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糖質制限食とサプリメント、2012年
こんにちは。

糖質制限食とサプリメントについて、時々質問があります。

今回はサプリについて、考えてみます。

まず、私自身は一切、サプリは摂っていません。

また、分子整合栄養医学(オーソモレキュラー療法)とは、全く無関係です。

厳格な玄米菜食だと、EPA・DHA(ω3系必須脂肪酸)とビタミンB12の摂取が不足する可能性があるので、玄米魚菜食にするほうが安全です。

すなわち、菜食主義で、魚や肉を全く摂らない場合は、EPA・DHA・ビタミンB12などをサプリメントで補うほうが安全です。

一方、糖質制限食は穀物なしですから、相対的に肉・魚・野菜・海藻・豆腐・納豆・卵・チーズ・ナッツ・・・・と、バラエティに富んだおかずの摂取量が増えます。

従って不足する栄養素は基本的にありません。

必須脂肪酸も必須アミノ酸もビタミンも、糖質制限食ならしっかり摂取できていますので、基本的にサプリメントは必要ありません。

足かけ11年間、スーパー糖質制限食を続けている私も、勿論サプリメントは摂っていません。

さて、一般にカルシウムやマグネシウムが不足すると、こむら返りを起こしやすいとされています。

カルシウムは乳製品・小魚・油揚げ・厚揚げ・海藻・緑黄色野菜などに多く含まれています。

マグネシウムは、大豆製品・魚介類・海藻・ナッツ類に多く含まれています。

従って、通常は糖質制限食OK食品に多く含まれているので、こむら返りもめったに起こらないのだと思います
 
一方、糖質制限食に関係なく、スポーツの最中や後にこむら返りを起こすことはよくありますよね。

激しいスポーツをして汗をかくと、汗とともにミネラルが体の外に排出されてしまいます。

ですから、カルシウム・マグネシウムなどミネラルをちゃんと補給してやらないと、筋肉が痙攣したり足が攣ったりします。

糖質制限食実践中で、スポーツをしっかりする人は、カルシウム・マグネシウムを、補充するとこむら返り予防になります。

あと、単身赴任の人とか、どうしても食生活のパターンが偏りがちなら、適宜サプリメントを利用してもらって良いと思います。

勿論、高価なサプリメントではなくて、リーズナブルなものを選んでくださいね。


江部康二





テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質は、本来人類にとって、脂肪を蓄えるためのラッキー食材だった。
こんばんは。

人類がチンパンジーと分かれて誕生したのが約700万年前です。

農耕が始まるまでは人類の生業は狩猟・採集であり、全ての人類が糖質制限食でした。

約10000年前に農耕が始まり、主食が穀物へと変化し、現在まで続いています。

即ち人類が穀物を主食としたのは、長い歴史の中でわずか1/700の期間に過ぎません。

歴史的に進化の過程をみると「糖質制限食」と「穀物を主食とする高糖質食」、どちらが人類にとって自然な食事なのかはいうまでもありません。

農耕以前の人類にとって糖質は言わばラッキー食材でした。

すなわち、時々手に入る果物やナッツ、そして山芋や百合根などの根茎類くらいが比較的糖質の多い食材でした。

運良く手に入った果物を食べて血糖値が上昇すると、インスリンが分泌され筋肉に取り込まれますが、余った血糖は中性脂肪に変わり脂肪組織に蓄えられます。

このように、ラッキー食材から得た糖質は、消化吸収されたあとインスリンにより脂肪に変わり、来るべき飢餓に備える唯一のセーフティーネットとなっていたと考えられます。

インスリンは今でこそ肥満ホルモンというありがたくない別称をもっていますが、狩猟・採集時代はその脂肪を蓄える能力は、とても重要な意味をもっていたわけです。

本来、脂肪を蓄えるためのラッキー食材だったはずの糖質を、農耕開始後は日常的に毎日食べるようになりました。

さらにこの200~300年間は精製された炭水化物を食べるようになりました。現在先進国では、精製された炭水化物であるご飯やパンや麺、そして砂糖水のような清涼飲料水を日常的に大量に摂取しています。

このことが肥満や糖尿病や様々な生活習慣病の元凶となっていると私は思います。

人類の身体の消化・吸収・栄養・代謝システムは、700万年間の糖質制限食の過程を経て、突然変異を繰り返して完成されたものであり、糖質制限食に適合しています。

すなわち総摂取カロリーの50~60%が糖質という現代の穀物ベースの食生活は、人体にとってはとんでもなくバランスの悪いものなのです。

上述の如く糖質制限食は、人類本来の食事、いわば人類の健康食ですので、糖尿病や肥満をはじめとして様々な生活習慣病が改善していくのです。


江部康二



テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
久山町の認知症、発症率は全国平均の約2倍!?
こんにちは。

joshさんから、

2005年現在、

『久山町の認知症の発症率は全国平均の約2倍だそうです。』

という何とも恐ろしいお話のコメントをいただきました。

糖尿病の激増だけでなく、認知症も増加!

「久山町の悲劇、とどまることを知らず!」

ですね。

話題の医学 テレビ東京
9月30日(日)
5:00~5:15 久山町研究
清原 裕 先生 (九州大学環境医学分野)
がお話しされたそうです。

全国平均の認知症の発症率を、ネットで調べたのですが、久山町研究と同じ方法のものがよくわからなくて、全国平均の約2倍ということの確認ができませんでした。

精神科医Aさん、ご存知でしたら、ご教示頂けば幸いです。

久山町研究の資料は、第 49 回日本老年医学会学術集会記録を「日老医誌」に清原先生が発表されたものをネットで見つけました。(*)

それによると、特にアルツハイマー型痴呆の増加が、半端じゃないです。

1985年:1.4%
1992年:1.4%
1998年:2.8%
2005年:4.1%

2005年の有病率は、1992年の約3倍です。

1988年から、九州大学大学院医学研究院・環境医学分野の先生方と中村学園大学短期大学部食物栄養科の先生方が、協力されて、糖尿病発症予防を目的として、40才以上の久山町住民に、栄養指導(従来の糖尿病食)を積極的に実施されたにも関わらず、2002年の調査では、糖尿病が激増してしまいました。

従来の糖尿病食による食事介入は、14年後大失敗の結果となりました。

このことに関しては、2012年02月21日 (火) の本ブログ記事

「福岡県久山町研究と山形県舟形町研究の比較検討」

をご参照頂けば幸いです。

1988年から、従来の糖尿病食(高糖質食)による、食事指導介入が行われて、
10年後の1998年、アルツハイマー型痴呆が、2倍に増加し、
17年後の2005年、アルツハイマー型痴呆が、約3倍に増加しました。

「ダブル炭水化物がアルツハイマー型痴呆の最大のリスク」という、2012年9月26 日放送のNHKためしてがってんの解説は、記憶に新しいところです。

久山町研究の責任者、清原裕先生 (九州大学環境医学分野)は、この、久山町における糖尿病・認知症の増加という明白な事実に対して、いったいどのようにお考えなのでしょう?

【12/09/30 josh

今朝「話題の医学」という医学番組で、久山町研究のことを放送していました。出演は、九州大学大学院、清原裕教授です。

そう、「88年以後、運動や食事指導など手を尽くしたのに糖尿病は増える一方。どうすれば減るのか、最初からやり直したい」と感想を述べていた久山町研究の責任者ですね。

内容は、久山町研究の歴史あらましを基本に、結論としてぶっちゃけ糖尿病の人は認知症発症率が高いみたいなことでした。

以前の江部先生の記事で、2002年時点で久山町の成人男性の半分が耐糖能異常ということを書かれていました。
その時点では、認知症についての言及はなかったですよね。

放送によると、2005年現在、久山町の認知症の発症率は全国平均の約2倍だそうです。((°д°))!!!!!!!!

清原教授は、久山町の発症率からみて本当はもっと発症率は高いのではないかみたいなことをおっしゃっておられました。

が、久山町民へ行ってきた食事などの指導内容には一切ふれていませんでした。

久山町の方たちは、今でも糖尿病発症のための食事指導を守っているんでしょうか。

江部先生のブログに出会って約3年、糖尿病の発症はしていないので軽い糖質制限しかしていませんが、糖質に関する意識ががらりと変わりました。

兄や友人に糖尿人が多く、糖質制限するように話してもまったく信じないのはなぜなんでしょうか。】



江部康二


(*)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics/45/2/45_2_163/_pdf
第 49 回日本老年医学会学術集会記録
〈若手企画シンポジウム I:地域高齢者の今:高齢者を対象とした疫学研究より〉
1.久山町研究―認知症
清原 裕 谷崎 弓裕 (日老医誌 2008;45:163―165)

前略・・・・・

1985 年,1992 年,1998 年,2005 年 に,久 山 町 の
65歳以上の高齢者を対象に 2 段階方式の認知症の有病率調査を行った。

各調査の受診者はそれぞれ

887 名(受診率 95%),1,189 名(97%),1,437 名(99%),1,567 名(92%)であった。

いずれの年も原則的に各対象者を医師が面接し,ほぼ同一の 2 段階方式の調査を行った
・・・・・・

中略・・・・・・

4つの断面調査において,性・年齢調整後の認知症有病率を病型別にみると,脳血管性認知症(VD)の有病率は 1985 年 2.4%,1992 年 1.7%,1998 年 1.5% と減少傾向を示していたが,2005 年は 2.2% と上昇傾向に転じた。
一方,アルツハイマー病(AD)の有病率はそれぞれ 1.4%,1.4%,2.8%,4.1% と 1988 年から有意な上昇傾向を示した。

その他の認知症の有病率はそれぞれ2.9%,1.8%,1.6%,2.2% と,VD と同じパターンを呈していた。



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