2012年12月11日 (火)
おはようございます。
大酒のみのリハ医、ヘルミさんから興味深いコメントをいただきましたので、小酒飲みの江部康二が考察してみました。
【12/12/10 ヘルミ
糖質制限を普及させるためには・・・
江部先生こんばんは。
大酒のみのリハ医、人体実験と称してスーパー糖質制限をしているヘルミです。
Bernstein先生のおっしゃっていることは、江部先生がずっとお書きになってきたことと同じですね、 文庫版の御著書、さっそく購入しました。
さて、最近経験した症例をご報告したいと思います。軽度の意識障害で錯乱した76歳の患者さんが運ばれてきました。血糖値45で、補正で改善しました。
近医からアクトス2T朝1回、オイグルコン2T朝・夕、ベイスン(0.3)3T各食前で処方されていました。本人が正気づいてから「夕べ何を召し上がりました?」と聞くと、魚の煮つけをつまみに焼酎を飲んで、主食は摂らなかった、とのお答え。
プチ糖質制限にオイグルコン・ベイスン併用では低血糖にもなるでしょう。せっかくの機会なのでご家族を呼んで、糖尿病のメカニズムと糖質制限について説明しました。結局、妻は「難しいことはわからないから」と夕飯に白米を食べさせることを選択し、オイグルコンを朝・昼で服用するよう変更しました(惜しい!でも低血糖の方がこわい・・・)。
しかし、一緒に聞いてもらった嫁の話では、息子さんがやはり糖尿病予備軍といわれているとのこと。是非糖尿病の治療を受ける前に糖質制限を試すように勧めました。76歳の患者さんの息子ですから、50歳台と思われます。人生これからです。ヘルミの人体実験が人様の役に立つかも知れないです。
ずっと以前、寝たきりの経管栄養患者の肥満対策に低糖質の経管栄養剤の相談をさせていただきましたが、そのとき選択したプルモケアは、どうにもこうにもインスリンで調節困難だった糖尿病もちの経管栄養患者複数名で著効しております(減量にはいまいちですが)。一例は経口血糖下降薬も不要となりました。同じ悩みを持つ医師の方にもお勧めします。現在脂肪肝にも有効か、患者さんに協力いただいてためしているところです。
最近は先生の御本をはじめ、糖質制限に関する本がどこでも手に入るようになり、心強く感じます。
しかし、これだけ糖質制限が普及してくると、「糖尿病の教育入院と称して入院させているのに、何だこの糖質だらけの給食は!!!」と怒り出す方がきっと出ますよね。でも給食で糖質制限をするとなると、コストがかかるでしょうね・・・豆腐だらけになりそう。
「高雄病院の糖質制限給食」購入して読ませていただきましたが、あんな豪華な給食のコストをいかがされているのでしょう?
日本糖尿病学会がなかなか糖質制限に良い顔をしないのも、そこらへんにあるのではないでしょうか。
できればそこのところのノウハウも教えていただけると、病院でも普及するのではないかと愚考します。
寒くなりましたが、お風邪など召されませんように(・・・って、糖質制限者は大丈夫そうですね)。】
ヘルミさん。
貴重な報告、ありがとうございます。
まずオイグルコン(グリペンクラミド)ですが、心筋障害のリスクがあります。(*)
メーカー(サノフィ・アベンティス)自身が販売を中止したいのに、医師が処方し続けるので、中止できないのだそうです。
同じメーカーのアマリールには心筋障害はありませんので、オイグルコンを中止してアマリールに変更するのが良いと思います。
次にアクトスですが、男性には膀胱癌のリスクがあり得ます。
私がアクトスを使うのは、痩せ型の女性の2型糖尿病です。
男女とも肥満の糖尿人には、使用しにくいです。
症例を選んで使えば、それなりに良いところもある薬なのですが、男性には使いにくい薬です。
アボット社のプルモケアは糖質含有量が少ない経管栄養剤ですね。
総カロリー比で糖質が28.1%で、現存する経管栄養剤では一番低いです。
ヘルミさんのご経験のように、糖尿病で経管栄養の患者さんには最適と考えられますので、医師の方は考慮いただけば幸いです。
高雄病院の糖質制限給食ですが、原価は少し割高となっています。
たとえばアトピー性皮膚炎の入院患者さんの玄米魚菜食の給食原価と糖尿病患者さんの糖質制限食の原価を比べると、糖質制限食が明らかに割高です。
ともあれ栄養課が努力してくれて、糖質制限食でも黒字幅はあります。
ただ、利益率は減るので病院経営者の理事長としては、ややつらいところです。
(*)
2011年10月04日 (火)の本ブログ記事
「糖質制限食とSU剤(スルフォニール尿素剤)、グリペンクラミドは危険」
江部康二
大酒のみのリハ医、ヘルミさんから興味深いコメントをいただきましたので、小酒飲みの江部康二が考察してみました。
【12/12/10 ヘルミ
糖質制限を普及させるためには・・・
江部先生こんばんは。
大酒のみのリハ医、人体実験と称してスーパー糖質制限をしているヘルミです。
Bernstein先生のおっしゃっていることは、江部先生がずっとお書きになってきたことと同じですね、 文庫版の御著書、さっそく購入しました。
さて、最近経験した症例をご報告したいと思います。軽度の意識障害で錯乱した76歳の患者さんが運ばれてきました。血糖値45で、補正で改善しました。
近医からアクトス2T朝1回、オイグルコン2T朝・夕、ベイスン(0.3)3T各食前で処方されていました。本人が正気づいてから「夕べ何を召し上がりました?」と聞くと、魚の煮つけをつまみに焼酎を飲んで、主食は摂らなかった、とのお答え。
プチ糖質制限にオイグルコン・ベイスン併用では低血糖にもなるでしょう。せっかくの機会なのでご家族を呼んで、糖尿病のメカニズムと糖質制限について説明しました。結局、妻は「難しいことはわからないから」と夕飯に白米を食べさせることを選択し、オイグルコンを朝・昼で服用するよう変更しました(惜しい!でも低血糖の方がこわい・・・)。
しかし、一緒に聞いてもらった嫁の話では、息子さんがやはり糖尿病予備軍といわれているとのこと。是非糖尿病の治療を受ける前に糖質制限を試すように勧めました。76歳の患者さんの息子ですから、50歳台と思われます。人生これからです。ヘルミの人体実験が人様の役に立つかも知れないです。
ずっと以前、寝たきりの経管栄養患者の肥満対策に低糖質の経管栄養剤の相談をさせていただきましたが、そのとき選択したプルモケアは、どうにもこうにもインスリンで調節困難だった糖尿病もちの経管栄養患者複数名で著効しております(減量にはいまいちですが)。一例は経口血糖下降薬も不要となりました。同じ悩みを持つ医師の方にもお勧めします。現在脂肪肝にも有効か、患者さんに協力いただいてためしているところです。
最近は先生の御本をはじめ、糖質制限に関する本がどこでも手に入るようになり、心強く感じます。
しかし、これだけ糖質制限が普及してくると、「糖尿病の教育入院と称して入院させているのに、何だこの糖質だらけの給食は!!!」と怒り出す方がきっと出ますよね。でも給食で糖質制限をするとなると、コストがかかるでしょうね・・・豆腐だらけになりそう。
「高雄病院の糖質制限給食」購入して読ませていただきましたが、あんな豪華な給食のコストをいかがされているのでしょう?
日本糖尿病学会がなかなか糖質制限に良い顔をしないのも、そこらへんにあるのではないでしょうか。
できればそこのところのノウハウも教えていただけると、病院でも普及するのではないかと愚考します。
寒くなりましたが、お風邪など召されませんように(・・・って、糖質制限者は大丈夫そうですね)。】
ヘルミさん。
貴重な報告、ありがとうございます。
まずオイグルコン(グリペンクラミド)ですが、心筋障害のリスクがあります。(*)
メーカー(サノフィ・アベンティス)自身が販売を中止したいのに、医師が処方し続けるので、中止できないのだそうです。
同じメーカーのアマリールには心筋障害はありませんので、オイグルコンを中止してアマリールに変更するのが良いと思います。
次にアクトスですが、男性には膀胱癌のリスクがあり得ます。
私がアクトスを使うのは、痩せ型の女性の2型糖尿病です。
男女とも肥満の糖尿人には、使用しにくいです。
症例を選んで使えば、それなりに良いところもある薬なのですが、男性には使いにくい薬です。
アボット社のプルモケアは糖質含有量が少ない経管栄養剤ですね。
総カロリー比で糖質が28.1%で、現存する経管栄養剤では一番低いです。
ヘルミさんのご経験のように、糖尿病で経管栄養の患者さんには最適と考えられますので、医師の方は考慮いただけば幸いです。
高雄病院の糖質制限給食ですが、原価は少し割高となっています。
たとえばアトピー性皮膚炎の入院患者さんの玄米魚菜食の給食原価と糖尿病患者さんの糖質制限食の原価を比べると、糖質制限食が明らかに割高です。
ともあれ栄養課が努力してくれて、糖質制限食でも黒字幅はあります。
ただ、利益率は減るので病院経営者の理事長としては、ややつらいところです。
(*)
2011年10月04日 (火)の本ブログ記事
「糖質制限食とSU剤(スルフォニール尿素剤)、グリペンクラミドは危険」
江部康二
2012年12月10日 (月)
こんばんは。
医師のための情報専門サイト MT Pro で興味深い連載が始まりました。
北里研究所病院糖尿病センターの山田悟センター長が、バーンスタイン医師(1型糖尿病)にインタビューした記事が連載で載る予定です。
今回は連載開始の第一回目です。
バーンスタイン医師は、本ブログでも何回か紹介しました。
12才で1型糖尿病を発症されて、インスリン注射を開始。
氏の内因性インスリン分泌はゼロです。
1970年代から朝6g、昼12g、夕12gの糖質制限食を開始され、
糖尿病腎症第3期Aから回復し、データは全て正常化。
2012年現在まで続けてこられて、健康を保っておられます。
江部康二
thttp://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtnews/2012/M45490221/
以下MT Pro から 一部を転載
[2012年12月6日(VOL.45 NO.49) p.22]
シリーズ糖尿病 vol.1 食事療法としての糖質制限食
糖質制限食の生みの親 R.K.Bernstein 氏に聞く
「糖質制限食」の定義と誕生の背景
R.K.Bernstein 氏
ママロネックのクリニックにて
糖尿病の食事療法として糖質制限食1) が注目されている。これまでの主流であったカロリー制限食に比べて,糖質制限食は減量効果において遜色なく,血糖コントロール効果においては優れるとされる。こうしたエビデンスの蓄積に伴い,米国糖尿病学会(ADA)では2008年の“Nutrition Position Statement”で初めて,カロリー制限食とともに糖質制限食を食事療法の選択肢として承認した2) 。わが国でも糖質制限食を高く評価する専門家は少なくなく,正式な食事療法として採択すべきか否かの議論が始まっている。そこで,4回連載企画として,糖質制限食の生みの親であり,その有効性を説いた書『糖尿病の解決(Diabetes Solution)』(日本語版:小社刊)がロングセラーになっている米国のRichard K. Bernstein氏にインタビューし,糖質制限食の実際について聞いた。聞き手は,食事療法に造詣が深く,糖質制限食にも強い関心を寄せている北里研究所病院(東京都)糖尿病センターの山田悟センター長にお願いした。
最も厳格には朝食6g,昼食12g,夕食12g,計1日30gを提唱
山田 糖質制限食の有効性について議論する際に,いつも問題だと考えているのは,その定義が明確でなく,研究者により異なることです。本シリーズの初めに,Bernstein先生ご自身は糖質制限食をどう定義されておられるのか,お聞きしたいと思います。
Bernstein 『糖尿病の解決』の中で私は,糖質の摂取量を朝食で6g,昼食で12g,夕食で12g,計1日30gを糖質制限食の指針として提示しています。小児の場合は,これよりもさらに少なくなります。成人で1日30gの摂取量というのは,これまでに提唱されている指針の中では最も少なく,厳しいものだと思います。
この指針は研究としてではなく,1型糖尿病患者としての私自身の経験から導き出したものです。私は1970年代から血糖自己測定を繰り返し,血糖値とインスリン注射量の相関を詳細に記録しつつ,どうしたら最も効果的かつ安全に血糖値を正常範囲まで下げられるかを模索していました。そして,たどり着いた結論が,上記の糖質摂取量だったのです。もちろん,摂取量をもっと多くしても,インスリン注射量を増やせば,血糖値を正常に保つことは可能ですが,血糖値の変動が大きくなり,インスリン注射量が多過ぎて低血糖を起こすなど,安定して血糖値を正常範囲に保つのは難しくなります。血糖値を安定して正常範囲に保つためには,血糖値の予測が容易でなければならず,そのためには糖質摂取量を可能な限り低く抑えることが最良の方法と考えています。私はこれを「小さな数の法則」と名付け,私の患者さんに,まず,知ってもらうようにしています。
私の糖質制限食の指針は1型糖尿病患者としての自分の経験から導き出したものですから,2型糖尿病患者さんの場合は,もう少し考慮すべきことがあるかもしれません。しかし,この指針は原則的には2型糖尿病患者さんにも適応してよいと考えていますので,私の患者さんには治療の初めから推奨しています。
糖質の最小摂取量というものはない
山田 そこまで糖質の摂取量を制限すると,逆にそのことによる健康被害は出ないのだろうかと考える人が多いのではないかと思うのですが。
Bernstein 確かに懸念を口にする人はいますが,私がそうした人たちにいつも言うのは,私たちの先祖の食生活を想像してみようということです。人類が農耕生活を開始したのは人類史的には比較的最近の,わずか1万年ほど前です。それ以前の人類の食物といえば肉や魚や鳥,爬虫類,昆虫などで,後は木の根や葉といったものだったでしょう。つまり,蛋白質や脂肪が主で,炭水化物は非常に少なかった。野菜や果物もあったでしょうが,そうしたものの栽培はまだ始まっていませんから,大量に摂取することはない。つまり,糖質にはアクセスしようがないから,最小限にしか摂取できない。では,この時代の人たちに何か健康被害があったでしょうか。もちろん,当時は飢餓の時代でもありますから,栄養不足で死んでいく人たちはたくさんいたでしょうが,それは蛋白質不足のせいで糖質不足のせいではありません。この時代の人たちが最も怖れていたのは必須アミノ酸を含む蛋白質が摂取できなくなることで,糖質ではなかったのです。
山田 仮に食物から糖質を全く摂取しなかったとしても,ヒトには糖新生という機能がありますので,蛋白質などから糖質をつくり出します。ですから血糖値が全くゼロになるということはないので,健康維持ということだけでいえば,理論的には食物からの糖質摂取量はゼロでもいいということになりますね。
ジャングルの暮らしで糖尿病が治癒
Bernstein 南アフリカのジャングルに生まれた人たちに関する20年ほど前の研究があるのですが,ケープタウンに出稼ぎに来た彼らのほとんどが急速に肥満になり糖尿病を発症しました。しかし,彼らに生活の保障をしてやり,もう一度ジャングルへ戻ってもらったところ,1年もたたずに肥満は解消し,糖尿病も治癒しました。何が変わったか。観察者によると,ジャングルに戻ってからの彼らの食生活が元に戻ったそうです。つまり,ケープタウンではパンが主食になっていたのが,以前のように昆虫や亀などを採取し食べるようになった。もちろん,昆虫や亀などですから,大量に取って一時に食べるということもしない。おそらく,彼らが昆虫や亀などを食べた後に血糖値を測定してもほとんど上昇は認められなかったでしょう。それで,彼らに新しい健康被害が発生したかというと,そういうこともなかった。
翻って現代人の食事を考えてみますと,糖質摂取量の多さは異常です。例えば,主食になっている全粒粉パンを一切れ食べて咀嚼した後,尿糖値を測定するスリップに吐き出すと,一瞬にして黒く変色します。つまり,唾液中のアミラーゼによって,全粒粉パンは速やかに糖分に変換されているわけです。こうした食事は食後血糖値を非常に高めますので,それだけインスリン分泌も亢進します。この繰り返しが膵臓を疲弊させ,もともとは健康であった人を2型糖尿病の発症へと誘います。ですから,私は2型糖尿病の患者さんの場合も,少なくとも食後血糖値を上昇させないということを目安として,1型糖尿病患者さんに準じた糖質制限食による食事療法を実施すべきであると考えています。
1)糖質制限食は英語では“low-carbohydrate diet”。わが国では同じ意味で低炭水化物食という言葉がよく使われている。厳密には炭水化物は糖質と食物繊維を含んでいるので,低炭水化物食というと食物繊維も制限すべきという意味になってしまう
2)糖質制限食・カロリー制限食ともに体重減量についてその有効性が認められた
Profile of Dr. R.K.Bernstein/血糖自己測定が転機に
Bernstein氏は1934年に生まれ,12歳で1型糖尿病を発症し,当時の医学常識に従い低脂肪・高炭水化物食による食事療法とインスリン注射を中心の治療を続けていた。しかし,血糖コントロール状態は全く改善せず,20歳を過ぎるころからは腎結石,肩関節の拘縮,感覚鈍麻を伴う進行性の足の変形,高蛋白尿症など,さまざまな合併症も出現した。大学では工学を専攻したが,級友の1人から腎臓病の妹が亡くなる直前,浮腫により風船のように膨らんでいたという話を聞かされ,やがて自分もそうなるという悪夢に悩まされる日々であったという。
突然の転機が訪れたのは1969年。たまたま目にした検査機器メーカーの広報誌により,開発されたばかりの血糖自己測定器を知る。当時医師ではなかった同氏は医師として働いていた妻にその機器を購入してもらい,血糖自己測定を繰り返し,血糖値と食事内容,インスリン注射量との関連について検討を重ね,やがて,血糖コントロール状態を悪化させている元凶が低脂肪・高糖質食であることに思い至る。そして,同氏が最も効果的かつ安全に血糖コントロールが得られる方法として見いだしたのが,独自の糖質制限食であったという。しかし,同氏が考案した方法を医学界に伝える手段は限られ,わずかのチャンスも受け入れられることはなかった。
1979年,同氏は意を決しアルバート・アインシュタイン医科大学に入学。卒業後は医師の立場から,自らの糖質制限食の啓発を続けている。
医師のための情報専門サイト MT Pro で興味深い連載が始まりました。
北里研究所病院糖尿病センターの山田悟センター長が、バーンスタイン医師(1型糖尿病)にインタビューした記事が連載で載る予定です。
今回は連載開始の第一回目です。
バーンスタイン医師は、本ブログでも何回か紹介しました。
12才で1型糖尿病を発症されて、インスリン注射を開始。
氏の内因性インスリン分泌はゼロです。
1970年代から朝6g、昼12g、夕12gの糖質制限食を開始され、
糖尿病腎症第3期Aから回復し、データは全て正常化。
2012年現在まで続けてこられて、健康を保っておられます。
江部康二
thttp://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtnews/2012/M45490221/
以下MT Pro から 一部を転載
[2012年12月6日(VOL.45 NO.49) p.22]
シリーズ糖尿病 vol.1 食事療法としての糖質制限食
糖質制限食の生みの親 R.K.Bernstein 氏に聞く
「糖質制限食」の定義と誕生の背景
R.K.Bernstein 氏
ママロネックのクリニックにて
糖尿病の食事療法として糖質制限食1) が注目されている。これまでの主流であったカロリー制限食に比べて,糖質制限食は減量効果において遜色なく,血糖コントロール効果においては優れるとされる。こうしたエビデンスの蓄積に伴い,米国糖尿病学会(ADA)では2008年の“Nutrition Position Statement”で初めて,カロリー制限食とともに糖質制限食を食事療法の選択肢として承認した2) 。わが国でも糖質制限食を高く評価する専門家は少なくなく,正式な食事療法として採択すべきか否かの議論が始まっている。そこで,4回連載企画として,糖質制限食の生みの親であり,その有効性を説いた書『糖尿病の解決(Diabetes Solution)』(日本語版:小社刊)がロングセラーになっている米国のRichard K. Bernstein氏にインタビューし,糖質制限食の実際について聞いた。聞き手は,食事療法に造詣が深く,糖質制限食にも強い関心を寄せている北里研究所病院(東京都)糖尿病センターの山田悟センター長にお願いした。
最も厳格には朝食6g,昼食12g,夕食12g,計1日30gを提唱
山田 糖質制限食の有効性について議論する際に,いつも問題だと考えているのは,その定義が明確でなく,研究者により異なることです。本シリーズの初めに,Bernstein先生ご自身は糖質制限食をどう定義されておられるのか,お聞きしたいと思います。
Bernstein 『糖尿病の解決』の中で私は,糖質の摂取量を朝食で6g,昼食で12g,夕食で12g,計1日30gを糖質制限食の指針として提示しています。小児の場合は,これよりもさらに少なくなります。成人で1日30gの摂取量というのは,これまでに提唱されている指針の中では最も少なく,厳しいものだと思います。
この指針は研究としてではなく,1型糖尿病患者としての私自身の経験から導き出したものです。私は1970年代から血糖自己測定を繰り返し,血糖値とインスリン注射量の相関を詳細に記録しつつ,どうしたら最も効果的かつ安全に血糖値を正常範囲まで下げられるかを模索していました。そして,たどり着いた結論が,上記の糖質摂取量だったのです。もちろん,摂取量をもっと多くしても,インスリン注射量を増やせば,血糖値を正常に保つことは可能ですが,血糖値の変動が大きくなり,インスリン注射量が多過ぎて低血糖を起こすなど,安定して血糖値を正常範囲に保つのは難しくなります。血糖値を安定して正常範囲に保つためには,血糖値の予測が容易でなければならず,そのためには糖質摂取量を可能な限り低く抑えることが最良の方法と考えています。私はこれを「小さな数の法則」と名付け,私の患者さんに,まず,知ってもらうようにしています。
私の糖質制限食の指針は1型糖尿病患者としての自分の経験から導き出したものですから,2型糖尿病患者さんの場合は,もう少し考慮すべきことがあるかもしれません。しかし,この指針は原則的には2型糖尿病患者さんにも適応してよいと考えていますので,私の患者さんには治療の初めから推奨しています。
糖質の最小摂取量というものはない
山田 そこまで糖質の摂取量を制限すると,逆にそのことによる健康被害は出ないのだろうかと考える人が多いのではないかと思うのですが。
Bernstein 確かに懸念を口にする人はいますが,私がそうした人たちにいつも言うのは,私たちの先祖の食生活を想像してみようということです。人類が農耕生活を開始したのは人類史的には比較的最近の,わずか1万年ほど前です。それ以前の人類の食物といえば肉や魚や鳥,爬虫類,昆虫などで,後は木の根や葉といったものだったでしょう。つまり,蛋白質や脂肪が主で,炭水化物は非常に少なかった。野菜や果物もあったでしょうが,そうしたものの栽培はまだ始まっていませんから,大量に摂取することはない。つまり,糖質にはアクセスしようがないから,最小限にしか摂取できない。では,この時代の人たちに何か健康被害があったでしょうか。もちろん,当時は飢餓の時代でもありますから,栄養不足で死んでいく人たちはたくさんいたでしょうが,それは蛋白質不足のせいで糖質不足のせいではありません。この時代の人たちが最も怖れていたのは必須アミノ酸を含む蛋白質が摂取できなくなることで,糖質ではなかったのです。
山田 仮に食物から糖質を全く摂取しなかったとしても,ヒトには糖新生という機能がありますので,蛋白質などから糖質をつくり出します。ですから血糖値が全くゼロになるということはないので,健康維持ということだけでいえば,理論的には食物からの糖質摂取量はゼロでもいいということになりますね。
ジャングルの暮らしで糖尿病が治癒
Bernstein 南アフリカのジャングルに生まれた人たちに関する20年ほど前の研究があるのですが,ケープタウンに出稼ぎに来た彼らのほとんどが急速に肥満になり糖尿病を発症しました。しかし,彼らに生活の保障をしてやり,もう一度ジャングルへ戻ってもらったところ,1年もたたずに肥満は解消し,糖尿病も治癒しました。何が変わったか。観察者によると,ジャングルに戻ってからの彼らの食生活が元に戻ったそうです。つまり,ケープタウンではパンが主食になっていたのが,以前のように昆虫や亀などを採取し食べるようになった。もちろん,昆虫や亀などですから,大量に取って一時に食べるということもしない。おそらく,彼らが昆虫や亀などを食べた後に血糖値を測定してもほとんど上昇は認められなかったでしょう。それで,彼らに新しい健康被害が発生したかというと,そういうこともなかった。
翻って現代人の食事を考えてみますと,糖質摂取量の多さは異常です。例えば,主食になっている全粒粉パンを一切れ食べて咀嚼した後,尿糖値を測定するスリップに吐き出すと,一瞬にして黒く変色します。つまり,唾液中のアミラーゼによって,全粒粉パンは速やかに糖分に変換されているわけです。こうした食事は食後血糖値を非常に高めますので,それだけインスリン分泌も亢進します。この繰り返しが膵臓を疲弊させ,もともとは健康であった人を2型糖尿病の発症へと誘います。ですから,私は2型糖尿病の患者さんの場合も,少なくとも食後血糖値を上昇させないということを目安として,1型糖尿病患者さんに準じた糖質制限食による食事療法を実施すべきであると考えています。
1)糖質制限食は英語では“low-carbohydrate diet”。わが国では同じ意味で低炭水化物食という言葉がよく使われている。厳密には炭水化物は糖質と食物繊維を含んでいるので,低炭水化物食というと食物繊維も制限すべきという意味になってしまう
2)糖質制限食・カロリー制限食ともに体重減量についてその有効性が認められた
Profile of Dr. R.K.Bernstein/血糖自己測定が転機に
Bernstein氏は1934年に生まれ,12歳で1型糖尿病を発症し,当時の医学常識に従い低脂肪・高炭水化物食による食事療法とインスリン注射を中心の治療を続けていた。しかし,血糖コントロール状態は全く改善せず,20歳を過ぎるころからは腎結石,肩関節の拘縮,感覚鈍麻を伴う進行性の足の変形,高蛋白尿症など,さまざまな合併症も出現した。大学では工学を専攻したが,級友の1人から腎臓病の妹が亡くなる直前,浮腫により風船のように膨らんでいたという話を聞かされ,やがて自分もそうなるという悪夢に悩まされる日々であったという。
突然の転機が訪れたのは1969年。たまたま目にした検査機器メーカーの広報誌により,開発されたばかりの血糖自己測定器を知る。当時医師ではなかった同氏は医師として働いていた妻にその機器を購入してもらい,血糖自己測定を繰り返し,血糖値と食事内容,インスリン注射量との関連について検討を重ね,やがて,血糖コントロール状態を悪化させている元凶が低脂肪・高糖質食であることに思い至る。そして,同氏が最も効果的かつ安全に血糖コントロールが得られる方法として見いだしたのが,独自の糖質制限食であったという。しかし,同氏が考案した方法を医学界に伝える手段は限られ,わずかのチャンスも受け入れられることはなかった。
1979年,同氏は意を決しアルバート・アインシュタイン医科大学に入学。卒業後は医師の立場から,自らの糖質制限食の啓発を続けている。
2012年12月09日 (日)
こんばんは。
最初から文庫本として出版する初めての本が完成しました。
糖質オフ!健康法(PHP文庫)です。
何と言っても、600円と今までで一番安い価格なのが嬉しいです。
2012年12月6日(木)頃から書店に並んでいます。
序章:糖質オフは人間にとって一番自然な食事
1章:糖質オフの驚くべき効果
2章:糖質制限食十箇条の活用法
3章:糖質オフの効能を医学的に解説
4章:知っていると得をする小わざ
5章:使える!外食術
6章:生活習慣・体質別活用法
7章:糖質オフ Q&A
全部で8章の構成で、糖質制限食の最新知識が、満載です。
手軽に読めますので、是非ご一読くださいね。
江部康二
以下は、糖質オフ!健康法(PHP文庫)の
はじめにです。
本書で紹介する糖質制限食は、高雄病院で1999年から日本で初めて開始した食事療法です。
わかりやすく言うとご飯・パン・麺などの穀物製品や芋類などの糖質が多い食品を食べないで、肉・魚貝・豆腐・葉野菜・海藻などをしっかり摂取する食事療法です。糖質を制限したぶん、脂質とたんぱくは充分量食べます。
糖質制限食というと現代の普通の食事である高糖質食と比べると変わった食事という風に思います。しかし、実は糖質制限食こそが、人類本来の自然な食事なのです。
人類がチンパンジーと分かれて誕生したのが約700万年前です。農耕が始まるまでは人類の生業は狩猟・採集であり、全ての人類が糖質制限食でした。
約10000年前に農耕が始まり、主食が穀物へと変化し、現在まで続いています。即ち人類が穀物を主食としたのは、長い歴史の中でわずか1/700の期間に過ぎません。
歴史的に進化の過程をみると「糖質制限食」と「穀物を主食とする高糖質食」、どちらが人類にとって自然な食事なのかはいうまでもありません。
農耕以前の人類にとって糖質は言わばラッキー食材でした。すなわち時々手に入る果物やナッツ、そして山芋や百合根などの根茎類くらいが比較的糖質の多い食材でした。
運良く手に入った果物を食べて血糖値が上昇するとインスリンが分泌され筋肉に取り込まれますが、余った血糖は中性脂肪に変わり脂肪組織に蓄えられます。このように、ラッキー食材から得た糖質は、消化吸収されたあとインスリンにより脂肪に変わり、来るべき飢餓に備える唯一のセーフティーネットとなっていたと考えられます。
インスリンは今でこそ肥満ホルモンというありがたくない別称をもっていますが、狩猟・採集時代はその脂肪を蓄える能力は、とても重要な意味をもっていたわけです。本来、脂肪を蓄えるためのラッキー食材だったはずの糖質を、農耕開始後は日常的に毎日食べるようになりました。
さらにこの200~300年間は精製された炭水化物を食べるようになりました。現在先進国では、精製された炭水化物であるご飯やパンや麺、そして砂糖水のような清涼飲料水を日常的に大量に摂取しています。このことが肥満や糖尿病や様々な生活習慣病の元凶となっていると私は思います。
人類の身体の消化・吸収・栄養・代謝システムは、700万年間の糖質制限食の過程を経て、突然変異を繰り返して完成されたものであり、糖質制限食に適合しています。
イギリスの栄養学の教科書「ヒューマン・ニュートリション」に、「人類は農業の発明依頼、穀物をベーストした食生活を送るようになったが、進化に要する時間の尺度は長く、人類の消化器官はまだ穀物ベースの食物に適応していない」と明快に記載してあります。
すなわち総摂取カロリーの50~60%が糖質という現代の穀物ベースの食生活は、人体にとってはとんでもなくバランスの悪いものなのです。
糖質制限食は、人類本来の食事、いわば人類の健康食ですので、糖尿病や肥満をはじめとして様々な生活習慣病が改善していきます。
しかも糖質制限食は、糖質を抜くだけで脂質やタンパク質はOKなので「美味しく楽しく」続けられるのが特長です。糖質制限食を足かけ11年続けている私にとっても、とても嬉しい食事療法なのです。
本書は糖質制限食の理論、活用法、外食術、小わざなどが幅広く解説してあり、読みやすく便利な構成となっていますので、是非ご一読いただけば幸いです。
最初から文庫本として出版する初めての本が完成しました。
糖質オフ!健康法(PHP文庫)です。
何と言っても、600円と今までで一番安い価格なのが嬉しいです。
2012年12月6日(木)頃から書店に並んでいます。
序章:糖質オフは人間にとって一番自然な食事
1章:糖質オフの驚くべき効果
2章:糖質制限食十箇条の活用法
3章:糖質オフの効能を医学的に解説
4章:知っていると得をする小わざ
5章:使える!外食術
6章:生活習慣・体質別活用法
7章:糖質オフ Q&A
全部で8章の構成で、糖質制限食の最新知識が、満載です。
手軽に読めますので、是非ご一読くださいね。
江部康二
以下は、糖質オフ!健康法(PHP文庫)の
はじめにです。
本書で紹介する糖質制限食は、高雄病院で1999年から日本で初めて開始した食事療法です。
わかりやすく言うとご飯・パン・麺などの穀物製品や芋類などの糖質が多い食品を食べないで、肉・魚貝・豆腐・葉野菜・海藻などをしっかり摂取する食事療法です。糖質を制限したぶん、脂質とたんぱくは充分量食べます。
糖質制限食というと現代の普通の食事である高糖質食と比べると変わった食事という風に思います。しかし、実は糖質制限食こそが、人類本来の自然な食事なのです。
人類がチンパンジーと分かれて誕生したのが約700万年前です。農耕が始まるまでは人類の生業は狩猟・採集であり、全ての人類が糖質制限食でした。
約10000年前に農耕が始まり、主食が穀物へと変化し、現在まで続いています。即ち人類が穀物を主食としたのは、長い歴史の中でわずか1/700の期間に過ぎません。
歴史的に進化の過程をみると「糖質制限食」と「穀物を主食とする高糖質食」、どちらが人類にとって自然な食事なのかはいうまでもありません。
農耕以前の人類にとって糖質は言わばラッキー食材でした。すなわち時々手に入る果物やナッツ、そして山芋や百合根などの根茎類くらいが比較的糖質の多い食材でした。
運良く手に入った果物を食べて血糖値が上昇するとインスリンが分泌され筋肉に取り込まれますが、余った血糖は中性脂肪に変わり脂肪組織に蓄えられます。このように、ラッキー食材から得た糖質は、消化吸収されたあとインスリンにより脂肪に変わり、来るべき飢餓に備える唯一のセーフティーネットとなっていたと考えられます。
インスリンは今でこそ肥満ホルモンというありがたくない別称をもっていますが、狩猟・採集時代はその脂肪を蓄える能力は、とても重要な意味をもっていたわけです。本来、脂肪を蓄えるためのラッキー食材だったはずの糖質を、農耕開始後は日常的に毎日食べるようになりました。
さらにこの200~300年間は精製された炭水化物を食べるようになりました。現在先進国では、精製された炭水化物であるご飯やパンや麺、そして砂糖水のような清涼飲料水を日常的に大量に摂取しています。このことが肥満や糖尿病や様々な生活習慣病の元凶となっていると私は思います。
人類の身体の消化・吸収・栄養・代謝システムは、700万年間の糖質制限食の過程を経て、突然変異を繰り返して完成されたものであり、糖質制限食に適合しています。
イギリスの栄養学の教科書「ヒューマン・ニュートリション」に、「人類は農業の発明依頼、穀物をベーストした食生活を送るようになったが、進化に要する時間の尺度は長く、人類の消化器官はまだ穀物ベースの食物に適応していない」と明快に記載してあります。
すなわち総摂取カロリーの50~60%が糖質という現代の穀物ベースの食生活は、人体にとってはとんでもなくバランスの悪いものなのです。
糖質制限食は、人類本来の食事、いわば人類の健康食ですので、糖尿病や肥満をはじめとして様々な生活習慣病が改善していきます。
しかも糖質制限食は、糖質を抜くだけで脂質やタンパク質はOKなので「美味しく楽しく」続けられるのが特長です。糖質制限食を足かけ11年続けている私にとっても、とても嬉しい食事療法なのです。
本書は糖質制限食の理論、活用法、外食術、小わざなどが幅広く解説してあり、読みやすく便利な構成となっていますので、是非ご一読いただけば幸いです。
2012年12月08日 (土)
こんにちは。
埼玉県人さんから、
災害に備える食料備蓄と糖質制限食について、コメント・質問をいただきました。
【12/12/07 埼玉県人
こんにちは。いつも楽しく拝見しております。
糖質制限のおかげて13を超えていたHbA1cは今7付近まで4ヶ月程度で下がっています。体調も良く以前は飲んでいた軽い精神安定剤(ソラナックス)も不要になり仕事にも集中力や判断力が戻ってきました。
アドレナリンは血糖値を上げたと思いますが、どうも糖尿病とアドレナリンといったホルモン異常に起因する精神疾患は卵とニワトリの関係でどちらが先か?というような相互関係にあるような気がします。
(糖質制限はその相乗関係を断ち切ります)
ところで今日は少し大きな地震があり、ツイッターで話題になったのですが、もし災害時に1〜2週間食料供給が絶たれるような場合、糖質制限が必要な人はどんなものを非常食として準備しておくべきでしょうか?
私はマヨネーズを常備しておくくらいしか思いつかないのですが。
1から2週間なら高糖質のハイカロリー非常食で切り抜けつつ食後高血糖をSU剤かインスリンで切り抜ける・・・という選択肢もあるならそういった薬も備蓄しておく必要があるのかな?と思う次第です。】
埼玉県人 さん。
HbA1c、心身の改善、良かったです。
災害に備える食料の備蓄ですが、冷蔵庫も使えなくなると仮定して室温保存でOKなものがいいですね。
ナッツ類、ビーフジャーキー、サラミなどは、糖質制限OKです。
天日干しのスルメ、ゲソ、貝柱、めざし、鮭とば、干し海老などの干物もOKです。
コンビーフ、ツナ、マグロ、カツオ、カキ、ホタテ、ムール貝、豚肉・・・などの缶詰もOKです。
たけのこ、アスパラガス・・・などの野菜缶詰もOKです。
大豆の缶詰もあります。
グリーンピースの水煮は100g中13gの糖質ですが、非常時にはよしとしましょう。
世界初のエリスリトールチョコ、「シュクリーベチョコレート」もあると嬉しいです。
精神科医Aさんのアドバイス、
”食べるにぼし”
http://item.rakuten.co.jp/kenkocom/e197391h/
ナッツ類のまとめ買いもおすすめ
http://item.rakuten.co.jp/shizennoyakata/c/0000000855/
もいいですね。
あと、糖質制限食さんご指摘の水のペットボトル(2リットル)10本の備蓄もあると安心です。
江部康二
埼玉県人さんから、
災害に備える食料備蓄と糖質制限食について、コメント・質問をいただきました。
【12/12/07 埼玉県人
こんにちは。いつも楽しく拝見しております。
糖質制限のおかげて13を超えていたHbA1cは今7付近まで4ヶ月程度で下がっています。体調も良く以前は飲んでいた軽い精神安定剤(ソラナックス)も不要になり仕事にも集中力や判断力が戻ってきました。
アドレナリンは血糖値を上げたと思いますが、どうも糖尿病とアドレナリンといったホルモン異常に起因する精神疾患は卵とニワトリの関係でどちらが先か?というような相互関係にあるような気がします。
(糖質制限はその相乗関係を断ち切ります)
ところで今日は少し大きな地震があり、ツイッターで話題になったのですが、もし災害時に1〜2週間食料供給が絶たれるような場合、糖質制限が必要な人はどんなものを非常食として準備しておくべきでしょうか?
私はマヨネーズを常備しておくくらいしか思いつかないのですが。
1から2週間なら高糖質のハイカロリー非常食で切り抜けつつ食後高血糖をSU剤かインスリンで切り抜ける・・・という選択肢もあるならそういった薬も備蓄しておく必要があるのかな?と思う次第です。】
埼玉県人 さん。
HbA1c、心身の改善、良かったです。
災害に備える食料の備蓄ですが、冷蔵庫も使えなくなると仮定して室温保存でOKなものがいいですね。
ナッツ類、ビーフジャーキー、サラミなどは、糖質制限OKです。
天日干しのスルメ、ゲソ、貝柱、めざし、鮭とば、干し海老などの干物もOKです。
コンビーフ、ツナ、マグロ、カツオ、カキ、ホタテ、ムール貝、豚肉・・・などの缶詰もOKです。
たけのこ、アスパラガス・・・などの野菜缶詰もOKです。
大豆の缶詰もあります。
グリーンピースの水煮は100g中13gの糖質ですが、非常時にはよしとしましょう。
世界初のエリスリトールチョコ、「シュクリーベチョコレート」もあると嬉しいです。
精神科医Aさんのアドバイス、
”食べるにぼし”
http://item.rakuten.co.jp/kenkocom/e197391h/
ナッツ類のまとめ買いもおすすめ
http://item.rakuten.co.jp/shizennoyakata/c/0000000855/
もいいですね。
あと、糖質制限食さんご指摘の水のペットボトル(2リットル)10本の備蓄もあると安心です。
江部康二
2012年12月07日 (金)
こんばんは。
糖質の中で果糖はあまり血糖値を上げません。
果糖のGIは15±4 、ブドウ糖のGIは103±3 です。(*)
糖質の中でエリスリトールと合成甘味料は、血糖値を上げません。
エリスリトール以外の糖アルコールは、砂糖の半分くらい血糖値を上げます。
上記以外の残りのほとんどの糖質は、どのような食材でも同じように血糖を上げます。
糖アルコールは糖質ですが、その中でエリスリトールだけは、ゼロカロリーで血糖値も上昇させません。
キシリトールやマルチトールやソルビトールなどの糖アルコールは、砂糖の半分くらい血糖値を上昇させます。
エリスリトールは、ラカントS(サラヤ)やパルスイートRカロリーゼロ(味の素KK)やシュガーカットゼロ顆粒(浅田飴)の主成分です。
すなわち、ラカントSやパルスイートやシュガーカットゼロ顆粒は糖質制限OK食材です。 (^^)
エリスリトールの安全性は、EUでもFDAでも認められていて、総量規制も特にありません。
まあ大量摂取すれば、まれに下痢することはありえるとは思います。
合成甘味料も糖質ですが、FDA(米国食料医薬品庁)と厚生労働省の認めているアスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、ネオテームの5種類は、ゼロカロリーで血糖値も上昇させません。
人工甘味料のほうも、FDAにおいて安全性は認められていますが総量規制があります。
日本の、カロリーゼロのダイエットコーラ350mlを1日2本くらいまでは、許容範囲と思います。
結論です。
糖質のほとんどが血糖値を上昇させます。
しかし、糖質の中でエリスリトールと合成甘味料は、血糖値を上昇させません。
なお、羅漢果(中国広西チワン族自治区を原産地とするウリ科ラカンカ属の多年生つる植物)の果実の甘味成分は、小腸で吸収されることなく大腸まで達するため、食物繊維の一つに分類されます。
ステビアの甘味成分も同様で人体に吸収されないので、食物繊維に分類されるのかなと思います。
糖質+食物繊維=炭水化物です。
食物繊維は人体に消化吸収されないので、血糖値は上昇させないとされています。
☆☆☆
健康増進法における栄養表示基準では栄養成分表示を行う場合、基本表示は
<エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム>
の5成分表示とされています。
「炭水化物、糖質、糖類」を整理すると下記の如くにまとめることができます。
栄養表示基準上はたんぱく質や脂質、灰分(ミネラル分)のいずれにも分類されないものは炭水化物に計算。
①炭水化物=糖質+食物繊維
②糖質=糖類+糖アルコール+三糖類以上+合成甘味料
③糖類=単糖類+二糖類
*三糖類以上=オリゴ糖、多糖類(でんぷん、デキストリンなど)
*二糖類=ショ糖、麦芽糖、乳糖など
*単糖類=ブドウ糖、果糖、ガラクトースなど
*糖アルコール=エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトールなど
*合成甘味料=アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、ネオテーム
(*)
<血糖指数:グリセミック・インデックス:Glycemic Index: GI>
GIは血糖上昇反応度とも言われる。糖質50gを含む食品を摂取した後の血糖値の上昇を
基準となる食品(ブドウ糖50g)を摂取した後の血糖値の上昇と比較し、パーセントで表した数字である。
GIが高い食品ほど食後の血糖が急激に上昇し、インスリンを急激に分泌する必要がある。
GIの算出方法
「糖質50gを含有する食品摂取後2時間までの血糖曲線下面積」÷
「糖質50gを含有する基準食(ブドウ糖50g)摂取後2時間までの血糖曲線下面積」×100=GI
http://www.mendosa.com/gilists.htm
このサイトは、David Mendosaという、「ミスターGI」とも呼べるマニアックなおじさんが運営していて、およそGIのことならなんでも載っています。
英文ですが、GIに興味がある方はお暇なときに覗いてみてください。
以下はメンドーサおじさんのサイト、いろんなGI研究の平均値です。
White wheat bread* 75±2 白いパン
Whole wheat/whole meal bread 74±2 全粒粉のパン
Speciality grain bread 53±2 ?
White rice, boiled* 73±4 炊いた白米
Brown rice, boiled 68±4 炊いた玄米
Udon noodles 55±7 うどん
Spaghetti, white 49±2 スパゲッティ
Potato, boiled 78±4 ゆでたジャガイモ
Potato, instant mashed 87±3 マッシュポテト
Sugars
Fructose 15±4 果糖
Sucrose 65±4 ショ糖
Glucose 103±3 ブドウ糖
Honey 61±3 蜂蜜
パンは全粒粉のものも、結構GI高値で、白いパンと変わりませんね。
江部康二
糖質の中で果糖はあまり血糖値を上げません。
果糖のGIは15±4 、ブドウ糖のGIは103±3 です。(*)
糖質の中でエリスリトールと合成甘味料は、血糖値を上げません。
エリスリトール以外の糖アルコールは、砂糖の半分くらい血糖値を上げます。
上記以外の残りのほとんどの糖質は、どのような食材でも同じように血糖を上げます。
糖アルコールは糖質ですが、その中でエリスリトールだけは、ゼロカロリーで血糖値も上昇させません。
キシリトールやマルチトールやソルビトールなどの糖アルコールは、砂糖の半分くらい血糖値を上昇させます。
エリスリトールは、ラカントS(サラヤ)やパルスイートRカロリーゼロ(味の素KK)やシュガーカットゼロ顆粒(浅田飴)の主成分です。
すなわち、ラカントSやパルスイートやシュガーカットゼロ顆粒は糖質制限OK食材です。 (^^)
エリスリトールの安全性は、EUでもFDAでも認められていて、総量規制も特にありません。
まあ大量摂取すれば、まれに下痢することはありえるとは思います。
合成甘味料も糖質ですが、FDA(米国食料医薬品庁)と厚生労働省の認めているアスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、ネオテームの5種類は、ゼロカロリーで血糖値も上昇させません。
人工甘味料のほうも、FDAにおいて安全性は認められていますが総量規制があります。
日本の、カロリーゼロのダイエットコーラ350mlを1日2本くらいまでは、許容範囲と思います。
結論です。
糖質のほとんどが血糖値を上昇させます。
しかし、糖質の中でエリスリトールと合成甘味料は、血糖値を上昇させません。
なお、羅漢果(中国広西チワン族自治区を原産地とするウリ科ラカンカ属の多年生つる植物)の果実の甘味成分は、小腸で吸収されることなく大腸まで達するため、食物繊維の一つに分類されます。
ステビアの甘味成分も同様で人体に吸収されないので、食物繊維に分類されるのかなと思います。
糖質+食物繊維=炭水化物です。
食物繊維は人体に消化吸収されないので、血糖値は上昇させないとされています。
☆☆☆
健康増進法における栄養表示基準では栄養成分表示を行う場合、基本表示は
<エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム>
の5成分表示とされています。
「炭水化物、糖質、糖類」を整理すると下記の如くにまとめることができます。
栄養表示基準上はたんぱく質や脂質、灰分(ミネラル分)のいずれにも分類されないものは炭水化物に計算。
①炭水化物=糖質+食物繊維
②糖質=糖類+糖アルコール+三糖類以上+合成甘味料
③糖類=単糖類+二糖類
*三糖類以上=オリゴ糖、多糖類(でんぷん、デキストリンなど)
*二糖類=ショ糖、麦芽糖、乳糖など
*単糖類=ブドウ糖、果糖、ガラクトースなど
*糖アルコール=エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトールなど
*合成甘味料=アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、ネオテーム
(*)
<血糖指数:グリセミック・インデックス:Glycemic Index: GI>
GIは血糖上昇反応度とも言われる。糖質50gを含む食品を摂取した後の血糖値の上昇を
基準となる食品(ブドウ糖50g)を摂取した後の血糖値の上昇と比較し、パーセントで表した数字である。
GIが高い食品ほど食後の血糖が急激に上昇し、インスリンを急激に分泌する必要がある。
GIの算出方法
「糖質50gを含有する食品摂取後2時間までの血糖曲線下面積」÷
「糖質50gを含有する基準食(ブドウ糖50g)摂取後2時間までの血糖曲線下面積」×100=GI
http://www.mendosa.com/gilists.htm
このサイトは、David Mendosaという、「ミスターGI」とも呼べるマニアックなおじさんが運営していて、およそGIのことならなんでも載っています。
英文ですが、GIに興味がある方はお暇なときに覗いてみてください。
以下はメンドーサおじさんのサイト、いろんなGI研究の平均値です。
White wheat bread* 75±2 白いパン
Whole wheat/whole meal bread 74±2 全粒粉のパン
Speciality grain bread 53±2 ?
White rice, boiled* 73±4 炊いた白米
Brown rice, boiled 68±4 炊いた玄米
Udon noodles 55±7 うどん
Spaghetti, white 49±2 スパゲッティ
Potato, boiled 78±4 ゆでたジャガイモ
Potato, instant mashed 87±3 マッシュポテト
Sugars
Fructose 15±4 果糖
Sucrose 65±4 ショ糖
Glucose 103±3 ブドウ糖
Honey 61±3 蜂蜜
パンは全粒粉のものも、結構GI高値で、白いパンと変わりませんね。
江部康二
2012年12月06日 (木)
こんばんは。
以前に、世界初のエリスリトールを主甘味料に使った、全く新しいチョコレート「シュクリーベ」をご紹介しました。
あらてつさんによりますと、品切れになることもあるそうで、やはり糖尿人の皆さん、私と同じくチョコレートが好きな方が多いようですね。
シュクリーベは、開発の段階から、私、江部康二が血糖測定の人体実験(?)を繰り返してますので、糖尿人の皆さんに安心してお薦めできるチョコレートです。
血糖が上がらないこともさることながら、美味しさの方も砂糖を使ったチョコレートに引けを取らないどころか、それ以上の味になっています。
糖尿人だけでなく、一般の方が食べても充分以上に美味しいです。
そのシュクリーベに、今回、待望のアーモンドチョコレートがラインナップされました。
シュクリーベ まるごとアーモンドチョコレート

この シュクリーベ まるごとアーモンドチョコレート 、世界初のエリスリトールチョコを完成させた情熱の人、株式会社Healthy Sweet(ヘルシースイート)代表の高森さんが作るのですから、そんじょそこらのアーモンドチョコとはひと味もふた味も違います。
何度も何度も試作を繰り返し、その度に名古屋から京都の高雄病院までやってきては、私が試食して血糖測定を繰り返したのです。
言うなれば、味と血糖値にとことんこだわった、究極の糖質制限チョコレートですね。
糖尿人、メタボ人、ダイエッターだけでなく、一般の方が食べても十二分に満足できる シュクリーベ まるごとアーモンドチョコレート ブログ読者の皆さん、是非一度お試しあれ。
江部康二
以下は、高森さんからのメッセージです。
【アーモンドチョコレートの誕生秘話】
皆さんこんにちは。
HealthySweet代表の高森由香です。
この度、シュクリーベチョコレートでアーモンドを丸ごとコーティングしたアーモンドチョコレートを3種類が完成しました。
ダークチョコレートでコーティングした「まるごとアーモンドチョコ ダーク」
ミルクチョコレートでコーティングした「まるごとアーモンドチョコ ミルク」
ティラミスチョコレートでコーティングした「まるごとアーモンドチョコ ティラミス」
江部先生が良く仰っていた、「小腹がすいた時は、ナッツ類を食べます。」
いつもナッツ類を食べていると、「たまには、別の味あ食べたいな~。」って思っている方もいるかもしれない。「ならば、シュクリーベチョコレートでアーモンドチョコを作ろう!そうしたら、通常のナッツとアーモンドチョコで飽きることも少なくなるかかもしれない」と。
もう1つ、ミルクチョコとアークチョコ以外に美味しいチョコでコーティングしたいと思った時、イタリアに住んでいた友達から電話・・・「イタリア?・・・ティラミス!」と思いついたのです。
そこから、シュクリーベのホワイトチョコを使用したティラミスチョコ開発に入りました。
だいたいのティラミスチョコレートは、もともとティラミス用のチーズパウダーミックス(砂糖入)があり、それをチョコレート等に混ぜて作っているそうです。
しかし、砂糖入は使えないため、チーズパウダーから厳選し、シュクリーベに合う3種類のチーズに辿り付きました。ナチュラルクリームチーズパウダー、ナチュラルマスカルポーネチーズパウダー、ナチュラルカマンベールチーズパウダー。
その微妙な配合により、今回、ティラミスチョコが完成!!
私の自信作です。
糖質制限をしている皆様に、もう1つ笑顔が生まれますように!!
以前に、世界初のエリスリトールを主甘味料に使った、全く新しいチョコレート「シュクリーベ」をご紹介しました。
あらてつさんによりますと、品切れになることもあるそうで、やはり糖尿人の皆さん、私と同じくチョコレートが好きな方が多いようですね。
シュクリーベは、開発の段階から、私、江部康二が血糖測定の人体実験(?)を繰り返してますので、糖尿人の皆さんに安心してお薦めできるチョコレートです。
血糖が上がらないこともさることながら、美味しさの方も砂糖を使ったチョコレートに引けを取らないどころか、それ以上の味になっています。
糖尿人だけでなく、一般の方が食べても充分以上に美味しいです。
そのシュクリーベに、今回、待望のアーモンドチョコレートがラインナップされました。
シュクリーベ まるごとアーモンドチョコレート

この シュクリーベ まるごとアーモンドチョコレート 、世界初のエリスリトールチョコを完成させた情熱の人、株式会社Healthy Sweet(ヘルシースイート)代表の高森さんが作るのですから、そんじょそこらのアーモンドチョコとはひと味もふた味も違います。
何度も何度も試作を繰り返し、その度に名古屋から京都の高雄病院までやってきては、私が試食して血糖測定を繰り返したのです。
言うなれば、味と血糖値にとことんこだわった、究極の糖質制限チョコレートですね。
糖尿人、メタボ人、ダイエッターだけでなく、一般の方が食べても十二分に満足できる シュクリーベ まるごとアーモンドチョコレート ブログ読者の皆さん、是非一度お試しあれ。
江部康二
以下は、高森さんからのメッセージです。
【アーモンドチョコレートの誕生秘話】
皆さんこんにちは。
HealthySweet代表の高森由香です。
この度、シュクリーベチョコレートでアーモンドを丸ごとコーティングしたアーモンドチョコレートを3種類が完成しました。
ダークチョコレートでコーティングした「まるごとアーモンドチョコ ダーク」
ミルクチョコレートでコーティングした「まるごとアーモンドチョコ ミルク」
ティラミスチョコレートでコーティングした「まるごとアーモンドチョコ ティラミス」
江部先生が良く仰っていた、「小腹がすいた時は、ナッツ類を食べます。」
いつもナッツ類を食べていると、「たまには、別の味あ食べたいな~。」って思っている方もいるかもしれない。「ならば、シュクリーベチョコレートでアーモンドチョコを作ろう!そうしたら、通常のナッツとアーモンドチョコで飽きることも少なくなるかかもしれない」と。
もう1つ、ミルクチョコとアークチョコ以外に美味しいチョコでコーティングしたいと思った時、イタリアに住んでいた友達から電話・・・「イタリア?・・・ティラミス!」と思いついたのです。
そこから、シュクリーベのホワイトチョコを使用したティラミスチョコ開発に入りました。
だいたいのティラミスチョコレートは、もともとティラミス用のチーズパウダーミックス(砂糖入)があり、それをチョコレート等に混ぜて作っているそうです。
しかし、砂糖入は使えないため、チーズパウダーから厳選し、シュクリーベに合う3種類のチーズに辿り付きました。ナチュラルクリームチーズパウダー、ナチュラルマスカルポーネチーズパウダー、ナチュラルカマンベールチーズパウダー。
その微妙な配合により、今回、ティラミスチョコが完成!!
私の自信作です。
糖質制限をしている皆様に、もう1つ笑顔が生まれますように!!
2012年12月05日 (水)
こんにちは。
主食をやめると健康になる ー 糖質制限食で体質が変わる!
(ダイヤモンド社)2011年12月
おかげさまで、この度、きりよく第10刷となりました。

「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」2005年(東洋経済新報社)
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008年(東洋経済新報社)
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009年(東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010年(ナツメ社)
に続いて、最新糖質制限食基礎理論の充実した内容と、糖尿病以外の生活習慣病やガンについての考察が加わった本となりました。
エビデンスレベルの疫学研究も、多数紹介しています。
さらに豊富な症例も提示しています。
レシピ本ではなく、理論・疫学・臨床・・・の本です。
私のブログ記事のなかで、公開OKをいただいた書き込みからの引用もあります。
ブログ読者の皆さんには、この場を借りて御礼申し上げます。m(_ _)mV
以下は、
「主食をやめると健康になる ー 糖質制限食で体質が変わる!」(ダイヤモンド社)
の、<はじめに>と<おわりに>です。
江部康二
☆☆☆☆☆
<はじめに>
1999年に、兄・江部洋一郎院長(当時)が高雄病院に初めて糖質制限食を導入しました。当初は半信半疑だった私も、2001年から糖尿病患者さんに積極的に実践して目覚ましい成果をあげ、その後は病院全体で研究を進めるようになりました。
そして4年間の実績をもとに『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』(東洋経済新報社、2005年)を上梓しました。幸い現在までに16版を重ねるロングセラーとなり、世に「糖質制限食」という言葉を認知させるきっかけになったと自負しております。
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』では、糖尿病治療を中心に執筆しました。このとき、すでに糖質制限食が肥満やメタボリックシンドロームにも有効だということはわかっていましたが、あえて糖尿病だけにしぼった内容としました。
肥満やメタボにも有効といった文言が追加されると読者に軽薄な印象を与える可能性があることや、いわゆるダイエット本と見なされるのは本意ではなかったからです。そのため、ベストセラーよりロングセラーを想定して比較的かたい内容とし、その意図は達成されたと思います。
2007年2月からは、ブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」を開始して、糖質制限食について紹介したり、糖尿病についてのさまざまなご質問にお答えするようになりました。現在1日のアクセス数が7000〜8000件ということも、かなり糖質制限食の普及効果があったと思います。
そして本書では、糖質制限食が医学会にも世間にも少しずつ広がりつつある現状をふまえて、高雄病院の10年以上の経験、1400人以上の患者さんの治療実績をもとに、糖尿病以外のより幅広い疾患、生活習慣病についても解説しました。
糖質制限食は「変わった食事」というイメージを持たれがちですが、実は人類本来の自然な食事です。人類が誕生したのが約700万年前で、農耕が始まるまでは狩猟・採集を生業とし、すべての人類が糖質制限食を実践していました。農耕開始後1万年間だけが、主食が穀物(糖質)へと変化しました。
すなわち穀物を主食としたのは、人類の歴史のなかでわずか700分の1の期間にすぎないのです。糖質制限食と高糖質食、どちらが人類にとって自然な食事なのかは言うまでもありません。糖質制限食はいわば人類の健康食なので、糖尿病や肥満・メタボに限らず、さまざまな生活習慣病が改善するのも当たり前といえば当たり前なのです。
しかも糖質制限食は、主食を抜くだけで「おいしく楽しく」続けられるのが特長です。従来のカロリー制限食に比べれば、肉も魚も蒸留酒もOKでお腹いっぱい食べることができ、はるかにラクに実践できます。本書ではその効果と実践法をくわしく紹介します。
なお、執筆にあたっては個人情報を保護する配慮をしていますが、私のブログ記事のなかで公開OKをいただいた書き込みからの引用もあります。ブログ読者の皆さんにはこの場を借りて御礼申し上げます。
2011年10月 高雄病院理事長 江部康二
<おわりに>
2010年12月に「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」(ナツメ社)を上梓して、1年が経過しました。そしてこの1年間で糖質制限食に関する新しい知識がまた蓄積されました。
今回はとくにガンに関して、現状でできる限りの情報を集めそれを基に考察をしてみました。それが、第4章「糖質制限食とガン」です。まずエビデンスとなる質の高いレベルの文献を集めてみました。その結果、高インスリン血症・空腹時高血糖・食後高血糖が、それぞれ独立して発ガンのリスクとなることが明らかとなりました。
またガン細胞はブドウ糖しかエネルギー源に利用できないことは周知の事実です。そしてその理由として、ガン細胞のミトコンドリアは、酵素に不備があり正常細胞のようにケトン体や脂肪酸は利用できないことが文献で確認できました。ミトコンドリアとは細胞内のエネルギー生産装置です。
これらのエビデンスと事実を背景に糖質制限食とガンに関して、予防の可能性や治療の可能性に言及してみました。糖質制限食により発ガンリスクである高インスリン血症・空腹時高血糖・食後高血糖が全て改善します。あくまでも仮説の段階に過ぎない理論ですが、それなりの説得力はあると自負しています。
例えば、マウスの動物実験の段階ではありますが、糖質制限食により発ガン予防効果が確認されています。さらに、本文には間に合わず紹介できなかったのですが、ヒトにおいてケトン食でガンが消失したという文献を見つけました。ケトン食は本文でも紹介していますが、脂質摂取比率75~80%という究極の糖質制限食です。栄養と代謝という米国の医学雑誌に2010年、グリオブラストーマ(膠芽腫)が2ヶ月間の<放射線+化学療法+ケトン食>治療で消失したというイタリアの研究者の症例報告が掲載されています。(*)膠芽腫は脳腫瘍の中でも最も悪性度の高いガンで<放射線+化学療法>治療ではまず治りません。糖質制限食によるガン治療に一筋の光明が見えた気がします。
ついで糖質制限食による減量効果に関して大変興味深い事実が確認できました。食物を摂取すると食後1時間から数時間にわたり熱産生が増加し代謝が更新します。これを食物の特異動的作用(SDA)とよびます。摂取した糖質、脂質、タンパク質の化学エネルギーのうち、それぞれ約6%、4%、30%は熱として失われ、生体で利用することができません。SDAが30%と圧倒的に高いのがタンパク質です。従って高タンパク食である糖質制限食は通常食に比べれば、特異動的作用(SDA)の比率が大きくなりその分、減量効果があることになります。
もう一つ忘れてはならないことがあります。それは農耕以前の人類においては飢餓は日常的な出来事であり、体脂肪はそれに対する唯一のセーフティーネットであったというとです。この観点から、筋肉と脂肪細胞の糖輸送体4(GLUT4)の謎を解き明かしてみました。糖輸送体というのは細胞におけるブドウ糖取り込み装置です。GLUT4は14種ある糖輸送体のうち唯一インスリンに依存していて普段は細胞内に沈んでいていざという時だけ細胞表面に移動するという極めてユニークな存在で、知的興味は尽きません。
このように、糖質制限食の最新理論がわかりやすく解説してあるのが本書です。糖質制限食をすでに実践して本を読んでおられる方にも充分読み応えがあると思います。また初めて糖質制限食に接する読者においても、系統的にオールラウンドな知識を学ぶことができる本となっていますので、是非ご一読いただけば幸いです。
最後になりましたが、本書の新しい糖質制限食理論構築において、適切なアドバイスで援助して頂いた、京都府立医科大学大学院 総合医療・医学教育学教室 助教 森 浩子先生に深謝いたします。
2011年11月 高雄病院理事長 江部康二
主食をやめると健康になる ー 糖質制限食で体質が変わる!
(ダイヤモンド社)2011年12月
おかげさまで、この度、きりよく第10刷となりました。

「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」2005年(東洋経済新報社)
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008年(東洋経済新報社)
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009年(東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010年(ナツメ社)
に続いて、最新糖質制限食基礎理論の充実した内容と、糖尿病以外の生活習慣病やガンについての考察が加わった本となりました。
エビデンスレベルの疫学研究も、多数紹介しています。
さらに豊富な症例も提示しています。
レシピ本ではなく、理論・疫学・臨床・・・の本です。
私のブログ記事のなかで、公開OKをいただいた書き込みからの引用もあります。
ブログ読者の皆さんには、この場を借りて御礼申し上げます。m(_ _)mV
以下は、
「主食をやめると健康になる ー 糖質制限食で体質が変わる!」(ダイヤモンド社)
の、<はじめに>と<おわりに>です。
江部康二
☆☆☆☆☆
<はじめに>
1999年に、兄・江部洋一郎院長(当時)が高雄病院に初めて糖質制限食を導入しました。当初は半信半疑だった私も、2001年から糖尿病患者さんに積極的に実践して目覚ましい成果をあげ、その後は病院全体で研究を進めるようになりました。
そして4年間の実績をもとに『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』(東洋経済新報社、2005年)を上梓しました。幸い現在までに16版を重ねるロングセラーとなり、世に「糖質制限食」という言葉を認知させるきっかけになったと自負しております。
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』では、糖尿病治療を中心に執筆しました。このとき、すでに糖質制限食が肥満やメタボリックシンドロームにも有効だということはわかっていましたが、あえて糖尿病だけにしぼった内容としました。
肥満やメタボにも有効といった文言が追加されると読者に軽薄な印象を与える可能性があることや、いわゆるダイエット本と見なされるのは本意ではなかったからです。そのため、ベストセラーよりロングセラーを想定して比較的かたい内容とし、その意図は達成されたと思います。
2007年2月からは、ブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」を開始して、糖質制限食について紹介したり、糖尿病についてのさまざまなご質問にお答えするようになりました。現在1日のアクセス数が7000〜8000件ということも、かなり糖質制限食の普及効果があったと思います。
そして本書では、糖質制限食が医学会にも世間にも少しずつ広がりつつある現状をふまえて、高雄病院の10年以上の経験、1400人以上の患者さんの治療実績をもとに、糖尿病以外のより幅広い疾患、生活習慣病についても解説しました。
糖質制限食は「変わった食事」というイメージを持たれがちですが、実は人類本来の自然な食事です。人類が誕生したのが約700万年前で、農耕が始まるまでは狩猟・採集を生業とし、すべての人類が糖質制限食を実践していました。農耕開始後1万年間だけが、主食が穀物(糖質)へと変化しました。
すなわち穀物を主食としたのは、人類の歴史のなかでわずか700分の1の期間にすぎないのです。糖質制限食と高糖質食、どちらが人類にとって自然な食事なのかは言うまでもありません。糖質制限食はいわば人類の健康食なので、糖尿病や肥満・メタボに限らず、さまざまな生活習慣病が改善するのも当たり前といえば当たり前なのです。
しかも糖質制限食は、主食を抜くだけで「おいしく楽しく」続けられるのが特長です。従来のカロリー制限食に比べれば、肉も魚も蒸留酒もOKでお腹いっぱい食べることができ、はるかにラクに実践できます。本書ではその効果と実践法をくわしく紹介します。
なお、執筆にあたっては個人情報を保護する配慮をしていますが、私のブログ記事のなかで公開OKをいただいた書き込みからの引用もあります。ブログ読者の皆さんにはこの場を借りて御礼申し上げます。
2011年10月 高雄病院理事長 江部康二
<おわりに>
2010年12月に「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」(ナツメ社)を上梓して、1年が経過しました。そしてこの1年間で糖質制限食に関する新しい知識がまた蓄積されました。
今回はとくにガンに関して、現状でできる限りの情報を集めそれを基に考察をしてみました。それが、第4章「糖質制限食とガン」です。まずエビデンスとなる質の高いレベルの文献を集めてみました。その結果、高インスリン血症・空腹時高血糖・食後高血糖が、それぞれ独立して発ガンのリスクとなることが明らかとなりました。
またガン細胞はブドウ糖しかエネルギー源に利用できないことは周知の事実です。そしてその理由として、ガン細胞のミトコンドリアは、酵素に不備があり正常細胞のようにケトン体や脂肪酸は利用できないことが文献で確認できました。ミトコンドリアとは細胞内のエネルギー生産装置です。
これらのエビデンスと事実を背景に糖質制限食とガンに関して、予防の可能性や治療の可能性に言及してみました。糖質制限食により発ガンリスクである高インスリン血症・空腹時高血糖・食後高血糖が全て改善します。あくまでも仮説の段階に過ぎない理論ですが、それなりの説得力はあると自負しています。
例えば、マウスの動物実験の段階ではありますが、糖質制限食により発ガン予防効果が確認されています。さらに、本文には間に合わず紹介できなかったのですが、ヒトにおいてケトン食でガンが消失したという文献を見つけました。ケトン食は本文でも紹介していますが、脂質摂取比率75~80%という究極の糖質制限食です。栄養と代謝という米国の医学雑誌に2010年、グリオブラストーマ(膠芽腫)が2ヶ月間の<放射線+化学療法+ケトン食>治療で消失したというイタリアの研究者の症例報告が掲載されています。(*)膠芽腫は脳腫瘍の中でも最も悪性度の高いガンで<放射線+化学療法>治療ではまず治りません。糖質制限食によるガン治療に一筋の光明が見えた気がします。
ついで糖質制限食による減量効果に関して大変興味深い事実が確認できました。食物を摂取すると食後1時間から数時間にわたり熱産生が増加し代謝が更新します。これを食物の特異動的作用(SDA)とよびます。摂取した糖質、脂質、タンパク質の化学エネルギーのうち、それぞれ約6%、4%、30%は熱として失われ、生体で利用することができません。SDAが30%と圧倒的に高いのがタンパク質です。従って高タンパク食である糖質制限食は通常食に比べれば、特異動的作用(SDA)の比率が大きくなりその分、減量効果があることになります。
もう一つ忘れてはならないことがあります。それは農耕以前の人類においては飢餓は日常的な出来事であり、体脂肪はそれに対する唯一のセーフティーネットであったというとです。この観点から、筋肉と脂肪細胞の糖輸送体4(GLUT4)の謎を解き明かしてみました。糖輸送体というのは細胞におけるブドウ糖取り込み装置です。GLUT4は14種ある糖輸送体のうち唯一インスリンに依存していて普段は細胞内に沈んでいていざという時だけ細胞表面に移動するという極めてユニークな存在で、知的興味は尽きません。
このように、糖質制限食の最新理論がわかりやすく解説してあるのが本書です。糖質制限食をすでに実践して本を読んでおられる方にも充分読み応えがあると思います。また初めて糖質制限食に接する読者においても、系統的にオールラウンドな知識を学ぶことができる本となっていますので、是非ご一読いただけば幸いです。
最後になりましたが、本書の新しい糖質制限食理論構築において、適切なアドバイスで援助して頂いた、京都府立医科大学大学院 総合医療・医学教育学教室 助教 森 浩子先生に深謝いたします。
2011年11月 高雄病院理事長 江部康二
2012年12月04日 (火)
こんにちは。
米国糖尿病学会は2004年から、
「糖質は100%血糖に変わる、たんぱく質・脂質は変わらない」
としています。
とても大事なことなので、再度記事にします。
【12/12/04 小児科医
参考にさせていただきます
大変興味深く拝見させていただきました。
日頃患者さんにどう解説すればご理解いただけるか頭を悩ませております。
一つ質問です。先生のブログにおいて「糖質は100%血糖に変わります。速度は平均30~40分です。
タンパク質は約50%が血糖に変わります。速度は平均3時間です。脂質は10%未満が血糖に変わります。速度は平均十数時間です。」と記載されておりますが、引用された文献をご教授いただけますでしょうか。お忙しい処お手数をおかけいたしますが、ご返答頂けると幸いです。】
小児科医さん。
「糖質は100%血糖に変わります。速度は平均30~40分です。 タンパク質は約50%が血糖に変わります。速度は平均3時間です。脂質は10%未満が血糖に変わります。速度は平均十数時間です。」
これは、1997年の古い版の記載で、2004年版で変更されました。
2004年版のLife With Diabetes(米国糖尿病協会・ADA)によれば(☆☆)、
「食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わり、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。」
「Carbohydrate,protein,and fat contain calories.
Only Carbohydrates directly affect blood glucose levels. 」 3rd Ed,2004
直訳すると、
「炭水化物・タンパク質・脂肪はカロリーを含有している。炭水化物だけが、血糖値に直接作用する。」
1997年版のLife With Diabetesでは、(☆)
「タンパク質は約50%が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載がありますが、2004年版では削除されています。
上記以外にも1997版で記載されていた、脂質とタンパク質と血糖に関する記載が 2004年版では全て削除されています。
2009年版もそれを継続しています。( ☆☆☆)
1997年から2004年の間に、エビデンス(研究論文)が蓄積されて、米国糖尿病学会の見解が、「血糖値を上げるのは3大栄養素の内、糖質だけである。」と変化したものと考えられます。
例えば、下記のGannon等の論文は有力なエビデンスです。
【Gannon等は2型DM患者で、50gの蛋白質(赤身度の高い牛肉)の摂食後8時間の報告を行った。アミノ酸を引くと~20-23gの蛋白質量で、理論上~11-13gの糖を産出するはずであった。しかるに循環系に現れた糖の量は~2g相当で、摂取した蛋白質は血糖濃度の有意な増加を来さないと立証された】(*)
2012年1月14日の、第15回日本病態栄養学会年次学術集会のワークショップ「食品交換表とカーボカウント」において、演者の先生が、1997年版Life With Diabetes・池田義雄先生監訳の「糖尿病パーフェクトガイド」から図を引用されていました。
日本糖尿病学会の食事療法の専門家の先生方が、米国糖尿病学会における2004年版以降の変更をご存知ないのは、さすがに如何なものかと思います。
☆
Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center,
American Diabetes Assoiation ,2nd Ed,1997
☆☆
Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center,
American Diabetes Assoiation ,3rd Ed,2004
☆☆☆
Life With Diabetes:A Siries of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center ,
American Diabetes Assoiation ,4th Edition,2009
*
Gannon MC, Nuttall JA, Damberg G, Gupta V, Nuttall FQ: Effect of protein ingestion on the glucose appearance rate in people with type 2 diabetes. J Clin Endocrinol Metab 86:1040–1047, 2001
米国糖尿病学会は2004年から、
「糖質は100%血糖に変わる、たんぱく質・脂質は変わらない」
としています。
とても大事なことなので、再度記事にします。
【12/12/04 小児科医
参考にさせていただきます
大変興味深く拝見させていただきました。
日頃患者さんにどう解説すればご理解いただけるか頭を悩ませております。
一つ質問です。先生のブログにおいて「糖質は100%血糖に変わります。速度は平均30~40分です。
タンパク質は約50%が血糖に変わります。速度は平均3時間です。脂質は10%未満が血糖に変わります。速度は平均十数時間です。」と記載されておりますが、引用された文献をご教授いただけますでしょうか。お忙しい処お手数をおかけいたしますが、ご返答頂けると幸いです。】
小児科医さん。
「糖質は100%血糖に変わります。速度は平均30~40分です。 タンパク質は約50%が血糖に変わります。速度は平均3時間です。脂質は10%未満が血糖に変わります。速度は平均十数時間です。」
これは、1997年の古い版の記載で、2004年版で変更されました。
2004年版のLife With Diabetes(米国糖尿病協会・ADA)によれば(☆☆)、
「食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わり、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。」
「Carbohydrate,protein,and fat contain calories.
Only Carbohydrates directly affect blood glucose levels. 」 3rd Ed,2004
直訳すると、
「炭水化物・タンパク質・脂肪はカロリーを含有している。炭水化物だけが、血糖値に直接作用する。」
1997年版のLife With Diabetesでは、(☆)
「タンパク質は約50%が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載がありますが、2004年版では削除されています。
上記以外にも1997版で記載されていた、脂質とタンパク質と血糖に関する記載が 2004年版では全て削除されています。
2009年版もそれを継続しています。( ☆☆☆)
1997年から2004年の間に、エビデンス(研究論文)が蓄積されて、米国糖尿病学会の見解が、「血糖値を上げるのは3大栄養素の内、糖質だけである。」と変化したものと考えられます。
例えば、下記のGannon等の論文は有力なエビデンスです。
【Gannon等は2型DM患者で、50gの蛋白質(赤身度の高い牛肉)の摂食後8時間の報告を行った。アミノ酸を引くと~20-23gの蛋白質量で、理論上~11-13gの糖を産出するはずであった。しかるに循環系に現れた糖の量は~2g相当で、摂取した蛋白質は血糖濃度の有意な増加を来さないと立証された】(*)
2012年1月14日の、第15回日本病態栄養学会年次学術集会のワークショップ「食品交換表とカーボカウント」において、演者の先生が、1997年版Life With Diabetes・池田義雄先生監訳の「糖尿病パーフェクトガイド」から図を引用されていました。
日本糖尿病学会の食事療法の専門家の先生方が、米国糖尿病学会における2004年版以降の変更をご存知ないのは、さすがに如何なものかと思います。
☆
Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center,
American Diabetes Assoiation ,2nd Ed,1997
☆☆
Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center,
American Diabetes Assoiation ,3rd Ed,2004
☆☆☆
Life With Diabetes:A Siries of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center ,
American Diabetes Assoiation ,4th Edition,2009
*
Gannon MC, Nuttall JA, Damberg G, Gupta V, Nuttall FQ: Effect of protein ingestion on the glucose appearance rate in people with type 2 diabetes. J Clin Endocrinol Metab 86:1040–1047, 2001
2012年12月03日 (月)
こんばんは。
mmx さんから、
「テレビで高蛋白、高脂質の食事は前立腺がんと因果関係があると泌尿器の専門医が解説」
とのコメントをいただきました。
論文をその医師が提示していたのかよくわかりませんが、私の知る限りではそのようなエビデンスはないと思います。
まず、イヌイットは、生肉・生魚の高蛋白・高脂質食を伝統的に4000年間摂取してきましたが、その伝統的食生活を守っていた間は、前立腺癌はまれでした。
次に脂肪の研究です。
脂質の大規模臨床試験は、ほとんどないのですが、唯一スエーデンの貴重な研究がありました。
結論としては、
『総脂肪、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸の摂取量と癌死など関連なし』
です。
女性の総脂肪摂取量のみ癌死に有意差(乳癌と卵巣癌)がありましたが、他の癌は関連なしでした。
総死亡、脳心血管死、その他の死亡も脂肪の摂取量とは関連なしです。
• 2005年、スエーデンの研究(唯一の脂質大規模臨床試験)
• 前向きコホート研究。
• 28 098人、男性 11 063 人、女性 17 035人、1991–1996参加。
• 総脂肪、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸(多価、一価別に)摂取量を階層化して4群に分類。6.6年間の経過観察。
• 4群の、総死亡、癌死、脳心血管死、その他の死亡ごとに解析して有意差なし。
女性の総脂肪摂取量のみ癌死に有意差(乳癌と卵巣癌)
• Leosdottir, M., et al., Dietary fat intake and early mortality patterns--data from The Malmo Diet and Cancer Study. J Intern Med, 2005. 258(2): p. 153-65.
【12/12/03 mmx
前立腺がん
江部先生
いつもブログでお世話になります。
先日、テレビで高蛋白、高脂質の食事は前立腺がんと因果関係があると泌尿器の専門医が解説していました。
江部先生のご意見をお聞かせいただければ幸いです。この番組を見たブログ読者も多いので質問させていただきました。】
mmx さんから、
「テレビで高蛋白、高脂質の食事は前立腺がんと因果関係があると泌尿器の専門医が解説」
とのコメントをいただきました。
論文をその医師が提示していたのかよくわかりませんが、私の知る限りではそのようなエビデンスはないと思います。
まず、イヌイットは、生肉・生魚の高蛋白・高脂質食を伝統的に4000年間摂取してきましたが、その伝統的食生活を守っていた間は、前立腺癌はまれでした。
次に脂肪の研究です。
脂質の大規模臨床試験は、ほとんどないのですが、唯一スエーデンの貴重な研究がありました。
結論としては、
『総脂肪、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸の摂取量と癌死など関連なし』
です。
女性の総脂肪摂取量のみ癌死に有意差(乳癌と卵巣癌)がありましたが、他の癌は関連なしでした。
総死亡、脳心血管死、その他の死亡も脂肪の摂取量とは関連なしです。
• 2005年、スエーデンの研究(唯一の脂質大規模臨床試験)
• 前向きコホート研究。
• 28 098人、男性 11 063 人、女性 17 035人、1991–1996参加。
• 総脂肪、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸(多価、一価別に)摂取量を階層化して4群に分類。6.6年間の経過観察。
• 4群の、総死亡、癌死、脳心血管死、その他の死亡ごとに解析して有意差なし。
女性の総脂肪摂取量のみ癌死に有意差(乳癌と卵巣癌)
• Leosdottir, M., et al., Dietary fat intake and early mortality patterns--data from The Malmo Diet and Cancer Study. J Intern Med, 2005. 258(2): p. 153-65.
【12/12/03 mmx
前立腺がん
江部先生
いつもブログでお世話になります。
先日、テレビで高蛋白、高脂質の食事は前立腺がんと因果関係があると泌尿器の専門医が解説していました。
江部先生のご意見をお聞かせいただければ幸いです。この番組を見たブログ読者も多いので質問させていただきました。】
2012年12月02日 (日)
こんばんは。
糖尿人の適正摂取エネルギー量はどのくらいなのでしょう。再度、検討してみました。
まず現行の日本糖尿病学会推奨の「糖尿病食」は、基本的にエネルギー制限(カロリー制限)食です。
日本糖尿病学会編・糖尿病治療ガイド・2012年によれば、適正摂取エネルギー量の算出方法は
摂取エネルギー量=身体活動×標準体重(標準体重=身長(m)×身長(m)×22)
です。
身体活動量の目安
デスクワークなど・・・25~30kcal
立ち仕事が多い30~35kcal
力仕事が多い・・・・・・・35~kcal
糖尿病治療ガイドの基準によると、
男性では1400~1800kcal/日
女性では1200~1600kcal/日
が推奨されていますが、これはいかにも少なすぎると思います。
結果として、「糖尿人は、一般人より摂取エネルギーを少なくする必要がある。」と、日本糖尿病学会は主張しておられるわけですが、根拠は何も示してありません。
これは如何なものでしょう? (∵)?
さて国際的には、基礎代謝量から必要摂取エネルギー量を設定するのが一般的です。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2010年版)」においても、基礎代謝量に基づいて必要摂取エネルギー量が設定されています。
「日本人の食事摂取基準」(2010年版)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/s0529-4.html
推定必要エネルギー量(kcal/日)=基礎代謝量(kcal/日)×身体活動レベル
身体活動レベル(15才~69才)
Ⅰ、身体活動レベルが低い:1.50(1.40~1.60)
生活の大部分が座位で、静的な活 動 が 中 心 の場合
Ⅱ、身体活動レベルがふつう:1.75(1.60~1.90)
座位中心の仕事だが、職場での移動や立位での作業・接 客 等、あ る い は 通
勤・買物・家事、軽いスポーツ等のいずれかを含む場合
Ⅲ、身体活動レベルが低い:2.0(1.90~2.20)
移動や立位の多い仕事へ の 従 事 者。あ る いは、スポーツなど余暇における活発な運動習慣をもっている場合
基礎代謝量は表1(上記ホームページにあります)に記載してあります。
基礎代謝量=基礎代謝基準値(kcal/kg体重/日)×基準体重(kg)
私(江部康二)は身長167cm、体重57kg(標準体重は61.36kg)、62才の糖尿人。
日本糖尿病学会の糖尿病治療ガイドに従うなら、
25kcal(デスクワーク)×61.36kg(標準体重)=1534kcal
30kcal(デスクワーク)×61.36kg(標準体重)=1840kcal
1534kcal~1840kcal/日になります。
一方、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」2010年に従うなら
推定必要エネルギー量(kcal/日)=基礎代謝量(kcal/日)×身体活動レベル
1400kcal(62才の基礎代謝量)×1.5=2100kcal/日
となります。
実際には1800~2400kcal/日、摂取しています。
「日本人の食事摂取基準」とおよそ合致していますね。
なお、それに加えてアルコール分が、300~500kcalあります。
なお国立健康・栄養研究所の「日本人の食事摂取基準」(2010年)への解説
エネルギー(pdf)
http://www.linkdediet.org/dri/modules/dri_download/index.php?orderby=dateD&cid=4&perpage=10
によれば、推定エネルギー必要量は18才以上の成人で、年齢により差がありますが、
身体活動レベルが低い人は
男性:1850~2250キロカロリー/日
女性:1450~1700キロカロリー/日
身体活動レベルが普通なら
男性:2200~2650キロカロリー/日
女性:1700~1950キロカロリー/日
身体活動レベルが高い場合
男性:2500~3050キロカロリー/日
女性:2000~2300キロカロリー/日
です。
ともあれ、適正摂取エネルギー量に関しては、現時点では判断するに足る明確なエビデンスがないのです。
結局、現時点では、基礎代謝量には、個人差もあるので、糖尿人も一般人も、BMI20以上~25未満で、その人の一番体調のいい体重を保つような摂取エネルギー量でよいのかと思います。
江部康二
糖尿人の適正摂取エネルギー量はどのくらいなのでしょう。再度、検討してみました。
まず現行の日本糖尿病学会推奨の「糖尿病食」は、基本的にエネルギー制限(カロリー制限)食です。
日本糖尿病学会編・糖尿病治療ガイド・2012年によれば、適正摂取エネルギー量の算出方法は
摂取エネルギー量=身体活動×標準体重(標準体重=身長(m)×身長(m)×22)
です。
身体活動量の目安
デスクワークなど・・・25~30kcal
立ち仕事が多い30~35kcal
力仕事が多い・・・・・・・35~kcal
糖尿病治療ガイドの基準によると、
男性では1400~1800kcal/日
女性では1200~1600kcal/日
が推奨されていますが、これはいかにも少なすぎると思います。
結果として、「糖尿人は、一般人より摂取エネルギーを少なくする必要がある。」と、日本糖尿病学会は主張しておられるわけですが、根拠は何も示してありません。
これは如何なものでしょう? (∵)?
さて国際的には、基礎代謝量から必要摂取エネルギー量を設定するのが一般的です。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2010年版)」においても、基礎代謝量に基づいて必要摂取エネルギー量が設定されています。
「日本人の食事摂取基準」(2010年版)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/s0529-4.html
推定必要エネルギー量(kcal/日)=基礎代謝量(kcal/日)×身体活動レベル
身体活動レベル(15才~69才)
Ⅰ、身体活動レベルが低い:1.50(1.40~1.60)
生活の大部分が座位で、静的な活 動 が 中 心 の場合
Ⅱ、身体活動レベルがふつう:1.75(1.60~1.90)
座位中心の仕事だが、職場での移動や立位での作業・接 客 等、あ る い は 通
勤・買物・家事、軽いスポーツ等のいずれかを含む場合
Ⅲ、身体活動レベルが低い:2.0(1.90~2.20)
移動や立位の多い仕事へ の 従 事 者。あ る いは、スポーツなど余暇における活発な運動習慣をもっている場合
基礎代謝量は表1(上記ホームページにあります)に記載してあります。
基礎代謝量=基礎代謝基準値(kcal/kg体重/日)×基準体重(kg)
私(江部康二)は身長167cm、体重57kg(標準体重は61.36kg)、62才の糖尿人。
日本糖尿病学会の糖尿病治療ガイドに従うなら、
25kcal(デスクワーク)×61.36kg(標準体重)=1534kcal
30kcal(デスクワーク)×61.36kg(標準体重)=1840kcal
1534kcal~1840kcal/日になります。
一方、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」2010年に従うなら
推定必要エネルギー量(kcal/日)=基礎代謝量(kcal/日)×身体活動レベル
1400kcal(62才の基礎代謝量)×1.5=2100kcal/日
となります。
実際には1800~2400kcal/日、摂取しています。
「日本人の食事摂取基準」とおよそ合致していますね。
なお、それに加えてアルコール分が、300~500kcalあります。
なお国立健康・栄養研究所の「日本人の食事摂取基準」(2010年)への解説
エネルギー(pdf)
http://www.linkdediet.org/dri/modules/dri_download/index.php?orderby=dateD&cid=4&perpage=10
によれば、推定エネルギー必要量は18才以上の成人で、年齢により差がありますが、
身体活動レベルが低い人は
男性:1850~2250キロカロリー/日
女性:1450~1700キロカロリー/日
身体活動レベルが普通なら
男性:2200~2650キロカロリー/日
女性:1700~1950キロカロリー/日
身体活動レベルが高い場合
男性:2500~3050キロカロリー/日
女性:2000~2300キロカロリー/日
です。
ともあれ、適正摂取エネルギー量に関しては、現時点では判断するに足る明確なエビデンスがないのです。
結局、現時点では、基礎代謝量には、個人差もあるので、糖尿人も一般人も、BMI20以上~25未満で、その人の一番体調のいい体重を保つような摂取エネルギー量でよいのかと思います。
江部康二
2012年12月01日 (土)
【糖質制限食とは】
米国糖尿病協会(ADA)によれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。
これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
1997年版のLife With Diabetes(ADA)では、
「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載がありましたが、2004年版では変更されています。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を上昇させます。
従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。
脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。
タンパク質はごく少量のインスリンを追加分泌させます。
現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。
食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。
また一日における、食前・食後・空腹時など血糖値の変動幅(平均血糖変動幅)が大きいほど、酸化ストレスが増強し動脈硬化のリスクとなることがわかってきました。
そして、食後高血糖と平均血糖変動幅増大を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。
炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には、55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。
一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても、糖質含有量は1gもないので、食後血糖は3mg未満の上昇しかないのです。
なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースに、できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。
抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら、薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。
なお糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。
日本糖尿病学会「食品交換表」の
男性1400~1800kcal
女性1200~1600kcal
ほど厳しいカロリー制限は必要ありませんが、
国立健康・栄養研究所の「日本人の食事摂取基準」(2010年)への解説に示す推定エネルギー必要量の範囲、すなわち18才以上の成人で
身体活動レベルが普通なら
男性:2200~2650キロカロリー、
女性:1700~1950キロカロリー
身体活動レベルが低い人は
男性:1850~2250キロカロリー、
女性:1450~1700キロカロリー
くらいが目安です。
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人やメタボ人は、低血糖の心配はほとんどないので、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病やメタボ改善を目指していただけば幸いです。
血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合と、活動性の膵炎がある場合、肝硬変の場合は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。
肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。
また長鎖脂肪酸代謝異常症(日本で毎年10-50人の新患が発生)の場合も、脂肪の利用・代謝が上手くいかないので糖質制限食の適応となりません。
なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。
また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。
糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。
<参考図書>
理論
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」2005年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008年
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009年
「やせる食べ方」2010年
「うちの母は糖尿人」2010年 監修:江部康二 著:伊藤きのと
(東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010年(ナツメ社)
腹いっぱい食べて楽々痩せる『満腹ダイエット』 (ソフトバンク新書) 2011年
「主食をやめると健康になる」(ダイヤモンド社)2011年
「食品別糖質量ハンドブック」(洋泉社)2012年
レシピ
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006年
「糖質制限食 春のレシピ」2007年
「糖質制限食 夏のレシピ」2007年
「糖質制限食 秋のレシピ」2008年
「糖質制限食 冬のレシピ」2008年
「血糖値を上げない! 健康おつまみ109 」2010年
「やせる食べかたレシピ集」2010年
「主食を抜けば糖尿は良くなる!レシピ集」2011年
(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん
(アスペクト)2009年
dancyu プレジデントムック 「満腹ダイエット 」(プレジデント社)2009年
dancyu プレジデントムック 「酒飲みダイエット 」(プレジデント社)2010年
dancyu プレジデントムック 「美食家ダイエット 」(プレジデント社)2011年
dancyu プレジデントムック 「スイーツダイエット」 (プレジデン社)2012年
糖質オフダイエット (レタスクラブ、角川マーケティング)2011年
誰もがストレスなくやせられる! 糖質制限ダイエット(講談社)2011年
糖尿病・肥満を克服する高雄病院の「糖質制限」給食(講談社)2012年
DVD「糖質制限食を語る」http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php 2011年
米国糖尿病協会(ADA)によれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。
これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
1997年版のLife With Diabetes(ADA)では、
「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載がありましたが、2004年版では変更されています。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を上昇させます。
従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。
脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。
タンパク質はごく少量のインスリンを追加分泌させます。
現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。
食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。
また一日における、食前・食後・空腹時など血糖値の変動幅(平均血糖変動幅)が大きいほど、酸化ストレスが増強し動脈硬化のリスクとなることがわかってきました。
そして、食後高血糖と平均血糖変動幅増大を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。
炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には、55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。
一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても、糖質含有量は1gもないので、食後血糖は3mg未満の上昇しかないのです。
なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースに、できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。
抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら、薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。
なお糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。
日本糖尿病学会「食品交換表」の
男性1400~1800kcal
女性1200~1600kcal
ほど厳しいカロリー制限は必要ありませんが、
国立健康・栄養研究所の「日本人の食事摂取基準」(2010年)への解説に示す推定エネルギー必要量の範囲、すなわち18才以上の成人で
身体活動レベルが普通なら
男性:2200~2650キロカロリー、
女性:1700~1950キロカロリー
身体活動レベルが低い人は
男性:1850~2250キロカロリー、
女性:1450~1700キロカロリー
くらいが目安です。
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人やメタボ人は、低血糖の心配はほとんどないので、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病やメタボ改善を目指していただけば幸いです。
血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合と、活動性の膵炎がある場合、肝硬変の場合は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。
肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。
また長鎖脂肪酸代謝異常症(日本で毎年10-50人の新患が発生)の場合も、脂肪の利用・代謝が上手くいかないので糖質制限食の適応となりません。
なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。
また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。
糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。
<参考図書>
理論
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」2005年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008年
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009年
「やせる食べ方」2010年
「うちの母は糖尿人」2010年 監修:江部康二 著:伊藤きのと
(東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010年(ナツメ社)
腹いっぱい食べて楽々痩せる『満腹ダイエット』 (ソフトバンク新書) 2011年
「主食をやめると健康になる」(ダイヤモンド社)2011年
「食品別糖質量ハンドブック」(洋泉社)2012年
レシピ
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006年
「糖質制限食 春のレシピ」2007年
「糖質制限食 夏のレシピ」2007年
「糖質制限食 秋のレシピ」2008年
「糖質制限食 冬のレシピ」2008年
「血糖値を上げない! 健康おつまみ109 」2010年
「やせる食べかたレシピ集」2010年
「主食を抜けば糖尿は良くなる!レシピ集」2011年
(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん
(アスペクト)2009年
dancyu プレジデントムック 「満腹ダイエット 」(プレジデント社)2009年
dancyu プレジデントムック 「酒飲みダイエット 」(プレジデント社)2010年
dancyu プレジデントムック 「美食家ダイエット 」(プレジデント社)2011年
dancyu プレジデントムック 「スイーツダイエット」 (プレジデン社)2012年
糖質オフダイエット (レタスクラブ、角川マーケティング)2011年
誰もがストレスなくやせられる! 糖質制限ダイエット(講談社)2011年
糖尿病・肥満を克服する高雄病院の「糖質制限」給食(講談社)2012年
DVD「糖質制限食を語る」http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php 2011年