2014年05月31日 (土)
【14/05/29 しーまま
血糖値改善しました
江部先生、はじめまして。
7年ほど前から血糖値高め(HbA1c6前後)になり、今年3月ついにHbA1cが8を超えてしまった51歳女性です。
こちらのブログを見つけ、先生の御本を読みながら、2か月間スーパー糖質制限と週1-2回の水泳(歩くだけですが)を続けました。糖尿病の薬は飲んでいません。
そして、本日の血液検査で大改善の結果が出ました!
3月20日
HbA1c 8.1; 空腹時血糖 151;TG(中性脂肪)466; γ-GTP 47;T-Cho 233
5月29日
HbA1c 5.6; 空腹時血糖 93;TG(中性脂肪)108; γ-GTP 34;T-Cho 227
血糖も中性脂肪も大改善!
お医者様が、「すごい!こんなに良くなったの初めて見た!」と驚かれてました。
総コレステロールが少しだけ高めだけど、HDL/LDLは正常で気にすることない、ということです。
体重も5キロ減り、BMI21.1で丁度良いくらいになりました。
祖母がかつて糖尿病で足を切り、自分もいつかと恐れていたのですが、 糖質制限に出会ってこれなら大丈夫と自信がつきました!
これからも糖質制限を続けようと思います。本当にありがとうございました。】
こんにちは。
しーままさんから、スーパー糖質制限食で、血糖値・HbA1c・中性脂肪改善という嬉しいコメントを頂きました。
しーままさん、良かったですね。
拙著のご購入もありがとうございます。
3月20日
HbA1c 8.1; 空腹時血糖 151;TG(中性脂肪)466; γ-GTP 47;T-Cho 233
5月29日
HbA1c 5.6; 空腹時血糖 93;TG(中性脂肪)108; γ-GTP 34;T-Cho 227
2ヶ月で、主治医もびっくりの見事な改善です。
全て、基準値内になりましたね。
総コレステロール(TC)は、2007年以降の日本動脈硬化学会のガイドラインからは、削除されてます。
脂質関連は、中性脂肪とHDL-コレステロール、LDL-コレステロールが評価の対象です。
近年、脂質の評価基準として
LDLコレステロール/HDLコレステロール(LDLコレステロール÷HDLコレステロール)
LH比が、注目を浴びています。
糖質制限食実践で、HDLコレステロ-ルが増加するので、LH比は低下することが多く、大変好ましい変化です。
例えば、
DIRECT (*)後の4年間のフォローアップ研究報告
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc1204792
では、LH比を指標の一つに取り上げていて、糖質制限食だけが、LH比を優位に改善しました。
LH比は、動脈硬化予防には、2.0以下が望ましく、高血圧や糖尿病など複数の生活習慣病を持っている人、心筋梗塞や脳梗塞の再発予防には1.5以下が望ましいと、されています。
LH比が注目されてきたのは、LDL-コレステロールとHDL-コレステロールが共に基準値内なのに、虚血性心疾患のため冠動脈バイパス手術が必要な症例があり、その場合、LH比の平均が2.98でした。
さらに動脈硬化が重症の場合、LH比は3.0を超えていました。(**)
単純に、LDLコレステロール値、HDLコレステロール値をみるのではなく、LH比も考慮することが必要ですね。
しーままさんも、スーパー糖質制限食で、HDL-コレステロールが増加して、LH比が低下・改善したのだと思います。
ちなみに、2014年4月の私のLDLコレステロール値:129mg、HDLコレステロール値107mgですのでLH比は1.20です。
LH比を1.5以下に管理することで、動脈硬化を予防するばかりか、すでに出来上がった動脈硬化を治し、赤ちゃん並みの若々しい血管を取り戻す可能性がありえるようですので、ますます、糖質制限食の出番ですね。(^^)
江部康二
(*)
ニューイングランド・ジャーナルに掲載された有名な論文。2008年。
低脂肪食、地中海食、低炭水化物食の3群で322名を比較検討
低炭水化物食群において、
HbA1cが有意に改善
体重は最も減少
HDLコレステロールは最も増加
総コレステロール/HDLコレステロール比も改善
中性脂肪も低脂肪食群に比し有意に改善
Iris Shai,et all:Weight Loss with a Low-Carbohydrate,Mediterranean,or Low-Fat Diet. NENGLJ MED JULY17,2008、VOL359. NO.3 229-241
DIRECT(Dietary Intervention Randomized Controlled Trial)
以下、週刊ダイヤモンドのウェブサイトから転載
(**)
http://diamond.jp/articles/-/11117
第31回】 2011年2月14日
井手ゆきえ [医学ライター],-週刊ダイヤモンド編集部-
LDLよりHDLに注目!!
動脈硬化性疾患の予防とLH比
監修 秦 光賢
(日本大学医学部附属板橋病院心臓血管・呼吸器・総合外科講師、心臓外科科長)
急性心筋梗塞で病院搬送、緊急手術を受けたAさん、49歳。
健康診断で血圧は若干高いが、脂質は「正常」と言われたばかりだった──。
最近、LDLコレステロール(LDL‐c)の基準値をめぐる議論喧しいが、じつは議論の方向が偏っている。最新の研究で心筋梗塞などの動脈硬化性疾患は、高LDL‐c値だけではなく、LDL‐c値とHDLコレステロール(HDL‐c)値のバランス異常が主な原因だとわかっているからだ。
脂質バランスの指標は、LDL‐c÷HDL‐c=「LH比」。
動脈硬化性疾患を防ぐには、LH比2.0以下、高血圧や糖尿病など複数の生活習慣病を持っている人、心筋梗塞や脳梗塞の再発予防にはLH比1.5以下が望ましい。
実際、2004年1月から08年12月に日本大学板橋病院の心臓外科で、冠動脈バイパス手術を受けた重症患者(245例)の平均LDL‐cは119.2mg/dL、HDL‐cは43.2mg/dLと、どちらも基準内だった。ところがLH比の平均は2.98。さらに、「コテコテの動脈硬化のため全身の血管がボロボロの患者」は、LDL‐cが正常でもHDL‐cが低く、LH比が3.0を上回っていたのである。また全身の動脈硬化の状態を反映する頸動脈の血管壁の性状が、動脈硬化で分厚くコブ状になっていた人も、LH比2.0以上の患者ではるかに多かった。
そもそもHDL‐cは、血管壁にたまったコレステロールをキレイにさらってくれるお掃除屋さん。この「掃除力」が悪玉LDL‐cの「ゴミため力」を上回り、LH比が2.0から、限りなく1.0に近づくほど脂質異常症から動脈硬化、そして突然死の流れを阻止できる。たとえ、LDL‐cが基準値を上回る160mg/dLでもHDL‐cが80mg/dL以上なら、あわてずに生活習慣の改善を図り、LDL‐cを基準値内にすればLH比2.0以下を達成できるのだ。
その点で今、注目されているのが動脈硬化進展阻止・退縮治療。LH比を1.5以下に管理することで、動脈硬化を予防するばかりか、すでに出来上がった動脈硬化を治し、赤ちゃん並みの若々しい血管を取り戻す方法だ。
基本は運動療法と薬物治療。HDL‐cは運動療法によく反応し、朝夕2回、30分程度のパワー・ウオーキングを数ヵ月続けるだけで数値が劇的に改善される。必要に応じ、脂質バランスを改善する治療薬が処方されることもある。一見、これまでの脂質治療と変わらないようだが、主役はあくまでHDL‐c。健康診断ではHDL‐cとLH比に注目してみよう。
血糖値改善しました
江部先生、はじめまして。
7年ほど前から血糖値高め(HbA1c6前後)になり、今年3月ついにHbA1cが8を超えてしまった51歳女性です。
こちらのブログを見つけ、先生の御本を読みながら、2か月間スーパー糖質制限と週1-2回の水泳(歩くだけですが)を続けました。糖尿病の薬は飲んでいません。
そして、本日の血液検査で大改善の結果が出ました!
3月20日
HbA1c 8.1; 空腹時血糖 151;TG(中性脂肪)466; γ-GTP 47;T-Cho 233
5月29日
HbA1c 5.6; 空腹時血糖 93;TG(中性脂肪)108; γ-GTP 34;T-Cho 227
血糖も中性脂肪も大改善!
お医者様が、「すごい!こんなに良くなったの初めて見た!」と驚かれてました。
総コレステロールが少しだけ高めだけど、HDL/LDLは正常で気にすることない、ということです。
体重も5キロ減り、BMI21.1で丁度良いくらいになりました。
祖母がかつて糖尿病で足を切り、自分もいつかと恐れていたのですが、 糖質制限に出会ってこれなら大丈夫と自信がつきました!
これからも糖質制限を続けようと思います。本当にありがとうございました。】
こんにちは。
しーままさんから、スーパー糖質制限食で、血糖値・HbA1c・中性脂肪改善という嬉しいコメントを頂きました。
しーままさん、良かったですね。
拙著のご購入もありがとうございます。
3月20日
HbA1c 8.1; 空腹時血糖 151;TG(中性脂肪)466; γ-GTP 47;T-Cho 233
5月29日
HbA1c 5.6; 空腹時血糖 93;TG(中性脂肪)108; γ-GTP 34;T-Cho 227
2ヶ月で、主治医もびっくりの見事な改善です。
全て、基準値内になりましたね。
総コレステロール(TC)は、2007年以降の日本動脈硬化学会のガイドラインからは、削除されてます。
脂質関連は、中性脂肪とHDL-コレステロール、LDL-コレステロールが評価の対象です。
近年、脂質の評価基準として
LDLコレステロール/HDLコレステロール(LDLコレステロール÷HDLコレステロール)
LH比が、注目を浴びています。
糖質制限食実践で、HDLコレステロ-ルが増加するので、LH比は低下することが多く、大変好ましい変化です。
例えば、
DIRECT (*)後の4年間のフォローアップ研究報告
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc1204792
では、LH比を指標の一つに取り上げていて、糖質制限食だけが、LH比を優位に改善しました。
LH比は、動脈硬化予防には、2.0以下が望ましく、高血圧や糖尿病など複数の生活習慣病を持っている人、心筋梗塞や脳梗塞の再発予防には1.5以下が望ましいと、されています。
LH比が注目されてきたのは、LDL-コレステロールとHDL-コレステロールが共に基準値内なのに、虚血性心疾患のため冠動脈バイパス手術が必要な症例があり、その場合、LH比の平均が2.98でした。
さらに動脈硬化が重症の場合、LH比は3.0を超えていました。(**)
単純に、LDLコレステロール値、HDLコレステロール値をみるのではなく、LH比も考慮することが必要ですね。
しーままさんも、スーパー糖質制限食で、HDL-コレステロールが増加して、LH比が低下・改善したのだと思います。
ちなみに、2014年4月の私のLDLコレステロール値:129mg、HDLコレステロール値107mgですのでLH比は1.20です。
LH比を1.5以下に管理することで、動脈硬化を予防するばかりか、すでに出来上がった動脈硬化を治し、赤ちゃん並みの若々しい血管を取り戻す可能性がありえるようですので、ますます、糖質制限食の出番ですね。(^^)
江部康二
(*)
ニューイングランド・ジャーナルに掲載された有名な論文。2008年。
低脂肪食、地中海食、低炭水化物食の3群で322名を比較検討
低炭水化物食群において、
HbA1cが有意に改善
体重は最も減少
HDLコレステロールは最も増加
総コレステロール/HDLコレステロール比も改善
中性脂肪も低脂肪食群に比し有意に改善
Iris Shai,et all:Weight Loss with a Low-Carbohydrate,Mediterranean,or Low-Fat Diet. NENGLJ MED JULY17,2008、VOL359. NO.3 229-241
DIRECT(Dietary Intervention Randomized Controlled Trial)
以下、週刊ダイヤモンドのウェブサイトから転載
(**)
http://diamond.jp/articles/-/11117
第31回】 2011年2月14日
井手ゆきえ [医学ライター],-週刊ダイヤモンド編集部-
LDLよりHDLに注目!!
動脈硬化性疾患の予防とLH比
監修 秦 光賢
(日本大学医学部附属板橋病院心臓血管・呼吸器・総合外科講師、心臓外科科長)
急性心筋梗塞で病院搬送、緊急手術を受けたAさん、49歳。
健康診断で血圧は若干高いが、脂質は「正常」と言われたばかりだった──。
最近、LDLコレステロール(LDL‐c)の基準値をめぐる議論喧しいが、じつは議論の方向が偏っている。最新の研究で心筋梗塞などの動脈硬化性疾患は、高LDL‐c値だけではなく、LDL‐c値とHDLコレステロール(HDL‐c)値のバランス異常が主な原因だとわかっているからだ。
脂質バランスの指標は、LDL‐c÷HDL‐c=「LH比」。
動脈硬化性疾患を防ぐには、LH比2.0以下、高血圧や糖尿病など複数の生活習慣病を持っている人、心筋梗塞や脳梗塞の再発予防にはLH比1.5以下が望ましい。
実際、2004年1月から08年12月に日本大学板橋病院の心臓外科で、冠動脈バイパス手術を受けた重症患者(245例)の平均LDL‐cは119.2mg/dL、HDL‐cは43.2mg/dLと、どちらも基準内だった。ところがLH比の平均は2.98。さらに、「コテコテの動脈硬化のため全身の血管がボロボロの患者」は、LDL‐cが正常でもHDL‐cが低く、LH比が3.0を上回っていたのである。また全身の動脈硬化の状態を反映する頸動脈の血管壁の性状が、動脈硬化で分厚くコブ状になっていた人も、LH比2.0以上の患者ではるかに多かった。
そもそもHDL‐cは、血管壁にたまったコレステロールをキレイにさらってくれるお掃除屋さん。この「掃除力」が悪玉LDL‐cの「ゴミため力」を上回り、LH比が2.0から、限りなく1.0に近づくほど脂質異常症から動脈硬化、そして突然死の流れを阻止できる。たとえ、LDL‐cが基準値を上回る160mg/dLでもHDL‐cが80mg/dL以上なら、あわてずに生活習慣の改善を図り、LDL‐cを基準値内にすればLH比2.0以下を達成できるのだ。
その点で今、注目されているのが動脈硬化進展阻止・退縮治療。LH比を1.5以下に管理することで、動脈硬化を予防するばかりか、すでに出来上がった動脈硬化を治し、赤ちゃん並みの若々しい血管を取り戻す方法だ。
基本は運動療法と薬物治療。HDL‐cは運動療法によく反応し、朝夕2回、30分程度のパワー・ウオーキングを数ヵ月続けるだけで数値が劇的に改善される。必要に応じ、脂質バランスを改善する治療薬が処方されることもある。一見、これまでの脂質治療と変わらないようだが、主役はあくまでHDL‐c。健康診断ではHDL‐cとLH比に注目してみよう。
2014年05月30日 (金)
こんにちは。
m3.com 臨床ダイジェスト 臨床賛否両論において、「DMの糖質制限食、薦めるか」という記事が掲載されました。
精神科医師Aさんから情報を頂きました。
ありがとうございます。
糖質制限推奨
北里大学北里研究所病院糖尿病センターの山田悟氏が論者
糖質制限食慎重、短期適応
京都府立医科大学大学院医学研究科内分泌代謝内科学の福井道明氏が論者
福井氏も短期適応としては、糖質制限食を認めているので、賛成派VS反対派のディベートではないですね。
私は勿論、山田氏の論に全面的に賛成です。
<長期安全性>
福井氏の低炭水化物食の長期適応に懸念の引用論文は1年の経過です。
一方山田氏引用のRCT研究論文は、6年ですので、より長期に安全性が担保されています。
<低炭水化物食による「たんぱく質量増加」の弊害>
福井氏が引用している論文
2010年に発表された低炭水化物食を摂取した約13万人を対象とした20-26年の追跡調査(Ann Intern Med. 2010 Sep 7;153(5):289-98.)
に関しては、
2011年06月27日 (月)の本ブログ記事
「スーパー糖質制限食に発ガンのリスクはあるのか?①」
で、スーパー糖質制限食とは、関係ない論文であることを説明しています。
福井氏のたんぱく質増加による腎臓への懸念ですが、米国糖尿病学会は、2013年10月の栄養療法に関する声明の中で、糖尿病腎症のない糖尿病患者での理想的な蛋白質摂取量のエビデンスは存在しないと断定しています。
さらに踏み込んで、糖尿病腎症を有する患者においても、「蛋白質制限は推奨しない」とランクAで断定しています。
<糖質制限のメリットとサルコペニアのリスク>
福井氏は、メタボ30人の割付比較試験で、「1カ月後の体重が糖質制限食群で有意に減少。
さらに内臓脂肪やインスリン値も有意に減少」と述べて「糖質制限をすると内臓脂肪が燃えて、インスリン抵抗性が改善する。これは非常に大きなメリット」と説明し、糖質制限食の利点を認めています。
一方「糖質制限食で脂肪が糖新生に使われることはいいことだが、ここで一番問題になるのが、筋肉が異化をしてアミノ酸が糖新生に使われてしまい、筋肉量が減ってしまうこと」と述べて、糖質制限食への懸念を示しています。
しかし、きっちりエネルギー摂取を確保しての糖質制限食なら、たんぱく質摂取も豊富なので、筋肉量が減ることはありませんので不要な心配と言えます。
なお、糖質制限をするしないに関係なく、筋肉は毎日日常的に分解と再生を繰り返しています。
体重70kgの男性では、10~11kgの体タンパクがあり、タンパク質代謝の異化と同化の過程で、そのうち約250~300gのタンパクが毎日入れ替わります。(約3%)。
2011年04月30日 (土)の本ブログ記事「タンパク質代謝」をご参照いただけば幸いです。
江部康二
以下、m3.com 記事から抜粋
☆☆☆
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臨床賛否両論 臨床賛否両論
DMの糖質制限食、薦めるか
学会提言から1年の変化は?
2014年5月29日(木) 酒井夏子(m3.com編集部)
カテゴリ:一般内科疾患・内分泌・代謝疾患・その他
昨年3月、日本糖尿病学会が極端な糖質制限食は薦められないとする提言をまとめた。
日本人でのエビデンス不足から、昨年の段階では薦められないとの結論だった。
あれから1年。糖質制限食に対する医師間の考えに変化はあったのか。
5月の第57回日本糖尿病学会年次学術集会では、糖質制限食を巡り活発な議論が展開された。
推奨糖質制限食は百利あって一害なし
「安全性のエビデンスを積み重ねる必要はあるが、現時点で糖質制限食をやってはいけないという議論の方が危険」と指摘する北里大学北里研究所病院糖尿病センターの山田悟氏。日本人初の糖質制限に関するRCT(無作為化比較試験)の結果も含め、この1年で蓄積された国内外の糖質制限食に関するエビデンスや、米国糖尿病学会(ADA)の動きを紹介しながら、「糖質制限食は百利あって一害なし」との持論を展開した。
ADAが糖質制限食を全面推進
山田氏はまず、2013年に糖質制限食を糖尿病治療食として無条件で第一選択肢の1つに採用したADAの勧告を紹介(Diabetes Care 2013Nov;36(11):3821-3842)。前回改訂(2008年)より5年が経過し、「糖質制限食に関する様々なエビデンスが蓄積され、全面的に糖質制限食が認められるようになった」と説明した。2008年版での糖質制限食は、肥満治療に限り第一選択肢として認めながらも、『1年まで』と期限が定められていたが、新たな勧告で期限を撤廃。同時に、『腎機能、脂質プロファイルのモニタリング』の必要性についての記述も撤廃されているという。
『糖質制限食の百利』を示すエビデンス
次いで山田氏は、ADAの勧告改定につながったシステマティックレビュー(Diabetes Care. 2012 Feb;35(2):434-45. doi: 10.2337/dc11-2216)を解説した。糖質制限食に関する3件の前後比較研究と8件のRCTを分析したもので、前後比較では血糖、脂質ともに全ての文献で改善。RCTでは8件中7件で糖質制限食の方が優れていたという。また、糖質制限食と対照食が同等であった1件の対照食が『厳格なカロリー制限』のみだったことから、「厳格なカロリー制限を指導しても上手くいかない人は、糖質制限食への切り替えで、ほぼ同等の治療効果が得られる」と山田氏は糖質制限食を厳格なカロリー制限の次の手として位置づけた。
糖質制限食の長期効果と安全性
一方、糖質制限食の問題点として指摘されるのが、長期的な効果と安全性だ。この点を払しょくするデータとして山田氏は、ランダム比較試DIRECTを紹介。322人の肥満患者を3つの食事療法で割り付けたところ、糖質制限食群で減量、脂質、HbA1c(糖尿病患者に限定)が最も改善した(N Engl J Med. 2008 Jul 17;359(3):229-41)。その効果は4年間の観察期間を経て計6年維持されたという(N Engl J Med. 2012 Oct 4;367(14):1373-4. doi: 10.1056/NEJMc1204792)。
また、eGFRと尿中アルブミン・クレアチニン比を検討した同試験のサブ解析についても言及(Diabetes Care. 2013 Aug;36(8):2225-32. doi: 10.2337/dc12-1846)。CKDステージ3の患者においても糖質制限食でGFRが改善したと説明し、「糖質制限は腎臓が悪くなるという仮説が存在していたが、逆にGFRを改善している。腎症の悪化の可能性はまだ可能性にすぎない」との見解を示した。
日本人のエビデンス
また、山田氏らが今年1月に日本で初めて論文化したランダム比較試験(Intern Med. 2014;53(1):13-9.)についても紹介した。2型糖尿病患者24人(HbA1c平均7.6%、BMI平均25.8)を従来通りのカロリー制限群と糖質制限食群に割り付けたところ、試験開始6カ月後にHbA1cが糖質制限食群で有意に改善(群間比較、P = 0.03)し、中性脂肪も糖質制限食群で改善したという。さらに、最近の東アジア人での複数の観察研究のデータも紹介。いずれも欧米人と異なり高糖質摂取の群において糖尿病や心血管イベント発症率、死亡率が高かった。
以上の結果から山田氏は、「無作為比較試験では糖質制限食の有効性・安全性が証明されており、観察研究から考察しても東アジア人には糖質制限こそ安全であり、盲目的に糖質制限食に反対することが一番危険なのではないか」と改めて指摘。3期腎症や妊婦、成長過程の小児以外で、糖質制限食に取り組みたいと考えている糖尿病患者に糖質制限食を導入することは問題ないとの考えを示した。
慎重低炭水化物食はあくまでも短期適応
「低炭水化物食の適応は短期間。しかも腎症がない人が私の考える適応」と話すのは、京都府立医科大学大学院医学研究科内分泌代謝内科学の福井道明氏。自らも低炭水化物食を取り入れその効果を認めながらも、低炭水化物食による死亡リスクや腎臓への影響、効果の持続性などを考慮した上で、あくまでも短期間の選択肢として位置付ける。
低炭水化物食の長期適応に懸念
福井氏は、低炭水化物食を短期適応とする根拠として、2006年に発表されたメタ解析(Arch Intern Med. 2006 Feb 13;166(3):285-93.)を紹介した。同解析では、低炭水化物食により6カ月まで有意な体重減少が認められたものの、1年で有意差が消失し、血中LDL-C上昇が確認されている。福井氏は、「体重減少のために1カ月、3カ月、6カ月と決めて短期間で実施する分にはいい」としながらも、1年後は有意差がなくなったことに加え、LDL-C上昇が糖尿病における動脈硬化の最も強いリスク因子になることから、低炭水化物食の長期適応に懸念を示した。
低炭水化物食による「たんぱく質量増加」の弊害
一方、低炭水化物食の長期間の継続で懸念されるのが、タンパク質や脂肪摂取量の増加だ。福井氏はタンパク質の摂取率の増加による腎臓への影響や、死亡リスクの増加を危惧する。
まず、死亡リスクが増す根拠として福井氏は、2010年に発表された低炭水化物食を摂取した約13万人を対象とした20-26年の追跡調査(Ann Intern Med. 2010 Sep 7;153(5):289-98.)を提示した。同調査では、動物性タンパク質と脂質の摂取が多い低炭水化物食群で、男女ともに死亡率が有意に上昇。逆に、植物性のタンパク質と脂質の摂取が多い低炭水化物食群では、死亡率は有意に減少したという。
実際、福井氏らの外来に訪れる糖尿病患者において、炭水化物のエネルギー比率が50%を切る低炭水化物食群と50-60%群を比較検討したところ、低炭水化物食群でタンパク質と脂質の摂取比率が増加した。中でも、動物性の脂質比率は変わらなかったが、炭水化物の減少により有意に動物性のタンパク質の比率が高まったという。
こうした結果から福井氏は、「動物性のたんぱく質を多く摂ることが、死亡率を増やすという報告がある中で、低炭水化物食を導入するのであればタンパク質と脂質の質を考えて、有用性と危険性をしっかりと患者さんに説明した上でやってほしい」と参加者に呼びかけた。
また、高たんぱく食による腎臓への影響についても言及。腎機能が正常な女性では、高タンパク質を摂取しても影響は出ないが、軽度腎障害では腎機能低下を促進させた報告(Ann Intern Med. 2003 Mar 18;138(6):460-7.)があることから、「腎機能が正常の方であればいいが、2期腎症であってもあまり積極的に糖質制限は進めるべきではない。3期腎症での導入はもってのほか」と、腎障害に対する低炭水化物食の適応に慎重な姿勢を見せた。
糖質制限のメリットとサルコペニアのリスク
一方、福井氏は糖質制限食を支持するデータとして、日本人のメタボリックシンドローム30人を対象に基本的に同じエネルギー摂取量になるように糖質制限食群と通常食群に割り付け比較した検討(日本臨床栄養学会雑誌31:40-50,2010)について紹介した。その結果を見ると、1カ月後の体重が糖質制限食群で有意に減少。さらに内臓脂肪やインスリン値も有意に減り、有意差はないものも血糖値も減ったという。
福井氏はこれらの結果から、「糖質制限をすると内臓脂肪が燃えて、インスリン抵抗性が改善する。これは非常に大きなメリット」と説明した。しかしその一方で「糖質制限食で脂肪が糖新生に使われることはいいことだが、ここで一番問題になるのが、筋肉が異化をしてアミノ酸が糖新生に使われてしまい、筋肉量が減ってしまうこと」とサルコペニアが発生する危険性を指摘。筋肉量を落とさないためには、極端な糖質制限を控え、レジスタンス運動など筋力を増やすことの重要性も強調した。
m3.com 臨床ダイジェスト 臨床賛否両論において、「DMの糖質制限食、薦めるか」という記事が掲載されました。
精神科医師Aさんから情報を頂きました。
ありがとうございます。
糖質制限推奨
北里大学北里研究所病院糖尿病センターの山田悟氏が論者
糖質制限食慎重、短期適応
京都府立医科大学大学院医学研究科内分泌代謝内科学の福井道明氏が論者
福井氏も短期適応としては、糖質制限食を認めているので、賛成派VS反対派のディベートではないですね。
私は勿論、山田氏の論に全面的に賛成です。
<長期安全性>
福井氏の低炭水化物食の長期適応に懸念の引用論文は1年の経過です。
一方山田氏引用のRCT研究論文は、6年ですので、より長期に安全性が担保されています。
<低炭水化物食による「たんぱく質量増加」の弊害>
福井氏が引用している論文
2010年に発表された低炭水化物食を摂取した約13万人を対象とした20-26年の追跡調査(Ann Intern Med. 2010 Sep 7;153(5):289-98.)
に関しては、
2011年06月27日 (月)の本ブログ記事
「スーパー糖質制限食に発ガンのリスクはあるのか?①」
で、スーパー糖質制限食とは、関係ない論文であることを説明しています。
福井氏のたんぱく質増加による腎臓への懸念ですが、米国糖尿病学会は、2013年10月の栄養療法に関する声明の中で、糖尿病腎症のない糖尿病患者での理想的な蛋白質摂取量のエビデンスは存在しないと断定しています。
さらに踏み込んで、糖尿病腎症を有する患者においても、「蛋白質制限は推奨しない」とランクAで断定しています。
<糖質制限のメリットとサルコペニアのリスク>
福井氏は、メタボ30人の割付比較試験で、「1カ月後の体重が糖質制限食群で有意に減少。
さらに内臓脂肪やインスリン値も有意に減少」と述べて「糖質制限をすると内臓脂肪が燃えて、インスリン抵抗性が改善する。これは非常に大きなメリット」と説明し、糖質制限食の利点を認めています。
一方「糖質制限食で脂肪が糖新生に使われることはいいことだが、ここで一番問題になるのが、筋肉が異化をしてアミノ酸が糖新生に使われてしまい、筋肉量が減ってしまうこと」と述べて、糖質制限食への懸念を示しています。
しかし、きっちりエネルギー摂取を確保しての糖質制限食なら、たんぱく質摂取も豊富なので、筋肉量が減ることはありませんので不要な心配と言えます。
なお、糖質制限をするしないに関係なく、筋肉は毎日日常的に分解と再生を繰り返しています。
体重70kgの男性では、10~11kgの体タンパクがあり、タンパク質代謝の異化と同化の過程で、そのうち約250~300gのタンパクが毎日入れ替わります。(約3%)。
2011年04月30日 (土)の本ブログ記事「タンパク質代謝」をご参照いただけば幸いです。
江部康二
以下、m3.com 記事から抜粋
☆☆☆
m3.com トップ 臨床ダイジェスト 臨床賛否両論
臨床賛否両論 臨床賛否両論
DMの糖質制限食、薦めるか
学会提言から1年の変化は?
2014年5月29日(木) 酒井夏子(m3.com編集部)
カテゴリ:一般内科疾患・内分泌・代謝疾患・その他
昨年3月、日本糖尿病学会が極端な糖質制限食は薦められないとする提言をまとめた。
日本人でのエビデンス不足から、昨年の段階では薦められないとの結論だった。
あれから1年。糖質制限食に対する医師間の考えに変化はあったのか。
5月の第57回日本糖尿病学会年次学術集会では、糖質制限食を巡り活発な議論が展開された。
推奨糖質制限食は百利あって一害なし
「安全性のエビデンスを積み重ねる必要はあるが、現時点で糖質制限食をやってはいけないという議論の方が危険」と指摘する北里大学北里研究所病院糖尿病センターの山田悟氏。日本人初の糖質制限に関するRCT(無作為化比較試験)の結果も含め、この1年で蓄積された国内外の糖質制限食に関するエビデンスや、米国糖尿病学会(ADA)の動きを紹介しながら、「糖質制限食は百利あって一害なし」との持論を展開した。
ADAが糖質制限食を全面推進
山田氏はまず、2013年に糖質制限食を糖尿病治療食として無条件で第一選択肢の1つに採用したADAの勧告を紹介(Diabetes Care 2013Nov;36(11):3821-3842)。前回改訂(2008年)より5年が経過し、「糖質制限食に関する様々なエビデンスが蓄積され、全面的に糖質制限食が認められるようになった」と説明した。2008年版での糖質制限食は、肥満治療に限り第一選択肢として認めながらも、『1年まで』と期限が定められていたが、新たな勧告で期限を撤廃。同時に、『腎機能、脂質プロファイルのモニタリング』の必要性についての記述も撤廃されているという。
『糖質制限食の百利』を示すエビデンス
次いで山田氏は、ADAの勧告改定につながったシステマティックレビュー(Diabetes Care. 2012 Feb;35(2):434-45. doi: 10.2337/dc11-2216)を解説した。糖質制限食に関する3件の前後比較研究と8件のRCTを分析したもので、前後比較では血糖、脂質ともに全ての文献で改善。RCTでは8件中7件で糖質制限食の方が優れていたという。また、糖質制限食と対照食が同等であった1件の対照食が『厳格なカロリー制限』のみだったことから、「厳格なカロリー制限を指導しても上手くいかない人は、糖質制限食への切り替えで、ほぼ同等の治療効果が得られる」と山田氏は糖質制限食を厳格なカロリー制限の次の手として位置づけた。
糖質制限食の長期効果と安全性
一方、糖質制限食の問題点として指摘されるのが、長期的な効果と安全性だ。この点を払しょくするデータとして山田氏は、ランダム比較試DIRECTを紹介。322人の肥満患者を3つの食事療法で割り付けたところ、糖質制限食群で減量、脂質、HbA1c(糖尿病患者に限定)が最も改善した(N Engl J Med. 2008 Jul 17;359(3):229-41)。その効果は4年間の観察期間を経て計6年維持されたという(N Engl J Med. 2012 Oct 4;367(14):1373-4. doi: 10.1056/NEJMc1204792)。
また、eGFRと尿中アルブミン・クレアチニン比を検討した同試験のサブ解析についても言及(Diabetes Care. 2013 Aug;36(8):2225-32. doi: 10.2337/dc12-1846)。CKDステージ3の患者においても糖質制限食でGFRが改善したと説明し、「糖質制限は腎臓が悪くなるという仮説が存在していたが、逆にGFRを改善している。腎症の悪化の可能性はまだ可能性にすぎない」との見解を示した。
日本人のエビデンス
また、山田氏らが今年1月に日本で初めて論文化したランダム比較試験(Intern Med. 2014;53(1):13-9.)についても紹介した。2型糖尿病患者24人(HbA1c平均7.6%、BMI平均25.8)を従来通りのカロリー制限群と糖質制限食群に割り付けたところ、試験開始6カ月後にHbA1cが糖質制限食群で有意に改善(群間比較、P = 0.03)し、中性脂肪も糖質制限食群で改善したという。さらに、最近の東アジア人での複数の観察研究のデータも紹介。いずれも欧米人と異なり高糖質摂取の群において糖尿病や心血管イベント発症率、死亡率が高かった。
以上の結果から山田氏は、「無作為比較試験では糖質制限食の有効性・安全性が証明されており、観察研究から考察しても東アジア人には糖質制限こそ安全であり、盲目的に糖質制限食に反対することが一番危険なのではないか」と改めて指摘。3期腎症や妊婦、成長過程の小児以外で、糖質制限食に取り組みたいと考えている糖尿病患者に糖質制限食を導入することは問題ないとの考えを示した。
慎重低炭水化物食はあくまでも短期適応
「低炭水化物食の適応は短期間。しかも腎症がない人が私の考える適応」と話すのは、京都府立医科大学大学院医学研究科内分泌代謝内科学の福井道明氏。自らも低炭水化物食を取り入れその効果を認めながらも、低炭水化物食による死亡リスクや腎臓への影響、効果の持続性などを考慮した上で、あくまでも短期間の選択肢として位置付ける。
低炭水化物食の長期適応に懸念
福井氏は、低炭水化物食を短期適応とする根拠として、2006年に発表されたメタ解析(Arch Intern Med. 2006 Feb 13;166(3):285-93.)を紹介した。同解析では、低炭水化物食により6カ月まで有意な体重減少が認められたものの、1年で有意差が消失し、血中LDL-C上昇が確認されている。福井氏は、「体重減少のために1カ月、3カ月、6カ月と決めて短期間で実施する分にはいい」としながらも、1年後は有意差がなくなったことに加え、LDL-C上昇が糖尿病における動脈硬化の最も強いリスク因子になることから、低炭水化物食の長期適応に懸念を示した。
低炭水化物食による「たんぱく質量増加」の弊害
一方、低炭水化物食の長期間の継続で懸念されるのが、タンパク質や脂肪摂取量の増加だ。福井氏はタンパク質の摂取率の増加による腎臓への影響や、死亡リスクの増加を危惧する。
まず、死亡リスクが増す根拠として福井氏は、2010年に発表された低炭水化物食を摂取した約13万人を対象とした20-26年の追跡調査(Ann Intern Med. 2010 Sep 7;153(5):289-98.)を提示した。同調査では、動物性タンパク質と脂質の摂取が多い低炭水化物食群で、男女ともに死亡率が有意に上昇。逆に、植物性のタンパク質と脂質の摂取が多い低炭水化物食群では、死亡率は有意に減少したという。
実際、福井氏らの外来に訪れる糖尿病患者において、炭水化物のエネルギー比率が50%を切る低炭水化物食群と50-60%群を比較検討したところ、低炭水化物食群でタンパク質と脂質の摂取比率が増加した。中でも、動物性の脂質比率は変わらなかったが、炭水化物の減少により有意に動物性のタンパク質の比率が高まったという。
こうした結果から福井氏は、「動物性のたんぱく質を多く摂ることが、死亡率を増やすという報告がある中で、低炭水化物食を導入するのであればタンパク質と脂質の質を考えて、有用性と危険性をしっかりと患者さんに説明した上でやってほしい」と参加者に呼びかけた。
また、高たんぱく食による腎臓への影響についても言及。腎機能が正常な女性では、高タンパク質を摂取しても影響は出ないが、軽度腎障害では腎機能低下を促進させた報告(Ann Intern Med. 2003 Mar 18;138(6):460-7.)があることから、「腎機能が正常の方であればいいが、2期腎症であってもあまり積極的に糖質制限は進めるべきではない。3期腎症での導入はもってのほか」と、腎障害に対する低炭水化物食の適応に慎重な姿勢を見せた。
糖質制限のメリットとサルコペニアのリスク
一方、福井氏は糖質制限食を支持するデータとして、日本人のメタボリックシンドローム30人を対象に基本的に同じエネルギー摂取量になるように糖質制限食群と通常食群に割り付け比較した検討(日本臨床栄養学会雑誌31:40-50,2010)について紹介した。その結果を見ると、1カ月後の体重が糖質制限食群で有意に減少。さらに内臓脂肪やインスリン値も有意に減り、有意差はないものも血糖値も減ったという。
福井氏はこれらの結果から、「糖質制限をすると内臓脂肪が燃えて、インスリン抵抗性が改善する。これは非常に大きなメリット」と説明した。しかしその一方で「糖質制限食で脂肪が糖新生に使われることはいいことだが、ここで一番問題になるのが、筋肉が異化をしてアミノ酸が糖新生に使われてしまい、筋肉量が減ってしまうこと」とサルコペニアが発生する危険性を指摘。筋肉量を落とさないためには、極端な糖質制限を控え、レジスタンス運動など筋力を増やすことの重要性も強調した。
2014年05月29日 (木)
こんにちは。
第57回日本糖尿病学会学術総会(2014年5月22日~24日)ですが、糖質制限食的には、デューク大学のYancy氏や、北里研究所病院山田悟氏の講演もあり、大変有意義なものと思われました。
一方、3日間を通して、米国糖尿病学会2013年10月の「成人糖尿病患者の食事療法に関する声明」に関して、糖尿病学会としての見解はなしでした。
ADAの「成人糖尿病患者の食事療法に関する声明」は、以下に示すように、画期的な内容でした。
そして、それは日本糖尿病学会の唯一推奨する「エネルギー制限食」とは、全く異なるもので、痛烈な批判となっています。
日本糖尿病学会は、この声明に対して、賛成でも反対でも中立でもいいので、根拠を提示して何らかの見解を示す義務があると思います。
少なくとも1)2)3)4)に関して、自分たちの立場と違うからといって、無視したり、隠蔽したり、逃げるのではなく、日本糖尿病学会としての見解を発表するくらいの矜持を持って欲しいと思います。
江部康二
☆☆☆
米国糖尿病学会が2008年以来5年ぶりに、成人糖尿病患者の食事療法に関する声明(Position Statement on Nutrition Therapy)を改訂したと発表。(Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版)。
1)
今回の声明では、全ての糖尿病患者に適した“one-size-fits-all(唯一無二の)”食事パターンは存在しないとの見解を表明しました。
そして、患者ごとにさまざまな食事パターン〔地中海食,ベジタリアン食,糖質制限食,低脂質食,DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食〕が受容可能であるとしています。
糖質制限食もちゃんと認められています。
そして、日本糖尿病学会推奨の「唯一無二のエネルギー制限食」に対する痛烈な批判となっています。
2)
主要栄養素の最適な混合の項目で、
「全ての糖尿病患者に最適な炭水化物(C)、蛋白質(P)、脂質(F)における理想的な比率を示唆するエビデンスはない。」
ということを、ランク(B)としています。
3)
注目の炭水化物の項目では、
【・糖尿病患者における炭水化物の理想的な摂取量については結論が得られていないため、各患者と協議した目標を設定すべきである。(C)
・炭水化物の摂取量とインスリン使用は食後のインスリン反応に最も影響を与える可能性があるため、食事療法の計画を立てる上で考慮されるべきである。(A)
・炭水化物摂取をモニタリングを、カーボカウントで行うか、あるいは経験に基づく推測で実施するかは、依然として血糖管理の改善における重要な戦略である。(A)
・健康を考慮し、炭水化物は、特に脂肪・砂糖・ナトリウムが添加された食品からよりも、野菜、果物、全粒、豆、乳製品からより多く摂取することを勧めるべきである。(A)】
と明快です。
蛋白質:脂質:炭水化物のPFCバランスに関しては、エビデンスなしです。
炭水化物に関して、理想的な摂取量については、結論が得られていないということです。
一方、炭水化物摂取量の考慮、炭水化物摂取モニタリングはランク(A)で推奨しており、「炭水化物だけが、血糖値に変わる」という知識が医学界に周知されていることが前提になっていると思われます。
4)
あと興味深いのは<蛋白質>の項目です。
『糖尿病腎症の所見のない糖尿病患者では、最適な血糖コントロール、あるいは、心血管疾患リスクの改善のための理想的な蛋白質摂取量に関しては、これを推奨するに足る十分なエビデンスは存在しない。したがって、目標は個別化されなければならない。C』
『糖尿病腎症(微量アルブミン尿、および、顕性蛋白尿)を有する糖尿病患者では、通常の摂取量以下に蛋白質摂取量を減量することは、血糖状態、心血管リスク、あるいは、糸球体ろ過率低下の経過に変化を与えないので、推奨されない。A』
糖尿病腎症のない糖尿病患者での理想的な蛋白質摂取量のエビデンスは存在しないと断定しています。
さらに踏み込んで、糖尿病腎症を有する患者においても、「蛋白質制限は推奨しない」とランクAで断定しています。
日本糖尿病学会とはえらい差です。
*エビデンスの格付けの定義
A:質の高いRCTに基づく明確なエビデンス
B:質の高いコホート研究に基づく補助的エビデンス
C:質の高くない研究に基づく補助的エビデンス
E:専門家のコンセンサスまたは臨床経験
第57回日本糖尿病学会学術総会(2014年5月22日~24日)ですが、糖質制限食的には、デューク大学のYancy氏や、北里研究所病院山田悟氏の講演もあり、大変有意義なものと思われました。
一方、3日間を通して、米国糖尿病学会2013年10月の「成人糖尿病患者の食事療法に関する声明」に関して、糖尿病学会としての見解はなしでした。
ADAの「成人糖尿病患者の食事療法に関する声明」は、以下に示すように、画期的な内容でした。
そして、それは日本糖尿病学会の唯一推奨する「エネルギー制限食」とは、全く異なるもので、痛烈な批判となっています。
日本糖尿病学会は、この声明に対して、賛成でも反対でも中立でもいいので、根拠を提示して何らかの見解を示す義務があると思います。
少なくとも1)2)3)4)に関して、自分たちの立場と違うからといって、無視したり、隠蔽したり、逃げるのではなく、日本糖尿病学会としての見解を発表するくらいの矜持を持って欲しいと思います。
江部康二
☆☆☆
米国糖尿病学会が2008年以来5年ぶりに、成人糖尿病患者の食事療法に関する声明(Position Statement on Nutrition Therapy)を改訂したと発表。(Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版)。
1)
今回の声明では、全ての糖尿病患者に適した“one-size-fits-all(唯一無二の)”食事パターンは存在しないとの見解を表明しました。
そして、患者ごとにさまざまな食事パターン〔地中海食,ベジタリアン食,糖質制限食,低脂質食,DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食〕が受容可能であるとしています。
糖質制限食もちゃんと認められています。
そして、日本糖尿病学会推奨の「唯一無二のエネルギー制限食」に対する痛烈な批判となっています。
2)
主要栄養素の最適な混合の項目で、
「全ての糖尿病患者に最適な炭水化物(C)、蛋白質(P)、脂質(F)における理想的な比率を示唆するエビデンスはない。」
ということを、ランク(B)としています。
3)
注目の炭水化物の項目では、
【・糖尿病患者における炭水化物の理想的な摂取量については結論が得られていないため、各患者と協議した目標を設定すべきである。(C)
・炭水化物の摂取量とインスリン使用は食後のインスリン反応に最も影響を与える可能性があるため、食事療法の計画を立てる上で考慮されるべきである。(A)
・炭水化物摂取をモニタリングを、カーボカウントで行うか、あるいは経験に基づく推測で実施するかは、依然として血糖管理の改善における重要な戦略である。(A)
・健康を考慮し、炭水化物は、特に脂肪・砂糖・ナトリウムが添加された食品からよりも、野菜、果物、全粒、豆、乳製品からより多く摂取することを勧めるべきである。(A)】
と明快です。
蛋白質:脂質:炭水化物のPFCバランスに関しては、エビデンスなしです。
炭水化物に関して、理想的な摂取量については、結論が得られていないということです。
一方、炭水化物摂取量の考慮、炭水化物摂取モニタリングはランク(A)で推奨しており、「炭水化物だけが、血糖値に変わる」という知識が医学界に周知されていることが前提になっていると思われます。
4)
あと興味深いのは<蛋白質>の項目です。
『糖尿病腎症の所見のない糖尿病患者では、最適な血糖コントロール、あるいは、心血管疾患リスクの改善のための理想的な蛋白質摂取量に関しては、これを推奨するに足る十分なエビデンスは存在しない。したがって、目標は個別化されなければならない。C』
『糖尿病腎症(微量アルブミン尿、および、顕性蛋白尿)を有する糖尿病患者では、通常の摂取量以下に蛋白質摂取量を減量することは、血糖状態、心血管リスク、あるいは、糸球体ろ過率低下の経過に変化を与えないので、推奨されない。A』
糖尿病腎症のない糖尿病患者での理想的な蛋白質摂取量のエビデンスは存在しないと断定しています。
さらに踏み込んで、糖尿病腎症を有する患者においても、「蛋白質制限は推奨しない」とランクAで断定しています。
日本糖尿病学会とはえらい差です。
*エビデンスの格付けの定義
A:質の高いRCTに基づく明確なエビデンス
B:質の高いコホート研究に基づく補助的エビデンス
C:質の高くない研究に基づく補助的エビデンス
E:専門家のコンセンサスまたは臨床経験
2014年05月28日 (水)
こんにちは
「糖尿病患者、年間8%が受診中断 失明・突然死の恐れも」
日本糖尿病学会が、2014年5月24日に発表。
ニュースの情報を長谷川さんからコメントいただきました。
ありがとうございます。
日本糖尿病学会の指摘通り、糖尿病と診断された人が治療中断は危険です。
糖尿病合併症が進行すれば、人工透析、失明、足切断・・・、心筋梗塞や脳卒中で突然死のリスクもあります。
一方、仮に、糖尿人がスーパー糖質制限食を実践して、血糖自己測定器を購入して、血糖コントロール良好(☆)ならば
高血糖の記憶(☆☆)は別にして、新たな糖尿病合併症の恐れはないこととなります。
HbA1cの自己測定器もありますがやや高価です。
血糖コントロール良好ならHbA1cも当然、コントロール良好です。
年に1回の、健康診断の時にHbA1cを調べれば、OKです。
この場合、医療機関への定期的受診がなくても自己管理ができていれば、糖尿病合併症に関しては大丈夫です。
勿論、糖尿病関連以外の、婦人科系の健診や検便や腹部エコーなど、一般的な健康診断は自己責任で実施する必要があります。
さて、年間8%が受信中断ということは、92%の糖尿人は、しっかり受診していることとなります。
一番大きな問題は、きっちり受診していても、従来の糖尿病食(低脂質・高糖質食)を摂取する限りは、理論的に考えて「糖尿病合併症」は決して防げないということです。
すなわち、「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」が、合併症の最大のリスクとなることには、エビデンスがあります。
従来の糖尿病食(低脂質・高糖質食)を摂取していれば、1日に最低でも3回の食後高血糖を生じ、平均血糖変動幅の増大も必ず生じます。
その証拠に、92%の糖尿人はちゃんと通院しているにも関わらず、合併症を一定の確率で必ず生じています。
年間
16000人が糖尿病腎症から透析 → 医療費800億円、
3000人が糖尿病網膜症から失明
3000人が糖尿病足病変から足切断
というのが厳しい現実です。
合併症に苦しむ多数の糖尿病患者さんの存在そのものが、
「日本糖尿病学会主導の従来の糖尿病治療が決して上手くいっていない」
ことの動かぬ証拠と言えます。
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じない唯一の食事療法が、糖質制限食なのです。
糖尿病合併症を生じさせないためには、糖尿人の皆さんは、お医者さん任せではなくて自分自身の頭で考えて身を守ることが必要です。
私自身が一糖尿人ですが、本ブログが自分自身の頭で考えて身を守るための助けとなれば、幸いです。
(☆)2013年の日本糖尿病学会熊本宣言の評価指標よりは厳しい基準
空腹時血糖値:110mg/dl未満
食後1時間血糖値:180mg/dl未満
食後2時間血糖値:140mg/dl未満
(☆☆)高血糖の記憶
2013年11月16日 (土)の本ブログ記事
「糖質制限食実践中に生じることがある好ましくない症状・変化について(7)」
高血糖の記憶について
をご参照ください。
江部康二
***
朝日新聞の医療サイト apital から一部転載
【糖尿病患者、年間8%が受診中断 失明・突然死の恐れも
2014年5月25日
Clip to Evernote mixiチェック
糖尿病患者で受診を中断してしまう人は年間8%で、約22万人にのぼるとの推計を厚生労働省研究班がまとめた。治療を勝手にやめると、自覚しないうちに病気が進んで失明や足の切断、突然死につながりかねない。研究班はかかりつけ医に向け、中断を防ぐ手引書をつくった。
大阪市で開かれた日本糖尿病学会で24日発表した。全国11地域の医師会の協力を得て2009~10年、生活習慣が原因とされる2型糖尿病患者約2200人(40~64歳)を調査。予定された受診日から2カ月の間に来院しなかった人を受診の中断として集計すると8・2%が該当した。厚労省の患者調査(11年)の受診者数にあてはめると約22万人になった。
中断の理由は「仕事で忙しい」や「体調がよい」、「経済的に負担」が多かった。手引書は、多忙な患者への受診時間の配慮や知識の啓発、価格の安い後発医薬品の使用の検討などを勧めた。電話や郵便物、メールなどで受診を促すのも「有効な手段」とした。】
「糖尿病患者、年間8%が受診中断 失明・突然死の恐れも」
日本糖尿病学会が、2014年5月24日に発表。
ニュースの情報を長谷川さんからコメントいただきました。
ありがとうございます。
日本糖尿病学会の指摘通り、糖尿病と診断された人が治療中断は危険です。
糖尿病合併症が進行すれば、人工透析、失明、足切断・・・、心筋梗塞や脳卒中で突然死のリスクもあります。
一方、仮に、糖尿人がスーパー糖質制限食を実践して、血糖自己測定器を購入して、血糖コントロール良好(☆)ならば
高血糖の記憶(☆☆)は別にして、新たな糖尿病合併症の恐れはないこととなります。
HbA1cの自己測定器もありますがやや高価です。
血糖コントロール良好ならHbA1cも当然、コントロール良好です。
年に1回の、健康診断の時にHbA1cを調べれば、OKです。
この場合、医療機関への定期的受診がなくても自己管理ができていれば、糖尿病合併症に関しては大丈夫です。
勿論、糖尿病関連以外の、婦人科系の健診や検便や腹部エコーなど、一般的な健康診断は自己責任で実施する必要があります。
さて、年間8%が受信中断ということは、92%の糖尿人は、しっかり受診していることとなります。
一番大きな問題は、きっちり受診していても、従来の糖尿病食(低脂質・高糖質食)を摂取する限りは、理論的に考えて「糖尿病合併症」は決して防げないということです。
すなわち、「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」が、合併症の最大のリスクとなることには、エビデンスがあります。
従来の糖尿病食(低脂質・高糖質食)を摂取していれば、1日に最低でも3回の食後高血糖を生じ、平均血糖変動幅の増大も必ず生じます。
その証拠に、92%の糖尿人はちゃんと通院しているにも関わらず、合併症を一定の確率で必ず生じています。
年間
16000人が糖尿病腎症から透析 → 医療費800億円、
3000人が糖尿病網膜症から失明
3000人が糖尿病足病変から足切断
というのが厳しい現実です。
合併症に苦しむ多数の糖尿病患者さんの存在そのものが、
「日本糖尿病学会主導の従来の糖尿病治療が決して上手くいっていない」
ことの動かぬ証拠と言えます。
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じない唯一の食事療法が、糖質制限食なのです。
糖尿病合併症を生じさせないためには、糖尿人の皆さんは、お医者さん任せではなくて自分自身の頭で考えて身を守ることが必要です。
私自身が一糖尿人ですが、本ブログが自分自身の頭で考えて身を守るための助けとなれば、幸いです。
(☆)2013年の日本糖尿病学会熊本宣言の評価指標よりは厳しい基準
空腹時血糖値:110mg/dl未満
食後1時間血糖値:180mg/dl未満
食後2時間血糖値:140mg/dl未満
(☆☆)高血糖の記憶
2013年11月16日 (土)の本ブログ記事
「糖質制限食実践中に生じることがある好ましくない症状・変化について(7)」
高血糖の記憶について
をご参照ください。
江部康二
***
朝日新聞の医療サイト apital から一部転載
【糖尿病患者、年間8%が受診中断 失明・突然死の恐れも
2014年5月25日
Clip to Evernote mixiチェック
糖尿病患者で受診を中断してしまう人は年間8%で、約22万人にのぼるとの推計を厚生労働省研究班がまとめた。治療を勝手にやめると、自覚しないうちに病気が進んで失明や足の切断、突然死につながりかねない。研究班はかかりつけ医に向け、中断を防ぐ手引書をつくった。
大阪市で開かれた日本糖尿病学会で24日発表した。全国11地域の医師会の協力を得て2009~10年、生活習慣が原因とされる2型糖尿病患者約2200人(40~64歳)を調査。予定された受診日から2カ月の間に来院しなかった人を受診の中断として集計すると8・2%が該当した。厚労省の患者調査(11年)の受診者数にあてはめると約22万人になった。
中断の理由は「仕事で忙しい」や「体調がよい」、「経済的に負担」が多かった。手引書は、多忙な患者への受診時間の配慮や知識の啓発、価格の安い後発医薬品の使用の検討などを勧めた。電話や郵便物、メールなどで受診を促すのも「有効な手段」とした。】
2014年05月27日 (火)
こんにちは。
精神科医師Aさんからも、第57回日本糖尿病学会学術総会(2014年)の感想をコメントいただきました。
ありがとうございます。
<Controversy2 低炭水化物食は有益か有害か? >
山田悟氏の
「腎症1~2期なら患者は勝手にやってよいだろう。妊婦・小児・腎症3期は、勝手にやらず指導を受けるべし。」
は、私も賛成です。
座長の伊藤千賀子氏は、
「日本人は農耕民族で、狩猟民族ではない」
これは、あまりにもお粗末です。
日本人は数万年の狩猟・採集時代を経て、弥生時代以降の3000年が農耕時代です。
縄文人(狩猟・採集)や旧石器時代人(狩猟)は、日本人ではないとでも仰有るのでしょうか?
本当に、縄文時代や旧石器時代のことをご存じないのか?
はたまた、知っていて嘘をついておられるのか?
いずれにせよ困ったものです。
<シンポジウム23 糖尿病の食事療法の課題と展望 >
「Yancy氏は、ADAのstatementの編集委員で、ADAの見解をevidence を交えて解説し、結果的に低炭水化物を支持する発表内容でした。
質疑応答で、炭水化物の下限は20g/dayだが、薬剤調整や脱水モニターが必要である。
現実には100~120g/dayが適切かもしれぬ。
蛋白質上限はエネ比25~30%で、アミノ酸の種類まではあまりこだわっていない 。」
デューク大学では,炭水化物を20g/日未満に制限する『糖質制限-ケトジェニック食』(ケトン食)も臨床に用いているので、
Yancy氏、質疑応答は、少しマイルドにされたようですね。
デューク大学の糖質制限食実践に関しては
2013年12月20日 (金)の本ブログ記事
「米国デューク大學と糖質制限食、MTpro記事。」
2013年12月28日 (土)の本ブログ記事
「米国デューク大學と糖質制限食、MTpro記事。後編。」
をご参照ください。
「北田氏は、CKD診療ガイドの内容や最近のevidenceを並べました
66才以上だと、低たんぱく食はマイナスに働く」
北田氏が、低たんぱく食のマイナス面を示されたのは興味深いですね。
<糖尿病治療ガイド2014-2015北田氏解説>
1) 蛋白質
1,2期は1.0~1.2g/kg/day
3期は0.8~1.0 g/kg/day. (ただしeGFR<45なら0.6~0.8 g/kg/dayを考慮)
2) 食塩(かなり強化された)
1,2期は高血圧があれば6g未満
3期は血圧に関係なく6g未満 】
糖尿病治療ガイド2013-2014
と比較して、食塩はかなり厳しい設定になりました。
日本糖尿病学会・日本腎臓学会による糖尿病性腎症合同委員会は、2014年1月10日「糖尿病性腎症病期分類」を改訂し発表しました。
第3期Aと第3期Bの分類がなくなり、第3期で統一されました。
新しい「糖尿病性腎症病期分類」に関しては
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2014/021225.php 糖尿病ネットワークをご参照下さい。
新しい分類の糖尿病性腎症第3期でも、eGFRが60ml/分以上あるならば、日本腎臓病学会のCKDガイド2012以降に従えば、たんぱく質制限の必要なしとなりますが、日本糖尿病学会の見解はどうなのでしょう?
江部康二
【14/05/26 精神科医師A
2014糖尿病学会総会(1)
Controversy2 低炭水化物食は有益か有害か?
座長:伊藤 千賀子 / Grand Tower Medical Court、津田 謹輔 / 帝塚山学院大学人間科学部
演者:山田 悟 / 北里大学北里研究所病院
福井道明 / 京都府立医科大学
これは、文句なく山田先生の方が圧勝でした。最近の論文を数多く提示し、こうまで言い切りました。
「糖質制限食に百利あり。糖質制限批判に百害あり?」
◇質疑応答で山田氏の回答
北里研究所病院ではCarb 130g/day を標準としている。昔の交換表には、基礎食160g/dayとあった。例えば天ぷらの揚げ粉に高野豆腐の粉末を用いる等、工夫している。厳格な低炭水化物食で脱落が多いのは、その人の嗜好に合っていない。妊婦は、食後高血糖を防げる点に注目すべき。なお、腎症1~2期なら患者は勝手にやってよいだろう。妊婦・小児・腎症3期は、勝手にやらず指導を受けるべし
座長の伊藤千賀子氏は、日系米人対象の観察研究から切り出した。日本人は農耕民族で、狩猟民族ではないなどと言い出した。
http://dl.med.or.jp/dl-med/chiiki/kenshin/181220/kensyu2.pdf
山田氏は、農耕民族・狩猟民族どちらにも糖質制限は必要と説明した】
【14/05/26 精神科医師A
2014糖尿病学会総会(2)
シンポジウム23
糖尿病の食事療法の課題と展望
座長:宇都宮一典 / 東京慈恵会医科大学、古家大祐 / 金沢医科大学
演者:William Samuel Yancy Jr. / Duke University Medical Center, USA
佐々木 敏 / 東京大学予防疫学分野
津田 謹輔 / 帝塚山学院大学人間科学部
石田 均 / 杏林大学医学部第三内科
北田 宗弘 / 金沢医科大学
Yancy氏は、ADAのstatementの編集委員で、ADAの見解をevidence を交えて解説し、結果的に低炭水化物を支持する発表内容でした。質疑応答で、炭水化物の下限は20g/dayだが、薬剤調整や脱水モニターが必要である。現実には100~120g/dayが適切かもしれぬ。蛋白質上限はエネ比25~30%で、アミノ酸の種類まではあまりこだわっていない 。
それと好対照なのは杏林大学の石田均氏で、『和食の伝統』を情緒的に解説するのみで、evidence は全くなし。質疑応答で、SGLT2阻害剤投与例では、どのような食事療法を行えばよいか、と尋ねた者がいた。石田氏は摂取糖質の1/6~1/3程度を排泄するが、炭水化物は50-60%の摂取でよいと考える、と答えた
北田氏は、CKD診療ガイドの内容や最近のevidenceを並べました
66才以上だと、低たんぱく食はマイナスに働く
http://www.cell.com/cell-metabolism/abstract/S1550-4131(14)00062-X
エネ比>20%だと、健常者に腎機能低下は起きにくいが、心血管障害・癌・糖尿が起きうる】
【14/05/26 精神科医師A
2014糖尿病学会総会(3)
学会に合わせ糖尿病治療ガイド2014-2015が刊行された。糖尿病性腎症に関する主な変更点を北田宗弘氏が解説した。病期分類は2014年1月に公表された新分類で、CKD診療ガイドの分類も併記された
1) 蛋白質
1,2期は1.0~1.2g/kg/day
3期は0.8~1.0 g/kg/day. (ただしeGFR<45なら0.6~0.8 g/kg/dayを考慮)
2) 食塩(かなり強化された)
1,2期は高血圧があれば6g未満
3期は血圧に関係なく6g未満 】
精神科医師Aさんからも、第57回日本糖尿病学会学術総会(2014年)の感想をコメントいただきました。
ありがとうございます。
<Controversy2 低炭水化物食は有益か有害か? >
山田悟氏の
「腎症1~2期なら患者は勝手にやってよいだろう。妊婦・小児・腎症3期は、勝手にやらず指導を受けるべし。」
は、私も賛成です。
座長の伊藤千賀子氏は、
「日本人は農耕民族で、狩猟民族ではない」
これは、あまりにもお粗末です。
日本人は数万年の狩猟・採集時代を経て、弥生時代以降の3000年が農耕時代です。
縄文人(狩猟・採集)や旧石器時代人(狩猟)は、日本人ではないとでも仰有るのでしょうか?
本当に、縄文時代や旧石器時代のことをご存じないのか?
はたまた、知っていて嘘をついておられるのか?
いずれにせよ困ったものです。
<シンポジウム23 糖尿病の食事療法の課題と展望 >
「Yancy氏は、ADAのstatementの編集委員で、ADAの見解をevidence を交えて解説し、結果的に低炭水化物を支持する発表内容でした。
質疑応答で、炭水化物の下限は20g/dayだが、薬剤調整や脱水モニターが必要である。
現実には100~120g/dayが適切かもしれぬ。
蛋白質上限はエネ比25~30%で、アミノ酸の種類まではあまりこだわっていない 。」
デューク大学では,炭水化物を20g/日未満に制限する『糖質制限-ケトジェニック食』(ケトン食)も臨床に用いているので、
Yancy氏、質疑応答は、少しマイルドにされたようですね。
デューク大学の糖質制限食実践に関しては
2013年12月20日 (金)の本ブログ記事
「米国デューク大學と糖質制限食、MTpro記事。」
2013年12月28日 (土)の本ブログ記事
「米国デューク大學と糖質制限食、MTpro記事。後編。」
をご参照ください。
「北田氏は、CKD診療ガイドの内容や最近のevidenceを並べました
66才以上だと、低たんぱく食はマイナスに働く」
北田氏が、低たんぱく食のマイナス面を示されたのは興味深いですね。
<糖尿病治療ガイド2014-2015北田氏解説>
1) 蛋白質
1,2期は1.0~1.2g/kg/day
3期は0.8~1.0 g/kg/day. (ただしeGFR<45なら0.6~0.8 g/kg/dayを考慮)
2) 食塩(かなり強化された)
1,2期は高血圧があれば6g未満
3期は血圧に関係なく6g未満 】
糖尿病治療ガイド2013-2014
と比較して、食塩はかなり厳しい設定になりました。
日本糖尿病学会・日本腎臓学会による糖尿病性腎症合同委員会は、2014年1月10日「糖尿病性腎症病期分類」を改訂し発表しました。
第3期Aと第3期Bの分類がなくなり、第3期で統一されました。
新しい「糖尿病性腎症病期分類」に関しては
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2014/021225.php 糖尿病ネットワークをご参照下さい。
新しい分類の糖尿病性腎症第3期でも、eGFRが60ml/分以上あるならば、日本腎臓病学会のCKDガイド2012以降に従えば、たんぱく質制限の必要なしとなりますが、日本糖尿病学会の見解はどうなのでしょう?
江部康二
【14/05/26 精神科医師A
2014糖尿病学会総会(1)
Controversy2 低炭水化物食は有益か有害か?
座長:伊藤 千賀子 / Grand Tower Medical Court、津田 謹輔 / 帝塚山学院大学人間科学部
演者:山田 悟 / 北里大学北里研究所病院
福井道明 / 京都府立医科大学
これは、文句なく山田先生の方が圧勝でした。最近の論文を数多く提示し、こうまで言い切りました。
「糖質制限食に百利あり。糖質制限批判に百害あり?」
◇質疑応答で山田氏の回答
北里研究所病院ではCarb 130g/day を標準としている。昔の交換表には、基礎食160g/dayとあった。例えば天ぷらの揚げ粉に高野豆腐の粉末を用いる等、工夫している。厳格な低炭水化物食で脱落が多いのは、その人の嗜好に合っていない。妊婦は、食後高血糖を防げる点に注目すべき。なお、腎症1~2期なら患者は勝手にやってよいだろう。妊婦・小児・腎症3期は、勝手にやらず指導を受けるべし
座長の伊藤千賀子氏は、日系米人対象の観察研究から切り出した。日本人は農耕民族で、狩猟民族ではないなどと言い出した。
http://dl.med.or.jp/dl-med/chiiki/kenshin/181220/kensyu2.pdf
山田氏は、農耕民族・狩猟民族どちらにも糖質制限は必要と説明した】
【14/05/26 精神科医師A
2014糖尿病学会総会(2)
シンポジウム23
糖尿病の食事療法の課題と展望
座長:宇都宮一典 / 東京慈恵会医科大学、古家大祐 / 金沢医科大学
演者:William Samuel Yancy Jr. / Duke University Medical Center, USA
佐々木 敏 / 東京大学予防疫学分野
津田 謹輔 / 帝塚山学院大学人間科学部
石田 均 / 杏林大学医学部第三内科
北田 宗弘 / 金沢医科大学
Yancy氏は、ADAのstatementの編集委員で、ADAの見解をevidence を交えて解説し、結果的に低炭水化物を支持する発表内容でした。質疑応答で、炭水化物の下限は20g/dayだが、薬剤調整や脱水モニターが必要である。現実には100~120g/dayが適切かもしれぬ。蛋白質上限はエネ比25~30%で、アミノ酸の種類まではあまりこだわっていない 。
それと好対照なのは杏林大学の石田均氏で、『和食の伝統』を情緒的に解説するのみで、evidence は全くなし。質疑応答で、SGLT2阻害剤投与例では、どのような食事療法を行えばよいか、と尋ねた者がいた。石田氏は摂取糖質の1/6~1/3程度を排泄するが、炭水化物は50-60%の摂取でよいと考える、と答えた
北田氏は、CKD診療ガイドの内容や最近のevidenceを並べました
66才以上だと、低たんぱく食はマイナスに働く
http://www.cell.com/cell-metabolism/abstract/S1550-4131(14)00062-X
エネ比>20%だと、健常者に腎機能低下は起きにくいが、心血管障害・癌・糖尿が起きうる】
【14/05/26 精神科医師A
2014糖尿病学会総会(3)
学会に合わせ糖尿病治療ガイド2014-2015が刊行された。糖尿病性腎症に関する主な変更点を北田宗弘氏が解説した。病期分類は2014年1月に公表された新分類で、CKD診療ガイドの分類も併記された
1) 蛋白質
1,2期は1.0~1.2g/kg/day
3期は0.8~1.0 g/kg/day. (ただしeGFR<45なら0.6~0.8 g/kg/dayを考慮)
2) 食塩(かなり強化された)
1,2期は高血圧があれば6g未満
3期は血圧に関係なく6g未満 】
2014年05月26日 (月)
こんばんは。
しらねのぞるば さんから、第57回日本糖尿病学会学術総会の感想をコメントいただきました。
ありがとうございます。
[1日目]
「Duke大学のW. S. Yancy Jr.博士が、糖質制限の優位性をわかりやすく紹介された」
というのは、素晴らしいですね。
2013年12月20日 (金)の本ブログ記事
「米国デューク大學と糖質制限食、MTpro記事。」
2013年12月28日 (土)の本ブログ記事
「米国デューク大學と糖質制限食、MTpro記事。後編。」
で登場された医師ですが、山田悟先生が頑張って招聘されたのでしょうか?
山田先生、good job ですね。
ありがとうございます。
Debateは昨年と全く同じ顔ぶれで、
山田先生は
『糖質制限には百利あって一害なし.糖質制限に反対するのは百害あって一利なし』など
糖質制限を強く推奨。
福井先生も
『糖質制限のメリットは認める.ただその実行には数々の注意が必要』という立場。
糖質制限食に好転した大きな変化と言えますね。
冒頭の座長挨拶でT先生が
『昨年2013年には,糖尿病の食事療法に大きな出来事が3つあった』
(1)3月の『糖尿病学会の食事療法に関する提言』,
(2)7月の『診断ガイドラン改訂』,
(3)11月の『食品交換表の改訂』
として上記を取り上げて、
米国糖尿病学会の、2013年10月の栄養療法に対する声明
「唯一無二の食事療法はない」
「糖質制限食、地中海食、ベジタリアン食、脂肪制限食、DASH食を受容」、
といった大きな変化への言及なしとは、
びっくりですね。
[2日目]
CGMの発展が、日本では欧米に比しそれほど遅れているとは知りませんでした。
勉強になります。
[3日目]
「シンポジウムの一番手は、1日目のランチョンセミナーでも講演した、Duke大学のW. S. Yancy Jr.博士で,ADAのNutrition Guidelineを解説し、特にLow Carbo食の優位性に多くの時間を割きました。」
とても嬉しいですね。
糖質制限食の日本における大きな一歩と言えます。
佐々木敏先生、津田謹輔先生のご講演も素晴らしいです。
「以上3日間を通じて,もはや学会においても,糖質制限食の効果や実行を真っ向から否定できる人はいなくなったと感じました」
しらねのぞるばさん、かさねてありがとうございました。
大変参考になりました。
確実に、糖質制限食、糖尿病学会においても、いい方に向いていますね。
江部康二
【14/05/26 しらねのぞるば
第57回日本糖尿病学会学術総会にて
今年も参加してみました. 目的はもちろん日本糖尿病学会の糖質制限食へのスタンスは変わりつあるのか,そうでないのかを探るためです.
以下,その感想です.
[1日目]
1日目は,ランチョンセミナー(LS-6)とDebate(Controversy-2)で糖質制限食がテーマでした.LS-6では,3日目のシンポジウム23でも講演を行うDuke大学のW. S. Yancy Jr.博士が,糖質制限の優位性をわかりやすく紹介しました.なお,驚いたのはこのセミナーで出されたランチです. 糖質量は合計25gとやや多めではあるものの,小麦ふすまを使ったブランパンを使っているので,かなりのボリュームのサンドウィッチが4個もあり,これに鶏のから揚げやサラダなどもついていて,もしこれが通常の小麦のパンで糖質を25g以下に抑えようとしたら,とても考えられないくらいのボリュームでした.糖尿病学会のランチョンセミナーで出されたもので満腹になったのは初めてです.
午後のDebateは昨年と全く同じ顔ぶれ(=北里大学の山田先生 vs. 京都府立大の福井先生)で,その内容も前年同様でしたが,山田先生は,昨年より刺激的な表現で(ex. 『糖質制限には百利あって一害なし.糖質制限に反対するのは百害あって一利なし』など)糖質制限を強く推奨しました.これに対して,福井先生も『糖質制限のメリットは認める.ただその実行には数々の注意が必要』という立場に転じていました.したがって,これは厳密にはもはやDebateではなく,両演者とも糖質制限の有効性自体は自明のこととして,ただそれをどこまで認めるかという差だけであって,山田先生は妊婦,重症腎症,小児を除き,[20~40g/1食 × 3 + 間食で10g= 合計 70~130g/日]までの糖質制限食を推奨するのに対して,福井先生は,より制限を強くすべきという意見です.
しかしながら相変わらずなのは,昨年同様,座長が中立ではなかったことです. 冒頭の座長挨拶でT先生が『昨年2013年には,糖尿病の食事療法に大きな出来事が3つあった』と発言されたので,すわ2013年のADA position statement,すなわち糖尿病の食事療法に関しては『there is not a “one-size-fits-all”』に言及するのか,と身を乗り出したら,その『2013年の3つの大きな出来事』とは(1)3月の『糖尿病学会の食事療法に関する提言』,(2)7月の『診断ガイドラン改訂』,(3)11月の『食品交換表の改訂』だそうで,唖然としました. ADAの声明は完全に無視です.これら3つの出来事は,旧来の学会の立場を大きく変えるつもりはないという表明に過ぎず,どこをどう見れば『大きな』出来事なのかと思いました.
また,山田先生が,『同じ学術論文であっても,観察研究の結果報告はエビデンスレベルが低い.しかも相関関係の存在は因果関係を証明したことにはならない』と強調したにもかかわらず,もう一人の座長のI先生が,その観察研究の結果を持ち出して,糖質制限=危険論を振りかざしたことにも首をひねりました. この方は無作為比較試験と観察研究とのエビデンスレベルの違いを全く理解できないようです.最後にT座長が『今回も低炭水化物食についてコンセンサスは得られなかった』と結語しておられましたが,いったい何を聞いていたんでしょうか.
[2日目]
糖質制限とは直接関連しませんが,午後のCGMの進歩に関するシンポジウム17(『CGMは糖尿病治療に何をもたらしたか?』)が興味深いものでした. たしかに日本でもCGMはようやく普及が始まりましたが,それは『CGMを使ったら,こんな知見が得られた』という『驚くべき発見』のレベルであるのに対して,欧米ではその段階はとっくに通り越して更に先を行っており,リアルタイムで血糖値を監視しつつ,インスリンポンプにより,なんと0.025単位でインスリン注入量をコンピュータ制御して,低血糖を起こさず(低血糖の発生を予測して,インスリンポンプを自動Suspendする),ほぼ全自動で血糖値を一定に保つ,つまり人工膵臓に近いものまで実用化が迫っているのですね. 日本で現在使われているCGMは,このような最先端のモデルよりはるかに遅れた,米国では1990年代に発売された骨董品に近い旧モデルという現状は,何も学会の責任だけではないでしょうが,それにしても世界と日本の糖尿病医学水準のあまりの差に暗澹となりました.唯一の救いは,今日本の多くの医療機関では,CGMを使って糖尿病患者個々人の血糖値プロファイルを正確に把握し,患者のパターンに応じた治療を行おうと模索していることです. つまり,CGMが更に普及すれば,食後高血糖の危険性,すなわち高糖質食の危険性が広く認識されていくでしょう.
[3日目]
3日目は,午前中はシンポジウム23『糖尿病の食事療法の課題と展望』を,また午後は食事療法についての一般口演(Ⅲ-22-1~18)を聴講しました.シンポジウムの一番手は,1日目のランチョンセミナーでも講演した,Duke大学のW. S. Yancy Jr.博士で,ADAのNutrition Guidelineを解説し,特にLow Carbo食の優位性に多くの時間を割きました.2番手は厚労省の『日本人の食事摂取基準2015年』案をとりまとめた東大/佐々木先生で, そこで強調されたのは『推定所要カロリーを調査や計算から求めようとしても,基礎代謝はともかく,活動量についての誤差が大きく役に立たない. よってその人に適した1日の摂取カロリーとは,その人の体重・BMIが増えも減りもしない,維持できる量だと定義した』『三大栄養素という言葉は,今回の摂取基準から(そして今後も)決して使わない.』『従来の食事摂取基準は健常者を対象とし,各医学会の診療ガイドラインは治療の必要な人を対象としていたが,両者の間にはギャップがあった. そこで今回から食事摂取基準の対象を拡大して,医療ガイドラインとシームレスになるようにもっていく』など,非常に歯切れの良い解説でした.3番手は帝塚山学院大学の津田先生が,『妊婦の低栄養状態は生まれた子供の将来の糖尿病リスクを増大させる』という,考えさせられる内容でした.これらに比べて4番手は,例の杏林大学/石田先生ですが,相変わらずの『伝統的和食』礼賛をベースにした,食品交換表改訂内容の(退屈な)説明でした.
午後の一般口演では,最初の6件がすべて糖質制限に関連するものであり,そのうち5件が糖質制限食は有効であると結論づけたものでした.日本の多くの医療機関で広く糖質制限が認識されてきていることが実感できました. 残りの1件だけは,『過剰な高炭水化物食を行っていた人が,糖尿病標準食にしたら症状が改善した』という報告でしたが,これもまた,『糖質を減らせば症状は改善する』ことを証明したものです.
以上3日間を通じて,もはや学会においても,糖質制限食の効果や実行を真っ向から否定できる人はいなくなったと感じました.】
しらねのぞるば さんから、第57回日本糖尿病学会学術総会の感想をコメントいただきました。
ありがとうございます。
[1日目]
「Duke大学のW. S. Yancy Jr.博士が、糖質制限の優位性をわかりやすく紹介された」
というのは、素晴らしいですね。
2013年12月20日 (金)の本ブログ記事
「米国デューク大學と糖質制限食、MTpro記事。」
2013年12月28日 (土)の本ブログ記事
「米国デューク大學と糖質制限食、MTpro記事。後編。」
で登場された医師ですが、山田悟先生が頑張って招聘されたのでしょうか?
山田先生、good job ですね。
ありがとうございます。
Debateは昨年と全く同じ顔ぶれで、
山田先生は
『糖質制限には百利あって一害なし.糖質制限に反対するのは百害あって一利なし』など
糖質制限を強く推奨。
福井先生も
『糖質制限のメリットは認める.ただその実行には数々の注意が必要』という立場。
糖質制限食に好転した大きな変化と言えますね。
冒頭の座長挨拶でT先生が
『昨年2013年には,糖尿病の食事療法に大きな出来事が3つあった』
(1)3月の『糖尿病学会の食事療法に関する提言』,
(2)7月の『診断ガイドラン改訂』,
(3)11月の『食品交換表の改訂』
として上記を取り上げて、
米国糖尿病学会の、2013年10月の栄養療法に対する声明
「唯一無二の食事療法はない」
「糖質制限食、地中海食、ベジタリアン食、脂肪制限食、DASH食を受容」、
といった大きな変化への言及なしとは、
びっくりですね。
[2日目]
CGMの発展が、日本では欧米に比しそれほど遅れているとは知りませんでした。
勉強になります。
[3日目]
「シンポジウムの一番手は、1日目のランチョンセミナーでも講演した、Duke大学のW. S. Yancy Jr.博士で,ADAのNutrition Guidelineを解説し、特にLow Carbo食の優位性に多くの時間を割きました。」
とても嬉しいですね。
糖質制限食の日本における大きな一歩と言えます。
佐々木敏先生、津田謹輔先生のご講演も素晴らしいです。
「以上3日間を通じて,もはや学会においても,糖質制限食の効果や実行を真っ向から否定できる人はいなくなったと感じました」
しらねのぞるばさん、かさねてありがとうございました。
大変参考になりました。
確実に、糖質制限食、糖尿病学会においても、いい方に向いていますね。
江部康二
【14/05/26 しらねのぞるば
第57回日本糖尿病学会学術総会にて
今年も参加してみました. 目的はもちろん日本糖尿病学会の糖質制限食へのスタンスは変わりつあるのか,そうでないのかを探るためです.
以下,その感想です.
[1日目]
1日目は,ランチョンセミナー(LS-6)とDebate(Controversy-2)で糖質制限食がテーマでした.LS-6では,3日目のシンポジウム23でも講演を行うDuke大学のW. S. Yancy Jr.博士が,糖質制限の優位性をわかりやすく紹介しました.なお,驚いたのはこのセミナーで出されたランチです. 糖質量は合計25gとやや多めではあるものの,小麦ふすまを使ったブランパンを使っているので,かなりのボリュームのサンドウィッチが4個もあり,これに鶏のから揚げやサラダなどもついていて,もしこれが通常の小麦のパンで糖質を25g以下に抑えようとしたら,とても考えられないくらいのボリュームでした.糖尿病学会のランチョンセミナーで出されたもので満腹になったのは初めてです.
午後のDebateは昨年と全く同じ顔ぶれ(=北里大学の山田先生 vs. 京都府立大の福井先生)で,その内容も前年同様でしたが,山田先生は,昨年より刺激的な表現で(ex. 『糖質制限には百利あって一害なし.糖質制限に反対するのは百害あって一利なし』など)糖質制限を強く推奨しました.これに対して,福井先生も『糖質制限のメリットは認める.ただその実行には数々の注意が必要』という立場に転じていました.したがって,これは厳密にはもはやDebateではなく,両演者とも糖質制限の有効性自体は自明のこととして,ただそれをどこまで認めるかという差だけであって,山田先生は妊婦,重症腎症,小児を除き,[20~40g/1食 × 3 + 間食で10g= 合計 70~130g/日]までの糖質制限食を推奨するのに対して,福井先生は,より制限を強くすべきという意見です.
しかしながら相変わらずなのは,昨年同様,座長が中立ではなかったことです. 冒頭の座長挨拶でT先生が『昨年2013年には,糖尿病の食事療法に大きな出来事が3つあった』と発言されたので,すわ2013年のADA position statement,すなわち糖尿病の食事療法に関しては『there is not a “one-size-fits-all”』に言及するのか,と身を乗り出したら,その『2013年の3つの大きな出来事』とは(1)3月の『糖尿病学会の食事療法に関する提言』,(2)7月の『診断ガイドラン改訂』,(3)11月の『食品交換表の改訂』だそうで,唖然としました. ADAの声明は完全に無視です.これら3つの出来事は,旧来の学会の立場を大きく変えるつもりはないという表明に過ぎず,どこをどう見れば『大きな』出来事なのかと思いました.
また,山田先生が,『同じ学術論文であっても,観察研究の結果報告はエビデンスレベルが低い.しかも相関関係の存在は因果関係を証明したことにはならない』と強調したにもかかわらず,もう一人の座長のI先生が,その観察研究の結果を持ち出して,糖質制限=危険論を振りかざしたことにも首をひねりました. この方は無作為比較試験と観察研究とのエビデンスレベルの違いを全く理解できないようです.最後にT座長が『今回も低炭水化物食についてコンセンサスは得られなかった』と結語しておられましたが,いったい何を聞いていたんでしょうか.
[2日目]
糖質制限とは直接関連しませんが,午後のCGMの進歩に関するシンポジウム17(『CGMは糖尿病治療に何をもたらしたか?』)が興味深いものでした. たしかに日本でもCGMはようやく普及が始まりましたが,それは『CGMを使ったら,こんな知見が得られた』という『驚くべき発見』のレベルであるのに対して,欧米ではその段階はとっくに通り越して更に先を行っており,リアルタイムで血糖値を監視しつつ,インスリンポンプにより,なんと0.025単位でインスリン注入量をコンピュータ制御して,低血糖を起こさず(低血糖の発生を予測して,インスリンポンプを自動Suspendする),ほぼ全自動で血糖値を一定に保つ,つまり人工膵臓に近いものまで実用化が迫っているのですね. 日本で現在使われているCGMは,このような最先端のモデルよりはるかに遅れた,米国では1990年代に発売された骨董品に近い旧モデルという現状は,何も学会の責任だけではないでしょうが,それにしても世界と日本の糖尿病医学水準のあまりの差に暗澹となりました.唯一の救いは,今日本の多くの医療機関では,CGMを使って糖尿病患者個々人の血糖値プロファイルを正確に把握し,患者のパターンに応じた治療を行おうと模索していることです. つまり,CGMが更に普及すれば,食後高血糖の危険性,すなわち高糖質食の危険性が広く認識されていくでしょう.
[3日目]
3日目は,午前中はシンポジウム23『糖尿病の食事療法の課題と展望』を,また午後は食事療法についての一般口演(Ⅲ-22-1~18)を聴講しました.シンポジウムの一番手は,1日目のランチョンセミナーでも講演した,Duke大学のW. S. Yancy Jr.博士で,ADAのNutrition Guidelineを解説し,特にLow Carbo食の優位性に多くの時間を割きました.2番手は厚労省の『日本人の食事摂取基準2015年』案をとりまとめた東大/佐々木先生で, そこで強調されたのは『推定所要カロリーを調査や計算から求めようとしても,基礎代謝はともかく,活動量についての誤差が大きく役に立たない. よってその人に適した1日の摂取カロリーとは,その人の体重・BMIが増えも減りもしない,維持できる量だと定義した』『三大栄養素という言葉は,今回の摂取基準から(そして今後も)決して使わない.』『従来の食事摂取基準は健常者を対象とし,各医学会の診療ガイドラインは治療の必要な人を対象としていたが,両者の間にはギャップがあった. そこで今回から食事摂取基準の対象を拡大して,医療ガイドラインとシームレスになるようにもっていく』など,非常に歯切れの良い解説でした.3番手は帝塚山学院大学の津田先生が,『妊婦の低栄養状態は生まれた子供の将来の糖尿病リスクを増大させる』という,考えさせられる内容でした.これらに比べて4番手は,例の杏林大学/石田先生ですが,相変わらずの『伝統的和食』礼賛をベースにした,食品交換表改訂内容の(退屈な)説明でした.
午後の一般口演では,最初の6件がすべて糖質制限に関連するものであり,そのうち5件が糖質制限食は有効であると結論づけたものでした.日本の多くの医療機関で広く糖質制限が認識されてきていることが実感できました. 残りの1件だけは,『過剰な高炭水化物食を行っていた人が,糖尿病標準食にしたら症状が改善した』という報告でしたが,これもまた,『糖質を減らせば症状は改善する』ことを証明したものです.
以上3日間を通じて,もはや学会においても,糖質制限食の効果や実行を真っ向から否定できる人はいなくなったと感じました.】
2014年05月25日 (日)
【14/05/24 にゃー
人工甘味料と言っても、羅漢果やキシリトールなどから作ったものと、コーラに入っているものとでは違うのでしょうか。。。。
糖尿病ではありませんが、肥満対策で結構飲んでいるのでショックでした。】
こんばんは。
にゃー さん から、甘味料について、コメント・質問をいただきました。
にゃーさん、糖アルコールや羅漢果は、いわゆる合成甘味料には含まれないと思いますので、安心して下さい。
さて、糖尿人にもメタボ人にも正常人にも、等しく興味あるのが甘味料ですね。
甘味料に関する質問がよくあるので、復習を兼ねて整理してみます。
甘味料は、まず天然甘味料と人工甘味料の、大きく2つに分けることができます。
次に、人工甘味料は、合成甘味料と糖アルコールに分けることができます。
1 天然甘味料
ショ糖(サトウキビなど)、ステビオサイド(ステビア)、グリチルリチン酸(甘草)、ソーマチン(西アフリカに生育するソーマトコッカスダニエリという赤い果実)、蜂蜜、メープルシロップ、果糖、麦芽糖、などのように、天然の植物や食品中に含まれている甘み成分を取り出し精製、濃縮した甘味料のこと。
2 人工甘味料(広義の意味)
人工的に作られた甘みのある物質のこと。合成甘味料、糖アルコールなどがあります。
a) 合成甘味料
人工甘味料の一種で、人為的に化学合成された甘みのある物質(甘味料)のこと。
砂糖より低カロリー、低価格、などの特徴がある。
狭義の意味の人工甘味料は合成甘味料と同義で使われることがあります。
サッカリン、サッカリンナトリウム、サイクラミン酸ナトリウム(俗称チクロ)、ズルチン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、などがあります。
b) 糖アルコール
キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、マルチトール、ラクチトールなどがあります。キシリトールは野菜や果物などに、ソルビトールはプルーン、ナシ、リンゴなどに、エリスリトールは果実、花の蜜などにそれぞれ含まれています。
マルチトール、ラクチトールもそれぞれ麦芽糖、乳糖を原料としています。
糖アルコールは合成甘味料には分類されません。
糖アルコールの安全性は確立しています。
合成甘味料のなかで、ズルチンとチクロは、戦後間もない日本で、貴重な甘みとして広く使用されたのですが、発ガン性などのため1969年と1970年にそれぞれ使用禁止となっています。
サッカリンも発癌テストが陽性に出て、日本では食品衛生法により1973年に、いったん全面禁止となりました。
ところが1ヶ月後、食品別の使用基準が制定されると、制限付きながらサッカリンはあっさり再認可されました。
米国では、長期間にわたり一度も禁止されることなく、結構大量に使っているようです。
2014年現在、FDA(米国食料医薬品庁)が食品への使用を許可している人工甘味料は、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、ネオテームの5種です。
これらの人工甘味料は、「フリーフード」と呼ばれ、米国心臓病協会や米国糖尿病協会も肯定的ではあります。
これら5種の合成甘味料は、カロリーはないのでダイエットには良いし、血糖値を上昇させないという意味では、糖尿病にも糖質制限食的にもOKです。
ただし、一日摂取許容量が決められているので、わざわざ大量に摂取する必要はないと思います。
まあゼロカロリー飲料、例えば
「コカコーラゼロ」
アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物、アセスルファムカリウム、スクラロース
「ペプシネックス」
アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物、アセスルファムカリウム、スクラロース
などを、350mlボトルで、一日に1~2本くらいであれば、一日許容量を超えることはまずありません。
FDAが認める5種の合成甘味料に関しては、特に優劣をつけるデータはなくて、同等と考えて良いと思います。
アスパルテームは、FDA(米国食料医薬品庁)により人工甘味料として1981年に使用が許可されています。
現在、製法特許は味の素が持っており、国内ではアスパルテームを使った食卓用甘味料がPAL SWEETとして販売されています。
アスパルテームは、アスパラギン酸とフェニルアラニンという、2つの天然アミノ酸が結合したものです。
体内に吸収されると、速やかに二つのアミノ酸と、ごく微量のメタノールに分解されます。
欠点は、添加物として比較的不安定であることです。
メタノール(メチルアルコール)は、大量だと失明を起こすなど毒性が強いですが、本来、ひと、動物、植物の体内に天然に存在するもので、人血液中の常成分の一つです。
アセスルファムカリウムは、アスパルテームと違って酸性・高温条件でも変化しにくいので、炭酸飲料のほか、クッキーなどの焼き菓子にも利用できます。
欧米では、近年アスパルテーム・アセスルファムカリウム混合甘味料がダイエットコーラの主流となっているようです。
2005年には、スクラロースを使用したダイエットコーラも登場しました。スクラロースは水に溶けやすく、酸や熱にも安定しています。
糖アルコール には、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、マルチトール、ラクチトールなどがあります。
キシリトールは野菜や果物などに、ソルビトールはプルーン、ナシ、リンゴなどに、エリスリトールは果実、花の蜜などにそれぞれ含まれていますが、商品としては人工的に作っています。
マルチトール、ラクチトールもそれぞれ麦芽糖、乳糖を原料として人工的に合成しています。
糖アルコールは糖類に水素を付加したもので、人工的に作っていますが、いわゆる合成甘味料には分類されません。
糖アルコールの安全性は確立しています。
肝腎の血糖値を上昇させるか否かですが、マルチトールは、砂糖の約半分程度血糖値を上昇させます。
よく、「糖アルコールは血糖値を上昇させない」との記載がみられますが間違いです。
キシリトール、ソルビトール、ラクチトールは、理論的には、血糖値を上げないはずなのですが、ブログ読者のコメントで、キシリトールガムで血糖上昇したとかありましたので、不確実です。
エリスリトール以外の糖アルコールは、難消化性で吸収されにくいのが特徴です。
吸収されにくい分腸内に残っているので、大量に摂取すれば下痢を起こしやすいです。
エリスリトールは、糖アルコールの中で例外的に体内に9割以上吸収されますが、全く代謝されずにそのまま尿中に排泄されます。
ですから厚生労働省お墨付きのゼロカロリーで、かつ全く血糖値を上昇させません。
ほとんどが体内に吸収されるので、糖アルコールの中で最も下痢も起こしにくいですが、大量だと下痢することもあります。
結局、糖アルコールの中で血糖値を全く上昇させないことが確実なのは、唯一エリスリトールだけです。
エリスリトールなら、血糖値を上げませんし、総量規制もありません。
国連の食糧農業機関(FAO)及び世界保健機関(WHO)は、JECFA(Joint Expert Committee on Food Additives)を設けて、甘味料など添加物のの安全性評価を公表していますが、糖アルコールは、極めて安全性が高いとされていて、妊婦にも大丈夫です。
日常的に手に入って使用しやすい血糖値を上昇させない甘味料は、以下の3つです。
いずれもエリスリトールが主成分です。
サラヤのラカントSは、「主成分エリスリトール+ごく少量の羅漢果エキス」が成分であり、合成甘味料は一切使用してありません。
合成甘味料に懸念をもつ方も、ラカントSならOKですね。
私自身は、
味の素のパルスイートカロリーゼロ
「主成分エリスリトール+ごく少量のアスパルテームとアセスルファムカリウム」
浅田飴のシュガーカットゼロ
「主成分エリスリトール+ごく少量のスクラロース」
くらいは、許容範囲と考えています。
江部康二
人工甘味料と言っても、羅漢果やキシリトールなどから作ったものと、コーラに入っているものとでは違うのでしょうか。。。。
糖尿病ではありませんが、肥満対策で結構飲んでいるのでショックでした。】
こんばんは。
にゃー さん から、甘味料について、コメント・質問をいただきました。
にゃーさん、糖アルコールや羅漢果は、いわゆる合成甘味料には含まれないと思いますので、安心して下さい。
さて、糖尿人にもメタボ人にも正常人にも、等しく興味あるのが甘味料ですね。
甘味料に関する質問がよくあるので、復習を兼ねて整理してみます。
甘味料は、まず天然甘味料と人工甘味料の、大きく2つに分けることができます。
次に、人工甘味料は、合成甘味料と糖アルコールに分けることができます。
1 天然甘味料
ショ糖(サトウキビなど)、ステビオサイド(ステビア)、グリチルリチン酸(甘草)、ソーマチン(西アフリカに生育するソーマトコッカスダニエリという赤い果実)、蜂蜜、メープルシロップ、果糖、麦芽糖、などのように、天然の植物や食品中に含まれている甘み成分を取り出し精製、濃縮した甘味料のこと。
2 人工甘味料(広義の意味)
人工的に作られた甘みのある物質のこと。合成甘味料、糖アルコールなどがあります。
a) 合成甘味料
人工甘味料の一種で、人為的に化学合成された甘みのある物質(甘味料)のこと。
砂糖より低カロリー、低価格、などの特徴がある。
狭義の意味の人工甘味料は合成甘味料と同義で使われることがあります。
サッカリン、サッカリンナトリウム、サイクラミン酸ナトリウム(俗称チクロ)、ズルチン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、などがあります。
b) 糖アルコール
キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、マルチトール、ラクチトールなどがあります。キシリトールは野菜や果物などに、ソルビトールはプルーン、ナシ、リンゴなどに、エリスリトールは果実、花の蜜などにそれぞれ含まれています。
マルチトール、ラクチトールもそれぞれ麦芽糖、乳糖を原料としています。
糖アルコールは合成甘味料には分類されません。
糖アルコールの安全性は確立しています。
合成甘味料のなかで、ズルチンとチクロは、戦後間もない日本で、貴重な甘みとして広く使用されたのですが、発ガン性などのため1969年と1970年にそれぞれ使用禁止となっています。
サッカリンも発癌テストが陽性に出て、日本では食品衛生法により1973年に、いったん全面禁止となりました。
ところが1ヶ月後、食品別の使用基準が制定されると、制限付きながらサッカリンはあっさり再認可されました。
米国では、長期間にわたり一度も禁止されることなく、結構大量に使っているようです。
2014年現在、FDA(米国食料医薬品庁)が食品への使用を許可している人工甘味料は、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、ネオテームの5種です。
これらの人工甘味料は、「フリーフード」と呼ばれ、米国心臓病協会や米国糖尿病協会も肯定的ではあります。
これら5種の合成甘味料は、カロリーはないのでダイエットには良いし、血糖値を上昇させないという意味では、糖尿病にも糖質制限食的にもOKです。
ただし、一日摂取許容量が決められているので、わざわざ大量に摂取する必要はないと思います。
まあゼロカロリー飲料、例えば
「コカコーラゼロ」
アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物、アセスルファムカリウム、スクラロース
「ペプシネックス」
アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物、アセスルファムカリウム、スクラロース
などを、350mlボトルで、一日に1~2本くらいであれば、一日許容量を超えることはまずありません。
FDAが認める5種の合成甘味料に関しては、特に優劣をつけるデータはなくて、同等と考えて良いと思います。
アスパルテームは、FDA(米国食料医薬品庁)により人工甘味料として1981年に使用が許可されています。
現在、製法特許は味の素が持っており、国内ではアスパルテームを使った食卓用甘味料がPAL SWEETとして販売されています。
アスパルテームは、アスパラギン酸とフェニルアラニンという、2つの天然アミノ酸が結合したものです。
体内に吸収されると、速やかに二つのアミノ酸と、ごく微量のメタノールに分解されます。
欠点は、添加物として比較的不安定であることです。
メタノール(メチルアルコール)は、大量だと失明を起こすなど毒性が強いですが、本来、ひと、動物、植物の体内に天然に存在するもので、人血液中の常成分の一つです。
アセスルファムカリウムは、アスパルテームと違って酸性・高温条件でも変化しにくいので、炭酸飲料のほか、クッキーなどの焼き菓子にも利用できます。
欧米では、近年アスパルテーム・アセスルファムカリウム混合甘味料がダイエットコーラの主流となっているようです。
2005年には、スクラロースを使用したダイエットコーラも登場しました。スクラロースは水に溶けやすく、酸や熱にも安定しています。
糖アルコール には、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、マルチトール、ラクチトールなどがあります。
キシリトールは野菜や果物などに、ソルビトールはプルーン、ナシ、リンゴなどに、エリスリトールは果実、花の蜜などにそれぞれ含まれていますが、商品としては人工的に作っています。
マルチトール、ラクチトールもそれぞれ麦芽糖、乳糖を原料として人工的に合成しています。
糖アルコールは糖類に水素を付加したもので、人工的に作っていますが、いわゆる合成甘味料には分類されません。
糖アルコールの安全性は確立しています。
肝腎の血糖値を上昇させるか否かですが、マルチトールは、砂糖の約半分程度血糖値を上昇させます。
よく、「糖アルコールは血糖値を上昇させない」との記載がみられますが間違いです。
キシリトール、ソルビトール、ラクチトールは、理論的には、血糖値を上げないはずなのですが、ブログ読者のコメントで、キシリトールガムで血糖上昇したとかありましたので、不確実です。
エリスリトール以外の糖アルコールは、難消化性で吸収されにくいのが特徴です。
吸収されにくい分腸内に残っているので、大量に摂取すれば下痢を起こしやすいです。
エリスリトールは、糖アルコールの中で例外的に体内に9割以上吸収されますが、全く代謝されずにそのまま尿中に排泄されます。
ですから厚生労働省お墨付きのゼロカロリーで、かつ全く血糖値を上昇させません。
ほとんどが体内に吸収されるので、糖アルコールの中で最も下痢も起こしにくいですが、大量だと下痢することもあります。
結局、糖アルコールの中で血糖値を全く上昇させないことが確実なのは、唯一エリスリトールだけです。
エリスリトールなら、血糖値を上げませんし、総量規制もありません。
国連の食糧農業機関(FAO)及び世界保健機関(WHO)は、JECFA(Joint Expert Committee on Food Additives)を設けて、甘味料など添加物のの安全性評価を公表していますが、糖アルコールは、極めて安全性が高いとされていて、妊婦にも大丈夫です。
日常的に手に入って使用しやすい血糖値を上昇させない甘味料は、以下の3つです。
いずれもエリスリトールが主成分です。
サラヤのラカントSは、「主成分エリスリトール+ごく少量の羅漢果エキス」が成分であり、合成甘味料は一切使用してありません。
合成甘味料に懸念をもつ方も、ラカントSならOKですね。
私自身は、
味の素のパルスイートカロリーゼロ
「主成分エリスリトール+ごく少量のアスパルテームとアセスルファムカリウム」
浅田飴のシュガーカットゼロ
「主成分エリスリトール+ごく少量のスクラロース」
くらいは、許容範囲と考えています。
江部康二
2014年05月24日 (土)
こんばんは。
2014年5月20日(火)午後6:30~
札幌において「第4回クリニカルサイエンス談話会2014」が開催され、私も講師をつとめました。
医師、栄養士など約90名が参加されて、大盛況でした。
18:40~19:10
『糖質制限の多面的検証:体力面への影響など』
北翔大学 生涯スポーツ学部 スポーツ教育学科 教授 沖田孝一先生
19:10~20:10
『糖質制限食と糖尿病~糖質制限食の理論と実践』
高雄病院 理事長 江部康二
沖田先生は、北翔大学の学生ボランティアに糖質制限食を実践させて、体力面への影響などを検証して報告されました。
持久力など特に問題はありませんでした。
ご専門の運動療法の効果の話もされました。
興味深かったのは、運動療法は体重減少が伴わないと効果がでにくいということでした。
そして、運動耐容能(身体運勲負荷に耐えるために必要な、呼吸や心血管系の能力に関する機能)、すなわち、「持久力.有酸素能力.スタミナと易疲労性」などが高いほど生存率が高いということでした。
持続的なスポーツができる環境にある人は、続けるのがいいですね。
質疑応答も活発に行われ、懇親会でもずっと質問があり、熱気に溢れる会でした。
「第1回クリニカルサイエンス談話会2011」にも呼んでいただき、糖質制限食のお話をしましたが、今回は参加人数も熱気も倍増で嬉しい限りでした。
札幌でも着実に糖質制限食が広がっています。
おかげさまで、札幌市において、糖質制限食指導実践中の医師とお話することもできました。
☆☆☆
糖質制限食OKの医師
札幌ハートセンター
札幌市手稲区前田6条16丁目1-2
電話:011-683-4141
横井久卓 院長先生
財団法人社団 明日佳
白石江仁会病院
札幌市白石区東札幌5条5丁目2番5号
電話:011-823-5151
病棟診療部長
陰山 研 先生
江部康二
2014年5月20日(火)午後6:30~
札幌において「第4回クリニカルサイエンス談話会2014」が開催され、私も講師をつとめました。
医師、栄養士など約90名が参加されて、大盛況でした。
18:40~19:10
『糖質制限の多面的検証:体力面への影響など』
北翔大学 生涯スポーツ学部 スポーツ教育学科 教授 沖田孝一先生
19:10~20:10
『糖質制限食と糖尿病~糖質制限食の理論と実践』
高雄病院 理事長 江部康二
沖田先生は、北翔大学の学生ボランティアに糖質制限食を実践させて、体力面への影響などを検証して報告されました。
持久力など特に問題はありませんでした。
ご専門の運動療法の効果の話もされました。
興味深かったのは、運動療法は体重減少が伴わないと効果がでにくいということでした。
そして、運動耐容能(身体運勲負荷に耐えるために必要な、呼吸や心血管系の能力に関する機能)、すなわち、「持久力.有酸素能力.スタミナと易疲労性」などが高いほど生存率が高いということでした。
持続的なスポーツができる環境にある人は、続けるのがいいですね。
質疑応答も活発に行われ、懇親会でもずっと質問があり、熱気に溢れる会でした。
「第1回クリニカルサイエンス談話会2011」にも呼んでいただき、糖質制限食のお話をしましたが、今回は参加人数も熱気も倍増で嬉しい限りでした。
札幌でも着実に糖質制限食が広がっています。
おかげさまで、札幌市において、糖質制限食指導実践中の医師とお話することもできました。
☆☆☆
糖質制限食OKの医師
札幌ハートセンター
札幌市手稲区前田6条16丁目1-2
電話:011-683-4141
横井久卓 院長先生
財団法人社団 明日佳
白石江仁会病院
札幌市白石区東札幌5条5丁目2番5号
電話:011-823-5151
病棟診療部長
陰山 研 先生
江部康二
2014年05月23日 (金)
【14/05/22 デュピュイ取る
ダイエット飲料に気をつけろ
日刊ゲンダイ5月22日号、糖尿病になってたまるか!によると、
「・・・。砂糖の代わりに人工甘味料を使い、低カロリーということで、糖尿病に問題なさそうに思えるが、欧米の研究では糖尿病リスクを高めると報告されているからだ。
例えば、超肥満の人を人工甘味料を飲んだ群と飲まない群に分け、後にブドウ糖を取ってもらい血糖値を調べたところ、前者は数値が上がり、インスリンの分泌量も増えた。別の研究で、中年女性に砂糖入りの炭酸飲料と人工甘味料入りのそれを飲ませたところ、後者の方が明らかに糖尿病の発症リスクが上がったと報告された。
人工甘味料はそのまま排出されるので血糖値に影響しないなんて話もあったが、どうやら間違いらしい。むしろ、インスリンの過剰分泌を起こして、血糖を下げる働きが弱くなるようだ。・・・」
とありました。】
こんばんは。
デュピュイ取る さんから、人工甘味料に関するコメントを頂きました。
2013年8月29日の本ブログ記事で
『人工甘味料が直接、人の膵臓のβ細胞に作用して、大量のインスリン追加分泌を出させる』
というのは、全く事実無根の誤解ということを述べました。
すなわち、人工甘味料が直接、インスリン分泌を出させるということはありません。
「ノンカロリー人工甘味料は、予想に反して代謝を障害し疾患リスクを増加させる」
という人工甘味料に関する総説論文(☆)に関しても検討したことがあります。
Trends in Endocrinology & Metabolism(TEM)に掲載された論文(☆☆)です。
TEMの2012年のインパクトファクターは8.901ですのでなかなかの医学雑誌です。
この英文論文を
http://syodokukai.exblog.jp/19325507 一人抄読会
というブログで、糖尿病・代謝内分泌科のドクターが要約と解説をしておられます。
詳しい内容は、
http://syodokukai.exblog.jp/19325507 一人抄読会
を見て頂けば幸いです。
まず、人工甘味料のみでは、インスリンやインクレチン分泌が促進されることはないことが記載されています。
人工甘味料を直接胃や腸に注入しても、通常の食後に起こるホルモン(インスリンやGLP-1のようなインクレチン)分泌の急性変化は起きないことが知られているとのことです。
しかし、人工甘味料飲料が、体重減少に役立ったり、2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントを防止したりするといった証拠はほとんど得られていないし、人工甘味料飲料を定期的に摂取している人は、そうでない人よりそれらの疾患のリスクが上昇するとのことです。
そのリスクの増加は、従来の砂糖による飲料と同程度だそうです。
結論です。
1)人工甘味料は、血糖値を上昇させないし、インスリンも追加分泌させない。
2)しかし、人工甘味料飲料を定期的に摂取すると、肥満・2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントリスクを
高める恐れがある。
3)飲料以外に含まれる人工甘味料が、どのような影響を及ぼすかは、はっきりしていない。
少なくとも人工甘味料清涼飲料水を、毎日飲んだりするのは、辞めた方がいいようですね。
江部康二
【(☆)<論文総説内容>
1. ノンカロリー清涼飲料水=ASB(artificially sweetened beverage)と
従来の砂糖による清涼飲料水=SSB(sugar-sweetened beverage)
2. ノンカロリー人工甘味料を用いた清涼飲料水(ASB)による悪影響
(1) ASBの飲用についての観察研究
(2) ASBの効果を見る介入研究
(3) ASB飲用と肥満についての因果関係は正しいのか?
3. ASB飲用に対する生理的反応
(1) 人工甘味料摂取は、ショ糖摂取とは異なる脳の反応を引き起こす
(2) 人工甘味料のみではインスリンやインクレチン分泌が促進されることはない
(3) ノンカロリー人工甘味料を摂取すると、摂食後のインスリンやインクレチンの放出が増強されなくなる
4. ASB飲用による生理的反応の障害: ASBは学習によって獲得した反応(learned responses)を減弱させる
結語
① ヒトやマウス・ラットモデルにおいて、ASBが体重減少に役立ったり、2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベ強調文ントを防止したりするといった証拠はほとんど得られていない。一方、ASBを定期的に摂取しているヒトでは、そうでないヒトよりそれらのリスクが増加すること(しかもそのリスク増加は、SSB摂取の場合と同程度)が示唆されている。
② このような、今までの常識に反する結果は、ASBが「SSBの摂取後に引き起こされるべき、学習によって獲得された反応を減弱させる」という効果(ASB摂取ではSSB摂取の際に得られるはずのエネルギーが得られないので、それを代償するために起こると考えられる)を持つことによる考えられている。
③ノンカロリー人工甘味料は多くの食物にも含まれるようになってきた。そのような食物がASBのように体重や代謝に対して悪影響を与えるのか どうかは、まだはっきりしていない。しかし、食物の甘味は、ノンカロリーかどうかによらず摂取に注意が必要であることは間違いなさそうである。】
(☆☆)
Artificial sweeteners produce the counterintuitive effect of inducing metabolic derangements.
Susan E. Swithers
Trends in Endocrinology & Metabolism, Volume 24, Issue 9, 431-441, 11 July 2013
ダイエット飲料に気をつけろ
日刊ゲンダイ5月22日号、糖尿病になってたまるか!によると、
「・・・。砂糖の代わりに人工甘味料を使い、低カロリーということで、糖尿病に問題なさそうに思えるが、欧米の研究では糖尿病リスクを高めると報告されているからだ。
例えば、超肥満の人を人工甘味料を飲んだ群と飲まない群に分け、後にブドウ糖を取ってもらい血糖値を調べたところ、前者は数値が上がり、インスリンの分泌量も増えた。別の研究で、中年女性に砂糖入りの炭酸飲料と人工甘味料入りのそれを飲ませたところ、後者の方が明らかに糖尿病の発症リスクが上がったと報告された。
人工甘味料はそのまま排出されるので血糖値に影響しないなんて話もあったが、どうやら間違いらしい。むしろ、インスリンの過剰分泌を起こして、血糖を下げる働きが弱くなるようだ。・・・」
とありました。】
こんばんは。
デュピュイ取る さんから、人工甘味料に関するコメントを頂きました。
2013年8月29日の本ブログ記事で
『人工甘味料が直接、人の膵臓のβ細胞に作用して、大量のインスリン追加分泌を出させる』
というのは、全く事実無根の誤解ということを述べました。
すなわち、人工甘味料が直接、インスリン分泌を出させるということはありません。
「ノンカロリー人工甘味料は、予想に反して代謝を障害し疾患リスクを増加させる」
という人工甘味料に関する総説論文(☆)に関しても検討したことがあります。
Trends in Endocrinology & Metabolism(TEM)に掲載された論文(☆☆)です。
TEMの2012年のインパクトファクターは8.901ですのでなかなかの医学雑誌です。
この英文論文を
http://syodokukai.exblog.jp/19325507 一人抄読会
というブログで、糖尿病・代謝内分泌科のドクターが要約と解説をしておられます。
詳しい内容は、
http://syodokukai.exblog.jp/19325507 一人抄読会
を見て頂けば幸いです。
まず、人工甘味料のみでは、インスリンやインクレチン分泌が促進されることはないことが記載されています。
人工甘味料を直接胃や腸に注入しても、通常の食後に起こるホルモン(インスリンやGLP-1のようなインクレチン)分泌の急性変化は起きないことが知られているとのことです。
しかし、人工甘味料飲料が、体重減少に役立ったり、2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントを防止したりするといった証拠はほとんど得られていないし、人工甘味料飲料を定期的に摂取している人は、そうでない人よりそれらの疾患のリスクが上昇するとのことです。
そのリスクの増加は、従来の砂糖による飲料と同程度だそうです。
結論です。
1)人工甘味料は、血糖値を上昇させないし、インスリンも追加分泌させない。
2)しかし、人工甘味料飲料を定期的に摂取すると、肥満・2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントリスクを
高める恐れがある。
3)飲料以外に含まれる人工甘味料が、どのような影響を及ぼすかは、はっきりしていない。
少なくとも人工甘味料清涼飲料水を、毎日飲んだりするのは、辞めた方がいいようですね。
江部康二
【(☆)<論文総説内容>
1. ノンカロリー清涼飲料水=ASB(artificially sweetened beverage)と
従来の砂糖による清涼飲料水=SSB(sugar-sweetened beverage)
2. ノンカロリー人工甘味料を用いた清涼飲料水(ASB)による悪影響
(1) ASBの飲用についての観察研究
(2) ASBの効果を見る介入研究
(3) ASB飲用と肥満についての因果関係は正しいのか?
3. ASB飲用に対する生理的反応
(1) 人工甘味料摂取は、ショ糖摂取とは異なる脳の反応を引き起こす
(2) 人工甘味料のみではインスリンやインクレチン分泌が促進されることはない
(3) ノンカロリー人工甘味料を摂取すると、摂食後のインスリンやインクレチンの放出が増強されなくなる
4. ASB飲用による生理的反応の障害: ASBは学習によって獲得した反応(learned responses)を減弱させる
結語
① ヒトやマウス・ラットモデルにおいて、ASBが体重減少に役立ったり、2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベ強調文ントを防止したりするといった証拠はほとんど得られていない。一方、ASBを定期的に摂取しているヒトでは、そうでないヒトよりそれらのリスクが増加すること(しかもそのリスク増加は、SSB摂取の場合と同程度)が示唆されている。
② このような、今までの常識に反する結果は、ASBが「SSBの摂取後に引き起こされるべき、学習によって獲得された反応を減弱させる」という効果(ASB摂取ではSSB摂取の際に得られるはずのエネルギーが得られないので、それを代償するために起こると考えられる)を持つことによる考えられている。
③ノンカロリー人工甘味料は多くの食物にも含まれるようになってきた。そのような食物がASBのように体重や代謝に対して悪影響を与えるのか どうかは、まだはっきりしていない。しかし、食物の甘味は、ノンカロリーかどうかによらず摂取に注意が必要であることは間違いなさそうである。】
(☆☆)
Artificial sweeteners produce the counterintuitive effect of inducing metabolic derangements.
Susan E. Swithers
Trends in Endocrinology & Metabolism, Volume 24, Issue 9, 431-441, 11 July 2013
2014年05月22日 (木)
【14/05/22 ふつうの医師
いつも江部先生のブログを興味深く読ませていただいております。今回先生のコメントに危険を感じたため一介の医師として申し上げさせていただきます。
HbA1c5.5%、痩せ型、LDL-C値正常の方の食生活変更した症例に対してのアドバイスと拝見しました。血糖コントロール困難症例でもないのに、頭がすっきりするといった理由で、体重減少が予想される炭水化物制限を継続をすすめるのは危険と考えます。BMI16.2→15.4は人体にとって危険な領域に入っている可能性があります。
釈迦に説法かもしれませんが、そもそも炭水化物制限を行うと頑張って食べても太りにくい傾向にあります。人はタンパク質、脂肪ばかり摂取することが難しいため、炭水化物を抜くとどうしても痩せてしまいがちです。
またLDL-Cの上昇も2-3年すれば落ち着くとのことですが、その間のリスク上昇が懸念されます。ゼチーアを進められておりますが、ゼチーアはLDL-Cは心血管イベントの発症予防が証明されていない不確かな薬剤で、米国ではガイドライン掲載すらない薬剤です。日本の学会では新薬がお好きですが・・・
通常若い女性の冠動脈疾患リスクは低いですが、月経に異常があれば少し話がかわります。BMI15-16程度では月経に影響は出ていませんか?月経に異常があれば動脈硬化リスクが上昇します。また神経性食思不振症が隠れている可能性も否定できません?
まとめますと炭水化物制限によってLDLコレステロール値の上昇と体重減少が引き起こされている可能性が否定できないならば、中止をお勧めすることが医師としての務めかと考えます。
以下は蛇足とは思いますが、血糖値、インスリンは人間のパラメーターの一つにしかすぎません。健康に生きるためには多くの考察が必要になります。炭水化物制限が合う人もいれば、合わない人もいると思います。今回の症例などは炭水化物制限を行う必然性はなく、むしろ危険な可能性があります。公開されていない多くの情報を踏まえ、私が指摘したことなどは当然熟慮された上でのアドバイスかもしれませんが、HPを見た不特定多数の人に誤解を与える可能性があります。
以上、こんごの先生の持論のますますの進化を祈っております。】
こんばんは。
ふつうの医師さんから
「痩せすぎの人に糖質制限食は危険ではないか。」
というコメントを頂きました。
仰有る通り、ごく普通のお医者さんのニュートラルな立場からのアドバイスと思います。
ありがとうございます。
2014年5月21日の本ブログ記事の例は、151cm、37kgがベースラインで、BMIが16.2ですので、ご指摘通り痩せすぎです。
私も記事の中で、しっかりエネルギー摂取して体重を増やすようにアドバイスしています。
私も痩せ過ぎは良くないと思います。
BMIでは日本人は、適正体重はBMI20以上~25未満で、その個人の一番体調の良い体重が目標です。(☆)
以前記事にしたことがありますが、スーパー糖質制限食で、肥満の人は体重が減少し、痩せ方の人は体重が増加して、上記適正体重に入ることが多いです。
そして、現在既に適正体重の場合、スーパー糖質制限食でもそれ以上痩せることはありません。
すでにBMIが20とか22とかの女性で、
「スーパー糖質制限食をきっちり実践しているのに痩せない。」
という苦情がよく、本ブログにコメントされます。
それで、上記「適正体重」の話は、繰り返しブログ記事にしています。
そして痩せ過ぎに関しても、ふつうの医師さんのご指摘通り、総死亡率などが増えますので
「痩せすぎの人がスーパー糖質制限食で適正体重になるためのノウハウ」
も繰り返しブログ記事にしています。
スーパー糖質制限食は、人類700万年間の進化の歴史において本来の食事であり、人類の健康食ですので小児から成人までOKで、特殊例(肝硬変、長鎖脂肪酸代謝異常症、急性膵炎活動期・・・など)を除いて危険性はないと考えています。
イヌイット族、マサイ族、モンゴル遊牧民も、数千年の歴史における伝統的食生活の頃は「スーパー糖質制限食」です。
LDL-コレステロール高値に関してですが、「日本動脈硬化学会」と「日本脂質栄養学会」のバトルは記憶に新しいところです。
私自身は、日本脂質栄養学会のいう「コレステロール値が高いほど長生き」という立場の方が説得力があると思います。
欧米では「利益相反」や「製薬企業によるエビデンスの不正」が問題となって、2004年以降、治験や医学論文に対して科学的厳密さが、より強く要求されるようになりました。
その結果、2006年以降に発表されたコレステロール低下薬に関する無作為化対照試験(RCT)である、ASPEN(16)、ENHANCE(17)、SEAS(18)、GISS-HF(19)、 CORONA(20)、AURORA(21)などでは、スタチンによりLDL-Cは下がりましたが、心血管系イベントや総死亡には効果が無いと報告されるようになりました。
日本動脈硬化学会の「コレステロールは低ければ低いほど良い」という立場が、大きく揺らいでいるのが欧米の現状です。(☆☆)
従いまして、2004年以前の欧米のRCT研究論文やガイドラインで、「スタチンによるLDL-コレステロール低下により心血管イベントが減少して総死亡率が下がる」というエビデンスは、利益相反バリバリであり、信用できません。
このように、ガイドラインやエビデンスとされるものも、自分の頭で考えて判断しないとそれこそ危険です。
次にスタチンに関してですが、副作用の多い薬であり、家族性高コレステロール血症の一部には適応となる可能性がありますが、それ以外は、必要ない薬かもしれません。
スーパー糖質制限食でLDL-コレステロールが高値となった場合、患者さん本人は兎も角として、家族・親戚や、友人の医師・看護師などが心配して「LDL-コレステロールを下げろ」の大合唱となることなることが良くあります。
こんな時ゼチーアは、スタチンに比べれば副作用の少ない薬であり、喧嘩せずに折り合いをつけるには使い勝手がいい薬なのです。
そして、スーパー糖質制限食実践によりLDL-コレステロールが高値となったケースには、劇的な効果がある薬なのです。
(☆)
2014年05月07日 (水)の本ブログ記事
「糖質制限食による体重減少と適正体重」
をご参照ください。
(☆☆)
2014年03月04日 (火)の本ブログ記事
「コレステロールについての考察。2014年3月。」
をご参照ください。
江部康二
いつも江部先生のブログを興味深く読ませていただいております。今回先生のコメントに危険を感じたため一介の医師として申し上げさせていただきます。
HbA1c5.5%、痩せ型、LDL-C値正常の方の食生活変更した症例に対してのアドバイスと拝見しました。血糖コントロール困難症例でもないのに、頭がすっきりするといった理由で、体重減少が予想される炭水化物制限を継続をすすめるのは危険と考えます。BMI16.2→15.4は人体にとって危険な領域に入っている可能性があります。
釈迦に説法かもしれませんが、そもそも炭水化物制限を行うと頑張って食べても太りにくい傾向にあります。人はタンパク質、脂肪ばかり摂取することが難しいため、炭水化物を抜くとどうしても痩せてしまいがちです。
またLDL-Cの上昇も2-3年すれば落ち着くとのことですが、その間のリスク上昇が懸念されます。ゼチーアを進められておりますが、ゼチーアはLDL-Cは心血管イベントの発症予防が証明されていない不確かな薬剤で、米国ではガイドライン掲載すらない薬剤です。日本の学会では新薬がお好きですが・・・
通常若い女性の冠動脈疾患リスクは低いですが、月経に異常があれば少し話がかわります。BMI15-16程度では月経に影響は出ていませんか?月経に異常があれば動脈硬化リスクが上昇します。また神経性食思不振症が隠れている可能性も否定できません?
まとめますと炭水化物制限によってLDLコレステロール値の上昇と体重減少が引き起こされている可能性が否定できないならば、中止をお勧めすることが医師としての務めかと考えます。
以下は蛇足とは思いますが、血糖値、インスリンは人間のパラメーターの一つにしかすぎません。健康に生きるためには多くの考察が必要になります。炭水化物制限が合う人もいれば、合わない人もいると思います。今回の症例などは炭水化物制限を行う必然性はなく、むしろ危険な可能性があります。公開されていない多くの情報を踏まえ、私が指摘したことなどは当然熟慮された上でのアドバイスかもしれませんが、HPを見た不特定多数の人に誤解を与える可能性があります。
以上、こんごの先生の持論のますますの進化を祈っております。】
こんばんは。
ふつうの医師さんから
「痩せすぎの人に糖質制限食は危険ではないか。」
というコメントを頂きました。
仰有る通り、ごく普通のお医者さんのニュートラルな立場からのアドバイスと思います。
ありがとうございます。
2014年5月21日の本ブログ記事の例は、151cm、37kgがベースラインで、BMIが16.2ですので、ご指摘通り痩せすぎです。
私も記事の中で、しっかりエネルギー摂取して体重を増やすようにアドバイスしています。
私も痩せ過ぎは良くないと思います。
BMIでは日本人は、適正体重はBMI20以上~25未満で、その個人の一番体調の良い体重が目標です。(☆)
以前記事にしたことがありますが、スーパー糖質制限食で、肥満の人は体重が減少し、痩せ方の人は体重が増加して、上記適正体重に入ることが多いです。
そして、現在既に適正体重の場合、スーパー糖質制限食でもそれ以上痩せることはありません。
すでにBMIが20とか22とかの女性で、
「スーパー糖質制限食をきっちり実践しているのに痩せない。」
という苦情がよく、本ブログにコメントされます。
それで、上記「適正体重」の話は、繰り返しブログ記事にしています。
そして痩せ過ぎに関しても、ふつうの医師さんのご指摘通り、総死亡率などが増えますので
「痩せすぎの人がスーパー糖質制限食で適正体重になるためのノウハウ」
も繰り返しブログ記事にしています。
スーパー糖質制限食は、人類700万年間の進化の歴史において本来の食事であり、人類の健康食ですので小児から成人までOKで、特殊例(肝硬変、長鎖脂肪酸代謝異常症、急性膵炎活動期・・・など)を除いて危険性はないと考えています。
イヌイット族、マサイ族、モンゴル遊牧民も、数千年の歴史における伝統的食生活の頃は「スーパー糖質制限食」です。
LDL-コレステロール高値に関してですが、「日本動脈硬化学会」と「日本脂質栄養学会」のバトルは記憶に新しいところです。
私自身は、日本脂質栄養学会のいう「コレステロール値が高いほど長生き」という立場の方が説得力があると思います。
欧米では「利益相反」や「製薬企業によるエビデンスの不正」が問題となって、2004年以降、治験や医学論文に対して科学的厳密さが、より強く要求されるようになりました。
その結果、2006年以降に発表されたコレステロール低下薬に関する無作為化対照試験(RCT)である、ASPEN(16)、ENHANCE(17)、SEAS(18)、GISS-HF(19)、 CORONA(20)、AURORA(21)などでは、スタチンによりLDL-Cは下がりましたが、心血管系イベントや総死亡には効果が無いと報告されるようになりました。
日本動脈硬化学会の「コレステロールは低ければ低いほど良い」という立場が、大きく揺らいでいるのが欧米の現状です。(☆☆)
従いまして、2004年以前の欧米のRCT研究論文やガイドラインで、「スタチンによるLDL-コレステロール低下により心血管イベントが減少して総死亡率が下がる」というエビデンスは、利益相反バリバリであり、信用できません。
このように、ガイドラインやエビデンスとされるものも、自分の頭で考えて判断しないとそれこそ危険です。
次にスタチンに関してですが、副作用の多い薬であり、家族性高コレステロール血症の一部には適応となる可能性がありますが、それ以外は、必要ない薬かもしれません。
スーパー糖質制限食でLDL-コレステロールが高値となった場合、患者さん本人は兎も角として、家族・親戚や、友人の医師・看護師などが心配して「LDL-コレステロールを下げろ」の大合唱となることなることが良くあります。
こんな時ゼチーアは、スタチンに比べれば副作用の少ない薬であり、喧嘩せずに折り合いをつけるには使い勝手がいい薬なのです。
そして、スーパー糖質制限食実践によりLDL-コレステロールが高値となったケースには、劇的な効果がある薬なのです。
(☆)
2014年05月07日 (水)の本ブログ記事
「糖質制限食による体重減少と適正体重」
をご参照ください。
(☆☆)
2014年03月04日 (火)の本ブログ記事
「コレステロールについての考察。2014年3月。」
をご参照ください。
江部康二
2014年05月22日 (木)
【14/05/21 道産子28号
糖質摂取後の動悸
糖質制限を始めてから半年で運動も行なっていますが、若い頃のベスト体重に戻りました。小学一年生の我が子一人分減りました(笑)。
さて、質問なのですが、普段はスーパーに近い糖質制限を行なっていますが、たまに同僚とのランチなどでご飯を一膳の少な目でも完食すると血糖値が上がったような、動悸がすることがあります。
インシュリンがその後出たのか、30分ぐらいで収まるのですが。これは糖質摂取による可能性はありますでしょうか?それとも気のでしょうか? 】
こんにちは。
道産子28号さんから、糖質制限半年で若い頃のベスト体重に戻ったとの嬉しいコメントを頂きました。
しかし、日頃スーパー糖質制限で、たまに同僚とランチなどでご飯を一膳たらず食べると動悸がするとのことです。
糖質を食べると正常人でも血糖値があるていど上昇します。
この血糖値が上昇したときに、追加分泌インスリンが出過ぎると、3~4時間後に低血糖になることがあります。(☆)
正常人が朝昼夕の三食糖質を食べていると、食後血糖値があるていど上昇しても慣れてしまった状態になっているので、動悸とかは感じなくなっています。
その代わり、一旦上昇した血糖値が急速に下がる時に眠たくなったりします。
スーパー糖質制限食を実践していると、食後の血糖値がほとんど上昇しないので、血糖値の急速な上昇も急速な下降もなくなり、眠気も動悸も生じません。
一方、日頃スーパー糖質制限食をしている人がたまに糖質を食べた場合には、血糖値が急速に上昇したとき、それに慣れていないので動悸がしたりぼーっとしたりします。
例えば、食前の血糖値が80mg/dlくらいでご飯一膳食べて食後30~60分で140mg/dlくらいになると、その変動幅は60mgくらいあります。
これは正常血糖範囲内の変動なのですが、30~60分で60mg/dlくらいの上昇幅があると動悸や眠気を生じることがあります。
道産子28号 さんの場合は、このようなケースと考えられます。
このように耐糖能が正常型の人においても、急速な血糖値の変動は本来生体にとって好ましくないことなので、何らかの反応が出てもおかしくないのです。
糖質を日常的に摂取していると、悪い意味でそれに慣れて、せいぜい眠たくなるくらいで、動悸などの急性症状は出なくなっているものと思われます。
(☆)
機能性低血糖症
2013年12月14日 (土)の本ブログ記事
「機能性低血糖と糖質制限食」をご参照ください。
江部康二
糖質摂取後の動悸
糖質制限を始めてから半年で運動も行なっていますが、若い頃のベスト体重に戻りました。小学一年生の我が子一人分減りました(笑)。
さて、質問なのですが、普段はスーパーに近い糖質制限を行なっていますが、たまに同僚とのランチなどでご飯を一膳の少な目でも完食すると血糖値が上がったような、動悸がすることがあります。
インシュリンがその後出たのか、30分ぐらいで収まるのですが。これは糖質摂取による可能性はありますでしょうか?それとも気のでしょうか? 】
こんにちは。
道産子28号さんから、糖質制限半年で若い頃のベスト体重に戻ったとの嬉しいコメントを頂きました。
しかし、日頃スーパー糖質制限で、たまに同僚とランチなどでご飯を一膳たらず食べると動悸がするとのことです。
糖質を食べると正常人でも血糖値があるていど上昇します。
この血糖値が上昇したときに、追加分泌インスリンが出過ぎると、3~4時間後に低血糖になることがあります。(☆)
正常人が朝昼夕の三食糖質を食べていると、食後血糖値があるていど上昇しても慣れてしまった状態になっているので、動悸とかは感じなくなっています。
その代わり、一旦上昇した血糖値が急速に下がる時に眠たくなったりします。
スーパー糖質制限食を実践していると、食後の血糖値がほとんど上昇しないので、血糖値の急速な上昇も急速な下降もなくなり、眠気も動悸も生じません。
一方、日頃スーパー糖質制限食をしている人がたまに糖質を食べた場合には、血糖値が急速に上昇したとき、それに慣れていないので動悸がしたりぼーっとしたりします。
例えば、食前の血糖値が80mg/dlくらいでご飯一膳食べて食後30~60分で140mg/dlくらいになると、その変動幅は60mgくらいあります。
これは正常血糖範囲内の変動なのですが、30~60分で60mg/dlくらいの上昇幅があると動悸や眠気を生じることがあります。
道産子28号 さんの場合は、このようなケースと考えられます。
このように耐糖能が正常型の人においても、急速な血糖値の変動は本来生体にとって好ましくないことなので、何らかの反応が出てもおかしくないのです。
糖質を日常的に摂取していると、悪い意味でそれに慣れて、せいぜい眠たくなるくらいで、動悸などの急性症状は出なくなっているものと思われます。
(☆)
機能性低血糖症
2013年12月14日 (土)の本ブログ記事
「機能性低血糖と糖質制限食」をご参照ください。
江部康二
2014年05月21日 (水)
【14/05/20 あきにゃん
ご相談
はじめまして。いつも貴重な情報をご提供いただき、ありがとうございます。
昨年8月から本格的に糖質制限を始め、昨日の人間ドックでほぼすべての数値が正常となり、その効果を改めて実感しているところです。
さて、ご相談したいのは家内のことですが、彼女も私の影響で今年2月から糖質制限を始めました。開始当時の身長体重は151cm、37kgですので、決して減量が目的ではありません。本人が感じる効果としては、頭がすっきりし、複数の課題が同時にこなせるなど、脳機能の向上が大きいようです。これは傍目から見てもその変化がはっきりわかります。
ところが、昨日の人間ドックでLDLコレステロールの数値がジャンプアップ(156→237)していました。また、HbA1cも5.5から5.7と高くなっていました。コレステロール上昇の考えられる要因としては、糖質制限を開始してから、それまであまり食べなかった肉食が増えたことと、間食のナッツの量が多かった位かと思います。体重も2kg減って35kgしかないので、今後どのような食生活をすればいいか、頭を悩ませているところです。
ご助言をいただけますでしょうか?】
こんばんは
あきにゃんさんから、「糖質制限で人間ドックの結果がほぼすべて正常になった」という嬉しいコメントをいただきました。
一方、奥さんの体重が減りすぎ、LDL-コレステロール値が上昇したとのことです。
あきにゃんさんの方は、好調で良かったです。
奥さんは、151cm、37kgがベースラインですので、BMIが16.2でそもそも痩せすぎのタイプです。
糖質制限食実践で、頭スッキリで良かったです。
体重:37kg → 35kg
LDL-コレステロール:156 → 237mg/dl
HbA1c:5.5 → 5.7%
頭スッキリは、いいのですが、体重が減ったのは「消費エネルギー > 摂取エネルギー」ということですので、脂質をしっかり食べて摂取エネルギーを増やしましょう。
オリーブオイル、エゴマ油などを料理に使ったり、直接サラダにかけたり、アボカドやオリーブを食べたり、肉も魚も脂の乗ったのをしっかり食べましょう。
LDL-コレステロールは、もともと菜食中心(コレステロールが少ない食材)だった人が、スーパー糖質制限食で肉、魚、卵、チーズなどコレステロールの多い食材を食べた時のパターンですね。
菜食中心の場合、食材のコレステロールが少ないので、肝臓がたっぷりコレステロールを作るようになっています。
肝臓がしっかりコレステロールを生産しているところに外部の食材からも今までの倍以上のコレステロールが入ってくるので、しばらくはLDL-コレステロールが上昇します。人によっては、倍以上になることもあります。
1年、2年、3年と経過すると、肝臓が調整するようになるので、元に戻ることがほとんどです。
そんなに長い間待てないなら、しばらくの間ゼチーアを内服すると、とても良く効きます。
ゼチーアは、食材からのコレステロール吸収を抑制する藥なので、よく効くのは当然ですし、スタチン剤に比し副作用が少ないです。
HbA1cは、脂質を今よりしっかり摂取して、体重が37、38kgに戻れば5.5%に戻ると思います。
江部康二
ご相談
はじめまして。いつも貴重な情報をご提供いただき、ありがとうございます。
昨年8月から本格的に糖質制限を始め、昨日の人間ドックでほぼすべての数値が正常となり、その効果を改めて実感しているところです。
さて、ご相談したいのは家内のことですが、彼女も私の影響で今年2月から糖質制限を始めました。開始当時の身長体重は151cm、37kgですので、決して減量が目的ではありません。本人が感じる効果としては、頭がすっきりし、複数の課題が同時にこなせるなど、脳機能の向上が大きいようです。これは傍目から見てもその変化がはっきりわかります。
ところが、昨日の人間ドックでLDLコレステロールの数値がジャンプアップ(156→237)していました。また、HbA1cも5.5から5.7と高くなっていました。コレステロール上昇の考えられる要因としては、糖質制限を開始してから、それまであまり食べなかった肉食が増えたことと、間食のナッツの量が多かった位かと思います。体重も2kg減って35kgしかないので、今後どのような食生活をすればいいか、頭を悩ませているところです。
ご助言をいただけますでしょうか?】
こんばんは
あきにゃんさんから、「糖質制限で人間ドックの結果がほぼすべて正常になった」という嬉しいコメントをいただきました。
一方、奥さんの体重が減りすぎ、LDL-コレステロール値が上昇したとのことです。
あきにゃんさんの方は、好調で良かったです。
奥さんは、151cm、37kgがベースラインですので、BMIが16.2でそもそも痩せすぎのタイプです。
糖質制限食実践で、頭スッキリで良かったです。
体重:37kg → 35kg
LDL-コレステロール:156 → 237mg/dl
HbA1c:5.5 → 5.7%
頭スッキリは、いいのですが、体重が減ったのは「消費エネルギー > 摂取エネルギー」ということですので、脂質をしっかり食べて摂取エネルギーを増やしましょう。
オリーブオイル、エゴマ油などを料理に使ったり、直接サラダにかけたり、アボカドやオリーブを食べたり、肉も魚も脂の乗ったのをしっかり食べましょう。
LDL-コレステロールは、もともと菜食中心(コレステロールが少ない食材)だった人が、スーパー糖質制限食で肉、魚、卵、チーズなどコレステロールの多い食材を食べた時のパターンですね。
菜食中心の場合、食材のコレステロールが少ないので、肝臓がたっぷりコレステロールを作るようになっています。
肝臓がしっかりコレステロールを生産しているところに外部の食材からも今までの倍以上のコレステロールが入ってくるので、しばらくはLDL-コレステロールが上昇します。人によっては、倍以上になることもあります。
1年、2年、3年と経過すると、肝臓が調整するようになるので、元に戻ることがほとんどです。
そんなに長い間待てないなら、しばらくの間ゼチーアを内服すると、とても良く効きます。
ゼチーアは、食材からのコレステロール吸収を抑制する藥なので、よく効くのは当然ですし、スタチン剤に比し副作用が少ないです。
HbA1cは、脂質を今よりしっかり摂取して、体重が37、38kgに戻れば5.5%に戻ると思います。
江部康二
2014年05月20日 (火)
おはようございます。
2014年5月19日(月)の MT Pro
ドクターズアイ・最新論文で考える日常臨床において
「糖尿病患者はがんになりやすいだけでなく、発がん後の死亡率も高い」
という糖尿人には見過ごせない記事が掲載されました。
北里研究所病院糖尿病センター 山田 悟氏が解説しておられます。
長谷川さんから記事の情報をコメントいただきました。
ありがとうございます。
糖尿病患者ががんになりやすいことに関しては、以前からエビデンスがあります。
高血糖に発がんリスクのエビデンスが以前からあるので糖尿病患者にがんが多いことは想定範囲と言えます。
今回「糖尿病患者は発がん後の死亡率も高い」ということが、信頼度の高いデンマークの研究により新たに認識されたわけです。
①非糖尿病(糖尿病ではない人)
②無投薬糖尿病(糖尿病ではあるが薬物療法を受けていない人)
③経口薬糖尿病(糖尿病であって経口血糖降下薬を内服しているもののインスリン注射はしていない人)
④インスリン糖尿病(糖尿病であって経口血糖降下薬の併用の有無を問わずインスリン注射をしている人
の4つのグループのわけての研究です。
大腸がん、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、子宮体がん、膀胱がんで、3つの糖尿病群全てでの死亡率が非糖尿病より高くなっていました。
また、インスリン糖尿病では、それらに加え直腸がん、肺がん、前立腺がんでの死亡率も高くなっていました。
70歳でがんと診断された2年の糖尿病罹病歴を持つ患者での生存率をモデル計算してみるとがん診断後2年での生存率は、
男性では
①非糖尿病70%
②非インスリン糖尿病(無投薬糖尿病,経口薬糖尿病)60%
③インスリン糖尿病20%
女性では
①非糖尿病80%
②非インスリン糖尿病70%
③インスリン糖尿病30%
発がん後の死亡率とモデル計算の生存率を検討してみると、インスリン糖尿病が突出して予後が悪いです。
高インスリン血症そのものに、発がんリスクのエビデンスがあるのですが、これほど顕著とは、インスリン恐るべしです。
近年の研究で、高インスリン血症や高血糖による酸化ストレス(生体において酸化反応が抗酸化反応を上まわっている状態)が、発がん、老化、動脈硬化、アルツハイマー病、パーキンソン病などのリスクとなるとされています。
今回のデンマークの研究で、高インスリン血症の発がんリスクが、鮮明に証明されたと言えます。
いつも言ってますように、
「インスリンは人体の生存に必要不可欠であるが、
その量は少なくて済む程、身体には優しい」
ということを強調したいと思います。
スーパー糖質制限食なら、インスリンは必要最低限で済むので、大きな利点と言えます。
スーパー糖質制限食なら、正常人においても、糖尿人においても、「高血糖」「高インスリン血症」という発がんリスクを著明に減らしますので、発がん予防できる可能性も高いのです。
インスリン注射をしている糖尿人においても、高糖質食に比べれば、スーパー糖質制限食実践で、その単位を1/3以下に減らせるので、発がんリスクや発がん後の死亡リスクも減らす可能性が高いです。
今回のデンマークの研究も、当然普通に糖質を摂取してのデータです。
日本においても従来の糖尿病食(高糖質・低脂質食)を摂取すれば、
「糖尿病患者はがんになりやすいだけでなく、発がん後の死亡率も高い」
ということになるのは想像に難くありません。
スーパー糖質制限食なら、それが防げる可能性が高いのです。
江部康二
☆☆☆
以下2014年5月19日のMT Pro 記事から一部抜粋です。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/doctoreye/dr140502.html
ドクターズアイ・最新論文で考える日常臨床
糖尿病患者はがんになりやすいだけでなく,
発がん後の死亡率も高い
北里研究所病院糖尿病センター 山田 悟
研究の背景:関心が高まる糖尿病とがんの関係
糖尿病患者ががんを発症しやすいことは,これまでにも幾つかの研究で報告されてきた(Arch Intern Med 2006; 166: 1871-1877,Cancer Sci 2013; 104: 1499-1507)。さればこそ,日本糖尿病学会と日本癌学会の専門家による合同委員会が設立され,委員会報告でもその関連が認められたわけである(糖尿病 2013; 56: 374-390,関連記事)。
一方,がんを発症した糖尿病患者の予後が非糖尿病患者よりも悪いという報告も幾つかなされてきた(JAMA 2008; 300: 2754-2764,Diabetes Care 2012; 35: 299-304)。しかし,それらの報告では,その調査された集団が真に母集団を反映しているかどうかというサンプリングバイアスの懸念があったように思う。このたび,サンプリングバイアスがないであろうデンマークの国民全員の登録制度を用いた研究から,発がん後の生命予後が糖尿病患者において悪いことが示されたのでご紹介したい(Diabetologia 2014; 57: 927-934)。
研究のポイント1:デンマーク市民登録制度を用いた解析
デンマークにはデンマーク市民登録制度があり,1968年以降,全国民に登録番号が割り付けられ,個人の生死の状況は常にアップデートされているらしい。さらに,2006年にはデンマーク糖尿病登録制度ができ,既存の糖尿病患者登録制度が1つの登録制度にまとめられるようになった。また,デンマークがん登録制度というがん患者の登録システムも1943年にでき上がっていたという。本研究は,この3つの登録制度を用い,がんと診断された時点で糖尿病を抱えている患者と糖尿病を抱えていない患者で生命予後が異なるかどうかを検証したものである。
1995年1月1日~2009年12月31日にがんと診断された市民が登録され,2009年12月31日までの生存・死亡が確認された。その上で,がんと診断された時点での糖尿病状態により4つに分類された。すなわち,①非糖尿病(糖尿病ではない人)②無投薬糖尿病(糖尿病ではあるが薬物療法を受けていない人)③経口薬糖尿病(糖尿病であって経口血糖降下薬を内服しているもののインスリン注射はしていない人)④インスリン糖尿病(糖尿病であって経口血糖降下薬の併用の有無を問わずインスリン注射をしている人)―である。また,がんの種類別でも解析がなされた。
研究のポイント2:男女を問わず糖尿病患者は発がん後の生存率が低い
合計42万6,129人のがん患者が登録され,①非糖尿病38万3,924人(年齢の中央値67歳)②無投薬糖尿病1万5,453人(同73歳,糖尿病診断からがん診断までの中央値1.28年)③経口薬糖尿病1万7,708人(同73歳,1.74年)④インスリン糖尿病9,044人(同70歳, 1.65年)―であった。
2009年12月31日までのがんでの死亡者は,①非糖尿病23万536人②無投薬糖尿病1万573人③経口薬糖尿病1万2,727人④インスリン糖尿病6,656人―であり,死亡のハザード比は糖尿病患者で非糖尿病者よりも高くなっていた。がんの種類別に見ると,大腸がん,乳がん,卵巣がん,子宮頸がん,子宮体がん,膀胱がんで3つの糖尿病群全てでのハザード比が非糖尿病より高くなっていた。また,インスリン糖尿病では,それらに加え直腸がん,肺がん,前立腺がんでの死亡率も高くなっていた(図1)。
dr140502_fig1.jpg
70歳でがんと診断された2年の糖尿病罹病歴を持つ患者での生存率をモデル計算して図示すると図2のようになるという。これを見るとがん診断後2年での生存率は,男性では①非糖尿病70%②非インスリン糖尿病(無投薬糖尿病,経口薬糖尿病)60%③インスリン糖尿病20%―,女性では①非糖尿病80%②非インスリン糖尿病70%③インスリン糖尿病30%―である。
dr140502_fig2.jpg
なお,糖尿病の罹病歴は死亡率に大きな影響を持たなかったという。
私の考察:高インスリン血症や高血糖による酸化ストレスが原因か
糖尿病で発がん後の予後が悪い理由として,論文の著者らは幾つかの仮説を提示している。①高インスリン血症あるいはインスリン抵抗性ががんを増殖させる②糖尿病であることや糖尿病合併症を有していることががん治療の選択肢を消極的なものにさせている③糖尿病の合併症ががんの早期発見を邪魔している④前がん状態であること(あるいは未発見のがんを抱えていること)が血糖値を上げている―などである。一般には高インスリン血症や高血糖による酸化ストレスの関与などが原因になって糖尿病において発がんが増えていると考えられているので,それらが同じように生命予後も悪化させているのだろうと私は思う。
個人的に極めて興味深く感じたことは,一般に糖尿病患者で発症率が低いはずの前立腺がんにおいても,診断時に糖尿病があることで死亡率が高くなっていることである。高血糖が前立腺がんの発症あるいは進展に対してどのような影響を及ぼすのか,不可思議な謎である。糖尿病が真に前立腺がんの発症を抑制しているならば,発がん後も前立腺がんの進展に対して抑制的に働くはずであり,発がん後の予後を悪くしているのは糖尿病そのものではなく,糖尿病合併症に伴う全身の予備能力の低下なのかもしれない。前立腺がんの経過は一般的に他のがんに比較して長期にわたるため,そうした影響はありえよう。
逆に,本当は,糖尿病は前立腺がんの発症を抑制していないという可能性も考えられる。確かに以前のメタ解析では前立腺がんの発症は糖尿病患者で少なかった(RR 0.84,95%CI 0.76~0.93)のであるが(Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 2006; 15: 2056-2062),最近のわが国でのコホート研究のプール解析では有意な減少はなく(同0.96,0.64~1.43,Cancer Sci2013; 104: 1499-1507),また台湾からの報告では非糖尿病者よりも多かったという(同1.56,1.19~2.04,Metabolism 2012; 61: 242-249)。
前立腺がんに限らず,糖尿病とがんの関係にはこれからも大いに注目し,その関係性を明らかにしていくべきであろう。
2014年5月19日(月)の MT Pro
ドクターズアイ・最新論文で考える日常臨床において
「糖尿病患者はがんになりやすいだけでなく、発がん後の死亡率も高い」
という糖尿人には見過ごせない記事が掲載されました。
北里研究所病院糖尿病センター 山田 悟氏が解説しておられます。
長谷川さんから記事の情報をコメントいただきました。
ありがとうございます。
糖尿病患者ががんになりやすいことに関しては、以前からエビデンスがあります。
高血糖に発がんリスクのエビデンスが以前からあるので糖尿病患者にがんが多いことは想定範囲と言えます。
今回「糖尿病患者は発がん後の死亡率も高い」ということが、信頼度の高いデンマークの研究により新たに認識されたわけです。
①非糖尿病(糖尿病ではない人)
②無投薬糖尿病(糖尿病ではあるが薬物療法を受けていない人)
③経口薬糖尿病(糖尿病であって経口血糖降下薬を内服しているもののインスリン注射はしていない人)
④インスリン糖尿病(糖尿病であって経口血糖降下薬の併用の有無を問わずインスリン注射をしている人
の4つのグループのわけての研究です。
大腸がん、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、子宮体がん、膀胱がんで、3つの糖尿病群全てでの死亡率が非糖尿病より高くなっていました。
また、インスリン糖尿病では、それらに加え直腸がん、肺がん、前立腺がんでの死亡率も高くなっていました。
70歳でがんと診断された2年の糖尿病罹病歴を持つ患者での生存率をモデル計算してみるとがん診断後2年での生存率は、
男性では
①非糖尿病70%
②非インスリン糖尿病(無投薬糖尿病,経口薬糖尿病)60%
③インスリン糖尿病20%
女性では
①非糖尿病80%
②非インスリン糖尿病70%
③インスリン糖尿病30%
発がん後の死亡率とモデル計算の生存率を検討してみると、インスリン糖尿病が突出して予後が悪いです。
高インスリン血症そのものに、発がんリスクのエビデンスがあるのですが、これほど顕著とは、インスリン恐るべしです。
近年の研究で、高インスリン血症や高血糖による酸化ストレス(生体において酸化反応が抗酸化反応を上まわっている状態)が、発がん、老化、動脈硬化、アルツハイマー病、パーキンソン病などのリスクとなるとされています。
今回のデンマークの研究で、高インスリン血症の発がんリスクが、鮮明に証明されたと言えます。
いつも言ってますように、
「インスリンは人体の生存に必要不可欠であるが、
その量は少なくて済む程、身体には優しい」
ということを強調したいと思います。
スーパー糖質制限食なら、インスリンは必要最低限で済むので、大きな利点と言えます。
スーパー糖質制限食なら、正常人においても、糖尿人においても、「高血糖」「高インスリン血症」という発がんリスクを著明に減らしますので、発がん予防できる可能性も高いのです。
インスリン注射をしている糖尿人においても、高糖質食に比べれば、スーパー糖質制限食実践で、その単位を1/3以下に減らせるので、発がんリスクや発がん後の死亡リスクも減らす可能性が高いです。
今回のデンマークの研究も、当然普通に糖質を摂取してのデータです。
日本においても従来の糖尿病食(高糖質・低脂質食)を摂取すれば、
「糖尿病患者はがんになりやすいだけでなく、発がん後の死亡率も高い」
ということになるのは想像に難くありません。
スーパー糖質制限食なら、それが防げる可能性が高いのです。
江部康二
☆☆☆
以下2014年5月19日のMT Pro 記事から一部抜粋です。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/doctoreye/dr140502.html
ドクターズアイ・最新論文で考える日常臨床
糖尿病患者はがんになりやすいだけでなく,
発がん後の死亡率も高い
北里研究所病院糖尿病センター 山田 悟
研究の背景:関心が高まる糖尿病とがんの関係
糖尿病患者ががんを発症しやすいことは,これまでにも幾つかの研究で報告されてきた(Arch Intern Med 2006; 166: 1871-1877,Cancer Sci 2013; 104: 1499-1507)。さればこそ,日本糖尿病学会と日本癌学会の専門家による合同委員会が設立され,委員会報告でもその関連が認められたわけである(糖尿病 2013; 56: 374-390,関連記事)。
一方,がんを発症した糖尿病患者の予後が非糖尿病患者よりも悪いという報告も幾つかなされてきた(JAMA 2008; 300: 2754-2764,Diabetes Care 2012; 35: 299-304)。しかし,それらの報告では,その調査された集団が真に母集団を反映しているかどうかというサンプリングバイアスの懸念があったように思う。このたび,サンプリングバイアスがないであろうデンマークの国民全員の登録制度を用いた研究から,発がん後の生命予後が糖尿病患者において悪いことが示されたのでご紹介したい(Diabetologia 2014; 57: 927-934)。
研究のポイント1:デンマーク市民登録制度を用いた解析
デンマークにはデンマーク市民登録制度があり,1968年以降,全国民に登録番号が割り付けられ,個人の生死の状況は常にアップデートされているらしい。さらに,2006年にはデンマーク糖尿病登録制度ができ,既存の糖尿病患者登録制度が1つの登録制度にまとめられるようになった。また,デンマークがん登録制度というがん患者の登録システムも1943年にでき上がっていたという。本研究は,この3つの登録制度を用い,がんと診断された時点で糖尿病を抱えている患者と糖尿病を抱えていない患者で生命予後が異なるかどうかを検証したものである。
1995年1月1日~2009年12月31日にがんと診断された市民が登録され,2009年12月31日までの生存・死亡が確認された。その上で,がんと診断された時点での糖尿病状態により4つに分類された。すなわち,①非糖尿病(糖尿病ではない人)②無投薬糖尿病(糖尿病ではあるが薬物療法を受けていない人)③経口薬糖尿病(糖尿病であって経口血糖降下薬を内服しているもののインスリン注射はしていない人)④インスリン糖尿病(糖尿病であって経口血糖降下薬の併用の有無を問わずインスリン注射をしている人)―である。また,がんの種類別でも解析がなされた。
研究のポイント2:男女を問わず糖尿病患者は発がん後の生存率が低い
合計42万6,129人のがん患者が登録され,①非糖尿病38万3,924人(年齢の中央値67歳)②無投薬糖尿病1万5,453人(同73歳,糖尿病診断からがん診断までの中央値1.28年)③経口薬糖尿病1万7,708人(同73歳,1.74年)④インスリン糖尿病9,044人(同70歳, 1.65年)―であった。
2009年12月31日までのがんでの死亡者は,①非糖尿病23万536人②無投薬糖尿病1万573人③経口薬糖尿病1万2,727人④インスリン糖尿病6,656人―であり,死亡のハザード比は糖尿病患者で非糖尿病者よりも高くなっていた。がんの種類別に見ると,大腸がん,乳がん,卵巣がん,子宮頸がん,子宮体がん,膀胱がんで3つの糖尿病群全てでのハザード比が非糖尿病より高くなっていた。また,インスリン糖尿病では,それらに加え直腸がん,肺がん,前立腺がんでの死亡率も高くなっていた(図1)。
dr140502_fig1.jpg
70歳でがんと診断された2年の糖尿病罹病歴を持つ患者での生存率をモデル計算して図示すると図2のようになるという。これを見るとがん診断後2年での生存率は,男性では①非糖尿病70%②非インスリン糖尿病(無投薬糖尿病,経口薬糖尿病)60%③インスリン糖尿病20%―,女性では①非糖尿病80%②非インスリン糖尿病70%③インスリン糖尿病30%―である。
dr140502_fig2.jpg
なお,糖尿病の罹病歴は死亡率に大きな影響を持たなかったという。
私の考察:高インスリン血症や高血糖による酸化ストレスが原因か
糖尿病で発がん後の予後が悪い理由として,論文の著者らは幾つかの仮説を提示している。①高インスリン血症あるいはインスリン抵抗性ががんを増殖させる②糖尿病であることや糖尿病合併症を有していることががん治療の選択肢を消極的なものにさせている③糖尿病の合併症ががんの早期発見を邪魔している④前がん状態であること(あるいは未発見のがんを抱えていること)が血糖値を上げている―などである。一般には高インスリン血症や高血糖による酸化ストレスの関与などが原因になって糖尿病において発がんが増えていると考えられているので,それらが同じように生命予後も悪化させているのだろうと私は思う。
個人的に極めて興味深く感じたことは,一般に糖尿病患者で発症率が低いはずの前立腺がんにおいても,診断時に糖尿病があることで死亡率が高くなっていることである。高血糖が前立腺がんの発症あるいは進展に対してどのような影響を及ぼすのか,不可思議な謎である。糖尿病が真に前立腺がんの発症を抑制しているならば,発がん後も前立腺がんの進展に対して抑制的に働くはずであり,発がん後の予後を悪くしているのは糖尿病そのものではなく,糖尿病合併症に伴う全身の予備能力の低下なのかもしれない。前立腺がんの経過は一般的に他のがんに比較して長期にわたるため,そうした影響はありえよう。
逆に,本当は,糖尿病は前立腺がんの発症を抑制していないという可能性も考えられる。確かに以前のメタ解析では前立腺がんの発症は糖尿病患者で少なかった(RR 0.84,95%CI 0.76~0.93)のであるが(Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 2006; 15: 2056-2062),最近のわが国でのコホート研究のプール解析では有意な減少はなく(同0.96,0.64~1.43,Cancer Sci2013; 104: 1499-1507),また台湾からの報告では非糖尿病者よりも多かったという(同1.56,1.19~2.04,Metabolism 2012; 61: 242-249)。
前立腺がんに限らず,糖尿病とがんの関係にはこれからも大いに注目し,その関係性を明らかにしていくべきであろう。
2014年05月19日 (月)
こんにちは。
岡山県の皆さん、お待たせしました。
岡山県で糖質制限食指導OKの医療機関のリストです。
いずれも、2014年5月11日(日)の
一般社団法人日本糖質制限医療推進協会主催『岡山講演会』
に参加して頂いた先生方です。
当日、これらの先生方と会場で質疑応答をかわし、後日、ブログ公開OKの許可を頂きました。
ありがとうございました。
おかげさまで岡山県での糖質制限食の広がりに弾みがつきそうです。
江部康二
■岡山県(倉敷)
医療法人創和会 しげい病院
岡山県倉敷市幸町2-30
担当:内科 加藤健一先生、内科 池田弘先生(肝臓・生活習慣病外来)
TEL: 086-422-3655
HP:http://www.shigei.or.jp/shigei/
■岡山県(倉敷)
社会医療法人 全仁会 平成南町クリニック
岡山県倉敷市南町4-38
診療科目: 内科・呼吸器科
院長 玉田二郎先生
問い合わせFAX: 086-434-1010
※FAXでお問い合わせください。
※傷・ヤケドの湿潤療法も実施
■岡山県(倉敷) ※歯科です※
医療法人社団 東風会 マーメイド歯科クリニック
岡山県倉敷市大内1239-9
院長 大村直幹先生
TEL:086-430-0039
HP:http://www.tofukai.or.jp/clinic/mermaid1.html
岡山県の皆さん、お待たせしました。
岡山県で糖質制限食指導OKの医療機関のリストです。
いずれも、2014年5月11日(日)の
一般社団法人日本糖質制限医療推進協会主催『岡山講演会』
に参加して頂いた先生方です。
当日、これらの先生方と会場で質疑応答をかわし、後日、ブログ公開OKの許可を頂きました。
ありがとうございました。
おかげさまで岡山県での糖質制限食の広がりに弾みがつきそうです。
江部康二
■岡山県(倉敷)
医療法人創和会 しげい病院
岡山県倉敷市幸町2-30
担当:内科 加藤健一先生、内科 池田弘先生(肝臓・生活習慣病外来)
TEL: 086-422-3655
HP:http://www.shigei.or.jp/shigei/
■岡山県(倉敷)
社会医療法人 全仁会 平成南町クリニック
岡山県倉敷市南町4-38
診療科目: 内科・呼吸器科
院長 玉田二郎先生
問い合わせFAX: 086-434-1010
※FAXでお問い合わせください。
※傷・ヤケドの湿潤療法も実施
■岡山県(倉敷) ※歯科です※
医療法人社団 東風会 マーメイド歯科クリニック
岡山県倉敷市大内1239-9
院長 大村直幹先生
TEL:086-430-0039
HP:http://www.tofukai.or.jp/clinic/mermaid1.html
2014年05月18日 (日)
こんにちは。
精神科医師Aさんから
日本糖尿病学会抄録(2014-5-22)「糖質制限食で腎機能悪化?」
という情報をコメントいただきました。
検討してみます。
林勝さん、はなもとさんからもコメントをいただきました。
ありがとうございます。
さて、CKDガイド2012以降は 、eGFR60ml以上あれば、タンパク制限の必要なしです。
症例1は、eGFR:85 、症例2はeGFR:66です。
従って、日本腎臓病学会に従えば、 タンパク質制限の必要はなしです。
私が日常で経験する症例においても糖質制限食関係なく、軽い脱水など様々な要因でクレアチニン値が 症例1、症例2程度に変動する症例は時々経験します。
糖尿病の人でもそういうことがありますし、高血圧での腎障害の患者さんでもあります。
60才以上の人では、若い人に比べてクレアチニン値が変動しやすいです。
林さんやはなもとさんも指摘されているように、「こういう症例があった」という程度の中立な報告が妥当です。
「低炭水化物食は高蛋白食となり、腎機能が悪化したと考えられた。」という結語は短絡的であり、無理があります。
症例報告も興味深いのですが、到底そう簡単に因果関係を断じることはできないのです。
evidence based medicine(証拠に基づく医学)→略してEBM
EBMが現在、医学界を席巻しています。
EBMだけに頼る医療には、明確に限界があります。
一方、EBMを無視する医療にも、明確に限界があります。
医学界において、evidence(エビデンス、証拠、根拠)となるのは、基本的に医学雑誌に掲載された論文です。
ニューイングランド・ジャーナル、ランセット、米国医師会雑誌など、定評ある医学専門誌に掲載された論文であることも、evidence(エビデンス、証拠)の大きな要素となります。
その論文も
①無作為割り付け臨床試験(RCT)
②前向きコホート研究
③コホート内症例割り付け研究
④後ろ向けコホート研究
⑤症例対照研究
⑥地域相関研究
⑦時系列研究
⑧症例報告
⑨実証的研究に基づかない権威者の意見
といった順番で、信頼度に差をつけられています。
これを研究デザインのヒエラルキーと呼ぶそうです。
RCT研究論文の場合、さまざまな不確定要素や偏りが少なくなるので、信頼度が高いとされています。
これに対して、症例報告は信頼度は8番目であり、さまざまな不確定要素や偏りが多い研究デザインなのです。
この症例報告が論文になったとしても、EBM的には信頼度は低いのです。
EBM的に信頼度が高く意味があるのは
①無作為割り付け臨床試験(RCT)
②前向きコホート研究
までとなります。
なお症例2においてグリペンクラミド(オイグルコン)が使用されています。
グリペンクラミド(オイグルコン)は心筋障害のリスクが明白であり、使用禁止にするのが妥当なSU剤です。
前医で処方されていたのか、日大でも継続使用されたのかはわかりませんが、即、使用中止すべき薬剤です。
江部康二
【14/05/16 精神科医師A
糖質制限食への反論
日本糖尿病学会抄録(2014-5-22)
Ⅰ-P-362
低炭水化物食が腎機能を悪化させたと考えられた2型糖尿病の2症例
岡本真由美、江頭富士子、東海林 忍、山口賢、荒井 秀仁、小須田 南、石原 寿光
日本大学医学部内科学系糖尿病代謝内科学分野
はじめに:低炭水化物食が流行している。炭水化物(以下C)を減らせば蛋白質(P)脂質と(F)制限が不要だがP負荷が腎機能悪化を招く。低炭水化物食を患者自身が導入し、腎機能が悪化した2例を報告する。
症例1:69歳男。64歳30%超速効型インスリン導入。低炭水化物食(C90g,P100g,F125g)開始3か月で体重-5kg、HbA1c 8→6.9%、総インスリン量26→16U、尿蛋白+→3+、Cr 0.7→0.9mg/dl。糖尿病腎症透析予防指導(C260,P80,F50)を行い、2か月間で回復した。
症例2:62歳男。高血圧合併。グリベンクラミド2.5mg、シタグリプチン50mg。低炭水化物食(C80g,P90g,F170g)開始3か月で下腿浮腫出現。HbA1c 8→6.8%、尿蛋白+→4+、Cr 0.9→1.2mg/dl。入院で糖腎食(C290,P50,F50)に変更し、尿蛋白は10.2→3.5g/日に改善したが、Crは不変であった。
結語:低炭水化物食は高蛋白食となり、腎機能が悪化したと考えられた。】
【14/05/17 ドクター江部
Re: 糖質制限食への反論
精神科医師A さん
CKDガイド2012以降は
eGFR60ml以上あれば、タンパク制限の必要なしです。
症例1は、eGFR:85 、症例2はeGFR:66です。
私が日常で経験する症例でも糖質制限食関係なく、
軽い脱水など様々な要因でクレアチニン値が
症例1、症例2程度に変動する症例は時々経験します。
症例報告も貴重ですが、簡単に因果関係を断じることはできないと思います。】
【14/05/17 林勝
Re: 糖質制限食への反論
「糖質制限への反論」というタイトルですが、発表内容「低炭水化物食が腎機能を悪化させたと考えられた2型糖尿病の2症例」は「反論」になっていないと思います。
低炭水化物食が腎機能を悪化させるリスクがあるとしても、高炭水化物食にだって血糖の変動に伴うのリスクがあるからです。リスクをはかる指標を尿蛋白だけに限定し、別のリスクを排除して、物事の正否は判断できません。この症例結果は中立に扱うべきです。
糖尿病で腎障害が進んでしまった患者にとっては、どんな食事の仕方をしようとも多少のリスクを伴うわけで、食事の仕方によってそれぞれ生じるリスクを相対的に比較しないと結論はでないはずです。
この症例発表は、もともと食事評価の難しい患者の一面的な生体指標をとらえただけにすぎず、そのたった2例が示唆する可能性をもって、全ての患者の糖質制限への「反論」とすることは、相当な無理があると言わざるを得ません。
林勝拝 】
【14/05/18 はなもと
Re: 糖質制限食への反論もどきは、偏向かつ主観的
林さん
> 低炭水化物食が腎機能を悪化させるリスクがあるとしても、
> 高炭水化物食にだって血糖の変動に伴うのリスクがある
> からです。リスクをはかる指標を尿蛋白だけに限定し、
> 別のリスクを排除して、物事の正否は判断できません。
> この症例結果は中立に扱うべきです。
私も、そう思います。糖質制限で
(1) 腎機能が悪化した、と彼らは主張するが
(2) それ以外は、どうなのか?
このうち(2)を無視して、(1)だけ取り上げ騒ぎまくるのは、科学的態度とは、言えませんよね。バイアスがかかってる。稚拙。
さらに上記(1)の「腎機能悪化」の指標からして怪しい。
・Cr 0.7→0.9mg/dl
これは騒ぐほどの「悪化」ではない。69歳男で血清
クレアチニン0.9なら「正常または軽度低下」です。
http://j-ckdi.jp/ckd/check.html
・尿蛋白+→3+
これに至っては、試験紙の色の変化を人間が「主観で」
判断してるだけなので、その人間が糖質制限に反対なら、
この手の「主観的マーカー」の判定は、どうにでもなる。
同様の問題は、あの バルサルタンARB問題でもあった。「 エンドポイント判定の主観性」という問題です。
桑島巌先生や池田正行先生によるご指摘です。
http://www.amazon.co.jp/dp/4022734345/
http://square.umin.ac.jp/massie-tmd/clnjc.html#peten3
日大医学部は、京都府立医大や慈恵と、同じ手口を使っている。そう考えても、おかしくありません。
しかも試験紙は捨ててるでしょうから、事後的な外部監査も不可能です。
その意味では、京都府立・慈恵より、悪質です。
総じて、今回の Nichidai Renal Study は、Kyoto / Jikei Heart Study と同様、かつ小規模な「お研究」だった、と言えましょう。
林さん、こちらの本は、お持ちですか? p127-132に上記の「主観的エンドポイント」問題が明快に解説されています。それも含め、p118-134が参考になる。縦書きの新書本なのに、驚くほど良書でした。
http://www.amazon.co.jp/dp/4022734345/
なお腎機能の評価指標としては、通常、
・血清クレアチニンより、血清シスタチンCかL-FABPがベター
・尿蛋白より、尿中アルブミンが、かなりベター
今の流行は、L-FABPです。科学論文でも利用例が増えていますし、検査が保険収載されましたので、臨床現場でも利用が広がってるはずです。
日大って、遅れてるんですね。
糖尿・腎症なら日大「以外」が鉄則だ、と言えそうです。】
精神科医師Aさんから
日本糖尿病学会抄録(2014-5-22)「糖質制限食で腎機能悪化?」
という情報をコメントいただきました。
検討してみます。
林勝さん、はなもとさんからもコメントをいただきました。
ありがとうございます。
さて、CKDガイド2012以降は 、eGFR60ml以上あれば、タンパク制限の必要なしです。
症例1は、eGFR:85 、症例2はeGFR:66です。
従って、日本腎臓病学会に従えば、 タンパク質制限の必要はなしです。
私が日常で経験する症例においても糖質制限食関係なく、軽い脱水など様々な要因でクレアチニン値が 症例1、症例2程度に変動する症例は時々経験します。
糖尿病の人でもそういうことがありますし、高血圧での腎障害の患者さんでもあります。
60才以上の人では、若い人に比べてクレアチニン値が変動しやすいです。
林さんやはなもとさんも指摘されているように、「こういう症例があった」という程度の中立な報告が妥当です。
「低炭水化物食は高蛋白食となり、腎機能が悪化したと考えられた。」という結語は短絡的であり、無理があります。
症例報告も興味深いのですが、到底そう簡単に因果関係を断じることはできないのです。
evidence based medicine(証拠に基づく医学)→略してEBM
EBMが現在、医学界を席巻しています。
EBMだけに頼る医療には、明確に限界があります。
一方、EBMを無視する医療にも、明確に限界があります。
医学界において、evidence(エビデンス、証拠、根拠)となるのは、基本的に医学雑誌に掲載された論文です。
ニューイングランド・ジャーナル、ランセット、米国医師会雑誌など、定評ある医学専門誌に掲載された論文であることも、evidence(エビデンス、証拠)の大きな要素となります。
その論文も
①無作為割り付け臨床試験(RCT)
②前向きコホート研究
③コホート内症例割り付け研究
④後ろ向けコホート研究
⑤症例対照研究
⑥地域相関研究
⑦時系列研究
⑧症例報告
⑨実証的研究に基づかない権威者の意見
といった順番で、信頼度に差をつけられています。
これを研究デザインのヒエラルキーと呼ぶそうです。
RCT研究論文の場合、さまざまな不確定要素や偏りが少なくなるので、信頼度が高いとされています。
これに対して、症例報告は信頼度は8番目であり、さまざまな不確定要素や偏りが多い研究デザインなのです。
この症例報告が論文になったとしても、EBM的には信頼度は低いのです。
EBM的に信頼度が高く意味があるのは
①無作為割り付け臨床試験(RCT)
②前向きコホート研究
までとなります。
なお症例2においてグリペンクラミド(オイグルコン)が使用されています。
グリペンクラミド(オイグルコン)は心筋障害のリスクが明白であり、使用禁止にするのが妥当なSU剤です。
前医で処方されていたのか、日大でも継続使用されたのかはわかりませんが、即、使用中止すべき薬剤です。
江部康二
【14/05/16 精神科医師A
糖質制限食への反論
日本糖尿病学会抄録(2014-5-22)
Ⅰ-P-362
低炭水化物食が腎機能を悪化させたと考えられた2型糖尿病の2症例
岡本真由美、江頭富士子、東海林 忍、山口賢、荒井 秀仁、小須田 南、石原 寿光
日本大学医学部内科学系糖尿病代謝内科学分野
はじめに:低炭水化物食が流行している。炭水化物(以下C)を減らせば蛋白質(P)脂質と(F)制限が不要だがP負荷が腎機能悪化を招く。低炭水化物食を患者自身が導入し、腎機能が悪化した2例を報告する。
症例1:69歳男。64歳30%超速効型インスリン導入。低炭水化物食(C90g,P100g,F125g)開始3か月で体重-5kg、HbA1c 8→6.9%、総インスリン量26→16U、尿蛋白+→3+、Cr 0.7→0.9mg/dl。糖尿病腎症透析予防指導(C260,P80,F50)を行い、2か月間で回復した。
症例2:62歳男。高血圧合併。グリベンクラミド2.5mg、シタグリプチン50mg。低炭水化物食(C80g,P90g,F170g)開始3か月で下腿浮腫出現。HbA1c 8→6.8%、尿蛋白+→4+、Cr 0.9→1.2mg/dl。入院で糖腎食(C290,P50,F50)に変更し、尿蛋白は10.2→3.5g/日に改善したが、Crは不変であった。
結語:低炭水化物食は高蛋白食となり、腎機能が悪化したと考えられた。】
【14/05/17 ドクター江部
Re: 糖質制限食への反論
精神科医師A さん
CKDガイド2012以降は
eGFR60ml以上あれば、タンパク制限の必要なしです。
症例1は、eGFR:85 、症例2はeGFR:66です。
私が日常で経験する症例でも糖質制限食関係なく、
軽い脱水など様々な要因でクレアチニン値が
症例1、症例2程度に変動する症例は時々経験します。
症例報告も貴重ですが、簡単に因果関係を断じることはできないと思います。】
【14/05/17 林勝
Re: 糖質制限食への反論
「糖質制限への反論」というタイトルですが、発表内容「低炭水化物食が腎機能を悪化させたと考えられた2型糖尿病の2症例」は「反論」になっていないと思います。
低炭水化物食が腎機能を悪化させるリスクがあるとしても、高炭水化物食にだって血糖の変動に伴うのリスクがあるからです。リスクをはかる指標を尿蛋白だけに限定し、別のリスクを排除して、物事の正否は判断できません。この症例結果は中立に扱うべきです。
糖尿病で腎障害が進んでしまった患者にとっては、どんな食事の仕方をしようとも多少のリスクを伴うわけで、食事の仕方によってそれぞれ生じるリスクを相対的に比較しないと結論はでないはずです。
この症例発表は、もともと食事評価の難しい患者の一面的な生体指標をとらえただけにすぎず、そのたった2例が示唆する可能性をもって、全ての患者の糖質制限への「反論」とすることは、相当な無理があると言わざるを得ません。
林勝拝 】
【14/05/18 はなもと
Re: 糖質制限食への反論もどきは、偏向かつ主観的
林さん
> 低炭水化物食が腎機能を悪化させるリスクがあるとしても、
> 高炭水化物食にだって血糖の変動に伴うのリスクがある
> からです。リスクをはかる指標を尿蛋白だけに限定し、
> 別のリスクを排除して、物事の正否は判断できません。
> この症例結果は中立に扱うべきです。
私も、そう思います。糖質制限で
(1) 腎機能が悪化した、と彼らは主張するが
(2) それ以外は、どうなのか?
このうち(2)を無視して、(1)だけ取り上げ騒ぎまくるのは、科学的態度とは、言えませんよね。バイアスがかかってる。稚拙。
さらに上記(1)の「腎機能悪化」の指標からして怪しい。
・Cr 0.7→0.9mg/dl
これは騒ぐほどの「悪化」ではない。69歳男で血清
クレアチニン0.9なら「正常または軽度低下」です。
http://j-ckdi.jp/ckd/check.html
・尿蛋白+→3+
これに至っては、試験紙の色の変化を人間が「主観で」
判断してるだけなので、その人間が糖質制限に反対なら、
この手の「主観的マーカー」の判定は、どうにでもなる。
同様の問題は、あの バルサルタンARB問題でもあった。「 エンドポイント判定の主観性」という問題です。
桑島巌先生や池田正行先生によるご指摘です。
http://www.amazon.co.jp/dp/4022734345/
http://square.umin.ac.jp/massie-tmd/clnjc.html#peten3
日大医学部は、京都府立医大や慈恵と、同じ手口を使っている。そう考えても、おかしくありません。
しかも試験紙は捨ててるでしょうから、事後的な外部監査も不可能です。
その意味では、京都府立・慈恵より、悪質です。
総じて、今回の Nichidai Renal Study は、Kyoto / Jikei Heart Study と同様、かつ小規模な「お研究」だった、と言えましょう。
林さん、こちらの本は、お持ちですか? p127-132に上記の「主観的エンドポイント」問題が明快に解説されています。それも含め、p118-134が参考になる。縦書きの新書本なのに、驚くほど良書でした。
http://www.amazon.co.jp/dp/4022734345/
なお腎機能の評価指標としては、通常、
・血清クレアチニンより、血清シスタチンCかL-FABPがベター
・尿蛋白より、尿中アルブミンが、かなりベター
今の流行は、L-FABPです。科学論文でも利用例が増えていますし、検査が保険収載されましたので、臨床現場でも利用が広がってるはずです。
日大って、遅れてるんですね。
糖尿・腎症なら日大「以外」が鉄則だ、と言えそうです。】
2014年05月17日 (土)
【14/05/17 MEC実践中
質問
はじめまして。いつも有益な情報をありがとうございます。
主食を抜けば糖尿病は良くなる!2実践編を読ませていただきました。
その本のP17の9~10行目に、
1.「食後に血糖値を上昇させるのは基本的に糖質のみ」であり、
2.「脂質やタンパク質は食後の血糖値をほとんど上昇させません」とあります。
1で「基本的に」とありますが、例外的に糖質以外にもありうるのでしょうか。
また、2において、「ほとんど」とありますが、若干は上がるということなのでしょうか。
お忙しい中、申し訳ありません。】
MEC実践中 さん
拙著
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!2 実践編 新版」2014年(東洋経済新報社)
のご購入、ありがとうございます。
鋭い質問ですね。
じつは、内因性インスリンがゼロの場合、タンパク質が結果として血糖値を上昇させます。
2012年05月28日 (月)の本ブログ記事
「1型糖尿病とタンパク質、血糖値を上げる?上げない?」
2012年10月09日 (火)の本ブログ記事
「内因性インスリンがゼロの場合、タンパク質が血糖値を上げる。グルカゴンがキー。」
をご参照ください。
質問
はじめまして。いつも有益な情報をありがとうございます。
主食を抜けば糖尿病は良くなる!2実践編を読ませていただきました。
その本のP17の9~10行目に、
1.「食後に血糖値を上昇させるのは基本的に糖質のみ」であり、
2.「脂質やタンパク質は食後の血糖値をほとんど上昇させません」とあります。
1で「基本的に」とありますが、例外的に糖質以外にもありうるのでしょうか。
また、2において、「ほとんど」とありますが、若干は上がるということなのでしょうか。
お忙しい中、申し訳ありません。】
MEC実践中 さん
拙著
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!2 実践編 新版」2014年(東洋経済新報社)
のご購入、ありがとうございます。
鋭い質問ですね。
じつは、内因性インスリンがゼロの場合、タンパク質が結果として血糖値を上昇させます。
2012年05月28日 (月)の本ブログ記事
「1型糖尿病とタンパク質、血糖値を上げる?上げない?」
2012年10月09日 (火)の本ブログ記事
「内因性インスリンがゼロの場合、タンパク質が血糖値を上げる。グルカゴンがキー。」
をご参照ください。
2014年05月17日 (土)
【14/05/16 迷える糖尿びと
体重について。
はじめまして。
私は二十代後半女性です。昨年糖尿病を発症しました。現在はヘモグロビン値も5.6に安定し、今年の2月に終診となりました。今は食事と運動療法だけの生活をしています。
最近まであまりにストイックに食事制限、運動をしていたために体重が38まで減りました。(身長155cm)しかし最近、スーパー糖質制限に切り替え、毎日大好きだったお肉や魚をたくさん食べて、みるみる心身共に元気になっているのを感じています。
でもひとつだけ不安なことがあります。それは体重の増加です。今糖質制限を始めてまだ1ヶ月とたたないのですが、体重が2キロ近く増えています。朝からお肉やら、魚、ソーセージなど沢山食べ過ぎているのかもしれません。
体型の面でも細身を保ちたいのですが、少し食べる量を減らした方が良いでしょうか。体重増加が止まらないのではないかと怖くて仕方ありません。どうしたらよいでしょうか。
ご教示のほど、よろしくお願い申し上げます。】
こんにちは。
迷える糖尿びとさんから「スーパー糖質制限食で、心身共に元気になって体重が増えた。」 というコメントを頂きました。
糖尿病と診断されて、厳しいカロリー制限と運動で155cm、38kgまで体重が減ったそうです。
HbA1c5.6%で糖尿病は卒業です。
155cm、38kgなら、BMIは15.8と、痩せすぎです。
以前、糖質制限食で肥満の人の体重は減少し、痩せすぎの人の体重は増加し、適正体重になると書いたことがあります。
糖質制限食が人類の健康食たる面目躍如ですね。
迷える糖尿びとさんは、ストイックなカロリー制限食からスーパー糖質制限食に切り替えて、心身共に元気になって体重が増えたのですから、健康そのものに近づいていて、いいことずくめです。
しかし155cm、40kgでも、BMIは16.65とまだまだ痩せすぎです。
人類の健康食である、スーパー糖質制限食を続けて、まずはBMI18を目指しましょう。
日本肥満学会によれば、普通体重は18.5以上で25未満です。
1)世界ガン研究基金の報告(2007年)では、BMI:20~25未満 が目標。
2)ランセットの論文では欧米人はBMI:22.5~25 が総死亡率が一番低い。(*)
3)ニューイングランド・ジャーナルの論文では、アジア人はBMI:23~27 が
総死亡率が一番低い。(**)
1)2)3)を考慮すれば、現在痩せすぎの人は、少なくともBMI:20 は確保するほうが、安全といえます。
(*)
Prospective Studies Collaboration
PSC, Whitlock G, et al. Lancet 2009; 373: 1083–96
(**)
Zheng W, et al.N Engl J Med. 2011 Feb 24;364(8):719-29.
Association between body-mass index and risk of death in more than 1 million Asians.
江部康二
体重について。
はじめまして。
私は二十代後半女性です。昨年糖尿病を発症しました。現在はヘモグロビン値も5.6に安定し、今年の2月に終診となりました。今は食事と運動療法だけの生活をしています。
最近まであまりにストイックに食事制限、運動をしていたために体重が38まで減りました。(身長155cm)しかし最近、スーパー糖質制限に切り替え、毎日大好きだったお肉や魚をたくさん食べて、みるみる心身共に元気になっているのを感じています。
でもひとつだけ不安なことがあります。それは体重の増加です。今糖質制限を始めてまだ1ヶ月とたたないのですが、体重が2キロ近く増えています。朝からお肉やら、魚、ソーセージなど沢山食べ過ぎているのかもしれません。
体型の面でも細身を保ちたいのですが、少し食べる量を減らした方が良いでしょうか。体重増加が止まらないのではないかと怖くて仕方ありません。どうしたらよいでしょうか。
ご教示のほど、よろしくお願い申し上げます。】
こんにちは。
迷える糖尿びとさんから「スーパー糖質制限食で、心身共に元気になって体重が増えた。」 というコメントを頂きました。
糖尿病と診断されて、厳しいカロリー制限と運動で155cm、38kgまで体重が減ったそうです。
HbA1c5.6%で糖尿病は卒業です。
155cm、38kgなら、BMIは15.8と、痩せすぎです。
以前、糖質制限食で肥満の人の体重は減少し、痩せすぎの人の体重は増加し、適正体重になると書いたことがあります。
糖質制限食が人類の健康食たる面目躍如ですね。
迷える糖尿びとさんは、ストイックなカロリー制限食からスーパー糖質制限食に切り替えて、心身共に元気になって体重が増えたのですから、健康そのものに近づいていて、いいことずくめです。
しかし155cm、40kgでも、BMIは16.65とまだまだ痩せすぎです。
人類の健康食である、スーパー糖質制限食を続けて、まずはBMI18を目指しましょう。
日本肥満学会によれば、普通体重は18.5以上で25未満です。
1)世界ガン研究基金の報告(2007年)では、BMI:20~25未満 が目標。
2)ランセットの論文では欧米人はBMI:22.5~25 が総死亡率が一番低い。(*)
3)ニューイングランド・ジャーナルの論文では、アジア人はBMI:23~27 が
総死亡率が一番低い。(**)
1)2)3)を考慮すれば、現在痩せすぎの人は、少なくともBMI:20 は確保するほうが、安全といえます。
(*)
Prospective Studies Collaboration
PSC, Whitlock G, et al. Lancet 2009; 373: 1083–96
(**)
Zheng W, et al.N Engl J Med. 2011 Feb 24;364(8):719-29.
Association between body-mass index and risk of death in more than 1 million Asians.
江部康二
2014年05月16日 (金)
こんばんは。
糖尿病専門医のH.P. さんから、興味深いコメントをいただきました。
糖尿病専門医でも賛同者はいるとのこと・・・
ありがとうございます。
心強い限りです。
はなもとさん、林勝さん、健康おたくさんからもコメントをいただきました。
ありがとうございます。
H.P. さん、私自身も糖質制限食賛成派の糖尿病専門医が結構おられるのは知っています。
もっと言えば、米国糖尿病学会の2013年10月の「食事療法に関する声明文」をしっかり読むタイプの勉強熱心な糖尿病専門医においては、当然糖質制限食賛成派のほうが多いと思います。
こういう方々とは、仲良くタッグを組んで勉強したいと思います。
一方、あまり勉強しないタイプで日本糖尿病学会のガイドラインのみ読んでいる方々は、守旧派で糖質制限食反対であろうことは想像に難くありません。
さらに、問題は、本当は糖質制限食賛成なのに、糖尿病専門医という立場上、公の場では、糖質制限食賛成とは口にできない方々がかなりおられることだと思います。
このような状況自体が、糖質制限食の発展を邪魔する大きな要因の一つになっているのが現状ではないかと思います。
H.P. さんが仰るように、糖尿病学会全体としては転換には時間がかかると思います。
患者さんは、のんびり待って、合併症を生じるわけにはいきませんので、自分自身の頭で考えて判断することが重要と思います。
私は、本ブログで直接糖尿病患者さんに情報を発信して、患者さん自身が考える材料を提供したいと思っています。
勿論医師や医療関係者のお役にたてば嬉しい限りです。
江部康二
【14/05/15 H.P.
糖尿病専門医でも賛同者はいます!
江部先生はじめ、ブログ読者の皆様
いつもありがとうございます。糖尿病専門医の者です。患者さんにいつも教えられている日々です。専門医でも糖質に注目した治療が大事であることを理解している者はおります。どうか、学会全体や専門医全体を敵視しないでください・・・学会全体としての方向転換には時間はかかると思いますが、これからもよろしくお願いします。実際、今年の糖尿病の進歩という学会では、糖質をとりあげたレクチャーがありましたよ。】
【14/05/16 はなもと
Re: 糖尿病専門医でも賛同者はいます!
H.P.先生、
たいへん勇気あるご登場、まことに痛み入ります。
> 糖尿病専門医でも賛同者はいます!
有難うございます!
> 学会全体や専門医全体を敵視しないでください。
あ、はい。昨日は私、某所でJDSさんを「ガラパゴス」
呼ばわりなどしてしまい、失礼いたしました。お許しを。
H.P先生のような理解者が増えると、嬉しいですね。
期待していますよ。
門脇孝さんが長年重視してきた「アディポネクチン」だって、
糖質制限で、増えるんですから。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21455123
Adiponectin increased in the LC , but not the LF
門脇さんが縷々言われるように、アディポネクチンが増えれば、
・インスリン抵抗性が防げて
・肥満は治って(PPARα経由で代謝向上)
・動脈硬化も防げて(Apo A-1増生)
・Sirt1遺伝子も刺激して老化を防ぐ
こんなに強力なアディポネクチンが、糖質制限で増えて、
カロリー制限では増えない。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21455123
Adiponectin increased in the LC , but not the LF
これでもう科学的には、糖質制限の圧勝です。
ぜひ勝ち馬に、乗ってください。】
【14/05/16 林勝
Re: 糖尿病専門医でも賛同者はいます!
H.P.先生
貴重なご意見ありがとうございます。
学会学術集会のプログラムからも、専門医の方々に糖質制限を前向きに活かそうという動きがあることは存じております。
ただ、有益な治療法を積極的に求めておられる患者さんの立場からすると、学会の取り組みは何とも物足りなく感じてしまうのではないでしょうか。少なくとも、昨年の「学会提言」からは、糖質制限に期待する患者さんの声に応えようという意志は感じられません。「完全には否定しない」というエクスキューズをちょっと盛り込み、全体的には火消しのためのような印象を受けました。
組織が明確な方向性を打ち出すためには、関係者間での危機感を持った活発で広がりのある議論が欠かせません。世界的な動向から、既に糖質制限問題はそのような活発な議論が行われてしかるべきだと思います。それなのに、学術集会での扱いの少なさに、私は「危機感はないのか」とおこがましくも訴えたいです。
好き勝手なことを申し上げてすみません。】
【14/05/16 健康おたく
現行の糖尿病医様
日本糖尿病学会~厚生省が国民の健康を推進(医療費削減)するのなら自然と糖質過剰にならない食生活(糖質制限)は必須です。
それを唱えない、医療機関は健康を求める国民に理解できません。理解されてい医師とありますが、表にみえるものがない限り国民は解りません。】
糖尿病専門医のH.P. さんから、興味深いコメントをいただきました。
糖尿病専門医でも賛同者はいるとのこと・・・
ありがとうございます。
心強い限りです。
はなもとさん、林勝さん、健康おたくさんからもコメントをいただきました。
ありがとうございます。
H.P. さん、私自身も糖質制限食賛成派の糖尿病専門医が結構おられるのは知っています。
もっと言えば、米国糖尿病学会の2013年10月の「食事療法に関する声明文」をしっかり読むタイプの勉強熱心な糖尿病専門医においては、当然糖質制限食賛成派のほうが多いと思います。
こういう方々とは、仲良くタッグを組んで勉強したいと思います。
一方、あまり勉強しないタイプで日本糖尿病学会のガイドラインのみ読んでいる方々は、守旧派で糖質制限食反対であろうことは想像に難くありません。
さらに、問題は、本当は糖質制限食賛成なのに、糖尿病専門医という立場上、公の場では、糖質制限食賛成とは口にできない方々がかなりおられることだと思います。
このような状況自体が、糖質制限食の発展を邪魔する大きな要因の一つになっているのが現状ではないかと思います。
H.P. さんが仰るように、糖尿病学会全体としては転換には時間がかかると思います。
患者さんは、のんびり待って、合併症を生じるわけにはいきませんので、自分自身の頭で考えて判断することが重要と思います。
私は、本ブログで直接糖尿病患者さんに情報を発信して、患者さん自身が考える材料を提供したいと思っています。
勿論医師や医療関係者のお役にたてば嬉しい限りです。
江部康二
【14/05/15 H.P.
糖尿病専門医でも賛同者はいます!
江部先生はじめ、ブログ読者の皆様
いつもありがとうございます。糖尿病専門医の者です。患者さんにいつも教えられている日々です。専門医でも糖質に注目した治療が大事であることを理解している者はおります。どうか、学会全体や専門医全体を敵視しないでください・・・学会全体としての方向転換には時間はかかると思いますが、これからもよろしくお願いします。実際、今年の糖尿病の進歩という学会では、糖質をとりあげたレクチャーがありましたよ。】
【14/05/16 はなもと
Re: 糖尿病専門医でも賛同者はいます!
H.P.先生、
たいへん勇気あるご登場、まことに痛み入ります。
> 糖尿病専門医でも賛同者はいます!
有難うございます!
> 学会全体や専門医全体を敵視しないでください。
あ、はい。昨日は私、某所でJDSさんを「ガラパゴス」
呼ばわりなどしてしまい、失礼いたしました。お許しを。
H.P先生のような理解者が増えると、嬉しいですね。
期待していますよ。
門脇孝さんが長年重視してきた「アディポネクチン」だって、
糖質制限で、増えるんですから。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21455123
Adiponectin increased in the LC , but not the LF
門脇さんが縷々言われるように、アディポネクチンが増えれば、
・インスリン抵抗性が防げて
・肥満は治って(PPARα経由で代謝向上)
・動脈硬化も防げて(Apo A-1増生)
・Sirt1遺伝子も刺激して老化を防ぐ
こんなに強力なアディポネクチンが、糖質制限で増えて、
カロリー制限では増えない。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21455123
Adiponectin increased in the LC , but not the LF
これでもう科学的には、糖質制限の圧勝です。
ぜひ勝ち馬に、乗ってください。】
【14/05/16 林勝
Re: 糖尿病専門医でも賛同者はいます!
H.P.先生
貴重なご意見ありがとうございます。
学会学術集会のプログラムからも、専門医の方々に糖質制限を前向きに活かそうという動きがあることは存じております。
ただ、有益な治療法を積極的に求めておられる患者さんの立場からすると、学会の取り組みは何とも物足りなく感じてしまうのではないでしょうか。少なくとも、昨年の「学会提言」からは、糖質制限に期待する患者さんの声に応えようという意志は感じられません。「完全には否定しない」というエクスキューズをちょっと盛り込み、全体的には火消しのためのような印象を受けました。
組織が明確な方向性を打ち出すためには、関係者間での危機感を持った活発で広がりのある議論が欠かせません。世界的な動向から、既に糖質制限問題はそのような活発な議論が行われてしかるべきだと思います。それなのに、学術集会での扱いの少なさに、私は「危機感はないのか」とおこがましくも訴えたいです。
好き勝手なことを申し上げてすみません。】
【14/05/16 健康おたく
現行の糖尿病医様
日本糖尿病学会~厚生省が国民の健康を推進(医療費削減)するのなら自然と糖質過剰にならない食生活(糖質制限)は必須です。
それを唱えない、医療機関は健康を求める国民に理解できません。理解されてい医師とありますが、表にみえるものがない限り国民は解りません。】
2014年05月16日 (金)
【14/05/15 ばぁば
糖尿人の仲間入り
江部様
4月におなかの調子が悪く病院に行って血液検査をした結果、超立派な糖尿人と言われました52歳のばぁばです。
ショックも冷めやらぬうちにネットで糖尿に関するものを調べまくり、先生のブログにたどり着きました。本も数冊購入し現在勉強中です。
スーパー糖質制限食実行し、血糖値439→173・HbA1c11.2→8.9と少し改善されました。
そこで少々疑問があるのですが、T-Choが249→133に、HDLが39→34に下がっていました。下がりすぎなのではないかと心配しております。LDLは161→75でした。
(初回4/15 2回目5/1)数値に問題があるとすれば何が原因なのでしょうか。
動脈硬化の検査も今のところ問題ないと出ました。いろんな数値が上がっては喜び、下がっても喜び・・と悩みはつきません。】
おはようございます。
ばぁば さんから、「スーパー糖質制限で血糖値・HbA1c改善、しかしコレステロールが低値に」というコメントを頂きました。
ばぁば さん。
拙著のご購入、ありがとうございます。
血糖値、HbA1cの改善、良かったですね。
血糖値:439→173mg/dl
HbA1c:11.2→8.9%
4/15→5/1で、スーパー糖質制限食開始16日目でこの数値なら劇的改善です。
素晴らしいですよ。
一方
T-Cho:249→133mg/dl
HDL:39→34mg/dl
LDL:161→75mg/dl
このデータは、摂取エネルギー不足の可能性が高いです。
血糖値とHbA1cの改善からみて、スーパー糖質制限食は実践できていると思います。
しかし、コレステロロール値が全て減少しているのは、摂取エネルギー不足のための可能性が高いです。
脂質とタンパク質はしっかり摂取して、厚生労働省のいう標準必要エネルギーを確保してください。
国立健康・栄養研究所の
「日本人の食事摂取基準」(2010年、厚生労働省)
への解説に示す推定エネルギー必要量の範囲は
18才以上の成人で身体活動レベルが普通なら
男性:2200~2650キロカロリー
女性:1700~1950キロカロリー
身体活動レベルが低い人は
男性:1850~2250キロカロリー
女性:1450~1700キロカロリー
江部康二
糖尿人の仲間入り
江部様
4月におなかの調子が悪く病院に行って血液検査をした結果、超立派な糖尿人と言われました52歳のばぁばです。
ショックも冷めやらぬうちにネットで糖尿に関するものを調べまくり、先生のブログにたどり着きました。本も数冊購入し現在勉強中です。
スーパー糖質制限食実行し、血糖値439→173・HbA1c11.2→8.9と少し改善されました。
そこで少々疑問があるのですが、T-Choが249→133に、HDLが39→34に下がっていました。下がりすぎなのではないかと心配しております。LDLは161→75でした。
(初回4/15 2回目5/1)数値に問題があるとすれば何が原因なのでしょうか。
動脈硬化の検査も今のところ問題ないと出ました。いろんな数値が上がっては喜び、下がっても喜び・・と悩みはつきません。】
おはようございます。
ばぁば さんから、「スーパー糖質制限で血糖値・HbA1c改善、しかしコレステロールが低値に」というコメントを頂きました。
ばぁば さん。
拙著のご購入、ありがとうございます。
血糖値、HbA1cの改善、良かったですね。
血糖値:439→173mg/dl
HbA1c:11.2→8.9%
4/15→5/1で、スーパー糖質制限食開始16日目でこの数値なら劇的改善です。
素晴らしいですよ。
一方
T-Cho:249→133mg/dl
HDL:39→34mg/dl
LDL:161→75mg/dl
このデータは、摂取エネルギー不足の可能性が高いです。
血糖値とHbA1cの改善からみて、スーパー糖質制限食は実践できていると思います。
しかし、コレステロロール値が全て減少しているのは、摂取エネルギー不足のための可能性が高いです。
脂質とタンパク質はしっかり摂取して、厚生労働省のいう標準必要エネルギーを確保してください。
国立健康・栄養研究所の
「日本人の食事摂取基準」(2010年、厚生労働省)
への解説に示す推定エネルギー必要量の範囲は
18才以上の成人で身体活動レベルが普通なら
男性:2200~2650キロカロリー
女性:1700~1950キロカロリー
身体活動レベルが低い人は
男性:1850~2250キロカロリー
女性:1450~1700キロカロリー
江部康二
2014年05月15日 (木)
【14/05/14 林勝
林勝です
戸田さま 記事をご活用下さり、ありがとうございます。大変励みになります。
もうあかんさま コウノメソッド、早速勉強します。
はなもとさま ご指摘、感謝申し上げます。アマゾンの糖尿病関連本リストと日本糖尿病学会学術集会(今月下旬、大阪)の演目をネットで見比べてみると実に面白いですよ。
江部先生 糖質制限に批判的な糖尿病専門医は大勢いらっしゃると思われますが、記事に対するクレームや反論が今のところまったく寄せられておりません。
湿潤治療の記事のときもそうでしたが、「糖質は必要だ」と本当に患者さんのためを思うなら、ご意見を寄せてほしいと願っております。でなければ、プロの専門医とは言えないのではないでしょうか。】
こんにちは。
2014年5月13日(火)東京新聞と中日新聞の朝刊に
「糖質制限食」で血糖安定 糖尿病に効果上げる
という記事が掲載されました。
その記事を書かれた林勝記者から、上記コメントをいただきました。
林記者、ありがとうございます。
現在まで、記事に対する反論はまったく東京新聞にも中日新聞にも寄せられていません。
糖質制限食に批判的で、糖質は必要と考えている糖尿病専門医は、大勢おられるはずです。
本当にそうお思いなら、林記者も述べておられるように、反論・意見を東京新聞や中日新聞に寄せられて然るべきと私も思います。
学問や臨床現場で、治療方針において議論があるのは健全なことと思います。
プロの専門医で反対意見をお持ちなら、是非お聞かせ願いたいと思います。
2013年10月に米国糖尿病学会が、5年ぶりに「食事療法に関する声明」を発表し、全ての糖尿病患者に適する「唯一無二の食事療法」はないと明示しました。
さらに「糖質制限食」も、地中海食・ベジタリアン食・低脂質食などと共に正式に受容されました。
この米国糖尿病学会の「食事療法に関する声明」に対しても、日本糖尿病学会は何のコメントも発表していません。
そして、相変わらず「唯一無二の食事療法」を推奨し続けています。
糖質制限食を批判し、唯一無二のカロリー制限食を推奨するなら、日本糖尿病学会は、米国糖尿病学会の声明に対してコメントする義務があります。
賛成意見にせよ、反対意見にせよ、しっかり根拠を示して、日本糖尿病学会の見解を発表するのが筋と思います。
日本糖尿病学会理事の先生方、よろしくお願い申し上げます。
江部康二
林勝です
戸田さま 記事をご活用下さり、ありがとうございます。大変励みになります。
もうあかんさま コウノメソッド、早速勉強します。
はなもとさま ご指摘、感謝申し上げます。アマゾンの糖尿病関連本リストと日本糖尿病学会学術集会(今月下旬、大阪)の演目をネットで見比べてみると実に面白いですよ。
江部先生 糖質制限に批判的な糖尿病専門医は大勢いらっしゃると思われますが、記事に対するクレームや反論が今のところまったく寄せられておりません。
湿潤治療の記事のときもそうでしたが、「糖質は必要だ」と本当に患者さんのためを思うなら、ご意見を寄せてほしいと願っております。でなければ、プロの専門医とは言えないのではないでしょうか。】
こんにちは。
2014年5月13日(火)東京新聞と中日新聞の朝刊に
「糖質制限食」で血糖安定 糖尿病に効果上げる
という記事が掲載されました。
その記事を書かれた林勝記者から、上記コメントをいただきました。
林記者、ありがとうございます。
現在まで、記事に対する反論はまったく東京新聞にも中日新聞にも寄せられていません。
糖質制限食に批判的で、糖質は必要と考えている糖尿病専門医は、大勢おられるはずです。
本当にそうお思いなら、林記者も述べておられるように、反論・意見を東京新聞や中日新聞に寄せられて然るべきと私も思います。
学問や臨床現場で、治療方針において議論があるのは健全なことと思います。
プロの専門医で反対意見をお持ちなら、是非お聞かせ願いたいと思います。
2013年10月に米国糖尿病学会が、5年ぶりに「食事療法に関する声明」を発表し、全ての糖尿病患者に適する「唯一無二の食事療法」はないと明示しました。
さらに「糖質制限食」も、地中海食・ベジタリアン食・低脂質食などと共に正式に受容されました。
この米国糖尿病学会の「食事療法に関する声明」に対しても、日本糖尿病学会は何のコメントも発表していません。
そして、相変わらず「唯一無二の食事療法」を推奨し続けています。
糖質制限食を批判し、唯一無二のカロリー制限食を推奨するなら、日本糖尿病学会は、米国糖尿病学会の声明に対してコメントする義務があります。
賛成意見にせよ、反対意見にせよ、しっかり根拠を示して、日本糖尿病学会の見解を発表するのが筋と思います。
日本糖尿病学会理事の先生方、よろしくお願い申し上げます。
江部康二
2014年05月14日 (水)
【14/05/13 グラハム
ありがとうございます!
江部先生、初めてコメントします。
いつも拝読させていただいております。
私は先月11日より糖質制限を始めました。
というのも、約二年間放置していた糖尿病にようやく立ち向かう決心がついたからです。
私の父ももう30年以上糖尿病で、歩いたりご飯の量を減らしてみたり、色々しているようですが、なかなか改善しない様を見てきました。
運動嫌いで甘い物好きな私にとって、糖尿病は取りあえずシカトしとこう…という存在でしたが、さすがに合併症を意識しだし、このままではいけない!という気持ちになりました。
糖尿病と向き合うに当たり、糖尿病患者さんのブログなんかをさ迷って、江部先生のこのブログにたどり着きました。
私には天の掲示のごとく、「これだ!」と感じました。
この糖質制限をやってみよう。これならできるかもしれない。
さっそく江部先生の御著書数冊を入手し、ますます確信しました。
糖質制限食は、最初こそご飯を食べない分他の物を食べなくちゃ、とばかりについ食べ過ぎたりしてしまいましたが、二週間くらいたってからそんなに量を食べなくても大丈夫になりました。
ケーキやお菓子が大好きだったので、白ご飯を抜くことよりつらいですが、小さなチョコレートを時々つまんだりしちゃいます。マズいでしょうか?
前置きが長くなりましたが、ひと月経って今日、検査に行きました。
するとどうでしょう!
食後二時間半の血糖値が168から115に、HbA1cが11.5から9.1に下がっていました。体重も2キロ強減りました。
担当の先生もこの調子で続けましょうと言ってくれ、薬を出されずに済みました。
糖質制限食の効果を目の当たりにし、江部先生には本当に感謝しかありません。
さらに続けていって高血圧や脂肪肝や体重も改善したいと思います。
ありがとうございます!】
こんにちは。
グラハムさんから、糖質制限食で血糖値、HbA1c改善の途中経過をコメント頂きました。
グラハムさん、拙著のご購入ありがとうございます。
血糖値とHbA1cの改善、良かったです。
二年間放置ということですが、まだ間に合う段階で、糖尿病に立ち向かう決心をされて良かったです。
数年間放置してしまうと、糖尿病の合併症が生じてしまう可能性がありますので、治療開始は早ければ早いほどいいのです。
そして、薬物に頼らず食事療法で血糖コントロールするのが、何と言っても糖尿病治療の王道です。
以前は、「空腹時血糖値」と「HbA1c」だけで、血糖コントロール良好の評価基準を決めていましたが、近年、それだけでは足りないことが明確となりました。
すなわち、『食後高血糖』と『平均血糖変動幅増大』が、糖尿病における最大の合併症リスクということが判明したのです。
そして『食後高血糖』と『平均血糖変動幅増大』を生じるのは、タンパク質、脂質、糖質のうち、糖質だけです。
そうすると、日本糖尿病学会推奨の従来の糖尿病食(高糖質・低脂質肪食)では、『食後高血糖』と『平均血糖変動幅増大』が食事の度に必ず生じることになり、合併症の予防は極めて困難となります。
これに対して、スーパー糖質制限食なら、『食後高血糖』と『平均血糖変動幅増大』はまったく生じず、合併症リスクもありません。
スーパー糖質制限食では、1回の食事の糖質量が、10~20g以下を目安とします。
これだとほとんどの糖尿人において、食後高血糖が生じず、平均血糖変動幅の増大も防げるからです。
1回の間食時の糖質量は5g以下が目安で、間食は1日2回くらいまでとします。
この範囲内であれば、小さなチョコレートを時々食べてもOKです。 (^^)
この調子で、美味しく楽しく末長く糖質制限食をお続け下さいね。
なお、間食の糖質制限OKのスイーツは、ネットでもいろいろ販売されてますね。
糖質含有量をしっかり確認して購入しましょう。
江部康二
ありがとうございます!
江部先生、初めてコメントします。
いつも拝読させていただいております。
私は先月11日より糖質制限を始めました。
というのも、約二年間放置していた糖尿病にようやく立ち向かう決心がついたからです。
私の父ももう30年以上糖尿病で、歩いたりご飯の量を減らしてみたり、色々しているようですが、なかなか改善しない様を見てきました。
運動嫌いで甘い物好きな私にとって、糖尿病は取りあえずシカトしとこう…という存在でしたが、さすがに合併症を意識しだし、このままではいけない!という気持ちになりました。
糖尿病と向き合うに当たり、糖尿病患者さんのブログなんかをさ迷って、江部先生のこのブログにたどり着きました。
私には天の掲示のごとく、「これだ!」と感じました。
この糖質制限をやってみよう。これならできるかもしれない。
さっそく江部先生の御著書数冊を入手し、ますます確信しました。
糖質制限食は、最初こそご飯を食べない分他の物を食べなくちゃ、とばかりについ食べ過ぎたりしてしまいましたが、二週間くらいたってからそんなに量を食べなくても大丈夫になりました。
ケーキやお菓子が大好きだったので、白ご飯を抜くことよりつらいですが、小さなチョコレートを時々つまんだりしちゃいます。マズいでしょうか?
前置きが長くなりましたが、ひと月経って今日、検査に行きました。
するとどうでしょう!
食後二時間半の血糖値が168から115に、HbA1cが11.5から9.1に下がっていました。体重も2キロ強減りました。
担当の先生もこの調子で続けましょうと言ってくれ、薬を出されずに済みました。
糖質制限食の効果を目の当たりにし、江部先生には本当に感謝しかありません。
さらに続けていって高血圧や脂肪肝や体重も改善したいと思います。
ありがとうございます!】
こんにちは。
グラハムさんから、糖質制限食で血糖値、HbA1c改善の途中経過をコメント頂きました。
グラハムさん、拙著のご購入ありがとうございます。
血糖値とHbA1cの改善、良かったです。
二年間放置ということですが、まだ間に合う段階で、糖尿病に立ち向かう決心をされて良かったです。
数年間放置してしまうと、糖尿病の合併症が生じてしまう可能性がありますので、治療開始は早ければ早いほどいいのです。
そして、薬物に頼らず食事療法で血糖コントロールするのが、何と言っても糖尿病治療の王道です。
以前は、「空腹時血糖値」と「HbA1c」だけで、血糖コントロール良好の評価基準を決めていましたが、近年、それだけでは足りないことが明確となりました。
すなわち、『食後高血糖』と『平均血糖変動幅増大』が、糖尿病における最大の合併症リスクということが判明したのです。
そして『食後高血糖』と『平均血糖変動幅増大』を生じるのは、タンパク質、脂質、糖質のうち、糖質だけです。
そうすると、日本糖尿病学会推奨の従来の糖尿病食(高糖質・低脂質肪食)では、『食後高血糖』と『平均血糖変動幅増大』が食事の度に必ず生じることになり、合併症の予防は極めて困難となります。
これに対して、スーパー糖質制限食なら、『食後高血糖』と『平均血糖変動幅増大』はまったく生じず、合併症リスクもありません。
スーパー糖質制限食では、1回の食事の糖質量が、10~20g以下を目安とします。
これだとほとんどの糖尿人において、食後高血糖が生じず、平均血糖変動幅の増大も防げるからです。
1回の間食時の糖質量は5g以下が目安で、間食は1日2回くらいまでとします。
この範囲内であれば、小さなチョコレートを時々食べてもOKです。 (^^)
この調子で、美味しく楽しく末長く糖質制限食をお続け下さいね。
なお、間食の糖質制限OKのスイーツは、ネットでもいろいろ販売されてますね。
糖質含有量をしっかり確認して購入しましょう。
江部康二
2014年05月13日 (火)
おはようございます。
2014年5月13日(火)東京新聞と中日新聞の朝刊に
「糖質制限食」で血糖安定 糖尿病に効果上げる
という記事が掲載されました。
長谷川さんから情報をいただきました。ありがとうございます。
きよすクリニックの伊藤喜亮(よしあき)先生のコメントも載っています。
取材に来られた、林勝記者はニュートラルで冷静な視点でインタビューされて、好感を持ちました。
今回の記事も、糖質制限食の効果や利点をしっかり取り上げていただきました。実際の症例のデータやグラフを見れば、『糖質制限食』VS『従来の糖尿病食』での効果の差は一目瞭然です。
一方で長期的な安全性のことや日本糖尿病学会の見解も載せてあり、ニュートラルな立場での記事であることがわかります。
確かに長期的な安全性に関しては、『糖質制限食』にも『従来の糖尿病食』にも、共に根拠となる論文はありません。
しかしながら、糖質制限食実践により、現在まで知られている動脈硬化のリスク要因(血液検査など)が全て改善します。
そして糖尿病における最大の合併症リスクである「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」を改善させる食事療法は糖質制限食だけであり、従来の糖尿病食では決して改善しません。
これらを考慮すれば、長期的な安全性においても糖質制限食の優位は明白です。
江部康二
☆☆☆
以下東京新聞の記事から一部転載
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/health/CK2014051302000139.html
【健康】
「糖質制限食」で血糖安定 糖尿病に効果上げる
2014年5月13日

カロリー制限が主だった糖尿病患者の食事療法が変わりつつある。主食のご飯やパン、麺類などの糖質を大幅に減らし、肉や魚、卵、乳製品などタンパク質と脂質が中心の食事が効果を上げている。食事で上昇する血糖を薬で抑え込まず、最初から血糖を上げない食事に変える。ただし、薬物治療中の患者は糖質制限に詳しい医師の指導を受ける必要がある。 (林勝)
体重八二キロから五〇キロ台、空腹時の血糖値(ミリグラム/デシリットル)は二〇〇超から八〇、糖尿病の指標となるグリコヘモグロビン値は一〇・〇から五・一。二〇一二年秋から、糖質制限をしている愛知県内の女性(46)の一年間の変化だ。
女性はパンが好物で、カップ麺や清涼飲料水も多くとるなど、糖質の多い食生活を長年続けてきた。糖尿病の食事療法に力を入れる「きよすクリニック」(愛知県清須市)の伊藤喜亮(よしあき)院長の指導で、糖質摂取量を大幅に減らして改善させた。
続けられたのは、食事制限に伴うストレスを強く感じなかったからという。食事の全体量は減らさず、糖質だけ減らせばいいので、から揚げなど脂肪の多いものも、さほど気にせず食べた。好きなパンは糖質が少ないふすまパンに変えた。「オリーブ油やバターなどの脂質で、エネルギーを十分補うことがポイント」と伊藤さん。
国内の患者と予備軍が二千万人超とされる糖尿病。血糖を下げるホルモンが出なかったり、働きにくくなったりして高血糖になり、血管障害から命にかかわる合併症を引き起こす。カロリー制限や運動、薬物治療が主流だが、患者も医療費も増え続けている。
従来の治療に対し「血糖が上がる食事を前提にしていることが、理にかなっていない」と十五年以上、糖尿病患者に糖質制限食を指導してきた高雄病院(京都市)理事長の江部康二(えべこうじ)医師は訴える。
日本糖尿病学会の診療ガイドライン(一三年版)は、推奨するエネルギー量のうち糖質を50%以上、60%を超えない範囲と、糖尿病食の栄養バランスを指示。だが、高雄病院は糖質をエネルギー量の約12%に抑える食事療法を実施。患者に両方の食事を試してもらい、血糖値の変化を測ると、糖質制限食の方が安定した値を示した。
これまで二千人以上を指導し、食の好みで糖質を断てなかった二割を除く患者らが、高血糖状態を改善させ、薬を減らせるなど効果があった。ただ、食が細い人はエネルギー不足や、筋力低下などになりやすい。これを防ぐため、適度に脂質を取る必要があると、江部さんは指摘する。
◇
糖質制限食は血糖を上昇させないため、血糖を抑える薬物治療と併せると、低血糖発作を起こしやすいので危険だ。このため、糖質制限に詳しい医師に相談することが必要。江部さんが代表を務める日本糖質制限医療推進協会が、ホームページで全国の提携医療機関を紹介している。肝硬変や脂質代謝異常など、特定の病気の患者は適さない。腎臓機能が低下している人も、医師の判断による。
◆学会は慎重姿勢
日本糖尿病学会は昨年、糖質制限食への関心の高まりを受けて提言を発表。長期臨床データの不足を理由に「現時点では勧められない」としながら、患者の嗜好(しこう)性や病態に応じて、炭水化物(主に糖質)の摂取比率が全エネルギーの50%を下回ることもありうると可能性を容認した。
江部さんも長期安全性が確保されていないことを認める。ただ「糖質制限食は合併症リスクを高める食後高血糖と、血糖の大きな変動を引き起こさない唯一の食事療法」と強調。「選択肢の一つとして、患者に説明されるべきだ」と訴える。
欧米の糖尿病学会では、二〇〇〇年代後半から糖質制限食を肯定する動きが広がっている。
2014年5月13日(火)東京新聞と中日新聞の朝刊に
「糖質制限食」で血糖安定 糖尿病に効果上げる
という記事が掲載されました。
長谷川さんから情報をいただきました。ありがとうございます。
きよすクリニックの伊藤喜亮(よしあき)先生のコメントも載っています。
取材に来られた、林勝記者はニュートラルで冷静な視点でインタビューされて、好感を持ちました。
今回の記事も、糖質制限食の効果や利点をしっかり取り上げていただきました。実際の症例のデータやグラフを見れば、『糖質制限食』VS『従来の糖尿病食』での効果の差は一目瞭然です。
一方で長期的な安全性のことや日本糖尿病学会の見解も載せてあり、ニュートラルな立場での記事であることがわかります。
確かに長期的な安全性に関しては、『糖質制限食』にも『従来の糖尿病食』にも、共に根拠となる論文はありません。
しかしながら、糖質制限食実践により、現在まで知られている動脈硬化のリスク要因(血液検査など)が全て改善します。
そして糖尿病における最大の合併症リスクである「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」を改善させる食事療法は糖質制限食だけであり、従来の糖尿病食では決して改善しません。
これらを考慮すれば、長期的な安全性においても糖質制限食の優位は明白です。
江部康二
☆☆☆
以下東京新聞の記事から一部転載
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/health/CK2014051302000139.html
【健康】
「糖質制限食」で血糖安定 糖尿病に効果上げる
2014年5月13日

カロリー制限が主だった糖尿病患者の食事療法が変わりつつある。主食のご飯やパン、麺類などの糖質を大幅に減らし、肉や魚、卵、乳製品などタンパク質と脂質が中心の食事が効果を上げている。食事で上昇する血糖を薬で抑え込まず、最初から血糖を上げない食事に変える。ただし、薬物治療中の患者は糖質制限に詳しい医師の指導を受ける必要がある。 (林勝)
体重八二キロから五〇キロ台、空腹時の血糖値(ミリグラム/デシリットル)は二〇〇超から八〇、糖尿病の指標となるグリコヘモグロビン値は一〇・〇から五・一。二〇一二年秋から、糖質制限をしている愛知県内の女性(46)の一年間の変化だ。
女性はパンが好物で、カップ麺や清涼飲料水も多くとるなど、糖質の多い食生活を長年続けてきた。糖尿病の食事療法に力を入れる「きよすクリニック」(愛知県清須市)の伊藤喜亮(よしあき)院長の指導で、糖質摂取量を大幅に減らして改善させた。
続けられたのは、食事制限に伴うストレスを強く感じなかったからという。食事の全体量は減らさず、糖質だけ減らせばいいので、から揚げなど脂肪の多いものも、さほど気にせず食べた。好きなパンは糖質が少ないふすまパンに変えた。「オリーブ油やバターなどの脂質で、エネルギーを十分補うことがポイント」と伊藤さん。
国内の患者と予備軍が二千万人超とされる糖尿病。血糖を下げるホルモンが出なかったり、働きにくくなったりして高血糖になり、血管障害から命にかかわる合併症を引き起こす。カロリー制限や運動、薬物治療が主流だが、患者も医療費も増え続けている。
従来の治療に対し「血糖が上がる食事を前提にしていることが、理にかなっていない」と十五年以上、糖尿病患者に糖質制限食を指導してきた高雄病院(京都市)理事長の江部康二(えべこうじ)医師は訴える。
日本糖尿病学会の診療ガイドライン(一三年版)は、推奨するエネルギー量のうち糖質を50%以上、60%を超えない範囲と、糖尿病食の栄養バランスを指示。だが、高雄病院は糖質をエネルギー量の約12%に抑える食事療法を実施。患者に両方の食事を試してもらい、血糖値の変化を測ると、糖質制限食の方が安定した値を示した。
これまで二千人以上を指導し、食の好みで糖質を断てなかった二割を除く患者らが、高血糖状態を改善させ、薬を減らせるなど効果があった。ただ、食が細い人はエネルギー不足や、筋力低下などになりやすい。これを防ぐため、適度に脂質を取る必要があると、江部さんは指摘する。
◇
糖質制限食は血糖を上昇させないため、血糖を抑える薬物治療と併せると、低血糖発作を起こしやすいので危険だ。このため、糖質制限に詳しい医師に相談することが必要。江部さんが代表を務める日本糖質制限医療推進協会が、ホームページで全国の提携医療機関を紹介している。肝硬変や脂質代謝異常など、特定の病気の患者は適さない。腎臓機能が低下している人も、医師の判断による。
◆学会は慎重姿勢
日本糖尿病学会は昨年、糖質制限食への関心の高まりを受けて提言を発表。長期臨床データの不足を理由に「現時点では勧められない」としながら、患者の嗜好(しこう)性や病態に応じて、炭水化物(主に糖質)の摂取比率が全エネルギーの50%を下回ることもありうると可能性を容認した。
江部さんも長期安全性が確保されていないことを認める。ただ「糖質制限食は合併症リスクを高める食後高血糖と、血糖の大きな変動を引き起こさない唯一の食事療法」と強調。「選択肢の一つとして、患者に説明されるべきだ」と訴える。
欧米の糖尿病学会では、二〇〇〇年代後半から糖質制限食を肯定する動きが広がっている。
2014年05月12日 (月)
こんにちは。
一般社団法人日本糖質制限医療推進協会主催の『一般向け岡山講演会』
のご報告です。
◆日時: 2014年5月11日(日) 14:00~16:30頃
◆会場: 岡山市民会館 4階大会議室
◆講演① 『糖質制限のすすめ』 講師:瀬尾 一史 瀬尾クリニック院長
糖尿病は予備軍まで含めると約2100万人の患者がいるといわれています。
糖尿病の成因は食後の高血糖といわれていますが、食後の高血糖を生じない糖質制限食は糖尿病に有効な食事療法であると考えられます。
当クリニックでは平成24年より糖尿病患者に糖質制限食を勧めています。
基本的には夕食のみ主食を抜くプチ糖質制限食から始めています。
治療効果は糖尿病の無治療群では比較的良好で、薬物治療群では、薬の減量ないし中止に至った症例が半数以上認められました。
今回、これらの症例について、さらに家庭や外食での糖質制限食のコツなどについてお話しします。
(講師略歴)
昭和29年、11月17日福山市生まれ。
昭和56年、奈良県立医科大学卒業。
同年4月、広島大学医学部泌尿器科学教室入局。
国立福山病院、広島大学付属病院、国立呉病院に勤務。
平成4年、学位取得
平成5年11月、福山市今津町に瀬尾クリニックを開業。
平成18年4月より、日本臨床泌尿器科医会 理事に就任。
平成18年2月より、傷、火傷に対して湿潤療法を開始。
平成24年2月より、糖尿病に対して糖質制限食を開始。
◆講演② 糖質制限食の有効性・可能性 ―食のパラダイムシフト―
~糖尿病・メタボ・生活習慣病・がん・・・~
講師:江部康二 (一財)高雄病院理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会理事長
糖質制限食は、米飯・めん類・パンや芋類などの糖質が多い食品を食べないで、肉や魚貝や豆腐や葉野菜などをしっかり摂取する食事療法です。
糖質制限食は、実は人類本来の食事、いわば人類の健康食ですので、糖尿病をはじめとして様々な生活習慣病が改善します。
今回は、糖尿病を中心に糖質制限食の有効性・安全性を分かりやすく説明します。
また、生活習慣病やがんへの有効性・可能性にも言及します。
当日は天気も良く、90名近い方にご参加いただき、嬉しい限りでした。
本ブログを見て、ご参加いただいた方が多く、ありがたいことでした。
岡山は勿論、広島、鳥取、高松、高知、兵庫などからも参加者があり、大盛況でした。
瀬尾 一史 先生はご自身もスーパー糖質制限食を実践しておられ4kgの減量に成功されました。
アルコールは普通に呑みながら脂肪肝も改善です。
体重:4kg↓
腹囲:5cm↓
空腹感、食後の睡魔の消失
HbA1cの低下:5.7→5.2% ↓
中性脂肪の低下:190→70mg/dl↓
γ-GTPの低下:300→60IU/L ↓
福山市の瀬尾クリニック(☆)にて、50名の2型糖尿病患者さんを診察しておられます。
ほとんどの糖尿人が良くなっていきますが、途中で来院しなくなったり、又来たりという方が課題とのことです。
瀬尾先生ご自身の食生活(愛妻弁当を含めて)も具体的に写真で示していただきました。
今回の講演会には、12名ていどの医師・歯科医師が参加されました。
講演後の質問も、ほとんどが医師・歯科医師の方からですでに糖質制限食を実践しておられました。
岡山市、津山市、倉敷市在住の方々が8名です。
現在、それぞれの医師にブログ公開OKか否かを確認していますが、
少なくとも岡山県が、糖質制限OK医師の空白地帯でない
ことは確かなので、安心しています。
ブログ公開OKの医師に関しては、確認後紹介したいと思います。
江部康二
(☆)
瀬尾クリニック
【住所】広島県福山市今津町 5-2-2
【電話】084-934-2233
一般社団法人日本糖質制限医療推進協会主催の『一般向け岡山講演会』
のご報告です。
◆日時: 2014年5月11日(日) 14:00~16:30頃
◆会場: 岡山市民会館 4階大会議室
◆講演① 『糖質制限のすすめ』 講師:瀬尾 一史 瀬尾クリニック院長
糖尿病は予備軍まで含めると約2100万人の患者がいるといわれています。
糖尿病の成因は食後の高血糖といわれていますが、食後の高血糖を生じない糖質制限食は糖尿病に有効な食事療法であると考えられます。
当クリニックでは平成24年より糖尿病患者に糖質制限食を勧めています。
基本的には夕食のみ主食を抜くプチ糖質制限食から始めています。
治療効果は糖尿病の無治療群では比較的良好で、薬物治療群では、薬の減量ないし中止に至った症例が半数以上認められました。
今回、これらの症例について、さらに家庭や外食での糖質制限食のコツなどについてお話しします。
(講師略歴)
昭和29年、11月17日福山市生まれ。
昭和56年、奈良県立医科大学卒業。
同年4月、広島大学医学部泌尿器科学教室入局。
国立福山病院、広島大学付属病院、国立呉病院に勤務。
平成4年、学位取得
平成5年11月、福山市今津町に瀬尾クリニックを開業。
平成18年4月より、日本臨床泌尿器科医会 理事に就任。
平成18年2月より、傷、火傷に対して湿潤療法を開始。
平成24年2月より、糖尿病に対して糖質制限食を開始。
◆講演② 糖質制限食の有効性・可能性 ―食のパラダイムシフト―
~糖尿病・メタボ・生活習慣病・がん・・・~
講師:江部康二 (一財)高雄病院理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会理事長
糖質制限食は、米飯・めん類・パンや芋類などの糖質が多い食品を食べないで、肉や魚貝や豆腐や葉野菜などをしっかり摂取する食事療法です。
糖質制限食は、実は人類本来の食事、いわば人類の健康食ですので、糖尿病をはじめとして様々な生活習慣病が改善します。
今回は、糖尿病を中心に糖質制限食の有効性・安全性を分かりやすく説明します。
また、生活習慣病やがんへの有効性・可能性にも言及します。
当日は天気も良く、90名近い方にご参加いただき、嬉しい限りでした。
本ブログを見て、ご参加いただいた方が多く、ありがたいことでした。
岡山は勿論、広島、鳥取、高松、高知、兵庫などからも参加者があり、大盛況でした。
瀬尾 一史 先生はご自身もスーパー糖質制限食を実践しておられ4kgの減量に成功されました。
アルコールは普通に呑みながら脂肪肝も改善です。
体重:4kg↓
腹囲:5cm↓
空腹感、食後の睡魔の消失
HbA1cの低下:5.7→5.2% ↓
中性脂肪の低下:190→70mg/dl↓
γ-GTPの低下:300→60IU/L ↓
福山市の瀬尾クリニック(☆)にて、50名の2型糖尿病患者さんを診察しておられます。
ほとんどの糖尿人が良くなっていきますが、途中で来院しなくなったり、又来たりという方が課題とのことです。
瀬尾先生ご自身の食生活(愛妻弁当を含めて)も具体的に写真で示していただきました。
今回の講演会には、12名ていどの医師・歯科医師が参加されました。
講演後の質問も、ほとんどが医師・歯科医師の方からですでに糖質制限食を実践しておられました。
岡山市、津山市、倉敷市在住の方々が8名です。
現在、それぞれの医師にブログ公開OKか否かを確認していますが、
少なくとも岡山県が、糖質制限OK医師の空白地帯でない
ことは確かなので、安心しています。
ブログ公開OKの医師に関しては、確認後紹介したいと思います。
江部康二
(☆)
瀬尾クリニック
【住所】広島県福山市今津町 5-2-2
【電話】084-934-2233
2014年05月11日 (日)
第5回 日本プライマリ・ケア連合学会学術大会が、2014年5月10日(土)~11日(日)岡山コンベンションセンターで開催されました。
その中でシンポジウム10に私も参加しました。
シンポジウム
10.新しい常識を人々に~糖質制限、褥瘡、脂質の考え方~
(合同委員会企画:メタボ・ロコモ対策ワーキンググループ、広報委員会)
座 長:
板東 浩 (きたじま田岡病院/徳島大学)
江部 康二 (高雄病院)
企画責任者:板東 浩 (きたじま田岡病院/徳島大学)
演 者:
「脂質異常症は医原病」
大櫛 陽一 (大櫛医学情報研究所/東海大学)
「一枚のラップが床ずれの常識を変えた」
鳥谷部 俊一 (大崎市民病院 鹿島台分院)
「外傷の湿潤治療」
夏井 睦 (練馬光が丘病院 傷の治療センター)
「糖質制限の基礎と臨床」
江部 康二 (高雄病院/社団法人日本糖質制限医療推進協会)
「PCの哲学で糖質制限+カロリー制限をうまく適用」
板東 浩 (きたじま田岡病院/徳島大学)
120名が定員の部屋に、開始30分以上前から続々と人がつめかけ、あっという間に満員で、定刻10分前からシンポジウムを開始しました。
結局120名は椅子席でしたが、30名が立ち見となり、30名は床に座って貰っての開催で大盛況でした。
プライマリケア学会は、製薬メーカーと一切関係のないクリーンな学会で、そういう学会は今や珍しいといえ、貴重な信頼度の高い学会です。
そして若手医師が多くてとても勢いがある学会で、会員はどんどん増えています。
そのような学会で、大勢の方に参加して頂いて『新しい常識を人々に』というシンポジウムが開催できたことをとても嬉しく思います。
大櫛 陽一 先生は、2013年、米国心臓病学会(ACC)/米国心臓協会(AHA)が、新しいガイドラインを発表して、LDLコレステロール値190mg/dL以上の場合に、スタチン投与を考慮と一本化し、日本のような140mg/dLという設定はなくなったと強調されました。
鳥谷部 俊一 先生は、褥瘡のラップ療法の話をされました。
研修医のときに発想は既に思いついていて、その後湿潤な環境におくと褥瘡が治りやすいことを再確認して、被覆材として一番安いのがラップであったので採用したとのことでした。
夏井 睦 先生は、豊富な症例の写真を提示されて、外傷の湿潤療法の理論と実践をスピーディーに展開されました。
軽妙なユーモアにあふれるお話でした。
私は、糖質制限食の、基礎理論と症例を提示してお話しました。
胎児絨毛間液のβヒドロキシ酪酸は1730μmol/dLであり、現行の基準値76μmol/dL以下よりはるかに高値であることを示し、ケトン体(βヒドロキシ酪酸)はインスリン作用が確保されている限り、極めて安全なエネルギー源であることを強調しました。
板東 浩 先生は、プライマリケア医の立場から、糖質制限食とカロリー制限食を両立させて、一人一人の状況に応じた食事療法を考えていくことを提唱されました。
総合討論では、私が司会をつとめ、まず大櫛陽一先生が、ご自身の白内障(軽症)が、3年間の糖質制限食で改善・消失した経験を話され、眼科医がびっくりしたとのことでした。
その後、時間いっぱい活発な議論がかわされ、有意義なシンポジウムを終了し、懇親会へと向かいました。
板東先生、大櫛先生、鳥谷部先生、夏井先生、
有意義な会をご一緒いただき、ありがとうございました。
江部康二
その中でシンポジウム10に私も参加しました。
シンポジウム
10.新しい常識を人々に~糖質制限、褥瘡、脂質の考え方~
(合同委員会企画:メタボ・ロコモ対策ワーキンググループ、広報委員会)
座 長:
板東 浩 (きたじま田岡病院/徳島大学)
江部 康二 (高雄病院)
企画責任者:板東 浩 (きたじま田岡病院/徳島大学)
演 者:
「脂質異常症は医原病」
大櫛 陽一 (大櫛医学情報研究所/東海大学)
「一枚のラップが床ずれの常識を変えた」
鳥谷部 俊一 (大崎市民病院 鹿島台分院)
「外傷の湿潤治療」
夏井 睦 (練馬光が丘病院 傷の治療センター)
「糖質制限の基礎と臨床」
江部 康二 (高雄病院/社団法人日本糖質制限医療推進協会)
「PCの哲学で糖質制限+カロリー制限をうまく適用」
板東 浩 (きたじま田岡病院/徳島大学)
120名が定員の部屋に、開始30分以上前から続々と人がつめかけ、あっという間に満員で、定刻10分前からシンポジウムを開始しました。
結局120名は椅子席でしたが、30名が立ち見となり、30名は床に座って貰っての開催で大盛況でした。
プライマリケア学会は、製薬メーカーと一切関係のないクリーンな学会で、そういう学会は今や珍しいといえ、貴重な信頼度の高い学会です。
そして若手医師が多くてとても勢いがある学会で、会員はどんどん増えています。
そのような学会で、大勢の方に参加して頂いて『新しい常識を人々に』というシンポジウムが開催できたことをとても嬉しく思います。
大櫛 陽一 先生は、2013年、米国心臓病学会(ACC)/米国心臓協会(AHA)が、新しいガイドラインを発表して、LDLコレステロール値190mg/dL以上の場合に、スタチン投与を考慮と一本化し、日本のような140mg/dLという設定はなくなったと強調されました。
鳥谷部 俊一 先生は、褥瘡のラップ療法の話をされました。
研修医のときに発想は既に思いついていて、その後湿潤な環境におくと褥瘡が治りやすいことを再確認して、被覆材として一番安いのがラップであったので採用したとのことでした。
夏井 睦 先生は、豊富な症例の写真を提示されて、外傷の湿潤療法の理論と実践をスピーディーに展開されました。
軽妙なユーモアにあふれるお話でした。
私は、糖質制限食の、基礎理論と症例を提示してお話しました。
胎児絨毛間液のβヒドロキシ酪酸は1730μmol/dLであり、現行の基準値76μmol/dL以下よりはるかに高値であることを示し、ケトン体(βヒドロキシ酪酸)はインスリン作用が確保されている限り、極めて安全なエネルギー源であることを強調しました。
板東 浩 先生は、プライマリケア医の立場から、糖質制限食とカロリー制限食を両立させて、一人一人の状況に応じた食事療法を考えていくことを提唱されました。
総合討論では、私が司会をつとめ、まず大櫛陽一先生が、ご自身の白内障(軽症)が、3年間の糖質制限食で改善・消失した経験を話され、眼科医がびっくりしたとのことでした。
その後、時間いっぱい活発な議論がかわされ、有意義なシンポジウムを終了し、懇親会へと向かいました。
板東先生、大櫛先生、鳥谷部先生、夏井先生、
有意義な会をご一緒いただき、ありがとうございました。
江部康二
2014年05月10日 (土)
おはようございます。
「糖質制限食による体重減少効果」及び「糖質制限食で体重が減りすぎるケース」
について考えてみます。
<スーパー糖質制限食の4つの利点>
◆<糖質制限食による体重減少効果>
①インスリン(肥満ホルモン)が基礎分泌以外ほとんど出ない。
②食事中も含めて常に体脂肪が燃えている。
③食事中も含めて常に肝臓で糖新生が行われ、それにかなりのエネルギーを消費する。
④高タンパク食により、食事誘発熱産生(DIT)が亢進する。
高蛋白食は、摂食時の食事誘発熱産生(DIT)が通常食に比べて増加します。
DITによる消費エネルギーは、実質吸収エネルギーの、糖質では6%、脂質では4%、タンパク質で30%です。
食事誘発熱産生(DIT)を、もっと簡単に説明すると、食事において
100キロカロリーの糖質だけを摂取した時は、6キロカロリーが、
100キロカロリーの脂質だけを摂取した時は、4キロカロリーが、
100キロカロリーのタンパク質だけを摂取した時は、30キロカロリーが
熱に変わり、消費エネルギーとしてカウントされるということです。
◆<糖質を摂取した場合>
A)血糖値が上昇してインスリン(肥満ホルモン)がたっぷり分泌される。
B)体脂肪は燃えなくなり、血糖値が中性脂肪に変わり蓄積される。
C)肝臓の糖新生はストップする。
D)高タンパク食よる亢進した食事誘発熱産生(DIT)はなくなる。
①②③④とA)B)C)D)両者を比べてみれば、高糖質食より糖質制限食の方が、体重減少効果が高いことが一目でわかると思います。
たとえ低脂質食でカロリー制限していても、糖質を摂れば体重減少への利点がすべて消えてしまうわけです。
これは食べ物に含まれるカロリーとは無関係の生理学的な特質であり、あくまで糖質を摂るかどうかがカギとなります。
このように同一摂取エネルギーであれば、糖質制限食のほうが脂質制限食より体重減少しやすいことは理論的に明白です。
<摂取エネルギーと消費エネルギー、基礎代謝量、身体活動量、食事誘発熱産生>
1)摂取エネルギー > 消費エネルギー → 体重増加
摂取エネルギー = 消費エネルギー → 体重不変
摂取エネルギー < 消費エネルギー → 体重減少
2)通常のカロリー制限食(低脂質・高糖質食)なら
「消費エネルギー=基礎代謝量+身体活動量(運動や家事)+食事誘発熱産生(DIT)」
3)糖質制限食なら、高糖質食の時には無い
「肝臓の糖新生でエネルギーを消費」→基礎代謝の増加
「高蛋白食摂取」→食事誘発熱産生(DIT)の増加 」
が認められる。
1)は生理学的事実です。
2)3)を比較すると糖質制限食の方が高糖質食に比し、体重が減少しやすいことは、理論的に明白です。
<推定エネルギー必要量と糖質制限食>
減量を目指す時に、糖尿病学会推奨のように
男性:1400~1800kcal/日
女性:1200~1600kcal/日
といった、厳しいカロリー制限は必要ありません。
一方、国立健康・栄養研究所の「厚生労働省・日本人の食事摂取基準」(2010年)への解説によれば 推定エネルギー必要量は18才以上の成人で、年齢により差がありますが、
身体活動レベルが低い人は
男性:1850~2250キロカロリー/日
女性:1450~1700キロカロリー/日
身体活動レベルが普通なら
男性:20200~2650キロカロリー/日
女性:1700~1950キロカロリー/日
身体活動レベルが高い場合
男性:2500~3050キロカロリー/日
女性:2000~2300キロカロリー/日
です。
スーパー糖質制限食実践と「日本人の食事摂取基準」の標準的な摂取エネルギーなら、適正体重になると思います。
<糖質制限食で体重が減りすぎる場合>
摂取エネルギー < 消費エネルギー → 体重減少
スーパー糖質制限食で体重が減りすぎる場合は、消費エネルギーが摂取エネルギーを上回っていることは明白です。
適正体重に関してBMI:20~25 の間で、その個人の一番体調がいい体重が、一つの目安です。
若い頃、よく動いていた頃、20才頃の体重も、一つの目安です。
「厚生労働省・日本人の食事摂取基準」における推定エネルギー必要量を確保していればスーパー糖質制限食で、適正体重になればそれ以上減ることはありません。
痩せ過ぎの人が「スーパー糖質制限食+推定エネルギー必要量」の実践により適正体重に増えることも経験します。
例えばBMIが17の人が、18になり20になりといったパターンです。
痩せすぎる場合の摂取エネルギー確保には、脂質の摂取が一番有効です。
オリーブオイルをしっかり料理に使用したり、ギリシャやスペインやイタリアのように直接飲んだり、糖質制限パンにつけて食べたりもいいです。
エゴマ油や紫蘇油のαリノレン酸を、生でそのまま野菜サラダにかけて食べるのもいいです。
脂質エネルギー確保には、ナッツ類ではクルミ・松の実・カボチャの種が糖質が少なくていいですし、果物のなかでは、アボカドやオリーブがいいです。
乳製品の中では、チーズが脂質が多く糖質が少なく、良質のエネルギー源です。
他のナッツ類も、20~30粒くらいなら、糖質制限食OKの間食で、糖質は5g以下です。
他の果物類も、1/3個くらいなら、糖質制限食OKの間食であり、果糖は血糖値をあまり上げずに直接中性脂肪に変わるので、体重増加には有効です。
果物糖質含有量
果物100gあたりの糖質含有量
アボカド 0.9g 1個
いちご 7.06 7粒
パパイア 7.28 1/2個
レモン 7.6 1個
夏みかん 8.8 1/4個
もも 8.9 2/3個
びわ 9.0 2.5個
グレープフルーツ 9.0 1/4個
すいか 9.2 1/58個
メロン 9.9 1/8個
はっさく 10.0 1/3個
なし 10.4
いよかん 10.6
うんしゅうみかん 11.0
ネーブル 10.8
パインアップル 11.9
いちじく 12.4
西洋なし 12.5
りんご 13.1
キウイフルーツ 13.2
さくらんぼ 14
柿 14.3
ぶどう 15.1
バナナ 21.4
上記は、果物100gあたりの糖質含有量です。
果物の糖質は果糖、ショ糖、ブドウ糖、糖アルコールなどです。
例えば、リンゴ1個(約240g)のカロリーは約150kcalであり、ビタミンC含量は8mg、遊離糖含有量は35.6g(果糖:18g、ブドウ糖:6g、ショ糖:9.6g、ソルビトール:2g)、水溶性食物繊維含量は0.95g、不溶性食物繊維含量は2.95gくらいだそうです。
勿論、果物の種類により果糖・ブドウ糖・ショ糖・糖アルコールの比率は異なると思いますが、このうち果糖は10%くらいしかブドウ糖に変わらないので、ほとんど血糖値を上昇させません。(2008年05月20日 ブログご参照ください)
従いまして、かなりおおざっぱですが、果物の糖質のうち約半分くらいが果糖と仮定すれば、穀物の糖質に比べれば血糖値は少し上昇させにくいといえます。
穀物のデンプン1gが、2型糖尿人の血糖値を3mg上昇させるとすれば、果物の糖質1gは、約半分の1.5mg上昇させると考えられます。
そうすると、果物の糖質10gくらいまでなら、糖質制限間食としてOKと言えます。
「糖質制限食による体重減少効果」及び「糖質制限食で体重が減りすぎるケース」
について考えてみます。
<スーパー糖質制限食の4つの利点>
◆<糖質制限食による体重減少効果>
①インスリン(肥満ホルモン)が基礎分泌以外ほとんど出ない。
②食事中も含めて常に体脂肪が燃えている。
③食事中も含めて常に肝臓で糖新生が行われ、それにかなりのエネルギーを消費する。
④高タンパク食により、食事誘発熱産生(DIT)が亢進する。
高蛋白食は、摂食時の食事誘発熱産生(DIT)が通常食に比べて増加します。
DITによる消費エネルギーは、実質吸収エネルギーの、糖質では6%、脂質では4%、タンパク質で30%です。
食事誘発熱産生(DIT)を、もっと簡単に説明すると、食事において
100キロカロリーの糖質だけを摂取した時は、6キロカロリーが、
100キロカロリーの脂質だけを摂取した時は、4キロカロリーが、
100キロカロリーのタンパク質だけを摂取した時は、30キロカロリーが
熱に変わり、消費エネルギーとしてカウントされるということです。
◆<糖質を摂取した場合>
A)血糖値が上昇してインスリン(肥満ホルモン)がたっぷり分泌される。
B)体脂肪は燃えなくなり、血糖値が中性脂肪に変わり蓄積される。
C)肝臓の糖新生はストップする。
D)高タンパク食よる亢進した食事誘発熱産生(DIT)はなくなる。
①②③④とA)B)C)D)両者を比べてみれば、高糖質食より糖質制限食の方が、体重減少効果が高いことが一目でわかると思います。
たとえ低脂質食でカロリー制限していても、糖質を摂れば体重減少への利点がすべて消えてしまうわけです。
これは食べ物に含まれるカロリーとは無関係の生理学的な特質であり、あくまで糖質を摂るかどうかがカギとなります。
このように同一摂取エネルギーであれば、糖質制限食のほうが脂質制限食より体重減少しやすいことは理論的に明白です。
<摂取エネルギーと消費エネルギー、基礎代謝量、身体活動量、食事誘発熱産生>
1)摂取エネルギー > 消費エネルギー → 体重増加
摂取エネルギー = 消費エネルギー → 体重不変
摂取エネルギー < 消費エネルギー → 体重減少
2)通常のカロリー制限食(低脂質・高糖質食)なら
「消費エネルギー=基礎代謝量+身体活動量(運動や家事)+食事誘発熱産生(DIT)」
3)糖質制限食なら、高糖質食の時には無い
「肝臓の糖新生でエネルギーを消費」→基礎代謝の増加
「高蛋白食摂取」→食事誘発熱産生(DIT)の増加 」
が認められる。
1)は生理学的事実です。
2)3)を比較すると糖質制限食の方が高糖質食に比し、体重が減少しやすいことは、理論的に明白です。
<推定エネルギー必要量と糖質制限食>
減量を目指す時に、糖尿病学会推奨のように
男性:1400~1800kcal/日
女性:1200~1600kcal/日
といった、厳しいカロリー制限は必要ありません。
一方、国立健康・栄養研究所の「厚生労働省・日本人の食事摂取基準」(2010年)への解説によれば 推定エネルギー必要量は18才以上の成人で、年齢により差がありますが、
身体活動レベルが低い人は
男性:1850~2250キロカロリー/日
女性:1450~1700キロカロリー/日
身体活動レベルが普通なら
男性:20200~2650キロカロリー/日
女性:1700~1950キロカロリー/日
身体活動レベルが高い場合
男性:2500~3050キロカロリー/日
女性:2000~2300キロカロリー/日
です。
スーパー糖質制限食実践と「日本人の食事摂取基準」の標準的な摂取エネルギーなら、適正体重になると思います。
<糖質制限食で体重が減りすぎる場合>
摂取エネルギー < 消費エネルギー → 体重減少
スーパー糖質制限食で体重が減りすぎる場合は、消費エネルギーが摂取エネルギーを上回っていることは明白です。
適正体重に関してBMI:20~25 の間で、その個人の一番体調がいい体重が、一つの目安です。
若い頃、よく動いていた頃、20才頃の体重も、一つの目安です。
「厚生労働省・日本人の食事摂取基準」における推定エネルギー必要量を確保していればスーパー糖質制限食で、適正体重になればそれ以上減ることはありません。
痩せ過ぎの人が「スーパー糖質制限食+推定エネルギー必要量」の実践により適正体重に増えることも経験します。
例えばBMIが17の人が、18になり20になりといったパターンです。
痩せすぎる場合の摂取エネルギー確保には、脂質の摂取が一番有効です。
オリーブオイルをしっかり料理に使用したり、ギリシャやスペインやイタリアのように直接飲んだり、糖質制限パンにつけて食べたりもいいです。
エゴマ油や紫蘇油のαリノレン酸を、生でそのまま野菜サラダにかけて食べるのもいいです。
脂質エネルギー確保には、ナッツ類ではクルミ・松の実・カボチャの種が糖質が少なくていいですし、果物のなかでは、アボカドやオリーブがいいです。
乳製品の中では、チーズが脂質が多く糖質が少なく、良質のエネルギー源です。
他のナッツ類も、20~30粒くらいなら、糖質制限食OKの間食で、糖質は5g以下です。
他の果物類も、1/3個くらいなら、糖質制限食OKの間食であり、果糖は血糖値をあまり上げずに直接中性脂肪に変わるので、体重増加には有効です。
果物糖質含有量
果物100gあたりの糖質含有量
アボカド 0.9g 1個
いちご 7.06 7粒
パパイア 7.28 1/2個
レモン 7.6 1個
夏みかん 8.8 1/4個
もも 8.9 2/3個
びわ 9.0 2.5個
グレープフルーツ 9.0 1/4個
すいか 9.2 1/58個
メロン 9.9 1/8個
はっさく 10.0 1/3個
なし 10.4
いよかん 10.6
うんしゅうみかん 11.0
ネーブル 10.8
パインアップル 11.9
いちじく 12.4
西洋なし 12.5
りんご 13.1
キウイフルーツ 13.2
さくらんぼ 14
柿 14.3
ぶどう 15.1
バナナ 21.4
上記は、果物100gあたりの糖質含有量です。
果物の糖質は果糖、ショ糖、ブドウ糖、糖アルコールなどです。
例えば、リンゴ1個(約240g)のカロリーは約150kcalであり、ビタミンC含量は8mg、遊離糖含有量は35.6g(果糖:18g、ブドウ糖:6g、ショ糖:9.6g、ソルビトール:2g)、水溶性食物繊維含量は0.95g、不溶性食物繊維含量は2.95gくらいだそうです。
勿論、果物の種類により果糖・ブドウ糖・ショ糖・糖アルコールの比率は異なると思いますが、このうち果糖は10%くらいしかブドウ糖に変わらないので、ほとんど血糖値を上昇させません。(2008年05月20日 ブログご参照ください)
従いまして、かなりおおざっぱですが、果物の糖質のうち約半分くらいが果糖と仮定すれば、穀物の糖質に比べれば血糖値は少し上昇させにくいといえます。
穀物のデンプン1gが、2型糖尿人の血糖値を3mg上昇させるとすれば、果物の糖質1gは、約半分の1.5mg上昇させると考えられます。
そうすると、果物の糖質10gくらいまでなら、糖質制限間食としてOKと言えます。
2014年05月09日 (金)
こんにちは。
あらてつさんが何度かブログで紹介していましたが、沖縄は那覇に、私、江部康二監修の糖質制限OKレストランが新登場しました(^_^)v
ドルチェとパスタのお店
ピキタン
まだこのブログでは紹介してなかったのですが、すでに、私の患者さんも数名行かれたみたいで、嬉しい限りです(^^)
ピキタンさんは、イタリアンの店で修行したご主人と、パティシエの奥さんが7年前に那覇でオープンされました。
「本当に美味しくて安心なものを食べてもらいたい。」と、パンやスイーツ、ソーセージからベーコンまで、殆どの食材を手作りされているお店です。
沖縄病のあらてつさんがフラッとお店に入り、そのままご主人と意気投合、糖質制限のメニューを作ってもらうことになりました。
ご主人と奥さんの糖質制限食にかける真摯な思いは、「1型糖尿病の方が食べても血糖値の上がらないものを作りたい」との言葉に現れていて、私だけでなく、1型糖尿病の栄養士さんも実際に食べて血糖値を測り、合格したものしか出さないという徹底ぶりです。
これだけの熱意を持って糖質制限食に取り組んで頂けるのは、我々糖尿人としては嬉しい限りですね(^O^)
お店の外観です

看板です

本日のメニュー

カウンター席

テーブル席

ランチセット

手打ちの糖質制限パスタと手捏ねの糖質制限パン。
因みに、パスタは、あらてつさんの大好物、紫蘇ジェノベーゼです。
糖質制限パスタと糖質制限ラザニアのハーフ&ハーフ

糖質制限パスタと肉料理のプレート

マッシュポテトのように見えるのは、実はマッシュポテトじゃありません。
これは是非お店で実際に食べてみて下さい。
ビックリしますよ(^O^)
こちらはドルチェ(デザート)です
金柑のタルト

シフォンケーキとロールケーキ

ドルチェ盛り合わせ

もちろんどれも糖質制限。
アイスクリームも絶品、全てお店で手作りです(^O^)
さて、このピキタンさんで出されている手捏ねの糖質制限パンが、この度、私が監修するやせる食べ方ドットコムにて販売となりました。

プレーンと黒糖、紅芋の三種類です。
以下は、それぞれの血糖測定結果になります。
プレーン
午後3:50 血糖値:120mg
2個摂取
午後4:50 血糖値:120mg
黒糖
午前8時 血糖値:128mg
2個摂取
午前9時 血糖値:134mg
紅芋
午後5:40 血糖値:117mg
2個摂取。
午後6:40 血糖値:123mg
3種類とも、2個ずつ食べての結果なので、これはもう素晴らし結果ですね(^^)
このピキタンさんの糖質制限パン、血糖値の上昇が最低限に抑えられているだけでなく、驚くのはその美味しさです。
これまでの糖質制限パンでは、どうしても独特の臭いや後味が残ったものですが、このピキタンさんのパンは、全くイヤな臭いがありません。
それどころか、ふわふわもちもちでパサツキがなく、糖質制限パンでは史上最高に美味しいパンになっています(^O^)
血糖値も上がらず更に最高に美味しい糖質制限パン、是非、ダイエッターだけでなく、糖尿人、メタボ人、全ての糖質セイゲニストに皆さんにお勧めします\(^o^)/
販売はこちらです。
やせる食べ方ドットコム
糖質オフまるパン
http://www.yaserutabekata.com/shop/lowcarb_marupan.php
是非、お試しあれ(^O^)
お店の方はこちらです。
DOLCE&PASTA
ピキタン
那覇市松尾1-10-7
TEL:090-1864-6990
URL:http://dolcepastapichitan.web.fc2.com/pichitan.html
【定休日】火曜日
糖質制限食ご希望の方、当日も対応してくださいますが、できれば予約をお願い致しますm(__)m
江部康二
あらてつさんが何度かブログで紹介していましたが、沖縄は那覇に、私、江部康二監修の糖質制限OKレストランが新登場しました(^_^)v
ドルチェとパスタのお店
ピキタン
まだこのブログでは紹介してなかったのですが、すでに、私の患者さんも数名行かれたみたいで、嬉しい限りです(^^)
ピキタンさんは、イタリアンの店で修行したご主人と、パティシエの奥さんが7年前に那覇でオープンされました。
「本当に美味しくて安心なものを食べてもらいたい。」と、パンやスイーツ、ソーセージからベーコンまで、殆どの食材を手作りされているお店です。
沖縄病のあらてつさんがフラッとお店に入り、そのままご主人と意気投合、糖質制限のメニューを作ってもらうことになりました。
ご主人と奥さんの糖質制限食にかける真摯な思いは、「1型糖尿病の方が食べても血糖値の上がらないものを作りたい」との言葉に現れていて、私だけでなく、1型糖尿病の栄養士さんも実際に食べて血糖値を測り、合格したものしか出さないという徹底ぶりです。
これだけの熱意を持って糖質制限食に取り組んで頂けるのは、我々糖尿人としては嬉しい限りですね(^O^)
お店の外観です

看板です

本日のメニュー

カウンター席

テーブル席

ランチセット

手打ちの糖質制限パスタと手捏ねの糖質制限パン。
因みに、パスタは、あらてつさんの大好物、紫蘇ジェノベーゼです。
糖質制限パスタと糖質制限ラザニアのハーフ&ハーフ

糖質制限パスタと肉料理のプレート

マッシュポテトのように見えるのは、実はマッシュポテトじゃありません。
これは是非お店で実際に食べてみて下さい。
ビックリしますよ(^O^)
こちらはドルチェ(デザート)です
金柑のタルト

シフォンケーキとロールケーキ

ドルチェ盛り合わせ

もちろんどれも糖質制限。
アイスクリームも絶品、全てお店で手作りです(^O^)
さて、このピキタンさんで出されている手捏ねの糖質制限パンが、この度、私が監修するやせる食べ方ドットコムにて販売となりました。

プレーンと黒糖、紅芋の三種類です。
以下は、それぞれの血糖測定結果になります。
プレーン
午後3:50 血糖値:120mg
2個摂取
午後4:50 血糖値:120mg
黒糖
午前8時 血糖値:128mg
2個摂取
午前9時 血糖値:134mg
紅芋
午後5:40 血糖値:117mg
2個摂取。
午後6:40 血糖値:123mg
3種類とも、2個ずつ食べての結果なので、これはもう素晴らし結果ですね(^^)
このピキタンさんの糖質制限パン、血糖値の上昇が最低限に抑えられているだけでなく、驚くのはその美味しさです。
これまでの糖質制限パンでは、どうしても独特の臭いや後味が残ったものですが、このピキタンさんのパンは、全くイヤな臭いがありません。
それどころか、ふわふわもちもちでパサツキがなく、糖質制限パンでは史上最高に美味しいパンになっています(^O^)
血糖値も上がらず更に最高に美味しい糖質制限パン、是非、ダイエッターだけでなく、糖尿人、メタボ人、全ての糖質セイゲニストに皆さんにお勧めします\(^o^)/
販売はこちらです。
やせる食べ方ドットコム
糖質オフまるパン
http://www.yaserutabekata.com/shop/lowcarb_marupan.php
是非、お試しあれ(^O^)
お店の方はこちらです。
DOLCE&PASTA
ピキタン
那覇市松尾1-10-7
TEL:090-1864-6990
URL:http://dolcepastapichitan.web.fc2.com/pichitan.html
【定休日】火曜日
糖質制限食ご希望の方、当日も対応してくださいますが、できれば予約をお願い致しますm(__)m
江部康二
2014年05月08日 (木)
【14/05/06 とと
続けて実践するうえで
半年前に2ヶ月ほどスーパー糖質制限を実施。身長149、74→64程落し、10キロ落ちた地点から四六時中炭水化物の事しか考えられず。気づいてみればタコヤキを注文していた・・・という状態に陥り一度やめ、元の生活に戻ったので当たり前ですが「体が重たくて疲れる元の体重」に戻ってしまいました。
せめて1時間は歩ける体重に戻そうと、本しか見ていなかったのですが、もう一度チャレンジしたくてこのHPに辿り着いた次第です。
見ていて色々と誤解していたことが分かりました。
カロリー考えず肉ばかりたらふく食べられるという誤解。私の場合は逆にカロリーを抑え過ぎ油分を減らしすぎていたり。コンビニ野菜と蒸したサラダ、豆乳、豆腐、チーズ2ピースしか1日で食していなかったので、飢えても当たり前だったなと。
元来は血糖を上げないための食事であり、ダイエットは副産物なのかもしれないなと、ブログを見て感じています。
もう一度、今度は摂取カロリーを満たす様にして、チャレンジしてみようと思います。】
ととさんから、興味深いコメントを頂きました。
スーパー糖質制限食を2ヶ月実践して10kg減量に成功したけれど、その後挫折して元の体重に。
しかし、もう一回チャレンジしたくて、本ブログに辿り着いたとのことです。
糖質制限食に取り組んで、結果として挫折した方は結構おられると思います。
ととさんの経験は、おおいに参考になります。
【カロリー考えず肉ばかりたらふく食べられるという誤解。
私の場合は逆にカロリーを抑え過ぎ油分を減らしすぎていたり。
コンビニ野菜と蒸したサラダ、豆乳、豆腐、チーズ2ピースしか1日で食していなかったので、飢えても当たり前だったなと。】
そうですね。
糖質制限食は、カロリー無制限で大食OKということではありません。
厚生労働省のいう、標準エネルギー必要量(☆)が目安になります。
一方、日本糖尿病学会の推奨する厳しいカロリー制限食はつらいですし、私は低エネルギー過ぎると思っています。
ととさんの、前回のスーパー糖質制限食のメニューは、日本糖尿病学会以上の厳しいカロリー制限と脂質制限になっていましたので、大変つらかったことと思います。
これではリバウンドしても仕方ないことと思います。
そして、カロリー制限食でも確かに一定の減量は可能なのですが、本来の標準エネルギー必要量に戻せば、体重は必ずリバウンドして元の体重に戻ります。
すなわち、カロリー制限食で体重が減っても、ずっと続けるわけにはいかないので基本的には無意味ということになります。
その点、糖質制限食なら、厚生労働省のいう標準エネルギー必要量まで、脂質、タンパク質、魚、肉、卵、チーズ、豆腐、納豆、葉野菜、海藻、茸・・・等、いろんなものをしっかり食べることができて減量も可能です。
満足度と満腹度も高いので、ダイエットとしても成功しやすいのです。
そして美味しく楽しく末長く継続することが可能なのが、カロリー制限食との一番の違いです。
ととさんも、是非美味しく楽しくお続け下さいね。
ニューイングランドジャーナルの論文(☆☆)では、カロリー制限なしの「糖質制限食群」が、カロリー制限ありの「脂質制限食群」「地中海食群」に比し一番体重減少効果がありました。
なおかつ、カロリー制限なしのハンディがあったのに、糖質制限食群では2年間の研究期間を通して他の2群と同様のエネルギー摂取量低下が認められました。
満足度・満腹度が高いので自然に摂取エネルギーが減少したものと考えられ、これは大きな利点ですね。
なお、糖質制限食は人類本来の食事、人類の健康食ですから、糖尿病やメタボを始めとして様々な生活習慣病に有効です。
江部康二
(☆)
国立健康・栄養研究所
「厚生労働省・日本人の食事摂取基準」(2010年)
の解説
エネルギー(pdf)
http://www.linkdediet.org/dri/modules/dri_download/index.php?orderby=dateD&cid=4&perpage=10
推定エネルギー必要量
身体活動レベルが低い人は
男性:1850~2250キロカロリー/日
女性:1450~1700キロカロリー/日
身体活動レベルが普通なら
男性:2200~2650キロカロリー/日
女性:1700~1950キロカロリー/日
身体活動レベルが高い場合
男性:2500~3050キロカロリー/日
女性:2000~2300キロカロリー/日
*18才以上の成人で、年齢により少し差あり。
(☆☆)
イスラエルの322人(男性86%)
(1)低脂肪食(カロリー制限あり)
(2)オリーブ油の地中海食(カロリー制限あり)
(3)低炭水化物食(カロリー制限なし)
3グループの食事法を2年間
低炭水化物食が最も体重減少。HDL-Cも増加。
制限なしのハンディにも関わらず、カロリー減少は3者同様。
36名の糖尿病患者においてHbA1cが有為差をもって改善
NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241
続けて実践するうえで
半年前に2ヶ月ほどスーパー糖質制限を実施。身長149、74→64程落し、10キロ落ちた地点から四六時中炭水化物の事しか考えられず。気づいてみればタコヤキを注文していた・・・という状態に陥り一度やめ、元の生活に戻ったので当たり前ですが「体が重たくて疲れる元の体重」に戻ってしまいました。
せめて1時間は歩ける体重に戻そうと、本しか見ていなかったのですが、もう一度チャレンジしたくてこのHPに辿り着いた次第です。
見ていて色々と誤解していたことが分かりました。
カロリー考えず肉ばかりたらふく食べられるという誤解。私の場合は逆にカロリーを抑え過ぎ油分を減らしすぎていたり。コンビニ野菜と蒸したサラダ、豆乳、豆腐、チーズ2ピースしか1日で食していなかったので、飢えても当たり前だったなと。
元来は血糖を上げないための食事であり、ダイエットは副産物なのかもしれないなと、ブログを見て感じています。
もう一度、今度は摂取カロリーを満たす様にして、チャレンジしてみようと思います。】
ととさんから、興味深いコメントを頂きました。
スーパー糖質制限食を2ヶ月実践して10kg減量に成功したけれど、その後挫折して元の体重に。
しかし、もう一回チャレンジしたくて、本ブログに辿り着いたとのことです。
糖質制限食に取り組んで、結果として挫折した方は結構おられると思います。
ととさんの経験は、おおいに参考になります。
【カロリー考えず肉ばかりたらふく食べられるという誤解。
私の場合は逆にカロリーを抑え過ぎ油分を減らしすぎていたり。
コンビニ野菜と蒸したサラダ、豆乳、豆腐、チーズ2ピースしか1日で食していなかったので、飢えても当たり前だったなと。】
そうですね。
糖質制限食は、カロリー無制限で大食OKということではありません。
厚生労働省のいう、標準エネルギー必要量(☆)が目安になります。
一方、日本糖尿病学会の推奨する厳しいカロリー制限食はつらいですし、私は低エネルギー過ぎると思っています。
ととさんの、前回のスーパー糖質制限食のメニューは、日本糖尿病学会以上の厳しいカロリー制限と脂質制限になっていましたので、大変つらかったことと思います。
これではリバウンドしても仕方ないことと思います。
そして、カロリー制限食でも確かに一定の減量は可能なのですが、本来の標準エネルギー必要量に戻せば、体重は必ずリバウンドして元の体重に戻ります。
すなわち、カロリー制限食で体重が減っても、ずっと続けるわけにはいかないので基本的には無意味ということになります。
その点、糖質制限食なら、厚生労働省のいう標準エネルギー必要量まで、脂質、タンパク質、魚、肉、卵、チーズ、豆腐、納豆、葉野菜、海藻、茸・・・等、いろんなものをしっかり食べることができて減量も可能です。
満足度と満腹度も高いので、ダイエットとしても成功しやすいのです。
そして美味しく楽しく末長く継続することが可能なのが、カロリー制限食との一番の違いです。
ととさんも、是非美味しく楽しくお続け下さいね。
ニューイングランドジャーナルの論文(☆☆)では、カロリー制限なしの「糖質制限食群」が、カロリー制限ありの「脂質制限食群」「地中海食群」に比し一番体重減少効果がありました。
なおかつ、カロリー制限なしのハンディがあったのに、糖質制限食群では2年間の研究期間を通して他の2群と同様のエネルギー摂取量低下が認められました。
満足度・満腹度が高いので自然に摂取エネルギーが減少したものと考えられ、これは大きな利点ですね。
なお、糖質制限食は人類本来の食事、人類の健康食ですから、糖尿病やメタボを始めとして様々な生活習慣病に有効です。
江部康二
(☆)
国立健康・栄養研究所
「厚生労働省・日本人の食事摂取基準」(2010年)
の解説
エネルギー(pdf)
http://www.linkdediet.org/dri/modules/dri_download/index.php?orderby=dateD&cid=4&perpage=10
推定エネルギー必要量
身体活動レベルが低い人は
男性:1850~2250キロカロリー/日
女性:1450~1700キロカロリー/日
身体活動レベルが普通なら
男性:2200~2650キロカロリー/日
女性:1700~1950キロカロリー/日
身体活動レベルが高い場合
男性:2500~3050キロカロリー/日
女性:2000~2300キロカロリー/日
*18才以上の成人で、年齢により少し差あり。
(☆☆)
イスラエルの322人(男性86%)
(1)低脂肪食(カロリー制限あり)
(2)オリーブ油の地中海食(カロリー制限あり)
(3)低炭水化物食(カロリー制限なし)
3グループの食事法を2年間
低炭水化物食が最も体重減少。HDL-Cも増加。
制限なしのハンディにも関わらず、カロリー減少は3者同様。
36名の糖尿病患者においてHbA1cが有為差をもって改善
NENGLJ MED JULY17,2008、 VOL359. NO.3 229-241
2014年05月07日 (水)
【14/05/06 あゆゆ
ご相談です
最近、糖質制限ダイエットを知りまして始めて3週間になります。
先月は糖質を摂らないといいと思い実践し800gしか減らず、先生の本を読み直し今月からやり直しているのですがなかなか減りません。
現在、月経中というのも関係してるのでしょうか?
普段は月経中に1〜2㎏増えます。
アドバイスお願いします。】
あゆゆ さん
月経前などの体重増加は、水分が関与しています。
ホルモンの関係で生理前は浮腫みやすいのです。
あと、既に適正体重であればそれ以上は痩せません。
適正体重には個人差がありますが、BMI20~25くらいで、 一番体調がいい体重です。
【14/05/06 あゆゆ
ありがとうございます。
ご返信ありがとうございます。
BMIは20くらいなので、適正体重なのですが自分のベスト体重より4㎏ほど多いので減量を目指していたのですが…
適正体重の場合は減らないのですね。】
こんにちは。
あゆゆ さんから、糖質制限食を実践しても体重が減らないとのコメントをいただきました。
糖質制限食で肥満の人は体重減少しますが、痩せ過ぎの人は体重が増加します。
いずれもその人における適正体重になって落ち着きます。
あゆゆさんは、現在BMI:20 なので、適正体重の下限くらいですので、もうこれ以上は減らないと思います。
1)世界ガン研究基金の報告(2007)では、ガン予防にはBMI:20~25未満 が目標。
2)ランセットの論文では欧米人はBMI:22.5~25 が総死亡率が一番低い。(*)
3)ニューイングランド・ジャーナルの論文では、アジア人はBMI:23~27 が
総死亡率が一番低い。(**)
1)2)3)を考慮すれば、現在痩せすぎの人は、少なくともBMI:20 は確保する方が、安全といえます。
ガン予防も含めると、適正体重はBMI:20~25 くらいで、その個人の一番体調の良い体重が目標です。
私個人は、2002年167cm、67kgでメタボの基準を全て満たしていましたが、半年間のスーパー糖質制限食で、10kgの減量に成功して、そのまま維持して現在にいたります。
現在の167cm、57kgというのは、よく動いていた学生時代の体型であり、体調もいいです。
学生時代や20才のころの体重も、適正体重の一つの目安ですね。
(*)
Prospective Studies Collaboration
PSC, Whitlock G, et al. Lancet 2009; 373: 1083–96
(**)
Zheng W, et al.N Engl J Med. 2011 Feb 24;364(8):719-29.
Association between body-mass index and risk of death in more than 1 million Asians.
江部康二
ご相談です
最近、糖質制限ダイエットを知りまして始めて3週間になります。
先月は糖質を摂らないといいと思い実践し800gしか減らず、先生の本を読み直し今月からやり直しているのですがなかなか減りません。
現在、月経中というのも関係してるのでしょうか?
普段は月経中に1〜2㎏増えます。
アドバイスお願いします。】
あゆゆ さん
月経前などの体重増加は、水分が関与しています。
ホルモンの関係で生理前は浮腫みやすいのです。
あと、既に適正体重であればそれ以上は痩せません。
適正体重には個人差がありますが、BMI20~25くらいで、 一番体調がいい体重です。
【14/05/06 あゆゆ
ありがとうございます。
ご返信ありがとうございます。
BMIは20くらいなので、適正体重なのですが自分のベスト体重より4㎏ほど多いので減量を目指していたのですが…
適正体重の場合は減らないのですね。】
こんにちは。
あゆゆ さんから、糖質制限食を実践しても体重が減らないとのコメントをいただきました。
糖質制限食で肥満の人は体重減少しますが、痩せ過ぎの人は体重が増加します。
いずれもその人における適正体重になって落ち着きます。
あゆゆさんは、現在BMI:20 なので、適正体重の下限くらいですので、もうこれ以上は減らないと思います。
1)世界ガン研究基金の報告(2007)では、ガン予防にはBMI:20~25未満 が目標。
2)ランセットの論文では欧米人はBMI:22.5~25 が総死亡率が一番低い。(*)
3)ニューイングランド・ジャーナルの論文では、アジア人はBMI:23~27 が
総死亡率が一番低い。(**)
1)2)3)を考慮すれば、現在痩せすぎの人は、少なくともBMI:20 は確保する方が、安全といえます。
ガン予防も含めると、適正体重はBMI:20~25 くらいで、その個人の一番体調の良い体重が目標です。
私個人は、2002年167cm、67kgでメタボの基準を全て満たしていましたが、半年間のスーパー糖質制限食で、10kgの減量に成功して、そのまま維持して現在にいたります。
現在の167cm、57kgというのは、よく動いていた学生時代の体型であり、体調もいいです。
学生時代や20才のころの体重も、適正体重の一つの目安ですね。
(*)
Prospective Studies Collaboration
PSC, Whitlock G, et al. Lancet 2009; 373: 1083–96
(**)
Zheng W, et al.N Engl J Med. 2011 Feb 24;364(8):719-29.
Association between body-mass index and risk of death in more than 1 million Asians.
江部康二
2014年05月06日 (火)
こんばんは。
ブログ読者の皆さんには、交流会、講演会などいつも多数ご参加いただきありがとうございます。
一般社団法人日本糖質制限医療推進協会主催の『一般向け岡山講演会』
既に80名のご予約をいただき、嬉しい限りです。
今回は、会場を余裕を持って設定したので、合計90名くらいまでいけますのでまだ大丈夫です。
岡山近隣の糖尿人、メタボ人、糖質セイゲニストの皆さん、是非奮ってご参加下さいね。
現代人は知らないうちに糖質過多な食生活を送っています。。
それによって糖尿病・メタボなど様々な生活習慣病が引き起こされています。
「糖質摂取が何故良くないか」そのメカニズムわかりやすく説明し、対して人類本来の食事といえる糖質制限食の有効性と可能性について具体的にお話しします。
そして糖尿病患者さんの血液検査データも豊富に紹介します。
同一摂取カロリーで揃えた「従来の糖尿病食 VS スーパー糖質制限食」の血糖値の日内変動データ比較は圧巻です。
食後高血糖と平均血糖変動幅に関しては、糖質制限食の圧勝で、その差は「月とスッポン」です。
米国糖尿病学会が2008年以来5年ぶりに、成人糖尿病患者の食事療法に関する声明(Position Statement on Nutrition Therapy)を改訂しました。(Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版)
2013年10月の米国糖尿病学会の栄養療法の声明は画期的なものであり、
全ての糖尿病患者に適した“one-size-fits-all(唯一無二の)”食事パターンは存在しない
との見解を表明しました。
このことは、食品交換表1969年の第2版以降、唯一無二の食事療法(カロリー制限食)を推奨し続けている日本糖尿病学会に対する痛烈な批判となっています。
そして、患者ごとにさまざまな食事パターン〔地中海食,ベジタリアン食,糖質制限食,低脂質食,DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食〕が受容可能であるとしています。
糖質制限食もちゃんと認められていて、日本における糖質制限食の普及においてこの上ない追い風です。
極めて重要なことですが、糖尿病合併症を防ぐには、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じないことが必要不可欠です。
しかしながら糖質を摂取すれば、必ず「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じます。
すなわち、従来の糖尿病食(高糖質食)では、糖尿病合併症を防ぐことは理論的に不可能なのです。
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じない唯一の食事療法が、糖質制限食なのです。
年間
16000人が糖尿病腎症から透析 → 医療費800億円、
3000人が糖尿病網膜症から失明
3000人が糖尿病足病変から足切断
というのが厳しい現実です。
このように合併症に苦しむ多数の糖尿病患者さんの存在そのものが、「日本糖尿病学会主導の従来の糖尿病治療が決して上手くいっていない」ことの動かぬ証拠と言えます。
糖尿病合併症を生じさせないためには、糖尿人の皆さんは自分自身の頭で考えて身を守ることが必要です。
本講演では、糖尿病を中心に糖質制限食の有効性・安全性をわかりやすく説明します。
また生活習慣病やがんへの糖質制限食の有効性・可能性にも少し言及します。
わかりやすいお話しを目指しますので、お近くの方々は是非ご参加くださいね。
岡山では、提携医療機関がまだないので、糖質制限食に興味ある医師のご参加も歓迎です。
医師の方は、前もって事務局にご連絡いただけば助かります。
よろしくお願い申し上げます。
江部康二
以下、事務局からのご案内です。
ブログ読者の皆様、講演会へいつも多数ご参加いただきまして
ありがとうございます。
5月11日(日)に、岡山で一般向けの講演会を開催いたします。
中国地方の皆様をはじめ、多数のご参加を心よりお待ち申し上げております。
//////////////////ご案内////////////////////
一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会主催 講演会(岡山)
「糖質制限食の有効性・可能性 ―糖尿病・メタボ・生活習慣病・がん・・・―」
◆日時: 2014年5月11日(日) 14:00~16:30頃 ※入場受付(開場)は、13:40~
◆会場: 岡山市民会館 4階大会議室
岡山県岡山市北区丸の内2丁目1番1号
http://www.okayama-shiminkaikan.jp/access.html
☆アクセス:路面電車の岡山駅前(停留所)で「東山行き」に乗車。
城下(停留所)で下車して下さい。下車後徒歩3分です。
(岡山駅前→城下の所要時間は5分です。)
◆講演① 『糖質制限のすすめ』 講師:瀬尾 一史 瀬尾クリニック院長
糖尿病は予備軍まで含めると約2100万人の患者がいるといわれています。
糖尿病の成因は食後の高血糖といわれていますが、食後の高血糖を
生じない糖質制限食は糖尿病に有効な食事療法であると考えられます。
当クリニックでは平成24年より糖尿病患者に糖質制限食を勧めています。
基本的には夕食のみ主食を抜くプチ糖質制限食から始めています。
治療効果は糖尿病の無治療群では比較的良好で、薬物治療群では
薬の減量ないし中止に至った症例が半数以上認められました。
今回、これらの症例について、さらに家庭や外食での糖質制限食のコツ
などについてお話しします。
(講師略歴)
昭和29年、11月17日福山市生まれ。
昭和56年、奈良県立医科大学卒業。
同年4月、広島大学医学部泌尿器科学教室入局。
国立福山病院、広島大学付属病院、国立呉病院に勤務。
平成4年、学位取得
平成5年11月、福山市今津町に瀬尾クリニックを開業。
平成18年4月より、日本臨床泌尿器科医会 理事に就任。
平成18年2月より、傷、火傷に対して湿潤療法を開始。
平成24年2月より、糖尿病に対して糖質制限食を開始。
◆講演② 『糖質制限食の有効性・可能性 ―食のパラダイムシフト―
~糖尿病・メタボ・生活習慣病・がん・・・~』
講師:江部康二 (一財)高雄病院理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会理事長
糖質制限食は、米飯・めん類・パンや芋類などの糖質が多い食品を
食べないで、肉や魚貝や豆腐や葉野菜などをしっかり摂取する食事療法です。
糖質制限食は、実は人類本来の食事、いわば人類の健康食ですので、
糖尿病をはじめとして様々な生活習慣病が改善します。
今回は、糖尿病を中心に糖質制限食の有効性・安全性を分かりやすく説明します。
また、生活習慣病やがんへの有効性・可能性にも言及します。
◆受講費: 賛助会員 2,500円 / 一般(非会員) 2,900円
◆お支払い方法:クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。
◆お申し込み方法:
・賛助会員の方
事務局までメールにてお申し込み下さい。
・賛助会員入会をご希望の方
1.入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://toushitsuseigen.or.jp/member.html
2.お申し込みはこちらのフォームからお願いします。
http://toushitsuseigen.or.jp/contact.php
「お問い合せ内容」欄に「5/11岡山講演会、受講希望」とご記入下さい。
・一般(非会員)で、講演会の受講のみご希望の方
こちらのフォームよりお申し込み下さい。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/9cbd1ef7287071
◆お申し込みの流れ:
1.会員の方はメールにて、会員以外の方は各種フォームにてご連絡下さい。
2.事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3.入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4.当日、直接会場までお越し下さい。
◆その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは5月8日(木)までにご連絡願います。
それ以降の返金には対応致しかねますので予めご了承ください。
ブログ読者の皆さんには、交流会、講演会などいつも多数ご参加いただきありがとうございます。
一般社団法人日本糖質制限医療推進協会主催の『一般向け岡山講演会』
既に80名のご予約をいただき、嬉しい限りです。
今回は、会場を余裕を持って設定したので、合計90名くらいまでいけますのでまだ大丈夫です。
岡山近隣の糖尿人、メタボ人、糖質セイゲニストの皆さん、是非奮ってご参加下さいね。
現代人は知らないうちに糖質過多な食生活を送っています。。
それによって糖尿病・メタボなど様々な生活習慣病が引き起こされています。
「糖質摂取が何故良くないか」そのメカニズムわかりやすく説明し、対して人類本来の食事といえる糖質制限食の有効性と可能性について具体的にお話しします。
そして糖尿病患者さんの血液検査データも豊富に紹介します。
同一摂取カロリーで揃えた「従来の糖尿病食 VS スーパー糖質制限食」の血糖値の日内変動データ比較は圧巻です。
食後高血糖と平均血糖変動幅に関しては、糖質制限食の圧勝で、その差は「月とスッポン」です。
米国糖尿病学会が2008年以来5年ぶりに、成人糖尿病患者の食事療法に関する声明(Position Statement on Nutrition Therapy)を改訂しました。(Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版)
2013年10月の米国糖尿病学会の栄養療法の声明は画期的なものであり、
全ての糖尿病患者に適した“one-size-fits-all(唯一無二の)”食事パターンは存在しない
との見解を表明しました。
このことは、食品交換表1969年の第2版以降、唯一無二の食事療法(カロリー制限食)を推奨し続けている日本糖尿病学会に対する痛烈な批判となっています。
そして、患者ごとにさまざまな食事パターン〔地中海食,ベジタリアン食,糖質制限食,低脂質食,DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食〕が受容可能であるとしています。
糖質制限食もちゃんと認められていて、日本における糖質制限食の普及においてこの上ない追い風です。
極めて重要なことですが、糖尿病合併症を防ぐには、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じないことが必要不可欠です。
しかしながら糖質を摂取すれば、必ず「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じます。
すなわち、従来の糖尿病食(高糖質食)では、糖尿病合併症を防ぐことは理論的に不可能なのです。
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じない唯一の食事療法が、糖質制限食なのです。
年間
16000人が糖尿病腎症から透析 → 医療費800億円、
3000人が糖尿病網膜症から失明
3000人が糖尿病足病変から足切断
というのが厳しい現実です。
このように合併症に苦しむ多数の糖尿病患者さんの存在そのものが、「日本糖尿病学会主導の従来の糖尿病治療が決して上手くいっていない」ことの動かぬ証拠と言えます。
糖尿病合併症を生じさせないためには、糖尿人の皆さんは自分自身の頭で考えて身を守ることが必要です。
本講演では、糖尿病を中心に糖質制限食の有効性・安全性をわかりやすく説明します。
また生活習慣病やがんへの糖質制限食の有効性・可能性にも少し言及します。
わかりやすいお話しを目指しますので、お近くの方々は是非ご参加くださいね。
岡山では、提携医療機関がまだないので、糖質制限食に興味ある医師のご参加も歓迎です。
医師の方は、前もって事務局にご連絡いただけば助かります。
よろしくお願い申し上げます。
江部康二
以下、事務局からのご案内です。
ブログ読者の皆様、講演会へいつも多数ご参加いただきまして
ありがとうございます。
5月11日(日)に、岡山で一般向けの講演会を開催いたします。
中国地方の皆様をはじめ、多数のご参加を心よりお待ち申し上げております。
//////////////////ご案内////////////////////
一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会主催 講演会(岡山)
「糖質制限食の有効性・可能性 ―糖尿病・メタボ・生活習慣病・がん・・・―」
◆日時: 2014年5月11日(日) 14:00~16:30頃 ※入場受付(開場)は、13:40~
◆会場: 岡山市民会館 4階大会議室
岡山県岡山市北区丸の内2丁目1番1号
http://www.okayama-shiminkaikan.jp/access.html
☆アクセス:路面電車の岡山駅前(停留所)で「東山行き」に乗車。
城下(停留所)で下車して下さい。下車後徒歩3分です。
(岡山駅前→城下の所要時間は5分です。)
◆講演① 『糖質制限のすすめ』 講師:瀬尾 一史 瀬尾クリニック院長
糖尿病は予備軍まで含めると約2100万人の患者がいるといわれています。
糖尿病の成因は食後の高血糖といわれていますが、食後の高血糖を
生じない糖質制限食は糖尿病に有効な食事療法であると考えられます。
当クリニックでは平成24年より糖尿病患者に糖質制限食を勧めています。
基本的には夕食のみ主食を抜くプチ糖質制限食から始めています。
治療効果は糖尿病の無治療群では比較的良好で、薬物治療群では
薬の減量ないし中止に至った症例が半数以上認められました。
今回、これらの症例について、さらに家庭や外食での糖質制限食のコツ
などについてお話しします。
(講師略歴)
昭和29年、11月17日福山市生まれ。
昭和56年、奈良県立医科大学卒業。
同年4月、広島大学医学部泌尿器科学教室入局。
国立福山病院、広島大学付属病院、国立呉病院に勤務。
平成4年、学位取得
平成5年11月、福山市今津町に瀬尾クリニックを開業。
平成18年4月より、日本臨床泌尿器科医会 理事に就任。
平成18年2月より、傷、火傷に対して湿潤療法を開始。
平成24年2月より、糖尿病に対して糖質制限食を開始。
◆講演② 『糖質制限食の有効性・可能性 ―食のパラダイムシフト―
~糖尿病・メタボ・生活習慣病・がん・・・~』
講師:江部康二 (一財)高雄病院理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会理事長
糖質制限食は、米飯・めん類・パンや芋類などの糖質が多い食品を
食べないで、肉や魚貝や豆腐や葉野菜などをしっかり摂取する食事療法です。
糖質制限食は、実は人類本来の食事、いわば人類の健康食ですので、
糖尿病をはじめとして様々な生活習慣病が改善します。
今回は、糖尿病を中心に糖質制限食の有効性・安全性を分かりやすく説明します。
また、生活習慣病やがんへの有効性・可能性にも言及します。
◆受講費: 賛助会員 2,500円 / 一般(非会員) 2,900円
◆お支払い方法:クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。
◆お申し込み方法:
・賛助会員の方
事務局までメールにてお申し込み下さい。
・賛助会員入会をご希望の方
1.入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://toushitsuseigen.or.jp/member.html
2.お申し込みはこちらのフォームからお願いします。
http://toushitsuseigen.or.jp/contact.php
「お問い合せ内容」欄に「5/11岡山講演会、受講希望」とご記入下さい。
・一般(非会員)で、講演会の受講のみご希望の方
こちらのフォームよりお申し込み下さい。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/9cbd1ef7287071
◆お申し込みの流れ:
1.会員の方はメールにて、会員以外の方は各種フォームにてご連絡下さい。
2.事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3.入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4.当日、直接会場までお越し下さい。
◆その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは5月8日(木)までにご連絡願います。
それ以降の返金には対応致しかねますので予めご了承ください。
2014年05月05日 (月)
こんにちは。
『主食を抜けば糖尿病は良くなる! 新版』2014年(東洋経済新報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!2 実践編 新版』2014年(東洋経済新報社)
アマゾンや書店で2014年3月14日(金)から販売開始となりました。
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』2005年(東洋経済新報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!2実践編』2008年(東洋経済新報社)
もそれぞれ、おかげさまでロングセラーとなり、多くの方々にご愛読いただき嬉しい限りです。
2005年から9年、2008年から6年が経過し、記載してあるデータ情報などが、どんどん変化してきました。
また、
米国糖尿病学会の2013年10月の栄養療法に関する声明の発表、
日本腎臓病学会「CKDガイド2012」でGFR60上は、たんぱく質制限なしと明記、
2013年、糖尿病の診断フローチャート、評価基準が変更・・・
など、数字データ以外にも、様々な大きな変化がありました。
今回、最新情報を入るだけ盛り込んで、大幅にリニューアルして、新版が完成しました。
皆様のお役に立てれば、幸いです。
江部康二
以下は、
『主食を抜けば糖尿病は良くなる! 新版』2014年(東洋経済新報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!2 実践編 新版』2014年(東洋経済新報社)
の、「新版刊行にあたって」です。
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!新版』
新版刊行にあたって
二〇〇五年一月に『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』(東洋経済新報社)を上梓してから九年が経過しました。
本書は日本で初めて「糖質制限食」を理論的に紹介した本であり、二〇一三年に至るまで一九刷りを記録するロングセラーとなり、日本に糖質制限食を広める先駆的な役目を果たしました。
その影響は海外にも波及しており、韓国と台湾でも翻訳書が出版されています。
ここ二~三年、テレビ・新聞・雑誌などのマスコミがこぞって糖質制限食を取り上げ、世間一般の認知度は格段に上がりました。
昨今、「糖質ゼロ」「糖質オフ」をうたい文句とした飲料や食品が当たり前のようにスーパーやコンビニの店頭に並んでいるのを見るにつけ、「糖質」という言葉すらほとんど 知られていなかった九年前とは隔世の感を覚えます。
この変化にとって一つのエポックとなったのは、二〇一二年一月一五日、京都国際会館で開催された第一五回日本病態栄養学会年次学術集会でした。
「糖尿病治療に低炭水化物食は是か?非か?」というディベートセッションが行われ、私は「是」、つまり糖 質制限食を肯定する側の演者として、否定する側の先生方と議論を戦わせました。
このディベートは行われる前から医学関係者の間で大きな関心を集めていて、通常は 三〇〇〇人規模の学会に四〇〇〇人の医師・栄養士が参加するという非常な盛況ぶりでした。
糖質制限食の有効性と安全性を合理的に説明した私の主張は大きな反響を巻き起こし、その後、糖質制限食を公式に認めるべきだとする論調を高めていきます。
このディベートは、糖質制限食が医学界の表舞台に初登場したという意味を持っており、新しくて有効な食事療法としての認知が広まり、糖尿病治療の現場を変えていくための大きな一歩となりました。
以降、私に対する日本全国の医師会・保険医協会や病院からの講演依頼が急増し、北海道から沖縄まで医師・医療関係者向けの糖質制限食講演会を行いました。
医学界にも 爆発的に糖質制限食が広がり始めているのです。
今回、糖質制限食普及の原点である本書を九年ぶりに改訂することとなりました。
糖尿病研究が急速に進展したため、日本の内外における糖尿病治療のスタンスが、かなり大きく、しかも嬉しい方向へと変化しており、それに応じて内容を改める必要が生じたためです。変化の主なものを挙げます。
○米国糖尿病学会が二〇一三年の栄養療法に関する声明で、糖質制限食を治療食の選択肢の一つとして公式に認め、かつ、 「唯一無二の糖尿病食事療法はない」と明言した。
○日本腎臓病学会編『CKD診療ガイド2012』において、糖質制限食は糖尿病性 腎症第三期Aまでは適用が
可能であるとし、それまでの情報が刷新された。
○二〇一三年、糖尿病の診断フローチャート、評価基準が変更となった。
今回、こうした新しいスタンスに対応する形へと文章を改めました。
このほか、最新 の関連研究なども付け加えています。
また本書では、日本の糖尿病患者数、高雄病院の糖尿病患者数など数字データを二〇一三年現在で最新のものとしました。
そして近年、高雄病院では、スーパー糖質制限食(ページ参照)を推奨していますので、第7章の給食の献立表などもスーパー糖質制限食としました。糖質制限食の実践ノウハウについても最新のものを付け加えてあります。
なお、HbA1c(グリコヘモグロビン値)に関して、二〇一三年四月一日から、NGSP値に統一されていますので、改訂版では、最新の糖尿病の診断フローチャート評価基準のHbA1cを、NGSP値で記載しました。
旧版の時点ではHbA1cがJDS値で、二〇一三年の新基準とは異なっていましたが、新版では、JDS値をNGS P値に換算して統一してありますのでご注意ください。
本書は、糖質制限食を世に広める起爆剤としての歴史的な意義を持つだけでなく、この食事療法のエッセンスが純粋な形で凝縮しており、入門書として現在でも最も適したものです。
新しい知見を加えた改訂版が、旧版以上に皆様のお役に立つことを著者として心より願っております。
二〇一四年二月
高雄病院理事長 江部康二
[主要目次]
カラー口絵 糖質制限食と従来の糖尿病食
新版刊行にあたって
プロローグ 糖尿病治療食はカロリー制限から糖質制限へ
第1章 糖尿病治療は糖質制限で変わる
第2章 糖質制限食で糖尿病は劇的に改善する
第3章 糖質制限食が効く理由
第4章 糖質制限食で食べて良いもの、悪いもの
第5章 糖尿病2050万人の時代
第6章 これからの食生活を見直すために
第7章 糖質制限食 1週間の朝昼夕メニュー(献立)
付録1 食品の糖質量リスト
付録2 食べてよい食品、避けたい食品
糖質制限食・関係機関のご案内
『主食を抜けば糖尿病は良くなる! 2 実践編 新版』
新版刊行にあたって
このたび、『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』が新版刊行の運びとなり、よい機会ですので、続編である『主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編』も改訂し、『主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編 新版』として刊行することにいたしました。
日本における糖尿病に対する認識が急速に変わりつつあり、糖質制限食への関心と期待が非常に高まっている今、旧版の表現を一部改め、さらに新しい知見を加えたほうが、よりご理解をいただきやすいだろうと考えたためです。
二〇〇八年二月に本書旧版の初版を刊行して以降も、糖質制限食を希望されて高雄病 院を受診される糖尿病患者さんは増え続けています。
二〇一三年の時点で、糖質制限食のため入院された患者さんは累計八〇〇人以上、外来患者さんは二〇〇〇人以上となりました。
二〇〇七年二月から始めたブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」も、アクセス数が約一万件という人気ブログとなっています。
こうした事実からも、糖質制限食への関心が高まっていることを感じざるをえません。
本書の改訂は、そうした多くの方々のご期待に応えるものです。
なお、二〇一三年四月一日から、 HbA1c(グリコヘモグロビン値)がNGSP値(国際基準)に統一されましたので、
新版ではNGSP値で統一しました。
また、統計数字などは二〇一三年現在の最新のものとしました。
糖質制限食の実践ノウハウなどについても最新のものを付け加えてあります。
本書が旧版以上に糖質制限食実践のお役に立つことを願っております。
二〇一四年二月
高雄病院理事長 江部康二
[主要目次]
とじ込み付録1「食品の糖質量リスト」
とじ込み付録2「食べてよい食品、避けたい食品」
新版刊行にあたって
プロローグ 糖質制限食が理解される時代へ
第1章 糖質制限食の概要
第2章 これからの糖尿病治療に有益な知識
第3章 糖質制限食の実践
第4章 糖質制限食を実践する工夫
第5章 糖質制限食への誤解を解く
第6章 現代に必要な糖質制限
特別付録 最強のスーパー糖質制限食--1週間献立
糖質制限食・関係機関のご案内
『主食を抜けば糖尿病は良くなる! 新版』2014年(東洋経済新報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!2 実践編 新版』2014年(東洋経済新報社)
アマゾンや書店で2014年3月14日(金)から販売開始となりました。
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』2005年(東洋経済新報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!2実践編』2008年(東洋経済新報社)
もそれぞれ、おかげさまでロングセラーとなり、多くの方々にご愛読いただき嬉しい限りです。
2005年から9年、2008年から6年が経過し、記載してあるデータ情報などが、どんどん変化してきました。
また、
米国糖尿病学会の2013年10月の栄養療法に関する声明の発表、
日本腎臓病学会「CKDガイド2012」でGFR60上は、たんぱく質制限なしと明記、
2013年、糖尿病の診断フローチャート、評価基準が変更・・・
など、数字データ以外にも、様々な大きな変化がありました。
今回、最新情報を入るだけ盛り込んで、大幅にリニューアルして、新版が完成しました。
皆様のお役に立てれば、幸いです。
江部康二
以下は、
『主食を抜けば糖尿病は良くなる! 新版』2014年(東洋経済新報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!2 実践編 新版』2014年(東洋経済新報社)
の、「新版刊行にあたって」です。
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!新版』
新版刊行にあたって
二〇〇五年一月に『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』(東洋経済新報社)を上梓してから九年が経過しました。
本書は日本で初めて「糖質制限食」を理論的に紹介した本であり、二〇一三年に至るまで一九刷りを記録するロングセラーとなり、日本に糖質制限食を広める先駆的な役目を果たしました。
その影響は海外にも波及しており、韓国と台湾でも翻訳書が出版されています。
ここ二~三年、テレビ・新聞・雑誌などのマスコミがこぞって糖質制限食を取り上げ、世間一般の認知度は格段に上がりました。
昨今、「糖質ゼロ」「糖質オフ」をうたい文句とした飲料や食品が当たり前のようにスーパーやコンビニの店頭に並んでいるのを見るにつけ、「糖質」という言葉すらほとんど 知られていなかった九年前とは隔世の感を覚えます。
この変化にとって一つのエポックとなったのは、二〇一二年一月一五日、京都国際会館で開催された第一五回日本病態栄養学会年次学術集会でした。
「糖尿病治療に低炭水化物食は是か?非か?」というディベートセッションが行われ、私は「是」、つまり糖 質制限食を肯定する側の演者として、否定する側の先生方と議論を戦わせました。
このディベートは行われる前から医学関係者の間で大きな関心を集めていて、通常は 三〇〇〇人規模の学会に四〇〇〇人の医師・栄養士が参加するという非常な盛況ぶりでした。
糖質制限食の有効性と安全性を合理的に説明した私の主張は大きな反響を巻き起こし、その後、糖質制限食を公式に認めるべきだとする論調を高めていきます。
このディベートは、糖質制限食が医学界の表舞台に初登場したという意味を持っており、新しくて有効な食事療法としての認知が広まり、糖尿病治療の現場を変えていくための大きな一歩となりました。
以降、私に対する日本全国の医師会・保険医協会や病院からの講演依頼が急増し、北海道から沖縄まで医師・医療関係者向けの糖質制限食講演会を行いました。
医学界にも 爆発的に糖質制限食が広がり始めているのです。
今回、糖質制限食普及の原点である本書を九年ぶりに改訂することとなりました。
糖尿病研究が急速に進展したため、日本の内外における糖尿病治療のスタンスが、かなり大きく、しかも嬉しい方向へと変化しており、それに応じて内容を改める必要が生じたためです。変化の主なものを挙げます。
○米国糖尿病学会が二〇一三年の栄養療法に関する声明で、糖質制限食を治療食の選択肢の一つとして公式に認め、かつ、 「唯一無二の糖尿病食事療法はない」と明言した。
○日本腎臓病学会編『CKD診療ガイド2012』において、糖質制限食は糖尿病性 腎症第三期Aまでは適用が
可能であるとし、それまでの情報が刷新された。
○二〇一三年、糖尿病の診断フローチャート、評価基準が変更となった。
今回、こうした新しいスタンスに対応する形へと文章を改めました。
このほか、最新 の関連研究なども付け加えています。
また本書では、日本の糖尿病患者数、高雄病院の糖尿病患者数など数字データを二〇一三年現在で最新のものとしました。
そして近年、高雄病院では、スーパー糖質制限食(ページ参照)を推奨していますので、第7章の給食の献立表などもスーパー糖質制限食としました。糖質制限食の実践ノウハウについても最新のものを付け加えてあります。
なお、HbA1c(グリコヘモグロビン値)に関して、二〇一三年四月一日から、NGSP値に統一されていますので、改訂版では、最新の糖尿病の診断フローチャート評価基準のHbA1cを、NGSP値で記載しました。
旧版の時点ではHbA1cがJDS値で、二〇一三年の新基準とは異なっていましたが、新版では、JDS値をNGS P値に換算して統一してありますのでご注意ください。
本書は、糖質制限食を世に広める起爆剤としての歴史的な意義を持つだけでなく、この食事療法のエッセンスが純粋な形で凝縮しており、入門書として現在でも最も適したものです。
新しい知見を加えた改訂版が、旧版以上に皆様のお役に立つことを著者として心より願っております。
二〇一四年二月
高雄病院理事長 江部康二
[主要目次]
カラー口絵 糖質制限食と従来の糖尿病食
新版刊行にあたって
プロローグ 糖尿病治療食はカロリー制限から糖質制限へ
第1章 糖尿病治療は糖質制限で変わる
第2章 糖質制限食で糖尿病は劇的に改善する
第3章 糖質制限食が効く理由
第4章 糖質制限食で食べて良いもの、悪いもの
第5章 糖尿病2050万人の時代
第6章 これからの食生活を見直すために
第7章 糖質制限食 1週間の朝昼夕メニュー(献立)
付録1 食品の糖質量リスト
付録2 食べてよい食品、避けたい食品
糖質制限食・関係機関のご案内
『主食を抜けば糖尿病は良くなる! 2 実践編 新版』
新版刊行にあたって
このたび、『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』が新版刊行の運びとなり、よい機会ですので、続編である『主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編』も改訂し、『主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編 新版』として刊行することにいたしました。
日本における糖尿病に対する認識が急速に変わりつつあり、糖質制限食への関心と期待が非常に高まっている今、旧版の表現を一部改め、さらに新しい知見を加えたほうが、よりご理解をいただきやすいだろうと考えたためです。
二〇〇八年二月に本書旧版の初版を刊行して以降も、糖質制限食を希望されて高雄病 院を受診される糖尿病患者さんは増え続けています。
二〇一三年の時点で、糖質制限食のため入院された患者さんは累計八〇〇人以上、外来患者さんは二〇〇〇人以上となりました。
二〇〇七年二月から始めたブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」も、アクセス数が約一万件という人気ブログとなっています。
こうした事実からも、糖質制限食への関心が高まっていることを感じざるをえません。
本書の改訂は、そうした多くの方々のご期待に応えるものです。
なお、二〇一三年四月一日から、 HbA1c(グリコヘモグロビン値)がNGSP値(国際基準)に統一されましたので、
新版ではNGSP値で統一しました。
また、統計数字などは二〇一三年現在の最新のものとしました。
糖質制限食の実践ノウハウなどについても最新のものを付け加えてあります。
本書が旧版以上に糖質制限食実践のお役に立つことを願っております。
二〇一四年二月
高雄病院理事長 江部康二
[主要目次]
とじ込み付録1「食品の糖質量リスト」
とじ込み付録2「食べてよい食品、避けたい食品」
新版刊行にあたって
プロローグ 糖質制限食が理解される時代へ
第1章 糖質制限食の概要
第2章 これからの糖尿病治療に有益な知識
第3章 糖質制限食の実践
第4章 糖質制限食を実践する工夫
第5章 糖質制限食への誤解を解く
第6章 現代に必要な糖質制限
特別付録 最強のスーパー糖質制限食--1週間献立
糖質制限食・関係機関のご案内