2014年04月30日 (水)
こんばんは
今日は、脂肪肝のお話です。
脂肪肝(しぼうかん)とは、文字通り肝臓に脂肪が蓄積した状態です。
近年、30代~40代を中心に増加傾向にあります。
脂肪肝は
1)非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD:nonalcoholic fatty liver disease)
a)単純脂肪肝 肥満などによるもの
b)非アルコール性脂肪性肝炎(NASH:Non-Alcoholic SteatoHepatitis)
2)アルコール性脂肪肝 飲酒によるもの
3)妊娠に伴うもの 急性妊娠性脂肪肝(AFLP)
AFLP:Acute Fatty Liver of Pregnancy
などにわけられます。
NAFLD(nonalcoholic fatty liver disease、非アルコール性脂肪肝疾患)は、アルコールを原因としない脂肪肝です。
NAFLDの8割から9割は炎症や線維化を伴わない「単純性脂肪肝」です。
多くは肥満が関係します。単純脂肪肝の予後は良好です。
非アルコール性の脂肪肝はかつては、放置してもさしたることはないと言われていましたが、近年、上述の「NASH」が認識されるようになり、様相が一変しました。
非アルコール性脂肪性肝炎(Non-alcoholic steatohepatitis)を略してNASHです。
NASHは、肝炎から肝硬変や肝臓癌に進展することもあり、結構こわいのです。NAFLDの1割くらいが、NASHです。
単純性脂肪肝からNASHへ進行することもあります。
肝臓に脂肪が蓄積→脂肪肝→非アルコール性脂肪性肝炎→肝硬変→肝癌
B型ウィルスやC型ウィルスや飲酒以外に、NASHからも肝癌になり得るので、ゆめゆめ油断は禁物なのです。
脂肪肝の根本要因は、脂質ではなく糖質です。
①糖質を摂取すると血糖値が上昇します。
②血糖値が上昇すると追加分泌のインスリンが大量に分泌されます。
③追加分泌インスリンにより、筋肉細胞の糖輸送体が内部から細胞表面に移動します。
④筋肉細胞の糖輸送体(Glut4)により血液中のブドウ糖は細胞内に取り込まれます。
⑤まずエネルギー源として利用し、次いでグリコーゲンとして筋肉中に蓄えます。
⑥筋肉細胞に取り込まれずに、血液中で余ったブドウ糖は全て中性脂肪に変わり、
脂肪細胞や肝臓に蓄えられます。
このように、追加分泌のインスリンが大量・頻回に出ることが、脂肪肝や肥満の根本要因であり、インスリンが肥満ホルモンと言われる所以です。
血糖値を上昇させるのは、3大栄養素「糖質・脂質・タンパク質」のうち、糖質だけです。
脂質・タンパク質は血糖値を上昇させません。
追加分泌インスリンが大量に必要となるのは、糖質摂取時だけです。
タンパク質は、ごく少量の追加分泌インスリンを分泌させます。
脂質は、追加分泌インスリンを分泌させません。
脂肪肝も内臓脂肪肥満もメタボリック・シンドロームも、糖質の頻回・過剰摂取によるインスリンの頻回・過剰分泌が根本要因と思います。
内臓脂肪肥満やメタボになれば、インスリン抵抗性も出現してきて、血糖値を正常に保つために基礎分泌インスリンの量も増加します。
このようにして、インスリン追加分泌も基礎分泌も過剰になり、ますます、脂肪肝や内臓脂肪肥満やメタボリック・シンドロームは進行して悪循環に陥ります。
上述の如く人体の生理・栄養・代謝面から理論的に考えてみると、
<糖質→食後血糖値上昇→追加分泌インスリン大量分泌→中性脂肪合成→脂肪肝・肥満>
ということが明確に理解できます。
つまり、糖質を普通に食べていたら、少々のカロリー制限をしても、脂肪肝が改善することは極めて困難なのです。
一方、糖質制限食実践で、例えば肉・魚・豆腐などを摂取すれば、当然高脂質・高タンパク食となりますが、この間常に脂肪が分解されエネルギー源として使われています。
つまり、糖質制限食を食べている最中にも同時に中性脂肪が分解されて脂肪酸やケトン体になり、骨格筋・心筋・内臓でエネルギー源として利用されているのです。
この「脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム」が日常的に利用されているのが、人類本来の姿であり、農耕前の700万年間はずっとそうでした。
糖質制限食で脂肪が分解されていた人が、糖質を摂取して血糖値が上昇すると、
「糖質制限食→中性脂肪分解→脂肪酸・ケトン体→骨格筋・心筋・内臓のエネルギー源」
というパターンが
「糖質摂取→血糖値上昇→追加分泌インスリン大量分泌→中性脂肪合成」
というパターンに変化し、脂肪肝・肥満につながるわけです。
私自身、2002年の糖尿病発覚の時点で、メタボリックシンドロームの基準を満たしていました。
<身長167cm 体重66kg 高血圧140~180/90~110 腹囲86cm>
スーパー糖質制限食実践半年で10kg減量して56kg。
血圧は140~180/90~110 → 120~130/70~80。
メタボリックシンドロームの基準が全て正常になりました。
内臓脂肪CT126cm2 → 70cm2 (正常は100未満)
となりました。
腹部エコーでも脂肪肝は改善しました。
私だけでなく多くの脂肪肝の患者さんがスーパー糖質制限食で速やかに改善しています。
ブログ読者の脂肪肝の皆さん、安心して魚も肉も卵も野菜もしっかり食べて、美味しく楽しくスーパー糖質制限食で、脂肪肝改善を目指して下さいね。
なお、急性妊娠性脂肪肝(AFLP)はまれな疾患(6000~7000妊娠に1例ていど)ですが、重篤となることもあり注意が必要です。
AFLPは理論的には糖質制限食で予防できると思います。
江部康二
今日は、脂肪肝のお話です。
脂肪肝(しぼうかん)とは、文字通り肝臓に脂肪が蓄積した状態です。
近年、30代~40代を中心に増加傾向にあります。
脂肪肝は
1)非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD:nonalcoholic fatty liver disease)
a)単純脂肪肝 肥満などによるもの
b)非アルコール性脂肪性肝炎(NASH:Non-Alcoholic SteatoHepatitis)
2)アルコール性脂肪肝 飲酒によるもの
3)妊娠に伴うもの 急性妊娠性脂肪肝(AFLP)
AFLP:Acute Fatty Liver of Pregnancy
などにわけられます。
NAFLD(nonalcoholic fatty liver disease、非アルコール性脂肪肝疾患)は、アルコールを原因としない脂肪肝です。
NAFLDの8割から9割は炎症や線維化を伴わない「単純性脂肪肝」です。
多くは肥満が関係します。単純脂肪肝の予後は良好です。
非アルコール性の脂肪肝はかつては、放置してもさしたることはないと言われていましたが、近年、上述の「NASH」が認識されるようになり、様相が一変しました。
非アルコール性脂肪性肝炎(Non-alcoholic steatohepatitis)を略してNASHです。
NASHは、肝炎から肝硬変や肝臓癌に進展することもあり、結構こわいのです。NAFLDの1割くらいが、NASHです。
単純性脂肪肝からNASHへ進行することもあります。
肝臓に脂肪が蓄積→脂肪肝→非アルコール性脂肪性肝炎→肝硬変→肝癌
B型ウィルスやC型ウィルスや飲酒以外に、NASHからも肝癌になり得るので、ゆめゆめ油断は禁物なのです。
脂肪肝の根本要因は、脂質ではなく糖質です。
①糖質を摂取すると血糖値が上昇します。
②血糖値が上昇すると追加分泌のインスリンが大量に分泌されます。
③追加分泌インスリンにより、筋肉細胞の糖輸送体が内部から細胞表面に移動します。
④筋肉細胞の糖輸送体(Glut4)により血液中のブドウ糖は細胞内に取り込まれます。
⑤まずエネルギー源として利用し、次いでグリコーゲンとして筋肉中に蓄えます。
⑥筋肉細胞に取り込まれずに、血液中で余ったブドウ糖は全て中性脂肪に変わり、
脂肪細胞や肝臓に蓄えられます。
このように、追加分泌のインスリンが大量・頻回に出ることが、脂肪肝や肥満の根本要因であり、インスリンが肥満ホルモンと言われる所以です。
血糖値を上昇させるのは、3大栄養素「糖質・脂質・タンパク質」のうち、糖質だけです。
脂質・タンパク質は血糖値を上昇させません。
追加分泌インスリンが大量に必要となるのは、糖質摂取時だけです。
タンパク質は、ごく少量の追加分泌インスリンを分泌させます。
脂質は、追加分泌インスリンを分泌させません。
脂肪肝も内臓脂肪肥満もメタボリック・シンドロームも、糖質の頻回・過剰摂取によるインスリンの頻回・過剰分泌が根本要因と思います。
内臓脂肪肥満やメタボになれば、インスリン抵抗性も出現してきて、血糖値を正常に保つために基礎分泌インスリンの量も増加します。
このようにして、インスリン追加分泌も基礎分泌も過剰になり、ますます、脂肪肝や内臓脂肪肥満やメタボリック・シンドロームは進行して悪循環に陥ります。
上述の如く人体の生理・栄養・代謝面から理論的に考えてみると、
<糖質→食後血糖値上昇→追加分泌インスリン大量分泌→中性脂肪合成→脂肪肝・肥満>
ということが明確に理解できます。
つまり、糖質を普通に食べていたら、少々のカロリー制限をしても、脂肪肝が改善することは極めて困難なのです。
一方、糖質制限食実践で、例えば肉・魚・豆腐などを摂取すれば、当然高脂質・高タンパク食となりますが、この間常に脂肪が分解されエネルギー源として使われています。
つまり、糖質制限食を食べている最中にも同時に中性脂肪が分解されて脂肪酸やケトン体になり、骨格筋・心筋・内臓でエネルギー源として利用されているのです。
この「脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム」が日常的に利用されているのが、人類本来の姿であり、農耕前の700万年間はずっとそうでした。
糖質制限食で脂肪が分解されていた人が、糖質を摂取して血糖値が上昇すると、
「糖質制限食→中性脂肪分解→脂肪酸・ケトン体→骨格筋・心筋・内臓のエネルギー源」
というパターンが
「糖質摂取→血糖値上昇→追加分泌インスリン大量分泌→中性脂肪合成」
というパターンに変化し、脂肪肝・肥満につながるわけです。
私自身、2002年の糖尿病発覚の時点で、メタボリックシンドロームの基準を満たしていました。
<身長167cm 体重66kg 高血圧140~180/90~110 腹囲86cm>
スーパー糖質制限食実践半年で10kg減量して56kg。
血圧は140~180/90~110 → 120~130/70~80。
メタボリックシンドロームの基準が全て正常になりました。
内臓脂肪CT126cm2 → 70cm2 (正常は100未満)
となりました。
腹部エコーでも脂肪肝は改善しました。
私だけでなく多くの脂肪肝の患者さんがスーパー糖質制限食で速やかに改善しています。
ブログ読者の脂肪肝の皆さん、安心して魚も肉も卵も野菜もしっかり食べて、美味しく楽しくスーパー糖質制限食で、脂肪肝改善を目指して下さいね。
なお、急性妊娠性脂肪肝(AFLP)はまれな疾患(6000~7000妊娠に1例ていど)ですが、重篤となることもあり注意が必要です。
AFLPは理論的には糖質制限食で予防できると思います。
江部康二
2014年04月29日 (火)
【14/04/29 かわの
アトピーとプロトピック
本ブログとはずれるとは思いますが…
ある時期アトピー治療のメッカでもあった高雄病院
当時プロトピック日本一の処方量を誇る?江部先生に是非現在の忌憚ないお考えをお聞きしたくコメントしました。
今はどういうスタンスでおられるのでしょうか?
発売当初よりプロトピックを使用し13年以上が経とうとしていますが…】
こんばんは。
かわのさんから、高雄病院のアトピー治療とプロトピック軟膏についてコメント・質問をいただきました。
プロトピック軟膏は1999年11月に世界で初めて、日本で発売されました。
その後、欧米でも発売され、米国ではプロトピックは
「人生を変える薬:life changing medicine」
と呼ばれたことがあります。
高雄病院には2014年現在も、たくさんのアトピー患者さんが来院されます。
アトピーの外来患者さんは今も一番多いですし、入院患者さんも糖尿病についで多いです。
高雄病院方式のアトピー性皮膚炎治療は 、入院しての「アトピー学校」につきると思います。
アトピー学校とは1995年から開始された「アトピー治療のための教育プログラム」です。
1999年からプロトピック軟膏が使えるようになり、アトピー患者さんの改善率や治癒率は劇的に向上しました。
<漢方治療+食事療法+ステロイド外用薬+プロトピック軟膏>により、アトピー性皮膚炎の根治を目指すのが高雄病院のアトピー性皮膚炎治療です。
15年間プロトピック軟膏を日本で一番多く使ってきて、まさに人生を変える力のある素晴らしい薬と認識しています。
高雄病院アトピー学校では、まずは入院していただき、漢方生薬や漢方エキスを内服して、ステロイド外用薬やプロトピック軟膏を塗布して、症状のコントロールをします。
そのあとは、退院したあともコントロール良好が保てるように、食生活、外用薬の上手なぬりかた・やめかた、漢方薬の役割など・・・、アトピーの自己管理に必要な知識や技を入院中に学んでもらい、また体験していただきます。
高雄病院アトピー学校で、アトピーを治すというよりも、アトピーの根本的な治し方を学んでいただくということですね。
入院してアトピーの皮膚症状が良くなるのは、ある意味当たり前なのですが、退院後もその良い状態を保つことは結構難しいことなのです。
他の病院と高雄病院の入院治療における一番大きな違いは、退院後の自己管理のための教育システムがあるかないかです。
この入院システムを学校と呼んでいるのは、教育の意味が大きいからなのです。
また、食生活(高雄病院食生活十箇条)指針の提供・勉強や漢方薬の投与も、他の病院とはひと味違う特徴です。
ともあれ、皮膚のコントロール良好の状態を保ち続けることが根治への道です。
表皮細胞は表面から、角層、顆粒層、有刺層、基底層の順に並んでいます。
一番表面の角層は約10層からなり、皮膚のバリア機能を担っています。
基底細胞が分裂して、娘細胞が生まれて表皮表面で脱落するまでの時間を
ターンオーバー時間と呼び、約45日と言われています。
ターンオーバーの速度ですが、細胞分裂を繰り返し、上へ上へと押し上げられ、
角質に到達するまで約14日間、そして表層でバリアとして活躍し、垢としてはがれ落ちるまでに14日間、
合計でおよそ28日間で生まれ変わるという説もあります。
一方、28日周期は20代のサイクルで、年齢とともに徐々に遅くなるとも言われています。
アトピー性皮膚炎では、もともとバリア機能に問題があり、
慢性に表皮に皮膚炎を繰り返して、
皮膚が分厚くなる苔癬化や色素沈着を生じていることが多いのですが、
そうなるとますます皮膚バリア機能が悪くなって悪循環します。
幸い、表皮にはターンオーバー機能があるので、
掻きむしったり慢性炎症で乱れた細胞も必ず入れ替わっていきます。
一般にアトピーは治りにくいと言われていますが、コントロール良好を保ちバリア機能回復まで持って行ければ、
その部位の皮膚に関しては、根本的治癒も夢ではありません。
バリア機能回復までに要する期間は、
罹病期間や重症度により個人差はありますが、経験的には半年~1年くらいが一つの目安です。
よく「アトピーは治りにくいから一生付き合うつもりで・・・。」とか医師が言うことがあるのですが、
そんなことはありません。
皮膚炎を繰り返せば、いつまで経っても治りませんが、悪循環を断ち切り皮膚炎を繰り返さずにコントロール良好を維持すれば、
ターンオーバー機能により表皮はバリア機能を回復して、いくらでも治るのです。
コントロール良好を維持するため、おおいに役に立つのがプロトピック軟膏なのです。
漢方生薬やエキス治療も、皮膚が赤く熱をもって腫れている炎症が主の時は、熱をとり腫れを退かせる対症療法が中心です。
症状がコントロールできたあとは、細胞が早く入れ替わるように、気の巡り、血の巡りをよくするような生薬に、シフトさせていきます。
食生活や漢方薬で身体の中から、良い細胞に早く入れ替わるようサポートし、プロトピック軟膏を中心に時々ステロイド軟膏も使用し、掻爬行為を予防して、アトピーの根本的治癒を目指すのが、高雄病院方式のアトピー治療です。
なお、食生活に関してですが、糖質制限食でも勿論アトピーは良くなることが多いですが、糖尿病ではありませんので、未精製穀物を主食として適量摂取する高雄病院食生活十箇条でもいいと思います。
江部康二
(*)
『高雄病院食生活十箇条』 -アレルギー疾患の治療や生活習慣病予防に-
一、主食は未精製の穀物(玄米、全粒粉のパンなど)を運動量に応じて適量
二、白パン・白砂糖など精製炭水化物の摂取は極力減らす
三、発酵食品(味噌、漬け物、納豆など)をきちんと食べる
四、液体でカロリーを摂らない(飲みものは水、番茶、麦茶、ほうじ茶など)
五、魚貝類はしっかり食べ、肉類は適量を摂る
六、季節の野菜や海草はしっかり食べ、旬の果物も適量摂る
七、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)など身体に良い油脂は積極的に摂る
八、牛乳は少量とし、チーズやプレーンヨーグルトは適量摂る
九、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ
十、食事は楽しく、ゆっくり、よくかんで
(**)<ブドウ糖スパイクとブドウ糖ミニスパイク>
空腹時血糖値と食後血糖値の差が大きいことを「ブドウ糖スパイク」といいます。
糖尿病の人が糖質を摂取すればブドウ糖スパイクは100~200,300mg/dlとなり、リアルタイムに血管内皮に悪影響をあたえ、
将来の動脈硬化や心筋梗塞のリスクとなります。
正常の人でも白いパンなど精製された糖質を食べると、60~70mgのブドウ糖ミニスパイクを生じて代謝が乱れます。ミニスパイクの度にインスリンが大量に追加分泌されます。
基礎分泌の10~30倍レベル、インスリンが追加分泌される事態は、救急車の出動に等しいととらえるのが正確と思います。(=_=;)
このブドウ糖ミニスパイクとインスリン追加分泌を毎日頻回に繰り返すことが、アトピー性皮膚炎や糖尿病など生活習慣病の根本要因と私は考えています。
玄米なら、正常の人だと20~40mgしか血糖を上昇させず、代謝が安定します。
しかし、残念ながら糖尿病になってしまったら、私自身でも明らかなように、玄米でも100~200mgのブドウ糖スパイクを起こしてしまうので、スーパー糖質制限食が必要となるのです。
スーパー糖質制限食なら、血糖値の上下動は正常人ではほとんどなくなり、糖尿人でも少なくなります。
アトピーとプロトピック
本ブログとはずれるとは思いますが…
ある時期アトピー治療のメッカでもあった高雄病院
当時プロトピック日本一の処方量を誇る?江部先生に是非現在の忌憚ないお考えをお聞きしたくコメントしました。
今はどういうスタンスでおられるのでしょうか?
発売当初よりプロトピックを使用し13年以上が経とうとしていますが…】
こんばんは。
かわのさんから、高雄病院のアトピー治療とプロトピック軟膏についてコメント・質問をいただきました。
プロトピック軟膏は1999年11月に世界で初めて、日本で発売されました。
その後、欧米でも発売され、米国ではプロトピックは
「人生を変える薬:life changing medicine」
と呼ばれたことがあります。
高雄病院には2014年現在も、たくさんのアトピー患者さんが来院されます。
アトピーの外来患者さんは今も一番多いですし、入院患者さんも糖尿病についで多いです。
高雄病院方式のアトピー性皮膚炎治療は 、入院しての「アトピー学校」につきると思います。
アトピー学校とは1995年から開始された「アトピー治療のための教育プログラム」です。
1999年からプロトピック軟膏が使えるようになり、アトピー患者さんの改善率や治癒率は劇的に向上しました。
<漢方治療+食事療法+ステロイド外用薬+プロトピック軟膏>により、アトピー性皮膚炎の根治を目指すのが高雄病院のアトピー性皮膚炎治療です。
15年間プロトピック軟膏を日本で一番多く使ってきて、まさに人生を変える力のある素晴らしい薬と認識しています。
高雄病院アトピー学校では、まずは入院していただき、漢方生薬や漢方エキスを内服して、ステロイド外用薬やプロトピック軟膏を塗布して、症状のコントロールをします。
そのあとは、退院したあともコントロール良好が保てるように、食生活、外用薬の上手なぬりかた・やめかた、漢方薬の役割など・・・、アトピーの自己管理に必要な知識や技を入院中に学んでもらい、また体験していただきます。
高雄病院アトピー学校で、アトピーを治すというよりも、アトピーの根本的な治し方を学んでいただくということですね。
入院してアトピーの皮膚症状が良くなるのは、ある意味当たり前なのですが、退院後もその良い状態を保つことは結構難しいことなのです。
他の病院と高雄病院の入院治療における一番大きな違いは、退院後の自己管理のための教育システムがあるかないかです。
この入院システムを学校と呼んでいるのは、教育の意味が大きいからなのです。
また、食生活(高雄病院食生活十箇条)指針の提供・勉強や漢方薬の投与も、他の病院とはひと味違う特徴です。
ともあれ、皮膚のコントロール良好の状態を保ち続けることが根治への道です。
表皮細胞は表面から、角層、顆粒層、有刺層、基底層の順に並んでいます。
一番表面の角層は約10層からなり、皮膚のバリア機能を担っています。
基底細胞が分裂して、娘細胞が生まれて表皮表面で脱落するまでの時間を
ターンオーバー時間と呼び、約45日と言われています。
ターンオーバーの速度ですが、細胞分裂を繰り返し、上へ上へと押し上げられ、
角質に到達するまで約14日間、そして表層でバリアとして活躍し、垢としてはがれ落ちるまでに14日間、
合計でおよそ28日間で生まれ変わるという説もあります。
一方、28日周期は20代のサイクルで、年齢とともに徐々に遅くなるとも言われています。
アトピー性皮膚炎では、もともとバリア機能に問題があり、
慢性に表皮に皮膚炎を繰り返して、
皮膚が分厚くなる苔癬化や色素沈着を生じていることが多いのですが、
そうなるとますます皮膚バリア機能が悪くなって悪循環します。
幸い、表皮にはターンオーバー機能があるので、
掻きむしったり慢性炎症で乱れた細胞も必ず入れ替わっていきます。
一般にアトピーは治りにくいと言われていますが、コントロール良好を保ちバリア機能回復まで持って行ければ、
その部位の皮膚に関しては、根本的治癒も夢ではありません。
バリア機能回復までに要する期間は、
罹病期間や重症度により個人差はありますが、経験的には半年~1年くらいが一つの目安です。
よく「アトピーは治りにくいから一生付き合うつもりで・・・。」とか医師が言うことがあるのですが、
そんなことはありません。
皮膚炎を繰り返せば、いつまで経っても治りませんが、悪循環を断ち切り皮膚炎を繰り返さずにコントロール良好を維持すれば、
ターンオーバー機能により表皮はバリア機能を回復して、いくらでも治るのです。
コントロール良好を維持するため、おおいに役に立つのがプロトピック軟膏なのです。
漢方生薬やエキス治療も、皮膚が赤く熱をもって腫れている炎症が主の時は、熱をとり腫れを退かせる対症療法が中心です。
症状がコントロールできたあとは、細胞が早く入れ替わるように、気の巡り、血の巡りをよくするような生薬に、シフトさせていきます。
食生活や漢方薬で身体の中から、良い細胞に早く入れ替わるようサポートし、プロトピック軟膏を中心に時々ステロイド軟膏も使用し、掻爬行為を予防して、アトピーの根本的治癒を目指すのが、高雄病院方式のアトピー治療です。
なお、食生活に関してですが、糖質制限食でも勿論アトピーは良くなることが多いですが、糖尿病ではありませんので、未精製穀物を主食として適量摂取する高雄病院食生活十箇条でもいいと思います。
江部康二
(*)
『高雄病院食生活十箇条』 -アレルギー疾患の治療や生活習慣病予防に-
一、主食は未精製の穀物(玄米、全粒粉のパンなど)を運動量に応じて適量
二、白パン・白砂糖など精製炭水化物の摂取は極力減らす
三、発酵食品(味噌、漬け物、納豆など)をきちんと食べる
四、液体でカロリーを摂らない(飲みものは水、番茶、麦茶、ほうじ茶など)
五、魚貝類はしっかり食べ、肉類は適量を摂る
六、季節の野菜や海草はしっかり食べ、旬の果物も適量摂る
七、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)など身体に良い油脂は積極的に摂る
八、牛乳は少量とし、チーズやプレーンヨーグルトは適量摂る
九、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ
十、食事は楽しく、ゆっくり、よくかんで
(**)<ブドウ糖スパイクとブドウ糖ミニスパイク>
空腹時血糖値と食後血糖値の差が大きいことを「ブドウ糖スパイク」といいます。
糖尿病の人が糖質を摂取すればブドウ糖スパイクは100~200,300mg/dlとなり、リアルタイムに血管内皮に悪影響をあたえ、
将来の動脈硬化や心筋梗塞のリスクとなります。
正常の人でも白いパンなど精製された糖質を食べると、60~70mgのブドウ糖ミニスパイクを生じて代謝が乱れます。ミニスパイクの度にインスリンが大量に追加分泌されます。
基礎分泌の10~30倍レベル、インスリンが追加分泌される事態は、救急車の出動に等しいととらえるのが正確と思います。(=_=;)
このブドウ糖ミニスパイクとインスリン追加分泌を毎日頻回に繰り返すことが、アトピー性皮膚炎や糖尿病など生活習慣病の根本要因と私は考えています。
玄米なら、正常の人だと20~40mgしか血糖を上昇させず、代謝が安定します。
しかし、残念ながら糖尿病になってしまったら、私自身でも明らかなように、玄米でも100~200mgのブドウ糖スパイクを起こしてしまうので、スーパー糖質制限食が必要となるのです。
スーパー糖質制限食なら、血糖値の上下動は正常人ではほとんどなくなり、糖尿人でも少なくなります。
2014年04月29日 (火)
【14/03/29 abi_bu
同じ大西氏の記事について
いつもブログ、著書を拝見させていただいております。(かみさん用に、レシピ本、我ら~、~健康になるを預けてますが、読んでもらえないのが泣き所。糖質制限していることに理解は得られていますが。)
大西氏の記事で他に気になるところがあり、よろしければご教示いただければと存じます。
同じ日経トレンディ3/7掲載の記事で
2012年にボストンの研究者らが、低脂肪ダイエット、低GIダイエット(同じ炭水化物でも、GI値の低い食品を選ぶもの)、そして超低炭水化物ダイエットの3種類の食事制限のうち、長期にわたって体重減少を維持するのにどれが有効かを比較検討しました。
その結果、超低炭水化物ダイエットは、エネルギー消費やメタボリック症候群に対しては最も良い影響を与えましたが、心血管疾患の合併や慢性の炎症を増加するリスクがありました。
■参考文献
JAMA「Effects of Dietary Composition on Energy Expenditure During Weight-Loss Maintenance」
というものがありました。
自分でもこの論文に対する先生のコメントを検索したのですが参照できませんでした。
このデータの前提条件がスーパー糖質制限レベルで比較されたものではないような予想はしていますが、コメントもしくは既にコメントされたブログの記事をお教えいただければ幸いです。】
こんにちは。
abi_bu さんから、大西睦子氏の日経トレンディ3/7掲載の記事について、コメント・質問をいただきました。
結論から言いますと、この論文をもって「糖質制限食実践で心血管疾患の合併や慢性の炎症を増加するリスクがある」
とは到底言えませんのでご安心ください。
JAMAEffects of Dietary Composition on Energy Expenditure During Weight-Loss Maintenance
は、21人の肥満者を対象に、元体重の10%の減量をさせ(←これは全員普通のカロリー制限食12週間)、その後の維持期(4週間)、ののち、さらに2回目の維持期(4週間)」のモニタリングを行った研究です。
安静時基礎代謝量resting energy expenditure (REE)、および総エネルギー消費量 total energy expenditure (TEE)を、低脂肪食、低GI食、糖質制限食(カロリーは同じ、運動量もおなじ) で比較しています。
食事が3群に振られている期間は、2回目の維持期(4週間)の期間のみです。
低脂肪食(炭水化物60%、脂肪20%、タンパク質20%)
低GI食(炭水化物40%、脂肪40%、タンパク質20%)
糖質制限食(炭水化物10%、脂肪60%、タンパク質から30%)
の3群です。
この研究の主たる目的は、体重減少後の維持期において、適切な食事はいかなるものか?
低脂肪食、低GI食、糖質制限食で比較検討 といったところです。
結果、安静時基礎代謝量と総エネルギー消費量において、低脂肪食が一番大きく低下、糖質制限食は一番小さい低下、低GI食はその中間でした。
つまり、糖質制限食が、一旦減らした体重を維持するうえで、安静時基礎代謝量と総エネルギー消費量において一番優位であったということです。
さらにメタボリックシンドロームの指標改善においても糖質制限食が一番優位でした。
ただ糖質制限食群では、コルチゾール排出量とCRPが増加していました。
24時間尿中のコルチゾールを測定していて、
低脂肪食群:50 μg/日
低GI食群:60 μg/日
糖質制限食群:71 μg/日
です。
ほんの少しの差ですね。
米国の会社の24時間尿中コルチゾールの基準値は、10 - 100 μg/日でした。
ということはいずれも基準値内のほんの少しの差でしかありません。
著者らが、
「より高いコルチゾールレベルは、肥満、インスリン抵抗性、および心血管疾患を促進する可能性がある」
と述べているのですが、それは、あくまでも長期間コルチゾールレベルが高いことが続いた場合です。
本研究はそもそも基準値内の変化で、しかも僅か4週間のことですから、とてもそんなことは言えないと思います。
CRPの測定は
低脂肪食群:0.78mg/L
低GI食群:0.76 mg/L
糖質制限食群:0.87mg/L
米国の会社のCRPの基準値をネットで調べたら
CRP : < 3 mg/L
とか
CRP : < 1 mg/L
でした。
ということは、CRPの変化も基準値内の僅かな変動に過ぎません。
結局、「コルチゾール排出量とCRPが増加」といっても、いずれも基準値内のわずかな変化に過ぎないので、そもそも問題にすること自体が不思議です。
なおスーパー糖質制限食を実践している人は、私自身や直接診察している患者さんだけでも軽く100人は超えています。
勿論全員、CRPは正常ですし、肥満もいません。
☆☆☆
本日の
JAMA「Effects of Dietary Composition on Energy Expenditure During Weight-Loss Maintenance」の解釈に関しては
私の尊敬する友人
京都府立医科大学大学 総合医療・医学教育学教室
京都府立医科大学大学大学院 総合医療・医学教育学教室
助教 森 浩子 先生に、助けていただきました。
謝謝。m(_ _)mVV
江部康二
同じ大西氏の記事について
いつもブログ、著書を拝見させていただいております。(かみさん用に、レシピ本、我ら~、~健康になるを預けてますが、読んでもらえないのが泣き所。糖質制限していることに理解は得られていますが。)
大西氏の記事で他に気になるところがあり、よろしければご教示いただければと存じます。
同じ日経トレンディ3/7掲載の記事で
2012年にボストンの研究者らが、低脂肪ダイエット、低GIダイエット(同じ炭水化物でも、GI値の低い食品を選ぶもの)、そして超低炭水化物ダイエットの3種類の食事制限のうち、長期にわたって体重減少を維持するのにどれが有効かを比較検討しました。
その結果、超低炭水化物ダイエットは、エネルギー消費やメタボリック症候群に対しては最も良い影響を与えましたが、心血管疾患の合併や慢性の炎症を増加するリスクがありました。
■参考文献
JAMA「Effects of Dietary Composition on Energy Expenditure During Weight-Loss Maintenance」
というものがありました。
自分でもこの論文に対する先生のコメントを検索したのですが参照できませんでした。
このデータの前提条件がスーパー糖質制限レベルで比較されたものではないような予想はしていますが、コメントもしくは既にコメントされたブログの記事をお教えいただければ幸いです。】
こんにちは。
abi_bu さんから、大西睦子氏の日経トレンディ3/7掲載の記事について、コメント・質問をいただきました。
結論から言いますと、この論文をもって「糖質制限食実践で心血管疾患の合併や慢性の炎症を増加するリスクがある」
とは到底言えませんのでご安心ください。
JAMAEffects of Dietary Composition on Energy Expenditure During Weight-Loss Maintenance
は、21人の肥満者を対象に、元体重の10%の減量をさせ(←これは全員普通のカロリー制限食12週間)、その後の維持期(4週間)、ののち、さらに2回目の維持期(4週間)」のモニタリングを行った研究です。
安静時基礎代謝量resting energy expenditure (REE)、および総エネルギー消費量 total energy expenditure (TEE)を、低脂肪食、低GI食、糖質制限食(カロリーは同じ、運動量もおなじ) で比較しています。
食事が3群に振られている期間は、2回目の維持期(4週間)の期間のみです。
低脂肪食(炭水化物60%、脂肪20%、タンパク質20%)
低GI食(炭水化物40%、脂肪40%、タンパク質20%)
糖質制限食(炭水化物10%、脂肪60%、タンパク質から30%)
の3群です。
この研究の主たる目的は、体重減少後の維持期において、適切な食事はいかなるものか?
低脂肪食、低GI食、糖質制限食で比較検討 といったところです。
結果、安静時基礎代謝量と総エネルギー消費量において、低脂肪食が一番大きく低下、糖質制限食は一番小さい低下、低GI食はその中間でした。
つまり、糖質制限食が、一旦減らした体重を維持するうえで、安静時基礎代謝量と総エネルギー消費量において一番優位であったということです。
さらにメタボリックシンドロームの指標改善においても糖質制限食が一番優位でした。
ただ糖質制限食群では、コルチゾール排出量とCRPが増加していました。
24時間尿中のコルチゾールを測定していて、
低脂肪食群:50 μg/日
低GI食群:60 μg/日
糖質制限食群:71 μg/日
です。
ほんの少しの差ですね。
米国の会社の24時間尿中コルチゾールの基準値は、10 - 100 μg/日でした。
ということはいずれも基準値内のほんの少しの差でしかありません。
著者らが、
「より高いコルチゾールレベルは、肥満、インスリン抵抗性、および心血管疾患を促進する可能性がある」
と述べているのですが、それは、あくまでも長期間コルチゾールレベルが高いことが続いた場合です。
本研究はそもそも基準値内の変化で、しかも僅か4週間のことですから、とてもそんなことは言えないと思います。
CRPの測定は
低脂肪食群:0.78mg/L
低GI食群:0.76 mg/L
糖質制限食群:0.87mg/L
米国の会社のCRPの基準値をネットで調べたら
CRP : < 3 mg/L
とか
CRP : < 1 mg/L
でした。
ということは、CRPの変化も基準値内の僅かな変動に過ぎません。
結局、「コルチゾール排出量とCRPが増加」といっても、いずれも基準値内のわずかな変化に過ぎないので、そもそも問題にすること自体が不思議です。
なおスーパー糖質制限食を実践している人は、私自身や直接診察している患者さんだけでも軽く100人は超えています。
勿論全員、CRPは正常ですし、肥満もいません。
☆☆☆
本日の
JAMA「Effects of Dietary Composition on Energy Expenditure During Weight-Loss Maintenance」の解釈に関しては
私の尊敬する友人
京都府立医科大学大学 総合医療・医学教育学教室
京都府立医科大学大学大学院 総合医療・医学教育学教室
助教 森 浩子 先生に、助けていただきました。
謝謝。m(_ _)mVV
江部康二
2014年04月28日 (月)
【14/04/28 ぴーち 糖尿病と食生活
”朝食抜きでOK”というキーワードで、このページに辿り着きました。
初めまして。49歳の女性です。
私は、大学時代から30年、朝食は食べずに過ごしてきました。朝食を我慢しているとか、無理しているのではなく、朝食を食べるなんて、とても苦痛で食したく無いんです。
社会人に入ってからは、連日夜中までの激務のため、20年以上朝食どころか、昼食、夕食を食べる暇が無い日も多く、
1日1食のまま1日がが終わる事が多かったです。
そして、5年ほど前から会社での激務から解放された日々を過ごしています。食事は相変わらず昼食と夕食の1食もしくは2食ですが、外に出る事もすくなく、PCの前で1日を過ごしている事が多いため、運動量が激減した事と、甘いもの等の間食・夜食をする事がとても多くなったため、
とうとう糖尿病という診断を受けてしまいました。
糖尿病の場合、一日3食均等に食事するようにと良く言われますが、私は朝食はおろか、昼食もあまり食欲がわかないのです。何とか昼食食べるとしても14時、15時になる事が多いです。
そして結果、夕食を食べる時間も遅くなってしまいます。
最近は、出来る限り間食・夜食を食べないように努力はしています。でも、これらを完全に無くす事ができたとしても、今の夕食中心の1食、2食の生活では、糖尿病は悪くなってしまうのでしょうか?
宜しくお願い致します。】
こんにちは。
ぴーちさんから、糖尿病と食事回数についてコメント・質問をいただきました。
規則正しく1日3回食事をするのが糖尿病食事療法の基本と、一般の栄養士は言いますが、全く根拠(エビデンス)はありません。
食事回数ですが、1日1回でも問題ないと思います。
1日1食の場合は、夕食がベストです。
夕食で摂取したタンパク質で夜寝ているときに筋肉が修復され、トレーニングなどしていれば筋力アップになります。
1日2食の場合は、夕食は確保として、朝食でも昼食でもどちらでもいいと思います。
しいて言えば、前の日の夕食から連続して絶食で昼食摂取の方が、ミニ断食効果が期待できるという説もあります。1日3食でもいいです。
血糖を上げるのは、蛋白質・脂質・糖質のうち、糖質だけで、蛋白質・脂質は上げません。
従いまして糖尿病による高血糖改善のためには、スーパー糖質制限がベストです。
スーパー糖質制限食なら、食事の回数は気にしなくていいです。
スーパー糖質制限食なら、食後高血糖はリアルタイムに改善します。
一方、従来の糖尿病食(カロリー制限高糖質食)を実践しても、食後高血糖は絶対に防げません。
さて「人類は本来、1日3食か2食かはたまた、1食か?」興味ある問題ですね。
かく言う私は、1984年の第1回目の断食以降は、朝食抜きの1日2食で、間食は摂る日もあれば、摂らない日もあります。
1日1食で3ヶ月くらいやったことがありますが、やっぱり食欲に負けましたね。
食欲に負けたといっても、糖質制限食だと腹が減って動けないというような強烈な空腹感はありません。
糖質を食べていると、この強い空腹感が生じるのですが・・・。
それで1日1食ペース、お腹が空いてかなわんからギブアップしたのではなくて、「何か食べたいという欲望」がふつふつと湧いて、これに負けました。
一生1日1食だと、何といっても食事回数が減ります。
特に団体旅行に行った時など、周囲の人々とのコミュニケーションとか間が持ちません…。
とかいろいろ言い訳してますが、まあ、<肉、魚、貝、蟹、海老、ナッツ類、豆腐、納豆、野菜、果実・・・> 何でもいろいろ食べたいという欲望がすべてなのです。
それで、キャッチコピーとしては、「清く正しく」よりは「美味しく楽しく」 糖質制限食ということで、1日1食とはとはおさらばしました。
無理に我慢することなく長続きすることを目指して、私の場合は1日2食に戻しました。
日本でも、江戸時代初期までは1日2食で、中期から3食になったようです。
江戸時代に明暦の大火(1657年1月18日~19日)という日本史上最悪の大火災がありました。
大名屋敷や市街地の大半が焼失したので、幕府は復興のために日本全国から大工や職人を集めて朝から夕方まで働かせたそうです。
この時一日中働かせるために、昼食を供給したのが始まりで1日3食になったそうです。
平安時代まで遡って、清少納言は「枕草子」のなかで「大工のものくうこそいとあやしけれ」と、大工が昼食をとること(多食)を揶揄しています。
平安時代や鎌倉時代の1日2食は、朝食が午の刻(正午)で、夕食が申の刻(午後4時)だったそうです。
イギリスやフランスなどヨーロッパの国々でも、18世紀に2食から3食になったので3食の歴史は意外に浅いのです。
英語の朝食はbreakfastですが、一日の最初の食事(断食を破る)を意味していたのが転じて朝食になりました。
当初のbreakfastは、一仕事終えたあと、正午頃食べていたのかもしれませんね。
世界的に見ても、伝統的なライフスタイルを保っている部族は、1日2食のことが多いようです。
特に朝起きて何の活動もしていないのに、すぐ食事を摂るという現代人のような「変な?習慣」はありません。
**
今回のブログは、
夏井睦先生の「炭水化物が人類を滅ぼす」(光文社新書)
小山内博先生の「明日から朝食をやめなさい」(21世紀ブックス)
を参考にし、一部引用させていただきました。
謝謝。
江部康二
”朝食抜きでOK”というキーワードで、このページに辿り着きました。
初めまして。49歳の女性です。
私は、大学時代から30年、朝食は食べずに過ごしてきました。朝食を我慢しているとか、無理しているのではなく、朝食を食べるなんて、とても苦痛で食したく無いんです。
社会人に入ってからは、連日夜中までの激務のため、20年以上朝食どころか、昼食、夕食を食べる暇が無い日も多く、
1日1食のまま1日がが終わる事が多かったです。
そして、5年ほど前から会社での激務から解放された日々を過ごしています。食事は相変わらず昼食と夕食の1食もしくは2食ですが、外に出る事もすくなく、PCの前で1日を過ごしている事が多いため、運動量が激減した事と、甘いもの等の間食・夜食をする事がとても多くなったため、
とうとう糖尿病という診断を受けてしまいました。
糖尿病の場合、一日3食均等に食事するようにと良く言われますが、私は朝食はおろか、昼食もあまり食欲がわかないのです。何とか昼食食べるとしても14時、15時になる事が多いです。
そして結果、夕食を食べる時間も遅くなってしまいます。
最近は、出来る限り間食・夜食を食べないように努力はしています。でも、これらを完全に無くす事ができたとしても、今の夕食中心の1食、2食の生活では、糖尿病は悪くなってしまうのでしょうか?
宜しくお願い致します。】
こんにちは。
ぴーちさんから、糖尿病と食事回数についてコメント・質問をいただきました。
規則正しく1日3回食事をするのが糖尿病食事療法の基本と、一般の栄養士は言いますが、全く根拠(エビデンス)はありません。
食事回数ですが、1日1回でも問題ないと思います。
1日1食の場合は、夕食がベストです。
夕食で摂取したタンパク質で夜寝ているときに筋肉が修復され、トレーニングなどしていれば筋力アップになります。
1日2食の場合は、夕食は確保として、朝食でも昼食でもどちらでもいいと思います。
しいて言えば、前の日の夕食から連続して絶食で昼食摂取の方が、ミニ断食効果が期待できるという説もあります。1日3食でもいいです。
血糖を上げるのは、蛋白質・脂質・糖質のうち、糖質だけで、蛋白質・脂質は上げません。
従いまして糖尿病による高血糖改善のためには、スーパー糖質制限がベストです。
スーパー糖質制限食なら、食事の回数は気にしなくていいです。
スーパー糖質制限食なら、食後高血糖はリアルタイムに改善します。
一方、従来の糖尿病食(カロリー制限高糖質食)を実践しても、食後高血糖は絶対に防げません。
さて「人類は本来、1日3食か2食かはたまた、1食か?」興味ある問題ですね。
かく言う私は、1984年の第1回目の断食以降は、朝食抜きの1日2食で、間食は摂る日もあれば、摂らない日もあります。
1日1食で3ヶ月くらいやったことがありますが、やっぱり食欲に負けましたね。
食欲に負けたといっても、糖質制限食だと腹が減って動けないというような強烈な空腹感はありません。
糖質を食べていると、この強い空腹感が生じるのですが・・・。
それで1日1食ペース、お腹が空いてかなわんからギブアップしたのではなくて、「何か食べたいという欲望」がふつふつと湧いて、これに負けました。
一生1日1食だと、何といっても食事回数が減ります。
特に団体旅行に行った時など、周囲の人々とのコミュニケーションとか間が持ちません…。
とかいろいろ言い訳してますが、まあ、<肉、魚、貝、蟹、海老、ナッツ類、豆腐、納豆、野菜、果実・・・> 何でもいろいろ食べたいという欲望がすべてなのです。
それで、キャッチコピーとしては、「清く正しく」よりは「美味しく楽しく」 糖質制限食ということで、1日1食とはとはおさらばしました。
無理に我慢することなく長続きすることを目指して、私の場合は1日2食に戻しました。
日本でも、江戸時代初期までは1日2食で、中期から3食になったようです。
江戸時代に明暦の大火(1657年1月18日~19日)という日本史上最悪の大火災がありました。
大名屋敷や市街地の大半が焼失したので、幕府は復興のために日本全国から大工や職人を集めて朝から夕方まで働かせたそうです。
この時一日中働かせるために、昼食を供給したのが始まりで1日3食になったそうです。
平安時代まで遡って、清少納言は「枕草子」のなかで「大工のものくうこそいとあやしけれ」と、大工が昼食をとること(多食)を揶揄しています。
平安時代や鎌倉時代の1日2食は、朝食が午の刻(正午)で、夕食が申の刻(午後4時)だったそうです。
イギリスやフランスなどヨーロッパの国々でも、18世紀に2食から3食になったので3食の歴史は意外に浅いのです。
英語の朝食はbreakfastですが、一日の最初の食事(断食を破る)を意味していたのが転じて朝食になりました。
当初のbreakfastは、一仕事終えたあと、正午頃食べていたのかもしれませんね。
世界的に見ても、伝統的なライフスタイルを保っている部族は、1日2食のことが多いようです。
特に朝起きて何の活動もしていないのに、すぐ食事を摂るという現代人のような「変な?習慣」はありません。
**
今回のブログは、
夏井睦先生の「炭水化物が人類を滅ぼす」(光文社新書)
小山内博先生の「明日から朝食をやめなさい」(21世紀ブックス)
を参考にし、一部引用させていただきました。
謝謝。
江部康二
2014年04月27日 (日)
こんにちは。
ブログ読者の皆さんには、交流会、講演会などいつも多数ご参加いただきありがとうございます。
一般社団法人日本糖質制限医療推進協会主催の『一般向け岡山講演会』のご案内です。
糖質過多な現代の食生活。
それによって引き起こされる糖尿病など生活習慣病の数々。
「糖質摂取が何故良くないか」そのメカニズムわかりやすく説明し、
対して人類本来の食事といえる糖質制限食の有効性と可能性について具体的にお話しします。
そして糖尿病患者さんの血液検査データも豊富に紹介します。
同一摂取カロリーで揃えた「従来の糖尿病食 VS スーパー糖質制限食」の血糖値の日内変動データ比較は圧巻です。
食後高血糖と平均血糖変動幅に関しては、糖質制限食の圧勝で、その差は「月とスッポン」です。
米国糖尿病学会が2008年以来5年ぶりに、成人糖尿病患者の食事療法に関する声明(Position Statement on Nutrition Therapy)を改訂しました。(Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版)
2013年10月の米国糖尿病学会の栄養療法の声明は画期的なものであり、
全ての糖尿病患者に適した“one-size-fits-all(唯一無二の)”食事パターンは存在しない
との見解を表明しました。
このことは、食品交換表1969年の第2版以降、唯一無二の食事療法(カロリー制限食)を推奨し続けている日本糖尿病学会に対する痛烈な批判となっています。
そして、患者ごとにさまざまな食事パターン〔地中海食,ベジタリアン食,糖質制限食,低脂質食,DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食〕が受容可能であるとしています。
糖質制限食もちゃんと認められていて、日本における糖質制限食の普及においてこの上ない追い風です。
極めて重要なことですが、糖尿病合併症を防ぐには、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じないことが必要不可欠です。
しかしながら糖質を摂取すれば、必ず「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じます。
すなわち、従来の糖尿病食(高糖質食)では、糖尿病合併症を防ぐことは理論的に不可能なのです。
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じない唯一の食事療法が、糖質制限食なのです。
年間
16000人が糖尿病腎症から透析 → 医療費800億円、
3000人が糖尿病網膜症から失明
3000人が糖尿病足病変から足切断
というのが厳しい現実です。
このように合併症に苦しむ多数の糖尿病患者さんの存在そのものが、「日本糖尿病学会主導の従来の糖尿病治療が決して上手くいっていない」ことの動かぬ証拠と言えます。
糖尿病合併症を生じさせないためには、糖尿人の皆さんは自分自身の頭で考えて身を守ることが必要です。
本講演では、糖尿病を中心に糖質制限食の有効性・安全性をわかりやすく説明します。
また生活習慣病やがんへの糖質制限食の有効性・可能性にも少し言及します。
わかりやすいお話しを目指しますので、お近くの方々は是非ご参加くださいね。
岡山では、提携医療機関がまだないので、糖質制限食に興味ある医師のご参加も歓迎です。
医師の方は、前もって事務局にご連絡いただけば助かります。
よろしくお願い申し上げます。
江部康二
以下、事務局からのご案内です。
ブログ読者の皆様、講演会へいつも多数ご参加いただきまして
ありがとうございます。
5月11日(日)に、岡山で一般向けの講演会を開催いたします。
中国地方の皆様をはじめ、多数のご参加を心よりお待ち申し上げております。
//////////////////ご案内////////////////////
一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会主催 講演会(岡山)
「糖質制限食の有効性・可能性 ―糖尿病・メタボ・生活習慣病・がん・・・―」
◆日時: 2014年5月11日(日) 14:00~16:30頃 ※入場受付(開場)は、13:40~
◆会場: 岡山市民会館 4階大会議室
岡山県岡山市北区丸の内2丁目1番1号
http://www.okayama-shiminkaikan.jp/access.html
☆アクセス:路面電車の岡山駅前(停留所)で「東山行き」に乗車。
城下(停留所)で下車して下さい。下車後徒歩3分です。
(岡山駅前→城下の所要時間は5分です。)
◆講演① 『糖質制限のすすめ』 講師:瀬尾 一史 瀬尾クリニック院長
糖尿病は予備軍まで含めると約2100万人の患者がいるといわれています。
糖尿病の成因は食後の高血糖といわれていますが、食後の高血糖を
生じない糖質制限食は糖尿病に有効な食事療法であると考えられます。
当クリニックでは平成24年より糖尿病患者に糖質制限食を勧めています。
基本的には夕食のみ主食を抜くプチ糖質制限食から始めています。
治療効果は糖尿病の無治療群では比較的良好で、薬物治療群では
薬の減量ないし中止に至った症例が半数以上認められました。
今回、これらの症例について、さらに家庭や外食での糖質制限食のコツ
などについてお話しします。
(講師略歴)
昭和29年、11月17日福山市生まれ。
昭和56年、奈良県立医科大学卒業。
同年4月、広島大学医学部泌尿器科学教室入局。
国立福山病院、広島大学付属病院、国立呉病院に勤務。
平成4年、学位取得
平成5年11月、福山市今津町に瀬尾クリニックを開業。
平成18年4月より、日本臨床泌尿器科医会 理事に就任。
平成18年2月より、傷、火傷に対して湿潤療法を開始。
平成24年2月より、糖尿病に対して糖質制限食を開始。
◆講演② 『糖質制限食の有効性・可能性 ―食のパラダイムシフト―
~糖尿病・メタボ・生活習慣病・がん・・・~』
講師:江部康二 (一財)高雄病院理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会理事長
糖質制限食は、米飯・めん類・パンや芋類などの糖質が多い食品を
食べないで、肉や魚貝や豆腐や葉野菜などをしっかり摂取する食事療法です。
糖質制限食は、実は人類本来の食事、いわば人類の健康食ですので、
糖尿病をはじめとして様々な生活習慣病が改善します。
今回は、糖尿病を中心に糖質制限食の有効性・安全性を分かりやすく説明します。
また、生活習慣病やがんへの有効性・可能性にも言及します。
◆受講費: 賛助会員 2,500円 / 一般(非会員) 2,900円
◆お支払い方法:クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。
◆お申し込み方法:
・賛助会員の方
事務局までメールにてお申し込み下さい。
・賛助会員入会をご希望の方
1.入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://toushitsuseigen.or.jp/member.html
2.お申し込みはこちらのフォームからお願いします。
http://toushitsuseigen.or.jp/contact.php
「お問い合せ内容」欄に「5/11岡山講演会、受講希望」とご記入下さい。
・一般(非会員)で、講演会の受講のみご希望の方
こちらのフォームよりお申し込み下さい。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/9cbd1ef7287071
◆お申し込みの流れ:
1.会員の方はメールにて、会員以外の方は各種フォームにてご連絡下さい。
2.事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3.入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4.当日、直接会場までお越し下さい。
◆その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは5月8日(木)までにご連絡願います。
それ以降の返金には対応致しかねますので予めご了承ください。
ブログ読者の皆さんには、交流会、講演会などいつも多数ご参加いただきありがとうございます。
一般社団法人日本糖質制限医療推進協会主催の『一般向け岡山講演会』のご案内です。
糖質過多な現代の食生活。
それによって引き起こされる糖尿病など生活習慣病の数々。
「糖質摂取が何故良くないか」そのメカニズムわかりやすく説明し、
対して人類本来の食事といえる糖質制限食の有効性と可能性について具体的にお話しします。
そして糖尿病患者さんの血液検査データも豊富に紹介します。
同一摂取カロリーで揃えた「従来の糖尿病食 VS スーパー糖質制限食」の血糖値の日内変動データ比較は圧巻です。
食後高血糖と平均血糖変動幅に関しては、糖質制限食の圧勝で、その差は「月とスッポン」です。
米国糖尿病学会が2008年以来5年ぶりに、成人糖尿病患者の食事療法に関する声明(Position Statement on Nutrition Therapy)を改訂しました。(Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版)
2013年10月の米国糖尿病学会の栄養療法の声明は画期的なものであり、
全ての糖尿病患者に適した“one-size-fits-all(唯一無二の)”食事パターンは存在しない
との見解を表明しました。
このことは、食品交換表1969年の第2版以降、唯一無二の食事療法(カロリー制限食)を推奨し続けている日本糖尿病学会に対する痛烈な批判となっています。
そして、患者ごとにさまざまな食事パターン〔地中海食,ベジタリアン食,糖質制限食,低脂質食,DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食〕が受容可能であるとしています。
糖質制限食もちゃんと認められていて、日本における糖質制限食の普及においてこの上ない追い風です。
極めて重要なことですが、糖尿病合併症を防ぐには、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じないことが必要不可欠です。
しかしながら糖質を摂取すれば、必ず「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じます。
すなわち、従来の糖尿病食(高糖質食)では、糖尿病合併症を防ぐことは理論的に不可能なのです。
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じない唯一の食事療法が、糖質制限食なのです。
年間
16000人が糖尿病腎症から透析 → 医療費800億円、
3000人が糖尿病網膜症から失明
3000人が糖尿病足病変から足切断
というのが厳しい現実です。
このように合併症に苦しむ多数の糖尿病患者さんの存在そのものが、「日本糖尿病学会主導の従来の糖尿病治療が決して上手くいっていない」ことの動かぬ証拠と言えます。
糖尿病合併症を生じさせないためには、糖尿人の皆さんは自分自身の頭で考えて身を守ることが必要です。
本講演では、糖尿病を中心に糖質制限食の有効性・安全性をわかりやすく説明します。
また生活習慣病やがんへの糖質制限食の有効性・可能性にも少し言及します。
わかりやすいお話しを目指しますので、お近くの方々は是非ご参加くださいね。
岡山では、提携医療機関がまだないので、糖質制限食に興味ある医師のご参加も歓迎です。
医師の方は、前もって事務局にご連絡いただけば助かります。
よろしくお願い申し上げます。
江部康二
以下、事務局からのご案内です。
ブログ読者の皆様、講演会へいつも多数ご参加いただきまして
ありがとうございます。
5月11日(日)に、岡山で一般向けの講演会を開催いたします。
中国地方の皆様をはじめ、多数のご参加を心よりお待ち申し上げております。
//////////////////ご案内////////////////////
一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会主催 講演会(岡山)
「糖質制限食の有効性・可能性 ―糖尿病・メタボ・生活習慣病・がん・・・―」
◆日時: 2014年5月11日(日) 14:00~16:30頃 ※入場受付(開場)は、13:40~
◆会場: 岡山市民会館 4階大会議室
岡山県岡山市北区丸の内2丁目1番1号
http://www.okayama-shiminkaikan.jp/access.html
☆アクセス:路面電車の岡山駅前(停留所)で「東山行き」に乗車。
城下(停留所)で下車して下さい。下車後徒歩3分です。
(岡山駅前→城下の所要時間は5分です。)
◆講演① 『糖質制限のすすめ』 講師:瀬尾 一史 瀬尾クリニック院長
糖尿病は予備軍まで含めると約2100万人の患者がいるといわれています。
糖尿病の成因は食後の高血糖といわれていますが、食後の高血糖を
生じない糖質制限食は糖尿病に有効な食事療法であると考えられます。
当クリニックでは平成24年より糖尿病患者に糖質制限食を勧めています。
基本的には夕食のみ主食を抜くプチ糖質制限食から始めています。
治療効果は糖尿病の無治療群では比較的良好で、薬物治療群では
薬の減量ないし中止に至った症例が半数以上認められました。
今回、これらの症例について、さらに家庭や外食での糖質制限食のコツ
などについてお話しします。
(講師略歴)
昭和29年、11月17日福山市生まれ。
昭和56年、奈良県立医科大学卒業。
同年4月、広島大学医学部泌尿器科学教室入局。
国立福山病院、広島大学付属病院、国立呉病院に勤務。
平成4年、学位取得
平成5年11月、福山市今津町に瀬尾クリニックを開業。
平成18年4月より、日本臨床泌尿器科医会 理事に就任。
平成18年2月より、傷、火傷に対して湿潤療法を開始。
平成24年2月より、糖尿病に対して糖質制限食を開始。
◆講演② 『糖質制限食の有効性・可能性 ―食のパラダイムシフト―
~糖尿病・メタボ・生活習慣病・がん・・・~』
講師:江部康二 (一財)高雄病院理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会理事長
糖質制限食は、米飯・めん類・パンや芋類などの糖質が多い食品を
食べないで、肉や魚貝や豆腐や葉野菜などをしっかり摂取する食事療法です。
糖質制限食は、実は人類本来の食事、いわば人類の健康食ですので、
糖尿病をはじめとして様々な生活習慣病が改善します。
今回は、糖尿病を中心に糖質制限食の有効性・安全性を分かりやすく説明します。
また、生活習慣病やがんへの有効性・可能性にも言及します。
◆受講費: 賛助会員 2,500円 / 一般(非会員) 2,900円
◆お支払い方法:クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。
◆お申し込み方法:
・賛助会員の方
事務局までメールにてお申し込み下さい。
・賛助会員入会をご希望の方
1.入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://toushitsuseigen.or.jp/member.html
2.お申し込みはこちらのフォームからお願いします。
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2014年04月27日 (日)
おはようございます。
日本脂質栄養学会の浜崎智仁先生が脂質栄養雑誌に発表された論文(☆)
の63ページにおいて、
「しかも面白いことに、超低炭水化物食だとビタミン C が尿細管で再吸収されるため、ビタミン C の必要量が極端に減る。これは食後血糖の上昇がなければ、糖が尿細管にあまり排出されず、類似構造のビタミン C の再吸収が亢進するためである8)。」
と述べておられます。
浜崎先生が引用されている論文が手に入ったので検討してみました。
論文8)の要約
『組織には、血漿中に存在するものを上回る濃度でビタミンCがある。
試験管内ではブドウ糖濃度が膜輸送機構に影響を与える。
これに基づけば、糖尿病においては組織のビタミンCの状態の障害が存在する可能性がある。
1974年にマンが最初に提案したこの仮説を支持する最近の証拠を考察する』
本文も読んでみましたが結局、この論文の要旨は、
『高血糖があると組織のビタミンC濃度が減少する可能性がある』
という趣旨でした。
膜透過輸送機構において、高血糖があるとビタミンCの輸送が阻害される可能性があるという仮説です。
そしてインスリンも膜透過輸送機構において、ビタミンC輸送に関与していて、インスリンが不足すれば組織へのビタミンC輸送が阻害される可能性があるということも述べてありました。
低炭水化物食の話や尿細管の話は、この論文には出てきません。
従いまして、スーパー糖質制限食実践だとビタミンC必要量が減るかどうかは、よくわからないままです。
根拠となる文献がないので、調べようがありません。
スーパー糖質制限食実践者が、マサイ族タイプなら、ビタミンC必要量はかなり少なくてすむし、イヌイットタイプなら、ビタミンCは普通に摂取しなくてはなりません。
ともあれ現時点では、スーパー糖質制限食実践者においても、厚生労働省のいうビタミンC必要量を摂取する方が良いと思います。
(☆)浜崎智仁,糸村美保:低炭水化物食の意義,J. Lipid Nutr. Vol.19, No.1 :59-63,2010
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jln/19/1/19_1_59/_pdf
8)Cunningham JJ. Altered vitamin C transport in diabetes mellitus. Med Hypotheses
26:263-265, 1988.
Abstract
Tissues sequester vitamin C in concentrations exceeding that present in plasma. The transmembrane transport mechanisms have been shown to be influenced by the concentration of glucose in vitro. On this basis an impairment of tissue vitamin C status may be present in diabetes mellitus. Recent evidence in support of this hypothesis, first proposed by Mann in 1974, is reviewed.
江部康二
日本脂質栄養学会の浜崎智仁先生が脂質栄養雑誌に発表された論文(☆)
の63ページにおいて、
「しかも面白いことに、超低炭水化物食だとビタミン C が尿細管で再吸収されるため、ビタミン C の必要量が極端に減る。これは食後血糖の上昇がなければ、糖が尿細管にあまり排出されず、類似構造のビタミン C の再吸収が亢進するためである8)。」
と述べておられます。
浜崎先生が引用されている論文が手に入ったので検討してみました。
論文8)の要約
『組織には、血漿中に存在するものを上回る濃度でビタミンCがある。
試験管内ではブドウ糖濃度が膜輸送機構に影響を与える。
これに基づけば、糖尿病においては組織のビタミンCの状態の障害が存在する可能性がある。
1974年にマンが最初に提案したこの仮説を支持する最近の証拠を考察する』
本文も読んでみましたが結局、この論文の要旨は、
『高血糖があると組織のビタミンC濃度が減少する可能性がある』
という趣旨でした。
膜透過輸送機構において、高血糖があるとビタミンCの輸送が阻害される可能性があるという仮説です。
そしてインスリンも膜透過輸送機構において、ビタミンC輸送に関与していて、インスリンが不足すれば組織へのビタミンC輸送が阻害される可能性があるということも述べてありました。
低炭水化物食の話や尿細管の話は、この論文には出てきません。
従いまして、スーパー糖質制限食実践だとビタミンC必要量が減るかどうかは、よくわからないままです。
根拠となる文献がないので、調べようがありません。
スーパー糖質制限食実践者が、マサイ族タイプなら、ビタミンC必要量はかなり少なくてすむし、イヌイットタイプなら、ビタミンCは普通に摂取しなくてはなりません。
ともあれ現時点では、スーパー糖質制限食実践者においても、厚生労働省のいうビタミンC必要量を摂取する方が良いと思います。
(☆)浜崎智仁,糸村美保:低炭水化物食の意義,J. Lipid Nutr. Vol.19, No.1 :59-63,2010
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jln/19/1/19_1_59/_pdf
8)Cunningham JJ. Altered vitamin C transport in diabetes mellitus. Med Hypotheses
26:263-265, 1988.
Abstract
Tissues sequester vitamin C in concentrations exceeding that present in plasma. The transmembrane transport mechanisms have been shown to be influenced by the concentration of glucose in vitro. On this basis an impairment of tissue vitamin C status may be present in diabetes mellitus. Recent evidence in support of this hypothesis, first proposed by Mann in 1974, is reviewed.
江部康二
2014年04月26日 (土)
こんにちは。
イヌイットが伝統的食生活の頃は、結果として、ビタミンC摂取不足があり、新生児高チロシン血症と壊血病のリスクがあるということを昨日の記事にしました。
今回は、復習を兼ねて、マサイ族の伝統的食生活とビタミンC摂取、ビタミンC血中濃度などについて考えてみます。
①Low ascorbate status in the Masai of Kenya
The American Journal of Clinical Nutrition 27: MARCH 1974, pp. 3 10-314.
http://www.ajcn.org/cgi/reprint/27/3/310.pdf
②京大名誉教授の家守先生の調査 http://www.zennyuren.or.jp/milk_no_yakata/jimu/hitori/hitori_03.htm
③サファリガイド加藤直邦さんのブログ、
僕は見習いナチュラリスト
http://naturanger.blog25.fc2.com/blog-entry-111.html
①②③を参考にして、アフリカのマサイ族の食生活を、再検討してみました。
マサイ族は、牛乳及びヨーグルトを2~3リットル/日摂取します。
毎日、何キロも歩いて牛の放牧をし、腰に牛乳を入れた『キブユ』という瓢箪(ひょうたん)をぶら下げて歩くので、数日間で自然醗酵され、ヨーグルトになります。このように、マサイ族の主食は、牛乳とヨーグルトです。
放牧しながら飲むとすれば、どちらかというと、2~3日経過した牛乳や発酵してヨーグルトになったものの方が、新鮮な牛乳よりも主となります。
これらだけの食料で不足する鉄分は、牛の生き血で補っています。牛の生き血は、週に数回、牛乳に混ぜて飲んでいます。トウモロコシの粉『ウガリ』も牛乳に混ぜて飲みます。
マサイ族は、野菜や果物は一切食べないそうですので、ビタミンCをどうやって摂取しているのか不思議です。
ビタミンCは、ヒトは体内で合成できないので、必ず食物から摂取することが必要です。
牛は財産ということで、殺したりしませんので、牛肉も食べません。
山羊や羊も飼っていて、こちらは、お祝い事や家族に病人が出て、栄養をつけたいときに食べるそうです。この時、山羊の生レバや生小腸も食べるそうです。
牛生レバのビタミンCは100g中に30mg
牛小腸のビタミンCは100g中に15mg
です。
山羊の生レバや生小腸は、五訂日本食品標準表に載っていないのですが、牛に準する程度と思います。
したがって、山羊の生レバや生小腸はビタミンCが豊富と思われますが、日常的に摂取しているわけではありません。
家守先生は、牛の生き血からビタミンCを摂取していると述べておられます。
牛の血漿中のビタミンC濃度は、1.4~3.6mg/dLであり、人の血漿中ビタミンC濃度0.6–1.4mg/dLより高値です。
しかし、それでも、牛の血を1リットル飲んでもせいぜい30mgですから、やはり、牛の血でビタミンCが充分量摂取できるとは言えません。
①によれば
マサイの牛の新鮮な牛乳の中には、ビタミンC2.2mg/dl含まれています。
瓢箪(ひょうたん)に入れて、数日間発酵させてから飲むとすれば、ビタミンCの含有量は減少します。
例えば、瓢箪の中で4日間経過した牛乳は、ビタミンC0.4mg/dlに減ります。
そうなると、牛乳、ヨーグルト、生き血から得られる日々のビタミンC摂取量は、せいぜい30mg/日ていどでしかありません。厚生労働省の推奨量が、100mg/日として、全然足りません。
①によれば
伝統的な食事をしているマサイ族の血清アスコルビン酸濃度は、0.16mg/dlとかなり低くなっています。
バンツー族は、0.56mg/100mlでやや低値ですが、マサイ族よりは、かなり高値です。
白血球の中の、ビタミンC濃度も、マサイ族はバンツー族の半分以下と低値です。
ビタミンB12は、マサイ族は1188pg/mlでバンツー族は404pg/mlで、マサイ族の方が高値でした。
赤血球中の葉酸はマサイ族は低値でした。
血清総タンパクはマサイ族がバンツー族よりやや高値でした。
マサイ族が21名、バンツー族が24名の平均値です。
バンツー族は、ケニアやタンザニアの同じ地域に住んでいて、食生活はマサイ族とは異なり、穀物・野菜など何でも食べています。
他に、赤血球数、ヘモグロビン、白血球数、血小板数、血清鉄も検査されていますが、マサイ族、バンツー族ともに、異常はありませんでした。
結論として、マサイ族の血中ビタミンC濃度が低いのは、単純に食物から摂取するビタミンCが低いからと考えられます。
血漿ビタミンC濃度がこれほど低値なのに、壊血病や貧血は見られず、さらなる研究が必要と締めくくられています。
ちなみに、日本の厚生労働省の第6次改定「日本人の栄養所要量」によると、100mg/日のビタミンC摂取を推奨し、血漿中ビタミンC濃度基準値を0.7mg/dl以上に設定しています。
マサイ族の0.16mg/dlは兎も角として、人類の本当のビタミンC基準値はどのていどなのでしょう?
そして人類の本当のビタミンC摂取必要量はどのくらいなのでしょう?
人類が700万年の進化の過程でいったい何を食べてきたのかを考察するのに、人体で合成できないビタミンCの必須量が気になります。
7属23種の人類が生まれては消え、現在残っているのは原始人類(ホモ・サピエンス)だけです。
7属23種の人類はおそらく全てビタミンCは合成できなかったと思います。
一方7属23種の人類において、穀物はほとんどないので食べてないですが、主食はそれぞれ異なっていた可能性があります。
さて、日本脂質栄養学会の浜崎先生が
「超低炭水化物食だとビタミン C が尿細管で再吸収されるため、ビタミン C の必要量が極端に減る」
とされている根拠の
Cunningham JJ. Altered vitamin C transport in diabetes mellitus. Med Hypotheses
26:263-265, 1988.
という論文が手に入ったので検討します。
江部康二
イヌイットが伝統的食生活の頃は、結果として、ビタミンC摂取不足があり、新生児高チロシン血症と壊血病のリスクがあるということを昨日の記事にしました。
今回は、復習を兼ねて、マサイ族の伝統的食生活とビタミンC摂取、ビタミンC血中濃度などについて考えてみます。
①Low ascorbate status in the Masai of Kenya
The American Journal of Clinical Nutrition 27: MARCH 1974, pp. 3 10-314.
http://www.ajcn.org/cgi/reprint/27/3/310.pdf
②京大名誉教授の家守先生の調査 http://www.zennyuren.or.jp/milk_no_yakata/jimu/hitori/hitori_03.htm
③サファリガイド加藤直邦さんのブログ、
僕は見習いナチュラリスト
http://naturanger.blog25.fc2.com/blog-entry-111.html
①②③を参考にして、アフリカのマサイ族の食生活を、再検討してみました。
マサイ族は、牛乳及びヨーグルトを2~3リットル/日摂取します。
毎日、何キロも歩いて牛の放牧をし、腰に牛乳を入れた『キブユ』という瓢箪(ひょうたん)をぶら下げて歩くので、数日間で自然醗酵され、ヨーグルトになります。このように、マサイ族の主食は、牛乳とヨーグルトです。
放牧しながら飲むとすれば、どちらかというと、2~3日経過した牛乳や発酵してヨーグルトになったものの方が、新鮮な牛乳よりも主となります。
これらだけの食料で不足する鉄分は、牛の生き血で補っています。牛の生き血は、週に数回、牛乳に混ぜて飲んでいます。トウモロコシの粉『ウガリ』も牛乳に混ぜて飲みます。
マサイ族は、野菜や果物は一切食べないそうですので、ビタミンCをどうやって摂取しているのか不思議です。
ビタミンCは、ヒトは体内で合成できないので、必ず食物から摂取することが必要です。
牛は財産ということで、殺したりしませんので、牛肉も食べません。
山羊や羊も飼っていて、こちらは、お祝い事や家族に病人が出て、栄養をつけたいときに食べるそうです。この時、山羊の生レバや生小腸も食べるそうです。
牛生レバのビタミンCは100g中に30mg
牛小腸のビタミンCは100g中に15mg
です。
山羊の生レバや生小腸は、五訂日本食品標準表に載っていないのですが、牛に準する程度と思います。
したがって、山羊の生レバや生小腸はビタミンCが豊富と思われますが、日常的に摂取しているわけではありません。
家守先生は、牛の生き血からビタミンCを摂取していると述べておられます。
牛の血漿中のビタミンC濃度は、1.4~3.6mg/dLであり、人の血漿中ビタミンC濃度0.6–1.4mg/dLより高値です。
しかし、それでも、牛の血を1リットル飲んでもせいぜい30mgですから、やはり、牛の血でビタミンCが充分量摂取できるとは言えません。
①によれば
マサイの牛の新鮮な牛乳の中には、ビタミンC2.2mg/dl含まれています。
瓢箪(ひょうたん)に入れて、数日間発酵させてから飲むとすれば、ビタミンCの含有量は減少します。
例えば、瓢箪の中で4日間経過した牛乳は、ビタミンC0.4mg/dlに減ります。
そうなると、牛乳、ヨーグルト、生き血から得られる日々のビタミンC摂取量は、せいぜい30mg/日ていどでしかありません。厚生労働省の推奨量が、100mg/日として、全然足りません。
①によれば
伝統的な食事をしているマサイ族の血清アスコルビン酸濃度は、0.16mg/dlとかなり低くなっています。
バンツー族は、0.56mg/100mlでやや低値ですが、マサイ族よりは、かなり高値です。
白血球の中の、ビタミンC濃度も、マサイ族はバンツー族の半分以下と低値です。
ビタミンB12は、マサイ族は1188pg/mlでバンツー族は404pg/mlで、マサイ族の方が高値でした。
赤血球中の葉酸はマサイ族は低値でした。
血清総タンパクはマサイ族がバンツー族よりやや高値でした。
マサイ族が21名、バンツー族が24名の平均値です。
バンツー族は、ケニアやタンザニアの同じ地域に住んでいて、食生活はマサイ族とは異なり、穀物・野菜など何でも食べています。
他に、赤血球数、ヘモグロビン、白血球数、血小板数、血清鉄も検査されていますが、マサイ族、バンツー族ともに、異常はありませんでした。
結論として、マサイ族の血中ビタミンC濃度が低いのは、単純に食物から摂取するビタミンCが低いからと考えられます。
血漿ビタミンC濃度がこれほど低値なのに、壊血病や貧血は見られず、さらなる研究が必要と締めくくられています。
ちなみに、日本の厚生労働省の第6次改定「日本人の栄養所要量」によると、100mg/日のビタミンC摂取を推奨し、血漿中ビタミンC濃度基準値を0.7mg/dl以上に設定しています。
マサイ族の0.16mg/dlは兎も角として、人類の本当のビタミンC基準値はどのていどなのでしょう?
そして人類の本当のビタミンC摂取必要量はどのくらいなのでしょう?
人類が700万年の進化の過程でいったい何を食べてきたのかを考察するのに、人体で合成できないビタミンCの必須量が気になります。
7属23種の人類が生まれては消え、現在残っているのは原始人類(ホモ・サピエンス)だけです。
7属23種の人類はおそらく全てビタミンCは合成できなかったと思います。
一方7属23種の人類において、穀物はほとんどないので食べてないですが、主食はそれぞれ異なっていた可能性があります。
さて、日本脂質栄養学会の浜崎先生が
「超低炭水化物食だとビタミン C が尿細管で再吸収されるため、ビタミン C の必要量が極端に減る」
とされている根拠の
Cunningham JJ. Altered vitamin C transport in diabetes mellitus. Med Hypotheses
26:263-265, 1988.
という論文が手に入ったので検討します。
江部康二
2014年04月25日 (金)
こんにちは。
今回はビタミンCとイヌイットついて考えてみます。
4000年前、すでにカナダ極北やアラスカに、人類(モンゴロイド)が移住し居住していました。
現在のイヌイット文化と同様の生活様式をしていたとは、必ずしもいえませんが、セイウチ猟などを中心に生業としていたようです。
現在のイヌイットの生活様式の原型ですが、まず10世紀頃、アラスカイヌイットでホッキョククジラが主食の時代がありました。
その後200~300年で他の極北周囲地域、西はチュコト半島、東はグリーンランドまでホッキョククジラ猟が広まりました。この文化は、チューレ文化と呼ばれています。
12世紀から17世紀にかけて極北地域に寒冷化が起こり、それまで豊富だったクジラが少なくなりました。
そのため、クジラ以外のものを主食とせざるを得なくなり、各地域でチューレ文化は多様化して、独自の文化が形成されていきました。
イヌイットといえば、誰でもイメージするような、アザラシ猟をして雪の家に住むという文化は、15世紀頃に形成されました。
その後、ホッキョクイワナ、アザラシ、シロイルカ、カリブーといった食材がイヌイットの主食となっていきました。
この伝統的な食生活のころは、海生動物の生肉・内臓、生魚肉・内臓が主食で、穀物や野菜もなしで、果物もほとんどなしです。
海生動物や魚の内臓には、あるていどのビタミンCが含まれていると思いますが、野菜や果物ほどではありません。
イヌイットの好物であるマクタック(シロイルカの生皮)にビタミンCが含まれているとのことですが、量的には野菜や果物には到底及ばないと思われます。
キビヤックというイヌイット独特の発酵食品があります。
海鳥(ウミスズメ類)をアザラシの中に詰めこみ、地中に長期間埋めて作るそうです。
大変臭いそうですが、ビタミンCが豊富という説もあります。
しかし通常、発酵食品にはビタミンCは含まれていないと思います。
結局ビタミンCが豊富なのは、新鮮な野菜と果物、そしてサツマ芋とジャガ芋です。
内臓には少量含まれてますが、量的には野菜や果物には及びません。
こうなると、イヌイットが伝統的な食生活を続けていたころは、ビタミンCの補充はどうしていたのかという疑問が生じます。
イヌイットの伝統的食生活では、ビタミンC摂取量は少ない可能性が高いですし、ビタミンC血中濃度も低い可能性が高いです。そして、ビタミンC不足による病気はどうなのでしょう?
1975年発表の、カナダの論文を読んでみました(*)。
この論文は、ケベック遺伝子医学ネットワークの調査などに基づいたものであり信頼度は高いと思います。
やはりイヌイットのビタミンC摂取量は、カナダ白人と比較して、かなり少なかったです。
妊婦のビタミンCが不足していると、新生児高チロシン血症(**)になります。
イヌイットの新生児高チロシン血症は、先天的なものではなく、ビタミンC不足によるものなので、妊婦へのビタミンC投与で改善したと報告されています。
イヌイットの妊娠中の女性の平均ビタミンC摂取量は、28mg/日で、血中ビタミンC濃度は、0.25mg/dl。
イヌイットの同年齢の非妊娠女性名の、平均ビタミンC摂取量は26mg/日で、血中ビタミンC濃度は0.17mg/dl。
カナダの白人妊婦の、平均ビタミンC摂取量は、133mg/日で、血中ビタミンC濃度は0.97mg/dl。
イヌイットの妊婦のビタミンC血中濃度は低くて、新生児高チロシン血症(**)の頻度が、カナダアングロサクソン人が0.94%に対して14.8%もありました。
イヌイットの血中ビタミンC濃度は、壊血病危険ラインの0.2mg/dl未満の場合も多く、歯肉出血が高率に見られたそうです。
イヌイットの場合は、血中ビタミンC濃度が低値であることは、壊血病と新生児高チロシン血症のリスクを高めていました。
このことに関しては、調査に基づく事実なので議論の余地はありません。
イヌイットとビタミンC不足のことを考慮すると、スーパー糖質制限食においても、基本的には、野菜はしっかり摂取して、ビタミンCを確保することが必要と思います。
一方、アフリカのケニア南部からタンザニア北部にすむマサイ族は、血中ビタミンC濃度はイヌイットと同レベルの壊血病危険ライン0.2mg/dlの場合も多いのに、壊血病がみられないのは、不思議です。
またマサイ族と新生児高チロシン血症の文献は、英文でも発見できませんでした。
血中ビタミンC濃度が、同レベルに低い「イヌイット」と「マサイ族」ですが、新生児高チロシン血症や壊血病リスクが生じたのはイヌイットだけで、マサイ族には生じなかったのは、何故なのか不思議です。
江部康二
(*)
Neonatal hypertyrosinemia and evidence of deficiency of ascorbic acid
in Arctic and subarctic peoples
624-626 CMA JOURNAL/OCTOBER 4,1975/VOL.113
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1956727/pdf/canmedaj01544-0034.pdf
(**)メルクマニュアルより抜粋
チロシン代謝障害
チロシンは,いくつかの神経伝達物質(例,ドパミン,ノルエピネフリン,エピネフリン),ホルモン(例,サイロキシン),およびメラニンの前駆物質であり,その代謝に関与する酵素の欠損は様々な症候群を引き起こす。
新生児一過性チロシン血症: ときに,代謝酵素(特に4-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ)の一過性の未成熟により血漿チロシン濃度の上昇が発生し(通常は未熟児,特に高蛋白食を与えられているものに起こる),その代謝産物がPKUのルーチン新生児スクリーニングで検出されることがある。患児の大半は無症状であるが,嗜眠と哺乳不良を呈することがある。チロシン血症は,血漿チロシン高値によってPKUと鑑別される。
大部分は自然消失する。症状のある患児には,食事性チロシンの摂取制限(2g/kg/日)とビタミンC,200〜400mg,経口,1日1回を実施する。
チロシン血症Ⅰ型: この障害は,フマリルアセト酢酸ヒドラーゼ(チロシン代謝に重要な酵素)欠損に起因する常染色体劣性の遺伝形質である。疾患としては,新生児期には劇症肝不全として,また乳児期後期および幼児期には無痛性不顕性肝炎,有痛性末梢神経障害,および尿細管障害(例,正アニオンギャップ性代謝性アシドーシス,低リン酸血症,ビタミンD抵抗性くる病)として発症する。長期生存者では肝癌のリスクが増大する。
診断は,血漿チロシン高値によって示唆され,血漿または尿中サクシニルアセトン高値および血球または肝生検標本におけるフマリルアセト酢酸ヒドラーゼの活性低下によって確定される。2(2-ニトロ-4-トリフルオロメチルベンゾイル)-1,3-シクロ-ヘキサンジオン(NTBC)による治療が急性発作に有効であり,また進行を遅らせる効果もある。低フェニルアラニン・低チロシンの食事療法が推奨される。肝移植が有効である。
チロシン血症Ⅱ型: チロシンアミノ基転移酵素の欠損によって引き起こされる常染色体劣性遺伝のまれな疾患である。チロシンの蓄積により皮膚と角膜に潰瘍を来す。無治療の場合,フェニルアラニンの二次的増加により,軽度ではあるが神経精神医学的異常を来すことがある。診断は,血漿チロシン高値,血漿中または尿中のサクシニルアセトンの欠如,および肝生検における酵素活性減少の測定によって行われる。本疾患は,食事性フェニルアラニンおよびチロシンの軽度から中等度の摂取制限により,容易に治療可能である。
(***)チロシン
必須アミノ酸ではありませんが重要なアミノ酸であるチロシンは、
フェニルアラニンという必須アミノ酸から作られます。
チロシンは脳や神経が正常に働くために必要不可欠なアミノ酸で、神経伝達物質であるドーパミン やノルアドレナリンの前駆体となり、脳機能を活性化させる働きがあります。
チロシンは感情や精神機能、性的衝動を脳内でつかさどる重要な神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリン の前駆体です。納豆やチーズ、みそなどの表面に白く析出してくる結晶や、若いタケノコの切り口に見られる白いアクがチロシン で水には溶けにくい性質があります。
今回はビタミンCとイヌイットついて考えてみます。
4000年前、すでにカナダ極北やアラスカに、人類(モンゴロイド)が移住し居住していました。
現在のイヌイット文化と同様の生活様式をしていたとは、必ずしもいえませんが、セイウチ猟などを中心に生業としていたようです。
現在のイヌイットの生活様式の原型ですが、まず10世紀頃、アラスカイヌイットでホッキョククジラが主食の時代がありました。
その後200~300年で他の極北周囲地域、西はチュコト半島、東はグリーンランドまでホッキョククジラ猟が広まりました。この文化は、チューレ文化と呼ばれています。
12世紀から17世紀にかけて極北地域に寒冷化が起こり、それまで豊富だったクジラが少なくなりました。
そのため、クジラ以外のものを主食とせざるを得なくなり、各地域でチューレ文化は多様化して、独自の文化が形成されていきました。
イヌイットといえば、誰でもイメージするような、アザラシ猟をして雪の家に住むという文化は、15世紀頃に形成されました。
その後、ホッキョクイワナ、アザラシ、シロイルカ、カリブーといった食材がイヌイットの主食となっていきました。
この伝統的な食生活のころは、海生動物の生肉・内臓、生魚肉・内臓が主食で、穀物や野菜もなしで、果物もほとんどなしです。
海生動物や魚の内臓には、あるていどのビタミンCが含まれていると思いますが、野菜や果物ほどではありません。
イヌイットの好物であるマクタック(シロイルカの生皮)にビタミンCが含まれているとのことですが、量的には野菜や果物には到底及ばないと思われます。
キビヤックというイヌイット独特の発酵食品があります。
海鳥(ウミスズメ類)をアザラシの中に詰めこみ、地中に長期間埋めて作るそうです。
大変臭いそうですが、ビタミンCが豊富という説もあります。
しかし通常、発酵食品にはビタミンCは含まれていないと思います。
結局ビタミンCが豊富なのは、新鮮な野菜と果物、そしてサツマ芋とジャガ芋です。
内臓には少量含まれてますが、量的には野菜や果物には及びません。
こうなると、イヌイットが伝統的な食生活を続けていたころは、ビタミンCの補充はどうしていたのかという疑問が生じます。
イヌイットの伝統的食生活では、ビタミンC摂取量は少ない可能性が高いですし、ビタミンC血中濃度も低い可能性が高いです。そして、ビタミンC不足による病気はどうなのでしょう?
1975年発表の、カナダの論文を読んでみました(*)。
この論文は、ケベック遺伝子医学ネットワークの調査などに基づいたものであり信頼度は高いと思います。
やはりイヌイットのビタミンC摂取量は、カナダ白人と比較して、かなり少なかったです。
妊婦のビタミンCが不足していると、新生児高チロシン血症(**)になります。
イヌイットの新生児高チロシン血症は、先天的なものではなく、ビタミンC不足によるものなので、妊婦へのビタミンC投与で改善したと報告されています。
イヌイットの妊娠中の女性の平均ビタミンC摂取量は、28mg/日で、血中ビタミンC濃度は、0.25mg/dl。
イヌイットの同年齢の非妊娠女性名の、平均ビタミンC摂取量は26mg/日で、血中ビタミンC濃度は0.17mg/dl。
カナダの白人妊婦の、平均ビタミンC摂取量は、133mg/日で、血中ビタミンC濃度は0.97mg/dl。
イヌイットの妊婦のビタミンC血中濃度は低くて、新生児高チロシン血症(**)の頻度が、カナダアングロサクソン人が0.94%に対して14.8%もありました。
イヌイットの血中ビタミンC濃度は、壊血病危険ラインの0.2mg/dl未満の場合も多く、歯肉出血が高率に見られたそうです。
イヌイットの場合は、血中ビタミンC濃度が低値であることは、壊血病と新生児高チロシン血症のリスクを高めていました。
このことに関しては、調査に基づく事実なので議論の余地はありません。
イヌイットとビタミンC不足のことを考慮すると、スーパー糖質制限食においても、基本的には、野菜はしっかり摂取して、ビタミンCを確保することが必要と思います。
一方、アフリカのケニア南部からタンザニア北部にすむマサイ族は、血中ビタミンC濃度はイヌイットと同レベルの壊血病危険ライン0.2mg/dlの場合も多いのに、壊血病がみられないのは、不思議です。
またマサイ族と新生児高チロシン血症の文献は、英文でも発見できませんでした。
血中ビタミンC濃度が、同レベルに低い「イヌイット」と「マサイ族」ですが、新生児高チロシン血症や壊血病リスクが生じたのはイヌイットだけで、マサイ族には生じなかったのは、何故なのか不思議です。
江部康二
(*)
Neonatal hypertyrosinemia and evidence of deficiency of ascorbic acid
in Arctic and subarctic peoples
624-626 CMA JOURNAL/OCTOBER 4,1975/VOL.113
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1956727/pdf/canmedaj01544-0034.pdf
(**)メルクマニュアルより抜粋
チロシン代謝障害
チロシンは,いくつかの神経伝達物質(例,ドパミン,ノルエピネフリン,エピネフリン),ホルモン(例,サイロキシン),およびメラニンの前駆物質であり,その代謝に関与する酵素の欠損は様々な症候群を引き起こす。
新生児一過性チロシン血症: ときに,代謝酵素(特に4-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ)の一過性の未成熟により血漿チロシン濃度の上昇が発生し(通常は未熟児,特に高蛋白食を与えられているものに起こる),その代謝産物がPKUのルーチン新生児スクリーニングで検出されることがある。患児の大半は無症状であるが,嗜眠と哺乳不良を呈することがある。チロシン血症は,血漿チロシン高値によってPKUと鑑別される。
大部分は自然消失する。症状のある患児には,食事性チロシンの摂取制限(2g/kg/日)とビタミンC,200〜400mg,経口,1日1回を実施する。
チロシン血症Ⅰ型: この障害は,フマリルアセト酢酸ヒドラーゼ(チロシン代謝に重要な酵素)欠損に起因する常染色体劣性の遺伝形質である。疾患としては,新生児期には劇症肝不全として,また乳児期後期および幼児期には無痛性不顕性肝炎,有痛性末梢神経障害,および尿細管障害(例,正アニオンギャップ性代謝性アシドーシス,低リン酸血症,ビタミンD抵抗性くる病)として発症する。長期生存者では肝癌のリスクが増大する。
診断は,血漿チロシン高値によって示唆され,血漿または尿中サクシニルアセトン高値および血球または肝生検標本におけるフマリルアセト酢酸ヒドラーゼの活性低下によって確定される。2(2-ニトロ-4-トリフルオロメチルベンゾイル)-1,3-シクロ-ヘキサンジオン(NTBC)による治療が急性発作に有効であり,また進行を遅らせる効果もある。低フェニルアラニン・低チロシンの食事療法が推奨される。肝移植が有効である。
チロシン血症Ⅱ型: チロシンアミノ基転移酵素の欠損によって引き起こされる常染色体劣性遺伝のまれな疾患である。チロシンの蓄積により皮膚と角膜に潰瘍を来す。無治療の場合,フェニルアラニンの二次的増加により,軽度ではあるが神経精神医学的異常を来すことがある。診断は,血漿チロシン高値,血漿中または尿中のサクシニルアセトンの欠如,および肝生検における酵素活性減少の測定によって行われる。本疾患は,食事性フェニルアラニンおよびチロシンの軽度から中等度の摂取制限により,容易に治療可能である。
(***)チロシン
必須アミノ酸ではありませんが重要なアミノ酸であるチロシンは、
フェニルアラニンという必須アミノ酸から作られます。
チロシンは脳や神経が正常に働くために必要不可欠なアミノ酸で、神経伝達物質であるドーパミン やノルアドレナリンの前駆体となり、脳機能を活性化させる働きがあります。
チロシンは感情や精神機能、性的衝動を脳内でつかさどる重要な神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリン の前駆体です。納豆やチーズ、みそなどの表面に白く析出してくる結晶や、若いタケノコの切り口に見られる白いアクがチロシン で水には溶けにくい性質があります。
2014年04月24日 (木)
こんにちは。
OKさんとヘルミさんから、スーパー糖質制限食とビタミンC必要量などについて、コメント・質問をいただきました。
日本脂質栄養学会の浜崎先生が
「超低炭水化物食だとビタミン C が尿細管で再吸収されるため、ビタミン C の必要量が極端に減る」
とされている根拠は
Cunningham JJ. Altered vitamin C transport in diabetes mellitus. Med Hypotheses
26:263-265, 1988.
という論文です。
取り寄せて読んでみようと思います。
「医学仮説」という雑誌に掲載された『糖尿病における変化するビタミンC輸送』という論文です。
手元にある要約では、
「・・・試験管内ではブドウ糖濃度が膜輸送機構に影響を与える。これによれば糖尿病においてはビタミンCの状態が障害される。・・・」
結局、本文を読まないとよくわかりませんので、本文が届いてから、本格的に検討しようと思います。
しかし、この論文、あくまでも試験管内のできごとに基づく仮説です。
高血糖だとビタミンCが尿中に排泄されて、体内のビタミンCが不足する可能性を指摘していますが、確定したものではないと思います。
そして、イヌイットは生肉と生魚が主食の伝統的食生活の頃は、まさにスーパー糖質制限食を実践していたわけですが、ビタミンC不足で壊血病やその予備軍が問題でした。こちらは仮説ではなくて、歴史的事実です。
従いまして、私はスーパー糖質制限食実践中においても、普通に葉野菜やブロッコリを摂取してビタミンCを補充しておいた方が無難と考えています。
スーパー糖質制限食で、ビタミンC必要量が減る可能性があるかどうかは、論文の本文を読んで考えてみます。
江部康二
【14/04/23 OK
最低ビタミンC必要量
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jln/19/1/19_1_59/_pdf
日本脂質栄養学会の浜崎先生や沖縄の渡辺先生は「超低炭水化物食だとビタミン C が尿細管で再吸収されるため、ビタミン C の必要量が極端に減る」を引用されていますが、スーパー糖質制限食の糖質量ではビタミンCの必要量は減らないのでしょうか?
もし減るのであれば、プチ・スタンダード・スーパーにおける最低ビタミンC必要量を定量的にご教示頂けると幸いです。】
【14/04/23 ドクター江部
Re: 最低ビタミンC必要量
OK さん
ビタミンCと糖質制限食のことは記事にしようと思いますが、 とりあえず普通に葉野菜やブロッコリを摂取してビタミンCを補充しておいた方が無難です。
イヌイットは伝統的食生活のころ、ビタミンC不足で壊血病やその予備軍が問題でしたので・・・。】
【14/04/24 OK
Re: 最低ビタミンC必要量
イヌイットの件がありビタミンCゼロにしてはいけないことは承知していますが、次回記事にして頂けるのであれば、「スーパー糖質制限によってビタミンCの必要量は減るのか変わらないのか?」についての考察もぜひお願い致します。
『食後血糖の上昇がなければ、糖が尿細管にあまり排出されず、類似構造のビタミン C の再吸収が亢進するためである。』という説明は非常にもっともらしく聞こえます。
Cunningham JJ. Altered vitamin C transport in diabetes mellitus. Med Hypotheses
26:263-265, 1988.】
【14/04/24 ヘルミ
ビタミンCの件
江部先生おはようございます。
「糖が尿細管にあまり排出されず、類似構造のビタミン C の再吸収が亢進するためである」とすると、強制的に尿糖として糖を排泄させるSGLT2阻害薬は壊血病の原因になりますか?
そこについてもご考察いただけるとありがたいです。】
OKさんとヘルミさんから、スーパー糖質制限食とビタミンC必要量などについて、コメント・質問をいただきました。
日本脂質栄養学会の浜崎先生が
「超低炭水化物食だとビタミン C が尿細管で再吸収されるため、ビタミン C の必要量が極端に減る」
とされている根拠は
Cunningham JJ. Altered vitamin C transport in diabetes mellitus. Med Hypotheses
26:263-265, 1988.
という論文です。
取り寄せて読んでみようと思います。
「医学仮説」という雑誌に掲載された『糖尿病における変化するビタミンC輸送』という論文です。
手元にある要約では、
「・・・試験管内ではブドウ糖濃度が膜輸送機構に影響を与える。これによれば糖尿病においてはビタミンCの状態が障害される。・・・」
結局、本文を読まないとよくわかりませんので、本文が届いてから、本格的に検討しようと思います。
しかし、この論文、あくまでも試験管内のできごとに基づく仮説です。
高血糖だとビタミンCが尿中に排泄されて、体内のビタミンCが不足する可能性を指摘していますが、確定したものではないと思います。
そして、イヌイットは生肉と生魚が主食の伝統的食生活の頃は、まさにスーパー糖質制限食を実践していたわけですが、ビタミンC不足で壊血病やその予備軍が問題でした。こちらは仮説ではなくて、歴史的事実です。
従いまして、私はスーパー糖質制限食実践中においても、普通に葉野菜やブロッコリを摂取してビタミンCを補充しておいた方が無難と考えています。
スーパー糖質制限食で、ビタミンC必要量が減る可能性があるかどうかは、論文の本文を読んで考えてみます。
江部康二
【14/04/23 OK
最低ビタミンC必要量
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jln/19/1/19_1_59/_pdf
日本脂質栄養学会の浜崎先生や沖縄の渡辺先生は「超低炭水化物食だとビタミン C が尿細管で再吸収されるため、ビタミン C の必要量が極端に減る」を引用されていますが、スーパー糖質制限食の糖質量ではビタミンCの必要量は減らないのでしょうか?
もし減るのであれば、プチ・スタンダード・スーパーにおける最低ビタミンC必要量を定量的にご教示頂けると幸いです。】
【14/04/23 ドクター江部
Re: 最低ビタミンC必要量
OK さん
ビタミンCと糖質制限食のことは記事にしようと思いますが、 とりあえず普通に葉野菜やブロッコリを摂取してビタミンCを補充しておいた方が無難です。
イヌイットは伝統的食生活のころ、ビタミンC不足で壊血病やその予備軍が問題でしたので・・・。】
【14/04/24 OK
Re: 最低ビタミンC必要量
イヌイットの件がありビタミンCゼロにしてはいけないことは承知していますが、次回記事にして頂けるのであれば、「スーパー糖質制限によってビタミンCの必要量は減るのか変わらないのか?」についての考察もぜひお願い致します。
『食後血糖の上昇がなければ、糖が尿細管にあまり排出されず、類似構造のビタミン C の再吸収が亢進するためである。』という説明は非常にもっともらしく聞こえます。
Cunningham JJ. Altered vitamin C transport in diabetes mellitus. Med Hypotheses
26:263-265, 1988.】
【14/04/24 ヘルミ
ビタミンCの件
江部先生おはようございます。
「糖が尿細管にあまり排出されず、類似構造のビタミン C の再吸収が亢進するためである」とすると、強制的に尿糖として糖を排泄させるSGLT2阻害薬は壊血病の原因になりますか?
そこについてもご考察いただけるとありがたいです。】
2014年04月23日 (水)
こんばんは。
子供の食事と糖質制限食とテーラーメードダイエット、そしてイヌイットの離乳食について考えてみます。
人類は700万年間、狩猟・採集を生業として、進化してきました。
すなわち、700万年間は穀物は摂取せずに、糖質制限食で、妊娠・出産・子育てをしてきました。
穀物を摂取し始めたのは、1万年前の農耕開始以降です。
また、イヌイットは、伝統的な食生活の頃は、生肉・生魚が主食で、穀物はなしで、まさにスーパー糖質制限食です。
この頃のイヌイットの子供に成長障害とかはありませんでした。
またイヌイットの離乳食は、穀物など皆無ですから、海藻やアザラシの脂身、カリブーや鯨肉(多くの場合、生)などでした。母乳も3~5年間とか続けることもあったようです。
結論としては、小児も成人も妊婦も糖質制限食を実践して全く問題はありません。
なにせ、人類本来の食事であり、人類の健康食ですので・・・ (^^)
糖質制限食とは、わかりやすく言うと米飯・めん類・パンなどの穀類や芋類などの糖質が多い食品を食べないで、肉・魚貝・卵・チーズ・大豆製品・葉野菜・藻類・茸類などを、しっかり摂取する食事療法です。
従いまして、必須アミノ酸、必須脂肪酸、各種ビタミン・ミネラル、食物繊維・・・
全て豊富に摂取しますので栄養素不足とは無縁の食事療法なのです。
ただ学校給食とかもありますので、現実には糖質制限食実践は、社会生活的なことを考慮すると、小学校などでは現実には困難だと思います。
それでテーラーメードダイエットを提唱しています。
一方、1型糖尿病の子供さんなら、糖質制限食実践でインスリンの量を必要最低限にすることは、身体にとって大変よいことなので、学校側と相談してみる価値はあると思います。
<テーラーメードダイエット>
症状改善だけなら、人類皆糖質制限食もありだと思うのですが、地球人口70億人を養うためには現時点で穀物は必須です。
このことを踏まえて食べ分けが必要と思います。
例えば、小児、青少年、アトピーや喘息の若い人、成人でも糖尿病やメタボリック・シンドロームなどがない人なら、主食を、日頃の運動量に応じて未精製の穀物(例えば玄米)を適量にして「高雄病院食生活十箇条」の実践でよいと思います。
運動選手など日常的に運動をしている青少年は、あるていどの量の未精製穀物を摂取しても、インスリン非依存的に筋肉がどんどん血糖を利用するので、ブドウ糖ミニスパイクも生じにくく大丈夫です。
一方、読書タイプで運動をあんまりしない青少年は、未精製の穀物でも少量に控えておく方が無難です。
すでに糖尿病を患っている人や、メタボリック・シンドロ-ムの人は、糖質制限食がベストの選択です。
江部康二
☆☆☆
『高雄病院食生活十箇条』 -アレルギー疾患の治療や生活習慣病予防に-
一、主食は未精製の穀物を運動量に応じて適量が好ましい(玄米など)
二、白パン・白砂糖など精製炭水化物の摂取は極力減らす
三、発酵食品(味噌、漬け物、納豆など)をきちんと食べる
四、飲料は牛乳・果汁は飲まない。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。 成分未調整豆乳適量はOK。
五、魚貝類はしっかり食べ、肉類は適量を摂る
六、季節の野菜や海草はしっかり食べ、旬の果物も適量摂る
七、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)など身体に良い油脂は積極的に摂る
八、牛乳は極力減らし、チーズやプレーンヨーグルトは適量摂る
九、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ
十、食事は楽しく、ゆっくり、よくかんで
☆☆☆
『糖質制限食十箇条』 -糖尿病や肥満が気になる人に-
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
三、やむを得ず主食を摂るときは未精製の穀物を少量とする(玄米など)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まない。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。 成分未調整豆乳適量はOK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
子供の食事と糖質制限食とテーラーメードダイエット、そしてイヌイットの離乳食について考えてみます。
人類は700万年間、狩猟・採集を生業として、進化してきました。
すなわち、700万年間は穀物は摂取せずに、糖質制限食で、妊娠・出産・子育てをしてきました。
穀物を摂取し始めたのは、1万年前の農耕開始以降です。
また、イヌイットは、伝統的な食生活の頃は、生肉・生魚が主食で、穀物はなしで、まさにスーパー糖質制限食です。
この頃のイヌイットの子供に成長障害とかはありませんでした。
またイヌイットの離乳食は、穀物など皆無ですから、海藻やアザラシの脂身、カリブーや鯨肉(多くの場合、生)などでした。母乳も3~5年間とか続けることもあったようです。
結論としては、小児も成人も妊婦も糖質制限食を実践して全く問題はありません。
なにせ、人類本来の食事であり、人類の健康食ですので・・・ (^^)
糖質制限食とは、わかりやすく言うと米飯・めん類・パンなどの穀類や芋類などの糖質が多い食品を食べないで、肉・魚貝・卵・チーズ・大豆製品・葉野菜・藻類・茸類などを、しっかり摂取する食事療法です。
従いまして、必須アミノ酸、必須脂肪酸、各種ビタミン・ミネラル、食物繊維・・・
全て豊富に摂取しますので栄養素不足とは無縁の食事療法なのです。
ただ学校給食とかもありますので、現実には糖質制限食実践は、社会生活的なことを考慮すると、小学校などでは現実には困難だと思います。
それでテーラーメードダイエットを提唱しています。
一方、1型糖尿病の子供さんなら、糖質制限食実践でインスリンの量を必要最低限にすることは、身体にとって大変よいことなので、学校側と相談してみる価値はあると思います。
<テーラーメードダイエット>
症状改善だけなら、人類皆糖質制限食もありだと思うのですが、地球人口70億人を養うためには現時点で穀物は必須です。
このことを踏まえて食べ分けが必要と思います。
例えば、小児、青少年、アトピーや喘息の若い人、成人でも糖尿病やメタボリック・シンドロームなどがない人なら、主食を、日頃の運動量に応じて未精製の穀物(例えば玄米)を適量にして「高雄病院食生活十箇条」の実践でよいと思います。
運動選手など日常的に運動をしている青少年は、あるていどの量の未精製穀物を摂取しても、インスリン非依存的に筋肉がどんどん血糖を利用するので、ブドウ糖ミニスパイクも生じにくく大丈夫です。
一方、読書タイプで運動をあんまりしない青少年は、未精製の穀物でも少量に控えておく方が無難です。
すでに糖尿病を患っている人や、メタボリック・シンドロ-ムの人は、糖質制限食がベストの選択です。
江部康二
☆☆☆
『高雄病院食生活十箇条』 -アレルギー疾患の治療や生活習慣病予防に-
一、主食は未精製の穀物を運動量に応じて適量が好ましい(玄米など)
二、白パン・白砂糖など精製炭水化物の摂取は極力減らす
三、発酵食品(味噌、漬け物、納豆など)をきちんと食べる
四、飲料は牛乳・果汁は飲まない。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。 成分未調整豆乳適量はOK。
五、魚貝類はしっかり食べ、肉類は適量を摂る
六、季節の野菜や海草はしっかり食べ、旬の果物も適量摂る
七、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)など身体に良い油脂は積極的に摂る
八、牛乳は極力減らし、チーズやプレーンヨーグルトは適量摂る
九、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ
十、食事は楽しく、ゆっくり、よくかんで
☆☆☆
『糖質制限食十箇条』 -糖尿病や肥満が気になる人に-
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
三、やむを得ず主食を摂るときは未精製の穀物を少量とする(玄米など)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まない。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。 成分未調整豆乳適量はOK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
2014年04月22日 (火)
こんにちは。
高雄病院・糖質制限食の基本スタンスは、長期に及んだ狩猟・採集時代の
「人類本来の食生活を目指す」
ということです。
基本は基本ですが、おおいに応用もありです。
農耕以降に登場した比較的新しい食材に関しても、理論的に考えてOKなら、よしとします。
例えば
大豆製品(豆腐、湯葉、納豆・・・)、チーズなど乳製品、適量のハム・ソーセージ、コーヒー、アルコール・・・etcは、農耕以前にはない食材です。
しかし「血糖値を上昇させずインスリン追加分泌させない」という優先順位一番に大切なことはクリアしているので、糖質制限OK食材としています。
また近年開発されたエリスリトール甘味料、最近開発された、糖質ゼロ発泡酒・日本酒、糖質の極めて少ないパン、ケーキ、餃子、ピザ、パスタ、お好み焼き・・・もほとんど「血糖値を上昇させずインスリン追加分泌させない」という意味で、糖質制限OK食材です。
さて人類の歴史は約700万年です。
700万年の間、人類は狩猟・採集・漁労をしながら突然変異を繰り返して、消化管・生理・栄養・代謝など人体のシステムを完成させたのです。
すなわち、我々人類の身体は、狩猟・採集・漁労時代の食生活(すなわち糖質制限食)に適合するように進化してきたのです。
従って、そもそも、摂取エネルギーの50~60%を穀物から摂取するような身体は持っていないのです。
農耕が始まるまでの約700万年は、狩猟・採集が生業であり、魚貝類・小動物・動物の肉・内臓・骨髄・野草・野菜・キノコ・海藻・昆虫などが日常的な食料です。
時々食べることができたのは、木の実・ナッツ・果物、そして山芋など根茎でしょうか。
スーパー糖質制限食における総摂取カロリーに対する割合は、高雄病院の給食を平均すると<脂質約56%、タンパク質約32%、糖質約12%>です。
すなわち、高脂質・高タンパク食であり、制限するのは糖質だけで、これが農耕開始以前の「人類本来の食生活」に近い比率だと思います。摂取する糖質のほとんどが野菜分の糖質です。
700万年の進化の歴史において、野菜(野草)は日常的に摂取していたと思います。
このことは、人類がビタミンCを体内で合成できないことからも、推察できます。
動物性食品だけの摂取では、ビタミンCが必ず不足します。
現実に生肉・生魚の伝統的食生活の頃のイヌイットにはビタミンCが不足しており、壊血病やその予備軍が多かったのです。
従いまして、スーパー糖質制限食で野菜を摂取することは、ビタミンC確保の意味からも重要な意味を持っています。
つまり、適量の野菜(最低ビタミンC必要量)は、必ず摂取しなければなりません。
ただ大量の野菜は、糖質量が増えるので要注意です。
次に果物やナッツ類は、秋を中心に季節ごとに少量は手に入るので、ご先祖も、当然摂取していたと思います。
但し、当時の果物やナッツは野生種ですから、現在流通しているものに比べたら、はるかに小さくてショボくて糖質含有量も少なかったと思います。
そして、じゃがいもやさつまいもを人類が食べ始めたのは、農耕開始と同じ頃かそれ以降です。
一方、山芋は、世界中にいろんな種類が山のなかに自生してたと思われ、たま~に運良く採集できたら、ご先祖も食べていたと思います。
また、山芋以外にも百合根とか根茎類は、運良く手に入れば食べていたと思います。
しかし、根茎が食用可能となるのは1回/年くらいと思いますので、やはりラッキー食材の一つです。
このように考えてくると、糖尿人のスーパー糖質制限食においても、
適量の野菜
少量のナッツ類
少量の果物
程度の少なめの糖質量は、人類の進化の過程で時々摂取していたものであり、人体の消化吸収・栄養代謝システムのおいても許容できる範囲と思います。
山芋は、さすがに糖質含有量が多いので、糖尿人はやめておくほうが無難です。
正常人が、健康のためにスーパー糖質制限食を実践する場合は、糖尿人より多めの野菜、適量のナッツ類、適量の果物、適量の山芋など根茎、くらいまでの糖質量は許容範囲と思います。
以上が高雄病院・糖質制限食の基本スタンス(2014)です。
江部康二
高雄病院・糖質制限食の基本スタンスは、長期に及んだ狩猟・採集時代の
「人類本来の食生活を目指す」
ということです。
基本は基本ですが、おおいに応用もありです。
農耕以降に登場した比較的新しい食材に関しても、理論的に考えてOKなら、よしとします。
例えば
大豆製品(豆腐、湯葉、納豆・・・)、チーズなど乳製品、適量のハム・ソーセージ、コーヒー、アルコール・・・etcは、農耕以前にはない食材です。
しかし「血糖値を上昇させずインスリン追加分泌させない」という優先順位一番に大切なことはクリアしているので、糖質制限OK食材としています。
また近年開発されたエリスリトール甘味料、最近開発された、糖質ゼロ発泡酒・日本酒、糖質の極めて少ないパン、ケーキ、餃子、ピザ、パスタ、お好み焼き・・・もほとんど「血糖値を上昇させずインスリン追加分泌させない」という意味で、糖質制限OK食材です。
さて人類の歴史は約700万年です。
700万年の間、人類は狩猟・採集・漁労をしながら突然変異を繰り返して、消化管・生理・栄養・代謝など人体のシステムを完成させたのです。
すなわち、我々人類の身体は、狩猟・採集・漁労時代の食生活(すなわち糖質制限食)に適合するように進化してきたのです。
従って、そもそも、摂取エネルギーの50~60%を穀物から摂取するような身体は持っていないのです。
農耕が始まるまでの約700万年は、狩猟・採集が生業であり、魚貝類・小動物・動物の肉・内臓・骨髄・野草・野菜・キノコ・海藻・昆虫などが日常的な食料です。
時々食べることができたのは、木の実・ナッツ・果物、そして山芋など根茎でしょうか。
スーパー糖質制限食における総摂取カロリーに対する割合は、高雄病院の給食を平均すると<脂質約56%、タンパク質約32%、糖質約12%>です。
すなわち、高脂質・高タンパク食であり、制限するのは糖質だけで、これが農耕開始以前の「人類本来の食生活」に近い比率だと思います。摂取する糖質のほとんどが野菜分の糖質です。
700万年の進化の歴史において、野菜(野草)は日常的に摂取していたと思います。
このことは、人類がビタミンCを体内で合成できないことからも、推察できます。
動物性食品だけの摂取では、ビタミンCが必ず不足します。
現実に生肉・生魚の伝統的食生活の頃のイヌイットにはビタミンCが不足しており、壊血病やその予備軍が多かったのです。
従いまして、スーパー糖質制限食で野菜を摂取することは、ビタミンC確保の意味からも重要な意味を持っています。
つまり、適量の野菜(最低ビタミンC必要量)は、必ず摂取しなければなりません。
ただ大量の野菜は、糖質量が増えるので要注意です。
次に果物やナッツ類は、秋を中心に季節ごとに少量は手に入るので、ご先祖も、当然摂取していたと思います。
但し、当時の果物やナッツは野生種ですから、現在流通しているものに比べたら、はるかに小さくてショボくて糖質含有量も少なかったと思います。
そして、じゃがいもやさつまいもを人類が食べ始めたのは、農耕開始と同じ頃かそれ以降です。
一方、山芋は、世界中にいろんな種類が山のなかに自生してたと思われ、たま~に運良く採集できたら、ご先祖も食べていたと思います。
また、山芋以外にも百合根とか根茎類は、運良く手に入れば食べていたと思います。
しかし、根茎が食用可能となるのは1回/年くらいと思いますので、やはりラッキー食材の一つです。
このように考えてくると、糖尿人のスーパー糖質制限食においても、
適量の野菜
少量のナッツ類
少量の果物
程度の少なめの糖質量は、人類の進化の過程で時々摂取していたものであり、人体の消化吸収・栄養代謝システムのおいても許容できる範囲と思います。
山芋は、さすがに糖質含有量が多いので、糖尿人はやめておくほうが無難です。
正常人が、健康のためにスーパー糖質制限食を実践する場合は、糖尿人より多めの野菜、適量のナッツ類、適量の果物、適量の山芋など根茎、くらいまでの糖質量は許容範囲と思います。
以上が高雄病院・糖質制限食の基本スタンス(2014)です。
江部康二
2014年04月21日 (月)
こんにちは。
ブログ読者の皆さんには、交流会、講演会などいつも多数ご参加いただきありがとうございます。
今回の記事は、一般社団法人日本糖質制限医療推進協会主催の一般向け岡山講演会のご案内です。
糖質過多な現代の食生活。
それによって引き起こされる糖尿病など生活習慣病の数々。
「糖質摂取が何故良くないか」そのメカニズムわかりやすく説明し、対して人類本来の食事といえる糖質制限食の有効性と可能性について具体的にお話しします。
そして糖尿病患者さんの血液検査データも豊富に紹介します。
同一摂取カロリーで揃えた「従来の糖尿病食 VS スーパー糖質制限食」の血糖値の日内変動データ比較は圧巻です。
食後高血糖と平均血糖変動幅に関しては、糖質制限食の圧勝で、その差は「月とスッポン」です。
米国糖尿病学会が2008年以来5年ぶりに、成人糖尿病患者の食事療法に関する声明(Position Statement on Nutrition Therapy)を改訂しました。(Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版)
2013年10月の米国糖尿病学会の栄養療法の声明は画期的なものであり、
全ての糖尿病患者に適した“one-size-fits-all(唯一無二の)”食事パターンは存在しない
との見解を表明しました。
このことは、食品交換表1969年の第2版以降、唯一無二の食事療法(カロリー制限食)を推奨し続けている日本糖尿病学会に対する痛烈な批判となっています。
そして、患者ごとにさまざまな食事パターン〔地中海食,ベジタリアン食,糖質制限食,低脂質食,DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食〕が受容可能であるとしています。
糖質制限食もちゃんと認められていて、日本における糖質制限食の普及においてこの上ない追い風です。
極めて重要なことですが、糖尿病合併症を防ぐには、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じないことが必要不可欠です。
しかしながら糖質を摂取すれば、必ず「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じます。
すなわち、従来の糖尿病食(高糖質食)では、糖尿病合併症を防ぐことは理論的に不可能なのです。
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じない唯一の食事療法が、糖質制限食なのです。
年間
16000人が糖尿病腎症から透析 → 医療費800億円、
3000人が糖尿病網膜症から失明
3000人が糖尿病足病変から足切断
というのが厳しい現実です。
このように合併症に苦しむ多数の糖尿病患者さんの存在そのものが、「日本糖尿病学会主導の従来の糖尿病治療が決して上手くいっていない」ことの動かぬ証拠と言えます。
糖尿病合併症を生じさせないためには、糖尿人の皆さんは自分自身の頭で考えて身を守ることが必要です。
本講演では、糖尿病を中心に糖質制限食の有効性・安全性をわかりやすく説明します。
また生活習慣病やがんへの糖質制限食の有効性・可能性にも少し言及します。
わかりやすいお話しを目指しますので、お近くの方々は是非ご参加くださいね。
岡山では、提携医療機関がまだないので、糖質制限食に興味ある医師のご参加も歓迎です。
医師の方は、前もって事務局にご連絡いただけば助かります。
よろしくお願い申し上げます。
江部康二
以下、事務局からのご案内です。
ブログ読者の皆様、講演会へいつも多数ご参加いただきまして
ありがとうございます。
5月11日(日)に、岡山で一般向けの講演会を開催いたします。
中国地方の皆様をはじめ、多数のご参加を心よりお待ち申し上げております。
//////////////////ご案内////////////////////
一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会主催 講演会(岡山)
「糖質制限食の有効性・可能性 ―糖尿病・メタボ・生活習慣病・がん・・・―」
◆日時: 2014年5月11日(日) 14:00~16:30頃 ※入場受付(開場)は、13:40~
◆会場: 岡山市民会館 4階大会議室
岡山県岡山市北区丸の内2丁目1番1号
http://www.okayama-shiminkaikan.jp/access.html
☆アクセス:路面電車の岡山駅前(停留所)で「東山行き」に乗車。
城下(停留所)で下車して下さい。下車後徒歩3分です。
(岡山駅前→城下の所要時間は5分です。)
◆講演① 『糖質制限のすすめ』 講師:瀬尾 一史 瀬尾クリニック院長
糖尿病は予備軍まで含めると約2100万人の患者がいるといわれています。
糖尿病の成因は食後の高血糖といわれていますが、食後の高血糖を
生じない糖質制限食は糖尿病に有効な食事療法であると考えられます。
当クリニックでは平成24年より糖尿病患者に糖質制限食を勧めています。
基本的には夕食のみ主食を抜くプチ糖質制限食から始めています。
治療効果は糖尿病の無治療群では比較的良好で、薬物治療群では
薬の減量ないし中止に至った症例が半数以上認められました。
今回、これらの症例について、さらに家庭や外食での糖質制限食のコツ
などについてお話しします。
(講師略歴)
昭和29年、11月17日福山市生まれ。
昭和56年、奈良県立医科大学卒業。
同年4月、広島大学医学部泌尿器科学教室入局。
国立福山病院、広島大学付属病院、国立呉病院に勤務。
平成4年、学位取得
平成5年11月、福山市今津町に瀬尾クリニックを開業。
平成18年4月より、日本臨床泌尿器科医会 理事に就任。
平成18年2月より、傷、火傷に対して湿潤療法を開始。
平成24年2月より、糖尿病に対して糖質制限食を開始。
◆講演② 『糖質制限食の有効性・可能性 ―食のパラダイムシフト―
~糖尿病・メタボ・生活習慣病・がん・・・~』
講師:江部康二 (一財)高雄病院理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会理事長
糖質制限食は、米飯・めん類・パンや芋類などの糖質が多い食品を
食べないで、肉や魚貝や豆腐や葉野菜などをしっかり摂取する食事療法です。
糖質制限食は、実は人類本来の食事、いわば人類の健康食ですので、
糖尿病をはじめとして様々な生活習慣病が改善します。
今回は、糖尿病を中心に糖質制限食の有効性・安全性を分かりやすく説明します。
また、生活習慣病やがんへの有効性・可能性にも言及します。
◆受講費: 賛助会員 2,500円 / 一般(非会員) 2,900円
◆お支払い方法:クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。
◆お申し込み方法:
・賛助会員の方
事務局までメールにてお申し込み下さい。
・賛助会員入会をご希望の方
1.入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://toushitsuseigen.or.jp/member.html
2.お申し込みはこちらのフォームからお願いします。
http://toushitsuseigen.or.jp/contact.php
「お問い合せ内容」欄に「5/11岡山講演会、受講希望」とご記入下さい。
・一般(非会員)で、講演会の受講のみご希望の方
こちらのフォームよりお申し込み下さい。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/9cbd1ef7287071
◆お申し込みの流れ:
1.会員の方はメールにて、会員以外の方は各種フォームにてご連絡下さい。
2.事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3.入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4.当日、直接会場までお越し下さい。
◆その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは5月8日(木)までにご連絡願います。
それ以降の返金には対応致しかねますので予めご了承ください。
ブログ読者の皆さんには、交流会、講演会などいつも多数ご参加いただきありがとうございます。
今回の記事は、一般社団法人日本糖質制限医療推進協会主催の一般向け岡山講演会のご案内です。
糖質過多な現代の食生活。
それによって引き起こされる糖尿病など生活習慣病の数々。
「糖質摂取が何故良くないか」そのメカニズムわかりやすく説明し、対して人類本来の食事といえる糖質制限食の有効性と可能性について具体的にお話しします。
そして糖尿病患者さんの血液検査データも豊富に紹介します。
同一摂取カロリーで揃えた「従来の糖尿病食 VS スーパー糖質制限食」の血糖値の日内変動データ比較は圧巻です。
食後高血糖と平均血糖変動幅に関しては、糖質制限食の圧勝で、その差は「月とスッポン」です。
米国糖尿病学会が2008年以来5年ぶりに、成人糖尿病患者の食事療法に関する声明(Position Statement on Nutrition Therapy)を改訂しました。(Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版)
2013年10月の米国糖尿病学会の栄養療法の声明は画期的なものであり、
全ての糖尿病患者に適した“one-size-fits-all(唯一無二の)”食事パターンは存在しない
との見解を表明しました。
このことは、食品交換表1969年の第2版以降、唯一無二の食事療法(カロリー制限食)を推奨し続けている日本糖尿病学会に対する痛烈な批判となっています。
そして、患者ごとにさまざまな食事パターン〔地中海食,ベジタリアン食,糖質制限食,低脂質食,DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食〕が受容可能であるとしています。
糖質制限食もちゃんと認められていて、日本における糖質制限食の普及においてこの上ない追い風です。
極めて重要なことですが、糖尿病合併症を防ぐには、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じないことが必要不可欠です。
しかしながら糖質を摂取すれば、必ず「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じます。
すなわち、従来の糖尿病食(高糖質食)では、糖尿病合併症を防ぐことは理論的に不可能なのです。
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じない唯一の食事療法が、糖質制限食なのです。
年間
16000人が糖尿病腎症から透析 → 医療費800億円、
3000人が糖尿病網膜症から失明
3000人が糖尿病足病変から足切断
というのが厳しい現実です。
このように合併症に苦しむ多数の糖尿病患者さんの存在そのものが、「日本糖尿病学会主導の従来の糖尿病治療が決して上手くいっていない」ことの動かぬ証拠と言えます。
糖尿病合併症を生じさせないためには、糖尿人の皆さんは自分自身の頭で考えて身を守ることが必要です。
本講演では、糖尿病を中心に糖質制限食の有効性・安全性をわかりやすく説明します。
また生活習慣病やがんへの糖質制限食の有効性・可能性にも少し言及します。
わかりやすいお話しを目指しますので、お近くの方々は是非ご参加くださいね。
岡山では、提携医療機関がまだないので、糖質制限食に興味ある医師のご参加も歓迎です。
医師の方は、前もって事務局にご連絡いただけば助かります。
よろしくお願い申し上げます。
江部康二
以下、事務局からのご案内です。
ブログ読者の皆様、講演会へいつも多数ご参加いただきまして
ありがとうございます。
5月11日(日)に、岡山で一般向けの講演会を開催いたします。
中国地方の皆様をはじめ、多数のご参加を心よりお待ち申し上げております。
//////////////////ご案内////////////////////
一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会主催 講演会(岡山)
「糖質制限食の有効性・可能性 ―糖尿病・メタボ・生活習慣病・がん・・・―」
◆日時: 2014年5月11日(日) 14:00~16:30頃 ※入場受付(開場)は、13:40~
◆会場: 岡山市民会館 4階大会議室
岡山県岡山市北区丸の内2丁目1番1号
http://www.okayama-shiminkaikan.jp/access.html
☆アクセス:路面電車の岡山駅前(停留所)で「東山行き」に乗車。
城下(停留所)で下車して下さい。下車後徒歩3分です。
(岡山駅前→城下の所要時間は5分です。)
◆講演① 『糖質制限のすすめ』 講師:瀬尾 一史 瀬尾クリニック院長
糖尿病は予備軍まで含めると約2100万人の患者がいるといわれています。
糖尿病の成因は食後の高血糖といわれていますが、食後の高血糖を
生じない糖質制限食は糖尿病に有効な食事療法であると考えられます。
当クリニックでは平成24年より糖尿病患者に糖質制限食を勧めています。
基本的には夕食のみ主食を抜くプチ糖質制限食から始めています。
治療効果は糖尿病の無治療群では比較的良好で、薬物治療群では
薬の減量ないし中止に至った症例が半数以上認められました。
今回、これらの症例について、さらに家庭や外食での糖質制限食のコツ
などについてお話しします。
(講師略歴)
昭和29年、11月17日福山市生まれ。
昭和56年、奈良県立医科大学卒業。
同年4月、広島大学医学部泌尿器科学教室入局。
国立福山病院、広島大学付属病院、国立呉病院に勤務。
平成4年、学位取得
平成5年11月、福山市今津町に瀬尾クリニックを開業。
平成18年4月より、日本臨床泌尿器科医会 理事に就任。
平成18年2月より、傷、火傷に対して湿潤療法を開始。
平成24年2月より、糖尿病に対して糖質制限食を開始。
◆講演② 『糖質制限食の有効性・可能性 ―食のパラダイムシフト―
~糖尿病・メタボ・生活習慣病・がん・・・~』
講師:江部康二 (一財)高雄病院理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会理事長
糖質制限食は、米飯・めん類・パンや芋類などの糖質が多い食品を
食べないで、肉や魚貝や豆腐や葉野菜などをしっかり摂取する食事療法です。
糖質制限食は、実は人類本来の食事、いわば人類の健康食ですので、
糖尿病をはじめとして様々な生活習慣病が改善します。
今回は、糖尿病を中心に糖質制限食の有効性・安全性を分かりやすく説明します。
また、生活習慣病やがんへの有効性・可能性にも言及します。
◆受講費: 賛助会員 2,500円 / 一般(非会員) 2,900円
◆お支払い方法:クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。
◆お申し込み方法:
・賛助会員の方
事務局までメールにてお申し込み下さい。
・賛助会員入会をご希望の方
1.入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://toushitsuseigen.or.jp/member.html
2.お申し込みはこちらのフォームからお願いします。
http://toushitsuseigen.or.jp/contact.php
「お問い合せ内容」欄に「5/11岡山講演会、受講希望」とご記入下さい。
・一般(非会員)で、講演会の受講のみご希望の方
こちらのフォームよりお申し込み下さい。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/9cbd1ef7287071
◆お申し込みの流れ:
1.会員の方はメールにて、会員以外の方は各種フォームにてご連絡下さい。
2.事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3.入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4.当日、直接会場までお越し下さい。
◆その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは5月8日(木)までにご連絡願います。
それ以降の返金には対応致しかねますので予めご了承ください。
2014年04月20日 (日)
こんばんは。
長谷川さんから、糖尿病ネットワークの記事情報をコメント頂きました。
ありがとうございます。
糖尿病全国ワーストの「うどん県」香川
県をあげて糖尿病を克服(☆☆☆)
とう記事です。
2年前の2012年6月9日の、毎日新聞の記事によると香川県が2011年に実施した調査で、成人男性の42.6%が耐糖能異常であり、2009年の全国平均より12%も高かったとのことです。
男性は23.8%が有病者で、18.8%が予備群で合計42.6%が耐糖能異常です。
糖尿病ネットワークの記事とは、何故か少し数字が違うのですが、42.6%と40.5%ですから、まあ大差なしです。
あと比べた全国平均が、2009年度と2012年度の差はありますが、こちらも大差なしです。
次に、毎日新聞の記事では、女性は有病者が8.8%、予備群が10.1%の計18.9%と、全国平均より約6.5%低かったそうです。
香川県は、2008年度の糖尿病受療率が全国一ですけれど、もっぱら男性のせいなのですね。
香川県人の男性は、お昼をうどんというパターンが多いようです。
さらに、うどんを二玉・三玉食べて、天ぷらやおにぎりも併せてという乱暴狼藉??パターンが多いそうです。
私の連れ合いは、高松市出身ですが、男性では、「うどん+いなり寿司・巻きずし」という更なる強者パターンもあるとのことです。
寿司飯は砂糖たっぷりなので、3重の糖質の罠ですね。
女性は昼にうどんを食べるというパターンの人は少ないそうです。
少なくとも男性のような、ダブル糖質やトリプル糖質のような食事ではないのでしょう。
耐糖能異常者が、男性は全国平均より13%多くて、女性は逆に6.5%低かったということは、「サラダうどん」で野菜を摂取といった不毛な方策よりは、男女の食生活の差を調べて、その本質(糖質摂取量の差)を把握するのが一番いいと思うのですが・・・。
いくら野菜をたくさん食べても、摂取する糖質の絶対量を減らさない限り、ほとんど無意味としかいいようがないので、香川県民の男性、このままではお気の毒な状況(糖尿病全国ワースト)からの脱却は不可能です。
香川県の行政担当の方々、本ブログ記事をみたら、是非私を、うどん県に呼んでくれないかな?
香川県民の救世主となること間違いないと思うのですが・・・。
江部康二
(☆☆☆)
以下糖尿病ネットワークより転載
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2014/021648.php
糖尿病全国ワーストの「うどん県」香川
県をあげて糖尿病を克服
2014年04月17日
糖尿病全国ワースト1位を記録した香川県は、"県民病"ともいえる糖尿病を克服しようと、県を上げて糖尿病対策に取り組んでいる。
糖尿病の専用サイト「かがわ糖尿病予防ナビ」
香川県は、全国平均に比べ人口あたりの患者の割合が大幅に高くなっている現状を受けて、糖尿病専用のウェブサイト「かがわ糖尿病予防ナビ」を開設した。"県民病"ともいえる糖尿病の現状などを、県民に広く知ってもらうとともに、発症予防のための生活改善や重症化防止につなげたい考えだ。
サイトでは、血糖値が高い状態が続く糖尿病の初期症状などを分かりやすく解説しているほか、生活習慣の改善の一助にしてもらおうと、運動メニューでは、無理なく続けられるウオーキングの取り組み方や、下半身の筋肉を強化するための運動方法などについて掲載。
食事レシピでも、県栄養士会の協力を得て、野菜類をふんだんに使用し栄養バランスに配慮したメニューなどを紹介している。県健康福祉総務課によると、レシピやエクササイズの内容は随時更新するという。
うどん県の宣言で香川県の知名度は上がった。その一方で、県が実施した2011年「県民健康・栄養調査」によると、成人男性の40.5%が糖尿病の有病者またはその予備群とされ、全国平均(2012年調査)より約13ポイントも高い。県民の人口10万人対の糖尿病死亡率は14.4人で、全国平均の11.5人よりも高い。
香川県の人口10万人当たりの糖尿病受療率(患者数)は2011年調査では308人(全国平均は185人)と全国ワースト2位だった。2008年はワースト1位だったという「糖尿病県」だ。
「うどん県」香川 「サラダうどん」で野菜を摂取
糖尿病人口が多い原因のひとつとして、「讃岐うどん」が指摘されている。「うどん県」として知られる香川県。統計によると、香川県内には約900軒のうどん店があり、うどん消費量は全国平均の2倍強。1人当たり2日に1食(1玉:200g)を口にしている計算になるという。
うどんに天ぷら、おにぎりやいなりずしをトッピングするのは香川ではメジャーだ。毎日、昼食にこうした食事となれば、栄養も偏り、糖尿病リスクも高まる。炭水化物と脂肪の過剰摂取が、糖尿病の呼び水となっているおそれがある。
県によると、うどん自体は悪くないが、食べ方が問題だという。962人を対象とした調査では、うどんを食べる人の野菜摂取量は240gで、野菜が100g以上不足していることが判明した。
香川県民の野菜摂取量は、2006~2010年「国民健康・栄養調査」で、男性全国ワースト2位(266g)、女性全国ワースト1位(229g)となっている。健康日本21では、成人の1日あたりの野菜の摂取量を350g以上と定めており、県民の野菜摂取量は目標を大きく下回っている。
県では、うどん店での野菜摂取量アップを目指して、県内の約200店舗を掲載した「ヘルシーうどん店」マップを作成し配布している。うどんにおでんや野菜の天ぷら、野菜の小鉢を添えたり、野菜たっぷりうどんメニューを選ぶなど、よりヘルシーなうどんの食べ方を紹介している。
うどんはつるつる、しこしこを楽しむのもいいが、「うどんを食べるときは、おひたしや煮物やサラダをもう一品増やして、1日350gの野菜を目指そう」と呼びかけている。
小学生にも糖尿病検査 子供のうちから生活習慣の見直しを促す
糖尿病の原因はひとつではなく、複合的な要素がからんでいる。運動量でみると、香川県男性の1日の歩行数は6,695歩と、全国平均を500歩以上下回る。東京都民と比べると1,000歩以上少ない。東京は地下鉄の乗り換えなどで歩く機会が意外と多いが、公共交通が限られる香川は典型的なクルマ社会。朝から晩まで移動はすべて車、という人も少なくない。
県は2012年度から、県内小中学校で実施する血液検査を含む小児生活習慣病予防健診にもとづく実態把握を開始した。糖尿病予防のため、全県の都道府県単位で小学生の血液検査が実施されるのは全国でもはじめて。
血液検査を受けることで、小学生のうちから生活習慣を見直すことを促すことにもなる。子供の健康状態を把握するとともに、子供を通じて保護者にも、糖尿病をはじめとする生活習慣病の予防について啓発するのが狙いだ。
また、地域医療機関の連携で重症化を防ぐために、香川大学医学部や県、県医師会などで結成し糖尿病克服プロジェクトチーム「チーム香川」が結成された。市民公開講座や世界糖尿病デーイベントで糖尿病に関する情報を発信するほか、各地域の医師を集めて開催する勉強会や医療ITの活用などで糖尿病治療のレベルアップをはかっている。
2003年から、県内では「K-MIX(かがわ遠隔医療ネットワーク)」と呼ばれる、ITによる全県的な医療連携が導入されている。カルテや画像など治療に必要な患者のデータを電子化し、地域の基幹病院や診療所、検査機関で共有できるシステムで、現在110の医療機関が参加している。K-MIXは他県に先駆けたシステムで、かかりつけ医と専門医をつなぐことで、地域医療の向上が期待できるという。
長谷川さんから、糖尿病ネットワークの記事情報をコメント頂きました。
ありがとうございます。
糖尿病全国ワーストの「うどん県」香川
県をあげて糖尿病を克服(☆☆☆)
とう記事です。
2年前の2012年6月9日の、毎日新聞の記事によると香川県が2011年に実施した調査で、成人男性の42.6%が耐糖能異常であり、2009年の全国平均より12%も高かったとのことです。
男性は23.8%が有病者で、18.8%が予備群で合計42.6%が耐糖能異常です。
糖尿病ネットワークの記事とは、何故か少し数字が違うのですが、42.6%と40.5%ですから、まあ大差なしです。
あと比べた全国平均が、2009年度と2012年度の差はありますが、こちらも大差なしです。
次に、毎日新聞の記事では、女性は有病者が8.8%、予備群が10.1%の計18.9%と、全国平均より約6.5%低かったそうです。
香川県は、2008年度の糖尿病受療率が全国一ですけれど、もっぱら男性のせいなのですね。
香川県人の男性は、お昼をうどんというパターンが多いようです。
さらに、うどんを二玉・三玉食べて、天ぷらやおにぎりも併せてという乱暴狼藉??パターンが多いそうです。
私の連れ合いは、高松市出身ですが、男性では、「うどん+いなり寿司・巻きずし」という更なる強者パターンもあるとのことです。
寿司飯は砂糖たっぷりなので、3重の糖質の罠ですね。
女性は昼にうどんを食べるというパターンの人は少ないそうです。
少なくとも男性のような、ダブル糖質やトリプル糖質のような食事ではないのでしょう。
耐糖能異常者が、男性は全国平均より13%多くて、女性は逆に6.5%低かったということは、「サラダうどん」で野菜を摂取といった不毛な方策よりは、男女の食生活の差を調べて、その本質(糖質摂取量の差)を把握するのが一番いいと思うのですが・・・。
いくら野菜をたくさん食べても、摂取する糖質の絶対量を減らさない限り、ほとんど無意味としかいいようがないので、香川県民の男性、このままではお気の毒な状況(糖尿病全国ワースト)からの脱却は不可能です。
香川県の行政担当の方々、本ブログ記事をみたら、是非私を、うどん県に呼んでくれないかな?
香川県民の救世主となること間違いないと思うのですが・・・。
江部康二
(☆☆☆)
以下糖尿病ネットワークより転載
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2014/021648.php
糖尿病全国ワーストの「うどん県」香川
県をあげて糖尿病を克服
2014年04月17日
糖尿病全国ワースト1位を記録した香川県は、"県民病"ともいえる糖尿病を克服しようと、県を上げて糖尿病対策に取り組んでいる。
糖尿病の専用サイト「かがわ糖尿病予防ナビ」
香川県は、全国平均に比べ人口あたりの患者の割合が大幅に高くなっている現状を受けて、糖尿病専用のウェブサイト「かがわ糖尿病予防ナビ」を開設した。"県民病"ともいえる糖尿病の現状などを、県民に広く知ってもらうとともに、発症予防のための生活改善や重症化防止につなげたい考えだ。
サイトでは、血糖値が高い状態が続く糖尿病の初期症状などを分かりやすく解説しているほか、生活習慣の改善の一助にしてもらおうと、運動メニューでは、無理なく続けられるウオーキングの取り組み方や、下半身の筋肉を強化するための運動方法などについて掲載。
食事レシピでも、県栄養士会の協力を得て、野菜類をふんだんに使用し栄養バランスに配慮したメニューなどを紹介している。県健康福祉総務課によると、レシピやエクササイズの内容は随時更新するという。
うどん県の宣言で香川県の知名度は上がった。その一方で、県が実施した2011年「県民健康・栄養調査」によると、成人男性の40.5%が糖尿病の有病者またはその予備群とされ、全国平均(2012年調査)より約13ポイントも高い。県民の人口10万人対の糖尿病死亡率は14.4人で、全国平均の11.5人よりも高い。
香川県の人口10万人当たりの糖尿病受療率(患者数)は2011年調査では308人(全国平均は185人)と全国ワースト2位だった。2008年はワースト1位だったという「糖尿病県」だ。
「うどん県」香川 「サラダうどん」で野菜を摂取
糖尿病人口が多い原因のひとつとして、「讃岐うどん」が指摘されている。「うどん県」として知られる香川県。統計によると、香川県内には約900軒のうどん店があり、うどん消費量は全国平均の2倍強。1人当たり2日に1食(1玉:200g)を口にしている計算になるという。
うどんに天ぷら、おにぎりやいなりずしをトッピングするのは香川ではメジャーだ。毎日、昼食にこうした食事となれば、栄養も偏り、糖尿病リスクも高まる。炭水化物と脂肪の過剰摂取が、糖尿病の呼び水となっているおそれがある。
県によると、うどん自体は悪くないが、食べ方が問題だという。962人を対象とした調査では、うどんを食べる人の野菜摂取量は240gで、野菜が100g以上不足していることが判明した。
香川県民の野菜摂取量は、2006~2010年「国民健康・栄養調査」で、男性全国ワースト2位(266g)、女性全国ワースト1位(229g)となっている。健康日本21では、成人の1日あたりの野菜の摂取量を350g以上と定めており、県民の野菜摂取量は目標を大きく下回っている。
県では、うどん店での野菜摂取量アップを目指して、県内の約200店舗を掲載した「ヘルシーうどん店」マップを作成し配布している。うどんにおでんや野菜の天ぷら、野菜の小鉢を添えたり、野菜たっぷりうどんメニューを選ぶなど、よりヘルシーなうどんの食べ方を紹介している。
うどんはつるつる、しこしこを楽しむのもいいが、「うどんを食べるときは、おひたしや煮物やサラダをもう一品増やして、1日350gの野菜を目指そう」と呼びかけている。
小学生にも糖尿病検査 子供のうちから生活習慣の見直しを促す
糖尿病の原因はひとつではなく、複合的な要素がからんでいる。運動量でみると、香川県男性の1日の歩行数は6,695歩と、全国平均を500歩以上下回る。東京都民と比べると1,000歩以上少ない。東京は地下鉄の乗り換えなどで歩く機会が意外と多いが、公共交通が限られる香川は典型的なクルマ社会。朝から晩まで移動はすべて車、という人も少なくない。
県は2012年度から、県内小中学校で実施する血液検査を含む小児生活習慣病予防健診にもとづく実態把握を開始した。糖尿病予防のため、全県の都道府県単位で小学生の血液検査が実施されるのは全国でもはじめて。
血液検査を受けることで、小学生のうちから生活習慣を見直すことを促すことにもなる。子供の健康状態を把握するとともに、子供を通じて保護者にも、糖尿病をはじめとする生活習慣病の予防について啓発するのが狙いだ。
また、地域医療機関の連携で重症化を防ぐために、香川大学医学部や県、県医師会などで結成し糖尿病克服プロジェクトチーム「チーム香川」が結成された。市民公開講座や世界糖尿病デーイベントで糖尿病に関する情報を発信するほか、各地域の医師を集めて開催する勉強会や医療ITの活用などで糖尿病治療のレベルアップをはかっている。
2003年から、県内では「K-MIX(かがわ遠隔医療ネットワーク)」と呼ばれる、ITによる全県的な医療連携が導入されている。カルテや画像など治療に必要な患者のデータを電子化し、地域の基幹病院や診療所、検査機関で共有できるシステムで、現在110の医療機関が参加している。K-MIXは他県に先駆けたシステムで、かかりつけ医と専門医をつなぐことで、地域医療の向上が期待できるという。
2014年04月20日 (日)
【14/04/19 慣行
初めまして
糖質制限食のススメを遅まきながら購入させていただきました。興味深く読ませていただいております。
質問が浮かんだのですが、少しよろしいでしょうか。
制限するのは糖質だけでなく、蛋白質も少しは控えた方がよいのか今回のブログで思いました。
限られた食費をやりくりしているので制限が増えるのにやぶさかではないのですが、 でも私の場合は事情がありまして、母と祖母が癌で早くに亡くなっているんです。
もともと癌の家系ということで、やはり癌に気をつけるべく糖質制限しようと思うのです。
癌にかかるのを防ぐために、私のような遺伝的に危ない場合は、脂質を中心にしてケトン食 にした方がよいような気がします。
なにか良いアドバイスはございますでしょうか。
ルーズなものですから厳密に制限し続けられるかわかりませんが、がんばっていこうと思います。】
こんにちは。
慣行 さんから
発ガン予防と糖質制限食について、コメント・質問をいただきました。
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ 新版」2014年(東洋経済新報社)
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!2 実践編 新版」2014年(東洋経済新報社)
のご購入、ありがとうございます。
慣行さんの仰るように、ニューヨーク・メモリアル・スローン・ケタリング癌センターCEOの講義を見ると、炭水化物を徹底的に減らして、蛋白質も少し減らし気味のほうが、発癌リスクは減るようですね。→2014年04月16日 (水)の本ブログ記事ご参照ください。
CEOは
「私達は、モデル生物において、優れたエビデンスを得ています。」
「脂質を過剰摂取させてもガン発生率は全く増えません。炭水化物を過剰摂取させると、ガン発生率が劇的に増えます。
タンパク質はその中間です」
と明快に述べています。
次に世界がん研究基金の2007年の報告を考察してみます。
肥満が、食道・膵臓・大腸・乳房・子宮体部・腎臓の6つの各癌で「リスクを確実に上げる」とされていて、胆のう癌もおそらく上げるとされています。
これらのがんは、生活習慣病型のがんです。
生活習慣病型のがんに関しては、
1)高インスリン血症がない(高インスリン血症は発がんリスクでエビデンスあり)
2)食後高血糖がない(食後高血糖も発がんリスクでエビデンスあり)
3)肥満がない(肥満も発がんリスクでありエビデンスあり)
4)HDLコレステロールが増加する
(HDLコレステロールにはがん予防のエビデンスあり)
あくまでも仮説ですが、1)2)3)4)の利点により、生活習慣病型のがんは、スーパー糖質制限食で予防できる可能性があります。
すでに発がんしている場合は、ケトン食レベルの食事療法が必要と思います。
一方、発がん予防には、スーパー糖質制限食でOKのように思います。
農耕前のご先祖も、スーパー糖質制限食くらいまでの糖質制限であり、さすがにケトン食レベルではなかったと思います。
江部康二
初めまして
糖質制限食のススメを遅まきながら購入させていただきました。興味深く読ませていただいております。
質問が浮かんだのですが、少しよろしいでしょうか。
制限するのは糖質だけでなく、蛋白質も少しは控えた方がよいのか今回のブログで思いました。
限られた食費をやりくりしているので制限が増えるのにやぶさかではないのですが、 でも私の場合は事情がありまして、母と祖母が癌で早くに亡くなっているんです。
もともと癌の家系ということで、やはり癌に気をつけるべく糖質制限しようと思うのです。
癌にかかるのを防ぐために、私のような遺伝的に危ない場合は、脂質を中心にしてケトン食 にした方がよいような気がします。
なにか良いアドバイスはございますでしょうか。
ルーズなものですから厳密に制限し続けられるかわかりませんが、がんばっていこうと思います。】
こんにちは。
慣行 さんから
発ガン予防と糖質制限食について、コメント・質問をいただきました。
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ 新版」2014年(東洋経済新報社)
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!2 実践編 新版」2014年(東洋経済新報社)
のご購入、ありがとうございます。
慣行さんの仰るように、ニューヨーク・メモリアル・スローン・ケタリング癌センターCEOの講義を見ると、炭水化物を徹底的に減らして、蛋白質も少し減らし気味のほうが、発癌リスクは減るようですね。→2014年04月16日 (水)の本ブログ記事ご参照ください。
CEOは
「私達は、モデル生物において、優れたエビデンスを得ています。」
「脂質を過剰摂取させてもガン発生率は全く増えません。炭水化物を過剰摂取させると、ガン発生率が劇的に増えます。
タンパク質はその中間です」
と明快に述べています。
次に世界がん研究基金の2007年の報告を考察してみます。
肥満が、食道・膵臓・大腸・乳房・子宮体部・腎臓の6つの各癌で「リスクを確実に上げる」とされていて、胆のう癌もおそらく上げるとされています。
これらのがんは、生活習慣病型のがんです。
生活習慣病型のがんに関しては、
1)高インスリン血症がない(高インスリン血症は発がんリスクでエビデンスあり)
2)食後高血糖がない(食後高血糖も発がんリスクでエビデンスあり)
3)肥満がない(肥満も発がんリスクでありエビデンスあり)
4)HDLコレステロールが増加する
(HDLコレステロールにはがん予防のエビデンスあり)
あくまでも仮説ですが、1)2)3)4)の利点により、生活習慣病型のがんは、スーパー糖質制限食で予防できる可能性があります。
すでに発がんしている場合は、ケトン食レベルの食事療法が必要と思います。
一方、発がん予防には、スーパー糖質制限食でOKのように思います。
農耕前のご先祖も、スーパー糖質制限食くらいまでの糖質制限であり、さすがにケトン食レベルではなかったと思います。
江部康二
2014年04月19日 (土)
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人やメタボ人は、低血糖の心配はほとんどないので、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病やメタボ改善を目指していただけば幸いです。
内服薬やインスリン注射なしの糖尿人が糖質制限食を実践すると、食後高血糖は改善しますが、低血糖にはなりません。
血糖値が正常範囲であるていど下がると、肝臓でアミノ酸・乳酸・グリセロール(脂肪の分解物)などから、ブドウ糖をつくるからです。
これを糖新生といいます。
血液検査で、活動性の膵炎がある場合、肝硬変の場合、そして長鎖脂肪酸代謝異常症は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は相対的に高脂肪食になるので、活動性膵炎には適応とならないのです。
肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。
長鎖脂肪酸代謝異常症では、脂肪酸が上手く利用できないので、適応となりません。
腎機能に関して、日本腎臓病学会編「CKD診療ガイド2012」において、GFR60ml/分以上あれば顕性たんぱく尿の段階でも、たんぱく質制限の必要なしと明示され、日本糖尿病学会も2013年3月の提言で、それに従うとしました。
従いまして、糖尿病腎症第3期Aまでは、糖質制限食OKです。
また、米国糖尿病学会(ADA)は
Position Statement on Nutrition Therapy(栄養療法に関する声明)
Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版
において、糖尿病腎症患者に対する蛋白質制限の意義を明確に否定しました。
根拠はランク(A)ですので、信頼度の高いRCT研究論文に基づく見解です。
今後は、糖尿病腎症第3期B以降(GFRが60ml/分未満)の場合も、患者さんとよく相談して、糖質制限食を実践するか否か、個別に対応することとなります。
なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。
また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。
糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。
【糖質制限食とは】
米国糖尿病協会(ADA)の患者教育用のテキストブックLife With Diabetesによれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。
これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
1997年版のLife With Diabetes(ADA刊行)では、
「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載がありましたが、2004年版以降は変更されています。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を上昇させます。
従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。
脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。
タンパク質はごく少量のインスリンを追加分泌させます。
現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。
食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。
また一日における、食前・食後・空腹時など血糖値の変動幅(平均血糖変動幅)が大きいほど、酸化ストレスが増強し動脈硬化のリスクとなることがわかってきました。
そして、食後高血糖と平均血糖変動幅増大を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。
炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には、55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。
一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても、糖質含有量は1gもないので、食後血糖は3mg未満の上昇しかないのです。
なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースに、できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。
抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら、薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。
なお糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。
日本糖尿病学会「食品交換表」の
男性1400~1800kcal
女性1200~1600kcal
ほど厳しいカロリー制限は必要ありませんが、
国立健康・栄養研究所の
「日本人の食事摂取基準」(2010年、厚生労働省)
への解説に示す推定エネルギー必要量の範囲、
すなわち18才以上の成人で身体活動レベルが普通なら
男性:2200~2650キロカロリー
女性:1700~1950キロカロリー
身体活動レベルが低い人は
男性:1850~2250キロカロリー
女性:1450~1700キロカロリー
くらいが目安です。
なお、米国糖尿病学会は、2013年10月発表の『栄養療法に関する声明』において全ての糖尿病患者に適した唯一無二の治療食は存在しないと明記しました。
これはそのまま、日本糖尿病学会への痛烈な批判となっています。
そして、地中海食、ベジタリアン食、DASH食、低脂質食などと共に
「糖質制限食」も正式に受容しました。
<江部康二著 参考図書>
理論
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ」2005年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008年
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009年 宮本輝先生との対談本
「やせる食べ方」2010年
「うちの母は糖尿人」2010年 監修:江部康二 著:伊藤きのと
(東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010年(ナツメ社)
腹いっぱい食べて楽々痩せる『満腹ダイエット』 (ソフトバンク新書) 2011年
「主食をやめると健康になる」(ダイヤモンド社)2011年
「血糖コントロールの新常識! 糖質制限 完全ガイド」 (別冊宝島)2012年
「食品別糖質量ハンドブック」2012年(洋泉社)、
「糖質オフ!健康法」(PHP文庫)2012年
「主食を抜けば糖尿病はよくなる!糖質制限食のすすめ」(文春文庫)2012年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」(文春文庫)2012年
「女性のための糖質制限ダイエットハンドブック」2013年(洋泉社)
「糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド」2013年(東洋経済新報社)
「医療の巨大転換を加速する」糖質制限食と湿潤療法のインパクト
2013年(東洋経済新報社) 夏井睦先生との対談本
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ 新版」2014年(東洋経済新報社)
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!2 実践編 新版」2014年(東洋経済新報社)
レシピ
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006年(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん2009年(アスペクト)
dancyuプレジデントムック 「満腹ダイエット 」 2009年(プレジデント社)
「血糖値を上げない!健康おつまみ109」2010年(東洋経済新報社)
「やせる食べ方レシピ集」 2010年(東洋経済新報社)
「糖質オフダイエット 」2011年(レタスクラブ、角川マーケティング)
「誰もがストレスなくやせられる!糖質制限ダイエット」 2011年(講談社)
「主食を抜けば糖尿病はよくなる」レシピ集2011年(東洋経済新報社)
高雄病院の「糖質制限」給食2012年(講談社)
糖尿病がどんどんよくなる「糖質制限食」おすすめレシピ集2012年(ナツメ社)
糖質制限の「主食もどき」レシピ2013年(東洋経済新報社)
高雄病院Dr江部が食べている「糖質制限」ダイエット2013年(講談社)
糖質オフのダイエット弁当2013年(家の光協会)
高雄病院「糖質制限給食」朝 昼 夕 14日間完全プログラム
糖尿病・肥満改善が自宅でできる! 2013年(講談社)
DVD「糖質制限食を語る」http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php 2011年
【本ブログのコメント・質問・記事に関するお願い】
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
糖質制限食に関する質問についてですが、実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、医師としての責任・債務がありますので、個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。
一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、ボランティアで回答させていただいています。
診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。
私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。
また、ブログ記事や本に関しても同様に、糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。
従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m
そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。
またネットで簡単に検索可能なことは、ご自分でお調べください。
質問が増えてきましたので、糖質制限食と関わりがないと判断した質問にはお答えできない場合もありますので、ご了承ください。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文記事にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。
質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、質問がかなり増えてきていますので、なかなか即、お答えすることが困難となってきています。
糖質制限食に関わりのある全ての質問に、本文かコメントでお答えするようできるだけ努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人やメタボ人は、低血糖の心配はほとんどないので、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病やメタボ改善を目指していただけば幸いです。
内服薬やインスリン注射なしの糖尿人が糖質制限食を実践すると、食後高血糖は改善しますが、低血糖にはなりません。
血糖値が正常範囲であるていど下がると、肝臓でアミノ酸・乳酸・グリセロール(脂肪の分解物)などから、ブドウ糖をつくるからです。
これを糖新生といいます。
血液検査で、活動性の膵炎がある場合、肝硬変の場合、そして長鎖脂肪酸代謝異常症は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は相対的に高脂肪食になるので、活動性膵炎には適応とならないのです。
肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。
長鎖脂肪酸代謝異常症では、脂肪酸が上手く利用できないので、適応となりません。
腎機能に関して、日本腎臓病学会編「CKD診療ガイド2012」において、GFR60ml/分以上あれば顕性たんぱく尿の段階でも、たんぱく質制限の必要なしと明示され、日本糖尿病学会も2013年3月の提言で、それに従うとしました。
従いまして、糖尿病腎症第3期Aまでは、糖質制限食OKです。
また、米国糖尿病学会(ADA)は
Position Statement on Nutrition Therapy(栄養療法に関する声明)
Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版
において、糖尿病腎症患者に対する蛋白質制限の意義を明確に否定しました。
根拠はランク(A)ですので、信頼度の高いRCT研究論文に基づく見解です。
今後は、糖尿病腎症第3期B以降(GFRが60ml/分未満)の場合も、患者さんとよく相談して、糖質制限食を実践するか否か、個別に対応することとなります。
なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。
また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。
糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。
【糖質制限食とは】
米国糖尿病協会(ADA)の患者教育用のテキストブックLife With Diabetesによれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。
これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
1997年版のLife With Diabetes(ADA刊行)では、
「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載がありましたが、2004年版以降は変更されています。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を上昇させます。
従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。
脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。
タンパク質はごく少量のインスリンを追加分泌させます。
現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。
食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。
また一日における、食前・食後・空腹時など血糖値の変動幅(平均血糖変動幅)が大きいほど、酸化ストレスが増強し動脈硬化のリスクとなることがわかってきました。
そして、食後高血糖と平均血糖変動幅増大を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。
炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には、55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。
一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても、糖質含有量は1gもないので、食後血糖は3mg未満の上昇しかないのです。
なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースに、できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。
抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら、薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。
なお糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。
日本糖尿病学会「食品交換表」の
男性1400~1800kcal
女性1200~1600kcal
ほど厳しいカロリー制限は必要ありませんが、
国立健康・栄養研究所の
「日本人の食事摂取基準」(2010年、厚生労働省)
への解説に示す推定エネルギー必要量の範囲、
すなわち18才以上の成人で身体活動レベルが普通なら
男性:2200~2650キロカロリー
女性:1700~1950キロカロリー
身体活動レベルが低い人は
男性:1850~2250キロカロリー
女性:1450~1700キロカロリー
くらいが目安です。
なお、米国糖尿病学会は、2013年10月発表の『栄養療法に関する声明』において全ての糖尿病患者に適した唯一無二の治療食は存在しないと明記しました。
これはそのまま、日本糖尿病学会への痛烈な批判となっています。
そして、地中海食、ベジタリアン食、DASH食、低脂質食などと共に
「糖質制限食」も正式に受容しました。
<江部康二著 参考図書>
理論
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ」2005年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008年
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009年 宮本輝先生との対談本
「やせる食べ方」2010年
「うちの母は糖尿人」2010年 監修:江部康二 著:伊藤きのと
(東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010年(ナツメ社)
腹いっぱい食べて楽々痩せる『満腹ダイエット』 (ソフトバンク新書) 2011年
「主食をやめると健康になる」(ダイヤモンド社)2011年
「血糖コントロールの新常識! 糖質制限 完全ガイド」 (別冊宝島)2012年
「食品別糖質量ハンドブック」2012年(洋泉社)、
「糖質オフ!健康法」(PHP文庫)2012年
「主食を抜けば糖尿病はよくなる!糖質制限食のすすめ」(文春文庫)2012年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」(文春文庫)2012年
「女性のための糖質制限ダイエットハンドブック」2013年(洋泉社)
「糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド」2013年(東洋経済新報社)
「医療の巨大転換を加速する」糖質制限食と湿潤療法のインパクト
2013年(東洋経済新報社) 夏井睦先生との対談本
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ 新版」2014年(東洋経済新報社)
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!2 実践編 新版」2014年(東洋経済新報社)
レシピ
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006年(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん2009年(アスペクト)
dancyuプレジデントムック 「満腹ダイエット 」 2009年(プレジデント社)
「血糖値を上げない!健康おつまみ109」2010年(東洋経済新報社)
「やせる食べ方レシピ集」 2010年(東洋経済新報社)
「糖質オフダイエット 」2011年(レタスクラブ、角川マーケティング)
「誰もがストレスなくやせられる!糖質制限ダイエット」 2011年(講談社)
「主食を抜けば糖尿病はよくなる」レシピ集2011年(東洋経済新報社)
高雄病院の「糖質制限」給食2012年(講談社)
糖尿病がどんどんよくなる「糖質制限食」おすすめレシピ集2012年(ナツメ社)
糖質制限の「主食もどき」レシピ2013年(東洋経済新報社)
高雄病院Dr江部が食べている「糖質制限」ダイエット2013年(講談社)
糖質オフのダイエット弁当2013年(家の光協会)
高雄病院「糖質制限給食」朝 昼 夕 14日間完全プログラム
糖尿病・肥満改善が自宅でできる! 2013年(講談社)
DVD「糖質制限食を語る」http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php 2011年
【本ブログのコメント・質問・記事に関するお願い】
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
糖質制限食に関する質問についてですが、実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、医師としての責任・債務がありますので、個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。
一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、ボランティアで回答させていただいています。
診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。
私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。
また、ブログ記事や本に関しても同様に、糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。
従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m
そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。
またネットで簡単に検索可能なことは、ご自分でお調べください。
質問が増えてきましたので、糖質制限食と関わりがないと判断した質問にはお答えできない場合もありますので、ご了承ください。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文記事にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。
質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、質問がかなり増えてきていますので、なかなか即、お答えすることが困難となってきています。
糖質制限食に関わりのある全ての質問に、本文かコメントでお答えするようできるだけ努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
2014年04月18日 (金)
こんにちは。
今回は、検査データのお話しです。
糖質制限食を実践により、血糖値や中性脂肪やコレステロール値など、さまざまな数値が改善します。
ただ、これらの検査データは、はっきり一定の傾向が出るものと、そうでないものがありますので、まずはその変化を示します。
<スーパー糖質制限食実践時の検査データの推移>
①血糖値は糖質制限食実践時にリアルタイムに改善します。
②スーパー糖質制限食なら、HbA1cは月に1~2%改善します。
③中性脂肪も速やかに改善します。
④HDL(善玉)コレステロールは増加しますが、増加の程度と速度に個人差があります。
⑤LDL(悪玉)コレステロールは低下・不変・上昇と個人差があります。
上昇した人も半年〜1年くらいで落ち着くことが多いですが、個人差があります。
⑥総コレステロールは、低下・不変・上昇と個人差があります。
上昇した人も半年〜1年くらいで落ち着くことが多いですが、個人差があります。
⑦尿酸も低下・不変・上昇と個人差があります。
上昇した人も半年〜1年くらいで落ち着くことが多いですが、個人差があります。
⑧尿素窒素はやや増加傾向になる人が多いですが、そのうち落ちつくことが多いです。
⑨クレアチニンは不変です。
⑩カリウムも不変です。
⑪血中ケトン体は基準値より高値となりますが、生理的なもので心配ありません。
⑫尿中ケトン体は当初3カ月〜半年は陽性になりますが、その後陰性になることが多いです。
⑬脂肪肝に付随するGPTやγGTP値も改善します。
LDLコレステロール・総コレステロールに関して「低下・不変・上昇」と個人差があるのですが、糖質制限食開始前に菜食中心で食材のコレステロールが少ない場合、肝臓でコレステロールをつくる能力が高まっています。
そういう場合糖質制限食で肉や卵などコレステロールの多い食材を摂取すると、一過性にLDL-コレステロール値が高くなりますが、半年~1年~2年で落ち着くことが多いです。
私自身は、HDLコレステロールはかなり増加し、LDLコレステロールは少し低下しました。
尿酸値が上昇した場合、摂取エネルギー不足のことが多いので注意が必要です。
私は2002年発覚の糖尿人で、その数年前から、早朝の空腹時血糖値109~111~112mg/dlとか、ギリギリ境界型でした。
2002年に糖尿病が発覚していらい、スーパー糖質制限食を実践しています。
食事は朝食抜きで、1984年34才から昼と夕の2回です。
以下は2014年4月12日、朝9時、空腹時の検査結果です。
<江部康二の検査データ>
2014年4月12日(土)
空腹時血糖値:108mg
HbA1c:5.7%(6.2未満、NGSP)
ケトン体:1146μM/L(26~122) 糖質制限食中は生理的で正常値
アセト酢酸:179μM/L(13~69)
3ヒドロキシ酪酸:967μM/L(76以下)
尿酸:3.5mg/dl(3.4~7.0)
TC:248mg/dl(150~219)
TG:56mg/dl(50~149)
HDL-C:107mg/dl(40~98)
LDL-C:129mg/dl(140未満)
BUN:21.0mg/dl(8~20)
クレアチニン:0.69mg/dl(0.6~1.1)
IRI:5.0(3~15μU/ml)
γGTP:31IU/L(48以下)
GOT:19IU/L(9~38)
GPT:18IU/L(5~39)
アルブミン:4.5g/dl(3.8~5.3)
尿中アルブミン:6.0mg/g・c(30.0未満)
尿蛋白:陰性
尿糖:陰性
尿中アセトン体:陰性
IRI:5.0(3~15μU/ml)
空腹時採血血糖値100mg
<HOMA-R=空腹時血糖値×空腹時インスリン値÷405>
<HOMA-β=360×空腹時インスリン値(μU/ml)÷(空腹時血糖値mg/ml-63)>
HOMA-R:1.33 1.6以下が正常で、2.5以上は抵抗性があり。
HOMA-β:40 正常値:40-60尿蛋白:陰性
空腹時血糖値108mgですが、96mgとか120mgのこともあります。
若干、暁現象もあります・
IRI5.0Uと、今回は正常値でした。
HOMA-βは、ぎりぎりで正常値になっていました。
いままでHOMA-βはずっと、40未満でインスリン分泌能が減少でしたが、初めて基準値となりました。
インスリン分泌能が少し改善したのでしょうか?
HOMA-βは、空腹時血糖値と空腹時インスリン値で計算するのですが、経口血糖負荷試験時の2時間値のインスリン分泌量と、よく相関することがわかっています。
HbA1cは5.6~5.9%(NGSP値)くらいを行ったり来たりしています。
ケトン体は1146μM と基準値よりはるかに高値ですが、心筋・骨格筋をはじめ全身の細胞がケトン体をしっかり効率よく利用していて、腎臓の再吸収も良好なので、尿中アセトン体は陰性です。
尿酸は3.5mgと低いくらいですが、これは体質と思います。
一日のタンパク質摂取量は130~140gくらいと、普通人よりかなり大量のタンパク質を摂取してます。
体重あたり2.4gのタンパク質ですね。それでも尿酸は低めですし、腎機能に何の問題もありません。
脂質もかなりの量(110g/日)食べていますが中性脂肪は56mgです。
糖質は1日に40g足らずです。
TCは248mg、HDL-Cは107mg、LDL-Cは129mg
コレステロールに関しては、HDL-コレステロールが多いのが目立ちます。
糖質制限食でHDL-Cが増加しますが、程度には個人差があります。
総コレステロールは、2007年ガイドライン以降では、評価基準から外されています。
中性脂肪が少なくて、HDL-Cが多いので、真の悪玉の小粒子LDL-Cや酸化LDL-Cは少ないと考えられ安心です。
なお、お酒は、糖質ゼロ発泡酒、焼酎の水割り、赤ワインを毎日、適宜、適量??飲んでいます。( ̄_ ̄|||)
肝機能は幸い正常です。 (^^)
江部康二
今回は、検査データのお話しです。
糖質制限食を実践により、血糖値や中性脂肪やコレステロール値など、さまざまな数値が改善します。
ただ、これらの検査データは、はっきり一定の傾向が出るものと、そうでないものがありますので、まずはその変化を示します。
<スーパー糖質制限食実践時の検査データの推移>
①血糖値は糖質制限食実践時にリアルタイムに改善します。
②スーパー糖質制限食なら、HbA1cは月に1~2%改善します。
③中性脂肪も速やかに改善します。
④HDL(善玉)コレステロールは増加しますが、増加の程度と速度に個人差があります。
⑤LDL(悪玉)コレステロールは低下・不変・上昇と個人差があります。
上昇した人も半年〜1年くらいで落ち着くことが多いですが、個人差があります。
⑥総コレステロールは、低下・不変・上昇と個人差があります。
上昇した人も半年〜1年くらいで落ち着くことが多いですが、個人差があります。
⑦尿酸も低下・不変・上昇と個人差があります。
上昇した人も半年〜1年くらいで落ち着くことが多いですが、個人差があります。
⑧尿素窒素はやや増加傾向になる人が多いですが、そのうち落ちつくことが多いです。
⑨クレアチニンは不変です。
⑩カリウムも不変です。
⑪血中ケトン体は基準値より高値となりますが、生理的なもので心配ありません。
⑫尿中ケトン体は当初3カ月〜半年は陽性になりますが、その後陰性になることが多いです。
⑬脂肪肝に付随するGPTやγGTP値も改善します。
LDLコレステロール・総コレステロールに関して「低下・不変・上昇」と個人差があるのですが、糖質制限食開始前に菜食中心で食材のコレステロールが少ない場合、肝臓でコレステロールをつくる能力が高まっています。
そういう場合糖質制限食で肉や卵などコレステロールの多い食材を摂取すると、一過性にLDL-コレステロール値が高くなりますが、半年~1年~2年で落ち着くことが多いです。
私自身は、HDLコレステロールはかなり増加し、LDLコレステロールは少し低下しました。
尿酸値が上昇した場合、摂取エネルギー不足のことが多いので注意が必要です。
私は2002年発覚の糖尿人で、その数年前から、早朝の空腹時血糖値109~111~112mg/dlとか、ギリギリ境界型でした。
2002年に糖尿病が発覚していらい、スーパー糖質制限食を実践しています。
食事は朝食抜きで、1984年34才から昼と夕の2回です。
以下は2014年4月12日、朝9時、空腹時の検査結果です。
<江部康二の検査データ>
2014年4月12日(土)
空腹時血糖値:108mg
HbA1c:5.7%(6.2未満、NGSP)
ケトン体:1146μM/L(26~122) 糖質制限食中は生理的で正常値
アセト酢酸:179μM/L(13~69)
3ヒドロキシ酪酸:967μM/L(76以下)
尿酸:3.5mg/dl(3.4~7.0)
TC:248mg/dl(150~219)
TG:56mg/dl(50~149)
HDL-C:107mg/dl(40~98)
LDL-C:129mg/dl(140未満)
BUN:21.0mg/dl(8~20)
クレアチニン:0.69mg/dl(0.6~1.1)
IRI:5.0(3~15μU/ml)
γGTP:31IU/L(48以下)
GOT:19IU/L(9~38)
GPT:18IU/L(5~39)
アルブミン:4.5g/dl(3.8~5.3)
尿中アルブミン:6.0mg/g・c(30.0未満)
尿蛋白:陰性
尿糖:陰性
尿中アセトン体:陰性
IRI:5.0(3~15μU/ml)
空腹時採血血糖値100mg
<HOMA-R=空腹時血糖値×空腹時インスリン値÷405>
<HOMA-β=360×空腹時インスリン値(μU/ml)÷(空腹時血糖値mg/ml-63)>
HOMA-R:1.33 1.6以下が正常で、2.5以上は抵抗性があり。
HOMA-β:40 正常値:40-60尿蛋白:陰性
空腹時血糖値108mgですが、96mgとか120mgのこともあります。
若干、暁現象もあります・
IRI5.0Uと、今回は正常値でした。
HOMA-βは、ぎりぎりで正常値になっていました。
いままでHOMA-βはずっと、40未満でインスリン分泌能が減少でしたが、初めて基準値となりました。
インスリン分泌能が少し改善したのでしょうか?
HOMA-βは、空腹時血糖値と空腹時インスリン値で計算するのですが、経口血糖負荷試験時の2時間値のインスリン分泌量と、よく相関することがわかっています。
HbA1cは5.6~5.9%(NGSP値)くらいを行ったり来たりしています。
ケトン体は1146μM と基準値よりはるかに高値ですが、心筋・骨格筋をはじめ全身の細胞がケトン体をしっかり効率よく利用していて、腎臓の再吸収も良好なので、尿中アセトン体は陰性です。
尿酸は3.5mgと低いくらいですが、これは体質と思います。
一日のタンパク質摂取量は130~140gくらいと、普通人よりかなり大量のタンパク質を摂取してます。
体重あたり2.4gのタンパク質ですね。それでも尿酸は低めですし、腎機能に何の問題もありません。
脂質もかなりの量(110g/日)食べていますが中性脂肪は56mgです。
糖質は1日に40g足らずです。
TCは248mg、HDL-Cは107mg、LDL-Cは129mg
コレステロールに関しては、HDL-コレステロールが多いのが目立ちます。
糖質制限食でHDL-Cが増加しますが、程度には個人差があります。
総コレステロールは、2007年ガイドライン以降では、評価基準から外されています。
中性脂肪が少なくて、HDL-Cが多いので、真の悪玉の小粒子LDL-Cや酸化LDL-Cは少ないと考えられ安心です。
なお、お酒は、糖質ゼロ発泡酒、焼酎の水割り、赤ワインを毎日、適宜、適量??飲んでいます。( ̄_ ̄|||)
肝機能は幸い正常です。 (^^)
江部康二
2014年04月17日 (木)
こんにちは。
ブログ読者の皆さんには、交流会、講演会などいつも多数ご参加いただきありがとうございます。
今回の記事は、一般社団法人日本糖質制限医療推進協会主催の一般向け岡山講演会のご案内です。
糖質過多な現代の食生活。
それによって引き起こされる糖尿病など生活習慣病の数々。
「糖質摂取が何故良くないか」そのメカニズムわかりやすく説明し、対して人類本来の食事といえる糖質制限食の有効性と可能性について具体的にお話しします。
そして糖尿病患者さんの血液検査データも豊富に紹介します。
同一摂取カロリーで揃えた「従来の糖尿病食 VS スーパー糖質制限食」の血糖値の日内変動データ比較は圧巻です。
食後高血糖と平均血糖変動幅に関しては、糖質制限食の圧勝で、その差は「月とスッポン」です。
米国糖尿病学会が2008年以来5年ぶりに、成人糖尿病患者の食事療法に関する声明(Position Statement on Nutrition Therapy)を改訂しました。(Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版)
2013年10月の米国糖尿病学会の栄養療法の声明は画期的なものであり、
全ての糖尿病患者に適した“one-size-fits-all(唯一無二の)”食事パターンは存在しない
との見解を表明しました。
このことは、食品交換表1969年の第2版以降、唯一無二の食事療法(カロリー制限食)を推奨し続けている日本糖尿病学会に対する痛烈な批判となっています。
そして、患者ごとにさまざまな食事パターン〔地中海食,ベジタリアン食,糖質制限食,低脂質食,DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食〕が受容可能であるとしています。
糖質制限食もちゃんと認められていて、日本における糖質制限食の普及においてこの上ない追い風です。
極めて重要なことですが、糖尿病合併症を防ぐには、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じないことが必要不可欠です。
しかしながら糖質を摂取すれば、必ず「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じます。
すなわち、従来の糖尿病食(高糖質食)では、糖尿病合併症を防ぐことは理論的に不可能なのです。
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じない唯一の食事療法が、糖質制限食なのです。
年間
16000人が糖尿病腎症から透析 → 医療費800億円、
3000人が糖尿病網膜症から失明
3000人が糖尿病足病変から足切断
というのが厳しい現実です。
このように合併症に苦しむ多数の糖尿病患者さんの存在そのものが、「日本糖尿病学会主導の従来の糖尿病治療が決して上手くいっていない」ことの動かぬ証拠と言えます。
糖尿病合併症を生じさせないためには、糖尿人の皆さんは自分自身の頭で考えて身を守ることが必要です。
本講演では、糖尿病を中心に糖質制限食の有効性・安全性をわかりやすく説明します。
また生活習慣病やがんへの糖質制限食の有効性・可能性にも少し言及します。
わかりやすいお話しを目指しますので、お近くの方々は是非ご参加くださいね。
岡山では、提携医療機関がまだないので、糖質制限食に興味ある医師のご参加も歓迎です。
医師の方は、前もって事務局にご連絡いただけば助かります。
よろしくお願い申し上げます。
江部康二
以下、事務局からのご案内です。
ブログ読者の皆様、講演会へいつも多数ご参加いただきまして
ありがとうございます。
5月11日(日)に、岡山で一般向けの講演会を開催いたします。
中国地方の皆様をはじめ、多数のご参加を心よりお待ち申し上げております。
//////////////////ご案内////////////////////
一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会主催 講演会(岡山)
「糖質制限食の有効性・可能性 ―糖尿病・メタボ・生活習慣病・がん・・・―」
◆日時: 2014年5月11日(日) 14:00~16:30頃 ※入場受付(開場)は、13:40~
◆会場: 岡山市民会館 4階大会議室
岡山県岡山市北区丸の内2丁目1番1号
http://www.okayama-shiminkaikan.jp/access.html
☆アクセス:路面電車の岡山駅前(停留所)で「東山行き」に乗車。
城下(停留所)で下車して下さい。下車後徒歩3分です。
(岡山駅前→城下の所要時間は5分です。)
◆講演① 『糖質制限のすすめ』 講師:瀬尾 一史 瀬尾クリニック院長
糖尿病は予備軍まで含めると約2100万人の患者がいるといわれています。
糖尿病の成因は食後の高血糖といわれていますが、食後の高血糖を
生じない糖質制限食は糖尿病に有効な食事療法であると考えられます。
当クリニックでは平成24年より糖尿病患者に糖質制限食を勧めています。
基本的には夕食のみ主食を抜くプチ糖質制限食から始めています。
治療効果は糖尿病の無治療群では比較的良好で、薬物治療群では
薬の減量ないし中止に至った症例が半数以上認められました。
今回、これらの症例について、さらに家庭や外食での糖質制限食のコツ
などについてお話しします。
(講師略歴)
昭和29年、11月17日福山市生まれ。
昭和56年、奈良県立医科大学卒業。
同年4月、広島大学医学部泌尿器科学教室入局。
国立福山病院、広島大学付属病院、国立呉病院に勤務。
平成4年、学位取得
平成5年11月、福山市今津町に瀬尾クリニックを開業。
平成18年4月より、日本臨床泌尿器科医会 理事に就任。
平成18年2月より、傷、火傷に対して湿潤療法を開始。
平成24年2月より、糖尿病に対して糖質制限食を開始。
◆講演② 『糖質制限食の有効性・可能性 ―食のパラダイムシフト―
~糖尿病・メタボ・生活習慣病・がん・・・~』
講師:江部康二 (一財)高雄病院理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会理事長
糖質制限食は、米飯・めん類・パンや芋類などの糖質が多い食品を
食べないで、肉や魚貝や豆腐や葉野菜などをしっかり摂取する食事療法です。
糖質制限食は、実は人類本来の食事、いわば人類の健康食ですので、
糖尿病をはじめとして様々な生活習慣病が改善します。
今回は、糖尿病を中心に糖質制限食の有効性・安全性を分かりやすく説明します。
また、生活習慣病やがんへの有効性・可能性にも言及します。
◆受講費: 賛助会員 2,500円 / 一般(非会員) 2,900円
◆お支払い方法:クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。
◆お申し込み方法:
・賛助会員の方
事務局までメールにてお申し込み下さい。
・賛助会員入会をご希望の方
1.入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://toushitsuseigen.or.jp/member.html
2.お申し込みはこちらのフォームからお願いします。
http://toushitsuseigen.or.jp/contact.php
「お問い合せ内容」欄に「5/11岡山講演会、受講希望」とご記入下さい。
・一般(非会員)で、講演会の受講のみご希望の方
こちらのフォームよりお申し込み下さい。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/9cbd1ef7287071
◆お申し込みの流れ:
1.会員の方はメールにて、会員以外の方は各種フォームにてご連絡下さい。
2.事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3.入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4.当日、直接会場までお越し下さい。
◆その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは5月8日(木)までにご連絡願います。
それ以降の返金には対応致しかねますので予めご了承ください。
ブログ読者の皆さんには、交流会、講演会などいつも多数ご参加いただきありがとうございます。
今回の記事は、一般社団法人日本糖質制限医療推進協会主催の一般向け岡山講演会のご案内です。
糖質過多な現代の食生活。
それによって引き起こされる糖尿病など生活習慣病の数々。
「糖質摂取が何故良くないか」そのメカニズムわかりやすく説明し、対して人類本来の食事といえる糖質制限食の有効性と可能性について具体的にお話しします。
そして糖尿病患者さんの血液検査データも豊富に紹介します。
同一摂取カロリーで揃えた「従来の糖尿病食 VS スーパー糖質制限食」の血糖値の日内変動データ比較は圧巻です。
食後高血糖と平均血糖変動幅に関しては、糖質制限食の圧勝で、その差は「月とスッポン」です。
米国糖尿病学会が2008年以来5年ぶりに、成人糖尿病患者の食事療法に関する声明(Position Statement on Nutrition Therapy)を改訂しました。(Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版)
2013年10月の米国糖尿病学会の栄養療法の声明は画期的なものであり、
全ての糖尿病患者に適した“one-size-fits-all(唯一無二の)”食事パターンは存在しない
との見解を表明しました。
このことは、食品交換表1969年の第2版以降、唯一無二の食事療法(カロリー制限食)を推奨し続けている日本糖尿病学会に対する痛烈な批判となっています。
そして、患者ごとにさまざまな食事パターン〔地中海食,ベジタリアン食,糖質制限食,低脂質食,DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食〕が受容可能であるとしています。
糖質制限食もちゃんと認められていて、日本における糖質制限食の普及においてこの上ない追い風です。
極めて重要なことですが、糖尿病合併症を防ぐには、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じないことが必要不可欠です。
しかしながら糖質を摂取すれば、必ず「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じます。
すなわち、従来の糖尿病食(高糖質食)では、糖尿病合併症を防ぐことは理論的に不可能なのです。
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じない唯一の食事療法が、糖質制限食なのです。
年間
16000人が糖尿病腎症から透析 → 医療費800億円、
3000人が糖尿病網膜症から失明
3000人が糖尿病足病変から足切断
というのが厳しい現実です。
このように合併症に苦しむ多数の糖尿病患者さんの存在そのものが、「日本糖尿病学会主導の従来の糖尿病治療が決して上手くいっていない」ことの動かぬ証拠と言えます。
糖尿病合併症を生じさせないためには、糖尿人の皆さんは自分自身の頭で考えて身を守ることが必要です。
本講演では、糖尿病を中心に糖質制限食の有効性・安全性をわかりやすく説明します。
また生活習慣病やがんへの糖質制限食の有効性・可能性にも少し言及します。
わかりやすいお話しを目指しますので、お近くの方々は是非ご参加くださいね。
岡山では、提携医療機関がまだないので、糖質制限食に興味ある医師のご参加も歓迎です。
医師の方は、前もって事務局にご連絡いただけば助かります。
よろしくお願い申し上げます。
江部康二
以下、事務局からのご案内です。
ブログ読者の皆様、講演会へいつも多数ご参加いただきまして
ありがとうございます。
5月11日(日)に、岡山で一般向けの講演会を開催いたします。
中国地方の皆様をはじめ、多数のご参加を心よりお待ち申し上げております。
//////////////////ご案内////////////////////
一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会主催 講演会(岡山)
「糖質制限食の有効性・可能性 ―糖尿病・メタボ・生活習慣病・がん・・・―」
◆日時: 2014年5月11日(日) 14:00~16:30頃 ※入場受付(開場)は、13:40~
◆会場: 岡山市民会館 4階大会議室
岡山県岡山市北区丸の内2丁目1番1号
http://www.okayama-shiminkaikan.jp/access.html
☆アクセス:路面電車の岡山駅前(停留所)で「東山行き」に乗車。
城下(停留所)で下車して下さい。下車後徒歩3分です。
(岡山駅前→城下の所要時間は5分です。)
◆講演① 『糖質制限のすすめ』 講師:瀬尾 一史 瀬尾クリニック院長
糖尿病は予備軍まで含めると約2100万人の患者がいるといわれています。
糖尿病の成因は食後の高血糖といわれていますが、食後の高血糖を
生じない糖質制限食は糖尿病に有効な食事療法であると考えられます。
当クリニックでは平成24年より糖尿病患者に糖質制限食を勧めています。
基本的には夕食のみ主食を抜くプチ糖質制限食から始めています。
治療効果は糖尿病の無治療群では比較的良好で、薬物治療群では
薬の減量ないし中止に至った症例が半数以上認められました。
今回、これらの症例について、さらに家庭や外食での糖質制限食のコツ
などについてお話しします。
(講師略歴)
昭和29年、11月17日福山市生まれ。
昭和56年、奈良県立医科大学卒業。
同年4月、広島大学医学部泌尿器科学教室入局。
国立福山病院、広島大学付属病院、国立呉病院に勤務。
平成4年、学位取得
平成5年11月、福山市今津町に瀬尾クリニックを開業。
平成18年4月より、日本臨床泌尿器科医会 理事に就任。
平成18年2月より、傷、火傷に対して湿潤療法を開始。
平成24年2月より、糖尿病に対して糖質制限食を開始。
◆講演② 『糖質制限食の有効性・可能性 ―食のパラダイムシフト―
~糖尿病・メタボ・生活習慣病・がん・・・~』
講師:江部康二 (一財)高雄病院理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会理事長
糖質制限食は、米飯・めん類・パンや芋類などの糖質が多い食品を
食べないで、肉や魚貝や豆腐や葉野菜などをしっかり摂取する食事療法です。
糖質制限食は、実は人類本来の食事、いわば人類の健康食ですので、
糖尿病をはじめとして様々な生活習慣病が改善します。
今回は、糖尿病を中心に糖質制限食の有効性・安全性を分かりやすく説明します。
また、生活習慣病やがんへの有効性・可能性にも言及します。
◆受講費: 賛助会員 2,500円 / 一般(非会員) 2,900円
◆お支払い方法:クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。
◆お申し込み方法:
・賛助会員の方
事務局までメールにてお申し込み下さい。
・賛助会員入会をご希望の方
1.入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://toushitsuseigen.or.jp/member.html
2.お申し込みはこちらのフォームからお願いします。
http://toushitsuseigen.or.jp/contact.php
「お問い合せ内容」欄に「5/11岡山講演会、受講希望」とご記入下さい。
・一般(非会員)で、講演会の受講のみご希望の方
こちらのフォームよりお申し込み下さい。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/9cbd1ef7287071
◆お申し込みの流れ:
1.会員の方はメールにて、会員以外の方は各種フォームにてご連絡下さい。
2.事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3.入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4.当日、直接会場までお越し下さい。
◆その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは5月8日(木)までにご連絡願います。
それ以降の返金には対応致しかねますので予めご了承ください。
2014年04月16日 (水)
【14/04/13 HSG
がんになりたいなら炭水化物
米国で1、2を争う癌専門病院
ニューヨークメモリアルスローンケータリング癌センターの
センター長兼CEO Craig.Thompson 博士の講演
Why We All Don't Get Cancer
http://www.youtube.com/watch?v=WUlE1VHGA40#t=27m0s
どのタイプの食物を過剰に食べると癌のリスクを高めるか?
A fats 脂質
B carbohydrates 糖質
C proteins たんぱく質
「脂質を多く食べても癌のリスクは全く上昇しません 。糖質を多く食べると癌のリスクを著しく高めます 。タンパク質はその中間に位置します」
参考までに。】
こんにちは。
HSGさんから、大変貴重な情報をコメント頂きました。
ありがとうございます。
ニューヨーク・メモリアル・スローン・ケタリング癌センター
http://www.mskcc.org/
は、HSGさんのご指摘通り、全米屈指の超有名な癌センターです。
日本における国立癌センターのイメージと同格、あるいは、それ以上のレベルの癌センターです。
U.S.News & World Reportベスト・ホスピタル癌部門において、常に上位2位以内に選ばれている実績があります。
そのセンター長兼CEO Craig.Thompson 博士の講演がユーチューブで見れます。
http://www.youtube.com/watch?v=WUlE1VHGA40#t=27m0s
英語の堪能な友人にも見て貰いました。
CEO曰く、
「今どきの人間は食べすぎで、太っている人間の体内では細胞の変異が起き易い」
そうです。
そして、
「私達は、モデル生物において、優れたエビデンスを得ています。」
続いて、
「脂質を過剰摂取させてもガン発生率は全く増えません。
炭水化物を過剰摂取させると、ガン発生率が劇的に増えます。
タンパク質はその中間です」
「なので、炭水化物ベースの食事について大きな議論をすることになるでしょう・・・。」
これって、全米1・2位を誇る癌センターのCEOが、糖質制限食を推奨しているってことですよね。(^-^)v(^-^)v
何ともはや、想定範囲外の嬉しい驚きです。
糖質制限食にとって、この上ない追い風がまた吹いたということですね。
江部康二
がんになりたいなら炭水化物
米国で1、2を争う癌専門病院
ニューヨークメモリアルスローンケータリング癌センターの
センター長兼CEO Craig.Thompson 博士の講演
Why We All Don't Get Cancer
http://www.youtube.com/watch?v=WUlE1VHGA40#t=27m0s
どのタイプの食物を過剰に食べると癌のリスクを高めるか?
A fats 脂質
B carbohydrates 糖質
C proteins たんぱく質
「脂質を多く食べても癌のリスクは全く上昇しません 。糖質を多く食べると癌のリスクを著しく高めます 。タンパク質はその中間に位置します」
参考までに。】
こんにちは。
HSGさんから、大変貴重な情報をコメント頂きました。
ありがとうございます。
ニューヨーク・メモリアル・スローン・ケタリング癌センター
http://www.mskcc.org/
は、HSGさんのご指摘通り、全米屈指の超有名な癌センターです。
日本における国立癌センターのイメージと同格、あるいは、それ以上のレベルの癌センターです。
U.S.News & World Reportベスト・ホスピタル癌部門において、常に上位2位以内に選ばれている実績があります。
そのセンター長兼CEO Craig.Thompson 博士の講演がユーチューブで見れます。
http://www.youtube.com/watch?v=WUlE1VHGA40#t=27m0s
英語の堪能な友人にも見て貰いました。
CEO曰く、
「今どきの人間は食べすぎで、太っている人間の体内では細胞の変異が起き易い」
そうです。
そして、
「私達は、モデル生物において、優れたエビデンスを得ています。」
続いて、
「脂質を過剰摂取させてもガン発生率は全く増えません。
炭水化物を過剰摂取させると、ガン発生率が劇的に増えます。
タンパク質はその中間です」
「なので、炭水化物ベースの食事について大きな議論をすることになるでしょう・・・。」
これって、全米1・2位を誇る癌センターのCEOが、糖質制限食を推奨しているってことですよね。(^-^)v(^-^)v
何ともはや、想定範囲外の嬉しい驚きです。
糖質制限食にとって、この上ない追い風がまた吹いたということですね。
江部康二
2014年04月15日 (火)
こんにちは。
2014年4月14日(月)「糖質制限食による体重減少効果」
という記事を書きました。
その記事で『インスリンは肥満ホルモン』とシンプルに記載しましたが、今日の記事はその理由を復習を兼ねて説明します。
<生理学あるいは生化学的考察>
まずは、生理学あるいは生化学的に詳細に考察してみます。
脂肪細胞の周囲の毛細血管壁にあるLPL(リポタンパクリパーゼ)が活発になると、血中の中性脂肪を遊離脂肪酸とグリセロールに分解して、遊離脂肪酸を脂肪細胞内に取り込み中性脂肪に合成して蓄え太っていきます。
これに対してHSL(ホルモン感受性リパーゼ)は脂肪細胞内にあって、中性脂肪を遊離脂肪酸とグリセロールに分解して血中に放出させる作用があります。
まとめると、脂肪細胞の周囲の毛細血管壁にあるLPLは内部に中性脂肪を蓄えて太らせる働きがあり、脂肪細胞内のHSLは逆に内部の中性脂肪を分解して血中に放出させ、やせさせる働きがあります。
インスリンは脂肪細胞の周囲の毛細血管壁にあるLPLを活性化させるので、脂肪細胞内に中性脂肪を蓄える方向に働きます。
そしてインスリンは、脂肪細胞内のHSLを抑制するので中性脂肪が分解されなくなります。
従って、インスリンが分泌されると、中性脂肪分解が抑制されて中性脂肪合成が促進されるので、二重に太りやすいのです。
さらにインスリンは、GLUT4を介して血糖を筋肉細胞内に取り込み、エネルギーゲン源として利用したあとグリコーゲンとして蓄えますが、余剰の血糖を脂肪細胞内に取り込み、中性脂肪に合成して蓄えます。
このように三重の肥満ホルモンがインスリンなのです。
<ジョスリン糖尿病学とケーヒルの名言>
インスリン療法をしている糖尿病患者はしばしば太ります。
『ジョスリン糖尿病学』には
「食物摂取とは無関係の、インスリンの脂肪組織への直接的な脂肪生成効果」
と説明されています。
ハーバード大学医学部元教授、ジョージ・ケーヒルは
「脂肪を操るインスリンを、炭水化物(糖質)が操る」
と述べています。
肥満のメカニズムは、インスリンによる脂肪蓄積であり、その血中濃度と総量が関係します。
そしてインスリンを大量に分泌させるのは糖質のみです。
結局、糖質の頻回・過剰摂取とそれによるインスリンの頻回・過剰分泌が肥満の元凶なのです。
<狩猟・採集時代のインスリンの役割>
最後にインスリンの名誉のために一言。
人類の歴史において、農耕開始前の700万年間、インスリンの卓越した中性脂肪合成能力は、飢餓に対する唯一のセーフティーネットである体脂肪蓄積に関して、極めて大きな役割を果たしていたことを忘れてはなりません。
インスリンがせっせと中性脂肪を蓄えてくれたからこそ、人類のご先祖は生き延びてきたのです。
その卓越した中性脂肪合成能力が、現代は結果としてあだとなってしまったのですね。
<結論>
インスリンは三重の肥満ホルモンです。
スーパー糖質制限食なら、インンスリンの分泌は最少量で済みますので、抜群の体重減少効果が期待できるのです。
なおスーパー糖質制限食でも、基礎分泌インスリンは普通にでていますし、
追加分泌インスリンも2~3倍くらいは野菜分の糖質などに対して出ています。
一方、普通の糖質ありの食事なら、追加分泌インスリンは基礎分泌の10~30倍でます。
江部康二
2014年4月14日(月)「糖質制限食による体重減少効果」
という記事を書きました。
その記事で『インスリンは肥満ホルモン』とシンプルに記載しましたが、今日の記事はその理由を復習を兼ねて説明します。
<生理学あるいは生化学的考察>
まずは、生理学あるいは生化学的に詳細に考察してみます。
脂肪細胞の周囲の毛細血管壁にあるLPL(リポタンパクリパーゼ)が活発になると、血中の中性脂肪を遊離脂肪酸とグリセロールに分解して、遊離脂肪酸を脂肪細胞内に取り込み中性脂肪に合成して蓄え太っていきます。
これに対してHSL(ホルモン感受性リパーゼ)は脂肪細胞内にあって、中性脂肪を遊離脂肪酸とグリセロールに分解して血中に放出させる作用があります。
まとめると、脂肪細胞の周囲の毛細血管壁にあるLPLは内部に中性脂肪を蓄えて太らせる働きがあり、脂肪細胞内のHSLは逆に内部の中性脂肪を分解して血中に放出させ、やせさせる働きがあります。
インスリンは脂肪細胞の周囲の毛細血管壁にあるLPLを活性化させるので、脂肪細胞内に中性脂肪を蓄える方向に働きます。
そしてインスリンは、脂肪細胞内のHSLを抑制するので中性脂肪が分解されなくなります。
従って、インスリンが分泌されると、中性脂肪分解が抑制されて中性脂肪合成が促進されるので、二重に太りやすいのです。
さらにインスリンは、GLUT4を介して血糖を筋肉細胞内に取り込み、エネルギーゲン源として利用したあとグリコーゲンとして蓄えますが、余剰の血糖を脂肪細胞内に取り込み、中性脂肪に合成して蓄えます。
このように三重の肥満ホルモンがインスリンなのです。
<ジョスリン糖尿病学とケーヒルの名言>
インスリン療法をしている糖尿病患者はしばしば太ります。
『ジョスリン糖尿病学』には
「食物摂取とは無関係の、インスリンの脂肪組織への直接的な脂肪生成効果」
と説明されています。
ハーバード大学医学部元教授、ジョージ・ケーヒルは
「脂肪を操るインスリンを、炭水化物(糖質)が操る」
と述べています。
肥満のメカニズムは、インスリンによる脂肪蓄積であり、その血中濃度と総量が関係します。
そしてインスリンを大量に分泌させるのは糖質のみです。
結局、糖質の頻回・過剰摂取とそれによるインスリンの頻回・過剰分泌が肥満の元凶なのです。
<狩猟・採集時代のインスリンの役割>
最後にインスリンの名誉のために一言。
人類の歴史において、農耕開始前の700万年間、インスリンの卓越した中性脂肪合成能力は、飢餓に対する唯一のセーフティーネットである体脂肪蓄積に関して、極めて大きな役割を果たしていたことを忘れてはなりません。
インスリンがせっせと中性脂肪を蓄えてくれたからこそ、人類のご先祖は生き延びてきたのです。
その卓越した中性脂肪合成能力が、現代は結果としてあだとなってしまったのですね。
<結論>
インスリンは三重の肥満ホルモンです。
スーパー糖質制限食なら、インンスリンの分泌は最少量で済みますので、抜群の体重減少効果が期待できるのです。
なおスーパー糖質制限食でも、基礎分泌インスリンは普通にでていますし、
追加分泌インスリンも2~3倍くらいは野菜分の糖質などに対して出ています。
一方、普通の糖質ありの食事なら、追加分泌インスリンは基礎分泌の10~30倍でます。
江部康二
2014年04月14日 (月)
こんばんは。
糖質制限食による体重減少効果を整理整頓してみます。
今まで利点に入れていた「ケトン体の尿中排泄によるエネルギー放出」はごく微量なので省くこととし、5つの利点を4つにしました。
<スーパー糖質制限食の4つの利点>
◆<糖質制限食による体重減少効果>
①インスリン(肥満ホルモン)が基礎分泌以外ほとんど出ない。
②食事中も含めて常に体脂肪が燃えている。
③食事中も含めて常に肝臓で糖新生が行われ、それにかなりのエネルギーを消費する。
④高タンパク食により、食事誘発熱産生(DIT)が亢進する。
高蛋白食は、摂食時の食事誘発熱産生(DIT)が通常食に比べて増加します。
DITによる消費エネルギーは、実質吸収エネルギーの、糖質では6%、脂質では4%、タンパク質で30%です。
食事誘発熱産生(DIT)を、もっと簡単に説明すると、食事において
100キロカロリーの糖質だけを摂取した時は、6キロカロリーが、
100キロカロリーの脂質だけを摂取した時は、4キロカロリーが、
100キロカロリーのタンパク質だけを摂取した時は、30キロカロリーが
熱に変わり、消費エネルギーとしてカウントされるということです。
◆<糖質を摂取した場合>
A)血糖値が上昇してインスリン(肥満ホルモン)がたっぷり分泌される。
B)体脂肪は燃えなくなり、血糖値が中性脂肪に変わり蓄積される。
C)肝臓の糖新生はストップする。
D)高タンパク食よる亢進した食事誘発熱産生(DIT)はなくなる。
①②③④とA)B)C)D)両者を比べてみれば、高糖質食より糖質制限食の方が、体重減少効果が高いことが一目でわかると思います。
たとえ低脂質食でカロリー制限していても、糖質を摂れば体重減少への利点がすべて消えてしまうわけです。
これは食べ物に含まれるカロリーとは無関係の生理学的な特質であり、あくまで糖質を摂るかどうかがカギとなります。
<摂取エネルギーと消費エネルギー、基礎代謝量、身体活動量、食事誘発熱産生>
1)摂取エネルギー > 消費エネルギー → 体重増加
摂取エネルギー = 消費エネルギー → 体重不変
摂取エネルギー < 消費エネルギー → 体重減少
2)通常のカロリー制限食(高糖質食)なら
「消費エネルギー=基礎代謝量+身体活動量(運動や家事)+食事誘発熱産生(DIT)」
3)糖質制限食なら、高糖質食の時には無い
「肝臓の糖新生でエネルギーを消費」→基礎代謝の増加
「高蛋白食摂取」→食事誘発熱産生(DIT)の増加 」
が認められる。
1)は生理学的事実です。
2)3)を比較すると糖質制限食の方が高糖質食に比し、体重が減少しやすいことは明白です。
<推定エネルギー必要量と糖質制限食>
減量を目指す時に、糖尿病学会推奨のように
男性:1400~1800kcal/日
女性:1200~1600kcal/日
といった、厳しいカロリー制限は必要ありません。
一方、国立健康・栄養研究所の「日本人の食事摂取基準」(2010年)への解説
推定エネルギー必要量は18才以上の成人で、年齢により差がありますが、
身体活動レベルが低い人は
男性:1850~2250キロカロリー/日
女性:1450~1700キロカロリー/日
身体活動レベルが普通なら
男性:20200~2650キロカロリー/日
女性:1700~1950キロカロリー/日
身体活動レベルが高い場合
男性:2500~3050キロカロリー/日
女性:2000~2300キロカロリー/日
です。
スーパー糖質制限食実践と「日本人の食事摂取基準」の標準的な摂取エネルギーなら、適正体重になると思います。
江部康二
糖質制限食による体重減少効果を整理整頓してみます。
今まで利点に入れていた「ケトン体の尿中排泄によるエネルギー放出」はごく微量なので省くこととし、5つの利点を4つにしました。
<スーパー糖質制限食の4つの利点>
◆<糖質制限食による体重減少効果>
①インスリン(肥満ホルモン)が基礎分泌以外ほとんど出ない。
②食事中も含めて常に体脂肪が燃えている。
③食事中も含めて常に肝臓で糖新生が行われ、それにかなりのエネルギーを消費する。
④高タンパク食により、食事誘発熱産生(DIT)が亢進する。
高蛋白食は、摂食時の食事誘発熱産生(DIT)が通常食に比べて増加します。
DITによる消費エネルギーは、実質吸収エネルギーの、糖質では6%、脂質では4%、タンパク質で30%です。
食事誘発熱産生(DIT)を、もっと簡単に説明すると、食事において
100キロカロリーの糖質だけを摂取した時は、6キロカロリーが、
100キロカロリーの脂質だけを摂取した時は、4キロカロリーが、
100キロカロリーのタンパク質だけを摂取した時は、30キロカロリーが
熱に変わり、消費エネルギーとしてカウントされるということです。
◆<糖質を摂取した場合>
A)血糖値が上昇してインスリン(肥満ホルモン)がたっぷり分泌される。
B)体脂肪は燃えなくなり、血糖値が中性脂肪に変わり蓄積される。
C)肝臓の糖新生はストップする。
D)高タンパク食よる亢進した食事誘発熱産生(DIT)はなくなる。
①②③④とA)B)C)D)両者を比べてみれば、高糖質食より糖質制限食の方が、体重減少効果が高いことが一目でわかると思います。
たとえ低脂質食でカロリー制限していても、糖質を摂れば体重減少への利点がすべて消えてしまうわけです。
これは食べ物に含まれるカロリーとは無関係の生理学的な特質であり、あくまで糖質を摂るかどうかがカギとなります。
<摂取エネルギーと消費エネルギー、基礎代謝量、身体活動量、食事誘発熱産生>
1)摂取エネルギー > 消費エネルギー → 体重増加
摂取エネルギー = 消費エネルギー → 体重不変
摂取エネルギー < 消費エネルギー → 体重減少
2)通常のカロリー制限食(高糖質食)なら
「消費エネルギー=基礎代謝量+身体活動量(運動や家事)+食事誘発熱産生(DIT)」
3)糖質制限食なら、高糖質食の時には無い
「肝臓の糖新生でエネルギーを消費」→基礎代謝の増加
「高蛋白食摂取」→食事誘発熱産生(DIT)の増加 」
が認められる。
1)は生理学的事実です。
2)3)を比較すると糖質制限食の方が高糖質食に比し、体重が減少しやすいことは明白です。
<推定エネルギー必要量と糖質制限食>
減量を目指す時に、糖尿病学会推奨のように
男性:1400~1800kcal/日
女性:1200~1600kcal/日
といった、厳しいカロリー制限は必要ありません。
一方、国立健康・栄養研究所の「日本人の食事摂取基準」(2010年)への解説
推定エネルギー必要量は18才以上の成人で、年齢により差がありますが、
身体活動レベルが低い人は
男性:1850~2250キロカロリー/日
女性:1450~1700キロカロリー/日
身体活動レベルが普通なら
男性:20200~2650キロカロリー/日
女性:1700~1950キロカロリー/日
身体活動レベルが高い場合
男性:2500~3050キロカロリー/日
女性:2000~2300キロカロリー/日
です。
スーパー糖質制限食実践と「日本人の食事摂取基準」の標準的な摂取エネルギーなら、適正体重になると思います。
江部康二
2014年04月13日 (日)
【14/04/13 appleflower
赤身の肉・加工肉
江部先生
いつも勉強させて頂いており感謝申し上げます。
ところで赤身の肉・加工肉ですが、がんや循環器疾患のリスクを高めることを示唆する文献はたくさんあります。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=red+meat+cancer
糖質を制限するとき、代わりのカロリー源として脂質とタンパク質が自然に増えますが、良い物も良くないものもあるはずです。
いろんな文献を見ていますと、中でも赤身の肉と加工肉は、飽和脂肪酸など好ましくないものが含まれており、摂り過ぎないほうが良いのではないか。
可能な限り肉よりは魚にしたほうが、不飽和脂肪酸もたくさん撮れるし健康には良い、ということだと考えています。どうぞお考えをお聞かせ下さい。】
こんばんは。
appleflower さんから
「赤みの肉、加工肉、飽和脂肪酸・・・がんや循環器疾患のリスク?」
というコメント・質問をいただきました。
確かに、そういう結論のいろんな文献がありますが、 全て糖質を30数%~50~60%摂取している集団のデータなので、 スーパー糖質制限食実践者(糖質摂取比率12%)にはあてはまりません。
次に世界ガン研究基金の2007年の報告について検討してみます。
World cancer reserch fund
http://www.wcrf-uk.org/preventing_cancer/recommendations.php
このサイトで、必要な確認だけして、内容を検討してみました。
まずは、ウィキペディアの解説です。よくまとまっているので、以下に引用しました。
【食生活指針
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A3%9F%E7%94%9F%E6%B4%BB%E6%8C%87%E9%87%9D
世界がん研究基金によるがん予防の勧告
1997年に4500以上の研究を研究を元に、「食べもの、栄養とがん予防」 (Food, Nutrition, and the Prevention of Cancer: A Global Perspective) が報告された。日本では、がん予防14か条、タバコの制限を加えてがん予防15か条として紹介された。
2007年11月1日、世界がん研究基金とアメリカがん研究協会によって7000以上の研究を根拠に「食べもの、栄養、運動とがん予防[15]」が報告されている。
①肥満 ゴール:BMIは21-23の範囲に。 推薦:標準体重の維持、BMI25未満。
②運動 推薦:毎日少なくとも30分の運動。
③体重を増やす飲食物 推薦:高エネルギーの食べものや砂糖入り飲料やフルーツジュース、ファーストフードの摂取を制限する。飲料として水や茶や無糖コーヒーが推奨される。
④植物性食品 ゴール:毎日少なくとも600gの野菜や果物と、少なくとも25グラムの食物繊維を摂取するための精白されていない穀物である全粒穀物と豆を食べる。 推奨:毎日400g以上の野菜や果物と、全粒穀物と豆を食べる。精白された穀物などを制限する。
トランス脂肪酸は心臓病のリスクとなるが、がんへの関与は知られていない。
⑤動物性食品 赤肉(牛・豚・羊)を制限し、加工肉(ハム、ベーコン、サラミ、燻製肉、熟成肉、塩蔵肉)は避ける。赤肉より、鶏肉や魚が推奨される。 ゴール:赤肉は週300g以下に。 推奨:赤肉は週500g以下に。乳製品は議論があるため推奨していない。
⑥アルコール 男性は1日2杯、女性は1日1杯まで。
⑦保存、調理 ゴール:塩分摂取量を1日に5g以下に。 推奨:塩辛い食べものを避ける。
塩分摂取量を1日に6g以下に。カビのある穀物や豆を避ける。
⑧サプリメント ゴール:サプリメントなしで栄養が満たせる。 推奨:がん予防のためにサプリメントに頼らない。
⑨母乳哺育 6か月、母乳哺育をする。これは母親を主に乳がんから、子供を肥満や病気から守る。
⑩がん治療後 がん治療を行ったなら、栄養、体重、運動について専門家の指導を受ける。
***
タバコの煙もがんの主因であると強調している。また、タバコとアルコールは相乗作用で発癌物質となる。】
世界ガン研究基金の報告においても
「動物性食品 赤肉(牛・豚・羊)を制限し、加工肉(ハム、ベーコン、サラミ、燻製肉、熟成肉、塩蔵肉)は避ける。赤肉より、鶏肉や魚が推奨される。 ゴール:赤肉は週300g以下に。 推奨:赤肉は週500g以下に。乳製品は議論があるため推奨していない。」
と、明快な記載ですね。
しかし、世界ガン研究基金の報告の元になった数多くの文献も全て糖質を30数%~50~60%摂取している集団のデータなので、 スーパー糖質制限食実践者にはあてはまらないと思います。
肥満に関しては、大腸・食道・膵臓・腎臓・子宮内膜(子宮)・乳房のガンになるリスクが高まるとしています。
これら6つのガンに関しては、はっきり肥満がリスクになるということです。
また、胆嚢に関しては、肥満がおそらく発ガンのリスクを高めるとしています。
肥満がリスクになるガンは、高インスリン血症が関与している可能生が高いと思います。
「高インスリン血症」と「高血糖」には、発ガンリスクであるというエビデンスがあります。
ごく普通の食事をしている集団(糖質摂取比率30数%~60%)においては、糖質摂取比率12%のスーパー糖質制限食集団に比べると、糖尿病でない耐糖能正常の人においても、必ず「食後高血糖」と「高インスリン血症」を生じています。
「食後高血糖」と「高インスリン血症」を日常的に生じている集団においては、世界ガン研究基金の報告のように
「動物性食品 赤肉(牛・豚・羊)を制限し、加工肉(ハム、ベーコン、サラミ、燻製肉、熟成肉、塩蔵肉)は避ける」
ほうが発ガンに関して、安全な可能性が高いということは私も賛成です。
しかし、「食後高血糖」と「高インスリン血症」を日常的に生じていないスーパー糖質制限食集団には、「赤み肉や加工肉で発ガンリスク」という文献的エビデンスは皆無なわけですので、何ともいいようがありません。
個人的には「高インスリン血症」と「高血糖」という発ガンリスクがほとんどないスーパー糖質制限食なら、少なくとも、肥満関連のガンや西欧型のガンに対しては、予防効果がある可能性が高いと思いますが、あくまでも仮説であり、エビデンスがあるわけではありません。
加工肉にはいろいろな添加物が多いので、少量がいいかと思います。
そして魚と肉との比率は、大ざっぱに<1:1>くらいがいいかなと思っています。
勿論、魚が多くてもいいです。
私自身はスーパー糖質制限食を 2002年から実践して12年目ですが、赤みの肉はしっかり食べています。
鶏肉も魚貝も卵も大豆製品もよく食べますし、葉野菜、海藻、茸もよく食べます。
間食でチーズ、ナッツ、スルメ、焼き海苔、干し海老、メザシ・・・もよく食べます。
果物は、少量を時に食べることがあります。
江部康二
赤身の肉・加工肉
江部先生
いつも勉強させて頂いており感謝申し上げます。
ところで赤身の肉・加工肉ですが、がんや循環器疾患のリスクを高めることを示唆する文献はたくさんあります。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=red+meat+cancer
糖質を制限するとき、代わりのカロリー源として脂質とタンパク質が自然に増えますが、良い物も良くないものもあるはずです。
いろんな文献を見ていますと、中でも赤身の肉と加工肉は、飽和脂肪酸など好ましくないものが含まれており、摂り過ぎないほうが良いのではないか。
可能な限り肉よりは魚にしたほうが、不飽和脂肪酸もたくさん撮れるし健康には良い、ということだと考えています。どうぞお考えをお聞かせ下さい。】
こんばんは。
appleflower さんから
「赤みの肉、加工肉、飽和脂肪酸・・・がんや循環器疾患のリスク?」
というコメント・質問をいただきました。
確かに、そういう結論のいろんな文献がありますが、 全て糖質を30数%~50~60%摂取している集団のデータなので、 スーパー糖質制限食実践者(糖質摂取比率12%)にはあてはまりません。
次に世界ガン研究基金の2007年の報告について検討してみます。
World cancer reserch fund
http://www.wcrf-uk.org/preventing_cancer/recommendations.php
このサイトで、必要な確認だけして、内容を検討してみました。
まずは、ウィキペディアの解説です。よくまとまっているので、以下に引用しました。
【食生活指針
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A3%9F%E7%94%9F%E6%B4%BB%E6%8C%87%E9%87%9D
世界がん研究基金によるがん予防の勧告
1997年に4500以上の研究を研究を元に、「食べもの、栄養とがん予防」 (Food, Nutrition, and the Prevention of Cancer: A Global Perspective) が報告された。日本では、がん予防14か条、タバコの制限を加えてがん予防15か条として紹介された。
2007年11月1日、世界がん研究基金とアメリカがん研究協会によって7000以上の研究を根拠に「食べもの、栄養、運動とがん予防[15]」が報告されている。
①肥満 ゴール:BMIは21-23の範囲に。 推薦:標準体重の維持、BMI25未満。
②運動 推薦:毎日少なくとも30分の運動。
③体重を増やす飲食物 推薦:高エネルギーの食べものや砂糖入り飲料やフルーツジュース、ファーストフードの摂取を制限する。飲料として水や茶や無糖コーヒーが推奨される。
④植物性食品 ゴール:毎日少なくとも600gの野菜や果物と、少なくとも25グラムの食物繊維を摂取するための精白されていない穀物である全粒穀物と豆を食べる。 推奨:毎日400g以上の野菜や果物と、全粒穀物と豆を食べる。精白された穀物などを制限する。
トランス脂肪酸は心臓病のリスクとなるが、がんへの関与は知られていない。
⑤動物性食品 赤肉(牛・豚・羊)を制限し、加工肉(ハム、ベーコン、サラミ、燻製肉、熟成肉、塩蔵肉)は避ける。赤肉より、鶏肉や魚が推奨される。 ゴール:赤肉は週300g以下に。 推奨:赤肉は週500g以下に。乳製品は議論があるため推奨していない。
⑥アルコール 男性は1日2杯、女性は1日1杯まで。
⑦保存、調理 ゴール:塩分摂取量を1日に5g以下に。 推奨:塩辛い食べものを避ける。
塩分摂取量を1日に6g以下に。カビのある穀物や豆を避ける。
⑧サプリメント ゴール:サプリメントなしで栄養が満たせる。 推奨:がん予防のためにサプリメントに頼らない。
⑨母乳哺育 6か月、母乳哺育をする。これは母親を主に乳がんから、子供を肥満や病気から守る。
⑩がん治療後 がん治療を行ったなら、栄養、体重、運動について専門家の指導を受ける。
***
タバコの煙もがんの主因であると強調している。また、タバコとアルコールは相乗作用で発癌物質となる。】
世界ガン研究基金の報告においても
「動物性食品 赤肉(牛・豚・羊)を制限し、加工肉(ハム、ベーコン、サラミ、燻製肉、熟成肉、塩蔵肉)は避ける。赤肉より、鶏肉や魚が推奨される。 ゴール:赤肉は週300g以下に。 推奨:赤肉は週500g以下に。乳製品は議論があるため推奨していない。」
と、明快な記載ですね。
しかし、世界ガン研究基金の報告の元になった数多くの文献も全て糖質を30数%~50~60%摂取している集団のデータなので、 スーパー糖質制限食実践者にはあてはまらないと思います。
肥満に関しては、大腸・食道・膵臓・腎臓・子宮内膜(子宮)・乳房のガンになるリスクが高まるとしています。
これら6つのガンに関しては、はっきり肥満がリスクになるということです。
また、胆嚢に関しては、肥満がおそらく発ガンのリスクを高めるとしています。
肥満がリスクになるガンは、高インスリン血症が関与している可能生が高いと思います。
「高インスリン血症」と「高血糖」には、発ガンリスクであるというエビデンスがあります。
ごく普通の食事をしている集団(糖質摂取比率30数%~60%)においては、糖質摂取比率12%のスーパー糖質制限食集団に比べると、糖尿病でない耐糖能正常の人においても、必ず「食後高血糖」と「高インスリン血症」を生じています。
「食後高血糖」と「高インスリン血症」を日常的に生じている集団においては、世界ガン研究基金の報告のように
「動物性食品 赤肉(牛・豚・羊)を制限し、加工肉(ハム、ベーコン、サラミ、燻製肉、熟成肉、塩蔵肉)は避ける」
ほうが発ガンに関して、安全な可能性が高いということは私も賛成です。
しかし、「食後高血糖」と「高インスリン血症」を日常的に生じていないスーパー糖質制限食集団には、「赤み肉や加工肉で発ガンリスク」という文献的エビデンスは皆無なわけですので、何ともいいようがありません。
個人的には「高インスリン血症」と「高血糖」という発ガンリスクがほとんどないスーパー糖質制限食なら、少なくとも、肥満関連のガンや西欧型のガンに対しては、予防効果がある可能性が高いと思いますが、あくまでも仮説であり、エビデンスがあるわけではありません。
加工肉にはいろいろな添加物が多いので、少量がいいかと思います。
そして魚と肉との比率は、大ざっぱに<1:1>くらいがいいかなと思っています。
勿論、魚が多くてもいいです。
私自身はスーパー糖質制限食を 2002年から実践して12年目ですが、赤みの肉はしっかり食べています。
鶏肉も魚貝も卵も大豆製品もよく食べますし、葉野菜、海藻、茸もよく食べます。
間食でチーズ、ナッツ、スルメ、焼き海苔、干し海老、メザシ・・・もよく食べます。
果物は、少量を時に食べることがあります。
江部康二
2014年04月13日 (日)
こんばんは
デンプンのような多糖類は、α-アミラーゼという消化酵素の作用を得て、二糖類(麦芽糖や蔗糖)、やオリゴ糖に分解されます。
この二糖類やオリゴ糖は、マルターゼ、スクラーゼ、グルコアミラーゼなどの酵素により単糖(ブドウ糖、果糖、ガラクトースなど)に分解されて小腸から体内に吸収されます。マルターゼ、スクラーゼ、グルコアミラーゼなどの酵素を総称して、α-グルコシダーゼと呼びます。
この、α-グルコシダーゼの働きを阻害することにより、腸管からの糖質の分解・吸収を遅延させて、食後高血糖を抑制するお薬が、『α-グルコシダーゼ阻害剤』(グルコバイ、ベイスン、セイブルなど)です。
グルコバイ(アカルボース)はα-グルコシダーゼだけではなく、α-アミラーゼに対する阻害作用も、もっています。ベイスン(ボグリボース)やセイブル(ミグリトール)は、α-グルコシダーゼの活性を阻害しますが、α-アミラーゼには影響を与えません。従って、グルコバイのほうが少し効果が強いですが、副作用もややでやすいです。
作用機序から考えて、膵臓のβ細胞には全く影響を与えないので、SU剤のように疲れた膵臓を鞭打つといった欠点はありません。ベースに糖質制限食を実践している糖尿人が、たまに主食を食べるときに食直前30秒に内服して、食後高血糖を防ぐという意味ではそれなりに重宝なお薬です。
もっとも、血糖の上昇を30~60mgくらい抑制してくれるかどうかの薬効ですし、効果には個人差も大きいので、過信は禁物です。
α-グルコシダーゼを食直前に内服すれば、少量の糖質には対応できるというレベルです。
☆☆☆
栄養表示基準では栄養成分表示を行う場合、基本表示は
<エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム>
の5成分表示とされています。
「炭水化物、糖質、糖類」を整理すると下記の如くにまとめることができます。
①栄養表示基準上は、たんぱく質や脂質、灰分(ミネラル分)のいずれにも分類されないものは炭水化物に計算。
②炭水化物=糖質+食物繊維
③糖質=糖類+糖アルコール+三糖類以上+合成甘味料
④糖類=単糖類+二糖類
*三糖類以上=オリゴ糖、デキストリン、でんぷん、
デキストリンは一般にオリゴ糖と呼ばれるものより糖の数が多いです。
でんぷんはさらに、糖の数が多いです。
*二糖類=砂糖、麦芽糖、乳糖
*単糖類=ブドウ糖、果糖、ガラクトース
*糖アルコール=エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトールなど
*合成甘味料=アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、サッカリン、ネオテームなど
「炭水化物、糖質、糖類」に関しては
アサヒ飲料のホームページ
http://www.asahiinryo.co.jp/customer/dictionary/ing_carbohydrates.html
にわかりやすく図解してあるので、参考にしていただけば良いと思います。
アサヒ飲料さん、ありがとうございます。
江部康二
デンプンのような多糖類は、α-アミラーゼという消化酵素の作用を得て、二糖類(麦芽糖や蔗糖)、やオリゴ糖に分解されます。
この二糖類やオリゴ糖は、マルターゼ、スクラーゼ、グルコアミラーゼなどの酵素により単糖(ブドウ糖、果糖、ガラクトースなど)に分解されて小腸から体内に吸収されます。マルターゼ、スクラーゼ、グルコアミラーゼなどの酵素を総称して、α-グルコシダーゼと呼びます。
この、α-グルコシダーゼの働きを阻害することにより、腸管からの糖質の分解・吸収を遅延させて、食後高血糖を抑制するお薬が、『α-グルコシダーゼ阻害剤』(グルコバイ、ベイスン、セイブルなど)です。
グルコバイ(アカルボース)はα-グルコシダーゼだけではなく、α-アミラーゼに対する阻害作用も、もっています。ベイスン(ボグリボース)やセイブル(ミグリトール)は、α-グルコシダーゼの活性を阻害しますが、α-アミラーゼには影響を与えません。従って、グルコバイのほうが少し効果が強いですが、副作用もややでやすいです。
作用機序から考えて、膵臓のβ細胞には全く影響を与えないので、SU剤のように疲れた膵臓を鞭打つといった欠点はありません。ベースに糖質制限食を実践している糖尿人が、たまに主食を食べるときに食直前30秒に内服して、食後高血糖を防ぐという意味ではそれなりに重宝なお薬です。
もっとも、血糖の上昇を30~60mgくらい抑制してくれるかどうかの薬効ですし、効果には個人差も大きいので、過信は禁物です。
α-グルコシダーゼを食直前に内服すれば、少量の糖質には対応できるというレベルです。
☆☆☆
栄養表示基準では栄養成分表示を行う場合、基本表示は
<エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム>
の5成分表示とされています。
「炭水化物、糖質、糖類」を整理すると下記の如くにまとめることができます。
①栄養表示基準上は、たんぱく質や脂質、灰分(ミネラル分)のいずれにも分類されないものは炭水化物に計算。
②炭水化物=糖質+食物繊維
③糖質=糖類+糖アルコール+三糖類以上+合成甘味料
④糖類=単糖類+二糖類
*三糖類以上=オリゴ糖、デキストリン、でんぷん、
デキストリンは一般にオリゴ糖と呼ばれるものより糖の数が多いです。
でんぷんはさらに、糖の数が多いです。
*二糖類=砂糖、麦芽糖、乳糖
*単糖類=ブドウ糖、果糖、ガラクトース
*糖アルコール=エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトールなど
*合成甘味料=アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、サッカリン、ネオテームなど
「炭水化物、糖質、糖類」に関しては
アサヒ飲料のホームページ
http://www.asahiinryo.co.jp/customer/dictionary/ing_carbohydrates.html
にわかりやすく図解してあるので、参考にしていただけば良いと思います。
アサヒ飲料さん、ありがとうございます。
江部康二
2014年04月12日 (土)
【14/04/12 消火器内科医
今週号の文春
「糖質制限食でがん、認知症、うつが予防できる2鶏肉、魚、大豆、、、食べて良い物、悪い物」
全体的には糖質制限に賛成なものの、相も変わらず江部先生に比べれば科学的根拠のないスーパー糖質制限への恐怖心をあおるような評価が多かったですね。
その中で気になったのがハーバード大学の研究で牛豚などの赤肉やハム、ソーセージなどの加工肉をたくさん食べる人ほど、がん死のリスクが高いことを報告しているという一節です。昔から四つ足動物を食べると病気になりやすいという説を言うかたが多いので科学的根拠が知りたいものです。
牛乳は佐藤章夫先生のHPに乳がんとの原因であると決めつけてありますが一理はあると思います。もちろん佐藤先生の糖質制限批判などはまったく感情論でしかないと思いますが。】
こんばんは。
消火器内科医さんから、今週号の文春の記事についてコメントをいただきました。
週刊文春 2014年4月17日号
42ページ~45ページの記事
「糖質制限食」でがん・認知症・うつが予防できる!
②鶏肉・魚・大豆・・・食べていいもの、悪いもの
ジャーナリスト 鳥集 徹 氏
がんや認知症など様々な病気のリスクを高める糖尿病。その予防に「糖質制限食」が効果的ということを先週号でお伝えした。では、具体的にどのように実践すればいいのだろうか。最新の研究データをもとに、安全かつ効果的に試すことができるポイントを解説する。
安全性に対する科学的根拠が不十分
赤肉や加工肉の食べ過ぎに注意
下戸より酒飲みの方が続けやすい!?
糖尿病の人は医師のアドバイスを
【その中で気になったのがハーバード大学の研究で牛豚などの赤肉やハム、ソーセージなどの加工肉をたくさん食べる人ほど、がん死のリスクが高いことを報告しているという一節です。】
ハーバード大学の研究者が「Annals of Internal medicine」へ、2010年に論文発表したコホート研究のことと思います。
【低炭水化物食と全死亡率および死因別死亡率:二つのコホート研究
「Annals of Internal medicine
September 7 2010 vol.153 Issue5 p289-298
Low-Carbohydrate Diets and All-Cause and Cause-Specific Mortality:Two Cohort Studies
Teresa T. Fung, Rob M. van Dam, Susan E. Hankinson, Meir Stampfer, Walter C. Willett, and Frank B. Hu」
要旨
「低炭水化物食と死亡率の関連を長期にわたって調べたデータはほとんどない。今回,前向きコホート研究で,Nurses' Health Study(訳注:看護師の健康調査)に参加した85,168人の女性とHealth Professionals' Follow-up Study(訳注:医療従事者追跡研究)に参加した44,548人の男性を最大26年間追跡した。低炭水化物食で、動物性脂肪および蛋白質を重視した食事では,全死亡率,心血管死亡率,がん死亡率が高かった。一方,植物性脂肪および蛋白質を重視した食事では,全死亡率と心血管死亡率が低かった。」】
この論文の、
「糖質制限食(低炭水化物食)で、動物性脂肪および蛋白質を重視した食事では、全死亡率、心血管死亡率、がん死亡率が高かった。」
を根拠にして、糖質制限食は発ガンのリスクが懸念されるというのは根本的な誤解です。
まずこの論文には、30%未満の糖質制限食をしたグループは、登場していません。
この論文は、低炭水化物食といっても、総摂取エネルギーの35.2~42.8%を、炭水化物から摂取しているグループにおける話です。
炭水化物摂取比率60%のグループから順番に10グループに分けて、一番炭水化物摂取比率が少ないグループが35.2~42.8%です。
これだけの摂取量だと、低炭水化物食(糖質制限食)の研究というには相応しくないと思います。
すなわち、30%未満の糖質制限食グループに関する研究は、そもそも行われていないのです。
研究が行われていないのですから、発ガンリスクが増えるという根拠には全くなりません。
ちなみに、ADAは130g/日以下、2000kcal/日で26%以下を糖質制限の定義としており、バーンスイタイン医師ら糖質制限食派の医師もこれを認めています。
総摂取カロリーに対して「脂質56%、タンパク質32%、糖質12%」という構成比が高雄病院のスーパー糖質制限食です。
この研究において炭水化物を総摂取エネルギーの60%食べているグループに比べれば、炭水化物35.2~42.8%のグループの方が、たしかに相対的には低糖質食です。
それで低炭水化物食のコホート研究としたのでしょう。
一方、糖質を総摂取エネルギーの12%しか食べていないグループに比べれば、炭水化物35~42%のグループは3倍以上の高糖質食であり、とうてい低糖質食とは言えません。
これまで多くの研究で、高インスリン血症による腫瘍増殖・発ガン促進作用が示されています。
糖質を総摂取エネルギーの12%とする、スーパー糖質制限食なら食事1回分の糖質は10~20gで、追加分泌インスリンは、
せいぜい基礎分泌の約2倍~4倍ていどです。
一方、炭水化物摂取比率35.2~42.8%のグループは、1回の食事の糖質は50g以上であり、食事の度に約10~20倍の大量の追加分泌インスリンが分泌されます。
すなわち、炭水化物摂取比率35.2~42.8%のグループでは、明白な発ガンリスクとなる高インスリン血症が全く改善できていません。
これだけのインスリン分泌量は、糖質60%のグループとさほど変わらないと思います。
スーパー糖質制限食なら、発ガンリスクのインスリン分泌は極少量で済みます。
これらのことは生理学的な事実です。
また国際糖尿病連合(International Diabetes Federation:IDF)の「食後血糖値の管理に関するガイドライン」2011年によれば、食後高血糖そのものも、発ガンのリスクとなります。
糖質を総摂取エネルギーの12%とするスーパー糖質制限食なら、食後高血糖は生じませんが、炭水化物摂取比率35.2~42.8%のグループは、1日3回~5回以上食後高血糖を生じます。
「インスリン分泌が極少量」「食後高血糖がない」という、発ガンリスクを軽減させる利点があるスーパー糖質制限食において、長年続けることでそれを上回る何らかの発ガンリスクが、存在するのかしないのかということは、今後長期にわたり検討していく必要はあるでしょう。
幸い、現在までそのような謎の発ガンリスクは知られていませんが・・・。
結論です。
「スーパー糖質制限食と発ガンのリスクに関するエビデンスはない」のですが、発ガンリスクが明白に確認されているインスリンの分泌が、スーパー糖質制限食なら、極少量に抑えられることは、生理学的事実です。
また、発ガンリスクの一つの食後高血糖も、スーパー糖質制限食なら生じません。
江部康二
今週号の文春
「糖質制限食でがん、認知症、うつが予防できる2鶏肉、魚、大豆、、、食べて良い物、悪い物」
全体的には糖質制限に賛成なものの、相も変わらず江部先生に比べれば科学的根拠のないスーパー糖質制限への恐怖心をあおるような評価が多かったですね。
その中で気になったのがハーバード大学の研究で牛豚などの赤肉やハム、ソーセージなどの加工肉をたくさん食べる人ほど、がん死のリスクが高いことを報告しているという一節です。昔から四つ足動物を食べると病気になりやすいという説を言うかたが多いので科学的根拠が知りたいものです。
牛乳は佐藤章夫先生のHPに乳がんとの原因であると決めつけてありますが一理はあると思います。もちろん佐藤先生の糖質制限批判などはまったく感情論でしかないと思いますが。】
こんばんは。
消火器内科医さんから、今週号の文春の記事についてコメントをいただきました。
週刊文春 2014年4月17日号
42ページ~45ページの記事
「糖質制限食」でがん・認知症・うつが予防できる!
②鶏肉・魚・大豆・・・食べていいもの、悪いもの
ジャーナリスト 鳥集 徹 氏
がんや認知症など様々な病気のリスクを高める糖尿病。その予防に「糖質制限食」が効果的ということを先週号でお伝えした。では、具体的にどのように実践すればいいのだろうか。最新の研究データをもとに、安全かつ効果的に試すことができるポイントを解説する。
安全性に対する科学的根拠が不十分
赤肉や加工肉の食べ過ぎに注意
下戸より酒飲みの方が続けやすい!?
糖尿病の人は医師のアドバイスを
【その中で気になったのがハーバード大学の研究で牛豚などの赤肉やハム、ソーセージなどの加工肉をたくさん食べる人ほど、がん死のリスクが高いことを報告しているという一節です。】
ハーバード大学の研究者が「Annals of Internal medicine」へ、2010年に論文発表したコホート研究のことと思います。
【低炭水化物食と全死亡率および死因別死亡率:二つのコホート研究
「Annals of Internal medicine
September 7 2010 vol.153 Issue5 p289-298
Low-Carbohydrate Diets and All-Cause and Cause-Specific Mortality:Two Cohort Studies
Teresa T. Fung, Rob M. van Dam, Susan E. Hankinson, Meir Stampfer, Walter C. Willett, and Frank B. Hu」
要旨
「低炭水化物食と死亡率の関連を長期にわたって調べたデータはほとんどない。今回,前向きコホート研究で,Nurses' Health Study(訳注:看護師の健康調査)に参加した85,168人の女性とHealth Professionals' Follow-up Study(訳注:医療従事者追跡研究)に参加した44,548人の男性を最大26年間追跡した。低炭水化物食で、動物性脂肪および蛋白質を重視した食事では,全死亡率,心血管死亡率,がん死亡率が高かった。一方,植物性脂肪および蛋白質を重視した食事では,全死亡率と心血管死亡率が低かった。」】
この論文の、
「糖質制限食(低炭水化物食)で、動物性脂肪および蛋白質を重視した食事では、全死亡率、心血管死亡率、がん死亡率が高かった。」
を根拠にして、糖質制限食は発ガンのリスクが懸念されるというのは根本的な誤解です。
まずこの論文には、30%未満の糖質制限食をしたグループは、登場していません。
この論文は、低炭水化物食といっても、総摂取エネルギーの35.2~42.8%を、炭水化物から摂取しているグループにおける話です。
炭水化物摂取比率60%のグループから順番に10グループに分けて、一番炭水化物摂取比率が少ないグループが35.2~42.8%です。
これだけの摂取量だと、低炭水化物食(糖質制限食)の研究というには相応しくないと思います。
すなわち、30%未満の糖質制限食グループに関する研究は、そもそも行われていないのです。
研究が行われていないのですから、発ガンリスクが増えるという根拠には全くなりません。
ちなみに、ADAは130g/日以下、2000kcal/日で26%以下を糖質制限の定義としており、バーンスイタイン医師ら糖質制限食派の医師もこれを認めています。
総摂取カロリーに対して「脂質56%、タンパク質32%、糖質12%」という構成比が高雄病院のスーパー糖質制限食です。
この研究において炭水化物を総摂取エネルギーの60%食べているグループに比べれば、炭水化物35.2~42.8%のグループの方が、たしかに相対的には低糖質食です。
それで低炭水化物食のコホート研究としたのでしょう。
一方、糖質を総摂取エネルギーの12%しか食べていないグループに比べれば、炭水化物35~42%のグループは3倍以上の高糖質食であり、とうてい低糖質食とは言えません。
これまで多くの研究で、高インスリン血症による腫瘍増殖・発ガン促進作用が示されています。
糖質を総摂取エネルギーの12%とする、スーパー糖質制限食なら食事1回分の糖質は10~20gで、追加分泌インスリンは、
せいぜい基礎分泌の約2倍~4倍ていどです。
一方、炭水化物摂取比率35.2~42.8%のグループは、1回の食事の糖質は50g以上であり、食事の度に約10~20倍の大量の追加分泌インスリンが分泌されます。
すなわち、炭水化物摂取比率35.2~42.8%のグループでは、明白な発ガンリスクとなる高インスリン血症が全く改善できていません。
これだけのインスリン分泌量は、糖質60%のグループとさほど変わらないと思います。
スーパー糖質制限食なら、発ガンリスクのインスリン分泌は極少量で済みます。
これらのことは生理学的な事実です。
また国際糖尿病連合(International Diabetes Federation:IDF)の「食後血糖値の管理に関するガイドライン」2011年によれば、食後高血糖そのものも、発ガンのリスクとなります。
糖質を総摂取エネルギーの12%とするスーパー糖質制限食なら、食後高血糖は生じませんが、炭水化物摂取比率35.2~42.8%のグループは、1日3回~5回以上食後高血糖を生じます。
「インスリン分泌が極少量」「食後高血糖がない」という、発ガンリスクを軽減させる利点があるスーパー糖質制限食において、長年続けることでそれを上回る何らかの発ガンリスクが、存在するのかしないのかということは、今後長期にわたり検討していく必要はあるでしょう。
幸い、現在までそのような謎の発ガンリスクは知られていませんが・・・。
結論です。
「スーパー糖質制限食と発ガンのリスクに関するエビデンスはない」のですが、発ガンリスクが明白に確認されているインスリンの分泌が、スーパー糖質制限食なら、極少量に抑えられることは、生理学的事実です。
また、発ガンリスクの一つの食後高血糖も、スーパー糖質制限食なら生じません。
江部康二
2014年04月11日 (金)
こんにちは。
ブログ読者の皆さんには、交流会、講演会などいつも多数ご参加いただきありがとうございます。
今回の記事は、一般社団法人日本糖質制限医療推進協会主催の一般向け岡山講演会のご案内です。
糖質過多な現代の食生活。
それによって引き起こされる糖尿病など生活習慣病の数々。
「糖質摂取が何故良くないか」そのメカニズムわかりやすく説明し、対して人類本来の食事といえる糖質制限食の有効性と可能性について具体的にお話しします。
そして糖尿病患者さんの血液検査データも豊富に紹介します。
同一摂取カロリーで揃えた「従来の糖尿病食 VS スーパー糖質制限食」の血糖値の日内変動データ比較は圧巻です。
食後高血糖と平均血糖変動幅に関しては、糖質制限食の圧勝で、その差は「月とスッポン」です。
米国糖尿病学会が2008年以来5年ぶりに、成人糖尿病患者の食事療法に関する声明(Position Statement on Nutrition Therapy)を改訂しました。(Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版)
2013年10月の米国糖尿病学会の栄養療法の声明は画期的なものであり、
全ての糖尿病患者に適した“one-size-fits-all(唯一無二の)”食事パターンは存在しない
との見解を表明しました。
このことは、食品交換表1969年の第2版以降、唯一無二の食事療法(カロリー制限食)を推奨し続けている日本糖尿病学会に対する痛烈な批判となっています。
そして、患者ごとにさまざまな食事パターン〔地中海食,ベジタリアン食,糖質制限食,低脂質食,DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食〕が受容可能であるとしています。
糖質制限食もちゃんと認められていて、日本における糖質制限食の普及においてこの上ない追い風です。
極めて重要なことですが、糖尿病合併症を防ぐには、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じないことが必要不可欠です。
しかしながら糖質を摂取すれば、必ず「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じます。
すなわち、従来の糖尿病食(高糖質食)では、糖尿病合併症を防ぐことは理論的に不可能なのです。
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じない唯一の食事療法が、糖質制限食なのです。
年間
16000人が糖尿病腎症から透析 → 医療費800億円、
3000人が糖尿病網膜症から失明
3000人が糖尿病足病変から足切断
というのが厳しい現実です。
このように合併症に苦しむ多数の糖尿病患者さんの存在そのものが、「日本糖尿病学会主導の従来の糖尿病治療が決して上手くいっていない」ことの動かぬ証拠と言えます。
糖尿病合併症を生じさせないためには、糖尿人の皆さんは自分自身の頭で考えて身を守ることが必要です。
本講演では、糖尿病を中心に糖質制限食の有効性・安全性をわかりやすく説明します。
また生活習慣病やがんへの糖質制限食の有効性・可能性にも少し言及します。
わかりやすいお話しを目指しますので、お近くの方々は是非ご参加くださいね。
岡山では、提携医療機関がまだないので、糖質制限食に興味ある医師のご参加も歓迎です。
医師の方は、前もって事務局にご連絡いただけば助かります。
よろしくお願い申し上げます。
江部康二
以下、事務局からのご案内です。
ブログ読者の皆様、講演会へいつも多数ご参加いただきまして
ありがとうございます。
5月11日(日)に、岡山で一般向けの講演会を開催いたします。
中国地方の皆様をはじめ、多数のご参加を心よりお待ち申し上げております。
//////////////////ご案内////////////////////
一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会主催 講演会(岡山)
「糖質制限食の有効性・可能性 ―糖尿病・メタボ・生活習慣病・がん・・・―」
◆日時: 2014年5月11日(日) 14:00~16:30頃 ※入場受付(開場)は、13:40~
◆会場: 岡山市民会館 4階大会議室
岡山県岡山市北区丸の内2丁目1番1号
http://www.okayama-shiminkaikan.jp/access.html
☆アクセス:路面電車の岡山駅前(停留所)で「東山行き」に乗車。
城下(停留所)で下車して下さい。下車後徒歩3分です。
(岡山駅前→城下の所要時間は5分です。)
◆講演① 『糖質制限のすすめ』 講師:瀬尾 一史 瀬尾クリニック院長
糖尿病は予備軍まで含めると約2100万人の患者がいるといわれています。
糖尿病の成因は食後の高血糖といわれていますが、食後の高血糖を
生じない糖質制限食は糖尿病に有効な食事療法であると考えられます。
当クリニックでは平成24年より糖尿病患者に糖質制限食を勧めています。
基本的には夕食のみ主食を抜くプチ糖質制限食から始めています。
治療効果は糖尿病の無治療群では比較的良好で、薬物治療群では
薬の減量ないし中止に至った症例が半数以上認められました。
今回、これらの症例について、さらに家庭や外食での糖質制限食のコツ
などについてお話しします。
(講師略歴)
昭和29年、11月17日福山市生まれ。
昭和56年、奈良県立医科大学卒業。
同年4月、広島大学医学部泌尿器科学教室入局。
国立福山病院、広島大学付属病院、国立呉病院に勤務。
平成4年、学位取得
平成5年11月、福山市今津町に瀬尾クリニックを開業。
平成18年4月より、日本臨床泌尿器科医会 理事に就任。
平成18年2月より、傷、火傷に対して湿潤療法を開始。
平成24年2月より、糖尿病に対して糖質制限食を開始。
◆講演② 『糖質制限食の有効性・可能性 ―食のパラダイムシフト―
~糖尿病・メタボ・生活習慣病・がん・・・~』
講師:江部康二 (一財)高雄病院理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会理事長
糖質制限食は、米飯・めん類・パンや芋類などの糖質が多い食品を
食べないで、肉や魚貝や豆腐や葉野菜などをしっかり摂取する食事療法です。
糖質制限食は、実は人類本来の食事、いわば人類の健康食ですので、
糖尿病をはじめとして様々な生活習慣病が改善します。
今回は、糖尿病を中心に糖質制限食の有効性・安全性を分かりやすく説明します。
また、生活習慣病やがんへの有効性・可能性にも言及します。
◆受講費: 賛助会員 2,500円 / 一般(非会員) 2,900円
◆お支払い方法:クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。
◆お申し込み方法:
・賛助会員の方
事務局までメールにてお申し込み下さい。
・賛助会員入会をご希望の方
1.入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://toushitsuseigen.or.jp/member.html
2.お申し込みはこちらのフォームからお願いします。
http://toushitsuseigen.or.jp/contact.php
「お問い合せ内容」欄に「5/11岡山講演会、受講希望」とご記入下さい。
・一般(非会員)で、講演会の受講のみご希望の方
こちらのフォームよりお申し込み下さい。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/9cbd1ef7287071
◆お申し込みの流れ:
1.会員の方はメールにて、会員以外の方は各種フォームにてご連絡下さい。
2.事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3.入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4.当日、直接会場までお越し下さい。
◆その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは5月8日(木)までにご連絡願います。
それ以降の返金には対応致しかねますので予めご了承ください。
ブログ読者の皆さんには、交流会、講演会などいつも多数ご参加いただきありがとうございます。
今回の記事は、一般社団法人日本糖質制限医療推進協会主催の一般向け岡山講演会のご案内です。
糖質過多な現代の食生活。
それによって引き起こされる糖尿病など生活習慣病の数々。
「糖質摂取が何故良くないか」そのメカニズムわかりやすく説明し、対して人類本来の食事といえる糖質制限食の有効性と可能性について具体的にお話しします。
そして糖尿病患者さんの血液検査データも豊富に紹介します。
同一摂取カロリーで揃えた「従来の糖尿病食 VS スーパー糖質制限食」の血糖値の日内変動データ比較は圧巻です。
食後高血糖と平均血糖変動幅に関しては、糖質制限食の圧勝で、その差は「月とスッポン」です。
米国糖尿病学会が2008年以来5年ぶりに、成人糖尿病患者の食事療法に関する声明(Position Statement on Nutrition Therapy)を改訂しました。(Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版)
2013年10月の米国糖尿病学会の栄養療法の声明は画期的なものであり、
全ての糖尿病患者に適した“one-size-fits-all(唯一無二の)”食事パターンは存在しない
との見解を表明しました。
このことは、食品交換表1969年の第2版以降、唯一無二の食事療法(カロリー制限食)を推奨し続けている日本糖尿病学会に対する痛烈な批判となっています。
そして、患者ごとにさまざまな食事パターン〔地中海食,ベジタリアン食,糖質制限食,低脂質食,DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食〕が受容可能であるとしています。
糖質制限食もちゃんと認められていて、日本における糖質制限食の普及においてこの上ない追い風です。
極めて重要なことですが、糖尿病合併症を防ぐには、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じないことが必要不可欠です。
しかしながら糖質を摂取すれば、必ず「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じます。
すなわち、従来の糖尿病食(高糖質食)では、糖尿病合併症を防ぐことは理論的に不可能なのです。
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じない唯一の食事療法が、糖質制限食なのです。
年間
16000人が糖尿病腎症から透析 → 医療費800億円、
3000人が糖尿病網膜症から失明
3000人が糖尿病足病変から足切断
というのが厳しい現実です。
このように合併症に苦しむ多数の糖尿病患者さんの存在そのものが、「日本糖尿病学会主導の従来の糖尿病治療が決して上手くいっていない」ことの動かぬ証拠と言えます。
糖尿病合併症を生じさせないためには、糖尿人の皆さんは自分自身の頭で考えて身を守ることが必要です。
本講演では、糖尿病を中心に糖質制限食の有効性・安全性をわかりやすく説明します。
また生活習慣病やがんへの糖質制限食の有効性・可能性にも少し言及します。
わかりやすいお話しを目指しますので、お近くの方々は是非ご参加くださいね。
岡山では、提携医療機関がまだないので、糖質制限食に興味ある医師のご参加も歓迎です。
医師の方は、前もって事務局にご連絡いただけば助かります。
よろしくお願い申し上げます。
江部康二
以下、事務局からのご案内です。
ブログ読者の皆様、講演会へいつも多数ご参加いただきまして
ありがとうございます。
5月11日(日)に、岡山で一般向けの講演会を開催いたします。
中国地方の皆様をはじめ、多数のご参加を心よりお待ち申し上げております。
//////////////////ご案内////////////////////
一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会主催 講演会(岡山)
「糖質制限食の有効性・可能性 ―糖尿病・メタボ・生活習慣病・がん・・・―」
◆日時: 2014年5月11日(日) 14:00~16:30頃 ※入場受付(開場)は、13:40~
◆会場: 岡山市民会館 4階大会議室
岡山県岡山市北区丸の内2丁目1番1号
http://www.okayama-shiminkaikan.jp/access.html
☆アクセス:路面電車の岡山駅前(停留所)で「東山行き」に乗車。
城下(停留所)で下車して下さい。下車後徒歩3分です。
(岡山駅前→城下の所要時間は5分です。)
◆講演① 『糖質制限のすすめ』 講師:瀬尾 一史 瀬尾クリニック院長
糖尿病は予備軍まで含めると約2100万人の患者がいるといわれています。
糖尿病の成因は食後の高血糖といわれていますが、食後の高血糖を
生じない糖質制限食は糖尿病に有効な食事療法であると考えられます。
当クリニックでは平成24年より糖尿病患者に糖質制限食を勧めています。
基本的には夕食のみ主食を抜くプチ糖質制限食から始めています。
治療効果は糖尿病の無治療群では比較的良好で、薬物治療群では
薬の減量ないし中止に至った症例が半数以上認められました。
今回、これらの症例について、さらに家庭や外食での糖質制限食のコツ
などについてお話しします。
(講師略歴)
昭和29年、11月17日福山市生まれ。
昭和56年、奈良県立医科大学卒業。
同年4月、広島大学医学部泌尿器科学教室入局。
国立福山病院、広島大学付属病院、国立呉病院に勤務。
平成4年、学位取得
平成5年11月、福山市今津町に瀬尾クリニックを開業。
平成18年4月より、日本臨床泌尿器科医会 理事に就任。
平成18年2月より、傷、火傷に対して湿潤療法を開始。
平成24年2月より、糖尿病に対して糖質制限食を開始。
◆講演② 『糖質制限食の有効性・可能性 ―食のパラダイムシフト―
~糖尿病・メタボ・生活習慣病・がん・・・~』
講師:江部康二 (一財)高雄病院理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会理事長
糖質制限食は、米飯・めん類・パンや芋類などの糖質が多い食品を
食べないで、肉や魚貝や豆腐や葉野菜などをしっかり摂取する食事療法です。
糖質制限食は、実は人類本来の食事、いわば人類の健康食ですので、
糖尿病をはじめとして様々な生活習慣病が改善します。
今回は、糖尿病を中心に糖質制限食の有効性・安全性を分かりやすく説明します。
また、生活習慣病やがんへの有効性・可能性にも言及します。
◆受講費: 賛助会員 2,500円 / 一般(非会員) 2,900円
◆お支払い方法:クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。
◆お申し込み方法:
・賛助会員の方
事務局までメールにてお申し込み下さい。
・賛助会員入会をご希望の方
1.入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://toushitsuseigen.or.jp/member.html
2.お申し込みはこちらのフォームからお願いします。
http://toushitsuseigen.or.jp/contact.php
「お問い合せ内容」欄に「5/11岡山講演会、受講希望」とご記入下さい。
・一般(非会員)で、講演会の受講のみご希望の方
こちらのフォームよりお申し込み下さい。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/9cbd1ef7287071
◆お申し込みの流れ:
1.会員の方はメールにて、会員以外の方は各種フォームにてご連絡下さい。
2.事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3.入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4.当日、直接会場までお越し下さい。
◆その他:
・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは5月8日(木)までにご連絡願います。
それ以降の返金には対応致しかねますので予めご了承ください。
2014年04月10日 (木)
こんばんは。
夏井先生の糖質制限アンケート結果が公表されています。
https://docs.google.com/forms/d/1l5M-yzXroALSlGwpuy1FK-qCB3zghmCMfrCWMwOb1-0/viewanalytics
とても興味深いです。
33項目の膨大なアンケートです。
男性810名、女性598名
夏井先生、ご苦労様です。
ありがとうございます。
アンケートをとって数を集めてみると、印象で思っていたことが確認される場合がほとんどで、安心しました。
しかし、たまに印象と異なる結果があるので考察が必要です。
11)体調は良くなった人がほとんどで、とても嬉しいことです。
悪くなった人は、1348人中5人で、0.37%いて、ゼロではないのですね。
12)体重は減量できた人が85%で予想通りの好成績です。
15)血圧は、高血圧だった人に限定してみると66%が正常になっています。
これは想定範囲より、すごい改善ですね。
16)血糖値に関して、高血糖だった人に限れば93%が正常になっていますが、
これも予想通りの改善です。
17)中性脂肪値に関して、高値だった人に限れば、88%が正常か低値になっています。
これは想定以上に良い結果です。
20)眠気に関して、眠気があった人に限れば、86%が眠気なしになっています。
21)不眠症とうつに関しては、症状があった人に限れば、82%が改善で、
予想以上にいい結果でした。一方、2%の人が症状なしから症状ありになったのは 要注意ですね。
やはりどのような食事療法でも「合う合わない」がある可能生があります。
25)便通に関しては、変わりなかった人が一番多かったのですが
いい変化と悪い変化が同じくらいでした。
27)耳鳴り、偏頭痛に関して、あった人に限れば
改善が145人(46%)、不変が168人(54%)です。
この結果はいまいちで意外でしたが、耳鳴り・偏頭痛とひとくくりにしたので
やや混乱が生じた可能性があります。
というのが、診断基準を満たした偏頭痛は、私の経験では95%以上が著明な改善を示した経験があるからです。耳鳴りは勿論簡単には治らないと思います。
偏頭痛には劇的改善が認められますが「筋緊張性頭痛(普通の頭痛)」にはそれほど著明な改善はないようです。
28)花粉症ありの人に限れば、60%が改善で、印象と一致です。
29)ニキビ、脂漏性皮膚炎ありの人に限れば、82%が改善で、印象とほぼ一致です。
30)毛髪に関しては、改善と不変がほぼイーブンですね。
31)歯周症ありに限れば、改善が72%でなかなかいい結果です。
以上、夏井先生のアンケート結果を概観してみましたが、
是非、アンケートそのものを覗いてみてくださいね。
江部康二
1)性別
2)年齢
3)糖質制限をしていますか
4)糖質制限していない方への質問です。糖質制限をしない理由を教えて下さい。
5)糖質制限は何で知りましたか(以後は糖質制限している方への質問となります)。
6)どのくらい糖質制限を続けていますか
7)糖質制限を始めた動機は
8)現在の食事の回数は
9)糖質制限の方法は
10)糖質制限以前に比べ,食事摂取量は
11)糖質制限で体調は
全般的に良くなった 1128 84%
変化なし 174 13%
全般的に悪くなった 5 0%
Other 41 3%
12)糖質制限以前に比べ,体重の変化は
30kg以上減 16 1%
20~29kg減 54 4%
10~19kg減 306 23%
5~9kg減 421 31%
1~4kg減 351 26%
変化なし 116 9%
1~4kg増 45 3%
5~9kg増 17 1%
10~19kg増 7 1%
20~29kg増 1 0%
30kg以上増 0 0%
測定していないので不明 23 2%
13)糖質制限以前に比べ,腹囲の変化は
14)糖質制限以前に比べ,料理の味付けに対する嗜好は
15)[糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]の血圧の変化
[正常血圧]⇒[正常血圧] 743 57%
[正常血圧]⇒[高血圧] 8 1%
[正常血圧]⇒[低血圧] 7 1%
[高血圧]⇒[正常血圧] 254 19%
[高血圧]⇒[高血圧] 121 9%
[高血圧]⇒[低血圧] 8 1%
[低血圧]⇒[正常血圧] 20 2%
[低血圧]⇒[高血圧] 0 0%
[低血圧]⇒[低血圧] 68 5%
Other 81 6%
16)[糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]の血糖値の変化
[正常血糖値]⇒[正常血糖値] 631 49%
[正常血糖値]⇒[高血糖値] 3 0%
[正常血糖値]⇒[低血糖値] 4 0%
[高血糖値]⇒[正常血糖値] 433 34%
[高血糖値]⇒[高血糖値] 27 2%
[高血糖値]⇒[低血糖値] 4 0%
[低血糖値]⇒[正常血糖値] 14 1%
[低血糖値]⇒[高血糖値] 0 0%
[低血糖値]⇒[低血糖値] 4 0%
Other 159 12%
17)[糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]の血中性脂肪値の変化
[正常]⇒[正常] 495 39%
[正常]⇒[高値] 25 2%
[正常]⇒[低値] 85 7%
[高値]⇒[正常] 402 32%
[高値]⇒[高値] 61 5%
[高値]⇒[低値] 39 3%
[低値]⇒[正常] 9 1%
[低値]⇒[高値] 1 0%
[低値]⇒[低値] 22 2%
Other 131 10%
18)[糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]の肝機能の変化
19)[糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]の飲酒翌日の変化
20) [糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]の食後の眠気の変化
[眠気なし]⇒[眠気なし] 183 14%
[眠気なし]⇒[眠気あり] 19 1%
[眠気あり]⇒[眠気なし] 921 70%
[眠気あり]⇒[眠気あり] 154 12%
Other 44 3%
21)[糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]の不眠症・うつ病・うつ症状の変化
[症状なし]⇒[症状なし] 971 75%
[症状なし]⇒[症状あり] 23 2%
[症状あり]⇒[症状なし] 219 17%
[症状あり]⇒[症状あり] 49 4%
Other 41 3%
22)[糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]の疲労感の変化
23)[糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]のスタミナ(持久力)の変化
24)[糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]の冷え症の変化
25)[糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]の便通の変化
便通異常なし]⇒[便通異常なし] 552 42%
[便通異常なし]⇒[便秘気味] 213 16%
[便通異常なし]⇒[下痢気味] 16 1%
[便秘気味]⇒[便通異常なし] 138 10%
[便秘気味]⇒[便秘気味] 156 12%
[便秘気味]⇒[下痢気味] 10 1%
[下痢気味]⇒[便通異常なし] 108 8%
[下痢気味]⇒[便秘気味] 47 4%
[下痢気味]⇒[下痢気味] 26 2%
Other 58 4%
26)[糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]の肩こり/腰痛の変化
27) [糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]の耳鳴/偏頭痛の変化
[耳鳴/偏頭痛なし]⇒[耳鳴/偏頭痛なし] 947 73%
[耳鳴/偏頭痛なし]⇒[耳鳴/偏頭痛あり] 13 1%
[耳鳴/偏頭痛あり]⇒[耳鳴/偏頭痛なし] 145 11%
[耳鳴/偏頭痛あり]⇒[耳鳴/偏頭痛あり] 168 13%
Other 26 2%
28)[糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]の花粉症の変化
[花粉症なし]⇒[花粉症なし] 735 56%
[花粉症なし]⇒[花粉症あり] 19 1%
[花粉症あり]⇒[花粉症軽症化/なし] 323 25%
[花粉症あり]⇒[花粉症あり] 214 16%
Other 17 1%
29)[糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]のアトピー性皮膚炎の変化
[糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]のニキビ,脂漏性皮膚炎の変化
[ニキビ,脂漏性皮膚炎なし]⇒[ニキビ,脂漏性皮膚炎なし] 994 77%
[ニキビ,脂漏性皮膚炎なし]⇒[ニキビ,脂漏性皮膚炎あり] 20 2%
[ニキビ,脂漏性皮膚炎あり]⇒[ニキビ,脂漏性皮膚炎軽症化/なし]223 17%
[ニキビ,脂漏性皮膚炎あり]⇒[ニキビ,脂漏性皮膚炎あり] 49 4%
Other 11 1%
30)[糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]の毛髪の状態(毛の艶,毛質,本数)の変化
[毛髪の状態 問題なし]⇒[毛髪の状態 問題なし] 949 73%
[毛髪の状態 問題なし]⇒[毛髪の状態 問題あり] 28 2%
[毛髪の状態 問題あり]⇒[毛髪の状態 問題なし] 149 11%
[毛髪の状態 問題あり]⇒[毛髪の状態 問題あり] 138 11%
Other 42 3%
31)[糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]の歯周病の変化
[歯周病なし]⇒[歯周病なし] 821 64%
[歯周病なし]⇒[歯周病あり] 7 1%
[歯周病あり]⇒[歯周病改善/なし] 311 24%
[歯周病あり]⇒[歯周病あり] 123 10%
Other 24 2%
32)[糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]の貧血の変化
33) あなたの周囲(家族,知人,同僚)に糖質制限をしている人数を教えて下さい
夏井先生の糖質制限アンケート結果が公表されています。
https://docs.google.com/forms/d/1l5M-yzXroALSlGwpuy1FK-qCB3zghmCMfrCWMwOb1-0/viewanalytics
とても興味深いです。
33項目の膨大なアンケートです。
男性810名、女性598名
夏井先生、ご苦労様です。
ありがとうございます。
アンケートをとって数を集めてみると、印象で思っていたことが確認される場合がほとんどで、安心しました。
しかし、たまに印象と異なる結果があるので考察が必要です。
11)体調は良くなった人がほとんどで、とても嬉しいことです。
悪くなった人は、1348人中5人で、0.37%いて、ゼロではないのですね。
12)体重は減量できた人が85%で予想通りの好成績です。
15)血圧は、高血圧だった人に限定してみると66%が正常になっています。
これは想定範囲より、すごい改善ですね。
16)血糖値に関して、高血糖だった人に限れば93%が正常になっていますが、
これも予想通りの改善です。
17)中性脂肪値に関して、高値だった人に限れば、88%が正常か低値になっています。
これは想定以上に良い結果です。
20)眠気に関して、眠気があった人に限れば、86%が眠気なしになっています。
21)不眠症とうつに関しては、症状があった人に限れば、82%が改善で、
予想以上にいい結果でした。一方、2%の人が症状なしから症状ありになったのは 要注意ですね。
やはりどのような食事療法でも「合う合わない」がある可能生があります。
25)便通に関しては、変わりなかった人が一番多かったのですが
いい変化と悪い変化が同じくらいでした。
27)耳鳴り、偏頭痛に関して、あった人に限れば
改善が145人(46%)、不変が168人(54%)です。
この結果はいまいちで意外でしたが、耳鳴り・偏頭痛とひとくくりにしたので
やや混乱が生じた可能性があります。
というのが、診断基準を満たした偏頭痛は、私の経験では95%以上が著明な改善を示した経験があるからです。耳鳴りは勿論簡単には治らないと思います。
偏頭痛には劇的改善が認められますが「筋緊張性頭痛(普通の頭痛)」にはそれほど著明な改善はないようです。
28)花粉症ありの人に限れば、60%が改善で、印象と一致です。
29)ニキビ、脂漏性皮膚炎ありの人に限れば、82%が改善で、印象とほぼ一致です。
30)毛髪に関しては、改善と不変がほぼイーブンですね。
31)歯周症ありに限れば、改善が72%でなかなかいい結果です。
以上、夏井先生のアンケート結果を概観してみましたが、
是非、アンケートそのものを覗いてみてくださいね。
江部康二
1)性別
2)年齢
3)糖質制限をしていますか
4)糖質制限していない方への質問です。糖質制限をしない理由を教えて下さい。
5)糖質制限は何で知りましたか(以後は糖質制限している方への質問となります)。
6)どのくらい糖質制限を続けていますか
7)糖質制限を始めた動機は
8)現在の食事の回数は
9)糖質制限の方法は
10)糖質制限以前に比べ,食事摂取量は
11)糖質制限で体調は
全般的に良くなった 1128 84%
変化なし 174 13%
全般的に悪くなった 5 0%
Other 41 3%
12)糖質制限以前に比べ,体重の変化は
30kg以上減 16 1%
20~29kg減 54 4%
10~19kg減 306 23%
5~9kg減 421 31%
1~4kg減 351 26%
変化なし 116 9%
1~4kg増 45 3%
5~9kg増 17 1%
10~19kg増 7 1%
20~29kg増 1 0%
30kg以上増 0 0%
測定していないので不明 23 2%
13)糖質制限以前に比べ,腹囲の変化は
14)糖質制限以前に比べ,料理の味付けに対する嗜好は
15)[糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]の血圧の変化
[正常血圧]⇒[正常血圧] 743 57%
[正常血圧]⇒[高血圧] 8 1%
[正常血圧]⇒[低血圧] 7 1%
[高血圧]⇒[正常血圧] 254 19%
[高血圧]⇒[高血圧] 121 9%
[高血圧]⇒[低血圧] 8 1%
[低血圧]⇒[正常血圧] 20 2%
[低血圧]⇒[高血圧] 0 0%
[低血圧]⇒[低血圧] 68 5%
Other 81 6%
16)[糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]の血糖値の変化
[正常血糖値]⇒[正常血糖値] 631 49%
[正常血糖値]⇒[高血糖値] 3 0%
[正常血糖値]⇒[低血糖値] 4 0%
[高血糖値]⇒[正常血糖値] 433 34%
[高血糖値]⇒[高血糖値] 27 2%
[高血糖値]⇒[低血糖値] 4 0%
[低血糖値]⇒[正常血糖値] 14 1%
[低血糖値]⇒[高血糖値] 0 0%
[低血糖値]⇒[低血糖値] 4 0%
Other 159 12%
17)[糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]の血中性脂肪値の変化
[正常]⇒[正常] 495 39%
[正常]⇒[高値] 25 2%
[正常]⇒[低値] 85 7%
[高値]⇒[正常] 402 32%
[高値]⇒[高値] 61 5%
[高値]⇒[低値] 39 3%
[低値]⇒[正常] 9 1%
[低値]⇒[高値] 1 0%
[低値]⇒[低値] 22 2%
Other 131 10%
18)[糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]の肝機能の変化
19)[糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]の飲酒翌日の変化
20) [糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]の食後の眠気の変化
[眠気なし]⇒[眠気なし] 183 14%
[眠気なし]⇒[眠気あり] 19 1%
[眠気あり]⇒[眠気なし] 921 70%
[眠気あり]⇒[眠気あり] 154 12%
Other 44 3%
21)[糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]の不眠症・うつ病・うつ症状の変化
[症状なし]⇒[症状なし] 971 75%
[症状なし]⇒[症状あり] 23 2%
[症状あり]⇒[症状なし] 219 17%
[症状あり]⇒[症状あり] 49 4%
Other 41 3%
22)[糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]の疲労感の変化
23)[糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]のスタミナ(持久力)の変化
24)[糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]の冷え症の変化
25)[糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]の便通の変化
便通異常なし]⇒[便通異常なし] 552 42%
[便通異常なし]⇒[便秘気味] 213 16%
[便通異常なし]⇒[下痢気味] 16 1%
[便秘気味]⇒[便通異常なし] 138 10%
[便秘気味]⇒[便秘気味] 156 12%
[便秘気味]⇒[下痢気味] 10 1%
[下痢気味]⇒[便通異常なし] 108 8%
[下痢気味]⇒[便秘気味] 47 4%
[下痢気味]⇒[下痢気味] 26 2%
Other 58 4%
26)[糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]の肩こり/腰痛の変化
27) [糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]の耳鳴/偏頭痛の変化
[耳鳴/偏頭痛なし]⇒[耳鳴/偏頭痛なし] 947 73%
[耳鳴/偏頭痛なし]⇒[耳鳴/偏頭痛あり] 13 1%
[耳鳴/偏頭痛あり]⇒[耳鳴/偏頭痛なし] 145 11%
[耳鳴/偏頭痛あり]⇒[耳鳴/偏頭痛あり] 168 13%
Other 26 2%
28)[糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]の花粉症の変化
[花粉症なし]⇒[花粉症なし] 735 56%
[花粉症なし]⇒[花粉症あり] 19 1%
[花粉症あり]⇒[花粉症軽症化/なし] 323 25%
[花粉症あり]⇒[花粉症あり] 214 16%
Other 17 1%
29)[糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]のアトピー性皮膚炎の変化
[糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]のニキビ,脂漏性皮膚炎の変化
[ニキビ,脂漏性皮膚炎なし]⇒[ニキビ,脂漏性皮膚炎なし] 994 77%
[ニキビ,脂漏性皮膚炎なし]⇒[ニキビ,脂漏性皮膚炎あり] 20 2%
[ニキビ,脂漏性皮膚炎あり]⇒[ニキビ,脂漏性皮膚炎軽症化/なし]223 17%
[ニキビ,脂漏性皮膚炎あり]⇒[ニキビ,脂漏性皮膚炎あり] 49 4%
Other 11 1%
30)[糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]の毛髪の状態(毛の艶,毛質,本数)の変化
[毛髪の状態 問題なし]⇒[毛髪の状態 問題なし] 949 73%
[毛髪の状態 問題なし]⇒[毛髪の状態 問題あり] 28 2%
[毛髪の状態 問題あり]⇒[毛髪の状態 問題なし] 149 11%
[毛髪の状態 問題あり]⇒[毛髪の状態 問題あり] 138 11%
Other 42 3%
31)[糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]の歯周病の変化
[歯周病なし]⇒[歯周病なし] 821 64%
[歯周病なし]⇒[歯周病あり] 7 1%
[歯周病あり]⇒[歯周病改善/なし] 311 24%
[歯周病あり]⇒[歯周病あり] 123 10%
Other 24 2%
32)[糖質制限以前]⇒[糖質制限以後]の貧血の変化
33) あなたの周囲(家族,知人,同僚)に糖質制限をしている人数を教えて下さい
2014年04月09日 (水)
こんにちは。
テレビ東京
2014年4月7日(月)放送
「主治医が見つかる診療所」
『春のダイエットスペシャル 究極の2大ダイエット法』
のご報告です。
知り合いの医師や患者さんからコメント頂きまして、なかなか良い内容だったとのことでした。
以下のユーチューブで視聴できます。
http://www.tudou.com/programs/view/lpHcwq3l11o/
前回2014年1月6日(月)放送
「主治医が見つかる診療所」
『糖質制限・カロリー制限 徹底比較SP』
の続きです。
沖縄の渡辺先生も、ビデオ出演されてます。
今回の取材では、ディレクターから、女性にこそお奨めということを強調してほしいとの注文でした。
テレビ東京の該当アンケート(男女50人ずつ)で
糖質制限ダイエットの結果
男性 成功:68% 失敗:32%
女性 成功:46% 失敗:54%
男性に比べて女性のほうが失敗が多かったためかと思います。
ラサール石井さんは、1か月スタンダード糖質制限ダイエットを実践して
体重72.7kg→68.855kg(3.85kg減)
と減量成功です。
女性も下記の「失敗しない糖質制限」で述べたように工夫次第で、ダイエット成功の確率が上昇します。
なお、私は、2002年糖尿病が発覚した時に、「スーパー糖質制限食」を開始して半年で10kgの減量に成功して、メタボも糖尿病も検査データも全て基準値内となりました。
そのままスーパー糖質制限食を2014年4月現在まで12年間続けてデータ正常を維持しています。
江部康二
以下、主治医が見つかる診療所のホームページから抜粋です。
http://www.tv-tokyo.co.jp/shujii/backnumber/140407/index.html
2014年4月7日放送
春のダイエットスペシャル 究極の2大ダイエット法
「ダイエットスペシャル」の第2弾。
ダイエットに失敗してきた方こそ必見!
誰でも無理なく健康的にやせられる、究極の2大ダイエット法をご紹介!
1つ目は「お腹いっぱい食べてもいいダイエット」。
2つ目は「何を食べてもいいダイエット」。
また、芸能人2人がこの2つのダイエットに挑戦し、1か月間の成果をスタジオで公開。
果たしてその結果は!?
私の出番は
「糖質制限ダイエットとは?」
担当医師
江部医師
糖質制限を世に広めた第一人者、
高雄病院理事長、江部康二医師による解説。
Q.何故糖質制限をするとやせるのか?
・糖質制限をすると血糖値がほとんど上がらない
・インスリン(肥満ホルモン)の分泌が極めて少なくて済む
・脂肪をためない体になる→やせる
●江部医師が勧める糖質制限ダイエット3パターン●
スーパー糖質制限食…1日3食、糖質を抜く。
スタンダード糖質制限食…1日2食、朝と夜は糖質を抜く。
プチ糖質制限食…1日1食、夜だけ糖質を抜く。
⇒江部医師はスーパー糖質制限を行い、(12年間で約10kgの減量に成功した。)
半年間で10kgの減量に成功し、12年間維持している。
●江部医師流 糖質制限食のポイント●
(1) 糖質が多い、ご飯などの主食を抜く。
(2) ご飯が減った分、おかずを増やしてお腹いっぱい食べる。
「失敗しない糖質制限」
担当医師
江部医師
<多くの人が糖質制限ダイエットに失敗した理由>
・なかなか結果が出なかったので止めた。
・大好きなものが止められなかった。
糖質制限ダイエットの結果(街頭アンケート)
男性 成功:68% 失敗:32%
女性 成功:46% 失敗:54%
※糖質制限ダイエット経験者、男女50人ずつに番組で聞き取り調査
江部医師
女性にこそ糖質制限ダイエットはお勧め。その理由が…
・トップバストは残ってアンダーバストだけやせる。
・あごの下のプルプルの肉がとれる。
・肌のつやもよくなる。
・髪の毛もしっかりしてくる。
・美しくやせる事が可能。
Q.女性の方が、結果が出ないという声が多かった理由は…?
・女性の方が基礎代謝が男性に比べやや少ない。
・男女で同じダイエットをしても、結果が出るまでに女性の方が時間がかかる。
Q.ではどうすればいい?
・まずはスーパー糖質制限食を行う。(3食とも、糖質を抑える食事)
・大体8~9割の人は満足行くまで食べても、約2週間で1~2kgは減る。
Q.大好きな物がやめられない人はどうすればいい?
(1)近年コンビニやケーキ屋などで、
糖質制限中でもOKのケーキ・アイスクリーム・パンなどが、販売されるようになった。
それらをチョイスすると良い。
(2)糖質の少ないものを使って自作する。
小麦粉→小麦ふすま粉
砂糖→血糖値を上げにくい天然甘味料
<糖質制限を成功させるポイント>
(1) とにかく2週間は続け結果を出す。
(2) 大好物は我慢せず糖質の少ないものを選ぶ。
テレビ東京
2014年4月7日(月)放送
「主治医が見つかる診療所」
『春のダイエットスペシャル 究極の2大ダイエット法』
のご報告です。
知り合いの医師や患者さんからコメント頂きまして、なかなか良い内容だったとのことでした。
以下のユーチューブで視聴できます。
http://www.tudou.com/programs/view/lpHcwq3l11o/
前回2014年1月6日(月)放送
「主治医が見つかる診療所」
『糖質制限・カロリー制限 徹底比較SP』
の続きです。
沖縄の渡辺先生も、ビデオ出演されてます。
今回の取材では、ディレクターから、女性にこそお奨めということを強調してほしいとの注文でした。
テレビ東京の該当アンケート(男女50人ずつ)で
糖質制限ダイエットの結果
男性 成功:68% 失敗:32%
女性 成功:46% 失敗:54%
男性に比べて女性のほうが失敗が多かったためかと思います。
ラサール石井さんは、1か月スタンダード糖質制限ダイエットを実践して
体重72.7kg→68.855kg(3.85kg減)
と減量成功です。
女性も下記の「失敗しない糖質制限」で述べたように工夫次第で、ダイエット成功の確率が上昇します。
なお、私は、2002年糖尿病が発覚した時に、「スーパー糖質制限食」を開始して半年で10kgの減量に成功して、メタボも糖尿病も検査データも全て基準値内となりました。
そのままスーパー糖質制限食を2014年4月現在まで12年間続けてデータ正常を維持しています。
江部康二
以下、主治医が見つかる診療所のホームページから抜粋です。
http://www.tv-tokyo.co.jp/shujii/backnumber/140407/index.html
2014年4月7日放送
春のダイエットスペシャル 究極の2大ダイエット法
「ダイエットスペシャル」の第2弾。
ダイエットに失敗してきた方こそ必見!
誰でも無理なく健康的にやせられる、究極の2大ダイエット法をご紹介!
1つ目は「お腹いっぱい食べてもいいダイエット」。
2つ目は「何を食べてもいいダイエット」。
また、芸能人2人がこの2つのダイエットに挑戦し、1か月間の成果をスタジオで公開。
果たしてその結果は!?
私の出番は
「糖質制限ダイエットとは?」
担当医師
江部医師
糖質制限を世に広めた第一人者、
高雄病院理事長、江部康二医師による解説。
Q.何故糖質制限をするとやせるのか?
・糖質制限をすると血糖値がほとんど上がらない
・インスリン(肥満ホルモン)の分泌が極めて少なくて済む
・脂肪をためない体になる→やせる
●江部医師が勧める糖質制限ダイエット3パターン●
スーパー糖質制限食…1日3食、糖質を抜く。
スタンダード糖質制限食…1日2食、朝と夜は糖質を抜く。
プチ糖質制限食…1日1食、夜だけ糖質を抜く。
⇒江部医師はスーパー糖質制限を行い、(12年間で約10kgの減量に成功した。)
半年間で10kgの減量に成功し、12年間維持している。
●江部医師流 糖質制限食のポイント●
(1) 糖質が多い、ご飯などの主食を抜く。
(2) ご飯が減った分、おかずを増やしてお腹いっぱい食べる。
「失敗しない糖質制限」
担当医師
江部医師
<多くの人が糖質制限ダイエットに失敗した理由>
・なかなか結果が出なかったので止めた。
・大好きなものが止められなかった。
糖質制限ダイエットの結果(街頭アンケート)
男性 成功:68% 失敗:32%
女性 成功:46% 失敗:54%
※糖質制限ダイエット経験者、男女50人ずつに番組で聞き取り調査
江部医師
女性にこそ糖質制限ダイエットはお勧め。その理由が…
・トップバストは残ってアンダーバストだけやせる。
・あごの下のプルプルの肉がとれる。
・肌のつやもよくなる。
・髪の毛もしっかりしてくる。
・美しくやせる事が可能。
Q.女性の方が、結果が出ないという声が多かった理由は…?
・女性の方が基礎代謝が男性に比べやや少ない。
・男女で同じダイエットをしても、結果が出るまでに女性の方が時間がかかる。
Q.ではどうすればいい?
・まずはスーパー糖質制限食を行う。(3食とも、糖質を抑える食事)
・大体8~9割の人は満足行くまで食べても、約2週間で1~2kgは減る。
Q.大好きな物がやめられない人はどうすればいい?
(1)近年コンビニやケーキ屋などで、
糖質制限中でもOKのケーキ・アイスクリーム・パンなどが、販売されるようになった。
それらをチョイスすると良い。
(2)糖質の少ないものを使って自作する。
小麦粉→小麦ふすま粉
砂糖→血糖値を上げにくい天然甘味料
<糖質制限を成功させるポイント>
(1) とにかく2週間は続け結果を出す。
(2) 大好物は我慢せず糖質の少ないものを選ぶ。
2014年04月08日 (火)
こんにちは。
朝日新聞の医療サイト apital
http://apital.asahi.com/article/story/2013122200003.html
に、
妊娠糖尿病に対する誤解と食事療法
と題して、宋美玄 (ソン・ミヒョン)医師が、投稿されて糖質制限食の批判もしておられます。
精神科医師Aさんから情報をいただきました。
ありがとうございます。
「妊娠糖尿病と糖質制限食」とても大切なテーマなので、
宋美玄 (ソン・ミヒョン)医師の誤解を解いておきます。
宋先生、本ブログをもし見ていただいて、ケトン体に対する誤解が解けましたら是非正しい情報を、発信していただけば幸いです。
宋先生は気鋭の産婦人科医であり、ベストセラー『女医が教える本当に気持ちいいセックス』の著者でもあり、影響力は大きいと思いますので、是非よろしくお願い申しあげます。
胎児胎盤の絨毛間液の、βヒドロキシ酪酸(*)濃度は、平均1730μM/Lです。
全て普通の食生活をしていた妊婦の中絶胎児58検体の平均データです。
成人の基準値76μM/L以下の20~30倍です。
2014年1月12日(日)第17回日本病態栄養学会年次学術集会(大阪国際会議場)で、宗田マタニティクリニックの宗田哲男先生が発表された、世界初の画期的研究データです。
今まで、胎児のケトン体を測定した研究・論文は世界中に皆無です。
すなわち誰も胎児のケトン体の基準値を知らないままに、母体の血中ケトン体の高値が胎児に問題とされた経緯があります。
これはどう考えても変です。
宗田先生のご研究で明らかになったことは、胎児のケトン体値は、現行の基準値よりはるかに高値ということです。
危険でもなんでもなく、成人の基準値の20~30倍が、胎児のケトン体の正常値なのです。
つまり胎児のケトン体値が成人の基準値の20~30倍あっても100%安全ということです。
妊娠糖尿病に糖質制限食を導入することで、血糖と体重管理が容易となり、分娩も安産となります。
脂質とタンパク質はしっかり摂取するので、カロリー不足にはなりません。
肥満のある妊婦は難産になりやすいですが、糖質制限食なら簡単に体重コントロールができます。
そして血糖コントロールもインスリンに頼ることなく可能となります。
このとき母体の血中ケトン体が高値でも、胎児にはなんの問題もないことは、上記データより明らかですね。
勿論母体においてもケトン体は重要なエネルギー源であり、インスリン作用が保たれている限りは、極めて安全なものです。
宗田マタニティクリニックでは、糖質制限食を妊婦に導入して以後は、帝王切開率が1/2~1/3以下に激減して、妊婦も医師もとても楽な妊娠・分娩となっているそうですよ。
宗田マタニティクリニックの年間分娩数は約700です。
なお生後4日目の新生児312名において、一般食、糖質制限食、母乳、人工ミルクにかかわらず、βヒドロキシ酪酸値の平均値は240.4μmol/L、同様に生後1ヶ月の新生児40名において、βヒドロキシ酪酸値の平均値は400μmol/Lと一般的な基準値よりはるかに高値であることが報告されました。
このように、胎児においても新生児においても、ケトン体が成人の基準値より高値なのは異常ではなく、正常で基準値であることが明らかとなったわけですね。
(*)
βヒドロキシ酪酸はケトン基がないので正確にはケトン体ではないのですが、慣例上ケトン体に分類されています。
βヒドロキシ酪酸は脳細胞や体細胞のエネルギー源になることは、生理学的に明らかです。
江部康二
☆☆☆以下
朝日新聞の医療サイト apital より一部転載
http://apital.asahi.com/article/story/2013122200003.html
妊娠糖尿病に対する誤解と食事療法
〈投稿〉
宋美玄 (ソン・ミヒョン)
2013年12月25日
妊娠糖尿病は8人に1人の妊婦さんがかかる、とっても頻度の高い病気です。妊娠中は胎盤から糖の代謝が悪くなるホルモンが出て、血糖値が上がりやすくなるのです。これは、生物の歴史は飢餓の歴史で、子宮の中にいる胎児にちゃんと栄養が行くように作られたシステムなのです。それが飽食の時代と高齢出産の割合の増加によって、妊娠にとって有害な域まで血糖が上がってしまうこともしばしば起こるようになったんです。
糖尿病というと、太っていて食べ過ぎの人がなるイメージがあると思うのですが、そんなことはありません。特に日本人はやせ型の糖尿病も多いのが特徴です。そして、妊娠してから発症する妊娠糖尿病は糖尿病とは違うもので、診断基準も治療の目的も管理方法も全然違います。この辺、分かっていない医師もいて、妊娠糖尿病の患者さんを内科に紹介すると、糖尿病の患者さんと同じカロリーや同じ目標血糖値に設定されていたりすることもあるんですよ。(私は阪大病院で糖尿病内科の黒田暁生先生に診てもらっていたのでバッチリでした!)
かくいう私は糖尿病の家系で、大学生の頃から75gOGTTで60分値が非常に高かったりしたので、自分が妊娠糖尿病になるだろうことは予想していましたが、案の定妊娠糖尿病になりました。
なってびっくりしたのは、産婦人科医と助産師たちの無理解です。「食べ過ぎ」「贅沢病」といじめられ、ご飯を食べていると「食べちゃだめ!」と言われました。本気なら勉強不足すぎるし、冗談なら面白くなさ過ぎる。私はもともとBMIから言うと痩せ型で、妊娠中は食欲が全然湧かず、体重の増えが非常に悪かったのに、同業者たちから受けたのは、非常に不適切な分析とアドバイスでした。
愚痴はこれくらいにして妊娠糖尿病の治療目的と管理についてお話します。
糖は胎盤を通って赤ちゃんに行くので、赤ちゃんが太りすぎて難産の原因になったり、羊水(赤ちゃんのおしっこ)が増えすぎて羊水過多になって切迫早産になったり、産まれてから呼吸しにくくなったり、お腹の中で具合が悪くなって最悪の場合死に至るので(ギャグじゃありません)、血糖値のベースが上がらないように、そして食後の血糖値がジェットコースターみたいに急上昇して急降下しないようにコントロールします。食前血糖が100、食後2時間が120というのが目標ですが、これは妊婦じゃない糖尿病に比べるとかなり厳しい目標です。でも、ここ大事です。
そして、血糖は高いと言っても、必要なカロリーと必要な糖質(ごはん、パン、パスタ、うどん・・)は摂取しないといけません。お腹の赤ちゃんが飢餓状態になっては困ります。母体が飢餓状態になってケトン体という物質が出ると、赤ちゃんのIQが少し下がるというデータまであり、必要なカロリーを摂取するのが大切ということがお分かりいただけると思います。必要なカロリー料は妊娠週数と標準体重によって異なりますが、一日2000キロカロリーに近いくらいです。ね、結構食べないといけないでしょ。
世間では「糖質制限ダイエット」が流行ってるみたいですが、妊娠中にダイエットは禁物です。(ケトンも出るし)朝昼晩に分けて必要な糖質を摂取すると血糖が上がりすぎる場合は、糖質だけ半分取っといて、2時間後に残りを食べるという6分割食もコントロールに有効です。それで無理な場合はインスリンの投与になります。インスリンを使うのがめんどくさくて(自己注射とか低血糖に注意したりとかいろいろと)、食事療法で粘りたがる妊婦や医師もいますが、無理なもんは無理だし、必要カロリーを取らない方がまずいので、粘らないでください。
インスリンを使った場合、カーボカウント法といって、食べる炭水化物量に合わせてインスリン量を自分で調整する方法も使えます。これだとそんなに厳密に食事の量を調節しなくても、食事に合わせてインスリンを打てば良いので、我慢や気遣いが減り、だいぶストレスが少なくなります。
手前味噌になりますが妊娠糖尿病とその妊娠生活については拙著「産科女医が35歳で出産してみた(ブックマン社)」に詳しいので、問題に直面している方は読んでみてください。
最後に、産院によってはスクリーニング検査に消極的で、見逃されている妊婦さんも多いのが現状です。これを読まれている妊婦さんはかかりつけの産院に「ちゃんと妊娠糖尿病を検査してくれてますか?」って聞いてみてください。「尿に糖が出てないから大丈夫」「ヘモグロビンA1cが高くないから大丈夫」なんていう答えだったら、「妊娠糖尿病の管理はめんどくさいからあんまり発見したくない」ってことかも知れません。赤ちゃんとママの健康のために、ちゃんと診断、管理してもらってくださいね。
朝日新聞の医療サイト apital
http://apital.asahi.com/article/story/2013122200003.html
に、
妊娠糖尿病に対する誤解と食事療法
と題して、宋美玄 (ソン・ミヒョン)医師が、投稿されて糖質制限食の批判もしておられます。
精神科医師Aさんから情報をいただきました。
ありがとうございます。
「妊娠糖尿病と糖質制限食」とても大切なテーマなので、
宋美玄 (ソン・ミヒョン)医師の誤解を解いておきます。
宋先生、本ブログをもし見ていただいて、ケトン体に対する誤解が解けましたら是非正しい情報を、発信していただけば幸いです。
宋先生は気鋭の産婦人科医であり、ベストセラー『女医が教える本当に気持ちいいセックス』の著者でもあり、影響力は大きいと思いますので、是非よろしくお願い申しあげます。
胎児胎盤の絨毛間液の、βヒドロキシ酪酸(*)濃度は、平均1730μM/Lです。
全て普通の食生活をしていた妊婦の中絶胎児58検体の平均データです。
成人の基準値76μM/L以下の20~30倍です。
2014年1月12日(日)第17回日本病態栄養学会年次学術集会(大阪国際会議場)で、宗田マタニティクリニックの宗田哲男先生が発表された、世界初の画期的研究データです。
今まで、胎児のケトン体を測定した研究・論文は世界中に皆無です。
すなわち誰も胎児のケトン体の基準値を知らないままに、母体の血中ケトン体の高値が胎児に問題とされた経緯があります。
これはどう考えても変です。
宗田先生のご研究で明らかになったことは、胎児のケトン体値は、現行の基準値よりはるかに高値ということです。
危険でもなんでもなく、成人の基準値の20~30倍が、胎児のケトン体の正常値なのです。
つまり胎児のケトン体値が成人の基準値の20~30倍あっても100%安全ということです。
妊娠糖尿病に糖質制限食を導入することで、血糖と体重管理が容易となり、分娩も安産となります。
脂質とタンパク質はしっかり摂取するので、カロリー不足にはなりません。
肥満のある妊婦は難産になりやすいですが、糖質制限食なら簡単に体重コントロールができます。
そして血糖コントロールもインスリンに頼ることなく可能となります。
このとき母体の血中ケトン体が高値でも、胎児にはなんの問題もないことは、上記データより明らかですね。
勿論母体においてもケトン体は重要なエネルギー源であり、インスリン作用が保たれている限りは、極めて安全なものです。
宗田マタニティクリニックでは、糖質制限食を妊婦に導入して以後は、帝王切開率が1/2~1/3以下に激減して、妊婦も医師もとても楽な妊娠・分娩となっているそうですよ。
宗田マタニティクリニックの年間分娩数は約700です。
なお生後4日目の新生児312名において、一般食、糖質制限食、母乳、人工ミルクにかかわらず、βヒドロキシ酪酸値の平均値は240.4μmol/L、同様に生後1ヶ月の新生児40名において、βヒドロキシ酪酸値の平均値は400μmol/Lと一般的な基準値よりはるかに高値であることが報告されました。
このように、胎児においても新生児においても、ケトン体が成人の基準値より高値なのは異常ではなく、正常で基準値であることが明らかとなったわけですね。
(*)
βヒドロキシ酪酸はケトン基がないので正確にはケトン体ではないのですが、慣例上ケトン体に分類されています。
βヒドロキシ酪酸は脳細胞や体細胞のエネルギー源になることは、生理学的に明らかです。
江部康二
☆☆☆以下
朝日新聞の医療サイト apital より一部転載
http://apital.asahi.com/article/story/2013122200003.html
妊娠糖尿病に対する誤解と食事療法
〈投稿〉
宋美玄 (ソン・ミヒョン)
2013年12月25日
妊娠糖尿病は8人に1人の妊婦さんがかかる、とっても頻度の高い病気です。妊娠中は胎盤から糖の代謝が悪くなるホルモンが出て、血糖値が上がりやすくなるのです。これは、生物の歴史は飢餓の歴史で、子宮の中にいる胎児にちゃんと栄養が行くように作られたシステムなのです。それが飽食の時代と高齢出産の割合の増加によって、妊娠にとって有害な域まで血糖が上がってしまうこともしばしば起こるようになったんです。
糖尿病というと、太っていて食べ過ぎの人がなるイメージがあると思うのですが、そんなことはありません。特に日本人はやせ型の糖尿病も多いのが特徴です。そして、妊娠してから発症する妊娠糖尿病は糖尿病とは違うもので、診断基準も治療の目的も管理方法も全然違います。この辺、分かっていない医師もいて、妊娠糖尿病の患者さんを内科に紹介すると、糖尿病の患者さんと同じカロリーや同じ目標血糖値に設定されていたりすることもあるんですよ。(私は阪大病院で糖尿病内科の黒田暁生先生に診てもらっていたのでバッチリでした!)
かくいう私は糖尿病の家系で、大学生の頃から75gOGTTで60分値が非常に高かったりしたので、自分が妊娠糖尿病になるだろうことは予想していましたが、案の定妊娠糖尿病になりました。
なってびっくりしたのは、産婦人科医と助産師たちの無理解です。「食べ過ぎ」「贅沢病」といじめられ、ご飯を食べていると「食べちゃだめ!」と言われました。本気なら勉強不足すぎるし、冗談なら面白くなさ過ぎる。私はもともとBMIから言うと痩せ型で、妊娠中は食欲が全然湧かず、体重の増えが非常に悪かったのに、同業者たちから受けたのは、非常に不適切な分析とアドバイスでした。
愚痴はこれくらいにして妊娠糖尿病の治療目的と管理についてお話します。
糖は胎盤を通って赤ちゃんに行くので、赤ちゃんが太りすぎて難産の原因になったり、羊水(赤ちゃんのおしっこ)が増えすぎて羊水過多になって切迫早産になったり、産まれてから呼吸しにくくなったり、お腹の中で具合が悪くなって最悪の場合死に至るので(ギャグじゃありません)、血糖値のベースが上がらないように、そして食後の血糖値がジェットコースターみたいに急上昇して急降下しないようにコントロールします。食前血糖が100、食後2時間が120というのが目標ですが、これは妊婦じゃない糖尿病に比べるとかなり厳しい目標です。でも、ここ大事です。
そして、血糖は高いと言っても、必要なカロリーと必要な糖質(ごはん、パン、パスタ、うどん・・)は摂取しないといけません。お腹の赤ちゃんが飢餓状態になっては困ります。母体が飢餓状態になってケトン体という物質が出ると、赤ちゃんのIQが少し下がるというデータまであり、必要なカロリーを摂取するのが大切ということがお分かりいただけると思います。必要なカロリー料は妊娠週数と標準体重によって異なりますが、一日2000キロカロリーに近いくらいです。ね、結構食べないといけないでしょ。
世間では「糖質制限ダイエット」が流行ってるみたいですが、妊娠中にダイエットは禁物です。(ケトンも出るし)朝昼晩に分けて必要な糖質を摂取すると血糖が上がりすぎる場合は、糖質だけ半分取っといて、2時間後に残りを食べるという6分割食もコントロールに有効です。それで無理な場合はインスリンの投与になります。インスリンを使うのがめんどくさくて(自己注射とか低血糖に注意したりとかいろいろと)、食事療法で粘りたがる妊婦や医師もいますが、無理なもんは無理だし、必要カロリーを取らない方がまずいので、粘らないでください。
インスリンを使った場合、カーボカウント法といって、食べる炭水化物量に合わせてインスリン量を自分で調整する方法も使えます。これだとそんなに厳密に食事の量を調節しなくても、食事に合わせてインスリンを打てば良いので、我慢や気遣いが減り、だいぶストレスが少なくなります。
手前味噌になりますが妊娠糖尿病とその妊娠生活については拙著「産科女医が35歳で出産してみた(ブックマン社)」に詳しいので、問題に直面している方は読んでみてください。
最後に、産院によってはスクリーニング検査に消極的で、見逃されている妊婦さんも多いのが現状です。これを読まれている妊婦さんはかかりつけの産院に「ちゃんと妊娠糖尿病を検査してくれてますか?」って聞いてみてください。「尿に糖が出てないから大丈夫」「ヘモグロビンA1cが高くないから大丈夫」なんていう答えだったら、「妊娠糖尿病の管理はめんどくさいからあんまり発見したくない」ってことかも知れません。赤ちゃんとママの健康のために、ちゃんと診断、管理してもらってくださいね。
2014年04月07日 (月)
こんばんは。
たろうさんから、糖質制限食で血糖値改善という嬉しいコメントをいただきました。
また体温上昇と血糖値上昇について、質問をいただきました。
たろうさん、血糖値とHbA1cの見事な改善、良かったです。
「6年前眼科医より糖尿病の指摘を受け、すでに合併症が足裏と眼に発症しておりました」
6年前、糖尿病の診断がついたのですが、その時点で足底のしびれや糖尿病網膜症があったのなら、発症して数年間以上は経過していたものと思われます。
現在コントロール良好なので、合併症の進行はないと思いますが、6年前の時点で過去の高血糖による一定の動脈硬化があります。
この高血糖の記憶と呼ばれる動脈硬化は、残念ながら消えない借金として残ります。
ただ仰有る通り、何とか間に合って、糖尿病神経障害や糖尿病網膜症の進行はないものと思います。
糖尿病腎症も、HbA1cコントロール良好を維持すれば回復することも期待できます。
欲を言えば、HbA1c6.0未満を達成できればさらにいいですね。
体温上昇と血糖値上昇の関係ですが、熱があがると血糖上昇作用のある種々のホルモンが分泌されます。
例えば、体温上昇というストレスに対して、副腎皮質ステロイドホルモンが分泌されれば血糖値は上昇します。
あまり熱い湯につかっているとアドレナリンがでて血糖値が上昇する可能性もあります。
いわゆる発熱レベル(38度とか)なら多くの人において血糖値は上昇すると思います。
正常範囲での体温上昇と血糖値上昇には個人差がかなりあると思います。
江部康二
【14/04/06 たろう
江部先生
初めてメール差し上げます。67歳男性です。私は6年前眼科医より糖尿病の指摘を受け、すでに合併症が足裏と眼に発症しておりましたが、最近糖尿病腎症の診断を受け、目下専門医に月に1度検診に通院しております。
眼科医の指摘を受けたときすでに血糖値が食後400mgまで達しており、早速内科医に行ったのですが、逼迫した状況にも係わらず、インシュリン注射と一般的なカロリー制限指導を行うということだったので、インターネットで江部先生のブログを拝見し、カロリー制限より炭水化物制限を徹底して実践しました。
この段階ですでに一般の内科医に対する信頼がなくなっていたので、なんとかこの5年間をそれなりに努力し、運動と制限食によって、A1Cの値も6以下の状態で推移してきました。
おかげで、足の痺れはかなりあるものの、それ以上の進行を踏みとどまっている状態です。あのとき、内科医の意見を聞いてカロリー制限などと悠長なことを行っていれば、とっくの昔両足切断に至っていたものと考えて、炭水化物制限の効果をいまさらながら実感しています。
その後、さらに眼科医の指導で現在は 糖尿病専門医にかかって腎臓の値を観察してもらい、それなりの指導をうけています。
前置きが長くなりましたが、今日の質問は血糖値のことです。
実は食後1時間後に毎晩ウオーキングで血糖値を100mg近くに下げているのですが、その2時間後入浴すると血糖値が約60mmgくらい上がるのです。それでかかりつけの専門医にこの現象が何なのか聞くのですが、専門医とは行ってもまだ経験が短いためか、通常は糖尿病でもそんなことはないと言うのです。
ところが、体温が上がると血糖値が上がるのは入浴後ばかりではなく、通常の状態でもいつも起こるのです。そのため、夏場の血糖値計測は一度エアコンの聞いた部屋で体を冷やしてでないと、とんでもない高い値が表示されるのです。
お聞きしたいのは、この体温が上がれば血糖値があがる現象がなぜ起こるのかということです。
そして、それは私だけの特別な現象なのかということです。
付け加えますと、入浴後上がった血糖値はそのまま就寝後4時間後には自動的に正常に戻ります。
なお、先月のヘモグロビンA1cの値は6.6でした。
薬はアクトス15mmgを朝と夜、それと名前は忘れましたが、24時間効く薬を朝1錠飲んでいます。】
たろうさんから、糖質制限食で血糖値改善という嬉しいコメントをいただきました。
また体温上昇と血糖値上昇について、質問をいただきました。
たろうさん、血糖値とHbA1cの見事な改善、良かったです。
「6年前眼科医より糖尿病の指摘を受け、すでに合併症が足裏と眼に発症しておりました」
6年前、糖尿病の診断がついたのですが、その時点で足底のしびれや糖尿病網膜症があったのなら、発症して数年間以上は経過していたものと思われます。
現在コントロール良好なので、合併症の進行はないと思いますが、6年前の時点で過去の高血糖による一定の動脈硬化があります。
この高血糖の記憶と呼ばれる動脈硬化は、残念ながら消えない借金として残ります。
ただ仰有る通り、何とか間に合って、糖尿病神経障害や糖尿病網膜症の進行はないものと思います。
糖尿病腎症も、HbA1cコントロール良好を維持すれば回復することも期待できます。
欲を言えば、HbA1c6.0未満を達成できればさらにいいですね。
体温上昇と血糖値上昇の関係ですが、熱があがると血糖上昇作用のある種々のホルモンが分泌されます。
例えば、体温上昇というストレスに対して、副腎皮質ステロイドホルモンが分泌されれば血糖値は上昇します。
あまり熱い湯につかっているとアドレナリンがでて血糖値が上昇する可能性もあります。
いわゆる発熱レベル(38度とか)なら多くの人において血糖値は上昇すると思います。
正常範囲での体温上昇と血糖値上昇には個人差がかなりあると思います。
江部康二
【14/04/06 たろう
江部先生
初めてメール差し上げます。67歳男性です。私は6年前眼科医より糖尿病の指摘を受け、すでに合併症が足裏と眼に発症しておりましたが、最近糖尿病腎症の診断を受け、目下専門医に月に1度検診に通院しております。
眼科医の指摘を受けたときすでに血糖値が食後400mgまで達しており、早速内科医に行ったのですが、逼迫した状況にも係わらず、インシュリン注射と一般的なカロリー制限指導を行うということだったので、インターネットで江部先生のブログを拝見し、カロリー制限より炭水化物制限を徹底して実践しました。
この段階ですでに一般の内科医に対する信頼がなくなっていたので、なんとかこの5年間をそれなりに努力し、運動と制限食によって、A1Cの値も6以下の状態で推移してきました。
おかげで、足の痺れはかなりあるものの、それ以上の進行を踏みとどまっている状態です。あのとき、内科医の意見を聞いてカロリー制限などと悠長なことを行っていれば、とっくの昔両足切断に至っていたものと考えて、炭水化物制限の効果をいまさらながら実感しています。
その後、さらに眼科医の指導で現在は 糖尿病専門医にかかって腎臓の値を観察してもらい、それなりの指導をうけています。
前置きが長くなりましたが、今日の質問は血糖値のことです。
実は食後1時間後に毎晩ウオーキングで血糖値を100mg近くに下げているのですが、その2時間後入浴すると血糖値が約60mmgくらい上がるのです。それでかかりつけの専門医にこの現象が何なのか聞くのですが、専門医とは行ってもまだ経験が短いためか、通常は糖尿病でもそんなことはないと言うのです。
ところが、体温が上がると血糖値が上がるのは入浴後ばかりではなく、通常の状態でもいつも起こるのです。そのため、夏場の血糖値計測は一度エアコンの聞いた部屋で体を冷やしてでないと、とんでもない高い値が表示されるのです。
お聞きしたいのは、この体温が上がれば血糖値があがる現象がなぜ起こるのかということです。
そして、それは私だけの特別な現象なのかということです。
付け加えますと、入浴後上がった血糖値はそのまま就寝後4時間後には自動的に正常に戻ります。
なお、先月のヘモグロビンA1cの値は6.6でした。
薬はアクトス15mmgを朝と夜、それと名前は忘れましたが、24時間効く薬を朝1錠飲んでいます。】
2014年04月06日 (日)
こんばんは。
週刊文春 2014年4月10日号
42ページ~45ページに
「糖質制限食」でがん・認知症・うつが
予防できる!
①諸悪の根源は糖尿病
という 鳥集 徹 氏の記事が掲載されました。
「糖質制限」によるダイエットが花盛りだ。関連書籍はベストセラーになり、「糖質ゼロ」をうたう商品も増えた。そんな糖質制限が、最近の研究でがんなどの予防につながる可能性があると注目されている。痩せるだけでなく健康にも役立つという、その本質に迫る。
私も写真入りで登場しています。
糖尿病の「新規五大関連病」が登場
肝がんと膵がんは二倍近くも高リスクに
「カロリー制限食」にはないメリット
お腹一杯食べてもやせられる
糖質制限食の効果や可能性をきっちり把握した良い記事と思います。
また単純な糖質制限食の礼賛記事ではなくて
「まだ歴史が浅く、長期的有効性や安全性の証拠が足りないという専門家も少なからずいる。」
と記載するなどニュートラルな姿勢に好感がもてます。
もっとも、カロリー制限食にも長期的有効性や安全性のエビデンスがないことは同様ですけどね。
「糖質制限食」の記事は3回にわたり連載されますので楽しみです。
江部康二
週刊文春 2014年4月10日号
42ページ~45ページに
「糖質制限食」でがん・認知症・うつが
予防できる!
①諸悪の根源は糖尿病
という 鳥集 徹 氏の記事が掲載されました。
「糖質制限」によるダイエットが花盛りだ。関連書籍はベストセラーになり、「糖質ゼロ」をうたう商品も増えた。そんな糖質制限が、最近の研究でがんなどの予防につながる可能性があると注目されている。痩せるだけでなく健康にも役立つという、その本質に迫る。
私も写真入りで登場しています。
糖尿病の「新規五大関連病」が登場
肝がんと膵がんは二倍近くも高リスクに
「カロリー制限食」にはないメリット
お腹一杯食べてもやせられる
糖質制限食の効果や可能性をきっちり把握した良い記事と思います。
また単純な糖質制限食の礼賛記事ではなくて
「まだ歴史が浅く、長期的有効性や安全性の証拠が足りないという専門家も少なからずいる。」
と記載するなどニュートラルな姿勢に好感がもてます。
もっとも、カロリー制限食にも長期的有効性や安全性のエビデンスがないことは同様ですけどね。
「糖質制限食」の記事は3回にわたり連載されますので楽しみです。
江部康二
2014年04月06日 (日)
【14/04/05 ミカリン
いつもブログの更新を楽しみにしています。
私は33歳女性です。
昨年、11月に風邪のため病院に行ったとき、尿糖が検出され、その後、ブドウ糖負荷試験を受けました。
ha1cは5.1でしたが、2時間後の血糖値が200を超えていて、糖尿病と診断されました。
ネットで検索して、江部先生のブログを知り、すぐにスーパー糖質制限を開始しました。
3ヶ月後受けたブドウ糖負荷試験では、2時間後血糖値が150となり、境界型となりました。
ha1cも4.9に下がりました。
体重も5kg痩せ、好きな服も着こなせるようになり、大変感謝しています。
たまたま、風邪で見つかった糖尿病で、初期症状もまったくありませんでしたが、早期に糖質制限したことにより、このように改善できたこと、嬉しく思っています。
本当にありがとうございます。
ところで、「食後の眠気」について、お聞きしたいのですが、以前、炭水化物をたっぷり食べたときのような強烈な眠気はないものの、やはり、満腹になると眠気はあります。
もちろん、午後の仕事がままならないほどではないのですが。
糖質制限をして、糖質10g以下の食事でも、満腹になると軽い眠気は感じます。
みなさんのコメントを読むと、糖質制限をして眠気がなくなったとおっしゃっている方が多いので、まだ、私は食後血糖値が高いのでは?と心配になります。
糖質をほとんど取っていなくても、軽い眠気は、満腹による生理的な現象なのでしょうか?
また、私は石川県に住んでいますが、私の通っている病院の先生は、糖質制限反対派です。
できれば、糖質制限に理解のある病院に今後通いたいと思っているのですが、石川県内にそのような病院はありますでしょうか?
ご存知でいたら、教えていただけると嬉しいです。】
おはようございます。
ミカリンから、糖質制限食で耐糖能改善という嬉しいコメントをいただきました。
2013年11月
75g経口ブドウ糖負荷試験において、2時間値が200mg/dl以上で、糖尿病型
スーパー糖質制限食開始して3ヶ月後
2014年2月
75g経口ブドウ糖負荷試験において、2時間値が150mg/dlで、境界型に改善
糖尿病型となって、そんなに期間が経過していなかったものと思われます。
それで、スーパー糖質制限食を3ヶ月間続けられて、疲弊していた膵臓のβ細胞が回復して、耐糖能が改善したものと考えられます。良かったです。
糖尿病になって長い年月が経過していたら、75g経口ブドウ糖負荷試験で、そう簡単には耐糖能は改善しないと思います。
ミカリンは、このまま糖質制限食を続ければ、将来の糖尿病発症が予防できますね。
眠気ですが、炭水化物を食べたときのような強烈な眠気がなければ、特に問題はないと思います。
今のミカリンさんのデータで、食後高血糖が生じることは100%ありませんので心配ないです。
私も以前、糖質を食べていた時のようなひどい眠気は今は皆無ですが、スーパー糖質制限食でもまれに食後軽い眠気を感じることはありますので・・・。
石川県内で、糖質制限に理解のある病院ですが、小川恵子先生が、漢方外来のなかで、糖質制限食の指導もしておられます。
藤井脳神経外科
〒920-0362/石川県金沢市古府1丁目150
TEL:076-240-3555
火曜日午前中 漢方外来 小川恵子先生
金沢赤十字病院
〒921-8162 石川県金沢市三馬2-251
TEL 076-242-8131
木曜日午後 漢方外来 小川恵子先生
江部康二
いつもブログの更新を楽しみにしています。
私は33歳女性です。
昨年、11月に風邪のため病院に行ったとき、尿糖が検出され、その後、ブドウ糖負荷試験を受けました。
ha1cは5.1でしたが、2時間後の血糖値が200を超えていて、糖尿病と診断されました。
ネットで検索して、江部先生のブログを知り、すぐにスーパー糖質制限を開始しました。
3ヶ月後受けたブドウ糖負荷試験では、2時間後血糖値が150となり、境界型となりました。
ha1cも4.9に下がりました。
体重も5kg痩せ、好きな服も着こなせるようになり、大変感謝しています。
たまたま、風邪で見つかった糖尿病で、初期症状もまったくありませんでしたが、早期に糖質制限したことにより、このように改善できたこと、嬉しく思っています。
本当にありがとうございます。
ところで、「食後の眠気」について、お聞きしたいのですが、以前、炭水化物をたっぷり食べたときのような強烈な眠気はないものの、やはり、満腹になると眠気はあります。
もちろん、午後の仕事がままならないほどではないのですが。
糖質制限をして、糖質10g以下の食事でも、満腹になると軽い眠気は感じます。
みなさんのコメントを読むと、糖質制限をして眠気がなくなったとおっしゃっている方が多いので、まだ、私は食後血糖値が高いのでは?と心配になります。
糖質をほとんど取っていなくても、軽い眠気は、満腹による生理的な現象なのでしょうか?
また、私は石川県に住んでいますが、私の通っている病院の先生は、糖質制限反対派です。
できれば、糖質制限に理解のある病院に今後通いたいと思っているのですが、石川県内にそのような病院はありますでしょうか?
ご存知でいたら、教えていただけると嬉しいです。】
おはようございます。
ミカリンから、糖質制限食で耐糖能改善という嬉しいコメントをいただきました。
2013年11月
75g経口ブドウ糖負荷試験において、2時間値が200mg/dl以上で、糖尿病型
スーパー糖質制限食開始して3ヶ月後
2014年2月
75g経口ブドウ糖負荷試験において、2時間値が150mg/dlで、境界型に改善
糖尿病型となって、そんなに期間が経過していなかったものと思われます。
それで、スーパー糖質制限食を3ヶ月間続けられて、疲弊していた膵臓のβ細胞が回復して、耐糖能が改善したものと考えられます。良かったです。
糖尿病になって長い年月が経過していたら、75g経口ブドウ糖負荷試験で、そう簡単には耐糖能は改善しないと思います。
ミカリンは、このまま糖質制限食を続ければ、将来の糖尿病発症が予防できますね。
眠気ですが、炭水化物を食べたときのような強烈な眠気がなければ、特に問題はないと思います。
今のミカリンさんのデータで、食後高血糖が生じることは100%ありませんので心配ないです。
私も以前、糖質を食べていた時のようなひどい眠気は今は皆無ですが、スーパー糖質制限食でもまれに食後軽い眠気を感じることはありますので・・・。
石川県内で、糖質制限に理解のある病院ですが、小川恵子先生が、漢方外来のなかで、糖質制限食の指導もしておられます。
藤井脳神経外科
〒920-0362/石川県金沢市古府1丁目150
TEL:076-240-3555
火曜日午前中 漢方外来 小川恵子先生
金沢赤十字病院
〒921-8162 石川県金沢市三馬2-251
TEL 076-242-8131
木曜日午後 漢方外来 小川恵子先生
江部康二