2013年03月31日 (日)
こんんちは
まぬーかさんから、とても興味深いニュースのコメントをいただきました。
まぬーかさん、ありがとうございます。
2012年12月放送の米国のCBSニュースで、転移性ガンで余命3ヶ月と宣告された人が「ケトン食(脂質80%の超厳格糖質制限食)」で、ガンが消失して、その後1年以上経過して再発の兆候はないそうです。
さらに長期の経過観察が必要なのは勿論ですが、末期の転移ガンが消えただけでも奇跡的で素晴らしいことです。
http://merx.me/archives/31221
のサイトで、ニュースの日本語和訳と英語動画を見ることができます。
テレビのニュースですので、エビデンスレベルとは言えませんが、1例とはいえ興味深い事実ですね。
2011年8月から米アイオワ大学とNIHが共同研究でステージ4の肺がんで「放射線治療」「化学療法」後にケトン食を導入した臨床試験が開始されています。
2012年2月からは、ステージ4の膵がんでも、同様の臨床試験が開始されています。
ケトン食、とても注目に値します。
江部康二
【13/03/29 まぬーか
CBNニュースの和訳
去年12月のアメリカのCBNニュース ケトン食によるがん治療の和訳を見つけました。治療法なしの余命3ヶ月と宣告されて、失うものは何も無いからとケトンダイエットにトライして生還された人が紹介されています。
http://merx.me/archives/31221
<無料で副作用がなく、他の一般的ガン治療と併行できる新たなガン治療法>
この中でコレステロールについても
<心臓専門医スティーブン・シナトラ博士に尋ねると
答えは、
“絶対になりません。”
シナトラ博士は本当の原因として、
“心臓病はあまりにも多くの炭水化物を食べることから来ている。”
と話す>】
まぬーかさんから、とても興味深いニュースのコメントをいただきました。
まぬーかさん、ありがとうございます。
2012年12月放送の米国のCBSニュースで、転移性ガンで余命3ヶ月と宣告された人が「ケトン食(脂質80%の超厳格糖質制限食)」で、ガンが消失して、その後1年以上経過して再発の兆候はないそうです。
さらに長期の経過観察が必要なのは勿論ですが、末期の転移ガンが消えただけでも奇跡的で素晴らしいことです。
http://merx.me/archives/31221
のサイトで、ニュースの日本語和訳と英語動画を見ることができます。
テレビのニュースですので、エビデンスレベルとは言えませんが、1例とはいえ興味深い事実ですね。
2011年8月から米アイオワ大学とNIHが共同研究でステージ4の肺がんで「放射線治療」「化学療法」後にケトン食を導入した臨床試験が開始されています。
2012年2月からは、ステージ4の膵がんでも、同様の臨床試験が開始されています。
ケトン食、とても注目に値します。
江部康二
【13/03/29 まぬーか
CBNニュースの和訳
去年12月のアメリカのCBNニュース ケトン食によるがん治療の和訳を見つけました。治療法なしの余命3ヶ月と宣告されて、失うものは何も無いからとケトンダイエットにトライして生還された人が紹介されています。
http://merx.me/archives/31221
<無料で副作用がなく、他の一般的ガン治療と併行できる新たなガン治療法>
この中でコレステロールについても
<心臓専門医スティーブン・シナトラ博士に尋ねると
答えは、
“絶対になりません。”
シナトラ博士は本当の原因として、
“心臓病はあまりにも多くの炭水化物を食べることから来ている。”
と話す>】
2013年03月30日 (土)
おおはようございます。
わんわんさんから
”強力スタチン療法”でCKD非合併例の急性腎障害入院が増加 (BMJ 2012年3月20日オンライン版)
というMTProの記事の情報を頂きました。
わんわんさん、ありがとうございます。
『CKD(慢性腎臓病)なしの場合,強力療法開始120日以内で34%のリスク上昇』
『ロスバスタチン(クレストール)10mg以上, アトルバスタチン(リピトール)20mg以上,シンバスタチン(リポバス)40mg以上を強力療法,その他のスタチン療法を通常療法とした。』
『新規スタチン使用者206万7,639例のうち,強力療法を行っていたのは67万3,410例(33%)。』
クレストールは日本での常容量は5~10mg・・・最大20mgまで
リピトールは日本での常容量は10mg・・・最大20mgまで
家族性高コレステロール血症の場合、最大40mgまで
リポバスは日本での常容量は5mg・・・最大20mgまで
私自身は、日本脂質栄養学会に賛成の立場なのでスタチンを処方することは、まれです。
家族性高コレステロール血症の場合は処方します。
ともあれ、家族性高コレステロール血症以外に”強力スタチン療法”をする必然性はないと思います。
スタチンの副作用には、横紋筋融解症・末梢神経障害・ミオパシー・肝機能障害・血小板減少などがあります。このうち横紋筋融解症は急激な腎障害を伴うことがあります。
脂質降下薬の一種であるフィブラート系薬剤とスタチンを併用すると、横紋筋融解症の発生リスクが高まるので併用は禁忌です。
またリピトールには、血糖上昇・HbA1c上昇という研究報告があります。
いずれにせよ、安易なスタチンの投与は厳に慎むべきと考えられます。
しかしながら現状の日本のスタチン使用量をみると、安易に処方されている可能性が高いと思われ、憂慮されます。
江部康二
【MTPro記事
”強力スタチン療法”でCKD非合併例の急性腎障害入院が増加 2013.3/26
200万人以上の新規使用者対象のコホート内症例対照研究
カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のColin R. Dormuth氏らは,スタチンの新規使用者200万人以上を含む公的データベースの後ろ向き観察研究(コホート内症例対照研究)を行ったところ,慢性腎臓病(CKD)がない場合,強力スタチン療法は通常のスタチン療法と比べ,開始後少なくとも2年間にわたって急性腎障害による入院を有意に増加させていたことを明らかにした(BMJ 2012年3月20日オンライン版)。特に開始から120日以内の強力スタチン療法でリスク上昇が顕著だった。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1303/1303066.html
*********************
私も、脂質栄養学会の見解を支持します。
2013/03/28(Thu) 20:58 | URL | わんわん | 】
☆☆☆
以下、MTPro から転載です。
[2013年3月26日]
“強力スタチン療法”でCKD非合併例の急性腎障害入院が増加
200万人以上の新規使用者対象のコホート内症例対照研究
カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のColin R. Dormuth氏らは,スタチンの新規使用者200万人以上を含む公的データベースの後ろ向き観察研究(コホート内症例対照研究)を行ったところ,慢性腎臓病(CKD)がない場合,強力スタチン療法は通常のスタチン療法と比べ,開始後少なくとも2年間にわたって急性腎障害による入院を有意に増加させていたことを明らかにした(BMJ 2012年3月20日オンライン版)。特に開始から120日以内の強力スタチン療法でリスク上昇が顕著だった。
一定用量以上のスタチン3種を“強力スタチン療法”と規定
大規模ランダム化比較試験(RCT)JUPITERでは,スタチン使用開始後1.9年間の追跡期間中に腎イベントが1.1倍に,急性腎不全が1.19倍に増加していたが,多くの交絡因子が存在しており,スタチンの腎臓への影響は明らかではない。
そこでDormuth氏らは,相当数の未知の交絡因子の影響を避けるため,カナダの7つの州のデータ,および米国のCaremark-Medicareデータベース,英国一般診療研究データベース(GPRD)を用い,スタチン新規使用者のみを対象としたコホート内症例対照研究を実施。
1997年1月~2008年4月,新規にスタチンを処方された40歳以上の患者206万7,639例の中から,急性腎障害による入院例をそれぞれ10例の対照者とマッチさせ,条件付きロジスティック回帰モデルにより,スタチンへの曝露期間(現在の使用で120日以内,同121~365日,同366日~730日,120日以前の使用)別に,急性腎障害による入院のリスクを検討。具体的には高次元傾向スコアを用いて交絡因子を調整し,通常のスタチン療法に対する強力療法の率比を算出した。なお,前年にコレステロール低下薬とナイアシンを使用していない場合を新規処方と定義し,透析患者は研究対象から除外した。
スタチンへの曝露は,LDLコレステロールの低下作用を定量化したRCTのシステマチックレビューおよびメタ解析に基づき,ロスバスタチン10mg以上, アトルバスタチン20mg以上,シンバスタチン40mg以上を強力療法,その他のスタチン療法を通常療法とした。さらにCKDの有無で分析した。
CKDなしの場合,強力療法開始120日以内で34%のリスク上昇
その結果,新規スタチン使用者206万7,639例(CKDなし200万8,003例,CKDあり5万9,636例)のうち,強力療法を行っていたのは67万3,410例(33%)だった。
強力療法120日以内では,急性腎障害による入院はCKDなしの場合4,691例,CKDありの場合1,896例であった。CKDなしの患者の検討では,通常療法120日と比べた調整後の固定効果の率比は1.34(95%CI 1.25〜1.43)と,34%のリスク上昇が認められた。121~365日(固定効果の率比1.11,95%CI 1.04~1.19),366~730日(同1.15,1.09~1.22)でも有意な上昇があった。
一方,CKDありの場合,有意な変化は認められず,120日以内の使用でも固定効果の率比は1.10(95%CI 0.99〜1.23)だった。
χ2 検定によって異質性を調べたところ,この傾向は登録サイトにかかわらず,一貫していた。
Dormuth氏らは「通常療法に対する強力療法の心血管系への追加のベネフィットは得てして小さいという状況下で,強力スタチン療法のリスクベネフィットのバランスが悪い患者をどうやって同定するかが緊急の問題だ」と指摘している。
(木下 愛美)
わんわんさんから
”強力スタチン療法”でCKD非合併例の急性腎障害入院が増加 (BMJ 2012年3月20日オンライン版)
というMTProの記事の情報を頂きました。
わんわんさん、ありがとうございます。
『CKD(慢性腎臓病)なしの場合,強力療法開始120日以内で34%のリスク上昇』
『ロスバスタチン(クレストール)10mg以上, アトルバスタチン(リピトール)20mg以上,シンバスタチン(リポバス)40mg以上を強力療法,その他のスタチン療法を通常療法とした。』
『新規スタチン使用者206万7,639例のうち,強力療法を行っていたのは67万3,410例(33%)。』
クレストールは日本での常容量は5~10mg・・・最大20mgまで
リピトールは日本での常容量は10mg・・・最大20mgまで
家族性高コレステロール血症の場合、最大40mgまで
リポバスは日本での常容量は5mg・・・最大20mgまで
私自身は、日本脂質栄養学会に賛成の立場なのでスタチンを処方することは、まれです。
家族性高コレステロール血症の場合は処方します。
ともあれ、家族性高コレステロール血症以外に”強力スタチン療法”をする必然性はないと思います。
スタチンの副作用には、横紋筋融解症・末梢神経障害・ミオパシー・肝機能障害・血小板減少などがあります。このうち横紋筋融解症は急激な腎障害を伴うことがあります。
脂質降下薬の一種であるフィブラート系薬剤とスタチンを併用すると、横紋筋融解症の発生リスクが高まるので併用は禁忌です。
またリピトールには、血糖上昇・HbA1c上昇という研究報告があります。
いずれにせよ、安易なスタチンの投与は厳に慎むべきと考えられます。
しかしながら現状の日本のスタチン使用量をみると、安易に処方されている可能性が高いと思われ、憂慮されます。
江部康二
【MTPro記事
”強力スタチン療法”でCKD非合併例の急性腎障害入院が増加 2013.3/26
200万人以上の新規使用者対象のコホート内症例対照研究
カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のColin R. Dormuth氏らは,スタチンの新規使用者200万人以上を含む公的データベースの後ろ向き観察研究(コホート内症例対照研究)を行ったところ,慢性腎臓病(CKD)がない場合,強力スタチン療法は通常のスタチン療法と比べ,開始後少なくとも2年間にわたって急性腎障害による入院を有意に増加させていたことを明らかにした(BMJ 2012年3月20日オンライン版)。特に開始から120日以内の強力スタチン療法でリスク上昇が顕著だった。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1303/1303066.html
*********************
私も、脂質栄養学会の見解を支持します。
2013/03/28(Thu) 20:58 | URL | わんわん | 】
☆☆☆
以下、MTPro から転載です。
[2013年3月26日]
“強力スタチン療法”でCKD非合併例の急性腎障害入院が増加
200万人以上の新規使用者対象のコホート内症例対照研究
カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のColin R. Dormuth氏らは,スタチンの新規使用者200万人以上を含む公的データベースの後ろ向き観察研究(コホート内症例対照研究)を行ったところ,慢性腎臓病(CKD)がない場合,強力スタチン療法は通常のスタチン療法と比べ,開始後少なくとも2年間にわたって急性腎障害による入院を有意に増加させていたことを明らかにした(BMJ 2012年3月20日オンライン版)。特に開始から120日以内の強力スタチン療法でリスク上昇が顕著だった。
一定用量以上のスタチン3種を“強力スタチン療法”と規定
大規模ランダム化比較試験(RCT)JUPITERでは,スタチン使用開始後1.9年間の追跡期間中に腎イベントが1.1倍に,急性腎不全が1.19倍に増加していたが,多くの交絡因子が存在しており,スタチンの腎臓への影響は明らかではない。
そこでDormuth氏らは,相当数の未知の交絡因子の影響を避けるため,カナダの7つの州のデータ,および米国のCaremark-Medicareデータベース,英国一般診療研究データベース(GPRD)を用い,スタチン新規使用者のみを対象としたコホート内症例対照研究を実施。
1997年1月~2008年4月,新規にスタチンを処方された40歳以上の患者206万7,639例の中から,急性腎障害による入院例をそれぞれ10例の対照者とマッチさせ,条件付きロジスティック回帰モデルにより,スタチンへの曝露期間(現在の使用で120日以内,同121~365日,同366日~730日,120日以前の使用)別に,急性腎障害による入院のリスクを検討。具体的には高次元傾向スコアを用いて交絡因子を調整し,通常のスタチン療法に対する強力療法の率比を算出した。なお,前年にコレステロール低下薬とナイアシンを使用していない場合を新規処方と定義し,透析患者は研究対象から除外した。
スタチンへの曝露は,LDLコレステロールの低下作用を定量化したRCTのシステマチックレビューおよびメタ解析に基づき,ロスバスタチン10mg以上, アトルバスタチン20mg以上,シンバスタチン40mg以上を強力療法,その他のスタチン療法を通常療法とした。さらにCKDの有無で分析した。
CKDなしの場合,強力療法開始120日以内で34%のリスク上昇
その結果,新規スタチン使用者206万7,639例(CKDなし200万8,003例,CKDあり5万9,636例)のうち,強力療法を行っていたのは67万3,410例(33%)だった。
強力療法120日以内では,急性腎障害による入院はCKDなしの場合4,691例,CKDありの場合1,896例であった。CKDなしの患者の検討では,通常療法120日と比べた調整後の固定効果の率比は1.34(95%CI 1.25〜1.43)と,34%のリスク上昇が認められた。121~365日(固定効果の率比1.11,95%CI 1.04~1.19),366~730日(同1.15,1.09~1.22)でも有意な上昇があった。
一方,CKDありの場合,有意な変化は認められず,120日以内の使用でも固定効果の率比は1.10(95%CI 0.99〜1.23)だった。
χ2 検定によって異質性を調べたところ,この傾向は登録サイトにかかわらず,一貫していた。
Dormuth氏らは「通常療法に対する強力療法の心血管系への追加のベネフィットは得てして小さいという状況下で,強力スタチン療法のリスクベネフィットのバランスが悪い患者をどうやって同定するかが緊急の問題だ」と指摘している。
(木下 愛美)
2013年03月29日 (金)
こんにちは。
3月28日(木)夜は、日航プリンセスホテル京都で18:00~21:00まで糖質制限食を考える会が開催されました。
某メーカーさんにスポンサーになって頂いて、京都市在住の糖質制限食を実践されている医師8名が参加して、たっぷり話し合いが行われました。
冒頭60分間は、「糖質制限食の安全性と有効性」と題して、RCT研究論文などを提示してエビデンスレベルの高い情報を、PPTスライドを供覧しながら私がお話ししました。
そのあとは、ホテル特製の、糖質制限なフルコースディナーを食べ、赤ワインなども飲みながら、アットホームな雰囲気で、ざっくばらんな意見交換が行われました。
糖質制限な話が盛り上がり時の過ぎるのが早く、あっというまに2時間が経過してお開きとなりました。
地元京都で、まだまだ数は少ないけれど、自ら糖質制限食を実践して患者さんに指導しておられる医師が確実に増え始めているのは嬉しい限りであり、とても意義深い3時間となりました。
江部康二
3月28日(木)夜は、日航プリンセスホテル京都で18:00~21:00まで糖質制限食を考える会が開催されました。
某メーカーさんにスポンサーになって頂いて、京都市在住の糖質制限食を実践されている医師8名が参加して、たっぷり話し合いが行われました。
冒頭60分間は、「糖質制限食の安全性と有効性」と題して、RCT研究論文などを提示してエビデンスレベルの高い情報を、PPTスライドを供覧しながら私がお話ししました。
そのあとは、ホテル特製の、糖質制限なフルコースディナーを食べ、赤ワインなども飲みながら、アットホームな雰囲気で、ざっくばらんな意見交換が行われました。
糖質制限な話が盛り上がり時の過ぎるのが早く、あっというまに2時間が経過してお開きとなりました。
地元京都で、まだまだ数は少ないけれど、自ら糖質制限食を実践して患者さんに指導しておられる医師が確実に増え始めているのは嬉しい限りであり、とても意義深い3時間となりました。
江部康二
2013年03月27日 (水)
こんばんは。
久しぶりにコレステロールについて考察してみます。
人体はタンパク質、脂質、無機質、水分等の主要成分により構成されています。
その中で、脳は脂質に富み、ヒト脳の乾燥重量の65%が脂質です。
脳脂質の半分がリン脂質、コレステロールが1/4、糖脂質が1/4です。
コレステロールは、生体のあらゆる細胞膜の構築に必須の物質であり、肝臓で合成し腸肝循環によって制御・調節されています。
このように、コレステロールは、人体にとって必要不可欠な、重要な構成成分の一つです。
ヒトだけではなく、約2億2500万年前に哺乳類が誕生して以来、生命現象の根幹をなす細胞膜などの原料として一貫して利用されてきたのです。
そのため血清コレステロール値は、摂取された食物のコレステロールが少ない場合は肝臓での合成が高まり、一方、摂取コレステロールが多い場合は、肝臓での合成が徐々に減少して、一定量を必ず確保するよう調整しています。
食事中のコレステロール摂取量に対する血清コレステロールの上昇には、個人差が結構あります。
例えば玄米菜食の実践により「コレステロールを食事からあまりとらない食生活」だったとすれば、肝臓でのコレステロール合成能力はかなり高まっています。
この時、糖質制限食で食事からコレステロールがたくさん入ってきたら、「肝臓のコレステロール合成増強+食事からのコレステロールの増加」となりますので、普通の食事だった人よりは、血清コレステロールが高値となりやすいです。
この場合、基準値だったコレステロール値が、総コレステロールで300mg超え、LDLコレステロールで200mg超えに
一旦上昇します。
しかし一旦上昇したコレステロールも、肝臓が徐々にコレステロール産生を調整するので、1年、2年単位で基準値に落ち着いてきます。
もともと卵とかコレステロールを多く含むものをよく食べていた人は、糖質制限食を実践しても血清コレステロール値はあまり変化ないと思います。
このように糖質制限食開始前の食生活において、コレステロールをどの程度摂取していたかで、開始後のコレステロール値が、かなり影響を受ける可能性があります。
なお、「総コレステロール高値と心筋梗塞は無関係」というエビデンスが蓄積したので、2007年4月の日本動脈硬化学会のガイドライン以降は、総コレステロール値は「脂質異常症」の診断基準から外れました。
従いまして、コレステロールに関して、動脈硬化のリスク要因として問題となるのは、HDLコレステロールが低値の人とLDLコレステロールが高値の人です。
2010年後半、日本脂質栄養学会と日本動脈硬化学会の間で、コレステロール論争が持ち上がったのは記憶に新しいところです。
日本動脈硬化学会が2007年に作成したガイドラインは、基本的に「コレステロールは低ければ低いほど良い」という立場です。
これに対して、日本脂質栄養学会は「コレステロールは高い方が長生き」というガイドラインを2010年に作成し、論争を挑みました。
2013年現在、論争に決着がついたとは言えませんが、私は脂質栄養学会の主張のほうに、一貫性と整合性があると思います。
長い進化の過程を経て、哺乳類・人類の生命活動の根幹をなすコレステロールが少々増えたからといって、人体に悪いと言うことは、基本的には考えにくいことでした。
しかし過去、疫学的研究で「LDL-コレステロール高値→心筋梗塞」というエビデンスが蓄積されたかに見えていました。
ところが、製薬会社との癒着研究の問題もあり、特に2004年以降、再検討が必要と考えられるようになってきました。
欧米で「利益相反」や「製薬企業によるエビデンスの不正」が問題となって、2004年以降、治験や医学論文に対して科学的厳密さがより強く要求されるようになりました。
その結果、2006年以降に発表されたコレステロール低下薬に関する無作為化対照試験(RCT)である、ASPEN(16)、ENHANCE(17)、SEAS(18)、GISS-HF(19)、 CORONA(20)、AURORA(21)などでは、スタチンによりLDL-Cは下がりましたが、心血管系イベントや総死亡には効果が無いと報告されるようになりました。
日本動脈硬化学会の「コレステロールは低ければ低いほど良い」という立場が、大きく揺らいでいるのが欧米の現状です。
糖質制限食実践後の検査データ
1 血糖値はリアルタイムに改善します。
2 スーパー糖質制限食なら、HbA1cは月に、1~2%改善します。
3 中性脂肪も速やかに改善します。
4 HDL-コレステロールは増加します。増加しますが、増加の程度と速度に個人差があります。
5 LDL-コレステロールは低下・不変・上昇と個人差があります。
上昇した人も、半年~1年くらいで落ち着くことが多いですが、個人差があります。
6 総コレステロールは、低下・不変・上昇と個人差があります。
上昇した人も半年~1年くらいで落ち着くことが多いですが個人差があります。
7 尿酸も低下・不変・上昇と個人差があります。
上昇した人も、半年~1年くらいで落ち着くことが多いですが、個人差があります。
8 尿素窒素はやや増加傾向になる人が多いですが、そのうち落ちつくことが多いです。
9 クレアチニンは不変です。
10 カリウムも不変のことが多いです。
11 血中ケトン体は現行の基準値より高値となりますが、生理的なものです。
12 尿中ケトン体は当初3ヶ月~半年は陽性になりますが、その後陰性化することが多いです。
しかし、ケトン食レベルの厳格な糖質制限食だと、尿中ケトン体は常に陽性です。
13 脂肪肝に付随する、GPTやγGTP高値も改善します。
☆☆☆
<コレステロールの真実>
コレステロールは、とかく悪者にされがちですが、実は、細胞膜や男性ホルモン、女性ホルモンなどの原料として人体に必要不可欠な大切な物質です。
一般にLDLコレステロールは悪玉でHDLコレステロールは善玉という言い方をしますが、これも正確ではありません。
正常サイズのLDLは、中に約40%のコレステロールを含んでおり、それを末梢組織に運ぶ真っ当な役割を果たしています。
HDLは末梢組織の細胞で余ったコレステロールを回収して肝臓に運んでいます。
即ち、LDLもHDLも人体に必要なものであり、日々良い仕事をしており逆に少なすぎたら困るわけです。(*)
実際、2005年に日本動脈硬化学会で報告された、青森県立保健大の嵯峨井勝教授の調査や日本循環器学会で報告された北海道大学の佐久間一郎氏の分析では、「総コレステロール高値と心筋梗塞は無関係」という結果がでています。
これらの成果により、2007年4月の日本動脈硬化学会のガイドラインで、総コレステロールは遂に「脂質異常症」の診断基準から外れました。
コレステロールに関して、動脈硬化のリスク要因として問題となるのは、HDLコレステロールが低値の人とLDLコレステロールが高値の人です。
そしてLDLコレステロールの中で、本当に問題となるのは小粒子LDLコレステロール(小さくて高密度のLDL)と酸化LDLコレステロールです。
小粒子LDLは、真の悪玉である酸化LDLに変化しやすく危険な存在です。
酸化LDLは血液中で異物と見なされて大食細胞という免疫系の細胞に取り込まれていき、血管内皮細胞内でコレステロールを蓄積させ動脈硬化を起こし心筋梗塞のリスクとなります。
酸化していない普通のLDLは、異物ではないので血管内皮に障害を起こしません。
中性脂肪が多くて、HDLコレステロールが少ない人は小粒子LDLがたくさんある可能性が高いので要注意です。 (*_*)
HDLコレステロールが多くて、中性脂肪が少ない人は小粒子LDLコレステロールと酸化LDLコレステロールは少ないので安全です。
糖質制限食実践中の人は、HDLコレステロールが多くて、中性脂肪が少ないですね。 (^_^)
江部康二
(*)
LDLやHDLは、リポタンパク質と呼ばれています。
コレステロールや中性脂肪は、脂質で水に溶けません。
それで、脂質の周りをタンパク質で覆って、血液中に溶け込みやすいようにします。
このタンパク質のことをアポタンパクといいます。
アポタンパクで覆われた脂質がリポタンパク質です。
リポタンパク質は、脂質を載せて血液中を移動する乗り物といえます。
久しぶりにコレステロールについて考察してみます。
人体はタンパク質、脂質、無機質、水分等の主要成分により構成されています。
その中で、脳は脂質に富み、ヒト脳の乾燥重量の65%が脂質です。
脳脂質の半分がリン脂質、コレステロールが1/4、糖脂質が1/4です。
コレステロールは、生体のあらゆる細胞膜の構築に必須の物質であり、肝臓で合成し腸肝循環によって制御・調節されています。
このように、コレステロールは、人体にとって必要不可欠な、重要な構成成分の一つです。
ヒトだけではなく、約2億2500万年前に哺乳類が誕生して以来、生命現象の根幹をなす細胞膜などの原料として一貫して利用されてきたのです。
そのため血清コレステロール値は、摂取された食物のコレステロールが少ない場合は肝臓での合成が高まり、一方、摂取コレステロールが多い場合は、肝臓での合成が徐々に減少して、一定量を必ず確保するよう調整しています。
食事中のコレステロール摂取量に対する血清コレステロールの上昇には、個人差が結構あります。
例えば玄米菜食の実践により「コレステロールを食事からあまりとらない食生活」だったとすれば、肝臓でのコレステロール合成能力はかなり高まっています。
この時、糖質制限食で食事からコレステロールがたくさん入ってきたら、「肝臓のコレステロール合成増強+食事からのコレステロールの増加」となりますので、普通の食事だった人よりは、血清コレステロールが高値となりやすいです。
この場合、基準値だったコレステロール値が、総コレステロールで300mg超え、LDLコレステロールで200mg超えに
一旦上昇します。
しかし一旦上昇したコレステロールも、肝臓が徐々にコレステロール産生を調整するので、1年、2年単位で基準値に落ち着いてきます。
もともと卵とかコレステロールを多く含むものをよく食べていた人は、糖質制限食を実践しても血清コレステロール値はあまり変化ないと思います。
このように糖質制限食開始前の食生活において、コレステロールをどの程度摂取していたかで、開始後のコレステロール値が、かなり影響を受ける可能性があります。
なお、「総コレステロール高値と心筋梗塞は無関係」というエビデンスが蓄積したので、2007年4月の日本動脈硬化学会のガイドライン以降は、総コレステロール値は「脂質異常症」の診断基準から外れました。
従いまして、コレステロールに関して、動脈硬化のリスク要因として問題となるのは、HDLコレステロールが低値の人とLDLコレステロールが高値の人です。
2010年後半、日本脂質栄養学会と日本動脈硬化学会の間で、コレステロール論争が持ち上がったのは記憶に新しいところです。
日本動脈硬化学会が2007年に作成したガイドラインは、基本的に「コレステロールは低ければ低いほど良い」という立場です。
これに対して、日本脂質栄養学会は「コレステロールは高い方が長生き」というガイドラインを2010年に作成し、論争を挑みました。
2013年現在、論争に決着がついたとは言えませんが、私は脂質栄養学会の主張のほうに、一貫性と整合性があると思います。
長い進化の過程を経て、哺乳類・人類の生命活動の根幹をなすコレステロールが少々増えたからといって、人体に悪いと言うことは、基本的には考えにくいことでした。
しかし過去、疫学的研究で「LDL-コレステロール高値→心筋梗塞」というエビデンスが蓄積されたかに見えていました。
ところが、製薬会社との癒着研究の問題もあり、特に2004年以降、再検討が必要と考えられるようになってきました。
欧米で「利益相反」や「製薬企業によるエビデンスの不正」が問題となって、2004年以降、治験や医学論文に対して科学的厳密さがより強く要求されるようになりました。
その結果、2006年以降に発表されたコレステロール低下薬に関する無作為化対照試験(RCT)である、ASPEN(16)、ENHANCE(17)、SEAS(18)、GISS-HF(19)、 CORONA(20)、AURORA(21)などでは、スタチンによりLDL-Cは下がりましたが、心血管系イベントや総死亡には効果が無いと報告されるようになりました。
日本動脈硬化学会の「コレステロールは低ければ低いほど良い」という立場が、大きく揺らいでいるのが欧米の現状です。
糖質制限食実践後の検査データ
1 血糖値はリアルタイムに改善します。
2 スーパー糖質制限食なら、HbA1cは月に、1~2%改善します。
3 中性脂肪も速やかに改善します。
4 HDL-コレステロールは増加します。増加しますが、増加の程度と速度に個人差があります。
5 LDL-コレステロールは低下・不変・上昇と個人差があります。
上昇した人も、半年~1年くらいで落ち着くことが多いですが、個人差があります。
6 総コレステロールは、低下・不変・上昇と個人差があります。
上昇した人も半年~1年くらいで落ち着くことが多いですが個人差があります。
7 尿酸も低下・不変・上昇と個人差があります。
上昇した人も、半年~1年くらいで落ち着くことが多いですが、個人差があります。
8 尿素窒素はやや増加傾向になる人が多いですが、そのうち落ちつくことが多いです。
9 クレアチニンは不変です。
10 カリウムも不変のことが多いです。
11 血中ケトン体は現行の基準値より高値となりますが、生理的なものです。
12 尿中ケトン体は当初3ヶ月~半年は陽性になりますが、その後陰性化することが多いです。
しかし、ケトン食レベルの厳格な糖質制限食だと、尿中ケトン体は常に陽性です。
13 脂肪肝に付随する、GPTやγGTP高値も改善します。
☆☆☆
<コレステロールの真実>
コレステロールは、とかく悪者にされがちですが、実は、細胞膜や男性ホルモン、女性ホルモンなどの原料として人体に必要不可欠な大切な物質です。
一般にLDLコレステロールは悪玉でHDLコレステロールは善玉という言い方をしますが、これも正確ではありません。
正常サイズのLDLは、中に約40%のコレステロールを含んでおり、それを末梢組織に運ぶ真っ当な役割を果たしています。
HDLは末梢組織の細胞で余ったコレステロールを回収して肝臓に運んでいます。
即ち、LDLもHDLも人体に必要なものであり、日々良い仕事をしており逆に少なすぎたら困るわけです。(*)
実際、2005年に日本動脈硬化学会で報告された、青森県立保健大の嵯峨井勝教授の調査や日本循環器学会で報告された北海道大学の佐久間一郎氏の分析では、「総コレステロール高値と心筋梗塞は無関係」という結果がでています。
これらの成果により、2007年4月の日本動脈硬化学会のガイドラインで、総コレステロールは遂に「脂質異常症」の診断基準から外れました。
コレステロールに関して、動脈硬化のリスク要因として問題となるのは、HDLコレステロールが低値の人とLDLコレステロールが高値の人です。
そしてLDLコレステロールの中で、本当に問題となるのは小粒子LDLコレステロール(小さくて高密度のLDL)と酸化LDLコレステロールです。
小粒子LDLは、真の悪玉である酸化LDLに変化しやすく危険な存在です。
酸化LDLは血液中で異物と見なされて大食細胞という免疫系の細胞に取り込まれていき、血管内皮細胞内でコレステロールを蓄積させ動脈硬化を起こし心筋梗塞のリスクとなります。
酸化していない普通のLDLは、異物ではないので血管内皮に障害を起こしません。
中性脂肪が多くて、HDLコレステロールが少ない人は小粒子LDLがたくさんある可能性が高いので要注意です。 (*_*)
HDLコレステロールが多くて、中性脂肪が少ない人は小粒子LDLコレステロールと酸化LDLコレステロールは少ないので安全です。
糖質制限食実践中の人は、HDLコレステロールが多くて、中性脂肪が少ないですね。 (^_^)
江部康二
(*)
LDLやHDLは、リポタンパク質と呼ばれています。
コレステロールや中性脂肪は、脂質で水に溶けません。
それで、脂質の周りをタンパク質で覆って、血液中に溶け込みやすいようにします。
このタンパク質のことをアポタンパクといいます。
アポタンパクで覆われた脂質がリポタンパク質です。
リポタンパク質は、脂質を載せて血液中を移動する乗り物といえます。
2013年03月26日 (火)
こんにちは。
「主食を抜けば糖尿病は良くなる」を書いた頃からのお付き合いになるマルヤナギさん。
「やわらか蒸し大豆」「やわらか蒸し黒豆」新商品の「スーパー発芽大豆」は、糖質制限食にピッタリの食材で、私も個人的に気に入っていて、診療の合間などに食べています。
そのマルヤナギさんが、この度蒸し大豆の普及を目指して、毎日だいず応援団 というサイトを立ち上げられました。
マルヤナギさんによりますと、毎日だいず応援団 とは
「「蒸し豆が好き」「蒸し豆を知りたい」「蒸し豆のレシピを作りたい」 「蒸し豆の良さをもっと知ってもらいたい(ひろげたい)」人たちが集まって、 素晴らしいバランス栄養食品である蒸し豆(大豆)に関する情報を、 さまざまな活動を通じて、会員さま同士が情報を交換することで、蒸し豆を深く知り、 蒸し豆の良さをさらに多くの人と共有できる活動をサポートするコミュニティです。」
だそうです。
この 毎日だいず応援団 のサイトで、不肖、私、江部康二がコラムを連載しています。
江部康二の大豆よもやま話
http://www.mainichi-daizu.com/room3/vol5/
大豆について、一般的な視点ではなくて、漢方や糖質制限食的な観点から書いています。
このブログとはまた違った内容なので、是非とも皆さん読んでみてください。
マルヤナギさんの蒸し豆クラブ、当ブログともども皆さん宜しくお願い致します。
毎日だいず応援団
http://www.mainichi-daizu.com/
江部康二
「主食を抜けば糖尿病は良くなる」を書いた頃からのお付き合いになるマルヤナギさん。
「やわらか蒸し大豆」「やわらか蒸し黒豆」新商品の「スーパー発芽大豆」は、糖質制限食にピッタリの食材で、私も個人的に気に入っていて、診療の合間などに食べています。
そのマルヤナギさんが、この度蒸し大豆の普及を目指して、毎日だいず応援団 というサイトを立ち上げられました。
マルヤナギさんによりますと、毎日だいず応援団 とは
「「蒸し豆が好き」「蒸し豆を知りたい」「蒸し豆のレシピを作りたい」 「蒸し豆の良さをもっと知ってもらいたい(ひろげたい)」人たちが集まって、 素晴らしいバランス栄養食品である蒸し豆(大豆)に関する情報を、 さまざまな活動を通じて、会員さま同士が情報を交換することで、蒸し豆を深く知り、 蒸し豆の良さをさらに多くの人と共有できる活動をサポートするコミュニティです。」
だそうです。
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江部康二の大豆よもやま話
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大豆について、一般的な視点ではなくて、漢方や糖質制限食的な観点から書いています。
このブログとはまた違った内容なので、是非とも皆さん読んでみてください。
マルヤナギさんの蒸し豆クラブ、当ブログともども皆さん宜しくお願い致します。
毎日だいず応援団
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江部康二
2013年03月26日 (火)
おはようございます。
とっさん から、3/24(日) 21:00~NHKスペシャル「アイスマン」の放送内容をご報告いただきました。
ありがとうございます。
私も、たまたまあの番組、見ていました。
アイスマン発見以来、イタリアにおいて特殊な保管室に安置。
氷点下で湿度95%くらいで時々水をかけて厳密に保存して乾燥と腐敗を予防。
今回、周到な準備をへて、研究チームを編成して、発見20年目に解凍して内蔵や脳や皮膚など百数十の検体を採取して検査・研究。
ということでした。
とっさんがご指摘のごとく、事実に基づいた大変興味深い内容で、今回は、NHKに拍手を贈りたいと思います。ヾ(^▽^)
詳細は、とっさんのご報告をみていただくとして、私からの追加です。
⑤アイスマンの靴の一番外側は、確か熊の毛皮と説明していたと思います。丈夫な熊の毛皮の中に草を敷いていたようです。
⑥皮膚の紋様は、炭で入れ墨して作ってあって、その部位は驚くべきことに、中国医学の鍼灸経穴と、ほぼ一致していた。
5300年前に鍼灸治療に類似した医療行為が既になされていた可能性が高いということです。
パンは、当時、あったとしても給与代わりの、超貴重品です。
従ってアイスマンは、日常は山羊や兎の肉にハーブを散りばめたものが主食のようで、確かに糖質セイゲニストの先達で、結構グルメですね。
ジビエ料理・・・野生動物の肉にハーブ・・・フランス料理の原点を見る思いです。(^^)
アイスマン、侮るべからず!? ♪(・∀・)
江部康二
【13/03/24 とっさん
5,300年前の人類は、糖質セイゲニスト
3/24(日) 21:00~NHKスペシャル「アイスマン」の放送内容を報告します。
我々糖質セイゲニストとしては、5,300年前の人類が何を食べていたかは、多いに関心のあるところである。放送は全体的として、エビデンスに基づいた内容。私の主観を排除し、概要を報告。
① オーストリア・アルプス標高3,500mの氷河から発見された、5,300年前に死亡した世界最古の冷凍ミイラの話。体全体が冷凍保存状態で、これを「アイスマン」と名付け、多くの科学者によって、解凍され分析された。胃・腸・脳・皮膚などから、食餌内容物や体細胞などが収集・解析された結果が報じられた。
② 胃の内容物は、先ずは動物性脂肪で、ヨーロッパ・アルプスに棲息する山羊(ヤギ)の種類を食べていた。次に現在ハーブとして用いられている植物種。
③ 胃と腸には、加水性の小麦と煤(スス)があり、その実態はパンであった。ちなみに人類にとってパンは、既に8,000年前にエジプトで焼かれていたが、給料として用いられた程に超貴重品であった(即ち少量しかなかった)。
以上が、5,300年前の人類の食餌。
さらに以下は、道具や衣に関する解析結果。
④ 純度99.7%の銅製の斧(オノ)。アイスマンの発見により、精錬技術の歴史は定説より1,000年も繰り上がることに。
⑤ 山羊(ヤギ)の毛皮で、黒と茶のツートンカラーに縫われたマント。そして、アルプスの山を歩くに耐えうる程の靴(材料は草本?木本?の植物に見えた)。
⑥ 中国文明での「針」に類似する傷が皮膚皮下にあり、一種の医療行為と推定される。
⑦ 「アイスマン」の死因は、背後から胸部に矢じりを打ち込まれ、側頭部を殴打されたことによる大量脳出血。即ち、殺人事件であった。
⑧ 胃から腸にかけての消化器部位ごとの内容物の分析から、死の直前3日の間、アルプス山中のアップダウンを激しく移動していた。死に様も併せて推理すると、殺害者に追われていたと考えるのが自然。
以上が、番組の概要です。
ここから、私の主観を二つ三つ。
Ⅰ。 5,300年前の人類の食餌は、野生種の小麦を僅かに食べたかも知れないが、生命維持の専らの食餌は、動物性の蛋白質と脂質であり、紛れもなく糖質セイゲニストであったと確信する。
Ⅱ。 エジプト・メソポタミヤから遠く離れたアルプス地方に、思いのほか高度な文明があった。
Ⅲ。 しかし、文明が無条件に素晴らしいことではない。石器・鉄器・小麦/米の農耕を手にして以降、物や土地や命の奪い合いを、人間は始めた。
長々とすいませんでした。】
とっさん から、3/24(日) 21:00~NHKスペシャル「アイスマン」の放送内容をご報告いただきました。
ありがとうございます。
私も、たまたまあの番組、見ていました。
アイスマン発見以来、イタリアにおいて特殊な保管室に安置。
氷点下で湿度95%くらいで時々水をかけて厳密に保存して乾燥と腐敗を予防。
今回、周到な準備をへて、研究チームを編成して、発見20年目に解凍して内蔵や脳や皮膚など百数十の検体を採取して検査・研究。
ということでした。
とっさんがご指摘のごとく、事実に基づいた大変興味深い内容で、今回は、NHKに拍手を贈りたいと思います。ヾ(^▽^)
詳細は、とっさんのご報告をみていただくとして、私からの追加です。
⑤アイスマンの靴の一番外側は、確か熊の毛皮と説明していたと思います。丈夫な熊の毛皮の中に草を敷いていたようです。
⑥皮膚の紋様は、炭で入れ墨して作ってあって、その部位は驚くべきことに、中国医学の鍼灸経穴と、ほぼ一致していた。
5300年前に鍼灸治療に類似した医療行為が既になされていた可能性が高いということです。
パンは、当時、あったとしても給与代わりの、超貴重品です。
従ってアイスマンは、日常は山羊や兎の肉にハーブを散りばめたものが主食のようで、確かに糖質セイゲニストの先達で、結構グルメですね。
ジビエ料理・・・野生動物の肉にハーブ・・・フランス料理の原点を見る思いです。(^^)
アイスマン、侮るべからず!? ♪(・∀・)
江部康二
【13/03/24 とっさん
5,300年前の人類は、糖質セイゲニスト
3/24(日) 21:00~NHKスペシャル「アイスマン」の放送内容を報告します。
我々糖質セイゲニストとしては、5,300年前の人類が何を食べていたかは、多いに関心のあるところである。放送は全体的として、エビデンスに基づいた内容。私の主観を排除し、概要を報告。
① オーストリア・アルプス標高3,500mの氷河から発見された、5,300年前に死亡した世界最古の冷凍ミイラの話。体全体が冷凍保存状態で、これを「アイスマン」と名付け、多くの科学者によって、解凍され分析された。胃・腸・脳・皮膚などから、食餌内容物や体細胞などが収集・解析された結果が報じられた。
② 胃の内容物は、先ずは動物性脂肪で、ヨーロッパ・アルプスに棲息する山羊(ヤギ)の種類を食べていた。次に現在ハーブとして用いられている植物種。
③ 胃と腸には、加水性の小麦と煤(スス)があり、その実態はパンであった。ちなみに人類にとってパンは、既に8,000年前にエジプトで焼かれていたが、給料として用いられた程に超貴重品であった(即ち少量しかなかった)。
以上が、5,300年前の人類の食餌。
さらに以下は、道具や衣に関する解析結果。
④ 純度99.7%の銅製の斧(オノ)。アイスマンの発見により、精錬技術の歴史は定説より1,000年も繰り上がることに。
⑤ 山羊(ヤギ)の毛皮で、黒と茶のツートンカラーに縫われたマント。そして、アルプスの山を歩くに耐えうる程の靴(材料は草本?木本?の植物に見えた)。
⑥ 中国文明での「針」に類似する傷が皮膚皮下にあり、一種の医療行為と推定される。
⑦ 「アイスマン」の死因は、背後から胸部に矢じりを打ち込まれ、側頭部を殴打されたことによる大量脳出血。即ち、殺人事件であった。
⑧ 胃から腸にかけての消化器部位ごとの内容物の分析から、死の直前3日の間、アルプス山中のアップダウンを激しく移動していた。死に様も併せて推理すると、殺害者に追われていたと考えるのが自然。
以上が、番組の概要です。
ここから、私の主観を二つ三つ。
Ⅰ。 5,300年前の人類の食餌は、野生種の小麦を僅かに食べたかも知れないが、生命維持の専らの食餌は、動物性の蛋白質と脂質であり、紛れもなく糖質セイゲニストであったと確信する。
Ⅱ。 エジプト・メソポタミヤから遠く離れたアルプス地方に、思いのほか高度な文明があった。
Ⅲ。 しかし、文明が無条件に素晴らしいことではない。石器・鉄器・小麦/米の農耕を手にして以降、物や土地や命の奪い合いを、人間は始めた。
長々とすいませんでした。】
2013年03月25日 (月)
こんにちは。
少し前なのですが、MT Pro記事(☆☆☆)に
GLP‐1受容体作動薬エキセナチド(バイエッタ注)
DPP‐4阻害薬シタグリプチン(ジャヌビア、グラクティブ)
の使用で、急性膵炎入院が2倍超発症という研究論文報告の記載がありました。
日本では、ジャヌビア、グラクティブなどのDPP-4阻害剤が、第一選択剤となっていますので少し心配です。
欧米では、メトグルコが第一選択剤として定着していて、DPP-4阻害剤は第二、第三という位置づけです。
DPP-4阻害剤、私も使っているのですが、幸い急性膵炎の経験はありません。
ただ、比較的新しい薬なので、DPP-4阻害剤登場した頃の本ブログ記事(2010年09月10日 (金) )で、
『10年・20年・30年使ってどうなるかというのは誰にもわかりませんので、私達医師にも処方する責任がありますが、ここらは患者さんも自己判断・自己責任で、ということになります。
私自身は、今ある高血糖をコントロールすることを優先したいと思っていますので、糖質制限食がゆるくて血糖コントロールがいまいちの糖尿人には、DPP-4阻害剤のことを説明して、使用する方向で相談しています。』
と述べています。
今回の論文(JAMA Intern Med 2012年2月25日オンライン版)は、RCT研究論文ではないので、膵炎リスクが確定的に増加というよりは、懸念がある程度の位置付けです。
ともあれ、膵炎リスクのある糖尿人には使わないほうが無難なので、念のため処方している患者さんの見直しをしようと思います。
ところで、
「糖質制限食(食事療法)は長期的安全性のエビデンスがないので推奨できない。」
というのが日本糖尿病学会の見解です。
しかし、その日本糖尿病学会が、長期的安全性のエビデンスが全くないDPP-4阻害剤は、第一選択剤として推奨して
欧米よりはるかに多く使用しておられます。
これを論理矛盾と思うのは、私だけでしょうか?
江部康二
☆☆☆MT Pro記事
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1302/1302058.html
MT Pro記事エキセナチド,シタグリプチンの使用で急性膵炎入院2倍超/米症例対照研究
[2013年2月26日]
エキセナチド,シタグリプチンの使用で急性膵炎入院2倍超
米症例対照研究
GLP‐1受容体作動薬エキセナチド, DPP‐4阻害薬シタグリプチンが急性膵炎を引き起こす可能性が指摘されている(関連記事1,関連記事2,関連記事3)。米ジョンズホプキンス医科大学のSonal Singh氏らは,同国の公的データベースを用いて,一般人口ベースの症例対照研究を実施し,これらのGLP-1関連薬(インクレチン関連薬)の使用は,急性膵炎による入院リスクの2倍以上の増加と関連していたことを明らかにした(JAMA Intern Med 2012年2月25日オンライン版)。
2年以内の使用でもリスク2倍
Singh氏らは,検証されたアルゴリズムを用いて,非営利の医療保険組合制度であるBlue Cross Blue Shield(BCBS)の7つの保険プランにおける2005~08年のデータから, 18~64歳で薬物治療中の2型糖尿病患者で,急性膵炎で入院した1,269人(症例群)を同定。それぞれに対して年齢,性,登録方式,糖尿病合併症が一致した1,269人(対照群)を選んだ。
平均年齢は52歳,57.45%は男性だった。症例群は対照群と比べて高トリグリセライド(TG)血症(12.92%対8.35%),飲酒(3.23%対0.24%),胆石(9.06%対1.34),タバコ依存(16.39%対5.52%),肥満(19.62%対9.77%),胆道および膵がん(2.84%対0%),嚢胞性繊維症(0.79%対0%),新生物(29.94%対18.05%)が有意に多かった。症例群と対照群におけるGLP-1関連薬使用歴は,シタグリプチン47人対31人,エキセナチド34人対24人だった。
そこで,高TG血症,飲酒,胆石症,タバコ依存,肥満,胆道および膵がん,嚢胞性繊維症と一般的な罹病率レベルの指標,メトホルミン使用を交絡因子として調整し,GLP-1関連薬の使用による急性膵炎入院のリスクを解析した。
その結果,GLP-1関連薬は急性膵炎入院のオッズ比(OR)上昇と関連しており,非使用者と比較して,現在(30日以内)の使用でOR 2.24(95%CI 1.36~3.69,P=0.01),最近(30日~2年以内)の使用で2.01(同1.37~3.18,P=0.01)と上昇した。使用歴ありでもORは2.07(同1.36~3.13,P=0.01)と上昇していた。
メトホルミンとシタグリプチンを併用していた者(9組)を除いた解析でも,結果はほぼ同様で,調整後ORは現在の使用2.01(同1.19~3.38,P=0.01),最近の使用1.95(同1.21~3.14,P=0.01),使用歴あり2.02(同1.31~3.01,P=0.01)だった。
同氏らは「急性膵炎は重大な罹患率,死亡率を持つ。米国の公的データベースを用いた本研究で,2型糖尿病患者におけるGLP-1関連薬シタグリプチン,エキセナチドの使用は,急性膵炎入院のリスク増加と有意に関連していた」とまとめ,「新規使用者を対象とした研究で,リスク上昇のタイミングを層別化するとともに,遺伝子変異がある場合や,肥満などの膵炎リスクがある場合にリスクが高まるのかどうかなどを特定すべきだ」と述べている。
(木下 愛美)
少し前なのですが、MT Pro記事(☆☆☆)に
GLP‐1受容体作動薬エキセナチド(バイエッタ注)
DPP‐4阻害薬シタグリプチン(ジャヌビア、グラクティブ)
の使用で、急性膵炎入院が2倍超発症という研究論文報告の記載がありました。
日本では、ジャヌビア、グラクティブなどのDPP-4阻害剤が、第一選択剤となっていますので少し心配です。
欧米では、メトグルコが第一選択剤として定着していて、DPP-4阻害剤は第二、第三という位置づけです。
DPP-4阻害剤、私も使っているのですが、幸い急性膵炎の経験はありません。
ただ、比較的新しい薬なので、DPP-4阻害剤登場した頃の本ブログ記事(2010年09月10日 (金) )で、
『10年・20年・30年使ってどうなるかというのは誰にもわかりませんので、私達医師にも処方する責任がありますが、ここらは患者さんも自己判断・自己責任で、ということになります。
私自身は、今ある高血糖をコントロールすることを優先したいと思っていますので、糖質制限食がゆるくて血糖コントロールがいまいちの糖尿人には、DPP-4阻害剤のことを説明して、使用する方向で相談しています。』
と述べています。
今回の論文(JAMA Intern Med 2012年2月25日オンライン版)は、RCT研究論文ではないので、膵炎リスクが確定的に増加というよりは、懸念がある程度の位置付けです。
ともあれ、膵炎リスクのある糖尿人には使わないほうが無難なので、念のため処方している患者さんの見直しをしようと思います。
ところで、
「糖質制限食(食事療法)は長期的安全性のエビデンスがないので推奨できない。」
というのが日本糖尿病学会の見解です。
しかし、その日本糖尿病学会が、長期的安全性のエビデンスが全くないDPP-4阻害剤は、第一選択剤として推奨して
欧米よりはるかに多く使用しておられます。
これを論理矛盾と思うのは、私だけでしょうか?
江部康二
☆☆☆MT Pro記事
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1302/1302058.html
MT Pro記事エキセナチド,シタグリプチンの使用で急性膵炎入院2倍超/米症例対照研究
[2013年2月26日]
エキセナチド,シタグリプチンの使用で急性膵炎入院2倍超
米症例対照研究
GLP‐1受容体作動薬エキセナチド, DPP‐4阻害薬シタグリプチンが急性膵炎を引き起こす可能性が指摘されている(関連記事1,関連記事2,関連記事3)。米ジョンズホプキンス医科大学のSonal Singh氏らは,同国の公的データベースを用いて,一般人口ベースの症例対照研究を実施し,これらのGLP-1関連薬(インクレチン関連薬)の使用は,急性膵炎による入院リスクの2倍以上の増加と関連していたことを明らかにした(JAMA Intern Med 2012年2月25日オンライン版)。
2年以内の使用でもリスク2倍
Singh氏らは,検証されたアルゴリズムを用いて,非営利の医療保険組合制度であるBlue Cross Blue Shield(BCBS)の7つの保険プランにおける2005~08年のデータから, 18~64歳で薬物治療中の2型糖尿病患者で,急性膵炎で入院した1,269人(症例群)を同定。それぞれに対して年齢,性,登録方式,糖尿病合併症が一致した1,269人(対照群)を選んだ。
平均年齢は52歳,57.45%は男性だった。症例群は対照群と比べて高トリグリセライド(TG)血症(12.92%対8.35%),飲酒(3.23%対0.24%),胆石(9.06%対1.34),タバコ依存(16.39%対5.52%),肥満(19.62%対9.77%),胆道および膵がん(2.84%対0%),嚢胞性繊維症(0.79%対0%),新生物(29.94%対18.05%)が有意に多かった。症例群と対照群におけるGLP-1関連薬使用歴は,シタグリプチン47人対31人,エキセナチド34人対24人だった。
そこで,高TG血症,飲酒,胆石症,タバコ依存,肥満,胆道および膵がん,嚢胞性繊維症と一般的な罹病率レベルの指標,メトホルミン使用を交絡因子として調整し,GLP-1関連薬の使用による急性膵炎入院のリスクを解析した。
その結果,GLP-1関連薬は急性膵炎入院のオッズ比(OR)上昇と関連しており,非使用者と比較して,現在(30日以内)の使用でOR 2.24(95%CI 1.36~3.69,P=0.01),最近(30日~2年以内)の使用で2.01(同1.37~3.18,P=0.01)と上昇した。使用歴ありでもORは2.07(同1.36~3.13,P=0.01)と上昇していた。
メトホルミンとシタグリプチンを併用していた者(9組)を除いた解析でも,結果はほぼ同様で,調整後ORは現在の使用2.01(同1.19~3.38,P=0.01),最近の使用1.95(同1.21~3.14,P=0.01),使用歴あり2.02(同1.31~3.01,P=0.01)だった。
同氏らは「急性膵炎は重大な罹患率,死亡率を持つ。米国の公的データベースを用いた本研究で,2型糖尿病患者におけるGLP-1関連薬シタグリプチン,エキセナチドの使用は,急性膵炎入院のリスク増加と有意に関連していた」とまとめ,「新規使用者を対象とした研究で,リスク上昇のタイミングを層別化するとともに,遺伝子変異がある場合や,肥満などの膵炎リスクがある場合にリスクが高まるのかどうかなどを特定すべきだ」と述べている。
(木下 愛美)
2013年03月24日 (日)
【本ブログのコメント・質問・記事に関するお願い】
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
糖質制限食に関する質問についてですが、実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、医師としての責任・債務がありますので、個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。
一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、ボランティアで回答させていただいています。
診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。
私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。
また、ブログ記事や本に関しても同様に、糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。
従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m
そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。
またネットで簡単に検索可能なことは、ご自分でお調べください。
質問が増えてきましたので、糖質制限食と関わりがないと判断した質問にはお答えできない場合もありますので、ご了承ください。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文記事にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。
質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、質問がかなり増えてきていますので、なかなか即、お答えすることが困難となってきています。
糖質制限食に関わりのある全ての質問に、本文かコメントでお答えするようできるだけ努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人やメタボ人は、低血糖の心配はほとんどないので、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病やメタボ改善を目指していただけば幸いです。
内服薬やインスリン注射なしの糖尿人が糖質制限食を実践すると食後高血糖は改善しますが、低血糖にはなりません。
血糖値が正常範囲であるていど下がると、肝臓でアミノ酸・乳酸・グリセロール(脂肪の分解物)などから、ブドウ糖をつくるからです。これを糖新生といいます。
血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合と、活動性の膵炎がある場合、肝硬変の場合、そして長鎖脂肪酸代謝異常症は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。
肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。
長鎖脂肪酸代謝異常症では、脂肪酸が上手く利用できないので、適応となりません。
なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。
また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。
糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。
<参考図書>
理論
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ」2005年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008年
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009年
「やせる食べ方」2010年
「うちの母は糖尿人」2010年 監修:江部康二 著:伊藤きのと
(東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010年(ナツメ社)
腹いっぱい食べて楽々痩せる『満腹ダイエット』 (ソフトバンク新書) 2011年
「主食をやめると健康になる」(ダイヤモンド社)2011年
「血糖コントロールの新常識! 糖質制限 完全ガイド」 (別冊宝島)2012年
「糖質オフ!健康法」(PHP文庫)2012年
「主食を抜けば糖尿病はよくなる!糖質制限食のすすめ」(文春文庫)2012年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」(文春文庫)2012年
レシピ
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006年(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん2009年(アスペクト)
dancyuプレジデントムック 「満腹ダイエット 」 2009年(プレジデント社)
「血糖値を上げない!健康おつまみ109」2010年(東洋経済新報社)
「やせる食べ方レシピ集」 2010年(東洋経済新報社)
「糖質オフダイエット 」2011年(レタスクラブ、角川マーケティング)
「誰もがストレスなくやせられる!糖質制限ダイエット」 2011年(講談社)
「主食を抜けば糖尿病はよくなる」レシピ集2011年(東洋経済新報社)
高雄病院の「糖質制限」給食2012年(講談社)
糖質制限の「主食もどき」レシピ2013年(東洋経済新報社)
高雄病院Dr江部が食べている「糖質制限」ダイエット2013年(講談社)
DVD「糖質制限食を語る」http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php 2011年
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
糖質制限食に関する質問についてですが、実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、医師としての責任・債務がありますので、個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。
一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、ボランティアで回答させていただいています。
診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。
私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。
また、ブログ記事や本に関しても同様に、糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。
従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m
そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。
またネットで簡単に検索可能なことは、ご自分でお調べください。
質問が増えてきましたので、糖質制限食と関わりがないと判断した質問にはお答えできない場合もありますので、ご了承ください。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文記事にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。
質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、質問がかなり増えてきていますので、なかなか即、お答えすることが困難となってきています。
糖質制限食に関わりのある全ての質問に、本文かコメントでお答えするようできるだけ努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人やメタボ人は、低血糖の心配はほとんどないので、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病やメタボ改善を目指していただけば幸いです。
内服薬やインスリン注射なしの糖尿人が糖質制限食を実践すると食後高血糖は改善しますが、低血糖にはなりません。
血糖値が正常範囲であるていど下がると、肝臓でアミノ酸・乳酸・グリセロール(脂肪の分解物)などから、ブドウ糖をつくるからです。これを糖新生といいます。
血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合と、活動性の膵炎がある場合、肝硬変の場合、そして長鎖脂肪酸代謝異常症は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。
肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。
長鎖脂肪酸代謝異常症では、脂肪酸が上手く利用できないので、適応となりません。
なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。
また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。
糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。
<参考図書>
理論
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ」2005年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008年
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009年
「やせる食べ方」2010年
「うちの母は糖尿人」2010年 監修:江部康二 著:伊藤きのと
(東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010年(ナツメ社)
腹いっぱい食べて楽々痩せる『満腹ダイエット』 (ソフトバンク新書) 2011年
「主食をやめると健康になる」(ダイヤモンド社)2011年
「血糖コントロールの新常識! 糖質制限 完全ガイド」 (別冊宝島)2012年
「糖質オフ!健康法」(PHP文庫)2012年
「主食を抜けば糖尿病はよくなる!糖質制限食のすすめ」(文春文庫)2012年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」(文春文庫)2012年
レシピ
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006年(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん2009年(アスペクト)
dancyuプレジデントムック 「満腹ダイエット 」 2009年(プレジデント社)
「血糖値を上げない!健康おつまみ109」2010年(東洋経済新報社)
「やせる食べ方レシピ集」 2010年(東洋経済新報社)
「糖質オフダイエット 」2011年(レタスクラブ、角川マーケティング)
「誰もがストレスなくやせられる!糖質制限ダイエット」 2011年(講談社)
「主食を抜けば糖尿病はよくなる」レシピ集2011年(東洋経済新報社)
高雄病院の「糖質制限」給食2012年(講談社)
糖質制限の「主食もどき」レシピ2013年(東洋経済新報社)
高雄病院Dr江部が食べている「糖質制限」ダイエット2013年(講談社)
DVD「糖質制限食を語る」http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php 2011年
2013年03月24日 (日)
おはようございます。
精神科医師Aさんから、
「日本腎臓病学会編 CKD診療ガイド 2012」
と
「日本糖尿病学会編 糖尿病治療ガイド 2012-2013」
において、タンパク質量制限に関して、記載が違うとのご指摘をコメントいただきました。
*CKD:Chronic Kidney Disease・・・日本語では「慢性腎臓病」
腎臓病ニュースピックアップのサイト
http://www.kidneydirections.ne.jp/kidney_news/120601.html
に「日本腎臓病学会編 CKD診療ガイド 2012」について、わかりやすく、書いてあります。
精神科医師A さん
情報をありがとうございます。
CKD診療ガイド2012 (JSN) によれば、GFRが60ml/分以上あれば、顕性タンパク尿の段階でも、タンパク質制限必要なしです。
すなわち「G2A3」の段階までは、タンパク質制限なしなので、糖質制限食OKとなります。
G3aの段階から、タンパク質制限食(0.8~1.0 g/kg体重/日)の開始となります。
*GはGFRのことで、G1、G2、G3a、G3b、G4、G5と進行していきます。
G1はGFRが90ml/分以上です。
G2はGFRが60~89ml/分
G3aはGFRが45~59ml/分
*Aはアルブミン尿のことで、糖尿病においては
A1:正常 30未満(尿アルブミン/Cr比 mg/gCr)
A2:微量アルブミン尿 30~299
A3:顕性アルブミン尿 300以上
「日本糖尿病学会編 糖尿病治療ガイド 2012-2013」では、糖尿病腎症第3期Aは、タンパク質制限食(0.8~1.0 g/kg体重/日)となっています。
しかし糖尿病腎症第3期AはGFRが60ml/分以上なので、「日本腎臓病学会編 CKD診療ガイド 2012」では、顕性タンパク尿でも、摂取タンパク質制限なしとなります。
確かに、糖質制限食に追い風ですね。
「日本腎臓病学会編 CKD診療ガイド 2012」
によれば、糖尿病腎症第2期も勿論、タンパク質制限なしです。
「日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言 2013年3月 日本糖尿病学会」で、
「タンパク質については、糖尿病患者の高齢化に伴い、潜在的な腎障害の合併例が増していることに留意し、CKDにあってはその指針に従う」
と、 CKD診療ガイド2012に従うことを決められたとのことですので、「日本糖尿病学会編 糖尿病治療ガイド 2012-2013」からみると、タンパク質制限に関しては、糖質制限食にとって良い方に前進しました。
江部康二
【13/03/22 精神科医師A
糖尿病性腎症(1)
糖尿病性腎症の食事療法:蛋白質摂取量 g/kg/dayについて
―日本糖尿病学会(JDS)と日本腎臓学会(JSN)との見解相違
(1) 糖尿病治療ガイド2012-2013 (JDS)
第1期(腎症前期)---------規定なし
第2期(早期腎症)---------1.0~1.2
第3期A(顕性腎症前期)----0.8~1.0
第3期B(顕性腎症後期)----0.8~1.0
第4期(腎不全期)---------0.6~0.8
第5期(透析療法期)-------HD:1.0-1.2, CAPD:1.1-1.3
http://www.810810.co.jp/point/diabetic-nephropathy.html
厚生省糖尿病調査研究班報告1992,1993および、日本糖尿病学会・日本腎臓学会糖尿病性腎症合同委員会報告1999より引用改変
(2) CKD診療ガイド2012 (JSN)
Stage--GFR
1-----90以上 蛋白は過剰摂取しない、高血圧があれば減塩6g/day未満
2-----60~89 々
3a----45~59 減塩6g未満、蛋白制限食0.8~1.0
3b----30~44 々
4-----15~29 減塩6g未満、蛋白制限食0.6~0.8, 高Kがあれば摂取制限
5-----15未満 々
http://taka-yuki.com/index.php?CKD
http://www.jsn.or.jp/guideline/ckd2012.php
上記のように、2012年現在で、JDSとJSNでは見解が分かれていた。JSNはCKD診療ガイドを2007・2009・2012年と改正していったのに、JDSは99年のJNSとの合同報告のままであった。JDSは前世期の遺物を続けて、JSNを侮辱していたといえる。
なお、『今日の治療指針』はCKD診療ガイドにそった記述が毎年行われていた。JDSのメンバーからも、特に糖尿病と腎臓病が一つの講座にある大学からは、両学会の解離は指摘されてきた(medicina 48(3)442-445, 2011)
今回、2013/3/18の提言で、「たんぱく質については、糖尿病患者の高齢化に伴い、潜在的な腎障害の合併例が増していることに留意し、CKDにあってはその指針に従う」と、 CKD診療ガイド2012に従うことを決めた。これは評価できる。
例えば1999報告の第3期Aでは「蛋白0.8~1.0g/kg/dayに制限」となっていたが、CKD2012ではG2A2となり「蛋白質は過剰摂取しなければよい」ことになる。糖質制限に順風が吹いたことになる
今後このblogでも、CKD診療ガイド2012に沿った記述にすべきである。更に付け加えると、CKD2012では超低蛋白質食について、少数意見として条件付きながら認めている。なぜなら金沢医大・古屋教授がRCTを行っても、CKDでの蛋白質摂取量について有意な結論を得られなかった。そのため超低蛋白質食を否定するだけのevidenceが存在しないからである。JDSもこういった姿勢を見習い、糖質制限食を認めるべきであろう】
精神科医師Aさんから、
「日本腎臓病学会編 CKD診療ガイド 2012」
と
「日本糖尿病学会編 糖尿病治療ガイド 2012-2013」
において、タンパク質量制限に関して、記載が違うとのご指摘をコメントいただきました。
*CKD:Chronic Kidney Disease・・・日本語では「慢性腎臓病」
腎臓病ニュースピックアップのサイト
http://www.kidneydirections.ne.jp/kidney_news/120601.html
に「日本腎臓病学会編 CKD診療ガイド 2012」について、わかりやすく、書いてあります。
精神科医師A さん
情報をありがとうございます。
CKD診療ガイド2012 (JSN) によれば、GFRが60ml/分以上あれば、顕性タンパク尿の段階でも、タンパク質制限必要なしです。
すなわち「G2A3」の段階までは、タンパク質制限なしなので、糖質制限食OKとなります。
G3aの段階から、タンパク質制限食(0.8~1.0 g/kg体重/日)の開始となります。
*GはGFRのことで、G1、G2、G3a、G3b、G4、G5と進行していきます。
G1はGFRが90ml/分以上です。
G2はGFRが60~89ml/分
G3aはGFRが45~59ml/分
*Aはアルブミン尿のことで、糖尿病においては
A1:正常 30未満(尿アルブミン/Cr比 mg/gCr)
A2:微量アルブミン尿 30~299
A3:顕性アルブミン尿 300以上
「日本糖尿病学会編 糖尿病治療ガイド 2012-2013」では、糖尿病腎症第3期Aは、タンパク質制限食(0.8~1.0 g/kg体重/日)となっています。
しかし糖尿病腎症第3期AはGFRが60ml/分以上なので、「日本腎臓病学会編 CKD診療ガイド 2012」では、顕性タンパク尿でも、摂取タンパク質制限なしとなります。
確かに、糖質制限食に追い風ですね。
「日本腎臓病学会編 CKD診療ガイド 2012」
によれば、糖尿病腎症第2期も勿論、タンパク質制限なしです。
「日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言 2013年3月 日本糖尿病学会」で、
「タンパク質については、糖尿病患者の高齢化に伴い、潜在的な腎障害の合併例が増していることに留意し、CKDにあってはその指針に従う」
と、 CKD診療ガイド2012に従うことを決められたとのことですので、「日本糖尿病学会編 糖尿病治療ガイド 2012-2013」からみると、タンパク質制限に関しては、糖質制限食にとって良い方に前進しました。
江部康二
【13/03/22 精神科医師A
糖尿病性腎症(1)
糖尿病性腎症の食事療法:蛋白質摂取量 g/kg/dayについて
―日本糖尿病学会(JDS)と日本腎臓学会(JSN)との見解相違
(1) 糖尿病治療ガイド2012-2013 (JDS)
第1期(腎症前期)---------規定なし
第2期(早期腎症)---------1.0~1.2
第3期A(顕性腎症前期)----0.8~1.0
第3期B(顕性腎症後期)----0.8~1.0
第4期(腎不全期)---------0.6~0.8
第5期(透析療法期)-------HD:1.0-1.2, CAPD:1.1-1.3
http://www.810810.co.jp/point/diabetic-nephropathy.html
厚生省糖尿病調査研究班報告1992,1993および、日本糖尿病学会・日本腎臓学会糖尿病性腎症合同委員会報告1999より引用改変
(2) CKD診療ガイド2012 (JSN)
Stage--GFR
1-----90以上 蛋白は過剰摂取しない、高血圧があれば減塩6g/day未満
2-----60~89 々
3a----45~59 減塩6g未満、蛋白制限食0.8~1.0
3b----30~44 々
4-----15~29 減塩6g未満、蛋白制限食0.6~0.8, 高Kがあれば摂取制限
5-----15未満 々
http://taka-yuki.com/index.php?CKD
http://www.jsn.or.jp/guideline/ckd2012.php
上記のように、2012年現在で、JDSとJSNでは見解が分かれていた。JSNはCKD診療ガイドを2007・2009・2012年と改正していったのに、JDSは99年のJNSとの合同報告のままであった。JDSは前世期の遺物を続けて、JSNを侮辱していたといえる。
なお、『今日の治療指針』はCKD診療ガイドにそった記述が毎年行われていた。JDSのメンバーからも、特に糖尿病と腎臓病が一つの講座にある大学からは、両学会の解離は指摘されてきた(medicina 48(3)442-445, 2011)
今回、2013/3/18の提言で、「たんぱく質については、糖尿病患者の高齢化に伴い、潜在的な腎障害の合併例が増していることに留意し、CKDにあってはその指針に従う」と、 CKD診療ガイド2012に従うことを決めた。これは評価できる。
例えば1999報告の第3期Aでは「蛋白0.8~1.0g/kg/dayに制限」となっていたが、CKD2012ではG2A2となり「蛋白質は過剰摂取しなければよい」ことになる。糖質制限に順風が吹いたことになる
今後このblogでも、CKD診療ガイド2012に沿った記述にすべきである。更に付け加えると、CKD2012では超低蛋白質食について、少数意見として条件付きながら認めている。なぜなら金沢医大・古屋教授がRCTを行っても、CKDでの蛋白質摂取量について有意な結論を得られなかった。そのため超低蛋白質食を否定するだけのevidenceが存在しないからである。JDSもこういった姿勢を見習い、糖質制限食を認めるべきであろう】
2013年03月23日 (土)
こんばんは。
アメリカ、ミシガン州在住の目標達成さんから、
「アメリカでは、糖尿病患者にとってCarb Count(カーボカウント)は当たり前の知識です。」
という情報をコメントいただきました。
目標達成さん、アメリカの情報ありがとうございます。
「Carb Count」あるいは「Carbohydrate counting 」 ・・・日本語では炭水化物管理食と訳します。
炭水化物=糖質+食物繊維
食物繊維は消化・吸収されないので、「炭水化物管理食=糖質管理食」ということになります。
インスリン注射を打っている糖尿病患者さんは、糖質制限食が好ましいのですが、せめてカーボカウントをしないと大変危険です。
カーボカウントをして、注射するインスリンの単位と糖質量をマッチさせれば、血糖コントロールがしやすいです。
しかし、カロリー計算でインスリンの単位を決めるのは、全く無意味です。
炊いたご飯、1杯は150gで糖質55gを含んでいますが、250kcalです。
牛サーロインステーキは、200gで1000kcalありますが、糖質は1g以下です。
1gの糖質が約3mg血糖値を上昇させるので、250kcalのご飯だと、165mg上昇します。
サーロインステーキ200食べても血糖は3mgも上昇しません。
糖質の計算をせずに、カロリー計算をベースにインスリン注射の単位数を決めるのは、目を閉じて車の運転をするくらい危険ということがおわかり頂けたでしょうか?
それなのに日本では、1型糖尿病でさえも、成人ではまだまだ「カーボカウント」は普及していません。
小児1型糖尿病では、「カーボカウント」がかなり普及しています。
小児科医より、糖尿病専門医のほうが保守的なのでしょうか?
そして小児1型糖尿病の場合は、ご両親がよく勉強してカーボカウントを知識として知っておられることが多いのでしょう。
糖質制限食なら、糖質のグラム数をカウントしつつ、インスリンの量も最低単位ですむので身体にとてもやさしいのです。
糖尿病専門医は、糖質制限食は兎も角として、せめて「カーボカウント」くらい、取り入れないと、糖尿病患者さんに大きな不利益をもたらすことになるので、早急に考慮される必要があります。
江部康二
【13/03/21 目標達成
権力にしがみつく日本糖尿病学会
アメリカミシガン州の目標達成です。NHK国際放送を見ています。
日本糖尿病学会の偉い方々が、今までの立場や権限やプライドなどを守るために一生懸命あがいているようにみえます。
アメリカでは、糖尿病患者にとってCarb Count(炭水化物/糖質制限)は当たり前の知識です。
特にインシュリンが必要とされる患者さんは、糖質計算なくしてどうやってやるの?って感じです。
私の糖尿病専門医の各診療室にも、Carb Countを習う授業の広告がデカデカと張られています。
医師からもらった、ファーストフードから店頭既製食品まで数多くの食品の糖質量が載った冊子が私の手元にも2種類あります。
Diabetesdailyという糖尿病患者のコミュニティサイトがあります。
アメリカが中心のサイトですが、世界(韓国や台湾なども。日本からの投稿は見たことがありませんが)からもアクセスがあります。
そこでは、糖質摂取量/日をプロフィールに書いている人も沢山います。
もちろん、アメリカの治療方法イコール正解ではないですし、私もわかったことを言えるような医師ではありませんが、患者の実体験に基づいて、糖尿病対応食の流れは確実に糖質量に向けられています。
短期的にですら結果を出せない日本糖尿病学会が、長期的効果を心配するのは何とも滑稽です。】
アメリカ、ミシガン州在住の目標達成さんから、
「アメリカでは、糖尿病患者にとってCarb Count(カーボカウント)は当たり前の知識です。」
という情報をコメントいただきました。
目標達成さん、アメリカの情報ありがとうございます。
「Carb Count」あるいは「Carbohydrate counting 」 ・・・日本語では炭水化物管理食と訳します。
炭水化物=糖質+食物繊維
食物繊維は消化・吸収されないので、「炭水化物管理食=糖質管理食」ということになります。
インスリン注射を打っている糖尿病患者さんは、糖質制限食が好ましいのですが、せめてカーボカウントをしないと大変危険です。
カーボカウントをして、注射するインスリンの単位と糖質量をマッチさせれば、血糖コントロールがしやすいです。
しかし、カロリー計算でインスリンの単位を決めるのは、全く無意味です。
炊いたご飯、1杯は150gで糖質55gを含んでいますが、250kcalです。
牛サーロインステーキは、200gで1000kcalありますが、糖質は1g以下です。
1gの糖質が約3mg血糖値を上昇させるので、250kcalのご飯だと、165mg上昇します。
サーロインステーキ200食べても血糖は3mgも上昇しません。
糖質の計算をせずに、カロリー計算をベースにインスリン注射の単位数を決めるのは、目を閉じて車の運転をするくらい危険ということがおわかり頂けたでしょうか?
それなのに日本では、1型糖尿病でさえも、成人ではまだまだ「カーボカウント」は普及していません。
小児1型糖尿病では、「カーボカウント」がかなり普及しています。
小児科医より、糖尿病専門医のほうが保守的なのでしょうか?
そして小児1型糖尿病の場合は、ご両親がよく勉強してカーボカウントを知識として知っておられることが多いのでしょう。
糖質制限食なら、糖質のグラム数をカウントしつつ、インスリンの量も最低単位ですむので身体にとてもやさしいのです。
糖尿病専門医は、糖質制限食は兎も角として、せめて「カーボカウント」くらい、取り入れないと、糖尿病患者さんに大きな不利益をもたらすことになるので、早急に考慮される必要があります。
江部康二
【13/03/21 目標達成
権力にしがみつく日本糖尿病学会
アメリカミシガン州の目標達成です。NHK国際放送を見ています。
日本糖尿病学会の偉い方々が、今までの立場や権限やプライドなどを守るために一生懸命あがいているようにみえます。
アメリカでは、糖尿病患者にとってCarb Count(炭水化物/糖質制限)は当たり前の知識です。
特にインシュリンが必要とされる患者さんは、糖質計算なくしてどうやってやるの?って感じです。
私の糖尿病専門医の各診療室にも、Carb Countを習う授業の広告がデカデカと張られています。
医師からもらった、ファーストフードから店頭既製食品まで数多くの食品の糖質量が載った冊子が私の手元にも2種類あります。
Diabetesdailyという糖尿病患者のコミュニティサイトがあります。
アメリカが中心のサイトですが、世界(韓国や台湾なども。日本からの投稿は見たことがありませんが)からもアクセスがあります。
そこでは、糖質摂取量/日をプロフィールに書いている人も沢山います。
もちろん、アメリカの治療方法イコール正解ではないですし、私もわかったことを言えるような医師ではありませんが、患者の実体験に基づいて、糖尿病対応食の流れは確実に糖質量に向けられています。
短期的にですら結果を出せない日本糖尿病学会が、長期的効果を心配するのは何とも滑稽です。】
2013年03月22日 (金)
こんばんは。
1)
2004年版のLife With Diabetes(米国糖尿病学会・ADA)によれば(☆☆)、
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わり、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
「Carbohydrate,protein,and fat contain calories.
Only Carbohydrates directly affect blood glucose levels. 」 3rd Ed,2004
直訳すると、
「炭水化物・タンパク質・脂肪はカロリーを含有している。炭水化物だけが、血糖値に直接作用する。」
1997年版のLife With Diabetesでは、(☆)
「タンパク質は約50%が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載がありますが、2004年版では削除されています。
上記以外にも1997版で記載されていた、脂質とタンパク質と血糖に関する記載が 2004年版では全て削除されています。 2009年版もそれを継続しています。( ☆☆☆)
1997年から2004年の間に、多くの研究・論文などエビデンスが蓄積されて、米国糖尿病学会の見解が、
「血糖値を上げるのは3大栄養素の内、糖質だけである。」
と変化したものと考えられます。
このことは、米国糖尿病学会の公式見解であり、Life With Diabetes は患者教育用の医療者むけのテキストブックです。
つまり、米国では糖尿病患者さんに、
「炭水化物・タンパク質・脂肪はカロリーを含有している。炭水化物だけが、血糖値に直接作用する。」
という生理学的事実を教育しているわけです。
米国では患者さんに教育している3大栄養素と血糖のことを日本では、一切説明しません。
糖尿病食事療法において極めて重要な、3大栄養素と血糖のことを、患者さんに説明しないのは、不可思議であり、アンフェアと思います。
日本糖尿病学会として、3大栄養素と血糖のことを、現状のまま糖尿病患者さんに説明しないのなら、その根拠を示す必要があると思います。
もし、日本糖尿病学会として、米国糖尿病学会の見解が間違っているので説明しないと仰有るなら、やはり科学的根拠をきっちり示す必要があると思います。
註
「1型でも内因性インスリンがあるていど残っている場合は、タンパク質は血糖値をほとんど上げない。
しかし、内因性インスリンがゼロの場合は、バーンスタイン医師が言うように、体重64kgとして1gのタンパク質が0.94mg上昇させる
1gのタンパク質がどの程度血糖を上げるかには個人差がある。
リジン、ロイシン、アルギニンなどのアミノ酸がグルカゴンとインスリンを同時に分泌させるので、通常は血糖値に影響を与えない。
しかし、内因性インスリンが分泌ゼロの場合、グルカゴンだけが分泌され肝臓の糖新生により、血糖値が上昇する。タンパク質が直接、血糖値に変わるのではない。」
これは高雄病院に入院された30人の1型糖尿病患者さんを、糖質制限食で治療して得た見解です。
江部康二
☆
Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center,
American Diabetes Assoiation ,2nd Ed,1997
☆☆
Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center,
American Diabetes Assoiation ,3rd Ed,2004
☆☆☆
Life With Diabetes:A Siries of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center ,
American Diabetes Assoiation ,4th Edition,2009
1)
2004年版のLife With Diabetes(米国糖尿病学会・ADA)によれば(☆☆)、
食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わり、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
「Carbohydrate,protein,and fat contain calories.
Only Carbohydrates directly affect blood glucose levels. 」 3rd Ed,2004
直訳すると、
「炭水化物・タンパク質・脂肪はカロリーを含有している。炭水化物だけが、血糖値に直接作用する。」
1997年版のLife With Diabetesでは、(☆)
「タンパク質は約50%が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載がありますが、2004年版では削除されています。
上記以外にも1997版で記載されていた、脂質とタンパク質と血糖に関する記載が 2004年版では全て削除されています。 2009年版もそれを継続しています。( ☆☆☆)
1997年から2004年の間に、多くの研究・論文などエビデンスが蓄積されて、米国糖尿病学会の見解が、
「血糖値を上げるのは3大栄養素の内、糖質だけである。」
と変化したものと考えられます。
このことは、米国糖尿病学会の公式見解であり、Life With Diabetes は患者教育用の医療者むけのテキストブックです。
つまり、米国では糖尿病患者さんに、
「炭水化物・タンパク質・脂肪はカロリーを含有している。炭水化物だけが、血糖値に直接作用する。」
という生理学的事実を教育しているわけです。
米国では患者さんに教育している3大栄養素と血糖のことを日本では、一切説明しません。
糖尿病食事療法において極めて重要な、3大栄養素と血糖のことを、患者さんに説明しないのは、不可思議であり、アンフェアと思います。
日本糖尿病学会として、3大栄養素と血糖のことを、現状のまま糖尿病患者さんに説明しないのなら、その根拠を示す必要があると思います。
もし、日本糖尿病学会として、米国糖尿病学会の見解が間違っているので説明しないと仰有るなら、やはり科学的根拠をきっちり示す必要があると思います。
註
「1型でも内因性インスリンがあるていど残っている場合は、タンパク質は血糖値をほとんど上げない。
しかし、内因性インスリンがゼロの場合は、バーンスタイン医師が言うように、体重64kgとして1gのタンパク質が0.94mg上昇させる
1gのタンパク質がどの程度血糖を上げるかには個人差がある。
リジン、ロイシン、アルギニンなどのアミノ酸がグルカゴンとインスリンを同時に分泌させるので、通常は血糖値に影響を与えない。
しかし、内因性インスリンが分泌ゼロの場合、グルカゴンだけが分泌され肝臓の糖新生により、血糖値が上昇する。タンパク質が直接、血糖値に変わるのではない。」
これは高雄病院に入院された30人の1型糖尿病患者さんを、糖質制限食で治療して得た見解です。
江部康二
☆
Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center,
American Diabetes Assoiation ,2nd Ed,1997
☆☆
Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center,
American Diabetes Assoiation ,3rd Ed,2004
☆☆☆
Life With Diabetes:A Siries of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center ,
American Diabetes Assoiation ,4th Edition,2009
2013年03月21日 (木)
こんにちは
日本糖尿病学会への提言(2)
糖尿病合併症とカロリー制限食の弊害
そして総死亡率とエビデンスです。
2010年の日本のデータで、
糖尿病網膜症で失明する糖尿人が年間約3000人
糖尿病腎症で透析になる糖尿人が年間16271名
糖尿病壊疽で下肢を切断せざるを得ない糖尿人も後を絶ちません。
さらに心筋梗塞や脳梗塞を発症して救急車で運ばれる人の過半数は糖尿病か耐糖能異常です。
ここで疑問が出てきます。
これらの方々は、全て医師や栄養士の言うことを聞かずに、薬もまともに内服せずに暴飲・暴食をしたのでしょうか?
いえいえそんなことはありません。
ほとんどの方は、医師や栄養士の言うとおりに、つらくとも我慢してカロリー制限食を実践し、酒も飲まず、運動もし、血糖コントロールが徐々に悪くなれば、経口糖尿病薬が増えていき、それでも効果が良くなければ、インスリン注射を導入して、清く正しく頑張ってきたにもかかわらず、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病壊疽、心筋梗塞、脳卒中・・・を合併してきてしまったのです。
即ち、糖尿病患者さんに罪はないのです。
罪は一重に、カロリー制限食にあるのです。
カロリー制限食(高糖質・低脂質食)を実践する限りは、かなり運が良くない限り糖尿病合併症から免れることは至難の技です。
何故なら、糖質を摂取する限り、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅の増大」を必ず生じるからです。
食後高血糖と平均血糖変動幅増大は、糖尿病合併症の最も大きな要因です。
食後高血糖と平均血糖変動幅増大を防ぐことこそが合併症予防の優先順位の一番なのです。
そして糖質制限食が唯一、食後高血糖を防ぐ治療食なのです。
ACCORDの結果(RCT研究論文)とランセットの報告(コホート研究論文)(★)によれば、
「糖質を普通に摂取しながら、強力な糖尿病の薬物治療を行えばかえって総死亡率が上昇する」
という、明白なエビデンスが存在します。(*)
私は一人の医師であり、一人の糖尿病患者です。
医師としてそして一糖尿病患者として、日本糖尿病学会に、提言します。
1)
ACCORDなどの明白なエビデンスを無視せずに、現実を認めて、ワンパターンの食事療法(カロリー制限・高糖質食)の見直しに着手するのが、糖尿病専門医として科学的な態度と言えるのではないでしょうか?
2)
また、従来の日本の糖尿病治療(カロリー制限・高糖質食と薬物療法)で、糖尿病網膜症で失明、糖尿病腎症で透析、糖尿病壊疽で下肢を切断、心筋梗塞、脳梗塞・・・といった糖尿病合併症が毎年多数発症している現状を、どのようにとらえておられるのでしょうか?
現実に多くの糖尿病患者さんを苦しめてきたという反省はないのでしょうか?
是非、冷静に日本の糖尿病治療と合併症の現状を検討して頂きたいと思います。
3)
さらに、糖尿病専門医が推奨するカロリー制限食(高糖質・低脂質食)では、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅の増大」を生じ、酸化ストレスリスクを決して防げないという生理学的事実を、糖尿病患者さんに、どう説明し、納得してもらうおつもりなのでしょう。
短期的に破滅的に効果が悪い食事療法(カロリー制限・高糖質食)を、長期間にわたり糖尿病患者さんに推奨するなら、倫理的にも科学的根拠を示す義務があります。糖尿病専門医として、科学的思考をされることを切に望むものです。
4)
農耕開始前の人類約700万年間の進化の歴史は狩猟・採集であり、農耕開始(穀物摂取開始)は約1万年前からに過ぎないことを、認識してください。
5)
日本人も旧石器時時代と縄文時代の約87000年間は狩猟・採集であり、農耕開始(米摂取開始)は弥生時代以降の約3000年間に過ぎないことを、認識してください。
(*)
2011年07月21日 (木) の本ブログ記事
「ACCORDとLancet誌2010年2月6日号の報告、HbA1cの目標値は?」
をご参照ください。
★ACCORD
Effects of Intensive Glucose Lowering in Type 2 Diabetes
The Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes Study Group
N Engl J Med 2008; 358:2545-2559
★Survival as a function of HbA1c in people with type 2 diabetes: a retrospective cohort study
The Lancet, Volume 375, Issue 9713, Pages 481 - 489, 6 February 2010
江部康二
日本糖尿病学会への提言(2)
糖尿病合併症とカロリー制限食の弊害
そして総死亡率とエビデンスです。
2010年の日本のデータで、
糖尿病網膜症で失明する糖尿人が年間約3000人
糖尿病腎症で透析になる糖尿人が年間16271名
糖尿病壊疽で下肢を切断せざるを得ない糖尿人も後を絶ちません。
さらに心筋梗塞や脳梗塞を発症して救急車で運ばれる人の過半数は糖尿病か耐糖能異常です。
ここで疑問が出てきます。
これらの方々は、全て医師や栄養士の言うことを聞かずに、薬もまともに内服せずに暴飲・暴食をしたのでしょうか?
いえいえそんなことはありません。
ほとんどの方は、医師や栄養士の言うとおりに、つらくとも我慢してカロリー制限食を実践し、酒も飲まず、運動もし、血糖コントロールが徐々に悪くなれば、経口糖尿病薬が増えていき、それでも効果が良くなければ、インスリン注射を導入して、清く正しく頑張ってきたにもかかわらず、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病壊疽、心筋梗塞、脳卒中・・・を合併してきてしまったのです。
即ち、糖尿病患者さんに罪はないのです。
罪は一重に、カロリー制限食にあるのです。
カロリー制限食(高糖質・低脂質食)を実践する限りは、かなり運が良くない限り糖尿病合併症から免れることは至難の技です。
何故なら、糖質を摂取する限り、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅の増大」を必ず生じるからです。
食後高血糖と平均血糖変動幅増大は、糖尿病合併症の最も大きな要因です。
食後高血糖と平均血糖変動幅増大を防ぐことこそが合併症予防の優先順位の一番なのです。
そして糖質制限食が唯一、食後高血糖を防ぐ治療食なのです。
ACCORDの結果(RCT研究論文)とランセットの報告(コホート研究論文)(★)によれば、
「糖質を普通に摂取しながら、強力な糖尿病の薬物治療を行えばかえって総死亡率が上昇する」
という、明白なエビデンスが存在します。(*)
私は一人の医師であり、一人の糖尿病患者です。
医師としてそして一糖尿病患者として、日本糖尿病学会に、提言します。
1)
ACCORDなどの明白なエビデンスを無視せずに、現実を認めて、ワンパターンの食事療法(カロリー制限・高糖質食)の見直しに着手するのが、糖尿病専門医として科学的な態度と言えるのではないでしょうか?
2)
また、従来の日本の糖尿病治療(カロリー制限・高糖質食と薬物療法)で、糖尿病網膜症で失明、糖尿病腎症で透析、糖尿病壊疽で下肢を切断、心筋梗塞、脳梗塞・・・といった糖尿病合併症が毎年多数発症している現状を、どのようにとらえておられるのでしょうか?
現実に多くの糖尿病患者さんを苦しめてきたという反省はないのでしょうか?
是非、冷静に日本の糖尿病治療と合併症の現状を検討して頂きたいと思います。
3)
さらに、糖尿病専門医が推奨するカロリー制限食(高糖質・低脂質食)では、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅の増大」を生じ、酸化ストレスリスクを決して防げないという生理学的事実を、糖尿病患者さんに、どう説明し、納得してもらうおつもりなのでしょう。
短期的に破滅的に効果が悪い食事療法(カロリー制限・高糖質食)を、長期間にわたり糖尿病患者さんに推奨するなら、倫理的にも科学的根拠を示す義務があります。糖尿病専門医として、科学的思考をされることを切に望むものです。
4)
農耕開始前の人類約700万年間の進化の歴史は狩猟・採集であり、農耕開始(穀物摂取開始)は約1万年前からに過ぎないことを、認識してください。
5)
日本人も旧石器時時代と縄文時代の約87000年間は狩猟・採集であり、農耕開始(米摂取開始)は弥生時代以降の約3000年間に過ぎないことを、認識してください。
(*)
2011年07月21日 (木) の本ブログ記事
「ACCORDとLancet誌2010年2月6日号の報告、HbA1cの目標値は?」
をご参照ください。
★ACCORD
Effects of Intensive Glucose Lowering in Type 2 Diabetes
The Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes Study Group
N Engl J Med 2008; 358:2545-2559
★Survival as a function of HbA1c in people with type 2 diabetes: a retrospective cohort study
The Lancet, Volume 375, Issue 9713, Pages 481 - 489, 6 February 2010
江部康二
2013年03月21日 (木)
こんにちは。
糖質制限ドットコムのあらてつさんより、糖質オフロールケーキ販売のお知らせが来ました。
昨年10月と今年1月に限定発売したロールケーキは、即、完売だったそうです。
糖尿人の皆さん、ロールケーキが本当にお好きなんですね(^_^;)
このロールケーキ、菓子職人の稲井シェフが、3年の構想の果てに完成したとあらてつさんが言ってましたが、確かに美味しいです。
何も言われずに出されれば、糖質制限のロールケーキだと分からない完成度だと思います(^-^)v(^-^)v
このようなロールケーキを完成させてくれた稲井シェフに、大きな大きな感謝を送りたいと思います。m(_ _)mVV
糖尿人、メタボ人、ダイエッターの皆さん、是非一度お試しあれ。
江部康二
以下、あらてつさんからのご案内です。
糖質制限ロールケーキの第三弾 贅沢ナッツロール 本日発売です!

昨年10月に糖質制限ロールケーキ第一弾「とろけるショコラロール」
今年1月に第二弾の「極旨ダブルショコラロール」
と販売させて頂きましたが、お陰様で大好評を頂戴致しまして、両商品とも即、完売となりました。
この度、またまた数量限定で糖質制限ロールケーキの第三弾 贅沢ナッツロール を販売させて頂きます。
こちらの贅沢ナッツロール、昨年のクリスマスケーキで一番「通年販売してくれ!」とのリクエストが多かったケーキです。
松の実、クルミ、アーモンドなどのナッツを、これでもかっ!とその名の通り贅沢且つふんだんに散りばめた、贅沢ナッツロールの名に恥じない珠玉の逸品です。
しっとりチョコレート生地にまきまきされた、ナッツのガナッシュとカラメル風味のバタークリームも、これまた絶品!!!
昨年、クリスマスケーキやその他新商品の試作を食べさせて頂いた際、私あらてつと毒舌弊社デザイナーとも、「一番美味しい!」と感激したのがこの贅沢ナッツロールでした。
今回も、400台の数量限定になりますので、お求めはお早めに♪
贅沢ナッツロール
http://www.toushitsuseigen.com/shop/sweets_roll_nuts.html
皆様のご注文、心よりお待ちしております。
糖質制限ドットコムのあらてつさんより、糖質オフロールケーキ販売のお知らせが来ました。
昨年10月と今年1月に限定発売したロールケーキは、即、完売だったそうです。
糖尿人の皆さん、ロールケーキが本当にお好きなんですね(^_^;)
このロールケーキ、菓子職人の稲井シェフが、3年の構想の果てに完成したとあらてつさんが言ってましたが、確かに美味しいです。
何も言われずに出されれば、糖質制限のロールケーキだと分からない完成度だと思います(^-^)v(^-^)v
このようなロールケーキを完成させてくれた稲井シェフに、大きな大きな感謝を送りたいと思います。m(_ _)mVV
糖尿人、メタボ人、ダイエッターの皆さん、是非一度お試しあれ。
江部康二
以下、あらてつさんからのご案内です。
糖質制限ロールケーキの第三弾 贅沢ナッツロール 本日発売です!

昨年10月に糖質制限ロールケーキ第一弾「とろけるショコラロール」
今年1月に第二弾の「極旨ダブルショコラロール」
と販売させて頂きましたが、お陰様で大好評を頂戴致しまして、両商品とも即、完売となりました。
この度、またまた数量限定で糖質制限ロールケーキの第三弾 贅沢ナッツロール を販売させて頂きます。
こちらの贅沢ナッツロール、昨年のクリスマスケーキで一番「通年販売してくれ!」とのリクエストが多かったケーキです。
松の実、クルミ、アーモンドなどのナッツを、これでもかっ!とその名の通り贅沢且つふんだんに散りばめた、贅沢ナッツロールの名に恥じない珠玉の逸品です。
しっとりチョコレート生地にまきまきされた、ナッツのガナッシュとカラメル風味のバタークリームも、これまた絶品!!!
昨年、クリスマスケーキやその他新商品の試作を食べさせて頂いた際、私あらてつと毒舌弊社デザイナーとも、「一番美味しい!」と感激したのがこの贅沢ナッツロールでした。
今回も、400台の数量限定になりますので、お求めはお早めに♪
贅沢ナッツロール
http://www.toushitsuseigen.com/shop/sweets_roll_nuts.html
皆様のご注文、心よりお待ちしております。
糖質制限食・ダイエット食の通信販売|糖質制限ドットコム
糖質制限ドットコムは、糖質制限食の第一人者、高雄病院、江部康二先生監修による糖質オフな食材を販売、糖質制限食に取り組む皆様をサポートします。
2013年03月20日 (水)
おはようございます。
日本糖尿病学会への提言です。
2007年と2011年の国際糖尿病連合(IDF)「食後血糖値の管理に関するガイドライン」により、食後高血糖が、がんや動脈硬化や糖尿病合併症を始めとして、様々な疾患のリスクとなることが明確となりました。
またCGM(*)の普及により、酸化ストレスを最も生じるのは
①平均血糖変動幅の増大
②食後高血糖
③空腹時血糖値
という順番であることが明確となってきました。
酸化ストレスは、動脈硬化や老化やがん、パーキンソン病やアルツハイマー病や認知症にも深く関わっています。
糖尿病があると心筋梗塞・脳梗塞・がん・アルツハイマー病・認知症が増加することにはエビデンスがありますが、
この酸化ストレスがおおいに関与していると考えられています。
勿論、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、糖尿病神経障害などの糖尿病慢性合併症にも酸化ストレスは関与しています。
スーパー糖質制限食だと、「食後高血糖」「平均血糖変動幅」という最大の酸化ストレスリスクが、大幅に改善します。
カロリー制限食(高糖質食)だと、「食後高血糖」「平均血糖変動幅」という最大の酸化ストレスリスクが、必ず生じます。
従って、理論的には、カロリー制限食(高糖質食)で糖尿病合併症を防ぐことは、極めて困難です。
一般内科医は兎も角として、糖尿病専門医は知識として上述のCGMのデータのことと、糖質制限食のことを勉強して理解する義務があると思います。
その上で、糖質制限食を批判するなら、科学的根拠を示すべきだと思います。
2013年3月19日に プレスリリース された
日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言
2013年3月 日本糖尿病学会 PDFファイルで全7ページ
をみると、糖質制限食批判には、RCT研究論文に基づく科学的根拠がないことがわかります。
それに関しては、2013年3月19日(火)の本ブログで検証しています。
また糖尿病の食事療法に関する提言なのに、
『血糖値を上昇させるのは糖質だけであり、「食後高血糖」「平均血糖変動幅」を生じるのも糖質摂取時だけである』
という極めて重要な情報が欠落しています。
意図的に欠落させたのなら、糖尿病患者さんを診察する責任を放棄したに等しい行為であり、大問題です。
結論として糖尿病専門医は糖尿病患者さんに対し、倫理的にも以下の説明義務があると思います。
1)カロリー制限食(高糖質食)は1969年の食品交換表(改訂第2版)以降、日本で、糖尿病患者さんに推奨してきた唯一の食事療法で、長い臨床経験がある。しかし、長期的安全性や有効性に関しては、エビデンスはない。
そして血糖値を上げるのは糖質だけなので、カロリー制限食は、短期的には、平均血糖変動幅の増大と食後高血糖を生じる可能性が極めて高い。
2)糖質制限食は、日本では1999年以降の新しい食事療法であり、臨床経験はまだ短い。
糖質制限食にも、長期的安全性と有効性のエビデンスはない。
一方、短期的には平均血糖変動幅の増大と食後高血糖を生じない、唯一の食事療法である。
3)平均血糖変動幅の増大と食後高血糖が酸化ストレスのリスクとなることにはエビデンスがある。
4)酸化ストレスは、動脈硬化や老化や癌、パーキンソン病やアルツハイマー病や認知症、糖尿病合併症にも深く関わっている。
1)2)3)4)を糖尿病患者さんにきっちり説明したうえで、あなたはどちらを選択しますかというスタンスが必要だと思います。
少なくとも説明して選択肢を与えることなく、糖尿病専門医が一方的にカロリー制限食を患者さんに押しつけることは、倫理的に問題があります。
一方的にカロリー制限食を糖尿病患者さんに押しつけて、毎日、平均血糖変動幅の増大と食後高血糖を起こして、
将来合併症が発症して、失明や透析となった場合は、当該の糖尿病専門医はどのように責任をとるおつもりなのでしょうか。
江部康二
(*)
CGM(Continuous Glucose Monitoring:持続ブドウ糖測定)システム
ブドウ糖値を数日間連続的に測定できる持続血糖測定装置(CGMS)が、日本でも保険適応となり、日常臨床で使用できるようになりました。
ブドウ糖値の日内変動を24時間通して把握できるので、SMBG(血糖自己測定器)やHbA1cによるデータとは異なる情報を得ることができます。
5分ごとに測定して、24時間で288回のブドウ糖測定が可能です。
日本糖尿病学会への提言です。
2007年と2011年の国際糖尿病連合(IDF)「食後血糖値の管理に関するガイドライン」により、食後高血糖が、がんや動脈硬化や糖尿病合併症を始めとして、様々な疾患のリスクとなることが明確となりました。
またCGM(*)の普及により、酸化ストレスを最も生じるのは
①平均血糖変動幅の増大
②食後高血糖
③空腹時血糖値
という順番であることが明確となってきました。
酸化ストレスは、動脈硬化や老化やがん、パーキンソン病やアルツハイマー病や認知症にも深く関わっています。
糖尿病があると心筋梗塞・脳梗塞・がん・アルツハイマー病・認知症が増加することにはエビデンスがありますが、
この酸化ストレスがおおいに関与していると考えられています。
勿論、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、糖尿病神経障害などの糖尿病慢性合併症にも酸化ストレスは関与しています。
スーパー糖質制限食だと、「食後高血糖」「平均血糖変動幅」という最大の酸化ストレスリスクが、大幅に改善します。
カロリー制限食(高糖質食)だと、「食後高血糖」「平均血糖変動幅」という最大の酸化ストレスリスクが、必ず生じます。
従って、理論的には、カロリー制限食(高糖質食)で糖尿病合併症を防ぐことは、極めて困難です。
一般内科医は兎も角として、糖尿病専門医は知識として上述のCGMのデータのことと、糖質制限食のことを勉強して理解する義務があると思います。
その上で、糖質制限食を批判するなら、科学的根拠を示すべきだと思います。
2013年3月19日に プレスリリース された
日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言
2013年3月 日本糖尿病学会 PDFファイルで全7ページ
をみると、糖質制限食批判には、RCT研究論文に基づく科学的根拠がないことがわかります。
それに関しては、2013年3月19日(火)の本ブログで検証しています。
また糖尿病の食事療法に関する提言なのに、
『血糖値を上昇させるのは糖質だけであり、「食後高血糖」「平均血糖変動幅」を生じるのも糖質摂取時だけである』
という極めて重要な情報が欠落しています。
意図的に欠落させたのなら、糖尿病患者さんを診察する責任を放棄したに等しい行為であり、大問題です。
結論として糖尿病専門医は糖尿病患者さんに対し、倫理的にも以下の説明義務があると思います。
1)カロリー制限食(高糖質食)は1969年の食品交換表(改訂第2版)以降、日本で、糖尿病患者さんに推奨してきた唯一の食事療法で、長い臨床経験がある。しかし、長期的安全性や有効性に関しては、エビデンスはない。
そして血糖値を上げるのは糖質だけなので、カロリー制限食は、短期的には、平均血糖変動幅の増大と食後高血糖を生じる可能性が極めて高い。
2)糖質制限食は、日本では1999年以降の新しい食事療法であり、臨床経験はまだ短い。
糖質制限食にも、長期的安全性と有効性のエビデンスはない。
一方、短期的には平均血糖変動幅の増大と食後高血糖を生じない、唯一の食事療法である。
3)平均血糖変動幅の増大と食後高血糖が酸化ストレスのリスクとなることにはエビデンスがある。
4)酸化ストレスは、動脈硬化や老化や癌、パーキンソン病やアルツハイマー病や認知症、糖尿病合併症にも深く関わっている。
1)2)3)4)を糖尿病患者さんにきっちり説明したうえで、あなたはどちらを選択しますかというスタンスが必要だと思います。
少なくとも説明して選択肢を与えることなく、糖尿病専門医が一方的にカロリー制限食を患者さんに押しつけることは、倫理的に問題があります。
一方的にカロリー制限食を糖尿病患者さんに押しつけて、毎日、平均血糖変動幅の増大と食後高血糖を起こして、
将来合併症が発症して、失明や透析となった場合は、当該の糖尿病専門医はどのように責任をとるおつもりなのでしょうか。
江部康二
(*)
CGM(Continuous Glucose Monitoring:持続ブドウ糖測定)システム
ブドウ糖値を数日間連続的に測定できる持続血糖測定装置(CGMS)が、日本でも保険適応となり、日常臨床で使用できるようになりました。
ブドウ糖値の日内変動を24時間通して把握できるので、SMBG(血糖自己測定器)やHbA1cによるデータとは異なる情報を得ることができます。
5分ごとに測定して、24時間で288回のブドウ糖測定が可能です。
2013年03月19日 (火)
こんにちは
日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言 2013年3月 日本糖尿病学会
への反論(2)です。
以下は日本糖尿病学会のプレス リリースです。
PDFファイルで、全7ページです。
その内、「 糖尿病における炭水化物摂取について」を転載しました。
「【PRESS RELEASE】
日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言
2013年3月 日本糖尿病学会
4. 糖尿病における食事療法の在り方と課題
以上の現状認識を踏まえ、以下を提言としてまとめる。
1) 糖尿病における炭水化物摂取について
肥満の是正は、糖尿病の予防ならびに治療において重要な意義を有する。
体重の適正化を図るためには、運動療法とともに積極的な食事療法を指導すべきであり、総エネルギー摂取量の制限を最優先とする。
総エネルギー摂取量を制限せずに、炭水化物のみを極端に制限して減量を図ることは、その本来の効果のみならず、長期的な食事療法としての遵守性や安全性など重要な点についてこれを担保するエビデンスが不足しており、現時点では薦められない。
特に、インスリン作用が著しく不足した状態において想定される、体たんぱく異化亢進などの栄養学的問題は、これを避けなければならない。
一方で、先に述べたように、体重を効果的に減量させるための一つの手段として炭水化物摂取量について論議がなされている。
しかし、欧米の研究においては対象となるBMIは30~35以上のことが多く、肥満度の異なる日本人の糖尿病の病態に立脚した適正な炭水化物摂取量については、いまだ十分なエビデンスが揃っているとは言えない。
社会的なコンセンサスを得る上においても、今後日本糖尿病学会として積極的に調査・研究の対象とすべき課題である。」
突っ込みどころ満載の日本糖尿病学会提言ですが、一つ一つ、検証してみます。
「肥満の是正は、糖尿病の予防ならびに治療において重要な意義を有する。
体重の適正化を図るためには、運動療法とともに積極的な食事療法を指導すべきであり、総エネルギー摂取量の制限を最優先とする。」
「肥満の是正に・・・総エネルギー摂取量の制限を最優先とする。」というのは、EBMの観点からは、明白な間違いです。EBMではRCT研究論文が信頼度として最優先されます。
信頼度の高いRCT研究論文
1)DIRECT:Iris Shai et al. :NENGLJ MED , VOL359.NO.3 :229-241,2008
2)The A TO Z Weight Loss Study: A Randomized Trial ,JAMA297:969-977
上記2つの論文で、「体重減少において糖質制限食が最も有効」という結論です。
3)「体重減少、中性脂肪減少、HDL-C増加は低炭水化物食が低脂質・低カロリー食に比し有効。
13の電子データベースの2000年1月~2007年3月の低炭水化物食と低脂質食比較RCTをメタ解析。」
Obesity Reviews(国際肥満研究連合の公式ジャーナル) Volume 10, Issue 1, pages 36–50, January 2009
さらに国際肥満連合の公式ジャーナルのRCT研究論文メタ解析で、糖質制限食がカロリー制限食に比し有効と、明確に結論づけています。
4)「従来の脂肪制限・カロリー制限食は減量および心臓血管病のリスクの軽減に関して長期の研究では否定的である。」
1965年から2006年までの「脂肪制限・カロリー制限食」「低炭水化物食」「地中海食」に関する論文(PubMed)を網羅して検討したハーバード大グループのレビュー論文の結論です。
Popular weight-loss diets: from evidence to practice
Vasanti S Malik & Frank B Hu
Nat Clin Pract Cardiovasc Med. 2007 Jan;4(1):34-41.
世界心臓連合(WHF)公式誌
このレビュー論文でも、「脂肪制限・カロリー制限食は減量および心臓血管病のリスクの軽減に関して長期の研究では否定的」と、明確に結論づけています。
「肥満の是正は、糖尿病の予防ならびに治療において重要な意義を有する。」に関しては私も賛成です。
しかし、1)2)3)4)というカロリー制限食に否定的な信頼度の高いエビデンスに関して、糖尿病学会はいったいどのように反論されるのでしょうか?
<続く>
「総エネルギー摂取量を制限せずに、炭水化物のみを極端に制限して減量を図ることは、その本来の効果のみならず、長期的な食事療法としての遵守性や安全性など重要な点についてこれを担保するエビデンスが不足しており、現時点では薦められない。」
スーパー糖質制限食は、カロリー無制限ではありません。
糖尿病治療ガイド(日本糖尿病学会)の基準によると、
男性では1400~1800kcal/日
女性では1200~1600kcal/日
が推奨されていますが、これはいかにも少なすぎると思います。
糖尿病学会の推奨するような厳格なカロリー制限は必要ありませんが、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2010年版)」において、基礎代謝量に基づいて必要摂取エネルギー量が設定されています。
国立健康・栄養研究所の「日本人の食事摂取基準」(2010年)への解説 によれば、推定エネルギー必要量は18才以上の成人で、年齢により少し差がありますが、以下の如くです。
身体活動レベルが低い人は
男性:1850~2250キロカロリー/日
女性:1450~1700キロカロリー/日
身体活動レベルが普通なら
男性:2200~2650キロカロリー/日
女性:1700~1950キロカロリー/日
身体活動レベルが高い場合
男性:2500~3050キロカロリー/日
女性:2000~2300キロカロリー/日
これが、糖尿人においても、目安となるカロリーと思います。
「長期的な食事療法としての遵守性や安全性など重要な点についてこれを担保するエビデンスが不足しており、現時点では薦められない。」
長期的な遵守性や安全性のエビデンスがないことは、糖尿病学会推奨のカロリー制限食においても同様です。
なぜ、糖質制限食にだけ、このような言い方をされるのか不思議ですね。
「特に、インスリン作用が著しく不足した状態において想定される、体たんぱく異化亢進などの栄養学的問題は、これを避けなければならない。」
インスリン作用が著しく不足した状態では、スーパー糖質制限食でも、インスリン注射を必要とします。例えば1型糖尿病で内因性インスリンがほとんどない場合などです。
このような場合はインスリン注射が絶対に必要ですが、スーパー糖質制限食なら、必要最低限の量でコントロール可能となります。
「一方で、先に述べたように、体重を効果的に減量させるための一つの手段として炭水化物摂取量について論議がなされている。
しかし、欧米の研究においては対象となるBMIは30~35以上のことが多く、肥満度の異なる日本人の糖尿病の病態に立脚した適正な炭水化物摂取量については、いまだ十分なエビデンスが揃っているとは言えない。」
この表現は、欧米のRCT研究論文において、減量効果は、糖質制限食がカロリー制限食を上回ることを(上述の論文、1)2)3)など)、認めておられるということでしょうね。
そして肥満の度合いが異なるということで、「日本人の糖質制限食と肥満のエビデンスがない」との主張です。
確かに日本人におけるRCT研究論文はないので、エビデンスが揃っているとは言えません。
しかしながら、ヒトが肥満する理由において、欧米人と日本人と差があるとは思えません。
同じホモ・サピエンスとして、肥満の原理・原則は当然同じと考えるのが科学的思考と言えます。
欧米の肥満に関する信頼度の高いRCT研究論文を、日本人は特殊?として拒否するのは、いくら何でも詭弁でしょう。
「食生活の欧米化で日本人が肥満した。」とワンパターンで仰っていたことは、お忘れになったのでしょうか?
「社会的なコンセンサスを得る上においても、今後日本糖尿病学会として積極的に調査・研究の対象とすべき課題である。」
これは、大賛成です。
「スーパー糖質制限食」VS「従来の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)」で「血糖値、HbA1c、食後高血糖、平均血糖変動幅」による評価、そして減量効果の評価に関して早急に研究(できればRCT研究論文)を開始して欲しいと切に望むものです。
そうすれば、真実はおのずと明らかになるでしょう。
結論です。
今回の
日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言
2013年3月 日本糖尿病学会
における糖質制限食批判は、信頼度の高いRCT研究論文に基づく科学的根拠は皆無と言え、墓穴を掘ったとしか言いようがありません。
江部康二
日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言 2013年3月 日本糖尿病学会
への反論(2)です。
以下は日本糖尿病学会のプレス リリースです。
PDFファイルで、全7ページです。
その内、「 糖尿病における炭水化物摂取について」を転載しました。
「【PRESS RELEASE】
日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言
2013年3月 日本糖尿病学会
4. 糖尿病における食事療法の在り方と課題
以上の現状認識を踏まえ、以下を提言としてまとめる。
1) 糖尿病における炭水化物摂取について
肥満の是正は、糖尿病の予防ならびに治療において重要な意義を有する。
体重の適正化を図るためには、運動療法とともに積極的な食事療法を指導すべきであり、総エネルギー摂取量の制限を最優先とする。
総エネルギー摂取量を制限せずに、炭水化物のみを極端に制限して減量を図ることは、その本来の効果のみならず、長期的な食事療法としての遵守性や安全性など重要な点についてこれを担保するエビデンスが不足しており、現時点では薦められない。
特に、インスリン作用が著しく不足した状態において想定される、体たんぱく異化亢進などの栄養学的問題は、これを避けなければならない。
一方で、先に述べたように、体重を効果的に減量させるための一つの手段として炭水化物摂取量について論議がなされている。
しかし、欧米の研究においては対象となるBMIは30~35以上のことが多く、肥満度の異なる日本人の糖尿病の病態に立脚した適正な炭水化物摂取量については、いまだ十分なエビデンスが揃っているとは言えない。
社会的なコンセンサスを得る上においても、今後日本糖尿病学会として積極的に調査・研究の対象とすべき課題である。」
突っ込みどころ満載の日本糖尿病学会提言ですが、一つ一つ、検証してみます。
「肥満の是正は、糖尿病の予防ならびに治療において重要な意義を有する。
体重の適正化を図るためには、運動療法とともに積極的な食事療法を指導すべきであり、総エネルギー摂取量の制限を最優先とする。」
「肥満の是正に・・・総エネルギー摂取量の制限を最優先とする。」というのは、EBMの観点からは、明白な間違いです。EBMではRCT研究論文が信頼度として最優先されます。
信頼度の高いRCT研究論文
1)DIRECT:Iris Shai et al. :NENGLJ MED , VOL359.NO.3 :229-241,2008
2)The A TO Z Weight Loss Study: A Randomized Trial ,JAMA297:969-977
上記2つの論文で、「体重減少において糖質制限食が最も有効」という結論です。
3)「体重減少、中性脂肪減少、HDL-C増加は低炭水化物食が低脂質・低カロリー食に比し有効。
13の電子データベースの2000年1月~2007年3月の低炭水化物食と低脂質食比較RCTをメタ解析。」
Obesity Reviews(国際肥満研究連合の公式ジャーナル) Volume 10, Issue 1, pages 36–50, January 2009
さらに国際肥満連合の公式ジャーナルのRCT研究論文メタ解析で、糖質制限食がカロリー制限食に比し有効と、明確に結論づけています。
4)「従来の脂肪制限・カロリー制限食は減量および心臓血管病のリスクの軽減に関して長期の研究では否定的である。」
1965年から2006年までの「脂肪制限・カロリー制限食」「低炭水化物食」「地中海食」に関する論文(PubMed)を網羅して検討したハーバード大グループのレビュー論文の結論です。
Popular weight-loss diets: from evidence to practice
Vasanti S Malik & Frank B Hu
Nat Clin Pract Cardiovasc Med. 2007 Jan;4(1):34-41.
世界心臓連合(WHF)公式誌
このレビュー論文でも、「脂肪制限・カロリー制限食は減量および心臓血管病のリスクの軽減に関して長期の研究では否定的」と、明確に結論づけています。
「肥満の是正は、糖尿病の予防ならびに治療において重要な意義を有する。」に関しては私も賛成です。
しかし、1)2)3)4)というカロリー制限食に否定的な信頼度の高いエビデンスに関して、糖尿病学会はいったいどのように反論されるのでしょうか?
<続く>
「総エネルギー摂取量を制限せずに、炭水化物のみを極端に制限して減量を図ることは、その本来の効果のみならず、長期的な食事療法としての遵守性や安全性など重要な点についてこれを担保するエビデンスが不足しており、現時点では薦められない。」
スーパー糖質制限食は、カロリー無制限ではありません。
糖尿病治療ガイド(日本糖尿病学会)の基準によると、
男性では1400~1800kcal/日
女性では1200~1600kcal/日
が推奨されていますが、これはいかにも少なすぎると思います。
糖尿病学会の推奨するような厳格なカロリー制限は必要ありませんが、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2010年版)」において、基礎代謝量に基づいて必要摂取エネルギー量が設定されています。
国立健康・栄養研究所の「日本人の食事摂取基準」(2010年)への解説 によれば、推定エネルギー必要量は18才以上の成人で、年齢により少し差がありますが、以下の如くです。
身体活動レベルが低い人は
男性:1850~2250キロカロリー/日
女性:1450~1700キロカロリー/日
身体活動レベルが普通なら
男性:2200~2650キロカロリー/日
女性:1700~1950キロカロリー/日
身体活動レベルが高い場合
男性:2500~3050キロカロリー/日
女性:2000~2300キロカロリー/日
これが、糖尿人においても、目安となるカロリーと思います。
「長期的な食事療法としての遵守性や安全性など重要な点についてこれを担保するエビデンスが不足しており、現時点では薦められない。」
長期的な遵守性や安全性のエビデンスがないことは、糖尿病学会推奨のカロリー制限食においても同様です。
なぜ、糖質制限食にだけ、このような言い方をされるのか不思議ですね。
「特に、インスリン作用が著しく不足した状態において想定される、体たんぱく異化亢進などの栄養学的問題は、これを避けなければならない。」
インスリン作用が著しく不足した状態では、スーパー糖質制限食でも、インスリン注射を必要とします。例えば1型糖尿病で内因性インスリンがほとんどない場合などです。
このような場合はインスリン注射が絶対に必要ですが、スーパー糖質制限食なら、必要最低限の量でコントロール可能となります。
「一方で、先に述べたように、体重を効果的に減量させるための一つの手段として炭水化物摂取量について論議がなされている。
しかし、欧米の研究においては対象となるBMIは30~35以上のことが多く、肥満度の異なる日本人の糖尿病の病態に立脚した適正な炭水化物摂取量については、いまだ十分なエビデンスが揃っているとは言えない。」
この表現は、欧米のRCT研究論文において、減量効果は、糖質制限食がカロリー制限食を上回ることを(上述の論文、1)2)3)など)、認めておられるということでしょうね。
そして肥満の度合いが異なるということで、「日本人の糖質制限食と肥満のエビデンスがない」との主張です。
確かに日本人におけるRCT研究論文はないので、エビデンスが揃っているとは言えません。
しかしながら、ヒトが肥満する理由において、欧米人と日本人と差があるとは思えません。
同じホモ・サピエンスとして、肥満の原理・原則は当然同じと考えるのが科学的思考と言えます。
欧米の肥満に関する信頼度の高いRCT研究論文を、日本人は特殊?として拒否するのは、いくら何でも詭弁でしょう。
「食生活の欧米化で日本人が肥満した。」とワンパターンで仰っていたことは、お忘れになったのでしょうか?
「社会的なコンセンサスを得る上においても、今後日本糖尿病学会として積極的に調査・研究の対象とすべき課題である。」
これは、大賛成です。
「スーパー糖質制限食」VS「従来の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)」で「血糖値、HbA1c、食後高血糖、平均血糖変動幅」による評価、そして減量効果の評価に関して早急に研究(できればRCT研究論文)を開始して欲しいと切に望むものです。
そうすれば、真実はおのずと明らかになるでしょう。
結論です。
今回の
日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言
2013年3月 日本糖尿病学会
における糖質制限食批判は、信頼度の高いRCT研究論文に基づく科学的根拠は皆無と言え、墓穴を掘ったとしか言いようがありません。
江部康二
2013年03月19日 (火)
おはようございます。
わんわんさん、精神科医師Aさん。
日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言 2013年3月 日本糖尿病学会
に関して情報・コメントをありがとうございます。
以下は日本糖尿病学会のプレス リリースです。
PDFファイルで、全7ページです。
その内、「 糖尿病における炭水化物摂取について」を転載しました。
「【PRESS RELEASE】
日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言
2013年3月 日本糖尿病学会
4. 糖尿病における食事療法の在り方と課題
以上の現状認識を踏まえ、以下を提言としてまとめる。
1) 糖尿病における炭水化物摂取について
肥満の是正は、糖尿病の予防ならびに治療において重要な意義を有する。
体重の適正化を図るためには、運動療法とともに積極的な食事療法を指導すべきであり、総エネルギー摂取量の制限を最優先とする。
総エネルギー摂取量を制限せずに、炭水化物のみを極端に制限して減量を図ることは、その本来の効果のみならず、長期的な食事療法としての遵守性や安全性など重要な点についてこれを担保するエビデンスが不足しており、現時点では薦められない。
特に、インスリン作用が著しく不足した状態において想定される、体たんぱく異化亢進などの栄養学的問題は、これを避けなければならない。
一方で、先に述べたように、体重を効果的に減量させるための一つの手段として炭水化物摂取量について論議がなされている。
しかし、欧米の研究においては対象となるBMIは30~35以上のことが多く、肥満度の異なる日本人の糖尿病の病態に立脚した適正な炭水化物摂取量については、いまだ十分なエビデンスが揃っているとは言えない。
社会的なコンセンサスを得る上においても、今後日本糖尿病学会として積極的に調査・研究の対象とすべき課題である。」
突っ込みどころ満載の日本糖尿病学会提言ですが、一つ一つ、検証してみます。
「肥満の是正は、糖尿病の予防ならびに治療において重要な意義を有する。
体重の適正化を図るためには、運動療法とともに積極的な食事療法を指導すべきであり、総エネルギー摂取量の制限を最優先とする。」
「肥満の是正に・・・総エネルギー摂取量の制限を最優先とする。」というのは、EBMの観点からは、明白な間違いです。EBMではRCT研究論文が信頼度として最優先されます。
信頼度の高いRCT研究論文
1)DIRECT:Iris Shai et al. :NENGLJ MED , VOL359.NO.3 :229-241,2008
2)The A TO Z Weight Loss Study: A Randomized Trial ,JAMA297:969-977
上記2つの論文で、「体重減少において糖質制限食が最も有効」という結論です。
3)「体重減少、中性脂肪減少、HDL-C増加は低炭水化物食が低脂質・低カロリー食に比し有効。
13の電子データベースの2000年1月~2007年3月の低炭水化物食と低脂質食比較RCTをメタ解析。」
Obesity Reviews(国際肥満研究連合の公式ジャーナル) Volume 10, Issue 1, pages 36–50, January 2009
さらに国際肥満連合の公式ジャーナルのRCT研究論文メタ解析で、糖質制限食がカロリー制限食に比し有効と、明確に結論づけています。
4)「従来の脂肪制限・カロリー制限食は減量および心臓血管病のリスクの軽減に関して長期の研究では否定的である。」
1965年から2006年までの「脂肪制限・カロリー制限食」「低炭水化物食」「地中海食」に関する論文(PubMed)を網羅して検討したハーバード大グループのレビュー論文の結論です。
Popular weight-loss diets: from evidence to practice
Vasanti S Malik & Frank B Hu
Nat Clin Pract Cardiovasc Med. 2007 Jan;4(1):34-41.
世界心臓連合(WHF)公式誌
このレビュー論文でも、「脂肪制限・カロリー制限食は減量および心臓血管病のリスクの軽減に関して長期の研究では否定的」と、明確に結論づけています。
「肥満の是正は、糖尿病の予防ならびに治療において重要な意義を有する。」に関しては私も賛成です。
しかし、1)2)3)4)というカロリー制限食に否定的な信頼度の高いエビデンスに関して、糖尿病学会はいったいどのように反論されるのでしょうか?
<続く>
江部康二
わんわんさん、精神科医師Aさん。
日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言 2013年3月 日本糖尿病学会
に関して情報・コメントをありがとうございます。
以下は日本糖尿病学会のプレス リリースです。
PDFファイルで、全7ページです。
その内、「 糖尿病における炭水化物摂取について」を転載しました。
「【PRESS RELEASE】
日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言
2013年3月 日本糖尿病学会
4. 糖尿病における食事療法の在り方と課題
以上の現状認識を踏まえ、以下を提言としてまとめる。
1) 糖尿病における炭水化物摂取について
肥満の是正は、糖尿病の予防ならびに治療において重要な意義を有する。
体重の適正化を図るためには、運動療法とともに積極的な食事療法を指導すべきであり、総エネルギー摂取量の制限を最優先とする。
総エネルギー摂取量を制限せずに、炭水化物のみを極端に制限して減量を図ることは、その本来の効果のみならず、長期的な食事療法としての遵守性や安全性など重要な点についてこれを担保するエビデンスが不足しており、現時点では薦められない。
特に、インスリン作用が著しく不足した状態において想定される、体たんぱく異化亢進などの栄養学的問題は、これを避けなければならない。
一方で、先に述べたように、体重を効果的に減量させるための一つの手段として炭水化物摂取量について論議がなされている。
しかし、欧米の研究においては対象となるBMIは30~35以上のことが多く、肥満度の異なる日本人の糖尿病の病態に立脚した適正な炭水化物摂取量については、いまだ十分なエビデンスが揃っているとは言えない。
社会的なコンセンサスを得る上においても、今後日本糖尿病学会として積極的に調査・研究の対象とすべき課題である。」
突っ込みどころ満載の日本糖尿病学会提言ですが、一つ一つ、検証してみます。
「肥満の是正は、糖尿病の予防ならびに治療において重要な意義を有する。
体重の適正化を図るためには、運動療法とともに積極的な食事療法を指導すべきであり、総エネルギー摂取量の制限を最優先とする。」
「肥満の是正に・・・総エネルギー摂取量の制限を最優先とする。」というのは、EBMの観点からは、明白な間違いです。EBMではRCT研究論文が信頼度として最優先されます。
信頼度の高いRCT研究論文
1)DIRECT:Iris Shai et al. :NENGLJ MED , VOL359.NO.3 :229-241,2008
2)The A TO Z Weight Loss Study: A Randomized Trial ,JAMA297:969-977
上記2つの論文で、「体重減少において糖質制限食が最も有効」という結論です。
3)「体重減少、中性脂肪減少、HDL-C増加は低炭水化物食が低脂質・低カロリー食に比し有効。
13の電子データベースの2000年1月~2007年3月の低炭水化物食と低脂質食比較RCTをメタ解析。」
Obesity Reviews(国際肥満研究連合の公式ジャーナル) Volume 10, Issue 1, pages 36–50, January 2009
さらに国際肥満連合の公式ジャーナルのRCT研究論文メタ解析で、糖質制限食がカロリー制限食に比し有効と、明確に結論づけています。
4)「従来の脂肪制限・カロリー制限食は減量および心臓血管病のリスクの軽減に関して長期の研究では否定的である。」
1965年から2006年までの「脂肪制限・カロリー制限食」「低炭水化物食」「地中海食」に関する論文(PubMed)を網羅して検討したハーバード大グループのレビュー論文の結論です。
Popular weight-loss diets: from evidence to practice
Vasanti S Malik & Frank B Hu
Nat Clin Pract Cardiovasc Med. 2007 Jan;4(1):34-41.
世界心臓連合(WHF)公式誌
このレビュー論文でも、「脂肪制限・カロリー制限食は減量および心臓血管病のリスクの軽減に関して長期の研究では否定的」と、明確に結論づけています。
「肥満の是正は、糖尿病の予防ならびに治療において重要な意義を有する。」に関しては私も賛成です。
しかし、1)2)3)4)というカロリー制限食に否定的な信頼度の高いエビデンスに関して、糖尿病学会はいったいどのように反論されるのでしょうか?
<続く>
江部康二
2013年03月18日 (月)
こんばんは。
カヨリンさんから、糖質制限食実践で
HbA1c、中性脂肪、HDLコレステロール、体重・・・データ改善。
LDLコレステロール基準値が一旦増えて、半年後168mg・・・9ヶ月後136mg
という、嬉しいコメントを頂きました。
カヨリン さん
データ改善良かったです。
糖質制限食実践、1ヶ月で、
HbA1c6.3→5.7%
中性脂肪477→277mg
6ヶ月後には
HbA1c5.1%
9ヶ月後には
HbA1c5.1%
中性脂肪150mg
HDLコレステロールが増加して、69mg
体重が13kgの減量成功。
想定通りの順調な改善ですね。
主治医の先生は、糖質制限食OKの医師なのかな?
それならとても嬉しいです。
LDLコレステロール値が
糖質制限食前は基準値(140mg未満)
半年後がピークに増加して、168mg
9ヶ月後には落ち着いて、136mg
LDLコレステロール値が一旦増加した場合も、半年~1年~2年くらいで、肝臓がコレステロールの生産を調整していくので、基準値に戻ることがほとんどです。つまり、LDLコレステロール値に関しても想定通りと言えます。
すでに糖尿病と診断がついている場合は、75g経口ブドウ糖負荷試験は高血糖を誘発するので、基本的にはしないことになっています。
しかし、軽症の糖尿病ですし、インスリン分泌能を調べたいという目的があるのなら、構わないと思います。
江部康二
【】13/03/18 カヨリン
糖質制限による数値の改善
去年の6月に尿糖+3HbA1c国際6.3で糖尿確定されてから江部先生のブログにたどり着き糖質制限をやってきました。
2012年6月
中性脂肪477と血糖値以外は正常値
7月
中性脂肪277 尿酸7.2 尿素窒素23.2 LDL151
尿ケトン+
糖質制限一月で他の数値が悪化し合わないかと悩んだこともありました
HbA1cは5.7で正常の範囲となり継続
その後定期的に検査するもののLDLのみどんどん上昇他の数値は落ち着いてきました
ホルモンの検査(コレステロールの上昇に関係があるかもと)も正常
12月には
LDLは168まであがってしまいました(^-^;次上がるようなら投薬は必須ですといわれておりがっかりしました(^-^;
2013年3月の検査で
中性脂肪は150で1オーバーしたものの
HDLは増加し69
LDLは136
HbA1c国際 5.1 で三ヶ月前と変化せず
数値的に見ても糖尿とは言えないですから少し緩めても構わないと主治医
謝恩会でお弁当を食べなくてはならないので一時的に処方をお願いしたのですが一度くらいの血糖値の上昇はさほど影響ないといわれました(^-^;
いままで糖質をきっちり制限しているのでご飯を食べることが怖いです(^-^;
春にブドウ糖負荷の検査をしてインシュリンの出具合を見てもらうことにしました。
体重も13キロほど痩せましたし数値も改善されましたし本当に 糖質制限やってよかったです。
主治医は緩めていいとはいっていますがほんとに時々どうしようもないとき以外は頑張って糖質制限していこうと思っています(^^)
先生ありがとうございました(^^)】
カヨリンさんから、糖質制限食実践で
HbA1c、中性脂肪、HDLコレステロール、体重・・・データ改善。
LDLコレステロール基準値が一旦増えて、半年後168mg・・・9ヶ月後136mg
という、嬉しいコメントを頂きました。
カヨリン さん
データ改善良かったです。
糖質制限食実践、1ヶ月で、
HbA1c6.3→5.7%
中性脂肪477→277mg
6ヶ月後には
HbA1c5.1%
9ヶ月後には
HbA1c5.1%
中性脂肪150mg
HDLコレステロールが増加して、69mg
体重が13kgの減量成功。
想定通りの順調な改善ですね。
主治医の先生は、糖質制限食OKの医師なのかな?
それならとても嬉しいです。
LDLコレステロール値が
糖質制限食前は基準値(140mg未満)
半年後がピークに増加して、168mg
9ヶ月後には落ち着いて、136mg
LDLコレステロール値が一旦増加した場合も、半年~1年~2年くらいで、肝臓がコレステロールの生産を調整していくので、基準値に戻ることがほとんどです。つまり、LDLコレステロール値に関しても想定通りと言えます。
すでに糖尿病と診断がついている場合は、75g経口ブドウ糖負荷試験は高血糖を誘発するので、基本的にはしないことになっています。
しかし、軽症の糖尿病ですし、インスリン分泌能を調べたいという目的があるのなら、構わないと思います。
江部康二
【】13/03/18 カヨリン
糖質制限による数値の改善
去年の6月に尿糖+3HbA1c国際6.3で糖尿確定されてから江部先生のブログにたどり着き糖質制限をやってきました。
2012年6月
中性脂肪477と血糖値以外は正常値
7月
中性脂肪277 尿酸7.2 尿素窒素23.2 LDL151
尿ケトン+
糖質制限一月で他の数値が悪化し合わないかと悩んだこともありました
HbA1cは5.7で正常の範囲となり継続
その後定期的に検査するもののLDLのみどんどん上昇他の数値は落ち着いてきました
ホルモンの検査(コレステロールの上昇に関係があるかもと)も正常
12月には
LDLは168まであがってしまいました(^-^;次上がるようなら投薬は必須ですといわれておりがっかりしました(^-^;
2013年3月の検査で
中性脂肪は150で1オーバーしたものの
HDLは増加し69
LDLは136
HbA1c国際 5.1 で三ヶ月前と変化せず
数値的に見ても糖尿とは言えないですから少し緩めても構わないと主治医
謝恩会でお弁当を食べなくてはならないので一時的に処方をお願いしたのですが一度くらいの血糖値の上昇はさほど影響ないといわれました(^-^;
いままで糖質をきっちり制限しているのでご飯を食べることが怖いです(^-^;
春にブドウ糖負荷の検査をしてインシュリンの出具合を見てもらうことにしました。
体重も13キロほど痩せましたし数値も改善されましたし本当に 糖質制限やってよかったです。
主治医は緩めていいとはいっていますがほんとに時々どうしようもないとき以外は頑張って糖質制限していこうと思っています(^^)
先生ありがとうございました(^^)】
2013年03月17日 (日)
こんばんは。
先ほど、埼玉県朝霞市から、京都に帰ってきました。
2013年3月17日(日)
~糖質制限食in埼玉~
*場所:埼玉県朝霞市 中央公民館・コミュニティーセンター3階ホール
*主催:ローカーボクラブ/ 医療法人鴻生会 小室クリニック/
*午前の部・講演:10時10分~11時40分
講演テーマ「糖質制限食 その有効性と安全性を考える」
講師 高雄病院理事長 江部康二
*午後の部・シンポジウム:13時~16時
症例報告:医療法人鴻生会 小室クリニック医師 小室富美子先生
産科・婦人科 永井クリニック管理栄養士 松本桃代先生
地域からの報告:埼玉県鴻巣市飲食店での取り組み
埼玉県朝霞市地域団体での取り組み ローカーボクラブの活動報告
シンポジウム:小室保尚先生、小室富美子先生、松本桃代先生、江部康二
びーんずなっち村山良子さん、ローカーボクラブ小俣あやこさん
3月16日(土)は、プチレストラン ブラン&ヴェール で19:00~22:00まで前夜祭でした。
糖質制限食のフレンチフルコースと赤ワインと糖質ゼロ発泡酒・・・
とっても美味しくて楽しい前夜祭で、思わずスタンド・バイ・ミーなどをチョッピリ歌ったりしました。(^^;)
出席者14名で、糖質制限食で合計124kgの減量でした。
おおいに飲んで食べて、21:00終了予定がいつのまにか22:00を過ぎてしまいました。
ブラン&ヴェール さん、遅くまですいませんでした。m(_ _)m
3月17日(日)~糖質制限食in埼玉~
当日の飛び込みもあり、立ち見もいれて200名超の参加者でおおいに盛り上がりました。
小室富美子先生のご講演でのお話ですが、父上が糖尿病専門の有床診療所を開設しておられ、大勢の糖尿病患者さんを診察しておられたそうです。
その中で、医師も患者も一生懸命食事療法(カロリー制限食)と運動療法を徹底して頑張っているのに、遺憾ながら徐々に内服薬やインスリン注射が必要になり、さらには透析になったり失明したりという例があとをたたず、大変つらい思いをしておられたそうです。
当時は何故、合併症が防げないのか、よくわからないし、どう対応したらいいか悩んでおられたそうです。
2010年、私の「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」を読まれてすぐに糖尿病合併症の根本要因は糖質摂取による「食後高血糖」と「平均血糖変動幅の増大」であることを喝破され、その日から一家で糖質制限食を開始されたそうです。
事情がわからない小室保尚先生は、当初はびっくりして戸惑ったそうですが、現実に体重が減少し、脂肪肝が改善したので、納得されたそうです。お二人とも約10kg減量成功とのことです。
シンポジウムでは、眼科の松岡先生がフロアから発言されました。
松岡先生も糖質制限食で約12kgの減量成功です。
松岡先生は、ある患者さんの糖尿病が、データも網膜症も急にめきめき改善したのでびっくりして聞いたら、ローカーボクラブの会員さんで糖質制限食を実践された結果とのことでした。
眼科で20年以上、糖尿病網膜症の患者さんを沢山、診てこられています。
やはり糖尿病専門医の診察を、キッチリ真面目に受けているのに、網膜症がどんどん進行していく患者さんがあとを絶たないそうです。
カロリー制限食(高糖質食)摂取による「食後高血糖」と「平均血糖変動幅の増大」が糖尿病網膜症を進行させているとのご見解です。
他にも、糖質制限食を実践されている医師が複数参加しておられ、裾野が確実に広がっているのを実感しました。
繰り返しになりますが、カロリー制限食(高糖質食)では「食後高血糖」と「平均血糖変動幅の増大」が必ず生じるので糖尿病合併症を防ぐことは、理論的に不可能であることを強調しておきたいと思います。
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅の増大」を防ぐことができるのは糖質制限食だけです。
最後になりましたが、小室保尚先生、小室富美子先生、そして講演会を仕切っていただいたローカーボクラブのリーダー 管理栄養士の佐々木栄子さん、ご苦労様でした。お疲れ様でした。ありがとうございました。
江部康二
先ほど、埼玉県朝霞市から、京都に帰ってきました。
2013年3月17日(日)
~糖質制限食in埼玉~
*場所:埼玉県朝霞市 中央公民館・コミュニティーセンター3階ホール
*主催:ローカーボクラブ/ 医療法人鴻生会 小室クリニック/
*午前の部・講演:10時10分~11時40分
講演テーマ「糖質制限食 その有効性と安全性を考える」
講師 高雄病院理事長 江部康二
*午後の部・シンポジウム:13時~16時
症例報告:医療法人鴻生会 小室クリニック医師 小室富美子先生
産科・婦人科 永井クリニック管理栄養士 松本桃代先生
地域からの報告:埼玉県鴻巣市飲食店での取り組み
埼玉県朝霞市地域団体での取り組み ローカーボクラブの活動報告
シンポジウム:小室保尚先生、小室富美子先生、松本桃代先生、江部康二
びーんずなっち村山良子さん、ローカーボクラブ小俣あやこさん
3月16日(土)は、プチレストラン ブラン&ヴェール で19:00~22:00まで前夜祭でした。
糖質制限食のフレンチフルコースと赤ワインと糖質ゼロ発泡酒・・・
とっても美味しくて楽しい前夜祭で、思わずスタンド・バイ・ミーなどをチョッピリ歌ったりしました。(^^;)
出席者14名で、糖質制限食で合計124kgの減量でした。
おおいに飲んで食べて、21:00終了予定がいつのまにか22:00を過ぎてしまいました。
ブラン&ヴェール さん、遅くまですいませんでした。m(_ _)m
3月17日(日)~糖質制限食in埼玉~
当日の飛び込みもあり、立ち見もいれて200名超の参加者でおおいに盛り上がりました。
小室富美子先生のご講演でのお話ですが、父上が糖尿病専門の有床診療所を開設しておられ、大勢の糖尿病患者さんを診察しておられたそうです。
その中で、医師も患者も一生懸命食事療法(カロリー制限食)と運動療法を徹底して頑張っているのに、遺憾ながら徐々に内服薬やインスリン注射が必要になり、さらには透析になったり失明したりという例があとをたたず、大変つらい思いをしておられたそうです。
当時は何故、合併症が防げないのか、よくわからないし、どう対応したらいいか悩んでおられたそうです。
2010年、私の「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」を読まれてすぐに糖尿病合併症の根本要因は糖質摂取による「食後高血糖」と「平均血糖変動幅の増大」であることを喝破され、その日から一家で糖質制限食を開始されたそうです。
事情がわからない小室保尚先生は、当初はびっくりして戸惑ったそうですが、現実に体重が減少し、脂肪肝が改善したので、納得されたそうです。お二人とも約10kg減量成功とのことです。
シンポジウムでは、眼科の松岡先生がフロアから発言されました。
松岡先生も糖質制限食で約12kgの減量成功です。
松岡先生は、ある患者さんの糖尿病が、データも網膜症も急にめきめき改善したのでびっくりして聞いたら、ローカーボクラブの会員さんで糖質制限食を実践された結果とのことでした。
眼科で20年以上、糖尿病網膜症の患者さんを沢山、診てこられています。
やはり糖尿病専門医の診察を、キッチリ真面目に受けているのに、網膜症がどんどん進行していく患者さんがあとを絶たないそうです。
カロリー制限食(高糖質食)摂取による「食後高血糖」と「平均血糖変動幅の増大」が糖尿病網膜症を進行させているとのご見解です。
他にも、糖質制限食を実践されている医師が複数参加しておられ、裾野が確実に広がっているのを実感しました。
繰り返しになりますが、カロリー制限食(高糖質食)では「食後高血糖」と「平均血糖変動幅の増大」が必ず生じるので糖尿病合併症を防ぐことは、理論的に不可能であることを強調しておきたいと思います。
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅の増大」を防ぐことができるのは糖質制限食だけです。
最後になりましたが、小室保尚先生、小室富美子先生、そして講演会を仕切っていただいたローカーボクラブのリーダー 管理栄養士の佐々木栄子さん、ご苦労様でした。お疲れ様でした。ありがとうございました。
江部康二
2013年03月15日 (金)
こんにちは。
精神科医師A さんから
「飽和脂肪酸を食べる量が少ないグループで脳卒中のリスクが上昇」
「飽和脂肪酸を食べる量が多いほど、脳出血や脳梗塞による発症リスクは低い」
という大変興味深いコメント・情報をいただきました。
精神科医医師Aさん、ありがとうございます。
飽和脂肪酸というと動物性脂肪に多く含まれていて、従来の常識だと身体によろしくないというのが定説でしたが
本ブログ記事でも、過去その常識を覆す論文を紹介してきました。
今回は、国立がん研究センターの
「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果報告です。
詳しくは、
国立がん研究センター
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3273.html
のホームページをみてくださいね。
男女約8万2千人を、平均約11年追跡調査した研究です。
飽和脂肪酸の摂取量の多さで、5つの区分を作りました。
期間中に合計3,192人が脳卒中となり、その内訳は、脳梗塞1,939人、脳出血894人、くも膜下出血348人でした。
分析の結果、1日に食べる飽和脂肪酸が多いほど、脳出血や脳梗塞による発症リスクは低い結果となりました。
それに対し、心筋梗塞では全く逆の関連が見られました。期間中に合計610人が心筋梗塞にかかりました。同じように飽和脂肪酸の摂取量と心筋梗塞の発症との関連を調べると、飽和脂肪酸の摂取量が多くなるにつれ、心筋梗塞の発症率は高い結果となりました。
脳卒中と心筋梗塞・急性死をあわせた全循環器疾患との関連では、飽和脂肪酸を最もたくさん摂取する群でリスクが最も低い結果でした。
心筋梗塞よりも脳卒中の発症数が多く、循環器疾患全体としては、脳卒中によるリスク低下の影響が大きかったためです。
結論としては、やや総花的にトーンダウンして、他の研究も考慮して
「本研究と過去の日本や欧米で実施されたいくつかの研究を総合的にみると、脳卒中並びに心筋梗塞の発症リスクが低いのは、飽和脂肪酸の摂取量が1日に20g前後の集団と考えられます。そのような人の食事を今回の研究で用いたアンケート調査結果に当てはめてみると、たとえば牛乳を毎日コップ1杯(200g)、肉を2日に1回(1回につき150g程度)の摂取でした。」
と述べられています。
しかし、この研究だけの結論だと、
「脳卒中と心筋梗塞・急性死をあわせた全循環器疾患との関連では、飽和脂肪酸を最もたくさん摂取する群でリスクが最も低い結果でした。」
ということとなりますので、少なくとも飽和脂肪酸悪玉説は返上ということになりますね。
江部康二
☆☆☆
国立がん研究センター
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3273.html
飽和脂肪酸を食べる量が少ないグループで脳卒中のリスクが上昇
飽和脂肪酸摂取と循環器疾患発症の関連について
―「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果報告―
私たちは、いろいろな生活習慣と、がん・脳卒中・虚血性心疾患・糖尿病などの病気との関係を明らかにし、日本人の生活習慣病予防に役立てるための研究を行っています。
平成2年(1990年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部の4保健所(呼称2012年現在)管内にお住まいの40~59歳の男女に、平成5年(1993年)には茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の5保健所(呼称2012年現在)管内にお住まいの40~69歳の男女に、食事調査を含む生活習慣についてのアンケートに回答していただきました。
5年後の平成7年(1995)年と平成10年(1998年)には、より詳しい食事調査を含む2回目のアンケートで、当時の生活習慣について回答していただきました。そのうち、1回目と2回目の調査時点で循環器疾患にもがんにもなっていなかった男女約8万2千人の方々を、2回目の調査時点から平均約11年追跡しました。
これらの調査結果をもとに、飽和脂肪酸摂取量と脳卒中、虚血性心疾患発症との関連を調べました。飽和脂肪酸は、肉やバター、乳製品など、動物性の脂肪に多く含まれる脂肪酸で、日本人の食事の多様化により、現代では以前に比べて多く摂られている栄養素です。この研究結果を国際専門誌(European Heart Journal 2013年2月WEB先行公開)に発表しましたので紹介します。
飽和脂肪酸を食べる量が少ないグループで脳卒中のリスクが上昇
アンケートに有効に回答した約8万2千人の結果から、1日当たりの飽和脂肪酸摂取量を計算しました。その摂取量の順に5分位でグループ分けして、その後の約11年間に脳卒中にかかった人の割合をグループ間で比較しました。
期間中に合計3,192人が脳卒中となり、その内訳は、脳梗塞1,939人、脳出血894人、くも膜下出血348人でした。分析の結果、1日に食べる飽和脂肪酸が多いほど、脳出血や脳梗塞による発症リスクは低い結果でした。
脳卒中全体としては、飽和脂肪酸を最もたくさん摂取する群でリスクが最も低く、最も少ない群に比べて、発症リスクが23%低い結果となりました。
特に図1に示すように、脳出血の中でも日本人に多い、脳の奥深くにある細い血管(主に穿通枝動脈)から出血するタイプ(深部脳出血)では、飽和脂肪酸が多くなるにつれ、発症率が段階的に減少していく様子が見られました。
縦軸のハザード比とは、飽和脂肪酸摂取が最も少ないグループと比べて、そのほかのグループの人が何倍、深部脳出血になりやすいかを示しています。最も多い群では、最も少ない群に比べて、その発症リスクが33%少ないことが分かります。
同じように脳梗塞の中でも日本人に多い、脳の奥深くにある細い血管がつまるタイプ(穿通枝脳梗塞)でも、飽和脂肪酸が多い群の方が、発症率が低い結果でした(図2)。このように、脳出血や脳梗塞を、さらに細かい分類に分けて飽和脂肪酸との関連をみた研究は、世界で初めてのものです。
なお、くも膜下出血や、欧米に多い脳の太い血管がつまるタイプ(皮質枝脳梗塞)については、飽和脂肪酸摂取との関連は見られませんでした。
飽和脂肪酸を食べる量が多いグループで心筋梗塞のリスクが上昇
それに対し、心筋梗塞では全く逆の関連が見られました。期間中に合計610人が心筋梗塞にかかりました。同じように飽和脂肪酸の摂取量と心筋梗塞の発症との関連を調べると、図3のように、飽和脂肪酸の摂取量が多くなるにつれ、心筋梗塞の発症率は高い結果となりました。
この関連は、特に男性で明確に見られました。飽和脂肪酸と心筋梗塞の発症との関連を分析した研究は、欧米にはこれまでにもありましたが、アジアでは初めての報告となりました。
また、脳卒中と心筋梗塞・急性死をあわせた全循環器疾患との関連では、飽和脂肪酸を最もたくさん摂取する群でリスクが最も低い結果であり、最も少ない群に比べて発症リスクが18%低下していました。
この集団においては、心筋梗塞よりも脳卒中の発症数が多く、循環器疾患全体としては、脳卒中によるリスク低下の影響が大きかったためです。
この研究から言えること
従来、飽和脂肪酸は血清のコレステロール値を高くし、将来的に粥状動脈硬化になりやすくなることから、摂取を控えるような指導がなされることがありました。
一方で、最近の結果から、飽和脂肪酸は無害であり、制限する必要はないという説もあります。今回の研究結果からは、日本人におけるこうした議論のひとつの決着として、「飽和脂肪酸摂取は、多すぎても、少なすぎても良くない」という結論が得られました。
この結果は、日本人で約40年前に発見された「血清コレステロール値は、高すぎても低すぎても良くない」という知見とよく一致しています。
本研究と過去の日本や欧米で実施されたいくつかの研究を総合的にみると、脳卒中並びに心筋梗塞の発症リスクが低いのは、飽和脂肪酸の摂取量が1日に20g前後の集団と考えられます。
そのような人の食事を今回の研究で用いたアンケート調査結果に当てはめてみると、たとえば牛乳を毎日コップ1杯(200g)、肉を2日に1回(1回につき150g程度)の摂取でした。
この研究の限界
今回の研究は、がん、脳卒中、心臓病の既往のある人は除いていますので、これらの病気にかかったことのある人にはこの結果はあてはまりません。
また、今回の研究で用いられた食物摂取頻度アンケート調査から計算された飽和脂肪酸の値は、より直接的な食事記録調査(研究参加者の一部で、一定期間に飲食した品目と量を全て記録していただく、アンケート調査の妥当性を分析するために行われた調査)から算出された値と比べ、11~31%多く、乳製品は29~57%多く、肉類は3~22%少なく見積もっていました。
このことが、今回の結果の解釈に大きな影響を与えるとは考えておりませんが、一般に、食物摂取頻度アンケート調査は、それだけで実際の摂取量を正確に推定するのは難しく、また年齢や時代・居住地域などが限定された対象集団の値を一般化することは適当とは言えませんので、ここに示した摂取量はあくまで参考値とお考え下さい。
精神科医師A さんから
「飽和脂肪酸を食べる量が少ないグループで脳卒中のリスクが上昇」
「飽和脂肪酸を食べる量が多いほど、脳出血や脳梗塞による発症リスクは低い」
という大変興味深いコメント・情報をいただきました。
精神科医医師Aさん、ありがとうございます。
飽和脂肪酸というと動物性脂肪に多く含まれていて、従来の常識だと身体によろしくないというのが定説でしたが
本ブログ記事でも、過去その常識を覆す論文を紹介してきました。
今回は、国立がん研究センターの
「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果報告です。
詳しくは、
国立がん研究センター
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3273.html
のホームページをみてくださいね。
男女約8万2千人を、平均約11年追跡調査した研究です。
飽和脂肪酸の摂取量の多さで、5つの区分を作りました。
期間中に合計3,192人が脳卒中となり、その内訳は、脳梗塞1,939人、脳出血894人、くも膜下出血348人でした。
分析の結果、1日に食べる飽和脂肪酸が多いほど、脳出血や脳梗塞による発症リスクは低い結果となりました。
それに対し、心筋梗塞では全く逆の関連が見られました。期間中に合計610人が心筋梗塞にかかりました。同じように飽和脂肪酸の摂取量と心筋梗塞の発症との関連を調べると、飽和脂肪酸の摂取量が多くなるにつれ、心筋梗塞の発症率は高い結果となりました。
脳卒中と心筋梗塞・急性死をあわせた全循環器疾患との関連では、飽和脂肪酸を最もたくさん摂取する群でリスクが最も低い結果でした。
心筋梗塞よりも脳卒中の発症数が多く、循環器疾患全体としては、脳卒中によるリスク低下の影響が大きかったためです。
結論としては、やや総花的にトーンダウンして、他の研究も考慮して
「本研究と過去の日本や欧米で実施されたいくつかの研究を総合的にみると、脳卒中並びに心筋梗塞の発症リスクが低いのは、飽和脂肪酸の摂取量が1日に20g前後の集団と考えられます。そのような人の食事を今回の研究で用いたアンケート調査結果に当てはめてみると、たとえば牛乳を毎日コップ1杯(200g)、肉を2日に1回(1回につき150g程度)の摂取でした。」
と述べられています。
しかし、この研究だけの結論だと、
「脳卒中と心筋梗塞・急性死をあわせた全循環器疾患との関連では、飽和脂肪酸を最もたくさん摂取する群でリスクが最も低い結果でした。」
ということとなりますので、少なくとも飽和脂肪酸悪玉説は返上ということになりますね。
江部康二
☆☆☆
国立がん研究センター
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3273.html
飽和脂肪酸を食べる量が少ないグループで脳卒中のリスクが上昇
飽和脂肪酸摂取と循環器疾患発症の関連について
―「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果報告―
私たちは、いろいろな生活習慣と、がん・脳卒中・虚血性心疾患・糖尿病などの病気との関係を明らかにし、日本人の生活習慣病予防に役立てるための研究を行っています。
平成2年(1990年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部の4保健所(呼称2012年現在)管内にお住まいの40~59歳の男女に、平成5年(1993年)には茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の5保健所(呼称2012年現在)管内にお住まいの40~69歳の男女に、食事調査を含む生活習慣についてのアンケートに回答していただきました。
5年後の平成7年(1995)年と平成10年(1998年)には、より詳しい食事調査を含む2回目のアンケートで、当時の生活習慣について回答していただきました。そのうち、1回目と2回目の調査時点で循環器疾患にもがんにもなっていなかった男女約8万2千人の方々を、2回目の調査時点から平均約11年追跡しました。
これらの調査結果をもとに、飽和脂肪酸摂取量と脳卒中、虚血性心疾患発症との関連を調べました。飽和脂肪酸は、肉やバター、乳製品など、動物性の脂肪に多く含まれる脂肪酸で、日本人の食事の多様化により、現代では以前に比べて多く摂られている栄養素です。この研究結果を国際専門誌(European Heart Journal 2013年2月WEB先行公開)に発表しましたので紹介します。
飽和脂肪酸を食べる量が少ないグループで脳卒中のリスクが上昇
アンケートに有効に回答した約8万2千人の結果から、1日当たりの飽和脂肪酸摂取量を計算しました。その摂取量の順に5分位でグループ分けして、その後の約11年間に脳卒中にかかった人の割合をグループ間で比較しました。
期間中に合計3,192人が脳卒中となり、その内訳は、脳梗塞1,939人、脳出血894人、くも膜下出血348人でした。分析の結果、1日に食べる飽和脂肪酸が多いほど、脳出血や脳梗塞による発症リスクは低い結果でした。
脳卒中全体としては、飽和脂肪酸を最もたくさん摂取する群でリスクが最も低く、最も少ない群に比べて、発症リスクが23%低い結果となりました。
特に図1に示すように、脳出血の中でも日本人に多い、脳の奥深くにある細い血管(主に穿通枝動脈)から出血するタイプ(深部脳出血)では、飽和脂肪酸が多くなるにつれ、発症率が段階的に減少していく様子が見られました。
縦軸のハザード比とは、飽和脂肪酸摂取が最も少ないグループと比べて、そのほかのグループの人が何倍、深部脳出血になりやすいかを示しています。最も多い群では、最も少ない群に比べて、その発症リスクが33%少ないことが分かります。
同じように脳梗塞の中でも日本人に多い、脳の奥深くにある細い血管がつまるタイプ(穿通枝脳梗塞)でも、飽和脂肪酸が多い群の方が、発症率が低い結果でした(図2)。このように、脳出血や脳梗塞を、さらに細かい分類に分けて飽和脂肪酸との関連をみた研究は、世界で初めてのものです。
なお、くも膜下出血や、欧米に多い脳の太い血管がつまるタイプ(皮質枝脳梗塞)については、飽和脂肪酸摂取との関連は見られませんでした。
飽和脂肪酸を食べる量が多いグループで心筋梗塞のリスクが上昇
それに対し、心筋梗塞では全く逆の関連が見られました。期間中に合計610人が心筋梗塞にかかりました。同じように飽和脂肪酸の摂取量と心筋梗塞の発症との関連を調べると、図3のように、飽和脂肪酸の摂取量が多くなるにつれ、心筋梗塞の発症率は高い結果となりました。
この関連は、特に男性で明確に見られました。飽和脂肪酸と心筋梗塞の発症との関連を分析した研究は、欧米にはこれまでにもありましたが、アジアでは初めての報告となりました。
また、脳卒中と心筋梗塞・急性死をあわせた全循環器疾患との関連では、飽和脂肪酸を最もたくさん摂取する群でリスクが最も低い結果であり、最も少ない群に比べて発症リスクが18%低下していました。
この集団においては、心筋梗塞よりも脳卒中の発症数が多く、循環器疾患全体としては、脳卒中によるリスク低下の影響が大きかったためです。
この研究から言えること
従来、飽和脂肪酸は血清のコレステロール値を高くし、将来的に粥状動脈硬化になりやすくなることから、摂取を控えるような指導がなされることがありました。
一方で、最近の結果から、飽和脂肪酸は無害であり、制限する必要はないという説もあります。今回の研究結果からは、日本人におけるこうした議論のひとつの決着として、「飽和脂肪酸摂取は、多すぎても、少なすぎても良くない」という結論が得られました。
この結果は、日本人で約40年前に発見された「血清コレステロール値は、高すぎても低すぎても良くない」という知見とよく一致しています。
本研究と過去の日本や欧米で実施されたいくつかの研究を総合的にみると、脳卒中並びに心筋梗塞の発症リスクが低いのは、飽和脂肪酸の摂取量が1日に20g前後の集団と考えられます。
そのような人の食事を今回の研究で用いたアンケート調査結果に当てはめてみると、たとえば牛乳を毎日コップ1杯(200g)、肉を2日に1回(1回につき150g程度)の摂取でした。
この研究の限界
今回の研究は、がん、脳卒中、心臓病の既往のある人は除いていますので、これらの病気にかかったことのある人にはこの結果はあてはまりません。
また、今回の研究で用いられた食物摂取頻度アンケート調査から計算された飽和脂肪酸の値は、より直接的な食事記録調査(研究参加者の一部で、一定期間に飲食した品目と量を全て記録していただく、アンケート調査の妥当性を分析するために行われた調査)から算出された値と比べ、11~31%多く、乳製品は29~57%多く、肉類は3~22%少なく見積もっていました。
このことが、今回の結果の解釈に大きな影響を与えるとは考えておりませんが、一般に、食物摂取頻度アンケート調査は、それだけで実際の摂取量を正確に推定するのは難しく、また年齢や時代・居住地域などが限定された対象集団の値を一般化することは適当とは言えませんので、ここに示した摂取量はあくまで参考値とお考え下さい。
2013年03月14日 (木)
おはようございます。
あらてつさんがスペインから輸入しているオリーブオイル、大変好評だそうで、早々と輸入した半分以上が売れたそうです。
しかも、販売から20日くらいしか経ってないのに、早くもリピーターがついてくれているとのこと、すごいですね。
確かにこのモリドルオリーブオイルは、日本で販売されているオリーブオイルよりも遥かに濃厚でオリーブの味がしっかりとします。
あらてつさんが自慢するだけのことはありますね。
先日、私の行きつけの糖質制限ができるスペイン料理屋、ハルディンさんで行われた試食会に、スペインからモリドルオリーブオイルの方が来られていろいろと説明をお聞きしました。
少量生産で一切混ぜものをしていない、正真正銘のエクストラバージンオリーブオイルです。
日本ではなかなか希少なエクストラバージンオリーブオイル、ブログ読者の皆さん、是非一度お試しあれ(^O^)
江部康二
以下、あらてつさんのブログ記事です。
スペインから航空便にて直輸入しました、モリドル初搾りエクストラバージンオリーブオイル、お陰様で大好評です。
お買い上げ頂きました読者の皆さんから嬉しいコメントを頂きましたので、ご紹介させて頂きます。
caoritaさん
『オリーブオイル届きました!
あらてつさん、こんにちは!
モリドルオリーブオイル、届きましたよ
すごくフルーティでさらっと美味しいオリーブオイルですね!
毎日食べているヨーグルト(当然無糖)にたらしてみても美味しくいただけました~ 』
りんこ3さん
『あらてつさん、こんにちは~
今回の発売楽しみにしてたので、早速買いました~♪
我が家用と、プレゼント用に買いました!
濃厚な味と香り!とても気に入りました♡』
nao6540さん
『追加させていただきました
あらてつさん、こんにちは。
最初に注文したオリーブオイル、すぐに届いたので、早速味見をしてみました。
本当にオリーブそのままのフルーティな味わいですね〜。やはり冷温圧搾しているからでしょうか。
本当に美味しかったので、もう2本追加注文させていただきました。そちらももう届きました。ありがとうございます。
これでしばらくは、リッチなオリーブオイル生活ができそうです。』
のんちゃんさん
『届きました!
あらてつさん、こんばんは。
待ちに待ったオリーブオイルが届きました。
前回購入してからすっかりはまってしまい、つなぎに別のオーガニックのオイルを買いましたが、全く物足りずに入荷を心待ちにしていました。
今回一緒に購入した大豆パスタを、モリドルオリーブオイルでペペロンチーノにしてみましたが、とても美味しかったです!
また、初搾りはまろやかな感じがしました。
再来週釣りに行くので、沢山釣ってカルパッチョにして楽しみたいです。(12月に行ったカワハギも美味しかったですよ~!) 』
こたろうさん
『2本買いました
今日はじめて開封してドレッシングに使ってみました。やはりぜんぜん違いますね。さっぱりしていてさらさらな感じがします。スーパーにある安価なのは食後お腹がもたれるのです。思い切って注文してよかったです。できたら年中通して注文できたらありがたいです。』
わんわんさん
『いいですね
モリドルオリーブオイル届きました。
実は、いままでオリーブオイルは、くせが強くて苦手だったのですが、これはいいです。さらっとしています。胃にも優しそう。LDLが下がり、HDLが上がるそうで・・。 』
かずさん
『ほんとに美味しい
前回のエキストラバージンが余りにも美味しくて、ゴクゴク飲んでしまう勢いで、毎日使いあっと言う間に無くなりました。
海外のお土産で頂いたり、自分で調達していた物とは全く別物でフレッシュなフルーティな香りがたまりません!
て、事で今回はすぐにまたなくなってしまう事を見越し初摘み、二本まとめてオーダーしました。
届くのが、楽しみです。』
皆さん、お買い上げ&ありがたいコメント、本当にありがとうございます。
今回の初搾り、と言いますか、スペインなど本場で売られているオリーブオイルは、日本で売られているものより遥かにクセがありますので、受け入れてもらえるか正直不安なところがありました。
ですが、このように皆さんから「美味しい」と言って頂き、昨年は一ヶ月で入荷分が完売、今回の初搾りも、前回の3倍の量を仕入れたのですが、早々と半分以上お買げ頂いており、本当にありがたい限りです。
まだお試し頂いていない皆さん、後悔はさせませんので是非どうぞ♪
Primera extracción en frío(初搾りエクストラバージンオリーブオイル)発売開始!
オリーブオイル百年の伝統のあるシウラナ地方(スペイン北東部、カタルーニャ地方)から、初摘、初搾りのオリーブオイルが入荷しました。
年に一回、この時期だけしか販売されない大変貴重なオリーブオイルです。
Primera extracción en frío オリーブオイルは、収穫したてのオリーブを風味が損なわれないように冷温圧搾し、濾過せずそのまま瓶詰します。
なので一般的なオリーブオイルよりも色合いが濃く、オリーブ本来の香りや味わいをストレートにお楽しみいただけます。
一年を通して、今だけしか出てこない貴重なオリーブオイルです。
通常のオリーブオイルにない濃厚な味と香りをお楽しみ頂けます。
モリドル社のパトリシアさんからのメッセージを紹介します。
モリ・ドルのエクストラバージン・オリーブオイル
モリ・ドルは、私たちの地域の人々や農作業員が、黄金の液体とも呼ばれるエクストラバージン・オリーブオイルを抽出するために、一年を通じてその大地に施してきた入念な作業と手入れの結晶です。
オイル百年の伝統のあるシウラナ地方(スペイン北東部、カタルーニャ地方)では、最高のシェフや料理批評家から最も高い評価を受けている、アルベキナ種と言うオリーブオイル生産用の品種のみを使用しています。
モリ・ドルのオリーブは、木から直接採取し、フライス(オリーブを碾く作業)は、果実の自然な特性を保持するため、冷温で行われます。その優れた特性と官能特性をそのまま維持するために、モリ・ドルは、フィルタリングされていないエクストラバージン・オリーブオイルとなっています。
この製法によって密度、香り、ボディが保たれている、という、極めて例外的ともいえる評価を受けています。瓶の底に堆積物が沈降することがありますが、健康上全く無害であり、自然由来のものであることの証拠でもあります。
つまり、これは100%純粋な天然オリーブ果汁なのです。
オリーブオイルには、多くの種類と品種があります。しかしその中でも、酸性度を1°未満に保持したものだけが、エクストラバージンと呼ばれる最高ランクのカテゴリとして(EEC規則1513/2001による)最も高い評価を得ることができます。私たちは、モリ·ドルが酸性度を0.3°に抑えてこのカテゴリに入っていることを、誇りに思っています。
オリーブそのものの持つ天然成分によって、このオイルが、抗酸化成分やポリフェノール性化合物を豊富に含んでいるため、酸化を抑えたり、体の諸器官に非常に有益な効果をもたらしたりするということも、忘れてはいけません。
その複雑な香りと味わいは、料理のうま味を引き立たせることができます。フルーティーかつ丸みのある味わいがあり、収斂性が低く、バナナ、イチゴ、リンゴ、クルミ、アーモンドやアーティチョークの熟したような非常にバランスのとれた香りがします。トマトを思わせる懐かしい趣を鼻腔に感じます。そして、非常に表現力のある、すっきりとしたナッツのような後味がします。
料理に使えば、味に力を与え、個性を引き立たせます。生鮮食品(パン、サラダ、野菜など)に使用すれば、より一層の官能特性を感じることができます。オイルを加熱して使用する際も、食品がカリっとした状態で形よく保持し、オイルに含まれている脂肪酸と抗酸化物質が食品に回って安定し、ボリュームが増すことから、高温にもよく対応すると言えます。
これらすべての特性のおかげで、モリ・ドルは、最高レベルのエクストラバージン・オリーブオイルであると同時に、健康的でよく知られている地中海料理を作る際に欠かせない食品の一つとして、認められるようになりました。

数量・期間限定のモリドル初搾りエクストラバージンオリーブオイル
2013年入荷分も、残り半分を切りました。
初搾りの入荷は、来年になります。
希少なモリドル初搾りエクストラバージンオリーブオイル、この機会に是非どうぞ。
詳細・ご購入はこちらから
↓ ↓ ↓
モリドル 初摘み・初搾りオリーブオイル
http://www.toushitsuseigen.com/shop/etc_oliveoil.html
あらてつさんがスペインから輸入しているオリーブオイル、大変好評だそうで、早々と輸入した半分以上が売れたそうです。
しかも、販売から20日くらいしか経ってないのに、早くもリピーターがついてくれているとのこと、すごいですね。
確かにこのモリドルオリーブオイルは、日本で販売されているオリーブオイルよりも遥かに濃厚でオリーブの味がしっかりとします。
あらてつさんが自慢するだけのことはありますね。
先日、私の行きつけの糖質制限ができるスペイン料理屋、ハルディンさんで行われた試食会に、スペインからモリドルオリーブオイルの方が来られていろいろと説明をお聞きしました。
少量生産で一切混ぜものをしていない、正真正銘のエクストラバージンオリーブオイルです。
日本ではなかなか希少なエクストラバージンオリーブオイル、ブログ読者の皆さん、是非一度お試しあれ(^O^)
江部康二
以下、あらてつさんのブログ記事です。
スペインから航空便にて直輸入しました、モリドル初搾りエクストラバージンオリーブオイル、お陰様で大好評です。
お買い上げ頂きました読者の皆さんから嬉しいコメントを頂きましたので、ご紹介させて頂きます。
caoritaさん
『オリーブオイル届きました!
あらてつさん、こんにちは!
モリドルオリーブオイル、届きましたよ
すごくフルーティでさらっと美味しいオリーブオイルですね!
毎日食べているヨーグルト(当然無糖)にたらしてみても美味しくいただけました~ 』
りんこ3さん
『あらてつさん、こんにちは~
今回の発売楽しみにしてたので、早速買いました~♪
我が家用と、プレゼント用に買いました!
濃厚な味と香り!とても気に入りました♡』
nao6540さん
『追加させていただきました
あらてつさん、こんにちは。
最初に注文したオリーブオイル、すぐに届いたので、早速味見をしてみました。
本当にオリーブそのままのフルーティな味わいですね〜。やはり冷温圧搾しているからでしょうか。
本当に美味しかったので、もう2本追加注文させていただきました。そちらももう届きました。ありがとうございます。
これでしばらくは、リッチなオリーブオイル生活ができそうです。』
のんちゃんさん
『届きました!
あらてつさん、こんばんは。
待ちに待ったオリーブオイルが届きました。
前回購入してからすっかりはまってしまい、つなぎに別のオーガニックのオイルを買いましたが、全く物足りずに入荷を心待ちにしていました。
今回一緒に購入した大豆パスタを、モリドルオリーブオイルでペペロンチーノにしてみましたが、とても美味しかったです!
また、初搾りはまろやかな感じがしました。
再来週釣りに行くので、沢山釣ってカルパッチョにして楽しみたいです。(12月に行ったカワハギも美味しかったですよ~!) 』
こたろうさん
『2本買いました
今日はじめて開封してドレッシングに使ってみました。やはりぜんぜん違いますね。さっぱりしていてさらさらな感じがします。スーパーにある安価なのは食後お腹がもたれるのです。思い切って注文してよかったです。できたら年中通して注文できたらありがたいです。』
わんわんさん
『いいですね
モリドルオリーブオイル届きました。
実は、いままでオリーブオイルは、くせが強くて苦手だったのですが、これはいいです。さらっとしています。胃にも優しそう。LDLが下がり、HDLが上がるそうで・・。 』
かずさん
『ほんとに美味しい
前回のエキストラバージンが余りにも美味しくて、ゴクゴク飲んでしまう勢いで、毎日使いあっと言う間に無くなりました。
海外のお土産で頂いたり、自分で調達していた物とは全く別物でフレッシュなフルーティな香りがたまりません!
て、事で今回はすぐにまたなくなってしまう事を見越し初摘み、二本まとめてオーダーしました。
届くのが、楽しみです。』
皆さん、お買い上げ&ありがたいコメント、本当にありがとうございます。
今回の初搾り、と言いますか、スペインなど本場で売られているオリーブオイルは、日本で売られているものより遥かにクセがありますので、受け入れてもらえるか正直不安なところがありました。
ですが、このように皆さんから「美味しい」と言って頂き、昨年は一ヶ月で入荷分が完売、今回の初搾りも、前回の3倍の量を仕入れたのですが、早々と半分以上お買げ頂いており、本当にありがたい限りです。
まだお試し頂いていない皆さん、後悔はさせませんので是非どうぞ♪
Primera extracción en frío(初搾りエクストラバージンオリーブオイル)発売開始!
オリーブオイル百年の伝統のあるシウラナ地方(スペイン北東部、カタルーニャ地方)から、初摘、初搾りのオリーブオイルが入荷しました。
年に一回、この時期だけしか販売されない大変貴重なオリーブオイルです。
Primera extracción en frío オリーブオイルは、収穫したてのオリーブを風味が損なわれないように冷温圧搾し、濾過せずそのまま瓶詰します。
なので一般的なオリーブオイルよりも色合いが濃く、オリーブ本来の香りや味わいをストレートにお楽しみいただけます。
一年を通して、今だけしか出てこない貴重なオリーブオイルです。
通常のオリーブオイルにない濃厚な味と香りをお楽しみ頂けます。
モリドル社のパトリシアさんからのメッセージを紹介します。
モリ・ドルのエクストラバージン・オリーブオイル
モリ・ドルは、私たちの地域の人々や農作業員が、黄金の液体とも呼ばれるエクストラバージン・オリーブオイルを抽出するために、一年を通じてその大地に施してきた入念な作業と手入れの結晶です。
オイル百年の伝統のあるシウラナ地方(スペイン北東部、カタルーニャ地方)では、最高のシェフや料理批評家から最も高い評価を受けている、アルベキナ種と言うオリーブオイル生産用の品種のみを使用しています。
モリ・ドルのオリーブは、木から直接採取し、フライス(オリーブを碾く作業)は、果実の自然な特性を保持するため、冷温で行われます。その優れた特性と官能特性をそのまま維持するために、モリ・ドルは、フィルタリングされていないエクストラバージン・オリーブオイルとなっています。
この製法によって密度、香り、ボディが保たれている、という、極めて例外的ともいえる評価を受けています。瓶の底に堆積物が沈降することがありますが、健康上全く無害であり、自然由来のものであることの証拠でもあります。
つまり、これは100%純粋な天然オリーブ果汁なのです。
オリーブオイルには、多くの種類と品種があります。しかしその中でも、酸性度を1°未満に保持したものだけが、エクストラバージンと呼ばれる最高ランクのカテゴリとして(EEC規則1513/2001による)最も高い評価を得ることができます。私たちは、モリ·ドルが酸性度を0.3°に抑えてこのカテゴリに入っていることを、誇りに思っています。
オリーブそのものの持つ天然成分によって、このオイルが、抗酸化成分やポリフェノール性化合物を豊富に含んでいるため、酸化を抑えたり、体の諸器官に非常に有益な効果をもたらしたりするということも、忘れてはいけません。
その複雑な香りと味わいは、料理のうま味を引き立たせることができます。フルーティーかつ丸みのある味わいがあり、収斂性が低く、バナナ、イチゴ、リンゴ、クルミ、アーモンドやアーティチョークの熟したような非常にバランスのとれた香りがします。トマトを思わせる懐かしい趣を鼻腔に感じます。そして、非常に表現力のある、すっきりとしたナッツのような後味がします。
料理に使えば、味に力を与え、個性を引き立たせます。生鮮食品(パン、サラダ、野菜など)に使用すれば、より一層の官能特性を感じることができます。オイルを加熱して使用する際も、食品がカリっとした状態で形よく保持し、オイルに含まれている脂肪酸と抗酸化物質が食品に回って安定し、ボリュームが増すことから、高温にもよく対応すると言えます。
これらすべての特性のおかげで、モリ・ドルは、最高レベルのエクストラバージン・オリーブオイルであると同時に、健康的でよく知られている地中海料理を作る際に欠かせない食品の一つとして、認められるようになりました。

数量・期間限定のモリドル初搾りエクストラバージンオリーブオイル
2013年入荷分も、残り半分を切りました。
初搾りの入荷は、来年になります。
希少なモリドル初搾りエクストラバージンオリーブオイル、この機会に是非どうぞ。
詳細・ご購入はこちらから
↓ ↓ ↓
モリドル 初摘み・初搾りオリーブオイル
http://www.toushitsuseigen.com/shop/etc_oliveoil.html
糖質制限食・ダイエット食の通信販売|糖質制限ドットコム
糖質制限ドットコムは、糖質制限食の第一人者、高雄病院、江部康二先生監修による糖質オフな食材を販売、糖質制限食に取り組む皆様をサポートします。
2013年03月13日 (水)
おはようございます。
ひろせさんから「糖質制限食で花粉症が改善」という嬉しいコメントをいただきました。
【13/03/12 ひろせ
糖質制限で花粉症が改善?
いつも拝見しております!
今回の記事とは関係がないのですが、すみません。
私は子供の頃からアレルギー体質があり、大人になってからはもちろん花粉症も発症。
目や耳の痒みが強く内服薬が欠かせませんでした。
もうすぐ糖質制限をはじめて一年。
糖質オフ食にして半年くらいたってから、目やにがなくなるなど、諸々のアレルギー症状が改善されている感覚がありました。
今年は、糖質オフにして初めての花粉症の季節。
先生のブログでも、花粉症が改善される方が多いと読んでいたので、ほんの少し期待していました。
東京は先週から通常の6倍ほどの花粉が飛んでいるそうですが・・・・今のところ、花粉症の症状が全く無く、アレルギー薬を飲まずに済んでいます。
私のブログでも、糖質制限で花粉症が改善されたことを書いてみました。
先生のブログでもリンクさせていただきました^^
http://ameblo.jp/lowcarblife2012/entry-11488470795.html#cbox
糖質オフにしてから、アレルギー症状が改善傾向にあるということは、過剰糖質摂取がアレルギーの原因だったと考えても良いのでしょうか?
とにかくあらゆる不定愁訴が糖質オフで改善されました!!!!
日曜日の糖質制限in埼玉に参加します♪
講演をお聞きできることを楽しみにしております。】
ひろせさん。
コメント、ありがとうございます。
また『糖質制限in埼玉』へのご参加もありがとうございます。
糖質制限食実践されて、半年くらいで様々なアレルギー症状が改善されたそうで、良かったです。
まずは、ハウスダストなどによる通年性のアレルギー性鼻炎や結膜炎が良くなったのですね。
そして花粉症も改善とは素晴らしいです。
ご主人が今年は花粉症がきついそうなので、対照的ですね。
糖質制限食は、人類本来の食事、いわば人類の健康食であり、全身の血流・代謝がよくなるので、自然治癒力も高まり、様々な症状が改善するケースを経験します。
『糖質オフにしてから、アレルギー症状が改善傾向にあるということは、過剰糖質摂取がアレルギーの原因だったと考えても良いのでしょうか?
とにかくあらゆる不定愁訴が糖質オフで改善されました!!!! 』
私も、当初は糖尿病・メタボ・肥満とかが糖質制限食で改善すると考えていました。
その後、10年以上の臨床を経て、花粉症などアレルギー、片頭痛、逆流性食道炎、にきび、尋常性乾癬etc・・・
実に、いろんな疾患が糖質制限食で改善することに気がつきました。
勿論、改善の度合いには一定の個人差がありますが・・・。
ここにいたり、いわゆる「生活習慣病」に分類されている原因不明の病気は、実は「糖質病」ではないかと考え始めました。
第二次大戦後、世界が豊かになって、穀物が豊富に供給できるようになり、特に1960~1970年代以後は、糖質の頻回・過剰摂取時代に突入して現在に至っています。
700万年間、狩猟・採集が生業で、穀物なしの糖質制限食で進化した人類の身体のシステムは、糖質制限食(糖質10~20%)に適合しています。
そこに穀物(糖質)を50~60%も摂取する食事は、エネルギーだけは確保出来ているけれどとんでもなくバランスの悪い食事と言えます。
様々な症状の改善を前提とした仮説ですが、糖質の頻回・過剰摂取とそれに伴う「グルコース・ミニスパイク」「インスリンの大量追加分泌」こそが、様々な生活習慣病の元凶と考えています。
江部康二
ひろせさんから「糖質制限食で花粉症が改善」という嬉しいコメントをいただきました。
【13/03/12 ひろせ
糖質制限で花粉症が改善?
いつも拝見しております!
今回の記事とは関係がないのですが、すみません。
私は子供の頃からアレルギー体質があり、大人になってからはもちろん花粉症も発症。
目や耳の痒みが強く内服薬が欠かせませんでした。
もうすぐ糖質制限をはじめて一年。
糖質オフ食にして半年くらいたってから、目やにがなくなるなど、諸々のアレルギー症状が改善されている感覚がありました。
今年は、糖質オフにして初めての花粉症の季節。
先生のブログでも、花粉症が改善される方が多いと読んでいたので、ほんの少し期待していました。
東京は先週から通常の6倍ほどの花粉が飛んでいるそうですが・・・・今のところ、花粉症の症状が全く無く、アレルギー薬を飲まずに済んでいます。
私のブログでも、糖質制限で花粉症が改善されたことを書いてみました。
先生のブログでもリンクさせていただきました^^
http://ameblo.jp/lowcarblife2012/entry-11488470795.html#cbox
糖質オフにしてから、アレルギー症状が改善傾向にあるということは、過剰糖質摂取がアレルギーの原因だったと考えても良いのでしょうか?
とにかくあらゆる不定愁訴が糖質オフで改善されました!!!!
日曜日の糖質制限in埼玉に参加します♪
講演をお聞きできることを楽しみにしております。】
ひろせさん。
コメント、ありがとうございます。
また『糖質制限in埼玉』へのご参加もありがとうございます。
糖質制限食実践されて、半年くらいで様々なアレルギー症状が改善されたそうで、良かったです。
まずは、ハウスダストなどによる通年性のアレルギー性鼻炎や結膜炎が良くなったのですね。
そして花粉症も改善とは素晴らしいです。
ご主人が今年は花粉症がきついそうなので、対照的ですね。
糖質制限食は、人類本来の食事、いわば人類の健康食であり、全身の血流・代謝がよくなるので、自然治癒力も高まり、様々な症状が改善するケースを経験します。
『糖質オフにしてから、アレルギー症状が改善傾向にあるということは、過剰糖質摂取がアレルギーの原因だったと考えても良いのでしょうか?
とにかくあらゆる不定愁訴が糖質オフで改善されました!!!! 』
私も、当初は糖尿病・メタボ・肥満とかが糖質制限食で改善すると考えていました。
その後、10年以上の臨床を経て、花粉症などアレルギー、片頭痛、逆流性食道炎、にきび、尋常性乾癬etc・・・
実に、いろんな疾患が糖質制限食で改善することに気がつきました。
勿論、改善の度合いには一定の個人差がありますが・・・。
ここにいたり、いわゆる「生活習慣病」に分類されている原因不明の病気は、実は「糖質病」ではないかと考え始めました。
第二次大戦後、世界が豊かになって、穀物が豊富に供給できるようになり、特に1960~1970年代以後は、糖質の頻回・過剰摂取時代に突入して現在に至っています。
700万年間、狩猟・採集が生業で、穀物なしの糖質制限食で進化した人類の身体のシステムは、糖質制限食(糖質10~20%)に適合しています。
そこに穀物(糖質)を50~60%も摂取する食事は、エネルギーだけは確保出来ているけれどとんでもなくバランスの悪い食事と言えます。
様々な症状の改善を前提とした仮説ですが、糖質の頻回・過剰摂取とそれに伴う「グルコース・ミニスパイク」「インスリンの大量追加分泌」こそが、様々な生活習慣病の元凶と考えています。
江部康二
2013年03月12日 (火)
おはようございます。
tagashuu@神経内科医さんから
「さまざまな神経疾患に応用されるケトン食」
という興味深いコメント・情報をいただきました。(☆)
2013年02月12日 (火)の本ブログ記事
「ケトン体が酸化ストレスの抑制に寄与する」
で
『βヒドロキシ酪酸(ケトン体の一つ)は内在性のヒストン脱アセチル化酵素の阻害剤として酸化ストレスの抑制に寄与する』
という大変興味深いScience の論文を紹介しました。
酸化ストレスを抑制するということは、動脈硬化や老化やがん、パーキンソン病やアルツハイマー病や認知症にも好影響が期待できるということです。
今回、tagashuuさんのコメントの論文でも、
『ケトン食による神経保護作用 』
がキーワードとなっています。
この神経保護作用をベースに
てんかんとケトン食
加齢とケトン食
アルツハイマー病とケトン食
パーキンソン病とケトン食
ALSとケトン食
癌とケトン食
脳卒中とケトン食
ミトコンドリア疾患とケトン食
脳外傷とケトン食
神経疾患(うつ病)とケトン食
自閉症とケトン食
片頭痛とケトン食
について、解説していただいてます。
難しいところは飛ばして、わかるところだけ読んでも、大変有意義な情報と思います。
tagashuuさん、ありがとうございます。
江部康二
(☆)
13/03/11 tagashuu
さまざまな神経疾患に応用されるケトン食
tagashuu@神経内科医です.
ケトン食に関する論文を私が和訳しまとめたものを紹介します.てんかん以外にもいろいろな疾患へ応用されてきています.少し難しいですし,もしも誤訳があったら申し訳ないのですが,皆様の参考になれば幸甚です.
Stafstrom CE, Rho JM. The ketogenic diet as a treatment paradigm for diverse neurological disorders. Front Pharmacol. 2012;3:59. Epub 2012 Apr 9.
ケトン食(KD)は薬剤抵抗性てんかんに対してその効果が証明されている、総摂取カロリーの75~80%が脂質で構成される高脂質、低炭水化物の治療食である(Vining et al, 1998; Neal et al., 2008)。
そしてその抗てんかん効果の基礎となるメカニズムはいまだに完全には判明していないままであるが(Hartman et al., 2007; Bough and Stafstrom, 2010; Rho and Stafstrom, 2011)、その幅広い神経保護性質については経験的エビデンスが蓄積されつつあり、同様に多彩な神経疾患の状態に対しての使用を支持するデータが出てきている(Baranano and Hartman, 2008)。
この総括論文ではてんかん以外の神経疾患においてKDを用いる理論的根拠と関連する食事療法について詳しくみていく、そして最近までの臨床経験を要約する。
●ケトン食による神経保護作用
KD治療の二つの顕著な特徴は肝臓におけるケトン体産生の上昇と血糖値の減少である。
ケトンの上昇は主として脂肪酸酸化の結果である。アラキドン酸やドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸などの特定の多価飽和脂肪酸(PUFAs)はそれ自身が電位依存性ナトリウムおよびカルシウムチャネルをブロックすることによって神経細胞膜の興奮性を制御し(Voskuyl and Vreugdenhil, 2001)、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPARs;Cullingford, 2008; Jeong et al., 2011)の活性化を通して炎症反応を抑制し、また活性酸素の産生を減少させるミトコンドリア脱共役タンパク質を誘導する(Bough et al., 2006; Kim do and Rho, 2008)。
ケトン体そのものは高められたNADH酸化とミトコンドリア膜透過性遷移現象(mPT;Kim do et al., 2007)を通じてATP値を上昇させ活性酸素産生を減らすことによって神経保護作用を持つことが示されてきている。
生体エネルギー機構を改善する同様のラインを通して、KDはミトコンドリア発生を刺激し、結果としてシナプス機能を安定化させることが示されてきている(Bough et al., 2006)。
第二のKDの主要な生化学的な特徴は解糖系の流量の減少である。解糖の減少は痙攣を抑制する(Greene at al., 2001)だけでなく霊長類を含む多数の種において生存期間を延長させる(Kemnitz, 2011; Redman and Ravussin, 2011)ことが示されてきている。
他の重要なメカニズムとしてはミトコンドリア機能を改善させ酸化ストレス減少させること(ケトン体やPUFAsでみられる現象も同様)、アポトーシス促進因子の活性化を減少させること、インターロイキンや腫瘍壊死因子α(TNFα; Maalouf et al., 2009)のような炎症メディエーターを抑制することが挙げられている。
さらに細胞内ホメオスターシスや神経傷害や機能不全を防ぐことにも寄与しているかもしれずKDの神経保護に関するメカニズムは他にもたくさんありそうである。
●てんかんとケトン食
医学的に難治性てんかん患者(特に小児)のてんかん発作を改善する効果を持つことにはもはや疑いの余地はない(Vining, 1999; Neal et al., 2008; Freeman et al., 2009)。KDは今世界中のほぼ主要なてんかんセンターにおける装備の不可欠な部分となってきている。
●加齢とケトン食
KDが酸化ストレスとその下流での反応結果を減少させるという事実は、加齢による悪影響を遅らせるとみなすことに関する合理的な論理的根拠を提供している(Freemantle et al., 2009)。
●アルツハイマー病とケトン食
アルツハイマー病(AD)の患者において神経興奮性が上昇しているという認識が高まってきている(Noebels, 2011; Roberson et al., 2011)。MCTのKDでのランダム化二重盲検プラセボ対照試験ではADのAPOε4陰性患者での認知機能をかなり有意に改善する結果であった。
この重大な臨床的な改善は、ミトコンドリア機能の改善に引き続いて起こると考えられた。またKDはアミロイドβの蓄積量を実際に減少させるかもしれない(VanderAuwera et al., 2005)。
興味深いことに、地中海食のような他の食事もADでいくらかの有望性を示してきており(Gu et al., 2010)、おそらくは全身性炎症反応を抑制し、代謝プロフィールを改善することを通しているものと思われる。
●パーキンソン病とケトン食
PDと関連があるとされているミトコンドリア複合体Ⅰでの活動性の欠損をケトン体がバイパスするという認識に基づき、小さな臨床研究ではあるが7人の患者のうち5人が標準的なPD評価スケールのスコアに改善したということが実証された(Vanitallie et al., 2005)。
1-メチル-4-フェニル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン塩酸塩(MPTP)によって生み出されたPDの動物モデルでは、BHB注射によって通常その毒素によって引き起こされるミトコンドリア呼吸鎖の傷害が改善した(Kashiwaya et al., 2000)。
●ALSとケトン食
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は他の神経変性疾患と同様に、エネルギー産生システムの関与が一定の役割を果たしており、おそらくミトコンドリア機能障害が疾患の病態生理に寄与しているであろう。
ALSのモデルマウスへKDを注射することでKDでない食事を与えられた動物に比べて組織学的にも(運動ニューロン数の増加)機能的にも(ロータロッド試験での運動機能の保持:※ゲッシ類における協調運動と運動学習を測定するテスト)改善をもたらした(Zhao et al., 2006)。ところが、KDは非KDの対照マウスに比べて生存期間を延長しなかった。
注意すべきことは、これは全ての神経変性疾患にあてはまることであるが、KD治療の保護効果に関して介入のタイミングが命運を左右するのかどうかを決める必要があるということがある。
●癌とケトン食
基本的に癌細胞はブドウ糖を通常の燃料供給として代謝回転が速いので、(KDや2DGを用いることによって)急速に分裂するのを防ぐことは治療になりうる(Aft et al., 2002; Pelicano et al., 2006; Otto et al., 2008)。ただ臓器系が異なれば腫瘍のタイプも区別されKDやその他の食事療法に異なった反応を示す可能性がある。
●脳卒中とケトン食
最近までに、脳卒中患者でKDの効果をみた臨床試験は実施されていないが、低酸素‐虚血の動物研究ではいくつか食事の有益な効果の潜在性が支持されている。そうした研究はエネルギー代謝を助ける生化学の変化が重症脳損傷の急性期に対して保護的に働くであろうことを暗に示唆している。
●ミトコンドリア疾患とケトン食
Kangら(2007)は14名のミトコンドリア欠損が複合体Ⅰ、Ⅱ、Ⅳにあり、全員が医学的に難治性てんかんを持つという小児患者たちにKDが安全かつ効果があるということを報告した。一しかしながらKD治療は原発性カルニチン欠損症(カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ(CPT)ⅠやⅡ、ミトコンドリア輸送体の変異を含む)や脂肪酸β酸化異常(例:中鎖アシルデヒドロゲナーゼ欠損症:Kossoff et al., 2009)の個人には勧められていない。
●脳外傷とケトン食
外傷後のてんかん原性の臨床的な問題およびKDが痙攣活動を減少させうるという事実の観点からみると、食事療法が脳外傷を、そしておそらくは長期のてんかんのような結果を改善するという考えが出てきている。
●神経疾患(うつ病)とケトン食
うつ病におけるKDの潜在的な役割はラットでの強制選択モデルで研究されてきており、伝統的な抗うつ薬にとってもたらされるのと同等の有益性があるとされている(Murphy et al., 2004; Murphy and Burnham, 2006)。
●自閉症とケトン食
現在、限られた臨床的エビデンスがKDが自閉症スペクトラムの疾患の子供でみられる異常行動のいくつかを和らげるかもしれないという興味深い可能性を提示している。
●片頭痛とケトン食
慢性的な片頭痛にはKDを考慮する理論的な理由があり、特に医学的に難治性の集団に対して考慮に入れる価値がある(Maggioni et al., 2011)。
tagashuu@神経内科医さんから
「さまざまな神経疾患に応用されるケトン食」
という興味深いコメント・情報をいただきました。(☆)
2013年02月12日 (火)の本ブログ記事
「ケトン体が酸化ストレスの抑制に寄与する」
で
『βヒドロキシ酪酸(ケトン体の一つ)は内在性のヒストン脱アセチル化酵素の阻害剤として酸化ストレスの抑制に寄与する』
という大変興味深いScience の論文を紹介しました。
酸化ストレスを抑制するということは、動脈硬化や老化やがん、パーキンソン病やアルツハイマー病や認知症にも好影響が期待できるということです。
今回、tagashuuさんのコメントの論文でも、
『ケトン食による神経保護作用 』
がキーワードとなっています。
この神経保護作用をベースに
てんかんとケトン食
加齢とケトン食
アルツハイマー病とケトン食
パーキンソン病とケトン食
ALSとケトン食
癌とケトン食
脳卒中とケトン食
ミトコンドリア疾患とケトン食
脳外傷とケトン食
神経疾患(うつ病)とケトン食
自閉症とケトン食
片頭痛とケトン食
について、解説していただいてます。
難しいところは飛ばして、わかるところだけ読んでも、大変有意義な情報と思います。
tagashuuさん、ありがとうございます。
江部康二
(☆)
13/03/11 tagashuu
さまざまな神経疾患に応用されるケトン食
tagashuu@神経内科医です.
ケトン食に関する論文を私が和訳しまとめたものを紹介します.てんかん以外にもいろいろな疾患へ応用されてきています.少し難しいですし,もしも誤訳があったら申し訳ないのですが,皆様の参考になれば幸甚です.
Stafstrom CE, Rho JM. The ketogenic diet as a treatment paradigm for diverse neurological disorders. Front Pharmacol. 2012;3:59. Epub 2012 Apr 9.
ケトン食(KD)は薬剤抵抗性てんかんに対してその効果が証明されている、総摂取カロリーの75~80%が脂質で構成される高脂質、低炭水化物の治療食である(Vining et al, 1998; Neal et al., 2008)。
そしてその抗てんかん効果の基礎となるメカニズムはいまだに完全には判明していないままであるが(Hartman et al., 2007; Bough and Stafstrom, 2010; Rho and Stafstrom, 2011)、その幅広い神経保護性質については経験的エビデンスが蓄積されつつあり、同様に多彩な神経疾患の状態に対しての使用を支持するデータが出てきている(Baranano and Hartman, 2008)。
この総括論文ではてんかん以外の神経疾患においてKDを用いる理論的根拠と関連する食事療法について詳しくみていく、そして最近までの臨床経験を要約する。
●ケトン食による神経保護作用
KD治療の二つの顕著な特徴は肝臓におけるケトン体産生の上昇と血糖値の減少である。
ケトンの上昇は主として脂肪酸酸化の結果である。アラキドン酸やドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸などの特定の多価飽和脂肪酸(PUFAs)はそれ自身が電位依存性ナトリウムおよびカルシウムチャネルをブロックすることによって神経細胞膜の興奮性を制御し(Voskuyl and Vreugdenhil, 2001)、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPARs;Cullingford, 2008; Jeong et al., 2011)の活性化を通して炎症反応を抑制し、また活性酸素の産生を減少させるミトコンドリア脱共役タンパク質を誘導する(Bough et al., 2006; Kim do and Rho, 2008)。
ケトン体そのものは高められたNADH酸化とミトコンドリア膜透過性遷移現象(mPT;Kim do et al., 2007)を通じてATP値を上昇させ活性酸素産生を減らすことによって神経保護作用を持つことが示されてきている。
生体エネルギー機構を改善する同様のラインを通して、KDはミトコンドリア発生を刺激し、結果としてシナプス機能を安定化させることが示されてきている(Bough et al., 2006)。
第二のKDの主要な生化学的な特徴は解糖系の流量の減少である。解糖の減少は痙攣を抑制する(Greene at al., 2001)だけでなく霊長類を含む多数の種において生存期間を延長させる(Kemnitz, 2011; Redman and Ravussin, 2011)ことが示されてきている。
他の重要なメカニズムとしてはミトコンドリア機能を改善させ酸化ストレス減少させること(ケトン体やPUFAsでみられる現象も同様)、アポトーシス促進因子の活性化を減少させること、インターロイキンや腫瘍壊死因子α(TNFα; Maalouf et al., 2009)のような炎症メディエーターを抑制することが挙げられている。
さらに細胞内ホメオスターシスや神経傷害や機能不全を防ぐことにも寄与しているかもしれずKDの神経保護に関するメカニズムは他にもたくさんありそうである。
●てんかんとケトン食
医学的に難治性てんかん患者(特に小児)のてんかん発作を改善する効果を持つことにはもはや疑いの余地はない(Vining, 1999; Neal et al., 2008; Freeman et al., 2009)。KDは今世界中のほぼ主要なてんかんセンターにおける装備の不可欠な部分となってきている。
●加齢とケトン食
KDが酸化ストレスとその下流での反応結果を減少させるという事実は、加齢による悪影響を遅らせるとみなすことに関する合理的な論理的根拠を提供している(Freemantle et al., 2009)。
●アルツハイマー病とケトン食
アルツハイマー病(AD)の患者において神経興奮性が上昇しているという認識が高まってきている(Noebels, 2011; Roberson et al., 2011)。MCTのKDでのランダム化二重盲検プラセボ対照試験ではADのAPOε4陰性患者での認知機能をかなり有意に改善する結果であった。
この重大な臨床的な改善は、ミトコンドリア機能の改善に引き続いて起こると考えられた。またKDはアミロイドβの蓄積量を実際に減少させるかもしれない(VanderAuwera et al., 2005)。
興味深いことに、地中海食のような他の食事もADでいくらかの有望性を示してきており(Gu et al., 2010)、おそらくは全身性炎症反応を抑制し、代謝プロフィールを改善することを通しているものと思われる。
●パーキンソン病とケトン食
PDと関連があるとされているミトコンドリア複合体Ⅰでの活動性の欠損をケトン体がバイパスするという認識に基づき、小さな臨床研究ではあるが7人の患者のうち5人が標準的なPD評価スケールのスコアに改善したということが実証された(Vanitallie et al., 2005)。
1-メチル-4-フェニル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン塩酸塩(MPTP)によって生み出されたPDの動物モデルでは、BHB注射によって通常その毒素によって引き起こされるミトコンドリア呼吸鎖の傷害が改善した(Kashiwaya et al., 2000)。
●ALSとケトン食
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は他の神経変性疾患と同様に、エネルギー産生システムの関与が一定の役割を果たしており、おそらくミトコンドリア機能障害が疾患の病態生理に寄与しているであろう。
ALSのモデルマウスへKDを注射することでKDでない食事を与えられた動物に比べて組織学的にも(運動ニューロン数の増加)機能的にも(ロータロッド試験での運動機能の保持:※ゲッシ類における協調運動と運動学習を測定するテスト)改善をもたらした(Zhao et al., 2006)。ところが、KDは非KDの対照マウスに比べて生存期間を延長しなかった。
注意すべきことは、これは全ての神経変性疾患にあてはまることであるが、KD治療の保護効果に関して介入のタイミングが命運を左右するのかどうかを決める必要があるということがある。
●癌とケトン食
基本的に癌細胞はブドウ糖を通常の燃料供給として代謝回転が速いので、(KDや2DGを用いることによって)急速に分裂するのを防ぐことは治療になりうる(Aft et al., 2002; Pelicano et al., 2006; Otto et al., 2008)。ただ臓器系が異なれば腫瘍のタイプも区別されKDやその他の食事療法に異なった反応を示す可能性がある。
●脳卒中とケトン食
最近までに、脳卒中患者でKDの効果をみた臨床試験は実施されていないが、低酸素‐虚血の動物研究ではいくつか食事の有益な効果の潜在性が支持されている。そうした研究はエネルギー代謝を助ける生化学の変化が重症脳損傷の急性期に対して保護的に働くであろうことを暗に示唆している。
●ミトコンドリア疾患とケトン食
Kangら(2007)は14名のミトコンドリア欠損が複合体Ⅰ、Ⅱ、Ⅳにあり、全員が医学的に難治性てんかんを持つという小児患者たちにKDが安全かつ効果があるということを報告した。一しかしながらKD治療は原発性カルニチン欠損症(カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ(CPT)ⅠやⅡ、ミトコンドリア輸送体の変異を含む)や脂肪酸β酸化異常(例:中鎖アシルデヒドロゲナーゼ欠損症:Kossoff et al., 2009)の個人には勧められていない。
●脳外傷とケトン食
外傷後のてんかん原性の臨床的な問題およびKDが痙攣活動を減少させうるという事実の観点からみると、食事療法が脳外傷を、そしておそらくは長期のてんかんのような結果を改善するという考えが出てきている。
●神経疾患(うつ病)とケトン食
うつ病におけるKDの潜在的な役割はラットでの強制選択モデルで研究されてきており、伝統的な抗うつ薬にとってもたらされるのと同等の有益性があるとされている(Murphy et al., 2004; Murphy and Burnham, 2006)。
●自閉症とケトン食
現在、限られた臨床的エビデンスがKDが自閉症スペクトラムの疾患の子供でみられる異常行動のいくつかを和らげるかもしれないという興味深い可能性を提示している。
●片頭痛とケトン食
慢性的な片頭痛にはKDを考慮する理論的な理由があり、特に医学的に難治性の集団に対して考慮に入れる価値がある(Maggioni et al., 2011)。
2013年03月11日 (月)
こんにちは。
沖縄の町田先生から、興味深いコメントを頂きました。
町田先生、ありがとうございます。
【13/03/08 町田
First Do No Harm
江部先生、おはようございます。
先生もご存知の映画「First Do No Harm」「誤診(邦題)」の冒頭に「裸の王様」を読み聞かせしているシーンがあります。
「自分の目を信じた」少年にだけは真実が見えた訳です。
この映画の冒頭2分間だけでも「裸の王様」となった医者・研究者に見て「考えて」もらいたいです】
邦題 メリルストリープ 誤診 ・・・ケトン食で、難治性てんかんが治癒
原題 「…first do no harm(何よりも害を成すなかれ)」1997年、リリース。
実話に基づいた、とても、よい映画です。
友人からDVDをプレゼントしてもらって見たのですが、涙腺が緩む場面が何度もあり、感動でした。
邦題の「誤診」というのは、誤解でして、原題の「…first do no harm(何よりも害を成すなかれ)」が、ぴったりです。
詳しい解説は、医学書院のサイトにあった、李 啓充 氏(マサチューセッツ総合病院内分泌部門,ハーバード大学助教授、1999当時)の記述を参考にしていただけば幸いです(*)。
「難治性小児てんかん」が診断名であり、当初に診察した守旧派の複数の医師は、別に誤診したわけではないのです。
誤診はしなかったけれど、従来の常識からの薬物治療を実施して、それが無効であるだけでなく、様々な副作用を引き起こしていきます。
性格が凶暴になったり、全身に皮疹がでたり、高熱が出たり、便秘・痔になったり・・・衰弱していきます。
ですが主治医は、
「従来の常識的な治療を実施しているだけなので、副作用はやむを得ない。しかしこれ以上の薬物療法は意味がないので脳の外科手術が最後の選択肢である。」
と強要してくるだけであり、ヒポクラテスの誓い「…first do no harm(何よりも害を成すなかれ)」とは、ほど遠い態度です。
ここに至り、メリル・ストリープ演ずる母親は、自分で図書館で「てんかんの治療」を必死で調べて、ジョン・ホプキンス大学の「ケトン食」に辿り着きます。
母親は主治医に、ケトン食治療をしたいので、ジョン・ホプキンス大学に転院したいというのですが、
「ケトン食療法はまだ症例報告だけで、確固たるエビデンスがない」
といって反対されます。
主治医の壁を、友人の医師と看護師の助けで突破して、なんとか、カンサスからボルチモアまで飛行機で移動します。
患児、母親、医師、看護師の4名でフライトです。
ジョン・ホプキンス大学を受診しますが、ベッッドが空いてないので、近くの修道院に母子で泊まり込んで、大学まで通って、ケトン食療法を開始することとなりました。
ジョン・ホプキンス大学の主治医は、てんかんの薬は中止して、普通の子供として対応してよいと、励ましてくれます。
絶食2日間のあと、ケトン食療法が始まり、てんかん発作は速やかにでなくなります。
3ヶ月間のケトン食で見違えるほど元気になった患児が、カンサスに帰って、愛馬に乗ってパレードに参加する場面で映画は終了していきます。
この子は、3年間のケトン食のあと、普通食に戻りましたが、二度とてんかんを再発することなく元気に過ごしているそうです。
小児難治性てんかんに対する「ケトン食」は、2010年にコクラン・ライブラリー、2011年に英国立医療技術評価機構に正式に採用されて、公的に認められました。
しかし1997年頃までは、守旧派による排除・妨害が当たり前のようにあったのでしょう。
糖質制限食と守旧派の対立も、同様にありますが、守旧派が真実を認めるまで何年かかるでしょうか?
江部康二
邦題 メリルストリープ 誤診
first do no harm(何よりも害を成すなかれ)」
購入、レンタルはTSUTAYA が安いです。
http://www.tsutaya.co.jp/works/10017000.html
(*)
医学書院
http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n1999dir/n2337dir/n2337_07.htm
第2337号 1999年5月10日
連載
アメリカ医療の光と影(5)
学習する患者たち(1)
李 啓充 (マサチューセッツ総合病院内分泌部門,ハーバード大学助教授)
“…first do no harm”
メリル・ストリープはアカデミー主演女優賞を2度獲得している大女優であるが,97年2月に「…first do no harm(何よりも害を成すなかれ)」(邦題「メリル・ストリープ誤診」〔ビデオ販売/(株)アクロス〕)という映画を製作した。映画の題名は,有名な「ヒポクラテスの誓い」(註参照)に由来する言葉である。
映画は実話を基にしている。メリル・ストリープは3人の子の母親の役,夫は長距離トラックの運転手である。農場付きの家で一家5人平和に暮らしていたが,末っ子がてんかんのけいれん発作を初発した日を境に一家の生活は暗転する。型どおり薬剤によるコントロールが試みられるが,息子のてんかん治療に抵抗する。医師は次々と薬を変えるが,母親の目からは子どもは薬の副作用に苦しめられているようにしか見えない。やがて,夫の健康保険が失効していたことが判明し,子どもの医療費が大きな財政負担となってのしかかり,家のローン返済も滞る。
医師は,薬剤抵抗性のてんかんであるから,発作をコントロールするにはもはや脳外科手術をするしかないと言うが,事もなげに手術の後遺症を説明する医師に対し,メリル・ストリープは手術への同意をためらう。これまでの治療はことごとく無効であったばかりでなく,副作用を起こすばかりで子に害を成してきただけではないか。
主治医との闘い
メリル・ストリープは,てんかんのことをもっとよく知ろうと,図書館に通い,医学教科書を読み漁るようになる。ある教科書にてんかんの「ケトン食療法(ketogenic diet)」の有効性が書かれていたのを見つけ,メリル・ストリープは「手術の前にこの食事療法を試してください」と主治医に頼むが,「ケトン食療法は医学的に確立された治療法ではない。きちんとしたコントロールのもとでの臨床研究はされておられず,とても治療法として勧めることはできない」と,拒否される。手術を受ける以外にないというプレッシャーが日増しに強くなり,メリル・ストリープはケトン食療法を実施しているジョンズ・ホプキンス大学の小児神経医に予約を取り,子どもを病院から無断で連れ出そうとまで試みるが失敗する。主治医は,「医師の医学的勧めに従わないでいるのなら,州政府が親権を代行する手続きを取り手術を実施する」とメリル・ストリープを追いつめる。
しかし,子を思う母親の真情が,ついに「頭の硬い」医師を折れさせ,ケトン食療法を試みることに同意させる。「医師の同伴がない限り,患児に長時間の飛行機の旅をさせることを認めるわけにはいかない」と医師は条件をつけたが,友人の医師と看護婦が同行を申し出る。以前の予約をすっぽかしたまま予約もなしにジョンズ・ホプキンス大学の外来を訪れ,頼み込んだ挙句にケトン食療法が開始された。専任の栄養士が,懇切丁寧に食品を秤で計りながら指導する。外来での治療を受ける間は病院近くの修道院を宿としたが,男性の宿泊は本来御法度であるにもかかわらず,修道院は息子の滞在に目をつぶってくれた。治療は成功し,息子のてんかん発作は嘘のように消えてなくなる。
てんかんのケトン食療法は約3分の1の症例で著効するといわれているが,「しっかりとしたコントロールド・スタディによる医学的エビデンス(証拠)がない」と,てんかん治療の主流とはなっていない。この映画には,ケトン食療法によっててんかん発作が消失した患者たちが「役者」として何人も登場して,その「元気さ」を見せつけている。また,監督のジム・エイブラハムズ自身,息子のチャーリーが薬剤治療に抵抗するてんかんを患い,ケトン食療法の成功により手術を免れたという体験をしているだけに,非常にリアルで説得力のある映画となっている。メリル・ストリープは私生活では4人の子の母親であるが,子どもたちがチャーリーと同じ学校に通っていた関係で,友人としてエイブラハムズ家の苦闘をつぶさに見てきたという。
患者・家族による治療法の「発見」
子どもの親が自分で学習して子どもの病気の治療法を「見つける」という実話に基づいた映画としては,スーザン・サランドン,ニック・ノルティ主演の「ロレンツォのオイル」(1992年)もよく知られている。子どもが不治の先天性代謝疾患であり後2年の命だと言われた両親が,子どもを助ける手だてはないかとワシントンの国立図書館に通い詰め,生化学の教科書や文献を読み漁って新たな「治療法」を見出す話である。上述した「…first do no harm」では,医師対患者という対立関係のみが描かれているが,「ロレンツォのオイル」では,患者団体内部での親同士の対立,患者団体の顧問を務める医師(研究者)との対立が描かれる。
「素人に何がわかるか」という対応を医師が続けている間に,必死に勉強した患者・家族が病気の治療法を「発見」するというのが,これらの映画に共通したプロットであるが,患者や家族が自分や家族の病気について知りたいと思うことはきわめて当然の欲求である。
米国において患者・家族の自己学習が盛んとなったのは70年代に入ってからであるが,黒人梅毒患者を治療せずにその自然経過を観察するという非倫理的医学研究「タスケジー・スタディ」の曝露報道(1972年),女性運動のベストセラー「Our bodies, ourselves」(1973年)の出版が大きな影響を与えたといわれている。患者や家族の自己学習意欲が高まっている背景には,現代医療全般,とりわけ医師に対する強い不信感があると言わざるを得ない。
(この項つづく)
註:ギリシャ時代の医聖ヒポクラテスの手になる医療者の宣誓文で,医療倫理が高らかに謳いあげられている。英米の医学部では卒業生がこの誓いを読みあげることが長年の伝統となっている
沖縄の町田先生から、興味深いコメントを頂きました。
町田先生、ありがとうございます。
【13/03/08 町田
First Do No Harm
江部先生、おはようございます。
先生もご存知の映画「First Do No Harm」「誤診(邦題)」の冒頭に「裸の王様」を読み聞かせしているシーンがあります。
「自分の目を信じた」少年にだけは真実が見えた訳です。
この映画の冒頭2分間だけでも「裸の王様」となった医者・研究者に見て「考えて」もらいたいです】
邦題 メリルストリープ 誤診 ・・・ケトン食で、難治性てんかんが治癒
原題 「…first do no harm(何よりも害を成すなかれ)」1997年、リリース。
実話に基づいた、とても、よい映画です。
友人からDVDをプレゼントしてもらって見たのですが、涙腺が緩む場面が何度もあり、感動でした。
邦題の「誤診」というのは、誤解でして、原題の「…first do no harm(何よりも害を成すなかれ)」が、ぴったりです。
詳しい解説は、医学書院のサイトにあった、李 啓充 氏(マサチューセッツ総合病院内分泌部門,ハーバード大学助教授、1999当時)の記述を参考にしていただけば幸いです(*)。
「難治性小児てんかん」が診断名であり、当初に診察した守旧派の複数の医師は、別に誤診したわけではないのです。
誤診はしなかったけれど、従来の常識からの薬物治療を実施して、それが無効であるだけでなく、様々な副作用を引き起こしていきます。
性格が凶暴になったり、全身に皮疹がでたり、高熱が出たり、便秘・痔になったり・・・衰弱していきます。
ですが主治医は、
「従来の常識的な治療を実施しているだけなので、副作用はやむを得ない。しかしこれ以上の薬物療法は意味がないので脳の外科手術が最後の選択肢である。」
と強要してくるだけであり、ヒポクラテスの誓い「…first do no harm(何よりも害を成すなかれ)」とは、ほど遠い態度です。
ここに至り、メリル・ストリープ演ずる母親は、自分で図書館で「てんかんの治療」を必死で調べて、ジョン・ホプキンス大学の「ケトン食」に辿り着きます。
母親は主治医に、ケトン食治療をしたいので、ジョン・ホプキンス大学に転院したいというのですが、
「ケトン食療法はまだ症例報告だけで、確固たるエビデンスがない」
といって反対されます。
主治医の壁を、友人の医師と看護師の助けで突破して、なんとか、カンサスからボルチモアまで飛行機で移動します。
患児、母親、医師、看護師の4名でフライトです。
ジョン・ホプキンス大学を受診しますが、ベッッドが空いてないので、近くの修道院に母子で泊まり込んで、大学まで通って、ケトン食療法を開始することとなりました。
ジョン・ホプキンス大学の主治医は、てんかんの薬は中止して、普通の子供として対応してよいと、励ましてくれます。
絶食2日間のあと、ケトン食療法が始まり、てんかん発作は速やかにでなくなります。
3ヶ月間のケトン食で見違えるほど元気になった患児が、カンサスに帰って、愛馬に乗ってパレードに参加する場面で映画は終了していきます。
この子は、3年間のケトン食のあと、普通食に戻りましたが、二度とてんかんを再発することなく元気に過ごしているそうです。
小児難治性てんかんに対する「ケトン食」は、2010年にコクラン・ライブラリー、2011年に英国立医療技術評価機構に正式に採用されて、公的に認められました。
しかし1997年頃までは、守旧派による排除・妨害が当たり前のようにあったのでしょう。
糖質制限食と守旧派の対立も、同様にありますが、守旧派が真実を認めるまで何年かかるでしょうか?
江部康二
邦題 メリルストリープ 誤診
first do no harm(何よりも害を成すなかれ)」
購入、レンタルはTSUTAYA が安いです。
http://www.tsutaya.co.jp/works/10017000.html
(*)
医学書院
http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n1999dir/n2337dir/n2337_07.htm
第2337号 1999年5月10日
連載
アメリカ医療の光と影(5)
学習する患者たち(1)
李 啓充 (マサチューセッツ総合病院内分泌部門,ハーバード大学助教授)
“…first do no harm”
メリル・ストリープはアカデミー主演女優賞を2度獲得している大女優であるが,97年2月に「…first do no harm(何よりも害を成すなかれ)」(邦題「メリル・ストリープ誤診」〔ビデオ販売/(株)アクロス〕)という映画を製作した。映画の題名は,有名な「ヒポクラテスの誓い」(註参照)に由来する言葉である。
映画は実話を基にしている。メリル・ストリープは3人の子の母親の役,夫は長距離トラックの運転手である。農場付きの家で一家5人平和に暮らしていたが,末っ子がてんかんのけいれん発作を初発した日を境に一家の生活は暗転する。型どおり薬剤によるコントロールが試みられるが,息子のてんかん治療に抵抗する。医師は次々と薬を変えるが,母親の目からは子どもは薬の副作用に苦しめられているようにしか見えない。やがて,夫の健康保険が失効していたことが判明し,子どもの医療費が大きな財政負担となってのしかかり,家のローン返済も滞る。
医師は,薬剤抵抗性のてんかんであるから,発作をコントロールするにはもはや脳外科手術をするしかないと言うが,事もなげに手術の後遺症を説明する医師に対し,メリル・ストリープは手術への同意をためらう。これまでの治療はことごとく無効であったばかりでなく,副作用を起こすばかりで子に害を成してきただけではないか。
主治医との闘い
メリル・ストリープは,てんかんのことをもっとよく知ろうと,図書館に通い,医学教科書を読み漁るようになる。ある教科書にてんかんの「ケトン食療法(ketogenic diet)」の有効性が書かれていたのを見つけ,メリル・ストリープは「手術の前にこの食事療法を試してください」と主治医に頼むが,「ケトン食療法は医学的に確立された治療法ではない。きちんとしたコントロールのもとでの臨床研究はされておられず,とても治療法として勧めることはできない」と,拒否される。手術を受ける以外にないというプレッシャーが日増しに強くなり,メリル・ストリープはケトン食療法を実施しているジョンズ・ホプキンス大学の小児神経医に予約を取り,子どもを病院から無断で連れ出そうとまで試みるが失敗する。主治医は,「医師の医学的勧めに従わないでいるのなら,州政府が親権を代行する手続きを取り手術を実施する」とメリル・ストリープを追いつめる。
しかし,子を思う母親の真情が,ついに「頭の硬い」医師を折れさせ,ケトン食療法を試みることに同意させる。「医師の同伴がない限り,患児に長時間の飛行機の旅をさせることを認めるわけにはいかない」と医師は条件をつけたが,友人の医師と看護婦が同行を申し出る。以前の予約をすっぽかしたまま予約もなしにジョンズ・ホプキンス大学の外来を訪れ,頼み込んだ挙句にケトン食療法が開始された。専任の栄養士が,懇切丁寧に食品を秤で計りながら指導する。外来での治療を受ける間は病院近くの修道院を宿としたが,男性の宿泊は本来御法度であるにもかかわらず,修道院は息子の滞在に目をつぶってくれた。治療は成功し,息子のてんかん発作は嘘のように消えてなくなる。
てんかんのケトン食療法は約3分の1の症例で著効するといわれているが,「しっかりとしたコントロールド・スタディによる医学的エビデンス(証拠)がない」と,てんかん治療の主流とはなっていない。この映画には,ケトン食療法によっててんかん発作が消失した患者たちが「役者」として何人も登場して,その「元気さ」を見せつけている。また,監督のジム・エイブラハムズ自身,息子のチャーリーが薬剤治療に抵抗するてんかんを患い,ケトン食療法の成功により手術を免れたという体験をしているだけに,非常にリアルで説得力のある映画となっている。メリル・ストリープは私生活では4人の子の母親であるが,子どもたちがチャーリーと同じ学校に通っていた関係で,友人としてエイブラハムズ家の苦闘をつぶさに見てきたという。
患者・家族による治療法の「発見」
子どもの親が自分で学習して子どもの病気の治療法を「見つける」という実話に基づいた映画としては,スーザン・サランドン,ニック・ノルティ主演の「ロレンツォのオイル」(1992年)もよく知られている。子どもが不治の先天性代謝疾患であり後2年の命だと言われた両親が,子どもを助ける手だてはないかとワシントンの国立図書館に通い詰め,生化学の教科書や文献を読み漁って新たな「治療法」を見出す話である。上述した「…first do no harm」では,医師対患者という対立関係のみが描かれているが,「ロレンツォのオイル」では,患者団体内部での親同士の対立,患者団体の顧問を務める医師(研究者)との対立が描かれる。
「素人に何がわかるか」という対応を医師が続けている間に,必死に勉強した患者・家族が病気の治療法を「発見」するというのが,これらの映画に共通したプロットであるが,患者や家族が自分や家族の病気について知りたいと思うことはきわめて当然の欲求である。
米国において患者・家族の自己学習が盛んとなったのは70年代に入ってからであるが,黒人梅毒患者を治療せずにその自然経過を観察するという非倫理的医学研究「タスケジー・スタディ」の曝露報道(1972年),女性運動のベストセラー「Our bodies, ourselves」(1973年)の出版が大きな影響を与えたといわれている。患者や家族の自己学習意欲が高まっている背景には,現代医療全般,とりわけ医師に対する強い不信感があると言わざるを得ない。
(この項つづく)
註:ギリシャ時代の医聖ヒポクラテスの手になる医療者の宣誓文で,医療倫理が高らかに謳いあげられている。英米の医学部では卒業生がこの誓いを読みあげることが長年の伝統となっている
2013年03月10日 (日)
おはようございます。
3/9日(土)のNHKEテレ、
名医にQ、糖尿病②(2012年12月の再放送)において
河盛隆造先生が
①ステ-キを食べても血糖値は上昇する。
②糖質制限食は中性脂肪が上がる。
③最低でも150g/日の糖質は人体の活動に必要
と強調されたそうですが、生理学的事実とエビデンスにより、①②③は全て間違いです。
ゆきさん、名古屋・hさん、コメント・情報をありがとうございます。
確かに、糖質制限食を実践するときは、理解ある医師に相談することが望ましいですね。
しかし、
①
ステーキを食べても血糖は上昇しません。
ステーキに含まれるアミノ酸の中で、ロイシン、アルギニン、リジンは、 インスリンを分泌させます。
そして同時にグルカゴンも分泌させます。
インスリン分泌とグルカゴン分泌が、相殺されて、血糖値上昇はないのです。
2004年版のLife With Diabetes(米国糖尿病学会・ADA)には、
「食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わり、タンパク質・脂質は血糖に変わらない。」と明記されています。
糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。一方、蛋白質・脂質は、血糖値に影響をあたえません。(*)
1997年版のLife With Diabetesでは、
「タンパク質は3時間前後をピークに約半分が血糖に変わり、脂質は数時間から24時間で10%以下が血糖に変わる」
という記載がありますが、2004年版では削除されています。
2009年版Life With Diabetesも、2004年版と同様の見解を継続しています。
「吉岡成人先生は焼き肉を食べるとすぐには血糖値は上がらないが、後から血糖値が上昇すると述べられた」
1997年版のLife With Diabetesの記載のことを述べておられるようですね。
②
複数の信頼度の高いRCT研究論文により、糖質制限食で中性脂肪が下がることは証明されており、エビデンスがあります。
③
寝ている時は肝臓で、アミノ酸や乳酸やグリセロールからブドウ糖をつくります。
これを糖新生といいます。
必須アミノ酸、必須脂肪酸はありますが、必須糖質はありません。
糖質制限食で食後高血糖は改善しますが、低血糖にはなりません。上述の糖新生があるからです。
農耕前の人類のご先祖は、狩猟・採集が上手くいかないときは、1週間~2週間くらいの絶食はざらにあったと思いますが、普通に生きています。
(*)
Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines by the Michigan Diabetes Research and Training Center,American Diabetes Assoiation ,3rd Ed,2004
江部康二
【13/03/09 ゆき
タイトルなし
NHK教育TVの糖尿病の番組土曜、河盛さんは「糖質制限は今ブ‐ムになっています。ステ‐キを食べてもグルカゴンを刺激して血糖値はあがります、寝ている時に炭水化物が消費されるので、150gは必要です。だから糖質制限をする前に医師に相談して欲しいです」と言われてました。】
【13/03/09 名古屋・h
誤った見解の放送を繰り返すNHKの無神経
3/9日のNHKEテレ、名医にQ、糖尿病②(2012年12月の再放送とのこと)において、
河盛隆造先生は、①ステ-キを食べても血糖値は上昇する。②糖質制限食は中性脂肪が上がる。③最低でも150g/日の糖質は人体の活動に必要との見解を強調された。
また、吉岡成人先生は焼き肉を食べるとすぐには血糖値は上がらないが、後から血糖値が上昇すると述べられた。
全く事実と反する見解を盲信しているのか、または事実を知りながら故意に事実に反する見解を言い続けるかは知らないが、医者としては恥ずべきことと言わざるを得ない。
また、NHKがこのような放送を繰り返ことは、自ら公正性を放棄するものである。
NHKは大いに反省し、両先生の見解は事実に反するものであったことを訂正放送すべきであると思います。
名古屋・h】
3/9日(土)のNHKEテレ、
名医にQ、糖尿病②(2012年12月の再放送)において
河盛隆造先生が
①ステ-キを食べても血糖値は上昇する。
②糖質制限食は中性脂肪が上がる。
③最低でも150g/日の糖質は人体の活動に必要
と強調されたそうですが、生理学的事実とエビデンスにより、①②③は全て間違いです。
ゆきさん、名古屋・hさん、コメント・情報をありがとうございます。
確かに、糖質制限食を実践するときは、理解ある医師に相談することが望ましいですね。
しかし、
①
ステーキを食べても血糖は上昇しません。
ステーキに含まれるアミノ酸の中で、ロイシン、アルギニン、リジンは、 インスリンを分泌させます。
そして同時にグルカゴンも分泌させます。
インスリン分泌とグルカゴン分泌が、相殺されて、血糖値上昇はないのです。
2004年版のLife With Diabetes(米国糖尿病学会・ADA)には、
「食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わり、タンパク質・脂質は血糖に変わらない。」と明記されています。
糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。一方、蛋白質・脂質は、血糖値に影響をあたえません。(*)
1997年版のLife With Diabetesでは、
「タンパク質は3時間前後をピークに約半分が血糖に変わり、脂質は数時間から24時間で10%以下が血糖に変わる」
という記載がありますが、2004年版では削除されています。
2009年版Life With Diabetesも、2004年版と同様の見解を継続しています。
「吉岡成人先生は焼き肉を食べるとすぐには血糖値は上がらないが、後から血糖値が上昇すると述べられた」
1997年版のLife With Diabetesの記載のことを述べておられるようですね。
②
複数の信頼度の高いRCT研究論文により、糖質制限食で中性脂肪が下がることは証明されており、エビデンスがあります。
③
寝ている時は肝臓で、アミノ酸や乳酸やグリセロールからブドウ糖をつくります。
これを糖新生といいます。
必須アミノ酸、必須脂肪酸はありますが、必須糖質はありません。
糖質制限食で食後高血糖は改善しますが、低血糖にはなりません。上述の糖新生があるからです。
農耕前の人類のご先祖は、狩猟・採集が上手くいかないときは、1週間~2週間くらいの絶食はざらにあったと思いますが、普通に生きています。
(*)
Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines by the Michigan Diabetes Research and Training Center,American Diabetes Assoiation ,3rd Ed,2004
江部康二
【13/03/09 ゆき
タイトルなし
NHK教育TVの糖尿病の番組土曜、河盛さんは「糖質制限は今ブ‐ムになっています。ステ‐キを食べてもグルカゴンを刺激して血糖値はあがります、寝ている時に炭水化物が消費されるので、150gは必要です。だから糖質制限をする前に医師に相談して欲しいです」と言われてました。】
【13/03/09 名古屋・h
誤った見解の放送を繰り返すNHKの無神経
3/9日のNHKEテレ、名医にQ、糖尿病②(2012年12月の再放送とのこと)において、
河盛隆造先生は、①ステ-キを食べても血糖値は上昇する。②糖質制限食は中性脂肪が上がる。③最低でも150g/日の糖質は人体の活動に必要との見解を強調された。
また、吉岡成人先生は焼き肉を食べるとすぐには血糖値は上がらないが、後から血糖値が上昇すると述べられた。
全く事実と反する見解を盲信しているのか、または事実を知りながら故意に事実に反する見解を言い続けるかは知らないが、医者としては恥ずべきことと言わざるを得ない。
また、NHKがこのような放送を繰り返ことは、自ら公正性を放棄するものである。
NHKは大いに反省し、両先生の見解は事実に反するものであったことを訂正放送すべきであると思います。
名古屋・h】
2013年03月09日 (土)
おはようございます。
糖質こそが肥満の元凶です。
それは、糖質だけが血糖値を上昇させ、インスリンを大量に分泌させるからです。
脂質は、単独ではインスリンを全く分泌させませんし、血糖値も上げません。
実はインスリンは二重三重の肥満ホルモンです。
復習を兼ねて、生理学的に詳細に考察してみます。
脂肪細胞の周囲の毛細血管壁にあるLPL(リポタンパクリパーゼ)が活発になると、血中の中性脂肪を遊離脂肪酸とグリセロールに分解して、遊離脂肪酸を脂肪細胞内に取り込み中性脂肪に合成して蓄え太っていきます。
インスリンは脂肪細胞の周囲の毛細血管壁にあるLPLを活性化させるので、脂肪細胞内に中性脂肪を蓄える方向に働きます。
これに対してHSL(ホルモン感受性リパーゼ)は脂肪細胞内にあって、中性脂肪を遊離脂肪酸とグリセロールに分解して血中に放出させる作用があります。
まとめると、脂肪細胞の周囲の毛細血管壁にあるLPLは内部に中性脂肪を蓄えて太らせる働きがあり、脂肪細胞内のHSLは逆に内部の中性脂肪を分解して血中に放出させ、やせさせる働きがあります。
インスリンはLPLを活性化させ、HSLを抑制するので、インスリンが分泌されると太りやすいのです。
さらにインスリンは、GLUT4を介して余剰の血糖を脂肪細胞内に取り込み、中性脂肪に合成して蓄えます。
このように二重三重の肥満ホルモンがインスリンなのです。
インスリン注射をしている糖尿病患者はしばしば太ります。
『ジョスリン糖尿病学』には
「食物摂取とは無関係の、インスリンの脂肪組織への直接的な脂肪生成効果」
と説明されています。
ハーバード大学医学部元教授、ジョージ・ケーヒルは
「脂肪を操るインスリンを、炭水化物(糖質)が操る」
と述べています。
肥満のメカニズムは、インスリンによる脂肪蓄積であり、その血中濃度と総量が関係します。
そしてインスリンを大量に分泌させるのは糖質のみです。
結局、糖質の頻回・過剰摂取とそれによるインスリンの頻回・過剰分泌が肥満の元凶なのです。
最後にインスリンの名誉のために一言。
人類の歴史において、農耕開始前の700万年間、インスリンの卓越した中性脂肪合成能力は、飢餓に対する唯一のセーフティーネットである体脂肪蓄積に関して、極めて大きな役割を果たしていたことは忘れてはなりません。
時々手に入った果物など糖質が多い食材を食べたとき、インスリンがせっせと中性脂肪を蓄えてくれたからこそ、人類のご先祖は生き延びてきたのです。
農耕前の糖質が多い食材(果物、根茎など)は、中性脂肪を蓄えるための時々手に入る「ラッキー食材」だったのです。
インスリンの卓越した中性脂肪合成能力が、糖質過剰の現代は結果としてあだとなってしまったのですね。
本来、ラッキー食材であった糖質を、農耕後は穀物の獲得で日常的に摂取するようになりました。
特に、近年は生産力が増加して、過剰の糖質を1日数回摂取することが当たり前となり、そのことが世界中に肥満を蔓延させたと言えます。
江部康二
糖質こそが肥満の元凶です。
それは、糖質だけが血糖値を上昇させ、インスリンを大量に分泌させるからです。
脂質は、単独ではインスリンを全く分泌させませんし、血糖値も上げません。
実はインスリンは二重三重の肥満ホルモンです。
復習を兼ねて、生理学的に詳細に考察してみます。
脂肪細胞の周囲の毛細血管壁にあるLPL(リポタンパクリパーゼ)が活発になると、血中の中性脂肪を遊離脂肪酸とグリセロールに分解して、遊離脂肪酸を脂肪細胞内に取り込み中性脂肪に合成して蓄え太っていきます。
インスリンは脂肪細胞の周囲の毛細血管壁にあるLPLを活性化させるので、脂肪細胞内に中性脂肪を蓄える方向に働きます。
これに対してHSL(ホルモン感受性リパーゼ)は脂肪細胞内にあって、中性脂肪を遊離脂肪酸とグリセロールに分解して血中に放出させる作用があります。
まとめると、脂肪細胞の周囲の毛細血管壁にあるLPLは内部に中性脂肪を蓄えて太らせる働きがあり、脂肪細胞内のHSLは逆に内部の中性脂肪を分解して血中に放出させ、やせさせる働きがあります。
インスリンはLPLを活性化させ、HSLを抑制するので、インスリンが分泌されると太りやすいのです。
さらにインスリンは、GLUT4を介して余剰の血糖を脂肪細胞内に取り込み、中性脂肪に合成して蓄えます。
このように二重三重の肥満ホルモンがインスリンなのです。
インスリン注射をしている糖尿病患者はしばしば太ります。
『ジョスリン糖尿病学』には
「食物摂取とは無関係の、インスリンの脂肪組織への直接的な脂肪生成効果」
と説明されています。
ハーバード大学医学部元教授、ジョージ・ケーヒルは
「脂肪を操るインスリンを、炭水化物(糖質)が操る」
と述べています。
肥満のメカニズムは、インスリンによる脂肪蓄積であり、その血中濃度と総量が関係します。
そしてインスリンを大量に分泌させるのは糖質のみです。
結局、糖質の頻回・過剰摂取とそれによるインスリンの頻回・過剰分泌が肥満の元凶なのです。
最後にインスリンの名誉のために一言。
人類の歴史において、農耕開始前の700万年間、インスリンの卓越した中性脂肪合成能力は、飢餓に対する唯一のセーフティーネットである体脂肪蓄積に関して、極めて大きな役割を果たしていたことは忘れてはなりません。
時々手に入った果物など糖質が多い食材を食べたとき、インスリンがせっせと中性脂肪を蓄えてくれたからこそ、人類のご先祖は生き延びてきたのです。
農耕前の糖質が多い食材(果物、根茎など)は、中性脂肪を蓄えるための時々手に入る「ラッキー食材」だったのです。
インスリンの卓越した中性脂肪合成能力が、糖質過剰の現代は結果としてあだとなってしまったのですね。
本来、ラッキー食材であった糖質を、農耕後は穀物の獲得で日常的に摂取するようになりました。
特に、近年は生産力が増加して、過剰の糖質を1日数回摂取することが当たり前となり、そのことが世界中に肥満を蔓延させたと言えます。
江部康二
2013年03月08日 (金)
こんにちは。
本日は、精神科医医師Aさんからコメントいただいた興味深い研究を記事にしました。
精神科医医師Aさん、ありがとうございます。
[JACC]という日本の大規模なコホート研究で、
「女性では,総脂質,飽和脂肪酸,一価不飽和脂肪酸,多価不飽和脂肪酸のいずれについても,摂取量が多いほど死亡リスクが低下する有意な関連がみとめられた。」
と報告されました。
つまり、「女性では、脂質の摂取量が多いほど死亡リスクが低下」ということです。
医学用語で難しい表現だと「女性では,脂質の摂取量と全死亡リスクが負の相関」となります。
この結論、私達、スーパー糖質制限食推進派にとっては、
大変好ましいものですね。
何と言っても、スーパー糖質制限食は、低糖質・高脂肪・高蛋白食になりますから。
「男女とも総脂質摂取量の多い人では・・・BMIが低く・・・」
これも、私達、糖質セイゲニストからすれば、当たり前のことなのですが、NHKクローズアップ現代「沖縄の短命化」(2013.3.5)に出演して、「脂肪が肥満のもと」と述べていた守旧派の医師達に是非、知って欲しい事実ですね。
JACCのこの研究は、40~79歳の58672人を平均16.5年間追跡ですから、人数も年数も申し分なくて信頼度が高い研究と言えます。
江部康二
[JACC]
女性では,脂質の摂取量と全死亡リスクが負の相関
発表者: 名古屋大学・若井 建志 氏 (2013年1月25(金))
目的: 厚生労働省による「日本人の食事摂取基準」における脂質の適正な摂取量は,国民健康・栄養調査における分布から便宜的に決められているにすぎない。そこで,大規模コホート研究により,脂質摂取量と全死亡リスクとの関連を検討した。
コホート・手法: JACC Study参加者のうち,食物摂取頻度調査により脂質摂取量の推定が可能であった40~79歳の58672人を平均16.5年間追跡。(JACCへ)
結果: 男女とも総脂質摂取量の多い人では,野菜・果物の摂取量が多く,教育年数が長く,BMIが低く,喫煙者が少ない傾向がみられた。男性では総脂質摂取量は年齢と正の相関,女性では負の相関を示した。
脂質摂取量と全死亡リスクとの関連をみると,男性では,総脂質,飽和脂肪酸,一価不飽和脂肪酸のいずれについても有意な関連はみられず,多価不飽和脂肪酸については摂取量と死亡リスクが正に関連する傾向がみられた(P=0.074)。
女性では,総脂質,飽和脂肪酸,一価不飽和脂肪酸,多価不飽和脂肪酸のいずれについても,摂取量が多いほど死亡リスク(多変量調整)が低下する有意な関連がみとめられた(すべてP<0.05)。
女性の全死亡ハザード比がもっとも低くなる総脂質摂取量(%エネルギー)は現在,「日本人の食事摂取基準(2010年版)」で30歳以上の脂質摂取目標量として掲げられている20~25%よりも高い,27%と推算された。
☆☆☆JACCの概略
JACC
場所:日本全国の45地区(1988年開始時)
北海道: 3町,東北: 5町,:関東: 5町,中部: 1市3町 2村,近畿: 8町 2村,
中国: 1市 1町,九州: 4市 9町 1村
開始年:1988年
対象:対象地区に居住する40~79歳の男女。
登録数:110792例(男性46465例,女性64327例)
調査項目:既往歴,手術歴,輸血歴,家族既往歴,健康状態(便通,睡眠時間,ビタミン剤の服用,運動習慣),血液検査,検診受診状況と検診への関心,食物摂取頻度,飲料摂取頻度,飲酒習慣,喫煙習慣,受動喫煙,就労状況,身体状況・生育地,生活態度,婚姻歴,子供の数,(女性のみ)生殖歴・子宮がん/乳がん検診
参考:J Epidemiol. 2005; 15 Suppl 1: S4-8.
JACC ホームページ http://www.aichi-med-u.ac.jp/jacc/index.html
JACC Study (文部科学省科学研究費がん特定領域大規模コホート研究,Japan Collaborative Cohort Study)は,がんをはじめとする病気と日本人の生活習慣との関連を明らかにすることを目的とした,全国規模の研究。
輸血歴がある人では脳卒中および冠動脈疾患による死亡リスクが高くなるという驚くべき結果を,世界で初めて明らかにした。
そのほかにも,緑茶やコーヒーの摂取と糖尿病リスク,交代勤務状況と循環器疾患死亡,両親の死亡時年齢と本人の死亡との関連など,他にはないユニークな成果が数多く発表されている。
本日は、精神科医医師Aさんからコメントいただいた興味深い研究を記事にしました。
精神科医医師Aさん、ありがとうございます。
[JACC]という日本の大規模なコホート研究で、
「女性では,総脂質,飽和脂肪酸,一価不飽和脂肪酸,多価不飽和脂肪酸のいずれについても,摂取量が多いほど死亡リスクが低下する有意な関連がみとめられた。」
と報告されました。
つまり、「女性では、脂質の摂取量が多いほど死亡リスクが低下」ということです。
医学用語で難しい表現だと「女性では,脂質の摂取量と全死亡リスクが負の相関」となります。
この結論、私達、スーパー糖質制限食推進派にとっては、
大変好ましいものですね。
何と言っても、スーパー糖質制限食は、低糖質・高脂肪・高蛋白食になりますから。
「男女とも総脂質摂取量の多い人では・・・BMIが低く・・・」
これも、私達、糖質セイゲニストからすれば、当たり前のことなのですが、NHKクローズアップ現代「沖縄の短命化」(2013.3.5)に出演して、「脂肪が肥満のもと」と述べていた守旧派の医師達に是非、知って欲しい事実ですね。
JACCのこの研究は、40~79歳の58672人を平均16.5年間追跡ですから、人数も年数も申し分なくて信頼度が高い研究と言えます。
江部康二
[JACC]
女性では,脂質の摂取量と全死亡リスクが負の相関
発表者: 名古屋大学・若井 建志 氏 (2013年1月25(金))
目的: 厚生労働省による「日本人の食事摂取基準」における脂質の適正な摂取量は,国民健康・栄養調査における分布から便宜的に決められているにすぎない。そこで,大規模コホート研究により,脂質摂取量と全死亡リスクとの関連を検討した。
コホート・手法: JACC Study参加者のうち,食物摂取頻度調査により脂質摂取量の推定が可能であった40~79歳の58672人を平均16.5年間追跡。(JACCへ)
結果: 男女とも総脂質摂取量の多い人では,野菜・果物の摂取量が多く,教育年数が長く,BMIが低く,喫煙者が少ない傾向がみられた。男性では総脂質摂取量は年齢と正の相関,女性では負の相関を示した。
脂質摂取量と全死亡リスクとの関連をみると,男性では,総脂質,飽和脂肪酸,一価不飽和脂肪酸のいずれについても有意な関連はみられず,多価不飽和脂肪酸については摂取量と死亡リスクが正に関連する傾向がみられた(P=0.074)。
女性では,総脂質,飽和脂肪酸,一価不飽和脂肪酸,多価不飽和脂肪酸のいずれについても,摂取量が多いほど死亡リスク(多変量調整)が低下する有意な関連がみとめられた(すべてP<0.05)。
女性の全死亡ハザード比がもっとも低くなる総脂質摂取量(%エネルギー)は現在,「日本人の食事摂取基準(2010年版)」で30歳以上の脂質摂取目標量として掲げられている20~25%よりも高い,27%と推算された。
☆☆☆JACCの概略
JACC
場所:日本全国の45地区(1988年開始時)
北海道: 3町,東北: 5町,:関東: 5町,中部: 1市3町 2村,近畿: 8町 2村,
中国: 1市 1町,九州: 4市 9町 1村
開始年:1988年
対象:対象地区に居住する40~79歳の男女。
登録数:110792例(男性46465例,女性64327例)
調査項目:既往歴,手術歴,輸血歴,家族既往歴,健康状態(便通,睡眠時間,ビタミン剤の服用,運動習慣),血液検査,検診受診状況と検診への関心,食物摂取頻度,飲料摂取頻度,飲酒習慣,喫煙習慣,受動喫煙,就労状況,身体状況・生育地,生活態度,婚姻歴,子供の数,(女性のみ)生殖歴・子宮がん/乳がん検診
参考:J Epidemiol. 2005; 15 Suppl 1: S4-8.
JACC ホームページ http://www.aichi-med-u.ac.jp/jacc/index.html
JACC Study (文部科学省科学研究費がん特定領域大規模コホート研究,Japan Collaborative Cohort Study)は,がんをはじめとする病気と日本人の生活習慣との関連を明らかにすることを目的とした,全国規模の研究。
輸血歴がある人では脳卒中および冠動脈疾患による死亡リスクが高くなるという驚くべき結果を,世界で初めて明らかにした。
そのほかにも,緑茶やコーヒーの摂取と糖尿病リスク,交代勤務状況と循環器疾患死亡,両親の死亡時年齢と本人の死亡との関連など,他にはないユニークな成果が数多く発表されている。
2013年03月07日 (木)
こんにちは
神経内科医のtagashuu さんからNHKクローズアップ現代「沖縄の短命化」特集へのコメントをいただきました。
tagashuu さん、ありがとうございます。
「ドーパミン回路を回して中毒性をもたらすのは高脂肪ではなく,高糖質なのです」
私もtagashuu さんのご意見に賛成です。
江部康二
【13/03/06 tagashuu
常識を見直さなければならない
tagashuu@大学病院神経内科医です.
遅ればせながら先日のNHKクローズアップ現代「沖縄の短命化」特集の全文テキストを読んでみました.
「脂肪悪玉説」,「カロリー神話」という従来の常識から脱却できないためにあらゆる専門職が誤った解釈をしてしまっています.
その中で特に気になった内容がありました.以下に転載します.
『アメリカで報告されたある研究成果に今、注目が集まっています。
脂肪のとり過ぎが体に悪いと分かっていてもついつい食べてしまうのはなぜなのか。
その驚くべきメカニズムが分かってきたのです。
研究リーダーのジーン・ジャック・ワンさんです。
高脂肪食をとり続けて肥満した人の脳を詳しく調べました。
通常、人が物を食べると、脳内ではドーパミンという物質が放出されます。
これがD2受容体と呼ばれる受け皿でキャッチされると、やがて満足感を感じて食欲が収まります。
ワンさんは、高脂肪食をとり続けた人たちの脳にあるD2受容体の量を調べました。
これは健常な人の脳の断面を上から見たものです。
D2受容体の多い場所が赤く示されています。
一方、こちらは高脂肪食を食べ続けている人の脳。
赤い部分が大幅に小さくなっています。
D2受容体が、およそ20%も少なくなっていたのです。
高脂肪の食事は、脳内に大量のドーパミンを放出させます。
過剰な興奮を抑えるためにD2受容体が減ったと考えられます。
D2受容体が減った脳は少量のドーパミンでは満足感を得られません。
そこで、ますます高脂肪の食事をとり続けてしまうのです。』
違うのです.事実はそうであっても正しい解釈はそうではないのです.
ドーパミン回路を回して中毒性をもたらすのは高脂肪ではなく,高糖質なのです.
高脂肪摂取者と紹介されている人は同時に高糖質も摂取されているから中毒性が形成されてしまうのです.
これは自分が糖質制限食をしているからよくわかることです.糖質を過剰に摂取していたころの私は明らかに食べ過ぎで,食欲を自制することができませんでした.
しかし今は糖質制限食の実践により空腹感が容易にコントロールできるようになっており,誰に指示されるでもなく自然と1日1~2食程度に落ち着いています.今糖質制限食という「高脂肪食」を食べているにも関わらずです.この現象は上述の研究者の解釈では説明できません.
また糖質は自己流の表現をさせて頂くと「脂肪回路opener」の役割をしています.
糖質は飢餓の時代に生き延びるために,効率的に脂肪を取り込む働きをしていました.
つまり糖質を制限している状況ではたとえ脂肪がたくさん入ってきても肝臓がうまく調節して脂肪過剰にはなりませんが,糖質を普通にとっている状況下で脂肪をたくさんとってしまうとその脂肪がどんどん体内に取り込まれてしまう回路が開いてしまうのです.
上記の研究者の方は賢い方なのでしょうが,「脂肪が悪である」という従来の常識が頭から離れない故に,得られた結果を誤った解釈として報告してしまっています.
この研究者だけでなく,専門家も統計学者も栄養士も同じ「脂肪を減らすべき」という誤った方向性で考えてしまっています.
これは糖質制限食を学んでいなければまったく気が付かないことでした.
いかに知識があっても,柔軟力がなければ大きな過ちをおかしてしまうよい例だと思います.
お医者さんは頭がいいからお医者さんの言うことは間違いない」と思ってはいけません.
専門医だからといってそれだけで盲信してはいけません.
大事なのは自分で考える力です.事実を検証する力です.それは必ずしも学力と比例しません.教科書に書いていることがすべてではありません.
今ある常識を見直せなければ,日本(世界)はとんでもない方向に進んでしまう,と強い危機感を感じる話題でした.】
神経内科医のtagashuu さんからNHKクローズアップ現代「沖縄の短命化」特集へのコメントをいただきました。
tagashuu さん、ありがとうございます。
「ドーパミン回路を回して中毒性をもたらすのは高脂肪ではなく,高糖質なのです」
私もtagashuu さんのご意見に賛成です。
江部康二
【13/03/06 tagashuu
常識を見直さなければならない
tagashuu@大学病院神経内科医です.
遅ればせながら先日のNHKクローズアップ現代「沖縄の短命化」特集の全文テキストを読んでみました.
「脂肪悪玉説」,「カロリー神話」という従来の常識から脱却できないためにあらゆる専門職が誤った解釈をしてしまっています.
その中で特に気になった内容がありました.以下に転載します.
『アメリカで報告されたある研究成果に今、注目が集まっています。
脂肪のとり過ぎが体に悪いと分かっていてもついつい食べてしまうのはなぜなのか。
その驚くべきメカニズムが分かってきたのです。
研究リーダーのジーン・ジャック・ワンさんです。
高脂肪食をとり続けて肥満した人の脳を詳しく調べました。
通常、人が物を食べると、脳内ではドーパミンという物質が放出されます。
これがD2受容体と呼ばれる受け皿でキャッチされると、やがて満足感を感じて食欲が収まります。
ワンさんは、高脂肪食をとり続けた人たちの脳にあるD2受容体の量を調べました。
これは健常な人の脳の断面を上から見たものです。
D2受容体の多い場所が赤く示されています。
一方、こちらは高脂肪食を食べ続けている人の脳。
赤い部分が大幅に小さくなっています。
D2受容体が、およそ20%も少なくなっていたのです。
高脂肪の食事は、脳内に大量のドーパミンを放出させます。
過剰な興奮を抑えるためにD2受容体が減ったと考えられます。
D2受容体が減った脳は少量のドーパミンでは満足感を得られません。
そこで、ますます高脂肪の食事をとり続けてしまうのです。』
違うのです.事実はそうであっても正しい解釈はそうではないのです.
ドーパミン回路を回して中毒性をもたらすのは高脂肪ではなく,高糖質なのです.
高脂肪摂取者と紹介されている人は同時に高糖質も摂取されているから中毒性が形成されてしまうのです.
これは自分が糖質制限食をしているからよくわかることです.糖質を過剰に摂取していたころの私は明らかに食べ過ぎで,食欲を自制することができませんでした.
しかし今は糖質制限食の実践により空腹感が容易にコントロールできるようになっており,誰に指示されるでもなく自然と1日1~2食程度に落ち着いています.今糖質制限食という「高脂肪食」を食べているにも関わらずです.この現象は上述の研究者の解釈では説明できません.
また糖質は自己流の表現をさせて頂くと「脂肪回路opener」の役割をしています.
糖質は飢餓の時代に生き延びるために,効率的に脂肪を取り込む働きをしていました.
つまり糖質を制限している状況ではたとえ脂肪がたくさん入ってきても肝臓がうまく調節して脂肪過剰にはなりませんが,糖質を普通にとっている状況下で脂肪をたくさんとってしまうとその脂肪がどんどん体内に取り込まれてしまう回路が開いてしまうのです.
上記の研究者の方は賢い方なのでしょうが,「脂肪が悪である」という従来の常識が頭から離れない故に,得られた結果を誤った解釈として報告してしまっています.
この研究者だけでなく,専門家も統計学者も栄養士も同じ「脂肪を減らすべき」という誤った方向性で考えてしまっています.
これは糖質制限食を学んでいなければまったく気が付かないことでした.
いかに知識があっても,柔軟力がなければ大きな過ちをおかしてしまうよい例だと思います.
お医者さんは頭がいいからお医者さんの言うことは間違いない」と思ってはいけません.
専門医だからといってそれだけで盲信してはいけません.
大事なのは自分で考える力です.事実を検証する力です.それは必ずしも学力と比例しません.教科書に書いていることがすべてではありません.
今ある常識を見直せなければ,日本(世界)はとんでもない方向に進んでしまう,と強い危機感を感じる話題でした.】
2013年03月06日 (水)
こんにちは。
中年サムライさんから、沖縄の短命化について、コメントいただきました。
中年サムライさん、糖質制限食をご自身で実践されて、効果を実感されてその後患者さんにも指導され、感謝されているとのこと、良かったです。
沖縄の短命化には興味があるので、その内記事にしたいと思います。
とりあえず、沖縄が男性も長命だった昭和47年の統計では、獣鳥肉類摂取が100g/日を超えていて、当時の日本平均の倍くらいでした。
短命化し始めてからは、日本の内地の食事内容にどんどん接近しているのが、統計上、明らかです。
今は内地の食事内容と沖縄とほとんど一緒です。
沖縄の食生活変化と長寿についての
意識に関する分析(pdf)
http://nodaiweb.university.jp/noukei/pdf/NSO110_08.pdf
そしてアメリカでは、30年間、脂肪摂取比率は減り続け、糖質摂取比率は増え続けて、肥満倍増です。
以下は、全米健康調査のデータです。
1971 → 2000
脂質 36.9 32.8%
糖質 42.4 49.0%
肥満率 14.5 30.9%
江部康二
【13/03/05 中年サムライ
本日のNHK
昨年から実践して、効果を実感し、患者さんにも多く指導して感謝されています。
本日のクローズアップ現代で「沖縄県民寿命の短命化」についての報道がありました。
確かに、以前の長寿県から急速に寿命の悪化していることは知っていたのですが。
相変わらず、NHKの切り口は、アメリカナイズ、高カロリー、高脂肪食というものだけでした。
何か、切り口の足りないような、、、、、
どうしても、近年のアメリカの肥満増加を高カロリー、高脂肪食と片づけてしまう傾向があるのでしょうか?】
中年サムライさんから、沖縄の短命化について、コメントいただきました。
中年サムライさん、糖質制限食をご自身で実践されて、効果を実感されてその後患者さんにも指導され、感謝されているとのこと、良かったです。
沖縄の短命化には興味があるので、その内記事にしたいと思います。
とりあえず、沖縄が男性も長命だった昭和47年の統計では、獣鳥肉類摂取が100g/日を超えていて、当時の日本平均の倍くらいでした。
短命化し始めてからは、日本の内地の食事内容にどんどん接近しているのが、統計上、明らかです。
今は内地の食事内容と沖縄とほとんど一緒です。
沖縄の食生活変化と長寿についての
意識に関する分析(pdf)
http://nodaiweb.university.jp/noukei/pdf/NSO110_08.pdf
そしてアメリカでは、30年間、脂肪摂取比率は減り続け、糖質摂取比率は増え続けて、肥満倍増です。
以下は、全米健康調査のデータです。
1971 → 2000
脂質 36.9 32.8%
糖質 42.4 49.0%
肥満率 14.5 30.9%
江部康二
【13/03/05 中年サムライ
本日のNHK
昨年から実践して、効果を実感し、患者さんにも多く指導して感謝されています。
本日のクローズアップ現代で「沖縄県民寿命の短命化」についての報道がありました。
確かに、以前の長寿県から急速に寿命の悪化していることは知っていたのですが。
相変わらず、NHKの切り口は、アメリカナイズ、高カロリー、高脂肪食というものだけでした。
何か、切り口の足りないような、、、、、
どうしても、近年のアメリカの肥満増加を高カロリー、高脂肪食と片づけてしまう傾向があるのでしょうか?】
2013年03月05日 (火)
こんにちは。
ままっち さんから
「妊娠糖尿病、糖質制限食でインスリンなしで、無事出産」
という、嬉しいコメントをいただきました。
ままっち さん、出産おめでとうございます。
自然分娩で元気な赤ちゃん、良かったですね。
婦人科主治医や栄養士さんも、よく話し合ってくれて、好ましいスタンスです。
糖質制限食で血糖管理と体重管理はとても楽に行えるので、主治医もおおいに助かったと思いますよ。
出産後数ヶ月経ってのOGTTが境界型ですね。
これくらいなら、少し緩やかな糖質制限食でもOKですね。
妊娠前の健康診断ではいつもHDLは70台、LDLは高いときでも100台
産後前回:HDL138、LDL400オーバー(!)
産後今回:HDL135、LDL300
HDLの増え方も、LDLの増え方も、かなりのものですね。
一番考えられるのは、もともと肉食が少なくて菜食とかが多かった人が、スーパー糖質制限を実践した場合です。
肉食が少なくて菜食が多い食生活だと、食事由来のコレステロールが少量なので、肝臓が沢山コレステロールを生産します。
このとき、妊娠糖尿病と診断されて、糖質制限食を実践した場合、しばらくの間は肝臓で沢山コレステロールを生産したまま、食事からのコレステロールが多く入ってくるので、合わせると、LDL400とかもありえます。
まあ、1年、2年、3年と糖質制限食を続けていけば、肝臓でのコレステロール産生が減少して、もとのデータに戻ると思います。
もし、主治医があんまり心配されるようなら、スタチンではなくて、ゼチーアがお奨めです。
ゼチーアは食事由来のコレステロールの吸収を抑制するので、ままっち さんのような場合は、劇的な効果がありますし、副作用もほとんどありません。
江部康二
【13/03/05 ままっち。
ありがとうございました!《出産報告とナゾ》
まずはじめに、江部先生ありがとうございました!
昨秋にご助言いただきました、ままっちです。
たいへん遅くなりましたが、無事出産いたしましたので、お礼とご報告をさせていただきます(*^^*)
75g OGTTで、1時間2時間ともに高血糖値をだし、主治医からも「食事ではムリだと思う。インスリン注射じゃないと。」と言われましたが、糖質制限食にて回避できました。結果的に妊娠中、体重は2kg増。ケトン、糖質制限食については主治医とは意見が違いましたが、餅は餅や…わたしは医師ではありませんので、方向性は違えど、毎回主治医さん、栄養師さんとよく話し合い、意見も取り入れて食事を微妙に変えたりしてケトンを+1〜3で推移させたり…笑
血糖値を安定させた上で、この妊娠出産が、全体でなんとなーくでいいので(?)まるく収まるようにがんばりましたσ^_^;)
結果的にそれがよかったのか、自然分娩で、なにより、赤ちゃんになんの影響もでなかったことに感謝です!!(分娩後にカンガルーケアをしながら、赤ちゃんは血糖値を2時間モニタリング)
そして産後数ヶ月たったいま、OGTT再実施を受けたところ、境界型との診断でした。妊娠中もいまもA1cは5%代、空腹時血糖値は70〜80台ですが、糖負荷後は高いです。ただ、1時間で200オーバーでも2時間値が170と下がるようになりました。
この結果は覚悟のうえだったのでヨカッタ!と思えさえするのですが、問題はコレステロールです。
産後前回:HDL138、LDL400オーバー(!)
産後今回:HDL135、LDL300
…(O_O)唖然としました。ちなみに、妊娠前の健康診断ではいつもHDLは70台、LDLは高いときでも100台でした。
今回、甲状腺も調べましたが異常なし。主治医さんもウーン…というかんじで。即薬レベルと前回言われたのですが、またちょっと待ってもらい、今回は糖質制限食のままですが、一部内容を変えてみたところ2ヶ月でLDLが100下がりました。(それでも、モッのすご〜い高い値でトホホです)
おそらく、もしかして、もしかすると、体質的にスーパーはあわないのかも?なのでしょうか??
人体は摩訶不思議、糖質制限もテーラーメイドなものだと、いまつくづく実感しています(^◇^;)
解決したい!というのはムリなような気がしますが、個人的な好奇心ではありますが、江部先生のご意見を伺えたらとても嬉しいです♪
よろしくお願いいたしますm(_ _)m 】
ままっち さんから
「妊娠糖尿病、糖質制限食でインスリンなしで、無事出産」
という、嬉しいコメントをいただきました。
ままっち さん、出産おめでとうございます。
自然分娩で元気な赤ちゃん、良かったですね。
婦人科主治医や栄養士さんも、よく話し合ってくれて、好ましいスタンスです。
糖質制限食で血糖管理と体重管理はとても楽に行えるので、主治医もおおいに助かったと思いますよ。
出産後数ヶ月経ってのOGTTが境界型ですね。
これくらいなら、少し緩やかな糖質制限食でもOKですね。
妊娠前の健康診断ではいつもHDLは70台、LDLは高いときでも100台
産後前回:HDL138、LDL400オーバー(!)
産後今回:HDL135、LDL300
HDLの増え方も、LDLの増え方も、かなりのものですね。
一番考えられるのは、もともと肉食が少なくて菜食とかが多かった人が、スーパー糖質制限を実践した場合です。
肉食が少なくて菜食が多い食生活だと、食事由来のコレステロールが少量なので、肝臓が沢山コレステロールを生産します。
このとき、妊娠糖尿病と診断されて、糖質制限食を実践した場合、しばらくの間は肝臓で沢山コレステロールを生産したまま、食事からのコレステロールが多く入ってくるので、合わせると、LDL400とかもありえます。
まあ、1年、2年、3年と糖質制限食を続けていけば、肝臓でのコレステロール産生が減少して、もとのデータに戻ると思います。
もし、主治医があんまり心配されるようなら、スタチンではなくて、ゼチーアがお奨めです。
ゼチーアは食事由来のコレステロールの吸収を抑制するので、ままっち さんのような場合は、劇的な効果がありますし、副作用もほとんどありません。
江部康二
【13/03/05 ままっち。
ありがとうございました!《出産報告とナゾ》
まずはじめに、江部先生ありがとうございました!
昨秋にご助言いただきました、ままっちです。
たいへん遅くなりましたが、無事出産いたしましたので、お礼とご報告をさせていただきます(*^^*)
75g OGTTで、1時間2時間ともに高血糖値をだし、主治医からも「食事ではムリだと思う。インスリン注射じゃないと。」と言われましたが、糖質制限食にて回避できました。結果的に妊娠中、体重は2kg増。ケトン、糖質制限食については主治医とは意見が違いましたが、餅は餅や…わたしは医師ではありませんので、方向性は違えど、毎回主治医さん、栄養師さんとよく話し合い、意見も取り入れて食事を微妙に変えたりしてケトンを+1〜3で推移させたり…笑
血糖値を安定させた上で、この妊娠出産が、全体でなんとなーくでいいので(?)まるく収まるようにがんばりましたσ^_^;)
結果的にそれがよかったのか、自然分娩で、なにより、赤ちゃんになんの影響もでなかったことに感謝です!!(分娩後にカンガルーケアをしながら、赤ちゃんは血糖値を2時間モニタリング)
そして産後数ヶ月たったいま、OGTT再実施を受けたところ、境界型との診断でした。妊娠中もいまもA1cは5%代、空腹時血糖値は70〜80台ですが、糖負荷後は高いです。ただ、1時間で200オーバーでも2時間値が170と下がるようになりました。
この結果は覚悟のうえだったのでヨカッタ!と思えさえするのですが、問題はコレステロールです。
産後前回:HDL138、LDL400オーバー(!)
産後今回:HDL135、LDL300
…(O_O)唖然としました。ちなみに、妊娠前の健康診断ではいつもHDLは70台、LDLは高いときでも100台でした。
今回、甲状腺も調べましたが異常なし。主治医さんもウーン…というかんじで。即薬レベルと前回言われたのですが、またちょっと待ってもらい、今回は糖質制限食のままですが、一部内容を変えてみたところ2ヶ月でLDLが100下がりました。(それでも、モッのすご〜い高い値でトホホです)
おそらく、もしかして、もしかすると、体質的にスーパーはあわないのかも?なのでしょうか??
人体は摩訶不思議、糖質制限もテーラーメイドなものだと、いまつくづく実感しています(^◇^;)
解決したい!というのはムリなような気がしますが、個人的な好奇心ではありますが、江部先生のご意見を伺えたらとても嬉しいです♪
よろしくお願いいたしますm(_ _)m 】
2013年03月04日 (月)
こんにちは。
2013年3月1日(金)18:00〜19:30
〒904-2195 沖縄県沖縄市知花6丁目25番15号
ちばなクリニック4階ちばなホールにて、医療関係者対象の糖質制限食講演会を行いました。
ちばなクリニック健康管理センター長 町田 宏 先生 のお招きにより、講演会が実現しました。
町田先生、ありがとうございました。
ちばなクリニックは、中頭(なかがみ)病院の兄弟クリニッックです。
当日は、医師を中心に120名を超える参加者があり、満員御礼の大盛況でした。
質疑応答も活発になされました。
ちばなクリニックや中頭病院の先生方は勿論のこと、沖縄県立中部病院や近隣の病院の先生方も多数参加され、嬉しい限りでした。
沖縄徳州会こくらクリニックの渡辺信幸先生も駆けつけて頂きました。
渡辺先生、ありがとうございました。
すでにご自身が糖質制限食を実践されている医師も多く、医学界への糖質制限食の広がりを実感することができました。
3月1日(土)の夜は、町田先生、渡辺先生達と一緒に糖質制限中華食堂「グルメエッセンス」で、糖質制限フルコースをいただきました。
町田先生、ご馳走様でした。
グルメエッセンスの小浜尚仙シェフ渾身の糖質制限食フルコース、とても美味しかったです。
堪能しました。
1)前菜5種盛り合わせ
奥武島産もずく酢、車海老の紹興酒漬け、サーモンとクリームチーズの冷や奴風、ゴーヤーピクルス、おもろアグーステーキ
2)パリパリ広東鶏 糖質制限餃子
3)ザーサイとキノコの玉子春巻き
4)中華風らふてーふすまパン包み
5)ぐるくんの鎮江黒酢ソース
6)酸辛豆腐麺
7)ココアチーズアイス
総糖質量:16.7g
で、糖質制限0Kフルコースでした。
店名 糖質制限中華食堂 グルメエッセンス
電話 098-885-8750
住所 〒902-0061 沖縄県那覇市古島1-16-1 上地アパートB棟1F
アクセス ゆいレール古島駅 徒歩3分
営業時間
ランチ 火~金 11:30~15:00(L.O.14:45)
ディナー 火~土 17:00~22:00(L.O.21:45)
ランチ 土・日 11:30~15:30(L.O.15:15)
町田先生からコメントをいただきました。
【13/03/04 町田
ご講演ありがとうございました
江部先生
この度は沖縄までご足労頂きありがとうございました。
どれくらい集まるか心配でしたが多くの方々に御集まりいただき感謝しています。
肥満・糖尿に関して現在の「常識」といわれるカロリー制限(プラス薬物療法)に疑問を持っている医療関係者が決して少数ではないという事の証ではないかと思います。
実際に自ら糖質制限を実行されている医師はその効果を実感・実証しています。
江部先生のご講演に参加された方々は「糖質制限」の効果・可能性に自信を深めたと思います。
江部先生、渡辺先生、小浜シェフ そして講演会に参加された皆さん、ありがとうございました。】
2013年3月1日(金)18:00〜19:30
〒904-2195 沖縄県沖縄市知花6丁目25番15号
ちばなクリニック4階ちばなホールにて、医療関係者対象の糖質制限食講演会を行いました。
ちばなクリニック健康管理センター長 町田 宏 先生 のお招きにより、講演会が実現しました。
町田先生、ありがとうございました。
ちばなクリニックは、中頭(なかがみ)病院の兄弟クリニッックです。
当日は、医師を中心に120名を超える参加者があり、満員御礼の大盛況でした。
質疑応答も活発になされました。
ちばなクリニックや中頭病院の先生方は勿論のこと、沖縄県立中部病院や近隣の病院の先生方も多数参加され、嬉しい限りでした。
沖縄徳州会こくらクリニックの渡辺信幸先生も駆けつけて頂きました。
渡辺先生、ありがとうございました。
すでにご自身が糖質制限食を実践されている医師も多く、医学界への糖質制限食の広がりを実感することができました。
3月1日(土)の夜は、町田先生、渡辺先生達と一緒に糖質制限中華食堂「グルメエッセンス」で、糖質制限フルコースをいただきました。
町田先生、ご馳走様でした。
グルメエッセンスの小浜尚仙シェフ渾身の糖質制限食フルコース、とても美味しかったです。
堪能しました。
1)前菜5種盛り合わせ
奥武島産もずく酢、車海老の紹興酒漬け、サーモンとクリームチーズの冷や奴風、ゴーヤーピクルス、おもろアグーステーキ
2)パリパリ広東鶏 糖質制限餃子
3)ザーサイとキノコの玉子春巻き
4)中華風らふてーふすまパン包み
5)ぐるくんの鎮江黒酢ソース
6)酸辛豆腐麺
7)ココアチーズアイス
総糖質量:16.7g
で、糖質制限0Kフルコースでした。
店名 糖質制限中華食堂 グルメエッセンス
電話 098-885-8750
住所 〒902-0061 沖縄県那覇市古島1-16-1 上地アパートB棟1F
アクセス ゆいレール古島駅 徒歩3分
営業時間
ランチ 火~金 11:30~15:00(L.O.14:45)
ディナー 火~土 17:00~22:00(L.O.21:45)
ランチ 土・日 11:30~15:30(L.O.15:15)
町田先生からコメントをいただきました。
【13/03/04 町田
ご講演ありがとうございました
江部先生
この度は沖縄までご足労頂きありがとうございました。
どれくらい集まるか心配でしたが多くの方々に御集まりいただき感謝しています。
肥満・糖尿に関して現在の「常識」といわれるカロリー制限(プラス薬物療法)に疑問を持っている医療関係者が決して少数ではないという事の証ではないかと思います。
実際に自ら糖質制限を実行されている医師はその効果を実感・実証しています。
江部先生のご講演に参加された方々は「糖質制限」の効果・可能性に自信を深めたと思います。
江部先生、渡辺先生、小浜シェフ そして講演会に参加された皆さん、ありがとうございました。】