2011年07月30日 (土)
おはようございます。
7月30日(土)~8月2日(火)まで、信州は八ヶ岳山麓、富士見高原にテニス合宿にでかけます。
富士見高原は標高1200mくらいで、軽井沢より涼しいし、何より安いです。 (^^)
第30回テニス合宿で、なかなかギネスブックもので続いてます。
まあ、テニスの方は、近年は、ほどほど・ぼちぼち・それなりにしかしませんが・・・ (-_-;)
すいませんが、ブログ記事もその間お休みとなります。 o(_ _)o
久しぶりにゆっくりしてきます。ヾ(^▽^)
8月2日(火)の夜、帰京して最後の宴会です。
江部康二
<2011年8月、9月 講演会のご案内>
1)
豊橋ハートセンター ハートの日
http://www.heart-center.or.jp/jp/event/20110810.pdf
日時 2011年8月10日(火)
午前8時30分→午后3時30分(講演会は午后1時~)
場所 ホテル日航豊橋 ホリデイホール
入場無料
私の出番は
13:50~14:35 「糖尿病・生活習慣病と糖質制限食」 江部康二
14:45~15:30 パネルディスカッション
です。
お問い合わせ ハートの日実行委員会事務局 0532-37-3377
2)
朝日カルチャーセンター中之島教室
http://www.asahiculture.com/LES/detail.asp?CNO=123037&userflg=0
糖尿病は必ず良くなる!
- 糖質制限食のすすめ
講師 江部康二
日時 2011年8月23日(火) 10:30-12:00
受講料 会員 2,415円 一般 2,835円
場所 〒530-0005 大阪市北区中之島3-2-4 朝日新聞ビル 5階
お問い合わせ TEL 06-6222-5222
3)
リボーン講演会・糖質制限食マスター講座 vol.3 in 東京、2011.9.4(日)
今回は、江部康二が90分、大柳珠美管理栄養士が55分、休憩5分、質疑応答が30分、とじっくり時間をかけて、最新の糖質制限食基礎理論と実践を皆さんと一緒に勉強したいと思っております。
講 師 江部康二(高雄病院理事長・リボーン理事長)
大柳珠美(管理栄養士・リボーン副理事長)
<期日> 2011年9月4日(日)
<開場> 13時00分
<開演> 13時30分
<終了> 16時30分
<場所> 中野サンプラザ研修室2 (8階)
<アクセス> 東京・JR中野駅北口下車1分。サンプラザ正面エントランスから入り、
左手のエレベーターで8階へ。
<定員> 90名(リボーン会員優先/申込先着順)
<会費> リボーン会員2,400円 リボーン会員ペア4,000円
一般3,000円 一般ペア5,600円
■申し込み及び問い合わせ
リボーン事務局 電話03−3388−5428
e-mail reborn@big.or.jp
■申し込み方法
メールまたは電話でお申し込みの上、事前に郵便振替で会費のお振込をお願いします。
当日受付はいたしません。
入場券は発行しませんので、当日郵便振替の伝票をご持参ください。
なお、欠席される場合、ご入金いただいた会費を返金することはできませんが、配布資料を後日お送りいたします。あらかじめご了承ください。
■振り込み先口座番号 00110-9-393366 口座名称 リボーン
<糖質制限食に関するお知らせ・お願いなど>
【糖質制限食とは】
米国糖尿病協会(ADA)によれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。
これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
1997年版のLife With Diabetes(ADA)では、
「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載がありましたが、2004年版では変更されています。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を上昇させます。従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。
脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。タンパク質はごく少量のインスリンを追加分泌させます。
現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。
食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。
そして、食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。
炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には、55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。
一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても、糖質含有量は1gもないので、食後高血糖はほとんど生じないのです。
なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースに、できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。
抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら、薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、
カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。
なお糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。
一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、低血糖の心配がありますので
必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はほとんどないので、
理論
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」2005年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008年
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009年
「やせる食べ方」2010年
「うちの母は糖尿人」2010年 監修:江部康二 著:伊藤きのと
(東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010年(ナツメ社)
腹いっぱい食べて楽々痩せる『満腹ダイエット』 (ソフトバンク新書) 2011年
レシピ
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006年
「糖質制限食 春のレシピ」2007年
「糖質制限食 夏のレシピ」2007年
「糖質制限食 秋のレシピ」2008年
「糖質制限食 冬のレシピ」2008年
「血糖値を上げない! 健康おつまみ109 」2010年
「やせる食べかたレシピ集」2010年
(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん
(アスペクト)2009年
dancyu プレジデントムック 「満腹ダイエット 」(プレジデント社)2009年
dancyu プレジデントムック 「酒飲みダイエット 」(プレジデント社)2010年
dancyu プレジデントムック 「美食家ダイエット 」(プレジデント社)2011年
糖質オフダイエット (レタスクラブ、角川マーケティング)2011年
誰もがストレスなくやせられる! 糖質制限ダイエット(講談社)2011年
DVD「糖質制限食を語る」http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php 2011年
などを参考にされ、
自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合と、活動性の膵炎がある場合、肝硬変の場合は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。
肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。
なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。
また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。
糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。
【糖質制限食 質問、記事、本に関するお知らせ・お願い】
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
糖質制限食に関する質問についてですが、実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、医師としての責任・債務がありますので、個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。
一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、ボランティアで回答させていただいています。
診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。
また、ブログ記事や本に関しても同様に、糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。
従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m
そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。
質問が増えてきましたので、糖質制限食と関わりがないと判断した質問にはお答えできない場合もありますので、ご了承ください。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、質問がかなり増えてきていますので、なかなか即、お答えすることが困難となってきています。糖質制限食に関わりのある全ての質問に、本文かコメントでお答えするようできるだけ努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内・保険適応】
お問い合わせは高雄病院
http://www.takao-hospital.jp/
住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3
電話:075-871-0245
ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。
【糖質制限食外来治療のご案内・予約制・保険適応】
高雄病院 電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
高雄病院京都駅前診療所 電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
http://www.takao-hospital.net/
江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F
<新刊のご案内>
『腹いっぱい食べて楽々痩せる「満腹ダイエット」』ソフトバンク新書
おはようございます。
新刊のご紹介です。
ソフトバンクの新書のシリーズから
『腹いっぱい食べて楽々痩せる「満腹ダイエット」』 江部康二著
が出版されました。
新書は初めての出版となります。
新書で安価で、最新の糖質制限食理論と実践のノウハウがいっぱいつまっていますので、是非ご一読いただければ幸いです。
2011年6月25日発売ですが、7月初めに早くも重版が決定しまして嬉しい限りです。(^^)
本書で提唱する糖質制限食ダイエット、キーワードは「糖質制限」だけで、あと面倒なカロリー計算などは不要です。
あんまり簡単なので「ずぼらダイエット」と呼ばれることもあります。
「簡単なのはいいけれど糖質を食べなかったら低血糖になりはしませんか?」
と突っ込みが入りそうですが、肝臓の「糖新生」でいつでもブドウ糖をつくっているので低血糖にはならず、全く問題はありません。
さて、初めて糖質制限食の内容を知ったとき、多くの人はきっとびっくりされたことでしょう。
「脂肪はしっかり摂取していいので、糖質だけは減らそう」
という糖質制限食の基本スタンスは、従来のダイエットの常識である「脂肪制限」とは、真っ向から対立するものだからです。
実は私も兄、江部洋一郎院長(当時)が、1999年に高雄病院に初めて糖質制限食を導入したときは、非常識でとんでもない代物と無視していました。
常識の壁は高く厚いものであり、私だけでなく3人いる管理栄養士も同様の対応でした。
そんなとき2001年に私の糖尿病患者さんが血糖値560mg/dl、HbA1c14.5%という重症で入院され、通常のカロリー制限食で1週間経過しても食後血糖値は400mg/dl以上と、あまり改善がありませんでした。
そこでものは試しにと、糖質制限食を導入したところ、食後血糖値はその日から180mg/dlを超えることはなくなり、劇的な改善をみました。内服薬もインスリン注射もまったくなしで、3ヶ月後にはHbA1c6.2%となりました。
この糖質制限食第一号患者さんを経験した後は、目から鱗が落ちた思いで糖質制限食を研究することになりました。
その後、2002年に自分自身が糖尿病と発覚してから、さらに徹底的に勉強し、糖質制限食は糖尿病だけでなく、
肥満やメタボリック・シンドロームを始めとして、様々な生活習慣病に効果があることを多くの症例を経験して確信しました。
糖質制限食というと変わった食事というイメージですが、実は人類本来の自然な食事、人類の健康食なのです。
人類が、ゴリラやチンパンジーと分かれたのが約400万年前です。
その後、7属23種の人類が栄枯盛衰・進化を繰り返し、現在残っているのは、現世人類(ホモ・サピエンス)だけです。
この間農耕が始まるまでの400万年間は、生業は狩猟・採集で、全ての人類が糖質制限食でした。
このように人類の栄養・代謝・生理すべて糖質制限食に適応するように進化してきていますし、勿論妊娠・出産・子育て・日常生活も糖質制限食の中で行われてきました。
農耕が始まり定着して最近の約4000年間だけが、主食が穀物(糖質)へと変化しました。
即ち穀物(糖質)を主食としたのは、人類の歴史の中でわずか1/1000の期間に過ぎないのです。
糖質制限食と高糖質食、どちらが人類にとって自然な食事なのかはいうまでもありません。
糖質制限食という人類の本来の食事、人類の健康食を実践することで、肥満や糖尿病やメタボといった様々な生活習慣病が改善するのもむべなるかなです。
本書が読者の皆さんの、肥満解消そして健康に役立てば幸いです。
江部康二
7月30日(土)~8月2日(火)まで、信州は八ヶ岳山麓、富士見高原にテニス合宿にでかけます。
富士見高原は標高1200mくらいで、軽井沢より涼しいし、何より安いです。 (^^)
第30回テニス合宿で、なかなかギネスブックもので続いてます。
まあ、テニスの方は、近年は、ほどほど・ぼちぼち・それなりにしかしませんが・・・ (-_-;)
すいませんが、ブログ記事もその間お休みとなります。 o(_ _)o
久しぶりにゆっくりしてきます。ヾ(^▽^)
8月2日(火)の夜、帰京して最後の宴会です。
江部康二
<2011年8月、9月 講演会のご案内>
1)
豊橋ハートセンター ハートの日
http://www.heart-center.or.jp/jp/event/20110810.pdf
日時 2011年8月10日(火)
午前8時30分→午后3時30分(講演会は午后1時~)
場所 ホテル日航豊橋 ホリデイホール
入場無料
私の出番は
13:50~14:35 「糖尿病・生活習慣病と糖質制限食」 江部康二
14:45~15:30 パネルディスカッション
です。
お問い合わせ ハートの日実行委員会事務局 0532-37-3377
2)
朝日カルチャーセンター中之島教室
http://www.asahiculture.com/LES/detail.asp?CNO=123037&userflg=0
糖尿病は必ず良くなる!
- 糖質制限食のすすめ
講師 江部康二
日時 2011年8月23日(火) 10:30-12:00
受講料 会員 2,415円 一般 2,835円
場所 〒530-0005 大阪市北区中之島3-2-4 朝日新聞ビル 5階
お問い合わせ TEL 06-6222-5222
3)
リボーン講演会・糖質制限食マスター講座 vol.3 in 東京、2011.9.4(日)
今回は、江部康二が90分、大柳珠美管理栄養士が55分、休憩5分、質疑応答が30分、とじっくり時間をかけて、最新の糖質制限食基礎理論と実践を皆さんと一緒に勉強したいと思っております。
講 師 江部康二(高雄病院理事長・リボーン理事長)
大柳珠美(管理栄養士・リボーン副理事長)
<期日> 2011年9月4日(日)
<開場> 13時00分
<開演> 13時30分
<終了> 16時30分
<場所> 中野サンプラザ研修室2 (8階)
<アクセス> 東京・JR中野駅北口下車1分。サンプラザ正面エントランスから入り、
左手のエレベーターで8階へ。
<定員> 90名(リボーン会員優先/申込先着順)
<会費> リボーン会員2,400円 リボーン会員ペア4,000円
一般3,000円 一般ペア5,600円
■申し込み及び問い合わせ
リボーン事務局 電話03−3388−5428
e-mail reborn@big.or.jp
■申し込み方法
メールまたは電話でお申し込みの上、事前に郵便振替で会費のお振込をお願いします。
当日受付はいたしません。
入場券は発行しませんので、当日郵便振替の伝票をご持参ください。
なお、欠席される場合、ご入金いただいた会費を返金することはできませんが、配布資料を後日お送りいたします。あらかじめご了承ください。
■振り込み先口座番号 00110-9-393366 口座名称 リボーン
<糖質制限食に関するお知らせ・お願いなど>
【糖質制限食とは】
米国糖尿病協会(ADA)によれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。
これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
1997年版のLife With Diabetes(ADA)では、
「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載がありましたが、2004年版では変更されています。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を上昇させます。従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。
脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。タンパク質はごく少量のインスリンを追加分泌させます。
現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。
食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。
そして、食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。
炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には、55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。
一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても、糖質含有量は1gもないので、食後高血糖はほとんど生じないのです。
なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースに、できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。
抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら、薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、
カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。
なお糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。
一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、低血糖の心配がありますので
必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はほとんどないので、
理論
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」2005年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008年
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009年
「やせる食べ方」2010年
「うちの母は糖尿人」2010年 監修:江部康二 著:伊藤きのと
(東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010年(ナツメ社)
腹いっぱい食べて楽々痩せる『満腹ダイエット』 (ソフトバンク新書) 2011年
レシピ
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006年
「糖質制限食 春のレシピ」2007年
「糖質制限食 夏のレシピ」2007年
「糖質制限食 秋のレシピ」2008年
「糖質制限食 冬のレシピ」2008年
「血糖値を上げない! 健康おつまみ109 」2010年
「やせる食べかたレシピ集」2010年
(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん
(アスペクト)2009年
dancyu プレジデントムック 「満腹ダイエット 」(プレジデント社)2009年
dancyu プレジデントムック 「酒飲みダイエット 」(プレジデント社)2010年
dancyu プレジデントムック 「美食家ダイエット 」(プレジデント社)2011年
糖質オフダイエット (レタスクラブ、角川マーケティング)2011年
誰もがストレスなくやせられる! 糖質制限ダイエット(講談社)2011年
DVD「糖質制限食を語る」http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php 2011年
などを参考にされ、
自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合と、活動性の膵炎がある場合、肝硬変の場合は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。
肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。
なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。
また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。
糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。
【糖質制限食 質問、記事、本に関するお知らせ・お願い】
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
糖質制限食に関する質問についてですが、実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、医師としての責任・債務がありますので、個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。
一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、ボランティアで回答させていただいています。
診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。
また、ブログ記事や本に関しても同様に、糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。
従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m
そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。
質問が増えてきましたので、糖質制限食と関わりがないと判断した質問にはお答えできない場合もありますので、ご了承ください。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、質問がかなり増えてきていますので、なかなか即、お答えすることが困難となってきています。糖質制限食に関わりのある全ての質問に、本文かコメントでお答えするようできるだけ努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内・保険適応】
お問い合わせは高雄病院
http://www.takao-hospital.jp/
住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3
電話:075-871-0245
ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。
【糖質制限食外来治療のご案内・予約制・保険適応】
高雄病院 電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
高雄病院京都駅前診療所 電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
http://www.takao-hospital.net/
江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F
<新刊のご案内>
『腹いっぱい食べて楽々痩せる「満腹ダイエット」』ソフトバンク新書
おはようございます。
新刊のご紹介です。
ソフトバンクの新書のシリーズから
『腹いっぱい食べて楽々痩せる「満腹ダイエット」』 江部康二著
が出版されました。
新書は初めての出版となります。
新書で安価で、最新の糖質制限食理論と実践のノウハウがいっぱいつまっていますので、是非ご一読いただければ幸いです。
2011年6月25日発売ですが、7月初めに早くも重版が決定しまして嬉しい限りです。(^^)
本書で提唱する糖質制限食ダイエット、キーワードは「糖質制限」だけで、あと面倒なカロリー計算などは不要です。
あんまり簡単なので「ずぼらダイエット」と呼ばれることもあります。
「簡単なのはいいけれど糖質を食べなかったら低血糖になりはしませんか?」
と突っ込みが入りそうですが、肝臓の「糖新生」でいつでもブドウ糖をつくっているので低血糖にはならず、全く問題はありません。
さて、初めて糖質制限食の内容を知ったとき、多くの人はきっとびっくりされたことでしょう。
「脂肪はしっかり摂取していいので、糖質だけは減らそう」
という糖質制限食の基本スタンスは、従来のダイエットの常識である「脂肪制限」とは、真っ向から対立するものだからです。
実は私も兄、江部洋一郎院長(当時)が、1999年に高雄病院に初めて糖質制限食を導入したときは、非常識でとんでもない代物と無視していました。
常識の壁は高く厚いものであり、私だけでなく3人いる管理栄養士も同様の対応でした。
そんなとき2001年に私の糖尿病患者さんが血糖値560mg/dl、HbA1c14.5%という重症で入院され、通常のカロリー制限食で1週間経過しても食後血糖値は400mg/dl以上と、あまり改善がありませんでした。
そこでものは試しにと、糖質制限食を導入したところ、食後血糖値はその日から180mg/dlを超えることはなくなり、劇的な改善をみました。内服薬もインスリン注射もまったくなしで、3ヶ月後にはHbA1c6.2%となりました。
この糖質制限食第一号患者さんを経験した後は、目から鱗が落ちた思いで糖質制限食を研究することになりました。
その後、2002年に自分自身が糖尿病と発覚してから、さらに徹底的に勉強し、糖質制限食は糖尿病だけでなく、
肥満やメタボリック・シンドロームを始めとして、様々な生活習慣病に効果があることを多くの症例を経験して確信しました。
糖質制限食というと変わった食事というイメージですが、実は人類本来の自然な食事、人類の健康食なのです。
人類が、ゴリラやチンパンジーと分かれたのが約400万年前です。
その後、7属23種の人類が栄枯盛衰・進化を繰り返し、現在残っているのは、現世人類(ホモ・サピエンス)だけです。
この間農耕が始まるまでの400万年間は、生業は狩猟・採集で、全ての人類が糖質制限食でした。
このように人類の栄養・代謝・生理すべて糖質制限食に適応するように進化してきていますし、勿論妊娠・出産・子育て・日常生活も糖質制限食の中で行われてきました。
農耕が始まり定着して最近の約4000年間だけが、主食が穀物(糖質)へと変化しました。
即ち穀物(糖質)を主食としたのは、人類の歴史の中でわずか1/1000の期間に過ぎないのです。
糖質制限食と高糖質食、どちらが人類にとって自然な食事なのかはいうまでもありません。
糖質制限食という人類の本来の食事、人類の健康食を実践することで、肥満や糖尿病やメタボといった様々な生活習慣病が改善するのもむべなるかなです。
本書が読者の皆さんの、肥満解消そして健康に役立てば幸いです。
江部康二
2011年07月29日 (金)
こんにちは。
「インスリンが高い男性は大腸がんになりやすい」
という、厚生労働省研究班の発表が、共同通信社 2007年3月1日 の記事で掲載されました。
それを、2011.06.30 (Thu)のブログ記事「高インスリン血症と高血糖と発がんリスク」で簡単に紹介しました。
今回、その記事のもとになった研究が、
「Int J Cancer. 2007年120巻2007-2012ページ」に論文として掲載されたものを
手に入れることができました。(☆)
また国立がん研究センター、がん予防・検診研究センター研究部による「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果の一つとして
<インスリン関連マーカーと大腸がん罹患との関係について>
がサイトに詳しく掲載されていました。
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/296.html →こちらで図も見ることができます。(☆☆)
興味深いのは、男性だけが高インスリ血症(高Cペプタイド血症)と大腸がん発症のリスクに関連があり、女性ではみられなかったことです。
さらにC-ペプタイド値による大腸がんリスク上昇傾向は、直腸がんよりも結腸がんで、よりはっきりと現れました。
C‐ペプタイドの値の最も高いグループの結腸がんリスクは、最も低いグループの3.5倍でした。
またIGF-Iという物質があります。
インスリン様成長因子-I(IGF-I)には細胞増殖を促す働きがあり、これまでに欧米の研究で繰り返し大腸がんリスクとの関連が示されてきました。
しかし、中国での研究では関連が示されませんでした。今回の研究でも、IGF-Iの値は大腸がんリスクと関連がありませんでした。
IGF-Iが欧米人では大腸がんリスクとなり、アジア人ではリスクとならないのは、遺伝子タイプや生活習慣の影響を受けるのかもしれないとの仮説です。
今回の研究でも、女性では関連がみられませんでした。日本人女性は、欧米の研究対象集団と比べると肥満の割合が低く、C-ペプタイドの値が高い人が少なかったからかもしれないとの仮説です。
また、閉経後女性では脂肪がエストロゲンの主な供給源となるなど、ホルモンを介した肥満の大腸がんへの影響が、女性と男性で違うのかもしれないとの仮説です。
ともあれ、高インスリン血症は、日本人男性において、明確な大腸がんリスクであり、注意が必要です。
江部康二
(☆)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17266031?dopt=Abstract
Int J Cancer. 2007 May 1;120(9):2007-12.
Plasma C-peptide, insulin-like growth factor-I, insulin-like growth factor binding proteins and risk of colorectal cancer in a nested case-control study: the Japan public health center-based prospective study.
Otani T, Iwasaki M, Sasazuki S, Inoue M, Tsugane S; Japan Public Health Center-based Prospective Study Group.
Epidemiology and Prevention Division, Research Center for Cancer Prevention and Screening, National Cancer Center, Tokyo, Japan.
(☆☆)
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/296.html
インスリン関連マーカーと大腸がん罹患との関係について
-「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果-
私たちは、いろいろな生活習慣と、がん・脳卒中・心筋梗塞などの病気との関係を明らかにし、日本人の生活習慣病予防に役立てるための研究を行っています。平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古、大阪府吹田の10保健所(呼称は2005年現在)管内にお住まいだった、40~69才の男女約4万人の方々を、平成15年(2003年)まで追跡した調査結果にもとづいて、インスリン分泌を反映するC-ペプタイドなどの血液検査の値と大腸がん発生率との関連を調べた結果を、専門誌で論文発表しましたので紹介します。
(Int J Cancer. 2007年120巻2007-2012ページ)
保存血液を用いた、コホート内症例対照研究
多目的コホート研究を開始した時期(1990年から1995年まで)に、全対象者約14万人のうち男性約15300人、女性約26700人から、健康診査等の機会を利用して、研究目的で血液を提供していただきました。11年半の追跡期間中、375人(男性196人、女性179人)に大腸がんが発生しました。大腸がんになった方1人に対し、大腸がんにならなかった方から年齢・性別・居住地域・採血時の条件をマッチさせた2人を無作為に選んで対照グループに設定し、合計1125人を今回の研究の分析対象としました。
保存血液を用いて、血清C-ペプタイド、インスリン様成長因子-I(IGF-I)、2種類のインスリン様成長因子結合蛋白(IGFBP-3、IGFBP-1)の濃度を測定し、それぞれ値によって4つのグループに分け、大腸がんリスクを比較しました。
運動不足や肥満で大腸がんリスクが高くなるメカニズムの1つに、高インスリン血症の影響が挙げられます。IGF-Iには細胞増殖を促す働きがあり、IGFBP-1はIGF-Iに結合してその働きを抑えます。運動不足や肥満によって血中のインスリン濃度が下がらなくなると、IGFBP-1の産生が抑制され、IGF-Iの働きが活発になります。血中のIGF-Iの活性が高い状態が続くと、その細胞増殖作用などを通じて、大腸がんの発生リスクが高くなると考えられます。
C-ペプタイド:
体内でインスリンを生成する過程で生じる副産物で、血中や尿中のC-ペプタイド測定は、インスリン測定の代用となる。
IGF-I:
成長ホルモンの働きにより産生される物質で、成長促進、細胞増殖やインスリンに似た作用など、さまざまな働きをする。
IGFBP-3、IGFBP-1:
IGF-Iと結合する蛋白。
男性では、C-ペプタイド値が高いと大腸がんリスクが高くなる
その結果、男性では、C‐ペプタイドの値の最も高いグループの大腸がんリスクは、最も低いグループの3.2倍で、値の高いグループほどリスクがだんだん高くなる関連がみられました。女性では、関連がみられませんでした(図1)。
IGF-I、IGFBP-3、IGFBP-1については、男女とも大腸がんリスクとの関連はみられませんでした。
C-ペプタイドは男性の結腸がんと関連
次に、男性のC-ペプタイドによる大腸がんリスクを、部位別に調べました(図2)。すると、C-ペプタイド値による大腸がんリスク上昇傾向は、直腸がんよりも結腸がんで、よりはっきりと現れました。C‐ペプタイドの値の最も高いグループの結腸がんリスクは、最も低いグループの3.5倍でした。
この研究について
この研究では、インスリン関連マーカーによる大腸がんリスクを部位別に検討しました。その結果、インスリン分泌を表すC-ペプタイドの値が男性の大腸がん、特に結腸がんのリスクと関連することがわかりました。
この主な結果は、これまでの研究と同じです。また、糖尿病の既往がある男性で結腸がんリスクが高くなることを示した本コホート研究からの知見とも一致します。しかし、今回の研究でも、女性では関連がみられませんでした。日本人女性は、欧米の研究対象集団と比べると肥満の割合が低く、C-ペプタイドの値が高い人が少なかったからかもしれません。また、閉経後女性では脂肪がエストロゲンの主な供給源となるなど、ホルモンを介した肥満の大腸がんへの影響が、女性と男性で違うのかもしれません。
IGF-Iについては、これまでに欧米の研究で繰り返し大腸がんリスクとの関連が示されていますが、中国での研究では関連が示されませんでした。今回の研究で、IGF-Iの値が大腸がんリスクと関連がなかったのは、ひとつには、対象者がアジア人であったためかもしれません。IGF-Iと大腸がんリスクの関係は、遺伝子タイプや生活習慣の影響を受けるのかもしれません。
IGF-Iと結合する蛋白であるIGFBP-3やIGFBP-1の値が高いと、メカニズムからいえば大腸がんリスクが低いことが考えられます。しかも、IGFBP-3は細胞増殖を抑制する経路を持つことが示されています。しかし、これまでの疫学研究の結果は必ずしも一致していません。今回の研究でも、関連がみられませんでした。IGFBPについては、今後さらに研究を進め、関係を明らかにする必要があります。
研究用にご提供いただいた血液を用いた研究の実施にあたっては、具体的な研究計画を国立がんセンターの倫理審査委員会に提出し、人を対象とした医学研究における倫理的側面等について審査を受けてから開始します。今回の研究もこの手順を踏んだ後に実施いたしました。国立がんセンターにおける研究倫理審査については、公式ホームページをご参照ください。
多目的コホート研究では、ホームページに保存血液を用いた研究計画のご案内を掲載しています。
「インスリンが高い男性は大腸がんになりやすい」
という、厚生労働省研究班の発表が、共同通信社 2007年3月1日 の記事で掲載されました。
それを、2011.06.30 (Thu)のブログ記事「高インスリン血症と高血糖と発がんリスク」で簡単に紹介しました。
今回、その記事のもとになった研究が、
「Int J Cancer. 2007年120巻2007-2012ページ」に論文として掲載されたものを
手に入れることができました。(☆)
また国立がん研究センター、がん予防・検診研究センター研究部による「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果の一つとして
<インスリン関連マーカーと大腸がん罹患との関係について>
がサイトに詳しく掲載されていました。
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/296.html →こちらで図も見ることができます。(☆☆)
興味深いのは、男性だけが高インスリ血症(高Cペプタイド血症)と大腸がん発症のリスクに関連があり、女性ではみられなかったことです。
さらにC-ペプタイド値による大腸がんリスク上昇傾向は、直腸がんよりも結腸がんで、よりはっきりと現れました。
C‐ペプタイドの値の最も高いグループの結腸がんリスクは、最も低いグループの3.5倍でした。
またIGF-Iという物質があります。
インスリン様成長因子-I(IGF-I)には細胞増殖を促す働きがあり、これまでに欧米の研究で繰り返し大腸がんリスクとの関連が示されてきました。
しかし、中国での研究では関連が示されませんでした。今回の研究でも、IGF-Iの値は大腸がんリスクと関連がありませんでした。
IGF-Iが欧米人では大腸がんリスクとなり、アジア人ではリスクとならないのは、遺伝子タイプや生活習慣の影響を受けるのかもしれないとの仮説です。
今回の研究でも、女性では関連がみられませんでした。日本人女性は、欧米の研究対象集団と比べると肥満の割合が低く、C-ペプタイドの値が高い人が少なかったからかもしれないとの仮説です。
また、閉経後女性では脂肪がエストロゲンの主な供給源となるなど、ホルモンを介した肥満の大腸がんへの影響が、女性と男性で違うのかもしれないとの仮説です。
ともあれ、高インスリン血症は、日本人男性において、明確な大腸がんリスクであり、注意が必要です。
江部康二
(☆)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17266031?dopt=Abstract
Int J Cancer. 2007 May 1;120(9):2007-12.
Plasma C-peptide, insulin-like growth factor-I, insulin-like growth factor binding proteins and risk of colorectal cancer in a nested case-control study: the Japan public health center-based prospective study.
Otani T, Iwasaki M, Sasazuki S, Inoue M, Tsugane S; Japan Public Health Center-based Prospective Study Group.
Epidemiology and Prevention Division, Research Center for Cancer Prevention and Screening, National Cancer Center, Tokyo, Japan.
(☆☆)
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/296.html
インスリン関連マーカーと大腸がん罹患との関係について
-「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果-
私たちは、いろいろな生活習慣と、がん・脳卒中・心筋梗塞などの病気との関係を明らかにし、日本人の生活習慣病予防に役立てるための研究を行っています。平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古、大阪府吹田の10保健所(呼称は2005年現在)管内にお住まいだった、40~69才の男女約4万人の方々を、平成15年(2003年)まで追跡した調査結果にもとづいて、インスリン分泌を反映するC-ペプタイドなどの血液検査の値と大腸がん発生率との関連を調べた結果を、専門誌で論文発表しましたので紹介します。
(Int J Cancer. 2007年120巻2007-2012ページ)
保存血液を用いた、コホート内症例対照研究
多目的コホート研究を開始した時期(1990年から1995年まで)に、全対象者約14万人のうち男性約15300人、女性約26700人から、健康診査等の機会を利用して、研究目的で血液を提供していただきました。11年半の追跡期間中、375人(男性196人、女性179人)に大腸がんが発生しました。大腸がんになった方1人に対し、大腸がんにならなかった方から年齢・性別・居住地域・採血時の条件をマッチさせた2人を無作為に選んで対照グループに設定し、合計1125人を今回の研究の分析対象としました。
保存血液を用いて、血清C-ペプタイド、インスリン様成長因子-I(IGF-I)、2種類のインスリン様成長因子結合蛋白(IGFBP-3、IGFBP-1)の濃度を測定し、それぞれ値によって4つのグループに分け、大腸がんリスクを比較しました。
運動不足や肥満で大腸がんリスクが高くなるメカニズムの1つに、高インスリン血症の影響が挙げられます。IGF-Iには細胞増殖を促す働きがあり、IGFBP-1はIGF-Iに結合してその働きを抑えます。運動不足や肥満によって血中のインスリン濃度が下がらなくなると、IGFBP-1の産生が抑制され、IGF-Iの働きが活発になります。血中のIGF-Iの活性が高い状態が続くと、その細胞増殖作用などを通じて、大腸がんの発生リスクが高くなると考えられます。
C-ペプタイド:
体内でインスリンを生成する過程で生じる副産物で、血中や尿中のC-ペプタイド測定は、インスリン測定の代用となる。
IGF-I:
成長ホルモンの働きにより産生される物質で、成長促進、細胞増殖やインスリンに似た作用など、さまざまな働きをする。
IGFBP-3、IGFBP-1:
IGF-Iと結合する蛋白。
男性では、C-ペプタイド値が高いと大腸がんリスクが高くなる
その結果、男性では、C‐ペプタイドの値の最も高いグループの大腸がんリスクは、最も低いグループの3.2倍で、値の高いグループほどリスクがだんだん高くなる関連がみられました。女性では、関連がみられませんでした(図1)。
IGF-I、IGFBP-3、IGFBP-1については、男女とも大腸がんリスクとの関連はみられませんでした。
C-ペプタイドは男性の結腸がんと関連
次に、男性のC-ペプタイドによる大腸がんリスクを、部位別に調べました(図2)。すると、C-ペプタイド値による大腸がんリスク上昇傾向は、直腸がんよりも結腸がんで、よりはっきりと現れました。C‐ペプタイドの値の最も高いグループの結腸がんリスクは、最も低いグループの3.5倍でした。
この研究について
この研究では、インスリン関連マーカーによる大腸がんリスクを部位別に検討しました。その結果、インスリン分泌を表すC-ペプタイドの値が男性の大腸がん、特に結腸がんのリスクと関連することがわかりました。
この主な結果は、これまでの研究と同じです。また、糖尿病の既往がある男性で結腸がんリスクが高くなることを示した本コホート研究からの知見とも一致します。しかし、今回の研究でも、女性では関連がみられませんでした。日本人女性は、欧米の研究対象集団と比べると肥満の割合が低く、C-ペプタイドの値が高い人が少なかったからかもしれません。また、閉経後女性では脂肪がエストロゲンの主な供給源となるなど、ホルモンを介した肥満の大腸がんへの影響が、女性と男性で違うのかもしれません。
IGF-Iについては、これまでに欧米の研究で繰り返し大腸がんリスクとの関連が示されていますが、中国での研究では関連が示されませんでした。今回の研究で、IGF-Iの値が大腸がんリスクと関連がなかったのは、ひとつには、対象者がアジア人であったためかもしれません。IGF-Iと大腸がんリスクの関係は、遺伝子タイプや生活習慣の影響を受けるのかもしれません。
IGF-Iと結合する蛋白であるIGFBP-3やIGFBP-1の値が高いと、メカニズムからいえば大腸がんリスクが低いことが考えられます。しかも、IGFBP-3は細胞増殖を抑制する経路を持つことが示されています。しかし、これまでの疫学研究の結果は必ずしも一致していません。今回の研究でも、関連がみられませんでした。IGFBPについては、今後さらに研究を進め、関係を明らかにする必要があります。
研究用にご提供いただいた血液を用いた研究の実施にあたっては、具体的な研究計画を国立がんセンターの倫理審査委員会に提出し、人を対象とした医学研究における倫理的側面等について審査を受けてから開始します。今回の研究もこの手順を踏んだ後に実施いたしました。国立がんセンターにおける研究倫理審査については、公式ホームページをご参照ください。
多目的コホート研究では、ホームページに保存血液を用いた研究計画のご案内を掲載しています。
2011年07月29日 (金)
おはようございます。
マウスにおいて
「低炭水化物・高タンパク質食が、腫瘍の発育を抑制し、発がんを予防した。」
という2011.7.28ブログ記事の論文、
低炭水化物・高タンパク質食は
1)炭水化物15.6%、タンパク質58.2%、脂質26.2%の割合です。
一般的な西洋食に比較して、脂質の割合はほぼ一緒で、タンパク質を増やして炭水化物を減らしています。
2)炭水化物8%、タンパク質69%、脂質23%の割合の食事での、さらに厳しい低炭水化物食予備試験も行って効果がありましたが、将来のヒトでの臨床試験を考慮して、1)を選択したとのことです。
江部康二
☆☆☆☆☆
2011.07.28 (Thu)
低炭水化物食が、ガン予防・Cancer Research・2011
こんばんは
Cancer Researchという雑誌は
2010年のインパクト・ファクターは8.234
で一流医学雑誌です。
そのCancer Researchに論文が載りました。
A Low Carbohydrate, High Protein Diet Slows Tumor Growth and Prevents Cancer Initiation
Cancer Res; 71(13); 4484–93. ©2011 AACR.
http://cancerres.aacrjournals.org/content/71/13/4484.full
→フルテキスト論文を見ることができます。
「低炭水化物高タンパク質食が、腫瘍の発育を抑制し、発がんを予防した。」
という題名の論文です。
以下要約を、訳してみました。
<要約>
「がん細胞が正常細胞よりグルコースに依存することより、我々はマウスの腫瘍の成長率における低炭水化物食と西洋食の効果を比較した。
カロリー制限が誘導する効果を避けるため、我々は低炭水化物食と西洋食のカロリーを、脂質よりタンパク質を増やすことで同一にした。何故なら高脂質は腫瘍増進効果が、高タンパク質は免疫刺激効果が報告されているからである。
我々は「低炭水化物・高タンパク食」が「高炭水化物・低タンパク食」に比べて、マウス体内において、マウスとヒトのがんが共に成長が遅くなるのを見いだした。
加えて、低炭水化物食で給餌されたマウスはより低めの血糖値・インスリン・乳酸値を示した。
さらに低炭水化物食による抗腫瘍効果が観察された・・・中略・・・
遺伝的に極めて乳がんになりやすいマウスにおいて、腫瘍出現率は西洋食の場合は1年間で50%近くであったが、低炭水化物食では腫瘍は検出されなかった。
この相違は西洋食のマウスでみられて低炭水化物食では見られなかった体重増加と関連していた。
さらに、西洋食では、がん関連の死亡のため、正常な生存期間であったのはたった1匹であったが、低炭水化物食では50%以上が正常生存期間を超えた。
まとめれば、我々の調査結果は、体重増加だけではなく、がんの発育・進行を制限する、低炭水化物ダイエットの、臨床前の魅力的な可能性の例証を提供するものと思う。」
マウスの実験ですが、低炭水化物食が、がん細胞の増殖を遅くし、乳ガンねずみの発がんを予防したようです。
マウスの段階ですので、まだまだヒトにそのまま当てはめることはできないと思いますし、今後の検討が必要というパターンではあります。しかし、理論的にはとても魅力的ですね。
江部康二
☆☆☆☆☆
Abstract
Since cancer cells depend on glucose more than normal cells, we compared the effects of low carbohydrate (CHO) diets to a Western diet on the growth rate of tumors in mice. To avoid caloric restriction–induced effects, we designed the low CHO diets isocaloric with the Western diet by increasing protein rather than fat levels because of the reported tumor-promoting effects of high fat and the immune-stimulating effects of high protein. We found that both murine and human carcinomas grew slower in mice on diets containing low amylose CHO and high protein compared with a Western diet characterized by relatively high CHO and low protein. There was no weight difference between the tumor-bearing mice on the low CHO or Western diets.
Additionally, the low CHO-fed mice exhibited lower blood glucose, insulin, and lactate levels. Additive antitumor effects with the low CHO diets were observed with the mTOR inhibitor CCI-779 and especially with the COX-2 inhibitor Celebrex, a potent anti-inflammatory drug. Strikingly, in a genetically engineered mouse model of HER-2/neu–induced mammary cancer, tumor penetrance in mice on a Western diet was nearly 50% by the age of 1 year whereas no tumors were detected in mice on the low CHO diet. This difference was associated with weight gains in mice on the Western diet not observed in mice on the low CHO diet. Moreover, whereas only 1 mouse on the Western diet achieved a normal life span, due to cancer-associated deaths, more than 50% of the mice on the low CHO diet reached or exceeded the normal life span. Taken together, our findings offer a compelling preclinical illustration of the ability of a low CHO diet in not only restricting weight gain but also cancer development and progression.
マウスにおいて
「低炭水化物・高タンパク質食が、腫瘍の発育を抑制し、発がんを予防した。」
という2011.7.28ブログ記事の論文、
低炭水化物・高タンパク質食は
1)炭水化物15.6%、タンパク質58.2%、脂質26.2%の割合です。
一般的な西洋食に比較して、脂質の割合はほぼ一緒で、タンパク質を増やして炭水化物を減らしています。
2)炭水化物8%、タンパク質69%、脂質23%の割合の食事での、さらに厳しい低炭水化物食予備試験も行って効果がありましたが、将来のヒトでの臨床試験を考慮して、1)を選択したとのことです。
江部康二
☆☆☆☆☆
2011.07.28 (Thu)
低炭水化物食が、ガン予防・Cancer Research・2011
こんばんは
Cancer Researchという雑誌は
2010年のインパクト・ファクターは8.234
で一流医学雑誌です。
そのCancer Researchに論文が載りました。
A Low Carbohydrate, High Protein Diet Slows Tumor Growth and Prevents Cancer Initiation
Cancer Res; 71(13); 4484–93. ©2011 AACR.
http://cancerres.aacrjournals.org/content/71/13/4484.full
→フルテキスト論文を見ることができます。
「低炭水化物高タンパク質食が、腫瘍の発育を抑制し、発がんを予防した。」
という題名の論文です。
以下要約を、訳してみました。
<要約>
「がん細胞が正常細胞よりグルコースに依存することより、我々はマウスの腫瘍の成長率における低炭水化物食と西洋食の効果を比較した。
カロリー制限が誘導する効果を避けるため、我々は低炭水化物食と西洋食のカロリーを、脂質よりタンパク質を増やすことで同一にした。何故なら高脂質は腫瘍増進効果が、高タンパク質は免疫刺激効果が報告されているからである。
我々は「低炭水化物・高タンパク食」が「高炭水化物・低タンパク食」に比べて、マウス体内において、マウスとヒトのがんが共に成長が遅くなるのを見いだした。
加えて、低炭水化物食で給餌されたマウスはより低めの血糖値・インスリン・乳酸値を示した。
さらに低炭水化物食による抗腫瘍効果が観察された・・・中略・・・
遺伝的に極めて乳がんになりやすいマウスにおいて、腫瘍出現率は西洋食の場合は1年間で50%近くであったが、低炭水化物食では腫瘍は検出されなかった。
この相違は西洋食のマウスでみられて低炭水化物食では見られなかった体重増加と関連していた。
さらに、西洋食では、がん関連の死亡のため、正常な生存期間であったのはたった1匹であったが、低炭水化物食では50%以上が正常生存期間を超えた。
まとめれば、我々の調査結果は、体重増加だけではなく、がんの発育・進行を制限する、低炭水化物ダイエットの、臨床前の魅力的な可能性の例証を提供するものと思う。」
マウスの実験ですが、低炭水化物食が、がん細胞の増殖を遅くし、乳ガンねずみの発がんを予防したようです。
マウスの段階ですので、まだまだヒトにそのまま当てはめることはできないと思いますし、今後の検討が必要というパターンではあります。しかし、理論的にはとても魅力的ですね。
江部康二
☆☆☆☆☆
Abstract
Since cancer cells depend on glucose more than normal cells, we compared the effects of low carbohydrate (CHO) diets to a Western diet on the growth rate of tumors in mice. To avoid caloric restriction–induced effects, we designed the low CHO diets isocaloric with the Western diet by increasing protein rather than fat levels because of the reported tumor-promoting effects of high fat and the immune-stimulating effects of high protein. We found that both murine and human carcinomas grew slower in mice on diets containing low amylose CHO and high protein compared with a Western diet characterized by relatively high CHO and low protein. There was no weight difference between the tumor-bearing mice on the low CHO or Western diets.
Additionally, the low CHO-fed mice exhibited lower blood glucose, insulin, and lactate levels. Additive antitumor effects with the low CHO diets were observed with the mTOR inhibitor CCI-779 and especially with the COX-2 inhibitor Celebrex, a potent anti-inflammatory drug. Strikingly, in a genetically engineered mouse model of HER-2/neu–induced mammary cancer, tumor penetrance in mice on a Western diet was nearly 50% by the age of 1 year whereas no tumors were detected in mice on the low CHO diet. This difference was associated with weight gains in mice on the Western diet not observed in mice on the low CHO diet. Moreover, whereas only 1 mouse on the Western diet achieved a normal life span, due to cancer-associated deaths, more than 50% of the mice on the low CHO diet reached or exceeded the normal life span. Taken together, our findings offer a compelling preclinical illustration of the ability of a low CHO diet in not only restricting weight gain but also cancer development and progression.
2011年07月28日 (木)
こんばんは
Cancer Researchという雑誌は、2010年のインパクト・ファクターは8.234で一流医学雑誌です。
そのCancer Researchに論文が載りました。
A Low Carbohydrate, High Protein Diet Slows Tumor Growth and Prevents Cancer Initiation
Cancer Res; 71(13); 4484–93. ©2011 AACR.
http://cancerres.aacrjournals.org/content/71/13/4484.full
→フルテキスト論文を見ることができます。
「低炭水化物高タンパク質食が、腫瘍の発育を抑制し、発がんを予防した。」
という題名の論文です。
以下要約を、訳してみました。
<要約>
「がん細胞が正常細胞よりグルコースに依存することより、我々はマウスの腫瘍の成長率における低炭水化物食と西洋食の効果を比較した。
カロリー制限が誘導する効果を避けるため、我々は低炭水化物食と西洋食のカロリーを、脂質よりタンパク質を増やすことで同一にした。何故なら高脂質は腫瘍増進効果が、高タンパク質は免疫刺激効果が報告されているからである。
我々は「低炭水化物・高タンパク食」が「高炭水化物・低タンパク食」に比べて、マウス体内において、マウスとヒトのがんが共に成長が遅くなるのを見いだした。
加えて、低炭水化物食で給餌されたマウスはより低めの血糖値・インスリン・乳酸値を示した。
さらに低炭水化物食による抗腫瘍効果が観察された・・・中略・・・
遺伝的に極めて乳がんになりやすいマウスにおいて、腫瘍出現率は西洋食の場合は1年間で50%近くであったが、低炭水化物食では腫瘍は検出されなかった。
この相違は西洋食のマウスでみられて低炭水化物食では見られなかった体重増加と関連していた。
さらに、西洋食では、がん関連の死亡のため、正常な生存期間であったのはたった1匹であったが、低炭水化物食では50%以上が正常生存期間を超えた。
まとめれば、我々の調査結果は、体重増加だけではなく、がんの発育・進行を制限する、低炭水化物ダイエットの、臨床前の魅力的な可能性の例証を提供するものと思う。」
マウスの実験ですが、低炭水化物食が、がん細胞の増殖を遅くし、乳ガンねずみの発がんを予防したようです。
マウスの段階ですので、まだまだヒトにそのまま当てはめることはできないと思いますし、今後の検討が必要というパターンではあります。しかし、理論的にはとても魅力的ですね。
江部康二
☆☆☆☆☆
Abstract
Since cancer cells depend on glucose more than normal cells, we compared the effects of low carbohydrate (CHO) diets to a Western diet on the growth rate of tumors in mice. To avoid caloric restriction–induced effects, we designed the low CHO diets isocaloric with the Western diet by increasing protein rather than fat levels because of the reported tumor-promoting effects of high fat and the immune-stimulating effects of high protein. We found that both murine and human carcinomas grew slower in mice on diets containing low amylose CHO and high protein compared with a Western diet characterized by relatively high CHO and low protein. There was no weight difference between the tumor-bearing mice on the low CHO or Western diets.
Additionally, the low CHO-fed mice exhibited lower blood glucose, insulin, and lactate levels. Additive antitumor effects with the low CHO diets were observed with the mTOR inhibitor CCI-779 and especially with the COX-2 inhibitor Celebrex, a potent anti-inflammatory drug. Strikingly, in a genetically engineered mouse model of HER-2/neu–induced mammary cancer, tumor penetrance in mice on a Western diet was nearly 50% by the age of 1 year whereas no tumors were detected in mice on the low CHO diet. This difference was associated with weight gains in mice on the Western diet not observed in mice on the low CHO diet. Moreover, whereas only 1 mouse on the Western diet achieved a normal life span, due to cancer-associated deaths, more than 50% of the mice on the low CHO diet reached or exceeded the normal life span. Taken together, our findings offer a compelling preclinical illustration of the ability of a low CHO diet in not only restricting weight gain but also cancer development and progression.
Cancer Researchという雑誌は、2010年のインパクト・ファクターは8.234で一流医学雑誌です。
そのCancer Researchに論文が載りました。
A Low Carbohydrate, High Protein Diet Slows Tumor Growth and Prevents Cancer Initiation
Cancer Res; 71(13); 4484–93. ©2011 AACR.
http://cancerres.aacrjournals.org/content/71/13/4484.full
→フルテキスト論文を見ることができます。
「低炭水化物高タンパク質食が、腫瘍の発育を抑制し、発がんを予防した。」
という題名の論文です。
以下要約を、訳してみました。
<要約>
「がん細胞が正常細胞よりグルコースに依存することより、我々はマウスの腫瘍の成長率における低炭水化物食と西洋食の効果を比較した。
カロリー制限が誘導する効果を避けるため、我々は低炭水化物食と西洋食のカロリーを、脂質よりタンパク質を増やすことで同一にした。何故なら高脂質は腫瘍増進効果が、高タンパク質は免疫刺激効果が報告されているからである。
我々は「低炭水化物・高タンパク食」が「高炭水化物・低タンパク食」に比べて、マウス体内において、マウスとヒトのがんが共に成長が遅くなるのを見いだした。
加えて、低炭水化物食で給餌されたマウスはより低めの血糖値・インスリン・乳酸値を示した。
さらに低炭水化物食による抗腫瘍効果が観察された・・・中略・・・
遺伝的に極めて乳がんになりやすいマウスにおいて、腫瘍出現率は西洋食の場合は1年間で50%近くであったが、低炭水化物食では腫瘍は検出されなかった。
この相違は西洋食のマウスでみられて低炭水化物食では見られなかった体重増加と関連していた。
さらに、西洋食では、がん関連の死亡のため、正常な生存期間であったのはたった1匹であったが、低炭水化物食では50%以上が正常生存期間を超えた。
まとめれば、我々の調査結果は、体重増加だけではなく、がんの発育・進行を制限する、低炭水化物ダイエットの、臨床前の魅力的な可能性の例証を提供するものと思う。」
マウスの実験ですが、低炭水化物食が、がん細胞の増殖を遅くし、乳ガンねずみの発がんを予防したようです。
マウスの段階ですので、まだまだヒトにそのまま当てはめることはできないと思いますし、今後の検討が必要というパターンではあります。しかし、理論的にはとても魅力的ですね。
江部康二
☆☆☆☆☆
Abstract
Since cancer cells depend on glucose more than normal cells, we compared the effects of low carbohydrate (CHO) diets to a Western diet on the growth rate of tumors in mice. To avoid caloric restriction–induced effects, we designed the low CHO diets isocaloric with the Western diet by increasing protein rather than fat levels because of the reported tumor-promoting effects of high fat and the immune-stimulating effects of high protein. We found that both murine and human carcinomas grew slower in mice on diets containing low amylose CHO and high protein compared with a Western diet characterized by relatively high CHO and low protein. There was no weight difference between the tumor-bearing mice on the low CHO or Western diets.
Additionally, the low CHO-fed mice exhibited lower blood glucose, insulin, and lactate levels. Additive antitumor effects with the low CHO diets were observed with the mTOR inhibitor CCI-779 and especially with the COX-2 inhibitor Celebrex, a potent anti-inflammatory drug. Strikingly, in a genetically engineered mouse model of HER-2/neu–induced mammary cancer, tumor penetrance in mice on a Western diet was nearly 50% by the age of 1 year whereas no tumors were detected in mice on the low CHO diet. This difference was associated with weight gains in mice on the Western diet not observed in mice on the low CHO diet. Moreover, whereas only 1 mouse on the Western diet achieved a normal life span, due to cancer-associated deaths, more than 50% of the mice on the low CHO diet reached or exceeded the normal life span. Taken together, our findings offer a compelling preclinical illustration of the ability of a low CHO diet in not only restricting weight gain but also cancer development and progression.
2011年07月27日 (水)
こんにちは。
以前、新聞報道を本ブログ記事で紹介したと思いますが、国立がん研究センター、がん予防・検診研究センター研究部による「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果の一つ
<米飯摂取と糖尿病との関連について>
が、がん予防・検診研究センター研究部のサイト
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/2418.html
で正式に、発表されていました。
AJCNという一流雑誌に論文として掲載されました。
(American Journal of Clinical Nutrition 2010年12巻1468-77)
お茶碗1杯が約140gとして、1日に420g以上の米飯を食べる女性は、有意に糖尿病発症が多いです。
さらに1日に560g以上の米飯を摂取する女性は、もっと糖尿病発症が多いです。
この差は、男性の全体データでは、はっきりしません。
しかし、1日1時間未満の筋肉労働の男性では、米飯摂取が多いと糖尿病発症が有意に増加していました。
一方、1日1時間以上筋肉労働をする男性では、米飯摂取量増加による糖尿病発症の増加はありませんでした。
また、1日1時間未満の筋肉労働の女性では、米飯摂取が多いと糖尿病発症が増加傾向でした。
一方、1日1時間以上筋肉労働をする女性では、米飯摂取量増加による糖尿病発症の増加はありませんでした。
男女とも1日1時間以上の筋肉労働をすれば、ご飯をしっかり食べても糖尿病発症のリスクにならないようです。
一方、1日1時間未満の筋肉労働の人は、男女ともにご飯を多く食べると糖尿病発症のリスクになるということですね。
ご飯好きの人は、しっかり勉強しておきたい情報でした。
江部康二
☆☆☆☆☆
以下、がん予防・検診研究センター研究部のサイトから転載
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/2418.html →図表もみることができます。
米飯摂取と糖尿病との関連について
-「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果-
私たちは、いろいろな生活習慣と、がん・脳卒中・心筋梗塞などの病気との関係を明らかにし、日本人の生活習慣病予防に役立てるための研究を行っています。平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の9保健所(呼称は2010年現在)管内にお住まいだった方々のうち、研究開始から5年後に行った調査時に糖尿病やがん、循環器疾患になっていなかった45~74歳の男女約6万人を、5年間追跡した調査結果にもとづいて、米飯摂取と糖尿病発症との関連を調べた結果を、専門誌で論文発表しましたので紹介します(American Journal of Clinical Nutrition 2010年12巻1468-77ページ)。
炭水化物の高摂取は糖尿病のリスクを高めることが諸外国の研究で報告されていますが、米を主食とする日本人において米飯摂取により糖尿病のリスクが高まるかどうかは明らかではありません。そこで、米飯摂取と糖尿病発症との関連について検討しました。
女性で糖尿病発症のリスクが上昇
研究開始から5年後に行なったアンケート調査の結果を用いて、米飯の摂取量により4つのグループに分類し、その後5年間の糖尿病発症(男性625人、女性478人)との関連を調べました。糖尿病の発症は、研究開始10年後に行った自記式調査で、上記追跡期間内に糖尿病と診断されたことがある場合としました。
その結果、女性では米飯摂取が多くなるほど糖尿病発症のリスクが上昇する傾向が認められました。摂取量が最も少ないグループに比べ1日3杯および1日4杯以上のグループでは糖尿病のリスクがそれぞれ1.48倍、1.65倍に上昇していました(図1)。さらに、米飯にあわ・ひえ・麦を混ぜない人に限って調べたところ、より強い関連がみられました。男性でも同様の傾向がみられましたが、統計学的に有意なリスク上昇ではありませんでした。パンやめん類では糖尿病リスクとの関連は認めませんでした。
筋肉労働や激しいスポーツをしない人で、米飯摂取による糖尿病リスクが上昇
筋肉労働や激しいスポーツを1日1時間以上する人としない人に分けて調べたところ、米飯摂取により糖尿病のリスクが上昇する傾向は男女ともにそのような活動をしない人において認められましたが、1日1時間以上する人ではみられませんでした(図2)。
今回の研究では、女性及び筋肉労働をしていない男性において、米飯摂取により糖尿病発症のリスクが上昇するという結果が得られました。その理由として、白米は精白の過程で糖尿病に予防的に働く食物繊維やマグネシウムが失われることや、食後の血糖上昇の指標であるグリセミックインデックスが高いことが挙げられます。筋肉労働や激しいスポーツを1日1時間以上しない人でのみ米飯摂取により糖尿病のリスクが上昇していたことから、身体活動量が高い人では米飯摂取が多くてもエネルギーの消費と摂取のバランスが保たれていることが考えられます。また、女性においては、米飯に雑穀を混ぜない人で糖尿病のリスクがさらに上昇していたことから、糖尿病予防には、日常の身体活動量を増やすとともに、雑穀を取り入れるなどの米飯摂取後の血糖上昇を抑えるような工夫も大切であると考えられます。
今回の研究では、全対象者に実施された食物摂取頻度アンケート調査から、各グループの米飯摂取量(中央値)を算出すると、最も少ないグループは、男性では280g、女性では165g、最も多いグループは、男性では700g、女性では560gでした。これらの値は、対象者の一部に実施されたより直接的な食事記録調査から算出された値と対比すると、男性では9%多く、女性では4%少なく見積もっています。
多目的コホート研究などで用いられる食物摂取頻度アンケート調査は、摂取量による相対的なグループ分けには適していますが、それだけで実際の摂取量を正確に推定するのは難しく、また年齢や時代・居住地域などが限定された対象集団の値を一般化することは適当とは言えませんので、ここに示した摂取量はあくまで参考値にすぎません。
以前、新聞報道を本ブログ記事で紹介したと思いますが、国立がん研究センター、がん予防・検診研究センター研究部による「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果の一つ
<米飯摂取と糖尿病との関連について>
が、がん予防・検診研究センター研究部のサイト
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/2418.html
で正式に、発表されていました。
AJCNという一流雑誌に論文として掲載されました。
(American Journal of Clinical Nutrition 2010年12巻1468-77)
お茶碗1杯が約140gとして、1日に420g以上の米飯を食べる女性は、有意に糖尿病発症が多いです。
さらに1日に560g以上の米飯を摂取する女性は、もっと糖尿病発症が多いです。
この差は、男性の全体データでは、はっきりしません。
しかし、1日1時間未満の筋肉労働の男性では、米飯摂取が多いと糖尿病発症が有意に増加していました。
一方、1日1時間以上筋肉労働をする男性では、米飯摂取量増加による糖尿病発症の増加はありませんでした。
また、1日1時間未満の筋肉労働の女性では、米飯摂取が多いと糖尿病発症が増加傾向でした。
一方、1日1時間以上筋肉労働をする女性では、米飯摂取量増加による糖尿病発症の増加はありませんでした。
男女とも1日1時間以上の筋肉労働をすれば、ご飯をしっかり食べても糖尿病発症のリスクにならないようです。
一方、1日1時間未満の筋肉労働の人は、男女ともにご飯を多く食べると糖尿病発症のリスクになるということですね。
ご飯好きの人は、しっかり勉強しておきたい情報でした。
江部康二
☆☆☆☆☆
以下、がん予防・検診研究センター研究部のサイトから転載
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/2418.html →図表もみることができます。
米飯摂取と糖尿病との関連について
-「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果-
私たちは、いろいろな生活習慣と、がん・脳卒中・心筋梗塞などの病気との関係を明らかにし、日本人の生活習慣病予防に役立てるための研究を行っています。平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の9保健所(呼称は2010年現在)管内にお住まいだった方々のうち、研究開始から5年後に行った調査時に糖尿病やがん、循環器疾患になっていなかった45~74歳の男女約6万人を、5年間追跡した調査結果にもとづいて、米飯摂取と糖尿病発症との関連を調べた結果を、専門誌で論文発表しましたので紹介します(American Journal of Clinical Nutrition 2010年12巻1468-77ページ)。
炭水化物の高摂取は糖尿病のリスクを高めることが諸外国の研究で報告されていますが、米を主食とする日本人において米飯摂取により糖尿病のリスクが高まるかどうかは明らかではありません。そこで、米飯摂取と糖尿病発症との関連について検討しました。
女性で糖尿病発症のリスクが上昇
研究開始から5年後に行なったアンケート調査の結果を用いて、米飯の摂取量により4つのグループに分類し、その後5年間の糖尿病発症(男性625人、女性478人)との関連を調べました。糖尿病の発症は、研究開始10年後に行った自記式調査で、上記追跡期間内に糖尿病と診断されたことがある場合としました。
その結果、女性では米飯摂取が多くなるほど糖尿病発症のリスクが上昇する傾向が認められました。摂取量が最も少ないグループに比べ1日3杯および1日4杯以上のグループでは糖尿病のリスクがそれぞれ1.48倍、1.65倍に上昇していました(図1)。さらに、米飯にあわ・ひえ・麦を混ぜない人に限って調べたところ、より強い関連がみられました。男性でも同様の傾向がみられましたが、統計学的に有意なリスク上昇ではありませんでした。パンやめん類では糖尿病リスクとの関連は認めませんでした。
筋肉労働や激しいスポーツをしない人で、米飯摂取による糖尿病リスクが上昇
筋肉労働や激しいスポーツを1日1時間以上する人としない人に分けて調べたところ、米飯摂取により糖尿病のリスクが上昇する傾向は男女ともにそのような活動をしない人において認められましたが、1日1時間以上する人ではみられませんでした(図2)。
今回の研究では、女性及び筋肉労働をしていない男性において、米飯摂取により糖尿病発症のリスクが上昇するという結果が得られました。その理由として、白米は精白の過程で糖尿病に予防的に働く食物繊維やマグネシウムが失われることや、食後の血糖上昇の指標であるグリセミックインデックスが高いことが挙げられます。筋肉労働や激しいスポーツを1日1時間以上しない人でのみ米飯摂取により糖尿病のリスクが上昇していたことから、身体活動量が高い人では米飯摂取が多くてもエネルギーの消費と摂取のバランスが保たれていることが考えられます。また、女性においては、米飯に雑穀を混ぜない人で糖尿病のリスクがさらに上昇していたことから、糖尿病予防には、日常の身体活動量を増やすとともに、雑穀を取り入れるなどの米飯摂取後の血糖上昇を抑えるような工夫も大切であると考えられます。
今回の研究では、全対象者に実施された食物摂取頻度アンケート調査から、各グループの米飯摂取量(中央値)を算出すると、最も少ないグループは、男性では280g、女性では165g、最も多いグループは、男性では700g、女性では560gでした。これらの値は、対象者の一部に実施されたより直接的な食事記録調査から算出された値と対比すると、男性では9%多く、女性では4%少なく見積もっています。
多目的コホート研究などで用いられる食物摂取頻度アンケート調査は、摂取量による相対的なグループ分けには適していますが、それだけで実際の摂取量を正確に推定するのは難しく、また年齢や時代・居住地域などが限定された対象集団の値を一般化することは適当とは言えませんので、ここに示した摂取量はあくまで参考値にすぎません。
2011年07月26日 (火)
おはようございます。
2011年8月、9月の糖質制限食講演会のご案内です。
江部康二
1)
豊橋ハートセンター ハートの日
http://www.heart-center.or.jp/jp/event/20110810.pdf
日時 2011年8月10日(火)
午前8時30分→午后3時30分(講演会は午后1時~)
場所 ホテル日航豊橋 ホリデイホール
入場無料
私の出番は
13:50~14:35 「糖尿病・生活習慣病と糖質制限食」 江部康二
14:45~15:30 パネルディスカッション
です。
お問い合わせ ハートの日実行委員会事務局 0532-37-3377
2)
朝日カルチャーセンター中之島教室
http://www.asahiculture.com/LES/detail.asp?CNO=123037&userflg=0
糖尿病は必ず良くなる! 糖質制限食のすすめ
講師 江部康二
日時 2011年8月23日(火) 10:30-12:00
受講料 会員 2,415円 一般 2,835円
場所 〒530-0005 大阪市北区中之島3-2-4 朝日新聞ビル 5階
お問い合わせ TEL 06-6222-5222
3)
リボーン講演会・糖質制限食マスター講座 vol.3 in 東京、2011.9.4(日)
今回は、江部康二が90分、大柳珠美管理栄養士が55分、休憩5分、質疑応答が30分、とじっくり時間をかけて、最新の糖質制限食基礎理論と実践を皆さんと一緒に勉強したいと思っております。
講 師 江部康二(高雄病院理事長・リボーン理事長)
大柳珠美(管理栄養士・リボーン副理事長)
<期日> 2011年9月4日(日)
<開場> 13時00分
<開演> 13時30分
<終了> 16時30分
<場所> 中野サンプラザ研修室2 (8階)
<アクセス> 東京・JR中野駅北口下車1分。サンプラザ正面エントランスから入り、
左手のエレベーターで8階へ。
<定員> 90名(リボーン会員優先/申込先着順)
<会費> リボーン会員2,400円 リボーン会員ペア4,000円
一般3,000円 一般ペア5,600円
■申し込み及び問い合わせ
リボーン事務局 電話03−3388−5428
e-mail reborn@big.or.jp
■申し込み方法
メールまたは電話でお申し込みの上、事前に郵便振替で会費のお振込をお願いします。
当日受付はいたしません。
入場券は発行しませんので、当日郵便振替の伝票をご持参ください。
なお、欠席される場合、ご入金いただいた会費を返金することはできませんが、配布資料を後日お送りいたします。あらかじめご了承ください。
■振り込み先口座番号 00110-9-393366 口座名称 リボーン
2011年8月、9月の糖質制限食講演会のご案内です。
江部康二
1)
豊橋ハートセンター ハートの日
http://www.heart-center.or.jp/jp/event/20110810.pdf
日時 2011年8月10日(火)
午前8時30分→午后3時30分(講演会は午后1時~)
場所 ホテル日航豊橋 ホリデイホール
入場無料
私の出番は
13:50~14:35 「糖尿病・生活習慣病と糖質制限食」 江部康二
14:45~15:30 パネルディスカッション
です。
お問い合わせ ハートの日実行委員会事務局 0532-37-3377
2)
朝日カルチャーセンター中之島教室
http://www.asahiculture.com/LES/detail.asp?CNO=123037&userflg=0
糖尿病は必ず良くなる! 糖質制限食のすすめ
講師 江部康二
日時 2011年8月23日(火) 10:30-12:00
受講料 会員 2,415円 一般 2,835円
場所 〒530-0005 大阪市北区中之島3-2-4 朝日新聞ビル 5階
お問い合わせ TEL 06-6222-5222
3)
リボーン講演会・糖質制限食マスター講座 vol.3 in 東京、2011.9.4(日)
今回は、江部康二が90分、大柳珠美管理栄養士が55分、休憩5分、質疑応答が30分、とじっくり時間をかけて、最新の糖質制限食基礎理論と実践を皆さんと一緒に勉強したいと思っております。
講 師 江部康二(高雄病院理事長・リボーン理事長)
大柳珠美(管理栄養士・リボーン副理事長)
<期日> 2011年9月4日(日)
<開場> 13時00分
<開演> 13時30分
<終了> 16時30分
<場所> 中野サンプラザ研修室2 (8階)
<アクセス> 東京・JR中野駅北口下車1分。サンプラザ正面エントランスから入り、
左手のエレベーターで8階へ。
<定員> 90名(リボーン会員優先/申込先着順)
<会費> リボーン会員2,400円 リボーン会員ペア4,000円
一般3,000円 一般ペア5,600円
■申し込み及び問い合わせ
リボーン事務局 電話03−3388−5428
e-mail reborn@big.or.jp
■申し込み方法
メールまたは電話でお申し込みの上、事前に郵便振替で会費のお振込をお願いします。
当日受付はいたしません。
入場券は発行しませんので、当日郵便振替の伝票をご持参ください。
なお、欠席される場合、ご入金いただいた会費を返金することはできませんが、配布資料を後日お送りいたします。あらかじめご了承ください。
■振り込み先口座番号 00110-9-393366 口座名称 リボーン
2011年07月25日 (月)
こんばんは。
健康日本21推進フォーラム(高久史麿理事長・自治医科大学学長)は、2011年7月7日、検診後の受診率、受療率調査の結果を発表しました。
以下は報道用資料の詳しい版、PDFファイルです。
http://prw.kyodonews.jp/prwfile/release/M000261/201107057711/_prw_fl1_1T4btIOx.pdf
本調査は、過去1年間の健康診断で「血糖値」が高く、「要治療」と判定された男女500人を対象に、2011年6月1~3日にかけてインターネット調査を実施した結果です。
調査の結果、健康診断で「要治療」という判定がでているにも関わらず、2割強(23%)が受診していませんでした。
特に30歳代は4割(41%)が未受診でした。20歳代30.0%、40歳代14.0%、50歳代19.0%が未受信でした。
また「未受診者」と「非受療者(受診はしたものの無治療)」を合わせた『放置群』は、約4割(39%)もありました。
30代に至っては6割近く(58%)が放置群を占めることがわかりました。
30代の継続治療率は42%、20代は45%と低い数字です。
これに対して、40代以上は70%以上が継続して治療を受けていました。
やはり年齢が高くなるほど、一定の危機感があるのでしょうね。
ともあれ、糖尿病治療開始は、早ければ早いほどいです。早期治療により高血糖の持続による合併症が予防できるからです。
勿論、糖質制限食で血糖コントロール良好を保つのも、早ければ早いほどいいです。
5年、10年高血糖を放置して、その後糖質制限食でコントロール良好になっても、過去の「高血糖の記憶」が借金としてずっと残ります。
健康診断で「要治療」の判定がでて、放置している20代、30代の糖尿人の方々、まだまだ間に合います。
是非、糖質制限食を開始して薬物に頼ることなく、血糖コントロール良好を保ち将来の合併症を予防しましょう。
江部康二
☆☆☆☆参考
高血糖の記憶
糖尿病血管合併症のメカニズムを特徴的に説明する、高血糖の記憶(hyperglycemic memory)と呼ばれる概念があります。
「高血糖の記憶」とは、過去の高血糖レベルとその曝露期間が生体に記憶され、その後の血管合併症の進展を左右するという考え方です。
ヒトの糖尿病において、この「高血糖の記憶」の存在を示すエビデンス(証拠)として、米国の1型糖尿病患者の大規模臨床研究・DCCTのフォローアップ試験であるEDIC-DCCTの報告があります。
DCCTでは、1型糖尿病患者を従来の通常療法群と、より厳格に血糖管理を行う強化療法群に分け、平均6.5年間追跡しました。
その結果、通常療法群に比べ強化療法群で平均HbA1c値が1.9%低下し、強化療法群で血管合併症の進展リスクが大幅に減少しました。(*)
同研究終了後に行われたEDIC-DCCTでは、通常療法群にも強化療法を実施し、両群をさらに平均11年間追跡しました。
つまり「継続的な強化療法群」と「通常療法→強化療法群」の2つのグループの比較が、DCCT終了後11年間行われたことになりますね。
その結果、開始から3~4年で両群の平均HbA1c値がほぼ同等となったにも関わらず、11年間の心筋梗塞、脳卒中、心血管死のリスクは「継続的な強化療法群」の方がやはり低かった(相対リスク57%低下)ことが報告されたのです。(**)
すなわち、糖尿人において一定期間血糖コントロールが不良であれば、高血糖の記憶が「借金」のように生体内に残り、その後良好なコントロールが得られても、血管合併症リスクの差は縮まらないことが示されたわけです。
この借金の正体が、組織沈着AGEではないかと言われています。
まだ仮説ではありますが、組織に沈着したAGEが血管を傷害し続け、動脈硬化の元凶となり「高血糖の記憶」を最もよく説明するとされています。(***)
高血糖の記憶・借金を残さないためには、糖尿病発症の初期の段階から血糖コントロールを保つことが大切です。当然、早ければ早いほどいいわけです。
糖尿人の皆さん、カロリー制限食(高糖質食)では必ず、食後高血糖が生じ将来に借金を残します。
是非、糖質制限食で速やかな血糖コントロールを目指して下さいね。
(*)N Engl J Med 1993; 329: 977-986
(**)N Engl J Med 2005; 353: 2643-2653
(***)AGE
タンパク質と糖が結びついた物質で、Advanced Glycation End-productの頭文字をとってAGEと呼ばれます。日本語では終末糖化産物と訳されています。
過剰な血糖は、糖化反応により血管壁のコラーゲンなど様々なタンパク質に付着します。付着した糖は一部変性してアマドリ化合物(変性ブドウ糖)となります。このアマドリ化合物と糖が結合しAGEができます。AGEは、糖尿病合併症を引き起こす、重大な原因の1つです。
健康日本21推進フォーラム(高久史麿理事長・自治医科大学学長)は、2011年7月7日、検診後の受診率、受療率調査の結果を発表しました。
以下は報道用資料の詳しい版、PDFファイルです。
http://prw.kyodonews.jp/prwfile/release/M000261/201107057711/_prw_fl1_1T4btIOx.pdf
本調査は、過去1年間の健康診断で「血糖値」が高く、「要治療」と判定された男女500人を対象に、2011年6月1~3日にかけてインターネット調査を実施した結果です。
調査の結果、健康診断で「要治療」という判定がでているにも関わらず、2割強(23%)が受診していませんでした。
特に30歳代は4割(41%)が未受診でした。20歳代30.0%、40歳代14.0%、50歳代19.0%が未受信でした。
また「未受診者」と「非受療者(受診はしたものの無治療)」を合わせた『放置群』は、約4割(39%)もありました。
30代に至っては6割近く(58%)が放置群を占めることがわかりました。
30代の継続治療率は42%、20代は45%と低い数字です。
これに対して、40代以上は70%以上が継続して治療を受けていました。
やはり年齢が高くなるほど、一定の危機感があるのでしょうね。
ともあれ、糖尿病治療開始は、早ければ早いほどいです。早期治療により高血糖の持続による合併症が予防できるからです。
勿論、糖質制限食で血糖コントロール良好を保つのも、早ければ早いほどいいです。
5年、10年高血糖を放置して、その後糖質制限食でコントロール良好になっても、過去の「高血糖の記憶」が借金としてずっと残ります。
健康診断で「要治療」の判定がでて、放置している20代、30代の糖尿人の方々、まだまだ間に合います。
是非、糖質制限食を開始して薬物に頼ることなく、血糖コントロール良好を保ち将来の合併症を予防しましょう。
江部康二
☆☆☆☆参考
高血糖の記憶
糖尿病血管合併症のメカニズムを特徴的に説明する、高血糖の記憶(hyperglycemic memory)と呼ばれる概念があります。
「高血糖の記憶」とは、過去の高血糖レベルとその曝露期間が生体に記憶され、その後の血管合併症の進展を左右するという考え方です。
ヒトの糖尿病において、この「高血糖の記憶」の存在を示すエビデンス(証拠)として、米国の1型糖尿病患者の大規模臨床研究・DCCTのフォローアップ試験であるEDIC-DCCTの報告があります。
DCCTでは、1型糖尿病患者を従来の通常療法群と、より厳格に血糖管理を行う強化療法群に分け、平均6.5年間追跡しました。
その結果、通常療法群に比べ強化療法群で平均HbA1c値が1.9%低下し、強化療法群で血管合併症の進展リスクが大幅に減少しました。(*)
同研究終了後に行われたEDIC-DCCTでは、通常療法群にも強化療法を実施し、両群をさらに平均11年間追跡しました。
つまり「継続的な強化療法群」と「通常療法→強化療法群」の2つのグループの比較が、DCCT終了後11年間行われたことになりますね。
その結果、開始から3~4年で両群の平均HbA1c値がほぼ同等となったにも関わらず、11年間の心筋梗塞、脳卒中、心血管死のリスクは「継続的な強化療法群」の方がやはり低かった(相対リスク57%低下)ことが報告されたのです。(**)
すなわち、糖尿人において一定期間血糖コントロールが不良であれば、高血糖の記憶が「借金」のように生体内に残り、その後良好なコントロールが得られても、血管合併症リスクの差は縮まらないことが示されたわけです。
この借金の正体が、組織沈着AGEではないかと言われています。
まだ仮説ではありますが、組織に沈着したAGEが血管を傷害し続け、動脈硬化の元凶となり「高血糖の記憶」を最もよく説明するとされています。(***)
高血糖の記憶・借金を残さないためには、糖尿病発症の初期の段階から血糖コントロールを保つことが大切です。当然、早ければ早いほどいいわけです。
糖尿人の皆さん、カロリー制限食(高糖質食)では必ず、食後高血糖が生じ将来に借金を残します。
是非、糖質制限食で速やかな血糖コントロールを目指して下さいね。
(*)N Engl J Med 1993; 329: 977-986
(**)N Engl J Med 2005; 353: 2643-2653
(***)AGE
タンパク質と糖が結びついた物質で、Advanced Glycation End-productの頭文字をとってAGEと呼ばれます。日本語では終末糖化産物と訳されています。
過剰な血糖は、糖化反応により血管壁のコラーゲンなど様々なタンパク質に付着します。付着した糖は一部変性してアマドリ化合物(変性ブドウ糖)となります。このアマドリ化合物と糖が結合しAGEができます。AGEは、糖尿病合併症を引き起こす、重大な原因の1つです。
2011年07月24日 (日)
【糖質制限食とは】
米国糖尿病協会(ADA)によれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。
これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
1997年版のLife With Diabetes(ADA)では、
「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載がありましたが、2004年版では変更されています。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を上昇させます。
従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。
脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。タンパク質はごく少量のインスリンを追加分泌させます。
現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。
食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。
そして、食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。
炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には、55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。
一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても、糖質含有量は1gもないので、食後高血糖はほとんど生じないのです。
なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースに、できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。
抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら、薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。
なお糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。
一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はほとんどないので、
理論
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」2005年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008年
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009年
「やせる食べ方」2010年
「うちの母は糖尿人」2010年 監修:江部康二 著:伊藤きのと
(東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010年(ナツメ社)
腹いっぱい食べて楽々痩せる『満腹ダイエット』 (ソフトバンク新書) 2011年
レシピ
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006年
「糖質制限食 春のレシピ」2007年
「糖質制限食 夏のレシピ」2007年
「糖質制限食 秋のレシピ」2008年
「糖質制限食 冬のレシピ」2008年
「血糖値を上げない! 健康おつまみ109 」2010年
「やせる食べかたレシピ集」2010年
(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん
(アスペクト)2009年
dancyu プレジデントムック 「満腹ダイエット 」(プレジデント社)2009年
dancyu プレジデントムック 「酒飲みダイエット 」(プレジデント社)2010年
dancyu プレジデントムック 「美食家ダイエット 」(プレジデント社)2011年
糖質オフダイエット (レタスクラブ、角川マーケティング)2011年
誰もがストレスなくやせられる! 糖質制限ダイエット(講談社)2011年
DVD「糖質制限食を語る」http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php 2011年
などを参考にされ、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合と、活動性の膵炎がある場合、肝硬変の場合は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。
肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。
なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。
また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。
糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。
【糖質制限食 質問、記事、本に関するお知らせ・お願い】
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
糖質制限食に関する質問についてですが、実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、医師としての責任・債務がありますので、個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。
一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、ボランティアで回答させていただいています。
診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。
また、ブログ記事や本に関しても同様に、糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。
従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m
そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。
質問が増えてきましたので、糖質制限食と関わりがないと判断した質問にはお答えできない場合もありますので、ご了承ください。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。
質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、質問がかなり増えてきていますので、なかなか即、お答えすることが困難となってきています。
糖質制限食に関わりのある全ての質問に、本文かコメントでお答えするようできるだけ努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内・保険適応】
お問い合わせは高雄病院
http://www.takao-hospital.jp/
住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3
電話:075-871-0245
ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。
【糖質制限食外来治療のご案内・予約制・保険適応】
高雄病院 電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
高雄病院京都駅前診療所 電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
http://www.takao-hospital.net/
江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F
米国糖尿病協会(ADA)によれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。
これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
1997年版のLife With Diabetes(ADA)では、
「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載がありましたが、2004年版では変更されています。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を上昇させます。
従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。
脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。タンパク質はごく少量のインスリンを追加分泌させます。
現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。
食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。
そして、食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。
炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には、55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。
一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても、糖質含有量は1gもないので、食後高血糖はほとんど生じないのです。
なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースに、できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。
抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら、薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。
なお糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。
一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。
このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はほとんどないので、
理論
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」2005年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008年
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009年
「やせる食べ方」2010年
「うちの母は糖尿人」2010年 監修:江部康二 著:伊藤きのと
(東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010年(ナツメ社)
腹いっぱい食べて楽々痩せる『満腹ダイエット』 (ソフトバンク新書) 2011年
レシピ
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006年
「糖質制限食 春のレシピ」2007年
「糖質制限食 夏のレシピ」2007年
「糖質制限食 秋のレシピ」2008年
「糖質制限食 冬のレシピ」2008年
「血糖値を上げない! 健康おつまみ109 」2010年
「やせる食べかたレシピ集」2010年
(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん
(アスペクト)2009年
dancyu プレジデントムック 「満腹ダイエット 」(プレジデント社)2009年
dancyu プレジデントムック 「酒飲みダイエット 」(プレジデント社)2010年
dancyu プレジデントムック 「美食家ダイエット 」(プレジデント社)2011年
糖質オフダイエット (レタスクラブ、角川マーケティング)2011年
誰もがストレスなくやせられる! 糖質制限ダイエット(講談社)2011年
DVD「糖質制限食を語る」http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php 2011年
などを参考にされ、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合と、活動性の膵炎がある場合、肝硬変の場合は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。
肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。
なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。
また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。
糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。
【糖質制限食 質問、記事、本に関するお知らせ・お願い】
ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
糖質制限食に関する質問についてですが、実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、医師としての責任・債務がありますので、個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。
一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、ボランティアで回答させていただいています。
診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。
また、ブログ記事や本に関しても同様に、糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。
従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m
そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。
質問が増えてきましたので、糖質制限食と関わりがないと判断した質問にはお答えできない場合もありますので、ご了承ください。m(_ _)m
普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)
掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。
質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。
一方、質問がかなり増えてきていますので、なかなか即、お答えすることが困難となってきています。
糖質制限食に関わりのある全ての質問に、本文かコメントでお答えするようできるだけ努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m
それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。
【糖質制限食コントロール・教育入院のご案内・保険適応】
お問い合わせは高雄病院
http://www.takao-hospital.jp/
住所:京都市右京区梅ヶ畑畑町3
電話:075-871-0245
ベットが空くまでお待ち頂くこともありますがご了承下さい。
【糖質制限食外来治療のご案内・予約制・保険適応】
高雄病院 電話:075-871-0245
京都市右京区梅ヶ畑畑町3
高雄病院京都駅前診療所 電話:075-352-5050
京都市下京区七条通り烏丸東入ル(50M)北側 ネオフィス 七条烏丸4F
http://www.takao-hospital.net/
江部診療所 電話:075-712-8133
京都市左京区下鴨高木町6 アトリエ・フォー 2F
2011年07月23日 (土)
こんにちは。
週刊文春で、先週発売の7月21日号から糖尿病の特集記事が始まりました。3回くらい続く予定だそうです。
第一回目は、糖尿病「2000万人の真実」という特集で、合併症を中心とした記事でした。
そして、2011年7月20日発売の、「7月28日号」において糖尿病「2000万人の真実」2、が特集されました。
この記事では、「最新治療」完全ルポということで、糖質制限食も好意的に紹介され、私も少しですが登場してます。インクレチン関連薬などの記事もあります。
週刊文春の記者さん、先週、高雄病院まで来られて、1時間半ほど熱心に取材して帰られました。
以下は、私の登場部分です。
【高雄病院(京都市)の江部康二理事長は、自身も糖尿病を発症して、〇二年から糖質制限食を続けている。
「私の父親は糖尿病で、七十七歳の時に大腿部を切断し、三年後に心筋梗塞で亡くなりました。母親も糖尿病で八十八歳になりますが、糖質制限食を実践して、今も元気です。
脂肪・タンパク質は血糖値を上げず、米・小麦等の糖質だけが上昇させることは、世界中の医師が知っていますが、日本ではまだ異端です。
しかし、常識は変わりつつあります。妊娠糖尿病では、インスリンを注射するしか治療法がなく、肥満になるという問題があるのですが、埼玉県の産婦人科では、糖質制限食の臨床研究がはじまりました。」】
このほか、AGE牧田クリニックの牧田善二医師と、北里研究所病院糖尿病センター長の山田悟医師も、糖質制限食賛成の立場から、コメントを述べておられます。
山田悟医師は、2011年7月10日、東京で開催された「第8回 西東京病態栄養研修会」において、糖質制限食賛成の立場でディべートに参加されました。頼もしい限りです。
糖質制限食の普及に向けて、一歩一歩ですが、前進を感じる今日この頃です。
江部康二
週刊文春で、先週発売の7月21日号から糖尿病の特集記事が始まりました。3回くらい続く予定だそうです。
第一回目は、糖尿病「2000万人の真実」という特集で、合併症を中心とした記事でした。
そして、2011年7月20日発売の、「7月28日号」において糖尿病「2000万人の真実」2、が特集されました。
この記事では、「最新治療」完全ルポということで、糖質制限食も好意的に紹介され、私も少しですが登場してます。インクレチン関連薬などの記事もあります。
週刊文春の記者さん、先週、高雄病院まで来られて、1時間半ほど熱心に取材して帰られました。
以下は、私の登場部分です。
【高雄病院(京都市)の江部康二理事長は、自身も糖尿病を発症して、〇二年から糖質制限食を続けている。
「私の父親は糖尿病で、七十七歳の時に大腿部を切断し、三年後に心筋梗塞で亡くなりました。母親も糖尿病で八十八歳になりますが、糖質制限食を実践して、今も元気です。
脂肪・タンパク質は血糖値を上げず、米・小麦等の糖質だけが上昇させることは、世界中の医師が知っていますが、日本ではまだ異端です。
しかし、常識は変わりつつあります。妊娠糖尿病では、インスリンを注射するしか治療法がなく、肥満になるという問題があるのですが、埼玉県の産婦人科では、糖質制限食の臨床研究がはじまりました。」】
このほか、AGE牧田クリニックの牧田善二医師と、北里研究所病院糖尿病センター長の山田悟医師も、糖質制限食賛成の立場から、コメントを述べておられます。
山田悟医師は、2011年7月10日、東京で開催された「第8回 西東京病態栄養研修会」において、糖質制限食賛成の立場でディべートに参加されました。頼もしい限りです。
糖質制限食の普及に向けて、一歩一歩ですが、前進を感じる今日この頃です。
江部康二
2011年07月22日 (金)
こんばんは。
本ブログには、かなり大量の過去記事があります。
自分でも何を書いたかいちいち覚えていないほどで、ドクター江部の糖尿病徒然日記そのものが、糖尿病、肥満関連etc・・・の膨大なデータベースと言えます。
そして残念なことに「ドクター江部の糖尿病徒然日記」が存在する
無料レンタルブログサイト「FC2 BLOG」
の検索機能は弱くて遅いです。
ただで借りていて文句をいっているようで「FC2 BLOG」さん、すいません。o(_ _)o
でも、自分で過去記事を検索することも多いのですが、もともといまいちです。
なおかつ今年になって、「FC2 BLOG」の検索、さらに激遅で、フリーズすることもあり、ほとんどものの役にたちません。(*- -)(*_ _)
そこでやっと気がついて、グーグルで検索してみました。
そうすると早い早い、感動です。(⌒o⌒)v
体感として、「FC2 BLOG」の検索機能より、「グーグル」の検索機能のほうが、10倍以上早いし、いろんな語句への対応も適切です。
グーグルで、例えば「暁現象 江部」、「運動 江部」、「肥満 江部」・・・などで検索すると1秒以内に「ドクター江部の糖尿病徒然日記」の関連記事が表示され、兎に角早いです。
グーグルで検索する以外の過去記事の調べ方は、カテゴリーの一覧から、自分で目的の記事に辿り着くパターンもあります。
例えばカテゴリー欄の上から6番目の「糖質管理食」をクリックすると、関係記事が最近のものから順番に6つ表示されます。
カテゴリー欄の上から15番目の「ケトン体」をクリックすると、関係記事が最近のものから順番に33個表示されます。
また私がコメント欄や記事で、
【2011.07.02 (Sat)の本ブログ記事『ケトン食、あの「コクラン ライブラリー」が採用』
をご参照ください】
などとと記載したときは、月間アーカイブの欄で、2011年7月をクリックして、上から順番にスクロールして、7月2日まで辿り着いていただけば幸いです。
江部康二
本ブログには、かなり大量の過去記事があります。
自分でも何を書いたかいちいち覚えていないほどで、ドクター江部の糖尿病徒然日記そのものが、糖尿病、肥満関連etc・・・の膨大なデータベースと言えます。
そして残念なことに「ドクター江部の糖尿病徒然日記」が存在する
無料レンタルブログサイト「FC2 BLOG」
の検索機能は弱くて遅いです。
ただで借りていて文句をいっているようで「FC2 BLOG」さん、すいません。o(_ _)o
でも、自分で過去記事を検索することも多いのですが、もともといまいちです。
なおかつ今年になって、「FC2 BLOG」の検索、さらに激遅で、フリーズすることもあり、ほとんどものの役にたちません。(*- -)(*_ _)
そこでやっと気がついて、グーグルで検索してみました。
そうすると早い早い、感動です。(⌒o⌒)v
体感として、「FC2 BLOG」の検索機能より、「グーグル」の検索機能のほうが、10倍以上早いし、いろんな語句への対応も適切です。
グーグルで、例えば「暁現象 江部」、「運動 江部」、「肥満 江部」・・・などで検索すると1秒以内に「ドクター江部の糖尿病徒然日記」の関連記事が表示され、兎に角早いです。
グーグルで検索する以外の過去記事の調べ方は、カテゴリーの一覧から、自分で目的の記事に辿り着くパターンもあります。
例えばカテゴリー欄の上から6番目の「糖質管理食」をクリックすると、関係記事が最近のものから順番に6つ表示されます。
カテゴリー欄の上から15番目の「ケトン体」をクリックすると、関係記事が最近のものから順番に33個表示されます。
また私がコメント欄や記事で、
【2011.07.02 (Sat)の本ブログ記事『ケトン食、あの「コクラン ライブラリー」が採用』
をご参照ください】
などとと記載したときは、月間アーカイブの欄で、2011年7月をクリックして、上から順番にスクロールして、7月2日まで辿り着いていただけば幸いです。
江部康二
2011年07月22日 (金)

おはようございます。
ACCORDとLancet誌2010年2月6日号の報告に関連して、3回にわたり現行の<糖尿病食(糖質たっぷり)と糖尿病薬物療法>の問題点を考察してきました。
さて今回は
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」(ナツメ社) 江部康二著
のご案内です。
糖尿病の本の最新刊として2010年12月出版しました。
レシピ集ではなく、理論篇に属する私の糖尿病の最新の本です。
おかげさまで、第4刷となりました。
アマゾンのレビュー
http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4816349960/ref=dp_db_cm_cr_acr_txt?ie=UTF8&showViewpoints=1
楽天のレビュー
http://review.rakuten.co.jp/rd/2_213310_14198947_0/
でも好評です。
糖質制限食や糖尿病関連の最新情報が満載ですので、是非ご一読くださいね。
最新糖質制限食理論、症例、図表、食材のカラー写真・・・、糖尿病・妊娠糖尿病の最新の診断基準・・・Q&Aなど、わかりやすくて豊富な内容となったと自負しています。
特徴として、巻頭に、ブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」の記事にさせていただいたコメントと私の回答を、個人情報が特定できないように一部加工して、10症例報告しています。
コメントいただいた皆さんにはこの場を借りて、御礼申し上げます。m(_ _)mVV
以下は「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」(ナツメ社)の、「はじめに」です。
☆☆☆
はじめに
2005年1月に日本初の糖質制限食の本「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)を出版してから、5年の歳月が経過しました。幸い16刷と版を重ねており、糖質制限食が日本に広がるきっかけになったと嬉しく思っています。糖質制限食関連の私の本も著書・共著・監修含めて合計14冊に達しましたが、本書が15冊目です。当初はほぼ孤立無援の戦いでしたが、この間糖質制限食に理解を示す医師や栄養士も明らかに増えています。医学雑誌「治療」に2009年4月、「内科」に2010年1月、糖質制限食関連の小論文を執筆させていただいたのもその現れとありがたく思っています。2007年2月から、ブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」を開始したことも、それなりの効果があったと思います。本書の内容にはブログ記事からの引用もあり、ブログ読者の皆さんにはこの場を借りて御礼申し上げます。2010年10月現在で、1日に5000~7000件のアクセスがある人気ブログとなっていて、これも嬉しい限りです。ほぼ毎日ブログ更新していますので、祇園あたりに飲みにいく機会が激減して、健康にも財布にも非常に良い副次効果が出ています。さて糖質制限食の理論面において、2009年に一つ大きな変化がありました。正確には2004年に米国であった変化に、私が気がついたのが2009年ということです。すなわち、米国糖尿病協会によれば食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わり、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。糖質は摂取直後から急峻に血糖値を上昇させ2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。一方蛋白質・脂質は血糖値に影響をあたえません。1997年版の米国糖尿病協会の見解では「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」という記載がありましたが、2004年版では削除されています。これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質であり、現在動脈硬化の元凶として問題とされているグルコーススパイク(食後高血糖)を引き起こすのは3大栄養素の中で糖質だけです。従って糖質を摂取しなければ食後高血糖は生じず、血糖値はリアルタイムに改善します。一方カロリー制限をしても糖質を摂取すれば必ず食後高血糖を生じます。このような重要な生理学的知識ですが、欧米では医師も看護師も栄養士も糖尿病患者さんも皆知っています。日本では医師でさえも、ほとんどの人が知らないのが現状ですので、まさにガラパゴス状態でおおいに問題です。また英国の栄養学の大著、ヒューマン・ニュートリションにも『現代の食事では、中略、デンプンや遊離糖に由来する「利用されやすいグルコース」を大量に摂取するようになっている。このような食事内容は血漿グルコースおよびインスリン値の定期的な上昇をもたらし、糖尿病、冠状動脈疾患、がん、老化等、多くの点で健康に有害であることが強く指摘されている。農業の発明以来、ヒトは穀物をベースとした食物を摂取するようになったが、進化に要する時間の尺度は長く、ヒトの消化管はまだ穀物ベースの食物に適応していない。ましてや高度に加工された現代の食物に対して、到底適応しきれてないのである。』と記載されていて、私の提唱しているグルコースミニスパイク論に根拠を与えるものであり、心強い限りです。さらに、戦後日本で糖質摂取が減り続け、脂質摂取が増え続けたという定説も間違いであり、単なる神話に過ぎなかったことも本書であきらかにしています。本書には2010年現在の糖質制限食の最新知識が網羅されています。是非ご一読いただけば幸いです。
*Life With Diabetes:A Siries of Teaching Outlines by the Michigan Diabetes Research and Training Center,American Diabetes Assoiation ,3rd Ed,2004
*ヒューマン・ニュートリション基礎・食事・臨床(第10版):75、JS Garrow 、WPT james、A Ralph 編、日本語版監修、細谷憲政.2004
江部康二
2011年07月21日 (木)
こんにちは。
今回は、ACCORD後シリーズの最後です。
ACCORDは、米国とカナダの77施設の10251例による大規模臨床試験です。
2008年2月、厳格血糖管理群における総死亡率および心血管死亡率が、通常血糖管理群を有意に上回ることが確認され、同試験は5年間の期間満了を待たずに平均追跡期間3.4年で中止となりました。
中止時の平均HbA1cは、厳格血糖管理群6.4%、通常血糖管理群7.5%でした。
この結果は2008年の米国糖尿病学会で報告されました。
さらに
「2型糖尿病患者の死亡率はHbA1c7.5%前後が最も低い」
という衝撃的な後ろ向きコホート研究報告が、英国の医学雑誌Lancet誌2010年2月6日号に、英Cardiff大学のCraig J Currie氏により発表されました。
以下ランセット誌からの抜粋です。
【1986年11月から2008年11月に登録された患者の中から、50歳以上の2型糖尿病患者を選出、2つのコホートを作成。
コホート1は経口血糖降下薬の単剤投与を受けた後に、スルホニルウレアとメトホルミンの併用に切り替えられた患者2万7965人。
コホート2は経口糖尿病薬からインスリンの単剤投与、またはインスリンを他の経口薬と併用するレジメンに変更された患者2万5人。
コホート1においてもコホート2に置いても、治療中の2型糖尿病患者の全死因死亡や大血管イベントのリスクは、
HbA1c値が7.5%前後のグループで最も低かった。】
「今後の研究で確認されれば、ガイドラインのHbA1cを特定の値より下げすぎないよう指示する必要が出てくるだろう。」
との見解を著者らは述べています。
HbA1cが9%、10%のグループの死亡率が、7.5%のグループより高いことは容易に頷けますが、6.5%のグループの死亡率も7.5%のグループより高かったことは、従来の常識では考えられないことであり、世界の医学界は衝撃を受けました。
結局、北米と英国の大規模臨床試験において、HbA1c6.4%と厳格に薬物治療すると、HbA1c7.5%ていどのグループに比較して、かえって総死亡率および心血管死亡率が上昇するという、同一のパラドックスが報告されたわけです。
このパラドックスの理由については、2011.07.20 (Wed)の本ブログ記事
「ACCORD後の血糖管理・推奨HbA1cは? 2011年米国糖尿病学会」
において考察しました。
すなわち<薬物療法+糖質摂取>による血糖値の乱高下が、死亡率上昇の大きな要因と考えられます。
こうなると、従来の糖尿病食(糖質たっぷり)を摂取しながら、インスリン注射や経口血糖降下薬などを内服している糖尿人は、ある程度の合併症はやむをえず受け入れても総死亡率を減らすためには、コントロール目標はNGSP値でHbA1c7.5%(日本のJDS値7.1%)くらいを目指すのが最も安全ということができます。
日本の糖尿人のほとんどが、糖質を普通に食べているわけなので、従来のHbA1cの目標値(6.5%未満)も考え治す必要があるかもしれません。
勿論、糖質制限食実践中の糖尿人は、日本のJDS値6.1%未満(NGSP値6.5%未満)をめざすのがよいと思います。
糖質制限食なら、血糖値の乱高下は生じず、合併症の心配もなく、安全に血糖コントロールが可能です。
江部康二
今回は、ACCORD後シリーズの最後です。
ACCORDは、米国とカナダの77施設の10251例による大規模臨床試験です。
2008年2月、厳格血糖管理群における総死亡率および心血管死亡率が、通常血糖管理群を有意に上回ることが確認され、同試験は5年間の期間満了を待たずに平均追跡期間3.4年で中止となりました。
中止時の平均HbA1cは、厳格血糖管理群6.4%、通常血糖管理群7.5%でした。
この結果は2008年の米国糖尿病学会で報告されました。
さらに
「2型糖尿病患者の死亡率はHbA1c7.5%前後が最も低い」
という衝撃的な後ろ向きコホート研究報告が、英国の医学雑誌Lancet誌2010年2月6日号に、英Cardiff大学のCraig J Currie氏により発表されました。
以下ランセット誌からの抜粋です。
【1986年11月から2008年11月に登録された患者の中から、50歳以上の2型糖尿病患者を選出、2つのコホートを作成。
コホート1は経口血糖降下薬の単剤投与を受けた後に、スルホニルウレアとメトホルミンの併用に切り替えられた患者2万7965人。
コホート2は経口糖尿病薬からインスリンの単剤投与、またはインスリンを他の経口薬と併用するレジメンに変更された患者2万5人。
コホート1においてもコホート2に置いても、治療中の2型糖尿病患者の全死因死亡や大血管イベントのリスクは、
HbA1c値が7.5%前後のグループで最も低かった。】
「今後の研究で確認されれば、ガイドラインのHbA1cを特定の値より下げすぎないよう指示する必要が出てくるだろう。」
との見解を著者らは述べています。
HbA1cが9%、10%のグループの死亡率が、7.5%のグループより高いことは容易に頷けますが、6.5%のグループの死亡率も7.5%のグループより高かったことは、従来の常識では考えられないことであり、世界の医学界は衝撃を受けました。
結局、北米と英国の大規模臨床試験において、HbA1c6.4%と厳格に薬物治療すると、HbA1c7.5%ていどのグループに比較して、かえって総死亡率および心血管死亡率が上昇するという、同一のパラドックスが報告されたわけです。
このパラドックスの理由については、2011.07.20 (Wed)の本ブログ記事
「ACCORD後の血糖管理・推奨HbA1cは? 2011年米国糖尿病学会」
において考察しました。
すなわち<薬物療法+糖質摂取>による血糖値の乱高下が、死亡率上昇の大きな要因と考えられます。
こうなると、従来の糖尿病食(糖質たっぷり)を摂取しながら、インスリン注射や経口血糖降下薬などを内服している糖尿人は、ある程度の合併症はやむをえず受け入れても総死亡率を減らすためには、コントロール目標はNGSP値でHbA1c7.5%(日本のJDS値7.1%)くらいを目指すのが最も安全ということができます。
日本の糖尿人のほとんどが、糖質を普通に食べているわけなので、従来のHbA1cの目標値(6.5%未満)も考え治す必要があるかもしれません。
勿論、糖質制限食実践中の糖尿人は、日本のJDS値6.1%未満(NGSP値6.5%未満)をめざすのがよいと思います。
糖質制限食なら、血糖値の乱高下は生じず、合併症の心配もなく、安全に血糖コントロールが可能です。
江部康二
2011年07月20日 (水)
おはようございます。
2008年の米国糖尿病学会学術集会で、ACCORDという大規模臨床試験の結果が報告されました。
ハイリスクな糖尿病患者を対象に、HbA1cの目標値を従来より低く設定して厳格な血糖管理を行い、大血管合併症予防効果を検討した試験でした。
その結果は、予想を大きく覆し、「厳格血糖管理群」の死亡率が「通常血糖管理群」を有意差をもって上回るという、衝撃的な結果となり、2008年2月、同試験は期間満了を待たずに平均追跡期間3.4年で中止となりました。
中止時の平均HbA1cは厳格血糖管理群6.4%、通常血糖管理群7.5%でした。
単純に考えたら
「インスリ注射や内服薬で厳格な血糖管理をしたらかえって死亡率が上昇する」
という結論になります。
このACCORDの結果は世界中でかなりの物議を醸しました。
あれから3年が経過した2011年の米国糖尿病学会学術集会において、ACCORDの結果を踏まえて、
「血糖とHbA1cのコントロール目標をどう設定するのがいいのか?」
というシンポジウムが行われました。
異なる立場の3名の医師が講演しました。
まずHandelsman氏が、HbA1c値は多くの患者で6.5%未満に管理すべきだと述べました。
HbA1c値の上昇とともに糖尿病合併症や死亡のリスクが増加し、その閾値は6.5%前後にあると推定されることが根拠です。
ついでBuse氏は、HbA1cの管理目標値は7.0%未満とすべきだという立場から講演しました。
Buse氏はACCORDの強化療法群でHbA1c値を6.4%まで低下させたところ、標準療法群(HbA1c値7.5%)に比べて死亡リスクが上昇したことを重視しました。
最後にO’Conner氏は、HbA1cの管理目標値は8.0%未満にすべきだという立場から講演しました。
O’Conner氏は、Craig J Currie氏らがLancet誌2010年2月6日号に
「2型糖尿病患者の死亡率はHbA1c7.5%前後が最も低い」
と報告したことも引用し、治療法にかかわらず、死亡リスクが最も低くなるのはHbA1c値が7.5~8.0%のときだと主張しました。
3方とも立場は違いますが、患者の個別の状況(年齢、ハイリスク・・・など)に応じて、HbA1cの目標は柔軟に運用するというのは共通していました。
それにしても、ACCORD後3年経っても、米国糖尿病学会としての統一見解が出せない状況なのには、少々驚きました。
これらの混乱は、結局、『糖質を普通に摂取しながら薬物療法を行う』という従来のパターンから脱却できない限りは、解決しないと思います。
糖質を普通に摂取して、インスリン注射や内服薬で、厳格に血糖コントロール良好を目指すならば、ACCORDで明らかなように低血糖の確率は必ず上昇します。
一方、糖質のグラム数の管理と薬物の量のマッチングをよほど上手く実行しないと、食後高血糖も生じます。
このようにして生じる血糖値の乱高下が最も生体の恒常性を障害し、動脈硬化を生じ、総死亡率を上昇させるリスクとなります。
総摂取カロリーの40%が糖質という「米国的糖質制限食」では、糖質は1回の食事で50g以上摂取することとなり食後高血糖は防げません。これでは総摂取カロリー60%が糖質の場合とそんなに変わりません。
私は、スーパー糖質制限食(糖質は総摂取カロリーの12%)を実践しながら、Handelsman氏の言うように、
HbA1c6.5%未満(日本のJDS値6.1%未満)を目指すのが、コントロール目標として良いと思います。
この方法なら、インスリンや経口糖尿病薬も不要か必要最低限となりますので、まず低血糖の確率が大幅に減少し、ほとんどなくなります。
また食後高血糖も基本的に生じなくなります。これは私個人の考えに過ぎませんが、理論的には低血糖、食後高血糖、血糖値の乱高下を防ぎうる唯一の治療法と思います。
江部康二
☆☆☆☆☆参考 2011年6月29日のm3.comの記事から転載
第71回米国糖尿病学会学術集会の第4日目(6月27日)、
“Post-ACCORD-Is Glycemia a Moving Target? Defining and Individualizing Glucose Targets”と題するシンポジウムが開催され、ACCORDまでの臨床試験の結果を踏まえて、
血糖コントロールの目標値をどこに設定すべきかについて、
米国の3名のエキスパートが講演を行った。
まずHandelsman氏は、HbA1c値は多くの患者で6.5%未満に管理すべきだという立場から論じた。なぜなら、HbA1c値の上昇とともに糖尿病合併症や死亡のリスクが増加し、その閾値は6.5%前後にあると推定されるからである。もちろん安全に血糖値を低下させることは何よりも重要だが、若年で合併症がなければ6.0%未満を目指すことも選択肢となり、高齢で合併症がある場合7.0%未満に目標値を緩めることも推奨した。また、診断基準(6.5%以上)と管理目標値が合致してもいるのも受け入れやすいと述べた。さらに同氏は、ACCORDやADVANCEの強化療法群ではHbA1c値は約6.5%まで低下したが、これらの試験を含め、最近のランダム化比較試験のメタ解析を行うと、強化療法群では標準療法群に比べて死亡リスクは同等、冠動脈疾患のリスクは有意に低下したと解説し、管理目標値を6.5%未満とする根拠を提示した。
次にBuse氏は、HbA1cの管理目標値は7.0%未満とすべきだという立場から講演した。これまでに実施された臨床試験では、HbA1cを下げるほど細小血管障害のリスクは低下するが、大血管障害のリスクに有意な低下は認められていなかった。しかしUKPDSの長期観察研究から、早期に強化療法を行うことで2型糖尿病患者の長期予後が改善し、大血管障害や死亡のリスクまで有意に低下することが示された。一方でACCORDの強化療法群でHbA1c値を6.4%まで低下させたところ、標準療法群(HbA1c値7.5%)に比べて死亡リスクが上昇した。同氏はこのリスクを考慮して、「自分の母親、娘が糖尿病であり、特に子供にはこれから何十年も生きてもらいたい」と家族の立場からの心情も述べた上で、HbA1cの管理目標値は7.0%未満とするのが妥当と説明した。ただし、管理目標値は患者の病態に応じて個別に設定することが重要であり、7.0%未満は目安に過ぎないと付け加えた。
最後にO’Conner氏は、HbA1cの管理目標値は8.0%未満にすべきだという立場から反論した。同氏は英国の実地診療において、血糖コントロールと臨床転帰との関連性を検討したCurrieらの報告を引用し、治療法にかかわらず、死亡リスクが最も低くなるのはHbA1c値が7.5~8.0%のときだと主張した。米国の退役軍人を対象としたAguilarらの報告でも、死亡リスクが最も低いのはHbA1c値が7.1~7.8%のときであった。一方、ACCORDの対象はADVANCEに比べて糖尿病罹病期間が長く、HbA1cが高値で、インスリン使用例も多かったことから、同氏は強化療法を行った対象が心血管イベントのハイリスク集団であったことが、ACCORDで死亡リスクの上昇を認めた理由ではないかと考察した。こうした知見から同氏は、ハイリスク例ではHbA1c値を7.0%未満に低下させても得られるベネフィットは少ないとし、HbA1cの管理目標値は患者の病態に合わせて6.0~7.9%の範囲内で個別に設定することが重要だと結論した。
山岸 倫也(医学ライター)
2008年の米国糖尿病学会学術集会で、ACCORDという大規模臨床試験の結果が報告されました。
ハイリスクな糖尿病患者を対象に、HbA1cの目標値を従来より低く設定して厳格な血糖管理を行い、大血管合併症予防効果を検討した試験でした。
その結果は、予想を大きく覆し、「厳格血糖管理群」の死亡率が「通常血糖管理群」を有意差をもって上回るという、衝撃的な結果となり、2008年2月、同試験は期間満了を待たずに平均追跡期間3.4年で中止となりました。
中止時の平均HbA1cは厳格血糖管理群6.4%、通常血糖管理群7.5%でした。
単純に考えたら
「インスリ注射や内服薬で厳格な血糖管理をしたらかえって死亡率が上昇する」
という結論になります。
このACCORDの結果は世界中でかなりの物議を醸しました。
あれから3年が経過した2011年の米国糖尿病学会学術集会において、ACCORDの結果を踏まえて、
「血糖とHbA1cのコントロール目標をどう設定するのがいいのか?」
というシンポジウムが行われました。
異なる立場の3名の医師が講演しました。
まずHandelsman氏が、HbA1c値は多くの患者で6.5%未満に管理すべきだと述べました。
HbA1c値の上昇とともに糖尿病合併症や死亡のリスクが増加し、その閾値は6.5%前後にあると推定されることが根拠です。
ついでBuse氏は、HbA1cの管理目標値は7.0%未満とすべきだという立場から講演しました。
Buse氏はACCORDの強化療法群でHbA1c値を6.4%まで低下させたところ、標準療法群(HbA1c値7.5%)に比べて死亡リスクが上昇したことを重視しました。
最後にO’Conner氏は、HbA1cの管理目標値は8.0%未満にすべきだという立場から講演しました。
O’Conner氏は、Craig J Currie氏らがLancet誌2010年2月6日号に
「2型糖尿病患者の死亡率はHbA1c7.5%前後が最も低い」
と報告したことも引用し、治療法にかかわらず、死亡リスクが最も低くなるのはHbA1c値が7.5~8.0%のときだと主張しました。
3方とも立場は違いますが、患者の個別の状況(年齢、ハイリスク・・・など)に応じて、HbA1cの目標は柔軟に運用するというのは共通していました。
それにしても、ACCORD後3年経っても、米国糖尿病学会としての統一見解が出せない状況なのには、少々驚きました。
これらの混乱は、結局、『糖質を普通に摂取しながら薬物療法を行う』という従来のパターンから脱却できない限りは、解決しないと思います。
糖質を普通に摂取して、インスリン注射や内服薬で、厳格に血糖コントロール良好を目指すならば、ACCORDで明らかなように低血糖の確率は必ず上昇します。
一方、糖質のグラム数の管理と薬物の量のマッチングをよほど上手く実行しないと、食後高血糖も生じます。
このようにして生じる血糖値の乱高下が最も生体の恒常性を障害し、動脈硬化を生じ、総死亡率を上昇させるリスクとなります。
総摂取カロリーの40%が糖質という「米国的糖質制限食」では、糖質は1回の食事で50g以上摂取することとなり食後高血糖は防げません。これでは総摂取カロリー60%が糖質の場合とそんなに変わりません。
私は、スーパー糖質制限食(糖質は総摂取カロリーの12%)を実践しながら、Handelsman氏の言うように、
HbA1c6.5%未満(日本のJDS値6.1%未満)を目指すのが、コントロール目標として良いと思います。
この方法なら、インスリンや経口糖尿病薬も不要か必要最低限となりますので、まず低血糖の確率が大幅に減少し、ほとんどなくなります。
また食後高血糖も基本的に生じなくなります。これは私個人の考えに過ぎませんが、理論的には低血糖、食後高血糖、血糖値の乱高下を防ぎうる唯一の治療法と思います。
江部康二
☆☆☆☆☆参考 2011年6月29日のm3.comの記事から転載
第71回米国糖尿病学会学術集会の第4日目(6月27日)、
“Post-ACCORD-Is Glycemia a Moving Target? Defining and Individualizing Glucose Targets”と題するシンポジウムが開催され、ACCORDまでの臨床試験の結果を踏まえて、
血糖コントロールの目標値をどこに設定すべきかについて、
米国の3名のエキスパートが講演を行った。
まずHandelsman氏は、HbA1c値は多くの患者で6.5%未満に管理すべきだという立場から論じた。なぜなら、HbA1c値の上昇とともに糖尿病合併症や死亡のリスクが増加し、その閾値は6.5%前後にあると推定されるからである。もちろん安全に血糖値を低下させることは何よりも重要だが、若年で合併症がなければ6.0%未満を目指すことも選択肢となり、高齢で合併症がある場合7.0%未満に目標値を緩めることも推奨した。また、診断基準(6.5%以上)と管理目標値が合致してもいるのも受け入れやすいと述べた。さらに同氏は、ACCORDやADVANCEの強化療法群ではHbA1c値は約6.5%まで低下したが、これらの試験を含め、最近のランダム化比較試験のメタ解析を行うと、強化療法群では標準療法群に比べて死亡リスクは同等、冠動脈疾患のリスクは有意に低下したと解説し、管理目標値を6.5%未満とする根拠を提示した。
次にBuse氏は、HbA1cの管理目標値は7.0%未満とすべきだという立場から講演した。これまでに実施された臨床試験では、HbA1cを下げるほど細小血管障害のリスクは低下するが、大血管障害のリスクに有意な低下は認められていなかった。しかしUKPDSの長期観察研究から、早期に強化療法を行うことで2型糖尿病患者の長期予後が改善し、大血管障害や死亡のリスクまで有意に低下することが示された。一方でACCORDの強化療法群でHbA1c値を6.4%まで低下させたところ、標準療法群(HbA1c値7.5%)に比べて死亡リスクが上昇した。同氏はこのリスクを考慮して、「自分の母親、娘が糖尿病であり、特に子供にはこれから何十年も生きてもらいたい」と家族の立場からの心情も述べた上で、HbA1cの管理目標値は7.0%未満とするのが妥当と説明した。ただし、管理目標値は患者の病態に応じて個別に設定することが重要であり、7.0%未満は目安に過ぎないと付け加えた。
最後にO’Conner氏は、HbA1cの管理目標値は8.0%未満にすべきだという立場から反論した。同氏は英国の実地診療において、血糖コントロールと臨床転帰との関連性を検討したCurrieらの報告を引用し、治療法にかかわらず、死亡リスクが最も低くなるのはHbA1c値が7.5~8.0%のときだと主張した。米国の退役軍人を対象としたAguilarらの報告でも、死亡リスクが最も低いのはHbA1c値が7.1~7.8%のときであった。一方、ACCORDの対象はADVANCEに比べて糖尿病罹病期間が長く、HbA1cが高値で、インスリン使用例も多かったことから、同氏は強化療法を行った対象が心血管イベントのハイリスク集団であったことが、ACCORDで死亡リスクの上昇を認めた理由ではないかと考察した。こうした知見から同氏は、ハイリスク例ではHbA1c値を7.0%未満に低下させても得られるベネフィットは少ないとし、HbA1cの管理目標値は患者の病態に合わせて6.0~7.9%の範囲内で個別に設定することが重要だと結論した。
山岸 倫也(医学ライター)
2011年07月19日 (火)
おはようございます。
新刊のご紹介です。
ソフトバンク新書のシリーズから
腹いっぱい食べて楽々痩せる「満腹ダイエット」 江部康二著
が出版されました。
新書は初めての出版となります。
新書で安価で、最新の糖質制限食理論と実践のノウハウがいっぱいつまっていますので、是非ご一読いただければ幸いです。
2011年6月25日発売ですが、7月初めに早くも重版が決定しまして嬉しい限りです。(^^)
本書で提唱する糖質制限食ダイエット、キーワードは「糖質制限」だけで、あと面倒なカロリー計算などは不要です。
あんまり簡単なので「ずぼらダイエット」と呼ばれることもあります。
「簡単なのはいいけれど糖質を食べなかったら低血糖になりはしませんか?」
と突っ込みが入りそうですが、
肝臓の「糖新生」でいつでもブドウ糖をつくっているので低血糖にはならず、全く問題はありません。
さて、初めて糖質制限食の内容を知ったとき、多くの人はきっとびっくりされたことでしょう。
「脂肪はしっかり摂取していいので、糖質だけは減らそう」
という糖質制限食の基本スタンスは、従来のダイエットの常識である「脂肪制限」とは、真っ向から対立するものだからです。
実は私も兄、江部洋一郎院長(当時)が、1999年に高雄病院に初めて糖質制限食を導入したときは、非常識でとんでもない代物と無視していました。
常識の壁は高く厚いものであり、私だけでなく3人いる管理栄養士も同様の対応でした。
そんなとき2001年に私の糖尿病患者さんが血糖値560mg/dl、HbA1c14.5%という重症で入院され、通常のカロリー制限食で1週間経過しても食後血糖値は400mg/dl以上と、あまり改善がありませんでした。
そこでものは試しにと、糖質制限食を導入したところ、食後血糖値はその日から180mg/dlを超えることはなくなり、劇的な改善をみました。内服薬もインスリン注射もまったくなしで、3ヶ月後にはHbA1c6.2%となりました。
この糖質制限食第一号患者さんを経験した後は、目から鱗が落ちた思いで糖質制限食を研究することになりました。
その後、2002年に自分自身が糖尿病と発覚してから、さらに徹底的に勉強し、糖質制限食は糖尿病だけでなく、肥満やメタボリック・シンドロームを始めとして、様々な生活習慣病に効果があることを多くの症例を経験して確信しました。
糖質制限食というと変わった食事というイメージですが、実は人類本来の自然な食事、人類の健康食なのです。
人類が、ゴリラやチンパンジーと分かれたのが約400万年前です。
その後、7属23種の人類が栄枯盛衰・進化を繰り返し、現在残っているのは、現世人類(ホモ・サピエンス)だけです。
この間農耕が始まるまでの400万年間は、生業は狩猟・採集で、全ての人類が糖質制限食でした。
このように人類の栄養・代謝・生理すべて糖質制限食に適応するように進化してきていますし、勿論妊娠・出産・子育て・日常生活も糖質制限食の中で行われてきました。
農耕が始まり定着して最近の約4000年間だけが、主食が穀物(糖質)へと変化しました。
即ち穀物(糖質)を主食としたのは、人類の歴史の中でわずか1/1000の期間に過ぎないのです。
糖質制限食と高糖質食、どちらが人類にとって自然な食事なのかはいうまでもありません。
糖質制限食という人類の本来の食事、人類の健康食を実践することで、肥満や糖尿病やメタボといった様々な生活習慣病が改善するのもむべなるかなです。
本書が読者の皆さんの、肥満解消そして健康に役立てば幸いです。
江部康二
新刊のご紹介です。
ソフトバンク新書のシリーズから
腹いっぱい食べて楽々痩せる「満腹ダイエット」 江部康二著
が出版されました。
新書は初めての出版となります。
新書で安価で、最新の糖質制限食理論と実践のノウハウがいっぱいつまっていますので、是非ご一読いただければ幸いです。
2011年6月25日発売ですが、7月初めに早くも重版が決定しまして嬉しい限りです。(^^)
本書で提唱する糖質制限食ダイエット、キーワードは「糖質制限」だけで、あと面倒なカロリー計算などは不要です。
あんまり簡単なので「ずぼらダイエット」と呼ばれることもあります。
「簡単なのはいいけれど糖質を食べなかったら低血糖になりはしませんか?」
と突っ込みが入りそうですが、
肝臓の「糖新生」でいつでもブドウ糖をつくっているので低血糖にはならず、全く問題はありません。
さて、初めて糖質制限食の内容を知ったとき、多くの人はきっとびっくりされたことでしょう。
「脂肪はしっかり摂取していいので、糖質だけは減らそう」
という糖質制限食の基本スタンスは、従来のダイエットの常識である「脂肪制限」とは、真っ向から対立するものだからです。
実は私も兄、江部洋一郎院長(当時)が、1999年に高雄病院に初めて糖質制限食を導入したときは、非常識でとんでもない代物と無視していました。
常識の壁は高く厚いものであり、私だけでなく3人いる管理栄養士も同様の対応でした。
そんなとき2001年に私の糖尿病患者さんが血糖値560mg/dl、HbA1c14.5%という重症で入院され、通常のカロリー制限食で1週間経過しても食後血糖値は400mg/dl以上と、あまり改善がありませんでした。
そこでものは試しにと、糖質制限食を導入したところ、食後血糖値はその日から180mg/dlを超えることはなくなり、劇的な改善をみました。内服薬もインスリン注射もまったくなしで、3ヶ月後にはHbA1c6.2%となりました。
この糖質制限食第一号患者さんを経験した後は、目から鱗が落ちた思いで糖質制限食を研究することになりました。
その後、2002年に自分自身が糖尿病と発覚してから、さらに徹底的に勉強し、糖質制限食は糖尿病だけでなく、肥満やメタボリック・シンドロームを始めとして、様々な生活習慣病に効果があることを多くの症例を経験して確信しました。
糖質制限食というと変わった食事というイメージですが、実は人類本来の自然な食事、人類の健康食なのです。
人類が、ゴリラやチンパンジーと分かれたのが約400万年前です。
その後、7属23種の人類が栄枯盛衰・進化を繰り返し、現在残っているのは、現世人類(ホモ・サピエンス)だけです。
この間農耕が始まるまでの400万年間は、生業は狩猟・採集で、全ての人類が糖質制限食でした。
このように人類の栄養・代謝・生理すべて糖質制限食に適応するように進化してきていますし、勿論妊娠・出産・子育て・日常生活も糖質制限食の中で行われてきました。
農耕が始まり定着して最近の約4000年間だけが、主食が穀物(糖質)へと変化しました。
即ち穀物(糖質)を主食としたのは、人類の歴史の中でわずか1/1000の期間に過ぎないのです。
糖質制限食と高糖質食、どちらが人類にとって自然な食事なのかはいうまでもありません。
糖質制限食という人類の本来の食事、人類の健康食を実践することで、肥満や糖尿病やメタボといった様々な生活習慣病が改善するのもむべなるかなです。
本書が読者の皆さんの、肥満解消そして健康に役立てば幸いです。
江部康二
2011年07月18日 (月)
こんにちは。
2008年の米国糖尿病学会学術集会で、ACCORDという大規模臨床試験の結果が報告されました。
ハイリスクな糖尿病患者を対象に、HbA1cの目標値を従来より低く設定して厳格な血糖管理を行い、大血管合併症予防効果を検討した試験でした。
大血管合併症とは、心・脳血管の障害で心筋梗塞や脳卒中のことです。
その結果は、予想を大きく覆し、有意な大血管障害予防効果は、証明できませんでした。しかも「厳格血糖管理群」の死亡率が、「通常血糖管理群」を上回るという、衝撃的な結果となりました。
ACCORDは、米国とカナダの77施設から10251例が登録されました。
厳格血糖管理群の目標HbA1cは6.0%未満、予定追跡期間は5年間でした。
しかしながら、2008年2月、ACCORDの厳格血糖管理群における総死亡率および、心血管死亡率が通常血糖管理群を有意に上回ることが確認され、同試験は期間満了を待たずに平均追跡期間3.4年で中止となりました。
中止時の平均HbA1cは厳格血糖管理群6.4%、通常血糖管理群7.5%でした。
総死亡のリスク比は、厳格血糖管理群が通常血糖管理群の1.22倍、心血管死は1.35倍で、いずれも統計的に有意の差がありました。
単純に考えたら
「インスリ注射や内服薬で厳格な血糖管理をしたらかえって死亡率が上昇する」
というとんでもない結論になります。
このACCORD試験の死亡リスクと低血糖のSMBG(血糖自己測定)サブ解析結果が、2011年6月開催の第71回 米国糖尿病学会で報告されました。
強化療法群では標準療法群と比し、SMBGで測定した血糖値は有意に低く(126.0mg/dL vs 157.6mg/dL)、
HbA1c値(6.7% vs 7.7%)も有意に低値でした。
1日の血糖値の変動をみると、両群ともに夜間から早朝にかけて低下し、早朝から日中を通じて徐々に上昇するサイクルを示しました。
1日のいずれの測定ポイントにおいても、強化療法群の血糖値は、標準療法群に比べて有意に低値でした。
また、少なくとも1回の低血糖を経験した集団では、夜間から早朝にかけての血糖値の低下幅が大きく、死亡例ではその変化がさらに急激でした。
低血糖(<70mg/dL)の頻度は、強化療法群で標準療法群に比べて約3倍でした。
死亡リスクは、強化療法群では低血糖を経験した集団で高くでました。
報告したBergen氏は、血糖コントロールを安全に行うためのポイントとして、
「血糖値やHbA1c値が目標値から著しく低下した場合には、治療の強度を緩め、低血糖が起こらないようにすることが重要」
と述べました。
結局、低血糖を防ぐことが、死亡リスクを減らすことにおいて最も重要という結論です。
この結論は
「強化療法を行ってインスリンやSU剤などで厳格にHbA1cを6.4%ていどに下げるように管理すれば死亡リスクが上昇する」
と、認めているに等しいですね。
結局、カロリー制限が主体の従来の糖尿病食(高糖質食)では、薬物療法を強化して血糖コントロールを良くしようとすれば、必ず低血糖の確率が増加します。
しかも、強化療法をしていても、糖質を一定量以上摂取すれば食後高血糖を起こす可能性も高いです。
食後高血糖が、大血管障害に強く関与していることは、複数の研究で明らかになっています。
糖質・脂質・タンパク質の中で食後高血糖を起こすのは、糖質だけです。
薬物に頼らずに、血糖コントロールを保ちHbA1c値を良好にするのは、唯一糖質制限食だけです。
糖質制限食VSカロリー制限食(高糖質食)
どちらがリーズナブルか、糖尿人の皆さんよくよくお考えくださいね。
**
なお米国のHbA1c値は、国際標準のNGSP値です。
同一の検体で測定すると日本のJDS値より0.4%高値になります。
つまり<NGSP値6.4%=JDS値6.0%>です。
江部康二
☆☆☆☆☆参考
m3.com 臨床トピックス 2011年6月30日 より転載
第71回 米国糖尿病学会(ADA2011) 【開催期間:2011年6月24日~28日】
血糖値が目標値を超えて著しく低下すると死亡リスク上昇:ACCORDのSMBGサブ解析
2型糖尿病患者を対象に強化療法と標準療法を比較したACCORDでは、強化療法群で死亡リスクが有意に上昇したが、その理由として強化療法群では重度低血糖が高頻度で発現したことが指摘されている。今回、米国ミネアポリスのRichard M. Bergen氏らは、ACCORD参加者の血糖自己測定(SMBG)のデータを解析し、その結果を第71回米国糖尿病学会学術集会の最終日(6月28日)に行われたLate Breaking Clinical Studiesで報告した。
--------------------------------------------------------------------------------
本研究の対象はACCORDの参加者10,251例のうち、少なくとも180日分のSMBGデータが得られた5,347例(52.2%)とした。対象の背景を見ると、SMBGデータが十分に得られなかった集団と比べ、地域の偏りは大きかったが、年齢、性別、糖尿病罹病期間、HbA1cなどは比較的マッチしていた。なお、SMBGデータが測定された期間は平均で約2年間であった。
対象のうち、強化療法群は2,691例、標準療法群は2,656例で、強化療法群では標準療法群と比し、SMBGが測定された日数(762.3日 vs 683.2日)、1日の測定回数(2.7回 vs 2.0回)が有意に多く、血糖値(126.0mg/dL vs 157.6mg/dL)、HbA1c値(6.7% vs 7.7%)は有意に低かった(いずれもp<0.0001)。
1日の血糖値の変動をみると、両群ともに夜間から早朝にかけて低下し、早朝から日中を通じて徐々に上昇するサイクルを示した。しかし、1日のいずれの測定ポイントにおいても強化療法群の血糖値は標準療法群に比べて有意に低かった(p<0.0001)。また、少なくとも1回の低血糖を経験した集団では夜間から早朝にかけての血糖値の低下幅が大きく、死亡例ではその変化がさらに急激であった。
低血糖(<70mg/dL)の頻度は、強化療法群で標準療法群に比べて約3倍高く、高血糖(>200mg/dL)は標準療法群で強化療法群に比べて約2倍多かった。また、死亡リスクは強化療法群では低血糖を経験した集団で高く、標準療法群では低血糖あるいは高血糖を経験した集団で高かった。
こうした結果を踏まえてBergen氏は、血糖コントロールを安全に行うためのポイントとして、「血糖値やHbA1c値が目標値から著しく低下した場合には、治療の強度を緩め、低血糖が起こらないようにすることが重要」と述べて講演を終えた。
山岸 倫也(医学ライター)
2008年の米国糖尿病学会学術集会で、ACCORDという大規模臨床試験の結果が報告されました。
ハイリスクな糖尿病患者を対象に、HbA1cの目標値を従来より低く設定して厳格な血糖管理を行い、大血管合併症予防効果を検討した試験でした。
大血管合併症とは、心・脳血管の障害で心筋梗塞や脳卒中のことです。
その結果は、予想を大きく覆し、有意な大血管障害予防効果は、証明できませんでした。しかも「厳格血糖管理群」の死亡率が、「通常血糖管理群」を上回るという、衝撃的な結果となりました。
ACCORDは、米国とカナダの77施設から10251例が登録されました。
厳格血糖管理群の目標HbA1cは6.0%未満、予定追跡期間は5年間でした。
しかしながら、2008年2月、ACCORDの厳格血糖管理群における総死亡率および、心血管死亡率が通常血糖管理群を有意に上回ることが確認され、同試験は期間満了を待たずに平均追跡期間3.4年で中止となりました。
中止時の平均HbA1cは厳格血糖管理群6.4%、通常血糖管理群7.5%でした。
総死亡のリスク比は、厳格血糖管理群が通常血糖管理群の1.22倍、心血管死は1.35倍で、いずれも統計的に有意の差がありました。
単純に考えたら
「インスリ注射や内服薬で厳格な血糖管理をしたらかえって死亡率が上昇する」
というとんでもない結論になります。
このACCORD試験の死亡リスクと低血糖のSMBG(血糖自己測定)サブ解析結果が、2011年6月開催の第71回 米国糖尿病学会で報告されました。
強化療法群では標準療法群と比し、SMBGで測定した血糖値は有意に低く(126.0mg/dL vs 157.6mg/dL)、
HbA1c値(6.7% vs 7.7%)も有意に低値でした。
1日の血糖値の変動をみると、両群ともに夜間から早朝にかけて低下し、早朝から日中を通じて徐々に上昇するサイクルを示しました。
1日のいずれの測定ポイントにおいても、強化療法群の血糖値は、標準療法群に比べて有意に低値でした。
また、少なくとも1回の低血糖を経験した集団では、夜間から早朝にかけての血糖値の低下幅が大きく、死亡例ではその変化がさらに急激でした。
低血糖(<70mg/dL)の頻度は、強化療法群で標準療法群に比べて約3倍でした。
死亡リスクは、強化療法群では低血糖を経験した集団で高くでました。
報告したBergen氏は、血糖コントロールを安全に行うためのポイントとして、
「血糖値やHbA1c値が目標値から著しく低下した場合には、治療の強度を緩め、低血糖が起こらないようにすることが重要」
と述べました。
結局、低血糖を防ぐことが、死亡リスクを減らすことにおいて最も重要という結論です。
この結論は
「強化療法を行ってインスリンやSU剤などで厳格にHbA1cを6.4%ていどに下げるように管理すれば死亡リスクが上昇する」
と、認めているに等しいですね。
結局、カロリー制限が主体の従来の糖尿病食(高糖質食)では、薬物療法を強化して血糖コントロールを良くしようとすれば、必ず低血糖の確率が増加します。
しかも、強化療法をしていても、糖質を一定量以上摂取すれば食後高血糖を起こす可能性も高いです。
食後高血糖が、大血管障害に強く関与していることは、複数の研究で明らかになっています。
糖質・脂質・タンパク質の中で食後高血糖を起こすのは、糖質だけです。
薬物に頼らずに、血糖コントロールを保ちHbA1c値を良好にするのは、唯一糖質制限食だけです。
糖質制限食VSカロリー制限食(高糖質食)
どちらがリーズナブルか、糖尿人の皆さんよくよくお考えくださいね。
**
なお米国のHbA1c値は、国際標準のNGSP値です。
同一の検体で測定すると日本のJDS値より0.4%高値になります。
つまり<NGSP値6.4%=JDS値6.0%>です。
江部康二
☆☆☆☆☆参考
m3.com 臨床トピックス 2011年6月30日 より転載
第71回 米国糖尿病学会(ADA2011) 【開催期間:2011年6月24日~28日】
血糖値が目標値を超えて著しく低下すると死亡リスク上昇:ACCORDのSMBGサブ解析
2型糖尿病患者を対象に強化療法と標準療法を比較したACCORDでは、強化療法群で死亡リスクが有意に上昇したが、その理由として強化療法群では重度低血糖が高頻度で発現したことが指摘されている。今回、米国ミネアポリスのRichard M. Bergen氏らは、ACCORD参加者の血糖自己測定(SMBG)のデータを解析し、その結果を第71回米国糖尿病学会学術集会の最終日(6月28日)に行われたLate Breaking Clinical Studiesで報告した。
--------------------------------------------------------------------------------
本研究の対象はACCORDの参加者10,251例のうち、少なくとも180日分のSMBGデータが得られた5,347例(52.2%)とした。対象の背景を見ると、SMBGデータが十分に得られなかった集団と比べ、地域の偏りは大きかったが、年齢、性別、糖尿病罹病期間、HbA1cなどは比較的マッチしていた。なお、SMBGデータが測定された期間は平均で約2年間であった。
対象のうち、強化療法群は2,691例、標準療法群は2,656例で、強化療法群では標準療法群と比し、SMBGが測定された日数(762.3日 vs 683.2日)、1日の測定回数(2.7回 vs 2.0回)が有意に多く、血糖値(126.0mg/dL vs 157.6mg/dL)、HbA1c値(6.7% vs 7.7%)は有意に低かった(いずれもp<0.0001)。
1日の血糖値の変動をみると、両群ともに夜間から早朝にかけて低下し、早朝から日中を通じて徐々に上昇するサイクルを示した。しかし、1日のいずれの測定ポイントにおいても強化療法群の血糖値は標準療法群に比べて有意に低かった(p<0.0001)。また、少なくとも1回の低血糖を経験した集団では夜間から早朝にかけての血糖値の低下幅が大きく、死亡例ではその変化がさらに急激であった。
低血糖(<70mg/dL)の頻度は、強化療法群で標準療法群に比べて約3倍高く、高血糖(>200mg/dL)は標準療法群で強化療法群に比べて約2倍多かった。また、死亡リスクは強化療法群では低血糖を経験した集団で高く、標準療法群では低血糖あるいは高血糖を経験した集団で高かった。
こうした結果を踏まえてBergen氏は、血糖コントロールを安全に行うためのポイントとして、「血糖値やHbA1c値が目標値から著しく低下した場合には、治療の強度を緩め、低血糖が起こらないようにすることが重要」と述べて講演を終えた。
山岸 倫也(医学ライター)
2011年07月17日 (日)
こんばんは。
「糖質制限食を語る」DVD販売のお知らせです。
こちらは、視聴用のYou Tube の映像です。
☆☆☆☆☆
京都高雄病院理事長、江部康二医師
画期的な糖尿病治療食
「糖質制限食を語る」
は、こちらのサイトで販売致します。
↓ ↓ ↓
http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php
これまでに、講演会を映像化して欲しいとの声を多々頂いておりましたが、なかなか形になりませんでした。
今回、私のバンド仲間の吉田さんが、映像プロダクションをされていることもあり、
DVD化の運びとなりました。
DVDなら、何度でもご自宅で見て頂けますし、メモを取るのに必死で話を聴き逃した!などといったこともないので、けっこうオススメです。
本を読むのが苦手とか面倒くさい方にもDVDならOKですね。
ご高齢の方、あるいは糖尿病のご両親へのプレゼントにもいいですよ。
糖尿病と糖質制限食について、講演会のスライドも適宜挿入しながら
、江部康二がわかりやすく語っています。
本DVD、これまで遠方で来れなかった方はもちろん、一度講演聞いたけど家の玄関くぐったら9割忘れてしまった方(笑)も、是非ごらん頂ければうれしいです。
「糖質制限食をかたる」DVD
見ていただいた方々には『わかりやすい』と好評で、私としても嬉しく思っています。
しかしながら、ビデオ屋にもアマゾンにも販売ルートがありませんので、
ほぼ本ブログでの広報だけが頼りです。
ブログ読者の皆さんとその口コミが「糖質制限食をかたる」DVD販売の生命線です。
何卒よろしくお願い申しあげます。
江部康二
【糖質制限食とは】
米国糖尿病協会(ADA)によれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、
タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。
これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
1997年版のLife With Diabetes(ADA)では、
「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載がありましたが、2004年版では変更されています。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を上昇させます。従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。
脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。タンパク質はごく少量のインスリンを追加分泌させます。
現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。
食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。
そして、食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。
炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には、55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。
一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても、糖質含有量は1gもないので、食後高血糖はほとんど生じないのです。
なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースに、できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、
食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。
抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら、薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。
なお糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。
一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、低血糖の心配がありますので
必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はほとんどないので、
理論
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」2005年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008年
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009年
「やせる食べ方」2010年
「うちの母は糖尿人」2010年 監修:江部康二 著:伊藤きのと
(東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010年(ナツメ社)
腹いっぱい食べて楽々痩せる『満腹ダイエット』 (ソフトバンククリエイティブ) 2011年
レシピ
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006年
「糖質制限食 春のレシピ」2007年
「糖質制限食 夏のレシピ」2007年
「糖質制限食 秋のレシピ」2008年
「糖質制限食 冬のレシピ」2008年
「血糖値を上げない! 健康おつまみ109 」2010年
「やせる食べかたレシピ集」2010年
(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん
(アスペクト)2009年
dancyu プレジデントムック 「満腹ダイエット 」(プレジデント社)2009年
dancyu プレジデントムック 「酒飲みダイエット 」(プレジデント社)2010年
dancyu プレジデントムック 「美食家ダイエット 」(プレジデント社)2011年
糖質オフダイエット (レタスクラブ、角川マーケティング)2011年
誰もがストレスなくやせられる! 糖質制限ダイエット(講談社)2011年
DVD「糖質制限食を語る」http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php 2011年
などを参考にされ、
自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合と、活動性の膵炎がある場合、肝硬変の場合は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。
肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。
なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。
また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。
糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。
「糖質制限食を語る」DVD販売のお知らせです。
こちらは、視聴用のYou Tube の映像です。
☆☆☆☆☆
京都高雄病院理事長、江部康二医師
画期的な糖尿病治療食
「糖質制限食を語る」
は、こちらのサイトで販売致します。
↓ ↓ ↓
http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php
これまでに、講演会を映像化して欲しいとの声を多々頂いておりましたが、なかなか形になりませんでした。
今回、私のバンド仲間の吉田さんが、映像プロダクションをされていることもあり、
DVD化の運びとなりました。
DVDなら、何度でもご自宅で見て頂けますし、メモを取るのに必死で話を聴き逃した!などといったこともないので、けっこうオススメです。
本を読むのが苦手とか面倒くさい方にもDVDならOKですね。
ご高齢の方、あるいは糖尿病のご両親へのプレゼントにもいいですよ。
糖尿病と糖質制限食について、講演会のスライドも適宜挿入しながら
、江部康二がわかりやすく語っています。
本DVD、これまで遠方で来れなかった方はもちろん、一度講演聞いたけど家の玄関くぐったら9割忘れてしまった方(笑)も、是非ごらん頂ければうれしいです。
「糖質制限食をかたる」DVD
見ていただいた方々には『わかりやすい』と好評で、私としても嬉しく思っています。
しかしながら、ビデオ屋にもアマゾンにも販売ルートがありませんので、
ほぼ本ブログでの広報だけが頼りです。
ブログ読者の皆さんとその口コミが「糖質制限食をかたる」DVD販売の生命線です。
何卒よろしくお願い申しあげます。
江部康二
【糖質制限食とは】
米国糖尿病協会(ADA)によれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、
タンパク質・脂質は血糖に変わりません。
また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。
これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。
1997年版のLife With Diabetes(ADA)では、
「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」
という記載がありましたが、2004年版では変更されています。
このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を上昇させます。従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。
脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。タンパク質はごく少量のインスリンを追加分泌させます。
現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。
食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。
そして、食後高血糖を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。
1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。
炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には、55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。
一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても、糖質含有量は1gもないので、食後高血糖はほとんど生じないのです。
なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。
糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースに、できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、
食後高血糖を防ぐというものです。
簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。
抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。
3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら、薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。
一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。
従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。
糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。
なお糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。
一般的な標準摂取カロリーの範囲、すなわち男性なら1600~2000キロカロリー、女性なら1200~1600キロカロリーくらいが目安です。
【糖質制限食を実践される時のご注意】
本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、低血糖の心配がありますので
必ず主治医と相談して頂きたいと思います。
一方、薬を使用してない糖尿人は、低血糖の心配はほとんどないので、
理論
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」2005年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008年
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009年
「やせる食べ方」2010年
「うちの母は糖尿人」2010年 監修:江部康二 著:伊藤きのと
(東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010年(ナツメ社)
腹いっぱい食べて楽々痩せる『満腹ダイエット』 (ソフトバンククリエイティブ) 2011年
レシピ
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006年
「糖質制限食 春のレシピ」2007年
「糖質制限食 夏のレシピ」2007年
「糖質制限食 秋のレシピ」2008年
「糖質制限食 冬のレシピ」2008年
「血糖値を上げない! 健康おつまみ109 」2010年
「やせる食べかたレシピ集」2010年
(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん
(アスペクト)2009年
dancyu プレジデントムック 「満腹ダイエット 」(プレジデント社)2009年
dancyu プレジデントムック 「酒飲みダイエット 」(プレジデント社)2010年
dancyu プレジデントムック 「美食家ダイエット 」(プレジデント社)2011年
糖質オフダイエット (レタスクラブ、角川マーケティング)2011年
誰もがストレスなくやせられる! 糖質制限ダイエット(講談社)2011年
DVD「糖質制限食を語る」http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php 2011年
などを参考にされ、
自力で 糖質制限食を実践して糖尿病改善を目指していただけば幸いです。
血液検査で血清クレアチニン値が高値で腎障害がある場合と、活動性の膵炎がある場合、肝硬変の場合は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。
糖質制限食は相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応とならないのです。
肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。
なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。
また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。
糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。
2011年07月17日 (日)
おはようございます。
2011.07.15 (Fri)のブログ「糖質制限食のやり方のパターン」でビタミンCの必要性について述べました。
今回はビタミンCとイヌイット、そして糖質制限食と野菜ついて考えてみます。
4000年前、すでにカナダ極北やアラスカに、人類(モンゴロイド)が移住し居住していました。
現在のイヌイット文化と同様の生活様式をしていたとは、必ずしもいえませんが、セイウチ猟などを中心に生業としていたようです。
現在のイヌイットの生活様式の原型ですが、まず10世紀頃、アラスカイヌイットでホッキョククジラが主食の時代がありました。
その後200~300年で他の極北周囲地域、西はチュコト半島、東はグリーンランドまでホッキョククジラ猟が広まりました。この文化は、チューレ文化と呼ばれています。
12世紀から17世紀にかけて極北地域に寒冷化が起こり、それまで豊富だったクジラが少なくなりました。
そのため、クジラ以外のものを主食とせざるを得なくなり、各地域でチューレ文化は多様化して、独自の文化が形成されていきました。
イヌイットといえば、誰でもイメージするような、アザラシ猟をして雪の家に住むという文化は、15世紀頃に形成されました。
その後、ホッキョクイワナ、アザラシ、シロイルカ、カリブーといった食材がイヌイットの主食となっていきました。
この伝統的な食生活のころは、海生動物の生肉・内臓、生魚肉・内臓が主食で、穀物や野菜もなしで、果物もほとんどなしです。
海生動物や魚の内臓には、あるていどのビタミンCが含まれていると思いますが、野菜や果物ほどではありません。
イヌイットの好物であるマクタック(シロイルカの生皮)にビタミンCが含まれているとのことですが、量的には野菜や果物には到底及ばないと思われます。
キビヤックというイヌイット独特の発酵食品があります。
海鳥(ウミスズメ類)をアザラシの中に詰めこみ、地中に長期間埋めて作るそうです。
大変臭いそうですが、ビタミンCが豊富という説もあります。
しかし通常、発酵食品にはビタミンCは含まれていないと思います。
結局ビタミンCが豊富なのは、新鮮な野菜と果物、そしてサツマ芋とジャガ芋です。
内臓には少量含まれてますが、量的には野菜や果物には及びません。
こうなると、イヌイットが伝統的な食生活を続けていたころは、ビタミンCの補充はどうしていたのかという疑問が生じます。
イヌイットの伝統的食生活では、ビタミンC摂取量は少ない可能性が高いですし、ビタミンC血中濃度も低い可能性が高いです。
そして、ビタミンC不足による病気はどうなのでしょう?
1975年発表の、カナダの論文を読んでみました(*)。
やはりイヌイットのビタミンC摂取量は、カナダ白人と比較して、かなり少なかったです。
妊婦のビタミンCが不足していると、新生児高チロシン血症(**)になります。
イヌイットの高チロシン血症は、先天的なものではなく、ビタミンC不足によるものなので、ビタミンC投与で改善したと報告されています。
イヌイットの妊娠中の女性の平均ビタミンC摂取量は、28mg/日で、
血中ビタミンC濃度は、0.25mg/dl。
イヌイットの同年齢の非妊娠女性名の、平均ビタミンC摂取量は26mg/日で、
血中ビタミンC濃度は0.17mg/dl。
カナダの白人妊婦の、平均ビタミンC摂取量は、133mg/日で、
血中ビタミンC濃度は0.97mg/dl。
イヌイットの妊婦のビタミンC血中濃度は低くて、新生児高チロシン血症(**)の頻度が、カナダアングロサクソン人が0.5%に対して14.8%もありました。
イヌイットの血中ビタミンC濃度は、壊血病危険ラインの0.2mg/dl未満の場合も多く、歯肉出血が高率に見られたそうです。
イヌイットの場合は、血中ビタミンC濃度が低値であることは、壊血病と新生児高チロシン血症のリスクを高めていました。
イヌイットとビタミンC不足のことを考慮すると、スーパー糖質制限食においても、基本的には、野菜はしっかり摂取して、ビタミンCを確保することが必要と思います。
一方、アフリカのケニア南部からタンザニア北部にすむマサイ族は、血中ビタミンC濃度はイヌイットと同レベルの壊血病危険ライン0.2mg/dlの場合も多いのに、壊血病がみられないのは、不思議です。
またマサイ族と新生児高チロシン血症の文献は、英文でも発見できませんでした。
人類とビタミンC、謎は深まります。
江部康二
(*)
Neonatal hypertyrosinemia and evidence of deficiency of ascorbic acid
in Arctic and subarctic peoples
624-626 CMA JOURNAL/OCTOBER 4,1975/VOL.113
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1956727/pdf/canmedaj01544-0034.pdf
(**)メルクマニュアルより抜粋
チロシン血症
チロシン血症の子供では、アミノ酸のチロシンを完全に代謝することができません。このアミノ酸の代謝産物が蓄積するため、さまざまな症状が現れます。米国の一部の州では、新生児のスクリーニング検査でこの病気を調べています。
先天性チロシン血症にはI型とII型の2つのタイプがあります。I型チロシン血症が最も多くみられるのは、フランス系カナダ人やスカンジナビア系の子供です。普通、生後1年以内に肝臓や腎臓の機能障害、神経障害が起こります。そのため過敏性やくる病が現れたり、肝不全を起こして死亡することがあります。チロシン制限食はほとんど役に立ちません。治験段階の薬剤の中には毒性の代謝産物の生成を防ぐものがあり、I型チロシン血症の子供に効果があります。I型チロシン血症の子供の多くは、肝臓移植が必要になります。
II型チロシン血症はI型よりもまれな病気です。この病気の子供は精神遅滞を起こすことがあり、眼や皮膚にたびたび潰瘍が発生します。I型チロシン血症と異なり、チロシン制限食で病気の進行を防ぐことができます。
(***)チロシン
必須アミノ酸ではありませんが重要なアミノ酸であるチロシンは、フェニルアラニンという必須アミノ酸から作られます。
チロシンは脳や神経が正常に働くために必要不可欠なアミノ酸で、神経伝達物質であるドーパミン やノルアドレナリンの前駆体となり、脳機能を活性化させる働きがあります。
チロシンは感情や精神機能、性的衝動を脳内でつかさどる重要な神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリン の前駆体です。納豆やチーズ、みそなどの表面に白く析出してくる結晶や、若いタケノコの切り口に見られる白いアクがチロシン で水には溶けにくい性質があります。
2011.07.15 (Fri)のブログ「糖質制限食のやり方のパターン」でビタミンCの必要性について述べました。
今回はビタミンCとイヌイット、そして糖質制限食と野菜ついて考えてみます。
4000年前、すでにカナダ極北やアラスカに、人類(モンゴロイド)が移住し居住していました。
現在のイヌイット文化と同様の生活様式をしていたとは、必ずしもいえませんが、セイウチ猟などを中心に生業としていたようです。
現在のイヌイットの生活様式の原型ですが、まず10世紀頃、アラスカイヌイットでホッキョククジラが主食の時代がありました。
その後200~300年で他の極北周囲地域、西はチュコト半島、東はグリーンランドまでホッキョククジラ猟が広まりました。この文化は、チューレ文化と呼ばれています。
12世紀から17世紀にかけて極北地域に寒冷化が起こり、それまで豊富だったクジラが少なくなりました。
そのため、クジラ以外のものを主食とせざるを得なくなり、各地域でチューレ文化は多様化して、独自の文化が形成されていきました。
イヌイットといえば、誰でもイメージするような、アザラシ猟をして雪の家に住むという文化は、15世紀頃に形成されました。
その後、ホッキョクイワナ、アザラシ、シロイルカ、カリブーといった食材がイヌイットの主食となっていきました。
この伝統的な食生活のころは、海生動物の生肉・内臓、生魚肉・内臓が主食で、穀物や野菜もなしで、果物もほとんどなしです。
海生動物や魚の内臓には、あるていどのビタミンCが含まれていると思いますが、野菜や果物ほどではありません。
イヌイットの好物であるマクタック(シロイルカの生皮)にビタミンCが含まれているとのことですが、量的には野菜や果物には到底及ばないと思われます。
キビヤックというイヌイット独特の発酵食品があります。
海鳥(ウミスズメ類)をアザラシの中に詰めこみ、地中に長期間埋めて作るそうです。
大変臭いそうですが、ビタミンCが豊富という説もあります。
しかし通常、発酵食品にはビタミンCは含まれていないと思います。
結局ビタミンCが豊富なのは、新鮮な野菜と果物、そしてサツマ芋とジャガ芋です。
内臓には少量含まれてますが、量的には野菜や果物には及びません。
こうなると、イヌイットが伝統的な食生活を続けていたころは、ビタミンCの補充はどうしていたのかという疑問が生じます。
イヌイットの伝統的食生活では、ビタミンC摂取量は少ない可能性が高いですし、ビタミンC血中濃度も低い可能性が高いです。
そして、ビタミンC不足による病気はどうなのでしょう?
1975年発表の、カナダの論文を読んでみました(*)。
やはりイヌイットのビタミンC摂取量は、カナダ白人と比較して、かなり少なかったです。
妊婦のビタミンCが不足していると、新生児高チロシン血症(**)になります。
イヌイットの高チロシン血症は、先天的なものではなく、ビタミンC不足によるものなので、ビタミンC投与で改善したと報告されています。
イヌイットの妊娠中の女性の平均ビタミンC摂取量は、28mg/日で、
血中ビタミンC濃度は、0.25mg/dl。
イヌイットの同年齢の非妊娠女性名の、平均ビタミンC摂取量は26mg/日で、
血中ビタミンC濃度は0.17mg/dl。
カナダの白人妊婦の、平均ビタミンC摂取量は、133mg/日で、
血中ビタミンC濃度は0.97mg/dl。
イヌイットの妊婦のビタミンC血中濃度は低くて、新生児高チロシン血症(**)の頻度が、カナダアングロサクソン人が0.5%に対して14.8%もありました。
イヌイットの血中ビタミンC濃度は、壊血病危険ラインの0.2mg/dl未満の場合も多く、歯肉出血が高率に見られたそうです。
イヌイットの場合は、血中ビタミンC濃度が低値であることは、壊血病と新生児高チロシン血症のリスクを高めていました。
イヌイットとビタミンC不足のことを考慮すると、スーパー糖質制限食においても、基本的には、野菜はしっかり摂取して、ビタミンCを確保することが必要と思います。
一方、アフリカのケニア南部からタンザニア北部にすむマサイ族は、血中ビタミンC濃度はイヌイットと同レベルの壊血病危険ライン0.2mg/dlの場合も多いのに、壊血病がみられないのは、不思議です。
またマサイ族と新生児高チロシン血症の文献は、英文でも発見できませんでした。
人類とビタミンC、謎は深まります。
江部康二
(*)
Neonatal hypertyrosinemia and evidence of deficiency of ascorbic acid
in Arctic and subarctic peoples
624-626 CMA JOURNAL/OCTOBER 4,1975/VOL.113
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1956727/pdf/canmedaj01544-0034.pdf
(**)メルクマニュアルより抜粋
チロシン血症
チロシン血症の子供では、アミノ酸のチロシンを完全に代謝することができません。このアミノ酸の代謝産物が蓄積するため、さまざまな症状が現れます。米国の一部の州では、新生児のスクリーニング検査でこの病気を調べています。
先天性チロシン血症にはI型とII型の2つのタイプがあります。I型チロシン血症が最も多くみられるのは、フランス系カナダ人やスカンジナビア系の子供です。普通、生後1年以内に肝臓や腎臓の機能障害、神経障害が起こります。そのため過敏性やくる病が現れたり、肝不全を起こして死亡することがあります。チロシン制限食はほとんど役に立ちません。治験段階の薬剤の中には毒性の代謝産物の生成を防ぐものがあり、I型チロシン血症の子供に効果があります。I型チロシン血症の子供の多くは、肝臓移植が必要になります。
II型チロシン血症はI型よりもまれな病気です。この病気の子供は精神遅滞を起こすことがあり、眼や皮膚にたびたび潰瘍が発生します。I型チロシン血症と異なり、チロシン制限食で病気の進行を防ぐことができます。
(***)チロシン
必須アミノ酸ではありませんが重要なアミノ酸であるチロシンは、フェニルアラニンという必須アミノ酸から作られます。
チロシンは脳や神経が正常に働くために必要不可欠なアミノ酸で、神経伝達物質であるドーパミン やノルアドレナリンの前駆体となり、脳機能を活性化させる働きがあります。
チロシンは感情や精神機能、性的衝動を脳内でつかさどる重要な神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリン の前駆体です。納豆やチーズ、みそなどの表面に白く析出してくる結晶や、若いタケノコの切り口に見られる白いアクがチロシン で水には溶けにくい性質があります。
2011年07月16日 (土)
こんばんは
さくらんぼさんから、人工甘味料と血糖値についてコメント・質問をいただきました。
【11/07/15 さくらんぼ
甘味料
コメントを読ませていただきました。人工甘味料は血糖値を上げる可能性があるのでしょうか?
ビールのかわりのオールフリーやコカ・コーラゼロなどカロリーゼロのものは安心して飲んでいたのですが、実は血糖値を上げていたのでしょうか?】
さくらんぼさん。
米国食料医薬品庁と厚生労働省が認可している人工甘味料には、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、ネオテームの5種類があります。
いずれも血糖値を上昇させませんし、カロリーもゼロです。
一方、ヘルスデージャパンさんのウェブサイト
http://www.healthdayjapan.com/index.php?option=com_content&task=view&id=2163&Itemid=5
に以下の記事が載っていました。
【高塩分食、人工甘味料使用炭酸飲料が腎障害に関連(2009.11.12掲載)
塩分の高い食事や人工甘味料を使用した飲料を摂取すると、腎機能低下のリスクが増大することが2つの研究で示された。「現在、腎疾患における食事の役割については限られたデータしかない。さらに研究を重ねる必要はあるが、われわれの研究から、ナトリウムの多い食事や人工甘味料の入った炭酸飲料の摂取が腎機能低下の原因となることが示された」と、両研究を行った米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院(ボストン)のJulie Lin博士は述べている。
第1の研究では、米国看護師健康研究(Nurses' Health Study)に参加した3,000人強の女性の食事と腎機能低下について検討した。その結果、正常な腎機能を維持していた女性の中では、食事の塩分の高い人ほど腎機能の低下が大きく、ナトリウム摂取が腎疾患の進行を促進するとの動物実験データと一致する結果であった。
第2の研究では、同じ女性を対象に砂糖および人工甘味料の入った飲料と腎機能低下について検討。その結果、1日2サービング以上の人工甘味料入り炭酸飲料を摂取すると、腎機能低下が加速するリスクが2倍になることが判明。砂糖入り炭酸飲料と腎機能低下との関連は認められなかった。人工甘味料入り飲料と腎機能低下との関連は、年齢、肥満、高血圧、糖尿病、喫煙、運動、カロリー摂取量および心血管疾患などの因子を考慮してもなお認められた。人工甘味料がどのように腎機能低下に影響するのかついては、さらに研究を重ねる必要があると研究グループは述べている。
両研究は、米サンディエゴで開催された米国腎臓学会(ASN)年次集会(腎臓週間2009)で発表された。(HealthDay News 11月2日)】
この研究によると、塩分の摂取量が多いことと、人工甘味料入り炭酸飲料2サービング/日以上の人が、腎機能低下のリスクが増大するということです。
腎機能に関しては、逆に言えば、人工甘味料入り炭酸飲料1サービング/日までは大丈夫ということですね。
炭酸飲料の1サービングというと、米国でも350mlくらいみたいです。つまりダイエットコーラ1缶で350mlですね。
これらの報告は、2009年の米国腎臓学会年次集会で発表されたものです。
第2の研究がその後、論文として医学雑誌に掲載された形跡はありません。
従いまして、エビデンスとしては弱くて、「懸念される或いは疑いがある」といったていどだと思われます。
まあしかし、ダイエットコーラの類は、1サービング(350ml)までにとどめる方が無難と言えば無難ですね。
江部康二
さくらんぼさんから、人工甘味料と血糖値についてコメント・質問をいただきました。
【11/07/15 さくらんぼ
甘味料
コメントを読ませていただきました。人工甘味料は血糖値を上げる可能性があるのでしょうか?
ビールのかわりのオールフリーやコカ・コーラゼロなどカロリーゼロのものは安心して飲んでいたのですが、実は血糖値を上げていたのでしょうか?】
さくらんぼさん。
米国食料医薬品庁と厚生労働省が認可している人工甘味料には、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、ネオテームの5種類があります。
いずれも血糖値を上昇させませんし、カロリーもゼロです。
一方、ヘルスデージャパンさんのウェブサイト
http://www.healthdayjapan.com/index.php?option=com_content&task=view&id=2163&Itemid=5
に以下の記事が載っていました。
【高塩分食、人工甘味料使用炭酸飲料が腎障害に関連(2009.11.12掲載)
塩分の高い食事や人工甘味料を使用した飲料を摂取すると、腎機能低下のリスクが増大することが2つの研究で示された。「現在、腎疾患における食事の役割については限られたデータしかない。さらに研究を重ねる必要はあるが、われわれの研究から、ナトリウムの多い食事や人工甘味料の入った炭酸飲料の摂取が腎機能低下の原因となることが示された」と、両研究を行った米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院(ボストン)のJulie Lin博士は述べている。
第1の研究では、米国看護師健康研究(Nurses' Health Study)に参加した3,000人強の女性の食事と腎機能低下について検討した。その結果、正常な腎機能を維持していた女性の中では、食事の塩分の高い人ほど腎機能の低下が大きく、ナトリウム摂取が腎疾患の進行を促進するとの動物実験データと一致する結果であった。
第2の研究では、同じ女性を対象に砂糖および人工甘味料の入った飲料と腎機能低下について検討。その結果、1日2サービング以上の人工甘味料入り炭酸飲料を摂取すると、腎機能低下が加速するリスクが2倍になることが判明。砂糖入り炭酸飲料と腎機能低下との関連は認められなかった。人工甘味料入り飲料と腎機能低下との関連は、年齢、肥満、高血圧、糖尿病、喫煙、運動、カロリー摂取量および心血管疾患などの因子を考慮してもなお認められた。人工甘味料がどのように腎機能低下に影響するのかついては、さらに研究を重ねる必要があると研究グループは述べている。
両研究は、米サンディエゴで開催された米国腎臓学会(ASN)年次集会(腎臓週間2009)で発表された。(HealthDay News 11月2日)】
この研究によると、塩分の摂取量が多いことと、人工甘味料入り炭酸飲料2サービング/日以上の人が、腎機能低下のリスクが増大するということです。
腎機能に関しては、逆に言えば、人工甘味料入り炭酸飲料1サービング/日までは大丈夫ということですね。
炭酸飲料の1サービングというと、米国でも350mlくらいみたいです。つまりダイエットコーラ1缶で350mlですね。
これらの報告は、2009年の米国腎臓学会年次集会で発表されたものです。
第2の研究がその後、論文として医学雑誌に掲載された形跡はありません。
従いまして、エビデンスとしては弱くて、「懸念される或いは疑いがある」といったていどだと思われます。
まあしかし、ダイエットコーラの類は、1サービング(350ml)までにとどめる方が無難と言えば無難ですね。
江部康二
2011年07月15日 (金)
おはようございます。
糖質制限食のやりかたのパターンについて、かずっぺちゃさんから、コメント・質問をいただきました。
【11/07/14 かずっぺちゃ
タイトルなし
江部先生こんにちは!早速のお返事ありがとうございます。
不安で一杯だったけど少し解消しました!
10年後20年後の自分を想像した時、今、自分が信ずる事を実践する事が大切と考えました。自分の体は自分で責任を持たないといけませんよね!
まだ、主治医なしは不安ですが、江部先生や同じように頑張っている方々のブログを頼りに一生糖質制限と仲良くしていこうと思っていますので宜しくお願いします。
さて糖質制限のやり方には大きく3通りあるように思います。
一つ目は厳しく糖質を制限やり方(Dr釜本)
二つ目は中~軽症患者には厳しい糖質制限はかえって死亡率を高めてしまうので緩やかな制限が望ましいという考え方(灰本クリニック)
三つめはその中間の考え方(江部先生はこれかなと思ったのですが間違っていたらごめんなさい)
そこで私は自分の状態を見て、どのくらいの糖質制限をしたら良いのか
考えてみました。
6/7からスーパー糖質制限(15g-carbohydrate/日)を実践し
7/11の検査結果 A1c8.6→7
総コレステロール 211→170
中性脂肪 167→85
体重 47.5kg→42kg
に改善しました。しかしこれは薬を続けながらの結果なので、7/12から血圧の薬以外飲むのを止めたのでこれからが本番だと思っています。
だから今後の1ヶ月間は同じくスーパー糖質制限で(20g-carbohydrate/日)で8月の検査で薬なしでA1c6.5未満になっていたら次の1ヶ月は
少し制限を緩め(45g-carbohydrate/日)にして、糖質量40g~60gでA1c6.5未満を安定的に維持できる所を探って行こうと思います。
最終的目標は、膵臓を少しでも回復させ、
摂取カロリーは1200kcal/日・30%-carbohydrateで、
90g-carbohydrate/日(合っていますか?) でA1c6.5未満で安定するようになればいいなと思っています。
素人考えで間違っているかもしれません。
またまたアドバイスを頂けたらと思います。
(別件でTORIさん、コメントありがとうございます。同じような状況で頑張ってる方がいると思うと心強いです。また情報交換しましょうね!)】
かずっぺちゃさん。
今の、データの改善なら、自分自身の内因性インスリンは充分量残っていると考えられます。
このまま、スーパー糖質制限食で経過をみられていいと思います。
スーパー糖質制限食は、1回の食事の糖質摂取量10~20gを目指します。
1gの糖質が体重64kgの2型糖尿人の血糖値を3mg上昇させます。
糖尿病合併症予防のため
食後1時間血糖値180mg未満、2時間血糖値140mg未満、
早朝空腹時血糖値は126mg未満→110mg未満、
HbA1cは6.5%未満→5.8%未満を目指します。
<摂取カロリーは1200kcal/日・30%-carbohydrateで、90g-carbohydrate/日>
1回30gの糖質で、上記目標がを達成できていればそれでいいです。
【糖質制限のやり方には大きく3通りあるように思います。
一つ目は厳しく糖質を制限やり方(Dr釜本)
二つ目は中~軽症患者には厳しい糖質制限はかえって死亡率を高めてしまうので緩やかな制限が望ましいという考え方(灰本クリニック)
三つめはその中間の考え方(江部先生はこれかなと思ったのですが間違っていたらごめんなさい)】
「一つ目は厳しく糖質を制限やり方(Dr釜本)」
釜池先生の糖質ゼロ食は、1日1食で夕食のみとし、1回の糖質摂取量は5g以下です。
厳しい方法ですが、選択肢の一つと思います。私には無理ですが・・・。
この方法の長期的な予後に関する、エビデンスはありません。
しかし、動脈硬化のリスク要因全てが改善するので、その分のリスクは減る可能性が高いです。
また食後高血糖、高インスリン血症がないので、その分、発がんリスクなどは減る可能性が高いです。
「二つ目は中~軽症患者には厳しい糖質制限はかえって死亡率を高めてしまうので緩やかな制限が望ましいという考え方(灰本クリニック)」
灰本先生の方法は、高雄病院方式の中のスタンダード糖質制限食です。
『厳しい糖質制限はかえって死亡率を高めてしまう。』というエビデンスはありません。
2011.06.27 (Mon)の本ブログ
「スーパー糖質制限食に発ガンのリスクはあるのか?①」をご参照下さい。
スタンダード糖質制限食の場合は、1日1回昼食でグルコーススパイクを起こすので、理論的にはその分のリスクがあります。
「三つめはその中間の考え方(江部先生はこれかなと思ったのですが間違っていたらごめんなさい)」
高雄病院方式の糖質制限食では、一番のお奨めは、グルコーススパイクを1回も生じない、スーパー糖質制限食です。
あとは、事情によりスタンダード糖質制限食、プチ糖質制限食を使い分けます。
スーパー糖質制限食の長期的な予後に関する、エビデンスはありません。
しかし、動脈硬化のリスク要因全てが改善するので、その分のリスクは減る可能性が高いです。
また食後高血糖、高インスリン血症がないので、その分、発がんリスクなどは減る可能性が高いです。
高雄病院方式の糖質制限食の基本スタンスは、「人類本来の食生活を目指す。」ということです。
人類の歴史は、約400万年です。
農耕が始まるまでの約400万年は、狩猟・採集が生業であり、魚貝類・小動物・動物の肉・内臓・骨髄・野草・野菜・キノコ・海藻・昆虫などが日常的な食料です。時々食べることができたのは、木の実・ナッツ・果物・山芋などでしょうか。
スーパー糖質制限食における総摂取カロリーに対する割合は
<脂質56%、タンパク質32%、糖質12%>
です。
すなわち、高脂質・高タンパク食であり、制限するのは糖質だけで、これくらいが「人類本来の食生活」に近い比率だと思います。
摂取する糖質のほとんどが野菜分の糖質です。400万年の進化の歴史において、野菜は日常的に摂取していたと思います。このことは、人類がビタミンCを体内で合成できないことからも、推察できます。動物性食品だけの摂取では、ビタミンCが必ず不足します。
従いまして、スーパー糖質制限食で野菜を摂取することは、ビタミンC確保の意味からも重要な意味を持っています。
つまり、適量の野菜(最低ビタミンC必要量)は、必ず摂取しなければなりません。ただ大量の野菜は、糖質量が増えるので要注意です。
次に果物やナッツ類は、秋を中心に季節ごとに少量は手に入るので、ご先祖も、当然摂取していたと思います。
但し、当時の果物やナッツは野生種ですから、現在流通しているものに比べたら、はるかに小さくてショボくて糖質含有量も少なかったと思います。
そして、じゃがいもやさつまいもを人類が食べ始めたのは、農耕開始と同じ頃かそれ以降です。
一方、山芋は、世界中にいろんな種類が山のなかに自生してたと思われ、たま~に運良く採集できたら、ご先祖も食べていたと思います。
このように考えてくると、糖尿人のスーパー糖質制限食においても、適量の野菜、少量のナッツ類、少量の果物、程度の少なめの糖質量は、人類の進化の過程で時々摂取していたものであり、人体の消化吸収・栄養代謝システムのおいても許容できる範囲と思います。
山芋は、さすがに糖質含有量が多いので、糖尿人はやめておくほうが無難です。
正常人が、健康のためにスーパー糖質制限食を実践する場合は、糖尿人より多めの野菜、適量のナッツ類、適量の果物、適量の山芋、くらいまでの糖質量は許容範囲と思います。
以上が高雄病院方式の糖質制限食基本スタンスです。
江部康二
糖質制限食のやりかたのパターンについて、かずっぺちゃさんから、コメント・質問をいただきました。
【11/07/14 かずっぺちゃ
タイトルなし
江部先生こんにちは!早速のお返事ありがとうございます。
不安で一杯だったけど少し解消しました!
10年後20年後の自分を想像した時、今、自分が信ずる事を実践する事が大切と考えました。自分の体は自分で責任を持たないといけませんよね!
まだ、主治医なしは不安ですが、江部先生や同じように頑張っている方々のブログを頼りに一生糖質制限と仲良くしていこうと思っていますので宜しくお願いします。
さて糖質制限のやり方には大きく3通りあるように思います。
一つ目は厳しく糖質を制限やり方(Dr釜本)
二つ目は中~軽症患者には厳しい糖質制限はかえって死亡率を高めてしまうので緩やかな制限が望ましいという考え方(灰本クリニック)
三つめはその中間の考え方(江部先生はこれかなと思ったのですが間違っていたらごめんなさい)
そこで私は自分の状態を見て、どのくらいの糖質制限をしたら良いのか
考えてみました。
6/7からスーパー糖質制限(15g-carbohydrate/日)を実践し
7/11の検査結果 A1c8.6→7
総コレステロール 211→170
中性脂肪 167→85
体重 47.5kg→42kg
に改善しました。しかしこれは薬を続けながらの結果なので、7/12から血圧の薬以外飲むのを止めたのでこれからが本番だと思っています。
だから今後の1ヶ月間は同じくスーパー糖質制限で(20g-carbohydrate/日)で8月の検査で薬なしでA1c6.5未満になっていたら次の1ヶ月は
少し制限を緩め(45g-carbohydrate/日)にして、糖質量40g~60gでA1c6.5未満を安定的に維持できる所を探って行こうと思います。
最終的目標は、膵臓を少しでも回復させ、
摂取カロリーは1200kcal/日・30%-carbohydrateで、
90g-carbohydrate/日(合っていますか?) でA1c6.5未満で安定するようになればいいなと思っています。
素人考えで間違っているかもしれません。
またまたアドバイスを頂けたらと思います。
(別件でTORIさん、コメントありがとうございます。同じような状況で頑張ってる方がいると思うと心強いです。また情報交換しましょうね!)】
かずっぺちゃさん。
今の、データの改善なら、自分自身の内因性インスリンは充分量残っていると考えられます。
このまま、スーパー糖質制限食で経過をみられていいと思います。
スーパー糖質制限食は、1回の食事の糖質摂取量10~20gを目指します。
1gの糖質が体重64kgの2型糖尿人の血糖値を3mg上昇させます。
糖尿病合併症予防のため
食後1時間血糖値180mg未満、2時間血糖値140mg未満、
早朝空腹時血糖値は126mg未満→110mg未満、
HbA1cは6.5%未満→5.8%未満を目指します。
<摂取カロリーは1200kcal/日・30%-carbohydrateで、90g-carbohydrate/日>
1回30gの糖質で、上記目標がを達成できていればそれでいいです。
【糖質制限のやり方には大きく3通りあるように思います。
一つ目は厳しく糖質を制限やり方(Dr釜本)
二つ目は中~軽症患者には厳しい糖質制限はかえって死亡率を高めてしまうので緩やかな制限が望ましいという考え方(灰本クリニック)
三つめはその中間の考え方(江部先生はこれかなと思ったのですが間違っていたらごめんなさい)】
「一つ目は厳しく糖質を制限やり方(Dr釜本)」
釜池先生の糖質ゼロ食は、1日1食で夕食のみとし、1回の糖質摂取量は5g以下です。
厳しい方法ですが、選択肢の一つと思います。私には無理ですが・・・。
この方法の長期的な予後に関する、エビデンスはありません。
しかし、動脈硬化のリスク要因全てが改善するので、その分のリスクは減る可能性が高いです。
また食後高血糖、高インスリン血症がないので、その分、発がんリスクなどは減る可能性が高いです。
「二つ目は中~軽症患者には厳しい糖質制限はかえって死亡率を高めてしまうので緩やかな制限が望ましいという考え方(灰本クリニック)」
灰本先生の方法は、高雄病院方式の中のスタンダード糖質制限食です。
『厳しい糖質制限はかえって死亡率を高めてしまう。』というエビデンスはありません。
2011.06.27 (Mon)の本ブログ
「スーパー糖質制限食に発ガンのリスクはあるのか?①」をご参照下さい。
スタンダード糖質制限食の場合は、1日1回昼食でグルコーススパイクを起こすので、理論的にはその分のリスクがあります。
「三つめはその中間の考え方(江部先生はこれかなと思ったのですが間違っていたらごめんなさい)」
高雄病院方式の糖質制限食では、一番のお奨めは、グルコーススパイクを1回も生じない、スーパー糖質制限食です。
あとは、事情によりスタンダード糖質制限食、プチ糖質制限食を使い分けます。
スーパー糖質制限食の長期的な予後に関する、エビデンスはありません。
しかし、動脈硬化のリスク要因全てが改善するので、その分のリスクは減る可能性が高いです。
また食後高血糖、高インスリン血症がないので、その分、発がんリスクなどは減る可能性が高いです。
高雄病院方式の糖質制限食の基本スタンスは、「人類本来の食生活を目指す。」ということです。
人類の歴史は、約400万年です。
農耕が始まるまでの約400万年は、狩猟・採集が生業であり、魚貝類・小動物・動物の肉・内臓・骨髄・野草・野菜・キノコ・海藻・昆虫などが日常的な食料です。時々食べることができたのは、木の実・ナッツ・果物・山芋などでしょうか。
スーパー糖質制限食における総摂取カロリーに対する割合は
<脂質56%、タンパク質32%、糖質12%>
です。
すなわち、高脂質・高タンパク食であり、制限するのは糖質だけで、これくらいが「人類本来の食生活」に近い比率だと思います。
摂取する糖質のほとんどが野菜分の糖質です。400万年の進化の歴史において、野菜は日常的に摂取していたと思います。このことは、人類がビタミンCを体内で合成できないことからも、推察できます。動物性食品だけの摂取では、ビタミンCが必ず不足します。
従いまして、スーパー糖質制限食で野菜を摂取することは、ビタミンC確保の意味からも重要な意味を持っています。
つまり、適量の野菜(最低ビタミンC必要量)は、必ず摂取しなければなりません。ただ大量の野菜は、糖質量が増えるので要注意です。
次に果物やナッツ類は、秋を中心に季節ごとに少量は手に入るので、ご先祖も、当然摂取していたと思います。
但し、当時の果物やナッツは野生種ですから、現在流通しているものに比べたら、はるかに小さくてショボくて糖質含有量も少なかったと思います。
そして、じゃがいもやさつまいもを人類が食べ始めたのは、農耕開始と同じ頃かそれ以降です。
一方、山芋は、世界中にいろんな種類が山のなかに自生してたと思われ、たま~に運良く採集できたら、ご先祖も食べていたと思います。
このように考えてくると、糖尿人のスーパー糖質制限食においても、適量の野菜、少量のナッツ類、少量の果物、程度の少なめの糖質量は、人類の進化の過程で時々摂取していたものであり、人体の消化吸収・栄養代謝システムのおいても許容できる範囲と思います。
山芋は、さすがに糖質含有量が多いので、糖尿人はやめておくほうが無難です。
正常人が、健康のためにスーパー糖質制限食を実践する場合は、糖尿人より多めの野菜、適量のナッツ類、適量の果物、適量の山芋、くらいまでの糖質量は許容範囲と思います。
以上が高雄病院方式の糖質制限食基本スタンスです。
江部康二
2011年07月13日 (水)
おはようございます。
ヒデタンから、卵とコレステロールについてコメント・質問をいただきました。
食生活の指針に関して、検討してみます。
【ヒデタン
茹でたまご
はじめまして、10年前から糖尿病が悪化し、江部先生の本に出会い、
5冊程購入し、自分なりに今年の5月からスーパー糖質制限食を実行したところ
体重 100Kgが92.5kg
HgA1C 11から7になりました。
以上の結果が出たことを 感謝致します。
現在、理想の数値をめざして、スーパー糖質制限食をしております。
しかし、元々炭水化物が好きだった為、辛いこともありますが、たまたま茹でたまごを食べる様になり、炭水化物の事が忘れられる様になりました。手軽さと満足感が後押しして、今では毎日7個以上たべてしまいます。
脂肪肝も少しありますし、コレステロールが心配ですが、いかがでしょうか?
あと、チーズも欠かさず毎日食べています。】
ヒデタンへ。
本のご購入ありがとうございます。
そして、体重とHbA1cの改善、良かったです。
食生活の指針は色々出ていると思いますが、いわゆるEBMに基づくものでは、世界がん研究基金2007年の報告があります。(☆)
以下は、アメリカ心臓協会による2006年版の食と生活の勧告ですが、これは、明確なEBMに基づくものではないようです。
<アメリカ心臓協会による2006年版の食と生活の勧告>
1)必要以上にカロリーを摂りすぎないようにし、体重を維持する。
2)ほとんど毎日、少なくとも30分の適度な運動をする。
3)穀物の半分以上を精白されていない全粒穀物にし、様々な野菜と果物を食べる。毎日25グラムの
食物繊維を目指す。
4)脂質は、全カロリーの25~35%までとし、大部分は一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸であるべきです。
5)飽和脂肪酸とトランス脂肪酸を含む食物を、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸を含む食物に替える。
6)飽和脂肪酸の摂取を制限するために、肉は皮が取り除かれていて脂肪の少ないものを選ぶ。また、
低脂肪の乳製品を選ぶ。
7)少なくとも週2回は魚を食べる。魚の油は多価不飽和脂肪酸のω-3脂肪酸を含み、心臓疾患のリスク低下と
相関関係があります。
8)トランス脂肪酸を含むものを減らす。固形マーガリンを含む食べものや、フライドポテトを制限してくだ
さい。
9)コレステロールは1日に300mg以下にする。
10)砂糖が加えられた飲食物は減らす。
11)ナトリウム1日に2300mg未満にする。
12)アルコールは男性1日2杯、女性1日1杯までにする。
13)タバコをすわない。そして、タバコの煙に近づかない。
1)2)は常識的な定説ですね。
3)は欧米の食事指針では、全粒穀物というのが明記されることがほとんどで、日本の食事指針とは、そこが違います。
4)も定説ですが、根拠となる信頼度の高い文献はないと思います。
5)も定説で、トランス脂肪酸の害はあるていど根拠があると思います。
6)も定説ですが、根拠となる信頼度の高い文献はないと思います。
7)は定説である程度、根拠があると思います。
8)は根拠があると思います。
9)コレステロールの摂取量に関しては、根拠となる信頼度の高い文献はないと思います。
10)11)12)13)は、一定の根拠があると思います。
コレステロールは、生体のあらゆる細胞膜の構築に必須の物質であり、肝臓で合成し腸肝循環によって制御・調節されています。
そのため血清コレステロール値は、摂取された食物のコレステロールの影響を比較的受けにくいのです。
食事中のコレステロールに対する血清コレステロールの上昇には、個人差が結構あります。
従って、コレステロールの多い食品を摂取すると、一過性に血清コレステロール値が上昇する人もありますが、肝臓で調整するので、3~6~12ヶ月ていどで補正されます。
卵は栄養価の高い食品なので、糖質制限食的には積極的に摂取してよい食品です。
一方、上述のように個人差がありますので、一律に一日何個までという指針をつくることは困難です。
ヒデタンの鶏卵7個/日は、一般的感覚では、さすがに多いと思います。
糖質制限食もカロリー無制限というわけではありませんので・・・。
例えば血糖値良好でも、脂肪肝が改善しきらないなら、少し減らすのが賢明ですね。
鶏卵1個が、76キロカロリーくらいです。
しかし、それで1年・2年経過を追って、総コレステロール、HDL-C、LDL-C、TG・・・脂肪肝・・・に問題がなければ大丈夫ということになります。
江部康二
(☆)参考 世界ガン研究基金の2007年の報告に関するブログ記事 2010.01.27 (Wed)
世界ガン研究基金の2007年の報告
おはようございます。
世界ガン研究基金の2007年の報告、いろんな日本語のサイトで要約は載っているのですが、肥満とガンに関して、内容が微妙に食い違っていて、どう解釈したものか悩んでましたがやっと英文の本家のサイトにたどり着きました。
World cancer reserch fund
http://www.wcrf-uk.org/preventing_cancer/recommendations.php
このサイトで、必要な確認だけして、内容を検討してみました。
まずは、ウィキペディアの解説です。よくまとまっているので、以下に引用しました。
【食生活指針
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A3%9F%E7%94%9F%E6%B4%BB%E6%8C%87%E9%87%9D
世界がん研究基金によるがん予防の勧告
1997年に4500以上の研究を研究を元に、「食べもの、栄養とがん予防」 (Food, Nutrition, and the Prevention of Cancer: A Global Perspective) が報告された。日本では、がん予防14か条、タバコの制限を加えてがん予防15か条として紹介された。
2007年11月1日、世界がん研究基金とアメリカがん研究協会によって7000以上の研究を根拠に「食べもの、栄養、運動とがん予防[15]」が報告されている。
①肥満 ゴール:BMIは21-23の範囲に。 推薦:標準体重の維持、BMI25未満。
②運動 推薦:毎日少なくとも30分の運動。
③体重を増やす飲食物 推薦:高エネルギーの食べものや砂糖入り飲料やフルーツジュース、ファーストフードの摂取を制限する。飲料として水や茶や無糖コーヒーが推奨される。
④植物性食品 ゴール:毎日少なくとも600gの野菜や果物と、少なくとも25グラムの食物繊維を摂取するための精白されていない穀物である全粒穀物と豆を食べる。 推奨:毎日400g以上の野菜や果物と、全粒穀物と豆を食べる。精白された穀物などを制限する。
トランス脂肪酸は心臓病のリスクとなるが、がんへの関与は知られていない。
⑤動物性食品 赤肉(牛・豚・羊)を制限し、加工肉(ハム、ベーコン、サラミ、燻製肉、熟成肉、塩蔵肉)は避ける。赤肉より、鶏肉や魚が推奨される。 ゴール:赤肉は週300g以下に。 推奨:赤肉は週500g以下に。乳製品は議論があるため推奨していない。
⑥アルコール 男性は1日2杯、女性は1日1杯まで。
⑦保存、調理 ゴール:塩分摂取量を1日に5g以下に。 推奨:塩辛い食べものを避ける。
塩分摂取量を1日に6g以下に。カビのある穀物や豆を避ける。
⑧サプリメント ゴール:サプリメントなしで栄養が満たせる。 推奨:がん予防のためにサプリメントに頼らない。
⑨母乳哺育 6か月、母乳哺育をする。これは母親を主に乳がんから、子供を肥満や病気から守る。
⑩がん治療後 がん治療を行ったなら、栄養、体重、運動について専門家の指導を受ける。
***
タバコの煙もがんの主因であると強調している。また、タバコとアルコールは相乗作用で発癌物質となる。】
①肥満
肥満に関しては、大腸・食道・膵臓・腎臓・子宮内膜(子宮)・乳房のガンになるリスクが高まるとしています。
これら6つのガンに関しては、はっきり肥満がリスクになるということです。また、胆嚢に関しては、肥満がおそらく発ガンのリスクを高めるとしています。糖質制限食が肥満にはもっとも有効な治療法です。 (^_^)
②運動③体重を増やす飲食物
①とも関連してますね。私も賛成です。
④植物性食品
食物繊維の摂取を推奨ですね。また精製炭水化物の制限を推奨です。
賛成です。
⑤動物性食品
赤肉(牛・豚・羊)は週500g以下にという目標は、日本人にはそんなに難しくはないように思いますが、米国人にはとんでもなく厳しい数値目標ですね。
最近は、動物性脂肪の害はないという文献も出てきているので個人的には、もう少し赤肉を食べてもいいように思うのですが・・・(∵)?
⑥アルコール
「男性は1日2杯まで」
これは仰有る通りかもしれませんが、残念ながら私には守れそうもありませんし、守っていませんね。(-_-;)
⑦保存、調理
塩分6g以下ですか。結構厳しいですね。σ(=_=;)ヾ
⑧⑨⑩は賛成です。
タバコの害も言うまでもないですね。
江部康二
ヒデタンから、卵とコレステロールについてコメント・質問をいただきました。
食生活の指針に関して、検討してみます。
【ヒデタン
茹でたまご
はじめまして、10年前から糖尿病が悪化し、江部先生の本に出会い、
5冊程購入し、自分なりに今年の5月からスーパー糖質制限食を実行したところ
体重 100Kgが92.5kg
HgA1C 11から7になりました。
以上の結果が出たことを 感謝致します。
現在、理想の数値をめざして、スーパー糖質制限食をしております。
しかし、元々炭水化物が好きだった為、辛いこともありますが、たまたま茹でたまごを食べる様になり、炭水化物の事が忘れられる様になりました。手軽さと満足感が後押しして、今では毎日7個以上たべてしまいます。
脂肪肝も少しありますし、コレステロールが心配ですが、いかがでしょうか?
あと、チーズも欠かさず毎日食べています。】
ヒデタンへ。
本のご購入ありがとうございます。
そして、体重とHbA1cの改善、良かったです。
食生活の指針は色々出ていると思いますが、いわゆるEBMに基づくものでは、世界がん研究基金2007年の報告があります。(☆)
以下は、アメリカ心臓協会による2006年版の食と生活の勧告ですが、これは、明確なEBMに基づくものではないようです。
<アメリカ心臓協会による2006年版の食と生活の勧告>
1)必要以上にカロリーを摂りすぎないようにし、体重を維持する。
2)ほとんど毎日、少なくとも30分の適度な運動をする。
3)穀物の半分以上を精白されていない全粒穀物にし、様々な野菜と果物を食べる。毎日25グラムの
食物繊維を目指す。
4)脂質は、全カロリーの25~35%までとし、大部分は一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸であるべきです。
5)飽和脂肪酸とトランス脂肪酸を含む食物を、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸を含む食物に替える。
6)飽和脂肪酸の摂取を制限するために、肉は皮が取り除かれていて脂肪の少ないものを選ぶ。また、
低脂肪の乳製品を選ぶ。
7)少なくとも週2回は魚を食べる。魚の油は多価不飽和脂肪酸のω-3脂肪酸を含み、心臓疾患のリスク低下と
相関関係があります。
8)トランス脂肪酸を含むものを減らす。固形マーガリンを含む食べものや、フライドポテトを制限してくだ
さい。
9)コレステロールは1日に300mg以下にする。
10)砂糖が加えられた飲食物は減らす。
11)ナトリウム1日に2300mg未満にする。
12)アルコールは男性1日2杯、女性1日1杯までにする。
13)タバコをすわない。そして、タバコの煙に近づかない。
1)2)は常識的な定説ですね。
3)は欧米の食事指針では、全粒穀物というのが明記されることがほとんどで、日本の食事指針とは、そこが違います。
4)も定説ですが、根拠となる信頼度の高い文献はないと思います。
5)も定説で、トランス脂肪酸の害はあるていど根拠があると思います。
6)も定説ですが、根拠となる信頼度の高い文献はないと思います。
7)は定説である程度、根拠があると思います。
8)は根拠があると思います。
9)コレステロールの摂取量に関しては、根拠となる信頼度の高い文献はないと思います。
10)11)12)13)は、一定の根拠があると思います。
コレステロールは、生体のあらゆる細胞膜の構築に必須の物質であり、肝臓で合成し腸肝循環によって制御・調節されています。
そのため血清コレステロール値は、摂取された食物のコレステロールの影響を比較的受けにくいのです。
食事中のコレステロールに対する血清コレステロールの上昇には、個人差が結構あります。
従って、コレステロールの多い食品を摂取すると、一過性に血清コレステロール値が上昇する人もありますが、肝臓で調整するので、3~6~12ヶ月ていどで補正されます。
卵は栄養価の高い食品なので、糖質制限食的には積極的に摂取してよい食品です。
一方、上述のように個人差がありますので、一律に一日何個までという指針をつくることは困難です。
ヒデタンの鶏卵7個/日は、一般的感覚では、さすがに多いと思います。
糖質制限食もカロリー無制限というわけではありませんので・・・。
例えば血糖値良好でも、脂肪肝が改善しきらないなら、少し減らすのが賢明ですね。
鶏卵1個が、76キロカロリーくらいです。
しかし、それで1年・2年経過を追って、総コレステロール、HDL-C、LDL-C、TG・・・脂肪肝・・・に問題がなければ大丈夫ということになります。
江部康二
(☆)参考 世界ガン研究基金の2007年の報告に関するブログ記事 2010.01.27 (Wed)
世界ガン研究基金の2007年の報告
おはようございます。
世界ガン研究基金の2007年の報告、いろんな日本語のサイトで要約は載っているのですが、肥満とガンに関して、内容が微妙に食い違っていて、どう解釈したものか悩んでましたがやっと英文の本家のサイトにたどり着きました。
World cancer reserch fund
http://www.wcrf-uk.org/preventing_cancer/recommendations.php
このサイトで、必要な確認だけして、内容を検討してみました。
まずは、ウィキペディアの解説です。よくまとまっているので、以下に引用しました。
【食生活指針
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A3%9F%E7%94%9F%E6%B4%BB%E6%8C%87%E9%87%9D
世界がん研究基金によるがん予防の勧告
1997年に4500以上の研究を研究を元に、「食べもの、栄養とがん予防」 (Food, Nutrition, and the Prevention of Cancer: A Global Perspective) が報告された。日本では、がん予防14か条、タバコの制限を加えてがん予防15か条として紹介された。
2007年11月1日、世界がん研究基金とアメリカがん研究協会によって7000以上の研究を根拠に「食べもの、栄養、運動とがん予防[15]」が報告されている。
①肥満 ゴール:BMIは21-23の範囲に。 推薦:標準体重の維持、BMI25未満。
②運動 推薦:毎日少なくとも30分の運動。
③体重を増やす飲食物 推薦:高エネルギーの食べものや砂糖入り飲料やフルーツジュース、ファーストフードの摂取を制限する。飲料として水や茶や無糖コーヒーが推奨される。
④植物性食品 ゴール:毎日少なくとも600gの野菜や果物と、少なくとも25グラムの食物繊維を摂取するための精白されていない穀物である全粒穀物と豆を食べる。 推奨:毎日400g以上の野菜や果物と、全粒穀物と豆を食べる。精白された穀物などを制限する。
トランス脂肪酸は心臓病のリスクとなるが、がんへの関与は知られていない。
⑤動物性食品 赤肉(牛・豚・羊)を制限し、加工肉(ハム、ベーコン、サラミ、燻製肉、熟成肉、塩蔵肉)は避ける。赤肉より、鶏肉や魚が推奨される。 ゴール:赤肉は週300g以下に。 推奨:赤肉は週500g以下に。乳製品は議論があるため推奨していない。
⑥アルコール 男性は1日2杯、女性は1日1杯まで。
⑦保存、調理 ゴール:塩分摂取量を1日に5g以下に。 推奨:塩辛い食べものを避ける。
塩分摂取量を1日に6g以下に。カビのある穀物や豆を避ける。
⑧サプリメント ゴール:サプリメントなしで栄養が満たせる。 推奨:がん予防のためにサプリメントに頼らない。
⑨母乳哺育 6か月、母乳哺育をする。これは母親を主に乳がんから、子供を肥満や病気から守る。
⑩がん治療後 がん治療を行ったなら、栄養、体重、運動について専門家の指導を受ける。
***
タバコの煙もがんの主因であると強調している。また、タバコとアルコールは相乗作用で発癌物質となる。】
①肥満
肥満に関しては、大腸・食道・膵臓・腎臓・子宮内膜(子宮)・乳房のガンになるリスクが高まるとしています。
これら6つのガンに関しては、はっきり肥満がリスクになるということです。また、胆嚢に関しては、肥満がおそらく発ガンのリスクを高めるとしています。糖質制限食が肥満にはもっとも有効な治療法です。 (^_^)
②運動③体重を増やす飲食物
①とも関連してますね。私も賛成です。
④植物性食品
食物繊維の摂取を推奨ですね。また精製炭水化物の制限を推奨です。
賛成です。
⑤動物性食品
赤肉(牛・豚・羊)は週500g以下にという目標は、日本人にはそんなに難しくはないように思いますが、米国人にはとんでもなく厳しい数値目標ですね。
最近は、動物性脂肪の害はないという文献も出てきているので個人的には、もう少し赤肉を食べてもいいように思うのですが・・・(∵)?
⑥アルコール
「男性は1日2杯まで」
これは仰有る通りかもしれませんが、残念ながら私には守れそうもありませんし、守っていませんね。(-_-;)
⑦保存、調理
塩分6g以下ですか。結構厳しいですね。σ(=_=;)ヾ
⑧⑨⑩は賛成です。
タバコの害も言うまでもないですね。
江部康二
2011年07月12日 (火)
こんにちは
2011年7月10日(日)
「国際中医薬膳管理師会・設立3周年特別記念講演会」 笹川記念会館
「テーラーメードダイエットと糖質制限食」~人類の食生活 糖尿病・肥満の解決~
満員御礼となりました。
薬剤師、栄養士を中心に130名の参加でした。
活発な質疑応答があり、最後はご要望により、なんとアカペラで
「Stand by me」
を歌ってしまいました。(=_=;)
本もDVDもたくさん売れました。
国際中医薬膳管理師会の皆さん、ありがとうございました。m(_ _)mVV
7月9日(土)は
新橋の梅花(メイファ)
http://meihua.jp/
03-6809-2264
で糖質制限食OKの中華料理のフルコースを堪能しました。
杏仁豆腐は10年ぶりに食べました。 (⌒o⌒)v
なおかつ
7月10日(日)は 国際中医薬膳管理師会の皆さんと40名で、講演会終了後、
かの糖質制限食の聖地、
ボタニカ
http://www.danddlondon.jp/botanica/
03-5413-3282
に行ってきました。
イタリアンのフルコースとワインをを心ゆくまで楽しみました。 (^^)
黙って座ればフルコース、糖質制限食OKの美しい品々が並べられていく・・・
あれこれ悩むことなく、美味しく楽しく糖質制限食、とても楽です。
新橋の梅花(メイファ)、ボタニカともに予約してからでかけるのがよろしいかと思います。
読者の皆さんも是非どうぞ。
江部康二
2011年7月10日(日)
「国際中医薬膳管理師会・設立3周年特別記念講演会」 笹川記念会館
「テーラーメードダイエットと糖質制限食」~人類の食生活 糖尿病・肥満の解決~
満員御礼となりました。
薬剤師、栄養士を中心に130名の参加でした。
活発な質疑応答があり、最後はご要望により、なんとアカペラで
「Stand by me」
を歌ってしまいました。(=_=;)
本もDVDもたくさん売れました。
国際中医薬膳管理師会の皆さん、ありがとうございました。m(_ _)mVV
7月9日(土)は
新橋の梅花(メイファ)
http://meihua.jp/
03-6809-2264
で糖質制限食OKの中華料理のフルコースを堪能しました。
杏仁豆腐は10年ぶりに食べました。 (⌒o⌒)v
なおかつ
7月10日(日)は 国際中医薬膳管理師会の皆さんと40名で、講演会終了後、
かの糖質制限食の聖地、
ボタニカ
http://www.danddlondon.jp/botanica/
03-5413-3282
に行ってきました。
イタリアンのフルコースとワインをを心ゆくまで楽しみました。 (^^)
黙って座ればフルコース、糖質制限食OKの美しい品々が並べられていく・・・
あれこれ悩むことなく、美味しく楽しく糖質制限食、とても楽です。
新橋の梅花(メイファ)、ボタニカともに予約してからでかけるのがよろしいかと思います。
読者の皆さんも是非どうぞ。
江部康二
2011年07月12日 (火)
おはようございます。
摂津のエクレアさんから、貴重なコメントをいただきました。
【11/07/11 摂津のエクレア
私も放置していました
江部先生こんばんは。
私も医療機関にかからないで、放置していた人間でした。
薄々糖尿かもと気がついていたものの、無知からか糖尿をなめていたのと、自分で認めたくない気持ちが強く放置していました。
その結果糖尿発覚時には、網膜症を発症しました。
空腹時249 A1c9.5と言う結果でした。
昨年の8月末の事です。
自宅近辺の医療機関では、どうにもならず、結局奈良県に、硝子体手術の専門医がいらっしゃると聞き、手術をしてもらいました。
結果左目はロービジョンのままでしたが、右目の視力は裸眼1.0矯正1.2まで回復しました。
そして現在目の診察は奈良。
糖尿病本体は、高雄病院京都駅前診療所の來須先生にお世話になっています。
現在空腹時80台後半から90台前半 食後最大で110までになり、A1c5.1になり4%台も夢でなくなりました。
もっと早く糖尿病治療そして糖質制限食を実践していればと少々後悔をしています。】
摂津のエクレアさん。
2010年8月、空腹時249mg、 A1c9.5%
2011年7月、空腹時80mg台後半から90mg台前半、食後最大で110、A1c5.1%
糖質制限食で素晴らしい改善ですね。
まずは良かったです。
一方、2010年8月の糖尿病発覚時、すでに網膜症を発症していたということは、少なくとも数年間は高血糖を放置していた可能性が高いです。
ご自身が述べておられるように、早期の糖尿病治療、そして糖質制限食が実践できていればという思いは残りますね。
慢性の糖尿病合併症ですが、罹病(りびょう)後、長期間血糖コントロールの悪い状態が持続して、細小血管や大血管に傷害が生じて初めて発生します。罹病後というのは、診断後と同一ではありません。
糖尿病と診断される前に、例えば5年間高血糖状態をほったらかしていたら、診断時にはすでに罹病後5年間が経過しているわけです。
細小血管合併症には、糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症など、大血管合併症には、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病足病変などがあります。
長期間というのは、一般的には、糖尿病発症後、数年間以上の単位だと思います。
通常は、少なくともHbA1c6.5%以上、通常は7%以上の血糖コントロール不良が、数年間以上継続して初めて細小血管や大血管に障害が生じて合併症を生じます。
糖尿病神経障害は、特に早ければ罹病後2~3年、通常は罹病後5~10年で発症してきます。罹病期間が長くなるにつれて、有病率が高くなります。
糖尿病網膜症は、通常は罹病後、5年以降に始まります。
網膜症を発症する率は、糖尿病の罹病期間が長くなるにつれて高くなり、罹病期間が20年を超えると80%以上になります。
網膜症が重症化し視力障害を来す例は、最近では年間4000人とされ、成人の中途失明の原因の第2位です。
糖尿病腎症は、通常糖尿病発症5~10年で患者さんの約20%が第3期腎症(顕性腎症)に陥るとされています。
もっともこれらは血糖コントロールが悪いから、合併症を発症するわけです。
① 空腹時血糖値126mg/dl未満→110mg/dl未満
② 食後2時間血糖値180mg/dlmg/dl未満→140mg/dl未満
③ HbA1c6.5%未満→5.8%未満
上記①②③を達成していれば、合併症は予防できるし進行を阻止できるとされています。
糖尿病治療は早ければ早いほどいいですね。
早ければ、食事療法(糖質制限食)だけで、薬物治療は必要ありません。
美味しく楽しく糖質制限食実践で、目標達成をめざしましょう。ヾ(^▽^)
江部康二
摂津のエクレアさんから、貴重なコメントをいただきました。
【11/07/11 摂津のエクレア
私も放置していました
江部先生こんばんは。
私も医療機関にかからないで、放置していた人間でした。
薄々糖尿かもと気がついていたものの、無知からか糖尿をなめていたのと、自分で認めたくない気持ちが強く放置していました。
その結果糖尿発覚時には、網膜症を発症しました。
空腹時249 A1c9.5と言う結果でした。
昨年の8月末の事です。
自宅近辺の医療機関では、どうにもならず、結局奈良県に、硝子体手術の専門医がいらっしゃると聞き、手術をしてもらいました。
結果左目はロービジョンのままでしたが、右目の視力は裸眼1.0矯正1.2まで回復しました。
そして現在目の診察は奈良。
糖尿病本体は、高雄病院京都駅前診療所の來須先生にお世話になっています。
現在空腹時80台後半から90台前半 食後最大で110までになり、A1c5.1になり4%台も夢でなくなりました。
もっと早く糖尿病治療そして糖質制限食を実践していればと少々後悔をしています。】
摂津のエクレアさん。
2010年8月、空腹時249mg、 A1c9.5%
2011年7月、空腹時80mg台後半から90mg台前半、食後最大で110、A1c5.1%
糖質制限食で素晴らしい改善ですね。
まずは良かったです。
一方、2010年8月の糖尿病発覚時、すでに網膜症を発症していたということは、少なくとも数年間は高血糖を放置していた可能性が高いです。
ご自身が述べておられるように、早期の糖尿病治療、そして糖質制限食が実践できていればという思いは残りますね。
慢性の糖尿病合併症ですが、罹病(りびょう)後、長期間血糖コントロールの悪い状態が持続して、細小血管や大血管に傷害が生じて初めて発生します。罹病後というのは、診断後と同一ではありません。
糖尿病と診断される前に、例えば5年間高血糖状態をほったらかしていたら、診断時にはすでに罹病後5年間が経過しているわけです。
細小血管合併症には、糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症など、大血管合併症には、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病足病変などがあります。
長期間というのは、一般的には、糖尿病発症後、数年間以上の単位だと思います。
通常は、少なくともHbA1c6.5%以上、通常は7%以上の血糖コントロール不良が、数年間以上継続して初めて細小血管や大血管に障害が生じて合併症を生じます。
糖尿病神経障害は、特に早ければ罹病後2~3年、通常は罹病後5~10年で発症してきます。罹病期間が長くなるにつれて、有病率が高くなります。
糖尿病網膜症は、通常は罹病後、5年以降に始まります。
網膜症を発症する率は、糖尿病の罹病期間が長くなるにつれて高くなり、罹病期間が20年を超えると80%以上になります。
網膜症が重症化し視力障害を来す例は、最近では年間4000人とされ、成人の中途失明の原因の第2位です。
糖尿病腎症は、通常糖尿病発症5~10年で患者さんの約20%が第3期腎症(顕性腎症)に陥るとされています。
もっともこれらは血糖コントロールが悪いから、合併症を発症するわけです。
① 空腹時血糖値126mg/dl未満→110mg/dl未満
② 食後2時間血糖値180mg/dlmg/dl未満→140mg/dl未満
③ HbA1c6.5%未満→5.8%未満
上記①②③を達成していれば、合併症は予防できるし進行を阻止できるとされています。
糖尿病治療は早ければ早いほどいいですね。
早ければ、食事療法(糖質制限食)だけで、薬物治療は必要ありません。
美味しく楽しく糖質制限食実践で、目標達成をめざしましょう。ヾ(^▽^)
江部康二
2011年07月11日 (月)
こんばんは。
地域医者さんから、糖尿病患者数についてコメント・質問をいただきました。
【11/07/11 しがない地域医者
糖尿病患者数
江部先生始めまして。地域で内科をしているものです。先生の著書、大変興味深く拝見させていただきました。ひとつ質問なのですが、糖尿病患者数は実際増えているのでしょうか?厚生労働省調査では2008年頃から患者数は減っており脳梗塞、心筋梗塞、新規透析導入患者数も減ってきているようです。医師会などは糖尿病患者数が700万といい国は250万といいだいぶ開きがあるようにおもいます。何か統計の取り方が違うのでしょうか?もしよろしければご意見伺わせてもらえないでしょうか?】
地域医者 さん。
厚生労働省の「2007年国民健康・栄養調査」で、糖尿病が強く疑われる人や可能性を否定できない「予備群」が、
合わせて2210万人と推計されています。
糖尿病が疑われる人は、10年前の1997年と比べ約1.3倍に増えています。
(1)糖尿病が強く疑われる人 約890万人
(2)糖尿病の可能性が否定できない人 約1320万人
(1)と(2)との合計 約2210万人
厚生労働省から発表された「平成20年患者調査の概況」によると、
平成20年10月時点での糖尿病治療中の患者総数は、237万1千人と推計されました。
平成17年10月時点の調査時の246万9千人から若干ですが、減少しています。
糖尿病治療中の患者数
1996年 217.5万人
1999年 211.5万人
2002年 228.4万人
2005年 246.9万人
2008年 237.1万人
この数字はあくまでも推計値です。
ともあれ推定890万人とされる糖尿病患者さんの中で、医療機関に受診している人は237万人とかなり低率です。
これは、糖尿人なのに健診していなくて発見されていないのか、あるいは健診で見つかっていても受診せずに放置している可能性が高いのでかなり問題ですね。
江部康二
地域医者さんから、糖尿病患者数についてコメント・質問をいただきました。
【11/07/11 しがない地域医者
糖尿病患者数
江部先生始めまして。地域で内科をしているものです。先生の著書、大変興味深く拝見させていただきました。ひとつ質問なのですが、糖尿病患者数は実際増えているのでしょうか?厚生労働省調査では2008年頃から患者数は減っており脳梗塞、心筋梗塞、新規透析導入患者数も減ってきているようです。医師会などは糖尿病患者数が700万といい国は250万といいだいぶ開きがあるようにおもいます。何か統計の取り方が違うのでしょうか?もしよろしければご意見伺わせてもらえないでしょうか?】
地域医者 さん。
厚生労働省の「2007年国民健康・栄養調査」で、糖尿病が強く疑われる人や可能性を否定できない「予備群」が、
合わせて2210万人と推計されています。
糖尿病が疑われる人は、10年前の1997年と比べ約1.3倍に増えています。
(1)糖尿病が強く疑われる人 約890万人
(2)糖尿病の可能性が否定できない人 約1320万人
(1)と(2)との合計 約2210万人
厚生労働省から発表された「平成20年患者調査の概況」によると、
平成20年10月時点での糖尿病治療中の患者総数は、237万1千人と推計されました。
平成17年10月時点の調査時の246万9千人から若干ですが、減少しています。
糖尿病治療中の患者数
1996年 217.5万人
1999年 211.5万人
2002年 228.4万人
2005年 246.9万人
2008年 237.1万人
この数字はあくまでも推計値です。
ともあれ推定890万人とされる糖尿病患者さんの中で、医療機関に受診している人は237万人とかなり低率です。
これは、糖尿人なのに健診していなくて発見されていないのか、あるいは健診で見つかっていても受診せずに放置している可能性が高いのでかなり問題ですね。
江部康二
2011年07月11日 (月)
こんばんは。
小野さんから、暁現象と対処法についてコメント・質問をいただきました。
【11/07/09 小野
暁現象
お尋ね申し上げます。
暁現象を予防する方法はありますか? 私は境界型ですが、早朝空腹時の血糖値が1日のうちで最も高いです。スーパー糖質制限と運動は実行しています。
暁現象は食事や運動で改善できないものですか?(インスリンか薬のお世話になるほかない、ということ?)
よろしくお願い申します】
小野 さん。
①糖質制限食で膵臓に休養を与える。
②筋トレで筋肉量を増やす。
③有酸素運動を継続して、インスリンの効きを良くする。
で、如何でしょう。
①により、今まで糖質摂取により疲弊していた膵臓のβ細胞が回復して基礎分泌インスリンがしっかりでるようになる可能性があります。
②により、筋肉量が増加すれば、血糖を取り込む場所が増えるので血糖は低下しやすくなります。
③により、同じ筋肉量で同じインスリンの量でも、血糖値をより効率よく取り込むようになります。
江部康二
小野さんから、暁現象と対処法についてコメント・質問をいただきました。
【11/07/09 小野
暁現象
お尋ね申し上げます。
暁現象を予防する方法はありますか? 私は境界型ですが、早朝空腹時の血糖値が1日のうちで最も高いです。スーパー糖質制限と運動は実行しています。
暁現象は食事や運動で改善できないものですか?(インスリンか薬のお世話になるほかない、ということ?)
よろしくお願い申します】
小野 さん。
①糖質制限食で膵臓に休養を与える。
②筋トレで筋肉量を増やす。
③有酸素運動を継続して、インスリンの効きを良くする。
で、如何でしょう。
①により、今まで糖質摂取により疲弊していた膵臓のβ細胞が回復して基礎分泌インスリンがしっかりでるようになる可能性があります。
②により、筋肉量が増加すれば、血糖を取り込む場所が増えるので血糖は低下しやすくなります。
③により、同じ筋肉量で同じインスリンの量でも、血糖値をより効率よく取り込むようになります。
江部康二
2011年07月10日 (日)
こんばんは。
たった今、東京から帰京しました。
東京の講演会の報告は、また明日。
糖質オフ料理教室&スタイルダイニング試食会in東京・2011.7.24(日)
は満員となりました。
ありがとうございます。
今日は、
2011年9月4(日)、糖質制限食マスター講座 vol.3 in 東京、のご案内です。
東京での一般向け講座は2010年10月31日(日)開催の
「とことん語る糖質制限食〜『満腹ダイエット』で今日から健常人」
以来、久しぶりです。
前回は、dancyu(ダンチュウ)編集長、町田成一さんをゲストに迎えて、大柳珠美管理栄養士と3人でおおいに美味しく楽しく語り合いました。
「酒の話しが多過ぎる」とのアンケートでのお叱りもあり、一同反省しております。 m(_ _)m
また鼎談に時間を割いたので、講演時間が40分と短くて物足りなかったとのご意見もいただきました。
今回は、江部康二が90分、大柳珠美管理栄養士が55分、休憩5分、質疑応答が30分、とじっくり時間をかけて、最新の糖質制限食基礎理論と実践を皆さんと一緒に勉強したいと思っております。
糖尿人、メタボ人、ダイエットしたい人、生活習慣病の予防をしたい人、健康になりたい人・・・
是非、皆さんのご参加をお待ちしております。(^-^)v(^-^)v
江部康二
以下はリボーン事務局の曽我部ゆかり理事からのメッセージです。
☆☆☆
リボーン講演会 糖質制限食マスター講座 vol.3
講 師 江部康二(高雄病院理事長・リボーン理事長)
大柳珠美(管理栄養士・リボーン副理事長)
医学界だけでなく、グルメ界においても旬な風となった「糖質制限食」。
糖尿病やメタボ、肥満、アトピーの方だけでなく、ダイエット目的の方も、楽しくおいしい食事療法で、症状改善を目指しましょう。
糖質制限食の提唱者・江部康二医師による理論編と糖質制限食の推進者・大柳珠美管理栄養士による実践編のダブル講演で、すぐに始められて、そして長く続けられる糖質制限食のコツをつかんでください。
久しぶりの東京講演になります。おいしい試食会も検討中です。皆様のご参加をお待ちしております。
<期日> 2001年9月4日(日)
<開場> 13時00分
<開演> 13時30分
<終了> 16時30分
<場所> 中野サンプラザ研修室2 (8階)
<アクセス> 東京・JR中野駅北口下車1分。サンプラザ正面エントランスから入り、
左手のエレベーターで8階へ。
<定員> 90名(リボーン会員優先/申込先着順)
<会費> リボーン会員2,400円 リボーン会員ペア4,000円
一般3,000円 一般ペア5,600円
■申し込み及び問い合わせ
リボーン事務局 電話03−3388−5428
e-mail reborn@big.or.jp
■申し込み方法
メールまたは電話でお申し込みの上、事前に郵便振替で会費のお振込をお願いします。
当日受付はいたしません。
入場券は発行しませんので、当日郵便振替の伝票をご持参ください。
なお、欠席される場合、ご入金いただいた会費を返金することはできませんが、配布資料を後日お送りいたします。あらかじめご了承ください。
■振り込み先口座番号 00110-9-393366 口座名称 リボーン
たった今、東京から帰京しました。
東京の講演会の報告は、また明日。
糖質オフ料理教室&スタイルダイニング試食会in東京・2011.7.24(日)
は満員となりました。
ありがとうございます。
今日は、
2011年9月4(日)、糖質制限食マスター講座 vol.3 in 東京、のご案内です。
東京での一般向け講座は2010年10月31日(日)開催の
「とことん語る糖質制限食〜『満腹ダイエット』で今日から健常人」
以来、久しぶりです。
前回は、dancyu(ダンチュウ)編集長、町田成一さんをゲストに迎えて、大柳珠美管理栄養士と3人でおおいに美味しく楽しく語り合いました。
「酒の話しが多過ぎる」とのアンケートでのお叱りもあり、一同反省しております。 m(_ _)m
また鼎談に時間を割いたので、講演時間が40分と短くて物足りなかったとのご意見もいただきました。
今回は、江部康二が90分、大柳珠美管理栄養士が55分、休憩5分、質疑応答が30分、とじっくり時間をかけて、最新の糖質制限食基礎理論と実践を皆さんと一緒に勉強したいと思っております。
糖尿人、メタボ人、ダイエットしたい人、生活習慣病の予防をしたい人、健康になりたい人・・・
是非、皆さんのご参加をお待ちしております。(^-^)v(^-^)v
江部康二
以下はリボーン事務局の曽我部ゆかり理事からのメッセージです。
☆☆☆
リボーン講演会 糖質制限食マスター講座 vol.3
講 師 江部康二(高雄病院理事長・リボーン理事長)
大柳珠美(管理栄養士・リボーン副理事長)
医学界だけでなく、グルメ界においても旬な風となった「糖質制限食」。
糖尿病やメタボ、肥満、アトピーの方だけでなく、ダイエット目的の方も、楽しくおいしい食事療法で、症状改善を目指しましょう。
糖質制限食の提唱者・江部康二医師による理論編と糖質制限食の推進者・大柳珠美管理栄養士による実践編のダブル講演で、すぐに始められて、そして長く続けられる糖質制限食のコツをつかんでください。
久しぶりの東京講演になります。おいしい試食会も検討中です。皆様のご参加をお待ちしております。
<期日> 2001年9月4日(日)
<開場> 13時00分
<開演> 13時30分
<終了> 16時30分
<場所> 中野サンプラザ研修室2 (8階)
<アクセス> 東京・JR中野駅北口下車1分。サンプラザ正面エントランスから入り、
左手のエレベーターで8階へ。
<定員> 90名(リボーン会員優先/申込先着順)
<会費> リボーン会員2,400円 リボーン会員ペア4,000円
一般3,000円 一般ペア5,600円
■申し込み及び問い合わせ
リボーン事務局 電話03−3388−5428
e-mail reborn@big.or.jp
■申し込み方法
メールまたは電話でお申し込みの上、事前に郵便振替で会費のお振込をお願いします。
当日受付はいたしません。
入場券は発行しませんので、当日郵便振替の伝票をご持参ください。
なお、欠席される場合、ご入金いただいた会費を返金することはできませんが、配布資料を後日お送りいたします。あらかじめご了承ください。
■振り込み先口座番号 00110-9-393366 口座名称 リボーン
2011年07月09日 (土)
糖質オフ料理教室&スタイルダイニング試食会in東京・2011.7.24(日)
おはようございます。
糖質オフ料理教室&スタイルダイニング試食会のご案内です。
講演会のアンケートで希望の多かった、少人数の料理教室です。
糖質制限食の料理教室など他にはまずありませんので、きっとご満足いただける内容と思います。
奮ってご参加下さいね。 (^_^)
江部康二
以下リボーン事務局の曽我部ゆかり理事からのメッセージです。
☆☆☆
糖質オフ料理教室&スタイルダイニング試食会in東京・2011年7月24日(日)
暑い日が続いています。いかがおすごしでしょうか。
さて、NPO法人糖質制限食ネット・リボーンの活動の新企画として、当会副理事長の大柳珠美管理栄養士の料理教室&スタイルダイニングの試食会を開催いたします。
スタイルダイニングは大柳珠美栄養士監修のもと糖質量もきちんと計算されていて、しかも、手軽でおいしいと糖質制限食実践中の方達の間で評判になっている新しい宅配デリ。
いままでの冷凍食品の宅配とはひと味違った仕掛けがあります。
それは、電子レンジクッキングの特性を最大限生かし、食材の栄養素を逃がさず、新鮮さと旨味を保つ工夫がいっぱいなこと…。
発売元のNEWS CHEF株式会社の全面的なご協力を得て、今回の料理教室開催の運びとなりました。
少人数性ですので早めにお申し込みください。
リボーン 曽我部ゆかり
糖質オフ料理教室&スタイルダイニング試食会
講師 大柳珠美(管理栄養士・リボーン副理事長)
協力 糖質制限キッチン(監修 大柳珠美管理栄養士)
http://www.toushitsu-kitchen.com/
スタイルダイニングの食材と容器を使って、簡単に楽しくできる糖質オフ料理のコツを学びましょう。
少人数での開催ですので、日頃のお料理のアイディアや悩みなど、参加者の皆さんでわいわいと話し合いながら、楽しくおいしい一時をお過ごしくださいね。
食材は、NEWS CHEF株式会社 からご提供いただきます。
この日は、
1.ふすま粉を使ったカンタン蒸しパン
2.ラカントS液状を使ったカンタンスイーツ
3.糖質オフのカンタンおかず
の3品を予定しています。
<日時> 2011年7月24日(日)
第1部 午前10時30分~13時00分 (定員6名)
第2部 午後14時00分~15時30分 (定員6名)
<会場> NEWS CHEF株式会社 キッチン&会議室(東京都 日比谷線神谷町下車)
〒106-0041 東京都港区麻布台1-11-9 CR神谷町ビル5F
(会場へのお問い合わせはご遠慮ください)
<会費> 3,000円(郵便振込)
<申し込み及び問い合わせ先>
リボーン事務局 電話03−3388−5428
e-mail reborn@big.or.jp
<申込方法>
電話またはメールでお申し込みの上、
参加確定した方は事前に会費のお振込をお願いしています。
<振り込み先口座番号> 00110-9-393366 名称 リボーン
<サンプル提供>
鳥越製粉 「国産ローカーボ・クッキング粉(ふすま粉)」
サラヤ「ラカントS液状」
NEWS CHEF「パプリカ」
<主催> NPO法人糖質制限食ネット・リボーン
<協賛> NEWS CHEF株式会社
おはようございます。
糖質オフ料理教室&スタイルダイニング試食会のご案内です。
講演会のアンケートで希望の多かった、少人数の料理教室です。
糖質制限食の料理教室など他にはまずありませんので、きっとご満足いただける内容と思います。
奮ってご参加下さいね。 (^_^)
江部康二
以下リボーン事務局の曽我部ゆかり理事からのメッセージです。
☆☆☆
糖質オフ料理教室&スタイルダイニング試食会in東京・2011年7月24日(日)
暑い日が続いています。いかがおすごしでしょうか。
さて、NPO法人糖質制限食ネット・リボーンの活動の新企画として、当会副理事長の大柳珠美管理栄養士の料理教室&スタイルダイニングの試食会を開催いたします。
スタイルダイニングは大柳珠美栄養士監修のもと糖質量もきちんと計算されていて、しかも、手軽でおいしいと糖質制限食実践中の方達の間で評判になっている新しい宅配デリ。
いままでの冷凍食品の宅配とはひと味違った仕掛けがあります。
それは、電子レンジクッキングの特性を最大限生かし、食材の栄養素を逃がさず、新鮮さと旨味を保つ工夫がいっぱいなこと…。
発売元のNEWS CHEF株式会社の全面的なご協力を得て、今回の料理教室開催の運びとなりました。
少人数性ですので早めにお申し込みください。
リボーン 曽我部ゆかり
糖質オフ料理教室&スタイルダイニング試食会
講師 大柳珠美(管理栄養士・リボーン副理事長)
協力 糖質制限キッチン(監修 大柳珠美管理栄養士)
http://www.toushitsu-kitchen.com/
スタイルダイニングの食材と容器を使って、簡単に楽しくできる糖質オフ料理のコツを学びましょう。
少人数での開催ですので、日頃のお料理のアイディアや悩みなど、参加者の皆さんでわいわいと話し合いながら、楽しくおいしい一時をお過ごしくださいね。
食材は、NEWS CHEF株式会社 からご提供いただきます。
この日は、
1.ふすま粉を使ったカンタン蒸しパン
2.ラカントS液状を使ったカンタンスイーツ
3.糖質オフのカンタンおかず
の3品を予定しています。
<日時> 2011年7月24日(日)
第1部 午前10時30分~13時00分 (定員6名)
第2部 午後14時00分~15時30分 (定員6名)
<会場> NEWS CHEF株式会社 キッチン&会議室(東京都 日比谷線神谷町下車)
〒106-0041 東京都港区麻布台1-11-9 CR神谷町ビル5F
(会場へのお問い合わせはご遠慮ください)
<会費> 3,000円(郵便振込)
<申し込み及び問い合わせ先>
リボーン事務局 電話03−3388−5428
e-mail reborn@big.or.jp
<申込方法>
電話またはメールでお申し込みの上、
参加確定した方は事前に会費のお振込をお願いしています。
<振り込み先口座番号> 00110-9-393366 名称 リボーン
<サンプル提供>
鳥越製粉 「国産ローカーボ・クッキング粉(ふすま粉)」
サラヤ「ラカントS液状」
NEWS CHEF「パプリカ」
<主催> NPO法人糖質制限食ネット・リボーン
<協賛> NEWS CHEF株式会社
2011年07月08日 (金)
こんばんは。
厚生労働省の「5大疾病」と糖質制限食についてひろポンさんから、コメント・質問をいただきました。
【11/07/07 ひろポン
5大疾病について
はじめまして、江部先生。
いつも著作やブロブを見て、糖尿病などの知識を得ています。ありがとうございます。
ニュースを見て、ひとつ質問をしたいのですが・・・
読売新聞にて以下のようなニュースが配信されました。
私のこれまでの知識から、この5大疾病は、糖質制限食で改善されるように思いましたが、そう思ってよろしいのでしょうか?
----------------------------------------------------------------------------------
4大疾病、精神疾患加え5大疾病に…厚生労働省
読売新聞 7月6日(水)19時22分配信
厚生労働省は6日、「4大疾病」と位置付けて重点的に対策に取り組んできたがん、脳卒中、心臓病、糖尿病に、新たに精神疾患を加えて「5大疾病」とする方針を決めた。
うつ病や統合失調症などの精神疾患の患者は年々増え、従来の4大疾病をはるかに上回っているのが現状で、重点対策が不可欠と判断した。
同省は同日、国の医療政策の基本指針に精神疾患を加える方針を社会保障審議会医療部会で示し、了承された。この指針を基に都道府県は地域医療の基本方針となる医療計画を作る。
4大疾病は2006年に重点対策が必要な病気として指針に明記。それを受けて都道府県が、診療の中核を担う病院の整備や、患者を減らすための予防策など、具体的な対策を立てた。
医療計画は5年に1度見直され、次回は13年に予定している都道府県が多い。
同省の08年の調査では、糖尿病237万人、がん152万人などに対し、精神疾患は323万人に上る。】
ひろポンさん。
情報ありがとうございます。
がん、脳卒中、心臓病、糖尿病に、新たに精神疾患を加えて「4大疾病」から「5大疾病」ですね。
がんに関しては、高インンスリン血症や高血糖、そして肥満など生活習慣がが関与する場合は、糖質制限食で予防が期待できます。
一方、胃がんや子宮頸癌や肝がんなど、細菌感染やウィルス感染が主たる要因のものには、糖質制限食の効果は期待できません。
脳卒中の代表的な3つの種類は、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血です。
脳梗塞は、糖質制限食により血流がよくなるので、予防効果があると思います。
脳出血は、脂肪をしっかり摂取することで予防できるので、糖質制限食がよいです。
くも膜下出血の多くは、先天的な素因が大きな要素を占める脳動脈瘤が原因となることがほとんどですので、糖質制限食でも予防効果はあまり期待できないと思います。
心筋梗塞は、糖質制限食で血流がよくなるので、予防効果が期待できます。
糖尿病は勿論、糖質制限食で改善がおおいに期待できます。
確かにうつ病や統合失調症などの精神疾患の患者さんが増えています。
うつ病、うつ状態の場合は糖質制限食で改善する場合もあると思いますが、改善程度には個人差があります。
また気分の安定は糖質制限食で得られやすいのですが、糖質制限食だけでは改善しないうつもあると思います。
うつ病とよく誤診される「双極性障害」の場合は、糖質制限食でも改善は困難です。
統合失調症も、糖質制限食単独での改善は困難と思います。
ただ海外データで、EPAの投与で症状が軽減したという報告もあります。
糖質制限食で、症状の軽減があればいいなという段階で、私にはよくわかりません。
江部康二
厚生労働省の「5大疾病」と糖質制限食についてひろポンさんから、コメント・質問をいただきました。
【11/07/07 ひろポン
5大疾病について
はじめまして、江部先生。
いつも著作やブロブを見て、糖尿病などの知識を得ています。ありがとうございます。
ニュースを見て、ひとつ質問をしたいのですが・・・
読売新聞にて以下のようなニュースが配信されました。
私のこれまでの知識から、この5大疾病は、糖質制限食で改善されるように思いましたが、そう思ってよろしいのでしょうか?
----------------------------------------------------------------------------------
4大疾病、精神疾患加え5大疾病に…厚生労働省
読売新聞 7月6日(水)19時22分配信
厚生労働省は6日、「4大疾病」と位置付けて重点的に対策に取り組んできたがん、脳卒中、心臓病、糖尿病に、新たに精神疾患を加えて「5大疾病」とする方針を決めた。
うつ病や統合失調症などの精神疾患の患者は年々増え、従来の4大疾病をはるかに上回っているのが現状で、重点対策が不可欠と判断した。
同省は同日、国の医療政策の基本指針に精神疾患を加える方針を社会保障審議会医療部会で示し、了承された。この指針を基に都道府県は地域医療の基本方針となる医療計画を作る。
4大疾病は2006年に重点対策が必要な病気として指針に明記。それを受けて都道府県が、診療の中核を担う病院の整備や、患者を減らすための予防策など、具体的な対策を立てた。
医療計画は5年に1度見直され、次回は13年に予定している都道府県が多い。
同省の08年の調査では、糖尿病237万人、がん152万人などに対し、精神疾患は323万人に上る。】
ひろポンさん。
情報ありがとうございます。
がん、脳卒中、心臓病、糖尿病に、新たに精神疾患を加えて「4大疾病」から「5大疾病」ですね。
がんに関しては、高インンスリン血症や高血糖、そして肥満など生活習慣がが関与する場合は、糖質制限食で予防が期待できます。
一方、胃がんや子宮頸癌や肝がんなど、細菌感染やウィルス感染が主たる要因のものには、糖質制限食の効果は期待できません。
脳卒中の代表的な3つの種類は、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血です。
脳梗塞は、糖質制限食により血流がよくなるので、予防効果があると思います。
脳出血は、脂肪をしっかり摂取することで予防できるので、糖質制限食がよいです。
くも膜下出血の多くは、先天的な素因が大きな要素を占める脳動脈瘤が原因となることがほとんどですので、糖質制限食でも予防効果はあまり期待できないと思います。
心筋梗塞は、糖質制限食で血流がよくなるので、予防効果が期待できます。
糖尿病は勿論、糖質制限食で改善がおおいに期待できます。
確かにうつ病や統合失調症などの精神疾患の患者さんが増えています。
うつ病、うつ状態の場合は糖質制限食で改善する場合もあると思いますが、改善程度には個人差があります。
また気分の安定は糖質制限食で得られやすいのですが、糖質制限食だけでは改善しないうつもあると思います。
うつ病とよく誤診される「双極性障害」の場合は、糖質制限食でも改善は困難です。
統合失調症も、糖質制限食単独での改善は困難と思います。
ただ海外データで、EPAの投与で症状が軽減したという報告もあります。
糖質制限食で、症状の軽減があればいいなという段階で、私にはよくわかりません。
江部康二
2011年07月07日 (木)
こんばんは。
インスリン分泌能力が正常、あるいは、ある程度残っている人が糖質を摂取すれば、食後血糖値の上昇とインスリン追加分泌が生じます。
総摂取カロリーが1600キロカロリーなら、炭水化物55%群では、1日3食で1回あたりの糖質は約73gであり、食事の度に約10~20倍の追加分泌インスリンが分泌されます。
炭水化物40%群でも、1日3食で1回あたりの糖質は約53gであり、食事の度に約10~20倍の追加分泌インスリンが分泌されます。
つまり、1600キロカロリーと比較的少食にして、炭水化物を総摂取カロリーの40%にしても、結局1回の糖質の摂取量は約53gもあり、食後血糖値の上昇はあるし、インスリン追加分泌も生じます。
昨日のブログ記事で検討しましたように、第71回米国糖尿病学会で発表された、ニュージーランドOtago大学のJeremy D krebs氏の報告は
1)「炭水化物の摂取比率55%群」と「炭水化物の摂取比率40%群」では
2年後の体重、腹囲、およびHbA1cは、両群間の有意差は見られなかった。
2)その原因は、食後高血糖もインスリン追加分泌も、炭水化物55%群と40%群では
有意差はなかった。
という解釈が可能です。
2011.06.30 (Thu)のブログで、高インスリン血症と高血糖には、発がんリスクがある可能性が高いことを述べました。
糖質制限食を実践すれば、高インスリン血症と食後高血糖を防ぐことができます。そうすると、少なくとも高インスリン血症と食後高血糖による発がんリスクは予防できます。
しかし、糖質摂取比率40%ていどでは、上述の如く高インスリン血症と食後高血糖を防ぐことはできません。
高インスリン血症と食後高血糖による発がんリスクを確実に減らすには、スーパー糖質制限食(糖質が総摂取カロリーの12%)が必要と思われます。
1600キロカロリーで糖質12%なら、1回に摂取する糖質は16gです。
これなら食後高血糖はほとんど生じないし、インスリンの追加分泌も2~3倍ですみます。
結論です。
スーパー糖質制限食(糖質が総摂取カロリーの12%)なら、少なくとも高インスリン血症と食後高血糖による発がんリスクを減らせます。
糖質摂取比率40%ていどの低糖質食では、高インスリン血症と食後高血糖による発がんリスクは減らせません。
江部康二
インスリン分泌能力が正常、あるいは、ある程度残っている人が糖質を摂取すれば、食後血糖値の上昇とインスリン追加分泌が生じます。
総摂取カロリーが1600キロカロリーなら、炭水化物55%群では、1日3食で1回あたりの糖質は約73gであり、食事の度に約10~20倍の追加分泌インスリンが分泌されます。
炭水化物40%群でも、1日3食で1回あたりの糖質は約53gであり、食事の度に約10~20倍の追加分泌インスリンが分泌されます。
つまり、1600キロカロリーと比較的少食にして、炭水化物を総摂取カロリーの40%にしても、結局1回の糖質の摂取量は約53gもあり、食後血糖値の上昇はあるし、インスリン追加分泌も生じます。
昨日のブログ記事で検討しましたように、第71回米国糖尿病学会で発表された、ニュージーランドOtago大学のJeremy D krebs氏の報告は
1)「炭水化物の摂取比率55%群」と「炭水化物の摂取比率40%群」では
2年後の体重、腹囲、およびHbA1cは、両群間の有意差は見られなかった。
2)その原因は、食後高血糖もインスリン追加分泌も、炭水化物55%群と40%群では
有意差はなかった。
という解釈が可能です。
2011.06.30 (Thu)のブログで、高インスリン血症と高血糖には、発がんリスクがある可能性が高いことを述べました。
糖質制限食を実践すれば、高インスリン血症と食後高血糖を防ぐことができます。そうすると、少なくとも高インスリン血症と食後高血糖による発がんリスクは予防できます。
しかし、糖質摂取比率40%ていどでは、上述の如く高インスリン血症と食後高血糖を防ぐことはできません。
高インスリン血症と食後高血糖による発がんリスクを確実に減らすには、スーパー糖質制限食(糖質が総摂取カロリーの12%)が必要と思われます。
1600キロカロリーで糖質12%なら、1回に摂取する糖質は16gです。
これなら食後高血糖はほとんど生じないし、インスリンの追加分泌も2~3倍ですみます。
結論です。
スーパー糖質制限食(糖質が総摂取カロリーの12%)なら、少なくとも高インスリン血症と食後高血糖による発がんリスクを減らせます。
糖質摂取比率40%ていどの低糖質食では、高インスリン血症と食後高血糖による発がんリスクは減らせません。
江部康二
2011年07月06日 (水)
おはようございます。
2011年6月24日~28日 San Diego, U.S.A.で開催された第71回米国糖尿病学会で、ニュージーランドOtago大学のJeremy D krebs氏により、
『「高たんぱく食」対「高炭水化物食」、2年後の体重、腹囲で有意差なし』
という研究報告が発表されました。
対象は、2型糖尿病でHbA1c<9.5%、BMI≧27kg/m2の30~76歳の419人。
低脂肪・高たんぱく食群(炭水化物40%、たんぱく質30%、脂肪30%)
と、
低脂肪・高炭水化物群(炭水化物55%、たんぱく質15%、脂肪30%)
の2群に無作為に振り分けです。
脂肪摂取比率30%で、両群とも一緒で、
高たんぱく群は、たんぱく質が30%、炭水化物が40%
高炭水化物群は、炭水化物が55%、たんぱく質が15%
『主要評価項目の2年後の体重、腹囲、およびHbA1cは、どちらの群も低下し、両群間の有意差は見られなかった。』
という結果です。
私達、低炭水化物食(糖質制限食)推奨の立場のものから見ると、この報告は実に興味深く、別の解釈も可能です。
つまり、この2群は脂肪摂取比率を30%と一定にして、炭水化物の摂取比率を55%摂った群と40%摂った群の比較という見方ができます。
そうすると、「炭水化物の摂取比率55%群」と「炭水化物の摂取比率40%群」では、2年後の体重、腹囲、およびHbA1cは、有意差なしということになります。
ニュージーランドの研究ですので、欧米人のインスリン抵抗性が主でインスリン分泌能力は残っているタイプの糖尿病の集団と考えられます。
炭水化物55%群では、1日3食で1回あたりの糖質は70g以上であり、食事の度に約10~20倍の追加分泌インスリンが分泌されます。
炭水化物40%群でも、1日3食で1回あたりの糖質は50g以上であり、食事の度に約10~20倍の追加分泌インスリンが分泌されます。
つまり、食後高血糖もインスリン追加分泌も、炭水化物55%群と40%群では有意差はなく、その結果、2年後の体重、腹囲、およびHbA1cも有意差なしという結果になったと考えられます。
ちなみに糖質を総摂取エネルギーの12%とする、スーパー糖質制限食なら、食事1回分の糖質は10~20gで、追加分泌インスリンは、せいぜい基礎分泌の約2倍ていどで、食後の血糖値上昇もほとんどありません。
結論です。
この報告
『「高たんぱく食」対「高炭水化物食」、2年後の体重、腹囲で有意差なし』
というよりも
1)「炭水化物の摂取比率55%群」と「炭水化物の摂取比率40%群」では
2年後の体重、腹囲、およびHbA1cは、両群間の有意差は見られなかった。
2)その原因は、食後高血糖もインスリン追加分泌も、炭水化物55%群と40%群では
有意差はなかった。
という可能性が考えられます。
江部康二
☆☆☆ 日経メディカル別冊編集から転載
学会ダイジェスト:第71回米国糖尿病学会
2011年6月24日~28日 San Diego, U.S.A.
2011. 6. 30
「高たんぱく食」対「高炭水化物食」、2年後の体重、腹囲で有意差なし
ニュージーランドOtago大学のJeremy D krebs氏
高たんぱく食は満腹感があり、除脂肪体重を維持できるため、高炭水化物食よりも減量効果が高いのではないかとの指摘もあるが、低脂肪であれば高たんぱく食と高炭水化物食のどちらを続けていても介入2年後の体重や腹囲に有意差はないことが明らかになった。6月24日から28日まで米サンディエゴで開催された米国糖尿病学会(ADA2011)で、ニュージーランドOtago大学のJeremy D krebs氏(写真)らが発表した。
対象は、2型糖尿病でHbA1c<9.5%、BMI≧27kg/m2の30~76歳の419人。低脂肪・高たんぱく食群(炭水化物40%、たんぱく質30%、脂肪30%)と低脂肪・高炭水化物群(炭水化物55%、たんぱく質15%、脂肪30%)の2群に無作為に振り分けた。両群とも、栄養士によるグループ指導を最初の6カ月は週に2回、その後6カ月は月に1回受けた。対象者には、15g相当のたんぱく質あるいは炭水化物を含む食品の分量がひと目で分かる早見表を渡され、食物の選択はガイドラインに従って自らが行った。
主要評価項目は、体重および腹囲。副次評価項目はHbA1c、空腹時血糖、体脂肪率、血清脂質、血圧、腎機能。評価は登録時、6カ月後、12カ月後、24カ月後に行った。
最後まで介入試験を完了できたのは294人(70%)だった。どの時点でも、高たんぱく食群は高炭水化物群に比べ有意にたんぱく質量摂取量が増加していた。期間中、摂取エネルギー量は両群で低下したが、高炭水化物群の方が有意に低かった。
主要評価項目の体重、腹囲、およびHbA1cは、どちらの群も低下し、両群間の有意差は見られなかった。血圧、たんぱく尿も両群で有意差はなかった。
今回の結果を踏まえてJeremy D krebs氏は、「2型糖尿病患者が長期にわたり体重減を維持するためには、総摂取エネルギー量を低く保ち続けるにはどうしたらよいかを第一に考えるべきであり、たんぱく質と炭水化物の割合については個々が柔軟に捉えるべきであろう」とまとめた。
2011年6月24日~28日 San Diego, U.S.A.で開催された第71回米国糖尿病学会で、ニュージーランドOtago大学のJeremy D krebs氏により、
『「高たんぱく食」対「高炭水化物食」、2年後の体重、腹囲で有意差なし』
という研究報告が発表されました。
対象は、2型糖尿病でHbA1c<9.5%、BMI≧27kg/m2の30~76歳の419人。
低脂肪・高たんぱく食群(炭水化物40%、たんぱく質30%、脂肪30%)
と、
低脂肪・高炭水化物群(炭水化物55%、たんぱく質15%、脂肪30%)
の2群に無作為に振り分けです。
脂肪摂取比率30%で、両群とも一緒で、
高たんぱく群は、たんぱく質が30%、炭水化物が40%
高炭水化物群は、炭水化物が55%、たんぱく質が15%
『主要評価項目の2年後の体重、腹囲、およびHbA1cは、どちらの群も低下し、両群間の有意差は見られなかった。』
という結果です。
私達、低炭水化物食(糖質制限食)推奨の立場のものから見ると、この報告は実に興味深く、別の解釈も可能です。
つまり、この2群は脂肪摂取比率を30%と一定にして、炭水化物の摂取比率を55%摂った群と40%摂った群の比較という見方ができます。
そうすると、「炭水化物の摂取比率55%群」と「炭水化物の摂取比率40%群」では、2年後の体重、腹囲、およびHbA1cは、有意差なしということになります。
ニュージーランドの研究ですので、欧米人のインスリン抵抗性が主でインスリン分泌能力は残っているタイプの糖尿病の集団と考えられます。
炭水化物55%群では、1日3食で1回あたりの糖質は70g以上であり、食事の度に約10~20倍の追加分泌インスリンが分泌されます。
炭水化物40%群でも、1日3食で1回あたりの糖質は50g以上であり、食事の度に約10~20倍の追加分泌インスリンが分泌されます。
つまり、食後高血糖もインスリン追加分泌も、炭水化物55%群と40%群では有意差はなく、その結果、2年後の体重、腹囲、およびHbA1cも有意差なしという結果になったと考えられます。
ちなみに糖質を総摂取エネルギーの12%とする、スーパー糖質制限食なら、食事1回分の糖質は10~20gで、追加分泌インスリンは、せいぜい基礎分泌の約2倍ていどで、食後の血糖値上昇もほとんどありません。
結論です。
この報告
『「高たんぱく食」対「高炭水化物食」、2年後の体重、腹囲で有意差なし』
というよりも
1)「炭水化物の摂取比率55%群」と「炭水化物の摂取比率40%群」では
2年後の体重、腹囲、およびHbA1cは、両群間の有意差は見られなかった。
2)その原因は、食後高血糖もインスリン追加分泌も、炭水化物55%群と40%群では
有意差はなかった。
という可能性が考えられます。
江部康二
☆☆☆ 日経メディカル別冊編集から転載
学会ダイジェスト:第71回米国糖尿病学会
2011年6月24日~28日 San Diego, U.S.A.
2011. 6. 30
「高たんぱく食」対「高炭水化物食」、2年後の体重、腹囲で有意差なし
ニュージーランドOtago大学のJeremy D krebs氏
高たんぱく食は満腹感があり、除脂肪体重を維持できるため、高炭水化物食よりも減量効果が高いのではないかとの指摘もあるが、低脂肪であれば高たんぱく食と高炭水化物食のどちらを続けていても介入2年後の体重や腹囲に有意差はないことが明らかになった。6月24日から28日まで米サンディエゴで開催された米国糖尿病学会(ADA2011)で、ニュージーランドOtago大学のJeremy D krebs氏(写真)らが発表した。
対象は、2型糖尿病でHbA1c<9.5%、BMI≧27kg/m2の30~76歳の419人。低脂肪・高たんぱく食群(炭水化物40%、たんぱく質30%、脂肪30%)と低脂肪・高炭水化物群(炭水化物55%、たんぱく質15%、脂肪30%)の2群に無作為に振り分けた。両群とも、栄養士によるグループ指導を最初の6カ月は週に2回、その後6カ月は月に1回受けた。対象者には、15g相当のたんぱく質あるいは炭水化物を含む食品の分量がひと目で分かる早見表を渡され、食物の選択はガイドラインに従って自らが行った。
主要評価項目は、体重および腹囲。副次評価項目はHbA1c、空腹時血糖、体脂肪率、血清脂質、血圧、腎機能。評価は登録時、6カ月後、12カ月後、24カ月後に行った。
最後まで介入試験を完了できたのは294人(70%)だった。どの時点でも、高たんぱく食群は高炭水化物群に比べ有意にたんぱく質量摂取量が増加していた。期間中、摂取エネルギー量は両群で低下したが、高炭水化物群の方が有意に低かった。
主要評価項目の体重、腹囲、およびHbA1cは、どちらの群も低下し、両群間の有意差は見られなかった。血圧、たんぱく尿も両群で有意差はなかった。
今回の結果を踏まえてJeremy D krebs氏は、「2型糖尿病患者が長期にわたり体重減を維持するためには、総摂取エネルギー量を低く保ち続けるにはどうしたらよいかを第一に考えるべきであり、たんぱく質と炭水化物の割合については個々が柔軟に捉えるべきであろう」とまとめた。
2011年07月05日 (火)
こんにちは。
2011.06.24 (Fri)食後高血糖は有害!「食後血糖値の管理に関するガイドライン」IDF2007
2011.06.27 (Mon)「スーパー糖質制限食に発ガンのリスクはあるのか?①」
2011.06.30 (Thu)「高インスリン血症と高血糖と発がんリスク」
ここ何回か、本ブログでがん関連の話題を提供してきました。
今回も糖尿病とがんのお話しです。
日本医事新報(*)にて「糖尿病と発癌のリスク」という質問に、九州大学大学院医学研究院環境医学教授池田文恵先生、清原裕先生が回答しておられます。
以下その要約です。
『近年の疫学・臨床・基礎研究により、糖尿病と悪性腫瘍との間に密接な関連が存在することが明らかにされつつある。
糖尿病と全悪性腫瘍発症の関係について、2つの大規模な報告がある。
A) 韓国のJee等は空腹時血糖値140mg/dl以上で、男女とも悪性腫瘍の発症リスクが有意に上昇すると報告。(2005年)
B) 米国のNHANES I(全米栄養健康調査1)からの報告でも男性の糖尿病患者群で悪性腫瘍発症のリスクが有意に高かったと報告。(1995年)
その他欧米の研究報告によると、糖尿病により発症率が有意に上昇するとされる悪性腫瘍には、膵臓癌、大腸癌、肝臓癌、前立腺癌、乳癌、子宮内膜癌がある。
胃癌については、久山町研究において、空腹時血糖値と胃癌発症の間に正の関係があると報告。(2005年)肺癌と糖尿病との関係では報告はない。これは肺癌に及ぼす喫煙の影響が強いためと考えられる。』
『糖尿病が発癌のリスクを上昇させる機序は明確にされていないが、いくつかの可能性が考えられる。まず<高血糖に伴うDNA傷害><インスリン抵抗性と高インスリン血症>などが考えられる。
高血糖に伴う反応により活性酸素が発生し組織への酸化ストレスが亢進しDNA障害が生じる。また高血糖自体もDNA障害を引き起こす。DNA障害が発癌要因となる。
インスリン抵抗性と高インスリン血症による発癌の機序は、インスリンが各種組織の成長因子であることが関わる。動物実験では、高インスリン血症が、各種癌細胞の形成や増殖に関与するとの報告がある。
その他として、糖尿病に密接に関係する肥満による機序が考えられている。近年の基礎研究によれば脂肪組織から分泌される、レプチン、アディポネクチン、TNF-α、インターロイキン-6、肝細胞増殖因子といった様々なサイトカインが注目されている。
これらが抗アポトーシス作用、細胞増殖作用、血管新生作用などを有することから、癌細胞の発育促進に関与する可能性が示唆されている。』
このように糖尿病は、確実に癌発生のリスクとなることがあきらかとなってきています。
その機序を大別すると以下の3つに集約されます。
①高血糖のリスク
②高インスリン血症のリスク
③肥満のリスク
①②③の全てが、糖質制限食でコントロール可能です。
インスリン注射やSU剤は、糖尿病治療に必要不可欠のものですが、それだけに頼っていては②③はクリアできません。
また、インスリン注射やSU剤内服中でも、糖質を摂取すれば食後高血糖を生じることが多いです。
さらに、外部からのインスリン注射でも、内部の自分のインスリンでも、血中濃度が高いほど、発がんのリスクは増えます。SU剤でインスリン分泌促進させることも同様のリスクがあります。
発がんリスク軽減のためにも、現在インスリン注射やSU剤で治療しておられる糖尿人の皆さん、主治医ともよく相談されて、糖質制限食で薬の量を減量することを目指して下さいね。
(*)日本医事新報 No.4303(2006年10月14日) 91-92ページ
江部康二
2011.06.24 (Fri)食後高血糖は有害!「食後血糖値の管理に関するガイドライン」IDF2007
2011.06.27 (Mon)「スーパー糖質制限食に発ガンのリスクはあるのか?①」
2011.06.30 (Thu)「高インスリン血症と高血糖と発がんリスク」
ここ何回か、本ブログでがん関連の話題を提供してきました。
今回も糖尿病とがんのお話しです。
日本医事新報(*)にて「糖尿病と発癌のリスク」という質問に、九州大学大学院医学研究院環境医学教授池田文恵先生、清原裕先生が回答しておられます。
以下その要約です。
『近年の疫学・臨床・基礎研究により、糖尿病と悪性腫瘍との間に密接な関連が存在することが明らかにされつつある。
糖尿病と全悪性腫瘍発症の関係について、2つの大規模な報告がある。
A) 韓国のJee等は空腹時血糖値140mg/dl以上で、男女とも悪性腫瘍の発症リスクが有意に上昇すると報告。(2005年)
B) 米国のNHANES I(全米栄養健康調査1)からの報告でも男性の糖尿病患者群で悪性腫瘍発症のリスクが有意に高かったと報告。(1995年)
その他欧米の研究報告によると、糖尿病により発症率が有意に上昇するとされる悪性腫瘍には、膵臓癌、大腸癌、肝臓癌、前立腺癌、乳癌、子宮内膜癌がある。
胃癌については、久山町研究において、空腹時血糖値と胃癌発症の間に正の関係があると報告。(2005年)肺癌と糖尿病との関係では報告はない。これは肺癌に及ぼす喫煙の影響が強いためと考えられる。』
『糖尿病が発癌のリスクを上昇させる機序は明確にされていないが、いくつかの可能性が考えられる。まず<高血糖に伴うDNA傷害><インスリン抵抗性と高インスリン血症>などが考えられる。
高血糖に伴う反応により活性酸素が発生し組織への酸化ストレスが亢進しDNA障害が生じる。また高血糖自体もDNA障害を引き起こす。DNA障害が発癌要因となる。
インスリン抵抗性と高インスリン血症による発癌の機序は、インスリンが各種組織の成長因子であることが関わる。動物実験では、高インスリン血症が、各種癌細胞の形成や増殖に関与するとの報告がある。
その他として、糖尿病に密接に関係する肥満による機序が考えられている。近年の基礎研究によれば脂肪組織から分泌される、レプチン、アディポネクチン、TNF-α、インターロイキン-6、肝細胞増殖因子といった様々なサイトカインが注目されている。
これらが抗アポトーシス作用、細胞増殖作用、血管新生作用などを有することから、癌細胞の発育促進に関与する可能性が示唆されている。』
このように糖尿病は、確実に癌発生のリスクとなることがあきらかとなってきています。
その機序を大別すると以下の3つに集約されます。
①高血糖のリスク
②高インスリン血症のリスク
③肥満のリスク
①②③の全てが、糖質制限食でコントロール可能です。
インスリン注射やSU剤は、糖尿病治療に必要不可欠のものですが、それだけに頼っていては②③はクリアできません。
また、インスリン注射やSU剤内服中でも、糖質を摂取すれば食後高血糖を生じることが多いです。
さらに、外部からのインスリン注射でも、内部の自分のインスリンでも、血中濃度が高いほど、発がんのリスクは増えます。SU剤でインスリン分泌促進させることも同様のリスクがあります。
発がんリスク軽減のためにも、現在インスリン注射やSU剤で治療しておられる糖尿人の皆さん、主治医ともよく相談されて、糖質制限食で薬の量を減量することを目指して下さいね。
(*)日本医事新報 No.4303(2006年10月14日) 91-92ページ
江部康二