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メディコトリムとスーパー糖質制限食
【14/05/05 精神科医師A

メディコトリム
日本温泉気候物理医学会雑誌77(1)52-53, 2013

No.20『メディコトリムの取り組み』― スーパー糖質制限食実践と温泉療法の併用 ―

津川 信彦
津軽保健生協健生五所川原診療所内科

[目的]
「メデイコトリム」とは、「メデイコ=医療」「トリム=整える」という意味です。
青森県立中央病院小野正人医療管理監の面接指導をうけ、生活習慣の見直しメデイコトリムに取り組みました。

[方法]
 生活変容のための食事療法は朝昼晩と三食ともにごはん、バン、麺類などを食べない「スーパー糖質制限食」、運動療法はスポーツも苦手で、温泉療法医であり約1時間程度の「温泉療法」も週3回程度組み合わせました。

[成績]
「70日間で体重は12kg減量の成功」です。前、2週間後、6週間後、10週間後と生化学データではAST/ALT: 63/113 61/81 28/34 20/18と脂肪肝も改善。FBS: 144 139 136 124と低下。HbAlc (NGSP): 10.1, 9.7, 7.8, 7.3と改善。T-cho: 350 332 240 238, TG: 354 182 110 125と改善した。

[考察]
 薬物療法なしの生活習慣改善で内臓脂肪を減らし、体重減少に成功した。特筆すべきことは、温泉療法を組み合わせることで6カ月継続して取り組め、「半年で体重は22kg減量, AST/ALT: 15/13, FBS: 112, HbAlc(NGSP): 6.l, T-cho: 239, TG: 100 と改善しました。糖質制限食を継続するうえでも温泉療法の併用は有効であり報告とした。】


こんにちは。
精神科医師Aさんから、
メディコトリムとスーパー糖質制限食という興味深いコメントをいただきました。
ありがとうございます。

「メディコトリム」とは、「メディコ=医療」「トリム=整える」という意味、つまり、「自分の体を整える」ために「医療の力を利用する」ということです。医療による健康増進ですね。

青森県中央病院医療管理監の小野正人医師が、メディコトリムの一環として、まずは炭水化物摂取を減らすことや、さらにはスーパー糖質制限食も奨めておられるようです。

小野正人管理監の指導で、津軽保健生協健生五所川原診療所内科・温泉療法医の津川 信彦 医師が「スーパー糖質制限食+温泉療法」を実践されて、HbA1c、脂肪肝臓の劇的改善、減量成功です。
この間、運動は苦手だそうでほぼなしです。

開始前と10週後のデータ
GOT:前63 → 10週後20IU/L
GPT:前113 → 10週後18IU/L
空腹時血糖値:前144 → 10週後124mg/dl
HbA1c:前10.1 → 10週後7.3%
総コレステロール:前350 → 10週後238mg/dl
中性脂肪:前354 → 10週後125mg/dl
体重は10週間で12kg減量成功


「スーパー糖質制限食+温泉療法」を継続して
6ヶ月後のデータ
GOT:15IU/L
GPT:13IU/L
空腹時血糖値:112mg/dl
HbA1c:6.1%
総コレステロール:239mg/dl
中性脂肪:100mg/dl
体重は6ヶ月間で22kg減量成功



温泉療法医、津川 信彦先生、天晴れですね。

青森の地でもスーパー糖質制限食が普及しはじめているようで嬉しい限りです。


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
大学図書館と「糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド」
【14/05/04 精神科医師A
図書館での所蔵
Cinii Books で検索すると全国の大学図書館に所蔵されていますが、医学部はゼロです
http://ci.nii.ac.jp/ncid/BB13612576#anc-library

また、国立国会図書館サーチでも、主要公立図書館の所蔵が調査できます
http://iss.ndl.go.jp/ 】



こんにちは。
精神科医師Aさんから、図書館の情報をコメントして頂きました。
ありがとうございます。

25の大学図書館が「糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド」を所蔵してくれてました。

でも医学部はゼロなのですね。( ̄_ ̄|||)

そして、国立国会図書館サーチ(http://iss.ndl.go.jp/)、江部康二で検索すると、過去に出版したほとんど全ての本が出てきます。

また、過去医学雑誌に掲載された論文も、ファーストネームでもそれ以外でもほとんど網羅して出てきます。

これは便利ですね。

日本東洋医学会誌など、論文掲載されたのがいつだったかとか、うろ覚えだったのがここで確認できました。


江部康二


以下Cinii Books  から転載です。
http://ci.nii.ac.jp/ncid/BB13612576#anc-library

糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド
江部康二著

東洋経済新報社, 2013.8
タイトル別名
糖質制限食パーフェクトガイド : 糖尿病治療のための!
タイトル読み
トウニョウビョウ チリョウ ノ タメ ノ トウシツ セイゲンショク パーフェクト ガイド
大学図書館所蔵 25件

OPACリンクあり絞り込み結果:25件
愛知学泉大学 岡崎図書館
493.123/エ 220045167
青森県立保健大学 附属図書館
493.123||E13 00151475
麻布大学 附属学術情報センター図
11056870
大阪府立大学 羽曳野図書センター
3060013930
神奈川工科大学 附属図書館
493.12||E 111808929
近畿大学 農学部図書館農図
60047676
岐阜県立看護大学 図書館
61095334
岐阜女子大学 図書館
00105809
相模女子大学 附属図書館
493.12||E 1553107
四国大学 附属図書館
493.123 003250437
尚絅学院大学 図書館
493.123||Te 1157116
城西大学 水田記念図書館
5201350711
精華女子短期大学 附属図書館
493.12 000029900
仙台大学 図書館
H00014200
中部学院大学 附属図書館
493.123||EB 110207014
帝塚山大学 図書館 分館 (学園前キャンパス図書館)図
498.583//E13 2110026900
東京医療保健大学 附属世田谷図書館世田谷
117178
東京農業大学 図書館図
493.123||E13 00274490
名古屋文理大学 図書情報センター名図
493/E13 310001947
日本大学 国際関係学部図書館国際
493.123||E13 00427283Q
花園大学 情報センター(図書館)
493.123/E 13 00289122
広島女学院大学 図書館
493.123/Ebe 272098
藤女子大学 図書館 花川館
493.1||E13 213104102
北海道薬科大学 図書館・医薬情報センター
493.123||E 13 894354
三重短期大学 附属図書館
493.123||E 13 0093117


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
「糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド」のご案内
こんにちは。

長谷川さんから、「糖尿病パーフェクトガイド」を、全国の図書館に置いてもらう運動をしようと、コメントでご提案いただきました

ありがとうございます。m(_ _)m

「糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド」江部康二著
2013年8月 東洋経済新報社 

は、医療関係者向けに書きましたが、本が好きな人なら誰でも読めますので、全国の図書館に置いてあれば糖質制限食の普及に、とても役立つと思います。

医家向けの本なので、¥ 3,465と、やや高いです。o(_ _)o
でも図書館ならOKですね。



医師・医療関係者・専門的な知識を得たい人のための本です。

医療関係者に関係なく本好きの知識欲旺盛な人にもお奨めです。

エビデンスレベルの高い研究論文から、従来の糖尿病治療の限界を証明し、糖質制限食の有効性や安全性を実証しました。

論文も各章で整理して、読者が調べやすいように配慮してあります。

繰り返される非科学的な糖質制限食批判へも徹底反論しています。

引用文献が豊富ですので、糖質制限食批判に対して読者が反論するときには、かなりお役に立つと思います。

実際、複数の医師から

「よくまとまっている。整理されていて使いやすい。辞書がわりにも使える。糖質制限食批判への反論に便利・・・」

など、お褒めの言葉をいただきました。(^^)

糖質制限食勉強会の教科書として使っているという医師もおられ嬉しい限りでした。

実は、兄、江部洋一郎高雄病院名誉院長からも

「今度の本は今までで一番いいね」

と声をかけて貰いました。

兄から褒められた経験がほとんどないので、ちょっぴり嬉しかったです。 (^_^)

食事指導・投薬方針など、高雄病院で行われている治療の実際も公開し、これからの糖尿病治療、メタボ・肥満対策の具体的な指針を示しました。

平均血糖変動幅増大と食後高血糖の酸化ストレスリスクなども詳しく考察しています。

内容紹介

【主要目次】
第1章 糖質制限食に関するエビデンス
第2章 従来の糖尿病治療の限界を証明する研究
第3章 糖質制限食への批判に答える研究
第4章 生理学的な事実
第5章 生理学から見る糖質制限食の安全性
第6章 栄養学的な事実
第7章 糖質制限食の実際
第8章 糖質制限食の可能性


◆前帯コピー

医師をはじめ医療関者、専門的な知識を得たい人--必読!

もう、知らないではすまされない!

エビデンスレベルの高い最新研究から、従来の糖尿病治療の限界を証明し、糖質制限食の有効性や安全性を実証。
繰り返される非科学的な糖質制限食批判へも徹底反論。

食事指導・投薬方針など、高雄病院で行われている治療の実際も公開し、これからの糖尿病治療、メタボ・肥満対策の具体的な指針を示す。

◆後帯コピー

これからの糖尿病治療、メタボ・肥満対策のバイブル

三大栄養素の生理学的な事実から考えて、血糖コントロールの上で、従来の高糖質の治療食よりも糖質制限食のほうが有利となります。

さらに、体重減少、体内の脂質状況の改善についても効果があることは、複数の非常にエビデンスレベルの高い研究により証明されています。

近年、大きな注目を集めている、食後高血糖の防止、血糖変動幅の縮小、低血糖の予防に関しても、糖質制限食は抜群の効果があり、ますます評価が高まっています。

事実、欧米では、数々のエビデンスがあり、既に糖質制限食の有効性と安全性については認められていて、公式な治療食の選択肢の一つとなっています。

これからの糖尿病治療において、日本でも、糖質制限食は重要な選択肢となるでしょう。



以下は、「糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド」の「はじめ」にです。

糖質制限食とは

アメリカ糖尿病学会(ADA)によれば、食べ物が摂取され消化・吸収された後、糖質は100%が血糖に変わりますが、たんぱく質と脂質は血糖に変わりません。また、糖質は摂取直後から急峻に血糖値を上昇させ、2時間以内にほとんど吸収されます。これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的な特質です。

食事で糖質を摂取したときだけは血糖値が急上昇することになり、インスリンが大量に追加分泌されます。脂質を摂取してもインスリンの追加分泌はありませんし、たんぱく質を摂取したときにはごく少量の追加分泌があるだけです。

現在、糖尿病の治療において食後の急激な高血糖、すなわち「グルコーススパイク」が大きな問題として注目されています。食後高血糖が心筋梗塞や脳梗塞などの合併症の危険因子として認識されるようになったからです。

そして、食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけです。

1gの糖質摂取により、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値は3mg/dl上昇するとされています。茶碗一杯分に当たる150g(252Kcal)の白米飯には55.3gの糖質が含まれており、これを摂取すれば166mg/dlの血糖上昇が起こることになります。

ところが、牛サーロインステーキを200g(約1000Kcal)食べたとしても、糖質含有量は1g未満であり、食後高血糖をほとんど生じません。

なお、1型糖尿病の場合、1gの糖質摂取で、体重64kgの人の血糖値を5mg/dl上昇させるとされています。

 
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的な事実を基盤として、出来るだけ糖質の摂取を抑え、食後高血糖を防ぐというものです。米飯、麺類、パンなどの穀類や、イモ類など、糖質の多い食品を出来るだけ避ける食事となります。

なお、カロリー計算は原則的に不要ですが、摂取カロリーが無制限というわけではありません。

糖尿病学会の推奨する厳格なカロリー制限は必要ありませんが、身体活動レベルが低い場合は厚生労働省のいう標準的な範囲でのエネルギー摂取を行い、男性ならば1850~2250Kcal、女性ならば1450~1700Kcalを目安とします。

高雄病院で指導している糖質制限食の場合、一日の食事全てにおいて糖質を制限すると総カロリーにおける三大栄養素の比率は糖質12%、たんぱく質32%、脂質56%ほどになりますが、薬剤に頼ることなく速やかに血糖値改善が起こり、良好な血糖コントロールが可能です。

しかし、従来の糖尿病食の場合、糖質60%、たんぱく質20%、脂質20%という比率であり高糖質食となるため、一日の摂取カロリーを1200Kcalに抑えたとしても、食後高血糖を必ず生じます。白米飯と牛サーロインステーキの比較で明らかなように、高糖質食で食後高血糖を防ぐことは理論的に不可能です。

三大栄養素の生理学的な事実から考えて、血糖コントロールの上で従来の高糖質の治療食よりも糖質制限食のほうが有利となります。

さらに、体重減少、体内の脂質状況の改善についても効果があり、複数の非常にエビデンスレベルの高い研究により証明されています。

ここ数年で大きな注目を集めている低血糖の防止、血糖変動幅の縮小に関しても、糖質制限食は効果が高く、ますます治療効果への評価が高まっています。

これからの糖尿病治療において、糖質制限食は重要な選択肢となるでしょう。

本書は糖尿病および糖質制限食に関する主だった研究や知識を集めたものです。また、高雄病院で糖質制限食を10年余りにわたり指導してきた経験やデータもご紹介しております。医療関係者の皆様を初め、糖質制限食についてより詳しく知りたいと考えておられる方のご参考になるかと思っております。

なお、本書の内容は私のブログである「ドクター江部の糖尿病徒然日記」を中心に、これまでの講演会の内容やデータを加味する形で構成しています。ブログは5年以上を経過して内容が膨大になっておりますが、本書はそれを体系化しており、ブログをご覧いただく際にも便利かと思います。

糖質制限食を詳しく知っていただくためにも、またより有効に安全に実施していただくためにも、ぜひ活用していただきたいと願っております。


江部康二

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
血糖調節システム。空腹時、食後、正常人、糖尿人。2014年5月。
こんにちは

今回は、血糖調節システムについて検討してみます。

人体の血糖調節は、なかなか精妙で複雑なシステムにより維持されています。

血糖値は、

「食事」「肝臓によるグリコーゲン分解・糖新生と糖の取り込み」「運動」「ストレス」「インスリン・グルカゴンなどホルモン」「女性の生理」・・・

などなど、いろいろな要素が合わさって調節されています。


1) 空腹時

食物吸収が終了した直後(食事開始2時間後)には、肝臓のグリコーゲン分解が、循環血液中に入るブドウ糖の主要な供給源です。

食後数時間が経過し、絶食状態が持続すると、血糖値維持のために、筋肉など多くの組織のエネルギー源は、ブドウ糖から脂肪酸やケトン体に変わります。

そして、ブドウ糖の供給源は、肝のグリコーゲン分解から糖新生(*)に切り替わります。

なお、筋肉には「グルコース6リン酸→グルコース」 とする回路がないので筋肉中のグリコーゲンからはグルコース(ブドウ糖)は作れません。


2) 主食摂食時(糖質あり)

血糖値を上昇させるのは、糖質・脂質・タンパク質のうち、糖質だけです。

糖質摂食時には、消化管から吸収されたブドウ糖は、門脈血からまず肝臓に約50%取り込まれ、それ以外が血液の大循環に回ります。

肝細胞でのブドウ糖取り込み自体は、糖輸送体Glut2(**)を介して行われ、インスリン追加分泌とは関係ありません。

しかし、肝に取り込まれたブドウ糖は、インスリンによりグリコーゲンとして蓄えられます。

糖質を摂取して血糖値が上昇すれば、正常人では速やかにインスリンが追加分泌されます。この場合、追加分泌は基礎分泌の数倍~30倍レベルの大量となります。

例えば基礎分泌が5μU/mlなら追加分泌は、30~150μU/mlとかです。

肝臓に取り込まれなかったブドウ糖は、肝静脈から血中に入り、動脈血中に入ったブドウ糖は、インスリン追加分泌により細胞表面に移動した糖輸送体GLUT4により、骨格筋や脂肪細胞に取り込まれます。骨格筋が、約70%の血糖を取り込みます。
これにより血糖値も速やかに下がります。

筋肉中に取り込まれた血糖は、エネルギー源として使われ、残りはグリコーゲンとして蓄えられます。

取り込まれず余った血糖は、インスリンにより脂肪組織か肝臓に取り込まれ、中性脂肪に変換され蓄えられます。

インスリン濃度が高いと、血液中の中性脂肪の脂肪細胞への取り込みも促進されます。

インスリンが肥満ホルモンたる所以です。

糖尿人では、<肝臓のグリコーゲン分解と糖新生>が摂食時にも抑制されにくいので、食後高血糖となります。

また糖尿人は、門脈血からの肝臓のブドウ糖取り込みも低下しているので、この面でも食後高血糖を起こしやすいのです。

さらに糖尿人の場合は、血液中のブドウ糖(食後高血糖)は、<インスリン分泌不足>と<筋肉や脂肪細胞におけるインスリン抵抗性>により、処理されにくいので、食後高血糖が遷延します。

また、インスリン作用不足による脂質代謝異常、アミノ酸代謝異常、高血糖そのものによるインスリン作用低下、インスリン拮抗ホルモン優位など、様々な因子が重なり合って、高血糖が持続します。

さらに、糖尿人の一部においては、胃不全麻痺(***)による内容物の排出遅延があり、吸収も遅延して通常よりかなり遅れて血糖値が上昇することがあります。


3) 糖質制限食を摂取時(糖質がごく少量)

糖質摂取が野菜分のごく少量なので、食後血糖値はほとんど上昇しません。

追加分泌インスリンもごく少量で、基礎分泌の2倍くらいです。

正常人で基礎分泌が5μU/mlなら追加分泌は、10μU/mlとかです。

糖質制限食を摂取時は、食事している最中にも脂質が常に燃えています。

また食事中にも、肝臓でアミノ酸などから糖新生も行われています。

このため糖質摂取がごく少量でも低血糖にはならないのです。

糖尿人が糖質制限食を実践すれば、食後高血糖が改善しますが、糖新生により低血糖にはなりません。

正常人が糖質制限食を実践すれば、食後血糖値は正常値の範囲で低めとなります。

例えば正常人で食後1時間のピークの血糖値は、

糖質ありでは、130~160mg/dl
糖質制限ならせいぜい110~120mg/dl

くらいです。

勿論、肝臓で糖新生しますので、低血糖にはなりません。


4) 運動時

安静時には、インスリンの基礎分泌はありますが少量なので、糖輸送体(Glut4)は細胞表面に出てこれず、筋肉細胞・脂肪細胞は血糖をほとんど取り込まめません。

運動時(筋収縮時)には筋肉細胞の糖輸送体(Glut4)がインスリン追加分泌がなくても細胞表面に移動して、血糖を取り込むことが可能となり、血糖値が下がります。

筋肉細胞が血糖を取り込んでエネルギー源とした後、筋肉中のグリコーゲンが満杯になれば、取り込みはストップします。

脂肪細胞は、運動には無関係です。

ジョギングや歩行ていどの軽い運動が適切とされています。

糖尿人でインスリンの基礎分泌があるていど以上不足していると、運動によりかえって血糖値が上昇することがあるので注意が必要です。

バーンスタイン医師によれば、個人差はありますが、空腹時血糖値170mg/dlを超えているような場合は、そのような可能性があるとのことです。

また、強度の強い運動だと、アドレナリンや副腎皮質ホルモンなどのインスリン拮抗ホルモンが分泌されますので、血糖値が上昇することがあります。


4) ストレス

急性のストレスがあると、アドレナリン、グルカゴン、副腎皮質ステロイドホルモンなど血糖値を上げるホルモンが分泌されますので血糖値が上昇します。


血糖値は、1)、2)、3)、4)などの因子が複雑に絡み合ったシステムにより調節されています。

たかが血糖値されど血糖値、なかなか一筋縄ではいきませんね。



(*)糖新生
①脂肪組織→グリセロール(中性脂肪の分解物)→肝臓→糖新生→脂肪組織・筋肉
②筋肉→アミノ酸→肝臓→糖新生→筋肉・脂肪組織
③ブドウ糖代謝→乳酸→肝臓→糖新生→筋肉・脂肪組織

①②③はごく日常的に誰でも行っており、肝臓、筋肉、脂肪組織の間で行ったり来たり、日々糖新生の調節が行われているわけです。
糖新生の調整は、インスリンが行っています。
インスリンは、強力な糖新生抑制因子です。
インスリン不足だと肝臓がブドウ糖をつくり過ぎることになります。


(**)糖輸送体(Glut:glucose transporter)
ブドウ糖が細胞膜を通過して細胞内に取り込まれるためには、
グルコーストランスポーター(糖輸送体)と呼ばれる膜蛋白が必要です。

Glut1~Glut14が報告されています。
Glut1(脳、赤血球、網膜などの糖輸送体)はインスリン非依存性です。
Glut2(肝臓、膵臓のβ細胞などの糖輸送体)はインスリン非依存性です。
Glut4(筋肉細胞、脂肪細胞の糖輸送体)はインスリン依存性です。


(***)胃不全麻痺
バーンスタイン医師(米国の1型糖尿病の医師で糖質制限食実践中)の本にも記載されている<胃排泄遅延・胃不全麻痺>が年期の入った糖尿人ではありえます。

欧米人には、胃不全麻痺が結構多いようですが日本人でも当然ありえます。

胃不全麻痺のある糖尿人は、夕食を午後6時頃食べても、胃からの排泄が遅延して吸収が遅くなり、通常よりかなり遅れて血糖値が上昇することがあります。

そのため翌朝の空腹時血糖値が高値となることがあります。




江部康二


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
非小細胞肺がんⅣ期の患者さんとケトン食、臨床研究のお知らせ
こんばんは。

非小細胞肺がんⅣ期の患者さんとケトン食、臨床研究についてのお知らせです。

対象は、非小細胞肺がんⅣ期の患者さんです。

化学療法や放射線治療を実施していてもOK、あるいは化学療法や放射線なしの未治療でもOKです。

非小細胞肺がんⅣ期の患者さんに、一定の治療効果を期待してケトン食(脂質75~80%)を食事療法として実践してみるという試みです。

具体的には、大阪大学大学院医学系研究科 漢方医学寄附講座 萩原圭祐先生の外来にて、「非小細胞肺がんⅣ期」の患者さんとケトン食、2013年4月から臨床研究開始となりました。私もアドバイザーとして研究に参加しています。

ケトン食は、私の実践しているスーパー糖質制限食をさらに厳しくした食事療法です。

動物実験レベルでは、ケトン体高値にがん細胞抑制効果が確認されています。

ケトン食はもともとは、難治性小児てんかんの治療食で、1920代から欧米や日本で実施されています。

「コクラン ライブラリー 2010年版」「英国立医療技術評価機構・2011年版」に、小児てんかんの治療食として正式採用されました。

「アイオワ大学+NIH(米国国立衛生研究所)」で、同様のケトン食研究(非小細胞肺がんⅣ期)が、2011年8月から開始されています。

「非小細胞肺がんⅣ期」で、ケトン食による治療に興味がある患者さんがおられましたら

大阪大学大学院医学系研究科
漢方医学寄附講座
萩原圭祐先生

の大阪大学漢方外来に、予約して受診していただけば幸いです。

☆外来受診は完全予約性です。

☆阪大病院保健医療福祉ネットワーク部に主治医からご連絡頂くことが必要です。

阪大病院保健医療福祉ネットワーク部
 http://www.hosp.med.osaka-u.ac.jp/institution/apply.html
 TEL 06-6879-5080 FAX 06-6879-5081

受付時間 (月~金 9:00~16:00)以降のお申し込みの返信は、
原則翌日(金曜日は翌週)となります。

☆診療情報提供書を必ずご持参ください。

☆「肺の小細胞がん」及び「肺がん以外のがん」は、対象となりません。

☆「非小細胞肺がんⅣ期」の患者さんだけが対象となります。

☆外来で研究内容の説明を聞いていただき、同意を得た上で治療開始となります。

また、途中で中止も可能です。現在、募集人数には余裕があります。

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
日本糖質制限医療推進協会主催 岡山講演会 5月11日(日) ご案内
こんにちは。

ブログ読者の皆さんには、交流会、講演会などいつも多数ご参加いただきありがとうございます。

一般社団法人日本糖質制限医療推進協会主催の『一般向け岡山講演会』
既に70名のご予約をいただき、嬉しい限りです。

今回は、会場を余裕を持って設定したので、合計90名くらいまでいけますのでまだ大丈夫です。

岡山近隣の糖尿人、メタボ人、糖質セイゲニストの皆さん、是非奮ってご参加下さいね。


現代人は知らないうちに糖質過多な食生活を送っています。。

それによって糖尿病・メタボなど様々な生活習慣病が引き起こされています。

「糖質摂取が何故良くないか」そのメカニズムわかりやすく説明し、対して人類本来の食事といえる糖質制限食の有効性と可能性について具体的にお話しします。

そして糖尿病患者さんの血液検査データも豊富に紹介します。

同一摂取カロリーで揃えた「従来の糖尿病食 VS スーパー糖質制限食」の血糖値の日内変動データ比較は圧巻です。

食後高血糖と平均血糖変動幅に関しては、糖質制限食の圧勝で、その差は「月とスッポン」です。

米国糖尿病学会が2008年以来5年ぶりに、成人糖尿病患者の食事療法に関する声明(Position Statement on Nutrition Therapy)を改訂しました。(Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版)

2013年10月の米国糖尿病学会の栄養療法の声明は画期的なものであり、
全ての糖尿病患者に適した“one-size-fits-all(唯一無二の)”食事パターンは存在しない
との見解を表明しました。

このことは、食品交換表1969年の第2版以降、唯一無二の食事療法(カロリー制限食)を推奨し続けている日本糖尿病学会に対する痛烈な批判となっています。

そして、患者ごとにさまざまな食事パターン〔地中海食,ベジタリアン食,糖質制限食,低脂質食,DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食〕が受容可能であるとしています。

糖質制限食もちゃんと認められていて、日本における糖質制限食の普及においてこの上ない追い風です。

極めて重要なことですが、糖尿病合併症を防ぐには、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じないことが必要不可欠です。

しかしながら糖質を摂取すれば、必ず「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じます。

すなわち、従来の糖尿病食(高糖質食)では、糖尿病合併症を防ぐことは理論的に不可能なのです。

「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じない唯一の食事療法が、糖質制限食なのです。

年間
16000人が糖尿病腎症から透析 → 医療費800億円、
3000人が糖尿病網膜症から失明
3000人が糖尿病足病変から足切断

というのが厳しい現実です。

このように合併症に苦しむ多数の糖尿病患者さんの存在そのものが、「日本糖尿病学会主導の従来の糖尿病治療が決して上手くいっていない」ことの動かぬ証拠と言えます。

糖尿病合併症を生じさせないためには、糖尿人の皆さんは自分自身の頭で考えて身を守ることが必要です。

本講演では、糖尿病を中心に糖質制限食の有効性・安全性をわかりやすく説明します。

また生活習慣病やがんへの糖質制限食の有効性・可能性にも少し言及します。

わかりやすいお話しを目指しますので、お近くの方々は是非ご参加くださいね。

岡山では、提携医療機関がまだないので、糖質制限食に興味ある医師のご参加も歓迎です。

医師の方は、前もって事務局にご連絡いただけば助かります。

よろしくお願い申し上げます。


江部康二



以下、事務局からのご案内です。

ブログ読者の皆様、講演会へいつも多数ご参加いただきまして
ありがとうございます。

5月11日(日)に、岡山で一般向けの講演会を開催いたします。
中国地方の皆様をはじめ、多数のご参加を心よりお待ち申し上げております。


//////////////////ご案内////////////////////

一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会主催 講演会(岡山)
「糖質制限食の有効性・可能性 ―糖尿病・メタボ・生活習慣病・がん・・・―」

◆日時: 2014年5月11日(日) 14:00~16:30頃 ※入場受付(開場)は、13:40~

◆会場: 岡山市民会館 4階大会議室
     岡山県岡山市北区丸の内2丁目1番1号
     http://www.okayama-shiminkaikan.jp/access.html

     ☆アクセス:路面電車の岡山駅前(停留所)で「東山行き」に乗車。
           城下(停留所)で下車して下さい。下車後徒歩3分です。
          (岡山駅前→城下の所要時間は5分です。)


◆講演① 『糖質制限のすすめ』 講師:瀬尾 一史 瀬尾クリニック院長

糖尿病は予備軍まで含めると約2100万人の患者がいるといわれています。
糖尿病の成因は食後の高血糖といわれていますが、食後の高血糖を
生じない糖質制限食は糖尿病に有効な食事療法であると考えられます。
当クリニックでは平成24年より糖尿病患者に糖質制限食を勧めています。
基本的には夕食のみ主食を抜くプチ糖質制限食から始めています。
治療効果は糖尿病の無治療群では比較的良好で、薬物治療群では
薬の減量ないし中止に至った症例が半数以上認められました。
今回、これらの症例について、さらに家庭や外食での糖質制限食のコツ
などについてお話しします。

(講師略歴)
昭和29年、11月17日福山市生まれ。
昭和56年、奈良県立医科大学卒業。
同年4月、広島大学医学部泌尿器科学教室入局。
      国立福山病院、広島大学付属病院、国立呉病院に勤務。
平成4年、学位取得
平成5年11月、福山市今津町に瀬尾クリニックを開業。
平成18年4月より、日本臨床泌尿器科医会 理事に就任。
平成18年2月より、傷、火傷に対して湿潤療法を開始。
平成24年2月より、糖尿病に対して糖質制限食を開始。


◆講演② 『糖質制限食の有効性・可能性 ―食のパラダイムシフト―
       ~糖尿病・メタボ・生活習慣病・がん・・・~』
講師:江部康二 (一財)高雄病院理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会理事長

糖質制限食は、米飯・めん類・パンや芋類などの糖質が多い食品を
食べないで、肉や魚貝や豆腐や葉野菜などをしっかり摂取する食事療法です。
糖質制限食は、実は人類本来の食事、いわば人類の健康食ですので、
糖尿病をはじめとして様々な生活習慣病が改善します。
今回は、糖尿病を中心に糖質制限食の有効性・安全性を分かりやすく説明します。
また、生活習慣病やがんへの有効性・可能性にも言及します。


◆受講費: 賛助会員 2,500円 / 一般(非会員) 2,900円

◆お支払い方法:クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。

◆お申し込み方法:
 ・賛助会員の方
  事務局までメールにてお申し込み下さい。

 ・賛助会員入会をご希望の方
  1.入会案内および会員規約をお読み下さい。
   http://toushitsuseigen.or.jp/member.html

  2.お申し込みはこちらのフォームからお願いします。
   http://toushitsuseigen.or.jp/contact.php
   「お問い合せ内容」欄に「5/11岡山講演会、受講希望」とご記入下さい。

 ・一般(非会員)で、講演会の受講のみご希望の方
  こちらのフォームよりお申し込み下さい。
  https://ssl.form-mailer.jp/fms/9cbd1ef7287071

◆お申し込みの流れ:
 1.会員の方はメールにて、会員以外の方は各種フォームにてご連絡下さい。
 2.事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
 3.入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
 4.当日、直接会場までお越し下さい。

◆その他:
 ・予約制です。当日参加はできません。
 ・キャンセルは5月8日(木)までにご連絡願います。
  それ以降の返金には対応致しかねますので予めご了承ください。


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット