2013年10月10日 (木)
こんばんは
精神科医師Aさんから、久山町研究のリーダーである清原裕九州大学教授が
「栄養と料理2013年11月号」
に書かれた記事についてコメントいただきました。
ありがとうございます。
清原氏
『糖尿病の有病率と食品群別摂取量の時代的推移を検討したところ、糖尿病の増加に伴い増加している唯一の栄養素が動物性脂肪であることがわかりました』
中村学園大学の論文では、
----動物性脂質---糖質
1985--23.7g-----255.9g
1994--22.7g-----244.7g
2004--26.1g-----268.1g
精神科医医師Aさんのご指摘どおり、糖質もしっかり増加です。
さらに中村学園の論文でタンパク質・脂質・糖質の変遷を見ると
タンパク質 脂質 糖質 総摂取エネルギー
1985 71.2g 53.1g 255.9g 1848kcal
1994 73.2g 53.1g 244.7g 1811kcal
2004 69.5g 52.3g 268.1g 1890kcal
です。
三大栄養素の摂取量の変遷をみると、1994年から2004年にかけて、脂質・タンパク質の摂取量が減少して、糖質の摂取量が増加しています。
そして久山町ではこの間、糖尿病が激増したのは有名な事実です。
つまり糖尿病の増加に伴い増加しているのは、三大栄養素の中で唯一糖質だけなのです。
清原先生、動物性脂肪だけを取り上げて、総脂質量や総糖質量を無視するのは、いくら何でもアンフェアですよ。
江部康二
【3/10/09
清原 裕氏への反論
栄養と料理2013年11月号 p110-115
「なぜ「久山町」で糖尿病が増えたのか」 清原 裕
P113-114
『糖尿病の有病率と食品群別摂取量の時代的推移を検討したところ、糖尿病の増加に伴い増加している唯一の栄養素が動物性脂肪であることがわかりました』
早速、中村学園大学の論文を読んでみた
http://ci.nii.ac.jp/naid/110006405565
久山町住民の栄養素等摂取量,食品群別摂取量の40年間の変化 : 久山町における栄養疫学研究
P257 表2
久山町での年次推移
----動物性脂質---糖質
1985--23.7g-----255.9g
1994--22.7g-----244.7g
2004--26.1g-----268.1g
動物性脂質と糖質は平行移動している。これではとても、”糖尿病の増加に伴い増加している唯一の栄養素”とは言えない 】
精神科医師Aさんから、久山町研究のリーダーである清原裕九州大学教授が
「栄養と料理2013年11月号」
に書かれた記事についてコメントいただきました。
ありがとうございます。
清原氏
『糖尿病の有病率と食品群別摂取量の時代的推移を検討したところ、糖尿病の増加に伴い増加している唯一の栄養素が動物性脂肪であることがわかりました』
中村学園大学の論文では、
----動物性脂質---糖質
1985--23.7g-----255.9g
1994--22.7g-----244.7g
2004--26.1g-----268.1g
精神科医医師Aさんのご指摘どおり、糖質もしっかり増加です。
さらに中村学園の論文でタンパク質・脂質・糖質の変遷を見ると
タンパク質 脂質 糖質 総摂取エネルギー
1985 71.2g 53.1g 255.9g 1848kcal
1994 73.2g 53.1g 244.7g 1811kcal
2004 69.5g 52.3g 268.1g 1890kcal
です。
三大栄養素の摂取量の変遷をみると、1994年から2004年にかけて、脂質・タンパク質の摂取量が減少して、糖質の摂取量が増加しています。
そして久山町ではこの間、糖尿病が激増したのは有名な事実です。
つまり糖尿病の増加に伴い増加しているのは、三大栄養素の中で唯一糖質だけなのです。
清原先生、動物性脂肪だけを取り上げて、総脂質量や総糖質量を無視するのは、いくら何でもアンフェアですよ。
江部康二
【3/10/09
清原 裕氏への反論
栄養と料理2013年11月号 p110-115
「なぜ「久山町」で糖尿病が増えたのか」 清原 裕
P113-114
『糖尿病の有病率と食品群別摂取量の時代的推移を検討したところ、糖尿病の増加に伴い増加している唯一の栄養素が動物性脂肪であることがわかりました』
早速、中村学園大学の論文を読んでみた
http://ci.nii.ac.jp/naid/110006405565
久山町住民の栄養素等摂取量,食品群別摂取量の40年間の変化 : 久山町における栄養疫学研究
P257 表2
久山町での年次推移
----動物性脂質---糖質
1985--23.7g-----255.9g
1994--22.7g-----244.7g
2004--26.1g-----268.1g
動物性脂質と糖質は平行移動している。これではとても、”糖尿病の増加に伴い増加している唯一の栄養素”とは言えない 】
2013年10月09日 (水)
おはようございます。
杜の都仙台にて、
2013年11月9日(土)13時-17時
操体バランス運動研究会主催の公開講座
「食の常識非常識!?糖質の役割と糖質制限の可能性」
が開催されます。
私は「糖質制限の可能性―食のパラダイムシフト」と題してお話しします。
須永隆夫先生、渡邉勝久先生、橋本雄二先生とのパネルディスカッションも楽しみです。
操体バランス運動研究会という場をお借りしていつも以上に、幅広い内容の展開になりそうです。
仙台、宮城県、近隣の皆様、是非、ご参加ください。
ご来場、お待ちしております。
江部康二
操体バランス運動研究会主催 公開講座
高雄病院 江部康二先生と考える
食の常識非常識!?糖質の役割と糖質制限の可能性
毎日摂る食事は、体を動かす原動力。摂り方によっては病気になったり
老化を早めたり。糖尿病を心配する方も、一生を元気に暮らしたいと思う方にも必聴のお話です。
●期 日:2013年11月9日(土)13時-17時
●会 場:東京エレクトロンホール宮城 (宮城県民会館6階601号会議室)
仙台市青葉区国分町3-3-7 TEL 022-225-8641
13時 基調講演「糖質制限の可能性―食のパラダイムシフト」
講師 江部康二(高雄病院)
15時 パネルディスカッション
「食における糖質の位置づけ―社会との共生」
講師 須永隆夫(木戸クリニック)
渡邉勝久(神戸温古堂)
江部康二(高雄病院)
橋本雄二(橋本クリニック)
●参加費(事前申し込み) 2000円(資料代として)
●お問合せ・お申し込み
〒980-0822 仙台市青葉区立町27-21 温古堂内
第30回全国操体バランス運動研究会実行委員会
TEL 022-223-3230 FAX 022-223-3233
メールアドレス tatee55@yahoo.co.jp
杜の都仙台にて、
2013年11月9日(土)13時-17時
操体バランス運動研究会主催の公開講座
「食の常識非常識!?糖質の役割と糖質制限の可能性」
が開催されます。
私は「糖質制限の可能性―食のパラダイムシフト」と題してお話しします。
須永隆夫先生、渡邉勝久先生、橋本雄二先生とのパネルディスカッションも楽しみです。
操体バランス運動研究会という場をお借りしていつも以上に、幅広い内容の展開になりそうです。
仙台、宮城県、近隣の皆様、是非、ご参加ください。
ご来場、お待ちしております。
江部康二
操体バランス運動研究会主催 公開講座
高雄病院 江部康二先生と考える
食の常識非常識!?糖質の役割と糖質制限の可能性
毎日摂る食事は、体を動かす原動力。摂り方によっては病気になったり
老化を早めたり。糖尿病を心配する方も、一生を元気に暮らしたいと思う方にも必聴のお話です。
●期 日:2013年11月9日(土)13時-17時
●会 場:東京エレクトロンホール宮城 (宮城県民会館6階601号会議室)
仙台市青葉区国分町3-3-7 TEL 022-225-8641
13時 基調講演「糖質制限の可能性―食のパラダイムシフト」
講師 江部康二(高雄病院)
15時 パネルディスカッション
「食における糖質の位置づけ―社会との共生」
講師 須永隆夫(木戸クリニック)
渡邉勝久(神戸温古堂)
江部康二(高雄病院)
橋本雄二(橋本クリニック)
●参加費(事前申し込み) 2000円(資料代として)
●お問合せ・お申し込み
〒980-0822 仙台市青葉区立町27-21 温古堂内
第30回全国操体バランス運動研究会実行委員会
TEL 022-223-3230 FAX 022-223-3233
メールアドレス tatee55@yahoo.co.jp
2013年10月08日 (火)
こんにちは。
精神科医師Aさんから、蛋白質制限に関して、
「糖尿病治療ガイド2012-2013改訂版 英語版」
と
「日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言 2013年3月」
との矛盾についてコメントいただきました。
ありがとうございます。
http://www.jds.or.jp/modules/information/index.php?page=article&storyid=110
糖尿病治療ガイド2012-2013血糖コントロール目標改訂版英語版
PDFファイル42ページの
⑦Diabetic complications and their management に、精神科医師Aさんがご指摘のように
P42 糖尿病性腎症 蛋白質量
Stage 2: 1.0~1.2 g/kg/day
Stage 3A: 0.8~1.0 g/kg/day
Stage 2とStage 3Aの蛋白質制限目標が、相変わらず記載してあります。
一方、
http://www.jds.or.jp/common/fckeditor/editor/filemanager/connectors/php/transfer.php?file=/uid000025_E697A5E69CACE4BABAE381AEE7B396E5B0BFE79785E381AEE9A39FE4BA8BE79982E6B395E381ABE996A2E38199E3828BE697A5E69CACE7B396E5B0BFE79785E5ADA6E4BC9AE381AEE68F90E8A8802E706466
【PRESS RELEASE】日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言
糖尿病における食事療法の現状と課題
2013 年 3 月 日本糖尿病学会
PDFファイルの、5ページに
「・・・たんぱく質については、糖尿病患者の高齢化に伴い、潜在的な腎障害の合併例が増していることに留意し、
CKD にあってはその指針に従う( *18 )。・・・」
とあります。
CKD診療ガイド2012 (JSN) によれば、GFRが60ml/分以上あれば、顕性タンパク尿の段階でも、タンパク質制限必要なしですから、糖尿病性腎症Stage 2、Stage 3Aまでは、蛋白質制限必要なしです。
英語版にも、矛盾がないように、せめて
「2013年3月の提言以降はCKD診療ガイド2012に従い、糖尿病腎症第3期期Aまでは蛋白質制限必要なしとする」
という注意書きくらいは入れて欲しいですね。
(*18) CKD 診療ガイド 2012、日本腎臓学会、2012 年
2013年03月24日 (日)の本ブログ記事
「日本腎臓病学会編CKD診療ガイド2012。タンパク質制限は?」
もご参照いただけば幸いです。
江部康二
【13/10/07 精神科医師A
糖尿病治療ガイド2012-2013血糖コントロール目標改訂版
英語版が学会HPより閲覧できます
http://www.jds.or.jp/modules/information/index.php?page=article&storyid=110
P42 糖尿病性腎症 蛋白質量
Stage 2: 1.0~1.2 g/kg/day
Stage 3A: 0.8~1.0 g/kg/day
…CKD診療ガイド2012には全くそっておらず、同じHP上の提言とは大違い】
精神科医師Aさんから、蛋白質制限に関して、
「糖尿病治療ガイド2012-2013改訂版 英語版」
と
「日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言 2013年3月」
との矛盾についてコメントいただきました。
ありがとうございます。
http://www.jds.or.jp/modules/information/index.php?page=article&storyid=110
糖尿病治療ガイド2012-2013血糖コントロール目標改訂版英語版
PDFファイル42ページの
⑦Diabetic complications and their management に、精神科医師Aさんがご指摘のように
P42 糖尿病性腎症 蛋白質量
Stage 2: 1.0~1.2 g/kg/day
Stage 3A: 0.8~1.0 g/kg/day
Stage 2とStage 3Aの蛋白質制限目標が、相変わらず記載してあります。
一方、
http://www.jds.or.jp/common/fckeditor/editor/filemanager/connectors/php/transfer.php?file=/uid000025_E697A5E69CACE4BABAE381AEE7B396E5B0BFE79785E381AEE9A39FE4BA8BE79982E6B395E381ABE996A2E38199E3828BE697A5E69CACE7B396E5B0BFE79785E5ADA6E4BC9AE381AEE68F90E8A8802E706466
【PRESS RELEASE】日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言
糖尿病における食事療法の現状と課題
2013 年 3 月 日本糖尿病学会
PDFファイルの、5ページに
「・・・たんぱく質については、糖尿病患者の高齢化に伴い、潜在的な腎障害の合併例が増していることに留意し、
CKD にあってはその指針に従う( *18 )。・・・」
とあります。
CKD診療ガイド2012 (JSN) によれば、GFRが60ml/分以上あれば、顕性タンパク尿の段階でも、タンパク質制限必要なしですから、糖尿病性腎症Stage 2、Stage 3Aまでは、蛋白質制限必要なしです。
英語版にも、矛盾がないように、せめて
「2013年3月の提言以降はCKD診療ガイド2012に従い、糖尿病腎症第3期期Aまでは蛋白質制限必要なしとする」
という注意書きくらいは入れて欲しいですね。
(*18) CKD 診療ガイド 2012、日本腎臓学会、2012 年
2013年03月24日 (日)の本ブログ記事
「日本腎臓病学会編CKD診療ガイド2012。タンパク質制限は?」
もご参照いただけば幸いです。
江部康二
【13/10/07 精神科医師A
糖尿病治療ガイド2012-2013血糖コントロール目標改訂版
英語版が学会HPより閲覧できます
http://www.jds.or.jp/modules/information/index.php?page=article&storyid=110
P42 糖尿病性腎症 蛋白質量
Stage 2: 1.0~1.2 g/kg/day
Stage 3A: 0.8~1.0 g/kg/day
…CKD診療ガイド2012には全くそっておらず、同じHP上の提言とは大違い】
2013年10月08日 (火)
【13/10/08 まっちゃん318
PET
はじめまして、PET検査を受けるにあたり、少しお聞きしたいことがあります。
14時からの検査ですが、10時ごろに血糖測定したら、そこから何も食べなければ「上がる」ということはないのでしょうか?
この場での質問は受け付けないよ、でしたら無視してくださいませ。】
おはようございます。
まっちゃん318 さんから、PET検査についてコメント・質問をいただきました。
PETの知識があると便利なので記事にしました。
PETは、がんの性質を利用してがん細胞を発見します。
放射性同位元素をブドウ糖に結合させて[18F]FDGという薬剤を作り、静脈に注射します。
悪性腫瘍は正常な細胞と比べて、数倍のブドウ糖を利用する性質があるので、それを利用してがんを見つけだします。
具体的には、悪性腫瘍など糖代謝の盛んなところに[18F]FDGが集積します。
その集積した状態を画像化することによって悪性腫瘍の有無を調べることができます。
要するに放射性同位元素でラベルしたブドウ糖を静脈注射するので、食事で糖質を摂ったりすると、正確な検査の邪魔になります。
それでPET検査6時間前までに、軽い食事を済ませて、あとは水などゼロカロリーの飲料だけOKです。
通常の血圧の薬などは大丈夫ですが、糖尿病の薬は事前に相談が必要です。
運動により、筋肉にブドウ糖が集まるので、一定時間の安静が必要です。
『14時からの検査ですが、10時ごろに血糖測定したら、そこから何も食べなければ「上がる」ということはないのでしょうか? 』
食事とは無関係に、興奮したり怒ったりすると、アドレナリンがでて、血糖値上昇することがあります。
30~60分の歩行など軽い運動だと血糖血が下がることがあります。
激しい運動だと、アドレナリンが出て、血糖値が上昇することがあります。
運動をせずに心もリラックスしていて、食事もなしなら、血糖値上昇はないと思います。
江部康二
以下、大阪府済生会中津病院 PETセンタ-のホームページから、一部抜粋して転載です。
食事について
PET/CT検査を受けられる場合には食事の制限がございます。
以下に検査前日・当日の食事に関する注意事項をまとめました。
検査前日…
食事は通常通りお摂りいただけますが、飲酒はしないでください。
検査当日…
受付時間の5~6時間前までに軽く(腹7分目程度)済ませてください。以後は水分のみを摂るようにしてください。
水を摂る場合は、お水・お茶・白湯に限ります(糖分の入ったものや乳製品をお飲みになると、検査に使用する薬剤の性質上、正確な検査ができなくなります)。
薬について
主治医より処方されているお薬は、普段通りお飲みいただいて結構です。
※糖尿病の薬についてはご相談ください。
来院方法について
検査前に、体を動かされると、程度によっては筋肉に検査薬が集まってしまい、正確な検査ができなくなる恐れがあります。
そのため、可能な限りタクシーやご家族様の運転する車でお越しください。
また、ご自身での車の運転・徒歩でお越しになる場合は、受付時間の30分前までにご来院いただき、センター内の待合室にて休憩をおとりいただきますようお願いいたします。
お車で来られる際は、駐車場が混雑する場合もありますので、時間に余裕をもってお越しください。
PET
はじめまして、PET検査を受けるにあたり、少しお聞きしたいことがあります。
14時からの検査ですが、10時ごろに血糖測定したら、そこから何も食べなければ「上がる」ということはないのでしょうか?
この場での質問は受け付けないよ、でしたら無視してくださいませ。】
おはようございます。
まっちゃん318 さんから、PET検査についてコメント・質問をいただきました。
PETの知識があると便利なので記事にしました。
PETは、がんの性質を利用してがん細胞を発見します。
放射性同位元素をブドウ糖に結合させて[18F]FDGという薬剤を作り、静脈に注射します。
悪性腫瘍は正常な細胞と比べて、数倍のブドウ糖を利用する性質があるので、それを利用してがんを見つけだします。
具体的には、悪性腫瘍など糖代謝の盛んなところに[18F]FDGが集積します。
その集積した状態を画像化することによって悪性腫瘍の有無を調べることができます。
要するに放射性同位元素でラベルしたブドウ糖を静脈注射するので、食事で糖質を摂ったりすると、正確な検査の邪魔になります。
それでPET検査6時間前までに、軽い食事を済ませて、あとは水などゼロカロリーの飲料だけOKです。
通常の血圧の薬などは大丈夫ですが、糖尿病の薬は事前に相談が必要です。
運動により、筋肉にブドウ糖が集まるので、一定時間の安静が必要です。
『14時からの検査ですが、10時ごろに血糖測定したら、そこから何も食べなければ「上がる」ということはないのでしょうか? 』
食事とは無関係に、興奮したり怒ったりすると、アドレナリンがでて、血糖値上昇することがあります。
30~60分の歩行など軽い運動だと血糖血が下がることがあります。
激しい運動だと、アドレナリンが出て、血糖値が上昇することがあります。
運動をせずに心もリラックスしていて、食事もなしなら、血糖値上昇はないと思います。
江部康二
以下、大阪府済生会中津病院 PETセンタ-のホームページから、一部抜粋して転載です。
食事について
PET/CT検査を受けられる場合には食事の制限がございます。
以下に検査前日・当日の食事に関する注意事項をまとめました。
検査前日…
食事は通常通りお摂りいただけますが、飲酒はしないでください。
検査当日…
受付時間の5~6時間前までに軽く(腹7分目程度)済ませてください。以後は水分のみを摂るようにしてください。
水を摂る場合は、お水・お茶・白湯に限ります(糖分の入ったものや乳製品をお飲みになると、検査に使用する薬剤の性質上、正確な検査ができなくなります)。
薬について
主治医より処方されているお薬は、普段通りお飲みいただいて結構です。
※糖尿病の薬についてはご相談ください。
来院方法について
検査前に、体を動かされると、程度によっては筋肉に検査薬が集まってしまい、正確な検査ができなくなる恐れがあります。
そのため、可能な限りタクシーやご家族様の運転する車でお越しください。
また、ご自身での車の運転・徒歩でお越しになる場合は、受付時間の30分前までにご来院いただき、センター内の待合室にて休憩をおとりいただきますようお願いいたします。
お車で来られる際は、駐車場が混雑する場合もありますので、時間に余裕をもってお越しください。
2013年10月07日 (月)
こんばんは
一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会 博多講演会
「糖質制限食の有効性と安全性―そして可能性」
が2013年10月6日(日)博多で開催されました。
会場は110名(103名+スタッフ7名)の参加者で、満員御礼となりました。
医師、栄養士、看護師、糖尿人と糖尿人のご家族、一般人・・・
様々なかたが参集されて熱気あふれる会となりました。
私が60分間基調講演をして、10分間休憩です。
最新の糖質制限情報を、凝縮して判りやすくお話ししました。
そのあと、
三島 学氏 (「糖質セイゲニストin北九州」世話人/三島塾代表)
薮田 亜矢子氏 (「糖質セイゲニストin北九州」メンバー)
山口 雅美氏 (「ホテルニューオータニ博多」シェフ)
がそれぞれ、体験談、苦労話などを10分間くらいずつ話されました。
三島さんは、ご自身が糖尿病腎症第3期Aの段階から内服薬なしで、糖質制限食で生還されたことと、学習塾で自ら糖質制限食を実践した生徒達の偏差値が上昇して受験が上手くいったことなどを話されました。
兎に角、子供達が授業中に寝なくなって、学力おおいに向上だそうです。
「糖質セイゲニストin北九州」の会の活動、年越し蕎麦の大成功と餃子の失敗など裏話もご披露いただきました。
藪田さんは、糖尿病発症時はHbA1c:9.6%、糖質制限食開始までのHbA1cは8.4~7.1%をいったりきたり。日本糖尿病学会推奨のカロリー制限食をずっと実践しておられましたが、血糖コントロール、体重コントロール共に上手くいきませんでした。
糖尿病歴9年目、2011年9月にはとうとう眼底出血でレーザー治療。
HbA1c:6.9%
2011年9月から、私の本を読まれて、スーパー糖質制限食開始。
10月HbA1c:5.4% まで改善
以後HbA1cは同様を維持。
視力も幸い0.9まで回復されました。
体重はピーク時からは、40kg減って2012年5月には60kgとなり維持しておられます。
藪田さん、とても美しくダイエット成功しておられます。
山口シェフは、糖質制限食で23kgのダイエットに成功されました。
菜食で徹底して頑張っても3kgしか痩せなかったので驚きの減量効果だったそうです。
「ホテルニューオータニ博多」では、糖質制限食OKのフルコースを提供しておられ、パンは販売もしておられます。
地元の医師から紹介されて、糖尿人やご家族がこられることも多いそうです。
糖質制限OKのスイーツやステーキを食べて、「今までの医師はカロリー制限推奨なのでこんな美味しいものを食べたのは10年ぶりです。」など涙ながらに語られることもあるそうで、料理人冥利につきることだそうです。
私も、講演開始前に、山口シェフ渾身の糖質制限食ランチのフルコースを堪能しました。
山口シェフ、ありがとうございました。
その後、フロアからの質問も相次ぎました。
糖質制限食OKの医師を紹介して欲しい。
糖質制限食OKのレストランは他にないか?
高雄病院に入院されていた糖尿病患者さんも、退院後の経過が良好であると報告していただき嬉しいことでした。
糖質制限食が、博多、北九州を始め九州の地に確実に拡がり根付いて行きつつある状況が実感できる実りの多い会でした。
江部康二
一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会 博多講演会
「糖質制限食の有効性と安全性―そして可能性」
■日時:2013年10月6日(日) 13:15~15:30
■場所:福岡交通センター 3・4ホール
福岡市博多区博多駅中央街2-1 博多バスターミナル9F
http://www.f-kc.jp/index.php?option=com_content&task=view&id=87&Itemid=56
■内容:
・講演: 江部 康二 (一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会 理事長)
・座談会:
三島 学氏 (「糖質セイゲニストin北九州」世話人/三島塾代表)
薮田 亜矢子氏 (「糖質セイゲニストin北九州」メンバー)
山口 雅美氏 (「ホテルニューオータニ博多」シェフ)
江部 康二
・質疑応答
■参加費:
・賛助会員 2,000円
・一般(非会員) 2,300円
一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会 博多講演会
「糖質制限食の有効性と安全性―そして可能性」
が2013年10月6日(日)博多で開催されました。
会場は110名(103名+スタッフ7名)の参加者で、満員御礼となりました。
医師、栄養士、看護師、糖尿人と糖尿人のご家族、一般人・・・
様々なかたが参集されて熱気あふれる会となりました。
私が60分間基調講演をして、10分間休憩です。
最新の糖質制限情報を、凝縮して判りやすくお話ししました。
そのあと、
三島 学氏 (「糖質セイゲニストin北九州」世話人/三島塾代表)
薮田 亜矢子氏 (「糖質セイゲニストin北九州」メンバー)
山口 雅美氏 (「ホテルニューオータニ博多」シェフ)
がそれぞれ、体験談、苦労話などを10分間くらいずつ話されました。
三島さんは、ご自身が糖尿病腎症第3期Aの段階から内服薬なしで、糖質制限食で生還されたことと、学習塾で自ら糖質制限食を実践した生徒達の偏差値が上昇して受験が上手くいったことなどを話されました。
兎に角、子供達が授業中に寝なくなって、学力おおいに向上だそうです。
「糖質セイゲニストin北九州」の会の活動、年越し蕎麦の大成功と餃子の失敗など裏話もご披露いただきました。
藪田さんは、糖尿病発症時はHbA1c:9.6%、糖質制限食開始までのHbA1cは8.4~7.1%をいったりきたり。日本糖尿病学会推奨のカロリー制限食をずっと実践しておられましたが、血糖コントロール、体重コントロール共に上手くいきませんでした。
糖尿病歴9年目、2011年9月にはとうとう眼底出血でレーザー治療。
HbA1c:6.9%
2011年9月から、私の本を読まれて、スーパー糖質制限食開始。
10月HbA1c:5.4% まで改善
以後HbA1cは同様を維持。
視力も幸い0.9まで回復されました。
体重はピーク時からは、40kg減って2012年5月には60kgとなり維持しておられます。
藪田さん、とても美しくダイエット成功しておられます。
山口シェフは、糖質制限食で23kgのダイエットに成功されました。
菜食で徹底して頑張っても3kgしか痩せなかったので驚きの減量効果だったそうです。
「ホテルニューオータニ博多」では、糖質制限食OKのフルコースを提供しておられ、パンは販売もしておられます。
地元の医師から紹介されて、糖尿人やご家族がこられることも多いそうです。
糖質制限OKのスイーツやステーキを食べて、「今までの医師はカロリー制限推奨なのでこんな美味しいものを食べたのは10年ぶりです。」など涙ながらに語られることもあるそうで、料理人冥利につきることだそうです。
私も、講演開始前に、山口シェフ渾身の糖質制限食ランチのフルコースを堪能しました。
山口シェフ、ありがとうございました。
その後、フロアからの質問も相次ぎました。
糖質制限食OKの医師を紹介して欲しい。
糖質制限食OKのレストランは他にないか?
高雄病院に入院されていた糖尿病患者さんも、退院後の経過が良好であると報告していただき嬉しいことでした。
糖質制限食が、博多、北九州を始め九州の地に確実に拡がり根付いて行きつつある状況が実感できる実りの多い会でした。
江部康二
一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会 博多講演会
「糖質制限食の有効性と安全性―そして可能性」
■日時:2013年10月6日(日) 13:15~15:30
■場所:福岡交通センター 3・4ホール
福岡市博多区博多駅中央街2-1 博多バスターミナル9F
http://www.f-kc.jp/index.php?option=com_content&task=view&id=87&Itemid=56
■内容:
・講演: 江部 康二 (一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会 理事長)
・座談会:
三島 学氏 (「糖質セイゲニストin北九州」世話人/三島塾代表)
薮田 亜矢子氏 (「糖質セイゲニストin北九州」メンバー)
山口 雅美氏 (「ホテルニューオータニ博多」シェフ)
江部 康二
・質疑応答
■参加費:
・賛助会員 2,000円
・一般(非会員) 2,300円
2013年10月06日 (日)
こんばんは。
先ほど、博多から帰京しました。
まずは2013年10月5日(土)
広島県保険医協会・糖質制限食講演会のご報告です。
広島グランドインテリジェントホテルで開催された、広島県保険医協会学術講演会、
糖質制限食の有効性と安全性
-糖尿病・動脈硬化・癌・生活習慣病と糖質制限食-
というテーマでお話しました。
医師を中心に約50名の参加者がありました。
中には糖質制限食を実践しておられる医師も少数ですがおられました。
午後6:00~7:30まで講演で、午後8:00まで30分間質疑応答でたっぷり討議し、充実した時間を過ごすことができました。
10月19日(土)は熊本保険医協会での講演です。
東京や大阪などの大都市以外にも、糖質制限食の輪が確実に広がっており、嬉しい限りです。
10月5日の夜は、修道高校の同級生で神経内科医の土井一可先生と二人で旧交を温めつつ、ディナーを楽しみました。
宿泊したホテルグランヴィア広島の、スカイレストランアンドラウンジ「L&R」でフレンチのディナーです。
糖質やデンプンがNGとボーイさんに伝えたら、
ポテトのスープの代わりにサラダ、
デザートのケーキの代わりにチーズ・・・
など快く対応していただきました。
スカイレストランアンドラウンジ「L&R」さん、ボーイさん、そしてシェフ、ありがとうございました。m(_ _)m
お陰様で、赤ワインとディナーを堪能することができました。
土井先生は、神経内科医なので
「糖質制限食で片頭痛が良くなるよ」
と話したら、大変興味をもっていただき、ご自身の外来で早速実践してみるとのことで、とても楽しみです。
そうそう、赤ワインとディナー奢っていただきまして土井先生ありがとうございました。
また広島にいったらよろしくね。(^^)
江部康二
先ほど、博多から帰京しました。
まずは2013年10月5日(土)
広島県保険医協会・糖質制限食講演会のご報告です。
広島グランドインテリジェントホテルで開催された、広島県保険医協会学術講演会、
糖質制限食の有効性と安全性
-糖尿病・動脈硬化・癌・生活習慣病と糖質制限食-
というテーマでお話しました。
医師を中心に約50名の参加者がありました。
中には糖質制限食を実践しておられる医師も少数ですがおられました。
午後6:00~7:30まで講演で、午後8:00まで30分間質疑応答でたっぷり討議し、充実した時間を過ごすことができました。
10月19日(土)は熊本保険医協会での講演です。
東京や大阪などの大都市以外にも、糖質制限食の輪が確実に広がっており、嬉しい限りです。
10月5日の夜は、修道高校の同級生で神経内科医の土井一可先生と二人で旧交を温めつつ、ディナーを楽しみました。
宿泊したホテルグランヴィア広島の、スカイレストランアンドラウンジ「L&R」でフレンチのディナーです。
糖質やデンプンがNGとボーイさんに伝えたら、
ポテトのスープの代わりにサラダ、
デザートのケーキの代わりにチーズ・・・
など快く対応していただきました。
スカイレストランアンドラウンジ「L&R」さん、ボーイさん、そしてシェフ、ありがとうございました。m(_ _)m
お陰様で、赤ワインとディナーを堪能することができました。
土井先生は、神経内科医なので
「糖質制限食で片頭痛が良くなるよ」
と話したら、大変興味をもっていただき、ご自身の外来で早速実践してみるとのことで、とても楽しみです。
そうそう、赤ワインとディナー奢っていただきまして土井先生ありがとうございました。
また広島にいったらよろしくね。(^^)
江部康二
2013年10月05日 (土)
おはようございます。
「糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド」江部康二著
東洋経済新報社
2013年8月9日から、発売中です。
今回の本、¥ 3,465と、やや高いです。 m(_ _)m
医家向けに書いた初めての本です。一般の人には少し堅苦しいと思います。
医師・医療関係者・専門的な知識を得たい人のための本です。
エビデンスレベルの高い研究論文から、従来の糖尿病治療の限界を証明し、糖質制限食の有効性や安全性を実証しました。
論文も各章で整理して、読者が調べやすいように配慮してあります。
繰り返される非科学的な糖質制限食批判へも徹底反論しています。
引用文献が豊富ですので、糖質制限食批判に対して読者が反論するときには、かなりお役に立つと思います。
実際、複数の医師から
「よくまとまっている。整理されていて使いやすい。辞書がわりにも使える。糖質制限食批判への反論に便利・・・」
など、お褒めの言葉をいただきました。(^^)
実は、兄、江部洋一郎高雄病院名誉院長からも「今度の本は今までで一番いいね」と声をかけて貰いました。
兄から褒められた経験がほとんどないので、ちょっぴり嬉しかったです。
食事指導・投薬方針など、高雄病院で行われている治療の実際も公開し、これからの糖尿病治療、メタボ・肥満対策の具体的な指針を示しました。
平均血糖変動幅増大と食後高血糖の酸化ストレスリスクなども詳しく考察しています。
内容紹介
【主要目次】
第1章 糖質制限食に関するエビデンス
第2章 従来の糖尿病治療の限界を証明する研究
第3章 糖質制限食への批判に答える研究
第4章 生理学的な事実
第5章 生理学から見る糖質制限食の安全性
第6章 栄養学的な事実
第7章 糖質制限食の実際
第8章 糖質制限食の可能性
◆前帯コピー
医師をはじめ医療関者、専門的な知識を得たい人--必読!
もう、知らないではすまされない!
エビデンスレベルの高い最新研究から、従来の糖尿病治療の限界を証明し、糖質制限食の有効性や安全性を実証。
繰り返される非科学的な糖質制限食批判へも徹底反論。
食事指導・投薬方針など、高雄病院で行われている治療の実際も公開し、これからの糖尿病治療、メタボ・肥満対策の具体的な指針を示す。
◆後帯コピー
これからの糖尿病治療、メタボ・肥満対策のバイブル
三大栄養素の生理学的な事実から考えて、血糖コントロールの上で、従来の高糖質の治療食よりも糖質制限食のほうが有利となります。
さらに、体重減少、体内の脂質状況の改善についても効果があることは、複数の非常にエビデンスレベルの高い研究により証明されています。
近年、大きな注目を集めている、食後高血糖の防止、血糖変動幅の縮小、低血糖の予防に関しても、糖質制限食は抜群の効果があり、ますます評価が高まっています。
事実、欧米では、数々のエビデンスがあり、既に糖質制限食の有効性と安全性については認められていて、公式な治療食の選択肢の一つとなっています。
これからの糖尿病治療において、日本でも、糖質制限食は重要な選択肢となるでしょう。
以下は、「糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド」の「はじめ」にです。
糖質制限食とは
アメリカ糖尿病学会(ADA)によれば、食べ物が摂取され消化・吸収された後、糖質は100%が血糖に変わりますが、たんぱく質と脂質は血糖に変わりません。また、糖質は摂取直後から急峻に血糖値を上昇させ、2時間以内にほとんど吸収されます。これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的な特質です。
食事で糖質を摂取したときだけは血糖値が急上昇することになり、インスリンが大量に追加分泌されます。脂質を摂取してもインスリンの追加分泌はありませんし、たんぱく質を摂取したときにはごく少量の追加分泌があるだけです。
現在、糖尿病の治療において食後の急激な高血糖、すなわち「グルコーススパイク」が大きな問題として注目されています。食後高血糖が心筋梗塞や脳梗塞などの合併症の危険因子として認識されるようになったからです。
そして、食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけです。
1gの糖質摂取により、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値は3mg/dl上昇するとされています。茶碗一杯分に当たる150g(252Kcal)の白米飯には55.3gの糖質が含まれており、これを摂取すれば166mg/dlの血糖上昇が起こることになります。
ところが、牛サーロインステーキを200g(約1000Kcal)食べたとしても、糖質含有量は1g未満であり、食後高血糖をほとんど生じません。
なお、1型糖尿病の場合、1gの糖質摂取で、体重64kgの人の血糖値を5mg/dl上昇させるとされています。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的な事実を基盤として、出来るだけ糖質の摂取を抑え、食後高血糖を防ぐというものです。米飯、麺類、パンなどの穀類や、イモ類など、糖質の多い食品を出来るだけ避ける食事となります。
なお、カロリー計算は原則的に不要ですが、摂取カロリーが無制限というわけではありません。
糖尿病学会の推奨する厳格なカロリー制限は必要ありませんが、身体活動レベルが低い場合は厚生労働省のいう標準的な範囲でのエネルギー摂取を行い、男性ならば1850~2250Kcal、女性ならば1450~1700Kcalを目安とします。
高雄病院で指導している糖質制限食の場合、一日の食事全てにおいて糖質を制限すると総カロリーにおける三大栄養素の比率は糖質12%、たんぱく質32%、脂質56%ほどになりますが、薬剤に頼ることなく速やかに血糖値改善が起こり、良好な血糖コントロールが可能です。
しかし、従来の糖尿病食の場合、糖質60%、たんぱく質20%、脂質20%という比率であり高糖質食となるため、一日の摂取カロリーを1200Kcalに抑えたとしても、食後高血糖を必ず生じます。白米飯と牛サーロインステーキの比較で明らかなように、高糖質食で食後高血糖を防ぐことは理論的に不可能です。
三大栄養素の生理学的な事実から考えて、血糖コントロールの上で従来の高糖質の治療食よりも糖質制限食のほうが有利となります。
さらに、体重減少、体内の脂質状況の改善についても効果があり、複数の非常にエビデンスレベルの高い研究により証明されています。
ここ数年で大きな注目を集めている低血糖の防止、血糖変動幅の縮小に関しても、糖質制限食は効果が高く、ますます治療効果への評価が高まっています。
これからの糖尿病治療において、糖質制限食は重要な選択肢となるでしょう。
本書は糖尿病および糖質制限食に関する主だった研究や知識を集めたものです。また、高雄病院で糖質制限食を10年余りにわたり指導してきた経験やデータもご紹介しております。医療関係者の皆様を初め、糖質制限食についてより詳しく知りたいと考えておられる方のご参考になるかと思っております。
なお、本書の内容は私のブログである「ドクター江部の糖尿病徒然日記」を中心に、これまでの講演会の内容やデータを加味する形で構成しています。ブログは5年以上を経過して内容が膨大になっておりますが、本書はそれを体系化しており、ブログをご覧いただく際にも便利かと思います。
糖質制限食を詳しく知っていただくためにも、またより有効に安全に実施していただくためにも、ぜひ活用していただきたいと願っております。
江部康二
「糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド」江部康二著
東洋経済新報社
2013年8月9日から、発売中です。
今回の本、¥ 3,465と、やや高いです。 m(_ _)m
医家向けに書いた初めての本です。一般の人には少し堅苦しいと思います。
医師・医療関係者・専門的な知識を得たい人のための本です。
エビデンスレベルの高い研究論文から、従来の糖尿病治療の限界を証明し、糖質制限食の有効性や安全性を実証しました。
論文も各章で整理して、読者が調べやすいように配慮してあります。
繰り返される非科学的な糖質制限食批判へも徹底反論しています。
引用文献が豊富ですので、糖質制限食批判に対して読者が反論するときには、かなりお役に立つと思います。
実際、複数の医師から
「よくまとまっている。整理されていて使いやすい。辞書がわりにも使える。糖質制限食批判への反論に便利・・・」
など、お褒めの言葉をいただきました。(^^)
実は、兄、江部洋一郎高雄病院名誉院長からも「今度の本は今までで一番いいね」と声をかけて貰いました。
兄から褒められた経験がほとんどないので、ちょっぴり嬉しかったです。
食事指導・投薬方針など、高雄病院で行われている治療の実際も公開し、これからの糖尿病治療、メタボ・肥満対策の具体的な指針を示しました。
平均血糖変動幅増大と食後高血糖の酸化ストレスリスクなども詳しく考察しています。
内容紹介
【主要目次】
第1章 糖質制限食に関するエビデンス
第2章 従来の糖尿病治療の限界を証明する研究
第3章 糖質制限食への批判に答える研究
第4章 生理学的な事実
第5章 生理学から見る糖質制限食の安全性
第6章 栄養学的な事実
第7章 糖質制限食の実際
第8章 糖質制限食の可能性
◆前帯コピー
医師をはじめ医療関者、専門的な知識を得たい人--必読!
もう、知らないではすまされない!
エビデンスレベルの高い最新研究から、従来の糖尿病治療の限界を証明し、糖質制限食の有効性や安全性を実証。
繰り返される非科学的な糖質制限食批判へも徹底反論。
食事指導・投薬方針など、高雄病院で行われている治療の実際も公開し、これからの糖尿病治療、メタボ・肥満対策の具体的な指針を示す。
◆後帯コピー
これからの糖尿病治療、メタボ・肥満対策のバイブル
三大栄養素の生理学的な事実から考えて、血糖コントロールの上で、従来の高糖質の治療食よりも糖質制限食のほうが有利となります。
さらに、体重減少、体内の脂質状況の改善についても効果があることは、複数の非常にエビデンスレベルの高い研究により証明されています。
近年、大きな注目を集めている、食後高血糖の防止、血糖変動幅の縮小、低血糖の予防に関しても、糖質制限食は抜群の効果があり、ますます評価が高まっています。
事実、欧米では、数々のエビデンスがあり、既に糖質制限食の有効性と安全性については認められていて、公式な治療食の選択肢の一つとなっています。
これからの糖尿病治療において、日本でも、糖質制限食は重要な選択肢となるでしょう。
以下は、「糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド」の「はじめ」にです。
糖質制限食とは
アメリカ糖尿病学会(ADA)によれば、食べ物が摂取され消化・吸収された後、糖質は100%が血糖に変わりますが、たんぱく質と脂質は血糖に変わりません。また、糖質は摂取直後から急峻に血糖値を上昇させ、2時間以内にほとんど吸収されます。これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的な特質です。
食事で糖質を摂取したときだけは血糖値が急上昇することになり、インスリンが大量に追加分泌されます。脂質を摂取してもインスリンの追加分泌はありませんし、たんぱく質を摂取したときにはごく少量の追加分泌があるだけです。
現在、糖尿病の治療において食後の急激な高血糖、すなわち「グルコーススパイク」が大きな問題として注目されています。食後高血糖が心筋梗塞や脳梗塞などの合併症の危険因子として認識されるようになったからです。
そして、食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけです。
1gの糖質摂取により、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値は3mg/dl上昇するとされています。茶碗一杯分に当たる150g(252Kcal)の白米飯には55.3gの糖質が含まれており、これを摂取すれば166mg/dlの血糖上昇が起こることになります。
ところが、牛サーロインステーキを200g(約1000Kcal)食べたとしても、糖質含有量は1g未満であり、食後高血糖をほとんど生じません。
なお、1型糖尿病の場合、1gの糖質摂取で、体重64kgの人の血糖値を5mg/dl上昇させるとされています。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的な事実を基盤として、出来るだけ糖質の摂取を抑え、食後高血糖を防ぐというものです。米飯、麺類、パンなどの穀類や、イモ類など、糖質の多い食品を出来るだけ避ける食事となります。
なお、カロリー計算は原則的に不要ですが、摂取カロリーが無制限というわけではありません。
糖尿病学会の推奨する厳格なカロリー制限は必要ありませんが、身体活動レベルが低い場合は厚生労働省のいう標準的な範囲でのエネルギー摂取を行い、男性ならば1850~2250Kcal、女性ならば1450~1700Kcalを目安とします。
高雄病院で指導している糖質制限食の場合、一日の食事全てにおいて糖質を制限すると総カロリーにおける三大栄養素の比率は糖質12%、たんぱく質32%、脂質56%ほどになりますが、薬剤に頼ることなく速やかに血糖値改善が起こり、良好な血糖コントロールが可能です。
しかし、従来の糖尿病食の場合、糖質60%、たんぱく質20%、脂質20%という比率であり高糖質食となるため、一日の摂取カロリーを1200Kcalに抑えたとしても、食後高血糖を必ず生じます。白米飯と牛サーロインステーキの比較で明らかなように、高糖質食で食後高血糖を防ぐことは理論的に不可能です。
三大栄養素の生理学的な事実から考えて、血糖コントロールの上で従来の高糖質の治療食よりも糖質制限食のほうが有利となります。
さらに、体重減少、体内の脂質状況の改善についても効果があり、複数の非常にエビデンスレベルの高い研究により証明されています。
ここ数年で大きな注目を集めている低血糖の防止、血糖変動幅の縮小に関しても、糖質制限食は効果が高く、ますます治療効果への評価が高まっています。
これからの糖尿病治療において、糖質制限食は重要な選択肢となるでしょう。
本書は糖尿病および糖質制限食に関する主だった研究や知識を集めたものです。また、高雄病院で糖質制限食を10年余りにわたり指導してきた経験やデータもご紹介しております。医療関係者の皆様を初め、糖質制限食についてより詳しく知りたいと考えておられる方のご参考になるかと思っております。
なお、本書の内容は私のブログである「ドクター江部の糖尿病徒然日記」を中心に、これまでの講演会の内容やデータを加味する形で構成しています。ブログは5年以上を経過して内容が膨大になっておりますが、本書はそれを体系化しており、ブログをご覧いただく際にも便利かと思います。
糖質制限食を詳しく知っていただくためにも、またより有効に安全に実施していただくためにも、ぜひ活用していただきたいと願っております。
江部康二
2013年10月04日 (金)
こんにちは。
boron_phosphate さんから、日本医事新報の最近号に載った「食べる順番療法」についてコメントいただきました。
医事新報はニュートラルな立場の医学雑誌で、私も、
江部康二:糖質制限食の実際と効果,
一週一話,週刊日本医事新報,No.4628,2013年1月5日発行:36-37
上記原稿を書きました。
ニュートラルということは、異なる意見も載せるということで、悪いことではないです。
今回、食べる順番療法が、boron_phosphate さん個人的には、全く無効であったということをご報告いただきました。
貴重なデータをありがとうございます。
さて、2010年7月4日(日)、『第9回日本GI研究会』が東京慈恵医大 大学1号館3階講堂で開催され、私は、糖質制限食の特別講演を行いました。
この時「食べる順番療法」の発表があり、「オリーブオイルたっぷりの野菜サラダを10分かけてゆっくり食べて、その後白いご飯を摂取すると、血糖値上昇のピークが2割くらい下がる。白米をさきに食べて後で野菜サラダだと、白米単独のときと血糖値上昇のピークは不変である。」
という報告がありました。
正常人のデータですが、それなりに興味深かったです。
それで、
Yahoo知恵袋
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11108579016
の、boron_phosphate さんのデータを拝見したら
野菜が先で麺が後で、食後高血糖のピークは100mg→205mg
麺が先で野菜が後で、食後高血糖のピークは100mg→225mg
所詮は200mg/dlを超えています。
また血糖値上昇曲線のAUC(曲線下面積)も、両者の差はないので、仰有る通り
「食物繊維の多いものを先に食べても、多少消化を手間取らせるのみであり、糖質の吸収量まで妨害できるわけではない」
ということと、私も思います。
結論です。
1)「食べる順番療法」は正常人においては、
食後血糖値上昇のピークを2割くらい下げる可能性がある。
2)「食べる順番療法」は糖尿人においては、
普通に一人前の糖質を食べたらピークは200mgを超える可能性が高い。
3)「食べる順番療法」は糖尿人においては、
食後高血糖是正効果は、あったとしても微細である。
4)従って、血糖測定せずに、「食べる順番療法」を盲信するのは危険である。
5)食後高血糖の是正には糖質摂取の絶対量を制限する「糖質制限食」が明確に有効である。
私も、boron_phosphate さんのご意見に賛成です。
江部康二
【13/10/04 boron_phosphate
日本医事新報の「食べる順番療法」
日本医事新報の最近号(No.4666 2013年9月28日)で、「二人三脚 糖尿病診療」と題して、おそらく糖尿病専門医ではない一般内科医向けの特集記事が出ていますが、その中で「医師が行う食事療法」(p.43)に、「野菜から先に食べて、炭水化物を最後に食べる」、いわゆる「食べる順番療法」が紹介されています。
別にこの方法を全面否定はしませんが、糖質制限食の存在を知る前に、私が自分で実験した限りでは、血糖値上昇抑制効果は全くありませんでした。
詳細は下記のYahoo知恵袋に書きましたが、概要は、
同じ中華料理店の野菜タップリのタンメンについて、
①野菜だけまず食べ終えて約10分後に麺を食べる、
②麺だけまず食べ終えて約10分後に野菜を食べる
①と②を、日を変えてそれぞれ3回行い、食後30分毎に血糖値変化を180分まで自己測定したものです。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11108579016
合計6回も通ってタンメンばかり食べたので、お店の主人からは、「うちのタンメンがお気に入りですね」と喜んでもらえましたが、血糖値のピーク値も、血糖値上昇曲線のAUC(曲線下面積)も、上記知恵袋に記載した通り、差はみられませんでした。
今井先生の提唱する、この「食べる順番療法」がすべての人に必ず効果があるのならともかく、少なくとも私にはまったく効果がみられませんでした。 よって今回のように一般医向けの特集で、「これだけが食事療法の決め手である」と紹介するのは、危険ではないでしょうか?
特に糖尿病予備軍や、境界型の人は、通常は血糖値を自己測定する手段がないのですから、これだけで糖尿病が予防・改善できると信じてせっせとこの方法を実行してみても、私のようになんの効果もないケースがあるのですから、場合によってはかえって治療のチャンスを失してしまうおそれがあると思います。
(実際私も血糖値を測定して自己実験していなかったら、そうしていたかもしれません。 血糖値を測定して自分には何の効果もないことがわかり、そこで糖質制限食を知って実行したので、現在は完全に正常型になっています)
この記事に続いて、カーボカウントも紹介されていますが、ここでも「患者が絶対に糖質制限食をしないように指導せよ」ととれる表現もあります。
現在の糖尿病医学界は、いったいどうやって食後高血糖を防止せよというのでしょうか?】
boron_phosphate さんから、日本医事新報の最近号に載った「食べる順番療法」についてコメントいただきました。
医事新報はニュートラルな立場の医学雑誌で、私も、
江部康二:糖質制限食の実際と効果,
一週一話,週刊日本医事新報,No.4628,2013年1月5日発行:36-37
上記原稿を書きました。
ニュートラルということは、異なる意見も載せるということで、悪いことではないです。
今回、食べる順番療法が、boron_phosphate さん個人的には、全く無効であったということをご報告いただきました。
貴重なデータをありがとうございます。
さて、2010年7月4日(日)、『第9回日本GI研究会』が東京慈恵医大 大学1号館3階講堂で開催され、私は、糖質制限食の特別講演を行いました。
この時「食べる順番療法」の発表があり、「オリーブオイルたっぷりの野菜サラダを10分かけてゆっくり食べて、その後白いご飯を摂取すると、血糖値上昇のピークが2割くらい下がる。白米をさきに食べて後で野菜サラダだと、白米単独のときと血糖値上昇のピークは不変である。」
という報告がありました。
正常人のデータですが、それなりに興味深かったです。
それで、
Yahoo知恵袋
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11108579016
の、boron_phosphate さんのデータを拝見したら
野菜が先で麺が後で、食後高血糖のピークは100mg→205mg
麺が先で野菜が後で、食後高血糖のピークは100mg→225mg
所詮は200mg/dlを超えています。
また血糖値上昇曲線のAUC(曲線下面積)も、両者の差はないので、仰有る通り
「食物繊維の多いものを先に食べても、多少消化を手間取らせるのみであり、糖質の吸収量まで妨害できるわけではない」
ということと、私も思います。
結論です。
1)「食べる順番療法」は正常人においては、
食後血糖値上昇のピークを2割くらい下げる可能性がある。
2)「食べる順番療法」は糖尿人においては、
普通に一人前の糖質を食べたらピークは200mgを超える可能性が高い。
3)「食べる順番療法」は糖尿人においては、
食後高血糖是正効果は、あったとしても微細である。
4)従って、血糖測定せずに、「食べる順番療法」を盲信するのは危険である。
5)食後高血糖の是正には糖質摂取の絶対量を制限する「糖質制限食」が明確に有効である。
私も、boron_phosphate さんのご意見に賛成です。
江部康二
【13/10/04 boron_phosphate
日本医事新報の「食べる順番療法」
日本医事新報の最近号(No.4666 2013年9月28日)で、「二人三脚 糖尿病診療」と題して、おそらく糖尿病専門医ではない一般内科医向けの特集記事が出ていますが、その中で「医師が行う食事療法」(p.43)に、「野菜から先に食べて、炭水化物を最後に食べる」、いわゆる「食べる順番療法」が紹介されています。
別にこの方法を全面否定はしませんが、糖質制限食の存在を知る前に、私が自分で実験した限りでは、血糖値上昇抑制効果は全くありませんでした。
詳細は下記のYahoo知恵袋に書きましたが、概要は、
同じ中華料理店の野菜タップリのタンメンについて、
①野菜だけまず食べ終えて約10分後に麺を食べる、
②麺だけまず食べ終えて約10分後に野菜を食べる
①と②を、日を変えてそれぞれ3回行い、食後30分毎に血糖値変化を180分まで自己測定したものです。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11108579016
合計6回も通ってタンメンばかり食べたので、お店の主人からは、「うちのタンメンがお気に入りですね」と喜んでもらえましたが、血糖値のピーク値も、血糖値上昇曲線のAUC(曲線下面積)も、上記知恵袋に記載した通り、差はみられませんでした。
今井先生の提唱する、この「食べる順番療法」がすべての人に必ず効果があるのならともかく、少なくとも私にはまったく効果がみられませんでした。 よって今回のように一般医向けの特集で、「これだけが食事療法の決め手である」と紹介するのは、危険ではないでしょうか?
特に糖尿病予備軍や、境界型の人は、通常は血糖値を自己測定する手段がないのですから、これだけで糖尿病が予防・改善できると信じてせっせとこの方法を実行してみても、私のようになんの効果もないケースがあるのですから、場合によってはかえって治療のチャンスを失してしまうおそれがあると思います。
(実際私も血糖値を測定して自己実験していなかったら、そうしていたかもしれません。 血糖値を測定して自分には何の効果もないことがわかり、そこで糖質制限食を知って実行したので、現在は完全に正常型になっています)
この記事に続いて、カーボカウントも紹介されていますが、ここでも「患者が絶対に糖質制限食をしないように指導せよ」ととれる表現もあります。
現在の糖尿病医学界は、いったいどうやって食後高血糖を防止せよというのでしょうか?】
2013年10月03日 (木)
おはようございます。
高雄病院で常勤医師或いは非常勤医師を、1~2名募集します。
自ら糖質制限食を実践しておられる医師、または糖質制限食の勉強に興味があり、糖尿病治療などに取り組んでみたい医師です。
年齢、性別問わずで、内科以外が専門の医師もOKです。
幸い非常勤の医師が1名就労していただけることとなりました。
常勤の場合、外来診療を担当していただき、病棟では入院患者さんも担当していただきます。
非常勤の場合、外来診療担当だけでもOKです。
非常勤で療養型病床のみ担当という選択肢もOKです。
高雄病院は、療養型病床60床、一般病床(障害者病棟)52床があります。
糖尿病患者さん、アトピー患者さん、漢方患者さんなどの入院は一般病床の10ベッドくらいで回しています。
医師の勤務は急性期の病院のように忙しくはありません。
病棟ナースも師長・主任以外は、定時に帰宅できることがほとんどです。
医師も、当直医待ちの待機担当医以外は、定時に帰宅できますし、勤務時間の空きの時間で糖質制限食や漢方の勉強もできる環境です。
給与は院内規定によります。
一般的にみて中の下くらいだと思いますが、仕事量からすればお得感があるかもしれません。
1~2年間の勤務でも結構ですし、長期も歓迎です。
開業前に、1~2年間糖質制限食の勉強をしたいといったスタンスでもいいです。
高雄病院就職ご希望の医師は
〒616-8265
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
高雄病院
高雄病院総務部
電話:075-872-0027
までご連絡いただけば幸いです。
メールのお問い合わせでもOKです。
高雄病院のEメールアドレス : takao-info@ac.auone-net.jp
江部康二
高雄病院で常勤医師或いは非常勤医師を、1~2名募集します。
自ら糖質制限食を実践しておられる医師、または糖質制限食の勉強に興味があり、糖尿病治療などに取り組んでみたい医師です。
年齢、性別問わずで、内科以外が専門の医師もOKです。
幸い非常勤の医師が1名就労していただけることとなりました。
常勤の場合、外来診療を担当していただき、病棟では入院患者さんも担当していただきます。
非常勤の場合、外来診療担当だけでもOKです。
非常勤で療養型病床のみ担当という選択肢もOKです。
高雄病院は、療養型病床60床、一般病床(障害者病棟)52床があります。
糖尿病患者さん、アトピー患者さん、漢方患者さんなどの入院は一般病床の10ベッドくらいで回しています。
医師の勤務は急性期の病院のように忙しくはありません。
病棟ナースも師長・主任以外は、定時に帰宅できることがほとんどです。
医師も、当直医待ちの待機担当医以外は、定時に帰宅できますし、勤務時間の空きの時間で糖質制限食や漢方の勉強もできる環境です。
給与は院内規定によります。
一般的にみて中の下くらいだと思いますが、仕事量からすればお得感があるかもしれません。
1~2年間の勤務でも結構ですし、長期も歓迎です。
開業前に、1~2年間糖質制限食の勉強をしたいといったスタンスでもいいです。
高雄病院就職ご希望の医師は
〒616-8265
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
高雄病院
高雄病院総務部
電話:075-872-0027
までご連絡いただけば幸いです。
メールのお問い合わせでもOKです。
高雄病院のEメールアドレス : takao-info@ac.auone-net.jp
江部康二
2013年10月02日 (水)
こんにちは。
もっちー さんから、糖質制限食で体重減少、検査データ改善という嬉しいコメントをいただきました。
もっちーさん、拙著のご購入、ありがとうございます。
ご夫婦で、我慢することもとても少なく30kg近い減量成功ですね。
素晴らしいです。
ご主人は、
2013年5月 170cm、96kg BMI:33.2
2013年9月 170cm、77kg BMI:26.6
当初は米国に行っても肥満だったのですが、素晴らしい減量成功です。
今なら米国では肥満ではないですよ。ヾ(^▽^)
日本で、脱肥満は、BMI:25未満なので72kgになれば、BMI:24.9 となり、日本国においても「脱肥満」達成ですね。(⌒o⌒)v
もっちーさんは、10kg減量ですから、もうすでに脱肥満、達成でしょうか?
ご主人、血液検査でも全て正常となったとのことですが、脂肪肝に伴う、GOT、GPT、γ-GTPの高値とか、中性脂肪やコレステロールなど脂質関連データも基準値になったのでしょう。
お二人とも、糖質制限食後の変化として典型的なケースと思いますので、おおいにブログ読者の皆さんの参考になります。
これからも美味しく楽しく糖質制限食をお続けくださいね。
江部康二
【13/10/02 もっちー
はじめまして♪
先生初めまして!
5月に主人が血液検査で糖尿病と言われてから 先生の本を拝見したりブログにお邪魔したりして 糖質制限を行ってきました。
その結果
身長170センチ体重96キロあった 主人の体重が77キロまで落ち 最近2回ほどの血液検査では「通常値」と言われるほど数字が良くなりました!!! (私も一緒に糖質制限を行っていたら 10キロも痩せました♪)
糖質制限、我慢する事もとても少なく 簡単でものすごくいいですね!!!
先生にとても感謝しています!
ありがとうございます!
こちらは神奈川なのですが いつかそちら方面に行く事があれば 先生の病院にお邪魔してみたいです♪
先生、世間にはいろいろな方がいて とても大変な事も多いと思いますが うちのように先生に救われている者も
沢山いると思います。
応援しています。
頑張ってください! 】
もっちー さんから、糖質制限食で体重減少、検査データ改善という嬉しいコメントをいただきました。
もっちーさん、拙著のご購入、ありがとうございます。
ご夫婦で、我慢することもとても少なく30kg近い減量成功ですね。
素晴らしいです。
ご主人は、
2013年5月 170cm、96kg BMI:33.2
2013年9月 170cm、77kg BMI:26.6
当初は米国に行っても肥満だったのですが、素晴らしい減量成功です。
今なら米国では肥満ではないですよ。ヾ(^▽^)
日本で、脱肥満は、BMI:25未満なので72kgになれば、BMI:24.9 となり、日本国においても「脱肥満」達成ですね。(⌒o⌒)v
もっちーさんは、10kg減量ですから、もうすでに脱肥満、達成でしょうか?
ご主人、血液検査でも全て正常となったとのことですが、脂肪肝に伴う、GOT、GPT、γ-GTPの高値とか、中性脂肪やコレステロールなど脂質関連データも基準値になったのでしょう。
お二人とも、糖質制限食後の変化として典型的なケースと思いますので、おおいにブログ読者の皆さんの参考になります。
これからも美味しく楽しく糖質制限食をお続けくださいね。
江部康二
【13/10/02 もっちー
はじめまして♪
先生初めまして!
5月に主人が血液検査で糖尿病と言われてから 先生の本を拝見したりブログにお邪魔したりして 糖質制限を行ってきました。
その結果
身長170センチ体重96キロあった 主人の体重が77キロまで落ち 最近2回ほどの血液検査では「通常値」と言われるほど数字が良くなりました!!! (私も一緒に糖質制限を行っていたら 10キロも痩せました♪)
糖質制限、我慢する事もとても少なく 簡単でものすごくいいですね!!!
先生にとても感謝しています!
ありがとうございます!
こちらは神奈川なのですが いつかそちら方面に行く事があれば 先生の病院にお邪魔してみたいです♪
先生、世間にはいろいろな方がいて とても大変な事も多いと思いますが うちのように先生に救われている者も
沢山いると思います。
応援しています。
頑張ってください! 】
2013年10月02日 (水)
こんにちは。
HSG さんから、とても興味深いコメントをいただきました。
何と
「ロンドン五輪の選手たち、歯の健康は劣悪 英研究」
というAFPBB Newsというサイトの記事の情報です。
HSG さん、ありがとうございます。
『ロンドン五輪参加の一流スポーツ選手で選手村の歯科医を受診した方々の調査報告です。
受診した選手の半数以上が虫歯にかかっており、うち41%の虫歯は元に戻らない状態』
『また調査対象の選手の4分の3以上が、初期段階の歯周病にかかっており、15%は歯周炎』
『スポーツ選手に口腔疾患が多いのは、エネルギー源となる炭水化物の多量摂取と、激しいトレーニングによる免疫機能の低下が原因である可能性』
いやはや、私にとっては意外でした。
一流スポーツ選手は健康なものだと勝手に思いこんでいたのですが、私も常識に囚われていたようですね。( ̄_ ̄|||)
そう言えば、激しい運動が免疫機能を落とすので、スポーツ選手は風邪をひきやすくなるという論文を読んだことを思い出しました。(=_=;)
炭水化物の多量摂取が、虫歯と歯周症のリスクということは、欧米ではごく一般的な知識なのでしょうね。
長距離走とか持続力を生かすスポーツなら、糖質制限食でOKと考えられますので一流スポーツ選手も考慮の余地がありますね。
江部康二
AFPBB News
地球人になろう!国際ニュースコミュニティ
http://www.afpbb.com/articles/-/3000543
より抜粋
【ロンドン五輪の選手たち、歯の健康は劣悪 英研究
2013年10月01日 11:14 発信地:パリ/フランス
【10月1日 AFP】2012年ロンドン五輪に出場した多くの一流選手の口の中の健康は、貧困地域の人々と同程度の状態だったことが、30日に発表された英スポーツ医学誌「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・スポーツ・メディシン(British Journal of Sports Medicine)」の論文で明らかになった。
研究の対象になったのは、2012年ロンドン五輪の選手村にあった歯科クリニックを受診した、アフリカ、北中南米、欧州などの選手302人。これらの選手はそれぞれ25種類の競技に出場し、その内訳は約30%が陸上競技、14%がボクシング、11%がホッケー、8%が水泳だった。
英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(University College London、UCL)の研究チームは、選手村の歯科医を受診したこれらの選手の歯と歯茎を調査。その結果、選手の半数以上が虫歯にかかっており、うち41%の虫歯は元に戻らない状態だったことが分かった。
また調査対象の選手の4分の3以上が、初期段階の歯周病にかかっており、15%は歯周炎の症状を示していた。
これまでの研究で、スポーツ選手に口腔疾患が多いのは、エネルギー源となる炭水化物の多量摂取と激しいトレーニングによる免疫機能の低下が原因である可能性が指摘されている。
(c)AFP 】
HSG さんから、とても興味深いコメントをいただきました。
何と
「ロンドン五輪の選手たち、歯の健康は劣悪 英研究」
というAFPBB Newsというサイトの記事の情報です。
HSG さん、ありがとうございます。
『ロンドン五輪参加の一流スポーツ選手で選手村の歯科医を受診した方々の調査報告です。
受診した選手の半数以上が虫歯にかかっており、うち41%の虫歯は元に戻らない状態』
『また調査対象の選手の4分の3以上が、初期段階の歯周病にかかっており、15%は歯周炎』
『スポーツ選手に口腔疾患が多いのは、エネルギー源となる炭水化物の多量摂取と、激しいトレーニングによる免疫機能の低下が原因である可能性』
いやはや、私にとっては意外でした。
一流スポーツ選手は健康なものだと勝手に思いこんでいたのですが、私も常識に囚われていたようですね。( ̄_ ̄|||)
そう言えば、激しい運動が免疫機能を落とすので、スポーツ選手は風邪をひきやすくなるという論文を読んだことを思い出しました。(=_=;)
炭水化物の多量摂取が、虫歯と歯周症のリスクということは、欧米ではごく一般的な知識なのでしょうね。
長距離走とか持続力を生かすスポーツなら、糖質制限食でOKと考えられますので一流スポーツ選手も考慮の余地がありますね。
江部康二
AFPBB News
地球人になろう!国際ニュースコミュニティ
http://www.afpbb.com/articles/-/3000543
より抜粋
【ロンドン五輪の選手たち、歯の健康は劣悪 英研究
2013年10月01日 11:14 発信地:パリ/フランス
【10月1日 AFP】2012年ロンドン五輪に出場した多くの一流選手の口の中の健康は、貧困地域の人々と同程度の状態だったことが、30日に発表された英スポーツ医学誌「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・スポーツ・メディシン(British Journal of Sports Medicine)」の論文で明らかになった。
研究の対象になったのは、2012年ロンドン五輪の選手村にあった歯科クリニックを受診した、アフリカ、北中南米、欧州などの選手302人。これらの選手はそれぞれ25種類の競技に出場し、その内訳は約30%が陸上競技、14%がボクシング、11%がホッケー、8%が水泳だった。
英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(University College London、UCL)の研究チームは、選手村の歯科医を受診したこれらの選手の歯と歯茎を調査。その結果、選手の半数以上が虫歯にかかっており、うち41%の虫歯は元に戻らない状態だったことが分かった。
また調査対象の選手の4分の3以上が、初期段階の歯周病にかかっており、15%は歯周炎の症状を示していた。
これまでの研究で、スポーツ選手に口腔疾患が多いのは、エネルギー源となる炭水化物の多量摂取と激しいトレーニングによる免疫機能の低下が原因である可能性が指摘されている。
(c)AFP 】
2013年10月01日 (火)
おはようございます。
日経ヘルス&プルミエ 電子版 2013/9/29 に糖質制限食の批判記事が載りました。
HSG さん 、精神科医師Aさん、コメントをありがとうございます。
飛んで火に入る夏(秋?)の虫というところですので、早速反論します。
千葉大学大学院医学研究院教授の三木隆司氏の話を元にしてライターさんが記事にしたものです。
赤字のところが糖質制限食の批判部分です。
「糖分をほとんど含まない食事を続けると、5重の防御システムも力及ばず、やがて常に血糖値が低い状態になる。」
これは、根本的に間違った記載です。
まず三木教授自身が述べておられるように、
「人体は、長い進化の中で作られた。その間、常に食料不足にさらされてきたため、空腹(=血糖値低下)をしのぐしくみは厳重」
なのです。
人類の進化の歴史において、700万年の狩猟・採集時代は、基本的に飢餓との戦いが日常でした。
7日間あるいは1ヶ月間、水だけで過ごすことも当然あったと思います。
こういうときは、人体で唯一ブドウ糖しかエネルギー源にできない赤血球のために、グルカゴンなどの5重の防御システムが働いて、肝臓でブドウ糖を産生します。
従って、飢餓のときでさえも、必要最低限の血糖は確保できるシステムが人体には備わっているのです。
そして、生肉・生魚が主食であったイヌイットは、伝統的食生活を守ってきた4000年間は、糖質摂取は限りなく少なく、まさにスーパー糖質制限食を実践していたといえます。
イヌイットが穀物を食べず、糖質制限食を実践したことで低血糖になったという報告は、勿論皆無です。
「このとき脳は“非常食”として、ケトン体という脂肪分解物を栄養源として使い始める。飢餓をなんとか生き延びるための最終手段だ。」
これも根本的に間違った記載です。
そもそも、糖質を普通に摂取している現代人の、ケトン体の基準値が26~122μM/L です。
基準値があるということは、糖質を普通に摂取している人でも、血中ケトン体は常に存在しているわけで、決して非常食ではありません。
すなわち、全ての人類において、糖質を普通に食べていても、 心筋や骨格筋など体細胞は、空腹時や睡眠時には日常的に ケトン体をエネルギー源として利用してしているのです。
このことは、ハーパー生化学にも明確に記載してあります。
日常生活では心筋・骨格筋など多くの体細胞は、脂肪酸・ケトン体を主エネルギー源としているのです。(*)
また脳は、ブドウ糖だけでなく日常的にいくらでもケトン体を利用できますので、決して非常食ではありません。
例えば、難治性小児てんかんの治療食としてコクランライブラリーにも認められている「ケトン食」においては、
総摂取カロリーの75~80%を脂質から摂取し、糖質はほとんど摂取しません。
この場合、血中ケトン体濃度が生理的に上昇して、脳のエネルギー源のほとんどがケトン体となり、ブドウ糖はわずかです。
結論です。
1)糖質制限食を実践しても、肝臓で糖新生するので低血糖にはなりません。
2)ケトン体は、非常食ではなく、日常的に人体で利用している重要なエネルギー源です。
(*)ハーパー生化学(原書27版):157、上代淑人監訳.丸善株式会社.2007
江部康二
【日経ヘルス&プルミエ 電子版 2013/9/29
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2700E_X20C13A8000000/
より抜粋
上がりやすく下がりにくい 「血糖値」のヒミツ
働きもののカラダの仕組み 北村昌陽
■血糖値を上げるホルモンは5種類もある
まず下の図1、図2から。血糖値を下げるホルモンは1つしかないのに対して、上げるホルモンは5種類もある。ずいぶんアンバランスに見えますが? 「体にとって、血糖値が下がってしまうのは生命の危機。それだけは避けたいから、備えも厳重なのです」
体の中で、ブドウ糖を最も必要とする臓器は、脳。ほかの器官はエネルギー源として脂肪も利用できるが、脳は基本的にブドウ糖に依存している。脳の働きを保つには、血糖値を下げないことが非常に大事なのだ。
図1 食事を食べて血糖値が上がったとき、下げる働きをするのが「インスリン」。血液中の余分なブドウ糖を、筋肉や肝臓に取り込ませる。さらに余分な栄養分がある場合は、脂肪に変換して体脂肪として蓄える(イラスト:江田ななえ、以下同)
画像の拡大
図1 食事を食べて血糖値が上がったとき、下げる働きをするのが「インスリン」。血液中の余分なブドウ糖を、筋肉や肝臓に取り込ませる。さらに余分な栄養分がある場合は、脂肪に変換して体脂肪として蓄える(イラスト:江田ななえ、以下同)
図2 血糖値が下がり始めると、「グルカゴン」など5種類のホルモンが働いて、肝臓からブドウ糖の放出を促し、血糖値を上げる。同時に、体脂肪の分解も活性化。体の中がエネルギー不足にならないようにする
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図2 血糖値が下がり始めると、「グルカゴン」など5種類のホルモンが働いて、肝臓からブドウ糖の放出を促し、血糖値を上げる。同時に、体脂肪の分解も活性化。体の中がエネルギー不足にならないようにする
図3 清涼飲料水の一気飲みに注意! 血糖値が急上昇、膵臓の負担に。甘い清涼飲料水には、ブドウ糖が入っていることが多い。食品中の糖分と違って、血糖値が急激にアップするため、インスリンを作る膵臓に過大な負担がかかる。飲み物は成分を見て選ぼう
図3 清涼飲料水の一気飲みに注意! 血糖値が急上昇、膵臓の負担に。甘い清涼飲料水には、ブドウ糖が入っていることが多い。食品中の糖分と違って、血糖値が急激にアップするため、インスリンを作る膵臓に過大な負担がかかる。飲み物は成分を見て選ぼう
一方、血糖値が高くなっても、いきなり命が危なくなることはない。それで下げる側はインスリンだけで十分、というわけ。
「ただ現代では、下げるしくみの脆弱さが問題になるのです」
人体は、長い進化の中で作られた。その間、常に食料不足にさらされてきたため、空腹(=血糖値低下)をしのぐしくみは厳重だが、「食べ過ぎ」対策は手薄だという。
現代の飽食の生活は、その手薄な部分にフル稼働を強いる。そうやって膵臓(すいぞう)のインスリン分泌能が疲れ果て、破綻すると、行き着く先は糖尿病だ。「特に、血糖値を急激に上げる清涼飲料水などが問題です」
健康な人でも、ブドウ糖入り清涼飲料水を一気に飲むと、尿に糖分が漏れてくるといった糖尿病的な症状が現れることがあるという。「インスリン作用が追いつかないほど急激に血糖値が上がるのでしょう。そんな積み重ねが体をむしばんでいくことは、十分にあり得ます」(図3)。
なるほど。それなら、最近話題の「低糖質ダイエット」はどうだろう。食事中の糖分を制限してやせるという、人気のダイエット法だ。これならインスリン分泌の負担が少なくていいように思えるけれど?
■下げすぎるのも問題「低糖質ダイエット」
「“甘いものの食べ過ぎに注意する”というレベルならいいでしょう。でも、極端な制限をするのは、やはり問題なのです」
糖分をほとんど含まない食事を続けると、5重の防御システムも力及ばず、やがて常に血糖値が低い状態になる。このとき脳は“非常食”として、ケトン体という脂肪分解物を栄養源として使い始める。飢餓をなんとか生き延びるための最終手段だ。低糖質ダイエットブームの影響で、実際にそんな状態の人がいると三木さんはいう。「そういう栄養状態が健康的とはいえないでしょう。現時点で、安全性の保証はありません」
つまりこういうことだ。体は、血糖値を一定の範囲におさめようと努力している。その範囲を逸脱させるような生活は、血糖値を上げるにせよ下げるにせよ、どこかアンバランスで問題を起こす可能性が高い、と。
やはり何事もバランスが肝心。平凡だけど、これが王道なのです。
北村昌陽(きたむら・まさひ)
生命科学ジャーナリスト。医療専門誌や健康情報誌の編集部に計17年在籍したのち独立。主に生命科学と医療・健康に関わる分野で取材・執筆活動を続けている。著書『カラダの声をきく健康学』(岩波書店)。
日経ヘルス2012年11月号の記事を基に再構成 】
日経ヘルス&プルミエ 電子版 2013/9/29 に糖質制限食の批判記事が載りました。
HSG さん 、精神科医師Aさん、コメントをありがとうございます。
飛んで火に入る夏(秋?)の虫というところですので、早速反論します。
千葉大学大学院医学研究院教授の三木隆司氏の話を元にしてライターさんが記事にしたものです。
赤字のところが糖質制限食の批判部分です。
「糖分をほとんど含まない食事を続けると、5重の防御システムも力及ばず、やがて常に血糖値が低い状態になる。」
これは、根本的に間違った記載です。
まず三木教授自身が述べておられるように、
「人体は、長い進化の中で作られた。その間、常に食料不足にさらされてきたため、空腹(=血糖値低下)をしのぐしくみは厳重」
なのです。
人類の進化の歴史において、700万年の狩猟・採集時代は、基本的に飢餓との戦いが日常でした。
7日間あるいは1ヶ月間、水だけで過ごすことも当然あったと思います。
こういうときは、人体で唯一ブドウ糖しかエネルギー源にできない赤血球のために、グルカゴンなどの5重の防御システムが働いて、肝臓でブドウ糖を産生します。
従って、飢餓のときでさえも、必要最低限の血糖は確保できるシステムが人体には備わっているのです。
そして、生肉・生魚が主食であったイヌイットは、伝統的食生活を守ってきた4000年間は、糖質摂取は限りなく少なく、まさにスーパー糖質制限食を実践していたといえます。
イヌイットが穀物を食べず、糖質制限食を実践したことで低血糖になったという報告は、勿論皆無です。
「このとき脳は“非常食”として、ケトン体という脂肪分解物を栄養源として使い始める。飢餓をなんとか生き延びるための最終手段だ。」
これも根本的に間違った記載です。
そもそも、糖質を普通に摂取している現代人の、ケトン体の基準値が26~122μM/L です。
基準値があるということは、糖質を普通に摂取している人でも、血中ケトン体は常に存在しているわけで、決して非常食ではありません。
すなわち、全ての人類において、糖質を普通に食べていても、 心筋や骨格筋など体細胞は、空腹時や睡眠時には日常的に ケトン体をエネルギー源として利用してしているのです。
このことは、ハーパー生化学にも明確に記載してあります。
日常生活では心筋・骨格筋など多くの体細胞は、脂肪酸・ケトン体を主エネルギー源としているのです。(*)
また脳は、ブドウ糖だけでなく日常的にいくらでもケトン体を利用できますので、決して非常食ではありません。
例えば、難治性小児てんかんの治療食としてコクランライブラリーにも認められている「ケトン食」においては、
総摂取カロリーの75~80%を脂質から摂取し、糖質はほとんど摂取しません。
この場合、血中ケトン体濃度が生理的に上昇して、脳のエネルギー源のほとんどがケトン体となり、ブドウ糖はわずかです。
結論です。
1)糖質制限食を実践しても、肝臓で糖新生するので低血糖にはなりません。
2)ケトン体は、非常食ではなく、日常的に人体で利用している重要なエネルギー源です。
(*)ハーパー生化学(原書27版):157、上代淑人監訳.丸善株式会社.2007
江部康二
【日経ヘルス&プルミエ 電子版 2013/9/29
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2700E_X20C13A8000000/
より抜粋
上がりやすく下がりにくい 「血糖値」のヒミツ
働きもののカラダの仕組み 北村昌陽
■血糖値を上げるホルモンは5種類もある
まず下の図1、図2から。血糖値を下げるホルモンは1つしかないのに対して、上げるホルモンは5種類もある。ずいぶんアンバランスに見えますが? 「体にとって、血糖値が下がってしまうのは生命の危機。それだけは避けたいから、備えも厳重なのです」
体の中で、ブドウ糖を最も必要とする臓器は、脳。ほかの器官はエネルギー源として脂肪も利用できるが、脳は基本的にブドウ糖に依存している。脳の働きを保つには、血糖値を下げないことが非常に大事なのだ。
図1 食事を食べて血糖値が上がったとき、下げる働きをするのが「インスリン」。血液中の余分なブドウ糖を、筋肉や肝臓に取り込ませる。さらに余分な栄養分がある場合は、脂肪に変換して体脂肪として蓄える(イラスト:江田ななえ、以下同)
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図1 食事を食べて血糖値が上がったとき、下げる働きをするのが「インスリン」。血液中の余分なブドウ糖を、筋肉や肝臓に取り込ませる。さらに余分な栄養分がある場合は、脂肪に変換して体脂肪として蓄える(イラスト:江田ななえ、以下同)
図2 血糖値が下がり始めると、「グルカゴン」など5種類のホルモンが働いて、肝臓からブドウ糖の放出を促し、血糖値を上げる。同時に、体脂肪の分解も活性化。体の中がエネルギー不足にならないようにする
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図2 血糖値が下がり始めると、「グルカゴン」など5種類のホルモンが働いて、肝臓からブドウ糖の放出を促し、血糖値を上げる。同時に、体脂肪の分解も活性化。体の中がエネルギー不足にならないようにする
図3 清涼飲料水の一気飲みに注意! 血糖値が急上昇、膵臓の負担に。甘い清涼飲料水には、ブドウ糖が入っていることが多い。食品中の糖分と違って、血糖値が急激にアップするため、インスリンを作る膵臓に過大な負担がかかる。飲み物は成分を見て選ぼう
図3 清涼飲料水の一気飲みに注意! 血糖値が急上昇、膵臓の負担に。甘い清涼飲料水には、ブドウ糖が入っていることが多い。食品中の糖分と違って、血糖値が急激にアップするため、インスリンを作る膵臓に過大な負担がかかる。飲み物は成分を見て選ぼう
一方、血糖値が高くなっても、いきなり命が危なくなることはない。それで下げる側はインスリンだけで十分、というわけ。
「ただ現代では、下げるしくみの脆弱さが問題になるのです」
人体は、長い進化の中で作られた。その間、常に食料不足にさらされてきたため、空腹(=血糖値低下)をしのぐしくみは厳重だが、「食べ過ぎ」対策は手薄だという。
現代の飽食の生活は、その手薄な部分にフル稼働を強いる。そうやって膵臓(すいぞう)のインスリン分泌能が疲れ果て、破綻すると、行き着く先は糖尿病だ。「特に、血糖値を急激に上げる清涼飲料水などが問題です」
健康な人でも、ブドウ糖入り清涼飲料水を一気に飲むと、尿に糖分が漏れてくるといった糖尿病的な症状が現れることがあるという。「インスリン作用が追いつかないほど急激に血糖値が上がるのでしょう。そんな積み重ねが体をむしばんでいくことは、十分にあり得ます」(図3)。
なるほど。それなら、最近話題の「低糖質ダイエット」はどうだろう。食事中の糖分を制限してやせるという、人気のダイエット法だ。これならインスリン分泌の負担が少なくていいように思えるけれど?
■下げすぎるのも問題「低糖質ダイエット」
「“甘いものの食べ過ぎに注意する”というレベルならいいでしょう。でも、極端な制限をするのは、やはり問題なのです」
糖分をほとんど含まない食事を続けると、5重の防御システムも力及ばず、やがて常に血糖値が低い状態になる。このとき脳は“非常食”として、ケトン体という脂肪分解物を栄養源として使い始める。飢餓をなんとか生き延びるための最終手段だ。低糖質ダイエットブームの影響で、実際にそんな状態の人がいると三木さんはいう。「そういう栄養状態が健康的とはいえないでしょう。現時点で、安全性の保証はありません」
つまりこういうことだ。体は、血糖値を一定の範囲におさめようと努力している。その範囲を逸脱させるような生活は、血糖値を上げるにせよ下げるにせよ、どこかアンバランスで問題を起こす可能性が高い、と。
やはり何事もバランスが肝心。平凡だけど、これが王道なのです。
北村昌陽(きたむら・まさひ)
生命科学ジャーナリスト。医療専門誌や健康情報誌の編集部に計17年在籍したのち独立。主に生命科学と医療・健康に関わる分野で取材・執筆活動を続けている。著書『カラダの声をきく健康学』(岩波書店)。
日経ヘルス2012年11月号の記事を基に再構成 】