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覆るか、肥満の定説 原因はカロリー? 炭水化物?
こんにちは。

とても興味深い記事が日経サイエンスに載りました。

従来の定説では、

「肥満や体重過多の根本原因は摂取カロリーと消費カロリーの不均衡にある」

として、摂取カロリーが同一なら、たんぱく質・脂質・糖質の何を食べても同じこととされてきました。

しかし、近年、私も含めて、

「同一摂取カロリーなら、糖質制限食は、高糖質食に比し減量効果がある。」

という新説が脚光を浴びています。

こちらの説は、肥満ホルモンであるインスリンが肥満の元凶としています。

また糖質制限食では、食事誘発熱産生(DIT)や肝臓の糖新生などエネルギー消費量が増加すると考えられています。

実際、ニューイングランド・ジャーナルのRCT研究論文「DIRECT」において、同一摂取カロリーなら、糖質制限食が地中海食や低脂肪食に比べて減量効果が高いことが証明されました。

イスラエルの322人

(1)低脂肪食(カロリー制限あり)
(2)オリーブ油の地中海食(カロリー制限あり)
(3)低炭水化物食(カロリー制限なし)
3グループの食事法を2年間

カロリー制限なしのハンディがあったが、3種の食事療法で、介入後の総摂取カロリーは有意差なしであり、低炭水化物食で最も体重が減少しHDL-Cも増加した。
Iris Shai,et all:Weight Loss with a Low-Carbohydrate,Mediterranean,or Low-Fat Diet. NENGLJ MED JULY17,2008、VOL359


今回、米国で「栄養科学イニシアチブ(NuSI)」という非営利組織が、コロンビア大学や米国立衛生研究所(NIH)などと協力、肥満の原因を科学的に究明するため、かなり本格的な実験を近く始めることとなりました。

「栄養科学イニシアチブ(NuSI)」という組織は、「ヒトはなぜ太るのか?」(メディカルトリビューン)の著者 ゲーリー・トーベスが設立人の一人です。

本研究は、まず予備実験から、ローラ・アンド・ジョン・アーノルド財団から4000万ドルもの支援を受けて開始されるそうです。

第一段階:
 米国の普通食摂取で、太り気味あるいは肥満の被験者16名の
 摂取カロリーと消費カロリーを正確に一致させる。
 糖質は50%、脂質35%、たんぱく質15%
 当然、この段階で体重は不変です。

第二段階:
 同一摂取カロリーで、16名の被験者に超糖質制限食を摂取させます。
 糖質を厳しく制限して、その後の体重減少の有無を追跡します。
 糖質5%、脂質80%、たんぱく質15%

もし、第2段階で体重減少があったなら、摂取カロリーが同一でも、糖質を制限すると消費カロリーが増加したということが証明されます。

予備実験に1年間かかるそうですが、とても興味深いです。

結果が待ち遠しいですね。


江部康二



以下
日経サイエンス 電子版 2013/10/26 から抜粋です。

http://www.nikkei.com/article/DGXBZO61433170S3A021C1000000/
覆るか、肥満の定説 原因はカロリー? 炭水化物?

なぜ人は太るのか?

 その原因について世界保健機関(WHO)は「肥満や体重過多の根本原因は摂取カロリーと消費カロリーの不均衡にある」としている。つまり食べすぎか運動不足か、あるいはその両方ということで、これが肥満の原因に関する定説となっている。だが、最近になって、ホルモンの働きを原因と指摘する新説が脚光を集めている。

■運動しても体重減らず
 カロリーの不均衡が原因という定説が正しければ、タンパク質であれ炭水化物や脂肪であれ、カロリーを取りすぎれば体重は増えることになる。だから肥満を解消するには食べる量を減らし運動量を増やせばよい。しかし、肥満に悩む多くの人がこの処方箋に従って日々、努力しているが、体重が減らないケースが多い。

 本人の努力不足が1つの理由かもしれないが、研究者が近年、注目しているのは処方箋が間違っている、つまり肥満の原因に関する定説が誤っている可能性だ。

 もしそうなら、肥満の原因は摂取カロリーと消費カロリーの不均衡ではなく、様々な細胞で脂肪の蓄積を促しているホルモン、特にインスリンの働きの異常のようなものかもしれない。この場合、環境要因として真っ先に疑われるのは、私たちが摂取するカロリーの総量ではなく、炭水化物の量と質になる。

 インスリンはブドウ糖という炭水化物に反応して分泌される。食品中の主なブドウ糖の源はデンプンと穀物、そして糖類だ。精製された穀物やデンプンを豊富に含む食事では、そうでない食事よりもインスリン濃度がすぐに上がりやすい。


肥満の原因はカロリーか、炭水化物か。

 世界一の肥満体国である米国で「栄養科学イニシアチブ(NuSI)」という非営利組織が、コロンビア大学や米国立衛生研究所(NIH)などと協力、肥満の原因を科学的に究明するため、かなり本格的な実験を近く始める。

■結果出るまで1年近く

 太り気味もしくは肥満の被験者16人が研究施設に滞在し、平均的な米国人と同じ内容の食事を取ってもらう。ただし食べる量はコントロールし、被験者の脂肪が増加も減少もしていない状態を実現する。摂取カロリーと消費カロリーを正確に一致させるわけだ。

 次の段階では、被験者にそれまでの摂取カロリーとまったく同じカロリーを取ってもらうが、炭水化物の総量を大幅に抑制する。

 もし脂肪の蓄積が主に摂取カロリーと消費カロリーの不均衡によるものなら、被験者は消費カロリーとまったく同じカロリーを摂取しているのだから体重は増えも減りもしないはず。一方、もし炭水化物の摂取量が大きな影響を及ぼすのなら、炭水化物制限食で被験者の体重と脂肪はともに減少することになる。

 結果が出るまで1年近くかかる見通しだ。

(詳細は25日発売の日経サイエンス12月号に掲載)


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
「食の常識非常識!?糖質の役割と糖質制限の可能性」公開講座 仙台
こんばんは。

杜の都仙台にて、

2013年11月9日(土)13時-17時

操体バランス運動研究会主催の公開講座
「食の常識非常識!?糖質の役割と糖質制限の可能性」

が開催されます。

私は「糖質制限の可能性―食のパラダイムシフト」と題してお話しします。

須永隆夫先生、渡邉勝久先生、橋本雄二先生とのパネルディスカッションも楽しみです。

操体バランス運動研究会という場をお借りしていつも以上に、幅広い内容の展開になりそうです。

仙台、宮城県、近隣の皆様、是非、ご参加ください。

ご来場、お待ちしております。


江部康二



操体バランス運動研究会主催 公開講座

高雄病院 江部康二先生と考える
食の常識非常識!?糖質の役割と糖質制限の可能性

 毎日摂る食事は、体を動かす原動力。摂り方によっては病気になったり
老化を早めたり。糖尿病を心配する方も、一生を元気に暮らしたいと思う方にも必聴のお話です。

●期 日:2013年11月9日(土)13時-17時

●会 場:東京エレクトロンホール宮城 (宮城県民会館6階601号会議室)
           仙台市青葉区国分町3-3-7 TEL 022-225-8641

     13時 基調講演「糖質制限の可能性―食のパラダイムシフト」   
        講師   江部康二(高雄病院)

     15時 パネルディスカッション
     「食における糖質の位置づけ―社会との共生」     
        講師  須永隆夫(木戸クリニック)
             渡邉勝久(神戸温古堂)
             江部康二(高雄病院)
             橋本雄二(橋本クリニック)

●参加費(事前申し込み)    2000円(資料代として)

●お問合せ・お申し込み 
 〒980-0822  仙台市青葉区立町27-21 温古堂内
        第30回全国操体バランス運動研究会実行委員会
        TEL 022-223-3230  FAX 022-223-3233 
        メールアドレス tatee55@yahoo.co.jp


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
秋田県、本荘第一病院、糖質制限食講演会のご報告
こんにちは。

10月29日(火)は、秋田県由利本荘市の本荘第一病院で

糖質制限食の有効性と安全性
-糖尿病・動脈硬化・癌・生活習慣病と糖質制限食-


と題して、お話ししてきました。

本荘第一病院の医師・看護師・栄養士の方々、近隣の開業のドクターなど多数にご参加いただきました。
活発な質疑応答もありました。

本荘第一病院には、すでに、ちょい糖質セイゲニストのドクターもおられましたよ。

秋田県で初めて(と思います)糖質制限な外来診療が本荘第一病院で開始されたら、とても嬉しいですね。

秋田県での糖質制限食の講演は、初めてでした。

糖質制限食、日本全国各地に広がっていって欲しいですね。

最後になりましたが講演会後、糖質制限なフレンチと赤ワインをご馳走していただきました、
本荘第一病院理事長、小松大芽先生
本荘第一病院消化器科診療部長、小松工芽先生
美味しかったです。
ありがとうございました。

座長をつとめていただきました小栗重統先生、お疲れ様でした。
ありがとうございました。


江部康二


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
日本糖質制限医療推進協会主催・医療関係者対象セミナーのご案内
こんばんは

東京・品川にて、2013年12月8日(日)13:00~16:35
一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会主催の医療関係者対象セミナーを開催します。

たっぷり時間をかけて、質疑応答もして実践的な糖質制限食による糖尿病治療の実際やノウハウをお伝えします。

今回は基本、糖尿病治療に絞って焦点を合わせてのお話です。

管理栄養士の実務的なお話しもあります。

医療関係者対象セミナーですので、参加費がやや高い設定ですが、スライドのCD(PDFファイル)も付いており、一般的な医療セミナーに比べればお得感もあるかなと自負しています。

医師・歯科医師・栄養士・看護師・薬剤師・鍼灸師など医療関係者の皆さん
振るってご参加ください。


なお、今回は密度の濃いセミナーとするため、限定50名までとさせていただきます。



江部康二



以下、事務局からのご案内です。

***************************
東京・品川にて医療関係者向けの講演会を開催いたします。

臨床における糖質制限食療法の導入について、
三部構成で具体的かつ実践的に講義いたします。

第一部と第二部は理事長 江部康二による糖質制限食療法の基礎理論・症例の検討・薬剤の使い方・最新の動向についての講義、
第三部は当協会アドバイザー(管理栄養士)による食事指導方法に関する講義となります。


//////////////////ご案内////////////////////

一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会主催

    医療関係者対象講演会

 「糖尿病治療のための糖質制限食指導」

■日時: 2013年12月8日(日)13:00~ ※受付12:45~

■場所: TKP品川カンファレンスセンター カンファレンスルーム4C
     〒108-0074 東京都港区高輪3-26-33 京急第10ビル4F
     http://tkpshinagawa.net/access.shtml

■スケジュール:
 
第一部:13:00~14:05 「基礎理論」 ※講師A

第二部:14:05~15:10 「症例検討と薬剤の使い方」 ※講師A

休憩 15:10~15:25

第三部:15:25~16:35 「糖質制限食 食事指導の実際」 ※講師B

■講師
 
A:江部 康二 医師
  (一財)高雄病院 理事長
  (一社)日本糖質制限医療推進協会理事長

B:松本 桃代 管理栄養士
  (一社)日本糖質制限医療推進協会 アドバイザー

  佐々木 栄子 管理栄養士
  (一社)日本糖質制限医療推進協会 アドバイザー

※講義時間・質疑応答時間について
  ①②は講座各50分、質疑応答各15分
  ③は講座50分、質疑応答20分を予定しております。
 
■対象:医療関係者(医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、鍼灸師など)

■補足:
・「糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド」(東洋経済新報社)
 レベルの内容を予定しておりますので、事前に同著を読んでおいていただく
 ことを推奨致します。

・参加者にはスライド資料データ(PDF)のCDを配布致します

■その他:関西地区でも医療関係者向け講演会を開催予定です(日程未定)。

■受講費:

・賛助会員    8,000円

・一般(非会員) 10,000円

■お支払い方法:クレジットカード/銀行振込/郵便振替 ※事前決済のみとなります。

■お申し込み方法
・賛助会員の方
 事務局までメールにてお申し込み下さい。
 その際に医療機関にて従事していらっしゃる職種をご記入願います。

・賛助会員入会をご希望の方
 1.入会案内および会員規約をお読み下さい。
  http://toushitsuseigen.or.jp/member.html

 2.お申し込みはこちらのフォームからお願いします。
  http://toushitsuseigen.or.jp/contact.php
  「お問い合せ内容」欄に以下2点をご記入下さい。
   ①「12/8講演、受講希望」のコメント
   ②医療機関にて従事していらっしゃる職種

・一般(非会員)で、講演会の受講のみご希望の方
 こちらのフォームよりお申し込み下さい。
 https://ssl.form-mailer.jp/fms/b39d80ed271415

■お申し込みの流れ
1.会員の方はメールにて、会員以外の方は各種フォームにてご連絡下さい。
2.事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3.入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4.当日、直接会場までお越し下さい。

■注意事項
・予約制です。当日参加はできません。
・キャンセルは12月4日(水)までにお願い致します。
それ以降の返金には対応致しかねますので予めご了承ください。

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テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学 。夏井睦著。
こんばんは。

炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学 (光文社新書)
夏井 睦  著




が2013年10月17日(木)に発売開始されました。

畏友、夏井睦先生、待望の糖質制限食の本です。

書名からして、超過激で、夏井先生らしいです。

私は、アマゾンで予約して10冊購入し、高雄病院の医師や栄養士に配りました。

糖質制限食賛成派の医師は、自分で糖質制限食を実践していて、反対派の医師は実践していないことがほとんどです。

夏井先生は何はともあれ、糖質制限食を実践されて体重・体型が学生時代に戻り、高血圧・高脂血症も自然に治り、
昼食後の居眠りがなくなり、二日酔いがなくなり、睡眠時無呼吸症候群も治ったそうです。

前半のⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ章の糖質制限なお話もとても興味深いのですが、この本の真骨頂は

V 糖質制限すると見えてくるもの
VI 浮かび上がる「食物のカロリー数」をめぐる諸問題
VII ブドウ糖から見えてくる生命体の進化と諸相
VIII 糖質から見た農耕の起源

これら4つの章にあると言っても過言ではありません。

・穀物生産そのものが内部に抱えている問題(今後生産が成り立たなくなる?)
・糖質や砂糖と労働との歴史的関係
・「カロリー」という概念への根本的疑問の提示
・進化の過程での動物のエネルギー源の変化
・本来は猛毒であった酸素を取り込んで生きる真核生物
・多細胞生物が出現しエネルギー源が「ブドウ糖代謝」からより効率のよい「脂質代謝」への変化
・農耕開始の歴史は、ドングリの世界から小麦へ、何故シフト?
・定住生活の意味
・糖質は人類にとって神か悪魔か?

夏井ワールド全開で、全く新しい視点からの仮説を展開です。

仮説と言っても、著者の博学な知識に裏打ちされたものなので説得力があります。

結構難しい話なのですが、ほとんどの読者は、内容に引き込まれて一気に読破してしまうことでしょう。

ブログ読者の皆さん、是非是非、ご一読あれ。


江部康二



以下は、出版社からのコメントです。

◆「糖質制限」の陰の火付け役による待望の書!

糖質は人類にとって、神か、悪魔か――

◆著者は、光文社新書のロングセラー『傷はぜったい消毒するな』でもよく知られる「湿潤療法」のパイオニアだが、じつは昨今の糖質制限ブームの陰の火付け役としても知られている。

傷の治療法の発明時と同様、自分の身体で糖質制限を試し、その効果や危険のなさを確かめた著者は、糖尿病の糖質制限治療の第一人者である江部康二氏と親交を深めながら、栄養素としての糖質の性質や、人類の糖質摂取の歴史、
カロリーという概念やその算出法のいいかげんさ、そしてブドウ糖からみえてくる生命の諸相や進化などについて、独自の考察や研究を開始。

本書では、糖質からみた農耕の起源についても新説を展開、穀物栽培によって繁栄への道を得た人類が、穀物により危機への道をたどりつつあることも指摘する。
著者のHPに日々寄せられる、多くの糖質セイゲニストからの体験談の一端も紹介。
糖質を切り口に様々なことを考える。

【目次】
はじめに

I やってみてわかった糖質制限の威力
II 糖質制限の基礎知識
III 糖質制限にかかわるさまざまな問題
IV 糖質セイゲニスト、かく語りき

V 糖質制限すると見えてくるもの
(1) 糖質は栄養素なのか?
(2) こんなにおかしな糖尿病治療
(3) 穀物生産と、家畜と、糖質問題
(4) 食事と糖質、労働と糖質の関係

VI 浮かび上がる「食物のカロリー数」をめぐる諸問題
(1) 世にもあやしい「カロリー」という概念
(2) 哺乳類はどのようにエネルギーを得ているのか
(3) 低栄養状態で生きる動物のナゾ
(4) 「母乳と細菌」の鉄壁の関係
(5) 哺乳類はなぜ、哺乳をはじめたのか
(6) 皮膚腺がつないだ命の連鎖

VII ブドウ糖から見えてくる生命体の進化と諸相
(1) ブドウ糖――じつは効率の悪い栄養
(2) エネルギー源の変化は地球の進化とともに

VIII 糖質から見た農耕の起源
(1) 穀物とは何か
(2) 定住生活という大きなハードル
(3) 肉食・雑食から穀物中心の食へ
(4) 穀物栽培への強烈なインセンティブ
(5) 穀物に支配された人間たち

あとがき

【著者プロフィール】

夏井睦(なついまこと)
1957年秋田県生まれ。東北大学医学部卒業。
練馬光が丘病院「傷の治療センター」長。
2001年、消毒とガーゼによる治療撲滅をかかげて、
インターネットサイト「新しい創傷治療」(http://www.wound-treatment.jp/)を開設。
湿潤療法の創始者として傷治療の現場を変えるべく、発信を続けている。
趣味はピアノ演奏。
著書に『傷はぜったい消毒するな』(光文社新書)、
『キズ・ヤケドは消毒してはいけない』(主婦の友社)、
『さらば消毒とガーゼ』(春秋社)、『これからの創傷治療』(医学書院)、
『創傷治療の常識非常識』『ドクター夏井の熱傷治療「裏」マニュアル』(ともに三輪書店)、
共著に『医療の巨大転換を加速する』(東洋経済新報社)などがある。




テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
運動と血糖値
おはようございます。

ピーナッツさんから、運動と血糖値について、コメント・質問をいただきました。

拙著の御購入、講演会へのご参加、ありがとうございます。

血糖値を上昇させるホルモンは、

グルカゴン
アドレナリン
副腎皮質ホルモン
成長ホルモン

などがあります。

ピーナッツさんが仰るとおり、ストレスでも血糖値は上昇します。

怒りとかの感情とか不眠などがストレスとなり、アドレナリンや副腎皮質ホルモンが分泌されます。

一方、単純に心拍数が上がるレベルの運動を行うと、アドレナリンが出て血糖値は上昇します。

これは、運動している本人が心理的ストレスを感じていなくても、身体は何らかのストレッサーがあれば反応するのです。運動も勿論ストレッサーになります。

ストレスの原因はストレッサーと呼ばれその外的刺激の種類から一般に、

物理的ストレッサー(寒冷、騒音、放射線、光など)
化学的ストレッサー(酸素、薬物、タバコなど)
生物的ストレッサー(炎症、感染)
心理的ストレッサー(怒り、不安など)

に分類されます。

運動は、上記分類にはあてはまらない、非特異的ストレッサーという位置づけにでもなるのでしょうか?

ともあれ、私は空いている日曜日はテニスに出かけます。

食事を午前11時頃して、夕方5時頃とか試合のあと血糖値を測定すると、空腹時なのに140mg/dlくらいあることがあります。

おじさんのダブルスていどの運動30分ていど後のデータです。

30~60分くらいで通常のデータに戻ります。

ですから、ピーナッツさんの剣道練習後の血糖値150mg/dlは、ごく普通の反応で、問題ないと思いますよ。

なお適度な運動は健康度を高めて、良いストレッサーとなります

江部康二



【13/10/26 ピーナッツ

運動(剣道)にて若干血糖が上がってしまう事?

江部先生 いつもお世話になります。

著書、ならびに講演会にも参加させていただいております。

現在年齢は50歳。糖尿との診断は31歳。糖質制限食(朝、夕。昼食は外食です)11年(途中単身赴任などあり、ここ5年は平日は朝、夕、土日はスーパー糖質制限)です。現在A1Cは6.8です。インシュリンは7年 アピドラ+ランタス使用しております。

さて、今般質問させていただきたいのは、日曜日に朝食後(スーパー)に剣道の稽古に参加します。実質の激しい稽古時間は(とはいえ50歳で五段程度ですので、プロの激しさではありません 笑)1時間弱となります。

稽古では水、お茶のみを約500cc摂取します。

帰宅後血糖を計測しますと150程度と、剣道参加しない時には120程度に比べ明らかに30程度高くなっております。

非常に不思議に思っております。ストレスでも血糖は上昇すると聞きますが、確かにアドレナリンは出まくっているかもしれませんが、あまりストレスとは感じておりません。

先生に質問させていただきたいのは

①こういった事例がありますでしょうか?

②気にするほどのことではないのでしょうか?

ご享受の程、どうぞよろしくお願い申し上げます。 】



テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
朝食抜きは糖尿病になりやすい? → 朝食抜きでOKです。
【13/10/25 京都15才

朝食を食べないと糖尿病になりやすいと聞いたことがあります。

スタンダード糖質制限食やプチ糖質制限食をやってると、朝食を食べないのと同様に主食を1、2回抜くことになるので、主食を食べた時に血糖値が急上昇して膵臓が疲弊し、糖尿病になりやすくなりませんか? 】


こんにちは。

京都15才さんから、「朝食抜きは糖尿病になりやすい・・・」などのコメント・質問を頂きました。

朝食抜きでも、糖尿病になりやすいということはありません。

人類は、長い間、昼食と夕食の1日2食でした。

朝昼夕の1日3食になったのは、この200~300年くらいです。

糖尿病が激増したのは、1日3食になってからですね。

ちなみに、私は34才から、朝食抜きの1日2食です。

日本では、江戸時代初期までは1日2食で、中期から3食になったようです。

平安時代や鎌倉時代の1日2食は、朝食が午の刻(正午)で、夕食が申の刻(午後4時)だったそうです。

イギリスやフランスなどヨーロッパの国々でも、 18世紀に2食から3食になったので3食の歴史は浅いようです。

なお、野生のライオンは、3日~数日間に1回の食事です。成長したライオンは1回に18kgの肉を食べるそうです。野生の虎は、7~10日間に1回の食事回数のようです。

正常人において、スタンダード糖質制限食だと1日1回、グルコースミニスパイクを生じます。プチ糖質制限食だと1日2回、グルコースミニスパイクを生じます。

スーパー糖質制限食なら、1日を通して、グルコースミニスパイクは生じません。

普通の糖質ありの食事だと、1日に3回、グルコースミニスパイクを生じます。

3時のおやつと夜食のラーメンを追加すると、1日に5回グルコースミニスパイクを生じます。

ミニスパイクのたびに、追加分泌インスリンが10~30倍分泌されて代謝は乱れます。

インスリンは人体に絶対に必要なホルモンで、基礎分泌インスリンがないとヒトは死に至ります。

しかしながら、インスリン分泌は少量ですむほど身体には優しいのです。

インスリン分泌が多いと、発癌性、肥満、アルツハイマー病などのリスクになるのです。

スーパー糖質制限食なら、1日を通してインスリン追加分泌はごく少量で済むので、上記のリスクがおおいに減少するのです。


グルコースミニスパイクに関しては

2007年07月26日 (木)の本グログ記事7「グルコーススパイクとミニスパイク」

をご参照いただけば幸いです。


江部康二



テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
自ら糖質制限食実践中の札幌の医師はおられるでしょうか?
こんばんは。

札幌25才さんからコメント・質問を頂きました。

12才で2型糖尿病とは早いですね。

できればキッチリ治療して欲しかったですが、25才で、空腹時血糖値250mg/dl、HbA1c9.6%。

現在入院中で、

食事療法(カロリー制限)と薬物治療
メトグルコ(朝昼晩3回)+グラクティブ(朝1回)

栄養士
「糖質を控え、 その分、たんぱく質・脂質を多く取っても、 血糖値は、上昇する時間が遅れるだけで、変わらない。
たんぱく質を多くとると腎臓に負担がかかる。
たんぱく質・脂質が増えることで肥満解消にはつながらない。
よって、糖質制限はオススメできない。」


ほとんどの栄養士が、この方と同様に

「たんぱく質が数時間で50%血糖に変わり、脂質は十数時間で10%未満が血糖値変わる」

という、米国糖尿病学会の1997年のテキストブックの情報を未だに信じ込んでいますが、勉強不足です。

困ったものです。

糖尿専門医においても古い情報しかご存じない方もいて、本当に困ったものです。

米国糖尿病学会は、2004年以降は、患者教育用テキストブックで

「血糖に変わるのは糖質だけで、たんぱく質・脂質は血糖に変わらない」

と断定しています。

だからこそ、糖質制限食で劇的に血糖コントロールが改善するわけです。

そして実践すればすぐにわかりますが、糖質制限食で肥満は改善します。

糖質制限食賛成派の医師・栄養士は自分で実践している方々で、反対派は自分で実践していない方々です。

また、2013年の米国糖尿病学会の栄養療法に関する声明で

『糖尿病腎症の所見のない糖尿病患者では、最適な血糖コントロール、あるいは、心血管疾患リスクの改善のための理想的な蛋白質摂取量に関しては、これを推奨するに足る十分なエビデンスは存在しない。したがって、目標は個別化されなければならない。(C)

糖尿病腎症(微量アルブミン尿、および、顕性蛋白尿)を有する糖尿病患者では、通常の摂取量以下に蛋白質摂取量を減量することは、血糖状態、心血管リスク、あるいは、糸球体ろ過率低下の経過に変化を与えないので、推奨されない。(A)』

たんぱく質制限に関して明確に否定しています。

ただ一言、医師も栄養士も勉強して欲しいです。

「1.糖質制限をするとしたら、薬物治療は行わないほうがよいのでしょうか。」

スーパー糖質制限食なら、自分自身のインスリン分泌能力がある程度以上残存していれば、薬物療法は必要ないことが多いです。

「2.治療として、糖質制限を行っていく場合、 身近に江部先生のように糖質制限にくわしい先生がいらっしゃれば、心強いと思うのですが、北海道(札幌)にそのような先生はいらっしゃいますか?」

札幌市の糖質制限食OKの諸岡先生が、手一杯で新患は無理な状況です。

他にも自ら糖質制限食を実践し患者さんに指導している医師が、札幌におられると思いますので是非、本ブログにコメントしていただけば幸いです。

あるいは、高雄病院にメールしていただいても嬉しいです。

高雄病院:takao-info@ac.auone-net.jp

よろしく御願い申しあげます。


江部康二



【13/10/24 札幌25才

はじめまして

12才の頃に2型糖尿病と診断され、 今に至るまで、ほとんど治療をしてきませんでした。

25才となった今、血液検査を行い、 空腹時血糖250、 HbA1cが9.6%もあることが判明。

現在、北海道の病院に入院中です。

入院中は、
食事療法(カロリー制限)と薬物治療
メトグルコ(朝昼晩3回)+グラクティブ(朝1回)
を中心に、治療を進めています。
※運動療法については、現在合併症の検査中のため、控えています。

食事療法について、
栄養士の方とお話する機会があったので、
糖質制限について質問しました。

栄養士の方には、
-------------------------------------------------
糖質を控え、
その分、たんぱく質・脂質を多く取っても、
血糖値は、上昇する時間が遅れるだけで、変わらない。

たんぱく質を多くとると腎臓に負担がかかる。
たんぱく質・脂質が増えることで肥満解消にはつながらない。
よって、糖質制限はオススメできない。
-------------------------------------------------
と言われました。

しかしながら、
僕自身、糖質制限については浅い知識しかありませんが、
カロリー制限を続けることよりも、糖質制限を行った方が、
血糖値のコントロールに繋がると考えています。

今後の治療方針については
主治医と相談し、決めていきたいと思うのですが、

その前に、糖質制限について、
江部先生にいくつか質問をさせてください。

1.糖質制限をするとしたら、
  薬物治療は行わないほうがよいのでしょうか。

2.治療として、糖質制限を行っていく場合、
  身近に江部先生のように糖質制限にくわしい先生が
  いらっしゃれば、心強いと思うのですが、
  北海道(札幌)にそのような先生はいらっしゃいますか? 】



テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
グリコのすぐわかる「栄養成分ナビゲーター」に誤り発見
【13/10/24 土屋 守

グリコの(すぐわかる栄養成分ナビ)に誤り発見

グリコの"すぐわかる栄養成分ナビゲーション"の中に 脳の栄養は 糖質のみ と解説してましたので 早速 それは間違いで、ケトン体云々と説明しハーパーの医学書に書かれていますと伝えました(読んだ事無いけど) 糖質制限食スーパー
一年生 HbA1c=5.8%】


こんばんは。

土屋守さんから、グリコのすぐわかる「栄養成分ナビゲーター」についてコメントで誤りをご指摘頂きました。
ありがとうございます。

グリコさん、「栄養成分ナビゲーター」は便利で重宝ですが、

「・・・特に脳では血液中のブドウ糖だけがエネルギー源・・・」

という根本的間違いは速やかに是正して欲しいです。

グリコさん、そこんとこよろしくお願いします。

脳は、ケトン体をいくらでもエネルギー源として利用します。

これは論争の余地はかけらもない生理学的事実です。

医学教科書の定番である「ハーパー生化学」や「ガイトン臨床生理学」にも、脳がケトン体を利用することは明記されています。

ケトン体とは脂肪酸の分解物で小さくなっています。

アセト酢酸、アセトン、β-ヒドロキシ酪酸の3つを総称してケトン体といいます。

このうちβ-ヒドロキシ酪酸はケトン基を持っていないので、正確にはケトン体ではなく短鎖脂肪酸です。

しかし医学界でも自然科学界でも習慣的に、β-ヒドロキシ酪酸をケトン体と呼んできました。


江部康二


☆☆☆
グリコの「栄養成分ナビゲーター」
http://www.glico.co.jp/navi/index.htm
「栄養成分ナビゲーター」は、簡単な操作で、一般食品(1,878品目)の中から、知りたい栄養成分情報をリアルタイムで取り出すことができるシステムです。
それぞれの食品に含まれるエネルギー(カロリー)・たんぱく質・脂質をはじめ、ミネラルやビタミン、食物繊維など、私たちの健康に欠かすことのできない栄養成分の含量を表示して計算できます。
あなたのバランスのよい食生活の実現と健康づくりのために「栄養成分ナビゲーター」をぜひご利用ください。

グリコの「栄養成分ナビゲーター」
炭水化物・糖質
http://www.glico.co.jp/navi/dic/dic_04.html
どんな働きをするのですか
 糖質は体の主要なエネルギー源です。消化・吸収されて血液といっしょに全身をめぐり、体の中で1gあたり4kcalのエネルギーになります。特に脳では血液中の糖質(ブドウ糖)だけがエネルギー源なので、極端に糖質が不足すると意識障害などがおこることがあります(通常はこのようなことはおこりません)。また糖質は、同じエネルギー源でも脂質やたんぱく質と比べると、すばやく使えるという特長があります。このため、ウォーキングなど長時間の軽い運動には主に脂質が使われますが、短距離走のように短時間の激しい運動には糖質からのエネルギーが使われます。
 糖質の体内での存在量は意外に少なく、血液中のブドウ糖のほか、肝臓や筋肉にグリコーゲンとして少量を貯蔵しているだけです。すぐ使う量以上に食べた糖質は、体の中で脂肪となって蓄積されるからです。


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限ドットコムから、砂糖や果糖を全く使っていないハム・ソーセージが新発売です
こんにちは。

今、スペインへ糖質制限CAVA(スペインのシャンパンですね)の商談に行ってるあらてつさんの、糖質制限ドットコムより、砂糖や果糖を全く使っていないハム・ソーセージが新発売になりました。

ハム

これまで、砂糖や果糖を使っていないハム・ソーセージと言えば、日本ハムの糖質ゼロソーセージや糖質ゼロロースハムくらいしかありませんでした。

しかも売ってるお店が少ないのか、あまり見かけることがなく、近所のスーパーに行って売っていたら、必ず買いだめして、冷蔵庫にストックしていました(^_^;)

なので、今回、「糖質制限ファームシリーズ」が糖質制限ドットコムから発売されたことは、私にとっても喜ばしいことです。

これならもうスーパーでカゴ一杯にハム・ソーセージを入れてレジの方に変な目で見られることもなくなりますので(^o^)

あらてつさん、以前からこだわりの強いオトコでしたが、最近は、スペインまでオリーブオイルやワインを探しに行くなど、取り扱う食材に対して随分とこだわり方が強くなってきています。

今回の糖質制限ハム・ソーセージも、何を思ったのかいきなり、味と原材料にとことんこだわって糖質制限でハム・ソーセージを作ります!と言い出し、これまたほとんど手作りに近いこだわりのハム・ソージを作るメーカーさんを見つけ、糖質制限でのハム・ソーセージを完成させてしまいました。

原料の豚は、北海道でホエー(乳清)を与えられて放牧された「ホエー豚」を使用し、砂糖・果糖を一切使わない上、大手メーカーさんが嵩ましのために植物蛋白を入れて作るところを、こちらも一切使用せず、肉本来の旨味と食感を追求したそうです。

種類の方も、ロースハム、プレスハム、ボンレスハム、焼豚、ベーコン、ソーセージと豊富なのが嬉しいですね(^_^)

糖質だけではなく、美味しさにこだわる糖質セイゲニストの皆さん、是非ともお試しあれ(^o^)



江部康二


詳細、お求めは糖質制限ドットコムまで。


糖質制限 ファームシリーズ
http://www.toushitsuseigen.com/shop/set_farm.html



テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
米国糖尿病学会、栄養療法に関する声明を発表、糖質制限食も受容(2)
今回の本ブログ記事、

上久保Drのblog
http://kamikubo.exblog.jp/18786250/

で、成人糖尿病に推奨される栄養療法 米国糖尿病学会の見解2013を紹介しておられましたので、参考にさせていただきました。

上久保先生すみません。ありがとうございます。

精神科医師Aさん、上久保Drのブログを紹介していただきありがとうございました。

今回の記事、

2013.10.21の本ブログ記事
「米国糖尿病学会、栄養療法に関する声明を発表、糖質制限食も受容」

の追加・補足です。

本日、米国糖尿病学会(ADA)の今回の声明・提言を読み直してみました。

そして、

『全ての糖尿病患者に適した“one-size-fits-all(唯一無二の)”食事パターンは存在しないとの見解を表明』

という記載は、日本糖尿病学会に対する痛烈な批判になっていることに気づきました。

すなわち日本糖尿病学会は、1969年の食品交換表第2版からは44年間にわたり、終始一貫、唯一無二の食事療法として「カロリー制限食」を推奨してきた事実があります。

しかも、カロリー制限食の糖尿病に対する治療効果にエビデンスはないことは、糖尿病学会自身が認めておられます。

今回のADAの声明に対する日本糖尿病学会の提言を是非伺いたいものです。

あと興味深いのは<蛋白質>の項目です。

『糖尿病腎症の所見のない糖尿病患者では、最適な血糖コントロール、あるいは、心血管疾患リスクの改善のための理想的な蛋白質摂取量に関しては、これを推奨するに足る十分なエビデンスは存在しない。したがって、目標は個別化されなければならない。C

糖尿病腎症(微量アルブミン尿、および、顕性蛋白尿)を有する糖尿病患者では、通常の摂取量以下に蛋白質摂取量を減量することは、血糖状態、心血管リスク、あるいは、糸球体ろ過率低下の経過に変化を与えないので、推奨されない。A』


糖尿病腎症のない糖尿病患者での理想的な蛋白質摂取量のエビデンスは存在しないと断定しています。

さらに踏み込んで、糖尿病腎症を有する患者においても、「蛋白質制限は推奨しない」とランクAで断定しています。

日本糖尿病学会とはえらい差ですが、これに関しても是非、日本糖尿病学会の見解が知りたいですね。

それから、2013.10.21の本ブログ記事では簡略化していた19項目についての提言およびエビデンスの格付けをまとめた(表)を全て掲載です。

なお、米国糖尿病学会、栄養療法に関する声明の3つの記事は一緒にまとめようと思ったのですが、なんとFC2ブログ、4分割しないとアップできませんでした。

文字数が多かったのかな?(∵)?


江部康二



テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
米国糖尿病学会、栄養療法に関する声明を発表、MT Pro記事
19項目対象に提言とエビデンスの格付けまとめる 表の後半

ADAは今回の声明において,最近のデータに基づき,食事療法全体の総括から食事パターンや各種食品,アルコールやナトリウム摂取に至るまで計19項目について提言およびエビデンスの格付けを次のようにまとめた(表)。

エビデンスの格付けの定義

A:質の高いRCTに基づく明確なエビデンス
B:質の高いコホート研究に基づく補助的エビデンス
C:質の高くない研究に基づく補助的エビデンス
E:専門家のコンセンサスまたは臨床経験

食事療法の提言

食事療法の効果

<炭水化物>

糖尿病患者における理想的な炭水化物摂取量に関してはエビデンスが十分ではない。したがって、各患者と共同してゴールを設定すべきである。C

炭水化物摂取量とインスリン量が食後血糖値に関して最も重要な影響因子であり得るため、食事プランの立案に際し、これらを考慮すべきである。A

カーボカウンティングや経験による見積もりによって摂取する炭水化物量を評価することが、血糖コントロール達成のための主要戦略であることには変わりない。B

良好な健康状態を得るため、野菜、果物、全粒穀物、豆類および乳製品から炭水化物を摂取することが勧められるべきである。特に、脂肪、砂糖、あるいは、Naを添加した食品から炭水化物を摂取することは勧められない。B

<glycemic index(GI)、glycemic load>

高GI食品を低GI食品で置換することで血糖コントロールがある程度改善する可能性がある。C

<食物繊維、全粒穀物>

糖尿病患者は、少なくとも、一般対象者に推奨されている量の食物繊維および全粒穀物を摂取すべきである。C

<砂糖によるでん粉の置換>

他の炭水化物を同カロリーの砂糖で置換しても血糖には大きな差はない可能性があるが、栄養素に富む食品の置換となる砂糖の摂取は最小量にとどめるべきである。A

<果糖>

自然食品(果物など)に含まれる果糖は同カロリーの砂糖やでん粉に比べ、血糖コントロールを改善する可能性があり(B)、過剰(>12%E)に摂取しなければ、中性脂肪に対し悪影響をおよぼすとは考えにくい(C)。

糖尿病患者は、体重増加や心血管危険因子の悪化を防ぐため、甘味飲料(清涼飲料)(高果糖コーンシロップや砂糖などのカロリーを有する甘味料を含有)の摂取を制限するか、避けるべきである。B

<人工甘味料>

カロリーのある甘味料をカロリーのないか、あるいは、少ない甘味料で置換し、他のカロリー食品を増量しなければ、総カロリーや総炭水化物摂取量の減少につながる可能性がある。B

<蛋白質>

糖尿病腎症の所見のない糖尿病患者では、最適な血糖コントロール、あるいは、心血管疾患リスクの改善のための理想的な蛋白質摂取量に関しては、これを推奨するに足る十分なエビデンスは存在しない。したがって、目標は個別化されなければならない。C

糖尿病腎症(微量アルブミン尿、および、顕性蛋白尿)を有する糖尿病患者では、通常の摂取量以下に蛋白質摂取量を減量することは、血糖状態、心血管リスク、あるいは、糸球体ろ過率低下の経過に変化を与えないので、推奨されない。A

2型糖尿病患者では、摂取蛋白質は血糖を上昇させることなくインスリン反応を増加させる。したがって、蛋白質を多く含有する炭水化物食品は低血糖の治療目的では用いるべきでない。B

<総脂肪>

糖尿病患者における理想的な総脂肪摂取量に関してはエビデンスが十分ではない。したがって、目標は個別化されるべきである(C)。脂肪の量より、その質が極めて重要である(B)。

<一価不飽和脂肪酸および多価不飽和脂肪酸>

2型糖尿病患者では、地中海式の一価不飽和脂肪酸に富む食事が血糖コントロールおよび心血管危険因子を改善する可能性があるため、低脂肪高炭水化物食に対する有用な代替として推奨され得るものである。B

<n3多価不飽和脂肪酸>

糖尿病患者においては、エビデンスは、心血管イベントの予防および治療目的でn3多価不飽和脂肪酸(EPAおよびDHA)のサプリメントを推奨することは支持しない。A

長鎖n3多価不飽和脂肪酸(EPAおよびDHA、油の多い魚)および、αリノレン酸(ALA)を含有する食品の摂取を増やすことは、観察研究において、リポ蛋白質の改善効果と心疾患の予防効果を有し、また、健康アウトカムの改善と関連していることから、一般対象者と同様に、糖尿病患者でも推奨される。B

糖尿病患者においても、一般対象者と同様に、週に少なくとも2回以上、魚(特に油の多い魚)を摂取することを推奨する。B

<飽和脂肪、食事性コレステロール、トランス脂肪>

 糖尿病患者に推奨される、飽和脂肪、コレステロール、トランス脂肪の摂取量は、一般対象者のそれと
 同じである。C

<植物スタノール、植物ステロール>

脂質異常症を伴う糖尿病患者では、強化食品に含有されるような1.6~3g/日の植物スタノール、植物ステロールの摂取により総およびLDLコレステロールが軽度に低下する可能性がある。C

<微量栄養素、ハーブサプリメント>

糖尿病患者では、欠乏がなければ、ビタミンやミネラルのサプリメントの有用性に関する明らかなエビデンスはない。C

・ビタミンE、C およびカロテンなどの抗酸化物質の日常的なサプリメント投与は、有用性に関する
 エビデンスがなく長期的安全性に関する懸念があることから勧められない。A

・クロミウム、マグネシウム、ビタミンDなどの微量栄養素を糖尿病患者の血糖コントロール改善の目的で
 日常的に使用することを支持する十分なエビデンスはない。C

・糖尿病治療にシナモンやその他のハーブを使用することを支持する十分なエビデンスはない。C

すべての微量栄養素の摂取基準に合致するように、食品の選択を含めた食事プランを個別的に作成することが推奨される。E

<アルコール>

糖尿病患者が飲酒する場合には、適量(成人女性では1日1杯、あるいは、それ以下、成人男性では1日2杯、あるいは、それ以下)にとどめるべきである。E

糖尿病患者では、飲酒により、特にインスリンあるいはインスリン分泌促進薬を使用中の場合、遷延性低血糖の危険性が増加する可能性がある。遷延性低血糖の自覚と対処法に関する教育と認識が求められる。C

<ナトリウム>

一般対象者でのNa摂取量を2300mg/日以下にするという推奨は糖尿病患者にも適合する。B

高血圧を合併する糖尿病患者では、更なるNa摂取制限は個別化されるべきである。B





テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
米国糖尿病学会、栄養療法に関する声明を発表、MT Pro記事
19項目対象に提言とエビデンスの格付けまとめる
ADA2013年、声明・提言 表の前半

ADAは今回の声明において,最近のデータに基づき,食事療法全体の総括から食事パターンや各種食品,アルコールやナトリウム摂取に至るまで計19項目について提言およびエビデンスの格付けを次のようにまとめた(表)。

エビデンスの格付けの定義
A:質の高いRCTに基づく明確なエビデンス
B:質の高いコホート研究に基づく補助的エビデンス
C:質の高くない研究に基づく補助的エビデンス
E:専門家のコンセンサスまたは臨床経験

食事療法の提言

食事療法の効果

<栄養療法の有効性>

栄養療法は、1型および2型糖尿病のすべての患者に対して、全体的な治療プランの構成要素として推奨される。A

糖尿病患者は、治療目標達成のために、個別的な栄養指導(可及的に糖尿病の栄養療法に詳しい管理栄養士による指導)を受けるべきである。A

・1型糖尿病患者では、カーボカウンティング法によるインスリン量調節の教育プログラムに参加することで血糖コントロールの改善がもたらされ得る。A

・投与インスリン量が固定されている患者では、炭水化物摂取のタイミングと量を一定にすることで、血糖コントロールの改善、および、低血糖リスクの減少がもたらされ得る。B

・摂取量の調整や健康的な食品の選択などの単純で容易な食事プランは、2型糖尿病で複雑な計算が困難な場合に適している可能性がある。また、このような方法は高齢者にも有用である可能性がある。C

糖尿病患者は、糖尿病診断時および必要に応じその後も、糖尿病自己管理教育を受け、また、自己管理のサポートを受けるべきである。B

糖尿病の栄養療法は医療費削減(B)、HbA1cの低下などのアウトカム改善(A)に寄与するので、栄養療法は医療保険の対象とされるべきである(E)。

<エネルギーバランス>

成人肥満2型糖尿病では、減量のために、健康的な食事パターンを維持しながら、摂取エネルギーを低下させることが推奨される。A

糖尿病患者の一部、特に発症間もない患者では、中程度の体重減少により有益な臨床的効果(高血糖改善、血圧・脂質の改善)が得られる可能性がある。中程度の体重減少を得るため、サポートを得ながらの生活習慣に対する介入(栄養療法、運動療法、および、行動変容に関するカウンセリング)が推奨される。A

<最適な栄養素比>

種々のエビデンスから、炭水化物、蛋白質、脂肪の比率に関して、ある特定の理想的な比率は存在しないことが示唆されている(B)。したがって、各患者において、現在の食事パターン、嗜好、代謝ゴールの個別的評価に基づき、比率が決定されるべきである(E)。

<食事パターン>

様々な食事パターン(食品の組み合わせ)が糖尿病管理目的で許容される。特定の食事パターンを推奨する際には、個人の嗜好(伝統、分化、宗教、健康志向、経済的側面など)および代謝ゴールが考慮されるべきである。E

(なお、食事パターンとして、地中海食、菜食、低脂肪食、低炭水化物食、DASH食が挙げられています。)

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米国糖尿病学会、栄養療法に関する声明を発表、MT Pro記事
☆☆☆

以下2013.10.17MT Pro記事から一部抜粋

糖尿病患者の食事療法に関する声明を5年ぶりに改訂,ADA

個別化を推奨

米国糖尿病学会(ADA)はこのほど,成人糖尿病患者の食事療法に関する声明(Position Statement on Nutrition Therapy)を改訂したと発表した(Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版)。2008年に前回の改訂が行われてから5年ぶり。今回の改訂のポイントは,各患者の健康に関する目標や知識,個人的嗜好または文化的背景などに加え,食生活の変更に対する意欲や能力などに基づいて個別化されるべきとしている点だ。なお,今回の改訂は成人の1型および2型糖尿病患者に限定したレビューに基づいており,2型糖尿病の発症予防や合併症管理,妊娠糖尿病などは含まれていない。

“one-size-fits-all”の食事パターンはなし,患者の積極的な参加が不可欠

糖尿病治療において,薬物療法の前に導入が推奨されている食事療法と運動療法。声明では,糖尿病患者における食事療法の理想について,“診断直後から管理栄養士(RD)もしくは米国外であれば有資格のプロ栄養士による指導が行われれるべき”と明記している。

しかしながら現状は厳しく,“米国の糖尿病患者の約半数がなんらかの糖尿病に関する教育を受けたが,RDとの面談ができたのはより少ない”とした。ある報告では,1万8,404例の糖尿病患者のうち,最低1回以上の栄養に関する介入を受けたのは,わずか9.1%であったという。

今回の声明では,全ての糖尿病患者に適した“one-size-fits-all(唯一無二の)”食事パターンは存在しないとの見解を表明。また,各患者が積極的に自己管理や教育に関わり,食生活の見直しを含む治療プランに医療者と共同で臨むことが不可欠である点も強調した。各患者の治療目標の達成と維持に向けて,患者ごとにさまざまな食事パターン〔地中海食,ベジタリアン食,糖質制限食,低脂質食,DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食〕が受容可能であるとしている。




有益性に対するバイアスの検証や長期的に持続可能かなど今後の課題も提示

今回の改訂は,昨年発表された系統的レビューの結果に基づいて作成されたもの(関連記事,Diabetes Care 2012; 35: 434-445)。全ての患者に当てはまる唯一無二の食事療法は存在しないと明言し,各患者の健康に関する目標や知識,個人的嗜好または文化的背景などに加え,食生活の変更に対する意欲や能力などに基づいて個別化されるべきとしている。

しかし,現段階では文献によって結果が異なる点もあることを認め,特に以下のような点については今後の研究でさらなる検証が不可欠と指摘した。

・多様な集団における食事パターンと疾患の関連

・地中海式食事パターンにおける有益性に対するバイアスと,地中海式食事パターンを多様な集団用に
 アレンジすること

・糖質制限食や中等度糖質食の定義の標準化および長期的持続可能性に対する決定
 
これらに加え,より多くの糖尿病患者が診断直後から長期的な食事療法を導入することに関する体系的なプロセスについても検討が必要とした。

(編集部)



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江崎グリコさんの栄養成分ナビが便利
【13/10/23 よしかわ

カロリーについて

江部先生

ブログいつも拝見させていただいています。

日に日に糖質制限食が広まっているのを感じることができてうれしいかぎりです。

さて、摂取カロリーについてですが、私は、江崎グリコさんのホームページにある、栄養成分ナビというページをよく利用させていただいています。
http://www.glico.co.jp/navi/index.htm
http://www.glico.co.jp/cgi-bin/navi/start.cgi?A=go1

カロリーだけではなく、ほかの栄養素なども詳しくわかるので、非常に重宝させていただいています。
(江部先生はすでに、ご存じかと思いますが。)

このブログで一度ご紹介していただければ、みなさまのご参考になるのではと思い、コメントさせていただきました。

今後とも、よろしくお願いいたします。

P.S 夏井先生の炭水化物の本も購入いたしました。今日届く予定です。(たのしみ、たのしみ) 】



こんばんは。

よしかわさんから
便利な情報をコメントしたいただきました。
ありがとうございます。

私も知りませんでしたのでこれから利用させて貰います。
江崎グリコさんもありがとうございます。


江部康二
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糖質制限食実践中に生じることがある好ましくない症状について(2)
こんにちは。

糖質制限食実践中に比較的よくある症状に「こむら返り」があります。

良くあるといっても、10人に1人くらいでしょうか。

糖尿病の私の患者さんやブログ読者の皆さんからも、糖質制限食とこむら返りに関して時々質問があります。

以前、本ブログのコメントで

「糖質制限食だと肉や魚介類や野菜・海藻などおかずを沢山摂るので、ビタミン・ミネラル不足は起こらない。そして糖質制限食実践中の患者さんで、いままでこむら返りの訴えは、ほとんどない。」

と回答したことがありました。

私自身は全くこむら返りを起こしませんでしたし、初期の頃の患者さんでも、あまり訴えはなかったのです。

しかし、その後、ブログ読者で糖質制限食実践後に、こむら返りが生じた人が時におられることが、コメントで判明しました。

また高雄病院や江部診療所の糖質制限食実践中の患者さんでも、その後、時々あります。

さらに、灯台もと暗し・・・。

何と、京都高雄倶楽部の「あらてつ」さんが、糖質制限食開始初期に、糖質ゼロ食(釜池先生の究極の糖質制限食)に近い食事をしていて、運動も良くしていて、結構きついこむら返りを起こしていたそうです。

あらてつさんの場合、カルシウムを含むミネラルのサプリでたちどころに治ったそうです。

確かに野菜・海藻も摂らない極端な糖質制限食だと、カルシウムなどミネラル不足などで、こむらがえりを起こすことがあるようですね。一般にカルシウムやマグネシウムが不足すると、こむら返りを起こしやすいとされています。

カルシウムは乳製品・干しエビ・小魚・海藻・緑黄色野菜などに多く含まれています。

マグネシウムは、大豆製品・魚介類・海藻・ナッツ類に多く含まれています。

従って、カルシウムやマグネシウムは糖質制限食OK食品に多く含まれているので、こむら返りも通常は起こらないのだと思います
 
一方、糖質制限食に関係なく、スポーツの最中や後にこむら返りを起こすことはよくありますよね。

実際、私の所属するテニスクラブのメンバーでも、よくこむら返りを起こすタイプがおられます。幸い私はスポーツ中やその後も起こしたことがありません。

激しいスポーツをして汗をかくと、汗とともに多量のミネラルが体の外に排出されてしまいます。ですから、カルシウム・マグネシウムなどミネラルをちゃんと補給してやらないと、筋肉が痙攣したり足が攣ったりします。

糖質制限食の場合、相対的に高脂質・高タンパク・高繊維食となります。

自ら1型糖尿人でスーパー糖質制限食実践中のバーンスタイン医師によれば、野菜に多い食物繊維は食事中のカルシウムと結合してカルシウム吸収をさまたげ、タンパク質中のリン化合物もカルシウムとわずかに結合するそうです。

バーンスタイン医師は、

「糖質制限食実践中で、チーズ・ヨーグルト・クリームを摂らない人たち、特に閉経後の女性」

には、カルシウム補充を奨めています。

つまり、糖質制限食実践中のほとんどの人でサプリは必要ないと思いますが、上記のバーンスタイン医師の条件に当てはまる人やこむら返りをよく起こす人、また結構スポーツをする人は、安価なカルシウム・マグネシウム剤、或いは安価なマルチビタミン剤を補充するのもよいと思います。

スポーツを全くしない人でも糖質制限食実践中にこむら返りを起こすことがあります。

この場合もカルシウム・マグネシウム剤、マルチビタミン剤でほとんど良くなります。

なお、漢方薬の芍薬甘草湯(68番)もこむら返りに有効です。

2週間以上、芍薬甘草湯を内服すると、時に血中カリウムが低下することがあるので、連用している人は注意してくださいね。

江部康二


参考までに下記はあらてつさんのブログからの抜粋です。

☆☆☆☆☆
(腓返り) 足が攣ってしまった編 あらてつ(2009年07月02日)

・・・
今日のお題は「こむらがえり」です。

糖質制限食で「足が攣る」症状を訴えられる方、多いです。

先日も、女性の方から「足が攣って仕方ない」とお電話いただきました。

私の場合、糖質制限食を始めて10日くらい経った頃でしょうか、寝ていて足のふくらはぎが攣るようになったんです。

最初は片足だけだったのですが、しだいに両足になり、しかも激しく攣るようになりました。

ご経験のある方はお分かりかと思いますが、寝ていて足が攣ると、その痛さはハンパじゃないです。

しかも、寝ていていきなり攣りますから、痛みがはしった瞬間、ナニが起こったかわかりませんからタチが悪いです。

でね、さらにしばらくすると、今度はふくらはぎのみならず、スネの筋肉まで攣るようになったんですね。

ふくらはぎとスネの筋肉って、伸ばす方向が逆なもんで、両方いっぺんに攣ると、ほんとにどないしようもないんですよ。しかもそれが両足ですから、寝られたもんじゃなかったです。

な~んで足が攣るのか思い当たる原因もなく、毎晩のたうちまわっていたのですが、ふとスポーツをしていた頃のことを思い出しました。

激しいスポーツをして汗をかくと、汗とともに多量のミネラルが体の外に排出されてしまいます。ですから、ミネラルをちゃんと補給してやらないと、筋肉が痙攣したり足が攣ったりします。

で、この時はミネラルのサプリメントを飲むと、腕の筋肉の痙攣やふくらはぎが攣る症状が出なくなったので、今回の足の攣りもミネラル飲んだら治るかもと思ったんです。

早速、マルチミネラルのサプリを買って飲んでみると、飲んだその晩から足の攣りが見事に治まりました。

私の場合、人体実験と減量目的で糖質制限食を始めたので、最初はかなり極端に糖質をカットしました。野菜にはそこそこ糖質が含まれるものもあるので、始めた当初、野菜はほとんど食べずに、肉・魚・玉子・チーズと、脂質とタンパク質ばっかりの食事になっちゃったんです。

糖質制限食に取り組むと、私ほど極端ではなくても、ご飯やパンなどの主食がない分、しっかりお腹を膨らまそうとすると、どうしても肉や魚が多くなって、野菜が少ないメニューになりがちなんですね。

そうすると、つい野菜の摂取が少なくなりますから、それらに含まれる微量元素、いわゆるミネラル類が不足してしまいます。

ちなみに、私と同時期に同じやり方で糖質制限食に取り組んだ2人も、同じ症状が出てミネラルのサプリで治りました。・・・


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食実践中に生じることがある好ましくない症状について(1)
こんにちは。

糖質制限食実践中に生じることがある好ましくない症状について、考察してみます。

今まで、本ブログでも、便秘、全身倦怠感、こむら返り・・・etc

そのつど質問に対して答えを記事にしてきたのですが、今回は一つずつ順番に検討してみます。

<全身倦怠感など>

糖質制限食実践中の糖尿病患者さんで、一番多く経験したのが、

「血糖値とHbA1cは速やかに改善したが、全身倦怠感、筋力低下、痩せ過ぎ」

などで困っているという訴えでした。

多いといっても、せいぜい数%以下ですが・・・。

これらの患者さん、一応管理栄養士が面談して、食事を詳細に検討しました。

その結果、ほぼ全員が摂取エネルギー不足でした。

例えば、男性で1200kcal/日とか女性では1000kcal/日とかです。

当然のことですが、糖質制限食の範疇で摂取エネルギーを増やして、厚生労働省のいう標準必要エネルギーを満たして貰うと、皆さん「全身倦怠感、筋力低下、痩せ過ぎ」は速やかに改善しました。

ご高齢で少食タイプの場合、高雄病院給食のスーパー糖質制限食「約500kcal」を食べきれない人が時々おられます。

このような時は、間食にチーズ、ナッツ、少量の果物を摂っていただき、料理にもオリーブオイルやエゴマ油を積極的に使って、兎に角摂取エネルギーを増やすことが、唯一の解決策です。

あと、とくに少食ではないのだけど、長年の習慣と思いこみで、<糖質制限+脂質制限>を無意識レベルで実践してしまう人があります。

この場合は、タンパク質、葉野菜、海藻、茸・・・とかばかり食べるので摂取エネルギー不足になります。

刺身や焼き魚や鶏肉のササミや豆腐などタンパク質食材は、基本低カロリー食材なのです。

<糖質制限+脂質制限>でヘロヘロになった方は、脂質をしっかり摂取していただけばエネルギー不足はたちどころに解決です。

NHKクローズアップ現代 2012年8月30日(木)放送
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3239_all.html

糖質制限食成功例として、藪田亜矢子さんが登場したあと、自分で勝手に糖質制限食をして、失敗したという男性が出演されました。

『長年、糖尿病に悩んでいたこの男性。2011年、自己流で糖質制限を始めました。

「ごはん類とパン類を一切なくした食事です。」

糖質をほとんどとらなくなったことで、食事のカロリーは以前の3分の1にまで減りました。2か月で血糖値の指標は大幅に改善しました。

ところがその後、体調が悪化。

足の筋力が衰え、手すりをつかまないと階段も上れなくなりました。』


この男性、典型的な<糖質制限+脂質制限>例です。

摂取カロリーが以前の1/3に減少ということですので、極端なカロリー制限の結果、
『足の筋力が衰え、手すりをつかまないと階段も上れなくなりました。』ということです。

これは糖質制限食による筋力低下ではなく、カロリー不足による筋力低下です。


カルピンチョ先生が、ご自身のブログで
http://xn--oqqx32i2ck.com/review/cat18/post_179.html

米国のDr.Cateの仮説

「あまりにも急激な糖質制限は甲状腺トラブルとホルモンバランスの乱れを招く」

を紹介しておられます。

そういうことも、可能性としてまれにありえるのかなと思いますが、私の患者さんたちは、摂取エネルギーを標準に増やすことで基本的に全員、症状は改善しておられますので甲状腺は関係なかったことになります。

なお
Dr.Cateは、

「いきなり厳しい糖質制限すると、糖質以外に慣れてない体は、それが飢餓状態であると勘違いしてしまいます。」

と述べておられるそうですが、本当の飢餓状態(例えば神経性食欲不振症など)ではT3が低下してT4、TSHは正常です。

T3が低値で、T4、TSHとも正常な病態は「Low T3 syndrome」と呼ばれます。

飢餓や低栄養の場合、人体が代謝を低下させてエネルギー消費を抑えるための生体反応と考えられています。

これは甲状腺機能低下症ではありません。

そして、無症候性の甲状腺機能不全は比較的一般的で、高齢女性、特に橋本甲状腺炎が基礎にある高齢女性の15%近くに生じるそうです。

つまり少々の甲状腺機能低下があっても、無症状のことも多いということですね。

スーパー糖質制限食で、しっかりエネルギー摂取している人が、3ヶ月や半年で甲状腺機能低下症になるとは考えにくいです。


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
米国糖尿病学会、栄養療法に関する声明を発表、糖質制限食も受容
こんばんは。

米国糖尿病学会が2008年以来5年ぶりに、

成人糖尿病患者の食事療法に関する声明(Position Statement on Nutrition Therapy)

を改訂したと発表しました。(Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版)。

今回の声明では、全ての糖尿病患者に適した“one-size-fits-all(唯一無二の)”食事パターンは存在しないとの見解を表明しました。

そして、患者ごとにさまざまな食事パターン〔地中海食,ベジタリアン食,糖質制限食,低脂質食,DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食〕が受容可能であるとしています。

糖質制限食もちゃんと認められています。

日本糖尿病学会も、そろそろ「カロリー制限食」という「唯一無二の食事パターン」を糖尿人に押しつけるのはやめにする時期がきたのではないでしょうか?

さらに主要栄養素の最適な混合の項目で、

「全ての糖尿病患者に最適な炭水化物、蛋白質、脂質における理想的な比率を示唆するエビデンスはない。」ということを、ランク(B)としています。

注目の炭水化物の項目では、

・糖尿病患者における炭水化物の理想的な摂取量については結論が得られていないため、各患者と協議した目標を設定すべきである。(C)

・炭水化物の摂取量とインスリン使用は食後のインスリン反応に最も影響を与える可能性があるため、食事療法の計画を立てる上で考慮されるべきである。(A)

・炭水化物摂取をモニタリングを、カーボカウントで行うか、あるいは経験に基づく推測で実施するかは、依然として血糖管理の改善における重要な戦略である。(A)

・健康を考慮し、炭水化物は、特に脂肪・砂糖・ナトリウムが添加された食品からよりも、野菜、果物、全粒、豆、乳製品からより多く摂取することを勧めるべきである。(A)


蛋白質:脂質:炭水化物のPFCバランスに関しては、エビデンスなしです。

炭水化物に関して、理想的な摂取量については、結論が得られていないということです。

一方、炭水化物摂取量の考慮、炭水化物摂取モニタリングはランク(A)で推奨しており、「炭水化物だけが、血糖値に変わる」という知識が医学界に周知されていることが前提になっていると思われます。

エビデンスの格付けの定義
A:質の高いRCTに基づく明確なエビデンス
B:質の高いコホート研究に基づく補助的エビデンス
C:質の高くない研究に基づく補助的エビデンス
E:専門家のコンセンサスまたは臨床経験

米国糖尿病学会(ADA)の2013年10月の「栄養療法に関する声明」ですが、多様性と個別化を目指す中で、今まで以上に糖質制限食を受容という方向で、とても好ましいです。



江部康二



☆☆☆
以下MT Pro記事から一部抜粋
糖尿病患者の食事療法に関する声明を5年ぶりに改訂,ADA
個別化を推奨

 米国糖尿病学会(ADA)はこのほど,成人糖尿病患者の食事療法に関する声明(Position Statement on Nutrition Therapy)を改訂したと発表した(Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版)。2008年に前回の改訂が行われてから5年ぶり。今回の改訂のポイントは,各患者の健康に関する目標や知識,個人的嗜好または文化的背景などに加え,食生活の変更に対する意欲や能力などに基づいて個別化されるべきとしている点だ。なお,今回の改訂は成人の1型および2型糖尿病患者に限定したレビューに基づいており,2型糖尿病の発症予防や合併症管理,妊娠糖尿病などは含まれていない。

“one-size-fits-all”の食事パターンはなし,患者の積極的な参加が不可欠

 糖尿病治療において,薬物療法の前に導入が推奨されている食事療法と運動療法。声明では,糖尿病患者における食事療法の理想について,“診断直後から管理栄養士(RD)もしくは米国外であれば有資格のプロ栄養士による指導が行われれるべき”と明記している。

 しかしながら現状は厳しく,“米国の糖尿病患者の約半数がなんらかの糖尿病に関する教育を受けたが,RDとの面談ができたのはより少ない”とした。ある報告では,1万8,404例の糖尿病患者のうち,最低1回以上の栄養に関する介入を受けたのは,わずか9.1%であったという。

 今回の声明では,全ての糖尿病患者に適した“one-size-fits-all(唯一無二の)”食事パターンは存在しないとの見解を表明。また,各患者が積極的に自己管理や教育に関わり,食生活の見直しを含む治療プランに医療者と共同で臨むことが不可欠である点も強調した。各患者の治療目標の達成と維持に向けて,患者ごとにさまざまな食事パターン〔地中海食,ベジタリアン食,糖質制限食,低脂質食,DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食〕が受容可能であるとしている。


19項目対象に提言とエビデンスの格付けまとめる

 ADAは今回の声明において,最近のデータに基づき,食事療法全体の総括から食事パターンや各種食品,アルコールやナトリウム摂取に至るまで計19項目について提言およびエビデンスの格付けを次のようにまとめた(表)。

表が上手く表示できなかったので、食事療法の提言の記載を、以下一部転載。


食事療法の提言
食事療法の効果
・全ての1型・2型糖尿病患者において、食事療法は全治療計画の中で効果的である。 (A)


栄養バランス
・過体重・肥満の2型糖尿病患者の場合、減量を促進するために健康的な食事パターンを維持しながら摂取エネルギー量を抑制することが推奨される。(A)


主要栄養素の最適な混合
・全ての糖尿病患者に最適な炭水化物、蛋白質、脂質における理想的な比率を示唆するエビデンスはない。(B)


食事パターン
・糖尿病の管理において、さまざまな食事パターン(種類の異なる料理や食品群)は許容される。食事パターンの推奨に際しては、各患者の嗜好(例:伝統、文化、宗教、健康上の信念、目標、経済事情)および代謝目標が考慮されるべきである。(E)

炭水化物
・糖尿病患者における炭水化物の理想的な摂取量については結論が得られていないため、各患者と協議した目標を設定すべきである。(C)
・炭水化物の摂取量とインスリン使用は食後のインスリン反応に最も影響を与える可能性があるため、食事療法の計画を立てる上で考慮されるべきである。(A)
・炭水化物摂取をモニタリングを、カーボカウントで行うか、あるいは経験に基づく推測で実施するかは、依然として血糖管理の改善における重要な戦略である。(A)
・健康を考慮し、炭水化物は、特に脂肪・砂糖・ナトリウムが添加された食品からよりも、野菜、果物、全粒、豆、乳製品からより多く摂取することを勧めるべきである。(A)

グリセミック指数(GI)および血糖負荷
・GI値の高い食品から低い食品に代替することで、多少の血糖改善効果が得られる可能性がある。(C)

食物繊維および全粒
・糖尿病患者は、少なくとも一般人口で推奨されるのと同量の食物繊維および全粒を消費すべきである。

澱粉の代替品としてのショ糖


果糖


非栄養性甘味料(NNS)・低カロリー甘味料


蛋白質


総脂肪


一価不飽和脂肪酸(MUFA)・多価不飽和脂肪酸(PUFA)


ω3系脂肪酸


飽和脂肪・食事性コレステロール・トランス脂肪


植物スタノール・ステロール


微量栄養素・ハーブ系サプリメント


アルコール


ナトリウム



有益性に対するバイアスの検証や長期的に持続可能かなど今後の課題も提示

 今回の改訂は,昨年発表された系統的レビューの結果に基づいて作成されたもの(関連記事,Diabetes Care 2012; 35: 434-445)。全ての患者に当てはまる唯一無二の食事療法は存在しないと明言し,各患者の健康に関する目標や知識,個人的嗜好または文化的背景などに加え,食生活の変更に対する意欲や能力などに基づいて個別化されるべきとしている。

 しかし,現段階では文献によって結果が異なる点もあることを認め,特に以下のような点については今後の研究でさらなる検証が不可欠と指摘した。

・多様な集団における食事パターンと疾患の関連
・地中海式食事パターンにおける有益性に対するバイアスと,地中海式食事パターンを多様な集団用にアレンジすること
・糖質制限食や中等度糖質食の定義の標準化および長期的持続可能性に対する決定
 
これらに加え,より多くの糖尿病患者が診断直後から長期的な食事療法を導入することに関する体系的なプロセスについても検討が必要とした。

(編集部)


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熊本県保険医協会講演会 「糖質制限食の有効性と留意点」のご報告
こんばんは。

2013年10月19日(土)は、江部診療所の外来が終了したあと、新幹線で熊本に移動しました。

熊本県保険医協会講演会 「糖質制限食の有効性と留意点」
場所:市民会館崇城大学ホール・大会議室
    熊本市中央区桜町1番3号
日時:10月19日(土) 18:30~21:00
講演1 18:30~18:40(10分) 講師 矢野まゆみ先生
講演2   18:40~20:10(90分)  講師 江部康二
座長質疑  20:10~20:30(20分)
フロア質疑 20:30~21:00(30分)


医師、歯科医師、栄養士など160人を超える参加者があり、盛況でした。

講演1では、矢野先生から1224例の糖尿病患者さん(2型が1143例、1型が81例)において糖質制限食(プチとスタンダード、スーパーはなし)を実践しているグループと、していないグループで、HbA1cとBMIを比較検討してご報告いただきました。

BMIは糖質制限食グループで有意差をもって低く、HbA1cも2型において、7.3%対6.9%で統計的有意差がありました。
1型患者さんの場合、症例が少ないことと、既にカーボカウントを導入されていたこともあり、有意差はでなかったとのことでした。

私も講演時間が90分間とたっぷりでしたので、ゆっくり話すことができました。

フロアの医師からの発言もありました。

内科の先生で、12人の2型糖尿病患者さんに糖質制限食を導入したところ、2ヶ月間で、HbA1c平均8.2%から、平均2%下がって改善したとご報告いただきました。
ご自身も糖質制限食で減量に成功しておられます。

整形外科のドクターは、やはりご自身が糖質制限食で減量に成功されて、マラソンの記録も伸びたとのご発言がありました。

肥満患者さんにも糖質制限食を推奨・実践されて、著明な効果をあげておられます。

他にも、熊本市で糖質制限食を実践しておられるドクターが複数おられました。

名刺交換ができなかった医師も複数おられましたが、糖質制限食に関するご質問やご意見など、高雄病院のアドレスにメールしていただければ幸いです。

特にご自身で糖質制限食を実践しておられ、糖尿病患者さんにも指導しておられるドクターは、メールして頂けたら嬉しいです。

高雄病院メールアドレス:takao-info@ac.auone-net.jp

最後になりましたが座長をつとめて頂いた、矢野先生、戸高先生ありがとうございました。

そして、美味しい糖質制限な料理と球磨焼酎をご馳走していただきました

森永先生をはじめ熊本県保険医協会の先生方、ありがとうございました。


江部康二


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「食の常識非常識!?糖質の役割と糖質制限の可能性」公開講座 仙台
おはようございます。

杜の都仙台にて、

2013年11月9日(土)13時-17時

操体バランス運動研究会主催の公開講座
「食の常識非常識!?糖質の役割と糖質制限の可能性」

が開催されます。

私は「糖質制限の可能性―食のパラダイムシフト」と題してお話しします。

須永隆夫先生、渡邉勝久先生、橋本雄二先生とのパネルディスカッションも楽しみです。

操体バランス運動研究会という場をお借りしていつも以上に、幅広い内容の展開になりそうです。

仙台、宮城県、近隣の皆様、是非、ご参加ください。
ご来場、お待ちしております。


江部康二


以下
第30回全国操体バランス運動研究会実行委員会
からのコメントです。


操体バランス運動研究会主催 公開講座

高雄病院 江部康二先生と考える
食の常識非常識!?糖質の役割と糖質制限の可能性

 毎日摂る食事は、体を動かす原動力。摂り方によっては病気になったり
老化を早めたり。糖尿病を心配する方も、一生を元気に暮らしたいと思う方にも必聴のお話です。

●期 日:2013年11月9日(土)13時-17時

●会 場:東京エレクトロンホール宮城 (宮城県民会館6階601号会議室)
           仙台市青葉区国分町3-3-7 TEL 022-225-8641

     13時 基調講演「糖質制限の可能性―食のパラダイムシフト」   
        講師 江部康二(高雄病院)

     15時 パネルディスカッション
     「食における糖質の位置づけ―社会との共生」     
    講師      須永隆夫(木戸クリニック)
             渡邉勝久(神戸温古堂)
             江部康二(高雄病院)
             橋本雄二(橋本クリニック)

●参加費(事前申し込み)    2000円(資料代として)

●お問合せ・お申し込み 
 〒980-0822  仙台市青葉区立町27-21 温古堂内
        第30回全国操体バランス運動研究会実行委員会
        TEL 022-223-3230  FAX 022-223-3233 
        メールアドレス tatee55@yahoo.co.jp



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「炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学」刊行
こんにちは。

炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学 (光文社新書)
夏井 睦  著





が2013年10月17日(木)に発売開始されました。

畏友、夏井睦先生、待望の糖質制限食の本です。

書名からして、超過激で、夏井先生らしいです。

私は、アマゾンで予約してたので、本日、江部診療所に10冊ほど届きました。

高雄病院に移動して、早速、医師や栄養士に配りました。
皆の感想が楽しみです。

本日18日(金)夜は、バンド・ターニングポイントの第三金曜ライブですので読む暇がありません。

明日10月19日(土)は江部診療所終了後、午後7時から、熊本県保険医協会で講演(クローズドで会員のみ参加)です。

往復の新幹線でじっくり読みたいと思います。

とても楽しみで、明日が待ち遠しいです。


江部康二


以下は、出版社からのコメントです。

◆「糖質制限」の陰の火付け役による待望の書!

糖質は人類にとって、神か、悪魔か――

◆著者は、光文社新書のロングセラー『傷はぜったい消毒するな』でもよく知られる「湿潤療法」のパイオニアだが、じつは昨今の糖質制限ブームの陰の火付け役としても知られている。

傷の治療法の発明時と同様、自分の身体で糖質制限を試し、その効果や危険のなさを確かめた著者は、糖尿病の糖質制限治療の第一人者である江部康二氏と親交を深めながら、栄養素としての糖質の性質や、人類の糖質摂取の歴史、
カロリーという概念やその算出法のいいかげんさ、そしてブドウ糖からみえてくる生命の諸相や進化などについて、独自の考察や研究を開始。

本書では、糖質からみた農耕の起源についても新説を展開、穀物栽培によって繁栄への道を得た人類が、穀物により危機への道をたどりつつあることも指摘する。

著者のHPに日々寄せられる、多くの糖質セイゲニストからの体験談の一端も紹介。

糖質を切り口に様々なことを考える。


【目次】

はじめに

I やってみてわかった糖質制限の威力

II 糖質制限の基礎知識

III 糖質制限にかかわるさまざまな問題

IV 糖質セイゲニスト、かく語りき

V 糖質制限すると見えてくるもの

(1) 糖質は栄養素なのか?
(2) こんなにおかしな糖尿病治療
(3) 穀物生産と、家畜と、糖質問題
(4) 食事と糖質、労働と糖質の関係

VI 浮かび上がる「食物のカロリー数」をめぐる諸問題

(1) 世にもあやしい「カロリー」という概念
(2) 哺乳類はどのようにエネルギーを得ているのか
(3) 低栄養状態で生きる動物のナゾ
(4) 「母乳と細菌」の鉄壁の関係
(5) 哺乳類はなぜ、哺乳をはじめたのか
(6) 皮膚腺がつないだ命の連鎖

VII ブドウ糖から見えてくる生命体の進化と諸相

(1) ブドウ糖――じつは効率の悪い栄養
(2) エネルギー源の変化は地球の進化とともに

VIII 糖質から見た農耕の起源

(1) 穀物とは何か
(2) 定住生活という大きなハードル
(3) 肉食・雑食から穀物中心の食へ
(4) 穀物栽培への強烈なインセンティブ
(5) 穀物に支配された人間たち

あとがき


【著者プロフィール】

夏井睦(なついまこと)
1957年秋田県生まれ。東北大学医学部卒業。
練馬光が丘病院「傷の治療センター」長。
2001年、消毒とガーゼによる治療撲滅をかかげて、
インターネットサイト「新しい創傷治療」(http://www.wound-treatment.jp/)を開設。
湿潤療法の創始者として傷治療の現場を変えるべく、発信を続けている。
趣味はピアノ演奏。
著書に『傷はぜったい消毒するな』(光文社新書)、
『キズ・ヤケドは消毒してはいけない』(主婦の友社)、
『さらば消毒とガーゼ』(春秋社)、『これからの創傷治療』(医学書院)、
『創傷治療の常識非常識』『ドクター夏井の熱傷治療「裏」マニュアル』(ともに三輪書店)、
共著に『医療の巨大転換を加速する』(東洋経済新報社)などがある。

内容(「BOOK」データベースより)
自分の身体で糖質制限を試し、効果や危険のなさを確かめた著者は、糖尿病の糖質制限治療の第一人者である江部康二氏と親交を深めながら、栄養素としての糖質の性質や、カロリーという概念やその算出法のいいかげんさ、そしてブドウ糖からみえてくる生命の諸相や進化などについて独自の考察や研究を開始。本書では、糖質からみた農耕の起源についても新説を展開、穀物栽培により繁栄への道を得た人類が、穀物により滅亡への道をたどりつつあることも指摘する。著者のHPに日々寄せられる、多くの糖質セイゲニストからの体験談の一端も紹介。糖質を切り口に様々なことを考える。


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低炭水化物食(糖質制限食)は体重減少と心血管リスク改善に有効
こんばんは。

「低炭水化物食(糖質制限食)は体重減少と心血管リスク改善に有効」という論文がでました。

Obesity Reviews(国際肥満研究連合の公式ジャーナル)は、インパクトファクター(*)も高く、信頼できる医学雑誌です。

そのObesity Reviewsに、2012年11月、低炭水化物食の効果を認める、RCT研究論文(**)のメタ解析(***)が掲載されました。(☆)

EBM(根拠に基づく医学)においては、RCT研究論文のメタ解析が最も信頼度が高いとされています。

以下は、その論文(☆)の要約です。

要約

Santos らは、低炭水化物食のRCT研究論文23報告をメタ解析。
体重減少と心血管リスクに対する効果を検討。
論文は、PubMed, Cochrane から選定。
1141名の肥満患者のデータをメタ解析。

その結果、体重、BMI、腹囲、収縮期血圧、拡張期血圧、中性脂肪値、空腹時血糖値、HbA1c、インスリン値、CRPの減少(改善)とHDLコレステロール値の増加が認められた。

LDLコレステロール値とクレアチニン値は変化なし。
尿酸は限られたデータであった。

LCD(ローカーボダイエット、低炭水化物食)は、体重と主要な心血管リスク要因に関して好ましい効果を示した。

しかしながら、長期間の健康に関する効果は、判らない。


本文を読むと、短い研究で12~48週間~3ヶ月間、多くの研究は6ヶ月~12ヶ月間、長いもので24ヶ月~36ヶ月でした。

長期間はともかくとして、3年間は、有効性が保証できるということとなります。

(☆)
Obes Rev. 2012 Nov;13(11):1048-66.
Systematic review and meta-analysis of clinical trials of the effects of low carbohydrate diets on cardiovascular risk factors.
Santos FL, Esteves SS, da Costa Pereira A, Yancy WS Jr, Nunes JP.



江部康二


(*)インパクトファクター(Impact Factor)とは1論文あたりの引用回数の平均値を計算したものです。自然科学・社会科学分野の学術雑誌の影響力を示すとされています。インパクトファクターが高いほど、影響力の高い論文を収録していることになります。


(**)
ランダム化比較試験(ランダムかひかくしけん、RCT:Randomized Controlled Trial)とは、評価のバイアス(偏り)を避け、客観的に治療効果を評価することを目的とした研究試験の方法である[1]。従って根拠に基づく医療において、このランダム化比較試験を複数集め解析したメタアナリシスに次ぐ、根拠の質の高い研究手法である[1]。主に医療分野で用いられる。略称はRCTである。


(***)メタ解析 
薬学用語解説より
http://www.pharm.or.jp/dictionary/wiki.cgi?%E3%83%A1%E3%82%BF%E8%A7%A3%E6%9E%90%E3%80%80

Meta-Analysis、メタアナリシス

過去に独立して行われた複数の臨床研究のデータを収集・統合し、統計的方法を用いて解析した系統的総説。採用するデータは、信頼できるものにしぼり、それぞれに重み付けを行う。一般的には、様々な試験の要約統計量を用いるが、生データを結合して解析する場合もある。叙述的な総説とは異なり、体系的、組織的、統計学的、定量的に研究結果をレビューするという特徴がある。メタアナリシスは、複数の研究で得られた効果が一致しない場合、個々の研究の標本サイズが小さく有意な効果を見いだせない場合、大きな標本サイズの研究が経済的・時間的に困難な場合、に有用であるとされている。

医学分野では対象や研究方法が多様で、各種のバイアスが入りやすく、また研究の質のばらつきが大きい。例えば、公表論文は有意な結果のみが発表されることが多い。これは研究者がポジティブな結果が得られたときにのみ発表する「報告バイアス」や、学会誌等の編集者が,統計学的に有意な結果の得られていないものはリジェクトする「出版バイアス」のためである。このため、単に報告を集めるだけでは、ポジティブ方向へバイアスがかかるという懸念が指摘されている。また、質の低い論文を他の優れた研究成果と同等に評価対象としてしまうと過大評価することになる。メタアナリシスでは、バイアスの影響を極力排除し、評価基準を統一して客観的・科学的に多数の研究結果を数量的、総括的に評価しようとしている。

こうしたメタアナリシス研究を押し進めることを目的として、1992年には、英国政府の支援のもとにオックスフォードにコクラン・センター(Cochrane Centre)が作られた。The Cochrane Libraryとは、コクラン共同計画が行っているメタアナリシスである。ランダム化比較試験の行われたデータをすべて集め、その中から信頼できるものを選び、総合評価を行っている。(2007.8.31 掲載)



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MTpro、「糖質摂取の多い集団で心血管疾患発症リスクが高い」
こんにちは。

医師のための専門情報サイトMTproのドクターズアイ(2013年10月9日)において、北里研究所病院糖尿病センター 山田 悟 氏が

「これでもまだ残る? 糖質制限食に対する動脈硬化症の懸念」

と題して、糖質制限食の安全性に関して論陣をはっておられます。

山田悟氏は、「緩やかな糖質制限食」賛成派の医師です。

Am J Epidemiol 2013年9月5日オンライン版に上海の前向きコホート研究の結果が報告され、

「糖質摂取量が多いほど心血管疾患の発症リスクが高い」

ことがわかりました。

11万7366人を対象に、調べた研究です。

女性が6万4,854人で、平均追跡期間が9.8年。
男性が5万2,512人で、平均追跡期間が5.4年。

この間に120人の女性と189人の男性が心血管疾患を発症。

発症リスクを糖質摂取量多い群と少ない群で、4つのグループに分けて解析。

女性 心血管発症リスク

1、糖質摂取量264g/日未満 ---------- 1.00

2、糖質摂取量264g~282g/日未満-------- 1.19

3、糖質摂取量282g~299g/日未満-------- 1.76

4、糖質摂取量299g/日以上 ----------- 2.41


男性 心血管発症リスク

1、糖質摂取量296g/日未満 ------------ 1.00

2、糖質摂取量296g~319g/日未満 ---------- 1.50

3、糖質摂取量319g~339g/日未満 ---------- 2.22

4、糖質摂取量339g/日以上 ------------- 3.20


心血管疾患の発症リスクの上昇は、

男性の

3、糖質摂取量319g~339g/日未満
4、糖質摂取量339g/日以上

においては統計学的に有意であった。

また,男女を合わせると、 心血管発症リスクは糖質摂取が少ない方から1.00(基準)、1.38、2.03、2.88であり、
やはり3分位,4分位においては統計学的に有意な上昇であった。



結論として、本上海前向きコホート研究においては、糖質摂取量が多いほど、心血管発症リスクが多いことがわかりました。

糖質制限食にとって、大きな追い風です。(^^)


江部康二


以下、MTpro記事、2013年10月9日のドクターズアイから、抜粋。

医師のための専門情報サイト MTpro

ドクターズアイ・最新論文で考える日常臨床
これでもまだ残る? 糖質制限食に対する動脈硬化症の懸念


上海コホート研究から
北里研究所病院糖尿病センター 山田 悟

研究の背景:懸念の理由は観察研究でのネガティブなデータ
昨年来,糖質制限食に対する世の関心の高まりをひしひしと感じているが,糖質制限食の安全性に懸念を感じている先生もまだまだ多いかもしれない。その懸念の理由は,観察研究において,糖質摂取の少ない集団で動脈硬化症の発症率が高いといった,ネガティブなデータが存在していることにあろう(関連記事)。

しかし,このたび,そうした懸念を払拭するような研究,すなわち糖質摂取の多い集団でこそ動脈硬化症の発症率が高いという上海の前向きコホート研究の結果が報告されたのでご紹介したい(Am J Epidemiol 2013年9月5日オンライン版)。

研究のポイント1:11万7,366人を対象とした前向きコホート研究

本研究は,上海女性健康研究(以下,女性研究)と上海男性健康研究(以下,男性研究)という2つの前向きコホート研究を合わせた解析である。

女性研究は1997~2000年に,40~70歳の上海近郊の女性8万1,170人が登録を呼びかけられた前向きコホート研究であり,実際の登録は7万5,221人であった。糖尿病などの疾病を持っていた,極端な食事嗜好の偏向があったなどの理由での除外から,女性研究では6万4,854人が解析に利用された。

一方,男性研究は2002~06年に40~74歳の上海近郊の男性8万3,125人が登録を呼びかけられた前向きコホート研究であり,6万1,482人が実際に登録された。女性研究と同様の理由での除外から,男性研究では5万2,512人が解析に利用された。

平均の糖質摂取量は女性281g/日,男性316g/日で〔国立がんセンターの多目的コホート研究の10年後調査では,日本人の平均糖質摂取量は女性249g/日,男性281g/日で,栄養摂取全体の約68%(女性で68.5%,男性で67.5%)を占めていた(下記関連リンク参照)〕,ベースラインの糖質摂取量に応じて4分位に分類したところ,各群で栄養摂取量には差異はなかったが,糖質摂取量の多い群ほど,高齢で,BMIが高く,低所得で,低教育であることが示された。

研究のポイント2:糖質摂取量が多いほど心血管疾患の発症リスクが高い

平均フォローアップ期間は女性研究9.8年,男性研究5.4年であり,その間に120人の女性と189人の男性が心血管疾患を発症した。その発症リスクを糖質摂取量の4分位で分けて解析したところ,男女ともに糖質摂取量が多いほど高値で,年齢,ウエスト・ヒップ比,所得,教育レベルなどさまざまな要素で調整した後の心血管疾患の発症リスクの上昇は,男性の3分位,4分位においては統計学的に有意であった(表1,表2)。

また,男女を合わせると,糖質摂取が少ない方から1(基準),1.38,2.03,2.88であり,やはり3分位,4分位においては統計学的に有意な上昇であった(表3)。

なお,サブ解析をしたところ,年齢,BMI,ウエスト・ヒップ比で層別解析をしても,いずれの層でも同様の関係性が認められ,身体活動が少なく,教育レベルが低く,喫煙していて,高血圧症の既往がある集団で,糖質摂取量と心血管疾患発症リスクのより強固な相関が認められたという。

私の考察:RCTに続きコホート研究でもエビデンス…もはや動脈硬化症の懸念を議論する必要はない

これまで,糖質制限食については熱い議論が戦わされてきた。

 当初は,ランダム化比較試験(RCT)のメタ解析において,その心血管リスクに対する有効性は短期的でしかなく(Arch Intern Med 2006; 166: 285-293),前向きコホート研究において,糖尿病発症率(Am J Clin Nutr 2011; 93: 844-850),心血管イベント発症率(BMJ 2012; 344: e4026),死亡率(Ann Intern Med 2010; 153: 289-298)が,糖質を少なく摂取している群で高かったことから,糖質制限食は勧められないとする声が大勢を占めていたと思う。
 
しかし,昨年,Santosらによる多数のRCTのメタ解析において,その心血管リスクに対する有効性は継続的であることが示され(Obes Rev 2012; 13: 1048-1066),さらには,前向きコホート研究においても,白米(糖質)を多く摂取していると糖尿病が発症しやすいことが示されると(BMJ 2012; 344: e1454),前述の糖質摂取の少ないグループでの負の成績を示す前向きコホート研究のデータが本当に因果関係を示しているといえるのかに重大な疑問が投げかけられるようになった。

そもそも,前向きコホート研究における相関関係は,(1)因果関係(causality),(2)バイアス(reverse causalityを含む),(3)交絡(false causalityを含む),(4)偶然―のいずれかを示すものであり,因果関係のみを示すものではない。(前向きコホート研究の)メタ解析(PLoS One 2013; 8: e55030)も(4)偶然の可能性をなくすことはできるが,(2)バイアスや(3)交絡の可能性を除外できるわけではない。だからこそ,前向きコホート研究のエビデンスレベルはRCTより低く,RCTのメタ解析が最上級レベルのエビデンスとなるのである〔ランダム化により(2)バイアスや(3)交絡を除外し,メタ解析により(4)偶然を除外するので,ほぼ(1)因果関係を示す〕。

実際,当初の前向きコホート研究でも,糖質を少なく摂取していても,植物性蛋白質・脂質を多く摂取している群では糖尿病発症率も(Am J Clin Nutr 2011; 93: 844-850),心血管イベント発症率も(N Engl J Med 2006; 355: 1991-2002),死亡率も(Ann Intern Med 2010; 153: 289-298),低いか,低くなる傾向にあり,いかにも交絡因子が存在する感があった。

すなわち,今,振り返ってみれば,いずれの論文も糖質摂取の低さが直接的な負の成績の原因であったとは極めて考えにくいのである。

一方,Santosらのデータ(Obes Rev 2012; 13: 1048-1066)はRCTのメタ解析であり,糖質制限食が原因として心血管リスクを軽減する結果につながることを示している。今回の中国人のデータから,観察研究でも糖質制限と心血管イベントの減少という良い相関関係が示されたことになる。よって,個人的には糖質制限食による動脈硬化症増加の懸念を議論することはもはや不要になったと感じている。これからは,より安全で,より有効な糖質制限のレベルについての議論,すなわち,どこまで制限するかについての議論を進めていくべきではないだろうか(Am J Clin Nutr 2006; 83: 1055-1061)。

なお,表1,表2が示す結果からは,飽和脂肪酸摂取が心血管リスクに結び付くとも到底思えない。Sydney diet heart study(BMJ 2013; 346: e8707)が示したように,これまで観察研究の結果から想定されていた飽和脂肪酸摂取と心血管疾患との関係性についても,もう一度考え直す必要があろう。



テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
久山町研究は「従来の糖尿病食による糖尿病発症リスク上昇」を証明。
【13/10/14 モン吉 久山町研究

江部先生、こんばんは

日本糖尿病学会が推奨する従来のカロリー制限食を久山町住民の方が一所懸命取り組まれて、結果的には糖尿病患者を大幅に増やしてしまいました。

しかし九州大学の清〇先生の14年間に渡る研究は大変貴重な信頼性の高いデーターを残されました。

糖尿病学会は糖質制限食の長期の安全性をよく疑問視されますが、この信頼性の高いデーターは従来のカロリー制限食は長期の安全性が無い事を証明していると思います。恐らく合併症になられた方も増えているでしょう。

研究に参加し一所懸命協力された住民の方には大変お気の毒ですが、従来のカロリー制限食には糖尿病患者やその予備軍に対して、長期安全性は無い事を証明した大変貴重なデーターと私は思います。

この結果を糖尿病学会の方はどう感じておられるのでしょう 】



おはようございます。
モン吉さんから、興味深いコメントを頂きました。

モン吉 さん
ありがとうございます。
仰る通りと思います。

1)1994年~2004年にかけて中村学園の論文で、久山町において、糖質摂取量だけが増加して、
  タンパク質・脂質摂取量は減少しています。
  総摂取エネルギーは、1811kcal/日~1890kcal/日と、ほとんど差はありません。

2)1988年~2002年、九州大学が食事指導して、久山町の糖尿病有病率は著明に増加しています。

1)2)は論文として報告されています。

九州大学の食事指導が、久山町で受け入れられた結果、糖質が増加して、タンパク質・脂質が減少したのでしょう。

1)2)を考慮すれば、少しタイムラグはあるのですが、「糖質摂取量だけが増加して、タンパク質・脂質摂取量は減少して、糖尿病有病率が著明に増加」これが、信頼度の高い久山町研究データから導き出される結論となります。

14年間にわたり、実施された食事指導(日本糖尿病学会推奨の糖尿病食)そのものは、久山町住民の方々がちゃんと守った結果を反映して、糖質が増加して、タンパク質・脂質が減少しています。

しかし食事指導を守ったにもかかわらず、糖尿病有病率は増加してしまいました。

結論です。

信頼度の高い久山町研究のデータを検討してみると、

「14年間にわたり、日本糖尿病学会推奨の糖尿病食(カロリー制限、高糖質、低脂肪食)を実践した結果、糖尿病有病率が著明に増加した。」

というエビデンスがあることとなります。

「従来のカロリー制限食には糖尿病患者やその予備軍に対して、長期安全性は無い事を証明した大変貴重なデーターと私は思います。」

同感です。

糖尿病が増えたということは、長期安全性に関して大きなリスクと言えます。


江部康二



テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
毎日新聞「・・・最初からやり直したい」清原裕教授厳しい表情で語る。
こんばんは。

2007年7月27日、久山町研究の毎日新聞の記事、精神科医師Aさんから、全容をコメントいただきました。

文字数制限?のため、二つに分けて掲載します。

山形県舟形町研究と福岡県久山町研究の特集記事です。

久山町住民の方々、1961年から町ぐるみで医療に貢献してこられました。

そして九州大学も、脳卒中対策では、久山町におおいに貢献しました。

1961年、久山町研究が開始された当時は、日本の疾患別死因の第一位は、脳卒中でした。

九大では、脳卒中の最大の原因が高血圧ということをつきとめ、減塩などの食事指導と降圧剤の投与により、1970年代には久山町の脳卒中を1/3に減らすという大きな成果をあげました。即ち脳卒中対策では、九大は大成功を収めたのです。

一方、1988年~2002年まで、久山町の糖尿病発症を予防する目的で、

「運動や食事指導など手を尽くした」

のに糖尿病は増える一方だったことは明白な事実です。

運動や食事指導など手を尽くしたのに糖尿病が増える一方だったのは、当初の目的であった発症予防に失敗したということです。

しかし、失敗体験は決して無駄ということではありません。

14年間に及ぶ貴重なデータが厳然として残っているのですから、何故予防に失敗したかを冷静に検討することで、これからの久山町に貢献できるはずです。

脳卒中予防では大成功を収めた久山町研究ですが、糖尿病予防では大失敗しました。

そして、運動療法が糖尿病予防に悪影響を与えるということはあり得ないので、14年間行った食事指導が糖尿病発症予防失敗の原因であることには、疑いの余地はありません。

すなわち、日本糖尿病学会推奨の従来の糖尿病食(低カロリー・高糖質・低脂質食)こそが、久山町住民の糖尿病増加の元凶であったということです。

ことは単純です。

高糖質食が糖尿病発症を著明に増加させたのですから、糖質制限食なら糖尿病発症予防ができる可能性が、極めて高いのです。

清原先生、ご自身の信頼度の高い久山町研究のデータをもう一度真摯に見つめ直し、久山町住民の方々の信頼にこたえることが、急務ではないでしょうか。



江部康二




テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
毎日新聞2007.7.27東京朝刊。清原教授の談話。
こんばんは。

精神科医師Aさんから毎日新聞2007.7.27東京朝刊の情報をコメントいただきました。

私の記事と一緒にアップしようとしたら、文字数が多すぎて無理だったので分けて記事にしました。

江部康二


【13/10/13 精神科医師A
毎日新聞の記事

生活習慣病:対策の「根拠」、追跡調査の取り組み 町ぐるみ、医療に貢献
毎日新聞2007.7.27東京朝刊18頁

何年もかかって発症、悪化する生活習慣病の原因を探るには、多数の人の健康状態を長期間追跡する調査が欠かせない。病気の診断にも、追跡調査結果が「科学的根拠」として採用されることが多い。例えば糖尿病の診断基準は、長年多数の人の血糖値を調べ、どんな人が合併症を発症したかを分析した調査などに基づいて決まっている。町ぐるみで追跡調査を続け、日本の生活習慣病対策に貢献している山形県舟形町、福岡県久山町の取り組みを紹介する。【大場あい、山田大輔】


 ◇食後高血糖、危険性訴え 「住民意識、高まった」--山形・舟形

「朝7時ごろに集まってね、『健康を祝してかんぱーい』と言いながらブドウ糖液を飲むのが恒例。和気あいあいとしていて楽しいし、検診の結果を大学の先生が解説してくれるのも勉強になる」。山形県舟形町(人口約6600人)で79年に始まった糖尿病検診に毎回参加している男性(72)は話す。海外でも注目された住民追跡調査「舟形町研究」は、そんなにぎやかな検診の中から生まれた。

舟形町研究は、富永真琴・山形大教授らが99年に米国糖尿病学会誌に発表した。空腹時は正常なのに、食後だけ高血糖になる人は、心筋梗塞(こうそく)や脳卒中などの心血管疾患による死亡の危険が高いことを明らかにした論文だ。97年に同学会が発表した新しい糖尿病診断基準は、食後高血糖かどうか調べる検査を省き、空腹時血糖だけで判断するものだったため、この流れに疑問を投げかけるデータとして注目された。

   *

舟形町が糖尿病検診を始めたのも、心血管疾患予防が目的だった。渡辺幸子・同町町民課主幹は「70年代前半、40代の町民が脳卒中などで相次いで死亡した。地域にとって若い人が亡くなるのは大問題で、生活習慣病対策を求める声が上がった」と話す。

町は富永教授らと協力し、「生活習慣病のもと」の一つでもある糖尿病発見のため、79年から20歳以上の全住民を対象にした尿検査を始めた。尿糖陽性の人には、ブドウ糖液を飲む前と飲んだ後の血糖値を測る検査(ブドウ糖負荷試験)も実施した。90年度からは、厚生省研究班(当時)に参加し、40歳以上の全住民を対象に、ブドウ糖負荷試験を実施するようになった。

検診は働いている人も参加しやすいよう、毎回日曜日の早朝に行う。受診者40人を1班とし、町職員が班長になって血液採取やブドウ糖液を飲む時間を指示する。

90~92年度の3カ年に分けて実施した第1期検診は、対象者の約75%にあたる2500人以上が参加。有病率は8・4%と89年度以前のほぼ2倍で尿検査で発見できない患者の多さを露呈した。

さらに富永教授らが97年、受診後に死亡した人の死因を調べると、「糖尿病にはなっていないのに、負荷試験2時間後の血糖値(食後血糖値)は正常より高め」という人たちの心血管疾患による死亡率が、正常値の人より高いことが判明した。一方で、空腹時血糖値だけが高めの場合は正常値の人と差がなく、予備群の中でも食後高血糖の場合はより注意が必要なことが分かった。

   *

検診は今年6月、第4期分が終了した。受診率は低下傾向にあるが、それでも約1500人が参加した。「研究についての了解を得るときも『子、孫のためになる研究』と説明すると、ほとんどは理解してくれる」(渡辺主幹)という。

富永教授は「町の人たちの協力があって続けられた研究。舟形町の糖尿病有病率は他の地域より低く、検診や生活指導を続ける中で町の人たちの意識も高まり、効果が出てきたのではないか」と話している。



 ◇糖尿病増加、早期に警告 「効果出す」、研究者も必死--福岡・久山

福岡県久山町(人口約8000人)では1961年から半世紀近く、九州大医学部が40歳以上の全住民を対象に調査を続けている。5年に1度の健診の受診率は約8割に上るうえ、住民の80%は「医学の発展のため」と進んで死後の剖検を受ける。この徹底した調査で病気の実態や原因解明に成果を上げ、「ヒサヤマ研究」として世界的に注目されてきた。

61年は、国民皆保険がようやく実現した年。当初、最大テーマは脳卒中だった。日本の脳卒中死亡率は当時世界一高く、30~40代の突然死が多かった。久山町研究は日本では欧米と違い、脳卒中の最大の原因は高血圧だと解明。減塩指導や降圧薬普及などの対策を講じ、70年代に町内の脳卒中は3分の1に減った。

   *

現在の最重要テーマは糖尿病だ。糖尿病は脳梗塞や心筋梗塞、悪性腫瘍(しゅよう)、アルツハイマー病などの発病を増やすことが、久山町研究で次々と分かってきた。また、88年の健診では受診者の11%が糖尿病と判明。3~4%という当時の常識を覆し、糖尿病の増加をいち早く警告した。この数字は全国的にあてはまることが、後に厚生労働省の研究で証明された。久山町では02年、糖尿病とその予備群はさらに男性の54%、女性の36%に及ぶことも明らかになった。

「88年以後、運動や食事指導など手を尽くしたのに糖尿病は増える一方。どうすれば減るのか、最初からやり直したい」。久山町研究に27年間かかわってきた九大久山町研究室長の清原裕教授(環境医学)は厳しい表情で語る。

今年新たに、健診中に時間を置いて3回採血し、血糖値の変化からインスリン分泌能を詳しく調べ始めたほか、他大学と合同チームで栄養調査も始める。

また、1人1台の「マイ血圧計」を配り、健診前の1カ月間、1日2回血圧を測ってもらうなど「徹底的に臨む」構えだ。一方、生活習慣病に対する遺伝の関与も調べるため、02年から遺伝子解析の調査も始めた。受診者の承諾率は96%で、大半の町民はこの研究も支持している。

こうした住民の協力は、まだ救急車がなかった時代に大学の車で急患を運ぶなど、一人一人の住民との深い付き合いのたまものだ。清原教授は「医療のためにと誇りを持っている町民のデータを扱う以上、徹底した調査を尽くさなければ」と、町外に転居した受診者の住所を突き止め、99%以上の追跡率で健康状態を把握している。

成果が住民の健康に生かされなければ、住民はついてこない。それだけに研究者も必死だ。「病人だけを診る病院での調査では、生活習慣病を知ることはできない。病院とは逆に、ここでは医者が『頼む側』。本音も聞けるし、生活も見える。本来の医療の原点がある」と清原教授は話す。

   *

懸念は町村合併の行方だ。同町は福岡市に隣接しているが、町の96%は市街化調整区域に指定され、ベッドタウン化を免れてきた。このため人口移動が極めて少なく、調査には便利だった。しかし、隣接する町との合併研究会が既に設置されており、いつまでこの状態が続くかは不透明だ。

 ◇全国各地の住民対象の研究も

追跡調査の中には、全国各地の住民の協力を得て、日本人全体の傾向をつかむことを目指す研究もある。

代表的なのは、厚生労働省研究班による「多目的コホート研究」だ。生活習慣と病気の関係などを探るのが目的で、国立がんセンターが事務局となり、90年と93年に全国10都府県の約14万人を登録。現在も追跡調査が続いている。

この研究では、登録時に血液検査など基本的な検査と、生活習慣に関するアンケートを実施し、その後の生活習慣病発症の有無などを調査する。▽日ごろ体を動かす量の多い男性は、少ない男性より大腸がんにかかる率が約3割低い▽飲酒量の多い人では、酒を飲まない「休肝日」の多い人の方が、休肝日の少ない人よりも死亡率が低い――などの研究成果を公表している。

80年から全国300地域の約1万人の追跡調査などをしている「NIPPON DATA」(主任研究者、上島弘嗣・滋賀医科大教授)も、日本人の生活習慣と病気の関係を明らかにしてきた。最近では、肥満でない人でも、高血糖など生活習慣病のリスクを複数抱えると、心血管疾患による死亡率が高くなるとする結果を発表し、米国糖尿病学会誌に掲載された。】




テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
11月29日(金)朝日カルチャー立川教室、糖質制限食による糖尿病の解決
こんにちは。

2013年11月29日(金)朝日カルチャーセンター立川教室において

糖質制限食による糖尿病の解決
- 糖質制限食の理論と実践-

と題して、講座を行います。

今回は、テーマを糖尿病に絞ってお話します。

糖質制限食の最新の理論や有効性や安全性は勿論のこと、症例報告も今まで以上に豊富です。

糖尿病腎症からの人工透析が、毎年16000人
糖尿病網膜症からの失明が、毎年3000人
糖尿病足病変からの足切断が、毎年3000人


これらの数字を見れば、従来の日本糖尿病学会推奨の糖尿病食(カロリー制限・高糖質・低脂質食)では、いくら薬物療法を強化しても、合併症が予防できていないのは、明白な事実です。

早ければ早いほど、いいです。従来の糖尿病食から糖質制限食に切り替えることで糖尿病合併症の予防ができます。

私自身も、2002年に糖尿病ということが発覚して以来、2013年現在まで足かけ12年、スーパー糖質制限食を実践しています。

勿論、全ての検査データは正常で合併症もありません。

東京、関東などの糖尿人の皆さん、是非、本講座を聞いていただいて、糖質制限食を実践して、糖尿病合併症予防を実現しましょう。


江部康二



朝日カルチャーセンター立川教室

糖質制限食による糖尿病の解決
  - 糖質制限食の理論と実践-

日時: 11/29 15:00-16:30
場所:〒190-0012 東京都立川市曙町2-1-1 ルミネ立川9階
 http://www.asahiculture.com/tachikawa/access.html

受講料: 一般 3,570円 会員 2,940円

連絡先: 042-527-6511

講座内容:

血糖値を上げるのは糖質だけで、タンパク質・脂質はあげません。従って糖質を制限すれば血糖値はリアルタイムに改善します。糖質制限食は、米飯・ めん類・パンや芋類などの糖質が多い食品を食べないで、肉や魚貝や豆腐や葉野菜などをしっかり摂取する食事療法です。そしてカロリー制限なしで 「美味しく 楽しく」が特長です。今回は糖尿病に的を絞ってお話しします。



テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
久山町の悲劇と舟形町研究、従来の糖尿病食間違いのエビデンスあり。
【13/10/11 精神科医師A

1988年から2002年の久山町研究のデータ
糖尿病の疫学 : 久山町研究
向井, 直子; 清原, 裕
https://qir.kyushu-u.ac.jp/dspace/bitstream/2324/19870/1/p175.pdf

1988年と2002年の健診で,40〜79歳の受診者のほぼ全員に75gOGTTを用いて耐糖能レベルを正確に判定した。


糖尿病有病率
--1988---2002
男-15.0%--23.6%
女-09.9%--13.4%

耐糖能障害(IGT)
--1988---2002
男-19.2%--21.6%
女-18.8%--21.3%


空腹時血糖高値(IFG)
--1988---2002
男-08.0%--14.7%
女-04.9%--06.6%


糖尿病が増えた原因については、一言も書かれていない。

福岡県の講演会では、ぜひこの事をとりあげてほしい】


こんにちは。
精神科医師Aさんから、久山町の糖尿病増加データについて、コメント頂きました。

精神科医師Aさん
ありがとうございます。

「久山町の悲劇」について福岡県の講演会で、話そうと思います。

1988年 → 2002年にかけて、久山町において、75gOGTTという同一条件で診断して、糖尿病有病率、耐糖能障害(IGT)、空腹時血糖高値(IFG)の三者全てが著明に増加しています。

この間、行われたのは九州大学による、運動療法と食事指導(日本糖尿病学会推奨の従来の糖尿病食で高糖質食)だけです。

久山町の糖尿病有病率変遷
----1988---2002
男---15.0%--23.6%
女---09.9%--13.4%



次に山形県舟形町の研究を検討してみます。

福岡県久山町の研究、山形県舟形町の研究、共に75g OGTTを実施し、WHO基準(1985年)を用いて2型糖尿病の有病率を評価しています。

データとして共に信頼度の高い研究です。

舟形町の糖尿病有病率変遷
--1990~1992---2000~2002
男---8.0%----11.86%
女---9.3%----10.4%



食事指導をしていない船形町の住民において、1990~1992年調査に比し、

2000〜2002年調査では、

男性は糖尿病有病率が8.0→11.8%

と増加し、

女性は9.3%→10.4%で微増程度です。

食事療法・運動療法をしっかり指導した久山町住民では、1988→2002年で、男女とも著明に増加ですね。

男性では糖尿病が15.0→23.6%
女性では糖尿病が9.9→13.4%

もともと調査開始の時点で、久山町の方が船形町より、男性では糖尿病有病率が高いですね。

女性は二つの町にあまり差がないです。

久山町研究では、1988年の時点で、将来の糖尿病発症を防ぐことを目的に、14年間にわたり、九州大学の責任において、日本糖尿病学会推奨のカロリー制限・高糖質・低脂質食を強力に指導されたわけです。さらに運動療法もきっちり指導されています。

しかしながら、結局、この当初の研究目的(糖尿病発症予防)が大失敗(糖尿病増加)に終わったことは、まぎれのない事実です。

さらに、食事指導や運動療法の指導をしていない舟形町住民に比較して食事療法と運動療法を指導した久山町住民の方が、顕著に糖尿病有病率が増加したという事実は、久山町の食事指導が間違っていたということ以外考えられません。

結論です。

福岡県久山町研究と山形県舟形町研究という信頼度の高い二つの研究の成果により

「間違った食事指導により、久山町住民の糖尿病有病率が、舟形町住民に比し、著明に増加した。」

というエビデンスが存在することとなります。


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
久山町研究、糖尿病増加、清原氏の弁明は通用しない。
【13/10/11 千葉の産婦人科医A

久山町研究、清原氏の弁明

「栄養と料理」11月号には、『なぜ「久山町」で糖尿病が増えたのか?』という特集が掲載されています。久山町研究の研究統括者清原裕九大教授の弁明です。

久山町で糖尿病が増えたのではなく、精度の高い検査をしたから有病率が日本人全体よりも高くなったのだというのです。

久山町研究で目指したのは糖尿病の正確な有病率を知りたかったのでしょうか?

本当は、炭水化物60%を摂取してしっかり運動もして、有病率が下がるはずと思って研究を始めたはずです。その結果が逆になって糖尿病が増えてしまったのです。

ですから、この食事法ではだめだということがわかったはずなのに、いまだにそれを認めないで弁明です。

さらに高率に認知症が発症しやすいことも示されたのです。

大学教授が、どう弁明しても破たんした食事指導に、気が付く人はどんどん増えています。】



こんにちは。

千葉の産婦人科医A さんから、久山町研究に対する清原氏の記述に対してコメントをいただきました。

千葉の産婦人科医A さん、コメント、ありがとうございます。

2007年7月27日(金)毎日新聞朝刊に、1988年から2002年にかけての久山町の糖尿病増加に関して、
研究責任者の九州大学・清原裕教授の文言として、

「88年以後、運動や食事指導など手を尽くしたのに糖尿病は増える一方。
どうすれば減るのか、最初からやり直したい」


と明確に記載してあります。

清原先生、2007年頃の、真摯に現実(久山町糖尿病増加)を受けとめて反省しておられた原点に、戻られては如何でしょうか?

今更、手のひらを返すような言い訳は、通用しないと思います。

千葉の産婦人科医A さんの仰有る通りですね。

「88年以後、運動や食事指導など手を尽くしたのに糖尿病は増える一方。」

だったのです。

運動療法が悪いわけはあり得ませんので、久山町で実践された食事指導(日本糖尿病学会推奨の従来の糖尿病食)が、結果として久山町住民の糖尿病有病率を著明に増加させたことは間違いのない事実なのです。


江部康二


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
2013年11月17日、福岡県鍼灸治療学会、糖質制限食講演会
おはようございます。

第163回福岡県鍼灸治療学会兼第47回生涯研修会において、糖質制限食の講演会が開催されます。

私は、

「糖質制限食と糖尿病
-メタボ・生活習慣病・がん- 」

と題して、13:00~15:00まで時間たっぷりで特別講演を行います。
質疑応答時間もあると思います。

事前申し込みではなく、当日の先着順となっています。

席数は254席で、人数に達し次第締め切りとなります。

毎日数件ずつお問い合わせがあるとのことです。

お問い合わせの方がたには先着順ですので、9時30分に入場するように勧めておられるそうです。

入場は無料ですので、福岡県や近隣の方々、奮ってご参加 くださいね。


江部康二



第163回福岡県鍼灸治療学会兼第47回生涯研修会

★特別講演 13:00~15:00
「糖質制限食と糖尿病
-メタボ・生活習慣病・がん- 」
  一般財団法人 高雄病院 理事長 江部 康二

★教育講演 10:00~11:00
「糖質制限食-女性の立場から-」
  薬剤師 澤 百合子 先生

★特別講演 11:00~12:00
「糖質制限の基礎理論」
  花野クリニック 角田 恭二 先生

★特別講演 15:00~16:00
「日本型統合医療の理念」
  (一社)日本統合医療支援センター代表理事 織田 聡 先生

日時:平成25年11月17日(日) 受付9:30 開会9:50~16:00
会場:レソラNTT夢天神ホール
    福岡市中央区天神2-5-55 レソラ天神5F
     TEL:092-781-8888(代表)
会費無料
主催 (公社)福岡県鍼灸マッサージ師会
共催 (公社)東洋療法研修試験財団
協賛 福岡医健専門学校
担当 第一区会
    博多区東雲町1-2-3 仲嶋 隆史
             092-501-3513
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット