1年間ブログご愛読、ありがとうございました。
こんにちは。

去年の大晦日は自宅前にうっすら雪が積もっていたので、今年は少しは暖かいです。

歳のせいなのか仕事が忙しいのか、年々時の経つのが早く感じられます。

本年も瞬く間に師走となり、とうとう大晦日となりました。

今年の10大ニュースは、未曽有の被害をもたらした東日本大震災と、レベル7の東京電力福島第1原発事故が無投票で1位とです。

とてもつらい悲しいニュースと大変な不信と不安で恐ろしいニュースですから、東日本の皆さんも日本国民全てにおいても気持ちが暗くなりがちな2011年でした。

そんな中で、7月にドイツで行われたサッカーの第6回女子ワールドカップ(W杯)で日本代表「なでしこジャパン」が米国を破って初優勝というのは、素晴らしい快挙であり、沈みがちな日本国民に勇気を与えてくれる唯一の明るいニュースでした。

本ブログでも、毎日いろいろありましたが、今年1年間、ブログ読者の皆さんには、コメントや質問を沢山いただき、また拙著のご購入や講演会へのご参加、そして糖質制限食普及活動・・・

誠にありがとうございました。m(_ _)mVV

皆さんのおかげで、活気に溢れて内容も充実した(自画自賛?)ブログを展開することができました。

2007年2月27日に開始した本ブログ、1日のアクセス数が6000~8000件という、人気ブログに成長しました。(⌒o⌒)v

一番多い日は、アクセス数が9000を超えて10000を超えた日もありました。

累積アクセス数も、2011年12月31日現在で、6999452件です。


<糖質制限食の広がり>

1999年に、兄江部洋一郎院長(当時)が高雄病院に初めて糖質制限食を導入しました。

当初は半信半疑であった私も、2001年から糖尿病患者さんに積極的に実践して目覚ましい成果をあげ、その後は病院全体で研究を進めるようになりました。

そして4年間の実績をもとに「主食を抜けば糖尿病はよくなる!」(東洋経済新報社)
を2005年に上梓しました。

幸い2011年12月現在17版を重ねるロングセラーとなり、世に「糖質制限食」という言葉を認知させるきっかけとなったと自負しています。

高雄病院には北海道から九州まで糖尿病患者さんが入院してこられますが、当初は「糖質制限食の話しをすると主治医に怒られたので内緒で来ました」というパターンがほとんどでした。

しかしここ3~4年は紹介状を持ってこられる患者さんもあるようになりました。

医学界において、医学雑誌「メディカル朝日」2008年12月号に、糖質制限食に対して好意的な記事が載り、私の本も紹介していただいたことも助けとなりました。

さらに2009年、芥川賞作家の宮本輝先生との対談本「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」(東洋経済新報社)を出版したことも糖質制限食の広がりにとって大きな節目となりました。

また医学雑誌「治療」2009年4月号、医学雑誌「内科」2010年1月号に私が糖質制限食の小論文を執筆しました。医学雑誌「治療」2012年4月号増刊号にも執筆予定です。

医学界にも確実に糖質制限食が広がりをみせているのは大変好ましいことです。

2012年1月15日(日)第15回日本病態栄養学会年次学術集会が国立京都国際会館で開催され「糖尿病治療に低炭水化物食は是か?非か?」というディベートセッションが行われます。

医師・栄養士が3000人集まる学会ですが、「是」側の演者として私が参加します。

確実に医学界にも糖質制限食が浸透しつつある手応えを感じたこの1年でした。

2011年には、週刊文春、週刊現代、週刊新潮、文藝春秋など多くのマスコミが、糖質制限食を取り上げ、一般への普及は加速してきたように思います。

<2012年に向けて>

2012年度も、糖質制限食と糖尿病や生活習慣病の話題を中心に、漢方や医療や食生活全体のこと、その時気がついたことなど、適宜いろいろ記事にしていきたいと思っています。ガンについても、研究を始めていきたいと思います。

できるだけ信頼度の高い生理学的事実、疫学的研究、文献、教科書などを根拠に記事を書きたいと思っています。

私の個人的な考えのときは、仮説であるとかその旨をできるだけ明示したいと思います。

なお、私が個人的に信頼できると判断した項目に関しては、ウィキペディアを引用することもありますので・・・。

2011年度も、外来、入院、講演、本の出版・監修、新聞・週刊誌・月刊誌・テレビなどマスコミの取材・・・また人生で一番忙しい日々を過ごしました。(^^)

とりあえず、日本医学界に糖質制限食が定着するまで、2012年度もぼちぼち頑張ってみますので、ブログ読者の皆さん、今後も応援よろしくお願い申しあげます。 m(_ _)m

それでは皆さん、よいお年をお迎え下さい。(^-^)v(^-^)v 


江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
「スーパー糖質制限食に発ガンのリスク」というエビデンスはない
こんにちは。

ざとさんから、ハーバード大学の研究者が「Annals of Internal medicine」に2010年に論文発表したコホート研究について、コメント・質問をいただきました。

確かに発ガンリスクに関して、上記論文を根拠として灰本先生が

「30%未満の糖質制限食を数十年にわたって続けるとかえって危険なのです」

と看護ジャーナル1月号ににコメントを述べておられますね。

結論から言うと、このコメントには大きな誤解があります。

まずこの論文には、30%未満の糖質制限食をしたグループは、登場していません。

この論文はあくまでも、総摂取エネルギーの35.2~42.8%を、炭水化物から摂取しているグループにおける話です。

これだけの摂取量だと、低炭水化物食(糖質制限食)の研究というには相応しくないと思います。

すなわち、30%未満の糖質制限食グループに関する研究は行われていないのです。

研究が行われていないのですから、発ガンリスクが増えるという根拠には全くなりません。

ちなみに、ADAは130g/日以下、2000kcal/日で26%以下を糖質制限の定義としており、バーンスイタイン医師ら糖質制限食派の医師もこれを認めています。

まずは、ブログ読者の皆さん、スーパー糖質制限食を実践して、発ガンリスクが増えるという、エビデンスはないことを明記したいと思います。

また上記と同じ理由で、スーパー糖質制限食を長期に続けて糖尿病が増えることにも、エビデンスはないことを明記したいと思います。

ハーバード大学の研究者の「Annals of Internal medicine」の論文、以前にも論評したことがありますが、再考察します。


【11/12/29 ざと
看護ジャーナル1月号を読んで
江部先生、いつも有用な情報を発信して下さいましてありがとうございます。
今日はお聞きしたい事があって書きました。

看護ジャーナルの短期集中連載特集(2012年1月号)で取り上げられているの糖質制限の話についてです。本文では無いのですが、コラム1「米国発信最新情報-緩やかな糖質制限がベスト」(P38)の内容についてです。

灰本クリニックの灰本医院長が「糖質30%未満を数十年にわたって続けるとかえって危険なのです」「動物性脂肪・たんぱく質の取りすぎが、ガンなどの発病につながることがわかったのだ。しかも長期に続けると、赤身肉や加工肉の摂取がすい臓にダメージを与える結果、かえって糖尿病の発症が増える事も示された」とあります。

データはハーバード大学でハイカーボ食を1として炭水化物の摂取制限レベルによって10段階に分けて、20年に渡って約13万人について大規模・長期観察したものである。

読んだ人は私と同様な不安を持たれていると考えますので、是非ブログで取り上げて頂ければと存じ上げます。】


ざとさん。

コメントありがとうございます。

総摂取カロリーに対して

「脂質56%、タンパク質32%、糖質12%」

という構成比がスーパー糖質制限食です。

当然、従来の一般的な食生活に比べれば、高脂質・高タンパク食となります。

ブログ読者の皆さんが一番心配なのは、高脂質・高タンパク食を長年続けたら、何らかのガンになり易くなるのではないかという懸念でしょう。

これに対しては、

「スーパー糖質制限食と発ガンのリスクに関するエビデンスはない」

というのが、結論です。

すなわち、

「スーパー糖質制限食で発ガンのリスクが増えるというエビデンスはない。」

ですし、一方

「スーパー糖質制限食で発ガンのリスクが減るというエビデンスもない。」

ということです。

これは、糖質摂取比率12%の集団と通常食の集団におけるガンの発生を、10年.20年経過を追ったような臨床研究は、現時点で存在しないので当然の結論です。

【低炭水化物食と全死亡率および死因別死亡率:二つのコホート研究

「Annals of Internal medicine
September 7 2010 vol.153 Issue5 p289-298 
Low-Carbohydrate Diets and All-Cause and Cause-Specific Mortality:Two Cohort Studies
Teresa T. Fung, Rob M. van Dam, Susan E. Hankinson, Meir Stampfer, Walter C. Willett, and Frank B. Hu」

要旨

「低炭水化物食と死亡率の関連を長期にわたって調べたデータはほとんどない。今回,前向きコホート研究で,Nurses' Health Study(訳注:看護師の健康調査)に参加した85,168人の女性とHealth Professionals' Follow-up Study(訳注:医療従事者追跡研究)に参加した44,548人の男性を最大26年間追跡した。動物性脂肪および蛋白質を重視した食事では,全死亡率,心血管死亡率,がん死亡率が高かった。一方,植物性脂肪および蛋白質を重視した食事では,全死亡率と心血管死亡率が低かった。」】

この論文の、

「糖質制限食(低炭水化物食)で、動物性脂肪および蛋白質を重視した食事では、全死亡率、心血管死亡率、がん死亡率が高かった。」

を根拠にして、糖質制限食は発ガンのリスクが懸念されるというのは根本的な誤解です。

この論文はあくまでも、総摂取エネルギーの35.2~42.8%を、炭水化物から摂取しているグループにおける話です。

総摂取エネルギーの12%を糖質から摂取しているグループは、この論文のどこにも登場しないので、比較不能です。

つまり、高雄病院流のスーパー糖質制限食を実践している人においては、この論文は全く参考になりません。

炭水化物を総摂取エネルギーの60%食べているグループに比べれば、炭水化物35.2~42.8%のグループの方が、確かに低糖質食です。それで低炭水化物食のコホート研究としたのでしょう。

一方、糖質を総摂取エネルギーの12%しか食べていないグループに比べれば、炭水化物35~42%のグループは3倍以上の高糖質食であり、低糖質食とは言えません。

これまで多くの研究で、高インスリン血症による腫瘍増殖・発ガン促進作用が示されています。

糖質を総摂取エネルギーの12%とする、スーパー糖質制限食なら食事1回分の糖質は10~20gで、追加分泌インスリンは、せいぜい基礎分泌の約2倍~4倍ていどです。

一方、炭水化物摂取比率35.2~42.8%のグループは、1回の食事の糖質は50g以上であり、食事の度に約10~20倍の追加分泌インスリンが分泌されます。

すなわち、炭水化物摂取比率35.2~42.8%のグループでは、明白な発ガンリスクとなるインスリン分泌が改善できていません。

これだけのインスリン分泌量は、糖質60%のグループとさほど変わらないと思います。

スーパー糖質制限食なら、発ガンリスクのインスリン分泌は極少量で済みます。

これらのことは生理学的な事実です。

また国際糖尿病連合(International Diabetes Federation:IDF)の「食後血糖値の管理に関するガイドライン」2007年、によれば、食後高血糖そのものが、ある種のガンのリスクとなります。

糖質を総摂取エネルギーの12%とするスーパー糖質制限食なら、食後高血糖は生じませんが、炭水化物摂取比率35.2~42.8%のグループは、1日3回以上食後高血糖を生じます。

「インスリン分泌が極少量」「食後高血糖がない」という、発ガンリスクを軽減させる効果があるスーパー糖質制限食において、長年続けることでそれらを上回る何らかの発ガンリスクが、存在するのかしないのかということは、今後長期にわたり検討していく必要はあるでしょう。

幸い、現在までそのような謎の発ガンリスクは知られていませんが・・・。

結論です。

「スーパー糖質制限食と発ガンのリスクに関するエビデンスはない」のですが、発ガンリスクが明白に確認されているインスリンの分泌が、スーパー糖質制限食なら、極少量に抑えられることは、生理学的事実です。

また、発ガンリスクの一つの食後高血糖も、スーパー糖質制限食なら生じません。



江部康二

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食で血糖値改善、減量成功
こんにちは。

三島さんから、検査データの報告・コメントをいただきました。


【 11/12/28 北九州 三島
特定検診結果のご報告。
①月検診の推移(抜粋)
測定日        BMI  体重   血圧     空腹時 HbA1c 
<糖尿病専門医院、通院開始>
2010.09.27/26.7/64.0/130~80/173/7.5
2011.05.26/28.1/64.2/120~80/155/7.1
<「江部式・糖質制限食」
*(スーパー)スタート、現在、家族3人、生徒、知人に浸透中…。>
2011.06.24/23.7/63.0/130~90/111/6.7
<3か月経過>
*目に見える改善に驚き。
2011.08.22/23.0/62.4/130~80/123/5.5
<6か月経過>
*従来の生活を続けたら5年後はベッドの上、現在の状態が維持できたら、10年後も現役で働けます。(主治医の糖尿病専門医)
2011.11.28/20.9/59.2/120~80/116/5.2
<直近、12月> 
*とにかく、身体が軽い。9~23(24)、休日ほとんどなしの仕事が苦にならない。
2011.12.26/22.2/58.8/120~80/115/5.2

②「北九州市国民健康保険 特定検診審査受診結果通知表①」より
          2010.12.24  2011.11.28
身長             165.7       165.2
体重              64.4        59.2
胸囲              86.5        82.2
BMI              23.5        21.7
血圧            120-90      120-80
心電図             異常なし        異常なし
クレアチニン          0.74        0.61
eGFR            83.3       102.9
eGFRステージ                   0または1
AST               18          19
ALT               20          13
γ―GT              49          26
中性脂肪             115         441
HDL               45          48
LDL              139         112
尿酸               6.6
空腹時              146
随時血糖                         116
HbA1c            6.4         5.2
赤血球数             531         468
ヘモグロビン          15.8        13.9
ヘマトクリット         46.3        42.3
蛋白定性               ±           ±
糖定性                -           -
潜血                 -           ± 
血清尿酸             5.2         6.6
所見;糖尿病、脂質異常症

③反省・感想
当初、お肉は1食当たり200gで開始、のち、体操のインストラクターである妻の要望に応え、300gに増量(汗;)。

仕事柄、8時起床、血糖値を計測後、<トマトジュース+オリーブオイル、珈琲>を飲んで、仕事に入る。お昼は、<糸こんにゃく+グリコのラーメンスープ+有り合わせの野菜+卵、納豆>。夜は、ブログで公開中のルクエ(レンジ調理器)一品(逸品?)料理。仕事が終わった24時前後に、<焼酎1合、ナッツ、卵、チーズ料理>。12月27日現在、96種目。

塾のプレイングマネージャーで、身体を動かすのは、塾の清掃飲み(汗;)
もっと、お魚を食べよう。せっかく海に囲まれて美味しいお魚が手に入るのだから。
また、運動も少しずつ(汗;)。例えば、塾はエレベーターがないので、4階までの階段昇りなど。(笑)
PS 主治医の先生「以前は糖尿病だったのだが…、今の数値は、…糖尿病とは言いにくい…。とても良好です。この調子でいきましょう。中性脂肪が高いのは、お肉の食べ過ぎ。もっと運動も。」】


【11/12/28 北九州 三島
中性脂肪441について。
2009.11.23の記事を読ませていただきました。
これを参考に、食事の内容の研究をしていきたいと思います。
近いうちに、再検査をして、変化を確認し、ご報告いたします。】



三島さん。

いつも貴重なデータ報告ありがとうございます。
とても参考になります。

【<6か月経過>
*従来の生活を続けたら5年後はベッドの上、現在の状態が維持できたら、10年後も現役で働けます。(主治医の糖尿病専門医)】


主治医のドクターなかなか適切なコメントです。
どうやら糖質制限食に理解のあるドクターなのですね。

検査データ、ほとんどが素晴らしい改善です。

中性脂肪だけが 441mg という高値なのは、早朝空腹時の採血なら不思議ですね。

通常糖質制限食なら、空腹時の中性脂肪は速やかに正常化しますので。

【主治医の先生「以前は糖尿病だったのだが…、今の数値は、…糖尿病とは言いにくい…。とても良好です。この調子でいきましょう。中性脂肪が高いのは、お肉の食べ過ぎ。もっと運動も。」】

前の日の夕食に炭水化物を摂取していると、翌日早朝空腹時の中性脂肪値が高値となることがあります。

お肉は300g食べても、糖質制限なら翌日早朝空腹時の中性脂肪値は通常は正常なのですが。

それにしても一人300gのお肉を、ご夫婦で摂取とは、お二人ともなかなかの健啖ですね。(⌒o⌒)v



江部康二

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
血中ケトン体の安全性と基準値と糖質制限食・2011
おはようございます。

スーパー糖質制限食を実践すると、血中ケトン体が上昇します。

血中ケトン体が現行の基準値より高値となった時の安全性について、ブログ読者の皆さん、特に妊娠糖尿病で糖質制限食を実践しておられる女性から質問が過去複数ありました。

ケトン体、なかなかなじみがなくてわかりにくいですよね (∵)?

一般の人は勿論、お医者さんでもケトン体の真実をご存知の方はほとんどいないというのが実態ですので、復習も兼ねて再考察してみます。


<血中ケトン体の生成と安全性>

それで、まず結論を先にいうと、現行の基準値を超えていても、インスリン作用があるていど以上保たれているならば、血中ケトン体の上昇は生理的なものであり、安全性は極めて高いのでご安心ください。 (^_^)

インスリン作用が欠落して、人体の糖質・脂質・タンパク質代謝が破綻した結果生じる「糖尿病ケトアシドーシス」は、全く異なる病態であることを認識する必要があります。

<インスリン作用の欠落→人体の代謝破綻→その結果としてケトン体上昇>というのが糖尿病ケトアシドーシス発症の順番です。

この場合ケトン体上昇は、原因ではなく結果です。

残念なことに、多くの医師がケトン体上昇が原因であると誤解しています。

糖尿病ケトアシドーシスは、

A)1型で急にインスリン注射を中止したとき
B)1型のシックデイ
C)2型のペットボトル症候群

など、極めて特殊な例に限れられる重篤な病態です。


さてケトン体は肝細胞内で、

「脂肪酸→β酸化→アセチルCoA→ケトン体」

という順番で日常的に生成されていて、肝臓では使用されずに、他の臓器、脳や筋肉のエネルギー源として血中に供給されます。

分解されているので、大きさは脂肪酸よりだいぶ小さくなっています。

糖質を普通に摂取している人の血中ケトン体の基準値は、施設により差はありますが、「26~122μM/L 」くらいです。

つまり、日常的に糖質を摂取している人でも、これくらいの血中ケトン体は常に存在していて、心筋や骨格筋など多くの体細胞において、空腹時や睡眠時の主たるエネルギー源となっているのです。

つまり、人体のごく普通のエネルギー源であり、当然安全性は高いです。

どれくらい安全かを、もう一つのエネルギー源であるブドウ糖と比べてみると、わかりやすいですね。

絶食療法中やスーパー糖質制限食の初期には、血中ケトン体は、3000~4000μM/Lくらいで、基準値の30~40倍の高値になりますが、それ自体は、人体の各細胞において全く安全なものです。

このようなとき、一時的に酸性血症となりますが、人体には体内のpHを一定に保つため、血液や体液の緩衝作用(緩衝機構)、呼吸による調節作用、腎臓による調節機構があるので、生理的な血中ケトン体の高値があっても、しばらくして正常のPHに戻ります。

100万年前や10万年前のご先祖とかでは、獲物が捕れないときなどには日常的に、このような数値を繰り返していたことでしょうし、当然、血管内皮にも無害です。

一方、血中ブドウ糖の基準値は空腹時で「70~109mg/dl」です。

食後とかで血糖値が180mg/dlを超えてくると、リアルタイムに血管内皮を傷害し酸化ストレスを引き起こし、繰り返せば動脈硬化の大きなリスクとなります。

血糖値が高値であれば、胎児にも悪影響があることは確認されています。

血糖値が300mgでも充分危ないですが、基準値の30倍の3000mgなど想像を絶した数値では、当然生体は生命を保てないでしょう。

そのため、インスリンが速やかに大量に分泌されて、食後血糖値が140~180mg/dlを超えないように、厳しく管理しているわけです。

このように検討してみると、ケトン体はブドウ糖よりは、はるかに安全性の高いエネルギー源ということができますね。

スーパー糖質制限食を実践しているとケトン体は現行の基準値よりは高値となります。

例えば、2002年からスーパー糖質制限食実践中の江部康二の血中ケトン体は、「400~800~1200/μM/L」くらいですが、血液のpHは勿論正常範囲です。

このくらいが、狩猟・採集だったころ700万年間の人類の基準値、そして生肉・生魚が主食の伝統的食生活を維持していたころのイヌイットの基準値と思われます。

そして、農耕前の人類もイヌイットもスーパー糖質制限食を実践しながら、妊娠・出産・育児をしてきたという事実もケトン体の安全性を保証するものです。


<ケトン食における血中ケトン体の安全性の評価>

本ブログでも何回か紹介してきたKetogenic Diet(ケトン食)が、2010年版The Cochrane Library(コクラン ライブラリー)と、2011年版NICE(英国立医療技術評価機構)において、難治性小児てんかん治療に採用されました。

これまでは、ケトン食に対して小児てんかんへの有効性は一定認められていましたが、治療の選択肢には入れられず、「推奨しない」とされていました。

1920年代から難治性小児てんかん治療食として存在したケトン食が、今回、90年近い歴史を経てガイドラインに採用されたのは、難治性の小児てんかん発作を50%削減する点で有意差が得られたことが、評価されたのだと思います。

また、一時的な副作用はありえますが、重篤な副作用が無いことが認められたのも大きいと思います。

ケトン食の総摂取エネルギーに占める脂質の割合は75~80%であり、高雄病院のスーパー糖質制限食を上回る、究極の糖質制限食であり、血中ケトン体は2000~4000μM/Lとなります。

脳はブドウ糖だけでなく、ケトン体をいくらでも利用するのは、生理学的事実です。

ケトン食の場合は、脳のエネルギー源はほとんどがケトン体であり、ブドウ糖は少ないです。

「コクラン ライブラリー」と「NICE」という、世界の医学界で高い評価を受けているガイドラインにおいて、生理的血中ケトン体高値の安全性が確認されたということは、糖質制限食を実践・推進している私達にとって、大きな追い風と言えます。 (^_^)


(*)The Cochrane Library2010;Issue1:1-9
  (コクラン ライブラリー 2010年版)
(**)NICE (National Institute for Health and Clinical Excellence・2011)
  (英国立医療技術評価機構・2011年版)



江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
食後血糖値のピークについて
こんばんは。

朝は雪がちらついていて、とっても寒い京都です。

今回はプリンさんから、食後血糖値のピークについてコメント・質問をいただきました。


【11/12/26 プリン
いつも為になる話をありがとうございます。
ちょっと疑問が出てきました。
自己測定を、空腹時、60分後、90分後、120分後として ここ数日実施しています。
よく「食後2時間後」というので、ピークがくるのは その辺りなのかと思っていたらいつも違います。
例えば昨日の夕食時はこんな感じです。
空腹101、60分158、90分147、120分125
これだともし食後2時間後の測定だけだとセーフですよね。
その前に大きなピークがあるのは悪いんですか?
日によってピークは変わります。
ピークは前にあるのと後ろにあるのではどちらが良いものなのでしょうか?】


プリンさん。

まず正常人と糖尿人で食後血糖値のピークは違ってきます。

正常人では、食後血糖値のピークは30~60分です。

糖尿人だと、食後血糖値のピークは60分~120分で、個人差があります。

同じ糖尿人でも、ピーク60分のほうが、ピーク120分よりは好ましい状態です。

「食後2時間値」というのは、75g経口ブドウ糖負荷試験で、

食後2時間血糖値140mg/dl未満が正常、
140mg~199mg/dlまでが境界型、
200mg/dl以上が糖尿病型と

診断基準で決まっているので、その意味で流布しているのでしょう。

75g経口ブドウ糖負荷試験で、2時間値が140mg未満で正常型であっても、1時間値が180mgを超えている場合は将来、糖尿病になりやすいので注意が必要です。

一般に、体重64kgとして、1gの糖質が正常人の血糖値を0.8~0.9mg上昇させ、2型糖尿人なら3mg、1型糖尿人なら5mg上昇させます。

摂取糖質50gくらいまでは上記計算が、およそですが成り立ちます。

完全正常人で若い人は、1gの糖質で0.4~0.5mgのこともあります。

それから、糖質でも種類や一緒に食べるものによって、ピークが異なることがあります。

ブドウ糖負荷試験のような液体の糖質は速やかに吸収されて、少なくとも正常人ならピークは早くなりやすいです。

糖尿人の場合、高血糖になってもインスリン作用が不足しているので、ピークがずれて2時間後になることもあるのです。

パスタのようにGIが低いものは、吸収がゆっくりで血糖値の上昇速度もゆっくりとなり、ピークも食パンや白米よりやや後ろにずれると思います。

また、バターライス(脂質+糖質)は、単純な白米よりは吸収がゆっくりになり、やはりピークはやや後ろにずれてくると思います。



江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食で耐糖能改善
こんばんは。

ざとさんから、糖質制限食で耐糖能改善という、嬉しいコメントをいただきました。

【11/12/25 ざと
自己流負荷試験
江部先生いつも有用な情報を発信して下さいまして誠にありがとうございます。
とても勉強になっています。

さて、最近皆さんが色々と改善報告をコメント欄に上げてきているので、
それに触発され私も自己流負荷試験を行いました。

確か、糖質制限食を始めるとどんどん改善するが、半年程度経過するとそれ以降の改善は余りないと、何かで読んだ記憶がありました。
ですので、糖質制限食を始めてから1年程度経過したのを記念(笑)に、現状認識という事でスーパーに売っているブドウ糖で血糖値の上がり具合を調べてみました。

1年目以降はあまり値が変わらないと思っていたので、特に行う予定も無かったのですが、1年経過後も少しずつ改善している人もいるので、
本日計ってみました(約2年2ヶ月経過)。
45gでの結果です(75gは危険だと思い、勝手に減らして自己流です)。

日付   2010/10/24        2011/12/24
空腹時   107            91
30分    206            175
60分    225            204
90分    230            183
120分    171            159

誤差や体調や運動の成果などもあるとは思いますが、ピークが90分から60分に変わっている事より、膵臓が回復していると実感出来ました。

何かのご参考になれば幸いです。】



ざとさん。
コメントありがとうございます。

糖質制限食を始めるとどんどん改善するが、半年程度経過するとそれ以降の改善は余りない】

糖質制限食実践で、食後高血糖はリアルタイムに改善して、HbA1cは1~2%/月、改善します。

空腹時血糖値は、基礎分泌インスリンがあるていど残っている段階だと1~4週間で正常値に改善することが多いです。

一方、基礎分泌インスリンが一定以上障害されていると、糖質制限食実践でも空腹時血糖値が110mg/dl未満にならないことがあります。

いずれにせよ、早ければ2~3ヶ月、HbA1cが10%を超えていても半年くらいで順調なら5.8%未満に改善します。

この時点で、データ的に全て基準値内ですので、「それ以上の改善はない」というか、「それ以上の改善が必要ない」データレベルになったということです。

糖尿病で見られる血糖異常は、

1)空腹時血糖
2)食後血糖
3)1日を通しての血糖変動

の3つの要因で構成されています。

糖質制限食なら、薬に頼ることなく、1)2)3)全ての改善が期待でき、その結果HbA1cも改善します。

一方、糖質制限食を続けて、膵臓のβ細胞を休養させ、なおかつ食後高血糖がない状態を1年、2年と長期間保てば、耐糖能が改善することはあります。

ざとさんの場合も、糖質制限食実践1年目と2年2ヶ月目で、「45g経口ブドウ糖負荷試験」をされて、ピークが90分から60分に変わって、血糖値も低下して、耐糖能が改善している可能性が高いですね。

他にも、2年間の糖質制限食で耐糖能が正常化した方などおられますよ。

例えば、2011年11月27日 (日)のブログ記事「糖質制限食で耐糖能正常化」もご参照いただけば幸いです。

なお75gは危険なので45gで、負荷試験をされたのは賢明な判断と思います。



江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
<糖質制限食に関するお知らせ・お願いなど>
おはようございます。

<糖質制限食に関するお知らせ・お願いなど>

です。

【本ブログのコメント・質問・記事に関するお願い】

ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。

糖質制限食に関する質問についてですが、実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、医師としての責任・債務がありますので、個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。

一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、ボランティアで回答させていただいています。

診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。

また、ブログ記事や本に関しても同様に、糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。

従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m

そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。

またネットで簡単に検索可能なことは、ご自分でお調べください。

質問が増えてきましたので、糖質制限食と関わりがないと判断した質問にはお答えできない場合もありますので、ご了承ください。m(_ _)m

普通のお医者さんでは解答不能の糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)

掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。

質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。

一方、質問がかなり増えてきていますので、
なかなか即、お答えすることが困難となってきています。
糖質制限食に関わりのある全ての質問に、
本文かコメントでお答えするようできるだけ努力はしていますが、
できないときはご容赦願います。m(_ _)m

それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。

なお、糖質制限食が世の中にかなり浸透してきたことは間違いなく、「週刊新潮・11月10日号」のような、誹謗中傷に近い記事もでるようになりました。

私としては、有名税?のようなものかと、達観?しております。(^^)

本ブログ記事でこれらに反論するにしても、「週刊新潮」と同じような品のない表現を使用することなく、今まで通り冷静に理論的に根拠をもって、わかりやすく説明していきたいと思っています。

ブログ読者の皆さんには、これまでと同様応援のほどよろしくお願い申しあげます。m(_ _)mV


【糖質制限食を実践される時のご注意】

本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、低血糖の心配がありますので
必ず主治医と相談して頂きたいと思います。

一方、薬を使用してない糖尿人やメタボ人は、低血糖の心配はほとんどないので、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病やメタボ改善を目指していただけば幸いです。

血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合と、活動性の膵炎がある場合、肝硬変の場合は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。

糖質制限食は相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。

肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。

なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。

また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。

糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。


<参考図書>

理論
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」2005年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008年
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009年
「やせる食べ方」2010年
「うちの母は糖尿人」2010年 監修:江部康二 著:伊藤きのと
(東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010年(ナツメ社)
腹いっぱい食べて楽々痩せる『満腹ダイエット』 (ソフトバンク新書) 2011年
「主食をやめると健康になる」(ダイヤモンド社)2011年

レシピ
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006年
「糖質制限食 春のレシピ」2007年
「糖質制限食 夏のレシピ」2007年
「糖質制限食 秋のレシピ」2008年
「糖質制限食 冬のレシピ」2008年
「血糖値を上げない! 健康おつまみ109 」2010年
「やせる食べかたレシピ集」2010年
「主食を抜けば糖尿は良くなる!レシピ集」2011年
(東洋経済新報社)

「糖質オフ」ごちそうごはん
(アスペクト)2009年

dancyu プレジデントムック 「満腹ダイエット 」(プレジデント社)2009年
dancyu プレジデントムック 「酒飲みダイエット 」(プレジデント社)2010年
dancyu プレジデントムック 「美食家ダイエット 」(プレジデント社)2011年

糖質オフダイエット (レタスクラブ、角川マーケティング)2011年
誰もがストレスなくやせられる! 糖質制限ダイエット(講談社)2011年

DVD「糖質制限食を語る」http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php 2011年


【糖質制限食とは】

米国糖尿病協会(ADA)によれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。 

また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。

これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。 
 
1997年版のLife With Diabetes(ADA)では、

「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」

という記載がありましたが、2004年版では変更されています。

このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を上昇させます。

従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。

脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。タンパク質はごく少量のインスリンを追加分泌させます。

現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。

食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。

そして、食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。

1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。

炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には、55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。

一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても、糖質含有量は1gもないので、食後高血糖はほとんど生じないのです。 

なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。

糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースに、できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。

簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。

抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
 
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら、薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。

一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。

従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。

糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。

なお糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。

一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2400キロカロリー、女性なら1200~1800キロカロリーくらいが目安です。


【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内・保険適応】

お問い合わせは高雄病院
http://www.takao-hospital.jp/

住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3 
電話:075-871-0245

ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。


【糖質制限食外来治療のご案内・予約制・保険適応】

高雄病院  電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3

高雄病院京都駅前診療所  電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
http://www.takao-hospital.net/

江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食でHbA1c改善、暁現象への対応は?
こんにちは。

空さんから、糖質制限食でHbA1c改善したけれど、早朝空腹時血糖値が下がらないとのコメント・質問をいただきました。

【11/12/23 空
朝の血糖値
先生、こんにちは!
お聴きしたい事があるのですが…

朝の(起き抜け)の血糖値が130を下回る事がないのです。
A1cは5.7です。
2ヶ月くらいで8.5から下げました。
これも先生の本を読み、糖質制限を知り実行したおかげです。

A1cは下がってるのに、朝一の血糖値が安定しません。
夜は運動し、2時間後の血糖値は100くらいに押さえています。
(運動しなくても120~130くらいで落ち着きます)
そのまま食後4時間内には就寝し睡眠時間は6時間くらいです。
薬はエクア服用。

今、禁煙外来に通っていて(チャンピックス服用)
タバコを我慢するストレスなのかとも思ったり…

先生、朝の血糖値を安定させるにはどうしたら、良いのでしょうか?
また、朝一の血糖値が高いと合併症のリスクが高くなりますか?

不安だらけです。】


空さん。
拙著のご購入ありがとうございます。

2ヶ月間の糖質制限食実践で、「HbA1c8.5%→5.7%」

素晴らしい改善ですね。
HbA1cは、コントロール良好を通り越して、コントロール優です。

早朝空腹時血糖値がやや高値なのは、糖尿人特有の「暁現象」と思われます。

糖尿人においては、就寝後8~10時間で、血糖値が上昇することがあり、これを暁現象と呼びます。

空腹時には、肝臓のグリコーゲン分解と糖新生が、血糖の供給源となります。

グリコーゲン分解に関しては、糖尿人と正常人との間に差はないとされています。

一方、糖新生は、糖尿人においては、増加することが多いです。

正常人においては、血液中のインスリンが5μU/ml以上あれば、糖新生は急激に低下します。

しかし、2型糖尿病においては、正常人の2倍以上のインスリンが必要とされることが多いのです。

インスリン基礎分泌が不足してくると、夜間の肝の糖新生を制御できずに、早朝空腹時血糖値が高値となります。

就寝時より起床時の血糖値の方が、何も食べていないのに高値となることがあり、暁現象と呼びます。

朝に血糖値が上昇するまでの時間と増加量には、個人差があります。

1型糖尿人のバーンスタイン医師は、充分量の持続型インスリン3単位を就寝前に注射しているにもかかわらず、起床時の血糖値が10~100mg/dlほど就寝時より高値となるそうです。

暁現象の機序は、完全に解明されているわけではありませんが、肝臓が早朝には、他の時間帯以上に、血液中に循環しているインスリンを不活化させるとういう説があります。そのため、肝臓の糖新生が高まります。インスリンが、外部から注射したものであれ、内部でつくったものであれ同様です。

早朝空腹時ですから、インスリンを打っていない人では、基礎分泌のインスリンが循環している時間帯ですね。

正常人はこのとき、インスリンを産生して調整しますが、糖尿人はそれが不足するので暁現象が発生します。

暁現象の改善のために、

①糖質制限食で膵臓に休養を与える。
②筋トレで筋肉量を増やす。
③有酸素運動を継続して、インスリンの効きを良くする。

内服薬を増やさずに①②③を根気よく続けるのもよい方法と思います。

また内服されているDPP-4阻害剤(エクア、ジャヌビア、グラクティブ、ネシーナなど)は、内服継続により膵臓のインスリン分泌能力が改善したという報告が最近ありました。

インスリン分泌能力が改善したら、早朝空腹時血糖値も改善する可能性はあります。

上記実践しても、早朝空腹時血糖値が改善しないときは、メトフォルミン(ビグアナイド剤)内服で、肝臓の糖新生を抑制する選択肢もあります。

メトフォルミンは米国糖尿病学会の勧告では、2型糖尿人において、第一選択剤と評価されています。

早朝空腹時血糖値が140mgを超えると、いろいろリスクが出てきます。

早朝空腹時血糖値126mg未満の境界型なら、リスクはかなり減ります。

目指すのは早朝空腹時血糖値110mg未満の正常ですね。



江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖尿人とアルコール、アルコールと膵臓
こんばんは。

グラフトンさんから、糖尿人とアルコール、アルコールと膵臓についてコメント・質問をいただきました。

【11/12/21 グラフトン

江部先生、こんばんは。
いつも大変有益な情報を提供していただきありがとうございます。
ところで、糖尿とアルコールの関係についてどのような本にも否定的に書かれております。
先生監修のレシピ集にはアサヒのスタイルフリーが載っておりましたので私も飲んでおります。
しかしながら疑問点として、たとえ糖質がほとんど含まれてないとは言ってもアルコールは含まれております。
アルコールと膵臓の関係について人間ドックで指摘されてお酒をやめようかと思っていたところに先生のレシピ集と理論面の本に出会いました。
先生自身かなり飲まれているようですが、アルコールは膵臓によくないというエピデンスはあるのでしょうか??】



グラフトンさん。

レシピ集のご購入ありがとうございます。

日本の従来の糖尿病治療では、飲酒は原則禁止ですが、一定の条件下で許可されることもあります。

糖尿病専門医研修ガイドブック・改定第4版、81ページによれば、その条件は、以下の5項目をクリアしていることです。

1、良好な血糖コントロールが長期にわたって得られている
2、糖尿病の合併症がないか、あっても軽度である
3、脂質代謝異常(特に高中性脂肪血症)がない
4、肝・膵疾患がない
5、決められた上限量を守る患者である


4の肝臓や膵臓の疾患がないことが、条件となっているわけですからアルコールが、肝臓と膵臓に一定の負担をかけることは間違いありませんね。

アルコール性肝障害は大変有名で、皆さんよくご存知と思います。

それから急性膵炎による入院の80%以上を、胆道疾患とアルコール多飲が占めています。

これはアルコール多飲であって、適量なら急性膵炎など起こしません。

また個人差があると思いますが、適量のアルコールなら肝障害にもなりません。

で、5はなかなか耳が痛いですね。(=_=;) 

私の場合、1~4は完璧にクリアですので、
5だけがハードルが高いです。 (*- -)(*_ _)

それでは、アルコールの適量とはどのくらいなのでしょう?

欧米では、「適量」を守れば飲酒OKとしています。

例えば、米国糖尿病協会では、アルコール24g(30ml)/日を食事と共にとるていどなら適量としています。

糖質ゼロ発泡酒350ml缶を2本、ワイン150ml×2杯、ウイスキー30ml(シングル)×3杯です。

アルコールそのものは、1gが約7キロカロリーの燃焼エネルギーをもっていますが、摂取時の利用効率は約70%です。

エネルギー源としては、<アルコール→糖質→脂質→タンパク質>の順で利用されます。

またアルコールは、糖質や脂質と違って摂取しても体重増加作用がありませんし、血糖値も上昇させませんし、ビタミンやミネラルにも乏しいので、empty calory と言われています。

なお、アルコールを摂取すると、人体に対する毒物とみなされて優先的に肝臓で分解されますので、その間、同じ補酵素を使う糖新生がブロックされてしまいます。

従って、アルコールを摂取すると結果として、肝臓の糖新生を抑制することとなります。

一定量以上のアルコールを摂取すれば、肝臓の夜間糖新生はブロックされ、翌朝の早朝空腹時血糖値は、下がる可能性が高いです。

また、空腹時に飲んだりすれば、糖新生が抑制される分、インスリン注射やスルフォニル尿素剤を内服している人は、低血糖を起しやすくなるので、充分な注意が必要です。



江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食の安全性について
こんにちは。

福笑いさんから、「県総合保健センター管理栄養士が地元新聞の家庭欄で糖質制限を批判」とのコメントをいただきました。

検討してみましょう。

【11/12/20 福笑
地元紙に「危険」だと
地元新聞の家庭欄で、県総合保健センター管理栄養士が糖質制限を否定する文章を書いておられます。
その内容は「一時的に効果があっても、体が省エネモードに入り、基礎代謝が落ちてリバウンドしやすくなる。ケトン体が血液を酸性にする。脂質異常症などの生活習慣病を招く「危険」もある、とのことです。
 行政の責任ある立場の人がここまで言うことに驚きましたが、栄養士学会の反撃?が始まったのでしょうか。】


福笑 さん。
コメントありがとうございます。

【一時的に効果があっても、体が省エネモードに入り、基礎代謝が落ちてリバウンドしやすくなる。】

これは体重減少のことを言っておられるのでしょうね。

身体が省エネモードに入るのは、糖質制限食ではなくて、カロリー制限食(高糖質・低脂質食)の時です。

厳しいカロリー制限で減量しても、基礎代謝が落ちてリバウンドしやすいです。

一方、糖質制限食は、ほとんどの人においては、カロリー計算なしでお腹いっぱい食べても減量できます。

ステーキや脂の乗った魚を食べている最中にも、肝臓で糖新生してエネルギーを消費しているので基礎代謝が増加していきます。

【ケトン体が血液を酸性にする。】

スーパー糖質制限食実践で、血中ケトン体が、従来の基準値より高値となります。

しかし、人体には体内のpHを一定に保つため、血液や体液の緩衝作用(緩衝機構)、呼吸による調節作用、腎臓による調節機構があるので、生理的な血中ケトン体の高値があってもpHは正常に保たれます。

以下はスーパー糖質制限食を数年間続けている糖尿人2人のデータです。

2009.3.3
江部康二 59才
pH 7.45 (7.36~7.45)
血中ケトン体 712μM/L(26~122)
尿中ケトン体 陰性
糖質制限食摂取3時間血糖値 123mg/dl

Sさん 61才 ♂
pH 7.45
血中ケトン体 603μM/L
尿中ケトン体 陰性
空腹時血糖値 86mg/dl

スーパー糖質制限食は、総摂取カロリーのうち、約56%が脂質です。

血中ケトン体は、糖質を摂取している人の基準値に比べれば高値で、当初は尿中ケトン体が陽性となります。

しかし、体細胞が効率良くケトン体を利用することと、腎臓でのケトン体の再吸収が高まることで、一定期間経過すると尿中に排泄されなくなると考えられます。通常は3ヶ月くらいで尿中ケトン体は陰性となります。

従来の基準値に比し、血中ケトン体は高値ですが、これは糖質制限食実践中の正常値で生理的ケトン体です。
私やSさんの、血中ケトン体値が、人類が狩猟・採集生活で糖質制限食だった700万年間の正常値と考えられます。

勿論、pH は正常値で、酸血症(アシドーシス)にはなっていませんね。

【脂質異常症などの生活習慣病を招く「危険」もある】

糖質制限食実践で、血糖、中性脂肪は速やかに改善し、HDL-コレステロールは増加します。

LDL-コレステロールは、変化なし・低下・増加の3つのパターンにわかれます。

しかし、一旦上昇した場合も、半年・1年・2年で基準値になることがほとんどです。

従いまして脂質異常症を招くどころか、血中脂質の全てが改善します。

このように動脈硬化のリスク要因となる、血糖値、中性脂肪値、HDL-コレステロール値、LDL-コレステロール値の全てが糖質制限食で改善しますので、将来の心筋梗塞や脳梗塞の予防効果がおおいに期待できます。

イヌイットが、生肉・生魚が主食の伝統的食生活(スーパー糖質制限食)を守っていた頃は、心筋梗塞・脳梗塞・糖尿病が極めて少なかったのは有名な話ですね。


江部康二


☆☆☆参考 <スーパー糖質制限食を足かけ10年実践中の江部康二の検査データ>

空腹時採血血糖値103mg(110未満70以上)
IRI:2.8(3~15μU/ml) 
HbA1c:5.3%(5.8未満)
血中ケトン体:1187μM/L(26~122) 糖質制限食中は生理的で正常値

尿酸:3.3mg/dl(3.4~7.0)
TC:238mg/dl(150~219)
TG:39mg/dl(50~149)
HDL-C:123mg/dl(40~98)
LDL-C:107mg/dl(140未満)

BUN:17.1mg/dl(8~20)
クレアチニン:0.63mg/dl(0.6~1.1)

γGTP:33IU/L(48以下)
GOT:24IU/L(9~38)
GPT:22IU/L(5~39)
血清アルブミン:4.8g/dl(3.8~5.3)

尿蛋白:陰性
尿糖:陰性
尿中アセトン体:陰性
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食と高タンパク食と腎臓、糖質制限食が腎症を防ぐ
こんにちは。

糖質制限食と高タンパク食と腎臓について、MS さんからコメント・質問をいただきました。


【11/12/20 MS
教えてください
先日管理栄養士さんの糖尿病予防教室がありました。その中で栄養士さんが強調されるのはタンパク質の摂り過ぎは腎臓の障害を引き起こすので一日に4単位以上は摂らないようにとの話でした。タンパク質は最終的に腎臓で分解され窒素が多くなると透析に移行するので危険だという話でした。豆腐100gが1単位なので400gの豆腐を食べるともうそれ以上はタンパク質は摂らないようにとのことでした。400gの豆腐と言えば大きめの豆腐約1丁分です。江部先生の本を読まれて糖質制限食を実践され、HbA1c11だった人が1年後に5.2まで下がった人の話をしたところ、それは透析になる恐れがあると言われました。タンパク質は細胞のもとになる物でしっかりと摂らないといけないと言われる人もありどう解釈したらいいのか悩みます。教えていただければと思います。】



MS さん。
コメントありがとうございます。

【栄養士さんが強調されるのはタンパク質の摂り過ぎは腎臓の障害を引き起こすので一日に4単位以上は摂らないようにとの話でした。タンパク質は最終的に腎臓で分解され窒素が多くなると透析に移行するので危険だという話でした。豆腐100gが1単位なので400gの豆腐を食べるともうそれ以上はタンパク質は摂らないようにとのことでした。】

まず、この栄養士さんは、勉強不足です。

腎不全の人と腎機能正常の人を混同しておられますね。

腎機能正常の人が高タンパク食を摂取して腎臓が悪くなるというエビデンス(根拠)はありません。

従って、腎機能が正常の糖尿人が 糖質制限食(高タンパク食)を食べても、全く問題はありません。

歴史的にみても、イヌイットは伝統的な食生活を守っていたころは、生肉・生魚が主食で、高タンパク・高脂質食(スーパー糖質制限食)ですが、腎不全が多いという報告は一切ありません。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2010年版」においても、タンパク質摂取の上限(耐容上限量)は設定されていません。

その根拠として、次のように書かれています。

「タンパク質の耐容上限量は、タンパク質の過剰摂取により生じる健康被害を根拠に設定されなければならない。しかし現時点では、タンパク質の耐容上限量を策定し得る明確な根拠となる報告は十分には見当たらない。そこで、耐容上限量は設定しないこととした」

繰り返し強調しますが、「腎機能正常の人が、高タンパク食で腎臓が悪くなる」というエビデンスは、現時点で認められないというのが、科学的認識なのです。

一方、確かに、すでに血液検査で腎機能障害(腎不全)がある場合は、腎臓病学会として現時点では低タンパク食が推奨されています。

また糖尿病学会では、糖尿病腎症第2期(早期腎症期)から、低タンパク食を推奨しています。

しかしながら、これらの推奨のエビデンスレベルはかなり弱いのです。(*- -)(*_ _)

現に、2012年1月15日(日)に、第15回日本病態栄養学会年次学術集会が国立京都国際会館で開催されます。

10:00~11:00の

<糖尿病治療に低炭水化物食は是か?非か?>

という私の参加するディベートセッションの前に、

9:00~10:00まで

<腎疾患に超低タンパク食は是か?非か?>というディベートセッションが行われるような状況です。

また

「タンパク質制限食が糖尿病腎症の進展予防に無効」

という論文「Diabetologia, 52 : 2037-2045, 2009」が、2009年に日本の研究として報告されました。

詳しくは、2010年11月03日 (水) の本ブログ記事

「タンパク質制限食が糖尿病腎症の進展予防に無効」

をご参照ください。

要するに、すでに腎不全になっている段階の人においてさえも、低タンパク食の有効性は未だエビデンスレベルでは確認されていないということです。

さらに、私の糖尿病患者さんにおいて、少なくともタンパク尿陽性の糖尿病腎症第3期A(顕性腎症前期)までは、
スーパー糖質制限食(高タンパク・高脂質食)で、第1期(腎症前期)まで回復されたかたは複数おられます。

さて、2010年末の統計で人工透析導入の原疾患は

糖尿病腎症:16271人(43.5%) 平均年齢66.09才
慢性糸球体腎炎:7946人(21.2%) 平均年齢67.46才
腎硬化症:4355人(11.6%) 平均年齢74.61才
悪性高血圧:328人(0.9%) 平均年齢63.70才

で、圧倒的に糖尿病が多いですね。

このデータを素直に考慮すれば、腎臓に一番リスクとなるのは、「糖尿病→高血糖」であるということにどなたも異論はないと思います。

その高血糖を、1日を通して薬なしでコントロールするのがスーパー糖質制限食です。

1日の血糖コントロールが良好となることで、あるていどの段階の腎障害までならスーパー糖質制限食で改善するということだと思います。

逆に言えば、きっちり医療機関にかかって、カロリー制限食(高糖質食)でつらい思いをして、経口血糖降下剤やインスリン注射を打っても、年間16271人もの糖尿人が糖尿病腎症に陥り進行し、人工透析をせざるを得ないのが現状なのです。

カロリー制限食(高糖質食)で薬物治療をしていて、HbA1cがコントロール良好でも、食後高血糖は防げないので、このような悲劇が起こっているのだと考えられます。

カロリー制限食で、糖尿病腎症になるかならないかは、運不運としかいいようがありません。

現時点で糖質制限食は、糖尿人が糖尿病腎症になるのを確実に防ぐことが可能な、唯一無二の治療法と考えられます。



江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食で持久力向上、SMBGの体験
こんにちは。

daniel さんから、とても嬉しいコメントをいただきました。

ブログ読者の皆さんにも是非紹介したいと思いましたので記事にしました。


【11/12/17 daniel
食後血糖値

江部先生、いつも有意義な情報とその交換の場をありがとうございます。

さて、先日よりSMBGを始めた旨をご報告しましたが、その後の「実験」により今更ながら糖質制限食の凄さを実感しました。

以下本日の夕食内容です。

・焼き魚2切れ
・鶏肉のオリーブオイル炒め(250g)
・サラダ(マヨネーズをたっぷりかけて)
・ほうれん草のおひたし

食後に
・ウイスキー水割り(シングル3杯)
・落花生一握り
・チーズ6Pを1個
・ボイルしたイカ

この食事内容で食後1時間の血糖値が107mg/dlでした。

人のモチベーションの高さは動機に比例し、動機の強さは納得度に比例すると言われています。

今更ですが、江部先生の推奨する糖質制限食を実行した場合、私の空腹時血糖値が95~100mg/dlなので僅か10mg/dl程度の上昇で済む事が実感できました。

SMBGにより理屈ではなく、現実として自分の体で実感しこれ以上なく納得出来ました。

因みに、糖質制限しない食事を摂った場合は210mg/dlですので、殊更に糖質制限食の凄さに驚き、今更ですが江部先生やこのサイトを御覧の皆さんにも知って頂きたく書き込みました。

尚、糖質制限食を始めてからは、持久力が付き趣味のゴルフは真夏の炎天下でも駆け足でラウンドできる位に向上しました。

以上、すこしでも皆さんの参考にして頂ければ幸いです。】



daniel さん。

結構なボリュームの夕食ですね。

ウィスキー水割り、シングル3杯も、自制が効いた大人の味わいで格調高いです。 (^_^)

私のアルコール摂取量は、アサヒスタイルフリーを350ml×1~2缶、焼酎(アルコール度数25%)の水割り(ダブル)を、グラスに3~4杯くらいです。

焼酎の代わりに、赤ワインをボトル半分くらいの日もあります。

米国糖尿病協会では、コントロール良好の糖尿人においては、アルコール24g(30ml)/日を食事と共にとるていどなら適量としています。

アルコール24gというのは、ビール350ml缶なら2本、ワイン150ml×2杯、ウイスキー30ml×3杯くらいに相当します。

ウィスキーは、アルコール度数が40%くらいが多いです。

私は、米国糖尿病協会からは、怒られる不良患者ですね。( ̄_ ̄|||)

日本の標準でウィスキーのシングルは30ml、ダブルは60mlくらいです。

daniel さんは、ウィスキー90ml/日なので、米国糖尿病協会基準をクリアしておられますよ。

「空腹時血糖値が95~100mg/dlなので僅か10mg/dl程度の上昇で済む事が実感できました。SMBGにより理屈ではなく、現実として自分の体で実感しこれ以上なく納得出来ました。因みに、糖質制限しない食事を摂った場合は210mg/dlです。」

血糖自己測定の利点ですね。 (^^)

『血糖値を上昇させるのは糖質だけで、タンパク質・脂質は上昇させない』

ということは、理屈では皆さんわかっていると思うのですが、

『少しくらいの糖質なら大丈夫だろう・・・』という、非論理的思考が湧いてきて (∵)?

まあ、糖質食べちゃう人も多いのです。(*- -)(*_ _)

こんな時、SMBG(*)してみると、食後血糖上昇は一目瞭然で、努々油断は禁物ということが自分で確認できます。そうなると、糖質制限食へのモチベーションは俄然、高まりますね。

「糖質制限食を始めてからは、持久力が付き趣味のゴルフは真夏の炎天下でも駆け足でラウンドできる位に向上しました。」

良かったです。

糖質制限食実践により、常に24時間脂肪酸-ケトン体エネルギーシステムが稼働している身体となっています。
これにより、筋肉中に蓄えてあるグリコーゲン(ブドウ糖の集合体)を節約できるので、持久力がつくわけです。

勿論、運動する方がよりいいに決まっていますが、糖質制限食なら、日々トレーニングして鍛えてなくても、それなりに持久力がつくという利点があるのです。


(*)
“self-monitoring of blood glucose”血糖自己測定、頭文字をとってSMBGといいます。


江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
池田信夫先生のブログで「主食をやめると健康になる」が記事に
おはようございます。

「池田信夫 blog - ライブドアブログ」http://ikedanobuo.livedoor.biz/

の12月17日(土)の記事 で

「主食をやめると健康になる」糖質制限食で体質が変わる!(ダイヤモンド社)

を紹介していただきました。
http://ikedanobuo.livedoor.biz/

その影響だと思いますが、アマゾンで「主食をやめると健康になる」のランキングが急上昇しました。

池田信夫先生、ありがとうございます。m(_ _)m

池田先生、3ヶ月ぐらい前に、健康診断で「血糖値が高い」といわれて、ウェブで調べると糖質ダイエットというのが評判なので、やってみたそうです。

結果は、3ヶ月で血糖値(ヘモグロビンA1C)は1割以上さがり、体重も3㎏近く減った、とのことです。
データ改善、良かったです。

記事の中で、「タンパク質が50%、脂質が10%未満血糖に変わる。」という米国糖尿病学会1997年版の図が引用されていますが、2004年版から、「タンパク質・脂質は血糖に変わらない。」と変更されて、図も削除されています。

池田先生、ご紹介いただいて、恐縮なのですが、もし、機会がありましたら、上記ご修正いただけば幸いに存じます。m(_ _)mV



江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食でタンパク尿が改善
おはようございます。

生駒山さんから、糖質制限食でタンパク尿改善という嬉しいコメントをいただきました。


【11/12/16 生駒山
尿タンパクが
高雄病院に通院する生駒山です。今日は、本年最後の通院でした。去年の7月の検査で、尿タンパクが+2だったのが、とうとうマイナスとなりました。宗本先生にお褒めのお言葉をいただきました。辛抱強く糖質制限を続けていると、腎臓の機能が回復してくるのですね。楽しい正月を迎えられます。】



生駒山さん。
おめでとうございます。(^-^)v(^-^)v 
良かったですね。

1年5ヶ月の糖質制限食実践で、尿タンパク陽性(糖尿病腎症第3期A)の段階から陰性となったのですね。

きっとHbA1cもコントロール良好と思います。

次の段階として、宗本先生と相談されて、尿中微量アルブミン検査をされては如何でしょう?

尿タンパク陽性→尿タンパク陰性→尿中微量アルブミン陰性

上記の段階を経て、腎症は改善していきます。

尿中微量アルブミン陰性なら、第1期(腎症前期)に改善です。
尿中微量アルブミン陽性なら、第2期(早期腎症期)に改善です。

生駒山さんと同様、糖尿病腎症第3期Aの段階までなら、糖質制限食で改善されるかたがほとんどです。

糖尿人の皆さん、「腎症は治らない」と医師に言われても、糖質制限食なら希望はありますので。

そうそう、宮本輝先生も尿タンパク陽性の段階から尿中微量アルブミン陰性と改善されましたよ。



江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
食品を食べる順番と血糖値
こんばんは。

最近、食品を食べる順番と血糖値の話題がそこそこマスコミを賑わせています。

「食品を食べる順番で、食後血糖値が影響を受けるか?」

という点ですが、糖尿人でも少しだけ差があるようです。

ただ糖質制限食のような画期的な効果は、残念ながら期待できません。

2010年7月4日(日)東京慈恵医大、大学1号館3階講堂で開催された第9回日本GI研究会で、

「糖尿病患者における食品の摂取順序による食後血糖上昇抑制効果」

という演題で大阪府立大学・総合リハビリテーション学部・今井佐恵子先生と梶山内科クリニック・梶山静夫先生が発表されました。

私はその会で「糖質制限食基礎理論の展開と糖尿病治療」と題して特別講演を行いましたので、上記発表はしっかり拝聴いたしました。

15名の2型糖尿病患者さんに

①野菜サラダ→10分後、白ご飯
②白ご飯→10分後、野菜サラダ

の順番で食事を摂取して食後血糖値を調べ結果が発表されました。

結果は②のように、いきなり白ご飯(糖質)を食べると血糖値は単純に上昇しやすいです。

①のように、先に野菜サラダを食べて後に白ご飯なら、血糖の上昇速度は遅くなります。


<30分後血糖値>
②の順番だと217±40mg/dlだったのが、
①の順番だと172±31mg/dlと低値になっています。

<60分後血糖値>
②の順番だと208±56mg/dlだったのが
①の順番だと187±41mg/dlとやや低値になっています。

ただ現実には、野菜サラダだけを食べて、10分間待って白ご飯というのは、かなり間延びしてしまいますから、ちょっとつらいですね。 ε-(-Д-)

まあ10分間待たずにすぐに食べても、10~20mgは下がるかもしれませんので、工夫としてはありですが、所詮は糖質制限食の効果とは比べものになりません。

糖質制限食なら、そもそも食後血糖値が140mg/dlを超えることはまずありませんので。

やはり、アバウトではありますが、

「体重64kgの2型糖尿人では、1gの糖質が約3mg血糖値を上げる」

という原則に従って、糖質のグラム数だけ把握して食事をする糖質制限食のほう方が簡単ですし、効果は顕著だし、現実的と思います。



江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
75g経口ブドウ糖負荷試験実施前の糖質摂取は?
こんばんは。

中島さんから、75g経口ブドウ糖負荷試験実施前の糖質摂取に関する質問をいただきました。


【11/12/15 中島
ブドウ糖負荷試験について
江部先生、こんにちは。
先生の著書やブログを参考に糖質制限を行って八か月になる中島(男、43歳)と申します。

去年秋の健康診断で、空腹時血糖129、ヘモグロビンA1cが5.6パーセント、体重は115キロという結果でした。現実と向き合いたくなくて放置していたのですが、今春高血圧に見舞われたのを機に糖質制限による減量を決意。先月の健康診断では体重75キロ、空腹時血糖89、ヘモグロビンA1cは4.7パーセントという数値に改善していました。

糖質制限で数値が改善されたのは明らかですが、自分が糖尿病かどうかを知っておいた方がいいとも思い、いままで受けたことのないブドウ糖負荷試験を受けてみようと考えています。

そこで質問です。ブドウ糖負荷試験の前の数日間は、普通に糖質を摂らないといけないとどこかで読んだのですが、これはその通りでしょうか?糖質制限を続けていていきなり負荷試験を受けると、数値が跳ね上がるのでしょうか?

お忙しいところ恐縮ですが、ご教示いただければ幸いです。

どうぞよろしくお願い致します。】


中島さん。

糖質制限食にて、

空腹時血糖値は、糖尿病型から正常型に改善、
HbA1cは5.6%から4.7%に改善、
体重は、115kgから75kgに減少、

素晴らしいデータですね。
良かったです。


通常、一旦糖尿病型となった人は、75g経口負荷試験は実施しないと今朝のブログ記事で述べました。

しかし中島さんの場合、インスリン抵抗性が改善して耐糖能が正常型に回復している可能性がありますので、ブドウ糖負荷試験で確認される意味はあると思います。

「糖質制限を続けていていきなり負荷試験を受けると数値が跳ね上がるのでしょうか?」

そういう説もありますし、そのようなことはないという説もあります。

「改訂第4版糖尿病専門医研修ガイドブック」には、経口ブドウ糖負荷試験実施の前、3日間は150g以上の糖質を摂取するよう記載があります。

中島さんの場合、糖尿病型かどうか確認したいということであれば、選択肢として、糖質制限食のまま、ブドウ糖負荷試験を受けるのもありと思いますが、判断はお任せします。



江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
75g経口ブドウ糖負荷試験について
おはようございます。

経口ブドウ糖負荷試験は、今は75gのブドウ糖負荷が主流です。
この75gOGTTですが、
糖尿病かどうかはっきりしない段階の人をチェックするための試験です。

糖尿病が既に確定している人には、高血糖を引き起こすことがわかっているので、基本的に行いません。

【<糖尿病治療ガイド2010>

によると

75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験) 
検査手順
①朝まで10時間以上の絶食のあと検査開始。午前9時頃が好ましい。
②空腹のまま採血し血糖値を測定する。
③次にブドウ糖を飲用させる。
④ブドウ糖負荷後、30分、1時間、2時間に採血し血糖値を測定する。
⑤空腹時血糖値と75gOGTTによる判定基準に従い、糖尿病型・正常型・境界型のいずれかに判定する。

A)75gOGTTは糖尿病の診断に必須ではない。。
自覚症状などから明らかな高血糖が疑われるときは、まず空腹時血糖値または随時血糖値を測定すべきである。高血糖状態で75gOGTTを行えば、さらなる高血糖を引き起こし有害である。

B)75gOGTTで空腹時と30分後のインスリン値を測定すれば、インスリン分泌能の指標であるインスリン分泌指数が計算できる。

C)75gOGTTで30分後と1時間後の血糖値は糖尿病の診断には必ずしも必要ないが、糖尿病ハイリスク群を見いだすのに役立つ。】


75gOGTTにより、初期の段階の糖尿病を拾い上げることができます。

例えば会社の健康診断で、空腹時血糖値は108mg/dlで正常でも、75gOGTTを実施すれば、2時間後血糖値が140mgを超えたり、200mgを超えることがあります。

それぞれ境界型、糖尿病型と診断できます。

なお、75g経口ブドウ糖負荷試験で1時間後血糖値が180mgを超えていると、2時間値が140mg/dl未満で正常型と診断されても将来糖尿型になりやすいことがわかっています。

①75g経口ブドウ糖負荷試験は、既に糖尿病とわかっている人や強く疑われる人には、原則として行いません。
なぜなら高血糖を引き起こし有害だからです。

②糖尿病かどうかわからない人を、初期段階で拾い上げるための検査が、75g経口ブドウ糖負荷試験です。



☆☆☆

<糖尿病型・正常型・境界型の区分と判定基準>

75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)および、空腹時血糖値による判定基準をまとめると以下のようになります。

A)正常型
「空腹時血糖値が110mg/dl未満かつ120分後血糖値が140mg/dl未満」
を満たせば正常型。

B)境界型
正常型にも糖尿病型にも属さない場合をいう。

C)糖尿病型
「空腹時血糖値が126mg/dl以上または120分後血糖値が200mg/dl以上」
を満たせば糖尿病型。



江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
境界型と糖尿病発症予防と糖質制限食
こんにちは。

toshi さんから、境界型と糖質制限食について、コメント・質問をいただきました。


【11/12/13 toshi
食後高血糖
初めて書き込みます。
9月の健康診断で空腹時110HbA1C5.2。
再検査で空腹時116、30分後60分後200、120分後115で、境界と言われイキナリ薬を飲むように言われネットで先生のブログを知り早速本を購入しました。
質問は3点ですが、マロニーはダメなのでしょうか?仕事上2ー3日に1日は主食を抜くのは難しいのですが、たまに主食採るのは構いませんか?LDL_Cが高い150前後ですが、どうでしょ?
高脂血症と言われた時点で、制限食知ってればと思うのですが】



toshi さん。

拙著のご購入ありがとうございます。

空腹時血糖値110mg/dlは境界型です。

再検査は75g経口ブドウ糖負荷試験をされたと思うのですが、空腹時血糖値が116mg/dlなのでやはり境界型です。

120分後血糖値は115mgと、140mg未満でOKです。

しかし、60分値が200mgと、180mg/dlを超えていますので、将来糖尿病になりやすいタイプですので注意が必要です。

具体的対策としては、今から糖質制限食を実践されたら、将来の糖尿病が予防できるでしょう。

糖尿人と確定した人は、スーパー糖質制限食で、1回の糖質摂取量を10~20g以下にするよう目指して、食後高血糖を予防します。

一方、toshi さんは、境界型ですので、緩やかな糖質制限食(1回の糖質量30~40g)くらいでOKの可能性があります。できるなら、主食は未精製の穀物を少量~適量が好ましいです。


「マロニーはダメなのでしょうか?」

マロニーは糖質たっぷりの、NG食品です。

「仕事上2ー3日に1日は主食を抜くのは難しいのですが、たまに主食採るのは構いませんか?」

上述くらいの範囲で大丈夫と思います。

「LDL_Cが高い150前後ですが、どうでしょ? 」

LDL-コレステロールは糖質制限食で、短期的には<減少・不変・増加>の3パターンがあります。増加した場合も糖質制限食を、半年・1年・2年継続することで、基準値になることがほとんどです。



江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
運動とエネルギー源
今日も寒い京都です。
マラソンの季節ですね。

今回は以前ブログで書いた記事をもとに、運動とエネルギー源について考えてみます。

ATP(アデノシン三リン酸)は、骨格筋の収縮に利用される唯一のエネルギー源です。

このATPを供給するために、人体には、いろいろなシステムがあります。

まずは、最高強度の運動(非常時の運動)です。

<最高強度の運動>

最高強度の無酸素運動とは、例えば100m競争などですね。

最高強度の運動の時は、即エネルギ-源が必要なので、筋肉細胞はまず自前で貯蔵していたATPを使います。

しかし、このATPは1~2秒でなくなるので、直後にクレアチンリン酸を利用してADP(ATPの分解産物)からATPを再合成します。

このクレアチンリン酸の生み出すATPは、数秒で減少し、10秒で半減します。

その代わりに、グリコーゲン分解と解糖からのATP供給が5秒で最大となり、20秒くらい持続します。

これらは、ほとんど全て嫌気的エネルギーで、供給速度が速いです。

最高強度の運動には、通常の脂質や糖質の酸化的リン酸化による好気的エネルギー供給では、速度が遅くて間にあわないので、非常用の嫌気的システムがあるのでしょう。

100m競争だと、嫌気的代謝が90%で好気的代謝が10%です。

なお、最高強度の運動というのは人類にとって、歴史的には非常時(逃走・闘争など)の時の十数秒間だけだったと思います。

次にマラソンなど長時間の運動の考察です。

<長時間の運動>

通常「長時間の運動」というのは、30~180分間は維持できる運動強度を示しています。

有酸素運動の持久力トレーニングを行えば、筋肉細胞のミトコンドリア密度が高まり、ミトコンドリアの近くにある脂肪滴が増えることがわかっています。

長時間の運動後、この筋肉内の脂肪滴が大幅に減っていることが確認されています。米国でアスリートの運動の前後で筋生検をしてそれを確かめています。

一流スポーツアスリートは、体脂肪率は一般人より低いですが、筋肉細胞中の脂肪滴は多く、また血液中の脂肪酸の利用能力も高まっており、これが鍛えた効果です。

それから、糖質制限食(高脂肪食)を実践中は、常に脂肪が分解され血中の脂肪酸・ケトン体が高値であり、筋肉細胞は血中からの脂肪酸も利用し易くなっています。

従って、筋肉細胞は、血液からも自身の内部からも上手に脂肪酸を利用することにより、筋肉中のグリコーゲンを節約することができるのです。

長時間の運動においても、筋肉中のグリコーゲンが節約できれば、持久力・スタミナがつきます。

すなわち糖質制限食実践者中の人は、持久力とスタミナが良い方に向上します。

逆に筋肉中のグリコーゲンが一定以下に減少・枯渇したら、筋肉は疲労のため動かなくなります。

なお長時間の運動のごく初期の1~2分は、高強度の運動と同様に嫌気的エネルギーが利用されますが、その後脂肪と糖質の酸化的リン酸化による、好気的エネルギー供給に代わります。

即ち、高強度の運動時と同様、筋肉細胞はまず自前で貯蔵していたATPを使います。

直後にクレアチンリン酸を利用してADPからATPを再合成します。

その後、グリコーゲン分解と解糖からのATP供給が始まり、20秒くらい持続します。

これらは全て嫌気的エネルギーで、供給速度が速いです。


<運動強度と嫌気的代謝・好気的代謝>

陸上競技を例にすると

100m競争だと、嫌気的代謝が90%で好気的代謝が10%
400m競争だと、嫌気的代謝が70%で好気的代謝が30%、
800m競争だと、嫌気的代謝が40%で好気的代謝が60%、
1500mは、それぞれ20%と80%
10000mは、それぞれ3%と97%
42.195km(マラソン)は、それぞれ1%と99%

となります。

好気的代謝には、「脂肪酸-ケトン体システム」と「グリコーゲン-ブドウ糖システム」があります。

脂肪酸-ケトン体のシステムより、ブドウ糖システムのほうが速くエネルギー(ATP)の供給ができるので、強度が高い運動のときほど、筋肉は、ブドウ糖を使う率が増えていきます。

中長距離の場合、脂肪酸システムを上手に利用して、筋肉中のグリコーゲンを温存し、ラストスパートの時に一気にブドウ糖を燃やして高強度運動を行うのが理想的ですね。

そして、長時間の運動(30~180分間は維持できる運動強度)であれば、筋肉は脂肪酸-ケトン体のシステムを中心に利用します。

一流スポーツアスリートは、筋肉細胞中の脂肪滴が多く、また血液中の脂肪酸の利用能力も高まっています。

勿論、筋肉中のグリコーゲン-ブドウ糖のシステムを全く利用しないということではありませんし、血液中のブドウ糖も利用します。

あくまでも脂肪とブドウ糖のどちらが主エネルギー源か比率の問題です。

一般には強度の高い運動ほど、エネルギー供給速度の速いグリコーゲン-ブドウ糖システムの利用比率が増します。

この時、鍛えられたアスリートほど、ある程度の強度の運動でも、脂肪酸-ケトン体システムを上手に使いこなしますので、筋肉中のグリコーゲンを最後まで節約できます。

そして、ラストスパートで高強度の運動の時に、一気にグリコーゲン-ブドウ糖システムを全開していきます。


江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食による体重減少効果、4つの利点から5つの利点へ
こんにちは。

糖質制限食による体重減少効果ですが、4つの利点から5つの利点へと増えました。

新刊の「主食をやめると健康になる」糖質制限食で体質が変わる!(ダイヤモンド社)
には、その旨記載してあります。


◆<糖質制限食による体重減少効果>

糖質制限食は摂取する糖質が少ないわけですから、血糖値が上がらず、インスリンが基礎分泌以外はほとんど出なくなります。

糖質を摂るとインスリンの追加分泌が10~30倍も出るのに対して、脂質を摂っても追加分泌は出ません。タンパク質はごく少量だけ追加分泌が出ます。

インスリンは肥満ホルモンとも呼ばれますが、追加分泌がほとんど出なくなれば、体脂肪が蓄えられにくくなります。

また、糖質制限食では、2つのエネルギー源のうち「脂肪酸-ケトン体」を上手に使うようになるため、体脂肪が燃えやすくなります。

スーパー糖質制限食を実践すると、1日24時間、例えばビーフステーキを食べている最中にも脂肪が燃え続けます。

糖質を摂らないと、もう1つのエネルギー源であるブドウ糖が不足すると思われるかもしれません。

しかし糖質は外部から摂取しなくても大丈夫なのです。

血糖が足りなくなる前に、肝臓内ではアミノ酸や乳酸などからブドウ糖が新生(糖新生)されます。

したがって、高血糖は改善されますが、低血糖になる心配はありません。

このように一方では脂肪が燃え続け、他方では糖新生の過程でもかなりのエネルギーを消費しますから、3食とも主食(糖質)を食べている人の代謝リズムとはまったく異なったものになります。

さらに高蛋白食となるので、摂食時の特異動的作用(SDA)が通常に比べて増加します。

SDAによる消費エネルギーは、実質吸収エネルギーの、糖質では6%、脂質では4%、タンパク質で30%です。

特異動的作用(SDA)を、もっと簡単に説明すると、
100キロカロリーの糖質を摂取した時は、6キロカロリーが、
100キロカロリーの脂質を摂取した時は、4キロカロリーが、
100キロカロリーのタンパク質を摂取した時は、30キロカロリーが
熱に変わり、消費エネルギーとしてカウントされるということです。

それらに加えて、脂肪からつくられたケトン体が必要以上に増えると、そのケトン体はエネルギーを持ったまま尿中や呼気中に排泄されます。ただこの分は糖新生に使うエネルギーに比し、少量です。

話をまとめると、糖質制限食の実践によって体重減少への5つの利点があります。

①インスリン(肥満ホルモン)が基礎分泌以外ほとんど出ない。
②常に体脂肪が燃えているので、余分な脂肪がたまりにくい。
③肝臓で糖新生が行われ、それにかなりのエネルギーを消費する。
④高タンパク食よる亢進した特異動的作用(SDA)。
⑤ケトン体がエネルギーを持ったまま尿中や呼気中に排泄される。


◆<カロリー制限食の場合>

一方、カロリー制限食は、糖質を摂るたびに血糖値が急上昇し、肥満ホルモンのインスリンが大量に追加分泌されます。

インスリンにより体脂肪は燃える方から蓄えるほうに流れが切り替わり、体内にたまりやすくなります。

また、肝臓の糖新生はストップし、尿中や呼気中からケトン体は排泄されなくなります。

まとめると、高糖質のカロリー制限食では次のような事態が起こります。

①血糖値が上昇してインスリン(肥満ホルモン)がたっぷり分泌される。
②体脂肪は燃えなくなり、血糖値が中性脂肪に変わり蓄積される。
③肝臓の糖新生はストップする。
④高タンパク食よる亢進した特異動的作用(SDA)はなくなる。
⑤ケトン体は尿中や呼気中に排泄されなくなる。

両者を比べてみれば、カロリー制限食より糖質制限食の方が、体重減少効果が高いことが一目でわかると思います。

たとえ低脂質食でカロリー制限していても、糖質を摂れば体重減少への利点がすべて消えてしまうわけです。

これは食べ物に含まれるカロリーとは無関係の生理学的な特質であり、あくまで糖質を摂るかどうかがカギとなります。

◆<摂取エネルギーと消費エネルギー>

①単純には摂取エネルギーが消費エネルギーを上回れば太り、下回ればやせる。

②通常のカロリー制限食(高糖質食)なら、
消費エネルギー=「基礎代謝+運動エネルギー+特異動的作用(SDA)」

③糖質制限食なら、消費エネルギーは、
「肝臓の糖新生でエネルギーを消費」→基礎代謝の増加
「高蛋白食による亢進した特異動的作用(SDA)」
「尿・呼気中ケトン体でエネルギーを消失」→これは少ない
の3つが、②に追加される。




江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
一部本ブログ記事の「尿酸から糖新生」→「乳酸から糖新生」に校正
こんにちは。

ブログコメントでご指摘いただきました「尿酸から糖新生」の件ですが、「乳酸から糖新生」の間違いです。

ブログ読者の皆さんには、混乱を招きましたことをお詫び申し上げます。 m(_ _)m

09/12/28 「お医者さんの知らない糖質制限食基礎理論2009年12月・最新版」
10/03/17 「お医者さんの知らない糖質制限食基礎理論2010年3月版」
10/05/03 「お医者さんの知らない糖質制限食基礎理論2010年5月版]

の本ブログ記事において、

<血糖値確保(赤血球に絶対必要)のためのバックアップシステム>

①グルカゴン
②エピネフリン
③副腎皮質ステロイドホルモン
④アミノ酸からの糖新生
⑤グリセロール(中性脂肪の分解産物)からの糖新生
⑥尿酸から糖新生

とありました。

「乳酸から糖新生」に校正しました。



江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
主食をやめると健康になる ー 糖質制限食で体質が変わる! 校正追加
おはようございます。

主食をやめると健康になる ー 糖質制限食で体質が変わる!
(ダイヤモンド社)

11月11日(金)から発売開始していますが、
おかげさまで、順調な売れ行きです。


タ#12441;イヤモント#12441;新刊


「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」2005年(東洋経済新報社)
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008年(東洋経済新報社)
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009年(東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010年(ナツメ社)

に続いて、最新糖質制限食基礎理論の充実した内容と、糖尿病以外の生活習慣病やガンについての考察が加わった本となりました。

エビデンスレベルの疫学研究も、多数紹介しています。

さらに豊富な症例も提示しています。

レシピ本ではなく、理論・疫学・臨床・・・の本です。

下記URLからアマゾンの本書の場所に飛べます。
http://p.tl/Io4o

私のブログ記事のなかで、公開OKをいただいた書き込みからの引用もあります。

ブログ読者の皆さんには、この場を借りて御礼申し上げます。m(_ _)mV


何回か見たつもりですが、もう一箇所、追加校正がありました。 m(_ _)m


<追加校正>
198ページ 
 4行目 約5g→約5mg


<校正>
1ページ
 5行目 16版→17版

51ページ
 最後から3行目に
 ④肝細胞はミトコンドリア内でケトン体を生成するが自分は利用せず他に供給する。

53ページ
 3行目 
 摂取していたのは脂質であり→摂取していたのは脂質・たんぱく質であり

60ページ
 5行目
 赤血球を除く→赤血球と肝臓をのぞく

65ページ
 8行目
 「英国政府ガイドライン」→「英国立医療技術評価機構」

69ページ
 4行目
・・・利用できない。のあとに「肝臓はケトン体を生成するが自分では利用しない。」

75ページ
 グラフ・・・糖尿病の人が→糖尿人が

82ページ
 最後に、「肝臓はケトン体を生成するが自分は利用しない。」

89ページ
 後ろから5行目
「これに対して・・・必要はありません。」
      ↓
「これに対して、糖質は食べ物から摂る必要はありません。肝臓でアミノ酸などから糖新生によりブドウ糖を生成できるからです。即ち必須糖質は存在しません。」


108ページ
 4行目
 2008年の調査では→2008年の調査で受診者の数は

116ページ
 7行目
 1~2割死んでいます。→1~2割死んでいることが多いのです。

133ページ
 7行目
 「グルット1」を獲得→「グルット1」など細胞表面に糖輸送体を獲得

 後ろから2行目 
 グルット1を→グルット1などを


以下は、

「主食をやめると健康になる ー 糖質制限食で体質が変わる!」(ダイヤモンド社)

の、<はじめに>と<おわりに>です。


江部康二



☆☆☆☆☆
<はじめに>

1999年に、兄・江部洋一郎院長(当時)が高雄病院に初めて糖質制限食を導入しました。当初は半信半疑だった私も、2001年から糖尿病患者さんに積極的に実践して目覚ましい成果をあげ、その後は病院全体で研究を進めるようになりました。

そして4年間の実績をもとに『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』(東洋経済新報社、2005年)を上梓しました。幸い現在までに16版を重ねるロングセラーとなり、世に「糖質制限食」という言葉を認知させるきっかけになったと自負しております。

『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』では、糖尿病治療を中心に執筆しました。このとき、すでに糖質制限食が肥満やメタボリックシンドロームにも有効だということはわかっていましたが、あえて糖尿病だけにしぼった内容としました。

肥満やメタボにも有効といった文言が追加されると読者に軽薄な印象を与える可能性があることや、いわゆるダイエット本と見なされるのは本意ではなかったからです。そのため、ベストセラーよりロングセラーを想定して比較的かたい内容とし、その意図は達成されたと思います。

2007年2月からは、ブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」を開始して、糖質制限食について紹介したり、糖尿病についてのさまざまなご質問にお答えするようになりました。現在1日のアクセス数が7000〜8000件ということも、かなり糖質制限食の普及効果があったと思います。

そして本書では、糖質制限食が医学会にも世間にも少しずつ広がりつつある現状をふまえて、高雄病院の10年以上の経験、1400人以上の患者さんの治療実績をもとに、糖尿病以外のより幅広い疾患、生活習慣病についても解説しました。

糖質制限食は「変わった食事」というイメージを持たれがちですが、実は人類本来の自然な食事です。人類が誕生したのが約700万年前で、農耕が始まるまでは狩猟・採集を生業とし、すべての人類が糖質制限食を実践していました。農耕開始後1万年間だけが、主食が穀物(糖質)へと変化しました。

すなわち穀物を主食としたのは、人類の歴史のなかでわずか700分の1の期間にすぎないのです。糖質制限食と高糖質食、どちらが人類にとって自然な食事なのかは言うまでもありません。糖質制限食はいわば人類の健康食なので、糖尿病や肥満・メタボに限らず、さまざまな生活習慣病が改善するのも当たり前といえば当たり前なのです。

しかも糖質制限食は、主食を抜くだけで「おいしく楽しく」続けられるのが特長です。従来のカロリー制限食に比べれば、肉も魚も蒸留酒もOKでお腹いっぱい食べることができ、はるかにラクに実践できます。本書ではその効果と実践法をくわしく紹介します。

なお、執筆にあたっては個人情報を保護する配慮をしていますが、私のブログ記事のなかで公開OKをいただいた書き込みからの引用もあります。ブログ読者の皆さんにはこの場を借りて御礼申し上げます。

2011年11月  高雄病院理事長 江部康二


<おわりに>

2010年12月に「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」(ナツメ社)を上梓して、1年が経過しました。そしてこの1年間で糖質制限食に関する新しい知識がまた蓄積されました。

今回はとくにガンに関して、現状でできる限りの情報を集めそれを基に考察をしてみました。それが、第4章「糖質制限食とガン」です。まずエビデンスとなる質の高いレベルの文献を集めてみました。その結果、高インスリン血症・空腹時高血糖・食後高血糖が、それぞれ独立して発ガンのリスクとなることが明らかとなりました。

またガン細胞はブドウ糖しかエネルギー源に利用できないことは周知の事実です。そしてその理由として、ガン細胞のミトコンドリアは、酵素に不備があり正常細胞のようにケトン体や脂肪酸は利用できないことが文献で確認できました。ミトコンドリアとは細胞内のエネルギー生産装置です。

これらのエビデンスと事実を背景に糖質制限食とガンに関して、予防の可能性や治療の可能性に言及してみました。糖質制限食により発ガンリスクである高インスリン血症・空腹時高血糖・食後高血糖が全て改善します。あくまでも仮説の段階に過ぎない理論ですが、それなりの説得力はあると自負しています。

例えば、マウスの動物実験の段階ではありますが、糖質制限食により発ガン予防効果が確認されています。さらに、本文には間に合わず紹介できなかったのですが、ヒトにおいてケトン食でガンが消失したという文献を見つけました。ケトン食は本文でも紹介していますが、脂質摂取比率75~80%という究極の糖質制限食です。栄養と代謝という米国の医学雑誌に2010年、グリオブラストーマ(膠芽腫)が2ヶ月間の<放射線+化学療法+ケトン食>治療で消失したというイタリアの研究者の症例報告が掲載されています。(*)膠芽腫は脳腫瘍の中でも最も悪性度の高いガンで<放射線+化学療法>治療ではまず治りません。糖質制限食によるガン治療に一筋の光明が見えた気がします。

ついで糖質制限食による減量効果に関して大変興味深い事実が確認できました。食物を摂取すると食後1時間から数時間にわたり熱産生が増加し代謝が更新します。これを食物の特異動的作用(SDA)とよびます。摂取した糖質、脂質、タンパク質の化学エネルギーのうち、それぞれ約6%、4%、30%は熱として失われ、生体で利用することができません。SDAが30%と圧倒的に高いのがタンパク質です。従って高タンパク食である糖質制限食は通常食に比べれば、特異動的作用(SDA)の比率が大きくなりその分、減量効果があることになります。

もう一つ忘れてはならないことがあります。それは農耕以前の人類においては飢餓は日常的な出来事であり、体脂肪はそれに対する唯一のセーフティーネットであったというとです。この観点から、筋肉と脂肪細胞の糖輸送体4(GLUT4)の謎を解き明かしてみました。糖輸送体というのは細胞におけるブドウ糖取り込み装置です。GLUT4は14種ある糖輸送体のうち唯一インスリンに依存していて普段は細胞内に沈んでいていざという時だけ細胞表面に移動するという極めてユニークな存在で、知的興味は尽きません。

このように、糖質制限食の最新理論がわかりやすく解説してあるのが本書です。糖質制限食をすでに実践して本を読んでおられる方にも充分読み応えがあると思います。また初めて糖質制限食に接する読者においても、系統的にオールラウンドな知識を学ぶことができる本となっていますので、是非ご一読いただけば幸いです。

最後になりましたが、本書の新しい糖質制限食理論構築において、適切なアドバイスで援助して頂いた、京都府立医科大学大学院 総合医療・医学教育学教室 助教 森 浩子先生に深謝いたします。
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食に関するお知らせ・お願いなど
<糖質制限食に関するお知らせ・お願いなど>

【糖質制限食を実践される時のご注意】

本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、低血糖の心配がありますので
必ず主治医と相談して頂きたいと思います。

一方、薬を使用してない糖尿人やメタボ人は、低血糖の心配はほとんどないので、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病やメタボ改善を目指していただけば幸いです。

血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合と、活動性の膵炎がある場合、肝硬変の場合は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。

糖質制限食は相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。

肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。

なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、
まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。

また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。

糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。


<参考図書>

理論
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」2005年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008年
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009年
「やせる食べ方」2010年
「うちの母は糖尿人」2010年 監修:江部康二 著:伊藤きのと
(東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010年(ナツメ社)
腹いっぱい食べて楽々痩せる『満腹ダイエット』 (ソフトバンク新書) 2011年
「主食をやめると健康になる」(ダイヤモンド社)2011年

レシピ
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006年
「糖質制限食 春のレシピ」2007年
「糖質制限食 夏のレシピ」2007年
「糖質制限食 秋のレシピ」2008年
「糖質制限食 冬のレシピ」2008年
「血糖値を上げない! 健康おつまみ109 」2010年
「やせる食べかたレシピ集」2010年
「主食を抜けば糖尿は良くなる!レシピ集」2011年
(東洋経済新報社)

「糖質オフ」ごちそうごはん
(アスペクト)2009年

dancyu プレジデントムック 「満腹ダイエット 」(プレジデント社)2009年
dancyu プレジデントムック 「酒飲みダイエット 」(プレジデント社)2010年
dancyu プレジデントムック 「美食家ダイエット 」(プレジデント社)2011年

糖質オフダイエット (レタスクラブ、角川マーケティング)2011年
誰もがストレスなくやせられる! 糖質制限ダイエット(講談社)2011年

DVD「糖質制限食を語る」http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php 2011年



【糖質制限食 質問、記事、本に関するお知らせ・お願い】

ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。

糖質制限食に関する質問についてですが、実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、医師としての責任・債務がありますので、個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。

一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、ボランティアで回答させていただいています。

診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。

私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。

また、ブログ記事や本に関しても同様に、糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。

従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m

そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。

質問が増えてきましたので、糖質制限食と関わりがないと判断した質問にはお答えできない場合もありますので、ご了承ください。m(_ _)m

普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)

掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。

質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。

一方、質問がかなり増えてきていますので、なかなか即、お答えすることが困難となってきています。

糖質制限食に関わりのある全ての質問に、本文かコメントでお答えするようできるだけ努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m

それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。

【糖質制限食とは】

米国糖尿病協会(ADA)によれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。 

また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。

これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。 
 
1997年版のLife With Diabetes(ADA)では、

「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」

という記載がありましたが、2004年版では変更されています。

このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を上昇させます。

従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。

脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。タンパク質はごく少量のインスリンを追加分泌させます。

現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。

食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。

そして、食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。

1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。

炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には、55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。

一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても、糖質含有量は1gもないので、食後高血糖はほとんど生じないのです。 

なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。

糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースに、できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。

簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。

抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
 
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら、薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。

一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。

従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。

糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。

なお糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。

一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2400キロカロリー、女性なら1200~1800キロカロリーくらいが目安です。


【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内・保険適応】

お問い合わせは高雄病院
http://www.takao-hospital.jp/

住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3 
電話:075-871-0245

ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。


【糖質制限食外来治療のご案内・予約制・保険適応】

高雄病院  電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3

高雄病院京都駅前診療所  電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
http://www.takao-hospital.net/

江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食と膵臓
おはようございます。

a.m さんから、糖質制限食と膵臓について、コメントいただきました。


【11/12/07 a.m
糖質制限食とアミラーゼ値上昇についてお尋ねします
江部先生
糖質を制限して数ヶ月経ちました。レシピ集を購入させていただきチーズやトマト、お豆腐を使ったものを試しています。お蔭さまでコントロールは良好です。ただ、近頃、アミラーゼ値が上限値を超えることが出てきました。140あたりですが、今までにはないことです。自覚症状はありません。現在は経過観察中ですが、脂肪や蛋白質の多摂取と何か関係がありますでしょうか。BUNも基準値を超えたままです。クレアチニンは正常です。
蛋白質総量は100g/日ぐらい摂取していると思います。
アミラーゼの件、お教えくださいますでしょうか。】


a.m さん。
本のご購入ありがとうございます。

コントロール良好は血糖値やHbA1cですね。
良かったです。

糖質制限食を実践すると、相対的に高タンパク・高脂質の食事となりますよね。

そこで、 a.m さんと同様

「脂っこいものを毎日食べると膵臓が悪くなるのではないか?」

という懸念を抱く人も時々おられるようです。

しかし、高タンパク・高脂質の食事をすると、膵臓が悪くなるというエビデンスはありません。

教科書レベルで解っていることは、既に何らかの要因で膵炎を発症している場合、高タンパク・高脂肪食を摂取すれば膵臓の酵素分泌を促し、悪化しやすいということです。

急性膵炎による入院の80%以上を、胆道疾患とアルコール多飲が占めています。

残りの20%は、薬物(アザオチプリン、スルファサラジン、フロセミドなど)、高脂血症を合併したエストロゲン使用、感染(流行性耳下腺炎など)、高中性脂肪血症などによって引き起こされます。

即ち、高タンパク・高脂肪食で膵炎が起こるという訳ではないのです。

これらのうち、高中性脂肪血症は糖質制限食により速やかに改善されますので、膵炎発症の予防になりますね。

もっとも、膵炎の引き金になるほどの高中性脂肪血症は1500mgとか2000mgとか極端な場合ですが・・・。

スーパー糖質制限食をきっちり実践している人は、中性脂肪値は40~80mg/dl程度で、100mgを超えることはまずありません。

因みに、スーパー糖質制限食を実践中の江部康二は、中性脂肪値40~60mg/dl程度です。

a.m さん。
アミラーゼ値140くらいは、全く心配いりませんよ。そのていどの人は、よくおられますが臨床的意味はないと思います。

上述のように膵炎の原因のほとんどは、飲酒と胆道疾患です。あとは血中中性脂肪値高値(1500mgを超えるレベル)残りが薬物です。

安心して糖質制限食をお続けください。

「BUNも基準値を超えたままです。クレアチニンは正常です。」

BUNは糖質制限食(高タンパク食)で、基準値を超えることがありますが、クレアチンン値が正常なら生理的な現象で心配いりませんので。



江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
2012年2月5日(日)医療関係者向けセミナー・東京・中野
おはようございます。

1年ぶりに、2012年2月5日(日)東京・中野、医療関係者・食品研究者向けNPO糖質制限食ネット・リボーン・セミナーの開催です。

2012年1月15日(日)に国立京都国際会館で行われる第15回日本病態栄養学会年次学術集会において、10:00~11:00「糖質制限食VSカロリー制限食」のディベートセッションが行われます。

糖質制限食派の演者は、私・江部康二で、カロリー制限食派の演者は、高輪メディカルクリニックの久保明先生です。

この学会に向けて、医学界も大分機運が盛り上がって来ています。マスコミの取材も複数ありそうです。

2月の東京・中野のリボーン・セミナーでは、「糖質制限食VSカロリー制限食」のディベートセッションの最新情報などを盛り込んで、中身の濃いものにしたいと思います。


江部康二


以下は、NPO糖質制限食ネット・リボーン事務局の曽我部ゆかりさんからのメッセージです。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

ドクター江部のブログ読者の皆様へ

前略 

師走を迎え、お忙しい毎日をお過ごしのことと存じます。
皆様におかれましてはいかがおすごしでしょうか。

来春に、リボーン理事長江部康二医師のセミナーを企画しました。
今回は特別企画として、医療関係者・食品研究者向けセミナーです。
皆様のご参加をお待ちしております。

なお、事務局の都合により誠に勝手ではございますが、お申し込みはメールにてお願いいたします。

リボーン事務局担当 
曽我部ゆかり


☆ ☆ ☆ ☆ ☆

2012年2月5日(日)
特別企画 医療関係者・食品研究者向けセミナー
「糖質制限食の有効性・安全性・長期予後」
 糖尿病・メタボリックシンドローム・肥満・がん・生活習慣病・・・
 豊富な症例をもとにした理論と実践


<1部>

糖質制限食のパイオニアである講師・江部康二が、高雄病院の豊富な症例をもとにした理論と実践を徹底的に解説。一般向け講演に比べて糖質制限食の理論をとくに詳細に展開します。


<2部>

質疑応答。臨床での実践について意見交換の時間とします。


日時:2012年2月5日(日) 


タイムスケジュール(予定):
   13時00分開場
   14時00分~基調講演 江部康二(1時間30分)
   15時30分~休憩(20分)
   15時50分~質疑応答(40分)
   16時30分~終了 
   


会場:中野サンプラザ研修室6(8階)
住所 東京都中野区中野4-1-1 
電話 03-3388-1174


道順 JR中央線・総武線、地下鉄東西線中野駅北口下車1分 

会費:一般7000円  リボーン会員5000円  学生3000円
   (資料付き)

定員:50名まで


申し込み:reborn@big.or.jp

★事前に郵便振替でご送金ください。当日受付は致しません。
メールでお申し込みをいただいた後に、
予約完了と会費お振込のご案内のメールを送ります。
入場券は発行しませんので、当日郵便振替の伝票をご持参ください。
   
申込〆切 2012年1月30日
    
    
主催:NPO法人糖質制限食ネット・リボーン


<講師プロフィール>
江部康二(えべこうじ)
内科医、漢方医、(財)高雄病院理事長、NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事長。1950年生まれ。京都大学医学部卒業。2002年に自ら糖尿病であると気づいて以来、糖尿病治療の研究に取り組み、「糖質制限食」の体系を確立。これにより自身の糖尿病を克服。高雄病院でに数多くの臨床活動を通じて、糖尿病・肥満・メタボリック症候群など対する糖質制限食の画期的な治療効果を証明。テーラーメイドダイエットとの2本立てでアトピーなど生活習慣病全般への効果も確立している。著書『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』(シリーズ展開中/東洋経済新報社刊)はベストセラーに。作家宮本輝氏との対談『我ら糖尿人、元気なのにはわけがある』が話題に。最新刊に『主食をやめると健康になる』2011年(ダイヤモンド社)がある。ブログ『ドクター江部の糖尿病徒然日記』(http://koujiebe.blog95.fc2.com/)は日に8000件を超えるアクセスがあり糖尿病患者さんの間で絶大な支持を得ている。
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
東邦大学医療センター・佐倉病院 糖尿病・内分泌・代謝センターと低糖質食
こんにちは。

東邦大学医療センター・佐倉病院 糖尿病・内分泌・代謝センター
http://www.lab.toho-u.ac.jp/med/sakura/metabo/research/index.html

では、研究テーマの一つに

<低エネルギー低糖質食は糖尿病治療に優れている。>
「減量治療食は、多くの場合糖尿病治療食に準じ高糖質食が用いられています。しかしながら糖質はインスリン分泌を刺激し、むしろインスリン抵抗性を悪化させる可能性があります。そこで私たちは、低糖質食を作成し、それが高糖質に比し糖・脂質代謝に好影響を及ぼすこと、さらに内臓脂肪をより減少させることを見出しました。」

をあげておられます。

精神科医師A さんから情報をいただきました。

東邦大学医療センター・佐倉病院の低糖質食は、糖質39%です。

高雄病院のスーパー糖質制限食が糖質12%ですから、佐倉病院の糖質制限食は緩やかな方式ですね。

以下は、日本臨床栄養学会雑誌31(1.2.3):44-50.2010に掲載された、
東邦大学医療センター・佐倉病院 糖尿病・内分泌・代謝センター、番らの論文からの抜粋です。

☆☆☆☆☆

低糖質食:タンパク質25% 脂質35% 糖質39%
高糖質食:タンパク質26% 脂質10% 糖質62%

30例のメタボリックシンドロームの患者さんを、15例が低糖質群、15例が高糖質群にわけて、4週間経過をみておられます。25kcal/kg/日を、両群とも摂取です。

結果は両群共に体重、皮下脂肪面積、空腹時血糖値、総コレステロール、LDLコレステロールの低下が見られましたが、低糖質群では、さらに内臓脂肪面積、インスリン値、中性脂肪の低下がみられ、成長ホルモンの上昇もありました。

低糖質群では高糖質食群に比べ、体重、内臓脂肪面積、インスリン、中性脂肪の低下量とHDLコレステロール、成長ホルモンの上昇量が有意に大きかったとのことです。

低糖質食により、内臓脂肪が減少し、糖脂質代謝が改善されています。



江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食で血液データ、冷え性、白髪、低体温が改善
こんにちは。

tomo さんから糖質制限食で血液データ、冷え性、白髪、低体温が改善という嬉しいコメントをいただきました。

【11/12/04 tomo
糖質制限の効果
江部先生今日は。江部先生の御著書とこのブログが心の拠り所です。
糖質制限の効果すごいですね。血管もしなやかになるんですね。
私も、血糖値、中性脂肪、体重、体脂肪率などの改善はもちろんのこと、指先足先の冷えが改善されました。靴下をはかなくても寝られるのです。
そして、頭髪。先日、ぴっと抜いた白髪の根元半分が黒髪でした。
抜かなければよかったです。
ここ数年、平熱が35度台、ときには、34度台だったのですが、
この頃は、36台になってきました。代謝がよくなったということでしょうね。
糖質制限を始めて1年4ヶ月ですが、ピークの血糖値が110ぐらいになり、早朝は80台にもなりました。一山越えられたかなという気がしてうれしいです。
江部先生のおかげと感謝しています。】


tomo さん。

拙著のご購入ありがとうございます。

また血液検査や冷え性の改善、良かったです。

白髪→黒髪、これもすごいです。(^-^)v(^-^)v

糖質制限食で基礎代謝が増加するので、低体温が改善されたのはそのおかげかと思います。

糖質制限食は人類がもともと食べていた食事、すなわち人類の健康食なので血流・代謝が全て改善します。

その結果、様々な症状が良くなる可能性があります。

また糖質制限食なら、ステーキを食べている最中も、肝臓ではアミノ酸やグリセロールなどから糖新生をしており、それが基礎代謝の増加につながると思います。


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食で「HbA1c11%→5.5~6%」に改善、SMBG
こんばんは。

danielさんから、「HbA1c11%→5.5~6%」に改善という嬉しいコメントをいただきました。

danielさん、SMBGも開始されたそうです。

“self-monitoring of blood glucose”血糖自己測定、頭文字をとってSMBGといいます。

血糖値測定器、最近の機種は、必要血液量0.3μLくらいと極少量で、しかも5秒くらいで結果が出て、とても便利になっています。


【11/12/04 daniel
SMBG始めました
江部先生いつも有意義な情報をありがとうございます。糖質制限食のお蔭でヘモグロビンa1cを当初11と高かったのですが、短期間でかつ投薬無で5.5まで下げました。
現在は5.5から6.0の間をキープしています。

さて、更なる良好なコントロールと食べられる範囲での食事を望んでSMBGを始めました。
以下、現状を記載致しますのでアドバイスを戴ければ幸いです。

①夕食(リンゴ200gと餃子6個含むが他は焼肉。焼き魚等の糖質制限食)1時間後に192mg/dl有り慌ててウオーキング1時間とゴルフの素振り30分を実行し、その後入浴等を済ませ食後3時間の時点で99mg/dlに下がり明朝の空腹時も同じ数値でした。
これは、運動効果により血糖値の低下がみられたのでしょうか?それともインスリンが遅れて分泌されるタイプなのでしょうか?

②翌日の空腹時血糖値99mg/dlの状態で、サラダ、味噌汁、納豆、目玉焼き、豆乳、落花生少々、リンゴ200gを食べて1時間後の血糖値が114mg/dlで14mg/dlしか上がりませんでした。
これは、果物の糖分に関しては血糖値の上がりが少なく餃子等の炭水化物に対しては、極端な上昇傾向にあると理解してよろしいでしょうか?

③元来極端な下戸で有ったが機会が有りウイスキーを飲んでみたのですが、信じられない位に強く成っていました。水割り3杯飲んでも無反応でかなりの酒豪(?)ぶりに驚きました。
約3年間の糖質制限食によって肝臓の機能に変化があったのでしょうか?
甘いものを食べることができなくなったので、チーズや焼き魚を肴に毎晩ウイスキーで晩酌して楽しんでいます
以上、長文になり失礼を致しましたが宜しくお願い申し上げます。】



danielさん。
素晴らしい改善ですね。
良かったです。

①の192mg→99mg
 は、運動の効果の可能性が高いです。

②ですが、リンゴ200gでは14mgしか血糖値上昇していないですね。

果糖はほとんど血糖値を上げないのですが、リンゴには果糖以外にブドウ糖やショ糖も含まれているのでもう少し上昇しそうなものですが、danielさんの場合リンゴな らOKということです。

これは個人差があるので、リンゴでもっと血糖値が上昇する人 もいると思います。

餃子の皮に結構大量の糖質が含まれていたのでしょうね。

③は初めて聞きました。

 糖質制限食でお酒が強くなるか否かは、まだ良くわかりません。でも結果オーライですね。

次にSMBGです。

血糖自己測定の一番のメリットは、まあ当たり前のことなのですが、いちいち病院に行かなくても、自力で血糖値を知ることができることです。

特に、食後の血糖値をいつでも測定できるのはとても便利です。

例えば、従来のカロリー制限中心の糖尿病食から、 糖質制限食にきりかえる時にはSMBGが大変役に立ちます。

まず、血糖値を急激に上昇させるのが、糖質・脂質・タンパク質のうち、糖質だけであることが、自分自身で確認できます。

本を読んでの知識に加えて、自分が実際に試して確認したデータが揃えば、糖質制限食実践のモチベーションが高まります。

私も血糖自己測定器を購入した当初は、かなり頻回に食前と食後の血糖値を測定して記録しました。

玄米やライ麦パンなど、GIが低い穀物での実験、白いパンや白米などGIが高い穀物での実験、果物の実験・・・。

この段階では、玄米やライ麦パンのようなGIが低いものでさえも、所詮糖質を食べたら軽く血糖値が200mgを超えるのを確認して衝撃を受けました。

一方、ビフテキや魚や豆腐は、いくらお腹いっぱい食べても血糖値が140mgを超えることはありません。

今から思えば当たり前のことなのですが、これはこれで当時はびっくりしました。

幸か不幸か、自分自身が糖尿病なので、理論面を勉強しながら人体実験を繰り返しSMBGがおおいに役に立ちました。

2型糖尿病では、一般に早朝空腹時の血糖値と食後2時間の血糖値の測定がベースとなります。

糖質摂取時の血糖値は、30分~60分がピークのことが多いので、当初は食後1時間値、2時間値両方チェックしてみるのも良いですね。

糖尿病があるていど進行していると、2時間値や3時間値でも下がってこない場合もあります。

個人差がありますので、まず当初はいろいろ頻回に測定してみて、自分のパターンを把握しましょう。


江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食で動脈硬化(脈波伝播速度)改善
おはようございます。

ヒデさんから、糖質制限食で動脈硬化(脈波伝播速度)改善という、とても嬉しいコメントをいただきました。


【11/12/01 ヒデ
糖質制限食と動脈硬化
人間ドックで境界型糖尿病と診断され、江部先生の著書を参考に、スーパー糖質制限を始めて2年が経過しました。
おかげさまでHbA1cは4.8~4.9%、早朝空腹時血糖は80~100mg/dlで落ち着いています。これはある程度予測できたことです。
今回のドックでさらに驚いた変化がありましたので報告します。
             右       左
2009年PWV   1409    1490
2010年PWV   1221    1354
2011年PWV   1163    1184
と年々改善しています。
糖質制限食により血管年齢が若返ったと考えて良いのでしょうか?
だとすれば、恐るべし糖質制限食の効果!
皆さんが糖質制限食を継続するモチベーションになると思い、
報告させていただきました。】



ヒデさん、読者の皆さんの参考になるコメントありがとうございます。

これは素晴らしいですね。 (^-^)v(^-^)v

脈波伝播速度がめきめき改善しているので、血管がしなやかになってきていると思います。

PWV検査(脈波伝播速度)は、心臓の拍動(脈波)が動脈を通じて手や足に到達する速度のことです。

動脈壁の肥厚や硬化があると、動脈壁の弾力性がなくなり、脈波が伝わる速度が速くなります。

ヒデさんのPWVは年々改善されていますね。

右:1409→1221→1163
左:1490→1354→1184

硬かった血管がしなやかさを取り戻して、脈波伝播速度がゆっくりになったのですね。

浅学にして、PWV検査(脈波伝播速度)のことを知りませんでしたが、糖質制限食の効果、すごいですね。ヾ(^▽^)



江部康二

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
日本病態栄養学会「糖質制限食VSカロリー制限食」ディベートセッション
こんにちは。

第15回日本病態栄養学会年次学術集会が、2012年1月14日(土)、15日(日)の両日、国立京都国際会館で開催されます。

関電病院の清野裕院長が、日本病態栄養学会の理事長をされています。

清野先生は、言わずと知れた糖尿病学会の重鎮です。

その日本病態栄養学会年次学術集会で、1月15日(日)10:00~11:00

「糖質制限食VSカロリー制限食」のディベートセッションが行われます。

糖質制限食派の演者は、私・江部康二で、カロリー制限食派の演者は、高輪メディカルクリニックの久保明先生です。

そして座長は、何と東大の門脇孝先生です。

門脇先生は2008年から日本糖尿病学会の理事長をされています。

本ディベートセッション、清野裕先生、門脇孝先生と world famous なお二人にご登場いただき、誠に光栄のいたりです。

やっと学会の土俵にあげていただいたということでは、嬉しい限りです。 (^_^)

これをきっかけに、糖尿病食事療法の議論が深まればいいなと思っています。

会長の中西 靖子 大妻女子大学家政学部食物学科 教授

および

理事長の清野 裕 関電病院 院長

御連名で、招聘状をいただいたときは、びっくりしましたがやはり大変嬉しかったです。

中西靖子会長、清野裕理事長、この場を借りて御礼申し上げます。m(_ _)mV

私は、糖質制限食の有効性、長期予後、安全性をエビデンスレベルの高い論文を引用し、生理学的事実や症例を提示して論じていこうと思っています。

ディベートセッションがお互いにとって、実りの多いものとなるよう願っています。

2012年1月15日(日)、楽しみです。 (^^)



江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット