2012年03月31日 (土)
こんばんは。
2012年4月1日から、HbA1cの表記が、「今までのJDS値+0.4%」に変更になります。
日本糖尿病学会理事長の門脇氏は、MTProの取材に応じ、次のように呼びかけました。
<導入はわが国の糖尿病治療・研究の信頼性の向上に>
『いよいよ4月1日から,HbA1c値としてNGSP値が日常臨床に導入される。わが国ではHbA1c値をJDS値で表記していたため,諸外国では日本の糖尿病患者は軽症であるなどの誤解があり,国際共同治験の参加,日本発のエビデンスの発信,患者の国際的な移動の障害となっていた。
そのため,一般健診を含む日常診療のNGSP値移行は,わが国の糖尿病治療および研究の信頼性を向上させる上で,画期的な取り組みだといえる。
ただしNGSP値は,これまでのJDS値に0.4%加算した値になることから,日常診療に混乱を来さないためにも,医師や医療従事者,関連団体の方々にはHbA1c値の国際標準化の意義や内容をご理解いただき,患者や社会に対するわれわれの啓発活動にぜひご協力いただきたいと思っている。』
日経メディカル オンラインメール 2012.1.24 第585号
に以下の記事が載りました。
【□■ 4月からHbA1cの表記が日常診療でも+0.4%に ■□
日常診療におけるHbA1cの表記を、今年4月以降、現在のJDS値の代わりに(国際標準である)NGSP値で表記することを、1月20日に日本糖尿病学会が発表しました。
既に、2010年7月から学術論文や学会発表ではNGSP相当値への表記変更が行われていますが、4月以降、HbA1cはほとんどのケースでこれまで使われてきたJDS値に0.4ポイントを加えた値となります
(換算式は「NGSP値(%)=1.02×JDS値(%)+0.25」、当面はJDS値も併記)。
これに伴い、糖尿病の診断基準の1つであった「HbA1c≧6.1%(JDS)」も、今年4月1日以降、「HbA1c≧6.5%(NGSP)」に変更されることになります。
「表記の切り替え前後では、以前の測定結果であるJDS値と新たに測定したNGSP値を比較して、『血糖コントロール不良』と判断を誤ることが考えられる。HbA1cの測定表記がどちらであるか必ず確認してほしい」
と日本糖尿病学会理事長の門脇孝氏は話しています。】
いよいよ、ガラパゴス状態だったJDS値(日本だけの基準)が、国際基準のNGSP値に統一されることになります。
2012年4月1日から表記変更ですから、門脇孝先生が指摘されているように、しばらく混乱があるかもしれません。
例えば、今までHbA1c(JDS値)5.7%だった場合、4月1日から、6.1%(NGSP値)と表記されます。
つまり、「JDS値5.7%=NGSP値6.1%」ということで、表記が変更になるだけで、データ悪化ではありません。
しかし患者さんとしては、説明をうけてもなおかつ、
「いきなり0.4%も悪化した・・・」
と誤解することもありえますね。
まあ、根気よく何回でも説明をくりかえすしかないです。
より正確には
JDS値で4.9%以下: NGSP値(%)=JDS値(%)+0.3%
JDS値で5.0~9.9%: NGSP値(%)=JDS値(%)+0.4%
JDS値で10.0~14.9%: NGSP値(%)=JDS値(%)+0.5%
となります。
【糖尿病の診断基準の1つであった「HbA1c≧6.1%(JDS)」も、2012年4月1日以降、「HbA1c≧6.5%(NGSP)」に変更されることになります。】
「HbA1c≧6.5%(NGSP)」以上が糖尿病の診断基準の1つとなり、
「HbA1c≧6.1%(JDS)」は4月1日以降は使用しないということになります。
コントロール良好の指標も
「HbA1c<6.5%(JDS)」→「HbA1c<6.9%(NGSP)」
コントロール優の指標も
「HbA1c<5.8%(JDS)」→「HbA1c<6.2%(NGSP)」
に変更となります。
江部康二
2012年4月1日から、HbA1cの表記が、「今までのJDS値+0.4%」に変更になります。
日本糖尿病学会理事長の門脇氏は、MTProの取材に応じ、次のように呼びかけました。
<導入はわが国の糖尿病治療・研究の信頼性の向上に>
『いよいよ4月1日から,HbA1c値としてNGSP値が日常臨床に導入される。わが国ではHbA1c値をJDS値で表記していたため,諸外国では日本の糖尿病患者は軽症であるなどの誤解があり,国際共同治験の参加,日本発のエビデンスの発信,患者の国際的な移動の障害となっていた。
そのため,一般健診を含む日常診療のNGSP値移行は,わが国の糖尿病治療および研究の信頼性を向上させる上で,画期的な取り組みだといえる。
ただしNGSP値は,これまでのJDS値に0.4%加算した値になることから,日常診療に混乱を来さないためにも,医師や医療従事者,関連団体の方々にはHbA1c値の国際標準化の意義や内容をご理解いただき,患者や社会に対するわれわれの啓発活動にぜひご協力いただきたいと思っている。』
日経メディカル オンラインメール 2012.1.24 第585号
に以下の記事が載りました。
【□■ 4月からHbA1cの表記が日常診療でも+0.4%に ■□
日常診療におけるHbA1cの表記を、今年4月以降、現在のJDS値の代わりに(国際標準である)NGSP値で表記することを、1月20日に日本糖尿病学会が発表しました。
既に、2010年7月から学術論文や学会発表ではNGSP相当値への表記変更が行われていますが、4月以降、HbA1cはほとんどのケースでこれまで使われてきたJDS値に0.4ポイントを加えた値となります
(換算式は「NGSP値(%)=1.02×JDS値(%)+0.25」、当面はJDS値も併記)。
これに伴い、糖尿病の診断基準の1つであった「HbA1c≧6.1%(JDS)」も、今年4月1日以降、「HbA1c≧6.5%(NGSP)」に変更されることになります。
「表記の切り替え前後では、以前の測定結果であるJDS値と新たに測定したNGSP値を比較して、『血糖コントロール不良』と判断を誤ることが考えられる。HbA1cの測定表記がどちらであるか必ず確認してほしい」
と日本糖尿病学会理事長の門脇孝氏は話しています。】
いよいよ、ガラパゴス状態だったJDS値(日本だけの基準)が、国際基準のNGSP値に統一されることになります。
2012年4月1日から表記変更ですから、門脇孝先生が指摘されているように、しばらく混乱があるかもしれません。
例えば、今までHbA1c(JDS値)5.7%だった場合、4月1日から、6.1%(NGSP値)と表記されます。
つまり、「JDS値5.7%=NGSP値6.1%」ということで、表記が変更になるだけで、データ悪化ではありません。
しかし患者さんとしては、説明をうけてもなおかつ、
「いきなり0.4%も悪化した・・・」
と誤解することもありえますね。
まあ、根気よく何回でも説明をくりかえすしかないです。
より正確には
JDS値で4.9%以下: NGSP値(%)=JDS値(%)+0.3%
JDS値で5.0~9.9%: NGSP値(%)=JDS値(%)+0.4%
JDS値で10.0~14.9%: NGSP値(%)=JDS値(%)+0.5%
となります。
【糖尿病の診断基準の1つであった「HbA1c≧6.1%(JDS)」も、2012年4月1日以降、「HbA1c≧6.5%(NGSP)」に変更されることになります。】
「HbA1c≧6.5%(NGSP)」以上が糖尿病の診断基準の1つとなり、
「HbA1c≧6.1%(JDS)」は4月1日以降は使用しないということになります。
コントロール良好の指標も
「HbA1c<6.5%(JDS)」→「HbA1c<6.9%(NGSP)」
コントロール優の指標も
「HbA1c<5.8%(JDS)」→「HbA1c<6.2%(NGSP)」
に変更となります。
江部康二
2012年03月31日 (土)
こんにちは。
三島さん、らこさん、よもぎちゃん、解決ZEROさんから、糖質制限食で、歯垢が減り、歯石が減り、歯周症が改善したという嬉しいコメントを頂きましたのでご紹介します。
【12/03/30 北九州 三島
糖尿病と歯周病
全く同感です。
仕事が終わって、飲んで食べて寝てしまう生活で、歯がぐらっとなり、 2011年の正月に、前歯を1本抜きました。
その左右の歯も一年持たないと言われて、既に、1年ちょい。
糖尿病治療を始めた時期(2010年9月)、 特に、スーパー糖質制限食を始めて(2011年5月)から、 ぐらぐらしていた左右の歯はもちろん、全体的に歯肉が締まりました。
そして、蓄膿症もよくなりました。 歯周病の膿が全身を回り、副鼻腔にたまり、 周囲に不快な思いをさせていたのが、 食生活の改善で、糖尿病、歯周病、蓄膿症迄…、 まとめて改善、ほんとうに江部先生には感謝の気持ちでいっぱいです。
そうそう、4月15日、塾をお休みにしました。
熊本・菊池に駆けつけます。】
【12/03/31 らこ
歯石減りました
江部先生、いつも糖質制限食の貴重な情報をありがとうございます。
私らこは、糖質制限食を開始後、歯石が減りました。年とともに増えていく、と思っていたのでうれしい誤算です>< 】
【12/03/31 よもぎちゃん
舌苔
江部先生こんにちは。
毎朝、先生のブログを読むのを楽しみにしています。
糖質制限という言葉に出会ったのは今年の1月19日。
それから今まで知らなかった事を沢山知りました。
主侍医から高血圧の診断を受けてから15年、糖尿病との診断を受けてから2年、毎日、薬を飲んでいます。
体重を減らす様にいつも言われ、体重はこの15年2~3キロの増減はありますが、ずーっと53キロ前後をキープしています。
これも毎月の通院のお陰(先生が怖いので^^)のお陰だと思っています。
でも、糖質制限という言葉に出会い、実行し血液検査を自分から申し出て、中性脂肪が減り、善玉コレステロール増え、糖質制限のお陰と喜んでいたら、総コレステロール値が増えた事を叱られ、コレステロールの薬を処方されてしまいました。
また、主侍医に糖質制限の話をしたら「そんな馬鹿な事は駄目」と言われました。
でも、私はめげません!
糖質制限を始めてから、顔を浮腫みが無くなり、色の白くなり、体調もとても良いのです。
長々と書いてしまいましたが、今回のテーマ、歯垢のことですが、歯垢は先生のブログを読むまで気が付きませんでしたが、舌苔が無くなって居る事のは気が付いていました。
今まで、いつも口の中がネバネバしている感じだったのが、今はいつもサッパリしています。
これからも、
糖質制限を続けて元気で長生きしたいと思いますので宜しくお願いします^^ 】
【12/03/31 解決ZERO
“糖質制限食と歯と歯垢と歯周症”
最近実感しています。
振り返って見るとHbA1cが高めの時は虫歯が早めに進行したり、歯周病の症状が悪化し比較的低めの時は症状が落ち着いていました。
糖質制限食を始めてからは、中程度の歯周病の症状が大変改善し歯磨き時の出血や腫れも
無くなりました。
先日の定期検診でも歯垢の付着がほとんど無い状態で、完治は無理だが問題の無い状態だといわれました。
SU剤を中止して9日目になりました、空腹時血糖値はやや高めに推移しています。
しかし、制限食開始前でグリミクロン60mg(1日合計)服用中と比べてほぼ同じです。
142,150,135,133,140,今朝155 食後1時間164、2時間127、3時間126
SU剤を使用すると常に膵臓を刺激し、必要の無いときにもインスリンを分泌していて、ここ1番と言うときに出遅れてしまう。
SU剤を中止すると必要の無いときに蓄えが出来、ここ1番で活躍するようになるように感じています。】
三島さん、菊池養生園祭りご参加、ありがとうございます。
らこさん、歯石減少、良かったですね。
よもぎちゃん、総コレステロール値は、動脈硬化学会のガイドラインから外れていますので、心配ご無用です。
また、中性脂肪が改善して、HDLコレステロールが増加しているのでとても好ましい変化です。
解決ZEROさん、早朝空腹時血糖値、スーパー糖質制限食実践で除々に改善していけばいいですね。
江部康二
三島さん、らこさん、よもぎちゃん、解決ZEROさんから、糖質制限食で、歯垢が減り、歯石が減り、歯周症が改善したという嬉しいコメントを頂きましたのでご紹介します。
【12/03/30 北九州 三島
糖尿病と歯周病
全く同感です。
仕事が終わって、飲んで食べて寝てしまう生活で、歯がぐらっとなり、 2011年の正月に、前歯を1本抜きました。
その左右の歯も一年持たないと言われて、既に、1年ちょい。
糖尿病治療を始めた時期(2010年9月)、 特に、スーパー糖質制限食を始めて(2011年5月)から、 ぐらぐらしていた左右の歯はもちろん、全体的に歯肉が締まりました。
そして、蓄膿症もよくなりました。 歯周病の膿が全身を回り、副鼻腔にたまり、 周囲に不快な思いをさせていたのが、 食生活の改善で、糖尿病、歯周病、蓄膿症迄…、 まとめて改善、ほんとうに江部先生には感謝の気持ちでいっぱいです。
そうそう、4月15日、塾をお休みにしました。
熊本・菊池に駆けつけます。】
【12/03/31 らこ
歯石減りました
江部先生、いつも糖質制限食の貴重な情報をありがとうございます。
私らこは、糖質制限食を開始後、歯石が減りました。年とともに増えていく、と思っていたのでうれしい誤算です>< 】
【12/03/31 よもぎちゃん
舌苔
江部先生こんにちは。
毎朝、先生のブログを読むのを楽しみにしています。
糖質制限という言葉に出会ったのは今年の1月19日。
それから今まで知らなかった事を沢山知りました。
主侍医から高血圧の診断を受けてから15年、糖尿病との診断を受けてから2年、毎日、薬を飲んでいます。
体重を減らす様にいつも言われ、体重はこの15年2~3キロの増減はありますが、ずーっと53キロ前後をキープしています。
これも毎月の通院のお陰(先生が怖いので^^)のお陰だと思っています。
でも、糖質制限という言葉に出会い、実行し血液検査を自分から申し出て、中性脂肪が減り、善玉コレステロール増え、糖質制限のお陰と喜んでいたら、総コレステロール値が増えた事を叱られ、コレステロールの薬を処方されてしまいました。
また、主侍医に糖質制限の話をしたら「そんな馬鹿な事は駄目」と言われました。
でも、私はめげません!
糖質制限を始めてから、顔を浮腫みが無くなり、色の白くなり、体調もとても良いのです。
長々と書いてしまいましたが、今回のテーマ、歯垢のことですが、歯垢は先生のブログを読むまで気が付きませんでしたが、舌苔が無くなって居る事のは気が付いていました。
今まで、いつも口の中がネバネバしている感じだったのが、今はいつもサッパリしています。
これからも、
糖質制限を続けて元気で長生きしたいと思いますので宜しくお願いします^^ 】
【12/03/31 解決ZERO
“糖質制限食と歯と歯垢と歯周症”
最近実感しています。
振り返って見るとHbA1cが高めの時は虫歯が早めに進行したり、歯周病の症状が悪化し比較的低めの時は症状が落ち着いていました。
糖質制限食を始めてからは、中程度の歯周病の症状が大変改善し歯磨き時の出血や腫れも
無くなりました。
先日の定期検診でも歯垢の付着がほとんど無い状態で、完治は無理だが問題の無い状態だといわれました。
SU剤を中止して9日目になりました、空腹時血糖値はやや高めに推移しています。
しかし、制限食開始前でグリミクロン60mg(1日合計)服用中と比べてほぼ同じです。
142,150,135,133,140,今朝155 食後1時間164、2時間127、3時間126
SU剤を使用すると常に膵臓を刺激し、必要の無いときにもインスリンを分泌していて、ここ1番と言うときに出遅れてしまう。
SU剤を中止すると必要の無いときに蓄えが出来、ここ1番で活躍するようになるように感じています。】
三島さん、菊池養生園祭りご参加、ありがとうございます。
らこさん、歯石減少、良かったですね。
よもぎちゃん、総コレステロール値は、動脈硬化学会のガイドラインから外れていますので、心配ご無用です。
また、中性脂肪が改善して、HDLコレステロールが増加しているのでとても好ましい変化です。
解決ZEROさん、早朝空腹時血糖値、スーパー糖質制限食実践で除々に改善していけばいいですね。
江部康二
2012年03月30日 (金)
こんばんは。
2012年3月29日(木)、約2年ぶりに、歯医者さんに行ってきました。
何と虫歯はゼロで、歯は全て残っていました。
現在62才ですから、それなりに優秀な成績ですね。
正確には20才のとき、右の奥歯に虫歯ができて1回だけ治療して、アマルガムが詰めてあり、それが42年そのままもっています。
学生時代は甘いものはそんなに食べていなかったですが、チョコレートだけは大好きで毎日のように食べてました。20才時唯一の虫歯は、きっとチョコレート印です。( ̄_ ̄|||)
また今回の歯の健診、歯周症もなしで、歯医者さんには、「花丸です!!」とお誉めの言葉をいただきました。(⌒o⌒)v
歯垢は少しついていて、今後年に1回くらい歯医者にいこうと思います。
スーパ糖質制限食ですが、たまにトンカツや唐揚げやエビフライや餃子やシュウマイを食べることもあるので、歯垢がゼロというわけにはいかないようです。
さて、虫歯と歯周病は、歯を失う二大原因です。
そして虫歯も歯周症も、最大の原因はプラーク(歯垢)です。
プラークはただの食べカスではなく、生きた細菌の塊です。
歯垢中の細菌は、食物中の糖質を栄養源にしてどんどん増えていきます。
プラークコントロールをせずに放置すると、細菌が糖質を分解して作り出す酸や毒素で虫歯や歯周病が発症します。逆に言えば糖質制限食なら、プラークは激減します。
私は、2002年6月から糖質制限食を実践していますが、歯垢が本当に少なくなりました。
糖質制限食で細菌の餌がなくなり、兵糧責めで繁殖できないので歯垢も激減したものと考えられます。
それでもたまに糖質(豚カツや餃子)を食べると、てきめんその日は歯垢ができます。
もともと歯は丈夫な方でしたが、糖質を食べていた頃は歯垢は結構できやすい方で、毎年1回、歯医者さんに、たっぷり溜まった歯石を取ってもらってました。
1年間でこんなにできるのかというくらい、カチカチの歯石が沢山取れたものでした。
歯垢に唾液中のカルシウムが結びついて歯石になります。
従って、歯垢ができなくなったら歯石も激減します。
勿論、最低限のプラークコントロールというか、超音波歯ブラシと歯間ブラシで朝1回、3分間くらいの手入れと、食後は通常の歯磨きを30秒くらいはしてます。
ブログ読者の 糖質制限食実践中の皆さん、如何でしょう?歯垢は減りましたか?
糖尿人は歯周症を起こしやすいことが知られています。
また最近は、歯周症があると糖尿病が悪化しやすいと言われています。
糖尿病→血糖コントロール不良→歯周症→糖尿病悪化・・・
という悪循環パターンですね。
糖質制限食なら、血糖コントロールは良好となり、プラークも減って歯周症や虫歯の予防となり、まさに一石二鳥どころか、一石三鳥ですね。
糖尿人の御同輩、糖質制限食で歯垢を減らして、最低限のプラークコントロールも実施して歯周病や虫歯予防を目指しましょうね。
江部康二
2012年3月29日(木)、約2年ぶりに、歯医者さんに行ってきました。
何と虫歯はゼロで、歯は全て残っていました。
現在62才ですから、それなりに優秀な成績ですね。
正確には20才のとき、右の奥歯に虫歯ができて1回だけ治療して、アマルガムが詰めてあり、それが42年そのままもっています。
学生時代は甘いものはそんなに食べていなかったですが、チョコレートだけは大好きで毎日のように食べてました。20才時唯一の虫歯は、きっとチョコレート印です。( ̄_ ̄|||)
また今回の歯の健診、歯周症もなしで、歯医者さんには、「花丸です!!」とお誉めの言葉をいただきました。(⌒o⌒)v
歯垢は少しついていて、今後年に1回くらい歯医者にいこうと思います。
スーパ糖質制限食ですが、たまにトンカツや唐揚げやエビフライや餃子やシュウマイを食べることもあるので、歯垢がゼロというわけにはいかないようです。
さて、虫歯と歯周病は、歯を失う二大原因です。
そして虫歯も歯周症も、最大の原因はプラーク(歯垢)です。
プラークはただの食べカスではなく、生きた細菌の塊です。
歯垢中の細菌は、食物中の糖質を栄養源にしてどんどん増えていきます。
プラークコントロールをせずに放置すると、細菌が糖質を分解して作り出す酸や毒素で虫歯や歯周病が発症します。逆に言えば糖質制限食なら、プラークは激減します。
私は、2002年6月から糖質制限食を実践していますが、歯垢が本当に少なくなりました。
糖質制限食で細菌の餌がなくなり、兵糧責めで繁殖できないので歯垢も激減したものと考えられます。
それでもたまに糖質(豚カツや餃子)を食べると、てきめんその日は歯垢ができます。
もともと歯は丈夫な方でしたが、糖質を食べていた頃は歯垢は結構できやすい方で、毎年1回、歯医者さんに、たっぷり溜まった歯石を取ってもらってました。
1年間でこんなにできるのかというくらい、カチカチの歯石が沢山取れたものでした。
歯垢に唾液中のカルシウムが結びついて歯石になります。
従って、歯垢ができなくなったら歯石も激減します。
勿論、最低限のプラークコントロールというか、超音波歯ブラシと歯間ブラシで朝1回、3分間くらいの手入れと、食後は通常の歯磨きを30秒くらいはしてます。
ブログ読者の 糖質制限食実践中の皆さん、如何でしょう?歯垢は減りましたか?
糖尿人は歯周症を起こしやすいことが知られています。
また最近は、歯周症があると糖尿病が悪化しやすいと言われています。
糖尿病→血糖コントロール不良→歯周症→糖尿病悪化・・・
という悪循環パターンですね。
糖質制限食なら、血糖コントロールは良好となり、プラークも減って歯周症や虫歯の予防となり、まさに一石二鳥どころか、一石三鳥ですね。
糖尿人の御同輩、糖質制限食で歯垢を減らして、最低限のプラークコントロールも実施して歯周病や虫歯予防を目指しましょうね。
江部康二
2012年03月30日 (金)
おはようございます。
2012年1月15日(日)第15回日本病態栄養学会年次学術集会(国立京都国際会館)にて行われた
「糖尿病治療に低炭水化物食は是か?非か?」というディベートセッションの内容を
【糖質制限食の長期継続は安全か ー糖尿病の新たな食事療法「糖質制限食」、長期継続に問題は?】
という題目で、
http://www.m3.com/sanpiRyouron/article/150631/?pageFrom=m3.com" target="_blank" title="m3.com ">m3.com
http://www.m3.com/sanpiRyouron/article/150631/?pageFrom=m3.com
のサイトで、公開しています。
是側の江部康二と、非側の久保明先生がそれぞれ、自分の講演の内容を述べた形式となっています。
病態栄養学会で使用したスライドも閲覧できます。
医師の方は、m3.comを覗いて、意見や感想を書きこんでいただけば幸いです。
m3.com トップ http://www.m3.com/
江部康二
2012年1月15日(日)第15回日本病態栄養学会年次学術集会(国立京都国際会館)にて行われた
「糖尿病治療に低炭水化物食は是か?非か?」というディベートセッションの内容を
【糖質制限食の長期継続は安全か ー糖尿病の新たな食事療法「糖質制限食」、長期継続に問題は?】
という題目で、
http://www.m3.com/sanpiRyouron/article/150631/?pageFrom=m3.com" target="_blank" title="m3.com ">m3.com
http://www.m3.com/sanpiRyouron/article/150631/?pageFrom=m3.com
のサイトで、公開しています。
是側の江部康二と、非側の久保明先生がそれぞれ、自分の講演の内容を述べた形式となっています。
病態栄養学会で使用したスライドも閲覧できます。
医師の方は、m3.comを覗いて、意見や感想を書きこんでいただけば幸いです。
m3.com トップ http://www.m3.com/
江部康二
2012年03月29日 (木)
こんにちは。
松尾 さんから、ソルビトールの安全性についてコメントいただきました。
【12/03/29 松尾
ソルビトール詳細報道
以下の「食品安全情報ブログ」に比較的詳細な情報が掲載されています。
やはり基本的にソルビトール自体が危険と言うことではないようですね。
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20120327#p12】
松尾 さん。
コメント・情報ありがとうございます。
「食品安全情報ブログ」
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20120327#p12
このサイトのイタリアのソルビトール報道関連という記事を見てきました。大変参考になりました。
やはりソルビトールそのものは安全ということですね。
国連の食糧農業機関(FAO)及び世界保健機関(WHO)は、JECFA(Joint Expert Committee on Food Additives)を設けて、甘味料など添加物の安全性評価を公表していますが、ソルビトール 、エリスリトールを始め糖アルコールは、極めて安全性が高いとされていますので、妥当なところです。
米大手穀物商社カーギルが2010年にイタリアで生産したソルビトールは、イタリアから出荷されたときは製品の品質と安全基準を満たしていたそうです。
しかし、イタリアの医師が、米国のオークションサイトeBayで、ネットで購入したソルビトールが、28才女性の死亡事故を起こしています。
このソルビトールと称するものが、カーギル社が生産したものという品質保証が怪しいもので、偽薬の可能性があるようです。
このイタリア人医師は、殺人罪で告訴されました。
この事件は、インターネットのオークションで、安価な薬を購入するのは、大きなリスクを伴うという警鐘となりました。
その後、イタリアのBalduzzi大臣は、ソルビトールが健康上の警告となることはないと発表したそうです。
江部康二
松尾 さんから、ソルビトールの安全性についてコメントいただきました。
【12/03/29 松尾
ソルビトール詳細報道
以下の「食品安全情報ブログ」に比較的詳細な情報が掲載されています。
やはり基本的にソルビトール自体が危険と言うことではないようですね。
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20120327#p12】
松尾 さん。
コメント・情報ありがとうございます。
「食品安全情報ブログ」
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20120327#p12
このサイトのイタリアのソルビトール報道関連という記事を見てきました。大変参考になりました。
やはりソルビトールそのものは安全ということですね。
国連の食糧農業機関(FAO)及び世界保健機関(WHO)は、JECFA(Joint Expert Committee on Food Additives)を設けて、甘味料など添加物の安全性評価を公表していますが、ソルビトール 、エリスリトールを始め糖アルコールは、極めて安全性が高いとされていますので、妥当なところです。
米大手穀物商社カーギルが2010年にイタリアで生産したソルビトールは、イタリアから出荷されたときは製品の品質と安全基準を満たしていたそうです。
しかし、イタリアの医師が、米国のオークションサイトeBayで、ネットで購入したソルビトールが、28才女性の死亡事故を起こしています。
このソルビトールと称するものが、カーギル社が生産したものという品質保証が怪しいもので、偽薬の可能性があるようです。
このイタリア人医師は、殺人罪で告訴されました。
この事件は、インターネットのオークションで、安価な薬を購入するのは、大きなリスクを伴うという警鐘となりました。
その後、イタリアのBalduzzi大臣は、ソルビトールが健康上の警告となることはないと発表したそうです。
江部康二
2012年03月29日 (木)
おはようございます。
anokoさんから、妊娠糖尿病とOGTTについてコメント・質問をいただきました。
【12/03/28 anoko
妊娠糖尿病です
江部先生
はじめまして。妊娠9週から空腹時血糖がやや高いと指摘され(空腹時102,a1c5.5%)、先生の著書を購入し糖質制限をしています。
時々無償に甘いものが食べたくなるので、セカンドゼロも今度購入してみたいと思います!
江部先生お墨付きなら安心ですね。
恐縮ながら先生にお聞きしたいことがあります。
妊娠9週の去年12月から、7ヶ月に入る現在まで糖質制限で努力を重ねましたがOGTTは突破できませんでした。
これは対糖能が改善できず、私の糖質制限は失敗だったのでしょうか?
妊娠3ヶ月 空腹血糖 102 a1c5.5%
糖質制限開始
妊娠4-5ヶ月 空腹血糖 85 a1c5.3%
妊娠6ヶ月 空腹血糖 83 a1c5.2%
50gOGTT 1時間後154 要再検査
妊娠7ヶ月 a1c5.1%
75gOGTT、前83、30分163、60分177、120分174
インスリン前7.10/30- 33.60 /60-43.30/120 -51.20
妊娠糖尿病確定診断
妊娠6ヶ月頃より頻繁にケトン体が3-4+になり、食べてるのか?と検診で何度も確認されるようになりました。悪阻はありません。
赤ちゃんの成長は順調ですが、私は7ヶ月の現在でも体重は妊娠前より減り続けています。
ブドウ糖が胎児の栄養になり、ケトン体は胎盤を通過し胎児に悪影響と聞きました。
OGTTの結果から努力むなしく妊娠糖尿病確定になってしまい、私の糖質制限は間違ってたのか、炭水化物をとってインスリン注射を覚悟した方がいいのかと悩んでいます。
先生のアドバイスを頂戴できれば幸いです。】
anoko さん。
妊娠7ヶ月で、空腹時血糖値83mg、HbA1c5.1%であり、糖質制限食がとてもうまくいっています。
コントロール良好を通りこして、コントロール優秀ですね。
糖質制限食なら食後血糖値の上昇もほとんどありませんので安心です。
妊娠中のコントロール目標は、「糖尿病妊娠」も「妊娠糖尿病」も
<日本糖尿病学会の妊娠中の血糖値コントロール目標>
空腹時血糖値100mg/dl未満
食後1時間値140mg/dl未満
食後2時間血糖値120mg/dl未満
HbA1c5.8%未満、JDS値、
をめざします。
anokoさん、スーパー糖質制限食なら、薬なしで充分目標達成と思います。
体重は、産婦人科の主治医と相談されて、適正な増加を保って下さい。
糖質制限ですので、脂質・タンパク質は充分量摂取して、低カロリーにならないよう注意しましょう。
ケトン体は胎児にも安全ですので、何の心配もいりません。
農耕開始前の700万年間、人類は狩猟・採集が生業であり、糖質制限食で妊娠・出産・子育て・・・を行っていたことをお忘れなく。
ケトン体は人体にとって、とても良いエネルギー源です。その証拠に、授乳期の乳児は、高ケトン血症です。母乳は高脂肪、低炭水化物の食物だからです。離乳すると急激に大人の代謝に変化して、一般的なケトン体の基準値になります。
75gOGTT(75G経口ブドウ糖負荷試験)は、糖尿病を診断し拾い上げるための検査です。
妊娠後期は特に耐糖能が低下してきますので、検査で妊娠糖尿病と診断されるのはやむを得ません。
しかし75gのブドウ糖を負荷するような食事をせずに、糖質制限食なら<妊娠中の血糖値コントロール目標>は
楽々とクリアしてますので、正常妊娠と全く同様ですので安心です。
ちなみに江部康二は糖尿病ですので、糖質を一人前(例えばご飯1杯)食べると、食後血糖値は200mg/dlを軽く超えて、糖尿病型を示します。
一方スーパー糖質制限食なら、食後血糖値が140mgを超えることはなく、空腹時血糖値も110mg未満で、HbA1cは5.4%であり、正常人です。
糖尿病が簡単に治ることはありません。
つまり糖尿人のほとんどにおいて、糖質を食べれば糖尿人、糖質制限食なら正常人という構図が成立するわけです。
なお妊娠糖尿病の場合は、出産すると過半数の人はいったん治ります。
江部康二
anokoさんから、妊娠糖尿病とOGTTについてコメント・質問をいただきました。
【12/03/28 anoko
妊娠糖尿病です
江部先生
はじめまして。妊娠9週から空腹時血糖がやや高いと指摘され(空腹時102,a1c5.5%)、先生の著書を購入し糖質制限をしています。
時々無償に甘いものが食べたくなるので、セカンドゼロも今度購入してみたいと思います!
江部先生お墨付きなら安心ですね。
恐縮ながら先生にお聞きしたいことがあります。
妊娠9週の去年12月から、7ヶ月に入る現在まで糖質制限で努力を重ねましたがOGTTは突破できませんでした。
これは対糖能が改善できず、私の糖質制限は失敗だったのでしょうか?
妊娠3ヶ月 空腹血糖 102 a1c5.5%
糖質制限開始
妊娠4-5ヶ月 空腹血糖 85 a1c5.3%
妊娠6ヶ月 空腹血糖 83 a1c5.2%
50gOGTT 1時間後154 要再検査
妊娠7ヶ月 a1c5.1%
75gOGTT、前83、30分163、60分177、120分174
インスリン前7.10/30- 33.60 /60-43.30/120 -51.20
妊娠糖尿病確定診断
妊娠6ヶ月頃より頻繁にケトン体が3-4+になり、食べてるのか?と検診で何度も確認されるようになりました。悪阻はありません。
赤ちゃんの成長は順調ですが、私は7ヶ月の現在でも体重は妊娠前より減り続けています。
ブドウ糖が胎児の栄養になり、ケトン体は胎盤を通過し胎児に悪影響と聞きました。
OGTTの結果から努力むなしく妊娠糖尿病確定になってしまい、私の糖質制限は間違ってたのか、炭水化物をとってインスリン注射を覚悟した方がいいのかと悩んでいます。
先生のアドバイスを頂戴できれば幸いです。】
anoko さん。
妊娠7ヶ月で、空腹時血糖値83mg、HbA1c5.1%であり、糖質制限食がとてもうまくいっています。
コントロール良好を通りこして、コントロール優秀ですね。
糖質制限食なら食後血糖値の上昇もほとんどありませんので安心です。
妊娠中のコントロール目標は、「糖尿病妊娠」も「妊娠糖尿病」も
<日本糖尿病学会の妊娠中の血糖値コントロール目標>
空腹時血糖値100mg/dl未満
食後1時間値140mg/dl未満
食後2時間血糖値120mg/dl未満
HbA1c5.8%未満、JDS値、
をめざします。
anokoさん、スーパー糖質制限食なら、薬なしで充分目標達成と思います。
体重は、産婦人科の主治医と相談されて、適正な増加を保って下さい。
糖質制限ですので、脂質・タンパク質は充分量摂取して、低カロリーにならないよう注意しましょう。
ケトン体は胎児にも安全ですので、何の心配もいりません。
農耕開始前の700万年間、人類は狩猟・採集が生業であり、糖質制限食で妊娠・出産・子育て・・・を行っていたことをお忘れなく。
ケトン体は人体にとって、とても良いエネルギー源です。その証拠に、授乳期の乳児は、高ケトン血症です。母乳は高脂肪、低炭水化物の食物だからです。離乳すると急激に大人の代謝に変化して、一般的なケトン体の基準値になります。
75gOGTT(75G経口ブドウ糖負荷試験)は、糖尿病を診断し拾い上げるための検査です。
妊娠後期は特に耐糖能が低下してきますので、検査で妊娠糖尿病と診断されるのはやむを得ません。
しかし75gのブドウ糖を負荷するような食事をせずに、糖質制限食なら<妊娠中の血糖値コントロール目標>は
楽々とクリアしてますので、正常妊娠と全く同様ですので安心です。
ちなみに江部康二は糖尿病ですので、糖質を一人前(例えばご飯1杯)食べると、食後血糖値は200mg/dlを軽く超えて、糖尿病型を示します。
一方スーパー糖質制限食なら、食後血糖値が140mgを超えることはなく、空腹時血糖値も110mg未満で、HbA1cは5.4%であり、正常人です。
糖尿病が簡単に治ることはありません。
つまり糖尿人のほとんどにおいて、糖質を食べれば糖尿人、糖質制限食なら正常人という構図が成立するわけです。
なお妊娠糖尿病の場合は、出産すると過半数の人はいったん治ります。
江部康二
2012年03月28日 (水)
こんにちは。
甘味料ソルビトールを摂取した女性が死亡したという記事がネットに載りました。
私はシュクリーベチョコのエリスリトールは安全と確信していますが、ソルビトールについても考えてみます。
以下は時事通信の記事を転載です。
【伊で甘味料摂取の女性死亡=米イーベイが販売停止
時事通信 3月27日(火)6時56分配信
『ジュネーブ時事』イタリアで米インターネット競売大手イーベイを通じ入手された低カロリー甘味料「ソルビトール」を摂取した女性(28)が死亡する問題が起き、同社は26日、サイト上でソルビトールの販売を停止したと発表した。死因は不明だが、同社は「問題が明らかになるまで販売を見合わせる」としている。
報道によると、女性は食品アレルギー検査を受けたクリニックでソルビトールを摂取後、24日に死亡。別の女性2人も体調不良を訴えた。処方した医師はイーベイを通じて入手したと話しているという。AFP通信によれば、問題のソルビトールは、米大手穀物商社カーギルが2010年にイタリアで生産した。
警察当局は、詳しい死因の調査に乗り出すとともに、北部パドバの業者が保有する約1200トンのソルビトールを押収。保健省も消費者に摂取しないよう警告した。
ソルビトールは、砂糖に比べカロリーが低く、ダイエット食品の甘味料などの添加物として広く使われている。】
ソルビトールは糖アルコールに属す甘味料で、現在かなり広範囲に使用されています。
糖尿病患者などに1930年前半から使われています。
ソルビトールの生産は1970年代の最初のノンシュガー菓子製品の登場と共に急激に増加しました。
エリスリトールは1980年代初期に開発されました。
エリスリトールは自然界に広く分布していて、キノコ類、地衣類、果実類をはじめ、ワイン・清酒・醤油などの発酵食品や哺乳類にも含有されます
サラヤのラカントS(エリスリトールが主成分)は1995年に発売ですが、現在まで問題は報告されていません。
私は自分でも使っていますし、これからも使います。
糖類の分子に水素を添加することにより、アルコール基(-OH)をもつ糖質が得られますが、これらを「糖アルコール」と言います。
虫歯菌に利用されないことと、消化管で吸収されにくいので低カロリー甘味料としてよく使用されています。
代表的なものに、ソルビトール 、マルチトール 、エリスリトール 、ラクチトール 、キシリトール などがありますが、血糖値を上げないのはエリスリトールだけです。
これらの糖アルコールは、天然素材を原料としており、分類としては合成甘味料には属しません。
国連の食糧農業機関(FAO)及び世界保健機関(WHO)は、JECFA(Joint Expert Committee on Food Additives)を設けて、甘味料など添加物のの安全性評価を公表していますが、これらの糖アルコールは、極めて安全性が高いとされています。妊婦にも大丈夫です。
今回のイタリアの、【「ソルビトール」を摂取した女性(28)が死亡 】した事件ですが、第一感、不思議です。
ソルビトールは1930年代から世界中で広く低カロリー甘味料として使用されてきて、すでに人類として80年間の使用経験があります。
従いまして、ソルビトールそのものに毒性があるとは考えにくいです。
一方、当該のソルビトールは 、米大手穀物商社カーギルが2010年にイタリアで生産したものであり、これに何らかの異物が混入した可能性があります。それでこのソルビトールが押収されたのでしょう。
あるいは、女性の死亡原因は他にある可能性もありますが、ここら辺は原因究明を待つしかありません。
ともあれ、エリスリトールに関しては、安全性は確立していると思います。
江部康二
甘味料ソルビトールを摂取した女性が死亡したという記事がネットに載りました。
私はシュクリーベチョコのエリスリトールは安全と確信していますが、ソルビトールについても考えてみます。
以下は時事通信の記事を転載です。
【伊で甘味料摂取の女性死亡=米イーベイが販売停止
時事通信 3月27日(火)6時56分配信
『ジュネーブ時事』イタリアで米インターネット競売大手イーベイを通じ入手された低カロリー甘味料「ソルビトール」を摂取した女性(28)が死亡する問題が起き、同社は26日、サイト上でソルビトールの販売を停止したと発表した。死因は不明だが、同社は「問題が明らかになるまで販売を見合わせる」としている。
報道によると、女性は食品アレルギー検査を受けたクリニックでソルビトールを摂取後、24日に死亡。別の女性2人も体調不良を訴えた。処方した医師はイーベイを通じて入手したと話しているという。AFP通信によれば、問題のソルビトールは、米大手穀物商社カーギルが2010年にイタリアで生産した。
警察当局は、詳しい死因の調査に乗り出すとともに、北部パドバの業者が保有する約1200トンのソルビトールを押収。保健省も消費者に摂取しないよう警告した。
ソルビトールは、砂糖に比べカロリーが低く、ダイエット食品の甘味料などの添加物として広く使われている。】
ソルビトールは糖アルコールに属す甘味料で、現在かなり広範囲に使用されています。
糖尿病患者などに1930年前半から使われています。
ソルビトールの生産は1970年代の最初のノンシュガー菓子製品の登場と共に急激に増加しました。
エリスリトールは1980年代初期に開発されました。
エリスリトールは自然界に広く分布していて、キノコ類、地衣類、果実類をはじめ、ワイン・清酒・醤油などの発酵食品や哺乳類にも含有されます
サラヤのラカントS(エリスリトールが主成分)は1995年に発売ですが、現在まで問題は報告されていません。
私は自分でも使っていますし、これからも使います。
糖類の分子に水素を添加することにより、アルコール基(-OH)をもつ糖質が得られますが、これらを「糖アルコール」と言います。
虫歯菌に利用されないことと、消化管で吸収されにくいので低カロリー甘味料としてよく使用されています。
代表的なものに、ソルビトール 、マルチトール 、エリスリトール 、ラクチトール 、キシリトール などがありますが、血糖値を上げないのはエリスリトールだけです。
これらの糖アルコールは、天然素材を原料としており、分類としては合成甘味料には属しません。
国連の食糧農業機関(FAO)及び世界保健機関(WHO)は、JECFA(Joint Expert Committee on Food Additives)を設けて、甘味料など添加物のの安全性評価を公表していますが、これらの糖アルコールは、極めて安全性が高いとされています。妊婦にも大丈夫です。
今回のイタリアの、【「ソルビトール」を摂取した女性(28)が死亡 】した事件ですが、第一感、不思議です。
ソルビトールは1930年代から世界中で広く低カロリー甘味料として使用されてきて、すでに人類として80年間の使用経験があります。
従いまして、ソルビトールそのものに毒性があるとは考えにくいです。
一方、当該のソルビトールは 、米大手穀物商社カーギルが2010年にイタリアで生産したものであり、これに何らかの異物が混入した可能性があります。それでこのソルビトールが押収されたのでしょう。
あるいは、女性の死亡原因は他にある可能性もありますが、ここら辺は原因究明を待つしかありません。
ともあれ、エリスリトールに関しては、安全性は確立していると思います。
江部康二
2012年03月27日 (火)

こんにちは。
以前に、世界初のエリスリトールを主甘味料に使った、全く新しいチョコレート「シュクリーベ」と、そのシュクリーベをベースに、菓子職人の稲井シェフが作って下さいました、ノンシュガートリュフ、「セカンド・ゼロ」をご紹介しました。
なんとそのシュクリーベとセカンド・ゼロ、製造が追いつかず売り切れになってしまったと、あらてつさんから話を聞きました。
やはり、糖尿人の皆さん、私と同じくチョコレートが好きな方が多いようですね。
シュクリーベとセカンド・ゼロは、開発の段階から、私、江部康二が血糖測定の人体実験(?)を繰り返してますので、糖尿人の皆さんに安心してお薦めできるチョコレートです。
血糖が上がらないこともさることながら、美味しさの方も砂糖を使ったチョコレートに引けを取らないどころか、それ以上の味になっています。
糖尿人だけでなく、一般の方が食べても充分以上に美味しいです。
まだ食べてないブログ読者の方は、是非一度お試しあれ。
以下、2月19日の記事を再掲します。
☆☆☆

ノンシュガーチョコレート シュクリーベ
http://www.toushitsuseigen.com/shop/sweets_suclibe.html
この世界で初めてのノンシュガーチョコレートを作ってくれたのが、Healthy Sweet社なのですが、なんとこのたび、Healthy Sweet社製のホワイトチョコレートをベースに、京のスイーツの名店、「菓子職人」稲井シェフが糖質オフのトリュフチョコレートを完成してくださいました。
それが、今回ご紹介する、
ノンシュガー トリュフ チョコレート「セカンド・ゼロ」
http://www.toushitsuseigen.com/shop/sweets_secondZero.html
「菓子職人」稲井シェフといえば、これまた世界初のノンシュガー生チョコレート、ショコラ・ド・ゼロを完成させて下さった一流パティシエさんです。
甘いものにはそれほど興味のない私ですが、子供のころからチョコレートだけは大好きで、某大手メーカーさんがノンシュガーチョコレートを出したのを見つけたとき、売り場にあったものを買い占めたこともあります。
ですが、美味しいかと言われれば正直まだまだで、チョコレートを食べた満足感には程遠いものでした。
なので、稲井シェフがショコラ・ド・ゼロを完成して下さった時は、その美味しさに大感激して、同じくチョコレートが大好きな宮本輝先生にお送りしたくらいです。
その稲井シェフが、今度は糖質制限のトリュフチョコレートを試作中と、高雄倶楽部のあらてつさんから聞きまして、試作が出来上がってくるのを心待ちにしていました。
そして待つこと数ヶ月、ついに完成したのが、このノンシュガー トリュフ チョコレート「セカンド・ゼロ」です。
ラムホワイト、ナッツミルク、抹茶、アールグレイ、カフェの五種類の味になっており、そのどれもが、糖質制限の枠を超えて、砂糖を使ったチョコレートと遜色のないでき、いや、もはや砂糖を使ったチョコレートを超えたと言っても過言ではないでしょう。
これも、
「すべての人に甘い幸せをお届けしたい」
そんな稲井オーナーシェフの熱い思いと
「糖尿病の方でも安心して食べられるチョコレートを作りたい」
株式会社Healthy Sweet代表の高森さんの情熱の賜物です。
しかも、我々糖尿人にとって最も大切な血糖値についても、お二人の情熱は見事に答えてくれました。
私の検査結果です。
2012年1月22日(日)
午后5:45 食後6時間空腹時血糖値:104mg
上から2個、茶色の丸いチョコ(菓子職人新作)摂取
午后6:15 食後30分血糖値:101mg
午后6:45 食後60分血糖値:99mg
あらてつさんによると、成分分析に出した数値では、一個あたり1.1~2.1gの糖質になったそうですが、私の血糖検査結果では全く上がっていませんし、患者さんで測定したときは、5つ全部食べても血糖値の上昇はみられませんでした。
菓子職人、稲井シェフとHealthy Sweet高森さんの情熱と努力と技術と根性で、世界で初めて完成した血糖値を上昇させないトリュフチョコレート(^-^)v(^-^)v
いかに大変なお仕事だったか、想像を絶するものがあります。
お二人には、チョコ好きの糖尿人を代表して、大きな大きな感謝を送りたいと思います。m(_ _)mVV
このノンシュガー トリュフ チョコレート「セカンド・ゼロ」は糖質制限ドットコムで販売しています。
まずはこちらをクリック
↓ ↓ ↓
ノンシュガー トリュフ チョコレート「セカンド・ゼロ」
http://www.toushitsuseigen.com/shop/sweets_secondZero.html
砂糖入りの普通のチョコレートと比べて全く遜色ない、いえ、それ以上の仕上がりでとても美味しいですので、糖尿人、メタボ人、ダイエッターの皆さん、是非一度お試しあれ。
江部康二
2012年03月27日 (火)
おはようございます。
2012年4月1日から、HbA1cの表記が、「今までのJDS値+0.4%」に変更になります。
日経メディカル オンラインメール 2012.1.24 第585号
に以下の記事が載りました。
【□■ 4月からHbA1cの表記が日常診療でも+0.4%に ■□
日常診療におけるHbA1cの表記を、今年4月以降、現在のJDS値の代わりに(国際標準である)NGSP値で表記することを、1月20日に日本糖尿病学会が発表しました。
既に、2010年7月から学術論文や学会発表ではNGSP相当値への表記変更が行われていますが、4月以降、HbA1cはほとんどのケースでこれまで使われてきたJDS値に0.4ポイントを加えた値となります
(換算式は「NGSP値(%)=1.02×JDS値(%)+0.25」、当面はJDS値も併記)。
これに伴い、糖尿病の診断基準の1つであった「HbA1c≧6.1%(JDS)」も、今年4月1日以降、「HbA1c≧6.5%(NGSP)」に変更されることになります。
「表記の切り替え前後では、以前の測定結果であるJDS値と新たに測定したNGSP値を比較して、『血糖コントロール不良』と判断を誤ることが考えられる。HbA1cの測定表記がどちらであるか必ず確認してほしい」
と日本糖尿病学会理事長の門脇孝氏は話しています。】
いよいよ、ガラパゴス状態だったJDS値(日本だけの基準)が、国際基準のNGSP値に統一されることになります。
2012年4月1日から表記変更ですから、門脇孝先生が指摘されているように、しばらく混乱があるかもしれません。
例えば、今までHbA1c(JDS値)5.7%だった場合、4月1日から、6.1%(NGSP値)と表記されます。
つまり、「JDS値5.7%=NGSP値6.1%」ということで、表記が変更になるだけで、データ悪化ではありません。
しかし患者さんとしては、説明をうけてもなおかつ、
「いきなり0.4%も悪化した・・・」
と誤解することもありえますね。
まあ、根気よく何回でも説明をくりかえすしかないです。
より正確には
JDS値で4.9%以下: NGSP値(%)=JDS値(%)+0.3%
JDS値で5.0~9.9%: NGSP値(%)=JDS値(%)+0.4%
JDS値で10.0~14.9%: NGSP値(%)=JDS値(%)+0.5%
となります。
【糖尿病の診断基準の1つであった「HbA1c≧6.1%(JDS)」も、2012年4月1日以降、「HbA1c≧6.5%(NGSP)」に変更されることになります。】
「HbA1c≧6.5%(NGSP)」以上が糖尿病の診断基準の1つとなり、
「HbA1c≧6.1%(JDS)」は4月1日以降は使用しないということになります。
コントロール良好の指標も
「HbA1c<6.5%(JDS)」→「HbA1c<6.9%(NGSP)」
コントロール優の指標も
「HbA1c<5.8%(JDS)」→「HbA1c<6.2%(NGSP)」
に変更となります。
江部康二
2012年4月1日から、HbA1cの表記が、「今までのJDS値+0.4%」に変更になります。
日経メディカル オンラインメール 2012.1.24 第585号
に以下の記事が載りました。
【□■ 4月からHbA1cの表記が日常診療でも+0.4%に ■□
日常診療におけるHbA1cの表記を、今年4月以降、現在のJDS値の代わりに(国際標準である)NGSP値で表記することを、1月20日に日本糖尿病学会が発表しました。
既に、2010年7月から学術論文や学会発表ではNGSP相当値への表記変更が行われていますが、4月以降、HbA1cはほとんどのケースでこれまで使われてきたJDS値に0.4ポイントを加えた値となります
(換算式は「NGSP値(%)=1.02×JDS値(%)+0.25」、当面はJDS値も併記)。
これに伴い、糖尿病の診断基準の1つであった「HbA1c≧6.1%(JDS)」も、今年4月1日以降、「HbA1c≧6.5%(NGSP)」に変更されることになります。
「表記の切り替え前後では、以前の測定結果であるJDS値と新たに測定したNGSP値を比較して、『血糖コントロール不良』と判断を誤ることが考えられる。HbA1cの測定表記がどちらであるか必ず確認してほしい」
と日本糖尿病学会理事長の門脇孝氏は話しています。】
いよいよ、ガラパゴス状態だったJDS値(日本だけの基準)が、国際基準のNGSP値に統一されることになります。
2012年4月1日から表記変更ですから、門脇孝先生が指摘されているように、しばらく混乱があるかもしれません。
例えば、今までHbA1c(JDS値)5.7%だった場合、4月1日から、6.1%(NGSP値)と表記されます。
つまり、「JDS値5.7%=NGSP値6.1%」ということで、表記が変更になるだけで、データ悪化ではありません。
しかし患者さんとしては、説明をうけてもなおかつ、
「いきなり0.4%も悪化した・・・」
と誤解することもありえますね。
まあ、根気よく何回でも説明をくりかえすしかないです。
より正確には
JDS値で4.9%以下: NGSP値(%)=JDS値(%)+0.3%
JDS値で5.0~9.9%: NGSP値(%)=JDS値(%)+0.4%
JDS値で10.0~14.9%: NGSP値(%)=JDS値(%)+0.5%
となります。
【糖尿病の診断基準の1つであった「HbA1c≧6.1%(JDS)」も、2012年4月1日以降、「HbA1c≧6.5%(NGSP)」に変更されることになります。】
「HbA1c≧6.5%(NGSP)」以上が糖尿病の診断基準の1つとなり、
「HbA1c≧6.1%(JDS)」は4月1日以降は使用しないということになります。
コントロール良好の指標も
「HbA1c<6.5%(JDS)」→「HbA1c<6.9%(NGSP)」
コントロール優の指標も
「HbA1c<5.8%(JDS)」→「HbA1c<6.2%(NGSP)」
に変更となります。
江部康二
2012年03月26日 (月)
こんにちは。
京都在住Aさんから、糖質制限食で血糖値改善、体重減少というコメントと若干の質問をいただきました。
【12/03/25 京都在住A
質問があります!
はじめまして
いつも先生のページを参考にさせていただいています。
2ヶ月前・・・糖尿と診断はされたわけではないもの、食後3時間の血糖が220もあり脂肪肝の疑いもあるとのことでした。1ヵ月後に再検査という状況で節制を心に深く誓いダイエットを開始しました。(当時身長174センチの98キロ)
低インシュリンダイエットを始めてしばらくして、先生のページを拝見し、糖質制限食を開始したしだいであります。
1ヵ月後の再検査では肝数値に多少の異状が見られたものの空腹時血糖98、HbA1cが5.6
大事をとって再々検査(更に1ヵ月後)をして空腹時92、HbA1cは5.3という数値に
肝数値はまったく問題ない数値に
2ヶ月たった今体重は86キロまで減少しました。
遺伝的体質や自分の体格、体重を省みて糖尿とは切っても切れない仲なのだと思います。
これからも糖質制限食をしていこうと思うわけですが、何点か疑問があり、質問させていただこうと思いメールしたしだいであります。
質問1
以前から食事前に酢を飲むということを実験的に繰り返しており、酢を飲んで食事をすれば食後2時間くらいの睡魔が来ないという経験があるのですが、
酢を飲む=血糖が上がらない(あがりにくい)=酢を飲んで食事をすれば多少の糖質食はOKなのか?
質問2
上記の状態でも結局身体に吸収される糖質量は変わらないわけなのですが、血糖値が上がりにくい状態で糖質はどのように身体に吸収されるのでしょうか?吸収されずに排出されるのでしょうか?
質問3
糖尿病と診断されたことがないので血液の糖負荷テストを受けたことがないのですが、これからのことを考えて受けておいたほうがいいのでしょうか?
お忙しいところ恐縮ですが、質問に答えていただければ幸いです。
長々と自分語り失礼しました。】
京都在住A さん。
「食後3時間の血糖が220mg、体重98kg、脂肪肝」
から、2ヶ月後
「空腹時92mg、HbA1cは5.3%、体重86kg、脂肪肝改善」
素晴らしい改善です。
このまま、美味しく楽しく糖質制限食をお続けくださいね。
「質問1
以前から食事前に酢を飲むということを実験的に繰り返しており、酢を飲んで食事をすれば食後2時間くらいの睡魔が来ないという経験があるのですが、
酢を飲む=血糖が上がらない(あがりにくい)=酢を飲んで食事をすれば多少の糖質食はOKなのか?」
酢を飲んで血糖値上昇が抑えられるとの報告が「みつかん」とかから出されていますね。
それでも10%くらい下げるか否かというところですので、多くは期待しないほうがいいと思います。
「質問2
上記の状態でも結局身体に吸収される糖質量は変わらないわけなのですが、血糖値が上がりにくい状態で糖質はどのように身体に吸収されるのでしょうか?吸収されずに排出されるのでしょうか? 」
摂取した糖質は、基本的に100%吸収されて血糖に変わります。
例えばグルコバイやベイスンなどのαGI剤は、デンプンの分解をゆっくりさせることで血糖値の急激な上昇を抑えて、食後高血糖をあるていど防いでくれます。
しかし、食後高血糖を防ぐメリットはありますが、吸収されるトータルの糖質の量は一緒です。酢もαGI剤と似たような効果が少しあるとされています。
「質問3
糖尿病と診断されたことがないので血液の糖負荷テストを受けたことがないのですが、これからのことを考えて受けておいたほうがいいのでしょうか? 」
『食後3時間の血糖が220mg』
これは、随時血糖値が200mg/dlを超えていますので、診断基準的には糖尿病型です。
「インスリン分泌不足+インスリン抵抗性」が糖尿病のベースにあります。
その後12kg減量されていますので、インスリン抵抗性がかなり改善している可能性があります。
今後糖質制限食を続けるなら、糖尿病とはおさらば状態なので75g経口ブドウ糖負荷試験は特に必要ないと思います。
ご自分で、「耐糖能が現在どのような状態か知りたい」ということなら負荷試験をされてもよいと思います。
江部康二
京都在住Aさんから、糖質制限食で血糖値改善、体重減少というコメントと若干の質問をいただきました。
【12/03/25 京都在住A
質問があります!
はじめまして
いつも先生のページを参考にさせていただいています。
2ヶ月前・・・糖尿と診断はされたわけではないもの、食後3時間の血糖が220もあり脂肪肝の疑いもあるとのことでした。1ヵ月後に再検査という状況で節制を心に深く誓いダイエットを開始しました。(当時身長174センチの98キロ)
低インシュリンダイエットを始めてしばらくして、先生のページを拝見し、糖質制限食を開始したしだいであります。
1ヵ月後の再検査では肝数値に多少の異状が見られたものの空腹時血糖98、HbA1cが5.6
大事をとって再々検査(更に1ヵ月後)をして空腹時92、HbA1cは5.3という数値に
肝数値はまったく問題ない数値に
2ヶ月たった今体重は86キロまで減少しました。
遺伝的体質や自分の体格、体重を省みて糖尿とは切っても切れない仲なのだと思います。
これからも糖質制限食をしていこうと思うわけですが、何点か疑問があり、質問させていただこうと思いメールしたしだいであります。
質問1
以前から食事前に酢を飲むということを実験的に繰り返しており、酢を飲んで食事をすれば食後2時間くらいの睡魔が来ないという経験があるのですが、
酢を飲む=血糖が上がらない(あがりにくい)=酢を飲んで食事をすれば多少の糖質食はOKなのか?
質問2
上記の状態でも結局身体に吸収される糖質量は変わらないわけなのですが、血糖値が上がりにくい状態で糖質はどのように身体に吸収されるのでしょうか?吸収されずに排出されるのでしょうか?
質問3
糖尿病と診断されたことがないので血液の糖負荷テストを受けたことがないのですが、これからのことを考えて受けておいたほうがいいのでしょうか?
お忙しいところ恐縮ですが、質問に答えていただければ幸いです。
長々と自分語り失礼しました。】
京都在住A さん。
「食後3時間の血糖が220mg、体重98kg、脂肪肝」
から、2ヶ月後
「空腹時92mg、HbA1cは5.3%、体重86kg、脂肪肝改善」
素晴らしい改善です。
このまま、美味しく楽しく糖質制限食をお続けくださいね。
「質問1
以前から食事前に酢を飲むということを実験的に繰り返しており、酢を飲んで食事をすれば食後2時間くらいの睡魔が来ないという経験があるのですが、
酢を飲む=血糖が上がらない(あがりにくい)=酢を飲んで食事をすれば多少の糖質食はOKなのか?」
酢を飲んで血糖値上昇が抑えられるとの報告が「みつかん」とかから出されていますね。
それでも10%くらい下げるか否かというところですので、多くは期待しないほうがいいと思います。
「質問2
上記の状態でも結局身体に吸収される糖質量は変わらないわけなのですが、血糖値が上がりにくい状態で糖質はどのように身体に吸収されるのでしょうか?吸収されずに排出されるのでしょうか? 」
摂取した糖質は、基本的に100%吸収されて血糖に変わります。
例えばグルコバイやベイスンなどのαGI剤は、デンプンの分解をゆっくりさせることで血糖値の急激な上昇を抑えて、食後高血糖をあるていど防いでくれます。
しかし、食後高血糖を防ぐメリットはありますが、吸収されるトータルの糖質の量は一緒です。酢もαGI剤と似たような効果が少しあるとされています。
「質問3
糖尿病と診断されたことがないので血液の糖負荷テストを受けたことがないのですが、これからのことを考えて受けておいたほうがいいのでしょうか? 」
『食後3時間の血糖が220mg』
これは、随時血糖値が200mg/dlを超えていますので、診断基準的には糖尿病型です。
「インスリン分泌不足+インスリン抵抗性」が糖尿病のベースにあります。
その後12kg減量されていますので、インスリン抵抗性がかなり改善している可能性があります。
今後糖質制限食を続けるなら、糖尿病とはおさらば状態なので75g経口ブドウ糖負荷試験は特に必要ないと思います。
ご自分で、「耐糖能が現在どのような状態か知りたい」ということなら負荷試験をされてもよいと思います。
江部康二
2012年03月26日 (月)
こんにちは。
taketake さんから、低血糖について、コメント・質問を頂きました。
【12/03/26 taketake
機能性低血糖
5年前12あった、HbA1cも今は6.1までおちて、体調もよいのですが、最近低血糖で戸惑っています。
普段は夜は糖質制限食、昼抜きをしてきました。
一度ほんの短い時間ですが失神状態になってからこわくなり、空腹時に糖分をとるようにし、食事も極力しっかりとってきましたが、先生の機能性低血糖の説明を拝見すると、それはかえって血糖値を乱高下させてよくないのかでしょうか。お医者さんに相談すると薬を減らすように指示してくれました。今は,高血圧の薬を含めジャヌビア50ミリ、グリメピリド1ミリ,カルブロック16ミリ、プレミネント配合錠、メトグリコ250ミリグラムを飲んでいます。グリメピリドを半分にするようにして様子を見ようといわれました。ただ実際、この2週間<倒れてから)で体重は2キロ増えてしまいました。ジェネリックの薬もあり、説明が下手で申し訳ありませんが、ご助言お願いします。】
taketake さん。
機能性低血糖ではなく、グリメピリド(アマリール)による低血糖と考えられます。
グリメピリド(SU剤)はインスリン分泌促進剤で、血糖が正常でも作用が続くので低血糖になる可能性があるのです。
機能性低血糖は、血糖降下剤などを飲んでいないのに、炭水化物を摂取して血糖値が上昇して、内因性インスリンが分泌されてその分泌が遷延したときなどに生じます。
スーパー糖質制限食とジャヌビアとメトグルコなら低血糖の可能性はほとんどないと思います。
主治医の判断「グリメピリドを半分にするように」は適切と思いますが、さらに安全を期すため、もう一度主治医と相談されて、グリメピリドを中止されては如何でしょう。
低血糖は高血糖よりこわいので、万全を期す必要があります。
江部康二
taketake さんから、低血糖について、コメント・質問を頂きました。
【12/03/26 taketake
機能性低血糖
5年前12あった、HbA1cも今は6.1までおちて、体調もよいのですが、最近低血糖で戸惑っています。
普段は夜は糖質制限食、昼抜きをしてきました。
一度ほんの短い時間ですが失神状態になってからこわくなり、空腹時に糖分をとるようにし、食事も極力しっかりとってきましたが、先生の機能性低血糖の説明を拝見すると、それはかえって血糖値を乱高下させてよくないのかでしょうか。お医者さんに相談すると薬を減らすように指示してくれました。今は,高血圧の薬を含めジャヌビア50ミリ、グリメピリド1ミリ,カルブロック16ミリ、プレミネント配合錠、メトグリコ250ミリグラムを飲んでいます。グリメピリドを半分にするようにして様子を見ようといわれました。ただ実際、この2週間<倒れてから)で体重は2キロ増えてしまいました。ジェネリックの薬もあり、説明が下手で申し訳ありませんが、ご助言お願いします。】
taketake さん。
機能性低血糖ではなく、グリメピリド(アマリール)による低血糖と考えられます。
グリメピリド(SU剤)はインスリン分泌促進剤で、血糖が正常でも作用が続くので低血糖になる可能性があるのです。
機能性低血糖は、血糖降下剤などを飲んでいないのに、炭水化物を摂取して血糖値が上昇して、内因性インスリンが分泌されてその分泌が遷延したときなどに生じます。
スーパー糖質制限食とジャヌビアとメトグルコなら低血糖の可能性はほとんどないと思います。
主治医の判断「グリメピリドを半分にするように」は適切と思いますが、さらに安全を期すため、もう一度主治医と相談されて、グリメピリドを中止されては如何でしょう。
低血糖は高血糖よりこわいので、万全を期す必要があります。
江部康二
2012年03月25日 (日)
こんにちは。
2012年2月、糖尿病ネットワークに以下の記事が掲載されました。
『1型糖尿病の進行は考えられていたよりも遅い 発症後もインスリン産生は数十年間続く』
☆☆☆
【糖尿病ネットワーク
http://www.dm-net.co.jp/healthdayjapan/2012/02/016936.php
1型糖尿病の進行は考えられていたよりも遅い
発症後もインスリン産生は数十年間続く
2012年02月
1型糖尿病発症後もインスリン産生が数十年間続く可能性が、米マサチューセッツ総合病院(MGH、ボストン)の研究者らによる新しい研究で示された。同疾患発症後の治療可能な期間は、これまで考えられていたよりも長いことを示すエビデンス(科学的証拠)が増えつつあるが、今回の知見もそれに加わるものだという。
研究を主導したMHG免疫生物学研究所所長のDenise Faustman氏は、「従来、進行した1型糖尿病患者ではβ(ベータ)細胞の機能は完全に停止していると考えられていた。しかし、今回の研究データおよび他のデータから、膵臓は1型糖尿病発症後も数十年間、同レベルで機能しつづけていることが示された」と述べている。
β細胞は膵臓でインスリンを産生・貯蔵する細胞である。今回、1型糖尿病患者182人の血液試料を調べたところ、Cペプチド(インスリンの血中濃度のマーカーとなる蛋白 [たんぱく])の産生が糖尿病発症後数十年間続き、血糖値に反応し続けていることがわかった。1型糖尿病患者ではCペプチド値が低いが、これまで考えられていたように突然減少するのではなく、徐々に減少し、1型糖尿病に31~40年罹患している患者でも、10%はいまだCペプチドの産生があり、β細胞機能が維持されているという。この知見から、低Cペプチドレベル、すなわち進行した1型糖尿病患者でも、β細胞機能の保存あるいは促進するような治療のベネフィット(便益)があることが示されると、研究者らは指摘している。この知見は、医学誌「Diabetes Care」(糖尿病ケア)」3月号で報告された。
Faustman氏は「この結果は、1型糖尿病の治療的介入に長期的な展望を開くものである。われわれが行ったフェーズ1試験で、BCG(カルメット-ゲラン桿菌)接種を受けた患者で、一時的なインスリン産生の回復がみられることの説明にもなる」と述べている。
●原文 http://consumer.healthday.com/Article.asp?AID=661846
[2012年2月21日/HealthDayNews] Copyright© 2011 HealthDay. All rights reserved.】
高雄病院でも、1型糖尿人は、過去30人以上、診てきました。
ほとんどの方は、入院して糖質制限食による治療を体験されました。
一日蓄尿して尿中Cペプチド(*)を測定したり、早朝空腹時の血中Cペプチドを測定すると、測定できないレベル(インスリン産生ゼロ)の人もおられましたが、多くの場合、正常レベルよりは低値ですが測定可能でした。
高雄病院の基準値
一日尿中Cペプチド基準値: 29.2~167(μg/day)
空腹時血中Cペプチド:1~3ng/mL
医学誌「Diabetes Care」(糖尿病ケア)」3月号の今回の論文、1型糖尿人でも、長期にわたりインスリン分泌能を保つ場合があることを示唆しています。
このように、1型でも内因性インスリン分泌能が残っている場合、それを維持するには何が一番大切なのでしょう。
私は、高血糖がβ細胞を傷害する最も大きな要因と考えており、この点では日本糖尿病学会と一致しています。
即ち、高血糖そのものが、β細胞のアポトーシス(プログラムされた細胞死)を生じる最大のリスクと考えられます。
アポトーシスが生じれば、β細胞は死滅してどんどん数が少なくなり、遂には消失してインスリン分泌能力がゼロになります。これは1型だけでなく2型でも同様です。
1型においても、スーパー糖質制限食なら、カロリー制限食に比して超速効型インスリンの量は1/3以下になります。持続型インスリンの量は、不変~1/2になります。
カロリー制限食を実践しながらインスリン注射をすれば「低血糖と高血糖の繰り返し:血糖値の乱高下」を生じますので、β細胞のアポトーシスを防ぐことは困難です。
糖質制限食を実践してのインスリン注射なら「血糖値の乱高下」は生じず、血糖日内変動幅も少なくなり、β細胞のアポトーシスを防いでくれる可能性があります。
さらに糖質を摂取して、頻回に追加分泌インスリンを出すこと自体が、やはり膵臓のβ細胞への負担となると私は考えています。
糖質制限食なら、農耕以前の人類と同様に、追加分泌インスリンは、せいぜい2~3倍しかでませんので、β細胞が疲弊することがありません。
結論です。
『糖質制限食なら食後高血糖がないのでβ細胞のアポトーシスが生じない。糖質制限食なら追加分泌インスリンはごく少量ですむのでβ細胞は疲弊しない。』
江部康二
(*)Cペプチド
インスリンが合成される前段階の物質(プロインスリン)が分解されるとCペプチドとインスリンが形成されます。これらのプロセスは膵臓のβ細胞内で行われます。
Cペプチドはインスリンと同じ割合で血液中に分泌され、ほぼ分解されないまま血液中を循環し、尿中に排出されます。従って、血中や尿中のCペプチドを測定すると、インスリンが膵臓からどのくらい分泌されているのかが判ります。
インスリン分泌能は、通常は血中インスリンを測定して判断します。しかし、インスリン注射をしている人は、自分の膵臓から出ているインスリンと、外部からのインスリン注射を合計したデータがでるので、インスリン分泌能の正確な測定ができません。
この点Cペプチドは膵臓から分泌されているインスリンだけを測定することができますので、内因性インスリン分泌能の正確な測定が可能であり、インスリン注射をしている糖尿人において1型でも2型でも、有用な検査です。
2012年2月、糖尿病ネットワークに以下の記事が掲載されました。
『1型糖尿病の進行は考えられていたよりも遅い 発症後もインスリン産生は数十年間続く』
☆☆☆
【糖尿病ネットワーク
http://www.dm-net.co.jp/healthdayjapan/2012/02/016936.php
1型糖尿病の進行は考えられていたよりも遅い
発症後もインスリン産生は数十年間続く
2012年02月
1型糖尿病発症後もインスリン産生が数十年間続く可能性が、米マサチューセッツ総合病院(MGH、ボストン)の研究者らによる新しい研究で示された。同疾患発症後の治療可能な期間は、これまで考えられていたよりも長いことを示すエビデンス(科学的証拠)が増えつつあるが、今回の知見もそれに加わるものだという。
研究を主導したMHG免疫生物学研究所所長のDenise Faustman氏は、「従来、進行した1型糖尿病患者ではβ(ベータ)細胞の機能は完全に停止していると考えられていた。しかし、今回の研究データおよび他のデータから、膵臓は1型糖尿病発症後も数十年間、同レベルで機能しつづけていることが示された」と述べている。
β細胞は膵臓でインスリンを産生・貯蔵する細胞である。今回、1型糖尿病患者182人の血液試料を調べたところ、Cペプチド(インスリンの血中濃度のマーカーとなる蛋白 [たんぱく])の産生が糖尿病発症後数十年間続き、血糖値に反応し続けていることがわかった。1型糖尿病患者ではCペプチド値が低いが、これまで考えられていたように突然減少するのではなく、徐々に減少し、1型糖尿病に31~40年罹患している患者でも、10%はいまだCペプチドの産生があり、β細胞機能が維持されているという。この知見から、低Cペプチドレベル、すなわち進行した1型糖尿病患者でも、β細胞機能の保存あるいは促進するような治療のベネフィット(便益)があることが示されると、研究者らは指摘している。この知見は、医学誌「Diabetes Care」(糖尿病ケア)」3月号で報告された。
Faustman氏は「この結果は、1型糖尿病の治療的介入に長期的な展望を開くものである。われわれが行ったフェーズ1試験で、BCG(カルメット-ゲラン桿菌)接種を受けた患者で、一時的なインスリン産生の回復がみられることの説明にもなる」と述べている。
●原文 http://consumer.healthday.com/Article.asp?AID=661846
[2012年2月21日/HealthDayNews] Copyright© 2011 HealthDay. All rights reserved.】
高雄病院でも、1型糖尿人は、過去30人以上、診てきました。
ほとんどの方は、入院して糖質制限食による治療を体験されました。
一日蓄尿して尿中Cペプチド(*)を測定したり、早朝空腹時の血中Cペプチドを測定すると、測定できないレベル(インスリン産生ゼロ)の人もおられましたが、多くの場合、正常レベルよりは低値ですが測定可能でした。
高雄病院の基準値
一日尿中Cペプチド基準値: 29.2~167(μg/day)
空腹時血中Cペプチド:1~3ng/mL
医学誌「Diabetes Care」(糖尿病ケア)」3月号の今回の論文、1型糖尿人でも、長期にわたりインスリン分泌能を保つ場合があることを示唆しています。
このように、1型でも内因性インスリン分泌能が残っている場合、それを維持するには何が一番大切なのでしょう。
私は、高血糖がβ細胞を傷害する最も大きな要因と考えており、この点では日本糖尿病学会と一致しています。
即ち、高血糖そのものが、β細胞のアポトーシス(プログラムされた細胞死)を生じる最大のリスクと考えられます。
アポトーシスが生じれば、β細胞は死滅してどんどん数が少なくなり、遂には消失してインスリン分泌能力がゼロになります。これは1型だけでなく2型でも同様です。
1型においても、スーパー糖質制限食なら、カロリー制限食に比して超速効型インスリンの量は1/3以下になります。持続型インスリンの量は、不変~1/2になります。
カロリー制限食を実践しながらインスリン注射をすれば「低血糖と高血糖の繰り返し:血糖値の乱高下」を生じますので、β細胞のアポトーシスを防ぐことは困難です。
糖質制限食を実践してのインスリン注射なら「血糖値の乱高下」は生じず、血糖日内変動幅も少なくなり、β細胞のアポトーシスを防いでくれる可能性があります。
さらに糖質を摂取して、頻回に追加分泌インスリンを出すこと自体が、やはり膵臓のβ細胞への負担となると私は考えています。
糖質制限食なら、農耕以前の人類と同様に、追加分泌インスリンは、せいぜい2~3倍しかでませんので、β細胞が疲弊することがありません。
結論です。
『糖質制限食なら食後高血糖がないのでβ細胞のアポトーシスが生じない。糖質制限食なら追加分泌インスリンはごく少量ですむのでβ細胞は疲弊しない。』
江部康二
(*)Cペプチド
インスリンが合成される前段階の物質(プロインスリン)が分解されるとCペプチドとインスリンが形成されます。これらのプロセスは膵臓のβ細胞内で行われます。
Cペプチドはインスリンと同じ割合で血液中に分泌され、ほぼ分解されないまま血液中を循環し、尿中に排出されます。従って、血中や尿中のCペプチドを測定すると、インスリンが膵臓からどのくらい分泌されているのかが判ります。
インスリン分泌能は、通常は血中インスリンを測定して判断します。しかし、インスリン注射をしている人は、自分の膵臓から出ているインスリンと、外部からのインスリン注射を合計したデータがでるので、インスリン分泌能の正確な測定ができません。
この点Cペプチドは膵臓から分泌されているインスリンだけを測定することができますので、内因性インスリン分泌能の正確な測定が可能であり、インスリン注射をしている糖尿人において1型でも2型でも、有用な検査です。
2012年03月24日 (土)
おはようございます。
解決ZERO さんから、糖質制限食4ヶ月目で早朝空腹時血糖値改善、という嬉しいコメントをいただきました。
【12/03/23 解決ZERO
おかげさまで糖質制限食を開始してから4ヶ月目が終わろうとしています。
最近になって早朝空腹時血糖値が下がり始めてきました。
これまでは130mg~150mg台が中心でしたが、110mg~120mg台が大幅に増えてきました。
そのほかの時間帯は開始直後から徐々に下がっていたのに、空腹時血糖値が下がらないのは病歴が15年以上なので膵臓も疲れているんだなと実感していました。
血糖値が上がる薬が増える血糖値が下がるがやがて上がり出す薬が増える
この繰り返しでしたからやむを得ない事ですね。
数値が下がってきたと言っても、グリミクロンを朝10mg夜10mgネシーナ1錠服用してです。
早朝空腹時血糖値も下がり気味になって来たので、グリミクロンの服用せずに1日の血糖値の変化を調べてみました。(ネシーナは服用)
夕食前 114
夕食後1時間 172
夕食後2時間 137
就寝前 126
起床時 137
朝食後1時間 179
朝食後2時間 108
朝食後3時間 111
昼食前 115
昼食後1時間 187 ふすまパンと職場弁当のおかずのみ
昼食後2時間 162
昼食後3時間 131
昼食後4時間 119
夕食前 103
夕食後1時間 156
夕食後2時間 147
夕食後3時間 128
このようになりました。
糖質制限食開始後の食後血糖値のピークは2時間後くらいでしたが、ピークが食後1時間と早くなってきたようです。
また、グリミクロンの有無による違いは食後血糖値のピーク値が約20mg高くなった所だけでした。
初めの1ヶ月は驚くほどの変化がありましたが、最近では僅かな変化になって来ているようです。
しかし確実に効果が現れているので、糖質制限食と気長にお付き合いしていきたいと思います。】
解決ZERO さん。
コメント、データ報告ありがとうございます。
とても参考になります。
糖質制限食で食後血糖値はリアルタイムに改善しますが、早朝空腹時血糖値の改善には、あるていどの期間が必要なことが多いです。
高雄病院入院中の糖尿人では、数日~14日間くらいで早朝空腹時血糖値が改善することが多いです。
解決ZERO さんは、糖質制限食実践4ヶ月目で、早朝空腹時血糖値が20~30mg低下・改善してますね。
仰有るように膵臓のβ細胞が回復するのに、あるていどの期間が必要だったのでしょうね。
それでも、15年以上の糖尿病歴でここまで改善されたのは、素晴らしいことです。
グリミクロンを中止してネシーナだけ内服してのデータでは、正常型と境界型の中間くらいですね。
インスリン分泌能が、かなり回復してきていると思います。
「糖質制限食開始後の食後血糖値のピークは2時間後くらいでしたが、ピークが食後1時間と早くなってきたようです。」
これも正常人と同様のパターンになったわけで、明らかにインスリン分泌能が改善しています。
ネシーナは、DPP-4阻害剤で、β細胞への負担はなくて、上手くするとインスリン分泌能改善が期待できます。
今のままグリミクロンを中止して、ネシーナのみで経過をみられて良いと思います。
江部康二
解決ZERO さんから、糖質制限食4ヶ月目で早朝空腹時血糖値改善、という嬉しいコメントをいただきました。
【12/03/23 解決ZERO
おかげさまで糖質制限食を開始してから4ヶ月目が終わろうとしています。
最近になって早朝空腹時血糖値が下がり始めてきました。
これまでは130mg~150mg台が中心でしたが、110mg~120mg台が大幅に増えてきました。
そのほかの時間帯は開始直後から徐々に下がっていたのに、空腹時血糖値が下がらないのは病歴が15年以上なので膵臓も疲れているんだなと実感していました。
血糖値が上がる薬が増える血糖値が下がるがやがて上がり出す薬が増える
この繰り返しでしたからやむを得ない事ですね。
数値が下がってきたと言っても、グリミクロンを朝10mg夜10mgネシーナ1錠服用してです。
早朝空腹時血糖値も下がり気味になって来たので、グリミクロンの服用せずに1日の血糖値の変化を調べてみました。(ネシーナは服用)
夕食前 114
夕食後1時間 172
夕食後2時間 137
就寝前 126
起床時 137
朝食後1時間 179
朝食後2時間 108
朝食後3時間 111
昼食前 115
昼食後1時間 187 ふすまパンと職場弁当のおかずのみ
昼食後2時間 162
昼食後3時間 131
昼食後4時間 119
夕食前 103
夕食後1時間 156
夕食後2時間 147
夕食後3時間 128
このようになりました。
糖質制限食開始後の食後血糖値のピークは2時間後くらいでしたが、ピークが食後1時間と早くなってきたようです。
また、グリミクロンの有無による違いは食後血糖値のピーク値が約20mg高くなった所だけでした。
初めの1ヶ月は驚くほどの変化がありましたが、最近では僅かな変化になって来ているようです。
しかし確実に効果が現れているので、糖質制限食と気長にお付き合いしていきたいと思います。】
解決ZERO さん。
コメント、データ報告ありがとうございます。
とても参考になります。
糖質制限食で食後血糖値はリアルタイムに改善しますが、早朝空腹時血糖値の改善には、あるていどの期間が必要なことが多いです。
高雄病院入院中の糖尿人では、数日~14日間くらいで早朝空腹時血糖値が改善することが多いです。
解決ZERO さんは、糖質制限食実践4ヶ月目で、早朝空腹時血糖値が20~30mg低下・改善してますね。
仰有るように膵臓のβ細胞が回復するのに、あるていどの期間が必要だったのでしょうね。
それでも、15年以上の糖尿病歴でここまで改善されたのは、素晴らしいことです。
グリミクロンを中止してネシーナだけ内服してのデータでは、正常型と境界型の中間くらいですね。
インスリン分泌能が、かなり回復してきていると思います。
「糖質制限食開始後の食後血糖値のピークは2時間後くらいでしたが、ピークが食後1時間と早くなってきたようです。」
これも正常人と同様のパターンになったわけで、明らかにインスリン分泌能が改善しています。
ネシーナは、DPP-4阻害剤で、β細胞への負担はなくて、上手くするとインスリン分泌能改善が期待できます。
今のままグリミクロンを中止して、ネシーナのみで経過をみられて良いと思います。
江部康二
2012年03月23日 (金)
こんにちは。
DJニューエラさんとOYASAMさんから、糖質制限メニューのホテルバイキングのパーティーについて,
コメント・質問をいただきました。
【12/03/23 DJニューエラ
ホテルバイキング
ホテルの宴会サービスマンとして、40件近くのホテルの宴会場をみてきました。ビュッフェサービスも数多くやってきましたが、一流ホテルのメニュー程糖質制限できるメニューが多い事に気付きました。ビュッフェの元祖とも言われる都内の某ホテルのメニューは、特にそれが強く、普通の人と同じ様に食事が楽しめます。もし願いがかなうならば、糖質制限メニューのバイキングパーティーを出来ればと思う今日この頃です。実際江部先生プロデュースで、このようなパーティーを開かれた事はあるのでしょうか?】
【12/03/23 OYASAM
仕掛け人 手を挙げて!
年内に、糖質制限メニュー盛りだくさんの、関西のホテルで、講演会&バイキングパーティー&Dr江部率いるバンド「ターニングポイント」のホテルデビューなんて無理でしょうか?3点セット券の販売価格設定をいくらにできるか?集客はどこまで可能か?Dr江部のギャラをいかに抑えるか(冗談です)によりますが、こんなビックイベンドどなたか仕掛け人はいらっしゃいませんでしょうか?仕事の合間に、お手伝い位はさせていただきますが・・・。】
DJニューエラさん。
コメントそしてホテルバイキング情報をありがとうございます。
ホテルの宴会サービスマンなのですね。
OYASAMさん。
コメント、応援ありがとうございます。
ホテルバイキングですが、私も大好きです。
講演会でホテルに宿泊するときは、翌朝は可能な限りバイキングにします。
私は通常は1日2食で朝食はなしなのですが、こういうときは朝食を目一杯食べて (^O^*)、 昼食はなしか、ごく軽くにします。
それなりに元をとるというスタンスですね。
以前ほどではありませんが結構食べますよ。
いろんな地方のホテルバイキングを食べましたが、確かに非常に豪華なメニュー ヾ(^▽^) のところと
ぼちぼちなメニュー (-_-;) のところがありますね。
それでもバイキングであれば、贅沢を言わなければ糖質制限食OKな選択が可能なので、ラッキーと思っています。
さて糖質制限食のホテルでのパーティーですが、2010年11月28日(日)京都ロイヤルホテルで開催したことがあります。
「糖質制限食フルコースディナー&ライブ+ちょっぴり講演」
と題して、
1)ロイヤルホテル長峯総料理長渾身の糖質制限食フルコース・ディナー、
2)糖質制限なワイン・蒸留酒が飲み放題、
3)糖質制限食ミニ講演会、30分間
4)バンド、ターニング・ポイントのライブ、30分間
など、盛りだくさんの企画で行いました。
■会場 京都ロイヤルホテル&スパ 京都市中京区河原町三条上ル
http://www.ishinhotels.com/kyoto-royal/jp/index.html
■日時 2010年11月28日(日) 18:30-21:00(開場18時)
■定員 100名
■参加費用 \12,000(税・サービス料込)
■プログラム
18:00 開場
18:30-19:00 講演 江部康二
19:00-21:00 ディナー(糖質制限フルコース)
19:40-20:10 バンド ターニングポイント 演奏 (Vo. 江部康二)
評判は、食事も講演会も生演奏もとても好評で嬉しい限りでした。(⌒o⌒)v
ただ、糖質制限OKなフレンチのフルコース・ディナーと気合いをいれたので参加費用¥12000-(税・サービス料込)とややお高くなりました。
まあ、「ホテルのフルコース・ディナー、お酒飲み放題、講演会、ライブ」と豪華企画なので、一般的に考えて決して割高ではなくて、コストパフォーマンスはとても良かったと思います。
それでも、ご夫婦・カップルで参加いただいたら、¥24000-ですから、一定の出費ではあります。(=_=;)
時の経つのは早いもので、前回の「糖質制限食フルコースディナー&ライブ+ちょっぴり講演」から、もう1年4ヶ月が経過しました。
そろそろパーティーをしてもいいかなと思っています。
今回のパーティーは
「糖質制限食ホテルバイキング&ライブ+ちょっぴり講演」
にしようかと考えています。
今回はバイキングなので、参加費用¥6000-(税・サービス料込)ていどで開催できると思います。
OYASAMさん、集客はまず大丈夫と思いますよ。
私のギャラも自分も楽しむので大丈夫です。
前回は(株)恵比寿屋西陣(やせる食べ方ドットコム)さんに、スポンサーになっていただきました。
今回もやせる食べ方ドットコムさんと京都高雄倶楽部のあらてつさんに相談してみます。
企画が整いましたら、ブログで案内しますのでその時はよろしくお願い申しあげます。
江部康二
DJニューエラさんとOYASAMさんから、糖質制限メニューのホテルバイキングのパーティーについて,
コメント・質問をいただきました。
【12/03/23 DJニューエラ
ホテルバイキング
ホテルの宴会サービスマンとして、40件近くのホテルの宴会場をみてきました。ビュッフェサービスも数多くやってきましたが、一流ホテルのメニュー程糖質制限できるメニューが多い事に気付きました。ビュッフェの元祖とも言われる都内の某ホテルのメニューは、特にそれが強く、普通の人と同じ様に食事が楽しめます。もし願いがかなうならば、糖質制限メニューのバイキングパーティーを出来ればと思う今日この頃です。実際江部先生プロデュースで、このようなパーティーを開かれた事はあるのでしょうか?】
【12/03/23 OYASAM
仕掛け人 手を挙げて!
年内に、糖質制限メニュー盛りだくさんの、関西のホテルで、講演会&バイキングパーティー&Dr江部率いるバンド「ターニングポイント」のホテルデビューなんて無理でしょうか?3点セット券の販売価格設定をいくらにできるか?集客はどこまで可能か?Dr江部のギャラをいかに抑えるか(冗談です)によりますが、こんなビックイベンドどなたか仕掛け人はいらっしゃいませんでしょうか?仕事の合間に、お手伝い位はさせていただきますが・・・。】
DJニューエラさん。
コメントそしてホテルバイキング情報をありがとうございます。
ホテルの宴会サービスマンなのですね。
OYASAMさん。
コメント、応援ありがとうございます。
ホテルバイキングですが、私も大好きです。
講演会でホテルに宿泊するときは、翌朝は可能な限りバイキングにします。
私は通常は1日2食で朝食はなしなのですが、こういうときは朝食を目一杯食べて (^O^*)、 昼食はなしか、ごく軽くにします。
それなりに元をとるというスタンスですね。
以前ほどではありませんが結構食べますよ。
いろんな地方のホテルバイキングを食べましたが、確かに非常に豪華なメニュー ヾ(^▽^) のところと
ぼちぼちなメニュー (-_-;) のところがありますね。
それでもバイキングであれば、贅沢を言わなければ糖質制限食OKな選択が可能なので、ラッキーと思っています。
さて糖質制限食のホテルでのパーティーですが、2010年11月28日(日)京都ロイヤルホテルで開催したことがあります。
「糖質制限食フルコースディナー&ライブ+ちょっぴり講演」
と題して、
1)ロイヤルホテル長峯総料理長渾身の糖質制限食フルコース・ディナー、
2)糖質制限なワイン・蒸留酒が飲み放題、
3)糖質制限食ミニ講演会、30分間
4)バンド、ターニング・ポイントのライブ、30分間
など、盛りだくさんの企画で行いました。
■会場 京都ロイヤルホテル&スパ 京都市中京区河原町三条上ル
http://www.ishinhotels.com/kyoto-royal/jp/index.html
■日時 2010年11月28日(日) 18:30-21:00(開場18時)
■定員 100名
■参加費用 \12,000(税・サービス料込)
■プログラム
18:00 開場
18:30-19:00 講演 江部康二
19:00-21:00 ディナー(糖質制限フルコース)
19:40-20:10 バンド ターニングポイント 演奏 (Vo. 江部康二)
評判は、食事も講演会も生演奏もとても好評で嬉しい限りでした。(⌒o⌒)v
ただ、糖質制限OKなフレンチのフルコース・ディナーと気合いをいれたので参加費用¥12000-(税・サービス料込)とややお高くなりました。
まあ、「ホテルのフルコース・ディナー、お酒飲み放題、講演会、ライブ」と豪華企画なので、一般的に考えて決して割高ではなくて、コストパフォーマンスはとても良かったと思います。
それでも、ご夫婦・カップルで参加いただいたら、¥24000-ですから、一定の出費ではあります。(=_=;)
時の経つのは早いもので、前回の「糖質制限食フルコースディナー&ライブ+ちょっぴり講演」から、もう1年4ヶ月が経過しました。
そろそろパーティーをしてもいいかなと思っています。
今回のパーティーは
「糖質制限食ホテルバイキング&ライブ+ちょっぴり講演」
にしようかと考えています。
今回はバイキングなので、参加費用¥6000-(税・サービス料込)ていどで開催できると思います。
OYASAMさん、集客はまず大丈夫と思いますよ。
私のギャラも自分も楽しむので大丈夫です。
前回は(株)恵比寿屋西陣(やせる食べ方ドットコム)さんに、スポンサーになっていただきました。
今回もやせる食べ方ドットコムさんと京都高雄倶楽部のあらてつさんに相談してみます。
企画が整いましたら、ブログで案内しますのでその時はよろしくお願い申しあげます。
江部康二
2012年03月22日 (木)
こんばんは。
九州、熊本県菊池市の菊池養生園で毎年開催されている「養生園祭り」に講演会講師としてお招きいただきました。
前日から飛行機で熊本入りです。
菊池市は熊本空港のほうが、JR熊本駅より、交通の便がよいのだそうです。
4月14日(土)江部診療所の外来が終了したあと伊丹空港に向かいます。
2012年4月15日(日)午前10時から、90分間
演題 「らくにできる食養生の極意」
~美味しく楽しく糖制限食~
と題して、私が講演します。
今回は、野外の講演なので、パワーポイントスライドは使用せずに、配付資料を配ってお話しします。
パワーポイントスライドなしで講演するのは、超久しぶりです。
糖尿病・肥満・メタボ・アレルギー・生活習慣病・健康・・・
脳はブドウ糖しか使えない→誤解
脂肪悪玉説→誤解
カロリー神話→誤解
など常識の壁を打ち破るお話、
イヌイットの食生活と病気のお話、
玄米魚菜食→糖質制限食→テーラーメードダイエットのお話・・・
などなど、人類の食生活に関して、歴史的観点も含めてお話します。
菊池養生園の地域住民の方、年配の方も「養生園祭り」に参加されます。
わかりやすいお話しを心がけますので、熊本県民の皆さんも、是非ご参加くださいね。
江部康二
以下は菊池養生園のホームページからの抜粋です。
http://www.yojoen.or.jp/
〒861-1201 熊本県菊池市泗水町吉富2193−1
☆☆☆
催事名 2012年養生園祭
問い合わせ 電話:0968-38-282
趣旨
多くの人に地球のいのち生きるものすべてのいのちの大切さを知ってもらい、次の世代に明るい未来をのこすために
テーマ 「いのちと食」
日時 平成24年4月15日(日) 午前9時30分
場所 菊池養生園構内
主催等 主催 菊池市・合志市
後援 菊池地域農協
内容
(1)公開講演会 10時より 参加無料
演題 「らくにできる食養生の極意」 ~美味しく楽しく糖制限食~
講演者 江部 康二(えべ こうじ)氏 (医師・財団法人高雄病院理事長)
・・・1950年生まれ、京都大学医学部卒業。2001年自ら糖尿病であることに気づいて以来、糖尿病治療の研究に取り組み、「糖質制限食」の体系を確立。その後、数多くの臨床活動を通じて、糖尿病・肥満・メタボリック症候群などに対する糖質制限食の画期的な治療効果を証明。著書にベストセラー「主食を抜けば糖尿病はよくなる」(東洋経済新報社)など
(2)健康展 医療-現代医学・東洋医学・操体法・健康法
(健康相談) 食物-断食・食養生・自然食・食育
(3)養生市 展示即売バザー・自然食品展示(雑穀・はちみつ等)
養生特製カレーライス・手作り弁当・だご・うどん・惣菜販売
自然自家菜園物産販売
ガレージセール(リサイクル品や手作り民芸品・古書籍など盛り沢山)
(4)特別企画 第26弾 島三線・島唄・こどもヒップホップダンス・藤間流日本舞踊など
(5)その他 養生園の活動紹介
外来診療・健康診断・人間ドック・いきいき養生塾(菊池市)・
元気をつくる養生塾(合志市)各種健康教室・リフレッシュドック紹介
九州、熊本県菊池市の菊池養生園で毎年開催されている「養生園祭り」に講演会講師としてお招きいただきました。
前日から飛行機で熊本入りです。
菊池市は熊本空港のほうが、JR熊本駅より、交通の便がよいのだそうです。
4月14日(土)江部診療所の外来が終了したあと伊丹空港に向かいます。
2012年4月15日(日)午前10時から、90分間
演題 「らくにできる食養生の極意」
~美味しく楽しく糖制限食~
と題して、私が講演します。
今回は、野外の講演なので、パワーポイントスライドは使用せずに、配付資料を配ってお話しします。
パワーポイントスライドなしで講演するのは、超久しぶりです。
糖尿病・肥満・メタボ・アレルギー・生活習慣病・健康・・・
脳はブドウ糖しか使えない→誤解
脂肪悪玉説→誤解
カロリー神話→誤解
など常識の壁を打ち破るお話、
イヌイットの食生活と病気のお話、
玄米魚菜食→糖質制限食→テーラーメードダイエットのお話・・・
などなど、人類の食生活に関して、歴史的観点も含めてお話します。
菊池養生園の地域住民の方、年配の方も「養生園祭り」に参加されます。
わかりやすいお話しを心がけますので、熊本県民の皆さんも、是非ご参加くださいね。
江部康二
以下は菊池養生園のホームページからの抜粋です。
http://www.yojoen.or.jp/
〒861-1201 熊本県菊池市泗水町吉富2193−1
☆☆☆
催事名 2012年養生園祭
問い合わせ 電話:0968-38-282
趣旨
多くの人に地球のいのち生きるものすべてのいのちの大切さを知ってもらい、次の世代に明るい未来をのこすために
テーマ 「いのちと食」
日時 平成24年4月15日(日) 午前9時30分
場所 菊池養生園構内
主催等 主催 菊池市・合志市
後援 菊池地域農協
内容
(1)公開講演会 10時より 参加無料
演題 「らくにできる食養生の極意」 ~美味しく楽しく糖制限食~
講演者 江部 康二(えべ こうじ)氏 (医師・財団法人高雄病院理事長)
・・・1950年生まれ、京都大学医学部卒業。2001年自ら糖尿病であることに気づいて以来、糖尿病治療の研究に取り組み、「糖質制限食」の体系を確立。その後、数多くの臨床活動を通じて、糖尿病・肥満・メタボリック症候群などに対する糖質制限食の画期的な治療効果を証明。著書にベストセラー「主食を抜けば糖尿病はよくなる」(東洋経済新報社)など
(2)健康展 医療-現代医学・東洋医学・操体法・健康法
(健康相談) 食物-断食・食養生・自然食・食育
(3)養生市 展示即売バザー・自然食品展示(雑穀・はちみつ等)
養生特製カレーライス・手作り弁当・だご・うどん・惣菜販売
自然自家菜園物産販売
ガレージセール(リサイクル品や手作り民芸品・古書籍など盛り沢山)
(4)特別企画 第26弾 島三線・島唄・こどもヒップホップダンス・藤間流日本舞踊など
(5)その他 養生園の活動紹介
外来診療・健康診断・人間ドック・いきいき養生塾(菊池市)・
元気をつくる養生塾(合志市)各種健康教室・リフレッシュドック紹介
2012年03月21日 (水)
こんにちは。
Yさんから、糖質制限食で耐糖能が改善したという、嬉しいコメントをいただきました。
【12/03/20 Y
こんにちは
Yと申します。
2010年の夏に糖尿と診断されました。(久しぶりの病院での検査だったので、きっともっと前から糖尿だったと思われます。)その時の検査値は酷いものでした。
総コレステロール:274
HDLコレステロール:不明(ほとんど無い状態?)
LDLコレステロール:197
中性脂肪:238
グルコース:154
HbA1c:10.2
(当然全てがHighです)
普段はあらてつさんの方にコメントをしている者ですが、
先日自己測定器を購入し70gの糖質を取り込んだ自己検査をしてみましたので、
先生にもご報告を。↓
早朝(空腹)血糖値:86
摂取後30分値:128
摂取後1時間値:109
摂取後2時間値:87
素人の自己測定なので誤差があるかも知れませんが、このような結果でした。
これは正常の値と考えて良いのかなと自分では思ってますが、測定器の誤差とかよく聞くので…(..`)ちなみに糖質制限は約10ヶ月目です
しかし糖質制限を始めてからはケーキなどの洋菓子は解禁日に食べるのですが、パンを除いた主食(ご飯と麺)には全く興味が無くなりました。パンも解禁日以外は食べません。
大好きだったカップラーメンも先ほど食べてみましたが、麺が全く美味しくなくてすぐごちそうさまでした。何故あんなものを好き好んで食べていたのか自分でも理解不能です(・ω・;)でも最近のカップラーメンはスープがとっても美味しいですね!スープだけ完食してしまいました(笑)
この調子でずっと糖質制限を続けていきたいと思います。体内の数値どころかお肌や髪までキレイになって、何より高血圧まで治りました(*´ω`*)160~180/100~110あったのが、今は116~126/59~66です。今の血液検査の値は
総コレステロール:143~231
HDLコレステロール:79~83
LDLコレステロール:75~144
中性脂肪:27~38
グルコース:85~94
HbA1c:5.1~5.2
ではでは、本当にありがとうございます。もしこれから糖尿の件で何かあったら京都まですっ飛んで行くので、診察お願いしますねv(^-^)v笑
そう言えばコンビニ(セ○ン)でゼロカロリー表示のピーチゼリーが出てました。一口食べましたがずいぶんと甘かったです(^-^;)そしてもも果汁が入っていると…これは近々測定したいと思います。ゼリーdeゼロは大丈夫だと思うのですが…】
Y さん。
コメントありがとうございます。
血糖自己測定機を購入されたとは、気合いが入っておられますね。自己測定機は、糖尿病の自己管理にはとても役立つアイテムです。
2011年夏
グルコース:154mg/dl HbA1c:10.2%
糖質制限食実践約10か月後の、2012年3月
グルコース:85~94mg/dl HbA1c:5.1~5.2%
素晴らしい改善ですね。 (^-^)v(^-^)v
<70gの糖質を摂取して負荷テスト>
早朝(空腹)血糖値:86
摂取後30分値:128
摂取後1時間値:109
摂取後2時間値:87
医療機関では75g経口血糖負荷試験ですが、70gでも似たようなものですので耐糖能そのものが、糖尿病型から正常型に改善しています。
糖質制限食で膵臓のβ細胞が休養できて、回復したのでしょう。
100%元に戻ったというより、90%くらいまで回復したので耐糖能が正常型に復活したのでしょう。
【体内の数値どころかお肌や髪までキレイになって、何より高血圧まで治りました(*´ω`*)160~180/100~110あったのが、今は116~126/59~66です。】
こちらも素晴らしいです。
血圧、血糖、HDLコレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪・・・
全て正常なので、糖質制限食による医療費削減効果が抜群ですね。(^^)
なお、カロリーゼロ、糖質ゼロはOK食品です。
カロリーゼロということは、100mlあたり5kcal未満なので血糖値もほとんど上昇させません。
また糖質ゼロ表示なら、栄養表示基準に基づき
「100ml中糖質0.5g未満を、糖質0(ゼロ)で表示してOK」
なので糖質が全くなしということではありませんが、血糖への影響は極めて少ないといえます。
江部康二
Yさんから、糖質制限食で耐糖能が改善したという、嬉しいコメントをいただきました。
【12/03/20 Y
こんにちは
Yと申します。
2010年の夏に糖尿と診断されました。(久しぶりの病院での検査だったので、きっともっと前から糖尿だったと思われます。)その時の検査値は酷いものでした。
総コレステロール:274
HDLコレステロール:不明(ほとんど無い状態?)
LDLコレステロール:197
中性脂肪:238
グルコース:154
HbA1c:10.2
(当然全てがHighです)
普段はあらてつさんの方にコメントをしている者ですが、
先日自己測定器を購入し70gの糖質を取り込んだ自己検査をしてみましたので、
先生にもご報告を。↓
早朝(空腹)血糖値:86
摂取後30分値:128
摂取後1時間値:109
摂取後2時間値:87
素人の自己測定なので誤差があるかも知れませんが、このような結果でした。
これは正常の値と考えて良いのかなと自分では思ってますが、測定器の誤差とかよく聞くので…(..`)ちなみに糖質制限は約10ヶ月目です
しかし糖質制限を始めてからはケーキなどの洋菓子は解禁日に食べるのですが、パンを除いた主食(ご飯と麺)には全く興味が無くなりました。パンも解禁日以外は食べません。
大好きだったカップラーメンも先ほど食べてみましたが、麺が全く美味しくなくてすぐごちそうさまでした。何故あんなものを好き好んで食べていたのか自分でも理解不能です(・ω・;)でも最近のカップラーメンはスープがとっても美味しいですね!スープだけ完食してしまいました(笑)
この調子でずっと糖質制限を続けていきたいと思います。体内の数値どころかお肌や髪までキレイになって、何より高血圧まで治りました(*´ω`*)160~180/100~110あったのが、今は116~126/59~66です。今の血液検査の値は
総コレステロール:143~231
HDLコレステロール:79~83
LDLコレステロール:75~144
中性脂肪:27~38
グルコース:85~94
HbA1c:5.1~5.2
ではでは、本当にありがとうございます。もしこれから糖尿の件で何かあったら京都まですっ飛んで行くので、診察お願いしますねv(^-^)v笑
そう言えばコンビニ(セ○ン)でゼロカロリー表示のピーチゼリーが出てました。一口食べましたがずいぶんと甘かったです(^-^;)そしてもも果汁が入っていると…これは近々測定したいと思います。ゼリーdeゼロは大丈夫だと思うのですが…】
Y さん。
コメントありがとうございます。
血糖自己測定機を購入されたとは、気合いが入っておられますね。自己測定機は、糖尿病の自己管理にはとても役立つアイテムです。
2011年夏
グルコース:154mg/dl HbA1c:10.2%
糖質制限食実践約10か月後の、2012年3月
グルコース:85~94mg/dl HbA1c:5.1~5.2%
素晴らしい改善ですね。 (^-^)v(^-^)v
<70gの糖質を摂取して負荷テスト>
早朝(空腹)血糖値:86
摂取後30分値:128
摂取後1時間値:109
摂取後2時間値:87
医療機関では75g経口血糖負荷試験ですが、70gでも似たようなものですので耐糖能そのものが、糖尿病型から正常型に改善しています。
糖質制限食で膵臓のβ細胞が休養できて、回復したのでしょう。
100%元に戻ったというより、90%くらいまで回復したので耐糖能が正常型に復活したのでしょう。
【体内の数値どころかお肌や髪までキレイになって、何より高血圧まで治りました(*´ω`*)160~180/100~110あったのが、今は116~126/59~66です。】
こちらも素晴らしいです。
血圧、血糖、HDLコレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪・・・
全て正常なので、糖質制限食による医療費削減効果が抜群ですね。(^^)
なお、カロリーゼロ、糖質ゼロはOK食品です。
カロリーゼロということは、100mlあたり5kcal未満なので血糖値もほとんど上昇させません。
また糖質ゼロ表示なら、栄養表示基準に基づき
「100ml中糖質0.5g未満を、糖質0(ゼロ)で表示してOK」
なので糖質が全くなしということではありませんが、血糖への影響は極めて少ないといえます。
江部康二
2012年03月20日 (火)
こんにちは
湿潤療法の創始者、夏井睦(まこと)先生のホームページ「新しい創傷治療」の 更新履歴 new
ここのところ連日、ますます糖質制限食の話題で盛り上がっています。
http://www.wound-treatment.jp/title_new.htm
ドクターを中心に多数の糖質制限体験コメントが載ってます。
ときに、
「これでは創傷治療のサイトか糖質制限のサイトかわからないので創傷治癒だけ扱ってください」
とか苦情メールもくるそうですが、
夏井先生の答えは
『なぜこのサイトで糖質制限を扱うかというと,以前にも書いたように単純に面白いからです。もうすぐ55歳のオッサンのメタボ腹部が見事に凹み,体重が簡単に数キロ落ちたという現実が面白いからです。
「面白い!」というのはあらゆる科学の原点・出発点です。そして・・・糖尿病とは何なのか,糖尿病の治療とはどうあるべきか,という物事の本質が見えてきて,それが医療全般に関連していくのがわかります。それが「面白い」のです。』
と明快です。
夏井先生、先生の文章をかってに転載してすいません。 m(_ _)m
とても面白くて爽快感たっぷりの文章なので記事にさせてもらいました。
それで、なぜこれだけ夏井先生のホームぺージで糖質制限食が受け入れられたのかを、またまたかってに考察?してみました。
もともと夏井先生の「新しい創傷治療」サイトにやってくる読者は、従来の医学常識に囚われずに、自分の頭で考えて、「消毒とガーゼ」という定説から脱却して「傷はぜったい消毒するな」に論理的に切り替わったドクターが多いのだと思います。かく言う私もその一人です。(^^)
しかし、「常識の壁に囚われずに、自分の頭で考える」というのは、存外難しいことで、私自身、兄(江部洋一郎院長・当時)が高雄病院に、1999年に「糖質制限食」を導入してから、受け入れるまで2年もかかったのです。(-_-;)
その点、夏井先生の「新しい創傷治療」サイトにやってくる読者の皆さんは、既に一度ブレイクスルー体験をすませているので、「糖質制限食」VS「カロリー制限食」においても、自分で論理的に考えて、糖質制限食のカロリー制限食に対する有効性・優位性をすんなりと認識されたのだと思います。
良い意味でバイアスのかかった、従来の医学常識に囚われない集団ということですね。
私としても嬉しい限りで、糖質制限食の普及に向けて、夏井睦先生のホームページは多大な貢献をしていただいたと感謝しています。
糖尿病専門医の方々も是非、ブレイクスルーして欲しいものですね。
夏井睦先生とのご縁ですが2011年1月14日(金)高雄病院に、お招きして、新しい創傷治療・湿潤療法について、ご講演いただきました。
その時、糖質制限食のことをお話して、興味をもって頂きました。
以降、夏井先生には、拙著をたくさん、ホームページ経由で販売促進していただき、感謝感謝です。 m(_ _)m
湿潤療法の詳細は、
夏井先生のホームページ
http://www.wound-treatment.jp/
を見て頂くとして、
簡単にいえば、傷に対して
消毒は一切せず
水道水で洗って
ワセリンをぬって
被覆材(ラップ)で保護するだけ。
という、革命的な治療法です。
これで、ほとんどの傷は、痛みを伴うことなく速やかに治ります。
夏井先生の
「傷はぜったい消毒するな 生態系としての皮膚の科学 (光文社新書)2009年」
この本は、医療関係者にも、そうでない人にもとてもわかりやすい内容で名著と思います。
ブログ読者の皆さんも、是非ご一読くださいね。
江部康二
湿潤療法の創始者、夏井睦(まこと)先生のホームページ「新しい創傷治療」の 更新履歴 new
ここのところ連日、ますます糖質制限食の話題で盛り上がっています。
http://www.wound-treatment.jp/title_new.htm
ドクターを中心に多数の糖質制限体験コメントが載ってます。
ときに、
「これでは創傷治療のサイトか糖質制限のサイトかわからないので創傷治癒だけ扱ってください」
とか苦情メールもくるそうですが、
夏井先生の答えは
『なぜこのサイトで糖質制限を扱うかというと,以前にも書いたように単純に面白いからです。もうすぐ55歳のオッサンのメタボ腹部が見事に凹み,体重が簡単に数キロ落ちたという現実が面白いからです。
「面白い!」というのはあらゆる科学の原点・出発点です。そして・・・糖尿病とは何なのか,糖尿病の治療とはどうあるべきか,という物事の本質が見えてきて,それが医療全般に関連していくのがわかります。それが「面白い」のです。』
と明快です。
夏井先生、先生の文章をかってに転載してすいません。 m(_ _)m
とても面白くて爽快感たっぷりの文章なので記事にさせてもらいました。
それで、なぜこれだけ夏井先生のホームぺージで糖質制限食が受け入れられたのかを、またまたかってに考察?してみました。
もともと夏井先生の「新しい創傷治療」サイトにやってくる読者は、従来の医学常識に囚われずに、自分の頭で考えて、「消毒とガーゼ」という定説から脱却して「傷はぜったい消毒するな」に論理的に切り替わったドクターが多いのだと思います。かく言う私もその一人です。(^^)
しかし、「常識の壁に囚われずに、自分の頭で考える」というのは、存外難しいことで、私自身、兄(江部洋一郎院長・当時)が高雄病院に、1999年に「糖質制限食」を導入してから、受け入れるまで2年もかかったのです。(-_-;)
その点、夏井先生の「新しい創傷治療」サイトにやってくる読者の皆さんは、既に一度ブレイクスルー体験をすませているので、「糖質制限食」VS「カロリー制限食」においても、自分で論理的に考えて、糖質制限食のカロリー制限食に対する有効性・優位性をすんなりと認識されたのだと思います。
良い意味でバイアスのかかった、従来の医学常識に囚われない集団ということですね。
私としても嬉しい限りで、糖質制限食の普及に向けて、夏井睦先生のホームページは多大な貢献をしていただいたと感謝しています。
糖尿病専門医の方々も是非、ブレイクスルーして欲しいものですね。
夏井睦先生とのご縁ですが2011年1月14日(金)高雄病院に、お招きして、新しい創傷治療・湿潤療法について、ご講演いただきました。
その時、糖質制限食のことをお話して、興味をもって頂きました。
以降、夏井先生には、拙著をたくさん、ホームページ経由で販売促進していただき、感謝感謝です。 m(_ _)m
湿潤療法の詳細は、
夏井先生のホームページ
http://www.wound-treatment.jp/
を見て頂くとして、
簡単にいえば、傷に対して
消毒は一切せず
水道水で洗って
ワセリンをぬって
被覆材(ラップ)で保護するだけ。
という、革命的な治療法です。
これで、ほとんどの傷は、痛みを伴うことなく速やかに治ります。
夏井先生の
「傷はぜったい消毒するな 生態系としての皮膚の科学 (光文社新書)2009年」
この本は、医療関係者にも、そうでない人にもとてもわかりやすい内容で名著と思います。
ブログ読者の皆さんも、是非ご一読くださいね。
江部康二
2012年03月19日 (月)
こんばんは。
糖尿人とアルコール、アルコールと肝臓・膵臓、アルコールとガンについて、復習を兼ねて考えてみましょう。
アルコールそのものは、血糖値を全く上昇させませんので、適量の飲酒は糖尿病には影響ないと思います。
しかしWHO(世界保健機関)によれば、アルコールは、口腔・咽頭・喉頭・食道・肝臓・大腸と女性の乳房においてガンのリスクとなるそうですので、何と言っても適量ということが大切ですね。
日本の従来の糖尿病治療では、飲酒は原則禁止ですが、一定の条件下で許可されることもあります。
糖尿病専門医研修ガイドブック・改定第4版(2009年)、81ページによれば、その条件は、以下の5項目をクリアしていることです。
1、良好な血糖コントロールが長期にわたって得られている
2、糖尿病の合併症がないか、あっても軽度である
3、脂質代謝異常(特に高中性脂肪血症)がない
4、肝・膵疾患がない
5、決められた上限量を守る患者である
4の肝臓や膵臓の疾患がないことが、条件となっているわけですからアルコールが、肝臓と膵臓に一定の負担をかけることは間違いありませんね。
アルコール性肝障害は大変有名で、皆さんよくご存知と思います。
それから急性膵炎による入院の80%以上を、胆道疾患とアルコール多飲が占めています。
これはアルコール多飲であって、適量なら急性膵炎など起こしません。
また個人差があると思いますが、適量のアルコールなら肝障害にもなりません。
で、5はなかなか耳が痛いですね。(=_=;)
私の場合、1~4は完璧にクリアですので、5だけがハードルが高いです。 (*- -)(*_ _)
それでは、アルコールの適量とはどのくらいなのでしょう?
欧米では、「適量」を守れば糖尿人でも、飲酒OKとしています。
例えば、米国糖尿病協会では、アルコール24g/日を食事と共にとるていどなら適量としています。
30mlの液体のアルコールが、重さとしては24gです。
アルコール24g(30ml)というのは、おおよそ
糖質ゼロ発泡酒350ml缶を2本
辛口ワイン150ml×2杯
ウイスキー30ml(シングル)×3杯
25%の焼酎なら、120mlです。
アルコールそのものは、1gが約7キロカロリーの燃焼エネルギーをもっていますが、摂取時の利用効率は約70%です。
エネルギー源としては、<アルコール→糖質→脂質→タンパク質>の順で利用されます。
またアルコールは、糖質や脂質と違って摂取しても体重増加作用がありませんし、血糖値も上昇させませんし、ビタミンやミネラルにも乏しいので、empty calory と言われています。
なお、アルコールを摂取すると、人体に対する毒物とみなされて優先的に肝臓で分解されますので、その間、同じ補酵素を使う糖新生がブロックされてしまいます。
従って、アルコールを摂取すると結果として、肝臓の糖新生を抑制することとなります。
一定量以上のアルコールを摂取すれば、肝臓の夜間糖新生はブロックされ、翌朝の早朝空腹時血糖値は、下がる可能性が高いです。
また、空腹時に飲んだりすれば、糖新生が抑制される分、インスリン注射やスルフォニル尿素剤を内服している人は、低血糖を起しやすくなるので、充分な注意が必要です。
江部康二
糖尿人とアルコール、アルコールと肝臓・膵臓、アルコールとガンについて、復習を兼ねて考えてみましょう。
アルコールそのものは、血糖値を全く上昇させませんので、適量の飲酒は糖尿病には影響ないと思います。
しかしWHO(世界保健機関)によれば、アルコールは、口腔・咽頭・喉頭・食道・肝臓・大腸と女性の乳房においてガンのリスクとなるそうですので、何と言っても適量ということが大切ですね。
日本の従来の糖尿病治療では、飲酒は原則禁止ですが、一定の条件下で許可されることもあります。
糖尿病専門医研修ガイドブック・改定第4版(2009年)、81ページによれば、その条件は、以下の5項目をクリアしていることです。
1、良好な血糖コントロールが長期にわたって得られている
2、糖尿病の合併症がないか、あっても軽度である
3、脂質代謝異常(特に高中性脂肪血症)がない
4、肝・膵疾患がない
5、決められた上限量を守る患者である
4の肝臓や膵臓の疾患がないことが、条件となっているわけですからアルコールが、肝臓と膵臓に一定の負担をかけることは間違いありませんね。
アルコール性肝障害は大変有名で、皆さんよくご存知と思います。
それから急性膵炎による入院の80%以上を、胆道疾患とアルコール多飲が占めています。
これはアルコール多飲であって、適量なら急性膵炎など起こしません。
また個人差があると思いますが、適量のアルコールなら肝障害にもなりません。
で、5はなかなか耳が痛いですね。(=_=;)
私の場合、1~4は完璧にクリアですので、5だけがハードルが高いです。 (*- -)(*_ _)
それでは、アルコールの適量とはどのくらいなのでしょう?
欧米では、「適量」を守れば糖尿人でも、飲酒OKとしています。
例えば、米国糖尿病協会では、アルコール24g/日を食事と共にとるていどなら適量としています。
30mlの液体のアルコールが、重さとしては24gです。
アルコール24g(30ml)というのは、おおよそ
糖質ゼロ発泡酒350ml缶を2本
辛口ワイン150ml×2杯
ウイスキー30ml(シングル)×3杯
25%の焼酎なら、120mlです。
アルコールそのものは、1gが約7キロカロリーの燃焼エネルギーをもっていますが、摂取時の利用効率は約70%です。
エネルギー源としては、<アルコール→糖質→脂質→タンパク質>の順で利用されます。
またアルコールは、糖質や脂質と違って摂取しても体重増加作用がありませんし、血糖値も上昇させませんし、ビタミンやミネラルにも乏しいので、empty calory と言われています。
なお、アルコールを摂取すると、人体に対する毒物とみなされて優先的に肝臓で分解されますので、その間、同じ補酵素を使う糖新生がブロックされてしまいます。
従って、アルコールを摂取すると結果として、肝臓の糖新生を抑制することとなります。
一定量以上のアルコールを摂取すれば、肝臓の夜間糖新生はブロックされ、翌朝の早朝空腹時血糖値は、下がる可能性が高いです。
また、空腹時に飲んだりすれば、糖新生が抑制される分、インスリン注射やスルフォニル尿素剤を内服している人は、低血糖を起しやすくなるので、充分な注意が必要です。
江部康二
2012年03月18日 (日)
こんばんは。
先ほどテニスから帰って来ました。
ガットを張り替えたのが功を奏したか、とても好調でしたよ。(⌒o⌒)v
さて、てつさんから「白米が糖尿病のリスクを高めるという内容の記事」についてコメントをいただきました。
【12/03/17 てつ
ご無沙汰しています
どうもお久しぶりです。最近週末に糖質制限をさぼり気味のてつです。
糖質制限を見つけてから2年くらいたちましたがヘモクロビンA1cはずっと5.2以下をキープしています。
先生のおかげです、ありがとうございました。
今日、白米が糖尿病のリスクを高めるという内容の記事を見つけたのでこちらにはらせて貰います。
こういう知識が実践する、しないにかかわらず、
一般の方にも広く伝わって欲しいと思います。
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2865580/8651035】
てつさん。
貴重な情報をありがとうございます。
データ改善、良かったです。
英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical Journal、BMJ)」
での論文発表ですから、信頼度は高いです。
「日本と中国で実施された過去の調査では1人あたり1日平均3~4杯の米を食べていたが、米を多く食べた人では2型糖尿病リスクが55%高まった。」
とのことです。(☆)
米飯摂取と糖尿病との関連については、国立がん研究センター、がん予防・検診研究センター研究部による
「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果、
がん予防・検診研究センター研究部のサイト
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/2418.html
で正式に、発表されています。(☆☆)
AJCNという一流雑誌に論文として掲載されました。
(American Journal of Clinical Nutrition 2010年12巻1468-77)
お茶碗1杯が約140gとして、1日に420g以上の米飯を食べる女性は、
有意に糖尿病発症が多いです。
さらに1日に560g以上の米飯を摂取する女性は、もっと糖尿病発症が多いです。
この差は、男性の全体データでは、はっきりしません。
しかし、1日1時間未満の筋肉労働の男性では、米飯摂取が多いと糖尿病発症が有意に増加していました。
一方、1日1時間以上筋肉労働をする男性では、米飯摂取量増加による糖尿病発症の増加はありませんでした。
また、1日1時間未満の筋肉労働の女性では、米飯摂取が多いと糖尿病発症が増加傾向でした。
一方、1日1時間以上筋肉労働をする女性では、米飯摂取量増加による糖尿病発症の増加はありませんでした。
男女とも1日1時間以上の筋肉労働をすれば、ご飯をしっかり食べても糖尿病発症のリスクにならないようです。
一方、1日1時間未満の筋肉労働の人は、男女ともにご飯を多く食べると糖尿病発症のリスクになるということですね。
ご飯好きの人は、しっかり勉強しておきたい情報でした。
江部康二
(☆)
国際ニュースAFPBB News から転載
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2865580/8651035
【白米を多く食べるアジア人、糖尿病リスク55%増 米研究
2012年03月16日 14:54 発信地:パリ/フランス
白米を多く食べると2型糖尿病の発症リスクが高まる恐れがあるとの研究を、米ハーバード大の研究者らが15日の英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical Journal、BMJ)」に発表した。2型糖尿病は一部の国で患者数が急増している。
研究を主導したハーバード公衆衛生大学院(Harvard School of Public Health)の孫齊(Qi Sun)氏は、「アジア系の人々のように白米を多量に摂取することで、2型糖尿病のリスクが高まる可能性があることが分かった」と指摘した。ただし「他の食品についてもよく注意を払うべき」「特定の食品についてだけでなく、食生活全般を調べることが肝要だ」とも述べている。
孫氏の研究チームは、日本、中国、米国、オーストラリアで過去に行われた研究結果を再分析。のべ35万人以上の4~25年間にわたる追跡調査で、1万3000人以上が2型糖尿病を発病していることを確認した。
分析によれば、日中で実施された過去の調査では1人あたり1日平均3~4杯の米を食べていたが、米を多く食べた人では2型糖尿病リスクが55%高まった。一方、1週間に平均1~2杯と米の消費量が圧倒的に少ない米豪では、リスク上昇率は12%にとどまった。
孫氏はこの分析について、調査対象者の食生活について米以外の詳細な情報がないこと、4つの異なった調査をメタ分析したものであることを指摘。結果に100%の確証は得られないとしつつ「調査内容には一貫性があり、白米と糖尿病が関連しているという生物学的妥当性も見いだせる」と結論付けている。その上で、より詳細な調査の必要と、糖分や脂肪分を多く含む食品への引き続きの注意を呼びかけている。
白米は世界で最もよく食べられている米の形態で、もみ米を脱穀・精米して作られ、成分のほとんどがでんぷんになる。
精白前の玄米は繊維やマグネシウム、ビタミンを多く含み、血糖値の上昇しやすさを示す「グリセミック指数(GI値)」も白米と比べて低い。(c)AFP】
***
なお精神科医Aさんから、元の文献の情報をいただきました。
White rice consumption and risk of type 2 diabetes: meta-analysis and systematic review
BMJ2012;344doi: 10.1136/bmj.e1454(Published 15 March 2012)
Cite this as: BMJ2012;344:e1454
www.bmj.com/content/344/bmj.e1454
(☆☆)
以下、がん予防・検診研究センター研究部のサイトから転載
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/2418.html →図表もみることができます。
米飯摂取と糖尿病との関連について
-「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果-
私たちは、いろいろな生活習慣と、がん・脳卒中・心筋梗塞などの病気との関係を明らかにし、日本人の生活習慣病予防に役立てるための研究を行っています。平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の9保健所(呼称は2010年現在)管内にお住まいだった方々のうち、研究開始から5年後に行った調査時に糖尿病やがん、循環器疾患になっていなかった45~74歳の男女約6万人を、5年間追跡した調査結果にもとづいて、米飯摂取と糖尿病発症との関連を調べた結果を、専門誌で論文発表しましたので紹介します(American Journal of Clinical Nutrition 2010年12巻1468-77ページ)。
炭水化物の高摂取は糖尿病のリスクを高めることが諸外国の研究で報告されていますが、米を主食とする日本人において米飯摂取により糖尿病のリスクが高まるかどうかは明らかではありません。そこで、米飯摂取と糖尿病発症との関連について検討しました。
女性で糖尿病発症のリスクが上昇
研究開始から5年後に行なったアンケート調査の結果を用いて、米飯の摂取量により4つのグループに分類し、その後5年間の糖尿病発症(男性625人、女性478人)との関連を調べました。糖尿病の発症は、研究開始10年後に行った自記式調査で、上記追跡期間内に糖尿病と診断されたことがある場合としました。
その結果、女性では米飯摂取が多くなるほど糖尿病発症のリスクが上昇する傾向が認められました。摂取量が最も少ないグループに比べ1日3杯および1日4杯以上のグループでは糖尿病のリスクがそれぞれ1.48倍、1.65倍に上昇していました(図1)。さらに、米飯にあわ・ひえ・麦を混ぜない人に限って調べたところ、より強い関連がみられました。男性でも同様の傾向がみられましたが、統計学的に有意なリスク上昇ではありませんでした。パンやめん類では糖尿病リスクとの関連は認めませんでした。
筋肉労働や激しいスポーツをしない人で、米飯摂取による糖尿病リスクが上昇
筋肉労働や激しいスポーツを1日1時間以上する人としない人に分けて調べたところ、米飯摂取により糖尿病のリスクが上昇する傾向は男女ともにそのような活動をしない人において認められましたが、1日1時間以上する人ではみられませんでした(図2)。
今回の研究では、女性及び筋肉労働をしていない男性において、米飯摂取により糖尿病発症のリスクが上昇するという結果が得られました。その理由として、白米は精白の過程で糖尿病に予防的に働く食物繊維やマグネシウムが失われることや、食後の血糖上昇の指標であるグリセミックインデックスが高いことが挙げられます。筋肉労働や激しいスポーツを1日1時間以上しない人でのみ米飯摂取により糖尿病のリスクが上昇していたことから、身体活動量が高い人では米飯摂取が多くてもエネルギーの消費と摂取のバランスが保たれていることが考えられます。また、女性においては、米飯に雑穀を混ぜない人で糖尿病のリスクがさらに上昇していたことから、糖尿病予防には、日常の身体活動量を増やすとともに、雑穀を取り入れるなどの米飯摂取後の血糖上昇を抑えるような工夫も大切であると考えられます。
今回の研究では、全対象者に実施された食物摂取頻度アンケート調査から、各グループの米飯摂取量(中央値)を算出すると、最も少ないグループは、男性では280g、女性では165g、最も多いグループは、男性では700g、女性では560gでした。これらの値は、対象者の一部に実施されたより直接的な食事記録調査から算出された値と対比すると、男性では9%多く、女性では4%少なく見積もっています。
多目的コホート研究などで用いられる食物摂取頻度アンケート調査は、摂取量による相対的なグループ分けには適していますが、それだけで実際の摂取量を正確に推定するのは難しく、また年齢や時代・居住地域などが限定された対象集団の値を一般化することは適当とは言えませんので、ここに示した摂取量はあくまで参考値にすぎません。
先ほどテニスから帰って来ました。
ガットを張り替えたのが功を奏したか、とても好調でしたよ。(⌒o⌒)v
さて、てつさんから「白米が糖尿病のリスクを高めるという内容の記事」についてコメントをいただきました。
【12/03/17 てつ
ご無沙汰しています
どうもお久しぶりです。最近週末に糖質制限をさぼり気味のてつです。
糖質制限を見つけてから2年くらいたちましたがヘモクロビンA1cはずっと5.2以下をキープしています。
先生のおかげです、ありがとうございました。
今日、白米が糖尿病のリスクを高めるという内容の記事を見つけたのでこちらにはらせて貰います。
こういう知識が実践する、しないにかかわらず、
一般の方にも広く伝わって欲しいと思います。
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2865580/8651035】
てつさん。
貴重な情報をありがとうございます。
データ改善、良かったです。
英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical Journal、BMJ)」
での論文発表ですから、信頼度は高いです。
「日本と中国で実施された過去の調査では1人あたり1日平均3~4杯の米を食べていたが、米を多く食べた人では2型糖尿病リスクが55%高まった。」
とのことです。(☆)
米飯摂取と糖尿病との関連については、国立がん研究センター、がん予防・検診研究センター研究部による
「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果、
がん予防・検診研究センター研究部のサイト
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/2418.html
で正式に、発表されています。(☆☆)
AJCNという一流雑誌に論文として掲載されました。
(American Journal of Clinical Nutrition 2010年12巻1468-77)
お茶碗1杯が約140gとして、1日に420g以上の米飯を食べる女性は、
有意に糖尿病発症が多いです。
さらに1日に560g以上の米飯を摂取する女性は、もっと糖尿病発症が多いです。
この差は、男性の全体データでは、はっきりしません。
しかし、1日1時間未満の筋肉労働の男性では、米飯摂取が多いと糖尿病発症が有意に増加していました。
一方、1日1時間以上筋肉労働をする男性では、米飯摂取量増加による糖尿病発症の増加はありませんでした。
また、1日1時間未満の筋肉労働の女性では、米飯摂取が多いと糖尿病発症が増加傾向でした。
一方、1日1時間以上筋肉労働をする女性では、米飯摂取量増加による糖尿病発症の増加はありませんでした。
男女とも1日1時間以上の筋肉労働をすれば、ご飯をしっかり食べても糖尿病発症のリスクにならないようです。
一方、1日1時間未満の筋肉労働の人は、男女ともにご飯を多く食べると糖尿病発症のリスクになるということですね。
ご飯好きの人は、しっかり勉強しておきたい情報でした。
江部康二
(☆)
国際ニュースAFPBB News から転載
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2865580/8651035
【白米を多く食べるアジア人、糖尿病リスク55%増 米研究
2012年03月16日 14:54 発信地:パリ/フランス
白米を多く食べると2型糖尿病の発症リスクが高まる恐れがあるとの研究を、米ハーバード大の研究者らが15日の英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical Journal、BMJ)」に発表した。2型糖尿病は一部の国で患者数が急増している。
研究を主導したハーバード公衆衛生大学院(Harvard School of Public Health)の孫齊(Qi Sun)氏は、「アジア系の人々のように白米を多量に摂取することで、2型糖尿病のリスクが高まる可能性があることが分かった」と指摘した。ただし「他の食品についてもよく注意を払うべき」「特定の食品についてだけでなく、食生活全般を調べることが肝要だ」とも述べている。
孫氏の研究チームは、日本、中国、米国、オーストラリアで過去に行われた研究結果を再分析。のべ35万人以上の4~25年間にわたる追跡調査で、1万3000人以上が2型糖尿病を発病していることを確認した。
分析によれば、日中で実施された過去の調査では1人あたり1日平均3~4杯の米を食べていたが、米を多く食べた人では2型糖尿病リスクが55%高まった。一方、1週間に平均1~2杯と米の消費量が圧倒的に少ない米豪では、リスク上昇率は12%にとどまった。
孫氏はこの分析について、調査対象者の食生活について米以外の詳細な情報がないこと、4つの異なった調査をメタ分析したものであることを指摘。結果に100%の確証は得られないとしつつ「調査内容には一貫性があり、白米と糖尿病が関連しているという生物学的妥当性も見いだせる」と結論付けている。その上で、より詳細な調査の必要と、糖分や脂肪分を多く含む食品への引き続きの注意を呼びかけている。
白米は世界で最もよく食べられている米の形態で、もみ米を脱穀・精米して作られ、成分のほとんどがでんぷんになる。
精白前の玄米は繊維やマグネシウム、ビタミンを多く含み、血糖値の上昇しやすさを示す「グリセミック指数(GI値)」も白米と比べて低い。(c)AFP】
***
なお精神科医Aさんから、元の文献の情報をいただきました。
White rice consumption and risk of type 2 diabetes: meta-analysis and systematic review
BMJ2012;344doi: 10.1136/bmj.e1454(Published 15 March 2012)
Cite this as: BMJ2012;344:e1454
www.bmj.com/content/344/bmj.e1454
(☆☆)
以下、がん予防・検診研究センター研究部のサイトから転載
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/2418.html →図表もみることができます。
米飯摂取と糖尿病との関連について
-「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果-
私たちは、いろいろな生活習慣と、がん・脳卒中・心筋梗塞などの病気との関係を明らかにし、日本人の生活習慣病予防に役立てるための研究を行っています。平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の9保健所(呼称は2010年現在)管内にお住まいだった方々のうち、研究開始から5年後に行った調査時に糖尿病やがん、循環器疾患になっていなかった45~74歳の男女約6万人を、5年間追跡した調査結果にもとづいて、米飯摂取と糖尿病発症との関連を調べた結果を、専門誌で論文発表しましたので紹介します(American Journal of Clinical Nutrition 2010年12巻1468-77ページ)。
炭水化物の高摂取は糖尿病のリスクを高めることが諸外国の研究で報告されていますが、米を主食とする日本人において米飯摂取により糖尿病のリスクが高まるかどうかは明らかではありません。そこで、米飯摂取と糖尿病発症との関連について検討しました。
女性で糖尿病発症のリスクが上昇
研究開始から5年後に行なったアンケート調査の結果を用いて、米飯の摂取量により4つのグループに分類し、その後5年間の糖尿病発症(男性625人、女性478人)との関連を調べました。糖尿病の発症は、研究開始10年後に行った自記式調査で、上記追跡期間内に糖尿病と診断されたことがある場合としました。
その結果、女性では米飯摂取が多くなるほど糖尿病発症のリスクが上昇する傾向が認められました。摂取量が最も少ないグループに比べ1日3杯および1日4杯以上のグループでは糖尿病のリスクがそれぞれ1.48倍、1.65倍に上昇していました(図1)。さらに、米飯にあわ・ひえ・麦を混ぜない人に限って調べたところ、より強い関連がみられました。男性でも同様の傾向がみられましたが、統計学的に有意なリスク上昇ではありませんでした。パンやめん類では糖尿病リスクとの関連は認めませんでした。
筋肉労働や激しいスポーツをしない人で、米飯摂取による糖尿病リスクが上昇
筋肉労働や激しいスポーツを1日1時間以上する人としない人に分けて調べたところ、米飯摂取により糖尿病のリスクが上昇する傾向は男女ともにそのような活動をしない人において認められましたが、1日1時間以上する人ではみられませんでした(図2)。
今回の研究では、女性及び筋肉労働をしていない男性において、米飯摂取により糖尿病発症のリスクが上昇するという結果が得られました。その理由として、白米は精白の過程で糖尿病に予防的に働く食物繊維やマグネシウムが失われることや、食後の血糖上昇の指標であるグリセミックインデックスが高いことが挙げられます。筋肉労働や激しいスポーツを1日1時間以上しない人でのみ米飯摂取により糖尿病のリスクが上昇していたことから、身体活動量が高い人では米飯摂取が多くてもエネルギーの消費と摂取のバランスが保たれていることが考えられます。また、女性においては、米飯に雑穀を混ぜない人で糖尿病のリスクがさらに上昇していたことから、糖尿病予防には、日常の身体活動量を増やすとともに、雑穀を取り入れるなどの米飯摂取後の血糖上昇を抑えるような工夫も大切であると考えられます。
今回の研究では、全対象者に実施された食物摂取頻度アンケート調査から、各グループの米飯摂取量(中央値)を算出すると、最も少ないグループは、男性では280g、女性では165g、最も多いグループは、男性では700g、女性では560gでした。これらの値は、対象者の一部に実施されたより直接的な食事記録調査から算出された値と対比すると、男性では9%多く、女性では4%少なく見積もっています。
多目的コホート研究などで用いられる食物摂取頻度アンケート調査は、摂取量による相対的なグループ分けには適していますが、それだけで実際の摂取量を正確に推定するのは難しく、また年齢や時代・居住地域などが限定された対象集団の値を一般化することは適当とは言えませんので、ここに示した摂取量はあくまで参考値にすぎません。
2012年03月16日 (金)
こんにちは。
ブログ読者の皆さん、朗報です。ヾ(^▽^)
【ADA(米国糖尿病学会)が糖質制限食を格上げ! 次期声明改訂に向け系統的レビュー
糖尿病治療に有効な食事療法は?
北里研究所病院糖尿病センター 山田 悟】
医師のための専門情報サイト「MT Pro」に、2012年3月14日、上記の表題の記事が掲載されました。
北里研究所病院糖尿病センター長・山田悟先生が詳しく解説しておられますのでご参照ください。(*)
2008年のADAの栄養勧告「Nutrition Position Statement」では、
Diabetes Care January 2008 vol. 31 no. Supplement 1 S61-S78
•炭水化物をモニタリングすることは、炭水化物計算(カーボカウント)にしろ、炭水化物交換にしろ、経験に基づく評価にしろ、血糖コントロールを達成するための鍵となる戦略である。
*炭水化物を日常的に継続的に点検することを、強く推奨。 (A)
•減量が望まれる糖尿病患者には低カロリー食または低炭水化物食によるダイエットが推奨される。(A)
→2007年版までは「炭水化物を1日130グラム以下に制限することは推奨できない」と糖質制限食を否定。
2008年版で初の肯定的見解が出され、2011年には有益性保証期間を1年から2年に延長し、2012年勧告まで継続。
すなわち、2008年版では糖質制限食に対して初めて肯定的な見解がだされましたが「減量が望まれる糖尿病患者」という縛りがありました。
それが今回、2012年の、Diabetes Care(2012; 35: 434-445)のレビューでは、
『2002年以降の低糖質食(糖質に由来するエネルギー摂取が全エネルギーの40%未満)に関する研究11件のサマリー
糖質摂取を減少させる試験においては,血糖管理とインスリン感受性が改善していた。ただし,試験はいずれも小規模で短期間であり,いくつかはランダム化されておらず,脱落率が高かった。血清脂質は典型的には糖質摂取の減少に伴って改善していた。しかし,HDLコレステロール(HDL-C)を除くと,対照食に比較して統計学的に有意な改善ではなかった。体重減量のこれらの改善への寄与は,これらの試験のいくつかでは明確ではなかった。』
と、いろいろ書いてありますが、何はともあれ、「低糖質食で血糖管理とインスリン感受性が改善、HDLコレステロールの有意な改善」と述べていますので、2008年に比し、2012年は糖質制限食がかなりの評価上昇です。
一方、今回のレビュー、低脂質食は「一般に血糖管理や心血管疾患リスクを改善させなかった。」と
明言しています。
このように低脂質食の評価は、明確に下がっています。
山田悟先生も
【今回のレビューにおいて「カロリー制限」は検索用語として採用されなかった。このことは,減量にはカロリー制限食を採用しても,糖尿病治療にはカロリー制限は考えないということが欧米の共通の概念であることを示すのかもしれない(Nutr Metab Cardiovasc Dis 2004; 14: 373-394)。
一方,今回のレビューにおいては,真っ先に「低脂質ダイエット」「低糖質ダイエット」が検索用語として取り上げられており,この2つが糖尿病治療食として一般に受容されていることが示唆される。そして,サマリーに挙げたように,糖質制限食は糖尿病治療や心血管疾患リスクの管理に有効である一方で,低脂質食は糖尿病治療への有効性を示すことはなかったのである。次回のADAのPosition Statementの改訂において,減量のためのみならず,糖尿病治療食としても糖質制限食が受容されることは必然と考えてよいであろう】
と、述べて、今回のDiabetes Care(2012; 35: 434-445)のレビューが、糖質制限食にポジティブな方向の見解にシフトしたと考察されています。
なお、山田先生はニュートラルな立場から、糖質制限食には以下のような課題があるとされています。
(1)糖質制限食の定義(糖質量の上限)が定まっていない
(2)糖質制限食の定義にケトン産生食を包含するか(糖質量の下限)が定まっていない
(3)カロリー制限食とのすみ分けの方法が定まっていない
(4)モニタリングすべき指標が定まっていない
江部康二
(*)MT Pro から転載
研究の背景:ADAが有効性を認めたのは体重の減量についてのみ
米国糖尿病学会(ADA)は数年に1回,Nutrition Position Statement(ADAの栄養に関する立場を示した声明)を更新している。最新のものは2008年に発表された(Diabetes Care 2008; 31: S61-78)。この声明の特徴は,日米欧の糖尿病学会で,初めて糖質制限食の有効性を公式にカロリー制限食と同等に認めたところにある。しかし,糖質制限食にせよ,カロリー制限食にせよ,その有効性を認めたのは体重の減量についてであり,糖尿病の治療として有効な食事療法としては炭水化物のモニタリング(カーボカウント)を支持するのみで,糖質制限食もカロリー制限食も取り上げていなかった。
このたび,次の声明の改訂に向けて,糖尿病治療のための食事療法に関する系統的レビューがDiabetes Care(2012; 35: 434-445)に掲載されたのでご紹介したい。
研究のポイント:2001~10年の糖尿病食事療法に関する研究を網羅的に検証
本レビューは2001年1月~2010年10月に英文で報告された糖尿病治療のための食事療法に関する研究を網羅的に検証したものであり,PubMedデータベースを用いて「糖尿病」という単語と,以下の複数の単語のうちのいずれかとの組み合わせで検索された〔低脂質ダイエット,低糖質ダイエット,地中海ダイエット,地中海式食事法,菜食主義,グリセミック指数(GI),食事中糖質,食事中蛋白質,全脂質,食事中脂質,飽和脂肪,ω-3脂肪酸,食物繊維,肉,野菜,ナッツ,果物,野菜,全粒穀物,牛乳など〕。
逆に,以下の用語は検索には使用されなかった(トランス脂肪酸,単価不飽和脂肪酸,多価不飽和脂肪酸,蔗糖,砂糖)。
本レビューでは98件の論文が採用され,以下の4つの設問に答えを導き出すようにその内容が吟味された。
Q1. 糖尿病患者の血糖管理や心血管疾患リスクに影響を与えるのはどのような栄養素の質あるいは量なのか?
Q2. 特定の食生活スタイル(地中海式,菜食主義など)は糖尿病患者の健康に影響を与えるのか?
Q3. 糖尿病患者にとって血糖管理や心血管疾患リスク減少に最適な三大栄養素比率は存在するのか?
Q4. 将来の研究はどのようなことに焦点を当てるべきなのか?
スペースの都合で,本稿ではサマリーの部分をご紹介していくこととする。
Q1. 栄養素についての検討について
【炭水化物についてのサマリー】
糖質については以下のような3つのサマリーが記載されていた。
2002年以降の低糖質食(糖質に由来するエネルギー摂取が全エネルギーの40%未満)に関する研究11件のサマリー
糖質摂取を減少させる試験においては,血糖管理とインスリン感受性が改善していた。ただし,試験はいずれも小規模で短期間であり,いくつかはランダム化されておらず,脱落率が高かった。血清脂質は典型的には糖質摂取の減少に伴って改善していた。しかし,HDLコレステロール(HDL-C)を除くと,対照食に比較して統計学的に有意な改善ではなかった。体重減量のこれらの改善への寄与は,これらの試験のいくつかでは明確ではなかった。
2002年以降の中等度~高糖質食(糖質に由来するエネルギー摂取が全エネルギーの40%以上)に関する研究10件のサマリー
10件のうち8件がランダム化比較試験(RCT)で2件はメタ解析であったが,RCTのうち6件では血糖管理について対照食との間に有意差が示されなかった。対照食と有意差を示した2件のRCTのうち,1件はサブグループ解析のみではあるものの高糖質食によるHbA1cの改善を示した一方で,残る1件では高糖質食の方がHbA1cが高かった。心血管疾患リスクについては,1件の試験においては高糖質食でのLDLコレステロール(LDL-C)の改善を示したが,2件の試験においては高糖質食でトリグリセライド(TG)が悪化していた。
2002年以降のGIに関する研究15件のサマリー
一般には低GI食と高GI食あるいは別の対照食とで血糖管理や心血管疾患リスクについての差異はほとんどない。しかしながら,食物繊維が交絡因子となっているに違いない。また,低GI食の定義の標準化や低GI食での脱落率を少なくさせることが必要である。
食物繊維については以下のような1つのサマリーが記載されていた。
2002年以降の食物繊維に関する研究15件のサマリー
中等量(4~19g/日)の食物繊維サプリメントが血糖管理や心血管疾患リスクのわずかな改善につながることを,大多数の試験が示唆している。
【脂質についてのサマリー】
脂質については以下の3件のサマリーが記載されていた。
2002年以降の低脂質食に関する研究9件のサマリー
糖尿病患者が参加した臨床試験において,脂質摂取を低下させることは,一般に血糖管理や心血管疾患リスクを改善させなかった。しかし,脂質摂取を低下させることは総コレステロールやLDL-Cを改善させるかもしれない。ただし,同様にHDL-Cも下げてしまうかもしれない。
2002年以降の飽和脂肪酸に関する研究1件のサマリー
検索できた1件の試験においては,全脂質摂取が同等である限りにおいて,脂肪酸の種類や量により,食後血糖が影響を受けることはないことが示された。今後の研究の方向性として,飽和脂肪酸を減らし,単価不飽和脂肪酸を増やすことは,GLP-1活性を高め,それにより食後TGを低下させるかもしれない。
2002年以降のω-3脂肪酸についての研究10件のサマリー
全体として見ると,ω-3脂肪酸の投与は,血糖管理は改善させないが,TGの減少によって心血管疾患リスクに良い影響を与えるかもしれない。HDL-Cの増加やLDL-Cの低下といったそのほかの利益は明確にはなっていない。
【蛋白質についてのサマリー】
蛋白質については,明確に糖尿病性腎疾患(Diabetic Kidney Disease;DKD)の合併の有無によって分けられていた。
2002年以降の蛋白質についての研究14件のサマリー
DKDのない患者にとっては,高蛋白食(全エネルギー比率30%)は血糖管理を改善するかもしれないし,改善しないかもしれない。しかし,1つ以上の心血管疾患リスクを改善するように思われる。
DKDのある患者にとっては,通常レベルの蛋白摂取から蛋白制限をすることは血糖管理,心血管疾患リスクならびに糸球体濾過量(GFR)の変化過程を改善させないように思われる。顕性蛋白尿を伴うDKD患者が,蛋白源を動物由来から大豆由来に変更することは,心血管疾患リスクを改善するかもしれないが,蛋白尿に対しては変化を与えない。
Q2. 食生活スタイルについて
【地中海式ダイエットなどについてのサマリー】
地中海式ダイエット(8件の試験)については,血糖管理に関しての有益性はなさそうに思われる。ただし,HDL-CやTGについては改善させるかもしれない。菜食主義(4件の試験)については試験が限定されており,方法論としての問題もあるため,現時点では何もいえない。
Q3. 最適な三大栄養素比率について
方法論上の問題や体重減量の影響などもあり,最適な三大栄養素比率を求めることは難しい。
Q4. 将来の研究の方向性について
今後の研究課題として,以下のようなことが残されている。
食事法によって反応して変化し,糖尿病患者の予後と関連することが疫学的研究によって示されているアディポネクチンの役割は何か。
食物繊維や全粒穀物の摂取とインスリン感受性や炎症マーカーの改善との関係性はいかなるものか。
その摂取が心血管疾患死亡率,特に突然死の減少と関連しているω-3脂肪酸が,脂肪組織における炎症,血栓症,脂質代謝に対して果たす役割は何か。
低糖質食が腎症のような合併症に対して与える長期の影響はどのようなものか。
食後高血糖が炎症反応やそれに続く心血管疾患リスクに与える影響はどのようなものか。
私の考察:糖質制限食は糖尿病治療としても受容された―しかし課題は残る
わが国の糖尿病治療においては,伝統的に以下のような概念がコンセンサスとして採用されてきた。
カロリー制限食が糖尿病治療に有効
中糖質食(エネルギー比率50~60%)にすべき
低脂質食(エネルギー比率<25%)にすべき
蛋白質は標準的なレベル(1.0~1.2g/kg標準体重)で摂取すべき
しかし,今回のレビューにおいて「カロリー制限」は検索用語として採用されなかった。このことは,減量にはカロリー制限食を採用しても,糖尿病治療にはカロリー制限は考えないということが欧米の共通の概念であることを示すのかもしれない(Nutr Metab Cardiovasc Dis 2004; 14: 373-394)。
一方,今回のレビューにおいては,真っ先に「低脂質ダイエット」「低糖質ダイエット」が検索用語として取り上げられており,この2つが糖尿病治療食として一般に受容されていることが示唆される。そして,サマリーに挙げたように,糖質制限食は糖尿病治療や心血管疾患リスクの管理に有効である一方で,低脂質食は糖尿病治療への有効性を示すことはなかったのである。次回のADAのPosition Statementの改訂において,減量のためのみならず,糖尿病治療食としても糖質制限食が受容されることは必然と考えてよいであろう。
わたしは,日本糖尿病学会としても糖質制限食を受容すべき時期に来ていると思うが,それでも,糖質制限食には以下のような課題が残されていると考えている。
(1)糖質制限食の定義(糖質量の上限)が定まっていない
これまでも糖質制限食の定義が定まっていないことが問題とされることはあったが,これからガイドラインなどで公式に取り上げていくためにはきちんとした定義が必要である。実際,「糖質制限食」と「低糖質食」という用語も(わたし自身も含めて)区別されずに使用されている。なお,これまでの定義としては以下のようなものが提唱されている。
今回のADAレビューでの定義:糖質由来のエネルギーが全エネルギー比率40%未満
Bernstein(Accurso)の定義:1日糖質量130g以下(または全エネルギーの26%以下)(Nutr Metab 2008; 5: 9)
Westmanの定義:1日の糖質量50~150g(Am J Clin Nutr 2007; 86: 276-284)
わたしの定義:(1日の糖質量130g以下で,なおかつ)1食の糖質量20~40g
(2)糖質制限食の定義にケトン産生食を包含するか(糖質量の下限)が定まっていない
わが国のカロリー制限食は標準体重に25~30を乗してカロリーを求めることになっており,超低カロリー食(Very Low Calory Diet;VLCD:一般に1日450kcal以下で減量に有効であるが,入院の上で厳重な監視の下に実施することが求められる食事療法)は概念の中に入ってこない。同様に糖質制限食の中にケトン産生食のレベルの極端な糖質制限を包含するかどうかが定まっていない。
ちなみに,上述のWestmanおよびわたしの定義では糖質制限食の糖質に下限を付けてケトン産生食を除外することを求めている。基本的には下限を設けてケトン産生食を除外しておくべきなのであろう。
(3)カロリー制限食とのすみ分けの方法が定まっていない
米国のようにBMI 30超の患者が数多くいる国においては,カロリー制限食が実現困難な食事療法であることは間違いないであろう。しかし,少なくともわが国においては標準体重当たり25~30kcalのカロリー制限食が実臨床の現場で有効であったことは確かである。このカロリー制限食と糖質制限食との位置付けをはっきりした形で受容しないと実臨床の現場に混乱が生じかねない。
(4)モニタリングすべき指標が定まっていない
今回のレビューにおいては,高脂質食や高蛋白食の懸念点ははっきりしなかったように思う。しかし,糖質制限食にちゅうちょされる医師の多くが,糖質を制限すると脂質あるいは蛋白摂取が過剰になることに懸念を表明しておられるようである。よって,実際にそれらの問題が生じるのかを検証すべきである。また,これらが生じることがはっきりしたときには,何をモニタリングしていればそれらの問題の発生を未然に防ぐことができるのかを明らかにしておくべきであろう。
実は,今年(2012年)5月17~19日にパシフィコ横浜で開催される第55回日本糖尿病学会年次学術集会(会長:渥美義仁氏)において,適正な食事中の糖質量について考えるセッションが組まれることとなった。渥美会長のご英断に感謝申し上げるとともに,上記のような課題について考える機会とすべく多くの先生方のご参集をお願いしたいところである。
山田 悟(やまだ さとる)
1994年,慶應義塾大学医学部を卒業し,同大学内科学教室に入局。東京都済生会中央病院などの勤務を経て,2002年から北里研究所病院で勤務。現在,同院糖尿病センター長。診療に従事する傍ら,2型糖尿病についての臨床研究や1型糖尿病の動物実験を進める。日本糖尿病学会の糖尿病専門医および指導医。
ブログ読者の皆さん、朗報です。ヾ(^▽^)
【ADA(米国糖尿病学会)が糖質制限食を格上げ! 次期声明改訂に向け系統的レビュー
糖尿病治療に有効な食事療法は?
北里研究所病院糖尿病センター 山田 悟】
医師のための専門情報サイト「MT Pro」に、2012年3月14日、上記の表題の記事が掲載されました。
北里研究所病院糖尿病センター長・山田悟先生が詳しく解説しておられますのでご参照ください。(*)
2008年のADAの栄養勧告「Nutrition Position Statement」では、
Diabetes Care January 2008 vol. 31 no. Supplement 1 S61-S78
•炭水化物をモニタリングすることは、炭水化物計算(カーボカウント)にしろ、炭水化物交換にしろ、経験に基づく評価にしろ、血糖コントロールを達成するための鍵となる戦略である。
*炭水化物を日常的に継続的に点検することを、強く推奨。 (A)
•減量が望まれる糖尿病患者には低カロリー食または低炭水化物食によるダイエットが推奨される。(A)
→2007年版までは「炭水化物を1日130グラム以下に制限することは推奨できない」と糖質制限食を否定。
2008年版で初の肯定的見解が出され、2011年には有益性保証期間を1年から2年に延長し、2012年勧告まで継続。
すなわち、2008年版では糖質制限食に対して初めて肯定的な見解がだされましたが「減量が望まれる糖尿病患者」という縛りがありました。
それが今回、2012年の、Diabetes Care(2012; 35: 434-445)のレビューでは、
『2002年以降の低糖質食(糖質に由来するエネルギー摂取が全エネルギーの40%未満)に関する研究11件のサマリー
糖質摂取を減少させる試験においては,血糖管理とインスリン感受性が改善していた。ただし,試験はいずれも小規模で短期間であり,いくつかはランダム化されておらず,脱落率が高かった。血清脂質は典型的には糖質摂取の減少に伴って改善していた。しかし,HDLコレステロール(HDL-C)を除くと,対照食に比較して統計学的に有意な改善ではなかった。体重減量のこれらの改善への寄与は,これらの試験のいくつかでは明確ではなかった。』
と、いろいろ書いてありますが、何はともあれ、「低糖質食で血糖管理とインスリン感受性が改善、HDLコレステロールの有意な改善」と述べていますので、2008年に比し、2012年は糖質制限食がかなりの評価上昇です。
一方、今回のレビュー、低脂質食は「一般に血糖管理や心血管疾患リスクを改善させなかった。」と
明言しています。
このように低脂質食の評価は、明確に下がっています。
山田悟先生も
【今回のレビューにおいて「カロリー制限」は検索用語として採用されなかった。このことは,減量にはカロリー制限食を採用しても,糖尿病治療にはカロリー制限は考えないということが欧米の共通の概念であることを示すのかもしれない(Nutr Metab Cardiovasc Dis 2004; 14: 373-394)。
一方,今回のレビューにおいては,真っ先に「低脂質ダイエット」「低糖質ダイエット」が検索用語として取り上げられており,この2つが糖尿病治療食として一般に受容されていることが示唆される。そして,サマリーに挙げたように,糖質制限食は糖尿病治療や心血管疾患リスクの管理に有効である一方で,低脂質食は糖尿病治療への有効性を示すことはなかったのである。次回のADAのPosition Statementの改訂において,減量のためのみならず,糖尿病治療食としても糖質制限食が受容されることは必然と考えてよいであろう】
と、述べて、今回のDiabetes Care(2012; 35: 434-445)のレビューが、糖質制限食にポジティブな方向の見解にシフトしたと考察されています。
なお、山田先生はニュートラルな立場から、糖質制限食には以下のような課題があるとされています。
(1)糖質制限食の定義(糖質量の上限)が定まっていない
(2)糖質制限食の定義にケトン産生食を包含するか(糖質量の下限)が定まっていない
(3)カロリー制限食とのすみ分けの方法が定まっていない
(4)モニタリングすべき指標が定まっていない
江部康二
(*)MT Pro から転載
研究の背景:ADAが有効性を認めたのは体重の減量についてのみ
米国糖尿病学会(ADA)は数年に1回,Nutrition Position Statement(ADAの栄養に関する立場を示した声明)を更新している。最新のものは2008年に発表された(Diabetes Care 2008; 31: S61-78)。この声明の特徴は,日米欧の糖尿病学会で,初めて糖質制限食の有効性を公式にカロリー制限食と同等に認めたところにある。しかし,糖質制限食にせよ,カロリー制限食にせよ,その有効性を認めたのは体重の減量についてであり,糖尿病の治療として有効な食事療法としては炭水化物のモニタリング(カーボカウント)を支持するのみで,糖質制限食もカロリー制限食も取り上げていなかった。
このたび,次の声明の改訂に向けて,糖尿病治療のための食事療法に関する系統的レビューがDiabetes Care(2012; 35: 434-445)に掲載されたのでご紹介したい。
研究のポイント:2001~10年の糖尿病食事療法に関する研究を網羅的に検証
本レビューは2001年1月~2010年10月に英文で報告された糖尿病治療のための食事療法に関する研究を網羅的に検証したものであり,PubMedデータベースを用いて「糖尿病」という単語と,以下の複数の単語のうちのいずれかとの組み合わせで検索された〔低脂質ダイエット,低糖質ダイエット,地中海ダイエット,地中海式食事法,菜食主義,グリセミック指数(GI),食事中糖質,食事中蛋白質,全脂質,食事中脂質,飽和脂肪,ω-3脂肪酸,食物繊維,肉,野菜,ナッツ,果物,野菜,全粒穀物,牛乳など〕。
逆に,以下の用語は検索には使用されなかった(トランス脂肪酸,単価不飽和脂肪酸,多価不飽和脂肪酸,蔗糖,砂糖)。
本レビューでは98件の論文が採用され,以下の4つの設問に答えを導き出すようにその内容が吟味された。
Q1. 糖尿病患者の血糖管理や心血管疾患リスクに影響を与えるのはどのような栄養素の質あるいは量なのか?
Q2. 特定の食生活スタイル(地中海式,菜食主義など)は糖尿病患者の健康に影響を与えるのか?
Q3. 糖尿病患者にとって血糖管理や心血管疾患リスク減少に最適な三大栄養素比率は存在するのか?
Q4. 将来の研究はどのようなことに焦点を当てるべきなのか?
スペースの都合で,本稿ではサマリーの部分をご紹介していくこととする。
Q1. 栄養素についての検討について
【炭水化物についてのサマリー】
糖質については以下のような3つのサマリーが記載されていた。
2002年以降の低糖質食(糖質に由来するエネルギー摂取が全エネルギーの40%未満)に関する研究11件のサマリー
糖質摂取を減少させる試験においては,血糖管理とインスリン感受性が改善していた。ただし,試験はいずれも小規模で短期間であり,いくつかはランダム化されておらず,脱落率が高かった。血清脂質は典型的には糖質摂取の減少に伴って改善していた。しかし,HDLコレステロール(HDL-C)を除くと,対照食に比較して統計学的に有意な改善ではなかった。体重減量のこれらの改善への寄与は,これらの試験のいくつかでは明確ではなかった。
2002年以降の中等度~高糖質食(糖質に由来するエネルギー摂取が全エネルギーの40%以上)に関する研究10件のサマリー
10件のうち8件がランダム化比較試験(RCT)で2件はメタ解析であったが,RCTのうち6件では血糖管理について対照食との間に有意差が示されなかった。対照食と有意差を示した2件のRCTのうち,1件はサブグループ解析のみではあるものの高糖質食によるHbA1cの改善を示した一方で,残る1件では高糖質食の方がHbA1cが高かった。心血管疾患リスクについては,1件の試験においては高糖質食でのLDLコレステロール(LDL-C)の改善を示したが,2件の試験においては高糖質食でトリグリセライド(TG)が悪化していた。
2002年以降のGIに関する研究15件のサマリー
一般には低GI食と高GI食あるいは別の対照食とで血糖管理や心血管疾患リスクについての差異はほとんどない。しかしながら,食物繊維が交絡因子となっているに違いない。また,低GI食の定義の標準化や低GI食での脱落率を少なくさせることが必要である。
食物繊維については以下のような1つのサマリーが記載されていた。
2002年以降の食物繊維に関する研究15件のサマリー
中等量(4~19g/日)の食物繊維サプリメントが血糖管理や心血管疾患リスクのわずかな改善につながることを,大多数の試験が示唆している。
【脂質についてのサマリー】
脂質については以下の3件のサマリーが記載されていた。
2002年以降の低脂質食に関する研究9件のサマリー
糖尿病患者が参加した臨床試験において,脂質摂取を低下させることは,一般に血糖管理や心血管疾患リスクを改善させなかった。しかし,脂質摂取を低下させることは総コレステロールやLDL-Cを改善させるかもしれない。ただし,同様にHDL-Cも下げてしまうかもしれない。
2002年以降の飽和脂肪酸に関する研究1件のサマリー
検索できた1件の試験においては,全脂質摂取が同等である限りにおいて,脂肪酸の種類や量により,食後血糖が影響を受けることはないことが示された。今後の研究の方向性として,飽和脂肪酸を減らし,単価不飽和脂肪酸を増やすことは,GLP-1活性を高め,それにより食後TGを低下させるかもしれない。
2002年以降のω-3脂肪酸についての研究10件のサマリー
全体として見ると,ω-3脂肪酸の投与は,血糖管理は改善させないが,TGの減少によって心血管疾患リスクに良い影響を与えるかもしれない。HDL-Cの増加やLDL-Cの低下といったそのほかの利益は明確にはなっていない。
【蛋白質についてのサマリー】
蛋白質については,明確に糖尿病性腎疾患(Diabetic Kidney Disease;DKD)の合併の有無によって分けられていた。
2002年以降の蛋白質についての研究14件のサマリー
DKDのない患者にとっては,高蛋白食(全エネルギー比率30%)は血糖管理を改善するかもしれないし,改善しないかもしれない。しかし,1つ以上の心血管疾患リスクを改善するように思われる。
DKDのある患者にとっては,通常レベルの蛋白摂取から蛋白制限をすることは血糖管理,心血管疾患リスクならびに糸球体濾過量(GFR)の変化過程を改善させないように思われる。顕性蛋白尿を伴うDKD患者が,蛋白源を動物由来から大豆由来に変更することは,心血管疾患リスクを改善するかもしれないが,蛋白尿に対しては変化を与えない。
Q2. 食生活スタイルについて
【地中海式ダイエットなどについてのサマリー】
地中海式ダイエット(8件の試験)については,血糖管理に関しての有益性はなさそうに思われる。ただし,HDL-CやTGについては改善させるかもしれない。菜食主義(4件の試験)については試験が限定されており,方法論としての問題もあるため,現時点では何もいえない。
Q3. 最適な三大栄養素比率について
方法論上の問題や体重減量の影響などもあり,最適な三大栄養素比率を求めることは難しい。
Q4. 将来の研究の方向性について
今後の研究課題として,以下のようなことが残されている。
食事法によって反応して変化し,糖尿病患者の予後と関連することが疫学的研究によって示されているアディポネクチンの役割は何か。
食物繊維や全粒穀物の摂取とインスリン感受性や炎症マーカーの改善との関係性はいかなるものか。
その摂取が心血管疾患死亡率,特に突然死の減少と関連しているω-3脂肪酸が,脂肪組織における炎症,血栓症,脂質代謝に対して果たす役割は何か。
低糖質食が腎症のような合併症に対して与える長期の影響はどのようなものか。
食後高血糖が炎症反応やそれに続く心血管疾患リスクに与える影響はどのようなものか。
私の考察:糖質制限食は糖尿病治療としても受容された―しかし課題は残る
わが国の糖尿病治療においては,伝統的に以下のような概念がコンセンサスとして採用されてきた。
カロリー制限食が糖尿病治療に有効
中糖質食(エネルギー比率50~60%)にすべき
低脂質食(エネルギー比率<25%)にすべき
蛋白質は標準的なレベル(1.0~1.2g/kg標準体重)で摂取すべき
しかし,今回のレビューにおいて「カロリー制限」は検索用語として採用されなかった。このことは,減量にはカロリー制限食を採用しても,糖尿病治療にはカロリー制限は考えないということが欧米の共通の概念であることを示すのかもしれない(Nutr Metab Cardiovasc Dis 2004; 14: 373-394)。
一方,今回のレビューにおいては,真っ先に「低脂質ダイエット」「低糖質ダイエット」が検索用語として取り上げられており,この2つが糖尿病治療食として一般に受容されていることが示唆される。そして,サマリーに挙げたように,糖質制限食は糖尿病治療や心血管疾患リスクの管理に有効である一方で,低脂質食は糖尿病治療への有効性を示すことはなかったのである。次回のADAのPosition Statementの改訂において,減量のためのみならず,糖尿病治療食としても糖質制限食が受容されることは必然と考えてよいであろう。
わたしは,日本糖尿病学会としても糖質制限食を受容すべき時期に来ていると思うが,それでも,糖質制限食には以下のような課題が残されていると考えている。
(1)糖質制限食の定義(糖質量の上限)が定まっていない
これまでも糖質制限食の定義が定まっていないことが問題とされることはあったが,これからガイドラインなどで公式に取り上げていくためにはきちんとした定義が必要である。実際,「糖質制限食」と「低糖質食」という用語も(わたし自身も含めて)区別されずに使用されている。なお,これまでの定義としては以下のようなものが提唱されている。
今回のADAレビューでの定義:糖質由来のエネルギーが全エネルギー比率40%未満
Bernstein(Accurso)の定義:1日糖質量130g以下(または全エネルギーの26%以下)(Nutr Metab 2008; 5: 9)
Westmanの定義:1日の糖質量50~150g(Am J Clin Nutr 2007; 86: 276-284)
わたしの定義:(1日の糖質量130g以下で,なおかつ)1食の糖質量20~40g
(2)糖質制限食の定義にケトン産生食を包含するか(糖質量の下限)が定まっていない
わが国のカロリー制限食は標準体重に25~30を乗してカロリーを求めることになっており,超低カロリー食(Very Low Calory Diet;VLCD:一般に1日450kcal以下で減量に有効であるが,入院の上で厳重な監視の下に実施することが求められる食事療法)は概念の中に入ってこない。同様に糖質制限食の中にケトン産生食のレベルの極端な糖質制限を包含するかどうかが定まっていない。
ちなみに,上述のWestmanおよびわたしの定義では糖質制限食の糖質に下限を付けてケトン産生食を除外することを求めている。基本的には下限を設けてケトン産生食を除外しておくべきなのであろう。
(3)カロリー制限食とのすみ分けの方法が定まっていない
米国のようにBMI 30超の患者が数多くいる国においては,カロリー制限食が実現困難な食事療法であることは間違いないであろう。しかし,少なくともわが国においては標準体重当たり25~30kcalのカロリー制限食が実臨床の現場で有効であったことは確かである。このカロリー制限食と糖質制限食との位置付けをはっきりした形で受容しないと実臨床の現場に混乱が生じかねない。
(4)モニタリングすべき指標が定まっていない
今回のレビューにおいては,高脂質食や高蛋白食の懸念点ははっきりしなかったように思う。しかし,糖質制限食にちゅうちょされる医師の多くが,糖質を制限すると脂質あるいは蛋白摂取が過剰になることに懸念を表明しておられるようである。よって,実際にそれらの問題が生じるのかを検証すべきである。また,これらが生じることがはっきりしたときには,何をモニタリングしていればそれらの問題の発生を未然に防ぐことができるのかを明らかにしておくべきであろう。
実は,今年(2012年)5月17~19日にパシフィコ横浜で開催される第55回日本糖尿病学会年次学術集会(会長:渥美義仁氏)において,適正な食事中の糖質量について考えるセッションが組まれることとなった。渥美会長のご英断に感謝申し上げるとともに,上記のような課題について考える機会とすべく多くの先生方のご参集をお願いしたいところである。
山田 悟(やまだ さとる)
1994年,慶應義塾大学医学部を卒業し,同大学内科学教室に入局。東京都済生会中央病院などの勤務を経て,2002年から北里研究所病院で勤務。現在,同院糖尿病センター長。診療に従事する傍ら,2型糖尿病についての臨床研究や1型糖尿病の動物実験を進める。日本糖尿病学会の糖尿病専門医および指導医。
2012年03月15日 (木)
こんばんは。
なおさんから、コミック、クッキングパパに糖質制限ダイエットが!
という楽しいコメントをいただきました。
【12/03/15 なおさん
コミック、クッキングパパに糖質制限ダイエットが!
本日発売のコミック雑誌「モーニング」に掲載のクッキングパパに糖質制限ダイエットが取り上げられていました。時間がないのでご報告まで。】
なおさん。
情報ありがとうございます。
不肖、江部康二、週刊モーニングは毎週購入して(立ち読みではなくて)読んでます。
今週号(2012.3.29)は久しぶりに、井上雄彦氏の「バガボンド」が載りました。
神の雫、社長・島耕作、特上カバチ、グラゼニ・・・
なかなか面白い漫画が多いです。
クッキングパパも読んでいるのですが、今週号は昼休みに焦って読んだので飛ばし読みで、糖質制限食のことが書いてあるのに気がつきませんでした。
なおさんに、コメントいただいて今、熟読? しています。
糖質制限食で登場人物が30kg減量成功というお話しです。
そして、その恋人がつくる糖質制限OKメニュー「豆腐グラタン」のレシピが、クッキングパパらしく、丁寧に紹介してあります。
作者の うえやま とち さん。
ありがとうございます。
江部康二
なおさんから、コミック、クッキングパパに糖質制限ダイエットが!
という楽しいコメントをいただきました。
【12/03/15 なおさん
コミック、クッキングパパに糖質制限ダイエットが!
本日発売のコミック雑誌「モーニング」に掲載のクッキングパパに糖質制限ダイエットが取り上げられていました。時間がないのでご報告まで。】
なおさん。
情報ありがとうございます。
不肖、江部康二、週刊モーニングは毎週購入して(立ち読みではなくて)読んでます。
今週号(2012.3.29)は久しぶりに、井上雄彦氏の「バガボンド」が載りました。
神の雫、社長・島耕作、特上カバチ、グラゼニ・・・
なかなか面白い漫画が多いです。
クッキングパパも読んでいるのですが、今週号は昼休みに焦って読んだので飛ばし読みで、糖質制限食のことが書いてあるのに気がつきませんでした。
なおさんに、コメントいただいて今、熟読? しています。
糖質制限食で登場人物が30kg減量成功というお話しです。
そして、その恋人がつくる糖質制限OKメニュー「豆腐グラタン」のレシピが、クッキングパパらしく、丁寧に紹介してあります。
作者の うえやま とち さん。
ありがとうございます。
江部康二
2012年03月14日 (水)
こんにちは。
1)糖質だけが血糖値をあげ、タンパク質・脂質は血糖値を上げない。
2)例外として血糖値を上げない糖質がある。
エリスリトール
人工甘味料(アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、
サッカリン、ネオテーム)
などです。
今回の記事は、1)2)が肝腎です。
スイーツダイエット―満腹ダイエット4 やせる!「糖質オフ」のお菓子づくり
(プレジデントムック dancyu) [ムック]
江部康二、大柳珠美監修
が2012年2月に刊行されたのですが、アマゾンに明白な誤解に基づくコメントが3つ掲示されました。
管理栄養士さんと思われるお3方のコメントなのですが、糖質量の表記が少なすぎて読者を混乱させるとの趣旨です。
レシピの表記の糖質量より、実際は血糖値が上がるのではないかと懸念されています。
このお3方に共通して、残念なのは、エリスリトールが血糖値を上昇させると誤解されていることです。
エリスリトールは糖質ですが、カロリーもゼロで血糖値上昇もゼロです。
このことは、是非勉強して欲しいですね。
スイーツダイエットの目次に
●甘味料は、血糖値を上げない「ラカントS」と「パルスイートカロリーゼロ」を使っています。
・・・表記の糖質量はこれらの甘味料の糖質量を除いたものです。
とわざわざ、記載しました。
読者がレシピを見るときに、血糖値を上げる糖質量だけを載せる方が、計算して二度手間にならずに便利と考えたからです。
「ラカントS」と「パルスイートカロリーゼロ」の成分のほとんどは、上述のエリスリトールです。
スイーツダイエットのレシピの表記は、エリスリトールを除いた糖質量であり、そのまま血糖値を上げる糖質の量です。
スイーツダイエットをご購入いただいた方々、レシピの表記通りの糖質量で、
「1gの糖質が体重64kgの2型糖尿人の血糖を3mg上昇させ、1型糖尿人の血糖を5mg上昇させる」
という、いつもの計算で全く問題ありませんので、ご安心くださいね。
江部康二
1)糖質だけが血糖値をあげ、タンパク質・脂質は血糖値を上げない。
2)例外として血糖値を上げない糖質がある。
エリスリトール
人工甘味料(アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、
サッカリン、ネオテーム)
などです。
今回の記事は、1)2)が肝腎です。
スイーツダイエット―満腹ダイエット4 やせる!「糖質オフ」のお菓子づくり
(プレジデントムック dancyu) [ムック]
江部康二、大柳珠美監修
が2012年2月に刊行されたのですが、アマゾンに明白な誤解に基づくコメントが3つ掲示されました。
管理栄養士さんと思われるお3方のコメントなのですが、糖質量の表記が少なすぎて読者を混乱させるとの趣旨です。
レシピの表記の糖質量より、実際は血糖値が上がるのではないかと懸念されています。
このお3方に共通して、残念なのは、エリスリトールが血糖値を上昇させると誤解されていることです。
エリスリトールは糖質ですが、カロリーもゼロで血糖値上昇もゼロです。
このことは、是非勉強して欲しいですね。
スイーツダイエットの目次に
●甘味料は、血糖値を上げない「ラカントS」と「パルスイートカロリーゼロ」を使っています。
・・・表記の糖質量はこれらの甘味料の糖質量を除いたものです。
とわざわざ、記載しました。
読者がレシピを見るときに、血糖値を上げる糖質量だけを載せる方が、計算して二度手間にならずに便利と考えたからです。
「ラカントS」と「パルスイートカロリーゼロ」の成分のほとんどは、上述のエリスリトールです。
スイーツダイエットのレシピの表記は、エリスリトールを除いた糖質量であり、そのまま血糖値を上げる糖質の量です。
スイーツダイエットをご購入いただいた方々、レシピの表記通りの糖質量で、
「1gの糖質が体重64kgの2型糖尿人の血糖を3mg上昇させ、1型糖尿人の血糖を5mg上昇させる」
という、いつもの計算で全く問題ありませんので、ご安心くださいね。
江部康二
2012年03月13日 (火)
おはようございます。
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」2005年(東洋経済新報社)

が、おかげさまで、2012年3月、第18刷となりました。(^^)
2005年2月に出版して以後、順調にロングセラーとなりました。
この7年間、アマゾンの糖尿病の本のランキングでは、ほとんど常に、トップ10位以内に入っていて、嬉しいことでした。
ブログ読者の皆さんのご支援の賜物と感謝しております。 m(_ _)m
糖質制限食の最初の本なので、ひときわ思い入れがあります。
今日の糖質制限食の普及状況に大きな役割をはたした本と思います。
初期のものでは、25ページに、
「糖質が100%、タンパク質が50%、脂質が10%未満、血糖に変わる」
という例の図が、あったのですが、
2009年の秋以降のものでは
「糖質は100%血糖に変わるが、タンパク質、脂質は変わらない」
という記載に変更し、勿論、例の図は削除して
2004年、米国糖尿病学会発行のLife With Diabetesに載っている
「食物グループの中の栄養素」の表を訳して追加しました。

でんぷん、果物、牛乳、野菜、肉、脂質について、血糖に与える影響と速度が記載してある表です。
この表でも、肉と脂質は、血糖に与える影響なしとなっています。
江部康二
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」2005年(東洋経済新報社)

が、おかげさまで、2012年3月、第18刷となりました。(^^)
2005年2月に出版して以後、順調にロングセラーとなりました。
この7年間、アマゾンの糖尿病の本のランキングでは、ほとんど常に、トップ10位以内に入っていて、嬉しいことでした。
ブログ読者の皆さんのご支援の賜物と感謝しております。 m(_ _)m
糖質制限食の最初の本なので、ひときわ思い入れがあります。
今日の糖質制限食の普及状況に大きな役割をはたした本と思います。
初期のものでは、25ページに、
「糖質が100%、タンパク質が50%、脂質が10%未満、血糖に変わる」
という例の図が、あったのですが、
2009年の秋以降のものでは
「糖質は100%血糖に変わるが、タンパク質、脂質は変わらない」
という記載に変更し、勿論、例の図は削除して
2004年、米国糖尿病学会発行のLife With Diabetesに載っている
「食物グループの中の栄養素」の表を訳して追加しました。

でんぷん、果物、牛乳、野菜、肉、脂質について、血糖に与える影響と速度が記載してある表です。
この表でも、肉と脂質は、血糖に与える影響なしとなっています。
江部康二
2012年03月12日 (月)
こんにちは。
三大栄養素である、糖質・脂質・タンパク質のうち、血糖値を上昇させるのは糖質だけです。
これは、含有エネルギーとは無関係の、各栄養素の生理学的特質です。
このことに注目して、糖質摂取を制限して食後血糖値の上昇を防ぐ食事療法が、高雄病院が推奨する「糖質制限食(carbohydrate restriction)」です。
栄養素において、必須アミノ酸、必須脂肪酸はありますが、必須糖質はありません。
即ち理論的には糖質ゼロでもいいのですが、スーパー糖質制限食でも、ビタミンC補給を兼ねて、野菜に含まれる少量の糖質は摂取します。
そして、糖質だけが血糖値を上昇させることを前提に、一回の食事の糖質摂取量を計算して、血糖コントロールをめざすのが糖質管理食(carbohydrate counting、カーボカウント)で、欧米では定着している食事療法です。
こちらは糖質のグラム数を計算しますが、制限することはありません。
しかし、糖質のグラム数を計算するわけですから、野放しに大量の糖質を食べることはあり得ませんね。
1993年に発表された米国の1型糖尿病研究・DCCTにおいて、糖質管理食(カーボカウント)が成功を収めたことから、欧米では広まっていきました。
また、1999年度ミス・アメリカのニコール・ジョンソンさん(1型糖尿病)の食事療法が糖質管理食であり、本を書かれたことも欧米での普及に役立ちました。
「カーボカウントして、それに見合う量のインスリンを注射する」ことで、食後血糖値のコントロールがしやすくなり、カロリー制限食に比べれば血糖値の乱高下が改善します。
米国では、1型糖尿病治療は、カーボカウントの方が主流です。
日本では、欧米では一般的な糖質管理食も、それほど普及していないのが現状です。
しかし、2005年5月の第48回日本糖尿病学会年次学術集会で、米国から糖質管理食(カーボカウント)の専門医が招聘されてシンポジウムが開催された後、徐々に糖質管理食を導入する糖尿病専門医療機関が増えてきています。
また、2006年3月に「かんたんカーボカウント」(医薬ジャーナル)という糖質管理食の本が大阪市大の小児科グループにより出版されました。
2008年1月の米国糖尿病学会(ADA)の栄養勧告では、
「炭水化物をモニタリングすることは、炭水化物計算(カーボカウント)にしろ、炭水化物交換にしろ、経験に基づく評価にしろ、血糖コントロールを達成するための鍵となる戦略である。」
と、炭水化物(糖質)を日常的に継続的に点検することを、強く推奨しています。
この中の、炭水化物を計算する方法が、糖質管理食(カーボカウント)です。
糖質管理食は、基本的に3食とも主食(糖質)を摂取することを前提に、その糖質の一回の摂取量を計算します。
血糖値を上昇させるのは糖質だけなので、例えば血糖コントロールに必要なインスリンの量を決めるのには、とても役に立ちます。
糖尿病というと、甘いもの(砂糖)がよくないと誰でも思いがちですが、実は、特に砂糖だけが、血糖コントロールに悪影響を与えるという事実はありません。
「ご飯もパンもせんべいもうどんもラーメンもケーキも砂糖も、その中に含まれている糖質の量に比例して、血糖値を上昇させる」
ということが生理学的事実です。
糖質管理食は、糖質だけをグラム計算するシンプルな方法です。
従来のカロリー制限優先の糖尿病食に比し、カロリー計算や食品交換表は不要なので、楽に実践できると思います。
いつも述べてますように、1gの糖質が体重64kgの2型糖尿人の血糖値を約3mg、1型糖尿人の血糖値を約5g上昇させます。
「糖質→血糖値上昇」というシンプルな事柄に着目した糖尿病の食事療法という意味では、欧米の「糖質管理食」と高雄病院の「糖質制限食」は親戚筋といえます。
「糖質管理食」という考え方をさらに発展させ、3食とも主食を摂取しなくても良いと徹底したのが、高雄病院の「糖質制限食」という見方もできます。
1型糖尿病、2型糖尿病でインスリン注射をしている糖尿人は、主治医とよく相談されて、糖質制限食が無理なら、せめて糖質管理食を実践されると、血糖値の乱高下がなくなり、コントロールしやすくなります。
逆にいえば、カーボカウントなしで、カロリー計算に頼ってインスリン注射をすることは、目をつぶって運転しているようなもので、血糖値の乱高下を防ぐことは不可能です。
糖質だけが血糖値を上昇させるのであり、カロリーは関係ないのです。
炊いたご飯1杯150gは約250kcalですが、糖質は55gふくまれていて、血糖値は165mg上昇します。
牛サーロインステーキ200gは約1000kcalですが、糖質含有量は1g未満で、血糖値は3mgも上昇しません。
このように、カロリー計算で食後血糖値を予測することは不可能なのです。
江部康二
三大栄養素である、糖質・脂質・タンパク質のうち、血糖値を上昇させるのは糖質だけです。
これは、含有エネルギーとは無関係の、各栄養素の生理学的特質です。
このことに注目して、糖質摂取を制限して食後血糖値の上昇を防ぐ食事療法が、高雄病院が推奨する「糖質制限食(carbohydrate restriction)」です。
栄養素において、必須アミノ酸、必須脂肪酸はありますが、必須糖質はありません。
即ち理論的には糖質ゼロでもいいのですが、スーパー糖質制限食でも、ビタミンC補給を兼ねて、野菜に含まれる少量の糖質は摂取します。
そして、糖質だけが血糖値を上昇させることを前提に、一回の食事の糖質摂取量を計算して、血糖コントロールをめざすのが糖質管理食(carbohydrate counting、カーボカウント)で、欧米では定着している食事療法です。
こちらは糖質のグラム数を計算しますが、制限することはありません。
しかし、糖質のグラム数を計算するわけですから、野放しに大量の糖質を食べることはあり得ませんね。
1993年に発表された米国の1型糖尿病研究・DCCTにおいて、糖質管理食(カーボカウント)が成功を収めたことから、欧米では広まっていきました。
また、1999年度ミス・アメリカのニコール・ジョンソンさん(1型糖尿病)の食事療法が糖質管理食であり、本を書かれたことも欧米での普及に役立ちました。
「カーボカウントして、それに見合う量のインスリンを注射する」ことで、食後血糖値のコントロールがしやすくなり、カロリー制限食に比べれば血糖値の乱高下が改善します。
米国では、1型糖尿病治療は、カーボカウントの方が主流です。
日本では、欧米では一般的な糖質管理食も、それほど普及していないのが現状です。
しかし、2005年5月の第48回日本糖尿病学会年次学術集会で、米国から糖質管理食(カーボカウント)の専門医が招聘されてシンポジウムが開催された後、徐々に糖質管理食を導入する糖尿病専門医療機関が増えてきています。
また、2006年3月に「かんたんカーボカウント」(医薬ジャーナル)という糖質管理食の本が大阪市大の小児科グループにより出版されました。
2008年1月の米国糖尿病学会(ADA)の栄養勧告では、
「炭水化物をモニタリングすることは、炭水化物計算(カーボカウント)にしろ、炭水化物交換にしろ、経験に基づく評価にしろ、血糖コントロールを達成するための鍵となる戦略である。」
と、炭水化物(糖質)を日常的に継続的に点検することを、強く推奨しています。
この中の、炭水化物を計算する方法が、糖質管理食(カーボカウント)です。
糖質管理食は、基本的に3食とも主食(糖質)を摂取することを前提に、その糖質の一回の摂取量を計算します。
血糖値を上昇させるのは糖質だけなので、例えば血糖コントロールに必要なインスリンの量を決めるのには、とても役に立ちます。
糖尿病というと、甘いもの(砂糖)がよくないと誰でも思いがちですが、実は、特に砂糖だけが、血糖コントロールに悪影響を与えるという事実はありません。
「ご飯もパンもせんべいもうどんもラーメンもケーキも砂糖も、その中に含まれている糖質の量に比例して、血糖値を上昇させる」
ということが生理学的事実です。
糖質管理食は、糖質だけをグラム計算するシンプルな方法です。
従来のカロリー制限優先の糖尿病食に比し、カロリー計算や食品交換表は不要なので、楽に実践できると思います。
いつも述べてますように、1gの糖質が体重64kgの2型糖尿人の血糖値を約3mg、1型糖尿人の血糖値を約5g上昇させます。
「糖質→血糖値上昇」というシンプルな事柄に着目した糖尿病の食事療法という意味では、欧米の「糖質管理食」と高雄病院の「糖質制限食」は親戚筋といえます。
「糖質管理食」という考え方をさらに発展させ、3食とも主食を摂取しなくても良いと徹底したのが、高雄病院の「糖質制限食」という見方もできます。
1型糖尿病、2型糖尿病でインスリン注射をしている糖尿人は、主治医とよく相談されて、糖質制限食が無理なら、せめて糖質管理食を実践されると、血糖値の乱高下がなくなり、コントロールしやすくなります。
逆にいえば、カーボカウントなしで、カロリー計算に頼ってインスリン注射をすることは、目をつぶって運転しているようなもので、血糖値の乱高下を防ぐことは不可能です。
糖質だけが血糖値を上昇させるのであり、カロリーは関係ないのです。
炊いたご飯1杯150gは約250kcalですが、糖質は55gふくまれていて、血糖値は165mg上昇します。
牛サーロインステーキ200gは約1000kcalですが、糖質含有量は1g未満で、血糖値は3mgも上昇しません。
このように、カロリー計算で食後血糖値を予測することは不可能なのです。
江部康二
2012年03月11日 (日)
おはようございます。
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」 -カロリー制限食より効果抜群-
開催日 2012年3月10日(土)
開催場所 ホテルメトロポリタン仙台
2年ぶりの仙台講演会、おかげさまで100人超の参加者で満員の盛況でした。
ブログ読者の皆さんには、青森や山形から参加いただいた方もおられ、この場を借りて御礼申し上げます。
質疑応答も活発で、講演会終了後も質問があり、帰りの飛行機がギリギリでした。
NPO法人 糖質制限食と断食の会 の皆様、準備・運営、ご苦労様でした。ありがとうございました。
理事長の宮城大学教授、坂本眞一郎先生、会を作られた宮城県会議員、今野隆吉先生
糖質制限食講演の機会を与えていただいてありがとうございました。
ホテルメトロポリタン仙台の地階には、糖質制限食OKのレストランもあるそうです。
詳細は、
NPO法人 糖質制限食と断食の会(電話:022-378-5440)
にお問い合わせいただけばよいと思います。
仙台で糖質制限食OKの医師は?という質問もありましたが、参加者には仙台在住の医師もおられ、糖質制限食を実践されているそうです。
お二人の医師と名刺交換しました。
糖質制限食のネットワークがどんどん広がっているのを実感します。
大変、嬉しいことでした。
☆☆☆
仙台の糖質制限食OKのドクター
橋本雄二先生
仙台市青葉区立町27-26 橋本クリニック
電話:022-222-8666
市川恒次先生
仙台市青葉区一番町3丁目7番1号 市川内科電力ビルクリニック
電話:022-262-5755
江部康二
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」 -カロリー制限食より効果抜群-
開催日 2012年3月10日(土)
開催場所 ホテルメトロポリタン仙台
2年ぶりの仙台講演会、おかげさまで100人超の参加者で満員の盛況でした。
ブログ読者の皆さんには、青森や山形から参加いただいた方もおられ、この場を借りて御礼申し上げます。
質疑応答も活発で、講演会終了後も質問があり、帰りの飛行機がギリギリでした。
NPO法人 糖質制限食と断食の会 の皆様、準備・運営、ご苦労様でした。ありがとうございました。
理事長の宮城大学教授、坂本眞一郎先生、会を作られた宮城県会議員、今野隆吉先生
糖質制限食講演の機会を与えていただいてありがとうございました。
ホテルメトロポリタン仙台の地階には、糖質制限食OKのレストランもあるそうです。
詳細は、
NPO法人 糖質制限食と断食の会(電話:022-378-5440)
にお問い合わせいただけばよいと思います。
仙台で糖質制限食OKの医師は?という質問もありましたが、参加者には仙台在住の医師もおられ、糖質制限食を実践されているそうです。
お二人の医師と名刺交換しました。
糖質制限食のネットワークがどんどん広がっているのを実感します。
大変、嬉しいことでした。
☆☆☆
仙台の糖質制限食OKのドクター
橋本雄二先生
仙台市青葉区立町27-26 橋本クリニック
電話:022-222-8666
市川恒次先生
仙台市青葉区一番町3丁目7番1号 市川内科電力ビルクリニック
電話:022-262-5755
江部康二
2012年03月09日 (金)
こんばんは。
九州、熊本県菊池市の菊池養生園で毎年開催されている「養生園祭り」に講演会講師としてお招きいただきました。
2012年4月15日(日)午前10時から、
演題 「らくにできる食養生の極意」
~美味しく楽しく糖制限食~
と題して、私が講演します。
今回は、野外の講演なので、パワーポイントスライドは使用せずに、配付資料を配ってお話しします。
糖尿病・肥満・生活習慣病・健康・・・
わかりやすいお話しを心がけますので、熊本県の皆さん、是非ご参加くださいね。
江部康二
以下は菊池養生園のホームページからの抜粋です。
http://www.yojoen.or.jp/
〒861-1201 熊本県菊池市泗水町吉富2193−1
☆☆☆
催事名 2012年養生園祭
問い合わせ 電話:0968-38-282
趣旨
多くの人に地球のいのち生きるものすべてのいのちの大切さを知ってもらい、次の世代に明るい未来をのこすために
テーマ 「いのちと食」
日時 平成24年4月15日(日) 午前9時30分
場所 菊池養生園構内
主催等 主催 菊池市・合志市
後援 菊池地域農協
内容
(1)公開講演会 10時より 参加無料
演題 「らくにできる食養生の極意」 ~美味しく楽しく糖制限食~
講演者 江部 康二(えべ こうじ)氏 (医師・財団法人高雄病院理事長)
・・・1950年生まれ、京都大学医学部卒業。2001年自ら糖尿病であることに気づいて以来、糖尿病治療の研究に取り組み、「糖質制限食」の体系を確立。その後、数多くの臨床活動を通じて、糖尿病・肥満・メタボリック症候群などに対する糖質制限食の画期的な治療効果を証明。著書にベストセラー「主食を抜けば糖尿病はよくなる」(東洋経済新報社)など
(2)健康展 医療-現代医学・東洋医学・操体法・健康法
(健康相談) 食物-断食・食養生・自然食・食育
(3)養生市 展示即売バザー・自然食品展示(雑穀・はちみつ等)
養生特製カレーライス・手作り弁当・だご・うどん・惣菜販売
自然自家菜園物産販売
ガレージセール(リサイクル品や手作り民芸品・古書籍など盛り沢山)
(4)特別企画 第26弾 島三線・島唄・こどもヒップホップダンス・藤間流日本舞踊など
(5)その他 養生園の活動紹介
外来診療・健康診断・人間ドック・いきいき養生塾(菊池市)・ 元気をつくる養生塾(合志市)各種健康教室・リフレッシュドック紹介
九州、熊本県菊池市の菊池養生園で毎年開催されている「養生園祭り」に講演会講師としてお招きいただきました。
2012年4月15日(日)午前10時から、
演題 「らくにできる食養生の極意」
~美味しく楽しく糖制限食~
と題して、私が講演します。
今回は、野外の講演なので、パワーポイントスライドは使用せずに、配付資料を配ってお話しします。
糖尿病・肥満・生活習慣病・健康・・・
わかりやすいお話しを心がけますので、熊本県の皆さん、是非ご参加くださいね。
江部康二
以下は菊池養生園のホームページからの抜粋です。
http://www.yojoen.or.jp/
〒861-1201 熊本県菊池市泗水町吉富2193−1
☆☆☆
催事名 2012年養生園祭
問い合わせ 電話:0968-38-282
趣旨
多くの人に地球のいのち生きるものすべてのいのちの大切さを知ってもらい、次の世代に明るい未来をのこすために
テーマ 「いのちと食」
日時 平成24年4月15日(日) 午前9時30分
場所 菊池養生園構内
主催等 主催 菊池市・合志市
後援 菊池地域農協
内容
(1)公開講演会 10時より 参加無料
演題 「らくにできる食養生の極意」 ~美味しく楽しく糖制限食~
講演者 江部 康二(えべ こうじ)氏 (医師・財団法人高雄病院理事長)
・・・1950年生まれ、京都大学医学部卒業。2001年自ら糖尿病であることに気づいて以来、糖尿病治療の研究に取り組み、「糖質制限食」の体系を確立。その後、数多くの臨床活動を通じて、糖尿病・肥満・メタボリック症候群などに対する糖質制限食の画期的な治療効果を証明。著書にベストセラー「主食を抜けば糖尿病はよくなる」(東洋経済新報社)など
(2)健康展 医療-現代医学・東洋医学・操体法・健康法
(健康相談) 食物-断食・食養生・自然食・食育
(3)養生市 展示即売バザー・自然食品展示(雑穀・はちみつ等)
養生特製カレーライス・手作り弁当・だご・うどん・惣菜販売
自然自家菜園物産販売
ガレージセール(リサイクル品や手作り民芸品・古書籍など盛り沢山)
(4)特別企画 第26弾 島三線・島唄・こどもヒップホップダンス・藤間流日本舞踊など
(5)その他 養生園の活動紹介
外来診療・健康診断・人間ドック・いきいき養生塾(菊池市)・ 元気をつくる養生塾(合志市)各種健康教室・リフレッシュドック紹介
2012年03月08日 (木)
おはようございます。
精神科医師A さんから
「3大栄養素と血糖、ADA(米国糖尿病学会)見解の変化の根拠」
となった文献をご教示いただきました。
精神科医師A さん、いつも貴重な情報をありがとうございます。
おかげでスッキリしました。
1)
American Diabetes Association: Nutrition Principlesand Recommendations in Diabetes.
Diabetes Care, 27: S36~S46, 2004
http://care.diabetesjournals.org/content/27/suppl_1/s36.full#sec-15
2004年のこの文献(ADAの学会誌・ディアベテスケア)で、
「健常者やコントロールされた2型糖尿病者での多くの研究で、摂取されたタンパク質からの糖質は、通常の循環系に現れぬことが判明した。それゆえそれゆえ蛋白質は血糖値を上昇させないといえる。」
と明示されています。
2)
Diabetes Care January 2002 vol. 25 no. 1 148-198
http://care.diabetesjournals.org/content/25/1/148.full?sid=d92eb750-09a7-4a91-a4ca-ea4a621a8e71
Evidence-Based Nutrition Principles and Recommendations for the Treatment and Prevention of Diabetes and Related Complications
1)の根拠となった元論文はDiabetes Care 2002年1月号掲載のreviewです。
「数多くの研究が、健常者や2型糖尿病において、摂取されたタンパク質は血漿ブドウ糖濃度を増加させないことを示した。Gannon らは、2型糖尿病患者において50gのタンパク質(脂肪の極めて少ない牛肉)を摂取させ8時間観察した。定説では、20~23 g のタンパク質が脱アミノ化して11~13gのブドウ糖になるとされていた。しかし、循環中に出現したブドウ糖はわずか2g以下で、摂取したタンパク質はブドウ糖濃度に意味ある増加をもたらさなかった。」
このようなプロセスを経て
1997年版の米国糖尿病学会(ADA)出版の「Life With Diabetes」においては、
「タンパク質は約50%が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載があったのが、
2004年版「Life With Diabetes」からは
「血糖に変わるのは糖質だけで、タンパク質・脂質は変わらない」
という記載に変更になったのですね。
何だか歴史の重みを感じます。
☆☆☆
【12/03/07 精神科医師A
プラクティス2011年9月号
黒田氏の論文の引用文献に注目してみてください
4)American Diabetes Association: Nutrition Principlesand Recommendations in Diabetes. Diabetes Care, 27: S36~S46, 2004
http://care.diabetesjournals.org/content/27/suppl_1/s36.full#sec-15
PROTEIN AND DIABETES
A number of studies in healthy subjects and in persons with controlled type 2 diabetes have demonstrated that glucose from ingested protein does not appear in the general circulation, and therefore protein does not increase plasma glucose concentrations.
健常正常体重者やコントロールされた2型糖尿病者での多くの研究で、摂取されたタンパク質からの糖質は、通常の循環系に現れぬことが判明した。それゆえそれゆえ蛋白質は血糖値を上昇させないといえる。
このように、Diabetes Care 2004年1月増刊号に「蛋白質は血糖値を上げぬ」と明記されていたわけです。これの元となった論文はDiabetes Care 2002年1月号掲載のreviewです。
Diabetes Care January 2002 vol. 25 no. 1 148-198
http://care.diabetesjournals.org/content/25/1/148.full?sid=d92eb750-09a7-4a91-a4ca-ea4a621a8e71
Evidence-Based Nutrition Principles and Recommendations for the Treatment and Prevention of Diabetes and Related Complications
(pp155) Glucose responses to protein.
A number of studies in healthy, normal-weight subjects (197) and subjects with controlled type 2 diabetes (blood glucose <200 mg/dl) (198,199,200) have demonstrated that ingested protein does not increase plasma glucose concentration. Gannon et al. (200) reported that during the 8-h period after subjects with type 2 diabetes ingested 50 g protein in the form of very lean beef, ~20~23 g of protein were deaminated, which in theory could yield ~11~13 g glucose. However, the amount of glucose appearing in the circulation was only ~2 g, confirming that ingested protein does not result in a significant increase in glucose concentration.】
江部康二
精神科医師A さんから
「3大栄養素と血糖、ADA(米国糖尿病学会)見解の変化の根拠」
となった文献をご教示いただきました。
精神科医師A さん、いつも貴重な情報をありがとうございます。
おかげでスッキリしました。
1)
American Diabetes Association: Nutrition Principlesand Recommendations in Diabetes.
Diabetes Care, 27: S36~S46, 2004
http://care.diabetesjournals.org/content/27/suppl_1/s36.full#sec-15
2004年のこの文献(ADAの学会誌・ディアベテスケア)で、
「健常者やコントロールされた2型糖尿病者での多くの研究で、摂取されたタンパク質からの糖質は、通常の循環系に現れぬことが判明した。それゆえそれゆえ蛋白質は血糖値を上昇させないといえる。」
と明示されています。
2)
Diabetes Care January 2002 vol. 25 no. 1 148-198
http://care.diabetesjournals.org/content/25/1/148.full?sid=d92eb750-09a7-4a91-a4ca-ea4a621a8e71
Evidence-Based Nutrition Principles and Recommendations for the Treatment and Prevention of Diabetes and Related Complications
1)の根拠となった元論文はDiabetes Care 2002年1月号掲載のreviewです。
「数多くの研究が、健常者や2型糖尿病において、摂取されたタンパク質は血漿ブドウ糖濃度を増加させないことを示した。Gannon らは、2型糖尿病患者において50gのタンパク質(脂肪の極めて少ない牛肉)を摂取させ8時間観察した。定説では、20~23 g のタンパク質が脱アミノ化して11~13gのブドウ糖になるとされていた。しかし、循環中に出現したブドウ糖はわずか2g以下で、摂取したタンパク質はブドウ糖濃度に意味ある増加をもたらさなかった。」
このようなプロセスを経て
1997年版の米国糖尿病学会(ADA)出版の「Life With Diabetes」においては、
「タンパク質は約50%が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載があったのが、
2004年版「Life With Diabetes」からは
「血糖に変わるのは糖質だけで、タンパク質・脂質は変わらない」
という記載に変更になったのですね。
何だか歴史の重みを感じます。
☆☆☆
【12/03/07 精神科医師A
プラクティス2011年9月号
黒田氏の論文の引用文献に注目してみてください
4)American Diabetes Association: Nutrition Principlesand Recommendations in Diabetes. Diabetes Care, 27: S36~S46, 2004
http://care.diabetesjournals.org/content/27/suppl_1/s36.full#sec-15
PROTEIN AND DIABETES
A number of studies in healthy subjects and in persons with controlled type 2 diabetes have demonstrated that glucose from ingested protein does not appear in the general circulation, and therefore protein does not increase plasma glucose concentrations.
健常正常体重者やコントロールされた2型糖尿病者での多くの研究で、摂取されたタンパク質からの糖質は、通常の循環系に現れぬことが判明した。それゆえそれゆえ蛋白質は血糖値を上昇させないといえる。
このように、Diabetes Care 2004年1月増刊号に「蛋白質は血糖値を上げぬ」と明記されていたわけです。これの元となった論文はDiabetes Care 2002年1月号掲載のreviewです。
Diabetes Care January 2002 vol. 25 no. 1 148-198
http://care.diabetesjournals.org/content/25/1/148.full?sid=d92eb750-09a7-4a91-a4ca-ea4a621a8e71
Evidence-Based Nutrition Principles and Recommendations for the Treatment and Prevention of Diabetes and Related Complications
(pp155) Glucose responses to protein.
A number of studies in healthy, normal-weight subjects (197) and subjects with controlled type 2 diabetes (blood glucose <200 mg/dl) (198,199,200) have demonstrated that ingested protein does not increase plasma glucose concentration. Gannon et al. (200) reported that during the 8-h period after subjects with type 2 diabetes ingested 50 g protein in the form of very lean beef, ~20~23 g of protein were deaminated, which in theory could yield ~11~13 g glucose. However, the amount of glucose appearing in the circulation was only ~2 g, confirming that ingested protein does not result in a significant increase in glucose concentration.】
江部康二
2012年03月07日 (水)
こんにちは。
3大栄養素と血糖、ADA見解の変化、日米の違いについて精神科医Aさんから、コメントをいただきました。
【12/03/02 精神科医師A
蛋白と糖
>何故、長年にわたり、「摂取したタンパク質が50%直接血糖に変わる」と信じられていたのか、今となっては謎ですね。
…答えはこの文献にあります
プラクティス 28(5)493-499
黒田暁生、松久宗英 徳島大学糖尿病臨床・研究開発センター
(P498)
蛋白質はそのエネルギーの60%が糖質に変換されて食後2~4時間ほどで血糖値を上昇させ、脂質は同様に約10%が変換されて食後4時間以上かけて血糖値を上昇させる(図1)[12]
12) Woodyatt, R. T. : Obiects and method of diet adiustmentin diabetes. Arch Intern Med, 28: 125~141, 1921
□
次の論文が「摂取したタンパク質が50%直接血糖に変わる」ことを完全に否定しています。その後のADAの文献に何度も引用されています。
http://jcem.endojournals.org/content/86/3/1040.full】
精神科医師A さん。
貴重な情報をありがとうございます。
『糖尿病食事療法
-個別化・多様化するニーズへの対応-
28巻5号 2011年9月15日 p.493-499
黒田暁生、松久宗英 徳島大学糖尿病臨床・研究開発センター 』
2011年9月と、ごく最近の黒田先生の論文でも、Woodyattの1921年の文献を引用して、タンパク質が60%血糖に変わり脂質が10%血糖に変わるとされているのですね。
米国では、1997年版の米国糖尿病学会(ADA)出版の「Life With Diabetes」においては、
「タンパク質は約50%が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載があり、それぞれが血糖に変わるグラフも付いています。
この1997年版のLife With Diabeteが池田義男先生の監訳で日本で出版されており、それが、糖尿病専門医や栄養士の間に浸透しています。
そして「それぞれが血糖に変わるグラフ」も、日本の様々な論文や本に引用されています。
上述の黒田先生の論文にも、「1997年版・Life With Diabete・池田義男監訳」のグラフが引用されています。
その後、1997年から2003年まで、「三大栄養素と血糖」に関して、複数の研究論文が論考されたと考えられます。
例えば精神科医Aさんにご教示頂いた2001年のGannonらの論文(*)は、有力な論文の一つで、「タンパク質は血糖値に変わらない」と臨床試験データを基に報告されています。
これらの論文を考察した結果、米国糖尿病学会(ADA)では、2004年版「Life With Diabetes」からは
「血糖に変わるのは糖質だけで、タンパク質・脂質は変わらない」
という見解になったのでしょう。
そして「それぞれが血糖に変わるグラフ」も2004年版で削除されました。
黒田先生は、ADAの見解の変化をご存じないのでしょうか?
このままでは、日本糖尿病学会はガラパゴス状態です。
(*)
M. C. Gannon et all:
Effect of Protein Ingestion on the Glucose Appearance Rate in People with Type 2 Diabetes1
The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism March 1, 2001 vol. 86 no. 3 1040-1047
☆
Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center,
American Diabetes Assoiation ,2nd Ed,1997
☆☆
Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center,
American Diabetes Assoiation ,3rd Ed,2004
☆☆☆
Life With Diabetes:A Siries of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center ,
American Diabetes Assoiation ,4th Edition,2009
江部康二
3大栄養素と血糖、ADA見解の変化、日米の違いについて精神科医Aさんから、コメントをいただきました。
【12/03/02 精神科医師A
蛋白と糖
>何故、長年にわたり、「摂取したタンパク質が50%直接血糖に変わる」と信じられていたのか、今となっては謎ですね。
…答えはこの文献にあります
プラクティス 28(5)493-499
黒田暁生、松久宗英 徳島大学糖尿病臨床・研究開発センター
(P498)
蛋白質はそのエネルギーの60%が糖質に変換されて食後2~4時間ほどで血糖値を上昇させ、脂質は同様に約10%が変換されて食後4時間以上かけて血糖値を上昇させる(図1)[12]
12) Woodyatt, R. T. : Obiects and method of diet adiustmentin diabetes. Arch Intern Med, 28: 125~141, 1921
□
次の論文が「摂取したタンパク質が50%直接血糖に変わる」ことを完全に否定しています。その後のADAの文献に何度も引用されています。
http://jcem.endojournals.org/content/86/3/1040.full】
精神科医師A さん。
貴重な情報をありがとうございます。
『糖尿病食事療法
-個別化・多様化するニーズへの対応-
28巻5号 2011年9月15日 p.493-499
黒田暁生、松久宗英 徳島大学糖尿病臨床・研究開発センター 』
2011年9月と、ごく最近の黒田先生の論文でも、Woodyattの1921年の文献を引用して、タンパク質が60%血糖に変わり脂質が10%血糖に変わるとされているのですね。
米国では、1997年版の米国糖尿病学会(ADA)出版の「Life With Diabetes」においては、
「タンパク質は約50%が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載があり、それぞれが血糖に変わるグラフも付いています。
この1997年版のLife With Diabeteが池田義男先生の監訳で日本で出版されており、それが、糖尿病専門医や栄養士の間に浸透しています。
そして「それぞれが血糖に変わるグラフ」も、日本の様々な論文や本に引用されています。
上述の黒田先生の論文にも、「1997年版・Life With Diabete・池田義男監訳」のグラフが引用されています。
その後、1997年から2003年まで、「三大栄養素と血糖」に関して、複数の研究論文が論考されたと考えられます。
例えば精神科医Aさんにご教示頂いた2001年のGannonらの論文(*)は、有力な論文の一つで、「タンパク質は血糖値に変わらない」と臨床試験データを基に報告されています。
これらの論文を考察した結果、米国糖尿病学会(ADA)では、2004年版「Life With Diabetes」からは
「血糖に変わるのは糖質だけで、タンパク質・脂質は変わらない」
という見解になったのでしょう。
そして「それぞれが血糖に変わるグラフ」も2004年版で削除されました。
黒田先生は、ADAの見解の変化をご存じないのでしょうか?
このままでは、日本糖尿病学会はガラパゴス状態です。
(*)
M. C. Gannon et all:
Effect of Protein Ingestion on the Glucose Appearance Rate in People with Type 2 Diabetes1
The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism March 1, 2001 vol. 86 no. 3 1040-1047
☆
Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center,
American Diabetes Assoiation ,2nd Ed,1997
☆☆
Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center,
American Diabetes Assoiation ,3rd Ed,2004
☆☆☆
Life With Diabetes:A Siries of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center ,
American Diabetes Assoiation ,4th Edition,2009
江部康二
2012年03月06日 (火)
こんにちは。
2年ぶりに仙台で糖質制限食の講演会開催です。
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」
-カロリー制限食より効果抜群-
と題して、私が講師をつとめます。
開催日 2012年3月10日(土)
開催場所 ホテルメトロポリタン仙台 3階 曙の間
受付開始 13:00
講演開始 13:30
講演 13:30~14:30
参加費用 ¥2000-
主催 NPO法人 糖質制限食と断食の会
お問い合わせ 022-378-5440
仙台講演では、高雄病院での豊富な経験をもとに、糖尿病・肥満・メタボを中心に糖質制限食の有効性をお話しします。
この2年間で糖質制限食の基礎理論も随分、発展しました。
まだ席に余裕があるそうです。
仙台市、宮城県の糖尿人、メタボ人の皆さん、是非講演会にご参加くださいね。
江部康二
2年ぶりに仙台で糖質制限食の講演会開催です。
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」
-カロリー制限食より効果抜群-
と題して、私が講師をつとめます。
開催日 2012年3月10日(土)
開催場所 ホテルメトロポリタン仙台 3階 曙の間
受付開始 13:00
講演開始 13:30
講演 13:30~14:30
参加費用 ¥2000-
主催 NPO法人 糖質制限食と断食の会
お問い合わせ 022-378-5440
仙台講演では、高雄病院での豊富な経験をもとに、糖尿病・肥満・メタボを中心に糖質制限食の有効性をお話しします。
この2年間で糖質制限食の基礎理論も随分、発展しました。
まだ席に余裕があるそうです。
仙台市、宮城県の糖尿人、メタボ人の皆さん、是非講演会にご参加くださいね。
江部康二
2012年03月04日 (日)
こんばんは。
2年ぶりに仙台で糖質制限食の講演会開催です。
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」
-カロリー制限食より効果抜群-
と題して、私が講師をつとめます。
開催日 2012年3月10日(土)
開催場所 ホテルメトロポリタン仙台 3階 曙の間
受付開始 13:00
講演開始 13:30
講演 13:30~14:30
参加費用 ¥2000-
主催 NPO法人 糖質制限食と断食の会
お問い合わせ 022-378-5440
仙台講演では、糖尿病・肥満・メタボを中心に糖質制限食の有効性をお話しします。
この2年間で糖質制限食の基礎理論も随分、発展しました。
仙台市、宮城県の糖尿人、メタボ人の皆さん、是非講演会にご参加くださいね。
江部康二
☆☆☆
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010年12月(ナツメ社)
おかげさまで、2012年2月、第9刷となりました。

レシピ集ではなく、理論篇に属する糖尿病の本です。
アマゾンのレビュー
http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4816349960/ref=dp_db_cm_cr_acr_txt?ie=UTF8&showViewpoints=1
楽天のレビュー
http://review.rakuten.co.jp/rd/2_213310_14198947_0/
でも、図解が多くてわかりやすいなど好評です。
糖質制限食や糖尿病関連の最新情報が満載ですので、是非ご一読くださいね。
最新糖質制限食理論、症例、図表、食材のカラー写真・・・、糖尿病・妊娠糖尿病の最新の診断基準・・・
Q&Aなど、わかりやすくて豊富な内容となったと自負しています。
特徴として、巻頭に、ブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」の記事にさせていただいたコメントと
私の回答を、個人情報が特定できないように一部加工して、10症例報告しています。
コメントいただいた皆さんにはこの場を借りて、御礼申し上げます。m(_ _)mVV
以下は「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」(ナツメ社)の、「はじめに」です。
☆☆☆
はじめに
2005年1月に日本初の糖質制限食の本「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)
を出版してから、5年の歳月が経過しました。
幸い16刷と版を重ねており、糖質制限食が日本に広がるきっかけになったと嬉しく思っています。
糖質制限食関連の私の本も著書・共著・監修含めて合計14冊に達しましたが、本書が15冊目です。
当初はほぼ孤立無援の戦いでしたが、この間糖質制限食に理解を示す医師や栄養士も明らかに増えています。
医学雑誌「治療」に2009年4月、「内科」に2010年1月、糖質制限食関連の小論文を執筆させていただいたのもその現れとありがたく思っています。
2007年2月から、ブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」を開始したことも、それなりの効果があったと思います。
本書の内容にはブログ記事からの引用もあり、ブログ読者の皆さんにはこの場を借りて御礼申し上げます。
2012年3月現在で、1日に8000~10000件のアクセスがある人気ブログとなっていて、これも嬉しい限りです。
ほぼ毎日ブログ更新していますので、祇園あたりに飲みにいく機会が激減して、健康にも財布にも非常に良い副次効果が出ています。
さて糖質制限食の理論面において、2009年に一つ大きな変化がありました。
正確には2004年に米国であった変化に、私が気がついたのが2009年ということです。
すなわち、米国糖尿病協会によれば食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わり、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を上昇させ2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。一方蛋白質・脂質は血糖値に影響をあたえません。
1997年版の米国糖尿病協会の見解では「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」という記載がありましたが、2004年版では削除されています。
これらは、含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質であり、現在動脈硬化の元凶として問題とされているグルコーススパイク(食後高血糖)を引き起こすのは3大栄養素の中で糖質だけです。
従って糖質を摂取しなければ食後高血糖は生じず、血糖値はリアルタイムに改善します。
一方カロリー制限をしても糖質を摂取すれば必ず食後高血糖を生じます。
このような重要な生理学的知識ですが、欧米では医師も看護師も栄養士も糖尿病患者さんも皆知っています。
日本では医師でさえも、ほとんどの人が知らないのが現状ですので、まさにガラパゴス状態でおおいに問題です。
また英国の栄養学の大著、ヒューマン・ニュートリションにも
『現代の食事では、中略、デンプンや遊離糖に由来する「利用されやすいグルコース」を大量に摂取するようになっている。
このような食事内容は血漿グルコースおよびインスリン値の定期的な上昇をもたらし、糖尿病、冠状動脈疾患、がん、老化等、多くの点で健康に有害であることが強く指摘されている。
農業の発明以来、ヒトは穀物をベースとした食物を摂取するようになったが、進化に要する時間の尺度は長く、ヒトの消化管はまだ穀物ベースの食物に適応していない。
ましてや高度に加工された現代の食物に対して、到底適応しきれてないのである。』
と記載されていて、私の提唱しているグルコースミニスパイク論に根拠を与えるものであり、心強い限りです。
さらに、戦後日本で糖質摂取が減り続け、脂質摂取が増え続けたという定説も間違いであり、単なる神話に過ぎなかったことも本書であきらかにしています。
本書には2010年現在の糖質制限食の最新知識が網羅されています。
是非ご一読いただけば幸いです。
*Life With Diabetes:A Siries of Teaching Outlines by the Michigan Diabetes Research and Training Center,American Diabetes Assoiation ,3rd Ed,2004
*ヒューマン・ニュートリション基礎・食事・臨床(第10版):75、JS Garrow 、WPT james、A Ralph 編、日本語版監修、細谷憲政.2004
江部康二
2年ぶりに仙台で糖質制限食の講演会開催です。
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」
-カロリー制限食より効果抜群-
と題して、私が講師をつとめます。
開催日 2012年3月10日(土)
開催場所 ホテルメトロポリタン仙台 3階 曙の間
受付開始 13:00
講演開始 13:30
講演 13:30~14:30
参加費用 ¥2000-
主催 NPO法人 糖質制限食と断食の会
お問い合わせ 022-378-5440
仙台講演では、糖尿病・肥満・メタボを中心に糖質制限食の有効性をお話しします。
この2年間で糖質制限食の基礎理論も随分、発展しました。
仙台市、宮城県の糖尿人、メタボ人の皆さん、是非講演会にご参加くださいね。
江部康二
☆☆☆
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010年12月(ナツメ社)
おかげさまで、2012年2月、第9刷となりました。

レシピ集ではなく、理論篇に属する糖尿病の本です。
アマゾンのレビュー
http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4816349960/ref=dp_db_cm_cr_acr_txt?ie=UTF8&showViewpoints=1
楽天のレビュー
http://review.rakuten.co.jp/rd/2_213310_14198947_0/
でも、図解が多くてわかりやすいなど好評です。
糖質制限食や糖尿病関連の最新情報が満載ですので、是非ご一読くださいね。
最新糖質制限食理論、症例、図表、食材のカラー写真・・・、糖尿病・妊娠糖尿病の最新の診断基準・・・
Q&Aなど、わかりやすくて豊富な内容となったと自負しています。
特徴として、巻頭に、ブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」の記事にさせていただいたコメントと
私の回答を、個人情報が特定できないように一部加工して、10症例報告しています。
コメントいただいた皆さんにはこの場を借りて、御礼申し上げます。m(_ _)mVV
以下は「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」(ナツメ社)の、「はじめに」です。
☆☆☆
はじめに
2005年1月に日本初の糖質制限食の本「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)
を出版してから、5年の歳月が経過しました。
幸い16刷と版を重ねており、糖質制限食が日本に広がるきっかけになったと嬉しく思っています。
糖質制限食関連の私の本も著書・共著・監修含めて合計14冊に達しましたが、本書が15冊目です。
当初はほぼ孤立無援の戦いでしたが、この間糖質制限食に理解を示す医師や栄養士も明らかに増えています。
医学雑誌「治療」に2009年4月、「内科」に2010年1月、糖質制限食関連の小論文を執筆させていただいたのもその現れとありがたく思っています。
2007年2月から、ブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」を開始したことも、それなりの効果があったと思います。
本書の内容にはブログ記事からの引用もあり、ブログ読者の皆さんにはこの場を借りて御礼申し上げます。
2012年3月現在で、1日に8000~10000件のアクセスがある人気ブログとなっていて、これも嬉しい限りです。
ほぼ毎日ブログ更新していますので、祇園あたりに飲みにいく機会が激減して、健康にも財布にも非常に良い副次効果が出ています。
さて糖質制限食の理論面において、2009年に一つ大きな変化がありました。
正確には2004年に米国であった変化に、私が気がついたのが2009年ということです。
すなわち、米国糖尿病協会によれば食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わり、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を上昇させ2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。一方蛋白質・脂質は血糖値に影響をあたえません。
1997年版の米国糖尿病協会の見解では「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」という記載がありましたが、2004年版では削除されています。
これらは、含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質であり、現在動脈硬化の元凶として問題とされているグルコーススパイク(食後高血糖)を引き起こすのは3大栄養素の中で糖質だけです。
従って糖質を摂取しなければ食後高血糖は生じず、血糖値はリアルタイムに改善します。
一方カロリー制限をしても糖質を摂取すれば必ず食後高血糖を生じます。
このような重要な生理学的知識ですが、欧米では医師も看護師も栄養士も糖尿病患者さんも皆知っています。
日本では医師でさえも、ほとんどの人が知らないのが現状ですので、まさにガラパゴス状態でおおいに問題です。
また英国の栄養学の大著、ヒューマン・ニュートリションにも
『現代の食事では、中略、デンプンや遊離糖に由来する「利用されやすいグルコース」を大量に摂取するようになっている。
このような食事内容は血漿グルコースおよびインスリン値の定期的な上昇をもたらし、糖尿病、冠状動脈疾患、がん、老化等、多くの点で健康に有害であることが強く指摘されている。
農業の発明以来、ヒトは穀物をベースとした食物を摂取するようになったが、進化に要する時間の尺度は長く、ヒトの消化管はまだ穀物ベースの食物に適応していない。
ましてや高度に加工された現代の食物に対して、到底適応しきれてないのである。』
と記載されていて、私の提唱しているグルコースミニスパイク論に根拠を与えるものであり、心強い限りです。
さらに、戦後日本で糖質摂取が減り続け、脂質摂取が増え続けたという定説も間違いであり、単なる神話に過ぎなかったことも本書であきらかにしています。
本書には2010年現在の糖質制限食の最新知識が網羅されています。
是非ご一読いただけば幸いです。
*Life With Diabetes:A Siries of Teaching Outlines by the Michigan Diabetes Research and Training Center,American Diabetes Assoiation ,3rd Ed,2004
*ヒューマン・ニュートリション基礎・食事・臨床(第10版):75、JS Garrow 、WPT james、A Ralph 編、日本語版監修、細谷憲政.2004
江部康二