2013年01月31日 (木)
おはようございます。
第47回日本成人病(生活習慣病)学会(2013. 1. 15)での能登先生の発表に関する日経メディカルの記事の抜粋が、下記の緑字の文章です。
朝日新聞(2013.1.27)に載った「糖質制限ダイエット、長期は危険?」という記事と同じ発表です。
4コホート研究(6サブグループ)のメタアナリシス。
糖質の割合を高い(60~70%)群に対する低い(30~40%)群のリスク比。
メタアナリシスの、対象者は27万2216人(女性66%、追跡期間5~26年)。
総死亡数は1万5981人。
糖質の割合が低い(30~40%)群と高い(60~70%)群を比較した結果、
総死亡リスクは低糖質群で31%、有意に増加した。
結局、能登論文は中糖質群で総死亡率が上がったという結論です。
2010年に『アナルス・インターナル・メディスン』に発表された論文があります。(Annals of Internal Medicine 2010,153,289-298)
内容の抜粋が下記の青字です。
ハーバード大学の研究者によるコホート研究で、女性8万5千人を26年間、男性4万5千人を20年間追跡し、やはり高糖質食と中糖質食でそう死亡率を比較しています。
その結果、高糖質食のグループに比べて中糖質食のグループのほうが心血管死もがんによる死亡も有意に増えたとしています。
研究では、中糖質グループの総カロリーにおける糖質割合は35.2~37.4%であり、糖質制限食とは言えない範囲です。
がん死亡が増えたのは、動物性食品が多い人だけであり、植物性食品の摂取の多い人では低糖質のグループほど心血管死が減少しており、がん死亡に対するリスクの上昇も見られていません。
この研究も、能登先生のメタ解析と同様、
「中糖質食において動物性食品の摂取が多いと心血管死とがん死亡リスクが上昇する」
という結論ですが、スーパ糖質制限食(糖質12%)に関しては、何も証明してはいないことになります。
糖質30~40%の中糖質食は、「高インスリン血症」「食後高血糖」という明確な「発ガンリスク」「動脈硬化リスク」を改善していないのが、糖質12%のスーパー糖質制限食との大きな違いです。
スーパー糖質制限食なら「高インスリン血症」「食後高血糖」という明確な「発ガンリスク」「動脈硬化リスク」が、改善します。
『アナルス・インターナル・メディスン』の論文を参考にするならば、中糖質食の場合は、動物性食品を控えて植物性食品を増やすなら、心血管死は減少し、がん死亡リスク上昇もありません。
結局、緩い糖質制限食(中糖質食)を実践する場合は、赤身の肉を減らして魚貝やササミを増やし、葉野菜や大豆製品はしっかり摂り、オリーブオイルやエゴマ油で脂質も摂取してエネルギー確保というのが無難かもしれませんね。
勿論、スーパー糖質制限食実践中の私は、11年間、肉、魚、何でも気にせずに食べています。
江部康二
第47回日本成人病(生活習慣病)学会(2013. 1. 15)での能登先生の発表に関する日経メディカルの記事の抜粋が、下記の緑字の文章です。
朝日新聞(2013.1.27)に載った「糖質制限ダイエット、長期は危険?」という記事と同じ発表です。
4コホート研究(6サブグループ)のメタアナリシス。
糖質の割合を高い(60~70%)群に対する低い(30~40%)群のリスク比。
メタアナリシスの、対象者は27万2216人(女性66%、追跡期間5~26年)。
総死亡数は1万5981人。
糖質の割合が低い(30~40%)群と高い(60~70%)群を比較した結果、
総死亡リスクは低糖質群で31%、有意に増加した。
結局、能登論文は中糖質群で総死亡率が上がったという結論です。
2010年に『アナルス・インターナル・メディスン』に発表された論文があります。(Annals of Internal Medicine 2010,153,289-298)
内容の抜粋が下記の青字です。
ハーバード大学の研究者によるコホート研究で、女性8万5千人を26年間、男性4万5千人を20年間追跡し、やはり高糖質食と中糖質食でそう死亡率を比較しています。
その結果、高糖質食のグループに比べて中糖質食のグループのほうが心血管死もがんによる死亡も有意に増えたとしています。
研究では、中糖質グループの総カロリーにおける糖質割合は35.2~37.4%であり、糖質制限食とは言えない範囲です。
がん死亡が増えたのは、動物性食品が多い人だけであり、植物性食品の摂取の多い人では低糖質のグループほど心血管死が減少しており、がん死亡に対するリスクの上昇も見られていません。
この研究も、能登先生のメタ解析と同様、
「中糖質食において動物性食品の摂取が多いと心血管死とがん死亡リスクが上昇する」
という結論ですが、スーパ糖質制限食(糖質12%)に関しては、何も証明してはいないことになります。
糖質30~40%の中糖質食は、「高インスリン血症」「食後高血糖」という明確な「発ガンリスク」「動脈硬化リスク」を改善していないのが、糖質12%のスーパー糖質制限食との大きな違いです。
スーパー糖質制限食なら「高インスリン血症」「食後高血糖」という明確な「発ガンリスク」「動脈硬化リスク」が、改善します。
『アナルス・インターナル・メディスン』の論文を参考にするならば、中糖質食の場合は、動物性食品を控えて植物性食品を増やすなら、心血管死は減少し、がん死亡リスク上昇もありません。
結局、緩い糖質制限食(中糖質食)を実践する場合は、赤身の肉を減らして魚貝やササミを増やし、葉野菜や大豆製品はしっかり摂り、オリーブオイルやエゴマ油で脂質も摂取してエネルギー確保というのが無難かもしれませんね。
勿論、スーパー糖質制限食実践中の私は、11年間、肉、魚、何でも気にせずに食べています。
江部康二
2013年01月30日 (水)
こんにちは。
リーベさんから、糖質制限食の研究論文についてコメント・質問をいただきました。
【13/01/30 りーべ
求められる研究の実験設定
こんにちは。
いつも拝見しております。
こうしたコメントに関して反論をするためには、糖質制限食(炭水化物12%)を実施している人々を被験者とした大規模研究が欲しいところですが、 もし、そうした研究を行うとした場合には、どうした実験設定が考えられるか、ご意見を伺いたいのですが。
たとえば、2型糖尿病の人を被験者として、 毎日の糖質摂取量(+摂取熱量)を記録してもらい 定期的な検査指標(HA1cなど)の経過を記録 それによって糖質制限食の有効性を評価することが出来るのではないかと考えるのですが、その場合で足りない部分や注意点などとしてどういったものが考えられるでしょう。
思考実験に近いのですが、 公平に評価できるだろう、という実験系をお教え頂けないでしょうか。
よろしくお願いします。】
リーベさん。
現在の医学界では、EBMが重視されます。
evidence based medhicine(根拠に基づいた医学)→略してEBM
EBMにおいて最も信頼度が高いとされているのが、RCT研究(無作為割り付け臨床試験)論文です。
朝日新聞に載ったコホート研究よりは信頼度は高いです。
EBMの視点からは、糖質制限食が、中性脂肪・HDLコレステロール・肥満改善効果があるとする信頼度の高いRCT研究論文が、少なくとも3つあります。
ちなみに、この件に関して、カロリー制限食に有利な信頼度の高いRCT研究論文は皆無です。
1)ニューイングランドジャーナル(DIRECTという論文)
•イスラエルの322人(男性86%)
•(1)低脂肪食(カロリー制限あり)
•(2)オリーブ油の地中海食(カロリー制限あり)
•(3)低炭水化物食(カロリー制限なし)
•3グループの食事法を2年間比較検討
糖質制限食が最も体重を減少させ、HDL-Cを増加させた。2年間の研究。
低脂肪・カロリー制限食に比し、糖質制限食が中性脂肪も低下させた。
LDLコレステロールは3者で優位差が出なかった。
Iris Shai,et all:Weight Loss with a Low-Carbohydrate,Mediterranean,or Low-Fat Diet. NENGLJ MED JULY17,2008、VOL359. NO.3 229-241
2)米国医師会雑誌、JAMA(AtoZ studyという論文)
•アトキンス、ゾーン、ラーン、オーニッシュダイエットのそれぞれの1年間の体重減少効果などをみた。
•311人の女性を上記4グループに分けて追跡。
これら4種のダイエット法は、いずれも米国でポピュラーなもの。
•アトキンスは低炭水化物食、ラーンとオーニッシュは高炭水化物、低脂肪食、ゾーンは炭水化物40%
糖質制限食が最も体重を減少させ、HDL-Cを増加させ、中性脂肪を改善させた。1年間の研究。
Comparison of the Atkins, Zone, Ornish, and LEARN Diets for Change in Weight and Related Risk Factors Among Overweight Premenopausal Women
The A TO Z Weight Loss Study: A Randomized Trial ,JAMA297:969-977
3)「低炭水化物食」と「低脂質・低カロリー食」を比較したRCT論文のメタアナリシス
•体重減少、中性脂肪減少、HDL-C増加は低炭水化物食が低脂質・低カロリー食に比し有効。13の電子データベースの2000年1月~2007年3月の低炭水化物食と低脂質食比較RCTを解析。
Systematic review of randomized controlled trials of low-carbohydrate vs. low-fat/low-calorie diets in the management of obesity and its comorbidities M. Hession,et all
Obesity Reviews Volume 10, Issue 1, pages 36–50, January 2009
(国際肥満研究連合の公式ジャーナル)
ニューイングランド・ジャーナルとJAMAは、インパクト・ファクターが最も高い医学雑誌です。
Obesity Reviews(国際肥満研究連合の公式ジャーナル)のインパクトファクターも高いです。
すなわち、信頼度が大変高い医学雑誌に掲載されたRCT研究論文において、糖質制限食が、低脂肪・カロリー制限食などに比べて優位差を持って、中性脂肪・HDLコレステロール・肥満改善効果があることが証明されました。
江部康二
リーベさんから、糖質制限食の研究論文についてコメント・質問をいただきました。
【13/01/30 りーべ
求められる研究の実験設定
こんにちは。
いつも拝見しております。
こうしたコメントに関して反論をするためには、糖質制限食(炭水化物12%)を実施している人々を被験者とした大規模研究が欲しいところですが、 もし、そうした研究を行うとした場合には、どうした実験設定が考えられるか、ご意見を伺いたいのですが。
たとえば、2型糖尿病の人を被験者として、 毎日の糖質摂取量(+摂取熱量)を記録してもらい 定期的な検査指標(HA1cなど)の経過を記録 それによって糖質制限食の有効性を評価することが出来るのではないかと考えるのですが、その場合で足りない部分や注意点などとしてどういったものが考えられるでしょう。
思考実験に近いのですが、 公平に評価できるだろう、という実験系をお教え頂けないでしょうか。
よろしくお願いします。】
リーベさん。
現在の医学界では、EBMが重視されます。
evidence based medhicine(根拠に基づいた医学)→略してEBM
EBMにおいて最も信頼度が高いとされているのが、RCT研究(無作為割り付け臨床試験)論文です。
朝日新聞に載ったコホート研究よりは信頼度は高いです。
EBMの視点からは、糖質制限食が、中性脂肪・HDLコレステロール・肥満改善効果があるとする信頼度の高いRCT研究論文が、少なくとも3つあります。
ちなみに、この件に関して、カロリー制限食に有利な信頼度の高いRCT研究論文は皆無です。
1)ニューイングランドジャーナル(DIRECTという論文)
•イスラエルの322人(男性86%)
•(1)低脂肪食(カロリー制限あり)
•(2)オリーブ油の地中海食(カロリー制限あり)
•(3)低炭水化物食(カロリー制限なし)
•3グループの食事法を2年間比較検討
糖質制限食が最も体重を減少させ、HDL-Cを増加させた。2年間の研究。
低脂肪・カロリー制限食に比し、糖質制限食が中性脂肪も低下させた。
LDLコレステロールは3者で優位差が出なかった。
Iris Shai,et all:Weight Loss with a Low-Carbohydrate,Mediterranean,or Low-Fat Diet. NENGLJ MED JULY17,2008、VOL359. NO.3 229-241
2)米国医師会雑誌、JAMA(AtoZ studyという論文)
•アトキンス、ゾーン、ラーン、オーニッシュダイエットのそれぞれの1年間の体重減少効果などをみた。
•311人の女性を上記4グループに分けて追跡。
これら4種のダイエット法は、いずれも米国でポピュラーなもの。
•アトキンスは低炭水化物食、ラーンとオーニッシュは高炭水化物、低脂肪食、ゾーンは炭水化物40%
糖質制限食が最も体重を減少させ、HDL-Cを増加させ、中性脂肪を改善させた。1年間の研究。
Comparison of the Atkins, Zone, Ornish, and LEARN Diets for Change in Weight and Related Risk Factors Among Overweight Premenopausal Women
The A TO Z Weight Loss Study: A Randomized Trial ,JAMA297:969-977
3)「低炭水化物食」と「低脂質・低カロリー食」を比較したRCT論文のメタアナリシス
•体重減少、中性脂肪減少、HDL-C増加は低炭水化物食が低脂質・低カロリー食に比し有効。13の電子データベースの2000年1月~2007年3月の低炭水化物食と低脂質食比較RCTを解析。
Systematic review of randomized controlled trials of low-carbohydrate vs. low-fat/low-calorie diets in the management of obesity and its comorbidities M. Hession,et all
Obesity Reviews Volume 10, Issue 1, pages 36–50, January 2009
(国際肥満研究連合の公式ジャーナル)
ニューイングランド・ジャーナルとJAMAは、インパクト・ファクターが最も高い医学雑誌です。
Obesity Reviews(国際肥満研究連合の公式ジャーナル)のインパクトファクターも高いです。
すなわち、信頼度が大変高い医学雑誌に掲載されたRCT研究論文において、糖質制限食が、低脂肪・カロリー制限食などに比べて優位差を持って、中性脂肪・HDLコレステロール・肥満改善効果があることが証明されました。
江部康二
2013年01月29日 (火)
こんにちは。
高雄病院Dr江部が食べている「糖質制限」ダイエット 1ヵ月献立レシピ109
講談社 2013年1月25日 発売

のご案内です。
本書は、江部康二が実際に毎日食べているメニューを1ヶ月間密着して、徹底的に取材し、それを公開したものです。
内食、外食、旅行食、コンビニ、レストラン、ファミレス、すき家・・・全て網羅してあります。
何だか、個人情報だだ漏れで、気恥ずかしい企画なのでかなり抵抗したのですが、講談社の谷山涼葉さんに、しっかり押し切られました。( ̄_ ̄|||)
1984 年34 才の時、高雄病院給食に玄米魚菜食を導入し、私自身も開始しました。
肉や油は控えて、魚を中心にし野菜や豆腐をしっかり食べていわゆるヘルシーな食生活を心掛けました。
ところが、40過ぎくらいから徐々にお腹がでてきて、52 才の時、とうとうメタボリック症候群の基準をしっかり満たしてしまい、さらに糖尿病も発覚しました。
2002年、身長167cm、体重67kg、腹囲87cm、HbA1C6.7%と糖尿病の域に達しており、胚芽米を食べて2時間後の血糖値を測定してみると260mg/dl。
血糖値を上昇させにくい玄米で実験してみても食後血糖値は240mg/dlでほんの少し減少しただけでした。
このとき、即座にスーパー糖質制限食を開始して半年で、体重は57kgでBMIは20・44、となり、学生時代の体重に戻りました。
そして糖尿病関係のデータも全て正常となりました。その後63歳の現在までスーパー糖質制限食を続けて体型はキープしています。
スーパー糖質制限食実践で、魚、肉、豆腐、葉野菜などは満腹するまでしっかり食べているので我慢したりひもじい思いは全くありません。(^^)
カロリー計算もしていませんし、焼酎などのお酒も毎日飲んでいます。
ヘルシーな食生活だったはずなのですが、糖質を普通に摂取してメタボ・糖尿病になった体験が今の私に反面教師として生きています。
本書は、江部康二が実際に毎日食べているメニューを1ヶ月間密着して、徹底的に取材し、それを公開したものです。
内食、外食、旅行食・・・全て網羅してあります。
それでは11年間続けている江部康二のスーパー糖質制限な1ヶ月メニューをどうぞ。
本書がブログ読者の皆さんのお役に立てば幸いです。 (^_^)
江部康二
高雄病院Dr江部が食べている「糖質制限」ダイエット 1ヵ月献立レシピ109
講談社 2013年1月25日 発売

のご案内です。
本書は、江部康二が実際に毎日食べているメニューを1ヶ月間密着して、徹底的に取材し、それを公開したものです。
内食、外食、旅行食、コンビニ、レストラン、ファミレス、すき家・・・全て網羅してあります。
何だか、個人情報だだ漏れで、気恥ずかしい企画なのでかなり抵抗したのですが、講談社の谷山涼葉さんに、しっかり押し切られました。( ̄_ ̄|||)
1984 年34 才の時、高雄病院給食に玄米魚菜食を導入し、私自身も開始しました。
肉や油は控えて、魚を中心にし野菜や豆腐をしっかり食べていわゆるヘルシーな食生活を心掛けました。
ところが、40過ぎくらいから徐々にお腹がでてきて、52 才の時、とうとうメタボリック症候群の基準をしっかり満たしてしまい、さらに糖尿病も発覚しました。
2002年、身長167cm、体重67kg、腹囲87cm、HbA1C6.7%と糖尿病の域に達しており、胚芽米を食べて2時間後の血糖値を測定してみると260mg/dl。
血糖値を上昇させにくい玄米で実験してみても食後血糖値は240mg/dlでほんの少し減少しただけでした。
このとき、即座にスーパー糖質制限食を開始して半年で、体重は57kgでBMIは20・44、となり、学生時代の体重に戻りました。
そして糖尿病関係のデータも全て正常となりました。その後63歳の現在までスーパー糖質制限食を続けて体型はキープしています。
スーパー糖質制限食実践で、魚、肉、豆腐、葉野菜などは満腹するまでしっかり食べているので我慢したりひもじい思いは全くありません。(^^)
カロリー計算もしていませんし、焼酎などのお酒も毎日飲んでいます。
ヘルシーな食生活だったはずなのですが、糖質を普通に摂取してメタボ・糖尿病になった体験が今の私に反面教師として生きています。
本書は、江部康二が実際に毎日食べているメニューを1ヶ月間密着して、徹底的に取材し、それを公開したものです。
内食、外食、旅行食・・・全て網羅してあります。
それでは11年間続けている江部康二のスーパー糖質制限な1ヶ月メニューをどうぞ。
本書がブログ読者の皆さんのお役に立てば幸いです。 (^_^)
江部康二
2013年01月28日 (月)
こんにちは
朝日新聞に、「糖質制限ダイエット、長期は危険?」という以下の記事が載りましたので、解説及び反論します。
『糖質制限ダイエット、長期は危険? 死亡率高まる恐れ
朝日新聞デジタル 1月27日(日)11時59分配信
【桜井林太郎】ご飯やパンなどの糖質を控える「糖質制限食(ダイエット)」を5年以上続けると、死亡率が高くなるかもしれないとする解析結果を、国立国際医療研究センター病院糖尿病・代謝・内分泌科の能登洋医長らが26日、米科学誌プロスワンで発表した。死亡率が高まる理由はよく分かっていない。
糖質制限食は「低炭水化物ダイエット」などとも呼ばれ、短期的には減量や血糖値の改善につながるという報告が出ているが、長く続けても安全かははっきりしていない。能登さんらは昨年9月12日までに発表された糖質制限食に関する492の医学論文から動物実験などを除き、人間での経過を5年以上追跡して死亡率などを調べた海外9論文を分析した。
対象は、とくに病気がない地域住民や医療スタッフら計約27万人。摂取した総カロリーに占める糖質の割合に応じて10のグループに分けた。』
この朝日新聞記事の、能登洋医長の論文は、中糖質群(糖質30~40%)と高糖質群(糖質60~70%)の比較研究です。
従いまして、スーパー糖質制限食(糖質12%)とは、何の関係もない論文です。
第47回日本成人病(生活習慣病)学会での能登先生の発表に関する日経メディカルの記事が、下記の緑字の文章です。朝日新聞よりかなり詳しいのでこちらも掲載します。
4コホート研究(6サブグループ)のメタアナリシス。
糖質の割合を高い(60~70%)群に対する低い(30~40%)群のリスク比。
メタアナリシスの、対象者は27万2216人(女性66%、追跡期間5~26年)。
総死亡数は1万5981人。
糖質の割合が低い(30~40%)群と高い(60~70%)群を比較した結果、
総死亡リスクは低糖質群で31%、有意に増加した。
結局、このメタアナリシスは、高糖質群(60~70%)と中糖質群(30~40%)の比較であり、糖質制限食(糖質12%)の群はどこにも登場しません。
中糖質群で、例えば2000kcal/日摂取したら、糖質は150~200g/日
1回の食事の糖質量は50~66gであり、追加インスリンの大量分泌が生じます。食後高血糖も生じます。
インスリンの過剰分泌に発ガンリスク、動脈硬化リスクがあることには、多くのエビデンスがあります。
そして食後高血糖にも発ガンリスク、動脈硬化リスクのエビデンスがあります。
すなわち中糖質食では、発ガンリスクや動脈硬化リスクは減らせないということが言えます。
スーパー糖質制限食(糖質12%)なら、インスリン過剰分泌と食後高血糖という明確な発ガンリスクと動脈硬化リスクが、ほとんど生じないという大きな利点があります。
結論としては中糖質群(30~40%)は高糖質群(60~70%)と比べて、総死亡率が優位に増加したという研究です。
中糖質群(30~40%)では、「インスリン過剰分泌」「食後高血糖」という発ガンリスク、動脈硬化リスクがあり、
そこに結果としてさらに高脂肪・高タンパク食を摂取するパターンは、総死亡率が上昇する可能性があるということになるでしょうか?
Drカルピンチョのご意見では、
『「中糖質食(30~40%)+高脂肪食」のパターンは「異所性脂肪沈着」を容易に生じて、それが総死亡率を上げる』とのことです。
http://低糖質.com/review/cat31/post_150.html
なかなか説得力のある仮説ですね。
こうなると、緩い糖質制限食(中糖質食)実践時には、脂肪の取り過ぎに注意が必要かもしれませんね。
スーパー糖質制限食なら、そのような心配はまったく無用です。
江部康二
【2013. 1. 15
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/hotnews/int/201301/528564.html
第47回日本成人病(生活習慣病)学会より
糖質制限食の長期的効用は認められず
メタ解析の結果、総死亡リスク増加の懸念も
井田恭子=日経メディカル
関連ジャンル: 食事・栄養 糖尿病
糖質制限食について長期的な効用は認めず、むしろ死亡リスクが有意に増加する。こんなメタアナリシスの結果を1月12日、国立国際医療研究センター病院糖尿病・代謝・内分泌科医長の能登洋氏が第47回日本成人病(生活習慣病)学会で発表した。
近年、減量法や糖尿病治療として炭水化物の摂取量を減らす糖質制限食が注目されている。数週間~数年間の減量や動脈硬化リスクファクター改善の有効性が示唆されているものの、長期的なアウトカムや安全性については明らかになっていない。能登氏らは、MedLine、EMBASEなどの検索エンジンを用いて、“low-carbohydrate diet”や“carbohydrate-restricted diet”などのキーワードで関連する研究を選択し、メタアナリシスを行った。
図1 低糖質群の総死亡リスク (能登氏発表資料より) 4コホート研究(6サブグループ)のメタアナリシスの結果。糖質の割合をLCスコアでスコア化し、高い(60~70%)群に対する低い(30~40%)群のリスク比を求めた。*画像クリックで拡大します。
メタアナリシスの対象として選択された論文は全9件で、対象者は27万2216人(女性66%、追跡期間5~26年)。総死亡数は1万5981人だった。
総カロリーに占める糖質の割合をスコア化し(low-carbohydrate score;LCスコア)、糖質の割合が低い(30~40%)群と高い(60~70%)群を比較した結果、総死亡リスクは低糖質群で31%、有意に増加した(調整リスク比の95%信頼区間は1.07-1.59、図1)。「低糖質・高蛋白質」群と「高糖質・低蛋白質」群を比較した結果(LC/HPスコア)でも、前者で総死亡リスクは22%、有意に増加(同1.02-1.46)。糖質制限食による長期的な効用は認めなかった。
心血管疾患死については低糖質群で10%増加したが、有意差は認めなかった(同0.98-1.24)。また、心血管疾患発症リスクはLCスコアでの検討では有意差はなく、LC/HPスコアで検討していた1文献では有意差を認めていた。
結果について能登氏は、「糖質制限食をし好する人は、脂肪や動物性蛋白質の摂取量が高値となる傾向にあり、総死亡の増加への関与が想定される」と話した。ただし、「今回の検討では糖質の特徴や蛋白質源などの影響は加味されていない。これらの解析を含む長期介入研究が必要だ」とした。
今回検討した論文は、いずれも一般人や医療者を対象にした試験であり、糖尿病患者への影響は不明だ。糖尿病患者の中には医師に告げずに糖質制限食を実践し、血糖コントロールに影響を及ぼしているケースもある。能登氏は「今回の検討結果から糖質制限食に対して賛成・反対は言い切れない。しかし、薬物治療を行っている患者では低血糖リスクも鑑み、バランスよく食事を摂取することの大切さを伝える必要があるのではないか」と話している。】
朝日新聞に、「糖質制限ダイエット、長期は危険?」という以下の記事が載りましたので、解説及び反論します。
『糖質制限ダイエット、長期は危険? 死亡率高まる恐れ
朝日新聞デジタル 1月27日(日)11時59分配信
【桜井林太郎】ご飯やパンなどの糖質を控える「糖質制限食(ダイエット)」を5年以上続けると、死亡率が高くなるかもしれないとする解析結果を、国立国際医療研究センター病院糖尿病・代謝・内分泌科の能登洋医長らが26日、米科学誌プロスワンで発表した。死亡率が高まる理由はよく分かっていない。
糖質制限食は「低炭水化物ダイエット」などとも呼ばれ、短期的には減量や血糖値の改善につながるという報告が出ているが、長く続けても安全かははっきりしていない。能登さんらは昨年9月12日までに発表された糖質制限食に関する492の医学論文から動物実験などを除き、人間での経過を5年以上追跡して死亡率などを調べた海外9論文を分析した。
対象は、とくに病気がない地域住民や医療スタッフら計約27万人。摂取した総カロリーに占める糖質の割合に応じて10のグループに分けた。』
この朝日新聞記事の、能登洋医長の論文は、中糖質群(糖質30~40%)と高糖質群(糖質60~70%)の比較研究です。
従いまして、スーパー糖質制限食(糖質12%)とは、何の関係もない論文です。
第47回日本成人病(生活習慣病)学会での能登先生の発表に関する日経メディカルの記事が、下記の緑字の文章です。朝日新聞よりかなり詳しいのでこちらも掲載します。
4コホート研究(6サブグループ)のメタアナリシス。
糖質の割合を高い(60~70%)群に対する低い(30~40%)群のリスク比。
メタアナリシスの、対象者は27万2216人(女性66%、追跡期間5~26年)。
総死亡数は1万5981人。
糖質の割合が低い(30~40%)群と高い(60~70%)群を比較した結果、
総死亡リスクは低糖質群で31%、有意に増加した。
結局、このメタアナリシスは、高糖質群(60~70%)と中糖質群(30~40%)の比較であり、糖質制限食(糖質12%)の群はどこにも登場しません。
中糖質群で、例えば2000kcal/日摂取したら、糖質は150~200g/日
1回の食事の糖質量は50~66gであり、追加インスリンの大量分泌が生じます。食後高血糖も生じます。
インスリンの過剰分泌に発ガンリスク、動脈硬化リスクがあることには、多くのエビデンスがあります。
そして食後高血糖にも発ガンリスク、動脈硬化リスクのエビデンスがあります。
すなわち中糖質食では、発ガンリスクや動脈硬化リスクは減らせないということが言えます。
スーパー糖質制限食(糖質12%)なら、インスリン過剰分泌と食後高血糖という明確な発ガンリスクと動脈硬化リスクが、ほとんど生じないという大きな利点があります。
結論としては中糖質群(30~40%)は高糖質群(60~70%)と比べて、総死亡率が優位に増加したという研究です。
中糖質群(30~40%)では、「インスリン過剰分泌」「食後高血糖」という発ガンリスク、動脈硬化リスクがあり、
そこに結果としてさらに高脂肪・高タンパク食を摂取するパターンは、総死亡率が上昇する可能性があるということになるでしょうか?
Drカルピンチョのご意見では、
『「中糖質食(30~40%)+高脂肪食」のパターンは「異所性脂肪沈着」を容易に生じて、それが総死亡率を上げる』とのことです。
http://低糖質.com/review/cat31/post_150.html
なかなか説得力のある仮説ですね。
こうなると、緩い糖質制限食(中糖質食)実践時には、脂肪の取り過ぎに注意が必要かもしれませんね。
スーパー糖質制限食なら、そのような心配はまったく無用です。
江部康二
【2013. 1. 15
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/hotnews/int/201301/528564.html
第47回日本成人病(生活習慣病)学会より
糖質制限食の長期的効用は認められず
メタ解析の結果、総死亡リスク増加の懸念も
井田恭子=日経メディカル
関連ジャンル: 食事・栄養 糖尿病
糖質制限食について長期的な効用は認めず、むしろ死亡リスクが有意に増加する。こんなメタアナリシスの結果を1月12日、国立国際医療研究センター病院糖尿病・代謝・内分泌科医長の能登洋氏が第47回日本成人病(生活習慣病)学会で発表した。
近年、減量法や糖尿病治療として炭水化物の摂取量を減らす糖質制限食が注目されている。数週間~数年間の減量や動脈硬化リスクファクター改善の有効性が示唆されているものの、長期的なアウトカムや安全性については明らかになっていない。能登氏らは、MedLine、EMBASEなどの検索エンジンを用いて、“low-carbohydrate diet”や“carbohydrate-restricted diet”などのキーワードで関連する研究を選択し、メタアナリシスを行った。
図1 低糖質群の総死亡リスク (能登氏発表資料より) 4コホート研究(6サブグループ)のメタアナリシスの結果。糖質の割合をLCスコアでスコア化し、高い(60~70%)群に対する低い(30~40%)群のリスク比を求めた。*画像クリックで拡大します。
メタアナリシスの対象として選択された論文は全9件で、対象者は27万2216人(女性66%、追跡期間5~26年)。総死亡数は1万5981人だった。
総カロリーに占める糖質の割合をスコア化し(low-carbohydrate score;LCスコア)、糖質の割合が低い(30~40%)群と高い(60~70%)群を比較した結果、総死亡リスクは低糖質群で31%、有意に増加した(調整リスク比の95%信頼区間は1.07-1.59、図1)。「低糖質・高蛋白質」群と「高糖質・低蛋白質」群を比較した結果(LC/HPスコア)でも、前者で総死亡リスクは22%、有意に増加(同1.02-1.46)。糖質制限食による長期的な効用は認めなかった。
心血管疾患死については低糖質群で10%増加したが、有意差は認めなかった(同0.98-1.24)。また、心血管疾患発症リスクはLCスコアでの検討では有意差はなく、LC/HPスコアで検討していた1文献では有意差を認めていた。
結果について能登氏は、「糖質制限食をし好する人は、脂肪や動物性蛋白質の摂取量が高値となる傾向にあり、総死亡の増加への関与が想定される」と話した。ただし、「今回の検討では糖質の特徴や蛋白質源などの影響は加味されていない。これらの解析を含む長期介入研究が必要だ」とした。
今回検討した論文は、いずれも一般人や医療者を対象にした試験であり、糖尿病患者への影響は不明だ。糖尿病患者の中には医師に告げずに糖質制限食を実践し、血糖コントロールに影響を及ぼしているケースもある。能登氏は「今回の検討結果から糖質制限食に対して賛成・反対は言い切れない。しかし、薬物治療を行っている患者では低血糖リスクも鑑み、バランスよく食事を摂取することの大切さを伝える必要があるのではないか」と話している。】
2013年01月27日 (日)
こんばんは。
糖質制限の「主食もどき」レシピ 2013年(東洋経済新報社)
江部康二 検見崎聡美 著
のご案内です。
2013年1月25日、刊行です。

http://www.amazon.co.jp/%E7%B3%96%E8%B3%AA%E5%88%B6%E9%99%90%E3%81%AE%E3%80%8C%E4%B8%BB%E9%A3%9F%E3%82%82%E3%81%A9%E3%81%8D%E3%80%8D%E3%83%AC%E3%82%B7%E3%83%94-%E6%B1%9F%E9%83%A8-%E5%BA%B7%E4%BA%8C/dp/4492044868/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1358910370&sr=1-1
ダイエット・糖尿病・様々な生活習慣病改善の食事療法として一躍脚光を浴びている糖質制限食ですが、実践するうえで一番悩まされるのが、主食を食べられないことです。
特に女性は、ごはん、パン、めん類など糖質(炭水化物)が大好きという人が多く、「糖質制限をやりたいが、主食を食べられないのはつらい」という人が多いようです。
糖質制限関係者の間でよく「2年目の壁」といわれるように、糖質制限の優れたダイエット効果を実感しつつも途中で脱落する人もあります。
そうした方々に向け本書は、低糖質でありながら「主食と同じような“見た目”と“食感”」を楽しめる“主食もどき”(代用主食)レシピを、管理栄養士かつ料理研究家の検見崎聡美先生に全面的にご協力頂き、たくさん集めてみました。
材料は、豆腐、大豆製品、こんにゃく、野菜、卵、魚白身、鶏ささ身、卵……など身近なものばかりです。
これで本物と見まごうばかりの「ご飯もどき」「パンもどき」「麵もどき」「餅もどき」「粉ものもどき」「簡単ケーキ」が作れる驚きのレシピ集というのが本書の真骨頂です。
糖質制限食の食事づくりが格段にラクにカンタンになるので、実践する人は、是非ご一読いただけば嬉しいです。
本書が、全国の糖質セイゲニストの皆様のお役に立てば幸いです。
江部康二
糖質制限の「主食もどき」レシピ 2013年(東洋経済新報社)
江部康二 検見崎聡美 著
のご案内です。
2013年1月25日、刊行です。

http://www.amazon.co.jp/%E7%B3%96%E8%B3%AA%E5%88%B6%E9%99%90%E3%81%AE%E3%80%8C%E4%B8%BB%E9%A3%9F%E3%82%82%E3%81%A9%E3%81%8D%E3%80%8D%E3%83%AC%E3%82%B7%E3%83%94-%E6%B1%9F%E9%83%A8-%E5%BA%B7%E4%BA%8C/dp/4492044868/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1358910370&sr=1-1
ダイエット・糖尿病・様々な生活習慣病改善の食事療法として一躍脚光を浴びている糖質制限食ですが、実践するうえで一番悩まされるのが、主食を食べられないことです。
特に女性は、ごはん、パン、めん類など糖質(炭水化物)が大好きという人が多く、「糖質制限をやりたいが、主食を食べられないのはつらい」という人が多いようです。
糖質制限関係者の間でよく「2年目の壁」といわれるように、糖質制限の優れたダイエット効果を実感しつつも途中で脱落する人もあります。
そうした方々に向け本書は、低糖質でありながら「主食と同じような“見た目”と“食感”」を楽しめる“主食もどき”(代用主食)レシピを、管理栄養士かつ料理研究家の検見崎聡美先生に全面的にご協力頂き、たくさん集めてみました。
材料は、豆腐、大豆製品、こんにゃく、野菜、卵、魚白身、鶏ささ身、卵……など身近なものばかりです。
これで本物と見まごうばかりの「ご飯もどき」「パンもどき」「麵もどき」「餅もどき」「粉ものもどき」「簡単ケーキ」が作れる驚きのレシピ集というのが本書の真骨頂です。
糖質制限食の食事づくりが格段にラクにカンタンになるので、実践する人は、是非ご一読いただけば嬉しいです。
本書が、全国の糖質セイゲニストの皆様のお役に立てば幸いです。
江部康二
2013年01月25日 (金)
こんばんは
2012年08月29日 毎日新聞の東京朝刊に面白い記事が載っていました。
縄文人の虫歯が結構多かったというお話です。
具体的には縄文人の虫歯率は8.2%で、40%を超える現代人や、農耕が始まった弥生時代の16.2~19.7%よりは低いのです。
しかし、先史時代のアメリカ先住民や近現代のイヌイットが3%未満であるのに比べると、縄文人の虫歯の多さは際だっています。
とても興味深かったので、藤田尚先生の「古病理学辞典」2012年(同成社)を購入して読んでみました。
縄文人:12000~2300年前 狩猟採集 虫歯率8.2%
弥生人(土井ヶ浜):2000年前 農耕 虫歯率19.7%
弥生人(三津):2000年前 農耕 虫歯率16.2%
現代日本人:1993年 虫歯率31.3%
アメリカ先住民:7600年前 狩猟採集 虫歯率0.4%
アメリカ先住民:3000年前 狩猟採集 虫歯率2.4%
オーストラリア先住民:近代 狩猟採集 虫歯率4.6%
イヌイット(グリーンランド):近代 狩猟採集 虫歯率2.2%
イヌイット(アラスカ):近代 狩猟採集 虫歯率1.9%
農耕開始して、穀物(糖質)を食べ始めて、虫歯が倍以上に増加したのは日本だけではなく、世界中で確認されています。
虫歯菌の代表として知られるストレプトコッカス・ミュータンスの餌は糖質なので、さもありなんです。
縄文人は、「狩猟」「採集」「漁労」の、3者が生業であり、ドングリや栗など堅果類を結構食べていました。
これらには、糖質が一定量、含まれています。
日本の旧石器時代人(9万年前~16000前)の生業は、狩猟(ナウマン象、マンモス、エゾ鹿・・・)であり
糖質はほとんんどなく、虫歯率もほぼゼロでした。
ちなみに旧石器時代のほとんどは、地球はウルム氷期と呼ばれる寒い時期で日本列島全体が針葉樹林に覆われており、どんぐりや栗など堅果類はないので採集不能だったのです。
日本の縄文時代でも、北海道の住民には虫歯が少なく2.4%くらいで、イヌイットやアメリカ先住民と同じくらいでした。
北海道には落葉樹がなくて針葉樹林であり、ドングリや栗がなかったので、青森以南の縄文人が「狩猟」「採集」「漁労」の3者が生業だったのに対して北海道縄文人は「狩猟」「漁労」の2者が主で「採集」がほとんどなかったことが、虫歯率が低かった理由です。
アメリカ先住民、オーストラリア先住民、イヌイットの虫歯率が低かったのも縄文人に比べて糖質摂取量が少なかったからです。
げに、糖質恐るべしですね。
江部康二
http://mainichi.jp/feature/news/20120829ddm014040189000c.html
歴史・迷宮解:歯から探る昔の健康/中 縄文、虫歯の陰に歯周病=佐々木泰造
毎日新聞 2012年08月29日 東京朝刊
甘いお菓子を食べる現代人に特有と思われがちな虫歯だが、自然とともに生きた縄文時代人も悩まされていた。藤田尚・新潟県立看護大准教授(47)=自然人類学=が遺跡から出土した古人骨を調べ、昔と今の虫歯のでき方を比較した。虫歯を予防するためには、単にヘルシーな自然食にすればいいというわけではなさそうだ。
縄文時代の早期から晩期までの13遺跡から出土した195体の歯3295本を藤田さんが調べたところ、虫歯が占める割合は8・2%だった。40%を超える現代人よりははるかに低いが、3%に満たない先史時代のアメリカ先住民や近現代のイヌイットに比べると、狩猟採集民としては突出して高い。
その原因として考えられるのが、植物食への依存だ。農耕社会では虫歯が激増することが世界的に知られている。日本列島の古人骨では、稲作農耕が始まった弥生時代の山口県・土井ケ浜遺跡で19・7%、佐賀県・三津遺跡で16・2%、古墳時代8・3%、室町時代14・6%、江戸時代12・1%と報告されている。
炭水化物を多く含む食物は虫歯の原因となりやすい。虫歯の病原菌(ストレプトコッカス・ミュータンス)が出す酵素によって、ショ糖から不溶性グルカン(バイオフィルム)というねばねばした物質が作られる。そこに他の細菌が付着して増殖し、歯垢(しこう)(プラーク)となる。ここで作られた酸が歯のカルシウム分を溶かす。
縄文人が食べかすを捨てた貝塚の考古学調査によって、縄文人はカロリー摂取を炭水化物に富んだ植物食に頼っていたとされている。クリなど木の実のでんぷんを主成分とする「縄文クッキー」は歯に引っ付きやすい。縄文人は炭水化物を虫歯になりやすい調理方法で食べていたようだ。
2012年08月29日 毎日新聞の東京朝刊に面白い記事が載っていました。
縄文人の虫歯が結構多かったというお話です。
具体的には縄文人の虫歯率は8.2%で、40%を超える現代人や、農耕が始まった弥生時代の16.2~19.7%よりは低いのです。
しかし、先史時代のアメリカ先住民や近現代のイヌイットが3%未満であるのに比べると、縄文人の虫歯の多さは際だっています。
とても興味深かったので、藤田尚先生の「古病理学辞典」2012年(同成社)を購入して読んでみました。
縄文人:12000~2300年前 狩猟採集 虫歯率8.2%
弥生人(土井ヶ浜):2000年前 農耕 虫歯率19.7%
弥生人(三津):2000年前 農耕 虫歯率16.2%
現代日本人:1993年 虫歯率31.3%
アメリカ先住民:7600年前 狩猟採集 虫歯率0.4%
アメリカ先住民:3000年前 狩猟採集 虫歯率2.4%
オーストラリア先住民:近代 狩猟採集 虫歯率4.6%
イヌイット(グリーンランド):近代 狩猟採集 虫歯率2.2%
イヌイット(アラスカ):近代 狩猟採集 虫歯率1.9%
農耕開始して、穀物(糖質)を食べ始めて、虫歯が倍以上に増加したのは日本だけではなく、世界中で確認されています。
虫歯菌の代表として知られるストレプトコッカス・ミュータンスの餌は糖質なので、さもありなんです。
縄文人は、「狩猟」「採集」「漁労」の、3者が生業であり、ドングリや栗など堅果類を結構食べていました。
これらには、糖質が一定量、含まれています。
日本の旧石器時代人(9万年前~16000前)の生業は、狩猟(ナウマン象、マンモス、エゾ鹿・・・)であり
糖質はほとんんどなく、虫歯率もほぼゼロでした。
ちなみに旧石器時代のほとんどは、地球はウルム氷期と呼ばれる寒い時期で日本列島全体が針葉樹林に覆われており、どんぐりや栗など堅果類はないので採集不能だったのです。
日本の縄文時代でも、北海道の住民には虫歯が少なく2.4%くらいで、イヌイットやアメリカ先住民と同じくらいでした。
北海道には落葉樹がなくて針葉樹林であり、ドングリや栗がなかったので、青森以南の縄文人が「狩猟」「採集」「漁労」の3者が生業だったのに対して北海道縄文人は「狩猟」「漁労」の2者が主で「採集」がほとんどなかったことが、虫歯率が低かった理由です。
アメリカ先住民、オーストラリア先住民、イヌイットの虫歯率が低かったのも縄文人に比べて糖質摂取量が少なかったからです。
げに、糖質恐るべしですね。
江部康二
http://mainichi.jp/feature/news/20120829ddm014040189000c.html
歴史・迷宮解:歯から探る昔の健康/中 縄文、虫歯の陰に歯周病=佐々木泰造
毎日新聞 2012年08月29日 東京朝刊
甘いお菓子を食べる現代人に特有と思われがちな虫歯だが、自然とともに生きた縄文時代人も悩まされていた。藤田尚・新潟県立看護大准教授(47)=自然人類学=が遺跡から出土した古人骨を調べ、昔と今の虫歯のでき方を比較した。虫歯を予防するためには、単にヘルシーな自然食にすればいいというわけではなさそうだ。
縄文時代の早期から晩期までの13遺跡から出土した195体の歯3295本を藤田さんが調べたところ、虫歯が占める割合は8・2%だった。40%を超える現代人よりははるかに低いが、3%に満たない先史時代のアメリカ先住民や近現代のイヌイットに比べると、狩猟採集民としては突出して高い。
その原因として考えられるのが、植物食への依存だ。農耕社会では虫歯が激増することが世界的に知られている。日本列島の古人骨では、稲作農耕が始まった弥生時代の山口県・土井ケ浜遺跡で19・7%、佐賀県・三津遺跡で16・2%、古墳時代8・3%、室町時代14・6%、江戸時代12・1%と報告されている。
炭水化物を多く含む食物は虫歯の原因となりやすい。虫歯の病原菌(ストレプトコッカス・ミュータンス)が出す酵素によって、ショ糖から不溶性グルカン(バイオフィルム)というねばねばした物質が作られる。そこに他の細菌が付着して増殖し、歯垢(しこう)(プラーク)となる。ここで作られた酸が歯のカルシウム分を溶かす。
縄文人が食べかすを捨てた貝塚の考古学調査によって、縄文人はカロリー摂取を炭水化物に富んだ植物食に頼っていたとされている。クリなど木の実のでんぷんを主成分とする「縄文クッキー」は歯に引っ付きやすい。縄文人は炭水化物を虫歯になりやすい調理方法で食べていたようだ。
2013年01月24日 (木)
こんばんは
~糖質制限食in埼玉~ のご案内です。
江部康二
以下は、主催のローカーボクラブ 医療法人鴻生会 小室クリニック の事務局が作成されたちらしです。
~糖質制限食in埼玉~
糖尿病の新しい食事療法としてここ数年注目されている「糖質制限食」。
昨年は一大ブームが巻き起こりました。
血糖値の改善はもちろん、メタボ予防、ダイエットの分野でも非常に高い成果が得られるとして、ますます人気が高まっています。
従来のカロリーを控える食事療法ではなく、食事(食品)に含まれている糖質量を控えていく新しいスタイルの食事法。この分野での日本の第一人者、京都高雄病院理事長で医師の江部康二先生が多くの症例と実績をもとに、糖質制限食の理論をわかりやすく解説致します。
午後からは、埼玉県内で糖質制限食に取り組んでいる医療機関からの状況、症例報告を含めたシンポジウムを行います。地域団体の活動、飲食店での取り組みなどの報告もあります。
江部先生を囲んで、いろいろな分野からの取り組みが聞ける今までにないシンポジウムです。
まるまる一日糖質制限食を学べる絶好のチャンス!!
糖尿病の方はもちろん、糖質制限食に興味関心のある方、医療関係の方、飲食店、食品会社関係の方もこの機会に是非ともご参加下さい。たくさんの方々のご参加をお待ちしております。
下記の案内に関する内容をご確認の上、お申し込み下さい。
記
*日時:2013年3月17日(日)
*場所:埼玉県朝霞市 中央公民館・コミュニティーセンター3階ホール
住所 埼玉県朝霞市青葉台1-7-1
TEL 048-465-7272
最寄駅●東武東上線 朝霞駅南口下車 徒歩約10分(交通案内をご確認下さい。)
市内循環バス●膝折・溝沼線 図書館入り口バス停徒歩1分
根岸台線 図書館バス停徒歩0分
駐車場が狭いためお車でのご来場はご遠慮下さい。公共交通機関のご利用をお願い致します。
*主催:ローカーボクラブ/ 医療法人鴻生会 小室クリニック/
NPO法人糖質制限食ネットリボーン
*受付:9時30分~ 開演:10時~
*午前の部・講演:10時10分~11時40分
講演テーマ「糖質制限食 その有効性と安全性を考える」
講師 高雄病院理事長 江部康二先生
~昼食休憩~
(昼食に関しましては、「昼食のご案内」をご確認下さい。)
*午後の部・シンポジウム:13時~16時
症例報告:医療法人鴻生会 小室クリニック医師 小室富美子先生
産科・婦人科 永井クリニック管理栄養士 松本桃代先生
地域からの報告:埼玉県鴻巣市飲食店での取り組み
埼玉県朝霞市地域団体での取り組み
*参加費:2000円
*申し込み方法
必ず事前申し込み、参加費の送付が必要となります。「申し込み方法」をご確認下さい。
*定員:200名
昼食のご案内
講演会の会場ホール内での飲食は禁止となっております。
同館内の別室に移動していただき、各自ご準備いただいた昼食をお召し上がり下さい。
中央公民館1階にあります集会室A・Bの二部屋をご利用いただけます。
一部屋45人収容ですので、入れ替え制とさせていただきます。
昼食がお済の方からご退室いただきます。
時間内に皆様の昼食が済むように、ご協力のほど宜しくお願い致します。
尚、ゴミは全てお持ち帰り願います。
<会場周辺飲食店のご案内>
中央公民館から徒歩約5分 ファミリーレストラン2件
朝霞駅から中央公民館までの間にコンビニ、スーパーなどがございます。
申し込み方法
講演会の事務局は小室クリニックとなっております。
以下の順にお申し込み手続きをお願い致します。
①小室クリニックへ電話またはメールにて仮申し込みをして下さい。(氏名・連絡先)
TEL:048-541-0020
お電話による仮申し込みは9時~17時まで(木・土曜日午後・日・祝日は除く)
メールアドレス:pansy@komuro-clinic.or.jp
②受講料2000円を現金書留にて小室クリニックへ送付して下さい。
小室クリニックの住所 〒365-0078 埼玉県鴻巣市加美1丁目3番48号
仮申し込み後、1週間以内にご送金ください。
③事務局から受講券(領収書・受講券)を郵送致します。
(尚、送り先は書留封筒のご住所に送らせていただきます。)
申し込み受け付け期間:1月21日(月)~
定員になり次第締め切りとなります。
*当日は必ず受講券をご持参いただき受付の際にご提示下さい。
*当日の進行タイムスケジュールにつきましては、若干変更する場合がございますので、予めご了承下さい。
<交通案内>
【鉄道】
・東武東上線(地下鉄副都心線・有楽町線乗入れ)
(池袋~和光市~朝霞台~川越~坂戸~小川町方面)
(各停・準急は停車、急行は通過)
(川越→約18分300円、池袋→約16分240円)
・朝霞台(北朝霞)駅→約3分140円
*最寄駅は朝霞駅です。(朝霞台駅ではございません。お間違えのないようにご確認下さい。)
~糖質制限食in埼玉~ のご案内です。
江部康二
以下は、主催のローカーボクラブ 医療法人鴻生会 小室クリニック の事務局が作成されたちらしです。
~糖質制限食in埼玉~
糖尿病の新しい食事療法としてここ数年注目されている「糖質制限食」。
昨年は一大ブームが巻き起こりました。
血糖値の改善はもちろん、メタボ予防、ダイエットの分野でも非常に高い成果が得られるとして、ますます人気が高まっています。
従来のカロリーを控える食事療法ではなく、食事(食品)に含まれている糖質量を控えていく新しいスタイルの食事法。この分野での日本の第一人者、京都高雄病院理事長で医師の江部康二先生が多くの症例と実績をもとに、糖質制限食の理論をわかりやすく解説致します。
午後からは、埼玉県内で糖質制限食に取り組んでいる医療機関からの状況、症例報告を含めたシンポジウムを行います。地域団体の活動、飲食店での取り組みなどの報告もあります。
江部先生を囲んで、いろいろな分野からの取り組みが聞ける今までにないシンポジウムです。
まるまる一日糖質制限食を学べる絶好のチャンス!!
糖尿病の方はもちろん、糖質制限食に興味関心のある方、医療関係の方、飲食店、食品会社関係の方もこの機会に是非ともご参加下さい。たくさんの方々のご参加をお待ちしております。
下記の案内に関する内容をご確認の上、お申し込み下さい。
記
*日時:2013年3月17日(日)
*場所:埼玉県朝霞市 中央公民館・コミュニティーセンター3階ホール
住所 埼玉県朝霞市青葉台1-7-1
TEL 048-465-7272
最寄駅●東武東上線 朝霞駅南口下車 徒歩約10分(交通案内をご確認下さい。)
市内循環バス●膝折・溝沼線 図書館入り口バス停徒歩1分
根岸台線 図書館バス停徒歩0分
駐車場が狭いためお車でのご来場はご遠慮下さい。公共交通機関のご利用をお願い致します。
*主催:ローカーボクラブ/ 医療法人鴻生会 小室クリニック/
NPO法人糖質制限食ネットリボーン
*受付:9時30分~ 開演:10時~
*午前の部・講演:10時10分~11時40分
講演テーマ「糖質制限食 その有効性と安全性を考える」
講師 高雄病院理事長 江部康二先生
~昼食休憩~
(昼食に関しましては、「昼食のご案内」をご確認下さい。)
*午後の部・シンポジウム:13時~16時
症例報告:医療法人鴻生会 小室クリニック医師 小室富美子先生
産科・婦人科 永井クリニック管理栄養士 松本桃代先生
地域からの報告:埼玉県鴻巣市飲食店での取り組み
埼玉県朝霞市地域団体での取り組み
*参加費:2000円
*申し込み方法
必ず事前申し込み、参加費の送付が必要となります。「申し込み方法」をご確認下さい。
*定員:200名
昼食のご案内
講演会の会場ホール内での飲食は禁止となっております。
同館内の別室に移動していただき、各自ご準備いただいた昼食をお召し上がり下さい。
中央公民館1階にあります集会室A・Bの二部屋をご利用いただけます。
一部屋45人収容ですので、入れ替え制とさせていただきます。
昼食がお済の方からご退室いただきます。
時間内に皆様の昼食が済むように、ご協力のほど宜しくお願い致します。
尚、ゴミは全てお持ち帰り願います。
<会場周辺飲食店のご案内>
中央公民館から徒歩約5分 ファミリーレストラン2件
朝霞駅から中央公民館までの間にコンビニ、スーパーなどがございます。
申し込み方法
講演会の事務局は小室クリニックとなっております。
以下の順にお申し込み手続きをお願い致します。
①小室クリニックへ電話またはメールにて仮申し込みをして下さい。(氏名・連絡先)
TEL:048-541-0020
お電話による仮申し込みは9時~17時まで(木・土曜日午後・日・祝日は除く)
メールアドレス:pansy@komuro-clinic.or.jp
②受講料2000円を現金書留にて小室クリニックへ送付して下さい。
小室クリニックの住所 〒365-0078 埼玉県鴻巣市加美1丁目3番48号
仮申し込み後、1週間以内にご送金ください。
③事務局から受講券(領収書・受講券)を郵送致します。
(尚、送り先は書留封筒のご住所に送らせていただきます。)
申し込み受け付け期間:1月21日(月)~
定員になり次第締め切りとなります。
*当日は必ず受講券をご持参いただき受付の際にご提示下さい。
*当日の進行タイムスケジュールにつきましては、若干変更する場合がございますので、予めご了承下さい。
<交通案内>
【鉄道】
・東武東上線(地下鉄副都心線・有楽町線乗入れ)
(池袋~和光市~朝霞台~川越~坂戸~小川町方面)
(各停・準急は停車、急行は通過)
(川越→約18分300円、池袋→約16分240円)
・朝霞台(北朝霞)駅→約3分140円
*最寄駅は朝霞駅です。(朝霞台駅ではございません。お間違えのないようにご確認下さい。)
2013年01月24日 (木)
JR名古屋高島屋百貨店 バレンタイン催事に菓子職人さんが糖質制限チョコレートで出店のお知らせ。
おはようございます。
先日、1月23日〜2月14日、10:00〜20:00まで、JR名古屋高島屋百貨店のバレンタイン催事に、菓子職人、稲井シェフが出店されるお話をご紹介しました。
HealthySweetの高森さんがお手伝いに行かれるとのことで、私も、2月10、11日と催事会場に行く予定です。
私が血糖値を測って完成した「菓子職人」さんの糖質制限の「ショコラ・ドゥ・ゼロ」と「セカン・ドゥ・ゼロ」の試食もやっていますで、名古屋のみならず、東海地方、近県の糖尿人、メタボ人、ダイエッターの皆さん、是非足をお運び下さいね(^O^)
江部康二
おはようございます。
先日、1月23日〜2月14日、10:00〜20:00まで、JR名古屋高島屋百貨店のバレンタイン催事に、菓子職人、稲井シェフが出店されるお話をご紹介しました。
HealthySweetの高森さんがお手伝いに行かれるとのことで、私も、2月10、11日と催事会場に行く予定です。
私が血糖値を測って完成した「菓子職人」さんの糖質制限の「ショコラ・ドゥ・ゼロ」と「セカン・ドゥ・ゼロ」の試食もやっていますで、名古屋のみならず、東海地方、近県の糖尿人、メタボ人、ダイエッターの皆さん、是非足をお運び下さいね(^O^)
江部康二
2013年01月23日 (水)
こんにちは。
糖質制限の「主食もどき」レシピ 2013年(東洋経済新報社)
江部康二 検見崎聡美 著
のご案内です。
2013年1月25日、刊行ですが、現在アマゾンで予約受付中です。

http://www.amazon.co.jp/%E7%B3%96%E8%B3%AA%E5%88%B6%E9%99%90%E3%81%AE%E3%80%8C%E4%B8%BB%E9%A3%9F%E3%82%82%E3%81%A9%E3%81%8D%E3%80%8D%E3%83%AC%E3%82%B7%E3%83%94-%E6%B1%9F%E9%83%A8-%E5%BA%B7%E4%BA%8C/dp/4492044868/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1358910370&sr=1-1
ダイエット・糖尿病・様々な生活習慣病改善の食事療法として一躍脚光を浴びている糖質制限食ですが、実践するうえで一番悩まされるのが、主食を食べられないことです。
特に女性は、ごはん、パン、めん類など糖質(炭水化物)が大好きという人が多く、「糖質制限をやりたいが、主食を食べられないのはつらい」という人が多いようです。
糖質制限関係者の間でよく「2年目の壁」といわれるように、糖質制限の優れたダイエット効果を実感しつつも途中で脱落する人もあります。
そうした方々に向け本書は、低糖質でありながら「主食と同じような“見た目”と“食感”」を楽しめる“主食もどき”(代用主食)レシピを、管理栄養士かつ料理研究家の検見崎聡美先生に全面的にご協力頂き、たくさん集めてみました。
材料は、豆腐、大豆製品、こんにゃく、野菜、卵、魚白身、鶏ささ身、卵……など身近なものばかりです。
これで本物と見まごうばかりの「ご飯もどき」「パンもどき」「麵もどき」「餅もどき」「粉ものもどき」「簡単ケーキ」が作れる驚きのレシピ集というのが本書の真骨頂です。
糖質制限食の食事づくりが格段にラクにカンタンになるので、実践する人は、是非ご一読いただけば嬉しいです。
本書が、全国の糖質セイゲニストの皆様のお役に立てば幸いです。
江部康二
糖質制限の「主食もどき」レシピ 2013年(東洋経済新報社)
江部康二 検見崎聡美 著
のご案内です。
2013年1月25日、刊行ですが、現在アマゾンで予約受付中です。

http://www.amazon.co.jp/%E7%B3%96%E8%B3%AA%E5%88%B6%E9%99%90%E3%81%AE%E3%80%8C%E4%B8%BB%E9%A3%9F%E3%82%82%E3%81%A9%E3%81%8D%E3%80%8D%E3%83%AC%E3%82%B7%E3%83%94-%E6%B1%9F%E9%83%A8-%E5%BA%B7%E4%BA%8C/dp/4492044868/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1358910370&sr=1-1
ダイエット・糖尿病・様々な生活習慣病改善の食事療法として一躍脚光を浴びている糖質制限食ですが、実践するうえで一番悩まされるのが、主食を食べられないことです。
特に女性は、ごはん、パン、めん類など糖質(炭水化物)が大好きという人が多く、「糖質制限をやりたいが、主食を食べられないのはつらい」という人が多いようです。
糖質制限関係者の間でよく「2年目の壁」といわれるように、糖質制限の優れたダイエット効果を実感しつつも途中で脱落する人もあります。
そうした方々に向け本書は、低糖質でありながら「主食と同じような“見た目”と“食感”」を楽しめる“主食もどき”(代用主食)レシピを、管理栄養士かつ料理研究家の検見崎聡美先生に全面的にご協力頂き、たくさん集めてみました。
材料は、豆腐、大豆製品、こんにゃく、野菜、卵、魚白身、鶏ささ身、卵……など身近なものばかりです。
これで本物と見まごうばかりの「ご飯もどき」「パンもどき」「麵もどき」「餅もどき」「粉ものもどき」「簡単ケーキ」が作れる驚きのレシピ集というのが本書の真骨頂です。
糖質制限食の食事づくりが格段にラクにカンタンになるので、実践する人は、是非ご一読いただけば嬉しいです。
本書が、全国の糖質セイゲニストの皆様のお役に立てば幸いです。
江部康二
2013年01月22日 (火)
おはようございます。
Doggy さんから、カロリーゼロ飲料についてコメント・質問をいただきました。
カロリーゼロ食品、糖質ゼロ食品に関しては定義が結構ややこしくて私も苦労しました。
今回は復習も兼ねて整理整頓してみます。
【13/01/22 Doggy
ゼロカロリー食品の炭水化物量や糖質量について
はじめまして。
半年前に先生監修の記事の載ったトレーニング誌をみたのをきっかけに糖質制限を始め、ジムでのウエイトトレーニングとの効果もあいまって、20キロ体重を落とすことに成功し、いまでは顔も引き締まり、お腹も腹筋が6つにわれてアスリート体型に近づくことができました。本当に感謝しています。
そこで前からきになっていたのですが、ゼロカロリー飲料の炭水化物量は大丈夫なのでしょうか?今手元にあるゼロカロリー飲料は、100ml当たり、1.2g炭水化物が含まれています。また、先ほど食べたゼロカロリーのゼリーには、100g当たり、糖質が7.1g含まれていると書かれています。これは糖質制限をしている人が摂取しても問題ないのでしょうか?
よろしくお願いします。】
Doggy さん。
「ゼロカロリー飲料の炭水化物100mlあたり炭水化物1.2g」というのは、食物繊維かエリスリトール、スクラロース、アスパルテームなどのカロリーゼロの甘味料の分と思います。
「ゼロカロリーのゼリーには、100g当たり、糖質が7.1g」この糖質はおそらくエリスリトールがほとんどと思います。
2つとも、糖質制限食OK食材です。
血糖値を上げるのは糖質だけですが、血糖値を上げないカロリーゼロの糖質が、エリスリトールと人工甘味料(スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ネオテーム、サッカリン)などです。
「炭水化物=糖質+食物繊維」ですが、食物繊維は原則として吸収されないので血糖値を上げませんし、基本的にはカロリーゼロです。
さて、「健康増進法」では、
ゼロ表示のときは・・・未満
オフ表示のときは・・・以下
としてあります。
参考:東京都の食品安全情報サイト 食品衛生の窓
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/anzen/hoei/hoei_016/hoei_16b.html
「健康増進法」では、食品において栄養に関する表示を行える制度として、「栄養成分表示」(第31条)を定めています。
この「栄養表示基準に基づく栄養成分表示」において、
1.「無」「ゼロ」「ノン」「レス」など“含まない”という表示
2.「低」「ひかえめ」「少」「ライト」「ダイエット」「オフ」など“低い”という表示
を記載する時に、守るべき基準値が定められています。
具体的には、
「カロリーゼロ」:
食品100gあたり5kcal未満(一般に飲用の液体では100mlあたり5kcal未満)
「カロリーオフ」:
食品100gあたり40kcal以下(一般に飲用の液体では100mlあたり20kcal以下)
と定められています。
「糖質ゼロ」:食品100gあたり0.5g未満(一般に飲用の液体では100mlあたり0.5g未満)
と定められています。
従って、「カロリーゼロ」「糖質ゼロ」という表示がしてあっても、カロリーが全くないとか糖質が全く含まれていない、ということではありませんので、一定の注意が必要です。
上記の東京都の食品安全情報サイト 食品衛生の窓 の健康増進法のPDFファイルでは、熱量、脂質、飽和脂肪酸、コレステロール、糖類、ナトリウムは強調表示(カロリーオフなど・・・)に関しての記載があるのですが、糖質はありません。
※強調表示の基準が定められていない栄養成分について、強調表示を行うことは差し支えないが、誇大な表示とならないよう十分な注意が必要である。
という記載があります。
某ビールメーカーの広報によれば、「糖質オフ」:飲用の液体では100mlあたり2.5g以下が、表示できるとしています。
江部康二
Doggy さんから、カロリーゼロ飲料についてコメント・質問をいただきました。
カロリーゼロ食品、糖質ゼロ食品に関しては定義が結構ややこしくて私も苦労しました。
今回は復習も兼ねて整理整頓してみます。
【13/01/22 Doggy
ゼロカロリー食品の炭水化物量や糖質量について
はじめまして。
半年前に先生監修の記事の載ったトレーニング誌をみたのをきっかけに糖質制限を始め、ジムでのウエイトトレーニングとの効果もあいまって、20キロ体重を落とすことに成功し、いまでは顔も引き締まり、お腹も腹筋が6つにわれてアスリート体型に近づくことができました。本当に感謝しています。
そこで前からきになっていたのですが、ゼロカロリー飲料の炭水化物量は大丈夫なのでしょうか?今手元にあるゼロカロリー飲料は、100ml当たり、1.2g炭水化物が含まれています。また、先ほど食べたゼロカロリーのゼリーには、100g当たり、糖質が7.1g含まれていると書かれています。これは糖質制限をしている人が摂取しても問題ないのでしょうか?
よろしくお願いします。】
Doggy さん。
「ゼロカロリー飲料の炭水化物100mlあたり炭水化物1.2g」というのは、食物繊維かエリスリトール、スクラロース、アスパルテームなどのカロリーゼロの甘味料の分と思います。
「ゼロカロリーのゼリーには、100g当たり、糖質が7.1g」この糖質はおそらくエリスリトールがほとんどと思います。
2つとも、糖質制限食OK食材です。
血糖値を上げるのは糖質だけですが、血糖値を上げないカロリーゼロの糖質が、エリスリトールと人工甘味料(スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ネオテーム、サッカリン)などです。
「炭水化物=糖質+食物繊維」ですが、食物繊維は原則として吸収されないので血糖値を上げませんし、基本的にはカロリーゼロです。
さて、「健康増進法」では、
ゼロ表示のときは・・・未満
オフ表示のときは・・・以下
としてあります。
参考:東京都の食品安全情報サイト 食品衛生の窓
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/anzen/hoei/hoei_016/hoei_16b.html
「健康増進法」では、食品において栄養に関する表示を行える制度として、「栄養成分表示」(第31条)を定めています。
この「栄養表示基準に基づく栄養成分表示」において、
1.「無」「ゼロ」「ノン」「レス」など“含まない”という表示
2.「低」「ひかえめ」「少」「ライト」「ダイエット」「オフ」など“低い”という表示
を記載する時に、守るべき基準値が定められています。
具体的には、
「カロリーゼロ」:
食品100gあたり5kcal未満(一般に飲用の液体では100mlあたり5kcal未満)
「カロリーオフ」:
食品100gあたり40kcal以下(一般に飲用の液体では100mlあたり20kcal以下)
と定められています。
「糖質ゼロ」:食品100gあたり0.5g未満(一般に飲用の液体では100mlあたり0.5g未満)
と定められています。
従って、「カロリーゼロ」「糖質ゼロ」という表示がしてあっても、カロリーが全くないとか糖質が全く含まれていない、ということではありませんので、一定の注意が必要です。
上記の東京都の食品安全情報サイト 食品衛生の窓 の健康増進法のPDFファイルでは、熱量、脂質、飽和脂肪酸、コレステロール、糖類、ナトリウムは強調表示(カロリーオフなど・・・)に関しての記載があるのですが、糖質はありません。
※強調表示の基準が定められていない栄養成分について、強調表示を行うことは差し支えないが、誇大な表示とならないよう十分な注意が必要である。
という記載があります。
某ビールメーカーの広報によれば、「糖質オフ」:飲用の液体では100mlあたり2.5g以下が、表示できるとしています。
江部康二
2013年01月21日 (月)
おはようございます。
世界初のエリスリトールチョコレート、シュクリーベを完成させた HealthySweet社 髙森社長から、バレンタイン催事のお知らせが届きました。
1月23日〜2月14日、10:00〜20:00まで、JR名古屋高島屋百貨店のバレンタイン催事に、菓子職人、稲井シェフが出店されて、私が監修と人体実験をした糖質制限チョコの ショコラ・ドゥ・ゼロとセカンド・ゼロを販売されます。
その催事会場に、高森さんもお手伝いに行かれるそうです。
髙森さんから催事について案内をして欲しいと言われたので、以下ご紹介です。
私も2月に催事会場に行く予定です。
名古屋のみならず、東海地方、近県の糖尿人、メタボ人、ダイエッターの皆さん、是非足をお運び下さいね(^O^)
江部康二
こんにちは。
HealthySweet代表、髙森です。
もうすぐバレンタインですね。と言ってもまだ1ヶ月も先ですが・・・。
今年のバレンタインの百貨店での催事で、糖質制限ドットコムで販売している京都の老舗洋菓子店「菓子職人さん」の糖質制限の「ショコラ・ドゥ・ゼロ」と「セカン・ドゥ・ゼロ」が、この度、JR名古屋高島屋百貨店のバレンタイン催事に出店されて販売されることになりました。
日本全国で、JR名古屋高島屋百貨店だけの販売です。もちろん名古屋への出店は初めてです。
JR名古屋高島屋さんでは「菓子職人の糖質制限」で案内されています。
会場では試食も出来ますので、名古屋・中部地区の方だけでなく、関東の方も関西の方も、是非ぜひJR名古屋高島屋百貨店のバレンタイン催事へ足をお運び頂いて、糖質制限トリュフをお試し下さいませ。
稲井シェフも、週に3日は、販売ブースに立たれます。又、私も週に3,4日は売場に入ってお手伝いする予定です。
あと、何と何と・・・
江部康二先生も2月に2日間、販売ブースに来られる予定です。
お買い上げ頂いたお客様との握手会?サイン会?を私から頼んでいるのですが…(笑)
今回のJR名古屋高島屋百貨店でのバレンタイン催事が成功したら、2014年からは、他の百貨店のバレンタイン催事に出店を広げますので、皆様、どうぞ宜しくお願い致します。
って、何で、JR名古屋高島屋百貨店のバレンタイン催事に出店なのか・・・
それは、なんとJR名古屋高島屋百貨店のバレンタイン催事の売上は、日本全国の百貨店でNo.1なんです。
私も、知ってびっくりしましたが、名古屋のある愛知県とその周辺の三重県・岐阜県・愛知県よりの静岡県等は、東京・大阪・京都・福岡等と比べると、百貨店が凄く少ないので、お客様が集中するのかも知れません。
つまり、「周辺人口に比べて百貨店の数が少ない」と分析しております。
では、また、近況報告します。
HealthySweet
髙森 由香
世界初のエリスリトールチョコレート、シュクリーベを完成させた HealthySweet社 髙森社長から、バレンタイン催事のお知らせが届きました。
1月23日〜2月14日、10:00〜20:00まで、JR名古屋高島屋百貨店のバレンタイン催事に、菓子職人、稲井シェフが出店されて、私が監修と人体実験をした糖質制限チョコの ショコラ・ドゥ・ゼロとセカンド・ゼロを販売されます。
その催事会場に、高森さんもお手伝いに行かれるそうです。
髙森さんから催事について案内をして欲しいと言われたので、以下ご紹介です。
私も2月に催事会場に行く予定です。
名古屋のみならず、東海地方、近県の糖尿人、メタボ人、ダイエッターの皆さん、是非足をお運び下さいね(^O^)
江部康二
こんにちは。
HealthySweet代表、髙森です。
もうすぐバレンタインですね。と言ってもまだ1ヶ月も先ですが・・・。
今年のバレンタインの百貨店での催事で、糖質制限ドットコムで販売している京都の老舗洋菓子店「菓子職人さん」の糖質制限の「ショコラ・ドゥ・ゼロ」と「セカン・ドゥ・ゼロ」が、この度、JR名古屋高島屋百貨店のバレンタイン催事に出店されて販売されることになりました。
日本全国で、JR名古屋高島屋百貨店だけの販売です。もちろん名古屋への出店は初めてです。
JR名古屋高島屋さんでは「菓子職人の糖質制限」で案内されています。
会場では試食も出来ますので、名古屋・中部地区の方だけでなく、関東の方も関西の方も、是非ぜひJR名古屋高島屋百貨店のバレンタイン催事へ足をお運び頂いて、糖質制限トリュフをお試し下さいませ。
稲井シェフも、週に3日は、販売ブースに立たれます。又、私も週に3,4日は売場に入ってお手伝いする予定です。
あと、何と何と・・・
江部康二先生も2月に2日間、販売ブースに来られる予定です。
お買い上げ頂いたお客様との握手会?サイン会?を私から頼んでいるのですが…(笑)
今回のJR名古屋高島屋百貨店でのバレンタイン催事が成功したら、2014年からは、他の百貨店のバレンタイン催事に出店を広げますので、皆様、どうぞ宜しくお願い致します。
って、何で、JR名古屋高島屋百貨店のバレンタイン催事に出店なのか・・・
それは、なんとJR名古屋高島屋百貨店のバレンタイン催事の売上は、日本全国の百貨店でNo.1なんです。
私も、知ってびっくりしましたが、名古屋のある愛知県とその周辺の三重県・岐阜県・愛知県よりの静岡県等は、東京・大阪・京都・福岡等と比べると、百貨店が凄く少ないので、お客様が集中するのかも知れません。
つまり、「周辺人口に比べて百貨店の数が少ない」と分析しております。
では、また、近況報告します。
HealthySweet
髙森 由香
2013年01月20日 (日)
こんばんは
~糖質制限食in埼玉~ のご案内です。
江部康二
以下は、主催のローカーボクラブ 医療法人鴻生会 小室クリニック の事務局が作成されたちらしです。
~糖質制限食in埼玉~
糖尿病の新しい食事療法としてここ数年注目されている「糖質制限食」。
昨年は一大ブームが巻き起こりました。
血糖値の改善はもちろん、メタボ予防、ダイエットの分野でも非常に高い成果が得られるとして、ますます人気が高まっています。
従来のカロリーを控える食事療法ではなく、食事(食品)に含まれている糖質量を控えていく新しいスタイルの食事法。この分野での日本の第一人者、京都高雄病院理事長で医師の江部康二先生が多くの症例と実績をもとに、糖質制限食の理論をわかりやすく解説致します。
午後からは、埼玉県内で糖質制限食に取り組んでいる医療機関からの状況、症例報告を含めたシンポジウムを行います。地域団体の活動、飲食店での取り組みなどの報告もあります。
江部先生を囲んで、いろいろな分野からの取り組みが聞ける今までにないシンポジウムです。
まるまる一日糖質制限食を学べる絶好のチャンス!!
糖尿病の方はもちろん、糖質制限食に興味関心のある方、医療関係の方、飲食店、食品会社関係の方もこの機会に是非ともご参加下さい。たくさんの方々のご参加をお待ちしております。
下記の案内に関する内容をご確認の上、お申し込み下さい。
記
*日時:2013年3月17日(日)
*場所:埼玉県朝霞市 中央公民館・コミュニティーセンター3階ホール
住所 埼玉県朝霞市青葉台1-7-1
TEL 048-465-7272
最寄駅●東武東上線 朝霞駅南口下車 徒歩約10分(交通案内をご確認下さい。)
市内循環バス●膝折・溝沼線 図書館入り口バス停徒歩1分
根岸台線 図書館バス停徒歩0分
駐車場が狭いためお車でのご来場はご遠慮下さい。公共交通機関のご利用をお願い致します。
*主催:ローカーボクラブ/ 医療法人鴻生会 小室クリニック/
NPO法人糖質制限食ネットリボーン
*受付:9時30分~ 開演:10時~
*午前の部・講演:10時10分~11時40分
講演テーマ「糖質制限食 その有効性と安全性を考える」
講師 高雄病院理事長 江部康二先生
~昼食休憩~
(昼食に関しましては、「昼食のご案内」をご確認下さい。)
*午後の部・シンポジウム:13時~16時
症例報告:医療法人鴻生会 小室クリニック医師 小室富美子先生
産科・婦人科 永井クリニック管理栄養士 松本桃代先生
地域からの報告:埼玉県鴻巣市飲食店での取り組み
埼玉県朝霞市地域団体での取り組み
*参加費:2000円
*申し込み方法
必ず事前申し込み、参加費の送付が必要となります。「申し込み方法」をご確認下さい。
*定員:200名
昼食のご案内
講演会の会場ホール内での飲食は禁止となっております。
同館内の別室に移動していただき、各自ご準備いただいた昼食をお召し上がり下さい。
中央公民館1階にあります集会室A・Bの二部屋をご利用いただけます。
一部屋45人収容ですので、入れ替え制とさせていただきます。
昼食がお済の方からご退室いただきます。
時間内に皆様の昼食が済むように、ご協力のほど宜しくお願い致します。
尚、ゴミは全てお持ち帰り願います。
<会場周辺飲食店のご案内>
中央公民館から徒歩約5分 ファミリーレストラン2件
朝霞駅から中央公民館までの間にコンビニ、スーパーなどがございます。
申し込み方法
講演会の事務局は小室クリニックとなっております。
以下の順にお申し込み手続きをお願い致します。
①小室クリニックへ電話またはメールにて仮申し込みをして下さい。(氏名・連絡先)
TEL:048-541-0020
お電話による仮申し込みは9時~17時まで(木・土曜日午後・日・祝日は除く)
メールアドレス:pansy@komuro-clinic.or.jp
②受講料2000円を現金書留にて小室クリニックへ送付して下さい。
小室クリニックの住所 〒365-0078 埼玉県鴻巣市加美1丁目3番48号
仮申し込み後、1週間以内にご送金ください。
③事務局から受講券(領収書・受講券)を郵送致します。
(尚、送り先は書留封筒のご住所に送らせていただきます。)
申し込み受け付け期間:1月21日(月)~
定員になり次第締め切りとなります。
*当日は必ず受講券をご持参いただき受付の際にご提示下さい。
*当日の進行タイムスケジュールにつきましては、若干変更する場合がございますので、予めご了承下さい。
<交通案内>
【鉄道】
・東武東上線(地下鉄副都心線・有楽町線乗入れ)
(池袋~和光市~朝霞台~川越~坂戸~小川町方面)
(各停・準急は停車、急行は通過)
(川越→約18分300円、池袋→約16分240円)
・朝霞台(北朝霞)駅→約3分140円
*最寄駅は朝霞駅です。(朝霞台駅ではございません。お間違えのないようにご確認下さい。)
~糖質制限食in埼玉~ のご案内です。
江部康二
以下は、主催のローカーボクラブ 医療法人鴻生会 小室クリニック の事務局が作成されたちらしです。
~糖質制限食in埼玉~
糖尿病の新しい食事療法としてここ数年注目されている「糖質制限食」。
昨年は一大ブームが巻き起こりました。
血糖値の改善はもちろん、メタボ予防、ダイエットの分野でも非常に高い成果が得られるとして、ますます人気が高まっています。
従来のカロリーを控える食事療法ではなく、食事(食品)に含まれている糖質量を控えていく新しいスタイルの食事法。この分野での日本の第一人者、京都高雄病院理事長で医師の江部康二先生が多くの症例と実績をもとに、糖質制限食の理論をわかりやすく解説致します。
午後からは、埼玉県内で糖質制限食に取り組んでいる医療機関からの状況、症例報告を含めたシンポジウムを行います。地域団体の活動、飲食店での取り組みなどの報告もあります。
江部先生を囲んで、いろいろな分野からの取り組みが聞ける今までにないシンポジウムです。
まるまる一日糖質制限食を学べる絶好のチャンス!!
糖尿病の方はもちろん、糖質制限食に興味関心のある方、医療関係の方、飲食店、食品会社関係の方もこの機会に是非ともご参加下さい。たくさんの方々のご参加をお待ちしております。
下記の案内に関する内容をご確認の上、お申し込み下さい。
記
*日時:2013年3月17日(日)
*場所:埼玉県朝霞市 中央公民館・コミュニティーセンター3階ホール
住所 埼玉県朝霞市青葉台1-7-1
TEL 048-465-7272
最寄駅●東武東上線 朝霞駅南口下車 徒歩約10分(交通案内をご確認下さい。)
市内循環バス●膝折・溝沼線 図書館入り口バス停徒歩1分
根岸台線 図書館バス停徒歩0分
駐車場が狭いためお車でのご来場はご遠慮下さい。公共交通機関のご利用をお願い致します。
*主催:ローカーボクラブ/ 医療法人鴻生会 小室クリニック/
NPO法人糖質制限食ネットリボーン
*受付:9時30分~ 開演:10時~
*午前の部・講演:10時10分~11時40分
講演テーマ「糖質制限食 その有効性と安全性を考える」
講師 高雄病院理事長 江部康二先生
~昼食休憩~
(昼食に関しましては、「昼食のご案内」をご確認下さい。)
*午後の部・シンポジウム:13時~16時
症例報告:医療法人鴻生会 小室クリニック医師 小室富美子先生
産科・婦人科 永井クリニック管理栄養士 松本桃代先生
地域からの報告:埼玉県鴻巣市飲食店での取り組み
埼玉県朝霞市地域団体での取り組み
*参加費:2000円
*申し込み方法
必ず事前申し込み、参加費の送付が必要となります。「申し込み方法」をご確認下さい。
*定員:200名
昼食のご案内
講演会の会場ホール内での飲食は禁止となっております。
同館内の別室に移動していただき、各自ご準備いただいた昼食をお召し上がり下さい。
中央公民館1階にあります集会室A・Bの二部屋をご利用いただけます。
一部屋45人収容ですので、入れ替え制とさせていただきます。
昼食がお済の方からご退室いただきます。
時間内に皆様の昼食が済むように、ご協力のほど宜しくお願い致します。
尚、ゴミは全てお持ち帰り願います。
<会場周辺飲食店のご案内>
中央公民館から徒歩約5分 ファミリーレストラン2件
朝霞駅から中央公民館までの間にコンビニ、スーパーなどがございます。
申し込み方法
講演会の事務局は小室クリニックとなっております。
以下の順にお申し込み手続きをお願い致します。
①小室クリニックへ電話またはメールにて仮申し込みをして下さい。(氏名・連絡先)
TEL:048-541-0020
お電話による仮申し込みは9時~17時まで(木・土曜日午後・日・祝日は除く)
メールアドレス:pansy@komuro-clinic.or.jp
②受講料2000円を現金書留にて小室クリニックへ送付して下さい。
小室クリニックの住所 〒365-0078 埼玉県鴻巣市加美1丁目3番48号
仮申し込み後、1週間以内にご送金ください。
③事務局から受講券(領収書・受講券)を郵送致します。
(尚、送り先は書留封筒のご住所に送らせていただきます。)
申し込み受け付け期間:1月21日(月)~
定員になり次第締め切りとなります。
*当日は必ず受講券をご持参いただき受付の際にご提示下さい。
*当日の進行タイムスケジュールにつきましては、若干変更する場合がございますので、予めご了承下さい。
<交通案内>
【鉄道】
・東武東上線(地下鉄副都心線・有楽町線乗入れ)
(池袋~和光市~朝霞台~川越~坂戸~小川町方面)
(各停・準急は停車、急行は通過)
(川越→約18分300円、池袋→約16分240円)
・朝霞台(北朝霞)駅→約3分140円
*最寄駅は朝霞駅です。(朝霞台駅ではございません。お間違えのないようにご確認下さい。)
2013年01月20日 (日)
おはようございます。
第47回日本成人病(生活習慣病)学会で発表された発表に関する日経メディカルの記事が、下記の青字の文章です。
4コホート研究(6サブグループ)のメタアナリシス。
糖質の割合を高い(60~70%)群に対する低い(30~40%)群のリスク比。
メタアナリシスの、対象者は27万2216人(女性66%、追跡期間5~26年)。
総死亡数は1万5981人。
糖質の割合が低い(30~40%)群と高い(60~70%)群を比較した結果、
総死亡リスクは低糖質群で31%、有意に増加した。
結局、このメタアナリシスは、高糖質群(60~70%)と中糖質群(30~40%)の比較であり、糖質制限食(糖質10~20%)の群はどこにも登場しません。
中糖質群で、例えば2000kcal/日摂取したら、糖質は150~200g/日
1回の食事の糖質量は50~66gであり、追加インスリンの大量分泌が生じます。食後高血糖も生じます。
インスリンの過剰分泌に発ガンリスクがあることには、多くのエビデンスがあります。
そして食後高血糖にも発ガンリスクのエビデンスがあります。
すなわち中糖質食では、発ガンリスクは減らせないということが言えます。
糖質制限食(糖質10~20%)なら、インスリン過剰分泌と食後高血糖という明確な発ガンリスクが、ほとんど生じないという大きな利点があります。
結論としては中糖質群(30~40%)は高糖質群(60~70%)と比べて、相死亡率が優位に増加したという研究です。
糖質制限食には無関係の研究です。
江部康二
【2013. 1. 15
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/hotnews/int/201301/528564.html
第47回日本成人病(生活習慣病)学会より
糖質制限食の長期的効用は認められず
メタ解析の結果、総死亡リスク増加の懸念も
井田恭子=日経メディカル
関連ジャンル: 食事・栄養 糖尿病
糖質制限食について長期的な効用は認めず、むしろ死亡リスクが有意に増加する。こんなメタアナリシスの結果を1月12日、国立国際医療研究センター病院糖尿病・代謝・内分泌科医長の能登洋氏が第47回日本成人病(生活習慣病)学会で発表した。
近年、減量法や糖尿病治療として炭水化物の摂取量を減らす糖質制限食が注目されている。数週間~数年間の減量や動脈硬化リスクファクター改善の有効性が示唆されているものの、長期的なアウトカムや安全性については明らかになっていない。能登氏らは、MedLine、EMBASEなどの検索エンジンを用いて、“low-carbohydrate diet”や“carbohydrate-restricted diet”などのキーワードで関連する研究を選択し、メタアナリシスを行った。
図1 低糖質群の総死亡リスク (能登氏発表資料より) 4コホート研究(6サブグループ)のメタアナリシスの結果。糖質の割合をLCスコアでスコア化し、高い(60~70%)群に対する低い(30~40%)群のリスク比を求めた。*画像クリックで拡大します。
メタアナリシスの対象として選択された論文は全9件で、対象者は27万2216人(女性66%、追跡期間5~26年)。総死亡数は1万5981人だった。
総カロリーに占める糖質の割合をスコア化し(low-carbohydrate score;LCスコア)、糖質の割合が低い(30~40%)群と高い(60~70%)群を比較した結果、総死亡リスクは低糖質群で31%、有意に増加した(調整リスク比の95%信頼区間は1.07-1.59、図1)。「低糖質・高蛋白質」群と「高糖質・低蛋白質」群を比較した結果(LC/HPスコア)でも、前者で総死亡リスクは22%、有意に増加(同1.02-1.46)。糖質制限食による長期的な効用は認めなかった。
心血管疾患死については低糖質群で10%増加したが、有意差は認めなかった(同0.98-1.24)。また、心血管疾患発症リスクはLCスコアでの検討では有意差はなく、LC/HPスコアで検討していた1文献では有意差を認めていた。
結果について能登氏は、「糖質制限食をし好する人は、脂肪や動物性蛋白質の摂取量が高値となる傾向にあり、総死亡の増加への関与が想定される」と話した。ただし、「今回の検討では糖質の特徴や蛋白質源などの影響は加味されていない。これらの解析を含む長期介入研究が必要だ」とした。
今回検討した論文は、いずれも一般人や医療者を対象にした試験であり、糖尿病患者への影響は不明だ。糖尿病患者の中には医師に告げずに糖質制限食を実践し、血糖コントロールに影響を及ぼしているケースもある。能登氏は「今回の検討結果から糖質制限食に対して賛成・反対は言い切れない。しかし、薬物治療を行っている患者では低血糖リスクも鑑み、バランスよく食事を摂取することの大切さを伝える必要があるのではないか」と話している。】
第47回日本成人病(生活習慣病)学会で発表された発表に関する日経メディカルの記事が、下記の青字の文章です。
4コホート研究(6サブグループ)のメタアナリシス。
糖質の割合を高い(60~70%)群に対する低い(30~40%)群のリスク比。
メタアナリシスの、対象者は27万2216人(女性66%、追跡期間5~26年)。
総死亡数は1万5981人。
糖質の割合が低い(30~40%)群と高い(60~70%)群を比較した結果、
総死亡リスクは低糖質群で31%、有意に増加した。
結局、このメタアナリシスは、高糖質群(60~70%)と中糖質群(30~40%)の比較であり、糖質制限食(糖質10~20%)の群はどこにも登場しません。
中糖質群で、例えば2000kcal/日摂取したら、糖質は150~200g/日
1回の食事の糖質量は50~66gであり、追加インスリンの大量分泌が生じます。食後高血糖も生じます。
インスリンの過剰分泌に発ガンリスクがあることには、多くのエビデンスがあります。
そして食後高血糖にも発ガンリスクのエビデンスがあります。
すなわち中糖質食では、発ガンリスクは減らせないということが言えます。
糖質制限食(糖質10~20%)なら、インスリン過剰分泌と食後高血糖という明確な発ガンリスクが、ほとんど生じないという大きな利点があります。
結論としては中糖質群(30~40%)は高糖質群(60~70%)と比べて、相死亡率が優位に増加したという研究です。
糖質制限食には無関係の研究です。
江部康二
【2013. 1. 15
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/hotnews/int/201301/528564.html
第47回日本成人病(生活習慣病)学会より
糖質制限食の長期的効用は認められず
メタ解析の結果、総死亡リスク増加の懸念も
井田恭子=日経メディカル
関連ジャンル: 食事・栄養 糖尿病
糖質制限食について長期的な効用は認めず、むしろ死亡リスクが有意に増加する。こんなメタアナリシスの結果を1月12日、国立国際医療研究センター病院糖尿病・代謝・内分泌科医長の能登洋氏が第47回日本成人病(生活習慣病)学会で発表した。
近年、減量法や糖尿病治療として炭水化物の摂取量を減らす糖質制限食が注目されている。数週間~数年間の減量や動脈硬化リスクファクター改善の有効性が示唆されているものの、長期的なアウトカムや安全性については明らかになっていない。能登氏らは、MedLine、EMBASEなどの検索エンジンを用いて、“low-carbohydrate diet”や“carbohydrate-restricted diet”などのキーワードで関連する研究を選択し、メタアナリシスを行った。
図1 低糖質群の総死亡リスク (能登氏発表資料より) 4コホート研究(6サブグループ)のメタアナリシスの結果。糖質の割合をLCスコアでスコア化し、高い(60~70%)群に対する低い(30~40%)群のリスク比を求めた。*画像クリックで拡大します。
メタアナリシスの対象として選択された論文は全9件で、対象者は27万2216人(女性66%、追跡期間5~26年)。総死亡数は1万5981人だった。
総カロリーに占める糖質の割合をスコア化し(low-carbohydrate score;LCスコア)、糖質の割合が低い(30~40%)群と高い(60~70%)群を比較した結果、総死亡リスクは低糖質群で31%、有意に増加した(調整リスク比の95%信頼区間は1.07-1.59、図1)。「低糖質・高蛋白質」群と「高糖質・低蛋白質」群を比較した結果(LC/HPスコア)でも、前者で総死亡リスクは22%、有意に増加(同1.02-1.46)。糖質制限食による長期的な効用は認めなかった。
心血管疾患死については低糖質群で10%増加したが、有意差は認めなかった(同0.98-1.24)。また、心血管疾患発症リスクはLCスコアでの検討では有意差はなく、LC/HPスコアで検討していた1文献では有意差を認めていた。
結果について能登氏は、「糖質制限食をし好する人は、脂肪や動物性蛋白質の摂取量が高値となる傾向にあり、総死亡の増加への関与が想定される」と話した。ただし、「今回の検討では糖質の特徴や蛋白質源などの影響は加味されていない。これらの解析を含む長期介入研究が必要だ」とした。
今回検討した論文は、いずれも一般人や医療者を対象にした試験であり、糖尿病患者への影響は不明だ。糖尿病患者の中には医師に告げずに糖質制限食を実践し、血糖コントロールに影響を及ぼしているケースもある。能登氏は「今回の検討結果から糖質制限食に対して賛成・反対は言い切れない。しかし、薬物治療を行っている患者では低血糖リスクも鑑み、バランスよく食事を摂取することの大切さを伝える必要があるのではないか」と話している。】
2013年01月18日 (金)
こんばんは。
精神科医師Aさんから、糖質制限食に対する糖尿病学会声明案の情報をコメントいただきました。
ありがとうございます。
まず、変化としては、今までは
「130g/日以上の糖質を摂取するべきだ」
と強調してきたのですが、
「100g/日以上の糖質を摂取するべきだ」
と、糖質制限に少し歩み寄ったということが言えます。
まあ、良い方向への変化なので、一応歓迎です。
しかし、1日の糖質摂取量が40~60g以下となるスーパー糖質制限食に関しては、相変わらず否定しています。
それにしても、いきなり130gから100gに減らした根拠は何なのでしょう?
これはこれで不思議です。
「総エネルギー制限をせずに、炭水化物を100g以下に制限するのは、長期的な有用性や安全性のエビデンスが不足しており勧められない」
スーパー糖質制限食の長期的安全性のエビデンスがないことはその通りですが、カロリー制限食の長期的安全性・有効性のエビデンスがないこともお忘れなくです。
そして、現在酸化ストレスリスクが明確となった、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を起こすのは、糖質摂取時だけであることもお忘れなくです。
カロリー制限食(高糖質食)は、100%食後高血糖と平均血糖変動幅増大を生じます。
糖質制限食なら食後高血糖と平均血糖変動幅増大は生じません。
次に
「炭水化物は50%-60%、たんぱく質は20%以下を目標とする。脂質の摂取上限は25%とする」
という従来通りのPFCバランスをあらためて確認しています。
これに対しては、
2013年1月13日(日)第16回日本病態栄養学会年次学術集会の
Meet the Expert Ⅱ 糖尿病と合併症を見据えた食事療法
座長 門脇 孝 先生
演者 山田 悟 先生
演者 植木浩二郎 先生
東大糖尿病・代謝内科の植木浩二郎先生のご講演で
『脳はケトン体も利用できる』
『脂肪摂取率 25%未満でなければならないということに科学的根拠はない』
『蛋白質摂取量も体重基準で推奨しているが,これも科学的根拠はない』
『カロリー制限食に糖尿病患者の寿命を延長させるというエビデンスはない』
と述べておられます。
私も植木先生に全面的に賛成で、糖尿病学会の食事構成比の目標には、根拠はないと思います。
江部康二
【13/01/16 精神科医師A
糖質制限勧めず
糖質制限勧めず、DM学会声明案
「炭水化物50%-60%、1日100g以上に」
www.m3.com/clinical/news/article/164453/
2013年1月15日m3.com編集部
日本糖尿病学会が今年出す見通しの「糖質制限を含めた食事量をめぐる声明案」の概要が明らかになった。1月13日に開催された第16回日本病態栄養学会年次学術集会で、日本糖尿病学会食事療法委員会の委員長を務める宇都宮一典氏(東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科教授)が説明した。
まず、肥満の是正について明記。肥満の是正は糖尿病の予防と治療で重要であり、総エネルギー制限を最優先にすると強調した。
その上で、「総エネルギー制限をせずに、炭水化物を100g以下に制限するのは、長期的な有用性や安全性のエビデンスが不足しており勧められない」と指摘。1日当たりの糖質の摂取量は100g以上にすべきであると推奨した。
炭水化物とたんぱく質、脂質の構成比は、従来の考え方を改めて確認。「炭水化物は50%-60%、たんぱく質は20%以下を目標とする。脂質の摂取上限は25%とする」と説明。n-3不飽和脂肪酸の摂取を増やすといった脂肪酸の構成にも配慮すると付記した。
糖質制限は今後の検討課題と位置付けた。「炭水化物量の摂取は議論がある。問題と認識して、炭水化物40%-50%の減量効果は積極的に検討課題にすべきである。生活習慣病は、日本人の食習慣を考えないと持続しない」と解説している。
今後、日本糖尿病学会は、パブリックコメントを募集した上で、声明を発表する方針だ。】
精神科医師Aさんから、糖質制限食に対する糖尿病学会声明案の情報をコメントいただきました。
ありがとうございます。
まず、変化としては、今までは
「130g/日以上の糖質を摂取するべきだ」
と強調してきたのですが、
「100g/日以上の糖質を摂取するべきだ」
と、糖質制限に少し歩み寄ったということが言えます。
まあ、良い方向への変化なので、一応歓迎です。
しかし、1日の糖質摂取量が40~60g以下となるスーパー糖質制限食に関しては、相変わらず否定しています。
それにしても、いきなり130gから100gに減らした根拠は何なのでしょう?
これはこれで不思議です。
「総エネルギー制限をせずに、炭水化物を100g以下に制限するのは、長期的な有用性や安全性のエビデンスが不足しており勧められない」
スーパー糖質制限食の長期的安全性のエビデンスがないことはその通りですが、カロリー制限食の長期的安全性・有効性のエビデンスがないこともお忘れなくです。
そして、現在酸化ストレスリスクが明確となった、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を起こすのは、糖質摂取時だけであることもお忘れなくです。
カロリー制限食(高糖質食)は、100%食後高血糖と平均血糖変動幅増大を生じます。
糖質制限食なら食後高血糖と平均血糖変動幅増大は生じません。
次に
「炭水化物は50%-60%、たんぱく質は20%以下を目標とする。脂質の摂取上限は25%とする」
という従来通りのPFCバランスをあらためて確認しています。
これに対しては、
2013年1月13日(日)第16回日本病態栄養学会年次学術集会の
Meet the Expert Ⅱ 糖尿病と合併症を見据えた食事療法
座長 門脇 孝 先生
演者 山田 悟 先生
演者 植木浩二郎 先生
東大糖尿病・代謝内科の植木浩二郎先生のご講演で
『脳はケトン体も利用できる』
『脂肪摂取率 25%未満でなければならないということに科学的根拠はない』
『蛋白質摂取量も体重基準で推奨しているが,これも科学的根拠はない』
『カロリー制限食に糖尿病患者の寿命を延長させるというエビデンスはない』
と述べておられます。
私も植木先生に全面的に賛成で、糖尿病学会の食事構成比の目標には、根拠はないと思います。
江部康二
【13/01/16 精神科医師A
糖質制限勧めず
糖質制限勧めず、DM学会声明案
「炭水化物50%-60%、1日100g以上に」
www.m3.com/clinical/news/article/164453/
2013年1月15日m3.com編集部
日本糖尿病学会が今年出す見通しの「糖質制限を含めた食事量をめぐる声明案」の概要が明らかになった。1月13日に開催された第16回日本病態栄養学会年次学術集会で、日本糖尿病学会食事療法委員会の委員長を務める宇都宮一典氏(東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科教授)が説明した。
まず、肥満の是正について明記。肥満の是正は糖尿病の予防と治療で重要であり、総エネルギー制限を最優先にすると強調した。
その上で、「総エネルギー制限をせずに、炭水化物を100g以下に制限するのは、長期的な有用性や安全性のエビデンスが不足しており勧められない」と指摘。1日当たりの糖質の摂取量は100g以上にすべきであると推奨した。
炭水化物とたんぱく質、脂質の構成比は、従来の考え方を改めて確認。「炭水化物は50%-60%、たんぱく質は20%以下を目標とする。脂質の摂取上限は25%とする」と説明。n-3不飽和脂肪酸の摂取を増やすといった脂肪酸の構成にも配慮すると付記した。
糖質制限は今後の検討課題と位置付けた。「炭水化物量の摂取は議論がある。問題と認識して、炭水化物40%-50%の減量効果は積極的に検討課題にすべきである。生活習慣病は、日本人の食習慣を考えないと持続しない」と解説している。
今後、日本糖尿病学会は、パブリックコメントを募集した上で、声明を発表する方針だ。】
2013年01月17日 (木)
こんばんは。
こうたパパさんから、糖質制限食でインスリンフリーとなったという嬉しいコメントをいただきました。
【江部先生の本に出会えたことに感謝
江部先生、はじめまして。
37歳3児の父です。6年前に糖尿病と診断され、ずっと値が悪い中過ごしてきましたが、昨年9月に体重を落とそうと決意し、10月に先生の本に出会い、糖質制限を今日まで継続してまいりました。
昨年9月には体重99kg ⇒現在85kg
HbA1c 昨年9月12 ⇒12月5.8 ⇒1月5.2
とぐんぐんよくなり、ついに医師からインスリン注射もその他代用の薬も飲まなくて良いと言われました。
医師がこの変化に一番驚いており、糖質制限の話をしましたら、理解してもらい、その判断となりました。
昨年は最大1日45単位ほど合計インスリンを打っていましたから、わずか4カ月でここまでくるとは驚きです。
これからは、体の変化と健康の素晴らしさを知った今ですので、この状態をキープできるように過ごしていきたいと思います。
先生の本はかたっぱしから読ませていただいております。妻も協力的に高雄病院のレシピを読みながらご飯をつくってくれています。
先生には家族全員、感謝いっぱいです。
2013/01/16(Wed) 14:59 | URL | こうたパパ | 】
こうたパパさん
拙著の御購入、コメント、ありがとうございます。
HbA1c:2012年9月が12%→2013年1月が5.2%
驚異的改善ですね。
インスリンも最大45単位/日が、とうとうインスリンフリーとは素晴らしいです。
主治医が驚いたあと、糖質制限食を理解してくれたのはとても嬉しいことです。
このような医師がどんどん増えてくれればいいですね。
江部康二
こうたパパさんから、糖質制限食でインスリンフリーとなったという嬉しいコメントをいただきました。
【江部先生の本に出会えたことに感謝
江部先生、はじめまして。
37歳3児の父です。6年前に糖尿病と診断され、ずっと値が悪い中過ごしてきましたが、昨年9月に体重を落とそうと決意し、10月に先生の本に出会い、糖質制限を今日まで継続してまいりました。
昨年9月には体重99kg ⇒現在85kg
HbA1c 昨年9月12 ⇒12月5.8 ⇒1月5.2
とぐんぐんよくなり、ついに医師からインスリン注射もその他代用の薬も飲まなくて良いと言われました。
医師がこの変化に一番驚いており、糖質制限の話をしましたら、理解してもらい、その判断となりました。
昨年は最大1日45単位ほど合計インスリンを打っていましたから、わずか4カ月でここまでくるとは驚きです。
これからは、体の変化と健康の素晴らしさを知った今ですので、この状態をキープできるように過ごしていきたいと思います。
先生の本はかたっぱしから読ませていただいております。妻も協力的に高雄病院のレシピを読みながらご飯をつくってくれています。
先生には家族全員、感謝いっぱいです。
2013/01/16(Wed) 14:59 | URL | こうたパパ | 】
こうたパパさん
拙著の御購入、コメント、ありがとうございます。
HbA1c:2012年9月が12%→2013年1月が5.2%
驚異的改善ですね。
インスリンも最大45単位/日が、とうとうインスリンフリーとは素晴らしいです。
主治医が驚いたあと、糖質制限食を理解してくれたのはとても嬉しいことです。
このような医師がどんどん増えてくれればいいですね。
江部康二
2013年01月17日 (木)
こんにちは。
糖質制限ドットコムのあらてつさんより、糖質オフロールケーキ販売のお知らせが来ました。
前作は10月に限定発売して、即、完売だったそうです。
糖尿人の皆さん、ロールケーキがお好きなんですね(^_^;)
このロールケーキ、菓子職人の稲井シェフが、3年の構想の果てに完成したとあらてつさんが言ってましたが、確かに美味しいです。
何も言われずに出されれば、糖質制限のロールケーキだと分からない完成度だと思います(^-^)v(^-^)v
このようなロールケーキを完成させてくれた稲井シェフに、大きな大きな感謝を送りたいと思います。m(_ _)mVV
糖尿人、メタボ人、ダイエッターの皆さん、是非一度お試しあれ。
江部康二
以下、あらてつさんからのご案内です。
糖質制限ロールケーキの第二弾、極旨ダブルショコラロール 好評販売中です。

ご案内がすっかり遅くなって申し訳ございません。
昨年10月に限定販売とさせて頂きました、糖質制限ロールケーキの「とろけるショコラロール」
お陰様で大好評を頂戴致しまして、即、完売となりました。
この度、数量限定で糖質制限ロールケーキの第二弾、極旨ダブルショコラロールを販売させて頂きます。
今回は、北海道産発酵バターで作ったチョコラのバタームースと、北海道産生クリームとクリームチーズを合わせたガナッシュを、ふんわりチョコレート生地で巻いた珠玉のロールケーキです。
もっとさっさとご紹介すれば良かったのですが、スミマセン、ばたばたして忘れておりました。
販売終了まで、若干台数が残っております。
お求めはお早めに♪
詳しくは
↓ ↓ ↓
菓子職人の糖質オフスイーツ
極旨ダブルショコラロール
http://www.toushitsuseigen.com/shop/sweets_roll_w_chocola.html
糖質制限ドットコムのあらてつさんより、糖質オフロールケーキ販売のお知らせが来ました。
前作は10月に限定発売して、即、完売だったそうです。
糖尿人の皆さん、ロールケーキがお好きなんですね(^_^;)
このロールケーキ、菓子職人の稲井シェフが、3年の構想の果てに完成したとあらてつさんが言ってましたが、確かに美味しいです。
何も言われずに出されれば、糖質制限のロールケーキだと分からない完成度だと思います(^-^)v(^-^)v
このようなロールケーキを完成させてくれた稲井シェフに、大きな大きな感謝を送りたいと思います。m(_ _)mVV
糖尿人、メタボ人、ダイエッターの皆さん、是非一度お試しあれ。
江部康二
以下、あらてつさんからのご案内です。
糖質制限ロールケーキの第二弾、極旨ダブルショコラロール 好評販売中です。

ご案内がすっかり遅くなって申し訳ございません。
昨年10月に限定販売とさせて頂きました、糖質制限ロールケーキの「とろけるショコラロール」
お陰様で大好評を頂戴致しまして、即、完売となりました。
この度、数量限定で糖質制限ロールケーキの第二弾、極旨ダブルショコラロールを販売させて頂きます。
今回は、北海道産発酵バターで作ったチョコラのバタームースと、北海道産生クリームとクリームチーズを合わせたガナッシュを、ふんわりチョコレート生地で巻いた珠玉のロールケーキです。
もっとさっさとご紹介すれば良かったのですが、スミマセン、ばたばたして忘れておりました。
販売終了まで、若干台数が残っております。
お求めはお早めに♪
詳しくは
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菓子職人の糖質オフスイーツ
極旨ダブルショコラロール
http://www.toushitsuseigen.com/shop/sweets_roll_w_chocola.html
糖質制限食・ダイエット食の通信販売|糖質制限ドットコム
糖質制限ドットコムは、糖質制限食の第一人者、高雄病院、江部康二先生監修による糖質オフな食材を販売、糖質制限食に取り組む皆様をサポートします。
2013年01月16日 (水)
こんにちは。
2013年1月13日(日)国立京都国際会館で開催された第16回日本病態栄養学会年次学術集会で、大変重要な発表がありました。
新生児においては、ケトン体は脳における重要なエネルギー源です。
1)妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の導入1
~妊娠糖尿病妊婦に対する新たな管理方法について~
宗田マタニティークリニック 川口管理栄養士
2)妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の導入2
~当院の75gOGTT結果による治療区分と管理方法の効果~
永井クリニッック 松本管理栄養士
3)妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の導入③
妊娠中の体重増加量と新生児体格への影響
永井クリニック 生田管理栄養士
4)妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の導入④
妊娠糖尿病のやせ妊婦における 糖質制限食事療法の検討
永井クリニッック 渡邊管理栄養士
5)妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の導入5
~糖尿病合併妊婦に対する管理の一例~
宗田マタニティークリニック 宗田先生
今回のブログ記事は、宗田先生のご発表の続きです。
「・・・母乳は脂肪含有量が高くケトン体生成に必要な基質を供給する。発達中の脳では血中からケトン体を取り込み利用できるという特殊な能力があり、新生児においてはケトン体は脳における重要なエネルギー源となっている。・・・」
ヒューマン・ニュートリション第10版(医歯薬出版)2004年、P748
糖質制限食を実践していない、32名の妊婦と糖質制限食をしている妊婦8名と、その新生児において、血中ケトン体値と臍帯血ケトン体値を測定。
その結果、糖質制限をしていなくても24名(75%)の児はケトン体が高値で出生。
胎児においてもケトン体が主なエネルギー源である可能性が高いと考えられる。
臍帯血ケトン体濃度
1)母基準値
新生児高値:平均333μM/L(26~122)
60%、24人
2)母基準値
新生児基準値
20%、8人
3)母高値
新生児高値:平均570
20%、8人
4)母高値
新生児基準値
0%
宗田クリニック帝王切開率
2009年 16.5%
2010年 15.3%
2011年 17.1%
2012年 9.6%
2010年11月、糖質制限食導入。
糖質制限食は、DM合併妊娠管理に効果的と考えられ、以降妊娠糖尿病(GDM)を含めて多くの症例に実施し、当院ではすべての妊婦に過糖にならない食事を勧めている。
その結果、2012年度には帝王切開率が大幅に減少している。
宗田先生のご発表で、明らかなように、普通に糖質を食べている妊婦から生まれた新生児でも、75%は臍帯血ケトン体は基準値より高値です。
母が基準値内なのに、児が基準値より上昇しているケースが24人であり、この場合、胎児は積極的にケトン体をエネルギー源として生きていると考えられます。
ケトン体は新生児においても、胎児においても、妊婦においても、ごく日常的なエネルギー源の可能性が高いと考えられます。
宗田クリニックの帝王切開の比率が大幅に改善したのも見事です。
妊婦にも医師にも、糖質制限食は福音となりそうですね。
江部康二
2013年1月13日(日)国立京都国際会館で開催された第16回日本病態栄養学会年次学術集会で、大変重要な発表がありました。
新生児においては、ケトン体は脳における重要なエネルギー源です。
1)妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の導入1
~妊娠糖尿病妊婦に対する新たな管理方法について~
宗田マタニティークリニック 川口管理栄養士
2)妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の導入2
~当院の75gOGTT結果による治療区分と管理方法の効果~
永井クリニッック 松本管理栄養士
3)妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の導入③
妊娠中の体重増加量と新生児体格への影響
永井クリニック 生田管理栄養士
4)妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の導入④
妊娠糖尿病のやせ妊婦における 糖質制限食事療法の検討
永井クリニッック 渡邊管理栄養士
5)妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の導入5
~糖尿病合併妊婦に対する管理の一例~
宗田マタニティークリニック 宗田先生
今回のブログ記事は、宗田先生のご発表の続きです。
「・・・母乳は脂肪含有量が高くケトン体生成に必要な基質を供給する。発達中の脳では血中からケトン体を取り込み利用できるという特殊な能力があり、新生児においてはケトン体は脳における重要なエネルギー源となっている。・・・」
ヒューマン・ニュートリション第10版(医歯薬出版)2004年、P748
糖質制限食を実践していない、32名の妊婦と糖質制限食をしている妊婦8名と、その新生児において、血中ケトン体値と臍帯血ケトン体値を測定。
その結果、糖質制限をしていなくても24名(75%)の児はケトン体が高値で出生。
胎児においてもケトン体が主なエネルギー源である可能性が高いと考えられる。
臍帯血ケトン体濃度
1)母基準値
新生児高値:平均333μM/L(26~122)
60%、24人
2)母基準値
新生児基準値
20%、8人
3)母高値
新生児高値:平均570
20%、8人
4)母高値
新生児基準値
0%
宗田クリニック帝王切開率
2009年 16.5%
2010年 15.3%
2011年 17.1%
2012年 9.6%
2010年11月、糖質制限食導入。
糖質制限食は、DM合併妊娠管理に効果的と考えられ、以降妊娠糖尿病(GDM)を含めて多くの症例に実施し、当院ではすべての妊婦に過糖にならない食事を勧めている。
その結果、2012年度には帝王切開率が大幅に減少している。
宗田先生のご発表で、明らかなように、普通に糖質を食べている妊婦から生まれた新生児でも、75%は臍帯血ケトン体は基準値より高値です。
母が基準値内なのに、児が基準値より上昇しているケースが24人であり、この場合、胎児は積極的にケトン体をエネルギー源として生きていると考えられます。
ケトン体は新生児においても、胎児においても、妊婦においても、ごく日常的なエネルギー源の可能性が高いと考えられます。
宗田クリニックの帝王切開の比率が大幅に改善したのも見事です。
妊婦にも医師にも、糖質制限食は福音となりそうですね。
江部康二
2013年01月15日 (火)
こんばんは。
2013年1月13日(日)国立京都国際会館で開催された第16回日本病態栄養学会年次学術集会で、大変重要な発表がありました。
1)妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の導入1
~妊娠糖尿病妊婦に対する新たな管理方法について~
宗田マタニティークリニック 川口管理栄養士
2)妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の導入2
~当院の75gOGTT結果による治療区分と管理方法の効果~
永井クリニッック 松本管理栄養士
3)妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の導入③
妊娠中の体重増加量と新生児体格への影響
永井クリニック 生田管理栄養士
4)妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の導入④
妊娠糖尿病のやせ妊婦における 糖質制限食事療法の検討
永井クリニッック 渡邊管理栄養士
5)妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の導入5
~糖尿病合併妊婦に対する管理の一例~
宗田マタニティークリニック 宗田先生
1)2)3)4)は、おそらく日本で初めての画期的な妊娠糖尿病に関する発表で、昨日のブログで紹介しました。
本日は宗田マタニティークリニックの宗田哲男先生のご発表の紹介です。
こちらも本邦初公開の、糖尿病妊娠・妊娠糖尿病と糖質制限食、そして新生児ケトン体に関する重要な研究です。
症例1は、35歳の糖尿病妊娠です。
第一子は33歳時、糖尿病専門医の管理でカロリー制限食で出産。
体重は15kg増えて分娩。
85kg→90kgで出産。 新生児は4050g
HbA1c:8.2%→6.6%(NGSP)
第二子は35歳時、糖質制限食で管理。
88kg→81kgに減量して分娩 新生児は3326g。
HbA1c:8.1%→5.7%(NGSP)
母体の体重は減少していますが、新生児は健康です。
症例2は36歳の妊娠糖尿病です。
第一子は32歳時、宗田マタニティークリニックから他院に帰省分娩。
このときは糖尿病ではないが体重が16kg増えて、経膣分娩不能で帝王切開により出産。
新生児の体重は3700g
第二子は36歳時、妊娠糖尿病。
糖質制限食による管理で体重増加は2kgですみ、4時間で経膣分娩。
新生児は2600g。
2症例とも
「糖質制限食は、とても快適であり、体重が増えないで楽なお産ができた」
と満足感あり。
また、血糖値が上がらないし体重管理もOKなので、医療側の管理は簡単。
ということで、糖質制限食導入により、従来の糖尿病食(カロリー制限高糖質食)に比べて「糖尿病妊娠の第1例」も「妊娠糖尿病の第2例」も妊婦、医師、新生児ともに極めて満足度の高い結果を得ることができました。
宗田先生、素晴らしいご発表をありがとうございます。
さて長くなりました。
新生児ケトン体値の話は次回に。
江部康二
2013年1月13日(日)国立京都国際会館で開催された第16回日本病態栄養学会年次学術集会で、大変重要な発表がありました。
1)妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の導入1
~妊娠糖尿病妊婦に対する新たな管理方法について~
宗田マタニティークリニック 川口管理栄養士
2)妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の導入2
~当院の75gOGTT結果による治療区分と管理方法の効果~
永井クリニッック 松本管理栄養士
3)妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の導入③
妊娠中の体重増加量と新生児体格への影響
永井クリニック 生田管理栄養士
4)妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の導入④
妊娠糖尿病のやせ妊婦における 糖質制限食事療法の検討
永井クリニッック 渡邊管理栄養士
5)妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の導入5
~糖尿病合併妊婦に対する管理の一例~
宗田マタニティークリニック 宗田先生
1)2)3)4)は、おそらく日本で初めての画期的な妊娠糖尿病に関する発表で、昨日のブログで紹介しました。
本日は宗田マタニティークリニックの宗田哲男先生のご発表の紹介です。
こちらも本邦初公開の、糖尿病妊娠・妊娠糖尿病と糖質制限食、そして新生児ケトン体に関する重要な研究です。
症例1は、35歳の糖尿病妊娠です。
第一子は33歳時、糖尿病専門医の管理でカロリー制限食で出産。
体重は15kg増えて分娩。
85kg→90kgで出産。 新生児は4050g
HbA1c:8.2%→6.6%(NGSP)
第二子は35歳時、糖質制限食で管理。
88kg→81kgに減量して分娩 新生児は3326g。
HbA1c:8.1%→5.7%(NGSP)
母体の体重は減少していますが、新生児は健康です。
症例2は36歳の妊娠糖尿病です。
第一子は32歳時、宗田マタニティークリニックから他院に帰省分娩。
このときは糖尿病ではないが体重が16kg増えて、経膣分娩不能で帝王切開により出産。
新生児の体重は3700g
第二子は36歳時、妊娠糖尿病。
糖質制限食による管理で体重増加は2kgですみ、4時間で経膣分娩。
新生児は2600g。
2症例とも
「糖質制限食は、とても快適であり、体重が増えないで楽なお産ができた」
と満足感あり。
また、血糖値が上がらないし体重管理もOKなので、医療側の管理は簡単。
ということで、糖質制限食導入により、従来の糖尿病食(カロリー制限高糖質食)に比べて「糖尿病妊娠の第1例」も「妊娠糖尿病の第2例」も妊婦、医師、新生児ともに極めて満足度の高い結果を得ることができました。
宗田先生、素晴らしいご発表をありがとうございます。
さて長くなりました。
新生児ケトン体値の話は次回に。
江部康二
2013年01月14日 (月)
こんばんは。
2013年1月13日(日)国立京都国際会館で開催された第16回日本病態栄養学会年次学術集会で、大変重要な発表がありました。
午前11:00~11:50までの小児栄養・拇指栄養③で、妊娠糖尿病と糖尿病妊娠に糖質制限食でアプローチして、良好な結果を得たという、宗田マタニティークリニックと永井クリニックの発表です。
1)妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の導入1
~妊娠糖尿病妊婦に対する新たな管理方法について~
宗田マタニティークリニック 河口管理栄養士
2)妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の導入2
~当院の75gOGTT結果による治療区分と管理方法の効果~
永井クリニッック 松本管理栄養士
3)妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の導入③
妊娠中の体重増加量と新生児体格への影響
永井クリニック 生田管理栄養士
4)妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の導入④
妊娠糖尿病のやせ妊婦における 糖質制限食事療法の検討
永井クリニッック 渡邊管理栄養士
5)妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の導入5
~糖尿病合併妊婦に対する管理の一例~
宗田マタニティークリニック 宗田先生
1)2)3)4)は妊娠糖尿病に関する発表です。
32名の糖質制限食群と58名の従来の糖尿病食群の比較検討を行ったもので、日本で初めての妊娠糖尿病と糖質制限食の研究で歴史的快挙と言えます。
糖質制限食群では、特に妊婦の体重コントロールが容易であり有用でした。
勿論、血糖コントロールも良好でした。
また新生児の適正体重の比率は81%と高く、従来の糖尿病食の69%を大きく上回りました。
本研究で、妊娠糖尿病において、糖質制限食は安全で有効な治療食であることが示されました。
大変大きな意味をもつ、重要な研究成果でした。
宗田先生の発表については、次回に。
江部康二
2013年1月13日(日)国立京都国際会館で開催された第16回日本病態栄養学会年次学術集会で、大変重要な発表がありました。
午前11:00~11:50までの小児栄養・拇指栄養③で、妊娠糖尿病と糖尿病妊娠に糖質制限食でアプローチして、良好な結果を得たという、宗田マタニティークリニックと永井クリニックの発表です。
1)妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の導入1
~妊娠糖尿病妊婦に対する新たな管理方法について~
宗田マタニティークリニック 河口管理栄養士
2)妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の導入2
~当院の75gOGTT結果による治療区分と管理方法の効果~
永井クリニッック 松本管理栄養士
3)妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の導入③
妊娠中の体重増加量と新生児体格への影響
永井クリニック 生田管理栄養士
4)妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の導入④
妊娠糖尿病のやせ妊婦における 糖質制限食事療法の検討
永井クリニッック 渡邊管理栄養士
5)妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の導入5
~糖尿病合併妊婦に対する管理の一例~
宗田マタニティークリニック 宗田先生
1)2)3)4)は妊娠糖尿病に関する発表です。
32名の糖質制限食群と58名の従来の糖尿病食群の比較検討を行ったもので、日本で初めての妊娠糖尿病と糖質制限食の研究で歴史的快挙と言えます。
糖質制限食群では、特に妊婦の体重コントロールが容易であり有用でした。
勿論、血糖コントロールも良好でした。
また新生児の適正体重の比率は81%と高く、従来の糖尿病食の69%を大きく上回りました。
本研究で、妊娠糖尿病において、糖質制限食は安全で有効な治療食であることが示されました。
大変大きな意味をもつ、重要な研究成果でした。
宗田先生の発表については、次回に。
江部康二
2013年01月14日 (月)
こんにちは。
しらねのぞるば さんから
「第16回日本病態栄養学会年次学術総会に参加して」という
コメントをいただきました。
第16回日本病態栄養学会年次学術集会の情報が、コンパクトに要約してありとても参考になります。
ありがとうございます。
東大糖尿病・代謝内科の植木先生
『脳はケトン体も利用できる』
『脂肪摂取率 25%未満でなければならないということに科学的根拠はない』
『蛋白質摂取量も体重基準で推奨しているが,これも科学的根拠はない』
『カロリー制限食に糖尿病患者の寿命を延長させるというエビデンスはない』
ニュートラルで、とても好感がもてる発言ですね。
清野先生はまあ、しょうがないとして、石田均先生、確かにここまで来ると「奇怪」ですね。
その後に続いた臨床最前線の方々の講演は、血糖値コントロールを良くするために、いかにカーボカウントを取り入れるか、という実にまっとうなお話ばかりだったというのは救いです。
「平均血糖変動幅、夜中の低血糖、食後高血糖」
・・・この3つが最近のキーワードですね。
いずれも、スーパー糖質制限食で改善します。
そして、空腹時血糖値とHbA1cの評価だけでは、「平均血糖変動幅、夜中の低血糖、食後高血糖」は全くわかりません。
さらに、「平均血糖変動幅、夜中の低血糖、食後高血糖」を悪化させるのは、糖質摂取だけで、タンパク質・脂質は無関係です。
江部康二
13/01/13 しらねのぞるば
第16回日本病態栄養学会年次学術総会に参加して
京都国際会館での第16回日本病態栄養学会年次学術総会に参加してまいりましたが,今回は糖尿病性腎症がメインテーマとのことで,糖質制限をテーマとしたものは,山田先生の1件のみでした(Meet the ExpertⅡ-1).先生は糖質=100g/日程度の糖質制限で血糖値変動を少なくすべきと,例によって多数のスライドで説明されました.
その後に続いた東大糖尿病・代謝内科の植木先生(Meet the ExpertⅡ-2)は,中立的な意見でしたが,興味を引いたのは,講演の折々で,
『脳はケトン体も利用できる』
『脂肪摂取率 25%未満でなければならないということに科学的根拠はない』
『蛋白質摂取量も体重基準で推奨しているが,これも科学的根拠はない』
『カロリー制限食に糖尿病患者の寿命を延長させるというエビデンスはない』
などを,サラリと述べておられました.
しかし,興ざめだったのは,これらの講演の最後に,座長指名により清野先生が,
『三大栄養素はすべて人間に必須のもの. インスリンを出さないことがいいことだという極端な議論ではなく,インスリンを分泌させて,血糖を筋肉や組織に取り込ませるのが正しい姿』
と締めくくり.これは昨年座長がDebateと全く関係ない発言で締めくくったので、今回は座長が言いたいことを代弁するようおおせつかったのでしょうか.
なお,驚いたのは,糖質制限どころか,カーボカウントにすら真っ向から反対という講演がありました.(Meet the ExpertⅢ-1).
またその理由というのが,【とてもわかりやすくできている】食品交換表にカーボカウントを持ち込むと計算が煩雑になるから反対だ,というので二重に驚いて思わず椅子から転げ落ちそうになりました.
賛否両論を出すという運営の設定上,否定論の役割を押し付けられたのでしょうが,これはあんまりですね.
これでは食品交換表のために患者があるのであって,患者のために食品交換表あるのではない,ということになってしまいます.
案の定,講演の後に出たのは,『食品交換表は使えない』『せいぜい表1,2くらいを参照する程度』と,否定的意見でした.
合同パネルディスカッションでは,糖尿病の食事療法がとりあげられていましたが,杏林大学の石田先生は相変わらずの『糖質制限では動脈硬化・腎症が悪化し,のみならず癌・総死亡率も上昇する』とのネガティブキャンペーンです.
ところがその根拠とするものは,やっぱりラットの動物実験と,例のBMJ論文だけでした.この2つのみを延々と多数のスライドで紹介して『糖質を摂らないと,心疾患で死ぬ』と断定していました.
最後に『食品交換表が理想的』とやっぱりねの結論.なお看過できないのは、糖尿病患者を侮辱するような発言もあったことです.
次回食品交換表改訂で,一部カーボカウントの考えを取り入れる予定と述べた後で,
『まあ,糖尿病の方,1,000万人いますからね.1%でも1万人ですからね,結構変な人もおられます.まあ,そういう人にはこういうオプション(=カーボカウントにようる糖質管理)で』
ときました.
こんな人が日本糖尿病学会の食事療法の中心にいていいものでしょうか?
ところがその後に続いた,臨床最前線の方々の講演は,血糖値コントロールを良くするために,いかにカーボカウントを取り入れるか,という実にまっとうなお話ばかりだったので,なおさら石田先生のスタンスの奇怪さが目立ちました.
皮肉なことに,今回の学会で一糖尿病患者にとって,もっとも参考になったのは,ランチョンセミナーでした.
1日目の『糖尿病の診療・療養指導における血糖自己測定の活用とピットフォール(落とし穴);LS-1-7』と,2日目の『CGMから見た糖尿病治療の最適化;LS-2-10』により,スポットデータに過ぎない空腹時血糖値と,平均血糖値指標であるHbA1cだけでは,食後高血糖などの急峻な日内血糖値変動,及び夜間の低血糖を見過ごしてしまい,病態が全く異なるのに,同じ治療・投薬が行われてしまう危険性をあきらかにしていました.
しらねのぞるば さんから
「第16回日本病態栄養学会年次学術総会に参加して」という
コメントをいただきました。
第16回日本病態栄養学会年次学術集会の情報が、コンパクトに要約してありとても参考になります。
ありがとうございます。
東大糖尿病・代謝内科の植木先生
『脳はケトン体も利用できる』
『脂肪摂取率 25%未満でなければならないということに科学的根拠はない』
『蛋白質摂取量も体重基準で推奨しているが,これも科学的根拠はない』
『カロリー制限食に糖尿病患者の寿命を延長させるというエビデンスはない』
ニュートラルで、とても好感がもてる発言ですね。
清野先生はまあ、しょうがないとして、石田均先生、確かにここまで来ると「奇怪」ですね。
その後に続いた臨床最前線の方々の講演は、血糖値コントロールを良くするために、いかにカーボカウントを取り入れるか、という実にまっとうなお話ばかりだったというのは救いです。
「平均血糖変動幅、夜中の低血糖、食後高血糖」
・・・この3つが最近のキーワードですね。
いずれも、スーパー糖質制限食で改善します。
そして、空腹時血糖値とHbA1cの評価だけでは、「平均血糖変動幅、夜中の低血糖、食後高血糖」は全くわかりません。
さらに、「平均血糖変動幅、夜中の低血糖、食後高血糖」を悪化させるのは、糖質摂取だけで、タンパク質・脂質は無関係です。
江部康二
13/01/13 しらねのぞるば
第16回日本病態栄養学会年次学術総会に参加して
京都国際会館での第16回日本病態栄養学会年次学術総会に参加してまいりましたが,今回は糖尿病性腎症がメインテーマとのことで,糖質制限をテーマとしたものは,山田先生の1件のみでした(Meet the ExpertⅡ-1).先生は糖質=100g/日程度の糖質制限で血糖値変動を少なくすべきと,例によって多数のスライドで説明されました.
その後に続いた東大糖尿病・代謝内科の植木先生(Meet the ExpertⅡ-2)は,中立的な意見でしたが,興味を引いたのは,講演の折々で,
『脳はケトン体も利用できる』
『脂肪摂取率 25%未満でなければならないということに科学的根拠はない』
『蛋白質摂取量も体重基準で推奨しているが,これも科学的根拠はない』
『カロリー制限食に糖尿病患者の寿命を延長させるというエビデンスはない』
などを,サラリと述べておられました.
しかし,興ざめだったのは,これらの講演の最後に,座長指名により清野先生が,
『三大栄養素はすべて人間に必須のもの. インスリンを出さないことがいいことだという極端な議論ではなく,インスリンを分泌させて,血糖を筋肉や組織に取り込ませるのが正しい姿』
と締めくくり.これは昨年座長がDebateと全く関係ない発言で締めくくったので、今回は座長が言いたいことを代弁するようおおせつかったのでしょうか.
なお,驚いたのは,糖質制限どころか,カーボカウントにすら真っ向から反対という講演がありました.(Meet the ExpertⅢ-1).
またその理由というのが,【とてもわかりやすくできている】食品交換表にカーボカウントを持ち込むと計算が煩雑になるから反対だ,というので二重に驚いて思わず椅子から転げ落ちそうになりました.
賛否両論を出すという運営の設定上,否定論の役割を押し付けられたのでしょうが,これはあんまりですね.
これでは食品交換表のために患者があるのであって,患者のために食品交換表あるのではない,ということになってしまいます.
案の定,講演の後に出たのは,『食品交換表は使えない』『せいぜい表1,2くらいを参照する程度』と,否定的意見でした.
合同パネルディスカッションでは,糖尿病の食事療法がとりあげられていましたが,杏林大学の石田先生は相変わらずの『糖質制限では動脈硬化・腎症が悪化し,のみならず癌・総死亡率も上昇する』とのネガティブキャンペーンです.
ところがその根拠とするものは,やっぱりラットの動物実験と,例のBMJ論文だけでした.この2つのみを延々と多数のスライドで紹介して『糖質を摂らないと,心疾患で死ぬ』と断定していました.
最後に『食品交換表が理想的』とやっぱりねの結論.なお看過できないのは、糖尿病患者を侮辱するような発言もあったことです.
次回食品交換表改訂で,一部カーボカウントの考えを取り入れる予定と述べた後で,
『まあ,糖尿病の方,1,000万人いますからね.1%でも1万人ですからね,結構変な人もおられます.まあ,そういう人にはこういうオプション(=カーボカウントにようる糖質管理)で』
ときました.
こんな人が日本糖尿病学会の食事療法の中心にいていいものでしょうか?
ところがその後に続いた,臨床最前線の方々の講演は,血糖値コントロールを良くするために,いかにカーボカウントを取り入れるか,という実にまっとうなお話ばかりだったので,なおさら石田先生のスタンスの奇怪さが目立ちました.
皮肉なことに,今回の学会で一糖尿病患者にとって,もっとも参考になったのは,ランチョンセミナーでした.
1日目の『糖尿病の診療・療養指導における血糖自己測定の活用とピットフォール(落とし穴);LS-1-7』と,2日目の『CGMから見た糖尿病治療の最適化;LS-2-10』により,スポットデータに過ぎない空腹時血糖値と,平均血糖値指標であるHbA1cだけでは,食後高血糖などの急峻な日内血糖値変動,及び夜間の低血糖を見過ごしてしまい,病態が全く異なるのに,同じ治療・投薬が行われてしまう危険性をあきらかにしていました.
2013年01月12日 (土)
こんばんは。
ツーサン さんから貴重な情報をコメントいただきました。
ツーサン さん。
ありがとうございます。
「1型糖尿病患者では、脂質摂取でも血糖値が上昇する」という論文が、Diabetes Care 2012年11月27日オンライン版で報告されました。
MT Pro Doctor’s eye
で、山田悟先生の解説です。
2012年05月28日 (月)の本ブログ記事「1型糖尿病とタンパク質、血糖値を上げる?上げない?」で、
『1型でも内因性インスリンがあるていど残っている場合は、タンパク質は血糖値をほとんど上げない。
しかし、内因性インスリンがゼロの場合は、バーンスタイン医師が言うように、体重64kgとして0.94mg上昇させる。』
という私の考えを述べました。
今回の「脂質も1型の場合血糖値を上昇させる」という報告は、私にも衝撃的でした。
医療関係者の方は下記で図と表を見ることができます。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/doctoreye/dr130101.html
「研究者(Wolpert)らは,こうした高脂質食による血糖上昇は,脂質摂取が遊離脂肪酸(FFA)を上昇させ,その結果,数時間のうちにインスリン抵抗性が悪化して血糖値が上昇するものと考察している。」
そういうことなら、脂質が直接血糖値に変わったというより、同時に摂取した糖質由来の血糖値上昇が、インスリン抵抗性のために下がりが悪かったということになります。
つまり、1型糖尿病患者においても、脂質が直接血糖に変わったわけではないというのが、Wolpertらの仮説です。
基礎分泌インスリン代わりのランタスを注射して、脂質のみを1型糖尿病患者さんに摂取して貰って、血糖値が上昇するか試すのが、より正確ですね。
日本でも、脂質摂取の研究データが大櫛陽一先生らにより発表されています。
2型糖尿病、脂質異常症、肥満症において経口摂取した脂肪は、血糖値を上昇させず、インスリンも分泌させません。
J. Lipid Nutr. Vol.19, No.1 (2010)
超低糖質食評価研究から見えてきた食事指導の問題点
大櫛陽一(1)、春木康男(1)、宗田哲男(2)、 銅冶英雄(3)、
糖質ゼロ食研究会(4)、山内忠行(5)
(1)東海大学医学部・基礎医学系、(2)宗田マタニティクリニック、
(3)千葉大学整形外科、(4)宗田ビューティースタジオ、(5)ミナト医科学
研究対象は
2 型糖尿病、脂質異常症、肥満症
16 人(男性:11 人、女性:5 人 年齢:62.5±10.0)
経口ブドウ糖負荷試験(トレーランG50g)→糖質のみ
経口脂肪負荷試験(バター35g)→脂肪のみ
を実施。
経口ブドウ糖負荷試験では、16名全員、血糖、インスリン共に上昇して、平均でピークの60分後で血糖値184mg、IRI 48μU/ml
経口脂肪負荷試験では、16名全員、30分、60分、90分、120分、180分後の血糖値の上昇もIRIの上昇もなしです。
江部康二
13/01/12 ツーサン
MT Pro Doctor’s eye
脂質摂取でも血糖値は上昇する!
1型糖尿病患者への影響を検討した米研究
北里研究所病院糖尿病センター 山田 悟
研究の背景:脂質摂取は食後の血糖上昇に影響しないと考えられてきた
1型糖尿病患者の血糖コントロールは,必要にして十分なだけの基礎インスリン投与および食事中の糖質量に応じた追加インスリン投与によって果たされるものと一般には考えられ(Pediatr Diabetes 2007; S6: 57-62),脂質摂取は食後の血糖上昇に大きな影響は及ぼさないとされてきた。
しかし,多くの1型糖尿病の専門家たちは,脂質(や蛋白質)の摂取によっても血糖上昇が見られることを経験し,糖質量によって追加インスリン量を計算するだけでは不十分である可能性を指摘していた(『1型糖尿病の治療マニュアル』南江堂)。このたび米国のジョスリン糖尿病センターのグループから,脂質摂取によって血糖上昇が生じうることをきれいに証明した論文がDiabetes Care 2012年11月27日オンライン版に報告されたのでご紹介したい。
研究のポイント1:2泊3日で2回のクローズドループ試験を実施
本研究では11人の1型糖尿病患者を入院させ,18時から翌日正午まで18時間クローズドループ〔持続血糖モニター(CGM)を行い,その値に応じたアルゴリズムでインスリンポンプのスピードを調整し,血糖を管理するシステム〕で血糖を管理し,その間に頻回に採血して実際の血糖値やインスリン濃度をチェックした。
入院は2泊3日で,上記のクローズドループの試験が2回実施された。朝食(Day2とDay3)と昼食(Day1とDay2)のメニューは固定化されており,夕食(Day1とDay2)については糖質および蛋白質の量は固定化されていたが,脂質量のみ異なる量(飽和脂肪酸が中心で10g vs. 60g)で設定されていた。本研究の目的は,夕食の脂質量の差異が血糖やインスリンに与える影響の相違を検討することにあった(図1)。
研究のポイント2:高脂質食の方が食後の血糖値が高い
11人のうち,4人ではインスリンポンプの作動が悪かったり,活動量がDay1とDay2で異なっていたりして解析には不適切であったため,計7人のデータで解析がなされた。7人の患者は平均年齢55歳,糖尿病平均罹病年数42年で,HbA1c 7.2±0.8%※,BMI 26.3±3.6,インスリン投与量0.50±0.14単位/日・kg体重という集団であった。
クローズドループでインスリンが自動的に調節されている間の夕食後の血糖値の変動を見てみると,高脂質食のときの方が,低脂質食のときよりも明確に高値になっており(図2上),一方,翌日の食事内容が固定化されている朝食後の血糖値の変動は両者に差異はなかった。
また,夕食後のインスリンの投与は高脂質食のときの方が(特に食後4時間前後で)多めであり(図2中),食後4時間から10時間くらいまでの血中インスリン濃度は高脂質食で高値であった(図2下)。
研究者(Wolpert)らは,こうした高脂質食による血糖上昇は,脂質摂取が遊離脂肪酸(FFA)を上昇させ,その結果,数時間のうちにインスリン抵抗性が悪化して血糖値が上昇するものと考察している。実際,1単位のインスリンが何gの糖質を処理できるのか,というグラム/インスリン比を夕食について求めると,低脂質のときには13±3g/単位であったのに対し,高脂質のときには9±2g/単位とインスリンの効果が悪くなっていたと報告している。ただし,このインスリン必要量の増大は,平均では42%増であったが,7人の患者での個体差が大きく,-17~108%という分布であった。
研究者らは,追加インスリン量の推定には糖質摂取量のみでは不十分であることははっきりしているが,高脂質食にしたときの摂取脂質量を加味した追加インスリン量の計算法については,個体差を考えずに一概に設定することは難しいとのことであった。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/doctoreye/dr130101.html
ツーサン さんから貴重な情報をコメントいただきました。
ツーサン さん。
ありがとうございます。
「1型糖尿病患者では、脂質摂取でも血糖値が上昇する」という論文が、Diabetes Care 2012年11月27日オンライン版で報告されました。
MT Pro Doctor’s eye
で、山田悟先生の解説です。
2012年05月28日 (月)の本ブログ記事「1型糖尿病とタンパク質、血糖値を上げる?上げない?」で、
『1型でも内因性インスリンがあるていど残っている場合は、タンパク質は血糖値をほとんど上げない。
しかし、内因性インスリンがゼロの場合は、バーンスタイン医師が言うように、体重64kgとして0.94mg上昇させる。』
という私の考えを述べました。
今回の「脂質も1型の場合血糖値を上昇させる」という報告は、私にも衝撃的でした。
医療関係者の方は下記で図と表を見ることができます。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/doctoreye/dr130101.html
「研究者(Wolpert)らは,こうした高脂質食による血糖上昇は,脂質摂取が遊離脂肪酸(FFA)を上昇させ,その結果,数時間のうちにインスリン抵抗性が悪化して血糖値が上昇するものと考察している。」
そういうことなら、脂質が直接血糖値に変わったというより、同時に摂取した糖質由来の血糖値上昇が、インスリン抵抗性のために下がりが悪かったということになります。
つまり、1型糖尿病患者においても、脂質が直接血糖に変わったわけではないというのが、Wolpertらの仮説です。
基礎分泌インスリン代わりのランタスを注射して、脂質のみを1型糖尿病患者さんに摂取して貰って、血糖値が上昇するか試すのが、より正確ですね。
日本でも、脂質摂取の研究データが大櫛陽一先生らにより発表されています。
2型糖尿病、脂質異常症、肥満症において経口摂取した脂肪は、血糖値を上昇させず、インスリンも分泌させません。
J. Lipid Nutr. Vol.19, No.1 (2010)
超低糖質食評価研究から見えてきた食事指導の問題点
大櫛陽一(1)、春木康男(1)、宗田哲男(2)、 銅冶英雄(3)、
糖質ゼロ食研究会(4)、山内忠行(5)
(1)東海大学医学部・基礎医学系、(2)宗田マタニティクリニック、
(3)千葉大学整形外科、(4)宗田ビューティースタジオ、(5)ミナト医科学
研究対象は
2 型糖尿病、脂質異常症、肥満症
16 人(男性:11 人、女性:5 人 年齢:62.5±10.0)
経口ブドウ糖負荷試験(トレーランG50g)→糖質のみ
経口脂肪負荷試験(バター35g)→脂肪のみ
を実施。
経口ブドウ糖負荷試験では、16名全員、血糖、インスリン共に上昇して、平均でピークの60分後で血糖値184mg、IRI 48μU/ml
経口脂肪負荷試験では、16名全員、30分、60分、90分、120分、180分後の血糖値の上昇もIRIの上昇もなしです。
江部康二
13/01/12 ツーサン
MT Pro Doctor’s eye
脂質摂取でも血糖値は上昇する!
1型糖尿病患者への影響を検討した米研究
北里研究所病院糖尿病センター 山田 悟
研究の背景:脂質摂取は食後の血糖上昇に影響しないと考えられてきた
1型糖尿病患者の血糖コントロールは,必要にして十分なだけの基礎インスリン投与および食事中の糖質量に応じた追加インスリン投与によって果たされるものと一般には考えられ(Pediatr Diabetes 2007; S6: 57-62),脂質摂取は食後の血糖上昇に大きな影響は及ぼさないとされてきた。
しかし,多くの1型糖尿病の専門家たちは,脂質(や蛋白質)の摂取によっても血糖上昇が見られることを経験し,糖質量によって追加インスリン量を計算するだけでは不十分である可能性を指摘していた(『1型糖尿病の治療マニュアル』南江堂)。このたび米国のジョスリン糖尿病センターのグループから,脂質摂取によって血糖上昇が生じうることをきれいに証明した論文がDiabetes Care 2012年11月27日オンライン版に報告されたのでご紹介したい。
研究のポイント1:2泊3日で2回のクローズドループ試験を実施
本研究では11人の1型糖尿病患者を入院させ,18時から翌日正午まで18時間クローズドループ〔持続血糖モニター(CGM)を行い,その値に応じたアルゴリズムでインスリンポンプのスピードを調整し,血糖を管理するシステム〕で血糖を管理し,その間に頻回に採血して実際の血糖値やインスリン濃度をチェックした。
入院は2泊3日で,上記のクローズドループの試験が2回実施された。朝食(Day2とDay3)と昼食(Day1とDay2)のメニューは固定化されており,夕食(Day1とDay2)については糖質および蛋白質の量は固定化されていたが,脂質量のみ異なる量(飽和脂肪酸が中心で10g vs. 60g)で設定されていた。本研究の目的は,夕食の脂質量の差異が血糖やインスリンに与える影響の相違を検討することにあった(図1)。
研究のポイント2:高脂質食の方が食後の血糖値が高い
11人のうち,4人ではインスリンポンプの作動が悪かったり,活動量がDay1とDay2で異なっていたりして解析には不適切であったため,計7人のデータで解析がなされた。7人の患者は平均年齢55歳,糖尿病平均罹病年数42年で,HbA1c 7.2±0.8%※,BMI 26.3±3.6,インスリン投与量0.50±0.14単位/日・kg体重という集団であった。
クローズドループでインスリンが自動的に調節されている間の夕食後の血糖値の変動を見てみると,高脂質食のときの方が,低脂質食のときよりも明確に高値になっており(図2上),一方,翌日の食事内容が固定化されている朝食後の血糖値の変動は両者に差異はなかった。
また,夕食後のインスリンの投与は高脂質食のときの方が(特に食後4時間前後で)多めであり(図2中),食後4時間から10時間くらいまでの血中インスリン濃度は高脂質食で高値であった(図2下)。
研究者(Wolpert)らは,こうした高脂質食による血糖上昇は,脂質摂取が遊離脂肪酸(FFA)を上昇させ,その結果,数時間のうちにインスリン抵抗性が悪化して血糖値が上昇するものと考察している。実際,1単位のインスリンが何gの糖質を処理できるのか,というグラム/インスリン比を夕食について求めると,低脂質のときには13±3g/単位であったのに対し,高脂質のときには9±2g/単位とインスリンの効果が悪くなっていたと報告している。ただし,このインスリン必要量の増大は,平均では42%増であったが,7人の患者での個体差が大きく,-17~108%という分布であった。
研究者らは,追加インスリン量の推定には糖質摂取量のみでは不十分であることははっきりしているが,高脂質食にしたときの摂取脂質量を加味した追加インスリン量の計算法については,個体差を考えずに一概に設定することは難しいとのことであった。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/doctoreye/dr130101.html
2013年01月11日 (金)
こんばんは。
maw さんから「糖質オフダイエット」の弊害というタイトルの記事に関して、コメント・質問をいただきました。
【13/01/11 maw
炭水化物摂取について
江部先生殿
糖尿病ではなく健康のため糖質オフを実施始めたばかりで今回の2冊の本で勉強中ですが、
笠井奈津子 [栄養士、食事カウンセラー] という方が
http://diamond.jp/category/s-foodlesson
の中で、 炭水化物を摂らない「糖質オフダイエット」の弊害 というタイトルで
最近よく言われる糖質オフダイエット。
ごはん、パン、麺などの炭水化物の摂り過ぎは、中性脂肪の原因となりやすいし、糖質オフにして、タンパク質をしっかり意識すれば痩せるスピードは速い。なにより、主食さえ気にすれば、他はある程度自由に食べて良い、という手軽さから、ビジネスマン、特にお酒好きな人には実践しやすい方法でもあるだろう。
ただ、注意しなくてはいけないのは、糖質を控えておかずを増やすと必然的に脂質の割合が多くなること。体重は落ちても、炭水化物を摂らないことによって食物繊維やビタミン、ミネラルが減り、コレステロール値が上がって生活習慣病予備軍の仲間入りをしかねない。仕事の効率を上げるためには、朝はきちんと炭水化物を摂る必要がある。
とありますが、先生のコメントをいただけたらと思い書き込みました。】
mawさん。
拙著の御購入ありがとうございます。
結論から言うと「糖質オフダイエット」の弊害というのは、ありません。
糖質制限食は、700万年間の狩猟採集時代に人類が食べていたものを食べるというのが基本的な考えです。
すなわち人類本来の食生活、人類の健康食です。
人類の身体は、700万年間の進化を経て糖質制限食に順応・適応したシステムをもっています。
その人体にとって、総摂取カロリーの60%を穀物(糖質)から摂取するというのはとんでもなくバランスが悪い食事ということです。
農耕が始まって穀物を食べ始めて、わずか1万年に過ぎません。
現代の糖質の頻回・過剰摂取と血糖値の上昇、インスリンの頻回・過剰の分泌が様々な生活習慣病の元凶と考えられます。
そもそも必須脂肪酸、必須アミノ酸は存在しますが、必須糖質は存在しません。
食事から、糖質を摂取しなくても肝臓で、アミノ酸、乳酸、グリセロールなどからブドウ糖を作ります。
脂質、タンパク質の摂取比率は、糖質を制限する分、相対的に増加しますがニューイングランドジャーナルの信頼度の高いコホート研究で冠動脈疾患のリスクが増加しないことが報告されています。
一方、同研究で、炭水化物摂取量が多いと冠動脈疾患のリスク増加が報告されています。
•1980年、米国の女性看護師82,802人に食事調査を行い、研究を開始 。
•質問票を使った食事調査を、1980年から1998年までのあいだに、2-6年間隔で6回実施。
•低炭水化物食「得点」が上位10%のグループの冠動脈疾患の発生率は下位10%のグループの0.94倍で有意差なし。2000年の時点で10グループを解析。炭水化物摂取比率36.8±6.1%グループと58.8±7.0%のグループの比較。
•即ち20年間の追跡で、脂肪と蛋白質が多く炭水化物が少ない食事をしているグループでも、心臓病のリスクは上昇しなかった。
• 一方総炭水化物摂取量は冠動脈疾患リスクの中等度増加に関連していた。 高GLは冠動脈疾患リスク増加と強く関連していた。
Halton TL, et al. Low-carbohydrate-diet score and the risk of coronary heart disease in women.
New England Journal of Medicine 2006;355:1991-2002.
そして、糖質制限食では、穀物や芋などデンプンを摂取しませんが、葉野菜、海藻、茸など食物繊維をたっぷり摂取します。
また、肉類、魚介類、卵、大豆製品など豊富な食品を摂取するので、ビタミン、ミネラルが不足することもありません。
コレステロール値を含め、現在まで動脈硬化のリスク要因とされている検査データは、全て基準値内となります。
以下は、スーパー糖質制限食を11年間実践している2型糖尿人の江部康二の検査データです。
総コレステロール値は、現在ガイドラインからはずれているので、無視できます。
総コレステロール値とケトン体以外は基準値です。
HDLコレステロールが多いのも問題ないです。
LDL-C/HDL-C=1.05 で好ましい数値です。
空腹時血糖値:104mg
HbA1c:5.6%(6.2未満、NGSP)
ケトン体:514μM/L(26~122) 糖質制限食中は生理的で正常値
アセト酢酸:117μM/L(13~69)
3ヒドロキシ酪酸:397μM/L(76以下)
尿酸:3.0mg/dl(3.4~7.0)
TC:256mg/dl(150~219)
TG:88mg/dl(50~149)
HDL-C:116mg/dl(40~98)
LDL-C:122mg/dl(140未満)
BUN:18.2mg/dl(8~20)
クレアチニン:0.59mg/dl(0.6~1.1)
IRI:4.0(3~15μU/ml)
γGTP:37IU/L(48以下)
GOT:23IU/L(9~38)
GPT:22IU/L(5~39)
アルブミン:4.6g/dl(3.8~5.3)
尿中アルブミン:12.6mg/g・c(30.0未満)
尿蛋白:陰性
尿糖:陰性
尿中アセトン体:陰性
江部康二
maw さんから「糖質オフダイエット」の弊害というタイトルの記事に関して、コメント・質問をいただきました。
【13/01/11 maw
炭水化物摂取について
江部先生殿
糖尿病ではなく健康のため糖質オフを実施始めたばかりで今回の2冊の本で勉強中ですが、
笠井奈津子 [栄養士、食事カウンセラー] という方が
http://diamond.jp/category/s-foodlesson
の中で、 炭水化物を摂らない「糖質オフダイエット」の弊害 というタイトルで
最近よく言われる糖質オフダイエット。
ごはん、パン、麺などの炭水化物の摂り過ぎは、中性脂肪の原因となりやすいし、糖質オフにして、タンパク質をしっかり意識すれば痩せるスピードは速い。なにより、主食さえ気にすれば、他はある程度自由に食べて良い、という手軽さから、ビジネスマン、特にお酒好きな人には実践しやすい方法でもあるだろう。
ただ、注意しなくてはいけないのは、糖質を控えておかずを増やすと必然的に脂質の割合が多くなること。体重は落ちても、炭水化物を摂らないことによって食物繊維やビタミン、ミネラルが減り、コレステロール値が上がって生活習慣病予備軍の仲間入りをしかねない。仕事の効率を上げるためには、朝はきちんと炭水化物を摂る必要がある。
とありますが、先生のコメントをいただけたらと思い書き込みました。】
mawさん。
拙著の御購入ありがとうございます。
結論から言うと「糖質オフダイエット」の弊害というのは、ありません。
糖質制限食は、700万年間の狩猟採集時代に人類が食べていたものを食べるというのが基本的な考えです。
すなわち人類本来の食生活、人類の健康食です。
人類の身体は、700万年間の進化を経て糖質制限食に順応・適応したシステムをもっています。
その人体にとって、総摂取カロリーの60%を穀物(糖質)から摂取するというのはとんでもなくバランスが悪い食事ということです。
農耕が始まって穀物を食べ始めて、わずか1万年に過ぎません。
現代の糖質の頻回・過剰摂取と血糖値の上昇、インスリンの頻回・過剰の分泌が様々な生活習慣病の元凶と考えられます。
そもそも必須脂肪酸、必須アミノ酸は存在しますが、必須糖質は存在しません。
食事から、糖質を摂取しなくても肝臓で、アミノ酸、乳酸、グリセロールなどからブドウ糖を作ります。
脂質、タンパク質の摂取比率は、糖質を制限する分、相対的に増加しますがニューイングランドジャーナルの信頼度の高いコホート研究で冠動脈疾患のリスクが増加しないことが報告されています。
一方、同研究で、炭水化物摂取量が多いと冠動脈疾患のリスク増加が報告されています。
•1980年、米国の女性看護師82,802人に食事調査を行い、研究を開始 。
•質問票を使った食事調査を、1980年から1998年までのあいだに、2-6年間隔で6回実施。
•低炭水化物食「得点」が上位10%のグループの冠動脈疾患の発生率は下位10%のグループの0.94倍で有意差なし。2000年の時点で10グループを解析。炭水化物摂取比率36.8±6.1%グループと58.8±7.0%のグループの比較。
•即ち20年間の追跡で、脂肪と蛋白質が多く炭水化物が少ない食事をしているグループでも、心臓病のリスクは上昇しなかった。
• 一方総炭水化物摂取量は冠動脈疾患リスクの中等度増加に関連していた。 高GLは冠動脈疾患リスク増加と強く関連していた。
Halton TL, et al. Low-carbohydrate-diet score and the risk of coronary heart disease in women.
New England Journal of Medicine 2006;355:1991-2002.
そして、糖質制限食では、穀物や芋などデンプンを摂取しませんが、葉野菜、海藻、茸など食物繊維をたっぷり摂取します。
また、肉類、魚介類、卵、大豆製品など豊富な食品を摂取するので、ビタミン、ミネラルが不足することもありません。
コレステロール値を含め、現在まで動脈硬化のリスク要因とされている検査データは、全て基準値内となります。
以下は、スーパー糖質制限食を11年間実践している2型糖尿人の江部康二の検査データです。
総コレステロール値は、現在ガイドラインからはずれているので、無視できます。
総コレステロール値とケトン体以外は基準値です。
HDLコレステロールが多いのも問題ないです。
LDL-C/HDL-C=1.05 で好ましい数値です。
空腹時血糖値:104mg
HbA1c:5.6%(6.2未満、NGSP)
ケトン体:514μM/L(26~122) 糖質制限食中は生理的で正常値
アセト酢酸:117μM/L(13~69)
3ヒドロキシ酪酸:397μM/L(76以下)
尿酸:3.0mg/dl(3.4~7.0)
TC:256mg/dl(150~219)
TG:88mg/dl(50~149)
HDL-C:116mg/dl(40~98)
LDL-C:122mg/dl(140未満)
BUN:18.2mg/dl(8~20)
クレアチニン:0.59mg/dl(0.6~1.1)
IRI:4.0(3~15μU/ml)
γGTP:37IU/L(48以下)
GOT:23IU/L(9~38)
GPT:22IU/L(5~39)
アルブミン:4.6g/dl(3.8~5.3)
尿中アルブミン:12.6mg/g・c(30.0未満)
尿蛋白:陰性
尿糖:陰性
尿中アセトン体:陰性
江部康二
2013年01月11日 (金)
おはようございます。
精神科医師Aさんから訂正情報をいただきました。
山田先生の文章は、Diabetes Strategy Vol.2 No.2 2012 pp61-77<治療ターゲットを考えた食事療法はどうするのか>という記事で、4名の医師のディベート形式で掲載されています。
記事で山田悟医師も指摘しておられるように、1型の場合、インスリン投与は必要不可欠です。
「糖質制限食で1型糖尿病でも、インスリン注射が中止できる」
と指導する医師がいるとすれば、それは間違いです。
高雄病院には1型糖尿病の患者さんも通院・入院されて、糖質制限食を実践されています。
高雄病院では「糖質制限食で1型糖尿病でも、インスリン注射が中止できる」というような指導はしません。
江部康二
(P73)
山田 悟 (北里大学北里研究所病院糖尿病センター長)
ケトン体産生食の話になりますが、1型糖尿病で、難治性の小児てんかんを合併した方の症例報告があります[17]。難治性の小児てんかんに対してケトン体産生食を導入したところ、てんかん発作は改善し、HbA1cでは7.5%から6.4%と著明な改善がみられ、さらに低血糟は減少しています。これは注目されるべき結果だと思います。
カーボカウント実施の際にカーボの摂取量の見積もりを間違えた場合、インスリンの量が大きすぎれば低血糖になりますし 逆にインスリンの量が少なすぎれば高血糖になります。その計算ミスの影響を糖質制限で減らすことが期待できるのではないかと思います
17) Dressler A, Reithofer E, Trimmel-Schwahofer P et al : Type 1 diabetes and epilepsy: Efficacy and safety of the ketogenic diet. Epilepsia 51: 1086-1089, 2010
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1528-1167.2010.02543.x/full
3才6ヶ月の少女での成功例
(P74)
山田 糖質制限の問題点の一つだと思いますが 、1型糖尿病に対して糖質制限をおこなうことでインスリンを中上できると指導する例がみられ そのために糖尿病性ケトアシドーシス(diabetic ketoacldosis: DKA)を起こしたという症例報告があります。1型糖尿病の方に糖質制限食をおこなうのは専門医にかぎってもらいたいと思います また インスリンをやめるための手段ではなく、あくまでも応用カーボカウントの際にカーボとインスリン量のずれを少なくするための手段の一つであるということは強調しておきたいと思います。
精神科医師Aさんから訂正情報をいただきました。
山田先生の文章は、Diabetes Strategy Vol.2 No.2 2012 pp61-77<治療ターゲットを考えた食事療法はどうするのか>という記事で、4名の医師のディベート形式で掲載されています。
記事で山田悟医師も指摘しておられるように、1型の場合、インスリン投与は必要不可欠です。
「糖質制限食で1型糖尿病でも、インスリン注射が中止できる」
と指導する医師がいるとすれば、それは間違いです。
高雄病院には1型糖尿病の患者さんも通院・入院されて、糖質制限食を実践されています。
高雄病院では「糖質制限食で1型糖尿病でも、インスリン注射が中止できる」というような指導はしません。
江部康二
(P73)
山田 悟 (北里大学北里研究所病院糖尿病センター長)
ケトン体産生食の話になりますが、1型糖尿病で、難治性の小児てんかんを合併した方の症例報告があります[17]。難治性の小児てんかんに対してケトン体産生食を導入したところ、てんかん発作は改善し、HbA1cでは7.5%から6.4%と著明な改善がみられ、さらに低血糟は減少しています。これは注目されるべき結果だと思います。
カーボカウント実施の際にカーボの摂取量の見積もりを間違えた場合、インスリンの量が大きすぎれば低血糖になりますし 逆にインスリンの量が少なすぎれば高血糖になります。その計算ミスの影響を糖質制限で減らすことが期待できるのではないかと思います
17) Dressler A, Reithofer E, Trimmel-Schwahofer P et al : Type 1 diabetes and epilepsy: Efficacy and safety of the ketogenic diet. Epilepsia 51: 1086-1089, 2010
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1528-1167.2010.02543.x/full
3才6ヶ月の少女での成功例
(P74)
山田 糖質制限の問題点の一つだと思いますが 、1型糖尿病に対して糖質制限をおこなうことでインスリンを中上できると指導する例がみられ そのために糖尿病性ケトアシドーシス(diabetic ketoacldosis: DKA)を起こしたという症例報告があります。1型糖尿病の方に糖質制限食をおこなうのは専門医にかぎってもらいたいと思います また インスリンをやめるための手段ではなく、あくまでも応用カーボカウントの際にカーボとインスリン量のずれを少なくするための手段の一つであるということは強調しておきたいと思います。
2013年01月10日 (木)
こんばんは。
精神科医師Aさんから興味深い情報をコメントいただきました。
医学雑誌『内科』2011年10月号
*非専門医の1型糖尿病診療
という特集で、山田 悟 北里研究所病院糖尿病センター長が、ケトン食を導入して成功した、3歳の1型糖尿棒病少女の症例について解説しておられます。
本例は難治性の小児てんかんも合併しており、ケトン食によりてんかん発作、HbA1cが著明に改善し低血糖も減少しています。
素晴らしいケトン食の効果です。
山田悟先生も、注目されるべき結果としておられます。
さらに山田悟先生は、カーボカウントにおいて、糖質量とインスリン量のマッチングが結構難しく、低血糖や高血糖になることがあるが、糖質制限食でそれが減らすことが期待できると述べておられます。
このように2011年10月の時点では、山田悟先生、糖質制限食およびケトン食に対してもポジティブなスタンスでした。
しかし、残念ながら、現在はケトン食に対してはネガティブなスタンスに変化され、糖質制限食に対してもゆるやかなものは許容するけれど、スーパー糖質制限食は許容しないという立場を取られています。
ゆるやかな糖質制限食では、多くの糖尿人において、食後高血糖と平均血糖変動幅の増大がコントロールできないことは理論的に明らかなので、ここら辺をどう考えておられるのでしょうね?
江部康二
13/01/09 精神科医師A
1型糖尿病と低炭水化物食(1)
『内科』(南江堂)2011年10月号p605-608
*非専門医の1型糖尿病診療
(P73)
山田 悟 (北里大学北里研究所病院糖尿病センター長)
ケトン体産生食の話になりますが、1型糖尿病で、難治性の小児てんかんを合併した方の症例報告があります[17]。
難治性の小児てんかんに対してケトン体産生食を導入したところ、てんかん発作は改善し、HbA1cでは7.5%から6.4%と著明な改善がみられ、さらに低血糟は減少しています。これは注目されるべき結果だと思います。
カーボカウント実施の際にカーボの摂取量の見積もりを間違えた場合、インスリンの量が大きすぎれば低血糖になりますし 逆にインスリンの量が少なすぎれば高血糖になります。その計算ミスの影響を糖質制限で減らすことが期待できるのではないかと思います
17) Dressler A, Reithofer E, Trimmel-Schwahofer P et al : Type 1 diabetes and epilepsy: Efficacy and safety of the ketogenic diet. Epilepsia 51: 1086-1089, 2010
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1528-1167.2010.02543.x/full
3才6ヶ月の少女での成功例
精神科医師Aさんから興味深い情報をコメントいただきました。
医学雑誌『内科』2011年10月号
*非専門医の1型糖尿病診療
という特集で、山田 悟 北里研究所病院糖尿病センター長が、ケトン食を導入して成功した、3歳の1型糖尿棒病少女の症例について解説しておられます。
本例は難治性の小児てんかんも合併しており、ケトン食によりてんかん発作、HbA1cが著明に改善し低血糖も減少しています。
素晴らしいケトン食の効果です。
山田悟先生も、注目されるべき結果としておられます。
さらに山田悟先生は、カーボカウントにおいて、糖質量とインスリン量のマッチングが結構難しく、低血糖や高血糖になることがあるが、糖質制限食でそれが減らすことが期待できると述べておられます。
このように2011年10月の時点では、山田悟先生、糖質制限食およびケトン食に対してもポジティブなスタンスでした。
しかし、残念ながら、現在はケトン食に対してはネガティブなスタンスに変化され、糖質制限食に対してもゆるやかなものは許容するけれど、スーパー糖質制限食は許容しないという立場を取られています。
ゆるやかな糖質制限食では、多くの糖尿人において、食後高血糖と平均血糖変動幅の増大がコントロールできないことは理論的に明らかなので、ここら辺をどう考えておられるのでしょうね?
江部康二
13/01/09 精神科医師A
1型糖尿病と低炭水化物食(1)
『内科』(南江堂)2011年10月号p605-608
*非専門医の1型糖尿病診療
(P73)
山田 悟 (北里大学北里研究所病院糖尿病センター長)
ケトン体産生食の話になりますが、1型糖尿病で、難治性の小児てんかんを合併した方の症例報告があります[17]。
難治性の小児てんかんに対してケトン体産生食を導入したところ、てんかん発作は改善し、HbA1cでは7.5%から6.4%と著明な改善がみられ、さらに低血糟は減少しています。これは注目されるべき結果だと思います。
カーボカウント実施の際にカーボの摂取量の見積もりを間違えた場合、インスリンの量が大きすぎれば低血糖になりますし 逆にインスリンの量が少なすぎれば高血糖になります。その計算ミスの影響を糖質制限で減らすことが期待できるのではないかと思います
17) Dressler A, Reithofer E, Trimmel-Schwahofer P et al : Type 1 diabetes and epilepsy: Efficacy and safety of the ketogenic diet. Epilepsia 51: 1086-1089, 2010
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1528-1167.2010.02543.x/full
3才6ヶ月の少女での成功例
2013年01月09日 (水)
こんにちは。
糖質制限食さんから、大変興味深い情報をコメントいただきました。
「術後の食事に配慮が必要 高糖質食は大腸がん再発と関連」
というヤフーニュースの記事です。
元論文の情報を精神科医師Aさんからいただきました。(*)
JNCI J Natl Cancer Instはインパクト・ファクター:13.757のなかなかの医学雑誌で信頼度は高いです。
「GLや総炭水化物摂取量が最も高いグループでは、最も低いグループに比較し、再発リスクや死亡リスクが80%も高いことが確認されたのである。この傾向は、術前にBMI25以上の肥満者や現在も肥満の患者でさらに顕著であった。」
以前から、高血糖、高インスリン血症に発ガンリスクがあることは、本ブログでも再々エビデンスを紹介してきました。
今回の論文で、炭水化物摂取量が多いと、大腸がんの再発リスクや死亡率が80%高まることがわかりました。
炭水化物摂取で、インスリンが大量に追加分泌されたことが、がん再発の元凶と私は思います。
肥満の患者でさらにリスクが顕著であったのは、肥満によるインスリン抵抗性のため、BMI25未満の人に比べて、より大量のインスリンが追加分泌されたためと思われます。
げに、炭水化物恐るべしですね。 (→ο←)
なおGL(グリセミック・ロード)とは血糖負荷指数といった意味です。
<一人前の分量の食べ物に含まれる糖質のグラム数>×<その食べ物のGI>÷100
で計算した数値が、GLです。
20以上が高、19~11が中、10以下が低とされています。
GL値とは、実際の食事でその食品の一人前の分量を考慮して、どれだけ血糖値を上げるかを示す目安です。
江部康二
ヤフーニュースから転載
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130107-00030020-diamond-bus_all
【術後の食事に配慮が必要高糖質食は大腸がん再発と関連
ダイヤモンド・オンライン 1月7日(月)8時30分配信
最近なにかと旗色が悪い糖質だが、先月、大腸がんの再発と糖質との関連を示すデータが報告された。米国国立がん研究所ジャーナルの掲載論文から。
調査研究にはステージ3の大腸がん患者、およそ1万人が参加。それぞれの食事内容を、どれだけ血糖値を上げやすいかの指標である「グリセミック・インデックス(GI値)」と実際の食事の量から計算される「血糖負荷(グリセミック・ロード:GL)」から5グループに分け、術後化学療法中の半年間、追跡した。
その結果、GLや総炭水化物摂取量が最も高いグループでは、最も低いグループに比較し、再発リスクや死亡リスクが80%も高いことが確認されたのである。この傾向は、術前にBMI25以上の肥満者や現在も肥満の患者でさらに顕著であった。
糖質、炭水化物の過剰摂取は食後高血糖を招き、インスリン産生量を増やす。糖尿病の発症リスクであることは言うまでもないが、高インスリン血症とがん発症率、死亡率の上昇との関連も指摘されてきた。
少し古い研究だが、2006年の厚生労働省「多目的コホート研究」では、40~69歳の男女約4万人から検診等で採血した血液を提供してもらい、11年半追跡した。その結果、インスリン分泌量を反映する血液中の「Cペプチド」が高い男性は大腸がんの発症リスクが最大3.2倍、結腸がんでは3.5倍に上昇することが示されたのである。
肉や精製された穀物を摂る西洋型の食事が大腸がんの発症、再発リスクであるとは以前から指摘されていたが、そのうちの「何」がリスクを高めるかは不明だった。現在も主犯格をめぐり「赤身肉だ」「糖質だ」との論争が続いている。しかし今回の研究で少なくとも術後の再発予防には、炭水化物の摂取制限が必要であることが明確になった。研究者は「大腸がん手術後の生存率を改善する手段を提供できた」としている。
大腸がんは早期なら比較的サバイバルしやすい一方で、再発後の治療は高額で厳しい。毎日の食事でリスクが回避できるなら、それに越したことはない。
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)】
(*)
JNCI J Natl Cancer Inst (2012) 104 (22): 1702-1711
http://jnci.oxfordjournals.org/content/104/22/1702.abstract
Dietary Glycemic Load and Cancer Recurrence and Survival in Patients with Stage III Colon Cancer: Findings From CALGB 89803
糖質制限食さんから、大変興味深い情報をコメントいただきました。
「術後の食事に配慮が必要 高糖質食は大腸がん再発と関連」
というヤフーニュースの記事です。
元論文の情報を精神科医師Aさんからいただきました。(*)
JNCI J Natl Cancer Instはインパクト・ファクター:13.757のなかなかの医学雑誌で信頼度は高いです。
「GLや総炭水化物摂取量が最も高いグループでは、最も低いグループに比較し、再発リスクや死亡リスクが80%も高いことが確認されたのである。この傾向は、術前にBMI25以上の肥満者や現在も肥満の患者でさらに顕著であった。」
以前から、高血糖、高インスリン血症に発ガンリスクがあることは、本ブログでも再々エビデンスを紹介してきました。
今回の論文で、炭水化物摂取量が多いと、大腸がんの再発リスクや死亡率が80%高まることがわかりました。
炭水化物摂取で、インスリンが大量に追加分泌されたことが、がん再発の元凶と私は思います。
肥満の患者でさらにリスクが顕著であったのは、肥満によるインスリン抵抗性のため、BMI25未満の人に比べて、より大量のインスリンが追加分泌されたためと思われます。
げに、炭水化物恐るべしですね。 (→ο←)
なおGL(グリセミック・ロード)とは血糖負荷指数といった意味です。
<一人前の分量の食べ物に含まれる糖質のグラム数>×<その食べ物のGI>÷100
で計算した数値が、GLです。
20以上が高、19~11が中、10以下が低とされています。
GL値とは、実際の食事でその食品の一人前の分量を考慮して、どれだけ血糖値を上げるかを示す目安です。
江部康二
ヤフーニュースから転載
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130107-00030020-diamond-bus_all
【術後の食事に配慮が必要高糖質食は大腸がん再発と関連
ダイヤモンド・オンライン 1月7日(月)8時30分配信
最近なにかと旗色が悪い糖質だが、先月、大腸がんの再発と糖質との関連を示すデータが報告された。米国国立がん研究所ジャーナルの掲載論文から。
調査研究にはステージ3の大腸がん患者、およそ1万人が参加。それぞれの食事内容を、どれだけ血糖値を上げやすいかの指標である「グリセミック・インデックス(GI値)」と実際の食事の量から計算される「血糖負荷(グリセミック・ロード:GL)」から5グループに分け、術後化学療法中の半年間、追跡した。
その結果、GLや総炭水化物摂取量が最も高いグループでは、最も低いグループに比較し、再発リスクや死亡リスクが80%も高いことが確認されたのである。この傾向は、術前にBMI25以上の肥満者や現在も肥満の患者でさらに顕著であった。
糖質、炭水化物の過剰摂取は食後高血糖を招き、インスリン産生量を増やす。糖尿病の発症リスクであることは言うまでもないが、高インスリン血症とがん発症率、死亡率の上昇との関連も指摘されてきた。
少し古い研究だが、2006年の厚生労働省「多目的コホート研究」では、40~69歳の男女約4万人から検診等で採血した血液を提供してもらい、11年半追跡した。その結果、インスリン分泌量を反映する血液中の「Cペプチド」が高い男性は大腸がんの発症リスクが最大3.2倍、結腸がんでは3.5倍に上昇することが示されたのである。
肉や精製された穀物を摂る西洋型の食事が大腸がんの発症、再発リスクであるとは以前から指摘されていたが、そのうちの「何」がリスクを高めるかは不明だった。現在も主犯格をめぐり「赤身肉だ」「糖質だ」との論争が続いている。しかし今回の研究で少なくとも術後の再発予防には、炭水化物の摂取制限が必要であることが明確になった。研究者は「大腸がん手術後の生存率を改善する手段を提供できた」としている。
大腸がんは早期なら比較的サバイバルしやすい一方で、再発後の治療は高額で厳しい。毎日の食事でリスクが回避できるなら、それに越したことはない。
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)】
(*)
JNCI J Natl Cancer Inst (2012) 104 (22): 1702-1711
http://jnci.oxfordjournals.org/content/104/22/1702.abstract
Dietary Glycemic Load and Cancer Recurrence and Survival in Patients with Stage III Colon Cancer: Findings From CALGB 89803
2013年01月08日 (火)
こんにちは。
イッチーさんから、3歳児の1型糖尿病と糖質制限食についてコメント・質問をいただきました。
【13/01/07 イッチー
3歳からの糖質制限食について
初めてコメント(質問)させていただきます。
「3歳位からスーパー糖質制限食を継続して大丈夫でしょうか?」
私には3歳の娘がおり、半年程前に「Ⅰ型糖尿病」と診断されました。
病院の方からは「今までの食事にインスリンを合わせて」と言われたのですが、 あまりの難しさに糖質制限食を取り入れました。
今では3食糖質制限食です。
先生のブログや本には子供も糖質制限食は問題ない、と書かれていますが、 ある方から
「病院で、脳にぶどう糖は不可欠だから成長期のこどもに糖質制限は絶対しない事。。そして、糖質制限し違う病気をまねいた事例もあるそう。」
と言われました。
具体的にはどんな違う病気をまねいた、などと言うことはわかりませんが、 「3歳からスーパー糖質制限食をしていて本当に問題はないのだろうか・・・」 と不安をいだきまして質問をさせて頂きました。
どうぞよろしくお願いします。】
イッチーさん。
1型糖尿病の食事療法で苦労されているのでしょうね。
「3歳位からスーパー糖質制限食を継続して大丈夫でしょうか?」
問題ありません。
人類は、農耕前の700万年間は、穀物なしの糖質制限食です。
穀物(糖質たっぷり)を主食としたのは、最近の僅か1万年に過ぎません。
すなわち、人類は700万年間、狩猟・採集を生業とし、糖質制限食を実践しながら、妊娠・出産・子育て・日常生活をおくってきたのです。
このように進化の歴史を考慮すれば、我々人類の身体は、糖質制限食にこそ順応・適応しているのです。
穀物(糖質)を総摂取カロリーの60%という現代の食生活は、人類の身体にとってとんでもないバランスということです。
糖質制限食は人類本来の食生活、人類の健康食ですので、老若男女だれでもOKなのです。
歴史的にもう少し近くでは、極北の民・イヌイットは、4000年間の伝統的ライフスタイルの間は、生肉・生魚が主食であり、糖質制限食を実践しながら、妊娠・出産・子育て・日常生活をおくってきました。
『病院の方からは「今までの食事にインスリンを合わせて」と言われた』
これは、極めて難しいことです。
少なくとも、カーボカウント(糖質管理食)をしない限り血糖コントロールは不可能です。
物心ついてきて、他の子供と同じものを食べたいようなときは、「糖質管理食」を併用すればインスリン単位とのマッチングがしやすいです。
糖質管理食なら、小児1型糖尿病の患者会などでも話が聞けると思います。
「病院で、脳にぶどう糖は不可欠だから成長期のこどもに糖質制限は絶対しない事。そして、糖質制限し違う病気をまねいた事例もあるそう。」
糖質制限食で食後高血糖が改善しますが、肝臓で糖新生するので、そもそも低血糖にはなりません。
そして、脳はブドウ糖だけでなく、ケトン体という脂肪酸の分解物をいくらでも利用します。
小児ケトン食(総摂取カロリーの80%が脂肪)という、スーパー糖質制限食よりさらに厳しい糖質制限の食事療法があります。
難治性小児てんかんに有効で、1920年代から実施されてきました。
そのKetogenic Diet(ケトン食)が、2010年版COCHRANE LIBRARLY(コクラン ライブラリー)と、2011年版NICE(英国政府ガイドライン)の、難治性小児てんかん治療に採用されました。
コクラン ライブラリーと、NICEは国際的に極めて信頼度の高い治療ガイドラインです。このような信頼度の高いガイドラインに、約90年の歴史を経てとうとうケトン食が認められたのですから、その価値は高いです。
「糖質制限し違う病気をまねいた事例もある」
糖質制限食の適応に従って実践しているかぎり、そのような報告はありません。
もし報告例があるとしたら、アトキンスダイエットのことでしょうか。
アトキンスダイエット40年間の歴史で、数十万の人が実践して、2例ケトアシドーシスの報告があります。
極めてまれな特殊例で、いずれも速やかに回復しています。
液体糖質摂取によるペットボトル症候群は、その千倍以上の頻度で発生して死亡例も結構あります。
→詳しくは、2012年08月28日 (火)の本ブログ記事
「読売新聞記事への反論①ケトン体について」
をご参照ください。
なお、腎不全、活動性膵炎、肝硬変、長鎖脂肪酸代謝異常症の場合は、糖質制限食は適応となりません。
江部康二
イッチーさんから、3歳児の1型糖尿病と糖質制限食についてコメント・質問をいただきました。
【13/01/07 イッチー
3歳からの糖質制限食について
初めてコメント(質問)させていただきます。
「3歳位からスーパー糖質制限食を継続して大丈夫でしょうか?」
私には3歳の娘がおり、半年程前に「Ⅰ型糖尿病」と診断されました。
病院の方からは「今までの食事にインスリンを合わせて」と言われたのですが、 あまりの難しさに糖質制限食を取り入れました。
今では3食糖質制限食です。
先生のブログや本には子供も糖質制限食は問題ない、と書かれていますが、 ある方から
「病院で、脳にぶどう糖は不可欠だから成長期のこどもに糖質制限は絶対しない事。。そして、糖質制限し違う病気をまねいた事例もあるそう。」
と言われました。
具体的にはどんな違う病気をまねいた、などと言うことはわかりませんが、 「3歳からスーパー糖質制限食をしていて本当に問題はないのだろうか・・・」 と不安をいだきまして質問をさせて頂きました。
どうぞよろしくお願いします。】
イッチーさん。
1型糖尿病の食事療法で苦労されているのでしょうね。
「3歳位からスーパー糖質制限食を継続して大丈夫でしょうか?」
問題ありません。
人類は、農耕前の700万年間は、穀物なしの糖質制限食です。
穀物(糖質たっぷり)を主食としたのは、最近の僅か1万年に過ぎません。
すなわち、人類は700万年間、狩猟・採集を生業とし、糖質制限食を実践しながら、妊娠・出産・子育て・日常生活をおくってきたのです。
このように進化の歴史を考慮すれば、我々人類の身体は、糖質制限食にこそ順応・適応しているのです。
穀物(糖質)を総摂取カロリーの60%という現代の食生活は、人類の身体にとってとんでもないバランスということです。
糖質制限食は人類本来の食生活、人類の健康食ですので、老若男女だれでもOKなのです。
歴史的にもう少し近くでは、極北の民・イヌイットは、4000年間の伝統的ライフスタイルの間は、生肉・生魚が主食であり、糖質制限食を実践しながら、妊娠・出産・子育て・日常生活をおくってきました。
『病院の方からは「今までの食事にインスリンを合わせて」と言われた』
これは、極めて難しいことです。
少なくとも、カーボカウント(糖質管理食)をしない限り血糖コントロールは不可能です。
物心ついてきて、他の子供と同じものを食べたいようなときは、「糖質管理食」を併用すればインスリン単位とのマッチングがしやすいです。
糖質管理食なら、小児1型糖尿病の患者会などでも話が聞けると思います。
「病院で、脳にぶどう糖は不可欠だから成長期のこどもに糖質制限は絶対しない事。そして、糖質制限し違う病気をまねいた事例もあるそう。」
糖質制限食で食後高血糖が改善しますが、肝臓で糖新生するので、そもそも低血糖にはなりません。
そして、脳はブドウ糖だけでなく、ケトン体という脂肪酸の分解物をいくらでも利用します。
小児ケトン食(総摂取カロリーの80%が脂肪)という、スーパー糖質制限食よりさらに厳しい糖質制限の食事療法があります。
難治性小児てんかんに有効で、1920年代から実施されてきました。
そのKetogenic Diet(ケトン食)が、2010年版COCHRANE LIBRARLY(コクラン ライブラリー)と、2011年版NICE(英国政府ガイドライン)の、難治性小児てんかん治療に採用されました。
コクラン ライブラリーと、NICEは国際的に極めて信頼度の高い治療ガイドラインです。このような信頼度の高いガイドラインに、約90年の歴史を経てとうとうケトン食が認められたのですから、その価値は高いです。
「糖質制限し違う病気をまねいた事例もある」
糖質制限食の適応に従って実践しているかぎり、そのような報告はありません。
もし報告例があるとしたら、アトキンスダイエットのことでしょうか。
アトキンスダイエット40年間の歴史で、数十万の人が実践して、2例ケトアシドーシスの報告があります。
極めてまれな特殊例で、いずれも速やかに回復しています。
液体糖質摂取によるペットボトル症候群は、その千倍以上の頻度で発生して死亡例も結構あります。
→詳しくは、2012年08月28日 (火)の本ブログ記事
「読売新聞記事への反論①ケトン体について」
をご参照ください。
なお、腎不全、活動性膵炎、肝硬変、長鎖脂肪酸代謝異常症の場合は、糖質制限食は適応となりません。
江部康二
2013年01月07日 (月)
こんばんは
インスリンは二重三重の肥満ホルモンです。
今回は、生理学的に詳細に考察してみます。
脂肪細胞の周囲の毛細血管壁にあるLPL(リポタンパクリパーゼ)が活発になると、血中の中性脂肪を遊離脂肪酸とグリセロールに分解して、遊離脂肪酸を脂肪細胞内に取り込み中性脂肪に合成して蓄え太っていきます。
インスリンは脂肪細胞の周囲の毛細血管壁にあるLPLを活性化させるので、脂肪細胞内に中性脂肪を蓄える方向に働きます。
これに対してHSL(ホルモン感受性リパーゼ)は脂肪細胞内にあって、中性脂肪を遊離脂肪酸とグリセロールに分解して血中に放出させる作用があります。
まとめると、脂肪細胞の周囲の毛細血管壁にあるLPLは内部に中性脂肪を蓄えて太らせる働きがあり、脂肪細胞内のHSLは逆に内部の中性脂肪を分解して血中に放出させ、やせさせる働きがあります。
インスリンはLPLを活性化させ、HSLを抑制するので、インスリンが分泌されると太りやすいのです。
さらにインスリンは、GLUT4を介して余剰の血糖を脂肪細胞内に取り込み、中性脂肪に合成して蓄えます。
このように二重三重の肥満ホルモンがインスリンなのです。
インスリン療法をしている糖尿病患者はしばしば太ります。
『ジョスリン糖尿病学』には
「食物摂取とは無関係の、インスリンの脂肪組織への直接的な脂肪生成効果」
と説明されています。
ハーバード大学医学部元教授、ジョージ・ケーヒルは
「脂肪を操るインスリンを、炭水化物(糖質)が操る」
と述べています。
肥満のメカニズムは、インスリンによる脂肪蓄積であり、その血中濃度と総量が関係します。
そしてインスリンを大量に分泌させるのは糖質のみです。
結局、糖質の頻回・過剰摂取とそれによるインスリンの頻回・過剰分泌が肥満の元凶なのです。
最後にインスリンの名誉のために一言。
人類の歴史において、農耕開始前の700万年間、インスリンの卓越した中性脂肪合成能力は飢餓に対する唯一のセーフティーネットである体脂肪に関して、極めて大きな役割を果たしていたことは忘れてはなりません。
インスリンがせっせと中性脂肪を蓄えてくれたからこそ、人類のご先祖は生き延びてきたのです。
その卓越した中性脂肪合成能力が、現代は結果としてあだとなってしまったのですね。
江部康二
インスリンは二重三重の肥満ホルモンです。
今回は、生理学的に詳細に考察してみます。
脂肪細胞の周囲の毛細血管壁にあるLPL(リポタンパクリパーゼ)が活発になると、血中の中性脂肪を遊離脂肪酸とグリセロールに分解して、遊離脂肪酸を脂肪細胞内に取り込み中性脂肪に合成して蓄え太っていきます。
インスリンは脂肪細胞の周囲の毛細血管壁にあるLPLを活性化させるので、脂肪細胞内に中性脂肪を蓄える方向に働きます。
これに対してHSL(ホルモン感受性リパーゼ)は脂肪細胞内にあって、中性脂肪を遊離脂肪酸とグリセロールに分解して血中に放出させる作用があります。
まとめると、脂肪細胞の周囲の毛細血管壁にあるLPLは内部に中性脂肪を蓄えて太らせる働きがあり、脂肪細胞内のHSLは逆に内部の中性脂肪を分解して血中に放出させ、やせさせる働きがあります。
インスリンはLPLを活性化させ、HSLを抑制するので、インスリンが分泌されると太りやすいのです。
さらにインスリンは、GLUT4を介して余剰の血糖を脂肪細胞内に取り込み、中性脂肪に合成して蓄えます。
このように二重三重の肥満ホルモンがインスリンなのです。
インスリン療法をしている糖尿病患者はしばしば太ります。
『ジョスリン糖尿病学』には
「食物摂取とは無関係の、インスリンの脂肪組織への直接的な脂肪生成効果」
と説明されています。
ハーバード大学医学部元教授、ジョージ・ケーヒルは
「脂肪を操るインスリンを、炭水化物(糖質)が操る」
と述べています。
肥満のメカニズムは、インスリンによる脂肪蓄積であり、その血中濃度と総量が関係します。
そしてインスリンを大量に分泌させるのは糖質のみです。
結局、糖質の頻回・過剰摂取とそれによるインスリンの頻回・過剰分泌が肥満の元凶なのです。
最後にインスリンの名誉のために一言。
人類の歴史において、農耕開始前の700万年間、インスリンの卓越した中性脂肪合成能力は飢餓に対する唯一のセーフティーネットである体脂肪に関して、極めて大きな役割を果たしていたことは忘れてはなりません。
インスリンがせっせと中性脂肪を蓄えてくれたからこそ、人類のご先祖は生き延びてきたのです。
その卓越した中性脂肪合成能力が、現代は結果としてあだとなってしまったのですね。
江部康二
2013年01月06日 (日)
こんにちは。
先に
文春文庫「主食を抜けば糖尿病はよくなる!糖質制限食のすすめ」
が、2012年11月に刊行されました。
次いで
文春文庫「主食を抜けば糖尿病は良くなる! 実践編 糖質制限食の応用法」
が、2012年12月に刊行されました。
ロングセラー
「主食を抜けば糖尿病はよくなる!糖質制限食のすすめ」
(東洋経済新報社)2005年
「主食を抜けば糖尿病はよくなる!実践編 糖質制限食の応用法」
(東洋経済新報社)2008年
が、この度、2冊とも文庫となったものです。
文庫化にあたり、HbA1cはJDS値からNGSP値に変更、また、米国糖尿病学会の3大栄養素と血糖に関する見解など、
読者にわかりやすいように、可能な限り、新しいデータ・情報に更新しました。
何と言っても、文庫は¥600-と低価格なのが魅力的です。
以下2012年12月号の文藝春秋、自著推薦文のコーナーに掲載された
「主食を抜けば糖尿病はよくなる!糖質制限食のすすめ」(文春文庫)
の私の文章です。
江部康二
☆☆☆
文藝春秋11月号掲載の
「主食を抜けば糖尿病はよくなる!糖質制限食のすすめ」(文春文庫)
自著推薦文から転載
2005年に「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)を、日本で初めて「糖質制限食」の理論的な本として上梓しました。その後、理論面の本やレシピ本などを各社から多数出版してきました。この間、糖質制限食を日本に広める役目を確実に果たしてきたかなと自負しています。
この1~2年、テレビ・新聞・雑誌などのマスコミが、こぞって糖質制限食を取り上げ、世間一般の認知度は格段に上がりました。特に、2012年は、糖質制限食普及において、飛躍の年となりました。
2012年1月15日、京都国際会館で開催された第15回日本病態栄養学会年次学術集会において「糖尿病治療に糖質制限食は是か?非か?」というディベートセッションが行われ、私は是側の演者として講演しました。
通常は3000人規模の学会に4000人の医師・栄養士が参加し大きな反響を巻き起こしました。このことは糖質制限食が医学界の表舞台に初登場したという意味で、大きな一歩といえます。私のブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」のアクセス件数もこの日を境に1000件以上増えて、現在1日に15000件のアクセスがある人気ブログとなりました。
このセッション以降、日本全国の医師会や病院から講演依頼が相次ぐようになり、医学界にも爆発的に糖質制限食が広がり始めています。
この度、「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)を文藝春秋出版局から文庫本として出版することとなりました。
本書で紹介している糖質制限食は、高雄病院で1999年から日本で初めて開始した食事療法です。わかりやすく言うとご飯・パン・麺などの穀物製品や芋類などの糖質が多い食品を食べないで、肉・魚貝・豆腐・葉野菜・海藻などをしっかり摂取する食事療法です。糖質を制限したぶん、脂質とたんぱくは充分量食べます。
糖質制限食というと現代の普通の食事である高糖質食と比べると変わった食事という風に思います。しかし、実は糖質制限食こそが、人類本来の自然な食事なのです。
人類がチンパンジーと分かれて誕生したのが約700万年前です。農耕が始まるまでは人類の生業は狩猟・採集であり、全ての人類が糖質制限食でした。約10000年前に農耕が始まり、主食が穀物へと変化し、現在まで続いています。
即ち人類が穀物を主食としたのは、長い歴史の中でわずか1/700(0.14%)の期間に過ぎません。進化の過程をみると「糖質制限食」と「穀物を主食とする高糖質食」、どちらが人類にとって自然な食事なのかはいうまでもありません。
農耕以前の人類にとって糖質は言わばラッキー食材でした。すなわち時々手に入る果物やナッツ、そして山芋や百合根などの根茎類くらいが比較的糖質の多い食材でした。運良く手に入った果物を食べて血糖値が上昇するとインスリンが分泌され筋肉に取り込まれますが、余った血糖は中性脂肪に変わり脂肪組織に蓄えられます。
このように、ラッキー食材から得た糖質は、消化吸収されたあとインスリンにより脂肪に変わり、来るべき飢餓に備える唯一のセーフティーネットとなっていたと考えられます。
インスリンは今でこそ肥満ホルモンというありがたくない別称をもっていますが、狩猟・採集時代はその脂肪を蓄える能力は、とても重要な意味をもっていたわけです。
本来、脂肪を蓄えるためのラッキー食材だったはずの糖質を、農耕開始後は日常的に毎日食べるようになりました。さらにこの200~300年間は精製された炭水化物を食べるようになりました。
現在先進国では、精製された炭水化物であるご飯やパンや麺、そして砂糖水のような清涼飲料水を日常的に大量に摂取しています。このことが肥満や糖尿病や様々な生活習慣病の元凶となっていると私は思います。
人類の身体の消化・吸収・栄養・代謝システムは、700万年間の糖質制限食の過程を経て、突然変異を繰り返して完成されたものです。すなわち我々人類の身体は糖質制限食に適合しています。
このことを思えば、総摂取カロリーの50~60%が糖質という現代の穀物ベースの食生活は、人体にとってはとんでもなくバランスの悪いものなのです。
穀物は、人類を飢えから開放し、人口の増加や文明の基となりましたが、糖質過剰摂取による様々な病気の元ともなりました。糖質制限食は、人類本来の食事、いわば人類の健康食ですので、糖尿病や肥満をはじめとして様々な生活習慣病が改善していきます。
しかも糖質制限食は、糖質を抜くだけで脂質やタンパク質はOKであり、お酒も蒸留酒や辛口ワインはOKなので「美味しく楽しく」続けられるのが特長です。
糖尿病・メタボを克服し、糖質制限食を足かけ11年続けている私にとっても、とても嬉しい食事療法なのです。
皆さんがご自身の健康を守るために、是非本書をご一読頂けば幸いです。
高雄病院理事長
江部康二
先に
文春文庫「主食を抜けば糖尿病はよくなる!糖質制限食のすすめ」
が、2012年11月に刊行されました。
次いで
文春文庫「主食を抜けば糖尿病は良くなる! 実践編 糖質制限食の応用法」
が、2012年12月に刊行されました。
ロングセラー
「主食を抜けば糖尿病はよくなる!糖質制限食のすすめ」
(東洋経済新報社)2005年
「主食を抜けば糖尿病はよくなる!実践編 糖質制限食の応用法」
(東洋経済新報社)2008年
が、この度、2冊とも文庫となったものです。
文庫化にあたり、HbA1cはJDS値からNGSP値に変更、また、米国糖尿病学会の3大栄養素と血糖に関する見解など、
読者にわかりやすいように、可能な限り、新しいデータ・情報に更新しました。
何と言っても、文庫は¥600-と低価格なのが魅力的です。
以下2012年12月号の文藝春秋、自著推薦文のコーナーに掲載された
「主食を抜けば糖尿病はよくなる!糖質制限食のすすめ」(文春文庫)
の私の文章です。
江部康二
☆☆☆
文藝春秋11月号掲載の
「主食を抜けば糖尿病はよくなる!糖質制限食のすすめ」(文春文庫)
自著推薦文から転載
2005年に「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)を、日本で初めて「糖質制限食」の理論的な本として上梓しました。その後、理論面の本やレシピ本などを各社から多数出版してきました。この間、糖質制限食を日本に広める役目を確実に果たしてきたかなと自負しています。
この1~2年、テレビ・新聞・雑誌などのマスコミが、こぞって糖質制限食を取り上げ、世間一般の認知度は格段に上がりました。特に、2012年は、糖質制限食普及において、飛躍の年となりました。
2012年1月15日、京都国際会館で開催された第15回日本病態栄養学会年次学術集会において「糖尿病治療に糖質制限食は是か?非か?」というディベートセッションが行われ、私は是側の演者として講演しました。
通常は3000人規模の学会に4000人の医師・栄養士が参加し大きな反響を巻き起こしました。このことは糖質制限食が医学界の表舞台に初登場したという意味で、大きな一歩といえます。私のブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」のアクセス件数もこの日を境に1000件以上増えて、現在1日に15000件のアクセスがある人気ブログとなりました。
このセッション以降、日本全国の医師会や病院から講演依頼が相次ぐようになり、医学界にも爆発的に糖質制限食が広がり始めています。
この度、「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)を文藝春秋出版局から文庫本として出版することとなりました。
本書で紹介している糖質制限食は、高雄病院で1999年から日本で初めて開始した食事療法です。わかりやすく言うとご飯・パン・麺などの穀物製品や芋類などの糖質が多い食品を食べないで、肉・魚貝・豆腐・葉野菜・海藻などをしっかり摂取する食事療法です。糖質を制限したぶん、脂質とたんぱくは充分量食べます。
糖質制限食というと現代の普通の食事である高糖質食と比べると変わった食事という風に思います。しかし、実は糖質制限食こそが、人類本来の自然な食事なのです。
人類がチンパンジーと分かれて誕生したのが約700万年前です。農耕が始まるまでは人類の生業は狩猟・採集であり、全ての人類が糖質制限食でした。約10000年前に農耕が始まり、主食が穀物へと変化し、現在まで続いています。
即ち人類が穀物を主食としたのは、長い歴史の中でわずか1/700(0.14%)の期間に過ぎません。進化の過程をみると「糖質制限食」と「穀物を主食とする高糖質食」、どちらが人類にとって自然な食事なのかはいうまでもありません。
農耕以前の人類にとって糖質は言わばラッキー食材でした。すなわち時々手に入る果物やナッツ、そして山芋や百合根などの根茎類くらいが比較的糖質の多い食材でした。運良く手に入った果物を食べて血糖値が上昇するとインスリンが分泌され筋肉に取り込まれますが、余った血糖は中性脂肪に変わり脂肪組織に蓄えられます。
このように、ラッキー食材から得た糖質は、消化吸収されたあとインスリンにより脂肪に変わり、来るべき飢餓に備える唯一のセーフティーネットとなっていたと考えられます。
インスリンは今でこそ肥満ホルモンというありがたくない別称をもっていますが、狩猟・採集時代はその脂肪を蓄える能力は、とても重要な意味をもっていたわけです。
本来、脂肪を蓄えるためのラッキー食材だったはずの糖質を、農耕開始後は日常的に毎日食べるようになりました。さらにこの200~300年間は精製された炭水化物を食べるようになりました。
現在先進国では、精製された炭水化物であるご飯やパンや麺、そして砂糖水のような清涼飲料水を日常的に大量に摂取しています。このことが肥満や糖尿病や様々な生活習慣病の元凶となっていると私は思います。
人類の身体の消化・吸収・栄養・代謝システムは、700万年間の糖質制限食の過程を経て、突然変異を繰り返して完成されたものです。すなわち我々人類の身体は糖質制限食に適合しています。
このことを思えば、総摂取カロリーの50~60%が糖質という現代の穀物ベースの食生活は、人体にとってはとんでもなくバランスの悪いものなのです。
穀物は、人類を飢えから開放し、人口の増加や文明の基となりましたが、糖質過剰摂取による様々な病気の元ともなりました。糖質制限食は、人類本来の食事、いわば人類の健康食ですので、糖尿病や肥満をはじめとして様々な生活習慣病が改善していきます。
しかも糖質制限食は、糖質を抜くだけで脂質やタンパク質はOKであり、お酒も蒸留酒や辛口ワインはOKなので「美味しく楽しく」続けられるのが特長です。
糖尿病・メタボを克服し、糖質制限食を足かけ11年続けている私にとっても、とても嬉しい食事療法なのです。
皆さんがご自身の健康を守るために、是非本書をご一読頂けば幸いです。
高雄病院理事長
江部康二
2013年01月06日 (日)
こんにちは。
ADAが糖尿病患者の降圧目標を140/80mmHg未満に緩和-2013年ガイドライン
という記事がMT Pro に載りました。
精神科医師Aさんからの情報です。
ありがとうございます。
米国糖尿病学会(ADA)臨床ガイドライン“Clinical Recommendation 2013で、降圧目標を130/80から140/80に緩和ということです。
「かつてUKPDSやHOTなどのランダム化比較試験(RCT)において、糖尿病患者の血圧値を140/80mmHg未満に低下させる利益が証明されたが、より積極的な降圧の意義を検討したACCORDやADVANCEといった最近のRCTではその意義が示されなかった。」
との説明です。
一方、精神科医師Aさんのもう一つの情報、
日経メディカル2012年12月号特別編集版「脳心血管疾患の最新動向」
糖尿病合併患者はより降圧すべきなのか?
では、日本の観察研究である端野・壮瞥町研究で、糖尿病患者では、130/80mmHgという数値を超えると、心血管疾患による死亡リスクが上昇とのことです。
年齢や合併症を考慮して、個人差はありますが欧米人はともかく、日本人の一般的な糖尿病患者においては、降圧目標は130/80mmHg未満ということとなります。
江部康二
13/01/06 精神科医師A
血圧のコントロール
【◇ADA,糖尿病患者の降圧目標値を140/80mmHgに緩和-2013年ガイドライン
mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1212/1212071.html
米国糖尿病学会(ADA)はこのほど発表した臨床ガイドライン“Clinical Recommendation 2013”で,糖尿病患者の降圧目標値を130/80mmHgから140/80mmHgに緩和することを明らかにした(Diabetes Care 2013; 36: S11-S66)。
◆UKPDS,HOT試験のエビデンスに立ち返る
同ガイドラインでは1989年から年1回ごとに改訂を実施。今回の改訂で,糖尿病患者の収縮期血圧(SBP)の目標値がこれまでの130mmHgから140mmHgに緩和された。ただし,若年者などより積極的な降圧が適切と考えられる場合には,治療による負担が生じない範囲で130mmHg程度のより低い目標値を設定してもよいとの推奨も行われている。拡張期血圧については従来通り80mmHg未満が目標値とされた。
改訂の背景について,ガイドラインでは2000年ごろに報告されたUKPDSやHOTなどのランダム化比較試験(RCT)において,糖尿病患者の血圧値を140/80mmHg未満に低下させるベネフィットが証明されたが,より積極的な降圧の意義を検討したACCORDやADVANCEといった最近のRCTではその意義が示されなかったと説明。
腎保護,脳卒中リスク軽減が期待できる場合は積極的降圧も考慮
ガイドラインではまた,今回の緩和は糖尿病患者の降圧療法を軽視するものではないとも強調されている。例えば,長期の積極的な降圧による腎保護が期待できる患者や脳卒中リスクの懸念がある患者などでは,十分な話し合いを行い,かつ降圧薬による治療負担が過剰にならない場合に限り,従来通りSBP130mmHg未満を目指す治療も行えるとの見解が述べられている。
この他,患者の血圧が120/80mmHgを超えた場合には血圧値を低下させるための生活習慣改善を指導すること,140/80mmHg以上の高血圧と確定診断された場合には生活習慣改善に加え薬物療法を「速やかに」開始することなども追加された。
日本では糖尿病患者の高血圧治療の開始基準は140/90mmHg以上,降圧目標は130/80mmHg未満(尿蛋白1g/日以上の腎症合併患者では125/75mmHg未満)と推奨。ただし高齢者の場合はSBPの上限をやや高めに設定し,慎重に降圧すべきとの見解も示されている (参考:日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2009」,日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド2012-2013」)。】
* *
【日経メディカル2012年12月号特別編集版「脳心血管疾患の最新動向」
糖尿病合併患者はより降圧すべきなのか?
medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t191/201301/528279.html
日本の観察研究である端野・壮瞥町研究も、130/80mmHgという数値を支持する。対象を耐糖能正常群と耐糖能異常群に分け、血圧階層別に心血管疾患による死亡の相対危険度を年齢・性別で調整し、検討した。
その結果、収縮期血圧が耐糖能正常群では140mmHg以上、耐糖能異常群では130mmHg以上になると、有意にリスクが高まった。拡張期血圧でも同様に、耐糖能正常群では90mmHg以上、耐糖能異常群では80mmHg以上で有意にリスクが上昇した
medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t191/201301/528279.html 】
ADAが糖尿病患者の降圧目標を140/80mmHg未満に緩和-2013年ガイドライン
という記事がMT Pro に載りました。
精神科医師Aさんからの情報です。
ありがとうございます。
米国糖尿病学会(ADA)臨床ガイドライン“Clinical Recommendation 2013で、降圧目標を130/80から140/80に緩和ということです。
「かつてUKPDSやHOTなどのランダム化比較試験(RCT)において、糖尿病患者の血圧値を140/80mmHg未満に低下させる利益が証明されたが、より積極的な降圧の意義を検討したACCORDやADVANCEといった最近のRCTではその意義が示されなかった。」
との説明です。
一方、精神科医師Aさんのもう一つの情報、
日経メディカル2012年12月号特別編集版「脳心血管疾患の最新動向」
糖尿病合併患者はより降圧すべきなのか?
では、日本の観察研究である端野・壮瞥町研究で、糖尿病患者では、130/80mmHgという数値を超えると、心血管疾患による死亡リスクが上昇とのことです。
年齢や合併症を考慮して、個人差はありますが欧米人はともかく、日本人の一般的な糖尿病患者においては、降圧目標は130/80mmHg未満ということとなります。
江部康二
13/01/06 精神科医師A
血圧のコントロール
【◇ADA,糖尿病患者の降圧目標値を140/80mmHgに緩和-2013年ガイドライン
mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1212/1212071.html
米国糖尿病学会(ADA)はこのほど発表した臨床ガイドライン“Clinical Recommendation 2013”で,糖尿病患者の降圧目標値を130/80mmHgから140/80mmHgに緩和することを明らかにした(Diabetes Care 2013; 36: S11-S66)。
◆UKPDS,HOT試験のエビデンスに立ち返る
同ガイドラインでは1989年から年1回ごとに改訂を実施。今回の改訂で,糖尿病患者の収縮期血圧(SBP)の目標値がこれまでの130mmHgから140mmHgに緩和された。ただし,若年者などより積極的な降圧が適切と考えられる場合には,治療による負担が生じない範囲で130mmHg程度のより低い目標値を設定してもよいとの推奨も行われている。拡張期血圧については従来通り80mmHg未満が目標値とされた。
改訂の背景について,ガイドラインでは2000年ごろに報告されたUKPDSやHOTなどのランダム化比較試験(RCT)において,糖尿病患者の血圧値を140/80mmHg未満に低下させるベネフィットが証明されたが,より積極的な降圧の意義を検討したACCORDやADVANCEといった最近のRCTではその意義が示されなかったと説明。
腎保護,脳卒中リスク軽減が期待できる場合は積極的降圧も考慮
ガイドラインではまた,今回の緩和は糖尿病患者の降圧療法を軽視するものではないとも強調されている。例えば,長期の積極的な降圧による腎保護が期待できる患者や脳卒中リスクの懸念がある患者などでは,十分な話し合いを行い,かつ降圧薬による治療負担が過剰にならない場合に限り,従来通りSBP130mmHg未満を目指す治療も行えるとの見解が述べられている。
この他,患者の血圧が120/80mmHgを超えた場合には血圧値を低下させるための生活習慣改善を指導すること,140/80mmHg以上の高血圧と確定診断された場合には生活習慣改善に加え薬物療法を「速やかに」開始することなども追加された。
日本では糖尿病患者の高血圧治療の開始基準は140/90mmHg以上,降圧目標は130/80mmHg未満(尿蛋白1g/日以上の腎症合併患者では125/75mmHg未満)と推奨。ただし高齢者の場合はSBPの上限をやや高めに設定し,慎重に降圧すべきとの見解も示されている (参考:日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2009」,日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド2012-2013」)。】
* *
【日経メディカル2012年12月号特別編集版「脳心血管疾患の最新動向」
糖尿病合併患者はより降圧すべきなのか?
medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t191/201301/528279.html
日本の観察研究である端野・壮瞥町研究も、130/80mmHgという数値を支持する。対象を耐糖能正常群と耐糖能異常群に分け、血圧階層別に心血管疾患による死亡の相対危険度を年齢・性別で調整し、検討した。
その結果、収縮期血圧が耐糖能正常群では140mmHg以上、耐糖能異常群では130mmHg以上になると、有意にリスクが高まった。拡張期血圧でも同様に、耐糖能正常群では90mmHg以上、耐糖能異常群では80mmHg以上で有意にリスクが上昇した
medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t191/201301/528279.html 】
2013年01月06日 (日)
おはようございます。
e10go さんから糖質制限食で、肝機能、眠気、爪、集中力など改善という嬉しいコメントをいただきました。
【13/01/05 e10go
病名
すみません。他のスレに間違って投稿していたので、再度同じ内容を投稿させてもらいます。
病名の話が出ていますが、糖尿病も、糖尿病ではないけど血糖(値)の異状による症状も含めて「血糖不全症候群」というのは如何でしょうか。
ここからは、先の投稿とは別に追加投稿です。
私は一応健康体?ですが、気まぐれで去年の3月から糖質制限を行っています。
3食とも主食(ご飯、麺類)抜きで代わりに豆腐、玉子、肉類を増やしています。極まれにご飯、うどん、パンを食べる事はあります。
糖質制限を始めてから2週間後に健康診断を受けて、その6ヵ月後(58歳の誕生月)にも健康診断を受けました。
結果は以下の通りです。
項目:前回/今回
検診日:3月28日/9月19日
身長:169.4/168.8
体重:59/53
血圧:120-80/136-70
中性脂肪:90/59
HDL:51/57
LDL:110/123
AST(GOT):45/30
ALT(GPT):81/34
γ-GTP:13/13
随時血糖:85/90
HbA1c:4.9/4.9
前回の結果を見た時、肝機能のGOT、GPTが基準を超えていたので、「肝硬変から肝癌のコースに乗ったか?」なんてことが頭に浮かびました。
しかし、「糖質制限を始めて肝機能の数値が良くなった例(*)があるから、このまま糖質制限を続ければ何とかなるでしょ」と気軽に構えていました。
半年後の結果は、GOT、GPTともにほぼ正常値になっていました。結果を見て「糖質制限やって良かったね」と思いました。
この他に糖質制限を始めて変わった点は幾つかあります。
・足の親指の爪が頑丈になった。
糖質制限を始める3ヶ月前に、爪の付け根の部分が柔らかく腐った様になり剥がれる事がありましたが、糖質制限を始めて2ヶ月位経つと爪が頑丈になり、剥がれなくなりました。
爪の件は糖質制限と関係ないかもしれませんが、糖質制限後にその他の爪も頑丈になって(厚みが増して)います。
・日中の異常な眠気が無くなった。
以前は週4~5回は異常に眠くなっていましたが、今では1~2回少し眠くなることがある位です。
・夕方の集中力減少が減った。
昼食後直ぐの頃はどうという事は無くて時間が経つほど集中力がなくなっていたのが、糖質制限を始めてからそういう事が少なくなりました。
・夕食前に顔面(唇、頬)、手、足の痺れや震え、発汗が起きた事がありますが(糖質制限の1ヶ月前と3ヶ月前頃の2回。これはもしかして、低血糖症?)、糖質制限後は起きていません。
こうやって振り返ると、糖質制限を始める前から健康体と思っていましたが、糖尿病の一歩手前だったのかもしれません。
何れにしても、糖質制限を始めてからは糖尿病の心配は無いだろうと思っています。
(*)なお、私が糖質制限を始めたのは、こちらで話題になっている湿潤療法の夏井先生のホームページが切っ掛けで、そこで6ヶ月間参考にしてから始めました。
その後、去年の6月頃からこちらの日記を参考にさせてもらっています。
糖質制限を広めた江部先生、糖質制限を紹介してくれた夏井先生に感謝しています。】
e10go さん
肝機能改善。
爪が頑丈になった。
異常な眠気がなくなった。
集中力改善。
低血糖症状改善。
そうですね。
健康体と思っていても、これだけの症状が良くなったのですから、以前は問題があったのでしょうね。
いずれも糖質制限食で期待できる想定範囲内の改善です。
爪に関しても、丈夫になり、爪がよく伸びるようになります。
私も糖質制限食を実践している友人も、「爪よく切っているね」と周囲から言われます。
全身の血流・代謝が良くなるので、いろんな症状が改善すると思われます。
e10go さん、正常痩せ型くらいなのですが、肝機能の改善は内臓脂肪や脂肪肝があったのが良くなった可能性があります。
現在体重53kgとやや痩せすぎですので、脂質・タンパク質はしっかり摂取してBMI:20以上を目指してくださいね。
夏井先生がもうすぐ、糖質制限食の本を刊行されると思いますので楽しみです。
江部康二
e10go さんから糖質制限食で、肝機能、眠気、爪、集中力など改善という嬉しいコメントをいただきました。
【13/01/05 e10go
病名
すみません。他のスレに間違って投稿していたので、再度同じ内容を投稿させてもらいます。
病名の話が出ていますが、糖尿病も、糖尿病ではないけど血糖(値)の異状による症状も含めて「血糖不全症候群」というのは如何でしょうか。
ここからは、先の投稿とは別に追加投稿です。
私は一応健康体?ですが、気まぐれで去年の3月から糖質制限を行っています。
3食とも主食(ご飯、麺類)抜きで代わりに豆腐、玉子、肉類を増やしています。極まれにご飯、うどん、パンを食べる事はあります。
糖質制限を始めてから2週間後に健康診断を受けて、その6ヵ月後(58歳の誕生月)にも健康診断を受けました。
結果は以下の通りです。
項目:前回/今回
検診日:3月28日/9月19日
身長:169.4/168.8
体重:59/53
血圧:120-80/136-70
中性脂肪:90/59
HDL:51/57
LDL:110/123
AST(GOT):45/30
ALT(GPT):81/34
γ-GTP:13/13
随時血糖:85/90
HbA1c:4.9/4.9
前回の結果を見た時、肝機能のGOT、GPTが基準を超えていたので、「肝硬変から肝癌のコースに乗ったか?」なんてことが頭に浮かびました。
しかし、「糖質制限を始めて肝機能の数値が良くなった例(*)があるから、このまま糖質制限を続ければ何とかなるでしょ」と気軽に構えていました。
半年後の結果は、GOT、GPTともにほぼ正常値になっていました。結果を見て「糖質制限やって良かったね」と思いました。
この他に糖質制限を始めて変わった点は幾つかあります。
・足の親指の爪が頑丈になった。
糖質制限を始める3ヶ月前に、爪の付け根の部分が柔らかく腐った様になり剥がれる事がありましたが、糖質制限を始めて2ヶ月位経つと爪が頑丈になり、剥がれなくなりました。
爪の件は糖質制限と関係ないかもしれませんが、糖質制限後にその他の爪も頑丈になって(厚みが増して)います。
・日中の異常な眠気が無くなった。
以前は週4~5回は異常に眠くなっていましたが、今では1~2回少し眠くなることがある位です。
・夕方の集中力減少が減った。
昼食後直ぐの頃はどうという事は無くて時間が経つほど集中力がなくなっていたのが、糖質制限を始めてからそういう事が少なくなりました。
・夕食前に顔面(唇、頬)、手、足の痺れや震え、発汗が起きた事がありますが(糖質制限の1ヶ月前と3ヶ月前頃の2回。これはもしかして、低血糖症?)、糖質制限後は起きていません。
こうやって振り返ると、糖質制限を始める前から健康体と思っていましたが、糖尿病の一歩手前だったのかもしれません。
何れにしても、糖質制限を始めてからは糖尿病の心配は無いだろうと思っています。
(*)なお、私が糖質制限を始めたのは、こちらで話題になっている湿潤療法の夏井先生のホームページが切っ掛けで、そこで6ヶ月間参考にしてから始めました。
その後、去年の6月頃からこちらの日記を参考にさせてもらっています。
糖質制限を広めた江部先生、糖質制限を紹介してくれた夏井先生に感謝しています。】
e10go さん
肝機能改善。
爪が頑丈になった。
異常な眠気がなくなった。
集中力改善。
低血糖症状改善。
そうですね。
健康体と思っていても、これだけの症状が良くなったのですから、以前は問題があったのでしょうね。
いずれも糖質制限食で期待できる想定範囲内の改善です。
爪に関しても、丈夫になり、爪がよく伸びるようになります。
私も糖質制限食を実践している友人も、「爪よく切っているね」と周囲から言われます。
全身の血流・代謝が良くなるので、いろんな症状が改善すると思われます。
e10go さん、正常痩せ型くらいなのですが、肝機能の改善は内臓脂肪や脂肪肝があったのが良くなった可能性があります。
現在体重53kgとやや痩せすぎですので、脂質・タンパク質はしっかり摂取してBMI:20以上を目指してくださいね。
夏井先生がもうすぐ、糖質制限食の本を刊行されると思いますので楽しみです。
江部康二