脂質の消化・吸収・代謝と血糖
こんにちは。

2012年2月27日(月)から、三大栄養素(タンパク質・脂質・糖質)の消化・吸収・代謝と血糖の関係について記事にしてきました。

今日は脂質について考えてみます。

食物中の脂質(ほとんどが中性脂肪)は、グリセロールと脂肪酸に分解されて小腸上皮から吸収されますが、そのなかで中性脂肪に再合成され集合します。

この集合体は、キロミクロンと呼ばれ、リンパ液に瞬時に入り、リンパ管に拡散します。

キロミクロン(中性脂肪が積み荷)は、胸管を上行し鎖骨下静脈内に移行します。

鎖骨下静脈に入ったキロミクロンのほとんどは、肝臓、あるいは脂肪組織・筋肉組織などの毛細血管を通る間に、
毛細血管壁にあるリポ蛋白リパーゼにより、その積み荷の中性脂肪は、脂肪酸とグリセロールに分解されます。その分、中性脂肪は血液中から取り除かれます。

脂肪酸は、筋肉細胞などでエネルギー源として利用されます。

脂肪細胞の脂肪酸は、血中に入り循環し筋肉細胞などで利用されます。

血中に残った脂肪酸は、肝臓と脂肪組織の中に拡散します。

そして、筋肉でエネルギー源として利用されずに肝臓や脂肪組織に取り込まれた脂肪酸は、再び中性脂肪に合成され脂肪細胞内に蓄えられます。

中性脂肪は、1つのグリセロール(グリセリン)に3分子の脂肪酸が結合して構成されています。

このように、食事で脂肪を摂取した場合、血中に入った中性脂肪は、脂肪組織・筋肉組織などの毛細血管のリポ蛋白リパーゼにより分解されて、脂肪酸とグリセロールになりますが、血糖には変わりません。

また、脂肪酸はケトン体と共に心臓が優先的に使用するエネルギー源であり、長時間の運動の際には骨格筋の重要なエネルギー源ともなります。

空腹時には、身体のエネルギー源の大半が脂質代謝から供給されています。

脂質をエネルギー源として利用するには、中性脂肪を異化し遊離脂肪酸やグリセロールにする必要があります。

遊離脂肪酸は、肝臓および筋肉など末梢組織において、β酸化により代謝されアセチルCoAとなり、細胞のエネルギー源となります。

グリセロールは、肝臓において中性脂肪合成または糖新生に利用されます。

結論です。

上述の如く、脂肪を摂取して、それが直接血糖に変わるということはあり得ません。

一方、脂肪の分解物のグリセロールは、糖新生に利用されます。



江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
タンパク質の消化・吸収・代謝、そして血糖との関わりは? 
こんにちは。

「タンパク質を摂取しても、直接血糖に変わらない」というのが、現在のADA(米国糖尿病学会)の見解であり、高雄病院の臨床経験においても確かめられています。

そのことを生理学的事実を基に、以下確認していきましょう。

食物中のタンパク質は、消化管でアミノ酸に分解され吸収されます。

アミノ酸は、吸収されて門脈から肝臓に到り、アミノ酸プールに入ります。

生体内では肝臓及び血液を中心に、アミノ酸がプールされています

食事由来のアミノ酸は、肝臓から肝静脈を経て大静脈に入り、心臓を経て各組織へ送られます。

各組織の細胞では、筋肉や爪などになる新しいタンパク質がアミノ酸からつくられ、一方で古いタンパク質が分解されて、アミノ酸として静脈血中に放出され、大静脈から心臓を経て肝動脈から肝臓に入ります。

筋肉の分解などで血中に供給されたアミノ酸は、肝臓でアミノ酸プールに入り、糖新生やタンパク合成などに利用されます。

『体内のアミノ酸は、消化吸収によるものと、体タンパク質の分解によるものがあります。

体タンパク質の分解で生じたアミノ酸のうち、約70%はそこでそのまま再利用され、残り30%は血液中に排泄されます。

再利用分以外にタンパク合成に必要なアミノ酸は、あらたに血液中から取込まれます。

組織では、常に日常的に、このような体タンパク質の代謝回転が行われています。

代謝回転の結果生じたアミノ酸は、消化吸収によるアミノ酸同様、肝臓で代謝されます。

生体内では肝臓及び血液を中心に、アミノ酸がプールされています。』

上記は医学映像教育センター のサイト
http://www.igakueizou.co.jp/rights/page/biochemistry/1-3/detail/1-3-4/1-3-4-2.html

から引用させてもらいました。謝謝。

このように、タンパク質を食べて消化・吸収・代謝されていく過程を整理整頓してみると、「摂取したタンパク質が直接血糖に変わる」ようなことは理論的にもあり得ませんね。

食事で摂取したタンパク質は、アミノ酸に分解されて体内に吸収され、とりあえずアミノ酸プールに入るということです。

一旦、アミノ酸プールに入ったあと、肝臓で糖新生によりブドウ糖に変わることはあります。

何故、長年にわたり、「摂取したタンパク質が50%直接血糖に変わる」と信じられていたのか、今となっては謎ですね。



江部康二



*参考と引用

キーワードでわかる臨床栄養
http://www.nutri.co.jp/dic/ch3-3/  

『体重70kgの男性では、10~11kgの体タンパクがあり、タンパク質代謝の異化と同化の過程で、そのうち約250~300gのタンパクが毎日入れ替わります。(約3%)。
 
その内、外因性(食事性)タンパクは100gとされ、腸管内の消化液、剥離脱落した腸細胞、漏出した血漿タンパクなどの内因性タンパクの吸収と合わせ160gが消化管から吸収されます。
 
アミノ酸は門脈を通って肝臓に入り、必要量の血清タンパクなどの合成に使われ、ほかはアミノ酸プールに入ります。
 
アミノ酸プールも一定量を越えると過剰分は分解されエネルギーとして使われたり、肝臓で脂質やグリコーゲンとして貯蔵されます。
 
遊離アミノ酸は、新しいタンパク質の合成(70~80%)やエネルギー基質として用いられ(20~30%)ます。

また、尿素・アンモニア・ケトン体・グルコース・二酸化炭素に代謝されます。
 肝臓では、アルブミン、フィブリノーゲン、ガンマグロブリンのような主要血漿タンパク質20gを合成します。
 
白血球代謝に20g、ヘモグロビンに8gを合成します。
 
また、非タンパク質性誘導体として、ポルフィリン、プリン、ピリミジン、神経伝達物質、ホルモン、複合脂質、アミノ糖の合成にも使用されます。』
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
3大栄養素と血糖、ADAの見解と意味、1997→2004→2009年版
こんにちは。


3大栄養素と血糖値に関して、知り合いの栄養士さんから、長年

「糖質が100%、タンパク質が50%、脂質が10%未満、血糖値に変わる」

と教育されてきたがどうなのでしょうか?

と質問されました。

結論ですが、2004年版のLife With Diabetes(米国糖尿病協会・ADA)によれば(☆☆)、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わり、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。

「Carbohydrate,protein,and fat contain calories.
Only Carbohydrates directly affect blood glucose levels. 」 3rd Ed,2004

直訳すると、

「炭水化物・タンパク質・脂肪はカロリーを含有している。炭水化物だけが、血糖値に直接作用する。」

1997年版のLife With Diabetesでは、(☆)

「糖質は100%、タンパク質は約50%、脂質は10%未満が血糖に変わる」

という記載がありますが、2004年版では削除されています。

上記以外にも1997版で記載されていた、脂質とタンパク質と血糖に関する記載が 2004年版では全て削除されています。

2009年版もそれを継続していると思われます。( ☆☆☆)

1997年から2004年の間に、研究論文が蓄積されて、米国糖尿病学会の見解が、「血糖値を上げるのは3大栄養素の内、糖質だけである。」と変化したものと考えられます。

なおアミノ酸からの糖新生や脂肪の分解物であるグリセロールからの糖新生は、肝臓で日常的に行われています。

スーパー糖質制限食実践中はステーキを食べている最中にも糖新生は行われていますし、糖質を摂取している場合は、食後2時間は糖質由来の血糖値の上昇があり、その後は肝臓のグリコーゲン分解により血糖値を保ち、さらに4~5時間後からは肝臓の糖新生で血糖値を保ちます。

ADAの2004年版「血糖に変わるのは糖質だけ」という記載は、食事から消化吸収されて、そのまま直接血糖に変わるのは糖質だけであり、タンパク質と脂質は直接は変わらないという意味です。




Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines 
by the Michigan Diabetes Research and Training Center,
American Diabetes Assoiation ,2nd Ed,1997

☆☆
Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines 
by the Michigan Diabetes Research and Training Center,
American Diabetes Assoiation ,3rd Ed,2004

☆☆☆
Life With Diabetes:A Siries of Teaching Outlines 
by the Michigan Diabetes Research and Training Center ,
American Diabetes Assoiation ,4th Edition,2009



江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
岐阜ハートセンターと糖質制限食
こんにちは。

精神科医Aさんから岐阜ハートセンターの情報をいただきました。


【精神科医師A
岐阜ハートセンター
HPで糖質制限情報を発信中
http://gifu.heart-center.or.jp/cook/index.html
http://gifu.heart-center.or.jp/media/


精神科医師A さん。

情報、ありがとうございます。

岐阜ハートセンターにおいて今まで、一般向けに2回、医療関係者向けに1回、糖質制限食のお話しをさせていただきました。

2009年10月10日
 会場:じゅうろくプラザ 岐阜市  一般向け講演
 演題:糖尿病・メタボリックシンドロームと糖質制限食

2010年8月10日
 会場:県民ふれあい会館 サラマンカホール 岐阜市 一般向け講演
 演題:現代病を治す糖質制限食 
 
2010年11月11日
 会場:岐阜ハートセンター 医療関係者向け講演
 演題:人類の食生活 糖尿病・肥満の解決  -テーラーメードダイエットと糖質制限食-

2009年10月26日には総師長さんと管理栄養士さんが高雄病院まで、糖質制限食勉強のため見学に来られました。

岐阜ハートセンターでは院長の上野勝己先生を始め、医師、栄養士、看護師の皆さんが、熱心に糖質制限食に取り組んでおられます。糖質制限食の栄養指導も受けることができます。糖質制限食の体験入院コースもあります。

http://gifu.heart-center.or.jp/cook/index.html
http://gifu.heart-center.or.jp/media/

糖質制限食の栄養教室も定期的に開いておられます。

岐阜県の糖尿人の皆さん、糖質制限食に興味がある方は、岐阜ハートセンターにご連絡いただけば幸いです。


☆☆☆

岐阜ハートセンター
〒500-8384 岐阜県岐阜市薮田南4-14-4 
TEL 058-277-2277


江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
2012年3月10日(土)仙台で糖質制限食の講演会開催
こんにちは。

2年ぶりに仙台で糖質制限食の講演会開催です。

「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」
  -カロリー制限食より効果抜群-

と題して、私が講師をつとめます。

開催日   2012年3月10日(土)
開催場所  ホテルメトロポリタン仙台 3階 曙の間

受付開始  13:00
講演開始  13:30
講演    13:30~14:30
質疑応答  14:30~15:00

参加費用  ¥2000-

主催    NPO法人 糖質制限食と断食の会
お問い合わせ 022-378-5440
申し込み締め切り 2月29日(水)


2012年4月1日から、ソニーの新社長兼最高経営責任者(CEO)への就任が決定した平井一夫副社長は、2003年に85キロあった体重をアトキンスダイエット法(糖質制限食)により、20キロ減量に成功したとのことです。

ちなみに昨日のブログ記事の低炭水化物食(糖質制限食)もアトキンスダイエットです。

仙台講演では、糖尿病・肥満・メタボを中心に糖質制限食の有効性をお話しします。

仙台市、宮城県の糖尿人、メタボ人の皆さん、是非講演会にご参加くださいね。



江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食だけがHbA1cを改善、RCT研究論文の解説
こんばんは。

2012年1月15日(日)第15回日本病態栄養学会年次学術集会(国立京都国際会館)「糖尿病治療に低炭水化物食は是か?非か?」ディベートセッションでスライドにしたイスラエルのRCT研究論文(*)の解説です。

ニューイングランド・ジャーナルは、数ある医学雑誌の中で最も高いインパクト・ファクターを誇っています。

言い換えれば世界で最も権威ある医学雑誌です。

その雑誌に載ったRCT研究論文ですから、エビデンスレベルは最高ランクと言えます。

職場で志願者を募り、職場のセルフサービスのカフェテリアでランチを食べるというユニークな研究です。

イスラエルではランチが一番メインの食事で、それを職場で摂るわけです。

322人を低脂肪食、地中海食、低炭水化物食に分け2年間追跡した研究です。


低脂肪食
女性1500kcal、男性1800kcal、
脂肪は総エネルギーの30%、コレステロール300mg/日

地中海食
女性1500kcal、男性1800kcal、
30-45 g/日 のオリーブオイル、5-7個/日 ナッツ、週2回の魚料理

低炭水化物食
カロリー制限なし
炭水化物20g/日で開始。最終的には120g/日摂取。
脂肪、たんぱく質は制限せず。

まず、36人の2型糖尿病患者を

低脂肪食群:11名
地中海食群:13名
低炭水化物食群:12名

無作為に振り分けて2年間観察し、低脂肪食群0.4±1.3%、地中海食群 0.5±1.1%、低炭水化物食群0.9±0.8%
HbA1cが改善しました。

このうち糖質制限食群だけがHbA1cを有意に低下させました。

空腹時血糖値については地中海食グループだけが有意に低下していたので、糖質制限食グループでHbA1cが改善したのは、食後高血糖を予防したことが寄与したと考えられます。

低炭水化物食でも、3ヶ月目からは、120g/日摂取の糖質を摂取しているので、空腹時血糖値改善に有意差がでなかった可能性があります。

ちなみにスーパー糖質制限食なら40~60g/日以下の糖質摂取です。

ついで2年間の平均体重減少は、脱落せず終了した277人において

低脂肪食 3.3 kg、地中海食 4.6 kg、低炭水化物食 5.5 kg

低炭水化物食が最も、体重減少効果が認められました。

HDLコレステロールは、低炭水化物食群で最も増加しました。

総コレステロール/HDLコレステロール比も、低炭水化物食群が最も低下・改善しました。

中性脂肪は、低炭水化物食群で低脂肪食群に比し、有意に改善しました。

LDLコレステロールは、3群で有意差がなかったです。

結論です。

本論文では、低炭水化物食群において、

HbA1cが有意に改善
体重は最も減少
HDLコレステロールは最も増加
総コレステロール/HDLコレステロール比も改善
中性脂肪も低脂肪食群に比し有意に改善

唯一LDLコレステロールだけは有意差がなかったですが、低炭水化物食(糖質制限食)の有効性、面目躍如ですね。


(*)
Iris Shai,et all:Weight Loss with a Low-Carbohydrate,Mediterranean,or Low-Fat Diet. NENGLJ MED JULY17,2008、VOL359. NO.3 229-241



江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
久山町研究の背景とデータの信頼度の高さ
こんにちは。

「久山町研究」は、一つの町を50年間研究し続けているもので、米国の「フラミンガム研究」にも匹敵するくらいの世界的にも貴重な前向きコホート研究であり、データの精度・信頼度は極めて高いと私は考えています。

以下は、久山町研究・九州大学大学院医学研究院・環境医学分野の公式ホームページからの転載です。

http://www.med.kyushu-u.ac.jp/envmed/about/index.html

【当教室では、1961年から、福岡市に隣接した糟屋郡久山町(人口約8,400人)の住民を対象に脳卒中、心血管疾患などの疫学調査を行っている。久山町住民は全国平均とほぼ同じ年齢・職業分布を持っており、偏りのほとんどない平均的な日本人集団である。研究の発端は、日本の死亡統計の信憑性に疑問が投げかけられたことにある。当時、脳卒中はわが国の死因の第1位を占めていた。なかでも、脳出血による死亡率が脳梗塞の12.4倍と欧米に比べて著しく高く、欧米の研究者からは「誤診ではないか」との声が上がった。しかし、それを検証するための科学的なデータがなかった。そこで日本人の脳卒中の実態解明を目的として始まったのが久山町研究だった。

1961年から追跡を開始した第1集団(剖検率80%)の初期のデータでは、脳出血による死亡率は脳梗塞のわずか1.1倍。死亡診断書に病型診断の誤りが数多く含まれていたであろうことを、剖検という科学的な手法で証明した。
久山町研究の最大の特徴は、この剖検率の高さにある。正確な死因を知るという点において、剖検以上に正確な診断方法はない。追跡調査の精度も高い。これまでに行方不明となった対象者は数例に過ぎず、追跡率は99%以上。また、久山町研究では40歳以上の住民を5年ごとに集団に新しく加えているため、生活習慣の移り変わりの影響や、危険因子の変遷をもうかがい知ることができる。

最近では、環境医学分野の教室員のほか、九州大学病態機能内科学、眼科、精神科神経科、心療内科、呼吸器科、予防歯科、健康科学センターなどから大学院生や研究者が集まり、研究テーマが生活習慣病全体に広がった。久山町研究は、臨床と疫学の両方を俯瞰できる幅広い視野を持つ人材を育てるユニークな疫学研究である。2002年に、従来の環境因子に遺伝子解析(SNPs)を加えた生活習慣病のゲノム疫学がわが国で初めて開始され、成果をあげている。】


【久山町住民は全国平均とほぼ同じ年齢・職業分布を持っており、偏りのほとんどない平均的な日本人集団である。】

とのことですので、九州大学では、久山町は日本の縮図のような町と認識されており、久山町研究により、日本全体の疾病構造や死因が解析できると考えておられます。

上記の「日本人の脳出血による死亡率が脳梗塞の12.4倍」という従来の定説が、久山町研究の剖検という科学的な手法で、「脳出血による死亡率は脳梗塞のわずか1.1倍」と証明されたのは、素晴らしいお仕事と思います。

一方、1988→2002年の調査で、

男性では糖尿病が15.0→23.6%、
女性では糖尿病が9.9→13.4%

と糖尿病が著明に増加し、14年間の食事指導・運動療法による糖尿病発症予防に失敗されたことは、明白な事実です。

偏りのほとんどない平均的な日本人集団である久山町住人の方々において、男性糖尿病有病率は23.6%であり、日本人全体の男性有病率(15.6%)とは、かけ離れて多いということも、論争の余地のない事実です。

2007年7月27日(金)の毎日新聞朝刊で、久山町研究責任者の九州大学大学院医学研究院・環境医学分野・清原裕教授は、

「1988年以後、運動や食事指導など手を尽くしたのに糖尿病は増える一方。 どうすれば減るのか、最初からやり直したい」

と述べておられます。

【久山町研究では40歳以上の住民を5年ごとに集団に新しく加えているため、生活習慣の移り変わりの影響や、危険因子の変遷をもうかがい知ることができる。】

このことを踏まえたうえで、「どうすれば減るのか、最初からやり直したい」と発言されていることの意味は大きいと思います。

やはり、従来の糖尿病食である、

『カロリー制限食(高糖質・低脂質食)を介入して指導されたこと』

以外の要因は、清原教授ご自身が発見できなかったということと思われます。



江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
福岡県久山町研究と山形県舟形町研究の比較検討
こんにちは。

津上伸一さんから、山形県船形町の糖尿病研究について情報をいただきました。

津上さん、ありがとうございます。m(_ _)mV

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtnews/2003/M3611121/
MTpro [2003年3月13日 (VOL.36 NO.11) p.12]


福岡県久山町の研究、 山形県舟形町の研究、共に75g OGTTを実施し、WHO基準(1985年)を用いて2型糖尿病の有病率を評価しています。共に信頼度の高い研究です。

食事指導をしていない船形町の住民において、1990~1992年調査に比し、2000〜2002年調査では、男性は糖尿病有病率が8.0→11.8%と1.5倍近くに増加し、女性は9.3%→10.4%で微増ていどです。

食事療法・運動療法をしっかり指導した久山町住民では、1988→2002年で、男女とも著明に増加ですね。
男性では糖尿病が15.0→23.6%、女性では糖尿病が9.9→13.4%


もともと調査開始の時点で、久山町の方が船形町より、男性では糖尿病有病率が高いですね。女性は二つの町にあまり差がないです。

久山町研究では、1988年の時点で、将来の糖尿病発症を防ぐことを目的に、日本糖尿病学会推奨のカロリー制限・高糖質・低脂質食を強力に指導されたわけです。さらに運動療法もきっちり指導されています。

しかしながら、結局、この当初の研究目的(糖尿病発症予防)が大失敗(糖尿病増加)に終わったことは、まぎれのない事実です。

現に、2002年(H14年)の久山町検診で、糖尿病と予備軍激増のデータが出たあと、2007年7月27日(金)の毎日新聞朝刊では、インタビューに答えた九州大学医学部の清原先生は、

「1988年以後、運動や食事指導など手を尽くしたのに糖尿病は増える一方。 どうすれば減るのか、最初からやり直したい」

とのコメントを述べておられます。

特に食事指導をしていない船形町の2002年の男性糖尿病有病率が11.8%なのに対し、きっちり食事指導をした2002年の久山町の23.6%は、ちょうど2倍の有病率です。

女性に関しても、船形町が1.12倍の増加で、10.4%に対して久山町は、1.35倍の増加で13.4%です。

久山町と船形町の2002年の糖尿病有病率を比較してみると、特に男性では、2倍という異常な有病率になっています。ヾ(゜▽゜)

厚生労働省の国民・健康栄養調査によれば、

2002年の40才以上の日本男性の15.6%が糖尿病

2002年の40才以上の日本女性の8.1%が糖尿病

でした。

厚生労働省の調査では、糖尿病が強く疑われる人の定義は

<HbA1c6.1%以上、または質問票で「現在糖尿病の治療を受けている」と答えた人>

であり、75g経口ブドウ糖負荷試験をしているわけではありませんので、全く同列に比べることはできませんが・・・。

         2002年糖尿病有病率  
          男性      女性
久山町      23.6%       13.4%
船形町      11.8%       10.4%
日本全体     15.6%       8.1%

ともあれ三者を比較検討してみると、久山町の糖尿病有病率は突出して高いです。

私の同級生の男性、テニスクラブの男性、高雄病院職員の男性、呼吸器科同門会の男性・・・

身近などの集団を観察しても、4人に1人が糖尿病という久山町の成人男性のような集団はどこにも存在しません。

食事療法で介入する前の久山町男性糖尿病有病率(1988年)15.0%なら、2002年の日本全体のデータとほぼ一緒ですね。

運動療法が、糖尿病発症のリスクになる可能性はないので、久山町住民に対する日本糖尿病学会推奨の糖尿病食(カロリー制限・高糖質・低脂質食)による介入が、糖尿病予防ではなく、糖尿病発症を増加させた可能性が極めて高いのです。

私はこれを「久山町の悲劇」と呼んで、警鐘をならしています。



江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
ノンシュガー トリュフ チョコレート セカンド・ゼロのご紹介
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こんにちは。

先月、22、23日の記事で、世界初のエリスリトールを主甘味料に使った、全く新しいチョコレート「シュクリーベ」をご紹介しました。

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ノンシュガーチョコレート シュクリーベ
http://www.toushitsuseigen.com/shop/sweets_suclibe.html

この世界で初めてのノンシュガーチョコレートを作ってくれたのが、Healthy Sweet社なのですが、なんとこのたび、Healthy Sweet社製のホワイトチョコレートをベースに、京のスイーツの名店、「菓子職人」稲井シェフが糖質オフのトリュフチョコレートを完成してくださいました。

それが、今回ご紹介する、

ノンシュガー トリュフ チョコレート「セカンド・ゼロ」
http://www.toushitsuseigen.com/shop/sweets_secondZero.html

「菓子職人」稲井シェフといえば、これまた世界初のノンシュガー生チョコレート、ショコラ・ド・ゼロを完成させて下さった一流パティシエさんです。

甘いものにはそれほど興味のない私ですが、子供のころからチョコレートだけは大好きで、某大手メーカーさんがノンシュガーチョコレートを出したのを見つけたとき、売り場にあったものを買い占めたこともあります。

ですが、美味しいかと言われれば正直まだまだで、チョコレートを食べた満足感には程遠いものでした。

なので、稲井シェフがショコラ・ド・ゼロを完成して下さった時は、その美味しさに大感激して、同じくチョコレートが大好きな宮本輝先生にお送りしたくらいです。

その稲井シェフが、今度は糖質制限のトリュフチョコレートを試作中と、高雄倶楽部のあらてつさんから聞きまして、試作が出来上がってくるのを心待ちにしていました。

そして待つこと数ヶ月、ついに完成したのが、このノンシュガー トリュフ チョコレート「セカンド・ゼロ」です。

ラムホワイト、ナッツミルク、抹茶、アールグレイ、カフェの五種類の味になっており、そのどれもが、糖質制限の枠を超えて、砂糖を使ったチョコレートと遜色のないでき、いや、もはや砂糖を使ったチョコレートを超えたと言っても過言ではないでしょう。

これも、

「すべての人に甘い幸せをお届けしたい」

そんな稲井オーナーシェフの熱い思いと

「糖尿病の方でも安心して食べられるチョコレートを作りたい」

株式会社Healthy Sweet代表の高森さんの情熱の賜物です。

しかも、我々糖尿人にとって最も大切な血糖値についても、お二人の情熱は見事に答えてくれました。

私の検査結果です。


2012年1月22日(日)

午后5:45 食後6時間空腹時血糖値:104mg

上から2個、茶色の丸いチョコ(菓子職人新作)摂取

午后6:15 食後30分血糖値:101mg
午后6:45 食後60分血糖値:99mg


あらてつさんによると、成分分析に出した数値では、一個あたり1.1~2.1gの糖質になったそうですが、私の血糖検査結果では全く上がっていませんし、患者さんで測定したときは、5つ全部食べても血糖値の上昇はみられませんでした。

菓子職人、稲井シェフとHealthy Sweet高森さんの情熱と努力と技術と根性で、世界で初めて完成した血糖値を上昇させないトリュフチョコレート(^-^)v(^-^)v

いかに大変なお仕事だったか、想像を絶するものがあります。

お二人には、チョコ好きの糖尿人を代表して、大きな大きな感謝を送りたいと思います。m(_ _)mVV

このノンシュガー トリュフ チョコレート「セカンド・ゼロ」は糖質制限ドットコムで販売しています。

まずはこちらをクリック
↓ ↓ ↓
ノンシュガー トリュフ チョコレート「セカンド・ゼロ」
http://www.toushitsuseigen.com/shop/sweets_secondZero.html

砂糖入りの普通のチョコレートと比べて全く遜色ない、いえ、それ以上の仕上がりでとても美味しいですので、糖尿人、メタボ人、ダイエッターの皆さん、是非一度お試しあれ。



江部康二



テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
<糖質制限食に関するお知らせ・お願いなど>
こんばんは。
朝から雪が積もって、とても寒い京都です。


【本ブログのコメント・質問・記事に関するお願い】

ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。

糖質制限食に関する質問についてですが、実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、医師としての責任・債務がありますので、個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。

一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、ボランティアで回答させていただいています。

診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。

私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。

また、ブログ記事や本に関しても同様に、糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。

従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m

そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。

またネットで簡単に検索可能なことは、ご自分でお調べください。

質問が増えてきましたので、糖質制限食と関わりがないと判断した質問にはお答えできない場合もありますので、ご了承ください。m(_ _)m

普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)

掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。

質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。

一方、質問がかなり増えてきていますので、なかなか即、お答えすることが困難となってきています。

糖質制限食に関わりのある全ての質問に、本文かコメントでお答えするようできるだけ努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m

それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。

なお、糖質制限食が世の中・医学界にかなり浸透してきたことは間違いありません。

2012年1月15日(日)、第15回日本病態栄養学会年次学術集会が国立京都国際会館で開催され、

「糖尿病治療に低炭水化物食は是か?非か?」というディベートセッションが行われ、私が是側の演者で講演しましたが、大きな反響を呼びました。医学界にも確実に糖質制限食が広がっています。

ブログ読者の皆さんには、これまでと同様応援のほどよろしくお願い申しあげます。m(_ _)mV

【糖質制限食を実践される時のご注意】

本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、低血糖の心配がありますので
必ず主治医と相談して頂きたいと思います。

一方、薬を使用してない糖尿人やメタボ人は、低血糖の心配はほとんどないので、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病やメタボ改善を目指していただけば幸いです。

血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合と、活動性の膵炎がある場合、肝硬変の場合は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。

糖質制限食は相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。

肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。

なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、
まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。

また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。

糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。


<参考図書>

理論
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」2005年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008年
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009年
「やせる食べ方」2010年
「うちの母は糖尿人」2010年 監修:江部康二 著:伊藤きのと
(東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010年(ナツメ社)
腹いっぱい食べて楽々痩せる『満腹ダイエット』 (ソフトバンク新書) 2011年
「主食をやめると健康になる」(ダイヤモンド社)2011年

レシピ
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006年
「糖質制限食 春のレシピ」2007年
「糖質制限食 夏のレシピ」2007年
「糖質制限食 秋のレシピ」2008年
「糖質制限食 冬のレシピ」2008年
「血糖値を上げない! 健康おつまみ109 」2010年
「やせる食べかたレシピ集」2010年
「主食を抜けば糖尿は良くなる!レシピ集」2011年
(東洋経済新報社)

「糖質オフ」ごちそうごはん
(アスペクト)2009年

dancyu プレジデントムック 「満腹ダイエット 」(プレジデント社)2009年
dancyu プレジデントムック 「酒飲みダイエット 」(プレジデント社)2010年
dancyu プレジデントムック 「美食家ダイエット 」(プレジデント社)2011年

糖質オフダイエット (レタスクラブ、角川マーケティング)2011年
誰もがストレスなくやせられる! 糖質制限ダイエット(講談社)2011年

DVD「糖質制限食を語る」http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php 2011年

【糖質制限食とは】

米国糖尿病協会(ADA)によれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。 

また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。

これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。 
 
1997年版のLife With Diabetes(ADA)では、

「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」

という記載がありましたが、2004年版では変更されています。

このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を上昇させます。

従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。

脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。タンパク質はごく少量のインスリンを追加分泌させます。

現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。

食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。

そして、食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。

1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。

炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には、55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。

一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても、糖質含有量は1gもないので、食後高血糖はほとんど生じないのです。 

なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。

糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースに、できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。

簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。

抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
 
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら、薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。

一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。

従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。

糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。

なお糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。

一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2400キロカロリー、女性なら1200~1800キロカロリーくらいが目安です。

【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内・保険適応】

お問い合わせは高雄病院
http://www.takao-hospital.jp/

住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3 
電話:075-871-0245

ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。

【糖質制限食外来治療のご案内・予約制・保険適応】

高雄病院  電話:075-871-0245
http://www.takao-hospital.jp/
京都市右京区梅ヶ畑畑町3

高雄病院京都駅前診療所  電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
http://www.takao-hospital.net/

江部診療所 電話:075-712-8133
http://ebe-clinic.jp/
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F



江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
おかだ先生から追加コメント、検査データ改善
こんにちは。

小児科のおかだ先生から、追加コメントをいただきました。


【12/02/16 おかだ

ありがとうございます

「どうしておなかが減るのかな」を書いたおかだです。

http://d.hatena.ne.jp/pediatrician/20120213/1329110249

に検査値も載せています。

江部先生コメントありがとうございます。

湿潤療法で火傷の子どもたちが救われ、糖質制限で私が救われました。

そうなんですか、教科書には載っていないんですね。医師会のメタボ講習会で、食後高血糖がメタボの原因と言われてなるほどと思い、食事の量を抑えなければ考え、おかずとご飯を少なくしました。それで体重は5kgほど減ったのですが、本来卵や油好きの私にはおもしろくない食事でした。それが今では、卵も一日2-3個、毎日肉を食べてもやせていくという超幸せな日々です。

ちなみに体重40キロ弱の嫁も私につきあいスタンダード糖質制限(朝のみパンかご飯)にしていますが、体重は減っていません。それどころか今まで食後3-4時間を過ぎると冷や汗が出てくるほどの低血糖に悩まされていましたが、糖質制限始めてからその症状が出なくなりました。

「米を食べないと腹持ちが悪い」という人に「米を食べるからからが減るのだ」というと怪訝な顔をされ、食後高血糖、その後の高インスリン血症、それによる血糖の急激な低下云々という話をしています。

本当に糖尿病になる前に糖質制限に出会えて良かったと感謝しています。

シリアルバーはヤクルトのリエータです。http://www.yakult-hf.co.jp/products/lieta_cereal.html 糖質が3.6gから5.1g入っていますので本当は糖質制限食ではありません。でも腹にものが入っていないと胃酸が出て胃が存在感を持つこと上がり、その際昼食として1本をたべるくらい問題ないと判断しました。】


おかだ先生。
コメントありがとうございます。

美味しく楽しく減量成功ですね。

おかだ先生のブログから検査データを転載させていただきました。

糖質制限3週経過後の検査値等の変化
体重    67.4kg→ 64.2kg
体脂肪率  28% → 26.8%
総コレステロール 196 → 147
HDLコレステロール 61→ 50
LDLコレステロール 130 → 88
中性脂肪  67 → 55
BUN 19.6 → 23.3
Cre 0.86 → 0.88
HbA1c 4.9 → 4.9

見事な改善ですね。 (^_^)

HDLコレステロールが、何故か減っていますが、通常は増加します。

おそらく、次回の検査では増加に転じてくると思います。

奥様の機能性低血糖症も改善して良かったです。

ヤクルトのリエータ、1本が約50キロカロリーで、糖質が3.6~5.1gあります。

スーパー糖質制限食では、1回の糖質摂取量を10~20g以下を目指します。

おかだ先生のような、リエータの摂取方法は、許容範囲と思います。


江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
2月16日(木)呉市、中部防衛衛生学会、糖質制限食講演、ご報告
こんばんは。

2月16日(木)呉市で開催された、第51回中部防衛衛生学会で、午前11時から糖質制限食の特別講演を行ってきました。

日本全国の自衛隊の病院の医師・栄養士が参加されて、300人くらいの会場が満席でした。

自衛隊呉病院病院長、勝然秀一先生が、学会会長をつとめられました。

勝然先生ご自身が、糖質制限食で6kgの減量に成功されたそうです。(^^)

60分間の講演と質疑応答10分間で、熱気の溢れる会でした。

会長の勝然先生、座長の小倉正恒先生、ありがとうございました。お疲れ様でした。

私は、広島の修道高校出身で、呉から通学していた級友もいたという前振りも喋りましたが、修道高校の後輩の自衛隊病院長もおられて、懐かしい思いでした。

そのあとの昼食会では、刺身、海老サラダ、野菜の煮物、一人鍋・・・

24名の出席者にスーパー糖質制限食を用意していただきました。

玄米ご飯がオプションでついていましたが、私は勿論パスしました。

さて、自衛隊ならではの面白いお話しを仕入れてきましたよ。

潜水艦の乗組員が、何とほとんど全員、肥満なのだそうです。

任務に付く間、お日様なしで、運動もほぼゼロとのことです。

なおかつ、他に楽しみがないので、かつては1日4食も普通に食べていたそうです。

しかし、肥満続出のため夜食が廃止になって、1日3食になったのですが、バイキング形式で3500kcal/日、食べるそうです。

35才から、本格的に健康診断が始まるのですが、当然の如く(すいません)過半数の潜水艦乗組員が、肥満・糖尿病・糖尿病予備軍・メタボ・脂質異常症・・・など、生活習慣病のオンパレードなのだそうです。

「是非、糖質制限食を導入して、医療費削減を目指されては如何でしょう」

と私も当然、申しあげたのですが、なかなか嬉しいお話しもありました。

ある女性潜水艦乗組員が、私の本を3冊購入され糖質制限食を実践され、10kgの減量に成功されたのだそうです。

いまや全くの標準体型で、動きも軽やかとのことです。

他の潜水艦乗組員も是非糖質制限食を実践して欲しいですね。



江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖尿人は何故、感染しやすい?
こんにちは。

2月16日(木)は呉市で開催される、第51回中部防衛衛生学会で、午前11時から糖質制限食の特別講演を行います。

日本全国の自衛隊の病院の医師・栄養士が参加されます。

2月15日(水)江部診療所の夜診終了後新幹線で広島へ。

広島で一泊して、翌朝、呉にいく段取りです。

さて、一般によく知られていることですが、糖尿人は、肺炎、尿路感染、胆道感染、皮膚・軟部組織感染、外耳道炎、真菌感染、結核、歯周症・・・etcなど、様々な感染症を併発しやすいのです。

それでは、糖尿人は何故、感染しやすいのでしょう?

糖尿病専門医研修ガイドブック(改定第4版)の233ページに合併症、G.感染症の項目があります。

以下、引用です。

【糖尿病患者は易感染性であるといわれ、感染症が重症化しやすく、また感染症により血糖コントロールが増悪し、ひいては糖尿病昏睡の原因となることもある。

糖尿病患者の易感染性に関する因子としては、

1)好中球をはじめとする貪食細胞機能低下
2)免疫担当細胞機能低下
3)血行障害
4)神経障害

などがあげられる。

一般に血糖コントロールが不良なほど易感染性は増悪する傾向にあり、たとえば好中球貪食能は血糖値が250mg/dl以上になると急速に低下するとされ、血糖値をできるだけ正常レベル近くに保つよう努めることが大切である。】

高血糖そのものが、好中球貪食能を低下させるのですね。

正常人では、血流がスムースに循環していれば、そもそも感染は成立しません。

例えば、大腸ガンの手術で、癌を切り取って、端々吻合して縫い合わせ、腹壁を閉じます。

その後、皮膚は消毒しますが、糞便(細菌の塊)が通過していく大腸粘膜は、消毒しなくても感染しません。

また切れ痔も感染しませんが、痔瘻は袋状で血流が循環しないので感染します。

<参考:『傷はぜったい消毒するな』夏井睦著 (光文社新書,2009年6月)>

しかし、糖尿人では、まず

1)好中球をはじめとする貪食細胞機能低下
2)免疫担当細胞機能低下

があります。

これがあると、少々血流があっても感染する可能性がありますね。

さらに

3)血行障害
4)神経障害

が加わりますから、コントロール不良の糖尿人は大変ですね。

糖質制限食で血糖コントロール良好に保てば、1)2)はOKです。

3)4)は、糖尿病合併症ですが、これらが出現する前に、糖尿人の目標を達成して、予防したいですね。


<糖尿病合併症予防のための目標>
① 空腹時血糖値110mg/dl未満
② 食後2時間血糖値140mg/dl未満
③ 食後1時間血糖値180mg/dl未満
④ HbA1c6.5%未満→さらには5.8%未満



江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖尿病学会専門医も「糖質制限食」推進派に変身!
こんにちは。

名古屋・hさんから、「糖尿病学会専門医も「糖質制限食」推進派に変身!」という、とても嬉しいコメントをいただきました。


【12/02/13 名古屋・hさん
糖尿病学会専門医も「糖質制限食」推進派に変身!
江部先生

こんばんわ。糖質制限食もエビデンスはないことはわかりました。

今日、2か月毎の定期検査、診察で当方の主治医(日本糖尿病学会専門医)も糖質制限食メリットを認め、糖質制限食を肯定、積極的に勧めてくれたことに、驚くとともに大変うれしく思いました。

昨年4月からス-パ-糖質制限食を開始し、HA1cは7.3から、3か月で5.1に低下しその後も正常値を維持していました。これまで主治医は正常値を維持しているので、糖質制限食を中止せよとは言えないが、主食も取るようにと従来のカロリ-制限を勧めてその考えを変えませんでした。

今日の測定値、HA1c、5.3、血糖値(食後2時間)、110でした。
今日の主治医の意見は、正常値で問題はなく、脂肪、タンパク質で十分カロリ-を取り(当方はやせ気味で身長172cm、体重52kg)野菜も十分取って、今の食事を継続しなさい、に大変換したのです。

もちろんその理由は聞きませんでしたが、江部先生の幅広い活動の結果が、わが主治医にも影響を与えていることは間違いないと思います。また、ヒエラルキ-8位としても、自分の患者の症例も否定できない事実です。

糖質制限食が広く認知され全国の多くの病院で実施される日も近いと感じます。

名古屋・h】



名古屋・h さん。
良かったです。

2011年4月から、糖質制限食開始でデータ改善しても、主治医はカロリー制限食を、ずっと推奨されていたのですね。

2012年2月の診察で、「脂肪、タンパク質で十分カロリ-を取り」ということで、とうとう糖質制限食肯定に大変換とは素晴らしいです。

糖尿病専門医として、勇気ある主治医と思います。

長年の常識や固定観念を変えるのは、専門医にとって結構しんどいことなので、柔軟な考えの素晴らしい主治医です。

臨床の現場から、一歩一歩糖質制限食が浸透していってますね。



江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
どうしてお腹が減るのかな、小児科のおかだ先生からコメント
こんにちは。

「どうしてお腹が減るのかな」というコメントを小児科のおかだ先生からいただきました。

とても参考になる興味深い体験談なので、記事にさせていただきました。


【12/02/13 おかだ

どうしてお腹が減るのかな

江部先生
「どうしてお腹が減るのかな」という駄文を書いてみました。

お昼を過ぎてまだ仕事が終わらないときにイライラしませんか。
お腹が減ると人に優しくできなくなりませんか。
午後3時頃におやつが欲しくなりませんか。
特に絶食したわけでもないのに、「あー死ぬほど腹へった!」と感じたことはありませんか。
おなかが減ったときご飯を食べて「ウー満腹!」(ぽんぽん)ってしたことはありせんか。

1ヶ月前の私はすべてありました。おなかがすくと怒りっぽくなっていました。

糖質制限を始めてから、それが全くなくなりました。

今日などは朝7時に民宿で朝食、ご飯の代わりにオールブランというシリアルと牛乳あとは、味噌汁、あじの開き、生卵などです。

7時半から風速10m、気温2度のなか正午までセーリングをしました。寒さはキツかったですが空腹感は全くありませんでした。陸に上がり、ホットココアを一杯飲むと文字通りホットしました。午後2時半片付けも終わり、むちゃくちゃおなかが減っていたわけではなかったので、昼食用に持ってきたゆで卵1個と糖質1g、50Kcal のシリアルバーを一本食べました。

それから6時の夕食にお持ち帰りのケンタッキーのチキンを3ピースと野菜の煮込み、サラダを食べ、ちょうどいい腹ご心地です。

今まで感じていた死ぬほどの空腹感っていったい何だったのだろうと考えました。

今日一緒にいた脳外科の友人は、激しい空腹感はないと言っていました。

昼に空腹を感じてもしばらくすると空腹感は感じなくなり、気がつくと夕食の時間だという日もあるとか。

以前の私ならとても信じられない話です。ヨットに乗っていても、食事の時間になると「飯」「飯」と叫んでいました。

さて、

* 血糖を上げるのは糖質だけである。
* 正常人でも食後140程度の高血糖になっている。
* 血糖を下げるためインスリンが追加分泌される。
* 食後高血糖のあと急速に血糖値は低下する(糖尿病ほどではないにしてもグルコーススパイクが起こっている)

ここまでは教科書に乗っている事柄です。

以下は私の推測です。

* 急激な血糖値の低下が空腹感を催させる。
* おやつに糖質を食べると再び血糖が上昇し空腹感が無くなる。
    (例、小腹が空いたので、むし養いを食べた)

余談ですが、これを繰り返していると、いつかは膵臓のラ氏島β細胞が疲弊し、インスリンの分泌が悪くなり糖尿病となり、疲弊しにくい人はインスリンの作用で内臓脂肪が蓄積され、インスリン抵抗性が増し、糖尿病になります。

さて糖質制限すると、食後の血糖上昇はより緩やかになり、インスリン追加分泌も少なく血糖の上昇も軽度でインスリンの追加分泌もわすかだと思われます。

インスリンの追加分泌が少ないと急激な血糖低下は起こりません。それ故激しい空腹感に苛まれることはなくなると考えます。

江部先生の著書( http://www.amazon.co.jp/主食をやめると健康になる-ー-糖質制限食で体質が変わる!-江部-康二/dp/4478017425)によると糖質制限はいろいろなメリットがあると書いてありますが、私が実践して今のところ一番のメリットは空腹感に苛まれることがなくなったことです。

もしも、最初に指摘した事項におもいあたる方は糖質依存です。

肝機能、腎機能に異常のないかたは騙されたと思って糖質(ご飯、パン、うどん、そば、粉モン、清涼飲料水、野菜ジュース、ケーキ、和菓子、オカキ、イモ、かぼちゃ)を2週間やめてみませんか。

注意することはカロリーは制限しないでください。

足りないカロリーは豚肉、オリーブオイル、マヨネーズ、ごま油などで補ってください。(詳しくはレシピ本 http://www.amazon.co.jp/糖尿病のための「糖質オフ」ごちそうごはん-江部-康二/dp/4757216858/ref=pd_sim_b_4 )などを参考にしてください。

腹が減れば、くるみなどのナッツ類を食べてください。

2週間試してください。今まで糖質依存でありお腹が減ったと感じていた時間がなんと無駄であったかと感じると思います。人類は1ヶ月くらい水だけで生存出来るだけの脂肪を蓄えているそうです。一食くらい食べなくても命に関わるわけはありません。

それが死ぬほどの空腹を感じていただなんて本当におかしな話です。

本当に今は幸せです。好きなものを腹いっぱい食って、昼食を抜いても空腹感に苛まれず、体脂肪が減っていくのですから。】



おかだ 先生

貴重な体験談をありがとうございます。
ご指摘の点は、全くその通りと思います。

湿潤療法で有名な、

夏井睦先生のホームページ http://www.wound-treatment.jp/title_new.htm

でも、糖質制限談義、花盛りですね。

嬉しい限りです。(^^)

夏井先生にはお礼のメールをいたしました。

糖質制限な話題満載のお返事もいただきました。


【* 血糖を上げるのは糖質だけである。
* 正常人でも食後140程度の高血糖になっている。
* 血糖を下げるためインスリンが追加分泌される。
* 食後高血糖のあと急速に血糖値は低下する(糖尿病ほどではないにしてもグルコーススパイクが起こっている)
ここまでは教科書に乗っている事柄です。】


おかだ先生、上記は私の本には書いてありますが、通常の医学の教科書には、載ってないと思いますよ。

「血糖を上げるのは、糖質だけで、タンパク質・脂質は上げない」

と明示してある、糖尿病の本は皆無です。

糖質管理食でさえも、日本糖尿病学会のガイドラインには記載されていないのが現状です。

2012年1月15日(日)に開催された、第15回日本病態栄養学会年次学術集会(国立京都国際会館)における
「糖尿病治療に低炭水化物食は是か?非か?」ディベートセッションが、糖尿病学会が糖質制限食を認知するきっかけになればいいのですが・・・。



江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
evidence based medicine(証拠に基づく医学)→略してEBM
こんにちは。

evidence based medicine(証拠に基づく医学)→略してEBM

EBMが現在、医学界を席巻しています。

EBMだけに頼る医療には、明確に限界があります。

一方、EBMを無視する医療にも、明確に限界があります。

ともあれ今回の記事は、EBMについて考察してみます。

医学界において、evidence(エビデンス、証拠、根拠)となるのは、基本的に医学雑誌に掲載された論文です。

ニューイングランド・ジャーナル、ランセット、米国医師会雑誌など、定評ある医学専門誌に掲載された論文であることも、evidence(エビデンス、証拠)の大きな要素となります。

その論文も

①無作為割り付け臨床試験
②前向きコホート研究
③コホート内症例割り付け研究
④後ろ向けコホート研究
⑤症例対照研究
⑥地域相関研究
⑦時系列研究
⑧症例報告
⑨実証的研究に基づかない権威者の意見

といった順番で、信頼度に差をつけられています。

これを研究デザインのヒエラルキーと呼ぶそうです。

ごちゃごちゃ並んでいて、研究の名称も難しいし、何やようわからんし、勘弁してくれと思っているそこの貴方 (∵)?

そう、私も似たようなもんなので安心してください。

心配要りません。シンプルにいきましょう。

一般にエビデンスレベルが高い研究論文と言うときは、

①無作為割り付け臨床試験(RCT)
②前向きコホート研究

に基づく論文のことをさします。

もう、はっきり言ってこれだけ覚えておけばいいです。

勿論、症例報告も大切な医学研究の一つなのですが、ことEBMというときは、超割り切って、「無作為割り付け臨床試験(RCT)」と「前向きコホート研究」だけ考慮すればいいということです。

かつて、医学界では

<⑨実証的研究に基づかない権威者の意見>

が幅を利かしていて、学会発表などでも、有名大教授で権威者のA氏が質問にたって「私はこう思う」といったら、水戸黄門の印籠みたいなもので「ヘヘー、恐れ入りました。」という事で一件落着という世界だったのです。( ̄_ ̄|||)

<⑨実証的研究に基づかない権威者の意見>

権威者が、何人か寄り集まって、ガイドラインの内容を決めると、コンセンサスによる決定となります。

これは、上述のヒエラルキーからみると、エビデンスレベルは最低というか、はっきりいってエビデンスはないということです。

権威者の意見とか、コンセンサスに基づく見解とかに頼っているのは非科学的であるという批判が、世界中の医学界で続出して、それではいかんということで、evidence based medhicine(証拠に基づく医学)→略してEBM
が登場したわけです。


さて、前振りが長かったですが、「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン」2010の食事療法の部分、 31ページに

「摂取エネルギー量の決定」
「摂取成分量」

の項目で、摂取エネルギー量算定の目安や炭水化物は指示エネルギー量の50~60%など、グレードAで推奨してあります。

摂取エネルギー量の目安に従えば、かなりのカロリー制限食(低カロリー食)となります。

まあ、結局、従来の糖尿病食である、「カロリー制限・高糖質食」を、相変わらずグレードAで推奨しているわけです。

そして、以前にもブログ記事にしましたが驚くべき事に、

「摂取エネルギー量の決定」
「摂取成分量」

の項目は、グレードAの推奨なのに、根拠はともにコンセンサスなのです。

つまり、科学的根拠に基づいていないことが、明示されているのです。

何をかいわんや・・・ですね。

つまり、糖尿病の食事療法に関しては、現在エビデンスはないのです。

これは、糖質制限食においても同様です。

「カロリー制限・高糖質食」にも「糖質制限食」にも、ともにエビデンス(無作為割り付け臨床試験(RCT)、前向きコホート研究)は無いのです。

一方、生理学的事実として、糖質制限食なら、食後高血糖は生じず、カロリー制限・高糖質食なら、食後高血糖が必ず生じるということが明白です。

そして、<食後高血糖ガイドライン2007国際糖尿病連合>によれば、食後高血糖は、大血管合併症の独立した危険因子であり、癌発症リスク上昇と関連するとのことです。

糖質制限食により、食後高血糖を防ぐことの意味は、大変大きいと思います。



江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食実践で適正体重になる
おはようございます。

シュガーライフさんと、kira20090226さんから、糖質制限食を実践しても体重が減らないとのコメントをいただきました。

糖質制限食で肥満の人は体重減少しますが、痩せ過ぎの人は体重が増加します。

いずれもその人における適正体重になって落ち着きます。

シュガーライフさんは、もともと154cm、40kgでBMI:16.9だったのが、糖質制限食実践で46kgに増加して、BMI:19.4ですね。

少なくともBMI:20くらいまで体重を増やしたいですね。即ち、目標は47.5kgです。

kira20090226さんは、160cm、 48kg、BMI:18.75。

初めの1週間で、1.5キロ減量、そのあとは2キロ増加。

kira20090226さんも、体重51.2kg、BMI:20、くらいまで体重が増えたほうが望ましいです。


1)世界ガン研究基金の報告では、BMI:20~25未満 が目標。
2)ランセットの論文では欧米人はBMI:22.5~25 が総死亡率が一番低い。(*)
3)ニューイングランド・ジャーナルの論文では、アジア人はBMI:23~27 が 
  総死亡率が一番低い。(**)


1)2)3)を考慮すれば、現在痩せすぎの人は、少なくともBMI:20 は確保するほうが、安全といえます。


(*)
Prospective Studies Collaboration
PSC, Whitlock G, et al. Lancet 2009; 373: 1083–96

(**)
Zheng W, et al.N Engl J Med. 2011 Feb 24;364(8):719-29.
Association between body-mass index and risk of death in more than 1 million Asians.


江部康二


【12/02/10 シュガーライフ
こんにちわ
おひさしぶりです。

現在糖質制限5ヶ月(年末年始は糖質食べ過ぎました)になりました。

1週間に1食か2食ほど外食でご飯を食べる位です。ご飯は半分残してます。

お菓子や小麦系は血糖上昇が怖いので食べなく てもとりあえず大丈夫になりました。

二ヵ月後に再び糖負荷試験をすることになりました。数値がどうなるか心配です(>_<)

悪化したと言う人もいるし改善したという人もいるので・・
もしかしたら悪化してるかもと今からビクビクです。

ところで本題なのですが、私は痩せ型です。

しかし糖質制限食で体重がどんどん増えていってます。これは食べすぎなんでしょうか???

ちなみに今日の献立ですが、

朝:厚揚げ1個・水菜・ラカントで煮たサバ味噌2切れ

昼:ブロッコリーとアスパラ、セロリのサラダ山盛り。トラウトサーモンとブリ(脂がのっているカマの部分)を大量に、26センチフライパンにタップリ。それでも足らなくて鮭1切れと小さいチーズ6個

夜:海草麺と豆腐を混ぜて蒸したハンバーグに 自家製ねぎ塩を乗せたもの大2個・ブロッコリーに
  アスパラ。椎茸と高野豆腐のラカント煮

です。体重増加は食べすぎなのかカロリーが高く脂タップリのものばかりだからでしょうか?

私は肉より魚を良く食べます。

魚の脂は体にいいといわれていますので積極的にサバやぶり、秋刀魚など沢山たべていますが、その他にも脂タップリのサーモンやブリのカマの部分が大好きなんです。アラなど安く売ってるときに買いだめしちゃいます。

糖質制限でもやはりこれは辞めたほうがいいでしょうか??脂多すぎますし。

それとも食べる量が多すぎますか?

体重は一気に6キロ増えました・・・・。

やはり食べる素材自体を変えるべきでしょうか?

料理方法は脂は使わずフライパンで焼いてるだけです。

アドバイスをお願いします。】

【12/02/11 シュガーライフ
ありがとうございます。
先生アドバイスどうもありがとうございました。
言われたとおりこのまま続けてみようと思います。

もともと体重40㌔、BMIは16.9なのでやはりやせすぎだと思います。
ですが6キロ増しでウエストが太くなりジーパンがキツイです(^_^;
もう少し運動して引き締めたいと思います。】


【12/02/11 kira20090226
リバウンド
はじめまして。

私は、32歳の2人の子持ちのママです。

三週間前くらいから糖質制限をはじめました。

糖尿ではなく、ダイエット目的です。

160センチ 48キロ で一応標準ではありますが、妊娠前の45キロに戻りたくてはじめました。

初めの1週間で、1.5キロ減量できましたが、そのあとは2キロリバウンドです。

たぶんはじめは浮腫みがとれたからかなと…

食事は三食だいたいゆで卵とささ身やツナや大根やレタスなどの葉っぱ野菜、チーズとアボカドなどを腹八分ですか、お肉を食べていいのをいいことに子供の唐揚げ(お惣菜の)をよくつまみ食いしてました。あとは、チーズがいいのならと牛乳をよく飲んでしまっていました。

揚げ物や牛乳をやめ、スーパー糖質制限にすれば、私のような体型でも減量できますか?

今までは、野菜や果物中心の食生活だったので、お肉にかえたことでの一時的な増えだといいのですが…

なにかアドバイスありましたらお願いします。

つたない文章で失礼しました。】

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
新・ウィークエンドおもしろ京都学入門「主食を抜けば糖尿病はよくなる」ご報告
こんにちは。

2012年2月10日(金)、18:30~20:00

仏教大学四条センターで京都新聞総合研究所 提携講座

新・ウィークエンドおもしろ京都学入門
「主食を抜けば糖尿病はよくなる」

と題して、講演をしました。

1月、2月と寒い日が続いたので、これまでの講演は、参加者の数がいまいちだったそうです。

しかしそんな杞憂もなんのその、寒さにめげず、118名もの人が参加されて、熱気と笑いに包まれた、とても楽しい会となりました。 (^_^)

今回は、コーディネーターの吉澤 健吉(京都新聞総合研究所特別理事、佛教大学講師)さんと、対談形式で行いました。

パワーポイントスライドも30分間分使用しましたが、残りの1時間は二人のトークショーでした。

一人で90分、しゃべり続けるのと違い、新鮮な感覚で楽しめました。

糖質制限食のこと、日本の医療の問題点、何故漢方医になったのか、何故食事療法に興味をもったのか、生まれ育ちのこと、兄のこと、父のこと、母のこと、アトピー学校のこと、心理療法のこと・・・、最後にターニングポイントのライブのこと。。。

話題は多岐にわたり、いろいろ盛りだくさんの会でした。

吉澤さんは、ライブのことも知っておられたので、インターネットから、スタンド・バイ・ミーという私の愛唱歌の伴奏をダウンロードしていただいていたのですが、残念ながらキーが合わずに、アカペラで歌いました。

歌の評判は想像にお任せします。 (^^)


☆☆☆

不肖江部康二、1994年からバンド<TURNING POINT> を率いて、毎月1回第三金曜日夜にライブ活動を続けています。

19:30、オープン、
20:00、第一ステージ、40分
21:30、第二ステージ、40分~50分

定期ライブ開始以来、一度も休んだことがないのはちょっと自慢です。

2007年12月からは、「ライブハウス 憧夢」で活動しています。

2009年1月から京都市営地下鉄東西線が、太秦天神川駅まで完成して、交通アクセスがとても便利になりました。

京都に来られた際は是非お立ち寄りください。


ライブハウス 憧夢 http://www.106215.jp/
電話:075-861-2040
京都市営地下鉄東西線「太秦天神川駅」下車 北へ 徒歩 1分
入場料:¥1000- ワンドリンクつき



江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食で減量成功、夏井睦先生のホームページでブームに
こんにちは。

小児科医のおかだ先生から、糖質制限食で減量成功という嬉しいメールをいただきました。

湿潤療法で有名な夏井睦(まこと)先生のホームページで糖質制限食がブームになっており、それで知られたそうです。

【12/02/08 おかだ
スーパー糖質制限3週目の小児科医師です。

江部先生
こんばんは
スーパー糖質制限3週目の小児科医師です。
リンクにあるように湿潤療法を実践しているものです。湿潤療法の提唱者夏井先生が糖質制限され調子が良いと聞き私も先生の著書とレシピ本を買ってスーパー糖質制限を始めました。DMではありませんが肥満と高インスリン血症はありました。はじめて2週間で体重ー2.5kg 今まで夜診前に食べていたおやつも食べたくなくなりました。死にそうなほどの空腹感も全くなくなりました。
自分が糖質依存であったことがよくわかりました。
遅まきながら先生のブログを読み始めています。
「傷は絶対消毒するな」とならんで「主食をやめれば健康になる」が私の座右の書となりました。】



おかだ 先生

「主食をやめれば健康になる」などの本のご購入、ありがとうございます。

肥満と高インスリン血症、さらに改善すると思いますよ。 (^^)

2011年1月14日(金)高雄病院に、石岡第一病院・傷の治療センター長・夏井睦(まこと)先生をお招きして、新しい創傷治療・湿潤療法について、ご講演いただきました。

その時、糖質制限食のことをお話して、興味をもって頂きました。

以降、夏井先生には、拙著をたくさん、ホームページ経由で販売促進していただき、感謝です。 m(_ _)m


湿潤療法の詳細は、夏井先生のホームページ
http://www.wound-treatment.jp/
を見て頂くとして、

簡単にいえば、傷に対して

消毒は一切せず
水道水で洗って
ワセリンをぬって
被覆材(ラップ)で保護するだけ。

という、革命的な治療法です。

これで、ほとんどの傷は、痛みを伴うことなく速やかに治ります。

豊富な症例の写真も提示されて、とてもわかりやすい素晴らしい講演でした。

高雄病院でも、夏井先生のご著書を拝見して、見よう見まねでここ数年、湿潤療法をして、それなりの成果をあげていたのですが、やはり元祖にお話しいただいて得るものが大変多かったです。

創傷治療とはまた別のことで興味深かったことがあります。

夏井先生の最新刊

「傷はぜったい消毒するな」 生態系としての皮膚の科学 (光文社新書)

に、シャンプーをやめてお湯洗いするだけで、抜け毛やふけがほとんどなくなると書いてあります。

ご自身も3年間、一切シャンプーや石けんを使用されてないそうです。

髪の毛がぬけるという方々に、界面活性剤であるシャンプーや石けんが、皮脂を取り去り過ぎて頭皮にダメージを与えている可能性を考慮されて、中止してみたところほとんどの人で抜け毛がなくなったそうです。

私も、講演前の2011年1月3日に「傷はぜったい消毒するな」を読みなおして、以来一切、シャンプー・石けんを頭皮に用いることを止めました。

そうすると、ものの見事に抜け毛とふけが激減して、ほとんど無くなりました。

2012年2月10日現在も勿論継続していて、毎日一回お湯洗いとマッサージだけです。

整髪料代わりにほんの少しの椿油は、30才頃からずっと使っていますが・・・。

極端な油汚れとかでなければ、ほとんどの汚れはお湯洗いで充分きれいになります。

アトピー性皮膚炎で頭皮が乾燥して痒いという人に、今までは

「シャンプーを毎日するのはやめて、1/2~3日にして間の日はお湯洗いでいい」

と指導してきて、それなりの成果は得ていたのですが、夏井先生の講演を聴いて以後は、すっきり「お湯洗いだけ」と言うことにしています。

ブログ読者の皆さん、抜け毛やふけが気になるかたは是非お試しあれ。

「傷はぜったい消毒するな」 (光文社新書)

も名著です。

是非ご一読のほど。


江部康二


☆☆☆

夏井 睦(なつい まこと) 先生のプロフィール
1957年,秋田県生まれ。
1984年,東北大学医学部卒業。日本形成外科学会認定医。
2001年10月1日,インターネット・サイト「新しい創傷治療」を開設。
2003年4月,特定医療法人慈泉会 相澤病院 傷の治療センター長として赴任。
2007年7月,石岡第一病院 傷の治療センター長に赴任。

著 作:
【これからの創傷治療】(医学書院):2003年7月
【創傷治療の常識非常識】(三輪書店):2003年12月
【さらば消毒とガーゼ <うるおい治療>が傷を治す】(春秋社):2004年12月
【創傷治療の常識非常識2 -熱傷と創感染-】(三輪書店):2006年1月
『ドクター夏井の外傷治療「裏」マニュアル すぐに役立つHints & Tips』(三輪書店,ISBN978-4-89590-276-2 C3047, \2,600 ):2007年5月
『痛くない!早く治る!キズ・ヤケドは消毒してはいけない―「うるおい治療」のすすめ』(主婦の友,2008年1月)
『傷はぜったい消毒するな』(光文社新書,2009年6月)

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
新・ウィークエンドおもしろ京都学入門、 主食を抜けば糖尿病はよくなる
こんばんは。

うっかり、忘れてました。

2012年2月10日(金)、18:30~20:00

仏教大学四条センターで、京都新聞総合研究所 提携講座

「新・ウィークエンドおもしろ京都学入門 主食を抜けば糖尿病はよくなる」

が開催されます。

講師は私です。

入場無料ですので、奮ってご参加くださいね。

以下は、仏教大学四条センターの案内です。

☆☆☆

京都新聞総合研究所 提携講座 新・ウィークエンドおもしろ京都学入門

週末のゆうべのひととき、京都学を楽しく学んでみませんか?―をキャッチフレーズに始めた本講座も、好評のうち3年目に入りました。

本年度も、伝統文化・工芸、芸術、宗教など京都を代表する各分野から、ふだん会えない第一線のゲストを招き、コーディネーターの吉澤健吉が対談形式で楽しくゲストの魅力を引き出します。

コーディネーター:吉澤 健吉(京都新聞総合研究所特別理事、佛教大学講師)

入場料:無料
定員:150名(当日先着順)

テーマ: 主食を抜けば糖尿病はよくなる
講師: 江部 康二(高雄病院理事長)
開講日: 2012年2月10日(金)
時間: 18:30~20:00

場所:仏教大学四条センター
   四条烏丸・北東角・京都三井ビル4階

お問い合わせ:仏教大学四条センター事務局 
電話:075-231-8004(10:00~17:00)


※ 開講当日の申込で結構です。
※ 受講申込の受付は講座開始の60分前から開始します。
※ 申込者が講堂(会場)の収容人員を超過した場合は、その時点で申込受付を終了させていただきます。

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
江部診療所のホームページを開設しました。
こんばんは。

江部診療所のホームページを開設しました。

まだ出来たてですので、なかなかグーグルで検索しても上位にあがってきません。

是非、上記をクリックして覗いてみてくださいね。

http://ebe-clinic.jp/


本ブログのリンクにも上から3番目に、江部診療所を載せました。

面倒くさがりで、ずっとほったらかしにしていたのですが、

「最低限の診療情報だけでもあったら助かる」

という患者さんの声も多かったので、重い腰をあげました。

簡単に以下の情報が閲覧できます。

治療方針・診療内容
院長紹介
診療時間帯
交通アクセス
休診情報


以下はトップページからの抜粋です。


江部診療所は1989年3月1日、京都市左京区下鴨高木町で開設しました。

北には送り火で有名な妙法の山々、南には糺の森があり、京都らしい緑に恵まれた環境に位置しています。

開設当初より「漢方治療」を中心に据えつつ「西洋医学」も併用し、患者さん個々に合わせた医療を実践してまいりました。

私は、高雄病院理事長も務めており、江部診療所は、高雄病院、および高雄病院京都駅前診療所と連携した医療を展開しています。

私たちは、アトピ-・アレルギーの治療システム「アトピー学校」を確立し、運営しています。

「アトピー・アレルギー治療」に対する長年の経験があり、その治療実績は日本有数のものと自負しております。

また、2001年からは、画期的な糖尿病の治療食「糖質制限食」の指導を導入しています。

2012年1月15日、第15回日本病態栄養学会年次学術集会において「糖尿病治療に低炭水化物食は是か?非か?」というディベートセッションが行われ、私は是側の演者として講演しました。

このことは、糖質制限食が医学界の表舞台に登場したという意味で、大きな一歩といえます。

<糖質制限食による糖尿病治療/漢方治療/アトピー・アレルギー治療>

これらが、江部診療所の治療の3本柱です。

毎週月曜日の夜は、革島定雄医師の外来です。

革島医師は、私の京大医学部の同級生で、この3本柱にも精通しておられます。

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
スーパー糖質制限食とガン予防、2012年2月
おはようございます。

スーパー糖質制限食とガン予防について、まとめてみます。

A)発ガンリスクとエビデンス
1)高インスリン血症に発ガンリスクあり。
2)高血糖に発ガンリスクあり。

B)発ガン抑制とエビデンス
1)HDLコレステロールが上昇すると発ガン抑制効果あり。
2)ケトン体にガン細胞抑制作用あり。(これは動物実験でのエビデンス)

A)B)には論文による科学的根拠(エビデンス)があります。


スーパー糖質制限食実践により、高インスリン血症と高血糖が改善します。HDLコレステロールが上昇し、ケトン体も上昇します。

すなわち、スーパー糖質制限食実践により科学的根拠に基づいて、発ガンリスクが減少して、ガン抑制効果が高まります。従って理論的には、発ガン予防効果とガン治療効果が期待できます。

一方、これはあくまで理論的な仮説段階ですので、まだエビデンスとなる研究論文はありません。

しかし最低でも2年はかかると思いますが、

【肺ガンに対するケトン食療法with「放射線・化学療法」】
Ketogenic Diet With Chemoradiation for Lung Cancer (KETOLUNG)
A Phase I Trial of a Ketogenic Diet With Concurrent Chemoradiation
for Non-small Cell Lung Cancer
http://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01419587

の研究報告が論文化されたらエビデンスが出ますね。

楽しみです。


江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
米国で肺ガンに対するケトン食療法の臨床試験開始
こんにちは。

何と、米国で

【肺ガンに対するケトン食療法with「放射線・化学療法」】

という臨床試験が開始されました。

非小細胞肺ガンにターゲットを絞った研究です。

Ketogenic Diet With Chemoradiation for Lung Cancer (KETOLUNG) (*)

アイオワ大学が主スポンサーで、NIH(米国国立衛生研究所)も共同研究者という本格的なものです。

2011年8月から、開始されています。現在もまだ参加者を募っています。

いよいよガンに対する糖質制限食(ケトン食)の治療効果が証明されるかもしれません。

私達もうかうかしてはいられませんね。

ケトン食は、総摂取カロリーの75~80%が脂質という、究極のスーパー糖質制限食です。

2010年版COCHRANE LIBRARLY(コクラン ライブラリー)と、2011年版NICE(英国政府ガイドライン)の、難治性小児てんかん治療に採用されたのは記憶に新しいところです。

小児のてんかんだけでなく、成人のガンにもおおいに効果が期待されるということでしょう。

米国では、近い将来、ケトン食による非小細胞肺ガン以外のガンの臨床試験も始まるかもしれません。

ケトン体は、人体における最も効率のよいエネルギー源であり、動物実験ではガン細胞抑制作用が確認されています。今後、様々な病気へもケトン体の効果が期待できる可能性があります。




江部康二



(*)
A Phase I Trial of a Ketogenic Diet With Concurrent Chemoradiation for
Non-small Cell Lung Cancer

http://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01419587

Sponsor: University of Iowa
Collaborators:
National Institutes of Health (NIH)
Holden Comprehensive Cancer Center
Nutricia North America
Information provided by: University of Iowa
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質摂取とインスリン分泌と耐糖能
こんばんは。

peavywagner さんから、糖質摂取とインスリン分泌と耐糖能について、コメント・質問をいただきました。


【12/02/04 peavywagner

前から疑問に思ってたんですが、よく聞く説明に、

「食後高血糖に対処するために、インスリンが食後に大量分泌される。 それを繰り返していると、膵臓のβ細胞が疲弊して、インスリンが分泌能が低下していく」

がありますし、一般的な考え方として普及していると思います。

この考え方に何か根拠はあるのでしょうか?

例えばエビデンスとして認められているような。

逆に考えれば、

「食後高血糖に対処するために、インスリンが食後に大量分泌される。 それを繰り返していると、膵臓のβ細胞がそれに対応して、 インスリン分泌が増大するよう強化される」

という考え方も出来るような気もするんですが…よろしくお願いします。】


peavywagner さん。
興味深いコメント・質問をありがとうございます。

1)糖質を摂取したあと食後血糖値が上昇しないように、インスリンが食後に大量分泌される。

2)インスリン分泌能が保たれているうちは、食後血糖値は正常に保たれる。

3)上記パターン1)2)を20~40年繰り返しているうちに、β細胞が疲弊してインスリン分泌能が
  やや衰えてくるとと食後高血糖を生じる。
  食後2時間で140~199mgとなるとIGT(耐糖能障害)という境界型段階に達する。

4)IGT(耐糖能障害)という段階を数年~10年繰り返しているうちに、
  早朝空腹時血糖値が110~125mgとなり
  IFG(空腹時血糖障害)という境界型になります。
  早朝空腹時血糖値が126mg/dl以上になれば糖尿病型となります。

5)インスリン分泌能がさらに衰えて食後2時間血糖値が200mg/dl以上になれば
糖尿病型です。


日本人の糖尿病発症のパターンは、上記の1)2)3)4)5)の流れが主流とされています。

つまり糖尿病は、

「インスリン分泌不足+インスリン抵抗性」=インスリン作用不足

で発症しますが、日本人の場合はインスリン分泌不足が主体です。

これは、過去の臨床の豊富な症例で多施設で確認されている事実です。

日本人の2型糖尿病発症時の平均BMIは24くらいです。

従いまして

「食後高血糖に対処するために、インスリンが食後に大量分泌される。 それを繰り返していると、膵臓のβ細胞がそれに対応して、 インスリン分泌が増大するよう強化される」

というようなことは、少なくとも日本人では期待できないということです。

一方、欧米人の場合は、大量のインスリンを長期にわたって分泌し続け、巨大な肥満を呈するパターンが多いです。

インスリンは肥満ホルモンです。

上記1)2)を長年続けて、巨大肥満となりインスリン抵抗性が高まります。

すなわち、インスリンの効きが悪くなり糖尿病を発症します。

欧米人の場合、インスリン抵抗性が主の糖尿病がほとんどです。

2型糖尿病発症時の平均BMIは31くらいで、インスリン分泌能はまだ残っていることが多いのです。

この欧米人と日本人(アジア人)のインスリン分泌能の差は、現時点では遺伝的・先天的なものとされています。

つまりβ細胞が糖質摂取で鍛えられて、分泌能が高まったという風には考えられていません。



江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
東京・中野、NPO糖質制限食ネット・リボーン・セミナーのご報告
おはようございます。

朝から小雨がちらついている京都です。

2012年2月5日(日)東京・中野において開催された医療関係者向けNPO糖質制限食ネット・リボーン・セミナー、無事終了しました。

医師、栄養士、看護師、鍼灸師、食品研究者の方々、50人が定員いっぱいご参加いただき、熱気溢れる会となりました。

2012年1月15日(日)に国立京都国際会館で行われた、第15回日本病態栄養学会年次学術集会のディベートの立論をたっぷり時間をかけて解説し、次に2011年9月に高雄病院で開催された京都漢方シンポジウムで発表した「糖質制限食とガン・動脈硬化」に関する考察を最新知識を追加してお話ししました。

これで前半終了で、後半は糖質制限食基礎理論と疫学を中心にやはり最新知識を交えてお話ししました。

質疑応答は40分間、時間を確保したのですが、それでも足らなくなり会場の外でも約20分くらい質問を受けました。

参加の皆さん、大変熱心で、糖質制限食への関心の深さがうかがい知れました。

帰りの新幹線、ギリギリで間に合いました。



江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
「スーパー糖質制限食に発ガンのリスク」というエビデンスはない
おはようございます。

精神科医師A さんから、ハーバード大学の研究者が「Annals of Internal medicine」に2010年に論文発表したコホート研究について、コメントをいただきました。

灰本医師と野田医師が、厳しく糖質制限食をすると総死亡率と癌のリスクが上昇するという見解を述べておられます。


これに対して私の結論は、

1)そもそも、そのようなエビデンスはこの論文には記載していない。

2)「糖質制限を厳しくすればするほど総死亡率は有意に上昇」というのは、何ら根拠のない飛躍した単なる仮説である。

3)この論文は、「高糖質食」と「中糖質食」を比較したもので、ADAの定義に相当する「低糖質食(糖質制限食)」群は、全く検討されていない。

ということです。


【12/02/02 精神科医師A

論文への見解

この論文について、2名の医師の見解を示します

1) 南江堂「内科」108(4)671-676, 2011年10月号 灰本 元
■ローカーボ食(炭水化物,糖質制限食)による2型糖尿病の治療
―ローカーボ食の大規模長期観察コホー卜研究―

最近、総死亡率をアウトカムとしてHCDとLCDを比較した大規模長期観察コホート(女:8.5万人26年間,男:4.5万人20年間)の結果が米国から発表された。それによると、厳しく炭水化物・糖質制限を制限すればするほどHCD群に比べて総死亡率は有意に上昇した.

ところがLCD群の食事内容をさらに詳しく解析すると、総死亡率を押し上げたのは動物性脂肪・蛋自質を中心に摂取した中くらいの炭水化物制限のLCD群(35~37%C)で、HCD群に比べて年齢・総摂取エネルギー調整ハザード比(HR)は1.66(男)~1.26(女)へ有意に上昇し、心血管死も癌死(とくに肺癌と結腸癌)も有意に増えた。

一方、植物性脂肪・蛋白質を中心に摂取した群では炭水化物・糖質制限も緩やかで(40~43%C)、HRは0.77(男)~0.77(女)、むしろ有意に死亡率は減少した。

(中略)

一方で,大規模観察コホート研究はLCDの課題も浮き彫りにした。厳しいLCDは重症DMヘ短期間に限定するほうが安全である。長期的には、緩やかな炭水化物制限をしながら植物性脂肪・蛋白質を中心に摂取するLCDが、今後世界の主流になるであろう

 LCD: low-carbohydrate diet, 低炭水化物食、ローカーボ食
 HCD: high-carbohydrate low-fat diet, 高炭水化物・低脂肪食

2) Diabetes Frontier 22(1)35-39, 2011年2月
野田絵美子(東京医科大学内科学第三講座 糖尿病・代謝・内分泌内科)

■低炭水化物食と癌

心疾患、癌、糖尿病をもたない男女に対し行った米国でのコホート研究によると,低炭水化物食の中でも、動物由来を中心とした高たんぱく、高脂質食では癌や心血管イベントなどを含んだ年齢別総死亡率は高く、植物由来を中心とした高たんぱく、高脂質食では年齢別総死亡率は低かった。

低炭水化物食の効果は、糖質以外の栄養素である脂質やたんぱく質の種類に大きく影響されると考えられた。

*両名の見解の特徴を示すと

1) 厳しいLCDは、重症糖尿病に対し短期間に限定するほうが安全である。長期的には、緩やかな炭水化物制限をしながら植物性脂肪・蛋白質を中心に摂取するLCDが、今後世界の主流になるであろう

2) 低炭水化物食の効果は、糖質以外の栄養素である脂質やたんぱく質の種類に大きく影響されると考えられた】



精神科医Aさん。
情報、ありがとうございます。

まず灰本医師と野田医師の見解は、完全な誤解です。

そもそもこの論文には、糖質制限食をしたグループは、登場していません。

この論文はあくまでも、総摂取エネルギーの37.4%(女性)、35.2%(男性)を、炭水化物から摂取している中糖質食の動物食グループにおける話です。

高雄病院のスーパー糖質制限食(総摂取エネルギーの12%を糖質から摂取)を実践しているグループ は、この論文のどこにも登場しません。

これだけの糖質摂取量だと、低炭水化物食(糖質制限食)の研究というには相応しくありません。

厳しい糖質制限食(スーパー糖質制限食)を実践したグループの研究が行われていないのですから、その発ガンリスクが増えるという根拠には全くなりません。

ちなみに、ADAは130g/日以下、2000kcal/日で26%以下を糖質制限の定義としており、バーンスイタイン医師ら糖質制限食派の医師もこれを認めています。

まずは、ブログ読者の皆さん、このようにスーパー糖質制限食を実践して発ガンリスクが増えるという記載は、この論文には存在しません。

従ってそのようなエビデンスもないことを明記したいと思います。

ハーバード大学の研究者の「Annals of Internal medicine」の論文、以前にも論評したことがありますが、再考察します。

総摂取カロリーに対して

「脂質56%、タンパク質32%、糖質12%」

という構成比がスーパー糖質制限食です。

当然、従来の一般的な食生活に比べれば、高脂質・高タンパク食となります。

ブログ読者の皆さんが一番心配なのは、高脂質・高タンパク食を長年続けたら、何らかのガンになり易くなるのではないかという懸念でしょう。

これに対しては、

「スーパー糖質制限食と発ガンのリスクに関するエビデンスはない」

というのが、結論です。

すなわち、

「スーパー糖質制限食で発ガンのリスクが増えるというエビデンスはない。」

ですし、一方

「スーパー糖質制限食で発ガンのリスクが減るというエビデンスもない。」

ということです。

これは、糖質摂取比率12%の集団と通常食の集団におけるガンの発生を、10年.20年経過を追ったような臨床研究は、現時点で存在しないので当然の結論です。


<問題の論文の要旨>

【低炭水化物食と全死亡率および死因別死亡率:二つのコホート研究

「Annals of Internal medicine
September 7 2010 vol.153 Issue5 p289-298 
Low-Carbohydrate Diets and All-Cause and Cause-Specific Mortality:Two Cohort Studies
Teresa T. Fung, Rob M. van Dam, Susan E. Hankinson, Meir Stampfer, Walter C. Willett, and Frank B. Hu」

要旨

「低炭水化物食と死亡率の関連を長期にわたって調べたデータはほとんどない。今回,前向きコホート研究で,Nurses' Health Study(訳注:看護師の健康調査)に参加した85,168人の女性とHealth Professionals' Follow-up Study(訳注:医療従事者追跡研究)に参加した44,548人の男性を最大26年間追跡した。動物性脂肪および蛋白質を重視した食事では,全死亡率,心血管死亡率,がん死亡率が高かった。一方,植物性脂肪および蛋白質を重視した食事では,全死亡率と心血管死亡率が低かった。」】

この論文の要旨の、

「糖質制限食(低炭水化物食)で、動物性脂肪および蛋白質を重視した食事では、全死亡率、心血管死亡率、がん死亡率が高かった。」

を根拠にして、糖質制限食は発ガンのリスクが懸念されるというのは根本的な誤解です。

この論文はあくまでも、総摂取エネルギーの35.2~37.4%を、炭水化物から摂取している「中糖質食」グループと
約60%の「高糖質食」グループを比較したときの話です。

総摂取エネルギーの12%を糖質から摂取している「糖質制限食」グループは、この論文のどこにも登場しないので、比較不能です。

つまり、高雄病院流のスーパー糖質制限食を実践している人においては、この論文は全く参考になりません。

炭水化物を総摂取エネルギーの60%食べているグループに比べれば、炭水化物35.2~37.4%のグループの方が、確かに低糖質食です。それで低炭水化物食のコホート研究としたのでしょう。

一方、糖質を総摂取エネルギーの12%しか食べていないグループに比べれば、炭水化物35.2~37.4%のグループは3倍以上の高糖質食であり、とうてい低糖質食とは言えません。

これまで多くの研究で、高インスリン血症による腫瘍増殖・発ガン促進作用が示されてきています。

すなわち高インスリン血症には、明確な発ガンリスクのエビデンスがあります。

糖質を総摂取エネルギーの12%とする、スーパー糖質制限食なら食事1回分の糖質は10~20gで、追加分泌インスリンは、せいぜい基礎分泌の約2倍~4倍ていどです。

一方、炭水化物摂取比率35.2~37.4%のグループは、1回の食事の糖質量は50g以上であり、食事の度に約10~20倍の追加分泌インスリンが分泌されます。

すなわち、炭水化物摂取比率35.2~37.4%のグループでは、明白な発ガンリスクとなるインスリン過剰分泌が改善できていません。

これだけのインスリン分泌量は、糖質摂取比率60%のグループとさほど変わらないと思います。

スーパー糖質制限食なら、発ガンリスクのインスリン分泌は極少量で済みます。

またスーパー糖質制限食なら、血中ケトン体が現行の基準値より高値となります。

少なくとも動物実験では、血中ケトン体にガン細胞抑制作用があることが確認されています。

これらのことは、生理学的な事実です。

また国際糖尿病連合(International Diabetes Federation:IDF)の「食後血糖値の管理に関するガイドライン」2007年、によれば、食後高血糖そのものが、ある種のガンのリスクとなります。

糖質を総摂取エネルギーの12%とするスーパー糖質制限食なら、食後高血糖は生じませんが、炭水化物摂取比率35.2~37.4%のグループは、1日3回以上食後高血糖を生じます。

「インスリン分泌が極少量」「食後高血糖がない」「血中ケトン体が高値」という、発ガンリスクを軽減させる効果があるスーパー糖質制限食において、長年続けることでそれらを上回る何らかの発ガンリスクが、存在するのかしないのかということは、今後長期にわたり検討していく必要はあるでしょう。

幸い、現在までそのような謎の発ガンリスクは知られていませんが・・・。

結論です。

「スーパー糖質制限食と発ガンのリスクに関するエビデンスはない」のですが、発ガンリスクが明白に確認されているインスリンの分泌が、スーパー糖質制限食なら極少量に抑えられることは、生理学的事実です。

また、発ガンリスクの一つの食後高血糖も、スーパー糖質制限食なら生じません。

さらにガン細胞抑制作用の可能性がある血中ケトン体が高値となります。



江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
3大栄養素と血糖、米国糖尿病学会の見解、1997→2004→2009年版
こんばんは。

3大栄養素と血糖に関する米国糖尿病協会の見解について、精神科医医師Aさんから、貴重な情報をコメントいただきました。

精神科医医師Aさん、いつもありがとうございます。

2004年版のLife With Diabetes(米国糖尿病協会・ADA)によれば(☆☆)、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わり、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。

「Carbohydrate,protein,and fat contain calories.
Only Carbohydrates directly affect blood glucose levels. 」 3rd Ed,2004

直訳すると、

「炭水化物・タンパク質・脂肪はカロリーを含有している。炭水化物だけが、血糖値に直接作用する。」

1997年版のLife With Diabetesでは、(☆)

「タンパク質は約50%が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」

という記載がありますが、2004年版では削除されています。

上記以外にも1997版で記載されていた、脂質とタンパク質と血糖に関する記載が 2004年版では全て削除されています。

2009年版もそれを継続していると思われます。( ☆☆☆)

1997年から2004年の間に、精神科医Aさんに示していただいたような研究・論文が蓄積されて、米国糖尿病学会の見解が、「血糖値を上げるのは3大栄養素の内、糖質だけである。」と変化したものと考えられます。

【Gannon等は2型DM患者で、50gの蛋白質(赤身度の高い牛肉)の摂食後8時間の報告を行った。アミノ酸を引くと~20-23gの蛋白質量で、理論上~11-13gの糖を産出するはずであった。しかるに循環系に現れた糖の量は~2g相当で、摂取した蛋白質は血糖濃度の有意な増加を来さないと立証された】(*)

2012年1月14日の、第15回日本病態栄養学会年次学術集会のワークショップ「食品交換表とカーボカウント」において、演者の先生が、1997年版Life With Diabetes・池田義雄先生監訳の「糖尿病パーフェクトガイド」から図を引用されたのは、記憶に新しい所です。

日本糖尿病学会の食事療法の専門家の先生方が、米国糖尿病学会における2004年版以降の変更をご存知ないのは、さすがに如何なものかと思います。



Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines 
by the Michigan Diabetes Research and Training Center,
American Diabetes Assoiation ,2nd Ed,1997

☆☆
Life With Diabetes:A Series of Teaching Outlines 
by the Michigan Diabetes Research and Training Center,
American Diabetes Assoiation ,3rd Ed,2004

☆☆☆
Life With Diabetes:A Siries of Teaching Outlines 
by the Michigan Diabetes Research and Training Center ,
American Diabetes Assoiation ,4th Edition,2009



江部康二


◇◇◇◇◇

【12/02/03 精神科医師A
米国糖尿病学会の見解(2002年)
Diabetes Care January 2002 vol. 25 no. 1 148-198
http://care.diabetesjournals.org/content/25/1/148.full?sid=d92eb750-09a7-4a91-a4ca-ea4a621a8e71

Evidence-Based Nutrition Principles and Recommendations for the Treatment and Prevention of Diabetes and Related Complications

(pp155) Glucose responses to protein

A number of studies in healthy, normal-weight subjects (197) and subjects with controlled type 2 diabetes (blood glucose <200 mg/dl) (198,199,200) have demonstrated that ingested protein does not increase plasma glucose concentration. Gannon et al. (200) reported that during the 8-h period after subjects with type 2 diabetes ingested 50 g protein in the form of very lean beef, ∼20–23 g of protein were deaminated, which in theory could yield ∼11–13 g glucose. However, the amount of glucose appearing in the circulation was only ∼2 g, confirming that ingested protein does not result in a significant increase in glucose concentration.

健康かつ正常体重の者や、2型糖尿病患者(血糖値200未満)を対象とした数多くの研究で、摂取した蛋白質は血糖濃度を増加させないと判明した。

Gannon等は2型DM患者で、50gの蛋白質(赤身度の高い牛肉)の摂食後8時間の報告を行った。アミノ酸を引くと~20-23gの蛋白質量で、理論上~11-13gの糖を産出するはずであった。しかるに循環系に現れた糖の量は~2g相当で、摂取した蛋白質は血糖濃度の有意な増加を来さないと立証された

  □
 このGannon(2001)の論文は、その後のADAの文献にしばし引用されています。】



Gannon MC, Nuttall JA, Damberg G, Gupta V, Nuttall FQ: Effect of protein ingestion on the glucose appearance rate in people with type 2 diabetes. J Clin Endocrinol Metab 86:1040–1047, 2001
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食の効果・沖縄徳洲会こくらクリニック・渡辺信幸先生
こんばんは。

沖縄徳洲会こくらクリニック 渡辺信幸先生から、糖質制限食の効果という、コメントをいただきました。


【糖質制限食の効果。

こんにちは。沖縄の渡辺信幸です。本日外来通院中の患者さんから、先生のブログに私が掲載されていると聞き、喜んでいます。

以前より先生の著作や、ブログを参考にさせていただき、5年ほど前から低炭水化物指導をしています。先生もご指摘の通り、高血圧、高尿酸結晶、脂質異常症、糖尿病、不眠、うつ病の患者さんへの驚くべき効果があります。

炭水化物を減らすと、必然的に、高蛋白、高脂肪食になります。(もちろん両者とも動物性を勧めています)。その時にでてくるのが、「肉を食べる と、癌になったり、血液がドロドロになる」、「卵を食べるとコレステロールが増える」、「玄米菜食の粗食が体にいい」などの、科学的に根拠のない迷信なのです。

特に沖縄県内は、日本一のメタボ島になったせいか、このような間違った迷信による指導が今も続き、「糖尿病の人は、肉や卵を減らして、米と野菜 を食べなさい」といった指導が現在も多くの病院でなされているのが現状です。未だに、肉は週に一回、卵は二日に一回などなど。(そのせいで肥満、糖尿病が 増え続けているのですが)。

私の診療経験では、炭水化物を中心とした粗食が、様々な疾患を引き起こすことは明らかなのですが、まだまだ肉食、食の欧米化に対する偏見が多く、困っている状況です。とくに豚肉食の文化のある沖縄の皆さんに対して、特に肉食を忌避する指導が強いように思われます。

今回は、「チョコさん」の御縁で先生に御連絡できることを感謝します。「チョコさん」ありがとうございます。

江部先生には是非一度沖縄にお呼びして、討論会でも企画させていただきたいと考えています。また日を改めて、ご連絡差し上げます。これからも低炭水化物食の御指導をよろしくお願いします。

  沖縄徳洲会こくらクリニック 渡辺信幸

よろしければ、私は、低炭水化物食の指導をローカルFM局で放送していますので録画ではありますが、是非ご覧になってください。できれば、ご感想、御指導などもお待ちしています。
http://www.nantoku.org/kokura/hon.html



渡辺信幸 先生
拙著のご購入ありがとうございます。

先生のご意見に、私も全く同感です。 (^^)

米国では1970年代から、脂質摂取が良くないというキャンペーンが始まりました。

特に1977年、米国初の公的食生活ガイドライン(DGAC)が発表されて、

「炭水化物の摂取比率を増やし、脂質摂取比率を減らせ。」 「飽和脂肪酸、コレステロール、塩分の摂取を減らせ。」

という方針が明示されました。

その結果、     1971年    2000年
脂質摂取比率 36.9%    32.8%
糖質摂取比率 42.4%    49.0%

と30年かけて、見事に目標は達成されたのです。

しかし、肝腎の病気の方は、脂質が減少して糖質が増加したのに、肥満倍増、糖尿病も激増という悲惨な結果となったのです。米国では、その悲惨な状況は2000年以降もそのまま続いています。

日本でも、「戦後糖質摂取が減り続け、脂質摂取が増え続けた」というのが従来の説ですが、実際には、1965年から1980年までだけがその通りなのです。

1945年から1965年までは、終戦後で貧乏だったので、安価な炭水化物中心の食生活が続いていました。炭水化物の摂取比率は80%くらいでした。

いわゆる高度経済成長が始まってしばらくして、経済的に豊かになった1965年から1980年まで約15年間
「戦後糖質摂取が減り続け、脂質摂取が増え続けた」わけです。

1980年からの10数年間は、脂質・糖質・タンパク質の摂取比率はあまり変化がありません。

そして、1997年からは、脂質摂取比率は減少しはじめ、糖質摂取比率は増加してきました。

脂質は減少し、糖質は増加してこの間、糖尿病・肥満は激増しています。

結局、日本も米国と一緒ですね。


【江部先生には是非一度沖縄にお呼び して、討論会でも企画させていただきたいと考えています。また日を改めて、ご連絡差し上げます。】

とても嬉しいご提案です。(⌒o⌒)v

是非、沖縄で糖質制限食のシンポジウムなどご企画いただけば、喜んで参上致します。

渡辺先生、宜しくお願い申し上げます。 m(_ _)m



江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食で血糖値・肥満改善・フルマラソンもoKに
こんにちは。

オビさんから、糖質制限食で血糖値・肥満改善・フルマラソンもoKになったという嬉しいメールをいただきました。


【12/02/01 オビ
助かりました

はじめまして。

糖尿病発覚後も放置していたところ、体重が140キロ、 HbA1cが8.5まで上昇し、1年前に慌てて治療を開始しました。

不幸中の幸いで、最初から先生の本に出会え糖質制限食を開始。

経過は順調で、食べるので体重は100キロを切れていないものの、 HbA1cは去年後半は5.2-5.0、先月は4.8迄で下がり、他の数値も 基準内になりました。

体重が落ちていくうちにジョギングを始められるようになり、 距離も徐々に伸びていき去年の10月にはフルマラソンを走りました。

練習の10キロや15キロでは感じないのですが、フルマラソンでは 7時間弱走ったせいか、後半の空腹感はかなりなものでした。

今月に2度目のフルマラソンが控えており、空腹対策で本を読んでいると糖分は作り出せず補給が必要で切り餅を7個くらい食べているとなっており…、 空腹は嫌だけど、餅はなぁ…とかなり抵抗があり、今更ながらですが先生のサイトに辿りつきました。

いやー、灯台下暗しでした(笑)

主食採ってなくても全然平気だったのは糖新生されていたのですね。

目から鱗…のお話で納得です。危うく餅を大量に食べるところでした。

空腹対策ナッツ類にシュクリーベ等でします。

情報発信いただき、ありがとうございました(^_^) 】


オビさん。

拙著のご購入ありがとうございます。

【体重140キロ、HbA1c8.5%
 1年後
 体重100キロちょっと、HbA1c去年後半5.2-5.0、先月は4.8% 】


素晴らしい改善ですね。
良かったです。

体重減少もすごいですが、100kgの人がフルマラソンも凄いです。

マラソンなど長距離の場合は、筋肉のエネルギー源は「脂肪酸-ケトン体」が主です。

脂肪酸-ケトン体を利用することで、筋肉中のグリコーゲンを節約して、ラストスパートで一気に「ブドウ糖-グリコーゲン」システムを全開にします。

これがマラソンのときの筋肉のエネルギー利用の王道と思います。

鍛えてない人は、心拍数が少し上がった初期の段階で、「ブドウ糖-グリコーゲン」システムを使ってしまうのでスタミナ切れになるのです。

なお、肝臓の糖新生で、赤血球や脳のための最低限の血糖は確保します。



江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
江部診療所のホームページを開設しました。
こんにちは。

とうとう江部診療所のホームページを開設しました。

http://ebe-clinic.jp/

面倒くさがりで、ずっとほったらかしにしていたのですが、

「最低限の診療情報だけでもあったら助かる」

という患者さんの声も多かったので、重い腰をあげました。

簡単に以下の情報が閲覧できます。

治療方針・診療内容
院長紹介
診療時間帯
交通アクセス
休診情報

月曜夜診担当の私の同級生、革島定雄先生の紹介も、もうすぐ立ち上げます。

以下はトップページからの抜粋です。


☆☆☆☆☆


<江部診療所で行っている治療について> 江部診療所 院長 江部康二

江部診療所は1989年3月1日(水)京都市左京区下鴨高木町で開設しました。

当初から「漢方治療」を中心とする医療を実践してきましたが、勿論「西洋医学」も併用しています。

私・江部康二は、高雄病院理事長でもあるので、高雄病院、高雄病院京都駅前診療所と連携して医療を展開しています。

そのような経過もあり「アトピー・アレルギー治療」には長年の経験があります。

高雄病院、高雄病院京都駅前診療所、江部診療所として、アトピ-・アレルギーの治療システム「アトピー学校」を運営し、治療実績は日本有数のものと自負しています。

2001年からは、画期的な糖尿病治療食「糖質制限食」の指導をしています。

第15回日本病態栄養学会年次学術集会が、2012年1月14日(土)15(日)10:00~11:00まで、「糖尿病治療に低炭水化物食は是か?非か?」というディベートセッションが行われ、私が是側で、講演しました。

糖質制限食が医学界の表舞台に登場という意味では大きな一歩と言えます。

<糖質制限食による糖尿病治療/漢方治療/アトピー・アレルギー治療>

これらの3つが、江部診療所の治療の3本柱と言えます。

毎週月曜日の夜は、革島定雄先生の外来です。

革島先生は京大医学部の同級生で、3本柱にも精通しておられます。



江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット