2011年08月31日 (水)
こんにちは。
千鶴さんから、糖質制限食マスター講座 vol.3 in 東京についてコメントいただきました。
【11/08/30 千鶴
参加します
先生の本にも 入院時どのように対応されたか少し書かれていましたが、 ほとんどの病院は糖質制限食に対応していただけないと思うので、 万一入院になった場合の対処法、もっと知りたいな・・と考えていました。
3月の震災の後、映像で観た避難所の様子を思い出しますが、 確かしばらくは、おにぎりや菓子パンのようなものばかりだったように思います。そんな時、糖尿人はどうしたらよいのか・・・?
日ごろから、災害に備えて食料を用意するとしたら、何を用意したらいいのか?・・さば缶くらいしか思い浮かばない・・・なんて考えていたところでしたので、
講演会の案内の中に
【緊急時(入院時含む)】・・・という内容があり、参加させていただくことを決めました^^
ぜひこういう部分をたくさんお話してください~
楽しみにしています~^^ 】
千鶴さん。
コメント、そして講演会ご参加、ありがとうございます。
糖質制限食マスター講座 vol.3 in 東京。
今回は、江部康二が90分、大柳珠美管理栄養士が55分、休憩5分、質疑応答が30分、とじっくり時間をかけて、最新の糖質制限食基礎理論と実践を、皆さんと一緒に勉強したいと思っております。
今回は、緊急時や入院時の対応も講演内容に含めています。
現在、90席のうち、70席の予約ですので後十数席は余裕があります。
関東方面の皆さん、是非どうぞ。
以下はリボーン事務局、曽我部ゆかりさんからのメッセージです。
☆☆☆
ドクター江部のブログ読者の皆様
全国的に厳しい猛暑が続いております。
いかがお過ごしでしょうか。
9月4日(日)開催のリボーン講演会のお知らせです。
今回は基調講演に加え、緊急時(入院時も含む)の糖質制限食についても、ドクター江部に患者さんとご本人の体験を交え語ってもらいます。
猛暑とお盆が入ったためか、まだまだ席に余裕がございます。久しぶりの東京講演になりますので、ぜひご参加ください。皆様とお会いできますこと楽しみにしております。
追伸☆リボーン事務局の夏季休暇中は電話での対応ができず、申し訳ございませんでした。
予約は開催日までお受けしますので、下記の案内をご覧の上、お申し込みください。
メールが一番確実にお返事できます。よろしくお願いいたします。
リボーン事務局 曽我部ゆかり
☆☆☆
リボーン講演会 2001年9月4日(日)
糖質制限食マスター講座 vol.3
緊急時(入院時も含む)に学ぶ食の智恵。
糖質制限食実践者の強みを語る。
講 師 江部康二(高雄病院理事長・リボーン理事長)
大柳珠美(管理栄養士・リボーン副理事長)
医学界だけでなく、グルメ界においても旬な風となった「糖質制限食」。
糖質が唯一血糖値を上げる栄養素だという認識も世間に広まり、
糖尿病治療食に大きな可能性を示唆しています。
糖質制限食の提唱者・江部康二医師による理論編と
糖質制限食の推進者・大柳珠美管理栄養士による実践編のダブル講演で、
すぐに始められて、そして長く続けられる糖質制限食のコツをつかんでください。
災害時に糖質制限食で乗り切る智恵や、
緊急時(入院時も含む)の対応も実例報告を交え検証してゆきます。
糖尿病やメタボ、肥満、アトピーの方だけでなく、ダイエット目的の方も、
楽しくおいしい食事療法で、症状改善を目指しましょう。
久しぶりの東京講演になります。皆様のご参加をお待ちしております。
■開 場 13時00分 開演 13時30分 終了時間 16時30分
■場 所 中野サンプラザ研修室2 (8階)
■アクセス 東京・JR中野駅北口下車1分。サンプラザ正面エントランスから入り、
左手のエレベーターで8階へ。
■定 員 90名(申込先着順)
■会 費 リボーン会員2,400円 リボーン会員家族ペア4,000円
一般3,000円 一般家族ペア5,600円
■申し込み及び問い合わせ
リボーン事務局 電話03−3388−5428
e-mail reborn@big.or.jp
■申し込み方法 メールまたは電話でお申し込みの上、事前に郵便振替で会費のお振込をお願いします。
入場券は発行しませんので、当日郵便振替の伝票をご持参ください。
なお、欠席される場合、ご入金いただいた会費を返金することはできませんが、
配布資料を後日お送りいたします。あらかじめご了承ください。
■振込先 口座番号 00110-9-393366 口座名称 リボーン
■主 催 NPO法人糖質制限食ネットリボーン
千鶴さんから、糖質制限食マスター講座 vol.3 in 東京についてコメントいただきました。
【11/08/30 千鶴
参加します
先生の本にも 入院時どのように対応されたか少し書かれていましたが、 ほとんどの病院は糖質制限食に対応していただけないと思うので、 万一入院になった場合の対処法、もっと知りたいな・・と考えていました。
3月の震災の後、映像で観た避難所の様子を思い出しますが、 確かしばらくは、おにぎりや菓子パンのようなものばかりだったように思います。そんな時、糖尿人はどうしたらよいのか・・・?
日ごろから、災害に備えて食料を用意するとしたら、何を用意したらいいのか?・・さば缶くらいしか思い浮かばない・・・なんて考えていたところでしたので、
講演会の案内の中に
【緊急時(入院時含む)】・・・という内容があり、参加させていただくことを決めました^^
ぜひこういう部分をたくさんお話してください~
楽しみにしています~^^ 】
千鶴さん。
コメント、そして講演会ご参加、ありがとうございます。
糖質制限食マスター講座 vol.3 in 東京。
今回は、江部康二が90分、大柳珠美管理栄養士が55分、休憩5分、質疑応答が30分、とじっくり時間をかけて、最新の糖質制限食基礎理論と実践を、皆さんと一緒に勉強したいと思っております。
今回は、緊急時や入院時の対応も講演内容に含めています。
現在、90席のうち、70席の予約ですので後十数席は余裕があります。
関東方面の皆さん、是非どうぞ。
以下はリボーン事務局、曽我部ゆかりさんからのメッセージです。
☆☆☆
ドクター江部のブログ読者の皆様
全国的に厳しい猛暑が続いております。
いかがお過ごしでしょうか。
9月4日(日)開催のリボーン講演会のお知らせです。
今回は基調講演に加え、緊急時(入院時も含む)の糖質制限食についても、ドクター江部に患者さんとご本人の体験を交え語ってもらいます。
猛暑とお盆が入ったためか、まだまだ席に余裕がございます。久しぶりの東京講演になりますので、ぜひご参加ください。皆様とお会いできますこと楽しみにしております。
追伸☆リボーン事務局の夏季休暇中は電話での対応ができず、申し訳ございませんでした。
予約は開催日までお受けしますので、下記の案内をご覧の上、お申し込みください。
メールが一番確実にお返事できます。よろしくお願いいたします。
リボーン事務局 曽我部ゆかり
☆☆☆
リボーン講演会 2001年9月4日(日)
糖質制限食マスター講座 vol.3
緊急時(入院時も含む)に学ぶ食の智恵。
糖質制限食実践者の強みを語る。
講 師 江部康二(高雄病院理事長・リボーン理事長)
大柳珠美(管理栄養士・リボーン副理事長)
医学界だけでなく、グルメ界においても旬な風となった「糖質制限食」。
糖質が唯一血糖値を上げる栄養素だという認識も世間に広まり、
糖尿病治療食に大きな可能性を示唆しています。
糖質制限食の提唱者・江部康二医師による理論編と
糖質制限食の推進者・大柳珠美管理栄養士による実践編のダブル講演で、
すぐに始められて、そして長く続けられる糖質制限食のコツをつかんでください。
災害時に糖質制限食で乗り切る智恵や、
緊急時(入院時も含む)の対応も実例報告を交え検証してゆきます。
糖尿病やメタボ、肥満、アトピーの方だけでなく、ダイエット目的の方も、
楽しくおいしい食事療法で、症状改善を目指しましょう。
久しぶりの東京講演になります。皆様のご参加をお待ちしております。
■開 場 13時00分 開演 13時30分 終了時間 16時30分
■場 所 中野サンプラザ研修室2 (8階)
■アクセス 東京・JR中野駅北口下車1分。サンプラザ正面エントランスから入り、
左手のエレベーターで8階へ。
■定 員 90名(申込先着順)
■会 費 リボーン会員2,400円 リボーン会員家族ペア4,000円
一般3,000円 一般家族ペア5,600円
■申し込み及び問い合わせ
リボーン事務局 電話03−3388−5428
e-mail reborn@big.or.jp
■申し込み方法 メールまたは電話でお申し込みの上、事前に郵便振替で会費のお振込をお願いします。
入場券は発行しませんので、当日郵便振替の伝票をご持参ください。
なお、欠席される場合、ご入金いただいた会費を返金することはできませんが、
配布資料を後日お送りいたします。あらかじめご了承ください。
■振込先 口座番号 00110-9-393366 口座名称 リボーン
■主 催 NPO法人糖質制限食ネットリボーン
2011年08月30日 (火)
こんにちは。
evidence based medhicine(証拠に基づく医学)→略してEBM
EBMが現在、医学界を席巻しています。
医学界において、evidence(エビデンス、証拠)となるのは、基本的に医学雑誌に掲載された論文です。
定評ある医学専門誌に掲載された論文であることも、evidence(エビデンス、証拠)の大きな要素となります。
その論文も
①無作為割り付け臨床試験
②前向きコホート研究
③コホート内症例割り付け研究
④後ろ向けコホート研究
⑤etc・・・・
といった順番で、信頼度に差をつけられています。
これを研究デザインのヒエラルキーと呼ぶそうです。
しかしながら、EBMだけに頼る医療には、明確に限界があります。
一方、EBMを無視する医療にも、明確に限界があります。
ともあれ今回は、EBMを考慮したお話しです。
EBMを前提に「糖質制限食と、ヒト発癌に関する考察」を試みました。
A)「スーパー糖質制限食で発癌のリスク上昇というエビデンスはない。」→事実
B)「スーパー糖質制限食で発癌のリスク減少というエビデンスもない。」 →事実
C)「糖質摂取比率12%の集団と通常食の集団における癌の発生を、長期間経過観察した臨床研究は存在しない。」 →事実
D)高血糖と高インスリン血症に発癌リスク→エビデンスあり。
E)HDLコレステロールが増加すると発癌リスクが減少する→エビデンスあり。
1)スーパー糖質制限食で、明確な発癌リスクである高血糖と高インスリン血症は、一日を通して確実に改善する。 →事実
2)スーパー糖質制限食で、発癌リスクを減らすHDL-Cが増加する。 →事実
3)スーパー糖質制限食を長期間続けて将来発癌リスクが上昇するとしたら1)2)の利点を帳消しにして、さらにそれを上回る何らかの発癌リスクがあると仮定するしかない。→仮説
そのようなリスクは知られてない。→事実
A)B)C)、1)2)3)を考慮すれば、あくまでも仮説ですが、糖質制限食により、西欧型癌の予防効果が期待できると思います。
江部康二
evidence based medhicine(証拠に基づく医学)→略してEBM
EBMが現在、医学界を席巻しています。
医学界において、evidence(エビデンス、証拠)となるのは、基本的に医学雑誌に掲載された論文です。
定評ある医学専門誌に掲載された論文であることも、evidence(エビデンス、証拠)の大きな要素となります。
その論文も
①無作為割り付け臨床試験
②前向きコホート研究
③コホート内症例割り付け研究
④後ろ向けコホート研究
⑤etc・・・・
といった順番で、信頼度に差をつけられています。
これを研究デザインのヒエラルキーと呼ぶそうです。
しかしながら、EBMだけに頼る医療には、明確に限界があります。
一方、EBMを無視する医療にも、明確に限界があります。
ともあれ今回は、EBMを考慮したお話しです。
EBMを前提に「糖質制限食と、ヒト発癌に関する考察」を試みました。
A)「スーパー糖質制限食で発癌のリスク上昇というエビデンスはない。」→事実
B)「スーパー糖質制限食で発癌のリスク減少というエビデンスもない。」 →事実
C)「糖質摂取比率12%の集団と通常食の集団における癌の発生を、長期間経過観察した臨床研究は存在しない。」 →事実
D)高血糖と高インスリン血症に発癌リスク→エビデンスあり。
E)HDLコレステロールが増加すると発癌リスクが減少する→エビデンスあり。
1)スーパー糖質制限食で、明確な発癌リスクである高血糖と高インスリン血症は、一日を通して確実に改善する。 →事実
2)スーパー糖質制限食で、発癌リスクを減らすHDL-Cが増加する。 →事実
3)スーパー糖質制限食を長期間続けて将来発癌リスクが上昇するとしたら1)2)の利点を帳消しにして、さらにそれを上回る何らかの発癌リスクがあると仮定するしかない。→仮説
そのようなリスクは知られてない。→事実
A)B)C)、1)2)3)を考慮すれば、あくまでも仮説ですが、糖質制限食により、西欧型癌の予防効果が期待できると思います。
江部康二
2011年08月29日 (月)
こんばんは。
読売オンライン ニュース 2011年8月4日版に
「高血糖、高まるがんリスク…有害な活性酸素が過剰に」
という記事が載りました。
九州大学大学院・環境医学の平川洋一郎氏らが、2500人規模で行った前向きコホート試験「久山町スタディ」の結果を、2011年6月、米サンディエゴで開催された米国糖尿病学会(ADA2011)で発表したものの要約です。
空腹時血糖が100mg/dl未満の人が、がんで死亡する危険度を1とした場合、
100~109mg/dlでは1.4倍、
110~125mg/dlでは、1・9倍、
糖尿病が強く疑われる126mg/dl以上では2・1倍、
と空腹時血糖値高くなるほど、右肩上がりで、がん死亡の確率が高まりました。
食後血糖について、120未満の人の危険度を1とすると、
120~139mg/dlでは、1.2倍、
140~199mg/dlでは、1.4倍、
糖尿病が強く疑われる200mg/dl以上では2倍、
とこちらも食後血糖値が高くなるほど、右肩上がりで、がん死亡の確率が高まりました。
結局、空腹時血糖も食後血糖も高いほど、がんで死亡するリスクは高まるという結果です。
順天堂大病院糖尿病・内分泌内科教授の綿田裕孝氏が
「血糖値が高いと活性酸素が増加し、細胞の遺伝子を傷つけ、がん化させる」
という仮説を述べています。
本ブログでも、「空腹時血糖高値、食後高血糖、高インスリン血症」が発癌のリスクになるというエビデンス(疫学研究など)を何回か記事にしてきました。
今回の「久山町スタディ」の米国糖尿病学会(ADA2011)報告が論文化されれば、エビデンスの一環となります。
江部康二
☆☆☆参考 読売オンライン ニュース 2011年8月4日版
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=44957
【糖尿病ではなくても血糖値が高い人は、がんで死亡する確率が高まることが、
九州大グループの研究でわかった。
研究をまとめた同大大学院医学研究院医師、平川洋一郎さんは「糖尿病だと、がんの危険が高まることは知られていたが、血糖値が高めの人も早くから生活習慣に気を配り、適切な食事や運動の心がけが重要」としている。
調査は、福岡県久山町に住む男女約2400人を対象に行われた。1988年に、40~79歳でがんでない人を選び、空腹時と食後2時間の血糖値の検査結果により、4グループに分けた。2007年までの19年間に229人が、がんで死亡した。
空腹時血糖が100(単位はミリ・グラム/デシ・リットル)未満の人が、がんで死亡する危険度を1とした場合、糖尿病が強く疑われる126以上では2・1倍、糖尿病ではないが高め(110~125)では、1・9倍高かった。
食後血糖についても、120未満の人の危険度を1とすると、糖尿病が強く疑われる200以上では2倍、高め(140~199)の人は、1・4倍だった。
がんの種類別では、空腹時血糖が100以上の人は、それ未満の人より胃がんで死亡する危険度が2・1倍、食後血糖が140以上の人は、それ未満の人に比べ、肺がんが2倍、肝臓がんが2・7倍高かった。その他のがんは明確な差はみられなかった。
◇血糖値が高いと、がんの発症が増えるのはなぜなのか。順天堂大病院糖尿病・内分泌内科教授の綿田裕孝さんによると、血液中に余分なブドウ糖が増えると、細胞内でそれを代謝しようとする働きが強くなる。この際、有害な活性酸素という物質が過剰に増えることなどにより、細胞の遺伝子を傷つけ、がん化させるという。
また、血糖値を下げるホルモンのインスリンは、細胞を増殖させる働きがあるが、綿田さんは「正常な細胞とともにがん細胞も増やし、がんの進行が早まる危険性も否定できない」としている。(利根川昌紀)
(2011年8月4日 読売新聞)】
読売オンライン ニュース 2011年8月4日版に
「高血糖、高まるがんリスク…有害な活性酸素が過剰に」
という記事が載りました。
九州大学大学院・環境医学の平川洋一郎氏らが、2500人規模で行った前向きコホート試験「久山町スタディ」の結果を、2011年6月、米サンディエゴで開催された米国糖尿病学会(ADA2011)で発表したものの要約です。
空腹時血糖が100mg/dl未満の人が、がんで死亡する危険度を1とした場合、
100~109mg/dlでは1.4倍、
110~125mg/dlでは、1・9倍、
糖尿病が強く疑われる126mg/dl以上では2・1倍、
と空腹時血糖値高くなるほど、右肩上がりで、がん死亡の確率が高まりました。
食後血糖について、120未満の人の危険度を1とすると、
120~139mg/dlでは、1.2倍、
140~199mg/dlでは、1.4倍、
糖尿病が強く疑われる200mg/dl以上では2倍、
とこちらも食後血糖値が高くなるほど、右肩上がりで、がん死亡の確率が高まりました。
結局、空腹時血糖も食後血糖も高いほど、がんで死亡するリスクは高まるという結果です。
順天堂大病院糖尿病・内分泌内科教授の綿田裕孝氏が
「血糖値が高いと活性酸素が増加し、細胞の遺伝子を傷つけ、がん化させる」
という仮説を述べています。
本ブログでも、「空腹時血糖高値、食後高血糖、高インスリン血症」が発癌のリスクになるというエビデンス(疫学研究など)を何回か記事にしてきました。
今回の「久山町スタディ」の米国糖尿病学会(ADA2011)報告が論文化されれば、エビデンスの一環となります。
江部康二
☆☆☆参考 読売オンライン ニュース 2011年8月4日版
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=44957
【糖尿病ではなくても血糖値が高い人は、がんで死亡する確率が高まることが、
九州大グループの研究でわかった。
研究をまとめた同大大学院医学研究院医師、平川洋一郎さんは「糖尿病だと、がんの危険が高まることは知られていたが、血糖値が高めの人も早くから生活習慣に気を配り、適切な食事や運動の心がけが重要」としている。
調査は、福岡県久山町に住む男女約2400人を対象に行われた。1988年に、40~79歳でがんでない人を選び、空腹時と食後2時間の血糖値の検査結果により、4グループに分けた。2007年までの19年間に229人が、がんで死亡した。
空腹時血糖が100(単位はミリ・グラム/デシ・リットル)未満の人が、がんで死亡する危険度を1とした場合、糖尿病が強く疑われる126以上では2・1倍、糖尿病ではないが高め(110~125)では、1・9倍高かった。
食後血糖についても、120未満の人の危険度を1とすると、糖尿病が強く疑われる200以上では2倍、高め(140~199)の人は、1・4倍だった。
がんの種類別では、空腹時血糖が100以上の人は、それ未満の人より胃がんで死亡する危険度が2・1倍、食後血糖が140以上の人は、それ未満の人に比べ、肺がんが2倍、肝臓がんが2・7倍高かった。その他のがんは明確な差はみられなかった。
◇血糖値が高いと、がんの発症が増えるのはなぜなのか。順天堂大病院糖尿病・内分泌内科教授の綿田裕孝さんによると、血液中に余分なブドウ糖が増えると、細胞内でそれを代謝しようとする働きが強くなる。この際、有害な活性酸素という物質が過剰に増えることなどにより、細胞の遺伝子を傷つけ、がん化させるという。
また、血糖値を下げるホルモンのインスリンは、細胞を増殖させる働きがあるが、綿田さんは「正常な細胞とともにがん細胞も増やし、がんの進行が早まる危険性も否定できない」としている。(利根川昌紀)
(2011年8月4日 読売新聞)】
2011年08月29日 (月)
こんばんは。
奈良産糖尿人さんから、嬉しいコメントをいただきました。
【11/08/29 奈良産糖尿人
ありがとうございます
初めまして奈良産糖尿人です。
5月12日の会社の健康診断で尿糖=+5、HbA1c=9.9と判明し糖尿病と診断されました。
翌週、出張先の本屋で先生の著書である『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』を見つけ、早速購入し5月18日よりスーパー糖質制限食を実践したところ
6月10日空腹時血糖値=105、HbA1c=7.8
7月1日 空腹時血糖値=108、HbA1c=6.6
8月1日 空腹時血糖値= 93、HbA1c=5.4 そして何と
8月10日空腹時血糖値= 82、HbA1c=4.9 まで改善しました。
あまりの嬉しさに投稿させていただいた次第です。
これからも糖質制限食を続けるつもりですが月に一度くらいは、すしやうどんなどを食べても良いものなのでしょうか?
よろしくご教授お願いします。】
奈良産糖尿人さん。
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』のご購入ありがとうございます。
HbA1c:5月12日が9.9%→8月10日が4.9%
素晴らしい改善です。良かったですね。
担当の医師が、さぞかしびっくりされたことでしょう。
「これからも糖質制限食を続けるつもりですが月に一度くらいは、すしやうどんなどを食べても良いものなのでしょうか? 」
『月に1回くらいは大丈夫』と言いたいところなのですが、ことはそう単純にはいきません。食後高血糖の問題があります。
この食後高血糖、動脈硬化や発ガンのリスクになるという明白なエビデンスがあります。
朝昼夕と3食糖質を摂取する従来のカロリー制限食では、最低でも1日3回食後高血糖を生じますので、大きなリスクをかかえることとなります。
月に1回なら、毎日3回に比べれば、リスクはほとんどないと思います。
しかし、わかっているのにわざわざ食後高血糖を起こすことはないので、私は、糖尿病患者さんに、やむをえず主食(糖質)を食べるときだけ内服する薬を処方することがあります。
α-グルコシダーゼ阻害剤(グルコバイ、ベイスンなど)と速効型インスリン分泌促進剤(グルファスト、スターシスなど)は、そのような時に役立つお薬です。
食直前30秒くらいに内服ですが、食後高血糖をおさえる力は、両者ともそれほど強くないので、大量の糖質摂取は困ります。
食後2時間血糖値<180mg/dl未満→さらには140mg/dl未満>をめざします。
単独で目標達成できないなら、両者の併用もありです。
奈良産糖尿人さんも、担当医と相談されて、すしやうどんのときに、α-グルコシダーゼ阻害剤(グルコバイ、ベイスンなど)か、速効型インスリン分泌促進剤(グルファスト、スターシスなど)を試されては如何でしょう。
江部康二
奈良産糖尿人さんから、嬉しいコメントをいただきました。
【11/08/29 奈良産糖尿人
ありがとうございます
初めまして奈良産糖尿人です。
5月12日の会社の健康診断で尿糖=+5、HbA1c=9.9と判明し糖尿病と診断されました。
翌週、出張先の本屋で先生の著書である『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』を見つけ、早速購入し5月18日よりスーパー糖質制限食を実践したところ
6月10日空腹時血糖値=105、HbA1c=7.8
7月1日 空腹時血糖値=108、HbA1c=6.6
8月1日 空腹時血糖値= 93、HbA1c=5.4 そして何と
8月10日空腹時血糖値= 82、HbA1c=4.9 まで改善しました。
あまりの嬉しさに投稿させていただいた次第です。
これからも糖質制限食を続けるつもりですが月に一度くらいは、すしやうどんなどを食べても良いものなのでしょうか?
よろしくご教授お願いします。】
奈良産糖尿人さん。
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』のご購入ありがとうございます。
HbA1c:5月12日が9.9%→8月10日が4.9%
素晴らしい改善です。良かったですね。
担当の医師が、さぞかしびっくりされたことでしょう。
「これからも糖質制限食を続けるつもりですが月に一度くらいは、すしやうどんなどを食べても良いものなのでしょうか? 」
『月に1回くらいは大丈夫』と言いたいところなのですが、ことはそう単純にはいきません。食後高血糖の問題があります。
この食後高血糖、動脈硬化や発ガンのリスクになるという明白なエビデンスがあります。
朝昼夕と3食糖質を摂取する従来のカロリー制限食では、最低でも1日3回食後高血糖を生じますので、大きなリスクをかかえることとなります。
月に1回なら、毎日3回に比べれば、リスクはほとんどないと思います。
しかし、わかっているのにわざわざ食後高血糖を起こすことはないので、私は、糖尿病患者さんに、やむをえず主食(糖質)を食べるときだけ内服する薬を処方することがあります。
α-グルコシダーゼ阻害剤(グルコバイ、ベイスンなど)と速効型インスリン分泌促進剤(グルファスト、スターシスなど)は、そのような時に役立つお薬です。
食直前30秒くらいに内服ですが、食後高血糖をおさえる力は、両者ともそれほど強くないので、大量の糖質摂取は困ります。
食後2時間血糖値<180mg/dl未満→さらには140mg/dl未満>をめざします。
単独で目標達成できないなら、両者の併用もありです。
奈良産糖尿人さんも、担当医と相談されて、すしやうどんのときに、α-グルコシダーゼ阻害剤(グルコバイ、ベイスンなど)か、速効型インスリン分泌促進剤(グルファスト、スターシスなど)を試されては如何でしょう。
江部康二
2011年08月28日 (日)
こんにちは。
今、テニスから帰ってきてシャワーを浴びたところです。
ギックリ腰と原稿書きで2週間ぶりのテニスでしたが、調子はまあまあでした。
それでも、念のためと皆に言われて、4ゲームにとどめておきました。
さて糖質制限食マスター講座 vol.3 in 東京のご案内です。
東京講演は久しぶりです。
今回は、江部康二が90分、大柳珠美管理栄養士が55分、休憩5分、質疑応答が30分、とじっくり時間をかけて、最新の糖質制限食基礎理論と実践を、皆さんと一緒に勉強したいと思っております。
現在、90席のうち、60数席の予約ですので20席は余裕があります。
関東方面の皆さん、是非どうぞ。
以下はリボーン事務局、曽我部ゆかりさんからのメッセージです。
☆☆☆
ドクター江部のブログ読者の皆様
全国的に厳しい猛暑が続いております。
いかがお過ごしでしょうか。
9月4日(日)開催のリボーン講演会のお知らせです。
今回は基調講演に加え、緊急時(入院時も含む)の糖質制限食についても、ドクター江部に患者さんとご本人の体験を交え語ってもらいます。
猛暑とお盆が入ったためか、まだまだ席に余裕がございます。久しぶりの東京講演になりますので、ぜひご参加ください。皆様とお会いできますこと楽しみにしております。
追伸☆リボーン事務局の夏季休暇中は電話での対応ができず、申し訳ございませんでした。
予約は開催日までお受けしますので、下記の案内をご覧の上、お申し込みください。
メールが一番確実にお返事できます。よろしくお願いいたします。
リボーン事務局 曽我部ゆかり
☆☆☆
リボーン講演会 2001年9月4日(日)
糖質制限食マスター講座 vol.3
緊急時(入院時も含む)に学ぶ食の智恵。
糖質制限食実践者の強みを語る。
講 師 江部康二(高雄病院理事長・リボーン理事長)
大柳珠美(管理栄養士・リボーン副理事長)
医学界だけでなく、グルメ界においても旬な風となった「糖質制限食」。
糖質が唯一血糖値を上げる栄養素だという認識も世間に広まり、
糖尿病治療食に大きな可能性を示唆しています。
糖質制限食の提唱者・江部康二医師による理論編と
糖質制限食の推進者・大柳珠美管理栄養士による実践編のダブル講演で、
すぐに始められて、そして長く続けられる糖質制限食のコツをつかんでください。
災害時に糖質制限食で乗り切る智恵や、
緊急時(入院時も含む)の対応も実例報告を交え検証してゆきます。
糖尿病やメタボ、肥満、アトピーの方だけでなく、ダイエット目的の方も、
楽しくおいしい食事療法で、症状改善を目指しましょう。
久しぶりの東京講演になります。皆様のご参加をお待ちしております。
■開 場 13時00分 開演 13時30分 終了時間 16時30分
■場 所 中野サンプラザ研修室2 (8階)
■アクセス 東京・JR中野駅北口下車1分。サンプラザ正面エントランスから入り、
左手のエレベーターで8階へ。
■定 員 90名(申込先着順)
■会 費 リボーン会員2,400円 リボーン会員家族ペア4,000円
一般3,000円 一般家族ペア5,600円
■申し込み及び問い合わせ
リボーン事務局 電話03−3388−5428
e-mail reborn@big.or.jp
■申し込み方法 メールまたは電話でお申し込みの上、事前に郵便振替で会費のお振込をお願いします。
入場券は発行しませんので、当日郵便振替の伝票をご持参ください。
なお、欠席される場合、ご入金いただいた会費を返金することはできませんが、
配布資料を後日お送りいたします。あらかじめご了承ください。
■振込先 口座番号 00110-9-393366 口座名称 リボーン
■主 催 NPO法人糖質制限食ネットリボーン
今、テニスから帰ってきてシャワーを浴びたところです。
ギックリ腰と原稿書きで2週間ぶりのテニスでしたが、調子はまあまあでした。
それでも、念のためと皆に言われて、4ゲームにとどめておきました。
さて糖質制限食マスター講座 vol.3 in 東京のご案内です。
東京講演は久しぶりです。
今回は、江部康二が90分、大柳珠美管理栄養士が55分、休憩5分、質疑応答が30分、とじっくり時間をかけて、最新の糖質制限食基礎理論と実践を、皆さんと一緒に勉強したいと思っております。
現在、90席のうち、60数席の予約ですので20席は余裕があります。
関東方面の皆さん、是非どうぞ。
以下はリボーン事務局、曽我部ゆかりさんからのメッセージです。
☆☆☆
ドクター江部のブログ読者の皆様
全国的に厳しい猛暑が続いております。
いかがお過ごしでしょうか。
9月4日(日)開催のリボーン講演会のお知らせです。
今回は基調講演に加え、緊急時(入院時も含む)の糖質制限食についても、ドクター江部に患者さんとご本人の体験を交え語ってもらいます。
猛暑とお盆が入ったためか、まだまだ席に余裕がございます。久しぶりの東京講演になりますので、ぜひご参加ください。皆様とお会いできますこと楽しみにしております。
追伸☆リボーン事務局の夏季休暇中は電話での対応ができず、申し訳ございませんでした。
予約は開催日までお受けしますので、下記の案内をご覧の上、お申し込みください。
メールが一番確実にお返事できます。よろしくお願いいたします。
リボーン事務局 曽我部ゆかり
☆☆☆
リボーン講演会 2001年9月4日(日)
糖質制限食マスター講座 vol.3
緊急時(入院時も含む)に学ぶ食の智恵。
糖質制限食実践者の強みを語る。
講 師 江部康二(高雄病院理事長・リボーン理事長)
大柳珠美(管理栄養士・リボーン副理事長)
医学界だけでなく、グルメ界においても旬な風となった「糖質制限食」。
糖質が唯一血糖値を上げる栄養素だという認識も世間に広まり、
糖尿病治療食に大きな可能性を示唆しています。
糖質制限食の提唱者・江部康二医師による理論編と
糖質制限食の推進者・大柳珠美管理栄養士による実践編のダブル講演で、
すぐに始められて、そして長く続けられる糖質制限食のコツをつかんでください。
災害時に糖質制限食で乗り切る智恵や、
緊急時(入院時も含む)の対応も実例報告を交え検証してゆきます。
糖尿病やメタボ、肥満、アトピーの方だけでなく、ダイエット目的の方も、
楽しくおいしい食事療法で、症状改善を目指しましょう。
久しぶりの東京講演になります。皆様のご参加をお待ちしております。
■開 場 13時00分 開演 13時30分 終了時間 16時30分
■場 所 中野サンプラザ研修室2 (8階)
■アクセス 東京・JR中野駅北口下車1分。サンプラザ正面エントランスから入り、
左手のエレベーターで8階へ。
■定 員 90名(申込先着順)
■会 費 リボーン会員2,400円 リボーン会員家族ペア4,000円
一般3,000円 一般家族ペア5,600円
■申し込み及び問い合わせ
リボーン事務局 電話03−3388−5428
e-mail reborn@big.or.jp
■申し込み方法 メールまたは電話でお申し込みの上、事前に郵便振替で会費のお振込をお願いします。
入場券は発行しませんので、当日郵便振替の伝票をご持参ください。
なお、欠席される場合、ご入金いただいた会費を返金することはできませんが、
配布資料を後日お送りいたします。あらかじめご了承ください。
■振込先 口座番号 00110-9-393366 口座名称 リボーン
■主 催 NPO法人糖質制限食ネットリボーン
2011年08月28日 (日)
こんにちは。
こっちゃん から、血糖値・HbA1cの改善したけれど、LDLコレステロール値がいったん上昇というコメント・質問をいただきました。
【11/08/27 こっちゃん
糖質制限3ヶ月。
はじめまして。
5月に糖尿病が発覚した48歳女性です。
まもなく先生のブログに出会うことができ、糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食の本も読み、糖質制限を始めました。
その結果、
5月27日の発覚時には、血糖値353(食後2時間)、HbA1c9,8
6月25日、空腹時血糖値113、HbA1c7,7
7月23日、空腹時血糖値94、HbA1c6,8
今日、空腹時血糖値98、HbA1c5,4
と、3ヶ月でここまで下げることができました^^
先生のブログに出会えたことに心から感謝の思いでいっぱいです。
ありがとうございました。
薬はジャヌビアのみ飲んでいましたが、今月からは薬もなくなりました。
糖質制限を始めてから、体調も大変よく、
長年悩んでいた湿疹も全く出なくなり、お肌もしっとりツルツルです^^
体重もこの3ヶ月で7キロ減り、血糖値以外の効果にも驚きです。(身長153センチ、体重65キロ⇒58キロ)
ただ、前回の検査でLDLコレステロールが210だったそうで(当日わかるのは血糖値とHbA1cのみで、他の数値は来月出ます)、来月下がっていなければ、薬を出すと言われてしまいました。
現在かかっている病院は、検査の数値の紙をいただけず、他の数値はよくわからないのですが、糖尿病発覚時にはLDLコレステロールは「ちょっと高いけど、薬は必要ない程度」と言われていました。
ブログの過去ログを読み、LDLコレステロールは半年~1年で下がることも多いと書かれていたので、私としてはもう少し様子見したいと思うのですが、210というのがかなり高いので、薬を飲むべきかちょっと悩んでしまっています。
やはり様子見するには危険な数値なのでしょうか?
主治医には糖質制限をしていることは伝えてありますが、よく知らないみたいで、「へぇ~、ごはんと甘いものやめたらこんなに下がるんだ~」って言ってました^^;
江部先生には、お礼のみのつもりでしたが、お忙しい中質問もしてしまい、申し訳ありません。】
こっちゃん。
拙著のご購入、ありがとうございます。
5月27日の発覚時には、血糖値353(食後2時間)、HbA1c9,8
6月25日、空腹時血糖値113、HbA1c7,7
7月23日、空腹時血糖値94、HbA1c6,8
8月27日、空腹時血糖値98、HbA1c5,4
見事な改善ですね。
素晴らしいです。(⌒o⌒)v
このデータなら、今後一生、糖尿病の薬なしで、糖質制限食のみでいけると思います。
LDLコレステロール値が、8月27日の検査で210mgだったのですね。
LDLコレステロール値に関しては、糖質制限食実践で、不変、基準値に改善、いったん基準値より上昇と、3パターンあります。
HDLコレステロール値は、糖質制限食実践で増加します。
LDLコレステロール値がいったん基準値より上昇した場合も、半年から1年で基準値に戻ることがほとんどです。
さて、2011年、「J Epidemiol 2011; 21: 67-74」に、自治医大のコホート研究報告が論文掲載されました。
それによると「低コレステロール値が高死亡率と関連していた」という興味深い結果となっています。
特に女性においては、
総コレステロール値
第1群:160mg/dL未満群 →死亡率が一番高い
第2群:160~200mg/dL未満群,
第3群:200~240mg/dL未満群, →第2群より死亡率が低い
第4群:240mg/dL以上群 →第2群より死亡率が低い
明確に、総コレステロール値が低いほど、死亡率が上昇していました。
すなわち、総コレステロールが高くても心配ないというどころか、高い方が総死亡率が低いことになります。
総コレステロール値は、HDL, LDLおよびVLDLコレステロールの合計で計算されます。
総コレステロール値の過半数をLDLコレステロールが占めています。
ということは、LDLコレステロールが仮に少々高値で、総コレステロール値が高値でも、血糖や中性脂肪が正常範囲なら心配はいらないので、このまま経過をみられてよいと思います。
江部康二
こっちゃん から、血糖値・HbA1cの改善したけれど、LDLコレステロール値がいったん上昇というコメント・質問をいただきました。
【11/08/27 こっちゃん
糖質制限3ヶ月。
はじめまして。
5月に糖尿病が発覚した48歳女性です。
まもなく先生のブログに出会うことができ、糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食の本も読み、糖質制限を始めました。
その結果、
5月27日の発覚時には、血糖値353(食後2時間)、HbA1c9,8
6月25日、空腹時血糖値113、HbA1c7,7
7月23日、空腹時血糖値94、HbA1c6,8
今日、空腹時血糖値98、HbA1c5,4
と、3ヶ月でここまで下げることができました^^
先生のブログに出会えたことに心から感謝の思いでいっぱいです。
ありがとうございました。
薬はジャヌビアのみ飲んでいましたが、今月からは薬もなくなりました。
糖質制限を始めてから、体調も大変よく、
長年悩んでいた湿疹も全く出なくなり、お肌もしっとりツルツルです^^
体重もこの3ヶ月で7キロ減り、血糖値以外の効果にも驚きです。(身長153センチ、体重65キロ⇒58キロ)
ただ、前回の検査でLDLコレステロールが210だったそうで(当日わかるのは血糖値とHbA1cのみで、他の数値は来月出ます)、来月下がっていなければ、薬を出すと言われてしまいました。
現在かかっている病院は、検査の数値の紙をいただけず、他の数値はよくわからないのですが、糖尿病発覚時にはLDLコレステロールは「ちょっと高いけど、薬は必要ない程度」と言われていました。
ブログの過去ログを読み、LDLコレステロールは半年~1年で下がることも多いと書かれていたので、私としてはもう少し様子見したいと思うのですが、210というのがかなり高いので、薬を飲むべきかちょっと悩んでしまっています。
やはり様子見するには危険な数値なのでしょうか?
主治医には糖質制限をしていることは伝えてありますが、よく知らないみたいで、「へぇ~、ごはんと甘いものやめたらこんなに下がるんだ~」って言ってました^^;
江部先生には、お礼のみのつもりでしたが、お忙しい中質問もしてしまい、申し訳ありません。】
こっちゃん。
拙著のご購入、ありがとうございます。
5月27日の発覚時には、血糖値353(食後2時間)、HbA1c9,8
6月25日、空腹時血糖値113、HbA1c7,7
7月23日、空腹時血糖値94、HbA1c6,8
8月27日、空腹時血糖値98、HbA1c5,4
見事な改善ですね。
素晴らしいです。(⌒o⌒)v
このデータなら、今後一生、糖尿病の薬なしで、糖質制限食のみでいけると思います。
LDLコレステロール値が、8月27日の検査で210mgだったのですね。
LDLコレステロール値に関しては、糖質制限食実践で、不変、基準値に改善、いったん基準値より上昇と、3パターンあります。
HDLコレステロール値は、糖質制限食実践で増加します。
LDLコレステロール値がいったん基準値より上昇した場合も、半年から1年で基準値に戻ることがほとんどです。
さて、2011年、「J Epidemiol 2011; 21: 67-74」に、自治医大のコホート研究報告が論文掲載されました。
それによると「低コレステロール値が高死亡率と関連していた」という興味深い結果となっています。
特に女性においては、
総コレステロール値
第1群:160mg/dL未満群 →死亡率が一番高い
第2群:160~200mg/dL未満群,
第3群:200~240mg/dL未満群, →第2群より死亡率が低い
第4群:240mg/dL以上群 →第2群より死亡率が低い
明確に、総コレステロール値が低いほど、死亡率が上昇していました。
すなわち、総コレステロールが高くても心配ないというどころか、高い方が総死亡率が低いことになります。
総コレステロール値は、HDL, LDLおよびVLDLコレステロールの合計で計算されます。
総コレステロール値の過半数をLDLコレステロールが占めています。
ということは、LDLコレステロールが仮に少々高値で、総コレステロール値が高値でも、血糖や中性脂肪が正常範囲なら心配はいらないので、このまま経過をみられてよいと思います。
江部康二
2011年08月28日 (日)
おはようございます。
今回は、三島さんから「普段の糖質制限食で金比羅参りでも筋肉痛なし」という嬉しいコメントをいただきました。
【11/08/27 三島
筋肉痛
先日の、「よさこい&阿波踊り」見物の際、ツアーの宿泊が、高知でも徳島でもなく、香川の琴平温泉だった。これ幸いと、早朝5時起きで、ツアーの出発前に、参詣を果たしたのだが、金毘羅さんには、私は、なんと、40数年前、東北の田舎の高校の修学旅行で参詣した経験があり、2度目。東北出身の私が2度目なのに、九州出身の妻が初めて。意外だった。まあ、今と違い、家族旅行などしなかった時代のことだから。●さて、表題が、唐突にも、筋肉痛の話になったのは、宮本輝VS江部康二『我ら糖尿人、元気なのには理由がある』(東洋経済)を読んで、現在、64歳の宮本氏がゴルフ球300でも疲れない(61歳当時)のは、「糖質制限食」のおかげという件を読んだから。●体操のインストラクターの妻が筋肉痛に襲われた(汗;)のに、朝の9時から夜の12時迄、塾で、ほとんど座りっぱなしの運動嫌いの私が、筋肉痛にならなかったナゾが、昨日になって判明したのである。●江部康二先生の名前が書いてある御本はそろえていたつもりが、対談集ということで、検索から漏れたらしい。●先生のブログに投稿し、コメントをいただいて、早速、購入して読んで、喉のつかえが下りました。●今朝、妻にその話をしたら、「ビール党」の「普通食人」の妻も、今日から「糖質制限食」党に入党するということで、次男に加え、北九州支部の党員は3名に。(笑)】
【11/08/27 三島
筋肉痛 ②
追伸です。私は、普段から、足に各500Gの重りをつけています。2泊3日の旅行もつけたままでした。もちろん、階段登りもつけたままでしたが、何ともありませんでした。何もつけていない、妻は、アキレスの周辺が痛かったそうです。(「真美健康体操」のインストラクターとして、市民センターで週2回、インストラクターの練習が週1~2回、自宅での練習は毎日欠かさず。)】
三島さん。
拙著を沢山ご購入いただき、またいつも貴重なデータ報告もコメントいただきありがとうございます。
『三島さんは60才、男性。
2011年5月から、スーパー糖質制限食を開始されて、7月からはメルビンも中止。
糖質制限食実践3ヶ月目の8月の検査で、
体重、3キロ減の61kg、BMIは5減の23、
空腹時血糖30減の123mg、肝心のHbA1cha7.1から5.5%に。
糖尿病専門医の担当医師も「すごいすごい」の連発。』
血糖データ、HbA1c、素晴らしい改善です。 (^_^)
通常のカロリー制限食(高糖質食)では、まずありえない改善ですので、担当医師もさぞかしびっくりされたことでしょう。
糖質制限食実践で、血糖値や中性脂肪のデータや肥満の改善は勿論のこと、人体のエネルギーシステムが切り替わっていきます。
すなわち、
「ブドウ糖-グリコーゲンシステム」主体から「脂肪酸-ケトン体システム」が主体の、人類本来のエネルギーシステムに戻っていきます。
そうするとトレーニングを特にしなくても、筋肉など体細胞の主エネルギー源は、本来の「脂肪酸-ケトン体システム」が主体となります。
筋肉の主エネルギー源が本来の「脂肪酸-ケトン体システム」になると、運動中の筋肉細胞内グリコーゲンが節約できるので、持続的なスタミナ(持久力)が、ついてきます。
今回の金比羅参りで、体操のインストラクターの奥様が筋肉痛に襲われたのに、普段運動しない三島さんが、筋肉痛なしですんだのは、仰有る通り、糖質制限食の御利益と思います。
勿論、個人差があると思いますが、糖質制限食で大多数の人において、持久力がアップします。(^^)
一方、100m競争とか重量挙げとか瞬発力は、糖質制限食単独ではアップしません。 ( ̄_ ̄|||)
さて奥様、「ビール党」から「糖質制限食党」に鞍替えされたそうで嬉しい限りです。
是非よろしくお伝え下さい。
「糖質制限食党」北九州支部のさらなる発展を願っております。
これからも美味しく楽しく末長く糖質制限食、お続けくださいね。
江部康二
今回は、三島さんから「普段の糖質制限食で金比羅参りでも筋肉痛なし」という嬉しいコメントをいただきました。
【11/08/27 三島
筋肉痛
先日の、「よさこい&阿波踊り」見物の際、ツアーの宿泊が、高知でも徳島でもなく、香川の琴平温泉だった。これ幸いと、早朝5時起きで、ツアーの出発前に、参詣を果たしたのだが、金毘羅さんには、私は、なんと、40数年前、東北の田舎の高校の修学旅行で参詣した経験があり、2度目。東北出身の私が2度目なのに、九州出身の妻が初めて。意外だった。まあ、今と違い、家族旅行などしなかった時代のことだから。●さて、表題が、唐突にも、筋肉痛の話になったのは、宮本輝VS江部康二『我ら糖尿人、元気なのには理由がある』(東洋経済)を読んで、現在、64歳の宮本氏がゴルフ球300でも疲れない(61歳当時)のは、「糖質制限食」のおかげという件を読んだから。●体操のインストラクターの妻が筋肉痛に襲われた(汗;)のに、朝の9時から夜の12時迄、塾で、ほとんど座りっぱなしの運動嫌いの私が、筋肉痛にならなかったナゾが、昨日になって判明したのである。●江部康二先生の名前が書いてある御本はそろえていたつもりが、対談集ということで、検索から漏れたらしい。●先生のブログに投稿し、コメントをいただいて、早速、購入して読んで、喉のつかえが下りました。●今朝、妻にその話をしたら、「ビール党」の「普通食人」の妻も、今日から「糖質制限食」党に入党するということで、次男に加え、北九州支部の党員は3名に。(笑)】
【11/08/27 三島
筋肉痛 ②
追伸です。私は、普段から、足に各500Gの重りをつけています。2泊3日の旅行もつけたままでした。もちろん、階段登りもつけたままでしたが、何ともありませんでした。何もつけていない、妻は、アキレスの周辺が痛かったそうです。(「真美健康体操」のインストラクターとして、市民センターで週2回、インストラクターの練習が週1~2回、自宅での練習は毎日欠かさず。)】
三島さん。
拙著を沢山ご購入いただき、またいつも貴重なデータ報告もコメントいただきありがとうございます。
『三島さんは60才、男性。
2011年5月から、スーパー糖質制限食を開始されて、7月からはメルビンも中止。
糖質制限食実践3ヶ月目の8月の検査で、
体重、3キロ減の61kg、BMIは5減の23、
空腹時血糖30減の123mg、肝心のHbA1cha7.1から5.5%に。
糖尿病専門医の担当医師も「すごいすごい」の連発。』
血糖データ、HbA1c、素晴らしい改善です。 (^_^)
通常のカロリー制限食(高糖質食)では、まずありえない改善ですので、担当医師もさぞかしびっくりされたことでしょう。
糖質制限食実践で、血糖値や中性脂肪のデータや肥満の改善は勿論のこと、人体のエネルギーシステムが切り替わっていきます。
すなわち、
「ブドウ糖-グリコーゲンシステム」主体から「脂肪酸-ケトン体システム」が主体の、人類本来のエネルギーシステムに戻っていきます。
そうするとトレーニングを特にしなくても、筋肉など体細胞の主エネルギー源は、本来の「脂肪酸-ケトン体システム」が主体となります。
筋肉の主エネルギー源が本来の「脂肪酸-ケトン体システム」になると、運動中の筋肉細胞内グリコーゲンが節約できるので、持続的なスタミナ(持久力)が、ついてきます。
今回の金比羅参りで、体操のインストラクターの奥様が筋肉痛に襲われたのに、普段運動しない三島さんが、筋肉痛なしですんだのは、仰有る通り、糖質制限食の御利益と思います。
勿論、個人差があると思いますが、糖質制限食で大多数の人において、持久力がアップします。(^^)
一方、100m競争とか重量挙げとか瞬発力は、糖質制限食単独ではアップしません。 ( ̄_ ̄|||)
さて奥様、「ビール党」から「糖質制限食党」に鞍替えされたそうで嬉しい限りです。
是非よろしくお伝え下さい。
「糖質制限食党」北九州支部のさらなる発展を願っております。
これからも美味しく楽しく末長く糖質制限食、お続けくださいね。
江部康二
2011年08月27日 (土)
「糖質制限食を語る」DVD 視聴用のYou Tube の映像です。
こんにちは。
講演内容の抄録について、norikky さんからコメント・質問を頂きました。
【11/08/27 norikky
いつも講演会 参加したいのですが、遠距離でもあります。
講演内容の抄録などあれば購入したいのですが・・
参加しないと無理でしょうか?】
norikky さん。
いつもコメントありがとうございます。
リボーン主催の糖質制限食の講演会の会費を前払いされていて、当日、欠席された場合、ご入金いただいた会費を返金することはできませんが、配付資料を後日、送付しております。
配付資料は、講演会で使用するパワーポイント・スライドを印刷したものです。資料だけで、解説がないと少しわかりにくいかもしれませんね。
配付資料に代わるものとして、堺と京都、2つの講演を編集してまとめた、DVD
江部康二医師 画期的な糖尿病治療食「糖質制限食を語る」
があります。
わかりやすい解説がついて、スライド画面も沢山あります。
¥1980-ですので、交通費やリボーン入会費より安いかもしれません。
下記のサイトで販売しています。
http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php
江部康二
こんにちは。
講演内容の抄録について、norikky さんからコメント・質問を頂きました。
【11/08/27 norikky
いつも講演会 参加したいのですが、遠距離でもあります。
講演内容の抄録などあれば購入したいのですが・・
参加しないと無理でしょうか?】
norikky さん。
いつもコメントありがとうございます。
リボーン主催の糖質制限食の講演会の会費を前払いされていて、当日、欠席された場合、ご入金いただいた会費を返金することはできませんが、配付資料を後日、送付しております。
配付資料は、講演会で使用するパワーポイント・スライドを印刷したものです。資料だけで、解説がないと少しわかりにくいかもしれませんね。
配付資料に代わるものとして、堺と京都、2つの講演を編集してまとめた、DVD
江部康二医師 画期的な糖尿病治療食「糖質制限食を語る」
があります。
わかりやすい解説がついて、スライド画面も沢山あります。
¥1980-ですので、交通費やリボーン入会費より安いかもしれません。
下記のサイトで販売しています。
http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php
江部康二
2011年08月27日 (土)
おはようございます。
またまた、極めて興味深い論文が、ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル誌(BMJ誌)2011年7月30日号に掲載されました。
フランスLyon第一大学のRemy Boussageon氏らの報告です。
Medline、Embase、コクランレビューに1950年から2010年7月までに登録された無作為化試験の中から、厳しい条件を満たした研究を選出しました。
その結果以下の13件の研究が残りました。
UGDP(phenoformin、tolbutamide、insulinの3件)、Kumamoto、Veteran Affairs Feasibility study、
UKPDS(33と34の2件)、PROactive、Dargieらの2007年の研究、ACCORD、ADVANCE、VADT、HOME。
これら13件の研究をメタ解析したのがこの論文です。(*)(**)
この論文の結論は
「2型糖尿病の厳格な血糖管理の利益はわずか、低血糖リスクに相殺される程度」
ということです。
2型糖尿病患者に対して厳格な血糖管理を行っても、全死因死亡、心血管死亡リスクの低減効果はあったとしてもわずかで、重症低血糖リスクは2倍以上になることが、明らかとなっています。
13の厳選された信頼度の高い論文のメタ解析ですので、客観的・科学的・数量的・総括的な評価を目指した論文と言えます。
今回のメタ分析の結果、厳格な血糖管理の利益はあったとしてもわずかで、重症低血糖がもたらす害により相殺される程度であることが示唆されました。
死亡に対する影響も、「全死因死亡リスクは9%低下または19%上昇」「心血管死亡リスクは14%低下または43%上昇」という可能性が残るということでした。
つまり、厳格血糖管理群で、かえって死亡リスクが高まることも充分あり得るという、恐るべき結論です。(=_=;)
2008年報告のACCORD試験では、厳格管理群の総死亡率が標準治療群より有意に上昇し、物議をかもしたのは記憶に新しいところです。
また「2型糖尿病患者の死亡率はHbA1c7.5%前後が最も低い」という衝撃的な後ろ向きコホート研究報告が、英国の医学雑誌Lancet誌2010年2月6日号に掲載されたのも、記憶に新しいところです。
上記、2つの論文で明らかなことは、糖質を摂取しながら、厳格に糖尿病薬物治療を行えば、かえって死亡リスクが高まる可能性が高いということです。
そして、今回のBMJ誌の論文でも、糖質を摂取しながらの厳格薬物治療の利益はほとんどないに等しいし、場合により死亡リスクを高める可能性さえあるということです。
糖尿人のご同輩、くれぐれも、美味しく楽しく末長く、糖質制限食ですね。
江部康二
(*)参考
日経メディカル オンライン 2011. 8. 9 から転載
【BMJ誌から
2型糖尿病の厳格な血糖管理の利益はわずか、低血糖リスクに相殺される程度
ACCORDなど13件の無作為化試験を対象とした最新のメタ分析の結果
大西 淳子=医学ジャーナリスト
2型糖尿病患者に対して厳格な血糖管理を行っても、全死因死亡、心血管死亡リスクの低減効果はあったとしてもわずかで、重症低血糖リスクは2倍以上になることが、フランスLyon第一大学のRemy Boussageon氏らが行った最新のメタ分析で明らかになった。論文は、BMJ誌2011年7月30日号に掲載された。
ACCORD試験が、2型糖尿病患者に対する血糖厳格管理で死亡リスクが有意に上昇することを報告して以来、厳格管理の利益とリスクに関する議論が続いている。心血管イベントに対する影響や微小血管イベントに対する影響についても、複数の臨床試験で報告されたデータは一貫した利益を示していない。
2型糖尿病患者に対する血糖厳格管理の影響を調べた無作為化試験を対象とするメタ分析はこれまでにも何件か行われているが、それらは主に、厳格管理の大血管イベントに対する影響について分析していた。著者らは今回、最新のデータを組み入れて、患者死亡と、心血管イベント、微小血管イベント、重症低血糖イベントへの影響を評価するメタ分析を行うことにした。
Medline、Embase、コクランレビューに1950年から2010年7月までに登録された無作為化試験の中から、18歳以上の2型糖尿病患者を登録し、「血糖厳格管理療法か標準治療」、または「厳格管理よりは強度の低い血糖管理療法か偽薬」に割り付けて、心血管イベントと微小血管合併症に対する影響を調べていた研究を選んだ。なお、厳格管理であるかどうかは、目標として設定されたHbA1cまたは治療強度に基づいて判定した。
主要エンドポイントは全死因死亡と心血管死亡に、2次エンドポイントは、心筋梗塞、非致死的心筋梗塞、脳卒中、うっ血性心不全、網膜光凝固術施行、網膜症、微量アルブミン尿、腎不全、末梢血管イベント、四肢切断、重症低血糖などに設定し、リスク比と99%信頼区間を求めた。
以下の13件の研究が条件を満たした:UGDP(phenoformin、tolbutamide、insulinの3件)、Kumamoto、Veteran Affairs Feasibility study、UKPDS(33と34の2件)、PROactive、Dargieらの2007年の研究、ACCORD、ADVANCE、VADT、HOME。
それらの試験に登録された3万4533人(60%が男性、平均年齢62歳、HbA1cの平均は7.9%、糖尿病歴の平均は7.8年)のうち、1万8315人が厳格管理群に割り付けられており、対照群は計1万6218人だった。追跡期間の平均は5.0年になった。
厳格管理群の全死因死亡のリスク比は1.04(99%信頼区間0.91-1.19)で、研究間の不均質性は高かった(I2=42%)。質の高い(Jadadスコアが3超)研究のみを分析対象にしても、1.06(0.84-1.34)と、同様の結果になった。
心血管死亡のリスク比は1.11(0.86-1.43)で、やはり研究間の不均質性は高かった(I2=61%)。質の高い研究のみを分析すると1.58(0.60-4.17)になったが、研究間の不均質性は高かった(I2=70%)。
非致死的心筋梗塞は厳格管理群に有意に少なかった(0.85、0.74-0.96)。だが、致死的心筋梗塞も含めたあらゆる心筋梗塞のリスク比は0.90(0.81-1.01)となり、有意ではなかった。これらの分析には、不均質性は認められなかった(I2=0%)。質の高い研究のみを対象にすると、それぞれ0.83(0.63-1.10)、1.34(0.77-2.35)となり、いずれも有意な値にならなかった。
厳格管理群の微量アルブミン尿(0.90、0.85-0.96、P<0.001)のリスク低減は有意だったが、質の高い研究のみを対象にすると、有意な結果ではなかった(0.99、0.87-1.13)。
非致死的脳卒中、あらゆる脳卒中、うっ血性心不全、末梢血管疾患、網膜症、光凝固療法施行、腎機能の低下、四肢切断などには、有意なリスク低減は見られなかった。質の高い研究のみを分析すると、厳格管理群でうっ血性心不全のリスク上昇が有意になった(1.47、1.19-1.83)。
一方、重症低血糖(2.33、1.62-3.36)は厳格管理群に有意に多く見られた。研究間の不均質性は高かった(I2=63%)。
治療期間を5年として、絶対リスク減少に基づいて厳格管理の治療必要数(NNT)を算出したところ、心筋梗塞が117から150、微量アルブミン尿が32から142となった。一方で、重症低血糖の害必要数(NNH)は15から52になった。
今回のメタ分析の結果、厳格な血糖管理の利益はあったとしてもわずかで、重症低血糖がもたらす害により相殺される程度であることが示唆された。死亡に対する影響は、99%信頼区間から推定すると、全死因死亡リスクは9%低下または19%上昇、心血管死亡リスクは14%低下または43%上昇する可能性が残る。いまだ質の高い大規模研究がないことから、著者らは、「質の高い二重盲検の無作為化試験を行って、2型糖尿病患者に対する最善の治療レジメンを見い出す必要がある」と述べている。
原題は「Effect of intensive glucose lowering treatment on all cause mortality, cardiovascular death, and microvascular events in type 2 diabetes: meta-analysis of randomised controlled trials」、全文は、BMJ誌のWebサイトで閲覧できる。】
(**)メタ解析 薬学用語解説より
http://www.pharm.or.jp/dictionary/wiki.cgi?%E3%83%A1%E3%82%BF%E8%A7%A3%E6%9E%90%E3%80%80
Meta-Analysis、メタアナリシス
過去に独立して行われた複数の臨床研究のデータを収集・統合し、統計的方法を用いて解析した系統的総説。採用するデータは、信頼できるものにしぼり、それぞれに重み付けを行う。一般的には、様々な試験の要約統計量を用いるが、生データを結合して解析する場合もある。叙述的な総説とは異なり、体系的、組織的、統計学的、定量的に研究結果をレビューするという特徴がある。メタアナリシスは、複数の研究で得られた効果が一致しない場合、個々の研究の標本サイズが小さく有意な効果を見いだせない場合、大きな標本サイズの研究が経済的・時間的に困難な場合、に有用であるとされている。
医学分野では対象や研究方法が多様で、各種のバイアスが入りやすく、また研究の質のばらつきが大きい。例えば、公表論文は有意な結果のみが発表されることが多い。これは研究者がポジティブな結果が得られたときにのみ発表する「報告バイアス」や、学会誌等の編集者が,統計学的に有意な結果の得られていないものはリジェクトする「出版バイアス」のためである。このため、単に報告を集めるだけでは、ポジティブ方向へバイアスがかかるという懸念が指摘されている。また、質の低い論文を他の優れた研究成果と同等に評価対象としてしまうと過大評価することになる。メタアナリシスでは、バイアスの影響を極力排除し、評価基準を統一して客観的・科学的に多数の研究結果を数量的、総括的に評価しようとしている。
こうしたメタアナリシス研究を押し進めることを目的として、1992年には、英国政府の支援のもとにオックスフォードにコクラン・センター(Cochrane Centre)が作られた。The Cochrane Libraryとは、コクラン共同計画が行っているメタアナリシスである。ランダム化比較試験の行われたデータをすべて集め、その中から信頼できるものを選び、総合評価を行っている。(2007.8.31 掲載)
またまた、極めて興味深い論文が、ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル誌(BMJ誌)2011年7月30日号に掲載されました。
フランスLyon第一大学のRemy Boussageon氏らの報告です。
Medline、Embase、コクランレビューに1950年から2010年7月までに登録された無作為化試験の中から、厳しい条件を満たした研究を選出しました。
その結果以下の13件の研究が残りました。
UGDP(phenoformin、tolbutamide、insulinの3件)、Kumamoto、Veteran Affairs Feasibility study、
UKPDS(33と34の2件)、PROactive、Dargieらの2007年の研究、ACCORD、ADVANCE、VADT、HOME。
これら13件の研究をメタ解析したのがこの論文です。(*)(**)
この論文の結論は
「2型糖尿病の厳格な血糖管理の利益はわずか、低血糖リスクに相殺される程度」
ということです。
2型糖尿病患者に対して厳格な血糖管理を行っても、全死因死亡、心血管死亡リスクの低減効果はあったとしてもわずかで、重症低血糖リスクは2倍以上になることが、明らかとなっています。
13の厳選された信頼度の高い論文のメタ解析ですので、客観的・科学的・数量的・総括的な評価を目指した論文と言えます。
今回のメタ分析の結果、厳格な血糖管理の利益はあったとしてもわずかで、重症低血糖がもたらす害により相殺される程度であることが示唆されました。
死亡に対する影響も、「全死因死亡リスクは9%低下または19%上昇」「心血管死亡リスクは14%低下または43%上昇」という可能性が残るということでした。
つまり、厳格血糖管理群で、かえって死亡リスクが高まることも充分あり得るという、恐るべき結論です。(=_=;)
2008年報告のACCORD試験では、厳格管理群の総死亡率が標準治療群より有意に上昇し、物議をかもしたのは記憶に新しいところです。
また「2型糖尿病患者の死亡率はHbA1c7.5%前後が最も低い」という衝撃的な後ろ向きコホート研究報告が、英国の医学雑誌Lancet誌2010年2月6日号に掲載されたのも、記憶に新しいところです。
上記、2つの論文で明らかなことは、糖質を摂取しながら、厳格に糖尿病薬物治療を行えば、かえって死亡リスクが高まる可能性が高いということです。
そして、今回のBMJ誌の論文でも、糖質を摂取しながらの厳格薬物治療の利益はほとんどないに等しいし、場合により死亡リスクを高める可能性さえあるということです。
糖尿人のご同輩、くれぐれも、美味しく楽しく末長く、糖質制限食ですね。
江部康二
(*)参考
日経メディカル オンライン 2011. 8. 9 から転載
【BMJ誌から
2型糖尿病の厳格な血糖管理の利益はわずか、低血糖リスクに相殺される程度
ACCORDなど13件の無作為化試験を対象とした最新のメタ分析の結果
大西 淳子=医学ジャーナリスト
2型糖尿病患者に対して厳格な血糖管理を行っても、全死因死亡、心血管死亡リスクの低減効果はあったとしてもわずかで、重症低血糖リスクは2倍以上になることが、フランスLyon第一大学のRemy Boussageon氏らが行った最新のメタ分析で明らかになった。論文は、BMJ誌2011年7月30日号に掲載された。
ACCORD試験が、2型糖尿病患者に対する血糖厳格管理で死亡リスクが有意に上昇することを報告して以来、厳格管理の利益とリスクに関する議論が続いている。心血管イベントに対する影響や微小血管イベントに対する影響についても、複数の臨床試験で報告されたデータは一貫した利益を示していない。
2型糖尿病患者に対する血糖厳格管理の影響を調べた無作為化試験を対象とするメタ分析はこれまでにも何件か行われているが、それらは主に、厳格管理の大血管イベントに対する影響について分析していた。著者らは今回、最新のデータを組み入れて、患者死亡と、心血管イベント、微小血管イベント、重症低血糖イベントへの影響を評価するメタ分析を行うことにした。
Medline、Embase、コクランレビューに1950年から2010年7月までに登録された無作為化試験の中から、18歳以上の2型糖尿病患者を登録し、「血糖厳格管理療法か標準治療」、または「厳格管理よりは強度の低い血糖管理療法か偽薬」に割り付けて、心血管イベントと微小血管合併症に対する影響を調べていた研究を選んだ。なお、厳格管理であるかどうかは、目標として設定されたHbA1cまたは治療強度に基づいて判定した。
主要エンドポイントは全死因死亡と心血管死亡に、2次エンドポイントは、心筋梗塞、非致死的心筋梗塞、脳卒中、うっ血性心不全、網膜光凝固術施行、網膜症、微量アルブミン尿、腎不全、末梢血管イベント、四肢切断、重症低血糖などに設定し、リスク比と99%信頼区間を求めた。
以下の13件の研究が条件を満たした:UGDP(phenoformin、tolbutamide、insulinの3件)、Kumamoto、Veteran Affairs Feasibility study、UKPDS(33と34の2件)、PROactive、Dargieらの2007年の研究、ACCORD、ADVANCE、VADT、HOME。
それらの試験に登録された3万4533人(60%が男性、平均年齢62歳、HbA1cの平均は7.9%、糖尿病歴の平均は7.8年)のうち、1万8315人が厳格管理群に割り付けられており、対照群は計1万6218人だった。追跡期間の平均は5.0年になった。
厳格管理群の全死因死亡のリスク比は1.04(99%信頼区間0.91-1.19)で、研究間の不均質性は高かった(I2=42%)。質の高い(Jadadスコアが3超)研究のみを分析対象にしても、1.06(0.84-1.34)と、同様の結果になった。
心血管死亡のリスク比は1.11(0.86-1.43)で、やはり研究間の不均質性は高かった(I2=61%)。質の高い研究のみを分析すると1.58(0.60-4.17)になったが、研究間の不均質性は高かった(I2=70%)。
非致死的心筋梗塞は厳格管理群に有意に少なかった(0.85、0.74-0.96)。だが、致死的心筋梗塞も含めたあらゆる心筋梗塞のリスク比は0.90(0.81-1.01)となり、有意ではなかった。これらの分析には、不均質性は認められなかった(I2=0%)。質の高い研究のみを対象にすると、それぞれ0.83(0.63-1.10)、1.34(0.77-2.35)となり、いずれも有意な値にならなかった。
厳格管理群の微量アルブミン尿(0.90、0.85-0.96、P<0.001)のリスク低減は有意だったが、質の高い研究のみを対象にすると、有意な結果ではなかった(0.99、0.87-1.13)。
非致死的脳卒中、あらゆる脳卒中、うっ血性心不全、末梢血管疾患、網膜症、光凝固療法施行、腎機能の低下、四肢切断などには、有意なリスク低減は見られなかった。質の高い研究のみを分析すると、厳格管理群でうっ血性心不全のリスク上昇が有意になった(1.47、1.19-1.83)。
一方、重症低血糖(2.33、1.62-3.36)は厳格管理群に有意に多く見られた。研究間の不均質性は高かった(I2=63%)。
治療期間を5年として、絶対リスク減少に基づいて厳格管理の治療必要数(NNT)を算出したところ、心筋梗塞が117から150、微量アルブミン尿が32から142となった。一方で、重症低血糖の害必要数(NNH)は15から52になった。
今回のメタ分析の結果、厳格な血糖管理の利益はあったとしてもわずかで、重症低血糖がもたらす害により相殺される程度であることが示唆された。死亡に対する影響は、99%信頼区間から推定すると、全死因死亡リスクは9%低下または19%上昇、心血管死亡リスクは14%低下または43%上昇する可能性が残る。いまだ質の高い大規模研究がないことから、著者らは、「質の高い二重盲検の無作為化試験を行って、2型糖尿病患者に対する最善の治療レジメンを見い出す必要がある」と述べている。
原題は「Effect of intensive glucose lowering treatment on all cause mortality, cardiovascular death, and microvascular events in type 2 diabetes: meta-analysis of randomised controlled trials」、全文は、BMJ誌のWebサイトで閲覧できる。】
(**)メタ解析 薬学用語解説より
http://www.pharm.or.jp/dictionary/wiki.cgi?%E3%83%A1%E3%82%BF%E8%A7%A3%E6%9E%90%E3%80%80
Meta-Analysis、メタアナリシス
過去に独立して行われた複数の臨床研究のデータを収集・統合し、統計的方法を用いて解析した系統的総説。採用するデータは、信頼できるものにしぼり、それぞれに重み付けを行う。一般的には、様々な試験の要約統計量を用いるが、生データを結合して解析する場合もある。叙述的な総説とは異なり、体系的、組織的、統計学的、定量的に研究結果をレビューするという特徴がある。メタアナリシスは、複数の研究で得られた効果が一致しない場合、個々の研究の標本サイズが小さく有意な効果を見いだせない場合、大きな標本サイズの研究が経済的・時間的に困難な場合、に有用であるとされている。
医学分野では対象や研究方法が多様で、各種のバイアスが入りやすく、また研究の質のばらつきが大きい。例えば、公表論文は有意な結果のみが発表されることが多い。これは研究者がポジティブな結果が得られたときにのみ発表する「報告バイアス」や、学会誌等の編集者が,統計学的に有意な結果の得られていないものはリジェクトする「出版バイアス」のためである。このため、単に報告を集めるだけでは、ポジティブ方向へバイアスがかかるという懸念が指摘されている。また、質の低い論文を他の優れた研究成果と同等に評価対象としてしまうと過大評価することになる。メタアナリシスでは、バイアスの影響を極力排除し、評価基準を統一して客観的・科学的に多数の研究結果を数量的、総括的に評価しようとしている。
こうしたメタアナリシス研究を押し進めることを目的として、1992年には、英国政府の支援のもとにオックスフォードにコクラン・センター(Cochrane Centre)が作られた。The Cochrane Libraryとは、コクラン共同計画が行っているメタアナリシスである。ランダム化比較試験の行われたデータをすべて集め、その中から信頼できるものを選び、総合評価を行っている。(2007.8.31 掲載)
2011年08月26日 (金)
おはようございます。
糖質制限食マスター講座 vol.3 in 東京のご案内です。
東京講演は久しぶりです。
今回は、江部康二が90分、大柳珠美管理栄養士が55分、休憩5分、質疑応答が30分、とじっくり時間をかけて、最新の糖質制限食基礎理論と実践を、皆さんと一緒に勉強したいと思っております。
以下はリボーン事務局、曽我部ゆかりさんからのメッセージです。
☆☆☆
ドクター江部のブログ読者の皆様
全国的に厳しい猛暑が続いております。
いかがお過ごしでしょうか。
9月4日(日)開催のリボーン講演会のお知らせです。
今回は基調講演に加え、緊急時(入院時も含む)の糖質制限食についても、ドクター江部に患者さんとご本人の体験を交え語ってもらいます。
猛暑とお盆が入ったためか、まだまだ席に余裕がございます。久しぶりの東京講演になりますので、ぜひご参加ください。皆様とお会いできますこと楽しみにしております。
追伸☆リボーン事務局の夏季休暇中は電話での対応ができず、申し訳ございませんでした。
予約は開催日までお受けしますので、下記の案内をご覧の上、お申し込みください。
メールが一番確実にお返事できます。よろしくお願いいたします。
リボーン事務局 曽我部ゆかり
☆☆☆
リボーン講演会 2001年9月4日(日)
糖質制限食マスター講座 vol.3
緊急時(入院時も含む)に学ぶ食の智恵。
糖質制限食実践者の強みを語る。
講 師 江部康二(高雄病院理事長・リボーン理事長)
大柳珠美(管理栄養士・リボーン副理事長)
医学界だけでなく、グルメ界においても旬な風となった「糖質制限食」。
糖質が唯一血糖値を上げる栄養素だという認識も世間に広まり、
糖尿病治療食に大きな可能性を示唆しています。
糖質制限食の提唱者・江部康二医師による理論編と
糖質制限食の推進者・大柳珠美管理栄養士による実践編のダブル講演で、
すぐに始められて、そして長く続けられる糖質制限食のコツをつかんでください。
災害時に糖質制限食で乗り切る智恵や、緊急時(入院時も含む)の対応も実例報告を交え検証してゆきます。
糖尿病やメタボ、肥満、アトピーの方だけでなく、ダイエット目的の方も、
楽しくおいしい食事療法で、症状改善を目指しましょう。
久しぶりの東京講演になります。皆様のご参加をお待ちしております。
■開 場 13時00分 開演 13時30分 終了時間 16時30分
■場 所 中野サンプラザ研修室2 (8階)
■アクセス 東京・JR中野駅北口下車1分。サンプラザ正面エントランスから入り、
左手のエレベーターで8階へ。
■定 員 90名(申込先着順)
■会 費 リボーン会員2,400円 リボーン会員家族ペア4,000円
一般3,000円 一般家族ペア5,600円
■申し込み及び問い合わせ
リボーン事務局 電話03−3388−5428
e-mail reborn@big.or.jp
■申し込み方法 メールまたは電話でお申し込みの上、事前に郵便振替で会費のお振込をお願いします。
入場券は発行しませんので、当日郵便振替の伝票をご持参ください。
なお、欠席される場合、ご入金いただいた会費を返金することはできませんが、
配布資料を後日お送りいたします。あらかじめご了承ください。
■振込先 口座番号 00110-9-393366 口座名称 リボーン
■主 催 NPO法人糖質制限食ネットリボーン
糖質制限食マスター講座 vol.3 in 東京のご案内です。
東京講演は久しぶりです。
今回は、江部康二が90分、大柳珠美管理栄養士が55分、休憩5分、質疑応答が30分、とじっくり時間をかけて、最新の糖質制限食基礎理論と実践を、皆さんと一緒に勉強したいと思っております。
以下はリボーン事務局、曽我部ゆかりさんからのメッセージです。
☆☆☆
ドクター江部のブログ読者の皆様
全国的に厳しい猛暑が続いております。
いかがお過ごしでしょうか。
9月4日(日)開催のリボーン講演会のお知らせです。
今回は基調講演に加え、緊急時(入院時も含む)の糖質制限食についても、ドクター江部に患者さんとご本人の体験を交え語ってもらいます。
猛暑とお盆が入ったためか、まだまだ席に余裕がございます。久しぶりの東京講演になりますので、ぜひご参加ください。皆様とお会いできますこと楽しみにしております。
追伸☆リボーン事務局の夏季休暇中は電話での対応ができず、申し訳ございませんでした。
予約は開催日までお受けしますので、下記の案内をご覧の上、お申し込みください。
メールが一番確実にお返事できます。よろしくお願いいたします。
リボーン事務局 曽我部ゆかり
☆☆☆
リボーン講演会 2001年9月4日(日)
糖質制限食マスター講座 vol.3
緊急時(入院時も含む)に学ぶ食の智恵。
糖質制限食実践者の強みを語る。
講 師 江部康二(高雄病院理事長・リボーン理事長)
大柳珠美(管理栄養士・リボーン副理事長)
医学界だけでなく、グルメ界においても旬な風となった「糖質制限食」。
糖質が唯一血糖値を上げる栄養素だという認識も世間に広まり、
糖尿病治療食に大きな可能性を示唆しています。
糖質制限食の提唱者・江部康二医師による理論編と
糖質制限食の推進者・大柳珠美管理栄養士による実践編のダブル講演で、
すぐに始められて、そして長く続けられる糖質制限食のコツをつかんでください。
災害時に糖質制限食で乗り切る智恵や、緊急時(入院時も含む)の対応も実例報告を交え検証してゆきます。
糖尿病やメタボ、肥満、アトピーの方だけでなく、ダイエット目的の方も、
楽しくおいしい食事療法で、症状改善を目指しましょう。
久しぶりの東京講演になります。皆様のご参加をお待ちしております。
■開 場 13時00分 開演 13時30分 終了時間 16時30分
■場 所 中野サンプラザ研修室2 (8階)
■アクセス 東京・JR中野駅北口下車1分。サンプラザ正面エントランスから入り、
左手のエレベーターで8階へ。
■定 員 90名(申込先着順)
■会 費 リボーン会員2,400円 リボーン会員家族ペア4,000円
一般3,000円 一般家族ペア5,600円
■申し込み及び問い合わせ
リボーン事務局 電話03−3388−5428
e-mail reborn@big.or.jp
■申し込み方法 メールまたは電話でお申し込みの上、事前に郵便振替で会費のお振込をお願いします。
入場券は発行しませんので、当日郵便振替の伝票をご持参ください。
なお、欠席される場合、ご入金いただいた会費を返金することはできませんが、
配布資料を後日お送りいたします。あらかじめご了承ください。
■振込先 口座番号 00110-9-393366 口座名称 リボーン
■主 催 NPO法人糖質制限食ネットリボーン
2011年08月25日 (木)
こんばんは。
αグルコシターゼ阻害薬について、ひがしさんからコメント・質問をいただきました。
【11/08/24 ひがし
ボグリボースの効果について
恐れ入ります。
αグルコシターゼ阻害薬について調べていたら先生のブログにぶつかりました。
この薬について質問させてください。
先生の過去の記事を拝見させてもらいまして、薬効時間は約2~3時間。
食直前の内服がベストで食事の30分前だと効果が落ちるというのは理解できました。
そこで質問なんですが、食事30分前に内服し、内服直後に牛乳など糖質のあるものを摂取すると薬剤の効果としてはどうなんでしょうか?
牛乳など内服直後に摂取したものは急激な血糖上昇を抑えられるでしょうが、 その後の食事についてもゆるやかな血糖上昇を維持できるのかというのがわからないんです。
こちらでも周囲の医療者に聞いたり、情報収集したんですが、意見が分かれていまして・・・内服直後に糖質を摂っていれば食事まで多少時間があっても効果は期待できるという人もいれば、あくまでも食直前でないと効果が期待できないのでは?という意見もありまして・・・
中には30分前内服だとボグリボース単体でも低血糖のリスクがあると言う人もいるくらいで、正直どれが本当だかわからなくなっています。
薬剤作用機序を考えればあくまでも血糖上昇を緩やかにするというところで、血糖を下げるわけではないので低血糖リスクは低いと思うのですが・・・
本来ならば周囲の医師など医療従事者に確認するのが筋なのですが、ここまで意見が分かれているとなると、スペシャリストの先生に聞くのがベストかと思いまして・・・
大変恐縮ですが先生のお考えを聞かせていただけると幸いです。
よろしくお願いします】
ひがしさん。
医療関係者の意見が分かれるのですね。
まずメーカーによれば、αグルコシターゼ阻害薬の作用時間は、直後から~おおよそ120分くらいと考えられます。
本来、食直前内服ですが、服用を忘れていて、食中(例えば食べ始めて15分後)に飲んだとしても、あるていど効きます。
つまり、服用を忘れていて慌てて飲んでもそれなりに効いて、飲まないよりはマシです。
ここからは、私見ですが、食直前がメーカー推奨なのは、αグルコシターゼ阻害薬内服直後から30分ぐらいが一番効果が期待できて、その後は徐々に効果が減弱していって、120分くらいで消失というようなパターンかと思います。
そのため食前30分とか内服が早すぎると、一番有効な時間帯を損しますね。
「・・・内服直後に糖質を摂っていれば食事まで多少時間があっても効果は期待できるという人もいれば、あくまでも食直前でないと効果が期待できないのでは?という意見もありまして・・・ 」
これは単純に、αグルコシターゼ阻害薬の薬理作用のピークが内服何分後くらいで、持続時間がどのくらいかというお話しだと思います。
αグルコシターゼ阻害薬の薬理作用がピークの時間帯に摂取した糖質は分解がよりゆっくりとなり血糖値上昇はより抑えられますが、60分以上経過していて薬理作用が減弱している時間帯に糖質を摂取すれば、血糖値上昇を抑える効果は弱くなると思います。
αグルコシダーゼ阻害薬は二糖類(麦芽糖・ショ糖・乳糖など)がグルコースに変換されるのを阻害します。ベイスンやセイブルは、αグルコシダーゼ阻害作用のみを有します。
グルコバイはそれに加え、αアミラーゼ阻害作用によりデンプンがオリゴ糖に変換されるのも阻害するため、より強力に食後高血糖を改善します。
薬理作用を考慮すると、仰有る通り、αグルコシターゼ阻害薬単独内服での低血糖は、ほとんどないと思います。
常用量で、
グルコバイは1時間値を50mg、2時間値を40mg
ベイスンは1時間値を40mg、2時間値を30mg
セイブルは1時間値を60mg、2時間値を20mg
ていど下げるとされています。しかし、それほど下がらない人もあります。
セイブルは、1時間値を下げるけれど、2時間値はあまり下げないのが特徴です。
従って、セイブルを30分前に飲んだりすると、効果は半減かもしれませんね。
いずれの薬も結構個人差が大きいですし、印象としては、上記の数字ほど下がらない人のほうが多いです。
食後の急峻な血糖値の上昇(グルコース・スパイク)が、活性酸素を増やし、活性酸素処理機能を低下させて、二重に<酸化ストレス>を増大させます。
酸化ストレスとは、「生体の酸化反応と抗酸化反応のバランスが崩れ、酸化反応が亢進した状態」のことで、当然生体にとって好ましくない現象です。
酸化ストレスは、細胞のDNA、細胞膜上のリン酸脂質、蛋白質、糖質を傷害し、血管傷害を進行させます。
酸化ストレスにより血管内皮の細胞が傷害され、動脈硬化が進行していき、将来の大血管障害(心筋梗塞、脳梗塞)のリスクとなります。
実際、IGT(食後2時間血糖値140~199mg/dl)のグループ1400人を対象に、「心血管疾患」の発症率をプラセボ群とアカルボース群とで3.3年間比較した研究においてアカルボース(グルコバイ)群で相対的に53%、心血管イベントを抑制し得ることがわかりました。(*)
このように食後高血糖を予防することは、大変大きな意味があります。
なお、αグルコシターゼ阻害薬を内服したからといって、どんぶり飯など食べたら食後血糖値は200mgを超えますので、節度が必要ですね。
糖質制限食なら、内服薬なしで食後高血糖を防ぐことができます。
江部康二
(*)
「STOP-NIDDM」試験
Journal of the American Medical Association(JAMA)誌7月23/30日号
αグルコシターゼ阻害薬について、ひがしさんからコメント・質問をいただきました。
【11/08/24 ひがし
ボグリボースの効果について
恐れ入ります。
αグルコシターゼ阻害薬について調べていたら先生のブログにぶつかりました。
この薬について質問させてください。
先生の過去の記事を拝見させてもらいまして、薬効時間は約2~3時間。
食直前の内服がベストで食事の30分前だと効果が落ちるというのは理解できました。
そこで質問なんですが、食事30分前に内服し、内服直後に牛乳など糖質のあるものを摂取すると薬剤の効果としてはどうなんでしょうか?
牛乳など内服直後に摂取したものは急激な血糖上昇を抑えられるでしょうが、 その後の食事についてもゆるやかな血糖上昇を維持できるのかというのがわからないんです。
こちらでも周囲の医療者に聞いたり、情報収集したんですが、意見が分かれていまして・・・内服直後に糖質を摂っていれば食事まで多少時間があっても効果は期待できるという人もいれば、あくまでも食直前でないと効果が期待できないのでは?という意見もありまして・・・
中には30分前内服だとボグリボース単体でも低血糖のリスクがあると言う人もいるくらいで、正直どれが本当だかわからなくなっています。
薬剤作用機序を考えればあくまでも血糖上昇を緩やかにするというところで、血糖を下げるわけではないので低血糖リスクは低いと思うのですが・・・
本来ならば周囲の医師など医療従事者に確認するのが筋なのですが、ここまで意見が分かれているとなると、スペシャリストの先生に聞くのがベストかと思いまして・・・
大変恐縮ですが先生のお考えを聞かせていただけると幸いです。
よろしくお願いします】
ひがしさん。
医療関係者の意見が分かれるのですね。
まずメーカーによれば、αグルコシターゼ阻害薬の作用時間は、直後から~おおよそ120分くらいと考えられます。
本来、食直前内服ですが、服用を忘れていて、食中(例えば食べ始めて15分後)に飲んだとしても、あるていど効きます。
つまり、服用を忘れていて慌てて飲んでもそれなりに効いて、飲まないよりはマシです。
ここからは、私見ですが、食直前がメーカー推奨なのは、αグルコシターゼ阻害薬内服直後から30分ぐらいが一番効果が期待できて、その後は徐々に効果が減弱していって、120分くらいで消失というようなパターンかと思います。
そのため食前30分とか内服が早すぎると、一番有効な時間帯を損しますね。
「・・・内服直後に糖質を摂っていれば食事まで多少時間があっても効果は期待できるという人もいれば、あくまでも食直前でないと効果が期待できないのでは?という意見もありまして・・・ 」
これは単純に、αグルコシターゼ阻害薬の薬理作用のピークが内服何分後くらいで、持続時間がどのくらいかというお話しだと思います。
αグルコシターゼ阻害薬の薬理作用がピークの時間帯に摂取した糖質は分解がよりゆっくりとなり血糖値上昇はより抑えられますが、60分以上経過していて薬理作用が減弱している時間帯に糖質を摂取すれば、血糖値上昇を抑える効果は弱くなると思います。
αグルコシダーゼ阻害薬は二糖類(麦芽糖・ショ糖・乳糖など)がグルコースに変換されるのを阻害します。ベイスンやセイブルは、αグルコシダーゼ阻害作用のみを有します。
グルコバイはそれに加え、αアミラーゼ阻害作用によりデンプンがオリゴ糖に変換されるのも阻害するため、より強力に食後高血糖を改善します。
薬理作用を考慮すると、仰有る通り、αグルコシターゼ阻害薬単独内服での低血糖は、ほとんどないと思います。
常用量で、
グルコバイは1時間値を50mg、2時間値を40mg
ベイスンは1時間値を40mg、2時間値を30mg
セイブルは1時間値を60mg、2時間値を20mg
ていど下げるとされています。しかし、それほど下がらない人もあります。
セイブルは、1時間値を下げるけれど、2時間値はあまり下げないのが特徴です。
従って、セイブルを30分前に飲んだりすると、効果は半減かもしれませんね。
いずれの薬も結構個人差が大きいですし、印象としては、上記の数字ほど下がらない人のほうが多いです。
食後の急峻な血糖値の上昇(グルコース・スパイク)が、活性酸素を増やし、活性酸素処理機能を低下させて、二重に<酸化ストレス>を増大させます。
酸化ストレスとは、「生体の酸化反応と抗酸化反応のバランスが崩れ、酸化反応が亢進した状態」のことで、当然生体にとって好ましくない現象です。
酸化ストレスは、細胞のDNA、細胞膜上のリン酸脂質、蛋白質、糖質を傷害し、血管傷害を進行させます。
酸化ストレスにより血管内皮の細胞が傷害され、動脈硬化が進行していき、将来の大血管障害(心筋梗塞、脳梗塞)のリスクとなります。
実際、IGT(食後2時間血糖値140~199mg/dl)のグループ1400人を対象に、「心血管疾患」の発症率をプラセボ群とアカルボース群とで3.3年間比較した研究においてアカルボース(グルコバイ)群で相対的に53%、心血管イベントを抑制し得ることがわかりました。(*)
このように食後高血糖を予防することは、大変大きな意味があります。
なお、αグルコシターゼ阻害薬を内服したからといって、どんぶり飯など食べたら食後血糖値は200mgを超えますので、節度が必要ですね。
糖質制限食なら、内服薬なしで食後高血糖を防ぐことができます。
江部康二
(*)
「STOP-NIDDM」試験
Journal of the American Medical Association(JAMA)誌7月23/30日号
2011年08月24日 (水)
こんにちは。
昨朝は、朝日カルチャー中之島で、糖質制限食の講演会でした。
80数名の参加があり、質問もひきもきらず続いて、活発で有意義な講演会でした。 (^_^)
さて
「増粘多糖類」って、何? (∵)?
案外、難しいですね。
2009年4月20日に一度、「増粘多糖類」のことを記事にしたことがありますが、もういちどネットをチェックしてみました。
そうすると、日本生協連安全政策推進室のサイトに「増粘多糖類」のことがわかりやすく載っていました。
信頼できるサイトと思いますので、転載させていただきました。(☆)
生協さん、ありがとうございます。
私も生協の会員ですので、あしからず。m(_ _)mV
増粘安定剤として2種類以上の多糖類を使用した場合は、「増粘多糖類」という簡略化した名称で表示できるのだそうです。
「増粘多糖類」には色々なものがありますが、いずれも高い粘性をもつ水溶性の多糖類です。
微妙な食感を調節したり“とろみ”を付けたりする、増粘安定剤としての用途で使用されます。
ペクチン、カラギナン、グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、キサンタンガム、カードランなど主な増粘多糖類は、難消化性の食物繊維に分類されるので、血糖値上昇の心配はほとんどないと思います。
増粘多糖類は、多糖類だけれども、デンプンやグリコーゲンとは異なり、難消化性の食物繊維に分類されるというのが肝要ですね。
安全性に関しても、難消化性の食物繊維なので、まず大丈夫と思います。
というか、現在販売されているほとんどの加工食品に添加されているわけですので、毒性があったりしたら結構大変なことになりますね。ヾ(゜▽゜)
まあ、カラギナンだけは生協さんは、△としています。
もっとも、安全性に問題ないとはいいながら、増粘多糖類によってごまかされた食品ばっかりになったりすると、何だかさみしくなりますね。( ̄_ ̄|||)
一方、嚥下障害者用食品の粘度調整のために増粘多糖類が使われることもあり、増粘多糖類は意外なとところで役に立っています。 (^^)
「ごっくんゼリー」などはその一つですね。
「ごっくんゼリー」は三和化学研究所の医療・介護食品です。
江部康二
(☆)参考
「増粘多糖類」って何? Q&A
http://jccu.coop/food-safety/qa/qa01_05.html
2009年3月21日更新 2003年4月17日作成
●「増粘多糖類」って何? Q&A
Q1:ジャムなどに含まれている「増粘多糖類」って何? 何が原料? 安全性は?
Q2:天然由来ですが、安全性は?
Q3:安全性と有用性は?
Q4:「増粘多糖類」という表示をよく見かけるわけは?
Q5:コープ商品の表示が長いのは添加物が多いから?.
Q1 ジャムなどに含まれている「増粘多糖類」って何? 何が原料? 安全性は?
A1 様々な食感や“とろみ”を調整するために使われる粘性の高い多糖類です。. 食品への表示で「増粘多糖類」と記される食品添加物には色々なものがありますが、いずれも高い粘性をもつ水溶性の多糖類で、微妙な食感(歯ごたえ、舌ざわり、のどごし等)を調節したり“とろみ”を付けたりする、増粘安定剤(増粘剤、安定剤、ゲル化剤、糊料)としての用途で使用されます。主なものには、カンキツ類やリンゴなどを原料とするペクチン、藻類から抽出したカラギナン、マメ科の植物の実から抽出したグァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、微生物が生成するキサンタンガム、カードランなどがあります。
Q2 天然由来ですが、安全性は?
A2 天然だから安全とは言えません。. これらは天然物に由来するものですが、安全性については、ひとくくりに「天然だから安全」と決めつけることはできません。日本生協連では、増粘多糖類に限らず、天然由来の添加物全般について、「人類が昔からの食生活の中で摂取してきた歴史=“食経験”が十分あるか?もしそれが不十分なら、その点を補うだけの十分な安全性試験データと品質の規格基準が必要」と考えています。この考え方に照らすと、増粘多糖類の安全性についても、それぞれ個別に考える必要があります。
Q3 安全性と有用性は?
A3 増粘多糖類は食感を調節する有用な食品添加物だと考えますが、安全性は物質毎に評価する必要があります。. 増粘多糖類は、食品の味に関する重要な要素である「食感」などを調節するために有用な添加物だと思いますが、日本生協連のコープ商品に使用する際は安全性を第一に考えて、適切なものを選択するように努めています。一例ですが、Q1にでてくるカラギナンについては、食経験が必ずしも十分とはいえず、またこれまでに報告されている安全性のデータや情報に見合った規格基準が整っていない点などから、日本生協連としては、まだ安全性面での課題が残されていると考えています。そのため、コープ商品への使用に際しては慎重に判断し、他の添加物や素材で代替することが不可能な食品以外では、今のところ使用を控えるようにしています。
Q4 「増粘多糖類」という表示をよく見かけるわけは?
A4 増粘安定剤として2種類以上の多糖類を使用した場合は「増粘多糖類」という簡略した名称で表示できます。. 食品添加物の名前を食品に表示する方法は、食品衛生法の中で定められています。原則は、個別の「物質名」を表示することになっていて、さらに、主要な8用途のもの:甘味料、着色料、保存料、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、防かび剤、増粘安定剤(増粘剤、安定剤、ゲル化剤、糊料)については、「用途名」と「物質名」の併記が義務づけられています。
例:酸化防止剤(ビタミンC)
これに対し「増粘多糖類」というのは、法令上例外的に簡略化が認められた表示方法で、「増粘安定剤の用途で2種類以上の多糖類を併用した場合には、用途名と個別の物質名は省略して、『増粘多糖類』とだけ表示して良い」ことになっています。また微妙な食感を得るために、2種類以上の多糖類が併用されるケースというのも実際に多いため、「増粘多糖類」表示をよく目にすることになります。
Q5 コープ商品の表示が長いのは添加物が多いから?
A5 個別の物質名を表示するようにしているために、多く入っているように見えることがあります。. 「増粘多糖類」と簡略化した表示が多く見られる中、日本生協連のコープ商品では、2種類以上の多糖類を併用している場合でも、なるべく簡略化せずに個々の物質名を表示するようにしています。表示欄のスペースや文字数を多く使うので「コープ商品は添加物がいっぱい入っている!?」と思われがちですが、そうではなくて、消費者に詳しい情報提供に努めているからなのです。
例:ゲル化剤(ペクチン、ローカストビーンガム)
<この件のお問い合わせ先>
日本生協連安全政策推進室
昨朝は、朝日カルチャー中之島で、糖質制限食の講演会でした。
80数名の参加があり、質問もひきもきらず続いて、活発で有意義な講演会でした。 (^_^)
さて
「増粘多糖類」って、何? (∵)?
案外、難しいですね。
2009年4月20日に一度、「増粘多糖類」のことを記事にしたことがありますが、もういちどネットをチェックしてみました。
そうすると、日本生協連安全政策推進室のサイトに「増粘多糖類」のことがわかりやすく載っていました。
信頼できるサイトと思いますので、転載させていただきました。(☆)
生協さん、ありがとうございます。
私も生協の会員ですので、あしからず。m(_ _)mV
増粘安定剤として2種類以上の多糖類を使用した場合は、「増粘多糖類」という簡略化した名称で表示できるのだそうです。
「増粘多糖類」には色々なものがありますが、いずれも高い粘性をもつ水溶性の多糖類です。
微妙な食感を調節したり“とろみ”を付けたりする、増粘安定剤としての用途で使用されます。
ペクチン、カラギナン、グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、キサンタンガム、カードランなど主な増粘多糖類は、難消化性の食物繊維に分類されるので、血糖値上昇の心配はほとんどないと思います。
増粘多糖類は、多糖類だけれども、デンプンやグリコーゲンとは異なり、難消化性の食物繊維に分類されるというのが肝要ですね。
安全性に関しても、難消化性の食物繊維なので、まず大丈夫と思います。
というか、現在販売されているほとんどの加工食品に添加されているわけですので、毒性があったりしたら結構大変なことになりますね。ヾ(゜▽゜)
まあ、カラギナンだけは生協さんは、△としています。
もっとも、安全性に問題ないとはいいながら、増粘多糖類によってごまかされた食品ばっかりになったりすると、何だかさみしくなりますね。( ̄_ ̄|||)
一方、嚥下障害者用食品の粘度調整のために増粘多糖類が使われることもあり、増粘多糖類は意外なとところで役に立っています。 (^^)
「ごっくんゼリー」などはその一つですね。
「ごっくんゼリー」は三和化学研究所の医療・介護食品です。
江部康二
(☆)参考
「増粘多糖類」って何? Q&A
http://jccu.coop/food-safety/qa/qa01_05.html
2009年3月21日更新 2003年4月17日作成
●「増粘多糖類」って何? Q&A
Q1:ジャムなどに含まれている「増粘多糖類」って何? 何が原料? 安全性は?
Q2:天然由来ですが、安全性は?
Q3:安全性と有用性は?
Q4:「増粘多糖類」という表示をよく見かけるわけは?
Q5:コープ商品の表示が長いのは添加物が多いから?.
Q1 ジャムなどに含まれている「増粘多糖類」って何? 何が原料? 安全性は?
A1 様々な食感や“とろみ”を調整するために使われる粘性の高い多糖類です。. 食品への表示で「増粘多糖類」と記される食品添加物には色々なものがありますが、いずれも高い粘性をもつ水溶性の多糖類で、微妙な食感(歯ごたえ、舌ざわり、のどごし等)を調節したり“とろみ”を付けたりする、増粘安定剤(増粘剤、安定剤、ゲル化剤、糊料)としての用途で使用されます。主なものには、カンキツ類やリンゴなどを原料とするペクチン、藻類から抽出したカラギナン、マメ科の植物の実から抽出したグァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、微生物が生成するキサンタンガム、カードランなどがあります。
Q2 天然由来ですが、安全性は?
A2 天然だから安全とは言えません。. これらは天然物に由来するものですが、安全性については、ひとくくりに「天然だから安全」と決めつけることはできません。日本生協連では、増粘多糖類に限らず、天然由来の添加物全般について、「人類が昔からの食生活の中で摂取してきた歴史=“食経験”が十分あるか?もしそれが不十分なら、その点を補うだけの十分な安全性試験データと品質の規格基準が必要」と考えています。この考え方に照らすと、増粘多糖類の安全性についても、それぞれ個別に考える必要があります。
Q3 安全性と有用性は?
A3 増粘多糖類は食感を調節する有用な食品添加物だと考えますが、安全性は物質毎に評価する必要があります。. 増粘多糖類は、食品の味に関する重要な要素である「食感」などを調節するために有用な添加物だと思いますが、日本生協連のコープ商品に使用する際は安全性を第一に考えて、適切なものを選択するように努めています。一例ですが、Q1にでてくるカラギナンについては、食経験が必ずしも十分とはいえず、またこれまでに報告されている安全性のデータや情報に見合った規格基準が整っていない点などから、日本生協連としては、まだ安全性面での課題が残されていると考えています。そのため、コープ商品への使用に際しては慎重に判断し、他の添加物や素材で代替することが不可能な食品以外では、今のところ使用を控えるようにしています。
Q4 「増粘多糖類」という表示をよく見かけるわけは?
A4 増粘安定剤として2種類以上の多糖類を使用した場合は「増粘多糖類」という簡略した名称で表示できます。. 食品添加物の名前を食品に表示する方法は、食品衛生法の中で定められています。原則は、個別の「物質名」を表示することになっていて、さらに、主要な8用途のもの:甘味料、着色料、保存料、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、防かび剤、増粘安定剤(増粘剤、安定剤、ゲル化剤、糊料)については、「用途名」と「物質名」の併記が義務づけられています。
例:酸化防止剤(ビタミンC)
これに対し「増粘多糖類」というのは、法令上例外的に簡略化が認められた表示方法で、「増粘安定剤の用途で2種類以上の多糖類を併用した場合には、用途名と個別の物質名は省略して、『増粘多糖類』とだけ表示して良い」ことになっています。また微妙な食感を得るために、2種類以上の多糖類が併用されるケースというのも実際に多いため、「増粘多糖類」表示をよく目にすることになります。
Q5 コープ商品の表示が長いのは添加物が多いから?
A5 個別の物質名を表示するようにしているために、多く入っているように見えることがあります。. 「増粘多糖類」と簡略化した表示が多く見られる中、日本生協連のコープ商品では、2種類以上の多糖類を併用している場合でも、なるべく簡略化せずに個々の物質名を表示するようにしています。表示欄のスペースや文字数を多く使うので「コープ商品は添加物がいっぱい入っている!?」と思われがちですが、そうではなくて、消費者に詳しい情報提供に努めているからなのです。
例:ゲル化剤(ペクチン、ローカストビーンガム)
<この件のお問い合わせ先>
日本生協連安全政策推進室
2011年08月23日 (火)

こんにちは。
今日は、大阪の中の島で講演です。
主催者の方から、早々に定員いっぱいになったと聞いていたので、とても楽しみです。
さて。
糖質制限ビーフシチューに糖質制限ハンバーグなど、なかなかのヒット作企画するけどたまに変なものを作ってコケる、糖質制限ドットコムのあらてつさん、今回また新作を発表した様子です。
糖質オフチーズ蒲鉾
以前に本ブログで紹介した、京蒲鉾の老舗、はま一(いち)さん作、史上初の糖質制限蒲鉾、糖質オフお好み蒲鉾の姉妹品に当たります。
チーズが大好きでチーズ蒲鉾には目がなかったあらてつさん、糖質制限では普通に売っている「チーかま」は砂糖やデンプンを使っているので、食べられませんでした。
ですが、チーかまを諦めきれないあらてつさん、はま一さんが糖質オフお好み蒲鉾で、見事に糖質制限な蒲鉾を作って下さったので、
「あのタコとキャベツをチーズに変えたらチーかまになるハズ!」
と単純に考え、早速、はま一さんに無茶を言いに行きました。
チーズ蒲鉾は私も大好きなので、是非商品化をして欲しかったのですが、やっぱりあらてつさんが考えるほど、ことはそう簡単ではありませんでした。
つなぎにデンプンを使っていないすり身は、チーズを包むには柔らか過ぎて、うまく形になりません。
それに加え、すり身からでる水分でチーズが溶けてしまうという、予想外の事態が発生、すり身の硬さやチーズを変えるなど、大変な苦労があったようです。
ですが、流石は京かまぼこの老舗はま一さん、このような問題も物ともせず、ついに糖質制限なチーズ蒲鉾を完成させて下さいました。
この糖質オフチーズ蒲鉾、あらてつさんは、オツマミにしようと企んでたみたいですが、どうしてなかなか、糖質制限の普段の食事にもお薦めです。
まず、蒲鉾は良質のタンパク質が豊富です。
糖質制限食では、タンパク質の摂取量が多くなりますから、蒲鉾はもってこいの食材なのですが、通常の蒲鉾だと糖質が多いので残念ながら糖質制限ではNGでした。
ですが、この糖質オフチーズ蒲鉾なら、糖質制限中でも心配なく食べられます。
しかも、必須アミノ酸のバランスを示すアミノ酸スコアが100と、完全食品と言われる玉子と同じ数値です。
さらに、チーズが入っていますので、良質の脂質も同時に摂ることができるので、まさに理想的な糖質制限OK食材と言っていいでしょう。
そのまま食べても美味しいですが、私は、フライパンでサッと焼いて食べるが好みです。
そうそう、糖質ゼロビールにも合いますし、赤白どちらのワインにも合うので、左党の方には嬉しいオツマミになるのではないでしょうか。
冷蔵庫にあると、何かと重宝する一品ですね。
糖質制限ドットコムで販売中です。
糖質オフチーズ蒲鉾
http://www.toushitsuseigen.com/shop/kamaboko_natsu.html
江部康二
2011年08月22日 (月)
こんばんは。
食後高血糖が膵臓癌発症のリスクになるということは、世界糖尿病連合2007年発表の「食後血糖値の管理に関するガイドライン」により、明らかです。
また「Cペプタイド値が高い男性(高インスリン血症の男性)は、低い男性に比べ最大で3倍程度、大腸癌になりやすい。」という疫学調査が、厚生労働省研究班により2007年発表され論文として掲載されました。( Int J Cancer. 2007 May 1;120(9):2007-12.)
今回、2009年にInt J Cancerに掲載された米国の論文を見つけました。
Women's Health Initiative clinical trialsから5450人を平均8年間経過をみて、190人が乳ガンを発症しました。
閉経後の女性において、空腹時高インスリン血症は乳がんのリスクとなりましたが、高血糖は関連がなかったという結論です。
空腹時高インスリン血症ということは、米国の女性ですから、肥満によるインスリン抵抗性がおおいに関連していると思います。
空腹時高インスリン血症の日本女性は、そんなにいないと思います。しかし日本女性でも「肥満・インスリン抵抗性・高インスリン血症」のある人は、乳ガン要注意ですね。
高インスリン血症による発癌の機序は、インスリンが各種組織の成長因子であることが関わるとされています。
動物実験では、高インスリン血症が、各種癌細胞の形成や増殖に関与するとの報告があります。
高血糖に伴う発がんですが、仮説としては、高血糖により活性酸素が発生し組織への酸化ストレスが亢進し、DNA障害が生じ、発がんリスクとなる可能性があります。
また高血糖自体もDNA障害を引き起こし、DNA障害が発癌要因となる可能性があります。
ともあれ、高インスリン血症は男性の大腸癌、女性の乳癌のリスクとなることは間違いないようです。
以下の要約は、直訳ですが参考までに。
江部康二
International Journal of Cancer
Volume 125, Issue 11, pages 2704–2710, 1 December 2009
要約
実験や疫学的なエビデンスによれば、血液中の血糖やインスリンは、乳がんの発がんを促す可能性がある。
しかしながら乳がん発がんリスクと血中グルコースやインスリンとの関連を検討したコホート研究はほとんどない。そして、過去の研究の測定はベースライン1回だけである。
我々は、「women in the Women's Health Initiative clinical trials 」の6%のランダムなサンプルを使用してベースラインと1、3、6年後の空腹時血液サンプルの血糖値とインスリン値を解析して閉経後の乳がんリスクの縦断的な研究を実施した。
さらに観察研究として1%の女性の、ベースライン時と3年目の空腹時血液サンプルで測定されたグルコース値とインスリン値を分析に含めた。
我々はコックス比例ハザードモデルを使って、乳癌リスクとベースライン及び経過時の血清グルコース値およびインスリン値の関連をハザード比の95%信頼区間を評価した。
全ての統計的テストは2面的にした。ベースラインの血糖値とインスリン値を測定した5450人の女性の中で平均8年間の観察期間中に190人の乳がんが確認された。
全母集団において最高の三分位のベースラインインスリングループは最も低いグループに比べて倍の乳がん増加リスクがあった。(多変量ハザード比2.22、95%信頼区間1.39〜3.53)
そして介入試験に登録されていない女性に比べると3倍のリスクがあった。
(多変量ハザード比3.15、95%信頼区間1.61〜6.17)
血糖レベルはリスクと無関係であった。繰り返し測定の分析は、ベースライン分析の結果を支持した。これらのデータは、血清インスリンレベル上昇は、閉経後乳がんの危険因子である可能性を示唆している。
閉経後乳がんのリスクは、肥満と糖尿病で増加し、この両者はインスリン抵抗性の増加で特徴付けられ、結果として循環血中のインスリンとブドウ糖が増加する。
インスリンは、細胞増殖を促進し、動物モデルにおける乳がん成長を強める。
一方、ブドウ糖はインスリン抵抗性を悪化させ、悪性クローンに恩恵を与えがん細胞に発育の利点を供給する。それ故に比較的高レベルのブドウ糖やインスリンは乳がんの病因となるというのはうなづける。
過去の少数の研究では空腹時血糖値・インスリン値と閉経後乳がん発症リスクの関連を直接調査しているが、相反する結果が得られた。
しかしながら、これらの研究は1回のベースラインの測定のみに基づいている。繰り返した計測の解析により経過観察期間中、これらの要素の乳がんの発達における役割および関連の評価の精度を上げることができる。
それゆえに我々は乳がんリスクの縦断的研究を実施し、「Women's Health Initiative clinical trial」の参加者の6%の空腹時血糖値・インスリン値を、ベースライン、1、3、6年後に測定した(WHI-CT)。
そして観察研究として1%の女性のベースラインと3年目の測定を実施した(WHI-OS)。
☆☆☆☆☆
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ijc.24609/full
Geoffrey C. Kabat et al.
Repeated measures of serum glucose and insulin in relation to postmenopausal breast cancer
International Journal of Cancer
Volume 125, Issue 11, pages 2704–2710, 1 December 2009
Abstract
Experimental and epidemiological evidence suggests that circulating glucose and insulin may play a role in breast carcinogenesis. However, few cohort studies have examined breast cancer risk in association with glucose and insulin levels, and studies to date have had only baseline measurements of exposure. We conducted a longitudinal study of postmenopausal breast cancer risk using the 6% random sample of women in the Women's Health Initiative clinical trials whose fasting blood samples, provided at baseline and at years 1, 3 and 6, were analyzed for glucose and insulin. In addition, a 1% sample of women in the observational study, who had glucose and insulin measured in fasting blood samples drawn at baseline and in year 3, were included in the analysis. We used Cox proportional hazards models to estimate hazard ratios and 95% confidence intervals for the association of baseline and follow-up measurements of serum glucose and insulin with breast cancer risk. All statistical tests were 2-sided. Among 5,450 women with baseline serum glucose and insulin values, 190 incident cases of breast cancer were ascertained over a median of 8.0 years of follow-up. The highest tertile of baseline insulin, relative to the lowest, was associated with a 2-fold increase in risk in the total population (multivariable hazard ratio 2.22, 95% confidence interval 1.39–3.53) and with a 3-fold increase in risk in women who were not enrolled in the intervention arm of any clinical trial (multivariable hazard ratio 3.15, 95% confidence interval 1.61–6.17). Glucose levels showed no association with risk. Analysis of the repeated measurements supported the results of the baseline analysis. These data suggest that elevated serum insulin levels may be a risk factor for postmenopausal breast cancer. © 2009 UICC
Risk of postmenopausal breast cancer is increased in association with obesity and diabetes, both of which are characterized by increased insulin resistance, with consequent increases in circulating levels of insulin and glucose.1, 2 Insulin promotes cell proliferation3, 4 and enhances breast tumor growth in animal models,5, 6 whereas glucose may exacerbate insulin resistance,7 favor the selection of malignant clones8 and provide a growth advantage to cancer cells.9 Therefore, it is plausible that relatively high levels of glucose and/or insulin may play a role in the etiology of breast cancer. The few prospective studies to date that have directly investigated the association between fasting glucose and insulin levels and risk of incident postmenopausal breast cancer have yielded conflicting results.10–18 However, each of these studies was based on a single measurement of glucose and/or insulin at baseline only. Analysis of repeated measurements obtained during follow-up may provide greater insight into the role of these factors in the development of breast cancer and increase the precision of estimates of association. Therefore, we conducted a longitudinal study of breast cancer risk in which fasting serum glucose and insulin levels were measured at baseline, and at years 1, 3 and 6 of follow-up in a 6% sample of participants in the Women's Health Initiative clinical trial (WHI-CT) and at baseline and year 3 in a 1% sample of the observational study (WHI-OS).
食後高血糖が膵臓癌発症のリスクになるということは、世界糖尿病連合2007年発表の「食後血糖値の管理に関するガイドライン」により、明らかです。
また「Cペプタイド値が高い男性(高インスリン血症の男性)は、低い男性に比べ最大で3倍程度、大腸癌になりやすい。」という疫学調査が、厚生労働省研究班により2007年発表され論文として掲載されました。( Int J Cancer. 2007 May 1;120(9):2007-12.)
今回、2009年にInt J Cancerに掲載された米国の論文を見つけました。
Women's Health Initiative clinical trialsから5450人を平均8年間経過をみて、190人が乳ガンを発症しました。
閉経後の女性において、空腹時高インスリン血症は乳がんのリスクとなりましたが、高血糖は関連がなかったという結論です。
空腹時高インスリン血症ということは、米国の女性ですから、肥満によるインスリン抵抗性がおおいに関連していると思います。
空腹時高インスリン血症の日本女性は、そんなにいないと思います。しかし日本女性でも「肥満・インスリン抵抗性・高インスリン血症」のある人は、乳ガン要注意ですね。
高インスリン血症による発癌の機序は、インスリンが各種組織の成長因子であることが関わるとされています。
動物実験では、高インスリン血症が、各種癌細胞の形成や増殖に関与するとの報告があります。
高血糖に伴う発がんですが、仮説としては、高血糖により活性酸素が発生し組織への酸化ストレスが亢進し、DNA障害が生じ、発がんリスクとなる可能性があります。
また高血糖自体もDNA障害を引き起こし、DNA障害が発癌要因となる可能性があります。
ともあれ、高インスリン血症は男性の大腸癌、女性の乳癌のリスクとなることは間違いないようです。
以下の要約は、直訳ですが参考までに。
江部康二
International Journal of Cancer
Volume 125, Issue 11, pages 2704–2710, 1 December 2009
要約
実験や疫学的なエビデンスによれば、血液中の血糖やインスリンは、乳がんの発がんを促す可能性がある。
しかしながら乳がん発がんリスクと血中グルコースやインスリンとの関連を検討したコホート研究はほとんどない。そして、過去の研究の測定はベースライン1回だけである。
我々は、「women in the Women's Health Initiative clinical trials 」の6%のランダムなサンプルを使用してベースラインと1、3、6年後の空腹時血液サンプルの血糖値とインスリン値を解析して閉経後の乳がんリスクの縦断的な研究を実施した。
さらに観察研究として1%の女性の、ベースライン時と3年目の空腹時血液サンプルで測定されたグルコース値とインスリン値を分析に含めた。
我々はコックス比例ハザードモデルを使って、乳癌リスクとベースライン及び経過時の血清グルコース値およびインスリン値の関連をハザード比の95%信頼区間を評価した。
全ての統計的テストは2面的にした。ベースラインの血糖値とインスリン値を測定した5450人の女性の中で平均8年間の観察期間中に190人の乳がんが確認された。
全母集団において最高の三分位のベースラインインスリングループは最も低いグループに比べて倍の乳がん増加リスクがあった。(多変量ハザード比2.22、95%信頼区間1.39〜3.53)
そして介入試験に登録されていない女性に比べると3倍のリスクがあった。
(多変量ハザード比3.15、95%信頼区間1.61〜6.17)
血糖レベルはリスクと無関係であった。繰り返し測定の分析は、ベースライン分析の結果を支持した。これらのデータは、血清インスリンレベル上昇は、閉経後乳がんの危険因子である可能性を示唆している。
閉経後乳がんのリスクは、肥満と糖尿病で増加し、この両者はインスリン抵抗性の増加で特徴付けられ、結果として循環血中のインスリンとブドウ糖が増加する。
インスリンは、細胞増殖を促進し、動物モデルにおける乳がん成長を強める。
一方、ブドウ糖はインスリン抵抗性を悪化させ、悪性クローンに恩恵を与えがん細胞に発育の利点を供給する。それ故に比較的高レベルのブドウ糖やインスリンは乳がんの病因となるというのはうなづける。
過去の少数の研究では空腹時血糖値・インスリン値と閉経後乳がん発症リスクの関連を直接調査しているが、相反する結果が得られた。
しかしながら、これらの研究は1回のベースラインの測定のみに基づいている。繰り返した計測の解析により経過観察期間中、これらの要素の乳がんの発達における役割および関連の評価の精度を上げることができる。
それゆえに我々は乳がんリスクの縦断的研究を実施し、「Women's Health Initiative clinical trial」の参加者の6%の空腹時血糖値・インスリン値を、ベースライン、1、3、6年後に測定した(WHI-CT)。
そして観察研究として1%の女性のベースラインと3年目の測定を実施した(WHI-OS)。
☆☆☆☆☆
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ijc.24609/full
Geoffrey C. Kabat et al.
Repeated measures of serum glucose and insulin in relation to postmenopausal breast cancer
International Journal of Cancer
Volume 125, Issue 11, pages 2704–2710, 1 December 2009
Abstract
Experimental and epidemiological evidence suggests that circulating glucose and insulin may play a role in breast carcinogenesis. However, few cohort studies have examined breast cancer risk in association with glucose and insulin levels, and studies to date have had only baseline measurements of exposure. We conducted a longitudinal study of postmenopausal breast cancer risk using the 6% random sample of women in the Women's Health Initiative clinical trials whose fasting blood samples, provided at baseline and at years 1, 3 and 6, were analyzed for glucose and insulin. In addition, a 1% sample of women in the observational study, who had glucose and insulin measured in fasting blood samples drawn at baseline and in year 3, were included in the analysis. We used Cox proportional hazards models to estimate hazard ratios and 95% confidence intervals for the association of baseline and follow-up measurements of serum glucose and insulin with breast cancer risk. All statistical tests were 2-sided. Among 5,450 women with baseline serum glucose and insulin values, 190 incident cases of breast cancer were ascertained over a median of 8.0 years of follow-up. The highest tertile of baseline insulin, relative to the lowest, was associated with a 2-fold increase in risk in the total population (multivariable hazard ratio 2.22, 95% confidence interval 1.39–3.53) and with a 3-fold increase in risk in women who were not enrolled in the intervention arm of any clinical trial (multivariable hazard ratio 3.15, 95% confidence interval 1.61–6.17). Glucose levels showed no association with risk. Analysis of the repeated measurements supported the results of the baseline analysis. These data suggest that elevated serum insulin levels may be a risk factor for postmenopausal breast cancer. © 2009 UICC
Risk of postmenopausal breast cancer is increased in association with obesity and diabetes, both of which are characterized by increased insulin resistance, with consequent increases in circulating levels of insulin and glucose.1, 2 Insulin promotes cell proliferation3, 4 and enhances breast tumor growth in animal models,5, 6 whereas glucose may exacerbate insulin resistance,7 favor the selection of malignant clones8 and provide a growth advantage to cancer cells.9 Therefore, it is plausible that relatively high levels of glucose and/or insulin may play a role in the etiology of breast cancer. The few prospective studies to date that have directly investigated the association between fasting glucose and insulin levels and risk of incident postmenopausal breast cancer have yielded conflicting results.10–18 However, each of these studies was based on a single measurement of glucose and/or insulin at baseline only. Analysis of repeated measurements obtained during follow-up may provide greater insight into the role of these factors in the development of breast cancer and increase the precision of estimates of association. Therefore, we conducted a longitudinal study of breast cancer risk in which fasting serum glucose and insulin levels were measured at baseline, and at years 1, 3 and 6 of follow-up in a 6% sample of participants in the Women's Health Initiative clinical trial (WHI-CT) and at baseline and year 3 in a 1% sample of the observational study (WHI-OS).
2011年08月21日 (日)
おはようございます。
糖質制限食マスター講座 vol.3 in 東京のご案内です。
以下はリボーン事務局、曽我部ゆかりさんからのメッセージです。
☆☆☆
ドクター江部のブログ読者の皆様
全国的に厳しい猛暑が続いております。
いかがお過ごしでしょうか。
9月4日(日)開催のリボーン講演会のお知らせです。
今回は基調講演に加え、緊急時(入院時も含む)の糖質制限食についても、ドクター江部に患者さんとご本人の体験を交え語ってもらいます。
猛暑とお盆が入ったためか、まだまだ席に余裕がございます。
久しぶりの東京講演になりますので、ぜひご参加ください。
皆様とお会いできますこと楽しみにしております。
追伸☆リボーン事務局の夏季休暇中は電話での対応ができず、申し訳ございませんでした。
予約は開催日までお受けしますので、下記の案内をご覧の上、お申し込みください。
メールが一番確実にお返事できます。よろしくお願いいたします。
リボーン事務局 曽我部ゆかり
☆☆☆
リボーン講演会 2001年9月4日(日)
糖質制限食マスター講座 vol.3
緊急時(入院時も含む)に学ぶ食の智恵。
糖質制限食実践者の強みを語る。
講 師 江部康二(高雄病院理事長・リボーン理事長)
大柳珠美(管理栄養士・リボーン副理事長)
医学界だけでなく、グルメ界においても旬な風となった「糖質制限食」。
糖質が唯一血糖値を上げる栄養素だという認識も世間に広まり、
糖尿病治療食に大きな可能性を示唆しています。
糖質制限食の提唱者・江部康二医師による理論編と糖質制限食の推進者・大柳珠美管理栄養士による実践編のダブル講演で、すぐに始められて、そして長く続けられる糖質制限食のコツをつかんでください。
災害時に糖質制限食で乗り切る智恵や、緊急時(入院時も含む)の対応も実例報告を交え検証してゆきます。
糖尿病やメタボ、肥満、アトピーの方だけでなく、ダイエット目的の方も、楽しくおいしい食事療法で、
症状改善を目指しましょう。
久しぶりの東京講演になります。皆様のご参加をお待ちしております。
■開 場 13時00分 開演 13時30分 終了時間 16時30分
■場 所 中野サンプラザ研修室2 (8階)
■アクセス 東京・JR中野駅北口下車1分。
サンプラザ正面エントランスから入り、左手のエレベーターで8階へ。
■定 員 90名(申込先着順)
■会 費 リボーン会員2,400円 リボーン会員家族ペア4,000円
一般3,000円 一般家族ペア5,600円
■申し込み及び問い合わせ
リボーン事務局 電話03−3388−5428
e-mail reborn@big.or.jp
■申し込み方法 メールまたは電話でお申し込みの上、事前に郵便振替で会費のお振込をお願いします。
入場券は発行しませんので、当日郵便振替の伝票をご持参ください。
なお、欠席される場合、ご入金いただいた会費を返金することはできませんが、配布資料を後日お送りいたします。あらかじめご了承ください。
■振込先 口座番号 00110-9-393366 口座名称 リボーン
■主 催 NPO法人糖質制限食ネットリボーン
糖質制限食マスター講座 vol.3 in 東京のご案内です。
以下はリボーン事務局、曽我部ゆかりさんからのメッセージです。
☆☆☆
ドクター江部のブログ読者の皆様
全国的に厳しい猛暑が続いております。
いかがお過ごしでしょうか。
9月4日(日)開催のリボーン講演会のお知らせです。
今回は基調講演に加え、緊急時(入院時も含む)の糖質制限食についても、ドクター江部に患者さんとご本人の体験を交え語ってもらいます。
猛暑とお盆が入ったためか、まだまだ席に余裕がございます。
久しぶりの東京講演になりますので、ぜひご参加ください。
皆様とお会いできますこと楽しみにしております。
追伸☆リボーン事務局の夏季休暇中は電話での対応ができず、申し訳ございませんでした。
予約は開催日までお受けしますので、下記の案内をご覧の上、お申し込みください。
メールが一番確実にお返事できます。よろしくお願いいたします。
リボーン事務局 曽我部ゆかり
☆☆☆
リボーン講演会 2001年9月4日(日)
糖質制限食マスター講座 vol.3
緊急時(入院時も含む)に学ぶ食の智恵。
糖質制限食実践者の強みを語る。
講 師 江部康二(高雄病院理事長・リボーン理事長)
大柳珠美(管理栄養士・リボーン副理事長)
医学界だけでなく、グルメ界においても旬な風となった「糖質制限食」。
糖質が唯一血糖値を上げる栄養素だという認識も世間に広まり、
糖尿病治療食に大きな可能性を示唆しています。
糖質制限食の提唱者・江部康二医師による理論編と糖質制限食の推進者・大柳珠美管理栄養士による実践編のダブル講演で、すぐに始められて、そして長く続けられる糖質制限食のコツをつかんでください。
災害時に糖質制限食で乗り切る智恵や、緊急時(入院時も含む)の対応も実例報告を交え検証してゆきます。
糖尿病やメタボ、肥満、アトピーの方だけでなく、ダイエット目的の方も、楽しくおいしい食事療法で、
症状改善を目指しましょう。
久しぶりの東京講演になります。皆様のご参加をお待ちしております。
■開 場 13時00分 開演 13時30分 終了時間 16時30分
■場 所 中野サンプラザ研修室2 (8階)
■アクセス 東京・JR中野駅北口下車1分。
サンプラザ正面エントランスから入り、左手のエレベーターで8階へ。
■定 員 90名(申込先着順)
■会 費 リボーン会員2,400円 リボーン会員家族ペア4,000円
一般3,000円 一般家族ペア5,600円
■申し込み及び問い合わせ
リボーン事務局 電話03−3388−5428
e-mail reborn@big.or.jp
■申し込み方法 メールまたは電話でお申し込みの上、事前に郵便振替で会費のお振込をお願いします。
入場券は発行しませんので、当日郵便振替の伝票をご持参ください。
なお、欠席される場合、ご入金いただいた会費を返金することはできませんが、配布資料を後日お送りいたします。あらかじめご了承ください。
■振込先 口座番号 00110-9-393366 口座名称 リボーン
■主 催 NPO法人糖質制限食ネットリボーン
2011年08月20日 (土)
おはようございます。
1型糖尿病のアキさんから、糖質制限食と腎炎について、コメント・質問をいただきました。
【11/08/18 アキ
始めコメントさせて頂きます。
私は1年前に1型糖尿病を発症致しました(ナント49歳で)。
現在のA1cですが5.6です。発症時は11.7でした。
先生の著書は全て購入し、特にレシピ本はキッチンに置いてあります。
糖質制限食ですとフラットな血糖値を維持できます。
これからも糖質制限食を続けていきたいと思っております。
只、心配な事がありまして、2か月に1回の検診での尿検査でここ最近
潜血1プラスとでてしまいます。蛋白は陰性です。
初期の腎炎かもしれないとのこと。
現在更年期治療でのホルモン治療をしています。(メノエイドコンビパッチの貼る治療)これは関係ないですね?
やはり腎臓内科での検査をしなければならないのですね。
このまま糖質制限を続けてよいのか心配になっています。
お忙しいのに申し訳ありませんが、返信頂ければ幸いです。】
アキさん。
コメント、たくさんの本のご購入ありがとうございます。
「1型糖尿病発症時、HbA1c11.7%→1年間の糖質制限食で、HbA1c5.6%」
素晴らしい改善です。
1型でこのデータなら、理想的ですね。
「糖質制限食ですとフラットな血糖値を維持できます。」
食前食後の血糖値の差が少ないほど、生体の恒常性(ホメオスタシス)にとっては好ましいです。
また180mg/dlを超える食後高血糖はリアルタイムに血管内壁を障害しますので、食前食後でほぼフラットというのは、とても良いことです。
一方、インスリン注射をしていても、糖質を普通に一人前摂取すれば、食後高血糖を起こす可能性は極めて高いです。
1型糖尿病の場合も<スーパー糖質制限食+必要最低限のインスリン注射>で、食前食後の血糖コントロール良好を保つことで、合併症を防ぐことができます。
インスリンは人体にとって絶対に必要なホルモンですが、注射の単位は少なくてすむほうが好ましいのです。
インスリン注射の量が多いと、肥満・高血圧・アルツハイマー病・癌・・・などのリスクとなります。
さて、血液検査でクレアチニンが高値など、すでに腎不全がある場合は、高タンパク食は推奨できません。従って、糖質制限食は適応となりません。
一方、腎機能正常の人が、糖質制限食(高タンパク・高脂質食)を実践して、腎機能が悪化したという報告はありません。
従ってあきさんが、現時点で糖質制限食を実践されて、問題はありません。
腎炎に関しては、まず尿沈査などを顕微鏡でみる検査をし、より詳しい腎臓の精査が必要か否かを主治医とご相談ください。
メノエイドコンビパッチは、血尿とは関係ないと私は思いますが、こちらも婦人科の主治医にご確認ください。
江部康二
1型糖尿病のアキさんから、糖質制限食と腎炎について、コメント・質問をいただきました。
【11/08/18 アキ
始めコメントさせて頂きます。
私は1年前に1型糖尿病を発症致しました(ナント49歳で)。
現在のA1cですが5.6です。発症時は11.7でした。
先生の著書は全て購入し、特にレシピ本はキッチンに置いてあります。
糖質制限食ですとフラットな血糖値を維持できます。
これからも糖質制限食を続けていきたいと思っております。
只、心配な事がありまして、2か月に1回の検診での尿検査でここ最近
潜血1プラスとでてしまいます。蛋白は陰性です。
初期の腎炎かもしれないとのこと。
現在更年期治療でのホルモン治療をしています。(メノエイドコンビパッチの貼る治療)これは関係ないですね?
やはり腎臓内科での検査をしなければならないのですね。
このまま糖質制限を続けてよいのか心配になっています。
お忙しいのに申し訳ありませんが、返信頂ければ幸いです。】
アキさん。
コメント、たくさんの本のご購入ありがとうございます。
「1型糖尿病発症時、HbA1c11.7%→1年間の糖質制限食で、HbA1c5.6%」
素晴らしい改善です。
1型でこのデータなら、理想的ですね。
「糖質制限食ですとフラットな血糖値を維持できます。」
食前食後の血糖値の差が少ないほど、生体の恒常性(ホメオスタシス)にとっては好ましいです。
また180mg/dlを超える食後高血糖はリアルタイムに血管内壁を障害しますので、食前食後でほぼフラットというのは、とても良いことです。
一方、インスリン注射をしていても、糖質を普通に一人前摂取すれば、食後高血糖を起こす可能性は極めて高いです。
1型糖尿病の場合も<スーパー糖質制限食+必要最低限のインスリン注射>で、食前食後の血糖コントロール良好を保つことで、合併症を防ぐことができます。
インスリンは人体にとって絶対に必要なホルモンですが、注射の単位は少なくてすむほうが好ましいのです。
インスリン注射の量が多いと、肥満・高血圧・アルツハイマー病・癌・・・などのリスクとなります。
さて、血液検査でクレアチニンが高値など、すでに腎不全がある場合は、高タンパク食は推奨できません。従って、糖質制限食は適応となりません。
一方、腎機能正常の人が、糖質制限食(高タンパク・高脂質食)を実践して、腎機能が悪化したという報告はありません。
従ってあきさんが、現時点で糖質制限食を実践されて、問題はありません。
腎炎に関しては、まず尿沈査などを顕微鏡でみる検査をし、より詳しい腎臓の精査が必要か否かを主治医とご相談ください。
メノエイドコンビパッチは、血尿とは関係ないと私は思いますが、こちらも婦人科の主治医にご確認ください。
江部康二
2011年08月19日 (金)
こんばんは。
norikky さんから、<男性の糖尿病リスク 魚で低下>
という毎日新聞の記事に関するコメントをいただきました。
私も毎日新聞をとってます。
この記事は2011年8月18日(木)の毎日新聞朝刊に載ってました。
あと京都新聞もとってます。高雄病院では朝日新聞です。
新聞業界も売り上げが減って、大変みたいですがささやかながら協力です。
【11/08/18 norikky
いつも江部先生をのサイトをはじめ あらてつさんのサイトを愛読させていただいています。
今回m3.comに 魚摂取の重要な記事がありましたので報告させていただきます。 いままで江部先生がここのサイトで言ってきていたデータそのもです。以下、文面です。
魚を食べれば糖尿病予防 ただし男性のみ… 国立がんセンター調査
2011年8月18日 提供:毎日新聞社
糖尿病:魚を食べれば予防 ただし男性のみ…--国立がんセンター調査
魚を多く食べる男性ほど、糖尿病になる危険性が低くなるとの調査結果を、国立がん研究センターなどのチームが17日、発表した。米臨床栄養雑誌(電子版)に掲載された。
調査は95年と98年に実施。対象は45~74歳の男女計5万2680人で、魚介類を食べる頻度や量、種類を尋ね、摂取量が少ない人から順番に並べ4群に分類。各群の真ん中に位置する人の1日当たりの摂取量は、男性の場合(1)36・6グラム(2)65グラム(3)100・8グラム(4)171・7グラムとなった。
追跡調査の結果、それぞれ5年後に糖尿病を発症していた人は男性572人、女性399人。各群の発症者の割合(発症率)は、男性で(1)2・9%(2)2・5%(3)2・4%(4)2・2%――となり、摂取量が多い群ほど発症率が低い傾向があった。発症リスクを計算したところ、摂取量が最多の(4)は最少の(1)より約3割低かった。一方、女性は摂取量と発症リスクに相関関係が見られなかった。
魚の種類によっても違いが見られ、小・中型の魚(アジ、イワシ、サンマ、サバ、ウナギなど)と、脂の多い魚(サケ、アジ、イワシ、サンマ、タイ類など)を多く食べる男性ほど発症リスクが低下することも分かった。マグロ、カツオ、タラなどに代表される、大型で脂が少ない魚では、摂取量と発症リスクの関連は確認されなかった。
チームの南里明子・国立国際医療研究センター栄養疫学研究室長によると、魚の脂などに多く含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)、ビタミンDなどが、糖尿病を防ぐインスリンの量や効きやすさに良い効果を与えた可能性がある。女性で差が見られなかった理由として、糖尿病発症を抑える栄養素が男女で異なることや、女性は男性に比べ体脂肪が多いため、魚に蓄積された水銀などの環境汚染物質を体内に取り込みやすく、魚の栄養効果を打ち消した可能性もあるとしている】
norikky さん。
コメントありがとうございます。
確かに男性では、糖尿病の発症率が4群の分類のなかで
2.9%→2.5%→2.4%→2.2%
と、魚の摂取量の一番少ない群から多い群にむけて、発症率が順調に減っています。
魚の摂取量が一番多い群は、一番少ない群に比べて発症リスクが約3割低かったそうです。
ところが、女性では魚の摂取量と糖尿病発症リスクに相関関係はなかったのです。
小・中型の魚(アジ、イワシ、サンマ、サバ、ウナギなど)と、脂の多い魚(サケ、アジ、イワシ、サンマ、タイ類など)を多く食べる男性ほど発症リスクが低下して、マグロ、カツオ、タラなどに代表される、大型で脂が少ない魚では、摂取量と発症リスクの関連は確認されなかったとのことです。
南里明子先生は、魚油に多く含まれるEPAやDHAが、よい効果を与えた可能性がある、とのことですが、私はことはそれほど単純な話ではないと思います。
つまり、
「エパデール(EPA)を内服している人は、糖尿病の発症リスクが減る」
というような単純なことではないということです。
EPAやDHAという部分的なものだけでなく、小魚や脂の多い魚の食材としてより全体的な要因が関わっていると思います。
この研究報告、
『小魚と脂の多い魚を多く食べる男性の糖尿病発症リスクが減少して、女性では魚の摂取量とは関連がなかった。』
という、ことは事実として言えると思います。
しかしその背景には、さらに食生活以外にも、ライフスタイル全てが関わっているような気がします。
江部康二
norikky さんから、<男性の糖尿病リスク 魚で低下>
という毎日新聞の記事に関するコメントをいただきました。
私も毎日新聞をとってます。
この記事は2011年8月18日(木)の毎日新聞朝刊に載ってました。
あと京都新聞もとってます。高雄病院では朝日新聞です。
新聞業界も売り上げが減って、大変みたいですがささやかながら協力です。
【11/08/18 norikky
いつも江部先生をのサイトをはじめ あらてつさんのサイトを愛読させていただいています。
今回m3.comに 魚摂取の重要な記事がありましたので報告させていただきます。 いままで江部先生がここのサイトで言ってきていたデータそのもです。以下、文面です。
魚を食べれば糖尿病予防 ただし男性のみ… 国立がんセンター調査
2011年8月18日 提供:毎日新聞社
糖尿病:魚を食べれば予防 ただし男性のみ…--国立がんセンター調査
魚を多く食べる男性ほど、糖尿病になる危険性が低くなるとの調査結果を、国立がん研究センターなどのチームが17日、発表した。米臨床栄養雑誌(電子版)に掲載された。
調査は95年と98年に実施。対象は45~74歳の男女計5万2680人で、魚介類を食べる頻度や量、種類を尋ね、摂取量が少ない人から順番に並べ4群に分類。各群の真ん中に位置する人の1日当たりの摂取量は、男性の場合(1)36・6グラム(2)65グラム(3)100・8グラム(4)171・7グラムとなった。
追跡調査の結果、それぞれ5年後に糖尿病を発症していた人は男性572人、女性399人。各群の発症者の割合(発症率)は、男性で(1)2・9%(2)2・5%(3)2・4%(4)2・2%――となり、摂取量が多い群ほど発症率が低い傾向があった。発症リスクを計算したところ、摂取量が最多の(4)は最少の(1)より約3割低かった。一方、女性は摂取量と発症リスクに相関関係が見られなかった。
魚の種類によっても違いが見られ、小・中型の魚(アジ、イワシ、サンマ、サバ、ウナギなど)と、脂の多い魚(サケ、アジ、イワシ、サンマ、タイ類など)を多く食べる男性ほど発症リスクが低下することも分かった。マグロ、カツオ、タラなどに代表される、大型で脂が少ない魚では、摂取量と発症リスクの関連は確認されなかった。
チームの南里明子・国立国際医療研究センター栄養疫学研究室長によると、魚の脂などに多く含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)、ビタミンDなどが、糖尿病を防ぐインスリンの量や効きやすさに良い効果を与えた可能性がある。女性で差が見られなかった理由として、糖尿病発症を抑える栄養素が男女で異なることや、女性は男性に比べ体脂肪が多いため、魚に蓄積された水銀などの環境汚染物質を体内に取り込みやすく、魚の栄養効果を打ち消した可能性もあるとしている】
norikky さん。
コメントありがとうございます。
確かに男性では、糖尿病の発症率が4群の分類のなかで
2.9%→2.5%→2.4%→2.2%
と、魚の摂取量の一番少ない群から多い群にむけて、発症率が順調に減っています。
魚の摂取量が一番多い群は、一番少ない群に比べて発症リスクが約3割低かったそうです。
ところが、女性では魚の摂取量と糖尿病発症リスクに相関関係はなかったのです。
小・中型の魚(アジ、イワシ、サンマ、サバ、ウナギなど)と、脂の多い魚(サケ、アジ、イワシ、サンマ、タイ類など)を多く食べる男性ほど発症リスクが低下して、マグロ、カツオ、タラなどに代表される、大型で脂が少ない魚では、摂取量と発症リスクの関連は確認されなかったとのことです。
南里明子先生は、魚油に多く含まれるEPAやDHAが、よい効果を与えた可能性がある、とのことですが、私はことはそれほど単純な話ではないと思います。
つまり、
「エパデール(EPA)を内服している人は、糖尿病の発症リスクが減る」
というような単純なことではないということです。
EPAやDHAという部分的なものだけでなく、小魚や脂の多い魚の食材としてより全体的な要因が関わっていると思います。
この研究報告、
『小魚と脂の多い魚を多く食べる男性の糖尿病発症リスクが減少して、女性では魚の摂取量とは関連がなかった。』
という、ことは事実として言えると思います。
しかしその背景には、さらに食生活以外にも、ライフスタイル全てが関わっているような気がします。
江部康二
2011年08月18日 (木)
こんばんは。
2011年9月4(日)、糖質制限食マスター講座 vol.3 in 東京、のご案内です。
東京での一般向け講座は2010年10月31日(日)開催の
「とことん語る糖質制限食〜『満腹ダイエット』で今日から健常人」
以来、久しぶりです。
前回は、dancyu(ダンチュウ)編集長、町田成一さんをゲストに迎えて、大柳珠美管理栄養士と3人でおおいに美味しく楽しく語り合いました。
「酒の話しが多過ぎる」とのアンケートでのお叱りもあり、一同反省しております。 m(_ _)m
また鼎談に時間を割いたので、講演時間が40分と短くて物足りなかったとのご意見もいただきました。
今回は、江部康二が90分、大柳珠美管理栄養士が55分、休憩5分、質疑応答が30分、とじっくり時間をかけて、最新の糖質制限食基礎理論と実践を皆さんと一緒に勉強したいと思っております。
糖尿人、メタボ人、ダイエットしたい人、生活習慣病の予防をしたい人、健康になりたい人・・・
是非、皆さんのご参加をお待ちしております。(^-^)v(^-^)v
江部康二
以下はリボーン事務局の曽我部ゆかり理事からのメッセージです。
☆☆☆
リボーン講演会 糖質制限食マスター講座 vol.3
講 師 江部康二(高雄病院理事長・リボーン理事長)
大柳珠美(管理栄養士・リボーン副理事長)
医学界だけでなく、グルメ界においても旬な風となった「糖質制限食」。
糖尿病やメタボ、肥満、アトピーの方だけでなく、ダイエット目的の方も、楽しくおいしい食事療法で、
症状改善を目指しましょう。
糖質制限食の提唱者・江部康二医師による理論編と糖質制限食の推進者・大柳珠美管理栄養士による実践編のダブル講演で、すぐに始められて、そして長く続けられる糖質制限食のコツをつかんでください。
久しぶりの東京講演になります。おいしい試食会も検討中です。皆様のご参加をお待ちしております。
<期日> 2001年9月4日(日)
<開場> 13時00分
<開演> 13時30分
<終了> 16時30分
<場所> 中野サンプラザ研修室2 (8階)
<アクセス> 東京・JR中野駅北口下車1分。サンプラザ正面エントランスから入り、
左手のエレベーターで8階へ。
<定員> 90名(リボーン会員優先/申込先着順)
<会費> リボーン会員2,400円 リボーン会員ペア4,000円
一般3,000円 一般ペア5,600円
■申し込み及び問い合わせ
リボーン事務局 電話03−3388−5428
e-mail reborn@big.or.jp
■申し込み方法
メールまたは電話でお申し込みの上、事前に郵便振替で会費のお振込をお願いします。
当日受付はいたしません。
入場券は発行しませんので、当日郵便振替の伝票をご持参ください。
なお、欠席される場合、ご入金いただいた会費を返金することはできませんが、配布資料を後日お送りいたします。あらかじめご了承ください。
■振り込み先口座番号 00110-9-393366 口座名称 リボーン
2011年9月4(日)、糖質制限食マスター講座 vol.3 in 東京、のご案内です。
東京での一般向け講座は2010年10月31日(日)開催の
「とことん語る糖質制限食〜『満腹ダイエット』で今日から健常人」
以来、久しぶりです。
前回は、dancyu(ダンチュウ)編集長、町田成一さんをゲストに迎えて、大柳珠美管理栄養士と3人でおおいに美味しく楽しく語り合いました。
「酒の話しが多過ぎる」とのアンケートでのお叱りもあり、一同反省しております。 m(_ _)m
また鼎談に時間を割いたので、講演時間が40分と短くて物足りなかったとのご意見もいただきました。
今回は、江部康二が90分、大柳珠美管理栄養士が55分、休憩5分、質疑応答が30分、とじっくり時間をかけて、最新の糖質制限食基礎理論と実践を皆さんと一緒に勉強したいと思っております。
糖尿人、メタボ人、ダイエットしたい人、生活習慣病の予防をしたい人、健康になりたい人・・・
是非、皆さんのご参加をお待ちしております。(^-^)v(^-^)v
江部康二
以下はリボーン事務局の曽我部ゆかり理事からのメッセージです。
☆☆☆
リボーン講演会 糖質制限食マスター講座 vol.3
講 師 江部康二(高雄病院理事長・リボーン理事長)
大柳珠美(管理栄養士・リボーン副理事長)
医学界だけでなく、グルメ界においても旬な風となった「糖質制限食」。
糖尿病やメタボ、肥満、アトピーの方だけでなく、ダイエット目的の方も、楽しくおいしい食事療法で、
症状改善を目指しましょう。
糖質制限食の提唱者・江部康二医師による理論編と糖質制限食の推進者・大柳珠美管理栄養士による実践編のダブル講演で、すぐに始められて、そして長く続けられる糖質制限食のコツをつかんでください。
久しぶりの東京講演になります。おいしい試食会も検討中です。皆様のご参加をお待ちしております。
<期日> 2001年9月4日(日)
<開場> 13時00分
<開演> 13時30分
<終了> 16時30分
<場所> 中野サンプラザ研修室2 (8階)
<アクセス> 東京・JR中野駅北口下車1分。サンプラザ正面エントランスから入り、
左手のエレベーターで8階へ。
<定員> 90名(リボーン会員優先/申込先着順)
<会費> リボーン会員2,400円 リボーン会員ペア4,000円
一般3,000円 一般ペア5,600円
■申し込み及び問い合わせ
リボーン事務局 電話03−3388−5428
e-mail reborn@big.or.jp
■申し込み方法
メールまたは電話でお申し込みの上、事前に郵便振替で会費のお振込をお願いします。
当日受付はいたしません。
入場券は発行しませんので、当日郵便振替の伝票をご持参ください。
なお、欠席される場合、ご入金いただいた会費を返金することはできませんが、配布資料を後日お送りいたします。あらかじめご了承ください。
■振り込み先口座番号 00110-9-393366 口座名称 リボーン
2011年08月17日 (水)
こんにちは。
日経メディカル オンライン 2011. 6. 29 に
第71回米国糖尿病学会2011年6月24日~28日 San Diego, U.S.A.
で発表された報告
<アジア系米国人の妊娠糖尿病罹患率、ベトナム系が最も高く日系は低い>
に関する記事が載っていました。
白人の妊娠糖尿病罹患率が3.2%だったのに対し、アジア系全体では7.3%と2倍以上で、統計的に有意差がありました。
ベトナム系が最も高く11.7%、
インド系7.8%、
中国系7.3%、
フィリピン系6.1%、
韓国系4.9%、
日系は最も低く4.0%。
ベトナム系からフィリピン系までは、有意に罹患率が高く、日系と韓国系は、白人との有意差が認められませんでした。
登録条件は、出産時に18~45歳で2007年1月~2010年6月30日に単児出産した女性で、多児出産例と2型糖尿病の既往者は除外。
妊娠糖尿病の診断基準が2010年7月に国際的に統一されたのですが、この研究はそれ以前の診断基準によるものと考えられます。
従いまして、今後、新診断基準に基づく妊娠糖尿病は、米国でももっと罹患率が増えると考えられます。
ベトナム系が最も罹患率が高く、日系が最も罹患率が低かったという今回の結果は、単純に遺伝・体質によるものなのか、あるいは食生活・ライフスタイルによるものなのか、よくわかりません。
安価な炭水化物を主に摂取せざるを得ない貧困層に、糖尿病多いというのは米国では明白な事実です。
妊娠糖尿病も貧困層に多いのか否か、気になるところです。
江部康二
☆☆☆☆☆
【日経メディカル オンライン 2011. 6. 29 から転載
<アジア系米国人の妊娠糖尿病罹患率、ベトナム系が最も高く日系は低い>
米国では妊娠糖尿病の罹患率が全妊婦の2-9%を占めるとされ、中でもアジア系妊婦では高率にみられることが知られている。出身国別の罹患率について、北部カリフォルニア在住の妊婦約7800人のデータを基にした新たな研究で、ベトナム系が11.9%と最も高く、逆に日系人は最も低いことが明らかになった。米カリフォルニア州立大学サンノゼ校看護学准教授のDeepika Goyal氏らが、6月24日から28日まで米サンディエゴで開催された米国糖尿病学会(ADA2011)で報告した。
Goyal氏らは、73万人の患者を擁する北部カリフォルニア医療保険会社の保健医療データベース(EHR)の記録を基に分析を行った。対象は、アジア系米国人のうち、インド系(1264人)、中国系(1160人)、フィリピン系(347人)、日系(124人)、韓国系(183人)、ベトナム系(147人)の6群(計3225人)とし、非ヒスパニック系白人(4582人)と比較した。
登録条件は、出産時に18~45歳で2007年1月~2010年6月30日に単児出産した女性で、多児出産例と2型糖尿病の既往者は除外した。
結果は、非ヒスパニック系白人の妊娠糖尿病罹患率が3.2%だったのに対し、アジア系全体では7.3%と2倍を超え、有意に多かった(p<0.05)。出身別ではベトナム系が11.7%と最も罹患率が高く、以下、インド系7.8%、中国系7.3%、フィリピン系6.1%、韓国系4.9%で、日系は最も低く4.0%だった。日系と韓国系は非ヒスパニック系白人との有意差が認められなかった。
非ヒスパニック系白人を1とした妊娠糖尿病の年齢調整済みオッズ比は、ベトナム系が3.92(95%信頼区間:2.30-6.67)、インド系が2.76(同:2.11-3.61)、中国系が2.26(同:1.72-2.99)、フィリピン系が2.01(同:1.25-3.22)、韓国系が1.52(同:0.76-3.03)、日系が1.15(同:0.46-2.87)で、アジア系全体では2.39(同:1.93-2.95)だった。
日系人と韓国人がなぜ他のアジア系よりも罹患率が低いかは興味深いところで、Goyal氏も、アジア系で妊娠糖尿病が多い原因とリスク因子の解明は今後の課題だとしていた。
(日経メディカル別冊編集)】
日経メディカル オンライン 2011. 6. 29 に
第71回米国糖尿病学会2011年6月24日~28日 San Diego, U.S.A.
で発表された報告
<アジア系米国人の妊娠糖尿病罹患率、ベトナム系が最も高く日系は低い>
に関する記事が載っていました。
白人の妊娠糖尿病罹患率が3.2%だったのに対し、アジア系全体では7.3%と2倍以上で、統計的に有意差がありました。
ベトナム系が最も高く11.7%、
インド系7.8%、
中国系7.3%、
フィリピン系6.1%、
韓国系4.9%、
日系は最も低く4.0%。
ベトナム系からフィリピン系までは、有意に罹患率が高く、日系と韓国系は、白人との有意差が認められませんでした。
登録条件は、出産時に18~45歳で2007年1月~2010年6月30日に単児出産した女性で、多児出産例と2型糖尿病の既往者は除外。
妊娠糖尿病の診断基準が2010年7月に国際的に統一されたのですが、この研究はそれ以前の診断基準によるものと考えられます。
従いまして、今後、新診断基準に基づく妊娠糖尿病は、米国でももっと罹患率が増えると考えられます。
ベトナム系が最も罹患率が高く、日系が最も罹患率が低かったという今回の結果は、単純に遺伝・体質によるものなのか、あるいは食生活・ライフスタイルによるものなのか、よくわかりません。
安価な炭水化物を主に摂取せざるを得ない貧困層に、糖尿病多いというのは米国では明白な事実です。
妊娠糖尿病も貧困層に多いのか否か、気になるところです。
江部康二
☆☆☆☆☆
【日経メディカル オンライン 2011. 6. 29 から転載
<アジア系米国人の妊娠糖尿病罹患率、ベトナム系が最も高く日系は低い>
米国では妊娠糖尿病の罹患率が全妊婦の2-9%を占めるとされ、中でもアジア系妊婦では高率にみられることが知られている。出身国別の罹患率について、北部カリフォルニア在住の妊婦約7800人のデータを基にした新たな研究で、ベトナム系が11.9%と最も高く、逆に日系人は最も低いことが明らかになった。米カリフォルニア州立大学サンノゼ校看護学准教授のDeepika Goyal氏らが、6月24日から28日まで米サンディエゴで開催された米国糖尿病学会(ADA2011)で報告した。
Goyal氏らは、73万人の患者を擁する北部カリフォルニア医療保険会社の保健医療データベース(EHR)の記録を基に分析を行った。対象は、アジア系米国人のうち、インド系(1264人)、中国系(1160人)、フィリピン系(347人)、日系(124人)、韓国系(183人)、ベトナム系(147人)の6群(計3225人)とし、非ヒスパニック系白人(4582人)と比較した。
登録条件は、出産時に18~45歳で2007年1月~2010年6月30日に単児出産した女性で、多児出産例と2型糖尿病の既往者は除外した。
結果は、非ヒスパニック系白人の妊娠糖尿病罹患率が3.2%だったのに対し、アジア系全体では7.3%と2倍を超え、有意に多かった(p<0.05)。出身別ではベトナム系が11.7%と最も罹患率が高く、以下、インド系7.8%、中国系7.3%、フィリピン系6.1%、韓国系4.9%で、日系は最も低く4.0%だった。日系と韓国系は非ヒスパニック系白人との有意差が認められなかった。
非ヒスパニック系白人を1とした妊娠糖尿病の年齢調整済みオッズ比は、ベトナム系が3.92(95%信頼区間:2.30-6.67)、インド系が2.76(同:2.11-3.61)、中国系が2.26(同:1.72-2.99)、フィリピン系が2.01(同:1.25-3.22)、韓国系が1.52(同:0.76-3.03)、日系が1.15(同:0.46-2.87)で、アジア系全体では2.39(同:1.93-2.95)だった。
日系人と韓国人がなぜ他のアジア系よりも罹患率が低いかは興味深いところで、Goyal氏も、アジア系で妊娠糖尿病が多い原因とリスク因子の解明は今後の課題だとしていた。
(日経メディカル別冊編集)】
2011年08月16日 (火)
こんにちは。
つうなぎさんから、オリーブオイルの安全性について、コメント・質問をいただきました。
【11/08/16 つうなぎ
オリーブオイルの安全性について
はじめまして、江部先生。
先生の著作「腹いっぱい食べて楽々痩せる「満腹ダイエット」 肉を食べても酒を飲んでも運動しなくても確実に痩せる!」を読んで、糖質制限ダイエットを始めたところ1ヶ月半程で体重85㎏→77㎏ 体脂肪率25%→21%と減少し、喜んでいます。
ところで先生に質問があります。
浜崎智仁先生の「コレステロール値が高いほうがずっと長生きできる」を読んだところ、カノーラ油、パーム油、オリーブ油などの植物には、動物実験で発がん性、脳出血、腎障害などの危険な有害作用が認められている旨の記述があり、積極的にオリーブオイルを使うのが問題ないのか分からずにいます。先生のご見解をご教示頂ければ幸いです。】
つうなぎ さん。
「腹いっぱい食べて楽々痩せる「満腹ダイエット」のご購入ありがとうございます。
減量成功もよかったですね。
浜崎智仁先生は、私の尊敬する医師のお一人です。
「コレステロール値が高いほうがずっと長生きできる」も持っています。
この御著書の内容も、おおいに共感を覚えます。
ただ1点、オリーブオイルと動物実験の話しですが、幸い、ヒトでは現在までそのような事実は報告されていません。
「カノーラ油、パーム油、オリーブ油などの植物には、動物実験で発がん性、脳出血、腎障害などの危険な有害作用が認められている」という動物実験の結果を論文報告された奥山治美先生も私の尊敬する医師のお一人です。
今後、日本国内、海外の文献も含めて、奥山治美先生の動物実験結果を追試する論文が報告され、同様の結果なのか異なる結果なのかなど、検討が必要と思います。
オリーブオイル摂取とヒトに関しては、現在までの疫学的報告では、心血管系ににも癌予防にもよい結果がでています。私自身も、もっぱらオリーブオイルを使っています。
オリーブオイルをたっぷり摂取することで有名なのが地中海食です。
2004年の米国医師会雑誌の論文で「地中海食摂取、喫煙なし、適度なアルコール摂取、身体活動」を実践しているヨーロッパの人々において、心血管疾患と癌の発症が統計的に有意に少ないことが報告されました。(*)
またヒトにおける、信頼度の高い疫学研究に関する論文が、Nature Reviews Cardiology という世界心臓連合(WHF)の公式誌にハーバード大学の研究者により2007年に報告されました。
その論文に「地中海食は、心血管系への利点と、種々の美味しい物を食べられるので持続しやすいこともあり、ますます人気が上昇している。」との記載があります。(**)
江部康二
(*)
Knoops KTB, de Groot LCPGM, Kromhout D, et al. 2004. Mediterranean diet, lifestyle factors, and 10-year mortality in elderly European men and women: the HALE Project. JAMA 292: 1433-39.
(**)Popular weight-loss diets: from evidence to practice
Vasanti S Malik & Frank B Hu
Nature Reviews Cardiology 4, 34–41 (1 January 2007)
つうなぎさんから、オリーブオイルの安全性について、コメント・質問をいただきました。
【11/08/16 つうなぎ
オリーブオイルの安全性について
はじめまして、江部先生。
先生の著作「腹いっぱい食べて楽々痩せる「満腹ダイエット」 肉を食べても酒を飲んでも運動しなくても確実に痩せる!」を読んで、糖質制限ダイエットを始めたところ1ヶ月半程で体重85㎏→77㎏ 体脂肪率25%→21%と減少し、喜んでいます。
ところで先生に質問があります。
浜崎智仁先生の「コレステロール値が高いほうがずっと長生きできる」を読んだところ、カノーラ油、パーム油、オリーブ油などの植物には、動物実験で発がん性、脳出血、腎障害などの危険な有害作用が認められている旨の記述があり、積極的にオリーブオイルを使うのが問題ないのか分からずにいます。先生のご見解をご教示頂ければ幸いです。】
つうなぎ さん。
「腹いっぱい食べて楽々痩せる「満腹ダイエット」のご購入ありがとうございます。
減量成功もよかったですね。
浜崎智仁先生は、私の尊敬する医師のお一人です。
「コレステロール値が高いほうがずっと長生きできる」も持っています。
この御著書の内容も、おおいに共感を覚えます。
ただ1点、オリーブオイルと動物実験の話しですが、幸い、ヒトでは現在までそのような事実は報告されていません。
「カノーラ油、パーム油、オリーブ油などの植物には、動物実験で発がん性、脳出血、腎障害などの危険な有害作用が認められている」という動物実験の結果を論文報告された奥山治美先生も私の尊敬する医師のお一人です。
今後、日本国内、海外の文献も含めて、奥山治美先生の動物実験結果を追試する論文が報告され、同様の結果なのか異なる結果なのかなど、検討が必要と思います。
オリーブオイル摂取とヒトに関しては、現在までの疫学的報告では、心血管系ににも癌予防にもよい結果がでています。私自身も、もっぱらオリーブオイルを使っています。
オリーブオイルをたっぷり摂取することで有名なのが地中海食です。
2004年の米国医師会雑誌の論文で「地中海食摂取、喫煙なし、適度なアルコール摂取、身体活動」を実践しているヨーロッパの人々において、心血管疾患と癌の発症が統計的に有意に少ないことが報告されました。(*)
またヒトにおける、信頼度の高い疫学研究に関する論文が、Nature Reviews Cardiology という世界心臓連合(WHF)の公式誌にハーバード大学の研究者により2007年に報告されました。
その論文に「地中海食は、心血管系への利点と、種々の美味しい物を食べられるので持続しやすいこともあり、ますます人気が上昇している。」との記載があります。(**)
江部康二
(*)
Knoops KTB, de Groot LCPGM, Kromhout D, et al. 2004. Mediterranean diet, lifestyle factors, and 10-year mortality in elderly European men and women: the HALE Project. JAMA 292: 1433-39.
(**)Popular weight-loss diets: from evidence to practice
Vasanti S Malik & Frank B Hu
Nature Reviews Cardiology 4, 34–41 (1 January 2007)
2011年08月15日 (月)
こんばんは。
2011.7.26の、サンケイビズ(産経新聞のネット版)に
「米国を覆い尽くす最悪の肥満率」
という非営利団体と慈善団体のリポートに関する興味深い記事が載っていました。(☆☆☆)
それによると、肥満率が高い10州のうち9州は南部で、最も高かったのはミシシッピ州で34%、次いでアラバマ、ウェストバージニア州となっています。
南部を中心とした15州の644郡にまたがる一帯を「糖尿病ベルト地帯」と名付けたそうです。
米国南部は、もともと肥満者の割合が高い州が多く、肥満と関連する糖尿病と高血圧症の罹患率も高いことが、
2004年にすでに、報告されています。2011年、事態はさらに深刻化したようです。
1862年リンカーン大統領の「奴隷解放宣言」や1865年の南北戦争集結を経て、南部の州で奴隷の扱いを受けていた黒人は解放されました。しかし、この歴史的背景から、南部諸州では貧しい黒人の人口比率が高いのです。
貧困層は、肉や魚などタンパク質や脂質の多い食材は高価なので、手に入りにくく、安価な炭水化物の摂取量が多くなります。結局炭水化物の頻回・過剰摂取が肥満や糖尿病の元凶と考えられます。
CDC(米疾病対策予防センター)のトーマス・フリーデン所長は「主な死因として、肥満に関連した心臓病や脳卒中、2型糖尿病、一部のがんが挙げられる」とし「肥満を減らす努力を継続しなければならない」と指摘したとのことです。
ともあれ、糖質制限食以外に、全米の肥満を改善する手だてはないように思います。
江部康二
(☆☆☆)
http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/110726/cpd1107260505007-n2.htm
【米国を覆い尽くす最悪の肥満率
米国では肥満率が急上昇し、1995年から昨年にかけては17州で少なくとも90%上昇したことがリポートで明らかになった。米ヘルスケア関連支出の増加が懸念されている。
肥満率が高い10州のうち9州は南部で、最も高かったのはミシシッピ州で34%。次いでアラバマ、ウェストバージニア州となっている。非営利団体トラスト・フォー・アメリカズ・ヘルスと慈善団体ロバート・ウッド・ジョンソン・ファウンデーションがこのほどリポートを発表した。こうした州は高血圧と糖尿病の割合でも上位に並んだ。ミシガン州は31%で10位。
メディケア(高齢者医療保険制度)とメディケイド(低所得者向け医療保険制度)は、肥満や喫煙に関連した病気など予防可能な疾病の治療にそれぞれの予算の20%以上を費やしている。こうした病気と闘うためのプログラムの予算を削減しないよう、同リポートは米議員らに求めた。
トラスト・フォー・アメリカズ・ヘルスのエグゼクティブディレクター、ジェフ・レビ氏は「米国民の健康やヘルスケア支出に肥満が及ぼす影響を無視することはできない」とのコメントをリポートと合わせて発表した。
リポートでは、南部を中心とした15州の644郡にまたがる一帯を「糖尿病ベルト地帯」と名付けた。これは専門誌ジャーナル・オブ・プリベンティブ・ディジーズの中で報じられた地理的分布に基づいている。コロラドは最もスリムな州で肥満率は20%だが、95年以降の伸びは最大だった。これはミシシッピ州の95年当時の肥満率を上回っている。
米国立衛生研究所(NIH)によると、肥満の定義は身長からみた体重の割合を示すボディマス指数(BMI)が30以上。成人男性では身長6フィート(約183センチメートル)で約100キログラム以上が肥満と見なされる。女性は身長5フィート6インチ(約168センチ)で約84キログラム以上。
一方、米疾病対策予防センター(CDC)の最近の発表によると、米国では昨年、成人の30%以上が肥満に陥っている州が12州となり、前年から3州増加した。成人の肥満率が20%未満だった州は皆無。肥満率を15%に下げることを掲げた「ヘルシー・ピープル2010」計画の目標達成は掛け声倒れに終わった。全米規模での傾向では、南部が肥満の割合が最も高く29.4%、西部が24.1%で最も低かったという。
CDCのトーマス・フリーデン所長は「主な死因として、肥満に関連した心臓病や脳卒中、2型糖尿病、一部のがんが挙げられる」とし「肥満を減らす努力を継続しなければならない」と指摘した。
2000年時点では、成人の肥満率が25%以上の州は1州もなかった。データは全てCDCによる生活習慣病のリスク行動調査「行動危険因子サーベイランスシステム」からのもので、調査は18歳以上の約40万人を対象に電話で行った。(ブルームバーグ Drew Armstrong、Elizabeth Lopatto)】
2011.7.26の、サンケイビズ(産経新聞のネット版)に
「米国を覆い尽くす最悪の肥満率」
という非営利団体と慈善団体のリポートに関する興味深い記事が載っていました。(☆☆☆)
それによると、肥満率が高い10州のうち9州は南部で、最も高かったのはミシシッピ州で34%、次いでアラバマ、ウェストバージニア州となっています。
南部を中心とした15州の644郡にまたがる一帯を「糖尿病ベルト地帯」と名付けたそうです。
米国南部は、もともと肥満者の割合が高い州が多く、肥満と関連する糖尿病と高血圧症の罹患率も高いことが、
2004年にすでに、報告されています。2011年、事態はさらに深刻化したようです。
1862年リンカーン大統領の「奴隷解放宣言」や1865年の南北戦争集結を経て、南部の州で奴隷の扱いを受けていた黒人は解放されました。しかし、この歴史的背景から、南部諸州では貧しい黒人の人口比率が高いのです。
貧困層は、肉や魚などタンパク質や脂質の多い食材は高価なので、手に入りにくく、安価な炭水化物の摂取量が多くなります。結局炭水化物の頻回・過剰摂取が肥満や糖尿病の元凶と考えられます。
CDC(米疾病対策予防センター)のトーマス・フリーデン所長は「主な死因として、肥満に関連した心臓病や脳卒中、2型糖尿病、一部のがんが挙げられる」とし「肥満を減らす努力を継続しなければならない」と指摘したとのことです。
ともあれ、糖質制限食以外に、全米の肥満を改善する手だてはないように思います。
江部康二
(☆☆☆)
http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/110726/cpd1107260505007-n2.htm
【米国を覆い尽くす最悪の肥満率
米国では肥満率が急上昇し、1995年から昨年にかけては17州で少なくとも90%上昇したことがリポートで明らかになった。米ヘルスケア関連支出の増加が懸念されている。
肥満率が高い10州のうち9州は南部で、最も高かったのはミシシッピ州で34%。次いでアラバマ、ウェストバージニア州となっている。非営利団体トラスト・フォー・アメリカズ・ヘルスと慈善団体ロバート・ウッド・ジョンソン・ファウンデーションがこのほどリポートを発表した。こうした州は高血圧と糖尿病の割合でも上位に並んだ。ミシガン州は31%で10位。
メディケア(高齢者医療保険制度)とメディケイド(低所得者向け医療保険制度)は、肥満や喫煙に関連した病気など予防可能な疾病の治療にそれぞれの予算の20%以上を費やしている。こうした病気と闘うためのプログラムの予算を削減しないよう、同リポートは米議員らに求めた。
トラスト・フォー・アメリカズ・ヘルスのエグゼクティブディレクター、ジェフ・レビ氏は「米国民の健康やヘルスケア支出に肥満が及ぼす影響を無視することはできない」とのコメントをリポートと合わせて発表した。
リポートでは、南部を中心とした15州の644郡にまたがる一帯を「糖尿病ベルト地帯」と名付けた。これは専門誌ジャーナル・オブ・プリベンティブ・ディジーズの中で報じられた地理的分布に基づいている。コロラドは最もスリムな州で肥満率は20%だが、95年以降の伸びは最大だった。これはミシシッピ州の95年当時の肥満率を上回っている。
米国立衛生研究所(NIH)によると、肥満の定義は身長からみた体重の割合を示すボディマス指数(BMI)が30以上。成人男性では身長6フィート(約183センチメートル)で約100キログラム以上が肥満と見なされる。女性は身長5フィート6インチ(約168センチ)で約84キログラム以上。
一方、米疾病対策予防センター(CDC)の最近の発表によると、米国では昨年、成人の30%以上が肥満に陥っている州が12州となり、前年から3州増加した。成人の肥満率が20%未満だった州は皆無。肥満率を15%に下げることを掲げた「ヘルシー・ピープル2010」計画の目標達成は掛け声倒れに終わった。全米規模での傾向では、南部が肥満の割合が最も高く29.4%、西部が24.1%で最も低かったという。
CDCのトーマス・フリーデン所長は「主な死因として、肥満に関連した心臓病や脳卒中、2型糖尿病、一部のがんが挙げられる」とし「肥満を減らす努力を継続しなければならない」と指摘した。
2000年時点では、成人の肥満率が25%以上の州は1州もなかった。データは全てCDCによる生活習慣病のリスク行動調査「行動危険因子サーベイランスシステム」からのもので、調査は18歳以上の約40万人を対象に電話で行った。(ブルームバーグ Drew Armstrong、Elizabeth Lopatto)】
2011年08月14日 (日)
こんにちは。
2011年8月初旬に
「不安解消!30分でわかる糖尿病の本」江部康二監修 加納則章著 (東洋経済新報社)
が出版されました。
加納さんは、東大教育学部健康教育学コース卒業。
週刊誌編集者、単行本編集者などを経て独立。
医学、健康、歴史、文化など幅広い分野で執筆活動を行っておられます。
この本は「ふだん本を読まない人のための糖尿病の本」です。
とにかく、わかりやすく書いてあります。
私の今までの本は、どうしても理屈や理論や医学用語もあって、本が苦手な人には敬遠されてしまうかもしれません。
この加納さんの本は、そういう人でも大丈夫です。
本当に誰でも30分で読めると思います
それでいて、糖尿病のなりたちや合併症や食事療法などの必要最低限の知識が得られるように構成されています。
ニュートラルな立場で、糖質制限食の利点と欠点もしっかり書いてあります。
活字が苦手の糖尿人や予備軍の人には、絶対お奨めの一品ですので是非どうぞ。
逆に、普段しっかり本を読むタイプの人には物足らないと思いますし、お奨めではありません。
とてもメリハリのついた、ターゲットを絞った本ですので、よろしくお願い申しあげます。
江部康二
☆☆☆
「不安解消!30分でわかる糖尿病の本」のまえがきです。
『この本に書いてあるのは、お医者さんに行けば、教えてくれることばかりです。
ですから、本当ならばお医者さんに行って、教えてもらうのが一番いいんです。
でも、糖尿病の心配があるのに、お医者さんには行きたくないという人もいらっしゃいます。健康診断で「糖尿病の疑いがあります」とか、「境界型(きょうかいがた)ですね」などと言われたけれど、お医者さんには行きたくないという人です。
「医者に行けなんて、おおげさだよ」
「別に痛くも苦しくもないし、ほうっておいていいだろう」
「いそがしくて、そんなヒマないよ」
いろいろと理由はあるでしょうが、みなさん、まだ大したことではないと思っていらっしゃいます。
でも、やはり、少し不安ではないですか?
お医者さんに行くのを迷っているのなら、この本を読んでから、お医者さんに行くべきかどうか、考えてみてはいかがでしょうか。
できれば、お医者さんに行かずに、自分で糖尿病のことを調べたいと思っても、糖尿病の本というのはむずかしいものばかりです。ふだん本を読みなれていない人にはわかりにくいですし、読むのにてまも、時間もかかります。
糖尿病について知りたいけれど、むずかしくて長い本はイヤだと思う人もめずらしくないはずです。
この本はそうした人に、ぜひ、読んでいただきたいと考えています。
また、すでにお医者さんにかかっていても、糖尿病についてよくわからないという人もいらっしゃるでしょう。
この本はそうした人にも、お役に立つはずです。
糖尿病とはどんな病気なのか、なぜそうなったのか、どんな治療をするのか、そうしたことを、なるべくかんたんにご説明するよう心がけました。
お医者さんは、きちんと説明しようとする親切な人ほど、むずかしい言葉をおつかいになります。
でも、この本は、むずかしい医学の言葉をなるべくつかわずに書いてあります。
この本を読めば、糖尿病とはどんな病気なのか、どなたでもわかります。
ぜひ、お役に立ててください。』
2011年8月初旬に
「不安解消!30分でわかる糖尿病の本」江部康二監修 加納則章著 (東洋経済新報社)
が出版されました。
加納さんは、東大教育学部健康教育学コース卒業。
週刊誌編集者、単行本編集者などを経て独立。
医学、健康、歴史、文化など幅広い分野で執筆活動を行っておられます。
この本は「ふだん本を読まない人のための糖尿病の本」です。
とにかく、わかりやすく書いてあります。
私の今までの本は、どうしても理屈や理論や医学用語もあって、本が苦手な人には敬遠されてしまうかもしれません。
この加納さんの本は、そういう人でも大丈夫です。
本当に誰でも30分で読めると思います
それでいて、糖尿病のなりたちや合併症や食事療法などの必要最低限の知識が得られるように構成されています。
ニュートラルな立場で、糖質制限食の利点と欠点もしっかり書いてあります。
活字が苦手の糖尿人や予備軍の人には、絶対お奨めの一品ですので是非どうぞ。
逆に、普段しっかり本を読むタイプの人には物足らないと思いますし、お奨めではありません。
とてもメリハリのついた、ターゲットを絞った本ですので、よろしくお願い申しあげます。
江部康二
☆☆☆
「不安解消!30分でわかる糖尿病の本」のまえがきです。
『この本に書いてあるのは、お医者さんに行けば、教えてくれることばかりです。
ですから、本当ならばお医者さんに行って、教えてもらうのが一番いいんです。
でも、糖尿病の心配があるのに、お医者さんには行きたくないという人もいらっしゃいます。健康診断で「糖尿病の疑いがあります」とか、「境界型(きょうかいがた)ですね」などと言われたけれど、お医者さんには行きたくないという人です。
「医者に行けなんて、おおげさだよ」
「別に痛くも苦しくもないし、ほうっておいていいだろう」
「いそがしくて、そんなヒマないよ」
いろいろと理由はあるでしょうが、みなさん、まだ大したことではないと思っていらっしゃいます。
でも、やはり、少し不安ではないですか?
お医者さんに行くのを迷っているのなら、この本を読んでから、お医者さんに行くべきかどうか、考えてみてはいかがでしょうか。
できれば、お医者さんに行かずに、自分で糖尿病のことを調べたいと思っても、糖尿病の本というのはむずかしいものばかりです。ふだん本を読みなれていない人にはわかりにくいですし、読むのにてまも、時間もかかります。
糖尿病について知りたいけれど、むずかしくて長い本はイヤだと思う人もめずらしくないはずです。
この本はそうした人に、ぜひ、読んでいただきたいと考えています。
また、すでにお医者さんにかかっていても、糖尿病についてよくわからないという人もいらっしゃるでしょう。
この本はそうした人にも、お役に立つはずです。
糖尿病とはどんな病気なのか、なぜそうなったのか、どんな治療をするのか、そうしたことを、なるべくかんたんにご説明するよう心がけました。
お医者さんは、きちんと説明しようとする親切な人ほど、むずかしい言葉をおつかいになります。
でも、この本は、むずかしい医学の言葉をなるべくつかわずに書いてあります。
この本を読めば、糖尿病とはどんな病気なのか、どなたでもわかります。
ぜひ、お役に立ててください。』
2011年08月14日 (日)
おはようございます。
さんちさんから、チョコチョコ食いと糖質制限食について
コメント・質問をいただきました。
【11/08/12 さんち
チョコチョコ食いはどうでしょうか
江部先生。先日はコメントを頂き有難うございました。あれからまたスーパー糖質制限を続けています。結局体重は5月からこの三ヶ月で20キロ減りました。体調もとても良いです。それもすべて糖質制限に出会えたおかげです。感謝してもしきれません。ところで今日はまた、どうしても分からないことがあるので、お尋ねしたいのです。それはおやつのことです。私は例えば10時と3時などと時間を決めて、糖質をいくらか決めた範囲でとるというよりは、一回は2から3グラムぐらいを一日に4、5回とるようになってしまいました。勿論食事の3回はスーパー糖質制限をしてます。勿論まったくゼロってわけにはいきませんよね。野菜に含まれている糖質まで計算すればゼロはありえないとのこと。それでも今はちょっとわけがあり、晩御飯を抜いてますので、朝昼の2回の食事とそのおやつで一日の糖質摂取は30いくかいかないかくらいだと思います。ただ、このようにいくら一回の摂取量が少なくても、回数が多いのはどうなのかと不安になりまして。もしかしたら、膵臓が休むひまがなくなってしまい、結果的に良くないことになるのでしょうか。それとも一回の摂取量を、回数にわけることで少なく抑えるほうが食べ方としていいのでしょうか。細かいことを伺い、恐縮なのですが、またお時間のあるときにご教示頂ければ幸いです。どうぞ宜しくお願いします。】
さんちさん。
「スーパー糖質制限食実践で体重は5月から三ヶ月で20キロ減少。」
体調も良好ですし、素晴らしいですね。 (^_^)
「間食を1日に4~5回、1回の糖質量は2~3g」
「朝昼の2回の食事とそのおやつで一日の糖質摂取は30g足らず」
これなら、全く問題ないです。
A)『糖尿人における糖質摂取時の食後高血糖』
B)『正常人における糖質摂取時のミニスパイクとインスリン大量追加分泌』
A)が動脈硬化や発がんのリスクになるというエビデンスあり→国際糖尿病連合2007
B)が糖尿病・動脈硬化・発がんのリスクとなる→ヒューマン・ニュートリション(☆)
従って、糖質制限食実践において、糖尿人においても正常人においても
A)B)が達成できていれば、上記リスクがなくてすみます。
やや重症の糖尿人は、1回の食事の糖質量10gくらいまで、軽症から中等症の糖尿人は、1回の食事の糖質量10~20gまで、食後血糖値1時間180mg未満、2時間血糖値140mg未満を目指します。
1日3回の食事、1日2回の食事の人がいると思いますが、それでOKです。
「間食を1日に4~5回、1回の糖質量は2~3g」
ならA)B)は達成できているので、OKです。
「一回の摂取量を、回数にわけることで少なく抑える」
間食好きの人は上記のごとく、A)B)が達成できるのでよいと思います。
また、大震災のような非常時で、糖質しか食物がないときは、回数にわけて食べることで、グルコーススパイクが小さくてすむと思います。
一方、間食は0~2回くらいで、1日の食事が、2~3回、1回の食事の糖質摂取量が10~20gまでというパターンでもいいと思います。
江部康二
(☆)ヒューマン・ニュートリション 基礎・食事・臨床 第10版 2004年
JS Garrow 、WPT james 、A Ralph 編 日本語版監修 細谷憲政 75ページ
『現代の食事では、・・・・・デンプンや遊離糖に由来する「利用されやすいグルコース」を大量に摂取するようになっている。このような食事内容は血漿グルコースおよびインスリン値の定期的な上昇をもたらし、糖尿病、冠状動脈疾患、がん、老化等、多くの点で健康に有害であることが強く指摘されている。
農業の発明以来、ヒトは穀物をベースとした食物を摂取するようになったが、進化に要する時間の尺度は長く、ヒトの消化管はまだ穀物ベースの食物に適応していない。ましてや高度に加工された現代の食物に対して、到底適応しきれてないのである。』
さんちさんから、チョコチョコ食いと糖質制限食について
コメント・質問をいただきました。
【11/08/12 さんち
チョコチョコ食いはどうでしょうか
江部先生。先日はコメントを頂き有難うございました。あれからまたスーパー糖質制限を続けています。結局体重は5月からこの三ヶ月で20キロ減りました。体調もとても良いです。それもすべて糖質制限に出会えたおかげです。感謝してもしきれません。ところで今日はまた、どうしても分からないことがあるので、お尋ねしたいのです。それはおやつのことです。私は例えば10時と3時などと時間を決めて、糖質をいくらか決めた範囲でとるというよりは、一回は2から3グラムぐらいを一日に4、5回とるようになってしまいました。勿論食事の3回はスーパー糖質制限をしてます。勿論まったくゼロってわけにはいきませんよね。野菜に含まれている糖質まで計算すればゼロはありえないとのこと。それでも今はちょっとわけがあり、晩御飯を抜いてますので、朝昼の2回の食事とそのおやつで一日の糖質摂取は30いくかいかないかくらいだと思います。ただ、このようにいくら一回の摂取量が少なくても、回数が多いのはどうなのかと不安になりまして。もしかしたら、膵臓が休むひまがなくなってしまい、結果的に良くないことになるのでしょうか。それとも一回の摂取量を、回数にわけることで少なく抑えるほうが食べ方としていいのでしょうか。細かいことを伺い、恐縮なのですが、またお時間のあるときにご教示頂ければ幸いです。どうぞ宜しくお願いします。】
さんちさん。
「スーパー糖質制限食実践で体重は5月から三ヶ月で20キロ減少。」
体調も良好ですし、素晴らしいですね。 (^_^)
「間食を1日に4~5回、1回の糖質量は2~3g」
「朝昼の2回の食事とそのおやつで一日の糖質摂取は30g足らず」
これなら、全く問題ないです。
A)『糖尿人における糖質摂取時の食後高血糖』
B)『正常人における糖質摂取時のミニスパイクとインスリン大量追加分泌』
A)が動脈硬化や発がんのリスクになるというエビデンスあり→国際糖尿病連合2007
B)が糖尿病・動脈硬化・発がんのリスクとなる→ヒューマン・ニュートリション(☆)
従って、糖質制限食実践において、糖尿人においても正常人においても
A)B)が達成できていれば、上記リスクがなくてすみます。
やや重症の糖尿人は、1回の食事の糖質量10gくらいまで、軽症から中等症の糖尿人は、1回の食事の糖質量10~20gまで、食後血糖値1時間180mg未満、2時間血糖値140mg未満を目指します。
1日3回の食事、1日2回の食事の人がいると思いますが、それでOKです。
「間食を1日に4~5回、1回の糖質量は2~3g」
ならA)B)は達成できているので、OKです。
「一回の摂取量を、回数にわけることで少なく抑える」
間食好きの人は上記のごとく、A)B)が達成できるのでよいと思います。
また、大震災のような非常時で、糖質しか食物がないときは、回数にわけて食べることで、グルコーススパイクが小さくてすむと思います。
一方、間食は0~2回くらいで、1日の食事が、2~3回、1回の食事の糖質摂取量が10~20gまでというパターンでもいいと思います。
江部康二
(☆)ヒューマン・ニュートリション 基礎・食事・臨床 第10版 2004年
JS Garrow 、WPT james 、A Ralph 編 日本語版監修 細谷憲政 75ページ
『現代の食事では、・・・・・デンプンや遊離糖に由来する「利用されやすいグルコース」を大量に摂取するようになっている。このような食事内容は血漿グルコースおよびインスリン値の定期的な上昇をもたらし、糖尿病、冠状動脈疾患、がん、老化等、多くの点で健康に有害であることが強く指摘されている。
農業の発明以来、ヒトは穀物をベースとした食物を摂取するようになったが、進化に要する時間の尺度は長く、ヒトの消化管はまだ穀物ベースの食物に適応していない。ましてや高度に加工された現代の食物に対して、到底適応しきれてないのである。』
2011年08月13日 (土)
こんにちは。
2011.8.11のブログ「海外旅行と糖質制限食」に関して、もえさんとよしさんからコメントをいただきました。
機内食のお話し、興味深いです。
【11/08/11 もえ
スイスやドイツ
いつも,ありがとうございます。
たしかに,海外旅行をするとき,糖尿人は気を使います。
まずは機内食。食べない,というのも手ですが,12時間ちかくのフライトとなると,そうもいかないですよね。
糖質制限食を始めてから初めて海外旅行,ヨーロッパに行くときに,機内食のリクエストで,結構面倒でした。1食分の糖質を10gに制限する機内食を,と航空会社にリクエストしました(このときは,全日空です)。即答できない,ということでした。数日してから,連絡がありました。成田ーミュンヘンは,できない。でも,復路のミュンヘンー成田はできる,という返事でした。???でしたが,復路はできるということなので,復路だけはお願いしました。往路は,自分で食べられそうなものだけをオーダーしたり,チーズ盛り合わせを出してもらったりで乗り切りました。
ちなみに,そのときのヨーロッパの滞在地はチューリッヒとミュンヘンでした。できるだけ自分で料理しようとして,アパートメントを短期でそれぞれ借りました。で,スーパーやデパートで食材を買ってきて,調理しました。もちろん,成分表示をチェックしてです。そのときに,驚くというか,助かりました。ほぼすべての食品の成分表示に,炭水化物・・g
(うち糖質・・g)と記載されていました。本当に有り難かったですね。あと,ほぼすべてのレストランで,付け合わせのポテトやパンの代わりに何か,とお願いしたら,なんか糖質が少なめのものを多めにしてくれたりしました。そういう意味で,気をつけて生活し,糖質制限料理を自分で作る場合,日本よりもスイスやドイツの方が,圧倒的にやりやすい,ということを初めて知りました。成分不明ですが,血糖値を上げないらしい甘味料は,かならずカフェにはありました。
で,なぜ往路(日本ーミュンヘン)は糖質10g食が無理で,復路(ミュンヘンー日本)は可能なのか,わかるような気がします。日本では,食材の成分表に糖質量が書かれていることの方がマレだと思います。なので,日本にあるケータリングの会社は糖質量の目安を知ることができない。他方で,ドイツの会社は容易にわかる,ってことなんですね。おそらく。
糖尿人になっていろいろ大変なことが増えましたが,いままで気にもしなかったを気にするようになり,いろいろ学習できて楽しいことも増えましたねぇ。
長文失礼しました。】
【11/08/11 よし
江部先生、こんにちは。
海外旅行では機内食が悩みの種ですね。
いろんな航空会社で特別食の用意がありますが、シンガポール航空で興味深いものを見つけました。
http://www.singaporeair.com/ja_JP/flying-with-us/specialmeals/
この中の、「ノン・カーボンハイドレートミール」は、無炭水化物食ですから、糖質制限にうってつけかもしれませんね。
もし、シンガポール航空を利用する機会があれば、試してみます。】
もえさん、よしさん、コメントありがとうございます。
もえさん、「1食分の糖質を10gに制限する機内食」のリクエストに関して、
「成田ーミュンヘンは,できない。でも,復路のミュンヘンー成田はできる」
全日空さん、かなり誠意ある回答ですね。
再生なったJALさん、だったらどうでしょう。
昔の倒産前のJALなら、こんな要求は門前払いだったかもしれませんね。
チューリッヒとミュンヘンのスーパーやデパートでは、炭水化物のg数と糖質のg数が共に表示してあるとは親切です。
チューリッヒとミュンヘンがそうなら、他のEU圏も同様なのでしょうか?
日本では、炭水化物表示がほとんどで、糖質表示はまだまだ少ないです。糖質表示がないとちょっと不便です。
もえさん、ご指摘のように、このようなバックグラウンドの食材成分表示の違いで、日本とドイツのケータリング会社の対応が異なるのだと思います。
よしさん。
http://www.singaporeair.com/ja_JP/flying-with-us/specialmeals/
シンガポール航空のサイト、みてきました。
大変、きめ細かいラインアップであり、びっくりです。
宗教上の理由とか含めて過去いろいろあって、ここまで対応しているのでしょうね。
特別食の中の、健康食のカテゴリーに14種類あって、そのなかに、「ノン・カーボンハイドレートミール」無炭水化物食というのがありますね。
私もその内、10数年ぶりに海外にいくとしたら、是非シンガポール航空を利用したいと思います。
江部康二
☆☆☆参考
シンガポール航空の特別食メニュー
<離乳食・幼児食・お子様食> 3種類
<宗教食> 4種類
<健康食>
ブランドミール
こしょう、チリパウダー、カフェイン、ココア、アルコール等の刺激物を含まない食事。
ダイアベティックミール
糖尿病食。砂糖を含まず、塩は控え目の食事。
フルーツプラッター
フレッシュなフルーツのみを使用した食事。
グルテンフリーミール
無グルテン食。小麦、ライ麦、大麦、オート麦の一切を使用しません。
ローカロリーミール
低カロリー食。脂肪、ソース、グレービー、フライ、糖分の高いものを控えた食事。
ローファットミール
動物性脂質、赤身の肉、皮、えびや揚げ物を含まない。バター、クリーム、全乳、チー ズも含まない。低脂肪肉や低飽和脂肪酸は含みます。
ローファイバー・レジデューミール
低繊維質・低残留物食。繊維質の食品(フルーツ、豆類、野菜、全粒製品など)をおさ えた食事。
ローラクトースミール
低乳糖食。ラクトース(乳糖)や乳製品(牛乳、固形乳、チーズ、クリーム、バター、 ラクトーセ、マーガリンなど)をおさえた食事。
ローソディウム・ミール
低ナトリウム、無塩食。ベーキングパウダー、ソーダ、MSGなど、塩やナトリウムを 含有する食品の使用を控えた食事。調理時に塩を使用しません。
ノン・カーボンハイドレートミール
無炭水化物食。でんぷん質や炭水化物を含まない食事。
ナッツフリーミール
ナッツ類を含まない食事。事前にお手続きが必要です。予約コールセンターにご連絡く ださい。
セミフルイドミール
準流動食。主にピューレ状、ミンチしたもの、消化のよい食品(牛乳、ヨーグルト、お かゆ、挽肉、野菜やフルーツのピューレなど)を使用した食事。
ソフトフルイドミール
軟流動食。主にこしたもの、スープ状(ミルク、おかゆ、ポタージュスープやクリアス ープなど)を使用した食事。
アルサー・ダイエットミール
潰瘍食。白身の肉、魚などの食材を、茹でたり蒸した、消化のよい食事。酸性食品やフ ルーツは含みません。
2011.8.11のブログ「海外旅行と糖質制限食」に関して、もえさんとよしさんからコメントをいただきました。
機内食のお話し、興味深いです。
【11/08/11 もえ
スイスやドイツ
いつも,ありがとうございます。
たしかに,海外旅行をするとき,糖尿人は気を使います。
まずは機内食。食べない,というのも手ですが,12時間ちかくのフライトとなると,そうもいかないですよね。
糖質制限食を始めてから初めて海外旅行,ヨーロッパに行くときに,機内食のリクエストで,結構面倒でした。1食分の糖質を10gに制限する機内食を,と航空会社にリクエストしました(このときは,全日空です)。即答できない,ということでした。数日してから,連絡がありました。成田ーミュンヘンは,できない。でも,復路のミュンヘンー成田はできる,という返事でした。???でしたが,復路はできるということなので,復路だけはお願いしました。往路は,自分で食べられそうなものだけをオーダーしたり,チーズ盛り合わせを出してもらったりで乗り切りました。
ちなみに,そのときのヨーロッパの滞在地はチューリッヒとミュンヘンでした。できるだけ自分で料理しようとして,アパートメントを短期でそれぞれ借りました。で,スーパーやデパートで食材を買ってきて,調理しました。もちろん,成分表示をチェックしてです。そのときに,驚くというか,助かりました。ほぼすべての食品の成分表示に,炭水化物・・g
(うち糖質・・g)と記載されていました。本当に有り難かったですね。あと,ほぼすべてのレストランで,付け合わせのポテトやパンの代わりに何か,とお願いしたら,なんか糖質が少なめのものを多めにしてくれたりしました。そういう意味で,気をつけて生活し,糖質制限料理を自分で作る場合,日本よりもスイスやドイツの方が,圧倒的にやりやすい,ということを初めて知りました。成分不明ですが,血糖値を上げないらしい甘味料は,かならずカフェにはありました。
で,なぜ往路(日本ーミュンヘン)は糖質10g食が無理で,復路(ミュンヘンー日本)は可能なのか,わかるような気がします。日本では,食材の成分表に糖質量が書かれていることの方がマレだと思います。なので,日本にあるケータリングの会社は糖質量の目安を知ることができない。他方で,ドイツの会社は容易にわかる,ってことなんですね。おそらく。
糖尿人になっていろいろ大変なことが増えましたが,いままで気にもしなかったを気にするようになり,いろいろ学習できて楽しいことも増えましたねぇ。
長文失礼しました。】
【11/08/11 よし
江部先生、こんにちは。
海外旅行では機内食が悩みの種ですね。
いろんな航空会社で特別食の用意がありますが、シンガポール航空で興味深いものを見つけました。
http://www.singaporeair.com/ja_JP/flying-with-us/specialmeals/
この中の、「ノン・カーボンハイドレートミール」は、無炭水化物食ですから、糖質制限にうってつけかもしれませんね。
もし、シンガポール航空を利用する機会があれば、試してみます。】
もえさん、よしさん、コメントありがとうございます。
もえさん、「1食分の糖質を10gに制限する機内食」のリクエストに関して、
「成田ーミュンヘンは,できない。でも,復路のミュンヘンー成田はできる」
全日空さん、かなり誠意ある回答ですね。
再生なったJALさん、だったらどうでしょう。
昔の倒産前のJALなら、こんな要求は門前払いだったかもしれませんね。
チューリッヒとミュンヘンのスーパーやデパートでは、炭水化物のg数と糖質のg数が共に表示してあるとは親切です。
チューリッヒとミュンヘンがそうなら、他のEU圏も同様なのでしょうか?
日本では、炭水化物表示がほとんどで、糖質表示はまだまだ少ないです。糖質表示がないとちょっと不便です。
もえさん、ご指摘のように、このようなバックグラウンドの食材成分表示の違いで、日本とドイツのケータリング会社の対応が異なるのだと思います。
よしさん。
http://www.singaporeair.com/ja_JP/flying-with-us/specialmeals/
シンガポール航空のサイト、みてきました。
大変、きめ細かいラインアップであり、びっくりです。
宗教上の理由とか含めて過去いろいろあって、ここまで対応しているのでしょうね。
特別食の中の、健康食のカテゴリーに14種類あって、そのなかに、「ノン・カーボンハイドレートミール」無炭水化物食というのがありますね。
私もその内、10数年ぶりに海外にいくとしたら、是非シンガポール航空を利用したいと思います。
江部康二
☆☆☆参考
シンガポール航空の特別食メニュー
<離乳食・幼児食・お子様食> 3種類
<宗教食> 4種類
<健康食>
ブランドミール
こしょう、チリパウダー、カフェイン、ココア、アルコール等の刺激物を含まない食事。
ダイアベティックミール
糖尿病食。砂糖を含まず、塩は控え目の食事。
フルーツプラッター
フレッシュなフルーツのみを使用した食事。
グルテンフリーミール
無グルテン食。小麦、ライ麦、大麦、オート麦の一切を使用しません。
ローカロリーミール
低カロリー食。脂肪、ソース、グレービー、フライ、糖分の高いものを控えた食事。
ローファットミール
動物性脂質、赤身の肉、皮、えびや揚げ物を含まない。バター、クリーム、全乳、チー ズも含まない。低脂肪肉や低飽和脂肪酸は含みます。
ローファイバー・レジデューミール
低繊維質・低残留物食。繊維質の食品(フルーツ、豆類、野菜、全粒製品など)をおさ えた食事。
ローラクトースミール
低乳糖食。ラクトース(乳糖)や乳製品(牛乳、固形乳、チーズ、クリーム、バター、 ラクトーセ、マーガリンなど)をおさえた食事。
ローソディウム・ミール
低ナトリウム、無塩食。ベーキングパウダー、ソーダ、MSGなど、塩やナトリウムを 含有する食品の使用を控えた食事。調理時に塩を使用しません。
ノン・カーボンハイドレートミール
無炭水化物食。でんぷん質や炭水化物を含まない食事。
ナッツフリーミール
ナッツ類を含まない食事。事前にお手続きが必要です。予約コールセンターにご連絡く ださい。
セミフルイドミール
準流動食。主にピューレ状、ミンチしたもの、消化のよい食品(牛乳、ヨーグルト、お かゆ、挽肉、野菜やフルーツのピューレなど)を使用した食事。
ソフトフルイドミール
軟流動食。主にこしたもの、スープ状(ミルク、おかゆ、ポタージュスープやクリアス ープなど)を使用した食事。
アルサー・ダイエットミール
潰瘍食。白身の肉、魚などの食材を、茹でたり蒸した、消化のよい食事。酸性食品やフ ルーツは含みません。
2011年08月12日 (金)
こんばんは。
リンダさんから、グルコバイやベイスン、そしてファスティックについて、コメント・質問をいただきました。
「11/08/11 リンダ
江部先生 いつも質問にお答えいただき感謝しております
先日、質問させていただきまして、もしお薬を出して頂くなら グルコバイやベイスンというお薬が良いという事でしたので 主治医にこの薬名を申しましたら【ファスティック30mg】を1日1回 という事でした
先生のブログではファスティックという名のお薬が出てこないので 少し不安ですがこれはグルコバイ同様の効果のあるお薬なのでしょうか?
糖質制限食を旅先でもなるべく実行するつもりでおりますが なにぶん食いしん坊なもんで。。。。。」
リンダさん。
グルコバイ、ベイスン、セイブルは、いずれもα-グルコシダーゼ阻害剤という範疇に属すお薬です。
デンプンのような多糖類は、α-アミラーゼという消化酵素の作用を得て、二糖類(麦芽糖や蔗糖)、やオリゴ糖に分解されます。
この二糖類やオリゴ糖は、マルターゼ、スクラーゼ、グルコアミラーゼなどの酵素により単糖(ブドウ糖、果糖、ガラクトースなど)に分解されて小腸から体内に吸収されます。マルターゼ、スクラーゼ、グルコアミラーゼなどの酵素を総称して、α-グルコシダーゼと呼びます。
この、α-グルコシダーゼの働きを阻害することにより、腸管からの糖質の分解・吸収を遅延させて、食後高血糖を抑制するお薬が、『α-グルコシダーゼ阻害剤』(グルコバイ、ベイスン、セイブルなど)です。
グルコバイ(アカルボース)はα-グルコシダーゼだけではなく、α-アミラーゼに対する阻害作用も、もっています。
ベイスン(ボグリボース)やセイブル(ミグリトール)は、α-グルコシダーゼの活性を阻害しますが、α-アミラーゼには影響を与えません。従って、グルコバイのほうが少し効果が強いですが、副作用もややでやすいです。
作用機序から考えて、膵臓のβ細胞には全く影響を与えないので、SU剤のように疲れた膵臓を鞭打つといった欠点はありません。
しかし、食後高血糖を抑制する効果はそれほど強力ではありません。
また、頻度の多い副作用として、分解が遅れて腸管にのこった糖類が醗酵してガスがでたり、お腹が張ったり、下痢をすること。
スーパー 糖質制限食の場合は、ほとんど薬はなしですが、お昼だけ主食ありの『スタンダード 糖質制限食』の時は、グルコバイを内服してもらうことがあります。
従いまして、「糖尿病には糖質制限食」の高雄病院でも比較的使用頻度の高いのが『α-グルコシダーゼ阻害剤』です。
高雄病院入院中にグルコバイ100mgを内服して、昼食に例えば玄米150g、110g、90gとかで実験して、食後2時間血糖値値が180mgを超えない量をリサーチすることも多いです。
つぎに「グルファストやスターシスやファスティックなどのグリニド系薬剤」を主食摂取直前に内服して、一般の糖尿病食を摂取すれば、食後高血糖はあるていど防ぐことができます。
グリニド系薬剤は速効型インスリン分泌促進剤に分類され、内服直後に作用を開始して、約2時間くらい効果が持続します。
SU剤に比べれば作用時間がごく短時間で、膵臓へ与える影響が少ないのが特徴です。
しかし、これらの薬剤の効果も、やはり限定的であり、普通に炊いたご飯を通常の150g摂取したら、ほとんどの糖尿人の食後血糖値は200mgアップとなります。
これは、高雄病院の入院患者さんで何度も確かめました。血糖値を下げるとしても、20~40~60mgくらいでしょうか?
また効果には、個人差があります。
高雄病院の入院患者さんのデータでは、炊いたご飯100~110gくらいなら、グルファストで食後2時間血糖値180mg未満となる人もおられます。
炊いたご飯100~110gでも、グルコバイ単独やグルファスト単独では、180mgを超える糖尿人も、「グルファスト+グルコバイ」なら、食後2時間血糖値180mg未満の一応の目標達成の人。
可能ならば血糖自己測定器を購入して、
空腹時血糖値126mg/dl未満、理想的には110mg/dl未満
食後2時間血糖値180mg/dl未満、理想的には140mg/dl未満
HbA1c6.5%未満、理想的には5.8%以下
を目指してくださいね。
これらの目標が達成されていれば、糖尿病合併症の進行がないとされていますので。
江部康二
リンダさんから、グルコバイやベイスン、そしてファスティックについて、コメント・質問をいただきました。
「11/08/11 リンダ
江部先生 いつも質問にお答えいただき感謝しております
先日、質問させていただきまして、もしお薬を出して頂くなら グルコバイやベイスンというお薬が良いという事でしたので 主治医にこの薬名を申しましたら【ファスティック30mg】を1日1回 という事でした
先生のブログではファスティックという名のお薬が出てこないので 少し不安ですがこれはグルコバイ同様の効果のあるお薬なのでしょうか?
糖質制限食を旅先でもなるべく実行するつもりでおりますが なにぶん食いしん坊なもんで。。。。。」
リンダさん。
グルコバイ、ベイスン、セイブルは、いずれもα-グルコシダーゼ阻害剤という範疇に属すお薬です。
デンプンのような多糖類は、α-アミラーゼという消化酵素の作用を得て、二糖類(麦芽糖や蔗糖)、やオリゴ糖に分解されます。
この二糖類やオリゴ糖は、マルターゼ、スクラーゼ、グルコアミラーゼなどの酵素により単糖(ブドウ糖、果糖、ガラクトースなど)に分解されて小腸から体内に吸収されます。マルターゼ、スクラーゼ、グルコアミラーゼなどの酵素を総称して、α-グルコシダーゼと呼びます。
この、α-グルコシダーゼの働きを阻害することにより、腸管からの糖質の分解・吸収を遅延させて、食後高血糖を抑制するお薬が、『α-グルコシダーゼ阻害剤』(グルコバイ、ベイスン、セイブルなど)です。
グルコバイ(アカルボース)はα-グルコシダーゼだけではなく、α-アミラーゼに対する阻害作用も、もっています。
ベイスン(ボグリボース)やセイブル(ミグリトール)は、α-グルコシダーゼの活性を阻害しますが、α-アミラーゼには影響を与えません。従って、グルコバイのほうが少し効果が強いですが、副作用もややでやすいです。
作用機序から考えて、膵臓のβ細胞には全く影響を与えないので、SU剤のように疲れた膵臓を鞭打つといった欠点はありません。
しかし、食後高血糖を抑制する効果はそれほど強力ではありません。
また、頻度の多い副作用として、分解が遅れて腸管にのこった糖類が醗酵してガスがでたり、お腹が張ったり、下痢をすること。
スーパー 糖質制限食の場合は、ほとんど薬はなしですが、お昼だけ主食ありの『スタンダード 糖質制限食』の時は、グルコバイを内服してもらうことがあります。
従いまして、「糖尿病には糖質制限食」の高雄病院でも比較的使用頻度の高いのが『α-グルコシダーゼ阻害剤』です。
高雄病院入院中にグルコバイ100mgを内服して、昼食に例えば玄米150g、110g、90gとかで実験して、食後2時間血糖値値が180mgを超えない量をリサーチすることも多いです。
つぎに「グルファストやスターシスやファスティックなどのグリニド系薬剤」を主食摂取直前に内服して、一般の糖尿病食を摂取すれば、食後高血糖はあるていど防ぐことができます。
グリニド系薬剤は速効型インスリン分泌促進剤に分類され、内服直後に作用を開始して、約2時間くらい効果が持続します。
SU剤に比べれば作用時間がごく短時間で、膵臓へ与える影響が少ないのが特徴です。
しかし、これらの薬剤の効果も、やはり限定的であり、普通に炊いたご飯を通常の150g摂取したら、ほとんどの糖尿人の食後血糖値は200mgアップとなります。
これは、高雄病院の入院患者さんで何度も確かめました。血糖値を下げるとしても、20~40~60mgくらいでしょうか?
また効果には、個人差があります。
高雄病院の入院患者さんのデータでは、炊いたご飯100~110gくらいなら、グルファストで食後2時間血糖値180mg未満となる人もおられます。
炊いたご飯100~110gでも、グルコバイ単独やグルファスト単独では、180mgを超える糖尿人も、「グルファスト+グルコバイ」なら、食後2時間血糖値180mg未満の一応の目標達成の人。
可能ならば血糖自己測定器を購入して、
空腹時血糖値126mg/dl未満、理想的には110mg/dl未満
食後2時間血糖値180mg/dl未満、理想的には140mg/dl未満
HbA1c6.5%未満、理想的には5.8%以下
を目指してくださいね。
これらの目標が達成されていれば、糖尿病合併症の進行がないとされていますので。
江部康二
2011年08月12日 (金)
こんにちは。
アヒルさんから、「糖尿病と診断されている人が妊娠・出産できるか?」というコメント・質問をいただきました。
【11/08/11 アヒル
江部先生、はじめまして。
「糖尿病 妊娠」で検索致しまして、 先生のブログにたどり着きました。
実は、3ヶ月前に「糖尿病」と診断され、とても落ち込んでいました。
私は30歳、女性です。
結婚しておりますので、これから子供を・・・と、考えていた矢先に、 糖尿病の発覚でした。
空腹時血糖 140
ヘモグロビンa1c 6.1
という結果が半年の検査で2回でました。
食後血糖値の血液検査は来週を予定しています。
ちなみに、2時間以内での尿検査では糖はでていませんでした。
現在、食事療法(1日に摂取するカロリーに気をつける)と、 夕食後の運動(5000歩程度の散歩)で、治療をしています。
とても不安に思っていることは、 糖尿病である私が、妊娠、出産できるかどうかということなのです。
現在、かかっている病院の先生からは「リスクが大きいから、難しいかもしれない」と、言われ、本当にショックでした。
そんな中、江部先生のブログにたどりついたのです。
先生の本「糖質制限食」の存在を知り、 何か救われたように思えました。
私のような場合でも、糖質制限食を行って良いでしょうか。
血糖値が(通常に近い数値まで)下がる希望はあるのでしょうか。
また、これからの妊娠に備えて、体を準備させることはできるのでしょうか。
私の両祖父、父ともども糖尿病でして、 祖父は30年間インスリンを投与しながら、父は薬を飲みながら生活しています。
ですので、糖尿病の恐ろしさを知っているだけに、 とても不安です。
初めてのコメントながら、長文失礼致しました。
もしよろしければお返事いただけますと嬉しいです。】
アヒル さん。
糖尿病とすでに診断がついている人が妊娠すると「糖尿病妊娠」です。
今まで糖尿病ではなかったのに、妊娠中にはじめて妊娠糖尿病の基準を満たすのが「妊娠糖尿病」です。
アヒルさんは、現在すでに糖尿病と診断されているので、妊娠したら「糖尿病妊娠」のほうになりますね。
いずれにせよ、妊娠前の目標と妊娠中の目標を達成すれば何の問題もありません。
スーパー糖質制限食で、ほとんどの人がインスリン注射なしで妊娠・出産が可能となります。
糖尿病の薬物で、妊娠中に使えるのはインスリンだけで、SU剤などは使えません。
アヒルさんは現在、お薬なしと思いますので、早速糖質制限食を実践されたら、すぐに目標達成と思います。
糖尿病の人が主治医から妊娠許可をもらうためには、血糖値の目安としては、妊娠前は食前血糖100mg/dL 未満、食後2時間血糖120mg/dL 未満、HbA1c6%以下が設定されています。
妊娠中のコントロール目標は、「糖尿病妊娠」も「妊娠糖尿病」も
<日本糖尿病学会の妊娠中の血糖値コントロール目標>
空腹時血糖値100mg/dl未満
食後1時間値140mg/dl未満
食後2時間血糖値120mg/dl未満
HbA1c5.8%未満、JDS値、
をめざします。
スーパー糖質制限食なら、薬なしで充分目標達成と思います。
江部康二
☆☆☆☆☆
東京近郊の糖質制限食OKのマタニティークリニックです。
いずれも栄養士さんの糖質制限食栄養指導もありますし、分娩数も豊富です。
宗田マタニティークリニック http://www.muneta.org/map.html
〒290-0024 千葉県市原市根田320-7
TEL : 0436-24-4103
FAX : 0436-24-4112
E-mail : mmc@mbr.nifty.com
休診日 : 木曜日 日曜日
診察時間 : 9:30~12:00/15:00~16:30
(土曜日 16:00迄)
永井クリニック http://www.nagai-cl.com/aces_map.html
〒341-0004 埼玉県三郷市上彦名607-1
TEL 048-959-1311(代)
FAX 048-959-1125
アヒルさんから、「糖尿病と診断されている人が妊娠・出産できるか?」というコメント・質問をいただきました。
【11/08/11 アヒル
江部先生、はじめまして。
「糖尿病 妊娠」で検索致しまして、 先生のブログにたどり着きました。
実は、3ヶ月前に「糖尿病」と診断され、とても落ち込んでいました。
私は30歳、女性です。
結婚しておりますので、これから子供を・・・と、考えていた矢先に、 糖尿病の発覚でした。
空腹時血糖 140
ヘモグロビンa1c 6.1
という結果が半年の検査で2回でました。
食後血糖値の血液検査は来週を予定しています。
ちなみに、2時間以内での尿検査では糖はでていませんでした。
現在、食事療法(1日に摂取するカロリーに気をつける)と、 夕食後の運動(5000歩程度の散歩)で、治療をしています。
とても不安に思っていることは、 糖尿病である私が、妊娠、出産できるかどうかということなのです。
現在、かかっている病院の先生からは「リスクが大きいから、難しいかもしれない」と、言われ、本当にショックでした。
そんな中、江部先生のブログにたどりついたのです。
先生の本「糖質制限食」の存在を知り、 何か救われたように思えました。
私のような場合でも、糖質制限食を行って良いでしょうか。
血糖値が(通常に近い数値まで)下がる希望はあるのでしょうか。
また、これからの妊娠に備えて、体を準備させることはできるのでしょうか。
私の両祖父、父ともども糖尿病でして、 祖父は30年間インスリンを投与しながら、父は薬を飲みながら生活しています。
ですので、糖尿病の恐ろしさを知っているだけに、 とても不安です。
初めてのコメントながら、長文失礼致しました。
もしよろしければお返事いただけますと嬉しいです。】
アヒル さん。
糖尿病とすでに診断がついている人が妊娠すると「糖尿病妊娠」です。
今まで糖尿病ではなかったのに、妊娠中にはじめて妊娠糖尿病の基準を満たすのが「妊娠糖尿病」です。
アヒルさんは、現在すでに糖尿病と診断されているので、妊娠したら「糖尿病妊娠」のほうになりますね。
いずれにせよ、妊娠前の目標と妊娠中の目標を達成すれば何の問題もありません。
スーパー糖質制限食で、ほとんどの人がインスリン注射なしで妊娠・出産が可能となります。
糖尿病の薬物で、妊娠中に使えるのはインスリンだけで、SU剤などは使えません。
アヒルさんは現在、お薬なしと思いますので、早速糖質制限食を実践されたら、すぐに目標達成と思います。
糖尿病の人が主治医から妊娠許可をもらうためには、血糖値の目安としては、妊娠前は食前血糖100mg/dL 未満、食後2時間血糖120mg/dL 未満、HbA1c6%以下が設定されています。
妊娠中のコントロール目標は、「糖尿病妊娠」も「妊娠糖尿病」も
<日本糖尿病学会の妊娠中の血糖値コントロール目標>
空腹時血糖値100mg/dl未満
食後1時間値140mg/dl未満
食後2時間血糖値120mg/dl未満
HbA1c5.8%未満、JDS値、
をめざします。
スーパー糖質制限食なら、薬なしで充分目標達成と思います。
江部康二
☆☆☆☆☆
東京近郊の糖質制限食OKのマタニティークリニックです。
いずれも栄養士さんの糖質制限食栄養指導もありますし、分娩数も豊富です。
宗田マタニティークリニック http://www.muneta.org/map.html
〒290-0024 千葉県市原市根田320-7
TEL : 0436-24-4103
FAX : 0436-24-4112
E-mail : mmc@mbr.nifty.com
休診日 : 木曜日 日曜日
診察時間 : 9:30~12:00/15:00~16:30
(土曜日 16:00迄)
永井クリニック http://www.nagai-cl.com/aces_map.html
〒341-0004 埼玉県三郷市上彦名607-1
TEL 048-959-1311(代)
FAX 048-959-1125
2011年08月11日 (木)
おはようございます。
今回は久しぶりに海外旅行と糖質制限食について考えてみます。
私の患者さんでもそうなのですが、海外旅行では糖質制限食は困難という先入観を持つ糖尿人が結構多いようで、コメントでも時々相談があります。
私、ここ10年以上海外旅行に行ったことがないので、大きなことは言えないのですが、海外でも糖質制限食の旅は充分可能と思いますよ。
日本国内でも外食を考えれば同じことなのですが、地中海料理でもフランス料理でも、どこの料理でも大抵大丈夫です。
フランス料理なら、パンやケーキなどさえ止めておけばフルコース食べることができます。
季節がよければ、ジビエ料理(野生の鳥獣料理)もいいですね。
語学力がある人は、デザートのケーキのかわりにチーズにして貰うのもいいですね。
イタリア料理でパスタがないのはさすがに寂しいですが、お魚やお肉や野菜料理を食べるなら問題はありません。
ギリシャなどの地中海料理はオリーブオイルたっぷりで、海の幸が豊富で糖質制限食OK食材が多いと思います。
中華料理も麺類やご飯やマントウ(パン)や餃子の皮などに注意して、野菜、牛肉、豚肉、海鮮・・・いろんな 糖質制限食OK食材があります。
中華料理は、本場でも砂糖を使っている可能性があるのですが、海外旅行中はこれくらいは目をつぶりますか。
アメリカでも、ステーキやハンバーグは大丈夫ですね。
カナダやオーストラリアは、お肉、お魚、野菜など食材が豊富で、糖質制限食に不自由はしないと思います。
糖尿人でよくヨーロッパに出張される男性の言ですが
「日本料理は、寿司とかダシとか隠し味に砂糖とかをよく使ってあるので、結構血糖値が上昇します。かえってフランス料理のほうが 糖質制限食的です。」
と仰ってました。
この糖尿人、糖質制限食を実践する前は、従来のカロリー制限食に従い、フランスに行ってもわざわざ寿司を食べたりしていたそうです。
そうすると、血糖自己測定器で食後200アップの高血糖連発で困っていたのだそうです。
今は、フランス料理やステーキを食べて、血糖値はほとんど上昇しないそうです。
糖質制限食はカロリー制限食と違って、面倒くさい計算は要りません。
糖質制限食で必要なのは、食材の糖質量だけに留意することです。
まあ、簡単に言えば主食(糖質)を抜いておかずばかり食べていれば、何料理でも概ねOKです。
抜くべき主食やそれに準ずるものとしては、穀物、芋、バナナなどデンプン含有量が多い食材です。
あと、パック旅行などで料理のほとんどがデンプンなどピンチの時の用意に
糖質制限ドットコム
http://www.toushitsuseigen.com/
の大豆クッキー、やわらか蒸し大豆なども携帯用に便利ですね。
あと、ミックスナッツなどは、現地でも調達できますよ。
現地にスーパーがあれば、ハムやソーセージやチーズは手に入ると思います。
どうしても主食を食べざるをえないときのために、グルコバイやベイスンなどαGI阻害剤、あるいはグルファストやスターシスなど速効型インスリン分泌促進剤を主治医に処方して貰っておいて、食直前30秒に内服という選択肢もありますね。これなら食後高血糖があるていど軽減できます。
糖尿人の皆さん、海外に行っても糖質制限食を美味しく楽しくどんどん食べてくださいね。ヾ(^▽^)
江部康二
今回は久しぶりに海外旅行と糖質制限食について考えてみます。
私の患者さんでもそうなのですが、海外旅行では糖質制限食は困難という先入観を持つ糖尿人が結構多いようで、コメントでも時々相談があります。
私、ここ10年以上海外旅行に行ったことがないので、大きなことは言えないのですが、海外でも糖質制限食の旅は充分可能と思いますよ。
日本国内でも外食を考えれば同じことなのですが、地中海料理でもフランス料理でも、どこの料理でも大抵大丈夫です。
フランス料理なら、パンやケーキなどさえ止めておけばフルコース食べることができます。
季節がよければ、ジビエ料理(野生の鳥獣料理)もいいですね。
語学力がある人は、デザートのケーキのかわりにチーズにして貰うのもいいですね。
イタリア料理でパスタがないのはさすがに寂しいですが、お魚やお肉や野菜料理を食べるなら問題はありません。
ギリシャなどの地中海料理はオリーブオイルたっぷりで、海の幸が豊富で糖質制限食OK食材が多いと思います。
中華料理も麺類やご飯やマントウ(パン)や餃子の皮などに注意して、野菜、牛肉、豚肉、海鮮・・・いろんな 糖質制限食OK食材があります。
中華料理は、本場でも砂糖を使っている可能性があるのですが、海外旅行中はこれくらいは目をつぶりますか。
アメリカでも、ステーキやハンバーグは大丈夫ですね。
カナダやオーストラリアは、お肉、お魚、野菜など食材が豊富で、糖質制限食に不自由はしないと思います。
糖尿人でよくヨーロッパに出張される男性の言ですが
「日本料理は、寿司とかダシとか隠し味に砂糖とかをよく使ってあるので、結構血糖値が上昇します。かえってフランス料理のほうが 糖質制限食的です。」
と仰ってました。
この糖尿人、糖質制限食を実践する前は、従来のカロリー制限食に従い、フランスに行ってもわざわざ寿司を食べたりしていたそうです。
そうすると、血糖自己測定器で食後200アップの高血糖連発で困っていたのだそうです。
今は、フランス料理やステーキを食べて、血糖値はほとんど上昇しないそうです。
糖質制限食はカロリー制限食と違って、面倒くさい計算は要りません。
糖質制限食で必要なのは、食材の糖質量だけに留意することです。
まあ、簡単に言えば主食(糖質)を抜いておかずばかり食べていれば、何料理でも概ねOKです。
抜くべき主食やそれに準ずるものとしては、穀物、芋、バナナなどデンプン含有量が多い食材です。
あと、パック旅行などで料理のほとんどがデンプンなどピンチの時の用意に
糖質制限ドットコム
http://www.toushitsuseigen.com/
の大豆クッキー、やわらか蒸し大豆なども携帯用に便利ですね。
あと、ミックスナッツなどは、現地でも調達できますよ。
現地にスーパーがあれば、ハムやソーセージやチーズは手に入ると思います。
どうしても主食を食べざるをえないときのために、グルコバイやベイスンなどαGI阻害剤、あるいはグルファストやスターシスなど速効型インスリン分泌促進剤を主治医に処方して貰っておいて、食直前30秒に内服という選択肢もありますね。これなら食後高血糖があるていど軽減できます。
糖尿人の皆さん、海外に行っても糖質制限食を美味しく楽しくどんどん食べてくださいね。ヾ(^▽^)
江部康二
2011年08月10日 (水)
こんばんは。
先ほど、豊橋から帰京しました。
「豊橋ハートセンター ハートの日」300人を超す参加者で盛況でした。
皆さん熱心に聞いていただき、用意していただいた私の本も全て売り切れて嬉しい限りでした。(⌒o⌒)v
豊橋ハートセンター院長 鈴木孝彦先生とは講演前と講演後に少しお話しする時間があり、糖質制限食のこと以外には、コレステロールのことなどいろいろご教示いただきました。
鈴木先生は米国の心臓専門医ともご懇意で、英文論文の裏側もご存知でした。
例え一流医学雑誌に載った論文でも、結果を鵜呑みにするのは危険ということを、改めて教えていただきました。
鈴木先生、ありがとうございました。m(_ _)mVV
ところで、ぎっくり腰です。
実は私は、ぎっくり腰のプロです。
プロといっても治す方ではなくてなる方のです。 ε-(-Д-)
過去長い人生で20回以上はなったでしょうか。
ひどいときは、2~3日車椅子の世界のことも2~3回ありました。
若い頃(20代)から腰に疲労がたまると、かなり定期的に繰り返しぎっくり腰になってきました。
さて今回は、あろうことか、講演会に出かける直前の今朝、パソコンを終了して、座ったまま腰を捻って斜め後ろに置いてある鞄の中の書類を取ろうとして、ギクッときました。
油断でした。
日頃あまりしない動きをするときは、要注意に決まっているのに、うっかりしました。
ここ2年、毎日ストレッチすることを高雄病院のリハビリ部長にご教示いただいてからは、ほとんど腰痛がなかったので・・・油断でした。(=_=;)
自宅を出てタクシーに乗るときは、冷や汗がでてました。
何とか京都駅に辿り着き、新幹線にのったのですが、何故かタクシーの座席より腰にこたえて往生しました。
豊橋の講演会では、「江部先生って変わった歩き方をするヒトね」とか思われたかもしれませんね。(;ー;)
教訓、糖質制限食でもぎっくり腰は予防できませんでした。
まあ今回は比較的軽症と思います、いや思いたいです。
漢方薬のんで、さっさと寝ることとします。
おやすみなさい。
江部康二
先ほど、豊橋から帰京しました。
「豊橋ハートセンター ハートの日」300人を超す参加者で盛況でした。
皆さん熱心に聞いていただき、用意していただいた私の本も全て売り切れて嬉しい限りでした。(⌒o⌒)v
豊橋ハートセンター院長 鈴木孝彦先生とは講演前と講演後に少しお話しする時間があり、糖質制限食のこと以外には、コレステロールのことなどいろいろご教示いただきました。
鈴木先生は米国の心臓専門医ともご懇意で、英文論文の裏側もご存知でした。
例え一流医学雑誌に載った論文でも、結果を鵜呑みにするのは危険ということを、改めて教えていただきました。
鈴木先生、ありがとうございました。m(_ _)mVV
ところで、ぎっくり腰です。
実は私は、ぎっくり腰のプロです。
プロといっても治す方ではなくてなる方のです。 ε-(-Д-)
過去長い人生で20回以上はなったでしょうか。
ひどいときは、2~3日車椅子の世界のことも2~3回ありました。
若い頃(20代)から腰に疲労がたまると、かなり定期的に繰り返しぎっくり腰になってきました。
さて今回は、あろうことか、講演会に出かける直前の今朝、パソコンを終了して、座ったまま腰を捻って斜め後ろに置いてある鞄の中の書類を取ろうとして、ギクッときました。
油断でした。
日頃あまりしない動きをするときは、要注意に決まっているのに、うっかりしました。
ここ2年、毎日ストレッチすることを高雄病院のリハビリ部長にご教示いただいてからは、ほとんど腰痛がなかったので・・・油断でした。(=_=;)
自宅を出てタクシーに乗るときは、冷や汗がでてました。
何とか京都駅に辿り着き、新幹線にのったのですが、何故かタクシーの座席より腰にこたえて往生しました。
豊橋の講演会では、「江部先生って変わった歩き方をするヒトね」とか思われたかもしれませんね。(;ー;)
教訓、糖質制限食でもぎっくり腰は予防できませんでした。
まあ今回は比較的軽症と思います、いや思いたいです。
漢方薬のんで、さっさと寝ることとします。
おやすみなさい。
江部康二
2011年08月10日 (水)
おはようざいます。
今日は豊橋にでかけます。
「豊橋ハートセンター ハートの日」の講演会です。
わかりやすく楽しいお話しをしたいと思います。
入場無料ですので、お近くの方は、是非どうぞ。
12:20~12:50 まで豊橋少年少女合唱団によるコンサート
13:00~13:45 丸山寛之先生の講演会
「医学記者半世紀-忘れえぬ医師・患者夫婦」の物語
13:50~14:35 江部康二の講演会
「 糖尿病・生活習慣病と糖質制限食」
座長 豊橋ハートセンター院長 鈴木孝彦先生
14:45~15:30 ハート座談会 司会 鈴木孝彦先生
パネリスト 江部康二 宗田理先生 丸山寛之先生
豊橋ハートセンター ハートの日
http://www.heart-center.or.jp/jp/event/20110810.pdf
日時 2011年8月10日(水)
午前8時30分→午后3時30分(講演会は午后1時~)
場所 ホテル日航豊橋 ホリデイホール
入場無料
お問い合わせ ハートの日実行委員会事務局 0532-37-3377
今日は豊橋にでかけます。
「豊橋ハートセンター ハートの日」の講演会です。
わかりやすく楽しいお話しをしたいと思います。
入場無料ですので、お近くの方は、是非どうぞ。
12:20~12:50 まで豊橋少年少女合唱団によるコンサート
13:00~13:45 丸山寛之先生の講演会
「医学記者半世紀-忘れえぬ医師・患者夫婦」の物語
13:50~14:35 江部康二の講演会
「 糖尿病・生活習慣病と糖質制限食」
座長 豊橋ハートセンター院長 鈴木孝彦先生
14:45~15:30 ハート座談会 司会 鈴木孝彦先生
パネリスト 江部康二 宗田理先生 丸山寛之先生
豊橋ハートセンター ハートの日
http://www.heart-center.or.jp/jp/event/20110810.pdf
日時 2011年8月10日(水)
午前8時30分→午后3時30分(講演会は午后1時~)
場所 ホテル日航豊橋 ホリデイホール
入場無料
お問い合わせ ハートの日実行委員会事務局 0532-37-3377
2011年08月09日 (火)
こんにちは。
今回は広島のヒデドンさんから「スーパー糖質制限食で血糖値改善も、やせて困る・・・」というコメント・質問をいただきました。
【11/08/09 ヒデドン
退院後 2回目の検診
江部先生はじめまして
広島在住の58歳の男性です。
去年の夏くらいに足の冷えからはじまり今年の冬には足の痺れと痛みに悩まされそれでも放置していましたが5月に歩くことさえ困難になり開業医に行ったところ糖尿病の診断で大きい病院に紹介され教育入院をしました。
5/2(初検診)
尿蛋白(+-) 血糖値286mg/d Hba1c8.5%
この日より当ブログを見てS糖質制限食を実行です。
5/8(入院)
入院時は血糖値180mg/dで後は200mg/d前後で推移してました。摂取カロリーは1920kcalで設定され主食は朝食パン2枚、昼夕は白米200gでした。
6/20(1回目の検診)
尿蛋白(-) 血糖値125mg/d Hba1c9%
退院後は5月いっぱい言われた内容の食事を守っていました。その後は再びS糖質制限食を実行です。
8/8(2回目の検診)
尿蛋白(-) 血糖値120mg/d Hba1c6.4%
採血はいずれも食後2時間後の数値です。8/8の検診では担当医もびっくりされていましたが体重が初検診から2回目の検診時までに-4kg減っていました。
ちなみに身長170cmで初検診時の体重が54kgです。
担当医「ちゃんとご飯たべようる?」
わたし「夏場で食欲がなくて。。。」
担当医「それにしても体重が減りすぎじゃろ」
わたし「実は、、、主食を食べとらんのうよ」
担当医「そりゃあいけんよ!ちゃんとたべんと体力がもたんよ」
わたし「血糖値が上がりそうで、、、」
担当医「そんときは薬で落としてあげるけえ」
そんなやりとりで「はい、わかりました」と返事はしたものの悩みは体重が減りこそすれ増えないことです。スタンダードかプチ糖質制限食に切り替えた方がよろしいのでしょうか?】
ヒデドンさん。
コメントありがとうございます。
私は修道高校卒業ですので、広島弁が懐かしいです。 (^^)
2011年5月2日、
初診時、血糖値286mg/d Hba1c8.5% 、 170cm 54kg
5月8日入院して
摂取カロリーは1920kcal/日、
主食は朝食パン2枚、昼夕は白米200gを摂取。
その後退院して
5月31日まで、入院時と同様のカロリー制限食を摂取。
6月20日、血糖値125mg/d Hba1c9%
カロリー制限食実践だと、HbA1cは「初診時8.5%→1ヶ月半後9%」とかえって悪化しています。
食パン2枚には糖質が約53g、炊いたご飯200gには糖質が約74g、含まれています。
1gの糖質が体重64kgの2型糖尿人の血糖値を約3mg上昇させます。
カロリー制限しても主食(糖質)を摂取すれば、食後高血糖は必発ですね。
HbA1cは過去2ヶ月間の平均血糖値を反映してますので、9%もあったのでしょう。
6月1日から、スーパー糖質制限食にきりかえて約10週目、8月8日、血糖値120mg/d Hba1c6.4%、170cm 50kg
素晴らしい改善です。
食後2時間血糖値も120mg/dlなので全く問題ありません。
折角、薬なしでここまで改善しておられますので、このままスーパー糖質制限食を続けられるのがよいと思います。
糖尿人においては、スタンダード糖質制限食は1回/日、プチ糖質制限食は2回/日、食後高血糖を生じ、動脈硬化のリスクとなるのが欠点です。
さて、確かに170cm 50kg BMI17.3 と少し痩せすぎですので、工夫が必要ですね。
BMI18.5未満が低体重なので、とりあえず53.5kgを目指しましょう。担当医も体重が回復すれば、糖質制限食を理解していただけるかもしれません。
まず、低カロリーになりすぎてないか、チェックしてみましょう。
糖質制限食ですから、脂質・タンパク質はしっかり摂取して、少なくとも、1920kcal/日は必要と思います。
少食タイプの人は、糖質制限食でおかずばっかり食べると結構お腹いっぱいになり、
結果として量的に不足し低カロリーになることがあります。
高雄病院入院中の糖尿人でも、500キロカロリーの1回のスーパー糖質制限食を、食べきれずに残す方がおられます。
従って、もともと少食のタイプでは、カロリー不足対策が必要です。
このような場合は、間食の出番です。糖質制限OK食材なら、間食もOKです。
具体的には、間食としてナッツ類(アーモンド、カシューナッツ、ピーナッツ・・・)を20~30粒程度なら糖質が約3~5gですので、一日に2~3回は大丈夫です。
それと、糖質制限食でやせ過ぎて困るという人には、通常糖尿人には奨めないのですが、敢えて果物がお奨めです。
果物の中でも、アボカドは、100g(1個)あたりの糖質含有量が0.9gと圧倒的に少ないので、糖尿人にもOKで、とてもいいですね。
その他、100gあたり糖質10g以下の果物は、
いちご、りんご、パパイア、グレープフルーツ、夏みかん、はっさく、メロン、もも・・
などです。
それぞれ
いちご 7粒、
りんご 1/4個、
パパイア 1/2個、
グレープフルーツ 1/4個、
夏みかん 1/4個、
はっさく 1/3個、
メロン 1/8個、
もも中くらい 2/3個
くらいなら、1回の摂取量での糖質は10g以下です。
果物に含まれる糖質は、「果糖・ショ糖・ブドウ糖・ソルビトール・・・」などです。
このうちメインの果糖は、血糖値をほとんど上昇させず、上記ていどの量なら食後高血糖にはなりにくいですが、
カロリーはありブドウ糖より中性脂肪に変わりやすいので体重は増えます。
あとオリーブオイルを調理に積極的に使ってカロリーを稼ぐ手もあります。
やせてる糖尿人には、「ナッツ類、果物適量、オリーブオイル」が三種の神器でしょうか。
江部康二
今回は広島のヒデドンさんから「スーパー糖質制限食で血糖値改善も、やせて困る・・・」というコメント・質問をいただきました。
【11/08/09 ヒデドン
退院後 2回目の検診
江部先生はじめまして
広島在住の58歳の男性です。
去年の夏くらいに足の冷えからはじまり今年の冬には足の痺れと痛みに悩まされそれでも放置していましたが5月に歩くことさえ困難になり開業医に行ったところ糖尿病の診断で大きい病院に紹介され教育入院をしました。
5/2(初検診)
尿蛋白(+-) 血糖値286mg/d Hba1c8.5%
この日より当ブログを見てS糖質制限食を実行です。
5/8(入院)
入院時は血糖値180mg/dで後は200mg/d前後で推移してました。摂取カロリーは1920kcalで設定され主食は朝食パン2枚、昼夕は白米200gでした。
6/20(1回目の検診)
尿蛋白(-) 血糖値125mg/d Hba1c9%
退院後は5月いっぱい言われた内容の食事を守っていました。その後は再びS糖質制限食を実行です。
8/8(2回目の検診)
尿蛋白(-) 血糖値120mg/d Hba1c6.4%
採血はいずれも食後2時間後の数値です。8/8の検診では担当医もびっくりされていましたが体重が初検診から2回目の検診時までに-4kg減っていました。
ちなみに身長170cmで初検診時の体重が54kgです。
担当医「ちゃんとご飯たべようる?」
わたし「夏場で食欲がなくて。。。」
担当医「それにしても体重が減りすぎじゃろ」
わたし「実は、、、主食を食べとらんのうよ」
担当医「そりゃあいけんよ!ちゃんとたべんと体力がもたんよ」
わたし「血糖値が上がりそうで、、、」
担当医「そんときは薬で落としてあげるけえ」
そんなやりとりで「はい、わかりました」と返事はしたものの悩みは体重が減りこそすれ増えないことです。スタンダードかプチ糖質制限食に切り替えた方がよろしいのでしょうか?】
ヒデドンさん。
コメントありがとうございます。
私は修道高校卒業ですので、広島弁が懐かしいです。 (^^)
2011年5月2日、
初診時、血糖値286mg/d Hba1c8.5% 、 170cm 54kg
5月8日入院して
摂取カロリーは1920kcal/日、
主食は朝食パン2枚、昼夕は白米200gを摂取。
その後退院して
5月31日まで、入院時と同様のカロリー制限食を摂取。
6月20日、血糖値125mg/d Hba1c9%
カロリー制限食実践だと、HbA1cは「初診時8.5%→1ヶ月半後9%」とかえって悪化しています。
食パン2枚には糖質が約53g、炊いたご飯200gには糖質が約74g、含まれています。
1gの糖質が体重64kgの2型糖尿人の血糖値を約3mg上昇させます。
カロリー制限しても主食(糖質)を摂取すれば、食後高血糖は必発ですね。
HbA1cは過去2ヶ月間の平均血糖値を反映してますので、9%もあったのでしょう。
6月1日から、スーパー糖質制限食にきりかえて約10週目、8月8日、血糖値120mg/d Hba1c6.4%、170cm 50kg
素晴らしい改善です。
食後2時間血糖値も120mg/dlなので全く問題ありません。
折角、薬なしでここまで改善しておられますので、このままスーパー糖質制限食を続けられるのがよいと思います。
糖尿人においては、スタンダード糖質制限食は1回/日、プチ糖質制限食は2回/日、食後高血糖を生じ、動脈硬化のリスクとなるのが欠点です。
さて、確かに170cm 50kg BMI17.3 と少し痩せすぎですので、工夫が必要ですね。
BMI18.5未満が低体重なので、とりあえず53.5kgを目指しましょう。担当医も体重が回復すれば、糖質制限食を理解していただけるかもしれません。
まず、低カロリーになりすぎてないか、チェックしてみましょう。
糖質制限食ですから、脂質・タンパク質はしっかり摂取して、少なくとも、1920kcal/日は必要と思います。
少食タイプの人は、糖質制限食でおかずばっかり食べると結構お腹いっぱいになり、
結果として量的に不足し低カロリーになることがあります。
高雄病院入院中の糖尿人でも、500キロカロリーの1回のスーパー糖質制限食を、食べきれずに残す方がおられます。
従って、もともと少食のタイプでは、カロリー不足対策が必要です。
このような場合は、間食の出番です。糖質制限OK食材なら、間食もOKです。
具体的には、間食としてナッツ類(アーモンド、カシューナッツ、ピーナッツ・・・)を20~30粒程度なら糖質が約3~5gですので、一日に2~3回は大丈夫です。
それと、糖質制限食でやせ過ぎて困るという人には、通常糖尿人には奨めないのですが、敢えて果物がお奨めです。
果物の中でも、アボカドは、100g(1個)あたりの糖質含有量が0.9gと圧倒的に少ないので、糖尿人にもOKで、とてもいいですね。
その他、100gあたり糖質10g以下の果物は、
いちご、りんご、パパイア、グレープフルーツ、夏みかん、はっさく、メロン、もも・・
などです。
それぞれ
いちご 7粒、
りんご 1/4個、
パパイア 1/2個、
グレープフルーツ 1/4個、
夏みかん 1/4個、
はっさく 1/3個、
メロン 1/8個、
もも中くらい 2/3個
くらいなら、1回の摂取量での糖質は10g以下です。
果物に含まれる糖質は、「果糖・ショ糖・ブドウ糖・ソルビトール・・・」などです。
このうちメインの果糖は、血糖値をほとんど上昇させず、上記ていどの量なら食後高血糖にはなりにくいですが、
カロリーはありブドウ糖より中性脂肪に変わりやすいので体重は増えます。
あとオリーブオイルを調理に積極的に使ってカロリーを稼ぐ手もあります。
やせてる糖尿人には、「ナッツ類、果物適量、オリーブオイル」が三種の神器でしょうか。
江部康二