揚げて食べる会in京都」は
1月17日(土)14:00~17:00
ココカラ azito cafe+share(京都市左京区東丸太町 11-4 1F)
会費¥3000-
で、開催されました。
大人気で35人の定員がブログ公開後、瞬時に満員となったそうです。
主催者【夏井先生とポークおじさん林 和弘さん(株式会社ランニングマンhttp://www.runningman.info/)】
が準備してくださったものや、参加者の持ち込んだ、
<お酒・おつまみ・スイーツ>が以下です。
糖質オフビール:350mlを一人2本分
赤ワイン3本
ノンアルコール飲料数本
獺祭 (だっさい)の焼酎(入手困難な品です。)
山陰で有名な焼きあご(飛魚)
低糖質ケーキ2台
牛ホルモンのトマト煮込み
素焼 アーモンド 素焼カシューナッツ計500g
フルボディー 赤ワイン1瓶
手作りの低糖質なお菓子。
ミックスナッツの燻製、うずら玉子の燻製、蛸の燻製
「ほたてのカルパッチョ」
鶏ハムと砂肝か牡蠣のアフィージョ
「京都菓子職人のスイーツ」。
血糖値を上げないモリドルチョコダーク(100g)×5個,
モリドルチョコミルク(100g)×5個
サントリー 角瓶 <黒43°>
木次のチーズ
鮒寿司
(株)ヤガイの極旨ビーフジャーキー×5袋
サイボシ(馬肉を天日干しあるいは燻製にした食品)
チーズケーキ
山口県の蒲鉾と竹輪。
創業明治三十年の京豆腐、とようけ屋山本があり、その豆腐屋さんの湯葉、油揚げ豆腐、
古酒 乙焼酎 越乃寒梅
ワイン
今どきではない薩摩芋焼酎ほぼ1升
かつおのたたき 豚皮クラッシュ掛け
確約はしませんが,うちで焼いた糖質制限パン
ニッカのHi-ニッカ(今話題の竹鶴政孝が毎日愛飲していたという話です)
がっちょ(ねずみごち)の唐揚げ
豪華絢爛のご馳走とおつまみとスイーツです。 ヽ(*`▽´)ノ
これで、¥3000-は、超お得です!
私は、
血糖値を上げないスペイン製モリドルチョコダーク(100g)×5個,
モリドルチョコミルク(100g)×5個(1個583円)
を持っていきました。
明治チョコレートカカオ95%BOX60gが1個256円ですので、岸和田のセイゲニストさんの仰有る通り、グラム単価だとそんなに差はないですね。私もダークが大好きです。
私は外来診療後に駆けつけたので、午後3時前の参加でした。
夏井先生、すでにほろ酔い気分でご機嫌でした。
ポークおじさん林 和弘さんは、黙々とリアルタイムに豚皮を揚げ続けてくださいました。謝謝!m(_ _)m
山口、岡山、鳥取、兵庫、香川、沖縄、滋賀・・・各地の医師が参加しておられました。
あとは鍼灸師、化学者、一般の方、皆元気いっぱいで、飲むわ食べるわ喋るわ・・・絶好調の宴でした。(⌒o⌒)v
私は、二次会で勘弁して貰って帰宅したので、翌日曜日はちゃんとテニスに行きましたよ。(^^)
こんな楽しい会は、いけたらまたいきたいと思います。
2015/3/14(土)「豚皮を揚げて食べる会in大阪」は、江部診療所の診察が終わったら駆けつけようと思います。
江部康二
お疲れ様でした。
先日は「豚皮を揚げて食べる会in京都」参加の皆様お疲れ様でした。
幹事様、夏井先生、江部先生、いつもはるばる遠路山梨からポークおじさん林さんお疲れ様でした。
私は、三回目の出席でしたが、相変わらずの出席者全員が四時間余り立ちっ放し。
糖質セイゲニストは皆様元気一杯です。
夏井先生にいたっては、二次会居酒屋でも立ちっ放しでした!(汗)
特に二次会でのかけあい(?)江部先生、夏井先生の大阪人からみても面白かったです!(笑)
私も、昨年6月からこの「糖質制限」を始めました。
最初は従来の「カロリー制限」とは真逆と言っても過言ではないダイエット方法だったので、始める1ヶ月前に、効果を自身で二週間ずつ(味付けなし食パンvsフライドチキンマヨネーズ掛け)確かめた(というより、信用出来なかったというのが本音です。すいません)のが、今となってはいい思い出です。(笑)
今思うと、先生のおっしゃる通り「カロリー制限」や「単品食品ダイエット」は続きませんし、半年前後からリバウンドします。→意志の弱さも手伝い挫折の繰り返し(泣)
そのあげくBMI37の病的肥満に。私の中では、ダイエット=つらく体調不良が起こるもの。と思っていたのですが…
しかし、この糖質制限は、始めて約8ヶ月経ちますが、リバウンドせず維持できております。そして、何より体調不良が治るので止める気が起こりません。
冬も折り返し時期ですが、肥満の割には毎年2~3回は風邪をひいてたのですが、今季は未だひいてません!(嬉)
しかも去年より約20キロも減量してるのに!(驚)
これは、糖質制限により日中食後の睡魔がなくなり、夜に熟睡出来るので、翌日寝不足などがなく身体の抵抗力が向上している要因などが大きいと思います。血流も改善したのか、使い捨てカイロ今季は使ってないです。
江部先生がご持参された「モリドルノンシュガーチョコレート ビター」がとても美味しかったので注文させて頂きました!
お陰様で糖質依存症から脱却はしたものの、時々ブラックコーヒーとチョコレートは食べたくなる時は、市販のカカオ95%チョコレートなどを食していましたが、さすがに苦味が多く苦慮していました。(お値段も良心的で、g単価もさほど変わりなく、このお値段であの味ならば即買いです!)
何事も事前の情報収集や口コミも大事ですが、やっぱり最後は自身で確かめるのが大事ということを改めて実感しました。】
岸和田のセイゲニストさん
コメントありがとうございます。
「豚皮を揚げて食べる会in京都」お疲れ様でした。
とても楽しい会でしたね。
20kgの減量、体調良好も良かったです。
『最初は従来の「カロリー制限」とは真逆と言っても過言ではないダイエット方法だったので、始める1ヶ月前に、効果を自身で二週間ずつ(味付けなし食パンvsフライドチキンマヨネーズ掛け)確かめた(というより、信用出来なかったというのが本音です。すいません)』
まさに自分の頭で考え、自分の身体で実験されたわけで、素晴らしいの一言です。
「豚皮を揚げて食べる会in京都」は
1月17日(土)14:00~17:00
ココカラ azito cafe+share(京都市左京区東丸太町 11-4 1F)
会費¥3000-
で、開催されました。
大人気で35人の定員がブログ公開後、瞬時に満員となったそうです。
主催者【夏井先生とポークおじさん林 和弘さん(株式会社ランニングマンhttp://www.runningman.info/)】
が準備してくださったものや、参加者の持ち込んだ、
<お酒・おつまみ・スイーツ>が以下です。
糖質オフビール:350mlを一人2本分
赤ワイン3本
ノンアルコール飲料数本
獺祭 (だっさい)の焼酎(入手困難な品です。)
山陰で有名な焼きあご(飛魚)
低糖質ケーキ2台
牛ホルモンのトマト煮込み
素焼 アーモンド 素焼カシューナッツ計500g
フルボディー 赤ワイン1瓶
手作りの低糖質なお菓子。
ミックスナッツの燻製、うずら玉子の燻製、蛸の燻製
「ほたてのカルパッチョ」
鶏ハムと砂肝か牡蠣のアフィージョ
「京都菓子職人のスイーツ」。
血糖値を上げないモリドルチョコダーク(100g)×5個,
モリドルチョコミルク(100g)×5個
サントリー 角瓶 <黒43°>
木次のチーズ
鮒寿司
(株)ヤガイの極旨ビーフジャーキー×5袋
サイボシ(馬肉を天日干しあるいは燻製にした食品)
チーズケーキ
山口県の蒲鉾と竹輪。
創業明治三十年の京豆腐、とようけ屋山本があり、その豆腐屋さんの湯葉、油揚げ豆腐、
古酒 乙焼酎 越乃寒梅
ワイン
今どきではない薩摩芋焼酎ほぼ1升
かつおのたたき 豚皮クラッシュ掛け
確約はしませんが,うちで焼いた糖質制限パン
ニッカのHi-ニッカ(今話題の竹鶴政孝が毎日愛飲していたという話です)
がっちょ(ねずみごち)の唐揚げ
豪華絢爛のご馳走とおつまみとスイーツです。 ヽ(*`▽´)ノ
これで、¥3000-は、超お得です!
私は、
血糖値を上げないスペイン製モリドルチョコダーク(100g)×5個,
モリドルチョコミルク(100g)×5個(1個583円)
を持っていきました。
明治チョコレートカカオ95%BOX60gが1個256円ですので、岸和田のセイゲニストさんの仰有る通り、グラム単価だとそんなに差はないですね。私もダークが大好きです。
私は外来診療後に駆けつけたので、午後3時前の参加でした。
夏井先生、すでにほろ酔い気分でご機嫌でした。
ポークおじさん林 和弘さんは、黙々とリアルタイムに豚皮を揚げ続けてくださいました。謝謝!m(_ _)m
山口、岡山、鳥取、兵庫、香川、沖縄、滋賀・・・各地の医師が参加しておられました。
あとは鍼灸師、化学者、一般の方、皆元気いっぱいで、飲むわ食べるわ喋るわ・・・絶好調の宴でした。(⌒o⌒)v
私は、二次会で勘弁して貰って帰宅したので、翌日曜日はちゃんとテニスに行きましたよ。(^^)
こんな楽しい会は、いけたらまたいきたいと思います。
2015/3/14(土)「豚皮を揚げて食べる会in大阪」は、江部診療所の診察が終わったら駆けつけようと思います。
江部康二
2015年01月19日 (月)
こんにちは
2014年度、2015年度も、糖質制限食、医学界にも一般社会にも順調に普及が進んでいます。
嬉しい限りです。
第18回日本病態栄養学会年次学術集会において、2015年1月10日(土)宗田先生がポスター発表されました。
私も共同発表者の一人です。
正常分娩時の胎盤のケトン体が、成人の基準値の20~30倍であることが、60例において確認されました
これで、ケトン体の安全性は確実に担保されたと言えます。
このような最新情報を踏まえて、2014年、東京、京都にて開催し、ご好評いただいた医療従事者向けセミナーを
2015年3月8日(日)、東京にて開催致します。
日本糖質制限医療推進協会主催 医療従事者向けセミナー(東京)
「糖質制限食による糖尿病指導~理論と実践~」
受付:13:30~
講演と質疑応答:13:45~17:30
場所: ソラシティカンファレンスセンター2階テラスルーム
東京都千代田区神田駿河台4-6
http://solacity.jp/cc/visitor_ja/index.html
第一部、第二部では、糖尿病治療に関して、最新糖質制限食理論と共に
「すぐに良くなった症例」「苦労して良くなった症例」「1型の難しい症例」
など、実際に入院された患者さんのデータを見ながら検討します。
2014年に得られた最新の糖質制限食情報もお話しします。
第三部では、高雄病院の栄養指導の実際を橋本眞由美管理栄養士がお話しします。
参加頂いた皆さんには、前回と同様に、講演PPTスライドの、CD(PDFファイル)をお配りします。
関東、東京の医療従事者の皆さん、奮ってご参加くださいね。
江部康二
☆☆☆
以下、事務局からのご案内です。
ブログ読者の皆様、講演会へいつも多数ご参加いただきまして
ありがとうございます。
3月8日(日)、東京にて医療従事者向けのセミナーを開催いたします。
今回、東京でも第3部は高雄病院の橋本眞由美管理栄養士による講義
を予定しております。
医療従事者の皆様の多数のご参加を心よりお待ちしております。
☆2月8日(日)の医療従事者向けセミナー(京都)も引き続き募集しております。
http://toushitsuseigen.or.jp/activity.html#schedule20150208
///////////////////ご案内/////////////////////
日本糖質制限医療推進協会主催 医療従事者向けセミナー(東京)
「糖質制限食による糖尿病指導~理論と実践~」
■日時: 2015年3月8日(日) 13:45~17:30頃 ※受付13:30~
■場所: ソラシティカンファレンスセンター2階テラスルーム
東京都千代田区神田駿河台4-6
http://solacity.jp/cc/visitor_ja/index.html
■アクセス:
・JR中央・総武線「御茶ノ水」駅聖橋口から徒歩1分
・東京メトロ千代田線「新御茶ノ水」駅B2出口直結
・東京メトロ丸ノ内線「御茶ノ水」駅出口1から徒歩4分
◆スケジュール:
第一部 13:45~14:35 「基礎理論」 ※講師A
第二部 14:45~15:35 「症例検討と薬剤の使い方など」 ※講師A
質疑応答 15:35~16:05
第三部 17:20~17:10 「高雄病院における糖質制限給食とその取り組み」※講師B
質疑応答 17:10~17:30
◆講師:
A:江部 康二 医師
(一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長
B:橋本 眞由美 管理栄養士
(一財)高雄病院 栄養管理部 部長
◆対象: 医療従事者(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、鍼灸師など)
■受講費: 賛助会員 8,000円 / 一般(非会員) 10,000円
※参加頂いた皆様には、映写・配布資料のデータ(PDF)CDをお配りします。
■お支払い方法:クレジットカード/銀行振込/郵便振替
※事前決済のみとなります。
※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。
■お申し込み方法:
・賛助会員の方
事務局までメールにて、医療機関でのご職種をご記入の上、お申し込み下さい。
・賛助会員入会をご希望の方
1.入会案内および会員規約をお読み下さい。 http://toushitsuseigen.or.jp/member.html
2.お申し込みはこちらのフォームからお願いします。 http://toushitsuseigen.or.jp/contact.php
「お問い合せ内容」欄に以下をご記入ください。
①「3/8東京セミナー、受講希望」とご記入下さい。
②医療機関でのご職種をご記入下さい。
・一般(非会員)で、講演会の受講のみご希望の方
こちらのフォームよりお申し込み下さい。 https://ssl.form-mailer.jp/fms/f2c8d3eb341116
■お申し込みの流れ:
1.会員の方はメールにて、会員以外の方は各種フォームにてご連絡下さい。
2.事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3.入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4.当日、直接会場までお越し下さい。
■その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは3月5日(木)までに事務局までご連絡願います。
それ以降のご返金は原則、対応致しかねますので予めご了承ください。
2014年度、2015年度も、糖質制限食、医学界にも一般社会にも順調に普及が進んでいます。
嬉しい限りです。
第18回日本病態栄養学会年次学術集会において、2015年1月10日(土)宗田先生がポスター発表されました。
私も共同発表者の一人です。
正常分娩時の胎盤のケトン体が、成人の基準値の20~30倍であることが、60例において確認されました
これで、ケトン体の安全性は確実に担保されたと言えます。
このような最新情報を踏まえて、2014年、東京、京都にて開催し、ご好評いただいた医療従事者向けセミナーを
2015年3月8日(日)、東京にて開催致します。
日本糖質制限医療推進協会主催 医療従事者向けセミナー(東京)
「糖質制限食による糖尿病指導~理論と実践~」
受付:13:30~
講演と質疑応答:13:45~17:30
場所: ソラシティカンファレンスセンター2階テラスルーム
東京都千代田区神田駿河台4-6
http://solacity.jp/cc/visitor_ja/index.html
第一部、第二部では、糖尿病治療に関して、最新糖質制限食理論と共に
「すぐに良くなった症例」「苦労して良くなった症例」「1型の難しい症例」
など、実際に入院された患者さんのデータを見ながら検討します。
2014年に得られた最新の糖質制限食情報もお話しします。
第三部では、高雄病院の栄養指導の実際を橋本眞由美管理栄養士がお話しします。
参加頂いた皆さんには、前回と同様に、講演PPTスライドの、CD(PDFファイル)をお配りします。
関東、東京の医療従事者の皆さん、奮ってご参加くださいね。
江部康二
☆☆☆
以下、事務局からのご案内です。
ブログ読者の皆様、講演会へいつも多数ご参加いただきまして
ありがとうございます。
3月8日(日)、東京にて医療従事者向けのセミナーを開催いたします。
今回、東京でも第3部は高雄病院の橋本眞由美管理栄養士による講義
を予定しております。
医療従事者の皆様の多数のご参加を心よりお待ちしております。
☆2月8日(日)の医療従事者向けセミナー(京都)も引き続き募集しております。
http://toushitsuseigen.or.jp/activity.html#schedule20150208
///////////////////ご案内/////////////////////
日本糖質制限医療推進協会主催 医療従事者向けセミナー(東京)
「糖質制限食による糖尿病指導~理論と実践~」
■日時: 2015年3月8日(日) 13:45~17:30頃 ※受付13:30~
■場所: ソラシティカンファレンスセンター2階テラスルーム
東京都千代田区神田駿河台4-6
http://solacity.jp/cc/visitor_ja/index.html
■アクセス:
・JR中央・総武線「御茶ノ水」駅聖橋口から徒歩1分
・東京メトロ千代田線「新御茶ノ水」駅B2出口直結
・東京メトロ丸ノ内線「御茶ノ水」駅出口1から徒歩4分
◆スケジュール:
第一部 13:45~14:35 「基礎理論」 ※講師A
第二部 14:45~15:35 「症例検討と薬剤の使い方など」 ※講師A
質疑応答 15:35~16:05
第三部 17:20~17:10 「高雄病院における糖質制限給食とその取り組み」※講師B
質疑応答 17:10~17:30
◆講師:
A:江部 康二 医師
(一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長
B:橋本 眞由美 管理栄養士
(一財)高雄病院 栄養管理部 部長
◆対象: 医療従事者(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、鍼灸師など)
■受講費: 賛助会員 8,000円 / 一般(非会員) 10,000円
※参加頂いた皆様には、映写・配布資料のデータ(PDF)CDをお配りします。
■お支払い方法:クレジットカード/銀行振込/郵便振替
※事前決済のみとなります。
※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。
■お申し込み方法:
・賛助会員の方
事務局までメールにて、医療機関でのご職種をご記入の上、お申し込み下さい。
・賛助会員入会をご希望の方
1.入会案内および会員規約をお読み下さい。 http://toushitsuseigen.or.jp/member.html
2.お申し込みはこちらのフォームからお願いします。 http://toushitsuseigen.or.jp/contact.php
「お問い合せ内容」欄に以下をご記入ください。
①「3/8東京セミナー、受講希望」とご記入下さい。
②医療機関でのご職種をご記入下さい。
・一般(非会員)で、講演会の受講のみご希望の方
こちらのフォームよりお申し込み下さい。 https://ssl.form-mailer.jp/fms/f2c8d3eb341116
■お申し込みの流れ:
1.会員の方はメールにて、会員以外の方は各種フォームにてご連絡下さい。
2.事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3.入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4.当日、直接会場までお越し下さい。
■その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは3月5日(木)までに事務局までご連絡願います。
それ以降のご返金は原則、対応致しかねますので予めご了承ください。
2015年01月18日 (日)
こんにちは。
しらねのぞるばさんから、ご自身の糖尿病体験(カロリー制限食 → 糖質制限食)と米国糖尿病学会と日本糖尿病学会のスタンスの違いについてコメントいただきました。
ありがとうございます。
「学会の推奨する通りの食事療法・運動療法を忠実に1年ほど継続・・・,
境界型糖尿病の方は改善どころか悪化する一方,ついに朝の血糖値が150を越える日がでてきたり,A1cもじわじわと上昇」
多くの日本の糖尿人が同じような目にあっていると思います。
例えば作家の宮本輝先生も、カロリー制限食で徐々に糖尿病が悪化していき、糖尿病腎症第3期に進行した時点で糖質制限食に変更されて、今は糖尿病腎症第1期に改善で、全てのデータが正常とのことです。
「これはおかしいと思い,糖質制限食に切り替えました.するとその月から即座に血糖値が改善し,以降現在まで3年以上継続してもまったく悪化はしていません.それどころか血糖値・HbA1cだけでなく,コレステロール・中性脂肪・血圧・肝機能・腎機能など,どの指標をみてもカロリー制限食の時代より優良になりました。」
素晴らしいデータ改善、良かったです。
カロリー制限食でコントロール不良となり、自分の頭で考えて糖質制限食に切り替えた糖尿人は、しらねのぞるばさんや宮本輝先生と同様に、速やかにデータが改善します。
日本全国の糖尿人の皆さん、或いは外国でも本ブログ読者の糖尿人の皆さん、とにかく早ければ早いほどいいので、糖質制限食を実践して糖尿病合併症を予防してください。
カロリー制限・高糖質食では、「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」が必ず生じるので、糖尿病合併症を防ぐことは困難なのです。
「日米の糖尿病学会のこれまでの文献を比較しますと,決定的に異なるのは,単に食事療法の炭水化物比率が高いか低いかというレベルの話ではなくて,一人の例外もなく一律の食事療法しか認めないのか(日本糖尿病学会),個人によって異なるとするのか(米国糖尿病学会),つまり根本理念において正反対なのです.」
仰る通りと思います。
<ADA食事療法ガイドラインの変遷>
1950年のガイドラインでは炭水化物40%を推奨。
1971年のガイドラインでは炭水化物45%に増えました。
1986年のガイドラインでさらに炭水化物60%と増加。
1994年のガイドラインでは、総摂取カロリーに対してタンパク質10~20%という規定がありますが、炭水化物・脂質の規定はなくなりました。
1994年のガイドラインの時、オリーブオイルたっぷりの地中海食も選択肢に加わわりました。
*1994年以降、ガイドラインでは炭水化物と脂肪のカロリー比を固定しなくなりました。
米国糖尿病学会は、1994年のガイドラインから、一律の食事療法を推奨することはなくなり、2013年には、患者ごとに個別に様々な食事パターン〔地中海食,ベジタリアン食,糖質制限食,低脂質食,カーボカウント・・・など〕が受容可能としました。
日本糖尿病学会の食品交換表初版は1965年に発行されました。
初版は「医師・栄養士・患者にすぐ役だつ糖尿病治療のための食品交換表」という名称でした。
解説には、食事療法の原則として
①適正なカロリー
②糖質量の制限
③糖質、たんぱく質、脂質のバランス
④ビタミンおよびミネラルの適正な補給
と記載されています。
なんと、初版には糖質量の制限という文言があったのです。
これが、1969年の第2版になると
①適正なカロリー(カロリーの制限)
②糖質、たんぱく質、脂質のバランス
③ビタミンおよびミネラルの適正な補給
と変更されて、「糖質量の制限」が削除されています。
糖尿病食事療法の原則から、「糖質制限」が消えて、「カロリー制限」が登場したのが2版です。
この第2版以降は、2013年の第7版に至るまで、一貫して唯一無二の食事療法(カロリー制限・高糖質食)を推奨し続けています。
しかもエビデンスとなる論文がないので、エビデンスレベルはコンセンサス(複数の人による合意)です。
つまりエビデンスないとわかってるのに、頑固に推奨し続けるという不可思議な状況に陥っています。
「健康を守るためのツールのひとつに過ぎなかった食品交換表を,それ自体自己目的化してしまい[注2],改訂のたびに「食の欧米化は悪」「脂肪は悪」,「食品交換表は日本人の理想食」という【イデオロギー】を持ち込まざるをえなくなりました. そしてその瞬間から,日本の糖尿病標準食は,EBM(Evidence Based Medicine)ではなくて,IBM(Ideology Based Medicine)に成り下がってしまいました.イデオロギーに支配されてしまったため,エビデンスを基礎とした米国糖尿病学会の結論(=つまりScience)とは対極の位置に自らを追い込んでしまったのです.」
全く同感です。
日本糖尿病学会はエビデンスがないと知っているのに、「カロリー制限・高糖質食」を唯一無二の食事療法として推奨し続けているのは、まさに、イデオロギー(観念論)の観点からです。
米国糖尿病学会が科学的立場を貫いているのに対して、日本糖尿病学会は科学的立場を放棄したに等しいですね。
「ぜひとも日本糖尿病学会には,科学の基本に立ち返っていただきたいと存じます.」
よくぞ言って下さいました。
全く、同感です。
江部康二
【15/01/17 しらねのぞるば
今回の日本病態栄養学会
江部先生
今回の日本病態栄養学会は実に多くのことがあり,何年かしたら「あの学会がEpoch Makingであった」と言われるかも知れませんね.
ポスターセッション会場にて,先生に初めてお目にかかれたのは光栄でした.
私は,一介の技術屋で,職場の定期健診で「血糖値が高い」と言われたので,糖尿病専門医である大学同期に相談したところ,「まだ投薬治療するほどではない.これを読め」と言われて,彼の奨める通りに,当時日本糖尿学会や日本糖尿病協会が発行していたパンフをすべて読み漁りました.
読むだけでなく,学会の推奨する通りの食事療法・運動療法を忠実に1年ほど継続したのですが,体重が少々落ちただけで(もともと肥満ではないので,これは当然),境界型糖尿病の方は改善どころか悪化する一方,ついに朝の血糖値が150を越える日がでてきたり,A1cもじわじわと上昇してくるに及んで,これはおかしいと思い,糖質制限食に切り替えました.
するとその月から即座に血糖値が改善し,以降現在まで3年以上継続してもまったく悪化はしていません.それどころか血糖値・HbA1cだけでなく,コレステロール・中性脂肪・血圧・肝機能・腎機能など,どの指標をみてもカロリー制限食の時代より優良になりました.
最初に相談した大学同期に最近の結果を見せると,いまだに首をひねっていますが(さすがに糖質制限食をやめろとは言わなくなりましたが.最初は猛反対していたのですが),私は自分のこの体験から,日本の糖尿病医療の根本に不信を抱くようになり,それ以降は内外の医学論文を読み漁って(仕事柄,科学文献なら自由にアクセスできますし,海外子会社の品質管理システム構築などの経験から,英語も統計もハードルにはなりません),米国糖尿病学会の文献は,日本糖尿学会のそれとはかなり異なることに気づいたので,ますます日本糖尿病学会が信用できなくなりました.
学会は「一般的には,高糖質のカロリー制限食で糖尿病は改善する.実績もある.」というかもしれませんが,万歩譲ってそれが正しいとしても,それは多数の統計的平均結果に過ぎません. 人間は,工場で大量生産される商品ではないのですから,多数の平均値=各個体の値ではありません.
平均でそうだからと言って,一人一人の例を見れば,改善効果の見られない場合,そして私のようにかえって悪化する場合もあるのですが,学会はこの「学会推奨の食事療法を忠実に守っても改善しない場合」について,ではその患者はどうすればいいのか,ここに一切口をつぐんだままなのが理解できません.
その点で現在の米国糖尿病学会は,「糖尿病の食事療法は一人一人異なっていて当然だ」というスタンスであり,私には自分の体験をふまえて,こちらの方が合理的と納得できます.
日米の糖尿病学会のこれまでの文献を比較しますと,決定的に異なるのは,単に食事療法の炭水化物比率が高いか低いかというレベルの話ではなくて,一人の例外もなく一律の食事療法しか認めないのか(日本糖尿病学会),個人によって異なるとするのか(米国糖尿病学会),つまり根本理念において正反対なのです.
私も技術屋の端くれとして断言できますが,医学もScienceである以上,正反対の主張が存在した場合,一方が正しくて一方が間違っているのは自明です.正反対だが両方とも正しいということはありえません.
昨今 日本糖尿病学会は「日本の食文化」を前面に打ち出して,米国とは正反対の現在のスタンスを正当化しようと試みていますが[注1],それは今回の「日本の伝統的料理の代表である京懐石は,実は高糖質ではなかった」ことで窮したはずです.
[注1]メディカル朝日 2014年9月号 p.28
「うれしいことに『和食:日本人の伝統的な食文化』が~ユネスコの無形文化遺産として登録された. この絶好の機会を活用して,私たち日本人にふさわしい糖尿病食事療法への正しい道を,基礎実験や臨床栄養学のエビデンスを基盤としながら確実に切り開く」
なぜ日本糖尿学会が,これほど一律の食事療法にこだわるのかといえば,それは食品交換表の存在だと思います.
今回の病態栄養学会でも自画自賛していましたが,本来食品交換表とは第2次世界大戦直後,つまり日本全体が食うや食わずの食糧不足・栄養失調だった時代,『肉が高くて買えないのなら魚や豆腐でもいいのです』『米がなかったら芋で我慢しましょう』と,最低限の栄養摂取を守るための『食品素材の交換』をわかりやすくまとめた,つまり栄養失調を防ぐ,ごく実用的な工夫を提示したに過ぎないのです.
実際 昭和30年代までは,日本の各地で,栄養士・保険所がこの食品交換表を元に地域単位の講習を行い,栄養不良児を減らすという大きな実績をあげました.ここまではよかったのです.
しかし高度成長以降,「食糧不足」という言葉が死語になった時点で,食品交換表は当初の役割を終えたはずです.この時に,各大学の栄養学部は「健康学部」とでも改名して,食生活のみにこだわるのではなく,日常活動・運動も含めた総合的な健康増進に目を向けてパラダイム転換すべきだったのです.
にもかかわらず,健康を守るためのツールのひとつに過ぎなかった食品交換表を,それ自体自己目的化してしまい[注2],改訂のたびに「食の欧米化は悪」「脂肪は悪」,「食品交換表は日本人の理想食」という【イデオロギー】を持ち込まざるをえなくなりました.
そしてその瞬間から,日本の糖尿病標準食は,EBM(Evidence Based Medicine)ではなくて,IBM(Ideology Based Medicine)に成り下がってしまいました.イデオロギーに支配されてしまったため,エビデンスを基礎とした米国糖尿病学会の結論(=つまりScience)とは対極の位置に自らを追い込んでしまったのです.
[注2] 第7版への食品交換表改訂の際に,食品の糖質含有量を記載することにつき,『食品交換表が使いにくくなるから反対だ』と言う方がおられたのは,その典型です.
「報道機関はなによりも真実の報道が使命」という基本原則を逸脱したとして某新聞が叩かれていますが,ぜひとも日本糖尿病学会には,科学の基本に立ち返っていただきたいと存じます.】
しらねのぞるばさんから、ご自身の糖尿病体験(カロリー制限食 → 糖質制限食)と米国糖尿病学会と日本糖尿病学会のスタンスの違いについてコメントいただきました。
ありがとうございます。
「学会の推奨する通りの食事療法・運動療法を忠実に1年ほど継続・・・,
境界型糖尿病の方は改善どころか悪化する一方,ついに朝の血糖値が150を越える日がでてきたり,A1cもじわじわと上昇」
多くの日本の糖尿人が同じような目にあっていると思います。
例えば作家の宮本輝先生も、カロリー制限食で徐々に糖尿病が悪化していき、糖尿病腎症第3期に進行した時点で糖質制限食に変更されて、今は糖尿病腎症第1期に改善で、全てのデータが正常とのことです。
「これはおかしいと思い,糖質制限食に切り替えました.するとその月から即座に血糖値が改善し,以降現在まで3年以上継続してもまったく悪化はしていません.それどころか血糖値・HbA1cだけでなく,コレステロール・中性脂肪・血圧・肝機能・腎機能など,どの指標をみてもカロリー制限食の時代より優良になりました。」
素晴らしいデータ改善、良かったです。
カロリー制限食でコントロール不良となり、自分の頭で考えて糖質制限食に切り替えた糖尿人は、しらねのぞるばさんや宮本輝先生と同様に、速やかにデータが改善します。
日本全国の糖尿人の皆さん、或いは外国でも本ブログ読者の糖尿人の皆さん、とにかく早ければ早いほどいいので、糖質制限食を実践して糖尿病合併症を予防してください。
カロリー制限・高糖質食では、「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」が必ず生じるので、糖尿病合併症を防ぐことは困難なのです。
「日米の糖尿病学会のこれまでの文献を比較しますと,決定的に異なるのは,単に食事療法の炭水化物比率が高いか低いかというレベルの話ではなくて,一人の例外もなく一律の食事療法しか認めないのか(日本糖尿病学会),個人によって異なるとするのか(米国糖尿病学会),つまり根本理念において正反対なのです.」
仰る通りと思います。
<ADA食事療法ガイドラインの変遷>
1950年のガイドラインでは炭水化物40%を推奨。
1971年のガイドラインでは炭水化物45%に増えました。
1986年のガイドラインでさらに炭水化物60%と増加。
1994年のガイドラインでは、総摂取カロリーに対してタンパク質10~20%という規定がありますが、炭水化物・脂質の規定はなくなりました。
1994年のガイドラインの時、オリーブオイルたっぷりの地中海食も選択肢に加わわりました。
*1994年以降、ガイドラインでは炭水化物と脂肪のカロリー比を固定しなくなりました。
米国糖尿病学会は、1994年のガイドラインから、一律の食事療法を推奨することはなくなり、2013年には、患者ごとに個別に様々な食事パターン〔地中海食,ベジタリアン食,糖質制限食,低脂質食,カーボカウント・・・など〕が受容可能としました。
日本糖尿病学会の食品交換表初版は1965年に発行されました。
初版は「医師・栄養士・患者にすぐ役だつ糖尿病治療のための食品交換表」という名称でした。
解説には、食事療法の原則として
①適正なカロリー
②糖質量の制限
③糖質、たんぱく質、脂質のバランス
④ビタミンおよびミネラルの適正な補給
と記載されています。
なんと、初版には糖質量の制限という文言があったのです。
これが、1969年の第2版になると
①適正なカロリー(カロリーの制限)
②糖質、たんぱく質、脂質のバランス
③ビタミンおよびミネラルの適正な補給
と変更されて、「糖質量の制限」が削除されています。
糖尿病食事療法の原則から、「糖質制限」が消えて、「カロリー制限」が登場したのが2版です。
この第2版以降は、2013年の第7版に至るまで、一貫して唯一無二の食事療法(カロリー制限・高糖質食)を推奨し続けています。
しかもエビデンスとなる論文がないので、エビデンスレベルはコンセンサス(複数の人による合意)です。
つまりエビデンスないとわかってるのに、頑固に推奨し続けるという不可思議な状況に陥っています。
「健康を守るためのツールのひとつに過ぎなかった食品交換表を,それ自体自己目的化してしまい[注2],改訂のたびに「食の欧米化は悪」「脂肪は悪」,「食品交換表は日本人の理想食」という【イデオロギー】を持ち込まざるをえなくなりました. そしてその瞬間から,日本の糖尿病標準食は,EBM(Evidence Based Medicine)ではなくて,IBM(Ideology Based Medicine)に成り下がってしまいました.イデオロギーに支配されてしまったため,エビデンスを基礎とした米国糖尿病学会の結論(=つまりScience)とは対極の位置に自らを追い込んでしまったのです.」
全く同感です。
日本糖尿病学会はエビデンスがないと知っているのに、「カロリー制限・高糖質食」を唯一無二の食事療法として推奨し続けているのは、まさに、イデオロギー(観念論)の観点からです。
米国糖尿病学会が科学的立場を貫いているのに対して、日本糖尿病学会は科学的立場を放棄したに等しいですね。
「ぜひとも日本糖尿病学会には,科学の基本に立ち返っていただきたいと存じます.」
よくぞ言って下さいました。
全く、同感です。
江部康二
【15/01/17 しらねのぞるば
今回の日本病態栄養学会
江部先生
今回の日本病態栄養学会は実に多くのことがあり,何年かしたら「あの学会がEpoch Makingであった」と言われるかも知れませんね.
ポスターセッション会場にて,先生に初めてお目にかかれたのは光栄でした.
私は,一介の技術屋で,職場の定期健診で「血糖値が高い」と言われたので,糖尿病専門医である大学同期に相談したところ,「まだ投薬治療するほどではない.これを読め」と言われて,彼の奨める通りに,当時日本糖尿学会や日本糖尿病協会が発行していたパンフをすべて読み漁りました.
読むだけでなく,学会の推奨する通りの食事療法・運動療法を忠実に1年ほど継続したのですが,体重が少々落ちただけで(もともと肥満ではないので,これは当然),境界型糖尿病の方は改善どころか悪化する一方,ついに朝の血糖値が150を越える日がでてきたり,A1cもじわじわと上昇してくるに及んで,これはおかしいと思い,糖質制限食に切り替えました.
するとその月から即座に血糖値が改善し,以降現在まで3年以上継続してもまったく悪化はしていません.それどころか血糖値・HbA1cだけでなく,コレステロール・中性脂肪・血圧・肝機能・腎機能など,どの指標をみてもカロリー制限食の時代より優良になりました.
最初に相談した大学同期に最近の結果を見せると,いまだに首をひねっていますが(さすがに糖質制限食をやめろとは言わなくなりましたが.最初は猛反対していたのですが),私は自分のこの体験から,日本の糖尿病医療の根本に不信を抱くようになり,それ以降は内外の医学論文を読み漁って(仕事柄,科学文献なら自由にアクセスできますし,海外子会社の品質管理システム構築などの経験から,英語も統計もハードルにはなりません),米国糖尿病学会の文献は,日本糖尿学会のそれとはかなり異なることに気づいたので,ますます日本糖尿病学会が信用できなくなりました.
学会は「一般的には,高糖質のカロリー制限食で糖尿病は改善する.実績もある.」というかもしれませんが,万歩譲ってそれが正しいとしても,それは多数の統計的平均結果に過ぎません. 人間は,工場で大量生産される商品ではないのですから,多数の平均値=各個体の値ではありません.
平均でそうだからと言って,一人一人の例を見れば,改善効果の見られない場合,そして私のようにかえって悪化する場合もあるのですが,学会はこの「学会推奨の食事療法を忠実に守っても改善しない場合」について,ではその患者はどうすればいいのか,ここに一切口をつぐんだままなのが理解できません.
その点で現在の米国糖尿病学会は,「糖尿病の食事療法は一人一人異なっていて当然だ」というスタンスであり,私には自分の体験をふまえて,こちらの方が合理的と納得できます.
日米の糖尿病学会のこれまでの文献を比較しますと,決定的に異なるのは,単に食事療法の炭水化物比率が高いか低いかというレベルの話ではなくて,一人の例外もなく一律の食事療法しか認めないのか(日本糖尿病学会),個人によって異なるとするのか(米国糖尿病学会),つまり根本理念において正反対なのです.
私も技術屋の端くれとして断言できますが,医学もScienceである以上,正反対の主張が存在した場合,一方が正しくて一方が間違っているのは自明です.正反対だが両方とも正しいということはありえません.
昨今 日本糖尿病学会は「日本の食文化」を前面に打ち出して,米国とは正反対の現在のスタンスを正当化しようと試みていますが[注1],それは今回の「日本の伝統的料理の代表である京懐石は,実は高糖質ではなかった」ことで窮したはずです.
[注1]メディカル朝日 2014年9月号 p.28
「うれしいことに『和食:日本人の伝統的な食文化』が~ユネスコの無形文化遺産として登録された. この絶好の機会を活用して,私たち日本人にふさわしい糖尿病食事療法への正しい道を,基礎実験や臨床栄養学のエビデンスを基盤としながら確実に切り開く」
なぜ日本糖尿学会が,これほど一律の食事療法にこだわるのかといえば,それは食品交換表の存在だと思います.
今回の病態栄養学会でも自画自賛していましたが,本来食品交換表とは第2次世界大戦直後,つまり日本全体が食うや食わずの食糧不足・栄養失調だった時代,『肉が高くて買えないのなら魚や豆腐でもいいのです』『米がなかったら芋で我慢しましょう』と,最低限の栄養摂取を守るための『食品素材の交換』をわかりやすくまとめた,つまり栄養失調を防ぐ,ごく実用的な工夫を提示したに過ぎないのです.
実際 昭和30年代までは,日本の各地で,栄養士・保険所がこの食品交換表を元に地域単位の講習を行い,栄養不良児を減らすという大きな実績をあげました.ここまではよかったのです.
しかし高度成長以降,「食糧不足」という言葉が死語になった時点で,食品交換表は当初の役割を終えたはずです.この時に,各大学の栄養学部は「健康学部」とでも改名して,食生活のみにこだわるのではなく,日常活動・運動も含めた総合的な健康増進に目を向けてパラダイム転換すべきだったのです.
にもかかわらず,健康を守るためのツールのひとつに過ぎなかった食品交換表を,それ自体自己目的化してしまい[注2],改訂のたびに「食の欧米化は悪」「脂肪は悪」,「食品交換表は日本人の理想食」という【イデオロギー】を持ち込まざるをえなくなりました.
そしてその瞬間から,日本の糖尿病標準食は,EBM(Evidence Based Medicine)ではなくて,IBM(Ideology Based Medicine)に成り下がってしまいました.イデオロギーに支配されてしまったため,エビデンスを基礎とした米国糖尿病学会の結論(=つまりScience)とは対極の位置に自らを追い込んでしまったのです.
[注2] 第7版への食品交換表改訂の際に,食品の糖質含有量を記載することにつき,『食品交換表が使いにくくなるから反対だ』と言う方がおられたのは,その典型です.
「報道機関はなによりも真実の報道が使命」という基本原則を逸脱したとして某新聞が叩かれていますが,ぜひとも日本糖尿病学会には,科学の基本に立ち返っていただきたいと存じます.】
2015年01月17日 (土)
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人やメタボ人は、低血糖の心配はほとんどないので、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病やメタボ改善を目指していただけば幸いです。
内服薬やインスリン注射なしの糖尿人が糖質制限食を実践すると、食後高血糖は改善しますが、低血糖にはなりません。
血糖値が正常範囲であるていど下がると、肝臓でアミノ酸・乳酸・グリセロール(脂肪の分解物)などから、ブドウ糖をつくるからです。
これを糖新生といいます。
血液検査で、活動性の膵炎がある場合、肝硬変の場合、そして長鎖脂肪酸代謝異常症は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は相対的に高脂肪食になるので、活動性膵炎には適応とならないのです。
進行した肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。
長鎖脂肪酸代謝異常症では、脂肪酸が上手く利用できないので、適応となりません。
腎機能に関して、日本腎臓病学会編「CKD診療ガイド2012」において、eGFR60ml/分以上あれば顕性たんぱく尿の段階でも、たんぱく質制限の必要なしと明示され、日本糖尿病学会も2013年3月の提言で、それに従うとしました。
従いまして、糖尿病腎症第3期でも、eGFR60ml/分以上なら、糖質制限食OKです。
また、米国糖尿病学会(ADA)は
Position Statement on Nutrition Therapy(栄養療法に関する声明)
Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版
において、糖尿病腎症患者に対する蛋白質制限の意義を明確に否定しました。
根拠はランク(A)ですので、信頼度の高いRCT研究論文に基づく見解です。
今後は、糖尿病腎症第3期以降で、eGFRが60ml/分未満の場合も、患者さんとよく相談して、
糖質制限食を実践するか否か、個別に対応することとなります。
なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、
まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。
また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。
糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。
【糖質制限食とは】
米国糖尿病協会(ADA)の患者教育用のテキストブックLife With Diabetesによれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。
これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
1997年版のLife With Diabetes(ADA刊行)では、
「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載がありましたが、2004年版以降は変更されています。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を上昇させます。
従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。
脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。
タンパク質はごく少量のインスリンを追加分泌させます。
現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。
食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。
また一日における、食前・食後・空腹時など血糖値の変動幅(平均血糖変動幅)が大きいほど、酸化ストレスが増強し動脈硬化のリスクとなることがわかってきました。
そして、食後高血糖と平均血糖変動幅増大を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。
炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には、55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。
一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても、糖質含有量は1gもないので、食後血糖は3mg未満の上昇しかないのです。
なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースに、できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。
抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら、薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。
なお糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。
日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド2014-2015」の
男性1400~2000kcal
女性1200~1800kcal
ほど厳しいカロリー制限は必要ありませんが、
「日本人の食事摂取基準」(2015年、厚生労働省)
に示す推定エネルギー必要量の範囲、
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf
推定エネルギー必要量
男性 女性
15-17才 2500 2850 3150 2050 2300 2550kcal/日
18-29才 2300 2650 3050 1650 1950 2200
30-49才 2300 2650 3050 1750 2000 2300
50-69才 2100 2450 2800 1650 1900 2200
70才 1850 2200 2500 1500 1750 2000
身体活動レベル 低い 普通 高い 低い 普通 高い
くらいが目安です。
なお、米国糖尿病学会は、2013年10月発表の『栄養療法に関する声明』において全ての糖尿病患者に適した唯一無二の治療食は存在しないと明記しました。
これはそのまま、日本糖尿病学会への痛烈な批判となっています。
そして、地中海食、ベジタリアン食、DASH食、低脂質食などと共に
「糖質制限食」も正式に受容しました。
<江部康二著 参考図書>
理論
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ」2005年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008年
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009年 宮本輝先生との対談本
「やせる食べ方」2010年
「うちの母は糖尿人」2010年 監修:江部康二 著:伊藤きのと
(東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010年(ナツメ社)
腹いっぱい食べて楽々痩せる『満腹ダイエット』 (ソフトバンク新書) 2011年
「主食をやめると健康になる」(ダイヤモンド社)2011年
「血糖コントロールの新常識! 糖質制限 完全ガイド」 (別冊宝島)2012年
「食品別糖質量ハンドブック」2012年(洋泉社)、
「糖質オフ!健康法」(PHP文庫)2012年
「主食を抜けば糖尿病はよくなる!糖質制限食のすすめ」(文春文庫)2012年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」(文春文庫)2012年
「女性のための糖質制限ダイエットハンドブック」2013年(洋泉社)
「糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド」2013年(東洋経済新報社)
「医療の巨大転換を加速する」糖質制限食と湿潤療法のインパクト
2013年(東洋経済新報社) 夏井睦先生との対談本
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ 新版」2014年(東洋経済新報社)
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!2 実践編 新版」2014年(東洋経済新報社)
「炭水化物の食べ過ぎで早死にしてはいけません」2014年(東洋経済新報社)
一生太らない「やせる! 食べ方」2014年 (PHP文庫)
レシピ
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006年(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん2009年(アスペクト)
dancyuプレジデントムック 「満腹ダイエット 」 2009年(プレジデント社)
「血糖値を上げない!健康おつまみ109」2010年(東洋経済新報社)
「やせる食べ方レシピ集」 2010年(東洋経済新報社)
「糖質オフダイエット 」2011年(レタスクラブ、角川マーケティング)
「誰もがストレスなくやせられる!糖質制限ダイエット」 2011年(講談社)
「主食を抜けば糖尿病はよくなる」レシピ集2011年(東洋経済新報社)
高雄病院の「糖質制限」給食2012年(講談社)
糖尿病がどんどんよくなる「糖質制限食」おすすめレシピ集2012年(ナツメ社)
糖質制限の「主食もどき」レシピ2013年(東洋経済新報社)
高雄病院Dr江部が食べている「糖質制限」ダイエット2013年(講談社)
糖質オフのダイエット弁当2013年(家の光協会)
高雄病院「糖質制限給食」朝 昼 夕 14日間完全プログラム
糖尿病・肥満改善が自宅でできる! 2013年(講談社)
2週間チャレンジ! 糖質制限の太らない生活 2014年(洋泉社mook)
DVD「糖質制限食を語る」http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php 2011年
【本ブログのコメント・質問・記事に関するお願い】
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
糖質制限食に関する質問についてですが、実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、医師としての責任・債務がありますので、個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。
一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、ボランティアで回答させていただいています。
診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。
私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。
また、ブログ記事や本に関しても同様に、糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。
従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m
そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。
またネットで簡単に検索可能なことは、ご自分でお調べください。
質問が増えてきましたので、糖質制限食と関わりがないと判断した質問にはお答えできない場合もありますので、ご了承ください。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文記事にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。
質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、質問がかなり増えてきていますので、なかなか即、お答えすることが困難となってきています。
糖質制限食に関わりのある全ての質問に、本文かコメントでお答えするようできるだけ努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
江部康二
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人やメタボ人は、低血糖の心配はほとんどないので、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病やメタボ改善を目指していただけば幸いです。
内服薬やインスリン注射なしの糖尿人が糖質制限食を実践すると、食後高血糖は改善しますが、低血糖にはなりません。
血糖値が正常範囲であるていど下がると、肝臓でアミノ酸・乳酸・グリセロール(脂肪の分解物)などから、ブドウ糖をつくるからです。
これを糖新生といいます。
血液検査で、活動性の膵炎がある場合、肝硬変の場合、そして長鎖脂肪酸代謝異常症は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は相対的に高脂肪食になるので、活動性膵炎には適応とならないのです。
進行した肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。
長鎖脂肪酸代謝異常症では、脂肪酸が上手く利用できないので、適応となりません。
腎機能に関して、日本腎臓病学会編「CKD診療ガイド2012」において、eGFR60ml/分以上あれば顕性たんぱく尿の段階でも、たんぱく質制限の必要なしと明示され、日本糖尿病学会も2013年3月の提言で、それに従うとしました。
従いまして、糖尿病腎症第3期でも、eGFR60ml/分以上なら、糖質制限食OKです。
また、米国糖尿病学会(ADA)は
Position Statement on Nutrition Therapy(栄養療法に関する声明)
Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版
において、糖尿病腎症患者に対する蛋白質制限の意義を明確に否定しました。
根拠はランク(A)ですので、信頼度の高いRCT研究論文に基づく見解です。
今後は、糖尿病腎症第3期以降で、eGFRが60ml/分未満の場合も、患者さんとよく相談して、
糖質制限食を実践するか否か、個別に対応することとなります。
なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、
まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。
また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。
糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。
【糖質制限食とは】
米国糖尿病協会(ADA)の患者教育用のテキストブックLife With Diabetesによれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。
これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
1997年版のLife With Diabetes(ADA刊行)では、
「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載がありましたが、2004年版以降は変更されています。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を上昇させます。
従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。
脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。
タンパク質はごく少量のインスリンを追加分泌させます。
現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。
食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。
また一日における、食前・食後・空腹時など血糖値の変動幅(平均血糖変動幅)が大きいほど、酸化ストレスが増強し動脈硬化のリスクとなることがわかってきました。
そして、食後高血糖と平均血糖変動幅増大を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。
炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には、55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。
一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても、糖質含有量は1gもないので、食後血糖は3mg未満の上昇しかないのです。
なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースに、できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。
抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら、薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。
なお糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。
日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド2014-2015」の
男性1400~2000kcal
女性1200~1800kcal
ほど厳しいカロリー制限は必要ありませんが、
「日本人の食事摂取基準」(2015年、厚生労働省)
に示す推定エネルギー必要量の範囲、
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf
推定エネルギー必要量
男性 女性
15-17才 2500 2850 3150 2050 2300 2550kcal/日
18-29才 2300 2650 3050 1650 1950 2200
30-49才 2300 2650 3050 1750 2000 2300
50-69才 2100 2450 2800 1650 1900 2200
70才 1850 2200 2500 1500 1750 2000
身体活動レベル 低い 普通 高い 低い 普通 高い
くらいが目安です。
なお、米国糖尿病学会は、2013年10月発表の『栄養療法に関する声明』において全ての糖尿病患者に適した唯一無二の治療食は存在しないと明記しました。
これはそのまま、日本糖尿病学会への痛烈な批判となっています。
そして、地中海食、ベジタリアン食、DASH食、低脂質食などと共に
「糖質制限食」も正式に受容しました。
<江部康二著 参考図書>
理論
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ」2005年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008年
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009年 宮本輝先生との対談本
「やせる食べ方」2010年
「うちの母は糖尿人」2010年 監修:江部康二 著:伊藤きのと
(東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010年(ナツメ社)
腹いっぱい食べて楽々痩せる『満腹ダイエット』 (ソフトバンク新書) 2011年
「主食をやめると健康になる」(ダイヤモンド社)2011年
「血糖コントロールの新常識! 糖質制限 完全ガイド」 (別冊宝島)2012年
「食品別糖質量ハンドブック」2012年(洋泉社)、
「糖質オフ!健康法」(PHP文庫)2012年
「主食を抜けば糖尿病はよくなる!糖質制限食のすすめ」(文春文庫)2012年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」(文春文庫)2012年
「女性のための糖質制限ダイエットハンドブック」2013年(洋泉社)
「糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド」2013年(東洋経済新報社)
「医療の巨大転換を加速する」糖質制限食と湿潤療法のインパクト
2013年(東洋経済新報社) 夏井睦先生との対談本
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ 新版」2014年(東洋経済新報社)
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!2 実践編 新版」2014年(東洋経済新報社)
「炭水化物の食べ過ぎで早死にしてはいけません」2014年(東洋経済新報社)
一生太らない「やせる! 食べ方」2014年 (PHP文庫)
レシピ
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006年(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん2009年(アスペクト)
dancyuプレジデントムック 「満腹ダイエット 」 2009年(プレジデント社)
「血糖値を上げない!健康おつまみ109」2010年(東洋経済新報社)
「やせる食べ方レシピ集」 2010年(東洋経済新報社)
「糖質オフダイエット 」2011年(レタスクラブ、角川マーケティング)
「誰もがストレスなくやせられる!糖質制限ダイエット」 2011年(講談社)
「主食を抜けば糖尿病はよくなる」レシピ集2011年(東洋経済新報社)
高雄病院の「糖質制限」給食2012年(講談社)
糖尿病がどんどんよくなる「糖質制限食」おすすめレシピ集2012年(ナツメ社)
糖質制限の「主食もどき」レシピ2013年(東洋経済新報社)
高雄病院Dr江部が食べている「糖質制限」ダイエット2013年(講談社)
糖質オフのダイエット弁当2013年(家の光協会)
高雄病院「糖質制限給食」朝 昼 夕 14日間完全プログラム
糖尿病・肥満改善が自宅でできる! 2013年(講談社)
2週間チャレンジ! 糖質制限の太らない生活 2014年(洋泉社mook)
DVD「糖質制限食を語る」http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php 2011年
【本ブログのコメント・質問・記事に関するお願い】
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
糖質制限食に関する質問についてですが、実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、医師としての責任・債務がありますので、個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。
一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、ボランティアで回答させていただいています。
診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。
私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。
また、ブログ記事や本に関しても同様に、糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。
従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m
そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。
またネットで簡単に検索可能なことは、ご自分でお調べください。
質問が増えてきましたので、糖質制限食と関わりがないと判断した質問にはお答えできない場合もありますので、ご了承ください。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文記事にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。
質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、質問がかなり増えてきていますので、なかなか即、お答えすることが困難となってきています。
糖質制限食に関わりのある全ての質問に、本文かコメントでお答えするようできるだけ努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
江部康二
2015年01月16日 (金)
【新型糖尿病薬服用、10人死亡 厚労省、適切使用指示へ
朝日新聞デジタル
田内康介2015年1月9日
新糖尿病治療薬の副作用報告
昨年4月以降に相次いで発売された新型の糖尿病治療薬を服用した患者10人が死亡していたことが、各製薬会社による副作用調査でわかった。因果関係は必ずしも明確でないが、脱水症を招き死亡につながったとみられる事例もあった。厚生労働省は適切な使用を呼びかけるため、添付文書を改訂するよう各社に指示する方針。
新薬は「SGLT2阻害薬」で、生活習慣が原因で患者数が多い2型糖尿病が対象。インスリンの分泌を促す従来の薬とちがい、尿中の糖を体内に吸収させるたんぱく質の働きを邪魔し、体外に出して血糖値を下げる。利尿作用があり、体重を減らす効果もあるとして注目されている。昨年4月以降、国内で6製品が販売され、専門家によると10万人以上が服用していると推定される。
朝日新聞が各社の調査を集計したところ、約3700人で約4800件の副作用報告があった。うち重篤なものは皮膚障害、尿路感染症、脱水症など630件で、10人が死亡していた。副作用報告は因果関係にかかわらず幅広く届けられる。】
こんばんは。
朝日新聞デジタル版に「新型糖尿病薬服用、10人死亡 厚労省、適切使用指示へ」という記事が載りました。
新型糖尿病内服薬とは「SGLT2阻害薬」のことです。
2014年4月に鳴り物入りで発売したものの、 いきなり死亡例が出て6月と8月に勧告(☆)ですから、 さしもの日本糖尿病学会も事態の深刻さには気がついて、 対応は早かったと思います。
しかし勧告後にも死亡例が相次いだことになります。
6月や8月の勧告にあるように 本来SGLT2阻害薬は、ごく限られた症例に使うべき薬剤です。
また、利尿剤との併用は推奨されないどころか禁忌と思います。
降圧剤の合剤で、利尿剤を含んでいるものもあるので、注意が必要です。
4月の発売時に、勧告レベルの注意喚起をしていれば、これほど重篤な副作用が多発することはなかったと思われますので 、やはり日本糖尿病学会の責任は重いと思います。
学会のプレスリリースにしても「夢の新薬」のようなイメージでした。
これにマスコミが安易に飛びつき、多くの糖尿病患者さんが偏った情報を鵜呑みにしてしまいました。
そして、SGLT2阻害薬はを長期に内服すると基礎代謝を落としてしまう可能性が高いので、短期間の使用ににとどめるべき薬剤です。
『SGLT2阻害薬を服用すると、1日あたりおよそ240kcalのエネルギーに相当するブドウ糖60gが尿から排泄される』
400kcal/日のエネルギーが排泄されるということは、単純理論的には痩せ続けることになります。
しかし、あるSGLT2阻害薬を投与開始して、一旦、37週で3kg減量になったあと、約6ヶ月目から再び体重が増え始め、最終的に102週間(2年間)90名くらいで評価して、体重は1.7kg減というデータがあります。
ということは、人体が毎日240kcal相当のブドウ糖が尿から排泄されることに関して、何らかの調整を行って、37週目でボトムになったあと、体重は102週目まで緩やかに増加して、1.3kg分は戻ったということです。
そうすると、仮説としてまず最初に考えられるのは、1日あたりおよそ240kcalのエネルギーに相当するブドウ糖が、尿から排泄される結果としてのカロリー制限に対し、人体が基礎代謝を低下させて対応して、それ以上の体重減少を防いだということです。
基礎代謝が低下すれば、人体に様々な悪影響が出ます。
夢の新薬のように登場したSGLT2阻害薬ですが、そんなええもんではなかったということです。
日本糖尿病学会は、発売までは、かなりSGLT2阻害剤を推奨していましたので、このたびの副作用の多発には、重い責任があると思います。
そもそも、きっちりスーパー糖質制限食なら、必要ない薬です。
江部康二
(☆)
以下は、日本糖尿病学会のサイトから抜粋です。
http://www.jds.or.jp/common/fckeditor/editor/filemanager/connectors/php/transfer.php?file=/uid000025_7265636F6D6D656E646174696F6E5F53474C54322E706466
SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation
策定:2014年6月13日
改訂:2014年8月29日
我が国で最初のSGLT2阻害薬が2014年4月17日発売され、続いて5月23日に新たにSGLT2阻害薬3剤が発売された。本薬剤は新しい作用機序を有する2型糖尿病薬であるが、治験の際に低血糖など糖尿病薬に共通する副作用に加えて、尿路・性器感染症など本薬剤に特徴的な副作用が認められていた。
加えて、本薬が広汎で複雑な代謝や循環への影響をきたしうることから、発売前から重篤なものを含む多様な副作用発症への懸念が持たれていた。発売開始から1ヶ月間の副作用報告を受け、重篤な副作用の懸念のうち、残念ながらいくつかが現実化したことを踏まえ、「SGLT2阻害薬の適正使用に関する委員会」を発足させ、検討を行い、6月13日に「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」を策定し公表した。
このたび、最初の副作用報告から2ヶ月半経過し新たな3剤の副作用報告も踏まえ最新の情報に基づき改訂を加えた。
8月17日の時点での各製剤の副作用報告によれば、予想された副作用である尿路・性器感染症に加え、重症低血糖、ケトアシドーシス、脳梗塞、全身性皮疹などの重篤な副作用がさらに増加している。
この中には、現時点では必ずしも因果関係が明らかでないものも含まれているが、多くが当初より懸念された副作用であることから、本委員会としては、これらの副作用情報をさらに広く共有することにより、今後、副作用のさらなる拡大を未然に防止することが必要と考え以下のRecommendationおよび具体的副作用事例とその対策を報告する。
Recommendation
1.インスリンやSU 薬等インスリン分泌促進薬と併用する場合には、低血糖に十分留意して、それらの用量を減じる(方法については下記参照)。インスリンとの併用は治験で安全性が検討されていないことから特に注意が必要である。患者にも低血糖に関する教育を十分行うこと。
2.高齢者への投与は、慎重に適応を考えたうえで開始する。発売から3ヶ月間に65歳以上の患者に投与する場合には、全例登録すること。
3.脱水防止について患者への説明も含めて十分に対策を講じること。利尿薬との併用は推奨されない。
4.発熱・下痢・嘔吐などがあるときないしは食思不振で食事が十分摂れないような場合(シックデイ)には必ず休薬する。
5.本剤投与後、薬疹を疑わせる紅斑などの皮膚症状が認められた場合には速やかに投与を中止し、皮膚科にコンサルテーションすること。また、必ず副作用報告を行うこと。
6.尿路感染・性器感染については、適宜問診・検査を行って、発見に努めること。問診では質問紙の活用も推奨される。発見時には、泌尿器科、婦人科にコンサルテーションすること。
7.原則として、本剤は当面他に2剤程度までの併用が推奨される。
以上、SGLT2阻害薬が発売されてから約3か月半の副作用情報を踏まえ、その使用にあたっての重要な注意喚起を行った。本薬剤は適応を十分に考慮した上で、添付文書に示されている安全性情報に十分な注意を払い、また本Recommendationを十分に踏まえて、特に安全性を最優先して適正使用されるべき薬剤である。
発売日から3ヵ月間に本剤を服用した高齢者(65歳以上)では全例の特定使用成績調査が定められており、是非ともそれに則った使用が推奨される。尚、本委員会は継続的にSGLT2阻害薬の安全性情報を収集・分析し、必要は注意喚起を行っていく。
「SGLT2阻害薬の適正使用に関する委員会」
京都大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌・栄養内科学 稲垣暢也
東京大学大学院医学系研究科 分子糖尿病科学 植木浩二郎
川崎医科大学 総合内科学1 加来浩平
東京大学大学院医学系研究科 糖尿病・代謝内科 門脇孝
関西電力病院 清野裕
旭川医科大学内科学講座病態代謝内科学分野羽田勝計
東京大学大学院医学系研究科皮膚科学 佐藤伸一
朝日新聞デジタル
田内康介2015年1月9日
新糖尿病治療薬の副作用報告
昨年4月以降に相次いで発売された新型の糖尿病治療薬を服用した患者10人が死亡していたことが、各製薬会社による副作用調査でわかった。因果関係は必ずしも明確でないが、脱水症を招き死亡につながったとみられる事例もあった。厚生労働省は適切な使用を呼びかけるため、添付文書を改訂するよう各社に指示する方針。
新薬は「SGLT2阻害薬」で、生活習慣が原因で患者数が多い2型糖尿病が対象。インスリンの分泌を促す従来の薬とちがい、尿中の糖を体内に吸収させるたんぱく質の働きを邪魔し、体外に出して血糖値を下げる。利尿作用があり、体重を減らす効果もあるとして注目されている。昨年4月以降、国内で6製品が販売され、専門家によると10万人以上が服用していると推定される。
朝日新聞が各社の調査を集計したところ、約3700人で約4800件の副作用報告があった。うち重篤なものは皮膚障害、尿路感染症、脱水症など630件で、10人が死亡していた。副作用報告は因果関係にかかわらず幅広く届けられる。】
こんばんは。
朝日新聞デジタル版に「新型糖尿病薬服用、10人死亡 厚労省、適切使用指示へ」という記事が載りました。
新型糖尿病内服薬とは「SGLT2阻害薬」のことです。
2014年4月に鳴り物入りで発売したものの、 いきなり死亡例が出て6月と8月に勧告(☆)ですから、 さしもの日本糖尿病学会も事態の深刻さには気がついて、 対応は早かったと思います。
しかし勧告後にも死亡例が相次いだことになります。
6月や8月の勧告にあるように 本来SGLT2阻害薬は、ごく限られた症例に使うべき薬剤です。
また、利尿剤との併用は推奨されないどころか禁忌と思います。
降圧剤の合剤で、利尿剤を含んでいるものもあるので、注意が必要です。
4月の発売時に、勧告レベルの注意喚起をしていれば、これほど重篤な副作用が多発することはなかったと思われますので 、やはり日本糖尿病学会の責任は重いと思います。
学会のプレスリリースにしても「夢の新薬」のようなイメージでした。
これにマスコミが安易に飛びつき、多くの糖尿病患者さんが偏った情報を鵜呑みにしてしまいました。
そして、SGLT2阻害薬はを長期に内服すると基礎代謝を落としてしまう可能性が高いので、短期間の使用ににとどめるべき薬剤です。
『SGLT2阻害薬を服用すると、1日あたりおよそ240kcalのエネルギーに相当するブドウ糖60gが尿から排泄される』
400kcal/日のエネルギーが排泄されるということは、単純理論的には痩せ続けることになります。
しかし、あるSGLT2阻害薬を投与開始して、一旦、37週で3kg減量になったあと、約6ヶ月目から再び体重が増え始め、最終的に102週間(2年間)90名くらいで評価して、体重は1.7kg減というデータがあります。
ということは、人体が毎日240kcal相当のブドウ糖が尿から排泄されることに関して、何らかの調整を行って、37週目でボトムになったあと、体重は102週目まで緩やかに増加して、1.3kg分は戻ったということです。
そうすると、仮説としてまず最初に考えられるのは、1日あたりおよそ240kcalのエネルギーに相当するブドウ糖が、尿から排泄される結果としてのカロリー制限に対し、人体が基礎代謝を低下させて対応して、それ以上の体重減少を防いだということです。
基礎代謝が低下すれば、人体に様々な悪影響が出ます。
夢の新薬のように登場したSGLT2阻害薬ですが、そんなええもんではなかったということです。
日本糖尿病学会は、発売までは、かなりSGLT2阻害剤を推奨していましたので、このたびの副作用の多発には、重い責任があると思います。
そもそも、きっちりスーパー糖質制限食なら、必要ない薬です。
江部康二
(☆)
以下は、日本糖尿病学会のサイトから抜粋です。
http://www.jds.or.jp/common/fckeditor/editor/filemanager/connectors/php/transfer.php?file=/uid000025_7265636F6D6D656E646174696F6E5F53474C54322E706466
SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation
策定:2014年6月13日
改訂:2014年8月29日
我が国で最初のSGLT2阻害薬が2014年4月17日発売され、続いて5月23日に新たにSGLT2阻害薬3剤が発売された。本薬剤は新しい作用機序を有する2型糖尿病薬であるが、治験の際に低血糖など糖尿病薬に共通する副作用に加えて、尿路・性器感染症など本薬剤に特徴的な副作用が認められていた。
加えて、本薬が広汎で複雑な代謝や循環への影響をきたしうることから、発売前から重篤なものを含む多様な副作用発症への懸念が持たれていた。発売開始から1ヶ月間の副作用報告を受け、重篤な副作用の懸念のうち、残念ながらいくつかが現実化したことを踏まえ、「SGLT2阻害薬の適正使用に関する委員会」を発足させ、検討を行い、6月13日に「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」を策定し公表した。
このたび、最初の副作用報告から2ヶ月半経過し新たな3剤の副作用報告も踏まえ最新の情報に基づき改訂を加えた。
8月17日の時点での各製剤の副作用報告によれば、予想された副作用である尿路・性器感染症に加え、重症低血糖、ケトアシドーシス、脳梗塞、全身性皮疹などの重篤な副作用がさらに増加している。
この中には、現時点では必ずしも因果関係が明らかでないものも含まれているが、多くが当初より懸念された副作用であることから、本委員会としては、これらの副作用情報をさらに広く共有することにより、今後、副作用のさらなる拡大を未然に防止することが必要と考え以下のRecommendationおよび具体的副作用事例とその対策を報告する。
Recommendation
1.インスリンやSU 薬等インスリン分泌促進薬と併用する場合には、低血糖に十分留意して、それらの用量を減じる(方法については下記参照)。インスリンとの併用は治験で安全性が検討されていないことから特に注意が必要である。患者にも低血糖に関する教育を十分行うこと。
2.高齢者への投与は、慎重に適応を考えたうえで開始する。発売から3ヶ月間に65歳以上の患者に投与する場合には、全例登録すること。
3.脱水防止について患者への説明も含めて十分に対策を講じること。利尿薬との併用は推奨されない。
4.発熱・下痢・嘔吐などがあるときないしは食思不振で食事が十分摂れないような場合(シックデイ)には必ず休薬する。
5.本剤投与後、薬疹を疑わせる紅斑などの皮膚症状が認められた場合には速やかに投与を中止し、皮膚科にコンサルテーションすること。また、必ず副作用報告を行うこと。
6.尿路感染・性器感染については、適宜問診・検査を行って、発見に努めること。問診では質問紙の活用も推奨される。発見時には、泌尿器科、婦人科にコンサルテーションすること。
7.原則として、本剤は当面他に2剤程度までの併用が推奨される。
以上、SGLT2阻害薬が発売されてから約3か月半の副作用情報を踏まえ、その使用にあたっての重要な注意喚起を行った。本薬剤は適応を十分に考慮した上で、添付文書に示されている安全性情報に十分な注意を払い、また本Recommendationを十分に踏まえて、特に安全性を最優先して適正使用されるべき薬剤である。
発売日から3ヵ月間に本剤を服用した高齢者(65歳以上)では全例の特定使用成績調査が定められており、是非ともそれに則った使用が推奨される。尚、本委員会は継続的にSGLT2阻害薬の安全性情報を収集・分析し、必要は注意喚起を行っていく。
「SGLT2阻害薬の適正使用に関する委員会」
京都大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌・栄養内科学 稲垣暢也
東京大学大学院医学系研究科 分子糖尿病科学 植木浩二郎
川崎医科大学 総合内科学1 加来浩平
東京大学大学院医学系研究科 糖尿病・代謝内科 門脇孝
関西電力病院 清野裕
旭川医科大学内科学講座病態代謝内科学分野羽田勝計
東京大学大学院医学系研究科皮膚科学 佐藤伸一
2015年01月16日 (金)
おはようございます。
朝日カルチャーセンター名古屋教室にて
『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません』
-生活習慣病を予防&改善する糖質制限食-
と題して、講座の講師をつとめます。
2014年1月31日(土)
講演:16:00~17:30
質疑応答:17:30~18:00
糖尿病を始め、日本の4大死因、5大疾病と糖質制限食のお話しをします。
質疑応答も30分間とたっぷり時間をとりました。
名古屋、岐阜、東海地方の方々、奮ってご参加下さいね。
江部康二
☆☆☆
以下はアサヒカルチャー名古屋教室のサイトからの抜粋です
朝日カルチャーセンター名古屋教室
講座
『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません』
-生活習慣病を予防&改善する糖質制限食-
講師名 高雄病院理事長 江部 康二
講座内容
がん、心疾患、脳血管疾患、肺炎、これらは現代日本の4大死因です。厚生労働省が2011年に日本人の5大疾病を発表していますが、以前から多 かった、がん、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病に、新しく精神疾患を加えた5つの疾病を指します。
これらの病気の増加は、重大な社会問題であり早急な対 策が必要です。実はこれら全ての疾病の予防と治療に関して有効と考えられるのが糖質制限食です。米国糖尿病学会によれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
この生理学的事実をもとに糖尿病の治療に画期的な効果をあげて来た糖質制限食ですが、今回は他の様々な生活習慣病にも有効であることも、お話ししたいと思います。
■日時:1/31(土)16:00-17:30
■受講料:会員・一般ともに3,450円
■問い合わせ先:052-249-5553
朝日カルチャーセンター名古屋教室にて
『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません』
-生活習慣病を予防&改善する糖質制限食-
と題して、講座の講師をつとめます。
2014年1月31日(土)
講演:16:00~17:30
質疑応答:17:30~18:00
糖尿病を始め、日本の4大死因、5大疾病と糖質制限食のお話しをします。
質疑応答も30分間とたっぷり時間をとりました。
名古屋、岐阜、東海地方の方々、奮ってご参加下さいね。
江部康二
☆☆☆
以下はアサヒカルチャー名古屋教室のサイトからの抜粋です
朝日カルチャーセンター名古屋教室
講座
『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません』
-生活習慣病を予防&改善する糖質制限食-
講師名 高雄病院理事長 江部 康二
講座内容
がん、心疾患、脳血管疾患、肺炎、これらは現代日本の4大死因です。厚生労働省が2011年に日本人の5大疾病を発表していますが、以前から多 かった、がん、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病に、新しく精神疾患を加えた5つの疾病を指します。
これらの病気の増加は、重大な社会問題であり早急な対 策が必要です。実はこれら全ての疾病の予防と治療に関して有効と考えられるのが糖質制限食です。米国糖尿病学会によれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
この生理学的事実をもとに糖尿病の治療に画期的な効果をあげて来た糖質制限食ですが、今回は他の様々な生活習慣病にも有効であることも、お話ししたいと思います。
■日時:1/31(土)16:00-17:30
■受講料:会員・一般ともに3,450円
■問い合わせ先:052-249-5553
2015年01月15日 (木)
おはようございます。
糖質セイゲニストin大分主催
「糖質制限講演会&パネルディスカッション」
が、2015/3/1(日)に開催されます。
一般社団法人日本糖質制限医療推進協会が協賛です。
大分での講演会は初めてですので楽しみです。
また、講演会に加えて
パネラー
・江部康二
・立花秀俊先生 社団法人敬和会 大分東部病院 漢方・小児科部長
・井上健先生 医療法人社団上人会 上人病院 内科(循環器専門医)
・三島学氏 三島塾塾長 糖質セイゲニストin北九州世話人
・山﨑昌彦氏 九州食肉学問所学長 糖質セイゲニストin大分世話人
による、パネルディスカッションもあり、盛りだくさんな内容です。
大分を始め近隣の皆様、是非ご参加いただけば幸いです。
江部康二
☆☆☆
以下は、糖質セイゲニストin大分事務局からのご案内です。
糖質セイゲニストin大分主催
「糖質制限講演会&パネルディスカッション」
■日時:3月1日(日)10:00~13:00頃 ※入場受付は9:20~
■会場:ホルトホール大分 大会議室 ※JR大分駅より徒歩2分
大分県大分市金池町1丁目5番1号
http://www.horutohall-oita.jp/access/
■内容:
・第一部: 講演(講師:江部 康二)
・第二部: パネルディスカッション
パネラー
・江部康二先生 一般財団法人高雄病院理事長
・立花秀俊先生 社団法人敬和会 大分東部病院 漢方・小児科部長
・井上健先生 医療法人社団上人会 上人病院 内科(循環器専門医)
・三島学氏 三島塾塾長 糖質セイゲニストin北九州世話人
・山﨑昌彦氏 九州食肉学問所学長 糖質セイゲニストin大分世話人
*主催: 糖質セイゲニストin大分
*協賛: 一般社団法人日本糖質制限医療推進協会
※詳細・お申し込み方法は糖質セイゲニストin大分HPをご覧ください。
http://sugarbuster.jp/seminar/
糖質セイゲニストin大分主催
「糖質制限講演会&パネルディスカッション」
が、2015/3/1(日)に開催されます。
一般社団法人日本糖質制限医療推進協会が協賛です。
大分での講演会は初めてですので楽しみです。
また、講演会に加えて
パネラー
・江部康二
・立花秀俊先生 社団法人敬和会 大分東部病院 漢方・小児科部長
・井上健先生 医療法人社団上人会 上人病院 内科(循環器専門医)
・三島学氏 三島塾塾長 糖質セイゲニストin北九州世話人
・山﨑昌彦氏 九州食肉学問所学長 糖質セイゲニストin大分世話人
による、パネルディスカッションもあり、盛りだくさんな内容です。
大分を始め近隣の皆様、是非ご参加いただけば幸いです。
江部康二
☆☆☆
以下は、糖質セイゲニストin大分事務局からのご案内です。
糖質セイゲニストin大分主催
「糖質制限講演会&パネルディスカッション」
■日時:3月1日(日)10:00~13:00頃 ※入場受付は9:20~
■会場:ホルトホール大分 大会議室 ※JR大分駅より徒歩2分
大分県大分市金池町1丁目5番1号
http://www.horutohall-oita.jp/access/
■内容:
・第一部: 講演(講師:江部 康二)
・第二部: パネルディスカッション
パネラー
・江部康二先生 一般財団法人高雄病院理事長
・立花秀俊先生 社団法人敬和会 大分東部病院 漢方・小児科部長
・井上健先生 医療法人社団上人会 上人病院 内科(循環器専門医)
・三島学氏 三島塾塾長 糖質セイゲニストin北九州世話人
・山﨑昌彦氏 九州食肉学問所学長 糖質セイゲニストin大分世話人
*主催: 糖質セイゲニストin大分
*協賛: 一般社団法人日本糖質制限医療推進協会
※詳細・お申し込み方法は糖質セイゲニストin大分HPをご覧ください。
http://sugarbuster.jp/seminar/
2015年01月14日 (水)
【15/01/14 加賀美
IRI/BSが0.00以下
先生こんばんは。いつもためになるブログ楽しく読んでいます。
先日ブドウ糖負荷試験を行いました。
結果、主治医から「IRI/BSが極めて低い!う~ん。不思議なんだよ。インスリンが出てないのに血糖がそれほど高くない。IRI/BSが0.00以下なんてあまり見かけない。う~ん。」と言われてしまい、ブドウ糖負荷試験が再検査となりました。
今はジャヌビアとたまに外食時にベイスンを服用しています。
このような結果はどのようなことが考えられますでしょうか。また、糖質制限と何か関係はありますでしょうか。
今のところ、内服はしていますが、糖質は昼少しのみでかなり頑張っています。
空腹時 BS:88 インスリン:2.8
30分 BS:154 インスリン:.3.1
60分 BS:185 インスリン:36.9
120分 BS:146 インスリン51.6
でした。
先生のご指導がいただけましたら大変ありがたいです。よろしくお願い致します。】
加賀美さんから、インスリン低値だけども空腹時血糖値は正常というコメントをいただきました。
1)インスリン分泌指数
⊿IRI/⊿BS=0.004 確かに低いですね。
2)HOMA-β=40.32 と正常
インスリン抵抗性の指標
3)HOMA-R=0.6 と正常
75gブドウ糖負荷試験は、境界型です。
インスリン基礎分泌がやや低めですが、早朝空腹時血糖は正常なのでうまく折り合いがついていて、好ましいです。
基礎インスリンが低くて、早朝空腹時血糖が正常なのは、基礎分泌インスリンが高めで早朝空腹時血糖が正常な状態より良いことなのです。
これは糖質制限食の影響かもしれません。
さてインスリンには、24時間少量持続的に出ている基礎分泌と、糖質を摂取したときに大量にでる追加分泌があります。
一般に、
空腹時のIRI(インスリン)は、基礎分泌とインスリン抵抗性の評価に用います。
負荷後のIRI(インスリン)は、追加分泌の評価に用います。
追加分泌のインスリンには、即分泌される第1相と少し遅れて出る第2相があります。
正常人は、血糖値が上昇し始めたら即インスリンが追加分泌されます。
この第1相反応は、もともとプールされていたインスリンが5~10分間分泌されて、糖質摂取時の急激な食後高血糖を防いでいます。
その後、膵臓のベータ細胞は、第2相反応と呼ばれる持続するインスリン分泌を行います。
糖尿人の場合は、第1相が欠落・不足していたり、第2相も、不足・遷延したりすることが結構あるようです。
HOMA-βは、空腹時血糖値と空腹時インスリン値で計算するのですが、経口血糖負荷試験時の2時間値のインスリン分泌量と、よく相関することがわかっています。
インスリン分泌指数が低いので、加賀美さんは、第1相がかなり低値で糖尿人のよくあるパターンと言えます。
一方HOMA-βが正常ということは、加賀美さんの場合、インスリン追加分泌の第2相は正常にでていることになります。
罹病期間の長い糖尿人では、HOMA-βが基準値を下回ることが多いです。
それから、負荷後60分血糖値が180mg/dlを超えているので、将来糖尿病を発症しやすいです。
今から糖質制限食で、糖尿病発症を予防しましょう。
通常は、インスリン抵抗性があるとき、インスリンが多く出るようになります。
インスリン抵抗性はHOMA-IRで計算しますが、空腹時のIRI(インスリン)が上限近い、あるいはそれ以上あればそれだけでもインスリン抵抗性がある可能性が高いです。
空腹時のIRI(インスリン)の基準値は、施設にもよりますが3~15μU/mLくらいです。
加賀美さんは、インスリン抵抗性はなく、正常です。
そして少量のインスリンで空腹時血糖コントロールができており、好ましい状態と言えます。
つまりインスリンの効きがいいので、少量のインスリンで事足りているわけです。
従って、空腹時血糖値に関しては全く問題ないと思います。
私は、最近は、農耕以前(穀物摂取なし)の人類の早朝空腹時のインスリン値は、1.5~6.0μU/mlくらいが基準値ではなかったかと考えています。
つまり、空腹時IRI:10μU/mlなどは、基準値(3~15μU/ml)内ですが、すでに肥満などによるインスリン抵抗性があるのではないかと思うのです。
ただ、インンスリンがないと、人は死亡します。
実際、1921年にインスリンが合成されるまでは、1型糖尿病で内因性インスリンゼロの場合は平均余命は半年程度でした。
一方、インスリンは肥満ホルモンであり、過剰分泌では発癌性があり、アルツハイマー病のリスクともなり、老化のリスクでもあります。
つまり、インスリンというホルモンは人体に絶対に必要なのですが、血糖コントロールができている限りにおいて、その分泌が少なければ少ないほど身体には優しいのです。
言い換えれば、インスリン分泌が少なくてすむ食生活を心がけていれば、肥満、癌、アルツハイマー病、老化、動脈硬化などのリスクは減少するのです。
(1)インスリン分泌指数
インスリン追加分泌のうち初期追加分泌能はインスリン分泌指数で見る。
Insulinogenic index(⊿IRI/⊿BS)
=(負荷後30分IRI値-負荷後IRI値)/ (負荷後30分血糖値-負荷前血糖値)
0.4以上は初期追加分泌能維持。2型では0.3以下が多い。
(2)HOMA-β
<HOMA-β=360×空腹時インスリン値(μU/mL)/(空腹時血糖値(mg/dL)-63)>
経口血糖負荷試験時の2時間値のインスリン分泌量と、よく相関する。
空腹時血糖値130mg以下なら信頼度高い。
正常値:40-60
30%以下は軽度、15%以下は顕著なインスリン分泌低下。
(3)HOMA-IR インスリン抵抗性指標
<HOMA-R=空腹時血糖値(mg/dL)×空腹時インスリン値(μU/mL)/405 >
1.6以下が正常、2.5以上は抵抗性あり。
空腹時血糖値140mg以下なら信頼度高い。
(*)
HOMA-IRもHOMA-βも糖尿病が進行した状態では適応がない。
耐糖能異常から軽度の糖尿病までの時期において有用な方法である。
(**)
参考
改訂第5版「糖尿病専門医研修ガイドブック」日本糖尿病学会編(診断と治療社)2012
202ページ
江部康二
IRI/BSが0.00以下
先生こんばんは。いつもためになるブログ楽しく読んでいます。
先日ブドウ糖負荷試験を行いました。
結果、主治医から「IRI/BSが極めて低い!う~ん。不思議なんだよ。インスリンが出てないのに血糖がそれほど高くない。IRI/BSが0.00以下なんてあまり見かけない。う~ん。」と言われてしまい、ブドウ糖負荷試験が再検査となりました。
今はジャヌビアとたまに外食時にベイスンを服用しています。
このような結果はどのようなことが考えられますでしょうか。また、糖質制限と何か関係はありますでしょうか。
今のところ、内服はしていますが、糖質は昼少しのみでかなり頑張っています。
空腹時 BS:88 インスリン:2.8
30分 BS:154 インスリン:.3.1
60分 BS:185 インスリン:36.9
120分 BS:146 インスリン51.6
でした。
先生のご指導がいただけましたら大変ありがたいです。よろしくお願い致します。】
加賀美さんから、インスリン低値だけども空腹時血糖値は正常というコメントをいただきました。
1)インスリン分泌指数
⊿IRI/⊿BS=0.004 確かに低いですね。
2)HOMA-β=40.32 と正常
インスリン抵抗性の指標
3)HOMA-R=0.6 と正常
75gブドウ糖負荷試験は、境界型です。
インスリン基礎分泌がやや低めですが、早朝空腹時血糖は正常なのでうまく折り合いがついていて、好ましいです。
基礎インスリンが低くて、早朝空腹時血糖が正常なのは、基礎分泌インスリンが高めで早朝空腹時血糖が正常な状態より良いことなのです。
これは糖質制限食の影響かもしれません。
さてインスリンには、24時間少量持続的に出ている基礎分泌と、糖質を摂取したときに大量にでる追加分泌があります。
一般に、
空腹時のIRI(インスリン)は、基礎分泌とインスリン抵抗性の評価に用います。
負荷後のIRI(インスリン)は、追加分泌の評価に用います。
追加分泌のインスリンには、即分泌される第1相と少し遅れて出る第2相があります。
正常人は、血糖値が上昇し始めたら即インスリンが追加分泌されます。
この第1相反応は、もともとプールされていたインスリンが5~10分間分泌されて、糖質摂取時の急激な食後高血糖を防いでいます。
その後、膵臓のベータ細胞は、第2相反応と呼ばれる持続するインスリン分泌を行います。
糖尿人の場合は、第1相が欠落・不足していたり、第2相も、不足・遷延したりすることが結構あるようです。
HOMA-βは、空腹時血糖値と空腹時インスリン値で計算するのですが、経口血糖負荷試験時の2時間値のインスリン分泌量と、よく相関することがわかっています。
インスリン分泌指数が低いので、加賀美さんは、第1相がかなり低値で糖尿人のよくあるパターンと言えます。
一方HOMA-βが正常ということは、加賀美さんの場合、インスリン追加分泌の第2相は正常にでていることになります。
罹病期間の長い糖尿人では、HOMA-βが基準値を下回ることが多いです。
それから、負荷後60分血糖値が180mg/dlを超えているので、将来糖尿病を発症しやすいです。
今から糖質制限食で、糖尿病発症を予防しましょう。
通常は、インスリン抵抗性があるとき、インスリンが多く出るようになります。
インスリン抵抗性はHOMA-IRで計算しますが、空腹時のIRI(インスリン)が上限近い、あるいはそれ以上あればそれだけでもインスリン抵抗性がある可能性が高いです。
空腹時のIRI(インスリン)の基準値は、施設にもよりますが3~15μU/mLくらいです。
加賀美さんは、インスリン抵抗性はなく、正常です。
そして少量のインスリンで空腹時血糖コントロールができており、好ましい状態と言えます。
つまりインスリンの効きがいいので、少量のインスリンで事足りているわけです。
従って、空腹時血糖値に関しては全く問題ないと思います。
私は、最近は、農耕以前(穀物摂取なし)の人類の早朝空腹時のインスリン値は、1.5~6.0μU/mlくらいが基準値ではなかったかと考えています。
つまり、空腹時IRI:10μU/mlなどは、基準値(3~15μU/ml)内ですが、すでに肥満などによるインスリン抵抗性があるのではないかと思うのです。
ただ、インンスリンがないと、人は死亡します。
実際、1921年にインスリンが合成されるまでは、1型糖尿病で内因性インスリンゼロの場合は平均余命は半年程度でした。
一方、インスリンは肥満ホルモンであり、過剰分泌では発癌性があり、アルツハイマー病のリスクともなり、老化のリスクでもあります。
つまり、インスリンというホルモンは人体に絶対に必要なのですが、血糖コントロールができている限りにおいて、その分泌が少なければ少ないほど身体には優しいのです。
言い換えれば、インスリン分泌が少なくてすむ食生活を心がけていれば、肥満、癌、アルツハイマー病、老化、動脈硬化などのリスクは減少するのです。
(1)インスリン分泌指数
インスリン追加分泌のうち初期追加分泌能はインスリン分泌指数で見る。
Insulinogenic index(⊿IRI/⊿BS)
=(負荷後30分IRI値-負荷後IRI値)/ (負荷後30分血糖値-負荷前血糖値)
0.4以上は初期追加分泌能維持。2型では0.3以下が多い。
(2)HOMA-β
<HOMA-β=360×空腹時インスリン値(μU/mL)/(空腹時血糖値(mg/dL)-63)>
経口血糖負荷試験時の2時間値のインスリン分泌量と、よく相関する。
空腹時血糖値130mg以下なら信頼度高い。
正常値:40-60
30%以下は軽度、15%以下は顕著なインスリン分泌低下。
(3)HOMA-IR インスリン抵抗性指標
<HOMA-R=空腹時血糖値(mg/dL)×空腹時インスリン値(μU/mL)/405 >
1.6以下が正常、2.5以上は抵抗性あり。
空腹時血糖値140mg以下なら信頼度高い。
(*)
HOMA-IRもHOMA-βも糖尿病が進行した状態では適応がない。
耐糖能異常から軽度の糖尿病までの時期において有用な方法である。
(**)
参考
改訂第5版「糖尿病専門医研修ガイドブック」日本糖尿病学会編(診断と治療社)2012
202ページ
江部康二
2015年01月13日 (火)
こんにちは。
第18回日本病態栄養学会年次学術集会において、2015年1月10日(土)宗田先生がポスター発表されました。
私も共同発表者の一人です。
宗田哲男先生は、2014年の病態栄養学会年次学術集会で、普通に糖質を食べている女性における人工流産児の絨毛のβヒドロキシ酪酸値を、58検体測定され、平均1730μmol/Lで、通常の基準値(βヒドロキシ酪酸85μmol/l以下)に比し、はるかに高値であることを報告されました。
58検体全てが成人の基準値よりはるかに高値(20~30倍)でしたので、胎児のケトン体の基準値は成人よりかなり高値であると言えます。
これは世界で初めての報告であり、極めて貴重なデータです。(^-^)v(^-^)v
6週から18週までの胎児の絨毛間液のケトン体値がこれほど高値であることは、胎児の脳を始めとした組織の主たるエネルギー源はケトン体である可能性を示唆しており、このことはそのままケトン体の本質的安全性を証明するものです。
勿論58検体全例で、酸性血症(アシドーシス)ありませんでした。
今回は、耐糖能正常妊婦60名において、分娩時に胎盤組織液と臍帯血のβヒドロキシ酪酸値を測定です。
その結果、胎盤組織内のβヒドロキシ酪酸値は、平均2235.0μmol/Lであり、臍帯βヒドロキシ酪酸値は、平均779.2μmol/Lで、胎盤内が有意に高値でした。
胎盤組織内のβヒドロキシ酪酸値は、いわゆる基準値(85μmol/L以下)に対して20~30倍の高値でした。
胎盤でエネルギー源であるβヒドロキシ酪酸を産生して、胎児に供給しているということです。
前回は、妊娠初期の段階での絨毛間液の測定で、今回は分娩時の測定です。
これにより、妊娠初期から分娩時まで、胎盤のβヒドロキシ酪酸値は、一貫して成人の基準値の20~30倍という高値が当たり前ということが判明しました。
妊娠初期から分娩時まで、胎盤のβヒドロキシ酪酸高値は当たり前のことであり、再び安全性は確立されました。
胎盤組織内の血糖値は75~80mg/dlで、全ての妊婦で臍帯血の血糖値と比べて有意差なしですから、胎児は、ブドウ糖よりもβヒドロキシ酪酸などケトン体を主たるエネルギー源としているので、胎盤でせっせと生産していると考えられます。
つまり、胎児においてはケトン体高値は当たり前のことであり、危険であるどころか、主たるエネルギー源である可能性が極めて高いのです。
母体のケトン体が高値だと、出生児が2才時点で知能テストで低下がみられたというRizzo Tらの論文がよく引用されます。(*)
Rizzo Tらの論文は、βヒドロキシ酪酸値は100から180μmol/Lでの比較です。
正常分娩の胎盤のβヒドロキシ酪酸値は、平均2235.0μmol/L、臍帯血臍帯βヒドロキシ酪酸値は、平均779.2μmol/Lですので、Rizzo Tらの論文の、βヒドロキシ酪酸値「100から180μmol/L」というのが、いかに無意味であるかは一目瞭然です。
Rizzo Tらの論文は、結局、飢餓や血糖コントロール不良からの結果として、βヒドロキシ酪酸値が180μmol/Lと軽度高値になった母体のグループをチェックしたものと思われます。
(*)Rizzo T, Metzger BE, Burns WJ, Burns KC: Correlations between antepartum
maternal metabolism and child intelligence. N Engl J Med 325: 911-16, 1991.
江部康二
☆☆☆
以下宗田先生ポスター発表の抜粋。
第18回日本病態栄養学会年次学術集会。
ポスター22 小児栄養・母子栄養
第1日目 1月10 日(土) 18:00~18:56 イベントホール
P-169 胎児、新生児-胎盤系の高ケトン血症の研究(糖質制限食による妊娠管理第3報)
宗田マタニティクリニック 宗田 哲男、他
<目的>
糖質制限食では、βヒドロキシ酪酸値(以降ケトン体という)が上昇する。
これを危険なこととする考えがある一方、近年ケトン体は小児の重症てんかんの治療や活性酸素を無害化すること、アルツハイマー病の治療や予防、がん治療などにも使われて、積極的に脳の保護的エネルギー源になるという知見が増えている。
2013年、2014年と我々は、臍帯血、胎児、新生児には、高濃度のケトン体が存在することを発表した。
今回は初めて、胎盤組織内のケトン体を測定することができ、そこにさらに高濃度のケトン体があることを発見した。
これをもとに胎児、新生児、胎盤系のケトン体について検討した。
<方法>
60名の耐糖能が正常の妊婦の分娩時の胎盤と臍帯血のケトン体値(βヒドロキシ酪酸値)を検討。
<成績>
1)胎盤組織内のβヒドロキシ酪酸値は、平均2235.0μmol/Lであり
臍帯βヒドロキシ酪酸値は、平均779.2μmol/Lで、胎盤内が有意に高値であった。
胎盤組織内のβヒドロキシ酪酸値は、いわゆる基準値85μmol/Lに対して
20~30倍の高値であった。
2)胎盤組織内の血糖値は75~80mg/dlで、全ての妊婦で臍帯血の血糖値と比べて有意差なし。
<考察>
1)
ケトン体値は胎盤組織で極めて高く、血糖値は、臍帯と胎盤組織で差はない。
これは妊娠中の胎児の栄養代謝が脂肪酸に依存していることを示す。
自然流産の場合でも絨毛のケトン体は高値であって、これは絨毛でケトン体が産生されていることを示唆する。
2)
卵生動物、例えば両生類、鳥類などの卵には糖質はなく、脂肪とタンパク質で胎仔となる。
哺乳類はこれらの進化を受け継いで受精卵が着床し卵黄嚢造血を行う間巨大有核赤血球が存在する。
これは糖質がない状態で代謝が可能であることを示す。
3)
酸素の十分にない環境でも、ケトン体は効率的にエネルギーを生み、脳神経にも好影響を与える。
我々はこの時期の絨毛が、ケトン体2000μmol/Lになることを、2014年発表した。
妊娠初期から分娩まで胎児は高ケトン体環境下にある。
4)
RizzoTは、ケトン体高値が知能指数を低下させると述べたが(1991年)
そのケトン体値は100から180μmol/Lでの比較である。
ところが、
①つわりの妊婦でもケトン体は3000μmol/Lを超える。
②胎盤には、ケトン体が、常に2000μmol/Lは存在。
③新生児の4日-30日目のケトン体は240μmol/Lである。
RizzotTのいう知能低下は、ケトン体には無関係と考える。
5)
糖質制限食ではケトン体が上昇するが、胎児の体内環境を考えるとそもそもケトン体は上記のように高値であるので、危険なものではない。
胎児は脂肪酸-ケトン体をエネルギー源としていると考える。
6)
電極法ケトン体測定器は、臍帯血、胎盤組織液などでも酵素サイクリング法などのラボデータときわめて高い相関を示し、これらのケトン体の迅速な検査に利用できることがわかった。
<結論>
1)
妊娠中の胎児は母体からのブドウ糖を主なエネルギー源としていると言われてきたが、初期から全妊娠期間を通じて脂肪酸-ケトン体を中心にした栄養に依存していることが推測される。
2)
糖質制限食によるケトン体上昇は、脂肪酸代謝の結果であって、飢えの結果でもなく、危険なものでもない。
催奇形性や知能低下の影響因子とは考えにくい。
3)
胎児の影響環境は、ヒトの本来の栄養が、今ほど糖質依存ではなかった可能性を示している。
4)
ヒトの栄養代謝には、糖質制限食は、合理的なものであり、とくに、妊娠時は、妊娠糖尿病にも糖尿病合併妊娠に管理にも効果的で、安全であると考える。
第18回日本病態栄養学会年次学術集会において、2015年1月10日(土)宗田先生がポスター発表されました。
私も共同発表者の一人です。
宗田哲男先生は、2014年の病態栄養学会年次学術集会で、普通に糖質を食べている女性における人工流産児の絨毛のβヒドロキシ酪酸値を、58検体測定され、平均1730μmol/Lで、通常の基準値(βヒドロキシ酪酸85μmol/l以下)に比し、はるかに高値であることを報告されました。
58検体全てが成人の基準値よりはるかに高値(20~30倍)でしたので、胎児のケトン体の基準値は成人よりかなり高値であると言えます。
これは世界で初めての報告であり、極めて貴重なデータです。(^-^)v(^-^)v
6週から18週までの胎児の絨毛間液のケトン体値がこれほど高値であることは、胎児の脳を始めとした組織の主たるエネルギー源はケトン体である可能性を示唆しており、このことはそのままケトン体の本質的安全性を証明するものです。
勿論58検体全例で、酸性血症(アシドーシス)ありませんでした。
今回は、耐糖能正常妊婦60名において、分娩時に胎盤組織液と臍帯血のβヒドロキシ酪酸値を測定です。
その結果、胎盤組織内のβヒドロキシ酪酸値は、平均2235.0μmol/Lであり、臍帯βヒドロキシ酪酸値は、平均779.2μmol/Lで、胎盤内が有意に高値でした。
胎盤組織内のβヒドロキシ酪酸値は、いわゆる基準値(85μmol/L以下)に対して20~30倍の高値でした。
胎盤でエネルギー源であるβヒドロキシ酪酸を産生して、胎児に供給しているということです。
前回は、妊娠初期の段階での絨毛間液の測定で、今回は分娩時の測定です。
これにより、妊娠初期から分娩時まで、胎盤のβヒドロキシ酪酸値は、一貫して成人の基準値の20~30倍という高値が当たり前ということが判明しました。
妊娠初期から分娩時まで、胎盤のβヒドロキシ酪酸高値は当たり前のことであり、再び安全性は確立されました。
胎盤組織内の血糖値は75~80mg/dlで、全ての妊婦で臍帯血の血糖値と比べて有意差なしですから、胎児は、ブドウ糖よりもβヒドロキシ酪酸などケトン体を主たるエネルギー源としているので、胎盤でせっせと生産していると考えられます。
つまり、胎児においてはケトン体高値は当たり前のことであり、危険であるどころか、主たるエネルギー源である可能性が極めて高いのです。
母体のケトン体が高値だと、出生児が2才時点で知能テストで低下がみられたというRizzo Tらの論文がよく引用されます。(*)
Rizzo Tらの論文は、βヒドロキシ酪酸値は100から180μmol/Lでの比較です。
正常分娩の胎盤のβヒドロキシ酪酸値は、平均2235.0μmol/L、臍帯血臍帯βヒドロキシ酪酸値は、平均779.2μmol/Lですので、Rizzo Tらの論文の、βヒドロキシ酪酸値「100から180μmol/L」というのが、いかに無意味であるかは一目瞭然です。
Rizzo Tらの論文は、結局、飢餓や血糖コントロール不良からの結果として、βヒドロキシ酪酸値が180μmol/Lと軽度高値になった母体のグループをチェックしたものと思われます。
(*)Rizzo T, Metzger BE, Burns WJ, Burns KC: Correlations between antepartum
maternal metabolism and child intelligence. N Engl J Med 325: 911-16, 1991.
江部康二
☆☆☆
以下宗田先生ポスター発表の抜粋。
第18回日本病態栄養学会年次学術集会。
ポスター22 小児栄養・母子栄養
第1日目 1月10 日(土) 18:00~18:56 イベントホール
P-169 胎児、新生児-胎盤系の高ケトン血症の研究(糖質制限食による妊娠管理第3報)
宗田マタニティクリニック 宗田 哲男、他
<目的>
糖質制限食では、βヒドロキシ酪酸値(以降ケトン体という)が上昇する。
これを危険なこととする考えがある一方、近年ケトン体は小児の重症てんかんの治療や活性酸素を無害化すること、アルツハイマー病の治療や予防、がん治療などにも使われて、積極的に脳の保護的エネルギー源になるという知見が増えている。
2013年、2014年と我々は、臍帯血、胎児、新生児には、高濃度のケトン体が存在することを発表した。
今回は初めて、胎盤組織内のケトン体を測定することができ、そこにさらに高濃度のケトン体があることを発見した。
これをもとに胎児、新生児、胎盤系のケトン体について検討した。
<方法>
60名の耐糖能が正常の妊婦の分娩時の胎盤と臍帯血のケトン体値(βヒドロキシ酪酸値)を検討。
<成績>
1)胎盤組織内のβヒドロキシ酪酸値は、平均2235.0μmol/Lであり
臍帯βヒドロキシ酪酸値は、平均779.2μmol/Lで、胎盤内が有意に高値であった。
胎盤組織内のβヒドロキシ酪酸値は、いわゆる基準値85μmol/Lに対して
20~30倍の高値であった。
2)胎盤組織内の血糖値は75~80mg/dlで、全ての妊婦で臍帯血の血糖値と比べて有意差なし。
<考察>
1)
ケトン体値は胎盤組織で極めて高く、血糖値は、臍帯と胎盤組織で差はない。
これは妊娠中の胎児の栄養代謝が脂肪酸に依存していることを示す。
自然流産の場合でも絨毛のケトン体は高値であって、これは絨毛でケトン体が産生されていることを示唆する。
2)
卵生動物、例えば両生類、鳥類などの卵には糖質はなく、脂肪とタンパク質で胎仔となる。
哺乳類はこれらの進化を受け継いで受精卵が着床し卵黄嚢造血を行う間巨大有核赤血球が存在する。
これは糖質がない状態で代謝が可能であることを示す。
3)
酸素の十分にない環境でも、ケトン体は効率的にエネルギーを生み、脳神経にも好影響を与える。
我々はこの時期の絨毛が、ケトン体2000μmol/Lになることを、2014年発表した。
妊娠初期から分娩まで胎児は高ケトン体環境下にある。
4)
RizzoTは、ケトン体高値が知能指数を低下させると述べたが(1991年)
そのケトン体値は100から180μmol/Lでの比較である。
ところが、
①つわりの妊婦でもケトン体は3000μmol/Lを超える。
②胎盤には、ケトン体が、常に2000μmol/Lは存在。
③新生児の4日-30日目のケトン体は240μmol/Lである。
RizzotTのいう知能低下は、ケトン体には無関係と考える。
5)
糖質制限食ではケトン体が上昇するが、胎児の体内環境を考えるとそもそもケトン体は上記のように高値であるので、危険なものではない。
胎児は脂肪酸-ケトン体をエネルギー源としていると考える。
6)
電極法ケトン体測定器は、臍帯血、胎盤組織液などでも酵素サイクリング法などのラボデータときわめて高い相関を示し、これらのケトン体の迅速な検査に利用できることがわかった。
<結論>
1)
妊娠中の胎児は母体からのブドウ糖を主なエネルギー源としていると言われてきたが、初期から全妊娠期間を通じて脂肪酸-ケトン体を中心にした栄養に依存していることが推測される。
2)
糖質制限食によるケトン体上昇は、脂肪酸代謝の結果であって、飢えの結果でもなく、危険なものでもない。
催奇形性や知能低下の影響因子とは考えにくい。
3)
胎児の影響環境は、ヒトの本来の栄養が、今ほど糖質依存ではなかった可能性を示している。
4)
ヒトの栄養代謝には、糖質制限食は、合理的なものであり、とくに、妊娠時は、妊娠糖尿病にも糖尿病合併妊娠に管理にも効果的で、安全であると考える。
2015年01月12日 (月)
【15/01/11 しらねのぞるば
日本病態栄養学会2日目
注目のコントラバーシー2【妊娠中の糖質制限は適切か?】では,相変わらず福井先生は,糖質制限に対して,『懸念』を沢山並べ立てるという戦術で,もはや立ち位置があやふやになってきた印象です.
それにしても,さほど強力でもない「エビデンス」をあんなに多数出して大幅に時間オーバーしたのは,時間切れに持ち込んでDiscussion時間をなくしてしまえ,という作戦だったのでしょうか? だったら福井先生,大成功です. いよいよ本格的議論か,というところで終了時間になりましたからね.
対して山田先生は,ケトン体に対して従来からはかなり踏み込んで,『有害なものではない』から『神経細胞発達には不可欠のものである可能性』にまで言及されました.これは宗田先生の『胎児は,ケトン体で成長しているからこそ高濃度なのだ』という主張とも合致しています.
ただ,その一方で,ケトアシドーシスが起こる濃度にはできるだけ近づきたくないというスタンスから,安全なケトン体濃度は,エビデンス蓄積されるまでは言明できないという慎重な立場でしたね.
しかし,ついこの間までは,「ケトン体濃度=0が正常」と思っている方がほとんどだったのに,今やれっきとした学会会場で,血中ケトン体濃度はどこまでが安全か,しかもそれをμmol/lではなく, mmol/l単位で議論されるようになったのですね. やっとここまで来たかと時代の進展を感じると同時に,江部先生のこれまでのご努力に頭が下がります.
なおMain Hallで,ここまで進んだ議論が行われた一方で,逆の意味でまだまだすごい先生がおられるのですね.隣のB-1 Roomで行われた一般口演に,妊娠ラットにカゼイン50%もの餌を摂らせて,生まれてきた仔ラットはすべて異常だったという,ひどい発表がありましたが,江部先生含め,発表後の質問3件すべてが,『実験設定がおかしいのではないか.これでいったい何が言えるのか』だったのは当然でしたね.
この実験,予め導くべき結論を決めておいて,そうなるように実験条件を設定したとしか思えません.科学者にはあるまじき態度で,STAP細胞と同列だと思います.この結論を支持する方が会場にいなかったのがせめてもの救いですが.】
おはようございます。
しらねのぞるばさんから、第18回日本病態栄養学会2日のコントラバーシー2【妊娠中の糖質制限は適切か?】について、コメントをいただきました。
ありがとうございます。
ご指摘のように、福井氏の発表は、日本のガイドラインの引用が多くて、エビデンスとなる論文は少なくて、説得力に欠けました。
さらに、永井クリニック松本桃代管理栄養士の
「妊娠後期には糖質制限食には関係なくほとんどの妊婦で、βヒドロキシ酪酸が基準値より高値となる」
という質問に対して、妊婦で500μmol/Lとか、1000μmol/Lとかなら問題ないと発言されました。
懸念されるとして引用されたRizzoTの論文「ケトン体が高値で出産後の子の知能が低下する」は、180μmol/Lと100μmol/Lの比較ですから、語るに落ちるというやつですね。
山田悟氏の発表は、しっかりしたエビデンスに基づくもので説得力がありました。
妊婦のケトン体高値にたいしても、最後まで慎重な姿勢は崩さず、現時点では「ケトン体高値となるほどの糖質制限食は推奨されない」ということでした。
しかしながら、しらねのぞるばさんもご指摘のように
「ケトン体が神経細胞発達に不可欠なもの」「ケトン体には神経細胞保護作用、酸化ストレスを減らす作用」があると言及され、明確に「ケトン体には人体への有益な作用がある」ということを提示されました。
これは大きな変化と思います。
座長の杉山隆氏も、宗田マタニティクリニック宗田哲男医師に対して、約4分くらいの発言時間を設定していただき、好印象を持ちました。
しらねのぞるばさんの感想にもあるように、学会全体として、ケトン体や糖質制限食に対して、「無知・無理解」の段階から脱却して、知識を得ようという良い方向に向かっていると思いました。
なお宗田医師から「1型糖尿病妊婦がインスリンなしで無事出産で、母子共に健康」というお話がありました。
時間がなくて宗田医師が詳細を説明することができなかったので、簡単に経過を述べます。
まず、妊娠された女性が、検査でHbA1c12%以上で、しかも抗GAD抗体陽性で1型と診断されて、某大学病院で「即中絶してインスリン治療を開始しなさい」と説得されました。
この妊婦さんは、どうしても出産したいということで、自分で決断して糖質制限食を開始されました。
そのころ私のブログにコメントで相談されたので、「いざとなれば必ずインスリン治療を選択してください。」と説明して、宗田マタニティクリニックを紹介しました。
宗田医師も同一の考えで、逐一検査して、状態を正確に把握しながら、「中絶はしなくていいですが、必要ならインスリン治療を開始します」とこの1型糖尿病合併妊婦さんに説明されました。
ところが、宗田医師や私の懸念にも関わらず、血糖値の検査結果は、常に糖尿病妊娠の目標基準を満たして、健康そのもので経過しました。
血中ケトン体は2000μmol/Lを超える高値のこともありましたが、勿論アシドーシスはなく健康そのものでした。
1型ながら、内因性インスリンがまだあるていど確保されていたので、スーパー糖質制限食により、このような、奇跡的なことが可能だったのだと思います。
強調しますが、宗田医師がインスリンなしを奨めたということは一切なく、慎重に経過観察していった結果として、インスリンフリーのままで、母子共に健康な分娩ができたということです。
☆☆☆
第18回日本病態栄養学会年次学術集会
コントラバーシー2
1月11日(日) 14:00~15:00 Main Hall
◇妊娠中の糖質制限は適切か?
座長 東北大学病院 周産母子センター 杉山 隆
CV2-1 妊婦の糖質制限の懸念点
京都府立医科大学 内分泌・代謝内科学 福井 道明
CV2-2 妊娠中の糖質摂取をどうすべきか?
北里大学北里研究所病院 糖尿病センター 山田 悟
江部康二
日本病態栄養学会2日目
注目のコントラバーシー2【妊娠中の糖質制限は適切か?】では,相変わらず福井先生は,糖質制限に対して,『懸念』を沢山並べ立てるという戦術で,もはや立ち位置があやふやになってきた印象です.
それにしても,さほど強力でもない「エビデンス」をあんなに多数出して大幅に時間オーバーしたのは,時間切れに持ち込んでDiscussion時間をなくしてしまえ,という作戦だったのでしょうか? だったら福井先生,大成功です. いよいよ本格的議論か,というところで終了時間になりましたからね.
対して山田先生は,ケトン体に対して従来からはかなり踏み込んで,『有害なものではない』から『神経細胞発達には不可欠のものである可能性』にまで言及されました.これは宗田先生の『胎児は,ケトン体で成長しているからこそ高濃度なのだ』という主張とも合致しています.
ただ,その一方で,ケトアシドーシスが起こる濃度にはできるだけ近づきたくないというスタンスから,安全なケトン体濃度は,エビデンス蓄積されるまでは言明できないという慎重な立場でしたね.
しかし,ついこの間までは,「ケトン体濃度=0が正常」と思っている方がほとんどだったのに,今やれっきとした学会会場で,血中ケトン体濃度はどこまでが安全か,しかもそれをμmol/lではなく, mmol/l単位で議論されるようになったのですね. やっとここまで来たかと時代の進展を感じると同時に,江部先生のこれまでのご努力に頭が下がります.
なおMain Hallで,ここまで進んだ議論が行われた一方で,逆の意味でまだまだすごい先生がおられるのですね.隣のB-1 Roomで行われた一般口演に,妊娠ラットにカゼイン50%もの餌を摂らせて,生まれてきた仔ラットはすべて異常だったという,ひどい発表がありましたが,江部先生含め,発表後の質問3件すべてが,『実験設定がおかしいのではないか.これでいったい何が言えるのか』だったのは当然でしたね.
この実験,予め導くべき結論を決めておいて,そうなるように実験条件を設定したとしか思えません.科学者にはあるまじき態度で,STAP細胞と同列だと思います.この結論を支持する方が会場にいなかったのがせめてもの救いですが.】
おはようございます。
しらねのぞるばさんから、第18回日本病態栄養学会2日のコントラバーシー2【妊娠中の糖質制限は適切か?】について、コメントをいただきました。
ありがとうございます。
ご指摘のように、福井氏の発表は、日本のガイドラインの引用が多くて、エビデンスとなる論文は少なくて、説得力に欠けました。
さらに、永井クリニック松本桃代管理栄養士の
「妊娠後期には糖質制限食には関係なくほとんどの妊婦で、βヒドロキシ酪酸が基準値より高値となる」
という質問に対して、妊婦で500μmol/Lとか、1000μmol/Lとかなら問題ないと発言されました。
懸念されるとして引用されたRizzoTの論文「ケトン体が高値で出産後の子の知能が低下する」は、180μmol/Lと100μmol/Lの比較ですから、語るに落ちるというやつですね。
山田悟氏の発表は、しっかりしたエビデンスに基づくもので説得力がありました。
妊婦のケトン体高値にたいしても、最後まで慎重な姿勢は崩さず、現時点では「ケトン体高値となるほどの糖質制限食は推奨されない」ということでした。
しかしながら、しらねのぞるばさんもご指摘のように
「ケトン体が神経細胞発達に不可欠なもの」「ケトン体には神経細胞保護作用、酸化ストレスを減らす作用」があると言及され、明確に「ケトン体には人体への有益な作用がある」ということを提示されました。
これは大きな変化と思います。
座長の杉山隆氏も、宗田マタニティクリニック宗田哲男医師に対して、約4分くらいの発言時間を設定していただき、好印象を持ちました。
しらねのぞるばさんの感想にもあるように、学会全体として、ケトン体や糖質制限食に対して、「無知・無理解」の段階から脱却して、知識を得ようという良い方向に向かっていると思いました。
なお宗田医師から「1型糖尿病妊婦がインスリンなしで無事出産で、母子共に健康」というお話がありました。
時間がなくて宗田医師が詳細を説明することができなかったので、簡単に経過を述べます。
まず、妊娠された女性が、検査でHbA1c12%以上で、しかも抗GAD抗体陽性で1型と診断されて、某大学病院で「即中絶してインスリン治療を開始しなさい」と説得されました。
この妊婦さんは、どうしても出産したいということで、自分で決断して糖質制限食を開始されました。
そのころ私のブログにコメントで相談されたので、「いざとなれば必ずインスリン治療を選択してください。」と説明して、宗田マタニティクリニックを紹介しました。
宗田医師も同一の考えで、逐一検査して、状態を正確に把握しながら、「中絶はしなくていいですが、必要ならインスリン治療を開始します」とこの1型糖尿病合併妊婦さんに説明されました。
ところが、宗田医師や私の懸念にも関わらず、血糖値の検査結果は、常に糖尿病妊娠の目標基準を満たして、健康そのもので経過しました。
血中ケトン体は2000μmol/Lを超える高値のこともありましたが、勿論アシドーシスはなく健康そのものでした。
1型ながら、内因性インスリンがまだあるていど確保されていたので、スーパー糖質制限食により、このような、奇跡的なことが可能だったのだと思います。
強調しますが、宗田医師がインスリンなしを奨めたということは一切なく、慎重に経過観察していった結果として、インスリンフリーのままで、母子共に健康な分娩ができたということです。
☆☆☆
第18回日本病態栄養学会年次学術集会
コントラバーシー2
1月11日(日) 14:00~15:00 Main Hall
◇妊娠中の糖質制限は適切か?
座長 東北大学病院 周産母子センター 杉山 隆
CV2-1 妊婦の糖質制限の懸念点
京都府立医科大学 内分泌・代謝内科学 福井 道明
CV2-2 妊娠中の糖質摂取をどうすべきか?
北里大学北里研究所病院 糖尿病センター 山田 悟
江部康二
2015年01月11日 (日)
【15/01/10 しらねのぞるば
Re: 病態栄養学会迫る!
日本病態栄養学会の1日目AM参加感想です.
1日目午前は会長講演・基調講演などでした.
和食が世界遺産に登録されたのに便乗して,今回の病態栄養学会では,「和食文化」をテーマにとりあげました.総会では「京都和食宣言2015」を決議するという悪乗りぶりです. つまり,「和食は日本の伝統文化であり,日本人の健康食である」→「したがって,和食をベースにした食品交換表は,健康人・病人の理想食」と,こういう流れにしたいのでしょうか.
ところが,基調講演では,栄養学の立場ではない先生方から,歴史・文化の観点も含めた講演が行われ,その内容を聴講すると,必ずしも学会の意図通りにはならなかったようです.
静岡文化芸術大 熊倉学長や料亭菊之井 村田主人の講演は,「和食は,単にその構成成分だけで論議されるべきものではなく,盛り付け・食べ方まで含めた文化そのものなのだ」などと,たしかに日本伝統食の歴史的深みを感じさせる内容でした.
特に熊倉先生は,ご飯の椀を常に片手に持ち,各種の菜とご飯を同時に食べて『口中調理』する食べ方まで含めて和食なのだと強調されていましたが,これは完全に「食べ順療法」とは正反対ですね.学会が和食を推奨するのなら,ここはどうするのでしょう.
なお「日本でのみ作られ,食べられている食事が和食である」と定義してしまうと,たこ焼きやお好み焼き,果てはカツカレー・オムライスまで和食になる,には笑いましたが,.
基調講演3番目では,実際に高級懐石 京料理1食分をまるまる分析した実例が報告されました(京大農 伏木先生).
その結果は,全83品目・850Kcalと,(ファミレスのハンバーグがそれだけで600kcalあることを思えば)たしかにヘルシーではありますが,そのカロリー比を見ると,脂質28%,蛋白質42%,炭水化物30%であったそうです.
これほど食品交換表とかけ離れた京料理を「和食」の名の元にひっくるめようとするのは,あまりにも無理があると感じました.
また,炭水化物カロリー比30%って,糖尿病学会の言う,「やってはならない糖質制限食」に該当してしまうのではないですか?
さらに糖尿病学会は,「昔の日本人は脂質の摂取カロリー比率が10%以下だったが,現在では食の欧米化で25%を越えている.これが糖尿病・肥満の原因だ」と何度も繰り返していますが,京料理は例外なのでしょうか? 】
こんにちは。
しらねのぞるばさんから、第18回日本病態栄養学会年次学術集会、1日目午前中の感想をコメントいだきました。
ありがとうございます。
「熊倉先生は,ご飯の椀を常に片手に持ち,各種の菜とご飯を同時に食べて『口中調理』する食べ方まで含めて和食なのだと強調されていましたが,これは完全に「食べ順療法」とは正反対ですね」
熊倉先生、なかなか鋭いご指摘です。
そうなると、「食べる順番療法」は、和食破壊に等しいルール違反となりますね。
「高級懐石 京料理1食分をまるまる分析した実例が報告されました(京大農 伏木先生).・・・そのカロリー比を見ると,脂質28%,蛋白質42%,炭水化物30% 」
これは、私もびっくりですが、痛快ですね。
そう言われてみれば、
一般的な懐石料理のメニュー
先付(さきづけ) ・・・ 前菜
椀物(わんもの) ・・・ 吸い物
向付(むこうづけ) ・・・ 刺身
鉢肴(はちざかな) ・・・ 焼き物
強肴(しいざかな) ・・・ 煮物
止め肴 ・・・ 原則として酢肴(酢の物)、または和え物
食事 ・・・ ご飯・止め椀(味噌汁)・香の物(漬物)
水菓子 ・・・果物
刺身、焼き物、煮物・・・確かにタンパク質が多いですよね。
日本糖尿病学会の糖尿病治療ガイド2014-2015によれば、三大栄養素の推奨構成バランスは
「脂質25%以下、タンパク質15~25%、糖質50~60%」
ですから、「高級懐石 京料理」似ても似つかぬ比率どころか、どうみても「糖質制限食」ではないですか。ヾ(゜▽゜)
いやはや糖尿病学会さんには、痛烈な皮肉となりましたね。
江部康二
Re: 病態栄養学会迫る!
日本病態栄養学会の1日目AM参加感想です.
1日目午前は会長講演・基調講演などでした.
和食が世界遺産に登録されたのに便乗して,今回の病態栄養学会では,「和食文化」をテーマにとりあげました.総会では「京都和食宣言2015」を決議するという悪乗りぶりです. つまり,「和食は日本の伝統文化であり,日本人の健康食である」→「したがって,和食をベースにした食品交換表は,健康人・病人の理想食」と,こういう流れにしたいのでしょうか.
ところが,基調講演では,栄養学の立場ではない先生方から,歴史・文化の観点も含めた講演が行われ,その内容を聴講すると,必ずしも学会の意図通りにはならなかったようです.
静岡文化芸術大 熊倉学長や料亭菊之井 村田主人の講演は,「和食は,単にその構成成分だけで論議されるべきものではなく,盛り付け・食べ方まで含めた文化そのものなのだ」などと,たしかに日本伝統食の歴史的深みを感じさせる内容でした.
特に熊倉先生は,ご飯の椀を常に片手に持ち,各種の菜とご飯を同時に食べて『口中調理』する食べ方まで含めて和食なのだと強調されていましたが,これは完全に「食べ順療法」とは正反対ですね.学会が和食を推奨するのなら,ここはどうするのでしょう.
なお「日本でのみ作られ,食べられている食事が和食である」と定義してしまうと,たこ焼きやお好み焼き,果てはカツカレー・オムライスまで和食になる,には笑いましたが,.
基調講演3番目では,実際に高級懐石 京料理1食分をまるまる分析した実例が報告されました(京大農 伏木先生).
その結果は,全83品目・850Kcalと,(ファミレスのハンバーグがそれだけで600kcalあることを思えば)たしかにヘルシーではありますが,そのカロリー比を見ると,脂質28%,蛋白質42%,炭水化物30%であったそうです.
これほど食品交換表とかけ離れた京料理を「和食」の名の元にひっくるめようとするのは,あまりにも無理があると感じました.
また,炭水化物カロリー比30%って,糖尿病学会の言う,「やってはならない糖質制限食」に該当してしまうのではないですか?
さらに糖尿病学会は,「昔の日本人は脂質の摂取カロリー比率が10%以下だったが,現在では食の欧米化で25%を越えている.これが糖尿病・肥満の原因だ」と何度も繰り返していますが,京料理は例外なのでしょうか? 】
こんにちは。
しらねのぞるばさんから、第18回日本病態栄養学会年次学術集会、1日目午前中の感想をコメントいだきました。
ありがとうございます。
「熊倉先生は,ご飯の椀を常に片手に持ち,各種の菜とご飯を同時に食べて『口中調理』する食べ方まで含めて和食なのだと強調されていましたが,これは完全に「食べ順療法」とは正反対ですね」
熊倉先生、なかなか鋭いご指摘です。
そうなると、「食べる順番療法」は、和食破壊に等しいルール違反となりますね。
「高級懐石 京料理1食分をまるまる分析した実例が報告されました(京大農 伏木先生).・・・そのカロリー比を見ると,脂質28%,蛋白質42%,炭水化物30% 」
これは、私もびっくりですが、痛快ですね。
そう言われてみれば、
一般的な懐石料理のメニュー
先付(さきづけ) ・・・ 前菜
椀物(わんもの) ・・・ 吸い物
向付(むこうづけ) ・・・ 刺身
鉢肴(はちざかな) ・・・ 焼き物
強肴(しいざかな) ・・・ 煮物
止め肴 ・・・ 原則として酢肴(酢の物)、または和え物
食事 ・・・ ご飯・止め椀(味噌汁)・香の物(漬物)
水菓子 ・・・果物
刺身、焼き物、煮物・・・確かにタンパク質が多いですよね。
日本糖尿病学会の糖尿病治療ガイド2014-2015によれば、三大栄養素の推奨構成バランスは
「脂質25%以下、タンパク質15~25%、糖質50~60%」
ですから、「高級懐石 京料理」似ても似つかぬ比率どころか、どうみても「糖質制限食」ではないですか。ヾ(゜▽゜)
いやはや糖尿病学会さんには、痛烈な皮肉となりましたね。
江部康二
2015年01月10日 (土)
こんにちは。
2015年1月10日(土)11日(日)
国立京都京都国際会館で、第18回日本病態栄養学会年次学術集会が開催されています。
私も今から出かけます。
1月10日(土)宗田先生のご発表、とても楽しみです。
永井クリニッックの松本桃代さん、生田佳絵さんのご発表も楽しみです。
コントラバシー2では、糖質制限食を正面から取り上げています。
宗田先生は、すでに2013年、2014年と、日本病態栄養学会年次学術集会において、臍帯血、胎児、新生児には高濃度のケトン体(βヒドロキシ酪酸)が存在することを発表されています。この事実が、コントラバシー2に反映されるか否かです。
杉山 隆氏、福井 道明氏、山田 悟氏のお三方とも、発言のなかで、この事実を全く無視するとしたら、科学者としての姿勢を疑うこととなります。
宗田マタニティクリニック、永井クリニック以外にも、井上病院 栄養科 梶塚 智子氏と東京大学医学部附属病院 病態栄養治療部 大谷 遼子氏も糖質制限食の演題です。
糖質制限食、広がりを見せているようです。
今回の宗田発表(第三報で最終章)で、いよいよ長年のケトン体への濡れ衣が、少なくとも生理学的事実において、払拭されたと思います。
ケトン体は、胎児においても、新生児においても、成人においても、インスリン作用が保たれている限りは、極めて安全な物質なのです。
江部康二
☆☆☆
第18回日本病態栄養学会年次学術集会
コントラバーシー2
1月11日(日) 14:00~15:00 Main Hall
◇妊娠中の糖質制限は適切か?
座長 東北大学病院 周産母子センター 杉山 隆
CV2-1 妊婦の糖質制限の懸念点
京都府立医科大学 内分泌・代謝内科学 福井 道明
CV2-2 妊娠中の糖質摂取をどうすべきか?
北里大学北里研究所病院 糖尿病センター 山田 悟
一般演題(ポスター)3・4 イベントホール
ポスター3 栄養教育・指導②
第1日目 1月10 日(土) 13:10~14:06 イベントホール
P-022 厳格な血糖コントロールを求め低炭水化物療法を実践した1 例
井上病院 栄養科 梶塚 智子、他
ポスター22 小児栄養・母子栄養
第1日目 1月10 日(土) 18:00~18:56 イベントホール
P-168 妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の導入効果の検証 第3 報
永井クリニック 松本 桃代、他
P-169 胎児、新生児-胎盤系の高ケトン血症の研究(糖質制限食による妊娠管理第3報)
宗田マタニティクリニック 宗田 哲男、他
一般演題28 糖尿病④
第2日目 1月11 日(日) 14:00~15:00 Room B-1
O-160 入院中糖質制限食を導入した患者の検討
東京大学医学部附属病院 病態栄養治療部 大谷 遼子、他
一般演題29 糖尿病⑤
O-164 妊娠糖尿病の産後検査の実態とアプローチ方法について
永井クリニック 生田 佳絵、他
2015年1月10日(土)11日(日)
国立京都京都国際会館で、第18回日本病態栄養学会年次学術集会が開催されています。
私も今から出かけます。
1月10日(土)宗田先生のご発表、とても楽しみです。
永井クリニッックの松本桃代さん、生田佳絵さんのご発表も楽しみです。
コントラバシー2では、糖質制限食を正面から取り上げています。
宗田先生は、すでに2013年、2014年と、日本病態栄養学会年次学術集会において、臍帯血、胎児、新生児には高濃度のケトン体(βヒドロキシ酪酸)が存在することを発表されています。この事実が、コントラバシー2に反映されるか否かです。
杉山 隆氏、福井 道明氏、山田 悟氏のお三方とも、発言のなかで、この事実を全く無視するとしたら、科学者としての姿勢を疑うこととなります。
宗田マタニティクリニック、永井クリニック以外にも、井上病院 栄養科 梶塚 智子氏と東京大学医学部附属病院 病態栄養治療部 大谷 遼子氏も糖質制限食の演題です。
糖質制限食、広がりを見せているようです。
今回の宗田発表(第三報で最終章)で、いよいよ長年のケトン体への濡れ衣が、少なくとも生理学的事実において、払拭されたと思います。
ケトン体は、胎児においても、新生児においても、成人においても、インスリン作用が保たれている限りは、極めて安全な物質なのです。
江部康二
☆☆☆
第18回日本病態栄養学会年次学術集会
コントラバーシー2
1月11日(日) 14:00~15:00 Main Hall
◇妊娠中の糖質制限は適切か?
座長 東北大学病院 周産母子センター 杉山 隆
CV2-1 妊婦の糖質制限の懸念点
京都府立医科大学 内分泌・代謝内科学 福井 道明
CV2-2 妊娠中の糖質摂取をどうすべきか?
北里大学北里研究所病院 糖尿病センター 山田 悟
一般演題(ポスター)3・4 イベントホール
ポスター3 栄養教育・指導②
第1日目 1月10 日(土) 13:10~14:06 イベントホール
P-022 厳格な血糖コントロールを求め低炭水化物療法を実践した1 例
井上病院 栄養科 梶塚 智子、他
ポスター22 小児栄養・母子栄養
第1日目 1月10 日(土) 18:00~18:56 イベントホール
P-168 妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の導入効果の検証 第3 報
永井クリニック 松本 桃代、他
P-169 胎児、新生児-胎盤系の高ケトン血症の研究(糖質制限食による妊娠管理第3報)
宗田マタニティクリニック 宗田 哲男、他
一般演題28 糖尿病④
第2日目 1月11 日(日) 14:00~15:00 Room B-1
O-160 入院中糖質制限食を導入した患者の検討
東京大学医学部附属病院 病態栄養治療部 大谷 遼子、他
一般演題29 糖尿病⑤
O-164 妊娠糖尿病の産後検査の実態とアプローチ方法について
永井クリニック 生田 佳絵、他
2015年01月09日 (金)
こんにちは
2014年度も、糖質制限食、医学界にも一般社会にも順調に普及が進んでいます。
嬉しい限りです。
2014年、東京、京都にて開催し、ご好評いただいた医療従事者向けセミナーを
2015年2月8日(日)、京都にて開催致します。
日本糖質制限医療推進協会主催 医療従事者向けセミナー(京都)
「糖質制限食による糖尿病指導~理論と実践~」
受付:12:30~
講演と質疑応答:12:45~16:30
場所: メルパルク京都 4F 研修室5
第一部、第二部では、糖尿病治療に関して、最新糖質制限食理論と共に
「すぐに良くなった症例」「苦労して良くなった症例」「1型の難しい症例」
など、実際に入院された患者さんのデータを見ながら検討します。
2014年に得られた最新の糖質制限食情報もお話しします。
第三部では、高雄病院の栄養指導の実際を橋本眞由美管理栄養士がお話しします。
参加頂いた皆さんには、前回と同様に、講演PPTスライドの、CD(PDFファイル)をお配りします。
関西、中国、九州の医療従事者の皆さん、奮ってご参加くださいね。
江部康二
****************
以下、事務局からのご案内です。
ブログ読者の皆様、講演会へいつも多数ご参加いただきまして
ありがとうございます。
2014年東京、京都にて開催し、ご好評いただいた医療従事者向けセミナーを
2015年2月8日(日)、京都にて開催致します。
第一部は基礎理論編、第二部は、症例の検討や薬剤の使い方など実践・応用編です。
第三部は高雄病院での糖質制限給食や栄養指導、健康講座などの取り組みについ ての講義です。
昨年度の講義をベースに難しい症例への対応や栄養士以外の取り組み事例なども 盛り込む予定です。
医療従事者の皆様の多数のご参加を心よりお待ちしております。
*2015年3月8日(日)に東京でも医療従事者向けセミナーを開催致します。
(詳細のご案内やお申し込みの受付は、1月中旬からとなります。)
///////////////////ご案内/////////////////////
日本糖質制限医療推進協会主催 医療従事者向けセミナー(京都)
「糖質制限食による糖尿病指導~理論と実践~」
■日時: 2015年2月8日(日)12:45~16:30頃 ※受付・会場:12:30~
■場所: メルパルク京都 4F 研修室5【萩】
京都市下京区東洞院通七条下ル東塩小路町676番13
http://www.mielparque.jp/kyoto/access/
☆アクセス:JR京都駅(烏丸中央口)から徒歩1分
■スケジュール:
第一部 12:45~13:35 「基礎理論」 ※講師A
休憩 13:35~13:45
第二部 13:45~14:35 「症例検討と薬剤の使い方など」 ※講師A
質疑応答 14:35~15:05
休憩 15:05~15:20
第三部 15:20~16:10
「高雄病院における糖質制限給食とその取り組み」※講師B
質疑応答 16:10~16:30
■講師:
A:江部 康二 医師
(一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長
B:橋本 眞由美 管理栄養士
(一財)高雄病院 栄養管理部 部長
■対象: 医療従事者(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、鍼灸師など)
■受講費: 賛助会員 8,000円 / 一般(非会員) 10,000円
※参加頂いた皆様には、映写・配布資料のデータ(PDF)CDをお配りします。
■お支払い方法:クレジットカード/銀行振込/郵便振替
※事前決済のみとなります。
※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。
■お申し込み方法:
・賛助会員の方
事務局までメールにて、医療機関でのご職種をご記入の上、お申し込み下さい。
・賛助会員入会をご希望の方
1.入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://toushitsuseigen.or.jp/member.html
2.お申し込みはこちらのフォームからお願いします。
http://toushitsuseigen.or.jp/contact.php
「お問い合せ内容」欄に以下をご記入ください。
①「2/8京都セミナー、受講希望」とご記入下さい。
②医療機関でのご職種をご記入下さい。
・一般(非会員)で、講演会の受講のみご希望の方
こちらのフォームよりお申し込み下さい。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/0625a3b0281969
■お申し込みの流れ:
1.会員の方はメールにて、会員以外の方は各種フォームにてご連絡下さい。
2.事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3.入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4.当日、直接会場までお越し下さい。
■その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは2月5日(木)までに事務局までご連絡願います。
それ以降のご返金は原則、対応致しかねますので予めご了承ください。
2014年度も、糖質制限食、医学界にも一般社会にも順調に普及が進んでいます。
嬉しい限りです。
2014年、東京、京都にて開催し、ご好評いただいた医療従事者向けセミナーを
2015年2月8日(日)、京都にて開催致します。
日本糖質制限医療推進協会主催 医療従事者向けセミナー(京都)
「糖質制限食による糖尿病指導~理論と実践~」
受付:12:30~
講演と質疑応答:12:45~16:30
場所: メルパルク京都 4F 研修室5
第一部、第二部では、糖尿病治療に関して、最新糖質制限食理論と共に
「すぐに良くなった症例」「苦労して良くなった症例」「1型の難しい症例」
など、実際に入院された患者さんのデータを見ながら検討します。
2014年に得られた最新の糖質制限食情報もお話しします。
第三部では、高雄病院の栄養指導の実際を橋本眞由美管理栄養士がお話しします。
参加頂いた皆さんには、前回と同様に、講演PPTスライドの、CD(PDFファイル)をお配りします。
関西、中国、九州の医療従事者の皆さん、奮ってご参加くださいね。
江部康二
****************
以下、事務局からのご案内です。
ブログ読者の皆様、講演会へいつも多数ご参加いただきまして
ありがとうございます。
2014年東京、京都にて開催し、ご好評いただいた医療従事者向けセミナーを
2015年2月8日(日)、京都にて開催致します。
第一部は基礎理論編、第二部は、症例の検討や薬剤の使い方など実践・応用編です。
第三部は高雄病院での糖質制限給食や栄養指導、健康講座などの取り組みについ ての講義です。
昨年度の講義をベースに難しい症例への対応や栄養士以外の取り組み事例なども 盛り込む予定です。
医療従事者の皆様の多数のご参加を心よりお待ちしております。
*2015年3月8日(日)に東京でも医療従事者向けセミナーを開催致します。
(詳細のご案内やお申し込みの受付は、1月中旬からとなります。)
///////////////////ご案内/////////////////////
日本糖質制限医療推進協会主催 医療従事者向けセミナー(京都)
「糖質制限食による糖尿病指導~理論と実践~」
■日時: 2015年2月8日(日)12:45~16:30頃 ※受付・会場:12:30~
■場所: メルパルク京都 4F 研修室5【萩】
京都市下京区東洞院通七条下ル東塩小路町676番13
http://www.mielparque.jp/kyoto/access/
☆アクセス:JR京都駅(烏丸中央口)から徒歩1分
■スケジュール:
第一部 12:45~13:35 「基礎理論」 ※講師A
休憩 13:35~13:45
第二部 13:45~14:35 「症例検討と薬剤の使い方など」 ※講師A
質疑応答 14:35~15:05
休憩 15:05~15:20
第三部 15:20~16:10
「高雄病院における糖質制限給食とその取り組み」※講師B
質疑応答 16:10~16:30
■講師:
A:江部 康二 医師
(一財)高雄病院 理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会 理事長
B:橋本 眞由美 管理栄養士
(一財)高雄病院 栄養管理部 部長
■対象: 医療従事者(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、鍼灸師など)
■受講費: 賛助会員 8,000円 / 一般(非会員) 10,000円
※参加頂いた皆様には、映写・配布資料のデータ(PDF)CDをお配りします。
■お支払い方法:クレジットカード/銀行振込/郵便振替
※事前決済のみとなります。
※領収書をご希望の場合は、領収書宛名もお知らせ願います。
■お申し込み方法:
・賛助会員の方
事務局までメールにて、医療機関でのご職種をご記入の上、お申し込み下さい。
・賛助会員入会をご希望の方
1.入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://toushitsuseigen.or.jp/member.html
2.お申し込みはこちらのフォームからお願いします。
http://toushitsuseigen.or.jp/contact.php
「お問い合せ内容」欄に以下をご記入ください。
①「2/8京都セミナー、受講希望」とご記入下さい。
②医療機関でのご職種をご記入下さい。
・一般(非会員)で、講演会の受講のみご希望の方
こちらのフォームよりお申し込み下さい。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/0625a3b0281969
■お申し込みの流れ:
1.会員の方はメールにて、会員以外の方は各種フォームにてご連絡下さい。
2.事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3.入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4.当日、直接会場までお越し下さい。
■その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは2月5日(木)までに事務局までご連絡願います。
それ以降のご返金は原則、対応致しかねますので予めご了承ください。
2015年01月08日 (木)
こんにちは。
朝日カルチャーセンター名古屋教室にて
『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません』
-生活習慣病を予防&改善する糖質制限食-
と題して、講座の講師をつとめます。
2014年1月31日(土)
講演:16:00~17:30
質疑応答:17:30~18:00
糖尿病を始め、日本の4大死因、5大疾病と糖質制限食のお話しをします。
質疑応答も30分間とたっぷり時間をとりました。
名古屋、岐阜、東海地方の方々、奮ってご参加下さいね。
江部康二
☆☆☆
以下はアサヒカルチャー名古屋教室のサイトからの抜粋です
朝日カルチャーセンター名古屋教室
講座
『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません』
-生活習慣病を予防&改善する糖質制限食-
講師名 高雄病院理事長 江部 康二
講座内容
がん、心疾患、脳血管疾患、肺炎、これらは現代日本の4大死因です。厚生労働省が2011年に日本人の5大疾病を発表していますが、以前から多 かった、がん、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病に、新しく精神疾患を加えた5つの疾病を指します。
これらの病気の増加は、重大な社会問題であり早急な対 策が必要です。実はこれら全ての疾病の予防と治療に関して有効と考えられるのが糖質制限食です。米国糖尿病学会によれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
この生理学的事実をもとに糖尿病の治療に画期的な効果をあげて来た糖質制限食ですが、今回は他の様々な生活習慣病にも有効であることも、お話ししたいと思います。
■日時:1/31(土)16:00-17:30
■受講料:会員・一般ともに3,450円
■問い合わせ先:052-249-5553
朝日カルチャーセンター名古屋教室にて
『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません』
-生活習慣病を予防&改善する糖質制限食-
と題して、講座の講師をつとめます。
2014年1月31日(土)
講演:16:00~17:30
質疑応答:17:30~18:00
糖尿病を始め、日本の4大死因、5大疾病と糖質制限食のお話しをします。
質疑応答も30分間とたっぷり時間をとりました。
名古屋、岐阜、東海地方の方々、奮ってご参加下さいね。
江部康二
☆☆☆
以下はアサヒカルチャー名古屋教室のサイトからの抜粋です
朝日カルチャーセンター名古屋教室
講座
『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません』
-生活習慣病を予防&改善する糖質制限食-
講師名 高雄病院理事長 江部 康二
講座内容
がん、心疾患、脳血管疾患、肺炎、これらは現代日本の4大死因です。厚生労働省が2011年に日本人の5大疾病を発表していますが、以前から多 かった、がん、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病に、新しく精神疾患を加えた5つの疾病を指します。
これらの病気の増加は、重大な社会問題であり早急な対 策が必要です。実はこれら全ての疾病の予防と治療に関して有効と考えられるのが糖質制限食です。米国糖尿病学会によれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
この生理学的事実をもとに糖尿病の治療に画期的な効果をあげて来た糖質制限食ですが、今回は他の様々な生活習慣病にも有効であることも、お話ししたいと思います。
■日時:1/31(土)16:00-17:30
■受講料:会員・一般ともに3,450円
■問い合わせ先:052-249-5553
2015年01月08日 (木)
【15/01/06 鈴木愛
江部先生へ
江部先生、はじめまして。
ブログは5年前から読ませていただいておりますが、コメント書き込みは初めてです。
私は奈良県に住む、鈴木愛と申します。
(よくある名前ですので、本名を書きます。先生も本名ですので礼儀上そうさせていただきます。)
私は5年前トイレが以上に近くなり、夜寝ていると足がこむろがえりで吊るし、イライラして精神状態がおかしくなりました。
それで主人が私を精神科に連れて行った際に血液検査をして、その時の血糖値が358、すぐ市立病院へ行くように言われました。
市立病院へ行くとA1cが12,8で、重度の糖尿病だと判明し、すぐに病院の管理栄養士の指導の元食事療法を始めました。
ですが、カロリー制限だけで、米やパンは食べろと言われるのです。
もちろん血糖値は下がりません。私はどうなるのだろうとネット検索したところ、幸運な事に江部先生のブログを発見する事が出来ました。
すぐに先生の本をネットで取り寄せて読み漁りました。そして糖質制限を始めて・・・。
半年でA1cが旧の数値で5,2となり、医師に驚かれるようになりました。
鈴木さんすごいですね、何をしてるんですか?と。
私は168cmで当時90kgあった肥満でしたが、半年でスーパー糖質制限のおかげで69kgまで落ち、その後もゆっくり体重が落ち現在は55kg前後で安定しております。
40歳の女にしては、すごくないでしょうか?主人も子供たちも驚いております。
これも全て江部先生のおかげです。ありがとうございます!!
なぜ病院の管理栄養士は、カロリー制限を勧めて、ご飯食べろパン食べろと言うのでしょうか。
私は当初教育入院をしたのです。2週間病院に入院して糖尿病の勉強をしたのですが、毎日どんぶりでご飯が出るのです。朝は食パン2枚も出るのです!!
当初は知識がないので出された給食を全て食べており、食後2時間の血糖値が250台で、どうして下がらないのか不思議でしたが、江部先生のおかげで全てが分かりました。
あれは殺人行為ですよね。(涙) 糖尿病患者に毎朝食パン2枚出して、夜はどんぶり飯ですもの・・・。
江部先生のおかげで90kgあった私が今では55kg前後で安定しております。
本当に本当に感謝しています。
もっと我が国に糖質制限が広がるといいのですが・・・。
江部先生は糖尿病患者の光です。
ありがとうございました。^^ 】
【15/01/06 鈴木愛
追伸
ちなみに、糖質制限を始めて私の食べているものですが・・・。
朝だけは定番で、ふすまで作った食パンに、マヨネーズととろけるチーズ、目玉焼きを乗せて塩コショウしトースターで焼いたものと、具沢山サラダ、わかめと人参、玉ねぎのスライスのポン酢和え、熱々の番茶。
昼は仕事をしていますので、いつも外食で、定食屋でご飯だけ抜いて食べます。
ご飯以外は全て食べて、定食にポテトサラダやかぼちゃの煮物など糖質の高いものがついていても喜んで食べます。^^
夜は大好きな焼酎のウーロン茶割りと、肉野菜炒めや具沢山サラダ、鍋、ステーキ、油揚げの餃子、鶏南蛮など、色々なものを作って食べています。
砂糖だけラカンカSにして、酒やみりんは市販の普通のものを使っていますが、それでも毎月のA1cは新基準で6,2以下を保っています。
旧数値ですと、5,8以下なので、結構良いと思うのですが。。。
体重は90kgあったのが、糖質制限のおかげでずっと55kg前後です。
うちは子供3人、主人がケーキや和菓子が大好きで、土日は3時のおやつに食べるのですが、私も土日だけは一緒に食べてしまっています。^^;
市販のチーズケーキ、いちごケーキ、どら焼き、まんじゅう等ですが、土日だけは、3時のおやつの時に食べています。
こうして、ゆるくやっている事が、5年間糖質制限を続けられた原因ではないかと思っています。
ご飯も、会社の宴会の時は全て食べていますし、毎月1度だけ鮨屋に行く事を自分に許し、お鮨お腹いっぱい食べています。
でも、鮨を食べた後は、家に帰ってすぐ踏み台昇降運動を1時間して、血糖値が上がらないように対策しています。
踏み台昇降はものすごく血糖値上昇を抑えます。疲れますが(苦笑)
お鮨が大好きなもので、月に1度だけ家族で鮨屋に行って思い切り食べるのが生き抜きです。
糖質制限していますが、鮨だけは諦められなくて。(涙)
鮨屋の鮨は美味しすぎますものね。。。
こんな、江部先生から見たらゆるゆるでダメダメかもしれませんが、生ぬるい糖質制限生活でも、ストレスが全くなく5年間続けて来れました。
本当に江部先生のおかげです。
何て感謝の気持ちを伝えたらいいのか。。。
ありがとうございます。
合掌。】
おはようございます。
鈴木愛 さんから
スーパー糖質制限食で、HbA1c改善、肥満脱却という
嬉しいコメントをいただきました。
鈴木愛さん
拙著のご購入、ありがとうございます。
5年前
168cm 90kg BMI:31.9
HbA1c 12.8%
スーパー糖質食開始半年後
168cm 69kg BMI:24.4
HbA1c 5.2%
5年後の現在は55kg BMI:19.5 HbA1cは6.2(NGSP)以下を維持
肥満脱却、HbA1c改善・・・素晴らしい成果です。
「毎日どんぶりでご飯が出るのです。朝は食パン2枚も出るのです!!
当初は知識がないので出された給食を全て食べており、食後2時間の血糖値が250台で、どうして下がらないのか不思議でしたが、江部先生のおかげで全てが分かりました。
あれは殺人行為ですよね。(涙) 糖尿病患者に毎朝食パン2枚出して、夜はどんぶり飯ですもの・・・。」
仰る通りと思います。
「血糖に直接影響するのは糖質だけであり、タンパク質・脂質は直接の影響はない」
ということは、日本以外の文明国では、医学部などで生理学的事実として教育されています。
現在、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」が、糖尿病合併症や動脈硬化の最大のリスクということは明白です。
そして、食後高血糖と平均血糖変動幅増大を生じるのは三大栄養素のうちで、糖質だけなのです。
ここまでわかっていて、毎日どんぶり飯に食パンでは、まさに「慢性殺人食」としか言いようがありません。
医師も栄養士ももう少し勉強して欲しいと思います。
「毎月1度だけ鮨屋に行く事を自分に許し、お鮨お腹いっぱい食べています。
でも、鮨を食べた後は、家に帰ってすぐ踏み台昇降運動を1時間して、血糖値が上がらないように対策しています。
踏み台昇降はものすごく血糖値上昇を抑えます。疲れますが(苦笑)」
糖質制限食において一番大切なことは、長く続けることですので、我慢我慢は辛すぎます。
我慢の代わりに、月一回のお鮨でおおいに楽しみ、かわりに踏み台昇降運動1時間で血糖値を下げる・・・
上手に折り合いがついていると思いますよ。
これからも美味しく楽しく糖質制限食をお続け下さいね。
江部康二
江部先生へ
江部先生、はじめまして。
ブログは5年前から読ませていただいておりますが、コメント書き込みは初めてです。
私は奈良県に住む、鈴木愛と申します。
(よくある名前ですので、本名を書きます。先生も本名ですので礼儀上そうさせていただきます。)
私は5年前トイレが以上に近くなり、夜寝ていると足がこむろがえりで吊るし、イライラして精神状態がおかしくなりました。
それで主人が私を精神科に連れて行った際に血液検査をして、その時の血糖値が358、すぐ市立病院へ行くように言われました。
市立病院へ行くとA1cが12,8で、重度の糖尿病だと判明し、すぐに病院の管理栄養士の指導の元食事療法を始めました。
ですが、カロリー制限だけで、米やパンは食べろと言われるのです。
もちろん血糖値は下がりません。私はどうなるのだろうとネット検索したところ、幸運な事に江部先生のブログを発見する事が出来ました。
すぐに先生の本をネットで取り寄せて読み漁りました。そして糖質制限を始めて・・・。
半年でA1cが旧の数値で5,2となり、医師に驚かれるようになりました。
鈴木さんすごいですね、何をしてるんですか?と。
私は168cmで当時90kgあった肥満でしたが、半年でスーパー糖質制限のおかげで69kgまで落ち、その後もゆっくり体重が落ち現在は55kg前後で安定しております。
40歳の女にしては、すごくないでしょうか?主人も子供たちも驚いております。
これも全て江部先生のおかげです。ありがとうございます!!
なぜ病院の管理栄養士は、カロリー制限を勧めて、ご飯食べろパン食べろと言うのでしょうか。
私は当初教育入院をしたのです。2週間病院に入院して糖尿病の勉強をしたのですが、毎日どんぶりでご飯が出るのです。朝は食パン2枚も出るのです!!
当初は知識がないので出された給食を全て食べており、食後2時間の血糖値が250台で、どうして下がらないのか不思議でしたが、江部先生のおかげで全てが分かりました。
あれは殺人行為ですよね。(涙) 糖尿病患者に毎朝食パン2枚出して、夜はどんぶり飯ですもの・・・。
江部先生のおかげで90kgあった私が今では55kg前後で安定しております。
本当に本当に感謝しています。
もっと我が国に糖質制限が広がるといいのですが・・・。
江部先生は糖尿病患者の光です。
ありがとうございました。^^ 】
【15/01/06 鈴木愛
追伸
ちなみに、糖質制限を始めて私の食べているものですが・・・。
朝だけは定番で、ふすまで作った食パンに、マヨネーズととろけるチーズ、目玉焼きを乗せて塩コショウしトースターで焼いたものと、具沢山サラダ、わかめと人参、玉ねぎのスライスのポン酢和え、熱々の番茶。
昼は仕事をしていますので、いつも外食で、定食屋でご飯だけ抜いて食べます。
ご飯以外は全て食べて、定食にポテトサラダやかぼちゃの煮物など糖質の高いものがついていても喜んで食べます。^^
夜は大好きな焼酎のウーロン茶割りと、肉野菜炒めや具沢山サラダ、鍋、ステーキ、油揚げの餃子、鶏南蛮など、色々なものを作って食べています。
砂糖だけラカンカSにして、酒やみりんは市販の普通のものを使っていますが、それでも毎月のA1cは新基準で6,2以下を保っています。
旧数値ですと、5,8以下なので、結構良いと思うのですが。。。
体重は90kgあったのが、糖質制限のおかげでずっと55kg前後です。
うちは子供3人、主人がケーキや和菓子が大好きで、土日は3時のおやつに食べるのですが、私も土日だけは一緒に食べてしまっています。^^;
市販のチーズケーキ、いちごケーキ、どら焼き、まんじゅう等ですが、土日だけは、3時のおやつの時に食べています。
こうして、ゆるくやっている事が、5年間糖質制限を続けられた原因ではないかと思っています。
ご飯も、会社の宴会の時は全て食べていますし、毎月1度だけ鮨屋に行く事を自分に許し、お鮨お腹いっぱい食べています。
でも、鮨を食べた後は、家に帰ってすぐ踏み台昇降運動を1時間して、血糖値が上がらないように対策しています。
踏み台昇降はものすごく血糖値上昇を抑えます。疲れますが(苦笑)
お鮨が大好きなもので、月に1度だけ家族で鮨屋に行って思い切り食べるのが生き抜きです。
糖質制限していますが、鮨だけは諦められなくて。(涙)
鮨屋の鮨は美味しすぎますものね。。。
こんな、江部先生から見たらゆるゆるでダメダメかもしれませんが、生ぬるい糖質制限生活でも、ストレスが全くなく5年間続けて来れました。
本当に江部先生のおかげです。
何て感謝の気持ちを伝えたらいいのか。。。
ありがとうございます。
合掌。】
おはようございます。
鈴木愛 さんから
スーパー糖質制限食で、HbA1c改善、肥満脱却という
嬉しいコメントをいただきました。
鈴木愛さん
拙著のご購入、ありがとうございます。
5年前
168cm 90kg BMI:31.9
HbA1c 12.8%
スーパー糖質食開始半年後
168cm 69kg BMI:24.4
HbA1c 5.2%
5年後の現在は55kg BMI:19.5 HbA1cは6.2(NGSP)以下を維持
肥満脱却、HbA1c改善・・・素晴らしい成果です。
「毎日どんぶりでご飯が出るのです。朝は食パン2枚も出るのです!!
当初は知識がないので出された給食を全て食べており、食後2時間の血糖値が250台で、どうして下がらないのか不思議でしたが、江部先生のおかげで全てが分かりました。
あれは殺人行為ですよね。(涙) 糖尿病患者に毎朝食パン2枚出して、夜はどんぶり飯ですもの・・・。」
仰る通りと思います。
「血糖に直接影響するのは糖質だけであり、タンパク質・脂質は直接の影響はない」
ということは、日本以外の文明国では、医学部などで生理学的事実として教育されています。
現在、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」が、糖尿病合併症や動脈硬化の最大のリスクということは明白です。
そして、食後高血糖と平均血糖変動幅増大を生じるのは三大栄養素のうちで、糖質だけなのです。
ここまでわかっていて、毎日どんぶり飯に食パンでは、まさに「慢性殺人食」としか言いようがありません。
医師も栄養士ももう少し勉強して欲しいと思います。
「毎月1度だけ鮨屋に行く事を自分に許し、お鮨お腹いっぱい食べています。
でも、鮨を食べた後は、家に帰ってすぐ踏み台昇降運動を1時間して、血糖値が上がらないように対策しています。
踏み台昇降はものすごく血糖値上昇を抑えます。疲れますが(苦笑)」
糖質制限食において一番大切なことは、長く続けることですので、我慢我慢は辛すぎます。
我慢の代わりに、月一回のお鮨でおおいに楽しみ、かわりに踏み台昇降運動1時間で血糖値を下げる・・・
上手に折り合いがついていると思いますよ。
これからも美味しく楽しく糖質制限食をお続け下さいね。
江部康二
2015年01月07日 (水)
【15/01/05 クロネコ
現在真っ只中です・・・笑
江部先生はじめまして。
検索サイトで「糖質制限 食べても満足できない」で検索し、こちらの記事を発見いたしました。
今まさしく自分の状況にぴったり過ぎて・・・思わずコメントさせていただきます笑
私が糖質制限に出会えたのがきっかけは、脂肪燃焼スープダイエットを始めた時に起こった頭痛でした。ご存知かもしれませんが、脂肪燃焼スープダイエットは食事中の糖質や脂質をできる限り省いたスープを7日間継続して食べるというものです。スープならいくらでも食べていいということだったのでお腹が空くたびに遠慮なく食べていました。しかし食べても食べてもお腹が空くばかり、挙句の果てには1日目の夜にはひどい頭痛と眩暈、脱力感が起こりました。毎年健康診断は2回受けており、問題ないといわれています。
調べた結果、それまでは重度の糖質依存症だったため、たった半日でも糖質を抜いただけでケトン体によるケトアシドーシス?というものになったのではと思いました。
自分なりに上記の言葉の意味や内容を調べているうちに「糖質制限食」「江部先生」の文字を度々拝見するようになりました。そして先生のブログに辿り着き糖質制限の素晴らしさに驚いています。
糖質制限をする前はダイエットはカロリーばかりを気にしていたため、肉を全く食べていませんでした。結果、十分なタンパク質が摂取できず、筋力と体力がひどく落ち・・・1時間も歩けなくなってしまったことがあります。女の人でこういう人多いと思います。肉は悪、そういうイメージが強かったです。
現在は夜間のみ強めの糖質制限をしていますが、その代わりにお肉と野菜ととナッツとチーズと・・・たくさん食べてます!すごく幸せです。カロリーで考えたら恐ろしい数値なんですけどね笑
体のラインも綺麗になったねって褒められるし、体力も同年代の子より全然あります。糖質制限に出会えて本当によかったです。
これからも応援しています! 】
こんにちは。
クロネコさんから、「満腹感と満足感は違う?炭水化物依存症からの脱却は?」という、2011年04月12日 (火)の本ブログ記事について興味深いコメントをいただきました。
ありがとうございます。
クロネコさん、糖質制限食実践で、体のラインも綺麗になって、体力増強、良かったです。
「脂肪燃焼スープダイエットは食事中の糖質や脂質をできる限り省いたスープを7日間継続して食べる」
脂肪燃焼スープダイエットは知りませんでした。
ただこれだと、タンパク質のみの摂取になるので、よほど大量に飲まない限り、必ず低カロリーになります。
例えば、タンパク質ばっかりの食材である
鰹の刺身は100gで136kcal
鳥のササミは100gで105kca
lしかないです。
スーパー糖質制限食を実践中に、時に「お腹が空く、頭痛、眩暈、脱力感、筋力低下・・・」といった症状を訴える方がおられます。
この場合、ほとんどの人が「糖質制限+脂質制限」をしていて、結果として低カロリー過ぎて上記のような症状がでているわけです。
脂肪はしっかり食べてエネルギー摂取量を充分確保すれば、そのような症状はすぐになくなります。
クロネコさんの場合も、ケトン体によるケトアシドーシスとかは全く無関係で、単純に 軽い低血糖か摂取エネルギー不足による症状だったと考えられます。
これからも美味しく楽しく必要充分量摂取して糖質制限食をお続け下さいね。
江部康二
参考
☆☆☆
満腹感と満足感は違う?炭水化物依存症からの脱却は?
2011年04月12日 (火)
こんにちは。
今日は、満腹感と満足感は違うのかを、考えてみます。
今日の記事は、あくまでも私の私見であり、仮説です。
スーパー糖質制限食で、例えば
牛サーロインステーキ300g(約1500kcal)、
カツオのたたき200g(約227kcal)、
ゆで卵2個(100g、約152kcal)
野菜サラダ240g(約42kcal)+マヨネーズ15g(105kcal)
を食べたとします。
合計855gで、約2026kcalです。すごい量です。
仮に1食でこれだけ食べたら、普通の人はお腹いっぱいで満腹感はあるし、満足感も得られると思います。
当然、一回に、これだけの量を食べることはできない人もおられるでしょう。
一方、炭水化物依存症の人においては、上記のメニューには糖質はほとんんど含まれていないので、お腹いっぱいで満腹感はあるはずなのに、満足感は得られない可能性があります。
炭水化物依存症では、兎に角なにか糖質を摂取しない限り、いくら大量に食べても満足感が得られないのです。(炭水化物=糖質+食物繊維)
炭水化物依存症は、ニコチン依存症と同じような側面があるので、なかなか一筋縄ではいきません。
今まで、糖質(炭水化物)を頻回・大量に食べていた人は、程度の差はありますが、炭水化物依存症の可能性があります。
スーパー糖質制限食を始めてから、いらいらしたり、食べても満足感がなかったり、精神的に不安定になる人は、まれにおられます。そのほとんどが、いわゆる<炭水化物依存症>の人です。
炭水化物依存症というのは日本では聞き慣れない言葉ですが、米国では定着しています。
炭水化物依存症の人は、起きているときは、三度の食事と間食で、頻回に外部から糖質が摂取されて血中に入り血糖に変わるので、肝臓が糖新生をするのは、夜中寝ているときくらいです。
寝る前に夜食のラーメンとか食べたら、夜中に寝ている時も血糖値が上がり、肝臓の糖新生は明け方くらいしか働きませんので、24時間のうち、肝臓の糖新生はわずか2~3時間だけです。
これでは、肝臓の糖新生能力が衰えてしまいます。
1日3食で間食がない人は、24時間中12時間くらいは肝臓で糖新生をしています。
この炭水化物依存症で、衰えてしまった肝臓の糖新生能力が、本来の力を取り戻すまでの期間に、個人差があるわけです。
数日の人、1ヶ月の人、まれにはは2~3ヶ月かかる人・・・。
肝臓の糖新生能力が極度に衰えている人が、いきなりスーパー糖質制限食を行えば、低血糖になる可能性もありえますので注意が必要ですが、このようなケースはさすがに極めてまれと思います。
中等度までの炭水化物依存症なら、低血糖を生じることはまずないので、徐々に依存から脱却することを目指します。
極度の炭水化物依存症の場合も、最終的には慣れるしかないのですが、まずは、プチ或いはスタンダード糖質制限食くらいから始める選択肢もあります。
つまり、1日2回(例えば朝昼食)は、少量の主食を摂取して、夕食は糖質制限食。
あるいは1日1回(例えば昼食)は、少量の主食を摂取して、朝・夕は糖質制限食。
あるいはさらにゆるく、主食を3食とも1/3くらいにする方法もあります。
1~2ヶ月で慣れることが多いです。
一方、炭水化物依存症は、ニコチン依存症とよく似ているので、脱却にはそれなりの覚悟がいるかもしれませんね。
江部康二
現在真っ只中です・・・笑
江部先生はじめまして。
検索サイトで「糖質制限 食べても満足できない」で検索し、こちらの記事を発見いたしました。
今まさしく自分の状況にぴったり過ぎて・・・思わずコメントさせていただきます笑
私が糖質制限に出会えたのがきっかけは、脂肪燃焼スープダイエットを始めた時に起こった頭痛でした。ご存知かもしれませんが、脂肪燃焼スープダイエットは食事中の糖質や脂質をできる限り省いたスープを7日間継続して食べるというものです。スープならいくらでも食べていいということだったのでお腹が空くたびに遠慮なく食べていました。しかし食べても食べてもお腹が空くばかり、挙句の果てには1日目の夜にはひどい頭痛と眩暈、脱力感が起こりました。毎年健康診断は2回受けており、問題ないといわれています。
調べた結果、それまでは重度の糖質依存症だったため、たった半日でも糖質を抜いただけでケトン体によるケトアシドーシス?というものになったのではと思いました。
自分なりに上記の言葉の意味や内容を調べているうちに「糖質制限食」「江部先生」の文字を度々拝見するようになりました。そして先生のブログに辿り着き糖質制限の素晴らしさに驚いています。
糖質制限をする前はダイエットはカロリーばかりを気にしていたため、肉を全く食べていませんでした。結果、十分なタンパク質が摂取できず、筋力と体力がひどく落ち・・・1時間も歩けなくなってしまったことがあります。女の人でこういう人多いと思います。肉は悪、そういうイメージが強かったです。
現在は夜間のみ強めの糖質制限をしていますが、その代わりにお肉と野菜ととナッツとチーズと・・・たくさん食べてます!すごく幸せです。カロリーで考えたら恐ろしい数値なんですけどね笑
体のラインも綺麗になったねって褒められるし、体力も同年代の子より全然あります。糖質制限に出会えて本当によかったです。
これからも応援しています! 】
こんにちは。
クロネコさんから、「満腹感と満足感は違う?炭水化物依存症からの脱却は?」という、2011年04月12日 (火)の本ブログ記事について興味深いコメントをいただきました。
ありがとうございます。
クロネコさん、糖質制限食実践で、体のラインも綺麗になって、体力増強、良かったです。
「脂肪燃焼スープダイエットは食事中の糖質や脂質をできる限り省いたスープを7日間継続して食べる」
脂肪燃焼スープダイエットは知りませんでした。
ただこれだと、タンパク質のみの摂取になるので、よほど大量に飲まない限り、必ず低カロリーになります。
例えば、タンパク質ばっかりの食材である
鰹の刺身は100gで136kcal
鳥のササミは100gで105kca
lしかないです。
スーパー糖質制限食を実践中に、時に「お腹が空く、頭痛、眩暈、脱力感、筋力低下・・・」といった症状を訴える方がおられます。
この場合、ほとんどの人が「糖質制限+脂質制限」をしていて、結果として低カロリー過ぎて上記のような症状がでているわけです。
脂肪はしっかり食べてエネルギー摂取量を充分確保すれば、そのような症状はすぐになくなります。
クロネコさんの場合も、ケトン体によるケトアシドーシスとかは全く無関係で、単純に 軽い低血糖か摂取エネルギー不足による症状だったと考えられます。
これからも美味しく楽しく必要充分量摂取して糖質制限食をお続け下さいね。
江部康二
参考
☆☆☆
満腹感と満足感は違う?炭水化物依存症からの脱却は?
2011年04月12日 (火)
こんにちは。
今日は、満腹感と満足感は違うのかを、考えてみます。
今日の記事は、あくまでも私の私見であり、仮説です。
スーパー糖質制限食で、例えば
牛サーロインステーキ300g(約1500kcal)、
カツオのたたき200g(約227kcal)、
ゆで卵2個(100g、約152kcal)
野菜サラダ240g(約42kcal)+マヨネーズ15g(105kcal)
を食べたとします。
合計855gで、約2026kcalです。すごい量です。
仮に1食でこれだけ食べたら、普通の人はお腹いっぱいで満腹感はあるし、満足感も得られると思います。
当然、一回に、これだけの量を食べることはできない人もおられるでしょう。
一方、炭水化物依存症の人においては、上記のメニューには糖質はほとんんど含まれていないので、お腹いっぱいで満腹感はあるはずなのに、満足感は得られない可能性があります。
炭水化物依存症では、兎に角なにか糖質を摂取しない限り、いくら大量に食べても満足感が得られないのです。(炭水化物=糖質+食物繊維)
炭水化物依存症は、ニコチン依存症と同じような側面があるので、なかなか一筋縄ではいきません。
今まで、糖質(炭水化物)を頻回・大量に食べていた人は、程度の差はありますが、炭水化物依存症の可能性があります。
スーパー糖質制限食を始めてから、いらいらしたり、食べても満足感がなかったり、精神的に不安定になる人は、まれにおられます。そのほとんどが、いわゆる<炭水化物依存症>の人です。
炭水化物依存症というのは日本では聞き慣れない言葉ですが、米国では定着しています。
炭水化物依存症の人は、起きているときは、三度の食事と間食で、頻回に外部から糖質が摂取されて血中に入り血糖に変わるので、肝臓が糖新生をするのは、夜中寝ているときくらいです。
寝る前に夜食のラーメンとか食べたら、夜中に寝ている時も血糖値が上がり、肝臓の糖新生は明け方くらいしか働きませんので、24時間のうち、肝臓の糖新生はわずか2~3時間だけです。
これでは、肝臓の糖新生能力が衰えてしまいます。
1日3食で間食がない人は、24時間中12時間くらいは肝臓で糖新生をしています。
この炭水化物依存症で、衰えてしまった肝臓の糖新生能力が、本来の力を取り戻すまでの期間に、個人差があるわけです。
数日の人、1ヶ月の人、まれにはは2~3ヶ月かかる人・・・。
肝臓の糖新生能力が極度に衰えている人が、いきなりスーパー糖質制限食を行えば、低血糖になる可能性もありえますので注意が必要ですが、このようなケースはさすがに極めてまれと思います。
中等度までの炭水化物依存症なら、低血糖を生じることはまずないので、徐々に依存から脱却することを目指します。
極度の炭水化物依存症の場合も、最終的には慣れるしかないのですが、まずは、プチ或いはスタンダード糖質制限食くらいから始める選択肢もあります。
つまり、1日2回(例えば朝昼食)は、少量の主食を摂取して、夕食は糖質制限食。
あるいは1日1回(例えば昼食)は、少量の主食を摂取して、朝・夕は糖質制限食。
あるいはさらにゆるく、主食を3食とも1/3くらいにする方法もあります。
1~2ヶ月で慣れることが多いです。
一方、炭水化物依存症は、ニコチン依存症とよく似ているので、脱却にはそれなりの覚悟がいるかもしれませんね。
江部康二
2015年01月06日 (火)
【15/01/01 精神科医師A
美味礼賛
『美味礼賛』 ブリア・サヴァラン 1825年初稿
関根秀雄訳 白水社
瞑想22 肥満症の予防と治療
医療の効果の中で第一に位するのは食餌療法である。それは昼も夜もさめている時も眠っている時も働くからである。その効果は食事のたびごとに新たにされ、しまいに各人のすべての部分を押えつけてしまうからである。ところで、対肥満症療法は肥満症の最も共通で積極的な原因から思いつかれる。つまり脂肪の蓄積は、人間においても動物においても粉類澱粉類の常用によるのだということは証明ずみなのであるから、ことに動物においてはその結果が毎日われわれの目の前に示されており、そのために肥満させた鳥獣の商売が成り立っているくらいなのであるから、人はこの事実をもとにして確信をもってこう結論することができるのである。「粉食澱粉食を多少とも節制しさえすれば、必ず肥満を防止することができる」と。だがこういうと皆さんは、殿がたもご婦人がたも大騒ぎをなさる。
「とんでもない! だから先生は野蛮だというんだ! かれは一言のもとに、われわれの大好きなものをいっさいがっさい追放するんだ! あのまっ白なリメ屋のパン、アシャール軒のビスケット、それから……屋のガレットを初め、粉とバタで、いや粉と砂糖と卵とで作られた、おいしいものをいっさいいけないなんて、殺生な……じゃがいもやマカロニまで追放するなんて! あんなに人がよさそうに見えた食通の先生が、こんなに無慈悲な人とは思わなかったよ。」
「何をおっしゃる?(と、わたしは年に一度のむずかしい顔をして開きなおる。)じゃいいからたんとお食べなさい、お太りなさい。そしてきたなくなり、でぶでぶになり、ぜいぜい言って死んでおしまいなさい。わたしはそこでちゃんとリポートを作りますよ。わたしの本の第二版にはあなたの名まえを書いてあげるから……おや、死んでしまえと言われて降参しましたな。こわくなったと見えますな。助けてあげますよ。ご安心なさい。食餌箋を書いてあげましょう。そう悲観しなくてもよい。この世においしいものがいっさいなくなったというわけではありませんからね。
あなたはパンがお好きなんですね。そんなら黒バンをお食べになりゃいい。有名なカデ・ド・ヴオ先生が前々からしきりにその功徳を説いていますよ。それはずっと栄養分が少ない。特においしくない。だからこそ食べすぎないでよいのです。負けないためには誘惑を避けなくちゃいけません。よく覚えておきなさい。これは金言ですよ。ポタージュがお好きなら、青い野菜、キャベツ、大根などを入れてジュリェンヌ(野菜スープ)にしてお食べなさい。そのかわり白バンやめん類やピュレはいけませんよ。
第一コースではリ・オ・ヴォライユ(とりめし)とクルート・デ・パテ・ショー(パテ入りパイ)のようなわずかの例外を除いて、何でも食べてよろしい。
第ニコースが出そうになったら、いよいよ哲学がいりますよ。粉製のものはどんな形をしていても食べてはいけません。それでもまだ焼肉、サラド、野菜など、食べるものは他にあるはずです。それからお菓子のあるものはがまんしなければいけないから、そのかわリチョコレート入リクリームとか、バンチ入リジェリーなどのほうをお食べなさい。
それからデザートとなると、また危険がありますよ。だがここまでうまくこぎつければ、あなたの知恵は増すばかりでしょう。ブー・ド・ターブル(食卓のすみにおかれる器)には警戒を要しますよ。(いつもうまそうなプリオッシュが出ますからね。)ビスケットやマカロンには目をくれないこと。でもいろいろなくだものやジャムは食べてもよいのだし、まだわたしの食餌箋の禁じない食べ物がいくらもあります。
食事がすんだらぜひコーヒーを飲むこと。リキュールもよろしい。場合によってはお茶とバンチをお勧めします。朝の食事は必ず黒バンとし、コーヒーよりもチョコレートをおとりなさい。しかしミルクをたくさん入れたコーヒーならよろしい。卵はいけないが、あとは何でもかまいません。けれども朝食は早いほどよいのです。おそく食べると、消化がすまないうちに昼食になります。それでも人は時刻が来れば食べますからね。この食欲がないのに食べるのが、いちばん肥満症にはいけないのですよ。」
◇
新年あけましておめでとうございます。今年も文献探しに取り組みます。まずは正月の話題にふさわしい文芸作品から紹介します。
『美味礼賛』『ブリア・サヴァラン』については、Wikipediaを参照してください。
190年前に書かれた書籍の内容ですが、今でも十分通用するのには驚きです
http://www.health.ne.jp/column/column141111.html 】
こんばんは。
精神科医師Aさんから
『美味礼賛』 ブリア・サヴァラン 1825年初稿
関根秀雄訳 白水社
の内容について、コメントいただきました。
ありがとうございます。
Wikipedia
美味礼讃
美味礼讃(びみらいさん)とは、主として美食学や食道楽に関する著作物の題名として用いられる言葉である。ジャン・アンテルム・ブリア=サヴァラン『味覚の生理学』の邦題を初出とする。
美味礼讃
フランスの政治家で、美食家でもあったブリア=サヴァランの著作(1825年)の邦題。
原題は『Physiologie du Goût, ou Méditations de Gastronomie Transcendante; ouvrage théorique, historique et à l'ordre du jour, dédié aux Gastronomes parisiens, par un Professeur, membre de plusieurs sociétés littéraires et savantes(味覚の生理学、或いは、超越的美食学をめぐる瞑想録;文科学の会員である一教授によりパリの食通たちに捧げられる理論的、歴史的、時事的著述)』。
美食の案内というより、むしろ食事にまつわる事柄に、哲学的考察を進めてゆく随筆集である。訳書は関根秀雄訳で岩波文庫全2巻
「脂肪の蓄積は、人間においても動物においても粉類澱粉類の常用によるのだということは証明ずみ」
ブリア=サヴァラン氏、なかなかの洞察力ですが、1825年当時のフランスの知識人には、粉類澱粉類の害は常識だったのでしょうか?
白パンより、黒パンをお奨めなのは、GI的なこともあるていど感覚的にわかっていたようです。
Wikipedia
ブリア=サヴァラン
フランス革命末期、自分の首に賞金がかけられたことを知ったブリア=サヴァランは、まずスイスに亡命。
後にオランダ、生まれたばかりの東部アメリカへと亡命。
アメリカには3年間滞在。
その間、フランス語とヴァイオリンの教師としてボストン、ニューヨーク、フィラデルフィア、ハートフォードを渡り歩く。
ニューヨークのパーク・シアターでは第一バイオリンを務めたこともある。
1797年、執政政府下のフランスにもどり、司法官の職を得る。その後死ぬまでパリ控訴裁判所の裁判官を務めた。
ブリア=サヴァラン氏、なかなか多芸多才の人だったようです。
190年後の日本で、糖質制限食が市民権を得つつあると知ったら、ブリア=サヴァラン氏、草葉の陰から「我が意を得たり」
と微笑んでくれるでしょうかね?
江部康二
美味礼賛
『美味礼賛』 ブリア・サヴァラン 1825年初稿
関根秀雄訳 白水社
瞑想22 肥満症の予防と治療
医療の効果の中で第一に位するのは食餌療法である。それは昼も夜もさめている時も眠っている時も働くからである。その効果は食事のたびごとに新たにされ、しまいに各人のすべての部分を押えつけてしまうからである。ところで、対肥満症療法は肥満症の最も共通で積極的な原因から思いつかれる。つまり脂肪の蓄積は、人間においても動物においても粉類澱粉類の常用によるのだということは証明ずみなのであるから、ことに動物においてはその結果が毎日われわれの目の前に示されており、そのために肥満させた鳥獣の商売が成り立っているくらいなのであるから、人はこの事実をもとにして確信をもってこう結論することができるのである。「粉食澱粉食を多少とも節制しさえすれば、必ず肥満を防止することができる」と。だがこういうと皆さんは、殿がたもご婦人がたも大騒ぎをなさる。
「とんでもない! だから先生は野蛮だというんだ! かれは一言のもとに、われわれの大好きなものをいっさいがっさい追放するんだ! あのまっ白なリメ屋のパン、アシャール軒のビスケット、それから……屋のガレットを初め、粉とバタで、いや粉と砂糖と卵とで作られた、おいしいものをいっさいいけないなんて、殺生な……じゃがいもやマカロニまで追放するなんて! あんなに人がよさそうに見えた食通の先生が、こんなに無慈悲な人とは思わなかったよ。」
「何をおっしゃる?(と、わたしは年に一度のむずかしい顔をして開きなおる。)じゃいいからたんとお食べなさい、お太りなさい。そしてきたなくなり、でぶでぶになり、ぜいぜい言って死んでおしまいなさい。わたしはそこでちゃんとリポートを作りますよ。わたしの本の第二版にはあなたの名まえを書いてあげるから……おや、死んでしまえと言われて降参しましたな。こわくなったと見えますな。助けてあげますよ。ご安心なさい。食餌箋を書いてあげましょう。そう悲観しなくてもよい。この世においしいものがいっさいなくなったというわけではありませんからね。
あなたはパンがお好きなんですね。そんなら黒バンをお食べになりゃいい。有名なカデ・ド・ヴオ先生が前々からしきりにその功徳を説いていますよ。それはずっと栄養分が少ない。特においしくない。だからこそ食べすぎないでよいのです。負けないためには誘惑を避けなくちゃいけません。よく覚えておきなさい。これは金言ですよ。ポタージュがお好きなら、青い野菜、キャベツ、大根などを入れてジュリェンヌ(野菜スープ)にしてお食べなさい。そのかわり白バンやめん類やピュレはいけませんよ。
第一コースではリ・オ・ヴォライユ(とりめし)とクルート・デ・パテ・ショー(パテ入りパイ)のようなわずかの例外を除いて、何でも食べてよろしい。
第ニコースが出そうになったら、いよいよ哲学がいりますよ。粉製のものはどんな形をしていても食べてはいけません。それでもまだ焼肉、サラド、野菜など、食べるものは他にあるはずです。それからお菓子のあるものはがまんしなければいけないから、そのかわリチョコレート入リクリームとか、バンチ入リジェリーなどのほうをお食べなさい。
それからデザートとなると、また危険がありますよ。だがここまでうまくこぎつければ、あなたの知恵は増すばかりでしょう。ブー・ド・ターブル(食卓のすみにおかれる器)には警戒を要しますよ。(いつもうまそうなプリオッシュが出ますからね。)ビスケットやマカロンには目をくれないこと。でもいろいろなくだものやジャムは食べてもよいのだし、まだわたしの食餌箋の禁じない食べ物がいくらもあります。
食事がすんだらぜひコーヒーを飲むこと。リキュールもよろしい。場合によってはお茶とバンチをお勧めします。朝の食事は必ず黒バンとし、コーヒーよりもチョコレートをおとりなさい。しかしミルクをたくさん入れたコーヒーならよろしい。卵はいけないが、あとは何でもかまいません。けれども朝食は早いほどよいのです。おそく食べると、消化がすまないうちに昼食になります。それでも人は時刻が来れば食べますからね。この食欲がないのに食べるのが、いちばん肥満症にはいけないのですよ。」
◇
新年あけましておめでとうございます。今年も文献探しに取り組みます。まずは正月の話題にふさわしい文芸作品から紹介します。
『美味礼賛』『ブリア・サヴァラン』については、Wikipediaを参照してください。
190年前に書かれた書籍の内容ですが、今でも十分通用するのには驚きです
http://www.health.ne.jp/column/column141111.html 】
こんばんは。
精神科医師Aさんから
『美味礼賛』 ブリア・サヴァラン 1825年初稿
関根秀雄訳 白水社
の内容について、コメントいただきました。
ありがとうございます。
Wikipedia
美味礼讃
美味礼讃(びみらいさん)とは、主として美食学や食道楽に関する著作物の題名として用いられる言葉である。ジャン・アンテルム・ブリア=サヴァラン『味覚の生理学』の邦題を初出とする。
美味礼讃
フランスの政治家で、美食家でもあったブリア=サヴァランの著作(1825年)の邦題。
原題は『Physiologie du Goût, ou Méditations de Gastronomie Transcendante; ouvrage théorique, historique et à l'ordre du jour, dédié aux Gastronomes parisiens, par un Professeur, membre de plusieurs sociétés littéraires et savantes(味覚の生理学、或いは、超越的美食学をめぐる瞑想録;文科学の会員である一教授によりパリの食通たちに捧げられる理論的、歴史的、時事的著述)』。
美食の案内というより、むしろ食事にまつわる事柄に、哲学的考察を進めてゆく随筆集である。訳書は関根秀雄訳で岩波文庫全2巻
「脂肪の蓄積は、人間においても動物においても粉類澱粉類の常用によるのだということは証明ずみ」
ブリア=サヴァラン氏、なかなかの洞察力ですが、1825年当時のフランスの知識人には、粉類澱粉類の害は常識だったのでしょうか?
白パンより、黒パンをお奨めなのは、GI的なこともあるていど感覚的にわかっていたようです。
Wikipedia
ブリア=サヴァラン
フランス革命末期、自分の首に賞金がかけられたことを知ったブリア=サヴァランは、まずスイスに亡命。
後にオランダ、生まれたばかりの東部アメリカへと亡命。
アメリカには3年間滞在。
その間、フランス語とヴァイオリンの教師としてボストン、ニューヨーク、フィラデルフィア、ハートフォードを渡り歩く。
ニューヨークのパーク・シアターでは第一バイオリンを務めたこともある。
1797年、執政政府下のフランスにもどり、司法官の職を得る。その後死ぬまでパリ控訴裁判所の裁判官を務めた。
ブリア=サヴァラン氏、なかなか多芸多才の人だったようです。
190年後の日本で、糖質制限食が市民権を得つつあると知ったら、ブリア=サヴァラン氏、草葉の陰から「我が意を得たり」
と微笑んでくれるでしょうかね?
江部康二
2015年01月06日 (火)
15/01/06 yokohama:瑞穂
悩んでいます。
何度か投稿したのですが、私の送付方法が悪かったようで、届いていないのではと、思っております。
12月24日以降早朝血糖値が下がっておりません。24日147、25日136、26日149、27日152、28日165、29日136、30日164、31日156、
1月1日145、2日154、3日158、4日137、5日157、6日141、
入院中のアドバイスではトレーシーバのスケール指標で4単位でスタートしました。
早朝空腹時血糖値90mg/dl未満:
トレーシーバ1単位減量
90~125mg/dl:トレーシーバ同量
126mg/dl以上:トレーシーバ1単位増量
という指示で今日まで来ておりますが、このままで良いのでしょうか?
アドバイスお願いいたします。奈良岡先生のところに13日に行く予定ですが。
また、入院中お聞きしなかったことですが、Ⅰ型糖尿病の者が日常生活で何に一番注意しなければいけないか、ポイントをアドバイスしていただけたら幸いです。
関口瑞穂様
コメント欄に何回か質問が届いて、その都度、コメント欄に回答してあります。
コメント欄をご覧いただけば幸いです。
1型でも日常生活は普通でよろしいです。
1型のプロ野球選手もおられます。
本日の質問の、トレシーバのスケールに関しても
下記の2014/12/30の回答をご参照いただけば幸いです。
江部康二
14/12/30 関口 瑞穂
悩んでいます
早朝血糖値が下がりません。どうしてでしょうか?
23日121、 24日147、 25日136、 26日149、27日152、 28日165、 28日165、 29日136、 30日164、です。夜のインスリンは 24日からずっと5単位です。
食事はこれといって糖質の多い食事をしているつもりはありません。
14/12/30
Re: 悩んでいます
関口 瑞穂 様
1型ですので、やや早朝空腹時血糖値が安定しにくいのだと思います。
トレシーバを、午後10時に注射しておられると思います。
1型ですので、「早朝空腹時血糖値が90~125mg/dl」の目標値に保つのに
トレシーバ7単位くらいまで増やす必要があるかもしれません。
早朝血糖値、25日朝が136mgなら、126mg以上なので、
25日の夜のトレシーバは、前日夜(5単位)から1単位増やして6単位です。
下記に従って、トレシーバの単位を決めていただけばよろしいと思います。
早朝空腹時の血糖値の値により、その夜のトレシーバの単位を
増やすか同様か減らすかを決めます。
早朝空腹時血糖値のデータに基づき、
前日夜のトレシーバの単位を基準に
当日夜のトレシーバの単位を決めます。
早朝空腹時血糖値90mg/dl未満: トレシーバ1単位減量
早朝空腹時血糖値90~125mg/dl未満: トレシーバ同量
早朝空腹時血糖値126mg/dl以上: トレシーバ1単位増量
例えば、前日夜のトレシーバが4単位で
当日朝の血糖値が100mgなら、当日夜も4単位です。
前日夜のトレシーバが4単位で
当日朝の血糖値が130mgなら、当日夜は5単位です。
スーパー糖質制限食を根気よく続けて
早朝空腹時血糖値の安定化、90~125mg/dlを目指しましょう。
☆☆☆
2014年12月04日 (木)の記事のコメント欄をご参照ください
「糖質制限食で減量成功、高脂血症・二日酔い改善。」
悩んでいます。
何度か投稿したのですが、私の送付方法が悪かったようで、届いていないのではと、思っております。
12月24日以降早朝血糖値が下がっておりません。24日147、25日136、26日149、27日152、28日165、29日136、30日164、31日156、
1月1日145、2日154、3日158、4日137、5日157、6日141、
入院中のアドバイスではトレーシーバのスケール指標で4単位でスタートしました。
早朝空腹時血糖値90mg/dl未満:
トレーシーバ1単位減量
90~125mg/dl:トレーシーバ同量
126mg/dl以上:トレーシーバ1単位増量
という指示で今日まで来ておりますが、このままで良いのでしょうか?
アドバイスお願いいたします。奈良岡先生のところに13日に行く予定ですが。
また、入院中お聞きしなかったことですが、Ⅰ型糖尿病の者が日常生活で何に一番注意しなければいけないか、ポイントをアドバイスしていただけたら幸いです。
関口瑞穂様
コメント欄に何回か質問が届いて、その都度、コメント欄に回答してあります。
コメント欄をご覧いただけば幸いです。
1型でも日常生活は普通でよろしいです。
1型のプロ野球選手もおられます。
本日の質問の、トレシーバのスケールに関しても
下記の2014/12/30の回答をご参照いただけば幸いです。
江部康二
14/12/30 関口 瑞穂
悩んでいます
早朝血糖値が下がりません。どうしてでしょうか?
23日121、 24日147、 25日136、 26日149、27日152、 28日165、 28日165、 29日136、 30日164、です。夜のインスリンは 24日からずっと5単位です。
食事はこれといって糖質の多い食事をしているつもりはありません。
14/12/30
Re: 悩んでいます
関口 瑞穂 様
1型ですので、やや早朝空腹時血糖値が安定しにくいのだと思います。
トレシーバを、午後10時に注射しておられると思います。
1型ですので、「早朝空腹時血糖値が90~125mg/dl」の目標値に保つのに
トレシーバ7単位くらいまで増やす必要があるかもしれません。
早朝血糖値、25日朝が136mgなら、126mg以上なので、
25日の夜のトレシーバは、前日夜(5単位)から1単位増やして6単位です。
下記に従って、トレシーバの単位を決めていただけばよろしいと思います。
早朝空腹時の血糖値の値により、その夜のトレシーバの単位を
増やすか同様か減らすかを決めます。
早朝空腹時血糖値のデータに基づき、
前日夜のトレシーバの単位を基準に
当日夜のトレシーバの単位を決めます。
早朝空腹時血糖値90mg/dl未満: トレシーバ1単位減量
早朝空腹時血糖値90~125mg/dl未満: トレシーバ同量
早朝空腹時血糖値126mg/dl以上: トレシーバ1単位増量
例えば、前日夜のトレシーバが4単位で
当日朝の血糖値が100mgなら、当日夜も4単位です。
前日夜のトレシーバが4単位で
当日朝の血糖値が130mgなら、当日夜は5単位です。
スーパー糖質制限食を根気よく続けて
早朝空腹時血糖値の安定化、90~125mg/dlを目指しましょう。
☆☆☆
2014年12月04日 (木)の記事のコメント欄をご参照ください
「糖質制限食で減量成功、高脂血症・二日酔い改善。」
2015年01月05日 (月)
【15/01/02 精神科医師A
栄養と料理2014年11月号
栄養と料理2014年11月号の記事より
www.eiyo21.com/eiyo/detail00092.shtml#s003
◇佐々木敏
『糖質制限ダイエットで本当にやせるかを考察せよ』
P85「ちなみに、同じエネルギー(カロリ―)量であれば、脂質(油や脂)が特に皮下脂肪や内臓脂肪に変わりやすいということもありません」
* *
佐々木敏氏は、栄養と料理2014年11月号で下記の論文を引用し糖質制限食を批判しています
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa0804748#t=abstract
一方、渡邊 昌氏もMTProでSacks(2009)を引用している
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1410/1410082.html
山田悟氏も日本医師会雑誌2014年4月号でSacks(2009)を引用してこう述べている
http://www.wound-treatment.jp/new-data/2015-0101/1.pdf
「肥満(症)は基本的に摂取エネルギーが消費エネルギーに対して相対的に過剰になっていることによって生じるものと考えられる。よって、その食事療法はエネルギー制限が原則である」
江部Drとしても、Sacks(2009)の論文に対し見解を出しては?】
こんにちは。
NEJM誌2009年2月26日号に、米国Harvard公衆衛生大学院のFrank M. Sacksらの
「ダイエットの種類は減量の成否に影響しない。」
「3大栄養素の摂取割合よりも総熱量の制限が重要である。」
というカロリー神話肯定論文が掲載されました。(*)
精神科医師Aさんから、Frank M. Sacksらの論文について、コメント・アドバイスをいただきした。
佐々木敏氏、渡邊 昌氏、山田悟氏と錚々たるメンバーが引用して、それぞれ論を展開しています。
日本を代表する栄養学者の佐々木敏氏はSacksらの論文を引用して、栄養と料理2014年11月号、82ページ、83ページで
「総エネルギー摂取量が同じならば、どの栄養素からエネルギー(カロリー)をとろうと体重変化にほとんど違いはない」
と結論しています。
渡邊 昌氏、山田悟氏も同様の立場ですね。
しかしこのSacksらの研究論文、なぜ査読を通過できたのか分からないくらいの、お粗末な内容です。
優秀な諸先生方が何故、そこを見逃してしまわれたのか、不思議です。
まず出発点で、
糖質摂取の割合を、「65%、55%、45%、35%」という4つのグループに分けて、1日 あたり750kcalの エネルギーを当初のエネルギー摂取量から減らしたので、4グループとも一日約1600kcal前後の同一カロリーを摂取することとなりました。
ところで、アメリカの糖尿病学会が糖質制限食として認めているのは、「1日糖質量130g以下」です。
しかし、この研究の一番糖質摂取比率が低くて低糖質食とされたグループの糖質摂取量は、出発点の35%でも1日糖質量が「140g」です。
従って、定義的には、この研究、そもそも糖質制限食の研究ではありません。
つまり、この研究で比較されているグループは、いずれも糖質制限食ではないのです。
しかも、2年経過した時点で、高糖質グループの摂取割合は65%から53.4%に減少し、低糖質グループの摂取割合は35%から42.9%に増加していました。
当初、糖質摂取比率で30%の差があるデザインだったのに、最終的には10.5%の差しかなく、これでは有意差が出ないのも当然です。
結局この研究は、糖質摂取比率53.4%のグループと42.9%のグループを2年間比較したら、体重減少効果は同一であったということです。
出発点のように、糖質摂取比率65%のグループと35%のグループを比較したら、糖質制限食の方が体重減少効果が有意に大きかった可能性が高いのです。
まして、アメリカ糖尿病学会が糖質制限食として認めている「1日糖質量130g以下」のグループを作って比較研究していれば、体重減少効果は顕著にでたと思われます。
なお、佐々木敏先生が、2014年11月号栄養と料理、83ページに載せておられる表の
D群(低糖質群):6ヶ月後と2年後の糖質と脂質の比率が入れ替わっています。
すなわち正しくは、
6ヶ月後糖質43%、脂質34%
2年後糖質43%、脂質35%
なのに、栄養と料理2014年11月号では
6ヶ月後糖質34%、脂質43%
2年後糖質35%、脂質43%
と逆になっています。
何故このような間違いを佐々木敏先生が犯されたのか?
不思議です。
結論です。
NEJM誌、 Sacksらの「カロリー神話肯定論文」には、上述のように大きな齟齬があります。
この論文を根拠に、
「総エネルギー摂取量が同じならば、どの栄養素からエネルギー(カロリー)をとろうと体重変化にほとんど違いはない」
とするのは、暴論と言えます。
江部康二
(*)
Sacks FM, et al:Comparison of Weight-Loss Diets with Different Compositions of Fat, Protein, and Carbohydrates: N Engl J Med Volume 360: 859-873 Feb.26,2009
NEJM誌2009年2月26日号、
米国Harvard公衆衛生大学院のFrank M. Sacks氏らの論文からの抜粋。
811人(51±9歳、男性が36%)の過体重または肥満の成人を4等分し、
無作為に以下の食事療法のいずれかに割り付けた:
エネルギーの摂取比率がそれぞれ
脂質、 たんぱく質、 炭水化物
20%、 15%、 65%(低脂肪/標準たんぱく食)
20%、 25%、 55%(低脂肪/高たんぱく食)
40%、 15%、 45%(高脂肪/標準たんぱく食)
40%、 25%、 35%(高脂肪/高たんぱく食)
低脂肪/標準たんぱく食群:
1636kcal、26.2%、17.6%、57.5%(6カ月時)
1531kcal、26.5%、19.6%、53.2%(2年時)
低脂肪/高たんぱく質食群:
1572kacl、25.9%、21.8%、53.4%(6カ月時)
1560kcal、28.4%、20.8%、51.3%(2年時)
高脂肪/標準たんぱく食群:
1607kcal、33.9%、18.4%、49.1%(6カ月時)
1521kcal、33.3%、19.6%、48.6%(2年時)
高脂肪/高たんぱく食群:
1624kcal、 34.3%、22.6%、43%(6カ月時)
1413kcal、 35.1%、21.2%、42.9%(2年時)
摂取熱量と共に運動量も、4群間に差はなかった。
栄養と料理2014年11月号
栄養と料理2014年11月号の記事より
www.eiyo21.com/eiyo/detail00092.shtml#s003
◇佐々木敏
『糖質制限ダイエットで本当にやせるかを考察せよ』
P85「ちなみに、同じエネルギー(カロリ―)量であれば、脂質(油や脂)が特に皮下脂肪や内臓脂肪に変わりやすいということもありません」
* *
佐々木敏氏は、栄養と料理2014年11月号で下記の論文を引用し糖質制限食を批判しています
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa0804748#t=abstract
一方、渡邊 昌氏もMTProでSacks(2009)を引用している
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1410/1410082.html
山田悟氏も日本医師会雑誌2014年4月号でSacks(2009)を引用してこう述べている
http://www.wound-treatment.jp/new-data/2015-0101/1.pdf
「肥満(症)は基本的に摂取エネルギーが消費エネルギーに対して相対的に過剰になっていることによって生じるものと考えられる。よって、その食事療法はエネルギー制限が原則である」
江部Drとしても、Sacks(2009)の論文に対し見解を出しては?】
こんにちは。
NEJM誌2009年2月26日号に、米国Harvard公衆衛生大学院のFrank M. Sacksらの
「ダイエットの種類は減量の成否に影響しない。」
「3大栄養素の摂取割合よりも総熱量の制限が重要である。」
というカロリー神話肯定論文が掲載されました。(*)
精神科医師Aさんから、Frank M. Sacksらの論文について、コメント・アドバイスをいただきした。
佐々木敏氏、渡邊 昌氏、山田悟氏と錚々たるメンバーが引用して、それぞれ論を展開しています。
日本を代表する栄養学者の佐々木敏氏はSacksらの論文を引用して、栄養と料理2014年11月号、82ページ、83ページで
「総エネルギー摂取量が同じならば、どの栄養素からエネルギー(カロリー)をとろうと体重変化にほとんど違いはない」
と結論しています。
渡邊 昌氏、山田悟氏も同様の立場ですね。
しかしこのSacksらの研究論文、なぜ査読を通過できたのか分からないくらいの、お粗末な内容です。
優秀な諸先生方が何故、そこを見逃してしまわれたのか、不思議です。
まず出発点で、
糖質摂取の割合を、「65%、55%、45%、35%」という4つのグループに分けて、1日 あたり750kcalの エネルギーを当初のエネルギー摂取量から減らしたので、4グループとも一日約1600kcal前後の同一カロリーを摂取することとなりました。
ところで、アメリカの糖尿病学会が糖質制限食として認めているのは、「1日糖質量130g以下」です。
しかし、この研究の一番糖質摂取比率が低くて低糖質食とされたグループの糖質摂取量は、出発点の35%でも1日糖質量が「140g」です。
従って、定義的には、この研究、そもそも糖質制限食の研究ではありません。
つまり、この研究で比較されているグループは、いずれも糖質制限食ではないのです。
しかも、2年経過した時点で、高糖質グループの摂取割合は65%から53.4%に減少し、低糖質グループの摂取割合は35%から42.9%に増加していました。
当初、糖質摂取比率で30%の差があるデザインだったのに、最終的には10.5%の差しかなく、これでは有意差が出ないのも当然です。
結局この研究は、糖質摂取比率53.4%のグループと42.9%のグループを2年間比較したら、体重減少効果は同一であったということです。
出発点のように、糖質摂取比率65%のグループと35%のグループを比較したら、糖質制限食の方が体重減少効果が有意に大きかった可能性が高いのです。
まして、アメリカ糖尿病学会が糖質制限食として認めている「1日糖質量130g以下」のグループを作って比較研究していれば、体重減少効果は顕著にでたと思われます。
なお、佐々木敏先生が、2014年11月号栄養と料理、83ページに載せておられる表の
D群(低糖質群):6ヶ月後と2年後の糖質と脂質の比率が入れ替わっています。
すなわち正しくは、
6ヶ月後糖質43%、脂質34%
2年後糖質43%、脂質35%
なのに、栄養と料理2014年11月号では
6ヶ月後糖質34%、脂質43%
2年後糖質35%、脂質43%
と逆になっています。
何故このような間違いを佐々木敏先生が犯されたのか?
不思議です。
結論です。
NEJM誌、 Sacksらの「カロリー神話肯定論文」には、上述のように大きな齟齬があります。
この論文を根拠に、
「総エネルギー摂取量が同じならば、どの栄養素からエネルギー(カロリー)をとろうと体重変化にほとんど違いはない」
とするのは、暴論と言えます。
江部康二
(*)
Sacks FM, et al:Comparison of Weight-Loss Diets with Different Compositions of Fat, Protein, and Carbohydrates: N Engl J Med Volume 360: 859-873 Feb.26,2009
NEJM誌2009年2月26日号、
米国Harvard公衆衛生大学院のFrank M. Sacks氏らの論文からの抜粋。
811人(51±9歳、男性が36%)の過体重または肥満の成人を4等分し、
無作為に以下の食事療法のいずれかに割り付けた:
エネルギーの摂取比率がそれぞれ
脂質、 たんぱく質、 炭水化物
20%、 15%、 65%(低脂肪/標準たんぱく食)
20%、 25%、 55%(低脂肪/高たんぱく食)
40%、 15%、 45%(高脂肪/標準たんぱく食)
40%、 25%、 35%(高脂肪/高たんぱく食)
低脂肪/標準たんぱく食群:
1636kcal、26.2%、17.6%、57.5%(6カ月時)
1531kcal、26.5%、19.6%、53.2%(2年時)
低脂肪/高たんぱく質食群:
1572kacl、25.9%、21.8%、53.4%(6カ月時)
1560kcal、28.4%、20.8%、51.3%(2年時)
高脂肪/標準たんぱく食群:
1607kcal、33.9%、18.4%、49.1%(6カ月時)
1521kcal、33.3%、19.6%、48.6%(2年時)
高脂肪/高たんぱく食群:
1624kcal、 34.3%、22.6%、43%(6カ月時)
1413kcal、 35.1%、21.2%、42.9%(2年時)
摂取熱量と共に運動量も、4群間に差はなかった。